衆議院

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第9号 平成13年3月28日(水曜日)

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平成十三年三月二十八日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 高市 早苗君

   理事 岩永 峯一君 理事 鈴木 恒夫君

   理事 田野瀬良太郎君 理事 渡辺 博道君

   理事 平野 博文君 理事 藤村  修君

   理事 西  博義君 理事 都築  譲君

      青山  丘君    小渕 優子君

      岡下 信子君    嘉数 知賢君

      杉山 憲夫君    谷垣 禎一君

      谷田 武彦君    谷本 龍哉君

      馳   浩君    林 省之介君

      水野 賢一君    宮澤 洋一君

      森岡 正宏君    森山 眞弓君

      大石 尚子君    鎌田さゆり君

      葉山  峻君    肥田美代子君

      牧  義夫君    松沢 成文君

      山口  壯君    山谷えり子君

      山元  勉君    池坊 保子君

      斉藤 鉄夫君    武山百合子君

      石井 郁子君    児玉 健次君

      佐々木憲昭君    中西 績介君

      山内 惠子君    松浪健四郎君

    …………………………………

   文部科学大臣       町村 信孝君

   文部科学副大臣      河村 建夫君

   文部科学大臣政務官    池坊 保子君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策

   局長)          近藤 信司君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青

   少年局長)        遠藤純一郎君

   政府参考人

   (文化庁次長)      銭谷 眞美君

   文部科学委員会専門員   高橋 徳光君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十八日

 辞任         補欠選任

  児玉 健次君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木憲昭君     児玉 健次君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)




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     ――――◇―――――

高市委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省生涯学習政策局長近藤信司君、スポーツ・青少年局長遠藤純一郎君及び文化庁次長銭谷眞美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高市委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。肥田美代子君。

肥田委員 民主党の肥田美代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案、この中に新しく創設される子どもゆめ基金、このことをきょうは議論させていただくことになりました。

 国際子ども図書館設立推進議員連盟というのがございまして、この議連で国際子ども文化基金をつくろうというのが実は発端でございました。そして、国際子ども図書館の開館を機に名前を改めまして、子どもの未来を考える議員連盟ということにして、子どもゆめ基金として御提起させていただいたものでございます。

 そもそも、国際子ども図書館を運営していくための事業費であるとか、そういうものを応援したい、子ども図書館を世界一の規模にするためたくさんの本を集めたい、百万冊は集めたいという思いがございました。子供の本の研究、それから原資料の収集なんかをしたいということで思いをはせた基金でございました。まさに、子供の読書振興、普及の目的にということでございました。

 その提案を受けまして、内閣総理大臣の諮問機関であります子どもの未来と世界について考える懇談会から、平成十一年二月に御提言をいただきました。その中に、国内外の児童図書の収集や情報提供など、子供の出版文化の国際センターの役割を果たしてほしいという期待感がこの子ども図書館に寄せられているわけでございます。

 ただ、この子ども基金は内閣府に入るのかなと思っていたら、文部科学省の主管になったわけでございます。ですから、基金の使い道に多少変化が起きたのかなと思うわけでございますが、国際子ども図書館へのサポートは可能かどうか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。

河村副大臣 お答えいたします。

 肥田委員もこの議員連盟の重要な役割を果たされて、この子どもゆめ基金達成に至るまでいろいろ御努力をいただいたこと、心から敬意を表する次第でございます。

 お話しのように、もともと国際子ども図書館をしっかり支援していこうということからスタートしたものでありまして、このゆめ基金も本来そういう形でできないかということが検討されたわけでございます。ただ、考えてみると、これは国会の予算で、国会図書館の分館という形で国際子ども図書館ができたわけでございまして、予算は、これから国会が予算をつけて運営をしていくということになりますので、今回のゆめ基金も、これは国が出捐する格好でございますから、国が国へということは現実には難しい。

 ただ、考えられますのは、国際子ども図書館を通じて、ボランティア財団等が読書会を開くとか、国際協力の形のものでいろいろなことができるであろう、そういう団体に対してこのゆめ基金の果実を支援に充てるということは可能だと私は思っております。そういう意味で、国際子ども図書館が行う活動を間接的に支援することができる、こういうことになるであろう、こういうふうに思っておるわけでございます。

肥田委員 アメリカのブッシュ大統領が、二月二十七日の施政方針演説の中で、向こう五年間に五十億ドル、約六千億円ですが、それを読解の学習に振り向けるとおっしゃったわけですね。私は大変な英断だと思っております。

 日本でもやはり、言葉離れとか本離れということを言われましてもう十数年になります。今、その言葉離れが、読み解く力、それから文章を書く力の大変な衰えになっているということがはっきりしてまいりました。昨年は、超党派の皆さんの大きなお力によりまして、子ども読書年ということが宣言されました。国会決議をされたわけですね。その後、各地で読書振興のフォーラムが開かれ、文部省も本当にいろいろ大きな力を尽くしてくださいました。

 ただ、この一年で、読書年のお祭り騒ぎで終わったということのないように、二〇〇〇年を子供読書振興の元年としてこれからどんどん進めていきたいなと思うのですけれども、大臣、いかがでしょう。

町村国務大臣 肥田議員がかねてより読書の重要性を大変熱心に主張し、またその政策の実現に御努力をしておられること、私も大変共感を持っていつも御意見を拝聴しておりました。

 読書の重要性、これは、平成十一年八月十日衆議院本会議の子ども読書年に関する決議、たまたま今手元に資料がございますが、ここで、短く、端的に書いてあるような気がいたします。「本とふれあうことによって、子どもたちは言葉をまなび、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、人生をより深く生き抜く力を身につけることができる。」まさにそういうことであろう、こう思っておりまして、私自身も、これからずっと子供たちに読書を熱心にやってもらうためにどうしたらいいか、これは文部省の重要な政策課題として継続的に取り組んでいくべきであろう、かように思っております。

 ただ、現実を見るとどうも、小学生のうちはまだまだ本を読むんだけれども、高校生になると、月に一冊も読まないという高校生の数が半数を超えるという、何か空恐ろしくなるような実態もあるということでございますから、小学校、中学校、高等学校を問わず、いろいろな学校が今試みておりますけれども、朝の五分、十分、みんなで静かに本を読む時間をつくったり、いろいろな工夫も始まっておりますので、そうしたことを大いに私どもとしてはサポートしていきたいし、今回の子どもゆめ基金の事業の中でも、そうした読書活動の振興を図る事業を継続的にサポートしていけるようにしたいものだ、かように考えております。

肥田委員 力強いお話をちょうだいいたしました。

 具体的には例えば、読書の環境整備をしっかりとやるために、超党派の国会議員で子供の読書推進法というようなものを出して応援をしようじゃないかというふうに話が少しずつ煮詰まってまいっておりますけれども、この法律を超党派で出しましたら、ぜひ大臣、特段の御配慮をいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。

町村国務大臣 まだ不勉強で法案の中身を拝見しておりませんので、また十分検討させていただきますが、基本精神において、今申し上げましたように、肥田議員のおっしゃることはまことにごもっともだと思っておりますので、ぜひそういう形で、議員立法ということであれば、私どももそれを真摯に受けとめて、御協力をできる部分は最大限の御協力をしてまいりたいと考えております。

肥田委員 ありがとうございます。ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、子ども基金の具体的お話に入ってまいります。

 子供のための基金をつくって子供たちの夢の伴走者になろう、こういう試みはこの国では初めてなのですね。恐らく史上初めてのことだと思っております。子供たちに選挙権がないものですから、ややもすると子供のことは後送りになっていくわけですけれども、今回はすばらしい基金ができたと私は思っております。これを国民参加型の基金として大きく育てていきたいと思いますし、とりわけ子供たち自身が参加できる基金であるべきだと思うのですけれども、その辺、どういうふうに御配慮いただけますでしょうか。

河村副大臣 子どもゆめ基金といいますから、当然、子供もこのことを理解し、参加していただくということは非常に意義のあることだ、こういうふうに思っておるわけでございます。

 基金そのものはまず政府から出資金という格好になっておりますが、ぜひ民間からもこれに対しては協力をいただく、あるいは募金をいただく、そういう形でやっていただきたい、こう思っておるわけでございます。

 そして、この事業に対して子供たちが企画運営する、子供参加型の事業といいますか、こういう形にもぜひ支援をしたい、このように考えておりますので、今後、子供たちがどのような形で参加していただけるのか、十分検討し、またそういうものが出てくればそれを積極的に取り上げるということが非常に大事なことであろう、このように認識しております。

肥田委員 基金の運用とか助成金の執行に当たっては、対象が子供たちでございますので、本当に何よりも透明性が必要だと思うのですね。将来にわたって、この基金をめぐる汚れた話が絶対に出てこないようにしないといけないと思います。ですから、大臣に今強いメッセージをちょうだいいたしたいと思います。

町村国務大臣 これも全くごもっともなことである、こう思っております。

 この種の、特に基金を運営するということに当たって、いやしくも何か疑惑を招くとか、そういうことがあってはならないことはもう言うをまたないわけでありまして、最大限の客観性、透明性というものを確保していく。そのための審査体制を整えたり、あるいは学識経験者を初め外部の方々の有識者から成る審査委員会を設置して、そうした審査もしっかりやっていくというようなことをやるべきであろう。

 いずれにいたしましても、その審査基準をつくるに当たっても、そうした第三者の方々の御意見も十分伺って決めていかなければなりませんし、また、実際にどういう場合に交付をしていくのかという交付対象についても、やはり相手側がちゃんと事業ができる体制が整っているかとか、その実施によって成果が期待できるかとか、他の助成と重複しないだろうかとか、幾つかの点を明確にした上で、審査基準も明確に公表をしていくということが必要であろうと思っております。

肥田委員 今大臣がおっしゃいましたように、その審査委員会ですか、評価委員会かもしれませんけれども、そういうものの役割が大変重要になってくるわけですね。ですから、この構成、それからその評価基準はいつごろお決めになりますでしょうか。

河村副大臣 法案を通していただきますと、四月一日から独立行政法人オリンピックセンターに入るわけでございますので、これに並行して、審査基準を急がなければいかぬと思います。

 もうこの法案が通ることを待っておられる団体もあるようにも聞いておるわけでございますので、これはもう可及的速やかにといいますか、立ち上げなければいかぬ、このように思って、今まさに準備に入らんとしているところでございます。

肥田委員 今考えられるところでいいのですけれども、この審査委員会の構成を、先ほどちょっと大臣がおっしゃってくださったのですけれども、もう一度お話しいただけませんか。

河村副大臣 この基金は、御案内のように、独立行政法人のオリンピック記念青少年総合センターにございます。独立行政法人がスタートした時点で同時にということになるわけでございますが、大臣からも御答弁がありましたように、学識経験者あるいは経済人、外部の有識者を中心に審査委員会を設置することで、客観性、透明性といいますか、そういうことをきちっと担保する、そういうことで立ち上げたいと考えております。まだ今、条項的な基準というものを検討しているわけでございますので、具体的に審査委員を何人にするとか、今この時点ではまだ申し上げられませんが、公正なきちっとした審査委員会をつくりたい、このように思っております。

肥田委員 今、学識経験者、それから経済人というお話がございましたけれども、ぜひ、子供たちのことがよくわかっている、そういうメンバーをしっかりと入れていただきたいなとお願い申し上げておきたいと思います。

 それから、助成金ですけれども、この対象は「青少年教育に関する団体」と書いてありますが、具体的には、例えば三、四人の小さなグループでもいいわけでしょうか。

河村副大臣 どういう団体であれば助成の対象になるかということは、いろいろ研究しなければいかぬことだろうと思います。やはり体制が整っている、例えばNPO法人を持っているというのは非常に大きな位置づけだというふうに思います。しかし、実質、活動がきちっと行われていて、成果も上がっているし、またこれからも大いに期待されるということがある程度きちっと、証明できると言うと少しかたい話かもしれませんが、そういうことで期待できる。もちろんもう既に他の基金をもらっているというような団体ですと、これは重複は避けなければいかぬだろう、こういうふうに思いますし、もちろん営利を目的にしては困るわけでございます。

 非常にボランティア的な活動で子供たちに読み聞かせ活動をずっとやっておられて、だから当面小さな団体でと、今つくりましたと言われてもなかなか大変だと思いますが、かなりそういうことで実績を上げておられるということであれば、当然審査対象になります。もちろん、それについては一応審査をしてもらいたいという要請をよこしていただく、それに基づいて審査をさせていただく、こういうことになろうと思いますので、もちろんちゃんとやっておられる団体であれば、それは少人数で小さな団体であろうと十分対象になり得る、私はそういうふうに思います。

肥田委員 先ほど子供参加型ということを申し上げたのですけれども、例えば高校生が五人寄って、こういうことをしようではないか、ゆめ基金ができたからしようではないかという団体だとしますと、実績はないわけですね。しかし、彼らの夢はかなり大きいわけでございまして、そういうことにも、しっかりと審査していただいて、そして弾力的に対応していただきたいのですが、いかがでしょうか。

河村副大臣 高校生にも夢を持っていただく意味で、意義があることだと思います。ただ、企画書をやはりお出しいただいて、これは非常に夢があると審査委員の皆さんの認定をいただければ対象になり得ることだと思います。そういうものは取り上げていくというのがやはりこの基金の一つの大きなねらいであり、小さなものをできるだけたくさんというのがこの基金の一つの考え方ですから、私は結構なことではないかと思います。

肥田委員 二十億円を当面配っていくわけですけれども、その配る上限をおつくりになりますか。上限の金額。

河村副大臣 これはやはり審査基準の中でお決めをいただくもので、例えば、五百万にしたら一銭を超えてもだめだというような、そういう決め方でなくていいと私は思っておりますが、おおよその目安はやはり持って、できるだけ多くの団体に渡るようにという基本線がありますから、そのためには幾らぐらいにしたらいいかということがおのずから決まってくるのではないかというふうに思います。今この時点で私の方から、では幾らにしますということは今のところ、審査委員会にある程度お任せしたらどうだろうか、こう思っております。

肥田委員 助成金を交付することのできる活動の一つに、「インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて提供することができる子ども向けの教材の開発」とございますけれども、ソフト制作の発注はどこの責任で、納品されたソフトの適否はどこで判断されるか、その手順を教えてください。

河村副大臣 今質問されたことの手順というのが、ちょっと私は理解できなかったんですが、これも、この法案の中に三つほど事業があります。

 その三番目に今のソフトの開発もあるのですが、これについても、もちろん助成の対象でございますので、審査委員会でどういう形でやるかということを決めてもらわなきゃいかぬ、こう思っておるわけでございますが、手順といいますか、子供向けのソフト制作の普及事業と考えておりますので、公民館とか青少年施設なんかで行われる社会教育の分野で使われるソフト開発、こういうことでございます。

 直接体験ができないようなものをバーチャルで、バーチャルでというと悪い意味もありますが、体験ができるようにさせたりとか、子供に自然体験をさせたりとか、そういうものをデジタル化したソフトをつくっていく、こういうことになろうと思いますので、営利目的でないと考えておりますので、そういうことを勘案して、審査委員会の方でその対象というものを決めていただくというふうに考えております。

肥田委員 読書活動とか体験活動というのは、申し込みの主体とか性格とかが比較的わかりやすいのですね。ところが、ソフトの制作団体となりますと、その会社が質の高いソフトをつくる力があるのかどうか、それから教材用ソフトの開発を任せていい事業体かどうか、その判断が大変難しくなると思うのですけれども、この評価はどうやってクリアしていかれますか。

河村副大臣 そうした有益なソフトが現在非常に不足しているということでありまして、また、そうした教育的なソフトというのは、営利上からいってもなかなか団体としては難しい、企業なんかもなかなか積極的に取り上げてくれないという面もございます。

 そういう意味できちっとそういうものをつくっていくためには、これはある意味では審査委員会といいますか、基金の方から、こういうものをつくってもらいたいという要請があると思うのですね。それに対してこういう形でつくっていくという一つの、私はコンペ的なものもあっていいと思うのですが、アイデアを出していただく。それである程度審査して、そういうものならぜひお願いしたいという格好になっていくだろうと私は思います。一方的にどこかへもう全部お任せして、できたものをそのまま無条件でということには絶対ならない。いろいろな角度から検討して、やはり、こういうものが欲しい、それにこたえていただけるところにやっていただくということですから、これもやはりこの審査委員会で、きちっとした手順、それから内容、そういうものを決めて、そして審査対象にして取り上げていくということにしていかなきゃいかぬ、このように思っております。

肥田委員 今副大臣が、こういうものが欲しいと言って、それに応じてきたところを選ぶというふうにおっしゃったけれども、実はそうじゃなくて、こういうものをつくりたいと申請してくるのですよね。

河村副大臣 コンペ的と言いました。やはりこういうものをつくりたいというのが、いろいろ各社、そういうことを専門にやっている会社等もありましょうから、そういうものから申請が来る、そしてそれを審査対象にして、その中でおたくのものが一番いいと思う、しかしさらにこういうことを加えてくれないかということはあり得るだろうと思うのですね。そういうことでやっていただくというふうになっていくのではないか、このように思います。

肥田委員 ソフトをつくる会社が、例えばこういうものをつくりたいということで申請してきた。それに助成金を出しますね。そうしますと、その助成金は、例えば花を集めたようなソフトをつくりたいということになれば、それだけが目的になりますよね。目的以外に使ってはいけないんですね。

河村副大臣 目的外とおっしゃることがどういう意味になるのかわかりませんが、こちらで考えておりますのは、その目的のためにお願いをして、子供の社会教育あるいは体験活動的なものに大いに活用できるということですから、問題はそれを開発する費用がやはりかかりますから、それを支援するわけです。それを今度は、評判がいいからといって、もうけのためにどんどん使っていただくということは余り望ましくないわけです。

 ただ、もちろん、企業がおやりになることですから、そのためにどんどん持ち出しになるということでは困るでしょうけれども、一応目的はそういう、今おっしゃったような目的のために使わせていただくということでありますから、その版権といいますか、著作権をどっちが持つかというようなことも、開発についてもそういうことは今から詰めていかなきゃいけない問題ですけれども、原則として、目的を持ってやることでありますし、要請して、向こうからのこういう形だというものに対して、ではそれを取り上げましょうということになりますから、おのずから、今おっしゃったような目的というのは限定されるのではないかな、こういうふうに思います。

肥田委員 そうすると、営利目的ではこの基金を使わせないという担保はどういうふうにしてとるのですか。

河村副大臣 その部分も当然、審査委員会が実際にやるときに、実施要綱といいますか、要綱を決めていきますから、その中にそれを織り込んでいく。そして、当然ソフト会社等との契約をやるわけです。契約といいますか、こういう条件でやりますというときに、こういう実施要綱に基づいて、ではお願いをするということになっていくというふうに思います。

肥田委員 多分、具体的な基準とかがまだ定まっていないものですから、副大臣もお答えしにくいところだと思います。ぜひ、ここのところはとても大事だと思いますので、しっかりとした基準づくりをしていただきたいと思います。

 それから、コンピューター社会が進展してまいりまして、情報機器がどんどん子供の世界に入ってくる。恐らくコンピューターが生徒一人一台という時代にもう突入するわけですけれども、やはりそれにも光と影の部分があるわけですね。その光の部分はまあいいとして、影の部分をもう少ししっかりと今のうちに立ちどまって研究しておかないと、後で人間形成のところで大変大きな失敗が起きるといけないなと思うわけです。ですから、ソフトの使用年齢であるとか使用基準であるとか使用の時間であるとか、そういう基準、その研究を文部省の方でやっていただいているのか、それとも今からやろうとしていらっしゃるのか、ちょっと教えてください。

河村副大臣 コンピューターソフトあるいはコンピューターを使うことによって非常に大きなメリット、便利性もあるし、進んだ勉強もできる。しかし一方では、影の部分もいろいろ指摘をされておる。そのことを御指摘いただいたわけであります。

 その影の部分については、中教審の方からも指摘もございまして、学校においては、コンピューターとかインターネットを使う技能の習得とあわせて、誤った情報や不要な情報といいますか、それに惑わされてはいかぬということで、そうした情報活用能力を育成するということで、実は中学、高校の学習指導要領の中にもそういうことをきちっとうたい上げて指摘をいたし、新しい教育課程の中でも、情報とコンピューターというのは必修になりますから、そうしたことを教育上でもきちっとやるということであります。

 また一方では、情報モラルの育成あるいは指導内容、方法について解説をした指導資料もつくる、そういうものを教育委員会とか学校にも配付させなければいけません。そして、情報化がどのような影響を与えるだろうかという調査もやらなきゃなりませんので、今、情報教育関係団体にもこれを委託して、情報化のいわゆる影の部分についての調査も行っておるわけでございます。

 いずれにしても、影の部分についての配慮というのは非常に重要なことでありますから、そのことも大事な要素として取り組んでいかなきゃいかぬ、このように考えております。

肥田委員 コンピューターに使うお金の何割かはそういう研究にまず使っていただきたい、そういう予算配分もしていただきたいというのが私の願いでございます。

 それでは、これは最後のお願いになるわけですけれども、子どもゆめ基金は超党派の議員連盟で提起されておりまして、今度議連の方で、実は自分たちもこれを応援して、そしてきちっとした運営をしていただけるようにサポート、それから監視役もしていきたいということで、企画委員会を設置しようという話になりました。これからこの委員会が、子供が主人公の行事やイベントについても提案してまいりますし、いろいろな意味で情報公開もしていただきたいというふうにお願いを申し上げますけれども、ぜひそこのところは、町村文部大臣、議連の言うこともしっかりと聞いていただきたいと思うのですけれども、いかがでございますか。

町村国務大臣 議員連盟を初め国会の皆様方からの貴重な御意見、また御提言等々、積極的にお寄せをいただければ、そうしたものを、これからできるであろう子どもゆめ基金の中で適正に反映していく、これはもう当然のことだ、こう思っておりますので、どうぞ建設的なアドバイスをいただきますようにお願いをいたします。

肥田委員 ぜひ官民力を合わせてこれを大きく育て、最初の思いに決してゆがむことのないようにつくっていきたいと思いますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。

 質問を終わります。

高市委員長 鎌田さゆり君。

鎌田委員 民主党の鎌田さゆりでございます。よろしくお願いします。

 まず初めに、ただいまの大臣、副大臣、そして肥田さんのやりとりを伺っておりまして、まず冒頭、私、予定していた幾つかの質問の前に伺いたいなと思いましたものが出ましたので、それからお伺いをしたいのです。

 初めにこの法律案のお示しがあって、私たちはそれぞれに中身を見て、あるいは意見を述べ合う場所でも出ましたので、それから私も抱いた意見なんですけれども、何円であろうと国の税金を使って、そして子供たちの教育のために、夢のためにということで考えられたプラン、でき上がったこの事業構想ですから、金額の多少にかかわらず、有効に大切に使っていただきたい。

 そして、法律を改正して新しくその仕組みをつくり上げるときに、それを国会に向けてあるいは国民に向けて提示しているこの今の段階で、今のやりとりを伺っていますと、果たして今どこまで具体的に決まっているのか。ここのところはまだ議論が必要だけれども、あるいは検討してもらうけれども、ここは政府としてこうなんだ、国としてこうなんだというところが、そういう強い姿勢のようなもの、具体的なものが見えてこない、伝わってこないというふうに感じました。

 こういう同じ感じを大臣や副大臣がお持ちであればいいのですが、お持ちでないのかなと、私はそのように感じたものですから、今このときに至って、もう少しきちんと具体的に、お金の流れ、その審査の仕組み、あるいは、今地方分権が叫ばれている中で国がこれをつくって国が主体になってやっていくという中で、もう少し具体的なわかりやすい強い姿勢のあらわれるような説明というものはないものなんでしょうか。

河村副大臣 せっかくの税金ですから、これを有効に使う、特に費用対効果といいますか、しっかりと上げる、これは当然の御指摘だと思います。

 実は、昨年は子ども読書年ということで、このときは文部省は、読書年だからということで、たしか一億二千万ぐらいの予算をつくって、そして読書活動に対していろいろな支援をいたしました。

 例えば、我田引水で恐縮なんですが、私のところの山口県は二百五十万ほどいただいたのです。たった二百五十万、多寡はいろいろありましょう、二百五十万でしたが、これだけで実は子ども読書年に関するいろいろな事業を一年間で百七十四回やりました。というのは、二日に一回やったことになります。

 こういうふうにすれば、特に民間の方々は、大いにやる気のある方はたくさんいらっしゃるわけですね、やりたいと思っておられる方がたくさんいらっしゃる。わずか十万でも二十万でもあったらこういうことができると思っている方がたくさんいらっしゃいますから、私は、この基金ができた、どうぞと言ったら、恐らくそういう方がどんどん申し込みをなさると思います。私は、審査委員会は大変忙しくなるだろう、こういうふうに期待をしております。

 費用をそんなにばっとかけるのではなくて、それがいかに有効に使われるかということを十分審査し、また肥田委員からも御指摘がありましたように、子供のことがよくわかる方々に、またそういう展開をされている方々に入っていただいて、できるだけ広く多く支援をする、そのことによって活動される方々がどんどん、いわゆるマンパワーがどんどん動き出す、そして子供たちをどんどん引きつけていくということが非常に大事だろうと私は思いますので、そういう視点でこの基金が活用できたらというふうに考えております。

鎌田委員 ぜひ副大臣の御地元のように活発に、本当はいっぱいお金があればいいのですけれども、ない中でみんなで頑張っているわけですから、少ない経費でより大きい効果が出るように、今後期待していますので、頑張っていただきたいなというふうに思います。

 このたびの改正案の提出に至るまでには、先ほどの肥田さんも入っていらっしゃる議連の中での議論もありました。さまざまな報告や提言や答申、それらの経過を経てのことと思いますが、それを、時間をかけてじっくり議論をしてきた結果だ、これも大きな成果につながる前の一つの前進だと私は受けとめたいと思っておるのです。

 その中でも、子どもの体験活動支援事業の充実というところに私は非常に期待をしたいという気持ちでおります。この子どもの体験活動支援事業の土台となっているものとして全国子どもプランなるものがあるということに改めて目を向けたいと思うのですけれども、これは、平成十一年度から十三年度までの緊急三ケ年戦略と銘打ってのすばらしい、何やら物すごいプランだと思うのですが、残り一年になりました。今三分の二が過ぎましたけれども、この緊急三ケ年戦略、どのように検証結果を得ていますでしょうか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 文部科学省におきましては、平成十四年度の完全学校週五日制の実施に向けまして、地域で子供を育てる環境を整備し、親と子供たちの活動を振興する体制を整備することを目指した全国子どもプランを、関係省庁の協力を得ながら現在推進しているところでございます。

 委員御案内のとおり、この子どもプランにはいろいろな事業を盛り込んでおるわけでございます。例えば、親や子供たちにさまざまな体験活動や家庭教育支援に関する情報提供を地域ごとに行う子どもセンターの全国展開ですとか、あるいは、衛星通信によりまして、学校休業土曜日に、全国の子供たちの心にスポーツ選手あるいは科学者などが直接語りかけるプログラム、子ども放送局の設置、こんなような事業でありますとか、あるいは、関係省庁と連携をいたしましていろいろな豊かな体験活動を推進する、そういうモデル事業を今実施しているところでございます。

 その評価、検証の問題でございますが、例えば子どもセンターの全国展開につきましては、平成十一年度は全国三百六十三カ所に設置をいたしまして、いろいろな情報を子供たちに提供しているわけでございます。また十二年度は七百二十五カ所にそれが拡充をされ、現在、一応全国千カ所程度の設置に向けて準備が進んでおるわけでございます。

 また、その他の事業につきましても、例えば事業に参加をした子供たちですとか親のアンケート結果におきましても大変好評をいただいておる、こういうふうに承知をいたしております。

 十二年度のいろいろな事業につきまして、各都道府県からまた実績報告書をお出しいただこうかと思っております。それを私ども、十分にその事業内容を分析し、また必要に応じて関係都道府県からお話も伺い、実施していきたい、そういったことを進めてまいりたいと思っておりますし、この子どもプランの事業成果を全国四十七都道府県に普及して、各地で取り組んでいただきたい、こういうことから、その取り組み状況についての事例集も作成をしまして、広く配布をしてまいりたいと思っております。

 こういった施策を推進することによりまして、この子どもプランの目指している理念、目標を少しでも達成していきたい、かように考えておるところでございます。

鎌田委員 大臣に伺いたいのですが、今、御説明の中に子ども放送局という言葉が出てきました。それから、子ども科学・ものづくり教室事業ですとか子どもの「心の教育」全国アクションプランというのが、具体的にこの全国子どもプラン緊急三ケ年戦略の中にあるのですが、いただいている今回の法律改正に伴っての資料で、例えばなんですが、子ども放送局、これは子どもゆめ基金へ移行、十三年度予定額一億七千九百万というふうにあります。これは、解釈が間違っていたら逆に教えてほしいのですが、この金額、あるいはほかにも子供科学関係ありますけれども、基金へ移行ということは、このお金と基金との兼ね合いはどういうふうにとらえたらいいのか、基金から出てくるお金だというふうに考えた方がいいのか。

近藤政府参考人 お答えをいたします。

 子ども放送局は、全国子どもプランの一環として、衛星通信を利用して子供たちに夢と希望を与える番組を提供するものでございます。これは従来、文部本省で予算を計上し、オリンピックセンター等に委嘱をして番組を企画し、制作し、提供してきたわけでございますが、平成十三年度に子どもゆめ基金、現在国会で御審議をいただいておりますが、成立をさせていただいた暁には、子どもゆめ基金の事業としてこの子ども放送局に係る事業を展開していきたい、かように考えておるところでございます。

鎌田委員 そうすると、これは二十億の事業費の中の一部に入っていくというふうに考えてよろしいのかということと、今私は、子ども科学・ものづくり教室、それから子どもの「心の教育」、それと子ども放送局というふうに挙げましたが、そうすると、ほかにも、従前から現在のオリンピック記念青少年総合センターで行っているものなので、今度、基金ができたら引き続きそちらへ移行になりますというものがありますか。

近藤政府参考人 これにつきましては、その二十億の運用交付金の中でこの子ども放送局の事業については実施をしてまいる、そういうことでございます。

鎌田委員 今の、子ども放送局はそこから出るという御説明はわかりました。

 そのほかに、子ども科学・ものづくり教室事業、それから子どもの「心の教育」全国アクションプランと、子どもプランの中に盛り込まれているもので、そしてあと、もともと従前からオリンピック記念青少年総合センターの行っていた事業だから引き続きゆめ基金の事業費から使っていきますよというのが、ほかに重立ったものがありますか。

近藤政府参考人 大変失礼をいたしました。

 今の子ども放送局の推進事業、これは子どもゆめ基金の事業で行うわけでございますし、例えば、委員御指摘になりました子ども科学・ものづくり教室事業、公民館、科学博物館などで科学の実験、物づくりの指導等を実施している事業でございますが、こういった事業等につきましても、今回、子どもゆめ基金の事業の方に移行してまいる、そういうものが若干ございます。

鎌田委員 では、二つまとめて行きますが、一つは、若干というふうに今おっしゃったのは、二十億のうち、もともと大体そういう事業としてある程度の枠がもう決まっている金額、まず十億ぐらいはこういうもともとのがあるから決まってますよ、あと十億は本当にフリーで全国にどんと投げかけますよというものになるのか。一つ目の質問は、その割合で結構ですから。

 というのは、ここでもし誤解が――今回の百億という出捐金も含めた基金と、それと二十億という事業費、これを、先ほど肥田さんも、ああ、ゆめ基金ができると、その事業費の二十億、全国で待っている方もいるとおっしゃった。しかし、子ども放送局の一億七千九百万、それから何の何千何百万というのが、従前の事業として基金からだとなりますと、ちょっと期待がしぼんじゃうなというところがある。でも、それをまたクリアする御説明があればいいのですが、その辺のところを今ぜひはっきりさせていただきたいと思います。

河村副大臣 このゆめ基金をつくるときに、財政当局といろいろやり合ったわけです。文部科学省もそういう仕事をやっていて、またその上に基金をつくって別途やるというのは財政上もおかしいではないか、その整理が必要ではないかという指摘もありました。

 今文部科学省本体でやっている子供に対するいろいろ事業もある。それもやはりゆめ基金の中に含めた形で基金をつくっていくという方向になりましたので、今回、全国子どもプランの中で子どもゆめ基金に移行部分というのは大体七億七千万ぐらいの事業、今本体事業でいろいろ、放送局を今局長が説明しましたが、そうした事業も一緒にやろうということでありますから、おおむね、今おっしゃったように、要するに二十億のうちの七億七千がそっちに行きますから、その残りの部分、運営費も若干、それを引いて、残りの部分が全国のいろいろな団体の助成、三つの事業を中心とした助成になるというふうに考えていただいていいのではないかと思います。

鎌田委員 わかりました。正直に現実をお伝えいただいたので、そこのところには本当に敬意というか、ありがとうございます。

 ただ、やはりちょっとその伝わり方が違うようになると、何だ、初めと違うなというところで、その申請に、初めからこういうふうに科学、それから物づくりと、若干ジャンル的に決まってきてしまうと、そこから漏れるところが出る。もともとのお金が二十億から十億ぐらいに減ってしまうと、自動的にそこから漏れてしまう、初めからそれありきになってしまうので、せっかくの夢でございますから、今後これがますます充実して予算がふえることを期待というか、希望しながら、なおかつ初めに、スタートの時点で、やはり現実に照らし合わせた中できちんと説明をしていただきたいなというふうに思いまして、申し上げました。この件については以上です。

 それで、その子ども放送局なんですが、これは何で第二、第四土曜に放送しているのでしょうかということがまず一つ。

 それから、ここで放送されている内容というのは、家庭教育ビデオを三本文部科学省の方でおつくりになっていますが、それと同じものなのかどうかということ、これが二点目。

 三点目、ぜひ、一番初めに申し上げました少ない経費で大きな効果。これは何も、つくればいい、子ども放送局から流せばいい、公民館と図書館と青少年教育施設、学校で視聴可能と。議員の皆様や政府の皆様、周りのお孫さん、子供さんに、学校でこういうのを見てきたかときょう帰ったらぜひお聞きになっていただきたい。子供会の活動の中で、図書館で見たか、何で見たかと。多分、見たという子供さん、お孫さんをお持ちの方が、悲しいかな、片手の指ほども、いらっしゃるかいらっしゃらないかと思うのですね。

 私はこれはとてもいいことだと思うのです。ですから、二つ目の質問と重なりますが、例えば、ビデオがもし三本も使われているのであれば、たくさんつくらずにすばらしい内容のものを一本、時間は短くてもいいですからそれをつくって、そして親子でテレビを見ている夕食の時間帯に五分間だけでも、非常に高い金額だということはわかっています、私の夫もテレビ局におりますからわかっていますが、そういうところに、限りある費用で大きな効果をもたらすように、これは啓蒙、啓発、広報活動だと思うのですけれども、ひとつそういうやり方をしていただきたいなと。

 記憶に新しいのは、中曽根元大臣が、テレビの画面を通して国民に向けて何かアピールをしていらっしゃいましたけれども、そういうことを大臣のその親近感を強く与える風貌で国民に向けてやっていただくことは、私は意味がないとかむだだとは言いませんが、正直言ってやるだけの、お金をかけるだけの効果が持てる、心の教育、親子の、家庭の教育、そして子供に夢をとスポーツ選手が語りかけるとか、そこにはつながっていないんじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

河村副大臣 私も、最初この話を聞いたとき、正直言って、鎌田委員と同じような印象を持ちまして、事実、私も地元でその放送局がどこでやっているか調べに行きました。だれもいなくて、何かビデオが置いてあって、その時間が来たら自動的にかかって、それをもう一回採録して見るようにしていますなんという話でしたから、これではだめだ、もっとこれはみんながPRをしていかなきゃいけないと。それでなくても、最近の子供はうちにばかりいるんだ、そんな子に外に出てきて見ろと言ったって、それはなかなか難しいんじゃないかということを言いました。

 おっしゃる点、もっともだと思いますので、ぜひこれはしっかりPRして、そしていかにして子供に見てもらうようにするかというのは最大努力しなきゃなりません。そのことはもっと周知徹底をさせたいと思いますし、せっかく文部科学省がつくったビデオをいかに有効に使うかということは非常に大事なことでありますから、このことも今の御指摘を受けて周知徹底するようにしたい、私はこういうふうに思います。

高市委員長 よろしいですか、あと二点の御質問は。

 近藤局長。

近藤政府参考人 少し補足をさせていただきますが、家庭教育ビデオとは中身が全然違ったものでございます。

鎌田委員 では、なおさらなんです。家庭教育ビデオを三本つくって産婦人科で周産期のお母さんたちに見せている、ポスターもつくっている。ビデオはもちろん三本、KONISHIKIからスキーの原田選手から、若干というか大分ギャラの高い人も出演をいただいてビデオをつくって、でも、このビデオが放送局で流れているのじゃない、放送局で流しているのは別の番組だ、別の番組をつくっていると。そうなると、もっとお金がかかっている、なおさら効果を上げなきゃいけないものなので、今副大臣の御答弁で、本当にそこを御信頼申し上げて期待をしたいと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

 大臣に、最後に一言御答弁いただきたいのです。

 この子どもゆめ基金にしても、それからこれからの教育を考えるにしても、我が国の文部科学省のトップとして、全国民に向けて、家庭教育の重要性、大切さ、そのあり方を憶することなくきちんと語って、説いて私はいいと思うのですね。子供と親のコミュニケーションの時間、対話の時間、触れ合いの時間、これが余りにも少なくなっているから今問題が出てきて、ゆめ基金も必要だ、夢を持ってもらいたいという声も上がっているのだと思います。

 それでなんですが、ぜひ御答弁いただきたいのは、今後、文部科学省内部で文部科学省の方々との議論あるいはこの委員会での議論も大切だと思いますが、大人がもっとゆとりが持てるように、大人が余りにも忙しくならないように、忙しいとは心が滅びると書きますけれども、この国の経済構造あるいは経済活動、産業構造、そういうところにも、教育の立場から、教育の見地から、省庁を超えて、特に経済産業省ですとか、そういうところと、教育をテーマにした議論をぜひしていただきたい。子供を育てる上での議論というものをしていただきたい。親にもっとゆとりある、仕事、仕事、仕事と、今は、そうじゃなくても余りに仕事で時間がないのですけれども、そういう議論をぜひ今後していただきたいというお願いを込めて御答弁をお願いします。

町村国務大臣 鎌田委員から大変貴重な御提言をいただきました。

 他の大臣と議論したことはしょっちゅうとまではございませんけれども、総理のもとでそういう話もたまに出ますし、あるいは、今、経済団体、青年会議所とか経団連等々とも懇談の場を持ちながら、できるだけ残業を減らすようにとか、あるいは有給休暇はみんなきちんと消化できるように、さらには教育休暇制度といったようなものもできるところはないだろうかと、そんなような話をしたりいたします。

 いずれにしても、今御指摘のように、母親もそうですが、特に父親が子供と触れ合う時間が世界の中でも一番短いという統計もあるようでございますので、その辺を大いに、父親もゆとりを持ち、また、父親もゆとりのある時間はすぐ仲間内で飲みに行ったりゴルフばかりに行かないような、ここまで文部科学大臣が言っていいのかどうかわかりませんが、そこをやはり、子供と触れ合う時間は本当に、特に父親は大切なんだということを、私も機会あるごとにこれから述べてまいりたいと思います。

鎌田委員 ありがとうございました。

高市委員長 平野博文君。

平野委員 民主党の平野博文でございます。

 二十分しかないものですから、余り細かいところは避けますが、私、このオリンピック青少年センターの改正法案について、当初、もうあそこは閉鎖するのかな、こういうイメージでこれを見ておりました。中を見ますと、そうではなくて、会社でいえば定款を一つふやして基金をつくろう、こういうことでございまして、子供の云々、こういうことでございました。

 当初、それはそれでいいとは思うのですが、ではどういう背景からそれが出てきたのか、こういうことでございまして、そうすると、いろいろな人から御意見を聞きますと、超党派の議連が一つの大きなトリガーになっている、こういうことでもございました。超党派の議連で云々ということになって、いろいろなことで議員諸公に聞きましたら、いや、わしはよく知らぬ、そういうのに入っているけれども、余り中に入って議論したことないわ、こういう声が大半でございました。

 さすれば、もう一つの大きな背景というのは、森総理が、教育国会、二十一世紀の教育のあり方、子供の云々と私的諮問機関からの提言もあった、そういうこともあわせて今日のこの基金の創設の大きな要因になっている、こういうふうに私は読んで、自分なりに解釈した視点でございます。

 ただ、一つは、議連で成っているということで、では会長はだれなんだといいますと、あの有名な村上さんだ、これはまたうさん臭い議連ではないかと、事務局長はだれだ、河村副大臣だ、少しは浄化されているのかなという気はいたしました。

 されど、もう一つは、スキームから見ますと、一方のKSDは民間の中小企業のために、こういうところから寄金を集めてやっている、これは将来の子供のためだ、スキームが非常によく似ているのですね。中身は違うと思います。しかし、つくっていくスキームが非常によく似ている。したがって、だからこれも同じだということは言いませんが、私は、KSDのあの教訓というのは、非常にこの中にも教訓として取り入れていかなきゃならない課題があるような気がいたします。

 そういう視点で、多少辛口の指摘をさせていただくかもわかりませんが、まず、ものつくり大学は私学であって、民間の資金を云々ということをいいながらほとんどが公的な資金だ。これも、この調査室から出していただきました、文部省から出ている部分でいきますと、国から、民間から資金を集めましょう、こういう中にあって、まだ民間への云々というのは全くない。どういうタイムスケジュールで民間の資金を集めようとしているのか、現下のこれだけ厳しい中で本当に集まるのか、こんなことが本当に計算されたスキームになっているのか、これが一つであります。

 もう一つは、これも文部省から出ているのでしょうけれども、子どもゆめ基金の事業費として、百億の基金に対して事業費が二十億出ている。主なもの、「子どもゆめ基金」(仮称)創設記念事業・文部科学省統合記念事業、ばかなことを言うな、これだけ世間が厳しいのに、統合したら記念事業として起こすのか。僕はこんなことはあってはならぬ、ちゃらちゃらし過ぎだと。ああいいことを書いているなとこれを見たのですが、これはたまたま調査室が勝手につくっているのかと先ほど確認に行ったら、いや文部省から出ている資料ですと言うから、何を考えておるんだと。現下の経済情勢が厳しい中で百億の基金を積むのですよ。こういうところを考えますと、このところに対して危機感あるいは真剣さが非常に足りないのではないか、私はこういう気がしてなりません。その点についてはいかがでしょうか。

河村副大臣 平野委員の厳しい御指摘、もっともだと思いますし、そのことを踏まえてこのゆめ基金を夢あるものにしていかなければいかぬと私も思いを新たにしたわけでございます。

 特に今御指摘の統合記念云々という話でございますが、これは実はこの基金をつくるについては財政当局にかなり強い抵抗があったわけですね。だって、この時代に百億の基金というのはどういうことなんだと。そこで、これは官僚側もといいますか、お役所側もいろいろ知恵を出して、基金が一番とりやすい、お金が、財政がとりやすい方法は何だと。

 これは、率直にぶちあけた話をいたしますが、実はあのときに、省庁再編については特別枠を認めるということがありまして、結局、スタートはそういう形で基金を積み上げていこう、まずつくることが先で、スタートしないことには夢が実現できないということで、実は、省庁再編枠という全体の何か漠然としたような枠の中の予算を、分捕ってきたというと言葉が悪いのでありますが、そういう形でスタートしたものであります。その中へ織り込んだ形でとっていったものでありますから、たまたまそういう書き方をしたので、そういう視点でごらんになると、何だこれは、こうおっしゃるかもしれませんが、あのときの予算獲得の一つの苦肉の策としてやったものでございます。

 しかし、これは、精神はもっと高いところにあるわけでございますので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。

高市委員長 河村副大臣、民間資金集めのスケジュールについての御答弁漏れです。

河村副大臣 これについては、議連のサイド、先ほど、議連に入っているけれどもほとんど知らないよとおっしゃる方は、議連の総会に御出席なさっていない方で、平野先生もいつも代理でございましたが、こっちは全部それはチェックしてあるのでありまして、それはそれとして、これはやはり民間の方にもぜひ育ててもらいたいということでございまして、これはセンターで正式に基金を発足いたしましたら、そこを窓口にして、募金の窓口もつくっていかなければいかぬだろうと思います。

 それで、いろいろな大きいイベントなんかもやりながら、そういうところへ実は子供が十万も二十万も集まるようなイベントがありますから、こういうときには、子供のためにいいことをやろう、皆さんも小遣いを出したらどうだというようなことも実は考えておるわけでありまして、そういうことも含めて、あの当時の試算では、一千億ぐらいとにかくつくろう、それで民間からもそのぐらい集めようという大きな夢がありまして、それは民間にもしっかり理解をしていただく。子供も百円ずつぐらいみんなが出してくれたら相当集まるのではないか、こんな議論もしながら、民間の方にも御理解をいただいた。しかし、現実問題として、今までのいろいろな基金がございますが、なかなか民間の寄金が集まりにくいことは事実でございます。相当努力をしなければいかぬ、このように思っております。

平野委員 私も議連の一員でございました。結果として知ったのですが、そんな議連ですから、十分な議論が、副大臣は一生懸命やっていると僕は本当に思いますよ。これはもう敬意を表します。

 ただ、私は、この仕組みで見たときに、一番気になりますのは、今言われましたように、こういう時節柄ですから民間からなかなか集まってこない。そうすると、所期の目的が達成でき得るのか。目的はいいものとするならば、達成でき得るのか。

 そこで、私が不思議なのは、基金というのは、その基金の運用益でもって事業をするというのが本来の趣旨ですよね。そうすると、民間から五百億、一千億集めてやっていこう、これが趣旨だ、こういうことである。こんな失礼な言い方をしたらいけませんが、これは森基金だと言う人もいましたよ。だから、私は何かうさん臭さを感じるのですが、それをも差し引いて、本当に百億の基金で、まずもって幾らの運用益を出してやろうとしているのか、お聞きしたいということと、基金運営でやるのに何で事業費をつけるのだ、ここの点についてはどうでしょうか。

河村副大臣 正直申し上げまして、百億の基金では、今の利息からいいますと、運用益なんというのはほとんど望めません。そういうことは我々の方も承知しておるわけでございまして、スタートさせる、そして積み上げていこうということで、これは文部科学省は、今そこまでとても財政当局に向かって言える話ではありませんと、実は内部でこう言うのですが、我々の議連等で考えたのは、とにかく一千億積むまでは頑張るのだ、そのぐらいないと実際の基金はできない、そうすると、本来、一千億の二%の二十億ぐらいの運用益でやりたいのだという夢があったわけであります。

 そこで、当初のときには、実際にせっかく立ち上げて、これがうまく活用できないと、まさに教育国会だ、そして子供の教育のことが問われている、それで夢を持たせる活動をしようということで、その総意として予算編成ということになったわけでございまして、これは予算、運用利息の先取りと言うとあれでございますが、みなし一千億に対して二%の二十億、このぐらいの運用費がないと実現できないのではないかということで、本来、基金だけの果実でやらなければいけないものでありますから、基金がある程度果実を生めば、この運営費というものは、当然削減され、なくなっていくものだと思いますが、その先取りという形で、とにかく二十億でスタートさせたいということで、これを実際の活動費に使う。

 しかし、今さっき鎌田委員の方からも御指摘がありましたように、実際には、文部省がやっている同じような事業もあるではないか、それをダブルでそんなものはだめだという指摘もありました、それはそうだと。だから、今子ども放送局等、そういうことをやっているものは、そっちに関して、その事業も一緒にやろう、それが七億七千要るわけですから、そういうものを含めて二十億という予算を獲得した、こういうことです。

平野委員 だから、財政を獲得していくスキームが運営上非常に複雑なんですよ。事業費は毎年二十億、これは今の予定では上げていきます。立ち上げだから、ことしの単年度に限って事業費を出すという発想ではないでしょう。これから集まるまでずっと永遠に出すのでしょう。極端に言ったら、目的が達成されなかったら、より事業費を予算として獲得していこうという発想に立つのでしょう。さすれば、基金なんという発想はやめて、毎年これだけの事業目録のために必要なんだという予算をつけていくことの方が、より透明性が高まるのではないでしょうか。その点は、一言で結構です、もう時間がありませんから。

河村副大臣 今の段階ではそういうふうな御指摘もあろうと思いますが、もちろん、この事業についてはきちっと公開をして透明を図っていきますから、その心配はないと思いますし、基金と運営費があると不透明だということに、私はそういうふうになるのかなと思っているのですが。

平野委員 では、どこでだれがチェックするのですか、基金の運用と事業費と。いわゆる決算、チェックの仕組みが変わるではないですか。二十億のところは云々と、基金は基金で別のところで独立法人でやるではないですか。そういう意味では、そういうスキームのやり方というのはないのですよ。基金に対して、事業費をつけてやるというやり方、こういうスキームは、私は未熟者ですが、余り聞いたことがないです。その辺はありますか、過去にそういう例は。

河村副大臣 実は、基金の中には地球環境基金というのがございまして、これは利息と運用費を一緒に使ってやっております。

 それから、オリンピック青少年センターに基金を置きますが、これは独立行政法人ですから厳しい評価を受けます。うちからも外からも、自己評価もやりますから、公開いたしますので、その点、私はきちっとやれば心配ないというふうに思います。

平野委員 それと、子どもゆめ基金ということですから、代々木のオリンピックセンターに事務局を置かれて、どれぐらいの件数が起こってくるのかわかりませんが、多分審査をする事務が大変な事務になるのではないかな、こういう懸念がいたします。

 しかしながら、ゆめ基金で実際の事業を支援していこうとしたら、より子供の現場に密着したところが、それぞれの地域の活動の特性に合わせた部分として活動支援をしていくことが、一番活動にフィットする仕組みだと考えるわけなんです。

 したがって、代々木で何人でやるかというのはよくわかりませんが、レクを受けますと、新しく人が二人来ました、これは二人で何をするんだ、物理的に二人でできっこない、そうすると、オリンピックセンターにおられる職員の仕事の効率化を図って、それも助けていただくのですよ、こういうことでした。ということは、オリンピックセンターは暇なのか、こういう見方にもなるわけですよ。

 したがって、きちっとしたもくろみで、例えば一イベントの助成が二百万なら二百万助成しますと、そうすると、これは年間何百件となる。それは二人が作業する。そういう中で、本当に厳正な審査なり、基準がぴちっとあって、能力の高い人でも物理的にできないと僕は思うのですね。

 その辺が、現実的にこういうものをすとんと落としていっても、実態上、ただ単に申請が来たから判をついて、だらだらと流すだけの、言葉を悪く言えば、いわゆるばらまきではないか、こういう酷評が得られる可能性が大なものですから、その点について、どんな仕組みでそうならないような考え方をされているのか、御意見を伺いたい。

河村副大臣 レクのときには、このゆめ基金のために十二名を配するというふうに説明をしたと思います。それで、二名は新規の方で、結局十二名でこの基金に対応していただこうということになっております。

 おっしゃるように、さっき最初に、もうオリンピック青少年センターは要らぬのではないかとおっしゃった。実は、オリンピックからこれだけたちますから、機能を果たしたのではないかという議論もあったことは事実です。それを改組する必要もあるのではないかという議論もありました。

 しかし、ちょうどこういう新しい発想が出ましたから、どこがいいかといろいろ我々も検討したのですが、ここをひとつ活性化しようということもありまして、そうなりました。

 それで、私は、いろいろなボランティア団体、NPO、いろいろやっておられますが、二県、三県にまたがって全国規模でやっているようなものは直接やる、できれば地方の、県あたりが集計して、ある程度一次審査ぐらいして出してもらうようなことも考えたらどうであろうか、こう思っておりまして、それが全部来たらそれはなかなか大変だろう、そういう仕組みも考えながら効率化を図っていくことも必要であろうというふうに私も思います。

平野委員 一般的なことを言いますと、国とかそういうところでいろいろなスキームをつくっていろいろな助成施策を打つんですが、知る人だけが活用するけれども、知らないからそういうものが全くわからない、こういうケースもよくあるんですね。したがって、これをもし本当に正しく運用、正しく支援をしようと思いますと、全国ネットできちっとした告知をして、やはりだれもが知り得る情報にしておかなければならないと私は思うんですね。

 ある人だけ、ある団体だけは一生懸命やっていますから、あらゆるところをひもといて、こうやったら助成してくれるんじゃないかと一生懸命考えている団体もありますが、純粋に、もう本当に、母親というんでしょうか、親のグループがボランティアで勝手に地域でやっているところもある。非常に温度差があると思うんですね。この辺をどう公平に支援していくかというスキームは、私は、現場でなければなかなかわからないのではないでしょうか。代々木にいたって鹿児島の地域でやっていることを一々手にとるようにわかるはずがない。

 そうすると、どういうふうなことが起こるかということは、ある特定団体に偏重するのではないか、こういうことも懸念されるわけでございますので、何とぞそういう懸念のないような運営、透明性、こういうところを特に御要望申し上げておきたいと思います。

 最後に、時間が参りましたが、大臣、大臣に何の御質問もしなかったら失礼ですから、文部省として本当にこれは心からやりたいと思った基金でしょうか。

町村国務大臣 先ほど来から河村副大臣が経過について御説明いたしました。いろいろな検討が幅広く行われました。当時の総務庁にも青少年対策本部がありまして、そこがいいのではないか、いろいろあった結果、いろいろ検討して、ここはやはりオリセンを活用するのがいいのではないだろうかということになってまいりました。したがって、検討の一番最初から当時の文部省が入っていたかといえば、それは必ずしもそうではない。ただ、最初は内政室あたりがまずとりあえず受けて検討が始まった、そんな経緯もあったわけでございます。

 しかし、こうやって私どもの方で法律も改正し、またしっかりとした事業、三事業をやっていこうということでございますから、私ども文部科学省挙げて一生懸命この事業が成功するように最大限の努力をしていきたい、かように考えております。

平野委員 質疑の時間が終了しましたので終わりますが、何とぞ子供をがっかりさせないように、期待の持てる基金にしてもらいたい、このことだけを最後に申し上げまして、終わります。

 ありがとうございました。

高市委員長 都築譲君。

都築委員 それでは、私もこの子どもゆめ基金の基本論のところから実はお話を聞かせていただきたい、こんなふうに思っております。

 子供たちの夢をはぐくむんだ、自立した子供たちあるいは思いやりを持った子供たち、自発的精神を持った子供たちを育てていくんだと大人が言う分には大変いいことなのでありますが、しかし、これが国、国家というものが言い始めるということについては少し慎重であるべきではないか、こんなふうに思っておりまして、それでも、本当に子供たちが健全にすくすく育ってもらうというためにはどんどん何でもやるべきだというのが私の考え方であります。

 ただ、気をつけなければいけないのは、幾つか留意点があると思います。

 まず第一に、子供たちのことでございまして、国家が子供たちの将来を管理する、そういう発想でいってしまっては困るのではないのかなというのが一つ。

 それから二点目は、子供の夢を育てるということで、いい夢を持っていたら幾らでもお金が出てくるんだよということで、何か子供のころから行政に依存するような体質を植えつけていくような発想では、これまた困るのではないのかなというのが二点目。

 それから三点目は、実はこういう施策というのは、どうも偏りがますます拡大していってしまうのではないのか。恵まれている子供はますますいろいろな施策を受けられるチャンスがあって恵まれていきますけれども、恵まれていない子供はどんどん取り残されて、ますますその格差が広がっていってしまうのではないのかな、そんな思いも実はするわけで、そういったことのないようにする必要がある。

 それから四点目が、それは、これほど厳しい財政状況のもとでありますから、むだがないように、むだなお金の使い方がないようにしなければいけない。それはまた、国の中でも当然でありますけれども、地方行政の分野あるいはまた民間企業、民間の団体が自主的に取り組む部分でも、何も一生懸命もう既にやっているところに国がお金を持って入っていく必要はないのではないか、こんなことを思うわけであります。

 まず第一点の、子供の夢とか未来、それこそ本当に、以前もこの文部科学委員会でも議論がございました。エジソンは小さいころできが学校では余りよくなかった、あるいはアインシュタインだって実は余り学校での成績はよいものではなかった、こんな話を聞くと、私も大変できの悪い学生でありまして、アインシュタインでもエジソンでも、そうか、子供のころは成績が悪かったんだ、大器は晩成するんだなんということを勝手に思い込んで、それが実は夢であったわけでありまして、そういったことを考えると、勝手に思い起こさせるようなことが大事なんじゃないのかな。

 あれこれ、はしの上げ下げまで細かく、国があるいは地方自治体が、民間の団体の皆さんが、あるいはまた大人たちが一生懸命手とり足とり教えていく。こんなことをやっていて、本当に子供たちが自分で夢を描いていくことができる力が身につくんだろうか、夢なんというのは勝手に自分で描くものではないのかな、こんなふうに思うわけであります。

 非常に抽象的な質問で大変恐縮でございますが、子供たちが自主的に本当は伸びてくる、そういった夢とかといったものに国が実は入っていくことになるのではないのか、そういった点についてどうお考えになっておられるのか、お聞きしたいと思います。

町村国務大臣 もとより、子供たちが持つ夢、希望、そうしたものに国が関与できるわけもありませんし、またするべきものでもないということは、もう委員の御指摘のとおりだろうと私どももそう思います。

 ただ、子供たちがいろいろな夢や未来に対する希望を実現したいと思ったときに、それを、手とり足とりまではもちろんできないと思いますが、一定程度支援しサポートしていくということは、それは私はしてもいいのではないのかな、こう思っております。もちろんそこに、いい夢だからとか悪い夢だから、そういう価値判断を持ち込むつもりももとよりございません。

 例えば今回のこの事業で読書活動を支援するということ、やはり本を読むということのすばらしさは、先ほど肥田議員の御質問にもあって、そうしたことについて、さまざまな形で、例えば公的図書館をしっかり整備する、あるいは学校の図書館を整備する、そこに図書司も置いて、しっかり読みやすい環境をつくる。そういうことは、私は当然やってしかるべきなんだろうと。

 今回のゆめ基金の事業の中で、例えば子供の読書活動、読み聞かせ運動を活発にやろうとしている場合に、そういう青少年団体を育成する、助成するということは、私は、間接的にその子供の夢をより大きく膨らませるのに役に立つ仕事なんだろう、こう思っておりまして、私どもとしては、子供たちの夢を実現する間接的なお手伝いをする役割が国の仕事ではないのかな、こう思っております。

都築委員 大臣のお考えも私はわからぬわけでは実はないんです。

 ただ、この仕組みの中で、例えば、民間団体、いろいろな団体が子供たちの自主的な活動やそういったものをはぐくんでいくんだ、こういうことでやられている。そういったところは財政がないから、このゆめ基金に助成金をいただきたいということで申請をしてくる。そうしたときに、先ほども質問がありましたが、結局、専門の皆さんが集まってそのプロジェクトというかプログラムというか、そういったものを審査する、その審査に合格したところが助成金がもらえてやっていける、こういうことになるわけですね。

 そうすると、そこには、ある程度ゆめ基金といったものをつくった国の意向といったものを踏まえて、その審査の過程で結局選別が起こってしまって、助成金をもらえるのは私たちの言うことを聞いてくれる団体。しかし、この団体はどうも言うことを聞かない団体じゃないか、そういったところにはお金は出せないんだ、こういうふうな形でのプログラム、プロジェクトの選別といったものを通じて、結局、国がそういった団体の活動に介入していってしまうことになるのではないか、そんな思いがするのですが、そこら辺はいかがでしょうか。

河村副大臣 本来、このゆめ基金というのは、国の方から押しつけて、こういうことをやってくれということでやるものではないと思うのですね。地方や、いろいろやっておられる、そういうものから、自発的に起きたものから選んでいくということになろうと思います。

 ただ、これをどういう選び方をするかというのは考えなければいけません。できるだけ各県にうまくいくようにするやり方もありましょうし、いいものから選んでいくというやり方もありましょう。私は、基本的にはできるだけ各県にうまく渡るように、ある程度県が推薦してきたもの等を優先的にするとかいうふうにして、数をできるだけ集中しないようにするということも考えられるのではないかと。

 おっしゃるように、こういう団体は何か言うことを聞きそうにないからとか、そういうことで、この基金の性格からいって、基金とか国のやる事業は本来そういうものであっては当然ならぬわけでありまして、そういう発想には絶対ならないという前提に立って、この事業は運営していかなければいかぬと私は思いますよ。

都築委員 河村副大臣の今の御説明もわかるのです、確かに、県の間で大きなばらつきがないようにうまくやっていくんだとか。ただ、そういう発想自体が、実は、そこでもうスクリーンがかかっていることになる。

 僕は、本当に大切なことだ、子供たちのために重要な活動なんだというのだったら、二十億の金があるのだったら、二十億の金をぼんとそこにつけてやっていくぐらいのことをやってもいいのじゃないか。だから、結局、四十七都道府県均等にプロジェクトが上がってきたから、四十七都道府県均等にばらまかないと不公平だからということで、そこで、大したプロジェクトでもないけれども何々県の申請だからこれは面倒を見るか、ここのところは本当にいいプロジェクトだけれども規模が小さいからこの程度しか出せないんだ、こういう話になってしまうのではないかと思います。

 だから、それぞれの団体が自由に出してくる発想だというのですが、そこのところは本当に大丈夫なのか。これは審査委員会の運営の問題になってくるのかもしれません。ただ、そこは国の全体の意向を、独立行政法人ですから、やはり踏まえないといかぬ。国が直接やるわけにいかない、しかし民間にやらせておくわけにもいかない、こういったところを独立行政法人がやるわけですから、そこのところをどうお考えなんでしょうか、非常に難しい質問で恐縮ですが。

河村副大臣 そのような御指摘を受けますと、私もなるほどな、こう思うわけでございまして、その辺は、昨年一年間読書活動でいろいろ各県でやった例もございます。そういうのも参考にしていただいて、先ほどもありましたように、費用対効果ということも考えながら、この基金ができるだけうまく活用できるということでやってもらわなければいけません。それは審査基準の中で、ぜひその辺も含めて検討していただきたい。

 おっしゃるように、とにかく平等にやったら全然やらなかったということがあってもいかぬわけでございます。そういうことも配慮して、できるだけ多くの団体がこの基金を活用できるようにということを中心にしてやっていただく。特に、独立行政法人でありますから、当然、中期目標等も出てまいります。どこまで目標を立ててやるとか、こういうことも出していただく、そして評価もしていただく。そういうことでございますから、独立行政法人でやることによって透明性も確保できてうまくいく、私はこういうふうに今確信をしておるところであります。

都築委員 ということで、もう少し詳しく基金の実態、事業の実態というものをお聞きをしていきたい、こんなふうに思うのです。

 先ほどからも質問が出ておりましたが、うわさで聞いたのは、この基金全体も実は一千億円ぐらい積み上げていくんだ、そういうふうなお話も聞いたのですが、実際にそこら辺の基金自体の将来計画はあるのかということ。

 それからもう一つ、民間から寄附金等を募る、こういうことになっておりますが、民間からの寄附金、これは今どういうふうにお考えになって、どういう手だてを講じていこうとされて、どの程度の額を民間に任せようとされておられるのか、そこら辺のことをちょっとお聞かせいただけますか。

河村副大臣 御承知のように、このゆめ基金の発想そのものは、議連等、あるいは総理の諮問機関であります、そういうところからもいろいろ発想が出て、子供たちにもっと夢を持たせるような体験をということから出てまいったものでありまして、これは国だけじゃなくて民間もという声が非常にあったわけです。

 そこで、当然、民間からも積極的にこのことに支援をしていただかなければならぬということで、最初のスタート時点では、少なくとも政府の出資金を上回るものが民間から寄附されることが望ましいという発想に立っておるわけでございます。

 しかし、現実にこういう経済状態でございますから、今の時点で、政府が、とりあえず百億、今出資をお願いしておるわけでございますが、これがすぐ百億ぴしゃっと集まるかと言われると、なかなか自信が持てない状況下に、私は現実問題としてあろうと思います。

 やはり、広くPRもし、我々議連サイドでのいろいろな話の中では、子供たちにまで呼びかけて、百円玉募金でもいい、広く薄くやることによってこの基金が育つ、そういう議論もあったわけでございます。そういう発想にも立って広く呼びかけていこうということで、どこかの大きい企業にぼんと出してもらうというのは、今、現実問題、そういうやり方でできるような性格のものでもございませんので、広く薄く寄金を募集していく。そしてこのセンターができましたら、ここで募金の窓口もつくって、しっかりPRもしていこう、こういうことでございます。

 今の時点で幾らということが確定できませんが、あくまでも願いは、政府が出すそれを上回る寄金を募金で集めたいということ。

 それから、一千億と申し上げました。今運営費を二十億つけたのも、一千億の二%という一つの目安を持って我々も要請をして獲得したものでございますが、そのぐらいの基金がないと実際の運営はできないのではないかということでございますので、スタート百億ということでございました。これから一千億まで積み上げるには相当我々も努力しなければなりませんし、議連の皆さん、また御協力いただく皆さん方にもしっかり御声援をいただいて、このゆめ基金が積み上がるように努力をしていかなければならぬ、このように思っています。

都築委員 政府の出資額を上回る民間からの出資、募金が望ましいということでありますが、実際に、本当に具体的にやっていかないと、子供たちから百円、寄金を集めるなんて言って、そんなことで集まるわけが全然ないわけでありまして、百億なんというのはとんでもない大きなお金でありますから。

 ただ、独立行政法人として本当に、寄金を募っていくというふうな活動そのものが、私自身は、半公的な法人としてどこまで、確かに地球環境基金の問題はあるかもしれません。これは地球環境問題に関して、政府が音頭をとって、いろいろな関連の企業、団体にお願いをして寄金を募るんだ、それで政府自身もまた出していくような話があったと思うのです。

 この子どもゆめ基金、確かに本当に大事なお話ですから、たくさんのお金が集まって、事業がたくさん実行できるようになればいいということはあるかもしれません。しかし、今のようなお話を聞いている限りは、それこそ、先ほどの御指摘ではありませんが、毎年毎年事業費を二十億円も計上するんだったら、二十億円、百億あるだけで、これで百二十億。ということは、これで実は六年分の事業を実行していくことができるわけですね。百億円を積んで、百億円が利子を生み出すまでそこにずっと寝かせてしまうということを考えたら、今こういうことをやっていていいんだろうか、これだけ財政が厳しい状況の中で。毎年二十億円ちゃんと積んでいきますというぐらいの約束を、財政当局がもし何か言うんだったら、財政当局としっかりやって、実行していった方が、よっぽどか今の厳しい財政環境からいったらふさわしいのではないか、こんな感じがするのですが、いかがですか。

河村副大臣 この基金の発想は、先ほども御指摘ありましたように、民間がなかなか期待しにくいということもございますけれども、やはり民間と一緒になってやっていこうという発想でいったわけであります。そういうことであれば、やはり運営費を出してくれというのではとてもあれですから、寄金を皆さんで集めていこうという発想でありますから、政府もやりますから民間にもお願いをしようという発想で来ましたものですから、こういうことでございます。

 確かに、それはそれだけの予算がいつもつけば手っ取り早いわけであります。しかし、子供の夢を育てるというのは、これは先の長い話でありますから、この一年の問題ではありませんし、利息もいつまでもこの低金利が続くということは考えられぬわけでございますので、またそうであってはならぬ、こう思っておりますから、ある程度先に夢を見ながら、十年先ぐらいの夢を見ながら、当面今やれることはこういうことだ、だから広く呼びかけることによって、環境問題もそうでありますが、しっかり御理解をいただく努力をもっともっと積み上げた中で、この我々のゆめ基金の夢を果たしていく、このように考えておるわけです。

都築委員 御説明がよくわかるからあれなのですが、私は哲学が全然違うから、ちょっときついお話を申し上げて大変恐縮なのですが、今利率がこんなに低いというのは本当に異常な事態だろうと思うのです。逆に、ただ利率がぽんと上がり出すということはインフレ状況がやってくるという状況ですね。インフレになったら、百億円というのはあっという間に実は今の百億円の価値を失っていくことになってしまうわけなのですね。

 では、基金をどうやって運用するのだ、こういう話を見ておりますと、基金に関する規定の新設ということで、実は独立行政法人通則法の規定を準用して、基金の運用は、国債など、あるいはまた銀行などの文部科学大臣が指定する金融機関への預貯金、それから信託業務を営む銀行または信託会社の金銭信託で元本補てんの契約があるものに限定される、こういうふうになっている。

 ということは、結局お金で持つということですよね、現金かあるいはまた預金か、あるいは信託か国債か。だから、そういったものが実はインフレとかといったものに対しては一番弱い、脆弱な資産運用の方法であるということはおわかりいただけると思います。だから、例えば土地とか、今は地価がどんどん下落をしているから、不良債権が毎年毎年発生して大変な状況になっているというわけでありますけれども、そういったものとはちょっと違う性格のものであるから、本当に大丈夫なのかなということを私は思うわけであります。

 そもそも、こんな基金なんという形でわざわざ積んで寝かせておいて、将来どうなるかわからないもの、そういったものの運用利回りを当てにして事業を組もうとしているけれども、お金が足りないから当面財政的に二十億円も援助して事業を回していこう、こういう発想自体がやはりおかしいのではないかということを申し上げたいのですが、いかがですか。

河村副大臣 そういう観点からごらんになれば、その事業費をいつも積んだ方が効率がいいとおっしゃるのは、私もわからぬことはございません。

 しかし、冒頭申し上げましたように、これはやはり国民運動にしていかなかればいかぬ。やはり皆さんの理解をいただいて、さっき申し上げたように、そんなものだとおっしゃるけれども、やはり子供も参加できるような、さっき子供も参加する事業という指摘もございましたが、それならやはり基金という形で皆さんに積んでいただこう。今こういう時点だからなかなか寄金も集まりにくいだろうからという安易なあれではなくて、いや、そうかもしれないけれども、しかしこれはやはり皆さんの夢を、子供の夢をつくるのだから、大人の皆さんも子供の皆さんも一緒に参加していただきたい基金ですということに視点を置いて、基金でいこう、こういうことになっておるわけでございますので、そういう視点でひとつこの基金を見ていただきたいというふうに思うのです。

都築委員 確かに、大人も巻き込んで、社会全体巻き込んで、シンボルとしてこういったものを中心に取り組んでいくのだ、こういう発想は大変私ども大事なことだな、こう思うのです。

 それでは、今の基金のところからもう少しちょっと掘り下げてまいりますと、基金の造成について今申し上げましたが、今度は基金の実際の運用方法、今申し上げた国債だ、預金だ、あるいはまた信託だ、こういうふうなお話でございます。

 預金だったら、銀行にぽんと預ければ、百億預けたら銀行は大喜びですよね、はっきり言って。そういう問題。では、国債とか信託とか、そういったものは手数料はどういうふうになるのですか。いずれにしても、民間の業者を通じて国債を購入するとか、手数料を払って信託をお願いするとかいう形になっていくのではないですか。そこら辺のあれは、ちょっと細かい話で、通告までしていなかったのですが、おわかりになりますか。

遠藤政府参考人 委員御指摘のように、この基金につきましては、有価証券あるいは金融機関への預金、郵便貯金、金銭信託、こういうことでございますけれども、手数料については一般と同じように、預けたこの中からあれしていくということでございます。

都築委員 預けたあの中からというのはどういうことなのか。

 だから、私が心配しているのは、今回、二十億円、事業費がついておりますけれども、その二十億円の事業費、例えば文部科学省がつくっていただいたこの資料、そして調査室がまとめていただいたこの資料の中に、十三年度予算案ということで、科学少年少女派遣事業が四・三億円、子ども宇宙ゆめ体験事業が〇・三億円、合計四・六億円ですね、実際に。それで、このほかに、国民総参加型の次世代支援運動ということで、いろいろなボランティアの団体、民間の団体、そういったものに対して、先ほど申し上げた助成金を、申請があったら審査をして出していくのだ、そういった事業に恐らく何億だろうと思うのですよ。ただ、そこの具体的な内訳といったものをもう一度、管理経費、そういったものを含めて、事業費と二十億の内訳はどういうふうになるのか、ちょっと教えていただけますか。

遠藤政府参考人 事業費として二十億ございますけれども、これの運用に当たる職員、基金部という部を設けてその仕事に当たるわけでございますけれども、これについては、独立行政法人のセンターに対する運営費が別に交付金という形で出ておりまして、その中に、例えば事務経費等を、一応積算としては、この基金を創設するに伴っての事務経費ということで、一千五百万を別に交付金の中に積算をしておる、こういう状況でございます。

都築委員 事務経費、一千五百万円というのはかなり額が少ないなという感じが私はするのです。正直申し上げて、先ほど職員が十二人というふうな御答弁を……(河村副大臣「新規、二名です」と呼ぶ)新規に二名ですか。

 では、ちょっとそこら辺のところも含めてお聞かせいただきたいのですが、平成十三年度の予算案は、運営費交付金額が四十五億円、オリンピックセンター全体としてですね、基金事業費が二十億円、管理費等が二十五億円、それから事業収入が六億円で、総運営費が計五十一億円、こういうふうに聞いております。出資金額が百億円、施設費補助金が一億円、合計百五十二億円というふうに、調査室がまとめてもらった資料では、実は平成十三年度のオリンピックセンターの予算案として出てきております。

 今言われた事務経費は、恐らく管理費等の二十五億円の中から出てくるのかなという気もするのですが、あと事業収入六億円というのが実はあるのです。この六億円の中に、この出資金の百億円の運用利益が、一%で回せば一億円、二%で回れば二億円入ってくる、それはこの六億円の中に見込まれて入っているのかということと、それからオリンピックセンター、新規に二名入って、ゆめ基金事業関係の職員数は全部で十二人になるわけですね。十二人になると、例えば人件費だって今の状況はそんなに甘くはないですから、一体どれくらい見込むことになるのか、そこら辺のところを聞かせてください。

遠藤政府参考人 最初に事業収入六億円でございますけれども、これはオリンピックセンターが従来から研修あるいはいろいろな青少年団体があそこを使って活動するということでございまして、その使用料とか宿泊費等の収入がございまして、それが六億、こういうことでございます。

 それから、人員につきましては、現在といいますか、この四月から、新規二名を含めまして、この青少年総合センター、理事長以下六十三名の職員によって管理運営をしていくということでございまして、新規の人間は二名ではございますけれども、先ほど副大臣の方から御説明申し上げましたように、いろいろな効率化、あるいは受け付け業務などの定型的業務の外部委託といったようなことをいたしまして、十二名の体制で部をつくりまして、そこで基金の運営をしていく、こういうことに相なっているわけでございます。

 したがいまして、この人件費等につきましては、今ここで幾らとはすぐ出てまいりませんけれども、この管理費等の中で支払われる。先ほど私が申しました一千五百万というのは、人件費は別としまして、全くの事務経費、基金創設に伴って増額されましたのが一千五百万、こういうことでございます。

都築委員 それで、そこら辺のところ、御指摘申し上げたいのは、基金といったものをつくることによって、実は、さっきから申し上げておるように、余分な事業ができてしまって余分な人員が十二名かかる。だから、もともと国の方で予算をざっと配分してしまうとか、あるいはまた地方に渡してしまうとかいう形をやればそういったものはなかったんではないかというまた問題点にも私は行き着いてしまうんだろう。

 だから、本当に基金方式で頑張るんですか、二十億の事業だったら二十億の事業を国直轄でいろいろなところでやっていく方がよっぽどか効率的じゃないですかと。あえて百億円積んで、そして今ちょっと御答弁を聞いておりますと、その六億円のうち貸し席料、いわゆる使用料とか宿泊料とか、そういったものが収入六億ということですが、利息が入っていないというのはどういうことなのかなという気もしてしまうんですよね、百億円をどうやって運用するんだと。

 それで、さっきちょっと話が飛んでしまいましたが、百億を預金で預けるんだったらそれは多分問題ないでしょうけれども、国債を買う、あるいは信託で回す、こういうことをしたときは、手数料が相当な額かかると私は思うんです。だから、そんな出費までしてやっていくのか、毎年毎年二十億の事業をちゃんときちっとつけて運用していった方がよっぽどかいいんじゃないか、こういう指摘になるんです。

遠藤政府参考人 直接のお答えにならないと思いますけれども、事実関係で申しますと、百億の運用でございますけれども、果たして十三年度にきちんとどのぐらい出るかということがはっきりしていないものですから、予算的にはまだ実はそこは見込んでいないということでございます。

都築委員 そこら辺のところも数字などがわかれば、それから手数料がどれぐらいかかるか、そういったところも、情報公開の世の中ですから、ぜひまたこれからわかれば教えていただきたい、こんなふうにお願いをしておきます。

 それからもう一つは、子供参加型基金だということをいろいろな審議会などの提言でも言われて、このゆめ基金ができたということですが、子供参加型といって、子供が本当にどうやって参加をするんだろうか。先ほどの、募金で百円玉を一つ預けるとか、そういったことを言われるのか、その発想自体がちょっとよくわかりかねておるんですが、子供たちのことを考える団体がいろいろな事業をやるときに、その支援をこのゆめ基金の事業費の中から補助金としてやっていくんだ、こういうことはわかるんですが、子供がどう参加してくるのか、そこら辺のところを御説明いただけますか。

河村副大臣 先ほど子供参加型というお話が出ました。それは、実は、子供参加型の事業といいますか、そういうものに子供が企画したものを取り上げてもらいたいというのは、肥田委員からも御指摘がございました。それは、高校生あたりになりますと、いろいろな夢を描いて、こういうことをやりたいというのが出てくるであろう、そういうものもちゃんと取り上げてもらいたいという御指摘であったろうと思いますから、当然そういうものはその対象になるでしょう、また、そういうものがあってしかるべきであろうというふうに御答弁申し上げたわけです。

 それから、この基金そのものに子供が参加してということ、これを運営というところまでは考えておりませんが、もちろん、さっき申し上げましたように、この子どもゆめ基金には、どうぞ子供さん方も百円玉募金をしてくださいということはあってしかるべきではないか。自分たちでもこれを育てていこうという機運を盛り上げていく。

 例えば、子供たちがいっぱい集まるような、人気者スターなんかが集まった大きいイベントなんかがある、十万も二十万も集まる。そういうときに、これは我々議連の内部で話し合ったんです、例えばGLAYなんというようなああいう人が集まったときに、さあ、こういう基金がある、あそこに、募金箱へ入れようと言ったら、みんな入れるんじゃないか。そういうふうにしてずっと基金も盛り上げていったらどうか。百億から考えると夢みたいな話かもしれませんが、そういうことの積み上げ、積み重ねで子供たちにもどんどんこのことに参加していただこうというのが、子供参加型の基金にしようという発想にあるということであります。

都築委員 そこが、実は私の理解を超えてしまうところでありまして、大変いいお話のように聞こえるんですが、私ども自由党の立党の精神は、自由、自立、自己責任、連帯ということでありまして、戦前を考えてみると、自由は全然なかったんですね。思想の自由も信教の自由も、あるいはまた政治活動の自由も、移動の自由さえもなかった。

 そういった中で、自立と自己責任というのはふんだんに実はあった。事業に失敗したら全部自分で責任をとれ、こういう話ですし、自分一人でちゃんと両足の上に立って稼いでいかなきゃ、自分の生活もだれも面倒見てくれなかった。自由、自立、自己責任といったら、自由は全くなかったけれども、自立と自己責任はふんだんに与えられておった世の中だった。そんな世の中でも、大戦争が起こったときは、お国のため、社会のため、あるいは家族のためといって戦地に赴いていった若い人たちがたくさんいたわけですよね。

 今、戦後の世の中になったら、自由、自立、自己責任どうかと言われたら、自由なんかふんだんにあふれておるわけじゃないですか。やりたい放題と勘違いしているぐらい自由といったものがあふれているような世の中で、じゃ、自立と自己責任はどうかといったら、自立しているか、自立がなかなか難しいから一生懸命あれしましょう、銀行とかいろいろな金融機関とかなんかが失敗したら、何兆円も公的資金をつぎ込んでそういったしりぬぐいをやるような、自己責任なんかどこに行っちゃった。昔の企業の経営者だったら、みんな首をつって、申しわけありませんでしたと謝って、そういった責任を果たしていった人たちがいるのに、今全く逆転しているんですね。自立も自己責任もない、しかし自由だけはやりたい放題勝手にやるような世の中になってしまった。私は、そこに今の教育の一番の問題があるんじゃないのか。

 だから、確かに高校生の皆さん方が一生懸命やるというのはいいことだ。自分でやってみなさい、何も国のお金を当てにしてそんなことをやらなくたっていいじゃないか。自分で一生懸命、だって、昔の子供は飯を食うために新聞配達をやったり、今でもやっている子もいますけれども、いろいろなアルバイトをやったり、苦労して勉強してきた子たちがたくさんいるわけでありますから、何か国が何でもかんでもお金をいい発想だから出していくということ自体が、僕は甘やかし過ぎているんじゃないかというふうに思うわけで、ちょっとそこが私の理解を実は超えてしまうところでありまして、これについてちょっと御答弁をいただこうとは思いませんけれども、そんなことで、ちょっとまた次の論点に移りたいと思います。

 この事業のむだ、重複を避けるということで、例えば、地方自治体もいろいろな取り組みをやっておられます。地方自治体によっては、本当に立派な科学館とか博物館とか、あるいはまた自然公園とか、いろいろなものを手配して、そしてまたソフトウエアも充実させて、いろいろなことをやっておられる。そういったものとこの事業というのは本当に重複していってしまうんじゃないのかなというところがあるわけであります。

 それからまた、民間の企業の方も、実は、先ほどソフトウエアの開発とかいろいろなものがありました。ただ、子供たちは、おもしろいと思ったものには、今はそれこそ百円、二百円で漫画の本だって買える、雑誌だって買えるわけでありますから、そういったものでとにかくしのぎを削って、いいもの、おもしろいものを提供する。おもしろいものだったら子供たちはみんな自分の金を持ってきて買うわけでありますから、何となく、この民間との競争という観点から見ると、どうも武家の商法を地でいくような、これはいいものだから、これはいいものをつくったんだからこれを読めとか、これを使えとかいうふうなことをやるような実は事業内容になっちゃうんじゃないのか。民間はもっとだから本当に熾烈な競争。

 ただ、余りにも中身として過激な性描写とか暴力場面とか、そういったものはこれはまた別の観点からの規制が必要だ、私はこういうふうに思いますけれども、そんないいものだったら自然に子供たちは買っていくわけですから、何もそんなものと重複するようなところに公的なお金を、税金をつぎ込んでやっていく必要はないのじゃないかというのが私の考え方なんですが、いかがでしょうか。

河村副大臣 おっしゃるとおりでございまして、先ほどたしか、国の管理になっていくのではないかという話もありました。私は、そういう発想ではなくて、これはあくまでもそういう活動を国も支援していこうということでありまして、既に地方自治体がおやりになっていることについては屋上屋を重ねないように配慮が必要でしょう。

 しかし、やはり地方団体でそういうことを、どんどん芽が、今NPOを初めとして読書活動なんか起きていますね。しかし、そういう人たちが苦労されているのは、もうちょっと資金があると活動できるものがたくさんあります。そういうものを支援していこうという発想でありますから、国がこういうことを始めたから、さあ、これをやれというのじゃなくて、どんどん上がってくるものを支援していきましょうという、地方のいろいろな活動と相まって、国もそれに呼応するという姿、それを求めてこの基金があるというふうに思うのです。

都築委員 大分時間が少なくなってまいりました。副大臣の言われることは本当によくわかるのですが、そのもう少し金があったらというところを突破するエネルギーが新しい地平を開いていくと僕は思うのですよ。

 私も、地元の方でいろいろな、障害者の子供を抱えるお母さんたちのグループの集まりとか、そういうところに出させてもらいます。肝心なそういったところには実はお金が集まってこないのですよ、はっきり言って。最近話題になった財団法人とかいろいろな公益法人がありますけれども、そういったところは大手のスポンサーがどんとついて、何億という金を出して公益法人をつくって、そこの理事長とか理事に奥さんとか息子さんが入って高給をもらって、悠々自適、左うちわの暮らしをやっている。これは何か世の中おかしいのじゃないかというふうな思いもするわけでありまして、そこの壁を本当にどう乗り越えていくのか、そういった形で後押しをするということも大切だと思いますが、ゆだねるところも大切ではないかなという気がします。

 それから、最後の問題は、実は、恵まれた子はますますよくなっていく。いろいろな先ほども情報の話がありました。大体、所得の多い家庭とか、成績のいい子とか、親が一生懸命関心を持っている家庭とか、それから例えば都市と田舎、自然体験とか何かいっぱい出ているけれども、そんなの中山間地へ行ったら自然なんかあふれるばかりいっぱいあって、野を駆け回っているわけでありますから、大体都市向けの政策かなというような感じもしてしまいかねないわけであります。

 恵まれない人たちにとっては、全然情報も入ってこない。こんなプログラムがある、こんなことがやられている、全然そんなところは事業の対象にならない。だから、そこは何かおかしいのじゃないのかな、ますます格差を広げるような施策にならないように、そこら辺のところを、ちょっと御決意というかお考えを聞かせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。

河村副大臣 デジタルデバイドということがございましたが、やはり格差が起きないようにということは当然のことだろうと思います。そういうことは十分配慮されてこの基金が運営されるようにということを願っておりますし、できるだけ広くいろいろな形のものを取り上げていく中でそういうことが起きないようにしていく、これは非常に必要なことだというふうに思いますので、今の御指摘も踏まえて、今後の審査基準等々の中にも織り込んでまいりたい、このように思います。

都築委員 終わります。

高市委員長 石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 自然体験や社会体験、子供の読書活動など、子供たちの成長、発達にとって不可欠であるということはもう言うまでもないと思います。学校の中でも学校の外でも、こうした自主的な活動、体験を重ねていくということ、進めていくということは、今日的にも非常に重要だというふうに私も思っています。

 しかし、そのためにも、私、最初に強調させていただきたいと思いますのは、やはり体験活動できるための条件整備はどうなっているのかという問題なんですね。社会教育法の三条、四条を持ち出すまでもありません。やはり国の責務はそうした条件整備をすることにあるということじゃないのかということでありまして、まず最初に、そういう社会教育活動についての行政の基本姿勢について、大臣に伺っておきたいというふうに思います。

 政府はこれまで、図書館など公立社会教育施設への国庫補助を一般財源化しました。国立青年の家も独立行政法人化されるわけでありますけれども、私は、やはり条件整備の施策というのは後退させてきたと言ってもいいと思っているのです。しかし、今申し上げましたように、体験活動とか読書活動など、地域で多彩に取り組まれているわけです。今お話のあったように、そういう活動を本当に支援していくということのためにも、施設や設備の充実あるいは指導員の配置などが求められているというふうに思うのです。そういう条件整備の施策について、これを機会に改めて検討するということをお考えになっていらっしゃるかどうか、お伺いしたいと思います。

    〔委員長退席、鈴木(恒)委員長代理着席〕

町村国務大臣 自然体験の場としての青少年教育施設、あるいは読書活動の場としての図書館、公民館、これらが大変重要な役割を果たしているというのは委員の御指摘のとおりでございます。

 中核的な青少年教育施設としては、国立青年の家を全国で十三カ所、それから国立少年自然の家を全国で十四施設、さらに今回のこの国立オリンピック記念青少年総合センターというものもあるわけでございます。

 こうした施設、あるいは各地域にあります公立の青少年教育施設、図書館、公民館、これの整備につきましては、かつてはその建設費の一部を地方公共団体に御指摘のように補助してまいりました。ただ、大分全国的には整備が進んだということ、それから起債で地方単独で整備が可能なこと、さらには、これは平成九年の地方分権推進委員会の勧告によりまして、地方公共団体の自主性、自立性を高める観点から補助金の整理合理化を図るようにというようなことで、平成九年度限りで、いわゆる箱物の整備といいましょうか、施設整備に関する補助制度を廃止いたしまして、御指摘のように一般財源化したということでございます。

 ただ、では何もやっていないかというとそういうわけではございませんで、平成九年度からは、多様化、高度化する学習ニーズに対応するということで、社会教育施設を高機能化しようではないかということで、そうした目的にかなり限定して、着目して施設整備の補助をやっておりまして、例えば、図書館が身近にない場所には移動図書館車を配備する、あるいは最近の情報化の進展に伴い、情報検索用のコンピューターの整備をするといったようなことで、新しいニーズにこたえられる、そういう整備を今進めているという状況でございます。

石井(郁)委員 私も、文部科学省の社会教育調査を見てみました。例えば、青年の家などの青少年教育施設でありますけれども、九九年度は三年前より減少して千二百六十四カ所なんですね。図書館でいいますと、若干ふえているとはいえ二千五百九十三カ所、市区町村当たりで一カ所にもならないという状態です。今ある図書館でも、本当に中身が、例えば読み聞かせができるようなスペースになっているかどうかだとか、いろいろあるんですね。

 そういうところの配慮だとかももっとしていきたいということで考えますと、私は、今お話しのようにとても条件整備ができているなどと言っていられない。博物館だとかも、そういう意味での一定の箱物はいろいろできましたけれども、今本当に、子供たちが使える、子供たちの体験に役立つ、そういうものになっているかどうかということについてはもっと検討が要るというふうに思っているのです。

 加えて、二〇〇二年度からは完全学校五日制になりますね。土日の休みをどうやって子供たちは過ごすかという問題になるわけです。だから、体験活動を重視するというのだったら、土日、地域や社会全体で、子供たちが日常的にいろいろなことができる、こういう施設というのは、今真剣に考えなければ本当に大変な状態になるというふうに私は思うのです。

 そういうことで、今どういう状況にあるのか、こういう状況をどうするつもりかということについて、私は、文部科学省としての認識を伺っておきたいと改めて思いますが、いかがでしょうか。

町村国務大臣 委員御指摘のように、週五日制、土日の重要性というのが改めて問われなければならないということで、先ほども他の委員から、鎌田委員でしたか、御指摘がありました。例えば全国子どもプラン緊急三ケ年戦略というような形で土日の受け皿づくりということを進めているところでございまして、子どもセンターの全国展開、子ども放送局の設置、あるいは子ども長期自然体験村、子供の商業活動体験などなど、いろいろな形で今進めているところでございます。また、既存の、ボーイスカウトであるとかガールスカウトであるとか、そういったような団体もございますし、また現実には、NPO等々、大小問わずいろいろなボランティア的な活動も始まっている、進められているということでございます。

 そういうもろもろの活動と相まって、週五日制、逆に言うと土曜日、日曜日、社会と触れ合う、あるいは自分と年齢が随分違うような人たちと触れ合うことによって、子供の社会性を増すといったようなこと。さらには、家族との触れ合いが乏しいという、先ほど御指摘もいただきました。土曜日、日曜日に、何も豪華なレストランに行かないでも、家族でみんなで触れ合うような、そうした時間をよりみんなで持てるようにする。そうした土曜日、日曜日の有効活用というものを、あわせて、みんながいろいろな立場で、いろいろな方法で努力をしていっていただきたい、こう期待をしております。

石井(郁)委員 全国子どもプランですけれども、これは情報の提供ということが目的になっているのですね。いろいろなネットワーク、いろいろな情報を提供するということになっているようでして、今私がお尋ねしましたのは、子供が身近に図書館に行けるとか、身近に何か活動の場があるとか、そういう条件づくりというのは、これは国の責任じゃないのか、あるいは公共団体の責任、行政の責任ではないのかということで申し上げましたので、大臣のその御答弁で、私はそういう認識だと少し違うかなというふうに思うのです。

 実際、現場のことでいいますと、自然体験活動をしてキャンプに取り組んでも、施設の使用料、交通費で相当な負担だ、こういうことに対して、例外のない軽減措置なんかはとれないのだろうかという声などが随分寄せられています。それから、都会に近いキャンプ場ではオートキャンプ場がふえる傾向にありますが、風紀や安全の問題も含めて、子供の自然体験が十分取り組めないというようなことも言われているところですね。それから、読み聞かせでいっても、子供の本を購入すること自体が困難だ、後でこれはまた申し上げますけれども。それから、指導員としてこういう活動に大人が参加するための条件、ボランティア休暇とか有給取得率の向上など、先ほどありましたね。こういう問題などがどうなっているかなど、やはり行政が本当に条件整備として調査し、実施できることというのはいろいろあるし、今そこをやらなくちゃいけないのじゃないかということで申し上げたわけであります。

 今回のこの法案ができますと、助成金の申請がいろいろ出てくるわけでしょう。だから、多くの団体と行政の接点というのもまたできるわけですよ。私は、そういう意味で、これを助成金の申請にとどめないで、本当にどういう条件整備が必要なのか、いろいろな民間の団体がどういう要求を持っているのかということをちゃんとつかむということが、私は行政の姿勢として必要ではないのか。だから、助成金交付行政で終わっちゃならないということを申し上げたいというふうに思うのです。

 つけ加えますと、先ほども出ていますように、助成金の交付というのは、もうたくさんある、それこそ膨大にある民間の団体のやはり何割かにしかならないわけでしょう。だから、もう草の根で、たくさんの本当にいろいろな方々が努力している、それは指導員もボランティアとしてされている、そういうすべての団体が、やはり体験活動が有効にできるようにするということが望ましいわけでしょう。そういう意味で、その条件整備こそ重要だということを改めて強調したいわけでありまして、もう一度大臣の御所見を伺っておきたいと思います。

町村国務大臣 委員御指摘のように、もう完璧にでき上がっているとまで、私も言うつもりはもとよりございません。これからまだまだ整備をしていく部分も確かにあろうかと思います。ただ、一通りの、公民館等々はどこの市町村に行ってもかなりできてきたのではないかと思ったりもしております。では、確かに委員御指摘のように、図書館の本はどれだけ十分整備されているかといえば、それはまだまだというところもたくさんあるでございましょう。

 そうした面は、これから国がもちろんやる部分もあると思いますけれども、また各自治体、いろいろな団体等の努力によってカバーをしていただく面もまたあるのだろうな、こう思っておりまして、今後とも、今回のこのオリンピックセンターを通じていろいろな助成をさせていただく際に、いろいろな情報がまた入ってくると思います。全国の都道府県、市町村からも情報が入ってくると思います。そうしたニーズをしっかりとらえた上で、今後の対応もまた考えていくべきであろうと思っております。

石井(郁)委員 法案の内容に沿って、具体的にお聞きをしたいというふうに思います。

 本法案では、民間の諸活動を支援するということが大きな目的になっているかと思いますが、それで青少年団体等が行う体験活動の事業に助成金が交付されるということでございますけれども、どういう団体が行うどういう事業に対してだれが交付決定をするのかという点で、助成金交付申請の資格要件あるいは交付の決定方法、今の段階でどういう検討内容になっているのか、お尋ねします。

    〔鈴木(恒)委員長代理退席、委員長着席〕

河村副大臣 このゆめ基金を運営していく段階で、諸団体に対して交付金をということでございまして、これは、独立行政法人のオリンピック記念青少年総合センターにおいて、助成金の交付に関する要綱等をこれから制定していくわけでございまして、これに従って申請を受け付けて、審査基準を決めて審査して助成金、こういうことでございまして、決めるのはこの審査委員会ということになるわけでございます。

 そこには、学識経験者とかあるいは一般の経済人、また、先ほど御指摘ありましたように、子供に対しても造詣の深い方をしっかり入れてもらいたい、こういう御意見もございました。そういうことも踏まえた中で審査委員会が設置されて、そこで客観性、そしてもちろん透明性、そういうものがきちっと担保された中で厳正な審査体制を整えて、公正かつ適切な審査の上で決まっていく、こういうふうに思うわけでございます。

 そこで、どういう事業、どういう団体に対してということでございますが、もちろん各種団体、小さな団体から大きな団体まであろうと思いますけれども、基準となるといえば、やはりその団体が実行する体制というものがきちっとできているであろうかどうか、こういうこともまず第一点に考えられましょうし、また、その出てきた企画というものは非常に成果が期待できるだろうか、そういうことも審査基準になりましょう。

 ただ、その団体が既にいろいろな活動をしておられて、ほかのいろいろな基金等から助成をもらっておられるというようなケースでは、重複はやはり避けるべきであろうというようなこともございましょう。それから、もちろんNPOあたりは非常に対象になりやすいと思うのでありますが、営利を目的としない、これはもう当然、営利を目的とするものは対象外になっていくであろうということ、あるいはその事業というものが特定のものの利益に結びついているということもあってはならぬ、こういう大きい一つの基準があるわけでございます。

 そうした中で、細々としたまた基準も決めていくわけでございますが、しかし、これはせっかくのこうしたゆめ基金でございますから、できれば広く薄くといいますか、できるだけ多くの団体が活動に参加できるようなものにしていきたいし、そして、先ほど来御指摘ありましたように、国の方からこういうものにというのじゃなくて、やはり地方からずっとわき上がってきたものをできるだけたくさん取り上げる、こういう基本理念で取り上げていかなければならぬ、このように考えております。

石井(郁)委員 要綱を発表されるということですが、今お話しなさったことはその要綱の中にきちんと明記されるのでしょうか。それから、要綱はいつごろ公にされるのでしょうか。

遠藤政府参考人 法案が成立しましたら基金が立ち上がるわけでございますけれども、センターの方で、国会での議論等を十分踏まえながら要綱を早急に作成し、これを広く周知を図っていく、こういうことで考えております。

石井(郁)委員 それともう一つ。今御答弁のような内容も書かれるのですか。

遠藤政府参考人 重要な要素として入ってくるだろうと思っております。

石井(郁)委員 これまで政府は、事業委託ということで幾つか青少年団体に補助金交付を行ってまいりました。先ほどの全国子どもプランなどがそうですね。その中の子ども地域活動促進事業で、九九年度は十七団体に事業委託したかなというふうに思いますが、この事業は、自治体などの委託も含めますと、私どもの数字では同じ九九年度で千九十五カ所、総額で六億二千三百万円です。だから、一カ所大体平均にして六十万円弱の予算だろうと思います。

 そこで、今回の子どもゆめ基金の説明資料では、この子ども地域活動促進事業自体を来年度から基金に移行させるという話、先ほどもございましたけれども、あえて伺うのですけれども、例えばこれまで委託先であった団体、今申し上げましたような団体は、基金による助成金交付というのが優先的にされるというようなことはあるんでしょうか。

遠藤政府参考人 過去の実績というのは、やはり一つの重要な要素ではありますけれども、それにとらわれることなく、一から客観的に厳正に審査をして決まっていく、こう理解しております。

石井(郁)委員 先ほど情報格差の問題がちょっと出ていましたけれども、委託先となった団体には、もう文部科学省の担当者から基金についての説明が既にあったというふうにも聞いているのです。だから、こういう形で要するに情報格差が団体の間に生じている。だから先ほどの、知らないところは全く知らない団体がたくさんあるわけで、しかしもう既に文部科学省がきちんと説明もされている、今度はこういうふうになりますよと。これは一体どういうことになるわけですか。やはりそういうことは本当に公正、公平性を欠くわけでしょう、これが一点。

 それで、もう一方で、助成を受けずに自力で体験活動を実施している団体というのは、今実は大変困難な財政状況にあるのですね、日本の国全体が今そうですけれども。だから、新たな基金を設立するというわけですから、これまで助成を受けていない、先ほど河村副大臣の方から広く薄くという話もございましたけれども、そういう団体こそ対象となるということが期待をされるわけですよ。そういうふうに考えていいのかどうかという問題、伺いたいと思います。

遠藤政府参考人 政府予算原案が決まった時点で、政府の予算の説明、こういうことで各都道府県の教育委員会にこの基金の話も当然含めて御説明をし、また、青少年団体の統合したそういう団体がありますけれども、そこにも説明を当然しておりますし、今までこういった国からの補助金をもらっていろいろな活動をしている団体、当然そういう団体については、来年度の予算どうなるか、こういう問い合わせもございますので、そういう際には丁寧に説明をするというようにしているわけでございます。

石井(郁)委員 予算の成立の時期という、予算の関係でそういうことがあったかもしれませんけれども、やはり各団体には本当に公平に、情報で格差が生じないように、これは文部科学省は厳に公正にやっていただきたいということを強く申し上げたいと思います。

 具体例でちょっと申し上げますけれども、子供の読書活動です。もう二十年来、いわゆる文庫活動という名前で地域では定着している活動がありますね。子供たちのために草の根で取り組む活動には本当に補助があればうれしいという声が今私どもにも寄せられているわけですけれども、学校が休みの土曜日、日曜日、読み聞かせ、伝承遊び等々、ずっと取り組んでおられるわけであります。しかし、ここでは共通して、新刊書が手に入らない、とても買う余裕がないということが最近強く言われています。子供たちが読みたいという本をそろえるのが大変だという中で、本当にボランティア的にこういう活動を支えていらっしゃるということがあるわけですね。

 それからもう一点、自然体験ですけれども、毎年夏休みに四百人、五百人規模で二泊三日のキャンプを取り組む。この取り組んでいるある青少年団体の方のお話ですと、子供一人の参加費が三万円程度かかる、指導員として参加する高校生や親なども一万円程度の費用が負担になる。実費というのはそれはそれとしてあるとは思いますけれども、しかし、活動費としてはもう赤字が出てくるということで、事務所の維持さえも大変だという状況があるわけです。

 この団体も三十年来の実績があります。キャンプ生活での自然体験というにとどまらないで、異年齢の子供の交流だとか、あるいは高校生が指導員として加わるだとか、その中で小中学生がいろいろ成長していくというすばらしい活動をしているわけです。先ほど申し上げましたけれども、こういう活動をするにつけても、キャンプ場からは施設使用料金の値上げが打診されてくるということで、活動すればするほど赤字が続く、累積をするというのが今の実態なんですね。だから、規模を縮小してやるだとか、いろいろな工夫をしてやるわけであります。

 こういう団体の事業が助成金交付の対象としてちゃんと考えられるのかどうか、聞くまでもないといえばそうかもしれませんけれども、改めて確認をしておきたいというふうに思います。

河村副大臣 私、先ほど広く薄くということを申し上げました。当然、熱心にそういうことをやっておられる団体、そして体制もできていて実績もある、効果も上げておられる、しかしなかなか資金も集めにくい、そういう団体に資金が行けばもっと活動できる、これは私はまさに最優先的な団体だろうというふうに思います。もちろんいろいろな団体がございますから、総合的な審査の中であろうと思いますけれども、当然そういうものは対象でなければならぬというふうに思います。

 ただ、学校図書に対しても、ボランティア等もやっていただいておりますが、これは図書費もないとおっしゃいましたが、毎年百億の地方交付税の対象になっておりまして、学校図書館の整備については各市町村長の交付税に対する姿勢の問題でございまして、ぜひ読書活動推進の中でしっかり対応していただきたい。そのことは地方交付税の中の対象になっておりますので、新刊図書がまるで図書館にないというのはそこの市町村の姿勢の問題ではないかな、こう思っております。

石井(郁)委員 既に委託事業という形でいろいろございますから、ふたをあけてみますと、これまで文部省や地方自治体の委託を受けてきたそういう団体がずらりと並んでいるなどということは決してないというふうに求めたいと思います。

 今お話しのように、広範な団体事業が助成対象となるということがこの法案の趣旨に即したものだというふうに思いますけれども、そのためにも、広報が徹底されること、それから交付の決定過程の情報公開が求められると思うのです。特に、審査基準、応募したすべての団体あるいは交付が決定した団体、その団体は一体どういう活動をしている団体なのかというようなことについて、私たち、情報公開は今日の時世では当然だというふうに考えますけれども、そのお考え、伺っておきたいと思います。

河村副大臣 おっしゃるように、どういう団体がどういうふうに決まっていったか、情報公開はしなきゃなりません。まして、独立行政法人でございまして、この事業をやったことに対する評価、自己評価に対して、また評価委員会からの評価も受けるわけであります。また、独立行政法人は中期目標も出さなければなりません、このぐらいの団体に目標を立ててやりたいと。そして、どういう効果があったかという報告もしなきゃなりません。当然そういうことは行うということでございます。

石井(郁)委員 次に、社会奉仕体験活動について伺いたいと思います。

 今回の法案の中にこの文言が入ったということについては、私はいささか違和感を感じているわけであります。

 まず、教育改革国民会議の報告との関係についてですけれども、法案の提案の理由で大臣は、「教育改革国民会議報告においては、子供たちの社会性の育成を重視する観点から、自然体験活動等の体験活動の充実や、言葉の教育の重視などが指摘されております。」と述べておられるわけです。国民会議の最終報告といいますと、体験活動を通じた教育が必要だと述べている提言は、十七項目にまとめられている提言のうちの二番目かというふうに思うのですね。そういう理解をしてよろしいですか。

町村国務大臣 今その二番目と言われてもちょっとあれなんですが、一番目がたしか道徳教育だったかと思いますから、二番目がたしかそうであったかなと思います。そのとおりでございます。

石井(郁)委員 確かめたいんですけれども、教育改革国民会議の提言では、体験活動については、提言の四項めに「子どもの自然体験、職場体験、芸術・文化体験などの体験学習を充実する。」というふうに書かれているんですね。

 私は、こういう形で体験学習の充実ということは、これは何も新しいことではなくて、教育現場でもずっと言われているわけですし、中教審でも指摘されてきたところでありますし、かつての生涯学習局でも独自の調査に基づいて提言をされていましたから、殊さらこの国民会議の提言に基づいて今回これを盛り込んだということはないというふうにあえて申し上げておきたいと思うのです。

 その上で、この社会奉仕体験活動という言葉がなぜ今回出てきたのかという問題なんです。今読み上げましたように、提言には奉仕体験活動というのはないのですよね。文部省のこれまでの施策の中にも見られなかった言葉なんですが、なぜこの法案で社会奉仕体験活動という形で明文化したのでしょうか。

町村国務大臣 国民会議の中でも、奉仕活動という言葉を使うことについてはいろいろな議論があった。あえてこの言葉を使わなくてもいいではないかとか、いや、意味内容をはっきりさせるために、いろいろな議論があった結果としてこれが出てきたようでございます。

 先ほどおっしゃった提言の二番目で、「学校は道徳を教えることをためらわない」という中にいろいろな体験というのがある。それから、三番目のところが「奉仕活動を全員が行うようにする」。そしてこの提言の中には、小中学校では二週間、高校では一カ月、共同生活などによる奉仕活動を行う。またその後に「将来的には、」と書いて、十八歳後の奉仕活動、これについては今後また引き続き検討、こういう仕分けになっておるわけであります。

 ここを通じて考えたときに、この奉仕体験活動というものを今回のオリセン法に挙げさせていただいたのと同時に、今回また別の法案、社会教育法と学校教育法の中でも、改めてこうした体験活動、特に奉仕体験活動の重要性ということも推進をしていこうということで考えているところでございます。

石井(郁)委員 そうしますと、私は大変重要な御発言かなと思うのです。

 といいますのは、国民会議のこの提言では、奉仕活動は全員が行うようにするという三つ目の提言として出されておりまして、では、今回も、全員が行うようにするというこの流れの中に位置づけて明文化したというふうに今御説明なさったのでしょうか。

町村国務大臣 いや、今回のオリセン法について、別に全員というつもりはもとよりございません。これはあくまでも青少年団体が自発的にやる活動についての助成でございますから、これに全員という意味ではございません。

 ただ、ここに書いてあります趣旨は、小中学校でのいろいろな活動があるわけでありまして、例えば、それは道徳の時間であるかもしれないし、総合学習の時間であるかもしれないし、あるいは他の教科の中でやるかもしれませんが、そういう中でさまざまな体験活動をする、体験学習をするという中に奉仕体験活動というのも入っていていいのではないだろうかというので、まず小中高の段階の奉仕体験活動はそこに位置づけ、さらに十八歳後については、もう少し中央教育審議会等でもこれから議論していきたいテーマということで、ちょっと次のステップで私どもは考えたい、こう思っているところでございます。

石井(郁)委員 助成金の対象となる社会奉仕体験活動というのは、具体的に何を指すのでしょうか。文部省からいただいたこのペーパーによりますと、子どもの体験活動支援事業は、アイウエオとありまして、ウのところで「高齢者介護、森林の整備、清掃活動などの社会奉仕体験活動」というふうにあるのですけれども、御答弁いただければと思います。助成金交付の対象となる社会奉仕体験活動というのは、どういうことを指しているのでしょう。

遠藤政府参考人 子供たちのいろいろな体験活動を対象としておりまして、その中の一つに社会奉仕体験活動、私ども、今委員が例示として挙げられました清掃活動あるいは高齢者介護といったようなもののほかにもいろいろな形での社会奉仕体験活動というのがあるだろう、こう思っておるわけでございます。

石井(郁)委員 少し具体的に私は申し上げますけれども、全国子どもプランの事業として取り組まれてきた内容なんですけれども、そして今度は基金へそれは移行するわけでしょう。

 その子ども地域活動促進事業では、自然体験、農業体験、職業体験、地域の伝統や伝承に触れる体験、物づくり体験、高齢者との触れ合い体験など、非常に多彩にやっているわけですよ。そういう多彩にやっていることを今回の法案で自然体験活動と社会奉仕体験活動というふうに二つに分けてしまうと、これは法律で明記するわけですから、社会奉仕と名のつくものが優先されるのじゃないのかなというふうに思うのですよ。つまり、ここに今子どもプランで取り組んでいるさまざまな体験を挙げましたね、それはもうその他の活動だということにしかならないのではないかなというふうに思うことがあるのですね。そういう分け方をするのでしょうかということをはっきりさせていただきたいなと思ったのです。

 もう時間がないので言いますけれども、私は、社会奉仕体験活動という言葉にやはり無理がありまして、例えば、ここで文部省のペーパーでも森林の整備というのも挙げているのですけれども、子どもプランというのには農林省との連携の施設で森の子くらぶというのがあって、この内容はいろいろやっているのですね。植林とか下刈り作業等の森林づくり運動、森林環境学習、自然観察、木工、炭焼きなどの物づくり体験等々やっているわけです。だから、これは自然体験活動なんですよ。自然体験活動でいいじゃないか。これが何で、あえて社会奉仕体験活動というふうに奉仕という言葉でくくらなきゃいけないのか、これはちょっと明確にお答えください。

遠藤政府参考人 自然体験活動、社会奉仕体験活動などということであくまでも例示として挙げさせていただいておるわけでございまして、これだけに限る、こういうわけではございません。例えば、職場の体験活動とか科学技術の体験活動あるいはスポーツ等を通じての交流体験活動、いろいろあるわけでございまして、その中で、法案の法文では、そういうふうにみんな書けませんので、例示として挙げさせていただいた、こういうことでございます。

石井(郁)委員 やはり言葉というのは概念ですから、正確に使わなきゃいけないというふうに思うのですよ。清掃とか高齢者の介護も、これまでも子ども地域活動促進事業に含まれていました。これまでは、これは地域におけるボランティア活動と言っていたのですよ。そうでしょう。それを、ボランティア活動を今度は社会奉仕体験活動にしてしまうわけですか。ちょっと無理があるでしょう。

 それで、文部科学省も、ボランティア体験活動あるいは社会体験活動とこれまでずっと呼んできて、今度なぜ、そういう活動を社会奉仕体験活動と言いかえるわけですか、あるいは何か別なものを社会奉仕体験活動にするのですか。そこら辺は非常に不明確ですよね。どうですか、そうは思いませんか。

町村国務大臣 これは、私どもとしては、ある意味では考えてこの言葉を使ったわけでありまして、何となくするすると書いたわけではございません。

 青少年が豊かな人間性をはぐくむためには、日常生活の中でさまざまな活動を通じて、みずからが主体的に考え、試行錯誤しながらみずから解決策を見出すなどの体験を積むことが重要でありますが、特に、社会の本質である、人々がお互いに助け合うという関係を学んだり、また思いやりの心を養うといった社会奉仕の精神を涵養するための体験活動がこれから重要になってくるのだろう、こう私どもは考えております。

 いつぞや別の機会にも申し上げましたけれども、公と私という問題を取り上げさせていただきましたが、私ども戦後、公というものを、余りにも、どちらかというとわきに置き去り過ぎていたのではないだろうか。そういう公というものを考える。別の表現をとると、それがやはり社会奉仕体験ということをより強調することによって、余り自己中心主義、自分の金もうけばかりではない、そういったことに青少年が身を置いて体験をして、そこで初めて思いやりの心、人のために働くことの重要性を身につけていくということが大切であろう、そういう考えから、あえてこの社会奉仕体験活動という言葉を使わせていただいているわけであります。

石井(郁)委員 時間が参りましたので、今ようやく何か議論の入り口に入ったかなというところで、残念ですけれども、この問題は学校教育法や社会教育法の改正法案の中でも議論されるというふうに思いますので、次に回したいと思いますけれども、私は一点、これまで文部省自身がボランティア活動とか社会体験活動と言ってきた中身を、今度は社会奉仕体験活動というふうに、何かするっと言いかえるようなやり方というのはちょっといかがかなという点で大変問題に感じておりますので、それは次回にまた回したいというふうに思います。

 終わります。

高市委員長 中西績介君。

中西委員 私は、先ほどからずっと久しぶりに論議をお聞かせ願ったのですけれども、平野さんだとか都築さんの御指摘、これに大体近い意見を持っておりますので、そうした点に触れながら討論をしてみたいと思います。

 そこで、法律に入る前に、オリンピック記念青少年総合センターは、一九六五年四月、文部省の特殊法人として発足をいたしまして、一九八〇年五月、特殊法人を解散して文部省直轄の国立青少年教育施設となって、二〇〇一年四月から独立行政法人に移行することになっておりますけれども、目的は大して変わらないのに、くるくるくるくる変わるんですよ。その都度言い逃れみたいなことばかりやってきた。特に特殊法人を解散して直轄になるときなんというのは、三回の国会にわたって論議をし、そしてようやく国立青少年教育施設になったのですけれども、今度またこれが独立行政法人になる。ちょっと理解に苦しむのです。

 というのも、特に行政改革特別委員会の論議だとかいろいろなところの論議をずっと見てみましても、ちょっと理解が困難な面があるのですね。この点を、なぜこのように変えられていくのか、お答えください。

遠藤政府参考人 独立行政法人化につきましては、今般の行政改革の一環としまして、政策の企画立案機能と実施機能の分離という、いわゆる行政機能の減量化、アウトソーシング、効率化等を図るという基本的考え方に立ちまして、各省庁の附属機関等の見直しを行ったものであるというふうに理解をしているわけでございます。

 このオリンピック記念センターにつきましては、我が国の青少年教育のナショナルセンターとしての役割を担っておりまして、その業務は、例えば青少年教育に関する指導者に対する研修など、政府の重要課題であります青少年健全育成の推進に関する政策の実施機能を果たしてきているわけでございます。

 この業務は、国が主体となって直接実施しなければならないものではなく、他方、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがある、こう判断したため、このたび、センターを独立行政法人に移行するということにした次第でございます。

中西委員 今回答がありましたけれども、最初の特殊法人を文部省直轄にしたときの大きな理由というのは、特殊法人の数を減少するというところから始まったのですよ。ごまかしちゃいかぬですよ。そして今度は、独立行政法人というあり方についても、先ほどお答えがあったように、いろいろな理由はつけていますよ。理由はつけておるけれども、国立青少年教育施設、内容的に必ずしもこれでやれないことはないと私は思います、先ほどからの論議を聞いておりましても。今度の場合は、独立行政法人をつくるということが行政改革でまた出たわけでしょう。だから、それに沿ってやるために、理屈をつけて、そっちの方に押し込んでいった。

 ところが、御存じのように、同じ文部科学省関係でも、青年の家だとかあるいは自然の家だとか、いろいろありますが、こういうところは非公務員型にし、そしてここだけは公務員として残すとか、いろいろ苦心していますね。苦心をしている。そのことは了としても、その中身が余り本格的には、青少年教育なりこうしたものをどうするかという、ここら辺が中心になって論議されていないというところを、数合わせ論議だとかいろいろなことでごまかしておると私は思うのですよ。そのために理屈をつけて答弁をしておるとしか思えないのですね。行政改革のあれをずっと読んでみましても、人によってまた答えが違ってくるし、まあ、いろいろありますよ。

 ですから、こういうやり方をやっておると、行政というのは継承性もなければ何もなくなってくる。やはりここいらはひとつ貫いてもらわないと、ただ単に数を減らさなきゃならぬとか、あるいは、独立行政法人に大体十数万の人を持っていく、その一環としてこれをまたというようなやり方はぜひやめてもらいたいというのが私の主張です。

 ですから、例えば特殊法人を解散するときだって、多くの意見というのは、国立競技場と統合すべきだというものが審議会なりなんなりでわざわざ出ているのですよ。だのに、あなたたちは審議会にすぐ頼るのだけれども、そうではなしに、これをあくまでも直轄にしてしまう。こういう過程をずっと見ていきますと、私は、少なくともこのあり方自体が、非常に後ろめたさがあるような感じがしてなりません。これは言いっ放しにしますけれども、こういう点、先ほど答弁しておったけれども、本当に作り事でしかないと私は思うのです。

 そこで、お聞きします。本法案を要約しますと、センター目的の改正あるいは業務範囲の改正をして、助成金交付を追加し、さらに基金に関する規定の整備をするというようなことが主たる内容になっておるようであります。先ほどからいろいろ言われてきましたけれども、今なぜこのような基金設定をしなきゃならないのか。

 なぜ私はこのことをお聞きするかというと、皆さんが述べられておるいろいろな文書を見ますと、確かに説得力のあるようなものになっています。例えば社会教育審議会、あるいは何だかんだと幾つも、ここ数年の間にたくさんのそういうものをつくって、提言をしました。

 ここに、子どもの未来を考える議員連盟第一回総会、昨年の十月十九日に行われたものの「これまでの経緯」というのを見させてもらいました。そうしたら、これはもうそういうことでなしに、率直に申し上げて、十二年五月五日に「村上先生が「「国際子ども文化基金」を新たに設立し、恒久的な子どものための活動を展開したい。」旨の祝辞を述べた。」そして、それから以降、「基金の具体的構想及び受け皿になる法人について検討。」九月になりまして、森総理と村上正邦先生を初め、村上、中曽根、河村、扇、町村の各先生が懇談した際、子どもゆめ基金の設立について提案がなされ、森総理が提案を了承した。さっき森基金と言ったのは、そこら辺じゃないかと思うのです。そして今度は、内政審議室の竹島室長が文部省に対して、つくれと。それは、国立オリンピック記念青少年センターに同基金を設置ということを言っているというようなことが詳しく述べられています。

 これを見ると、いろいろ述べておるけれども、ここに集約されたのじゃないかというような気が私はするのです。だから、改めて今なぜこのような基金を設定するのかをお聞きしなきゃならぬようになったのです。これは本当に驚いているのですよ。

 そして、文部省において、基金の財源及び具体的内容について大蔵省、内政審議室の関係省庁と協議しつつ検討を進める、こうなって、十月にはこの第一回目の総会を迎えたのです。

 これはもともと、さっきから言っておる国際子ども図書館設立云々というのが達成されたので、今度こっちにギアチェンジした、こういう中身になっておるのですね。

 ですから、私は、そういう点で本当に本格的にそういうものが論議をされてやってきたかどうかというのがどうしてもわからないから、ここをお聞きしているのです。その答えによって、次にまたいろいろな点がありますから、出していきたいと私は思います。

町村国務大臣 今、議員連盟の経緯の御説明といいましょうか、資料のお話がありました。私も一、二回参加をしたことがありますので、今委員が御指摘のような議員連盟の流れであったことは、それはもちろん事実でございます。ただ、それだけでこの基金が決まってきたかというと、やはりいろいろな背景があると私どもは思っております。

 教育改革国民会議でも、昨年の三月下旬から十二月にかけてずっと議論がされる中で、やはり子供たちの社会性が不足している、自然体験あるいは社会奉仕体験、こうした体験活動の充実が必要であるとか、あるいは言葉の教育というものが今の日本にはどうも欠けているんじゃないだろうかというような議論がずっと国民会議の場でも行われておりまして、それが、最終的に十二月の報告書にまとまってきたわけであります。それ以前の、九月だったと思いますが、中間報告でも、既にそうしたものの重要性が指摘をされているといったような流れも一つございます。

 それから、かつて、いろいろな審議会で答申なり報告なりが出されてきたこともございます。そうしたいろいろなものが、言うならばミックスされて、そして今お話しのような議員連盟の動きもこれあり、最終的に、オリンピックセンターにこの基金をつくろうということになっていったということでございます。

中西委員 これからすると、日時を追っていきますとそういうことにならぬのですよ、日時を追っていくと。これが主体になって動いています。これを否定なさるなら別です。しかも、あなたはその中に入っておられた。そして、森総理が皆さんの提案を了承したと言っているんだから。そして、その明くる日ですよ。明くる日に、内政審議室竹島室長から文部省に対して云々、こうなっていますよ。全部流れはそれでちゃんと押さえていっているのです。

 これを見たら、私は、今言われるような基金設定、今なぜこのような基金設定をしなきゃならぬのか。先ほど来随分な論議を数時間にわたってやってきましたけれども、そういう中身にはほど遠いのじゃないかと思うから、私はあえてこういう聞き方をしたのですよ。これを見なきゃ、私はそうじゃありません。

 そこで、もう一つあれしますが、文部省当時、芸術文化とスポーツの振興基金として創設されました二つの振興基金があります。これは現在どうなっておるかということを聞きたいと思いますけれども、もう私の方から言います、時間がないから。

 芸術文化は五百億、そして平成十三年の予算の中で三十億、これは上積みをするということになっています。そして、民間が百十二億。それからスポーツの方は、二百五十億、そして四十四億民間から集まっている、こうなっていますね。

 私は、これを論議するときに反対をした一人です。それは、先ほど都築さんの方から指摘のあったように、基金という問題についてはいろいろある。果たしてそれで運営できるかどうかということが一つある。と同時に、もう一つ大事なことは何かというと、大蔵省が、文部省なりから予算要求していきますとどうするかというと、これをわざわざ設置してやっているじゃないかと言うのですよ。必ずこれが出てくるということを私は指摘したのです。

 そうすると、外国の場合には、文化省あり、スポーツ省があってどんと予算を編成するのに、では、日本の場合にはこれでもってどれだけ出たかということを私は皆さんに明らかにしていきたいと思うのでありますけれども、本当にこれはもう残念でしようがないのですよ。

 芸術基金の場合が、平成二年、二十一億でしょう。そして三年に三十一億になりまして、それから以降、昨年、十二年では九億四千九百万にしかなっていません。それからスポーツの方は、これまた同じように、平成三年が十五億なのが、五年以降はずっともう九億から八億の間です。

 そうなるんだ。むしろ予算要求をすることに対して阻害をする条件になるということを僕は主張したのです。そのとおりになっています、数字の上では。

 ですから、私は、基金というものを、バイパスをつくるなと言うのですよ。バイパスをつくってごまかしてやっている。そうでなくて、真っ正面から、これだけのものが必要だということをやはり本当に皆さんに理解をしてもらって、徹底してこれを追求できるようにしていった方がいいと私は言うのです。そうしなければ、いつまでもだめなんです。

 ですから、かつて宮澤内閣のときに、補正予算を四千七百億組んだんですよ、文部省研究機関だとか文部省だとかに。文化庁予算は五百二十億だったのが、あのときには、特別措置をしますといって、そして四百七十億ついたんですよ。このことを忘れてはならぬと僕は言うのです。

 文部省では経験しているでしょう。行政でこういうバイパスをつくると、必ず破局になる。だから、いい例が先ほどの、基金を三十億上積みをする、それはなぜか。それからさっき、今度の子どもゆめ基金の問題だって、百億を出して利子によって運営しようといったって、これはできぬ。わざわざ二十億出すぐらいなら、基金は要らぬですよ。二十億出せばいい。そしてそれは実施して、今度は足りないと。

 こういうように、正面からどう論議を起こしていくかということでなしに、こそくな手段によってやることについては、断々固反対ということを言い続けてきたのです。そうしたら、またこれをやるのです。しかもそれが、さっき私が指摘をしましたように、こういう方々によって提案され、総理基金になっていったと。

 こういうことになると、私は、何かおこぼれをちょうだいするような形のやり方でしかないじゃないかと言いたくなってしまうのです。ですから、こうしたやり方というのはいち早くなくしていくということがまず前提。不安定なこういうものはあってはならない。

 それからもう一つ、盛んに答弁の中で、国民運動だとかあるいは子供参加型だとか、いろいろなことを言っていました。これは後でつけた理由でしかありませんよ。では、何で最初にそういうことが本格的に起こったのかというと、さっきのような理由によるわけですから、私は、基金設定について、本格的にどうなのかということを考えたときに、こういうものでなしに、事業費を二十億つけられるんだったら、それでちゃんと増額するとか、いろいろなことでやるべきだと思います。

 しかし、私はこの基金については断固反対ですが、このあり方については、また後で申し上げますけれども、いろいろの多くの問題を業務の中に含んでおるから、この点を何とかして是正をしてもらわないと、国の方針なり行政のあり方に誤りを犯すのではないか、こう思います。この点、どうですか。

町村国務大臣 委員から多くの論点を言われましたので、ちょっと一部落としたらば御指摘をいただきたいと思います。

 まず議連の活動ありきではないかという御指摘でございますが、例えば、平成十一年、先ほどの議連は全部平成十二年だったと思いますが、平成十一年二月三日、子どもの未来と世界について考える懇談会の提言というのが、当時の小渕総理にだったと思いますが、ございまして、これには、平成十年十二月の「(NPO法)の施行を一つの契機として、民間団体等の育成、強化を図っていくことが必要である。この関連で、子どもの交流と協力の輪を広げるため、子ども参加型の基金の設立を検討すべきである。」実はこういうようなことも、先ほど申し上げました、いろいろなところで提言等が行われておりましたよという中で、例えば、平成十一年の段階で既にこういった基金という話が出ていたということです。何か、村上前議員の名前が出るとそれだけで何となくおどろおどろしいような雰囲気を与えてしまうのは大変残念なことでありますが、決してそういうことではなくて、既にそういった先行するいろいろな御提言があった上で、議員連盟がこれまでの活動を一つ終えて、新しい活動にまた取り組んでいったというふうに御理解をいただきたいと思います。

 それから、基金の話がありました。例えば芸術文化振興基金、ちょうど私、当時文部省の政務次官をやっておりまして、この基金設立に相当一生懸命働いた記憶がございますので、そのとき委員からやはりそういう御議論があったことも私は記憶をしております。

 ただ、このとき、もちろん政府が五百億円出しましたけれども、民間も百億以上集めようということで、当時だけでたしか百十二億ですか、集まった。これは我々も、政府の補正予算をいただく努力をしましたけれども、民間の方で思い切って、この時期、芸術文化のために民間も力いっぱい努力したということを示したいというので、毎年毎年出すのは民間企業にとってはしんどいけれども、やはり基金という形で、我々がこれだけ努力したということがひとつ目に見える姿かたちとしてつくりたいんだという民間の発意もございまして、当時こういう形をつくったわけでございます。

 ただ、私ども、残念ながら中西議員のように経済の先を見通す力がございませんでしたので、現実にこれだけ金利が下がり果実が非常に減ってきたというのは、正直言って私どももこんなに金利が下がるということは本当に思っておりませんでした。多少の上がり下がりはあるにしても、ここまでの低金利になるとは正直言って思っておりませんでしたので、運用益だけでは足らず前が出てまいりました。現実に芸術文化振興基金には、特に地域の文化振興でありますとかアマチュアの文化振興といったようなものにやはり多数助成の要望が来るので、足らず前は一般会計でいただいてくるという形をとっておるわけでありまして、決してこれがあるからそうした事業費の拡大の妨げになるということではないのではないのかな、私どもはこう思っているところであります。

中西委員 いや、実際にそれがあったから私は指摘するんですよ。大蔵の方が、こういう基金まで五百億も出してということになって、あったんですよ、あなたは御存じない。さかのぼって文化庁のいろいろなものを見てみる必要があると私は思いますよ。

 ですから、そういう点を指摘すると同時に、確かに、審議会がこの基金をということを言ったけれども、その前に、NPO云々するならば税制だとかなんとかをやろうと言ったって、あなたたちはやらぬじゃないですか。

 だから、こういう問題等を考えたら、絶えずそのときそのときの言葉で、そのときそのときの環境で物を言うということになってくると、行政の継承性、一貫性というのはもうないと僕は言うんですよ。少なくとも皆さんは行政の中におられるわけでありますから、そうした点をやはり言いかえたり、後になって補足をしたりということはあり得ても、しかし、その根幹になるところだけはちゃんと押さえてもらわぬといけないということを私は今指摘しておきたいと思います。

 そして、あなたはないと言うけれども、実際に私は経験をしておりますから、いや、あったということを申し上げておきたいと思います。そうしないと、本当にこういうこそくなものでしか日本の行政は、特に文化、芸術、スポーツ等においてはその点が抜け落ちておる、こういうことを指摘しなきゃならぬと思うんです。

 そこで、業務の範囲の改正でありますけれども、資金に充てるための助成金を交付する業務をいろいろ挙げています。挙げておるけれども、私がその中身を聞いたところ、説明を受けたときに、こういう言葉が一つあったんです。地方の皆さんがいろいろな活動をしようとするときに、マニュアルを示せと言われておる。ですから、個々でもってそうしたマニュアルを示そう、こういうことも含まれておりますと言ったんですよ。

 これまた私が一番心配をしておるのは、今申し上げなきゃならぬのは、このような業務は、地方分権を称揚する文科省が法改正までしなければならないのはなぜなのか、マニュアルを示せなど、いろいろなそういう中身、先ほどから皆さんから随分指摘をされた点がある。こういう点等を考えてみたときには、また再び画一的指導が透徹をし、そして、私たちが今までずっと長いこと指摘をしてきたそうした体制、それを解かなくちゃならぬのに、ちょっとまた何かをつくってみる、こういう形になるのじゃないか。

 ですから、むしろこれらの問題については、地方分権で権限移譲をやったけれども、行政の方で考えなきゃならぬのはやったけれども、財政問題については何ら一切解決していないでしょう。

 あのとき、三百七十五、第一回の勧告をしました。ところが、二百六十五しか移譲していません。移譲しましても、どうなったかといったら、十万以上の都市には大きな影響があると思うのですが、以下の都市だとか町には影響はないじゃないですか。何にもない。これで地方分権と言えますか。財源がそぐわなくてそうした仕事だけを押しつけていくというこのやり方は、民主的なやり方かどうかということを考えなくちゃならぬ。

 ですから、私はむしろ、そういうことよりも、地方分権というものを徹底させるためにも、こういう助成措置をやるのでなしに、皆さんがそうした行政的な助言なりができるんだったら、そっちの方を強めた方が、先ほど言っておりましたけれども、幾つかの数が出ている、しかし町村によってはまだ全然やられていないし、そういうおくれたところがありますというなら、そういう点を、例えば県教委との話し合いの中で、ぜひこれをやってほしいという話なら、私はできると思いますよ、助言は。しかし、出されたものについては選んで、しかも今度また県にはその仕事をふやすんでしょう。県はそれをえり分けて、そして段階的にまたおたくに持ってきて、そして委員会でこれを審査して出していくというような、もう財源といい、このやり方といい、地方分権、これからこの言葉を使ってはなりませんよ、そういうことを無視するようなやり方では。

 だから、そこをまず第一義的にやらないと、ますますぶら下がりの地方行政形態というものを打破することができない。そうしておいて、地方には受け皿がないじゃないかと言う中央官僚がおるというのですから、そうなるとなおさらです。

 ぜひ、この点について、どうするのか、お答えください。

河村副大臣 中西委員御指摘の点、今回のゆめ基金の考え方、体験活動等あるいは青少年に対する読書活動とかいろいろなことをやっておられる団体に対して、そういう夢を育てるような活動に対して支援をしていこうということから、この基金を使ってということになっておるわけでございます。

 マニュアルを中央の方から示してという、それは一つの基準というものはやはり、先ほども御指摘ありましたように、税金を有効に、しかも費用対効果といいますか、できるだけ最少の費用でうまく活用できるようにしていくということでありますから、基準はやはり持たなきゃならないと思いますし、審査はせざるを得ない面があろうと思います。

 ただ、地方に仕事をふやすことになるのかならないのか、この辺はまだはっきり決めたわけではありませんが、いろいろな例があるわけでございまして、たくさん地方から出てくるものを、全部上がってきた場合には、それは大変だ、だから地方である程度第一次審査をやっていただくということも、これからの応募状況等を見たらあるかもしれないし、そういうこともあろう。しかし、中西委員も御指摘のように、そういうことが余り活発でないという地域もあるかもしれない。

 しかし、そういう地域にも、こういうことができたので少しでも活発にしていただく、そういうような観点からこの基金を使っていくということになれば、画一的なものになる、上から押しつけ的な、いつまでたっても中央集権的な形になるというよりも、むしろ私は、ただ地方から上がってくるものを上げるんでありますが、その活動というものが、NPOなんかで、県の中、小さい地域でとどまっているものはいいんですけれども、全国規模でおやりになっているようなものをやはりどこが出すか。あの宗教法人法のときの認可の問題もございました。そういうものはやはり国が受けてきちっと審査をするということも必要になってきましょう。

 だから、地方でやっておられることを大事にしようという精神は、今回のこの基金でもやはりきちっと位置づけていかなきゃならぬ、審査基準等の中にも、そういうことを尊重しながら審査をしていただくという方向でいくべきであろう、御指摘を踏まえてそういう対応をしていくべきであろう、私はこのように考えておるわけであります。

中西委員 時間がなくなってきたのですけれども、いずれにしても、私は、地方分権ということを考えたときに、どうすれば地方分権が確立をするかという視点を考えて、これからの行政というのはむしろそれを推進させる、そういう方向でやることが今一番我が国の行政の中で問われておるのじゃないか。

 そうすることによって、中央も仕事をなくし、そして、あの二五%なんという数字だけ踊っているんですけれども、断固私は反対なんです、こんなやり方は。そうでなしに、実質的に中央の仕事がだんだん少なくなっていく、それによって、皆さんが期待をする小さい政府なら小さい政府というものをどうつくり上げるかということならいいけれども、そこら辺を、地方の人に不信感を持ち、受け皿がないと言って、あなたが今言ったように、やはり上からつくってそれを示さなきゃならぬとか、今度、ここは備わっていないからどうなるかと言ったら、地方から要求してつくれ、こう言う。だから、言われたからつくった。何か理屈が通ったみたいだけれども、そのことは、地方分権を確定、推進するためには、逆の手だてにしかなっていない。いつまでも同じことが繰り返されている。

 そうした点を考えたときに、この業務のあり方についても、随分内容的には、示されておることをやることは、私は何もこれについて異論を唱えているわけじゃありませんけれども、そのやり方について、地方でどう主体的にやるかということを考えていくということがむしろ今こそ大事じゃないか、そう考えるから私は言っているんですよ。

 そこで、もう一つ聞きますけれども、先ほど、民間からの寄附金等の合計額をもって充てるということになっておりましたけれども、予定をしているかと言ったら、なかなかこのことは言いがたいようでありますが、いずれにしても、これは、私が先ほどから申し上げるように、二十億の事業費を出してやるということになれば、むしろこういう基金方式でなしに、もう一度考え直していただいた方がいいんじゃないか。

 地方で小さな組織でやるときには皆さんがそれぞれ、自分で自立し、自分で拠出をして、それによって運営をしていく。これはやっておるんですから、まじめにやっているところは。例えばスポーツならスポーツのクラブ的なものを町単位、市単位でやっているところに行ったら、もうみんなそうなんですよ。だから、町村だって余り金を出していなくて、何をしているかといったら、会議の場所だとか、そういう場を提供したりとかいろいろなことはやりますけれども、そういうようにやはり自立し、そして自分たちで創造する、こういうことを癖をつけていかぬと、私は教育の本質的なものをゆがめてしまうような感じがしてなりません。ですから、私はあえてこのことを言ったわけであります。

 もう先ほどから論議されていますから私は聞きませんが、一つだけ、交付の仕方等は大体どれくらいを目途にやっているんですか、助成金を交付するに当たって。一つの団体なり一つの会なり、いろいろなところに交付しようとするときにはどれくらいの金額を予定しているんですか。

遠藤政府参考人 活動のパターンにもいろいろあると思いますので、一概に幾らという形にはならないと思います。恐らく上限的なものを一つの目安として出すことはあろうかと思いますけれども、幾らのものにはまらないとだめだというような形にはならない、こう思っております。

中西委員 なぜ私はこのことを聞いたかというと、二十億、そして全国が一斉にそういうことをやり始めたときに、本当にそうした助成金というものが足りるのかというのを心配しますよ。そうすると、値段は何十万だとか、金額はどんどん下がっていく。百億未満ぐらいになったら、それこそ自立して皆さんが一生懸命やるということの方が、むしろ教育的見地からいたしましてもいい、賢明なる大臣であれば理解いただけると思いますので、このことを申し上げて終わります。

高市委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高市委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高市委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高市委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、鈴木恒夫君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守党の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。藤村修君。

藤村委員 私は、提出者を代表して、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、子どもの健全な育成の推進を図るため、この法律の実施に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 基金による助成金の交付に当たっては、青少年教育に関する団体の規模に関わらず地域に密着した草の根的な団体に対して格別の配慮をすること。また、制度の認知度や利用に地域格差が生じないよう努めること。

 二 インターネット用子ども向け教材等の開発などの基金による助成金交付対象事業の審査については、公正かつ厳正な審査体制を整備するとともに、審査に当たる組織、審査基準の公表などの透明性の確保、助成した事業についての活動状況の公開などに努めること。

 三 基金については、官民一体となってその拡充に努めるとともに、民間の幅広い賛同が得られるよう情報公開を充実すること。

以上です。

 何とぞ御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

高市委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高市委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。町村文部科学大臣。

町村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意をいたしまして対処をしてまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

高市委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高市委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高市委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時九分散会




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