衆議院

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第12号 平成26年4月3日(木曜日)

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平成二十六年四月三日(木曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 橋本  岳君 理事 福井  照君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      伊藤 忠彦君    今枝宗一郎君

      上杉 光弘君    大西 英男君

      門山 宏哲君    川崎 二郎君

      木内  均君    工藤 彰三君

      小林 史明君    清水 誠一君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      中谷  元君    中村 裕之君

      長坂 康正君    西銘恒三郎君

      松本 文明君    山口 俊一君

      山田 賢司君    湯川 一行君

      奥野総一郎君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    寺島 義幸君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      遠藤  敬君    新原 秀人君

      中田  宏君    馬場 伸幸君

      百瀬 智之君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   議員           原口 一博君

   議員           武正 公一君

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務大臣政務官      藤川 政人君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 佐々木克樹君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    倉田  潤君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           島村  淳君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会理事)   板野 裕爾君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     山田 賢司君

  黄川田 徹君     寺島 義幸君

  馬場 伸幸君     遠藤  敬君

  浅尾慶一郎君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  山田 賢司君     穴見 陽一君

  寺島 義幸君     黄川田 徹君

  遠藤  敬君     馬場 伸幸君

  佐藤 正夫君     浅尾慶一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     工藤 彰三君

同日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     井上 貴博君

    ―――――――――――――

四月二日

 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外四名提出、衆法第一一号)

 通信・放送委員会設置法案(原口一博君外三名提出、衆法第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電波法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)

 電波法の一部を改正する法律案(原口一博君外四名提出、衆法第一一号)

 通信・放送委員会設置法案(原口一博君外三名提出、衆法第一二号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電波法の一部を改正する法律案、原口一博君外四名提出、電波法の一部を改正する法律案及び原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案の各案を議題といたします。

 この際、原口一博君外四名提出、電波法の一部を改正する法律案及び原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案について提出者より趣旨の説明を聴取いたします。原口一博君。

    ―――――――――――――

 電波法の一部を改正する法律案

 通信・放送委員会設置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

原口議員 おはようございます。民主党の原口一博でございます。

 電波法の一部を改正する法律案、通信・放送委員会設置法案に関する提案理由説明をさせていただきます。

 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 国民の財産である電波の移行、再編等を促進して最大限有効に活用し、情報通信のさらなる革新と利活用を進める観点から、私たちは、電波の有効利用を促す新たな方策が必要であると考え、本二法案を提出いたしました。

 以下、その概要を申し上げます。

 まず、電波法の一部を改正する法律案ですが、本法案は、競争による免許の付与、電波利用料の徴収等について定めるものであります。

 第一に、競争による免許の付与については、総務大臣は、基幹放送局を除き、電波の需給の逼迫の程度、公益上の必要性等を勘案して適当と認める場合には、競争により、無線局の免許もしくは包括免許の申請または特定基地局の開設計画の認定の申請を行うことができる者を選定することができることとし、この場合において、総務大臣は、競争による無線局及びその利用する周波数を公示することとします。

 この競争は、無線局の免許を受けた場合において利用できる電波の経済的価値に相当する金額について、競りの方法をもって行うこととします。

 これにより、競願時の選定手続として、現行の比較審査方式に加えて、オークション方式を用いることができるものへと改めます。

 第二に、電波利用料の徴収については、周波数の帯域、空中線電力、地理的条件等を勘案し、電波利用料の金額に電波の経済的価値が適切に反映されるように定められなければならないこととします。電波利用の対価として、その経済的価値に見合った料額を負担させる形へ、電波利用料制度の性格を見直すものであります。

 以上のほか、所要の規定の整備をすることとしております。

 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、本法案の概要であります。

 次に、通信・放送委員会設置法案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 この法律は、通信・放送委員会の設置並びに任務及びこれを達成するために必要となる明確な範囲の所掌事務を定めるとともに、その所掌する行政事務を能率的に遂行するために必要な組織を定めることを目的としております。

 技術発展に伴う通信・放送分野の融合や、規制緩和による市場競争が進展しつつある中で、公正中立な通信・放送行政の確保が強く要請されていることに鑑み、内閣府の外局として、通信・放送委員会を設置します。委員会は、これらの分野に係る規律に関する事務を行うことを、その任務とします。

 施行期日については、平成二十七年四月一日としております。

 以上が、電波法の一部を改正する法律案及び通信・放送委員会設置法案の提案理由とその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようにお願い申し上げます。

高木委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会会長籾井勝人君及び理事板野裕爾君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官佐々木克樹君、警察庁交通局長倉田潤君、総務省情報流通行政局長福岡徹君、総合通信基盤局長吉良裕臣君及び国土交通省航空局安全部長島村淳君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。濱村進君。

濱村委員 おはようございます。公明党の濱村進でございます。

 本日は、内閣提出の電波法の一部を改正する法律案につきまして質問をさせていただきます。

 今回の法改正では、携帯電話について、電波利用料の算定におきまして軽減係数を適用するということでございます。軽減係数というのは、電波利用料算定において、電波の普及や国民の生命の保護等の観点から特定の無線システムに一定の軽減を行うために設けられた係数ということで、これは、いわゆる国民の生命の保護とか、そういった観点で軽減を行いますということですね。

 これが携帯電話にも認められるべきだということでありますけれども、背景といたしましては、携帯電話が我々国民の生命財産の保護に寄与するとの観点から利用料の軽減を行うということであるかというふうに思います。こうした面で国民生活と不可分である携帯電話なんですけれども、重要な社会インフラであるということはもう御案内のとおりであるかと思います。

 今後も引き続き、安心、安全で便利な電波利用の推進をお願いするものでありますけれども、これまで、第三世代移動通信システム、いわゆる3Gと言われるものですけれども、これは、割り当てどおり、携帯電話事業者、移動通信事業者と言ってもいいかもしれませんけれども、こういった事業者がLTEの整備にまさに今、力を注いでいるという状況であります。

 きょうの日経新聞の一面にも、NTTドコモが、しっかりとLTE、二〇一五年三月期に向けていよいよ加速度的に整備していくというような記事が載っておりましたけれども、今後、そろそろ次の段階も見据えていかないといけないというふうに思うわけでございます。

 どういうことかというと、国際電気通信連合の言うところのIMTアドバンスト規格、これにのっとった通信システム、厳密に言うところの4Gをしっかりと整備していかなければいけないというところにあるというふうに思っております。

 日本では、既に商業的な段階でLTEについても4Gと呼ばれていたりしますけれども、この厳密に言うところの4Gについては、周波数帯としましては三・四ギガから三・六ギガヘルツの間であるというふうに存知しているわけですけれども、これをどのように割り当てをしていくのか。この割り当てのスケジュール感とプロセスについて、このプロセスについてもどのように透明性を確保していくのか、この点を含めてお示しいただけますでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 第四世代移動通信システムにつきましては、日本再興戦略におきまして、本年中に新たな周波数の割り当てを行うこととされておりまして、総務省といたしましては、この方針に沿って割り当てを行うことといたしております。

 具体的には、平成二十七年度にはサービスが開始できるよう、割り当て周波数幅や、それから割り当てに際して審査する視点を定めた開設指針を夏ごろまでに策定しまして、本年中に周波数の割り当てを実施することとしております。

 御指摘の割り当てプロセスの透明性の確保につきましては、総務省といたしましても、電波が国民共有の有限希少な資源であるということに鑑みまして、重要なことであるというふうに考えております。

 この透明性の確保につきましては、割り当ての基本的な考え方や割り当ての対象となります周波数帯などを定めました開設指針というのがありまして、この策定の段階と、あと、申請の審査の段階において透明性が確保されるということが必要であろうかと思っております。

 まず、開設指針の策定段階におきましては、本年一月に、携帯電話四社に対しまして公開の場でヒアリングを行いましたし、二月に、サービスの導入に際しての検討課題などについて、携帯事業者以外に意見募集をいたしました。

 今後、この開設指針の策定に向けまして、指針案のパブリックコメントを実施する予定でございます。

 また、審査の段階におきましては、開設指針に沿って審査を行う項目だとか配点、それから、周波数の割り当てを決定するに先立ちまして、審査を行います電波監理審議会における議論を記載しました議事録、それから、審査を行った結果を公表する予定でございます。

 このように、割り当ての客観性、公平性を確保するとともに、透明性が確保された手続のもとに割り当てを進めてまいりたいというふうに考えております。

濱村委員 本当に、今、プロセスをしっかり客観性あるいは公平性あるものにしていくというお話がございましたけれども、この点が担保されない限り、やはりいつまでたってもいろいろな議論が巻き起こるわけですので、しっかりとやっていただきたいというふうにお願い申し上げるわけでございます。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、この法改正におきまして、今、電波利用料の負担の割合についても変わるということが予想されているわけでございます。

 今現在、法改正前の段階では、携帯電話事業者が電波利用料の七二・三%を負担しているという状況がございます。法改正後はどのようになるかというと、六三・五%の負担になる見込みであるというふうになっているわけでございます。

 これは、六三%になるということ自体も非常に大事なことなんですけれども、それでもまだなお大半が携帯電話事業者が負担するという状況にあることは変わりがありませんので、携帯電話事業者は、厳しい競争にさらされながらも、収益を上げて着実な経営をしていかなければいけないということでございます。

 そういう意味では、健全な競争市場が醸成されなければいけないというふうに思っているわけでございます。

 現在、携帯電話事業者というのは、大きく三社あるというふうに認知しております。今後、より強固な健全な市場、こういうものを構築するためにも、現在の三社だけではなくて、新規事業者の参入なども非常に重要であるというふうに思うわけでございます。

 MVNO、いわゆる仮想移動体通信事業者、これについても非常に大事なプレーヤーであるというふうに思うわけですけれども、なかなかこのMVNOが伸びてこないという現状もあるかと思っております。この理由は何であるというふうに分析しておられて、どのような対策を講じようとされているのか、お答え願えますでしょうか。

上川副大臣 御質問の携帯電話市場ということでございますけれども、昨今、移動通信市場というのは、NTTドコモさん、KDDIさん、ソフトバンクさんということで、三つのグループを中心とした競争の構造になっているということでございますが、電波の有限希少性、また、膨大な設備投資のために新規参入に制約のある移動通信市場においてさらに競争を促進することにより、利用者にとりまして多様な選択肢を提供することが極めて大事だというふうに考えております。このため、他の携帯電話会社のネットワークを利用して多様なサービスを提供するMVNOの参入促進ということは、今後の大変重要な課題であるというふうに考えております。

 現状でございますが、契約数は、二〇一三年十二月末時点で一千三百七十五万ということで、近年大変急増はしているものの、まだまだ低いレベルにとどまっているということであります。携帯電話会社自体がMVNOになっているものを除きますと、このうちの六百七十万件ということでありまして、携帯電話、PHS、BWAの全契約数に占める割合は約四%にとどまっているということであります。

 そこで、MVNOの活性化策ということでございますが、課題として二つ大きく挙げられるのではないかということで、関係者の方からの御指摘でございます。

 一点目は、携帯電話会社からネットワークを借りる際の費用、接続料をもっと低廉化すべきであるということ、そして二点目としては、他事業者のネットワークにもつながるSIMロックが解除された端末をできるだけ流通させるということでございます。

 総務省といたしましては、本年三月に、モバイルデータ接続料の引き下げのためのガイドラインを改正するなどして、これら課題の解決に取り組んできたということでございますが、さらに、現在、情報通信審議会のもとに、二〇二〇―ICT基盤政策特別部会というのを設置いたしまして、世界一低廉で、かつ高速で、ビジネスしやすいICT環境の実現のための競争促進策ということで御議論をいただいているということでございまして、今後、こうした審議会等における御議論も踏まえまして、MVNOの活性化を通じた移動通信サービスの多様化、そして低廉化に努めてまいりたいと考えております。

濱村委員 今、なかなか参入がふえてこない理由として、二つ、接続料の低廉化が必要だということやSIMロックのフリー化をすることだということがございました。ぜひこれは前向きに検討していただいて、より活性化された市場をつくっていくために総務省としても力を注いでいただければなというふうにお願い申し上げるわけでございます。

 最後の質問に移りたいと思います。

 携帯電話は今、社会インフラに十分なっているわけでございますけれども、これを産業の観点から見てみますと、非常に重要な、大きな大きな日本の成長産業の一つであるというふうに言えるかと思います。非常に成長率も高い、こういった産業はなかなか日本にはほかにはないわけでございまして、そしてまた、その事業者の中には、海外の事業者を買収したりしながら国際的に業務、事業を拡大する、そういった事業者もあるわけでございます。

 そんな中で、当然、収益を上げた上で、設備投資をしていきながらも、安定的にサービス提供をしていかなければいけないということでございますけれども、一方で、ユーザー料金、このバランスを考えなければいけないというふうにも思うわけでございます。特に、外国と比べるとスマホの料金は非常に高いという評価があるわけでございますけれども、世界最高レベルの環境の整備とともに、ユーザー満足度を上げていかなければいけないというふうに思うわけでございます。

 政府といたしましては、この成長産業の維持とユーザー満足度の向上の両立を、どのように背中を押されていくおつもりでしょうか。総務大臣の御所見をお伺いできますでしょうか。

新藤国務大臣 まさに重要なポイントだと思いますね。

 そして、携帯電話の事業というものは、我が国の経済成長、これを進めていく上で、極めてそこに貢献をしていただく重要な産業である、このように考えております。

 二〇一二年度の主要携帯電話事業者の売り上げで十一・五兆円です。それから、この主要携帯電話事業者が十年間で設備投資額約十五兆円、このように大きな投資をしてくれているわけであります。

 加えて、携帯電話は、日々の通信に加えまして、今後、ICT化を進めていく上で、いろいろな産業全般のICT化の中で、必ず携帯を使うものが出てくるだろうと思います。さらには、医療、それから教育、そして防災、そういったところにも、最終的に、さまざまなICTによるサービスの最後の受け皿として携帯が使われる。これは、今後とも非常に大きなものが見込まれます。いわば私たちの暮らしの基盤になっていく、通信そのものが基盤でありますが、その中の大きなツールであります。したがって、御指摘のように、できるだけ使いやすいように、そして、適正な競争のもとでこの事業者の分野が伸びていく、こういったことを考えなければいけないわけであります。

 今回の私どもの法改正において大きな特徴は、M2Mですとかセンサー、こういったものの電波利用料の実質負担をゼロにする、これによって新しいICTのサービスが見込まれます。そのときに、携帯電話のネットワークを利用した新たな産業というものも出てくるのではないか、このように期待をしているわけであります。

 そして、日本再興戦略を踏まえまして、ICTにより日本経済をさらに成長軌道に乗せるためにはどうしたらいいか、私どもは、この二月に、情報通信審議会のもとに二〇二〇―ICT基盤政策特別部会、こういったものを設置いたしました。

 その中で、携帯電話の料金をさらにどう引き下げられるか、そして多様なサービスを可能にするにはどうしたらいいか、こういったこともやります。一方で、利用者に対する環境というもの、こういったものも検討してみようと思います。

 それから、公衆無線LANの利用手続を簡便にするですとか、そういったさまざまなことを工夫して、そして、まさに、我々は思い入れがあってこの名前をつけたのでありますけれども、二〇二〇―ICT基盤政策特別部会、この議論を踏まえて、世界に冠たるICT環境を実現したい、このように考えているわけでございます。

濱村委員 時間も来ましたので、最後、一言申し上げて終わりたいと思うんですけれども、二〇二〇―ICT基盤政策特別部会、これは非常に重要であるというふうに思っております。料金の引き下げもそうなんですけれども、引き下げることが主眼というわけではなくて、利用者にしっかりと選択できる事業者を残していくということも非常に重要なことであるというふうに私は思っております。

 そういった観点からも、バランスのとれた政策をとっていただきますよう総務省にお願いして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

高木委員長 次に、福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 本日は、内閣及び原口一博君外四名提出の電波法の一部を改正する法律案、原口一博君外三名提出の通信・放送委員会設置法案などについて、質問をさせていただきます。

 まず、衆法第十一号に定める新たな電波利用制度について、提出者にお伺いをいたします。

 一つ目は、電波利用制度の変更についてであります。

 今回、電波利用制度を、共益費用から電波の経済的価値を反映したものに変更する趣旨はどのようなものなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

原口議員 お答えいたします。

 国民共有の財産である電波は、その需要が急速に、しかも大幅に拡大してきています。この電波の利用に対する需要の増加に伴い、これをできる限り有効に利用する、その必要性が高まっています。

 現行法の電波利用料の額は、平成十七年の改正以降、電波の経済的価値に応じて負担する部分と、無線局数で案分して負担する部分を合計して決定する方法とされていますが、電波利用料の性質は、無線局全体の受益を目的として行われる事務に要する費用に充てるために免許人等が納付すべき金銭であるとされたままなんですね。その根本は、従前と変わっていません。

 また、電波の経済的価値に応じて負担する部分についても、一部、無線システムについて、特殊性を考慮して軽減係数などが入れられておりまして、十分にインセンティブが働く仕組みとはなっていない。

 そこで、これらの仕組みを改め、電波を効率的に利用するインセンティブが十分に働くよう、電波利用の効率化を図るために、電波利用料の性格を、無線局の免許人等がその電波を利用することによって享受する経済的価値がしっかり反映されたものにする、これが目的であります。

 私たちが政権を預かったときには、電波周波数帯も、例えて言うのであれば、高速道路の中に自転車道が入っているような状況でした。それを再編しました。しかし、それにも限りがあります。そこで、今回、日本維新の会さん、それからみんなの党さん、結いの党さんとともに提案させていただいた次第でございます。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 電波利用の効率化を図るために電波の有する経済的価値に、負担をしてもらう、そういう仕組みを導入する、こういうことですね。よくわかりました。

 では、二つ目でありますが、二つ目は、新たな制度の電波利用料の額の決め方についてであります。

 どのようにして決められるのか、お聞かせください。

武正議員 お答えをいたします。

 平成五年からこの電波利用料制度が始まり、当初七十五・六億円、平成二十五年七百四十一・三億円ということで、その使途が拡大をしてきた、必要最小限でいいんじゃないかというのが、そもそも衆法提出者の問題意識でございます。

 今、新たな制度で電波利用料の額はどのように決めるのか。確かに、経済的価値は、十七年、二十年、二十三年と入れてはきておりますが、先ほど原口議員の根本的な考え方としては、取り入れられておりません。

 新しい制度では、電波利用料の額は、周波数の帯域、空中線電力などを勘案し、電波の経済的価値が適切に反映されるような算定基準を総務大臣が省令で定め、これに基づいて総務大臣が各免許人の具体的支払い額を決定することとしておりまして、この総務大臣というのは、通信・放送委員会が認められれば、それが行うということでございます。

 また、オークションにより電波帯の特性に応じた経済的価値というものが明らかになってまいりますと、それが電波利用料の算定基準に反映される可能性がございます。しかし一方、今回、オークションの対象から放送を除いたように、電波利用料のみで経済的価値を全て反映することにもまた限界もあるのも確かでありまして、そういったところでは、やはりオークションというものがセットで必要であるということになろうかと思います。

福田(昭)委員 新たな経済的な価値を導入するだけではなかなか十分ではないということで、オークションの必要性についても説かれましたけれども。

 三つ目は、周波数オークションの対象についてお伺いをいたします。

 放送は周波数オークションの対象に含まれているのか、また、放送が含まれないとしたら、なぜ周波数オークションの対象から除いたのか、その辺をお聞かせいただければと思います。

原口議員 大事な御指摘だと思います。

 今回、御指摘のように、本法案では、周波数のオークションの対象となる無線局は、基幹放送局、これを除く全ての無線局としています。周波数オークションの対象からいわゆる基幹放送局を除いた理由は、さきの東日本大震災においてもそうでしたけれども、被災地の各局を初めとする民放事業者が、取材及び情報収集を続けて長期間にわたり緊急報道番組を放送し、被災者、国民への情報提供に努め、放送の公共性、社会的役割が見直されました。こういったことからしても、放送の安定性、継続性を考慮して、今回、外しています。

 ただし、諸外国の例を見ますと、一部の放送を対象としてオークションを実施している国もあります。アメリカやイギリスなどがそれです。海外の動向も踏まえつつ、また、本法案が成立した後は、その実施状況も見ながら、放送を検討の対象とするか、これは引き続き検討したいというふうに思います。

 また、放送の中心は公共性です、中立性です。それが侵されているとなると、さらに、また後で多分先生が御議論なさると思いますけれども、このオークションについての考え方もおのずと変わっていくのではないか。放送の公共性はやはりしっかり担保されるべき、このように考えています。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 確かに、東日本大震災を踏まえて、放送の公共性、社会的役割が見直されたということを踏まえた対応で、非常に適切なものだと考えております。おっしゃるとおり、放送の安定性、継続性等の観点から除かれたということでございますが、本当にそのとおりだと思います。

 そうした中で、OECD三十四カ国の中でも、もう既にほとんどの国がオークションを導入しているということでございますので、ぜひ、政府においても、オークションの導入についても今後検討されたらいかがかなというふうに思っております。

 次に、電波利用料の改定及び電波利用料の使途の拡大について総務大臣にお伺いをいたします。

 一つ目は、同報系デジタル防災行政無線の料額についてであります。

 政府が提出した今回の改正案では、電波利用料は、現行料額約七百七十億円に比べて七十億円安い約七百億円を見込んでおり、事業者間のバランスをとったということは評価できることだと考えております。しかし、同報系デジタル防災行政無線は値下げしてありますけれども、これは、いわゆる利益を出す事業者ではなく市町村が使用するものであって、利益を上げるものではありません。その普及を上げるためにも、もっと値下げをするべきだと思いますが、いかがですか。

新藤国務大臣 電波利用料制度につきましては、電波の適正な利用の確保に関して、無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用を、受益者である無線局の免許人の方々に公平に負担していただく制度ということであります。したがって、原則、全ての無線局に御負担をいただくということになっております。

 一方で、例えば、消防用や防衛用の無線局ですとか、警察用、海上保安用など、そういった非常時における国民の安全、安心の確保を直接の目的とする、さらには、専ら治安、秩序の維持を直接の目的とする、こういう高度の公共性を有している無線局については電波利用料を免除しているということになっております。

 御指摘の防災行政無線の無線局につきましては、これは自然現象また火事などの被害から国民を保護するという高度の公共性を有しておりますが、地方行政一般、それは、各種行事案内ですとか気象情報、火災や交通安全の注意、窃盗や防犯への注意など、そういった一般の行政にも使用される、こういうことを考慮いたしまして、電波法の規定に基づいて、電波利用料を半額負担、このようにさせていただいているわけであります。

 今回の見直しにおきまして、同報系の防災行政無線のデジタル化に伴って、子局に双方向機能が導入されるわけであります。そうすると、電波利用料の新たな負担が生じることになりまして、主として受信機として使われるものであること、子局の料額については、そういった特性を踏まえて低廉化をしたい、このように考えております。

 整備費用の低減化は、デジタル化を進める上で効果的であることは違いがございません。総務省としては、地方公共団体のデジタル化に向けた取り組みが進展するように、デジタル同報系の防災行政無線の低廉化のための技術基準を策定して、情報通信審議会での検討を経て、本年中の制度化を予定したい、このように考えております。

福田(昭)委員 消防や警察やそういったところが免除しているということであれば、多分、この防災行政無線、全国に今、今回合併して千七百余りの市町村があるかと思いますけれども、普及率を考えてみると、なかなか普及していないのが現状じゃないかなというふうに思っておりますので、ぜひ、さらに御検討いただければというふうに思っております。

 それから二つ目でありますが、二つ目は、現行法上の使途についてであります。

 平成二十一年の法改正で、経済的弱者に対する地上デジタル放送のチューナー等の無料配付、平成二十五年の法改正で、防災行政無線等への、今大臣のおっしゃられた補助が追加されましたけれども、これらを含めて、電波利用料によって行われている事業の現状と効果についてお聞かせください。

高木委員長 今の質問はどなたが答えますか。吉良さんでいいのかな。

福田(昭)委員 では、次に行きますから、そのうち考えておいてください。

 三つ目でありますが、今回の法改正に伴う使途の拡大についてであります。

 今回、ラジオ放送の難聴解消のため、小電力のFM中継局整備に対する支援を使途に追加することになったことは評価をしたいと思います。

 しかし、先日もちょっと尻切れトンボになってしまいましたけれども、国策として進めてきた地デジ化によって難視地域となっている山間部や都会のビルの谷間があります。そういう地域で、アナログの共聴受信組合では、各家庭で受信するためのコネクターの購入や、共同施設の撤去費用も各家庭の負担となっていると聞いております。

 こうした方々への助成も必要だと思いますが、どうなっているのか、お聞きをしたいと思います。

高木委員長 これはどちらが答えるの。しっかり質問を聞いて。福岡情報流通行政局長。

 総務省の方は、しっかり質問を聞いて答えるようにしてくださいよ。

福岡政府参考人 失礼を申し上げました。

 電波利用料を活用いたしまして、地上のアナログ放送をデジタル放送に切りかえるということで、これまで、アナログ変換対策、それから、それを踏まえて、デジタル化移行に伴ってのデジタル難視対策等々に電波利用料を活用させていただきました。

 この結果によりまして、まず一つは、これまで、アナログ時代におきまして使っておりました周波数を約三分の二まで縮めることができまして、これによりまして、携帯電話を初めといたしまして、需要がふえております他の電波利用に活用できたといったことがあろうかというふうに考えてございます。

 それから、先ほどお答えを申し上げませんで大変失礼を申し上げましたが、チューナーの支援の関係につきましても、これは例えば、低所得者の方々に対しまして、デジタルで信号を受信するチューナーを配付することによりまして、デジタル化への円滑な移行に貢献できたというように評価をしているところでございます。(福田(昭)委員「その後は。三つ目の答えは。地デジの難視地域解消のためのあれは」と呼ぶ)

 失礼を申し上げました。難視聴対策でございますが、これは、東北三県を含めてデジタルに完全に移行いたしました二十四年三月末におきましては、全国で約十六万世帯ほどの、いわゆるデジタル化に伴う難視聴世帯がございました。これにつきまして、以前より、例えば共聴施設を整備する等々の対策で、現在、二十五年十二月末現在では、全国で約三万三千世帯というところまで減ってきているところでございます。

 現在、二十七年三月末までを目途といたしまして、このデジタル難視聴対策を、減らしていくということで進めているところでございます。

福田(昭)委員 ちょっと答えがよくわかりませんが、特に難視聴地域においては、先ほど申し上げたように、コネクターを買わないと、つけないと、実はテレビが見られない。それからさらに、今まで使っていたアナログのアンテナを、共通施設を撤去するという費用もかかる。こうしたものもかかるということについて、どうも、私が地元の人から聞いている話と、総務省とNHKの話が違うわけですよ。そこを、どれが本当なのかということを確かめたくて言っているわけですけれども、ちゃんとした答えがないので、これからさらに、しっかり、よく調査をしていただきたいと思います。

 先日のNHKの予算に対して総務大臣の意見があって、四番目の「地上デジタル放送日本方式の国際展開の推進等」の中の三つ目の丸に、「衛星による暫定対策を講じた世帯等への恒久対策等、完全デジタル化移行後の課題に着実に取り組むこと。」こうNHKに総務大臣が意見を言っているじゃないですか。

 それに対して、総務省自身がちゃんとやるべきことをやっていないというのではやはり問題でありますから、しっかりやっていただきたいと思います。

 このことにいつまでもかかわっているわけにいかないので先に行きますけれども、ぜひしっかり対応してほしいと思います。

 次に、通信・放送委員会の設置について、提出者と、最後に総務大臣にお伺いをいたします。

 一つ目は、通信・放送委員会の設置についてであります。通信・放送委員会を設置する趣旨及びメリットは何か、お聞かせをいただきたいと思います。

武正議員 お答えいたします。

 通信及び放送の分野における規律、ルール、このルールメーキングに関する事務は、総務大臣の裁量による振興行政の都合に左右されることなく、公正かつ中立に行われる必要性が特に高い分野でございます。

 そこで、本法案では、新たに、いわゆる三条委員会として、内閣府の外局たる通信・放送委員会を設置し、そこに通信及び放送の分野における規律、ルールに関する事務を行わせることとしております。委員長一名、委員四名、合計五名という委員会でありまして、特に、政党要件あるいはまた政治活動の禁止などもしっかりと盛り込んでおります。

 これまで、八条委員会で電監審、電波監理審議会がありましたが、戦後、その権限が、独立性が弱められてきた経緯もありますので、今回は三条委員会、しかも、電監審は事務局は総務省が行っておりますが、今回は内閣府に置くということで、事務が公正かつ中立に行われることが期待をされます。

 以上です。

福田(昭)委員 ありがとうございました。

 独立した委員会とすることによって、公共のものである通信・放送を公正かつ中立に行われるようにするということでございますね。本当にそのとおりだと思います。

 二つ目は、通信・放送委員会がNHKを所管することについてであります。NHKを通信・放送委員会が所管するとしておりますけれども、そのメリットは何か、お聞かせいただきたいと思います。

原口議員 現在、この総務委員会でも、NHK予算の審議について参議院の総務委員会から異例の文書が総務委員長宛てに来ました。まさに公共放送の根幹を揺るがしかねない事態が起きているという認識をしています。

 現在は、日本放送協会に対する監督や経営委員の候補者の選定事務は原則として総務大臣の権限とされています。これを、制度的にさらに公正性や中立性を十分に確保する、これが大きな目的です。

 先ほど武正議員が答弁いたしましたが、日本放送協会に対する監督を含め、通信及び放送の分野における規律に関する事務を公正かつ中立、しかも、受信料で成り立っていますから、受信料を支払ってくださっている国民の皆様にも、透明性を持って、しっかりと公共放送をみんなの受信料で維持していく、こういう認識を持っていただくことが大事であります。

 本法案では、通信・放送委員会の所掌事務として、御指摘のように日本放送協会に関することを掲げておりまして、本法案の成立後は、日本放送協会に対する監督や経営委員の候補者の選定事務は通信・放送委員会が行うことを想定しています。これによって、日本放送協会に対する公正性、中立性をより担保していきたい、このように考えております。

福田(昭)委員 ありがとうございます。

 それでは、通信・放送委員会を設置することについて、そしてその通信・放送委員会がNHKを所管することについて、総務大臣の所感をいただきたいと思います。

新藤国務大臣 まず、今般提出されました議員立法である通信・放送委員会設置法案、これにつきましては、まず各党間での御議論をいただくものである、このように私は思っております。

 しかし、今般の法律案につきましては、議員発議に係る予算を伴う法律案については、国会法に基づいて内閣が意見を述べることになっているわけであります。ですから、その観点から、私の方からもコメントさせていただきたい、このように考えております。

 まず、我が国は議院内閣制を採用しておりまして、内閣の一員である大臣が責任を持って行政を執行すること、これが大原則であります。そして、特に技術革新が激しい情報通信分野は迅速な対応が強く求められることもございます。大臣が責任を持って機動的、一体的、総合的に行政を執行することが必要だ、このように考えているわけであります。

 実際に、現在の体制のもとで、世界最高レベルのICTインフラの整備、円滑なデジタル放送への移行など、振興と規制を一体的遂行によって大きな成果を上げていると思っているわけであります。

 したがいまして、情報通信行政において、規制のみを所掌する合議制の通信・放送委員会を設置することは適当ではない、このように考えておりまして、内閣としては、本法案について反対である旨の閣議決定をさせていただいております。

 それから、NHKを通信・放送委員会が所管することでありますが、まさに、我が国は、議院内閣制を採用し、内閣の一員である大臣が責任を持って行政を執行いたします。そして、大臣の執行は、それは内閣の責任、内閣全体の、政府全体の責任になるわけであります。さらには、今申し上げましたように、機動的、一体的、総合的な行政が情報通信分野には求められるということであります。

 今、この法案の提出者からもお話がありましたが、放送における公正、中立、そして公共性といいますか、そういったものはまさに放送法で担保されているわけでありまして、私は、放送法を所管する大臣として、この放送法がきちんと適切に運営されること、それを指導し、監督し、また所管していく、こういうふうに考えているわけでございます。

福田(昭)委員 このことについては、いろいろ議論があるかと思いますが、今後さらに議論を深めていきたいというふうに思っております。

 時間がだんだんなくなってきましたが、次に、放送法に定める、NHK会長の職務上の義務違反について、浜田委員長と総務大臣にお伺いをいたします。

 一つ目は、人事権についてであります。

 委員長と大臣の意見をお伺いしますが、組織における人事権とはどういうものか、それぞれ、お考えをお聞かせください。

新藤国務大臣 一般論でございますけれども、独立行政法人の労働政策研究・研修機構、こういったものの中に参考となる事項がございました。人事権とは、労働者の地位の変動や処遇に関する使用者の決定権限のことを指す、このようになっております。

浜田参考人 お答えいたします。

 企業経営の観点で申し上げれば、人事権とは、経営者が、企業組織の価値を最大限に発揮させ、その目的を達成するために、従業員を適材適所に配置し、おのおのの任務に当たることのできる、経営者として重要な権限の一つと認識しております。

 経営者が人事権を適切に行使することにより、従業員のモチベーションの向上と、上司との信頼関係が醸成され、企業の活性化と成長につなげていく効果があるものと考えております。

 特殊法人であるNHKにおいても、基本的に同様であるというふうに考えております。

福田(昭)委員 それぞれ、大臣と委員長から人事権についての説明をいただきました。

 広辞苑には簡潔に書いてあります。広辞苑によりますと、人事権とは、「使用者が労働者の採用・配転・昇進・解雇などを決定する権利。」と書いてあります。労働法や労働協約によって制限される、こう書いてあります。なかなか簡潔に説明されております。

 まさに人事権とは、人材を育てるのも人事、だめにするのも人事、組織を活性化するのも人事、だめにするのも人事であります。したがって、人事というのは物すごく重要なんですね。ですから、人事を間違えば、働かない組織になっちゃうかもしれないし、しっかりとした人事を行えば、一生懸命働く組織になるかもしれません。

 そんなことを考えたときに、今回の、日付のない辞表をとったということはどういうことだと思いますか、大臣と委員長。

新藤国務大臣 まず、今回の一連の出来事をどう思うかと感想を問われて、私は、会長とすれば、自分が新しく選任されて、皆さんと一緒にやっていきましょう、こういうことの意気込みを示した上で、自分と一緒に仕事をしてほしい、こういうことで、フレッシュな気持ちで、また緊張感を持って行うためにこの提出を求めたということであります。

 一方で、理事の皆さんも、福田委員の御質問でここでお答えになりましたが、組織の一員としてこういったものを判断して、みずからの判断で出しました、こういうふうになられております。

 ですから、私とすれば、これは、組織の一員として、ともに仕事を一緒にやっていきましょう、また、組織の一員としてしっかりと職責を果たしてまいります、こういう意気込みを示したものではないかな、このように思っているわけでございます。

 そして、日付のないという話でありましたが、一般論として申し上げれば、日付のない辞表が果たして有効であるかどうかは疑義のあるところだというふうに私は思っております。

浜田参考人 会長は、辞表の提出は、新体制のスタートに当たり、緊張感を持って、役員一同が一丸となって職務に取り組んでもらうためと説明しております。

 経営委員会といたしましては、辞表を提出させた行為が、会長が説明した狙いを実現し、適切な人事権の行使になるかどうかを注視してまいりたいと思っております。

福田(昭)委員 浜田委員長は、今回の一連の騒動について籾井会長に二度注意をしたということですけれども、籾井会長は本当に反省していると思いますか。いかがですか。

浜田参考人 何度かお話をしておりますけれども、本人は、反省をし、今後の職務執行に当たりたいというふうに申されておりますので、私としては、それに期待をしております。

福田(昭)委員 浜田委員長は、四月一日のNHKの平成二十六年度の入局式には出席されましたか。

浜田参考人 出席しておりません。

福田(昭)委員 それでは、浜田委員長にお知らせしますけれども、四月一日の平成二十六年度の入局式で籾井会長が新採用職員に何と挨拶したか。

 NHKに入局された皆さんにまず学んでほしいことがあります、放送法といっても百何条ございますから、一日で覚えることは大変難しゅうございますが、私がきょうお願いしたいのは、放送法第一条から第四条、それから第十五条、これだけは念仏のように読んでいただきたいというふうに思います、このほか、どうやったら会長をやめさせられるか、そういうことも書いてありますが、そこのところはどうでもよいと思います、こう言っている。

 いいですか、会長をどうやったらやめさせられるかということも書いてあるけれども、そこのところはどうでもよいと思うので、皆さん、第一条、第四条、第十五条、これをちゃんと頭に入れてください、こういう挨拶をしているんですよ。これは反省した人の言葉ですか。

高木委員長 福田君、申し合わせの時間が来ておりますので、もう質問はここで切り上げていただきたいと思います。

福田(昭)委員 では、済みません、回答だけ。

高木委員長 では、浜田経営委員会委員長、最後、簡潔にお願いいたします。

浜田参考人 今の御質問については、内容を承知しておりませんので、コメントについては差し控えさせていただきたいというふうに思います。

福田(昭)委員 よく精査して答えてください、後で、まだ質問はありますから。

 以上で終わります。

高木委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野でございます。

 きょうは、電波利用料、電波法の改正について、閣法を中心に質問をさせていただきます。

 毎回申し上げていますが、この電波利用料ができたときに私はちょうど郵政省に入りたてでありまして、この百三条の二の条文の一部も書かせていただいております。非常に思い入れの深い法律でありますので、ちょっと細かくなりますが、伺っていきたいと思います。

 この条文、今見ますと、百三条の二というのは四十五項もあるんですね。法律が一本できるぐらいの長さでありまして、私も、これは頭から読んでみようと思ったんですが、読めませんでした。内容もよく理解できません。非常に複雑な条文になっているわけであります。

 そこで、伺いたいんですが、算定のやり方、個々の利用料額というのは一体どういうふうに算定しているんでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料の料額算定に当たりましては、三年間に必要な電波利用共益費用を、その性質に即しまして、一つは電波の経済的価値の向上につながる事務、これをa群と称しておりますが、これに要する費用と、それから電波の適正な利用を確保するために必要な恒常的な事務、これはb群と称しておりますが、これに要する費用の二つに分類いたしまして、前者、すなわちa群に要する費用でございますが、これにつきましては、各無線局が使用する電波の帯域幅等の経済的価値、すなわち使用周波数帯の逼迫度の度合いに応じて案分しております。それから、後者、すなわちb群に要する費用でございますが、これは、無線局で均等に配分して、それらの合計額を各無線局の料額としているところでございます。

 今申し上げましたa群につきましては、電波の経済的価値の向上につながる事務に要する費用であるというようなことから、使用周波数帯の逼迫度だとか、使用帯域幅だとか、出力だとか、それから設置場所の違い等を勘案して、それぞれの無線局が使用する電波の相対的な経済的価値に応じて費用を配分しているところでございます。

 それから、b群につきましては、各無線局の使用帯域幅、出力、それから設置場所の違いによらずに、基本的にはひとしく受益するものでありますところから、原則、無線局数で費用を均等割しているところでございます。

 このように、電波利用料の料額算定に当たりましては、その事務の性質によりましてa群とb群に分類をして、算定を行っているところでございます。

奥野(総)委員 非常に平易に御説明いただきましたが、非常に複雑であるということもまた事実でございます。

 電波利用料とは、電波利用共益事務を実施するということで、かかる費用をみんなで負担していきましょう、こういう考え方、マンションの共益費用みたいなものだ、こういう説明がなされていますが、法律をつくったときは、いわゆる今のb群しかなかったんですね。電波の適正な利用を確保するために必要な恒常的な事務、これは今回三百億円と算定されていますが、そもそもこのb群の部分しかなかったんです。

 ここは物すごくわかりやすくて、電波監視とか、それから無線局免許の管理システムとか、受益と負担が非常にはっきりしています。全部の無線局がひとしく受益を受けているということでありまして、だから均等に割り振る。これは大体一局、恐らく二百円ぐらいになるかと思うんですけれども、全部の無線局数でこの費用を原則は均等割して負担する、ここは非常にわかりやすい。

 その後、後からa群というのが、これは平成十七年の改正ですか、入ってきました。今回でいえば、およそ四百億円に当たる部分です。電波の経済的価値の向上につながる事務です。

 ここで対象となっている費用は、例えば、地デジの中継局の設置の補助でありますとか、あるいは携帯電話のアンテナの設置でありますとか、あるいは周波数資源の開発でありますとか、非常に広い範囲にわたって支出ができるようになっていますが、ここは、私からするとややわかりにくいんですね。受益と負担の関係がややわかりにくいと思います。

 では、地デジ化で誰が受益をするのかというと、一般、国民全体はもちろん受益をするわけでありますけれども、無線局に限って見たときにどういう効果があるかといえば、先ほども答弁がありましたけれども、デジタル化で放送局が占有する帯域が狭くなって、あきができます。そのあきの部分を有効に使う。一時的に得をするのは、そこのあきの部分を使っている人たちが受益を受けるわけであります。では、全免許人でどうして負担するのかということでありますが、恐らく、反射的な利益ということで、間接的に受益を受けているからということで負担しているんだと思うんですけれども、このa群については受益と負担の関係がわかりにくいんですね。

 ただ、デジタル化についていえばまだ、周波数の有効利用につながって、あきができて、みんなが得をするというふうに言えると思うんですが、今回新たに追加になりますラジオ、ラジオの難聴解消事業というのが今回入りますが、これは一体どういう理屈で共益費用というふうに言われて整理されたのでありましょうか。そのスキームと、それから今回共益費用に加えた理由を説明いただければと思います。

福岡政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の、ラジオ放送の難聴解消のための補助金に電波利用料を新たに充てるということでございますけれども、まず、委員も御案内かと思いますが、ラジオにつきましては、特に最近は、電子機器の普及や建造物の高層化、堅牢化等によりまして新たに都市型の難聴といったものが、特にAMでございますが、ふえてきてございます。そのほか、地理的、地形的難聴や、あるいは外国波との混信による難聴というものがございます。

 これを解消をするためには、一つは、特にAMなどは広域に広がりますが、このAMの出力を大きくすれば難聴を解消することも一つの可能性としてあるわけでございますが、そういたしますとお互いにまたAM波同士が混信をし合いまして、事実上不可能である。したがいまして、今回は、比較的小電力で対応ができるFMの波を使って難聴を解消しようと。

 したがいまして、このように難聴解消のために必要最小限の出力の周波数を用いることによりまして、今申し上げましたような、ほかへの混信を防ぎ、周波数の有効活用に資するということで、無線局全体の受益に該当するということから、電波利用料財源を充てるということにしたものでございます。

奥野(総)委員 やはり、これで一義的に利益を得るのはラジオの視聴者なんですね。ラジオは無線局ではないので、では、誰が一番受益をしているかといえば、一般国民ということになるわけです。今、これによって新たな周波数を割り振らなくていいので有効利用につながるというような御答弁だったと思いますけれども、これはやはりわかりにくいと思うんです。ですから、こういった事業については、本来、一般財源でやるべきだと私は思います。どんどんつけ加えていくと、共益費用という概念がだんだんぼけてくると思うんですね。そういう問題点を指摘させていただきますが、やろうとしていること自体は、私はいいことだと思うんです。

 伺いますけれども、今回、FMを使ってAM局も、同じコンテンツをステレオ放送ができるということでよろしいんでしょうか。

福岡政府参考人 お答えいたします。

 今回、AM事業者がAMで流している放送内容をそのままFMでの中継局で補完的に流すわけでございますが、その際のFM中継局の放送方式は、現行のいわゆるFM事業者が行っているFM放送のものと同じものとすることとしてございます。

 FM放送の場合には、AMと比べまして伝送する周波数帯幅が広いということがございます。したがいまして、その中で、もちろんモノラル放送でも構わないんですけれども、ステレオ放送に対応してあるということでございます。そういう意味では、御指摘のとおり、FMの補完局からの放送につきましては、技術上もできますし、恐らくステレオ放送に対応されるだろうというふうに考えているところでございます。

奥野(総)委員 ラジオは非常に苦戦していまして、一番売り上げがあったときの半分以下に今、売り上げが落ちてしまっているんですね。

 僕は、ラジオというメディアは非常に大事だと思っています。もちろん災害時にも有効でありますし、平時においても、双方向なんですね、メールを送ってやりとりする、あるいはツイッターでやりとりする、非常に双方向のメディアでありますし、ラジオをもっともっと支えて、これからも発展させていかなければならないと思うんですが、そういう意味で今回の施策は、ステレオでいい音質でラジオが聞けるようになる、V―LOW帯を使って聞けるようになるということで、私はそこ自体は評価したいと思います。

 大臣、その点について、ラジオ局のてこ入れという観点で、いかがでしょうか。

新藤国務大臣 今委員が御指摘されましたように、ラジオは生活にとって非常に重要である、しかも定着をしている、コミュニティーの一部になっていると思いますし、特に、東日本の大震災において改めて認識をされましたが、災害時においていつでも安定して利用可能である、しかも災害の初動期において極めて有効であった、こういうような報告もなされております。

 私どもは、AMラジオと、それからさらに、安定的にこの放送を維持するためにFM局を使った、そういったものも展開していこう、これは国土の強靱化の一環であるといったことで方向性を出したわけであります。

 一方で、ラジオ局はやはり、いわゆる事業収入、これに経営上のさまざまな心配がございます。それから、建築物の堅牢化だとか電気雑音の増加による難聴、そういったものもありますし、送信所を設置する際にもたくさんの面積を要するとかさまざまな課題があるわけでありまして、こういったものも含めて、放送ネットワークの強靱化に関する検討会の中で将来の提言をいただいたというところであります。

 今回の電波法の改正案の中には、放送ネットワークの強靱化に関する検討会での提言を踏まえまして、電波利用料によるラジオ難聴解消のための中継局整備への支援措置、こういったものも盛り込んだわけであります。

 いずれにいたしましても、ラジオが社会に期待される役割を果たされるように、そして、予算措置や新たな周波数の割り当ても含めまして、放送ネットワークの強靱化を進めていけるように私たちも対応していきたい、このように考えております。

奥野(総)委員 そこはまさにそのとおりだと思いますが、では、これと電波利用料が直ちに結びつくかというと、私はむしろこれは一般財源でやるべき事業のような気がする。そこを指摘させていただきます。

 話を戻しますが、a群についてはこうしたいろいろなものが入っているんですね。地デジ化、それからラジオの支援、あるいは携帯電話のアンテナ整備とか、あるいは周波数資源の技術開発とかいろいろなものがa群について入っていて、それをどうやって割り振っているかということでありまして、今申し上げたように、必ずしも受益と負担の関係はb群ほど明確ではないわけであります。

 では、どうやって割り振っているかということを調べますと、まず、三ギガを境にして上と下で、三ギガより上を一、下を二十四、一対二十四でまず費用を配分する。これは、無線局数が三ギガ以上は少ないので、密度が低いということでそういう分け方をしている。まず一対二十四に分けますということらしいんですね。さらに、その分けた費用を今度は無線局種別ごとに占有している帯域に割り振っていくということですが、ただ単純に帯域に比例配分するわけじゃなくて、そこに特性係数なるものを掛けて調整をするという非常にややこしい処置をしているわけです。

 例えば放送局でいえば、国民の生命財産の保護に著しく寄与ということで特性係数二分の一、さらに国民の電波利用の普及に係る責務、特性係数二分の一、二分の一掛ける二分の一で四分の一、実際に占有している周波数帯幅に四分の一を掛けて算出する、それを放送が占有している帯域としてみなして比例配分する、こういうことをしているわけであります。

 では、その特性係数について伺いたいんですが、国民の生命財産の保護に著しく寄与するというのは具体的にどのような無線局を言っているのか。これだけ聞くと、例えば、いわゆる公益事業、電気やガス事業の無線まで含むのか、どこで線を引くのかということを伺いたいと思います。今回新たに携帯電話も含められたようでありますけれども、その考え方を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 携帯電話は、現在、人口普及率が一〇〇%を超えている。一億二千万人の国で約一億四千百万契約。国民への普及が深く行われている。加えて、先ほども災害時のことを申しましたが、災害時における通信連絡手段として極めて重要なものだ、このように考えるわけであります。

 東日本大震災においても、携帯電話事業者は、国民や国、地方公共団体、防災関係の関連機関等からの重要通信を取り扱う通信基盤の迅速な復旧や新たな災害対策の取り組みを行っていただきました。非常時対応に多額の費用負担を負ったわけであります。

 主要な携帯電話事業三社、これはNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルということでありますが、これらは災害対策基本法及び国民保護法の指定公共機関に指定されている。したがって、災害時において、災対法や国民保護法に基づいて、防災計画の作成及び実施が円滑に行われるように、この業務につきましても都道府県または市町村に対して協力する責務などが課されているわけであります。

 こうした観点から、電波利用料の見直しに関する検討会において、昨年八月に基本方針が取りまとめられました。そこで、国民の生命財産の保護に著しく寄与する軽減係数を新たに適用することが適当である、このような提言がなされたわけでございます。

奥野(総)委員 災対法でいえば、電気、ガスも恐らく何らかの指定を受けておられると思うんですが、私が伺ったところだと、自営の無線システムには係数は掛けないんだ、あくまで携帯電話という皆さんが使ういわゆる通信系だから、通信事業だからこの係数を掛けているんだ、こういうふうに伺いました。

 あと、結論から言えば、国民の電波利用の普及に係る責務とはどの無線局まで含むのかという質問をしようと思ったんですが、これは、今回は携帯電話は入れないということのようなんですね。それは、法律上のユニバーサルサービス義務が携帯電話にはかかっていないからだ、こういう説明を受けています。放送は、民放は努力義務がかかっているということでありますが、携帯電話についてはそういった法律上の義務ないし努力義務がないのでこの係数は掛けていないんだ、こういう整理であります。ですから、放送については四分の一の特性係数が掛かるけれども、携帯電話については半分、二分の一、国民の生命財産の保護に著しく寄与するということだけで二分の一しか掛からない、こういう理解でございます。

 もう一度大臣に伺いたいんですが、今お答えありましたけれども、これまでも実は携帯電話というのは災害等において非常に重要な役割を担ってきたわけであります。従来からこういう特性係数はあったわけでありますから、今回改めてここで入れた理由というのをもう一度伺っておきたいと思います。特性係数を携帯電話に導入した理由というのをもう一度伺います。

新藤国務大臣 私は、これはやはり、携帯電話が普及、極めて深くこの国に浸透しているということ、そして、これからの防災体制ですとか国民生活を考える上で、こういった国民の生命財産の保護に著しく寄与する、その寄与度が高まった。それらは、電波利用料の見直しに関する検討会等において御提言もいただきました。我々政府としても、より一層の防災体制の充実強化というものは重要である、そういうさまざまな観点を総合的に勘案いたしまして、今般新たに軽減係数を適用するようにした、こういうふうに考えております。

奥野(総)委員 そのとおりだと思いますが、やはり非常にわかりにくい。放送は四分の一だけれども、なぜ携帯電話は二分の一なの、なぜ今回入れるのということ、おっしゃっていることはよくわかりますが、一般的には非常にわかりにくい話だというふうに思います。

 次に移りますが、広域専用電波について、要するに携帯電話ですね、携帯電話については、個々の無線局別に割り振るのではなくて、一メガ当たり今九千七百万円か、これが特性係数を入れると今回六千二百万円まで下がるんですかね、一メガ当たり大体六千二百万円ということで携帯電話については負担する、a群については負担するということになります。これに、現在の扱いでいえばb群、一局当たり二百円を足した額が携帯事業者が負担する額。要するに、何メガ持っているか、持っている周波数帯幅に六千二百万円を掛けた数字と、そこに収容されている携帯電話の数、無線局の数に二百円を掛けた数字、足し合わせたものが負担額になるということだと思います。

 それについて見直そうと、今回、改正でなっていると思いますが、具体的にどのように見直すのでありましょうか。要するに、b群についても周波数帯幅に応じて課金すべきだ、こう報告書に書かれ、今回なっているんですけれども、どうでしょうか。

上川副大臣 御質問の、広域専用電波を使用する携帯電話等のb群に係る電波利用料についてでございますが、改正案におきましては、その周波数の幅に応じて算定される上限額を設定して、それ以上の負担は求めないこととすることにしております。これによりまして、割り当てられた周波数を極めて高密度に利用している場合に周波数幅に応じた課金が実現されることになるということでございます。

 上限額を設けることとした理由でございますけれども、広域専用電波を使用する携帯電話事業者等が限られた周波数を極めて高密度に利用している場合におきましては、以後、無線局数が増加したとしても、電波監視等に係る費用について大きな増額を及ぼさないためということでございまして、上限値に達していない場合につきましては、これまで同様に無線局単位の課金とすることが適当であるというふうに考えております。

奥野(総)委員 これは大臣が、本改正においては、携帯電話及び携帯電話等を利用するスマートメーターとかM2M等の無線システムに係る電波利用料については上限を設けて、利用台数がふえても追加負担が生じない、いわば実質負担ゼロとしたわけでございます、これによってかなりの普及が予測されるということを記者会見等で述べておられます。これはまさに私も大事なことだと思いますし、これからスマートメーター、スマートグリッドを実行するために必要な措置だと思います。

 念のためと言ってはなんですが、確認しておきたいんです。一応今回の法案では、無線局数の上限を定めるということに改正でなっていると思います。これは省令に落ちるはずですが、では、上限とは一体どのぐらいかということなんです。

 私の手元で計算をしてみたんですけれども、今一番多いNTTドコモが大体六千百七十七万加入あります。周波数帯幅が百六十メガヘルツ。携帯は上り下りありますから、百六十のうち半分、八十メガヘルツを使うということで、六千百七十七万を八十メガで割ると、大体一メガ当たり七十七万局ぐらいとなるというふうに簡単に計算できるわけでありますが、大体上限というのは、この七十七万局を目安とした形で上限になるわけでしょうか。そうすれば実質的にゼロということになると思うんですが、いかがでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 上限額は、事業者ごとの周波数幅に応じて個別に算定することにしております。具体的には、一局当たりの金額、二百円でございますが、これに、各事業者の携帯電話端末等に係る周波数の幅と、それから総務省令で定める一メガヘルツ当たりの無線局数を乗じることで算定することにしております。

 総務省令で定める一メガヘルツ当たりの無線局数は、現時点で最も高密度に利用している携帯電話システムにおける電波の利用状況等を踏まえて、電波の有効利用の程度を勘案して規定するということを予定しております。

 一つの目安といたしまして、直近の課金が見込まれる時期であります本年十月時点に携帯電話四事業者が開設する携帯電話端末局数の見込み、これは約一億五千万局というふうに考えておりますが、これを、これらの事業者の開設する携帯電話端末で使用している周波数幅の合計で除した結果である一メガヘルツ当たり八十万局、先生は先ほど七十七・二とおっしゃっておりましたけれども、一メガ当たり八十万局を上限値とするということを想定しているところでございます。

奥野(総)委員 明確にお答えいただきまして、どうもありがとうございました。

 時間もなくなってまいりましたけれども、今までずっと言ってきましたけれども、局長は最初に平易に説明していただいたんですが、やはりb群はわかりやすいんですが、a群についてはなかなか計算式も複雑でして、受益と負担の関係もわかりにくいわけであります。

 特に携帯電話については、これは実質的には帯域課金にしようということですね。上限を設けて、一メガ当たり幾らという帯域課金に限りなく近づいている。そうした方が電波の有効利用が進む。お金、定額払っておけば、そこにどんどん無線局を事業者の判断で割り当てていくということでありますから、非常に有効利用も進むということだと思います。

 こうして見てくると、少なくとも、この広域専用についてはオークションを入れてもいいんじゃないか、こういう気がする。a群の部分についてはですよ。b群は、もちろん、共益費用ですからオークションと両立し得ると思いますけれども、a群については、むしろオークションにした方が私はわかりやすい。後からその周波数を使う人が、受益者がお金を払うわけでありまして、受益と負担の関係も明確であります。ですから、こういう携帯電話用の周波数についてはオークションを入れた方が明確になると思うんですね。

 そこで、民主党案について伺いたいんですが、民主党案のオークションの考え方をもう一度伺いたいと思います。

武正議員 お答えいたします。

 電波の逼迫状況、これは既に言われているところでありまして、OECD三十四カ国中の導入は、昨年この委員会では二十七カ国と申し上げましたが、この一年で三十一カ国にふえております。三十四カ国中三十一カ国が導入、米国は九十三回ということであります。

 新たに導入するオークションは、無線局の免許を受けた場合において利用できる電波の経済的価値を競うものであり、その競落金は免許の有効期間中の電波利用料に相当するものですので、最初の免許の有効期間中は電波利用料の支払いを要しないものとしております。

 また、既存事業者に限らず新規事業者、チャレンジャーにも広く門戸を開くため、免許申請前、開設計画の提出前に実施することとしております。要は新規参入をしやすくしようということでありまして、成長戦略を政府も発表するようでありますが、やはり規制改革がそのかなめでありますし、電波ビジネスは三十兆円、五十兆円と言われておりますので、やはりこの電波オークションというのは、電波の有効利用の観点から必要であるというふうに考えております。

 なお、競落金は、国民全体に還元されるのが基本であるとの考えのもと、国庫に入れ、その使途は制限しておりません。

奥野(総)委員 最後に大臣に伺いたいんですが、今申し上げましたけれども、オークションにして、一般財源にして、それでさっき言ったようなラジオとか周波数開発とかをやった方が使い勝手もいいと思うんです。共益費用だと、どうしても縛りがかかって自由に使えませんから、むしろa群についてはオークションにして、その財源を一般財源化して、いろいろなラジオの事業支援とか、さまざま電波行政に使った方が私はいいと思います。

 とりあえず、三・四Gから三・六G、第四世代携帯の割り当てがありますが、この部分についてオークションを導入する気はないでしょうか。最後に伺います。

新藤国務大臣 この電波オークション制度につきましては、メリットもあればデメリットもある、これまでさまざまな議論が国会でも行われてまいりました。

 私が大臣に就任したときに、当初、このオークション制度についての導入の是非を聞かれておりますが、その際から一貫してお答えしておりますけれども、検討はしているわけであります。これは、電波政策ビジョン懇でありますとか、また、新たな電波の割り当て方式の影響、分析等に関する調査研究ですとか、さまざまな研究はしていくべきだ、私はこのように思っております。しかし、現行におきましては、直ちに周波数オークションを導入するということは考えておりません。

 そして、電波利用料の徴収については、これは免許人の御理解と御協力をいただきながら御負担をいただくことが適当ではないか、このように考えております。

奥野(総)委員 以上、終わります。

高木委員長 次に、上西小百合君。

上西委員 日本維新の会の上西小百合でございます。

 私は、昨春ごろから電波に関する質問をさせていただいておりますが、きょうは国民の皆さんがふだんから疑問に感じておられるようなことも交えて質問させていただきますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

 かなり前の話にはなりますが、平成八年七月、東京都調布市内で、トラックの高出力の不法無線機から発射された電波が、点火システムの電子回路で石油ストーブに着火させる誤作動を起こし火災が発生した、そういったニュースが流れました。そして、その前月は、新潟県内で、JRの列車が、事故発生時等に周辺の列車との間で緊急停止信号を送受する装置である列車防護無線が、何人かの発信元不明無線信号を受信し、九本もの列車が停車する、こういったトラブルもございました。

 平和と幽霊と電波や波動は目に見えない、このように言われておりますが、見えない分、使い方を間違えると大変危険なものである、私はこのように認識をしております。

 今申し上げましたように、以前は不法電波によりこうした重大事件そして重大な事故が多発をいたしておりましたが、総務省初め関係者各位の皆様による規制そして監視の強化が功を奏するとともに、電波を発する側のアイテムも、そして受ける側のアイテムも技術革新が進んだからか、近年はこういったトラブルが報道されない、そのように思っております。

 このようにトラブルの報道が減った、この背景にはどのような変化があったのかを含め、総務省からそのあたりの現状の御答弁をお願いいたします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 不法無線局の出現局数は、平成二十四年度中に約八千六百局を確認しております。携帯電話、航空、海上、放送それから消防等の重要無線通信に対する妨害が年間約五百件発生するというようなことで、依然として対策が必要な状況にございます。

 このため、総務省では、電波監視施設の整備だとか、警察等との不法無線局の共同取り締まり、それから電波利用ルールの周知啓発などを実施しておりまして、平成二十四年度に警察等への告発が二百三十一件、それから総務省からの行政指導等の措置三千三十八件によりまして、より良好な電波利用環境の維持に努めているところでございます。

 このような取り組みの結果、大きなトラブルなどが発生する前に不法電波が排除されているものと思料しているところでございます。

 今後とも、電波監視体制の充実強化を図りまして、安心、安全な国民生活の維持に貢献してまいりたい、こういうふうに考えております。

上西委員 わかりました。

 今、警察庁から取り締まりですとか、そういった形で事前にトラブルを防ぐ、事件になる前に未然に防ぐことができているということですが、年間妨害件数が五百回というふうに御答弁いただきましたが、その件数自体は減っているということなんですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと件数だけ申し上げますと、平成二十二年度では、重要無線通信妨害の申告件数は六百八十九件でございました。それから、平成二十三年度が五百一件、平成二十四年度が五百三十二件ということで、ふえたり減ったり、こういうことでございます。

上西委員 わかりました。

 私が今申し上げましたように、いろいろ機械のイノベーションも進み、そういった形で本当に妨害とかそういったトラブル自体が減っているか、そのように思っていたんですが、ふえたり減ったりということですと、そういったわけではないのかなとも思ったりしておるところでございます。

 次は、電波が与える影響、そういったものについてお伺いをしたいと思います。

 電波は目には見えないものでございますが、電波が我々の日々の生活の中で我々に与える影響、これは果てしなく大きなものがあると思っております。特に携帯電話は、一九八〇年代半ばに移動電話という名称で登場したころはほとんど所持する人がいませんでしたが、今や、日本人口以上の契約数となり、発展途上国でも普及をし、通話だけでなくメールや、一昔前のスーパーコンピューター以上の性能があり、極めて身近な、電波を発する日用品となっていると思います。そして、これはあってはならないことでございますが、国会答弁でまで携帯を見ながらされるほど普及しているわけなんです。

 そこで、電波に関してごくごく単純な質問、しかし、多くの皆さんが疑問を抱いているエレメンタリーな質問をさせていただきたいと思います。

 電車などへ乗ると、優先席付近では携帯電話の電源をお切りくださいというおなじみの放送が入るのは皆様も御存じのとおりだと思います。以前は、携帯電話使用のマナーの向上の意味もあったのか、車内全体で携帯電話の電源を切る、こういったことが求められていましたが、最近では、優先座席そしてシルバーシートなど限られたエリア周辺で電源を切るようにとアナウンスされるように変わったと思います。

 俗説では、以前は、心臓のペースメーカーの電気信号が弱まるとか、一定レートで心臓を刺激してしまう、あるいは、ペースメーカーの電気信号が狂い、異常な心臓収縮を繰り返すというふうに信じられ、皆さんが心配そして警戒されていたというわけなんですが、総務省で昨年の十二月二十五日、LTE式携帯電話の端末の植え込み型心臓ペースメーカーと植え込み型除細動器での影響を測定した結果、影響は確認されなかった、このように報道されました。

 携帯電話からは、通話中だけでなく、スイッチが入っている限り基地局に電波を送ることがあり、今までの認識としては、電車などで近くに心臓ペースメーカーの使用者がいた場合、とんでもない誤作動を引き起こしてしまう、こういった可能性があるわけですから、多くの国民の皆さんが乗車時には細心の注意を払っていたと思いますが、発表されましたように、本当にペースメーカーなどに悪影響はないのでしょうか。

 また、実際に植え込み型の心臓ペースメーカーを使用されている知人が平然と携帯電話を使用されているのに出くわすこともあり、年末の総務省の発表を今さらながら当然だと理解した国民は多いと思う反面、その発表を認知、認識している国民は極めて少ないのではないか、このように思っておりますので、この状況への御見解もあわせて、御答弁をよろしくお願いします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、電波が心臓ペースメーカー等の植え込み型医療機器に及ぼす影響を調査いたしまして、その結果を、各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針ということで公表することによって、その影響の防止を図っております。

 平成二十五年十二月に改正しました現行の指針におきましては、第三世代の携帯電話に加えましてLTE方式の電話からの影響に関する調査結果に基づきます、生体電磁環境に関する検討会による提言を踏まえまして、携帯電話の使用に当たっては、植え込み型医療機器の装着部位から十五センチ以上離すことというふうにしているところでございます。

上西委員 実際は影響がないというふうに発表されたんですが、一応、念のために十五センチ離したところで利用してくださいということで啓発されているということで、わかりました。

 また、三年前の五月、国際がん研究機関、略称IARCは、十年以上の間、携帯電話を三十分以上使用すると脳腫瘍にかかるリスクが四〇%もアップする、このように発表しました。世界保健機関、通称WHOは、即座に否定をしつつも、さらなる研究が必要だと発表し、加えて、IARC側は発がん性も高くなると発表したわけでございます。

 これに加え、子育て世代の親たちは、特に乳幼児の近くで携帯電話を使っても成長に悪影響がないのか受動喫煙並みに心配したり、病院内でPHS以外の携帯を使用される方を見つけると、影響がないのかと本当にはらはらする、こういったお話をよくお聞きしますので、これに関しても現在の状況の御説明をお願いします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇一一年の五月の国際がん研究機関の発表は、電波の発がん性に関する証拠の確かさの程度を分類したものでございます。発表の内容は、人への発がん性があるかもしれないとの分類がなされたことは事実でございますが、これをもって脳腫瘍等のリスクが上昇することを科学的に立証したものではないというふうに認識しております。

 それから、乳幼児に対する携帯電話からの電波の影響につきましても、乳幼児の健康へ悪影響を与えると立証した研究成果の報告は示されていないというふうに認識しておるところでございます。

上西委員 わかりました。科学的には証明されていないというふうに総務省の方では認識されているということです。

 先ほど、国民の皆さんにもしっかりと啓発活動を行っていくということですが、今の、科学的には証明されていないと総務省は認識されている、こういったことを国民の皆様にどのような形で周知をされているのか、それについてお伺いをしたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省としては、電波は、今後その重要性が増しておりまして、さまざまなものへの利活用が図られると思っておりますが、一方で、利用における安全性も確保していく必要があるというふうに思っております。

 安全性の確保につきましては、検証も含めて、WHO等の国際機関と連携して、電波の安全性に関する調査研究を引き続き実施していくというふうに思っておりまして、その結果につきましては、全国各地で開催しております説明会なりを通じまして広く周知することによって、国民が電波を安全かつ安心して利用できるよう取り組んでいきたいというふうに考えております。

上西委員 先ほどから申しておりますように、電波がどういった影響を私たちの生活に及ぼすのか、私たちの人体、健康にどういった影響を及ぼすのか、こういった知識は本当に国民の皆様のところにまではまだ届いていないと思いますので、今後もしっかりとした広報活動にお努めをいただきたいと思います。

 そして、先ほど橋本先生からもお声がありましたが、電波が影響を及ぼすのは主に人体と機械だと、さまざまなところで私もお伺いをしておるところでございます。先ほどは人体に関してお伺いをいたしましたので、次は機械に及ぼす影響についてお伺いをしたいと思います。

 電源を切るべきだと教え込まれていた感のある航空機内でも、例えば富士山が見え出すと、携帯電話のカメラ機能を使って撮影される方がたくさんいらっしゃいます。ほんの数年前まで、そのような撮影行為をしようとすれば、キャビンアテンダントの方が慌てて駆け寄り、その場ですぐに電源を切ってくださいというふうに厳しく指導されていたわけなんですけれども、最近はそこまで厳しく乗客が注意されるようなシーンを見ることもなくなったのではないか、このように感じておるわけでございます。

 航空機は本当に携帯電話の電波の悪影響を受けるのでしょうか。また、受けるのであればどの程度受けるのか、国交省の御答弁をお願いいたします。

島村政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、携帯電話などの電子機器については、発射される電波が航空機の運航の安全に支障を及ぼすおそれがあるということで、平成十五年十月から、航空法に基づき航空機内での使用を制限しております。

 ただいま御指摘のありましたケースにつきましては、最近の携帯電話には電波を発射しないモード、機内モードが機能として付加されており、現在、航空機が安定した巡航状態にある場合には、電波を発射しないモードでの使用は可能となっております。

 一方、昨年末、欧米において電子機器の使用制限がさらに緩和されたことを受けて、現在、航空局では、航空機内における電子機器の使用に関する意見交換会等を通じ、携帯電話の機内モードなど作動時に電波を発射しない状態にある電子機器について、離着陸時も含めて全ての飛行形態で使用を緩和することなどについて検討を行っているところでございます。

 この検討に当たっては、独立行政法人電子航法研究所による技術的な検証や、航空会社等からの意見聴取を踏まえ、航空機の運航の安全を最優先に進めてまいります。

上西委員 ありがとうございます。

 今、意見交換等技術的な検証をされているということですが、先ほど御答弁いただきました中に、影響を受けるおそれがあるということで御答弁いただきましたが、このおそれがあるというのは、何か科学的な検証をされた上でということでよろしいんでしょうか。

島村政府参考人 これにつきましては、過去に航空機内で携帯電話を電波を出した状態で使用されていたときに、コックピット、操縦室の計器に異常が発生したという事案が幾つか発生しており、現時点で、電波を出している状態の携帯電話については依然おそれがあるというふうに認識しておりますが、安全の検証については、今後も進めてまいりたいと考えております。

上西委員 ありがとうございます。

 外国では、先ほどもおっしゃいましたように緩和の方へ進んでおりますので、日本でも、しっかりとした検証の上、安全性を確保した上で、緩和ができる範囲は緩和をしていただければ、そのように思っております。

 次に参ります。

 昨年五月、私は、NHKホールなどに設置され、コンサート会場等静閑を要する場所で、マナーモードに切りかえたりすることを忘れた方の着信音が鳴り響いて聴衆が不快感を抱かないように、場所やエリアを限定して携帯電話が通じなくなる携帯電話抑止装置について、さまざま質問をいたしました。その効果として、京都大学であった入試でのカンニングや、中国人などが慢性的に行っていた運転免許での集団カンニング事件も防ぐことができる、このようにお話をさせていただきまして、そして、警視庁において、三カ所の運転免許試験場全てに合計八台の携帯電話抑止装置が設置されたことは、本当にありがたいことだと思っております。

 しかし、その装置の設置の契約は、同等機種を提供する社が複数あるにもかかわらず一社と随意契約を締結されたのが余りにも不可解なので、当委員会、そしてまた予算委員会の分科会でも質問をさせていただきました。

 その際、警察庁からは、試験室にガラスが多いので、その条件で携帯電話の通話やメールのやりとりを防止するには、シールドという特殊な技術を要し、その特許を有する会社と契約をし、入札に付することは適当でない事例だ、このように木で鼻をくくったような御答弁をいただいたわけでございます。

 しかし、ガラス窓で携帯電話の電波をシャットアウトすることを得意とするほかの業者や、そもそもシールドを用いる必要がないぐらい、特定小電力を用いて携帯電話の通話を抑止する、こういった企業もほかに幾らでもありまして、警察庁の御答弁から、入札に付することが適切でない、こういった理由を私は一切見出すこともできませんし、かつ国民の皆様からそういったお声もいただいております。

 そして、何度も何度もそのとき質問でお尋ねいたしましたが、警察庁からは、本当に同じ文面をエンドレステープのように棒読みする、このような御答弁しかいただくことができませんでした。

 そこで、お伺いをいたします。

 NHKホールに携帯電話抑止装置が設置されたころは、そのような装置を開発されている業者が恐らくまだ一社しか存在しないため随意契約をされていたのではないかと思いますが、その購入の年月とセット数、そして合計の購入金額、そして年間の保守金額をNHKから御答弁をお願いしたいと思います。

板野参考人 お答えいたします。

 この装置は、平成十二年二月に二式導入し、その購入経費は三百五十万円でございました。また、メンテナンス費用として年間五十二万円を支払っておりました。平成二十二年四月からは、携帯電話の高度化に伴う周波数の変更等に対応するために、リース契約に切りかえております。リース料は、メンテナンス経費込みで月額十八万円、年額にいたしますと二百十六万円を支払っております。

上西委員 ありがとうございます。

 要するに、二台の抑止装置と、そしてそれに附属する関連の附属品が二セット、この二式を購入したということでよろしいでしょうか。済みません、確認させてください。

板野参考人 申しわけございません。もう一度質問をお願いできますか。

高木委員長 しっかりと質問を聞くようにしてください。

上西委員 ですので、NHKが購入されたのは、二台の抑止装置、そして関連の附属品の二式、この二セットということでよろしいでしょうか。

板野参考人 お答えいたします。

 そのとおりでございます。

 それから、今し方、最初の質問でお答え申し上げました、導入の時期でございますけれども、平成十八年十二月でございました。失礼いたしました。

上西委員 つまり、一セット当たり百七十五万円、NHKはその額で買われたということなんですが、警視庁の契約金額は八セットで三千万円と伺っていますが、間違いないのでしょうか。また、年間の保守料金は幾らお支払いでしょうか。警察庁からの御答弁をお願いいたします。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 警視庁によりますと、府中試験場に三台、鮫洲試験場に三台、江東試験場に二台の計八台の携帯電話等抑止装置を導入し、三会場八台分の月額のリース価格は、税込みでございますが、五十一万九千七百五十円で、平成二十五年十月一日から五年間のリース契約としており、総額は税込みで三千百十八万五千円となると聞いております。

 また、警視庁によりますと、携帯電話等抑止装置の保守料金についてはリース契約に含まれており、保守料金が別途発生するものではないというふうに聞いております。

上西委員 ありがとうございます。

 今お伺いしただけでも、八セットで三千百十八万円ということで、NHKと随分差があるなというふうに思ってしまうわけです。

 NHKホールはパイオニアともいうべき携帯電話抑止装置の草創期であり、その後、二百カ所を超えるコンサートホールや銀行のATM周辺に抑止装置が設置され、随分上代価格が下がった、このようにお伺いをしております。昨年の質問時には、新藤大臣も、御地元の埼玉県川口市のリリアホールへも携帯電話抑止装置が設置されている、こういったお話もいただきました。

 先ほどの御答弁では、NHKホールは、単純計算すると一式百七十五万円、随意契約の警視庁は三百七十五万円で購入したことになります。上代価格が下がっていると言われる中、警視庁の購入価格は一台当たり二百万円も高く、八セットの合計では千六百万円も高いというわけです。

 入札に付していれば、むしろNHKの購入価格よりも安くなっていたかもしれません。警視庁の契約はリース契約のため、利息が発生するのはわかりますが、それは、あえてリース契約を選択された警視庁側の理由に起因するわけですから、高くなった理由には挙げていただきたくないと思っております。シールド工法の代金がずば抜けて高いわけでもなく、むしろ入札をしなかったそしりを受けるだけだと思うんですけれども、警察庁の御所見をお願いいたします。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 本件契約は東京都の契約ではございますが、予算は効率的に執行されるべきものと認識をしております。

 本件の抑止装置につきましては、試験場内における携帯電話を用いた不正を確実に防止するとともに、防止のために発信する妨害電波がガラス窓等を通して試験場外に漏れ出て、他の正当な通信まで妨害することのないようにするという目的を達成しなければならず、警視庁としては、その目的を達成するためには、ガラス窓等への電磁波シールド材の貼付と妨害電波の併用技術が有効と判断し、その技術について特許権を有する業者と随意契約を締結したものと聞いております。

 いずれにいたしましても、各都道府県警察が携帯電話等抑止装置を導入するとの判断をした際には、その時点における最新の携帯電話等抑止装置の開発状況等を踏まえつつ、それぞれの都道府県の財務規則等の規定に基づき適切に契約方法を選択し、行政目的の達成と予算の効率的な執行を図るべきものと考えております。

上西委員 その御答弁は以前からほかの委員会でもいただいておりますが、私が先ほど申し上げましたように、ガラス窓からの電波をシャットアウトする、こういったことを得意とする業者もほかにありますし、また、シールド自体を用いる必要がないぐらい、特定小電力を用いてきっちりと携帯電話の通話を抑制する、こういった他社もたくさんあるんですね。それにもかかわらず、先ほどから、特許を有しているからというとても合点がいかない御答弁をいただいているんです。それにもかかわらず高い料金で御購入されているわけなんです。

 それでは、自分の財布から出るお金に置きかえて考えていただきたいと思うんですね。例えば、御自身が車を買うとき、ある販売店で三百七十五万円の見積もりが来て、相みつをとったら百七十五万円になった。そうなったとき、参考人はどっちで買いますか。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 お安い方を選ぶというのが通常だと思います。

上西委員 そうだと思います。私も、大体、二百万円も違うんですから、それは当たり前のことだと思うんですね。そして、私が先ほど申し上げましたように、ほかの社でも、同じような性能を持った機種、そしてそれ以上の性能を持った機種があるにもかかわらず、そこで随意契約をされている、これが現状でございます。

 ですので、もう一つお伺いしたいんですけれども、参考人は、この契約が東京都民の血税で行われた、そういった認識をお持ちでしょうか。

倉田政府参考人 お答えいたします。

 本件契約は、東京都の単独予算において執行されたものでございまして、警察法に定める国費や補助金の対象事業ではございませんことから、その妥当性等について警察庁としてお答えするのはなかなか難しいかと思いますが、一般論として申し上げますと、競争性を確保して予算の効率的な執行を図るということは重要なことだというふうに考えております。

上西委員 確かに、今おっしゃっていただいたとおり、競争性をしっかり確保して、そして、東京都民そして国民の血税が無駄に使われないように、そういった形で契約をするのが当然のことだと思っております。

 ですので、今後、東京都でこういった随意契約がされた、その社に決められた、それを見習って、全国で同じようにその社を前例に従って選ぶ、そういったことも考えられなくありませんので、やはりそういったことがないように、随意契約等が行われないように、しっかりと公平な入札、こういったことを心がけていただくようにお願いをいたしまして、また、今おっしゃっていただきました、入札に付するのが適切でない、こういったことも私はまだまだ納得がいきませんので、今後もしっかりと調べさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 日本維新の会の新原秀人でございます。

 早速質問に移らせていただきます。

 電波利用料ということで今回の法案で出ておりますけれども、そういった電波利用料の負担のあり方について質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、料額見直し後の歳出規模、予算では七十億円削減ということで七百億円とされておりますけれども、この数字の根拠について、まず歳出削減をどこを行ったために歳入を減らしたという理由がなければ、結局、歳入を減らすことはできませんので、歳出ということ、つまり、どういった項目でどういったことを削減することによって歳出を削減するおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。

新藤国務大臣 平成二十六年度から二十八年度までの次期三年間において必要な電波利用共益費用を見積もった結果、一年当たり約七百億円となる、このように想定をしているわけであります。

 その内訳といたしましては、まず、地上デジタル放送移行対策の国庫債務負担行為による歳出が引き続きこれまでと同規模程度、毎年約三百億程度の支出が見込まれる。次に、電波監視のためのシステム及び無線局を管理するためのデータベースの構築、運用に百三十億円程度。電波資源拡大のための研究開発等に百十億円程度。携帯電話のエリア整備、消防救急、防災行政無線のデジタル化支援等の補助事業に百億円程度を見込んでおります。このほか、電波の安全性に関する調査であるとか、そういったもろもろを含めて約六十億円。これで七百億になるわけでございます。

 これらの歳出削減の取り組みといたしましては、システムの調達において一般競争入札を導入すること、補助事業等の設備の仕様について設備単価等の見直しを行うことなどによりましてコストダウンを図って、予算の効率化に努めております。

 例えば、無線局を管理するためのデータベースシステムは、平成二十六年の更改の際に、一般競争入札によってデータセンターの契約先の見直しを行い歳出削減を行ったことであるとか、それから、携帯電話のエリア整備につきましては、基地局の設備の小型化、伝送路設備の見直しにより整備コストの低減に努めるなどの歳出削減を講じているということであります。

 さまざまな取り組みを引き続き行いながら、電波利用料を活用した事業を効率的かつ効果的に進めてまいりたい、このように考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 一応、歳出削減ということでそのような御努力をされておりますけれども、歳入の面で見ておりますと、結局、七百億円ですけれども、携帯電話事業者から大体六三・五%料金を得ているという中で、実際、先ほどの奥野委員の質問にもありましたけれども、受益者負担ということで、やはり、利用料を払っているところにそういった受益のための歳出は使わなければならないと考えております。

 そういった意味では、例えば、地上デジタル放送ということでは、プラチナバンドにおけるテレビ周波数がなくなり、そして、それを将来的に携帯電話に使えるというふうな可能性もあるという形で、間接的には、携帯電話事業者、つまり、携帯使用料の中から事業者が払っているわけですから、我々携帯使用者が受益を受けなければならないということですね。

 そういった中で、この地上デジタル放送総合対策というのはいつまでですか。つまり、どういった規模で、今後この金額でずっと対策をされていくのか、ちょっとそういう計画を教えていただかないと、ずっと対策でこの金額、つまり三百億円、ちょっと十七億円ほど削減されましたけれども、三年間は三百億円という計画でわかると思いますけれども、将来的な計画性についてお聞きしたいと思います。

吉良政府参考人 次期電波利用料の適用の中では、地デジ対策というのは国庫債務負担行為でやっておりますので、これが今九百八億円ございます。そうすると、それを三カ年で割ると三百、三百、三百というような形になります。それが平成三十年まで続くということで、国庫債務負担行為、それを返していかなきゃいけないということで、それぐらいの金額になるわけでございます。

新原委員 ということは、これが終わったら、携帯電話料も含め、もちろん電波利用料も自動的に安くなるということですか。新しい技術が出てくればまた別のことになりますけれども、結局、それを使わなければ、これはかなりの金額ですから、半分ほど使っていますから。計算からいくと半額ぐらいにはなるんですけれども。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 それは、三年後はどうなのかという話だろうと思うんですが、それは安くなるかという話ですが、そこは、そのころになりますと、ちょっと将来の話になりますが、今の無線の監視システムが大体三ギガヘルツ帯ぐらいまでの不法無線の監視をしておりまして、もし、それが今、第四世代携帯電話なんかが入ってきますと、もっと高い周波数のところを使いますので、その更改をする費用だとか、あるいは、今、総合無線局のデータベースのシステムがあるんですけれども、それにまたセキュリティーの問題とかなんとか生じてきますので、それに対してどういう対策を打っていくかというようなことで、三年後にも、電波利用料の使途といいますか、それが同じような形で推移していくんじゃないかというふうに思っておるところでございます。

新原委員 やはり、電波利用料を携帯電話利用料で間接的に払っている我々といたしまして、そういった意味で、こういった理由がないのがなくなっていけば減らしていく努力をしていくのが本来の姿でありますので、今後そういった計画も含めて御検討いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 実際、携帯電話利用料、いろいろありますけれども、直接、携帯電話等エリア整備事業にかかっているのは百億円程度ですので、間接的に、先ほど言ったように地上デジタル放送の総合対策では得ることはできますけれども、そういった意味で、今後、携帯電話利用者の方々の理解を得るためにも、やはり、そういった努力を重ねて検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 そういった中、もう一点、電波利用料の使途といたしまして、法律で決められているわけですけれども、そういった中で、電波の人体等への影響に関する調査研究というのが四番目に載っているんですけれども、これはいかほどの金額で、どういった研究所といいますか、どういったシステムで調査研究されているのか。先ほどの御答弁にもありましたように、どこかの機関がそういった形でされていると思うんですけれども、その辺はいかがですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料の使途の中で、電波の安全性という項目のところに整理されておりまして、二十六年は七・七億円、それから二十七年は六・六億円、それから二十八年は六億円というようなことで、その対策については織り込んでいるところでございます。

新原委員 どういった機関、どういった組織等で研究されているのかな、その辺もちょっと御答弁をお願いいたします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 それは、委託研究という形をとって、電波の防護指針だとか、そういうような作成に当たっての調査研究というような形で行っているところでございます。

新原委員 この間、理研でもそういった研究、今ありますし、STAPが正しいのかどうか、今から調べていかないと本当にどうかはわからないので、彼女自身を僕は否定する気はないんです。しかし、そういったことが今までに研究等でありますので、委託しているというのはもちろんわかるんですけれども、どういった機関で、どういった発表なり研究をされているのか、その辺、もしわかるのならお答えいただければいいと思います。わかる程度で結構です。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 そういう電波の安全性につきましては、総務省の中に研究会というのがありまして、そこに第三者も入った形で研究してもらっておりまして、その中の必要な調査があれば、大学の機関だとかそういうところに研究を委託しているというような形をとっているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 携帯電話の使用者の一人として電波利用料は少なくとも払っているわけなので、そういった中から六億円、七億円、年間使われている。六億円、七億円、すごい金額ですよね。それを、大学等といいますか、どういった形で。

 これを僕はたたこうとしているんじゃないですよ。こういったことをやはりきっちりしていかないと、今度何かあったときに責任が出てくるのは総務省になるんですよね。今回もいろいろ話があって、それを管理する理研についてもいろいろたたかれている。だから、そういったことのないようにしていかないと、いろいろなことがあって、いい機会なので、そういった調査研究等について今後やはりシビアな予算額、そしてシステム等を導入していかなければならないと思いますけれども、その点については今後どのようにお考えですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 やはり、そういうふうに委託先だとか大学機関だとか研究機関に委託することになりますので、そこはちゃんとやっていただけるように、検証して、適切にやるようにこちらから話もしたい、こういうふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 ぜひともそのようにしていただきたいと思います。

 それから、利用料の使途といたしまして、特定周波数終了対策業務ということで、光ファイバー等に代替可能な電波利用者、逆に電波を使わなくなったという対策費。

 逆に、今後考えられるのは、本当に、光ファイバーを通さなくても、電波の技術が上がっていけばデータの送信量も事実ふえていきますので、実際、電線といいますかファイバーを通さなくても、電波で飛ばせるところは、山間地域、いわゆる僻地にはそういった技術を適用していった方が、今後、光ファイバー、電線をずっと継続していくよりもコスト的に安くなるという考え方もありますので、そういった研究等は、ほかに、電波資源拡大のための研究開発等というところで、これは三番項目に挙がっているんですね。

 だから、そういう意味で、実際、光ファイバーを通したりそういうのも必要です。しかし、本当に特別大容量でなければ、今は電波で十分データを送ることができるような時代になりましたので、そういったインフラ、設備というのは重ねるのはもったいないといいますか、つまり、電波でいけるところは、別に光ファイバー、電話線を通さなくても、実際にそれを使ってもらえばいいわけですから、今後はそういった研究をしていっていただきたい。つまり、どっちが得か考えていく。

 もちろん、産業的な大容量のデータを送信するならば、またテレビ等の映りをよくするのは光ファイバー等がいいと思いますけれども、実際、電波の技術が上がって大容量を送信することができるようになれば、それこそ光ファイバーとある程度、同等とは言いませんけれども、それに匹敵するだけの容量のデータを送るようになれると思うんです。そういった研究等はされていると思うんですけれども、将来的な見通しといたしまして、どのようなレベルまで電波の技術を上げていこうと。

 つまり、際限なく研究、もちろんそうなんですけれども、技術というのは、ある程度最初は飛躍的にどんどんどんどんと上がっていきますけれども、上がっていくレベルといいますか傾斜がだんだんだんだん低くなっていくといいますか、急激に上がらないと思うんですよね。だから、そういった意味でも、この研究開発等にも百十億円使っておりますので、どういったところまでデータ送信なり電波の技術を上げていこうというふうにお考え、目標といいますか、将来的な展望についてお聞かせいただきたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料の中で使われている技術開発ですが、電波資源の拡大のための研究開発というようなことで、高い周波数の開発だとか電波が共同利用できるような研究だとか、そういう研究をやっております。

 その研究開発の中の一つの例を申し上げますと、二〇一七年には二〇〇七年の約二百倍に増大するというふうなのが予想されておりまして、これに対応するような電波の有効利用についての研究開発を行っております。その技術の導入を図るというようなことで、今、電波が逼迫しているだとかあるいは高速化しなきゃいけないとかいろいろありますけれども、その辺の研究を行っておるところでございまして、これも今後とも推進していきたい、こういうふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 そういった中で、日本の人口が減ってくる中、携帯電話使用者といいますか使用量というのは、どこぐらいまで上がって、どこぐらいでピークになるように試算されていますか。

 別に、今よりそんなにふえることがなければ、いわゆる契約者が少なくなれば、容量も少なくなるというか、ふやす必要がありませんので、そういったある程度需要予測等、人口が減っていきますので、かなりの方が今携帯電話を持たれていますよね、今から携帯電話が飛躍的にどんどんどんどんふえていくというような予測は余り僕はないんですけれども、一応、そういった意味で、新しいこういったことの需要が必要だ、新しいこういうことが必要だということならば、そういったことをちょっとお教えいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 移動電話につきましては、現在、一億四千四百六十一万契約ありまして、今後ともこれはどんどん伸びていく。それからデータ量を見ましても、ここ一年間で二・一倍、それから三年見ましても七・七倍ということで、非常にふえております。

 それから、携帯電話だけじゃなくて、今後、M2Mとか、センサーネットワークとか、あるいは自販機の遠隔操作だとか、それからスマートメーターというようなことも携帯を使うようなことがございますので、どんどんデータ量から、それからシステムそのものも広がりを見せてくるんじゃないかと思います。

 この一年間で約一・七倍ふえていると申し上げました、二・一倍のときもありました、今一・七倍ぐらいですが、この割合で今後とも伸びていくんじゃないかというふうに私どもは予想しております。したがいまして、携帯電話につきましては、今、第四世代の周波数の割り当て、これは今の光ファイバーと同じぐらいのスピードが出ると言われておるんですけれども、こういうことについて周波数を確保しながら対応していきたい、こういうふうに思っております。

新原委員 ありがとうございます。

 私は非難しているんじゃなくて、総務省の方も、電波がよければ、例えば第四世代がよければ、光ファイバーに匹敵するならば、光ファイバーを全国津々浦々、いわゆる山間僻地のところまで通さなくても、そういったシステムさえ構築、無線基地さえしていけばいけますので、そういったこともやはり、電波だけではなく総合的に今後勘案していただいて、横のつながりで、できるだけ無駄な税金を使わずに今後の日本の情報の環境、情報システムの環境を考えていただきたいと思います。

 あと十分少々ですので、民主党等含め我が党案にちょっと気になったことがありまして。済みません、通告していませんでしたが、我が党も共同提出ということで法案を提出させていただいたんですけれども、ちょっといろいろな資料を見ますと、もちろん、経済的価値に見合った料金を負担させる形で見直すということで、すばらしいことなんですけれども、各国の今までの事例からいうと、入札額が高騰したりとか、それから入札した後に撤退したりとかというふうな事例がありますので、そういった可能性等についてはどういった形で対応されるのでしょうか。

原口議員 ともに共同提案していただいて、ありがとうございます。

 確かに、各国を見ますと今先生がおっしゃったような事案。ただ、やはり市場でこれをしっかりとチェックする、余りにも高いものについては、これは市場が安定化の機能を持つんだ。私たちは、やはり自由競争の中でしっかりとそれが、オークションという中で安定化していくということを期待しています。

 もちろん、中途で撤退があったり、あるいは今おっしゃったような高騰といったものについても私たちは認識をしています。その弊害が全部なくなるかといえば、私は、それはある意味でこの制度の中の負の部分としても受け入れていかなきゃいけないものではないか、そのように考えております。

新原委員 ありがとうございます。

 そういったことについても対策を考えていっていただきたい。そういった中で、結局、もう一つ、いわゆる負の方で考えれば、つまり、オークションということになりますと談合、不正行為等の規制等も考えていかなければならないので、今後はそういったことも含めて検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 民主党案については、これで質問はありません。

 それともう一点、先ほどの利用額にちょっと戻りますけれども、地上デジタルテレビの電波利用料額が、東京キー局一局当たり約四億二千万円程度と試算されまして、地方ローカル局が一局当たり大体二十万円。かなりの差があるんですよね。やはりそれなりの受益者負担といいますか費用対効果、そういった意味も含めて差があるような気がするんですけれども、その点、いかがお考えですか。

上川副大臣 御答弁申し上げます。

 デジタルテレビの電波利用料額についての御質問でございますが、電波利用料の料額算定におきましては、経済的価値に応じて負担を配分する際に、まず、個々の無線局の出力に大きな差があるものについては出力を勘案して料額を計算する、そして、テレビにつきましては、広域圏における放送であるか否かも勘案するということでございます。したがって、テレビ放送局の料額に大きな差が生じているのは、出力に大きな差があるということが主な理由ということでございます。

 この考え方によりまして料額を算定した結果でございますが、テレビ放送局の料額につきましては、出力が大きい広域圏における放送局につきましては、関東広域圏、東京キー局の親局の場合、これは出力が十キロワット以上のものということでございまして、現行の三億五千万円を約四億二千万円に、また、近畿の広域圏及び中京の広域圏の親局、これは出力が二キロワット以上十キロワット未満のものということでございますが、この場合には、現行の七千万円を約八千三百万円ということでございます。

 出力の小さいその他の地方のローカル局でございますが、親局や中継局につきましては、出力が〇・〇二ワット以上二キロワット未満のものということでございまして、現行約十六万円を約十九万円に見直すこととしているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 局長にお聞きしたいんですけれども、これは電波の出力だけ勘案されて、人口密度等とか、つまり、結局、電波を受ける強さというのはあくまでも面積ですから、そういった意味での人口密度等も勘案されているんですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 テレビ放送につきましては、出力だけで勘案しております。ほかの電波では、例えば地域性とか電波の混み合ったところでは、テレビ局に対する電波利用料ではありませんが、そこは地域性を勘案して、その要素も加味した設定をしているものもございます。

新原委員 ありがとうございます。

 そう考えますと、ある程度人口密度も勘案してあげれば例えば地方、もちろん、関西、東京でしたら電波が何ぼという大きいのを流せば、そこで人口密度が大きいからある程度視聴者も多くペイバックできます。別に広島が小さいとか言っているんじゃないんですけれども、例えば広島で同じ大きさにすれば、それだけの方々、面積的には結局は見れる視聴者の割合がふえる。つまり、ある程度、地方では電波の大きさということよりも人口密度ということを勘案してあげなければ、それだけの電波料といいますか使用料を払えるだけの力がないですから、だから、地方でも大きな電波を流せるようにすれば、非常に地方のローカル局にとってはありがたいと思うんですよね。それを、やはり八千万とか四億とか払う力は僕はないと思うんですね。

 だから、値段が安過ぎるというのももちろんそうなんですけれども、逆に、地方の人口密度の低いところについては電波の強さを勘案していただいて、考慮していただくようにしていただきたいんです。その点、今後検討されるようにお願いしたいんですけれども、どのようにお考えですか。

高木委員長 申し合わせの時間が過ぎましたので、簡潔に答弁をお願いいたします。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料は、免許人に公平に負担してもらうという観点から、検討会というのをまず開きまして、これは一年ぐらいかかってやります。十回ぐらい開いて、あと、ヒアリングをしたりなんかやりますので、その中のまた御要望等を勘案しながら、次々期になりますけれども、検討していきたいというふうに考えております。

新原委員 ありがとうございました。頑張ってください。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 質問させていただきたいと思います。

 最近、質問がとみに多くなっておりまして、重複するような質問になるかもしれませんが、お許しを願いたいと思います。

 もう議論になったかとは思いますけれども、電波利用料、我々が一番問題にしているのは、これが総括原価方式であるということでありまして、今回の民主党、我々の案を出させていただいたのは、そこにもっと競争性が出るような仕組みに変えていこうということで、今回法案を出させていただいたわけでありますので、皆さん、ぜひ賛同していただきますようにお願いを申し上げたいと思います。

 そこで、今回、電波利用料、携帯電話、二分の一還元が加わりました。

 一昨年から携帯電話については質問を何度かしてまいりました。その一つが、これまで携帯電話の方がテレビ局というか放送の方と格差があるんじゃないか、その格差はどういう理由でなっているのかというような御指摘をずっとさせていただいたわけですね。

 当初は、一つは、あまねく全国どこでも電波が届くようにしなさいよということと、もう一つは、災害時等々において生命財産をしっかり守れる、こういう大きな二要点があるわけですが、今回の二分の一の乗数が掛けられたのはどちらでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話につきまして、災害対策と、それから国民に非常に普及しているということで、特性係数二分の一を掛けたところでございます。

佐藤(正)委員 災害等なんですよね。

 具体的に言うと、どういう評価でこれを認めていただいたんですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 これは、特性係数の中の国民の生命財産の保護に著しく寄与するものということで、特性係数二分の一を掛けております。

 これは、携帯電話につきまして、国民保護法だとか災害基本法の中に指定公共機関ということで指定されましたし、それから、災害対策に対する技術基準、技術基準というのは強制基準でございますが、これに、災害対策に従って非常なコスト負担をするというようなことから、特性係数二分の一を掛けるということにしたものでございます。

佐藤(正)委員 そうしますと、国民の生命財産の保護に著しく寄与するものというところは認めて、今回こうなったということですね。それは評価をしたいと思うんです。

 次に、国民への電波の利用普及における責務等、ここが今回入っていないんですね。これはなぜ入っていないんですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 国民への電波利用の普及に係る責務に係る軽減係数につきましては、客観性を担保するために、法律上の規定に基づき、その適用の可否を決定することといたしております。

 放送の場合には、放送法が、NHKに対しては、あまねく全国において受信できるように措置する義務を負っております。それから民放については、その放送対象地域においてあまねく受信できるように努める義務が法律上ございます。というようなことで、国民の電波利用の普及に係る責務に係る軽減係数を適用しているところでございます。

 一方、携帯電話につきましては、電気通信事業法におきまして、その目的に普及の責務に係る規定がございませんので、携帯電話に対しては、あまねく普及に係る責務が課せられていないというふうなことから、軽減係数は適用していないということでございます。

    〔委員長退席、土屋(正)委員長代理着席〕

佐藤(正)委員 だから、NHKは義務があるけれども、民放は義務まではついていない、しかし、低減率は一緒である。携帯電話はまだそこまでいっていない。

 しかし、携帯電話については、携帯電話を認定するに当たっては、全ての管内で人口カバー率八〇%をそれぞれ達成することになっていますよ。これを考えると、もうそろそろもう一歩前に進めたら、随分進んだんですよ、申し上げるように二分の一、これはよくぞ決断をしていただいたとは思っておりますけれども、もう一歩進めることは考えられませんか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯電話につきましては、今先生から話がございました、周波数を割り当てる際の特定基地局の開設に係る指針において、普及目標というようなことで、八〇%といった人口カバー率を達成することを求めているところでございます。これは電波の有効利用のために設置しているものでございまして、法律による普及に係る責務ではございませんので、課していないということでございます。

佐藤(正)委員 では、課したらいいじゃないですか。課したらできますよ、実際。変えればいいじゃないですか、そういうのであれば。それは難しいんですか。

吉良政府参考人 今回の電波利用料の改定の、特性係数も含めまして、電波利用の検討会を開きまして、十回ぐらい検討会をやりました。それからヒアリングもしました。その中で、電波を使っている方々からのヒアリングの中でも、もう一歩という話は今回は出なかったところでございます。

 ただ、次期の、三年後になりますが、それへ向けての検討の中では、またそういう御要望等もあろうかと思いますので、それはまた、それはそれとして検討していきたいというふうに考えております。

    〔土屋(正)委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤(正)委員 今回、二分の一になったので喜んでいるんでしょうね。またこれに付加したら、ううんという思いもあったんでしょうね。

 だから、あと三年の中でやはりぜひ検討する課題の中に挙げていただくことを強く私は要望したいと思いますけれども、いかがですか。

新藤国務大臣 そういった国民の期待、それがまた電話料金に反映される、こういった要素もあると思います。

 しかし一方で、電波の利用料というのは、これはひとしく公平に、客観的に負担をしようではないか、これが基本でありますから、そうなると、やはり法律によって責務が課せられている、また災害時における指定公共機関になっているとか、いろいろな要素を勘案しながら考えているわけであります。

 ですから、今回も、災害時における有効性というもの、そしてそれが実証されました。また、今後もさらにその貢献が見込まれるという観点、さらには、追加で、災害時には、停電対策ではなくて、今度は非常用電源の長時間化、こういうようなことも加えたんですね。ですから、そういう客観的なものをいろいろ整備した中で、また国民に、そのものを含めた勘案の中で総合的判断がなされるということであります。

 もう既に声があることは承知しておりますが、今後はやはり、もう少し推移を見ながら、まずは今回の二分の一の軽減の状況を見ながら、いろいろと判断していかなくてはならないだろう、このように思います。

佐藤(正)委員 前向きな答弁と後ろ向きな答弁と、どっちで、どう見たらいいのかわからなかったんですが……(新藤国務大臣「両方」と呼ぶ)両方ですね。

 実は、この災害の問題も、この委員会でも僕は何度も当初言いました、携帯電話は有効ですよという話をしたんですが、当時はそれをうんとはなかなか言わなかったんですね。その検討委員会の中で、今大臣が言われたように、実際がどうだったのかということがやはり一番大きかったと思います。そこで二分の一が出た。これは本当に評価に値することだと思っています。

 今、もう一点の部分についても、まだ十分、三年後、時間はありますから、しっかり検討をしていただきたいと思います。

 さらに、今回の改定で、例えば携帯電話の場合は、ある程度、一定にいくとキャップがかかって、もうこれ以上上がりませんよと。要するに、台数が何ぼふえても上がりませんよということですよね。携帯電話はいわゆる発信機ですから、それがもうある程度キャップがかかる。

 全体的にこの改定の料金については、もう二〇%で頭打ちですよというふうになっていませんか。なっていると思いますよ。それでは、単純に、二〇%というのは、何で二〇%なんですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電波利用料制度のように、定期的に料金の改定が行われるようなものについては、制度における継続的な取り扱いだとか、あるいは負担する利用料増加に対する事業者の予見可能性を確保する必要があるというふうに考えております。

 このような観点から、今回の各事業者が負担する利用料の増加率の上限額を決定するに当たりましては、前回の電波利用料の改定の際に設定しました二〇%を継続して採用したものでございます。

 こういう激変緩和の措置の最終的決定に当たりましては、事前にパブリックコメントを実施いたしましたが、多くの無線局免許人から賛同意見が寄せられたところでございます。

 このようなことから、料額の増加率の上限値を二〇%としたものでございます。

佐藤(正)委員 前例踏襲で二〇%にしたという答弁だったと思います。

 だから、そうじゃなくて、二〇%という根拠はもともと何かあるんですかという質問です。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 予見可能性を確保するということで前回を踏襲したんですが、前回のときには、a群に係る伸び率が二〇%ということで、当時、約三百八十億円から四百五十五億円になりまして、それを参考に、増加率の上限値を二〇%に抑えたということでございます。

佐藤(正)委員 それで、二〇%頭打ちに決めたということですが、まだちょっと理解しづらいところがあるんですが、それはそれとして。

 携帯電話の場合は、先ほどは、生命財産の部分で二分の一ということですが、ぱっと見ると、二分の一といったら、ああ、半分ぐらいになったのかなというふうに普通考えるんですね。ところが、お手元の資料を見ると、一ページ目と二ページ目を見ていただいたら、携帯電話の事業者の負担が、実は、二分の一ではなくて、百億ぐらいですか、下がっているというふうに見えるんですね。これをちょっと説明していただけませんか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 端的に申し上げて、携帯電話に新たに特性係数二分の一を適用すると、負担も二分の一になるんじゃないかということだろうと思うんですが、新たに携帯電話に特性係数二分の一を適用する場合に、算定に用いる携帯電話の周波数幅というのが途中の計算の過程でございます。これが二分の一になるということでありまして、a群の負担の割合が変更されるということではございません。

 負担額の算定に当たりましては、算定上の周波数幅の合計値に対する携帯電話の周波数幅の割合に応じまして、a群の負担額を配分しております。負担割合そのものが二分の一になるわけではございません。

 もっと言いますと、その割合の計算が、分子が二分の一になると同時に、分母の方も二分の一減ることになりますので、その分が減少するという形になりまして、最終的な形が二分の一になるというわけではございません。

佐藤(正)委員 ありがとうございました。

 こちらも理解した上で質問して、申しわけないなと思ったんですけれども。

 そういうことで、実は、数字をぱっと見たら、あれっと思うんですが、今御説明をしていただいたので、皆さんおわかりになったのではないかなと思います。

 携帯電話は、まだまだ開発をして、民間企業はかなりの設備投資をやっています。それは競争原理が働いているからですね。ドコモさんにしたって、ソフトバンクさんにしたって、KDDIさんにしたって、やはり一番大事な、利益が出たら、その利益の還元はどこに行くかといったら、研究開発費。研究開発費に行くことによって、より安くてデータ量を豊富に送れる、こんな通信を目指しているんだろうと思います。これは民間で一生懸命やっています。

 そこで、総務大臣、今回の日本再興戦略ということで、世界最高レベルの通信インフラの整備を目標としている。まず、それについて、大臣の所見をお聞かせ願いたいと思います。

新藤国務大臣 通信基盤の整備というようなものは、従来から国家の基礎的な基盤であると思いますが、その有効性と必要性、重要性はどんどんと増していく。そして、もう情報化社会と言われて久しいですけれども、今後さらにICTという、携帯電話を含めたいろいろなコンピューター、ICTの技術を活用したものはあらゆる面で進んでいくだろう、このように思うわけであります。

 だから、まず、そのためのインフラを整える必要がある、それは、私たち行政側の責任が大であるということであります。

 現状におきましても、例えば、固定のブロードバンドは世界最高レベル、少なくとも、光ファイバーの契約割合は、実は世界一なんです。日本が六五%でありますが、アメリカは七%、イギリスも三%とかですね。韓国がよく普及されているといいますが、でも、六〇%でございまして、二〇一二年の出典ですけれども、私たちは、光ファイバーの契約割合は、固定ブロードバンドにおいては世界一なんです。

 それから、単位速度当たりの料金は、実は最安値ということになっています。超高速ブロードバンドの利用可能世帯は九九%、こういうよいところもあります。

 一方で、まだまだ他国に対して改善の余地があるところもございます。

 ですから、まずそういったところを、KPIといいますけれども、要するに、達成目標のチェックをして、よいところは伸ばしていく、そして、改善すべきところには集中的にてこ入れをする、こういうことが必要だと思います。

 それに加えて、先ほど申しました、これから新しいサービスとか新しい産業というのは、いろいろな技術と技術の組み合わせによってできていくだろうと思っているんです。

 ですから、そのときに、この通信基盤、また携帯電話を使ったサービスというものがどんどんとふえていく。そして、スマホなどは、もうこれはコンピューターですから、スマホ機能を活用して公共施設の維持管理に使う部分も出てくるだろう。それから、道路や公共施設の管理をする際にも、こういった簡易な無線システムが活用されることになるだろう。

 したがって、無線による統合的な管理を行う際の電波の利用料は実質ゼロにしようではないかというのは、今回の大英断でございます。

 しかも、これは最初からこのように決まっていたわけではありません。私は、ここの委員会でもたしか御質問いただいたと思いますが、国民の皆さんがびっくりするような値段設定にしよう、こういうこと、これは私の方から諮問する際にお願いをいたしました。それが実質ゼロになったわけであります。

 私たちは、さまざまな工夫をしながら、このICTを進めていく上で、通信基盤を徹底的に改善していく、そこが世界で最高レベルのものにすることが、我々の産業の発展と経済成長と、ひいては国の発展につながっていくのではないか、このように期待をしているわけでございます。

佐藤(正)委員 ぜひ、そうなってもらわなければ困ると思います。同じ意識です。

 ただ、そういう中で、携帯電話のスマートフォンについては、この委員会でも質問があったかもしれませんが、実は日本は料金が高いんですね。料金が高い、これはどうにかしなきゃいけないと思うんですが、この料金が高いことについて、参考人の方にお尋ねをしますが、どのような感覚で思っていらっしゃいますか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省が平成二十五年の六月に公表しました電気通信サービスにおける内外価格差調査によりますと、我が国のスマートフォンの通信料金というのは、一般ユーザー、月間一・六ギガバイトぐらいを使うんですが、調査対象の七都市中三番目に高い水準であります。それから、ライトユーザーについては、最も高い水準というような結果になっております。

 それからまた、消費支出に占める通信費の割合も、その割合が、二〇〇二年三・六%から、二〇一二年には五・四%に増加している状況にあるというようなことで、やはり、携帯電話だとかスマートフォンが社会生活の重要なインフラになりつつあるということを踏まえますと、ライトユーザーを含む利用者全体にとりまして、低廉な料金で提供されることが望ましいというふうに考えております。

 現在、競争政策の議論の中で、二〇二〇―ICT基盤政策特別部会や、あるいはICTサービス安心・安全研究会において御議論をいただいているところでございます。

佐藤(正)委員 いろいろな議論があるんでしょうけれども、現実には、今参考人が言われたとおりで、高いんですよ。だから、これをどうかして、世界の中でも安く使えて、そして、先ほど大臣が言われたように、携帯電話はもういろいろな活用法が出ています。先ほど言われた、例えばスマートメーターもそうですし、自動販売機もそうなんでしょうし、もう幅広く、今度どんどんどんどん展開をしていくと思います。

 となると、やはり安くないと普及していきませんよ。安く使えるようにしていく。これは今の検討会の中でもいろいろな御議論になっているということですが、ぜひ注視をしていただいて、前向きにやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。

 そして、そういう議論の中で、今度NTTが、固定電話がありますよね、固定電話と携帯電話をセットにして割引できますよというような議論が起きているというような新聞報道があったんですけれども、現実はどうなんでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のセット割引というのは、携帯電話サービスと光ファイバーサービス等をともに契約する場合に、携帯電話の料金の一部を割り引くものでございます。

 これは、電気通信事業法の中におきまして、NTT東西とNTTドコモのような市場支配的な事業者に対しましては、特定の電気通信事業者を不当に優先的に取り扱うことは禁止するという禁止行為規制が課されているところでございます。

 したがいまして、例えばNTTドコモが、NTT東西のサービスのみを排他的に組み合わせて固定電話と携帯電話のセット割引を提供することは認められておりません。

 これも、総務省の中では、二〇二〇―ICT基盤政策特別部会を設置しまして、これは二〇二〇年代を見据えて、電気通信分野の競争政策のあり方について検討を開始したところでございまして、禁止行為の規制のあり方につきましても、この審議会における議論の対象の一つでございます。

 今、この審議会というのは議論が開始されたばかりでございまして、現時点でその方向性が決まっているわけではございません。

佐藤(正)委員 始まったばかりだということも知っておりますし、ところが、それが何かあたかも決まったような報道が出てくるので、何でだろうということでお尋ねをしたんです。

 せっかく自由競争で、いわゆる競争原理を働かせよう、それには、例えばNTTが独自で持っているものは、ある意味平等で使ってもらいましょうと。しかし、そこの部分をNTTそれからドコモが固定化して割引をやれば、どこも入ってこれない。しかし、固定電話を持っている方からすれば、安くなるんですよ、その方は。しかし、それはそこまでであって、競争原理が働かなくなると、結果的に誰が負担を強いられるのかという問題点がありますので、今言われた三十条のところは、もしそうなれば、三十条を全部ひっくり返すような話になりますので、しっかりとそこら辺を見据えていただきたいと思います。

 まだ審議したばかりで答えられないと思いますが、しっかりと注視するとか言えますか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 利用者それから事業者にとって大きな影響を与えるような重要な論点でございます。メリット、デメリット、いろいろございますが、十分に議論を尽くして、本年十一月ごろ答申でございますが、その中で検討していきたいというふうに思っております。

佐藤(正)委員 電気通信事業法の第三十条第三項第二号というところをしっかり守っていただきたいと要望しておきたいと思います。

 それから、最近私は電話をかえたんですね。ちょっと大きな、字が見やすい電話にかえようと思って、電話を買いに行きました。私の場合はauなんですけれども。

 そこに行って驚いたのは、そのカウンターで、きょうは、お客さん、キャッシュで何万円持って帰りますかとかいう話をやっているんですよ。何のことだろうと思ったら、ドコモからauにかわったら何万ですよ、きょう、キャッシュ、現金を持って帰れますよと言っているんですね。

 僕は、かえたら、僕にはその話がないんですね。僕はずっとauを使っているから。auをずっと使っている人間が安くならなくて、切りかえた人がぽこんと現金何万円も持っていくというのは、どうも腑に落ちない。

 それは、auだけじゃなく、ドコモもみんなやっているみたいですけれども、こんなことはその審議会等では議論になっていませんか。単純な話ですが、参考人、どうですか、今言ったような話は。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 携帯利用者に対してどのような販売促進策を展開していくかということにつきましては、一義的には携帯事業者の経営判断に属するものでございます。

 しかしながら、国民生活に深く浸透している携帯電話の料金につきまして、利用者にとって公平で、かつわかりやすく、さらに、できるだけ低廉な料金で提供されるのが望ましい。

 今先生から話がありました、長期利用者にかえって不公平感を醸成させるような過剰なキャッシュバックについては望ましくないのではないかというふうには考えておりますが、この問題につきましても、現在、情報通信審議会での議論に加えて、ICTサービス安心・安全研究会においても議論を進めているところでございまして、私ども、その議論の推移を見守っているところでございます。

 いずれにしても、総務省といたしましては、こういう研究会とか審議会の答申も踏まえて、通信サービスの料金とか提供条件が、利用者にとってよりわかりやすく、かつ公平になるように努めてまいりたいというふうに思っております。

佐藤(正)委員 要は、最終的に、値引きをしたように見えて値引きをしていなくて、実は利用料で後払いで払っているというのが現実なんですよ。だから、実は電話業者に言いたいのは、そんな小手先なことをやるのではなくて、だったら利用料金下げろというのを単純に思いますよ。それと同時に、逆に言ったら、継続して使っている人がそれを負担しているような状況になるので、本当にちょっと不平等な感がします。

 それはしっかり、審議会の中でも何か議論されているということも僕は聞いておりますから、注視をしていただきたいと思います。

 時間が来ましたので、質問を終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 電波法改正案について質問をいたします。引き続きいい質問をやっていきますので、よろしくお願いします。

 今回の法改正で、携帯電話に関する電波利用料の料額の見直しが行われます。電波利用料の見直しに関する検討会報告書は、国民の生命財産の保護に著しく寄与するに係る特性係数、軽減係数については、災害時において携帯電話等が国民にとってなくてはならないものとなっている中、ハード部分について、東日本大震災においても通信基盤の迅速な復旧や新たな災害対策の取り組みを行うなど、非常時対応に費用負担を負っていることを踏まえて、携帯電話等にも適用すべきだとしております。いわば、災害時の通信基盤の整備に伴う費用負担があるので、電波利用料の負担軽減を図るという趣旨でもあります。

 そこで総務省にお尋ねいたしますが、この移動系の停電対策ですね、基地局がどうなっているのか。それが一番問題となったのが災害時でありました。主要な通信事業者の取り組み状況がどのようになっているのか、あわせて、万全な体制に向けて今後どのように取り組んでいくのか、この点についてお答えください。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災では大規模な停電等によりサービスの提供に多大な支障が生じたというようなことから、総務省におきましては、平成二十三年四月から、大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会を開催しまして、今後の大規模災害に対応できるよう、通信手段の確保に焦点を当てた検討を行ったところでございます。

 平成二十三年十二月の検討会の取りまとめを受けまして、通信サービスの耐災害性の強化を図るべく、十分な燃料の備蓄、それから補給手段の確保といった停電対策の長時間化、それから電気通信回線の複数経路化などの技術基準の見直しを行いまして、平成二十四年九月に改正省令を出したところでございます。

 今後ですが、この省令改正を受けまして、主要な携帯電話事業者は、都道府県庁や町村役場の重要拠点をカバーします基地局の二十四時間化を進めておりまして、本年三月末現在で、NTTドコモは九五%、それからKDDIは九九%、ソフトバンクは九八%まで、それぞれ二十四時間化を実現しているところでございます。

塩川委員 ぜひ二十四時間化の対応で、一〇〇%になっていないわけですから、これは今後はかなり困難な場所というふうに承知しておりますけれども、引き続きしっかりと、万全の体制がとれるような対応を事業者に求めてもらいたいということを申し上げておきます。

 関連して、災害時の通信手段確保の問題で、私、公衆電話の問題をこの間取り上げてまいりました。災害時、公衆電話の役割が改めて見直されたというのは、東日本大震災のときでもあったわけであります。

 そこで、きょうは、特設公衆電話についてお尋ねをいたします。

 東日本大震災の後の二〇一一年の五月に当委員会で、避難所に公衆電話があればすぐ連絡がとりやすいということを取り上げて、避難所への公衆電話の設置を要望しました。当時の片山大臣は、避難所に公衆電話があらかじめ設置されてあれば非常に有効だ、公衆電話のあり方についての一つの検討課題だと答弁をしております。その後、この問題をどのように対応されたのかをお聞きします。

 総務省にお尋ねしますが、災害時の避難所に事前設置をされる特設公衆電話、この設置を事業者が進めているということですけれども、この特設公衆電話の設置の考え方について御説明いただけますか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 災害発生時に避難所等で利用される特設公衆電話につきましては、東日本大震災発生時の教訓を踏まえて、災害時に迅速な利用が可能となるよう、あらかじめ加入者回線を用意しておきます事前設置型の特設公衆電話の設置が、NTT東西によりまして進められているところでございます。

 これにつきましては、震災直後に総務省におきまして開催しました検討会の最終取りまとめを踏まえまして、電気通信事業者が取り組んでいるものでございまして、平成二十五年の三月末現在で、NTT東西合計で約一万八千台が全国に設置されているところでございます。

 今後のことでございますが、NTT東西では、都道府県知事が指定した避難所につきましては、市区町村から設置要望があった施設や、大量の帰宅困難者の発生が想定される都市部におきまして自治体等が指定した、いわゆる帰宅困難者対策拠点につきましては、市区町村から設置要望があり、かつNTT東西と協議が調った施設を対象として、施設収容人員百名当たり一台を基本として事前設置を進める予定というふうに聞いております。

 こうした考え方に基づきまして、特設公衆電話の事前設置を進め、平成二十八年度末で全国に八万四千台の特設公衆電話を事前設置するということを見込んでいるところでございます。

 以上でございます。

塩川委員 避難所にあらかじめ加入者回線を引いておいて、さらに公衆電話そのものも奥の方にしまっておいて、実際の災害時にあれば、それを出してきて接続して、そこから電話ができるというのが特設公衆電話であるわけです。

 やはり、東日本大震災のときにも、二日、三日途絶する、携帯が使えないという状況がありました。そういったときに、この公衆電話というのが優先になっている、また無料でも使えるということもありまして、それについての有効性が非常に高かったということが教訓となっているわけであります。そういうのも踏まえて、特設公衆電話の事前設置ということが進められているわけです。

 次に、内閣府防災にお尋ねします。

 昨年六月の改正災害対策基本法で、指定避難所を定めました。この指定避難所の法律上の位置づけがどのようなものになっているのか、あわせて、避難所の総数というのはそもそも幾つぐらいなのか、この点について御説明いただけますか。

佐々木政府参考人 二十五年の災害対策基本法の改正におきまして、被災者が一定期間滞在する場としての避難所につきまして、円滑な救援活動を実施し、また、一定の生活環境を確保する観点から、市町村長が学校や公民館等の公共施設を指定避難所として指定することを法律の改正として盛り込んだところでございます。

 この規定は本年の四月一日から施行ということでございますので、この法律に基づく数字というのは現在のところまだ把握できておりませんが、報告規定が整備されておりますので、別途、今後、各自治体から報告が上がってきたところで把握をしていきたい、こういうふうに思っております。

 なお、消防庁が公表しております地方防災行政の現況という資料におきましては、平成二十五年四月一日現在で、地域防災計画に避難所として位置づけられている数を申し上げますと、千七百二十四団体で十万五千九百一施設が位置づけされているというふうに承知をいたしております。

塩川委員 この避難所の役割、そういう意味では、一時的な避難の避難場所と区別をして、一定期間避難をせざるを得なくなるような、そういう環境としての避難所をきちっと定めて、そこにおける、健康面でのいろいろな配慮ですとか、食料品などの備蓄を行うとか、そういった環境をきちっと整えるということを制度化したのが、昨年の災害対策基本法の改正の中身でありました。

 そういう点で、こういう避難所がしっかりと、一定期間、避難の環境を整えていくという点では、私は通信手段の確保というのも欠かすことができないものだと思うんですが、その点についてはいかがですか。

佐々木政府参考人 災害対策基本法の改正におきましては、あわせて避難所の生活環境の整備といった規定を別途入れております。これを受けまして、内閣府として、ガイドライン、取り組み指針を出させていただいております。

 その中におきましては、被災者の情報環境の整備といった視点も重要であるということ、これは市町村の参考ということで提供させていただいておりますが、そういった視点も盛り込みをさせていただいているところでございます。

塩川委員 ガイドラインに情報環境の整備、そういう点では、通信手段の確保というのが欠かすことができないものであるわけです。

 そういった避難所が、内閣府防災としての集計はこれからですけれども、現行、消防庁が把握をしている、地域防災計画に位置づけられている避難所の数は、全国で十万カ所以上ということです。

 それでは、特設公衆電話が設置をされている避難所の数が現状幾つなのか。一カ所に複数の台数となっているわけですけれども、避難所の箇所数、現行が何カ所か。あわせて、二十八年度末で八万四千台の設置を見込んでいるというお話ですけれども、これは台数ですから、二十八年度末の数字で、避難所における設置箇所数の見込み、これはわかりますか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 避難所におきまして、NTT東日本では、箇所数にしますと三千四十四カ所でございます。それから、NTT西日本につきましては二千五百三十四カ所ということで、合わせて五千五百七十八カ所ということでございます。

塩川委員 今のは平成二十五年三月末の数字ということで、五千五百七十八カ所ですけれども、もう一問お聞きしたんですが、二十八年度末における避難所の設置箇所の見込み。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 二十八年度末で約三万五千カ所でございます。

塩川委員 その数は、いわゆる帰宅困難者対策拠点を除いた避難所ということでよろしいですか。

吉良政府参考人 都道府県から指定されました避難所でございます。

塩川委員 要するに、帰宅困難拠点の方は外しているんですかと聞いているんですけれども。

吉良政府参考人 この数字は外しております。

塩川委員 避難所の数として、二十八年度末に三万五千カ所を見込むということが、事業者からの報告としてあるということです。

 大臣にお尋ねします。

 やはり避難所における通信手段の確保が重要だ、そういう教訓を踏まえて、特設公衆電話の事前設置が行われてきている、これ自身は大変結構であります。そういう点で、二十八年度末に三万五千カ所まで積み上げようということですけれども、全体は十万カ所以上あるわけですよね。

 そういったときに、やはりこういった避難所について、市町村が指定しているこういった場所にしっかりと特設公衆電話が置かれる、こういう環境こそ求められていると思うんですが、こういう働きかけを事業者にもぜひやっていただきたいと思いますし、総務省としても、こういった災害対策に万全を期すという点での取り組みについて、大臣からお言葉をいただきたいと思います。

新藤国務大臣 この特設公衆電話は、まず通信規制の対象とならないということ、それから、停電時にも利用が可能であって、費用負担が軽減できる、こういう特徴のもとで、災害時の通信手段としては非常に重要だ、このように思っています。

 総務省におきましても、大規模災害等緊急事態における通信確保の在り方に関する検討会、こういったものの中で、特設公衆電話の事前設置、これは、電気通信事業者等が中心となり取り組むべき事項と整理をされております。

 NTT東西が引き続き必要な施設への特設公衆電話の事前設置を推進すること、これは私も期待をしております。

 そして、あわせて、災害が発生した際に、機動的にこうしたものは対応しなければいけないというふうに思います。いずれにしても、避難所に一つあったところで、これまた全てを賄えるわけではありません。ですから、移動用の回線の、そういった臨時の回線車の貸与というのもありますし、さまざまな手段というものを確保することを想定しながら、その一環として、ぜひここの部分もさらに充実をさせるように期待をしております。

塩川委員 もちろん、災害時には、すぐ、公衆電話の設置の取り組みなんかも事業者は行っておりますし、モバイルを含めて複数の通信手段の確保という点でも、事前の設置というところがやはりポイントでありまして、これは食料品の備蓄と同じような考え方だと思うんですよ。通信手段の備蓄、それが特設公衆電話だ、こういう立場でぜひ取り組みをさらに加速させるように、事業者への対応をお願いしたいと思います。

 あと、関連して、日本ろうあ連盟など障害者団体から、避難所においては公衆電話の配備だけではなく公衆ファクスの配備も必要です、こういう要望も出されております。こういう障害者団体の方からの要望をぜひ積極的に受けとめていただきたいと思うんですが、この点については、総務省、いかがですか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 特設公衆電話用の回線につなげます電話機等は、原則として、特設公衆電話を設置する場所の施設管理者が準備する、こういうことになっております。

 NTT東西からは、特設公衆電話用の回線にファクス端末をつなぐことは可能であるというふうに聞いております。

 このため、総務省としましては、施設管理者におきまして、避難所ごとのニーズに応じて必要な対応を行っていただくことを期待しているということでございます。

塩川委員 市区町村とよく連携をとっていただいて、障害者の方のしっかりとした支援につながるような、そういう取り組みに対応をいただきたいということを申し上げておきます。

 次に、コミュニティー放送について、一問、大臣にお尋ねいたします。

 この間、コミュニティー放送について取り上げてまいりました。この普及に当たっては、電波の不足の問題があります。首都圏や大阪では、総務省が周波数逼迫宣言を出しております。昨年十二月三日の当委員会でも、この逼迫宣言の解消を要望し、新藤大臣は、アナログテレビ放送の使用周波数帯の跡地、V―LOW帯について、コミュニティー放送に割り当てる方針を出した、周波数逼迫宣言は解消できるのではないかと答弁をされましたが、その後、どうなりましたでしょうか。周波数逼迫宣言は解消されたのか。さらに、この先どうしていくのか。この点についてぜひお答えください。

新藤国務大臣 今御質問いただきました中で触れていただきましたが、昨年七月に、アナログテレビ放送の使用周波数の跡地であるV―LOW帯の周波数の割り当て、免許に係る制度整備というものを進めております。

 そして、昨年の九月には、災害放送等の地域情報のさらなる充実を図るために、コミュニティー放送の新規開局の促進を目指しまして、V―LOW帯の一部の周波数を、AM放送の難聴対策、災害対策に係るFM方式の補完中継局に割り当てるほか、コミュニティー放送にも割り当てる方針を策定したわけであります。

 現在は、まずは出力の大きいAM放送の補完中継局の免許申請の受付準備等を進めております。関東、近畿の周波数逼迫地域等でもコミュニティー放送の免許申請の受け付けを年内には開始できる予定ではないか、このように考えております。

 コミュニティー放送の周波数逼迫宣言の解消に向けて、関係者への十分な周知も含めて、今後しっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

塩川委員 ぜひしっかりとした対応を改めてお願いをするものです。

 残りの時間で、NHK予算に対する総務大臣意見の内容について、大臣と籾井NHK会長にお尋ねをいたします。

 今回の総務大臣意見では、成長戦略という言葉が三回も出てくるんです。

 該当部分を紹介しますと、「我が国の成長戦略の牽引力として期待されるスーパーハイビジョン等の先導的サービスの開発・普及、大規模災害に備えた公共放送の機能の強靱化等に向けた取組の一層の充実・強化を図ることとしており、おおむね妥当なものと認められる。」ですとか、国際放送に関連して、「我が国が正しく理解され、国際交流や成長戦略の推進に寄与するよう、国際放送の一層の充実・強化を図ること。」とか、「我が国の成長戦略の柱の一つであり、経済的側面や文化面での交流などさまざまな効果が期待される放送コンテンツの海外展開について、現地のニーズに合致したきめ細やかな対応を行う等、戦略的かつ積極的に取り組むこと。」とあります。

 ここで出てくる成長戦略というのはいかなるものなのか。大臣としては、何をNHK側に求めているのか。この点について、御説明いただけますか。

新藤国務大臣 私たちは、今、二十年とも言われる長きの経済長期低迷の状態からデフレを脱却して、経済を回復させ、さらには成長のための持続的軌道に乗せていきたい、これが今、日本における国民が最も望んでいることであると思いますし、私たち安倍内閣は、そのためにさまざまな施策を打っていこう、このように思っているわけであります。

 そして、今、この経済状態を回復させ、よい方向に向けるとともに、将来の成長というもの、将来の希望、期待というものをつくってあげなければいけないと思います。その際には、官民さまざまな、国民活動も含めて、みんなで協力をして、この日本を成長させていきましょうと。この成長戦略は、国がやるべきものだけではありません。地方の団体の方もそうだと思いますし、民間企業の団体もそうだと思いますし、さまざまな機関、まさに国ぐるみで、皆さんで頑張っていこうではありませんか、その旗振り役を私たちはしている、それが政府の役割だと思っています。

 したがって、今委員の意図する御質問のところが、国の成長戦略をどこかの機関や何かに担任させる、このようにとられたのかもしれませんが、そうではなくて、それぞれの役割を果たして、それが国としての、国民が望んでいる成長に資するようにしていこうではないか、こういう趣旨で私は使わせていただいているわけでございます。

塩川委員 経済の持続的な成長のための政策としての成長戦略ということで、官民力を合わせて行う、地方や民間も参加をする、その点は、担任という形ではなくて、それぞれの役割を発揮してもらおうという趣旨で、NHKもそのアクターの一人という話になるんだと思います。

 総務省の説明でも、成長戦略のトリガーとなる、そういう役割をNHKに求めているのが大臣意見の趣旨だというお話をお聞きしました。

 私は、やはり、政府以外のさまざまな機関が、成長戦略、この成長戦略の中身については、我が党としての評価、対応は違いますけれども、経済の持続的な発展の経済政策、産業振興策を行うといった際に、当然、官民の連携もあるでしょう。民間の主体が大いに頑張るということもあるでしょう。しかし、その際に、公共放送のNHKとしてどのようにかかわるかということについては、これは一定の節度が求められると思っているわけです。

 営利を追求する団体ではありません。NHKとしての公共放送、あくまでも視聴者あっての、視聴者のためのNHKであり、まさに受信料で支えられている、そういうNHKの運営に当たって、政府の産業振興策の実施主体としてNHKを組み込むというのは、私は、公共放送の独立性への配慮を欠き、踏み込み過ぎではないかと思うんですが、大臣はどのようにお考えですか。

新藤国務大臣 今委員は、経済の成長戦略、このようにおっしゃいましたけれども、これは経済のみに限定されるものではないというふうに思うんですね。やはり、経済を成長させていきながら、豊かな暮らしを実現する、そして公共の福祉を増進させる、それは国家の目標であり、憲法が求めるところでもあります。

 そして、NHKは、公共放送として、特に国際放送においては、国際親善の増進や外国との経済交流の発展に資するようにしなければならない、これは放送法で求められております。ですから、NHKにはその役割があるわけであります。

 もう一回申し上げますけれども、国の経済政策の一員として公共放送がその役割を果たしてほしいと言っているのではなくて、NHKはNHKの役割の中で、公共の福祉の増進、そして豊かな国づくりのために、国民が幸せを実感できるような、そういう暮らしの実現に向けて自分たちの役割を果たしていただきたい、こういうことで申し上げているわけでございます。

塩川委員 アベノミクスの三本の矢の三本目は成長戦略ですから、そういう意味ではまさに経済政策であるわけであって、産業振興策となっているわけです。

 この成長戦略については、過去の大臣意見で文言がありました。十年以上さかのぼって確認をしましたら、昨年と一昨年にも成長戦略という言葉がありました。ほぼ同じ文言でしたけれども、そこでは、「国際放送について、我が国の文化・経済等に係る情報発信の拡大を図ることを通じ、我が国が正しく理解され、国際理解・国際交流に資するとともに、その結果として成長戦略の推進に寄与するよう、効率性にも配慮しつつ、番組内容の充実、国内外の認知度の向上及び受信環境の整備を一層推進すること。」とあるように、NHKの取り組みが結果として成長戦略の推進に寄与するということであって、非常に抑制的に書かれていたものです。

 それが、今回の場合には、結果としてという文言もなしに、ストレートに成長戦略への貢献を求めるという点でいえば、私は、今回の大臣意見というのは、今までになく、一歩踏み越えた中身になっているということを指摘せざるを得ません。

 こういった大臣意見について、NHKとしてどのように受けとめておられるのかを籾井会長にお尋ねいたします。

 成長戦略について、ここまで踏み込んだ大臣意見というのは、過去、見たことがありません。かつてNHKが設置をしましたデジタル時代のNHK懇談会報告書は、公共的性格を備える放送は産業振興策の道具に使ってはならないと指摘をしております。

 会長にお尋ねしますが、NHKは、政府の産業政策に迎合せず、政府から独立し、商業主義にくみしない、こういう基本的立場を貫くべきではないかと考えますが、お考えをお聞かせください。

籾井参考人 お答えいたします。

 NHKの国際放送の充実強化の取り組みについては、御指摘の大臣意見において、成長戦略への寄与に期待があるものというふうに受けとめております。

 今、大臣も少し触れられましたけれども、国際放送につきましては、八十一条第五項で、NHKに対しては、全部読むことは避けますけれども、大臣がおっしゃったように、「我が国の文化、産業その他の事情を紹介して我が国に対する正しい認識を培い、及び普及すること等によつて国際親善の増進及び外国との経済交流の発展に資するようにしなければならない。」というふうに述べられていることは委員も御承知のとおりだと思います。

 NHKとしましては、国際親善、国際放送についても、今後とも、放送法に基づき、国際親善の増進と経済交流の発展のために積極的に実施してまいりたいと思っております。

 それからまた、放送法第三条では、我々は何人からも影響されてはならないということもありますから、これは、「干渉され、又は規律されることがない。」というふうにもはっきり書いてあります。

 もう何度も申しておりますように、NHKは、国際放送をきっちり守っていくということで今後とも進みたいというふうに思っております。

塩川委員 政府の産業政策との関係で、NHKのスタンスは過去も問われたわけですよ。NHKの歴史を振り返れば、苦い教訓もあるわけです。

 かつてのハイビジョンの問題も、それこそ前のめりでやって、結果としてはそれがうまくいかずに、その負担分というのがその後の受信料の値上げという形で視聴者にはね返ってくる、こういうことも過去あったわけですから、私は、産業政策に対してのNHKの関与のあり方については、改めてしっかりと見直すべき問題だということを言わざるを得ません。政府の側が前のめりになっているときに、NHK側がそれに追随するような形であっては、NHKとしての本来の役割を踏み外すことになる。

 先ほどの報告書でも、公共放送は技術的物珍しさや短期的収益性に惑わされることなく、直接的効果より間接的効果、経済的効果よりも社会的効果を担う役割を自覚すべきとしている。こういう立場に立ったスタンスこそ求められております。

 商業主義化と権力への迎合というのは、コイン、メダルの裏表だ、こういう指摘も識者の方からもいただいております。私は、産業政策に貢献するということが、結果として、NHK自身の独立性を損なうことにもなりかねない、こういう問題について厳しく指摘をして、質問を終わります。

高木委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 通信・放送委員会設置法案につきましては、政府としては反対いたします。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより各案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、原口一博君外四名提出、電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、原口一博君外三名提出、通信・放送委員会設置法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立少数。よって、本案は否決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、電波法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、ただいま議決いたしました内閣提出、電波法の一部を改正する法律案に対し、山口泰明君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。原口一博君。

原口委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    電波法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 今後の電波利用料の見直しに際しては、第四世代携帯電話などの新たな無線システムの導入などに伴う電波の利用状況等の環境の変化に応じ、負担の公平確保を旨として予算規模及び料額の算定に当たること。また、電波利用料の使途については、制度の趣旨に鑑み、電波利用料負担者の理解を十分得られるよう、一層の適正化を図ること。

 二 我が国の経済及び社会の活性化のため、スマートメーターやM2M等の電波利用システムによる新産業・新サービスの推進を図るとともに、電波の逼迫等その障害となる課題の解消に向けて検討を行うこと。

 三 豪雨や豪雪などの災害が発生しており、首都直下型地震や南海トラフ地震などの重大な災害の発生も懸念されていることから、災害時に住民及び関係機関に対して迅速、正確かつ高度な情報の伝達を可能とするよう、通信手段の整備等に努めること。また、ラジオ放送は国民生活に密着した情報や災害時における生命・財産の確保に必要な情報の提供に重要な手段であることから、難聴の解消に当たっては万全を期すこと。

 四 周波数の競売については、免許手続の透明化や歳入増が期待され、また、新規参入や市場競争を促進し、イノベーションの促進や国際競争力の強化につながることも期待できる一方、落札額の高騰による事業者・利用者の負担増等の課題があることから、電波が国民共有の財産であることを踏まえつつ、国民全体の便益を考慮して、幅広く意見を聴取し、総合的に検討を行うこと。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

高木委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。新藤総務大臣。

新藤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

高木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 次回は、来る八日火曜日午後二時二十分理事会、午後二時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会


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