衆議院

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第17号 平成27年5月28日(木曜日)

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平成二十七年五月二十八日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 桝屋 敬悟君

   理事 石崎  徹君 理事 石田 真敏君

   理事 菅家 一郎君 理事 坂本 哲志君

   理事 山口 泰明君 理事 奥野総一郎君

   理事 水戸 将史君 理事 稲津  久君

      あかま二郎君    池田 道孝君

      大西 英男君    鬼木  誠君

      金子万寿夫君    金子めぐみ君

      川崎 二郎君    黄川田仁志君

      小林 史明君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    田所 嘉徳君

      田畑 裕明君    高木 宏壽君

      橘 慶一郎君    土屋 正忠君

      中村 裕之君    長坂 康正君

      宮内 秀樹君    武藤 容治君

      宗清 皇一君    逢坂 誠二君

      黄川田 徹君    黒岩 宇洋君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      福田 昭夫君    高井 崇志君

      吉村 洋文君    濱村  進君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      吉川  元君    長崎幸太郎君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        西銘恒三郎君

   総務大臣政務官      あかま二郎君

   総務大臣政務官      武藤 容治君

   総務大臣政務官      長谷川 岳君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       武田 博之君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長)            吉良 裕臣君

   参考人

   (日本郵政株式会社専務執行役)          谷垣 邦夫君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          壺井 俊博君

   総務委員会専門員     畠山 裕子君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十八日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     田畑 裕明君

  中村 裕之君     宮内 秀樹君

  武正 公一君     黒岩 宇洋君

  浜地 雅一君     濱村  進君

同日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     新藤 義孝君

  宮内 秀樹君     中村 裕之君

  黒岩 宇洋君     武正 公一君

  濱村  進君     浜地 雅一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第六二号)


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     ――――◇―――――

桝屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、吉村洋文君から、維新の党提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。吉村洋文君。

    ―――――――――――――

 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

吉村委員 ただいま議題となりました郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、維新の党を代表して、その趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 信書につきましては、現行の郵便法、いわゆる信書便法のもと、日本郵便株式会社及び信書便事業者以外の者にその送達を委託することが罰則をもって禁止されておりますが、どのような文書が信書に該当するかが一般にはわかりにくい場合があることを背景に、利用者が法違反の認識のないまま日本郵便株式会社等以外の者に信書の送達を委託し、罪に問われるリスクにさらされている現状にあります。

 そこで、利用者が信書の送達に関し、罪に問われるリスクにさらされることがないよう、本修正案を提出した次第であります。

 次に、本修正案の内容について御説明申し上げます。

 第一に、郵便法第四条二項の規定に違反して信書の送達を業とする者または運送営業者等に信書の送達を委託することを禁止する郵便法第四条四項の規定を削除することとしております。

 第二に、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

桝屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本郵政株式会社専務執行役谷垣邦夫君及び常務執行役壺井俊博君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省情報流通行政局郵政行政部長武田博之君及び総合通信基盤局長吉良裕臣君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田徹君。

黄川田(徹)委員 民主党の黄川田徹であります。

 通告に従い、日本郵政の経営状況について、ユニバーサルサービスについて、そして郵便局のネットワークについて、それぞれ質問していきたいと思います。

 郵便事業でありますけれども、御案内のとおり、明治四年に発足しまして、以来、百四十四年の歴史があります。この間に、国の直轄事業から、郵便事業庁から、平成十五年に日本郵政公社が設立され、信書便事業の民間開放が行われ、平成十九年には郵政民営化がスタートしたわけであります。

 公社化のときの審議でありますけれども、当時の小泉総理は公社化は民営化への一里塚ということで、たしか当時の大臣は片山虎之助さんだと思っております。

 スタート直後には、思い出しますと、会社の経営の強化ということでしょう、資産の売却、土地あるいはかんぽの宿などまとめて売却の計画であるとか、あるいはまた、簡易郵便局がだんだん閉鎖されていくといいますか、そういう状況もあったと記憶しております。

 さまざまありましたけれども、今現在の日本郵便を取り巻く経営状況、どういう状況になっているか、お尋ねいたします。

壺井参考人 私ども日本郵便の決算の推移等について、御説明を申し上げたいと思います。

 二〇一二年十月に、旧郵便局株式会社と旧郵便事業株式会社が統合いたしまして日本郵便株式会社が発足しておりますので、前期比が比較可能な二〇一三―二〇一四年度の決算の推移について申し上げますと、二期連続で増収減益という状況になっております。

 今回の二〇一四年度決算につきましては、営業収益は前期比四百五十一億円増の二兆八千百九十一億円となり、営業費用につきましては前期比八百十億円増の二兆八千八十四億円となっております。この結果、営業利益につきましては、前期比三百六十三億円減の百六億円となっておるところでございます。

黄川田(徹)委員 二〇一五年三月期の決算の状況はどうでしょうか。今一三年―一四年をお話しされましたけれども。

壺井参考人 重ねて申し上げますが、二〇一四年度決算につきまして、先ほど申し上げましたとおり、営業収益は四百五十一億円増となっております。しかし、営業費用が八百十億円増となっておりますことから、営業利益は前期比三百六十三億円減の百六億円となっておるところでございます。

黄川田(徹)委員 会社として、その原因等はどのように認識しておりますか。

壺井参考人 お答えいたします。

 二〇一四年度決算において減益となった理由につきまして、御説明を申し上げます。

 営業収益は、郵便物数の減少傾向が続く中でありますけれども、中小口営業の取り組み等によりますゆうパックやEMSなどの取扱物数の増加、並びに不動産事業の推進や提携金融サービスの拡充などによりまして、増収となっております。

 しかしながら、営業費用につきまして、ゆうパックやEMSなどの取扱物数の増加に伴う費用の増加、雇用情勢による賃金単価の上昇に伴う人件費、それから基盤整備強化としての次世代情報端末の全国展開等投資に伴う費用の増加などによりまして、営業収益の増に対して費用が上回っておるものでございます。

黄川田(徹)委員 情報通信技術の進展によりまして、郵便物の引受数等を長期的に検証していくということ等々、厳しい環境にある、そしてまた、郵便、物流事業は三期ぶりに営業赤字という形だ、こう思っております。

 そこで、もう上場を控えておりますので、日本郵便の収益の拡大策等々、どのように捉まえているか、お尋ねいたします。

壺井参考人 収益拡大策についてのお尋ねでございます。

 本年四月一日に公表いたしました日本郵政グループ中期経営計画におきまして、日本郵便といたしましては、郵便、物流事業、金融窓口事業を合わせまして、二〇一七年度営業目標といたしまして、連結営業収益三・一兆円、連結経常利益三百五十億円程度、当期純利益三百億円程度を目指すことといたしております。

 具体的に申し上げますと、郵便、物流事業におきましては、郵便物数の減少要因がある中で、成長著しい通販市場、Eコマース市場を中心にゆうパック、ゆうメールの拡大を目指すことで、二〇一七年度に二兆円程度の営業収益の確保を目指してまいることといたしております。

 また、金融窓口事業におきましては、物販の提供商品、販売チャンネルの拡大、強化、不動産プロジェクトの確実な推進、提携金融の取扱局拡大等によりまして、二〇一七年度に一・一兆円程度の営業収益の確保を目指してまいりたいと考えておるところでございます。

 一方、費用面につきましても、ゆうパックの取り扱い増に伴う費用の増加がある中で、業務量の増減に合わせて労働力を調整するとともに、郵便、物流ネットワーク再編、現金自動入出金機等の機器の配備、仕事のやり方の見直し、作業の機械化等による省力化等に取り組み、生産性を向上させることによりまして、営業費用の伸びを抑制することといたしているものでございます。

 こうした取り組みによりまして、先ほど申しました、経常利益三百五十億円程度、当期純利益三百億円程度の利益の確保を目指していくこととしておるところでございます。

黄川田(徹)委員 日本郵便として、物流の部分に成長の光を当てるとか、さまざまな課題があると思います。

 今、会社の方から中期経営計画のお話が出ましたけれども、大臣とすれば、この一五から一七の中期経営計画、どのように感じておりますか。所感をお尋ねいたします。

高市国務大臣 先月、日本郵政グループが発表された中期経営計画でございますが、昨年二月に発表した中期経営計画について、日本郵政グループ三社の株式上場スキームですとか経営環境の変化などを踏まえて、見直しを行われたものと承知しています。

 ユニバーサルサービスの責務を遂行すること、上場を見据えてグループの企業価値を向上させることなどを中期的なグループ経営方針とした上で、さらなる収益性の追求などの課題を克服するための計画であると理解しています。

 私も、日本郵政グループによるユニバーサルサービスの安定的な提供、郵便局のみまもりサービスなどの公益性、地域性を発揮した取り組み、企業価値向上の必要性を常々申し上げてきたところでございますので、これらを着実に進めていただくことが必要だと思っております。

黄川田(徹)委員 今大臣お話しのとおり、ユニバーサルサービスの提供や郵便局のネットワークの水準の維持、これはしっかりした経営があってこそできることでありますので、その辺はしっかりと総務省としても対応していただきたい、こう思っております。

 それで、日本郵政の株式上場でありますけれども、ことしの秋の予定とお聞きしておりますけれども、日本郵政グループ三社、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株の同時売り出し、そして上場をどのように認識しておりますか。これは財務省にお尋ねいたします。

大家大臣政務官 お答えいたします。

 郵政民営化法におきましては、まず親会社である日本郵政の株式及び子会社である金融二社、ゆうちょ銀行とかんぽ生命でありますけれども、この株式の双方について、日本郵政株式の政府保有義務分、この政府保有義務分というのは、常時、三分の一超であります、これを除いて、できる限り早期に処分するとされています。

 こうした中、昨年選定した主幹事証券会社の知見も踏まえ、日本郵政とも協議をし、日本郵政株式の早期処分義務を果たし、早期に復興財源に充てるという観点、及び、日本郵政の保有する金融二社株式を同時に上場することによって、市場の評価するこれら二社の株式価値を日本郵政の株式価格に透明性を持って反映させるという観点などを総合的に勘案して、三社同時上場が適当であるという結論に至りました。

黄川田(徹)委員 三月三十一日には東京証券取引所に上場の予備申請をしておりますので、これは計画どおりに進められると思うのであります。

 この株でありますけれども、どの程度の売却を見込んでおるのか、株式の価値はどうなのか、その試算はされておるのか。

 そしてまた、今触れられましたけれども、東日本大震災の財源として、たしか四兆円を確保しなきゃいけないとなっていると思うのでありますけれども、その辺、重ねてお尋ねいたします。

大家大臣政務官 お答えいたします。

 日本郵政株式の最終的な売却収入は、今後の株式市場の動向や日本郵政の業績によっても影響を受けるものであります。でありますから、現段階で確たることを申し上げることは困難であるということは、まず御理解をいただきたいというふうに思っています。

 いずれにいたしましても、黄川田先生御指摘のように、政府として、日本郵政株式の売却収入、これは四兆円程度を復興財源として確保することとなっております。

 財務省といたしましては、復興財源の確保の観点も踏まえ、適正かつ最大の売却収入を得ることができるよう、平成二十七年度半ば以降の売り出し、上場に向けてしっかり取り組んでまいりたいと思っております。

黄川田(徹)委員 報道ベースでありますけれども、主幹事証券会社が大体七・九兆円程度と試算しておるようでありますし、日本郵政の二〇一四年九月末時点の連結純資産十三・八兆円の六割程度の評価ではないかということでありますので、四兆円の確保はしっかりされるのではないかと思っております。

 また一方、震災復興、五年間の集中復興期間が今年度で終わるということで、後半五年間の財政フレームも六月末には提示しなきゃいけないということになっておると思います。安定した財源があることによって、復興の予算も執行されるということでありますので、財務省もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 次に、郵便事業のユニバーサルサービスについてお尋ねいたしたいと思います。

 平成二十四年には、郵政民営化法の一部改正によりまして、郵便だけではなくて、貯金、保険を含めて郵政三事業にユニバーサルサービスが拡充されまして、郵便局で提供することとなりました。義務づけであります。

 そこで、今般の法案にも関係するのでありますけれども、平成二十五年十月の情報通信審議会への諮問に対して、この七月、もうあと一カ月ですね、最終答申がなされる予定と聞いておりますけれども、この検討状況を改めてお尋ねいたします。

西銘副大臣 総務省は、平成二十五年の十月、委員御指摘のように、情報通信審議会に対しまして、郵政事業のユニバーサルサービス確保と郵便・信書便市場の活性化方策のあり方、二点について諮問をしております。

 このうち、郵便・信書便市場の活性化方策のあり方につきましては、平成二十六年三月に中間答申、二十六年十二月に第二次中間答申を受け、今般の郵便法、信書便法の改正案を提出したところであります。

 郵政事業のユニバーサルサービスにつきましては、平成二十四年の改正郵政民営化法によりまして、郵便業務に加え、金融サービスも提供することが義務づけられたところであります。

 現在、審議会におきまして、将来にわたって安定的にユニバーサルサービスを確保するためにはどのような方策が必要かを審議いただいておりまして、ことしの夏ごろをめどに答申を取りまとめていただく予定であります。

 総務省としましては、この情報通信審議会の答申を受け、国民の暮らしを支えるユニバーサルサービスの確保に向けて、必要な取り組みを進めてまいる所存であります。

 以上です。

黄川田(徹)委員 この答申でありますけれども、夏というお話でありますが、もう間もなくでありますよね。今般の法案、出ているのでありますけれども、ユニバーサルサービスの取り扱いについてはなかなか具体的に見えてこないところがちょっとあるわけであります。

 その前に、一次、二次の中間答申を受けまして、今般の法改正案の特定信書便役務の範囲を拡大する等の規制緩和が出たわけでありますけれども、それでは、郵政事業への影響をどのように捉えているか、お尋ねいたします。

西銘副大臣 今回の特定信書便事業の拡大範囲におきまして日本郵便が得ている収入は、約八十九億円であります。郵便収入全体に占める割合が約〇・七%にとどまっております。

 また、特定信書便事業者、四百者ぐらいあると聞いておりますが、この事業者は新たな需要の掘り起こしに取り組む意向を示しておりまして、必ずしも日本郵便の現在の収入がそのまま特定信書便事業者に移行することにはならないと考えられますから、郵便のユニバーサルサービスの提供確保には影響を与えないものと判断をしております。

 以上です。

黄川田(徹)委員 日本郵政のさまざまな事業全体からすれば、金額的には確かに小さい金額かもしれませんけれども、規制緩和がどんどん進むような形になっていくと、本来的なユニバーサルサービスが維持確保できるのかというところの心配も多少ありますし、この法案が先に出てきて、活性化策の方が先行しているような形であります。

 諮問に対する答申、本答申があると思いますので、ぜひともそこにはきめ細かい具体的なユニバーサルサービスの施策について書き込まれるように望んでおきたいと思います。

 それでは、次は、郵便局のネットワークについてお尋ねいたしたいと思います。

 郵便局のネットワークを活用した地方自治体等との連携サービスの状況、公社化からそういう事業も始まったと思いますけれども、現状はどうか、お尋ねいたします。

壺井参考人 郵便局ネットワークを活用しました地方自治体との連携につきまして、御説明を申し上げます。

 まず、地方公共団体から委託を受けまして窓口で実施している事務としましては、住民票の写し等の交付、それから、バス回数券、ごみ袋、ごみ処理券等の販売、並びに、バス利用券等の交付、公的施設の利用申し込みの取り次ぎなどがございます。二〇一五年四月現在、約二百五十自治体から受託をいたしまして、約四千局で実施をいたしているところでございます。

 また、地方公共団体に対しまして、ふるさと納税の寄附者に対する返礼品の選考や配送等のオペレーション業務につきまして御提案もいたしているところでございまして、既に千葉県いすみ市の委託を受けて四月からお取り扱いを開始いたしているところでございます。

 さらに、一部郵便局では、地方公共団体等の委託を受けまして、プレミアム商品券等の販売業務の実施もいたしているところでございます。

 そのほか、地方公共団体または社会福祉協議会等との協定に基づきまして無償で実施いたしておりますサービスといたしまして、ひまわりサービスというものがございます。これは、過疎地域におきまして、原則として七十歳以上のひとり暮らしの高齢者及び高齢者夫婦世帯を対象にいたしまして、郵便配達に従事する社員による励ましの声かけ、集荷サービス等を実施しておるものでございます。

 なお、高齢者への総合的な生活サポートサービスを提供するという観点から、二〇一三年十月より、郵便局のみまもりサービスを六エリア、百三局で試行実施いたしております。お客様からは話し相手サービスとして好評でございますので、二〇一五年度中の複数県における試行拡大を目指しているところでございまして、今後、これらの実績を踏まえまして、地方公共団体との連携をさらに図ってまいりたいと考えておる次第でございます。

 以上です。

黄川田(徹)委員 郵政の公社化そして民営化の流れと同時期に平成の大合併があったということ、そして、合併により支所や出張所の機能が低下する中で、どういう形で公共サービスを提供するかの中で、日本郵政等との連携が図られながら、今でも地域の方々にも、あるいはまた自治体とのこれからの連携もさらに進めていくという話でありますので、単なる民間企業ではなくて、もうあすあすには百五十年の郵便の歴史がある企業でありますので、ぜひともその連携等を進めていただきたいと思います。

 そしてまた、今まさに少子高齢化、超少子高齢化の中でありますけれども、そこの中で自治体がどうやって元気になっていくかということがございます。

 先ほどお話ししたとおり、地域社会に根差した企業としての日本郵政グループでありますので、ぜひとも自治体の活性化施策と連携されればいいと思っておりますけれども、日本郵政の地域密着型サービスのあり方といいますか、自治体との関連でどういうふうな連携等ができるか、総務大臣として所感があれば、お尋ねいたします。

高市国務大臣 郵便局は、その公益性、地域性を発揮して、地域における生活インフラとしての機能も果たしていただいており、その維持強化を図っていくということが地方創生の推進にも寄与すると考えております。

 日本郵政グループがこれまで日本全国あまねく設置された郵便局ネットワークを使って提供してきてくださったサービスにつきましては、先ほど日本郵政の方から説明がありましたので割愛をいたしますけれども、私といたしましては、特に、ことし四月に公表された日本郵政グループの中期経営計画において、郵便局のみまもりサービスの本格実施について記述されているというところに着目しております。

 さらに、本年四月末に、IBM及びアップル社と連携をして、タブレット端末を活用した高齢者向けの生活サポートサービスの実証実験を本年十月から開始するということを発表されるなど、郵便局のみまもりサービスの拡大を図られていると承知しています。

 それから、私からも、日本郵便の平成二十七事業年度事業計画の認可に際する要請事項といたしまして、地方創生に資する観点から、ふるさと納税手続の利便性向上のための施策などについても積極的な推進をお願いしました。これも、今しっかりと進めていただいていると先ほどお話がございました。

 加えて、災害時における郵便局と地方公共団体との連携を図るべく、市区町村と全国各地の郵便局との間で防災協定の締結、推進に向けまして、総務省も今支援を行っているところでございますので、今後とも、日本郵政グループが、より一層地域の実情やニーズにきめ細かく対応していただいて、ネットワークを活用して地方創生の推進に資する取り組みを行っていただくということを期待いたしております。

黄川田(徹)委員 五十年ぐらい前には、私も小学生でありますけれども、地域に運動会があれば、警察の駐在さん、あるいはまた校長先生、郵便局の局長さん、みんな来賓として呼ばれまして、地域の元気に郵便局も一体となって頑張っているんだということであります。

 しかしながら、事業庁から公社化そして民営化、いわんや、あすあす株の上場ということで、この日本郵政も、本当の意味での民営化、ひとり立ちということになります。民営化になれば自由度は増すのでありますけれども、やはり郵便局のネットワークの維持、あるいはまた公共性の持てる力というのは、私はあると思っております。

 時代に合った形で、ぜひとも、地域と連携されて、そして、単なる民間企業ではない日本郵政として発展していただきたい、こう思っております。

 結びであります。

 東日本大震災の後に大変な状況が起きまして、被災地では、郵便局も流され、あるいはまた、郵便に携わる職員の方々も、亡くなった方も多数おられるわけであります。

 発災直後に避難場所、あるいはまたその後の仮設住宅など、避難者に対して郵便局は大変お世話していただいたと思っております。民間の金融機関は、残念ながら、発災直後に、大変な状況でありましたから、なかなかお金の出し入れもできなかった。十万を限度に郵便局さんがすぐさま取り組み、そしてまた、移動型の郵便局といいますか、車両の郵便局をもって対応してくれたということになっております。

 そういう中で、発災から五年目ということで、まだまだ復旧復興していない郵便局もあるのではないかと思っておりますが、被災地の郵便局の復興状況あるいはまた再開状況についてお尋ねいたします。

壺井参考人 御説明いたします。

 今回の震災におきまして、発災直後、二〇一一年三月十四日時点で見ますと、東北三県で六百八十三の郵便局が業務を行えない状況にございました。その後、復旧の取り組みを行った結果、二〇一五年三月末時点で、津波被害により営業を休止している郵便局は三十六局にまで減っております。

 現在、営業を休止しておりますこれら三十六局につきまして、仮設建物で営業中の二十一局とともに、地方自治体の復興計画等を踏まえながら、本設復旧に向けて取り組んでいく考えでございます。

 また、原発避難指示区域内において営業を休止している郵便局は二十四局ございます。これらの地域におきましては、当該地域の除染状況や地域住民の皆さんの帰還状況などを踏まえまして、地方自治体と連携を図りながら、再開に向けて取り組んでいくことといたしております。

 以上でございます。

黄川田(徹)委員 郵便局のネットワークの維持、これは、先ほども申し上げましたけれども、しっかりとした経営基盤があることでありますし、そしてまた、地域で生かされる郵便局となるためにも、やはり、今全国に二万四千もそういう機関といいますか郵便局がある、きめ細かくあるというのは、これは本当に地域の財産だと私は思っております。

 その財産を生かせるような方策を政府も一体となって取り組んでいただきますようよろしくお願い申しますし、会社も、しっかりと上場に向けて頑張っていただくことをお願い申し上げまして、質問を終わります。

 以上で終わります。

桝屋委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 質問をさせていただきます。

 先ほど、大臣の口から防災協定という話が出ましたけれども、非常に懐かしく聞いたんです。

 私は、横浜市に平成八年から十年ぐらいまで出向していまして、そのときに、横浜中央郵便局とそれから横浜市の間で防災協定を、多分全国で最初だったと思うんですが、結んだ。私が発案をして、第一号を結んだ記憶があります。それが今も広がっているというのは非常にうれしく思いますし、やはり郵便局というのは、ただ利益を求めるだけではなくて、きちんと公共に資するような業務もやらなきゃいけないということが使命として課されているんだということを改めて感じました。

 また、みまもりサービスなどについても、これも非常にいいアイデアだと思います。タブレットを使って、高齢者の方というのはリテラシーがなかなかない。やはり高齢者のリテラシーというのは、今、日本の課題だと思うんですね。きょうは趣旨が違いますので問いませんけれども。高齢者に使いやすい端末をお配りしてそういう事業をやるというのも、一つ郵便局らしいいいアイデアだと思います。

 何が言いたいかというと、そういう公共的な、パブリックなサービスもやはりやっていかなきゃいけないんですね。これは非常に難しい。郵便のユニバーサルサービスというのを課されながら、あるいは、会社全体でいえば金融のユニバーサルサービスというのも課されながら、なお、しかもこうした公共的な業務を担いながら独立採算でやっていくというのは非常に難しい。営利と公共性を求めるというのは非常に難しい。

 これは昔から、公社の時代からもそうでありますけれども、だから民営化の議論が起きたんですね。果たして株式会社という営利追求の形態がいいのかということが議論になって、それは決着がついたわけでありますが、しかし、なお、どうやってユニバーサルサービスとしてこういった公共的な業務を維持していくのかというのが課題として残っているということだと思います。

 そこで、きょうはユニバーサルサービスをどうやって守っていくかという話も主として伺いたいんですが、きょうお配りした資料、日本郵便株式会社の先日出た決算についてお配りをしております。

 これは先ほど黄川田先生の方からも御質問がありました。この表をまず見ていただきたいと思うんですが、日本郵便全体として見ますと、先ほど御答弁がありまして、増収減益。

 今期は、前期に比べて四百五十一億円営業収益がふえていますが、人件費等がふえた結果、営業損益が、三百六十三億減って、日本郵便全体としては百六億円、経常利益二百二十億円ということで、辛うじて経常損益も黒字になっているということなんです。しかし、郵便、物流事業だけ見ますと、営業損益は百三億円の赤字ということが見てとれます。非常に郵便事業は厳しいんだなというのが明らかだと思うんです。

 それで、先ほど決算のことについて出ていましたが、この決算について、では、会社としてどう評価されているかということをまず伺いたいと思います。

壺井参考人 決算の評価についてのお尋ねでございます。

 先ほど来御説明いたしておりますように、営業収益につきましては、郵便物数の減少が続く中で、ゆうパックやEMSなどの取扱物数の増加により、増収を図れております。一方、営業費用につきまして、その取扱物数の増加に伴う費用や、賃金単価の上昇に伴う人件費の増加、それから基盤整備強化等に伴う投資に伴う費用の増加などによりまして、結果、営業利益が前期比三百六十三億円減の百六億円ということで、増収減益となっております。

 前期比で増収減益となっておりますので、これを何とか増収増益に持っていくように取り組んでいかなければいけないと考えておる次第でございます。

奥野(総)委員 先ほどの資料の裏側に物数の推移というのを書かせていただいていますけれども、今期も、前期と比べて一・三%減少しています。とりわけ郵便は二・一%の減少ですね。郵便が減少しているという中で、ゆうパックは頑張っている、あるいはEMSは頑張っているということだと思います。これだけ大幅な減少をしながら、よくやっているとも言えるわけですね。

 これは通告していませんが、郵便がこれだけ例年に比べて減っている要因というのは何かわかりますか。

壺井参考人 郵便の減少につきまして、インターネット等他の手段等もございまして、趨勢的に、郵便物の取り扱いについては残念ながら減少傾向にございますけれども、他方、DMのよさをお勧めしたり、また学校等で手紙の書き方教室等を積極的に展開することによりまして、郵便の御利用もふやしていけるように、減少を食いとめられるように取り組んでいるところでございます。

奥野(総)委員 よく見ると、ゆうメールも伸びが低くなっていますね。これもあって、全体の物数のマイナスがふえているということが読み取れます。

 確かに、全体として郵便はやはり減る傾向に歯どめがかからない、どんどん減っているわけですね。加えて、今期、大口のダイレクトメールを出すところが出さなくなったというような話も聞いています。こういう、何が起こるかわからないわけですから、どうやって収益を上げていくかというのは常に考えていかなきゃいけないと思うんです。

 それで、気になったのは、人件費がふえたというのは、ある意味しようがないと思うんです。ただ、物数が、EMSとかゆうパックがふえたけれども、その手数料がふえてしまっている。要するに、売れば売るほど利益が減っていく。増収減益ですから、収益がふえればふえるほど利益が減ってしまうというところが非常に私としては気になるわけですね。

 それをどうやって効率化していくかということなんですが、今、郵便、物流ネットワークの再編というのをやっておられると思うんですけれども、これは効果はどのぐらい、そしていつごろ出てくるんでしょうか。

壺井参考人 お答えいたします。

 御質問のございました郵便、物流ネットワークの再編につきまして、これは本年四月に公表しました日本郵政グループ中期経営計画の中でも示しておりますけれども、二〇一五年度から二〇一七年度までの三年間で、段階的にこの再編に投資をしていくことといたしておるものでございまして、安定的な損益改善効果が実際に生じてきますのは、二〇一八年度以降と見込んでいるところでございます。

奥野(総)委員 これは、千葉県にも持ってくる。巨大な物流センターをつくって、そこに巨大な区分機を置いて、そして道順組み立てまでやるんですかね、それによって効率化していくというプランで、非常に大事だとは思うんですが、なかなかその用地が見つからなかったり、あるいは土地の価格の高騰とかいろいろあるということで、思うように進んでいないというふうに私は感じているわけです。これは仮に予定どおりにいったとしても、二〇一五年から二〇一七年まで、土地を購入して建物を建てて、初期投資にお金がすごくかかると思うんです。

 一方で、こうやって物数も減っていく。その間はこういうコスト構造はなかなか改善されないわけでしょうから、むしろこれは当初は収益の圧迫要因になるんじゃないか。少なくとも今期はまだ出てきていないわけですね、数字的に。

 二〇一五年から二〇一七年においてはコストの圧迫要因になる、より一層減益の方向に働くんじゃないかと思いますが、いかがですか。

壺井参考人 お答え申し上げます。

 私どもが、収益拡大につきまして、利益拡大と言ったらよいでしょうか、どのような展望を持っているかということについて、御説明を申し上げたいと思っております。

 先ほど申しましたグループ中期経営計画におきまして、郵便・物流、金融窓口合わせて、連結営業収益三・一兆円、こういうものを目指しているというようなことを申し上げましたが、郵便、物流事業におきましても、郵便物数の減少要因はございます。他方、通販、Eコマース市場を中心にゆうパック、ゆうメールは非常に拡大をいたしております。したがいまして、営業収益は伸びております。

 金融窓口事業につきましては、先ほども申し上げましたので割愛いたしますけれども、先生お尋ねのとおり、郵便、物流事業につきましては、先ほど申しましたように、郵便につきましては減少傾向にありますけれども、ゆうパック、ゆうメールは伸びております。

 そういう中で、費用につきまして、そのゆうパックの取り扱い増に伴う費用の増加というのがあります。これを、業務量の増減に合わせて労働力を調整する、また、先ほど御指摘のありましたネットワークの再編を行う、また、作業の機械化等、省力化等を進めるということで生産性を向上させることによりまして、営業費用の伸びを抑制して、二〇一七年度の全体としての経常利益三百五十億円程度、当期純利益三百億円程度に結びつけていくというぐあいな展望を持っておるところでございます。

奥野(総)委員 これは、人がやる部分が圧倒的に多いわけですから、人件費の方はなかなか抑えるわけにはいかないと思うんですね。ですから、こういったネットワークの再編のようなことをしっかりやっていかなきゃいけないということだと思うんですけれども、いずれにしても、今、当面厳しい状況が続くということだと思うんですよ。

 何が言いたいかというと、だから、この時点でこういった収益に影響が出るような信書便の開放というのをやるんですかという話をしたいわけであります。

 大臣、信書便事業の現状について、評価等々伺いたいと思います。

高市国務大臣 信書便事業ですけれども、これまで一般信書便事業への参入はございませんが、特定信書便事業には四百三十六者が参入しております。また、特定信書便事業の引受通数及び売上高は順調に伸びていて、平成二十五年度は事業者全体で対前年度比約一・一倍の約千百九十二万通の引き受け、約百十五億円の売り上げを計上しています。

 特定信書便事業の中では、三辺の合計が九十センチを超えるまたは重量が四キロを超える信書便物を扱う大型信書便サービス、いわゆる一号役務、及び、一通の料金が千円を超える信書便物を扱う高付加価値サービス、いわゆる三号役務の伸びが大きくて、自治体内ですとか企業内の各拠点を巡回集配するサービスですとか、慶弔用のメッセージカードの配達サービスを初めとして、参入事業者が多様なサービスを今提供しておられる、そういう状況だと思っております。

奥野(総)委員 市場のパイ自体が広がって新しいサービスが出てくるということにおいて、それは私はいいことだと思います。

 一方で、先ほど一般信書便事業への参入はないというお話がありましたけれども、ヤマトさんは、従来、一般信書便事業をやりたい、やりたいと声を上げていたやに聞いています。そのヤマトさんがメール便を撤退したというふうな記事を読みましたけれども、この経緯、そして、その後どうなっているのか。撤退したといっても、お客様がいらっしゃるわけですから、そのお客様にどう対応しているのか、伺いたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 ヤマト運輸は、本年三月末をもちまして、カタログなどの信書に該当しない荷物を配達するクロネコメール便のサービスを廃止したところでございます。

 四月以降は、それまでのクロネコメール便、約九割が法人用だと伺っておりますが、法人向けにはクロネコDM便という名前で同様のメール便のサービスを継続しているものと承知しております。

奥野(総)委員 要するに、もうかるDM形式のものはやっている。今の話だと、残り一割の一般のお客様については行き場がない。それは郵便を使ってくださればいいんでしょうけれども、ある意味、きちんとした責任を果たしていない。一般信書便というのは、ユニバーサルサービスをやるわけですから、誰が出しても引き受けなきゃならない、そういう責任を負うわけでありますけれども、そういう責任はやはり果たしたくない。それは、さっき申し上げましたけれども、私企業である以上、そういうところはやむを得ないところがあると思うんです。

 ということは、ではユニバーサルサービスというのは誰が守るんですかというと、やはりなかなか純粋な民間企業には難しいんだということをあらわしているというふうに思います。

 その上で、今回規制緩和をするわけですけれども、先ほど、ユニバーサルサービスに与える影響についていろいろ、八十九億円ですか、答弁がございました。七十三センチのところが十八億円でしたか、千円から八百円に引き下げるところは七十億円強でしたか、内訳はたしかそうなると思うんですが、その中で、微々たるものだから影響がないんだ、そして、むしろ新たなお客さん、新たな顧客の開拓ができる、こういう答弁だったと思うんです。

 これはちょっと通告していないんですが、その新たな顧客というのは、一体どういう顧客がこの規制緩和によって見込まれるんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今現在、四百者を超える特定信書便事業者が参入しておりますが、その中でも、例えば二十四時間三十分単位で配達時間指定をできるようなサービスを提供しているとか、非常にセキュリティー機能を向上させた配達サービス、こういったものが現に出ているわけでございます。

 今回、検討に当たりまして意見、要望を伺ったところ、関係業界からも、今回のこういった規制緩和の中で新たな需要の掘り起こしに積極的に取り組んでいきたいと。また、今、業界団体におきましても研究会でそれについていろいろと知恵出しをしているというふうに承知しております。

奥野(総)委員 景気が回復して、こういうコスト、通信にかけるコストがふえてくればいいですけれども、なかなかはっきり新たな市場というのも数字として出てきているわけじゃないですね、幾ら広がるというのが出てきているわけじゃない。そこが非常に不透明なんですよ。

 だから、およそ九十億円、八十九億円ですか、日本郵便の郵便の売り上げに比べればコンマ数%、微々たるものだと言うかもしれませんけれども、先ほど申し上げたように、郵便の物数が全体として減る中で、また、人件費の高騰とか、あるいは資材が高騰している中で非常に厳しい経営を強いられている。そこで本当にこうした緩和を今このタイミングで行うのが適切かというのは、私は非常に疑問だと思います。

 さらに気になるのは、重ねて伺いたいのは、では、さらに緩和を行う予定があるのかどうか。

 この報告書、郵便・信書便市場の活性化方策の在り方というのを、これは中間答申ですか、見ますと、「見直しの方向性」ということになっていて、一号役務についていえば、七十三センチを超えるものについては追加、そして、四キログラムを超えるものとされているところ、これをまた、一般信書便役務に係る信書便物の重量二百五十グラム以下と重複しない重量の信書便物についても、将来、必要に応じて追加を検討することが適当である、こういうふうに書かれています。

 また、三号役務についても、五百円への引き下げは影響が大きいとして見送っているものの、この報告書によれば、三号役務の料金基準については、今後も経済情勢の変化等を踏まえつつ、弾力的に見直していくことが必要であると。これは、五百円じゃ非常に厳しい、影響が大きいということで見送っているにもかかわらず、また下げる、将来検討するということも書かれているわけであります。

 伺いたいんですが、この報告書にこう書かれているんですが、さらなる緩和を行うつもりがあるのかないのか。

 そして、私は、ユニバーサルサービス確保の観点から、後ほど伺いますけれども、やはりユニバーサルサービスの確保策というのがはっきりしない以上、こういう開放はしていくべきじゃないと思うんですね。ですから、歯どめが必要だと思うんですが、今後、さらなる開放について、はっきり、しないという答弁はしていただけますでしょうか。

高市国務大臣 平成二十六年十二月の情報通信審議会の第二次中間答申において指摘されたことは、今もう奥野委員が紹介していただいたとおりでございます。特に、重量の基準の緩和のニーズなどについて、これは信書便物の大きさと重量に相関関係があることからということでございます。

 いずれにしましても、特定信書便事業の業務範囲というのは、信書便法上、法律で直接具体的に規定しておりますから、仮に、将来さらなる拡大を行う、そういうニーズが非常に出てきたというような場合には、やはり郵便のユニバーサルサービスに与える影響をしっかり検証した上で、改めて国会に法律案を提出して、御審議をお願いいたします。

奥野(総)委員 確かに、今回、法律事項でありますから、そう簡単に変えられないというのはそうだと思うんですけれども、ただ、今の答弁だと、状況によっては法律改正もあり得る、完全否定したわけじゃないということだと思うんですね。

 今申し上げたように、これだけ厳しい経営の現状の中で、ユニバーサル確保策というのも検討中ということなんですが、そういうようなものをやはりセットできちんと議論していかない限りはさらなる緩和はすべきじゃないし、また、今回の規制緩和も、このタイミングでというのは私はいかがなものだったかというふうに思います。

 それから、今、重さと大きさが連動しているとおっしゃいましたけれども、まあ、そうなのかもしれないですけれども、諸外国は、大体重さとか料金でこれまでリザーブドエリアを切ってきていますし、大きさと重さというのは必ずしも連動していないと思うんです。重いものを入れれば重くなりますし、大きさが大きいから重いとか、連動していないと思うんですよ。だから、連動しているから将来引き下げるという議論は、私はこれは納得できないというふうに申し上げておきます。

 いろいろ申し上げてきましたけれども、大臣に改めて伺いたいんですが、今まで私が、経営が厳しいんだと、日本郵便の経営について申し上げてきました。経営の現状に対する大臣の認識、それから、そうした経営を安定させるためにユニバーサルサービス確保策が必要だと思うんですが、大臣のそのあたりの認識を伺いたいと思います。

高市国務大臣 日本郵便の経営状況については、先ほど説明もありましたけれども、やはり郵便物数の減少傾向は続いている、荷物については増加しているという状況であります。

 しかしながら、やはり日本郵政と日本郵便には、郵政民営化法第七条の二によりまして、しっかりとユニバーサルサービスを安定確保する、こういった役割があるわけでございます。委員が御指摘のとおり、ユニバーサルサービスの確保にはコストもかかります。まずは、やはり経営の効率化、それから収益力の強化をしっかりと図っていただくことで、日本郵政、日本郵便がその責務を果たしていただくということが重要であります。

 具体的にユニバーサルサービスを将来にわたってどう維持していくのかということについては、先ほども副大臣が申し上げましたけれども、情報通信審議会に諮問をして、まだ今御審議いただいているところでございます。

 総務省は、ことしの夏ごろを目途に取りまとめられる答申を受けて、それに加えて、やはり諸外国のユニバーサルサービス確保策の状況、こういったものも参考にしながら、ユニバーサルサービスの確保に向けて必要な取り組みを進めていくつもりでございます。

奥野(総)委員 諸外国もいろいろありまして、リザーブドエリアとして独占を認めているところもあれば、テレコムのようにユニバーサルサービス基金を設けているようなところもあるわけでありますけれども、やはり現状の制度をしっかり踏まえつつ、ユニバーサルサービスのあり方を考えていただきたいと思います。

 もう一度、重ねて申し上げますけれども、今回、ユニバーサルサービスの確保策がまだ決まっていない中で、開放に踏み切った、規制緩和に踏み切った理由について改めて伺いたいと思います。総務省。要するに、時期尚早じゃないですか、全体が見えない中で。

武田政府参考人 大変失礼しました。お答えいたします。

 今回の法案でございますけれども、平成二十五年六月に閣議決定されました規制改革実施計画におきまして、平成二十五年中に検討を行い、結論を得ることとされたということを踏まえまして、総務省におきまして、情報通信審議会の場で検討を重ねてきたところでございます。

 その結果、昨年三月に中間答申をいただきまして、今回の法案化に至ったということでございます。

奥野(総)委員 答えていただいていないんですが。

 要するに、ユニバーサルサービス確保策というのはきっちり示した上で、こういう規制緩和については議論すべきだったというふうに私は思います。全体が見えない中で、部分的に規制緩和していくというのは、私は少なくとも時期尚早だと思いますし、反対です。

 ただ、もう法案が出ているわけですから、お願いしたいのは、しっかりした確保策を示していただきたい。諸外国を参考にしながらと言いましたけれども、日本に合った形のしっかりしたユニバーサルサービス確保策を示していただきたいというふうに思います。

 先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、ただ、国にお願いするというだけじゃなくて、やはり独立採算の企業ということで来ているわけでありますから、日本郵便としても、では、どうやってこれから収益を上げていくのか、郵便物数、少なくとも国内については落ちていくわけですから、国際展開の展望とかその他、どうやって収益を上げて、ユニバーサルサービスを維持し、また、冒頭申し上げたようなさまざまな公的なサービスを維持していくのかというのを伺いたいと思います。

壺井参考人 お答えいたします。

 先ほども触れましたけれども、郵便、物流事業につきまして、郵便物数の減少要因があるのは事実でございますので、例えば、DM需要喚起とか手紙振興による郵便の新たな需要開拓、それから新しいデジタルメッセージサービスの開始、機能拡充、こんなようなことにも取り組みながら、また、成長著しい通販、Eコマース市場を中心としたゆうパック、ゆうメールのさらなる拡大に取り組んでいくようにしていきたいと考えております。

 同時に、費用面につきましては、ゆうパックの取り扱い増に伴う費用の増加が出てくるのでありますけれども、労働力の調整とかその他の省力化等に取り組んで、生産性を向上させることによって費用の伸びを抑制するようにしてまいるつもりでございます。

 さらに、目を転じますと、国際的にEコマース市場が大きく成長しておりまして、特に、中国を中心としたアジア宛ての商品発送にEMSや国際郵便の利用が急増しているところであります。こういうサービスの改善、海外販路拡大の支援などにも取り組みますし、今後物流の増加が認められるアジア・パシフィック地域で高いプレゼンスを有して経験も豊富なトール社を子会社にすることといたしておりまして、同社をグローバル展開のプラットホーム企業と位置づけて、知見と経験を活用することで、国際事業も拡大を図っていくというようなことを考えている次第でございます。

奥野(総)委員 しっかりやっていただきたいんですが、ちょっと気になったのは、賃金の調整みたいな話があったんですけれども、やはり縮小均衡に陥ってはよくないと思います。非正規雇用をふやして調整していくということをやっていくと、結局、士気も上がらず、効率も上がらないという部分はあると思うんですね。今、私の地元なんかでも、配達する人はいなくて、ドライバーがいないということになっています。これは正規社員なら来てくれるわけですよ。

 だから、やはりきちんと設備投資するところはするし、人への投資もすることはするということをしっかり考えていただきたい。そして、稼ぐのは、海外とか、それから不動産もいろいろあるわけですから、そういったところでしっかり稼いでいただきたいと、くれぐれもお願いしておきます。しっかり事業の方もやっていただきたい。

 そして、総務省の方にはユニバーサルサービス確保策をしっかりやっていただきたいということで、ちょうど時間となりました。

 最後に一言、大臣、全然関係ない話なんですが、きょうはNHKは一切聞かなかったんですが、会長についていろいろ苦言を呈しておられますけれども、NHKのトップとしてふさわしい振る舞いというのはどういうもので、今の会長はきちんとやっておられるかどうかということについて、ちょっとテーマはかわりますけれども、御発言いただければと思います。

桝屋委員長 高市総務大臣、時間が来ております。簡略にお願いします。

高市国務大臣 最近、民間では、民間ではという言葉を連発されておられますので、NHKは民間企業ではなく特殊法人でございます。多くの国民・視聴者の皆様の受信料によって運営される公共放送のトップとしての重要な役割を認識していただいて、早く信頼を取り戻していただきたいと思っております。

奥野(総)委員 以上です。お時間をいただきまして、ありがとうございました。

桝屋委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 維新の党の水戸将史でございます。

 修正案につきまして、我が党からも提案をさせていただいています。先ほど、提案者の吉村委員からも趣旨説明がございました。

 せっかく趣旨説明もいただいたものですから、もっと深掘りして、今の現状はどうであるのか、その問題点はどこであるのかということも含めて、まず冒頭、提案者から、信書の送達に関する現行法の問題点がどこにあると考えているのか、それを簡潔にお答えいただきたいと思います。

吉村委員 お答えいたします。

 まず、現行法では、信書の送達ができるのは、日本郵便株式会社と許可を受けた信書便事業者に限られておりまして、これらの者以外の者が信書の送達を行うことは禁止されているとともに、何人もこれらの者以外の者に信書の送達を委託することが罰則をもって禁止されております。

 しかしながら、信書の定義は郵便法に規定されているものの、どのような文書が信書に該当するのか、一般の利用者には非常に判断しがたいものであるというふうに認識しております。

 提案者としましては、一般の利用者が、法違反をしている認識がないまま日本郵便株式会社以外の者に信書の送達を委託してしまって、そして罪に問われるリスクがあるということが問題であるというふうに考えております。

 また、一般の利用者に対するこういったリスクがあることによって、運送サービスに関して国民の利便性が低下する、そういったことがあるのであれば、それも望ましいものではない、そのように考えております。

水戸委員 今提案者からもお答えがありましたとおり、確かに今までも、いろいろな審議会等々も通じまして、いろいろなケースもございまして、信書の定義がはっきりわかりにくいということが多くの関係者からも寄せられているわけであります。

 実際、どのような文書が信書に該当するのか、一般利用者にも判断しがたい場合もあると認識されているということでありますけれども、具体的にどういうようなケースが想定されておりますか。具体的にどのようなケースがそれについて言えるんでしょうか。

吉村委員 お答えします。

 信書とはこのように定義されております。「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」というふうに規定されております。これは郵便法第四条二項にございます。

 信書に該当するか否かの判断は、文書の内容から実質的に行う必要がございます。

 総務省のガイドライン、信書に該当する文書に関する指針がございますけれども、これによれば、例えばいわゆるダイレクトメールは、文書自体に個々の受取人が記載されている場合などには信書に該当するけれども、専ら街頭における配布や新聞折り込みを前提として作成されるチラシのような場合には信書には該当しないものとされております。

 また、例えば履歴書ですけれども、応募者から会社等に送付する場合にはこの「信書」に該当しますけれども、会社から応募者に返送するというような場合にはこの「信書」には該当しないものとされております。

 つまり、同じ文書であっても、状況によってそれが郵便法の信書に該当をしたりしなかったりするということがございまして、当該文書が信書に該当するかどうかについて一般の利用者には判断しがたいのではないかというふうに考えているところでございます。

水戸委員 今の御答弁でも、総務省のガイドライン、信書に該当する文書に関する指針というのがもう既に出されているんですけれども、この総務省のガイドラインがあるので、どのような文書が信書に該当するか否かについて一般の利用者も十分に判断することができるということも考えられるんですけれども、これについてはどうでしょうか。

吉村委員 お答えいたします。

 総務省においては、信書に該当する文書に関する指針であったり、あるいはその信書に該当する文書に関する指針のQアンドA集を公表しておりまして、また、信書に関する問い合わせ窓口を設けるなど、どういった文書がこの「信書」に該当するのかについての説明に努めているものというふうに承知しております。

 ただ、こういったガイドラインがあるとはいえ、既に先ほど申し上げたとおり、そこで示されている解釈は一般の利用者には必ずしもわかりやすいものではないというふうに思っております。また、総務省の窓口に問い合わせても担当者が直ちには回答できない、そういったケースも少なくないものというふうに承知しております。

 したがいまして、どういった文書がこの「信書」に該当するのかどうか、やはり一般の利用者には判断しがたい場合があるというふうに考えております。

水戸委員 よくわかりました。信書の定義そのものがという話もありますし、ガイドラインがあるけれども、やはり一般利用客にとっては、これに対しての理解、認識はなかなか深まらないということになっていますね。

 本論に入ります。

 そういう状況下にあって、我が党からはこういう修正案を出すことになったわけでありますが、今回の修正案を見ていると、そんなに難しいものではありませんけれども、郵便法第四条第四項を削除するということになります。

 これを削除する趣旨はどういうことですか。

吉村委員 信書の送達ができる者を日本郵便株式会社等に限っているという趣旨でございますけれども、まず、憲法二十一条の保障する通信の秘密であったり、いわゆるユニバーサルサービスを確保する必要があるものと理解しております。

 それらを確保するためには、事業者に対する規制をもってすれば足りる、一般の利用者に対してまで刑事の罰則をもって禁止する必要はないというふうに考えておりまして、郵便法四条四項を削除するものでございます。

 郵便法四条四項を削除することによりまして、一般の利用者が法違反をしている認識がないまま罪に問われるリスク、これがあってはならないというふうに考えておりまして、それをなくなることとするためにこの提案をしているわけでございます。

 以上です。

水戸委員 今の提案の趣旨というのは、送達する業者はともかくといたしましても、委託する側にある一般の利用者に対して罰則をすることは行き過ぎである、そういうような状況下の中においてこの修正案を出されたということでございます。

 いわゆる罰則規定がある。第四条第四項にこれは明記されていますね。一般利用者に対する罰則規定でありますけれども、実際に、今までの中でこの罰則が適用されたケースがあるのかどうか、それをどういう形で認識されていますか。

吉村委員 お答えいたします。

 今までの事案で、実際に一般利用者に罰則が適用されたことが確認できた例は、一件のみでございます。

 これは、昭和三十三年の四月から昭和三十四年七月ころまでの間に、いわゆる便利屋が会社間の信書を送達した事案でございまして、委託者、送り主ですね、この五社に罰金刑、そして、受託者、送達事業者四名に懲役等が科されたものと承知しております。

 こういったように、本罰則が実際にはもう半世紀以上も適用されていないという実態からしますと、そもそもこの罰則規定の必要性は非常に乏しいものというふうに思っております。

水戸委員 我が国内においても罰則の事例というのは本当に一件のみということで、半世紀以上もこのような罰則は適用されていないということですね。ですから、そもそもその罰則規定があること自体が必要性は乏しいというようなお話でありました。

 では、実際、諸外国に目を向けていくと、一般利用者までに罰則を適用する国があるのかないのか、これについてはどういう認識をされておりますか。

吉村委員 お答えいたします。

 諸外国におきまして、一般利用者にまで罰則を適用する国があるとは承知しておりません。

 なお、米国では、法律上は、運送事業者、送り主、両方に罰則がありますけれども、実務上は送り主までに罰則は適用されていないというふうに承知しております。

水戸委員 諸外国におきましても、お客さんまで、一般の利用者までに罰則を適用するケースはほとんど見られないということで御回答いただきました。

 では、実際、今度は視点を変えて、我が国の国内法において、郵便以外の他の事業やサービスを展開する上において、一般利用者までに罰則が適用されるものはあるんですか。それは、あるとしたらどんな根拠に基づくものなのか、それをどう認識されていますか。

吉村委員 国内法においての御質問でございますけれども、そもそも、事業やサービスを展開する上で一般利用者にまで罰則を適用させるというのは、網羅的に調べたわけではないですけれども、そういったものは見当たらない、そういう状況でございます。

水戸委員 全体的、網羅的に調べたわけではない、一つそういうお話もありましたけれども、今、現行国内法において、郵便事業以外、郵便サービス以外のサービスを展開する上において、一般利用者まで罰則が適用されるものはほとんど見当たらないものですからということで、そのような全体を見渡した場合に、何も郵便法、郵便サービスだけに罰則を適用するのは行き過ぎであるというようなお話だったと思います。

 では、最後に聞きますけれども、実際、この第四条第四項を削除した場合、しかし、そうはいうものの、一般の事業者が信書を送達してはいけない、今そういう一つの制約があるわけですから、信書を送達してはいけませんよという禁止の実効性を担保するには、それを送達する、請け負った業者の一層の周知がやはり必要であると考えておりますけれども、提案者はこれをどう考えておりますか。

吉村委員 御指摘のとおり、周知が非常に大切だというふうに思っておりまして、運送事業者が運送サービスの委託を受ける際に、委託を受けた貨物に信書が含まれていないことを委託者に対して丁寧に確認すること、これが信書の送達の禁止の実効性を確保する上で重要であるというふうに考えております。

 また、委員御指摘のとおり、一般の利用者に対しては、日本郵便株式会社以外の者が信書の送達を行うことは禁止されているということについてさらなる周知を徹底すること、これが重要である、そのように考えております。

水戸委員 維新の党の修正案につきまして、今深掘りした形で提案者の吉村委員からお話をいただきました。提案者はもうこれで御退席ください。

 こういうことを一つの題材とさせていただいて、総務省等々大臣の御見解を求めていきたいと思うんですけれども、今、提案者の吉村委員からもお話がありましたとおり、同じ文書でも信書になる場合とならない場合があるということで、信書に当たるかどうかについて非常にわかりにくいというようなことを言及しておりました。

 実際いろいろな指摘もありまして、信書の曖昧さがあることは否定できないという現状に対して、総務省はどう認識されていますか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 信書の定義でございますけれども、平成十五年四月の信書便法の施行に合わせまして、郵便法の中にそういうのがなかった定義でございます「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」という定義規定を設けたところでございます。

 ただ、法律でこの定義を説明し尽くすことがなかなか難しいことでございますので、総務省では、この定義規定を踏まえまして、信書に該当する文書をわかりやすく示したガイドライン、総務省告示でございますが、そういったものを示し、あるいはQアンドAを作成いたしまして、利用者あるいは事業者に信書制度の周知を行うとともに、個別の照会に対しましても丁寧に回答するなどの対応をとっておるところでございます。

 また、関係事業団体におきましても、信書制度に関する苦情相談あるいは利用者からの問い合わせに対応する体制を構築するなど、いろいろと関係省庁とも連携をとりながら、制度の適正かつ円滑な運用に努めてまいりたいと考えております。

水戸委員 確かに、総務省も、いろいろな努力、いろいろな取り組みをされていることは私も承知をしています。

 先ほど吉村委員からもお話ありましたとおり、信書に該当する文書に関する指針、いわゆるガイドラインというものを作成して、そしていろいろな形でお答えをするんですけれども、しかし、そもそも総務省に問い合わせなければ信書かどうかがわからないという状況が、信書の定義として体をなしていないんじゃないかということも考えられるんですね。

 総務省は、今お話ありましたけれども、その定義について十分に国民に説明できていると考えているんですか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 私どもなりに精いっぱい努力させていただいておるところでございますけれども、信書に該当する文書に関する指針、パンフレットという形で、例えば、公共施設、鉄道駅の公共空間あるいは地方公共団体、そういうところにパンフレットも置かせていただきながら周知をするとか、あるいは、私ども総務省あるいは出先機関の中で、各ブロックごとにユーザー、事業者団体に向けましての説明会を定期的に開いておりますとか、また、昨年、初めての試みでございますけれども、今はネット時代ということで、DVDの形で、例えばユーチューブに、信書の制度についての周知をするような、そういったものも用意いたしまして、努力しているところでございます。

水戸委員 その気持ちは、その姿勢は多としたいと思います。

 しかし、定義が、今言ったように、同じ文書でも、履歴書も送った場合と返される場合について信書に該当するかしないかということについての曖昧さはどうしても否定できないものであります。

 ですから、見直しも含めてなんですけれども、これからの一つの方策といたしまして、郵便法第四条の事業の独占に係る規制条件、一般信書は今、日本郵便株式会社が独占的に扱うということになっておりますけれども、今言ったように、文書の内容が信書に該当するか否かといったようなそうした内容的な基準ではなくて、客観的に判断できる、サイズ、大きさ、形という、そうした外形基準にするというようなことも意見の一つとしては出されているんです。

 これは、総務大臣、今後の信書のこういうわかりにくさを払拭し、また、それを送達した場合の罰則規定があるということもありますけれども、しかし、いずれにいたしましても、こういう非常に曖昧な部分を残すのではなくて、やはり外見でわかりやすく判別して、そしてそれに対しての独占か否かという、そうした事業者を分けるという方法の方がより合理的な形ではないかと私は思っているんですけれども、こういうことについてどういうようなお考えがありますでしょうか。

高市国務大臣 内容基準か外形基準かという御議論だと思います。

 おっしゃった点につきましては、平成二十五年十二月の情報通信審議会の郵政政策部会で、一部事業者から、送付物のサイズなど、外形基準を採用すべきという意見が表明されました。

 この意見について、その後部会において審議をいただいて、信書というのは、基本的通信手段としてのユニバーサルサービスの確保、そして憲法で保障された通信の秘密の保護の観点から、「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」ということで、文書の内容に着目した内容基準によって定義されているものでございます。なおかつ規制対象とされているものでございます。ですから、サイズ等の外形基準で対象を定めることは適当でないという整理が二十六年三月になされております。

 米国やEUなどの例も見てみましたが、やはり信書や書状を対象とした制度が設けられていて、その範囲を定める定義規定では、意思を表示したり事実を通知する通信であるということを要件としておりまして、内容によらずにサイズなどの外形基準によって定義を決めている状況ではございませんでした。

 あわせて、さっき提案者の方への御質問の中で他の国内法に触れられたところがあったので、ちょっとお答えしてもいいでしょうか。(水戸委員「どうぞ」と呼ぶ)はい。

 他の国内法においても、事業の特性などに応じて、無許可事業者に加えて、その利用者に対して罰則を設けているという例は、地方税法それから廃棄物の処理及び清掃に関する法律にございます。

水戸委員 これから絶対的に、今の内容基準また外形基準、いろいろな見方があるわけでありますけれども、一般利用客にとってどうあるべきかという話になりますものですから、わかりやすさをもって、合理的なサービスの展開等々も含めて、ぜひ外形基準についても広く視野に入れてこれからのこの業務の取り扱いを進めていっていただきたいと思っております。

 たしか今、大臣からもユニバーサルサービスのお話がありました。

 確かに、ユニバーサルサービスを確保しなきゃいけないことは、もうこれは当然であります。だから、採算性の高い地域だけを取り込むといったような、いいとこ取りという、これはクリームスキミングというんですか、こういうことは極力防止をしなきゃいけないということも、これは真っ当な意見かもしれません。

 でも、そうはいうものの、一般信書等々を含めて、もちろんユニバーサルサービスを展開するという中の条件としては、誰でもどこでも全国均一料金であるとか、また、ポストが十万本ぐらいなければいけないという、一般信書事業に対しての参入条件というのは非常にハードルが高いということはよく指摘されているものであります。

 この新しい制度ができて以来、もう十年たった昨今におきましても、なかなか新規にこうした一般信書事業に参入するという機運が全く見られないような状況なんですけれども、こういうような状況に対して、せっかく新しい制度を設けたにもかかわらず、やはり十年この方、そういうことに取り組もうというような意欲的な事業者が見当たらないことについて、総務省はどのような御認識でしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 郵便と同様に、全ての信書の送達が可能な一般信書便事業者は、法人や都市部など採算性の高い顧客に対してのみサービス提供を行いますと、ユニバーサルサービスの確保に支障を与えることから、委員御指摘のように、全国における引き受け、配達、あるいは随時、簡易な引き受け方法の確保、全国均一料金という参入要件が課せられているところでございます。こういった参入要件は、法令上も明確になっております。

 また、信書の定義につきましても、制度の周知も努力しているところでございますけれども、今現在、この一般信書便事業に参入はないというこの原因につきましては、各事業者の経営判断の結果だというふうに認識しております。

水戸委員 郵便事業じゃないですけれども、国内の電気通信事業、これは昭和六十年までは旧電電公社が独占体制でやっておりました。その後、昭和六十年以降今に至るまで、段階的に規制緩和が進みまして、そして、それによっての新規参入もどんどん進みました。そういうことが、一定の独占体制から、いろいろな新規の事業者が参入するような、そうした機会を与えることによって、通信事業全体のマーケットが広がった。いわゆる旧電電公社、今のNTTグループですよね。

 NTTグループそのものも、こうしたある独占体制から、一般事業者も参入する健全な競争下に入った中において、非常に売り上げも伸びていったということで、相乗効果につながったというようなことが今読み取れるんですけれども、これについて総務省はどう認識されていますか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 昭和六十年に、電電公社がNTTとして民営化されまして、独占市場でありました電気通信市場に新規参入の制度が導入されました。

 その後も、NTTと他の電気通信事業者、これは競争事業者になるわけですが、このNTTとの活発な競争を促進しまして、料金の低廉化や多種多様なサービスの提供、それからICT基盤の高度化などを実現してまいりました。

 具体的に申し上げますと、今先生からもありましたが、電気通信事業法等の累次の改正の中で、NTT東西やNTTドコモのネットワークを他の電気通信事業者に貸し出す際の料金の規制だとか、NTT一社体制から、持ち株、それから東西、コミュニケーション、ドコモへの再編成、それから特定の電気通信事業者に対する不当に優先的または不当に不利な取り扱い等の禁止等を導入しまして、電気通信市場の競争を促進してまいりました。

 また、多様なサービスの実現に資するために、参入許可制を廃止しまして、登録、届け出制へ移行する等の規制緩和も進めてきました。

 その結果、この三十年間で多くの企業が新規参入しまして、料金の低廉化だとか新しいサービスの出現が進みまして、市場規模は約四倍に拡大してきたところでございます。

水戸委員 御説明ありがとうございました。

 そのとおりなんですね。この二十八年間、昭和六十年以降、民営化に道を開いたことによって、そして、全体の電気通信需要が四倍に拡大して、なおかつ、いわゆる旧電電公社、NTTの売り上げも二倍にもふえているという形で、マーケットとともに、旧電電公社であるNTTグループも、それだけの事業規模、発展の方へとみずから導いていった。いい意味での成功例ですよね。こういうことがあります。

 確かに、この郵便事業に関しましても、民営化を図って、そして、株式もこれから売却されますけれども、こういう形で、非常に日本郵便株式会社も頑張っていらっしゃることは、私は評価してもいいと思うんですよ。

 実際、総務省は、一般信書便に関してはかなり規制が強いわけでありますけれども、特定信書便に対しての民間事業の参入も認めて、いろいろな形で門戸は開きつつあるわけであります。

 その中で、今、実際、この日本郵便株式会社はそれ以降どのような事業展開をしているのか。新聞情報でも、先ほどもありましたね、みまもりサービスをやったりとか国際物流展開したりとか、あとは不動産開発とか保育事業、そういうところも非常に手がけているというような記事も見受けられますけれども、総務省は、実際、こうした日本郵便株式会社の取り組み状況についてどのようなことを把握されていますか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 日本郵便のこれまでの取り組み状況でございますけれども、民営化されましてから、特に、できる限り経営の自由度を高めるという観点から、日本郵便が新規事業を行おうとするときは、あらかじめ届け出でできるようになっております。

 民営化された平成十九年十月以降でございますが、日本郵便株式会社におきましては、例えば、承継した土地などを活用した不動産事業、郵便局の店頭スペースなどを活用した広告事業、あるいは今御指摘のように郵便局のみまもりサービス、こういった新しい事業、これまで二十六件の届け出がされているところでございます。

 総務省といたしましては、日本郵便を含む日本郵政グループが、引き続き収益力の多角化、強化、経営の効率化など、さらなる推進に取り組み、企業価値を向上させ、国民の皆様に民営化の成果を実感していただける経営を行うことを期待しております。

水戸委員 確かに、日本郵便株式会社も頑張っていますよ。非常にいろいろないい刺激を受けて、今までの殻に閉じこもっているのではなくて、みずから海外展開もしていこう、合併もしていこうという形で、本当に一民間企業としてそしてまた発展をしていくんだという意気込みは、私は非常に評価してもいいと思っているんですね。

 ですから、今後の中において、もちろん、ユニバーサルサービスを確保することは大前提、また、クリームスキミングですか、いいとこ取りというのもこれもあっちゃいけないと思っておりますけれども、やはり、一般信書便事業に対しての民間参入を阻むことは、先ほど言ったように、かえって郵便・信書便産業の発展を阻害することになりかねない、これは国民の皆さんにとって不利益にならないかということを私は危惧するんですね。

 だから、国内電気通信事業において一つの成功事例も先ほどお述べいただきましたけれども、やはり、こういうことについてもっとフラットな考え方で、そして、参入条件の緩和についてもより一層踏み込むということも視野に入れていく必要があるんじゃないか。また、今回の特定信書便事業につきましても、小手先の緩和だけではなくて、抜本的な緩和を図ることも必要ではないかと思うんですけれども、それについてどう認識されていますか、大臣は。

高市国務大臣 今、委員の方から、クリームスキミング、こういったことは避けなきゃいけないし、ユニバーサルサービスは確保しなきゃいけないし、そういった御認識はいただいたところです。

 やはり、全国における引き受け、配達、これは必要最小限の参入条件を設けているものでありまして、このことが郵便・信書便産業の発展を阻害しているとは考えておりません。

 また、今回の特定信書便事業の業務範囲の拡大は、特定信書便事業者からの要望を考慮しながら、郵便のユニバーサルサービスに与える影響の検証を行った上で提案しておりますので、現時点では、特定信書便事業についても、これ以上の緩和は適当ではないと考えております。

 一般信書便事業の参入条件につきましても、これまでさまざま経緯があった中で、平成二十五年十二月の情報通信審議会の会合で、関係事業者であるヤマト運輸、佐川急便さん、信書便事業者協会に対してヒアリングをしましたが、そこでも、参入条件の緩和を求める意見ですとか参入要件が不明確だという意見は出されなかったと承知しております。

水戸委員 やはり、この議論の本丸は、何といってもユニバーサルサービスをどう取り扱っていくかという話に尽きると思うんですね。

 先ほども若干触れましたけれども、例えば国内電気通信事業に関しては、お客さんに対して、均一料金、低価格等々を含めて、やはりどこでも使い勝手のいいようなサービスを展開するのは、これは電気通信事業についても同様な形で指摘されるんですね。

 この電気通信事業に関しましては、これは、先ほども言ったように、電電公社がああいう形で民営化してきたという中でマーケットが拡大したということもありますし、その背景の中において、さはさりながら、やはりユニバーサルサービスは一定以上確保し、維持しなきゃいけないというのは大前提でこの電気通信事業に関しましても民間開放してきたんですね。

 平成十四年には基金を新設して、そして事業者全体でユニバーサルサービスを維持するための必要な費用を負担し合っているというようなことが今見受けられるんですけれども、実際、現状において、この電気通信事業についてユニバーサルサービスを確保する、その基金のあり方とか基金の運用はどうなっていますか。

吉良政府参考人 お答え申し上げます。

 電気通信分野におきましては、日本電信電話株式会社法第三条におきまして、NTT東西の責務として、国民生活に不可欠な電話の役務のあまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供に寄与することが課せられております。また、NTT東西が提供します加入電話、それから公衆電話、それから緊急通報をユニバーサルサービスとして位置づけております。

 今先生からお話のありましたこれらのサービスにつきましては、都市部を中心とした競争の進展に伴いまして、NTT東西のコスト負担のみで提供を維持することが困難であるというようなことから、その赤字の一部を補填するために、平成十四年にユニバーサルサービス基金を設けたところでございます。

 この基金につきましては、ユニバーサルサービスと相互通話を提供する電気通信事業者が利用する電気通信番号に応じて拠出するということになっております。

水戸委員 まさに、国内電気通信事業におきましては、各民間企業が、そこに参入した民間企業が費用負担をしながら、例えば全国どこでも固定電話とか、公衆電話は今かなり少なくなりましたけれども、利用できるような形で、資金を拠出して基金をつくりながら、そこから運用している。ユニバーサルサービスを維持するためのさまざまな努力をしているのは今の御説明でもありましたとおりであります。

 ですから、私は、この郵便事業に関しましても、当然、均一料金とか、先ほど言ったユニバーサルサービスの維持、確保というのは必要でありますし、また郵便局、全国にネットワークを張りめぐらして、いろいろな形で郵便局という存在はありがたいものでありますし、その機能というのはやはり一定以上維持していくべきだと思います。

 こういう中において、ユニバーサルサービスを維持するための手法として、現状みたいな一般信書便事業について、先ほど言ったようなかなり規制を高くして新規参入をある程度規制することがいいのか。また、今言ったように、電気通信事業に見られたように、基金みたいなものを各事業者から出させて、そういう形でいろいろな、均一料金とかある程度郵便局の確保とか、そういうことも考えられるのではないかと思いますけれども、今のあり方がベストなのか。これからの展開によっては、ユニバーサルサービスを確保するためのさまざまな方策についても検討する、そうした余地があるのか。

 それについて大臣はどう思いますか。

高市国務大臣 ドイツやフランスやイタリアにおいては、ユニバーサルサービスを確保するために基金の制度を設けておられます。

 ただ、実際に基金から交付された実績がない場合等、事情は国によってさまざまでございますけれども、このユニバーサルサービスにつきましては、先ほど来答弁させていただいておりますとおり、平成二十五年十月に情報通信審議会に諮問し、現在、安定的にユニバーサルサービスを確保するためどのような方策が必要かということで御審議いただいております。

 本年夏ごろに取りまとめられる答申を受けまして、諸外国のユニバーサルサービスの確保策の状況も参考にしながら、やはりこれは国民の暮らしを支えるユニバーサルサービスでございますから、必要な取り組みをしっかりと進めていく、今そういう段階でございます。

水戸委員 先ほども答弁の中にありました、この夏までにユニバーサルサービスのあり方については検討し、一定の見解を出す。諮問に対してどのような回答が返ってくるのか私も楽しみにしておりますし、ぜひ、ユニバーサルサービスを確保する手法というものをもっと多角的な面で検討し、またさらに前向きに進めていただきたいということを強く要望していきたいと思っております。

 最後になりますけれども、先ほど提案者の吉村委員からも、この罰則規定について、我が党といたしましてはこれを外すべきである、行き過ぎであるというような形で、修正案を提案させていただきました。

 当局として、先ほど大臣からは廃棄物の問題に対して一般利用者に対する罰則はあるよという話はありましたけれども、それはあくまでも少数でありまして、例えば無許可の事業者に対して刑罰を科すんだったら当然で、それはともかくといたしまして、一般利用者に対して刑罰を科すことについてはやはり行き過ぎではないかと思うんです。

 何か特別な理由があって郵便サービス、郵便事業に関しては一般利用者にも罰則を適用しなきゃいけないことになったんでしょうか。

武田政府参考人 お答え申し上げます。

 郵便法では、信書便事業の許可を受けずに信書の送達を営んだ無許可事業者に加え、無許可事業者に信書の送達を委託した利用者に対しましても罰則規定が設けられているところでありますが、そもそも封をして差し出された内容物が信書か否かは事業者にはわからないところでございます。

 したがいまして、無許可事業者に信書の送達を委託する利用者の行為を禁止し、違反した場合は罰則を科すことは、制度の実効性を担保する上では必要であると考えております。

 なお、諸外国の事情でございますけれども、米国におきましても、法律上は送り主への罰則規定を残しており、制度の実効性を担保しているところでございます。

水戸委員 最後に大臣の御見解、御見識を問いたいんですけれども、やはり、先ほど言ったように、事業者に対して、自分たちは利益という形で還元されるわけでありますので、そういうものに対して、もちろん無許可はもってのほかでありますけれども、委託されてそれを送達した場合に、事業者がこれを過って送達した場合に対する罰則規定はやむを得ない部分かなと思います。

 しかし、やはり一般の利用者に科すということに対して、先ほど総務省もいろいろな取り組みをして周知徹底を図っているんだ、ガイドラインを設けて何が信書か信書じゃないかということを示しているんだという話もありましたけれども、一般利用者は、そうはいうものの受け手としてはほとんど認識されていないということが実態であります。

 ですから、そういうことを鑑みた場合においては、国内法においても、一般利用者に対する罰則規定は、廃棄物の話もありましたけれども、ほとんど見受けられないという現状に鑑みて、やはり撤廃した方がいいんじゃないか、その方がすっきりするんじゃないかと私は思うんです。

 アメリカはあるけれども、他の諸外国はほとんどありませんから。アメリカはあるかもしれないけれども、では、ほかの諸外国がお客様に罰則規定をしているかどうかというと、それは違いますので、あくまでもアメリカの例でありますので、そういうことを含めて考えていくならば、やはり、他の諸国の多数が罰則規定はないわけでありますので、そういう他の諸国の多数の方へ日本もシフトした方がいいのではないか、我々はそういう思いも込めて今回修正案を出しました。

 大臣、このことに関して撤廃をするお考えはありませんか、どうでしょうか。

高市国務大臣 撤廃をしてしまったら、利用者に対しても事業者に対しても罰則がないということになってしまいますと法の実効性が担保できませんので、撤廃をするつもりはございませんが、しかしながら、やはりより利用者によく理解していただけるように周知啓発活動にはさらに力を入れてまいります。

水戸委員 時間が参りました。これで質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

桝屋委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 議題となっております郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部改正案について、質問を行います。

 特定信書便役務のうち、大型信書便サービス、一号役務、三辺の計が九十センチから七十センチに緩和されるという提案であります。高付加価値サービス、三号役務では、料金の額を一通一千円超から一通八百円超へと緩和する提案であります。

 ユニバーサルサービス、日本郵便への影響は、大型信書便サービスが十九億円、高付加価値サービスが七十一億円と試算され、軽微であると説明を受けました。

 そこで、伺います。

 何をもって軽微と言われるのか、その根拠について御説明をいただきたいと思います。

武田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の特定信書便事業の拡大範囲において日本郵便が得ている収入は、御指摘の約八十九億円でございます。これは、郵便収入全体の約〇・七%にとどまっております。

 また、現に参入している特定信書便事業者は、日本郵便が提供していないような高付加価値のサービスも現に提供しておるわけでございますが、こういった特定信書便事業者からも、今回の規制緩和を機に、新たな需要の掘り起こしに取り組むという意向も示されております。

 したがいまして、必ずしも、この八十九億円、日本郵便の現在の収入がそのまま特定信書便事業者に移行することにはならないと考えておりまして、そういったことを総合的に考慮いたしまして、今回この改正案、郵便のユニバーサルサービスの提供確保には影響はないというふうに判断した次第でございます。

田村(貴)委員 大型信書便サービスの七十三センチ超のサイズの信書便というのは、一体どういったものを想定しておられるんでしょうか。事業者からはどうした形態の要望が今寄せられているんでしょうか。説明をいただきたいと思います。

武田政府参考人 お答えいたします。

 三辺合計七十三センチ超まで業務範囲が拡大した場合でございますが、A3サイズ、これはちょうど七十三センチ超でございまして、この信書を折らずに封入した封筒を信書便物として送付できるようになるということで、より幅広いサービスが可能になるということが見込まれております。

 関係事業者団体からは、これまで提供されていないような創意工夫を凝らしたサービスの開発に取り組み、需要の新規創出、掘り起こしに取り組んでいきたいという意見を伺っておりまして、現在、外部有識者による研究会で検討が進められていると承知しております。

田村(貴)委員 いまいちイメージがよくわからないんですけれども。

 日本郵便は、この法改正についてどのような意見をお持ちでしょうか。情報通信審議会の検討に際してのパブリックコメントで懸念を表明されておられましたけれども、ここでも述べていただきたいと思います。

壺井参考人 お答えいたします。

 日本郵便といたしましては、情報通信審議会の意見募集に対しまして、二〇一四年十一月、意見を提出させていただいたところでございます。

 全体として縮小傾向にある郵便・信書便市場の活性化を図るためにも、政府において、特定信書便事業の領域を拡大するのみならず、郵便の利用促進にも寄与するような施策を打ち出していただくとともに、郵便のユニバーサルサービスの維持及び郵便・信書便市場全体の発展に資するような環境整備をぜひとも進めていただきたいと申し上げたところでございます。

 また、情報通信審議会において議論されている郵政事業のユニバーサルサービスの確保方策について、今回の特定信書便の業務範囲の見直しによる日本郵便への影響についても十分御配慮いただきたいと要望させていただいているところでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 特定の受取人宛てのダイレクトメールなどの信書が同封される、そういう可能性もあるというふうにもパブリックコメントで載っていたわけなんですけれども、もう少し詳しく、この緩和について懸念される日本郵政の意見を聞かせていただけますか。

壺井参考人 お答えいたします。

 今御指摘の点につきましては、一号役務の拡大による影響につきましての項目かと思います。

 現在の三辺計七十三センチメートル超の郵便物の収入額に基づいた影響額は十九億円と推計されていますが、三辺計九十センチ超とする現行基準のもとでも一部行われているように、基準を最低限満たす大きさの封筒より小さいサイズの信書を封入したものを引き受けるというサービスが提供されているところ、基準が三辺計七十三センチ超まで緩和されますと、かかるサービスの提供がさらに拡大することが考えられること、また、三辺計七十三センチメートル超の宅配便やメール便といった荷物の内容品として、特定の受取人宛てダイレクトメールなどの信書を封入することが可能となることを考慮すると、影響額は十九億円にとどまらない可能性もありますという点を触れさせていただいております。

田村(貴)委員 加えて、三号役務についてはどうでしょうか。イコールフッティングが確保されないという部分についても説明いただきたいと思います。

壺井参考人 お答えいたします。

 三号役務の拡大による影響といたしまして、その対象は、電報類似サービスや高セキュリティーの配送サービスなどの高付加価値のサービスでございます。したがって、弊社としましても将来的に成長する可能性のある分野と考えていますが、一号役務と同様に、特定信書便事業者は、地域を限定した事業展開や個別の顧客との相対料金の設定が引き続き可能であるなど、競争上のイコールフッティングが確保されないまま規制が緩和されることについては、改めてその趣旨を明確に御説明いただくべきだと考えますということを申し述べさせていただきました。

田村(貴)委員 わかりました。

 二つの提案に対しては、日本郵便の方からもこうした懸念が表明されています。

 大型信書便サービスの、七十三センチ超というサービスの提供なんですけれども、私、ここにちょっと袋を持ってまいりました。

 A3サイズの信書便への緩和ということで、これがA3の紙ですね。この紙が入る紙袋、市販されているもの、たくさんあるんですけれども、これが入る。そして、閉じます。このサイズですと、大体これは九十一センチぐらいあるんですけれども、幅を縮小して、まちを削って、そうすると、A3が入っても七十三センチ超の形態の袋ができ上がるということが考えられます。

 もう市販では宅配袋というのがありまして、今度の改正をもってそうしたサービスに合わせた宅配袋というのも出てくるのではないかな、これは非常に大きな参入が見込まれるんじゃないかなというふうにも私は思っています。

 ここにあるのは、これはポスターケースであります。A3の紙であっても、またカレンダーであってもポスターであっても、丸めて入れたら送れるんですけれども、この三辺の計は約七十九センチでありますから、まさに今度の改定があったらこうした箱も信書便として使われるんじゃないかと思うんですけれども、こうしたものもいいということでしょうか、総務省。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今お示しの袋あるいはですが、サイズがまさに三辺七十三センチ超を満たしておれば当然扱えるというものでございますし、また、今ダイレクトメールとかいろいろございましたけれども、もちろん、信書便物ですから、信書以外にも合わせて物も送れるということは、それは事実でございます。

田村(貴)委員 A3のものがそのまま入る、そして信書便として扱える。形態も、こうしたボックス形のものなどからいろいろと広がっていくのではないかというふうに思います。

 私、ここはもうかる部分だと思うわけですよ。もうかる部分は拡大していく、緩和していく、これはちょっとやはりいいとこ取りになってしまうのではないかなという心配を持っております。

 先ほど日本郵政の方からは、一号役務については特定の受取人宛てのダイレクトメールなどの信書を同封する可能性がある、それから、高付加価値サービス、三号役務については、地域限定や個別の顧客との相対料金の設定が可能など、競争上のイコールフッティングが確保されないという率直な懸念の表明があったわけでありますけれども、この声に対して総務省はどのように答えられますか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 既にパブリックコメントの際にも、審議会としてその意見に対する考え方をお示ししているとおりでございます。

 特に懸念の影響でございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますけれども、具体的に、今その範囲において売り上げ収入を上げている金額の規模、あるいは、特定信書便事業者からの、実際の今の実績、さらには、みずから創意工夫を凝らしたサービスの開発に取り組む、そういった意向の表明があるということでございまして、今回のこの緩和による影響というのは、そのユニバーサルサービスに支障を来すものではないというふうに認識しております。

 また、イコールフッティングとの関係でございますが、そもそもこの特定信書便事業、地域を限定した事業展開、あるいは相対料金の設定、こういったクリームスキミングを防止する措置を講じなくても郵便へのユニバーサルサービスの提供に支障のない範囲内において認めようとしている事業でございますので、そういった趣旨についてはパブリックコメントの際にも明らかに説明させていただいたところでございます。

田村(貴)委員 そこは慎重に予測をされた方がいいんじゃないかなと思います。私は、素人考えで、こうしたところはかなりいいとこ取りになってしまうのではないかということを今申し上げたいというふうに思っております。

 昨年十二月の情報通信審議会におきまして、特定信書便の役務の範囲について、必要に応じて一号役務の範囲への追加を検討することが適当としています。三号役務についても、経済情勢の変化を踏まえ、弾力的に見直していくことが必要として、見直しの方向性を述べています。

 大型信書便サービスは、今回は九十センチ超から七十三センチ超への緩和となっていますけれども、角形三号封筒、このサイズの四十九・三センチにさらに拡大緩和されますと、その影響額は八十三倍にもなってまいります。

 そこで、お伺いします。

 今回の法改正、緩和というのは将来への布石というふうに位置づけておられるのか。いかがですか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今回御提案をしております特定信書便業務の範囲拡大でございます。これは、ごらんのとおり、信書便法上、法律で直接具体的に規定しているものでございます。

 仮に、将来さらなる拡大を行う場合には、郵便のユニバーサルサービスに与える影響を検証した上で、改めて国会に法律案を提出し、御審議をお願いすることになるかと存じます。

田村(貴)委員 今の段階でも十分な検証が必要だというふうに思うんですけれども。

 質問を続けていきたいと思います。

 ここで、改めてユニバーサルサービスの意義について確認をしたいと思います。

 ユニバーサルサービスは、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによって、公共の福祉を推進することと規定されています。

 あまねく公平に提供するから、当然コストもかかってまいります。日本郵便では、ユニバーサルサービスの維持に努めておられると思いますけれども、今回の改正が実現した場合、経営に影響をもたらすことがあるのではないかと私は考えます。

 さらなる効率化、コストカットが必要だとの考えを持っておられますか。これは日本郵便の方にお伺いします。

壺井参考人 日本郵便といたしましては、先ほど御説明もいたしましたが、特定信書便事業の業務範囲の拡大により、郵便のユニバーサルサービスの確保に影響の及ぶことのないよう、政府において郵便の利用促進にも寄与するような施策を打ち出していただくとともに、郵便のユニバーサルサービスの維持及び郵便市場、信書便市場全体の発展に資するような環境整備をぜひとも進めていただきたいとの意見を御提出させていただいたところでもございます。

 同時に、現状において、郵便物数の減少傾向が続いている中で、今後も郵便のユニバーサルサービスを確保していくために、今回の法改正にかかわらず、採算性の維持向上に向けた取り組みを推進していく必要があると考えておりまして、収益拡大のための取り組みも進めるとともに、業務量の増減に合わせた労働力の調整、仕事のやり方の見直し、作業の機械化等による生産性向上などに取り組んでいるところでございます。

田村(貴)委員 大変苦しいところだというふうにも思うんですけれども、ここで、高市大臣にお伺いしたいと思います。

 全国を対象エリアとし、そしてポストをくまなく配置し、統一料金で三日以内の配達を義務づけている一般信書便事業には、民間業者はまだ一者も参入していません。そのことについての意義について、どう受けとめておられるか。

 また、全国、離島の隅々までカバーするユニバーサルサービスの意義について、大臣はどう受けとめておられるんでしょうか。

高市国務大臣 郵便と同様に全ての信書の送達が可能な一般信書便事業は、法人や都市部など採算性の高い顧客に対してのみサービス提供が行われると、ユニバーサルサービスの確保に支障が出てくるということから、委員がおっしゃったように、全国における引き受け、配達、随時、簡易な引き受け方法の確保、全国均一料金という参入要件が課されております。

 また、こうした参入要件というのは、法令で明確になっており、信書の定義も含めて、制度の周知を行っております。

 参入するかしないかというのは各事業者の経営判断でございますけれども、離島も含めて、同じ料金で、そして簡易に引き受けられる、こうしたユニバーサルサービスを私たちが享受できるということは、これはやはり地方創生にも資するものでありますし、どんな場所に住んでいても安全に安心して生活ができる、こういう公共的な意味合いも持つと思います。

田村(貴)委員 民間業者がまだ一者も一般信書便事業に参入していない、この状況について、日本郵政としてはどう受けとめておられますか。

壺井参考人 当社といたしましては、国民の生活インフラである郵便事業を、なるべく安い料金であまねく公平にサービスを御提供していくというところに取り組んでいるところでございまして、法令で定められたユニバーサルサービスの水準の維持に努めてきているところでございます。

 お尋ねの、一般信書便事業への参入がこれまでにないことにつきましては、各社の経営判断にもよるものでございますので、当社としてコメントさせていただく立場にはないという点を御理解いただきたいと思います。

田村(貴)委員 やはり日本郵政でないとできないサービス、ユニバーサルサービスです。だからこそ、このユニバーサルサービスの財源もしっかり確保する必要があると思います。

 日本郵政の経営状況について御説明いただけますか。

壺井参考人 二〇一五年三月期の決算状況について御報告をさせていただければと思います。

 日本郵便の期末決算といたしましては、営業収益は、郵便物数の減少が続く中でありますけれども、中小口営業の取り組み等によりまして、ゆうパックやEMSなどの取扱物数の増加などによりまして、前期比四百五十一億円増の二兆八千百九十一億円の収益を上げております。

 一方で、営業費用につきましては、ゆうパックやEMSなどの取扱物数の増加に伴う費用や雇用情勢による賃金単価の上昇に伴う人件費の増加、基盤整備強化としての次世代情報端末の全国展開等の投資に伴う費用の増加などによりまして、前期比八百十五億円増の二兆八千八十四億円となったところでございます。

 これらの結果、営業利益が前期比三百六十三億円減の百六億円、経常利益が前期比三百五億円減の二百二十億円となって、当期純利益は前期比百七十四億円減の百五十四億円となっております。通期見通しの損益は上回っておりますが、前期比では増収減益となっておるところでございます。

田村(貴)委員 このうち、日本郵便は純利益が半減しています。三期ぶりに営業赤字になった郵便、物流事業のてこ入れが課題だというような報道もあっているところであります。

 利益が半減する中で、もうかる部分を明け渡していくやり方は、私はやはり経営の健全化に逆行していくものではないかなというふうにも思うわけであります。九十億円の影響は、経営状況から見ても決して軽微なものではないというふうに思うわけであります。

 次の質問に移ります。

 ユニバーサルサービスを支える上でもう一つかなめとなるのが、非正規雇用労働者の待遇改善であります。

 そこで、日本郵便に聞きます。

 日本郵便で雇用されている非正規労働者の数の推移はどうなっているでしょうか。二〇〇九年十月、二〇一四年十月現在の比較で教えていただけるでしょうか。あわせて、非正規労働者の割合もお答えいただければと思います。

壺井参考人 お答えいたします。

 まず、非正規社員の雇用数の推移を申し上げます。

 平成二十五年四月時点で、約十九万一千人でございます。これを八時間換算、一日八時間勤務で労働力換算した場合は、約十二万七千人でございます。二十六年四月時点で見ますと、約十九万二千人でございます。これを先ほどの労働力換算した場合は、約十三万人となります。平成二十七年四月時点では、約十九万八千人でございます。仮に先ほど申しました換算をした場合は、十三万六千人となります。

 全体として、正社員も伸ばしております。全体としての社員数も増加しておりますが、非正規社員の比率についてのお尋ねがございましたので申し上げますと、平成二十五年四月では、四八・六%、数としてはそうでございます。労働力換算した場合の比率でいいますと、三八・六%になります。平成二十七年四月、飛んで申し上げますと、数では四九・四%でございます。八時間換算した場合は、四〇・一%となります。

 以上でございます。

田村(貴)委員 非正規雇用労働者がまさに半数を占めているというような状況であります。

 配達員の多くは非正規雇用労働者であります。日本郵便では、多くの非正規雇用労働者が正社員と同じ仕事を担っています。コストカットで正社員が減った分、かわりに業務を担いながら、待遇では差別をされています。

 私、機会がありまして、非正規雇用の郵便で働く人たちの声を聞かせていただいたことがあります。

 一部を紹介させていただきたいんですけれども、例えば、ゆうパックの集荷、配達担当の方がおられます。バイクで仕事をすることも多々あるんですけれども、一分おくれただけでも二十分路上で説教を受けたことがある。そういう厳しい世界で同じように働いているのに、待遇の格差があるのはどうかと思う。

 病休にも格差がある。正社員は最大年百八十日の有給、非正規は十日のみで無給である。弔事があっても、非正規は無給だ、正規の方は有給がとれる。正規と非正規に命の差があるのですかと上司に質問をしたこともある。

 長年勤め、正社員を教えた経験もある私たちは、雇用継続の期待があっても当然だと思う。にもかかわらず、何の予告もなく解雇をされた。解雇されたという人がいます。お盆休みが明けて出勤したら、私の机に別の人が新人として座っていた。人を人として扱っていない。時給は、内勤で七百六十円、外勤八百円、これで何時間働けば暮らしていけるというのか。

 非正規八年目、最近ようやくスキルが最高のAランクになった。でも、手当が少ない。結婚したいが相手の方が収入が上、生活は二人合わせて何とかやっていけるが、子供を持つとなると厳しい。均等待遇があれば一層ばか真面目に働くことができると思う。

 こういう声もありました。

 ここは物すごく大事だと思うんですね。日本郵便、この声をどのようにして受けとめておられるでしょうか。率直なところをお聞かせいただきたいと思います。

壺井参考人 まず、郵便、物流事業のサービス提供のためには、期間雇用社員の方々の確保は非常に重要であると考えております。地域ごとの市場環境に応じた時給単価を設定するなど、必要な労働力の確保に努めているところでございます。

 これを第一点にお答えいたしますけれども、お尋ねの点について申し上げますと、当社における社員の働き方、それから社員に求める期待役割を踏まえて、正社員、期間雇用社員の社員数等を決定いたしておるところでございます。

 正社員には、主として各業務の責任者として、業務運行及び期間雇用社員の指揮監督等に従事していただいております。期間雇用社員の方々には、主として郵便局における各作業などの定型的な業務に従事していただいております。その結果として、先ほど申し上げましたような社員構成となっておるところでございます。

 さらに、処遇のお話がございましたのでお答えをいたしますけれども、正社員と非正規社員の労働条件につきましては、それぞれの社員の業務内容、それからそれに伴う責任の程度、配置の変更の範囲、転勤の有無といった人材活用の仕組みや運用の違いを考慮して、労働組合と交渉の上、それぞれの労働条件を設定させていただいておるところでございます。労働条件の差異についても、不合理なものではないと考えておる次第でございます。

 さらに申しますと、非正規社員の処遇改善につきましては、春闘等における関係労働組合との交渉を踏まえ、順次実施してまいってきておるところでございます。

 今後とも、会社の経営状況を踏まえつつ、関係労働組合との交渉を通じて、必要な改善には努めてまいりたいと考えておる次第でございます。

田村(貴)委員 必要な改善に加えて、大きな改善もお願いしたいというふうに思います。

 日本郵便の純損失の拡大の一因として、募集に人が集まらず賃金を上げたことが響いた、こうしたことも報道されているところであります。なぜ人が集まらないのか。あの職場はどうもきつそうだ、なかなか昇給もない、正社員にもなれない、ノルマもある、そうしたところが一つのイメージとなって、またこの状況が悪化しないことを、改善を大幅に進めていただきたいというふうに思います。

 最後に、今回は特定信書便業務について、業務拡大、緩和についていろいろとお尋ねをしてまいりました。しかし、以上述べてきたように、ユニバーサルサービスとしての郵便業務を維持していくことを考えると、今回の提案は、影響は決して小さいとは言えないというふうに思っています。

 郵政民営化が議論になったとき、私は議員ではありませんでしたけれども、鹿児島県の、先生もおられますけれども、奄美大島に行って、船に乗って離島に行って、その離島からまた船に乗って離島に行く、そこにもちゃんと郵便の業務があって、すばらしいユニバーサルサービスだなというふうに感じた次第であります。このサービスをやはりしっかりと維持していくことが必要だと思います。

 最後に、大臣、日本郵政は上場企業になることを目指すのではなくて、ユニバーサルサービスとしての提供義務を負う日本郵便の事業を堅実に維持していくことが何よりも重要だと思います。ここをしっかり支援していく、これが総務省の役割だというふうに私は考えますけれども、厳しい経営が迫られている日本郵便の支援について、いかがお考えでしょうか。先ほどからは、総務省からの実効ある施策とか提案も必要だというお話もありました。いかがでしょうか。

高市国務大臣 株式売却についてまずお話がございましたので申し上げますが、日本郵政の株式につきましては、郵政民営化法において、政府の保有割合をできるだけ早期に減ずるものとされておりますから、郵政民営化を着実に進めるために、株式上場は極めて重要だと考えております。

 ユニバーサルサービスの安定確保は、委員御指摘のとおり、大変重要なものであると受けとめております。非常にコスト面での課題もあり大変なことだと思いますけれども、まずは経営効率も高めつつ、一番大事なのは、やはり収益力を強化していくことによってその責務を果たしていただくことが大切だと思いますので、政府としてもしっかりと後押しをさせていただきます。

田村(貴)委員 時間が来ました。しっかりと受けとめて頑張っていただきたいと思います。

 終わります。

桝屋委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日の質疑、ほかの委員の方と少し質問がダブるところがあるかと思いますが、答弁をよろしくお願いしたいと思います。

 改正郵政民営化法によって、郵便局が、貯金、保険の基本的なサービスを含め、ユニバーサルサービスとして一体的に提供するということになりました。今回の法改正に当たっても、このユニバーサルサービスの提供体制を維持する観点が重視されなければならないというふうに私は考えております。

 そのことを前提として、最初に、信書便法の改正による特定信書便役務の範囲の拡大についてお聞きいたします。

 まず、大型信書便の一号役務について、現行の三辺合計九十センチ超を七十三センチ超、A3サイズまで引き下げるということになっております。

 その根拠として、情報通信審議会が昨年十二月に取りまとめた第二次中間答申は、三辺合計が七十三センチ超九十センチ以下の郵便物が、郵便収入では約十九億円に相当し、収入全体に占める割合が〇・一五%と比較的軽微であることから、郵便のユニバーサルサービスの提供に影響を与えないというふうに判断をしております。

 同様に、三号役務についても、信書便事業者からは、現行の一通千円超を五百円超にまで引き下げてほしいという要望が出されておりましたが、これをやると、四百三十億円、郵便事業の収入全体の三・三六%に達してしまう。これではユニバーサルサービスに重大な影響を与えるということで、今回については八百円超までということになっております。これだと、〇・五五%、約七十億円の影響なので、ユニバーサルサービスに影響を与えないと判断したということでございます。

 信書便のサイズや価格の変更がユニバーサルサービスの維持に与える影響を検討したということですけれども、収入の〇・五五、七十億円程度ならオーケー、三・三六、四百三十億円だと重大な影響を与えるという判断、その基準というのが、どこからどこまでだったらいいのか悪いのか、非常にわかりにくいということを感じます。

 まず、郵便事業収入の何%、額にしてどの程度に達するとユニバーサルサービスに影響がある、そういうふうに考えておられるのか、その基準を教えてください。

武田政府参考人 お答えいたします。

 今回の特定信書便事業の範囲拡大は、今御指摘のように、日本郵便が得ている収入は約八十九億円でございます。郵便収入全体の約〇・七%にとどまっております。

 また、特定信書便事業者からは、今回の検討に当たりまして、例えば、創意工夫を凝らしたサービスを開発し、新規需要の掘り起こしに取り組みたい、あるいは、顧客ニーズに対応し、現在提供されていないような創意工夫を凝らした新商品の開発を行う、こういった具体的な意向も示されているところでございます。

 一義的に、ここまでがという切り口はなかなかないのでございますが、今回、このような個々のデータ、あるいは関係者の意向、こういったものを総合的に勘案いたしまして、必ずしも日本郵便の現在の収入がそのまま特定信書便事業者に移行することはないということを判断いたしまして、今回のような内容にした次第でございます。

吉川(元)委員 今回の法改正、全体では最大で八十九億円ぐらいの影響を郵便事業収入に与える可能性があるわけです。

 後ほどまた少し日本郵政の方にもお聞きをしようと思っていますが、日本郵便の決算を見ますと、確かに全体では百五十四億円の経常黒字というふうになっておりますが、セグメント別で見ますと、郵便、物流事業でいいますと百三億円の赤字というふうになっております。

 今回の信書便役務の規制緩和の影響、これは郵便事業に与える影響は決して小さいとは私は思えませんし、特に三号役務について言えば、これは非常にもうかる範囲だろう、もうかる中身なんだろうというふうにも私自身は思います。それをとっていくということについては、決して〇・何%だから云々ということではなくて、やはり大きな影響が出てくるのではないかというふうに私は思っております。

 次に、信書便の業務委託についてお聞きをします。

 まずお聞きしたいのは、信書便事業者において現在行われている業務委託の実態について、その件数などの数字も含めて教えていただきます。

武田政府参考人 お答えいたします。

 特定信書便事業者の中には、総務大臣の認可を受けまして、例えば配達業務の一部を他の事業者に委託している者もおります。現在、四百三十六者、特定信書便事業に参入しておりますが、このうちの約二割が信書便の業務の一部を委託しております。

 特定信書便役務ごとの実態といたしましては、大型信書便サービス、次いで高付加価値サービスにおいて委託を実施している事業者が多くなってございます。

吉川(元)委員 情報通信審議会の第二次答申では、信書便市場の活性化に向け、現在、許可制とされている信書便の業務委託について、同種の業務委託を複数の者に反復継続して行う場合には、手続の簡素化を図ることが適当というふうな提言がされておりますが、この扱いについてはどういうふうになるんでしょうか。

武田政府参考人 お答えいたします。

 信書便法では、通信の秘密を確保する観点から、業務の一部委託の認可におきましては、当該委託を必要とする特別な事情があること、受託者が当該業務を行うのに適した者であることのいずれにも適合している場合に認可をしなければならない旨定められております。

 委員御指摘の、業務委託の認可手続の簡素化でございますが、これにつきましては、信書便法令上の基準を満たすことを前提として検討を進めているものでございます。したがいまして、仮に手続の簡素化によりまして業務の一部委託の申請件数がふえたといたしましても、法令の基準にのっとりまして、通信の秘密の確保に支障を来すものではないというふうに認識しております。

 具体的には、配達業務を複数の事業者に委託する場合などについて、現在は一つ一つの委託契約の内容の写しの提出を求めておりますが、同一の内容であれば、例えばいずれか一社の委託契約書の写しと、ほかの事業者につきましては、その事業者名のリストの提出にとどめまして、個々の委託契約書の写しの提出を省略するといった手続の簡素化について検討しているところでございます。

吉川(元)委員 それは法改正ということになるんでしょうか、その点お答えください。

武田政府参考人 お答えいたします。

 この点につきましては、省令でございます。信書便法施行規則の現行規定におきまして、運用上対応できるようになっております。

吉川(元)委員 施行規則、省令でやるということでありますけれども、まさに先ほど答弁にもあったとおり、信書便というのは、これは憲法の二十一条二項に「通信の秘密は、これを侵してはならない。」という規定があります。私企業も入ってきておりますので、これについては私人間効力を認めるという考え方が優勢であります。

 そういう観点からいいますと、憲法の要請も含めて考えた場合に、安易な緩和というのは私は問題ではないかというふうに思います。また、業務委託が、下請化というふうに言えると思いますが、極端に進むと、結局、人件費の引き下げによって過度な価格競争が生じやすくなりますし、また、トラブルが発生した際の責任の所在というものがやはり不明確になり、あるいはサービスが低下をする。

 そうなった場合に、先ほど言った憲法の通信の秘密というところが十分守られなくなるのではないかという危惧を持つわけでありますから、ぜひその点をしっかりと注意しながらやっていただきたいというふうに思います。

 この点について、ちょっと大臣にもお聞きしたいと思いますけれども、今回、緩和して、大丈夫だというふうに言われますけれども、通信の秘密との関係、大臣はどのようにお考えでしょうか。

高市国務大臣 省令によるということで、運用に当たっての留意事項も今部長が答弁したとおりでございます。しっかりと通信の秘密が守られるように対応してまいります。

吉川(元)委員 しっかりとした対応をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、日本郵政にお聞きをしたいと思います。

 四月一日に日本郵政が、二〇一五年度から二〇一七年度の中期経営計画を出されておられます。それによりますと、最終年度に当たる二〇一七年度には、郵政グループによって連結税引き後利益を四千五百億円とするという目標が立てられております。現在、インターネットあるいは電子メールなどの普及、さらには人口減少という中にあっても、日本郵便の事業でも三百億円の税引き後利益を目指すとされております。

 しかし、先ほども触れましたとおり、三月期の年度末決算では百五十四億円の黒字となったものの、セグメント別でいうと、郵便、物流事業単体では赤字であります。ゆうパックの取扱個数がふえているというふうにはお聞きしておりますが、やはり民間の宅配業者との競争は激化しておりますから、なかなかこの先も収益は簡単には伸びていかないというふうにも感じております。

 そこでお聞きいたしますけれども、大変厳しい経営環境にある日本郵便の黒字化、三百億円の税引き後利益をどのようにして達成するお考えなのか、お聞かせください。

谷垣参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、四月一日に、私ども日本郵政グループとして、中期経営計画の改定版でございますがそういうものを発表いたしまして、グループ全体として四千五百億円という最終利益を目指すことを発表いたしました。その中で、日本郵便でございますけれども、当期純利益三百億円程度を目指すということにしてございます。

 当然ながら、どうやって達成するのかということでございますけれども、収益の拡大と費用の節約ということになるわけでございますが、具体的に申しますと、特に郵便、物流事業におきましては、先ほど御指摘の成長著しい通販市場でございますとかEコマース市場を中心にゆうパック、ゆうメールの拡大を目指すということがやはり一番だと思ってございます。二〇一七年度に、二兆円程度の営業収益の確保を目指してまいるということでございます。

 それから、セグメントは違いますが、金融窓口事業につきましても、物販の提供商品でございますとかあるいは販売チャネルの拡大でございますとか、不動産プロジェクトの確実な推進等によりまして、二〇一七年度には、一・一兆円程度の営業収益の確保を目指していきたいと思ってございます。

 他方、費用面でも、ゆうパックの取り扱い増で費用は確かに増加いたしますけれども、業務量の増減に合わせて労働力の調整も行い、郵便、物流ネットワークの再編でございますとか、窓口の機器の配備など、仕事のやり方の見直しでございますとか、あるいは作業の機械化等による省力化に取り組みまして、生産性を向上させるということでございます。二〇一七年度までに五百億円程度の費用削減効果を見込んで営業費用の伸びを抑制したいということでございます。

 こういうような取り組みによりまして、日本郵便においては、経常利益三百五十億円程度、当期純利益三百億円程度の利益の確保を二〇一七年度には目指していきたいと思っているところでございます。

吉川(元)委員 今、インターネットの通販は拡大しておりますし、それから宅急便などの小荷物の個数はふえているにもかかわらずなかなか収益が上がらないという、この問題については、やはり内部の物流体制のあり方など、事業者の努力の問題だけではないというふうにも思っております。業界全体で価格競争が過度に進んでいるのではないかというふうに考えざるを得ません。

 先ほど少し出ておりましたが、相対取引等々について、きちんとそのあり方について検証していくことがやはり必要ではないかということを指摘させていただきます。

 次に、どうやって黒字を出していくのかといった場合に、先ほどいろいろとおっしゃられましたけれども、非正規のお話を少しお聞かせ願いたいと思います。人数等々については、先ほどの質問の中にもありましたので、それについてはもう結構であります。

 思い出すのは数年前、たしか非正規の方を正規化するということを大々的に、数は結局多くなりませんでしたけれども、やったという記憶があります。

 そこからすると、先ほどの数字を聞いておりますと、年々また非正規の方がふえていっているというのが明らかになりました。私自身も非常に驚いております。あのときああいうふうにやったのは何だったのかという気もいたします。

 そこで、お聞きしますけれども、中期経営計画の三年間で、この非正規の方々の処遇をどのように改善を進めていくお考えなのか、説明をお願いいたします。

谷垣参考人 お答えいたします。

 非正規の社員の方の労働条件につきましては、これまでも、春闘等におきまして、関係労働組合との交渉を踏まえて順次処遇改善を行ってきたところでございます。

 先生御存じかもしれませんけれども、具体的には、民営化以降でいいますと、非正規社員から約二万三千人を正社員に採用している。あるいは給与につきましては、月給制の契約社員につきましては八年連続でベアを実施して、基本賃金を約一万一千四百円改善している。それから、時給制契約社員の方は、評価に基づきます加算措置によりまして、平成二十六年度には平均四十二円時給アップ、また、平成二十五年度から三年連続でスキルレベルに応じた資格給を一部引き上げる等の改善を行ってきているところでございます。

 今後とも、中期経営計画期間中を含めまして、各社の経営状況を踏まえつつ、関係労働組合との交渉を通じまして、必要な改善に努めてまいりたいと思っているところでございます。

吉川(元)委員 中期経営計画を見ておりますと、「生産性向上のための取組」ということで、「労働力の確保・人材育成等による生産性向上」ということが言われております。

 その中でちょっと気になるのが、「(新)一般職の採用を進め、」とありますが、この新一般職というのはどういう中身なのか、ちょっと説明をお願いします。通告はしておりませんが、よろしくお願いします。

谷垣参考人 基本的に、正社員ではございますけれども、労働条件、例えば転勤等は行わないでございますとか、そういう一定の労働条件に限って採用する正規社員の別の形態というふうに考えていただければいいと思います。

吉川(元)委員 名前は新一般職ということでいいんですけれども、実態からすると、これはいわゆる限定正社員というものとほぼ同じ中身なのではないかというふうに思いますけれども、転勤がないだとか、あるいは場合によっては解雇も簡単にできるような、そういう人事制度なんでしょうか。

谷垣参考人 限定正社員という言葉がいいかどうかは別にいたしまして、一応、業務量とか給与等が特殊な体系になっているということでございます。解雇とかを簡単にできるということはございません。

吉川(元)委員 簡単に解雇するようなことはあってはならないと思いますし、私は、ちょっと見ていると、今のお話を聞いていると、やはり限定正社員というもののカテゴリーの中にこれが入ってくるのかなという気がいたします。

 今後も引き続き、非正規社員の正規化あるいはその処遇の改善についてはしっかりと取り組んでいただきたいということを要請しておきます。

 次に、株式上場についてお聞きします。

 持ち株会社である日本郵政とゆうちょ、かんぽの三社を同時に株式上場させる予定だというふうに承知しておりますが、親子会社を同時に上場させるという例は私も余り聞いたことがありません。

 同時上場ということになると、子会社の経営や財務の自由度を制限するような可能性があるのではないかというような指摘も一部でされておりますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

谷垣参考人 お答えいたします。

 郵政民営化法上、グループ三社の株式処分というのが義務づけられてございまして、制度上も親子上場が前提になってございますし、東京証券取引所も親子上場自体は認められているところでございますけれども、先生御指摘のとおり、子会社の少数株主保護の観点から、子会社の経営の独立性の確保というのが論点の一つになるということは承知をしているところでございます。

 今回、金融二社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命でございますが、取締役の過半数を親会社とは利害関係のない社外取締役が占めておりまして、経営の独立性には十分に配慮した体制となっているところでございます。

 したがいまして、当社といたしましては、両社の経営の独立性というのは十分に確保されているものと考えてございますけれども、今後、東京証券取引所で上場審査が行われますので、同様の観点から十分な審査が行われるものというふうに考えているところでございます。

吉川(元)委員 自由度という観点ですけれども、私自身非常に心配なのは、自由度が上がり過ぎて、結果として、郵政グループ各社の連携が後退をして、ユニバーサルサービスの維持にも支障が出てくるのではないかというような心配をしております。

 上場に当たっては、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の株式について五〇%程度の売却を将来目指すとされておりますが、その場合においても、収益性が高いとは言えない郵便事業のユニバーサルサービスがどのように維持されていくのか、その点について最後にお聞きいたします。

谷垣参考人 お答えいたします。

 当グループの強みというのは、郵便局ネットワークを中心として三事業を提供していくところにございまして、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の金融二社のサービスも郵便局を通じて提供するビジネスモデルとなってございます。

 したがいまして、株式売却にかかわらず、基本的に、この郵便局と一体となった事業経営のビジネスモデルについては、今後とも長期にわたって維持されるものと考えてございます。

 何と申しましても、日本郵便の収益力の強化、経営の盤石についてもあわせて努めていきたいと思ってございます。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、終わります。

桝屋委員長 これにて原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。梅村さえこ君。

梅村委員 私は、日本共産党を代表して、郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の改正案への反対討論を行います。

 第一の理由は、民間参入を促すとして特定信書便役務の範囲を拡大することが、郵便事業の対象範囲との競合となり、ユニバーサルサービス確保をないがしろにするものだからです。

 郵便法は、「郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供する」としております。過疎地や離島に至る全国どこでも、ポストや郵便局、窓口を置き集配を行う郵便事業は、国民になくてはならないサービスです。これは、他の民間事業者の参入のあり方を限定することで確保されており、今日に至るまで、郵便のユニバーサルサービスに民間事業者が参入できていません。

 今回の対象範囲の拡大で、一部地域や一部採算性のとれる範囲で行う民間事業者と競合することとなれば、ユニバーサルサービス確保の基盤を掘り崩し、郵便事業のサービス水準の低下をもたらしかねません。

 第二に、信書便約款等の認可手続の簡素化も、民間参入を促すものです。

 最後に、今準備されている日本郵政、ゆうちょ、かんぽ金融二社の上場には、事業の収益性の向上などが求められております。営利を求めることになれば、ユニバーサルサービス確保と矛盾は避けられません。ユニバーサルサービス確保のための制度の抜本的見直しこそすべきであることを指摘して、討論を終わります。

 なお、維新の党提出の修正案は、郵便制度を脅かすものであり、反対です。

 以上です。(拍手)

桝屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 これより採決に入ります。

 郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、吉村洋文君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、坂本哲志君外二名から、自由民主党、維新の党及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。坂本哲志君。

坂本(哲)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    郵便法及び民間事業者による信書の送達に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の各項の実施に努めるべきである。

 一 特定信書便役務の範囲については、今後の信書便事業の市場の活性化、利用者の利便性の向上、郵便事業への影響等を適宜検証し、必要に応じて見直しを行うこと。

 二 郵便サービスに加え、貯金・保険といった金融のサービスも郵便局で一体的にユニバーサルサービスとして提供することを義務付けた郵政民営化法の趣旨に照らし、全国あまねく安定的にこれらのサービスを提供する責務を果たすことができるよう、効果的な施策を講ずること。

 三 信書の制度に関する利用者の理解及び認識を深めるため、関係事業者等と連携し、適切な周知を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

桝屋委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

桝屋委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣。

高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

桝屋委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

桝屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

桝屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十一分散会


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