衆議院

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第26号 平成26年6月12日(木曜日)

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平成二十六年六月十二日(木曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 高木 陽介君

   理事 石田 真敏君 理事 土屋 正忠君

   理事 橋本  岳君 理事 福井  照君

   理事 山口 泰明君 理事 原口 一博君

   理事 三宅  博君 理事 桝屋 敬悟君

      井上 貴博君    伊藤 忠彦君

      今枝宗一郎君    上杉 光弘君

      大西 英男君    門山 宏哲君

      木内  均君    小林 史明君

      清水 誠一君    瀬戸 隆一君

      田所 嘉徳君    中谷  元君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    松本  純君

      松本 文明君    山口 俊一君

      湯川 一行君    奥野総一郎君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      福田 昭夫君    上西小百合君

      新原 秀人君    中田  宏君

      馬場 伸幸君    百瀬 智之君

      石田 祝稔君    濱村  進君

      佐藤 正夫君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   総務大臣         新藤 義孝君

   総務副大臣        上川 陽子君

   総務大臣政務官      伊藤 忠彦君

   総務大臣政務官      松本 文明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           武井 俊幸君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  門山 泰明君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            福岡  徹君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 宮園 司史君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局次長) 山本 達夫君

   総務委員会専門員     阿部  進君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十二日

 辞任         補欠選任

  川崎 二郎君     松本  純君

  濱村  進君     石田 祝稔君

  渡辺 喜美君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  松本  純君     川崎 二郎君

  石田 祝稔君     濱村  進君

  佐藤 正夫君     渡辺 喜美君

    ―――――――――――――

六月十一日

 自治体非正規雇用・公務公共関係労働者の雇用・待遇の抜本改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三三一号)

 同(笠井亮君紹介)(第一三三二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一三三三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一三三四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一三三五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一三三六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三三七号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一三三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地方自治及び地方税財政に関する件

 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 本会期中、既に承認を得ております各事項中

 行政機構及びその運営に関する事項

 公務員の制度及び給与並びに恩給に関する事項

の両事項を

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する事項

に改め、衆議院規則第九十四条の規定により、議長に対して承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

高木委員長 地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、各党間の協議の結果、石田真敏君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの行政書士法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。石田真敏君。

石田(真)委員 おはようございます。

 提出者を代表いたしまして、本起草案の趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。

 行政書士は、依頼を受けて、官公署に提出する書類を作成すること等を業務とし、行政に関する手続の円滑な実施に寄与してまいりましたが、今日、行政書士を取り巻く社会環境が変化する中にあって、一層、国民のニーズを的確に把握し、国民の利便を図ることが求められております。

 このため、行政に関する手続の円滑な実施及び国民の利便向上の要請への的確な対応を図る見地から、特定行政書士制度を創設することとし、ここに本起草案を提出した次第であります。

 次に、本起草案の内容について御説明申し上げます。

 日本行政書士会連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した特定行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申し立て、再審査請求等行政庁に対する不服申し立ての手続について代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成することを業とすることができることとするほか、特定行政書士の付記に関する規定その他所要の規定を整備することといたしております。

 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して六月を経過した日から施行することといたしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 行政書士法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 きょうは、行政書士の先生方、皆さんお見えでございますけれども、行政書士法の改正案、これは平成二十年以来ということでありますけれども、今御提案がなされました。日ごろより、町の法律家ということで、我々の身近な法律問題を解決していただいている先生方、また、東日本大震災の際にはさまざまな法律問題が発生しました。原子力の損害賠償を初め、相続あるいは被災自動車の登録抹消、自動車税還付、とても対処し切れないさまざまな問題がありましたけれども、これをボランティアで行政書士の先生方が対処していただいた。国民の一人として、心より感謝をさせていただきたいと思います。

 そうした行政書士の皆さんの活躍の場をさらに広げるということで、今回の改正案でございますが、今趣旨についても御説明ありましたが、改めまして、改正の趣旨、そして、今回の改正で国民にどういうメリットがあるのかということを伺いたいと思います。

原口委員 おはようございます。

 まずもって、行政書士の先生方、また、この立法にかかわられた全ての皆様、そして、きょう御審議賜ります高木委員長初め理事各位、委員の皆様に、心から感謝申し上げたいと思います。

 奥野委員は、民主党の行政書士議員連盟の事務局長としても、赤松会長、私は副会長ですけれども、大変な御尽力をくださっております。

 その上で、今お話がございました、行政書士の先生方は、まさに町の法律家として、国民の公共サービスにおける権利の保障、このために大変大きな活躍をくださっております。

 ところが、行政書士はこれまで、官公署に提出する書類の作成やその提出手続の代理業務を行っていただいていますけれども、行政不服申し立ての手続を代理することは認められておりませんでした。そのため、例えば、行政書士の先生に依頼して許認可等の申請をしたけれども、その申請が却下となってしまった場合には、行政不服申し立てをしたいと考える国民は、みずからその手続を行うか、もしくは弁護士の先生に依頼するほかなかったわけであります。

 今回の改正により、行政不服申し立ての手続については、弁護士に依頼することだけでなく、特定行政書士に依頼することも認められるようになり、選択肢がふえることになります。また、国民は、特定行政書士に対して許認可等の申請から不服申し立てまでを一貫して依頼する、こういうこともできることになりますから、国民の行政サービスに対する利便向上にも資するものでございます。

奥野(総)委員 申請に携わった、一番中身がわかっている行政書士の先生が不服申し立ての代理も行うということで、まさにこれは国民の利便にかなうという改正だというふうに思います。

 そこで、さらに具体的に伺いたいんですが、不服申し立てを行う特定行政書士が取り扱う業務、代理で行う業務、分野というのは、どのようなものが想定されるのでありましょうか。

原口委員 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、特定行政書士は、行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する不服申し立て、この手続について代理することができることとしておりまして、その範囲は、行政書士が作成した書類に係る許認可等手続に限定をしているところでございます。

 具体的に特定行政書士が行うことが想定される不服申し立ての手続としては、現に行政書士が書類作成業務を行っている、例えば建設業の許可申請や産業廃棄物処理業の許可申請に係る、こういったものが考えられるところでございます。

奥野(総)委員 そのほかにも、例えば、農地の転用の不許可でありますとか、あるいは外国人の在留資格の問題とか、さまざま活躍の場が広がるというふうに聞いております。まさに国民の利便にかなう今回の改正ではないでしょうか。

 その上で、今回、研修を新たに受けていただく、不服申し立てを行う要件として新たに研修を受けていただくということのようでありますが、具体的にこれはどういった研修を想定されておられるのでしょうか。

原口委員 今申し上げました特定行政書士となる、そのための研修は、行政不服申し立て手続の代理業務を行うための前提となるものでございます。

 研修の具体的な内容については、日本行政書士会連合会が会則でお定めいただくということになりますが、行政不服審査法や不服申し立ての手続などを中心に、研修を修了した特定行政書士が行政不服申し立て手続の代理業務を適切に行えるような実効性のあるものとすべきだと考えています。

 なお、日本行政書士会連合会の会則の変更には総務大臣の認可が必要であるとされており、研修内容や実施方法については、総務省が事前に十分にチェックを行うものと承知をしております。

奥野(総)委員 形だけではなく、実効性のある研修を行うということで理解をさせていただきました。

 今回、行政不服審査法の五十年ぶりの大改正、この総務委員会でも審議をさせていただきました。いろいろ我々も問題点を指摘させていただきましたけれども、まさに大改正でありまして、国民の利便に沿う形だと、我々もそこは思っております。行政不服審査法、先日、成立もいたしました。この大改正を前提に、より一層、行政書士の先生方、皆様にも御活躍いただかねばならないというふうに思っております。

 そのような中で、提案者として、今後、行政書士の皆さんがどのような役割を新法のもとで果たしていくのか、どのように国民のために御活躍いただけるのかということを伺いたいと思います。

原口委員 まさに、六日、参議院を、この衆議院総務委員会でも修正案という形で皆様に御議論をいただいた半世紀ぶりの行政不服審査法が通過をして、いよいよ現実のものとなるわけでございます。

 その中で、行政不服申し立ての手続は、今般の行政不服審査法の大改正によって、国民にとってより使いやすく、より身近なものとなるわけでございますが、その手続を専門家に代理してもらいたいという国民の需要も多く存在するものでございます。

 今回の改正により、特定行政書士は、許認可等の申請から不服申し立てまでを一貫して代理することができるようになるものでございますので、国民の公共サービスに対する信頼性あるいは行政の信頼性、また、行政不服審査という形で不断に行政が自己チェック機能を果たしてよりよいものにする、そういう中で、国民の期待に大いに応え、行政手続の分野における専門家として、行政書士の先生方には国民の利便に資するようにますます活躍してくださいますように期待しているものでございます。

 本当にありがとうございます。

奥野(総)委員 法律の世界というと、一般の方々からすると、なかなか取っつきにくい、どこに相談に行っていいかわからない、こういう世界だと思いますが、そうした一般の方々とのかけ橋は、まさに町の法律家である行政書士の皆さんの活躍の場というふうに思います。今回、一層活躍いただけるように制度が変わったということであります。

 さまざま問題がありました。去年の国会でもという話があったんですけれども、そうしたさまざまな問題を乗り越えて、今回、この衆議院で提案していただいた。先生方の党派を超えた御尽力に、私も、党の行政書士議連の事務局長という立場から、改めてお礼を申し上げまして、ちょっと時間は余りますけれども、私の質問を終わりたいと思います。

 以上であります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 行政書士法の改正案について、動議提出者にお尋ねをいたします。

 今回の法案、内容に関連してですけれども、従来、行政書士は、依頼を受けて、官公署への書類の作成、提出を代理してまいりましたが、不服申し立ての代理はできませんでした。改正により、研修を修了し、特定行政書士に登録されれば、事前手続での依頼人の意向を踏まえ、事後の不服申し立てでも審査請求書の補正や反論書の作成ができることとなる、このような改正を目指すものであります。

 不服申し立ての代理権は、これまで、弁護士のほか、税理士、弁理士、司法書士、土地家屋調査士などに早くから付与され、一九九八年には社会保険労務士にも付与されているところであります。

 そこでお尋ねをいたしますが、税務については税理士、特許に関しては弁理士など、他士業による独占の業務があるわけであります。特定行政書士が不服申し立ての代理業務を行う場合に、扱う不服申し立て代理の分野というのは具体的にはどのような範囲というのが想定をされるのか、この点についてお示しいただけないでしょうか。

石田(真)委員 塩川議員にお答えをさせていただきたいと思います。

 どのような範囲が想定されるかということでございます。

 先ほど原口委員からも御説明を申し上げましたけれども、特定行政書士は、行政書士さんが作成した官公署に提出する書類に係る許認可に関する不服申し立ての手続を代理できることといたしておりまして、その範囲は、行政書士が作成した書類に係る許認可手続に限定されるということでございます。

 そして、それを具体的に申し上げれば、先ほども答弁がございましたけれども、例えば、建設業の許可申請とか産業廃棄物処理業の許可申請、そういうものが考えられるということでございます。

塩川委員 建設業あるいは産廃などについての許認可に係るということでのお話がございました。

 この点、この委員会でも行政不服審査法の議論を行ってまいりました。そういう中で、出訴に当たっての前置を大きく見直すというのが今回の行政不服審査法の改正の大きな中身でもあったわけであります。九十六法律から四十九法律に減らす、二重前置はそういう中でなくすということで、そういう点では、出訴の前提となる前置という法律の限定もあるわけですが、それに関連して、出訴の前提としての前置、この前置が存置をされているような法律において、特定行政書士が扱うことが想定されるものというのはどういうものがあり得るのかどうなのか、この点についてお答えいただけないでしょうか。

石田(真)委員 行政不服審査法の改正によりまして、不服申し立て手続を経なければ訴訟をすることができないとする、いわゆる不服申し立て前置をとる制度については、御指摘のように、四十九の法律に基づくものとなったわけでございます。

 その中で、不服申し立て前置が残っている分野というのは、税理士や社会保険労務士など他の士業の業務範囲であったり、許認可等を伴わないものが多くございまして、行政書士が行うことができる許認可等に係る手続についてはごく一部である。例を申し上げますと、宗教法人法に基づく宗教法人の設立に係る認証の申請等が対象となるにすぎないということでございます。

 その上、行政書士がこれらの申請に携わっている件数は少ないことから、不服申し立てが前置とされている不服申し立てを実際に特定行政書士が行うことは余り想定されないというふうに考えておるところでございます。

塩川委員 次に、行政不服審査法の十二条は、代理人は、各自、審査請求人のために当該審査請求に関する一切の行為をすることができるとしております。

 特定行政書士が代理人として審査請求の中でできる行為としてはどういうものが想定されるのか。審査請求書の補正ですとか弁明書に対する反論書の作成代理のほかに、審理関係人として口頭意見陳述に立つ、こういうことも行われ得るのか、この点について、確認でお聞かせください。

石田(真)委員 特定行政書士が代理人としてできる行為としては、依頼者の依頼の範囲内においてということになるわけでございまして、審査請求書の作成、提出や補正、さらには反論書の作成、提出等が考えられるほかに、御指摘の、不服申し立て手続に含まれる口頭意見陳述を行うことも可能であると考えておるところでございます。

塩川委員 依頼者の依頼の範囲内ということでございます。

 続けて、一切の行為をすることができるという点についてですけれども、口頭意見陳述に立った場合に、代理人独自の判断で陳述ができるのか。例えば、行政手続上の代理では、依頼人との業務委託契約に伴って、建設業許可や農地転用許可などについて包括委任状を得て代理業務を行っているとも聞くわけですが、このような代理人の行為は、審査請求人との関係でどのようになるのか、どのようにお考えか。この点についてお聞かせください。

石田(真)委員 不服申し立てにおける代理人は、依頼者である不服申立人との間の委任契約に基づいて、不服申し立てについての代理権を授権され、本人にかわって不服申し立てに係る行為を行うこととなるわけでございます。

 特定行政書士が行うことができる不服申し立て手続の代理につきましても、許認可等の書類を官公署に提出する手続の代理と同様、他人の依頼を受けて行うことができるものであり、依頼者からの代理権の授権範囲内において、口頭陳述を含め、不服申し立て手続の代理ができるものと考えております。

塩川委員 ありがとうございます。

 このような士業間の調整を伴うような、さまざまな御苦労のある中での今回の法改正であります。こういった法改正が、やはり国民の皆さんの利便性の向上につながっていく、また事務の迅速化に資する、こういうものであることを心から願いまして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 行政書士法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房総括審議官武井俊幸君、自治行政局長門山泰明君、情報流通行政局長福岡徹君、総合通信基盤局長吉良裕臣君、厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君、防衛省大臣官房審議官宮園司史君及び地方協力局次長山本達夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 先ほどの行政書士法に続きまして、今度は一般質疑ということで、よろしくお願いを申し上げます。

 今、行政書士の先生方は出ていかれてしまったんですが、通告していませんが、所管大臣として、今回の行政書士の改正について感想などをお述べいただけないでしょうか。

新藤国務大臣 行政書士の業務の拡大、それから司法に関する関与、こういったものは、長年の間の行政書士の皆さんの御要望でもありました。それから、我々としても、行政事務をスムーズに遂行する上で、今回のことは議員立法として御提案いただきましたから、国会で御議論いただいて、その結果として我々はそれを受けとめて対応してまいりたい、このように考えております。

奥野(総)委員 突然済みません。ありがとうございました。

 続きまして、通告に従って質問をさせていただきたいと思いますが、先日、電波政策ビジョン懇談会の中間取りまとめということで、これは上川副大臣が中心になって取りまとめられたと伺っております。これからパブコメにかかってということのようでありますけれども、その内容について、きょうは少し伺ってまいりたいと思います。

 まず、今回のこの報告、中間取りまとめのポイントですね、何を狙っておられるか、あるいはどういうことが目玉になっているかということをまず伺いたいと思います。

上川副大臣 今回の電波政策ビジョン懇談会中間報告案ということでございますが、ことしの一月から懇談会を開催してまいりまして、その中では、新しい電波利用の姿、あるいは、新しい電波利用の実現に向けた新たな目標設定とその実現方策、さらに、電波利用を支える産業のあり方、この三点を中心といたしまして、有識者の皆様に御議論をいただき、中間取りまとめ案ということで、現在、パブコメに付しているというところでございます。

 この中間取りまとめ案につきましては、特に、二〇二〇年ごろの第五世代移動通信システム、5Gの実現に向けました推進体制の整備、また研究開発及び標準化の推進、二点目といたしましては、移動通信事業者のグループ化の進展が進んでおりますので、周波数を一体運用する複数の事業者をグループという形で捉えた周波数の割り当て、さらに、地域の公共の福祉の増進の寄与を目的とした地域BWA用の周波数帯の割り当て方針の見直しなどにつきまして、方針を示していただいたところでございます。

 懇談会におきましては、今後、新たな周波数割り当ての目標、さらに電波利用を支える産業のあり方などにつきまして、引き続き精力的に御議論をいただきたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 これから第四世代の携帯の割り当ても始まりますし、さらにその先の第五世代も見据えて、あるいは東京オリンピックに向けてWiFiの周波数の拡大とか、さまざまこれから電波の需要も逼迫してくる、それに向けて対処をしていこうという狙いだというふうに思いますけれども、具体的に、ではどのぐらいの需要が積み上がってくるか。こういう話をするときには、では将来どのぐらいの電波の需要がある、それに対してどれだけ帯域が必要であって、その帯域をどうやって賄っていくのか、技術開発なのか、あるいはオフロードをどのぐらいしていくのか、そういうことをきちんと考えていかなければならないと思うんです。

 この報告書の中に若干、モバイルについてのトラフィック予測とかいうものは出ておりますけれども、きちんと需要について積み上げて検討を進めておられるのか。さらに、今やっていないとすれば、これから、そういう需要予測をしながら、光ファイバーとかオフロードとかもきちんと絡めて検討していくのかということについて伺いたいと思います。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電波政策ビジョン懇談会におきましては、今後、移動通信用データのトラフィックは十年間で百倍から一千倍に増加するというような需要を見込むのが妥当というような議論がございました。

 二〇二〇年代に向けましたこのような大幅なトラフィック増加という需要に対応しました周波数割り当ての目標の検討をするに当たりまして、一つには、今御指摘ありました第五世代移動通信システム、5Gでございますが、などのさらに効率のよい通信方式の採用だとか、二つ目には、5Gやオフロード用無線LAN用周波数帯を含む追加周波数帯をどれだけ確保するかとか、さらには、電波の有効利用に資する研究開発、周波数の効率的利用、共同利用、それから高周波数移行の促進等の推進を考慮する必要があると考えております。

 特に、移動通信に利用可能な追加周波数帯の確保につきましては、既存無線局との周波数共用を一層推進することにより具体的に検討をいただく予定でございます。

奥野(総)委員 今回は電波の話なんですが、ともすると、電波の世界は電波の世界、周波数割り当ての話は周波数割り当ての世界、競争政策の話は競争政策の話と、これまで別々に進んできたような感が否めないのであります。

 民主党政権時代に、原口筆頭がおられますけれども、光の道を構想して、電気通信事業法が改正をされました。今回、改正三年後の包括的検証を行っておられるというふうに理解しておりますが、これは具体的に今どこまで進捗しているのか。そして、今回の電波政策懇談会とはどういう関係にあるんでしょうか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、総務省では、日本再興戦略とそれから平成二十三年度の改正電気通信事業法の附則を踏まえまして、二〇二〇年代に向けた世界最高レベルの通信インフラをさらに普及発展させるために、本年二月から、電気通信分野の競争政策の見直しについて情報通信審議会に諮問し、議論を行っているところでございます。

 これまでに、この審議会のもとに新たに設置しました二〇二〇―ICT基盤政策特別部会を二回、それから、さらにその下に基本政策委員会を八回実施いたしまして、事業者等からのヒアリングを含めて審議を進めているところでございます。

 この特別部会とこの委員会では、具体的には、多様なプレーヤーの適正な競争によります料金低廉化、サービスの多様化を実現するための競争政策の見直し、より安心してICTを利用できる環境を実現するための消費者保護ルールの充実、それから、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会を見据えました、公衆無線LANを利用しやすくするための方策等について議論しているところでございまして、本年十一月ごろを目途に、具体的な制度見直し等の方向性を内容とした答申を取りまとめる予定といたしております。

 それから、本特別部会の議論の中では、多様なプレーヤーによる適正な競争の実現、それから今後の移動系サービスの高度化、大容量化への対応の観点から、今御指摘のありました、競争政策と電波政策の連携が必要という指摘を受けております。

 このために、本特別部会におきまして、電波政策ビジョン懇談会の論点や議論を紹介するというようなことで、電波政策の今後のあり方とも整合性をとりながら審議を進めているところでございます。

奥野(総)委員 もちろん公共部門への割り当てとかもあるんですが、今回を見ても、事業者への割り当てがモバイルというのは主でありますから、いろいろな経緯はあるんでしょうが、そもそも別の場でこの審議をしているということもちょっと私は腑に落ちないところがありますので、できるだけ連携をとってやっていただきたいというふうに思います。

 今回、目玉の一つとして、免許についてのグループ化ということが、先ほど副大臣もおっしゃっておられましたけれども、これを読むと、開設指針にかかわるところで、無線局免許の開設指針をさわるということだと理解していますが、中をちょっと見ますと、二つここに書いてありまして、周波数を一体運用する複数の事業者が一つの割り当てに対して同時に申請することを禁止する。これは申請を禁止するということですね。それから、みずから周波数を割り当てられた者が他事業者と恒常的に周波数を一体運用している場合には、みずからの契約数及び周波数として算定の対象とする。グループ企業として、グループとして電波を使っている者については無線局免許の申請の際には一体として扱う、こういうふうに理解をしました。

 ちょっとこれは通告はしていないんですが、このときに思い出すのは、ソフトバンクがイー・アクセスを買収したときですね。イー・アクセスには割り当ててしまった、それをソフトバンクが合併したのでその周波数がソフトバンクに移ったということ、これが問題になったと思うんですが、今回のこの提言については、免許の申請時の話でありますから、こうした事態、割り当ててしまったものを、買収等によって別の通信会社が周波数を手にしてしまう、こういったことについては、今回は特に規制はしないということなんでしょうか。ちょっと通告していないんですが、済みません。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 現在の扱いというのは、申請者と三分の一以上の議決権保有者である者が同時に割り当ての申請を行うことを禁止しております。

 これはあくまで申請者と三分の一の議決権の保有関係というところを見ておりますが、今後、複数の申請を禁止するサービス概念の見直しということで、議決権以外に、当然、議決権のない資本関係もございますし、出資比率だとか所有構造もございますし、それから意思決定、例えば経営陣を送り込んでいるとか、そういうこととか、あるいは取引関係、大部分がその企業と取引をしているというようなことも考慮して、参入機会の実質的な確保をしていきたい、こういうふうに思っております。

奥野(総)委員 イー・アクセスの問題は、周波数の割り当てはできるだけ公平にやっていこうというふうに割り当てていたのに、後から買収して手に入れてしまった。今回、今のお話を伺うと、そこはさわっていないというふうに理解をするんですけれども、そうすると、やはり今後もこういうことが起こる可能性はあるわけですね。

 だから、そもそも今の割り当ての仕方が、事業者を見ながらできるだけ公平に割り当てていこうというやり方自体が、なかなかもう無理があるんじゃないかというふうに私は思っておりまして、それで、従来からオークション、オークションとずっと言ってきているわけであります。

 公平に割り当てるというのはなかなか難しいということであれば、むしろそこは諦めて、まさに市場に任せて、オークション。もちろん一定の規制は課すのでありますけれども、事業遂行能力のある事業者にはちゃんとオークションで割り当てていく。これの方がすっきりするんじゃないかと思うんですね。

 今回の報告書を見ましても、中で、周波数の経済的価値を考慮しつつ、周波数オークションやインセンティブオークションについて、市場メカニズムの活用方法について検討するということが書かれているわけであります。

 これから第四世代の割り当ても始まりますし、第四世代の追加の周波数の割り当てもあるようなことが書かれています。あるいは、第五世代の携帯についても、スペックがこれから決まって、割り当てが始まるのでありますが、こうした事業にかかわる部分については、もちろん、公共目的のものについては従来の割り当て方式でいいのかもしれませんが、少なくとも事業に活用する周波数についてはオークションを活用すべきだと我々はずっと申し上げてきているんですが、今回、答申の中にも書いていただいております。

 これはしっかり検討いただく、前向きにやっていただけるというふうな理解でよろしいんでしょうか、オークションについて。

新藤国務大臣 これはたびたび委員からも御質問いただいておりまして、私も一貫して同じ答えをさせていただいておるわけでございます。

 この電波オークションは、メリットもありデメリットもある、そしてさまざまな検討が必要である、私はそのように考えているわけでございます。現在の電波政策ビジョン懇談会でも御議論いただいておりますし、さらに広く捉えれば、これは、ICTの二〇二〇の特別部会においてもそういったものが検討されることになる、このように思います。

 委員がおっしゃったように、市場メカニズムを機能させるということ、これは重要だと思います。ですから、そういった観点から、今般も、ビジョン懇の中間の取りまとめの案でありますけれども、その中では、検討を行っていく必要がある、このようになっているわけであります。

 そういった専門的なことも含めて、我々も、さまざまな意見に耳を傾けながら検討をしていくことは続けていきたい、このように考えております。

奥野(総)委員 ここに書いていただいているので、ようやく御理解いただけたか、いよいよ検討いただけるのかと私も大喜びしたのでありますけれども、ぜひこれはしっかり検討いただきたい。この方がすっきりすると私は思います。

 それから、時間もなくなってまいりましたけれども、今、法人実効税率の引き下げという話が出てきていまして、これ自体、私はやっちゃいかぬと言うつもりはないんですが、でも、例えばアメリカなんかは、州によっては日本より法人税は高いんですね。だけれども、経済は日本よりはるかに活性化して成長率が高い。これは何かというと、やはりイノベーションだと思うんですね。

 法人税を下げても、必ずしも海外から企業が戻ってくるかどうかはわかりません。それよりは、イノベーションをきちんと生み出すような社会、仕組みをつくっていく必要があると思います。

 総務省の方でもさまざまな研究開発を行っていると思います。イノベーションを狙いどおり起こせるものではないかもしれませんけれども、イノベーション創出のためにどういった取り組みを総務省として行っているか、伺いたいと思います。

武井政府参考人 お答えいたします。

 総務省では、ICT成長戦略会議のもとに、情報通信審議会におきまして、平成二十五年の一月から、イノベーションを創出するための方策につきまして御審議をいただいているところでございます。同審議会からは、昨年六月に閣議決定されました日本再興戦略あるいは科学技術イノベーション総合戦略、こうしたものを踏まえまして、昨年の七月に中間答申をいただいたところでございます。

 この中間答申におきましては、我が国がイノベーション創出のフロントランナーとなるべく、新技術や新サービスへの挑戦を目指す人材の発掘、育成ですとか、ベンチャー企業の育成などの方向性が示されたところでございまして、これを受けまして、総務省でも総合的な取り組みを推進しているところでございます。

 具体的には、常識にとらわれずに独創的な研究開発に挑戦する独創的な人に対する支援ですとか、あるいは、ベンチャー企業などがいわゆる死の谷を乗り越えて新たな事業を創出するための技術開発、こういうものに対する支援、こうした支援に必要な経費を本年度予算に盛り込みまして、事業の早期実施に向けまして、現在、準備を進めているところでございます。

 我が国が世界で最もイノベーションに適した国となり、科学技術イノベーションが我が国の経済再生の牽引役を果たすことは喫緊の課題であると認識しておりまして、総務省といたしましても、これらの事業を着実に実施するとともに、情報通信審議会の最終答申、あるいは政府の成長戦略、これらを踏まえて、引き続きイノベーションの創出に取り組んでまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 東京オリンピックに向けて、やはり、あっと驚くような日本の技術を海外から来られた方に示せるというふうに持っていっていただきたいと思います。

 それから、最後でありますけれども、ハイビジョン、4Kの話ですが、いよいよワールドカップが始まります。ワールドカップの中継に向けて、4Kをどういうふうに活用されるのか、どういうふうに使われるのかということを伺いたいと思います。

福岡政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省におきましては、昨年、4K、8Kも含めてでございますけれども、検討会での検討を踏まえまして、早期実現のためのロードマップを策定し、4Kにつきましては、本年から試験放送を開始するということで、御案内かと存じますけれども、先般、六月二日より、衛星放送、これは通信衛星でございますが、これを用いた4Kの試験放送が開始されているところでございます。

 お尋ねのワールドカップの関係でございますが、これにつきましても、試験放送が始まっておりますので、4Kで放送をするということで関係者の間で進められているということでございますが、残念ながら、いまだ最終調整中ということで、正式にはまだ公表されておりません。

 ただ、伺っておりますところでは、日本戦の緒戦を含む四試合を、何らかの形でこの4Kで放送を進めていくという予定だと伺っているところでございます。

奥野(総)委員 報道なんかによると、録画でというか、ワンクッション置いてというような報道もなされておりまして、できればリアルタイムで見たいなと思うので、まだ交渉中ということでありますから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 4K、8Kについては、東京オリンピックのときには御家庭で見られるようにというふうなロードマップ、最終目的を書かれているわけでありますが、それに向けて、大臣、最後に決意を伺いたいと思います。

新藤国務大臣 この4K、8Kの新しい映像の技術開発を通じて、私は、これが単に高精細の迫力ある映像が出せる、それだけにとどまらずに、教育や医療、それから、さまざまな新しい産業に活用できるのではないか。映像とICTを組み合わせることによって、新たな産業展開ができる。そして、その新しい技術によって新製品や新サービスができれば、この需要に基づいて製造業が活性化するわけであります。そういう日本経済の成長の一つの基幹として、こういったものをぜひ高めていきたい、このように思っております。

 まずは、その意味でも、今回の実証を経て、国民の皆様に、よりこの魅力を知っていただくことが重要だと思っております。

奥野(総)委員 その点については全く同感であります。

 以上、終わりたいと思います。

高木委員長 次に、新原秀人君。

新原委員 日本維新の会の新原秀人でございます。

 本日は、先日五月三十日に公布されました地方自治法の一部を改正する法律案ということで、この委員会でもさまざまな議論が行われ、公布されたということですけれども、まず、私は神戸市出身、神戸市から出ておりますので、特に指定都市制度の見直しというところ、そこについて質問させていただきたいと思います。

 まず、この施行期日というものが、ほかの、例えば中核市制度、特例市制度というのは一年後となっておりまして、ほぼ一年後ですね、来年の四月一日ですから。また、新たな広域連携制度の創設ということは六カ月以内に政令で定めるということになっています。しかし、指定都市制度の見直しについては二年をめどにということで、何か、総務省のやる気といいますか、すぐやるぞという感覚が見えないんです。

 そういった意味で、いわゆる都道府県調整会議の設置、そういった意味の新しい設置というものも含まれておりますけれども、総務省として、せっかく地方自治法の一部を改正し、政令都市を今後さらによくしていこうという考えのもとの中、今後、いわゆる総合区等、どのように政令市が、国から法律を決めても、地方制度調査会の答申を受けて決めているんですけれども、せっかく決めたけれども、実際、それをどこもやるところがなかったというような法律では、私はちょっといかがなものかなと思いますので、その辺についてどのように今後考えられておりますか。

門山政府参考人 今回の地方自治法の改正の中におきまして、指定都市につきましては幾つかの制度改正を内容としております。区の事務所の分掌事務条例ですとか、総合区の設置、それから都道府県と政令市の調整会議といったものが主な内容でございます。

 このうち、指定都市につきまして、区の事務所が分掌する事務を条例で定めるというのは、これは全ての市でやっていただくことになります。これは、それぞれの指定都市におきまして、この議論の場で、総合区の設置の要否というものも含めまして、そもそも行政区のあり方について御議論いただくということを期待しているわけでございますし、この議論というのは恐らく短期間にすぐまとまる話ではないと思いますので、やはり、それぞれの指定都市で一定の時間が必要であろうということで、施行期日につきましても二年以内で政令で定める日ということになっているわけでございます。

 総務省としての対応でございますが、今回の地方自治法の改正法につきましては、公布が五月三十日でございましたが、この公布の日に、留意事項を含めまして、各指定都市と都道府県に対しまして技術的助言としての公布通知を出させていただいております。そのほか、やはり具体的な御説明が必要であろうということで、去る六月十日でございますが、都道府県、政令指定都市の担当者の皆様にお集まりいただきまして、制度の趣旨あるいは疑問な点についての御説明というような会を行ったところでございます。

 今後とも、指定都市に対しまして、まず、やはり内容を正確に御理解いただく、趣旨も含めまして正確に御理解いただくということが必要だと思っておりますので、総合区の導入につきまして各指定都市からの相談に応じるなど、必要な情報提供、助言、これをまず一生懸命やるということが総務省として当面やらなきゃならないことだろうと考えておりまして、今そういうことで進めているところでございます。

新原委員 ありがとうございます。

 私は総合区ということに非常に興味を持っていまして、政令指定都市でもできたてのところは、区をつくったところですから、総合区って何のためにするんやという感覚ですけれども、やはり横浜、神戸、名古屋等は、ある程度時間が熟成してきて都市自体も大きくなってきているという意味での総合区という意味と、ある程度今から人口減少が起きてきますので、それぞれの区ごとが人口が減ってくる、そうしたらまた合区するんかということも、もちろん一つの手ですけれども、やはりある程度、地域地域に総合区をつくって、合区する前にちょっと特色を出していくという、いわゆる準備的な意味の総合区というのも私は必要なのかなと思っております。

 そういった観点から、この総合区というものを、特に神戸については、非常に地域性もあっていいのかな、導入しやすいなと私は思っているんですけれども、何か、総合区について、どこかの市からいろいろ質問があったりとか、逆に、この制度を、法律を決める前にこういうことをしてほしいとか、そういった要望は具体的にはあったんでしょうか。

門山政府参考人 お答えいたします。

 まず、総合区につきましては、御案内のとおり、設置は条例によるということにしておりまして、指定都市の一部の地域に設置することも、それから全域に設置することも、また設置しないということも、いずれも可能だ、こういう仕組みにしているわけでございます。

 今委員から御指摘ありましたように、やはり、行政区といいましても非常に多様でございます。人口規模、面積、一番少ないところは指定都市の中で三つしか行政区がないところから二十四区のところまでございますし、規模も多様でございます。それから、人口増減の状況も、恐らく相当、区によって違うといったようなことがあると思います。また、それぞれ、政令指定都市になった時期とか沿革、これも違うと思いますので、やはり、多様性ということを前提といたしますと、それぞれの指定都市が地域の実情に応じて多様に導入できる、こういう仕組みが望ましいと考えたわけでございまして、導入の目標を掲げるということは考えていないわけでございますが、それぞれの市で十分に御議論いただけるように、制度の趣旨をしっかり周知していきたいということでございます。

 では、具体的にどういう相談が来ているかということでございますが、先般六月十日に開催いたしました都道府県、政令指定都市に対する説明会の際にも、やはり総合区に関する御質問というのは非常に多うございました、数としても。ほかに、区の分掌の話ですとか、調整会議などもあるんですけれども、ただ、やはりこれも、非常にたくさんの項目、御関心があってお聞きになっているところと、そうでないところ、それも分かれているのが実態でございます。

 それから、それ以前の段階といたしましても、この総合区の制度は、第三十次の地方制度調査会におきまして答申された内容を法案化したものでございますが、地方制度調査会におきましても、指定都市としては、横浜市長さんが臨時委員に加わっておられましたし、個別具体的には、橋下大阪市長さん、それから阿部川崎市長さんからの意見聴取という機会も設けまして、その中でいろいろ御意見をいただき、それを踏まえて答申をまとめるということになったわけでございます。

 調査会の答申取りまとめの結論としましては、確かに指定都市というのは、基礎自治体であるにかかわらず人口規模が県並みだということ、それからカバーするサービスも非常に広いといったような課題は抱えておりますが、やはり実態はそれぞれ、沿革も含めてさまざまであるということから、そういう中でどういう仕組みがいいかと考えたときに、一つの、これまで進んできたものとしては、大阪都と言われております設置法があるわけでございますが、今回の法改正の内容にいたしましたのは、政策の企画ですとか立案も含めまして、住民に身近なところで住民に身近な行政を包括的に行えるようにということで、区長さんを議会の同意を得て選任される特別職の区長にする、こういう方式をまず導入するのがいいだろうということが総合区制度になったことでございます。

 したがいまして、まだ法案はできたばかり、御説明を申し上げている途中でございますが、地域の実情について御議論が進むように、我々としてもできるだけ御相談にも乗り、必要な情報提供をしていきたいというふうに考えているところでございます。

新原委員 御丁寧な御説明、ありがとうございます。

 先ほどお話に出ましたけれども、大阪都構想と特別市、それから今回の政令市における総合区、考え方は同じだと思うんですね。

 先日も委員会でお話をさせてもらいましたけれども、大阪は大阪府大阪市、だから別に大阪という名前はなくなりませんけれども、例えば神戸市ということは兵庫県神戸市なので、もし分けてしまうと神戸という名前がなくなるのではないかという意味で、私も選挙のときに都構想都構想と言っていましたら、神戸をなくす気かと言われまして、いや、そういうことじゃないよということでした。

 この総合区というのは、その間をとって、今後、成熟した指定都市、政令市を、言うてみたら考えていく、本当に市長という役職は多忙でございますから、そういった意味の、福祉、地域のことは区長にやっていただくということは非常に今後、可能性を秘めたことだと思うので、実際、頑張ってこういった制度を広めていっていただきたいと思います。

 本当に、横浜市等は四国四県に相当する規模でございますから、それを市長が全部、区を見てという形には、まあ別に、ほかの市のことですから僕が客観的に見てですけれども、それよりも総合区等をつくって行った方が、市長も余裕ができて、もっともっと将来的なこととか全体の総合的な政策を考えやすいのかなと思っております。

 ぜひとも神戸では、私、市会議員の方々にお聞きしましたら、総合区ができることによって総合区の常任委員会をつくることができるということも非常に喜んでおられましたし、また、今市長をやられている久元市長は、もともと総務省出身で地方自治のスペシャリストでございますから、そういったことに対して理解も非常にあると思うんですね。だから、私は、神戸では設置できるようにというふうに働きかけ、頑張って努力してまいりたいと思います。

 そういった意味で、大臣として、こういった区長、総合区について、まあ、我々日本維新の会は、区長は公選制にすべきだという意見もありますけれども、まずは総合区を導入して、今後、新しくできた地方自治法の一部を改正する法律案ということを進めていっていただきたいと思うんですけれども、その点、どのようにお考えですか。

新藤国務大臣 私は、地方分権それから地域の活性化、この二つがうまくリンクして、それぞれの地域が元気になっていく、それぞれの地域を元気にして、その固まりが日本の元気になっていくんだ、こういうことで、ぜひ総合的に地域の活性化そして地方自治の確立というものを進めていきたい、このように思っているわけであります。

 その目標は、個性を生かし、自立した地方をつくる。だから、大都市には大都市のやり方、それから、過疎地と言われるような、人口が少なくて、また減少している、そういう地域においてもその地域のやり方があるでしょう、それは地域の発意と多様性だ、みずからの地域が考えて、自分たちがやりやすい方策を提言してください、国はそれを最大限支援し、また環境整備に努めていきたい、このように思っているわけであります。

 今般の大都市問題の総合区制度の問題は、いわゆるメニューをそろえたというふうにお考えいただければいいと思います。そして、政令指定都市といっても、内実、それぞれの生い立ちやら規模はさまざまでございます。それぞれの抱えている課題がありますから、こういったものを解消するためにその地域の方々が、首長そして議員、そうした人たちが住民の代表となって意見を受けとめながら、いろいろなアイデアを出していただきたいというふうに思うわけであります。

 ですから、どこかの町でやることを全国で当てはめる必要はないんだ、もし同じような気持ちがあってやりたいのならば、それはそれぞれの判断でやっていただければよいではないか、私どもはそれをお手伝いしたい、このように思っているわけでございます。

 総合区制度ができました。まだほやほやでございますから、今後、この総合区の最大の眼目は、より住民に近いところで行政が行われるように、そういうことを考えたことでありますから、そして、区ごとの特徴を出しつつ、やはり政令市としての一体性を保った中で市政の発展を担保していく、こういう枠組みになっているわけであります。ですから、この制度をぜひとも御活用いただきたい、それを我々は期待しているということでございます。

新原委員 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。

 私もそのとおりだと思います。やはり地域で選んで、制度がいろいろあって、この制度がこの地域に合っているというふうにすること自体が地方自治といいますか地方分権でありまして、私は、それは非常にそのとおりだと思っております。

 資料一、資料を出しておりますけれども、これを見ると、総合区ということに対しての消極的な姿勢というのが割と見られております。日経新聞のこの内容をうのみにするわけじゃないですけれども、もともと義務づけをする想定というふうに書いていましたけれども、これは逆でありまして、義務づけするべきことではなくて、やはり地域地域で選んで、これが必要だということを思って導入していく、そして積極的にやっていくものでありまして、大臣の御答弁はまさにそのとおりだと思いますので、ちょっとこの書き方自体は、僕自身は腑に落ちないんです。

 そういった中で、総合区をすると、もちろん、いろいろなメリット、デメリットがありますけれども、総務省といたしまして、総合区をつくることによって、何かインセンティブといいますか、何かこういうことをするとこういうふうなインセンティブ的なことを、いわゆる市町村合併と同じように、何かそういうようなインセンティブ等を考えていかれるような考えとか、もし考えていかれるならどのようなインセンティブな制度があるのか、お答えいただけますか。

新藤国務大臣 そもそも、我々は発想を転換しなければいけないと思うんですね。何か制度をつくると、その制度に合致して国から認定を受けるために市町村が考える。私は、それはもう少し、自分たちは客観的に、また自立的に考えた方がいいのではないかというふうに思っているんです。もちろん、私の方は国の立場で、制度をつくる側ですから、使っていただきたいんですけれども、でも、こういうふうに国に認めてもらうためにうちの町はやろうなんというのは、それは自立と反しますよね。

 ですから、先ほどから言うように、自分たちのやりたい方策を提言してください、そのかわりそれには責任を持ってください、そして、私たちはそれを支援するし、そのための必要な制度や法律は変えなければいけないことは対応いたしますよ、こういうスタンスであります。

 ですから、ここの報道にありますように、つくったけれども名乗りが出ないとか、そんな、今できたばかりのところで、どういうメニューを使っていただいても結構ですということでそろえていることなんですから、必要に応じて出てくればいいわけであります。

 なので、これを無理やり誘導するようなインセンティブとかそういったことではなくて、それよりも、地方に対しては、やはり安定した税源それから財源、そして将来をきちんと、不安のないような一般財源の総額、そういうものをさまざまそろえながら、その中で皆さんが工夫をして自分の町を元気にしていただこう、これが重要だ、このように考えているわけでございます。

新原委員 済みません。僕の質問の方向が間違えていました。大臣のおっしゃるとおりでございます。

 ぜひとも、この総合区という制度が一つでも二つでもふえて、先日我々の改正した意味ができることを願いまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

高木委員長 次に、佐藤正夫君。

佐藤(正)委員 みんなの党の佐藤正夫です。

 時間がないので、早速、質問に入らせていただきたいと思います。

 横浜や厚木市で子供たちの命がなくなりました。その命を、実は防ぐことができたかもしれない、こういう観点から質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、皆様方のお手元に資料を配付させていただいております。

 いわゆる、行政機関は、母子手帳だとか健康診断、小学校入学、中学校入学、それぞれ子供たちの居場所を確認できる制度があるにもかかわらず、今大きな問題になっております居所不明児童が減らないのか。そして、その居所不明の児童が命をなくしていることが、毎年悲しい事件が起きています。

 そこで、お尋ねをさせていただきたいと思います。参考人の方、厚生労働省の方からお見えになっていると思いますが、今私は資料を皆さんにお配りしております。この資料は、厚生労働省の方からいただいた資料であります。この資料に基づいてちょっと御説明を願いたいと思うんです。簡潔にお願いをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 児童虐待の早期発見、早期対応を図るという観点から、今先生お示しの資料に基づきまして、まずは、さまざまな保健福祉サービスや行政施策を講じておりますので、それを契機といたしまして、例えば乳児家庭への全戸訪問でございますとか、乳幼児の健康診査、あるいは予防接種、こういったあらゆる機会を捉えまして虐待の発生リスクが高い家庭などを把握して、支援につなげていく、こういう姿勢でございます。

 こうした中で、これまでやはり、乳幼児の全戸訪問事業で児童が把握できないケースとか、健康診査、予防接種が未受診のケース、それから、文科省さんになりますけれども、学齢期になりましても未就学のケース、こういったものでいわゆる居所不明児童というのが虐待の発生リスクが高く、支援の検討が必要であるということで、こういった機会を捉えまして、関係機関、情報を共有して、的確に対応を図っていただきたいということを自治体に要請しているところでございます。

佐藤(正)委員 それで、これまでに自治体にもいろいろな通知をされたと思います。例えば平成二十四年の十一月三十日においても、「養育支援を特に必要とする家庭の把握及び支援について」という通知を出されました。その際には、警察庁生活安全局、総務省自治行政局並びに法務省刑事局及び入国管理局等と協議済みの上に、通知を平成二十四年十一月三十日に出されました。そしてまた、平成二十五年六月十一日にも同種の趣旨で通知を出されました。

 なぜ防げないんですか。なぜ同じことをずっと繰り返してくるんですか。これは今始まったことではありません。以前からこの問題は取り上げられてきています。しかし、そのときはこういう通知を出します、では、その通知を出した後のフォロー、結果はどうなったか、この辺については掌握をされていますか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のとおり、平成二十四年十一月、それから二十五年六月に自治体に通知を発出いたしまして、関係部門の連携で的確な対応を図っていただきたいというような要請を繰り返しいたしております。

 今御指摘がありましたように、母子保健、児童福祉部門だけではなくて、教育委員会、警察も含めまして、それから国の入管の担当部局も含めまして連携を図ってほしい、それで、要保護児童対策地域協議会という場がございますので、ここで情報を共有し、連携していただきたいということをお願い申し上げております。

 こういった要請等を踏まえまして、例えば、今般神奈川県が安全確認の調査を行ったところ、今般の発見につながったということだと承知をいたしております。

 しかしながら、これは、きちんと、発出した通知どおり自治体がやっていただいているのかどうかチェックが必要だと思っておりまして、私ども、今般、本年四月に、居所不明児童の所在の把握と安全の確認、これについて市町村がどのように取り組んでいただいているのかというものを改めて点検したいということで、文部科学省などの協力を得て調査を実施しているところでございます。その調査結果を踏まえまして、また的確に対応を図ってまいりたいと考えております。

佐藤(正)委員 この通知の中身を見ますと、同じことが書いてあるんですよね。要するに、情報共有をしっかりすること、各行政機関において。同じなんですよ。できていないからこうなる。ここが一番大事なところなんです。

 だから、総務省においては、先ほどの資料を見ていただきますと、教育委員会に行くまでの間は役所がやっているんですよね。基本的に、厚生労働省だとか何省だとかいうのは、市民、県民、国民には関係ないんです。役所は役所なんですよ。あくまでも仕事をやるために縦割りでつくっているかもしれませんが、大事なことは、国民の命を守らなきゃいけない政府が、行政がやれていないということに憤りを感じるんです。

 それで、その中で総務省が、いわゆる住民基本台帳ですね、あるケースでは、役所が住民基本台帳を削除したばかりに、教育委員会もその時点で学籍をなくしてしまう。基本的なところは、この住民基本台帳が基礎となって動いているわけです。

 そこで総務大臣、もう時間がありませんが、ぜひ、こういうことを踏まえて大臣の見解を、そして今後の対策についてお尋ねをしたいと思います。

新藤国務大臣 私も、委員が憤る気持ちと同じ思いを抱いております。そして、なぜこうしたことが防げないのかということについて、具体的な対策をとらなければいけないというふうに思います。

 一方で、私は、みずからもやっておりますから承知しておりますが、このようにうまく機能しなくて、結果的に子供を救えなかったときもあります。一方で、それを未然に察知して、行政の手によって子供を救い出せることもございます。最後は、やはりそこに携わる人の自覚、それからいろいろなタイミングというものもあると思いますが、いずれにしても、必要なのは、それぞれの省庁が自分のところだけの観点でとどまらずに、こういった問題が起きたときには、タスクフォースのようなものをつくって総合的に対応することが必要だと思います。

 今委員の御指摘いただいた厚木の男の子の場合は、平成十三年に生まれていて、そして平成の十八年ごろに死亡している。しかし、二歳のときに児童手当の支給申請がなく、そして平成十六年には定期健康診断が未受診だった。ですから、ここでもう何度もサインが出ているわけです。しかし、そういうときにそこに踏み込むことができない。

 これは、教育委員会もしかり、それから市、自治体もそうです。県庁の方も虐待の対策の室があります。そして、我々は今度は住民票を、きちんとその人がいるかどうかというのを把握できる、そういういろいろなセクションがあるんですから、そういったところが連携をすることによって、何とかこういった悲しい出来事が起きないようにしなくてはいけない。平成十八年に亡くなった子供が、二十六年になってようやっとわかってきたということでありますから、まことにゆゆしき事態である。

 私は、役所の中で、自分のところだけのことを考えるな、全体として総務省が地方自治体を通じてどんな役割を果たせるのか、もっと個別具体に、何が間違っていたのか、それを検証して、具体的な対策を打とうではないか、こういうことを指示しております。

佐藤(正)委員 三ページ目の資料は新聞記事ですけれども、港区では、所在不明児ゼロという、全員で戸別訪問、選挙言葉でいいのかどうかわかりません、家庭訪問をされてゼロに持っていった、こういう努力をされている役所も、行政もあります。こういったものは、ぜひ各地方自治体にも、こういう努力をして結果が出たよと、いいことは大いに伝えていただきたいと思います。

 もう時間になりました。最後ですが、青少年問題調査特別委員会でしょうか、森大臣のところでこの問題をちょっと扱ったんですね。それは、内閣府で、横串を刺す省庁ですよ。森大臣は、前から僕が薬物依存のこととかいろいろ御質問したんですが、いわゆる省庁横断でやらなきゃいけないことはたくさんあるんですね、こういう子供の問題とかいうのは。そのときに大臣が言われたのは、関係大臣とは、朝食をつくって、おにぎりを振る舞って、一緒に議論をやっていますよ、こんなこともやっていますよと言われたんです。

 そこで森大臣にお尋ねをしたのは、すぐこの問題で各省庁の大臣に声がけをされたんですか、いち早く、命にかかわることですから、大臣が率先をしてやるべきでしょうということを大臣に指摘させていただいて、早急に開いていただきたいということをお願いしました。

 大臣、声はかかりましたか。まだかかっていないですか。

新藤国務大臣 現状において、私はその会議には参加はしておりません。

佐藤(正)委員 ぜひ、そうであれば、総務大臣の方から声がけをされて、各省庁の大臣会議、連絡会議を即座にこの問題について開いていただくことを要望して、質問を終わります。

高木委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、米軍機低空飛行被害に対する自治体の取り組みについて取り上げます。

 西日本、中国、四国地方におきまして、米軍機飛行に関して自治体のさまざまな取り組みが行われております。

 防衛省にまずお尋ねいたしますが、中国、四国地方において、米軍機飛行に関して、防衛省及び地元自治体による騒音測定器の設置状況について確認をしたいと思います。

山本政府参考人 お答えいたします。

 岩国飛行場及びその周辺を除く中国、四国地方におきまして、米軍機の飛行に関して防衛省が設置をした騒音測定器といたしましては、島根県浜田市及び広島県北広島町にそれぞれ一カ所ございまして、いずれも平成二十五年九月から運用を開始しております。

 また、岩国飛行場及びその周辺を除く中国、四国地方において、米軍機の飛行に関し地方自治体が設定した騒音測定器につきましては、各地方自治体のホームページで確認をしたところ、島根県浜田市が平成二十三年十二月から一カ所、島根県が平成二十四年十二月から九カ所、広島県北広島町が平成二十五年一月から四カ所、島根県邑南町が同年四月から二カ所、合計十六カ所で運用が開始しているものと承知をしております。

塩川委員 岩国飛行場及びその周辺を除くというふうに整理してもらいましたように、要するに、岩国基地の周辺は除いている、そういう基地がない場所で多大な米軍機の低空飛行の被害が生じているという状況があります。

 住民の要望や自治体の要望、国会の質問を踏まえて、防衛省が島根県浜田市と広島県北広島町に騒音測定器を設置しました。

 さらに、自治体による騒音測定器の設置については、今、ホームページで確認をしたというふうにおっしゃいましたけれども、実際には、例えば、広島県の廿日市市吉和という地域においては騒音測定器が設置されています。あそこはちょうど自衛隊の高高度訓練空域Q、ケベックのエリアです。また、四国においては、高知県内で本山町内に一カ所県が設置をし、今年度予算で大川、土佐、大豊、香美市物部支所内、こういう四カ所にも設置予定であり、徳島県でも二台、海陽町内と牟岐町内に設置がされているわけであります。

 こういった状況については、防衛省は把握をしていませんか。

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の自治体の騒音測定器の設置状況につきましては、防衛省としては、現時点におきましては、ホームページ等において確認はできないところから、把握はしてございません。

塩川委員 各自治体が予算措置も行って実際に設置をする、あるいは設置を予定しているということについて、米軍機の被害なんですよ、こういう問題について防衛省が把握をしていない、自治体の取り組みを知らないということ自身が問題じゃありませんか。

 こういった騒音測定器、最初に設置をしたのが島根県の浜田市、二〇一一年の十二月でありました。それから二年半の間に、中国、四国地方で自治体設置の騒音測定器が予定も含めて二十四台にも上るわけであります。自治体の要請も受けて防衛省も二台を設置したわけで、それは、余りにも米軍機の低空飛行訓練被害がひどいからであります。被害の大きいのが、低空飛行訓練ルートのブラウンルート、オレンジルート、それとともに、自衛隊の訓練空域の、高高度訓練空域のQ及び低高度の訓練空域の7であります。

 防衛省にお尋ねいたしますが、二〇一三年三月から二〇一四年二月までの一年間、自衛隊の高高度訓練空域のQ及び低高度訓練空域の7における、米軍が使用するための調整を行った、そういう実績がどうなっているのかについて御説明ください。

宮園政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねの、AIPに基づき行われた米軍使用に関する調整実績についてでございますが、平成二十五年三月から本年二月までの期間における調整実績は、お尋ねのエリアQでは二百四十五日間、またエリア7では同じく二百四十五日間となっております。

 以上でございます。

塩川委員 エリアQ、エリア7でそれぞれ二百四十五日間。一年間で二百四十五日間ですから、土日を除けばほとんど毎日だ。実際には土日も飛んでいるようですから、そういう意味では、ほとんど、米軍機がもう日常的に飛んで回っているという場所になっています。

 重ねてお聞きしますが、自衛隊の訓練空域ではありますが、このエリアQ、エリア7において、自衛隊の戦闘機、練習機などではない自衛隊戦闘機の訓練飛行というのは行われているわけですか。

宮園政府参考人 お答え申し上げます。

 当然、自衛隊の訓練試験空域でございますので自衛隊も運用してございますが、その運用の詳細につきましては答弁を控えさせていただきたいというふうに思います。

塩川委員 これは前も確認をして、自衛隊の戦闘機の訓練はやっていないんですよ。そういう意味では、自衛隊の訓練空域でありながら米軍の専用の訓練空域になっているというのがこの実態であります。

 一年じゅう米軍機の爆音が響いている。だからこそ島根県浜田市は、米軍機騒音マニュアルというのを役所として作成して、市職員二十六人を飛行騒音状況収集員に任命し、写真とかビデオの記録に努めております。また、島根県浜田市、益田市、江津市、邑南町、川本町の五つの首長さんは、米軍機騒音等対策協議会を設立し、共同で運動に取り組むことを確認しております。鳥取県などは、我が党の市谷県議の指摘も踏まえて、米軍機の低空飛行情報のシステムは変更し、目撃情報の提供ではなく苦情として扱うよう防衛省に要請をする。このように、客観的な事実を示すことで国や米軍に対して飛行中止を強く求めているのが地元自治体の実態であります。

 大臣にお尋ねしますが、このような自治体の独自の取り組みに対して、米軍機の訓練飛行は本当にやめてほしい、こういう自治体の強い意思のあらわれとして行われている取り組みについて、大臣としてはどのように受けとめておられるでしょうか。

新藤国務大臣 住民生活の安心や安全を確保すること、これは極めて重要なことである、このように考えております。

 そして、米軍基地の騒音対策につきましては、ただいま防衛省から答弁がありましたように、防衛省が担当しているということであります。そして、この問題は政府全体として取り組まなければいけないということであります。

 まずは、一義的に防衛省ができる限り丁寧な対応をしていただきたい、このように考えております。

塩川委員 岩国基地は、米海兵隊の航空基地として、FA18などの戦闘機約五十機の軍用機が配備をされております。

 二〇〇六年五月、米軍再編のロードマップ以降、岩国基地の強化が図られてまいりました。この間、二〇一四年中に十五機のKC130が移駐をする。また、二〇一七年には厚木基地から空母艦載機約六十機が移駐をする。また、二〇一七年にF35Bステルス戦闘機がアメリカ国外初配備の可能性ということも岩国基地で指摘をされております。さらに、オスプレイの拠点基地化という点で、今後、岩国基地がアジア最大の戦闘機の基地になる。岩国基地を中心とした西日本において、米軍機の訓練飛行の被害がさらに集中する危険性が高まっている、このことを言わざるを得ない。

 このような米軍基地の強化、また米軍機の訓練飛行はきっぱりとやめるべきだ、これが自治体、住民の声だ。この声にしっかりと応える、防衛省として、答弁を求めます。

山本政府参考人 お答えいたします。

 米軍が行う飛行訓練につきましては、部隊の練度の維持向上を図る上で不可欠なものであり、日米安保条約の目的達成のために極めて重要なものであると認識をしております。

 他方、このような訓練を全く自由に行ってよいわけではなく、我が国の公共の安全に妥当な考慮を払って活動すべきことは言うまでもございません。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、米軍機の飛行に際しては、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民の方々に与える影響を最小限にとどめるよう、引き続き米側に働きかけてまいりたいと考えております。

塩川委員 学校の窓ガラスが割れるような、そういう被害なんかも出ているわけで、子供たちが学んでいく上でも本当に大きな障害となっている。日常生活に重大な支障を来している。こういった米軍機の訓練飛行はアメリカ本土ではやっていませんよ、人が住んでいるような場所で。こんな無法はきっぱりとやめろ、こういうことを強く求めて、質問を終わります。

高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時五十七分散会


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