衆議院

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第4号 平成28年2月24日(水曜日)

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平成二十八年二月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      大隈 和英君    大西 英男君

      大西 宏幸君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    小林 史明君

      古賀  篤君    佐々木 紀君

      新藤 義孝君    鈴木 憲和君

      田中 英之君    中谷 真一君

      中村 裕之君    中山 泰秀君

      長尾  敬君    長坂 康正君

      西銘恒三郎君    橋本  岳君

      橋本 英教君    古田 圭一君

      宮川 典子君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    村井 英樹君

      山口 俊一君    山口 泰明君

      小川 淳也君    逢坂 誠二君

      近藤 昭一君    武正 公一君

      水戸 将史君    渡辺  周君

      輿水 恵一君    梅村さえこ君

      田村 貴昭君    足立 康史君

      吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   内閣官房副長官      萩生田光一君

   内閣府副大臣       福岡 資麿君

   総務副大臣        土屋 正忠君

   財務副大臣        岡田 直樹君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   農林水産大臣政務官    加藤 寛治君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 末宗 徹郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       若生 俊彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 緒方 俊則君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田 昭典君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 佐伯 修司君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  青木 信之君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      西藤 公司君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長)           福田 祐典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官)  塩川 白良君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房生産振興審議官)       鈴木 良典君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房参事官)           橋本 次郎君

   政府参考人

   (農林水産省生産局農産部長)           天羽  隆君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         印藤 久喜君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総括審議官)         田村  計君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   参考人

   (日本放送協会経営委員会委員長)         浜田健一郎君

   参考人

   (日本放送協会監査委員会委員)          上田 良一君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 板野 裕爾君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 福井  敬君

   参考人

   (日本放送協会理事)   森永 公紀君

   参考人

   (日本放送協会理事)   井上 樹彦君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十四日

 辞任         補欠選任

  金子めぐみ君     中谷 真一君

  中山 泰秀君     佐々木 紀君

  宗清 皇一君     大西 宏幸君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 宏幸君     長尾  敬君

  佐々木 紀君     中山 泰秀君

  中谷 真一君     宮川 典子君

同日

 辞任         補欠選任

  長尾  敬君     宗清 皇一君

  宮川 典子君     村井 英樹君

同日

 辞任         補欠選任

  村井 英樹君     橋本 英教君

同日

 辞任         補欠選任

  橋本 英教君     大隈 和英君

同日

 辞任         補欠選任

  大隈 和英君     古田 圭一君

同日

 辞任         補欠選任

  古田 圭一君     田中 英之君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 英之君     金子めぐみ君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 地方税法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二一号)

 地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地方税法等の一部を改正する等の法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、参考人として日本放送協会経営委員会委員長浜田健一郎君、日本放送協会監査委員会委員上田良一君、日本放送協会会長籾井勝人君、専務理事板野裕爾君、専務理事福井敬君、理事森永公紀君及び理事井上樹彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、まち・ひと・しごと創生本部事務局次長末宗徹郎君、内閣人事局人事政策統括官若生俊彦君、内閣府大臣官房審議官緒方俊則君、公正取引委員会事務総局審査局長山田昭典君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、大臣官房審議官佐伯修司君、自治行政局長渕上俊則君、自治財政局長安田充君、自治税務局長青木信之君、情報流通行政局長今林顯一君、消防庁次長西藤公司君、厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生・食品安全部長福田祐典君、農林水産省大臣官房危機管理・政策評価審議官塩川白良君、大臣官房生産振興審議官鈴木良典君、大臣官房参事官橋本次郎君、生産局農産部長天羽隆君、農村振興局整備部長印藤久喜君、国土交通省大臣官房総括審議官田村計君及び水管理・国土保全局次長野村正史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。務台俊介君。

務台委員 ありがとうございます。

 総務委員会に配属になりまして初めての質問ということで張り切っておりまして、ちょっと質問が多過ぎて、はしょるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。

 総務委員会に来まして、黄表紙という、地方税参考計数資料というのを久しぶりに見せていただいて、あっと思ったことがありました。それは、九ページを見ると、何と二十八年度予算ベースで、国税と地方税を足し合わせると、国、地方の租税総額が百兆円を超えるということなんです。すごいなというふうに思いまして、今まで余りそういう視点で見たことがなかったんですが、今年度決算がどうなるか別として、予算ベースで初めて百兆円を超える額が計上されている。

 これは物すごくエポックメーキングだと思います。高市総務大臣はお若いんですが、お生まれになったころの税収と比べて二桁ふえています。その隣の土屋副大臣がお生まれになったときの税収と比べると三桁ふえているんです。これは非常に重い意味、意義があると思います。この点について、ひょっとしたら、ことし、決算を見込みながら、何か記念事業みたいなものをしてもいいんじゃないか、そういうふうに思うんです。半分冗談なんですが、そういうこともあり得るというふうに思います。

 一方で、次の十ページ、十一ページを見ておりましたら、私が記憶しているころは、地方の歳出の方が国の歳出より多い時代がずっと続いてきたと思っていたんです。ところが、平成二十一年度から、国の歳出に対して地方の歳出の方が下回る。来年度は、国の歳出に対して地方歳出は八八%台ということで、意外に地方歳出の規模が、縮小しているとは言いませんが、相対的に国に比べて小さくなっている。

 これはどうしてかなというふうに感じまして、地方の歳入と歳出をマクロ的に俯瞰して、大臣としてどのような御認識をお持ちか、まず伺いたいと思います。

高市国務大臣 平成二十八年度の地方税収でございますが、約三十九・六兆円と見込んでおりまして、平成十九年度、二十年度に次ぐ過去三番目の水準でございます。御指摘いただきましたとおり、特別会計分を含めた国の税収の約六十一・二兆円と合計すると、初めて百兆円を超えると見込まれます。

 これは、アベノミクスの成果が徐々に地方に波及してきていることがあらわれていると思いますので、これからもローカルアベノミクスをしっかりと地方税収の増加につなげていきたいと思います。

 国と地方はその財政制度や経費構造が異なるということに留意する必要があるんですが、平成七年度決算と直近の平成二十六年度決算を比較しました場合、地方の歳出がほぼ同水準であるのに対して、国の歳出が三割程度増加をしています。

 これは、国、地方ともに道路整備費などの国土開発費は大きく減少している一方で、公債費や年金を含む社会保障関係費について国の伸びが地方の伸びを上回っているという事情だと考えます。

務台委員 ありがとうございます。

 それぞれの時代の雰囲気とか要請あるいは勢い、それが税収、歳出構造にあらわれているのかなというふうに認識させていただきます。

 本日は、地方自治体の一般財源の大宗を占める地方税と交付税について、ふだん持っている私なりの問題意識をベースに御質問させていただきたいと思います。

 まず、合併算定がえでございます。

 平成の大合併で合併した市町村は、その特例として、合併後十年間は従前の交付税の算定額を下回らないように算定するという、いわゆる合併算定がえが行われてきましたが、二十五年度末にその算定期間が終了するということで、深刻な課題が明らかになってきたと理解しております。

 私も、合併算定替終了後の新たな財政支援措置を実現する議員連盟の事務局次長を仰せつかって、一緒に議論に参加させていただきました。この過程で明らかになったのは、確かに合併によって行政の効率化は図られたけれども、他方で、周辺部となった旧市町村の地域においてなかなか深刻な課題が出てきたということです。

 私の感覚だと、合併算定がえのあるおかげで合併した市町村に戻ってくる交付税というのは、まさにその周辺市町村のために使われるべきではないかというふうに思っているんですが、どうも実態は、そこのところの確証がない。周辺の旧市町村からすると、合併したためにかえって衰退してしまった、しかも、一旦合併すると、旧市町村区域の住民だけの意思ではもとに戻れない、そういうことになります。

 そういう意味で、今回、総務省の御努力で、新たな指標を用いて補正されて、交付税が一部戻るということでございますが、こういうものはいわば周辺市町村のために使われるべきではないか、ちゃんと総務省もモニターすべきではないか、そのように思うんですが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。

高市国務大臣 合併算定がえ終了後の交付税算定につきましては、やはり平成の合併により市町村の姿が大きく変化したということを踏まえまして、合併時点では想定されていなかった財政需要を交付税算定に反映するものですので、市町村の安定的な財政運営には資すると思います。

 一方で、今御指摘いただきましたけれども、地方交付税は、御承知のとおり、基本的な性格において地方税と何ら変わるところがなく、地方交付税法において、地方団体が独自にその使い方を決めることができる一般財源とされておりまして、その使途についてはあくまでも地方団体の自主的な判断に委ねられています。ですから、今回の見直しで交付税が増額となる部分についても、その性格は変わりません。

 しかし、御指摘の周辺部の旧市町村、私の地元にもありますが、合併によって活力が喪失したとか、住民の声が届きにくくなっているのではないかという課題の御指摘もございます。

 総務省としては、合併した市町村が一体感をまず醸成するような工夫をして、時間とともに効果があらわれてくることで合併のメリットを実感していただけるように、地方自治体に助言をしてまいります。

 モニターというのは大変難しいんですが、ただ、地方団体にも今回の交付税算定の方法につきましてはしっかり御理解をいただいていると存じます。

務台委員 総務省としてはそのようにお答えになるしかないかなとは思いますが、現場の実態は、やはり合併して全部中心市街地に持っていかれたという声が非常に強いものですから、合併してよかったんだという実感が得られるように、ぜひ総務省としても努力していただきたい。釣った魚に餌は要らないということにならないようにお願いしたいと思います。

 あと、公立大学と私立大学に関する財政措置のあり方について質問したいと思います。

 長野県に私立大学、特色のあるものが幾つかあるんですが、実は、最近奇妙な現象が起きています。それは、財政基盤が割としっかりしているにもかかわらず、将来の不安から公立大学化を目指すという動きが出ています。一つだけじゃなくて、複数の私立大学がそういう動きを見せています。

 なぜかというと、交付税による財政措置が公立大学は非常に手厚い。一方で、私立大学はなかなかそれがない。であれば、この際、公立化したら交付税がたくさん来るので、そっちの方がいい学生を集められる。建学の精神を打ち捨ててまでそういう動きを見せようとする、これで本当にいいのかという気がします。

 これは総務省だけの問題ではなくて、もちろん文科省もかかわる問題でございますが、公立大学と私立大学の財政措置のイコールフッティングということを考えないと、財政措置が大学のあり方まで決めてしまう。これは本末転倒のようにも思われます。この点について、いかがお考えでしょうか。

土屋副大臣 御質問ありがとうございます。

 市長時代に、務台課長から厳しく御指導いただいたことを思い出す次第でございますが、そのことに感謝しつつ、答弁をさせていただきたいと存じます。

 公立学校に対する交付税措置についてでございますが、大学は、学校教育法にも定められているとおり、学術の中心としての教育研究機関の性格を有しているわけであります。いわゆる高等教育であります。とりわけ公立大学については、地域における人材育成、研究成果の地元産業界への還元などといった公共的性格を強く有している。このような観点から、設置者である自治体が責任を持って運営できるよう、いわゆる交付税制度を適用して支援をしているところであります。

 一方、私立大学は、明治の初めから、建学の精神を持ち、それぞれ自主的、自律的、インディペンデントとして運営している誇り高い学校が多いわけであります。なかなか学校運営が厳しい状態が続いて、戦後、またとりわけ学生がふえたときにその受け皿となった、こういうこともあったりして、昭和五十年にいわゆる私立学校振興助成法ができたわけであります。

 実は、今御質問の件はその問題とも根本的にかかわる問題で、そのとき議論になったのは、憲法第八十九条におけるいわゆる公の支配に服していないと公金は支出できない、こういう憲法上の規定があって、果たして、私立学校に運営費補助を出していいのかどうか、経常費補助を出していいのかという議論がかんかんがくがくやられたわけであります。私たちの先輩の森喜朗先生とか海部俊樹先生、西岡武夫先生などが中心になってこの法律をつくり、論理を整理して、今日に至っているわけであります。

 しかし、おのずから、私立の学校の経営とはそこが根本的に違ってくる。その上で、交付税措置はどこまでやるのかという議論だろうと思います。

 なお、今の法律のたてつけですと、都道府県が支援できるのは幼稚園からいわゆる中等教育学校、後期中等教育も含めたところでございますから、これらについては交付税措置をしているところでございます。

務台委員 法律の建前はそうだったのかもしれませんが、これからの少子化の中での高等教育機関のあり方も含めた議論をしっかりして、公私の役割分担、それに対する財源措置のあり方をしっかり検討していただきたい、そのように思います。

 次に、事業費補正についてのあり方を聞きたいと思います。

 消防庁が所管している緊急防災・減災事業債というのがありまして、二十八年度でも五千億円確保していただいて、これをほとんど消化しているというふうに聞いております。消防補助金が少ない中で、地方の単独事業として七割の償還金を交付税で見てもらうという大変評判のいい仕組みです。

 一方で、過去、事業費補正が活用され過ぎたという反省で、なかなか一般的に事業費補正が認められるということになっておりません。そのために、自治体の現場では、やらなければいけない事業があるにもかかわらず、補助金が来ないのでとめているという事例がたくさんあります。本当にこれでいいのかな、もとの補助金頼みの行政に立ち戻ってしまったような、そんな雰囲気すらございます。

 財政規律に留意しつつ、例えば緊急防災・減災事業債のような限定された範囲でも結構ですので、事業費補正をより適切に、前向きに活用する、そんなことが考えられないか、伺いたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 地方債の元利償還金に対する交付税措置につきましては、平成十三年度の骨太の方針におきまして、地方団体の負担意識を薄める仕組みを縮小すべきと指摘されたことなどもありまして、これまで順次廃止、縮減を行ってきているところでございます。

 現在、地方債の元利償還金に対する交付税措置は、災害関連や防災、減災対策などの国民の生命、安全に係るもの、いわゆる新直轄高速自動車国道や整備新幹線などの全国的に見て財政需要が大きく偏在しているもの、人口減少を見据えた公共施設の集約化、複合化など、国、地方を挙げて取り組むべき喫緊の政策課題に対応するものに年限を付した上で行うものに限定しているところでございます。また、交付税の算入率も、全般的に以前の水準より引き下げているところでございます。

 こうした経緯も踏まえつつ、今後とも、人口減少を初めといたしました社会経済情勢を的確に見据え、地方団体の財政規律に留意しながら、地方債措置の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

務台委員 ありがとうございます。

 私も、事業費補正見直しの経緯は、私なりに現役時代承知していたつもりでおりますが、今日、地方創生という観点が大きな課題となっている中で、もう一回あり方をしっかり見直すということもあり得るのではないかということをお願いしたいと思います。

 次に、特別交付税の割合についてでございます。

 今回の法律改正で、特交の割合が、本則を六%に戻すという措置が講じられて、これは大変結構だというふうに思います。

 平成二十三年に政府が特交割合を段階的に引き下げというふうな議論があったことを踏まえて、どのくらいの水準が本来いいのか、その点についての御認識を伺いたいと思います。

 地方財政平衡交付金制度から地方交付税に移行した当時、昭和二十九年ですが、実は八%だったんですね。それが三十三年に六%になった。八%というのは何か高いのかなとみんな思っていますけれども、当初は八%だったんですよ。私は、個人的には、八%くらいの数字をこの二、三年のうちに議論して、そこにまた持っていくということも必要ではないか、そういうふうに思うんですが、お考えを伺いたいと思います。

土屋副大臣 特別交付税は、御承知のとおり、台風、豪雪、豪雨や火山の噴火などのいわゆる自然災害の多発、多様化、こういうものの災害対応での経費が第一。また、地域交通や地域医療等の地域住民の生活を守るために不可欠な経費。また三点目として、人口減少を克服するための施策に意欲的に取り組む地方団体を支援する経費などに充てられるわけであります。

 普通交付税がさまざまな定型的な規定のもとに交付されるのに対して、特別交付税は、その年の状況等に応じながら、実態に応じて算定されるという仕組みになっているわけであります。

 これらについては、六%を四%にすべしという現在の法律ができたわけでありますが、最近の多発する災害情勢などを見ると、六%をこのまま継続して維持するのが適切ではなかろうか、こういう判断のもとに今回の法律の改定をお願いしているところであります。

 かつて、地方財政平衡交付金制度のときには八%だったじゃないかという御指摘については、大変貴重な御意見として承りますが、今この時点で政府がそのようなことを考えていいのかどうかということにつきましても、いろいろあろうかと思います。

 以上申し上げて、六%にいたしたい、本則に戻したい、このように考えておる次第でございます。

務台委員 直ちにということではありませんが、地域間の格差是正を行う場合にも特別交付税は非常に役立つと思いますので、そういう観点も踏まえて、前向きな検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、車体課税の話に関連して伺いたいと思います。

 自動車税におけるグリーン化特例が見直され、軽課について対象を重点化した上で強化されてきたということでございます。その反面、新車の新規登録から十三年を経過したガソリン車などについては、車体課税が重課され、今回この措置が延長された。これも、そういうことかなというふうに思います。

 車体課税は、自動車の購入や保有に担税力を見出して課税する建前ですが、経済力がない人は安い中古車を買わざるを得ないという実態もあります。結果的にその自動車が経年車重課されてしまうという問題点は、かねてから指摘されているところだと思います。

 これは特に質問はしませんが、私はちょっと地元の皆様からも言われておる話がございまして、大臣、ノスタルジックカーというのを御存じでしょうか。クラシックカー、ヒストリックカーともいいますが、この経年重課の問題点を指摘されております。自民党の税調の場でも私も何度か質問しているんですけれども、なかなか、へっというような感じで、ちゃんとした返事がなかったので、今回この場で。

 ノスタルジックカーは、歴史的、文化的価値のある古い型の自動車で、最近、ゼロ戦の復活なんというのもありましたけれども、置き物ではなくて実際に公道を走れるところに意味があるということでございます。

 ノスタルジックカーを連ねたパレードとかフェスティバルが行われて、愛好家や観光客を地方に集める良質なコンテンツになっている。これはヨーロッパでは当たり前のように行われております。私の地元の松本でも、近い将来これを計画したいということで、全国からお客さんが集まるインバウンドの一つの手法としても位置づけられております。

 ドイツでは、ナンバープレートの末尾にHナンバーをつけて、これはヒストリックナンバーというんです、ヒストリックのH、そのナンバーがある車は税が優遇されている。古いものを大事にするヨーロッパ。そういうことでございます。

 ノスタルジックカーは経年車で数値上の環境性能はよくないかもしれませんが、実際に年に何回か運転するだけ、持つのに物すごくコストがかかる。それを、自動車税まで重課して本当にいいのかという気がします。

 文化的価値の高いものに重課をする。法隆寺に固定資産税をぼんとかけるようなものなんですよ。いいんですか、これで。という気もしますので、伝統文化を重んじる国として恥ずかしくない地方税の仕組みというのをそろそろ考えていくべきじゃないかというふうに思いますが、これは大臣にぜひお考えを伺いたいと思います。

高市国務大臣 法隆寺は宗教法人でございますので、また違うかと思うんですが。

 自動車税は、二酸化炭素抑制による地球温暖化対策だけではなくて、地域における環境対策を重視する、こういう観点から、排出ガスに係る環境負荷に着目して、グリーン化特例として重課及び軽課の措置が創設されました。

 特に、重課については、乗用車の平均使用年数が約十三年であるということと、十三年前の窒素酸化物の規制値が現在の規制値を約一・六倍上回っているということなどを総合的に勘案して、新車新規登録から十三年を経過した自動車を対象としています。

 委員が御指摘の歴史的、文化的価値の高い車に対する重課の見直しは、貴重な御意見であるとは思うのですが、同じ古い車でもそうした価値が低いと思われる経年車とのバランスですとか、地方のグリーン化の推進といった観点からは、なかなか検討するのに論点の多い課題かなと思います。

 御指摘の点も含めまして、まず関係者の御意見も丁寧に伺いながら検討を進める必要がある課題だと存じます。

務台委員 ありがとうございます。

 税の話は税調で議論して政府に持っていくということだと思いますので、ここで政府の方がいいですよという答えは期待はしていなかったんです。

 きょう、総務委員会の先生方、私、議連をつくってがんがんやろうと思いますので、御賛同いただける方はぜひ議連にも参加していただきたい、そんなことをこの場で宣言させていただきたいと思います。

 ちょっと時間もなくなりましたので、質問を幾つかはしょらせていただきます。

 消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律というのが平成二十五年に成立しました。本当にいい法律ができたというふうに思います。

 この法律の肝は、加入の促進、処遇の改善、装備の充実、教育訓練の充実、そういうことが肝だったんですが、実際に、この法律ができて地方自治体の予算措置がどういうふうに改善したのか。なかなか、まだ施行されたばかりで明らかな数字が出ていないのかもしれませんが、過日、日本消防協会の秋本会長が、サンプル調査をしたところ、二十五年から二十七年の間で一・七倍に装備関係の予算がふえた、そういうふうに言っておられました。

 消防庁として、この点について調査されておられるのか、おられたらその結果についてちょっと御披瀝いただきたいと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年十二月の、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律の制定を受けまして、私ども消防庁でも、消防団への加入促進、処遇の改善、装備の充実強化などに積極的に取り組んできたところでございます。

 予算の関連で申し上げますと、まず、消防団の処遇の改善についてでありますが、これは、地方交付税単価を参考に、年額報酬の低い市町村に対してさまざまな機会を捉えてその引き上げの要請を行ってきたところでありますが、その結果、例えば、平成二十五年四月に二十七団体ありました報酬を支給していない無報酬の団体、これは今年度中に全てなくなりました。

 それから、装備の関係でございますが、消防団の装備については、安全装備品や救助活動資機材等の充実を図るため、平成二十六年二月に消防団の装備基準を改正いたしますとともに、地方交付税措置を大幅に引き上げ、市町村に対して集中的、計画的な整備を働きかけてきたところでございます。

 この装備についての予算額を私どもの方で全市町村を対象に調査させていただいた結果でありますが、この場で御報告させていただきますと、平成二十五年度当初予算の約四十七億円と比較いたしまして、今年度、平成二十七年度の当初予算では約百七億円となっておりまして、約二・三倍となっております。

 今後とも、消防団の充実強化に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

務台委員 二年間で、法律を挟んで二・三倍に装備の予算がふえたというのはすばらしいと思います。やはり議員立法をやっておいてよかったというふうに思います。この法律の効果をさらに発揮するように、消防庁もまた頑張っていただきたいと思います。

 最後に、十八歳選挙年齢の引き下げが行われるんですが、学生の住所の件についてちょっと確認したいと思います。

 昭和二十九年の最高裁判決というのがありまして、寄宿舎に住んでいる学生の住所は寄宿舎だという判決があります。

 ただ、今の時代はもう全然違うので、当時は子供がどんどんふえている時代です。今はどんどん減っていく中で、田舎の子供、地方の子供が都会の寄宿舎に仮に入るとして、そこに全部とられちゃうというのは、これはとんでもないんですよ。子供たちの本拠はやはり親元にあると思います。そういう意味では、学生の住所というのをしっかり、改めて考え方を認定し直す。

 そして、その上で、イタリアあたりでは、調べてみましたら、学生の場合に、いろいろな制約はありますけれども、旅費を支給して選挙をしてもらう、そんな枠組みもあるんです。思い切ってそういうことも考えて学生の住所の問題に取り組めないかな、そういうふうに思うんですが、お考えを伺いたいと思います。

高市国務大臣 住民票の住所につきましては、各人の生活の本拠をいうとされています。

 住所の認定ですけれども、住民基本台帳事務処理要領におきまして、客観的居住の事実を基礎とし、これに居住者の主観的居住意思を総合して市区町村長が決定するとなっています。

 住所については、住民に対して行政サービスを提供する上での基礎となる情報でございます。

 御指摘の、投票のために支援を行う市町村への対応というのは、選挙のあり方自体にかかわる問題でございまして、まずは各党各会派で御議論をいただければ幸いでございます。

務台委員 私は、住所の認定はさまざまな要素を勘案して市区町村で決めるという今のお話ではございますが、総務省としても、投票のために地元に帰る学生の旅費について市町村が支援する場合に、交付税措置をするというようなことも考えてもいいんじゃないかなと思います。もちろん、一定の制約のもとで。

 これは私の希望でございますが、以上、申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

遠山委員長 次に、中村裕之君。

中村(裕)委員 自由民主党の中村裕之でございます。

 質問の機会をいただいた理事初め先生方に大変感謝をしております。ありがとうございます。

 今回の地方税の改正について、法人課税、法人事業税と並んで大きな項目になる自動車車体課税についてまず伺ってまいりたいと思います。

 と申しますのも、車体課税については、納税者が一般ユーザーから事業者まで多岐にわたるという点がありますし、地方税も課税され、国税も課税され、ある意味、取得時の課税もあり、保有に対する課税もあるという複雑な面があるわけでありまして、そうしたものを一度わかりやすく整理しておく必要があるというふうに思っておりまして、その意味で、車体課税について伺ってまいりたいと思います。

 消費税の税率が上がる段階、まず八%の段階で、自動車取得税は五%から三%に税率を引き下げました。そして、一〇%に改定をされる段階で自動車取得税を廃止するという流れでこれまで来ております。

 これは、一つの自動車という取引に関して二つの税が課税をされるというちょっと矛盾があるような形を解消するという意味があるんだろうと私は思っておりまして、一つの取得、取引に対して二つの税ということは解消していくべきだろうということで、この流れで来ていたわけであります。ところが、消費税一〇%改定時には、自動車取得税にかわって環境性能割を導入するということになったわけであります。

 この環境性能割の課税の根拠等、課税についての考え方について確認をさせていただければと思います。

土屋副大臣 車体課税の見直しについてはこの数年議論されてきたことでございますが、これまでの与党税制改正大綱等を踏まえ、消費税率一〇%への引き上げ時に自動車取得税を廃止するとともに、自動車税及び軽自動車税において自動車取得税のグリーン化機能を維持強化する環境性能割を導入することといたしたわけであります。

 この環境性能割については、燃費等に応じて税率が決定される仕組みであり、環境性能がすぐれた自動車の普及等に役立つと同時に、環境負荷の低減を図るもの、このような観点と同時に、地方の安定的な財源確保にも資するということであります。

 今回の見直しについては、登録車については自動車税に、軽自動車については軽自動車税に、それぞれ税目が一本化されるほか、中古車も新車と同じく環境性能割の対象となる、こういうふうなことになっているわけであります。

 したがって、いわゆる改革法の中で方向性が出された安定的な財源の確保、それから簡素化、グリーン化などのことを勘案して決定されたもの、このように理解をいたしております。

中村(裕)委員 簡素化ですとか環境負荷の低い自動車の普及を図っていくという意味で、意味のあることだと思いますが、環境性能割の課税標準や税率、免税点、課税、徴収の方法について具体的にどのように考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車税及び軽自動車税に新たに導入することとしております環境性能割は、自動車の環境性能に応じて税率が決定される環境税制でございますが、その環境性能割の課税標準は、環境インセンティブを最も効果的なものとする観点から、自動車の取得価額としております。

 税率は、燃費基準値の達成度に応じて決定をし、登録車について申し上げれば、ゼロ%、一%、二%、三%の四段階の税率でございます。

 免税点につきましては、自動車取得税と同様、五十万円としております。

 課税、徴収の方法につきましては、徴収事務の円滑化及び事務負担の軽減という観点から、自動車の登録時にあわせて申告納付するとともに、軽自動車税の環境性能割につきましては、当分の間、都道府県が賦課徴収を行うこととしたところでございます。

中村(裕)委員 車体の取引価格、車体価格を課税標準とするという点ですとか、登録時に徴収をするというような点でいうと、自動車取得税に近いような印象があるわけですけれども、環境性能に応じて税率がゼロから四段階の設定でありますので、環境性能の高い自動車については、環境性能割は事実上ゼロ、ゼロ%が適用されるということになるわけであります。

 冒頭、私が申し上げた、一つの取引に対して自動車取得税と消費税と二つの税が課税をされるということを解消するという意味で、環境性能割の導入に一部反発の声があるわけでありますが、私はこの税について賛成をする立場でいるわけであります。

 つまり、自動車取得税が、一〇%に上がった段階で取得税をゼロにするということだけで終わってしまうと、まず、地方の税収に非常に大きな影響を及ぼす。環境性能割で見込んでいる税収は八百九十億と聞いていますが、それがまず穴があいてしまうということが一つでありますし、また、ユーザーにとっても、消費税の税率が二%上がっているにもかかわらず、負担がふえない、つまり自動車ユーザーだけが従来の税制の中で自然に軽減税率のような適用を受けてしまうということになるわけであります。

 それはやはり理にかなっていないことになるんだろうという意味で、環境性能割の導入には賛成の立場であります。ここに環境性能という着目点を導入したことについても、納得できる形だなというふうに思っております。

 そこで、一つ、登録時の徴収について、関連して自動車税について伺いますけれども、昨日の報道によりますと、登録時の月割りの自動車税の納付を免除して、抹消時の月割りの還付を廃止する、つまり年払いというような考え方になろうかと思いますけれども、そうした簡素化を検討していこうというお話が日本経済新聞の中で出ておりました。

 私は、学校を卒業してから道税事務所に勤務をしまして、自動車税徴収課という課に三年勤務をしておりました。

 自動車税は車検時には納付をしていなければならないので滞納が少ないだろうというふうにお思いになるかもしれませんけれども、実は、中古の比較的古い車を購入しては車検をとらずに放置をしてしまう、つまり、二年間の自動車税を未払いのまま残してしまうという乗り方をしている方も実際にたくさんいらっしゃるという点であるとか、また、今使っている自動車を下取りに出したときに、登録によって課税をしているものですから、下取りに出した月割りの自動車税が、抹消登録が一、二カ月おくれるために、月割りが二カ月分とか滞納で残ってしまうというふうなケースがいろいろございまして、そうしたことに多くの徴税の職員が対応しなければならない、つまり、行政コストが非常に多くかかっていたという印象がございます。

 つまり、例えば、三年分なら三年分、二年分なら二年分先取りをしてしまって、抹消登録をすれば還付するというような方法にするだけで、地方の税務職員は非常に多く削れることになるんですけれども、そうすると、逆にユーザーが自動車購入時に負担が非常に大きくなるんだろうという、そういった議論もあるわけであります。

 そうしたバランスを考えたときに、自動車税を、月割りでの考え方を廃止して、あくまでも年払いだという考え方を持つということは、非常に簡素化にもなりますし、登録時の月割りの納税を免除することによって、購入時の負担軽減、つまり、環境性能割も登録時に納税をしていただくことになりますけれども、自動車税も登録時に月割り納付をしているわけですから、それを免除することによって登録時の負担軽減にもつながるということであります。これは、簡素でそして効率的な税として自動車税を見直す上で非常に意義のある見直しだというふうに私は受けとめたところであります。

 総務省として、その点について現時点でどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車税は、例えば、自動車を取得した初年度につきましては、取得月の翌月から年度末までの月数に応じて課税される月割り課税を実施しております。これに対しまして、軽自動車税や固定資産税では、賦課期日時点の所有者に対して年額を課税しておりまして、月割り課税は行っておりません。

 平成二十八年度税制改正においては、この月割り課税の廃止について、経済産業省からも要請がございました。

 仮に月割り課税を廃止する場合には、委員の御経験も踏まえたお話にもございましたように、課税事務の簡素化につながる、また自動車の取得時の負担軽減にもつながる、そういうメリットがございます。一方で、応益課税の原則、あるいは自動車販売への影響といったような観点からの課題というのも考えられるところでございます。

 平成二十八年度の与党の税制改正大綱におきましては、「平成二十九年度税制改正において、安定的な財源を確保し、地方財政に影響を与えないよう配慮しつつ、自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる。」とされておりまして、この大綱の内容を踏まえて、御指摘いただきました月割り課税のあり方も含め、今後の税制改正プロセスにおいて議論いただけるものというふうに考えております。

中村(裕)委員 二十九年度の税制改正の一つの大きな議題になろうというふうに思います。

 私なりに、自分の経験を踏まえてそうした議論に参加をしていきたいと思いますけれども、非常に理にかなっているというふうに私は思っていますので、今後も、総務省の方でも、ユーザーまた販売店等のさまざまな観点から検討を加えていただくことを望みます。

 次に、消費税一〇%への引き上げも踏まえれば、自動車ユーザーの負担軽減にも配慮する必要があるわけでありますけれども、環境性能割の導入に当たり、どのような負担軽減策を考えていらっしゃるのか、導入をされるのか、その点について確認をさせていただければと思います。

土屋副大臣 環境性能割については、先ほど申しましたとおり、与党税制改正大綱を踏まえた上で導入したわけでございますが、いわゆる自動車取得税のグリーン化機能を維持強化するものと位置づけた上で、具体的な検討をしたところであります。

 本年度の自動車取得税に比べて約二百億円の負担減、負担減といいますか、ユーザーにとっては負担減、こういうことになるわけであります。

 現在の自動車取得税におけるエコカー減税と比べると、燃費性能等の基準に基づき非課税となる車の割合が高まり、乗用車の新車販売台数の約五割に達する、従前は四割でございましたが、五割に達するということでございます。

 これは、平成三十二年基準のプラス一〇%というような、従来プラス二〇%だったのをプラス一〇%にしたとか、いろいろなことによって影響してきているわけであります。

 中古車についても新車と同じ扱いとなり、非課税の区分が新たに設けられたところであり、負担軽減にもつながっているわけであります。

 そういうことでございます。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 グリーン化の特例の部分について、非常に重きを置いているということでございます。

 消費税五%段階での自動車取得税の税収総額というのは二千五百億、それが八%段階で五%から三%に税率を引き下げ、グリーン化を導入し、一千百億にしたものが、今の環境性能割では八百九十億ということですので、その分、ユーザー側の負担も当然減ることになるんだろうというふうに思います。

 特に、自動車の取得価額が高いトラックやバスなどの営業用自動車については、住民の暮らしや我が国の経済を支えていく非常に重要な輸送機関でもあります。環境性能割の導入に当たっては、そうしたトラックやバスなどについて、より配慮が必要になるというふうに考えるところでありますけれども、そうした点について、どのような配慮をなされているのか、確認をさせていただければと思います。

土屋副大臣 御指摘のとおり、環境性能割を入れるということは、地球環境的な観点から負荷が軽減される、このことに着目をしているわけでございます。

 そういう観点から、御指摘のトラックやバス等の営業用自動車について考えますと、自家用に比べて貨物の積載率が高く、貨物の積載率が、例えばトラックの積載率は、自家用は平均二三%でありますが、営業用トラックは三七%、つまり物を運ぶのに対して環境負荷が少ないわけであります。

 二酸化炭素の排出量が大幅に少ないということもあり、こういったところに着目して、現行の自動車取得税では三%だったのが、営業用自動車は当分の間二%の税率といたしているわけであります。

 また、バスも同様な観点から、環境性能割を入れるに当たって、環境負荷の低減を図るという政策目的に同一になるように以上のような措置をしている、こういうことになるわけでございます。

中村(裕)委員 いろいろと車体課税について伺ってまいりましたけれども、自動車取得税が廃止をされて、今度は自動車税の方に一本化をされていく。

 税目上も簡素化をされ、そして、環境性能という着目点から軽減も図られながら地方財政も確保されるということで、非常によい税制に仕上がっているのではないかというふうに考えているところでありまして、懸念される点についても配慮がなされているということでございます。

 ただ、冒頭申し上げたとおり、やはりいろいろな税の課税の意味合いというものについてまだ世の中に誤解があるように感じますので、総務省としてしっかりとPRに努めていただければというふうに思います。その点をお願いしておきたいと思います。

 次に、新たな特例についてですけれども、実は、私の町は、NHKの朝のテレビ小説「マッサン」で非常に観光客がふえておりまして、ニッカウイスキー北海道工場に訪れるお客様も三倍から四倍にふえて、それがまだ継続をしている状況です。

 ニッカウイスキー北海道工場の正門前の道路は、リタ夫人の名前をとってリタロードということで名称をつけて、もう二十年ほど前から、住民の皆さんがお花を植えたり、美化運動をずっと続けてきていまして、道路管理者の方も、北海道開発局になるんですけれども、タイル張りの歩道にしていただいたり、工夫を凝らしてきたところであります。

 しかし、残念ながら、正門前に大きな電柱がございまして、写真を撮ってもどうもその電柱が絵にならないということで、町議会でも問題になりまして、その電柱の地中化について今お願いをしているところなんですね。

 そういう状況にある中で、法律の方も準備をされているところでありますが、今回、特例措置として、無電柱化の推進に向けて税制上の応援をする措置が設けられたと承知をしております。この措置についての内容と期待される効果について、総務省からの見解をお伺いしたいと思います。

土屋副大臣 無電柱化論は、ずっと、二十数年来にわたって、景観とかいろいろなことから続いてきたわけでございますが、とりわけ東日本大震災において、電柱の倒壊による緊急車両等の通行が阻害され、被災者の救助や救援物資の輸送に支障が生じたことから、こういった事態を未然に防止するには無電柱化の促進が重要であるという観点で、今回の改正案において、無電柱化促進のための固定資産税の特例措置を創設することといたしました。

 具体的には、防災上の重要な道路として、都道府県が地域防災計画に位置づけられた緊急輸送道路、昔は啓開道路と言っておったわけでありますが、こういう啓開道路に指定されたものについては、無電柱化のために新設した電線等に係る固定資産税の課税標準を、最初の四年度分、価格の三分の二としたところであります。

 なお、道路法に基づき電柱の占用禁止区域として指定された道路については、新たなる電柱の占用は許可されないわけでありますから、電柱を設置できないために、特例率を拡充して、課税標準を、最初の四年度分、価格の二分の一としているわけであります。

 もっとも、電柱を設置するよりもいわゆる固定資産費が相当かかるわけでありますから、税収そのものは余り変化がないんじゃないかというふうに踏んでいるところでございます。

 お互いに、電力会社や通信会社も含めて、みんなでその方向に行っていただくことを期待している次第でございます。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 ニッカウイスキー工場の隣には消防署がございまして、消防車や救急車がそこから出動するわけでありますが、最近、台風の大型化ですとかによって、住宅の屋根が飛んで電線に引っかかって電柱が倒れると、救急車や消防車の出動にも支障が出るということもありまして、住民の期待は非常に大きいということであります。こうしたところを総務省として特例措置で応援していただけるのは非常にありがたいことだなというふうに感じているところであります。

 次に、地方財政措置について伺うわけでありますが、最近の国の法律改正や国の事業の方向性によって、直近数年間に限り地方の負担がふえるという例が幾つかあるわけであります。

 私が懸念しているものの中で、耐震促進法に基づく耐震診断への支援、これは、病院、ホテルなどの広く一般住民の方が集まる建物について耐震診断を行い、その上で公表する、また、耐震の改修をする場合に、地方が補助を出せば国も上乗せ補助をするというような仕組みになっているわけでありまして、そのことによって地方の一般財源からの支出が出ていくだろうということが一つあります。

 二点目には、土砂災害防止法に基づく土砂危険地域の調査を行うということが、五年以内ということが定められました。

 そして、この二十八年度予算でも審議の対象になっている地方創生の新型交付金について、地方負担の二分の一があるわけでありまして、こうしたものについて、国の法律改正によって地方の負担が一時的に膨らむことにつながるのではないかということを危惧しているわけであります。

 こうしたものに対して、総務省としても地方財政措置によって支援をしていくことが必要だというふうに思いますが、それぞれについて、総務省の対応についてお伺いしたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 三点に係る地方負担についての御質問がございました。

 一点目、耐震改修促進法に基づきます耐震診断への支援に係る経費につきましては、国庫補助事業に伴う地方負担につきまして、特別交付税で措置をしているところでございます。

 二点目でございます、都道府県が土砂災害防止法に基づきまして行う基礎調査に係る経費についてでございますが、地方負担につきまして、普通交付税で措置をしているところでございます。

 三点目でございますけれども、地方創生の新型交付金、地方創生推進交付金についての地方負担でございますが、ソフト事業につきましては、地方負担の五割程度は標準的な事業費として普通交付税措置を行った上で、残余につきまして事業費に応じて特別交付税で措置し、ハード事業につきましては、地方負担について地方債を充当し、その元利償還金の一部に普通交付税措置を講ずることとしているところでございます。

中村(裕)委員 ありがとうございます。

 それぞれに特別交付税、普通交付税、また地方債などの手当てがされているということであります。こうした配慮が地方の積極的な防災、また地方創生につながっていくことというふうに思います。

 最後に、高市大臣の決意ですとか、地方に対するメッセージも含めてお伺いしたいわけであります。

 安倍政権として、地方創生を全面的に、政策の前面に打ち出して今進めようとしているところでありまして、こうした中で、地方自治や地方税財政を所管する大臣として、地方創生について、平成二十八年度の地方財政対策や地方税の税制改正でどのような配慮をなされたのか、また、地方へのメッセージも含めて、すてきなお洋服でもありますので、ぜひ大臣から御答弁をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

高市国務大臣 珍しく服を褒めていただきました。ありがとうございます。

 地方へのメッセージということなんですが、まず、急速に進行する少子高齢化、人口減少、これを克服しながら、地域経済の縮小に歯どめをかけるということを考えますと、地方創生を推進することが必要でありまして、これが地方にとっても喫緊の課題だと考えております。

 どういう配慮をしたかということなんですが、二十八年度の地方財政対策、地方税制の改正においては、この地方創生の推進という観点も踏まえて対応しました。

 地方財政対策においては、地方団体が自主性、主体性を最大限発揮して地方創生に取り組めるようにということで、まち・ひと・しごと創生事業費について前年度同額の一兆円を計上するとともに、地方の一般財源総額につきまして、前年度を〇・一兆円上回る六十一・七兆円を確保したということでございます。また、地方創生推進交付金の地方負担分につきまして、まち・ひと・しごと創生事業費とは別に地方財政措置を適切に講じることにしています。

 地方税の税制改正におきましても、法人住民税法人税割の交付税原資化など、地方法人課税の偏在是正を行うことによりまして財政力格差の縮小を図るというところをポイントにいたしております。

 おおむね地方団体からは御評価をいただいておりまして、二十八年度の地方財政対策、地方税制改正は、地方創生にもしっかり対応できると思います。

 ともに頑張ってまいりたいと存じます。

中村(裕)委員 大臣、ありがとうございます。

 石破地方創生担当大臣も、我が国に残されている時間はそう多くないというお話もされているところでありまして、地方の経済の縮小に歯どめをかけるという部分は、非常に大きな国としての投げかけだと私も思っております。

 こうした地方財政措置等をしっかり活用しながら、地方も知恵を出しながら、地方の経済の縮小に歯どめをかけて稼げる地方をつくっていけるように頑張ってまいりますので、今後とも総務省のお力添えをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございます。

遠山委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。それでは、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、固定資産税についてお伺いします。

 今回の地方税法の改正の中に、農水省が進めております農地中間管理機構の利用促進を狙って、農地の固定資産税率にある種の段階をつけるというのが含まれております。

 それからもう一つが、地方税法の改正ではありませんけれども、他省庁所管の法律の中で、中小企業の活性化を目的にして、中小企業の固定資産税の一部をある一定の要件のもとに減額するというような措置も盛り込まれているわけであります。

 私、税制や補助金、財政などによって政策を誘導するということは、これはもちろん一つの手段としてあることだとは思っているんですけれども、固定資産税がこうした場面でいつも議論の対象になるといいましょうか、その対象になるわけですけれども、少しやり過ぎではないかなという気がしております。固定資産税はやはり地方にとって大変重要な基幹となる税でありますので、年がかわるたびに固定資産税のどこかがかすめ取られているような気がして、しようがないわけであります。

 したがいまして、まず一点目、大臣に、こうした政策誘導のために特に他省庁から固定資産税について減免、減額といったものが求められるわけですけれども、これは少しこらえていただいて、もう少し慎重にやっていただくというようなことが必要ではないかというのをお伺いしたいということ。

 それから、中小企業対策、今回の対策ですけれども、三年間の時限ということでありますけれども、この延長はあるのかないのか。この類いのものを延長一回やっちゃうと、何かみんなその状況が当たり前であるかのように思って、三年後にはまた延長、延長ということになるわけですが、そうなればまた固定資産税が骨抜きにされるということでありますので、二点目、この延長というものはない、今の時点では考えられないんだということがあるのかないのか、大臣にお伺いしたい。

 三点目、当然、固定資産税は減収になりますので、減収になった場合の対応をどうするのか。

 以上、お伺いします。

高市国務大臣 固定資産税は、税収が約八・七兆円、市町村税収の約四割を占めます、住民に身近な行政サービスを支える市町村の重要な基幹税でございます。

 一方で、今般、地域経済の活性化に向けて、地域の中小企業による設備投資の促進や、意欲のある担い手への農地の集積、集約化の加速を図ることは重要だという観点から、あくまでも時限的な措置として、中小企業が新規取得した一定の機械及び装置や、農地集積バンクに貸し付けた一定の農地に対する固定資産税の特例措置を創設することとなりました。

 しかしながら、政府内での議論に当たりましては、私からも相当激しい意見も実は申し上げております。特に、中小企業者等が生産性向上に資する一定の機械、装置の取得をした場合に、固定資産税の課税標準を、最初の三年間、価格の二分の一とする時限的な特例措置を創設するということになったんですけれども、償却資産に対する固定資産税が約一・五兆円、そのうち機械、装置分が約七千億円でございますので、これはかなり私も強く訴えた点でありますし、私が出席しました地方六団体との会合の場、国と地方の協議の場においても、全国市長会や全国町村会の代表の方々から厳しい御意見も賜りました。

 また、政府の方でも、地方財政審議会からも、経済対策などの国の政策目的のために地方税制を用いるということは、地方税における応益課税の原則や税負担の公平性をゆがめるものであり、可能な限り行うべきではないという御意見もいただいておりますので、まずは、今後、税負担軽減措置について、その必要性について不断の見直しを行うこと、それから地方財源の充実確保に努めていきたいと思っております。

 その上で、激しい議論が本当に政府内であったんですけれども、与党税制改正大綱では、償却資産に対する固定資産税の制度は堅持するということにされたこと、それから、生産性向上に資する一定の機械、装置に対象を限定して時限的に講ずるものである、その減収額が市町村の財政運営にできる限り影響を生じさせないように努めたということでございます。

 延長についてのお問いかけでございますが、私は、このような特例措置の安易な延長というものはすべきでないと考えております。

 それから、減額されてしまった分なんですけれども、この特例措置で、固定資産税の減収額の七五%につきましては、普通交付税の基準財政収入額が減収することによりまして、普通交付税によって財源措置がなされます。

 ということで、三点、お答えを申し上げました。

逢坂委員 大臣の思い、考えはよくわかりましたけれども、安易にこういうのを認めるべきではないというふうに私も思っていますので、よろしくお願いします。

 それから、減収額に対する補填は通常の交付税対応だということでありますね。わかりました。もう少し何らかのことがあればなという気はしたんですけれども、ちょっと残念な気がいたします。

 それでは次に、NHKの方にお越しいただいておりますけれども、NHKの問題について少し話をさせていただきたいと思います。

 まず冒頭に、きのう、会長の兼業の話をさせていただいたんですけれども、実は私のもとへ、会長就任時に会長が何らかの対価を得てNHKの会長の仕事以外のことをされているという情報がもたらされまして、それで会長の方に確認の意味で聞かせていただきましたところ、会長が記憶している範囲ではそういうのはないんだということでありました。

 いずれまた記憶が戻りましたら、ほかの記憶がもし戻るようなことがあれば、また、そういうことがあったのかなかったのか、お伝えいただければというふうに思います。

 これはここでやめておきたいと思います。

 それで、私、最近、NHKの理事会とそれから経営委員会の議事録、特に十一月とか十二月とかのもの、あるいは一月の上旬のものを見せていただいているんですけれども、どうもつじつまが合わないんですね。

 何か、ある案件が、突然、議事録に載ってきたり、今まで全く議論されていたのかいないのかわからないようなことが、突然、釈明のようなことが書かれていたり。あるいは、NHKの予算の議論をしているはずなのに、その議論をしている内容が必ずしも載っていなかったり。

 あるいは、経営委員会と理事会の議事録の密度といいましょうか、記録の密度が全く違うんですね。理事会の議事録を見ていると、何を議論しているのか全くわからないというような感じがするわけです。他方、経営委員会の方は割と細かに、人の名前も含めて、こんな発言があったということがわかるわけですね。

 だから、きょうはそのあたり、経営委員会とそれから理事会の議事録を中心にして、少しお話を伺ってみたいと思います。

 まず、十二月の八日の理事会で関連団体の土地の取得ということが議論になっているわけですが、ここで井上理事が、この土地取引のような関連団体の重要な取引は、内部統制関係議決のもと、事前にNHKの了承を得るべきものですというような発言をされて、精査して最終決定すべきと考えますという話をしています。それから、板野専務理事は、今の段階でわからないことが多い、予算編成要綱の議論は先に延ばすべきではないでしょうかとの発言をされているんです。

 そこで、井上さんと板野さん、両方にお伺いするんですけれども、この土地取引の話というのを知ったのは、この時点、理事会の時点が初めてなんでしょうか。それとも、それ以前から御存じだったんでしょうか。お二人にそれぞれお伺いします。

井上参考人 お答え申し上げます。

 十二月八日の理事会の議事録では、今先生が仰せの発言を行いました。

 ただ、この土地購入の件につきましては、関連団体担当理事として、事前に聞いておりました。

板野参考人 十二月八日の理事会では、その段階でこの土地取引にかかわることでわからないことがいろいろございましたので、改めて議論すべきだと考え、議事録にあるような発言を申し上げました。

逢坂委員 今の板野さんの答弁では、あらかじめ知っていたのか、事前に話があったのかということについての答弁はございましたか。ちょっと確認なんですけれども。

板野参考人 お答えいたします。

 これに先立ちます十一月三十日の役員連絡会で、関連団体による土地取得の検討状況に関する意見交換がございました。

逢坂委員 では、板野専務理事はそこで初めて知ったということでよろしいわけでしょうか。

板野参考人 さようでございます。

逢坂委員 そこで、監査委員会の監査報告書というのがこの土地の取引に関して出ているわけですが、監査委員会の監査報告書を読むと、NHKビジネスクリエイトがこの土地の問題について買い受け申込書を提出するというようなことが行われているわけです。その際に、財務・経理担当理事、関連事業担当理事などが、買い受け申込書を提出することを確認する文書に署名捺印をしているということなんですね。

 そこで、会長にお伺いするんですけれども、この時点での財務・経理担当理事と関連事業担当理事というのはどなたでしたか。

籾井参考人 財務・経理担当理事は福井専務理事でございます。それから、関連事業担当理事は井上理事でございます。

逢坂委員 それでは、まず、井上理事にお伺いしますけれども、この買い受け申込書というのに署名捺印したのはいつの時点でしょうか。

井上参考人 お答えいたします。

 買い受け証明書の確認書というものに十一月の十三日の日付になっているというふうに覚えております。

逢坂委員 十一月十三日の時点で買い受け申込書に署名捺印をしていたと。

 どちらかといえば、署名捺印をするということは、この土地の購入取引について是である、賛成という言い方がいいかどうかわかりませんけれども、これを推進することについて、ある種、承認、了解があったようにも思われるわけですね。

 一方、板野さんについては、十一月三十日に初めて聞いたというわけですから、事情がまだよくわからぬというところは十二月八日の理事会であるのかもしれないんですけれども。

 井上さんにお伺いしたいんですけれども、十二月八日は、反対とまではこの議事録上では言っておりませんけれども、議事録上で、再度精査して最終決定すべきだという話をされたり、あるいは、内部統制関係議決のもとにやるべきだ、事前にNHKに了承を得るべきだということを言っているわけですが、十一月の十三日から十二月の八日までは約一月間あるわけですよね。この間にこういう対応というのはとれなかったんですか。いかがですか。

井上参考人 お答え申し上げます。

 この案につきましては、関連団体の今後の運営には大変意義のあることだ、これは関連団体の集約化という意味合いもありましたので、そういったことで検討を進めてまいったところでございますけれども、この検討を重ねる中で、この間、手続上さらに慎重に進めていくべきではないかという考えに至りました。

 そのため、今お話がありました十二月八日の理事会では、こうした手続の確認とさらなる精査ということを発言の中で提起したということでございます。

逢坂委員 そこで、会長にお伺いするんですけれども、まず一つ、この買い受け申込書なるものに理事二名が署名捺印をしている、しかも、そういうものを出すということはあらかじめ御存じだったわけですか。

籾井参考人 お答えします。

 事後的に報告を受けております。

逢坂委員 事後的に報告を受けたということでありますけれども、それでは、署名捺印されたのは、きょう、福井さんも来ておりますし、井上さんも来ておりますけれども、会長に断らずにやったということでよろしいんでしょうか。

 二名、いかがですか。

福井参考人 買い受け申込書は、署名捺印というのは子会社のビジネスクリエイトが行っております。買い受け申込書を出すことについての確認書を、一応、私と井上理事とNBCの社長で、三者で確認したということです。会長には報告をその後しております。提案として出しますということで報告しております。

井上参考人 今、福井専務がお答えしたとおりの認識であります。

逢坂委員 これはまた会長にお伺いしますけれども、この買い受け申込書なるものといいましょうか、これは価格が記載をされているものだというふうに認識をしております。価格が記載されたものを、取引相手か仲介者かわかりませんけれども、どなたかに出すということ、何ぼという価格が書かれているかわかりませんけれども、三百五十億とか三百四十億とか書かれているのではないかとは思いますけれども、この価格というのは後に大幅に変更できる性質のものなんでしょうか。

 会長、いかがですか。

籾井参考人 プロセスとして、優先交渉権の取得というのがございます。関連団体による購入の提示額として、民間の金融機関の助言に基づき提示いたしました。

 もとより、この内容については、そこで確定したものでもございませんので、これは実際に購入を表明した後の交渉によっていろいろ変わるものだというふうに認識しております。

逢坂委員 会長、お聞きしていないことも言っていただいたんですけれども、これは買い受け表明をした後に価格交渉によって変わるんだということであります。

 会長としては、この手続をどこの段階で正式に理事会なり経営委員会に諮ろうとしていたんですか。

籾井参考人 きのうから申しておりますように、これは優先交渉権でありまして、まだ関連企業の手続も、それから、我々内部の手続といいましょうか、そういうこともまだ全くなされていない状況であります。したがいまして、関連企業がこれをやると決めた段階で交渉に入るということだと認識しております。もとより、交渉が決裂するということもあり得るわけでございます。

逢坂委員 私の質問はそうではなくて、どの時点で理事会や経営委員会にこのことを言うつもりでいたのかという質問です。

籾井参考人 十二月八日に、経営委員会には御説明申し上げました。理事会にも御説明申し上げました。

逢坂委員 言うつもりでいたのかということを聞いたわけでありまして、どこで言ったかという話を聞いたわけではないんですけれども。

 それでは、あらかじめどの時点で正式な交渉というふうに思われていたのか、そこのところはよくわからないんですけれども、これはちょっと脇に置いておいて、もう一つお話をさせていただきます。

 今度はまた、これも議事録レベルです。十二月八日の理事会で、これは塚田専務理事からの発言の中にあるんですけれども、一部、予算編成方針からの変更がありますというようなことが言われているわけですが、十二月八日の段階では、それまで議論していた理事会での予算編成方針が変更になったものが提案されているということでよろしいでしょうか、会長。

福井参考人 これは、予算編成過程の段階で、予算編成方針の全体の収支の構造と予算編成要綱に移る段階で、若干収支の差があります。一応、特別配当の取りやめを一時検討しましたが、そういう段階で総額の変更はございます。

 これは、過去にも予算編成過程で額が変わるということは数回ございます。

逢坂委員 十月二十七日の経営委員会の議事録を見ると、その時点で予算編成の考え方として示されている事業全体総額が七千十六億なんです。あらかじめ、我々も、何か漏れ聞くところによると、来年のNHKの予算全体は七千十六億円らしいぞという話を聞いていたんですけれども、この十二月八日の理事会の時点では、六千九百七十九億円の予算が提示されていたように、さまざまなところからの情報によれば推測ができるんです。

 この辺、福井さん、間違いないでしょうか。

福井参考人 先ほども申しましたように、予算編成の過程で、その段階では財務収入の特別配当三十九億円を一時中止したことがあります。最終的にはやることで、予算編成要綱として提出をしてございます。

逢坂委員 私が言いたいのは、予算は変わるということはあり得ると思うんですよ。ところが、この間の、十月下旬から十一月、それから十二月八日に至るまでの理事会あるいは経営委員会の議事録を読んでも、予算が変わるということを議論している痕跡が何にもないんですね。

 それで、突然、十二月八日の理事会にこういうものが出てくるわけですよね。そして、あたかも既定、既定というのは、あらかじめみんなが知っていたかのように土地の取引の話が出てきたり。塚田専務理事は明確に言っているんですね、関連団体の土地取引の関係で、一部、予算編成方針からの変更がありますと。要するに、今回の予算編成方針の変更は土地取引の関係なんだということを明確に言っているわけですよ。

 NHKの予算をつくる上で、こんな不透明なことというのはないんじゃないですか。さっきの買い受け申込書だって、会長は、そんなことは民間企業では当たり前なんだとお思いになっているかどうかはわかりませんけれども、これは国民の皆さんの受信料でやっているんですよ、関連団体とはいえ。こんな不透明なことで三十億も予算を変えたりするということは、私は全く説明になっていないというふうに思うんです。

 改めてちょっとお伺いしますが、十一月十三日に土地の買い受け申込書の確認書に書いた、それから後、十二月八日までの間にどこでどんな議論が行われて予算が変わったんですか。説明してください。

福井参考人 これは予算編成過程の段階で変更になったということなんですが、時系列で申しますと、先ほど言いましたように、十一月三十日の役員連絡会で土地の購入について意見交換しました。それから、十二月一日にも、これは役員会でいろいろ議論をしています。議論の中身は申しませんが、そういう過程を経て変更したということでございます。

逢坂委員 これは、私は経営委員会に対しても失礼だと思いますよ。経営委員会には十月二十七日に予算編成の考え方というのを示して、それから十一月の二十四日の経営委員会でも平成二十八年度予算編成方針というのを出しているんですね。この段階でも、この予算が変わる前のものを出されているはずなんですよね。その直後に、何か急転直下のように変わっているわけですよ。しかも、その議論の中身、詳細は申し上げられませんなんということは、説明がつかないじゃないですか。

 会長、こういうことが不透明だと言われるんですよ。会長、いかがですか。

籾井参考人 まず、土地の問題と予算の問題というのは、二つ、別々のもので走っていたわけですね。タイミングとしてこれが一致したんです。

 いずれにしましても、我々としましては、予算の議論をしながら、土地の議論をしながらということで来ていたわけで、まだまだ先のある話で、みんながこれを理解しているとか、完全に我々が決める方針で進めているとか、そういう段階ではなかったわけですよ。この辺を御理解いただきたいんです。これが、私がきのうも申しておりますように、まだスタートしていないんです。ですから、最終的にはスタートすることをやめたということなわけです。

 一方、予算の方というのは、これは既定方針どおり進んで、三十九億円、さっき福井からありましたけれども、この辺の出し入れの問題はありますけれども、基本的な方針は全く変えておらないつもりでございます。

逢坂委員 会長に改めてお伺いしますが、正式にスタートするというのはどの時点だという認識でおられたんですか。スタートしておらないんだ、おらないんだということを繰り返しおっしゃっておられる。スタートしておらないんだから問題がなかったかのような発言をしているんですけれども、私にはそうは思えない。

 会長は、正式にスタートというのはどの時点だと思っているんですか。

籾井参考人 お答えいたします。

 関連企業の取締役会で了承が得られた時点が本当のスタートだと思います。

逢坂委員 籾井会長、三百五十億円というものを買い受け申込書に記載して、交渉相手なのか誰なのか、誰かはわかりませんけれども、そこへ出したということ、これは事実上、取引相手に対してNHK及びNHK関連団体として三百五十億円ぐらいの価格でこれを購入するぞという意思の表明じゃないですか。

 この意思の表明を、いや、関連団体はまだはっきりしていないとか、理事会や経営委員会にもまだよく言っていないんだ、だからこれは何の問題もないんだというようなことを言っているわけですけれども、正式な議論もないままにこんなものを出すこと自体が問題なんじゃないですか。これこそが、私は国民の皆さんに対する背信行為だと思いますよ。三百五十億ものものを正式な議論もないままに出している。私はそう思いますよ。

 なぜそんなことを言うかというと、例えば、来年度の予算に当たって、経営委員会に対しても、十月の時点で考え方を示し、十一月もまた説明し、そして十二月もやりということで、ある種段階を踏んでやってきているわけですよ。

 会長は土地の問題と予算の問題は別であるかのような言い方をしていますけれども、これは全く別じゃないですよ。土地のことがあったから三十九億予算を減らしたということは、これは明確ですから、そのことによって配当を変えたわけですから。

 会長、ここは、この認識があるからNHKのガバナンスというのはうまくいかないんだと私は思うんですよ。会長、いかがですか。

籾井参考人 もちろん、この種の問題というのは非常に大事な問題で、関連企業にとって非常に大事な問題であります。我々NHKにとっても重要な問題であります。

 そういう意味において、やはりまた一方で、関連企業をまとめるということも非常に大切なことだということで、二十五日に説明したわけです。皆さん、それで賛同は得たわけですね。しかしながら、まだ取締役会も開かれていませんし、そういう中で、関連企業が正式に了承したわけでもない。ただ、物の考え方として、我々は了解を得たわけです。

 先ほど言いましたように、土地の問題というのは、ずっと、土地より前に、建物を買うという話があったんですね。それがずっと転じて、その話が崩れて土地の問題が出てきたという話が一つあるわけです。一方、同時に、もちろん予算はやっていたわけです。そういう中で、剰余金をどうするかという問題もあったわけです。そういうことで、十一月三十日とか、十二月八日に来たわけですよ。

 だから、こういうものについては、即、ぱっと公式の交渉に入るというよりは、やはりいろいろ相手との話とかそういうこともあるわけでございまして、私は何も、手続をはしょっているとか、そういう怠慢をしたとかいう認識はないのでございますが、もちろんないのでございますけれども、実際には、申しましたように、実際の手続に入るという前の段階だったわけです。

 入るとすれば、やはり関連企業の取締役会の了解を得なきゃならない、これはまず第一です。なぜならば、関連企業が買うわけですから。そして、それに基づいて我々が理事会でどういう決断をするか、そして、経営委員会に御説明申し上げる、こういう段取りだったと思います。

 もちろん、その間に交渉もしなければいけませんし、交渉する過程において話が壊れることだってあるわけです。ですから、まだまだこの話は非常に手前の段階なわけですよ。交渉事というのはいつもそういうことがあるわけでございまして、これは、私は、相手をどうしたとかそういうことはなくて、契約をやるとき、あるいは交渉事をやるときの全く通常のやり方だというふうに思っております。

逢坂委員 会長、今の話の順番が逆なんですよ。買い受け申込書を出して、その後で実は関連団体の話し合いをしてみんなの合意をとるというのは逆なんですよ。関連団体の皆さんと話をして、こういう方向でいきましょう、それを決めておいてからじゃなかったら本来こういうことはやれないというのは、公共性の強い機関の常識ですよ。こんなことを例えば自治体で先にやったら、とんでもないことになりますよ。

 私は二十二年間自治体の現場にいましたけれども、担当部長や担当局長の名前で、我が市はこの土地を三百五十億円で買うことの交渉に入る、お願いをしますとやる、やってみて交渉をやっていく、途中で議会に説明をして、議会に対して、実は予算の計上もまだです、だけれども今とりあえず交渉に入っています、こんなことなんか絶対認められないですよ。

 だから、私は、会長は、会長として、本当に公共性の強い機関のトップとして適格ではないと思われるんです。

 それは、民間企業で、御自身の意思でさまざま自由に取引できるということは、場合によってはあるかもしれません。公共的な団体よりもそれは自由度が高いでしょう。だがしかし、公共性の強い団体というのはそうはいかないんです。だからこそ、説明責任の難しさがあり、みんなつらさがあるんですよ。多分、周辺に座っている役人の皆さんも、だからこそ役人の仕事というのはつらいんだよねと思っているところはあると思いますよ。そこのところが会長はわかっていないんですよ。安く土地さえ買えばいい、もしそういう思いでやっているとすれば、それは全く不適切なことだと私は思いますよ。

 では、次にちょっと行きます。後でまた会長にお伺いしますが、今度は上田監査委員にお伺いしたいんです。

 上田監査委員は、十二月八日の経営委員会で、この土地取引のことについて大変いい発言をされているんですね。上田監査委員の発言を抜いてちょっと読ませていただきます。

 関連団体の事業活動における遵守事項として、不正な取引を行わないことだとか、過大なリスクのある事業は行わないこと、あるいは、重要な資産の取得など関連団体の経営の重要な事項については、関連団体と協会が事前に協議することを定めているというようなことを言っているんですね。

 それから次に、NHK職員との適切な事前協議を経て行われたものであるかどうか、こういうものをチェックする必要があるんじゃないかといったようなことも言っている。

 それから、今回の土地取引をめぐる相手方との交渉や、仲介業者との折衝、さらには関係関連団体内の意思決定が適切な手続を経て行われていること、また、購入価格を含め取引内容、条件がNHKグループとして説明責任を果たせるものとなっていること、これらのことを執行部が厳正に確認した上で意思決定がなされる必要があると考えていますと言っているんですね。

 私は、これは非常に真っ当な指摘だと思うんです。

 ところが、私がちょっと理解に苦しむのは、こういうふうに言っていた上田さんが監査報告書を出してみたら、監査報告書のポイントが二つしかないんですよ。一つは、法令や協会内の規程に違反していなかったかということと、金銭的損失が生ずることがなかったかというこの二点が、十二月二十二日の監査報告書のポイントなんですね。

 でも、十二月八日の時点では、あれほどまでに細かく、職員との事前協議の状況だとか価格の適切さだとかそういうことまで言っているわけなんですけれども、なぜ、こういう監査報告書だけしか出さなかったのかなというところが私は不思議でしようがないんです。

 十二月八日の議事録を見る限りは、これはきちっとやっていただけるなという気がするのでありますが、なぜ、これは二点だけになったんですか。そのほかのポイントはなぜ監査報告書に載せなかったんですか。

上田参考人 お答えいたします。

 私がこの土地取引を知りましたのは十二月一日の理事会でして、相当額の土地取引であること、したがいまして、これがしっかりと放送法それから関連の規程に抵触していないかどうかということを調べる必要があるということで、至急調査を開始いたしました。

 一週間ほどたって、十二月八日の日に、その調査結果を踏まえて、今委員の方から引用していただきましたけれども、経営委員会のこの発言になっております。

 発言の直後、実は、本件を撤回するということが決まったという報告を受けました。したがって、私としては、撤回することになったんだったら、では、それでよしじゃなくて、その二番目のポイントにありますように、買い受け申込書の提出及びこれに続く本件土地取引の撤回によって協会、関連団体に金銭的損失が生じるか、先ほどから話題になっています買い受け申込書というのが法律的にどういう意味があるのか、これによって何らかの損害がNHKに生じないのか、これが最大の課題だというふうに認識いたしましたので、早速その点で調査を開始いたしまして、その結果を、十二月二十二日、次回の経営委員会で御報告させていただいた、こういうことです。

逢坂委員 直接的な損害が出るかどうかというのは、これは重要なポイントだということは私も否定はいたしません。

 ただ、そのほか、せっかく十二月八日に上田監査委員が指摘されているさまざまなこと、これも実は非常に重要だと思っていまして、この間のNHKのさまざまな問題、課題、それの直接的な原因と言っていいか、あるいは遠因と言っていいか、そこにやはり協会内のガバナンス、組織の引き回しといいましょうか、切り盛りといいましょうか、そのことに対する脇の甘さというのが相当あるように思うんですよ。

 だから、何もこれは損害が出たか出ないかだけを監査するのではなくて、せっかく十二月八日に言っているわけですから、もっとそういうポイントから監査すべきだというふうに私は思いますよ。

 それと、先ほどの上田さんの発言の中に、十二月一日は理事会じゃなくて役員会だったと思いますよ。(上田参考人「済みません」と呼ぶ)それはいいです。私の方で、これはそれでよろしいですね。

 それで、浜田経営委員長にお伺いしたいんですけれども、この監査報告書というのは、これで十分だと思いますか。

 私は、これは公共性の強い機関がやってきたことで、正式手続に入っていないからいいなどという性格のものだとは思われないんですよ。しかも、先ほどの買い受け申込書を提出するときの確認書なるものに、理事の方二名が署名捺印をしている。確認書ですよ。それも事後報告だった。しかも、三百五十億ですよ。

 私は、これは組織内のガバナンスとしてあってはならないことだというふうに思うんですけれども、監査報告書、これで十分だと思われますか。

浜田参考人 時間がない中で、経営委員会としては、監査委員会から貴重な報告を受けたというふうに思っております。

逢坂委員 経営委員長として非常に残念な発言ですね。時間がない中で報告書を受けた。内容についてどうかというところについてもっと踏み込まなかったら、何のために経営委員会があるのかというのが、これはわけがわからなくなってしまいますよ。

 監査委員会だって、せっかくいい問題点を指摘し、問題意識を持って取り組んでいるのに、そのことは脇に置いて、ただ損害が出たか出ないかだ、それが重要だと。その重要性は私も認めますけれども、ほかのところに相当問題があるんじゃないですか。そこのところを明らかにしないでこの問題をやり過ごすというのは、私には許しがたいことだというふうに思います。

 特に、冒頭にも言いましたけれども、議事録、これがやはり相当におかしい。

 経営委員会の議事録は、冒頭に言いましたとおり、これが全文なのかどうかはわかりませんけれども、まあまあ詳しく書いてある。理事会の議事録なんかは、もうほとんど物を書いていないじゃないですか。肝心なところが何にもない。

 浜田経営委員長、これについてどう思われますか。

浜田参考人 経営委員会は、放送法及びそれに準ずる運営規則にのっとって議事録を作成しております。

 執行部の議事録については、執行部の判断でなされているというふうに思っております。

逢坂委員 執行部の議事録は執行部の判断でやるんだということなんですけれども、それでは、ここのところをちょっと浜田委員長にお伺いしますけれども、十二月八日の経営委員会の議事録、これは適切だと思われますか。冒頭に土地の問題をいろいろ議論されているわけですが、そのことについては余り書かれていないように思うんですけれども、それはいかがですか。

浜田参考人 十二月八日の経営委員会のお問い合わせでございますので、時系列にお答えしたいと思います。

 十二月八日の経営委員会では、子会社による土地購入計画について、執行部から説明を受け、意見交換を行いました。

 その説明を受け、経営委員会としては、手続の正当性や購入価格を含め取引の内容、条件の妥当性の面でまだ不明な点があると考えましたので、執行部に対して、今後、この件について十分に検証し、慎重に対応することを求めました。

 あと、執行部に対しては、予算編成要綱の提案を見送るという説明の際に、経営委員会の意見を私の方から伝えました。

逢坂委員 私は、土地の取引について云々かんぬんという気持ちも相当あるんですけれども、あわせて、これは予算編成過程の問題なんですよ。

 それで、十二月八日の経営委員会の議事録を読むと、まず冒頭に、今、浜田委員長が言ったとおり、関連団体による土地購入の計画について、執行部から説明を受け、意見交換を行ったと書いてある。意見交換の中身については何も記されていない。

 ところが、その次の審議事項の平成二十八年度収支予算編成要綱の議論になると、浜田委員長が、執行部より、本議題の取り下げについて説明をお願いいたしますと。そうしたら、福井専務理事が、本日の経営委員会での議論を受けて、今回はこの提案については見送ることとさせていただきますと言っているわけですよ。

 冒頭に、土地の取引について意見交換を行った、そして、本経営委員会での議論を受けて見送ることとさせていただきますと。それで、意見交換の内容も議論の内容も何もないんですよ。こういう議事録で本当にいいんですか、これじゃ何の説明責任にもなっていないでしょうということなんです。

 理事会の方の議事録は、それは後でまた会長の方にいろいろ聞きたいと思いますけれども、経営委員会がこの状態だったら、全然NHK全体の監視役にならないじゃないですか。どうですか。

浜田参考人 先生御指摘の、十二月八日に執行部から子会社による土地の購入計画の説明を受けたわけですけれども、この説明は、不動産の取引にかかわる交渉中の事案であり、相手先もあることから、公表することにより、関係者に利益もしくは不利益を及ぼすおそれがあるものと判断をいたしました。

 つきましては、内容の非公開を前提として議事を行いましたので、そういう取り扱いにさせていただいております。

逢坂委員 内容の非公開を前提にしてやった、そんな言いわけは私は通らないと思いますよ。それだったら、理事会も経営委員会も同じ体質じゃないですか。説明責任に全くなっていない。

 そういうことが通らないのが公的機関の宿命なんですよ。だからこそ、役所の皆さんは苦労しているんですよ、公金を扱うということについて。NHKは公共的な性格の非常に強い機関ですよ。そこが三百五十億の土地交渉のプロセスを全く明らかにしないでやれるなんというのは、どう考えてみても私は妥当なことだとは思われませんよ。

 そこで、幾つかお話をさせていただきます。

 まず一つ、経営委員会にも理事会にも、今後、議事録については、でき得る限りその会議で行われた内容を正確に表へ出すように努めていただきたい、これをお願いしたいと思います。特に理事会、ほとんど議論されている内容がわからない。

 それから、正式な理事会で議論をしないで、先ほどもありましたけれども、役員会とか、例えば、十一月三十日に会長、副会長、全理事が出席した役員連絡会を開いたとか、十二月一日の理事会、経営委員会の後にまたさらに非公式な会合を持っているわけですよ。そこの場で最終的に、この土地の取引をそれではやめようじゃないかということを決めているわけですよね。だから、整合性がとれないんですよ、表に出ている公式な議事録を見ても。だから、こういうものは極力やめるということ。

 議事録をしっかり残すということ、非公式な会議の場で重要事項を決めないということ、これをしっかり守っていただきたいと思います。

 それから、もう一つです。予算について、やはり相当な慎重さを持ってやらなければいけない。これはどうも、見るところ、一週間か十日ぐらいで予算の中身を三十億ぐらい、四十億近く変えているわけですよ。

 会長、首を横に振りましたけれども、違うのであれば御説明ください。

籾井参考人 我々は、予算をつくるに当たりまして、別に一週間とかそんな短期間で、やっつけ仕事でやっているわけではございません。やはり相当の時間をかけ、慎重に議論しながら我々としてはやっているつもりです。

 予算、事業計画はNHKの事業運営の基本となる重要なものでありますから、予算編成方針、収支予算編成要綱、そして収支予算、事業計画と、理事会や経営委員会での検討や審議を重ねて、よりよいものをつくろうとして臨んでおります。

 予算編成の方針を安易に変えたりしているわけではなくて、議論を重ね、我々としてもよりよい予算をつくっていこうというプロセスを経て策定しているものであることを御理解いただきたいと思います。

逢坂委員 全く理解できません。

 十一月二十四日に経営委員会に提示した予算と十二月八日に理事会で議論をしている予算の中身が違う。そして、今、会長から、予算については慎重に経営委員会や理事会で議論をして決めていくと言っていますけれども、この十一月二十四日から十二月八日までの間に、経営委員会も理事会も、正式なものは何も開かれていない。今の話は全くのでたらめに私には思える。

 言葉だけの問題で取り繕ってもだめですよ、会長。これはきちっとやらなきゃだめです。きちんと公式の場で説明をする、そういうプロセスを経てやらないと、またおかしな問題が起きますよ。

 私はガバナンス調査委員会のときもお話ししましたけれども、五千六百万にも及ぶ契約を正式な場で諮らずに、少しずつ少しずつお金を出してやっているかのような説明を何度も何度も繰り返しされましたけれども、ああいう体質がよくないんだということを私は言っているわけですよ。

 これは、今回の土地だけではなくて、ほかの問題にも通ずるNHKの課題だというふうに思いますので、これからもこの問題、やらせていただきたいと思います。

 それでは、NHKの皆さん、以上で御退席ください。NHKの問題はこれで終わります。

 また交付税の話をちょっとさせてください。

 交付税について、最近、行革努力を入れるとか、そういうことがあるんですね。交付税の指標の中に、職員数削減率とかラスパイレス指数とか人件費削減率とか、人件費を除く経常経費削減率とか地方債残高削減率とか、こういうものを交付税の算定の指標の中に入れようとしているわけですが、私は、これは交付税の考え方からいくと、適切なものとは思われないんだな。交付税制度をゆがめるような気がしてしようがないんですね。

 交付税というのは、きちっとした財源の保障と調整ということをやらなければいけないけれども、こういう努力みたいなものを入れるというのは、本当に自治体の実態を反映するということになるんでしょうか。私は、もしこういうものをやるというのなら、交付税とは別枠で、外でやるべきだというふうに思うんですが、このあたり、大臣、いかがですか。

高市国務大臣 地域の元気創造事業費の行革努力分につきましてですけれども、各団体が行政改革によって捻出した財源を活用して地域経済活性化の取り組みを行ってくださっておりますことから、積極的に行政改革に取り組んでこられた団体においては、その財源を利用して行う地域経済活性化に係る財政需要も多額であると考えられる、こういうことを踏まえたものでございます。

 ですから、その行革努力分については、全国各地で取り組まれている地域経済活性化の財政需要を、行革努力に関連する全国的かつ客観的な指標を用いて公平に算定しているものですので、地方交付税法の趣旨に反するものだとは考えておりません。

逢坂委員 行革努力について客観的な基準を用いてというふうにおっしゃられますが、行革努力というのは本当に客観的に全国比較できるのかなという気が私はしますね。もちろん、ある一定程度は比較できますよ。職員数を随分減らしていますねとか、人件費も随分抑えていますねということは言えるけれども、それがそれぞれの団体と比較してどっちがすぐれているかすぐれていないかなんというのは、これはなかなか簡単には言えるものだとは私には思えないんですね。

 それから、特に人員の削減などについては、随分古くから頑張っているところもあれば、例えばここ十年間ぐらい急激に頑張って減らしたところもあれば、それはさまざまだと思うんですよ。

 だから、そういう意味でいうと、私は、交付税の算定に行革努力分みたいなものを入れるというのは厳に慎むべきだなというふうに思っています。そのことはお伝えをさせていただきたいと思います。答弁はもう結構です。

 それから、次です。きのうも議論になりました放送法の第四条の関係なんですが、二月の十二日に政府統一見解というのが出されました。お手元に資料も用意させていただきましたけれども、この中で、最後から二つ目の段落のところです。「これは、「番組全体を見て判断する」というこれまでの解釈を補充的に説明し、より明確にしたもの。」だというふうにこの政府統一見解ではなっているんですね。

 ところが、政府統一見解を見ると、「総務大臣の見解は、一つの番組のみでも、例えば、」ということで1、2と例示をされて、「といった極端な場合においては、」「「政治的に公平であること」を確保しているとは認められないとの考え方を示し」たということであれば、一つの番組を見ても判断するという今までになかったものを追加したんじゃないかというふうに私は思うんですね。

 だから、補充的に説明をして、番組全体を見て判断するということをより明確にしたとは思われないんですよ。全く別の方針を今回極端な例とはいえども表明したのではないかというふうに私は思うんですけれども、いかがでしょうか。

 それで、さらに加えて言うならば、昨年の五月の参議院の総務委員会での質疑の中で、やはり似たようなことを大臣はおっしゃっておられるわけですね。「一つの番組のみでも、国論を二分するような政治課題について、放送事業者が一方の政治的見解を取り上げず、殊更に他の政治的見解のみを取り上げてそれを支持する内容を相当の時間にわたり繰り返す番組を放送した場合のように、当該放送事業者の番組編集が不偏不党の立場から明らかに逸脱していると認められる場合といった極端な場合においては、一般論として政治的に公平であることを確保しているとは認められないものと考えます。」と大臣は話している。そして、その次に質問者の方が、「一番組だけでも政治的公平に反すると言える場合があるという御答弁をいただいたものと考えます。」ということで念押しをしているわけですよね。

 すなわち、番組全体を見て判断するんだといった従来の方針ではなくて、新たなものを、極端な例とはいえども、一番組を見て判断するんだということをつけ加えたというふうに私には思われるんですが、なぜこれが、従来の方針の補充説明であり、より明確にしたものか。従来の方針というのは、番組を見て判断するというものの補充的説明であり、明確にしたものになるのかが私には理解できないんですが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 放送番組というのは、放送事業者がみずからの責任において編集するものでございます。放送事業者が、自主的、自律的に放送法を遵守していただくべきものであります。

 放送法第四条の「政治的に公平であること。」については、従来から、政治的問題を取り扱う放送番組の編集に当たっては、不偏不党の立場から特定の政治的見解に偏ることなく、番組全体としてのバランスのとれたものであることとしております。その適合性の判断に当たっては、一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体を見て判断するとしてきたもので、この従来からの解釈について何ら変更はございません。

 昨年の参議院の委員会で答弁をさせていただいたときも、従来の解釈の補充的な御説明ということを申し上げました。

 その際、番組全体を判断するとしても、番組全体は一つ一つの番組の集合体ですから、一つ一つの番組を見て全体を判断するというのは当然のことだと思いますので、番組全体を見て判断するに当たって一つ一つの番組を見るということについて、これまでの解釈を補充的に説明して、より明確化したものだと考えておりますので、整合性に問題はないと考えております。

逢坂委員 大臣、おっしゃっていることが整合的だとは、やはり私には思えないんですね。

 番組全体を判断するときに個別の番組を見るということ、それは当然あり得るでしょう、個別の番組を見なければ放送局の番組全体は判断できないわけですから。

 ところが、この政府統一見解で言っているのは、一つの番組であっても、極端な場合を例に挙げて、政治的に公平であるかないかの判断をすることもあり得るということを言っているわけですよね。だから、これは、従来の番組全体を見るというところとは違うものを新たに出してきたのではないかというふうに読めるわけですね。

 特に参議院の答弁も、そのように質問者自身が再確認をしているわけですので、私は、これは非常に危ういことだというふうに思います。

 もし、番組一つを見て政治的に公平性を欠いているかどうかといったような判断をするというのであれば、憲法二十一条、表現の自由に相当に触れる可能性が高いのではないかということを指摘して、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

遠山委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 きのう、一般質疑をやったんですけれども、放送の関係をいろいろお聞きしようと思ったところ、NHKの問題が奥野委員の質問から発し、板野専務理事の発言がちょっと理解不能だったものですから、その質問をさせていただきました。

 今、逢坂委員も質疑された中で、引き続き、やはりちょっと理解不能な部分がありますので、きょうは地方税法、地方交付税法の質問をたくさん用意しているんですけれども、まずはこの問題を引き続き質問させていただきたいと思います。

 まず、板野専務理事、きのうはいらっしゃらなかったので、改めてきょうお聞きいたしますけれども、今の土地取引の問題、十二月八日の日に、これは理事会ですか、この時点でこの土地取引の問題、特にこの三百五十億円という金額について板野専務理事は御存じだったのかどうか、もう一度御答弁ください。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

板野参考人 お答えいたします。

 十二月八日の理事会での私の発言につきましては、十二月二十五日に公表した議事録に出ているとおりでございます。今の段階ではわからないことが多いので、予算編成要綱の議論は先に延ばすべきではないかと申し上げました。

高井委員 きのうも議事録のとおりという御答弁であるわけですが、何度聞いても今の答えをおっしゃるんですかね。ちょっとこれは総務委員会の場で不誠実な答弁じゃないかと思いますが。

 では、別の聞き方をさせていただきます。

 先ほどの逢坂委員への答弁で板野専務理事は、十一月三十日の役員連絡会でこの件については初めて知ったということを御答弁されておりますが、これは金額三百五十億円についてもこのとき知ったということでよろしいでしょうか。

板野参考人 先ほど答弁申し上げましたとおり、十一月三十日の段階でこの取引そのものについての議論をいたしましたけれども、その詳細にわたる内容につきましては、発言は控えさせていただきます。

高井委員 詳細を控える理由は何ですか。別に詳細な発言を聞いているわけじゃなくて、三百五十億円という金額を知っていたかどうかという、その質問にイエスかノーかでお答えください。

板野参考人 私どもの予算編成の過程につきます議論でございますので、詳しい説明は控えさせていただきます。

高井委員 それでは、きのうの、籾井会長に私が質問したことに対して籾井会長は、三百五十億円も含めたこの土地取引の話については、正式に伝えたのは十二月八日である、正式に板野専務理事が知ったのも十二月八日だ、しかし非公式にはいろいろな形で伝えていたと。

 私は、この正式、非公式というのを非常にNHKの組織の中で問題だと思っていますが、役員連絡会なり、その後役員会が翌十二月一日ですか、この場で両方議論されたということは今までの審議で明らかになっておりますが、籾井会長、この二つの役員連絡会とか役員会を非公式だときのうおっしゃったんですか。これは、きのうの答弁の公式、非公式、どちらなんですか。

籾井参考人 少し整理してお話しさせていただきたいと思いますが、昨年十一月三十日、会長、副会長及び理事が全員出席して役員連絡会を開きました。ここで意見交換を行って、全ての役員で情報共有したのは、このときが初めてでございます。

 また、十二月一日の役員会、これで平成二十八年度の収支予算編成要綱を議論したときに、財務・経理統括理事が土地取得の取り組みについて説明し、ここでも意見交換を行いました。

 十二月八日に、正式な審議機関である理事会、つまり、正式と言っているのは理事会のことを申しておりますが、財務・経理統括理事が関連団体の土地取得の件についての経緯や検討状況を報告し、議論を行いました。そこでの意見は議事録に書いてあるとおりでございますが、経営委員会の議決が必要なことではございませんけれども、重要なことなので、この日の午後の経営委員会に報告を行うこととしたわけでございます。

 経営委員会や執行部からさまざまな意見がありました。これは先ほども御指摘が多々ありましたけれども、さまざまな意見がありました。そして、私の判断としては、このまま進めていきますと、こういう話というのはうまくいかない、きのうも少しこれについて触れたと思いますけれども、そういうことを総合的に判断した上、経営委員会終了後に臨時の役員連絡会を開き、正式な手続に入ることをやめた。

 これが一連の流れでございます。よろしくお願い申し上げます。

高井委員 余り聞いていないことを長々答弁しないで、きょう私は一時間持ち時間がありますから、長くやってもずっと聞けますので。でも、この話はできるだけ早く終えて地方税法に行きたいので、簡潔に、聞かれたことを答えてください。

 もう一度聞きます。

 十一月三十日の役員連絡会、十二月一日の役員会、公式、非公式は、ではどっちでもいいですよ、この場で会長は、三百五十億円という金額も含めてこの土地取引の話を皆さんに、理事や皆さん、特に板野専務理事にした、それをイエスかノーかでお答えください。

籾井参考人 その時点でわかっている情報を全員に伝え、情報を共有することとなりました。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

高井委員 会長、これは大事なところなのでもう一度正確にお答えいただきたいんですが、つまり、今の答弁で、その時点でわかっている情報を伝えたと会長はおっしゃいましたが、そのときにもし三百五十億という金額を会長が伝えていなかったとすれば、当然会長は知っていたのに、重要な役員や理事にそのことを伝えていなかったということになりかねないわけですよ。私は伝えたと信じたいんですけれども。

 今の答弁だと、その重要な三百五十億を伝えたかどうかがはっきりしませんので、もう一度、三百五十億という金額を伝えたかどうかをはっきりお答えください。

籾井参考人 たびたびの御質問でございますけれども、優先交渉権を得るに当たって示した金額については、これはやはり相手もあることでございますので、これについてはお答えできませんけれども、関連団体による購入の提示額として、民間の金融機関の助言について提示をしたわけでございます。

高井委員 では、会長、今の御答弁だと、私はこう理解しました。三百五十億という金額は相手があることだから伝えないままに役員連絡会なり役員会を開いたと。

 それでいいんですか。会長、会長の責任問題ですよ。

籾井参考人 私は、伝えるべきことは全部みんなに伝え、情報共有をしました。

 今、予算作成の過程でございますので、個別のことにお答えすることは勘弁していただきたいと思います。

高井委員 予算作成の過程とおっしゃいましたけれども、もう予算案は出ていますよね。

 ぜひ、これは、何か隠したいことがあるのかもしれない、何か誰かをかばいたいのかもしれませんけれども、うその答弁をしたら大変なことになりますから、御自身の責任問題になりますから、しっかりとそこは、うその答弁はしないでくださいね。

 上田監査委員にお聞きします。

 先ほど、十二月一日の役員会でこの件について相当額の説明があったと聞きましたが、相当額というのは、この三百五十億という話を聞いたという理解でよろしいですか。

上田参考人 お答えいたします。

 私が理事会、役員会に出ていますのは、監査活動の一環として陪席させていただいているわけでして、その中でどういう議論があったか、詳細に関しましては、監査活動との絡みで答弁を控えさせていただきたいというふうに思います。

高井委員 本当に、余り理由になっていないと思います。

 わかりました。大体、監査委員も相当額とさっきおっしゃいましたから、まさか役員会の場で相当額なんといういいかげんな説明で行われたとは思えませんし、先ほど会長も、自分が知っていることは全て話したとおっしゃっていますので、この場では三百五十億という金額も提示されていたということはほぼ間違いないと思います。

 であれば、今度問題になるのは、十二月八日の理事会で板野専務理事が三百五十億という金額は初めて聞いたとおっしゃったのは、板野専務、どういうことですか。

板野参考人 この件につきましては、議事録で公開されていることが全てでございます。

 私は、この段階でわからないことが多いので、予算編成の議論を先に延ばすべきではないかということは申し上げました。

高井委員 きのうから議事録が全てとおっしゃっていますが、議事録以外のことも当然話しているわけだし、そこは公表しないというか議事録にしないということは百歩譲っていいですけれども、今このことが問題になって、我々、これだけの時間を費やして国会で聞いているわけですから、この三百五十億を知らなかったと言ったのか言わないのか、あるいは知っていたのか知らないのか、これくらいは答えていただかないと審議が進みませんから。

 それはイエスかノーかで答えてください。

板野参考人 週刊誌等に書かれていることにつきましては、私としましてコメントする立場にはございません。

 私は、予算編成の過程についての議論でございますので、詳しい説明は控えさせていただきたいというふうに思います。

高井委員 私は別に週刊誌のことを聞いていません。いろいろなところから聞いて、三百五十億ということを板野専務理事が十二月八日の時点で、さっきまでの説明ではもう知っていたということがほぼ明確なんですが、それにもかかわらず、知らなかったと話したというふうに聞いております。

 これは、どこかから議事録とかが出てくる可能性もあるわけですよ。うその答弁をすることになりますから、もう一度明確に、これは言ったのか言わないのか、イエスかノーかでお答えください。

板野参考人 予算の編成過程についての議論でございますので、詳しい説明は控えさせていただきます。議事録で公開されているとおりでございます。

高井委員 いや、もう、何十遍同じことを聞いてもいいんですけれども、余りにもむなしいので。

 これは否定されなかったわけですね、今。では、もう一回だけ聞きます。否定はしませんね。

 私は、ほぼ、今までの議論で、あるいは私が周りから聞いたいろいろな情報で、当時、三百五十億ということを板野専務理事は十二月八日の時点で私は聞いていなかったと発言したと私は確証を持っているんですけれども、違うなら明確に否定してください。答えないということは、私の推論が正しかったというふうにみなさせていただきますので、もう一度、否定するなら明確に否定してください。

板野参考人 繰り返しで申しわけございませんけれども、予算の編成過程についての議論でございますので、詳しい説明は控えさせていただきます。

高井委員 明確に否定されませんでしたので、そういう前提で議論を進めさせていただきます。

 それでは、籾井会長、籾井会長はきのうも、正式に伝えたり、聞いたのは十二月八日だったかもしれないけれども、非公式な形では伝えていたし、きょうの議論でも、役員連絡会、役員会でほぼ話が出ているんでしょう。これは本当に、出ていなかったとしたら、私は籾井会長の大問題だと思いますが、そこは、きちんと金額も含めて議論をされた。

 にもかかわらず、今、板野専務理事は否定をされませんでしたから、十二月八日の日に板野専務理事からそういう発言があったわけですけれども、それに対して籾井会長はどうお感じになりましたか。協会の会長と専務理事という間柄で、それで普通のことなんですか、NHKという組織では。

籾井参考人 いろいろな形で議論する場合、いろいろな意見が出て当然だと私は思っております。そういうことをやりながらも、理事会、役員会あるいは連絡会等々で情報を共有しながら議論を進めてきたつもりでございます。

高井委員 きのうから、私も、NHKの中のコミュニケーション不足というのはどうなっているんだろうなと思わざるを得ないわけです。

 もう一つ、では、別な件でお尋ねいたします。

 一昨年ですか、三月に、NHK関連団体ガバナンス調査委員会という、小林弁護士にお願いをして、子会社二十六団体全てを対象に調査をした。これは随意契約で五千六百万円でやっていたということが、当委員会でも昨年随分問題になりました。

 実は、この調査委員会、五千六百万円というのも随分高いという議論があったわけですけれども、その二、三カ月前に、別の監査法人に対して同様のNHKの内部監査を当時のコンプライアンス担当理事であった板野専務理事が発注している、行っているということがあるんですけれども、こういう事実は、会長は知っておられましたか。

 そこで今相談したらおかしいでしょう。会長が知っていたかどうかと聞いているんですから、すぐに即答ください。

籾井参考人 私は別に、そういう調査委員会ですか、なるものがあったということは承知しておりません。多分、委員がおっしゃっているのは小林委員会のことではないかと私は想像します。

高井委員 これは明確に書類も残っておりますから、板野専務理事、同じことをお聞きいたします。

 通称小林調査会とは別にそういう契約を、私が聞いているのは、五千万円以上の金額で発注をしていると聞いておりますが、事実か否か、お答えください。

板野参考人 事前に頂戴している質問ではございませんのでなかなかあれなんですが、私自身はそのような記憶はございません。

高井委員 これは、皆さん、五千万円ですよ、五千万円。小林調査会自体五千六百万円で、その前段に、わずか一、二カ月か前に、もうちょっと前なのかもしれませんが、五千万円規模の、正確な金額まで私は調べておりませんけれども、そういう、しかも同趣旨の内容があったと。

 その両方を見比べると、ほぼ内容も似通っていて、小林調査会は実はその前段の監査をかなり使ったんじゃないかという疑いもあるわけですけれども、そのことをお認めになって、この後私は議論しようと思ったんですが、記憶にないと。

 会長、専務理事、両方記憶にないというのは、これは相当問題だと思いますけれども、本当にそのとおりのままでいいんですか。いや、私の勘違いかもしれませんから、ないならないと答えていただきたい。

遠山委員長 高井委員、どなたに答弁を求めますか。

高井委員 では、もう一度専務理事。専務理事が発注しているそうですから、専務理事、お答えください。

板野参考人 まことにあれでございますけれども、私、記憶にはございません。

高井委員 そうですか、記憶にない。

 記憶にないというのは、どう考えても、去年あれだけ五千六百万円の金額の妥当性について議論になった中で、そんなものが別にあるとすれば記憶にないはずがないわけでありますから、それはありませんとお答えいただいた方がよろしいんじゃないですか。

 記憶にないですというのは、非常に曖昧な、いや、あるかもしれないけれども、では、板野専務理事が把握していない範囲で誰かがやっていたかもしれないと。しかし、時期は明確に板野専務理事がコンプライアンス担当の理事だったときなんですけれども、少なくとも、板野専務理事、当時のコンプライアンス担当理事は、それは知らないということでよろしいですか。

板野参考人 繰り返しになりますが、記憶にございません。(発言する者あり)

遠山委員長 審議を続行してください。

高井委員 申しわけありませんけれども、きょう私は、通告は、NHKのガバナンス、コミュニケーションの問題、会長と専務理事とのコミュニケーションはうまくいっているのかということで、土地問題初め、こういったことを聞くというふうに言っていますから。

 記憶にない、つまり、五千万円もの大きな金額が動いたことをコンプライアンス担当理事は知らなかったということなのか。それは、記憶にございませんではなくて、もう一度明確に。これ以上記憶にございませんとおっしゃったら、私はこれ以上質問できません。(発言する者あり)

遠山委員長 静粛に願います。

板野参考人 事前に通告のない御質問ですので、私としては、今この場でお答えすることはできません。

遠山委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

遠山委員長 速記を起こしてください。

 高井崇志君。

高井委員 通告がないと答えられないということだそうですけれども……(発言する者あり)いや、違います。ですから、コンプライアンス担当理事として知らなかったなら、知らなかったと御答弁されればいいんじゃないでしょうか。記憶にございませんということは、知らなかったということですね。

 いずれにしても、今委員長から裁きがあったようでございますので、申しわけありませんけれども、次回またこの総務委員会で、私も質問の機会をもう既にいただいておりますので、今度はきちんと通告いたしますから、こういった事実があったかどうかということは、これはうそ隠しもなく明確に、これだけ問題になっているわけですから、お答えをいただきたいと思います。

 もうこれ以上この話は聞きませんが、最後に、きょう経営委員長にも来ていただいていますので。

 経営委員長、どうですか。先ほどの逢坂委員の質疑も見て、やはり会長とほかの理事さんたちとのコミュニケーションが、今は専務理事とのやりとりをずっと取り上げましたけれども、きのうから、公式な説明と非公式な説明があるとか、どうもしっくり、うまくいっていないというように感じますけれども、こういったことはやはり経営委員会の職責ですよね、執行部がしっかりガバナンスがとれているか。そういう観点から、経営委員長、しっかりとお答えください。

浜田参考人 NHKの執行権は、会長が協会を代表しその業務を総理するものでございますが、執行部内でさまざまな意見交換がなされることはあるべきことだと考えております。その上で、手続にのっとって意思統一を行っていただければよいというふうに思います。

 十二月二十二日の土地購入に関する監査委員会報告でも、重要な事項の検討や手順などについて、十分な意思統一が図られていない状況が見受けられたとしております。このことを執行部は真摯に受けとめて、一丸となって公共放送の使命を果たして業務に当たっていただきたいというふうに思います。

高井委員 放送法のこともきのうから一問も聞けていませんので、本題に入る前に、放送法第四条のことについて総務大臣にお聞きをしたいと思います。

 私は、ずっと予算委員会からの議論を聞いておりまして、そもそも、法規範性があるとずっと総務大臣は答弁され、確かに民主党政権時代もそう答弁をしているんですけれども、もともと、放送法、電波法ができたとき、一九五〇年です、そのときの経緯は、やはり戦前の反省があった。

 戦前は、NHKに役人が詰めていて、放送内容によっては放送中でも電波を遮断するみたいなことがあった。しかし、そういったことは憲法二十一条に反するからやめるという反省のもとに法案ができていて、その一九五〇年、法案を提出したときの電波監理局長は、政府は放送番組に対する検閲、監督等は一切行わないと答弁されている。

 それから、一九六四年に、これは当時の郵政省の調査会の答申ですが、番組編成基準は多分に精神的規定の域を出ないものと考える、要は事業者の自律にまつほかないと。

 それから、一九七二年、広瀬郵政大臣の答弁、番組の向上等は放送事業者の自主的な自覚によって改善する以外に方法はないので、郵政省から行政指導をやる考えは毛頭持っていないと答弁しているわけですね。このあたりまではずっと、非常に倫理規範的な答弁であったわけです。

 ところが、一九八五年に、テレビ朝日「アフタヌーンショー」という番組でやらせ問題が発覚して、行政指導を初めてここで行い、そして、一九九三年の椿発言、有名な発言でありますが、そのとき当時の江川放送行政局長が、政治的公平は最終的には郵政省が判断すると、かなり変質をしてきている。

 加えて、行政指導というのはずっとなかったんですが、二〇〇三年から、麻生総務大臣のころからどんどんふえ続けて、今二十五件ですか、二〇〇三年から二十五件行政指導が出ている。ちなみに、民主党政権時代は一件も出ていないそうであります。

 ただ、これは、二〇〇七年に、BPOが設立されて放送事業者が自主的な規律をやるようになったというところで一旦減ったという側面があるんですが、またここで高市大臣が行政指導を出されるようになった。

 こういった今までの放送法の経緯をずっと考えると、多くの学説が言っているように、この放送法四条というのは、今政府が答弁されている法規範ということではなくて倫理規範だと解すべきだ、私もそう思うわけでありますけれども、高市大臣、これは法規範である、過去からそう答弁しているというのは何度も聞いていますけれども、高市総務大臣がこれが法規範であるとおっしゃる根拠は何ですか。

高市国務大臣 先般も日本国憲法と放送法の関係についてお話をいたしましたが、日本国憲法第二十一条は、「一切の表現の自由は、これを保障する。」ということになっております。一方で、憲法第十二条が、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」と規定しております。

 そして、その上で、放送法第一条が、放送法の目的として、「次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」として、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」と規定しています。

 すなわち、放送事業者がみずからの責任において編集する放送番組は、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくということでございます。

 そして、放送法第四条でございますけれども、これも放送事業者が「放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。」として、四つの規定を置いてございます。

 こう考えますと、私は、放送法第四条は法規範性を有するものと考えており、憲法との関係においても問題はないと思っております。

 そして、放送法、特に平成二十二年の改正のときにここも論点になったと承知をしておりますが、この番組準則が法規範性を有するということについては、平成二十二年十一月二十六日の参議院総務委員会で平岡副大臣がおっしゃっております。また、同二十二年の放送法改正のときに、放送法百七十四条、これは業務停止命令という新たな規定が入りました。

 こういったことをあわせ考えましても、二十二年に改正された放送法、総合的に見まして、法規範性があると考えます。

高井委員 これまでの御答弁で、もちろんそれが総務大臣のお考えだから答弁されてきた。そういう意味では、きのう私はぜひ総務大臣と議論したいと申し上げて、余り時間がないので、もう一、二問にしますけれども。

 私は、放送にずっと携わる、もともと郵政省に勤めておりましたので、そのころから、なぜ放送だけ規制するんだろうかということは、当時の郵政省の中でも非常に大議論になる。特に、インターネット時代、多メディア時代において、放送だけ規制するのはなぜかというと、根拠は二つなんです。

 一つは、電波の有限希少性だ、限られた電波を割り当てられているんだから、やはり規制が必要だ、それからもう一つは、社会的影響力が非常に大きいんだ、テレビというのは映像で感情に訴えかけるものなんだという説明を、私は当時、入省したころから教わってきました。

 しかし、いずれもその根拠はかなり薄弱に、弱くなっている。電波の有限希少といっても、有線放送もあれば、インターネットでよほど視聴率のある放送が流れていたりするわけですし、あと、社会的影響力というのも、これもいろいろなメディアがたくさん出てきている中で、相対的に薄まっている。

 実は、アメリカではもう二十年前に、そういう観点から、それとプラス、今国会でも議論になっている表現の自由との、憲法との関係で、日本のこの第四条と似たような公正原則、フェアネスドクトリンというのがあったけれども、二十年前に廃止されているんですね。

 もう一つは、では、この放送法第四条が法規範性があるということが成り立つためには、やはり国民の知る権利というものを政府が守ってくれるんだということが大前提なわけでありますけれども、しかし、きのうどなたかの質問でも的確なのがありましたけれども、本当に政府が、与党の一員である高市総務大臣が公平というのを適切に判断できるのかということがやはり問われているんだろうと思います。

 そういう意味で、学説では、圧倒的にこの放送法四条というのは違憲説というのが多いわけでありますけれども、合憲説というのもあります。

 違憲説というのは、放送だけこうやって特別扱いする理由はもうないということで違憲だという説なんですけれども、合憲の説というのは、ではどういう場合かというと、合憲説も、先ほど言った電波の有限希少性と社会的影響力というのがあるからぎりぎり合憲だけれども、でもそれは倫理的規定だから合憲なんだと。

 そもそも違憲という意見が多くて、合憲という意見の中でも、ぎりぎり倫理的規範なら合憲だというのが学説なわけですけれども、こういった考え方に対して、高市大臣はどうお考えになりますか。

高市国務大臣 私は、民主党政権のときに違憲立法をされたとも思わないし、違憲だと考えられる答弁を当時の副大臣がされたとも思っておりません。それ以前の、直前の大臣も同様の、法規範性を認めた上でということで答弁をされておりますので、それらが違憲に当たるものだとは思っておりません。

 また、仮に、誰かから訴えられて訴訟が起きて、最高裁がこれは違憲立法だということになりましたら、これはまた立法府として、行政として見直さなきゃいけない課題になるかと存じます。現在は違憲だと思っておりません。

 それから、先ほど、かなりメディア環境の変化についてお話をいただきました。

 私どもも、かなり放送を取り巻く環境が変化しているということを捉えながら、現在、総務省の中で、放送のあり方について、放送を巡る諸課題に関する検討会を開いて、視聴環境の変化についてはさまざま御検討いただいております。

 ただ、地上波テレビジョンの放送であれば現在約五千万世帯が毎日三時間二十三分視聴しているというデータですから、依然、国民・視聴者への影響は大変大きい存在でございますので、放送法に規定している番組準則は必要な規律であると考えております。

 そういったことと、それから第三者機関のことについてもお話がございましたが、答弁申し上げた方がよろしいですか。(高井委員「いや、いいです」と呼ぶ)結構ですか、はい。

高井委員 私は、これを議論しようと申しているのは、つまり、放送法改正も考えた方がいいんじゃないか。それは高市大臣のブログにも、我々野党がそう言うのなら放送法を改正したらいいんじゃないかというような趣旨のことが書いてあったように記憶しているんです。

 私は、全然党内のコンセンサスとかは得ていませんけれども、持論としては、これは法規範性ではなくて、郵政省出身で、郵政省の方には申しわけないですけれども、私は倫理規範性があるというふうに思っていますし、先ほど申し上げましたとおり、立法の経緯から、そして一九八〇年代ぐらいまでは郵政省もそういう考え方であったと私は理解しておりますので、それがこのように変容したことについて疑義が生じるのであれば、明らかにするために放送法を改正するのも一つの選択肢だろうと思っていますので、これは引き続き議論をさせていただきたいと思います。

 最後に、NHK会長に残っていただいていて、これは通告していると思いますので、NHK会長からも、メディア、放送局の立場を代表してちょっと聞きたいんです。

 実は、朝日新聞社の報道と人権委員会というのが一月二十六日に開催されていて、そこでNHKの元副会長の今井義典さんがこうおっしゃっています。

 そのときの政府、政権の政治的立場が変わると、公平性もまたくるくる変わる、その時々の公権力がこれを法規範として濫用する道を開いてしまうと、公平が大きく損なわれますと。もうNHKをやめた方ですけれども。もう一つ言っているのが、「クローズアップ現代」への高市大臣の行政指導について、総務大臣名で厳重注意した時点で、行き過ぎた措置をとったとの疑念を持った、メディアを萎縮させるような圧力をかける行政指導は間違っていると。

 私は、これはメディア人として極めて真っ当な見解だと思っておりますけれども、放送業界を代表してと言うとなかなか言いにくいのかもしれませんが、一放送人として、NHK会長の御見解、今言った点についてどのように思いますか。

籾井参考人 私の方から一言コメントさせていただきたいと思います。

 まず、第一の点につきましては、放送法というのは何のためにあるかといえば、どういう政府になろうとも、放送法があるわけです。

 我々NHKとしては、あくまでも放送法にのっとって、いつも言っていますが、事実に基づき、公平公正、不偏不党、何人からも規律されず、自主独立の方針で放送を続けていく。これはもう何回も何回も言っていることで、職員に対しても、こういうスタンスでいけば、要するに、政府がかわるといいましょうか、かわっても、放送法が変更されない限りはそれでいけるというふうに思っております。

 それから、「クロ現」の問題については、これは行政指導が云々ということにコメントするよりも、あのときに起こった、やらせか演出のやり過ぎか、こういうことは別として、やはり今言った放送法に照らしますと合っていないというふうに私は思います。

 したがいまして、行政指導を受けたことがどうだこうだという以前に、我々はやはり放送を、NHKとしては、公平公正に、先ほど申しましたように、放送法にのっとってやるべきだというふうに思っております。

 今井さんのコメントについては、特別私が何か言う立場にはないと思います。

高井委員 今の御答弁を聞くと、行政指導というのをかなり軽く受けとめておられるような印象を受けて、まあ、それは私も同じ立場でありますので。行政指導というのは出すべきじゃないし、倫理規定であるから、私はBPOに任せればいいという立場ですので、これはまた改めて議論させていただきたいと思います。

 NHKさん、きょうはもう結構でございます。

 もうあと十分少々しかありませんので、本題の地方交付税に入りたいんですが、地方交付税の見直しについてお聞きしようと思っていたんですが、きょう、実は内閣官房にも来ていただいていて、何度も来ていただくのは申しわけないので、マイナンバーのことを、今回の地方財政計画の中にもマイナンバーは大きく出てまいりますので、関連するので、ちょっとマイナンバーの質問を先にしたいと思います。地方交付税はまた金曜日にさせていただきたいと思います。

 まず、これは内閣官房が所掌だと思うんですけれども、マイナンバーにかかった総費用、これは幾らですか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバー制度の導入に伴います諸々の初期費用につきましては、現時点で、総額約三千二百億円程度を見込んでおります。

 そのうち、システム関係の経費といたしまして、マイナンバーの付番システムや情報ネットワークシステムが二百七十四億円、国や地方公共団体の既存システムの改修費用として約二千六百億円、それから、システムではございませんけれども、個人番号、法人番号の通知費用として二百八十九億円などを見込んでいるところでございます。

高井委員 三千二百億円というかなりの巨額が投じられたマイナンバーです。

 それでは、マイナンバーの中核となるシステムが、実は、大手ベンダー五社、NTTコミュニケーションズ、それからNTTデータ、富士通、NEC、日立、この五社がコンソーシアムを組んで入札をしていて、これ一者しか応札がなかったということで一者入札で決まっているんですが、この中核システムは、これも私はこんな応札で認めていいのかと当時も思いましたけれども、まあ、入札されましたから。

 では、マイナンバーのほかの関連するシステムについて、今言ったベンダー五社が占める割合、シェアというのは何%でしょうか。

向井政府参考人 マイナンバー制度の導入に伴いまして政府が新たに構築するシステムの設計、開発及び既存システムの改修に係る発注額につきましては、現時点で当方が把握している限りにおきまして、内閣官房、総務省、厚生労働省等々で総額で六百九十六億円となってございますが、そのうちの今お話のございました五社の受注額は六百九十億円でございまして、総額に占める割合は九九・一%となっております。

高井委員 今お聞きいただきましたように、九九・二%がこの五社で、中核システムを受注した後、関連するほかのシステムも結局この五社が全部、コンソーシアムじゃなくてそれぞればらばらですよね、コンソーシアムのものもあるでしょうけれども、個々に今言った五社が受注をしている。

 私は、きょう公正取引委員会に来ていただいていますけれども、これは独禁法違反に該当するんじゃないかと思うんですが、こういう質問をすると、公正取引委員会は、個別の質問には答えられませんという答弁を必ずするので、聞き方を変えます。

 市場支配力が強い五社、シェアを九九%以上も占めると類推される五社が一つのコンソーシアムをつくって入札に応じる、これは独禁法違反、談合には当たりませんか。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論としてということでございます。

 事業者が相互にその事業活動を拘束することによりまして、一定の取引分野における競争を実質的に制限する場合には、不当な取引制限となります。

 いわゆる談合と申しますのは、独占禁止法の観点からしますと、今申し上げました不当な取引制限に該当するかどうかという問題になります。

 競争の実質制限に当たるかどうかの判断に当たりましては、その一定の取引分野におけます市場のシェアは重要な考慮要素ではございます。ただ、それだけではございませんで、市場における競争の状況等、さまざまな要素を総合して考慮するものとされております。

高井委員 シェア以外のものも判断するんだという御答弁なんですが、しかし、シェアというのはやはり重要な要素であり、しかもそれが九九%を占めているというのは、これは一般的に国民の目から見て極めて不自然な姿に映りますので、これ以上私がここで言っても、別に公正取引委員会がそれで動くとかいうことじゃないでしょうけれども、ぜひ、国民の目を意識していただいて、しっかり公正取引委員会としての仕事をしていただきたいなとお願いをいたします。

 実は、この話をするのは、今回の国のシステムは先ほど六百九十億というふうに言われましたけれども、そのほか自治体にまつわるシステムが二千四百億ほどあるという御説明でしたし、この二千四百億というのも本当にマイナンバーに限定したシステムでありまして、それに付随するさまざまなシステム、地方自治体にはその何倍もあるだろうと言われていますし、さらには民間企業まで入れると三兆円の市場になるという民間企業の調査があります。

 こういった巨大な市場の中で、今やITバブルというかマイナンバーバブルと言われて、ITのベンダー企業は非常に特需だ。そして、実際に株価も上がっていますし、市場も評価しているわけです。そういう、景気がよくなることはいいことではありますけれども、しかし、この五社でその利益が独占をされるということであってはいけないと思います。

 もう一つ問題は、コストが高くなっているんですね。

 競争が働かない、五社がほぼ独占をしてやっているということによって、特に、短期間のうちにマイナンバーのシステムを全自治体が入れなきゃいけない、そして民間企業も入れなきゃいけないということで非常に、SEと言われるシステムエンジニア、情報システムを担当する職員の不足、そして不足しているがゆえにそのコストも上がっているという状態が起きている。

 実際に、私は去年内閣委員会で取り上げたんですが、自治体からも、総務省から出されている補助金の額ではとても足りない、当初、総務省や内閣官房が一生懸命見積もりをとって出してきたものと、現実に発注してみたら、その大手ベンダーは全然高い値段を提示してきて、その理由は、いや、SE不足だからしようがないんです、納期までにやろうと思ったらこの金額にならざるを得ないという問題が生じている。

 こう考えますと、私は、先ほどの五社の入札を認めたということも問題だと思いますし、加えて、このマイナンバーのスケジュールが非常に拙速であったんじゃないか。こういったことも見越したスケジュールを立てないと、余計な税金を使ってしまうことになる。特に、後からおくれて対応しなきゃならない地方自治体は、現実に、実際に悲鳴を上げている自治体を、私は何自治体からも聞いています。

 こういうことが起こったのは、私はそもそもこのスケジュール設定にも問題があったんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

向井政府参考人 お答えいたします。

 マイナンバーの立案、それから実施に当たりまして、これは御承知のとおり、民主党政権時代に既に法案が出されております。それと、実施時期、法案成立から実施までの期間というのは全く同じ設定になってございます。

 その上で、まず、システムの開発期間が短いから高くなるとは一概には言えないのではないか。おっしゃるように、集中いたしますとSEの単価が上がる危険性はございますが、一方で、長くなりますとSEを抱える人数、人日が多くなる、こういうこともございまして、一概には言えないのではないか。

 ただ、おっしゃるとおり、補助金を配った段階で地方からそういうふうな声があったのは事実でございますので、私どもも、そういういろいろな関係ベンダー等々に、適正な価格で見積もっていただきたいということを要請したところでございます。

 なお、私どもの発注に当たりましても、民間から強力な補佐官を据えまして、さらに遠藤CIOのもとで発注しておりますので、決して高いとは思っておりません。

高井委員 向井審議官はよくわかっていらっしゃると思いますけれども、国が出した金額が高いかを今議論したいんじゃなくて、むしろ、国が補助金を出すに当たって大手ベンダーから見積もりをとった。そのときは、大手ベンダーは一生懸命、買いたたかれてというか、向井審議官から厳しく指導を受けて、コスト削減に努めているわけですよ。だから、実際の補助金額も小さくなる。ところが、実際にそれを各自治体にその補助金額でやってもらおうとして持っていくと、ある自治体は、人口三十万以上の県庁所在地ですよ、四倍の値段を大手ベンダーから提示された。

 このことはそれ以外のものも含んでいたという議論を内閣委員会ではしているんですけれども、だから、もうこのことを答弁していただかなくてもいいですが、こういう事例があるように、私は、考え方としては、国がしっかりコストをカットしたことはいいんですけれども、そのことによって、自治体は今度、向井審議官ほどコストカットする力が個々の自治体にはありませんから、結果として高いコストのものを買わされていて、それは結局、我々の税金が使われ、大手ベンダーのところに行っているだけじゃないか。

 私は大手ベンダーもかわいそうだと思っているのは、大手ベンダーさんも、SEが今いないから一生懸命集めても、マイナンバーが終わった二年後、三年後には、この人たちをどうやって食べさせていくんだということも考えなければいけない。そういう問題が起こっているんですね。これはもう新聞とかでも言われていますし、株価なんかの影響にもそういうことも織り込まれている。

 ということは、やはりこういったことも予測した上でこのマイナンバーの制度というのはつくるべきだったんじゃないかというふうに思いますけれども、改めて、向井審議官、御見解をお願いします。

向井政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、ちょうどマイナンバーの法律が通りましたのが、民主党政権時代に一回法律を出しまして、それは審議されませんで、翌年自公民で出したものでございますけれども、そのタイミングになりますと、民間銀行等で大規模改修とかが始まりかけていたというのもございまして、できるだけ早く着手した方が後々いいんじゃないかということで着手させていただきました。

 ただ、そのときの景気もよくなったこともありまして、SE不足になったことは間違いないと思っております。

 その上で、地方自治体等につきましては、その後、補正をやったり、あるいは自治体とできるだけ情報を共有いたしまして、自治体の調達担当者とオンタイムで情報をやりとりできるようなシステムをつくってございまして、そういう中で、できるだけ自治体を支援してきたつもりでございます。

 その上で、一部民間の、例えばマイナンバー対応のシュレッダーだとかマイナンバー対応の金庫だとか、何が対応しているのかよく知りませんが、行き過ぎた面はあるとは思っておりますけれども、システムに関しましては、おおむね妥当な範囲で、かつ、自治体の持ち出しもそうなっていないのではないかというふうに考えております。

 ただ、おっしゃったとおり、ではこの先どうなるのかということもございます。それにつきましては、現在、さらに、私はIT室も兼ねてございますけれども、IT戦略等で、まさにこれから国、自治体の本格的なIT化というのが必要だと思っております。

 やはり日本の場合、ITにつきましては民間の方がはるかに進んでいる、公的部門の方がまだまだおくれていると思っておりますので、これらにつきましても今後詰めてまいりたいというふうに思っております。

高井委員 向井さんはIT副CIOですか、そういうことも含めて頑張っていただきたいんです。

 最後に、総務大臣、ちょっと通告していない、今の関連、今の話をずっと聞いていただいていたと思うんですけれども、結局、その後聞こうと思ったセキュリティーの、地域情報化の話にもかかわってくるんです。

 これはまたあさってやろうと思うんですけれども、実際、今本当に自治体は悲鳴を上げていますから、なかなか総務省の担当者と話しても、そうですかという顔をされるんですけれども、そこはぜひ総務大臣としてもしっかり調査をしていただいて、今の補助金額で十分なのかどうか。

 というか、今言ったマイナンバーから始まったいろいろな、自治体を含めた情報システムの構造そのものに起因する非常に重大な問題だというふうに私は思っておりますので、総務大臣は所掌がかなり広くて、放送のことで最近はもう手いっぱいかもしれませんけれども、ぜひこの自治体の情報化について全力で取り組んでいただきたいと思うんですが、最後に御答弁をお願いします。

高市国務大臣 地方負担分について、一〇〇%充当の補正予算債で対応したりして、できるだけ自治体の御負担のないように措置もしておりますし、また、地方財政計画に自治体情報システム構造改革推進事業費として千五百億円計上しております。各自治体におかれまして、これらを活用して情報セキュリティー対策をしっかりと推進していただけると思います。

 補助金が足りないというお声を聞いていただいたのかと思うんですけれども、やはり補助金に上限額を設定しておりまして、自治体独自でより高度な情報セキュリティー対策を実施される場合には、一定の自治体負担が発生するということも想定されます。

 各自治体で支援策を有効に活用して、必要な情報セキュリティー対策を講じていただきたいと考えております。

高井委員 これで終わりますけれども、また引き続き議論させてください。

 ありがとうございます。

遠山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

遠山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。水戸将史君。

水戸委員 民主・維新・無所属クラブの水戸将史でございます。ありがとうございます。

 きょうは、総務大臣を筆頭に、財務省からも内閣府からもお見えいただいていますので、順次、今回は特に地方税法、地方交付税法の改正等々含めての、それに関するテーマに絞ってお話をさせていただきたいと思っております。

 まず、財務省にもお聞きをしたいんですけれども、いわゆる法人税減税というのをしようという形で、ずっと時代の流れとともにやってきた経過があります。今回も、目途とするところは、やはりデフレ経済からの脱却とか経済再生をより確実なものにしていくために、課税ベースを拡大しつつ法人税率を引き下げることによって、成長志向型の構造に変えていくんだということでありますけれども、そもそも法人税減税というものがデフレ経済とか経済再生にどれだけ寄与するかというものが、甚だ私にとっては懐疑的にならざるを得ないということであります。

 まず、財務省にお聞きしたいんですけれども、具体的に、こうした減税策がどの程度こうしたものに寄与するというふうに見込んでいらっしゃるのか、簡潔に御説明ください。

岡田副大臣 今般の法人税改革は、委員御指摘のとおり、課税ベースを拡大しながら税率を引き下げることによって、法人課税をより広く負担を分かち合う構造へと改革を志向しているものであります。

 例えば、総務省の所管でありますけれども、大法人について、法人事業税の外形標準課税の拡大を行い、あわせて法人実効税率を引き下げることによって、一つには、いわゆる稼ぐ力が高い大法人の税負担が減り、また、赤字の大法人にとっても黒字化をした場合の税負担の増加度合いが緩和される。こういったことを考えますと、企業にとって利益を稼ぐインセンティブは高まるものと考えております。

 また、大法人について欠損金繰越控除の控除限度額の引き下げも行うことによりまして、過去の欠損金を抱える大法人は控除期限を受けないためには所得を大きくしなければならないということで、収益改善のインセンティブが高まるものと考えております。

水戸委員 理論的にはそういう理論も成り立つかもしれませんけれども、実際、現場で一生懸命汗を流して働いている人にインセンティブを与えていくといったって、経済状況もこういう状況でありますから、もちろん企業努力は必要ですけれども、収益構造になかなか寄与しないのではないかというところもあると思うんですね。

 もう一回財務省に聞きます。

 いみじくもおっしゃっていただいた外形標準課税、今回もこの改正に出ておりますが、これはもう釈迦に説法でありますけれども、所得割の恩恵は、稼ぎのある大企業にとっては減税となります。いわゆる所得をいっぱい稼いで利益がある、そうした企業にとっては減税となるんですけれども、赤字企業、やってもやってもなかなか黒字化しないという企業も、たくさん大法人でもあるんですよね。これにとっては実質増税となるんですよ。

 結局、法人税実効税率を下げるという表面的な、いわゆる、今、二九%にしよう、ドイツ並みにしようという形で、何とかして法人実効税率を下げるんだ下げるんだという一つの目的があって、そしてこのような、ある意味、言い方は悪いけれども、何となくこそくな手段で、そして赤字企業を犠牲にするやり方に見えるんですけれども、これに対しては財務省はどういう見解ですか。

岡田副大臣 今般の改革に当たっては、赤字企業を犠牲にするといったことは全く考えておりませんで、これは、経済成長のエンジンとなり得る、企業の収益力を高めるための取り組みとしてこの改革案をごらんいただきたいと思いますし、多少の時間はかかっても、いい循環が生まれてくると思っております。

 また、一言付言をさせていただければ、この改革に当たりましては、地域経済を支える中小企業への影響に配慮をいたしまして、大法人中心の改革としておるところでございます。

 したがって、全体の法人の九九%を占める中小企業に関しては、この外形標準課税の拡大も欠損金繰越控除の控除限度額の引き下げも適用されない、対象外ということでございますので、中小企業にとっては被害が出ない、影響が出ない、そういうふうに思っております。

水戸委員 確かに、中小零細企業は増税にはなりませんけれども、では、減税策を授かるとか何か恩恵があるかというと何にもないわけでありまして、今の状況をただただ引きずっていくだけの話なんですね、中小零細企業は。

 もう一度財務省にも見解を問いただしていきたいと思うんです。

 やはり、アベノミクスというもののそもそもの理念というか考え方、方向性というのは、トリクルダウンという形で、いっぱい頑張っていただいてもうける企業にはいっぱいもうけてもらって、利益企業主導型で、それをある程度、周りにその恩恵を授けていこうというような話なんですね。この三年間、そういう形でずっとやってきたと思うんですよ。政府は頑張ってきた、それを私も評価はしたいところもあります。

 しかし、三年間でその効果、恩恵も実感できない赤字企業に対してこういう形で負担増を求めることは、そもそもアベノミクスというものの、安倍首相が先頭に立ってやってきたこの理念とか方向性とはかなり乖離しているんじゃないかと私は残念でならないんです。

 こういうことに対しては、財務省はどういう見解ですか。

岡田副大臣 委員御指摘のとおり、安倍内閣の経済政策は、経済全体のパイを大きくして、好調な企業の収益を賃金引き上げ等につなげ、雇用や所得の拡大を通じた経済の好循環を回すことを目指すものであります。その成果は、一定、かなり上がってきておると思いまして、例えば、昨年の春闘において二年連続の大幅な賃金引き上げが実現するなど、経済の好循環が生まれてきているところだと思います。

 今般の法人税改革についても、赤字企業から税を先取りしようというような、そんなものではありませんで、企業の収益力拡大に向けた前向きな国内投資や、継続的、積極的な賃金引き上げが可能な体質への転換を促すものであります。

 これは、もうかっている大企業に一層頑張ってもらわなくてはいけないということを官民対話とかいろいろな場所で申し上げているところでございまして、経済界からも、例えば経団連の会長でありますとか、法人実効税率二〇%台の実現といった事業環境の整備を受けて、大企業の方が投資拡大や賃金引き上げにさらに積極的に取り組んでいく、そういう旨を経団連の榊原会長も表明しているということでございます。

 やはり、もうかっている大企業がため込まずに積極的に投資をしてもらいたいし、賃上げも行ってもらいたい、それを経済界の代表者も望んでいる、望んでいると申しますか、そういった方向性で表明をしているわけでございます。

 したがって、赤字企業にもその恩恵というものはいずれ行き渡る、このように思っております。

水戸委員 その話はまた後ほど問いただしていきたいと思うんです。

 では、総務大臣、ちょっとそこにお出ましいただいて。

 総務省にとって、今回、法人税減税の穴埋め策としての外形標準課税の拡大はどういう意味を持つのか。要するに、なぜ外形標準課税で穴埋めをしなきゃいけなかったのかという、そもそも論。

 私はそれが非常に疑問でならないんですけれども、いろいろなことを考えあぐんだあげくの結果、やはり外形標準課税の拡大だということに着目したんですか。この経過はどうだったんですか。

高市国務大臣 外形標準課税の拡大につきましては、応益性の強化、税収の安定化に資するという観点から、かねてより全国知事会から御要望をいただいておりました。

 また、政府税制調査会の答申において、税負担の公平性の確保、応益課税としての税の性格の明確化、地方分権を支える基幹税の安定化、経済の活性化などの意義を有するとされてまいりました。

 これを踏まえて、今回の法人税改革の一環として、大法人向けの法人事業税の所得割の税率は引き下げ、それとともに外形標準課税を拡大するということにしたものでございます。

 これは、地方のお声にお応えするとともに、税収が安定的で偏在性の小さい地方税体系の構築に資する、そういう意義を有すると考えております。

水戸委員 これからこういう形で外形標準課税がさらに拡大していくという話になりますね。

 そうなると、やはり我々が深刻に受けとめていかなきゃいけないものは、地域の産業や雇用に対する影響なんですよね。これが非常に出てくるのではないかと私は危惧しております。

 総務省からいただいた資料も、外形標準課税、今回の対象企業は約二万三千社ありますけれども、その二万三千社のうち赤字企業は約六千四百社、赤字企業一社当たり税負担が一千六百万円ふえることになるんですね、今回これをやると。それとは裏腹に、黒字企業には一社当たり七百万円の負担軽減となるんですね。結局、これだけ、赤字企業に対しては税負担が重くなり、黒字企業に対しては税負担が軽くなるという話であります。

 ですから、いわゆる赤字企業一社当たり一千六百万円の増税が、それがどの程度、地域の産業や雇用に影響を、ある意味悪影響をもたらすのかということについて、総務大臣はどのようなことをお考えになっていらっしゃいますか。

高市国務大臣 赤字法人の税負担増という問題は生じてまいります。しかしながら、今回の法人税改革は、企業が収益力を高めて、より積極的に賃上げや設備投資に取り組むよう促す観点から行うものでございます。

 地方でということを考えますと、私もかねがね、トリクルダウンという考え方じゃなくて、むしろ地方からGDPを押し上げていくということを申し上げてまいりました。

 大企業が、例えば、積極的に賃上げをしていただいたり、また、設備投資を進めていただくことによって、地方においても、消費が拡大して、中小零細企業にもその恩恵が及んだり、それからまた、設備投資に取り組むことによって発注というものがふえてくる、そういった効果というのは想定できると思います。

 ただ、今回、外形標準課税の拡大によって、赤字法人ですとか、あと収益力の低い法人について負担増になるんですけれども、我が国は一部の企業に税負担が偏っているという指摘もあったので、そうした状況を改善して、広く負担を分かち合う構造にしたものです。

 ただ、企業が収益力を高めていく取り組みを求めるとしても、一定の期間というのが必要でございますので、事業規模が一定以下の法人について、外形標準課税の拡大によって負担増になる場合には、時限的にその負担増の一定割合を軽減する措置を講ずることにしています。

 赤字ですとか収益力の低い法人も、業績が向上していけば今回の改革によって税負担が軽減されるものですので、しっかりと経済対策に取り組んでまいりたいと思っております。

水戸委員 国税か地方税かという分け方もあります。また、応益負担か応能負担かという、これは全てしっくりと分類されるわけじゃありませんけれども、基本的には、地方税というのは応益負担、一定の公共財を黒字であれ赤字であれこれは利用するわけでありますので、その利用する対価として税金を払いなさいよという、いわゆる応益負担ですよね。こういう考え方がやはりベースにあるとは思うんですよ。

 そうはいうものの、先ほど言ったように、利益が出ない赤字企業に対してある程度重税感を加えていくと、やはりこれは地方に対する影響がかなり悪い方向へと働いていくのではないかということを懸念しているんですね。

 また、こういう考え方、先ほど総務大臣も言ったように、収益構造を改善していくんだという話もありますけれども、では、今後、事がさらに一層進んでいくならば、今は確かに一億円ということが一つのあれで、大法人ですけれども、これから中小零細にもこういう外形標準課税の対象が拡大していくんじゃないかというような、いわゆる応益負担という形を考えていくならば、誰でもそうした公共財を利用しているんだから払ってくださいよ、そういうような考え方がまたさらに一層進展していくんじゃないかということも、これは私もある意味懸念しているんです。

 こういう考え方でいく予定でありますか。どうですか。

高市国務大臣 これは、中小法人課税、法人税を含めてでございますけれども、与党税制改正大綱において、「実態を丁寧に検証しつつ、資本金一億円以下の法人に対して一律に同一の制度を適用していることの妥当性について、検討を行う。」とされています。その上で、「外形標準課税の適用対象法人のあり方についても、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う。」ということになっておりますので、これからこうした方針に沿って検討がなされると思っております。

 この適用対象法人の拡大につきましては、経済界などからもさまざまな御意見があると承知していますので、それらの意見を十分に踏まえた上での検討になると存じます。

水戸委員 先ほど、また財務副大臣も御答弁の中で若干触れていただいたんですけれども、だんだんと、過去十年ぐらいの今までの流れを見ると、やはり法人税率がずっと着実に下がっているんですね。大体二〇〇五年ぐらいの段階では四〇%弱ぐらいだったんですけれども、今回下がれば、一〇%ぐらいこの十年間で法人税率が下がるわけです、実効税率が。

 あの当時も企業の留保金は大ざっぱに言えば二百兆円ぐらいあったんですけれども、今に至っては三百五十兆円を超えるというような形で、非常に留保金が、企業内のこうしたいわゆる内部留保がかなりたまりにたまっているということなんですね。それを何とか吐き出させようという形で、今試みようとして、また今までもしてきたと思うんですよ、この十年間でこれだけたまっているんだから。

 しかし、では、現在こういう形でまたさらに下げたことによって、これが企業外部に、企業内部から外に向かって、例えば設備投資とか賃金、給与に反映するということが、本当に確実にそうなるかということはどうですか。そういう手段と方法というのは何かあるんですか。どういう形で今考えていらっしゃるかということを財務省はどう把握されているか。

岡田副大臣 委員御指摘のとおり、企業の内部留保は現在三百五十兆円を超えまして、手元資金もふえている状況でございます。経済界がマインドを変えてもらって、賃金引き上げや投資拡大に積極的に取り組むことが重要な局面であるということは、私どもも考えております。

 法人税改革を行いましても、もうかっている企業がさらに現金をため込むような結果になっては私は意味がないと思っておりまして、こうした点は財務大臣からも官民対話や経済財政諮問会議などのさまざまな機会で繰り返し申し上げてきておりますし、先ほども申し上げた榊原経団連会長の与党税制改正大綱に対するコメントの中に、設備投資等の拡大、雇用の拡大、賃金のさらなる引き上げに積極的に取り組みを進めるというふうにしておるものでございまして、今後、経済界の実際の取り組み状況をよく見きわめてまいりたいとは存じます。

 私どもは、そうした企業のマインドというのを変えていくことができる、そういう法人税改革であるというふうに思っております。

水戸委員 もう一回端的に、副大臣。具体的な策は何かあるんですか。それを今検討して、こういうことをやりたいということは何か具体的なものがあるか、もう一回答えてください。

岡田副大臣 これにつきましては、今後の経済界の実際の取り組み状況をよく見きわめてまいりたいということを考えておりまして、今後もさまざまな場面で、官民対話あるいは経済財政諮問会議等におきまして、機会を捉えて経済界にそのことを申し入れしていきたい、このように存じております。

水戸委員 いわゆる具体的な策はまだ何も思い当たらないし、やろうというような気配ではないということがよくわかりました。

 ここで、財務省は否定されるかもしれないけれども、一つの提案でありますけれども、やはり税率を下げるという税に対する恩恵を与えていくならば、ある程度それによって、あめとむちではありませんけれども、ある意味、あめを与えるという形であるなら、ある程度むちという政策も必要じゃないかと思うんですね。いわゆる税制でそういうことをやっていく必要がある。

 だから、端的に申し上げるのであれば、ためることに対するペナルティー、いわゆる留保金課税ということもやはり一つの今後の検討課題として私は俎上にのせるべきだと思うんですよ。

 こういうことは、もうアメリカとか台湾とか韓国は、釈迦に説法でありますけれども、やっているわけでありまして、確かに、こうやると二重課税という話もありますけれども、しかし、そうはいうものの、財務省も、先ほど言ったように政府も、ためないで使ってくださいという話になりますから、ためることに対してのペナルティーという考え方もやはり同時並行的に私は導入すべきだと思うんですね。

 そしてなおかつ、韓国なんというのは、いわゆる留保金課税もありますけれども、例えば、そうしたたまったものを従業員の給与に反映をした場合とか配当に回した場合、それは減税をやるんですよ。使うことによって減税をやるという、両者を緩急織りまぜてやっている政策をとっているんですね。

 韓国を見習えとは言いませんけれども、そういうことも財務省は検討すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

岡田副大臣 いわゆる内部留保課税についてのお尋ねでございます。

 今委員も先立っておっしゃいました、二重課税ではないか、そういう指摘があるという点につきましては、これは、法人税でも特定同族会社の留保金課税制度というものもございまして、二重課税かどうかというよりも、むしろ政策的な必要性について検討する必要があると思っております。

 つまり、内部留保課税というそこまでの対応を行う必要があるのか、逆に言えば、そうした対応を行わなければ経済界のマインドは変わらないというのか、このあたりの政策的な議論というものを深めることが先決ではないかと思っております。

水戸委員 変わらないから言っているんじゃないですか。三百五十兆円もたまっているんだから、これが推して知るべしの話ですよ。

 結局そういうような、この十年間で百五十兆円もたまりにたまっている。もちろん、それは企業が頑張って利益を上げているから、それはそれとしていいんですけれども。やはり政府がおっしゃるとおり、ためないでなるべく使ってください、そうしないと景気がよくなりませんよ、経済が活性化しませんよというんだったら、そのような形で、何も相手を懲らしめようなんという話じゃなくて、やはりそういう形で使っていただきたい。それは、従業員や社員の給料、賃金に反映をするとか、配当に回すとか、設備投資に使うとか。そういう形で有意義に有効的に使っていくということを、やはりインセンティブ、先ほどおっしゃるインセンティブをもってしてやっていくということを強く私は要望していきたいと思うので、それはぜひ考慮していただきたいと思っています。

 もう時間がありませんので最後にしますけれども、企業版のふるさと納税というのが今回新たに創設されます。今までの個人版のふるさと納税も何となく成功しているような形で受けとめられている感もありますけれども、私に言わせれば、ちょっとそれは間違っているんじゃないかなという認識じゃないかなという気もしないではありません。

 しかし、いずれにいたしましても、今回は企業版のふるさと納税ですね。個人が、我がふるさと、自分が今まで生い育ったふるさとに恩返しをする、また、そうではなくても、関心のある自治体に何とか寄附をしたいとかそういう思いで、何か役立てていただきたいという善意の気持ちで、今までもふるさと納税というのはある程度推進をしてきたというような経過がありました。

 今回は企業版のふるさと納税というふうになるんですが、地方創生応援税制という言い方をして、(企業版ふるさと納税)とあるんですけれども、企業のふるさとというのは、ちょっと済みません、ニュアンス的に、個人のふるさとはわかるんですが、企業のふるさとというのはどういうような、ちょっとぴんとこないんです。

 まずこういうようなものを出して、何かいいイメージでどんどん企業からお金を流してもらおう、何かそういう意図が透けて見えるような気がするんですけれども、なぜふるさとと企業とを結びつけるのか、簡略的にこれを御説明ください。

福岡副大臣 今御指摘ございましたように、この税制につきましては、地方創生を推進するという政策税制でありますから、正式名称は委員御指摘のとおり地方創生応援税制としておりますが、通称として企業版ふるさと納税というのを使わせていただいています。

 これは、例えば地方から事業を大きくして東京に本社を移転したりされているようなところ、そういうところの企業が、創業地の地方公共団体が行う事業に寄附することで地方創生に貢献したい、こういったことも想定され得るものですから、こういう名前を使わせていただいているということでございます。

水戸委員 ネーミングはいろいろとあって、言えばいろいろな理屈がつくかもしれませんけれども、何となく、ちょっとぴんとこないなというのは、これはあえて申し上げさせていただきました。

 いわゆる企業版ふるさと納税です。現在でも、企業が自治体に一定の寄附をした場合は損金算入ができますから、三割までは実質負担を軽減することができるんですね。今回これをとることによって、さらに税額控除も加わりますから、出した寄附金による六割が負担減、だから、実質四割の寄附金でいいという話になるわけでございますよね。

 もちろんこれは企業にとってメリットがあるわけでありますけれども、そもそも寄附という行為とこの負担軽減というのは本当に何のためにあるのか。ちょっとこれも理解に苦しむんですけれども、なぜ六割もこうした軽減をする必要があったのかということについてはどうなんですか。

福岡副大臣 委員からもございましたように、地方創生に資するために企業からの寄附を促進するという観点からは、税制面においてある程度のインパクトがある、そういうインセンティブが必要ではないかというふうに考えております。

 ただ一方で、寄附行為によりましてイメージの向上であったり何らかの利益を企業自身にももたらすことが当然考えられるわけですから、一定の企業負担ということは残しておくということが大切だというふうに思っておりまして、これらのバランスを勘案いたしまして、現行の損金算入による約三割の軽減効果を、三割の税額控除を追加することで二倍に拡充することによって六割の負担軽減とし、四割は企業負担とするということにさせていただいたものでございます。

水戸委員 もう最後になっちゃいますけれども、結局、個人版のふるさと納税も、いろいろな形での負の面というのが見えているんですね。それは何かというと、やはりモラルハザードというものの懸念なんですね。

 結局、企業が地方自治体に寄附をする動機は、もちろん税制上の優遇策もありますけれども、こうした言い方は悪いけれども、寄附した自治体に対して、何かプラスアルファがあるんじゃないか、入札とか業者選定で自分もそれに加えてもらいたいというやましい下心があって、そういう形で寄附をするということもなきにしもあらずということも想定されますよね。また、逆に、自治体が寄附を集めるためにそういうことを各企業に働きかける、寄附をしてくれたらやってやるよ、そんなことがあるんじゃないかということも疑いたくなっちゃうものがあるんですよね。

 実際、こういうことは個人版のふるさと納税でありましたけれども、返礼品、実質二千円の負担なんですけれども、寄附をした場合にそれ相当のいわゆる特産品を送ってくれるということに対して、非常にこれは過熱していますよね。それに対しても、総務大臣みずからが、昨年の四月には、そういうことで、良識ある対応をしなさいよということを各都道府県に通知を出しているぐらいなんです。

 結局、こういうような個人版でも見られたことが企業版でも見られるんじゃないかということは、どうしてもその懸念は払拭することができません。

 まず、総務大臣に聞きたいんですけれども、こういうモラルハザードについて、個人版のこういうことがまた企業にも波及していくんじゃないかという一つの懸念についてどう思われているのか。

 また、内閣官房は、これを防ぐため、どういうような手だてをこれから講じていくつもりなのかということ。

 それを両者から明快に御答弁ください。

高市国務大臣 いわゆる企業版のふるさと納税の話を内閣府の方から伺ったときに、最初に私が心配したのもその点でございましたが、今回、地域再生法で整備する枠組みの中で、都道府県、市町村が寄附を行う企業への見返りとなる便宜供与を禁止するということになっております。

 個人の皆様のふるさと納税ですけれども、これも、私が去年通知を出しましたのは、やはり贈与に当たる場合、別途税法上の問題が出てきますので、それで、換金性の高いものですとか金額を示すような返礼品について見合わせていただくように要請を行いました。

 ただ、個人版のふるさと納税で、ある地域と縁をつないだことによって、その地域に観光に行ってみようかとか、そこに移住を検討しようかとか、それから、お取り寄せをもっといろいろしてみようか、そういう別途の経済効果が出てきておりますので、企業版の方でもまた、その地域と御縁をつながれることによって、その地域のちっちゃな部品メーカーと取引をしてみようかとか、また、そちらで雇用、テレワーク雇用などもできますのでそういったことをしてみようかとか、地域とのえにしをまず得られるということの効果も期待できるのかなと考えております。

福岡副大臣 委員御指摘の点は、地方六団体からもモラルハザードを招かないようにすべきだというような御意見を寄せられているところでございまして、改正地域再生法の施行規則におきまして、地方公共団体が寄附の代償として企業に経済的利益を供与することがないようにするという趣旨の規定を設けさせていただきたいと考えております。

水戸委員 時間が参りました。しっかりやっていただくことを強く要請して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、武正公一君。

武正委員 民主党の武正公一でございます。

 税法、交付税法についての質疑を行わせていただきます。

 まず、税法の方でございますが、地方法人課税の偏在是正についてということで、今回法改正を御提案いただいております。

 法人住民税の交付税原資化ということでありますが、これは、再三これまで総務省の皆様には、その影響を明らかにしてほしい、具体的に自治体にどの程度影響額があるのかということを求めてきているんですが、資料を出していただけません。

 やはり関係自治体さまざまな影響がある。影響の多い自治体にあっては百億円ほどの影響が出てくるというようなことがありますので、まず、こうした影響を、やはりこの審議に当たっては、どの程度の影響が自治体にあるのかというのを明らかにすべきだというふうに考えますが、これについて御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 地方法人課税の偏在是正でございますけれども、まず、トータルの地方税収への影響を平年度ベースで試算しますと、地方消費税が約一・四兆円の増、法人住民税が約〇・九兆円の減、そして地方法人特別税・譲与税制度の廃止及び法人事業税への復元がございますので、約一・九兆円の増となりますので、地方税収全体は増加いたします。

 多分、委員が数字を出してもらえないという話は、個別の地方公共団体への影響ということなのかなと思ったんですけれども、今回の偏在是正措置、そもそも全国知事会など地方団体からの御要望によるものなんですけれども、個別の団体の影響額につきましては、引き下げ後の法人住民税法人税割の税率ですとか、あと、法人事業税交付金の交付率や交付基準を各団体にお示ししております。ですから、各地域の事情も踏まえて一定の仮定を置いて各団体みずからが影響試算をしていただくことが可能でございます。

 先ほど委員がおっしゃった数字も、一定の仮定を置いた上で独自に試算をされているものだと存じます。

武正委員 特に、今触れられた九千億円の減の法人住民税の交付税原資化、この影響、これが九千億円税収減ということになるわけでありますが、特にこれが一部自治体には大変大きな額、影響が出るということが既に言われておりますが、実態、それがどの程度なのかということは、我々、この審議の場においてはわからないといった中で法案を審議しなければならないというのは、やはり審議に係って総務省としての説明責任が果たし得ていないというふうに考えるわけでございます。

 特に、企業誘致を各自治体がこれまで努めてきたわけですので、当然、企業を誘致することによっての法人住民税、これが自治体にとって大変大事な税収源になっている。そういった自治体が、当然、企業を誘致して、その企業が事業を行うためにさまざまな努力を行ってきた。自治体にとって、それが税収減につながっていくということは、企業を誘致しようというモチベーションが問われかねないということにもつながるわけであります。

 全体ではプラスなんだというお話や、あるいは偏在是正が六団体からあるというお話は理解するとしても、やはり個別の自治体を考えたときの影響の大きさ、そして、先ほど触れたような、企業誘致のモチベーションがこれを契機に下がるおそれもあるといったこともあわせて、いずれにせよ、こうした点も、この委員会では審議でその影響をしっかりと見きわめる必要があります。

 まだまだ、きょうだけでなく、金曜日も質疑がありますので、やはり資料の提出をお願いしたい。三点目についてはぜひ理事会での協議をお願いしたいというふうに、これは委員長に申し上げたいと思います。

遠山委員長 ただいまの武正委員の申し出につきましては、後刻理事会にて協議をいたしたいと思います。

武正委員 先ほど触れました点、モチベーションが下がってしまうんじゃないのかという点についてはいかがでしょうか。

高市国務大臣 多くの市町村において、長年にわたって企業誘致ですとか産業振興に熱心に取り組んでこられて、その結果、その地域の税源の涵養につながったということ、それから経済の活性化にもつながったと考えておりますので、その御努力に対しては深く敬意を払います。

 他方、地方公共団体が安定的な財政運営を行うためには、やはり税源の偏在性が少なくて、税収の安定的な地方税体系の構築が必要で、その必要性はこれまでも政府税制調査会の答申でも何度も指摘をされてまいりましたし、また、税制抜本改革法においても、地方法人課税のあり方を見直すことによって税源の偏在性を是正する方策を講ずるということが規定されています。

 地方税財源を充実していく中で税源の偏在性をいかに是正するかというのが近年の地方税制における極めて大きな課題でありますので、この偏在是正措置の意義についてはぜひ御理解を賜りたいと思っております。

 なお、法人事業税交付金については、各市町村の従業者数を基準に交付することにしていますので、各市町村の産業の集積度合い、すなわち税源の涵養努力が反映される仕組みになっています。それから、法人事業税交付金に係る経過措置を設けるということで、激変緩和措置を講じております。

 なおかつ、減収額を対象に特例的に地方債を発行するようにできる措置ということになっておりますので、基本的には、一生懸命努力して働いて税金を払ってきたのにという企業が多い地域において一定の影響が出ることについては、十分な配慮措置をさせていただいていると考えております。

武正委員 一方、かねてより、地方六団体を初め各地方自治体は、税財源の移譲をということを求めてきたわけですね。

 ですから、この法人住民税もそれぞれの自治体にとっては固有の財源ということでありますが、これが今回の交付税原資化ということで、全体でまた国から配るから、しかも働いている従業員数に応じて配るからそれは変わりないよというような趣旨かもしれませんが、やはり地方分権、そして特に税財源の移譲、これは一括法以来かねてより各自治体だったり六団体から求められてきたところでもありますので、こういった税財源の移譲ということについては後退をしてしまったということではないでしょうか。

高市国務大臣 今回の地方法人課税の偏在是正措置でございますが、消費税率一〇%段階で地方法人特別税・譲与税を廃止して、法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進めて、地方法人事業税の一部を都道府県から市町村に交付する制度を創設するということによって、偏在性が小さくて安定的な地方税体系を構築する、こういう全体的な枠組みでございます。

 法人住民税の交付税原資化についての委員の問題意識だろうと思うんですけれども、これは、地方消費税の税率引き上げによって地方の税財源が拡大する中で行うものです。また、交付税の原資化によっても交付税というのが地方の固有財源であるという性格が失われるものではございませんので、地方分権に逆行するものとは考えておりません。

 しかし、これから将来にわたって地方が使える税源をふやしていく、その必要はございます。やはり仕事量に見合った税源を確保していく。まずは六対四というのを五対五にということを私たちは目標にしておりますけれども、これはこれからも取り組むべき課題だと存じます。

武正委員 そうであれば、法人住民税はそのまま残して、そして地方消費税を地方にということはかねてより自治体からも言われているところでありますから、その見合いで交付税原資化というのはやはりいかがなものかと改めて言わざるを得ないところでございます。

 それで、今度は地方債について、今回、税法の方でしたでしょうか交付税の方でしたでしょうか、地方債の発行基準の緩和といったところが提起をされておりますが、この地方債についても、かねてより地方債改革ということが行われてまいりました。

 平成十一年、この発行について、許可制から協議制への移行。実際にこれが始まったのは平成十八年度でございます。そして、ちょうど民主党政権下の平成二十四年度改正では、それも協議制から届け出制へと見直しをしてまいりました。

 そして、今回のさらなる緩和ということでありますが、こうした一連の地方債改革で、例えば金利が安く調達できるようになったとか、発行額がふえるようになったとか、あるいは、かねてよりロンドンでの発行などもできるようにしようねというようなことも言われておりましたが、こういったことが、平成十八年以降、あるいは特に平成二十四年以降どういった顕著な見直しがされたのか、これについて御紹介いただけますでしょうか。

高市国務大臣 平成二十四年度からの地方債の届け出制の導入によりまして、地方団体は届け出を行えば国などとの協議、同意を待つことなく地方債を発行できるようになりました。これによって、地方債の発行時期の自由度が拡大しました。市場動向に応じて機動的な資金調達が可能となって、年間を通じて地方債の発行量の平準化というものが進展してきております。

 まず、金利についてでございますが、地方債の金利については、例えば市場公募地方債の国債利回りに対する上乗せ幅、スプレッドを比較しますと、平成二十四年四月の届け出制の導入の前後で大きな変化はございません。これは届け出制が円滑に市場に受け入れられたということだと思います。

 それから、地方債の発行額でございますけれども、例えば市場公募地方債では、平成二十年度以降、借りかえ分も含めて、約六兆円から七兆円で安定的に推移してきておりまして、届け出制の導入によって国の関与が縮減しても、地方債が安易に増発されるといった事態は生じておりません。

 それから、地方債証券の投資家別の保有状況を見てみましたら、これは日本銀行の統計なんですけれども、例えば信用金庫や信用組合などの中小企業金融機関などの保有割合が、届け出制の導入前後を問わず、年々高まっております。

 というようなことで、大体、この届け出制の導入によって地方団体の自主性が高まった、機動的な資金調達がなされるようになったという一方で、届け出制について市場からは適切な受けとめと理解がなされているということですので、地方債制度は安定的に運用されていると考えております。

武正委員 順調にこの地方債発行が安定化をし、また市場からも受け入れられているという御指摘がございました。

 市場公募債が、今、一般債の中では主要セクターになっているといったことも、市場からも受け入れられている一つの理由にもなりますし、また、公募地方債の割合が、一般債発行市場で年々ウエートが上昇しているといったことにもあらわれているかというふうに思います。

 こうした点などに加えまして、一例を挙げますと、東京都債は残高八兆円、それから共同発行市場公募地方債は十四・二兆円という残高でありますので、公共債である日本高速道路保有・債務返済機構の二十七兆円や地方公共団体金融機構の二十・二兆円に次ぐ規模であるといったことも、市場からもこの地方債が、平準化をしての発行について、受け入れられているという証左ではないかと思います。

 ただ、では、それでスプレッドが縮小していってほしいんですけれども、逆に二十六年二月には拡大をし、二十七年、二十八年と拡大をしてしまっているんですね。つまり、地方債の発行利率は、国債の発行利率との差、スプレッドが拡大をしてしまっているわけなんですね。

 こういったところは、別な理由があるという話も聞くんですが、やはりそうしたスプレッド、国債との差を縮めていくということも、さらなる地方債発行についての努力が求められるのではないのか。いわゆる緩和ですね。さらなる緩和措置があってもいいのではないのか。自由度を高めるような、あるいは自治体のそうした独自の発行権限、それがさらに拡大をしていく必要があるのではないかと思いますが、これについての御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 武正委員がおっしゃっていただいたスプレッドの拡大ですけれども、これは平成二十五年四月から日本銀行による金融緩和がありまして、基準となる国債の利回りが低下する中で、地方債の国債利回りに対する上乗せ幅が拡大したということで、これは届け出制の導入の影響によるものではないと考えております。

 地方債制度については、今まで武正委員が年次を追って説明してくださったとおり、地方団体の自主性、自立性を高める観点から、順次制度の見直しを行ってきました。

 さらに、このたび、地方団体の自主性を一層高めるために、これまでに協議制の対象であったものを可能な限り届け出制の対象に切りかえるといった抜本的な見直しを行うこととしまして、必要な法改正をお願いいたしております。

武正委員 ぜひ、さらにまた見直しを迎える時期が来ているというふうに聞いておりますので、地方債がより自治体にとって有利な発行ができるような、そんな見直しを求めてまいりたいと思います。

 さて次に、ちょっと法律とは若干離れますけれども、さきの臨時国会が、三カ月間開催がなかった、臨時会が開かれなかった間にいろいろな動きが、総務省あるいは総務大臣そしてまた当総務委員会にかかわり動いてまいりました。

 その一つが、携帯電話の通話料の見直し、引き下げ、総務大臣からの発言あるいは総理からの発言ということでありまして、これによって、あわせてゼロ円携帯の見直しなども含めた取り組みが今進行中というふうに聞いております、説明も受けております。

 利用者にとっては、もちろん利用料が減る、安くなるということは朗報であったりしますけれども、果たして総務大臣が携帯電話事業者に通話料見直しを求めるといったことが総務大臣の所管に当たるのかどうかといったことも議論があったわけです。

 ただ、本委員会が開かれませんでしたので、こういったやりとりが昨年行われないままどんどんと物事が進んでいっておりますので、改めて総務大臣には、この通話料引き下げ発言の法的根拠、これがどこにあるのかを御説明いただきたいと思います。

高市国務大臣 そもそも、携帯電話市場における実質的なプレーヤーが大手三グループに集約されている中で、MNPによって端末を購入する一部の利用者に対する行き過ぎた端末購入補助、これが顕在化しておりました。それで、その分の負担分がライトユーザーや長期ユーザーの通信料金に上乗せされているんじゃないかという不公平感、わかりにくさがまずありました。

 それで、やはり、使っているデータ通信量を見ましても、一ギガバイトというところが非常に多いんですね、割合としては、分布としては。ところが、実際にその方々が六ギガ、七ギガという非常に、自分は使わない分だけの契約をさせられてしまっていたりとか、選択肢が少なかったということがございます。

 やはり携帯電話というのは、お子さんの見守りですとか御高齢の方々の見守り、それから防災面を考えましても、本当に大事な生活インフラでございますので、ライトユーザーも長期ユーザーも含めて、より広くの利用者の方々にとって使いやすいものになる、納得感のあるわかりやすい料金、サービス体系というのを目指しておりました。

 法的根拠ですが、総務省は、総務省設置法第四条に、電気通信業の発達、改善及び調整ということを所管しております。それから、情報通信行政を進めていく上でということなんですが、電気通信事業法第一条の目的に掲げられている公正な競争の促進や利用者の利益の保護、ここが極めて重要であると思います。

 ですから、携帯電話の市場や料金に問題がある、そしてまた競争状態に対してやはり不信感があるということになれば、これを解決するための方策を検討して必要な措置を講ずるというのが総務省の役割であると考えております。

武正委員 今の法的根拠とされるところが果たして通話料の値下げまで求める根拠になるのかというと、それぞれの法律の最初に掲げるような目的というか、非常に漠然とした目的条文になっておりますので、こうした、総務大臣から三社に対する通話料の値下げまで言い出したのはやはりやり過ぎではなかったのかなというふうに私は思います。

 先ほど大臣が言った公正な競争ということでいえば、かねてより私たち民主党では、電波オークションの法案をこの委員会に提出してまいりました。

 今の三社の寡占体制、こういったところを招いているのは、やはり新たな通信事業者が市場に参入しにくい今のこの電波法のあり方が問題ではないかというふうに考えているわけなんですけれども、そういったことからいえば、やるとすれば、公正な競争であれば、先進国、OECD加盟国三十四カ国中三十一カ国が既に採用しているこの電波オークションということがあってしかるべきであって、そういったことがやられないで今回こうした通話料の値下げといったところは、やはり順番が違うんじゃないかというふうに思います。

 これまでは、そうした通話料の値下げを求めたことは総務省としてあったんでしょうか。いかがでしょうか。

高市国務大臣 二〇〇七年に、菅大臣のときに、通信料と端末代金の明確化ということを要請したという事例がございました。

 それで、一旦はそういった要請をしたんですけれども、結局、言葉は悪いんですけれども、途中でちょっとまた別の形でサービスを展開される、非常に、いわゆるキャッシュバックに近いような事態が起きてきて、そうすると、やはり競争の世界ですから他社も追随するというような形で、また市場にゆがみが生じてきた、わかりにくさが出てきたということから、今回は、改めて、スマートフォンの料金負担の軽減と行き過ぎた端末販売の適正化について、私からも昨年十二月十八日に要請をしたということでございます。

武正委員 総務省なり消費者庁にも聞いたんですけれども、やはり苦情の一番の大きなところは契約関係であったりあるいは二年縛りの問題であったりというようなことがあるわけで、特に、大臣がまた提起をしているゼロ円携帯についても、直接的な苦情というようなことはそれほど多くないというのが総務省なりあるいは消費者庁なりの、細かいところまで数字は出してもらえなかったんですが、感触ということで、昨日も話を聞きました。

 そういった中で、このゼロ円携帯も見直しということで、今もそうした取り組みが行われておりますが、中にはゼロ円携帯であったからこうしたスマホなり携帯電話が持てるんだというユーザーもやはりいるわけなんですけれども、これについての総務大臣としての認識、問題意識について御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 先ほど苦情のお話もありましたが、総務省では、電気通信消費者相談センターと総合通信局において、電気通信サービスに関する利用者からの苦情や相談を受け付けております。

 携帯電話に関連したものでは、事業者との契約、提供条件、サービスの品質に関する苦情、相談、オプション契約、二年縛り契約、電波の受信状況、こういった苦情、相談が非常に多うございます。

 ゼロ円携帯見直しに関する苦情は、千件を超える御相談のうち数件ということで、これも、ゼロ円で買えなくなることに単に不満を表明された例であったということでございます。

 先ほども申し上げましたけれども、番号を変えずに頻繁に事業者を乗りかえる一部の方々に対しては、十万円近くもする端末を実質ゼロ円にして、さらに高額なキャッシュバックを提供する、これはやはり行き過ぎた端末購入補助だと思います。それが他の利用者にとってはなぜ自分たちに上乗せされているんだという不公平感に結びついてきたと思いますので、一部の方々に対する行き過ぎた補助を見直して、ライトユーザーも長期ユーザーも含めてより多くの利用者にとってわかりやすい、納得感のある料金とサービスを実現するということが重要だと思っております。

 私の方から、十二月には各携帯事業者に先ほど申し上げました適正化の要請をしたんですが、本年二月から三月三日までの間で、ガイドライン案などについての意見募集も行っております。

 端末販売の適正化とともにスマートフォンの料金負担の軽減につきましても要請を各社に行いました結果、既に各社からはライトユーザーの負担を軽減する新たな料金プランの導入も発表されました。これはまだ第一歩だと私は考えております。

 各事業者には、携帯端末の適正化と、引き続き料金プランの見直しを進めていただきたく存じます。

 若い方々などで、非常にデータ使用量が多いのにという方々に対しても、今、二十五歳以下の方々には学割ということでギガをプラスしたり、さまざまなサービスが展開されておりますし、型落ち端末につきましてはかなりの値引きであっても構わないんじゃないか、そういうスタンスで今作業を進めさせていただいております。

武正委員 「携帯電話各社の新料金プラン(スマートフォンの場合)について」という総務省がまとめた資料もいただいています。

 ただ、ドコモ、KDDI、ソフトバンク、かけ放題二千七百円、そしてライトプラン千七百円、これはいずれも同じですね。そして、データ通信料金についても、二ギガ三千五百円、五ギガ五千円、ここら辺はずっと同じ。合計額が若干、KDDIが六千二百円から、ドコモとソフトバンクが七千円からということでありまして、結局、三社また横並びの料金体系が示されているというふうに言わざるを得ないんですが、先ほど言った、多分、販売店での激しい競争の話だと思いますし、やはり料金プランは昔から三社ある面横並びだったんですね。

 ですから、私は、やはり事業者が三社体制だと、競争を促す、そして、ユーザーオリエンテッド、ユーザーサイドに立ったそうしたさまざまな取り組みということは、参入者が三社で固定されている限界があるんじゃないかというふうに思います。

 これは、かねてよりオークションということで提出をしているわけですので、やはりこれが一番直近に取り組むべき方策であるということを申し述べたいと思います。

 そこで、今度は放送法について話を移したいんですが、BPO、放送倫理・番組向上機構が昨年十一月六日に、「NHK総合テレビ「クローズアップ現代」“出家詐欺”報道に関する意見」ということで、放送倫理検証委員会の報告をまとめております。

 大臣も当然読まれたというふうに思いますが、その二十五ページ、「おわりに」というところで、総務大臣にかかわるところをちょっと読ませていただきます。

  二〇一五年四月二十八日、総務大臣はNHKに対し、「クロ現」について文書による厳重注意をした。番組内容を問題として行われた総務省の文書での厳重注意は二〇〇九年以来であり、総務大臣名では二〇〇七年以来である。NHKが調査報告書を公表した当日、わずか数時間後に出された点でも異例であった。

  総務大臣は、厳重注意の理由は「事実に基づかない報道や自らの番組基準に抵触する放送が行われ」たことであり、厳重注意の根拠は、放送法の「報道は事実をまげないですること。」(第四条第一項三号)と「放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準を定め、これに従つて放送番組の編集をしなければならない。」(第五条第一項)との規定だとする。

  しかし、これらの条項は、放送事業者が自らを律するための「倫理規範」であり、総務大臣が個々の放送番組の内容に介入する根拠ではない。

以下、そうした指摘が続くわけでありますが、

  また、その後、自民党情報通信戦略調査会がNHKの経営幹部を呼び、「クロ現」の番組について非公開の場で説明させるという事態も生じた。しかし、放送法は、放送番組編成の自由を明確にし「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」(第三条)と定めている。ここにいう「法律に定める権限」が自民党にないことは自明であり、自民党が、放送局を呼び説明を求める根拠として放送法の規定をあげていることは、法の解釈を誤ったものと言うほかない。今回の事態は、放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのものであるから、厳しく非難されるべきである。

ということで、

 総務大臣による厳重注意が行われたことは極めて遺憾である。

ということも含めて、こうした指摘があったわけです。

 当然読まれていると思いますが、総務大臣としての御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 放送事業者がみずからの責任において編集する放送番組は、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただくべきものでございます。

 放送法上、既におっしゃいましたが、第五条一項、放送事業者は、放送番組の編集の基準を定めて、これに従って放送番組の編集をすること、第六条、放送事業者は、放送番組審議機関を設置し、そこで放送番組の適正を図るために必要な事項を審議することとなっておりますので、放送事業者の自主自律によって放送番組の適正を図るということになっています。

 御指摘の行政指導でございますけれども、このような取り組みにもかかわらず、必要な場合には、放送事業者からの事実関係も含めた報告を踏まえて、放送法を所管する総務大臣が行うものでございます。

 総務大臣名である場合、局長名である場合ございますが、どのような事案について、誰の名前で行政指導を行うかというのは、従来から、事案に応じてその都度判断をさせていただいております。

 平成十九年五月以降、昨年四月までの間に、放送番組の問題に対して担当局長名の行政指導も行っています。

 そしてまた、昨年四月のNHKの「クローズアップ現代」に関する行政指導につきましては、これは、NHKが総務省所管の特殊法人であるということとともに、受信料で成り立つ公共放送であり、当該番組に放送法に抵触する点があったということが認められたということから、放送を所管する総務大臣として責務を果たすために必要な対応を行いました。

 また、最終の調査報告書が四月二十八日に出ておりますが、中間的なものも含めまして随時私も作業の状況は報告を受けておりました。

 NHKに対しては、これはもう再発防止策について、具体的なものにしてもらわなきゃ困るということも申し上げておりました。これがやはり受信料を負担しておられる視聴者の皆様に対する責任だと考えておりました。

 四月二十八日、NHKの最終調査報告書が公表されるや否や、私自身も最終文を隅から隅まで読ませていただきましたが、具体的な再発防止体制をいつ、具体的にどうするかという最も肝心な記述が抜け落ちていましたので、一刻も早く具体的な再発防止体制をつくっていただきたいという非常に強い思いから、行政指導文書を作成いたしました。

 NHKでは、この行政指導を受けて、実際、五月二十九日に具体的な再発防止策を公表していただいております。

 行政指導というのは、行政手続法第二条六号を根拠として、処分のように相手に義務を課したり権利を制限したりするような法律上の効力はなく、あくまでも相手方の自主的な協力を前提としているものでございます。

 再発防止策の具体化については、NHKは私の要請を受けとめてくださって対応をされたものと考えております。

武正委員 行政手続法を御紹介いただきましたが、その前に、NHKは総務省の所管なんだ、だから行政指導を速やかに行ったんだということと、今の行政指導の根拠法の行政手続法の説明とは、やはり矛盾する対応だったというふうに考えます。

 また、先ほどの文章でも、これはBPOについて聞いたんですよ、BPOのこの報告書を読まれましたかと。そしてまた、先ほど紹介したような、総務大臣について、厳重注意が行われたことは極めて遺憾であるという指摘もBPOからされているわけですが、これについて御所見を伺いたいと思います。

 まず、読まれましたか。そしてまた、どうお感じになりましたか。

高市国務大臣 読ませていただきました。

 BPOは、NHK及び民放事業者が設立をされた機関であり、やはり自主的、自律的な対応をとられるための一つの組織であると存じます。

 他方、総務省は、憲法五章に「内閣」という章がございますけれども、行政の、行政執行の主体でございます。ですから、やはり行政権、行政の執行については、それぞれの役所の大臣が責任を持って行うべきものでございます。

 所管する法律の運用、執行といったものもそうでございますし、また、総務省設置法、先ほど御紹介申し上げましたが、これは、放送につきましても、やはりその健全な発展を図っていかなきゃなりませんので、しっかりと所管する立場から必要な対応をとらせていただく。

 むしろ、視聴者の利益を守るために行動するというのが総務省の役割であり、BPOと総務省はまたそれぞれ別々の役割を担っている、そのように考えております。

武正委員 総務大臣から、このBPOは大変大事な機関であるという評価もいただいているわけなんですけれども、その大事なBPO、これは放送法一条によるところが大きいと思うんですね、放送事業者の自律といった点から。

 そのBPOが、総務大臣の今回の対応を極めて遺憾であるというふうに言ったこと。そしてまた、先ほど冒頭で触れた、これはこの委員会で今議論になっておりますが、四条については倫理規範であるということをBPOもこの意見書で触れております。

 それぞれ総務大臣が評価をするBPOの指摘でありますが、これについては謙虚に受けとめるということでよろしいでしょうか。

高市国務大臣 これまでも総務省の立場といたしまして、第四条の番組準則は、倫理規範ではなく法規範性を持つということを申し上げてまいりました。

 平成二十二年、民主党政権のときにも、平岡総務副大臣が、番組準則、第四条に係る法規範性については指摘をしておられます。

 ですから、これは私どもは変更するつもりはございません。

 BPOにつきましては、やはりこれは民放連とNHKでつくられた第三者的な機関でございます。自主自律ということで、放送に係る問題の解決などもしていっておられる機関であると思います。

 ですから、そちらの、BPOの業務ですとか御意見については、BPOの御意見として承りますけれども、私どもの考え方と違うところもそれは生じてきましょうということでございます。

武正委員 BPOを、放送法一条に基づく自律した機関ということで評価する、その存在というか活動も評価する、かねてよりこの委員会で言っておられますが、その点については変わらない、ただ、今回のこの「クロ現」については意見が異なるということでよろしいでしょうか。

高市国務大臣 BPOにも放送倫理検証委員会というものが設立されていますけれども、総務省が、放送事業者の自主自律によって放送番組の適正を図るというのが基本ではあっても、そういった取り組みをしていただいていても、どうしても必要な場合には、放送事業者から事実関係を踏まえた報告を受けて、そして必要な対応を行うということは、これはBPOに放送倫理検証委員会が設立されて以降も、その考え方に変更はございません。

 事実、その放送倫理検証委員会が設立されて以降、平成十九年の五月以降、昨年四月までの間にも、担当局長名でたびたび行政指導は行われております。

武正委員 大臣名でということは、BPOが設立されて以降では初めてということでございます。

 先ほど来、この一条と四条のことが取り上げられているんですが、放送法を改めて見させていただきますと、第一章「総則」「目的」、そして第一条。目的ですよね、第一条は。「この法律は、次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」一号「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障すること。」二号「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」三号「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」

 その次に、「定義」第二条。

 そして、章がかわって、第二章として、「放送番組の編集等に関する通則」。

 第一章は「総則」。第一章の第一条「目的」で、特にかねてより言われている自律については、第二号「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」

 そして第三条は、「放送番組編集の自由」、第二章の「通則」のもと、「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」

 そして第四条、「国内放送等の放送番組の編集等」と、極めて、だんだん限定をされていくわけなんですけれども、その第四条で、「放送事業者は、国内放送及び内外放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。」第一号「公安及び善良な風俗を害しないこと。」第二号「政治的に公平であること。」第三号「報道は事実をまげないですること。」第四号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」

 ということで、この「総則」の「目的」の第一条の第二号と、この第二章の「放送番組の編集等に関する通則」、「国内放送等の放送番組の編集等」の第四条第二号の「政治的に公平であること。」とは、やはり明らかに放送法での位置づけが違うというふうに考えますが、御所見を伺いたいと思います。

高市国務大臣 放送法に関しまして、放送法とまた憲法との関係につきましては、たびたびこの委員会でも私は説明を申し上げてまいりました。

 まず、日本国憲法第二十一条で、一切の表現の自由はこれを保障するとされています。一方で、憲法第十二条が、この憲法が国民に保障する自由と権利について、国民がこれを濫用してはならないということ、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負うということを規定しております。

 当然、憲法に従って放送法もつくられております。民主党政権時代の平成二十二年にかなり大きな改正をされておりますので、当然、憲法の規定に沿った内容だと私も考えております。

 放送法第一条、先ほど読み上げてくださった放送法の目的として、「次に掲げる原則に従つて、放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。」として、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによつて、放送による表現の自由を確保すること。」「放送に携わる者の職責を明らかにすることによつて、放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。」と規定していますので、放送事業者がみずからの責任において編集する放送番組は、放送事業者が自主的、自律的に放送法を遵守していただく、この考えは当然のことでございます。

 その上で、先ほど御紹介いただいた放送法第四条に、放送事業者が「放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。」ということで、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」と規定しております。

 つまり、放送法は、憲法と同じように、やはり公共の福祉というものも大事にしながらしっかりと表現の自由を確保する、そのようなたてつけになっていると私は考えております。

 先ほど来、法規範性についてのお話もありましたし、BPOの御指摘についての話もございましたけれども、BPOの委員長が第四条についてこれが倫理規範だとおっしゃったのは、旧放送法の方だと思います。つまり、最高裁判決を引かれた部分でありましたら、これは旧放送法の訂正放送の部分の話であったかと存じます。

武正委員 もう時間が来ましたので終わりますが、最後の部分は、これは去年の十一月の「クロ現」に対するBPOの文書の中で、四条は倫理規範であると書いてあるので、先ほど総務大臣はよく読まれたというふうにおっしゃられましたので、よく読んでおいてください。

高市国務大臣 読んだ上で、条文ずれが改正で起きているので、恐らくこれは旧放送法第四条の訂正放送に関する事案であって、現放送法四条に関するものではないという旨の声明を出させていただいたと記憶しております。

武正委員 今の件はもう一回私も調べたいと思いますが、放送法の一条の公共の福祉を今回の行政指導の根拠にされるという、極めて放送法の法的な成り立ちとはかけ離れた見解を示されたものですから、これについてはまた改めて機会を設けたいと思います。

 どうもありがとうございました。

遠山委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭でございます。

 まず最初に、企業版ふるさと納税制度について伺います。

 自治体に企業が納税した際に、その企業の税負担の約三割を新たに軽減する企業版ふるさと納税制度が地方税法の改正案で打ち出されています。寄附額の二割分を法人住民税、一割分を法人事業税で軽減するというものであります。寄附の対象は、まち・ひと・しごと創生寄附活用事業となっています。

 政府は、対象の寄附の要件を内閣府令で定めるとしていますけれども、この内閣府令というのはいつ出されるんでしょうか。税法の決議の後でしょうか。お答えいただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 二月の五日に、地方創生応援税制に枠組みを与えます法律案であります地域再生法の一部を改正する法律案を閣議決定いたしまして、国会に提出して、これから国会の御審議をお願いするところでございますけれども、この寄附の要件等を定めます地域再生法の施行規則につきましては、改正地域再生法案の施行日、すなわち平成二十八年四月一日でございますが、これに向けて準備を進めているところでございます。

田村(貴)委員 法案がこれから通った後でないと、その寄附制度の具体的な内容はわからないといったことなので、二、三質問をさせていただきたいと思います。

 寄附の要件の一つが、寄附の代償として経済的利益を伴わないことというふうにしているわけであります。これは、企業版ふるさと納税制度が出てきたころから、報道等では早くから、寄附をした企業と自治体との癒着が起こらないか、こういう懸念がされてきているわけであります。

 寄附の代償としての経済的利益というのは具体的にどういうことを指しているのか、教えていただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、経済的利益の話でございますが、これは、地方創生応援税制の立案の段階から、地方六団体からもモラルハザードを招かないようにすべきといった御意見をいただいていたところでございまして、私どもも、寄附の代償として経済的利益の供与が伴うことがないようにする必要があると考えております。

 具体的な行為でございますけれども、寄附額の一部を企業に補助金等として直接的に供与することですとか、寄附を行った企業に対しまして入札あるいは許認可等で便宜を図るといったような行為が考えられまして、こういった行為を規制していくべきであると考えております。

田村(貴)委員 この地方創生の事業認可で、工事として行われるときに、その寄附をした企業が随意契約で入るのは、これはもちろんだめですよね。だめだと思うんですよ。そうしたら、例えば、その事業以外に、自治体の一般的な公共事業に入札等で参加することは今の時点でいいと考えておられますか。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、寄附を行った企業に対して入札等で便宜を図ることを規制するということでございますので、ほかの企業と同様にフラットな形で参画をして、その結果として獲得するということはあると考えております。

田村(貴)委員 やはり、企業は一般的に営利企業であります。基本的に、事業を通じて利益を得ることを目的にして活動をしているわけであります。寄附といえども目的は持っているわけでありまして、企業版ふるさと納税制度において、税の控除以外に企業はこの納税制度でどのようなメリットを受けられるのか、そのことについて教えていただきたいと思います。

末宗政府参考人 お答えいたします。

 このたびの地方創生でございますけれども、これは人口減少に歯どめをかける国家的な取り組みでございますので、国、地方公共団体はもちろん、企業にも大きな期待があると考えております。

 企業が、創業地の事業ですとか、あるいは自社の事業分野に関連する事業などの地方公共団体の取り組みに対して今回の寄附税制を通じて資金面で支援する、このことは、企業が地方創生の推進に向けて社会的な期待に応えるということでございますので、企業のイメージを向上させるというメリットがまずあると思います。

 また、先ほど来御議論しております、寄附の代償として経済的利益を供与することは規制するところではございますけれども、寄附を通じて企業と地方公共団体の間に新たなパートナーシップが生まれる、そこから企業が新たな事業展開をするといった効果もあるものと考えております。

田村(貴)委員 やはり、寄附活動における要件がわからないと、なかなかちょっと議論がしづらいんですよね。それがまた明らかになったときに議論をさせていただきたいというふうに思っているんですけれども、やはり、地方を応援する、地方創生の名のもとに、企業と自治体が、これはまた経済的利益を与えることによって癒着はしてはならないというふうに私は考えます。

 現時点で、今から、企業の方もこの制度で工事を請け負う、そしてイメージアップのために参加していこうという動きも出てくると思うんですね。でも、今の時点でわかっている要件についてはちゃんと周知を図るべきだ、国民的にも明示をすべきだというふうに要望させていただきたいと思います。

 次の質問に入ります。

 大雪、低温によって農作物が大きな被害を受けたことし一月下旬のお話をさせていただきたいと思います。

 一月下旬に、強烈な寒波が西日本を襲いました。農作物も大きな被害を受け、私は福岡に住んでいますけれども、水道管、給水管が凍結し、破裂し、漏水し、そして断水したというような大変大きな事件があちこちで起こりました。

 二十四日から二十六日にかけて、朝は非常に厳しい冷え込みとなりました。そのときに農作物に多大な影響が出ました。きょうは資料を配らせていただいているんですけれども、1、2が農水省の資料です。大雪等による農林水産関係被害の概要であります。このうち農産物の損傷は、これはいろいろな県があるんですけれども、とりわけ九州の長崎県、それから鹿児島県でウエートが大きいというふうに伺っております。

 被害数、被害額について、簡単でいいですので、農水省、説明をしていただけますか。

塩川政府参考人 お答え申し上げます。

 一月十七日からの降雪による農業関係の被害につきましては、農作物の損傷、家畜のへい死、農業ハウス、畜舎の損壊、共同利用施設の損壊など、全国で六十七億二千万円となっております。

 このうち農作物の損傷につきましては、全国の被害額は三十八億四千万円でしたが、九州での被害額は三十六億三千万円と約九五%を占めておりまして、九州の割合が著しく高くなっている、こういうふうに認識しております。

田村(貴)委員 被害額、それから被害数においても九州が大きなウエートを占めているということなんですけれども、長崎県のお話をさせていただきます。

 長崎県はビワの産地でありまして、このビワは全国で三割以上のシェアを占める特産であります。農産物の主力であります。露地物は、果実が残念ながら凍死して、全滅状態という状況であります。

 私は、今月十一日に、長崎市大崎地区を中心に被害状況の視察をさせていただきました。地域の議員団の皆さんと一緒に見てまいりました。果実になりたてのビワの幼果というのは、零下三度の状態が五時間続くと、わずか五時間続くと八〇%が凍死するというふうに言われています。これが数日間にわたって大変気温が低かったのでありますので、非常に残念ながら、壊滅、全滅的な被害となりました。

 資料の3、私が撮った写真で恐縮なんですけれども、この左上の写真が、凍死したビワを切った断面図なんですね。中心の種の部分から黒から褐色になって、これは死んだというビワなんです。右が、ハウスで栽培されていて、これは健全な状態のビワであります。

 寒波の前の暖冬があったんです。エルニーニョ現象というふうにJAの方は言われていましたけれども、これで幾分大きくなったことがまた災いしてしまったということであります。半世紀さかのぼっても、こんな被害は長崎で、この地区ではなかったということで、農家の方は大変落ち込んでおられます。

 長崎県の報告では、農作物の被害総額は約八億四千万円。これは露地栽培のビワが大半でありまして、八億三千万円を占めているところであります。

 ビワの共済加入率が極めて低く、また、四年前の冷害による貸付資金の返済をしている人もまだおられるということで、農家の落胆は相当なものであります。もう廃業しかない、また寒波がやってきたらと思うと次の栽培に意欲が湧かない等々の声が聞かれました。一方で、これはブランドなんですけれども、茂木ビワ、長崎のビワ、このブランドを守ろうと、生産者、行政、そして農協を初めとして、ビワ園存続のための努力も続けられているところであります。

 そこで、まずお伺いしたいんですけれども、農業災害補償制度について、果樹共済の対象にビワが入っているんですけれども、加入率が少ない、この原因は一体何なんでしょうか。

 それから、これからはどういう対策が求められるとお考えでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 果樹共済につきましては、面積ベースの加入率で、平成二十六年産ですが、全国平均では果樹全体で約二五%、ビワで約一一%、それから長崎県のビワでは約七%となっております。

 これは、ビワを含む果樹につきましては、農業者間の栽培技術等に大きな差があり、被害状況に偏りがある一方で、共済掛金率は原則として農業共済組合内で同一水準としてきたことから、みずからの被害状況と共済掛金率が見合わない農業者を中心に共済に加入しない傾向があること等によるものと考えております。

 こうした中、農業共済制度は農業経営安定のためのセーフティーネットとして農業振興上重要な役割を果たすものでありますことから、加入を推進するため、共済掛金に対して国が二分の一を負担するとともに、被害の発生率が低い農業者には共済掛金が安くなる危険段階別の共済掛金率の設定、それから、特定の災害のみを補償の対象とすることによる共済掛金率の軽減等を措置してきたところでございます。

 農林水産省としましては、引き続き農業共済組合に対しまして、これらの措置の導入を図るとともに、農業者への広報活動の積極的な実施に努めるよう指導することにより、共済への加入を促進してまいりたいと考えているところでございます。

田村(貴)委員 わかりました。掛金と被害の補償がかみ合うように、そして共済の加入率が高まるように努力をいただきたいと思います。

 ビニール栽培のハウスも訪ねてまいりました。当日、大変寒い中、農家の方はストーブをたくさんたいて、そして氷点下を下回らないように懸命の努力をしてビワを守りました。

 今後の冷害被害というのは、起こらないという可能性はありません。また来年やってくるかもわかりません。ことしまたあるかもわかりません。

 このビワ対策というのは、やはり一つはハウスによって守られるというのが経験としてありました。実効ある施策であると思うんですけれども、農水省はどういうふうに考えておられますか。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 現場では、ハウスの中にあったビワはやはりきちんと生きているというか育っているということで、そういう対策を講じることは、非常に、品質もよくなるということも含めまして、有効な対策であるというふうに考えております。

田村(貴)委員 そこで、私、先週、農水省の担当者の方から、平成二十七年度補正予算で可決した産地パワーアップ事業の説明を受けました。意欲のある農業者等が高収益な作物、栽培体系への転換を図るための取り組みを支援するという制度でありまして、事業費の二分の一を補助すると聞きました。

 この補助金の活用メニュー、高品質果実の生産体制の整備に対して、ここで言うならば長崎県そして地元市などが実施計画をつくれば、ビワ農家に対する簡易ハウスの購入に充てることが可能であるというふうにも伺いました。

 そうしたら、昨日、農水省は、大雪等被害産地営農再開支援対策というのを発表しました。この中にも、産地パワーアップ事業制度というのがありまして、大雪による被害を受けた果樹産地における寒害防止用の簡易ハウス施設の導入が支援の対象になる取り組みと紹介されています。

 非常に目的化されているんですけれども、お伺いしたいのは、この大雪等の支援対策の中で、露地ビワ産地などが簡易テント導入を希望して、県そして地元ともに実施計画をつくれば、国が二分の一の補助をするという理解でよろしいでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 産地パワーアップ事業には、産地パワーアップ計画を策定し、収益力強化に取り組む産地に対しまして、国が二分の一以内を補助する事業であります。

 今回の被害を契機に、ビワの産地が自然災害にも強い栽培体系への転換などにより収益力強化に取り組む場合には、産地パワーアップ事業により、ビワの寒害防止用の簡易型ハウスの導入に必要な資材費への支援が可能となっております。

田村(貴)委員 わかりました。

 それでは、長崎県でも、それからほかの被害に遭った自治体、県でも、この制度を活用して手を挙げるといった場合に、その県も、あるいは市町村などが上乗せで簡易ハウスの補助をしたいという場合に、これは制度上可能なんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 産地パワーアップ事業の実施に当たりまして、県や市町村が支援の上乗せを行うことにつきましては、地方公共団体の判断で可能でございます。

田村(貴)委員 わかりました。

 たくさん産地の方から私も生産者の声を聞きました。あちこち行けなくて残念だったんですけれども、例えば、長崎県の西海市の農家の方です。従来のこうしたときの対策というのは、共済で補償が受けられないというと、後どうするかというと、融資を受けるというのが通常なんですけれども、この融資についても、生産者が高齢化しているのでもう投資は不可能に近い、そして、廃業する人が今後ふえてくるのではないかというふうに嘆かれていたわけです。

 大変気の毒なんですよね。手塩にかけて育てたビワの実が、零下の気温が二日ほど続いて全滅してしまった。そして、今、これからどうしようかと思案している中で、こうした制度も出てまいりました。

 今度の大雪等被害産地営農再開支援対策事業、こうした対策は、長崎においては茂木ビワ、ブランドがちゃんと維持できるように、周知徹底も図っていただきたいし、実効ある対策となるように願いたいというふうに思います。

 この事業と、もう一つあるんですね。見せていただいたら、雪害対応産地再生緊急支援事業というのがあります。これはどういう制度なのか、簡単に説明していただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 今般発表いたしました雪害対応産地再生緊急支援事業は、被害を受けた産地に対しまして、速やかな営農再開ができるよう、圃場に残っている残渣の搬出、圃場の整地、果樹の整枝などの栽培環境の整備、次期作に必要な種苗、肥料などの資材の共同購入を支援するものでございます。

田村(貴)委員 それは書いているので、私も読ませていただいたのでわかるんですけれども、もうちょっと具体的に、例えば、この緊急支援事業は、さきに述べたパワーアップ事業の補助率二分の一であるとか、制度のスキームはどうなっているんでしょうか。

 さらに、個々の例としては、凍結により黒変したソラマメの殻、寒害によりしおれたバレイショとかいろいろ書かれています。寒害により枯死したビワの幼果、こうしたものの残渣の撤去ということなんでしょうか。それから、ほかにもここにある制度についてどういう支援が可能なのか。

 例えば、鹿児島県においては、ソラマメ、それからスナップエンドウなどを中心に、これは十億円を超える被害が出ています。ここは、例えばビニールで対応できないわけですね、こういう作物というのは。

 では、これが新たに持ち出されたというのは非常にいいことだと思うんですけれども、この制度において今後農家が次の生産再開に向けて期待が持てる、それはどういう支援なのか、もうちょっと具体的に教えていただけますか。

鈴木政府参考人 お答えをいたします。

 現在、被害を受けましたバレイショやソラマメ、こういったものは、そういうものが枯れて圃場にまだある、こういうような状態であります。次の作物をつくろうと思いますと、その枯れたものをどけまして、もう一度土を耕しまして、そしてその次の作、次にまたつくるものですとオクラとかそういうようなものをおつくりになられます。一つの農家の方でソラマメの後に次につくったりするものがあります。

 そういうものをつくるということになるわけですけれども、今ほど申し上げましたように、片づけるための経費とか、果樹の場合ですと剪定をして次に備えるというのがあります。そのための整枝といいますけれども、それを行うのに必要な経費、それから、次につくるための、次の作物の種苗とか肥料、こういったものを共同で購入して、つくるためにそういうものを購入しますけれども、共同購入するときの経費、こういうものを支援するということです。

 詳細につきましては、現在、鋭意検討中でございますので、細かいところについては、決まり次第、産地の方へ説明をしてまいりたいと考えております。

田村(貴)委員 詳細が決まったらまた教えていただきたいと思います。

 ビワでいいますと、ビワ農家はこの五月の収穫に向けた果樹の世話を毎日一生懸命されてきたわけであります。既に堆肥やそれから袋かけ、ここに費用を費やしてきたんですけれども、ことしの収入が途絶えるとなっては全く価値のない投資になってしまいました。

 鹿児島県でも、先ほど言いましたように十億円を超える被害が出ています。そして、鹿児島県のソラマメなどは、共済の品目になくて補償が得られないといったところもあります。

 九州は、農業、基幹産業、第一次産業、非常に活発であります。この農家が栽培再開に踏み切れるように、政府は自治体としっかり連携して実効ある対策を進めていただきたいというふうに思います。

 加藤政務官、お越しになっておられます。一つは、森山農水大臣にお伝えいただきたいというふうに思います。大臣も鹿児島県の御出身で、農業問題、大変御承知のことだと思うんですけれども、九州に限らず、被害を受けたところは資料にも記しましたようにたくさんあります。現地を見ていただいて、そして高齢化とも言われている生産者の声を、そして自治体当局の声を聞いていただいて、早く打ち出していただいたこの事業が効果的に進められるように心からお願いしたいと思うんです。

 今、ちょっとやりとりを聞いていて、御所見があれば伺いたいと思います。

加藤大臣政務官 お答えいたします。

 今般の降雪による被害について、農林水産省では二月三日から四日にかけて担当官を現地へ派遣しまして、農作物被害に関する現地調査を行ったところでございます。

 また、森山農林水産大臣も地元の鹿児島にお戻りになった際に、農協の組合長や生産部会長等の関係者からお話を直接伺うなど、被害の状況を把握されたと伺っておるところでございます。

 私自身も、地元長崎県の農協の組合長からの要望や県からの被害状況の報告等により、実情を把握いたしております。

 農林水産省では、こうした現地の情報や大臣の御指示を踏まえて、二月の二十三日に、速やかに営農再開に向けた残渣撤去、農業生産資材の導入等の支援、そしてまた、今回被災しながらも産地の収益力向上に取り組む意欲のある農業者に対しまして、パイプハウスの導入等の支援等を実施することを決定したところでございます。

 今後も、被災農家が一日も早く営農を再開できるよう、現地の声をお伺いしながら対策の実施を努めてまいりたいという考えでおります。

 以上です。

田村(貴)委員 政務官も、地元の状況、要望については十分掌握されていると思いますけれども、格段の努力をお願いしたいと思います。

 次に、寒波による給水管の凍結被害、断水被害について伺いたいというふうに思います。

 資料の4に厚生労働省の資料をお配りしています。一月二十四日から二十六日の寒波の冷え込みによって、西日本一帯で給水管や配水管等の凍結による断水、それから管の破裂が多発しました。そして、大量の漏水によって配水池が水位低下を起こして、大規模な断水が発生しました。

 被害自治体や断水の状況について、簡単でいいですので、御説明いただけるでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 このたびの寒波の影響で、九州地方を中心といたしました西日本一帯では、一月二十四日から主に家屋の給水管の中の水が凍結をいたしまして、断水や管が破裂する被害が発生いたしました。加えて、管の破裂による漏水が一時期に集中いたしましたため、水道水をためておく配水池の水位低下が起こって、地域全体が断水した、そういった自治体もございました。一府二十県におきまして、最大で約五十万四千戸が断水をしたところであります。

 なお、自治体や漏水箇所を修繕する水道工事事業者等の御尽力によりまして順次復旧が進みまして、二月一日には全ての断水が解消されたところでございます。

田村(貴)委員 今答弁ありましたように、最大時断水戸数が、一府二十県、八十三市五十五町三村、五十万四千四百七十九軒。びっくりしました。

 災害以外で、こんな大規模な断水がかつてあったことがあるんでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 例えば、平成二十三年一月から二月にかけまして、山口県、福岡県、長崎県等において、凍結により約七千戸の断水被害が発生した事例などございますが、過去十年間にさかのぼりましても、今回ほどの大規模な断水被害が発生した例は確認できてございません。

田村(貴)委員 過去に例がないということであります。

 最も大きな被害を受けた福岡県の大牟田市、ここでは、給水管が破損して漏水し、配水池の水が枯渇するおそれがあるため、一月二十六日の午前零時から市内全域約五万五千世帯への給水が停止しました。このほか、ライフラインが断たれる重大事が西日本を中心に広範囲に広がったところであります。

 先日、大牟田市で集会がありまして、私行ったんですけれども、参加者から、断水で大変不自由した、これは人災でなく天災である、水道管補修の全額自己負担は大変苦しい等々の切実な声が寄せられたところであります。

 お伺いをします。

 国として、今度の寒波襲来に際して、自治体等に水道管の保護等の警戒、呼びかけはあったんでしょうか。そういう保護とか対策を呼びかけたということをされたでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 政府といたしましては、一月二十一日に気象庁予報部発表におきまして、水道管の凍結に注意していただきたい旨の発信がされているところでございます。

 厚生労働省におきましては、このたびの寒波による凍結被害状況を把握した後、直ちに各水道事業者に対しまして、給水管等の凍結によります断水被害の防止に係る措置について事務連絡等を発したところでございます。

 具体的な内容でございますが、水道事業者等に対しまして、西日本において給水管凍結によります破損事故の多発や配水池水位の低下の発生していることを情報提供するとともに、事業者に対しまして、凍結防止策の情報提供と配水池の監視等によります被害状況の早期把握に努めるように依頼をしたというものでございます。

田村(貴)委員 一月二十六日に事務連絡されているんですよね。一月二十六日に状況把握してください、どうなっていますか、これは遅いわけなんですよ。だって、もう二十四日から凍結しているわけなんですからね。断水、給水制限となっている状況で注意を喚起しても、遅いわけなんです。

 今シーズンの寒波到来は早くから天気予報等で伝えられていました。水を扱っていながら、大寒波が訪れたらその水がどうなるかというのは十分に予測できることだったと思います。少々情けない思いも私は感じています。

 今後はぜひ緊張感を持って、そして警戒、注意を自治体等に呼びかけていただきたいというふうに思います。全く油断していたということが自治体関係者、住民からも言われるところです。私だって、こんなことになるとは思いませんでした。ぜひ、国の方から、行政からも早い手だてを、警戒を呼びかける、そういう対策をしていただきたい、これは要望にとどめておきます。

 今後、寒波による被害を未然に防ぎ、住民のライフラインをしっかり守っていくことが何より大切だというふうに思います。凍結とか断水の被害に遭った自治体、そうでない自治体も含めて、これからは、こうした被害を想定したマニュアルづくりが必要になってくるというふうに思います。

 そうした状況の中で、寒冷地では当たり前の対策だけれども、全国多くの地域では、例えば給水管を覆うとか温めるとか、そうした対策はとられていません。こうした対策に向けて、国としてこれからどういう支援をされていくのか、お伺いしたいと思います。

福田政府参考人 お答えいたします。

 このたびの被害を踏まえ、たとえ温暖な地域の水道事業者であっても、適切な水道施設の凍結対策を講じるとともに、給水管の凍結対策について需要者への啓発や注意喚起を積極的に行っていく必要があると認識をいたしております。

 厚生労働省としては、今回の被害の検証を行うとともに、寒冷地におきます実例も踏まえまして、凍結の予防策や需要者への効果的な情報提供の方策などにつきまして、全国の水道事業者へ周知を図っていく所存でございます。

田村(貴)委員 早目早目の手だてをお願いします。

 大規模な漏水等々による断水を速やかに復旧させる上で、水道事業の現場においては、専門的な知識を持った職員、それから技術が必要になってまいります。それを支える水道職員の体制というのは今どうなっているでしょうか。

 厚生労働省、新水道ビジョンの「水道の現状評価と課題」において、水道事業を支える職員数について言及がなされています。その部分、紹介していただけるでしょうか。

福田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年三月に厚生労働省が公表いたしました新水道ビジョンの「第三章 水道の現状評価と課題」というところにつきまして、以下のような記載がございます。

 御紹介申し上げますと、「水道事業を支える職員数は、これまでの徹底した組織人員の削減に加え、団塊の世代といわれた職員が大量に退職していることもあり、深刻な人員不足に直面しています。職員一人当たりが受け持つ利用者の数は年々増加する一方で、経験豊富な職員の空洞化が生じています。このような状況の下、日々の経常的な水道サービスに加え、事故時の迅速な対応や地震等災害時の緊急対応などによっては、これまでに培ってきた地域の利用者の信頼を損ねることになりかねません。」

 以上でございます。

田村(貴)委員 「深刻な人員不足に直面」「経験豊富な職員の空洞化が生じ」「日々の経常的な水道サービスに加え、事故時の迅速な対応や地震等災害時の緊急対応などによっては、これまでに培ってきた地域の利用者の信頼を損ね」かねない。これは非常に深刻ですよ。水道課の評価についてここまで書かれているわけです。

 厚生労働省の水道課にお伺いしました。今回の寒冷で百戸を超える断水が発生したんですけれども、そうした百戸を超える断水が発生した町村の水道事業職員数、一体何人でやっているのかと聞いたら、平均で五人だと言うんですね。これで対応をやっていけるのかなと思いました。

 それから、水道事業における職員というのは、ピーク時、一九八〇年から二万一千人も減って、今、五万三千人まで減らされてきたということであります。

 老朽化した水道管の問題もあります。それから、今後の大雪、寒波による水道管の凍結あるいは断水、いつ起こるかわかりません。水道事業に当たる職員を計画的にふやしていくべきだというふうに私は考えます。

 ちょっと時間がありませんので、最後の質問に入らせていただきます。

 今度、地方交付税の改正で、二〇一六年度では五%へ、二〇一七年度では四%へとした規定を廃止して、特別交付税の割合を四%から六%に改めようとしています。これは、災害対策に万全を期すとの観点に立った改正としています。

 この間、大きな災害が日本列島を襲っています。後で梅村議員からありますけれども、鬼怒川の氾濫、火山の噴火、それから土砂の崩れ、こうした災害から、住民の暮らし、それから生命財産を守っていくために自治体が果たすことは、その努力は非常に重要だというふうに思います。だからこそ、国の支援が必要だと思います。

 特交を六%にするということは、特別交付税の規模の拡大にはなりません。しかし、この法改正の趣旨に基づいて、思いも寄らぬ災害や異常気象で自治体と住民生活の損害を受けたときに、これは、自治体の財政事情などを踏まえて交付税の算定等に国は努力をしてほしい、そういう対応に当たってほしいと私は考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 きょうはさまざまな事例をお伺いいたしました。

 地方団体の除排雪経費の所要見込み額が普通交付税措置額を超える場合には、三月分の特別交付税によって措置することにいたします。しっかりと対処いたします。

 それから、雪害を含む冷害などによる特別の財政需要に関しましては、農林水産省の被害調査の結果に基づく農作物被害額を指標として、特別交付税措置を講じてまいります。

 さらに、地方団体が行う水道管の復旧事業に要する経費については、災害復旧事業債を起債し、後年度の元利償還金に対しては特別交付税措置を講じます。

 いずれにしましても、近年、自然災害が多発しておりますので、被災団体の応急対策や復旧対策に相当財政負担が生じておりますので、よく実情をお伺いしながら対応をしてまいります。

田村(貴)委員 よろしくお願いします。

 終わります。

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 特別交付税、地財計画にかかわって質問いたします。

 今の質問とも関連するんですけれども、私自身の地元も北関東ブロックですけれども、この間、東日本大震災、竜巻、雪害、ひょう、台風、大水害、もう毎年のように自然災害が起き続けております。

 今の質問にもありましたけれども、今回、特別交付税の割合、四%削減から六%に維持される内容となっております。

 地方財政審でも、自然災害が多発し、多様化し、災害関連経費にかかわる財政需要が増加しているとの意見もあります。

 ちょっと今と同じような質問になってしまうかもしれませんが、こういう相次ぐ自然災害、財政支援、特別交付税のそもそもの位置づけなどについて、まず大臣にお伺いしたいと思います。

高市国務大臣 近年の特別交付税の算定状況を踏まえますと、台風、豪雪、豪雨などの自然災害の多発、多様化に伴う災害対応経費、地域交通や地域医療等の地域住民の生活を守るために不可欠な経費、そして人口減少を克服するための施策に意欲的に取り組む地方団体を支援する経費、こういったものが増加しておりまして、特別交付税として確保されるべき財政需要が増加しております。

 今委員が地方財政審議会の意見を一部御紹介いただきましたが、今後ともこれらの財政需要というのが必要となる経費であるといった御趣旨から、「地方交付税における本来の特別交付税の割合を六%とすることが適当である。」という意見が示されました。

 それから、先般、全国市長会それから全国町村会から特別交付税の割合を維持するように求めるという御要望もいただきましたので、こうしたことを踏まえて、特別交付税の割合は六%を継続することといたしました。

 九月の関東・東北豪雨、大変な被害でございましたので、被災団体では相当の財政負担が生じると思っております。私も被災地の首長の皆様から直接お話を伺いましたが、被災団体については、引き続き実情を十分にお伺いしながら、特別交付税措置を含む地方交付税や地方債による地方財政対策措置を講じて、その財政運営に支障が生じることがないように適切に対処してまいります。

梅村委員 今御答弁いただきましたように、たび重なる自然災害、そして自治体としては、それだけではなくて、それに加え、住民の皆さんの雇用や医療や子育てや、学校、道路などのインフラ整備など、住民の福祉の増進を図るという地方自治体の役割が十分に発揮されるように、やはり国がしっかりと支援をする、地方の財源を地方交付税の拡充などで抜本的に増額し、地方が取り組むべき課題に対応できるよう保障することをまず冒頭求めたいというふうに思います。

 具体的な質問に移りたいと思いますけれども、お願いしていた順序と質問が少し入れかわりますので、通告の中身ではあるんですけれども、質問の順番に沿ってお答えいただければというふうに思います。

 今の九月の北関東、東北の豪雨災害ですけれども、五カ月がたちました。今、新しい問題も現場では山積しております。八人の方々が亡くなられました。

 改めてここで被害について確認しておきたいと思うんです。もともと河川については、国交省の関東地方整備局の管轄区内だけでも百カ所以上の堤防の侵食、漏水、越水が起こり、中でも鬼怒川は、利根川合流地点から二十一キロの三坂町で起きた決壊などにより、合わせて約七百八十万立方メートルの浸水、これは東京ドームにすると約六杯分の浸水となると思うんですけれども、そういうことによって全市の面積の三分の一が浸水をし、全世帯の五割、市民の約半世帯が今回の水害によって床上、床下浸水を起こしたという大被害だと思いますけれども、そういう被害でよろしいでしょうか。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 今御質問の中にありましたとおり、例えば、今回の鬼怒川の破堤による常総市の氾濫水量約五千三百万立米ということでありまして、浸水戸数が一万八千戸等々ということで、先生御指摘のとおりの被害が生じております。

梅村委員 私も現地に行かせていただきまして、いろいろな被害があるんですけれども、やはり、数日間、水につかりっ放しだった、引かずに家屋だとか畑がずっと浸水し続けたということが、これまでの災害にはない質を持った被害を今与えているのではないかなというふうに思います。

 そういう意味では、先日この総務委員会でも質問させていただきましたけれども、家屋や農地に対する浸水時のいろいろな対策についても、こういう被害に見合った対策が必要なのではないかなというふうに私は思っております。

 それで、改めてここでお伺いしたいんです。現場では、まだ家が改修されていないというお宅もたくさん残されています。そういう思いを抱えながら、今、被災者の皆さんは、なぜこんな被害が起こったのか、どうして決壊が起こったのか、そういう御意見がやはりたくさん上がっているわけです。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、この鬼怒川の三坂地区の決壊についてですけれども、今回は予想以上の降水量だったから仕方がないというか、予想を超えたものだったというふうにお考えなのか、やはりもともとこの地域は整備がおくれていたというふうに認識していらっしゃったのか、その点を簡単に御説明いただきたいというふうに思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 その前に、ちょっと先ほどの答弁を訂正させていただきたいと思います。恐縮でございます。

 先ほど、氾濫水量五千三百万立米と申しましたが、氾濫水量は三千四百万立米、そして浸水戸数を九千三百戸と訂正をさせていただきたいと思います。

 それで、今のお尋ねでございます。

 鬼怒川でございますけれども、これまで、例えば、下流部茨城県内区間、これは堤防の整備による流下能力を高めていくということ、そして、流れの速い上流部の栃木県は、例えば護岸整備によって河岸を強化する、そしてダムの整備によって流量を低減させていくということで、川全体にわたって安全度を向上させてまいったところでございます。

 それで、このような中で、四十年ほど前になりますけれども、昭和四十八年に、茨城県内区間の重要性などを踏まえて、さらに大きな洪水を安全に流下させるために、治水計画を変更いたしました。この計画の変更により、茨城県内区間では、計画上の堤防の断面を大きくする必要が生じたところでございます。その結果として、茨城県区間の堤防整備率は、この計画の見直しによって、数字の上では小さくなったことは事実でございます。

 ただ、四十八年の変更前の計画に照らせば、当時の堤防の整備状況に関しまして、茨城県区間が上流の栃木県区間と比較して著しくおくれていたというわけではございません。

 その後も、限られた予算の中で鬼怒川の河川改修を進めてまいりましたけれども、特にここ十五年ほどは、茨城県内の堤防整備に重点的に予算を投入し、流下能力が大きく不足する箇所を優先して、今、下流から整備を進めておったところでございます。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

梅村委員 ただ、茨城の中でも、三坂のあたり、この地域そのものに危険性というかおくれがあった、そういう御認識はなかったかということを聞きたいんですけれども。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 三坂地区、今回破堤をした箇所については、平成二十六年に、一連の区間を整備を必要とする区間として、必要な用地調査には入っておりました。そういう意味では、確かに整備を進める必要がある箇所としては認識してございました。

梅村委員 災害が起こった直後の九月二十八日に、関東地方整備局の第一回の鬼怒川堤防調査委員会のところの分析では、決壊したところがほかに比べて堤防の高さが一番低かった、そこから決壊した、こういうこともまとまってあるわけであります。

 あと、今御紹介いただいた平成二十六年十月十日に出た鬼怒川直轄河川改修事業という中に、確かにここは必要だということですけれども、緊急にやる、当面七年でやる地域と、おおむね二十年から三十年かけてやるんだという地域に分かれていて、この三坂地区というのは、危険かもしれないけれども、やると言われていたけれども、それはおおむね二十年から三十年かけてやるという計画になっているわけですよね。そういうことで間違いないでしょうか。

 本当にそれで危険を認識していたと言えるのでしょうか。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 今ほど申し上げましたとおり、決壊箇所を含む一連の箇所が、やはり整備が必要ということで、一連の箇所として必要な高さを保持していないということは御指摘のとおりでございますけれども、そこだけが箇所的に、その決壊箇所だけが著しく低いということではなくて、その箇所を含む一連の区間、約六キロメートルの区間としてこれは整備を進めるべきということで、平成二十六年から用地調査に入るということで、堤防整備に向けた準備には入ってございました。

 ただ、その段階で、では、その堤防整備にいつから入って、それが何年にでき上がるかというところは、まさにさまざまな、用地調査等を含めて、また、その時点の計画づくりによるところになりますので。

 ただ、いずれにしても、二十六年から当該箇所については用地調査に入っておりましたので、具体的には決壊した箇所のさらにもう少し下流部になるわけですけれども、用地調査に入っておりましたので、私どもとしては、そこは整備をしなくてはいけないという認識はございました。

梅村委員 認識はあったとしても、おおむね二十年から三十年かけてということでいうと、やはり住んでいらっしゃる方にとっては、自分たちの命や暮らしを、そうなったらもうみんな二十歳や三十歳年をとっちゃうわけですから、本当に緊急性を持ってやられていたのかという疑問を持つのは当然だと思います。

 きょうここでは問いませんけれども、先ほど紹介した被災直後の九月二十八日の第一回鬼怒川堤防調査委員会の結果ですと、これは二十ページですけれども、決壊幅二百メートルのうち、決壊したところは、一番低かったところから水が出ていったという調査を私はこれで見ているんですけれども、ぜひ後でそれは確認をさせていただきたいというふうに思いますし、そういう指摘があるということをここで御紹介させていただきたいというふうに思います。

 それで、今の二十年、三十年後ということも含めてなんですけれども、今御紹介いただいたように、うちの塩川議員が質問したときに、一九七三年に計画を変えたということをおっしゃっていましたけれども、それから四十三年たつわけですよね。

 しかも、低いといいながら、栃木県側は整備率が六二%に対して、茨城県側は一六・八%なわけですね。これは何とかしなきゃいけないということで整備計画をつくったのかもしれないけれども、その結果、茨城県側が一六・八%で、しかも一番弱いところのこの地点が水が出て決壊したということは、やはり皆さん地元では、これは自然災害ではなくて人災ではないかという声も出てきているわけなんですよね。ですので、そういう状況が地元の皆さんからは出ているんですけれども、その点はいかがでしょうか、その具体的なおくれについて。

 一九七三年にやって以降、本当に四十三年間、この場所をどういうふうにやり、なぜいまだに一六・八%なのか、そこら辺をちょっと御紹介いただきたいと思うんですけれども。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 一九七三年、昭和四十八年に治水計画を変更したと申し上げましたが、その変更前で見ますと、茨城県内区間は約四二%、栃木県内は約五四%。もちろん茨城の方が低かったんですけれども。実は著しいおくれはなかったんですが。その四十八年におきまして、それ以前の、これは二十四年に利根川改修改訂計画で、いわゆる河道、川でもつ洪水の流下能力、計画高水流量を、当時は毎秒四千立米としておったのを、これは石井という地点ですので今回の決壊場所ではございませんけれども、その石井という場所で見ますと、昭和四十八年に、計画高水流量六千二百立米・パー・セカンドということで、要するに、より多くの洪水を流せるようにしなくてはいけないという計画の改定をいたしました。

 なので、そうなると、堤防の断面をふやさなくちゃいけないということで、従来の計画だと基準を満たしていたものが満たさなくなったということで、そういう意味での整備率は確かに低くなってございます。

 今ほど答弁申し上げたとおり、特に直近十五年は主に堤防について整備を進めていたところではございますけれども、それ以前のところは、堤防というのもやっておりましたけれども、例えば河床低下、これは、河床が低くなりますと、より堤防を侵食しやすくなりますので、その床どめをやるとか、場合によっては堤防の弱いところ、これは構造物が川に突き出ている、要は、水路が川に注ぐところに樋門というのがございますけれども、そういったところの老朽化対策というところで、必ずしもやはり堤防だけで治水対策が進むわけではございませんものですから、そういうところをやっていたこともございます。

 その結果として、確かに堤防の整備率として、現在でも、先ほどお話があったような、少し差がついていることは事実でございますけれども、特にここ最近は堤防整備をかなり強化してやってきたということを申し上げたいと思います。

梅村委員 そういう意見は、この被災が起こるちょうど一年前に、茨城県の方からも、鬼怒川は小貝川とともに本県の西南部を流れる河川であり、一たび洪水が発生すれば甚大な被害が予想されるという意見が上がっていたかというふうに思います。

 そして、今いみじくも限られた予算の中でという御発言がありましたけれども、この間のこの分野の河川の予算の推移を御紹介いただきたいというふうに思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 例えば四十八年から十年スパンでとってみたとした場合に、これはここからさかのぼっていますので、四十八年ではなくて五十一年を起点として、五十一年から六十年の十カ年、その間の鬼怒川下流、ほぼイコール茨城県区間ですけれども……(梅村委員「毎年で」と呼ぶ)毎年ですか。(梅村委員「ポイントでいいです、ずっとじゃなくて」と呼ぶ)

 例えば、直近で言いますと、これは鬼怒川の全体なので実は栃木県区間を含んだお金なんですけれども、鬼怒川で平成二十七年度、これはちょっと確定はしていませんけれども、約十億円です。そして、二十六年度、昨年度は十三億円、二十五年度十一億円、二十四年度は補正が少しありましたものですから二十七億円、二十三年度は九億円ということで、二十四年度は補正の影響で少し大きくなっておりますけれども、それをさらに五年ぐらいさかのぼりましても大体毎年十億程度の予算で対応しておりました。

梅村委員 これは鬼怒川ということでよろしかったですか。

野村政府参考人 お答えいたします。

 鬼怒川です。ただ、上下流全て含んだ鬼怒川ということでございます。

梅村委員 済みません、私、毎年二十億ぐらいと聞いていたので。もっと少なくて、毎年、一年間で十億円ということでよろしいわけですよね。

 それで、湯西川ダムが上流にあると思いますし、四つのダムが上にあるわけですよね。湯西川ダムだけでどれぐらいかけているかというと一千八百四十億円で、大体、この十八年ぐらい、毎年五十億から三百五十億円を使って上流のダムの建設はやられていたわけですよ。

 それに対して、一番身近な住民が住む河川で毎年十億円でこの間推移してきたというのは、幾らどんないい計画を立てても、やはりおおむね二十年から三十年かかるというふうな予算構造になっていたのかなというふうにも思うんです。

 先ほど、限られた予算の中でというお言葉がそちらからもありましたけれども、その予算、ダム優先で、そして河川が後回しにされてきたのではないか。そのしわ寄せが今回の決壊になり、重大な被害を、住民の皆さん、その川の近くに住んでいらっしゃる皆さんは物すごいんですよ、一千万、二千万の借金を今抱えて、農家も再開できない、家も建てられない、そういう苦しみにあるんですけれども、そういう予算の使い方がやはりしわ寄せとして来ているのではないかというところはいかがでしょうか。お答えいただきたいと思います。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 先ほど申し上げた数字は鬼怒川の数字でございますけれども、特に、例えば関東地域を考えても、利根川水系、本川がありましたり、本当に名立たる河川もございますので、決して河川を軽視してきたということではなくて。

 ただ、それぞれにやはり治水の需要というのがございますものですから、必要な箇所、もちろん全てが必要なんですけれども、プライオリティーを考えながら、何度も恐縮ですけれども、限られた予算の中で対応してきたということでございます。

 ただ、ダムの御指摘がございましたけれども、これもるる申し上げませんけれども、今回、鬼怒川上流四ダムで、例えば常総市域であふれた水量で申しますと、三分の二になっております。先ほど、私、最初の答弁で五千三百万立米と言ったのはダムがなかりせばということでして、五千三百万が三千四百万立米になったということですけれども、やはり相応の効果は上げておる。もしもダムがなかった場合にはもっと被害が拡大したということもございますので、ダムの整備の効果はそれなりにあったかと存じております。

 いずれにしましても、河川も着実に整備を進めていかなくてはいけない、そういうふうには考えております。

梅村委員 ダムの効果についてはきょうはここでいろいろ詳しく質問するつもりはございませんけれども、国交省の発表でも、ダムの結果、水位の低下というのは二十五センチで、そして一秒当たりの引き下げも四千百八十立方メートルから四千立方メートル、それぐらいの、五%弱の引き下げだったという結果だって国交省は出していると思うんですよね。

 ですから、きょうはここでそういうことは問いませんけれども、河川行政そのものが、予算の使い方を見ても、非常におくれていたということはやはり強く指摘をしておきたいというふうに思います。

 それで、現地の方々がもう一個怒っているのは、若宮戸の方の越水ですけれども、これは直前まで、国交省の地元事務所に行って、危ない、決壊する、それを言ってきているわけですよ。にもかかわらず、対策を打たずに越水して大きな被害が出ているというところに、現地の人たちは納得できない気持ちがたくさんあられるんですよね。

 そのとき訴えに行った住民の皆さんの声というのは、地元の所長さんが必ず上の方に伝えるというふうにおっしゃっていただいたということですけれども、地元の人たちは、川の近くに住んでいれば危険なのか、これがどうなるのか、一番川のことを知っているわけですよね。ですから、訴えに行った。当時、この訴えは聞いていただけたんですか。

野村政府参考人 お答えを申し上げます。

 詳しい経緯は先生も御案内かと思いますのでちょっと省略しますけれども、平成二十六年の三月に、地元住民の方から、今回少しいわゆる自然堤防的な部分について掘削をしているという御指摘が確かにありました。それで、常総市からもいろいろ申し入れがございまして、常総市とも相談をしまして、いろいろ検討はいたしました。

 ただ、御案内のとおり、ここはかなり、河岸からは少し数十メーターあるいは百メーター程度引っ込んでおりまして、完全な民地、そして河川区域の外ということがございましたものですから、河川法等で、あるいは常総市が何らか対応できるかということも検討しましたけれども、それもないということだったものですから、なかなか制度的に規制をするということができなかったので、これは、出張所に来られましてすぐ下館の河川事務所の方には報告をしました。

 それで、事務所もそうやって常総市とも相談して、この後は御案内かもしれませんけれども、事業者に対しては、これは要請ベースになるんですけれども、現地盤の高さで残すことはできないかというふうな申し入れなどなどいたしたところですけれども、なかなか規制として行うことができないので、結果としては、あの掘削が行われ、そのかわりとして一番低いところに合わせた土のうを積んで対応したということでございます。

 したがって、出張所にお話があった件については、事務所本所の方に上がって、そしてそのような対応をとらせていただいたということでございます。

梅村委員 いずれにしましても、現地の方々は、再三言っていたんだ、にもかかわらず起きてしまった上に、この再建が自己責任だというふうに言われても納得ができない思いというのは、私はすごくわかるような気がするんですね。

 現地の方々は、なぜこんな決壊や越水が起きたのか、これからの計画はどうなのか、自分たちが届けた声はちゃんと国交省の方に届いたのか、こういうことを知りたがっているわけですね。

 ですので、ぜひ、情報公開もし、地域の皆さんが納得していただけるまで丁寧に住民説明会などをしていただきたいというふうに思います。それがなければ、なぜあんなふうに危ないというふうに再三言ったのかということだと思うので、ぜひそれはこの場でお約束していただければと思うんですが、いかがでしょうか、住民との関係は。

野村政府参考人 お答えをいたします。

 今回の災害を受けまして、若宮戸地区についても、もともと、平成二十六年の段階で、いずれ、そこを含む六キロメートル区間やるべしということでございますけれども、ここは、鬼怒川緊急対策プロジェクトということに全体の対策を取りまとめて、そしてこの地区についても堤防の整備にかかってまいりたいと思っております。

 また、そこにおいては、地元の皆様にもちろん事業の内容についてはきちんと丁寧に御説明をして、進めていくということにしてございます。

梅村委員 この間の訴えていたのにどうだったのか、そういう検証についてもきちんと住民に説明していただけるということでしょうか。

野村政府参考人 お答えします。

 まず、若宮戸地区をめぐる一連の経緯については、発災の後に関東地方整備局の方でいろいろな経緯を調査して公表していると思いますし、それは、地元だけではなくて、ホームページなどで御紹介をして、一連の経緯は一応載せております。

 それから、先ほど申し上げたように、事業者に申し入れを行ったりしてございます。それはもちろん地元からの申し入れがあったということを受けての措置でございますので、そういったことについても対応してきたところでございます。

 私どもは、できる中で最大限対応してきたと考えておりますけれども、もちろん、今後の事業の推進に当たっても、そこはしっかりと説明をして進めてまいりたいと考えております。

梅村委員 これから緊急プロジェクトも始まると思いますし、それは住民の皆さんと一緒にいろいろ知恵も出しながらやっていく問題も出てくると思いますので、ぜひ今お約束していただいたとおりやっていただきたいというふうに思います。

 あと、時間がなくなりましたので、最後、これに伴って、農家の方々の問題についてお伺いしたいというふうに思います。(発言する者あり)四十三分までよかったですか。

坂本(哲)委員長代理 はい。

梅村委員 茨城県は、北海道に次ぐ農業県になっております。この間、被災農家の皆さんはいろいろなお声を上げられて、経営体育成事業などを農水省の皆さんに大変な御尽力をいただいて、農機具やハウスの修理、購入費用については、国が十分の三の補助、自治体と合わせて十分の六と引き上げを実施されてきました。これは、現地が大変喜んでおられることだというふうに思います。

 ただ同時に、今御紹介したように、茨城は大変農業県で、この決壊した地域は大規模農家が多いわけですよね。そうすると、農機具も一千万、二千万、三千万、そういうものをやはり改修したり購入したりしないと再開できないという新たな悲鳴が起こっています。

 ですので、こういう声に応えて、少なくとも二〇一四年の大雪被害のときと同じような段階まで引き上げてほしいという声が現場から上がっているんですけれども、この点、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 昨年の台風十八号では、農業用機械を初めとして甚大な被害が発生し、激甚災害に指定されたことに鑑み、被災農業者向け経営体育成支援事業を発動して、農業用機械等の復旧を支援することとしたところでございます。

 本事業の補助率は他の激甚災害で発動した際と同様に十分の三としているところでございますが、多数の農業用機械が浸水した被害の実態を踏まえまして、農業用機械の修繕や耐用年数を経過した農業用機械の再取得といったこれまでにない支援策を新たに講じたところでございまして、被災された農業者の方々が早期に営農再開できるよう万全を尽くしてまいりたいと考えているところでございます。

梅村委員 大雪被害と同じ段階での補助というのはいかがでしょうか。

橋本政府参考人 平成二十六年二月の大雪の際につきましては、通常降雪量の少ない地域を中心にいたしまして、地域の基幹産業であります農業が壊滅的な被害を受けた。全国の農業用ハウスの被害で千二百二十四億円でございます。そういった農業が壊滅的な被害を受けたことに鑑みまして、産地の営農再開及び食料の安定供給に万全を期すというために、補助率の二分の一へのかさ上げや被災した施設の撤去費を助成対象にするなど特例的な措置を講じたものでございます。

 一方、先般の台風十八号につきましては、被害額が農業用機械で二十八億円ということで、平成二十六年二月の大雪の際に比べて少ないために補助率のかさ上げは行わない。ですが、先ほど御説明したとおり、多数の農業用機械が浸水した被害の実態というものを踏まえまして、農業用機械の修繕、それから耐用年数を経過した農業用機械の再取得といったこれまでにない支援策を新たに講じたということでございます。

梅村委員 この中に軽トラックを入れてほしいという要望も大変強くあると思うんです。やはり農家にとっては欠かせないものだと思いますので、ぜひ入れていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 被災農業者向け経営体育成支援事業でございますが、気象災害等により被災した農業者が早期に営農再開できるよう、農産物の生産に直接必要な施設や農業用機械に限って補助対象としているところでございます。

 このため、軽トラックのような農業生産以外の用途に供し得る汎用性の高いものは補助対象とはしていないというところでございます。

梅村委員 本当に農家の方々や、地方で暮らしていれば、私の実家も農家ですけれども、軽トラックがなければ農業はできないですよね。ぜひそれを考慮して、私は、入れるべき、それは再開する皆さんの希望にもなっていくんじゃないかなというふうに思います。

 そして、収穫後のお米についても、これも農家の皆さんからの要望があり、大変農水省の皆さんに御尽力いただいて、営農を前提とする方については収穫後の米であっても今回補助が出るということになったのは、大変現場では喜んでおります。

 ただ、なぜそこに線引きをするのか。営農できないというのは、決壊がなければ今も農家を続けていたわけで、決壊があったから農業を続けられない。しかも、同じように苦労して今まで育ててきて、農家ができなくなるということは収入がなくなるということですから、より一層補助が必要だということで、ぜひそういう区別をつけないでほしいという強い要望がありますけれども、この点もいかがでしょうか。

天羽政府参考人 お答えいたします。

 収穫後、農業者が自宅に保管している段階で浸水被害を受けたお米につきましては、基本的には、他の一般的な個人財産と同様、農業者がみずから民間の保険に加入して対応する必要があるというふうに考えているところでございます。

 しかしながら、今回のケースにつきましては、一つといたしまして、生じた損害、被害がこれまでにはなく、民間保険への加入がなされていなかったというふうに思われること、二つといたしまして、今回支援をしなければ産地としてその維持が危ぶまれる事態であったということから、農林水産省では、特例といたしまして営農再開のための支援をするということとしたところでございます。

 このように、今回の事業は営農再開を支援するということで特例として認められたものであるということにつきまして、御理解をお願いしたいということでございます。

 なお、今後でございますが、同様の被害が生じた場合に対応できますよう、農業者に対しましては民間保険の活用について周知をしてまいりたいというふうに考えております。

梅村委員 その民間保険も高くて入れないというふうな声も上がってきているわけですよね。そして、今の茨城の常総の皆さん、先ほども述べましたけれども、非常に農業大県で、やはり地域経済を農業が支えてきている地域です。私も現場に行ったら、ずっと田んぼです。そういうところで、今、続けるか、やめるかというふうに悩んでいらっしゃる農家の皆さんはいっぱいいらっしゃるわけで、やはり今、地方創生ということで、地域から経済を活性化させると言っているときに、続けたいけれどもどうしようかというふうに迷っている人に手を差し伸べなくて、どうして地域で農業が活性化、広がっていくのかというふうに思うわけですね。

 そういう点も含めて、軽トラックの問題、さらにかさ上げをしていく問題、そして米をめぐっても現場から出ている問題について、ぜひ現地の要望を聞いていただけることを最後にお願いして、質問を終わりたいと思います。

坂本(哲)委員長代理 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 まず最初に、地方財政計画等に関してお聞きをしたいと思います。

 私の認識では、経済財政諮問会議において、地方財政は社会保障費と並んで歳出削減のターゲットにこの間されてきたのではないかというふうに思います。そうした中で、今年度を若干上回る一般財源が確保されたことについては、大臣を初め、総務省の努力として評価をしたいというふうに思います。

 ただし、それでも地方財政は極めて厳しい現状にあるということは変わりはないわけでありまして、財源確保に向け一層の努力をまずお願いしたいと思います。

 そこで、再来年度、二〇一七年の四月に実施される消費税増税に関連してお聞きをします。

 今回、軽減税率が実施をされるという中で、地方の消費税、これはどのように一般財源の総額や内容に影響を与えるのかということをまず一つお聞きしたいということ。

 それからもう一点。

 より根本的な話になるんですが、昨年の骨太方針の中の、これは本文にあるのかなと思って一生懸命捜したら脚注にあったんですけれども、その中で、地方の安定的な財政運営に必要になる一般財源については、「二〇一八年度までにおいて、二〇一五年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保する。」という文言が入っております。

 一見すると、同じ水準を守るんだからいいのかなと思うんですけれども、実は、その間に、消費税の増税が来年四月に行われるわけです。

 消費税の増税によって地方消費税の収入がふえる、あるいは、交付税との関係で、これもふえる。にもかかわらず、なぜ同水準なのか。普通に考えれば、その分をプラスした水準を確保しなければ同水準というふうに言えないのではないかと思うんですけれども、この二点について伺いたいと思います。

高市国務大臣 まず、消費税の軽減税率制度の導入に当たりまして、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえて、先般国会に提出されました所得税法等の一部を改正する法律案において、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するとの観点から、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずるということが規定されております。

 この財源の確保につきましては、全国知事会からも、「減収分の全てが確保されない場合、地方の社会保障財源に影響を与えることとなることから、」「代替税財源等により確実に措置するなど地方財政に影響を与えないようにしていただきたい。」という意見が出されておりますので、これはしっかりと受けとめてまいります。

 軽減税率導入の財源については、今後検討していくということになりますので、現時点において、委員から御質問のあった地方財政計画への影響といったことについてお答えするのは困難でございます。しかしながら、政府・与党で、歳入歳出両面にわたって、地方団体からの御意見も踏まえて、しっかりと検討をしてまいりたいと思います。

 それから、一般財源総額の同水準ルールですけれども、これも、骨太の方針に書かれた内容は、先ほど吉川委員が言ってくださったとおりでございます。

 これを踏まえまして、各年度の地方の一般財源総額につきましては、当該年度における国の一般歳出の取り組みと基調を合わせながら、実質的に同水準を確保することになるように、財政当局と地財折衝を行っております。

 具体的には、社会保障・税一体改革における社会保障充実分も含めて、国、地方の歳出の動向などを総合的に考慮しながら、財政当局と地財折衝を行って、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額の確保に努めてまいりたいと思います。

 消費税で税収がふえた分ということもおっしゃいましたが、とにかく、毎度、財政当局とのぎりぎりの折衝の中で必要な財源を、また財政健全化の方針も踏まえながら、しっかりと獲得、確保すべく頑張っているところでございます。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 二つ目の答弁に関してなんですけれども、消費税を上げるときに、税と社会保障の一体改革ということで、もちろん今の社会保障を維持しつつ、その上でプラスアルファを出すんだ、プラスアルファをやっていくんだというお話だったわけですね。

 プラスアルファをやるとなると、当然それはプラスアルファのお金がかかるわけで、軽減税率で、その穴埋めをどうしていくのか、これも今後の検討課題だということでありますけれども、そのもともとのスタートの時点、去年の骨太の方針の際の同水準という意味というのは、これは大体、今の、来年度でいうと六十一兆六千七百九十二億、今年度は六十一兆五千四百八十五億、この水準を守るという意味なのか。それとも、先ほど言いました、消費税を増税するんだから社会保障も充実するんですというふうに言ってきた、この充実分というのは一体どこに出てくることになるんでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣の方から御答弁申し上げましたように、骨太二〇一五において、いわゆる「実質的に同水準を確保する。」とされているところでございます。

 この同水準ということでございますけれども、金額が全く一緒ということではございませんで、増要因、減要因、それぞれあり得ると思っております。

 例えば増要因でございますと、社会保障充実分というのもあり得ると思いますし、社会保障関係費の自然増といったようなものもあり得るのではないかと思っております。また、減要因といたしましては、逆に、公債費につきましては、毎年減少をしてきております。

 こういう点もあるのではないかと思っておりますが、いずれにいたしましても、こうした増減の要因というものを総合的に勘案しながら、財政当局と地財折衝を行いまして、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額を確保する、こういう意味だというふうに理解しているところでございます。

吉川(元)委員 そうしますと、確認しますけれども、同水準というのは、若干のプラスアルファ、少しのプラスアルファだとかいうのはあるかないかは別にしましても、今聞きますと、言われている自然増の部分に対応するというのは、それはあると思います。

 なおかつプラスアルファで新たな施策をやっていく。実際に総務省も通知を出しておられますし、一昨年、消費税の増税、五から八に上がった際には、増税分については、それ以外に使っちゃだめよというお話もされていますけれども、同水準という意味なんですよね、結局。

 公債費を減らすことにだけ充てられると、それは消費税増税をする際に約束をした、消費税増税分は全て社会保障に使いますということと話がずれてこないですか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 今私が御答弁申し上げましたのは、実質的同水準、この意味についてでございます。

 社会保障の増額分を全て社会保障関係費に充てるという部分につきましては、これはまたこれとは別の観点でございまして、地方における社会保障関係経費が幾らあって、それに対して今回の増収によりましてどのぐらいの経費が上がっているのかということは、地方財政計画の中でも記述させていただいているところでございます。

吉川(元)委員 余りこればかりやっていると前に進めなくなりますので、しっかりと社会保障の充実に、我々は消費税増税には反対しておりますけれども、少なくとも、骨太方針のこれを見ていると果たして使われるのかどうなのかというのが非常に疑問に感じましたので、質問させていただきました。

 もう一つ、先ほどの、今後の検討だというお話ですけれども、市町村の項目別の基準財政額の構成割合を見ますと、構成比の部分が三五%を超えるという状況であります。増税分が社会保障四経費として使用される消費税収において、軽減税率で減収になった分、これは本当に、先ほどお話があったとおり、地方の方も大変心配をされておられます。

 来年の消費税増税時、地方消費税率が七十八分の二十二になるわけです。税率では地方分の消費税が二・二%となる予定だったわけですが、軽減税率によって、これは大臣もおっしゃっておられますけれども、三千億円の減収となるというふうになっております。

 今後、代替の財源の確保に向けた議論の中で、この七十八分の二十二、地方消費税率の変更あるいは交付税の法定率の見直し等々というのは検討の対象となるものなのでしょうか。お答えください。

森屋大臣政務官 お答えをいたします。

 先生からは、税源の確保というふうなお話だと思います。

 消費税の軽減税率制度の導入に当たりましては、与党及び政府の税制改正大綱を踏まえまして、先般国会に提出をされました税制改正法案におきまして、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するとの観点から、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置を講ずること等が規定をされているところでございます。

 先生御指摘いただきました、軽減税率制度の導入時におきます地方財政の確保という観点につきましては、国、地方全体で安定的な社会保障財源の確保を図る観点に立って検討をされていくべきものであるというふうに考えております。

吉川(元)委員 私が聞いたのは、地方消費税率七十八分の二十二でありますとか交付税の法定率、こうしたものも当然検討の対象の中に入るんですねということをお尋ねしたんですが、この点についてはいかがですか。

森屋大臣政務官 全体として、国、地方全体で安定的な社会保障財源の確保という観点の中で議論をされていくべきものというふうに考えております。

吉川(元)委員 入るのか入らないのか、よくわからない。

 これでやるかどうかは別ですよ。だけれども、少なくとも検討の対象には入るというふうに受けとめていいのか、だめなのか、それすら決まっていないのか。ちょっとそこら辺を教えていただけますか。

遠山委員長 森屋大臣政務官、わかりやすく。

森屋大臣政務官 あくまでもこれは全体的な議論の中でこれから議論されていくものだというふうに思いますので、重ねての答弁で恐縮でございますけれども、国、地方全体の安定的な社会保障財源の確保を図るという観点で議論されていくというふうに思っております。

吉川(元)委員 なかなか日本語としての会話が成立していないような。

 私が聞いたのは、非常に単純な話なんですよ。先ほど言いましたが、地方消費税率や法定率も含めて検討の対象の中に入っているのか入っていないのか。それすら、答弁を聞いていると、入っているのか入っていないのかもわからないような答弁で、今、もう三月になろうとしていますけれども、非常に、これで果たして一六年度末までにできるのかというのは疑問に思わざるを得ません。

 次に、臨時財政対策債についてお聞きしたいと思います。

 来年度の臨財債発行額は三・八兆円で、前年比で〇・七兆円の減となっております。総務省の地財計画のポイントでも、赤字地方債である臨財債対策費の大幅な抑制というようなことも言われております。

 その中身を見ますと、臨財債発行額三兆七千八百八十億円のうち、いわゆる折半ルールで発行されるものが二千七百四十七億、残りは既に発行した臨財債の元利償還部分で、率にして全体の発行額の八五%に相当いたします。

 この元利償還部分は、二〇〇七年度には一兆円、それから一二年度には二兆円、一五年度には三兆円、そして来年度が三兆二千五百億円ということで、年々これは増加をしております。

 折半ルールで財政需要を補填する臨財債の部分を減らしていったとしても、この元利償還部分がふえ続けている現状、この点についてどのような認識をお持ちなんでしょうか。

森屋大臣政務官 ありがとうございます。先生の御質問にお答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、平成二十八年度の地方財政対策におきましては、臨時財政対策債の発行額を前年度から〇・七兆円の大幅減となる三・八兆円とするなど、地方財政の健全化、質の改善を図ったところでございます。

 平成二十八年度の臨時財政対策債の発行額三・八兆円の内訳につきましては、元利償還金分が三・三兆円、折半ルール分が〇・五兆円であり、元利償還金分につきましては前年度から〇・二兆円増というところで、先生の御指摘のとおりでございます。

 このように、元利償還金分が増加していることにつきましては、地方財政におきまして巨額の財政不足が継続していることから、臨時財政対策債の発行残高が累増していることによるものであり、地方財政の健全化の観点から課題であるというふうに認識をしております。

 このため、歳入面におきましては、アベノミクスの成果を全国各地に行き渡らせ、地方税収等の増を図るとともに、歳出面におきましては、国の取り組みと基調を合わせ、めり張りをつけた歳出構造に見直すとともに、臨時財政対策債のような特例債に頼らない財務体質を確立することが必要であるというふうに考えております。

 今後も、地方財政の健全化に努め、まずは、国と地方で折半すべき財源不足が解消され、折半分の臨時財政対策債を発行することがありませんでした平成十九年度及び平成二十年度の状況をなるべく早く実現することができますよう目指してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

吉川(元)委員 それと、あわせてもう一つお聞きしたいのが折半ルールの関係なんですけれども、折半ルールによる財源不足補填措置というのは、二〇一四年度の地財対策において、来年度までとされております。この折半ルールはその後どうなっていくのか。

 そして、今、元利償還額云々というお話がありましたが、後年度の交付税の基準財政需要額に反映する手法、今までの手法ですね、これもそのまま維持していくおつもりなのか。その点についてお聞かせください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 地方財政計画の策定を通じて算定されました地方の財源不足につきましては、国と地方の両者が責任を持つという意味で国と地方が折半するということにしておりまして、現行法におきましては、平成二十八年度までの特例措置といたしまして、国は一般会計からの地方交付税の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行により、折半して対処しているところでございます。

 平成二十九年度以降に財源不足が生じた場合の補填方法につきましては改めて検討するということになりますけれども、地方団体が必要な行政サービスの提供と安定的な財政運営を行えますように、引き続き地方財源の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、これまでの補填措置により発行される臨時財政対策債の償還についてでございますけれども、元利償還金の全額を毎年度の地方財政計画に計上するとともに、地方交付税の基準財政需要額に算入することとしておりまして、各地方団体が確実に償還できるように財源保障しております。

 今後も、こうした臨時財政対策債の償還に対する財源保障につきましては、地方財政計画の策定、交付税の算定を通じまして、確実に対応してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 例えば、ある年、予想外のことが起こって、財源不足が発生をした、非常に例外的に発生をした。そのときに、手当てするものがないという中で、たまたま、では、そうしたら折半でやりましょう、お互いにやりましょうというのだったら、わかるんです。

 だけれども、これは非常に長い期間折半ルールでやってきたということでありますし、交付税法を読めば、六条の三の二項、私、何度も当委員会でも指摘させていただいておりますけれども、法定率の引き上げということが書かれているわけです。「地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は」ということで法定率と書いていて、常にこの前側のところで処理をしている。そういう面でいいますと、やはり抜本的な法定率の引き上げを行って原資の安定と充実を図るというのが筋だと思います。

 今年度については、四十九年ぶりに法定率が改定されて、九百億円程度増収となったということについては、私も、一歩というか半歩前進したのかなと思いますが、依然として非常に巨額の財源不足が発生しているという中で、引き続き法定率の引き上げということが必要だというふうに考えますし、大臣も同様の答弁をされ、来年度予算の概算要求では、法定率の変更ということも求められたというふうに聞いております。

 これは、残念ながら今回実現しなかったということでありますけれども、なぜ実現できなかったのか。それから、今後もこの法定率の引き上げについては引き続き強く要求されていくという理解でよろしいんでしょうか。

高市国務大臣 やはり地方財政の健全な運営のためには、本来的には、もう臨時財政対策債のような特例債による対応ではなくて、法定率の引き上げによって地方交付税を安定的に確保するということが望ましい方向であります。本委員会でも何度かそう申し上げさせていただきましたし、二十八年度の地方財政においても、交付税率の引き上げを事項要求したということも事実でございます。

 残念ながら、国、地方とも巨額の債務残高や財源不足を抱えているということから、二十八年度においては、また国は一般会計から地方交付税の特例加算、地方は臨時財政対策債の発行により対処することとなりましたけれども、一方で、地方交付税については、何とかほぼ前年度と同額を確保することができました。

 今後とも、法定率の見直しということにつきましては、粘り強く主張し、政府内で十分に議論をしてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 ぜひその方向でお願いしたいと思います。

 臨時財政対策債というのは、あくまで臨時という言葉がついているわけですから、これはあくまで臨時の措置にすぎないものが、ずっと恒常的に行われている。これ自体が異常な事態だというふうに私は思います。そのことを指摘して、次の質問に移りたいと思います。

 次に、地方財政で、いわゆる歳出の効率化ということをお尋ねしたいと思います。

 先ほど、冒頭に、昨年出されました骨太方針のところで議論させていただきました。骨太方針では、二〇一八年度まで現行水準を維持するというふうに脚注の中に書かれておりますが、その中で、先ほど、ふえるものもあれば減るものもあるというお話がされました。その減るものというのが、実は、公的サービスの産業化やインセンティブ改革、公共サービスのイノベーション等々に含まれているのではないかというふうにも感じております。

 そのうち、公的サービスの産業化について、市町村で取り組みがおくれている分野では多様な行政事務の外部委託を進める、上下水道、公営住宅、空港などの社会資本や公共施設についてはPFIなどの手法の導入を優先的に検討すべしと骨太方針の中には書かれております。

 しかし、一律に外部委託というものを求めるというのが果たしてどうなのか。私の地元は、ほとんどが過疎地域であります。そういう意味でいうと、全国一律でできる、できない、そういう業者がある、ないということももちろんあります。人口の規模や民間産業の定着度合い、それから地方の実情、そういうことを踏まえることが絶対に必要であって、一律的にPFIなどの手法をやるべきだというのは、私は、一律とは言っていないのかもわかりませんが、優先的に検討すべしというのは少し実情と違うのではないかというふうに思います。

 それから、実際に過去に行われてきた外部委託やPFI事業、その検証がどうなっているのかということも非常に気になるところであります。住民サービスの低下につながっていないのか、あるいは質はきちんと担保されてきたのか、それから地方公務員の雇用や労働条件にどんな影響を与えてきたのか、これはしっかりと検証していただきたいというふうに思います。

 その意味で、これについて、数値目標などを定めて目標管理をし、やみくもに外部委託やPFIを推進するということは避けるべきだと考えておりますが、この点についてはどのようなお考えでしょうか。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 今回取り組もうとしております改革は、骨太方針二〇一五にもありますように、公共サービスの無駄をなくし、質を改善するため、広く国民、企業、地方自治体等がみずから意欲を持って参加することを促し、民間の活力を生かしながら歳出を抑制する社会改革として取り組むものでございまして、国から地方自治体に対しまして数値目標を義務づけて進めるものではございません。

 また、骨太方針二〇一五においては、地方自治体がみずから地域の活性化や歳出改革、効率化及び歳入改革などの行財政改革などに創意工夫を行うインセンティブを強化するという観点から、官民協力した優良事例の創出と全国展開を加速すること、民間委託やクラウド化などの各地方自治体における取り組み状況を比較可能な形で開示することが位置づけられております。

 総務省といたしましては、各自治体における業務改革の取り組み状況を比較可能な形で公表し、見える化を実施すること、他団体のモデルとなるような業務改革を実施する自治体を支援し、その成果の横展開を図ることなどを通じて、地方自治体の自主的な取り組みを促していきたいと考えております。

吉川(元)委員 大体こういう場合は、いい事例は研究の対象になるんですが、失敗した事例、あるいは質の低下を招いた事例、こうした事例も現実に存在をしています。個別についてはこの場ではあえて言いませんけれども。

 だけれども、そういう事例があるんだということ、このことについてはしっかりと認識をしていただいて、その上で、やみくもに民間委託あるいはPFIに、こういういいことがあったからやるんだじゃなくて、こういう悪い側面もあるんだということも踏まえて進めていただきたいというふうに思いますし、私は、一律に進めるということは、これはやってはならないことだろうというふうに考えております。

 次に、これも骨太方針に盛り込まれたトップランナー方式についてお聞きしたいと思います。

 この骨太を受けて策定された改革工程表では、来年度から十六業務が取り組み対象となっており、やがて二十三業務全てを対象として検討するという予定になっていると聞いております。これを見ますと、学校用務員や本庁の清掃、警備、公用車の運転、学校給食などが民間委託され、施設の管理については指定管理者を導入すべきというふうにされております。

 これを見ますと、地方公務員のいわゆる現業、技能職部門の人減らし、これが目的のようにしか見えませんし、条件不利地域も含め、地方の実情を踏まえれば、住民の安心や安全さえ損なうのではないかというふうにも思っております。

 このトップランナー方式、その目的、公務員数の削減を目指すものなのかどうなのか、この点についてはいかがお考えでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税の算定におきましては、平成二十八年度からトップランナー方式を導入いたしまして、多くの団体が業務改革に取り組んでいる業務につきまして、業務改革を行っている団体の経費水準を基準財政需要額の算定基礎とするということにいたしたところでございます。

 しかしながら、地方交付税は一般財源でございまして、各地方公共団体が対象となる業務をどのように実施するかは、地域の実情等を踏まえて自主的に判断されるものでございます。

 結果といたしまして、民間委託等が進み、職員が減少するということはあり得るものであるとは思っておりますが、どのような対応をするかということはあくまで各地方公共団体が判断すべきものと考えているところでございます。

吉川(元)委員 確かに、交付税は一般財源でありますから、その使途について総務省がああしろこうしろということは言えない立場であります。

 ただ、トップランナー方式の見直し方針の予定を見ますと、見直し内容、経費水準の見直し、かなり大幅な経費水準が見直されるようになっております。

 例えば、学校用務でいいますと、小学校、中学校では一校当たり約八十万円強、三百七十万円が二百九十万円ぐらいに減らされる、高校では百万円強が減らされるというふうになっております。それから、都道府県単位で見ますと、先ほどの本庁の清掃、受付、電話交換、公用車の運転、夜間警備等々では、これは一億三千万円ぐらい減らされる。

 これは、結果的に言うと、こうしないと財源確保できないよという意味でいうと、使えるお金、どう自由に使ってもいいお金だと言いながら、結果的には、こうしろと、非常に政策誘導的な、例えば地域の実情でそんなことができるところはありませんといったときに、では、そのときにはこの水準はもとのままにしてもらえるんですか。新しく見直した水準で計算されるわけでありまして、結果的にできないところはほかにしわ寄せをしなければいけない、そういう問題も私はあるんだろうと思います。

 そういう意味でいいますと、トップランナー方式というのは、やはり分権にそぐわないばかりか、現実にある地方の財政需要を反映するものでもない、財源保障機能という地方交付税の大きな、大切な機能、これをゆがめることになるのではないかというふうに思わざるを得ません。

 強制ではないと言いますけれども、実質的にこうやって切り下げて交付するわけですから、いやが応でも対応せざるを得なくなるわけで、これはやはり避けるべきではないかと考えますけれども、この点、いかがでしょうか。

安田政府参考人 お答えいたします。

 トップランナー方式の導入に当たりましては、多くの団体が民間委託等の業務改革に取り組んでいる業務につきまして、その経費水準を単位費用の積算基礎としたものでございます。

 その結果、地方団体の歳出効率化の取り組みが促進される面はあるというふうに考えておりますけれども、トップランナー方式は、あくまで合理的かつ妥当な水準、つまり単位費用はこういうものであるというふうに書かれているわけでございますが、そういう経費として単位費用を積算しているものでございます。

 また、今回の見直しに当たりましては、地方公共団体への影響を考慮いたしまして、複数年かけて段階的に反映するということにいたしておりまして、そういう措置もとっているところでございます。

吉川(元)委員 五年、三年かけてやっていくということで、中には一年でやれというのも実際にはありますけれども。

 大半の自治体と言いますけれども、聞いたら五〇%をちょっと超えたぐらいの自治体をトップランナーというふうにしてやっているというわけですから、残り四〇%を超える自治体については、これはやはり政策を強制する、そういう中身なんじゃないかというふうに思います。

 時間がありませんので少し飛ばしまして、重点課題対応分で予算措置された地域の運営組織について若干お聞きしたいと思います。

 総額で二千五百億円が盛り込まれた重点課題対応ということでありますが、このうち五百億円が措置される高齢者の生活支援等の地域の暮らしを支える仕組みづくりの推進、これは率直に言ってよくわからないというところがあります。

 総務省の地財計画の概要では、そのうちの一つに、地域の生活や暮らしを守るための組織である地域運営組織が持続可能な活動を維持できるよう、地域運営組織の運営に係る所要の経費を計上するというふうになっております。

 この地域運営組織ですけれども、「地域課題の多様化・広域化により、自治会・町内会では対応が困難な課題について、既存の自治会・町内会を補完しつつ、住民自治を充実させるための新たな仕組み」と説明をされて、読んでおりますと、小学校区を念頭に置いているようでもあります。

 最初に、この地域の運営組織、余りなじみのない、薄いものですけれども、これは地方創生の基本方針二〇一五に示されている小さな拠点ということを指したものなのかどうなのか、この点について、いかがでしょうか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 地域運営組織とは、地域の生活や暮らしを守るため、地域で暮らす人々が中心となって形成され、地域内のさまざまな関係主体が参加する協議組織が定めた地域経営の指針に基づき、地域課題の解決に向けた取り組みを持続的に実践する組織でございます。

 先ほど先生からお話がありましたように、主として、小学校区、旧小学校区で形成が進められているところでございます。

 一方で、小さな拠点は、一体的な日常生活圏を構成しております集落生活圏におきまして、日常生活に必要な機能、サービスを集約、確保し、周辺集落との交通ネットワークの形成等により利便性の高い地域づくりを図る取り組みでございますが、この小さな拠点の形成及び運営には、地域住民が主体となった、地域の問題解決のための持続的な取り組み体制の確立が重要でございます。

 地域運営組織は、こうした取り組み体制として重要なものの一つであるというふうに認識しているところでございます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 つまり、これは関係があるというふうな認識でいいんですよね。関係があるということですか。

 非常に危惧するのは、関係がないのであればいいんですけれども、今答弁あったとおり、関係があるということになりますと、地方創生の基本方針に盛り込まれたものと関係があるとなると、それはやがてKPIを伴う、地方版の総合戦略に盛り込むことが求められたり、それから、地域運営組織の設立そのものが、人口減少等特別対策事業の成果指標に将来的に組み入れられるということになるんでしょうか。まず、ちょっとこの点、お聞かせいただけますか。

原田政府参考人 お答えいたします。

 現在のまち・ひと・しごと創生総合戦略二〇一五改訂版、この中にも、実は小さな拠点に関しましては、一千カ所を目指すということ、また、今の地域運営組織の形成数についても、三千団体を目指すというKPIが定められたところでございます。

吉川(元)委員 最初の説明ですと、既存の自治会、町内会を補完しつつ、住民自治を充実させるというための新たな組織というふうに書かれています。

 自治会を補完するような組織というのは、あくまで、それこそ住民の自主性やあるいは必要性に基づいて設置されるべきものであって、国の政策としてそういうものを設置するというのは、ちょっと妙な感じを受けてしまいます。

 ちょっとお聞きしたいんですけれども、地域運営組織の運営に係る経費を交付税配分するということなんですが、まず、地域運営組織が設立されているということが条件になるのかどうか。それから、現時点で一体幾つの自治体に幾つの地域運営組織が設立され、どういった実績が上げられているのか。また、どのようにして交付税を配分しようと考えているのか。お聞かせください。

原田政府参考人 まず、地域運営組織の団体数でございますけれども、平成二十五年九月に行いました調査によれば、全国で千六百五十六の団体がございます。

 主な活動について言いますと、例えば、島根県雲南市の波多地区におきましては、十六の自治会等で構成されております波多コミュニティ協議会、こういうものがございまして、地区に唯一ありました個人商店廃止後の小型スーパーの運営、また、交通手段がない地域住民の有償運送等を担っているところでございます。

 また、山形県の川西町の吉島地区におきましては、全世帯が加入するNPO法人きらりよしじまネットワークというものがございますけれども、ここでは、六次産業化の取り組み、買い物支援、見守りサービスなど幅広い取り組みを行い、住民主体の地域づくりを推進しているところでございます。

 このように、地域運営組織では、高齢者交流等地域住民の暮らしを支える活動を幅広く実施しているところでございます。

 一方で、地域運営組織につきましては、財政基盤が脆弱であるということがございますので、市町村が地域運営組織に対して運営交付金等の支援を行うための経費につきまして、平成二十八年度地方財政計画において計上したところでございまして、普通交付税において単位費用により措置した上で、人口密度による補正を新設するほか、特別交付税措置を講じることとしているところでございます。

 以上でございます。

吉川(元)委員 自治体の件数というのはわかるんですか。もう時間がないんですけれども、自治体の件数というのもお聞きしたんですが。

遠山委員長 簡潔に御答弁をお願いいたします。

原田政府参考人 自治体の数は約四百でございます。

吉川(元)委員 もう時間が来ましたので終わります。

 これは、あくまで自治組織を拡大したものということになると、KPIだとかなんとかというのは、全く私はなじまないというふうに感じます。

 ほかにも質問したいことがありましたので、次回また質問させていただきたいと思います。

 終わります。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 大臣、大丈夫ですか。ちょっと、もしかしたらお風邪なのかもしれませんが、御無理のないようにしていただいて、もし事務方で済む話はできるだけ済ませていただいて結構ですし、できるだけ早く終わりたいと思います。

 きょうは法案審議でありますが、関係の萩生田副長官にもおいでいただいていますので、先に、通告の一つ目に書かせていただいている中央府省の所在地の話をもう一度だけちょっとさせていただきたいと思います。

 実はきのう、市役所とか県庁所在地と比較をして、中央府省の所在地が法令に規定されていないのはバランスを逸しているんじゃないかという御指摘を申し上げました。それに対して高市大臣の方から、なかなかこれは総務大臣の所管かどうかよくわからないわというような感じでお答えをいただきましたので、きのう、きょうに向けて関係省庁と若干意見交換をさせていただきました。

 その中で出てきたのが、総務省と内閣人事局とそれから国交省、この三つが関係あるかなというお話でしたが、事務的には、国交省はこういうことだよとかいうことがなかなか整理がきれいについていません。ついていませんというのは、その場で若干皆さん、事務方は悩んでいらっしゃったので。

 まことにお手数でありますが、三省にそれぞれ、中央府省の所在地を法令に規定すべきではないかという私の、質問者の問題意識に対して、お答えは後でいいです。まず、中央府省の所在地を法令に規定すべきではないかという質問者の問題意識を受けとめていただいて、ここは俺が担当していると、ちょっと明確に御答弁をいただきたいと思います。どこから行きましょうか。

 総務大臣、大丈夫ですか。

高市国務大臣 先般も答弁させていただきましたが、中央省庁のいわゆる本省組織については、内閣の統括のもと、内閣と一体となって機能を発揮することが求められることから、明治以来一貫して、東京に置かれてきたというものだと思います。

 それから、これはもう国民にとっても公知の事実と言えることから、法律に特段の定めを置く必要性も実益もなかったんだろうということまではお話をしたかと思います。

 中央省庁の所在地を法律に位置づけることについて……(足立委員「総務大臣はどういう関係があるか」と呼ぶ)ここは総務省の役割かということを聞かれたいというんですが、ただ、中央省庁の位置、本省の位置、これについては、例えば、変更するとかしないとか、法令事項とするかどうかというのは、かなり立法政策に深く関与するものだと私は思いますので、総務省単独でというよりは、国会において御議論を進めていただく方がいい案件だと思います。

足立委員 今、総務大臣から御答弁いただきましたが、萩生田副長官、ちょっと何を議論しているのかよくわからないと思うんですが、要すれば、我々おおさか維新の会は、中央集権というのは若干変えていかなあかんと。綱領にも、我々は、地方分権政党ということを書いています。

 そういう目から見たときに、例えば地域の市役所とか県庁所在地を動かそうと思うと、地方自治法の規定に基づいて、当該議会の三分の二、特別多数議決が必要、それが基本的に今の地方自治法、国法でそう決めているわけですね。

 ところが、文化庁を京都に動かす、消費者庁を四国に動かすとなったときに、それは何に書いてあるんですかと言うと、何も書いていませんと言うわけです。

 我々は、やはり首都たるもの、首都の機能というもの、あるいは霞が関、中央府省については、その所在地を法令にちゃんと規定すべきではないかという問題意識を持っているわけです。ところが、誰にそれを問いかけていいか、なかなかわからないんですね。

 あさっての総務委員会では安倍総理に質問させていただく機会がありますから、もし解決をしなければ安倍総理に決めていただくということになるわけでありますが、せっかくの機会ですので三省にお越しいただいた。萩生田副長官、お願いします。

萩生田内閣官房副長官 まず、足立先生の問題意識には、私も大変興味深く拝聴させていただいておりまして、大事な視点の一つではあるなと思っております。

 その上で申し上げれば、高市総務大臣もお答えしていますように、政府の機関というのは、明治の時代から、移ることを前提とせず設置をされてきたという歴史があるんだと思います。

 他方、私も地方議会の経験がありますから、やや肌感覚でわかるんですけれども、地方自治体の場合は合併を繰り返してまいりましたから、もともとの、合併以前に二つ三つあった市役所のうち新しい市の市役所をどこにするかというのは、かなりいろいろな政治的な関係で、力関係も働くものですから、それならば、過半数じゃなくて、三分の二の議会の同意をもってその居を定めようという歴史的な背景もあったんだと思います。

 ですから、地方自治体でそれを定めているのに、国は法律がないのはおかしいじゃないかというと、違和感があるのはそのとおりなんですけれども、そもそも国は動かない前提でこの東京に役所が集まっていたという歴史を考えますと、そちらから見れば、そんなに違和感のない話なんじゃないかなと思っております。

 法律で定めてしまうことが果たしていいのかどうか。今回、地方移転などを考える上では、予算措置で十分対応できるという柔軟性もあるかわりに、これを法律で定めれば、もし移すときには必ず法改正が必要になってまいりますので、先ほど足立先生の御説明いただいたおおさかの思いを逆にそしゃくしますと、法律があることの方が、おおさかが目指す方向とは違う方向に行ってしまうんじゃないかというふうに、これは余計なお世話かもしれませんけれども、心配をしているところでございます。

足立委員 宮内政務官、ちょっと待ってくださいね。

 萩生田副長官、大変興味深いというか、納得のいく御説明をいただきました。

 確かに、実は連邦国家でも同じことが起こっています。要すれば、各州が集まって連邦国家をつくった国がありますね。アメリカ合衆国もそうですし、オーストラリア、カナダ、そういう国は連邦政府をつくったときにもめたんですね。アメリカでワシントンDCをつくるときにすごくもめたわけです。

 釈迦に説法でありますが、アメリカの場合は、合衆国憲法が一七八七年に制定をされた後、一七九〇年に暫定首都をフィラデルフィアに置きました。しかし、その後、同じ年に首都所在地法という法律をつくって、ポトマック地域のどこかに十マイル平方を超えない敷地を選定して首都をつくる、それは、どの州からも独立している、特定の州が力を持っちゃいかぬので、どの州からも独立をしている首都をつくった、こういう経緯があるらしいんですね。

 それと多分似たような話で、市町村合併というか、市制をしいて基礎自治体が整備されてくるプロセスの中で、三分の二の特別多数を求めていったのではないかという御説明をいただきまして、大変腑に落ちるところがあります。

 一方で、まさに萩生田副長官がおっしゃったように、日本の霞が関がなぜ東京にあるか、どの省に聞いてもわかりません。でも、おっしゃっていただいたように、明治維新以来、東京に集中させるというのは当たり前だったんですね。誰もそれは文句を言いません。議論になりません。全ての機能は東京一極集中してきたんです、明治維新以来。それが国の成り立ちであり、国の方針だったんですね。

 ところが、今、地方創生ということで、これが議論になっているわけです。本当に中央省庁は全部東京でいいのか、文化庁は京都でもいいんじゃないかということが議論になっている。

 私は、今まさに、先ほど高市総務大臣がおっしゃったように、それは国会でしっかりと。高市さんはおっしゃいました、国会でしっかり議論すべきことだと。ところが、今、文化庁をどこへ動かすか、文科大臣が決めたら終わりです。我々が関与することさえできません。

 だからこそ、今こうして、中央省庁がどこにあるべきかということが、これだけ国家的課題として、国の将来の形を決めていこうじゃないか、文化庁は京都でもいいんじゃないか、消費者庁は四国でもいいんじゃないかという議論をしている今、やはりまず首都とは何か、その機能をバックアップする機能はどこに置くべきかということを、国会でしっかり議論して、法令に定めていくことが必要ではないかと思います。

 改めて、萩生田副長官。

萩生田内閣官房副長官 現行の法律で我々の権限といいますか責任を申し上げるとすれば、私は、きょうは、副長官というよりは内閣人事局長という立場で多分呼ばれているんだと思います。

 総務省とともに国家行政組織法を所管しておりますので、国の行政機関の機構、定員管理を担っているわけでございます。

 ですから、先ほど足立先生が、どこの役所に責任があるのかという話があったんですけれども、確かにどこの役所にも責任は明確に見えないところがあるんですが、国家行政組織法という法律だけを考えれば、総務省と私どもに共管の責任があって、ともに考えなくてはいけないことなんだと思います。

 今、足立先生がおっしゃっているのは、もう少し大きな国の形のお話だと思います。今ある省庁を移転するときの法律的根拠はどうするかというよりは、そもそもバックアップ機能という副首都というのが必要かどうかもまだ議論したことがないわけですから、そういう意味では、まさしく先生方の政党が新しい感覚でいろいろな提案をしているわけですから、責任者は誰だというよりは、大いに国会で議論をしていただいて、その必要性を呼びかけていただいたらいかがかな、私はそう思っております。

足立委員 副長官の御意見として賜りますが、一方で、我々がこの国会で法令の議論をするときには、やはり比較考量したり、例えばこっちの法律ではこうなっている、こっちの法律ではこうなっている、それについて、それは均衡がとれているかという議論を必ずするわけです。

 そうしたときに、これは総務大臣の話になっちゃいますが、地方自治法では事の経緯上こうなっている、中央省庁は事の経緯上こうなっている、全然違うわけです。しかし、それぞれ環境が変わっています。そういう環境が変わってきた中で、市役所の場所を隣のブロックに移すときには三分の二の特別多数が必要で、これを総務省に必要ないのではないかと言っても、いや、必要があるんだ、こうおっしゃっているわけです。

 そういう中で比較考量すると、これから中央省庁、東京のあり方、地方のあり方をみんなで議論していくときに、まず発射台として、今ある形を、全て本部は霞が関に集中しているという今の形をまず法令の形に落とし込んで、その法令を議論することが一番真っ当な議論が展開できると思っているものですから、だから我々は、まず首都の法律をつくった方がいいんじゃないかということを、いわゆる統治機構改革、憲法の議論とも若干かかわりますが、そういう指摘をしているわけです。

 改めて、副長官。

萩生田内閣官房副長官 大変難しい議論だと思います。

 多分、国交省が呼ばれておりますのは、首都機能の移転法から見たときにこの課題はどうなんだという御質問の趣旨があるんじゃないかと思います。

 今まで想定をしていなかった時代にこれからなっていくんだと思いますので、そういう意味では、今霞が関にある役所が、法的根拠がないからまずそこを法律で定めてから次の議論に行こうという足立先生の提案のアプローチの仕方もあれば、現行の法律がないがゆえに、地方創生という新しい考えの中で、今ある役所を地方に積極的に移していこうということが動き出したというのもメリットとしてはあるのではないかと思いますから、私の責任でわかりましたと言う性格のものじゃなかなかございませんので、問題意識は大変興味深く承りましたので、今後の検討課題にさせていただければと思っています。

足立委員 副長官、もう三、四分、ちょっと済みません。

 宮内政務官、おいでいただいています。一言で結構ですが、国交省はどういう立場、所管関係だけ御紹介ください。

宮内大臣政務官 国交省といたしましては、その所在地についての明確な法律の定めはございません。

 先ほどから高市大臣や萩生田副長官からのお話もありましたように、この問題につきましては、関係省庁とともに、幅広い観点から総合的に議論をしていく必要があるというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございました。

 副長官、なかなかお会いすることもないので、もう一言なんですが、まさに今御答弁をいただきました。総務大臣にも御答弁いただきました。

 大体、事務的に整理をすると、こうやって来てくださるのは三省だけだったんです。あとのところは、もうとにかく、国交省も大分抵抗されて、俺たちはできれば関係ないから落としてくれと言われたんですが、そこは頭を下げて、きょうは、政務官、まことにお忙しい中を恐縮でございますが、おいでをいただいた。

 総務大臣と、副長官の上司は官房長官ですか、当たり前ですかね。では、内閣人事局だから、内閣、よくわからないな、閣議メンバーは、まあ、やめておきましょうか。総務省、副長官のところ、それから国交省、この三つの役所で基本的にはこの議論は、少なくとも中央省庁の所在地の議論は完結すると考えていいでしょうか。いいということであれば、もう御答弁は結構です。あかんという方だけ、ちょっと。

遠山委員長 足立委員に申し上げます。答弁者、指定ございますか。

足立委員 では、萩生田副長官を。

萩生田内閣官房副長官 人事局長としての私の所管大臣は河野大臣になります。

 そんなこんなを考えますと、今の足立先生の問題意識というのは、先ほどの繰り返しになりますけれども、今まで長い歴史の中で想定をしていなかった新たな問題提起だというふうに思います。

 三省でよく話し合えば完結するんだという単純なものでもないように思われますので、あくまで、きょうのところは問題提起を受けとめて、今後の課題にしていただければなと思っております。

遠山委員長 土屋副大臣が手を挙げていますが、足立委員、指名いたしますか。よろしいですか。

足立委員 では、お願いします。

土屋副大臣 大変興味ある御指摘なんですが、私も長い間、五十年にわたって行政にかかわってきた者として、この問題についても、いろいろ過去に類似のお話がございます。(発言する者あり)

遠山委員長 静粛にお願いいたします。

土屋副大臣 これは萩生田副長官も御指摘があったわけでありますが、市役所とかあるいは県庁の所在地をどこにするかとか、あるいは県の名前をどうするかということは、江戸時代から明治にかかるときに大論争になっているわけであります。

 江戸時代には、いわゆる藩が三百ありました。それから、自然村で七万ぐらいありました。それから、新しく明治二十二年に地方行政ができたときには、一万八千近くあったわけであります。そういうものが四十七都道府県に整理されていく過程の中ではいろいろありました。例えば有名なのは、今の福岡県とするか博多県とするか、争いがあったと聞いております。細かいことは私、つまびらかにしておりませんが。それから、この辺で有名なのは、長野県の、信濃国の県庁所在地をどこに置くのか。(発言する者あり)松本に置くのか、という務台先生の御意見、これは余計なことです、という意見もありましたが、長野全体としては、相当北なんですね、長野市は。

 そういうことに対して大議論があったということを我々は地方自治の歴史として学んでいるわけであります。その結果として、県庁の所在地をどこに置くかというような話については、先ほど萩生田官房副長官からお話がありましたように、三分の二の特別決議という方向になったんだと私どもは理解をいたしております。

 このことについては、東京都庁の位置を平成三年に移したんですが、有楽町から新宿に移すときに大議論があって、かんかんがくがくやったことであります。

 もう一つだけ。なお、首都とは何かということについて、我々行政関係者の中に長らく一つの有力な意見としてあったのは、天皇がおられるところが首都であると。しかも、首都法というものが法律がなくても、天皇陛下は一八六九年三月七日に京都から東京、当時は東京城と言いましたが、東京にいらしていただいたわけですが、京都の人は今でも、ちょっと行ってくると言いながら、まだ帰ってこない、こう言うこともあります。

 こういう議論を踏まえて、首都法も法律としてはあり得るかと思いますが、疑いのない歴史的事実として定着をしている、これが通説だとは言いませんが、そういう考え方もある、こういうことを申し上げておきたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 土屋副大臣には私は初当選以来お世話になっていまして、引き続き、また改めて事務所にも伺わせていただいて、御指導いただきたいと思います。

 副長官、もう時間がないと思うんですが、もう一言だけ。

 今まさにおっしゃっていただいたようなことがあると思いますが、一つだけ、誤解があるといけないので、せっかくだからちょっと申し上げると、我々、大阪都にしたいと言っていると、都(みやこ)は東京だ、こう言われて怒られるんですが、都(と)というのは違うんですね。

 都制というのは、特別区を置くと、それを都制度というんですね。だから、大阪でも、大阪市を廃止して特別区を置くと、それはいわゆる都制度。要すれば、都道府県の中の一番真ん中の政令市がなくなって、特別区になる。東京も、もともと東京市だったわけですね。東京市と東京府が一つになって東京都になったわけです。

 だから、都(と)というのは都(みやこ)じゃないんです。それは都制度なんです。だから、東京都も大阪都も、両方とも都制度をしくということはあり得るんです。

 では、首都のことは何というか。基本的には京なんです。京という字が首都のことなんです。だから、東の京なんです。

 だから、都という文字と京という文字の本質的な歴史的な意味、これだけは誤解が多いので。

 大阪都は、大阪を首都にしようと言っているんじゃないんです。東京に災害があったときのためのバックアップ都市をもし集中的に整備していくとすれば、それはやはり大阪が一番、いろいろな意味で、それは、火山がないとか、あるいは経済の歴史とか、そういうことを通じてですね。これは誤解が多いので、ちょっと申し上げておきます。

 それから、その関係で、私の地元に三府鮨というのがあるんですね、おすし屋さん。これは、土屋さん、もう釈迦に説法ですけれども、もともと東京府と京都府と大阪府、それぞれが特別な経済的な首都として、あるいは京都は京都として、また政治の中心地の東京として、これはやはり今土屋副大臣がおっしゃった大変な歴史がある。

 そういうことを全て踏まえた上で、これから東京あるいは地方はどういうふうに発展をしていくべきかということを議論したいんです。

 議論したいが、大事なことは、萩生田副長官、組織が要るんですよ。橋下徹前代表率いる大阪維新の会が、まず大阪市長と大阪府知事をとって、府市統合本部というのをつくったんです。両方から役人を集めて一つの局をつくったんですね。統合本部、そういうのをつくった。それから、今は副首都本部というのをつくっています。そういうふうに、優秀な役人、官僚を百人、二百人集めて仕事をしなければこの議論は始まらないんです。

 たまたま今、文化庁を京都にするとかいう議論があるから議論になっていますが、この問題はそういう浅い話じゃないですよね。文化庁をどこに置くかという、それだけで処理できる話ではない。国の形をどうするかということが、三権をどういうふうに置くか、行政府それから立法府そして司法府をどのように地理的に差配していくかということについて、きっと議論があるんです。地方創生というのであれば、あるんです。

 ところが、私が役人の方あるいは政府の主要な方々と議論しようと思っても、みんな、自分が担当かどうかわからないから、しゃべれないんですね。

 だから、副長官、ぜひ、これは副長官のところでまとめる、国交省と総務省を副長官のところでまとめていく。ちょっとお願いします。

萩生田内閣官房副長官 ほとんど御通告の中身と中身が違うものですから、何と答えていいかわからないんですけれども、問題意識は大変興味深く私も思っておりますので、これからの日本の新しい形をつくっていく上で、先生がさまざまおっしゃった御意向、御意見を踏まえて、ぜひ今後検討を深めていきたいと思っています。

 しかし、私のところでこれをまとめ上げてみせますなんということはちょっと、僣越ながら言うわけにはいきませんので、きょうは、その御意見を拝聴させていただいて、帰らせていただきたいなと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 そうしたら、もう大分時間がたっちゃいましたから、退席いただいて結構です。ありがとうございました。

 もともと萩生田副長官と宮内政務官からは、ちょっときょうは用事があるから最初の問いが終わったら退席させてくれと言われていたんですが、あと十分になってしまいまして、後でまた謝っておきたいと思います。

 質問がたくさんあるんですが、あしたの分科会もありますので、幾つか総務省関係はちょっと後回しにさせていただいて、きょうは公取にも来ていただいています。

 それで、実は三日ほど前の日経新聞に、4K、8Kテレビのために今技術規格の議論をされている次世代フォーラムが、いわゆるメーカーとか放送局が集まって次世代放送の規格をつくっているフォーラムが独禁法違反じゃないかという議論が、ある弁護士の意見として書かれていました。

 これは、公取委として御見解があれば教えてください。

山田政府参考人 お答えさせていただきます。

 先生御指摘の日本経済新聞の記事は私も見ておりますけれども、関係することの詳細については存じ上げませんし、また個別の事態に関することでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

 一般的に申し上げれば、この弁護士さんも一部おっしゃっています点と重なる点もございますけれども、事業者が相互にその事業活動を拘束することによりまして一定の取引分野における競争を実質的に制限する、そうなりました場合には独占禁止法上問題になることがあるというふうには考えております。

足立委員 これは、ここで伺ってもお答えいただけるわけはないし、余りここでやることが適当だとも思いません。ついては、また別途個人的に、公取に当該案件の取り扱いについて申請手続をとるなりして、明らかにしていけたらいいなと思っています。

 これはなぜこういうことを申し上げるかというと、今、地上波の放送、皆さんテレビを見られると思いますが、B―CASカードというのを入れて、そして、十というフラグが立っているものですから、十という数字が減っていって、コピーができなくなるまで、要は十回コピーしたらもうできなくなるわけです。そういう技術規格を今やっているわけですね。

 だから、そもそもそれをつくったプロセス自体が独禁法上議論があるんじゃないかという議論もあるわけですが、問題は次世代のテレビ。4K、8Kのテレビの規格が今議論されている中で、無料放送でしょう、無料放送、この無料放送に録画禁止を導入するという議論があると仄聞をしますが、そういう可能性がありますか、総務省。

今林政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生お尋ねの件は、次世代推進フォーラムで議論されております4K、8Kに係る無料放送の録画方式に関することと承知しております。

 一昨日ですか、大臣の方からお答え申し上げましたが、既に4K、8K放送の録画方式については、録画を可能とする規格の導入は決まっております。ただし、そのほかに、一部の放送番組において録画禁止を可能とする規格の導入についても追加的に議論をされておりまして、いまだ調整は完了していないというふうに承知しております。

 こういった先生お尋ねの件が生じる背景は、これはもう先生先刻御承知と思いますが、日本の場合には、無料放送を成り立たせる広告というビジネスモデルにあるわけでございまして、関係者の間で権利処理を速やかに円滑にやって、良質のコンテンツをお届けするための方式を関係者間で調整を行っているということでございます。

足立委員 この問題は、今局長から紹介をいただいたいわゆる次世代放送推進フォーラムという場で議論されているわけですが、これは公開の場ですか。

今林政府参考人 先生お尋ねの次世代放送推進フォーラムは一般社団法人でございまして、その中で、参加された方々が民間の規格ということで自主的に議論をされているものでございます。

足立委員 結局、私の問題意識は、地上波のテレビを中心とする無料放送というのは、ラジオの時代からテレビの時代に移って、ブラウン管からデジタル放送になり、そしてそれが4K、8Kになって、また、並行してインターネットのいろいろなメディアが今非常に発達をしてきている中で、いわゆる無料放送というものがどういう方向にこれから育っていくべきかという大変重要な問題であります。

 よくこの委員会、私も初めて来させていただいて、籾井会長の話が多いのでびっくりしているんですが、籾井会長の話も大事ですが、私が本当に大事だと思うのは、例えば、情報通信、放送の分野では、やはり放送というものがこれからどうなっていくのか、そのときに公共放送たるNHKと民放はそれぞれどういう役割を日本の経済社会において果たしていくかということだと思うんです。

 その消費者、視聴者・国民みんなが見ているテレビが、知らないところでいつの間にかダビング10になっていたんですね。多くの消費者団体が怒っています、何で十回にコピーを制限するんだと。私的複製というのは法律でも認められている。自分が自分のために視聴するために複製するのは、これは著作権法上もれっきとして認められているユーザーの権利なんです。

 ところが、ユーザーが知らないところでダビング10というものが決まって、従来のようにコピーしたり、それを使っていろいろ私的複製をするということが制限をされたことについて、当時も、過去のことについても議論があるにもかかわらず、4K、8Kという将来の放送、次世代放送についての規格が、先ほど局長からも御紹介があったように、録画禁止を導入することも含めて団体で議論されているんです。私は、その団体は競争制限的な議論をしている可能性があるんじゃないかと思うところがあるものですから、それを聞いているわけであります。

 ただ、もちろん、公正取引、競争政策上このフォーラムがどうかということについて、何かこの国会の場でネガティブなメッセージを国民の皆様に送るつもりはありません。ただ、重要なフォーラムなんです。すなわち、放送の関係者、それから受信機のメーカー、ほかにもいろいろあるのかな、デジタルコンテンツの関係者も入っているかもしれませんが、そういうさまざまな関係者がフォーラムをつくって決めているんだけれども、国民は知らないんですね。

 だから、我々は、やはりこの次世代放送のコンテンツ制御のあり方、コピー制御のあり方についてはもっともっとこうした国会で議論をしていくべきである、こう思っているわけでありまして、きょうはその一つの取っかかりとして。

 公取の話はもうここでやりません。また改めて別途やります。

 最後に、NHKにきょうおいでをいただいていますが、今……(発言する者あり)法案の話ですね。よろしいですか。委員長、続けていいですか。

遠山委員長 どうぞ、審議を続行ください。(発言する者あり)

足立委員 あと一分。

 NHKにおいでいただいています。今申し上げた、放送のコピー制御に関するNHKのお立場を御紹介ください。

森永参考人 今、足立先生に御指摘いただきましたように、いわゆるダビング10ということで今のデジタル放送をやっております。

 これは、二〇〇七年の情報通信審議会、これは産業界、消費者団体、それから放送事業者等がメンバーに入っている審議会で、デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会の答申を踏まえて、消費者の利便性とコンテンツ保護の両方を考慮した仕組みとして運用されているものと承知しております。

 NHKとしては、4K、8Kにおいても、現在のダビング10と同様、消費者の利便性と適正なコンテンツの保護の両面が重要であり、関係者の間で合意されることが望ましいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 基本的なお立場というか、模範的なお立場はよくわかるんですが、最後にもう一言NHKからいただきたいのは、そういう、今おっしゃられたように、総合的にいろいろ関係者と相談するわけですが、民放とNHK、成り立ちも違えば、ビジネスモデルも違います。民放とNHKは、今私が質問している放送のコピー制御のあり方についての見解、これは同じと考えたらいいんですか、違うと考えたらいいんですか。

森永参考人 確かに、NHKと民放では主たる財源に違いがあります。しかし、放送事業者として、著作権を守る、あるいはいいコンテンツをつくっていくために、さまざまな利害関係者、そこの関係を円滑に運んでいくという面では同じでございます。

足立委員 だから、放送のコピー制御を今フォーラムで議論しているわけです。フォーラムで議論している次世代放送のコピー制御の方式についての見解は同じですか、違いますかと聞いているんです。

森永参考人 これまでのデジタル放送とこれからの4K、8Kの放送、技術面あるいはそのほかの面で違うこともあります。それから、インターネットという新しい技術のこともあります。今、その審議をしているところで、立場の違いというのをはっきり申すことはまだできません。

足立委員 私はもう終わりますが、これははっきり言っていただいた方がいいと思うんですよ。だって、NHKは、まさに受信料を取って、そして国会にもしっかりと予算等を報告いただいて、国会でやっているわけです。そこで、いや、我々の立場は今話し合っていますから言えませんということは、やはりよくないと思いますよ。

 私はきょうはこれで終わりますが、しっかりと次世代放送のあり方について引き続き皆様にまた御指導、御意見を賜りたいとお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

遠山委員長 次回は、来る二十六日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時三分散会


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