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第8号 平成27年3月20日(金曜日)

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平成二十七年三月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    秋本 真利君

      池田 道孝君    大西 英男君

      鬼木  誠君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    川崎 二郎君

      黄川田仁志君    白須賀貴樹君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      田所 嘉徳君    田畑 裕明君

      高木 宏壽君    橘 慶一郎君

      土屋 正忠君    長坂 康正君

      古川  康君    前川  恵君

      武藤 容治君    宗清 皇一君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      逢坂 誠二君    黄川田 徹君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      福田 昭夫君    高井 崇志君

      吉村 洋文君    浜地 雅一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            安藤 友裕君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 吉国 浩二君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 石田 研一君

   参考人

   (日本放送協会理事)   福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   森永 公紀君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     前川  恵君

  鬼木  誠君     山田 美樹君

  小林 史明君     白須賀貴樹君

  田所 嘉徳君     古川  康君

  中村 裕之君     田畑 裕明君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     秋本 真利君

  田畑 裕明君     山田 賢司君

  古川  康君     田所 嘉徳君

  前川  恵君     大西 英男君

  山田 美樹君     鬼木  誠君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     小林 史明君

  山田 賢司君     中村 裕之君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法を廃止する法律案(内閣提出第一〇号)


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法を廃止する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会監査委員会委員上田良一君、日本放送協会会長籾井勝人君、専務理事吉国浩二君、専務理事石田研一君、理事福井敬君及び理事森永公紀君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局長安藤友裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福田昭夫君。

福田(昭)委員 民主党の福田昭夫でございます。

 地デジへの移行につきましては、総務省を先頭にNHK、民放を初め放送設備関係者などの御努力で法律の期限内に終了するということについては、敬意と感謝を申し上げたいと思います。今後は、ぜひ残された難視聴などに対しても配慮して頑張っていただきたい、こう思っております。

 それでは、通告したNHKの問題についてお聞きしたいと思います。

 順序を変えて、時間の関係で、二番目の方から質問に入りたいと思います。

 NHK関連団体調査報告書の破格の経費支出問題についてであります。

 まず一つ目でありますが、調査委員会の構成及び調査期間などについてお伺いをいたします。

 調査委員の年齢、それから弁護士としての経験年数、それをまずお聞かせいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えいたします。

 調査期間は、平成二十六年三月二十四日から八月二十五日まででございます。

 調査委員会は会長直属の諮問機関、委員は、小林英明弁護士を委員長とする三名の弁護士でございます。

 小林弁護士は、企業統治の専門家でございまして、危機管理や不祥事対応に造詣が深い弁護士でございます。(福田(昭)委員「聞いているのは年齢と、弁護士としての経験年数を聞いています」と呼ぶ)経験ということで申し上げておりますが、他の二人は経理と法律に詳しい方。それから、この方たちは小林弁護士が選任いたしました。

 NHKとして弁護士の年齢や経験年数は承知しておりませんが、法律事務所が公開しているホームページによりますと、小林弁護士は、昭和五十八年登録、弁護士三十二期でございます。木内弁護士は、平成十八年登録、五十九期でございます。辺弁護士は、平成二十三年登録、六十四期になっております。

福田(昭)委員 事務方でも結構ですから、しっかり、年齢が何歳で、弁護士として何年仕事しているのか、それをちゃんとはっきり答えてください。

石田参考人 済みません、年齢の方は把握しておりませんが、先ほど、経験年数でいえば、小林弁護士、木内弁護士、辺弁護士は、それぞれそのときに登録していますので、それ以後、弁護士をしているものと認識しております。

福田(昭)委員 それは、登録したときから数えて何年になるんだ、この調査のときまで。はっきり答えてください。

石田参考人 小林弁護士は昭和五十八年登録ですので、三十年余りになります。それから、木内弁護士は平成十八年ですので、九年余りになります。辺弁護士は平成二十三年登録ですので、四年ということになります。

福田(昭)委員 年齢は把握していないんですね。まあ、とにかく小林弁護士だけは経験がありそうですけれども、あと二人の弁護士はそれほど経験がない、こういう構成になっているようであります。

 それでは、今回、この調査委員会は、なぜ三人とも同じ法律事務所に委託をしたんですか。その理由をお聞かせください。

石田参考人 調査委員会は、会長直属の諮問機関として成立しまして、会長から小林委員長にお願いいたしました。そして、ほかの二人については、小林弁護士が選任したというぐあいに承知しております。

福田(昭)委員 多分、以前こうした調査委員会をつくったときには、三人それぞれ別な弁護士事務所に所属している人たちに委嘱したわけですが、やはりここに疑われる理由というのがありますね。それだけ指摘しておきたいと思います。

 二つ目、調査、検証事項及び調査方法については、この概要報告書のとおりだというふうに思っておりますが、そのとおりでよろしいですね。

籾井参考人 調査は、NHKビジネスクリエイトとNHK出版の不祥事案件について、原因の究明やそれぞれの調査、対応の妥当性を調べました。

 その中で、NHKの関連団体に共通する要因を検証するために、他の関連子会社も調査の対象といたしました。

 調査は、関連する資料の調査と、社長及び経理担当者のヒアリングで行われました。

福田(昭)委員 次に、三つ目の質問に入りますけれども、この調査報告書は、先ほども話がありましたけれども、籾井会長の独断によって進められ、要約版が公表されただけで、詳細内容は一部の経営委員と理事に手渡されただけで、NHK内部の幹部すら知らされていなかったということでありますが、会長、本当ですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 調査報告の要旨は、NHKのイントラネットで全役職員に公開するとともに、外部向けの公開ホームページでも、視聴者の皆様にも公開しております。

 また、調査報告書は、全経営委員と会長、副会長、全理事及び関係の部局長に配付して共有いたしました。

福田(昭)委員 その調査報告書、我々もいただいたんですが、これは真っ黒なんですね。とてもとても、調査報告書をいただいても、どこがどう指摘をされて、どこをどう直していいのかというのが全くわからないんですよ。黒塗りだらけ。これはいただいてもほとんど意味がない、本当に。

 それでは、この小林弁護士はどういう方ですか。NHKとの関係、あるいは会長との関係を教えてください。

籾井参考人 先ほども申しましたように、小林弁護士は、不祥事であるとかそういうもろもろのことにお詳しい弁護士でございます。

 私との関係については、これは、小林弁護士を選任するに当たりまして、私は一切関与しておりません。そして、たまたま選ばれたのが小林弁護士で、結果として、小林弁護士はユニシスの顧問弁護士であったということでございます。

福田(昭)委員 さっきの理事の答えと違うんじゃないですか。会長が頼んで、こういう話でしたよ、委嘱してと。

 小林弁護士は、NHKの経営委員もやっていたことがあるんじゃないですか、ないですか。

籾井参考人 やっておられたと聞いております。

福田(昭)委員 NHKとの関係を聞かれたら、そう答えなくちゃまずいんじゃないですか。

 しかも、小林弁護士は、安倍総理とも親しくて、安倍総理の訴訟事件にも弁護人としてかかわった、こういうこともあるようでございます。

 次に、四つ目でありますが、では、この委託料、今いろいろな方に疑われているんですね、幾らかかったのかということで。その総額をぜひ教えてください。一人一人の弁護費用はいいですから、全体で幾らかかったのか教えてください。

石田参考人 お答えします。

 小林弁護士が所属する事務所の基準により、時間制で支払いました。金額は社会的に適正な額と考えていますが、個別の契約に関することであり、その公表については差し控えさせていただきます。

福田(昭)委員 これは、委託料がえらく高額だったといって疑われているんですよ。

 私、ちなみに、その契約の期間から土曜、日曜、祝祭日を差し引いてみました。そうしたら、何と実働日数は百五日です。報告書はA3判で、たったの三十七枚です。ちまたでは、八千万とか一億とか言われているわけであります。仮に八千万支払ったとすると、一人頭、日当二十五万円を上回ります。ほかの弁護士事務所などに聞いてみますと、通常、この程度のものでは一千万ぐらいじゃないかな、こう言われておりまして、そうすると、日当、一人頭三万一千円ぐらい、こうなるわけですね。

 どう考えても破格の値段ではないのか、こういうふうに疑われているわけであります。疑われていることを証明するためには、しっかり総額を発表すること、これが一番ですけれども、どうですか。

石田参考人 先ほど御説明した理由により公表は差し控えさせていただきたいんですが、三人の委員の先生のほかに、同じ弁護士事務所の補助員の方が弁護士として五人指名されております。さらに、その補助員を手伝うアドバイザリーのような形で働いた方もいらっしゃいまして、そういう人も含めて報酬を支払っております。

福田(昭)委員 何かおかしいじゃないですか。だって、調査委員として頼んだのは三人でしょう。そのほか補助員も使うとか。そうしたもの、補助員を含めて、では総額は幾らなんですか。ますます一人頭はわからなくなりますから、どうぞ答えてください。

石田参考人 それらについては、個別の契約に関することでありますので、公表については差し控えさせていただきます。

福田(昭)委員 どうも納得できませんね。

 これは、疑う人は、会長がこの弁護士たちに便宜供与を図ったのではないか、そんな言われ方もしているんですよ。便宜供与を図ったということは、刑法に触れる、刑事事件にもなるということですよ。だから、発表したらどうですか。

籾井参考人 先ほども申し上げましたように、小林弁護士が選任されるに当たりまして、会長は一切タッチしておりませんで、現場に任せて、現場の専門家たちに任せて弁護士の選任を行いました。

 そして、先ほども言いましたけれども、小林弁護士がたまたま私が前いた会社の顧問弁護士をされておったということでございます。年に一回の株主総会のときには顔を出されておりましたというぐらいでございます。

福田(昭)委員 だんだん怪しくなってきましたね。

 事務方に任せたと言うんですけれども、さっきの理事さん、それは任されてやったんですか、どうなんですか。

石田参考人 お答えいたします。

 この委員会が発足した時点では、私は放送担当の理事でしたので、直接その選任にはかかわっておりません。前任の理事とか、事務方がいろいろ検討なさったのだと思います。

 先ほどの答弁は、これは会長の直属機関ということで、最終的に会長と小林委員長の間で契約ができているということで会長の直属委員ですが、その間にどのような形で選考を行われたか、ちょっと私が引き継いだときにはもう既に体制ができていたところなので、その経過については私の方からは、申しわけありません、ちょっとつまびらかでございません。

福田(昭)委員 浜田委員長、会長があらぬ疑いを受けているんですよ。会長もきっと、不徳のいたすところだ、こう言うんだと思いますけれども、会長の性格がこういうふうに疑われているんですよ。

 ですから、浜田委員長、総額を発表して誰か困る人はいますか、委託料をですよ。今回の調査委員会の委託料の総額を発表して、誰か困る人はいますか。私、困る人はいないと思うんですけれども。むしろ会長が救われるんじゃないですか、適切な値段であったら。どうですか。

浜田参考人 契約情報の公表につきましては、執行部において適切に判断されるものというふうに考えております。

福田(昭)委員 委員長、会長はわからないでしょうけれども、理事の皆さんもよく聞いてください。

 今、国の役所も地方の役所も、契約金額をみんな公表しているんですよ。場合によっては、公共工事の入札予定価格まで公表している、事後には。事前に公表しているところもありますけれども、大体の役所は、事後に予定価格まで公表している。

 予定価格までは公表していないけれども、事後の契約の金額は国の役所もちゃんと公表していますよ。ですから、この委託料も、NHKもやはり国、地方自治体に準じて公表すべきじゃないですか。それが国民の皆さんの受信料で成り立っている公共放送としてのNHKの役割ですよ。いかがですか、浜田委員長。

浜田参考人 報告書にもありますけれども、視聴者からの受信料で成り立っているNHKで働く者は、公私の区別が極めて重要であり、会長は高い倫理観と説明責任が求められることを常に意識して行動すべきだというふうに考えております。

福田(昭)委員 会長、どうですか。経営委員長からそういう話がありましたが、公表する考えはありませんか。考えを改めたらいかがかと思いますけれども。

籾井参考人 小林弁護士が所属します長島・大野・常松という法律事務所でございますが、そこの基準により時間制でお支払いしました。金額は、社会的にも適正な金額と考えておりますが、個別の契約に関することでもあり、その公表については差し控えたいと思います。

福田(昭)委員 会長、わかっていないね。

 今、国の役所も地方の役所も、どこの会社と幾らで契約したかというのはみんな公表しているんですよ、事後に。事前に予定価格まで公表しているところもあるけれども、事後にはきちっと予定価格と契約額とを公表しているんですよ。やはり国に準じた取り扱いをしっかりすべきだと思います。それを知らないんだったら、やはり放送法を改正するようにですかね、委員長。そういうことだけ言っておきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、最後に、やっぱりどう考えても籾井会長には公共放送、NHK会長としての資質がない、私はそういうふうに考えました。

 今までは、思想信条、考え方では、これは籾井会長が七十になって簡単に変えられるわけないからしようがないかなという諦めの気分もありましたけれども、しかし、お金の使い方、受信料の使い方までおかしくなってきたということであれば、これはもうやめてもらうほかない、私はそう思うんです。

 ですから、今回、私、質問しないつもりでいたんですが、実は、ファクタという雑誌だけじゃなくて、NHKを心配する、NHKの誰だかわかりませんが、職員の方から内部告発が来たので、こういう質問をしているんですよ。

 籾井会長、そろそろあなたも観念した方がいいと思う。そろそろ、もうやめた方が、NHKの職員の皆さんのためでもあるけれども、やっぱり日本国民のためでもある。

 そのことをしっかりお伝えして、私の質問を終わります。

 浜田委員長、ぜひ経営委員会で諮ってください。

桝屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 籾井会長、連日お疲れさまでございます。引き続きよろしくお願いします。

 時間もありませんので、早速、質問に入っていきたいと思います。

 まず、週刊文春に取り上げられました「クローズアップ現代」の問題ですね。「クローズアップ現代」の中の一部の映像がやらせではないか、こういう記事でございます。

 記事によれば、松木氏という、仮名でしょうが、そういう方が記事の中でお話をされて、ブローカー役を演じたというふうに言っています。N記者は自分に向かって、ブローカーのようなかけ合いをしてほしいと依頼してきたんだ、こういうふうに述べているということになっています。また、撮影をした場所、その事務所の入居者の方が、打ち合わせで使いたいとだけ言われて貸したんだ、こういうことを言っている、こういう記事であります。これは、真偽はこれだけ見てではわかりませんけれども、こういう問題が起きた以上は徹底的に調査をして真偽のほどを明らかにすべきだと思うんですね。これがもし事実だとすれば、やらせ、捏造とも言えるような大問題です。

 昔、ムスタンの事件というのがありました。大分前ですけれども、ムスタン王国というところで、やらせがあった、過剰な演出があったということで、それが原因で今のBPOに当たるものができた経緯もあります。これほどやらせとか捏造というのは重い。古くは朝日新聞も、サンゴに傷をつけて社長がやめられた、こういうこともございます。

 ですから、これは徹底的に事実を明らかにすべきと思います。ムスタンのときは臨時の調査委員会までつくってやっておるんですが、そういった取り組みを今やっておられるんでしょうか、会長。

森永参考人 お答えします。

 御指摘の件につきましては、記事を詳細に精査し、取材プロセスの確認などを現在進めているところであります。今後、こうした取り組みを踏まえて対応を考えてまいりたいと思っております。

 お尋ねの、平成四年に放送いたしました「NHKスペシャル 奥ヒマラヤ 禁断の王国・ムスタン」の際は、局内に調査委員会を設けて内容を検討し、その結果を公表いたしました。

奥野(総)委員 もう一度。

 では、今回は局内にそういう調査委員会は設けないということなんですか。

森永参考人 現在、今詳細な記事の内容を精査しているところでございまして、その取り組みを踏まえて今後の対応を考えてまいりたいというふうに思っております。

奥野(総)委員 私が伺ったところによると、松木さんという方、あるいはその撮影に使われたオフィスビルの入居者の方がコメントしておられますが、その方々のところに調査が及んでいない、NHKから話を聞かれていないということも耳にしておりますけれども、調査を本当にしっかりやっておられるんでしょうか。

森永参考人 お答えします。

 今、御指摘されました男性のことも含めて、現在調べているところでございます。

奥野(総)委員 では、近々、調査が及んで、その結果を明らかにされるということでよろしいんでしょうか。

森永参考人 内容が詳細にわたっておりますので、今その一つ一つについて、事実の確認、取材のプロセスを検討しております。それで、そういう調査にしばらく時間がかかるということを御理解いただければというふうに思います。

奥野(総)委員 会長に伺いたいんですが、これは、やはりNHKの会長として、きちんと調査をして、明らかにすべきじゃないですか。もし事実と違うというのなら、この出版社に抗議をすべきでありますし、もしこういう事実があるのであれば、ムスタンとかも、当時は訂正放送もやったわけです、厳正に対処すべきだと思うんですが、まず、そういう調査機関を設けるか否か。

 それから、調査結果についてきちんと公表する。まずこの委員会にも御報告いただきたいんですが、委員会にも御報告いただき、それを公表する意思があるかどうかということを伺いたいと思います。

籾井参考人 お答えします。

 ただいま森永理事から御説明がありましたように、現在いろいろ調査中でございます。それによりましては、当然、さらに強い調査を続けていくということは言うまでもないことで、私自身は、今、あらゆる可能性を否定しておりません。

 そういう意味において、それは、話の展開によっては調査委員会を設けなきゃいかぬこともあるでしょうし、それから、その結果については公表しなきゃいかぬということもあるだろうというふうに思っております。

奥野(総)委員 この記事が出てから、非常にテンポが遅いように思うんですね。当事者にまだ全然話を聞いていない。推測ですが、恐らく記者の方しかまだ聞いていないと思うんです。まず、それをテンポアップして、きちんと事実を把握していただくこと。

 それから、最後、公表しないかもしれないということを今おっしゃったと思うんですが、それは間違いだと思います。

 とにかく、どんな結論が出ても、これだけ騒がれているわけですから、きちんと世の中に説明する。毎回ホームページで、去年の佐村河内さんのときにもそうですし、必ず見解をアップしておられますよね。調査をきちんとした上で、この件について公表する、この委員会に報告をし、公表するということをお約束いただきたいんです。

籾井参考人 ただいま申しましたように、私は、あらゆる可能性を否定していませんし、あらゆる可能性がオープンであります。

 こうした取り組みも踏まえて、今後適切に対処してまいります。

奥野(総)委員 委員長、こればかりやるわけにいかないので、理事会に提案したいんですが、この件について、速やかに調査をしていただき、その結果について理事会に御報告いただきたいということを求めたいと思います。

桝屋委員長 後刻、理事会で協議をいたします。

奥野(総)委員 それから、例のタクシー問題ですね。時間が限られていますけれども、監査委員に伺います。

 会長は当初から、みずから負担する、こうおっしゃっていたとなっていますけれども、この調査報告書を見る限りは、「判明した事実」というところに、会長がみずから負担すると言ったということは書かれていません。監査委員と会ったときに初めて、当初から負担する意思があった、こう書かれているわけであります。

 ということは、そういう証言がとれなかった、会長が秘書室長などに当初から負担すると言っていたという証言がとれなかったということじゃないでしょうか。いかがですか。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 調査の過程で聴取した具体的な内容につきましては、公表することを差し控えさせていただきたいと考えますけれども、監査委員会は、みずから直接関係部局や秘書室を対象にヒアリング等を行い、複数の対象者からの聴取内容等を総合的に勘案して、監査委員会報告書記載のとおり事実関係を確認し、本件について、プライベート目的の利用での手配の要請であること、会長が手配を要請した時点でみずからハイヤー代金を負担することについては、会長と秘書室のいずれも了承していたと判断いたしました。

 なお、複数の対象者からの聴取内容は、主要な点において一致しており、これを覆すような事実等は見られませんでした。

 以上です。

奥野(総)委員 きのうの会見もそうですね。読売新聞も書いていましたけれども、当初からといったときに、秘書室に発注した時点で、タクシーのプライベート利用を秘書室に会長が申し出た時点で、みずから負担する、こう言ったということは、事実確認できていないということですね。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 繰り返しになりますけれども、調査の過程で聴取した具体的な内容については、公表することは差し控えたいと考えますけれども、監査委員会は、みずからが直接関係部局や秘書室を対象にヒアリング等を行い、複数の対象者からの聴取内容等を総合的に勘案して、監査委員会報告書記載のとおり事実関係を確認し、本件について、プライベート目的の利用での手配の要請であること、会長が手配を要請した時点でみずからハイヤー代金を負担することについては、会長と秘書室のいずれも了解していたと判断いたしました。

 なお、複数の対象者からの聴取内容は、主要な点において一致しており、これを覆すような事実等は見られませんでした。

 以上です。

奥野(総)委員 だから、そういうやりとりがあったかどうかというのは明確ではない、ここに出てきていないわけですから、総合的に判断したとしか言えないわけであります。

 そのあたり、きっちり監査していただきたいんですが、こうなってくると、大事なのは、当初から本当に会長が支払う意思があったか、みずから支払う意思があったかどうかということなんです。

 そこで、大事なのは、ハイヤーの乗車票なんですよ。乗車票、朝日の記事によれば、会長の署名があったということなんですね。

 この署名について、ごらんになりましたか。筆跡をごらんになって、筆跡のチェックをされたでしょうか。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 調査の過程で聴取した具体的な内容については、公表することを差し控えたいと考えます。

 以上です。

奥野(総)委員 質問に答えていただきたいんですが、チェックしたかどうか、その結果、籾井会長の署名じゃないと判断されたから、こういう記載になっているんじゃないですか。

上田参考人 お答えいたします。

 本件、ハイヤー乗車票の写しの内容については確認をいたしました。

 ただ、これ以上の具体的な調査手法、内容については、基本的には公表を差し控えさせていただきます。

奥野(総)委員 この報告書は、読むと、秘書室長の手続がずさんだったということがほとんどなんですよ。会長について、当初から払う意思があったかどうかということについて、エビデンスが一切出てこないんですね。今言ったように、秘書室の証言もなければ、伝票の現物も出てきていないわけですよ。

 この問題の鍵は、会長が当初から払う意思があったかどうかというのは非常に重要なんですね。ですから、このサインが誰のものであるかというのは重要なポイントだと思います。

 ぜひ、これを委員会の方に提出いただけないでしょうか。これが出れば、非常に明らかになるわけですね。もし、会長の秘書以外の筆跡でないということが明らかになれば、非常にクリアになります。会長の筆跡というのはあちこち、ホームページ等でも確認できますから、ぜひ伝票を出していただけないでしょうか。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 一般に、監査に当たって収集した資料につきましては、個人情報の保護や今後の監査活動への影響などを考慮して、公表は控えさせていただいております。

 本件ハイヤー票につきましても、公表は控えさせていただきたいと考えております。

奥野(総)委員 会長の署名が個人情報とは思えないですね。公人なんですよ、会長は。

 しかも、これは受信料の経理処理なんですね。これは通告していませんが、受信料については、放送法の七十三条というのがありまして、これによれば、「協会の収入は、第二十条第一項から第三項までの業務の遂行以外の目的に支出してはならない。」こう書かれています。要するに、NHKの業務にしか使えない。

 これのコンメンタールですけれども、受信料は協会の目的を達成するために徴収を認められたものであるから、一切の収入は業務の遂行のために支出すべきである、そういう趣旨でこの規定があるということなんです。

 ハイヤー代金について、二月二十七日に一旦払った、こう書かれていますね。これは、受信料を目的外に使った、支払ったということで、この放送法の七十三条違反になりませんか。

上田参考人 お答えいたします。

 現時点ではコメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

奥野(総)委員 そんな検討もしていなくて、きちんとした監査と言えるんでしょうか。監査委員として職務を果たしていると言えるでしょうか。

 そもそも放送法違反のおそれがあるわけですよ。条文もちゃんと読んでいなくて、しかも証言もきちんととれていない。秘書室にいつ頼んだか、いつ自分が払うと言ったかということも証言もとれていない。伝票のチェックも筆跡のチェックも。どうなんですか、はっきりおっしゃれないじゃないですか。

 きのう私のところにお見えになったときに、チェックについてはちゃんとやっていないようなことをおっしゃっていたんですね、ここで言うのもあれですけれども。ちゃんとやったのか、非常に疑念が残ります。しっかりした調査をしているのかということに、非常に疑念が残るわけです。だからこそ、このタクシー乗車票を委員会の方に提出をお願いできないでしょうか。

 委員長、理事会に協議を求めます。

桝屋委員長 ただいまの案件につきましては、後刻理事会で協議をさせていただきます。

奥野(総)委員 済みません、総務省に、これは通告していないんですが、今の七十三条の解釈について、コメントは今できますか。

高市国務大臣 七十三条は、やはりNHKは受信料の負担によってその業務が支えられておりますから、業務の遂行以外の目的に支出してはならないということでございます。

 御指名いただきましたので、ちょっと先ほどからのやりとりを私も伺っておりまして、まず、NHK及び籾井会長におかれましては、受信料によって運営される公共放送の社会的責任の重さということに鑑みて、やはり国民・視聴者から疑念を持たれることのないように、今回の監査委員会の調査報告、あと経営委員会の見解も踏まえて、再発防止にしっかりと対応していただくということが必要でございます。

 そしてまた、先ほどの「クローズアップ現代」の話もございました。これも、放送法上、放送事業者というのは、みずからの責任において番組を編集し放送を行うこととされていますから、総務省として、個別の番組についてコメントをしたり、それぞれの週刊誌の報道についてコメントをするということは適切ではございません。

 しかしながら、やはり国民の、視聴者の皆様の信頼あってこそのNHKでございますので、NHKで調査中と聞いていますけれども、しっかりと調査をしていただいて、委員おっしゃいますように、国民・視聴者に対する説明責任は果たしていただきたい、こう考えております。

奥野(総)委員 大臣も、私のまさに望むところを答えていただきました。この「クローズアップ現代」については、徹底的に調査をいただき公表いただきたい。これは、引き続きこの委員会でも取り上げていきたいと思います。

 また、今御答弁ございましたけれども、これは放送法違反のおそれが非常に強いですよね。どう考えても業務外の受信料の使用でありますから。もう一度これは監査をしっかりしてください。

 委員会の方で、今の放送法違反については理事会の方でコメントを求めます。委員長、いかがでしょうか。

桝屋委員長 その件も含めて、理事会で協議をさせていただきます。

奥野(総)委員 経営委員長に聞こうと思ったんですが、最後に、法案の方を一問だけ伺いたいと思います。

 きょう廃止になります高テレ法の法案というのは、原口大臣時代に取り組んだ法案でありまして、この法案自体は平成十一年に成立したんですけれども、原口大臣時代にかなり進捗があったと聞いています。

 過去からどのような取り組みをして、法案廃止に当たり、現在はどのようにこの法案が成果を上げたか、この法案の役割について、せっかくですから伺いたいと思います。

桝屋委員長 高市大臣、時間が来ております。簡潔にお答えをお願いします。

高市国務大臣 この法律は、民間放送事業者の地上デジタルテレビ放送施設の整備を支援するために、平成十一年に制定されました。

 この法律に基づきまして総務大臣の認定を受けた施設整備計画について、債務保証の措置や税法上の優遇措置が講じられてまいりました。

 具体的には、地上系の民間テレビ放送事業者百二十七社全社が認定を受けて、固定資産税等の優遇措置の適用を受けました。債務保証は結果として活用はされませんでした。

 でも、このような支援措置がありましたことによって、デジタル中継局などの地上デジタル放送施設が早期に整備されて、地上デジタル放送の普及が達成されたと思っております。

奥野(総)委員 どうもありがとうございます。

 以上で、質問を終わりたいと思います。

桝屋委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井でございます。

 先日に引き続きまして、私は、経営委員そして会長の任命の制度、放送法で決められているこの制度にいろいろ問題があるんじゃないかという観点から質問したいと思います。

 私も実は、総務省、旧郵政省の職員でございまして、放送行政に携わったこともございます。経営委員を決めるというのは、総務省の事務方としては、一つの大きな仕事だと思います。通常であれば、粛々と公正中立な立場からふさわしい委員を、最終的には総理が任命するわけですけれども、やはり所管の官庁である総務省がいろいろと候補を出すというのが通常だと思います。一昨年、二〇一三年の十一月と十二月に相次いで就任された百田委員、本田委員、長谷川委員、中島委員、この方が、安倍総理とどれだけ近いか、あるいは思想信条が似ているかということは、もう何度もこの委員会でも繰り返しされていますし、いろいろな報道もされていますので、繰り返しません。

 問題だと思うのは、菅官房長官が当時の記者会見で、首相がみずから信頼し評価している人にお願いするのは当然のことだと、総理が好きな人を選んでいいんだと言わんばかりの記者会見をされているわけですけれども、このときの、今の四名の経営委員の任命について総務省としてはどういう立場で携わったのか、お聞かせください。

安藤政府参考人 お答えいたします。

 経営委員の選任に当たりましては、放送法第三十一条の規定に基づきまして、公共の福祉に関し公正な判断ができること、広い経験と知識を有する者のうちから、教育、文化、科学、産業といった分野などを考慮して、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとされているところでございます。

 御質問の点につきましては、平成二十五年十一月五日の参議院総務委員会において、当時の新藤大臣が、NHK経営委員の候補者の選定に当たりましては、今申し上げましたような、放送法を所管する立場から、私、これは新藤大臣になりますが、任命権者である総理と御相談しながら、現時点で最善と考えられる人選を行ったと答弁されたというふうに承知しております。

高井委員 もうこれ以上聞いても水かけ論なので、私はやはり、今の総務省の事務方が公正中立な観点から選ぶというこれまでの、ずっと慣例で行われてきたやり方であればまだいいと思いますが、今回のような明らかに総理と近い方が選ばれる、そしてその方が会長を選ぶことになるわけですから、この間も言ったイギリスのBBCのように公募制であるとか、あるいは有識者の外部の委員会などを設けて、そういったところが推薦をして、最後は総理の任命でもいいんですが、国会同意人事もありますからいいんですが、そういう透明な選考過程が必要だと思います。

 これも大臣に聞こうかと思ったんですが、きょうは、時間がありませんのでもう結構でございます。そういう意見だということを申し上げておきます。

 それでは、経営委員が会長を決めるというのが今の放送法のルールでございますが、前回も御質問をいたしました、二〇一三年の十二月十三日に、指名部会というのが経営委員会において組織され、行われた。

 そこで、経営委員長にお尋ねしますが、先日の三月十三日の総務委員会で経営委員長は、籾井会長という名前を初めてその場で封筒か何かを開封して知ったというふうに答弁されているんですけれども、委員長は本当にそれまで知らなかったんですか。

浜田参考人 委員長の私も、封を開封するまでは、候補者として推薦されていることを存じ上げませんでした。

高井委員 読売新聞の朝刊一面にトップで、籾井会長有力というふうに出て、その新聞の中にはこうも書かれています。その中では、「経営委員の間では、」「籾井氏の経営手腕を評価する声が多いという。」と。

 事前に経営委員の間ではそういう籾井会長の名前が挙がっていて、そして事前の根回しがあったと思われるわけですけれども、そういったことはなかったんでしょうか、経営委員長。

浜田参考人 先ほど申し上げたとおりでございまして、私自身も、委員長として事前に名前を入手できないのは委員会運営としていかがなものかという個人的な感情を抱きましたぐらいでありまして、新聞報道につきましては、前回も申し上げましたけれども、私は、取材も受けておりませんし、会長の任命手続は、私どもとしてはルールに基づきまして粛々とできたというふうに思っております。

高井委員 委員長もちょっと不満を漏らすぐらい厳格な制度だということかもしれません。

 しかし、そのときの決め方、議事録というか、前回、経営委員長が私の質問にこう答えられています。複数の方が推薦されておりまして、その中で採決をして、一番最初に現会長の採決になりまして、そのときに全会一致になったという御答弁をされていますね。

 ですから、ほかに複数の方もいらっしゃったんですよね。しかし、その中で、一番最初に籾井会長で採決をして、あとの方は審議すらしていないんじゃないんですか。

浜田参考人 お答えいたします。

 採決をしましたけれども、全会一致で、全員の賛成を得られたのがお一人だったという記憶をしております。

高井委員 今、委員長、もう覚えていらっしゃらなくて、後ろから事務方が審議していますと言ったのが聞こえましたけれども、では、籾井会長以外のほかの方はどんな方だったか覚えていますか。

浜田参考人 経済人、それから学者だったというふうに理解しております。

高井委員 それでは、その一週間後に、今度は籾井会長が所信を述べておられます。これも議事録に載っております。経営委員会の議事録で、籾井会長が入室されて、所信を話します。「籾井です。宜しくお願いします。」と。「私はNHKのことについて深く存じ上げているわけではありませんが、」と言って、八行ぐらいのことをしゃべっておられます。この八行ぐらいのこと、これはちょっと要約しているのかもしれませんが、それでも、幾ら要約したといったって、せいぜい数分間の所信じゃないかと思いますが、その後、籾井会長の退室の後に各委員がそれぞれ意見を述べているわけですね。

 そこは詳しく書いていますけれども、先日も申し上げました、上村経営委員長代行は、若干言葉遣いなど懸念する部分がないではありませんがと。それから美馬委員は、特に言葉を大切にする公共放送として、誤解されることがない言葉の選び方には留意していただければと。室伏委員は、一つ心配なのは、御発言が誤解を招く可能性もあるのではないかと。

 では、今まで全く名前も知らなかった人に決めて、そして初めて籾井さんと会って、数分間所信を聞いて、そして三人の委員が少なくともこういう心配をされる中でいきなりNHKという非常に重要な会長を決めるというこの手続に問題はないですか。

浜田参考人 会長候補者の推薦は十二月に行いました。委員全員が推薦する資格を持っており、複数の候補者が挙げられました。

 籾井氏がNHKの会長候補として推薦された後、推薦理由、経歴、実績等を勘案し、本人からも所信を伺って、実質的審議を行い、委員全員が資格要件に合致する方だと判断したものであります。

 私どもといたしましては、内規に従って自律的に粛々と実質的な審議が行われたというふうに考えております。

高井委員 どう考えても、ほかの委員が何人かいらっしゃった中で、経歴だけ見て、最初に審議した籾井会長だけ全会一致で、あとの方はどういう理由で否決されたのかわかりません。通常であれば、ほかの方も全会一致で決めて、そして最終的な候補者を何名か残して経営委員会で決めるというやり方もあるというか、そういう方式もあるわけです。

 ところが、本当に籾井さんのことを誰も知らないような状態の中で籾井さんに決まったというのは、やはりこれは、私がたびたび問題にしている、裏でというか別な意図があって、もう籾井会長ありきだったんじゃないかと。読売新聞の一面にぼんと出れば、それはほかの委員の方も、ああ、では、もうそういうことで決まっているのかというふうに思われたとも思います。

 私は、籾井会長、ぜひお聞きしたいんですが、前回の答弁で、籾井会長に事前に、一週間後をあけておくようにと、誰かから、わからない人から連絡があったという、記憶にありませんとお答えになっていますが、そんなことで本当にこのNHKの会長という職を引き受けられるものでしょうか。

 もう一度、どなたからあって、そしてどういう思いでそれを受諾されたのかということをお聞かせください。

籾井参考人 会長選任について、私は詳しいことを知っているわけではございませんが、事実、この前も申したと思いますが、二十日と二十四日をあけておくように、こういうふうに言われただけでございます。

高井委員 私、過去の議事録を見たら、経営委員長からあけておくようにというふうに答弁をされていますので、経営委員長からあったんでしょう。しかし、いきなりNHK経営委員長から電話がかかってきて、一週間後をあけておくようにと言われて、それで会長が決まる、そんなことは世の中の常識としてどう考えてもあり得ないなと思うわけです。

 私は、先ほどから、経営委員の選定過程にも疑問があるというのは、やはり、政権の意向があるんじゃないか、安倍総理あるいは菅官房長官が意中の人を送り込みたい、そういう思いがあったのではないか、そのことがその後の籾井会長の発言にもつながってくるんじゃないかと思っているわけです。

 籾井会長にお尋ねしますが、菅官房長官とは、就任以前、御面識はありましたか。

籾井参考人 お答えします。

 全くございません。

高井委員 それでは、就任後に、会長には菅長官から直接携帯電話が何度もかかっていると思いますが、それはどんなことを話されているんでしょうか。

籾井参考人 週刊誌にいろいろ僕が官房長官と直接電話でやり合っているというようなことが出ているんですが、今申しましたように、私は、官房長官とは全く面識がございませんで、就任してしばらくして議員会館に御挨拶に行ったというだけでございます。

高井委員 聞いているのは、就任後で結構なんです、最近まででも結構で、この一年以上で菅長官と何度も電話で話されておられますけれども、どんな話を、これは重要なことなんですね。例えば番組の内容について菅長官からもし指示があったんだったらこれは大問題ですから、そうでないのであれば、どういうお話かということをお聞かせください。

籾井参考人 番組に対する干渉なんというのは、一切受けておりません。

高井委員 それでは、どういうお話なんでしょうか。問題がないんならお話しいただいてもいいと思いますが、どういうお話だったんでしょうか。

籾井参考人 数回話したことはありますが、そういう会話を、携帯電話で何を話したかということは、やはりパブリックにお話しするような話ではないと思います。

 ただ、再度申しますが、番組の編成とか、そういう内容についてのお話は一切ございません。

高井委員 今申し上げましたように、政権からの関与というのを常に国民の皆さんはやはり心配をしているわけです。マスコミ含めて、まさに公共放送のトップという方は、そこに非常に厳しくなければならないと思うわけでありますから、私は、ここの中身はお話ししていただきたいと思いますが、多分、これ以上お話ししても水かけ論だと思いますので。

 会長、それでは、官房長官とさすがに直接官邸で会うなんということはないでしょうけれども、どこかホテルとかで、官房長官とかあるいはその秘書の方でもいいです、お会いされたことはありますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 あったかどうかも含めて、その御質問にはお答えできません。

高井委員 会長のプライベート云々を聞く質問ではなくて、まさに権力、時の政権が関与しているのではないかという疑念に対する質問でございますので、そこはお答えいただけませんか。

籾井参考人 個別の案件にはお答えするのを控えさせていただきますけれども、再度申しますが、そういう圧力的なものは一切ありませんし、それから、やはり番組を見ていただきたいと思います。本当に圧力があったような番組ができていたら御指摘いただきたいと思いますけれども、私は、NHKの番組が公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、こういう基本的な方針に沿ってつくられているというふうに確信いたしております。

高井委員 実際、視聴者やあるいは現場の方からも、例えばNHKのニュースで、総理が記者会見をする、そのときに、総理がしゃべっていると同時にテロップが流れる、あるいは何か核心的なことを言うとズームが寄るとか、やはりそういう関与があるんじゃないかという声はあるんですよ。これは、現場の記者からあるんですよ、現場の方々から。ですから、こういう質問をしているわけです。

 では、もう一つ聞きます。もう時間がありませんので。

 この間の私の質問で、国際番組審議会で、河野談話は国の方針ではないと発言したことの議事録、まだ提出していただいていませんけれども、理事会で専務理事が説明されたと聞いています。会長がその発言をしたということは専務理事は認めたということですが、それでよろしいですか、会長。発言はされたということでよろしいですか。

籾井参考人 本当に、国際番審で私が言ったことについては、非常に曖昧な部分もありましたので、担当部局で調べた結果、次のようなことでありました。

 ことし一月九日のNHKの国際放送番組審議会では、委員のお一人から、日中関係、日韓関係、あるいは原発問題などで国際的な緊張が高まっていく中、ジャーナリズムとしての中立性、中立性というのは委員の方が使われた言葉ですが、客観性と、国益に資する報道というところはぜひ引き続き慎重に考えながら報道してほしいとの御発言がありました。

 これに対して私から、NHKの国際番組基準で、我が国の重要な政策、国際問題に対する公的見解などを正しく伝えると定められていることに触れた上で、本当に難しい、領土問題は日本政府の方針がはっきりしているが、例えば河野談話についてはそうではない、皆さんの御意見を伺いたいという趣旨の発言をしました。

 担当当局が調べた結果、このようなことであったというふうに聞いております。これは、そのときのあれですね、ということでございます。

高井委員 それであれば、議事録を公開していただければいいんじゃないかと思います。我が党も、今度のNHK予算をどうするかという議論をしていますけれども、やはり、情報公開、こういったところに不備があるんじゃないかという意見が多うございますので、ぜひこの議事録の公開についてはお願いしたいと思います。

 そういう意味で、最後にお聞きしたいのは、このハイヤーの問題は余りもう聞きたくないんですが、NHKのガバナンス、コンプライアンスということで、私は、最初の質問で、会長に非常にいい思いを伝えたつもりです。現場の職員も非常に会長のことは評価しているんだと。そういう人もいるんだという声は実際に聞きました。

 しかし、今回のこの件、会長になってからコンプライアンスも非常にうるさく言われて厳しくなった、現場の職員は本当に疲弊して徹夜して働いていても厳しい監査を受けなきゃいけなくて、請求書なんか翌月払いは当たり前だというようなかなり徹底したコンプライアンスがされている中で、今回、会長みずからがこういった問題にさらされていることについて、会長、どう思われますか。

籾井参考人 お答えいたします。

 何度も言っておることでございますが、一月二日にプライベートでゴルフに行ったことは事実でございます。

 そして、これは、一月二日でございましたので、秘書に対し、プライベートですから、公用車ではなくてハイヤーの配車を依頼しました。これはつまり、ハイヤーは金額もはっきりしますから、そういう意味で、プライベートだからハイヤーを配車し、代金は自分で支払うということを伝えておりました。

 それで、私は、請求書が来て金額がはっきりわかった時点で、その日にお金を払ったわけでございます。私は、それ以前は、払わなきゃいけない金額すら知らなかったんです。本当に、三月九日にわかりましたので、その時点で現金を払いました。

高井委員 今の説明では、では、秘書に指示したけれども秘書がやらなかった、秘書のミスだったということですか。(発言する者あり)いや、ミスですよね。NHKでは翌月払いが当たり前なんですから。そういう監査をしているんですよ、監査委員に後で聞いてもいいですけれども。

桝屋委員長 質問はそれでいいんですね。会長ですね。

高井委員 はい、会長に。秘書のミスだったということですか。

籾井参考人 率直に申し上げて、今回のハイヤーの件でいろいろな疑問を皆さんに持たせたということについては、本当に申しわけなく思っております。それから、やはり私がもう少ししっかりしていれば、こういうふうなことで皆さんに疑念を持たれることもなかったのであろうというふうに思います。

 ただ、指示ははっきりしておりますから、お金を払うよという私の意思は全くそこで明確だったわけでございます。秘書がどうだこうだということよりも、何はともあれ、私の不徳のいたすところというよりは、やはり私がもう少しはっきりすればよかったなというふうに、はっきりすればという意味は、例えば二重に言うとか三重に言うとかいろいろなことがあったと思いますが、監査委員会の指摘を謙虚に受けとめて、再発防止に努めてまいりたいと思います。ひとつよろしくお願い申し上げます。

高井委員 これはやはり受信料で成り立っているNHKですから、普通であれば、会長がプライベートで行ったお金を秘書に言っていれば、秘書はそれは責任を持ってそれをやる、まさにそれが秘書の一番の仕事でありますから、それをやっていなくて、請求書が来てから、しかも一旦ほかの業務と、公務と一緒に払ってしまったというのは、これは大きなミスです。

 ですから、それをもし会長がそのようにおっしゃるのであれば、これは、本当に秘書が悪かったということで、監査委員、そういう処分にはならないんですか。

桝屋委員長 上田日本放送協会監査委員、時間が来ておりますから、簡潔に御答弁をお願いいたします。

上田参考人 お答えいたします。

 処分に関しましては、監査委員の役割ではないというふうに理解いたしております。

高井委員 もう時間がありませんので、ともかく、やはり現場の職員のモラールが下がると思います、こういうことで秘書が悪いんだみたいな形で発言されると。ぜひそこは厳しくお考えいただきたいと思います。

 以上で終わります。

桝屋委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 本日の廃止法案は賛成であります。

 きょうは、この臨時措置法廃止にかかわって、地デジ移行の経過と今後の教訓について質問したいと思います。

 二〇一一年七月にアナログ放送が打ち切られ、デジタル放送に完全移行し、三年八カ月、東北はその後ではありましたがたちました。私たち日本共産党は、この切りかえに対し、実に約五千万世帯と言われるテレビが一斉に切りかわる放送史上例のない大事業であることを踏まえ、アナログ放送終了時期の決め方は、地デジ波のカバー率や受信機の普及率の達成状況によって決めるべきだと修正案を出して、提案してまいりました。

 そこで伺いますが、総務省は地デジ移行に当たって、当初二〇一一年までにアナログ放送のエリアをデジタル波で一〇〇%カバーすると繰り返し約束、答弁なさってきました。しかし、途中で、二〇一一年七月までに間に合わない地域について、送信側、放送事業者の整備期限はこの二〇一五年三月まで延ばし、セーフティーネットとして暫定的な衛星放送対策を実施してきたわけであります。

 このもとで確認させていただきます。送信側の中継局整備の経過として、アナログ停波前と停波後について、それぞれ整備が終わっていた中継局の数と、それが何割に当たるかをお答えください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 デジタル中継局につきましては、これまでに、親局を含めまして一万二千七十五局の整備をしてきたところでございます。

 このうち、東北三県を除く四十四都道府県でアナログ放送が終了、停波した二〇一一年七月時点で、一万一千四百七十一局、割合にいたしますと約九五%になりますが、これが整備され、それ以降に六百四局、約五%が整備されたところでございます。

 全体といたしまして、デジタル中継局の整備が完了いたしましたのは、昨年、二〇一四年の五月ということになってございます。

梅村委員 これだけを振り返っても、そもそも当初お約束していた二〇一一年までに一〇〇%をカバーするという計画、十分準備が整わないまま実施されたことは、経過としては明らかだと思います。

 そこで、次にお尋ねしますが、こうした送信側の準備、中継局整備が終わっていないもとでデジタル対策が進められない視聴者・国民は、デジタル化切りかえ当初、どれぐらい残されていたでしょうか。また、こうした人々をアナログ停波時点で残したことへの御認識を伺いたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 アナログ放送終了時点で恒久対策を必ずしも万全に講じ得なかった、いわゆるデジタル化によって生じた難視世帯、これは約二十七万世帯となっております。

 これらにつきましては、要因といたしましては、デジタル中継局を置局する中で、アナログとデジタルの電波の特性の違い等に起因して難視地区が発生した。これも、できる限りアナログ放送終了までの間に解消するということで対策を講じてきました。

 先ほど申し上げました二十七万世帯というのは、このアナログ放送終了前に出たそのデジタル難視の世帯も含めてトータルの数字でございまして、最終的に、平成二十四年三月に東北三県までアナログ放送を終了いたしました時点では、いわゆるデジタル難視の世帯というのは十六万世帯まで減少しております。

 したがって、最終的に、アナログ放送終了後なお残った世帯というのは、二〇一二年の三月末現在で十六万世帯ということになっております。

梅村委員 さまざまな御努力をされてきたということではありますけれども、やはり、そもそも受信者側の都合ではなく国の施策として行ってきた大事業でありますから、本来、スタート時点も含めまして、一人として新たな難視者を生んではいけなかったわけではないかと思うところです。それが、セーフティーネット対象として、今の御答弁でも十五万人を超えた方々が当初いらっしゃったということですから、やはりこれは今後の教訓としてはしっかり生かしていかなければいけないと思っております。

 特に、多くの方々は、この三年八カ月にわたり、新たな中継局整備ができるまで暫定措置として、特に、地上波を衛星放送で東京のキー局を放映するなどの措置がとられるもとでは、その結果、その地域のローカル放送が視聴できない、また、地域情報が届かないなどの状況が客観的には生まれてきたかというふうに思います。もし大きな災害が起こったときに、すぐに地域の情報を得たいというときに立ちますと、やはりそういう中では大きな不安が残されてきたわけだというふうに思います。

 そこで、三月末のセーフティーネット対策終了までもう本当にわずかとなっておりますけれども、残されている世帯数はあと幾つになっているかを確認させていただきたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明させていただきましたように、東北三県でアナログ放送を終了した段階で残されておりましたいわゆる地デジの難視世帯、十六万あったわけでございますけれども、対策の進捗によりまして、本年二月末現在、残る難視世帯は百二十世帯となっておるところでございます。

梅村委員 あと百二十世帯ということだと思いますが、お一人お一人の家庭にとっては、それが大切だと思いますので、残される一世帯まで、本当にきめ細やかにやっていただけるよう強く要望したいというふうに思います。

 さて、次に、こうした残された世帯の問題と同時に、視聴者・国民の費用負担自身も、この間、非常に大きなものだったというふうに思います。

 例えば、テレビアンテナの買いかえや対策にとどまらず、直接受信でも受信環境が悪いために、高性能アンテナなどの整備や、特にケーブルテレビに移行するしかなかった方々もたくさんおられます。共聴施設、辺地共聴施設、集合住宅共聴施設、ビル陰などの電波障害の共聴施設の方々は、関係者の調整、費用負担の両方の御苦労も大変大きなものがあったというふうに聞いております。

 例えば、長野県の南牧村などでは、村として、地デジへの移行で各家庭がテレビを買いかえなくていいようにとの対策を打ったような市町村もあったというふうに聞いておりますし、とりわけ視覚障害者の皆さんにしてみますと、テレビの情報をラジオから聞けなくなるということで、大きな声が上がるもとで、この地デジに対応するラジオの製品化だとか、またその費用が、一万円、二万円、三万円ぐらいかかる製品もありましたので、この費用の軽減などを求め、北海道を初め、各地で進められてきたというふうに認識しております。

 私たち共産党は、こうした低所得者の支援や受信者側、国民の対策費用の軽減策などを求めてまいりましたが、地デジ移行に伴って生まれた新たな難視となった世帯の皆さんに至っては、買いかえにとどまらない、さまざまな新たな受信対策が求められてまいりました。

 そこで、次の質問ですけれども、新たな難視の中で、ケーブルテレビ加入などの対策に移った世帯数を伺いたいというふうに思います。月々の料金が発生しております。費用負担は大変大きなものがあるかと思います。最低月額料金が二千五百円を超える事業者はどのようになっており、またこの間、どのような軽減対策などが行われてきたかを伺いたいと思います。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 アナログからデジタルへの移行に伴い発生しました、いわゆる新たな難視地区への対策としてケーブルテレビ、または既設共聴加入も含めますけれども、こういった対策を行っていただいた世帯は約二万世帯でございまして、今後、残る、今百二十世帯と言っておりますが、うち二十世帯が同様のケーブルテレビ加入による対策という形になってございます。

 こうした中で、今委員おっしゃられましたような、月額にして二千五百円以上の視聴料を払わなければならないようなケーブルテレビ事業者への加入というものは、この残る二十世帯のところについては現在ない状況になってございます。

 私どもといたしましては、ケーブルテレビでの地デジ視聴の料金につきましては、従前より、ケーブルテレビ事業者や業界団体に対して、可能な限り安い料金で提供していただけるように繰り返し要請をさせていただいてきたところでございまして、引き続き、今後も、視聴者にとって利用しやすい料金やサービスメニューについて要請してまいりたいというふうに考えているところでございます。

梅村委員 そのような努力を引き続きお願いしたいと思いますが、総務大臣、この間の国民の皆さんへの影響や今後の対策などを、この点で伺いたいと思います。

高市国務大臣 まず、地デジの対応につきましては、平成十五年十二月にデジタル放送を開始して、平成二十四年三月までにアナログ放送を停波し、ことしの三月にデジタルの電波特性に起因する難視の対策を完了させるというところまでの本当に大事業でございました。

 これだけの事業を大きな混乱なく進めてこられたのは、やはり国民・視聴者の皆様の御理解と御協力のおかげだと深く感謝をいたしております。

 この間、国民・視聴者の皆様には、委員から御指摘があったとおり、地デジ対応受信機への買いかえなど、そういう御負担もいただきました。

 ただ、国といたしましても、エコポイントによる受信機普及の促進ですとか、総務省のテレビ受信者支援センター、デジサポというのがあるんですが、ここで受信者の皆様への丁寧な説明、相談の対応、それから特に、例えばNHK受信料の全額免除世帯や市町村民税非課税世帯などに対して簡易チューナーの無償給付を行うなど、支援を行ってきたところでございます。

 今後、やはり地上デジタル放送への移行によって放送サービスの高度化、それから周波数の有効利用が実現されたことですので、このデジタル化のメリットを十分に国民の皆様に享受していただけるように、質の高いコンテンツが提供されることを期待しております。

 また、デジタルテレビというのは、地デジのシステムというのは災害対策上大変すぐれたものでございますから、これらを海外に向けても展開し、日本国内でももっともっと災害のときに身を守るために活用していただける、そういうサービスの提供を期待いたしております。

梅村委員 この三月を過ぎても、費用負担が重くて受信を諦めた世帯もあるかと思いますし、ケーブルテレビなどの費用負担は続くわけでありますので、こうした世帯への負担軽減、さらに地デジ化にかかわる国民の苦情相談を今後も政府が継続して責任を持って受けていただきたいなというふうに思います。

 そしてさらに、今後高度化を目指す動き、特にオリンピックを念頭に8K化などの推進が今図られようとしているわけですけれども、国民負担を軽減し、過剰な負担にならないようにすること、さらに、適切で必要な情報を国民に提供し、合意しながら進めることなど、今回の地デジ化の教訓を今後の技術革新また放送通信行政に生かしていくことを強く訴えて、私の質問を終わります。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、籾井会長のハイヤー利用に関して、昨日、NHKの監査委員会が経営委員会に提出をいたしました報告書についてを中心に質問をいたします。

 まず、報告書を見ますと、総合リスク管理室は、会長が業務用のハイヤーを私的に利用したという内部情報を受けて事実確認を開始したということになっております。

 報告書では、会長が会長名でハイヤーを使った事例はほかにないとされておりますが、総合リスク管理室の調査というものは、ハイヤー利用以外にどんな内容で、どのような部署に対して調査を行い、また、いつからこの調査を開始したのでしょうか、お答えください。

石田参考人 お答えいたします。

 内部通報があったのは二月の二十三日でした。それを受けて、総合リスク管理室としては、籾井会長がハイヤーを利用したことがあるかどうかということについて、関係の部署に問い合わせをしました。その結果を受けて、報告書にありますように、二月二十七日に、会長にかかわることですので監査委員会が監査するということなので、そういう通報があったということを監査委員にお伝えしました。

吉川(元)委員 これは一つ確認なんですけれども、報告書を見ますと、総合リスク管理室による調査の結果は随時コンプライアンス統括理事に報告されていたというふうに推測されるわけですが、総合リスク管理室やコンプライアンス統括理事は会長とは直接接触はしていなかったという理解でよろしいんでしょうか。

石田参考人 お答えいたします。

 この件については、会長とは接触はしておりません。

吉川(元)委員 続いて、監査委員会の対応についてお尋ねをいたします。

 三月九日に、監査委員会として、会長を含む関係者からの聴取を直ちに行うことを決定したというふうに報告書には書かれております。一方、その報告書では、それより三日前の三月六日の日に、監査委員が会長に事実確認の聴取を行い、その場で会長がハイヤー代を直ちに支払うことを申し出たことになっております。

 これは、監査委員会としてはまだ聴取を行うということを決定する以前に、監査委員の方が会長にこの件を、お話を聞いたということですけれども、そうした理由はどこにあるんでしょうか。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 コンプライアンス統括理事からの報告を受けまして、私の方で会長にお会いして公私の別ということをまず確認しようということで、三月六日にお話しさせていただいております。

吉川(元)委員 二月二十七日に初めてこのお話を統括理事の方から聞いたということでありますが、それから一週間そのまま放置をされていたというのは、どういう理由で放置をされていたんでしょうか。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 放置していたわけではありませんで、報告を受けて、十分な報告がなされたか、会長の方に第一報が入りますとそれ自体が動き始めますので、準備をする意味で、コンプライアンス統括理事がこれ以上自分たちで調査できないというところまで調べてもらった上で、私が行動をとりました。

吉川(元)委員 二月二十七日の日に報告を受けたということですけれども、直ちに監査委員会を開催するということは考えられなかったんでしょうか。

上田参考人 お答えさせていただきます。

 定例の監査委員会は、通常月二回予定されておりますが、監査委員会を開くに当たっては、非常勤の監査役の方にも出席いただく必要がありますので、まずは事実関係をはっきりさせて、その必要性を確認したところで開催を判断するということで、そういった行動をとったということであります。

吉川(元)委員 そうしますと、ちょっと伺いますけれども、報告書の一番最初の協会の対応のところで、会長が私的にハイヤーを利用したということが確認をされたというのは、これはいつの時点でそれが確認をされたんでしょうか。統括理事の方に伺います。

石田参考人 お答えします。

 私的に利用したかどうかということは、私のレベルでは確認はしておりません。

吉川(元)委員 そうすると、一月二日にハイヤーが小平市内との往復に使われたということまでしかわからなかったということでよろしいんでしょうか。

石田参考人 お答えします。

 一月二日に会長がハイヤーを利用しているというところまではわかりましたけれども、私的なのかどうかということについては、私どもの方でも、会長に問い合わせしているわけではございませんし、わからないということですね。

吉川(元)委員 時間がありませんので、もう一つだけちょっと確認させていただきたいことがあります。

 報告書を読みまして、ちょっと奇異に感じたのは、監査委員会の意見のところで、五の(一)のところですね。監査委員会は、私的使用であったとしても、その立場上必要な場合もあることは否定しないというようなことが冒頭に書かれております。他方で、この報告書の中にも書かれておりますけれども、内規上は、私的利用というものは認められていないということも書かれております。

 これは、監査委員会としては、私的利用があってもしようがないんだ、場合によってはしようがないんだという考えなんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 監査委員会といたしましては、私用目的であったとしても、会長という立場上必要な、身柄の安全、情報管理及び所在確認のために、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合があることを否定するものではありません。

 しかしながら、監査委員会は、視聴者からの受信料で成り立つNHKにとって、公私の区別が極めて重要であり、とりわけ協会のトップであります会長や会長を支える秘書室等には、高い倫理観と説明責任が求められていることを常に意識して行動すべきであると考えております。

 監査委員会といたしましては、まず、執行部において会長のハイヤー、タクシー利用のあり方について検討を行うとともに、仮に協会が手配を行う場合であっても、ハイヤー会社から会長宛ての請求書が届くように手続を徹底させることなど、協会がとるとしている再発防止策が着実に実行されるように注視してまいりたいと思います。

吉川(元)委員 会長が支払いは自分でやるということであれば、協会がハイヤーを手配することについては構わないということの認識でよろしいんでしょうか。

上田参考人 お答えいたします。

 先ほどお答えさせていただきましたように、監査委員会といたしましては、私的目的であったとしても、会長という立場上必要な、身柄の安全、情報管理及び所在確認のために、協会が手配するハイヤーの利用を必要とする場合があることを否定するものではありません。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、聞いたことにちゃんと答えていただけるようお願いして、終わります。

桝屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法を廃止する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

桝屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十三分散会


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