衆議院

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第15号 平成27年5月21日(木曜日)

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平成二十七年五月二十一日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    赤枝 恒雄君

      池田 道孝君    大西 英男君

      鬼木  誠君    金子万寿夫君

      金子めぐみ君    川崎 二郎君

      黄川田仁志君    小林 史明君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      瀬戸 隆一君    田所 嘉徳君

      田畑 裕明君    高木 宏壽君

      橘 慶一郎君    土屋 正忠君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      長坂 康正君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    近藤 昭一君

      武正 公一君    福田 昭夫君

      本村賢太郎君    高井 崇志君

      吉村 洋文君    浜地 雅一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  角田  隆君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進室次長)           末宗 徹郎君

   政府参考人

   (総務省情報通信国際戦略局長)          鈴木 茂樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           石川 正樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         中神 陽一君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 福井  敬君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     赤枝 恒雄君

  新藤 義孝君     中谷 真一君

  橘 慶一郎君     瀬戸 隆一君

  武正 公一君     本村賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  赤枝 恒雄君     大西 英男君

  瀬戸 隆一君     田畑 裕明君

  中谷 真一君     新藤 義孝君

  本村賢太郎君     武正 公一君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     橘 慶一郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案(内閣提出第二七号)


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会会長籾井勝人君及び専務理事福井敬君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣参事官角田隆君、内閣府地方創生推進室次長末宗徹郎君、総務省情報通信国際戦略局長鈴木茂樹君、経済産業省大臣官房審議官石川正樹君及び国土交通省大臣官房技術参事官中神陽一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬戸隆一君。

瀬戸委員 おはようございます。自民党、香川県の瀬戸隆一でございます。

 本日は、発言の機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。

 海外通信・放送・郵便事業支援機構法について御質問をさせていただきます。

 まず最初に、昨年の十一月ですが、安倍総理がミャンマーのヤンゴン中央郵便局を訪問されました。その際に、高市大臣宛ての絵はがきを出されたということであります。そこには風景印が押されてあって、日付印ですけれども、そしてまたそれが、日本郵便製の印が押されていたということでもありました。

 今、ちょうどミャンマーに対して日本郵便の方がノウハウに関する技術指導を行っているというものがその背景にあるんだということですけれども、ミャンマーというのは、既にもう郵便局は千四百局ありまして、全国のインフラとなっております。それについての高度化を日本とミャンマーでできるという意味は非常に大きいというふうに考えております。

 そこで、お尋ねします。

 日本とミャンマーの郵便における協力が進んでいることについて、大臣の御所見を伺います。

高市国務大臣 今、瀬戸委員がおっしゃってくださいましたとおり、ミャンマーとの間では、先方政府が民主化に伴って取り組んでおられる郵便改革を、日本のすぐれた郵便のノウハウを活用して支援するという取り組みをしております。

 平成二十六年度には、総務省の調査事業の一環として、現地に専門家を派遣して、一年間にわたる郵便技術協力を実施しまして、主要三都市における郵便品質の向上が達成されました。例えば、速達書留郵便の送達日数、平均二、三日だったのが平均一・一日に改善、また、郵便の送達率ですけれども、八七・八%から九九・三%まで改善しました。

 郵便分野における海外展開、ミャンマーだけじゃないんですけれども、これは、今後進めていきますと、相手国の国民の利益につながるだけではなく、日本郵便を含むさまざまな企業の相手国への進出にもつながります。郵便車両ですとか郵便ケースですとか自動区分機ですとか、あと、通信販売やダイレクトメールや店頭販売など、さまざまなサービスを考えますと、日本の持続的な経済成長にも資するものとして非常に可能性があると思いますから、今後、やはりさまざまな国との協力を進めてまいりたいと思います。

瀬戸委員 ちょうど今大臣の方がおっしゃられましたけれども、日本企業の海外進出にもつながるという話、非常にそこの部分が大切なんだというふうに私は思っております。

 特に、最近、中国や韓国の企業が台頭してきたことによって、日本の企業のプレゼンスが下がる一方でありました。そういった中で、この発展著しいミャンマーにおいてそういった関係が築かれるということは本当にすばらしいことだというふうに思っております。

 今現在、アベノミクスの効果もあって、日本経済は明るさを増しているところではあります。二〇一五年の三月期決算が先日発表されましたが、増収増益の企業がふえているとの結果でありました。もちろん、この増収増益はメーカーにおいて円安における輸出増ということも影響が大きいという分析もありますけれども、ただ、ちょうど企業に投資余力が出てきた今、再び真の意味で物づくり日本を復活させるチャンスでもあるというふうに考えております。

 今回の支援法は、日本の情報通信関係企業にとっては、海外に進出するための大きなチャンスともなるというふうに考えておるところであります。

 そこで、お聞きします。

 今回のファンドを使いたいという企業が出てきているんじゃないかと思うんですけれども、また、その掘り起こしをする必要もあると考えております。現段階でどのような案件が想定されているのか、お聞きします。

鈴木政府参考人 お答えさせていただきます。

 機構の支援に対します具体的なニーズといたしましては、産業界からは、例えばタイとかフィリピンなどのASEANの国々におきまして、現地の事業者が利用する光ファイバーの通信網あるいはケーブルテレビ網の整備、運用さらに維持管理、こういったものを請け負う案件でございますとか、あるいは、衛星を活用しまして、地上デジタル放送の中継網の整備、その運営及び維持管理を行う案件、こういった案件などが私どもの方に提案をされているところでございます。

瀬戸委員 ありがとうございます。

 できるだけ、やはりより多くの日本企業を連れていけることとなることが非常に大きなことだというふうに思っています。

 そういった観点からいいますと、郵便局との連携というのは、先ほど大臣の方からもお話がありましたように、関連分野の広さ、裾野の広さから非常に大きいものではないかというふうに思っています。

 先ほど大臣もお話しされておりましたけれども、パレットとか段ボール、OAシステム、パソコン、自動車、バイク、制服、またセキュリティーとかメンテナンスなんかも、日本の企業が参加できる、サポートできる分野がたくさんあるのではないかというふうに思っているところであります。

 そこで、お尋ねいたします。

 今現在ミャンマーで行われている協力関係に、こういったもの、ベトナムでもされているという話でありましたけれども、さらに拍車をかけるためにも、この支援法による郵便事業会社への出資について検討の余地があるというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

西銘副大臣 私、ことしの一月にベトナムを訪問いたしまして、それ以来、郵便局との協力関係分野がスタートしております。

 総務省としましては、日本郵便とベトナム郵便との間のコンサルの契約に向けた民間ベースでの協議を後押ししてまいりたいと思っております。また、ベトナム郵便局を活用したビジネスの展開に向けまして、ベトナム郵便と我が国企業とのビジネスのマッチングを進めているところでございます。

 委員御指摘のように、このような取り組みを進めていきますと、例えば、相手国の郵便事業体との共同事業契約によりまして、郵便区分センターの設置や運営、あるいは郵便輸送網の整備など、機構の出資の対象となるさまざまな案件が形成される可能性は大きいものと考えております。

 以上です。

瀬戸委員 ありがとうございました。

 こういったミャンマーやベトナムにおいての協力関係、それにおいても支援法を使うことが日本にとっても非常に大きいというふうに考えておりますので、また、そういうふうな方向に行きますことを願っているところであります。

 それから、今まで総務省もいろいろ国際的な取り組みを行われてきたというふうに聞いております。その今までの活動を有効にこれから使っていくべきではないかというふうに思っているところであります。特に、地デジの日本方式の展開とか、東南アジアを中心として実証実験も数多くやられてきたということであります。

 ちなみに、香川県にもその実証実験で使われたものがありまして、K―MIXという、遠隔医療なんですけれども、これは周産期システムでありまして、産婦人科のいない地域においても、赤ちゃんが無事であることを遠隔地で確認するというシステムなんです。岩手県の遠野では既に使われているのでありますけれども。これがラオスにおいても実証実験が行われてきたというところであります。

 そういった中で、お聞きします。

 今まで、総務省の政務三役がいろいろ精力的に情報通信、放送分野で海外においてトップセールスを行ってこられました。どのような成果が上がってきましたでしょうか。

 また、総務省が今まで行ってきたこの実証実験、実証事業について、これからは実事業化または横展開を図っていくべきというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

西銘副大臣 総務省としましては、経済協力インフラ戦略会議など政府全体の取り組みの一環といたしまして、情報通信分野において海外展開を支援することに積極的に取り組んでおります。

 これまで、地デジの国際展開、御案内のように世界で十七カ国日本方式を採用していただいておりますけれども、この国際展開で培いました協力関係をさらに進めて、ICTの分野全般にわたって協力を広げております。そういうトップセールスを推進しております。

 このような取り組みによりまして、インドネシアとアメリカの間の海底ケーブル、あるいはインドにおける固体化気象レーダー等の受注の成功を見ております。

 私自身、ことしの一月、六十二の民間団体とともにベトナムを訪れまして、日本とベトナムICTフォーラムを開催いたしました。ダム副首相とも会談をいたしまして、二国間の協力関係の強化に取り組んでいるところでございます。また、先般、ゴールデンウイークには、十三の民間団体とともに南米のチリを訪問いたしまして、ゴメス・ロボ運輸通信大臣との間で、ICT分野全体での覚書に署名、合意をしてまいりました。このように精力的に取り組んでいるところであります。

 先生が御指摘のK―MIX、かがわ遠隔医療ネットワークに関しましては、総務省で平成二十五年度の予算によりまして、ラオスにおいて周産期の遠隔診療システムについて実証実験を実施しております。この実証実験を通しまして、遠隔地における妊産婦と胎児の健康状態の測定を実現するとともに、その有効性については、ラオス側の理解を得られたところであります。実証実験の関係者において、システム展開に向けた取り組みが行われているところであります。

 我が国のICTシステムの採用に向けまして、実証事業を海外で実施して、日本の強みを相手国に実際に示すことによりまして受注につなげる取り組みは、極めて重要だと考えております。

 この法案が成立しましたときには、機構を活用した実事業化あるいは横展開を促進しまして、さらに一層のICT分野の国際競争力の強化に取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

瀬戸委員 ありがとうございます。

 政策の連続性という観点からも、ぜひお願いしたいというふうに思っているところであります。

 そして、最後にちょっとお聞きしたいことがあります。

 このファンドが使われた企業が日本以外の国の製品を使うようでは、この支援の意味も半分になってしまうんじゃないかというふうに思っているところであります。実際、ファンドが使われた企業が例えば中国製品ばかりを使われているということになってしまっては、またこれはちょっと意味が違うのではないかというふうに思っているところであります。また、中国とかのODAでは、大部分が中国製の製品が使われているという話も聞かれるところであります。

 そういったことで、お聞きします。

 支援法によるファンドによって支援された企業は、日本製品を優先的に使っていくべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えさせていただきます。

 本機構によります支援を受けた企業が、海外において通信、放送、郵便事業を展開するに当たりましていかなる製品を使用するかにつきましては、原則、当該企業の判断による、その事業の内容に応じて最適なものを採用するということが基本だとは認識してございます。

 一方で、本法案は、我が国に蓄積された知識、技術、経験等の強みを生かして海外において通信、放送、郵便事業を展開する事業者を支援し、潜在的な海外需要を積極的に開拓することによりまして、当該事業者に関連機器等を供給する事業者等も含めた我が国事業者の収益性の向上を図るといったことを目的とするものでございまして、我が国のすぐれた製品が海外で使用される機会の拡大につながるということを期待しているものでございます。

瀬戸委員 今回のこの支援法、物づくり日本を復活させるために大きなチャンスです。ぜひ、企業の選定の際にも、できるだけ日本企業をたくさん連れていけるような、そういった案件の選定をお願いしたいと思います。

 また、総務大臣、副大臣におかれましても、この支援法のPRそしてまた掘り起こしに御尽力いただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 おはようございます。公明党の浜地雅一でございます。

 きょうは、海外通信・放送・郵便事業支援機構法案の審議に当たりまして、十五分でございますけれども、質問をさせていただきます。

 まず、情報通信産業というのは、文字どおり、生産性の高い、非常にもうかる分野でございまして、日本全体としてもなかなか全産業が生産性が低い中、この情報通信部門の海外展開というのは、非常に必要性があろうかと思っております。

 しかし、聞くところによりますと、世界の情報通信インフラ市場の現状においては、日本は劣位をしている、なかなかシェアが伸びていないというお話も聞きますが、きょう、前提としまして、世界の情報通信インフラ市場の現状と日本の現在占める位置について、まずは確認をしたいと思っております。

鈴木政府参考人 お答えさせていただきます。

 世界の情報通信インフラ整備の需要は、二〇三〇年までに年平均で四十五兆円程度、それから、アジアだけで見ましても、ちょっと時期は違うんですが、二〇二〇年までに年平均十兆円程度というのが、国際的な機関などの推計で見込まれているところでございます。

 このように、世界のインフラ全体の市場は拡大が続いておるのですが、インフラ整備事業者が海外で受注した額を企業の国籍別のシェアで見てみますと、日本のシェアは残念ながら年々低下をいたしております。二〇一二年におきまして、世界で四%程度、アジア地域でも一〇%程度にとどまっているのが現状でございます。

 一方で、欧米や日本が徐々に比率を下げる中、中国、韓国の企業のシェアは徐々に拡大をしておりまして、二〇一二年には世界で合わせて二〇%を超える規模となっているのが現状でございます。

浜地委員 ただいま、情報通信インフラ市場での日本の占める割合、世界で約四%ということで、しかも徐々に、年々下がっているというお話を聞きまして、非常に私も危機を感じております。

 先ほど御答弁でもございましたとおり、中国、韓国が非常に台頭してきておりまして、その原因というのは、情報通信インフラの価格が世界の中でも圧倒的に安いというところに起因しているようでございます。

 ただいま、中国、韓国のシェア、世界では二〇%というお話がございましたが、アジア市場以外に目を向けますと、何と中東市場では韓国がトップで、韓国企業が約三〇%を占めているという手元の資料がございます。また、アフリカでは中国が何と四五%シェアを占めておるようでございます。

 日本を見ますと、中東市場では日本はわずか二・六%、韓国の十分の一以下、アフリカにおきましては中国の四五%に対して日本企業は一・二%ということでございますので、アジアだけでなく世界でも日本は非常におくれている現状でございます。何度も申し上げますが、価格が圧倒的に安い中国、韓国企業に押されているということでございます。

 そうなると、日本の通信情報インフラを採用してもらうには、当然、価格の安い中国、韓国に比べて日本独自の付加価値がある情報通信インフラを提供しなければ、価格競争では負けておりますので、機構をつくっても需要は掘り起こすことができないというのは誰の目にも明らかだと思います。

 今回の機構法の目的として、パッケージでインフラ整備を推進していくんだということでございますけれども、そうなると、パッケージでインフラ市場を掘り起こすときに、日本が付加価値として、特に中国や韓国にはない付加価値としてどういったものが具体的には提供できるのか、これをお聞きしたいと思っております。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 情報通信インフラとパッケージで提供するというものに関しましては、ICTサービスであるとか放送コンテンツといったものを想定してございます。

 ICTサービスの例といたしましては、防災システムやスマート農業、さらには遠隔教育や遠隔医療などが挙げられてございます。

 特に防災につきましては、地デジ日本方式の特徴でございます携帯端末向けの放送や緊急警報放送による情報伝達、あるいは地震や津波、降雨、河川水位など多岐にわたる観測情報の収集、分析からLアラート等を通じた配信までを一気通貫で迅速かつ高精度に行いますシステム、それと、我が国が技術的に世界をリードしており、昨年八月には我が国事業者がインドで受注した固体化気象レーダー、こういったものがございます。

 また、ICTを活用した防災ソリューションといたしましては、東日本大震災を契機に総務省がNTT等に委託して開発をしました移動式ICTユニットという、災害時に応急的に周囲一キロメートル程度の通信手段を確保する設備がありますが、昨年の十二月よりフィリピンのセブ島で実証実験を行っておりまして、近々最終評価を行う予定でございます。

 さらに、放送コンテンツにつきましては、日本のアニメ、漫画が台湾や香港といったアジア地域で圧倒的な人気なんですが、コンテンツ全体としましては、平成二十三年度に約七十二億円であった海外輸出額は、平成二十四年度には約百四億円、平成二十五年度には約百三十八億円と、年々増加しているところでございます。

浜地委員 今御答弁ございましたとおり、地デジ日本方式を採用している国は世界で十七カ国あるわけでございますが、地デジ日本方式の特徴として、端末にそういった災害の緊急情報が乗せられるという技術は日本方式が非常にすぐれているというふうな説明を受けております。

 ですので、日本としては、災害も経験しておりますし、特に最近ではゲリラ豪雨が多い中、固体化気象レーダーでピンポイントで豪雨の情報が的確に示せるようなシステムでありますとか、そういったものはやはり日本独自のものでございますので、今後とも、こういった防災や、また先ほどもお話ありましたコンテンツ、アニメや漫画という強みを生かした受注をとっていただいて、ぜひ、中国、韓国に負けないシステムをとっていただければと思っております。

 もう一点お聞きをいたしますが、まず、この支援機構自体の必要性ということで、もう一度確認をします。

 こういう機構をつくりますと必ず言われるのが、既にそういった似たような制度があるじゃないか、ですので、わざわざつくる必要はないということをよく指摘されます。

 この通信事業の支援機構でも、JICAがあれば、またはJBICがあって、さまざまな融資、支援をする部門もある。そして、特に放送部門では放送コンテンツ海外展開促進機構というものが既につくられておりますので、これらを組み合わせればこの機構の目的が達せられるんじゃないかという指摘もございます。

 そこで、これはそもそもの問題点ですが、なぜそういった制度がありながら今回支援機構というものが必要と考えるのかをまず一点お聞きした上で、この支援機構、特に、やはり大きな投資をするので資金のリスクがあるとか政治的なリスクがあるとかいうことで今回つくりたいということでございますが、実際に具体的なニーズ、既に企業側等からそういったニーズがあるのかどうか。この二点をお聞かせいただきたいと思っております。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 通信、放送、郵便分野におきましては、アジアを中心に世界市場の拡大が見込まれているところではございますが、規制分野でありますので、政治的影響を受けやすいなどのリスクが高いことから、特に支援が必要と考え、この分野に限った機構の設立を目指したものでございます。

 本機構は、御指摘のありました、融資を中心としますJBIC、あるいは開発協力を行うJICA、こういったものによります支援のみでは十分な実施が困難なプロジェクトを支援するため設立を目指すものでございます。それらJBIC、JICAとの連携につきましては、必要に応じて行っていくこととしてございます。

 また、放送コンテンツ海外展開促進機構、BEAJと呼んでございますが、これとの関係につきましては、本機構は放送インフラの整備を支援することを想定してございますが、この支援して整備されたインフラを活用して行われます放送の枠の一部をBEAJが進める日本の放送コンテンツ発信のために確保するなど、有機的な連携を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

 次に、機構の支援に対する具体的なニーズといたしまして、産業界からは、例えば、タイやフィリピンなどASEANの国々におきまして、現地の事業者が利用する光ファイバー通信網やケーブルテレビ網の整備、運営及び維持管理を請け負う案件、あるいは衛星を活用した地上デジタル放送の中継網の整備、運営及び維持管理を行う案件などなどの提案をいただいてございます。

 事業者からは、民間のみでは十分な資金供給ができない事業へのリスクマネーの供給という資金的な支援に加え、公的組織の関与によります政治リスク等の軽減という事業運営上のメリットについて大きな期待が寄せられているところでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 もう既に具体的な話もあり、その中で、やはり先ほど御説明のありました、政治的リスクや投資の規模が大きいのでちゅうちょしているといった案件もあるということを私もお聞きしております。

 具体的な名前は当然おっしゃることはできないんでしょうが、私もお話を聞いたときには、一千億円規模での事業もあるように聞いておりますので、この分野について、やはり迅速に、また早くこの機構を立ち上げて、そういったリスクマネーを供給して案件化をしていくということは私自身も非常に大事だろうと思いまして、この支援機構の必要性については十分認識をしているところでございます。

 ただ、今回、支援機構ということでこの法案が上がってきておりますが、私も初当選したのが約二年半前で、あのときを思い出しますと、例えば、地域経済活性化支援機構であるとかクールジャパンの支援機構であるとか、二年半前は、いろいろな省庁がこういった機構をつくって、リスクマネーを供給して世界に展開をしていきたいといった話が多々あったわけでございますね。

 単純に疑問に思うのが、二年半ほどたって、機構というのはほかの省庁からいうと若干ブームが過ぎているというか、その中で、今回総務省としてこの時期にこの支援機構の法案を出されようと思った経緯といいますか、その背景について、高市大臣に最後にお聞かせいただきたいと思っています。

高市国務大臣 浜地委員が当選されてからの二年半の間、まさに総務省では、ICT分野における日本企業の海外展開を支援するということで、主に地デジの日本方式の海外展開に一生懸命励んでまいりました。総理を初めとするトップセールスも進めてきて、ようやくそれぞれ具体的な成果が出てきたというのが今でございます。

 中南米のチリ、コスタリカ、アジアのフィリピン、まさにこれから地デジのインフラ整備が本格化するという時期に入っています。それから、ブラジルやペルーなどは既に都市部で放送がスタートしているんですけれども、これから地方都市におけるエリア整備というのが本格化していく。

 そういう状況でございますので、先ほど局長からありました、衛星を活用した地デジ放送の中継網ですとか光ファイバー通信網などICTインフラのほかに、そのインフラを活用した防災システムとかスマート農業ですとか、ICT分野全体の市場拡大につなげることが可能な状態となってきた。

 それがまさに今でございますので、このタイミングを逃すことなく機構を設立して、日本企業の支援を行いたいと思っております。

浜地委員 ありがとうございました。機は熟したということでございます。

 いずれにせよ、支援機構は、野党の皆さんからもよく言われますが、最終的には、しっかりと収益が上がらなきゃいけないということが一番大事だと思っております。スタートのときはかけ声がよくても、やはり最終的に損をしてしまっては全く意味がございません。

 約二十年間の存続期間ということでございますので、二十年後にしっかりこの機構が、清算なのか、最後はどちらかに、出口戦略で、MアンドAということで民間企業にそのままお渡しする形になると思います、この資産というものを。ですので、そのときにしっかりと企業価値が機構としても出ることを私も願いまして、また、今後ともそれをずっとウオッチしたいということを誓いまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、近藤昭一君。

近藤(昭)委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。

 きょうも質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 機構法に関連する質問をさせていただく前に、NHK問題について、一点確認をさせていただきたいというふうに思うわけであります。

 それは、今週の火曜日の総務委員会一般質疑でも、経営委員会での議事録を引用し、会長の発言に関連して質問が行われました。

 私も聞いていて、会長がここへ来て答弁していらっしゃる、いろいろとおっしゃるわけでありますが、委員会で発言されたこと、また経営委員会で発言されたこと、どうもそごがあるといいましょうか、食い違っているのではないか。

 反省しているとおっしゃっていながら、経営委員会では、自分のどこが問題なのか、こういうような発言をされているわけであります。二十八日の経営委員会議事録、会長は、「NHKを傷つけたと思ってはいません。」と発言している。

 本当にそう思っておられるのか。これだけ何回も国会に呼ばれて、いろいろと報道もされておられるわけであります。そういう中で、どうしてそういう言葉が出てこられるのか。恥じてはおられないのか。会長の答弁をいただきたいと思います。

籾井参考人 お答えします。

 この前の御質問があったときに私は、経営委員会で質問をしましたと申し上げたと思います。私は、経営委員会で言われたことに対して質問を申し上げたわけでございます。

 私は、質問すること自体は何の問題もないというふうに思っておりますし、また、党の部門会議での問題につきましては、出席するに際して、新しいNHKの三カ年計画について説明しろ、こういう御下命だったというふうに記憶しております。

 ですから、私としましては、その場においてもっと三カ年計画の議論を深めてもらいたかったという思いがあり、議事録にあるような発言をした次第でございます。

近藤(昭)委員 会長はよくそういう言い方をされるわけでありますが、私は、経営委員会で会長が、私の言動にどこが問題になったのか、こういうような、ある種開き直りとも思われる発言をされていることに対して、やはり疑念を抱かなくてはならない。

 そして、私も、きょうも機構法についてしっかり質問をしたいと思っているわけでありますが、実は、やはりどうしても看過できないことが、ぜひこういうことを取り上げるべきではないかということもあったので、ちょっとお伺いをしたいというふうに思います。

 NHKでは、全職員に対してメッセージが発せられるというふうに聞いております。四月の末、期日ははっきりしないところではありますが、全職員にメッセージが送られた、音声のメッセージであります。

 会長は経営委員会で、会長もいろいろと説明なさってはおられますけれども、厳重注意を受けた、そしてそのことに対して、きっちりとハイヤーの問題は注意喚起をしなかった、このことについては責任がある、こういう指摘をされている。

 しかしながら、会長は、この問題をめぐり、さまざまな内部情報が流出し、国会や報道で取り上げられた、内部で保管されているはずのハイヤー伝票がコピーされてなぜか持ち出されるケースもあった、こういう内部のことが外に漏れることは組織としては残念なことであると。

 そして、内部の情報とは何なのか、外に出た場合、組織に対してどういうマイナスがあるのか考えてほしい、こういうことをおっしゃられた。

 その後、こういうことをなくして立派なNHKに育てたい、我々のNHKを誇れるNHKにしたい、情報が漏れるNHKを、きちんとした、内部情報が漏れない、かたいNHKにしていこう、年度早々からきつい話だが、極めて大事な話だ、厳重に各自やれ、課題があれば自由に意見を出し合い、みずからで解決する、そういう自由闊達な組織でありたい、こういうことをメッセージで全職員に送られたと聞きました。

 これは、厳重注意を受けたことに対して、責任を転嫁している。このハイヤー問題がこのままではきちっと処理をされないのではないか、そのことに対して、内部の方からコピーを出した、やむを得なく出したんだというふうに思います、それを、こういうものは漏れないようにしよう、こういうことをメッセージで全職員にされたということであります。

 こうした行為は、いろいろとさまざまな企業でも事件が起こったことに対して内部から通報がある場合に、きちっとした公正な会社、公正なあり方を担保するために、公益通報者保護法、こういうのもできたわけであります。

 浜田経営委員長にお伺いをしたいというふうに思います。

 こうした経営委員会として厳重注意をしていることに対して籾井会長は開き直りともとれる発言をした、それだけではなくて、こういう情報が漏れるのはおかしいといって全職員にメッセージを送った、このことに対して、経営委員長はどう思われますでしょうか。

浜田参考人 一般論として申し上げれば、内部通報制度は、会社のガバナンス機能でありますから、何ら問題はないというふうに思います。

 ただ、イレギュラーな形で漏れるということは、決して好ましいことではないんだろうというふうに思っています。

近藤(昭)委員 そうすると、経営委員長は、今回の件はイレギュラーな形で出たと思われているのか、それとも、そうではない、通常の形で漏れていったと思われておられるでしょうか。

 また、今回のこうしたコピーが流出したということはどのように受けとめられているのか。それに対して会長が全職員にああしたメッセージを、私もかつてこの委員会でも質問させていただきました、理事の人の辞表を全部預かっていた、ある意味威嚇ともとれるのではないか、こういうことで、この委員会でも何回も取り上げられた。今度はメッセージで、そういうことをするな、こう言っておるわけであります。

 委員長、どうでしょうか。

浜田参考人 今、御質問の件につきましては、私は、詳細には承知しておりませんので、コメントできないと思います。

 一般論は、先ほど申し上げたとおりでございます。

近藤(昭)委員 それでは、機構法の質問をしたいと思いますので。

 ただ、一点だけ、高市大臣、いかが思われますでしょうか。先般は、総務省の注意に対して、当初受け取らなかったわけであります。通常で言うとあり得ないということで、大臣もこの間お答えになっておられました。

 今聞いておられたと思いますが、今回の籾井会長が全職員に出したメッセージ、こういうものをどういうふうに受けとめられたか。

高市国務大臣 行政指導をすぐにお受け取りいただけなかったことは、依然残念に思っております。

 そして、NHKというのは受信料によって運営をされている組織でございます。やはり公共放送としての認識をしっかり持って、これまで至らないと思われたこと、指摘を受けたことについては真摯に反省をしていただいて、国民・視聴者の信頼を取り戻していただきたいと思っております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今大臣もおっしゃられました、信頼を回復してほしいと。そういう意味で、本当に、この委員会でも何回も取り上げざるを得ない、こういう状況にならないように、ぜひ会長、御反省をいただきたいというふうに思いますし、経営委員長もしっかりと経営委員会としての職責を頑張って務めていただきたいと思います。

 では、機構法について質問しますので、どうぞ御退席いただいて結構であります。ありがとうございました。

 それでは、本機構の役割のリスクマネーという観点から。本機構の主な役割の一つは、ICTインフラまたはコンテンツの海外展開を行おうとする企業に投資することにある。今回の機構の役割ということで認識しております。

 ですが、この分野の海外進出は必ずしも順調ではない。先ほど来からもちょっと指摘があるところであります。その背景には、民間からの投資が鈍いということがある。だからこそ、支援するために本機構の設置に至ったということがあるんだろう。

 ただ、本機構は、国が二百億円を出資して設置し、民間からの出資を合わせて企業に対して投資や融資を行い、海外展開を支援する仕組みになっている。国から機構への出資源は、産業投資特別会計、つまり財政投融資の資金である。一定期間後には、利息をつけて国庫に返還する義務があるわけであります。

 そこで、お尋ねをしたいと思いますが、本機構は、現時点では民間がリスク高と認識している事業に対して、国庫資金をもって企業の株を買ったり融資したりする仕組みになっている。これを言いかえれば、民のかわりに官がリスクテークして、しかも、官の責任で利息をつけて国庫に償還しなければならない構造であるわけであります。このリスクはある意味高いわけでありますが、投資資金の毀損は許されないわけであります。そういう二律背反とも言えるリスク管理の仕組みをどのように考えているのか、御説明をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 本機構は、民間企業が当機構の一押しがあれば企業としてリスクをとって投資できる案件につきまして支援することを目的に設立しようとしているものでございます。

 機構の設立後、申請のあった案件につきましては、機構において、支援基準に基づきまして、事業の将来性や収益性をしっかりと審査していくとともに、総務省におきましても、当該案件が支援基準に適合しているのかどうかという点について審査をいたしまして、認可を行うこととなります。

 また、支援の決定後におきましても、案件ごとに十分なモニタリングを行うということで、個別案件のリスク管理にも努めてまいりたいと考えてございます。

 個別の案件でのリスクテークと全体での元本確保のバランスをとるポートフォリオマネジメントというものによりまして、投資資金の毀損を回避し、一定の利益を確保できるように、総務省としてしっかり監督してまいりたいと思います。

近藤(昭)委員 そうした管理をしていくということでありますが、先ほども申し上げました、もともとそうしたリスクが高い部分、だからこそ機構があるということではありますけれども、そうしたリスクの高い事業に対して投融資を行うわけでありますから、関係の職員また幹部の方には、相当な知識と経験を有する人が不可欠であるわけであります。

 ただ、これも先ほど来から指摘がありますが、官民ファンドが既にかなり乱立と申しましょうか、多数設立をされている。そういう中で、必要な人材がなかなか確保しにくいのではないか。

 先般、ゆうちょ銀行の社長の人事も、前任の井沢氏が退任して、なかなかすぐに後任が確保できなかった。一時、日本郵政の西室社長が兼任をしていたということもあります。

 そういう意味では、非常に憂慮といいましょうか、懸念をしているわけでありますが、いかがでありましょうか。

西銘副大臣 この法案が成立しましたら、機構設立に向けた準備を進めていくことになります。近藤委員御指摘のように、この機構の役職員には、通信、放送、郵便分野に精通した方、あるいはプロジェクトファイナンス、また外国での法律の関係、企業の会計等についても豊富な知識と経験を有する方についていただきたいと考えております。

 有能な人材の確保は非常に重要であります。通信、放送、郵便分野の関係の企業、金融機関等とよく相談をしながら進めてまいりたいと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 副大臣に御答弁いただきましたように、そうした観点から人材を確保する。ただ、もちろん何でもかんでも否定的に申し上げるわけではありませんけれども、なかなかそういう人材の確保が大変なところがあるんだと思います。そういう意味では、今御答弁いただきましたように、設立に向けて準備をしている、その準備の段階でしっかりと確保に御尽力をいただきたいというふうに思います。

 さて、機構に対する検証についてということで質問させていただきたいと思います。

 これまでに設置された官民ファンドについては、政策目的に沿って適切に運営されているかどうかということを、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会というのがありますが、ここで策定をされたガイドラインに従って定期的に検証している、これまで設置されたものについてもそうした検証が行われてきているということであります。

 そこで、質問をさせていただきたいわけでありますが、今回設立される機構の検証システムというのはどのようになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 本機構は、これから設立するものではございますが、仮に官民ファンドの活用推進に関します関係閣僚会議の幹事会におきまして検証の対象となったという場合におきましては、他の官民ファンドと同様に、官民ファンドの運営に係るガイドライン、これに沿いまして検証を行っていくということを想定してございます。

 機構法成立後は、機構におきまして適切なガバナンスが確保されますように、総務省といたしましてはきちっと監督してまいりたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 今お答えをいただいたわけでありますが、今までにあるガイドラインがある、それを用いていくということなんでありますけれども、今は準備中であるから、検証制度はこれからそのガイドラインに沿ってつくっていくということになるだろうということであります。

 ただ、何かそういう意味では、これまでの、既存のガイドラインを用いる中で、少しこうしたところには留意をしなくてはならないというようなことがあるのか、あればお教えいただけると幸いであります。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 官民ファンドの運営に係りますガイドラインの中には、先ほども申し上げましたように、ポートフォリオマネジメントがちゃんとできているかということでありますとか、あるいは、各ファンドが行ったものにつきまして、投資決定のプロセスだとか背景だとか、後押しをしたもののその事後にどうなっている状況かといったことなどを報告させるようになってもございますので、そういったガイドラインに沿ったような活動をいたしまして、きちっと見ていきたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 そうした留意点がある。そういう中でガイドラインに沿って、しっかりと準備段階で人材確保とともにそうした機構の検証システムをつくっていただきたいと思うわけであります。

 ただ、今までのそうした検証システムについても、同一人物がプレーヤーと審判を務めているというような批判も聞かれるわけであります。官が設置をしたそうしたファンドの検証を官が行う、官の機構の中で行っていく、このことについて、懸念あるいは批判、そうしたものがあるわけでありますが、その点についてはどのようにお考えでありましょうか。

角田政府参考人 お答え申し上げます。

 官民ファンド一般についてのお尋ねと受けとめております。

 まず、官民ファンドにつきましては、所管省庁が法律に基づいてしっかり監督を行うのが基本でございます。

 加えまして、御指摘のございましたガイドラインに基づきましてしっかりと監視もしていただくということでございます。

 さらに、先ほど御紹介がございました幹事会というのは、これは必ずしも所管省庁だけではございませんで、財務省ですとか金融庁ですとか公正取引委員会にも入っていただいて、また重ねて監視をしているわけでございまして、同一人物がいわばなれ合いのような形でということではないというふうに認識いたしています。

 さらに、御紹介申し上げますと、このガイドラインにつきましても、また、この幹事会の検証につきましても、外部の専門の有識者の方四名に御参画いただいておりますので、引き続きしっかりと検証をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

近藤(昭)委員 今までにもそうした検証システムがある、そして、今御答弁いただいたような、さまざまな部門から、さまざまな機構から出てきている、そういう中でやってきた、そして、今回もそうしたものをつくっていくから大丈夫だというお答えではあると思うんです。

 ただ、そういう中でも、やはり、一つの機構の中といいましょうか、官がつくった、そして官がつくる検証システムの中で、またいろいろと財務省あるいは金融庁、そこにも官だというところに、部門は違う、組織は違うといっても、懸念が出ているんだというふうに思うんですね。

 そういう中で、改めて、今回の検証システムについては、特に注意を喚起しておられる、こうしたところを特に留意しているというところがありますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 官民ファンドと俗に言われているものは、既に先行事例が幾つもできてございまして、先ほど言ったように、そういったものを全体として幹事会でチェックしているということで、私どもは、どちらかといえば後発組でございますので、先行のいろいろな組織の運営の実態等々もよく見ながら、あるいは、ガイドラインをよく勉強しながら、きちんと後発組として間違いのないように取り進めてまいりたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 少し具体性に欠くところもありますが、そうした今までの反省点といいましょうか、今まで出てきた課題をしっかりと克服しながら進めていただきたいと思うんです。

 既に質問も出ておるところでもありますけれども、改めて、支援機構の位置づけについてもお伺いをしたいというふうに思います。

 官民ファンドのあり方、国と民間が特定の目的に資金を出し合って出資や融資を行う、その配当や収益を分配する機関であるということであります。

 現在のところ、私が確認した範囲では、主な官民ファンドが既に十一ある。これ以外に、地域金融機関が官の出資を受けて設置している地域ファンドというのでいうと、全国に無数に、かなりの数があるということであります。いささか乱立状態にあるのではないか、先ほども言及をいたしたわけであります。

 しかも、主な十一ファンドのうち、九つまでが安倍政権以降の設置であるわけで、全体の規模は四兆円以上とも言われておるわけであります。

 これまでに、我が国の企業が海外展開するに当たって支援を行う官民ファンドとしては、クールジャパン機構と海外交通・都市開発事業支援機構が設置をされているわけでありますけれども、本法案で設置される新たな機構とこれらの官民ファンドとの役割は明確な違いがどのようにあるのかということを御答弁いただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 本機構は、我が国のすぐれたICT技術等を活用いたしまして、海外で行われます光ファイバー網や衛星を活用した地デジ中継網等のインフラの整備と運営、さらに、それらを通じて行われます電気通信事業や放送事業等を支援いたしまして、我が国の通信、放送インフラからICTサービス及び放送コンテンツまでのパッケージでの海外展開を促進しようとするものでございます。

 これに対しまして、クールジャパン機構は、コンテンツ、ファッション、和食等の我が国の生活文化の特色を生かした魅力ある商品またはサービスの海外展開事業を支援するものと理解してございます。

 また、海外交通・都市開発事業支援機構、JOINの方は、海外における交通、都市開発インフラの整備、運営事業を支援するものというふうに理解してございまして、私どもの今回設立しようとしております機構は、こういったクールジャパン機構及びJOINという機構と基本的な目的あるいは支援対象が異なっているというふうに認識してございます。

 しかしながら、実際の事業者への支援に当たりましては、必要に応じまして、こういった機構間での情報の共有であるとか事業展開における相互協力といったものは進めてまいりたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 そうした違いがあるということでありますが、これも先ほどちょっと言及があったところでありますけれども、我が国の企業が海外展開するに当たって支援を行う機構、JICAがある、JBICがある、これは先ほどもJICA、JBICについて御答弁がありました。さらにNEXI、日本貿易保険というのもあります。あるいはジェトロ、日本貿易振興機構、こうしたものもあるわけであります。

 それぞれがさまざま事業を営んでいるわけでありますが、既存の機関を使わずに、ICT分野に特化した機構を新たに設置するというのは、非効率とも思えないでもないわけであります。しかしながら、そういう中で、あえて新たにこの機構をつくる必要性、理由について御説明をいただければと思います。

 また、新たに設置される本機構は、既存の機関とどのように連携をしていくのか、重複を避けるような仕組みになっているのか、あわせて御説明をいただければと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、通信、放送、郵便分野は、アジアを中心に世界市場が急速に拡大するというものが見込まれておりますけれども、他方で、大変規制分野でございまして、政治的な影響を受けやすいといったようなリスクが非常に高いことから、支援が必要だと考えまして、通信、放送、郵便分野に特化をした、そういう分野に詳しい機構を新たに設立したいというものでございます。

 本機構は、開発協力を行いますJICA、あるいは融資を中心とするJBICなどの公的機関による支援のみでは十分な実施が困難なプロジェクトを支援するために設立を目的とするものでございまして、本機構とJICA、JBIC、御指摘のNEXI、あるいはジェトロ、こういった機関それぞれに機能がありますので、相互に補完する関係にあるというふうに考えてございまして、例えば現地の政治情勢であるとか法制度、そういったものの情報の共有などは必要に応じてよく連携をしてまいりたいと考えてございます。

近藤(昭)委員 ありがとうございます。

 今までの分析の中からこうしたものをつくってきたんだ、そういう中で連携をしていくということであります。

 最後に、高市大臣にもちょっとお伺いをしたいと思うんです。

 私も、総務委員会に何年も所属をさせていただいて、総務委員長の仕事もさせていただいたことがあります。総務省がいろいろと努力をして、先ほど来からも言及がありますが、地デジの問題であります。

 南米ほか等々で地デジの日本方式のよさを広めて、かなり南米でも、一カ国、ブラジルでしたでしょうか、どこかを除いて本当に日本方式を全部採用した。

 しかしながら、その後、現地で販売をされるようになったテレビとかそういうものは、残念ながら、韓国製が多かったような統計も出ていたりして、せっかく日本のそうした技術が採用された、しかし、そうした製造メーカー等というと、十分にその利点が発揮されなかったところがある。

 そういう反省からこの機構もつくられるんだと思いますが、今回、こうした機構がつくられることによって、そのことがどのように解消されていくのか、あるいは、そういう中でも民間企業が連携していかなくてはなりませんから、そういうことに対して大臣としてどのように考えてしていこうとしておられるのか、最後にお聞かせをいただければと思います。

高市国務大臣 地デジの日本方式、これはヨーロッパ方式と大変な競争を各地で展開しております。そんな中で、苦労しながら日本方式の採用を了解していただいた国に対して、やはりその後のフォロー、さらに日本のメリットを大きくしていく、そのためのフォローというのが必要ですね。

 でも、そういう取り組みをするに当たっても、やはり日本の事業者にとっては、かなりリスクをとっていただかなきゃいけない。その取り組みを支援していくということで、過去の、これまでの反省点も分析をしながら、日本のメリットを最大化するために機構を活用させていただけたらと考えております。

近藤(昭)委員 ありがとうございました。

 ぜひ本当に、総務省、またそれぞれ頑張っているところでありますから、そうしたものがうまく広がっていくようにバックアップをお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきますが、まず最初に、今回かかっております法案、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構、これに関する内容についてお伺いをしたいと思います。

 まず、基本的な事項ですけれども、この機構の設立の予定の時期、組織の人員規模、さらには事務所の場所、単年度予算規模、それからその職員の中に国の職員が関与するのか、入るのかといったような基本的な事項について、御説明ください。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 機構の設立は、法案成立後に具体的に取り組んでまいるものでございますが、今のところ想定していますのは、機構の設立が多分本年の十月から十一月ごろ、それから設立時の人員体制としては二十名程度、設立の場所は全くまだ未定ではございますが、仕事の関係を考えますと都内にあったらいいのかなというふうに考えてございます。

 また、本機構の予算規模としては、平成二十七年度予算といたしまして、産投出資を二百億、それから政府保証七十億、これを計上させていただいております。

 また、国の職員につきましては、経験とか専門知識を生かしまして機構の職員として働くことは他の機構でも行っておりますので、必要に応じて派遣するということはあろうかと思います。

逢坂委員 今回この機構がやろうとしている仕事については、私たちもよいことだなと思っています。どんどん海外へ放送やら通信やら郵便の部分が展開をしていって、やっていただけたらいいというふうに思っています。

 ただ、我々の議論の中で、先ほど来出ていましたけれども、組織が乱立をするとか、新しい組織をつくるときにはやはりスクラップ・アンド・ビルドというものが必要だろうというふうに当然考えていたわけですが、今回は必ずしもスクラップ・アンド・ビルドではないわけであります。そのことについては、先ほど来多少説明がございましたけれども。

 大臣にぜひお願いしたいのは、この組織が肥大化をしていって必要以上に大きくなったり、あるいは世間から、何だ、天下りの受け皿じゃないかといったようなそしりを受けることのないようにしっかり配慮する必要があると思いますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

高市国務大臣 まず、逢坂委員御懸念の、組織の肥大化ということについてですけれども、機構については、公的資金を活用するものですから、効率的また効果的に業務運営、組織管理が行われることが必要であります。

 この組織運営につきましては、政府共通の官民ファンドの運営に係るガイドラインに基づき、法令上の目的に沿って効率的に運営されているかどうかということを総務大臣が適切に評価するとされておりますから、しっかりと責任を持って監督をしてまいります。

 二つ目の、天下りの受け皿になるんじゃないかという御懸念ですけれども、天下りについても、総務省出身者が役員に就任するということは想定いたしておりません。

 本法案の第十四条、「機構の取締役及び監査役の選任及び解任の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。」とされておりますので、しっかりとここも注視をしてまいります。

逢坂委員 大臣、その今の答弁のとおり、ぜひよろしくお願いいたします。ありがとうございます。

 それでは次に、NHKの会長にお伺いをしたいんですけれども、会長、なかなか耳が不自由だというふうにお聞きして、手を耳に当てておられるようですけれども、NHKの経営委員会というのはNHKの中でどういう位置づけになっているのか、まず、そのことに対する会長のお考え、御認識をお伺いしたいと思います。

籾井参考人 その点につきましては放送法にきっちりと規定されているわけでございますが、経営委員会は、NHKの最高意思決定機関であると同時に、NHKの業務が適正に執行されるよう、我々執行部の職務執行を監督するという役割を担うものと認識いたしております。

逢坂委員 今会長から、NHKの最高意思決定機関であるということと、我々の監督をする、そういう機関であるという話がございました。

 私も全くそうだろうというふうに思うわけですが、最高意思決定機関であるということは、それはどの点をもってして最高意思決定機関というふうに御認識されておられるでしょうか。

籾井参考人 私は、経営委員会の議決されたところに従って、経営委員会の監督のもとで職務を執行していく立場にございます。

逢坂委員 そうですね。実は、NHKの中で議決という行為ができるのは経営委員会だけなんですね。理事会には実は、審議をするという機能はあるんですけれども、そこで決定するということはルール上位置づけられていないわけでありますので、籾井会長、決定をするというのはあくまでも経営委員会であるということの御認識、それは今後とも変わりがないということでよろしいでしょうか。

籾井参考人 その点は、放送法の第二十九条に、「経営委員会の権限等」というくだりで書いてございます。それに従っているわけでございまして、第五十一条では、「会長は、協会を代表し、経営委員会の定めるところに従い、その業務を総理する。」ということになっております。

逢坂委員 浜田経営委員長にお伺いします。

 浜田経営委員長も、経営委員会についての御認識、今の籾井会長と同じというふうに考えてよろしいでしょうか。

浜田参考人 そのとおりでございます。

逢坂委員 さて、そこで、もう一つ籾井会長にお伺いしますけれども、経営委員会と理事会との関係、これは一体どういうものになっているでしょうか。どういう役割分担をしているか、どういう関係にあるか、それについてお考えをお聞かせください。

 書かれたもの、条文を読むとかなんとかということではなくて、御自身がどう認識をされているかということをお聞きしたいので、できれば自分の言葉でお話ししていただけると助かります。

籾井参考人 まず、我々執行部は、理事会で審議をいたしまして、そこで一応、決定といいましょうか、理事会における意思決定、これを経営委員会に諮る、こういうプロセスでやっております。

逢坂委員 まさにそういうことなんですね。

 すなわち、経営委員会というのは、意思決定をする、そして組織全体を監督していくという役割、それから理事会は、業務執行を担う、そういう役割を持っているわけですね。

 だから、理事会の方は、組織全体の意思決定をしていくとかということでは必ずしもない。放送番組の内容をどうやってつくっていこうかとか、どういう放送を流していこうか、どういう予算をつくっていこうか、そういうことをやっていくのが理事会だということであります。

 そういう認識を籾井会長がお持ちになっているのであれば、私は、就任してからこの一年余りの籾井会長の経営委員会に対する接し方、あるいは経営委員会での発言、これが適切だったのかなということについて疑問を持たざるを得ないんですね。

 先ほど、私どもの近藤委員からも話がございましたけれども、先般、四月二十八日の経営委員会の最後の方の籾井会長の話は、どう見ても籾井会長は、自分の処分について、いろいろお話しになっているようですけれども、質問をしているというふうには思えないんですね。これは経営委員会に対して抗議をしているのではないかというふうにも思われるんですけれども、籾井会長、いかがですか、その辺は。

籾井参考人 私の言動についてああいうふうな経営委員会の御沙汰があったわけですが、したがって、私は、具体的にはどういうことでしょうかとお聞きしました。

 私は、経営委員会の立場、経営委員会における発言等々は、ある程度、ある程度といいましょうか、聞きたいことは聞くということは許されているというふうに思うわけでございます。

逢坂委員 会長、聞きたいことは聞く、そうおっしゃっておられますけれども、例えばハイヤー問題に関してでありますけれども、あるいはその他の問題に対して、「私に対する厳重注意と経営委員長コメントがありました。その中で私の言動とありましたが、具体的にはどういうことをおっしゃっているのでしょうか。」これは私は質問だというふうには思います。

 ところが、その次にこういうことを言っているんですね。「ここであらためて私が厳重注意を受けるいわれはないと思います。」これは質問ではなくて、完全に自分の思いを主張しているわけですね。

 これは、経営委員会と理事会の関係を思うと、あるいは会長と経営委員会の関係を思うと、こういうことが頻発する、必ずしも私は適切なこととは思われないんですよ。

 それから、籾井会長が、監査委員の報告の中で、「委員会が「了」とされていますから、われわれの中では終っているはずですよ。」と。そのことをジャッジするのは、必ずしも会長ではないはずなんですね。

 経営委員会が会長の言動やさまざまなことに問題があると思えば、そのことに対して指摘をする、監査をする、これが経営委員会の役割でありますから、そのことに対して、質問ののりを越えて、終わっているんだ、これは少し言い過ぎではないでしょうか。

籾井参考人 私は、私の疑問を提示し、その後、意見交換をしたと思っております。ずっと読んでいただけると、それがおわかりになると思います。

逢坂委員 ずっと読ませていただきました。ずっと読ませていただいて、最後、籾井会長は、必ずしもこれは了解されているというふうには思われないんですね。

 ただ、公開されている議事録によると、浜田委員長が、「会長に対する厳重注意は経営委員会の総意です。これ以上は、議論はいたしません。」ということで、これは終わっているわけですよ。ですから、「わかりました。」というふうに最後におっしゃっていることも確かにつけ加えられてはいますけれども、全体の文脈を見ると、私は、必ずしも経営委員会の役割というものを籾井会長が理解しているようには思われないんです。

 そこで、きょうはもうこれ以上この問題をやりませんけれども、籾井会長、ぜひ、経営委員会と理事会の関係というものをしっかり念頭に置いて、会長として節度のある行動をとっていただきたいと私からお願いをしたいと思います。

 次の質問に移ります。

 それから次に、これは籾井会長にお伺いをしたいんですけれども、公共放送、これはどのようなものだというふうにお考えでしょうか。

 公共放送、条文にこう書いてあるから公共放送はこれだというのではなくて、御自身として公共放送というのはどのようにお考えになっているか。条文は条文としてあることは私も理解をいたします。だけれども、御自身として、それはどのようなものであるか、あるいは社会の中でどのような役割を果たすべきものなのかといったようなことについて、お考えをお披瀝いただきたいと思います。

籾井参考人 放送法の文章を離れてということでございますけれども、我々は、やはりNHKとしては、放送法は原点でありますから、その条文からは離れられないのでございます。これはぜひおわかりいただきたいと思います。

 そういう意味において、私はこの場でも、百回になるかどうかはわかりませんが、相当数申し上げております。事実に基づき、公平公正、不偏不党、法律によるもの以外は何人からも規律されず、こういうスタンスで私はこの一年余りNHKの姿勢についてやってきたつもりでございますし、この場で言うだけではなくて、NHKの中でもそれを徹底してやっているつもりでございます。

 そういうことですから、私は、この三カ年経営計画の中でも、これからも公共放送の原点を堅持するということを明言して、今、三カ年計画に入ったところでございます。

逢坂委員 籾井会長、この場でも何度にもわたって公共放送についてしゃべっていると。それは条文の繰り返し、オウム返しを言っているわけですけれども、私は、条文は条文、それに基づかなければならないのは、こんなものは言うまでもなく当たり前のことなんですよ。それを踏まえた上で、籾井会長は公共放送というものに対してどういうお考えを持っているんですか、どんなものだと思いますかと伺っているんです。いかがですか。お答えいただけますか。

籾井参考人 やはり、委員いろいろ、私の言葉でとか放送法を離れてとかいう御質問でございますけれども、我々は、放送法を守りながらやっていくという、これから離れるわけにはいかないのでございます。

逢坂委員 それでは、籾井会長にお伺いしますけれども、公共放送という言葉は私どもの日本の国にはございますけれども、公共新聞というのはないんですね。なぜ公共新聞はないとお考えですか。

籾井参考人 新聞のことはよくわかりませんけれども、我々には放送法というものがあるというのは事実でございます。

逢坂委員 それでは、なぜ、公共新聞法がなくて、放送法があって、公共放送が位置づけられているとお考えですか。

籾井参考人 私の理解では、テレビを放映するについてのライセンス制といいましょうか、許可制になっておりますから、それをいただくために放送法というものがあって、やはり放送をする人たちは皆公共放送をやらなければならないということになっていると理解しております。

逢坂委員 今ちょっと気になる発言はあったんですけれども、確かに、ライセンスということは放送ではあるというふうに思います。なぜライセンスなんでしょうか。

籾井参考人 限られた電波を使用するために、やはりそういう許可制にしないと、乱立して放送が成り立たなくなるということで、現在、一チャンネルから七チャンネルまで地上波である、こういうふうに私は理解しております。

逢坂委員 それでは、籾井会長に加えてお聞きしますけれども、公共放送、これは商業放送では成り立つんでしょうか、成り立たないんでしょうか。商業放送、つまり、CM、広告収入を基盤にして営業する放送では、公共放送というのは成り立つんでしょうか。

籾井参考人 広告収入で賄っている民間放送も公共放送であると私は思っております。

逢坂委員 籾井会長、確かに民間放送も、これは国民の皆様にいろいろなことをお伝えするという意味では、公共性は非常に高いというふうに思います。でも、それ以上に、やはりNHKは民間放送以上に公共性の強い、高いものだというふうに思うんですね。

 それでは、同じように、裏返して今度は聞かせていただきますが、NHKの放送運営、公共放送を税金でやって、公共放送としての使命を果たすことはできるでしょうか。逆に言うならば、税金でやらない理由は何か。そこをお聞かせください。

籾井参考人 現在の法律と制度では、我々が受信料を徴収するということになっているわけです。公共放送の一つのポイントは、我々はこういう受信料を頂戴することによって、本当に受信料を広く公平に負担していただくということが原則でございますが、受信料は特殊な負担金であるというふうに理解いたしております。

 もちろん、受信料としていただいているんですが、我々は、全国津々浦々、ラジオもテレビも、皆さんが映るようにしなければならないということで、そこにやはりコストもかけていかなければならないわけです。それを現実にやっているわけです。今、難聴世帯というのは本当に数えるほどしかないと思います。

 そういう意味で、我々は、こういう特殊な負担金という形でいただいているわけでございまして、これが一つの公共放送の定義でもあるわけです。

逢坂委員 籾井会長、聞かれたことには残念ながら真っすぐ答えていただけませんでしたけれども、民主主義社会の中で、やはり大変重要なのは情報であります。主権者である国民の皆さんが情報を適切に入手できるということがなければ、民主主義社会は健全に機能しないというふうに思われます。例えば、ある種フィルターのかかった情報ばかりが社会に出ていくというようなことになれば、主権者である国民の皆さんの判断が誤ってしまうわけですね。

 そこで、例えば商業放送であるならば、商業放送も確かに公共性が強いのは当然であります。しかしながら、だからといって商業放送が、資本の論理、スポンサーの思い、考え、そこから一〇〇%遮断できるかといえば、これは遮断できないわけです。多少なりともスポンサーの意向に沿う番組をやらなければいけない。

 例えば、視聴率のことなんかそうですね。スポンサーがたくさんお金を出しているのに、番組の視聴率が低ければ、これはスポンサーとしてはお金を出している意味がない。であるならば、そういう形でスポンサーの意向に沿う番組をつくっていこうじゃないかということで、商業放送というのはスポンサーの意向を一〇〇%遮断することはできなくなる、私はそう思うんです。

 一方で、それでは税で公共放送をやろう、そういうふうにしますと、当然それは、時の政治勢力や政権やそういうものの思惑、これからの影響というのは、税を使うというのは政策に使うわけですから、やはり一〇〇%遮断できないんだと思うんです。

 そういう意味において、日本では、歴史的経過の中で、受信料という、世界では余り例はないわけですけれども、ちょっと特別な仕組みをつくって公共性を保とうとしているんだと私は思うんです。

 こういう考え方について、籾井会長、いかがだと思いますか。

籾井参考人 お答えします。

 税で放送するということは仮定の話でございますし、今現在そういうことにはなっておりませんので、我々としてもそこまで考えてはおりませんが、やはり、今の受信料という形でもらっている、しかも我々としては全国津々浦々まで電波が届くようにしなければいけない。

 そういう中で、我々としては、物理的にはそういうことでございますが、内容的には、かねてから私が申しておりまして、委員からもそういうことを言っちゃいかぬと言われているんですが、放送法に書いてある、公平公正、不偏不党、何人からも規律されずということを、事実をお伝えして、それで視聴者の皆さん、あるいは国民の皆さんがやはり御判断をしていただける、これが我々の役目だと思っております。

 我々は、決して、何人からも規律されずと言っているがごとく、誰からも規律されていないわけです。我々は、報道の自由というのは全面的に確保しているわけでございまして、したがって、最終的に、こうあるべきだとか、こうあっちゃいけないとか、そういうことはNHKとしては言っていないわけでございます。事実をお伝えして、視聴者の皆様に判断していただく、これがNHKの基本スタンスでございます。

逢坂委員 公共放送とは何かということについては、私は、今、本当に少ない時間ですけれども籾井会長と話をさせてもらって、もう少しやりとりをしなければ、籾井会長の本当のところはやはりわからないなという感じがします。

 条文を繰り返し言うということは、それはそれで、何も間違っていることではありません。その条文の範囲内でやるということは、当然であります。

 しかしながら、これから先、国民の皆様に公共放送の何たるかを説明し、受信料を納めていただく。例えば今回、受信料を納めていただくための新たなプロジェクトも立ち上げている。そのときに、ただ納めてくださいではなくて、なぜNHKの存在が必要なんだ、そういうことも説明しなければならないわけです。

 そのときに、条文をオウム返しに読んでいて、国民の皆様が納得できるかどうか。私は違うと思うんですよ。条文だけで理解できないのであれば、わかりやすい言葉で、どうやって公共性、公共放送というものを説明するかとか、そういう工夫がなければ、これは伝わりませんよ。

 したがいまして、単に条文をオウム返しするのではなくて、NHKの会長として、公共放送、私はこう思うんだ、放送法の範囲の中で公共放送とはこういうものなんだ、そういうお考えぐらいお持ちいただかなかったら、私は、国民の皆さんはNHKに対する信頼をどんどん失っていくと思うんです。

 その言葉をぜひ次回までに、どこかでまた私は質問したいと思いますから、しっかり認識を持っていただきたいと思います。ただ、会長に就任されてこれぐらい時間がたって、自分の言葉で公共放送を説明できないというのは、私は非常に残念なことだというふうに思います。

 それで、会長にお伺いします。

 受信料というのは、なぜ、みんなが納める、そういう考え方になっているんでしょうか。

籾井参考人 先ほども申しましたように、受信料というのは特殊な負担金でございまして、これでもって全国津々浦々にインフラを提供していく、それによってほとんどの国民がNHKを視聴できる、こういうふうにすることが我々の非常に重大な使命だと思っております。

 ソフトの面では、先ほど言いましたように、事実に基づいて公平公正に伝えるということでございますが、営業の面では、これはこの場ですからこういう放送法に基づいてというふうに申し上げておりますが、一般の方については、それなりにわかりやすい説明をしているわけでございます。

逢坂委員 この場だから放送法に基づいて説明をするけれども、一般の方にはわかりやすく言う、そのわかりやすく言うところを言ってほしいとお願いしているのに、おっしゃっていただけないのは残念なんですが。籾井会長の、何度かこの間やりとりをさせていただいて、答弁に困るとお笑いになるのが非常にかわいくも思えるんですけれども。

 それで、籾井会長、受信料は、私はこう思っているんですよ。

 先ほど言いましたとおり、公共放送空間というものをやはり国民はしっかり持っておく必要があるんですね。それは、民間放送にもできないし、あるいは出版や新聞にも必ずしもできないんです。

 しかも、電波というのは有限でありますから、いろいろな人がやってしまったら、国民がその電波によって情報を得るという手段もなくしてしまうわけでありますので、そこを何とか確保しようというのが、放送法の規定であり、ライセンス制でもあるし、NHKの公共的な役割だと思うんですね。

 NHKの公共放送の役割がもしこの日本の国からなくなるとするならば、何を情報の、本当に民主主義のよりどころにしていいかということが、国民の皆さんはわからなくなると思う。

 もちろん、それは、情報リテラシーを持って、この情報がいいとか悪いとかということをみんな判断していくのが当たり前の社会でありますけれども、その中でも、特にこの日本のNHK、公共放送についてだけは、ほかからは遮断されている、資本の論理からも遮断されている、政権からも遮断されている。

 そして、その場面を国民の皆様に提供して、金を払ってくれというのではなくて、逆なんですよ。そうではなくて、国民の側が、我々が民主主義の主権者として権力を適正に行使するために、そういう空間をしっかり保持しよう、そのための会費だ。だから我々は、テレビを見ている見ていないにかかわらず、そのお金を払って民主主義社会を健全にしていこうじゃないか、だからこその受信料なんだというような考え方を私は多くの国民の皆様に持っていただく必要があると思うんですね。

 よく私、地域を歩いていて言われるんですよ。逢坂さん、俺なんかNHKなんか見てもいないのに、何で金を払うんだよと。いやいや、父さん、違うんだ、NHKというのは、国民の皆さんが民主主義をしっかりと機能させるために、ほかから遮断された情報提供の場を確保する、そのための町内会費みたいだと思って、町内会費にすればちょっと高いけれども、父さん、払ってくんないか、頼むと。いや、そんなこと言ったっておまえ、俺、テレビ見てねえものと。いやいや、そうでないんだって、いざというときテレビ見るべ、選挙の当確なんて、おまえ、NHKの当確でないと万歳しないんでないのかと。そうしたら、ああ、そう言われればそうかなということなんですけれども。

 籾井会長、ですから、こういうことを自分の口できっちりと説明できるようにならないと、私、まずいと思うんです。オウム返しに放送法の規定だけを繰り返し繰り返し言っていても、本当にそれで籾井会長が公共放送の会長としてやっていけるのかというところは、私はみんなわからないと思うんです。いかがですか、籾井会長。

籾井参考人 まず、NHKのサポートをしていただいて、ありがとうございます。

 それから、今委員が言われたことは、私も全く同感でございまして、特に異論はないです。

 先ほども言いましたけれども、放送法を持ち出して御説明しているのは、やはりこういう衆議院の総務委員会という非常にお偉い方がいっぱい集まっておられるところだから申し上げているわけで、一般の皆さんに放送法がどうだこうだと言っているわけでもないわけですよ。みんなで公平公正に負担してNHKというのをサポートしていただいているんですよ、そういう意味において我々が成り立っているんだということを、まず御説明しなきゃいかぬとは思います。

 それは、私がこの場でそういうことを言ってもちょっと場にそぐわないんじゃないかということで、放送法を持ち出して御説明しているわけでございます。

逢坂委員 もう少しこの問題、籾井会長といずれまたやりたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 委員長、ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 維新の党の高井でございます。

 きょうは、海外通信・放送・郵便事業支援機構、どう略していいのかと思いますけれども、海外通信支援機構とでもちょっと呼ばせていただきますけれども、その質疑。

 この法律の作成をされた事務方の責任者の鈴木局長もきょう参考人で来ていただいていますが、私のかつての上司でございまして、ちょっとやりにくいんですけれども、しかし、厳しく質問をさせていただきたいと思います。ただ、議員の皆さんから私が質問しようと思ったことをかなり聞かれてしまいまして、何を質問しようかなと思っておるんですけれども。

 きょうのテーマの海外通信、海外に行く前に、やはりまずは国内、特に地方、地方創生元年とも言われることしの、この地方創生の部分についてICTが果たすべき役割というものをぜひお聞きしたい、また私の考えも述べさせてもらいたいと思うんです。

 まず最初に大臣にお聞きしたいと思いますが、非常に重要と言われるこの地方創生、そして、総務省というのは、地方自治、地方行政と、そしてICTを両方所管するという、かつての自治省と郵政省が合併をした、二〇〇一年だったと思いますけれども、もう十五年たって、その成果をぜひ出していかなきゃいけないと思うんですが、地方創生におけるICT、どのように活用していくお考えか、お聞かせください。

高市国務大臣 この委員会でも、私、これまで申し上げてまいりましたけれども、やはり今目指している姿は、全国どの地域に住んでいても、安全な環境で生活ができて、質の高い教育ですとか必要な福祉サービスが受けられて、そして働く場所がきちっとある、そういう地方がたくさん全国各地にできていけば、本当に地方からのGDPの引き上げといったことができる、もっともっと日本全体を持続的に成長させることが人口減少社会にあってもできる、そのように私は考えてまいりました。

 そういう意味では、まずICTということ、防災面では大変な威力を発揮しておりますし、諸外国でもやはり、日本のICTシステムを売り込みに先般も私タイに行きましたけれども、防災ICTに一番大きな興味を持っていただきました。

 ICTは、時間と距離を克服するという意味では、地方の創意工夫を生かしたイノベーションの創出を可能とするという意味で、やはり経済成長にも不可欠のツールだと思っております。

 総務省は、昨年末に閣議決定されたまち・ひと・しごと創生総合戦略を踏まえまして、現在、医療、教育、雇用、行政、農業など幅広い分野にまずICTを利活用していただく、この促進。それから、地方への新しい人の流れをつくるということで、今までのテレワークとはちょっと違って、一歩進んだふるさとテレワーク、つまり、自分の会社の仕事を家に持って帰ってやるというのではなくて、都市部などの仕事を地方で採用された社員が地方で行うようなイメージでございます、このふるさとテレワークの推進。それから、観光拠点や防災拠点における公衆無線LAN環境の整備促進。それから、地方の魅力を発信する放送コンテンツの海外展開。これはまた、観光客の増加などにもつながってまいりますので、こういった取り組みを進めております。

高井委員 高市大臣が大変テレワークに力を入れていただいているというのは聞いておりまして、私も高く評価をしております。

 私は内閣委員会にも所属しているんですが、昨日、個人情報保護法が内閣委員会を賛成多数で通りました。個人情報保護法は、ビッグデータ、オープンデータ、パーソナルデータといったものの利活用、今回かなり活用しやすく、もちろん個人情報の保護を図ることと同時に、こういった個人情報データの利活用を図るという面も大きな目的とする法律でございますので、総務省が今行っているパーソナルデータあるいはオープンデータの実証事業なども非常に重要な取り組みだと思っています。

 また、地域のICTという観点でいうと、ICT街づくり実証事業というのを三年間やってこられて、二十七カ所の先進事例をつくられた。そして、その以前も、名前は違いましたけれども、地方自治体に実証事業として先進的な事例を積み上げてきたというのがございます。

 ただ、残念ながら、事業仕分けによって、これが仕分けの対象になったということで、非常に幅広いいろいろな分野でやっていたものが、最近の傾向としては、とにかく事業仕分けを受け、そして財務省からもかなりそう言われるそうなんです、国がやるんだから非常に先進的な、先導的なものだけをやるようにと。

 確かにその財務省の言い分もわかるんですが、しかし、それだとどういうことが起こっているかというと、非常に大きなお金を使って、国費を使って先進的なものをつくるけれども、結局それがほかの自治体には展開していかないということが起こっています。

 私が知っている事例で、私は実は浪人を二回経験しておりまして、その間ITの、地方の情報化のコンサルの仕事をしていたんですけれども、四国のある町で農業用のセンサーを導入した。これは、地元の中小企業のものを使ったら三百万円で設置できた。しかし、その後国の実証事業に採択になって、国の実証事業でやったら大手の企業が出てきて三千万でそれをリプレースしてしまった。これは国の事業ですからその自治体はそれでいいのかもしれませんけれども、しかし、運用費が今度はかかってくるわけでございます。

 そういう意味でいうと、もっと大手企業にお金を落とすような実証事業のやり方というよりも、かつてあったような、広く薄くといいましょうか、いろいろな自治体に、そしてまた、そのプレーヤーも中小企業であったりあるいは地元の企業にもっと活躍していただけるような、そういう地域情報化というのを進めていかなければいけない。これはちょっと私の持論で、特に質問はしませんけれども、そう思っておりますので、この件については、いろいろな機会があると思いますので、また御質問をさせていただきたいと思います。

 もう少し地方にこだわるんですけれども、今回、地方創生の交付金、地域住民生活等緊急支援のための交付金というのがございます。これは、先行投資分ということで、一千四百億円はもう既に交付をされております。そして、残る三百億円が上乗せ交付分ということで、ことしの夏の八月をめどにさらに上乗せされるもので、これは先駆性を有するものに交付するということなんです。

 しかし、この先駆性を有するものとして六事業分野というのが示されていまして、例えば、農林水産業における地域の埋もれた資源の発掘とか、地域の観光資源の開発、コンパクトシティーとか六つあるんですが、ICTという言葉がないんですね。

 私は、地域の活性化にとってICTというのは非常に重要だと思っていますが、これは内閣府が御担当だと思うんですけれども、ICTという言葉が入っていないのはなぜでしょうか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 まず、ICTの利活用の重要性ということでございますけれども、これは、国の総合戦略におきましても、ICTの利活用における地域の活性化として、地域の創意工夫を生かしたイノベーションや新産業の創出を可能とするICTの利活用を医療、教育、雇用、行政、農業などの幅広い分野で推進すること、遠隔医療、テレワークを幅広く推進すること等を盛り込んでいるところでございます。

 その上で、委員御指摘の先行型の交付金の上乗せ交付分については、おっしゃいますように、仕事づくりに資する人材の育成、確保や、農林水産業、観光資源、コンパクトシティー、小さな拠点形成など六分野をお示しはしているところでございますが、もちろん、ICTを利活用してこれらの事業を行うということも含まれているところでございます。

 地方公共団体におかれましては、今いろいろ知恵出しをしているところでございますので、ICTの利活用も含めて、先駆性を有する事業を御提案いただくことを期待しているところでございます。

高井委員 言葉には書いていないけれども、そういう趣旨もある、あるいは、総合戦略の中にはそういう言葉もあるということなんです。

 確かに、私も読みました。ところどころ散見はされますけれども、やはり大きな柱として位置づけられていないなという印象は受けますので、今御答弁されたように、ICTをぜひ活用してほしいという思いがあるのであれば、今後いろいろな場面で、地方自治体への説明の機会もあるでしょうし、また、新たにこういう文書をつくるときなどは、ICTという、本当にこれは地方創生だけじゃなくて、我が国、あるいはきょうのテーマである海外にとっても極めて重要なキーワードで、私は、海外に比べてまだ我が国日本はこの利活用の面では大変おくれている、インフラは世界一を誇ると思いますけれども、利活用の面ではおくれていると思いますので、政府がやはり主導して言っていかないと、地方自治体の首長さんや職員の皆さんはICTというところに目がなかなか向きにくい側面がありますので、ぜひそこは今後強調していただきたいなと思います。

 さらに、関連するんですが、地域版総合戦略というのをつくる、全自治体につくってくれということなんですが、実は、私もコンサルをやっていたので、コンサル仲間の間では、もう空前のバブルになっています、コンサル会社は。

 全自治体、千七百何ぼが全部つくるんですから、それは自治体の職員だけじゃつくれません。小さな自治体なんかは特にそうです。そうなると、コンサルタント会社に委託をするということになるんですが、私が耳にしているところでは、大手の、名前は言いませんけれども、三大大手みたいなところが、たくさんあって、そういった大手のコンサル会社にもう丸投げしているような感じが見受けられます。

 そうすると、大手はステレオタイプの、決まったひな形を幾つか用意して、はい、じゃ、この自治体にはこれこれこれみたいな感じでいく。そうなると、全国どこの自治体をとっても金太郎あめのような地域版総合戦略ができて、全く地方の特性が出てこない。もちろん、自治体の職員がかかわりますから多少の工夫はあるんでしょうけれども、やはりそういうやり方ではこれまでと同じ地方創生にしかならないので、ここは工夫が必要で、地元のコンサルタント会社あるいはNPOとか、そういったところを積極的に活用する。

 確かに、能力的にはちょっと落ちるかもしれません。あと、見ばえもいいものをつくれないかもしれない。だけれども、やはり思いが詰まった、そういうところにお願いをしていくということを、これはもちろん自治体に言わなきゃいけないんですけれども、しかし、政府としても、いろいろな説明の機会などもあるでしょうから、そういった場で強調していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

末宗政府参考人 地方版総合戦略の策定に当たりましては、住民、あるいは産業界、行政機関、教育機関、金融機関、労働団体、メディア、産官学金労言と呼んでおりますけれども、幅広い方々の参画を得ながら、地域の実情を十分に踏まえたものを策定していただきたいと考えております。

 その意味では、委員の御懸念のようなことがないように、地方公共団体みずからが起草作業を行うように助言しておりまして、民間コンサルティング企業等に全てを委託するようなことは避けていただきたいと申し上げているところでございます。

 なお、策定に当たって、住民の結婚、出産、子育て、あるいは定住、移住に関する意識調査、そういった基礎調査をやっていくことは大事なことですので、戦略策定に必要な調査を委託することは差し支えないと考えているところでございます。

 戦略策定に当たってコンサルタントへの委託を行うかどうか、これは各地方公共団体の判断に委ねられるべきものでございますけれども、各自治体におきましては、先ほど申し上げました趣旨を踏まえていただきながら、地域における多様な関係者と連携しながら、地域の特色を生かした地方版総合戦略を策定していただきたいと期待しているところでございます。

高井委員 実は、自治体の方と私も話す機会があるんですけれども、まさに地方銀行とかNPOにかかわってもらってつくるというのが結構大変だと自治体の職員は言われます。つまり、自治体の職員からすると結構抵抗があるんですね、そういう外部の方を入れながら一緒につくっていく。しかし、これは絶対大事だ。私は、政府の方針は正しいと思います。

 しかし、地方自治体がやることですから地方自治体任せですとなったら、恐らく自治体職員がみずからつくる、そして大手コンサルタントと二人だけでつくるみたいなことになりかねないので、できるだけ政府として誘導というか後押しをして、そういった地元の方々を巻き込んでつくるということを今後もしっかりと助言していただければと思います。

 それでは、本題、海外の方に入りたいと思います。

 今回の機構でございますが、先ほどから何人かの方も言われていますので重なってしまうかもしれませんが、大臣に改めてお聞かせいただきたいと思います。

 私も、海外支援の重要性、ICT、地方だけじゃなくて海外にも、しかも日本の成功事例をどんどん持ち込む、そしてパッケージでやっていくんだというのは非常に共感をするところでありますが、これをなぜ官民ファンド方式で行うのかというところに、やはり我が党、維新の党は、官でやるものは官で、民でやれることは民へという明確なスタンスを持っております。

 特に、今回のファンドは、後でまた聞こうと思うんですけれども、民の出資より官の出資の方がかなり大きいという面もあります。

 それから、過去に同じようなファンドを他省庁が、先ほど少し時期を逸しているんじゃないかという質問も出ておりましたけれども、二、三年前に既にそういう事例があって、それが本当に成功しているのか、成功していると判断されればつくってもいいんでしょうけれども、必ずしも成功とは言えないんじゃないかという懸念を持っております。

 大臣のお考えをお聞かせください。

高市国務大臣 官民ファンドは、民業補完を原則としながら、民間の資金や知恵を活用して、政策性の高い分野に重点化したリスクマネーの供給を行うというものです。

 ですから、こうした機能というのは、民間だけではとることが難しいリスクを官民ファンドがとることによって民間の投資を活発化させるというものでございますので、そもそも、民間で絶対大丈夫というものでしたら、民間からたっぷりお金は出てくるんだろうと思います。

 また、官民ファンドは、出資によって長期のリスクマネーを供給するものでございますので、その成果が出るにはやはり一定期間を要するということが一般的ですから、他省の関係のファンドについて、では、どうなのかということについて、成否について私から言及することは差し控えたいと思います。

 しかし、漏れ聞くところによりますと、出資案件の中には、かなり大きなリターンを得るに至った事例も出始めていると考えております。

 いずれにしましても、お認めいただきましたら、本機構におきましては、海外事業の成功事例をしっかりとつくり出してまいりたいと思っております。

高井委員 他省庁の分はコメントは差し控えるということですが、当然、つくられる以上、しっかり分析はされているんだというふうには思います。

 きょうは、似たような、同種の分野ということで、クールジャパン推進機構、経済産業省でございますが、経済産業省にも来ていただいていますので、ちょっとお聞きしたいと思います。

 クールジャパン推進機構は成功しているんでしょうか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたクール・ジャパン・ファンド、クールジャパン機構でございますけれども、日本の地域産品やファッション、日本食などの魅力ある商品を海外に展開するということを後押しするということでございますけれども、こういった分野、従来十分にできていないということもございまして、リスクマネーの供給を目的として設立をされております。

 現時点におきまして、合計十二件、約三百二十億円の支援決定を公表しております。

 具体的な内容については、細かい御説明は省略させていただきますけれども、さまざまな地域の中小企業の商品の海外展開のプラットホームになるような案件でありますとか、日本のインバウンドの観光にもつながるような、例えば海外にジャパン・モールのようなものをつくっていただくとか、また、地域の中小企業が集まって海外に地域の産品をブランド化して提供していくといったような、波及効果の大きい案件を中心に案件採択をしていただいているというふうに考えております。

 成功しているかどうかということは、ちょっと担当官庁として言いにくいところもございますけれども、波及効果の高い案件を今までも拾ってきているものと考えておりまして、引き続きこれを進めていくことが必要であるというふうに考えております。

高井委員 一定の成果は出ているとは思うので、成功していると言い切っていただきたかったというか、やはり役所はそのくらいの気概でやっていただかないと困るのではないかと思います。

 ただ、私は、問題点もあると思っていまして、実は、今の審議官の御答弁の中でもこの言葉は出てきませんでした。それから、経済産業省からこういった、クールジャパン機構と、クールジャパン政策についてと、結構分厚い資料もいただきましたけれども、実は、ほとんどゲームの分野の話が出てきません。

 ただ、私が聞いているところでは、メディア・コンテンツ分野のクール・ジャパンにかかわる分野の海外への輸出額、圧倒的にゲーム分野が多いと聞いていますが、どのくらいの割合を占めますか。

石川政府参考人 御指摘の点でございますけれども、一般財団法人デジタルコンテンツ協会という団体が統計をとっておりまして、今おっしゃられましたゲームを含めましたメディアコンテンツについては、二〇一三年におきまして海外での販売額が約一兆二千七百億円、これは総額でございますが、その中でゲームが一兆二千四百億円、全体の約九七%という数字になっておりまして、輸出のほとんどを占めているという状況でございます。

高井委員 今お聞きしたとおり、九七%ということでありますが、しかし、この「クールジャパンのねらい」という一番最初の表紙を見ても、アニメ、ドラマ、音楽、衣食住、ライフスタイル、地域産品云々というのが書いてあるんですが、本当にゲームという言葉は出てまいりません。

 J―LOPという支援の制度がありますけれども、そこの中には多少出てくる。このJ―LOPの実績を見ると、ゲームへの実績が多いやに聞いているんですけれども、しかし、こういった政策の説明資料には出てこない。

 やはり、日本が培ってきたゲームの技術というのは、今までは、端末ごと売ろうと思うと、なかなか端末とセットで海外に販売するのは難しかった。しかし、今はスマホがあります。スマホでみんなゲームができるとなると、端末は世界共通なんですね。そうするとコンテンツの中身だけで勝負できる。となれば、この今まで日本が培ったゲームが非常に海外で売りやすくなる、売れるという状況にあります。

 こういったゲームの分野をもっと支援すべきと思いますが、いかがですか。

石川政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がありましたゲーム分野でございますけれども、おっしゃいますとおり、クール・ジャパン推進の中でも非常に重要な分野だというふうに私どもも認識をしております。

 具体的な支援におきましては、今、既に御指摘がありましたように、J―LOPと申していますけれども、これは補助金のような事業でございますけれども、個々のゲームが海外に展開する際に、現地の言葉に翻訳をする、また海外の見本市などに出展をするといったようなプロモーションなどについての支援をさせていただいておりまして、今までにおきまして、ゲーム関係では約三百七十件強の案件の支援を実施させていただいております。

 また、業界全体といたしましては、日本が世界のゲーム市場の中心になるようにということで、昨年の東京ゲームショウにおきましては、世界四十カ国から海外のバイヤー約千五百人をお招きいたしまして、ビジネス商談会などを実施させていただいております。

 いずれにしましても、御指摘がありましたように、ゲーム分野の重要性は非常に高うございますので、今まで以上に取り組みを進めてまいりたいと思っております。

高井委員 実は、ゲーム業界の方とお話しすると、支援はあるんだけれども、一つは、大手への支援が多いと。もう既に海外に出ていける企業をさらに支援して、そのコストをちょっと下げてあげるぐらいのことになっていて、本当は海外に出ていきたいけれどもいろいろな壁があって出ていけないような中小企業への支援には回っていないというふうに私は聞きました。

 私は、こういったことも官民ファンドの一つの限界というか、あと、ゲームという言葉が何となくやはりこういう場で政策の中に出てきにくいというのも官民ファンドの弊害じゃないか、民間がやればもっと違う支援にもなるんじゃないかということも思っております。

 クールジャパン機構に私は期待しておりますので、ぜひ、このゲーム分野のことも忘れずに、忘れずにというか、九七%ですから、これは日本のこれからの産業を本当に引っ張る大変大きな分野だと思いますので、力を入れていただきたいと思います。

 それでは、今回の海外通信支援機構、これをつくるに至ったきっかけというか、ICT国際競争力強化・国際展開イニシアティブ、こういう報告書が昨年の六月に出されております。この中身も聞こうと思ったんですけれども、もう時間が大分ないので。

 ここの中で、こういった機構をつくるべきだと、はっきりは書いていませんけれども、そういう趣旨のことが書いてはございます。

 ただ、私がちょっと懸念いたしますのは、この懇談会のメンバーというのを見ますと、住友商事の岡相談役を座長とし、NTTデータ、NTT、NEC、KDDI、シャープ、東芝、日立、ディー・エヌ・エーとかも入っていますけれども、ローソンとかもいますが、富士通、ソニー。しかも、皆さん社長、会長という重鎮がずらっと並んで懇談会を構成しているわけであります。

 こういった会社が、みずから海外に出ていくときの支援を求めてこういう機構をつくろうというふうにつながったんじゃないかということを懸念するんですけれども、いかがでしょうか。

鈴木政府参考人 高井先生には、いつもICT政策の専門家として大変お世話になってございます。

 お答えさせていただきます。

 ICT国際競争力強化・国際展開に関する懇談会に参加していただいた企業の方々は、個別の企業を代表して御参加いただいたということではございませんで、それぞれに豊富な知見と経験をお持ちの有識者個人として御出席をいただいたものでございます。

 懇談会において取りまとめられました最終報告も、特定の企業の利益のために本機構を設立しようというものではありませんで、まさに日本の産業全体あるいは日本経済全体の利益になるものとして御提言をいただいたものと理解してございます。

 総務省といたしましては、本最終報告書を踏まえまして、我が国の産業、経済全体の利益となることを目指して本機構を設立してまいりたいと考えてございます。

高井委員 懇談会報告書を私も読ませていただきましたけれども、非常に多岐にわたった分析をされていて、評価はいたしますが、しかし、やはりそういう懸念もあるということで質問させていただきました。

 それでは、先ほど、政府出資に比べて民間出資が少ないんじゃないかということで、実は、今回、政府出資二百億に対して民間出資は二十億と、十分の一、九対一であります。ちなみに、先ほどのクールジャパンは四百億に対して百億ですから、四対一ということでありますので、私は、この民間出資二十億というのは非常に少ないんじゃないか。

 我が党で議論したときも、これは官民ファンドじゃなくて官官官官官民ファンドだという意見が出ておるんですけれども、この民間出資二十億は少ないんじゃないかという点についてお答えください。

西銘副大臣 お答えします。

 本機構は、海外において通信、放送、郵便事業を展開していこうという民間事業者の主体的な取り組みを支援する観点から、民間が主体となって進める現地事業に対して、リスクが高く民間の金融機関等から出資が集まりにくい性質を有しておりますから、その一部を公的資金による出資によって支援しようというものであります。

 この機構の公的な性格に鑑みますと、機構の財源としては、政府の出資が中心となるものであります。先生の御指摘のように、海外ではこの事業は政府が大きくかかわってきます規制の分野でありますから、多くの官民ファンドにおいても、国からの出資金が機構の財源の中心となるものであります。

 一方で、この機構による支援スキームを有効に機能させていくためには、民間の適切なコミットメントを確保する必要があると認識をしております。

 総務省としましては、法律が成立をしましたら、この機構設立に際しまして一定の民間出資金を確保するとともに、機構の運営段階においては、プロジェクトの形成等に当たりましても民間の事業者との連携をしっかりととっていかなければならないと考えております。

 出資だけで終わるものではなくて、また融資の部分等も将来出てくると思いますが、その辺のことも含めてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

高井委員 私は、二十億は少ないじゃないかと言いましたけれども、しかし、二十億集めるのがむしろ大変じゃないかというふうにも思っております。そういう意味で、クールジャパン機構は百億円もよく集めたなと思うんですが。

 それでは、二十億の出資はどういった企業に求める想定をされておられるのか。

 それから、発起人というのが必要になります。クールジャパン機構は銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行が発起人と聞いておりますが、発起人というのはどういう企業を想定しているのでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、二十億の出資をいただくような企業に関してでございますが、法案成立後に、本機構設立に向けましてそれぞれのところに働きかけをしていくこととなりますが、まず、通信、放送、郵便分野の関係企業、あるいはそれらに投資するような金融機関等で、ICT国際競争力強化・国際展開に関する懇談会、こちらのメンバーになっておられますような企業を中心に、こういった分野の関係企業等から御出資をいただくというふうに考えてございます。

 また、発起人に関しましては、こういった分野におきます関心を大変有する企業、ということは出資をするような企業の方々であるとか、こういった分野に専門的知識、知見、経験をお持ちの方々、そういった方々に発起人になっていただけるのではないかというふうに考えてございます。

高井委員 くれぐれも無理やり出資を集めるというようなことのないように、しかしながら、つくった以上は集めなきゃいけない、難しいところだと思いますけれども、まさにその出資が集まるかどうかというのが、この機構が成功するのかどうか、これをつくるのがいいのかどうかという一つのメルクマールにもなると思います。

 それでは、もう同じような質問は出たんですけれども、改めて、今回の社長、取締役にどういう人を想定されているのか。それから、こういう機構に大事なのは目きき役です。的確な案件に的確な金額を出資することを決めるための目きき役、こういった人というのは引っ張りだこで、なかなかこういう官民ファンドみたいな、そんなにいいお給料も出せないんじゃないかと思いますけれども、そういう人をどうやって見つけてくるのか。その点についてもお聞かせください。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 機構の社長とか取締役、そういった目きき役に関しましては、法案成立後に発起人の皆様方において選任をされるというふうに考えてございますが、通信、放送、郵便分野に精通した方、あるいはプロジェクトファイナンスや法務、企業会計等について豊富な知識と経験を有する方々が御指摘の役職につかれるであろうことを期待してございます。

高井委員 クールジャパンの場合は、現役の方をヘッドハンティングというか引っ張ってこられて会長、社長についていただいております。やはりそういった現役ばりばりの方でないとなかなか難しいのではないか。OBで、もうあとは余生を過ごそうみたいな方がトップに立ったのでは、とてもこれは成り立ちませんので。先ほど大臣は、もう天下りはしないということも明言されたと思いますので、この辺はあえて、繰り返しになりますので、聞きません。

 最後に大臣にお聞きしておきたいと思いますが、これは国からの出資でございます。そして、二十年後には、解散をしたときに利益が出ていれば、国にお金が返ってくる。そうなれば、当然この機構をつくる意味もあるわけでございますが、こういった出資をしっかり回収できるのか、そして回収以上のものを、リターンを期待できるのか、この機構が成功する自信は大臣としてあるのか、その御覚悟をお聞かせください。

高市国務大臣 個別の案件のリスク状況を見定めつつ、出資全体としての元本確保を図るポートフォリオマネジメントによって、出資金の毀損を回避して、一定の利益を確保できるように、総務大臣としてしっかりと監督をしてまいります。

 法律に基づきまして、総務大臣は、事業年度ごとの業務の実績というものについても評価を行わなければなりませんし、また、評価を機構に対して通知し、公表もしなければなりません。また、支援基準を策定し、支援決定の認可もしなければなりません。大変重い責任を負うものであると考えておりますので、しっかりと監督をしてまいります。

 それから、この機構が成功するのかという御質問でございますけれども、これは成功させなきゃ仕方ないし、その大きな可能性がある分野だと思っております。

 今までリスクが非常にあって出にくかったけれども、少し後押しをしたら海外市場に打って出ていける、よその国との競争に勝っていける、その可能性が非常に大きな分野でございますので、この機構の意義をしっかりと生かしてまいりたいと思っております。

高井委員 ありがとうございます。大臣の決意は承りました。

 私も、冒頭申しましたとおり、海外にこういった分野、通信、放送、郵便、郵便などもミャンマーで大変成功をおさめておられますし、地デジも十七カ国と非常に成功しております。こういった、海外に打って出るということは大賛成でございます。

 ただ、この官民ファンドというやり方がいいのかどうかという点、これについては、実は我が党でも議論をいたしました。やるべきだ、賛成だという意見もありました。しかし、やはり我が党の、官でやるべきものは官で、民でやるべきものは民へというその理念からすると、過去につくった同様の機構についても反対をしてきたという経緯もございます。

 クールジャパンについても、いい面もありますけれども、やはり問題点もあるということ、また、きょうの御質問においてもやはり明確にならなかった面もございますので、私としては、つくられた以上はぜひ頑張っていただきたいなというふうに思いますし、また、きょう御指摘申し上げたような点について、改善できるところがあれば改善していただきたいということを御要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

桝屋委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案について質問したいと思います。

 まず、大臣は、この法案についての説明の中で、我が国経済の持続的な成長のためには、海外における新たな事業機会を捉え、我が国の事業者の収益性の向上を図る必要があると説明されました。

 また、大臣御自身のホームページでも、タイ王国訪問報告として、海外へのビジネス展開を現実のものとするためには、人、物、金において、官民共同で戦略的に投資する必要がある、この法案を可決していただけましたら、機構による支援を通じて、アジアを初めとする海外において拡大が見込まれるICT分野における新たなサービス需要を積極的に取り込み、我が国の経済成長につなげることができるよう、さらに頑張ってまいりますと述べておられます。

 そこで、まず大臣に御確認したいと思いますが、つまり、今回の機構、いわゆる官民ファンドは、安倍内閣の成長戦略のもと、日本企業が活動しやすいように事業者の収益を上げるため投資機構をつくると考えてよろしいでしょうか。

高市国務大臣 アジアを中心とする海外で今後市場の拡大が見込まれている通信、放送、郵便事業の需要を取り込むということが重要であるということが一つ。

 それから、委員が御指摘くださったように、やはり通信、放送、郵便事業というのは、規制分野であるとともに、政治的な影響も受けやすいというリスクがありますから、公的な性格を有する機構が、資金供給や専門家派遣などを通じて支援を行ってリスクの軽減を図るということが、結果的に、潜在的な海外需要の開拓、我が国事業者の収益性の向上、そして我が国経済の持続的な成長に寄与することになると考えております。

梅村委員 今、大臣の御答弁にもありましたリスクの問題ですけれども、具体的にどんなリスクがあるのか、もう少し具体的に説明をお願いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えさせていただきます。

 海外におけますリスクとしては、特に政治リスクといたしましては、突然の政策とか制度の変更、それに伴います需要のリスクとしては、例えば、急な料金政策の変更等によりまして想定していた売り上げを確保できずに採算割れを招くといったようなリスクなどを想定してございます。

 そもそも、通信、放送、郵便事業につきましては、参入規制だとか料金規制という規制に大きく依存しておりますために、突然の規制の変更による事業見直しのリスク、あるいは、有限希少な電波を利用する事業も多いために、政府からの周波数の割り当ての着実な履行がないと事業展開が一切できなくなるというリスク、そういったものが想定されてございます。

梅村委員 それでは、今回のような機構は、ほかの国にも同じようなものはあるのでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 本機構のような、海外におけます通信、放送、郵便事業を出資を通じて支援する組織の存在というのは余りございません。

 ただし、中国や韓国の事業者は出資ではないものの、例えば中国においては、自国の労働者や資機材を利用するという形でひもつきの援助を行うであるとか、あるいは、国がまさに事業者と一体であるという形で海外展開を行っているものとの競争だというふうに認識してございます。

梅村委員 国として、さまざまな政策はこれまでも日本でもしてきたと思いますけれども、機構という形をとって官民ファンドで支援をしていくことについて言えば、海外でも例がないということでございました。

 私は、そもそもこの法案について、成長戦略のため、海外事業拡大のためということはかなり書いてあるわけですけれども、やはり税金、一般会計も投入していく問題でありますし、国民にとってどのような意味があるのか、こういう点の議論も非常に大事な点だというふうに思っております。

 といいますのは、やはり今、格差と貧困の拡大の中、とりわけ子供たちは六人に一人が貧困に陥っています。私も地元に帰れば、やはり、経済はよくなったというお声もありますけれども、多くは、年金が下がって、引き続き暮らしが大変。

 そういう中で、国民に対しては国の財政が大変という中で、この間、自立自助というものを徹底して求め、今年度予算でも社会保障については三千九百億円も削るような状況だったというふうに思います。

 なぜ、国民に対しては自立自助で、そういう努力を求めながら、こういう企業に対して官民挙げて人、物、金を手厚く整え、そして、とりわけ機構では、政府保証で七十億円を一般会計から出しますし、出資二百億円は財投から行うもので、財投は公的資金であります。

 そもそも、資本主義社会でありまして、個々の民間企業が収益や利益を上げようと思えば、何らかのリスクはつきもので、そのリスクを勘案して事業化したり受注したりするのが経済制度であるとも思います。にもかかわらず、あえて国民に自立自助を厳しく強いながら、こういう企業に対しては減税や資金援助、税金も投入する。やはり、国民生活の実態からすると、話が逆さまではないかというお声もあろうかと思いますけれども、この点は、高市大臣、いかがお考えでしょうか。

高市国務大臣 この通信、放送、郵便事業分野というのは、先ほども申し上げましたが、規制分野であるということから生じる海外でのリスク、政治的なリスクもございます。政権がかわった後、受注が見込まれていたものがなかなか受注できなくなってしまう、そういった国においてまたニーズが非常に高いといったこともあります。需要のリスクもそれに伴って発生します。

 それでも、日本にとっては大きなチャンスをもたらす分野でございますし、今このタイミングでやはり打って出ていかなければということから、こういった機構を用いて、本当に一押しをすることで各企業に、当然自己責任でございますけれども、一定のリスクをこの機構でとりながら後押しをしていくということでございます。

 しかし、海外に出ていかれる事業者だけじゃなくて、その企業が海外に出ていくことによって、そしてまた、そこでビジネスがちゃんと成り立っていくことによって、関連機器等、部品なども含めて、納めている他の国内事業者にもメリットが出てくる。そういったことを考えますと、やはりこれは雇用の拡大につながっていくと私は考えます。

 ですから、企業だけを応援するというよりは、企業が発展してしっかりと収益を上げてくださることによって、国民、消費者にも還元されていく、雇用の拡大それから賃金の拡大によって家計で景気回復を実感していただく、その一助となるものだと考えております。

梅村委員 ただ、その手厚さはすさまじい内容ではないかなと思います。

 この間のトップセールスの分野の取り組み、いつ、どのような国に、どのような企業と行ってきたのか、これについてお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省は、経協インフラ戦略会議など政府全体の取り組みの一環といたしまして、ICT分野における海外展開支援を積極的に推進してまいりました。

 地デジに関しましては、もう御存じのとおり、世界十七カ国に方式を採用していただきまして、今現在、具体的に送信機等の機械が売れているという状況でございます。

 トップセールスという意味では、アジア、中南米地域を中心に、約二十カ国でトップセールスを行っておりまして、現在は、地デジのみでなく、ICT分野全体にその活動を広げ、日本のすぐれたICTインフラやサービスの海外への展開に取り組んでいるところでございます。

 このゴールデンウイークも、実は私、高市大臣と一緒にタイを訪れて、プラユット首相などと会談し、トップレベルで協力強化に合意してまいりましたし、また、西銘副大臣、先ほども御答弁いただきましたが、チリを訪問して、ゴメス・ロボ運輸通信大臣とも会談をいただきまして、ICT分野全体で協力することに合意していただくなど、積極的にトップセールスを実施していただいているところでございます。

梅村委員 それでは、そうした中で契約に至った事業規模や受注企業などはいかがでしょうか。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、放送分野におきまして、早くから取り組んだ地デジ日本方式の採用国の増加に伴いまして、まさに日本企業による海外でのデジタル放送の送信機の受注が大変ふえているところでございます。

 また、通信インフラとしましては、インドネシアと米国間を結ぶ海底ケーブル及びブラジルとアンゴラを結ぶ海底ケーブルの受注、これはアフリカと南米を結んだ初の光海底ケーブルだそうですが、それと、ミャンマーにおけます現地の国営通信事業者との業務提携及び円借款によります通信網の改善事業、こういったものの形成にも成功してございます。

 このほか、防災ICTにつきましては、インドネシアにおける防災ICTシステムのODA案件の形成、それからインドにおけます固体化気象レーダーの受注に成功するなど、ICTのいろいろな分野で成果を上げてきているところでございます。

梅村委員 済みません、それで、企業名の方は、どういう企業になっておりますでしょうか。

鈴木政府参考人 個別の企業名につきましては、ちょっと今手元にございませんが、そういった我が国でまさに世界と競争しておりますような光のケーブルをつくっていらっしゃる会社であるとか大手の企業といったものが、まずはこういった実績を上げられております。

梅村委員 今、具体的な企業名はありませんでしたけれども、大手のというお話がありました。

 二〇一四年のインドネシア海底ケーブル、これは約二百六十億円ですけれどもNEC、インドで固体化気象レーダーは東芝、ブラジルとアンゴラ間の海底ケーブルはNEC、そして、先ほどのミャンマーの携帯電話網の構築では住友商事とKDDIというような報道も新聞でされているかというふうに承知しております。

 結局、こういう企業を見てみると、そもそも自力でこの間海外進出をしてきた大手の、大企業が中心となっている感もあるというふうに思います。

 今回の機構では、こうした体力のある、力のある、リスク、リスクと言いますけれども、リスクも本来資金的にはしょい込めるような、そういうようなところも対象になっていくのでしょうか。

西銘副大臣 本機構は、通信、放送、郵便事業等を行う者に対して資金供給やその他の支援を行うこととしておりまして、海外需要の拡大を通じて、当該事業者に関連の機器を供給する事業者、さらには我が国の国内の事業者の収益の向上にも資すると考えております。このことをもって、我が国全体の産業、経済の持続的な成長に寄与することを目的としているものであります。

 また、我が国事業者の収益性の向上は、単に当該事業者が享受するものではなくて、売り上げを通じて我が国で使われる機器の料金が安くなっていく、低廉化などさまざまな形で国民の利用者にも還元をされることが期待されております。

 このように、海外における通信、放送、郵便事業を支援することは、経済の好循環の実現をもたらし、そのことに寄与するものでありまして、そのことを通じて国民全体に広く恩恵をもたらすものと考えております。

 以上です。

梅村委員 そういうところが潤えば国民に還元があるというお話でありました。

 しかし、実際にこの十年ぐらいの成長戦略や経済政策の中で、大企業は内部留保、利益を非常に上げているにもかかわらず、そして今御紹介があった大企業で見ますと、例えば、KDDIでも二兆八千一億円の内部留保があります。東芝も一兆八千億円の内部留保があります。住友商事も一兆六千億円などがあります。

 しかし、この内部留保、しかも株式への配当が中心で、国民、労働者への賃上げなどには、なかなかこの間、還元されてこなかったというのも経済の実態であったというふうに思うわけであります。

 また、税金の減税が物すごく既にやられているわけです。法人三税は、そもそも実効税率は約四〇%でありますけれども、これらの企業、例えば住友商事などは、さまざまな減税で九・九%になっている。これに加えて、今回の予算でも、今後二年間で大企業向けの法人税の実効税率は三・二九%下げて、一兆六千億円もの減税を実施しようとしているわけです。

 まだ、国の財政が潤い、国民にも社会保障の切り捨てなどをやっていないときであれば、こういう支援も含めて、さまざまな議論があろうかと思いますけれども、国民に対して、国の財政が大変ということでさまざまな切り捨てをやる中で、なぜこれほどの手厚い支援を官民ファンドをつくってまでこの時期にやらなければならないのか、このことは大きく問われなければならないというふうに私は思います。

 そこで、今回のこういう問題が、本当に国民や国内の中小業者に還元されるのか、この間は十分企業のもうけが国内の労働者の賃上げや国民生活に還元されなかった、だから今、国民は悲鳴を上げているわけで、今度の機構がそういうものになるかどうかというのを改めて西銘副大臣から伺いたいと思います。

西銘副大臣 通信、放送、郵便の分野は、アジアを中心に世界市場の拡大が見込まれております。一方、国内の市場は少子高齢化等々、比較しますと、このアジアの世界市場、拡大を見込まれているところに展開していくということは重要なことだと考えております。

 また、これらの分野は、規制の分野でありまして、政府が非常にかかわってまいりますし、政治的な影響を受けやすいなどのリスクが高いということから、特に支援が必要と考え、通信、放送、郵便の分野に特化した機構を新たに設立するものであります。

 本機構は、海外需要開拓支援機構、クールジャパン機構や海外交通・都市開発事業支援機構、JOINなどの既存の官民ファンドとは政策の目的や対象の分野が異なるものであります。

 また、この機構は、融資を中心とするJBIC、あるいは開発協力を行うJICAなどの公的機関による支援のみでは十分な実施が困難なプロジェクトを支援するために設立することを目標としております。

 事業者からは、民間のみでは十分な資金供給ができない事業へのリスクマネーを供給するという資金的な支援に加えまして、政府が出資をして公的な組織になりますこの組織の関与によりまして、政治リスク等の軽減を図るという事業運営上のメリットもあることと思います。大きな期待が寄せられているところであります。

 以上です。

梅村委員 済みません、今の質問は次の質問のお答えだったかと思いまして。

 今聞きましたのは、やはり、大企業にこれだけ手厚い援助をして、今までは私たち国民にはなかなか賃金だとか暮らしの面では波及がなかったように思うんだけれども、本当に、一般会計まで使ってファンドをつくって、そういうことが私たち国民にしっかりと還元されるのか、国内の中小業者にまでその利益が行き届くのか、そういうことをちょっとお伺いしたかったので、今の質問はまた先のことだったので、承っておきます。ありがとうございます。

 その点、いかがでしょうか。

西銘副大臣 この機構によりまして、民間事業者が海外展開していくことを応援していくと先ほども答弁しましたけれども、関連する機器の事業等、国内の事業者がそのことによって販売を伸ばしていくということによりまして機器の値段が下がっていく、あるいは国内の事業がそのことによって潤っていくことによって、国民への、働く人たちへの還元も十分に可能だと考えております。

 以上です。

梅村委員 こういう質問をいたしますのは、今御答弁にもあるように、機構というのが、リスクの少ないところは民間独自でやり、民間ファンドが、民間では参入しにくいリスクの高いところ、初期のリスクマネーを請け負い、呼び水を起こしていくということですけれども、かなりのハイリスクを請け負う計画になっているからこそ、やはり危惧もあるのではないかということを質問させていただいているんですけれども、そのようなリスクの高い官民ファンドになりませんか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 まず、今回つくりますファンドは、まさに民間だけに任せておきますと、リスクが高いのでなかなか出ていかない。そこに対して一部出資という形でリスクの負担を申し上げれば、まさに先生御指摘でありますような企業の内部留保などが海外展開の投資に回って、それがビジネスとなって、ビジネスの収益を上げる、それが国内のいろいろな関連の事業者さんたちに裨益をする。

 あるいは、企業自身が世界で事業を拡大いたしますと、それを通じて料金が下がったりサービスが改善したりということで、我が国の国民にも利益が還元されるものだというふうに考えてございます。

梅村委員 それでは、NTTドコモが撤退の事例が新聞報道にもなっていましたけれども、その事案について、どのような内容かもお答えいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 NTTドコモは、二〇〇九年にインドにおけますタタ・テレサービシズという移動通信会社の株式の二六%を取得し、タタ・ドコモのブランドでインドにおけます携帯電話サービスを開始いたしました。

 しかしながら、二〇一一年に、携帯用の周波数の割り当てをめぐる不正が明らかとなりまして、現職の通信大臣が逮捕され、その後、それまで割り当てられていた周波数が無効化されるなど、出資当初は想定していなかった規制面でのリスクが顕在化し、加入者数も伸び悩んだことから、二〇一四年の四月にNTTドコモはTTSL、タタ・テレサービシズの株式を全て売却する方針を発表いたしました。

 現在、NTTドコモは、タタ・テレサービシズの親会社であるタタ・サンズという会社と撤退に向けて交渉中であると聞いてございます。

梅村委員 それでは、今後はそういうリスクも政府がしょって、また、そういうNTTも含めて、官民ファンドで支援していくこともあるということでよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 何度も申し上げていますように、今回のように、まさに政権がかわって規制が変わって、それによって事業がうまくいかなくなるということから、どうしても日本の企業が海外進出、特に途上国に対する進出というのをちゅうちょする面がございます。

 そういったところに対して、政府が出資面でのリスクの一部を負担するということによってリスクの軽減を図りまして、やはり今世界で競争状態になってございますので、世界マーケットに日本企業たちがどんどん出ていっていただく。

 そういうことによって、世界の需要を取り込み、収益性を向上させて、もって国内の経済の好循環を達成し、国民に還元をしていただくということを期待してございます。

梅村委員 リスクがあって当たり前ということですけれども、もし大きな損失が出れば、それは国民の血税で賄うようになるからこそ、この場で議論し、また慎重な議論が必要だということを訴えさせていただいておるわけです。

 しかも、このような事業展開をした結果、NTTはさらに今、中期経営計画の中で、EPS、一株当たりの利益の成長に力を入れ、海外での利益を二〇一八年三月期において二〇一五年三月期比で二倍以上にする目標を持っている。さらに、コスト削減として、二〇一五年三月期比で六千億円を目指すなど、NTTはコスト削減と海外での利益成長を主眼に置いているような経営姿勢をとっております。これでどうして国民に還元するという姿勢が見えるのか。

 つまり、それは、ユニバーサル制度の問題が今議論されていると思いますけれども、採算性などから見直しを求めるなどして、総務省の情報通信審議会においても、固定電話を当分の間ユニバーサル制度において維持するのが適当とされました。

 しかし、NTTは、国内事業、ユニバーサルに関する設備更新対策が求められるが、その対策が見えてこないということで、非常に国内のユニバーサルを、言葉はあれかもしれないけれども、軽視しながら、国際分野における利益成長を主眼に置いたような事業計画があるのではないかというふうに見受けられます。

 やはりこうした姿勢を見ると、ファンドがリスクを背負って、そしてそれは国民の血税にはね返ってくるわけであって、そういう国民への影響、損害はないのか、国民に対して本当に波及があるのかということは疑念に思うわけであります。

 その点はいかがでしょうか。

鈴木政府参考人 委員御指摘のように、確かに今回設立しようとしてございます機構につきましては、まさに公的資金を活用させていただくということですので、その公的資金を効果的かつ効率的に使っていただくように、機構におきましては業務の運営とか組織管理をしっかりやっていただくということが必要と認識してございます。

 ただ、国内は人口減少等に伴いまして需要が減少する一方、海外のマーケットは今伸びていくという状況でございますので、そういった海外の需要を取り込み、国内企業、産業の収益性を上げていくということを通じまして、他方で、私どもも、通信、放送分野の規制をきちんとし、競争も進め、国民にその成果が還元されるという方策もとりまして、国民全体の便益が向上するというようなことを目指してまいりたいと考えてございます。

梅村委員 最後になりますけれども、この機構についてさまざまな問題が今指摘されてまいりました、私の前の皆さんの質問の中でも。

 そういう中で、国民の血税で賄うことになっては絶対にならないわけで、先ほども決意が聞かれましたけれども、高市大臣に、その支援基準やリスク対策など、現時点で、やはり国民を守っていく、そういう立場で決意やお考えを伺いたいというふうに思います。

高市国務大臣 まず、機構は、今局長が申し上げましたとおり、公的資金を活用するものですから、機構の設立後、申請のあった案件につきましては、機構において、総務大臣が策定する支援基準に基づいて、事業の将来性や収益性をしっかりと審査していくということとともに、総務省におきましても、当該案件が支援基準に適合しているかどうかについて審査をし、総務大臣が支援決定の認可を行います。

 それから、支援決定後においても、機構において案件ごとに十分なモニタリングを行いまして、個別案件のリスク管理に努めていくということになります。

 この個別案件のリスク状況を見定めつつ、出資全体としての元本確保を図るポートフォリオマネジメントによって、出資金の毀損を回避し、一定の利益を確保できるように、総務大臣としてしっかりと監督をしてまいります。

梅村委員 そもそも、電気通信、放送、郵便事業は、公共性の高い分野です。ユニバーサルサービスや公共の福祉を支える役割を担っている事業者に、収益性の向上を求め、リスクの大きな海外展開を後押ししていけば、国内事業と国民にも重大な影響を及ぼしかねないと考えるものです。

 今、国民生活を考えるとき、総務省、国がやるべき仕事は、やはり経済成長の点でいっても、GDPの六割を占める個人消費を直接温める、国民の暮らしと中小企業、中小業者の営業を直接温める施策、こういう点をもっと広げていく努力をされる、経済成長を進めるべきであることを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 審議しております法案について質問いたします。

 この法案は、世界のインフラ需要、とりわけアジア地域の通信、放送、郵便インフラ整備の需要を日本が積極的に取り込んでいく、平たく言えば、アジアの通信関係のインフラ事業を日本の企業が受注できるようにしていく、そういうことを支援する法案だというふうに理解しております。また、対象となる企業の規模も問わないものと承知をしております。

 私自身は、情報収集の力が相対的に弱く、財務体質も強くない中小企業の後押しをする、そういうことであれば理解もしますし、必要性もあろうかと思います。しかし、リスクをとる力を本来持つ大企業にまでリスクの肩がわりをするということは疑問を持たざるを得ません。リスクなしのベネフィットというものが資本主義経済の正常な姿なのか。

 昨年七月に亡くなられましたけれども、作家の深田祐介さんが七九年と八二年にそれぞれ「革命商人」それから「炎熱商人」という小説を書かれております。先ほど、制度の変更がある云々というふうに言われましたけれども、「革命商人」においては、社会主義政権からピノチェトのクーデターによって丸ごと政権がかわるわけですから、制度変更のレベルじゃない。それほど激しい中にあっても、そうした政治的なものも含めて果敢にリスクをとりに行く、そういう企業人を描いておりました。

 まさに、ケインズが一般理論で指摘した、予想不能な不確実性のもとでも投資活動を行う心理、アニマルスピリットというふうに名づけられておりますけれども、そのものだというふうに思います。現在、このアニマルスピリットの重要性については、経済学の世界でも注目をされております。

 ところが、今回の法案というのは、この考え方からは対極にあるのではないか。一方で、先ほどからも指摘がありますけれども、国民に対しては、リスクをとれ、貯蓄ではなく投資をということを言い、さらには国民の大切な年金も非常にリスクの高い株式市場に投入しながら、大企業についてはリスクは見てやる、これはやはり私はおかしいというふうに思います。

 そのことをまず指摘させていただいた上で、質問に入っていきたいと思います。

 最初にお聞きしたいんですけれども、アジア地域のインフラ整備に今後年間ベースでどの程度の需要が発生すると想定しているのか。そのうち、通信、放送、郵便事業はどの程度の割合を占めると考えているのか、説明をお願いします。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 アジア地域におきますインフラ整備の需要は、二〇二〇年までに年平均で八十兆円程度というのが見込まれてございます。そのうち、情報通信インフラにつきましては、年平均十兆円程度が見込まれておりまして、今回、本機構によります支援を通じまして、こうした膨大なアジアのインフラ需要といったものを取り込んでまいりたいと考えてございます。

吉川(元)委員 今御答弁いただいたとおり、あと、新聞等によれば、アジア地域だけでも八千億ドル、九十六兆円というようなことも一部報道されております。

 まず、問題にしなければならないのは、それらの需要を満たす資金がどのように供給をされるのかという点だろうと思います。国際金融機関としては、IMFや世銀、それから、日本が最大の出資国であり総裁を務めているアジア開発銀行があります。

 先般のアジア開発銀行の総会では、一七年度にアジア開発銀行の融資枠を現行の一・五倍に引き上げ、年間二百億ドルの融資を可能にするということが合意をされたと報じられております。

 しかし、年間二百億ドル、アジアのインフラ需要は今ほど新聞報道等の八千億ドルということを基準に見ますと、その四十分の一にすぎず、今のアジア開発銀行の融資枠ではアジアのインフラ需要を満たすことはできないというのは明白であります。

 そこで、きょうは財務省に来ていただいておりますけれども、現時点で五十七カ国が参加表明をしているアジアインフラ投資銀行、AIIBに、日本は創設メンバーとしての参加を見送りました。

 表向き、AIIBのガバナンスの不透明さなども指摘をされておりますけれども、イギリスの参加を皮切りに、日本、アメリカ、カナダを除くG7諸国も参加をしております。また、恐らく日本の大きな投資先と想定されるであろうASEAN諸国も、南シナ海等々での安全保障問題では中国と厳しく対立をしているにもかかわらず、加盟国の全てが参加をし、AIIBに強い期待感を表明しております。

 途上国は、IMFやアジア開発銀行の運営のあり方、融資の審査期間の長さに強い不満を持っておりますから、AIIBがアジアのインフラとして今後大きな力を持つということは否定できないというふうに思います。事実、先日、AIIBを主導する中国とインドの首脳会談でも、AIIBの運用をめぐって南アジアの発展に向けて協力し合うことで合意をし、中印両国で総額一兆九千億円の事業協力を行うことも合意されたと伝えられております。

 アジア諸国のみならず、ヨーロッパの先進国も強い期待感を持つAIIBになぜ日本が最初から参加をしないのか、私は非常に理解に苦しむのですが、その創設メンバーとしての参加を見送った理由をお聞かせください。

大家大臣政務官 お答えいたします。

 これまで、先生御指摘のように、AIIBについてはいろいろな議論があった、御指摘があったことは承知をしております。

 その上で、このアジアインフラ投資銀行、いわゆるAIIBについては、日本として、これもずっと言い続けてきていることでありますけれども、公正なガバナンスの確保。特に、加盟国を代表する理事会が、きちんと個別の案件を審査、承認することができるかどうか、事務局任せであったり、事務局が勝手にやるというようなことではなくて。これがまず一点目。

 次に、債務の持続可能性、多重債務にならないか等々や、環境、社会に対する影響の配慮が確保されているか。これは、住民との対話がなされているか、環境事前評価がされているかという点であります。これが重要というふうに考えています。

 現在に至るまでに、この点についてきちんとした内容が明確になっていないということがあります。

 このような中で、日本は、域内国として中国に次ぐGDPを有しています。及び、中国が日本の動向に強い関心を示しているという状況があります。このために、今先生も言われました五十七カ国が既に参加しているという状況がありますけれども、このような国と一緒に交渉に参加するという方法よりは、交渉の外から直接中国に働きかけるという方法の方が、先ほどから申し上げているガバナンスやさまざまな配慮等の確保に向けて影響力が行使できるというふうに判断をして、議論の結果として、現時点、交渉に参加をしていないというふうに申し上げます。

吉川(元)委員 外からの方が影響力が行使できる。これは、所管が違うということがありますけれども、TPPとは全く違うスタンスを日本政府はAIIBに対してはとると。TPPについては中に入ってやるんだと言っていたのに、AIIBについては外から影響力。私は、そんな影響力を果たして発揮させることができるのか、非常に疑問に思っております。

 そもそも、日米と同じ対応をするであろうと考えられていたイギリスがAIIBに参加をし、その後に、ドイツやオーストラリアなど、総理が直接共同歩調をとりましょうと言っていた国々が雪崩を打って参加することになりました。報道されているように、これは財務省だけではなくて外務省もそうかもわかりませんけれども、これらの国々がAIIBに参加しない、できないと読み違えていたとすれば、これはかなり大きな失策だろうというふうに思います。

 アジアの膨大なインフラ需要、その資金調達で強い期待感が表明されているAIIBが今後アジアのインフラ投資の中心的存在になるであろうことを誰もが感じ取っています。そこに参加している国々、アジアでいえば中国や韓国になりますが、今でも世界のインフラ市場は日本よりもシェア率が高いわけですから、これらの国々がアジアのインフラ事業獲得競争でますます優位に立つことは私は間違いないのではないかと思います。

 このとき、投資枠二百億円、銀行への政府保証枠七十億円という機構を設立しても、これは焼け石に水なのではないか。そもそも、それ以前に、入り口で受注競争に負けてしまうのではないかというふうにも感じております。

 そこで、再度お聞きしますけれども、今度は、出資期限が六月になっております。そこには参加をする方向で検討はされているのか、それとも、ここにも参加をしないというふうに決められているのか、尋ねます。

大家大臣政務官 お答えいたします。

 先生の御指摘はわからないではありませんけれども、疑問が残る中で背中を押されて入るというような形はとらない。

 これはあくまでも金融機関ですから、先ほどから申し上げているとおりの内容がきちんと確保されるかどうか、それを見きわめなければならないというふうに思っていますので、期限を区切るということではなくて、内容が大事でありますから、関係する国々ときちんと連携をして、その内容について働きかけをしていくということであります。

吉川(元)委員 疑問がある中で入れないというのであれば、TPPだって入れないじゃないですか。何でそれが、TPPは入るけれどもこっちには入らないというふうになるのか。TPPについても、中身については入るまでわからない、どんなことがあるのかわからないという中で、入って主導的に役割を果たしていくんだと言っていて、こちらではそうではないというのは、私自身は非常に違う対応の仕方だというふうに思います。

 総務省に尋ねますが、このAIIBが設立をされて実際に動き始めた場合、今まさに審議をしております機構、これに与える影響というものをどのように想定されているのか、尋ねます。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 AIIBは、まさにこれから設立をされるものでございまして、現時点においては、その具体的な業務だとか支援対象あるいは支援の内容といったものがまだ明確でございませんので、やはりこれからつくろうとしています本機構への影響については定かでない、ちょっと私からは、まだよくわからないということでございます。

 ただ、我が国といたしましては、JICAやJBIC等の既存の公的機関による支援に加えまして、本機構が企業の海外展開に係る初期投資を支援することで投資リスクの軽減を図ることによりまして、我が国の通信、放送、郵便事業者の海外展開を後押ししてまいりたいと考えてございます。

吉川(元)委員 わからないということですけれども、ということは、つまり、大きな影響、よい影響ではなくて悪い影響が出ることも十分想定をされる。そういう中で、あえて今この機構をつくらなければいけない理由というのは私はないと思います。もし必要であれば、もう少し時間をかけて、その状況も見ながらやっていくということが必要なのではないかというふうに思います。

 財務省はこれでおしまいですので、結構です。

 次に、総務省の情報通信白書二〇一四年度版に、世界のインフラ市場における企業の国籍別のシェアの推移がグラフとして掲載されております。それを見ますと、二〇〇二年に、日本企業のシェアは九・二%、中国が六・一、韓国二・三でした。その後、日本企業のシェアは低下の一途をたどって、二〇一二年には四・一までに低下する一方、中国のシェアは一三・一、韓国も八・一、日本の企業のシェア率のそれぞれ三倍と二倍にまで拡大しております。

 そこで、お聞きしますけれども、世界のインフラ市場で日本企業のシェアが短期間でかくも低下してしまった原因というものをどこら辺に考えているのか、総務省に尋ねます。

鈴木政府参考人 お答えします。

 日本のシェアが年々低下しています原因といたしましては、円高等の為替の状況、あるいは人件費を初めとする経費が安い価格競争力のある中国や韓国の製品、こういった国の企業が国を挙げた支援を受けて台頭してきているということなどが挙げられると思います。

吉川(元)委員 今答弁されたとおり、途上国がインフラ事業の発注先を決める際に重視している指標というのは価格だというふうに思われます。

 価格競争で今後日本の企業が中国や韓国の企業に対して優位に立つということは、なかなか想定しづらいのではないか。だとすれば、中国や韓国と絶対的に競争関係、対立関係に立つというよりは、双方が得意とする部門、例えば日本でいえば高い技術力、そういうものが生かせるように協力して事業を受注し、アジアのインフラ市場での日本企業の存在価値を高めていくということの方がより現実的ではないか。

 だからこそ、先ほどから言っておりますけれども、期待感の高いAIIBに参加、協力をすることの方が、今この機構法案で言われているような官民ファンドをつくって支援するよりも効果が高いのではないかというふうに考えます。

 次に、国土交通省にも来ていただいております。

 今回設立された海外通信・放送・郵便事業支援機構とほぼ同じ目的、スキームで、昨年十月に海外交通・都市開発事業支援機構が設立をされました。設立されてからまだ一年たっておりませんが、機構を通じた投資や融資、債務保証等の実績、それを通じた海外での交通、都市インフラ開発事業への参加実績というのはどういったものなのか、御説明をお願いします。

中神政府参考人 お答え申し上げます。

 海外交通・都市開発事業支援機構、略称JOINと申しますけれども、海外における交通、都市開発市場に対する我が国事業者の参入の促進を図ることを目的といたしまして、昨年十月二十日に設立されたものでございます。

 それ以来の取り組みについて申し上げますと、まず、ガバナンス体制等機構の運営基盤を確立いたしまして、出資案件の検討に必要な審査基準の整備等を行うとともに、具体的な出資対象事案の検討を行ってきたところでございます。

 具体的事案といたしましては、これまでJOINに対しまして四十三件の出資相談がございました。分野別に見ますと、港湾を初めといたしまして、鉄道、都市開発など、各分野から満遍なく御相談があるという状況でございます。また、エリア別に見ますと、ASEANを初めといたしまして、中東、アフリカ、中南米など、幅広い範囲の案件について御相談がある状況でございます。

 現在、JOINにおきましては、熟度の高い案件につきまして、案件ごとにチームを設けまして、案件の審査を慎重かつ精力的に進めているところでございます。現時点ではまだ支援決定に至った事案はございませんけれども、今年度早期の支援決定に向けて努めているところでございます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 次に、日本企業の海外インフラ市場でのシェアが低下する中、二〇一三年六月、日本再興戦略において、二〇二〇年に三十兆円、現在は約十兆円ですから約三倍になりますが、インフラシステムの受注を実現するとした国際戦略が、閣議決定されました。

 総務省も二〇一四年にICT国際競争力強化・国際展開イニシアティブというものを公表し、二〇二〇年までに、ICT関係で、現在の海外売上高の五倍、約十七・五兆円の売り上げを目指すとしました。

 そのために、ICTインフラ、コンテンツの海外展開支援として、二〇一二年度の補正予算のコンテンツ海外展開促進事業四十七億円を皮切りに、今年度当初予算のICT国際競争力強化パッケージ支援十一・四億円に至るまで、ざっと見ただけですから正確ではありませんけれども、総額で二百三十億円弱の予算がこの三年余りの間に投入をされております。

 この予算が日本企業のICTインフラ事業の受注あるいはICT関連産業の海外売上高にどのように貢献してきたのか、具体的に説明を求めます。

高市国務大臣 放送分野に関して申し上げますけれども、まずは、地上デジタルテレビ放送の日本方式、これは、日本方式の採用国が増加したことに伴いまして、日本企業による海外でのデジタル放送送信機の受注が増加中でございます。例えば、ブラジルが日本方式を採用してくださった平成十八年以降で見ますと、放送送信機の受注実績は合計百十四億円に達しております。

 それから、放送コンテンツの海外展開につきましては、これも、放送コンテンツ関連海外輸出額を二〇一八年度までに二〇一〇年度の約三倍にするという目標を掲げているんですけれども、二〇一三年度の実績値を見ますと、約百六億円でございます。

 これまで実施してきた海外展開支援策というのが、着実に効果を発揮していると思っております。

 そのほか、放送を通じて海外に日本各地の魅力をわかりやすく紹介することによりまして、観光需要の増加、それから地域産品の新たな販路拡大にもつながりますから、地域経済に対する大きな波及効果も生み出しつつあるものと考えております。

 この機構を活用しまして、これからもICT分野の国際展開をさらに進めてまいりたいと思っております。

吉川(元)委員 もう時間が来てしまいましたので残りの質問はちょっとできませんけれども、先ほども言いましたとおり、やはりAIIBの動向というものをきちんと見ていかないと、つくったはいいけれども、何もなかっただとか、もっと危ないものしか来なかっただとか、そういう形になりかねないというふうに思います。

 出した手前、この国会で成立というふうに考えるのは当然かと思いますけれども、ただし、つくった段階と今の世界の状況は変化しているわけですから、決めたんだから最後までやるんだ、そういうかたくなな態度ではなくて、きちんとその対応も含めて考えていただくことをお願いいたしまして、私の質問とします。

 以上です。

桝屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案への反対討論を行います。

 本法案は、支援機構を設立し、海外において電気通信事業、放送事業または郵便事業を行う者に資金や専門家の派遣、助言等の支援を行うもので、その設立のため、政府一般会計から自己資金として七十億円を拠出するほか、財政投融資特別会計で二百億円の予算を確保しています。

 政府は、成長戦略に基づいて、二〇二〇年に三十兆円のインフラシステムの受注との目標を定めた国際展開戦略を進め、各国との交渉やトップセールスを行っています。これらに参加する民間事業者は、みずから海外展開を位置づけ、進めてきた事業者です。こうした一部の大手企業に対し、既にさまざまなインフラ海外展開の支援機構があるにもかかわらず、電気通信、放送、郵便分野に特化した支援を手厚く行う必要はありません。

 反対の理由は、第一に、そもそも電気通信、放送、郵便事業は、我が国のユニバーサルサービスや公共の福祉を支える重要な役割を担っています。こうした事業者に収益性の向上を求め、官民一体となってリスクの大きな海外展開を進めれば、本来役割を果たすべき国内事業にも重大な影響を及ぼすことになります。

 第二は、電気通信、放送、郵便事業は、各国の政治情勢の変動や制度の変更などによるリスクが高い分野です。この分野への支援を特化すれば大きな損失につながりかねません。支援機構の損失を国民の血税で賄うことになります。

 第三は、市場確保に当たっては、各国の規制のあり方や主権にかかわる問題にも踏み込みかねません。

 以上を指摘し、反対討論とします。(拍手)

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党・市民連合を代表し、株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案について、反対の立場から討論を行います。

 アジア地域を中心に、世界でインフラ整備のための需要が大変大きくなっていることは事実です。しかしながら、民間企業によるインフラ事業獲得競争を政府が直接に支援する、あるいは債務保証を行うことは賛成できません。

 投資や融資、債務保証の対象となる民間事業者が、単独で海外のインフラ事業に着手することが困難な中小事業者であれば、理解できないこともありません。しかし、法案には、支援対象となる民間事業者の規模等に特段の制限がないことから、大手企業の海外進出まで政府が支援し、そのリスクを負うことにもなりかねません。

 海外に進出する企業を支援する機関としては、国際協力機構、国際協力銀行、日本貿易保険などが既に存在しています。本来企業の自己責任で行うべき海外のインフラ事業参加を、あえて新たな官民ファンドを設立して支援する理由も明確ではありません。この点が、本法案に反対する第一の理由です。

 法案に反対する第二の理由は、設立が予定されているアジアインフラ投資銀行、AIIBの設立メンバーに日本政府が加わらなかったことに関連します。膨大なアジア地域のインフラ整備需要に対応し、今後、多額の資金需要も発生します。

 ガバナンスのあり方などで不透明な部分が存在するにせよ、AIIBに対する強い期待感がASEAN諸国を初めとしたアジア各国から表明される中、日本政府が現時点までAIIBへの参加を見送っている理由が理解できません。

 AIIBがアジアのインフラ事業投資の中心的な存在になった場合、本法案で新たに機構を設立しても、融資を行うAIIB参加国の事業者がアジアのインフラ事業を受注していく可能性は非常に高いと言わざるを得ません。その結果、本機構が果たすとした役割が果たせない環境になりかねません。

 以上、本法案に反対する主な理由を挙げ、討論を終わります。

桝屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより採決に入ります。

 株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、坂本哲志君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。奥野総一郎君。

奥野(総)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構法案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 機構が海外における通信・放送・郵便事業の支援を行うに当たっては、民間が行えることは民間に任せるという基本的考えのもと、民業補完の観点から、民間のニーズを適切に把握し、特に我が国中小事業者の参入促進に資することとなるよう努めるとともに、機構が我が国経済の持続的な成長に寄与するとの目的に沿って運営されるよう、「官民ファンドの運営に係るガイドライン」に従って機構の活動の検証を適時的確に行うこと。また、組織の肥大化を招かないよう、機構の組織の在り方について適宜見直しを行うこと。

 二 機構が支援する対象となる事業者への投資、融資等の金融機能が機構の主要な事業となることに鑑み、専門知識を有する民間の人材の確保とともに、その積極的な活用等を図ること。

 三 機構が支援する対象事業については、我が国の通信・放送・郵便事業に関する技術等が十分活用され、投資事業全体として長期収益性の確保が図られるよう、支援基準を早急に定めること。

 四 機構に設置され、支援の対象となる事業者及び支援の内容の決定等を行う海外通信・放送・郵便事業委員会は、機構が対象事業の支援を適正に行う上で重要な機関であることに鑑み、同委員会の客観的・中立的な判断や運営が確保されているかを含め、機構に対し必要な監督を行うこと。

 五 機構の取締役の人選等に当たっては、いやしくも機構が新たな天下り先との疑念を持たれないように、厳正に行うこと。

 六 コンテンツの海外展開などに関し、機構と他の官民ファンド等との間において、役割の分担を行いつつ、密接な連携と協力を図り、施策の効果的な実施に努めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

桝屋委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

桝屋委員長 次回は、来る二十六日火曜日午前九時十分理事会、午前九時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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