衆議院

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第11号 平成28年4月5日(火曜日)

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平成二十八年四月五日(火曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 遠山 清彦君

   理事 石崎  徹君 理事 菅家 一郎君

   理事 坂本 哲志君 理事 橘 慶一郎君

   理事 原田 憲治君 理事 奥野総一郎君

   理事 高井 崇志君 理事 桝屋 敬悟君

      井林 辰憲君    池田 道孝君

      池田 佳隆君    大西 英男君

      門山 宏哲君    金子万寿夫君

      川崎 二郎君    小林 史明君

      古賀  篤君    島田 佳和君

      新谷 正義君    新藤 義孝君

      鈴木 憲和君    田畑 裕明君

      中村 裕之君    中山 泰秀君

      長坂 康正君    西銘恒三郎君

      橋本  岳君    古田 圭一君

      宮川 典子君    務台 俊介君

      宗清 皇一君    山口 俊一君

      山口 泰明君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    近藤 昭一君

      武正 公一君    水戸 将史君

      渡辺  周君    輿水 恵一君

      梅村さえこ君    田村 貴昭君

      足立 康史君    吉川  元君

    …………………………………

   総務大臣         高市 早苗君

   総務副大臣        松下 新平君

   外務副大臣        木原 誠二君

   総務大臣政務官      輿水 恵一君

   総務大臣政務官      森屋  宏君

   総務大臣政務官      古賀  篤君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  向井 治紀君

   政府参考人

   (内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局次長) 新井  毅君

   政府参考人

   (個人情報保護委員会事務局長)          其田 真理君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           稲山 博司君

   政府参考人

   (総務省大臣官房地域力創造審議官)        原田 淳志君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  上村  進君

   政府参考人

   (総務省自治行政局長)  渕上 俊則君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  安田  充君

   政府参考人

   (総務省自治税務局長)  青木 信之君

   政府参考人

   (総務省情報流通行政局長)            今林 顯一君

   政府参考人

   (消防庁次長)      西藤 公司君

   政府参考人

   (防衛省人事教育局長)  深山 延暁君

   参考人

   (日本放送協会会長)   籾井 勝人君

   参考人

   (日本放送協会専務理事) 福井  敬君

   総務委員会専門員     佐々木勝実君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     新谷 正義君

  金子万寿夫君     田畑 裕明君

  金子めぐみ君     宮川 典子君

  中山 泰秀君     島田 佳和君

  長坂 康正君     門山 宏哲君

同日

 辞任         補欠選任

  門山 宏哲君     池田 佳隆君

  島田 佳和君     古田 圭一君

  新谷 正義君     池田 道孝君

  田畑 裕明君     金子万寿夫君

  宮川 典子君     金子めぐみ君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     長坂 康正君

  古田 圭一君     中山 泰秀君

    ―――――――――――――

四月四日

 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三八号)

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給、地方自治及び地方税財政、情報通信及び電波、郵政事業並びに消防に関する件


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     ――――◇―――――

遠山委員長 これより会議を開きます。

 行政の基本的制度及び運営並びに恩給に関する件、地方自治及び地方税財政に関する件、情報通信及び電波に関する件、郵政事業に関する件及び消防に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、参考人として日本放送協会会長籾井勝人君及び専務理事福井敬君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官向井治紀君、まち・ひと・しごと創生本部事務局次長新井毅君、個人情報保護委員会事務局長其田真理君、総務省大臣官房総括審議官稲山博司君、大臣官房地域力創造審議官原田淳志君、行政管理局長上村進君、自治行政局長渕上俊則君、自治財政局長安田充君、自治税務局長青木信之君、情報流通行政局長今林顯一君、消防庁次長西藤公司君及び防衛省人事教育局長深山延暁君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田憲治君。

原田(憲)委員 おはようございます。自由民主党の原田憲治でございます。

 きょうは、一般質疑の時間をいただきまして、私がかつて活動させていただいておりました消防団、特に消防について質問させていただきたいと思います。

 まず、きょうは外務副大臣にもお越しをいただいておりまして、我々消防団、そして消防署の車両も含めて、耐用年数というか、法律によって日本で使用することができなくなる車両が出てまいります。ただ、機能としては十分使用に耐え得る機能を持っておりますので、それを何とか活用できないかという思いがあります。

 例えば、日本消防協会を通じて、海外でその消防車を活用することができないかという取り組みをずっとさせていただいておりました。また、それぞれ、市町村の消防あるいは消防団におきましても、姉妹都市提携をしているところへ、改めて使用していただくために供出をしていただくというような取り組みもしていただいたところもありますし、各国との友好都市提携、あるいは、国との友好連盟というのでしょうか友好協会等を通じて、消防自動車を輸出させてもらったこともあるというようなことも伺っております。

 そこで、私が、自民党の中でありますけれども消防議員連盟というのがありまして、その中で、積極的にそれをやっていこうと。何とか、各自治体で、まだまだ活用できる消防車をネットオークションにかけて、かけた先が消防車として利用していただければいいんですけれども、どうも話を聞いておりますと、車は車としてのパーツで輸出する、あるいはポンプとして輸出するんでしょうか、国内に売りさばくんでしょうか、そういったこともなされておるということであります。

 これを何とか消防車の形で使用していただける方法がないだろうかということで話をさせていただいておりましたら、日本消防協会でその取り組みをもう既にしていただいておるということでありまして、ぜひそれを応援しようということで話を始めましたら、外交協会、外務省の外郭ではありませんけれども、関連団体と言っていいんでしょうか、そちらでもそのような使用をされておるということでありました。それぞれの団体で今まで行ってこられたことですが、何とか一本化できないだろうかという話をしたんですが、なかなかその辺は難しいということの結論を得ました。

 そこで、日本消防協会が行っておられる海外への消防自動車の輸出というんでしょうか、そのようなことをサポートしていただける方法がないか。我々は一生懸命応援をするんですが、外務省のODAをこの運動に活用することができないかということを提言させていただきまして、今その活用をされておるようでありますので、その点につきまして、外務省の方からお聞かせをいただけたらと思います。よろしくお願いします。

木原副大臣 お答え申し上げます。

 原田委員には、かつての消防団の経験もあり、地域消防を経験されてきた中で、消防機材に対する大変深い御理解とそして思いの中から今御質問いただいたというふうに思います。

 まず、途上国への中古の消防車両の供与というものは、政策的には、途上国における不足している消防能力、体制の向上に貢献をする、他方で、我が国からの目に見える支援としても高く評価されている、こういうことでございまして、外務省としても、これまで積極的に取り組んできたところであります。

 そうした中で、今まさに委員から御指摘いただいたように、委員御自身もメンバーとして活動されております自民党の消防議員連盟から、中古消防車の海外における有効活用の促進ということについて貴重な提言を平成二十六年にいただいております。

 従来、私ども、ODAは、供与する際の輸送費また整備費等に活用させていただいてきたわけでありますが、御提言も踏まえまして、それ以降、中古消防車両の装備品に係る費用、あるいは車両の使用に係る技術支援の費用も含めるといったような対応をとらせていただきました。

 結果として、平成二十六年度を見ていただきますと、ODAによる支援実績、一四年、その前年と比べまして、十四件、二倍にふえているということでございまして、私どもといたしましては、いただいた御提言も踏まえながら、さらに積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。

原田(憲)委員 木原副大臣、ありがとうございます。

 消防協会は、昭和五十九年から、アジア、アフリカ、中南米を中心としまして四十三カ国に対して今まで一千三百三十六台の消防車両を寄贈しておるわけであります。最近になりまして、今副大臣から御答弁いただきましたように、ODAも活用させていただくということでありまして、このたびは、平成二十八年八月末にケニア国ナイロビで開催されるアフリカ開発会議、TICADの際、日の丸つきの消防車として御披露していただけるというようなことになろうかと思っております。

 ケニアの地で、日本の消防車両、日の丸をつけた消防車両、場合によっては、どこそこの、自分のところを例に出させていただくと、例えば箕面市消防団何とか分団、そこの車両がケニアの地で走るかもわからないというようなことであります。

 そしてまた、皆さんが海外へ行かれたときに、これは、俺のところの消防車がこういうところで活動しているのかというようなことで目にとめていただけたら、日本の消防として、海外で本当に協力をしているんだという目に見えた形、消防だけではありません、日本のこの国に対しての思いというのを、しっかりと植えつけてと言うと言葉が悪いのかもしれませんけれども、そのようなことになるのではないかと思っておりますので、ぜひ、この消防車両の寄贈といいますか輸出につきましては、これからも続けていただきたいと思っております。

 今副大臣から御答弁をいただきましたように、ただただ消防自動車を贈るのではなくて、その消防自動車に関するパーツ、整備のときに必要なパーツ、あるいはその国に合った消防の器具、例えばホースの径も違いますから、日本の消防車からその国の消火栓へつなげるための媒介といいますけれども、その機械といいますか器具、それもつけて、さらには、今おっしゃっていただきましたように、消防車だけ贈ったらいい、輸送費だけ持ったらいいということではなくて、消防の技術を教えるための職員、技術員もあわせて派遣をするのにODAを使わせていただくということでありまして、大変ありがたいことでありますので、今後も一層協力をいただけたらありがたいな。

 そしてまた、さらには、ばらばらに対応することがないように、できれば一本化して、外務省がまとめてこういうことをしたらどうかというような御提言もいただきながら、消防協会は消防協会として、自分たちは消防のプロだという意識もあるでしょうし、また外交協会さんは外交協会さんで、対外的に、外国にある日本大使館が、動きやすくなるようにというような対応もしていただいておるような話もお聞きをいたしますので、その辺のところもさらに御支援をいただけたらと思うんですが、御答弁をいただけたらありがたいです。

木原副大臣 まず、八月のTICADの話をいただきました。御指摘いただいて、ありがとうございます。

 既に三月十六日に贈与契約を済ませておりますので、今後、ナイロビのナイロビ郡消防本部との間で、実際にどのように供与していくかということを詰めていきたいというように思います。いずれにしても、日の丸がついた消防車が供与されるというのは非常に重要なことであろうというふうに思っております。

 また、今後のことにつきましていろいろお話をいただきましたが、私たち、ODAの柱の一つにやはり防災、減災というものがございますので、この点も踏まえながら、しっかり対応してまいりたいと思います。

 そして三点目、外交協会、そして消防協会、外務省という関係でありますけれども、すぐに一本化できるかどうかということは、さまざま関係者と協議をしなければいけないというふうに思いますが、いずれにしても、過不足なく、そして非効率にならないように、十分調整をしながら対応してまいりたい。

 また、引き続き、委員からもさまざま御意見を賜れればというふうに思っております。

原田(憲)委員 木原副大臣、本当にありがとうございます。今までの胸のつかえがすっきりしたと思っております。

 本当に、日本の外国に対する思いというのが、消防車ということでありますけれども、一つの気持ちとして、発展途上国というんでしょうか、それらの国にわかっていただけたらありがたい。もちろん、そのほかの分野におきましても、医師の派遣とかいろいろなことがあろうかと思いますけれども、そのようなことの一翼を担っていただける消防協会あるいは外交協会、あるいはそのほかの団体にとっても大変ありがたいお話を今いただいたと思いますので、引き続き御支援をいただけましたらと思います。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 それでは、次に消防のことについて少し質問させていただきたいと思います。

 今、消防庁の方では、全国的に消防の広域化、それぞれ今までは各市町村の消防という形になっておりましたけれども、できるだけ効率化を求めていこうという観点なのかもわかりませんが、その辺のところは私は定かでないと思っておりますけれども、消防の広域化を進めておるようであります。例えば、まず無線の広域化をしようというようなことを取り組んでいただいていたと思うんですが、この消防の広域化についての意見を、どのような形で広域化を進めようとしておられるのか、消防庁の方にお伺いをいたしたいと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 消防庁では、消防体制の確立や、広域化により消防力の強化を図るため、平成十八年に消防組織法の改正を行いまして、この消防組織法の規定に基づき、市町村の消防の広域化に関する基本指針を策定し、広域化を推進しているところでございます。

 具体的には、この指針において広域化の推進期限としております平成三十年四月一日に向け、都道府県に対し消防広域化重点地域のさらなる指定を促すとともに、指定された重点地域への集中的な支援の実施、消防広域化アドバイザーの派遣などにより、広域化を着実に推進する考えでございます。

 今後とも、地方公共団体や消防本部にきめ細やかな情報提供や相談、助言を行うことによりまして、広域化をさらに着実に推進してまいりたいと考えております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 ところで、まだまだ理解がいただいておらないといいましょうか、今お話をいただきました消防、いわゆる各自治体の消防と、それから、もちろん自治体に関連することでありますけれども、消防団という二つの組織がございます。

 消防団というのは、常日ごろそれに専念することではなくて、ほかに仕事を持ちながら消防の応援をしようといった位置づけというんでしょうか、そのようなことで進められておるんですが、常備消防、いわゆる消防署がないところは、消防団だけでやっておったところもあります。現に私の地元でもそのようなことがありまして、今回、ほかの消防署に業務委託というんでしょうか、消防の事務そして実際の活動も委託してやっていただこうということになりました。

 そこで、広域合併を今進めていただけるということでありましたけれども、消防団につきましての位置づけというものはどうなっているのか。

 今でも、消防団の格納庫、それぞれ車両を持っておる分団もあるわけでして、そこに消防車両があるんですが、人は常駐しておりません。ところが、近所で火事があると、消防団員さんも集まってきて消防車両を出動させるんですが、消防署がそこにあるのに何で出るのが遅いんだといったような苦情も聞かれるような状態であります。

 ですから、消防職員あるいは消防官だけの広域合併をということではなくて、この際、消防団にも少し目を向けていただいて、消防団活動に対しても消防庁の方から指導なりをいただければありがたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 消防団は、みずからの町はみずから守るという理念に基づき活動しており、地域の実情に精通するとともに、極めて細やかな消防防災活動を実施している特性上、広域化の対象とはしていないわけでございます。

 一方で、委員御指摘もございましたが、消防本部を広域化した場合、消防本部の設置主体と消防団の設置主体が相違することが多くなると考えられますため、両設置主体の連携を確保し、災害対応等に万全を期すことが重要でございます。

 こうしたことから、私ども消防庁におきましても、市町村の消防の広域化に関する基本指針において、その緊密な連携を確保するための具体的方策として、例えば、常備消防の管轄区域内の複数の消防団の団長の中から連絡調整担当の団長を指名することによる常備消防との一元的な連絡調整をすること、あるいは、平素から各消防団合同あるいは常備消防を含めた訓練などを実施すること、また、構成市町村の消防団と当該市町村の区域に存する消防署所との連絡確保のため、消防署所に消防団の連絡調整担当を配置するとかあるいは定期的な連絡会議を開催することなど、さらに、常備消防と消防団との連絡通信手段を確保することなどの方策を示しているところでございます。

 これらを通じまして、広域化された消防本部と、各構成市町村できめ細かい対応をしている消防団とが有機的に結びついて活動することで、地域密着性を確保しつつ、広域的な災害にも的確に対応することが可能になるのではないかというふうに考えております。

 消防庁としましては、今後とも、地域の安全を確保するため、消防団と消防本部が連携しながら、地域住民の期待に応えられるよう、さらに支援してまいりたいと考えております。

原田(憲)委員 ありがとうございます。

 まさにそのように対応していただけるということでありましたら、大変ありがたいことであります。特に消防団員さんは、それぞれお住まいの地域、お住まいの市町村をしっかりと守るという意識が相当強うございますので、その辺を十分御理解の上、今御答弁いただきましたように対応していただけましたらと思います。

 もう質問時間も終わりになりますので、最後に、一つだけお願いをしておきたいと思います。

 先ほどODAの話もさせていただきましたけれども、ぜひ、消防車両を集めるのに総務省、消防庁も協力をお願いしたいということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、宗清皇一君。

宗清委員 おはようございます。自民党の宗清でございます。

 質問の機会をいただきまして、感謝申し上げます。ありがとうございます。

 地方議会と首長の問題についてちょっと質問させていただきたいと思います。

 再議の件についてですけれども、この法令というのは、昭和二十三年の改正によって、議会との正常な均衡関係を図る必要があるとして、新たに条例の制定、改廃、または歳入歳出予算に関する議決に異議があるとき、首長は再議に付すことができるということでございます。

 地方議会では余り使われていないというふうに記憶していますけれども、大阪府政では、私の記憶では、九回されているというふうに感じております。これは全国でも最多であると思いますし、平成二十四年に愛知で一回、滋賀県で二回、沖縄で二回、これと比較しても圧倒的に多いなというふうに感じているわけでございます。

 この三月に行われた大阪府議会の定例会でも、情報公開条例という議会側の提案の条例がありましたけれども、これについても三回目の再議をしているということで、少し私は違和感を持っているわけでございます。

 この再議をめぐって、首長優位の制度である、見直しが必要なのではないかということが、全国の都道府県議長会もしくは全国市町村議長会からも同趣旨の意見が出ているというように聞いていますけれども、一定の条例などについて例えば過半数議決にするなど、再議の要件の緩和を行う、こういう検討を進めていくべきではないかなというふうに考えております。総務省として今後何らかの対策が必要であると思いますが、お考えを聞かせてください。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法に定める再議制度につきましては、長が議会の議決について異議があるときに議会に対しまして再議を求める制度でございまして、特に、条例の制定、改廃や予算の再議決に関しましては、これらの団体意思を決定する重要性等に鑑みまして、特別多数決を要するとされているものでございます。

 再議制度につきましては、団体意思決定における長と議会との権限の均衡を図る趣旨で設けられているものでございますので、その見直しに当たりましては、慎重な検討が必要であるというふうに考えておるところでございます。

宗清委員 今御答弁にございましたように、慎重ではあっても、ぜひ前向きに御検討いただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、地方議会の招集権の見直しについて、ちょっと御提案をしたいというふうに思います。

 地方議会の招集権はもちろん首長にございますけれども、地方自治法には、議員の定数の四分の一の者が首長に議会を開くように求めた場合、二十日以内に議会を開かなければならないというふうに書いてあります。

 平成二十六年に、大阪府議会で、五十七名の議員、これはもう過半数以上の議員が臨時会の招集を求めたわけですけれども、大阪府の当時の知事が招集しなかった事例がございます。これは、明らかに法律違反であったというふうに思います。議会を開かなければならないと法律に書いてあっても、実際には、首長が議会を開かなくても何のおとがめもございません。さらに、今の法律では、首長が二十日間、議長が十日間、結託して議会の開催を引き延ばすこともできるわけでございまして、これでは、例えば緊急に審議すべき議案の取り扱いなどができなくなる可能性もあるというように思っております。

 また、大阪府議会では、議長が、例えば、開会をして、開会したらすぐに休会を宣言して、時間が来たから流会だというような事例もございましたし、今後は、万が一でもこういうことがないように、招集しなかった場合などの対応を考えて、開催を求めた議員の意思で議会が開けるなどの対抗措置を今の法律に明記しておくべきではないかというように考えますが、いかがでしょうか。

渕上政府参考人 お答えいたします。

 地方自治法第百一条の規定によりまして、御指摘のとおり、長は、議員から臨時会の招集の請求があった場合には二十日以内に臨時会を招集しなければならないと規定されておりまして、また、長が招集しない場合におきましては、議長は、十日以内に臨時会を招集しなければならないと規定されておるところでございます。

 この趣旨でございますけれども、議員からの請求に基づきまして、長に臨時会の招集を義務づけますとともに、万一、長がこれに応じない場合には、議長の招集権を認めるということによりまして、議会側が必要と認める場合には臨時会が開会できるような制度上の担保を置いているというふうに考えているものでございます。

 こういった地方自治法の規定の趣旨に従いまして、各地方公共団体において適切な運用がなされる、そういう必要があると考えております。

宗清委員 今の法律に書かれていることは担保されていない、担保されない事例も出てきているわけでございますし、法律に書いていないことを、対抗措置ということを制定することによって今の法律が担保されるというように思いますので、現状をしっかり分析していただいて、御検討をいただきたいというふうに思います。

 次に、臨時財政対策債について、ちょっと私も地方議員の出身者として問題提起をさせていただきたいと思います。

 この臨財債の制度については、しばしばこの総務委員会でも議論をされてきたというふうに思いますが、臨財債の償還財源は、後年度でございますけれども地方交付税で措置しておりますので、制度上は、不交付団体にならない限り、国が全て償還をしていただけるという制度になっております。

 しかし、法律上はあくまでも地方債ということであって、地方自治体の借金であるというものですけれども、首長さんによっては、本来交付税でもらえるはずのお金を地方が肩がわりしているので、これは地方の借金じゃなくて国の借金であるというような主張をする人もいるわけでございます。

 ここで問題は、この臨時財政対策債の償還の原資というのは交付税でありますので、交付税というのは自治体側からしてみれば一般財源ですから、首長の裁量で、臨財債の償還に充てるのではなく、別に何に使ってもいいということになっているわけでございます。本来は、交付税措置されている元利償還金は償還財源として減債基金等にきちんと積み立てておくべきであるというふうに考えておりますが、ことしは財政が苦しいので一般財源で使ってしまおうという判断が首長の判断でできるということになります。

 古い話で恐縮ですけれども、制度上の矛盾についてお話をしたいので、ちょっと資料の方をお配りさせていただきました。

 交付税措置されている元利償還金の額と地方自治体の償還ルールが異なる事例というのを申し上げたいと思うんです。お配りしています資料の一枚目にありますように、赤のラインが国が交付税算入している額でございまして、下側の黒のライン、これが大阪府が実際に減債基金に積み立てている額でありますけれども、国から交付税で来る元利償還金よりも大阪府の積み立てのペースが遅くなっているということがわかると思うんです。

 単年度で説明いたしますと、二枚目の資料に書かせていただいておりますように、例えば、平成二十年度では、交付税算入では七百七十九億円されていますが、大阪府が積み立てているのは四百八十七億円ということで、この差が二百九十二億円ですね。これは一般財源で使っているということになりますので、こういうことを四年間繰り返しただけでも千二百五十三億円の積み立て不足が出てくるということになります。要するに、臨財債の元利償還金を先食いできるということになっています。

 戻りますけれども、一枚目の資料で説明させていただきます。この緑の部分、こういうことをしていると、平成三十四年以降は、反対に、国から交付税で措置される額よりも大阪府が積み立てする額の方が大きくなるわけですから、実際は国から元利償還金がもらえないのに借金は返さなければならない、後年度に大きな負担が先送りになっているわけでございます。

 こういう問題を二年ぐらいにわたって、私も地方議員のときにこの問題を指摘してきたんですが、これに気づいたのは、黒字が続きながらも実質公債費比率が悪化しているな、そこで、何でだろうという疑問点を持って調べてみたら、臨財債であったり減収補填債、その制度がこういうふうにできる制度になっているということに気づいたわけでございまして、これに気づかなかったら、将来的に五千億以上のお金が先送りされることとなったわけです。今は、平成二十六年度から改正をされて、国からもらえる元利償還金と積み立てのペースが同じになったということで、財政運営に一定の歯どめをかけることができたというふうに思うんです。

 こんな財政運営をしていたら、一般財源としている額が多くなって財政が楽になる、そういうことが単年度ではできるわけですね。財政をよく見せかけることもできますし、大阪府のように臨時財政対策債を多額に発行している自治体は、元利償還金が交付税措置されることによってたくさんもらえるという仕組みになっているわけです。しかし、そんなことをやって先食いしていたら、単年度では黒字になっても、実質公債費比率、将来負担比率というのは確実に悪化しているわけであって、黒字になったといいながらも、大阪府も実際、数年こういうことをやっていたら、起債許可団体に転落したわけでございます。

 私は、こういう制度の矛盾を解消する意味でも、臨財債は他の公債費とは本質的に意味が異なると思っておりますので、交付税ではなく、本来、別枠で地方自治体に渡すなど、別の用途に使われないように、減債基金等への積み立てを義務化するようなことを検討すべきではないかというふうに思っています。臨財債の元利償還金に対して措置された交付税額を明確にして、その時点までに償還または減債基金への積み立てに用いられた額と対比できるようにすべきであるというふうに思います。

 例えば、この基金に関しては別建ての基金をつくってきちっと見える化をしておくべきではないかなと考えるんですが、総務省のお考えを聞かせてください。

安田政府参考人 お答えいたします。

 地方交付税は使途を制限されない一般財源でございますので、どのような形で減債基金に積み立てを行うかにつきましては、各地方団体において適切に御判断いただくべきものと考えております。

 その上ででございますけれども、臨時財政対策債の元利償還金に対しまして、地方交付税の基準財政需要額に算入された額につきましては、普通交付税を算定する中で、各団体において把握が可能でございます。

 また、一方でございますけれども、臨時財政対策債の元利償還額及び減債基金への積み立て状況につきましても、当然これは各団体の財政運営の中で把握がなされているものでございますので、委員御指摘のこれらを対比するということにつきましては、各団体において見える化するということが可能ではないかというふうに考えてございます。

 こうした点を踏まえまして、各地方団体の判断によりまして、当該団体の財政状況を適切に公表し、住民への説明責任を果たすことが重要であるというふうに考えている次第でございます。

宗清委員 今の御説明は十分僕も理解した上での質問なんですけれども、先ほど質問で申し上げていますように、臨財債の元利償還金はほかの起債とは少しやはり意味が異なるというふうに思いますし、首長の判断で単年度黒字を例えば多く見せるとかいうことができるわけでございます。足元の財政運営が苦しいのは地方はどこも一緒なんですけれども、かといって負担の先送りがされないように、もう少し住民にわかりやすいように説明させることが大事だろうというふうに思いますので、総務省としても、さらなる取り組みをお願いしたいというふうに思っております。

 続いて、また、地方財政のさらなる見える化について提案をしたいと思うんですが、二十九年に新しい公会計制度、統一した仕様ができるようになって、各自治体の財政状況が比較することができるわけでございまして、住民が地方自治体の本当の財政状況を理解するのに私は大きな成果が出てくるだろうというふうに期待をしています。

 住民からは、地方自治体の財政状況、これは本当の姿というのは実はよく見えにくいと思いますし、財政問題は本当に難しくてなかなか理解しづらい専門的な分野であろうというふうに思いますし、地方議会でもなかなか議論が深まらないこともあるというふうに思います。

 首長や地方議員の方では、昨年は黒字でした、ことしも黒字でした、こういうような言葉をよく耳にするんですけれども、財政というのは、当然、単年度ではなくて中長期的に見るものでありますし、単年度の赤黒だけではなくて、将来負担比率や実質公債費比率、またストックの変化、それも重要な要素であるというふうに思います。

 例えば、実際に、ある自治体である話ですけれども、自治体が大量に土地を売却して、そのお金を財政調整基金に入れて、それを取り崩して当初予算に入れて、結果、ことし黒字でしたというようなことになったとしても、実際は自治体のストックは減っているということでございます。

 私は、そんなことも含めて、単年度の赤黒や将来負担比率、実質公債費比率や中長期的な財政見通し、またストックの増減、それと施設の老朽化率など、こういうこと、自治体の本当の財政状況をもっと住民の皆さんにわかりやすくして理解をしていただく必要があるというふうに考えております。特に、統一的な基準によって作成される新たな財務書類によって明らかとなるストックの情報、資産、これをわかりやすく住民に伝えることが求められていると思います。

 しっかり自治体に総務省として働きかけていただきたいと思いますが、大臣の御見解を聞かせてください。

高市国務大臣 固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提としました統一的な基準による地方公会計の整備によって、保有する施設や土地の情報など、これまでわからなかった自治体のストック情報が見える化することになります。

 この地方財政の見える化は、住民の皆様や議会などに対する説明責任をより適切に果たして自治体のガバナンスの向上を図るという観点から、大変重要でございます。各自治体がこうしたストック情報を住民の皆様にわかりやすく公表していかれるということを期待しています。

 総務省としましても、自治体に対しまして、事務連絡や説明会などを通じて、財政情報のわかりやすい開示を求めてまいりました。今後とも、こういった取り組みが積極的に行われますように、引き続き、さまざまな機会を通じて働きかけを続けてまいります。

宗清委員 大臣、御答弁ありがとうございました。

 財政問題というのは非常にわかりにくい問題でございますので、各自治体が住民の皆さんにありとあらゆる機会を通じて周知ができるように、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 最後に、マイナンバーについて質問させていただきます。

 地元に戻りますと、マイナンバーについては、まずよくわからないとか、さらには財産や個人情報の全てが国に管理されるんじゃないかなど、さまざまな誤解もありまして、余りいいイメージを持っていただいていないなと、お叱りを受けることも多いんです。

 本来、制度の導入の目的である国民の利便性の向上、そう言ってもまだまだ実感はないかなと思うんですが、行政の効率化といいましても、国民に余り直結している問題ではないと思います。しかし、公平公正な社会の実現、社会の負担をできるだけ公平に負担していただくというのは、一番国民の皆さんに制度導入の目的が理解されやすいのではないかなというふうに感じています。

 制度導入によって国民の所得状況が正確に把握できることによって、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止、さらには、本当に困っている方々へきめ細かい支援ができるのではないかなと考えております。

 例えば、複数の法人等から所得を得ているけれども、きちっと申告をしていないので、国民健康保険料が安く算定されている、適切な額を納めていない、または、本当は一定の所得があるにもかかわらず不正に生活保護を受けているなど、そんな話をよく地元に帰っても聞くことがあるんですが、こういう不正があった場合は、マイナンバーの導入によって適切に所得が把握できるわけでございます。名寄せがきちっとできるわけでございますので、不正受給などを未然に防ぐことができるのではないかなと思っております。

 こういうことが実際に身近な市町村で、住民の目の前でこういう不正が未然に防ぐことができるというようなことがあれば、このマイナンバーの制度導入の効果が目に見えて住民の皆さんにわかって、さらに御理解をいただけるのではないかなというふうに思っています。

 マイナンバーが導入されて公正公平な社会の実現ができていると国民が実感していただけたら、より一層理解が深まると思いますので、そういう働きかけをこれから総務省、内閣府ともにしっかりやっていただきたいと思いますが、御見解を聞かせてください。

向井政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの公平公正な社会の実現でございますが、まず、番号というものは極めて効率的に正確に名寄せができるもの、これは民間の番号でも同じだと思っております。

 マイナンバーでも、本年一月、社会保障や税の行政事務で利用が開始されておりますので、身近なところでは、給与、報酬の支払い者に対しましてマイナンバーを提供していただいたものが、支払い者が税務署や市町村に提出をする書類に記載されることで、税務署や市町村におきまして、特定の方に支払われた給与や報酬をより正確かつ効率的に名寄せ、突合ができるようになるというふうに考えておりまして、これまでよりも正確な所得把握が可能になるというふうに考えてございます。

 さらに、二十九年七月ごろをめどとしておりますが、行政機関間で情報提供ネットワークシステムを活用した情報連携が本格的に可能となります。この情報は、行政機関間で情報をやりとりするものでございますけれども、原則禁止されております、何でも情報がやりとりされるわけではございません。このような公正、あるいは国民の利便性、こういうものに限って情報をやりとりするものでございまして、これらが、課税の適正化のみならず、これらのいわゆる適正となった所得情報を生活保護あるいは社会保障その他の分野で使うことによりまして、より各種社会保障給付の適正化、不正受給の防止に資するものと考えております。

 さらに、適正化された所得を使いまして、よりきめ細かな新たな社会保障制度の立案も可能になってくるものというふうに考えております。

宗清委員 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。

 これで終わらせていただきます。

遠山委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 おはようございます。公明党の桝屋敬悟でございます。

 きょうは、限られた時間ではありますが、昨年の三月に開設されました移住・交流情報ガーデンについて、その活動状況など確認をしたい。

 東京駅の八重洲口から歩いてすぐのところでありますが、私もオープンのときにお伺いしたのであります。地方創生の取り組みということで、地方への移住、この支援のために、特に東京地域から地方へ移住していただく、これを進める拠点でありますが、それぞれの自治体と連携をいたしまして、そして、居住、就労、生活支援などの情報提供、相談にワンストップで対応するということであります。

 開設以来の活動状況、随分機能しているというふうには聞いてはいるのでありますが、その状況をちょっとPRしていただきたいと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 移住・交流情報ガーデンにつきましては、先ほど御指摘にありましたように、住宅、仕事、子育て環境の情報など、地方移住に必要となる情報の一元的な提供窓口として、平成二十七年三月に総務省が設置したものでございます。

 このガーデンにおきましては、厚生労働省及び農林水産省と連携をしまして、専門家を配置しまして、就職や就農についての相談にもワンストップで対応するとともに、相談者の希望に応じまして全国の自治体につなぐ役割を果たしているところでございます。

 具体的には、ガーデンにおきまして、例えば、農水省の就農フェア、厚生労働省の若者向け就職支援事業、中小企業庁のセカンドキャリア推進事業など、各省とも連携した取り組みを行っておりますし、民間、例えば、雑誌社と連携をした移住に係る講演会、相談会、金融機関と連携した起業セミナーといった、民間企業と連携した事業も実施しているところでございます。さまざまなニーズに応えるべく努力しているところでございます。

 設置以来、本年三月末までに、一万六千六百八十七人が来場されまして、相談員が移住候補地等に紹介、あっせんをした、そのような件数は全体を含めまして七千五百九十三件でございました。

 以上でございます。

桝屋委員 原田審議官の顔を見ていると、もう少し言いたくなるのであります。

 四月三日、ちょうど日曜日、どうでもいいんですが、私の誕生日であります。私は行けなかったのでありますが、事務所の秘書が現地視察、現場の状況を見に行きました。たまたま、あいにく天気が悪くて、年度初めということであったのでありましょう、来訪者が極めて少なかったという状況であります。しかし、伺いますと、多くの週末では、各自治体による移住PRのイベントなども行われまして、多数の来場者がいらっしゃるということであります。

 今も説明がありました、農水省や経産、それから厚労などとも連携をしながらいろいろなイベントが組み込まれているというふうに思うのでありますが、特に、イベントの状況と、各自治体との連携がどうなっているのか。自治体によってはかなりこれに勝負をかけておられる自治体もあるというふうに伺っているのでありますが、その状況をもう少し詳細に御報告いただきたいと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 移住・交流情報ガーデンにつきましては、各自治体から提供されました情報をガーデンの中の情報閲覧コーナーに設置する、そこで提供するとともに、昨年七月から本格稼働しております全国移住ナビ、このようなものも活用しまして、実際にお越しになられた方に地域のイメージをわかりやすく伝えるとともに、相談員が御希望などに応じましてお話をし、必要に応じて自治体の窓口へおつなぎをしているところでございます。

 イベントの開催状況でございますけれども、ガーデンを活用した開催を希望する自治体を募集しまして、移住相談会また移住セミナー等に積極的に活用していただいているところでございます。平成二十八年三月末の実績で、地方自治体、また民間企業もございますけれども、主催するイベントが、計二百六回開催されているところでございます。特に週末を中心に、非常に活用していただいているところでございます。

 幾つか御紹介させていただきますと、実際に開催されたイベントとしましては、例えば、奈良県が、県内の奥大和地域の町村と共同で、先輩移住者と都会在住者クロストークと題しまして、先輩移住者の実際の体験談をもとに意見交換会を共同開催する、鳥取県が、雑誌社と連携して、移住に係る講演、相談会を特集記事と連動する形で開催するなど、各地方公共団体におかれまして、それぞれその地域の特性を生かした取り組みを行っておられるところでございます。

 今後とも、こういう取り組みに積極的に協力をしてまいりたいというふうに考えております。

桝屋委員 それで、今、奈良県とか鳥取県の事例の報告もありましたが、私の地元山口県は、例のNPO法人のふるさと回帰支援センターに相談ブースを置いているのであります。

 このふるさと回帰支援センター、大分活動に歴史もあるようでありますが、との役割分担といいましょうか連携といいましょうか、どういうふうになっているのか、その辺もちょっと御説明をいただきたいと思います。

原田政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のございましたNPO法人ふるさと回帰支援センターでございますけれども、このような移住の取り組み、結構歴史を持って取り組まれております。各自治体の、個別の自治体からの相談業務を受託しながら、いろいろな情報発信、取次業務をされているところでございます。

 私ども移住・交流情報ガーデンの役割は、移住に関するさまざまな関心、移住に関心のある方のそういう関心に応えるべく、全国の自治体の移住関連情報の提供を行う一元的な窓口でございまして、相談者の希望に応じて自治体の窓口に仲介するものでございます。

 その意味でいえば、全国の自治体の一つの入り口になっておりまして、私どもはつなぐことが仕事でございますので、今お話のありましたNPO法人ふるさと回帰支援センターの各自治体の相談員の方、こういう方々も含めまして、各自治体から情報提供、あっせんする場合のいわば取次先を登録していただいておりますので、そういうところに情報提供、あっせんをしているところでございます。

 いずれにしましても、相談に来られた方のニーズ、こういうものに的確に応えられますよう、関係機関とも十分に連携しながら、積極的に対応してまいりたいというように考えております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 連携をしているということでありますが、原田審議官の方から、がっちり連携していますよという言葉がなかったのはちょっと心配でありますが、大丈夫なんでしょう。しっかりお願いをしたいと思います。

 開設以来一年がたったわけでありまして、いよいよこれからがガーデンの活動も本格的な状況になるんじゃないか、こう思っておりますが、相談員の体制などについて確認をしたいと思います。

 オープンのとき、私も行きましたけれども、そのときは一般社団の移住・交流推進機構が運営委託されていたというふうに思いますが、今、新年度から委託先がかわったという話も聞いております。相談員の質の確保は大丈夫なんですかとか、あるいは、今まで一般社団移住・交流推進機構、JOINがやっていたノウハウ、そうしたものがちゃんと引き継がれるのかというようなこともちょっと気になるところでありますが、御説明をいただきたいと思います。

森屋大臣政務官 お答えをいたします。

 移住・交流情報ガーデンにつきましては、運営につきましては民間に委託をさせていただくこととしておりまして、平成二十八年度予算におきましては、関連経費を含めまして一・一億円を計上いたしたところでございます。

 この請負の選定に当たりましては、会計法令におきまして一般競争入札が原則ということでございまして、今回、一般競争入札により選定をさせていただいたところでございます。

 その際の仕様書におきましては、請負者に対しまして、この業務につきまして、業務実績として、三年以上、地方への移住、交流に関する情報発信あるいは相談等に係る業務の実績があることといたしております。先ほど先生も御指摘いただきました、今回、民間の株式会社ネオキャリアという会社が請負者として落札をいたしたところでございます。

 この入札の結果、昨年度からの事業者が変更になったわけでありますけれども、総務省といたしましても、引き続き、全国の移住関連情報の提供等が適切に行われますように、受託者を適切にフォローしてまいりまして、先生先ほどお話ありました、がっちりとした連携ということでございますので、その辺をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

桝屋委員 よろしくお願いいたします。

 確かに、一般競争入札ということですから、私はその方法は適切であったと思うんですが、ただ、初年度、一年やって、二年目、これは毎年やるんですかね、それでうまくいくかなというのがいささか心配でありまして、しっかり一年間の実績というものがうまく引き継がれていくように、あるいは発展していくような、そういう取り組みが大事じゃないかな。

 今、政務官の方から、一億一千万。落札額が一千三百万ぐらいだというふうに聞いておりますが、仕様書を見ると、相談員が、責任ある立場が一人と、あと三人ぐらい置くということで、一千三百万で、えっと思ったりするのであります。実際に、ネオキャリアというのは民間の会社でありまして、ノウハウはお持ちなんだと思いますが、その辺が少し心配であります。

 これからも、一年ずつの入札で運営委託を検討していくということになるんでしょうか。事務方でも結構です。

原田政府参考人 お答えいたします。

 基本的には、一年ごとの契約になると考えております。

桝屋委員 であれば、ぜひ、今回、このネオキャリアとそれから今までやっていた一般社団とが、二者が応札したというふうに聞いておりますが、これはどうなのかなという、運営が大変心配でありまして、つかず離れず、私もウオッチしていきたいというふうに思っている次第であります。

 それで、大臣とちょっと協議したいんですが、最後のテーマであります。相談員の方からも伺った話であります。うちの秘書が聞いた話でありますが、やはり、やってみて、受け入れ自治体の思いということも大事だなと。

 移住・交流情報ガーデンとそれから全国の自治体が連携をして、東京からの移住を模索するわけでありますが、受け入れ側の自治体が、こういう人材が欲しいというような思いが、戦略がしっかりなければうまくいかないのではないかという指摘もありました。これは非常に大事な指摘だと思います。

 ともかく誰か、うちの自治体に帰ってくれる人、東京から来てくれる人はいませんかという発想ではなくて、例の日本版CCRC、生涯活躍のまちづくり構想もそうでありますけれども、実際にまちづくりの戦略、地域おこしの戦略をきちっと立てて、その中で、こういう人材が必要だというようなこと。例えば、浜田市なんかでは、まち・ひと・しごとで、シングルペアレントを介護の人材としてお求めになっている。

 これは大きなうねりになっているわけでありまして、そうした、いよいよこれからまち・ひと・しごとの総合戦略が動き出すわけで、自治体側もそうした思いというものが確かになってくるんだろうと思うんですが、ぜひ、総務省におかれても、各自治体に、これからはどういう人材が必要かという戦略をしっかり持ちなさいというようなことを大臣からも各自治体におっしゃっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

高市国務大臣 桝屋委員がおっしゃるとおり、やはり自治体の強い思いと、それから具体的な移住戦略を定めた上で、移住政策に取り組んでいただくということが大事だと思っております。

 島根県の浜田市のお話もありましたけれども、ほかにも、地域の魅力を発信すること、それから仕事探しの支援をすること、移住に至るまでのプロセスを幾つかの段階に分けて、各段階ごとの取り組みを展開しておられるという自治体もございます。全国移住ナビに入れていただく情報も、結構自治体によって差がありますので、その情報も充実していただくということをお願いしています。

 当然、移住・交流情報ガーデンにおいても、東京圏の移住希望者への情報発信を支援しておりますけれども、二十七年度から、情報発信、移住体験、住居支援、それから移住コーディネーターの配置など、それぞれの局面にわたる自治体の取り組みについて特別交付税措置によって支援をしておりますので、こうした措置もしっかり活用していただきながら、市町村が県とも連携しながら、特徴を生かした移住戦略というものを進めていただくことを期待しております。しっかりと情報提供もしてまいります。

桝屋委員 あと三分ほどありますが、原田審議官、まだ言い足りなさそうな顔をして横に座っておられますから、この移住・交流情報ガーデン、こんな成功事例があるよ、PRしたい、今いろいろ大臣とも議論しましたけれども、東京圏から移住をして、こういうふうに地域活性化につながったというような事例があれば、最後にもう一回PRを、小さい声じゃだめですよ、大きい声でしっかり。

遠山委員長 原田地域力創造審議官、大きな声で御答弁をお願いします。

原田政府参考人 お答えいたします。

 移住・交流ガーデンはさまざまな取り組みをしておりますが、いかんせん、まだ一年ということでございます。

 移住・交流ガーデンで開催されたイベントに参加された方が、例えば、移住の候補地に足を運んで、二十八年度から地域おこし協力隊に応募するという気持ちを固められたような方も聞いておりますし、また、イベントを契機に、例えば私どもがやっております移住、交流、地域おこしフェアに参加されて、具体的な検討を進められておるという事例もございます。

 ただ、まだ詳細な状況を把握しておるわけではございませんので、三月末ということで区切りの時期でもございますので、少し実態を把握したいと思っております。

 また一方で、そういう方以外にも、東京での家族のワーク・ライフ・バランス、また子供の教育環境、このような問題をきっかけとしてガーデンを訪れるような方もいらっしゃるように聞いておりまして、中には、何時間もかけて、複数回来訪されるような方もいらっしゃるというふうに聞いております。

 特に、こういう悩みを抱えて相談に来られたような方に関しましては、先ほど来お話のありました相談員という方がきめ細かく寄り添う形でお話をさせていただくということも不可欠だと思っておりますので、そういうさまざまな事例に目配りをできるような体制を、運営事業者はかわりましたけれども、きちっと我々としても目配りしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

桝屋委員 審議官の御答弁は、最後に僕がもう一回聞いた上で答えてもらおうと思っていたことなんですが、もっとしっかりPRしてほしかったんだけれども、今、審議官からあったように、私の秘書も聞いた話でありますが、やはりこのガーデンに、生活の相談であったり、あるいは引きこもりの方が何とか今の生活を改善したいという思いで扉を開かれているような、こんな事例もあると。

 したがって、それだけに、いいケースもあるけれども、本当に、地方で自立して共助をしながらやっていこう、こういう思いだけでなくて、さまざまなケースがあるな、だからこそ相談員の体制も大事だなというふうに感じた次第であります。

 引き続き、我が党としてしっかり移住について関心を持って見ていきたいということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民進党の奥野総一郎でございます。引き続き、皆さん、よろしくお願いいたします。

 きょうは、まず、マイナンバーカードについて伺いたいと思います。

 きょうの産経にも出ていますし、先日読売にも出ていましたけれども、マイナンバーカードの交付が滞っているということのようでありまして、きょうの産経なんかによると、申請受け付け数の二割しか二十七年度末時点では交付されていないんだ、こういう記事になっております。

 まず、その現状、交付申請件数に対して実際どのぐらい交付が行われているのかなどについて伺いたいと思います。

稲山政府参考人 マイナンバーカードの交付状況でございます。

 申請につきましては、四月三日の時点でございますけれども、地方公共団体情報システム機構、J―LISに対しまして約九百六十一万件の申請がなされております。

 そのうち、約九百十四万枚がJ―LISから各市区町村に発送済みということになっております。

 一方、申請された方に市町村から実際に交付済みとなっておりますのは約二百三十五万枚でございます。一定の時間を要しているという現状にございます。

奥野(総)委員 大体、九百六十一万枚ですから、二割、二割五分もいっていないのかな、二割強というところですかね。

 この交付がおくれている原因の一つとして、J―LISのシステム障害ということが言われています。これは高井委員なんかも何回か質問していますが、これまで把握している障害の件数、これは大体、今、大規模なもので七回というふうに言われていますが、その後、大規模障害というのは起きているんでしょうか。障害の現状について伺いたいと思います。

稲山政府参考人 システム障害でございますが、一月の中旬以降、地方公共団体情報システム機構、J―LISのカード管理システムが一時不安定な状況となったところでございます。マイナンバーカードの交付の業務が行えなかったということが七回、一月でございますと、十三日から二十五日にかけて六回、それから二月の二十二日ということでございます。それ以降、重大な、そういった意味での障害というものは生じておるところではございません。

奥野(総)委員 これは、システムダウンという言い方でいいんですか、システムダウンは起きていないということですね。うなずいていただきましたから、そういう理解だと思います。

 ただ、システムダウンはしなくなったようなんですが、時々通信が途絶したりするというような事例は新聞にも出ています。

 その関係で、日曜日かな、読売の記事でありましたけれども、カードのICチップが使用不能になる。要するに、暗証番号とかの操作をカードに対してしているときに通信が途絶してしまうと、不正アクセスと間違えて、ICチップが自動的にデータを使えなくしてしまう、こういう事例があるんだと読売新聞の一面に出ておりました。

 この事実関係を把握しておられるのかということと、具体的に、では、そういう障害があったとして、どういう対応をされているのかということについて伺いたいと思います。

高市国務大臣 私も日曜日の朝刊を見てびっくりしまして、大臣秘書官を通じて問い合わせをいたしました。

 ただ、その記事の中で、暗証番号登録時にシステム障害が起こると、このシステム障害を不正アクセスと誤認し、ICチップはみずからデータを壊してしまうとあるのは、事実誤認ということでございました。

 事実関係といたしましては、市区町村がJ―LISからマイナンバーカードを受領して申請者の方御本人にカードの交付を行う際に、暗証番号の設定が必要となります。この処理を行う際に、市町村の統合端末から市町村のCSに過度の通信が集中すると、回線がつながりにくくなって、市町村CSに情報が到達する前に情報処理を中断する場合があるということでございました。

 この場合も、カードのICチップにおいては情報更新は正常に行われる。ところが、J―LISのカード管理システムデータベースにその情報が反映されないことがあるということでございます。

 そういったケースにおきましては、市区町村自身で再設定することが不可能ですので、J―LISで速やかに再発行した上で、再度市区町村にカードを発送する対応をとっているということでございます。

 この事案に対応するため、J―LISにおいてシステム改修を実施しまして、今週にも横浜市で新システムのもとでの運用を開始する。この結果を踏まえて、全国でも同様の対応がとれるように対策を講じる予定だと伺っております。

奥野(総)委員 素早い対応をされているようですが、今の話だと、市町村側の方に問題があって、情報が一気にふくそうするとシステムに届かなくなるということですね。そうすると、そこの部分のシステムを増強する、自治体側としても増強するという話でよろしいんでしょうか。もう一度、済みません。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 今、大臣から御答弁申し上げましたように、市町村のコミュニケーションサーバーに過度に通信が集中すると回線がつながりにくくなる、こういったことが一つの要因だと思います。そういった場合につきましても、そういう改修プログラムはJ―LISの方で用意いたしまして、市町村の方に提供する、こういった形でございます。市町村の改修が直接必要になるということではございません。

奥野(総)委員 同じような話だと思うんですが、システムダウンは起きていないようなんですが、通信がとまってしまうということが報告されている。暗証番号を登録しようとしても、それに時間がかかってしまう。これは朝日か何かが書いていましたが、実際、私の地元の千葉市でもそういうことが起こっていて、確認を現場に、担当者にしたんです。

 やはり、暗証番号を入力してもらって、それから次に進むまでに三十分ぐらいかかるときもある。場合によっては、来庁されてからお帰りになるまで二時間ぐらいかかる場合もあるやに現場は言っていますね。そうしたことが一日数回、毎回二時間というわけじゃないんでしょうが、通信がとまることが一日数回はまだある。システムダウンはしないけれども、一日数回、千葉市の場合だととまることがあるということを現場の人は言っています。今、住民異動の時期とも重なって、非常に現場は大変だということなんです。

 では、今の話とも同じような話かもしれませんが、システムダウンはしなくなった、これは、サーバーを入れたりして、あるいは能力を、スペックを増強したのかもしれませんが、通信がなおとまってしまう、この原因についてはどこにあるんでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 J―LISへの市区町村からの通信が非常につながりにくい状況というものが見受けられるということは、御指摘のとおりでございます。

 団体にもよるようでございます。政令市や中核市等、人口規模が多いところが特にそういった傾向があるというふうにも聞いております。

 さまざまな要因が考えられるとは思っておりますけれども、御指摘もございましたように、現在、住民異動が大変集中する時期でもございまして、交付処理等に係る通信が集中し、J―LISのカード管理システムに接続しづらい状況が発生する、こういったことが一つの大きな要因ではないかと思っております。

 市町村では、マイナンバーカード発行に関しまして、システムをいろいろ利用いたします。通常の、現状の住民の異動というのも多い時期でございます。そういった場合にもかかわってまいりますし、カードの交付前処理ということで、交付の準備のときにもこのシステムを使います。さらに、実際に交付する際にも使うということでございますので、交付処理以外の交付前処理に係る通信が過度に集中する時間帯がございます。平日の九時半から十二時ごろ、あるいは十四時台というのが大変そういう傾向がございます。

 そういったことで、そういった時間帯には住民に対する交付処理の方を優先して、比較的すいた時間帯に交付前の準備のための処理をしていただくよう要請等事務連絡を発出し、お願いをいたしているところでございます。

 住民の皆様をお待たせすることがないよう、関係者が協力しながら交付を進めていただくよう努力をしていきたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 今のお話ですと、自治体側のトラフィック、通信が過大なのが問題だということなんですが、では、それが通信途絶の原因、要するに、J―LIS側の方には問題がないということなんでしょうか。

稲山政府参考人 さまざまな要因があろうかと思いますので、よく詳細については検証していかなければいけないと思っておりますけれども、カードの通信がつながりにくいといった状況につきましては、団体によりましてはそういったことでもない、比較的小さい団体はそういった現象もないということも聞いております。

 いろいろな要因があろうかとは思いますけれども、一つには、ただいま申し上げたようなことがございます。その点について、先ほど申し上げましたような、トラフィックが集中する時期での処理というものについて工夫をするようにお願いをいたしているところでございまして、引き続き、いろいろなことについてよく検証していかなければいけないというふうに考えております。

奥野(総)委員 その運用の話もあるでしょうし、メモリーとか通信回線の太さとか、そういったところも十分考えなきゃいけないと思うんですね。

 要するに、来られる方に不便がないように、せっかく来ていただく方に不便がないようにしなきゃいけないと思います。

 千葉市なんかもそうなんですが、暗証番号を入れられないときに、紙に書いて渡して、後ほど入れるというような処理をしている。これは法的には問題ないという御主張のようですが、ただ、気持ち悪いですよね。本当に、そこはきょうは詰めないですけれども、法的に問題があるかないかというのは、そちらが解釈権をお持ちだから、きょうはあえて詰めませんが、しかし、余り気持ちのいいものじゃないと思うんですよ、そういうことをさせるのは。そうならないように、一刻も早く原因を突きとめなきゃいけないんです。

 これは、繰り返しずっと、一月ぐらいからたしかこの話が始まっていて、この報道発表なんかを見ても、根本的な原因については現在調査中みたいなことをずっと言い続けてきて、今もう二カ月、三カ月たってきているわけですね。

 では、二つの側面があると思いますが、自治体側の問題であるなら、そこはさっき大臣がおっしゃられたような、カードのICチップの問題も含めて、きちんと処理方針を示して、もし費用がかかるなら特別交付税も含めて、物理的な部分の増強をすべきだ、それは早急にやるべきだと思います。

 それからもう一つ、では、本当にJ―LIS側に問題がないのかということ。要するに、ソフトウエア上の問題がないのか。サーバーを増強したり、物理的な増強はもう既にされていると思うんですよ。にもかかわらずこれがなくならないということは、ソフトウエア上の問題があるんじゃないですか。

 自治体側にきちんと措置をするかどうかという話と、それからJ―LIS側のプログラム上問題がないかという話について、二点お答えいただきたいと思います。

稲山政府参考人 システム障害の原因につきましては、原因究明、再発防止につきまして、累次の要請を行ってきているところでございます。

 こういった要請も踏まえまして、J―LISのシステムのふぐあい調査を鋭意やっておるところでございますけれども、特に中継サーバー障害の原因につきましては、中継サーバー内の暗号処理装置の動作に関係する部分にあると現状考えられております。引き続き、徹底した調査を実施しているところでございます。

 それに係る改修も実施をいたしました。その後は重大な障害は生じていないものと承知をいたしております。

 一方、過度な通信集中に対しましてでございますけれども、そういったものにつきまして対策の費用ということでございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、J―LISがシステムの改修の上、実施されるものでございまして、市区町村が経費を負担する性質のものではないというふうに考えております。

 いろいろな、交付を円滑に進めるための事前予約システムの導入でございますとか臨時交付窓口の設置、こういった対応につきましては、国において十分の十の補助金をいたしまして、円滑に進むよう対応をしてまいりたいというふうに考えております。

奥野(総)委員 いただいた資料でも、毎日発行枚数はふえてきている、交付枚数はふえてきている、三月に入って上がってきているという資料はいただいていますが、しかし、相変わらず現場の声としては、とまってしまうという声がまだ続いているわけですね。

 今も結局、J―LISのところについては、暗証番号機能のところですかに原因があるのかもしれないということなんですが、これを一刻も早く突きとめて、せっかくマイナンバーの出だしですから。水を差すと思うんですよね。先ほど申し上げたけれども、持っていって、暗証番号を預かるなんて言われたら、非常に私は気分が悪いと思うんです。そういうことにならないように。

 大臣に伺いたいんですが、もしシステムのふぐあいがわからないのであれば、例えば週末、まあ週末もこれは交付しているんでしょうけれども、比較的恐らく少ないような時期を選んでシステムをとめて徹底的に改修すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

高市国務大臣 これも先ほど答弁があったとおり、中継サーバー内の暗号処理装置の動作に関係する部分が原因であろうということで、J―LISで、中継サーバーの二号機については三月四日のサービス終了後で、ほかの一号機、三号機、四号機も三月十一日にそれぞれ改修を実施して、その後、J―LISのシステムでの重大障害は生じていません。

 私から、三月十六日に、改めてJ―LISの理事長に対して直接要請を行いました。そのときにも、委員の問題意識のように、とめられるときにはとめて徹底的にやっていただく、それが必要であるというお話もさせていただいております。

 ただ、サービス終了後という範囲内で一つずつ対応して、今のところ重大な障害は起きていないということでございますので、プロの手によって徹底的にやはり原因究明を進めていただくということで強い要請をしておりますので、市区町村、J―LIS、そして事業者、この間の調整も含めてしっかりと対応させていただきます。

奥野(総)委員 繰り返し申し上げますけれども、相変わらず、重大障害はないけれども、通信の途絶があるというわけですから、これは一日も早くなくなるように、しっかり頑張っていただきたいと思います。

 続きまして、NHKの話に移っていきたいと思います。予算は通ったんですが、そのときにきちんと議論できなかった話ですね。

 一つは、不祥事の公表基準について伺いたいと思います。

 埼玉のタクシーの事例について三例公表されていますが、一般論として、不祥事はどういったときに公表するのか、まず伺いたいと思います。

福井参考人 平成十六年の不祥事を受けまして、公表する基準を二項目定めております。起訴猶予以上の刑事事件に関する懲戒処分、それから刑事事件以外の事柄でも懲戒免職処分としたことにつきましては、原則公表することとしております。なお、懲戒処分を全て公表するとはしてございません。

 その後、平成十七年に一項目加えておりまして、金品の不正に関する処分を加えてございます。

 そして、平成二十六年六月に現在の基準を定めておりまして、その基準につきましては、職員の懲戒処分につきましては、人事に関する情報であり、個人情報に当たるが、公共放送として視聴者への説明責任を果たすため、原則として次の処分については処分内容、事由等を公表することとしております。

 四項目ございまして、一点目は、懲戒免職、諭旨免職の処分、二点目は、公判請求された刑事事件に関する処分、三点目は、公金着服など不正に関する処分、それから四項目めは、上記以外でも重大なコンプライアンス違反に関する処分です。ただし、セクハラなど、被害者、関係者のプライバシーや権利を侵害するおそれのある場合は除くこととしております。

奥野(総)委員 そういう基準があるんですが、今回はタクシーの話ですね。

 産経では、実は、埼玉以外に大阪の事例も出ていまして、いずれも懲戒処分になっているんですね。埼玉の事例は公表になっている、しかし、大阪の事例は非公表ということなんですが、その違い。では、今言ったその四項目の中で、どれによって公表を決めたのか、そして、なぜ、同じ懲戒処分、タクシーの事例について公表するものと公表しないものがあるのか、伺いたいと思います。

福井参考人 まず、埼玉の案件につきましては、公表基準のうち、懲戒免職、諭旨免職の処分と、それから公金の着服など不正に関する処分ということに、まあ不正に関する処分ですね、これに該当すると判断しまして公表してございます。埼玉の事案につきましては、業務用タクシー券を全く私的な用事で不正に使用していたものでありまして、そういうことで、公金の不正などに関する処分ということで公表してございます。

 それから、大阪の件に関しましては、これは不適切な使用ということで、協会のタクシー券の使用ルール、これはタクシー使用要領というのがございますが、これを守らずに乗車したということで、協会が定めました懲戒処分の公表基準には該当しないために非公表としたものでございます。

奥野(総)委員 以前、レクチャーで説明を受けたときは、タクシーチケットの不正使用は公金の着服には当たらないんだ、重大なコンプライアンス違反に当たるというふうに説明を受けた記憶があるんですが、そこは変わったのかという話。

 それから、大阪の事案は、今の説明だとわかりにくいんですが、私が説明を聞いたときは、不正使用と不適切使用というのがあって、不正使用だから公金の不正な着服に当たって公表になる、不適切使用なるものは公表にならないんだということなんですが、では、この不正使用と不適切使用の違いについて伺いたいと思います。

 基準が変わったのか、重大なコンプラ違反じゃなくて公金の不正な着服に判断基準が変わったのか、その二点。

福井参考人 まず、不正使用と不適切使用の区分でございますけれども、不正使用につきましては、業務に関連しない全く私的な用事で業務用タクシー券を利用した場合を指します。不適切使用につきましては、業務に関連はしているものの、タクシー使用要領、これは、例えば、十二時以降に、終電があるにもかかわらず深夜帰宅で使ったようなものについては不適切使用としてございます。

 それから、先ほどの埼玉の判断基準が変わったのかということなんですが、あくまでも埼玉のケースは不正使用ということで、不正に関する処分ということで、この三番のところで該当して公表してございます。

奥野(総)委員 前に私がたしか説明を受けたときは、タクシーチケットというのは公金そのものじゃない、物品であって公金そのものじゃないのでこれには当たりませんという説明があったんですが、そこは変わったということですね。

 そこで、結構基準がころころ変わっているような気がするんですが、では、不適切使用と不正使用というものの違いですよね。過去、不正使用で公表された事例はあったんでしょうか、こういうタクシーの事例で。

福井参考人 過去には、タクシーの不正使用で懲戒処分をした事案については、ございません。

奥野(総)委員 私がこれをずっとなぜ言っているかというと、不適切使用だということだとずっと公表しなくて済むわけですよ。

 うがった見方をすれば、埼玉の事例で新聞に書かれてしまったので、特に悪質なものだけは不正使用としてやむを得ず公表したんじゃないか、それで、慌ててその不適切使用なる概念と不正使用なるものの概念をつくって公表基準を変えたんじゃないか。うがった見方をすれば、そういうふうにとれるわけですよね。

 今回、会長の命を受けて、会長はその三件についてテレビで謝罪していますが、徹底的に去年一年間のタクシー券の利用について調査をしました、不正使用はなかったけれども不適切使用はいっぱいありましたということなんですね、しかも、去年一年間で。では、この大阪の事案も含めて、公表されなかった懲戒というのは幾つあるんですか。去年一年間で懲戒処分が下った事例ですね。公表されていますか。

福井参考人 そこにつきましては、公表基準に該当しておりませんので、ちょっとお答えできないと思います。

奥野(総)委員 ただ、そうはおっしゃっても、テレビカメラが回っている民主党の部会のところで、二例あるとたしかおっしゃって、その期間に、去年一年間で二例あったという。現に、その大阪はもう新聞に書かれてしまっているわけですね。これは否定されないでしょう。そのほかにも一例あったと。別に、私は何もプライバシーを暴こうとしているわけじゃないです。事例としてありましたかということを伺っているわけですね。

 さらに、その期間について部会で伺ったときには、たしか一年以上にわたって、相当長期にわたって二例ともタクシーの不正、そちらの言い方をすれば不適切使用が続いていたということなんですね。

 この不適切使用と不正使用というのはわかりにくくて、例えば、終電があるのにタクシーで帰りましたと。一回だけなら、それは不適切使用なのかもしれません。毎日それをやっていましたということになれば、それは不正使用に限りなく近づくと思うんですよね、確信犯ですから。別に、朝早く来てやったらいいわけですよ。大事件が起きて二、三日だけというなら不適切使用かもしれないけれども、一年以上にわたってやっているとなると、非常に不適切使用と不正使用の境目が私は曖昧だと思うんですよね。

 もう一度聞きますが、では、長期にわたっているということであれば、額が非常に大きいという可能性があるわけですね。この間、会長に、額について、その二例について伺ったんだけれども、二例あることについてはあのときお認めになったと思うんですよ。それについて、額はお答えできないということを予算審議でされました。もう一度確認しますが、それだけ長期間にわたって行われているということで、どのぐらいの額があるのか。しかも、これは受信料ですから、我々は知る権利があると思うんですが、御答弁願えないでしょうか。

福井参考人 タクシーに関しましては、あくまでも、不正使用は、業務に関連しない全くの私用の用事ということでございまして、不適切使用につきましては、業務に関連しているものでタクシー使用要領に逸脱したケースでございます。

 大阪のケースで申しますと、タクシーの適正使用をするように本人に指摘を繰り返したんですが、繰り返し実施したということで、大阪のケースにつきましては懲戒処分ということで処分をしてございます。

 ただ、この懲戒と公表については基準が違いますので、そういうことで、公表はしてございません。

奥野(総)委員 これは受信料ということでありますので、少なくとも懲戒処分のものについては、名前を教えてくれと言っているわけではありませんので、期間と額については説明を求めたいと思います。理事会で協議していただきたいと思います。

遠山委員長 ただいまの奥野総一郎君の申し出については、後刻理事会で協議いたします。

奥野(総)委員 会長に伺いたいんですが、どうですか、これ。非常にわかりにくいですよね。李下に冠を正さずじゃないですが、懲戒処分を受けているのに、公表するものと公表しないものがありますと、非常にわかりにくいと思うんですよ。しかも、過去一回も不正使用というのは公表された事例がない。取ってつけたように、ここに来て不正使用、不適切使用と言い出しているわけですよね。

 どうですか、懲戒処分についてはこの際全部公表ということで、会長。

籾井参考人 ただいまも福井専務理事から説明しましたように、我々としましては、公表基準にのっとって、常に、公表するかしないかは判断いたしております。

奥野(総)委員 公表基準も結構ころころ変わっているんですよね。私が聞いたときは、タクシーチケットは公金じゃないという説明だったのに、こうやって国会の場で聞くと、公金だ、しかも不正使用だと。非常に曖昧ですね。

 私が懸念するのは、繰り返しになりますが、不適切使用ということに逃げ込んで、皆さんの受信料を無駄に使われていることが全部闇に葬られてしまうという懸念があります。

 会長、もう一度。これは公表する気はありませんか。これで終わりたいと思います。

遠山委員長 籾井参考人、簡潔に御答弁お願いします。

籾井参考人 あくまでも我々の公表基準に沿って、公表すべきものはしますし、基準に入らないものは公表しないということでございます。

遠山委員長 奥野総一郎君、時間が参っております。

奥野(総)委員 以上で終わりたいと思いますが、視聴者の前で謝ったわけですから、もしこれで何か出てきたら視聴者を欺いたということになる、そこはきちんと認識していただきたいと思います。

 以上です。

遠山委員長 次に、高井崇志君。

高井委員 岡山から参りました高井崇志でございます。

 きょうは、個人情報保護の話、これは内閣委員会なんですけれども、去年、私は内閣委員会にも所属しておりまして、個人情報保護法改正、大変な審議でありましたが、議論をしてまいりました。実は、来週か再来週かあたりに、今度、この総務委員会でも行政機関の個人情報保護法改正の審議がありますので、その前段でちょっと幾つかお聞きをしておきたいということで、きょうはまず個人情報保護の話からさせていただきます。

 まず、個人情報保護法改正、去年の九月が施行だと思うんですが、去年の審議のときも大変いろいろな意見がありました。個人情報保護、守ってほしいという意見と、それから、これからの時代、ビッグデータとかオープンデータと言っていますけれども、いろいろな個人情報を匿名化することによって、そのデータをうまく活用していろいろなビジネスにつなげていこう、こういう視点と、両者の関係者からさまざまな意見が出て、実は、この個人情報保護法、この後決められる政省令、これに委任されている部分が多くて、この政省令がどうなっていくかということが大事なんですが、それに当たっては多くの関係者、ステークホルダーの意見をしっかり聞いてほしい、私も国会で何度もそういうお願いをしましたし、政府からもそういう答弁があったわけです。

 この関係政省令の今の策定の進捗状況、特に、多くの関係者の意見をしっかり聞いているのかという点、お答えください。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

其田政府参考人 お答えいたします。

 改正個人情報保護法の政令、規則等につきましては、法案の国会審議における御議論、それから関係各方面の皆様からの御意見を伺いながら、現在、鋭意検討を行っているところでございます。

 引き続き、国民の皆様や民間企業の御理解を得ながら、改正法の円滑な施行に向けて取り組んでまいりたいと思います。

高井委員 現在、個人情報保護委員会でも検討が始まっているとも聞いておりますし、それなりに関係者の意見も聞いているというのは仄聞しておりますけれども、ぜひ、引き続き、いよいよこれから委員会での議論になりますから、あの法案審議のときの状況を思い起こしていただいて、関係者の意見をしっかり聞いていただきたいということを要望しておきます。

 それと、もう一つ、個人情報保護委員会の組織の体制は本当に大丈夫なのかということも議論になりました。当時はたしか三十人ぐらいの事務局員だったわけですけれども、実は、イギリスでは三百人ぐらいの体制でやっているということを私も指摘したことがあって、果たして人員はふやせるんだろうかと。

 そして、その後、六月に年金機構の情報漏えい事件があって、私は、このマイナンバーも大変心配だ、地方自治体のセキュリティー対策が心配だということを質問で取り上げたところ、このマイナンバー関係のセキュリティー対策は個人情報保護委員会が担うんだと言われて、何かちょっと違和感を感じたんです。しかし、しっかりと、たしか其田事務局長は、三十人ぐらいセキュリティーの専門家をふやして、そういう体制でやると答弁したと記憶しているんですけれども、この個人情報保護委員会の現在の体制、人員、こういったものは大丈夫なんでしょうか。

 特に、情報セキュリティー対策の面、このセキュリティーについて言えば、総務省も地域情報政策室でセキュリティー対策を担っておられるし、それから内閣官房の内閣サイバーセキュリティセンター、NISCが、専門家がいて、ここもかなり人数が今ふえて、百人以上の体制になっていますけれども、こことの連携というのも非常に重要だと思うんですが、そういった連携も取り組んでおられるのか、あわせてお答えください。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生に御諮問いただいております事務局の体制でございますが、二十六年度末定員で三十二名でございましたけれども、二十七年度末は五十二名、今年度は、サイバーセキュリティ戦略を踏まえまして、システムセキュリティー担当の参事官、企画官の増員を含めまして、七十八名というふうな拡充をしてまいりました。それから、今年度中には、民間からの出向者等を含めまして百名体制となるように努めていきたいと思っております。

 それから、それぞれのいろいろな関係機関との連携でございますけれども、マイナンバーのセキュリティーの確保を図る観点からは、内閣サイバーセキュリティセンターや総務省との連携が不可欠でございまして、昨年七月に、NISCや総務省を含みます連絡協議会を設置いたしまして、関係機関の間で日常的な情報共有に努めております。

 また、サイバー攻撃のような事案が、委員会が報告を受けた場合には、協議会で情報を共有する体制も構築しておりまして、関係機関と連携して、迅速かつ適切な対応を図ってまいりたいと思います。

高井委員 それなりに人数はふえているようではありますけれども、特にサイバーセキュリティーの分野は、個人情報保護の専門家とはかなり異質な職員のスキルが必要じゃないかなと思いますので、今言った総務省やNISCとの連携、それから、そういう専門の職員を、三十名という人数が確保されたかどうかのお答えはありませんでしたけれども、そこはしっかり取り組んでいただきたい。

 去年、私は、マイナンバー担当の小泉政務官に、そもそもこの個人情報保護委員会がやるのはおかしいんじゃないか、もうちょっと専門家に任せた方がいいんじゃないかということを聞いたら、小泉政務官から、いやいや、もう個人情報保護委員会でしっかりやらせますからという答弁だったと記憶していますので、ぜひここは、まあ予算は厳しいでしょうけれども、政府、財務省なのか総務省にしっかり要求をして、ここは万全の備えをしていただきたいと思います。

 それでは、行政機関の個人情報保護法というのが閣議決定をされて、今度、この総務委員会でも審議になるわけです。私は、行政機関個人情報保護法と呼ばせていただきますけれども、この法律は、審議はこれからですけれども、今、閣議決定の案文を見る限り、非常に疑問というか問題点があると思っています。

 それは、一番は、匿名加工情報という、これは個人情報保護法のときに、去年の改正で導入された概念なんですが、個人情報を匿名化する、誰の情報かわからなくさせて、そして、それであれば第三者に提供していい、本人の同意がなくても第三者に提供できる。これはもう誰の情報かわからない情報にしちゃって、それをビッグデータとかに活用しようという非常にいい改正だったと思うんです。

 ところが、この匿名加工情報という概念をせっかく個人情報保護法で導入したのに、今回の行政機関個人情報保護法では違う言葉になっているんですね。

 実は、当初の議論ではずっと同じ言葉で法律がつくってこられた、そういった情報も何度か総務省からも出されていて、そういう資料でも匿名加工情報という名前だったのに、二月の下旬ぐらい、これは三月八日に閣議決定しているので、一週間ないし二週間ぐらい直前に、突然違う、非識別加工情報という名前に変わった。これは、仄聞するところでは、内閣法制局から、長官からの指示で急に変更になったということなんです。

 私は、変更したことによって、いろいろな法文、ほかの法文にも影響が生じていて、非常に大きな問題であると今思っているんですけれども、これはなぜ非識別加工情報という別な言葉に修正をしたのか。そして、これによってほかの条文への波及をする混乱というのは生じないんでしょうか。

上村政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回、この法案では非識別加工情報という名称でお諮りをしたいと思ってございますが、行政機関が作成する非識別加工情報というのは、もとの個人情報から氏名それから住所を削除する、あるいはデータを入れかえする、こうした方法によって作成するところなんですけれども、このもとになったデータというものは、これは非識別加工情報をつくった後においても行政機関において保有されるということになっております。

 また、非識別加工情報につきましては、行政機関におきましては照合を行う必要がある場合もあり得ます。したがいまして、他の情報と非識別加工情報の照合を禁止するという規定は置いていないわけでございます。

 そういたしますと、これは理論上、行政機関の内部におきましては、非識別加工情報は、作成のもととなったデータと照合することは可能ですので、個人情報に該当することになります。他方、委員御指摘の個人情報保護法におきます匿名加工情報は、これは個人情報に該当しないということになってございますので、この二者を区別する必要がある。そのために別の名称、この場合、非識別加工情報という名称を付しているというわけでございます。

 ほかに混乱が生じないかということでございますが、当然、お諮りを今度予定しております、お願いしております法案の条文には、その名称の変更はございます。

 他方、行政機関から外に出ていった場合でございますが、民間事業者に提供された場合は、受け取る側の民間事業者にとっては、これは個人情報保護法が一律に適用になることになります。したがいまして、この情報は、民間事業者が受け取った段階で匿名加工情報となります。したがいまして、個人情報保護法の規定に沿いまして照合禁止の義務もかかりますので、ほかのデータと照合するということはできません。

 したがいまして、民間事業者にとりましては、法運用は統一されておりますので、混乱は生じない仕組みとなっておる、そのように考えております。

高井委員 法技術上というか、片や行政機関が持っている場合は個人情報に当たり、それから、民間企業とかが持っている場合はもう個人情報ではないという御説明ですよね。

 ところが、それが、今局長からも説明されたんですけれども、行政機関が持っているうちは個人情報なんだけれども、外に渡された、例えば、民間企業が、行政機関が持っている情報をオープンデータとしていろいろ活用したい、当然匿名化した形で渡すんですけれども、その渡った時点で、非識別加工情報と言われていたものが、急に今度は匿名加工情報に変わるわけですよね、今の局長の説明だと。一方で、もともと民間企業が持っていたさまざまな個人情報を匿名化したものは、もともと匿名加工情報のまま、匿名加工情報としてもらう。

 つまり、もらった側の、ビッグデータを活用したい人たちは、行政機関からもらうと非識別加工情報という名前でもらい、そして、民間企業からもらうと匿名加工情報という形でもらうのに、自分のところに来たら、同じ匿名加工情報という名前になる。これは非常にわかりにくいし、受け取った側がそこを果たして理解できるのか。

 具体的に、では、どういう問題が生じるかというと、個人情報保護法の第三十八条で、今局長がおっしゃったんですけれども、識別行為の禁止という規定があります。これは、受け取った匿名加工情報をほかのデータとひもづけてもう一回本人が特定できるようにしてしまうという行為、これをやることを禁止しているわけですね、わざわざ個人情報保護法三十八条を去年設けて。

 では、この個人情報保護法三十八条は、今、行政機関の非識別加工情報に対しても適用されるんですか。行政機関からもらった非識別加工情報をこれは識別してはいけない、三十八条はこれにかかるんですか。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

上村政府参考人 やや繰り返しになりますが、行政機関が作成しました非識別加工情報を民間に渡しますと、今度は個人情報保護法の規定による匿名加工情報になりまして、一律、個人情報保護法の規定がかかりますので、委員御指摘の照合禁止義務もかかることになります。

高井委員 私は、それはわかりにくいと思うんですね。

 では、なぜ今回の法律でそれを書かなかったんですか。今回の法改正で、非識別加工情報が個人情報保護法三十八条に該当するということをやはり規定すべきじゃないですかね。そうしないと混乱が生じると思いますけれども、いかがですか。

上村政府参考人 直接のお答えになるかはわかりませんが、この法律のたてつけ上、行政機関に係るものは行政機関個人情報保護法でございますし、個人情報保護法は民間企業に係るもので、この間の交流というか、入り乱れはないわけでございまして、そこは民間事業者にとって、自分たちを規律する法律が何かという紛れはないわけでございます。

 それで、解釈上も定義上も、個人の識別性がなく復元できないという定義は、これはもう共通でございますので、解釈上、そこに新たなものを付加しますと、これはまた別のものになるという可能性もございますので、そこはあえてしていないというところでございます。

 ただ、もし万が一おっしゃるような懸念があるとすれば、それはまだこれからの検討でございますが、運用上、その趣旨をよく説明するなり、ガイドラインをつくっていく、そういう対応になるのではないかなと思っております。

高井委員 このほかにも幾つか問題があるんですが、きょう全部取り上げる時間はないので、もう一つ申し上げると、これは、そもそも個人情報かどうかを判断する基準として、ほかの情報と容易に照合できるかどうか、容易照合性という言葉があるんですけれども、ちょっと難しい話で恐縮ですが、その情報の移転先で容易に照合するのか、移転元で照合するのかという議論が実はありまして、去年の国会審議では、五月二十八日の参議院の内閣委員会で、自民党議員からの質問に対して向井審議官が、日本の場合は、情報の移転元で容易照合性があるということで解釈は統一されている、そういう答弁をしている。

 政府としては、だから移転元が、移転元というのは、情報を持っているところで照合できるかどうか、これを渡した先の話ではない、もともと情報を持っているもとで照合するかどうかということを判断するんだ、これが日本の場合は基準となるんだというふうに答弁しているんです。

 今回のこの総務省が提出する法案は、移転元を基準にしていなくて、移転先で、つまり移転元の行政機関が持っている間は個人情報でありながら、移転された、渡された部分で今度は個人情報じゃなくなりますよ、匿名加工情報になりますよというのは、私はこれは去年の政府答弁と矛盾していると思いますけれども、それはいかがですか。

上村政府参考人 恐縮でございますが、個人情報保護法の解釈はちょっと私よく存じ上げておりませんけれども、この個人情報該当性というのは、基本的に、持っている主体、これにとって、例えば照合ができるかできないか、それによって変わり得るものだというふうに私どもは理解しております。

 したがいまして、同一法制のもとで移転した場合はともかく、今回の場合は法律の規制自体が変わってくるわけでございますので、これは当然、繰り返しになりますけれども、個人情報保護法の規定に従って御判断をいただくということであろうと思っております。

高井委員 それでは、個人情報保護委員会、済みません、通告になっていなかったかもしれませんけれども、今、個人情報保護法は所管じゃないからわかりませんという答弁でしたけれども、私は、今回のこの行政機関の個人情報保護法は、昨年政府が答弁された個人情報保護法の解釈と異なると思いますけれども、違いますか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの点につきましては、新たに、行政機関の違う定義のもの、それから、個人情報保護法の方でも匿名加工情報制度という新しい制度が入っております。ですので、そこの、今委員が御懸念されている場合の運用などにつきまして、民間事業者にとってわかりづらい部分がないように、きちんとした説明でありますとかQアンドA、ガイドラインなどで、適切に活用がきちんとできるように対応してまいりたいと思います。

高井委員 全くお答えいただけていないんですけれども。

 これは難しい部分なんですね。ただ、専門家の間ではかなりこの問題は話題になっていて、では、なぜそういうことになっているかというと、先ほど申し上げましたとおり、もともと匿名加工情報と同じ概念であれば問題なかったわけですよ。当初、総務省だって、行政機関個人情報保護法といえども、匿名加工情報という言葉でずっと検討会も進めてきたわけですよ。それが、二月の下旬になって、法制局から突然これはだめだと言われて、違う言葉になったことによって、いろいろな矛盾が生じているわけです。

 其田事務局長にもう一度伺いますが、これは、きちんと総務省と議論はしているんですか。私は、非常に時間もタイトだし、個人情報保護法との整合性がとれていない。先ほど上村局長は、個人情報保護法のことは所管じゃないのでよくわからないとお答えになりましたけれども、これはまさに密接する法律ですから、ここに矛盾があったら大混乱になるんですけれども、本当にこれは一週間かそこらの時間で、しっかり法文全体を見て、どちらの方にもそごがないようにしっかり検討されたんですか。

其田政府参考人 お答え申し上げます。

 法案の検討の過程は、今委員がおっしゃったとおり、非常に急に短い間でということであったのは事実でございます。ただ、事前に私どもも総務省から法案の御説明をいただきまして、条文も御説明をいただきまして、確かに少し解釈は難しくなったなというふうには承知をいたしましたけれども、先ほど総務省の局長から御答弁申し上げましたような形で、法的な、論理的な整合性というものはできているというふうに認識をいたしまして、今後、法案の御審議をお願いすることになっているというふうに承知をしております。

高井委員 これはこれから審議になりますので、まだ時間もありますので、もっとゆっくり、しっかり議論したいと思います。

 少なくとも、この分野の専門家の間ではかなり問題になっておりますので、閣議決定をする時間の関係上仕方なかったのかもしれませんが、法律というのは修正することもこの立法府でできるわけですから、ぜひ政府においてももう一度よく見直していただいて、この行政機関の個人情報保護法と個人情報保護法との関係、ここについて、私も、これだけじゃなくてほかにもいろいろ指摘したいことがあるんですが、きょうはもうこのくらいにいたしますが、ぜひここはしっかり議論をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

 それでは、ちょっとマイナンバーも聞きたかったんですけれども、先ほど奥野委員がかなり重なって聞いてくださったので、ちょっと放送法の話を、政治的公平の話です。この間、何度も高市大臣に通告をしておきながら、時間がなくて一回も聞けなかったので、ようやく聞かせていただきます。

 前もこれは一回だけ申し上げたことがあるんですが、放送法四条というのは、この政治的公平は、私は倫理規範だと思っています。ただ、倫理規範か法規範かというのは神学論争だと言う人もいて、であれば、私はいっそのこと、倫理規範となるような法改正を、放送事業者の義務だということを明確にした法改正をすべきなんじゃないかと考えています。

 その理由は、放送法、電波法ができたのは一九五〇年ですが、この当時、やはり戦前の反省があったわけですね。戦前は、NHKに警察が常駐していて、放送番組で何かけしからぬことがあったらその場で電波を遮断するみたいなことを実はやっていた。そんなことがあっては絶対いかぬということでこの放送法ができたわけで、設立時の答弁であったり、あるいは大臣の答弁で残っているのは、一九七二年、広瀬郵政大臣が、放送番組の内容について、この放送法四条は、放送事業者の自主的な自覚によって改善する以外方法はない、行政指導をやる考えは毛頭ない、そう答弁しているんです。実際、行政指導は一件もなかったんです。

 ところが、一九八五年、アフタヌーンショー事件というんですが、中曽根内閣のときなんですが、初めてこのとき行政指導がされました。それから、有名なのは、一九九三年、椿発言。このときに、当時の郵政省の江川放送行政局長、私が郵政省に入省したときなんですが、そのときに初めて、郵政省が政治的公平かどうかを判断すると。公式の場で答弁したのはこれが初めてですよ。一九九三年です。

 そこから、二〇〇三年以降に行政指導は頻発するようになりまして、この間二十五件行政指導が出ています。でも、これも大臣によって出す、出さないは変わっていて、ちなみに民主党政権では一回も行政指導は出していない。

 こういう経緯を考えると、私は、もともと法のたてつけは倫理規範としてやはりつくったんじゃないかと思います。

 恐らく、平岡副大臣の答弁というのをまたお話しされるかと思います。平岡副大臣は、確かにそのとき、民主党政権で、法規範だと答弁をされています。だから私も、あえてそこの解釈論でいくよりも、放送法をすっきり変えたらいいんじゃないかと。奥野委員のブログでそういう話をして、高市大臣も、高市大臣が先だったかな、だったら法改正すればいいじゃないですかというようなブログをちょっと見たことがあるんです。

 この際、こういう神学論争とも言われる論争をするより、明確に、放送法第四条、政治的公平は倫理規範である旨の法改正を私はすべきじゃないかと思いますけれども、大臣の御見解、いかがですか。

高市国務大臣 議員立法で御検討なのかもしれませんけれども、放送法、本当に非常に大きな抜本改正がなされたのは、平成二十二年、民主党政権の菅内閣のときでございました。それまでは電波法七十六条の規定はございましたけれども、このときに、ソフト事業者にも適用され得る百七十四条の放送の業務停止命令というものも新設されました。

 その審議の際にも、第四条の番組準則が法規範性を有すること、番組準則に違反した場合には、総務大臣は、放送法第百七十四条に基づく業務停止命令や電波法第七十六条に基づく無線局運用停止命令ができること、ただし、それらの命令については、極めて限定的な状況のみに行うこととするなど、慎重な配慮のもと運用すべきであることなどについて、当時答弁をされております。

 そして、また、その前の自民党政権のときにも、増田総務大臣によって、この第四条の番組準則の法規範性についての答弁がございますので、私としては、行政の継続性の観点から、同様の答弁をさせていただいております。

 なお、一九七〇年代以前の国会答弁などにおいて、番組問題に関して電波法第七十六条の適用を行うことが事実上不可能というふうにしているものもございますが、これは、録画技術が普及していない時代において、個々の放送番組の内容、事実関係の確認が困難であったということを踏まえて、そのように答弁したと伺っております。番組準則そのものの法規範性自体を否定したものではありません。

 ただ、何度も繰り返し申し上げておりますけれども、電波法七十六条や放送法百七十四条というものは本当に、極めて慎重に、また、よっぽど極端な場合に、しかも、放送事業者の自律に任せていてはとてもその状況が改善されないといった場合、これも平岡副大臣も大変長く答弁をされております。そういった場合に限ってということですから、放送法のたてつけは、やはり番組事業者が自主自律的に放送法を遵守していただくということになるかと思います。

 現時点で、政府として、四条の法規範性を全く否定するような法改正を行う準備はございません。

高井委員 時間が来たから終わりますが、かなりの放送関係者、メディアの関係者、いろいろ今回議論、意見がたくさん出ておりますので、ぜひそういった意見を検討する場を総務省でも設けられてはいかがかなということを御提案申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

遠山委員長 次に、梅村さえこ君。

梅村委員 日本共産党の梅村さえこです。

 本日は、消防力の強化について質問したいと思います。

 消防庁は、消防力の整備指針として、消防職員、消防自動車、消防署など、人員や消防機材などの基準を定めています。

 市町村の整備計画に基づく消防ポンプ自動車、救急車、消防職員の数の整備状況の推移の資料を総務省の方からいただきました。きょう、配付資料で配らせていただいております。

 これを見ますと、消防ポンプ自動車は、二〇〇三年、平成十五年度の調査では二万二千三百二台に対し、二〇一五年、平成二十七年では二万一千二台で、千三百台減ってきております。はしご自動車も、同じく、比較して、千二百六十四台から千百七十五台に減っております。同じく、消防自動車関係の化学消防車や救助工作車も減っております。

 しかし、実数は減っているのに、整備率を見ていただきますと、例えばポンプ自動車は九五・五%から九八・九%とふえております。その他の消防車両も、数は減っているのに整備率は上がっている。また、救急自動車は、ふえておりますけれども整備率は九四・三%。そして、やはり一番、一つ問題なのは、消防職員、二〇一五年、平成二十七年調査では整備率が七七・四ということで、およそ四人から五人に一人が足りないというような数字かと思いますけれども、このような数字で間違いがないかどうか、確認させていただきたいと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 今議員の方から御指摘されました状況で間違いございませんが、消防ポンプ自動車と救急自動車については、整備率が九割を超えて推移しており高推移となっておりますが、消防職員数については、消防本部によっては想定以上の兼務や乗りかえ運用などを行っていることから、平成二十七年度調査で七七・四%の水準にとどまっているという状況でございます。

梅村委員 そこで、幾つか伺いたいと思いますけれども、特に消防車両については、実数が下がっているのに整備率が上がってきている。どうしてこのような現象がこの間起こっているのか、お答え願いたいと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、消防ポンプ自動車について申し上げますと、前回の平成二十四年度調査と比較いたしますと、消防署所が管理するものは、近年、市街地等の面積や人口が減少していることから、算定数、整備数とも減少しているという状況でございます。

 また、消防団が管理するものについても、地域の実情に応じて、消防ポンプ自動車にかえて小型動力ポンプを整備することとする市町村が増加しておりまして、消防ポンプ自動車の算定数、整備数とも減少しているということでございます。

 このことから、全体として、算定数、整備数とも減少しておりますが、整備率としては高水準を維持しているという状況でございます。

梅村委員 この数字は、確認したいと思いますけれども、国の指針に基づいて市町村が立てた整備計画の数だというふうに事前のレクチャーで伺っております。やはり、地域の実情ということですけれども、市町村が立てた目標との関係でまだ一〇〇%にいっていないという問題が一つあると思いますし、また、この間広域化が進められてきているわけですけれども、やはり広域化のもとでの数のトリックといいますか、この影響も一つあるのではないかと思うわけです。

 消防力の整備指針を見てみますと、例えば、五万人規模の自治体の場合、四台の消防ポンプ自動車の保有が必要になる、三十万人以上では十四台必要になりますけれども、もし五万人規模の自治体が六つあるとすれば、六掛ける四台で二十四台の消防自動車が必要、これが、広域化で三十万人の規模の新たな消防本部を結成した途端に十四台で基準を満たすことになる。こういったことも、コスト削減も含めて議論がされてきたかというふうに思います。

 住民の命と暮らしを守るという消防の強化においては、これはやはりふさわしくないやり方であり、少なくとも自治体が持った目標については、人員に比べたら消防車はまだ九割だから高いというような比べ方ではなくて、必要だから目標を持っているんだと思いますので、やはりそこに向けた努力が緊急に求められているのではないかなというふうに思います。

 そこで、この数との関係もあると思うんですけれども、次の資料を見ていただきたいと思うんです。建物火災の放水開始時間ですね。二枚目ではなくてさっきの表の下なんですけれども、覚知から放水開始までの時間なんです。

 広域化で機動的な消火力、消防力の強化が行われている、行われている、駆けつける時間が短くなっている、短くなっているということで、いろいろパンフレットなんかを見るとそういうことを書かれているわけですけれども、しかし、この表を見ていただくと、五分以内の消火開始が、消防白書に基づくと、二〇〇三年には二八%だったのが二〇一五年には八・七%ということで、急落しているんですね。五分以内だけではなくて、五分を超え十分以内も、二〇〇三年と二〇一五年を比べると、五三%から四八%へと落ちている。これは消防白書に書いてあることなんですね。

 救急自動車も、現場到着時間の平均時間は、二〇〇三年白書では六・三分だったのが、二〇一五年白書では八・六分。病院収容までの時間も、二十八・八分から三十九・四分と長くなっております。

 病院に運ぶときは、病院の受け入れ態勢の問題ももちろんありますので、消防側というか運ぶ側だけの問題ではないと思います。ただ、消火について、五分以内というのが基準の一つと言われていたものが、二八から八・七、そして救急車も、六・三分で駆けつけていたのが八・六分ということで延びている。

 やはりこれは、強化、強化、広域化で特にそういうことを機動的にやるんだと言ってこられながら、ちょっと逆の事態が、ちょっとではないと思うんです、重大な逆の事態が起こっていると思うんですけれども、ここら辺の原因はどのように分析していらっしゃいますでしょうか。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 この資料を見ますと、明らかに、五分以内が二八・〇から八・七%ということで、シェアから見ると大幅に減っているように思われますが、そもそも火災件数自体が、一万八千七百件から一万一千九百件と大幅に減っております。

 特に、これが五分以内あるいは十分以内のところで大幅に減っておりますが、これは、私ども想定されるのは、特に大都市部あるいは都市部において、木造から不燃化とか、あるいはスプリンクラーの整備とか自動火災報知機、こういう整備をすることによって、そもそも火災の発生件数が減っているということもあり、シェアとしては大幅に減っているということもあるのではないかというふうに考えております。

梅村委員 それは、シェアが減っているということではお答えにはなっていないというふうに思います。

 火災は減っているんですけれども、この消防白書にもありますけれども、放水までが長くなっている、こういう調査結果もあるわけであり、火災には、一件、二件でもやはりすぐに、なるべく短い時間で行くということですから、全体の件数が減っているからというようなお答えは、やはりふさわしくないのではないかなというふうに思います。

 私は、この部分で、しっかりと広域化も含め、時間が非常にひどくなってきているという問題を、実情も含めてやはり実態調査が必要なのではないかというふうに思います。これは消防白書の中にある数字ですので、よく広域化のときには時間が短くなったということを実際には言っていらっしゃるわけですよね。しかし、なぜ全体としてはこのような実態があるのかということを、やはりもう少し実情調査が必要ではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 今、そのシェアだけで問題視するのではなくて、特に二八から八・七というところのシェアだけを見ますと、かなり短いところが減っているような印象を受けられるかもしれませんが、それは、先ほど申し上げましたような不燃化とか消防設備の向上といったこともあるので、件数自体が大幅に減っている。

 一方で、委員御指摘のとおり、十分を超えるものについては絶対数そのものがふえているということは言えると思いますので、これにつきましては、私どもとしてもさらに分析をしつつ、必要な対応をしてまいりたいというふうに考えております。

梅村委員 大変重要な点なので、ぜひ、実態調査も含めて、分析、対策を打っていただきたいなというふうに思います。

 同時に、この点で思いますのは、この間、広域化の推進をかなりされてきたと思うんですけれども、そもそも市町村の消防力を強化していくという点、この点では少し、こういう点も含めて置き去りにされてきた面もあるのではないのかなというふうにも思います。

 それで、やはり決定的なことは、マンパワーの不足だというふうに思います。消防車や救急車があっても乗る人がいない、こういう悲鳴が特に上がってきているというふうに思います。特にマンパワーの不足は、七割台の整備率から見ても、人員確保の問題は待ったなしだというふうに思います。

 この点で、実は二〇〇七年のときに、私どもの佐々木憲昭衆議院議員が質問主意書を出させていただきました。ずっと人員がこれぐらいでとどまっているという問題は、もうずっと続いてきているわけです。今始まった問題ではないと思います。

 このときに、なぜ人員の率がこれぐらいにとどまっているのかという答弁書においては、「各市町村における厳しい財政状況や行政改革に基づく定員管理等により、大幅な消防職員の増加が困難なことによるものと考えている。」という答弁書も、もう既に六年、七年前ですけれども、あるわけですね。

 厳しい財政状況、そして行政改革による定員管理等、この問題が指摘されてきているわけですけれども、こういう問題に本来メスを入れてこなければ地域の消防力の強化にならないというふうに思うんですけれども、この点での改善がこの間図られてきたのかどうか、また人員の問題についてどのようにお考えなのか、総務大臣にお願いしたいと思います。

高市国務大臣 地方公務員数は全体では大きく減少していますけれども、消防職員数については一貫して増加傾向にございます。

 ただ、消防力の整備指針に基づく消防職員の整備率は、前回の調査時の七六・五%に比べ〇・九ポイントは増加しているものの、七七・四%にとどまっています。

 消防庁では、昨年度の調査から新たに消防本部ごとの数値を公表することによりまして、各市町村において、必要な人員の確保を含めた消防施設、人員の整備率向上に向けた議論の活発化を期待しております。

 また、緊急消防援助隊につきましては、平成三十年度末までに六千隊へと大幅に増隊するということにしておりまして、その登録に際しましては、消防力の整備指針を踏まえた必要な人員の確保を強く要請いたしております。

 このような取り組みもあわせて、各市町村が消防力を確保できますように、地方財政措置を含めて必要な支援や助言を行うことによりまして、消防職員の確保を行うということにさらに一層努めてまいります。

梅村委員 それで、こういう質問をするとそういうお答えが返ってくるんですけれども、そもそも、整備計画、やはり一〇〇%やっていく目標とされているのか、これはやるということなのか、そこら辺を確認させていただきたいと思います。

西藤政府参考人 整備の指針につきましては、私ども、人口とか市街地面積とかなどを想定しながら、一応客観的な基準を示しておりますが、それにプラス地域のそれぞれの事情を踏まえて、それぞれ消防本部ごとに設定をしていただいておりますので、基本的には、設定された目標に向けて努力していただきたいというふうに考えております。

梅村委員 そして、そういう人員だとか、また体制の強化、設備の強化という点では、きょうの資料の二枚目に、さまざまな補助金などの推移を、これも消防庁の方から出していただきました。

 平成十六年と現在、平成二十八年を比べた場合に、実に三分の一ぐらいに落ちてきております。特に、これはレクチャーを受けますと、平成十八年のときからは一般財源化しているのでというようなことではありますけれども、さまざまな整備補助金だとかを含めて百八十九億三千万円だったのが、三分の一ぐらいに激変してきているというのがあるというふうに思います。

 ですから、先ほど政府の答弁書でも、既に国の財政で、今保育園なんかもなぜ減っているのかというのは、やはり一般財源化してから市町村がなかなか財政が厳しいので、一般財源で地方には渡しているというふうに国の方からはよく答弁をいただくんですけれども、そういう実態にはなかなか地方ではなってきていない。

 消防というのは、学校教育とも並んで、しっかりと予算も本来だったら分けて、地域の住民の皆さんの生命や安全を守っていく。やはり一般財源化でここら辺は落ちてきているし、そもそも補助金そのものが三分の一になってきているということで、どうして、地震が多い、災害が多いこの日本で住民の命と健康が守れるのかというふうに思いますけれども、この点の財政的な推移についての御見解をお願いしたいと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 平成十六年で百八十九億円とおっしゃられて、このときは補正などがありましたので、その補正の金額だけございますが、十六年、十七年度は確かに百三十億と百五十億円の当初予算がございましたが、この資料にもありますように、消防防災設備整備補助金が一般財源化によりましてその分の補助金がなくなっているということでありますが、かわりに、それについては地方債の制度とか地方交付税の方に、基準財政需要額に積むなどというふうなことで、一般財源化対応というふうに措置をさせていただいているということでございます。

梅村委員 やはり、どれをもっても一〇〇%までまだ、これは市町村が立てた目標との関係での整備率という表になっていると思います。やはりそのネックが一番財政問題だということが現場から上がっているわけですから、東日本大震災そして台風、最近も大変な被害に遭ってきている経過もありますので、ぜひ、これは財政的な強化をして、しっかりと地域の消防力の強化、体制の強化をしていただきたいということを強く訴えておきたいと思います。

 それで、次に、この点にもかかわって、広域化の問題についても少し確認をさせていただきたいというふうに思います。

 現在、広域化については、どのような到達で、これからどのようにされていくのか、お伺いしたいと思います。

西藤政府参考人 お答え申し上げます。

 消防の広域化につきましては、平成十八年の消防組織法の改正以降、四十八地域で広域化を実施するなど一定の成果が上がっております。この四月一日でも八地域において広域化が実施されております。

 一方で、人口十万人未満の小規模消防本部がいまだ全体の六割を占めているという状況であります。なお推進を図らなければならない課題というふうに認識をいたしております。

 消防庁におきましては、その取り組みの基本指針を定めまして、その中におきまして、広域化の推進期限である平成三十年四月一日に向け、都道府県に対し消防広域化重点地域のさらなる指定を促すとともに、指定された重点地域への集中的な支援の実施や、消防広域化アドバイザーの派遣などの取り組みにより、引き続き広域化を着実に推進してまいりたいと考えております。

 今後とも、地方公共団体や消防本部にきめ細やかな情報提供や相談、助言などを行うことにより、広域化を着実に推進してまいりたいというふうに考えております。

梅村委員 ただ、広域化の推進ということですけれども、本来、基本的には自主的な推進、自主的な取り組みというふうにされていると思うんです。押しつけない、やはり各市町村の自主性を重んじるということで、今のお話だと推進の言葉しかなかったというふうに思うんですけれども、そこら辺の市町村の自主性をきちんと重視されるのかどうかを確認させていただきたいと思います。

西藤政府参考人 お答え申し上げます。

 消防の広域化につきましては、平成十八年の消防組織法改正により盛り込まれましたが、その中に、同法の三十二条におきまして、自主的な広域化を推進することとされております。

 この法律による基本な考え方をベースといたしまして、例えばでございますが、平成二十五年に基本指針を改正した際に設けた消防広域化重点地域の指定については、他の地域よりも先行して国や都道府県における推進するための措置を集中的に実施することで広域化を着実に推進することとしておりますが、この指定に当たりましては、各市町村の事情等を十分に考慮するとともに、各市町村の意見を十分に聴取することとしておりまして、都道府県知事は、これらを尊重し、重点地域の指定などに努めるというふうにもいたしているところでございます。

 重点地域の指定によって市町村の自主性が損なわれるものというふうには考えておりませんが、今後とも、地域の実情に応じた広域化が行われるよう、きめ細やかな情報提供あるいは相談、助言を行うことによりまして、引き続き自主的な広域化の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

梅村委員 地域の消防はやはり地方自治の柱だというふうに思います。最初の答弁の中では、その自主性を重んじるというお言葉は、ちょっと一言もなかったかなというふうに思いますので、しっかりと現場の声、現場の自主性、そして、地域の消防力を高めるために本当にこの選択がいいのかということを、やはり上から押しつけるのではなく、取り組みを気をつけていかなければいけないところだというふうに思います。

 私が住んでいます埼玉県でも、この間、埼玉県の消防広域化推進計画が策定をされて、当初は全県を七ブロックに分けて広域化が進められようとしてきました。しかし、さまざまな問題や課題があって、当初どおりに進んだのは西部のみになっているかというふうに思います。

 それで、昨日、この四月一日に広域組合となったばかりの草加八潮の消防局本部を視察してまいりました。ここは埼玉県が当初規定した第六ブロックに当たるんですけれども、この草加市と八潮のほかに四市一町で構成されていましたけれども、最終的には二市の広域化になったわけです。

 広域化に当たってどんな状況だったのかをお伺いしますと、やはり消防の歴史や実態、あり方が全然違う中で、当初は六市一町だったわけですけれども、二市だけでも、どれぐらいの協議、努力、いろいろな困難の末に今あるのかというお話をさまざま伺ってまいりました。ですので、私は、そういう実態からいっても、最初に広域化ありき、最初に推進ありきではなくて、やはり実情をしっかりとつかみながらやっていっていただきたいというふうに思うわけなんです。

 その上でなんですけれども、いろいろ聞く中で幾つか要望を聞いてまいりましたので、その点で確認をさせていただきたいというふうに思います。

 それで、広域化を進める際に、事務費として当初五百万円ということがあったというふうに思いますけれども、途中からこれが支払われなくなってきている、そのお金が二分の一になってきているということであります。遅く参加したところなんかからは、非常に大変だという声が上がってきているんですけれども、この点はいかがでしょうか。

西藤政府参考人 私どもの方では、消防広域化を進めるためにその準備経費というものがかかるだろうということで、消防広域化の準備に要する広域消防運営計画策定経費でありますとか、広域化協議会負担金、協議会委員報酬、広報誌作成、あるいは住民の意向調査などの経費については、特別交付税措置を講ずるというふうにいたしております。

梅村委員 ですから、それが、前は五百万円出ていたのが今は二分の一になってしまって、持ち出す部分があるということで悲鳴が上がっている地域もあるわけで、そこら辺はぜひ、実情も聞いて、やはり自治体の負担にさせないような、そういう対処をとっていただきたいというふうに思います。

 それと、もう一つ確認させていただきたいのが、今、草加と八潮ですと、草加の方が消防本部が置かれていくことになりますけれども、本部自身が、耐震化の面では非常に脆弱になっていて、建てかえをしなくてはいけないということなんです。本部機能の建てかえについては、この補助金の中の署所の増改築、そして新築なども適用されるのかどうかということを確認させていただきたいと思います。

西藤政府参考人 消防の広域化に対する財政支援でございますが、広域消防運営計画などに基づきまして必要となる消防署所等の増改築でありますとか、あるいは再配置が必要と位置づけられた消防署所等の新築については、緊急防災・減災事業債という地方財政措置を講じております。これは充当率が一〇〇%で、その元利償還金が七割基準財政需要額に算入されるという有利な起債制度でございますので、こういったものを活用していただきたいというふうに考えております。

梅村委員 その草加の消防本部を見ますと、目の前が交通量が非常に多くて、出たくてもすぐになかなか出られないという交通量だとか、あと、狭いですので、着がえもまだ外でやっていますし、訓練もそこでできない。特に仮眠室が、今、個室になっているところがふえてきているということですけれども、ここはまだ大部屋で、二段ベッドで寝ているということで、大変耐震化の面でも、そして拠点となるためにも、やはりそこの抜本的な改善をやっていきたいということで頑張っております。

 その中で、期限が十年ということもあるんでしょうか、その十年が、土地取得も含めてなかなか短いのではないか、都市になると土地を探すのも大変なので、もう少しこの十年ということを延ばしてもらえないかというような要望もありますけれども、この点はいかがでしょうか。

西藤政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの市町村の消防の広域化に関する基本指針の中で、財政措置を講ずるに当たって、先ほど申し上げました増改築などについては、広域化後十年以内に完了するものと書かせていただいておりますが、これは広域化に当たって整備するという考えで、ある程度、やはり一定の年限の中でやっていただく必要があるだろうと思います。

 そういう意味では、長期という考え方で十年ぐらいの間にしていただきたいということでありますので、かなりそれより長くなってしまいますと通常の増改築との差別化を図るのは難しいんだと思いますので、広域化に伴って行うものという線引きをどこでするかというところで、十年というところを線引きとさせていただいております。

梅村委員 これは広域化にも伴って機能強化をしたいということであり、ただ、都市部においては大変土地を探すのに困っているので、十年で切っているのはどうかという要望ですので、さっき十年ぐらいという話もあったんですけれども、ぜひその点は現場の声も聞いて検討をお願いしたいなというふうに思います。

 それで、ここで訴えたいと思いますのは、広域化についてはこのような財政的な補助や施策がたくさんあるわけです。まだまだそれの改善も図られていきますけれども、やはり全国の市町村自身の財政の拡充、それ自身もぜひお願いしたいなと思います。

 先ほどの御答弁の中で、消防本部ごとに今回拡充率なんかを出したという御答弁が大臣からもありましたけれども、それを見ると、特に地方に行きますと人員の確保が三〇%とか四〇%とか、そういう地域がかなりまだ残っているわけですよね。そこで、合併かどうかというお話もあるのかもしれませんけれども、実際、この間に進めようとして進められてきていない、それが地域の実情としてあるわけですから、やはりそれ待ちとかそういう推進ではなく、広域化だけではなく、しっかりと市町村の消防に対して財政的援助も強めて拡充を図っていただきたいなというふうに思います。

 最後になります。時間がありませんので、最後、確認させていただきたいと思うんですけれども、消防署内でかなりパワハラの問題がこの間大きな社会問題にもなってきております。

 二〇一三年に東京消防庁消防学校の講師らによる研修生への暴行と隠蔽行為、さらに翌年にも、東京消防庁で後輩職員に対し賞味期限切れの温泉卵を無理やり口に押し込んだり、首を絞めるプロレスわざをかけるなどしたとされている。ことしに入っても、千葉県の鎌ケ谷市中央消防署で二十代、三十代の若手職員に対する暴力行為が明らかとなっています。

 以前、通達なんかも出されているというふうに伺っていますけれども、この事態が繰り返されています。住民の命を守る仕事をしていらっしゃる方々の中でこういうパワハラ行為が行われていて、どうして守れるのかということでもあると思います。この点での御答弁をお願いしたいと思います。

高市国務大臣 パワーハラスメントは、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景とした暴力行為や、相手の尊厳や人格を侵害する断じて許されない行為で、決してあってはならないと思っております。

 消防庁の取り組みですが、消防本部におけるパワーハラスメント事案を覚知した際に、事案の内容、再発防止対策、当事者に対する懲戒処分等の状況について確認をするということとともに、当該本部に対して再発防止対策の徹底を指導しています。

 そして、消防大学校におきましても、平成二十六年度から新任教官教育などの中で事例研究も交えたハラスメント教育を実施しております。

 また、各都道府県などの消防学校においても、平成二十六年度末に、教育訓練の基準に関する指標を改正して、幹部教育におけるハラスメント教育を明示しました。

 先ほど委員御指摘の暴力事案でございますが、本年二月十七日に、消防本部に対しまして、パワーハラスメント防止の取り組みの強化、それから消防職員の厳正な服務規律の確保の徹底について、通知により要請をいたしました。

 引き続き、消防本部に対して適切に助言を続けてまいります。

梅村委員 消防職員委員会の機能強化や、やはりハラスメントの根絶へは、労働基本権の回復が私は必要ではないかというふうに思います。最後にそのことを強く訴えて、終わりたいと思います。

遠山委員長 次に、足立康史君。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 時間も十五分と限られていますので、早速質問に入りたいと思います。

 質問に入る前に、一つ忘れていましたが、きょう、原田先生から消防の話、これは大変重要な話だと思います。一方で、宗清委員が何か大阪の事例を取り上げて、大阪で首長が再議をかける、そのときの特別多数議決の規定が、これがよくない、過半数にしろというような提案をされました。私、大変な不見識だと思います。

 大体、大阪の政治闘争に負けて、その結果、国会に来て、それで負けたから二分の一にしろと。一体、大阪の自民党は、地方自治法の当該規定について、再議に関する特別多数議決の規定を過半数にするということが、首長と議会の均衡を今保っている、まさにきょう自治行政局長から一蹴されていましたが、均衡を保ってきたこの法律を、一大阪の政争に負けたからといって、その規定を二分の一に直せなんということを国会で発言する、大変な不見識だと思います。

 たまたま、ちょっと今いらっしゃらないので、原田先生はいらっしゃいますが、私、こういうことを申し上げると、よく毒舌だとか、いろいろ批判もされますが、大体、国会が政府に、高市大臣にしか質問できないというのが間違っているわけです。

 私がそうやって、宗清委員、おかしいじゃないか、そんなことを国会で言うなよ、こう言うと、反論権がない、こう言うので、反論権がないのは委員会の運営の問題ですから、ぜひ、委員長、自公の皆さんと、あるいはよくいろいろ反論させてくれと言っている民進党の方々と、民進党と共産党は大体いつも同じ行動をされていますけれども、それと我々おおさか維新の会の三極で、しっかりと、高市大臣は傍聴者として見ていただいていてもいいですが、どちらかというと、これは国会の中で、地方自治法の再議に係る特別多数議決はどうなんだということを一回議論しましょうよ。

 委員長、そういう機会を設けていただけませんか。

遠山委員長 ただいまの足立康史君の申し出につきましては、後刻理事会で協議をいたします。

足立委員 それから、宗清委員、戻られましたので、また聞いておいていただいたらいいと思いますが、再議の特別多数の話は、私が不見識だと申し上げるまでもなく、自治行政局長が一蹴されていましたから、非常に恥ずかしい内容だったと私は思いますよ。

 加えて、招集権の問題について、首長と議長が結託をしたと。ひどい表現ですよね。結託しているのは大阪の自民党と共産党なのに。その辺、ぜひ間違わないように。

 宗清さんの質問も、私は反論できないんですよ。私が今こう言っているのも、宗清さんは不規則発言でしか言えないんです。これは議事録に残りません。

 だから、ぜひ宗清さん、委員会で宗清さんと私の討論をやりましょうよ。まあ、二人ではできません。自公とおおさかと民主・共産の三者でこの議論をやりましょうよ。

 先ほど委員長が、これは理事会でやっていただけるということですので、私はオブザーバーで余り発言する権限はありませんが、ぜひ、きょう聞いていただいている委員の皆様におかれましては、御高配をいただきますようよろしくお願いします。

 質問に入りますが、きょう、まち・ひと・しごと創生本部の新井次長、おいでをいただいていますか。文化庁の京都移転、こだわりますが、これは誰がどういう基準で決定したか、ちょっと御紹介ください。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 政府関係機関移転基本方針におきまして、文化庁の移転につきましては、所管大臣であります馳文部科学大臣と地方創生担当の石破大臣が連携をとりつつ検討を進めまして、三月二十二日に、内閣総理大臣を本部長、内閣官房長官、石破大臣を副本部長として全ての閣僚から構成されます、まち・ひと・しごと創生本部において決定されたものでございます。

足立委員 高市大臣、こういう話をこの総務委員会でやらせていただくことをちょっと御容赦いただきたいんですが、後ほどその理由は申し上げたいと思います。

 新井次長、文化庁の移転を決めるに当たっては、政府関係機関移転基本方針というもので、四つの視点ということを決められました。この視点に沿って検討した結果が文化庁の移転だ、こういうことだと思いますが、私の理解は、この四つの視点を定めるところまでは、こういう視点でいこうじゃないか、これは石破大臣の企画立案の権能が非常に前面に行われたものだと思います。

 それに対して、石破大臣を中心とする本部が、この四つの視点に基づいてみんなで議論をして、消費者庁は継続的に、あるいは文化庁は移転しよう、これをまとめられました。まとめる過程で、石破大臣ができることは企画立案と調整だけですから、それを決める過程で石破大臣は関係大臣と調整したはずです。

 文化庁の移転については誰と調整しましたか。

新井政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたとおり、石破大臣は、この関係につきましては馳文科大臣と連携、調整したところでございます。

足立委員 きょう、時間がないので文科省はもう呼んでいませんが、四つの視点、もう紙も配っていません、申しわけありませんが、仕事と人の好循環につながるかどうかとか、それから移転先以外を含めて理解が得られるかとか、さまざまなことを検討の視点として提示されています、石破大臣は。

 また必要があれば呼びますが、文科大臣は、文科省は、これは私一人では検討できませんと言っているんです。文科省も関係ありますけれどもほかの大臣も関係ありますよねと事務方は言っていますが、文化庁の移転について調整したのは文科大臣だけなんですか。

新井政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的に連携、調整したのは、先ほど申し上げたとおり、石破大臣と馳文科大臣でございますが、最終的には、全閣僚から構成されます、まち・ひと・しごと創生本部で決定したということでございます。

足立委員 ふわっとしているな。

 高市大臣にちょっと質問なんですけれども、一応、本部員だと思います。本部員としての総務大臣は、文化庁の移転の決定に総務大臣としての意見を、石破大臣から意見を求められて言っているという立場か、文化庁の移転については総務大臣は関係ないという立場か、どっちですか。

高市国務大臣 総理大臣を本部長、全閣僚を構成員とする、まち・ひと・しごと創生本部で、政府関係機関移転基本方針が決定されました。その決定の場には携わりましたが、文化庁の移転について私が意見を求められたこともございません。

 統計局の案件につきましては、私から意見を提出しております。

足立委員 これはまた、きょうはもう一つやりたいことがあるのでこのぐらいにしておきますが、今明らかになったことは、文化庁の移転について、石破大臣は、きょうは配っていません、四つの視点について検討してくれということで、行政各部を所掌している関係大臣に検討してくれといって振ったわけですね。石破大臣は企画立案及び調整しかやりませんから、実際に検討できるのは、日本のあまねく森羅万象を分掌している各大臣なんです。

 私は、文科大臣だけではこれは検討できないよな、判断し切れないよなと。文化庁のあり方については、文化庁の機能の維持向上については文科大臣だけれども、それ以外についてはそれぞれ大臣があって、私は、総務大臣も関係があるんじゃないかと言ったら、今総務大臣は、いや、私はないんだ、これは馳大臣なんだ、こう言っている。ところが、文科省は違うと言っているので、これはまた時間をとって、改めて、興味深いところなのでやりたいと思います。

 実は、こういう中央省庁の移転とかも、国交省に聞くと、我々は三権を同時に動かすときだけ担当しているんだとかいろいろな話があって、委員長、いわゆる地方自治体のあり方、あるいは地方のあり方に深くかかわる問題については、いろいろ議論はあると思いますが、私はたまたま今総務委員で、御関心の方もいらっしゃると思うので、この点についても、この点というのは何かというのはちょっと難しいところですが、そういう首都のあり方、副首都のあり方みたいなものについても、大阪の先生方もいらっしゃるので、この総務委員会でまた、三陣営間討論というのをぜひお願いしたいと思いますが、どうでしょう。

遠山委員長 先ほどと同じ申し出の趣旨だと思いますので、後刻理事会で協議をさせていただきます。

足立委員 ありがとうございます。

 最後、残る時間、三分ぐらいしかありませんが、きのうの朝日だったかに、使用済み燃料税の話が出ていました。大変私は興味深いと思います。

 私は、何がこれは問題かというと、本来、原発の立地県と電力の消費地、例えば高浜原発でいうと福井県と大阪府、消費地と原発立地県の受益と負担の関係というのは、今、原子力政策については経産大臣が税も含めてさばいています。だから、経産大臣が、立地県と消費地、福井県と大阪府の調整をしているんです。

 ところが、原発関係の法定外税については、総務省は不同意要件を課しているだけで、ほとんどノーズルで決まっています。各自治体が、特に立地県が、経産大臣に照会することもなく、不同意要件をスルーする形でさまざまな法定外税がつくられていっている問題は、これは、著しく、原子力政策に係る受益と負担、その均衡を守る判断がどこにも入っていないと思うんですが、総務大臣、どうですか。総務大臣でよかったかな。局長でもいいですよ。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘は、核燃料税等について、それが電力料金にも影響しているということとの関係で、受益者負担の関係でどうなのかということだと思います。

 私ども、法定外税は、課税自主権に基づいて、各地方団体において、地域の実情に応じて、財政需要等を勘案して、納税者の理解も得つつ、条例を定めることで導入されるものだというわけでありまして、課税自主権は非常に重要なものだというふうに考えております。

 ただ、特定の納税の義務者、非常に税収の割合が高い納税義務者につきましては、条例の制定前に議会でその納税者の意見を聴取する制度も設けられておりますし、実際には、核燃料税等を導入した地方団体は、発電事業者の理解を得るためにかなり意見交換もされているというふうに聞いております。

 その上で、発電事業に伴う負担が原発立地自治体に居住しない電力消費者に転嫁される、この話をどう捉えるかでございますけれども、電力消費者は発電事業に伴う電力供給により便益を受けておりますし、その便益に伴う負担が過大にならないようにという点も含めて、発電事業者から意見を聴取しているものというふうにも考えております。

 この法定外税の創設、更新に当たっては、総務大臣の同意を要することとしておりまして、国の経済施策に照らし適当でないといったような場合には不同意になることが法定されているということでもございます。

足立委員 もう時間が来ましたので終わりますが、電力会社の意見を議会が聞くだけではだめで、私は、本来、経産省が、今私が申し上げたような観点でしっかりチェックすべきだということを申し上げて、また引き続き御質問を申し上げることとして、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

遠山委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は、まずマイナンバーについて何点かお尋ねをしたいというふうに思います。

 当委員会、一月十三日の総務委員会で指摘をさせていただきましたが、視覚障害者の方々へのマイナンバー通知のあり方について質問させていただきました。視覚障害者の方にとっては、何が入っているかはわかるけれども、何を書いているのかはさっぱりわからないし、どこに連絡していいのかもわからないという、非常に不親切といいますか、合理的配慮に欠けた対応だったのではないかという指摘もさせていただきました。

 ちょうど四月一日から障害者差別解消法が施行されまして、その中で、まさに合理的配慮というのは義務でありますし、その後どのように対応されたのかについて、まずお聞きをしたいと思います。

    〔委員長退席、坂本(哲)委員長代理着席〕

高市国務大臣 一月十三日に吉川委員から御指摘を受けました。それを受けまして、一月十五日に、通知カードやマイナンバーカードに関する視覚障害者への対応としまして、個人番号の代読、各種申請等における代筆、点字シールの配付に関する要請があった場合には適切に対応するよう、各市区町村に対して通知を発出し、周知を行いました。

 これからも、市区町村やJ―LISと連携しながら、視覚障害者の方々を含めて、住民の皆様に対してきめ細やかに対応しながら、マイナンバー制度の円滑な運用ができるように取り組んでまいります。

 またお気づきの点があったら、御教授ください。

吉川(元)委員 その後いろいろお聞きしたところでは、私の地元でも、点字を職員が手で、今なかなか点字のテプラというのはないそうでして、点字の投票用のものを使って数字を打ち込んだり、あるいは、別の自治体では、番号を音声にして、その音声の入ったCDを配っているというような話も聞いております。

 こうした事案も含めまして、引き続き、各自治体に、こういうやり方があるよ、こういう事例があるよということはぜひ周知をしていただければというふうに思います。また、当事者の要望、きめ細やかにということでありますので、ぜひしっかりと聞いていただいて、これからの対応をよろしくお願いしたいと思います。

 次に、これはもう既に少し議論されておりますけれども、マイナンバーのシステムのふぐあいについてお聞きをしたいと思います。

 新聞報道等でもかなり出ておりますけれども、障害が相次いで、マイナンバーカードの交付が大変おくれていると聞き及んでおります。先ほどの質問の中では、申請数九百五十万に対して、発行されているカードが二百二十万程度というふうにお答えをいただきました。

 そこで、それに関連してちょっと何点かお聞きしたいんですけれども、今後、申請数というものは大体どのぐらいになると見込んでおられるのか、また、申請してからカードを受け取るまでの期間というものをどの程度に想定されているのかをまず確認させてください。

稲山政府参考人 申請数の見込みでございます。

 現状、先ほど御答弁させていただきましたけれども、マイナンバーカードの申請につきましては、四月の三日時点では、J―LISに対しまして九百六十一万枚の申請がなされておりまして、約九百十四万枚がJ―LISから各市町村に発送済みという状況でございます。申請された方に交付済みとなっておりますのは、同じく四月三日時点、最新でございますが、二百三十五万枚という状況でございます。

 一月からカードの交付がスタートいたしまして、二月平均では、土日を除けば約三万、一日当たり三万四千枚弱ぐらいの状況だったと思いますが、現状、一日当たり約六万枚の交付といったようなことで、ふえてはきております。

 ただ、さまざまな実情がある中で、交付がおくれておるという実情はございます。各団体におきましては、来庁する方に御不便をかけないようにということで、予約制をとったり、いろいろな工夫をされているということもございますので、全体でどれぐらいになるかというのは、現時点では少し、一概に、この程度になるという見込みまではちょっと立ちがたい状況でございます。

 いずれにいたしましても、速やかな交付ができるよう、さまざまな工夫をお願いしてまいりたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 今答えられたのは期間の話ですよね。それはそれで結構なんですけれども、今後カードの申請がどのぐらい出てくるのか。今のところ、最新で九百六十一万ということでありますけれども、これから、今年度含めて、大体どのぐらいの申請数が出てくると想定をされているのか、その点についてはいかがですか。

稲山政府参考人 なかなか、どのぐらい出るかというのは申し上げにくいところが、実情がございますけれども、万全を期すという意味で、二十七年度予算及び補正予算、それから当初予算を組みまして、三千万枚の発行についての、遺漏なきよう、円滑に進めるような予算措置をいたしているところでございます。

 現実の申請というのは、それぞれの方の状況がございますので、少し見通しがたいところはあろうかと思いますが、そういった目標を立ててやっておるところでございます。

    〔坂本(哲)委員長代理退席、委員長着席〕

吉川(元)委員 そうしますと、今のところ、一日の処理件数が大体三万から六万にふえたと言いますけれども、三千万枚、そのうち二百数十万はもう配付をしたということですけれども、これを予算どおり執行した場合には、単純に言うと四百日から五百日ぐらい、土日を除いてかかるということになるんですけれども、そういう認識でよろしいんでしょうか。

稲山政府参考人 発行できる枚数、予算上の措置というのは、円滑な交付、遺漏なきようにということで、ただいま申し上げましたように三千万枚ということでございます。

 申請状況は、十月からスタートいたしまして、昨年内はかなり一日当たり多い時期もございました。現状でいきますと二万枚を超えるという程度でございまして、若干、申請状況については落ちつきを見せておるところでございます。

 交付自体につきましては先ほど申し上げたようなところでございまして、できる限りの工夫をしながら速やかな交付を目指してまいりたいというふうに思っております。

吉川(元)委員 速やかな交付ということになるわけですけれども、三千万枚の予算を確保している。仮に、来ますと、これは二年かかってようやく配り終えるという、単純な計算ですけれども、その後にもまた申請があれば、その分どんどんどんどんおくれていくということで、今回のシステムのトラブルの原因ということについても先ほどお話がありました。

 若干お聞きしたいんですけれども、これはたしかITの大手五社が七十億円で入札をして、それぞれ担当ごとにやる、そこの部分部分でやられている。新聞を読みますと、これはどなたが言われたのかわかりませんけれども、総務省の幹部の言葉として、五社それぞれが担当分野をそれぞれのやり方でつくっていて、原因究明が非常に時間がかかっている、こういう人ごとのような発言、これは本当かどうかはわかりませんが、というのもあったというふうに聞いております。

 この大手五社というのは、いずれも日本を代表するようなビッグカンパニーでありますし、原因究明が進まないというのはにわかには信じがたいんですけれども、原因究明に向けて、この五社の連携というのはどういうふうに今総務省として考えておられるのか。また、先ほど言いましたとおり、それぞれの担当分野でやっていて、ほかのところはわかりませんというような、こういうあり方というのは原因究明にとっては非常にマイナスだと思うんですけれども、このあたり、総務省としてどのような認識をお持ちでしょうか。

稲山政府参考人 お答えいたします。

 システム障害、一月中旬以降、七回にわたりまして生じたところでございます。

 原因究明、再発防止につきましては、J―LISに対しまして、私どもからも累次の要請を行ってまいりました。

 これらの要請を踏まえまして、J―LISの中では、これはそれぞれの持ち分といいますか分野はあろうかと思いますけれども、全体としてのベンダーがまとまりまして、システムのログのチェックとかいったことを鋭意やっていただいておると承知をいたしております。

 その調査におきまして、中継サーバー障害の原因は、中継サーバー内の暗号処理装置の動作に関係する部分にあるというところまで現状考えられておるところでございますが、引き続き、よく連携し、J―LISにおきまして徹底した調査を実施されるものと承知いたしておりまして、速やかな原因究明と再発防止について取り組んでいただきたいというふうに考えております。

吉川(元)委員 速やかな原因の究明と対応というのは必要なんですけれども、こういうトラブルというのは事前に把握できなかったのか。事前に十分なテストをすれば、これは案外簡単にわかることじゃなかったのかというふうに思います。どうしても、うがった見方といいますか、先ほどの視覚障害者の点字の問題についてもそうですけれども、非常に準備が不十分なまま、日程ありきで入っていってしまったのではないかというふうにも感じざるを得ません。

 今回のトラブル、事前にテストの中でなぜ明らかにならなかったのか。なおかつ、原因究明するということでありますけれども、今ずっと、発行しながら、トラブルが起こるとそのたびにいろいろな対応、サーバーをかえてみたりだとか、パッチを当ててみたりだとかいろいろされているんだと思いますけれども、一旦これをとめて、根本的にやり直した方が結果的には早いのではないかというふうにも感じますけれども、そのあたりはどのように認識されていますか。

稲山政府参考人 まず、カード管理システムの事前のテスト等でございますけれども、これはJ―LISにおきまして、確かに日程はタイトな中だったと思いますけれども、実施をされております。

 内容といたしましては、開発環境における個々のシステムを接続いたしまして、結合テストということで、二十六年の十一月から五カ月ほどやっております。さらに、本番環境における個々のシステムを接続した総合テストをその後三カ月、それからまた、本番環境における運用テストを一月半、それから、一部の市町村におきまして、本番環境で事前に先行適用テストというものを六団体で実施をされたといったように承知をいたしております。そんな中で障害が起きておるということは極めて残念なこととは存じます。

 それから、一時中断してでも原因究明をすべきではないかというお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたような、中継サーバー内の暗号処理装置の動作に関する部分に、当面の調査結果の中では原因があろうかと考えておるところでございますが、その後、そういった調査を踏まえまして、中継サーバーにつきまして、二度にわたりまして、金曜日のサービス終了後に改修をいたしております。その後は、J―LISシステムにおきまして、重大な障害は生じていないものというふうに承知をいたしております。

 この原因究明のためには、障害発生時のログを分析して具体的なシステムの動きをチェックしていくといったようなことが必要でございまして、これはシステムをとめることをしなくても解析は可能でございます。早期のカード取得を求める住民の方もいらっしゃる中で、現時点ではできる限りの対応をしているところでございます。

吉川(元)委員 私は、別に特別な使い方をしてトラブルが発生したのではない、普通の使い方をしてトラブルが発生したということは、やはり事前のテストが不十分だったと言わざるを得ないのではないかというふうに思います。

 担当するのは自治体ですけれども、カードがなかなか出てこない、出せないということになると、これはやはり機構がきちんと申請者に対して説明すべきだと思いますが、その点いかがでしょうか。

稲山政府参考人 機構の方では、ホームページにおきまして、カードの発行のめど、要するに郵送するまでのものについては、ホームページに掲示してお知らせをいたしておるところでございます。また、カード管理システムに発生したふぐあいにつきましては、三度にわたりまして記者発表を行いまして、J―LISのホームページにその資料を掲載し、周知したものと承知をいたしております。

 ただ、仰せのとおり、市区町村や国民の皆様に対して、ふぐあいが生じたことについての十分な周知をJ―LISにおいても行うという必要があると思っておりまして、今のような、先ほど来御説明しているような状況ではございますけれども、速やかに周知する方針を持っているとは聞いておりますので、実施をしていただきたいというふうに思っております。

遠山委員長 吉川元君、時間が来ております。

吉川(元)委員 時間が来ましたので、これで終わります。

     ――――◇―――――

遠山委員長 次に、内閣提出、国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。高市総務大臣。

    ―――――――――――――

 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

高市国務大臣 国立研究開発法人情報通信研究機構法及び特定通信・放送開発事業実施円滑化法の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 高度情報通信ネットワーク社会の形成に寄与するため、国立研究開発法人情報通信研究機構の業務の範囲に、その研究に係る成果の普及として行うサイバーセキュリティーに関する演習その他の訓練の業務及びインターネット・オブ・シングスの実現に資する新たな電気通信技術の開発またはその有効性の実証のための設備を他人の利用に供する事業に対する助成金の交付の業務を追加するなどの措置を講ずるほか、電気通信基盤充実臨時措置法附則第二条に規定する同法の廃止期限の到来に伴い、同法を廃止する必要があります。

 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、国立研究開発法人情報通信研究機構の業務の範囲に、その研究等に係る成果の普及として行うサイバーセキュリティーに関する演習その他の訓練の業務を追加することとしております。また、総務大臣が機構の当該業務に関する中長期目標の策定、変更などをしようとする際にサイバーセキュリティ戦略本部の意見を聞かなければならないこととしております。

 第二に、機構は、平成三十四年三月三十一日までの間、インターネット・オブ・シングスの実現に資する新たな電気通信技術の開発もしくはその有効性の実証のための設備を他人の利用に供する新技術開発施設供用事業または情報を大量に記録し高速度で送受信することが可能な電気通信設備をその設置を誘導すべき地域に設置して他人の利用に供する地域特定電気通信設備供用事業を実施しようとする者に対し、当該事業に必要な資金に対する債務保証及び助成金の交付の業務を行うこととしております。

 第三に、電気通信基盤充実臨時措置法附則第二条に規定する同法の廃止期限の到来に伴い、同法を廃止することとしております。

 以上のほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律は、一部の規定を除き、平成二十八年五月三十一日までの間において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同を賜りますようお願い申し上げます。

遠山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る七日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十分散会


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