衆議院

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第3号 平成28年2月23日(火曜日)

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平成二十八年二月二十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大西 英男君    金子万寿夫君

      神谷  昇君    木村 弥生君

      小林 史明君    古賀  篤君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      中谷 真一君    中村 裕之君

      中山 泰秀君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    橋本  岳君

      宮路 拓馬君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    若狭  勝君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      水戸 将史君    渡辺  周君

      輿水 恵一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   総務副大臣        松下 新平君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐伯 修司君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          北崎 秀一君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  青木 信之君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局郵政行政部長)       武田 博之君

   政府参考人

   (総務省統計局長)    会田 雅人君

   政府参考人

   (消防庁次長)      西藤 公司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           堀江  裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           谷内  繁君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本郵政株式会社常務執行役)          田中  進君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十三日

 辞任         補欠選任

  金子めぐみ君     神谷  昇君

  橋本  岳君     中谷 真一君

  宗清 皇一君     宮路 拓馬君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     若狭  勝君

  中谷 真一君     橋本  岳君

  宮路 拓馬君     宗清 皇一君

同日

 辞任         補欠選任

  若狭  勝君     木村 弥生君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     金子めぐみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 地方自治及び地方税財政に関する件(平成二十八年度地方財政計画)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会監査委員会委員上田良一君、日本放送協会会長籾井勝人君、専務理事板野裕爾君及び日本郵政株式会社常務執行役田中進君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、大臣官房審議官佐伯修司君、自治行政局長渕上俊則君、自治行政局公務員部長北崎秀一君、自治財政局長安田充君、自治税務局長青木信之君、情報流通行政局長今林顯一君、情報流通行政局郵政行政部長武田博之君、統計局長会田雅人君、消防庁次長西藤公司君、厚生労働省大臣官房審議官堀江裕君及び大臣官房審議官谷内繁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田道孝君。

池田(道)委員 おはようございます。本日のトップバッターを務めさせていただきます自由民主党の池田道孝でございます。よろしくお願いを申し上げます。

 まず、地方交付税についてお尋ねをいたします。

 ちょうど今ごろ、都道府県そして市町村では、平成二十八年度の当初予算案が提示をされ、これから各議会で審議が始まります。特に、二十七年度、二十八年度につきましては、アベノミクスの影響によりまして、税収が地方自治体もかなりふえております。そうした中、前年度予算からの増、そしてまた予算編成もある程度容易な編成内容ではなかったかなというふうに考えられます。

 しかしながら、その歳入面を見てみますと、ほとんどの市町村、とりわけ過疎地域を抱える自治体では、交付税が歳入に占める割合が税収とイコールか、大半は、かなりの割合を占めております。ちなみに、私が住んでおる町では、通常、税収の倍が交付税の額でございます。

 それだけ依存財源、いわゆる交付税に頼っておるわけでございますけれども、その交付税、御承知のように、基準財政需要額が収入額を上回れば当然交付されるわけでございますけれども、あれだけの予算でございますので、常に削減の対象になっているように考えられます。

 あの小泉改革で大幅な交付税減額がございました。それがいまだに水準まで回復はいたしておりませんし、事あるたびに交付税がやり玉に上げられます。つい三年前も、国家公務員の給与減額に合わせて地方公務員も減額せよ、そうでなければ交付税というような、地方から見れば、大変言葉が悪いんですが、おどしのようなこともございました。

 それだけ地方はいろいろな形で、あの平成の大合併以前から、職員の定数の削減、あるいは給与カット、民間委託等、血のにじむような改革をしてきております。

 そうした中、秋口になりますと、地方六団体を初めとして多くの方々から、新年度の交付税はこうあるべきですよという陳情、要望がなされます。

 そうした地方交付税のあり方そのものについては、別の角度からまた議論もあろうかと思いますけれども、今の制度上では、地方にとりましては非常に重要な財源でもありますし、地方財政の真の確立の上では、交付税というものが長期に確約されておらなければ、また、地方自治体では、今国が進めております地方創生、あるいは地域の活性化というものは図っていくことができません。

 改めてお尋ねを申し上げますけれども、その地方交付税の地方自治体における立ち位置、意義というもの、そしてまた、来年は確保しておるんだということでなし、最低十年間ぐらいのスパンで確約をいただきたい、そういう意味合いのもとでお考えをお聞かせ願いたいと思います。

高市国務大臣 地方団体がみずからの発想と創意工夫によって地方創生などの重要課題にしっかりと取り組みつつ、安定的に財政運営を行っていくためには、地方が自由に使える財源をしっかり確保することが重要だと考えております。

 二十八年度の地方財政対策におきましては、地方団体が自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組んでいただけますように、まち・ひと・しごと創生事業費について前年度同額の一兆円を計上するとともに、地方の一般財源総額についても前年度を〇・一兆円上回る六十一・七兆円を確保いたしました。

 また、委員が御指摘いただきましたとおり、地方税が増収となる中で、地方交付税総額について昨年度とほぼ同程度となる十六・七兆円程度を確保しながら、赤字地方債である臨時財政対策債の発行は大幅に抑制して、これで一般財源の質を改善し、地方財政の健全化を進めました。

 いろいろ御懸念もあるかと思いますけれども、今後とも、やはり、地方がみずからさまざまな取り組みをして地方経済が元気になっていく、その地盤をしっかりとつくっていくために、経済・財政再生計画を踏まえて、地方財政計画において必要な経費を適切に歳出に計上して、地方の一般財源総額はしっかりと確保してまいります。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 とりわけ、土屋副大臣もそうだろうと思いますが、地方行政を預かっておられた方々につきましては、地方交付税の成り行きというものが非常に心配になりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。

 それから、簡単にお尋ねいたしますが、地方法人課税の偏在是正でございます。

 私も、交付団体、不交付団体両方の地方自治体にかかわっておりました。いわゆる不交付団体における税収減、いろいろな形でカバーをと言いながら、カバーし切れない自治体もございます。

 そうした不交付団体であっても、従来いろいろな行革をしながら今まで来ておられるわけでございますが、そうした税収減がカバーできないというような自治体に対して、これからの偏在是正、恒久かどうかわかりませんが、支援措置を含めて、その対応についてお尋ねをいたします。

高市国務大臣 今回の措置によりまして、地方消費税率の引き上げ及び法人事業税交付金の創設によって、大半の市町村では増収となります。

 しかし、今御指摘いただきましたとおり、法人住民税法人税割の税収の割合が非常に大きい団体においては減収が生じることもあり得ることから、法人事業税交付金につきまして、変動が急激に生じないよう経過措置を講ずるとともに、この税制改正に伴う減収額を対象に地方債を起こすことができますように特例規定を設けるということにして、不交付団体も含めた配慮措置を講じることにしております。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 続きまして、消防団についてお尋ねをいたします。

 あってはならないことでございますけれども、毎年のように全国各地で大きな災害が発生をいたしております。災害の大小を問わず、そうした有事の際には、初期活動として地域の信頼を集めているのが地域の消防団でございます。

 その消防団を取り巻く環境というものも、年々厳しいものがございます。少子高齢化による団員の高齢化。そしてまた、認知症を含めたいわゆる行方不明者の警察官とともにの捜索活動、そうした住民のニーズが多様化いたしております。

 そうした多様化に対応するために、団員の不足という中で、地方では、いろいろな消防団の役職がございますけれども、例えば分団長であるとか方面団長、そうした役職が、後進に譲るために引かれる、引かれるということは退団でございますけれども、そのまま一団員として残っておる。そうしたことで地域を守っているという消防団も数多くございます。

 今、国の方では、女性消防団あるいは大学生の消防団加入、いろいろ手を打っておられると思いますけれども、もう既に総数で九十万人を切っている状況でございます。そうした消防団活動に対して、消防団員の加入促進についてのお考えをお尋ねいたします。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 今後発生が危惧されます南海トラフ地震あるいは首都直下地震など大規模災害、あるいは地域の災害に備えますとともに、地域防災力の充実強化を図るためには、消防団員の確保が極めて重要な課題と認識しております。

 これまで、大臣から地方公共団体の首長さん宛ての書簡などによりまして、女性、若者を初め在勤者や地方公務員の入団促進を働きかけてきたところでございます。

 また、最近サラリーマン団員が増加していることを踏まえまして、事業所の理解を得るために、主要経済団体に対しましても、機会あるごとに大臣から直接、従業員の入団促進を初め、消防団活動がプラスに評価される仕組みや職員採用時に評価される仕組みの導入などについても働きかけを行っているところでございます。

 このほか、消防団への加入促進を図るための消防団協力事業所表示制度、あるいは学生消防団活動認証制度の導入促進などにも取り組んでおります。

 また、来年度の予算案でも、女性や若者などの入団促進を図るため、地方公共団体による先進的な取り組みを支援する事業につきまして、予算額を倍増して実施し、その成果を全国に波及させることといたしております。

 今後とも、消防団員の確保を初め、消防団の充実強化にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 先ほど地方公務員の団への加入促進という御答弁もございましたが、今は職専免が適用をされますけれども、地方公共団体の中で、例えば、千代田区で採用された職員の方々が、千代田区内で火災が発生した、出ていった、出動したときに、それが職専免適用というのは当然でございますが、新宿あるいは渋谷区の方から千代田区へ勤めておられる職員が、自分のところで火災が起きたから出動した、そして半日ぐらいおくれて来た、そうしたときに、全国的に職専免が適用されているか、あるいは、やはり自分の所在地ではないので、いわゆる年休をとってと。

 そういうことになりますと、地方公務員の消防団への加入そのものについて、やはりこれは、年休は幾らとってもいいとはいいながら、感情的なものでございますので、その辺も含めての対応というのはどういうふうになっておりますか。お尋ねをいたします。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、地方公務員が消防団員として活動することは、地域防災の推進を図る上で極めて重要なことであると思っております。

 こうした中、平成二十五年十二月議員立法により制定していただきました、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律におきましては、公務員が消防団員を兼職する場合には原則としてこれを認めることとするといった特例を設けていただいたところでございます。

 こうしたことも受けまして、地方公共団体の長宛てに総務大臣書簡を発出するなどいたしまして、地方公務員の入団促進あるいは活動の促進に向けまして強力に働きかけているところでございます。

 最近の事例で申し上げますと、地方公共団体においては、ある地方公共団体では、新規採用職員が研修の一環として入団している例でありますとか、あるいは、市職員と県職員などを構成員とする地域の消防団、分団を設立した例などもございまして、消防庁といたしましても、こうした先進的な取り組みを広く紹介しながら、地方公務員の消防団活動が円滑に行われるよう、しっかりと働きかけてまいりたいと思っております。

 最近、地方公務員の消防団員数は増加傾向にありますが、さらに、今後とも地方公務員の入団促進あるいは活動の円滑化に向けてしっかりと取り組んでまいります。

 以上です。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 多分、まだ地方自治体においてはそういう例があろうかと思いますので、御指導よろしくお願いをいたします。

 時間が参りましたが、一点だけお尋ねいたします。

 その消防団の加入の中で、操法大会というのがございます。消防そのものはボランティアでございます。私も操法の選手を何年もやりましたが、大概、職場から帰って、夜中の、八時ごろから訓練に入るわけですが、大体百メーターぐらい要りますので、小学校の校庭とか。

 そうすると、毎晩ということではありませんが、週に二回、三回やっていますと、新しく消防団へ加入しようという若い方々が、火災、災害だけでなし、そこまでするのであれば入りにくいという苦情もございました。ちょうど西藤次長が岡山県におられる時分でございましたが、私も総務委員会におりまして、投書がありました。

 その点につきましての指導というのはできないと思いますが、御感想があれば、お尋ねをいたします。

遠山委員長 時間が参っておりますので、簡潔な答弁でお願いします。

西藤政府参考人 消防団員の中にそのような声があることも、私ども承知いたしております。

 一方で、操法訓練、各団員にとりましても、基本的な消防技術を習得するために必要なものでありますし、また、繰り返し訓練を積むことで団員間の連携も高まり、身につけた能力を実践で十分に発揮する効果があるものと考えております。

 こうした訓練のやり方については、各消防団それぞれの事情があったり、異なっているものと考えますが、いずれにしても、団員にとって必要以上の過度の負担にならないよう留意した上で、地域の防災力を高められるよう訓練を行っていただきたいというふうに考えております。

 以上です。

池田(道)委員 ありがとうございました。

 終わります。

遠山委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。おはようございます。

 同じ中国ブロックの選出の池田委員に続きまして、二人目の中国ブロック選出の桝屋から質問いたします。

 きょうはまた、この委員の配席、いなくなりましたが、両山口委員の隣に山口県の桝屋が座らせていただいて、委員長の配慮に感謝申し上げます。

 早速質問に入りたいと思います。

 二月十六日、総務省は、平成二十七年の労働力調査の速報値を発表いたしました。マスコミでは、正社員が八年ぶりに増というような見出しが出ておりました。あるいは、増加数で正社員が非正規社員を上回るのは二十一年ぶりと報道されているわけであります。また、さらに中身を見ますと、今まで働いていなかった女性あるいは高齢者が正社員になる例がふえているという報道もなされております。

 いずれも、この国会でもさきの国会でも、アベノミクスの効果という点で国会でも随分議論されてきた点でございますが、まずは統計局長から、この労働力調査の調査結果の概要を御報告いただきたいと思います。

会田政府参考人 お答えいたします。

 労働力調査詳細集計の二〇一五年平均について、正規雇用労働者に関する結果を説明いたしますと、正規雇用労働者は、前年に比べ二十六万人増加し、三千三百四万人となっております。正規雇用労働者が前年に比べ増加しましたのは、二〇〇七年以来八年ぶりとなっております。

 さらに、正規雇用労働者が増加し、かつ、その増加幅が非正規雇用労働者の増加幅を上回ったのは、一九九四年以来二十一年ぶりとなっております。

 次に、御指摘の、女性や高齢者の正社員の動向を労働力調査の結果から見ますと、女性の正規雇用労働者は、二〇一五年平均で一千四十二万人となり、前年に比べ二十三万人増加となっております。また、高齢者に当たる六十五歳以上の正規雇用労働者は、二〇一五年平均で九十三万人と、前年に比べ七万人の増加となり、二年連続増加となっております。

 以上でございます。

桝屋委員 統計局長から実に無味乾燥な報告をいただきまして、もう少し数字の思いというものを出してもらいたいなと思うんです。

 自民党・公明党連立政権が誕生いたしまして、ずっとこの問題に取り組んできたわけであります。今統計局長から報告がありました、正社員がやっと増加の兆しが見えている、しかも、その増加の幅が非正規の職員に比べて大きくなってきた。やっとそういう状況が見え始めたのかなという思いもするわけでありまして、局長のお立場から淡々とお話がありましたが、私は、この報道を見て少しうれしく思ったわけであります。

 大臣は所信表明の中で、地方経済の好循環を確立するローカルアベノミクスの実行を掲げて、地方経済の再生など重要課題に取り組んできた、このようにお述べになっておりますが、アベノミクスの効果はもとより、総務省において取り組まれてきた地域経済好循環プロジェクト、これはローカルプロジェクト、ローカル一万プロジェクトとかエネルギーのまちづくりとか、地味ではありますけれども、やる気のある自治体に対して、私は、本当に努力をされてきた、積極的な取り組みをされてきた、こういうふうに思っておりまして、徐々に成果が上がっているのかな、こう感じておりますが、大臣の認識をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 どうもありがとうございます。

 統計局長は、淡々と数字に忠実な方で、政府・与党にとって有利な解釈も決してつけないというプロフェッショナルの職人でございます。

 さて、ローカルアベノミクスでございますけれども、各地域において非常にいい、好循環の形が生まれてきたと思っております。成功事例も随分出てきております。

 特に、創業支援事業計画に基づいて、雇用吸収力の大きい地域密着型企業を立ち上げるというローカル一万プロジェクトでございますが、全国の市町村で創業支援事業計画の策定が進んでおりまして、既に千策定済みということで、今策定中及び予定というところが四百二十三でございますので、非常に多くの参加を得ております。

 総務省で地域経済循環創造事業交付金で応援させていただいていますが、四・五倍の地元雇用創出効果、八・三倍の地元原材料活用効果など生まれておりまして、非常にいい形で波及してきているかなと思っておりますので、今後とも、同プロジェクトの推進によりまして、雇用創出それから設備投資の拡大を図るということで、地方からGDPを押し上げてまいりたいと考えております。

桝屋委員 大臣のお話で大分先ほどの統計の数字に色がついてきたように感じております。

 実は、民主党政権のときも、やはりこうした状況を生みたいということで懸命に取り組みをされてきたのではないかな、こう思っておりまして、ここは与野党挙げて、さらに地方の経済といいましょうか、好循環を前に進めたいという思いは共有のものだろうと思います。

 ただ、これはよく民主党さんも言われますけれども、そうはいいながら、正規、非正規の状況というのは決して喜ぶべき状況でもない。やはり非正規の従業員で働く人の割合というのは決して低くない、高くとまっているわけでありまして、今後さらに取り組みを進めなきゃならぬだろう、このように思っております。

 総理も、同一労働同一賃金の実現に向けて、とりわけ非正規の職員の待遇改善に取り組む、このようにおっしゃっておられまして、私ども公明党としても全力を挙げて取り組みたいと思っているわけであります。

 特に、働き方改革というようなことが極めて大事だろう。ここは、中央で政労使会議もやっておりますけれども、特に私ども公明党も強く実現を求めております、地方においても政労使会議をしっかり開いていただいて、こうした働き方改革というようなこともしっかり取り組む必要があるだろう、このように思っているわけでありまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 私も、各地域において、その実情に応じた働き方改革をしっかり行い、出産、子育て、介護、いろいろな御事情がありますが、そんな中でも働きやすい環境づくりというものを進めることが重要だと思います。

 総務省としては、主にテレワークの普及ですとか女性の地方公務員また女性の消防職員、団員の活躍促進など応援をさせていただいているんですが、公明党からの御提案を受けまして、地域ぐるみで働き方改革を推進するため、各都道府県において、地方公共団体と労使などの関係者から構成される会議、この設置が進んできております。

 国でも、そうした各地域の会議を支援するために、これは石破大臣のもとになるんですが、地域働き方改革支援チームを立ち上げる予定になっていますので、総務省としても、このチームに参加して一層協力をしてまいりたいと思っております。

桝屋委員 お願いをしておきたいと思うんですけれども、首長さんみずからが出ていってもらいたいなと。

 地方版の政労使会議は恐らく労働局が仕掛けるわけでありまして、正直に申し上げて、都道府県レベルにおいて、労働局と都道府県のラインというのがなかなかうまくいっていないわけであります。大変そこは連携がいいところと悪いところもありまして、首長みずからが出ていって、地域のこの働き方改革、とりわけ地域の経済界のトップの意識を変えるということが私は極めて大事だろうと思っております。ぜひ大臣から、首長さんみずから取り組んでいただくように、出ていただくように督促をお願いしたいというふうに思います。

 次に、時間に限りがありますので、もう一点だけ、簡易水道の統合に係る地方財政措置について確認をさせていただきたいと思います。

 簡易水道につきましては、厚生労働省におきまして、国庫補助制度の見直しをするということで、十九年から十年間かけて、期限を区切って、いわゆる上水道との統合ということをやりますよと。なかなか簡単でないので三十一年まで延長の方向でありますが。

 いずれにしても、地方の自治体から、高料金対策として資本費や供給単価の一部に繰り出しが認められているものの、前々年度の資本費あるいは供給単価が要件となるために、統合から二カ年は簡易水道事業自体の決算が算定に反映されないという訴えを聞いてまいりました。

 こうした背景から、二十八年度から統合後の激変緩和措置を講じると伺っておりますが、この取り扱いを財政局に確認したいと思います。

安田政府参考人 お答えをいたします。

 簡易水道事業を上水道事業に統合した場合、全体として上水道事業の高料金対策の基準が適用されることになります。したがいまして、御指摘のような決算数値が算定に反映されないというケースが出てきたほか、統合後の高料金対策の額が統合前よりも減少する場合がありまして、統合を予定している地方公共団体から改善を求められていたところでございます。

 今回、簡易水道事業の統合を推進する観点から、統合後の高料金対策の額が統合前の簡易水道事業及び上水道事業が引き続き存続した場合に算定される額を下回る場合には、その差額につきまして十年間の激変緩和措置を講ずることにしたところでございます。

 今回の措置によりまして、委員から御指摘のございました旧簡易水道事業の決算数値の反映に関する問題についても解消されることになるというふうに考えているところでございます。

桝屋委員 あわせて、簡易水道の給水人口に応じて措置されておりました建設改良に係る地方財政措置、これにつきましても簡易水道事業が上水道事業と統合した場合には措置されなくなるということもございまして、この点も自治体から何とかならぬかなと見直しを求める声もあったと聞いておりますが、この点について何らかの対応策を講じたのかどうか。これも財政局から確認したいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、簡易水道事業につきましては、建設改良に関しまして給水人口に応じた地方財政措置が講じられているところでございますけれども、上水道事業と統合した場合には、一般の上水道事業と同様に、建設改良に関し給水人口による地方財政措置は講じていなかったところでございます。

 今回、統合を予定している地方公共団体より、円滑に統合を進める観点から改善を求められていたところでございます。

 今回、施設の統廃合等による統合の効果が発現するまでには一定の期間が必要であることを踏まえまして、簡易水道の給水人口に基づく建設改良に係る地方財政措置につきましても、十年間の激変緩和措置を講ずることとしたところでございます。

 これらの措置によりまして、地方公共団体における統合後の経営に関する不安が解消され、簡易水道事業の統合も進むものと考えているところでございます。

桝屋委員 ありがとうございました。

 先ほど冗談のように申し上げました、池田先生に続いて、私も中国ブロック、中国地方でよく出ている話をきょうはテーマにさせていただいたわけであります。

 大臣、最後にお願いだけしておきたいと思いますが、水道事業につきましては、今のような問題も含め、例の固定価格買い取り制度、電力事業者、水道事業者等の賦課基準が見直される、場合によっては八割減免が見直されるのではないか、こういうこともありまして、そうすると、また水道料金に影響を与えることになるわけであります。

 これは、今から具体的な中身が決まるようでありますので、厚生労働省ともしっかり連携をしていただいて、ちょっとでも油断しますと経産省に持っていかれますから、ぜひ地域の住民の立場に立って総務省は監視をしていただくようにお願いをして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 民主党の小川淳也でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続いて四国でございまして、地方の声をぜひ届けてまいりたいと思います。

 大臣、まず、先般、二月の九日だったと思います。大変お忙しい中、私どもの要請の時間をいただきました。中身は、中核市とともに地方分権を推進する国会議員の会、会長は衛藤征士郎先生でございます。逢坂先生初め委員の皆様の中にも会員の方がいらっしゃると思います。

 いみじくも、大臣、所信の中で、中核性のある都市と近隣市町村の有機的な連携のもと、圏域全体の成長の推進等々、そういった趣旨のことをお述べいただきました。

 先般の要望内容を踏まえて、やはり中核市は、私の地元高松もそうなんですが、政令市ほど人口は大きくありませんが、都道府県内に占める人口割合、それから県都としての、都市としての機能性、全く引けをとらない仕事ぶりをしていただいているわけなんです。しかしながら、権限や財源の面において、必ずしも十分な措置がまだ行われていないという問題意識は強うございます。

 したがいまして、まず大臣、この間の九日の要望内容を含めて、その後どういった御検討なり、また今後に向けてどう取り組んでいただけるのか、所信に関連して、まずこの点からお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 先般は御要望をいただき、ありがとうございました。

 中核市制度でございますけれども、一定規模以上の都市が、その事務権限を強化して、できる限り住民の身近で行政を行うといった地方自治の理念を実現するために創設された制度で、現在四十五市となっています。これも、二十八年四月には呉市、佐世保市が中核市への移行を予定されているということでございますので、さらに発展していくと思います。

 権限、財源の移譲というお話がございましたけれども、各地域の特性に即した地域課題の解決というものが、今の地方創生の機運が高まる中で求められていますので、これから役割はますます拡大していくと考えております。中核市で担っていただける業務の内容、そしてまた必要な財源もございましょうが、積極的に検討を続けてまいります。

小川委員 ぜひとも精力的な御検討をお願いしたいと思っております。

 特に、税源移譲、それから提案募集方式、なかなか税源や財源にかかわる募集ができないといったような事情、それから児童相談所が間もなく必置になるということでありますが、この辺のノウハウや、また重ねて財源の問題等々、具体的な課題として指摘をされておりますので、ぜひとも鋭意御検討いただきたいと思います。

 加えてもう一点。ちょっと高松市に関連して恐縮なんですが、大臣、所信表明の中で、本年四月、G7香川・高松情報通信大臣会合の開催についてお述べをいただきました。大変重要な課題であり、重要な会議体だと思います。熱烈歓迎を申し上げたいと思っているわけなんです。

 大臣は議長をお務めになられると思います。どういった課題について、どのような方向感を指し示していくのか。このG7に関連した高松での会合について、この場でお述べいただきたいと思います。

高市国務大臣 今やIoT時代を迎えて、あらゆる人や物がグローバルにつながって、新たなイノベーションの創出が期待される、こういう社会が実現しつつあります。

 こういった状況を踏まえまして、香川・高松情報通信大臣会合では、IoTそれからビッグデータの生み出すイノベーションと経済成長、情報の自由な流通とサイバーセキュリティーの確保の調和、それから貧困や防災、医療など地球規模課題の解決へのICTを通じた貢献といったことをテーマに、G7が共同して世界経済の成長や国際社会の安定に貢献する道筋をまず議論してまいりたいと思います。そして、その議論の成果を伊勢志摩での首脳会合にも反映させてまいりたいと思っております。

 それから、今回はG7プラスEUということなんですけれども、広島で昨年の十一月にITUの会合がございました。ここには多くの開発途上国の方々が来られておりましたので、ずっと意見を聞いて回りました。その中で出てきたアフリカやアジアの地域からのお声、こういったものもG7各国にお伝えをし、アジア地域から唯一G7に参加する国として、アジア地域やその他開発途上国の発展にも資するような議論をしてまいりたいと思っております。

 また、昨年十二月に学生サミットも高松市で開催させていただきましたので、会合当日には展示をしたり、それから最新のICTを活用した町おこしに熱心に取り組んでいただいておりますので、この会合と並行してG7各国の産学のリーダーが集まる会議も開催して、参加者と地元の皆様の交流、こういう機会も設ける予定にしております。学生サミットでの宣言なども紹介をさせていただきます。

小川委員 こうした重要な会議が地元高松市で行われるということは、私どもにとっても光栄でございますし、特に、これから先、どうなんでしょう、私も専門家でありませんので、どういう形でIoT、ICTの技術が発展をし、それが暮らしの利便性や社会の発展につながっていくのか、ちょっと想像に余るところがあります。

 一方で、サイバーテロも含めて、大変危険性を、それなりにリスクを抱えていくということも事実だろうと思います。残念ながら、G7には中国が入りませんので、いろいろなサイバー攻撃なんかも、割と中国が出どころであるケースが多いんじゃないかということも言われたりしております。

 そういったことも含めて、この会議が万能体であるのかどうか、そこはいろいろな課題はあるにせよ、一定の成果にぜひともつながることを期待したいと思います。

 ただ、一点ちょっと懸念しております。

 各地でさまざまなテーマで大臣会合が行われるんですが、この四月の二十九日、三十日といいますと、ちょうどゴールデンウイークのまさに観光シーズンでもあるんですね。瀬戸内地域は、折しも瀬戸内国際芸術祭で多くの観光客も見込まれます。そうしますと、警備やあるいは交通規制等々との兼ね合い、それから宿泊施設を含めたキャパシティーの関係もあって、いろいろと不自由も出てくるのではないかなという気もしておりまして、そこらあたり、これから地元の自治体それから警察当局等々とのさまざまなやりとりもあろうかと思いますが、ぜひ円滑な会議体の運営にも一定御配慮いただくことをお願い申し上げたいと思っております。

 続いて、ちょっと地方財政について二点お伺いさせてください。

 私は、ことしの地財計画を拝見する中で、いろいろな御苦心の跡が見えるわけですが、一点非常にうれしかったことがあります。それは、交付税特会の借り入れに対して四千億円、返済金を積んでおられる、これが非常にうれしかったんですね。

 といいますのも、政権がかわったとき、二十一年でございました、翌年の地財対策を考えるに当たって、きょう黒田官房長が控えておられますが、当時財政課長でいらっしゃった。今まで、交付税特会の借金は三十兆円に余る借金です、隠れ借金と言われてきた。確かに地方財政はお金がありませんから、何とか工面してやってきた歴史がありますが、毎回返済計画を先延べにして、法改正までして、その年に返す予定額をゼロに変更してずっとやってきていた慣例がありました。

 しかし、政権がかわったときに、わずかでいい、わずかでいいけれども、少しでも返せないだろうかという問題提起をし、それを財政局の中で御検討いただいて、当時一千億の返済につながりました。それから、政権時代三年間、下野してさらに三年間、そしてことし、安倍政権四年目に入っていますが、ずっとそれを継続していただいていることに心から敬意を表し、感謝を申し上げたいと思っています。

 ほかにも、例えば、税制特例にもサンセット方式を導入して、大分整理を進めました。それから、租特の透明化法案、さらには地方議員年金の廃止、金子先生に大変御苦心いただいたんですけれども、こういったこと。さらに広く言えば、直轄負担金の縮小とか、それから大きな政治テーマですとTPPや消費税、マイナンバーに至るまで、民主党政権時代に打っ立てをしようと努力したことがたくさんありました。しかし、政権運営の未熟さの中で、なかなか刈り入れや刈り取りにまで至らなかった。

 しかし、その中の一部あるいは大きな部分を自民党政権の中で引き継いでいただいていることに関しては本当に、その限りにおいては非常に敬意を表したいと思っています。

 そこで、お尋ねです。

 この交付税特会の借入返済は、仮に数千億単位で返済をしても、三十兆円に余る借金ですから、単純計算で百年から三百年かかる計算です、返そうと思えば。しかし、それでも、武士の一分、借りた側の矜持、こんなことをやっている特会はほかにないと思いますね。しかし、交付税特会は高市大臣のもとでこれを継続している。

 お尋ねは、今後もこうした矜持を、地方財政の現場において、厳しいやりくりの中、示し続けていくという決意を一つお伺いしたい。

 もう一つ、将来的に、今回の四千億は、九千億や一兆円規模で返していくという計画に現在なっています。これは、余り欲張り過ぎると、頑張り過ぎるとできないんですよね。私は一千億でいいと思う。しかし、わずかでも、少しずつでも返し続けていくという意思表明がこの際大事であります。したがって、今後も継続していくということに関しての決意、そして、その意味でも、無理はしません、それでいいと思うんです。九千億や一兆円を将来的に毎年返していくというのは不可能だと思います。

 この二点、大臣の御決意、御見識をお聞きしたいと思います。

高市国務大臣 交付税特会ですけれども、これは、平成二十三年度、まさに民主党政権のときに法定していただいた償還計画に基づいて償還を行っています。

 先ほど小川委員がおっしゃっていただいたマイナンバー制度も、本当に大きな制度でございますけれども、二十四年の二月に閣議決定をし、その後、各党で協議をしてということでスタートをいたしました。

 この償還でございますけれども、二十三年度から二十五年度までの各年度は一千億円、以後毎年一千億円ずつ償還額を増額する、平成三十四年度から平成六十一年度までの二十八年間、毎年度一兆円という計画になっています。これで平成六十二年度に残額を償還するということになっております。

 確かに、おっしゃるとおり、地方財政は毎年度巨額の財源不足が続いている厳しい状況にありますけれども、それでも、せっかくつくっていただいた償還計画でございます。二十八年度においても、計画どおり、交付税特会借入金四千億円、これも前年度一千億円増ということで償還することにいたしました。

 決意ということでございますけれども、今後とも計画的な償還に努めてまいります。余り無理をしないでというお話もいただきましたけれども、いかに経済の底上げも図って、しっかりと歳入もふやす、そして歳出面についても効率化を図れるところは効率化を図っていくということで、努力も続けながら、しっかりと償還をしていきたいということを申し上げます。

小川委員 ありがとうございました。

 関連して、地方財政について非常に懸念をしておりますのが、消費税の軽減税率であります。既に予算委員会等を含めてさんざん議論になっておりますので、細かい点はあれですが、私どもは反対の立場であります。

 大臣、これは地方財政の観点からいって、軽減税率は約一兆円の財源が必要だ。しかも、現在の政権の方針として、財源の問題について来年度内に結論を得ると。恐らく、その三分の一程度、三千億円前後は、ほっておけば地方財政がかぶることになります。しかし一方で、社会保障の歳出については削らないということを安倍総理が表明されておりますので、これに伴う地方負担については何らか手当てする責任があると思います。軽減税率の導入は、地方自治体からすれば不可抗力です。

 先般本会議でも、近藤委員が質問した中で、安倍総理が明確にはお答えになっていません。

 高市大臣、地方財政に責任を負われる立場から、この際、明確に御答弁いただきたい。この軽減税率導入に伴う地方の財源不足額あるいは当初の見込みに比べると減収になる額については、一切地方には迷惑をかけませんと。これは、特例的な交付金なのかあるいは別の財源を見出すのか、いろいろな手段が考えられると思いますが、この軽減税率導入に伴う財源不足、地方には迷惑をかけませんと、大臣の決意をこの場で明快にお述べいただきたいと思います。

高市国務大臣 消費税の軽減税率制度の導入に当たりましては、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえて、先般国会に提出されました所得税法の一部を改正する法律案において、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って、安定的な恒久財源を確保するという観点から、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずる、こう規定されております。

 しかしながら、委員が今御指摘いただきましたように、全国知事会からは、減収分の全てが確保されない場合、地方の社会保障財源に影響を与えるということになるから、代替税財源によって確実に措置をするなど地方財政に影響を与えないようにしていただきたいという御意見をいただいております。

 やはり地方からは、安定的な恒久財源をしっかり確保してほしいという意見が表明されていますので、このような御意思も踏まえまして、今後、税制改正法案の規定に沿って、政府・与党で歳入歳出両面にわたってしっかりと検討してまいりたいと考えております。地方のお声にお応えするために、その議論に貢献してまいりたいと思っております。

小川委員 半歩踏み込んでいただいたというふうに受けとめたいと思います。

 いずれにしても、これはあくまで中央政府の政策であり、地方から見ればアンタッチャブル、不可抗力の世界でありますので、いろいろな義務づけの多い地方財政の世界でありますから、ここには一銭たりとも迷惑はかけないという気概を持って財政当局との折衝にも臨んでいただきたいと思っております。

 以上、所信に関連し、あるいは地財、地方財政に関連して、少し気になる点、お尋ねをさせていただきました。

 大臣、ここから先、少し厳し目にお尋ねしたいと思っております。先般以来話題になっております、報道の自由と放送法との関連についてであります。

 残念ながら、大臣のこの間の御発言、大臣としては、法律に規定された当たり前のことを当たり前に述べたにすぎないというお立場なんでしょう。しかし、その大臣の御発言の世の中からの受けとめは、それ以上のものとして受けとめられているわけです。それはなぜなのかということも含めて、よくこの際お考えをいただく必要があるのではないかと思います。

 報道ぶりの表現をかりますと、高市大臣の威嚇あるいは威圧という言葉も躍っています、報道紙面にですよ。これは恐らく、まさに、大臣も報道番組一つ一つを見つつ全体を見るんだということをおっしゃっていると思うんですが、自民党政権のこの間の体質にも大きく関連していると思います。

 この十年来、放送局に対して行われた行政指導は全二十五回。ちなみに、民主党政権時代の三年間は一つもありません。そして、さんざん物議を醸してきましたけれども、選挙報道中の安倍総理の放送番組内における苦情、番組に対する苦情、それから自民党の情報通信戦略調査会による放送局への事情聴取、それから自民党議員の文化芸術懇話会でも物議を醸しました。

 こういったまさに全体を見て、高市大臣のこの御発言が放送局に対する威嚇なり威圧の一環だ、そういうふうに受けとめられているのではありませんか。その反省に立って、その前提に立って、御自身の発言、私は撤回された方がいいと思いますが、御答弁いただきたいと思います。

高市国務大臣 例えば、私が放送局を威嚇したり威圧して、私にとっては全く得はございません。この間からテレビでも新聞でもさんざんたたかれておりますから。

 また、申しわけないのは、与党の皆さんに対しても、私の発言が取り上げられるたびに残念なことになっているのではないかと思っております。

 しかしながら、私の発言そのものについて、私は、きょうここで撤回をするつもりはございません。

 やはり、委員会で質問を受けた場合には、それに対して真摯に答弁をする必要があると考えました。私みずから、電波法、放送法に触れたり、電波法の方の無線局の運用停止命令ですとか、また放送法に規定されております業務停止命令について、積極的に何か発言を始めたわけではございません。

 もう委員も御承知のとおり、二月八日の衆議院予算委員会で、奥野総一郎先生から、放送法百七十四条の業務停止や電波法七十六条については、こうした四条の違反については使わないということで今もう一度明確に御発言をいただきたいんですがというお問いかけがございました。

 私としましては、放送法また電波法を所管する閣僚として、実際の法律に規定されている条文について、私の後も、十年後も二十年後も三十年後も永久にその条文が使われない、一〇〇%使われないということを言うわけにはまいりません、法治国家でございますので。そういう不幸な事態が起きないことを祈ってはいるけれども、条文そのものを否定してしまう、これは全く無効な条文であるということを申し上げるわけにはまいりませんでしたので、どんなに放送事業者が極端なことをしても、全くそれに対して何の対応もしないということをここでお約束するわけにはまいりませんということを答えさせていただきました。

 また、その後も続けて何度か御質問がございました。放送法百七十四条及び電波法第七十六条の運用については、これも予算委員会で二月九日に答弁申し上げましたが、法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであるということに加えて、その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり、かつ、同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ、事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは法律を遵守した放送が確保されないと認められるといった極めて限定的な状況のみに行うこととするなど、極めて慎重な配慮のもと運用するべきであると従来から取り扱ってきている旨を申し上げました。

 これは、民主党政権時代にも放送法改正がございましたので、当時、平岡総務副大臣、また原口総務大臣が御答弁をされております。

 なお、放送法第四条違反として電波法七十六条などを適用した例はございません。

 まずは、放送法の基本的な理念に従って、放送事業者の皆様に自律的に放送法を遵守していただくということが基本だと考えております。

小川委員 大臣、その最後におっしゃった点をもっと強調すべきだったんじゃないかと思いますね。

 伝統的に、放送事業者が自律的に遵守すべき倫理規範だという考え方もあったわけです、特に四条については。それから、法律違反だと大臣はおっしゃるんですが、処分規定は放送法一般を根拠にしていまして、放送法四条を特出ししてはいないわけです。だからこそ、これは一義的に、表現の自由やあるいはその骨格となるべき報道の自由という最上位の価値を踏まえれば、倫理規定と解すべきではないかという伝統的な解釈があったわけです。その点をまず踏まえていただきたいというのが一つ。

 それから、確かに民主党政権時代にもこの規定が最終的には法規範であるという趣旨の答弁を行っているんですが、私、今回、ちょっと特徴的だと思うのは、やはりその中身が政治的公平にかかわることについてどうかというところに焦点が当たっていることが、かつての民主党政権時代の答弁あるいはその間のやりとりと今回の事例等においては性質が異なっていると思うわけです。

 放送法には、善良な風俗、それから事実を曲げない、そして多角的な論点、一号、三号、四号がございます。これは、比較的、客観的に判断、特に、事実であるかどうかに関しては客観的な判断も場合によってはしやすいのかもしれませんが、政治的に公平であるかどうかは、一体これは誰が判断するのかということも含めて、では、追いかけて、この点をちょっと大臣にお聞きしたいと思うんです。

 最終的に、仮に処分権限を発動するような事態に立ち至る場合、その最終判断、政治的に公平であるかどうかを最終判断するのは誰になりますか。

高市国務大臣 先ほど、私の答弁の仕方についてのお話がございましたが、予算委員会のときにも、放送法の内容に触れまして、まずはしっかりと放送事業者が自律的に放送法を遵守していただくことが重要であるということを申し述べた上で、質問にお答えをしたものでございます。

 最終的にはということでございますけれども、例えば、不幸にして放送法に基づく命令が出たというようなとき、放送法百七十四条の業務停止命令が出てしまったというような事態があったときに、運用停止命令に対しては異議申し立てができます。電波監理審議会に付議されて、そしてその審議会で審理があり、意見陳述などもあり、そしてそこで議決があり、最終的には総務大臣による異議申し立ての決定ということですから、電波法及び放送法の規定に基づきますと、総務大臣が最終的に判断をするということになると存じます。

小川委員 大臣、本当に当たり前のこととはいえ、極めて重要な御答弁だと思うんですね。

 私はなぜこの議論をさせていただくかというと、これは民主党政権時代も含めてなんですが、やはり放送局に関する免許や審査については、本来、第三者機関であるべきではないかという議論も伝統的にあるわけです。現実に欧米諸国においては、独立機関、第三者機関が放送局に対する免許あるいは許認可を所管しているというところも複数あるわけです。

 ですから、仮にそういう前提の中で政治的公平を判断していくというのであれば、制度設計としては一つ完結しているわけですが、大臣が今おっしゃったように、日本の法制においては、最終的な免許権限あるいは許認可権限は総務大臣に属しているわけです。内閣の一員たる総務大臣に属しています。

 そこで、お聞きします。高市大臣は、政治的に中立であり、政治的に公平であり、政治的に公正である立場ですか。

高市国務大臣 現在、私は、内閣の一員であり、行政府である総務省のトップとして仕事をさせていただいております。ですから、公正、公平、中立に行政が運用されるように、そしてまた法律が運用されるように、しっかりと対応すべき立場でございます。

小川委員 総務省、総務大臣に属する権限をできるだけ中立公正に運用していく立場であるということについては、そのとおりだと思います。

 しかし、政治家たる高市早苗さんは、私は、政治的に中立であり、政治的に公平であり、政治的に公正であるということはあり得ないと思うんですが、いかがですか。

高市国務大臣 私は、現在、総務大臣としてこの委員会に出席をさせていただいております。

 例えば、総務省の私の大臣室には、与党の議員の皆様だけではなく、野党の議員の皆様からのいろいろな御意見、御要望などで他党の方々にお出かけいただくこともございますし、しかし、そういったことに対して、与党か野党かであるとかそういったことは、一切私情は挟まずに行政の公正な執行に努めさせていただいております。

 そしてまた、今の総務省の体制、つまり、国家公務員はそのときの政権で政治的に政策を判断するということはありますよ。それぞれ政権をとった内閣が、こういう政策を進めたい、こういう政策を進めたい、それで国会にお諮りをしながら法律を通していただくといったことで、決まったことに対して、それはもうそのときの政権がどの党であれ、公務員は公平に中立にしっかりと言われた仕事をこなしていっている、そのように思います。

 今の総務省の体制を見ましても、それから行政というものの性格を見ましても、私は、正当性を持って、つまり政党がどこかということにかかわらず、公平に中立に行政の執行がなされる、こういう体制になっていると思っております。

小川委員 建前、きれいごととして、それはよくわかります。

 しかし、これはより本質にかかわることなんですよね。政治家であるということは、政治的中立ではあり得ないということなんですよ。特定の党派に立ち、特定の政治的主張を採用し、いわばそこに人生をかけているわけでしょう。その上で、選挙を戦っていますよね。そして、民主主義において、五一%でもっていわば一〇〇%を擬制しているわけでしょう。国家の権限を五一%の多数派で預かるわけですよ。

 政治家であるということは、イコール、政治的中立ではあり得ないということと同義です。そのことに対しては、もっと謙虚に、しっかりとお認めいただくべきだと思いますよ。高市早苗、政治家高市早苗は政治的中立ではあり得ない。

 もう一度、御答弁ください。

高市国務大臣 政治家高市早苗と言われたら、私にも政治理念はあります、政策もあります。また、自民党の私は奈良県第二選挙区支部長という立場もございます。

 しかし、今は総務大臣として私は行政の場にいるわけでございますから、自民党が言うことだけ聞くとか、民主党がおっしゃることを聞かないとか、そういうことではなく、しっかりといいものは取り入れて、特にこの総務委員会は、本当に全ての政党が本気で地方のことを考え、また情報通信の未来を考え、統計制度も含めてさまざまな制度について物すごく前向きな御提案もいただき、多くの方々が心を合わせて仕事をされている委員会だ、私は今のポストについてそう強く感じました。

 ですから、行政の執行に当たりましては、これは総務大臣という内閣の役職でございますから、公正、公平、中立にということを心がけております。また、役所全体のマネジメントもございますので、それは私はみずからをしっかり律しながら、公正公平ということにはかなり心を砕いているつもりでございます。

小川委員 今御答弁になった範囲のことは、努力目標としては受けとめます。それはそうでしょう。

 しかし、本質的に政治的公平ではあり得ない高市大臣が政治的公平の旗を安易に振りかざすことの危険さ、危うさ、この議論が私は放送法をめぐる一連の混乱の背景にあると思います。そのことに対しては、より謙虚に、謙抑的に今後お考えをいただく必要があると思いますし、御議論、御発信、御発言いただく必要があると思う。

 これは、嫌なら第三者機関にすればいいんですよ、放送局に対する許認可を。それが筋道だ。そういうことも含めて、ぜひ、この間の一連の大臣の発言の及ぼす影響の大きさについて、これはよくよく自覚をしていただきたいと思います。

 この後、奥野委員も質問に立たれますので、引き続き、この点は野党としては非常に懸念している、そのことを改めてお伝えしておきたいと思います。

 最後に、少し話題がかわりますが、大臣、この間、経済財政諮問会議の場において、安倍総理から、マイナス金利の効果をよく宣伝するようにと。これは、私はニュース報道で見ました。詳細はちょっと把握しかねておりますが、これはどういうことですか。マイナス金利政策を大臣はどう評価されているんですか。あるいは、これからどうPRしていくんですか。

高市国務大臣 経済財政諮問会議のときに、マイナス金利政策の効果をよりわかりやすく話すようにということで、主に日銀総裁に対してのお話だったと存じます。

小川委員 大臣、このマイナス金利というのは、本当に、ヨーロッパで一部例があるとはいえ、日本経済、日本社会にとってどういう影響をこれから及ぼしていくのか、非常に要注意だと思っています。

 その中で、さまざまな議論があり得ると思うんですが、きょうはちょっと一点だけ、郵政事業に絞ってお尋ねさせていただきたいと思います。

 きょうは日本郵政からも御出席をいただいております。

 郵政事業の収益の柱は銀行と保険ですよね。これが、郵便事業を含めた郵政三事業の屋台骨になっています。なおかつ、金融部門の収益の柱は、少なくなったとはいえ、依然国債でしょう。それから、日銀当預。それはそうですよね、事業貸し付けとか住宅ローンとか、いわゆる貸付業務ができないんですから。

 これは、日本郵政の経営を考えたときに、現在、市場では、国債だってマイナス金利に振れていますよ。銀行だけで二百兆円に余る巨額の資産、これをどうやって今後運用に、あるいは収益、そして三事業一体で支えていくという事業環境、経営方針を考える上で、このマイナス金利のインパクトというのは非常に大きいというふうに受けとめておられると思うんですが、まずその点について御答弁いただきたいと思います。

田中参考人 先生から、日本銀行が導入をされましたマイナス金利の当グループに対する影響についてお尋ねがございました。

 当然のことでございますけれども、私どもも日本銀行に当座預金口座を持っておりますので、そのマイナス金利の導入に伴う影響もございますし、先生引用されましたように、それに伴いまして、国債を中心としたマーケットの金利も低下をしてきてございます。そういう意味におきまして、金融機関全般に相応の影響を及ぼすものというぐあいに考えておりまして、当グループのゆうちょ銀行、かんぽ生命におきましても例外ではないという認識でございます。

 また、先生御指摘のとおり、ゆうちょ、かんぽ生命には、郵政民営化法によりまして、一般の銀行あるいは生保会社にはない業務制限等々も課せられております。

 私どもといたしましては、こうした状況下におきまして、まずは、ゆうちょ銀行におきましては、先生もちょっと引用いただきましたように、現在、運用の高度化ということに取り組んでおりまして、国債から国債以外の資産への運用強化をしてまいってございます。

 また、金利収入とは少しタイプの違う役務手数料を拡大しようということで、投資信託の販売にも力を入れてまいってございます。

 また、コストの一層の削減にも取り組んでいく必要があるということでございまして、二〇一五年の四月に公表いたしました中期計画に掲げておりますこうした施策を、より一層強化してまいりたいというぐあいに考えておるところでございます。

 また、かんぽ生命におきましても、マーケット環境とリスク許容度をよく確認しながら、運用資産の多様化、リスク管理の高度化並びに人材育成に取り組みまして、お客様満足度の向上及び安定的な収益の確保に引き続き鋭意取り組んでまいりたいというぐあいに考えているところでございます。

小川委員 他の金融機関同様に影響があるじゃなくて、郵政事業の方が影響が大きいんじゃないかと申し上げています。貸し付けできないんですから。債券運用しかないんだから。

 そこで、高市大臣、今度四月から、限度額引き上げ、改革されますよね、一千万から一千三百万。それはそれでいいんですが、やはり、住宅ローンや貸付業務含めて、今度は、しかし、それを仮にやると、郵政の側は本当に問われますよね、そういうノウハウがあるのか、どうやって実績を積み重ねていくのかと。それはそれで大変大きな重たい課題です。しかし、この手足を縛ったままマイナス金利という前人未到の大海原に郵政事業を投げ込む、これはあり得ないし、あってはならないと思います、大臣。

 そういう意味で、この郵政の運用改革、株式上場しましたよね。しかし、売り出し価格と比べると、数百円単位で株価は下落していますよ、きのうの終わり値で。これから、まだ株式の上場は続くんでしょう。そういう中で、貸し出しもできない、債券運用はマイナス金利になり得る、そんな株を誰が買うんですか。

 高市大臣、さらなる上場をにらめばにらむほど、この郵政改革を急ぐべきだと思いますが、担当大臣として御答弁いただきたいと思います。

高市国務大臣 ゆうちょ銀行の方では、今もお話ありましたが、投資信託の資産運用商品の取り扱いの拡充ですとか、地域の金融機関とのATM連携を通じまして、金利に左右されない手数料関連ビジネス、この取り組みで収益力の多角化を図っておられると承知をしています。

 これからも、しっかりとした運用プランを立てられて収益力を強めていっていただきたいと思っております。

小川委員 大臣、大変失礼ですが、ちょっとのんきな御答弁をされている場合じゃないと思うんですよね。手数料、これは外国の金融機関は口座維持管理手数料まで取っているんですよ。日本にはそんな慣例はないんだ。

 早く、この貸付業務を含めて、郵政事業の抜本的な改革を進めていくべきじゃありませんか。手数料に依存させて、このままマイナス金利の世界で郵政事業を泳がせるんですか。早く運用面において抜本的な改革を進めるべきじゃありませんか。もっと明確に御答弁ください。

高市国務大臣 郵政民営化法、御承知のとおり、内閣総理大臣及び総務大臣はということですけれども、郵便貯金銀行と他の金融機関等との適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないと認めるときにはということで、例えば認可の申請があった場合の認可の要件といたしております。

 さまざま具体的なお申し出があり、そしてまたこの場でも、では果たしてどうすればいいのか、例えば限度額の引き上げについても賛否両論ございました。私は、やはり利用者の利便性、主に過疎地、高齢化の進んだ地域における利用者の利便性ということから引き上げが望ましいという考えを持ってまいりましたけれども、相当な御議論がありましたので、この法律のたてつけに従って、今後またニーズが出てきたら、御議論もいただきながら考えてまいるということになると存じます。

小川委員 もう少し危機感を持って御検討、御答弁をいただきたいと思います。

 最後に、くぎを刺して終わります。

 今後、債券運用が今までのようにプラス金利で順当にいかなくなった場合、私が懸念しているのは、この二百兆円余りの銀行資産、そして八十兆円余り、合わせて三百兆近いお金を郵政は持っている。この間、年金基金、株式市場に突っ込みましたね。百三十兆換算の二五%、追加投入ですから、数十兆単位で株式市場に突っ込んだ。これは、年明け以来の日経平均の低下で、恐らく、少なく見積もって十兆、多く見積もって十五兆円、穴をあけていますよ、運用に。ゆうちょ銀行の、この三百兆円近いお金、債券じゃなくて株式で運用し始める、政権からの圧力で株価対策に利用されるおそれがあるのではないかと思って、私は大変危惧している。

 郵政事業の健全な発展にとって、株式運用、今十三億しかないんですよね、株式投資、これは銀行法の規制もあると思いますが、そういう形で、安易な形で、政権によって株価対策にこの巨額の資金が利用されるということはあってはならないと思います。

 日本郵政、御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。

田中参考人 お答えを申し上げます。

 ゆうちょ銀行、かんぽ生命につきましては、先ほど来出ております郵政民営化法に基づきまして、特別の業務制限を受けている部分はございますが、それを除きまして、一般の銀行並びに生保会社と同様の経営の自由度を有してございます。

 具体的な資金運用の方針等の経営判断事項につきまして、政府等から何らかの御指示があるということはございません。

小川委員 また追って議論させていただきます。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。

 高市大臣、連日お世話になりますが、よろしくお願いいたします。

 今、小川議員の方からもございました、電波停止の発言撤回をということであったんですけれども、各種世論調査がこの週末に出ています。

 例えば、共同通信の世論調査では、高市大臣の発言をめぐって、報道の自由を脅かしていると思うというのは二九・四%、そして、どちらかといえば脅かしていると思うというのを合わせると、六七・四%の方が脅かしていると感じているということですね。それから、日本テレビの調査だと、発言はテレビ局を萎縮させかねないもので問題と答えているのが四五・六%、そして、問題だが放送内容に悪影響を与えるものとは思わないといったのが三一・五%ということで、問題だと思っている人が大半。それから、報道ステーションも、今ちょっとネットで見ていましたら、大体六割近い方が不安に感じておられるという結果が出ています。

 私は改めて申し上げたいんですが、大臣は、民主党のときもこういう答弁をしていたじゃないかとおっしゃるんですが、一つ違うところがあって、どこがつけ加わったかというと、個別の番組についてということがなかったんですね。

 大臣が、例の視聴者の会への回答、あるいは参議院の総務委員会での答弁の中で、個別の番組、一つ一つの番組についても行政処分の対象となり得る、四条違反の対象となり得る、政治的公平違反の対象となり得るんだと答弁をし、紙でも答えてきた。それを前提に私は質問をしているわけです。そこは民主党政権のときは言っていなかったんですね。

 最大の違いは、一つの番組、個別の番組であっても政治的公平性違反を問われることがあり得る、そして行政指導の対象ともなり得るんだ、さらには停波の対象ともなり得るんだ、こういう流れになっているわけです。ここが皆さんに不安を与えているんじゃないか。一つの番組、個別の番組の中で自由に物が言えなくなるんじゃないか、ここが国民に不安を与えているんじゃないかというふうに思います。

 ですから、この間の統一見解、あるいはこれまでの大臣の質問状への回答、この部分を取り消すお考えはありませんか。こうした世論調査での結果を踏まえてお答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 まず、政府の統一見解というのは、先般、予算委員会での安倍総理の御答弁と私が答弁申し上げた内容が閣内不一致なのではないかということで、統一見解を出すように野党の皆様から求められて、統一見解として出したものでございます。

 基本的には、放送番組全体を見て判断するということは一致いたしております。ただ、放送番組が一つ一つの番組の集合体であることから、全体を見るにしても、一つずつの番組を見なきゃいけないということでございまして、統一見解はお示しさせていただきましたので、その御要求に対しまして政府として取りまとめて提出をしたものでございますから、それは私が撤回をするような趣旨のものではないと思います。

 そしてまた、放送法の百七十四条、電波法の特に無線局の運用停止命令、対象はそれぞれ違います。御承知のとおり、電波法が適用されるのはハードとソフト両方を備えた事業者でありますし、そしてまた、放送法が適用されるのはソフトだけとか片方だけをやっていらっしゃる事業者でございますけれども、そういったものの適用ということは相当程度慎重になされなければならないということで、二月九日の予算委員会でも、きょう、先ほどの答弁でも答えました。要件についても申し上げております。

 これも、民主党政権時代から、慎重にやらなければいけない、運用しなければいけないということはおっしゃってきたとおりでございます。基本的に、法規範性が四条の番組準則にあるということ、そして、万が一にも放送法や電波法に定められたその命令規定を運用するというときにはかなり慎重に行われなければならないということなども含めまして、民主党政権で平成二十二年に放送法改正をされたばかりでございますので、そのときの大臣もしくは副大臣の御答弁に沿った形で私は答弁を続けてきていると考えておりますので、撤回はいたしません。

奥野(総)委員 あえてここでそういう個別の番組を取り上げて、そういう場合も違反になり得るんだと。そこが問題になっているんだと思うんですね。それが私は報道の萎縮を招いていると思います。

 基本的なところからもう一回入っていきたいと思うんですが、放送法の解釈ですけれども、これまで三十六例行政指導が行われている、一九八〇年代半ばから行政指導が行われるようになって、三十六例行われているということですが、三条を読むと、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」こう規定されているわけです。

 では、行政指導の法的権限は何かということなんですね。

 普通だと、例えば業務改善命令とかそういう指導の根拠となる規定が書かれているんですが、書かれていないという中で、行政指導というのはこの干渉、規律に当たるんじゃないかということが懸念されるわけです。

 ずっと答弁を聞いていると時間が長くなりますので結論から言っていきますと、しかし、これは政府の解釈では規律、干渉には当たらないんだ、要するに強制性がない、任意で事業者が応じるものだから強制性がないということで、この規律、干渉には当たらないんだという解釈で行ってきたということだと思います。

 しかし、物の本を見ると、行政指導について、基本的には法律上の根拠は要らないんだというのが通説のようなんですが、ただ、規制的色彩が濃く相手方の任意性が薄い場合、事実上強制性を帯びているようなものについては法律上の根拠を有する、こういう説も有力説としてあるわけであります。無制限に行政指導ができるわけじゃない、処分じゃない、強制性がないから無制限に行政指導をやっていいというわけじゃなくて、事実上規制的色彩がある、相手の任意性が薄い場合には、法的な根拠がなきゃできないんだという有力説もあります。

 例えば、この放送法について言えば、停波ということを大臣がおっしゃる、停波をちらつかせながら指導するというような場合は、強制性があると言えなくはないと思うんですね。そうすると、ここで問いたいんですが、一体どこまで行政指導ができるのか。

 私とのやりとりの中で、停波の前にまず行政指導をと大臣はたしかおっしゃっていたと思うんです。ということは、政治的に不公正だと大臣が判断された場合に、まず行政指導ができるのか。要するに、番組内容の変更について大臣が行政指導で指導できるのか。例えば、今言ったように政治的公平でない番組は改めろという行政指導ができるのか。一体どこまで法律上の根拠なく行政指導というのができるんでしょうか、伺いたいと思います。

高市国務大臣 少なくとも停波をちらつかせながら行政指導を行ったことはございませんし、今後そのつもりもございません。

 まず、先ほど放送法第三条との関係もおっしゃいましたけれども、行政指導は、総務省設置法第四条第六十六号に基づき、放送業の発達、改善及び調整に関するということを所管する立場から行うものでございます。

 さらに、行政指導というのは、行政手続法第二条第六号を根拠とし、処分のように相手方に義務を課したり権利を制限したりするような法律上の拘束力はなく、相手方の自主的な協力を前提としているものでございます。

 ですから、自主規律を要請するものでございますので、具体的な措置を何か要請するものではなく、担保手段もございませんから、放送法第三条に定める干渉や規律には該当しないと考えております。

 また、具体的に何か番組の中身についてということですけれども、行政指導は放送番組に係る自主規律を要請するものでございますから、具体的に番組の中身について総務大臣が指示をするとかいうことではございません。

奥野(総)委員 先日の答弁の中で、その後は余りおっしゃっていないようですが、まず行政指導をしてから停波に及ぶというような答弁を最初のときにはされていたと思うんですが、では、それはできないということでよろしいんですね。

高市国務大臣 電波法の適用にしましても、放送法の業務停止命令の方の適用にしましても、行政指導が別に前提要件であるわけではありません。

 これは、かなり慎重に、相当に極端な場合に、そういった形の法の規定、備えとしての法の規定もあるというだけのことでございますので、必ずしも、行政指導をしたら停波があるのかとか、行政指導をしたら何か業務停止命令があるのか、そういう段取りのものではございません。全く別物でございます。

 ただ、大変丁寧な段取りということになりますと、全く総務省から一度も、何にも御助言も申し上げず、こういうことをしていただけたらという要請も申し上げずにいきなりこの法律の命令規定を出すということは、現実的には考えにくいんだろうと思っております。

奥野(総)委員 大臣が例に挙げたような、テロリストが例えば番組を占拠しているような場合、そういう場合は極論ですからすぐ停波という考えもあるのかもしれません。

 ただ、ちょっと私が気にしているのは、大臣がと言っているわけじゃないですが、恣意的に運用された場合に、個別の番組に対して中身を変えなさいと行政指導でもできるんですかということですが、今の話だと、内容によってはそういう注意をすることはあるということでよろしいんですね。

高市国務大臣 番組内容に対して総務大臣が何か指示をするといったことはありませんということを先ほど答弁したつもりでございます。

奥野(総)委員 もう一つ今の発言であったのは、法のたてつけとしては、いきなり停波もあるということは確かにそうなんですね。前段を踏まずに、内容によっては停波もできるということは今おっしゃった。ここは一つ確認しておきたいと思います。

 それから、今、限界について……(発言する者あり)静粛に。

 委員長、静粛にさせてください。

遠山委員長 不規則発言はお慎みください。

奥野(総)委員 それで、行政指導の限界、全てについて行政指導が恐らくできるわけじゃないということは、今、逆に確認したということでよろしいですね。番組内容については行政指導では具体的に口を出さないということで、もう一度確認したいと思います。

高市国務大臣 個別の番組について、例えば総務大臣や局長がこういう内容にしろとかいうような形での行政指導はあり得ません。

 ただ、放送法第四条、これは番組準則というものがございますけれども、これに照らして大変問題があるなということを放送事業者自身もお認めになり、放送事業者から十分な意見聴取もした上で、改善に関する要請をした、もう相当程度注意を怠っていたということについて、番組事業者からの申し出をいただいた上でという例は過去にございます。

奥野(総)委員 まさに今、これから伺おうと思っていたんですけれども、過去二例、この前の予算委員会で申し上げましたけれども、政治的公平性を理由に厳重注意、行政指導をされた事例があります。

 これは一体どういう理論でなっているのか。例えば、今般出された統一見解に当てはまるのか、あるいは、この当時は恐らく番組全体で見るという言い方をしていたと思うんですが、では、どうして例外的に個別の番組について指導ができたのかということを伺いたいと思います。

高市国務大臣 これまで放送事業者に対して、放送法第四条の政治的に公平であることに違反したということで行政指導が行われた事例はございません。

 ただ、四条との規定の関係において、放送番組の編集上の重大な過失があったことについて行政指導が行われたことはございます。

 これは、結果として、政治的に公平であることとの関係において、放送番組の適正な編集を図る上で配慮に欠けていたということを放送事業者自身が認められ、その旨の報告が総務省にあり、過失や遺漏があったと認められた事案でございます。

 これは、放送事業者からの事実関係を含めた報告を踏まえまして、放送法を所管する立場から番組全体を見て必要な対応を判断したということですので、政府統一見解と適合するものだと考えております。

奥野(総)委員 そうすると、いわゆる行政指導が当たる場合として、統一見解以外にも、相手方がみずから過失を認めたような場合には、個別の番組であっても行政指導あるいは厳重注意の対象となり得る、そういう解釈であるということでよろしいでしょうか。

高市国務大臣 委員がおっしゃっているのは、平成十六年の山形テレビに対する行政指導の事案だと思うんですが、これは、同社が同年三月二十日に放送した自由民主党山形県連の特別番組について、放送番組の編集上求められる政治的な公平を確保するための注意を怠ったということなんですが、このときは、特定の政党が企画、制作して持ち込んだ、いわゆる政党広報番組だったわけです。山形テレビから、ほかの政党への企画提案が成立していないという結果平等が図られていない段階で放送し、政治的公平に関して慎重さと配慮に欠けた面があったという報告がありました。

 ですから、これは、ほかの政党に関して企画が成立していないわけでございますので、政治的公平との関係において、その一番組ではありましたが、その企画が成立していないわけですから、番組全体を見てという中で、放送番組の編集上求められる注意義務を怠った重大な過失があったと認められたものでございます。

 先ほど委員が、放送事業者から何か認めて言ってきた場合には必ず行政指導があるのかどうかといった趣旨の御質問だったのかと思いますけれども、それはそのときの状況に応じて個別具体的に判断されるべきものだと思います。

 そういうことがありました、ちょっと四条に係る問題がありましたということであっても、その場合にしっかりと再発防止について対応がされていたり、そしてまた、その直後にそれをきちっと軌道修正できるような企画を立てておられたりと、さまざまなケースがあると思いますので、一概にこういう場合だったら行政指導がありますというのではなく、どのような案件に対して誰の名前で指導を行うか、指導といっても法的拘束力はございませんけれども、それはその事案ごとに異なるものだと考えております。

奥野(総)委員 なぜこれをしつこく聞いているかといえば、停波の前提と同じことになるわけですね。

 停波の条文というのは、放送法に違反した場合という規定ぶりですから、四条違反だと認定されればすぐ停波ができる。さっきも大臣がおっしゃったとおり、特段の手続を踏まず停波の可能性は法的にはあるわけです。だから、ここをきちんとしておかなきゃいけない、四条違反というのは何ですかというところを、四条にもし規範性を認めるのであれば、きちんと議論しておかなければいけないわけです。

 だから、曖昧な統一見解や曖昧な解釈を大臣が言うのは、私は反対なわけです。

 今の答弁を伺っても、結局、一つ一つの場合に判断すると。個別の番組であっても、ケース・バイ・ケースで行政指導の対象にはなり得るんだということになります。同じように、解釈権限は大臣が持っているわけですから、停波の場合にあっても、個別の番組については大臣の判断でなり得るんだ、こういう議論に論理的にはつながっていくわけですね。

 今おっしゃらなかったけれども、二例あるうちもう一例の方は、テレビ朝日で、この前の予算委員会で申し上げましたけれども、二〇〇四年でしたか、当時の菅内閣、影の内閣の閣僚名簿を選挙直前に発表した、それをテレ朝が三十分にわたって取り上げたという事案だったんです。

 これを、統一見解の基準で例えば相当程度繰り返しやっているかと言われると、それはもちろんいろいろな見方があると思いますけれども、それは私は、直観的には違うと思うんですね。では、これはどういう理屈で行政指導が行われたんですかということになるわけです。

 これを議論しても時間がなくなってしまいますけれども、やはり恣意的な解釈を招くような、誤解を招くようなことはいけないと思うんです。四条については何も言わない。今回の、誤解を招くような、個別の番組について大臣が口を差し挟めるかのようなこういう文書を出したり、あるいは国会で答弁されるのは、私は報道の萎縮を招くと思うんです。ですから、最初に撤回をというふうに申し上げたところであります。BPOもこの点については指摘をしています。

 時間が、きょうはNHK会長にも来ていただいていますから、また続きはどこか別の場でと思います。

 それでは、NHKの方に話を移したいと思います。

 まず、板野さん、お見えですが、今の議論を聞いてどうお考えか。一つ一つの政治的公平性については、NHKとしてはどう考えているか。番組全体として考えているのか、一つ一つとして考えているのか。あるいは、大臣の停波の発言についてどう受けとめたかということについて、答弁いただきたいと思います。

板野参考人 お答えいたします。

 NHKは、憲法で保障された表現の自由のもと、国民の知る権利に応えるため、放送法にのっとり、事実に基づいて、公平公正、不偏不党、何人からも規律されることなく、みずから律して放送に当たっております。今後もこの姿勢に変わりはございません。

 また、もう一つの御質問であります公平性の問題でございますが、NHKは、放送法の規定を踏まえまして、国内番組基準というものを定めております。この中で、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保することを明記しております。その上で、国内番組基準では、「政治上の諸問題は、公正に取り扱う。」「意見が対立している公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、公平に取り扱う。」と定めております。

 こうした基準にのっとりまして、NHKは、原則として、個々のニュースや番組において、対立する意見の双方を伝えるよう努めております。また、企画や番組の演出により複数回にわたる場合は、同一のシリーズの中などで公平に取り扱うように努めて、NHKの放送全体として公平性を確保するようにしているところでございます。

奥野(総)委員 立派な答弁でしたと言うしかないんですが。

 では、ちょっとここで中身を変えます。

 通告していなかったんですが、きょうの週刊朝日で、例の土地の購入問題の話が出ていたんですね。これによれば、経営委員会に報告する予算、これを減額して提出した、経営委員会に減額して提出して、差し戻しを食った。一言で言うとそういう記事であると思います。

 全く通告していないんですが、この減額の内容については、板野専務理事は事前に知っていたんでしょうか。

板野参考人 具体的な私どもの予算のさまざまな論議につきましては、この場ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

奥野(総)委員 いろいろな記事を見ると、十二月八日の理事会の場で初めて聞いた、こう答弁されているんですが、それは事実ですか。

板野参考人 十二月八日の理事会のやりとりにつきましては、公表されております議事録が全てでございます。

奥野(総)委員 公表というのは、もう一度確認しますが、十二月八日に初めて聞いたというのはそのとおりなんですね。

板野参考人 改めましてお答え申し上げますが、公表されている議事録が全てでございます。

奥野(総)委員 それは、何も書いていないということですか。事前には知らない。

 ただ、当然、専務理事でありますから、どこかの時点では知っていたわけですよね。

板野参考人 繰り返しで申しわけございませんけれども、公表されている議事録が全てでございます。

奥野(総)委員 籾井会長、この記事は事実ですか。事前に、当然、理事の皆さんには十二月八日以前、例えば十一月三十日までに相談されているんですか。

籾井参考人 まず、この記事が正しいかと言われると、それについてお答えすることはできないと思います。

 私、この案件については、いわゆる議事録が云々とかいうよりも、事を進めるときにはやはりいろいろな情報というのは出していくわけですから、十二月八日に初めてみんなが知った、こういうことにはならないと思います。

奥野(総)委員 そうすると、巷間言われているように、専務理事の皆さんには事前にちゃんと御相談をしたということですよね。

籾井参考人 一人一人、誰が何を知っていたかということについては答えを控えさせていただきますが、私、会長として、こういうことを全くやみくもに進めていたわけではございません。

奥野(総)委員 ちょっと時間がなくなってきたんですが、この件について十二月八日の経営委員会の議事録を見ると、何と書いてあるかというと、子会社による土地の購入計画について執行部から説明を受け、意見交換を行ったというだけ、一行しか書いていないんですね。

 これは、去年もたしかもめて、経営委員会の議事録というのは詳細に公表してくださいという申し合わせがたしかあって、去年は相当詳細に公表されていたと思うんですよ。これが、気がついたらいつの間にかこういうふうになってしまっているんですね。

 せっかく監査委員も来ていただいていますから、きょう経営委員会のメンバーとしては上田さんだけですけれども、これはどんな議論があったのかという話と、もう少し詳細版の議事録を出していただけないかという話を伺いたい。

 それから、ちょっと時間がなくなってきましたから、最後にもう一点、アイテックの関係ですね。これは、監査委員はなぜ動かないのか。

 この三つを伺いたいと思います。

上田参考人 お答えいたします。

 議事録の件に関しましては、これは経営委員会のことでありますので、私の方からお答えするのは控えさせていただきたいと思います。

 それから、アイテックの件ですけれども、アイテック事案につきましては、監査委員会としても、関係役職員や調査担当者、それからアイテックの役員からヒアリングを重ね、また、資料を査閲するなど、調査をしてまいっております。

 今回のような規模の違反行為が長年にわたり継続して行われてきたこと、調査の過程で判明したアイテックのずさんな手続等に鑑みれば、結果として、協会によるより積極的な管理が必要であったことは明らかであると考えております。

 監査委員会といたしましては、今後、協会がその反省に立ち、協会による子会社の管理を抜本的に強化することが必要だと認識しておりまして、今回のこの問題に関しましては、監査委員会としては三月八日の経営委員会に報告することを予定しており、監査委員会の見解についてもあわせて示したいというふうに考えております。

 以上です。

奥野(総)委員 経営委員会はしっかり頑張っていただきたいと思います。

 それから、最後に、会長は、土地購入計画については、事前に、理事会の前に専務理事の皆さんにはきちんと説明されていたということなんですね。もし記事が事実のとおりだとしたら、事前に知っていながらとめなかったという問題が起きてくると思います。このあたりはまた別の時間にやりたいと思います。

 きょうは、以上で質問を終わりたいと思います。

遠山委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 時間が少なくなりましたので、端的に、まず籾井会長に聞かせていただきます。

 籾井会長、二〇一四年の一月二十五日が会長の就任日だと思うんですが、この就任日に、NHK会長以外の仕事、何らかの報酬を得たり、名称はいろいろあるでしょうが、何らかのお金、対価を得て、NHK会長以外の仕事をされていたかどうか。この点、一点確認させていただけますか。

籾井参考人 NHK会長就任に当たりましては、私は、全ての役職をそのとき辞して、報酬を伴う全ての役職については辞しております。

逢坂委員 再確認ですけれども、報酬が多い少ない、報酬の多寡にかかわらず、あるいは仕事の内容にかかわらず、全てのNHKの会長の職以外のものは辞したということの発言だったと思いますが、例えば、自動継続されるような仕事があったとか、あるいは、報酬が自動的にどこかの口座に振り込まれるような仕組みになっているものがあったとか、そういうものも含めて一切兼職はなかったということを一〇〇%言い切れるということでよろしいでしょうか。

籾井参考人 ないと思います。

逢坂委員 ないと思いますと。ないではなくて、ないと思いますということでしょうか。これはどちらでしょうか。ないと思います、ない、断言できる、できない、どちらでしょうか。

籾井参考人 ないと思います。というか、本当にないと思います。

逢坂委員 籾井会長、一〇〇%否定されなかったというふうにこれでは思わざるを得ないんですけれども、それでよろしいでしょうか。

籾井参考人 多少ちょっと理解に苦しんでおるのでございますが、私の記憶にあるところでは、ございません。

逢坂委員 今の言葉を裏返すようで大変恐縮ですが、記憶にないところでは、ある可能性もあるということの理解でよろしいでしょうか。

籾井参考人 そういうことは申しておりません。私の記憶にある限りでは、そういうことはございません。

逢坂委員 この問題、きょうはこれでやめたいと思いますけれども、記憶にある限りは、ないと。記憶にないものはある可能性を否定していないというふうに思われるわけですが、だったら、そこで首をおかしげになるのであれば、一〇〇%ありませんということを言えば済む話だと私は思うんですけれども、きょう、この問題はこれで打ちどめにしたいと思います。ほかの案件も用意しておりますので。

 籾井会長、また後刻、よろしくお願いしたいと思います。籾井会長、きょうはもうよろしいです、私の方は。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 それでは次に、昨今話題になっています放送法について、きょうは総務省の事務方に法律の関係を少しお聞きしたいと思うんです。

 まず、放送法の第四条第一項、この規定が倫理規定であるのか。倫理規定というのは、放送事業者のある種努力規定のようなものであるのか、あるいは、法律によって何らかの処分の対象になる、その判断基準になる、いわゆる法規範性があるという言い方をよくするわけですが、法規範性があるものなのかどうか。この点、明確にお答えください。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問になりました放送法第四条でございますが、これは表現の自由との関係で大事な条文でございます。表現の自由は、御承知のとおり、憲法第二十一条で保障されております基本的人権の一つでございまして、これを尊重するのは当然のことでございます。

 これを受けまして、放送法は第一条で、目的規定でございますけれども、放送の自律ということで、憲法第二十一条に定める表現の自由を確保するということを規定しております。

 一方で、憲法第十二条あるいは第十三条におきましては、こういったものについて公共の福祉との関係を定めておりまして、これを受けたものとして、放送法でも、その目的として、公共の福祉に適合するよう規律するというふうに定めているものでございます。

 その上で、放送法は、第四条におきまして、放送事業者が放送番組を編集するに当たっての準則を定めているところでございます。

 これは、有限希少な電波の一部を独占的に使用するという性格もございますし、また安価に情報提供が可能であるという物理的な特性、あるいは社会に与える影響が大きいということに鑑みているものでございます。

 なお、放送法第四条の違反によるさまざまな関係について、正当な表現の自由を制限することがないように、極めて慎重な配慮のもと運用すべきであると従来から取り扱ってきているというところでございます。

 したがって、放送法第四条は法規範性があるというふうに私どもは解しておりますけれども、この限りにおいて憲法上の問題は生じないと考えております。

 以上でございます。

逢坂委員 たくさん御答弁いただきまして、次に聞こうと思ったことも含めて全部答弁をいただきました。

 法規範性があるということでございますけれども、それでは、これを最終的に判断する判断の主体というのは誰なんでしょうか。誰がその法規範性のありなしを判断するのか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 放送番組は、放送法の規定に従いまして、放送事業者の自主自律によって編集されるということが何をもっても基本でございます。

 したがいまして、放送法第四条第一項の各号に適合しているか否か、こういったことにつきましては、まずは放送事業者がみずから判断するべきものということでございます。

 その上で、必要がある場合には、放送事業者の方々からの事実関係を含めた報告を踏まえまして、放送法を所管する総務大臣が総合的に判断を行うこととなると考えているところでございます。

逢坂委員 最終的には、必要がある場合は総務大臣が判断をするということなんですが、改めてもう一回、憲法二十一条との関係をお伺いしたいんです。

 憲法二十一条にはこれは反しない規定なんだ、仮にそれは法規範性があってもそうだということなのでありますけれども、それでは、改めての確認です。この条文を根拠に、放送法の四条を根拠にして総務大臣が番組内容に直接、間接に干渉することはないということでよろしいでしょうか。そうしなければ憲法二十一条に反するということになると思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 放送法第四条違反につきまして、全般についてお答えを申し上げますけれども、四条違反に係る電波法七十六条の第一項の運用につきましては、先ほども大臣から御答弁申し上げましたとおり、法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであるということに加えまして、その放送が公益を害し、放送法の目的にも反しまして、これを将来に向けて阻止することが必要、かつ、同一の事業者が同様の事態を繰り返したり、事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは法律を遵守した放送が確保されないと認められる、こういった極めて限定的な状況のみに行うこととするなど、極めて慎重な配慮のもと運用すべきであるということで従来から取り扱ってきてございます。

 こうした判断につきましては、先ほども申し述べましたとおり、総合的には総務大臣が行うものでございますけれども、これまで放送法第四条違反として電波法七十六条一項を適用した事例はございませんし、いずれにしましても、まずは放送事業者におきまして自律的に放送法を遵守していただくということが基本と考えてございます。

逢坂委員 たくさん答弁いただいたんですけれども、やはり憲法二十一条との関係がわかるような、わからないようなところがある。

 改めてもう一回同じ質問をさせていただきますが、放送法四条の規定が憲法二十一条違反ではない、抵触しないとするならば、この四条の規定をもって、根拠にして、政府が番組内容に、直接、間接、いろいろ対応はあると思いますけれども、干渉するようなことはないということでよろしいでしょうか。

今林政府参考人 先ほど別の委員からの御質問に大臣が御答弁申し上げましたとおり、総務大臣が個別の番組内容について指示をしたり干渉したりということはございません。

 ただし、先ほど申し上げましたとおり、放送法につきましても、まず、放送事業者の番組準則を定めた上で、正当な表現の自由を制限することがないようという慎重な配慮のもとでございますけれども、一定の公共の福祉との関係について定めているところでございます。

 したがいまして、放送法第四条について、法規範性はあると解しておりますけれども、憲法上の問題は生じないということをお答え申し上げたところでございます。

逢坂委員 今の話からすれば、やはりちょっとよくわからないんですけれども、憲法二十一条に反しないということの明確な根拠は、放送法四条の各号列挙のことが、それを根拠にして放送の内容に干渉しないんだということがやはり私は非常に大きなことだと思うんですよ。そこの可能性を必ずしも否定されておらないような気がするんですけれども、干渉はしないということでよろしいんでしょうか。改めて事務的にどうですか。

今林政府参考人 重ねての答弁で恐縮でございますけれども、番組の内容につきまして個別に総務大臣が指示をしたり干渉したりということはございませんが、さまざま、例えば行政指導の場合におきましても、放送事業者の皆さんの自主的な対応を期待するという意味での再発防止策の策定をお願いしたり、あるいは慎重な配慮を今後お願いするということで行政指導を行ってきているところでございます。

逢坂委員 あと、もう一点です。

 先ほどの冒頭の答弁の中にも発言がありましたけれども、新聞や雑誌などと違って、放送についてだけ第四条のような編集上守るべき番組編集準則というようなものが定められている。その理由について、もう一回改めて御答弁ください。

今林政府参考人 先ほど委員に一部お答え申し上げましたけれども、例えば、放送は、不特定多数の方々に、新聞などの紙媒体以上に、同時に安価に情報提供が可能である、こういう物理的な特性を持ってございます。また、社会に与える影響力が非常に大きいということ。それから、地上波テレビなどの例をごらんになるとおわかりになりますとおり、有限希少な電波の一部を地域的に、独占的に使用しているということを許しているわけでございます。

 そういうことが背景になりまして、新聞などより、自主基準ということでございますけれども、自主自律ということではございますけれども、一定の、四条におきましても準則というものを明示しているということでございます。

逢坂委員 私、放送法に係る問題、やはり相当に微妙なものだというふうに思っています。

 それで、大臣の発言も相当に慎重を期してもらわねばならないというふうに思うんです。きょうはもうこれ以上質問はしませんけれども、昨年の五月十二日の参議院での大臣の答弁の言葉にこういうのがあるんですね。「一つの番組のみでも、国論を二分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、殊更に他の政治的見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合といった極端な場合においては、一般論として政治的に公平であることを確保しているとは認められない」ということを言っているわけですが、一つの番組について、やはり相当踏み込んだ発言をされているように思うわけです。

 すなわち、放送法四条を根拠にして番組内容に干渉するのではないかといったような雰囲気が感じられる発言が、これは参議院の藤川参議院議員に対する答弁でありますけれども、あるんですね。私は、この答弁というのは非常にちょっと危ういなという感じがするわけです。

 一方で、先般発表になりました政府の統一見解では、「一つ一つの番組を見て、全体を判断する」というふうに、一つ一つ。一つの番組を取り上げて何かを言うというのではなくて、一つ一つの番組ということで、それで全体を判断するという言い回しなわけですね。だから、昨年の五月の答弁というのは、この政府の統一見解と少し違うのではないかなという気が私はしております。

 きょうは短い時間しか確保できませんでしたので、きょうの私の質疑はこれで終了させていただきますが、この点についてもまた後日、仲間の議員とも協力しながらやらせていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございます。

遠山委員長 次に、水戸将史君。

水戸委員 民主・維新・無所属クラブの水戸将史でございます。

 ちょっと話題をかえて、きょうは救急体制、消防法等を交えての御質問を何点かさせていただきます。厚労省関係の方にも来ていただきましたので、後ほど御答弁をいただきたいと思っています。

 まず、御案内のとおり、救急業務というものは、昭和三十八年に消防法に明文化されまして、国民にとっても必要不可欠な行政サービスであることは皆さんも御承知のとおりですよね。

 特に、昨今は高齢化でありますものですから、非常に救急需要というのは拡大しておりまして、平成二十六年の救急出動件数は約五百九十八万件、これは前年度比一・二%増であります。搬送人員は約五百四十万人で、ともに過去最高を記録しております。つまり、五秒に一人ぐらい救急車を呼ばれるというような今現状なんですね。ですから、一年間で国民の二十四人に一人が搬送された、そういうことになります。

 現状、全国の救急隊の数は五千六十九隊、これは昨年の四月現在であります。出動件数が十年間で約二二%増加しておりますけれども、救急隊の数は約六・七%の増加だということでございまして、実際に、出動件数の増加よりも救急隊の数はもちろん低いわけでありますので、的確に行政需要に対応できているかどうかということも非常に疑問視を私はしております。

 そういう観点から、何点かお話をさせていただきます。

 まず、資料をお配りしておりますけれども、資料一、資料二をごらんいただくと、やはりここ数年の傾向なんですけれども、全体の増加は、先ほど言ったように増加の一途をたどっているんですけれども、構成比が、どっちかというと重症者よりも軽中症者、これは好ましいかもしれませんけれども、しかし割合はかなりこちらの方にシフトしているんですよね。この現状について、今どういう形で捉えていらっしゃるか、まずお答えください。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

高市国務大臣 まず、救急出動件数や搬送人員については水戸委員がおっしゃっていただいたとおりです。

 非常にふえておりますことから、救急車の現場到着までの時間が全国平均で八・六分、病院収容までの時間が三十九・四分となっていますので、これも過去最長でございます。

 それから、救急搬送人員総数に占める六十五歳以上の高齢者の方の割合が、平成元年には二三・四%だったものが、二十六年には五五・五%に増加しております。

 そして、グラフに示していただきましたとおり、初診時に医師が入院加療を必要としないと判断した軽症者が、二十六年に四九・四%になっています。

 その軽症者の方の中には、頻回利用者、たびたび利用される方、それから、必ずしも救急車による搬送が必要でない緊急性の低い傷病者の方も存在する可能性もあると考えております。ただ、医師がそのときには入院は必要ないと言っても、骨折であって、手当てをして一回家に帰られるという場合もございますので、それは軽症者といっても、一概には言えませんので。

 何とか消防庁としても、救急車の適正利用の推進に向けた取り組みを展開していきたい、その必要があると考えております。

水戸委員 今の御説明でも若干触れられているんですけれども、この資料二の下の段のグラフですね、二つの折れ線グラフがあるんですけれども、上は救急出動件数で、下は搬送人員なんですね。これは、年を経ることによって、ワニの口じゃありませんけれども、だんだん開きが出てくるんですね。これも、なぜこういう形で、ここ十年の経過の中において、どんどんこの両者の間隔が広がってくるのか。こういうことについて、どのようなことを分析されているのか。

 当局でも構いませんけれども、これはどういうような実態でありますか。御説明いただきたいと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、この十年で救急出動件数はかなりふえてきておりますが、やはり一番大きなところは、高齢者の割合がふえている、特に七十五歳以上の方の割合がふえてきているというところが一番大きなものであるというふうに私どもとしては認識をいたしております。

水戸委員 それもありますけれども、もう一回聞きますよ。先ほど大臣もいみじくもおっしゃったとおり、救急出動件数、救急車が駆けつける件数と、実際、救急車が病院に搬送する件数の開きがだんだん出てきているということは、結局、現場において搬送しなくてもいい人たちもいるということのあらわれではないかということも分析の一つとしてあるんですが、それはそれでよろしいですか。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 全体として増加傾向なのは、高齢者の割合がふえているということを申し上げましたが、この乖離の部分については、やはり、何か不安であるとかいうときにすぐ一一九番にかけるという方がふえている、そういう方がいらっしゃるということも事実でございますので、そういうことの割合がふえているということはありますので、一一九番の通報について、適正に通報していただくというような普及啓発というのは必要だというふうに思っております。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

水戸委員 今御説明いただいたとおりだと思うんですね。いろいろな要因があるかもしれませんけれども、呼ぶ方は必要だと思って呼ぶかもしれませんけれども、実際行ってみると搬送する必要はないというような件数もかなりふえているのではないかということが、これで読み取れるわけですね。

 資料三の方をごらんいただければ、これが、また別な視点なんですけれども、救急自動車が現場に到着する時間と病院に収容する時間ということの折れ線グラフなんですけれども、これもまたここ十数年でありますけれども、これがずっと増加傾向の一途をたどっているんですよね。

 結局、こういうことが引き続いちゃうと、特に心肺停止状態、一命が本当に危ういんじゃないか、そういう本当に救急的に搬送しなきゃいけないという人に対しても深刻な影響を与えると思っているんですけれども、この推移について、どのような御認識でありますか。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 年々、こうした現場到着時間がふえている、あるいは現場での待機時間がふえているという状況でございますので、そういう意味では、救急救命率という意味では決していい状況ではないと思っておりますので、いかにしてこれらを短くしていくか、そういう取り組みをしっかりしていくことが必要であるというふうに考えております。

水戸委員 今までのお話、最初に大臣もちょっと御答弁でもお触れいただいたんですけれども、結局、先ほど言ったように、ワニの口みたくぱっかりとあきつつあるというような、そういう現状と、こういうような、呼んだ救急車が到着する時間もおくれてくる傾向、また病院に収容する時間も非常に手間取っているというようなことが慢性化しつつある、これが増加の一途をたどっているということに関して、真に救急出動を必要とするケースへの対応を妨げる、今そうした結果になっているのではないかと、非常にこれは懸念をされているんですね。

 救命というものに関しての根幹を揺るがすような話になってくるのではないかということを懸念するわけでありますけれども、先ほど言った比率もそうですね、重症者よりも軽症者が占める比率というのもありますけれども、これらを総合的にひっくるめて、大臣はこれに対してどのような御認識でしょうか。

高市国務大臣 なかなか、大変難しい課題でございますけれども、とにかく、救急車の到着ですとか病院への搬送が非常におくれるということによって、救われる命も救われない可能性が出てまいります。これまでも、シャープ七一一九ですとか、必ずしも急に救急車を呼ばなくても電話で相談をできる、こういう窓口も用意してまいりましたし、また、啓発活動というのも大変重要だと思っております。まずはこういったことを進めてまいりたいと思っています。

水戸委員 ですから、救急車を呼ぶか呼ばないかというのは、一義的には、現場の御当人かもしくはその周りの人たちの判断ということになるんですね。ですから、当局とすれば、的確に必要なときに呼んでくれというふうに言いたいわけでありますけれども、なかなか、呼ぶ側と捉える側はやはり意識の違いもありますし、現場でも非常に混乱している場合に冷静な判断がなかなかつきづらいということもあることは、私もよく承知をしているんですね。

 そういう形で、先ほど当局の局長さんも若干触れたように、やはり、適正利用のための呼びかけというもの、救急車利用マニュアルというのを一応つくっているんですね、消防庁としては。ここに私も持っています。こういう立派なものをつくっていますよ。こういうものを消防庁がおつくりになっているんですけれども、これから先なんですね。結局、せっかくいいものをつくったにもかかわらず、では、これがどの程度周知をされているか、普及されているかということについて、後ほどお答えいただきたいんです。

 これを見ると、「救急車を上手に使いましょう」と、何かうまく利用すればいいみたいなニュアンスがどうしても、何でもかんでも呼んでもいいよみたいな、そういうようなニュアンスが、そういう気持ちで書いているんじゃないんですよ。しかし、これを見ると、困ったときには救急車みたいな、困ったときに一一九番みたいな、そういうような働きかけをすると、では何でもかんでもいいのかみたいな、そういうようなニュアンスに受けとめられかねないと思うんですけれども、こういう救急車を呼ぶための基準というのを、そういう形で載せようという気持ちもあるんですが、なかなかその基準みたいなものが見えないんですね。

 こういうときには呼んじゃいけませんよみたいな、そういうものを一応、こういうときに呼びなさいじゃなくて、こういうときはだめですよみたいな、表現はともかくとして、そういうような一つの目線というか基準というのをもうちょっと明確にした方がいいと思うんですが、それはどうですか。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 救急受診ガイドなどを私どもの方で準備させていただいて、それぞれ各消防本部あるいは全国消防本部を通じて住民の方へお配りをしているというその中のパンフレット、リーフレットでの御指摘だと思いますが、私どもとしましては、真に重症であって救急車を呼んでいただきたい方がそれをちゅうちょしてはならない、そういう観点がありますし、逆に、みずから緊急度をある程度判定していただいた上で、救急車を呼ぶのではなく、みずから近くの病院に行っていただくとか、そういう対応もあろうかと思いますので、その両面があると思いますので、そういうことがしっかりわかるようなガイドなりリーフレットが必要であると思っています。その中についてさらに工夫する余地があるということであれば、私ども、またその辺は検討してまいりたいというふうに思っております。

水戸委員 ぜひ、発する側は性善説的でしょうけれども、受けとめる側は別に性悪説と言いませんけれども、何でもかんでも利用するというようなニュアンスにとられたら元も子もありませんから、これはちゃんとしっかりした工夫が必要だと思いますよ。だから、ぜひ改善をしてください。強く要望します。

 あと、これがせっかく改善をしたとしても、どの程度、我々の家庭にこれが普及しているのかなということが非常にわかりづらいというか、実際、本当にやっているのかなということを、消防庁はどういう形で各地方自治体に、一義的には、周知徹底を図り、そしてそれを実施されているのかなということなんです。

 例えば、私、横浜市なんですけれども、暮らしのガイドなんというところにも掲載をしてもいいのかなという気がしますし、あとは、例えば小学校、特に物心ついたころから、例えば環境教育でごみの分別なんというのはああいうときにやりますよね。ですから、それが非常に家庭生活に対してプラスに作用しているというのはありますから、結局、そういう教育現場、防災教育というとちょっと観点が違いますけれども、何らかの教育の中にこういうことも含めて取り入れた方がいいと思うんですけれども、今現状はどうなのか、それについてどう思われますか。

西藤政府参考人 御指摘のとおり、市民の皆様がそれぞれの、みずから緊急度の判定をしていただくには、その材料を提供することは非常に重要だと思っております。

 私どもも、市民自身が行う緊急度判定、そういう判断を支援するものとして、平成二十五年度末に救急受診ガイド二〇一四年版、これは都道府県とか医療関係者などにお配りしておりますが、さらに、住民向けのリーフレット、お手元にあるようなものでありますが、これを全国の消防本部に配付して活用していただく。その活用方法については、それぞれ独自に、市民広報、市の広報でありますとか、あるいは冊子をつくっていただいたりとか、あるいは救急の日のイベントで使っていただくとか、あるいは応急の普及の講習会をやったりしていただいておりますが、そういう中でさまざまな活用をされていただいておると思います。

 さらに、学校との連携ということについても、私、今ちょっと詳細なデータは持ち合わせておりませんが、確認の上、必要であれば、またそういう方面についても検討してまいりたいというふうに思っております。

水戸委員 具体的に、実際にいいことをぜひどんどん進めていっていただきたいと思いますし、それが、先ほど言ったように、真に必要とする方々の命を救うということに直結するようなことで、やはり有限的な資源でありますから有効的に使っていただきたいということを強く要望していきたいと思っております。

 実際に、確かにいろいろな形で努力はしている経過は私も多としたいと思っているんです。例えば、救急搬送時間の短縮または救命率の向上を目指してやはり何か工夫をしていこうではないかという形で、平成二十四年度、今から三年ほど前に、例えば家庭、電話相談、一一九番通報、そして救急現場、こういう各段階において緊急度判定基準というのを設けて、そして、その妥当性を実証実験するという形で、我が横浜市も含めて三つの市で実施しているんですね。緊急度判定基準というのをつくって、各市でやってみよう、実際にどういう段階において緊急度があるかないか、高いか低いかということを判定しながら、その判定にのっとった形で、救急車を呼ぶ、呼ばないということを決めていこうということなんですね。

 そういうことを実験的にやって、そして、一応有効であるという判断をされているんですね、消防庁は。消防庁は判断をしているんですけれども、これは、今言ったように、平成二十四年度にやった実験が、あれから二十五、二十六、二十七年、もう三カ年たっているんですけれども、一向に他の市町村に対して、こういうものをやろう、取り組んだこの三つの市がやって有効だからという形で、ある程度そういう判断をしているにもかかわらず、それ以降が全く進んでいないような実態があるというふうに聞いているんですが、その実態はどうでしょうか。そして、なぜ進まないんですか。

西藤政府参考人 先ほどお答えした中に、救急受診ガイドの二十五年度の配付でありますとかリーフレットの配付は申し上げたところでありますが、さらに、横浜市も含めてでありますが、救急電話相談事業というものを実施していただいているところがあるわけであります。

 一一九番通報するかどうか迷う市民からの相談に対して、看護師などが聞き取り、その内容から緊急度を判断して、緊急性の有無や医療機関の受診の必要性について助言するものであります。現在、シャープ七一一九と言っておりますが、そういう救急電話相談事業、これをしていただいている自治体はまだ六都県市にとどまっているという状況もございます。近々、福岡県などで新たな立ち上げ準備、あるいは検討されているところもあるわけでありますが、こういった電話相談事業というのも必要になると思っております。

 こうした、先ほどの救急受診ガイドの効果的な普及でありますとか、あるいは救急電話相談事業をさらに充実させる、あるいは普及させるためには、医療関係者を含めた多くの関係者の連携が重要になると思っております。現在、消防関係者、医療関係者に加えまして、福祉の関係者でありますとか学校関係者を含めた幅広い領域の有識者の方々に、今後の普及とかあるいは充実に向けた方策について検討いただいているところでございます。その結果を踏まえながら、私どもとしても効果的な施策を講じてまいりたいというふうに考えております。

水戸委員 検討はもう十分やってきたんだから、そろそろ実施すべきですよ、こんなのは。

 大臣に聞きますけれども、いろいろなことを今までやった、先ほど言ったように、私も今までの経過は多としたいところはいっぱいあるんですよ。こういうマニュアルづくりをしているし、こんなパンフレットをつくったり、このような緊急度うんちゃらかんちゃらとやっているわけでありますけれども、結局、やはり救急車を呼びたい人はいっぱいいますから、お構いなしに一一九番をしちゃうということは、これに対して歯どめをかけることがなかなか難しいというのが今の現状です。

 ですから、こういう中において、私は一足飛びに言うわけじゃありませんが、随分前から検討しているんですけれども、呼ぶ際においては有料化も検討すべきではないか。これは財務省も言っているんですね。平成二十四年度の決算結果をもって、有料化も検討すべきだということはもう既に三年ほど前に財務省も指摘をしています。実際に海外でも、パリとかニューヨークとか、いろいろなところで、北京もそうでありますが、導入事例があります。

 ですから、今後、こういうものについても決して聖域化するわけではなくて、やはり有料化ということも視点に入れて、一部のところから実験しても構いませんが、そういうことについてはどういう形で進めようということを思われているか、思われていないか。大臣、どうでしょうか。

高市国務大臣 有料化の議論についてはさまざまな御意見もあり、私もどこかできれいに結論が出ないものかということで、秘書官たちやそしてまた消防庁の幹部ともお話をしてまいりました。

 ただ、今委員がおっしゃっていただいたように、全部有料化ということになると、かなり、本当に必要なときに救急車を呼ぶことをちゅうちょされる方もおいででしょうから、一部有料化という御提案なのかと思うんですが、その場合、料金を徴収する対象の範囲をどうするのかということ、それから対象者の決定には医師の判断が必要になってくるんだろうと思うのでそこをどうするかとか、料金の額や徴収方法をどうするか、そういった課題はあるかと思いますし、国民の皆様のコンセンサスのもとで考えなきゃいけない問題であると思います。

 現場の消防本部の方々が実際にどう思っているのか、現場でどういうふうに感じておられるのか、ここも重要なポイントだと思いました。既に、救急医療の専門家や各消防本部の代表者で構成される検討会でもこの案件は議題になりました。その結果、やはり救急要請をちゅうちょされるのではないかということ、有料と無料の区別や判断が難しいのではないかということ、それから傷病者とのトラブルが現場で発生するんじゃないかなどなど、率直に申し上げますと、地元の消防本部では、各地方の消防本部では、有料化をした場合にさらに現場での対応が難しいといった声が多かったと聞いております。

 ですから、本当に難しい話なんですけれども、引き続きこれは議論を続けて、どこかでよりよい結論を導かなきゃいけないと思っております。

水戸委員 先ほど若干触れていましたとおり、世界の各都市で、いわゆる地方自治の中でやっている部分があるものですから、全国的にやるという話じゃなくて、一部実験的にやってみて、いろいろな形で、いろいろな意見がありますし、いろいろな業務で難しい部分もあるのは私もよく承知をしている上であえて申し上げたので、ぜひ前向きにこの導入に向けて検討したら、実験的にやっていただきたいということを強く要望します。

 きょうはせっかく厚労省の方も来てもらっていますので、ちょっと飛ばして、資料四をごらんいただければおわかりのとおり、先ほど若干触れましたけれども、いわゆる到着時間、搬送時間のおくれと、加えて、結局、医療機関の受け入れ体制も非常に、これはちょっとどうなのかなということが、首をかしげたくなるようなことがあるんですね。

 この表からもわかるとおり、やはり患者のたらい回しですよ。一時これも騒ぎになりましたけれども、これは資料四を見ても、ずっと、平成二十二年から二十六年ぐらいですけれども、大体、やはりパーセンテージはふえているんですね。この割合がふえているということですね。三十分以上その現場にいた。救急隊員の人たちがどこに連れていくかということをいろいろと聞くんですけれども、なかなか受け入れ先がないからそこにいざるを得ない、三十分間以上とどまっているというのがこの表であります。

 いわゆる、こういう問題につきましては、既に六、七年前にたらい回し防止のための実施基準の策定を都道府県に義務づけたにもかかわらず、まだ未実施の都道府県も多いんですよ。

 そして、この現状については消防庁はどう受けとめていらっしゃるか。そして、厚労省、来ていますので、これは看過できない事案ですけれども、厚労省側、受け入れ側はどういう形でこれを受けとめているのか。両者から簡潔によろしくお願いします。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 消防庁では、先ほど御指摘がありましたように、傷病者の円滑な受け入れを図るため、平成二十一年に消防法を改正いたしまして、各都道府県に、傷病者の搬送及び傷病者の受け入れの実施に関する基準、いわゆる実施基準と言っておりますが、この策定を義務づけておりまして、現在、既に全都道府県で策定されているところでございます。

 実際、効果が上がっている都道府県もあるわけでありますが、それらの都道府県に聞き取り調査を行ったところ、医療機関の受け入れ可能状況を把握するためのICTの活用でありますとか、受け入れ医療機関側の体制強化によるものというふうな回答も得ているところであります。

 今後とも、ICT活用事例などについて周知するなど、消防と医療の連携の体制の充実強化を図る、あるいは一定の回数以上照会しても搬送先が決定しない場合にコーディネーターが搬送先医療機関を調整するといった地域独自の搬送ルールの策定など、それぞれの各都道府県において、地域の実情を踏まえて実効性の上がる取り組みをしていただくように、今後とも促してまいりたいというふうに考えております。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 救急医療体制につきましては、今先生からさまざまな御指摘をいただきました。

 厚労省がやってまいりましたこと、まず一つ目は、しっかりした役割分担ということでございまして、複数の医師が在宅当番制によって比較的軽症の患者を受け入れる初期救急、それから入院を要する救急患者を受け入れる二次救急、さらには、重篤な患者を受け入れる三次救急というふうに役割を分担することによって、円滑に患者を受け入れるということを整備してまいったところでございます。

 しかしながら、御指摘のように、人口の高齢化に伴いまして、心疾患、脳卒中、生活習慣病の悪化等の救急医療が増加をいたしまして、特に二次救急医療機関に救急患者が集中するというように、円滑に受け入れられない搬送困難事例が発生するようになっていることもまた事実でございます。

 これに対応するために、消防と医療の連携を強化いたしまして、先ほど御指摘がありましたように、救急患者の搬送、受け入れがより円滑に行われるよう消防法を改正いたしまして、各都道府県において、消防機関や医療機関から構成される協議会、これは今、全都道府県に設置はされております。設置はされておりますけれども、これによって救急患者の搬送や受け入れのルールをあらかじめ策定することによって、先生御指摘のようなことができるだけ少なくなるようにという対応をしてまいったところであり、また、都道府県によりましては、例えば消防機関にきちっと医師を派遣するというようなこともやっております。

 まだ足りない部分はたくさんございますけれども、できるだけ搬送の困難件数の解消に努めるよう、これからも、都道府県の指導を含め、やってまいりたいと考えております。

水戸委員 せっかく来たから長い答弁してもらいたいけれども、申しわけない、時間がないからもっと簡潔に言ってください。

 もちろんいろいろな、先ほど言ったように、厚労省と消防庁が一生懸命、医療機関と消防機関と連携をとっているんですよ。それもある程度、今の経過はよくわかっています。そしてわかっていて聞くんですが、結局、やはり現場が一番大切なので、現場で一生懸命頑張っている救急救命士の処置範囲をもっともっと拡大していこう、いろいろなことに対応できるようにということで、一昨年四月に救急救命士法施行規則が一部改正されて、それで救急救命処置の範囲が拡大されたにもかかわらず、現場の導入は進んでいないということがあるんです。

 そもそも、救急救命士の資格は厚労省なんですね。しかし、厚労省はなかなかこれに対しては及び腰でありまして、結局、なかなか、厚労省は資格そのものを与えるときも結構消極的であったということを聞いているんです。

 だから、厚労省が救急救命士の職域を拡大するつもりがあるかないのか。

 そして実際、その流れで一遍に聞いちゃいますけれども、ドクターカーというのはこれから導入するということがあるんですが、これも今、厚労省は県に、手術室はあくまでも医療法上の問題なので、車の中が手術室かどうかという判断は県に一義的に任せちゃって、厚労省は逃げているんですね。

 もうそろそろ、ドクターカー、まあドクターヘリもそうなんですが、そういうところも手術も可能であるということも含めて、厚労省は判断すべきじゃないですか。そろそろそういう結論を出しなさい。どうですか。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、救急救命士の職務の範囲の拡大ということにつきましては、メディカルコントロール体制ということで、できるだけ救急車の中で搬送者の命がしっかりと食いとめられるように、さまざまな工夫をさせていただいております。

 それから、一方のドクターカーでございますけれども、青森県の事例を先生は御指摘になったようでございます。

 過疎地においてはこういうドクターカーが大きな活躍をするというふうにこれからなってくると思いますけれども、医療法上のさまざまな考え方、できるだけ、大きな手術は医療法に基づいたちゃんとした設備のあるところでやっていこう、これがやはり人の命を守る上での基本である、こういう考え方もございますので、今、青森県とこのことについて調整中でございます。

 できるだけ現場のお気持ちが達成されるように、厚生労働省としても、青森県と連絡をとりながら、ドクターカーの使用について、しっかりと対応できるよう頑張ってまいりたいと思います。

水戸委員 また別の機会で追及させてください。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 高井でございます。

 きょうは、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 きょうは、今いろいろ注目されている放送法第四条、政治的公平について大臣といろいろ議論をさせていただきたいなと思っていたんですが、今NHKさんが席に着かれていますが、先ほど、奥野委員とのやりとり、子会社の土地取引問題で何かちょっと不思議なやりとりが続いていましたので、予定していませんでしたけれども、ちょっとそのことをお伺いしたいと思います。

 板野専務理事はお呼びしていないのでちょっと残念なんですけれども、先ほど、板野専務理事は三回、議事録のとおりですと。ちょっとそんなのは異例だなと思って見ていたんです。

 先ほど会長は、当然、これだけ重要なことであるから事前に部下には伝えているという趣旨の答弁をされました。

 これは、専務理事、協会のナンバースリーですよね、協会ナンバースリーの専務理事が知らなかったとは考えられませんけれども、もう一度、会長、当然板野専務理事も知っていたということでよろしいですね。御答弁をお願いします。

籾井参考人 先ほども申しましたけれども、誰に対して何を言ったかということは差し控えさせていただきますが、会長として、こういうことを進めるときに、十二月八日まで私が何も言っていないということはございません。

高井委員 会長、これは非常に重要なことだと思っていまして、一歩間違うと会長に責任が及ぶ話でありまして、これだけ重要な議題が、十二月の八日が理事会と経営委員会だったと思うんですけれども、その一週間前にも理事会が開かれていて、そして、子会社の関連で予算案の減額をする、その議案も出されているわけであります。

 その場には当然板野専務理事もいたわけでありまして、その場でもし会長が三百五十億と言われているこの金額をしゃべっていない、話していない、説明していないということになれば、それは、では、こんな重要なことを、子会社が三百五十億ものお金を使うということを会長が独断でやったということになりかねないわけですけれども、もう一度、会長、はっきりと御答弁ください。

籾井参考人 先ほど板野専務が答えたとおり、議事録どおりでございます。

高井委員 議事録を私は慌てて調べましたけれども、板野専務理事はそういう発言はしていませんから。

 では、会長も、板野専務理事は知らなかったということでよろしいんですね。そういう前提でこれから議事を進めますが、よろしいですか。

籾井参考人 繰り返しますが、議事録に出ているとおりでございます。

高井委員 それでは、会長、板野専務理事にこの三百五十億という金額を知らせずに、これだけ大事な子会社九社にかかわる移転、我々は前国会でも、子会社の利益剰余金九百億、これがやはり非常に問題じゃないかということを指摘してきたわけですけれども、それについて会長は、協会ナンバースリーである板野専務理事に諮ることもなく、独断で進めてきた、そういうことでよろしいですか。

籾井参考人 質問が全部予告にないことばかりなんですが、先ほどから申し上げておりますように、委員もおっしゃいましたように、理事会は十二月一日にもやっておりますし、いろいろな形において私はいろいろなことを役員には情報として出しております。

高井委員 はっきりと名前まで出していませんでしたけれども、それは当然ですよね。会長が三百五十億をもし勝手に独断で決めて経営委員会に諮ろうとしていたと言ったら、これは本当に会長の責任問題だと思いますから、そういうことはないんだろう。

 それであれば、逆に、では、板野専務理事は、経営委員会の前の理事会で、この金額について聞いていなかった、話を聞いていたにもかかわらず聞いていなかったというふうに話をしたということは、何というか、職務怠慢、会長に対する背信行為ではないですか。そう感じませんでしたか。

籾井参考人 この場に板野はおりませんので、しかも、これは通知もなかったことでございますので、お答えは控えさせていただきますが、何度も申し上げておりますように、いろいろな形において、この件についてはみんなにといいますか、連絡をしていたということは間違いございません。

 ただ、委員、この件は、まだ金額も確定していないし、要するに、優先交渉権を得ただけの話でありまして、実際に何にも具体的に進んでいないんですよ。したがって、実際の具体的な行動に入る前にこれはもう先に進むのをやめたというこの現状は御理解いただきたいと思うわけでございます。

高井委員 これは撤回をされたということについて、私はこれ以上御質問しようと思っていませんけれども、やはり協会の中の、NHKの中のコンプライアンスというか意思疎通が果たしてうまくいっているのかということでお聞きをさせていただいているわけであります。

 きょう、実は監査委員にも来ていただいていたのは、この件で来ていただいたわけじゃないんです。この間、私は、去年から、経営委員会そして監査委員会のあり方が本当にこれでいいんだろうか、経営委員の中から監査委員が三名選ばれていて、実際の事務局もNHKの職員が、出向という形なのか同じ身分のままなのかわかりませんけれども、それで本当に監査が成り立っているのか、このことを実はきょうは問いただそうと思って、来ていただいたんです。

 まさにこの土地取引の問題も、上田監査委員は監査報告を出していますよね。詳細に調査をしているわけですけれども、今のこの件、板野専務理事が金額を知っていた、籾井会長は当然伝えていた、にもかかわらず、当日、知らなかったと言うようなことがあったことについて、しかも、その理事会の場に上田監査委員はおられたと思いますから、そのことについて上田監査委員から御答弁お願いします。

上田参考人 お答えいたします。

 土地問題に関しましては、報告書に記載させていただきましたが、監査委員会としてのポイントは、一連の手続が放送法にのっとって行われているのか、いわゆる違反がないかということと、それから、途中でこれは進めることをやめたということになりましたので、やめた際に、何か法律的な義務、特に金銭にかかわるようなそういうものがなかったかどうか、この二点に関して調べさせていただいて、あのような報告書の形にさせていただいたわけであります。

高井委員 上田監査委員、それでは不十分ではないですか。そういう生ぬるい監査だからいろいろ問題が起こり、そして私もこの場で取り上げざるを得ないわけでありまして、その監査報告書は私も読みました。そういう内容でした。

 しかし、今私が質問した問題、あるいはいろいろ新聞や報道でも出ている問題があるわけでありますから、上田監査委員もその場におられたわけですから、そのことについて、これは、通告は確かにしていませんけれども、十二月八日のことですから、記憶にないなら記憶にありませんと言ってください。答えられませんというのはおかしいと思います。

 お答えください。

上田参考人 お答えします。

 私は、監査委員として、一連の手続が法律にのっとっているのか、また、いろいろな規程に関して、それに抵触していないかどうかという観点から監査させていただいていまして、一連の監査の過程で今委員の方から御質問があったような情報も得ておりますけれども、これは監査委員として、いわゆる監査の過程で入手した情報ということで、公表は控えさせていただきたい、こういうことです。

高井委員 先ほどからこの総務委員会の場が非常に、議事録に載っていることしか答えられませんというのでは、一体我々は何のためにやっているんだろうかという気になります。

 会長、もう一度改めて、これは通告していたからとかいう問題じゃなくて、通告していれば事務方がいろいろペーパーを用意して、それを読めば答えられるのかもしれませんけれども、そうじゃなくて、十二月八日、ついまだ二、三カ月前の話ですよね。会長も恐らく、かなり大きな出来事だったから記憶にあると思うんです。

 このことについて、私は、NHKの中の、私は別に会長を非難しているわけじゃなくて、会長のやってきたことに対してそういった専務理事なり理事が違うことを突然言い出す、このことがおかしいんじゃないかということを申し上げておりますので、もう一度、板野専務理事が、会長が説明していたにもかかわらず、それを十二月八日の日に、いや、私は聞いていないと言った、そのことについて、どういう経緯でそういう話になったのか、会長、お答えください。後ろでそんな、会長が答えることですから、ごちゃごちゃ言わないようにしてください。

籾井参考人 十二月八日の時点においては、これは理事会でございますから、そして、さらに経営委員会に説明するという段階で、まだまだ、本土地の問題で、購入するために前進する、こういうことではなかったわけです。

 そういう意味において、理事会でもみんなといろいろお話をしましたし、それから経営委員会においてもたくさんの質問も受けましたし、私からも説明申し上げたわけです。

 やはりこういうものというのは、委員もおっしゃっているとおり、これほど巨額のものをという中で、やはり私が、では独断でやるぞ、こうはいかないわけです。

 こういう土地の問題に限らず、私のキャリアの中でも、あるプロジェクトを進めるときには、やはり雰囲気というのも大事なわけです。これはなかなか御納得いただけないかもしれませんが、プロジェクトをやるについての周りの雰囲気はどうなんだ、これについてみんなが、おお、やろうじゃないか、こういうのがないと、こういう大きいプロジェクトというのはなかなか行かないという雰囲気を察知しまして、そのとき、やるとかやらぬとか議決したわけでもありませんし、それで私は、これ以上行かない方がいいなという意味で、撤退ではなくて、私からすると、これ以上進んで手続するのをやめた、こういうことですから、公式的な手続には本当に入っていないんですよ。

 したがって、助走の段階で踏み切るのをやめたというふうに御理解いただけるとよろしいかと思うんですが、委員御指摘のとおり、やはり非常に大きなプロジェクトでございますので、相当慎重にやらなければならないということは私も認識しておりましたし、そういう意味で、誰にどうだということは申しませんけれども、情報というものはきちんと出していかなきゃいかぬだろうというふうに思っております。

 人それぞれ、公式に聞かないと聞いたことにならない人もいるでしょうし、いろいろなスタンスがあると思うんですが、そういう意味において、私だって勝手にどんどん進めていたわけでもないですよということを先ほどから申し上げているわけでございます。

高井委員 放送法の話に入りたいんですけれども、なかなか趣旨を理解していただけないようなので、もう一回聞きます。

 会長、わかっているんです。会長が撤回をすることを別に私はとがめているわけじゃなくて、経営委員会でかなりの議論になったと聞いておりますし、それは、会長がやろうと思っても、経営委員会がだめだと言えば撤回するというのは全然あるんだろうと思います。ただ、私が今問題にしているのは、その前段で、執行部の中でよく意思疎通が図れていないんじゃないか。

 もし本当にその専務理事が、公式には知っていなかったと言いますけれども、別に会長と専務理事の間柄で公式な何か紙のやりとりや物があるわけじゃない。いろいろ職務上の話をしていく中で、これをもし伝えていないんだとすれば、私はそれが大問題だと思いますし、伝えていたんだとすれば、今度、それに対して専務理事が、会長から相談を受けていたのに、その理事会の場でそういうふうに表明をするのは問題だと思っているわけですから聞いているんですけれども、そのどちらなんですか、会長。

籾井参考人 板野専務が何をもって聞いたとか聞いていないと言っているかというのは、私はわかりません。ただ、こういう大問題を、みんなに対して私が━━━━━に置いて進めるということはないわけでございます。

 正式に、十二月八日に初めて正式な場所で私は話したわけですから、そういう意味において、正式に聞いたのは初めてだというのは当たっていると思います。

高井委員 会長、それでいいんですか、本当に。

 何か専務理事と会長の間柄が、正式に伝えたのが十二月八日だと。何かちょっと今発言に問題があったから訂正されるのだと思いますけれども、ちょっと質問も聞いてくださいね。

 きちんと会長が、要するに正式に伝えたのが十二月八日で、その場で反対されましたという極めてしゃくし定規な対応というか、およそ組織の中とは思えない、トップとナンバースリーとは思えないような状態がもしあるのであるとすれば、私は、それは大問題だし、それは会長の責任だし、経営委員長にも問いたいと思いますけれども、そうでないのであれば、きちんと最初から話し合いはしていたということであればそのことを答えていただいた方がこれ以上この問題は大きくならずに、このまま会長が専務理事等に初めて正式に伝えたのは十二月八日だと言えば、この後の審議で我々はずっとそのことを追及しなければならなくなりますので、もう一度明確にお答えください。

籾井参考人 私もきちんと説明しているつもりなんですが、正式に申し上げたのは、これはみんなに対して、理事会ですから、これは十二月八日でございます。

 しかし、その前に何も言っていないかというと、非公式にいろいろな形でメッセージは伝えてある。これを誰に言ったんだということについては、この場でさっきから言っておりますように、言及を避けますけれども、全く専務理事が━━━━━に置かれていたということはないと思います。ただ、正式に聞いたのは十二月八日だということは、これは間違いございません。(発言する者あり)

 失礼しました。ちょっと今の━━━━━という言葉は取り消させていただきます。済みません。

 知らないところに、彼を全く知らない立場に置いていたということはございません。

遠山委員長 委員長から一言申し上げます。

 ただいまの、籾井参考人の発言中の不適当な言辞があったかどうかにつきましては、議事録を精査の上、委員長においてしかるべく措置をさせていただきます。

高井委員 繰り返しになるんですけれども、公式、非公式と答弁されていますけれども、NHKの中というのはそういう組織なんですか。会長と専務理事が何かいろいろ相談するのは、公式な相談、非公式な相談ということで区分けをされているんですか。

 もしそうであれば、そのことが極めて問題だというふうに思いますけれども、どうですか。

籾井参考人 理事会というのは正式でございまして、議事録が出る、これが公式な要するにプロセスであり、なおかつ公式な記録でございます。そういう意味におきまして、それ以外のところは非公式になるわけでございます。

 そういう意味において、さっきから申し上げているのは、専務理事並びにみんなが初めて公式に聞いたのは理事会でございます。そういう意味でございます。

 あとは、非公式に、日常の会話の中とかその他非公式の集まりとか、そういう場で私は言及しておりますが、それを専務が聞いたと思うかどうかということはちょっと私にはわかりませんが、私と専務の間が意思の疎通ができていないということはございません。

高井委員 会長は大きな会社の経営者を経験されています、NHKとは違う会社。

 普通の民間企業であれば、社長が専務に事前にいろいろ非公式にも打診をしていた、そのことが、取締役会、NHKでいえば理事会で、いや、正式に聞いたのはきょうが初めてだから、私はそれは承服しかねますなんということは、普通の民間企業では絶対あり得ませんよ。NHKはそういう組織なんですか。

 それとも、そういう組織じゃないというのであれば、会長はその専務理事の発言を聞いたときにどうお感じになったんですか。そのことをお答えください。

籾井参考人 お答えします。

 この件については、監査委員も調査に入っておりまして、いろいろなヒアリングをやり、監査委員の報告も出ております。その中で、我々が手続的にもいろいろ問題があったということはないということでございますので、これをもって私は是といたしております。

高井委員 先ほど監査委員からは、この取締役会の件は調査の対象じゃないというふうに私は聞こえましたけれども、では、十二月八日の会長と専務理事のやりとりについても監査委員会は調査をしたということで、監査委員、よろしいですか。

上田参考人 お答えいたします。

 監査委員会の一連の調査というのは、法律的ないしは種々の規則に抵触していないかどうかということで監査をいたしておりまして、理事会は、委員が御指摘されましたように、私も陪席という形で出ていますので事情は把握いたしておりますが、直接的に監査委員の立場からこれを調査している、いわゆる放送法に反するとか、それに基づいて協会に何か損害を与えていないかというような点からいうと、報告書に記載のとおりの内容になる、こういうことでございます。

高井委員 それでは、経営委員長に伺います。

 これは、私は、非常にガバナンスの問題だと思います。会長と専務理事の間でそういう何か公式なやりとりとか非公式なやりとりとかというのがあるということは極めて不自然だと思いますし、このやりとりは、まさか経営委員長は、これだけ新聞や、報道にもなっているので、全く知らないとは言えないと思いますけれども、知らないなら知らないで大問題ですが。

 その後、経営委員会も開かれていろいろな議論が出たと聞いておりますけれども、経営委員長としてはこの件についてどう判断をされているんですか。

浜田参考人 お答えいたします。

 経営委員会に上がってくる議案につきましては、私は、当然、所定の社内的な手続を踏んで上がってくるというふうに思っております。そういう意味では、そういう前提で判断をさせていただくということでございます。

 先ほど委員から御指摘あった、この事案を知っているのかどうかということにつきましては、報道されていることを承知はしております。

 以上でございます。

高井委員 時間が終わってしまいました。大臣には申しわけありません、放送法のことを議論したかったんですけれども。

 ただ、この問題は、そんなに取り上げるつもりはなかったんですけれども、きょうのやりとりを聞いていると、本当にNHKは大丈夫かとかなり疑問が湧いてまいりましたので、また引き続き、時間をいただいて取り上げたいと思います。

 では、以上で終わります。ありがとうございました。

遠山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

遠山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、参考人日本放送協会会長籾井勝人君の発言を求めます。籾井勝人君。

籾井参考人 午前中の高井委員に対する私の答弁で、不適切な発言がありました。委員長を初め委員の皆様に御迷惑をおかけいたしました。心からおわび申し上げます。

 不適切な部分について発言を撤回させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。

遠山委員長 質疑を続行いたします。田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、総務省が新年度から実施を予定しています被災団体に対するメンタルヘルス対策総合支援について伺います。

 東日本大震災の被災地において、復旧復興に携わる自治体職員が疲れて心の健康を害することが大きな問題となり、その対策の充実強化を昨年本委員会で私は取り上げてまいりました。

 メンタルヘルス対策は、地方公務員災害補償基金を実施主体にして、二〇一一年度、平成二十三年度から取り組まれてまいりましたが、二〇一五年度、平成二十七年度をもって終了しました。二〇一六年度以降の事業の継続と、そして充実を求めてきたところでございますが、新年度からは、メンタルヘルス対策を交付税措置により今後五年間にわたって行うことになりました。

 そこで伺います。新しく始まる制度の概要について、簡単で結構ですので御説明をいただきたいと思います。そしてまた、なぜ交付税措置をしたのか、このことについても説明をしていただきたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度以降につきまして、メンタルヘルス対策事業の実施主体を被災自治体などといたしまして、地域の実情に応じたきめ細やかなメンタルヘルス対策事業に要する経費に対しまして、震災復興特別交付税及び特別交付税による措置を講じることとしたところでございます。

 以上であります。

田村(貴)委員 復旧復興に当たる職員は、膨大な業務量を抱え、そして、やったことのない仕事にいきなりつかざるを得ないときもあります。プロフェッショナルとして成果、結果を出さなくてはいけないときもあり、時としては心ない言葉も浴びせられることもあります。そして、いつ終わるかわからない閉塞感に悩まされ、職員はこうした複合的なストレスを抱えてまいります。

 大震災から五年がたとうとしているけれども、復興事業はまだまだこれからであります。被災地におけるこれまでの取り組みについて、メンタルヘルス対策について、参加団体、延べ参加人員について御報告をお願いします。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 東日本大震災に関連するメンタルヘルス総合対策事業という名前で、被災自治体からの要望や職員からのアンケート結果などを踏まえて、事業内容の充実を図りながら実施してきておるところでありまして、平成二十三年度では、参加団体数二十一団体、延べ参加人数千九十四人。同じく二十四年度では、百二団体、二万九千八百六十二人。二十五年度では、百二十一団体、八万六千五十二人。平成二十六年度では、百三十七団体、九万三千七百七十二人。平成二十七年度は、事業が完了をしておりませんけれども、参加予定団体数は百六十八団体、延べ参加予定人数は十一万九千人程度を予定しております。

 以上であります。

田村(貴)委員 被災直後の一千人から始まって、直近では十一万九千人、年を追うごとにふえているわけであります。メンタルヘルス対策事業の周知が広がり、ストレスチェック、メンタルヘルスセミナー、心の回復事業など、事業も二〇一三年度からは三年間フルサポート、自治体に対する助成もふえてきたことがこの数字にあらわれていると思います。

 また同時に、仕事がふえて、展望の見えない業務などから、心の健康を害する職員もふえてきているのではないかなというふうに私は推察をいたします。

 そこで、自治体のメンタルヘルス対策支援に交付税が措置されます。それは、被災地に職員を送る、いわゆる派遣元の自治体についても同様であるんでしょうか。その交付税の充当割合は幾らになっているか、御説明いただきたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 現に被災地に派遣されております職員、それから被災地におきます団体の職員につきましては、引き続き復興特別交付税において措置をされるものでございます。また、被災自治体に派遣され、派遣元団体の職務に復帰した元応援職員に係りますメンタルヘルス対策に要する経費に対しては、特別交付税による措置を講ずることとしたところでございます。

 特別交付税による措置を講ずるに当たっては、従前から実質的に地方団体の負担なしで実施してきた実績を踏まえ、平成二十八年度の措置率についても、これまでと同様の措置で特別交付税措置を講じる予定としております。

 以上であります。

田村(貴)委員 ということは、交付税の充当割合は十分の十ということでよろしいんでしょうか。確認です。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 さようでございまして、従来より実質的に地方団体の負担なしで実施してきているところでございます。

 以上でございます。

田村(貴)委員 対象者について伺います。

 メンタルヘルス対策事業を受けられる職員は、例えば、正規職員はもとより、非正規職員、臨時職員や、あるいはパートなどの職員も含まれるんでしょうか。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 平成二十八年度からの東日本大震災に関連するメンタルヘルス対策五カ年事業については、常勤職員のみならず、臨時、非常勤職員も対象となります。

 以上であります。

田村(貴)委員 確認させていただきました。

 それでは、今まで五年間、基金を原資にした、そして交付税措置によってなされてきたメンタルヘルス対策事業、そして、これからの総務省が実施を予定しているメンタルヘルス対策総合支援について、この五年間の取り組みの教訓、そして反省点、これを今後五年間に生かすべきところは一体どこにあるのか、こうしたことについてお伺いしたいと思います。

北崎政府参考人 お答えいたします。

 発災から約五年が経過いたしまして、被災自治体の置かれております状況は各地域で異なってきております。現在、地方公務員災害補償基金が実施しております被災自治体等の職員に対するメンタルヘルス対策についても、各被災自治体よりさまざまな意見をいただいているところでございます。

 具体的には、被災自治体からは、例えば、地方公務員災害補償基金が現在実施しております事業は、実施内容によっては被災自治体の実情や要望に柔軟に対応できないものがあったりしますこととか、あるいは、職員の健康状態を継続的に把握する観点から、自治体によってはメンタルヘルス対策は従前より地域の特定の医療機関やあるいは業者の方に継続して依頼をしている、したがって、この基金の実施する事業を現在活用していないとか、いろいろな御意見もいただいているところでございます。

 そこで、今回、被災自治体などが地域の実情に応じてみずからきめ細やかなメンタルヘルス対策を行い、これに要する経費に対して国が震災復興特別交付税及び特別交付税により措置するスキームとすることで、より効率的な支援となるものだと考えているところであります。

 以上であります。

田村(貴)委員 ぜひこの制度が、これまでの教訓と反省の上に立って、十分な成果が得られることを望んでおります。

 それから、今後五年間で、メンタルヘルス対策の何が必要なのかということもぜひしっかりつかんでいただきたいというふうに思います。

 自治体職員にとって、必要なメンタルヘルス対策を進めていくことは非常に大事であります。一方で、職員が心の健康を害することなく働く環境をつくっていくことも非常に重要であると思います。

 資料を二枚お配りしています。これは被災地三県における職員の充足状況を記したもので、1は県別、2は市町村別に記したものであります。ごらんになっていただくとおわかりだと思うんですけれども、三県ともに充足数に足りていないわけであります。

 市町村別で見ますと、2ですけれども、三県の三十九市町村で、充足しているところはわずか十三自治体であります。昨年一月一日と比較すると、岩手県の充足率は九一・七%、それから福島県は九二・九%、これは昨年そういう数字であったので、この二県で下がったということにもなります。一層の支援、充実が求められるところであります。

 高市大臣にお伺いします。

 大臣は所信表明の中で、被災自治体が復旧復興事業に迅速かつ着実に取り組めるよう、職員派遣についてより一層の協力を要請するなど、被災自治体における人材確保を支援してまいりますとお述べになりました。

 送る側の派遣元の自治体も人手不足で今大変なことになっている、送り出せない事情がある。だからこそ、これまでの行政改革、人員削減計画というのが、ある意味復興の妨げになっているという面がこの数字からうかがえます。

 こうした状況をよくわきまえる必要があると思いますけれども、大規模災害、これはいつ起こるかわかりません。毎年のように大きな被災が起こってまいります。不測の事態に備えるためにも、全国の自治体職員、行政マン、マンパワー、これをしっかり確保していく必要があるんじゃないでしょうか。

 このマンパワーの確保のために、大臣、所信にありましたように、国としてどういう支援をされていこうとお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 地方公共団体の職員数につきましては、各団体で総職員数を抑制する中におきましても、例えば土木技師、建築技師の方々につきましては近年増加傾向にあります。行政需要の変化に対応した、めり張りのある人員配置が行われていると存じます。

 また、都道府県や政令市におかれましては、被災市町村への派遣職員を確保するために、条例定数の増加や任期つき職員の採用などもしていただいていて、増員を行っている団体もございます。

 被災自治体への人的支援でございますが、被災自治体の復興事業がこれから本格化することから、一月六日に私から全国の都道府県知事及び市区町村長に対しまして書簡を発出して、より一層の力強い御協力をお願いいたしました。

 総務省としても、一日も早い被災地の復興に向けて、これからも被災自治体の御要望を伺いながら人材確保に努めてまいります。

 また、被災自治体における派遣職員の受け入れ経費につきましては、平成二十八年度以降も震災復興特別交付税による措置を講じてまいります。必要な財政支援についても、引き続き取り組んでまいります。

田村(貴)委員 やはり一番大事なのは、こういう業務とこういう仕事があるからこれだけの職員数が要ると被災自治体がそれぞれ要望数を要求している、それに応えられていないということをやはりシビアに見る必要があると思います。その妨げになっているのが、行政改革であったり、際限なき地方自治体職員の削減にあるんだったら、これはやはり見直していかなければならないというふうに思うわけであります。

 もう一つ、高市大臣にお伺いしたいというふうに思います。

 メンタルヘルス対策事業に、今年度、これは平成二十七年度ですけれども、百六十八団体、延べ十一万九千人の参加があったと先ほど答弁もいただきました。心の病にかかりながら、まだ発症の可能性がありながら、ストレスチェックさえ受けていない自治体の職員はまだおられるんじゃないかなというふうに私は思っております。

 先ほどは、五年間の教訓と反省の中に、自治体の要望、そうしたところにも応えられていないというお話もありましたけれども、被災地の自治体職員それから全国から派遣される職員の全てが、漏れなく制度の適用がしっかりと受けられることがやはり大事だというふうに思います。

 新しい制度のスタートに際して、大臣は制度の周知徹底をどのように図られていかれると考えておられますか。

高市国務大臣 被災地では、今もなお、被災自治体の職員の方々、派遣職員の方々が、復旧復興事業に日々従事され、大変御苦労されておりますので、今田村委員が御指摘くださったとおり、メンタルヘルス対策というのは非常に重要だと認識をしております。

 今回、被災自治体等が実施するメンタルヘルス対策事業に要する経費に、まず、申し上げますけれども、震災復興特別交付税と特別交付税による措置を講じまして、その事業規模は五年間で総額十二・五億円程度、つまり、単年度当たり二・五億円と想定しておりますので、これまでと比較しますと二倍増の事業規模を予定しています。

 さらに、地方公務員災害補償基金等と連携して、新たに相談窓口を設け、メンタルヘルス対策の実施方法に関する相談対応ですとかノウハウの提供を行って、被災自治体の取り組みを総合的に支援することにしています。

 これらの事柄につきましても、被災自治体に対する周知に当たりましては、全国会議において説明しましたほか、これに加えて、被災三県に対しまして個別に説明をさせていただいております。本年一月、二月の合計で七日間にわたりまして説明会を行っております。

田村(貴)委員 しっかり周知徹底を図っていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 放送法と報道の自由について、質問をします。

 放送法と高市大臣のこの間の一つのみの番組と電波停止発言、そして政府統一見解については、憲法の保障する表現の自由、そして放送番組編集の自由に介入するものだと批判が相次いでいます。与党内からも、慎重対応を求める声も出されています。

 放送法第四条一項第二号の政治的公平性の適合性の判断については、これまで、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断することとされてまいりました。

 しかし、大臣は、昨年五月十二日、参議院総務委員会で、補充的な説明とした上で、一つの番組のみでも、第四条の政治的公平性を確保されているとは認められない場合があるとしたのであります。さらに、類似の質問に答える中で、電波法に基づく電波停止も行い得ると答弁してきているのであります。

 一つの番組ではなく放送事業者の番組全体と、一つの番組のみでもとでは、これは全く違うんですよね。大臣が幾ら抗弁されても、解釈の補充的説明などというものではなくて、これは一つの番組に対して政府が判断しようとするものであって、この解釈はやはり認められるものではありません。その撤回を私からも求めたいと思います。

 そこで、まず総務省に確認したいと思うんですけれども、補充的な説明にしても、一つの番組のみでも判断し得る旨の大臣答弁が今まで国会であったことがあるんでしょうか。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の補充的な説明がなされたのは、委員がお話しになった参議院の総務委員会、平成二十七年の五月十二日でございますが、そのときが初めてでございます。

 ただ、その御説明は、総務委員会においてそのような質問がなされたことから、総務大臣の方から御答弁を申し上げたものでございます。

田村(貴)委員 これまでにないということであります。それから、政府の統一見解というのも明らかにされたこともありませんでした。

 二月八日の予算委員会で、高市大臣は、奥野総一郎議員の質問に対して、事情の変更はないとされたのであります。だったらなぜ、あえて一つの番組のみを持ち出されたのか。これは本当に私、疑問なんですよ。

 大臣が一つの番組のみと最初に言及されたのが、今申しましたように、昨年五月の参議院総務委員会での答弁でありました。質問者は、自民党の藤川政人議員であります。こう問うておられます。「最近の放送番組を見ておりますと、一番組だけであってもやはり極端に政治的公平性が遵守されていないものがあると考えますが、いかがでしょうか。」これに答えて、高市大臣が、一つの番組のみで判断し得るとしたわけなんですよね。

 では、高市大臣も、この質問者のように、極端に政治的公平性が遵守されていない番組があるという認識なんでしょうか。そういう認識があったから、一つの番組でもという判断に至ったんでしょうか。お答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 平成二十七年五月十二日、参議院総務委員会において私に対して質問がされたことから、放送法を所管する総務大臣として、一般論として回答をいたしました。そのとき、特に具体的に政治的に公平であることを遵守していない番組があるという認識があったから答弁をしたものではございません。

田村(貴)委員 そういう認識はないとのことであります。

 しかし、大臣、政権与党の自民党はそういうふうに見ていないのであります。

 例えば、一昨年の衆議院選挙の直前、十一月二十日付で、自民党の筆頭副幹事長と報道局長名で在京テレビ局、キー局各社に対して、選挙期間中における報道の公平中立並びに公正の確保についてのお願いと題する要請文が渡されました。その中で、街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたいというふうにあります。

 これが何を指しているのかというのは、もう皆さん御存じのように、安倍首相が生出演をされて街角インタビューの厳しい声が向けられた同年十一月十八日のTBSの報道番組、NEWS23であります。

 また、一昨年十一月二十四日放送のテレビ朝日、報道ステーションがアベノミクスの効果を批判したことに対して、放送法四条四号の規定に照らし、特殊な事情をいたずらに強調した編集及び解説は十分な意を尽くしているとは言えないとして、十一月二十六日に自民党の方から公平中立を求める文書が送られたわけであります。党として、個別の番組を放送法に照らして、事業者に要請をされています。

 では、高市大臣は、安倍首相が出演をされたTBSのNEWS23や、アベノミクスを扱った報道ステーションのあの番組のあり方自体に何か問題意識をお感じになったんですか。

高市国務大臣 両方とも私は見ていないので、何の問題意識も持っておりませんでした。

田村(貴)委員 問題意識はないとおっしゃるんです。だったらなぜ、これは重要なんですよ、あえて、一つの番組のみであってもと持ち出されてこられたのか。個別の番組に問題意識がないというのならば、従来の、一つの番組ではなく放送事業者の番組全体を見て判断すること、その解釈をそのままとり続けるのが私は自然ではないかなと思うわけなんです。問題があるという認識があるからこそ、一つの番組であっても電波停止と踏み込んだりすることになったんじゃないかなと思うわけです。これだけ私が尋ねても大臣がないと言われることが、本当に私はわからないわけなんです。

 大臣は、一つの番組でも電波停止の事例として、選挙の公平性に明らかに支障を及ぼす場合の例に加えて、国論を二分する政治課題で、一方の見解だけを支持する内容を相当の時間繰り返し放送する、こうした例も挙げておられます。

 もう一つ、例えを出します。

 昨年九月十六日のTBS番組NEWS23のキャスターの安保法制に対する発言を捉えて意見広告を出した団体からの質問状に、高市大臣は大臣名で回答を寄せています。その回答文書の中でも、一つの番組のみでもという考え方が記されているわけであります。一つの番組に回答を求めた質問状に対して、政権与党の大臣が、一般論とはしながらも、一つの番組のみでもと呼応しているのは事実なんですよ。

 これはやはり重大なことだと私は思います。放送事業者への規制権限を持っている政権党がさきに述べたような注文をずっと放送事業者に続けていくとするならば、大臣がこうして呼応すれば、政権党の番組チェックが常態化されるのではないか、そういう危惧感を私は持ちます。それが、今、放送業界に対する事実上の圧力になっている、そういう御認識はありますか。

高市国務大臣 まず、一つの番組でも電波停止を行うと私が言った、そういう御趣旨の発言がありましたが、そうではございません。

 私は、予算委員会におきまして、放送法百七十四条及び電波法第七十六条という実際にある法律の規定について、これを今後絶対適用しないかという問いを受けて、現実に法治国家で法律にある条文ですから、それを全く否定する、適用は未来永劫あり得ないというような答弁を反対に私がしましたら、法律を所管する大臣として、全くおかしなことになってしまいます。その適用の可能性がないように期待をしていますし、放送法は、放送事業者の自主的また自律的な御努力によって放送番組の編集をしておられる、それを尊重している法律でございますので、一つの番組のみで電波をとめる、つまり無線局の運用停止を行うということを私は申し上げておりません。

 また、自民党のさまざまな動きということでございますけれども、一昨年の十一月に、これは自民党だけではなくて、御党も含めまして、報道によるところでは、二つの野党からも公正な報道を求める要望書が出されたと承知をしております。ただ、これは党の行動でございますので、総務省として、これについてコメントをすることはございません。

 放送法の第百七十四条、電波法七十六条の運用というものについては、法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであることに加え、その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり、かつ、同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ、事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは法律を遵守した放送が確保されないと認められるといった極めて限定的な状況のみに行うとすることなど、極めて慎重な配慮のもと運用すべきであると取り扱ってきていて、これも予算委員会で答弁をさせていただいたとおりでございます。

田村(貴)委員 大臣、一つ確認したいのは、やはり、放送事業者への規制権限を持っている政権党における言動というのは、大きな影響を及ぼしかねません。それは野党とは全然違うと思います。

 時間がなくなってきたんですけれども。

 政府は、放送法四条を法規範性があるというふうにおっしゃっています。しかし、報道を保障する観点から、四条の四項目、政治的公平、事実を曲げない、意見の対立する問題はできるだけ多くの角度から論点を明らかにする等々、これはやはり放送局自身がみずから守るべき倫理的規定とするのが、これは憲法やメディア法の専門の方々の通説となっています。行き過ぎているかどうかは、視聴者やリスナーが、放送事業者みずからの努力の中で判断していくことだと思います。現職の総務大臣が、一つの番組のみでも電波停止はあり得る、そういうふうにとられてしまう、そういう発言がどれだけ大きな問題となっているか、そして、それが制作者に対してどれだけの萎縮作用を今及ぼしているか、このことに思いをはせていただきたいと思います。

 大臣の放送法解釈の変更、それに基づく政府統一見解の撤回を強く求めて、きょうの質問を終わります。

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。よろしくお願いします。

 きょうは、地方税と地方交付税に関連して質問いたしたいと思います。

 政府は、骨太方針二〇一五に基づき経済・財政再生計画を定めて、来年度からの三年間を集中改革期間にするとしていますが、中でも重大なのは、トップランナー方式の導入だと思います。地方交付税の配分を、歳出を最も低く抑えた団体に合わせて、これを全国の基準にしていこうというのは、地方交付税の根幹を壊すやり方で、住民にしわ寄せが来る問題であり、真剣な議論が必要だと考えます。

 そこで、まず伺いたいと思いますけれども、このトップランナー方式は、歳入にも取り入れて、地方交付税の基準財政収入額の算定の徴収率を見直し、今度は上位三分の一の地方自治体が達成している徴収率を標準的な徴収率として用いるとされています。

 なぜ上位三分の一の自治体が達成している徴収率を算定基準に入れるのか。また、これが地域の現在の実情や住民の暮らしに無理を強いる危険性はないのか。その点をお答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 地方交付税の基準財政収入額の算定に用いる標準的な徴収率につきましては、全国平均的な水準の徴収率を用いてきたところなのですが、今般、近年における上位三分の一の団体が達成している徴収率の水準に見直すこととしました。

 その目的でございますが、これによって、地方税の実効的な徴収対策の一層の取り組みが促進されることを期待するものであります。

 また、この見直しは、地方団体に与える影響を考慮しまして、五年間で段階的に算定に反映するということにしております。

梅村委員 今でも地方税の徴収をめぐっては大変深刻な問題がありますので、ぜひ、トップランナー方式の際にもこうした事態をよく踏まえて議論しなければいけないかというふうに思います。

 本日、資料1で、東京新聞一月五日付、「滞納者追い込む自治体 地方税徴収 生活苦でも」という記事を御用意しました。

 この記事にもありましたけれども、地方税の自治体による厳しい徴収を受けて、住民自身が生活が困窮したり、精神的に追い詰められているケースが相次いでいると報道しております。

 これは、この報道だけではなくて、今大きな社会問題になりつつあると思うんですけれども、まず、総務大臣、この点の御感想や総務省としての御対策があれば、お願いします。

高市国務大臣 これは大変大きな社会問題だと思います。

 地方税の滞納処分につきましては、平成二十六年五月の参議院決算委員会におきまして、当時の新藤総務大臣からもお答えしましたとおり、滞納者の個別具体的な実情を十分に把握した上で、地方税法の規定を踏まえて、適切な執行に努めるべきだと考えております。

梅村委員 そうしたお考えから、毎年一月に行われる担当者会議の事務連絡ですか、その中でも一文明記してあると聞いておりますけれども、その内容を簡単に御説明いただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 主に滞納処分についてでございますけれども、滞納処分をする場合においては、滞納者の個別具体的な実情を十分把握した上で、適切に執行に努めていただきたい、こうした点について一月の会議においても周知を図ったところでございます。

 背景としましては、委員御案内のとおり、もともと差し押さえ禁止債権である年金等につきましても、最高裁の判決文にもありますが、差し押さえ禁止債権とした属性は、金融機関に預金されてしまうとそれは承継しないために差し押さえは禁止されないというふうに解されておるんですが、平成二十五年広島高裁において、差し押さえ禁止債権である児童手当について、口座に振り込まれることを認識した上で、入金直後に預金債権を差し押さえた、その場合には、児童手当の受給権自体を差し押さえたものと変わりがなく、違法と判断されたということがございました。

 したがって、そういうことも踏まえて通知を出し、毎年毎年の一月の会議において周知徹底を図っているところでございます。

梅村委員 そういう繰り返しのいろいろな施策がされているにもかかわらず、こういう新聞や、これから御紹介したいと思いますけれども、いろいろな事例が今噴出してきております。

 その前に、この間、全国的には地方税の滞納、あと国保、これがどんなふうになっているのか、数字だけ御紹介いただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 地方税の滞納残高、この十年間で見ますと、平成十八年度末が底でございまして、十八年度末で一兆九千二百四十五億円でございますが、その後増加し、平成二十一年度には二兆八百十六億円までになりました。以降、減少に転じ、平成二十六年度末は一兆四千五十五億円となっているところでございます。

谷内政府参考人 お答えいたします。

 国民健康保険におきます滞納金額でございますけれども、平成十八年度末で約三千八百七億円でございまして、それ以降しばらくは微増傾向にございましたけれども、平成二十二年度以降は減少傾向になりまして、平成二十六年度末には約二千八百五十八億円となっております。

梅村委員 済みません、件数を聞きたかったので。申しわけございません。

谷内政府参考人 失礼いたしました。

 国民健康保険におきます差し押さえ件数でございますけれども、平成十八年度で九万五千二百二十八件でございまして、それ以降増加傾向が続いておりまして、平成二十六年度では二十七万七千三百三件となっております。

梅村委員 大変な額でもあると思うんですけれども、件数も、特に国保なんかでいえば、急増しているという実態があると思います。

 それだけこの間暮らしが大変になってきているもとで、悪質な払わない人ももしかしたらいるかもしれないけれども、私が聞いているところでいうと、少なくない方々が、払いたくても払えない、そういう方も随分ふえてきているのではないかなと思います。

 きょうの資料の3ですけれども、これは私が選出させていただいている北関東ブロックの群馬の前橋の状況です。これを見ていただくと、二〇一四年に差し押さえが一万件を超えているんです。十一年前の二〇〇三年のときには八百五十二件だったわけですけれども、この差し押さえの急増というのは、物すごい数だというふうに思っております。

 地元のうちの議員のところにもひっきりなしにそういう納税の相談が来るということで、幾つか御紹介したいと思います。

 例えば、五十二歳の労働者の方。この方は、零細企業に働いていて、ボーナスがなかった。手取りが二十二万円で年間所得が三百万円だったんですけれども、妻は内職で月二、三万。当時は高校三年生と中学三年生の子供の四人暮らしで、住宅ローンがあったんですけれども、生活が大変で、固定資産税と軽自動車税を合計三万三千四百円滞納していたんですね。

 御家族は、十二月までに必ず入れるので待ってほしいというふうにお願いしていたのに、市の方は十一月二日の日に全額を、わずかに残っていた郵便貯金を差し押さえてしまったということで、これはもう事前に相談しているわけですから、しかも、中学生と高校生のお子さんが二人いるということで、大変深刻な事態だったというふうに思います。

 四十八歳の男性。この方も、病気になって働けずに、貯金も底をついて、社会福祉協議会から生活福祉金十万円を昨年五月に借りて暮らして、やっと職について五月二十一日からパートで働き始めて、初のアルバイト代が振り込まれたのが六月二十五日だったそうです。

 やっと社協からそうやって借りて、働き始めて、初のお給料が銀行口座に振り込まれたら、その十一万が振り込まれた当日に全部差し押さえられてしまったということで、この方は、もうこれでは生活ができないということで異議申し立てをしたら、昨年の所得申告をゼロとすれば国保税の減免ができてその分は解除できるので、異議申し立てを解除してほしいということになったそうです。

 あと、六十一歳のある方も、十年前にうつ病を発症し、病院にかかってもなかなか行けなかったんですけれども、延滞金並びに督促を受けて、年金支給日にもう通帳から差し押さえられて残高がゼロになってしまうということで、この方が差し押さえられたのが十二月十五日の年金支給日だったんですね。十二月十五日というのは、年末年始、みんなどうやって師走を、新しい年を迎えるか、そういう年金が全てなくなって通帳がゼロになってしまって、この方も結局生活保護を申請されたそうです。

 ちなみに、前橋では、生活保護の受給者が逆にぐんとふえてきているわけです。

 あともう一例だけ御紹介したいのは、これも、子供の給食費などの引き落としのために開いた預金口座で、入金は四カ月に一回児童手当のみが入るんですけれども、六月に十四万円の児童手当が振り込まれて、二人の子供の学校給食と学費が口座から引き落とされていたんですけれども、この口座にあった七万八千九百七十一円を市は全額差し押さえてしまったという例が今でも起こっているんですね。

 この方は、実は先ほど御紹介していただいた鳥取の裁判の判例があるということを御存じで、市に異議申し立てを行ったら、そのときは、あくまでもこれは預金だから押さえたというふうに言われたそうですけれども、後日、市役所から電話がかかってきて、児童手当と判断できたからということの撤回があったそうです。

 ですので、この事例一つとっても、もしこの判例を知らなかったら泣き寝入りするしかなかったわけで、こういう事例がまだあるということを、総務省は実態をつかんでいらっしゃるかどうか、お答えいただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 各地方団体が地方税の課税庁になっているわけでございますけれども、個々個別の実態を我々は細かく把握しているわけではございません。

 したがいまして、先ほど答弁申し上げましたように、滞納者の個別具体の実情を十分に把握して適正な執行に努めていただきたいということを、重ねて、会議があるたびごとに周知を申し上げているということでございます。

梅村委員 ただ、この児童手当の問題は大きく社会問題になった問題で、子供たちが暮らしていけない、学校に行けない、だから差し押さえちゃいけないんだ、一般の預金とは違って、原資が児童手当であればそれはしちゃいけないんだということで、後から質問しようと思っていましたけれども、それはわざわざその裁判の判決が出た後に総務省として各県に、連絡文書、しかも、私たち共産党の佐々木憲昭議員がこの問題をやりとりしておりまして、その議事録もつけて、周知徹底されたいということでやったはずじゃないでしょうか。

 だから、あれこれの一つまでつかめていない、事例は個別だと一般的にはおっしゃるかもしれませんけれども、こんな重大な事態が起こっているわけですから、今のような答弁はやはりないんじゃないかなと思いますけれども、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 課税庁でございます地方公共団体が、それぞれの責任に基づいて、私どもから通知申し上げている内容も踏まえて、対応しているところでございます。

 したがいまして、我々とすると、適切に情報を提供し、しかるべき対応を要請するということでこれまで対応してきておりまして、今後とも、お話しの、特に児童手当等の問題について注意喚起を図ってまいりたいと考えております。

梅村委員 私が聞きたいのは、この間、やらなきゃいけないということでいろいろな事務連絡やそういう文書も出しているのにこういう事態が起こるわけですから、同じことをやっていたら、やはり一番被害を受けるのは住民であり、今、格差と貧困が広がり、六人に一人の子供たちが貧困に陥っていて、親の差し押さえがあればその子たちは途端に学校に行けない、給食費も払えないという状況なわけです。

 こういう事態を受けて、手だてを新たに打っていくだとか、私がきょうお願いしたいのは、改めて、こういう判例をお母さんたちだとか生活に困っていらっしゃる人たちも知らない。先ほどの人はたまたま知っていたから異議申し立てをできたわけですね。ですから、そういうものは差し押さえちゃいけないんだということになっているんだよということを住民の皆さんに周知徹底するだとか、そういうことは最低限やはりやるべきじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 お話しの点が非常に重要であるという認識に立ちまして、広島高裁の判決が出たのが平成二十五年十一月二十七日でございますけれども、その二日後にはその判決の概要等について各地方団体にお知らせをし、注意喚起をしてきたところでございます。

 地方団体は、法のもとに仕事をしていく中で、裁判所がどういうような判断をしたかということも十分念頭に置いて対応するものと考えておりまして、今後とも必要な注意喚起をしてまいりたいと考えております。

梅村委員 繰り返し言っているのは、そういう後でこの前橋の事例は起きているわけですよ。

 だから、こういう注意喚起をしてきたということではなくて、こういう事態が新たに起こっているわけだから、今までの延長線上ではなくて、とりわけ、こういう判例をもっとしっかりと住民の皆さんに知らせるような手だてなどを打つべきではないかという提案をしているわけです。

 その点、高市総務大臣の方から、ちょっと御所見やお考えを聞かせていただきたいと思います。

高市国務大臣 地方自治法の精神に基づいて、本来、地方自治は、地方公共団体の主体的な判断に基づいてなされるものであります。

 しかしながら、先ほども御答弁申し上げましたけれども、さっき委員が挙げてくださったような児童手当の振り込みを待って狙い撃ち的に差し押さえるような方法というのは差し控えるべきだと思います。これは実質的に児童手当を受ける権利自体を差し押さえるに等しいといったことで、裁判の判決もございますので。

 地方団体に対しましては、御指摘もいただきましたので、一昨年も昨年も、そしてことしの一月に入ってからも、地方税務行政の運営に当たっての留意事項ということで、事務連絡の文書を発出いたしました。その中で、滞納処分に関しては、滞納者の個別具体的な実情を十分に把握した上で適正な執行に努めていただきたい旨、地方団体に要請をしております。

 各地方団体におかれましては、やはりこの要請をしっかりと受けとめていただいて、何せこれは法律事項ですので、地方税法で定められた事項につき、地方団体の長が滞納処分の執行を停止することができる、ここをもう一度しっかりと御認識いただくべく、再度の通知を発出したところでございます。

 さまざまな地域で起きているさまざまな問題について、こうして委員会の場で御指摘もいただき、その都度総務省としては対応させていただいております。

梅村委員 きょう御紹介させていただいたので、こういう実態をさらに踏まえていただいて、子供さんや住民の皆さんにそのしわ寄せが行かないようにぜひお願いしたいなというふうに思っているところです。

 それで、差し押さえの件なんですけれども、一昨年の五月十九日に我が党の田村智子参議院議員が参議院の決算委員会で、滞納処分の停止、生活保護世帯への滞納分の請求について取り上げています。

 生活保護を受給した際には、地方税法十五条の七を適用し、速やかに滞納処分の執行停止を行うよう求めるべきだというふうに思います。このことが非常に皆さんを追い詰めているという声も上がっているんですけれども、この点はいかがでしょうか。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 地方税法におきましては、天災その他特別の事情があって減免を必要とする者、あるいは貧困により生活のため公私の扶助を受けている者その他特別の事情がある者に限り、地方団体の条例で定めるところにより地方税を減免することができることとしております。その上で、滞納処分につきましては、滞納処分をすることによって滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは滞納処分の執行を停止することができるとされているところであります。

 この地方税法の規定を踏まえ、各地方団体の税務当局において、個々の滞納者の具体的な実情を十分に把握した上で適切に対応されるべきものと考えております。

梅村委員 適切にされるように求めていきたいというふうに思います。

 それで、そういう一時的に納付が困難な場合には、徴収の猶予や換価の猶予など納税緩和措置があります。

 国税に続き地方税においてもその納税緩和措置の見直しが行われていますけれども、その目的と見直しについて御紹介いただきたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 地方税の猶予制度につきましては、納税者の負担の軽減を図るとともに、早期かつ的確な納税の履行を確保する観点から、昨年、地方税法の一部を改正する法律におきまして規定を整備いたしたところでございます。

 地方税の徴収に当たって、一定の事由に該当する場合には、滞納処分等による徴収を猶予し、または滞納処分による財産の公売等による換価を猶予することができるものとされています。

 昨年の改正におきましては、納税者の申請に基づく換価の猶予制度の創設、あるいは、納税者が分割して納付する場合の規定や、徴収猶予や換価の猶予に係る不許可事由、取り消し事由に係る規定の整備等を行ったところでございます。

梅村委員 この取り組みも、今の実態もありますので、ぜひ生かしていただけたらというふうに思います。

 さて、最後になりますけれども、全国には、こういう住民の暮らしの中で、非常に先進的な取り組みも国のモデルケースとして行われているところがあると聞いております。

 例えば、滋賀県の野洲市では、市長さんが、取れるところから取るという発想では根本的な解決にならない、過酷な取り立てで生活そのものを壊していては本末転倒だということで、生活困窮者を支援するという立場で臨んできているというふうに聞いております。

 この事例と、あと、生活困窮者支援事業について御紹介いただきたいと思います。

堀江政府参考人 お答え申し上げます。

 滋賀県野洲市の取り組みでございますけれども、平成二十一年度より野洲市が独自に庁内外の連携体制を構築したもので、その後、内閣府、厚生労働省のモデル事業に取り上げられているということでございます。

 内容といたしましては、税金の滞納等の課題を抱えました生活困窮者に対しまして、生活困窮者の支援担当部署、税務相談、法律相談、消費者生活相談、雇用に関する相談、福祉に係る相談等の担当部署が連携いたしまして効果的な支援を実施する先進的な取り組みというふうに承知してございます。

 一方、平成二十七年四月に施行されました生活困窮者自立支援制度でございますが、生活困窮者の自立に向けた包括的かつ継続的な相談支援を中心として、家計相談支援事業等の任意事業の実施や関係機関との連携によりまして、生活困窮者に対してきめ細かな支援を実施するものです。お尋ねの野洲市を含め九百一の福祉事務所設置自治体が実施主体となりまして、平成二十七年度より全国で取り組みが開始されているものでございます。

 厚生労働省といたしましては、これまでも、自治体の庁内体制の構築を図ることが重要との考え方を全国にお示ししてきているところでございますけれども、引き続き、自治体の先進的な取り組みの周知を行い、また自治体との御相談を行うなどいたしまして、生活困窮者の支援機関と他の関係機関との連携によります包括的、総合的な生活困窮者支援を推進してまいりたいというふうに考えてございます。

梅村委員 先ほど前橋の例で、直ちに差し押さえというような事例も御紹介し、異議申し立てや、いろいろな悲鳴が起こっているということを紹介する一方で、やはり、やる気になればというか、しかも、国として、新しく生活困窮者支援事業は国の制度としても始まったわけですから、こういうあり方をぜひ活用して全国に広げていくということも今の実態からして大事じゃないかなというふうに思います。

 厚生労働省の管轄で広げていくと同時に、今の地方税の実態もありますので、総務省としてもこういう事業を重視して広げていくことも大事じゃないかなと思いますけれども、最後にお考えをお聞かせいただきたいと思います。

高市国務大臣 今回、地方団体の歳入をまず確保させていただくとともに、地方税に対する納税者の皆様の信頼を確保するためということで、徴収対策の一層の取り組みが重要だと判断しております。

 ただ、地方団体におきましては、地域の実情に応じて徴収対策に取り組んでいただくということになります。

 地方税の滞納処分につきましては、先ほども答弁させていただきましたとおり、滞納者の個別具体的な実情を十分に把握した上で、地方税法の規定を踏まえて適切に行われるべきだと考えております。

梅村委員 住民の福祉の増進こそ自治体の役割だと思います。先ほど大臣からも、徴税は法令などを遵守して適切に行うべきだというお答えもありました。

 その点で、トップランナー方式、本当に今の現状でなじむのかということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 総務委員会は初めてでございまして、なかなか空気が読めないことがあるかもしれませんが、御容赦をいただきたいと思います。

 私からは、きょうは、放送関係のこととそれから統治機構回りのことを、所信質疑でございますので幅広く御質問いたしたいと思いますが、まず冒頭、放送に関する議論が特に野党から続いておりますので、若干、放送法関係の話も大臣にお伺いしておきたいと思うんです。

 予算委員会でもずっと議論があって、きょう、この総務委員会でも放送法に関する議論がありますが、基本的に私、おおさか維新の会以外の野党の主張には違和感があります。むしろ高市大臣がおっしゃっていることの方が筋が通っているかなというふうにふだん感じております。

 私はもともと役人をやっていましたので大体わかるんですが、今回の野党の一連の予算委員会での質問を聞いていると、野党というのは我々以外の野党ですね、話を聞いていると、何か、こう聞くときっと高市大臣はこういうふうにおっしゃるだろうなということを最初からわかっていて、それを質問すると、当然そうおっしゃる。じゃ、そう言ったじゃないかということで、まさにレッテル張りとか揚げ足取りをして、それを一部のメディアが拡大してやっていくということが今起こっていると思います。

 まさにこういうことをやっている野党に対して、我々は、そういう野党ではない、そういうレッテル張りとか揚げ足取りばかりやっている野党とは一線を画したいということで、今国会の冒頭の代表質問で馬場幹事長の方から、与党でもない、与党でもないのは当たり前ですね、与党でもない、そういう野党でもないということを申し上げたら、遠藤国対委員長の方からは、足立さん、もういいかげんこの話はやめてくれ、民主党の皆様とも協力をしていかなあかんのでやめてくれと言われていますが、僕は国対ではありませんので、さらにこれは続けて申し上げたいと思うんです。

 それで、与党でもない、野党でもないということを取っかかりに、民主党さんは、冒頭、補正予算の審議において、我々おおさか維新の会の質問時間を奪っちゃったわけですね。まだ返ってきていません。もう取り戻しようがありません。なぜなら、補正予算はもう成立しているからです。補正予算の審議において、民主党、野党第一党の民主党は、我々おおさか維新の会の発言の時間をとりました。それを自分たちで使っちゃいました。これは言論弾圧じゃないんですか。

 こういう言論弾圧をするような政党が、大臣の発言の揚げ足取りをして、言論弾圧だと言う。私は、ちゃんちゃらおかしい、こう思う。大臣、どうですか。

高市国務大臣 足立議員からは、今国会で初めてかばっていただく答弁をいただき、大変複雑な思いを抱きつつ、感謝を申し上げております。

 とにかく、法治国家の所管大臣として、既に法律に規定されている条文について、これを無効なものであるということはやはり申し上げられませんので、真摯に、これからも、聞かれたらその旨はお答えをしてまいります。

 先ほどの質問時間の話も含めまして、これは国会でお決めになることでございますので、なかなか政府としては答弁しにくうございます。

足立委員 ありがとうございます。

 民主党に対して私がいろいろ申し上げているのは、まさにこの放送法にもかかわることなんです。

 放送法というのはそもそも何のためにあるかということですけれども、野党の皆さん、我々以外の野党の皆さんは、もしかしたらこの放送法というのは表現の自由を守るためにあるんだ、こうおっしゃるかもしれませんが、世の中万般にわたって、基本的に、自由というのはほったらかしであるものじゃありません。自由だけがあるものじゃありませんね。自由があれば義務もあるわけです。権限があれば、権利があれば義務もあるわけです。

 特に、この放送法については、地上波を中心に、今、放送と通信の融合ということで、いろいろ環境も変わってきているかもしれませんが、放送の成り立ちからして、やはり公共的というか公益的な観点が非常に強いので、政治的公平性を担保してねということは、アメリカでも、昔、三大ネットワークの時代はあったわけでありまして、これは、一つの権利と義務、権限と義務、自由とそういう自由をめぐる政策思想からしても、私は当然のことかな、こう思います。

 ただ、今申し上げたように、私は放送のあり方が変わってきていると思います。

 ちょっと一番最後の通告に入りますが、いわゆる放送と通信の融合とかいうことになってきています。こういう環境の変化の中で、これからの放送法のたてつけというのは、このままいくのか。

 私は、実は一番違和感を持ったのが、地上波にコピー制御が入ったときです。

 皆さん、テレビを見られると、B―CASカードというのが入っていますね。今、地上波のデジタル放送は十回コピーに制限されています。私は、こういう公共性の高い、特に地上波については何でコピー制御を入れるのかな、こう思っています。

 さらに言うと、どうも、総務省でのいろいろな議論を仄聞するところによると、これから4K、8Kというふうにテレビ、地上波のあり方が変わっていくときに、もっとコピー制御を強めようという議論さえ出ているやに聞きます。

 これから一体地上波はどういう方向に向いていくのか、ぜひ、大臣、御紹介をいただきたいと思います。

高市国務大臣 放送というのは、防災、減災に資する放送が義務づけられるなど、国民生活を支える高い公共性を有しておりますので、視聴者の利便性の低下を招かないようにすることが重要であるという点では、恐らく足立委員の認識と同じだと思います。

 他方で、我が国の放送というのは、受信料を主たる財源とするNHKと、広告収入や有料放送の料金収入を主たる財源とする民間放送がございますが、いずれも優良なコンテンツを視聴者に提供できるように、コンテンツの調達が円滑に進む環境を確保することも重要です。

 放送番組に係る録画方式ですけれども、民間の技術規格として定められていまして、例えば現在の地上波テレビジョン放送ではダビング10が導入されています。これも先ほど委員がおっしゃったとおりでございます。

 それから、4K、8K放送の録画方式については、録画を可能とする規格の導入というのは既に決まっているんですが、その他一部の放送番組において録画禁止を可能とする規格の導入についてもまた議論されていると承知しています。

 この録画禁止の導入については、優良コンテンツを調達しやすくする観点から導入すべきだという御意見、また、録画視聴というのはもう既に我が国の国民生活に深く根づいておりますから、視聴者の利便性低下や混乱を招かないよう慎重に検討すべきといった御意見があって、いまだに調整は完了していないと承知をしています。

 ですから、総務省としましては、4K、8Kに係る実用放送が円滑に開始されて、豊かなコンテンツによる質の高い放送サービスが実現されますように、視聴者、放送事業者、権利者、メーカーといった関係者間で十分な調整が図られることを期待しています。その状況を今注視している状況でございます。

足立委員 ありがとうございます。

 非常に難しいテーマで、ぜひしっかり、総務省が中心になって議論されると思いますので、メーカーは経産省とか、あるいは著作権に関することで文化庁とか、いろいろ関係者も多いとは存じますが、総務省が中心になって、本当に将来の放送のあり方を議論していただきたいと思います。

 ただ、私がここで委員の皆様の御関心もぜひいただきたいと思っているのは、まさに今申し上げたように、技術的に放送のあり方が変わっていきます。変わっていくときに、一定の帯域をまさに占有しているから公共性がある、ついては放送法に基づいて一定の政治的公平性等を守るということがあるわけですが、例えばアメリカ、これも釈迦に説法でありますが、地上波の扱われ方ももちろん違うのは承知をしていますが、さまざまな放送あるいは通信が多様化をしていく中で、FCCがいわゆる公平原則を撤廃して、そういう意味では政治的にも自由な言論空間が発生をしているわけであります。

 日本でも新聞は自由に言論されているわけでありまして、いずれ放送と通信の融合みたいなものが本当に進んでいって、さまざまなメディアに我々がアクセスできるようになったときに、今でもある程度なっていると私は思いますが、放送法というのは、レーゾンデートル、放送法がどうしても必要だ、日本における言論空間、メディア空間において放送法というものがずっと必要なんだというのは、必ずしも、技術的なことも含めた環境変化の中で変わっていくんじゃないか。そのときに、例えば地上波はどうなっていくんだということをしっかりと議論していくべきだと思うんです。

 やはりこういう放送法のあり方、放送法というのは今申し上げたように一連の経緯の中でできています。技術的なことを含む環境が変わっていけば、放送法の要否、これも議論が出てくる、私はこう思いますが、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 放送法は平成十九年にも改正され、平成二十二年にも改正されということですから、時代の流れの中で、また新たな課題が出てきたりしたら、変化をしていくものだと思います。

 現段階におきましては、約五千万世帯が毎日三時間二十三分視聴をするということで、地上波のテレビジョン放送は国民の皆様、視聴者への影響が非常に大きい存在でございます。

 でも、やはりブロードバンドですとかスマートデバイスの普及で放送の視聴環境も相当変わってきていますし、世界的にもインターネットによる動画配信サービスが次々と登場してきております。民放でも、TVerによる広告つきの動画配信サービスも提供されましたので、今後、やはり放送法の中で、新たな課題であったり時代の環境の変化によって見直される部分というのは出てくる可能性というのはあると思いますね。

足立委員 ありがとうございます。

 この話、私は非常に関心があるんですが、非常に込み入った話になりますので、また場を改めてやっていきたいと思います。

 一つ申し上げたいのは、今、放送法ということで焦点が当たっていますが、新聞法というのはないわけでありまして、新聞というメディアと放送というメディアが、それぞれがどういう役割を果たしていて、あるいは経営形態として、新聞を担っている会社と放送を担っている会社が経営で若干、若干というか、関係があるわけでありますから、そういう中で、両方のメディアが環境変化の中でどういうふうにおさめられていく、ガバナンスされていくべきか、ガバナンスがどうあるべきかということについて、ぜひまた場を改めて、議論を深めさせていただきたいと思います。

 それから、がらっと話が変わりますが、地方創生ということで、中央省庁の地方移転ということが予算委員会でも議論されております。

 これは事務方でも結構ですが、中央省庁、中央府省の所在地を変える、いわば地方に移転する、これはどういう手続を経て行うことになりますか。

佐伯政府参考人 お答えいたします。

 法令上は位置というのは定められておりませんので、これは、予算措置等をして、それで庁舎もつくりまして、それから時期を決めて、そこに人が移っていく、そういう形になると思います。

足立委員 これは予算委員会でも若干触れましたので、御承知いただいているかもしれませんが、地方自治法に基づいて、いわゆる県庁所在地、県庁の場所を変えるとか、あるいは、私の地元でも、三市二町あるんですが、そういう意味では私の選挙区に五つの役場、市役所があります、その五つのいわゆる町役場とか市役所、隣の敷地にブロックを一つ動かすのも、議会の三分の二の同意が要るんですね。これが現状です。

 ところが、霞が関をどこか、大阪でもどこでもいいんですが、動かすのは、議決が要らないんですね。

 だから、私が不思議なのは、今御紹介がありました、なぜ中央の役所の場所はどこにも規定がなくていいのか。なぜ規定がないのか、なぜ規定がなくてもうまく回っているのか。大臣、何か御見識はおありですか。

高市国務大臣 大変難しい問いですが、国の中央省庁については、その所在地について明確な法律の定めはございません。

 これは、何か、明治以来一貫して、立法府や司法それから行政府、他の中枢機関とあわせて東京に集中的に配置されていて、それはもう国民の皆様の間でも広く知られていて、改めて法律で特段の定めを置く必要はなかったということによるものだと思います。

 そしてまた、今、中央省庁の地方移転の話も盛り上がってきておりますけれども、これも予算措置等で対応するものだと承知しています。

 地方自治法の方は、これは第四条の規定で、地方自治体の主たる事務所の位置を定め、またこれを変更しようとするときは条例でこれを定め、議会において出席議員の三分の二以上の同意が必要とされているということになっています。

 中央省庁には法の定めがないのに地方自治体の主たる事務所だったらこういう厳しい定めがあるじゃないかというのが議員の御認識だと思いますが、中央省庁に比べますと、地方自治体の事務所というのはやはり住民の利用度が圧倒的に高いと存じます。

 ですから、住民の利用に最も便利であるように、交通の事情、他の役所との関係などについて適当なものとなる考慮が必要であり、住民の利便性の観点から条例でこれを定めて、特別多数議決を必要としている、こういうことで決まっているんだと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 これは本当に重要な論点だと私は思っていて、市役所を隣に動かすのは特別多数なんです。要は、地方議会で三分の一の少数派が反対すれば動かないんですね。それぐらい市役所の場所というのは重要だ、こう言っているわけです。

 では、今、文化庁を京都に動かすとかいう議論がありますけれども、これはどうでもいいですか。重要ですよね。どうでもいいから議論しているんじゃないんですよね。大事だから議論しているんですよね。文化庁がどこにあるか、消費者庁がどこにあるか、中小企業庁がどこにあるか、特許庁がどこにあるかというのは日本のあり方にとって重要だと思うから、みんな予算委員会でも議論するんですね。

 これは法律でちゃんと規定すべきじゃないですか、大臣。

高市国務大臣 これまた大変難しい御質問でございます。

 恐らく、今、中央省庁を動かすのに相当激しい議論、賛否両論があるというのは、一つは、国会対応も含めて、国民の皆様に対して行政が誠実に御説明をする、対応をする、その必要があるといったことだと思います。それからまた、国民全体にとって今の場所にあるよりも動かした方がメリットがあるのかどうか、こういった基準でも議論が進んでいると承知をしています。

 中央省庁の所在地について何か新たな法令を設けるというのが総務大臣の権限であるかどうか、済みません、定かではないのですが、ただ……(足立委員「総務大臣としての御見識で結構です」と呼ぶ)立法府や司法も含めて、やはり幅広い見地から総合的に議論するしかないと思うのですが、今、定められていなくても東京にあり、そしてまた、先ほどの地方自治体の主たる事務所と比べますと、一般的に、住民の方々がしょっちゅう来られる、その利便性を確保しなきゃいけないというところではありませんので、また別物であると思います。

足立委員 別物ではあると思いますが、これはバランスですね。市役所の場所はそんなに重要ですかね。まあ、重要だと言う人もいるんでしょう。しかし、国の中央官庁の場所、これも重要ですよね。

 これは私の考え方ですが、では、なぜそれが法律に規定されていないかといえば、今までそれが当たり前だったからです。当たり前なんです。疑問の余地もなかったんです。先ほど大臣がまさにおっしゃったように、明治維新以来、全てのものは東京に集めるというのは当たり前だったんです。でも、今、当たり前ですか。文化庁がどこにあるか議論していますよね。もう当たり前じゃないんですよ。

 かつて当たり前であったことが、今や当たり前ではなくなった。そのことを、国民の意思として、どういうふうに中央省庁を配置すべきかということは、国権の最高機関である国会で決めるべきじゃないですか。

 私は、そういう観点からも、首都に関する法律、我田引水で申しわけありませんが、副首都もあわせて、首都に関する事項と副首都に関する事項、大震災等防災の観点とかも含めて、首都が崩壊するようなことが地震とかであり得るわけですから、そういうものに対するバックアップも含めた首都、副首都法案というのを我々がなぜ提案しているかというと、東京に全てを集中させるということがもう既に今の時代は当たり前ではなくなっているはずだからです。既に議論になっている。

 国会でしっかり法律の議論をすべきだと思いますが、大臣、もう一度お願いします。

高市国務大臣 首都法、副首都法のようなものをつくるお話かと存じますけれども、現在のところ、そういった法律について特に必要性は感じておりません。やはり幅広く国会で議論をされるべきテーマであると思います。

 全ての官庁を東京都何区に置くとか、そういったことを決めてしまってはむしろ柔軟性に欠けることになってしまいますし、また、それぞれの省庁におきましても、バックアップ機能ということについては随分議論もし、考えております。

 必ずしも大阪というわけではございませんけれども、また、NHKなどにおかれましても、東京の放送センターが万が一だめになっちゃった場合に大阪や福岡でバックアップの放送をするように、緊急時に、そういった対応もしていますので、バックアップということに関しましては割と柔軟に、地域も広範に考えていくべきものだと思います。

足立委員 これぐらいにしておきますが、私は、柔軟にということではなくて、それは大事なことなんだから、国権の最高機関たる国会でちゃんと法律として整備をしていくことが今の時代の当然の要請であり、そういうこともなく、文化庁はどこだ、消費者庁はどこだという議論に拘泥をしていても、一過性のものになってしまうような気がしてなりません。

 むしろ、先ほどまさにおっしゃったように、明治以来の、東京にあるのが当たり前という時代ではなくて、これからは国の形をどういうふうにつくるのが一番いいのかということをぜひこの国会で議論していきたい、こう思うわけでありますし、加えて、先ほど申し上げたように、市役所は特別多数で、中央省庁はそもそもの議会を通さない、このアンバランスをやはり私は直していくべきだということを改めてお訴えしておきたいと思います。

 あと五分ですので、幾つか、通告したものを全部扱えませんが、あと、どうしても、きょう太田政務官にもおいでをいただいていますので、平成の大合併の話だけさせていただきたいと思います。

 ちょっと時間がないので私が言いたいことを先に申し上げると、平成の大合併というのは、基礎自治体が弱いところというか小さなところがあって、財政基盤等に課題があるので、合併を推進するために、特例債とかでインセンティブをつけてやったわけです。ところが、小さな町とか村がたくさん残っているんですね。

 その結果、太田政務官にも伺いたいと思いますが、昨年かおととしか忘れましたが、厚生労働委員会で私もやりましたが、要は、国保の財政責任が市町村から都道府県に移行したんですよ。これは自民党政権でそう決めたんですよ。

 私は、これはおかしい、おかしいというのは、大合併が失敗したからそうせざるを得なくなったんだろうな、こう思うわけですが、総務省に平成の大合併は失敗したのではないかと聞くと、いや、これはこれでよかったんですと。

 この二つの関係がわからないんですね。平成の大合併はどういう御評価か、大臣からお願いします。

高市国務大臣 平成の合併につきましては、地方分権の担い手となる地方自治体の行財政基盤の確立を目的としたものでございます。

 市町村の規模は総じて一定の拡大を見ていますし、一定の行財政基盤の強化は図られたものだと認識をしております。

足立委員 まさに、一定の行財政基盤を整えたわけです。

 さて、太田政務官、きょうはお忙しいところありがとうございます。

 なぜ、基礎自治体の国保の当事者であったところの市町村の財政基盤を整えたにもかかわらず、厚生労働省はその財政責任を都道府県に移管してしまったのでしょうか。御答弁ください。

太田大臣政務官 平成の大合併につきましては、今総務大臣より御答弁のありましたとおり、自治体の行財政基盤を一定強化するということにつながったと思います。

 一方、国保の方は、急速に進む高齢化ですとか人口減少ですとか、そういう中で、被用者保険に比べまして加入者の年齢が高くて医療費水準が高い、あるいは所得水準が低いといったような構造的な問題が変わらずに残りまして、そして財政状況が厳しいまま今に至っている、こういうことだと思います。

 今先生から御指摘のあったように、平成の大合併云々と直接の関係はないと私は考えておりますけれども、今回の法改正は、まだまだ小さい市町村が多いということを前提に、全体の医療改革や国保改革をどう整合性をとって進めるのかという見地から、今おっしゃったように、市町村から保険の主体を都道府県に移し、その都道府県が市町村と相談をしながら全体の国保の運営指針をつくり、国保の運営に中心的な役割を果たしていくことにしたものだと考えております。

遠山委員長 足立康史君、時間が参っております。

足立委員 委員の皆さん、今のをおわかりになりましたか。

 今まさに太田政務官は、高齢化等、これは、高齢化等というのはわかっていることですね。そういう高齢化等が進む中で市町村の基礎自治体の行財政基盤が弱くなってきたわけです。弱くなってきたので平成の大合併をやったんですよね。ところが、今まさに政務官がおっしゃったように、構造的問題が残ってしまった、小さな市町村が残ってしまったので移管をした、こういう御答弁です。

 大臣、厚生省がやはり国保の基盤を都道府県に移さざるを得なかった理由は平成の大合併が失敗したからだとしか私は結論づけられませんが、大臣はそれはどう説明をされますか。

遠山委員長 時間が超過しておりますので、簡潔な御答弁でお願いします。

高市国務大臣 国保は、低所得者が多いので、構造的な問題を抱えて非常に厳しい財政状況にあります。ですから、財政運営の責任主体を市町村から都道府県に移行して多様なリスクを都道府県全体に分散するといったことで、財政基盤を強化する法改正を行ったものであります。

 ですから、市町村合併と国保が直接関係するものではないと思います。

 合併をした市町村においては、財政基盤の強化、一定の行政の効率化ですとか、さまざまな効果もあらわれております。

足立委員 もう時間ですので終わりますが、一言だけ、ごめんなさい。

 これにこだわっているのは、厚生労働省にとっても、実はこれをやりたくてやったんじゃないんです。なぜならば、医療と介護がこれから地域包括ケアということで連携をしていく。介護は市町村がやっているんですよ。医療も市町村が、国保も市町村がやり続けた方が本当は医療と介護の連携はしやすかったんです。でも、やむにやまれずやっているんですね。

 私は、これは政策の失敗の帰結であると指摘せざるを得ない、こう申し上げて、質問を終わります。ありがとうございます。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 まず、質問に入る前に、先ほどのNHKの会長の発言について、一言申し上げたいと思います。

 NHKの倫理・行動憲章を見ますと、行動指針として、人権、人格を尊重する、差別などを排除する、障害者などに十分配慮するというふうなことが書かれております。その観点からしましても、NHKの会長に対しては猛省を求めたいというふうに思います。

 それでは、質問に入っていきたいと思います。

 本日は、放送法に関して大臣と少し、私はまだ一度もやっておりませんので、一度やらせていただきたいというふうに思います。

 放送法四条をめぐる高市大臣のこれまでの発言、答弁についてですけれども、大臣は、四条一項、いわゆる番組編成準則に違反する放送を繰り返した放送事業者に対し、電波法七十六条第一項を適用し、無線局の運用停止または制限、いわゆる停波もあり得るという趣旨のことを述べておられます。

 私は、憲法二十一条で保障された表現の自由、すなわち、第一項の「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という規定を放送という媒体手段について具体化したものが放送法であり、具体的には、一条二号の「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」として明記されたのだと理解をしております。

 言ってみれば、放送法は、憲法で保障された表現の自由を放送事業者に担保する法律というふうに理解をしております。この点について、大臣はどのような認識をお持ちでしょうか。

高市国務大臣 言論の自由を初め、表現の自由は、日本国憲法二十一条で保障された基本的人権の一つでございます。これを尊重するのは当然のことです。

 憲法の規定の趣旨を踏まえまして、放送法第一条の目的規定において、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保する」とされています。したがって、放送事業者がみずからの責任において編集する放送番組は、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくべきものだと考えております。

 それから、先ほども申し上げましたけれども、私は、この四条を、繰り返し四条に抵触した事業者に対して電波を停止すると言ったわけではございません。

 放送法第四条違反に係る放送法第百七十四条及び電波法第七十六条の運用については、法律の規定に違反した放送が行われたことが明らかであることに加え、その放送が公益を害し、放送法の目的にも反し、これを将来に向けて阻止することが必要であり、かつ、同一の事業者が同様の事態を繰り返し、かつ、事態発生の原因から再発防止のための措置が十分でなく、放送事業者の自主規制に期待するのでは法律を遵守した放送が確保されないと認められるといった極めて限定的な状況のみに行うとするということで、極めて慎重な配慮のもと運用すべきであるということを予算委員会でも申し上げましたし、過去の政権での答弁もそうなっております。

吉川(元)委員 放送法の制定過程を見ますと、やはり憲法との関係というのは非常に議論をされております。戦前の無線電信法では、主務大臣の裁量権が非常に広いということで、新憲法の精神にそぐわないといったような指摘、考え方が議論の中で出てまいりました。そういう中での放送法ということでありますので、その点について、しっかりとそうした立場で行っていただきたいというふうに思います。

 放送法の一条の二号、これをどのように理解するのか。不偏不党、真実及び自律の保障、こういうふうに規定されているわけですけれども、これは、政治、とりわけ権力を担う時の政府からの介入や干渉が排除されること、このことが保障されることによって放送事業者の放送の自由が担保される、こういうふうに理解しているんですけれども、大臣も同じような理解でよろしいんでしょうか。

高市国務大臣 まず、先ほど日本国憲法第二十一条については申し上げました。

 一方で、憲法第十二条ですけれども、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と規定しています。

 放送法の第一条でございますけれども、放送法の目的として、「次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」として、今委員がおっしゃいました二号に「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」、そして続けて三号に「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」と規定しています。

 すなわち、放送事業者がみずからの責任において編集する放送番組は、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくということでございます。

 これは、放送法でも日本国憲法でも、当然自由は認められる一方で、公共の福祉というものはしっかり尊重されなければならないということであると存じます。

吉川(元)委員 通常、憲法における公共の福祉というのはどういうことかというふうになると、それは、国民の権利と権利が衝突した場合にそれをどう解決していくかという際に公共の福祉というものが出てくるのであって、いわゆる政府や国が入ってきて公共の福祉という話というのは、それはちょっと筋が違うのではないかということは指摘させていただきたいと思います。

 続いて、放送法四条で、行政処分ということでありますけれども、放送法四条の各号を出してきまして、放送内容を根拠として行政処分というものを行う、処罰を行う、そして処分に値するかどうかは政府が判断するというようなことはあり得ないし、してはならないというふうに思います。

 したがって、放送法の第四条の一項の各号は、一条三号に明記された「放送に携わる者の職責」に基づく放送事業者の倫理規範と解釈されるべきでありますし、かつて郵政省時代にもそういう形で解釈がなされてきたというふうに聞いております。

 ところが、あるときからこれが少しずつ変わっていったということで、大臣は各号が法規範であるというようなことも言われております。これは、民主党政権時代に大臣がどう言ったとかこう言ったとかということではなくて、憲法と放送法の構造の関係から御自身のお考えはどのようなものか、お答えいただきたいと思います。

高市国務大臣 先ほど来、憲法第二十一条、表現の自由の保障、そして憲法第十二条、権利を濫用してはならない、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うという条文を紹介申し上げました。

 憲法十三条でも、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と規定しています。

 放送法第一条の目的にも、「放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」としております。

 その上で、放送法第四条は、「放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。」として、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と規定しています。

 このような法的な構造を踏まえましたら、放送法第四条は法規範性を有するものであると考えますし、憲法との関係においても問題はないと考えております。

 平成二十二年の放送法改正以降、やはり、政権は交代しました、それでも、民主党政権で答弁された内容、第四条の番組準則が法規範性を有するということについては、行政の継続性の意味から私は尊重する立場にあると考えております。

吉川(元)委員 継続性については後ほどまた別の観点から質問させていただきたいと思いますけれども、やはり公共の福祉という概念を持ち出す際には、それはあくまで国民の権利と権利の衝突の際に使われる概念であって、政府が公共の福祉云々ということを言うこと自体、私は非常に、先ほども言いましたけれども、違和感を感じざるを得ません。

 では、少し観点を変えてお聞きします。

 放送法に関連して、最高裁で幾つか判例が出ております。

 一つは、事実でない放送が行われ人権が侵害されたということで、訂正放送を請求できるかどうかが争われた事案。二〇〇四年の判決では、放送法第四条の一項について、真実でない事項の放送がされた場合において、放送内容の真実性の保障及び他からの干渉を排除することによる表現の自由の観点から、放送事業者に対し、自律的に訂正放送を行うことを定めたものというふうになっております。四条一項の規定というのは、放送事業者に対して他者が義務を強制するものではないという判断だというふうに思います。

 それからもう一つ、これは二〇〇八年の判決ですけれども、日本軍性奴隷制を裁く女性国際法戦犯法廷の放送内容に関しての判決であります。そこでは、放送法の条項は、放送事業者による放送は、国民の知る権利に奉仕するものとして表現の自由を規定した憲法二十一条の保障のもとにあることを法律上明らかにするとともに、放送事業者による放送が公共の福祉に適合するように番組の編集に当たって遵守する事項を定め、これに基づいて放送事業者がみずから定めた番組基準に従って番組の編集が行われるという番組編成の自律性について規定したものと解されるとして、放送番組の編集は放送事業者の自律的な判断に委ねられるとしております。

 これら二つの最高裁を読む限りにおいて、放送法四条一項の番組編成準則はあくまで放送事業者に課せられた倫理規範、そういうふうに解釈するのが適切だと考えますけれども、この点、いかがでしょうか。

高市国務大臣 委員は四条の番組準則に関しては倫理規範だとお考えであり、私どもは、前民主党政権と同じく、これは法的規範、法規範性を持つものと解釈をいたしております。

吉川(元)委員 ここは意見の対立が、埋まらない対立があるんだろうと思います。

 ただ、最高裁の判決、要旨等々でも、四条一項の規定に基づく権利、訂正放送を求める権利は有しないというふうに最高裁で判示されております。

 余り時間がないのでこればかりやっているわけにもいかないんですけれども、昨年の安保法制、我々は戦争法案と呼んでおりますが、審議の際に、集団的自衛権行使容認と憲法との整合性について、政府・与党の方々は砂川判決を持ち出しました。例えば高村副総裁は、最高裁が下した判決こそ我々がよって立つ法理だとおっしゃっておりますし、安倍首相も、憲法の解釈を最終的に確定する権能を有する唯一の機関は最高裁だというふうに答弁をしております。だとするならば、憲法二十一条を具体化した放送法、とりわけ四条一項各号の理解については、最高裁の判決に沿うように考えるべきではないんでしょうか。

 四条一項は法規範だ、放送法と電波法を組み合わせれば行政処分は可能だ、そういう態度をとるのではなくて、わけても、政治的公平性をめぐって政府が放送事業者の停波の処分を下すようなことはあり得ないというふうに言っていただけないでしょうか。

高市国務大臣 先ほど来委員がおっしゃっている最高裁判決というのは、旧放送法第四条ではないでしょうか。訂正放送に関する事案で、現放送法の第四条に関するものではないと思うのですが。ちょっとそこは確認させてください。

吉川(元)委員 後ほどちょっと確認させてください。今のあれは、もしかしたら間違いかもしれません。ただ、言っている趣旨というのは、あくまでこれは倫理規範であるというふうに判示されているというふうにしか私は読めません。

 もう一つ、異なった角度からお聞きしたいというふうに思います。これは先ほどの継続性の話です。

 二〇〇七年の放送法改正時、当時も、いわゆる捏造の問題、民放でありましたけれども、「発掘!あるある大事典」という番組の捏造に端を発して、番組を捏造した放送事業者に再発防止計画提出を義務づける行政処分規定が当初、改正案に盛り込まれておりました。この行政処分の新設には放送界から強い批判があり、結果的にはこの規定は削除されましたが、法案を準備している過程で、BPOが対策を講じるというふうに発表いたしました。

 それを受けて、当時の第一次安倍政権時代の菅総務大臣が、これは行政処分の新設規定を法案から削除する前の段階ですが、記者会見の場で、BPOの取り組みが機能している間は再発防止計画提出の義務づけ規定は作動させないことを明らかにし、実際、本会議での趣旨説明の際にそう提案されました。記者会見でもこういうふうに言っております。私どもは法律をつくって、放送事業者の皆さんに、なかなか適用しない、ある意味では抜かずの宝刀みたいな形の法律になるというふうにおっしゃっております。

 当時の菅大臣が行政処分に反対していたのかどうか、この点については定かではありませんが、行政処分について少なくとも極めて慎重であり、BPOが自主的に取り組むのであれば、総務省で抜かない、抜かずの宝刀というふうに表現されておりますけれども、そういう認識だったということは間違いないというふうに思います。

 今ほどもずっと言われておりますけれども、法律というのは、やはり法秩序というものをしっかり守り、違反した場合には罰則規定を用意されているということによって実効性を担保するというふうに大臣が答弁されております。要は、刀を、抜かずの宝刀ではなくて、抜くよ、つかに手をかけているよということでなければ法の実効性が保てないと言っているようにも思えます。

 これは、行政処分は極めて慎重、かつ、BPOが取り組むということであれば刀は抜かないと言った当時の菅大臣との姿勢とは大きく変わってしまったのではないかというふうに思いますけれども、この点いかがでしょうか。

高市国務大臣 私が承知する範囲では、平成十九年の放送法改正の際には、当時、改正案に、虚偽の説明によって事実でない事項を事実であると誤解させるような放送によって国民生活に悪影響を及ぼすおそれなどがある場合、放送事業者に対し、再発防止計画の提出を求めることができる制度の導入を盛り込んでいたということなんですね。

 その御指摘の菅総務大臣の御発言は、この再発防止計画の提出に係る制度が成立するということを前提になされたものだと存じます。

 具体的には、同時期に、NHK及び民間放送事業者が自主的にBPOの機能強化による番組問題再発防止への取り組みを開始されたということに鑑み、その取り組みが機能していると認められる間は再発防止計画の提出を求めることができる制度の適用をしないということを説明され、その後、国会審議を経て、この制度に係る条項は削除されました。

 ですから、総務省による行政指導などを否定したというよりは、再発防止計画の提出に係る制度について説明をされたものだと思っております。

吉川(元)委員 当時の菅大臣の記者会見を見させていただきますと、どういうふうに言っているかというと、現在の行政指導とそれと行政処分との間に余りに開きがありますのでということで、この行政処分の制度、結果的には入りませんでしたけれども、入れようとした。今大臣が言われたような、まさに大きな開きのある行政処分について言及をされておられるんだろうというふうに思います。

 一つ確認なんですけれども、法律というのは、やはり法秩序というものをしっかり守る、これは二月八日の予算委員会の大臣の答弁です、違反した場合には罰則規定も用意されていることによって実効性は担保されるというようにおっしゃっておられますけれども、これは、すべからく法律というのはこういうものだというふうに大臣はお考えなんでしょうか。

高市国務大臣 さまざまな法律があり、法律の中には努力規定というものもございます。一方で、義務とされているものについて、実効性を担保するために罰則などを付与しているというものもある、さまざまあると承知いたしております。

吉川(元)委員 最初に少し、放送法ができた際の、当時の郵政省の、一九六〇年代、八〇年代ぐらいまでは倫理規範であるというふうに言っておりましたけれども、それが少し、少しというか大きく変わってしまったわけですが、当時は、あるけれどもこれはあくまで倫理的な規範であって、これによって処分云々かんかんという話にはならないし、行政指導云々かんかんという話にはならないと言っていたのが、いつの間にか行政指導をする根拠になっていった。

 私が非常に危惧するのは、別にこれは総務委員会の所管ではありませんが、今、予算委員会の中で、連日、特定秘密の議論が行われております。その際に、特定秘密の第十条をめぐりまして、法務大臣とのやりとりがずっと続いております。

 特定秘密、第十条第一項第一号にこういうふうに書かれております。会計検査院の検査に必要な資料の提供をする際には、「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき。」。つまり、逆の場合には提出をしなくていい、提出をしないんだというふうになっているということについて、憲法との関係において質問がされました。

 その際に、政府統一見解もそうですし、それから大臣の答弁もそうなんですが、岩城法務大臣は、法文上こういう適用がかかっておりますけれども、実務的には具体的に適用されることはないというふうに答弁をされているわけです。

 法律に書いてあるからやるんだ、それが法治国家なんだという論理が、もし、もしといいますか、大臣がそういうふうにおっしゃるのであれば、これはまさに、特定秘密も、今はとりあえず批判があるからやらないんだよ、やることはないんだよ、だけれども、しばらく時間がたつと、実際にやってしまう、法律に書いてあるからやるんだというふうな展開になってしまう。

 まさに私、放送法の、過去からの、成立時期、それから途中の政府見解からの変化を見ますと、そういう危惧を持たざるを得ないということを指摘しておきたいと思います。

 あともう一つ、大臣、電波停止について、これもよく似ているんですけれども、私のときにはするとは思いませんけれどもというような答弁をよくしていらっしゃいます。その真意というのは何なんでしょうか。そのような処分をする立法事実が今見当たらないということなのでしょうか。

高市国務大臣 現在、千三百七事業者ございます。放送事業者でございます。その中で、本当に最悪の事態というようなときに電波法七十六条の対象になる事業者、これは基幹的な放送事業者で、放送設備もありソフトも提供される事業者です。他方で、放送法の百七十四条が適用される事業者、これはソフトなど片っ方だけの事業者でございます。合わせて千三百七事業者あって、それは本当に地方の隅々までのテレビ局、ラジオ局、コミュニティーFM、それから、放送法対象ということになりますとCATV、たくさんの事業者がございます。

 現在、放送事業者はそれぞれ自律的に放送法を遵守するように努められ、私が大臣になってから、私の名前で一度行政指導したことはございますけれども、これはNHKの番組そのものというよりは、再発防止策に具体性がないという内容でさせていただいた、こういったことでございますので、基本的には、現在、差し迫って何か命令を出すような状態にあるとは思っておりません。

 ただ、法律に、特に放送法の業務停止命令の部分につきましては、前回の平成二十二年の民主党政権時の改正で盛り込まれたものでございますので、これを、全く私が、政権がかわったからといって、後任の大臣として、一切もうこの条文は無効ですといったことは申し上げられない。先々にわたりまして、全く極端な事例のリスクが十年後も二十年後も三十年後も起こり得ないかといったら、そこまでの保証は私にはできませんので、それはやはり、現存する条文というものがある限りは、その条文が無効のものではない。全くある意義のない条文だったら必要ないわけでございますので、やはり現存するということは所管大臣として認めざるを得ないと考えました。

 今すぐ何か適用するような事例があるとは私には思えません。

吉川(元)委員 そういう答弁をされますと、先ほど言いました、これもほかの所管ですから総務大臣に聞く話でもありませんけれども、やはり特定秘密のところで、いや、大丈夫だ、そういうことは考えられないんだというふうに答弁をずっと法務大臣は繰り返しているわけですよね。だけれども、大臣の理屈に立てば、高市大臣の今の論理に従えば、特定秘密第十条、これは将来的に十分適用し得る、適用する可能性はあるというふうになるんだろうと思います。

 ところが、予算委員会の場では、そういうことは考えられないとか、考えにくいとか、ないと言っていて、いろいろ、そういう答弁のニュアンスが違うことがありますけれども、そことはかなり違う話といいますか、ニュアンスが違うんじゃないかというふうに思います。

 それで、余り時間がありませんので、一つ、BPOの評価についてお聞きしたいと思います。

 まさに、BPOの活動というのは、自律的に放送事業者が行う上で非常に重要な機関だというふうにも思っております。

 大臣は、二月八日の予算委員会で、BPOについて、人権を守るといった重要な目的ということで、多分、目的ではなく、役割といった表現が正確なんでしょうけれども、それを果たしているというふうに評価しつつ、BPOはBPO、総務省の行政としての役割は行政の役割というふうに言っております。

 だけれども、まさに大臣がおっしゃられた、とんでもない放送事業者が出てきたときに、それはBPOが行えばいいんじゃないかと。

 諸外国を見ますと、いわゆる放送内容について規制したり、これは行政処分制度を有している国ですけれども、そういう国を見ますと、ほとんどが、ほとんどといいますか、先進国においては、アメリカでいいますと連邦通信委員会、イギリスは通信庁、ドイツは州メディア機構、こういう形で、押しなべて、政府から独立した機関で行われております。

 このBPOの活動について、大臣、どのように評価されているのか、お聞かせください。

高市国務大臣 BPOは、放送への苦情や放送倫理上の問題に対して、自主的に、独立した第三者の立場から、迅速的確に対応し、正確な放送と放送倫理の高揚に寄与することを目的として、二〇〇三年七月にNHK及び民放連により設立されたものでございます。その活動は、あくまでも、放送事業者による自律的取り組みの一環として行われております。

 ですから、その運営については放送事業者の皆様が責任を持って行うべきものでございますから、総務省が組織ですとか業務のあり方についてコメントするということは差し控えたいと思います。

 一方で、総務省についても、この間言及をいたしましたが、総務省は、国民・視聴者の利益を確保する観点から、放送法が遵守されているかどうかについて、放送法を所管する立場から、従来から必要な対応を行っているものでございます。

吉川(元)委員 やはりその点でも、二〇〇七年当時の菅大臣と、ちょっと趣旨といいますか表現が、私が聞く限りでは違う感じがいたします。

 二〇〇七年当時、菅大臣は、BPOが機能していれば行政処分なんてないんだということで説明をされておられました。これは行政処分が入らなかったからあれですけれども。BPOが機能していればいいんだということで議論されていたんですが、今は大臣は、BPOがあっても、それとは別個にあるんだというお話をされていますけれども、これは明らかに菅大臣のときの認識と違うんじゃないでしょうか。

高市国務大臣 菅大臣の御発言については、先ほど御説明をしたとおりの背景がございます。現在の放送法、最新の放送法を前提にした私の発言とはまた違うと思います。

 BPOはBPOで、これは民放連とNHKが設立された組織でありますから、またその機能を十分に発揮していかれることだろうと期待をいたしております。

 一方で、やはり日本は議院内閣制でもございます。その中で、私どもは、それぞれの省庁を所管する大臣として、それぞれの省庁が所管する法律について、公正な運用、そしてまた執行というものをしていかなきゃいけない、そういう立場にございます。

 また、BPOの立場と政府の機関の立場というのは、違うものがございます。

吉川(元)委員 もう時間が来ました。終わりますけれども、菅大臣ははっきり言っているんですよ。BPOによる取り組みが発動されているということであるならば、私どもとしては作動させないと。今、大臣が言っている電波法に基づく処分よりもはるかに低いというか、低い高いという言い方はおかしいと思いますけれども、中間的な処分ですらBPOが機能していれば作動させないんだというふうに言っているわけでありまして、その部分についてやはり大きく踏み越えた発言なのではないかということを指摘させていただいて、私からの質問を終わります。

 以上です。

     ――――◇―――――

遠山委員長 次に、地方自治及び地方税財政に関する件について調査を進めます。

 この際、平成二十八年度地方財政計画について説明を聴取いたします。高市総務大臣。

高市国務大臣 平成二十八年度地方財政計画の概要について御説明申し上げます。

 本計画の策定に際しては、通常収支分については、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、地方創生や地方の重点課題に対応するために必要な経費を計上するとともに、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上を行う一方、国の取り組みと基調を合わせた歳出改革を行うこととしております。

 あわせて、引き続き生じる財源不足については、適切な補填措置を講じることとして、地方の一般財源総額について、前年度の地方財政計画を上回る額を確保することとしております。

 また、東日本大震災分については、復旧復興事業について、直轄・補助事業に係る地方負担分等を措置する震災復興特別交付税を確保することとしております。

 以上の方針のもとに、平成二十八年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出総額の規模は、通常収支分については、前年度に比べ四千八百八十三億円増の八十五兆七千五百九十三億円、東日本大震災分については、復旧復興事業が、前年度に比べ二千二百六十一億円減の一兆七千七百九十九億円などとなっております。

 以上が、平成二十八年度地方財政計画の概要であります。

遠山委員長 以上で説明は終わりました。

     ――――◇―――――

遠山委員長 次に、内閣提出、地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 地方税法等の一部を改正する等の法律案

 地方交付税法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、御説明申し上げます。

 まず、地方税法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 現下の経済情勢等を踏まえ、経済の好循環を確実なものとし、地方創生を推進する等の観点から、地方税に関し、所要の施策を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 以下、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 その一は、地方法人課税の改正であります。経済の好循環の確立に向けた法人税改革の一環として、法人事業税の所得割の税率の引き下げと外形標準課税の拡大等を行うこととしております。また、地方創生の推進に向け、地域間の税源の偏在性を是正し、財政力格差の縮小を図るため、法人住民税法人税割の税率の引き下げを行うとともに、地方法人特別税等に関する暫定措置法の廃止等を行うこととしております。

 その二は、車体課税の改正であります。自動車取得税を廃止するとともに、自動車税及び軽自動車税において、自動車の環境性能に応じて税率が決定される環境性能割の導入等を行うこととしております。

 その三は、固定資産税及び都市計画税の改正であります。一定の遊休農地等の保有に係る課税の強化及び軽減等を行うこととしております。

 そのほか、個人住民税の徴収引き継ぎ特例の対象拡大等の納税環境の整備、税負担軽減措置等の整理合理化等を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 地方財政の収支が引き続き著しく不均衡な状況にあること等に鑑み、地方交付税の総額の特例措置を講ずるとともに、各種の制度改正等に伴って必要となる行政経費の財源を措置するため、地方交付税の単位費用等を改正するほか、東日本大震災の復旧復興のための財源として震災復興特別交付税を確保する等の必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 まず、平成二十八年度分の通常収支に係る地方交付税の総額につきましては、地方交付税の法定率分に、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金の活用等による加算額、法定加算額及び臨時財政対策のための特例加算額を加え、交付税特別会計借入金償還額及び同特別会計における借入金利子支払い額等を控除した額十六兆七千三億円とすることとしております。

 また、平成二十九年度から平成四十三年度までの間における国の一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れに関する特例を改正するとともに、平成二十七年度に引き続き財政投融資特別会計の投資勘定に帰属させる地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金について、交付税及び譲与税配付金特別会計への繰り入れの特例を設けることとしております。

 さらに、平成二十八年度分の普通交付税の算定に用いる単位費用を改正することとしております。

 あわせて、平成二十八年度分の東日本大震災に係る震災復興特別交付税につきましては、平成二十八年度において新たに三千四百七十八億円を確保することとし、総額四千八百二億円としております。

 さらに、普通交付税と特別交付税の割合を維持するための本則の改正及び震災復興特別交付税の返還等に係る規定の整備を行うとともに、地方債の協議不要対象団体の要件の緩和等及び退職手当の財源に充てるための地方債の特例の期限の延長を行うほか、将来負担比率に算入する項目を追加することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

遠山委員長 これにて両案についての趣旨の説明は終わりました。

 次回は、明二十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時八分散会


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