衆議院

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第3号 平成14年11月8日(金曜日)

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平成十四年十一月八日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 古屋 圭司君
   理事 奥山 茂彦君 理事 鈴木 恒夫君
   理事 馳   浩君 理事 森田 健作君
   理事 山谷えり子君 理事 山元  勉君
   理事 斉藤 鉄夫君 理事 佐藤 公治君
      青山  丘君    伊藤信太郎君
      岩崎 忠夫君    小渕 優子君
      大野 松茂君    岡下 信子君
      梶山 弘志君    岸田 文雄君
      近藤 基彦君    佐藤 静雄君
      谷田 武彦君    中谷  元君
      林田  彪君    増原 義剛君
      松野 博一君    水野 賢一君
      森岡 正宏君    柳澤 伯夫君
      山本 明彦君    山本 幸三君
      大石 尚子君    鎌田さゆり君
      今野  東君    手塚 仁雄君
      中津川博郷君    肥田美代子君
      平野 博文君    藤村  修君
      牧  義夫君    牧野 聖修君
      山口  壯君    池坊 保子君
      白保 台一君    東  順治君
      黄川田 徹君    石井 郁子君
      児玉 健次君    中西 績介君
      山内 惠子君    松浪健四郎君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   文部科学大臣政務官    大野 松茂君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            工藤 智規君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局私
   学部長)         玉井日出夫君
   文部科学委員会専門員   柴田 寛治君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月六日
 辞任         補欠選任
  青山  丘君     吉田 幸弘君
  山口  壯君     後藤 茂之君
同日
 辞任         補欠選任
  吉田 幸弘君     青山  丘君
  後藤 茂之君     山口  壯君
同月八日
 辞任         補欠選任
  青山  丘君     増原 義剛君
  小渕 優子君     梶山 弘志君
  大野 松茂君     山本 明彦君
  岸田 文雄君     山本 幸三君
  佐藤 静雄君     水野 賢一君
  森岡 正宏君     岩崎 忠夫君
  鎌田さゆり君     今野  東君
  池坊 保子君     白保 台一君
同日
 辞任         補欠選任
  岩崎 忠夫君     森岡 正宏君
  梶山 弘志君     小渕 優子君
  増原 義剛君     青山  丘君
  水野 賢一君     佐藤 静雄君
  山本 明彦君     大野 松茂君
  山本 幸三君     岸田 文雄君
  今野  東君     手塚 仁雄君
  白保 台一君     池坊 保子君
同日
 辞任         補欠選任
  手塚 仁雄君     鎌田さゆり君
    ―――――――――――――
十一月五日
 三十人学級、私学助成拡充に関する請願(松本龍君紹介)(第一五二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――
古屋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りをいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長工藤智規君及び高等教育局私学部長玉井日出夫君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
古屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤村修君。
藤村委員 おはようございます。民主党の藤村修でございます。
 ただいま議題になっております学校教育法の一部を改正する法律案についてきょうは審査をする、こういうことで取り組みたいと存じます。
 今回の学教法の改正については、ポイントは、専門職大学院制度の創設、それから設置認可制度の見直し、そして大学に対する第三者評価制度の導入、四番目が違法状態の大学に対する是正、四点の内容を含む法改正でございます。
 私どもも、党内的にも種々議論を重ねてまいりました。あるいは、当委員会においても、さきに質疑があり、さらにロースクールという関係においては法務委員会との連合審査もなされたところでございます。
 そんな中で、きょうは、我々の中で種々議論になった点を幾つかただしながら、問題点がないだろうかということをはっきりさせた上で、これらをただしていく中で十分な理解を得る答弁をいただくならば、賛成をしていきたいなという姿勢ではございます。
 そんな中で、最初に、四つのポイントがございますが、違法状態の大学に対する是正という問題、これは我々の中の議論でも、昨年来の帝京大学問題あるいは酒田短期大学あるいは専修学校などの問題等、どちらかというと後ろ向きな、マイナーな面で高等教育機関における不正があるのではないだろうか、あるいは経理上の大きな問題があるのではないだろうかなどが出てきて、それに伴って文部科学省も、これはいかぬということでこれに立ち上がったのかな、今回の法改正につながったのかな、そういう思いをしながら、党内議論でもこれによってそれなりの対応ができるようになるという理解があるんですが、文部科学大臣にまず冒頭、今回のこの法令に違反する大学等の是正という面で、この項目はきょうまでのそういう今挙げたような問題に十分に対応できる、対処できるというふうにお考えの上で今回の法案、法改正を出されたのか、その辺ちょっと最初に確認をさせていただきたいと存じます。
遠山国務大臣 御質問に対して誠実にお答えをして、ぜひとも賛成をいただきたいと思います。
 第一の御質問でございますけれども、違法の状態にある大学に対する新たな改正の内容というのは十分であるかという御質問でございますけれども、違法状態にある大学をそのまま放置するということは許されないところでございます。
 ところが、現行法に与えられた権限といいますのは、法令違反状態の私立大学には閉鎖命令をかける以外に是正手段がないわけでございます。しかも、これは大学全体に対する是正命令でございまして、部分的な組織についてやることもできない。
 そのようなこともございまして、今委員がお挙げになりましたようないろいろな問題がある大学に対して、一体どうやっていくかということでいろいろ議論をいたしまして、これは中央教育審議会においても御議論をいただき、また私学関係者の御賛同も得て今回の改正に踏み切ろうとしているわけでございます。
 今回の是正措置の導入は、違法状態の大学にいきなり閉鎖を命ずるということではなくて、大学の自主性、自律性を踏まえながら、段階的で緩やかな是正措置を設けるということでございます。それによって、改善措置を見ながらまた次の是正措置を必要があれば求めていくということによりまして、大学の教育研究水準の確保の機会を整備していこうというものでございまして、しかも、実際の適用に当たりましては、大学の教育研究の自由に配慮をいたしまして、あらかじめ関係審議会への諮問が義務づけられておりまして、適正な事前手続の保障も配慮しているところでございます。
 そういうことで、今回の法改正が成立いたしますれば、私は、これまでの違法状態の大学を是正するにおいて必要な手続をとり得るものというふうに考えております。
藤村委員 概要を述べていただき、しかし質問には答えていただいていないんですが、これは法令違反状態の大学等の是正でありますが、このときの法令というのは、今回の法律改正によれば、設備、授業等について法令の規定に違反していると認めるときは、こういう規定であるとなれば、いわゆる法律全般、例えば帝京大学の問題は、きのうも大きな報道になっておりますが、脱税というものがございます。酒田短大のときには、多分入管法違反というこれは学生に対してのものがある。こういうものを含まない、設備、授業等について法令の規定に違反している、すなわち学校教育法に違反しているというときのみに今回の是正というのは対応できるのではないかなという理解でよろしいでしょうか。
工藤政府参考人 これは従前の、現行の学校教育法で既に規定されている規定ぶりをそのまま援用しているわけでございますけれども、閉鎖命令等の発動事例はこれまで幸か不幸かございませんでしたけれども、関係の法令というのは、従来の解釈では、学校教育法体系での法令ということでございます。
 したがいまして、他の法令、例えば今おっしゃいましたような脱税でございますとか、あるいは施設の関係が消防法とか建築基準法の上で違反しているとかいうことになりますと、その当該法令に基づくしかるべき是正改善措置が講じられるということでございます。
藤村委員 ですから、我々も党内的にいろいろ議論する中で、これで例の帝京大問題とか酒田短大の問題とかそれなりに対応できるんだという理解は間違っているというふうに、ここへ来て気がつくわけであります。つまり、今高等教育局長がおっしゃったように、あくまで学教法で大学の設置等に関しての法令違反である、それ以外のことは知りません、こういうことに結果的にはなるし、そこへ縛られているのではないかと思うんですね。
 しかし、教育の問題というのは本当に、特に高等教育というのは、日本の頭脳、まさに中心的な日本の活躍、活動の人材養成の場面でありますから、単に学校教育法ということでなしに、社会に通用する、あるいは将来貢献できる人材を育成するという観点からすれば、やはりあらゆる法令に、その教育機関である高等教育機関が違反しているとなれば、それは何らかの是正措置がとれないといけないと思うんですが、さっき遠山大臣が述べていただいた中に、ひょっとして遠山大臣もこれで何とか少しは前進すると思っている節がありますので、今の帝京大問題とか酒田短大問題はこれでは全く一歩も前進しないということは御認識ありますか。
遠山国務大臣 私といたしましては、今回の問題の契機になったようなケースは、今度の法改正によりまして違法状態と見ることによって、段階的な是正措置を求めていくというふうに考えております。
 と申しますのは、法令の違反という場合に、法律、政令、省令、あるいは省令の中にも大学設置基準のようなものもございますし、そういった中に入試にかかわる問題でありますとかそういったことも今後きちんと規定をしていくことによりまして、法令に対する違反状況というものをしっかりとらえられるようにいたしませんと、仮に法改正をいたしましても違法状態というのが是正できないわけでございまして、その意味において、私は有効な法改正であるというふうに考えております。
藤村委員 そうすると、高等教育局長との見解は違いはないですかね。つまり、大臣のお答えは、法令に違反しているということで、この帝京大問題なども運用によってそれなりに取り組んでいけるということを今おっしゃったように思うんですが、事務方の理解もそれでいいんですね。
工藤政府参考人 きっかけとしまして、先ほど御質問ありましたように、残念ながら帝京大学あるいは酒田短大のような事件が昨年秋以降明らかになったわけでございますけれども、本件の制度改正についての私どもの問題意識、それから中央教育審議会の御審議というのは、その前からのことでございます。
 先ほど先生御指摘のような三本、四本の柱があるわけでございますけれども、全体を通じて日本の大学をもっと生き生き、いいものになってほしいということを願ってのものでございまして、そのために規定の整備を図るのでございますけれども、ここの改善措置あるいは改善命令などにつきましては、その他とセービングクローズの前に例示してございますように、主として教育研究条件に係る案件でございます。
 したがいまして、これが一切酒田あるいは帝京に関係ないかといいますと、帝京大学の問題につきましても、入試に絡んでの寄附金収受の問題がございました。これは、現在は法令では規定していないわけでございますが、他方で、通達等での行政というよりは、より法令レベルでの指導の明確化、規制の明確化というのが求められておりますので、この法案が通りましたら、私ども、設置基準等の見直しを行いまして、入試の公正性の確保というのは設置基準等の上でも位置づけていかなきゃいけないかなと思っております。
 そうしますと、法令違反ということに抵触する可能性もあるわけでございますし、酒田短大の場合も、不法残留といいましょうか、不法入国の疑いもあったわけでございますが、他方で、教育の遂行状況が、授業と言えるかどうかわからないものを授業という形で位置づけられていた部分もあるのではないかということも含めまして、こういう法整備をきっかけにしまして、残念ながらちょっと社会的信頼を欠くような大学について調査し指導のきっかけを得ることができる、それによって各大学の水準の維持向上、さらには改善を図ることができるということを認識しているわけでございます。
藤村委員 それでは、帝京とか酒田の問題をきっかけに、これもそういうものに対応できるんだという理解であるというふうに伺いました。
 私も、まず、きょうまで私学に対しては閉鎖命令しかなかったというところに非常に問題があったと思います。そうすると、法定されていないいわゆる行政指導なるものが非常に裁量の範囲でいろいろなされるということに、むしろこれは透明性とか公平性に欠ける部分があるのではないかということで、法定するということが一つ必要だ。
 今回、例えば改善勧告、変更命令、組織の廃止命令、さらに最終的には閉鎖命令と、段階的に法定してやるということは必要なことだと思います。
 しかし、例えば、では、このたび、大きく今報道されている最中で、余り中身的に、司法の場で云々とお答えになるのかもしれませんが、しかし、簿外経理は調査によってはっきりしていた、かつ簿外経理の部分での脱税が既に告発されているということで、そうすると、これがいわば結審するというか、決まりますと、そもそも大学運営の経費を簿外経理し、そしてそれが脱税であったということがもし確定すると、当然改善勧告などを出していく、こういうことになりますか。
工藤政府参考人 学校法人の簿外経理の案件は、大学という教育研究機関の業務というよりは、学校法人としての業務でございました。したがいまして、法体系としましては、学校教育法というよりは私立学校法の体系の案件でございます。
 私立学校法人、学校法人に対する国のかかわり方については、沿革もあり、さらなる議論も必要なんでございますけれども、私ども、私学のいわば自律性のもとに、ガバナンス機能といいましょうか、適切な管理運営機能の強化を図らなきゃいけないという問題意識を、先般のああいう事件なども契機にしまして問題意識を持ってございまして、それは多くの私学関係者も協議しているわけでございますが、そのために、今、学校法人に置かれております監査機能の強化、内部監査が必ずしも適切に機能していなかった部分がございますので、監査機能の強化をどうするか。さらには、理事会運営のあり方も含めて、そういうガバナンス機能のあり方について検討に着手したところでございまして、その結論に基づいて、私立学校法体系のもとで法的な措置を講ずることで、また御審議を煩わすことになるのかどうかも含めまして、今後さらに検討してまいりたいと思っておるところでございます。
藤村委員 今後検討したいということでありますが、帝京大学問題は、去る九月十三日に文部省調査というのを報告され、ここで一つ、それまでの事態はこうであったという報告がございました。
 それを受けて、いわゆる全私立大学等へ、これは十月一日付で、文部事務次官による通達、私立大学における入学者選抜の公正確保等についてということで、過去の通達を廃棄し、新たにそれら事例を踏まえて、少し厳しく通達をされた。
 そしてまたさらに、帝京大学に対しては、今後、ここは大学が改善計画を出してきたわけですから、そのとおり実施されるかどうかについて、これは、十分引き続き厳しく指導と書いてあるんですね。
 だから、この引き続き厳しく指導が、今回の法令に基づいて、法改正に基づいてやらなければ意味がないと思います。つまり、改善勧告というのが出せるわけですね。改善計画を実施しているわけです。それでももちろん注視していきながら、問題があれば改善勧告をさらに出す、こういうことになると思うんですが、そうではないですか。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 帝京大学の件については、先ほど御指摘のあったとおりの経緯でございまして、帝京大学自身がみずから入学者選抜と寄附金の関係について公正確保を抜本的に行うということで今進んでいるわけでございます。また、法人の運営についても適正に行うということでございますので、私どもはそれをしっかりと注視しながら、必要に応じての指導を行うということでございます。
 したがって、今後どのように具体的になってくるか、こういうことを見ないと、にわかに今、委員御指摘のところについてどうこうなかなか申し上げかねる面がございます。
 なお、学校法人の運営につきましては、そもそもが、私立学校振興助成法ができたときから、私立学校、私学助成金を受けるところについては必要な規制がきちんとかかっておりまして、それに基づいて今回も帝京大学に対する経常費助成については厳正な措置を講じたところでございます。
藤村委員 今おっしゃった、私学助成を受けているところは、そうして私学助成の中での補助金の適正な執行という観点からという根拠がある中で指導されるわけですね。
 しかし、きょうまでは、今回の法改正による改善勧告とか変更命令とかなかったので、すべて行政指導でやってきた、それはしかし不透明である。だから、こういうふうにやってきました、今回は法改正して今後これでやりますというのなら、当然のこととして、厳しく指導というのが、それは単なるきょうまでの延長の行政指導でなく、やはり法定されたものに一つ基礎を置いて、それに基づいてやるという姿勢がなければ今回の法改正は意味がないと思いますので、その点はぜひとも厳重に、行政指導というあいまいなことでなしに、きちっと、これは公にされた法改正の中で、基準をはっきりさせて、こういうときにはこうするんですよということを、今後必要な省令が必要だと思いますが、つくっていっていただきたいと思います。
 それで、私は、帝京大学の件だけは、ちょっと余りにこのところの大きな社会的事象でございますので、きょうまで、さっき申しましたように、文部科学省は調査をされた、あるいはそれ以前には、大学みずから特別調査委員会なるものをつくって、この調査報告書が出てきた。これは通常会の本委員会でも、この中身について、ちょっと余り、何か中身いいかげんじゃないですかという趣旨の質問もあったかと思います。多分それを受けて、文部科学省としては、大学に直接出向いて調査をされた結果が帝京大学に関する調査結果であろうと思います。
 ここで、これでよかったのかなと。その後に発生した、今回特に、私、びっくりしました。きのう報道された、例の冲永嘉計さんですか、帝京大前総長の弟という方は、本来、学校法人帝京大学とは何ら関係がないと調査報告もされておりましたが、しかし、その入試に当たっては、三学部八人の父母らからお金を受け取っていた、そしてそのお金の一部は脱税であったということで、今回脱税で逮捕されたわけです。
 大学のみずからの調査報告書には、単に、この方は学校法人帝京大学とは何の関係もない人ですとだけ触れてあります。しかし、何の関係もない人が、この大学の入試に際して口ききをし、それなりのお金を取り、そしてそれが脱税で逮捕されるようなことになるんですか。この調査は本当にこれでよかったのか、あるいは今後どうするのか、そのところをちょっと答えておいていただきたいと思います。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 帝京大学みずから報告書が出ましたけれども、極めて不十分な内容でございましたので、委員御指摘のとおり、私どもとして現地調査を実際に行いました。さらに、これは医学部だけの疑惑ではなくて、他学部についても言われておりましたので、その分も含めて、関係書類等の調査、それから関係者の事情聴取を重ねたわけでございます。その結果を九月十三日にまとめたわけでございます。
 私どもは、率直に申しまして、強制的な調査権とか捜査権があるわけではないわけでありますけれども、やはり所轄庁としてできるだけの調査をするということで、今申し上げた現地調査、書類の精査、関係者の事情聴取、こういうことを行いました。
 その中で、御指摘の冲永嘉計氏の件についても、この入学者とそれから寄附金の関係の中で、だれが寄附したのか、いつかというところを調べていたわけでありますが、その中で第三者の関与があったかどうか、これをずっと見てまいりました。それから、関係者の事情聴取も行いましたけれども、そういうものは見当たらなかったわけでございます。
 私どもとしては、そういう中で、しかし、いわば事務局長個人がというような説明が大学からありましたけれども、とても理解しがたいわけでありまして、大学の責任は免れぬということでの厳しい指導を行い、抜本的な改善を求め、かつ、私立学校振興助成法に基づく経費助成に対する厳正な措置も講じたわけでございます。
 ただ、その後このような、またさらに逮捕ということが起きたわけでございまして、この具体的な事実関係については承知をしていないわけでございますけれども、報道内容が事実とすれば極めて遺憾であろう、かように思っております。
 私どもはできる限りのことはやってきましたので、その中でのこれまでの措置であったと考えておりますが、今後やはり、今これから捜査の関係になりますので、その中できちんとしたものがまた出てくるのではないか、もし仮に新たな不正な事実が判明すれば、その内容に応じて、必要があれば厳正に対処する、こういう考え方でございます。
藤村委員 残念ながら、大学の自己調査にはだまされたと言うしかないわけです。何の関係もない、全く関係ない人というその冲永嘉計氏が、大学の入学に際して、帝京大学の入学に際して、三つの学部の父母ら八人から口きき料を受け取っていて、それを脱税していて、それで逮捕されたわけですから、これを何の関係もないという、うそで固められた報告は本当に間違いであったと思います。
 それを受けて、この委員会の指摘もあり、文科省は独自にお考えになり、判断され、調査に行かれた。調査に行ったことを多としますが、私、この調査の大きく欠けている点が、これは十六人の関係者の方を聴取されましたよね、三日がかりですよね。でも、帝京大学の総長、聞いていないですね、責任者。これは、いろいろな方は聞いていますよ、理事さんや学部長さんや。どうしてトップに聞かないんですか。それから、一方の、今回問題になっているその弟さんという方も、これも、九五年当時に既に寄附金問題で大学に絡んで脱税が指摘され、修正申告までしている人ですから、当然その方にも聞くべき対象ではなかったのか。
 十六人の方に、三日がかり、それぞれ聞かれた。しかし、肝心のトップに聞いていない。あるいは、九五年、既に過去に寄附金問題等で脱税に絡む修正申告をした弟さん、この弟さんというのは、高校までの学校法人の理事長をやった方ですから、当然関係者ですね。どうして聞かなかったんですか。
玉井政府参考人 私ども、現地調査に行ったときには、いろいろと関係者からただそうと、当然のことながら、当時総長でありますから、冲永荘一氏にも事情聴取したいということでございましたが、その当時ちょうど入院中でございまして、聴取に応じられないということであったわけでございます。
 それから、私どもは、冲永嘉計氏についても接触したいと思ったわけでございますけれども、大学自身が接触することもなかなか難しかったということが七月十五日の報告にもございますし、なかなかそれ以上私どもとして接触は難しかったということでございます。
藤村委員 警察ではないから、それは出頭を求めてということはできないんでしょうけれども、しかし、そもそもその自己調査というもの、大学がやった調査、それなりに分厚いものだけれども、この中身は余りにいいかげんだとこの委員会も指摘をし、それに基づいて行かれたわけで、今おっしゃった弟さんの方は、何か電話等で接触を試みていたが、電話番号が変更され連絡がとれないため、兄弟の一人に名前を公表しないという条件で携帯電話の番号を教えてもらいし、やっと連絡がとれ、しかし、自分は今回の件で帝京学園を退職した身分なので、申しわけないが今さら何も話したくないとのことであったと。大学自己調査はそうであった。
 しかし、文科省が出張っていって、病気の人のところまで行くことは難しかったかもしれない。この人はそうじゃないわけですね、弟の方は。この人の話ぐらい聞いてこないと、子供の使いになりはしませんか。
 それで、私は、そのときのことを今指摘しながら、ですから、さっきは今後の推移を見なければとおっしゃったけれども、今後の推移を見ながら、ぜひともこの法改正に基づいた改善勧告、そのために聴取をしたり調査をしたりという動きに、つまり法定されたものに基づいてやってほしい、このことはぜひとも申し上げたいわけです。
 きょうまでは、行政指導という名のもとにいろいろなことがあいまいに、あるいは、世間に見えないところでされていたことが相当問題であるということはいろいろな分野で指摘されております。ですから、こういう形で法定することは、私、賛成であります。ただし、法定したからには、やはりこの法律に基づいてきちんとやるという姿勢を明確に、これは文科大臣から決意だけを聞いておきたいと思います。
遠山国務大臣 法律が成立いたしましたならば、そこに定められた手続にのっとり、またその目的に照らしてしっかりそれを実施に移していくというのが私どもの役割かと思います。
藤村委員 では、この部分だけ、一点だけ確認しておきますと、段階的な是正措置を発動するにおいての明確な基準とか、そういうものは今後省令で定められるということかどうかということ。それから、この法文には、設備、授業その他の事項について、法令の規定に違反していると認められるときという動機がありますが、その他の事項というのはどれのことを言っているのか、あるいは相当広い範囲で言っているのか、その辺だけをちょっと確認したいと思います。
工藤政府参考人 これは、改正後の十五条の四項で、改善勧告等に必要な場合は、報告または資料の提出を求めることができるという規定も置かしていただいてございまして、これまで、先ほど先生御懸念いただきましたように、何となく行政指導的な調査とかであったわけでございますが、一応、これをきっかけにして各大学の調査を行わせていただけるような規定ができるわけでございますので、いろいろ御心配いただく大学についての調査検討あるいはその是正措置については適切を期してまいりたいと思うわけでございます。
 その場合の基準ということでございますけれども、ここに言っておりますように、法令違反の状況でございますので、その法令違反という状況について、特に基準が、法令は違反するかしないかだけでございますからその基準があるわけじゃないんですが、個々具体のケースに応じて、例えば教員の基準で、先生が一定数足りない、足りないにしてもたまたま一時的に足りないのか恒常的に足りないのかとか、個々具体のケースに応じてさまざまであろうかと思います。その場合に、一律に、あるとき法令違反になったからすべて発動ということにするのがいいのかどうかというのがありますので、役所の恣意的な行政行為を防ぐためにも、関係の審議会での適切な御審議をいただいて、ケース・バイ・ケースで御審議いただく必要があろうかと思ってございます。
 それから、その他の事項ということでございますけれども、例示にございます設備、授業とあるほかについて言いますと、施設設備のほかに、教育課程でございますとか、学級編制でございますとか、教職員など、特に大学というのは教育、研究、学問の府でございますから、そういう大学の使命、機能に必要な部分について、もとることがあれば考えていかなきゃいけないと思っているわけございます。
 具体に幾つか例示として申し上げますと、例えば、大学を卒業していない者でございますとか大学院の課程を修了していない者に対して学位を授与した場合でございますとか、あるいは専任教員、一定数の必置規定があるわけでございますけれども、それに違反して大幅に教員数の不足が生じた場合でございますとか、卒業要件を満たさないのに勝手に卒業免状を差し上げたという場合でございますとか、いろいろなケースが考えられますけれども、主として、先ほど申しましたように、大学の教育研究という機能を中心としての法令の違反ということを私どもは考えているわけでございます。
藤村委員 一点だけでちょっと時間をとり過ぎているんですが、大臣にちょっと最終、この件だけで確認したいんです。
 私は、このたびの私学に対する、特に是正措置について、必要だと思います。
 ただ、大学に対しては、おおむね大きな流れの中では、できるだけ自由度を増し、大学の自主性をより尊重し、むしろ、しかし結果できちんと評価をしたりチェックをするんだ、こういう流れは変わっていないんだなということを確認したいわけです。
 今回、一部これは規制強化になるかもしれない、しかし、それは入り口のところというか非常に基本的なベースのところである。中の研究や学問や教育という分野においては、より今まで以上に自由度を増し、ただし結果の部分ではきちんと、また評価機関などを今回つくるわけですから、チェックするんだ、この姿勢は変わっていないんだなということだけ確認したいと思います。
遠山国務大臣 御指摘のとおりでございます。
 今回の、今の話題になっております部分につきましては、これは違法状態をどう是正していくかということでございまして、基本的に大学の自律性、自主性を尊重しながら、そしてそれぞれの大学がみずからの意思によっていろいろ改善していくというのを支援していく。あるいは、事前チェックというのは比較的緩くして、そして事後的なことについてはしっかりと見ていく。そのような大学についての考え方は、いささかの変化もないわけでございます。
藤村委員 しかし、帝京大学の問題は、調査報告書を出されてそれで一件落着しないでいただきたい。また、新たな事態であり、これは今回法改正が成れば、本当に、まさに法律に沿ってきちんと改善勧告なり、そのためのまた調査をするなり聴取をするなり、それはきちんとやっていただきたい、そういうチェックを忘れずやっていただきたい、このことは申し上げたいと思います。
 次に、専門職大学院制度の創設という項目で、今回、多分これが法務委員会との絡みで、ロースクールですから、一番重要、大きな課題、話題ではあろうと思いますが、先日も連合審査で、文部科学省は朝令暮改ではないかと同僚委員が追及していましたが、専門大学院というのをやり始めましたよね。まだ始めて間がないわけで、その評価とか結果とかなどは何らまだ定まらないところにおいて、今度専門職大学院を法定で、法律でやる。何が違うんですかね。あるいは、せっかくつくった専門大学院は、今後どうなるんでしょうか。
河村副大臣 御指摘のように、専門大学院をつくって、これが動き出してすぐに今度専門職大学院ということで、この違いでございますが、御案内のように、専門大学院というのは、既に六大学六研究、専攻が置かれておるわけでございまして、これの価値というのはかなり評価は高い。海外の大学院、いわゆる専門職大学院等々へ向かって一歩を踏み出したという評価を受けているわけでありますが、この専門大学院というのは、今の修士課程の一類型の中にあるわけで、課程も二年ということを基準に置いておりますから、その中で、特にこの専門大学院の方は、いわゆる研究者の養成ということが一番の大きな主眼になって置かれておるということがございます。
 そうすると、研究指導とか、それを行う教員が必ずいるとか、論文をきちっと出せとか、そういう条件がこの中に入っておる。そうすると、さらに高度専門職業人を養成しようとした分野において、これはやはり各分野の特性に応じたといいますか、それをもっとやろうとした場合に、そういう条件づけの中ではなかなか難しい。
 例えば、研究指導と論文作成、そういうものを必須とすると、これに時間をとられて、具体的な実務といいますか、そういうことがなかなかできなくなるというようなこともあって、それで今回、この新しい専門職大学院制度においては、そうした研究指導とか論文作成を必須条件にしない。また、修了要件としては、一定期間以上の在学あるいは各専攻分野に必要となる単位数の修得、いわゆるコースワークと言っておりますが、そういうものを必須とするというようなことを条件にする。あるいは、研究指導教員、そういう形でのものを置かない、必置条件とはしないとか、さらに、専門職大学院というものが国内はもとよりでありますが海外での一つの権威といいますか、そういう海外との比較とかということも考えながら、専門職学位を授与するというような形でやっていこうということが設計をされておりますし、修業年限は二年でありますが、分野によっては一年追加をする、したがって、三年以上とすることもできる、あるいは二年未満でもやれるとか、専攻分野に応じた標準修業年限というものを定めることができるようにした新しい仕組みにしていこうというふうに設計をされておるわけでありまして、これまで以上に柔軟に対応できる専門職業人を養成する機関としてやっていこう、そういうことでありますから、この専門職大学院ができるということになりますと、今置かれている六大学六研究学科においても、その方へ移行したいという大学側の意向もあるようでございますので、それを発展的にそちらへ認めていこうという方向でありますので、専門大学院から、今度、各大学が新しくこれからつくっていかれる、また、今の大学は専門職大学院という形に発展的に転換をしていかれる、そういう方向になるというふうに思っております。
藤村委員 専門大学院はなくなるということなんですか。
河村副大臣 ちょっと回りくどい言い方をしましたが、発展的に解消して専門職大学院の方へ移行をしていく、こういうことであります。
藤村委員 でも、専門大学院をつくったときは、これが必要だと言ってつくって、まだ間がないんですよね。
 それは多分、今、学位のことをおっしゃったので、専門大学院は修士ですよね。今度、専門職大学院、特に法科なんかの場合だと、ジュリスドクター、ドクター、博士という肩書で、そうすると、大学にとっては、それはこっちに行く方が格好いい。資格としてドクターを取れるんだみたいなところに、逆に言うと、今、国立大学なども、独法化などでそれぞれみずから、生き延びるというと言葉は悪いですが、新たな展開を考える中で、あっ、これドクターを取れるというと、雨後のタケノコというと失礼ですが、そっちにどうもいわば営業戦略上なびいていかないか。今回、何も法科専門職大学院だけでなしに幾つかの想定をされているわけですが、そうなると、まさに何とかドクターを取れるという、そのうたい文句で人集めに走りはしないか、そんな危惧を抱くんです。
 しかし、はっきりしておいていただきたいのは、これはジュリスドクターという資格に多分なると思うんですが、法務博士になるんですか、そして(専門職学位)とか、多分そうなると思うんですが、これは、しかしアメリカのJDというのは法学士なんですよね、学士なんですね。いわゆる法学博士というのはSJDなんですよね。サイエンスがつかないといけないんですね。これは、違いを余りごちゃまぜにして大学の営業戦略で人集めに使われてはいけないので、その辺はっきりとしておいていただきたいと思います。
河村副大臣 藤村委員の言われるとおりでありまして、いわゆる博士号ということになりますと、いわゆる修士課程を経て、博士課程を経て、まさにこれは論文審査とかそういう厳しい審査を受けて得られるものであります。この法のいわゆる法務博士的なものは、まさに実際に使えるといいますか、そういう観点でありますから、それはやはり違うんだということは前提になっておるわけでございます。
 ただ、法科大学院の場合については、それに対して非常に特化した勉強をいたしますし、まさに試験が後ろにもあるわけでございますが、それに対して、やってきたことをきちっと社会に認めるという意味で、法務博士ということが、今、これは正式に法務博士という形にするかどうかは別ですが、一応その案としてそういう形で考えられておるということであります。
藤村委員 調査によれば、私学で経営する場合、やはり学生からの授業料というのは二百万円台が平均とかいうアンケート調査もあるようですから、それなりにお金がかかるわけです。逆に、私学の側からいうと、お金を集められるわけですね。そうすると、まさに博士という名前を利用して、看板にして、二百万から三百万の授業料を一人から取れるという営業戦略に使われては、これは元も子もないと思いますので、中身のある専門職大学院にしていく努力をしていただきたい、これはお願いであります。
 さらに、それだけのお金がかかるとなれば、これは学生の負担が大変です。公平性の問題からいっても、これはさきにも出されておりますが、奨学金等の手当て、これを一方で考えていくということをお願いしたいと思いますが、その辺は、大臣、御決意のほどはいかがでございますか。
遠山国務大臣 学生の経済的な事情いかんにかかわらず、みずから学びたいという人たちがトライできるようにしていくというのが私どもにとりまして大変重要な仕事だと思っておりまして、奨学金制度の充実については、殊に力を入れていかなくてはならないと考えております。
藤村委員 次に、もう一点の問題が設置認可制度の見直しということで、今回、授与する学位の種類及び分野を変更しない場合は認可を要せず届け出で足りるというふうに、ある意味、規制緩和というふうに言えるんだろうと思います。
 その具体的なイメージとしては、今まで経済学部があって、その中に経済学科と経営学科がありました。その経営学科というのを、ひとつ学位には変更なしに、経営学科を改組して経営学部にするようなケースというのは具体的イメージとしていただいているんですが、これは人数とかその辺の枠はもう全くいいんですか。つまり、今まで経済学部経営学科が四十人定員であった、今度は学部にするので二百人にする、こういうことも届け出でよろしいんですか。
工藤政府参考人 現在、大学の収容定員につきましては、当該大学の教室あるいは教員スタッフの状況なりに応じてやはり適正な水準を確保する必要がありますので、認可事項としているわけでございますが、今回の組織の改編、新設につきましては、一定の大学全体としての収容定員の枠内であれば自由にいたしましょうと。今おっしゃいましたように、今まで四十人だったのを同じ分野だから二百人にします、三百人にしますとなりますと、それだけの教員スタッフあるいは教室等の校舎を御用意いただく必要がございますので、それは御審査いただかなきゃいけないと認識してございます。
藤村委員 だから、総枠は認可だから、ここで枠ははめている。中でのいろいろな、まさに私学の経営戦略上もあって、こっちへ人をたくさんとりたいというときには届け出でよろしい、こういう理解でいいんですね。うなずいていらっしゃるので、そのように理解をいたします。
 そうすると、これは私学にとっては非常にメリットがあるというふうに思えますか。あるいは、いわゆる規制を緩和したにすぎず、それほど何も変わってこないというふうに予想されるのか。今後の推移、どういうふうに今想定されているのでしょう。
工藤政府参考人 これまでも、設置認可については随分簡素化、弾力化してございまして、二年かかったのを一年にしたり、一年も、学科レベルですと実質二、三カ月で審査を短縮化するとか便宜を図ってきたのでございますが、いわば質的に、先ほど申したように、一定の分野で、もうここまで国が見張らなくてもいいじゃないかという部分については、私学に限らず公立大学も含めて、大学の自主的な御判断にお任せしようじゃないか。大変これは大学の将来的な戦略にとっては大きな点であると、私ども、関係者のヒアリング等でもそういう意見が表明されましたので、認識してございます。
 ただ、そのかわり、事後的なチェック体制、これは国がチェックするわけじゃございませんけれども、第三者機関によりまして、しっかりと水準の向上を図っていただきたいということをあわせてお願いしたいのでございます。
藤村委員 設置認可制度と、もう一点が、今回のポイントでありますが、大学に対する第三者評価制度の導入という点、これで四点が今回の法律改正だと思います。
 第三者評価制度の導入は、むしろ遅きに失したというか、前々からもずっと言われていたものをやっとここできちんとしようということだと思いますが、このたびの評価機関について、まだそれはできていないのでわからないということかもしれませんが、いま一つイメージがわかないのです。
 アメリカでは、アクレディテーションということで、消防のマル適マークみたいな、ホテルに対してマル適マーク、適か不適かみたいな、こんな区別をするんだという評価の仕方もあるわけですが、今回、この評価機関というのはどういうところまで評価をしていくんだろうか。あるいは、そのイメージを少しはっきり出していただくとわかりやすいんですが、いかがでしょうか。
工藤政府参考人 何よりもこの第三者評価、自己点検、評価から始まりまして、外部審査員に参画いただいての外部評価、それから第三者評価というふうに、評価体制を充実しようということに努めてまいったわけでございます。
 それで、これは何よりも目的は、それぞれの大学の自律性のもとでの自己改善を促すための仕組みと考えてございます。
 アメリカでは百年間の歴史がある中で、随分定着しているわけでございます。アメリカの場合は、大学を丸ごとといいますか、機関別の評価を行う全国的な団体が十一団体、それから、例えばロースクールでございますとかビジネススクールのように専門分野別の第三者評価機関が四十九団体ございまして、これは連邦教育省の長官の認証を受けるような仕組みになってございます。ただ、活動はそれぞれが、大学や専門職団体などが組織する自主的な組織でございまして、定期的に各大学の評価をする。
 その場合に、評価項目を決めまして、教育のカリキュラムあるいは教員スタッフの状況等々、教育研究あるいは管理運営等の面で評価をして、その評価のやり方も、マル、ペケみたいに適格かどうかという判定をするケースも考えられますが、日本の場合に、今試行段階ではございますけれども、その評価のやり方として、マルかバツかという、マル適マークを出すイメージということだけではなくて、評価ごとにそれぞれの大学の自助努力を促すためのものでございますから、こういう点はうまくやっているけれども、こういうところはもう少しこういう観点から御努力されてはどうですかということなども含めて、ある程度点数化しながら、評価項目ごとにお示しするようなケースもあるわけでございましょうし、それぞれの評価機関が自主的にいろいろ決められるべきことでございます。
 現に今、日本でこれから立ち上がろうとしているものとしましては、大学評価・学位授与機構が評価を試行中でございますが、そのほかに、財団法人の大学基準協会でございますとか短期大学基準協会などがございます。さらには専門分野別の評価機関としましては、工学系の分野なんでございますけれども、日本技術者教育認定機構、略称JABEEという団体が、国際標準での工学教育の質を上げるために今活動中でございます。
 今後、法科大学院の立ち上げに伴いまして、その分野での団体の動きもあるわけでございますので、いろいろな複数の団体が育って、我が国の大学の水準の向上に寄与していただくように期待している次第でございます。
藤村委員 今からできる話は、余りたくさんのことはまだわからないというところかもしれませんが、やはりいろいろなところが、いろいろに評価をするという方向を目指していると考えてよろしいんですね。
 事例を挙げられるのは、さっきからいうと四つかせいぜい五つぐらいですが、アメリカのケースは数十の評価機関があるわけで、それを認証していくわけですから、では、認証に当たって、評価機関が持つべき機能とか評価能力というものは、これはまさに文科省が認証するわけで、その基準というのはおおむね概要ができているわけでありましょうか。
工藤政府参考人 改正法の新しい六十九条の四で、一応外形的な基準を定めさせていただいているつもりでございます。
 当該機関自身の策定する大学評価基準を定めていること、あるいは評価をする上で適切な方法をとっていること、あるいは評価員を擁しながら評価する体制を整えていること、大学からの反論の機会を与えることなど、外形的に項目として第二項に規定しているところでございますが、ここだけではわかりにくい部分につきましては、第三項に定めております規定によりまして、関係の審議会に諮りながら必要な細目を御検討いただき、それを明示しながら、透明性、公正性を確保して認証に当たりたいと思っている次第でございます。
藤村委員 アメリカの場合だとそれなりの歴史があって、ある評価機関にこういう評価をされたときには、やはりそれが学生の一つ大きな選択の要素になって、その評価が高いところに、割にちゃんと学生が集まるようなそういう傾向があるようだと聞いております。
 今この時点で、第三者評価機関による評価結果というものを、日本の場合だとどのように利用されたり、あるいは学生がどういうふうに判断したりすると想定していましょうか。
河村副大臣 大学評価をすることによって、この一番のねらいは、大学がこれを見ておのずからの努力をする、さらにその質の向上につなげるというところに一番のねらいがあるわけで、この評価結果は当然、大学へ通知すると同時に、広く社会に公表するということになっていくわけであります。それがために大学みずからが、まずそれは、この評価に対してみずからの努力によって改善を図っていくということが第一義になりますが、大学も、評価機関自体も社会の評価を受けるということになっていくわけです。
 さっき委員も御指摘のあったように、それを見て学生も当然、大学の選択の基準にしていくでありましょうから、そうしたことによって大学の教育研究水準も上がるだろうし、大学評価システムも改善につながるということを期待いたしておるわけであります。
藤村委員 それだけなんでしょうか。すなわち、私学助成などというものも、やはりこれはいろいろな評価に基づいてされる。さっきの帝京大学の場合は、過去の簿外経理などの問題があり、これは返還命令まで出したわけですから、相当これは、文科省なり私学振興財団、共済と一緒になったんですか、というところでやるわけですが、あるいは科研費の問題とか、そういうことに大きくつながるのではないかと思っているんです。
 つまり今おっしゃった、大学の中身の質を担保したり、あるいは大学みずから努力をするだけでなしに、あるいは学生がそれを見て応募するだけでなしに、国としてこの評価をどういうふうに使うのか、これはお考えがあるんでしょうか。
河村副大臣 この評価の仕組みそのものの設計の中には、これをもって行政処分とか資源配分をやるとかということにはなっていないわけであります。
 しかし、この結果を見て私学助成等々、私学振興財団等が持っております私学助成の考え方からいきますと、経常費等についてというのではありませんが、特別に活動といいますか、各大学が取り組んでいくことに対して、その支援をしていこうという形でこの評価を活用するかどうか、これはそれぞれの、資源配分機関という言い方をしておりますが、そういうところでこれを参考にされるということはあり得るだろう、こう思っております。
 これで順番を、大学の格差をつけたり、それによって支援を順番にやっていくとか、そういうことは考えていないということであります。
藤村委員 いろいろな評価機関がいろいろに評価するということを当然参考にするんでしょうが、遠山大臣、トップサーティーに絡んできましょうか。いろいろな分野で三十ぐらいのトップサーティーという構想を、これは遠山プランかもしれませんが、これにも当然、それを参考にするというお考えなんでしょうか。
遠山国務大臣 あの構想は現在、二十一世紀COEプログラムということで、十の専門分野に分けまして、それぞれの分野において、非常にすぐれた研究の拠点になり得るというところを客観的な評価で選んでもらいまして、これは申請に基づいて、その申請されたものについて、専門家の方々あるいは有識者の方々の幅広い、かつまた専門的な視野から選んでいただく、そういう手法によってやっております。
 今御議論いただいております大学評価機関というのは、もう少し幅広い、それぞれの大学の教育研究というような角度かと思いますので、私は直接にはCOEプログラムの方で使うことになるとは思えないわけでございますけれども、今後、評価機関がいろいろな角度から評価をされて、それが用いられるようになれば、一つの参考項目として用いられることもあるかもしれませんけれども、今の段階ではそんなふうに考えております。
藤村委員 最後に、評価の妥当性はだれがどのように評価するのかということなんですが、これは文科省が認証するときの、しっ放しで、後はもうまさに民間で自由にやってくださいということなのか、それともある程度、大学が定期的に評価を受けるのと同様、評価機関が定期的にやはり評価を受けるのかどうか、そこまでお考えなんでしょうか。
河村副大臣 評価機関の評価について制度化はいたしておりませんけれども、当然、評価の公平さあるいは適確さ、これに疑義を生じるケースがあったというようなことがありますと、これは文部科学大臣は、評価機関に対して資料を求めたり、あるいは聞き取りをするとか、そういうことはできて、そういうことがはっきりするということになれば、これは審議会に諮問をするとか、あるいは改善を求めるとか、さらに、これができないということであれば、認証の取り消しということは可能になっておるわけであります。
藤村委員 ありがとうございました。
 ほぼ時間が参りました。今回、高等教育の問題で、専門職大学院やら、第三者評価やら、あるいは違法状態の大学に対する是正やら、設置認可制度の規制緩和などなど、これら一連の法改正について少しずつお聞きをした中で、やはり基本は大学の自主性をさらに促していく、さっき大臣の御意見のとおりでありますし、今後も、大学の自治、学問の自由につながる大学の自治というものは本当に尊重しながら進めていただきたいなということを希望して、終わりたいと思います。
 どうもありがとうございました。
古屋委員長 佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。
 本日は、前回の法務、文科合同審議に関連して、また、その前の文部科学委員会においての審議に関連してお話をさせていただき、御答弁をいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 前回の十一月六日の法務と文科合同審議におきまして私が両大臣にお尋ねをいたしましたのは、小泉総理、小泉内閣のこの国のあるべき姿、考え方、理念、哲学、青写真、設計図というものがどういうものですかということをお尋ねしましたが、きちんとした答えは私は返ってきたとは思っておりません。
 森山法務大臣がおっしゃられた中に、まさに構造改革の目指す社会とは、努力する者が報われる社会、正しい者が救われる社会である、こういうふうに総理はおっしゃったということで、そういった社会を目指すということをお話をされましたが、私は、本当にこの日本の青写真、設計図というものはどういうものですかということを聞いていることになると思います。これは、いろいろな大臣とも議論をしてきたんですが、明確に回答をいただいておりません。
 これは私の言っていることがわかっていただけないのかなと思いまして、本日、一つの例として挙げれば、家を建てるときに、やはりどういった全体の機能を持たせた、どういう全体の家を建ててやっていくのかということをお聞きしたい。
 今議論していることは、玄関をどうするとか、柱をどうするとか、居間をどうするとか、そんな議論ばかりであって、全体の像自体が小泉総理、小泉内閣が私は見えないというふうに思います。家を建てて、そこに住んでいる人たちがまさに、努力をする者が報われる家であり、また安心して暮らせる社会であり、そして正しい者が救われる家であるという、きちんとその家の全体像というのが見えないというのが私の、何回も何回も同じことを聞いている、わからない部分だと思っております。
 ここに関してもう一度大臣にお聞きいたしますけれども、そういった青写真また理念、哲学というものは小泉総理、小泉内閣は持っていると、前回の委員会でもイエスと言っていただいたので、イエスと言うのであればそれは一体全体何かというのを御説明願えればありがたいと思います。私はきょう四十分の持ち時間をいただいておりますので、本当に時間が必要なら全部費やして説明をしていただいても結構でございますので、どうかわかりやすくお話をしていただけたらありがたいと思います。
遠山国務大臣 小泉内閣のこの国のあるべき姿についての考えは何かということでございますけれども、それは、総理御自身がこれまでの所信表明演説などの中で、小泉構造改革が目指す社会というものを提示されてこられたというふうに思います。
 そういう社会が実現できるように諸般の改革を推進しているところでありまして、具体的に申しますと五つほどあるわけでございますが、一つは、経済の再生などを図って、経済社会の主役である人が能力と個性を発揮して存分に活躍できる仕組みを備えた社会を構築する、これは、森山大臣がおっしゃいました努力が報われ再挑戦できる社会の実現ということでございます。
 二番目には、行政改革、地方分権などによって、民間と地方の知恵が活力と豊かさを生み出す社会を実現すること。三つ目が、人をいたわり、安全で安心に暮らせる社会を実現すること。そして四つ目が、地球温暖化問題に取り組み、都市の再生などによって、美しい環境に囲まれ快適に過ごせる社会を実現すること。五つ目が、新しい時代を切り開くたくましい日本人の育成等を図り、子供たちの夢と希望をはぐくむ社会を実現することということでございます。
 そこに流れるのは、人々が自立心を持って、そして地方なり民間なり、そういったところが活力を持って生きられる、そういう社会をつくっていこうよというのが小泉構造内閣の目指すものであろうかと思っております。
 私の角度から見ますと、幾つかその提示されている目標に関連するわけでございますけれども、小泉内閣におきましては、経済活性化の戦略として人間力戦略とそれから技術力戦略というものを掲げておりまして、私としましては、所管の立場から、この八月に人間力戦略ビジョンを提唱いたしたところでございます。
 そういうことで、小泉内閣の目標というものは、第百五十三回における総理の所信表明演説、ここで五つの目標が明確になり、第百五十四回国会におきます施政方針演説におきまして今申し上げたような中身がそれぞれ明確にされているところでございまして、そのよって立つところの改革への意欲ということが私は明確に読み取れるというふうに思うところでございます。
佐藤(公)委員 今お話しされたことは、大体私も目を通させていただきました。そういう中で、やはりこの議論というかお話しされているということは、先ほどからもお話ししているように、私は本当に、居間をどうする、まさに玄関をどうする、廊下をどうするという議論ばかりであって、その根本になるものというものが読み取れない、わかりにくいというのが現状でございます。
 多分、これの議論をしていると、ずっと平行線のままになっている。小泉総理もしくは遠山大臣は、言っているじゃないか、ちゃんとあらわしているじゃないかというふうに言っても、私たちはそれはそういうふうには見えない、思えない、わからないという平行線の状態が続くと思います。私は、その辺をきちっとやはり国民の前に提示し、政治を行っていくべきだということを、この件に関しては御指摘をしておきたいと思います。
 結局、そういった根本がなくて場当たり的に物事を行っているのが今の政権、小泉内閣なのではないか。それによって、本当にこの国が、将来が不安になり、それだけのことをあらわしているのであれば、みんなが将来に対して不安に思わないはずです。でも、みんなが、国民が不安に思っているということはどういうことかということを、もう一度よく考えていただきたいと思います。
 そういった基本がないのに、一つ一つ法律をつくっていく、ないよりあった方がいいというようなことでつくるよりも、こういったことは、結局、今はないよりあった方がいいかもしれませんが、五年後、十年後、この法律が悪法になるなんということは十分あり得る、こういうことを御指摘申し上げておきたいと思います。
 もう本当に小泉総理は、任せた、任せる、専門家だからと言って、小泉総理自身がはっきり言わないんですけれども、まさにこういった小泉さんとの話の中で、もう少し具体的にちょっと一点だけ聞かせていただければ、小泉総理から遠山大臣の方に、一体全体、どんな教育、文科省、日本のあるべき姿を考えてこういうことをやってくれということ、または話し合いを持たれたのか、簡単にお答え願えればありがたいと思います。
遠山国務大臣 まず、就任に当たりまして、教育は非常に大事だと考えている、大いに教育改革をやってくれというお話がございましたし、最初の施政方針演説におきまして米百俵の精神をうたわれて、それに乗っかって、教育の重要性というものを十分重視した上で改革を進めるという姿勢を示されました。
 私といたしましては、その大きな方針にのっとりまして、さまざまな教育改革を今展開しているところでございます。就任直後の教育三法の成立を初めといたしまして、二十一世紀の学校教育をよくするためのさまざまな施策をやっております。それを集大成する形で、ことしの八月に人間力戦略ビジョンというものも明確にしたところでございます。
 それらは、いずれも総理の御了解も得、御説明をし、そして総理も御納得いただいて今進めているところでございまして、私としましては、そうした一致した認識のもとに今教育改革を進めさせていただいているというふうに考えております。
佐藤(公)委員 改革というのは、やはり目的、目標がきちっとした上で改革をすれば意味がありますけれども、その目的、目標が不明確な状態で改革するというのは大変危険だと思います。そこら辺はもう言ってもしようがないと思いますので、法案の方にちょっと入らせていただければありがたいと思います。
 十一月一日の文部科学委員会の質疑に関しまして、大臣等もおっしゃられておりました、第三者機関においてNPOも想定をしているようなお話がございました。これは、NPOだけではないんですけれども、第三者機関、特に今一点聞きたいのは、NPOを想定しているということであれば、また期待もしているようにも思えた発言だったと思うんですけれども、どのような内容と流れ、またサポートを文部科学省として考えているのか、お願いを申し上げたいと思います。
遠山国務大臣 御指摘の点は、十一月一日のこの委員会におきまして、公明党の斉藤委員の、大学評価・学位授与機構以外の民間機関の参入も可能な制度設計とするべきではないかという御質問に対しまして、河村副大臣の方から、認証の基準に合うものについては広くこれを認めるというものであって、そのような機関の中にはNPO法人の参加も十分考えられるというお答えをいたしたものでございます。これは私ではございませんで、副大臣の方からでございました。
 認証評価機関は、大学についての評価を公正かつ適切に実施するものでございまして、原則として、会計や運営等の基盤が安定している法人格を求める仕組みとしているところでございます。その場合の法人格としましては、いわゆる民法法人ばかりではなくて、特定非営利活動法人、これはNPOでございますけれども、そういうものも考えられるということでございます。
 そういうことで、さまざまなしっかりした団体が認証評価機関としての認証を得て、それぞれが切磋琢磨しつつ、よい意味での競争をしていただきながら、多様な観点から評価が行われることが望ましいということを期待した内容でございます。
佐藤(公)委員 ということは、特に今、現状、NPOをとりたてて何を考えているわけではないということでよろしいんでしょうか。
遠山国務大臣 そういうことでございます。
佐藤(公)委員 では、この第三者評価機関、これは、大学の機構的な全体を評価するやり方と、あと、学部を一つ一つ評価していくやり方というようなことになってくると思います。
 この第三者評価機関を一回ちょっと整理しますと、大学全体をするのと、特殊分野、学部別にやっていく。これが、主に今挙げられているのは、ロースクールということ、法科大学院ということをとらえた場合に、この前の委員会でもある程度想定されるところを出されたわけでございますけれども、その中で、まずは法科大学院制度ということだけをとらえた場合に想定されるところで、一つは、大学評価・学位機構、こういったところがあり得る。このほかで、ずっと、大学協会もしくは大学基準とか短大基準、いろいろと団体がございますけれども、そういうところが幾つか想定されるわけですけれども、まずはこの大学評価・学位機構ということに関してお話をさせていただければ、これは局長の方で構いませんけれども、まずこの機構というのがどういう組織体系でどういう財政状況でどう運営されているのか、簡単に御説明を願えますでしょうか。
工藤政府参考人 これは国立学校設置法上の機関でございまして、国立大学を中心に、今、設置者の立場から大学の質の向上を図るためにこういう評価システムが必要だということで、国会での御論議もいただきながらつくらせていただいたものでございます。もちろん、その前には、前身で、学位授与というだけのマンデートでございましたが、それに大学評価の業務も加えたわけでございます。したがいまして、現在のところは国費で運営されてございます。
 今、大学評価は日本では大変未成熟でございまして、国立大学だけではなくて、国公私を通じて日本の大学のもっと質の向上を図るために、諸外国のノウハウも含めて情報を集め、各大学等に提供し、その制度の定着を図る必要がございまして、そのための準備なども含めて大学評価・学位授与機構に業務をお願いしているところでございます。
 たまたま国立学校特別会計機関でございますけれども、国立大学と同じように、文部科学省からは一定の距離を置いた自律的な機関と御理解賜りたいと思います。
佐藤(公)委員 つまり、国費でやっている、運営をしているということですけれども、今後考えられることは、国費で運営をしているところが第三者評価機関ということをやっていく。それと同時に、ほかの民間団体もしくは日弁連さんも考えているということですけれども、ほかの団体も考えてやっていく。財政面において、ほかとこちらの機構との間で本当に公平、平等な形で第三者評価機関というものを設立させ、そして今後やっていくということに関しては、非常に不公平、不平等さが生まれるのではないかと私は思います。
 ここら辺の財政面に関しても含めて、機構自体は今までどおりの形をとっていく。と同時に、ほかの第三者評価機関設立に関して、財政面でのことを同じように考えていくんであれば、公平、平等な形ということも言えると思いますけれども、今の現状のままでやっていくと非常に不平等な中での競争原理というものになってしまう。ここら辺の財政を含めた機構のあり方を今後文科省としてはどう考えているのか、またとらえていくのか。
 実際、この機構が評価をしていくに際して、お金を取っていたんですか、今まで。取っていたんであれば、どれぐらい取っていましたか。お金を取っていないんであれば、それを今同じようなテーブルの中で、あんたら勝手にやりなさいということになったら、みんなほかの方が不公平、不平等な中で、それは、悪い考え方をすれば、機構が最終的には独占をする。いい人材を集め、いいステータスを持ち、そして財政もきちんとしている。これは国費の上でやっていたら当然だと思います。
 そうしたら、どんどんどんどん大学はそっち側に評価を求めていく。ほかの方へは評価を求めなくなってしまう。こういうことによって、独占的な機構がすべてを評価していくことにもなりかねない。そうしたら、また文科省が首根っこを持って全部何もかもやっていくことになる。
 自由、自由と言いながら、全く逆行するような形をつくろうとしている部分に感じられるのでありますが、ここに関して、財政面を含め、機構、組織、どう今後考えていくのか。また、民間団体においてもどういった支援を、特に財政です、財政のことをどう考えているのか。いかがお答えになられますでしょうか。
    〔委員長退席、奥山委員長代理着席〕
工藤政府参考人 大学評価・学位授与機構で、今までの業務としましては、大学評価に関しましては、まだ試行段階でございまして、本格実施に至っておりませんので、評価料といいますか、審査料をいただくことはしてございません。
 ただ、これから、この法改正によりまして制度が立ち上がって、当該機関も国立大学の法人化に合わせて法人格を取得するような措置をお願いしたいと思っておりますが、大学評価・学位授与機構が第三者評価機関としての認証を受けることになりますと、大学評価の部分についてはある程度の独立性も保たなきゃいけないわけでございますので、適切な審査料もいただきながら自律的な運営を求めていかざるを得ないと認識してございます。
 そういう意味で、いろいろな複数の評価機関が立ち上がって、それぞれが切磋琢磨し、しかも各大学も選択できる仕組みにすることが望ましいと私ども思っているわけでございますが、その審査料の面で、余りにも大学評価・学位授与機構が低廉で他の競争を阻害するようなことがあってはならないわけでございますから、認証に当たっての必要書類としまして、それぞれの機関での審査料、余りにも高額だったり低額だったりするのはいかがなものかと思いますので、それを届け出事項にするなどしながら、一定の競争的環境を確保してまいりたいと思います。
 では、他の機関を含めた支援体制をどうするかということでございます。大学評価というのは、国から業務を委託するということではございませんで、アメリカの経験にもありますように、大学関係者がいわば自律的に行っていただくためのものでございます。
 そういう意味で本来自律的なものでございますけれども、他方で、日本でのそういう仕組みが大変未成熟でございます。(佐藤(公)委員「短くお願いします」と呼ぶ)はい。それで、中央教育審議会からも支援のあり方について検討すべしという御注文もいただいてございますので、今後、財政事情を勘案しながら、どういう支援の仕方が好ましいのか、適当なのか、検討してまいりたいと思っております。
佐藤(公)委員 では、極端なことを言えば、大臣、副大臣、自律をきちっとしなければ、財政支援のことはほかのところに考える。自律させていくことが一番でしょうけれども、財政支援や何かを今後十分考えていくということでよろしいでしょうか。
河村副大臣 委員御指摘のように、せっかく複数でできるだけ切磋琢磨していただくというのに、一つのところだけが非常に優位で、それでは意味がありませんので、例えば学位授与機構についても、今、国立大学の法人化の問題もございますが、そのときと合わせて学位授与機構そのものも法人化して、やはり独立して、今までは各大学に対しては、大学協会等が持っているものは検査料を取っておりますが、そっちは取っていないということでやっておりますが、それもきちっと検査料を取るという形にして、まさに平等といいますか、公平な形になるように設計をしていかなきゃいかぬ、このように思います。
佐藤(公)委員 では、自律ができなかった場合には、そのときは、ほかのところも財政支援を考えながら公平、平等さを保つということで、今とらえさせていただきます。
 この認証なんですけれども、今、一応、認証した機関ということになっているんですけれども、この認証ということは、大臣はやはりこれをずっと続けるつもりでいらっしゃるのか。もしくは、今はまだ、全体が初めてやる試みなんで、ある程度の質と量を担保するために認証ということをするんであって、今後自由にまたは伸び伸びとやっていかせるためには、ある程度の段階に来たらば、この認証というのを変えていくということをお思いなのか。いかがでしょうか。また、いつまでそれを続けるつもりなんでしょうか。
河村副大臣 特に法科大学院等については、これから始めることでもございます。
 ただ、この認証システムというのは、やはりどうしても、その大学が評価を受けるにふさわしい、公正、適確な評価をするという前提に立ってこれをやる。そして、それが社会的な評価を受けるために、やはり国がきちっと認証する、基準を満たしてもらいたいという、このシステムは当面維持していくべきものだろうし、また、アメリカなんかの例を見ても、やはり連邦政府はこれまできちっとした認証をして、今日へ来て高い評価を得ておるということを見ましても、今の時点でまだ定着をしているという段階でもございませんし、これは、今の段階でこれをやめて将来自由にということは考えずに、まずこのシステムをきちっと運営していくということを前提に進めていくべきであろう、このように考えております。
佐藤(公)委員 まさにこれは、認証されなくてもやはりまともに評価ができる組織ができてくることが一番理想ですので、そういう方向でやっていただきたいというふうに思います。
 そして、今もおっしゃいました、私、言葉の定義にでもなってしまうんですけれども、認証評価をするということに関して、認証と評価というのは、実際、これは結果的に違うことになると思います。認証というのは、ある基準においてのマル・バツという判断の仕方。評価というのは、一つの順位づけみたいなものになります。これを認証評価していく、ここのところは、言葉の使い方をきちんと考えていかないと、非常に混乱をしてしまう。
 多分、文科省といたしましては、ここの部分はほかの評価というのと差別化を図るためにつくった俗語的な部分に感じるんですけれども、この辺は気をつけてくださいということだけを申し上げておきたいと思います。答弁は結構です。
    〔奥山委員長代理退席、委員長着席〕
河村副大臣 ちょっと一つだけ。いや、あなたも思われ、私もそう思ったんで。
 認証評価というのは、この言葉の使い方は、そういうふうに理解されたらこれは誤解でありまして、こういうふうに使わなきゃいいんですが、第三者評価が認証した機関がやる評価という意味なんです。だから、これは評価だけなんです。この言葉の意味は、認証機関がやる評価ですよと。だから、こういう使い方はちょっとやはり私も考えないと、この言葉だけ取り出すと非常にそういう誤解を招きますので。
佐藤(公)委員 副大臣、そうお思いになったらば、あなたは副大臣であるんですから、直してくださいよ。やはりそういうところは非常に誤解を生んで、業界の方々から、この認証と評価に関して、もうそういうはっきりしたことであれば、むだな議論が今までかなり出ています。認証と評価は違うじゃないか、なのに評価をするというのはどういうことかと。こういう部分はきちんと直していただけたらありがたいと思いますので、お願いいたします。
 本来であれば、ここを直して、ちょっと法律をまた変えていただかなきゃいけないんですけれども、それはそちらに、副大臣にお任せいたします。
 また、今回、実際問題、この言葉の中でいろいろととらえさせていただきたい部分もあるんですけれども、六十五条のところで、専門職大学院とその他の大学との線引きが明確でないように私は非常に思えるんです。これは、一回できれば法文をざっと読んで、それでどうなのかということを説明願えればありがたいと思います。多分、委員の先生方ももう読んだけれども忘れちゃっている部分があると思いますので、この法案を一回読んで、どこがどう違うのか、よくわからないんですね、お願いいたします。
工藤政府参考人 新旧対照で従前の規定をごらんいただければと思うんですが、従前は、戦前からの経緯もございまして、「大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめて、文化の進展に寄与することを目的とする。」とございました。これは、帝国大学発足以来、大学、学問の府として、主として特に大学院というのは研究者養成という色彩が大変強い規定ぶりでございました。
 戦後、学校教育法になりましても、それを引き継いで現行の規定があるわけでございますが、改正規定は、そこの第一項で、「その深奥をきわめ、」の後に「又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、」という部分を挿入させていただくことにしてございます。
 つまり、大学院の目的として、AまたはBということなんでございますが、この「又は」の意味はアンド、オアのつもりでございまして、したがって、その大学院の性格としまして、研究者養成に特化したAというカテゴリーと、それから新たに追加しましたBといういわば専門職大学院というカテゴリーと、両方を合わせたABのカテゴリーがあろうかと思います。
 といいますのは、御承知のように、例えば工学系の大学院などは既にそうなんでございますが、かなり実務に片足を置いた教育を展開しておりますし、学生の動向もそうでございますが、研究者養成と高度の専門人養成を兼ね合わせた大学院もあるわけでございますので、類型としましては、三つの目的といいますか性格の大学院がこれから明確化していくというふうに理解いただきたいと思います。
佐藤(公)委員 しかし、今、大学院、幾つか私も見させていただきましたけれども、非常に、A、B、いろいろなことが複雑化している、複雑系の世の中というか、非常にもうこれの垣根というものがなく、実践的な部分で大学院で文化系なんかやられているところもかなりございます。
 こういうことからしたら、ここの線引きというのが、一応は、形上は何となくですけれども、こういう線引きをしているんですけれども、実際、非常にわかりにくい、また実態というものはもういろいろと入りまじっているような状況でございます。ここら辺、副大臣、どうお思いになられますか。
工藤政府参考人 まさにおっしゃいますように、実態は区々でございます。
 それで、既に、今回は法律の上で明確化をお願いしたわけでございますが、先ほど藤村委員からの御指摘もありましたように、大学院設置基準という省令レベルでは、昭和四十九年の省令の規定以来、修士課程レベルでは高度の専門家養成という目的も掲げさせていただき、現に専門大学院という形で発足してきたわけでございます。
 私ども、従来の大学院というのは、二年制の修士課程、それから五年制の博士課程という二つのベッドを用意していたわけでございますが、世の中が動いている中で、ベッドに合わせて人の足を切るということじゃなくて、人に合わせたベッドをしつらえる必要があるんじゃないか。
 特に、社会的にも国際的にも求められております高度専門職業人養成のためには、たまたま従来の専門大学院は従来のマスターという仕組みの中で制度化といいますか、教育研究していただいているわけでございますが、法科大学院でございますとか、これからいろいろな分野で多様なニーズが求められる中で、いや、こういう仕組みしかないんですから二年制にしてください、ちゃんと研究論文をつくってもらってくださいということではなくて、それぞれの分野の必要に応じた柔軟な制度設計をさせていただく必要があるんじゃないかということで、わざわざ第二項を書き分けて専門職大学院というものを明確化させていただいたものでございます。
佐藤(公)委員 済みません、よくわかりません。わかりませんが、法律上書いているのと実態というものがかなり入り乱れている状況の中でこの線引きをするというのは、やはりもう少し明確に考えていく必要性があると思います。
 ちょっともう時間がないので、飛んで飛んで飛んで聞かせていただけたらありがたいと思うのですけれども、大臣の前回の委員会の答弁の中で、大臣は、資源配分機関というようなお言葉を使われた。資源配分機関というのは、大臣も、この機関は何を示すのかよくわからないということを御答弁の中でされたというふうに私は記憶しております。
 これはとても大事なことでございまして、私は、つまるところ、この評価が資源配分に影響する、つまりリンクするならばリンクするとはっきりおっしゃればいいんじゃないかなと。それを、いや、評価とリンクはしないと言いながら結果的にするという、何かわけのわからない答弁だったと私は思います。リンクするのであればリンクする、それは、いいか悪いかは別にしまして、はっきりおっしゃればいいと思うのになというふうに聞かせていただいたのですが、一体全体、この資源配分機関というのは、大臣もわからないというふうにおっしゃったんですが、どのことを指すのか、お答えを願えればありがたいと思います。
遠山国務大臣 御指摘の点は、十一月一日のこの委員会におきまして、共産党の石井議員の認証評価は資源配分につながるのかという御質問がありましたときに、私の方から、たしか資源配分機関とお使いになりましたけれども、それは何を指しておられるかということは私自身は明確に御質問の趣旨はわからないけれども、しかしという留保をつけてお答えした記憶でございますが、私の方から、評価結果をそれぞれの資源配分機関が参考にすることはあり得るかもしれない、これはそういうお答えをせざるを得ないわけでございます。
 それは、具体の資源配分機関をイメージしたということでなくて、一般論として、認証評価機関がきちんとした評価を出した場合には、それはそもそもの目的はそれぞれの大学がよくなっていただくための評価であるわけでございますけれども、その結果が公表され、活用されていく場合におきまして、資源配分機関というものがあって、そこが資源配分する場合に参考にされるというようなことについて、いい悪いと言うべきでないという考えのもとに申し上げたわけです。
 ですから、それは御質問者にむしろお伺いした方がいいと思いますけれども、今の御質問を伺いながら想定いたしますところでは、恐らく、その資源配分機関というのは、さまざまな形で大学に助成金などを支給している特殊法人とか民法法人のようなものを指して議論をしたものであるというふうに考えます。
佐藤(公)委員 では、実際問題、もう一回確認しますけれども、資源配分自体の影響というのは結果的にあるということでよろしいんでしょうか。
遠山国務大臣 それぞれの機関が、認証評価機関が出した結果について、それを参考にするということもあり得ますし、参考にしないということもあり得るわけでございます。
佐藤(公)委員 わかりました。私どもとしては、結果的には資源配分というものに影響を与えるというふうに今の御答弁からとらえさせていただきたいと思います。
 これは大臣、副大臣にお聞きしたいんですけれども、実際、今までのこれは法務省の管轄にもなりますけれども、法務省ときちんと文科省と話し合いをしながら今回の法律策定に当たっていると思うんですけれども、私自身思うことは、まさにこの前の合同審議の中でも話をしました。血の通うとか痛みのわかるというようなことが本音としてあり得る、そういう人たちを今まで輩出してしまったというよりも合格させてしまったというような部分での反省または失敗があったというふうに思います。これは、でも、本当に本音だというふうにもとらえさせていただきます。
 そういった今まで失敗をしてきた、失敗とは全部言い切れないと思います、そういった法務省の司法試験に関して、今回のような予備試験をやった場合に、または予備試験というものをそのまま今回も特別な例外措置ということで設けた場合に、同じような人たちを輩出してしまう、つまり、同じ失敗を犯してしまうのではないかという心配をするんですけれども、副大臣、どうでしょうか。ちょっと笑っていらっしゃるので、いかが思われるか。
河村副大臣 職業の選択の自由というような問題、あるいは、いろいろな事情があってどうしても法科大学院に行けない、それは財政的な問題もあるかもしれない、それから今までの制度でずっとやってきた方々、そういう方々の道を残しておかなきゃいかぬという強い御意見もあって、そしてあの予備試験制度が残っているわけですね。
 この法科大学院の制度設計が、期待どおり、七、八割の方々がそこでしっかり学んで、法倫理等々もしっかり学んでいただいて、そしてそれが世に出ていって高い評価を受けるということが期待をされて今回この法科大学院が設けられているわけでありますから、私どもは、そのようになることを期待し、そして法科大学院の中でしっかりとした教育が行われていくということに、教育を預かる省といたしましてはそのことにもっともっと力を尽くしていって、そしてその結果を見てほしいというふうにいかなければならぬ、このように考えております。
佐藤(公)委員 これは同じ心配を繰り返さないように、文科省としても、やはりきちんと法務省と話し合いをしながら、いい人材を多く育てていただけたらありがたいと思います。
 そういう中で、今回、三倍に法曹人材をふやしていこうということですけれども、私は、一番本当に心配していることは、一番最初の話でもありました、この国のあるべき姿というものが、設計図がきちんとしないまま場当たり的にやっていったならば、まさに工藤局長が前におっしゃいました法曹人材、この法曹というのは社会の医者である。お医者さん、今どうなっていますか。どんどんつくれつくれというのでつくっていった、それが多過ぎるがためにだんだん少なくなっていく。結局、全体設計、大もとというものの考え方がきちっとしないがために、場当たり的に、いろいろな圧力、いろいろな形でやってきた行政、政治というものの結果だったんじゃないかなという気がします。
 そういう中で、もう時間がございませんけれども、私も予備校とか大学、大学院をずっと回ってきました。週刊誌ではもう全く、法科大学、これから三十年弁護士はおいしい、ロースクール設置予定大学、そして法科大学院、予備校ではもう全部準備がされている。こういうことを見ると、もうすべて十六年の四月ありきでこの国会の審議があるということ。今までは、自民党さんもしくは法務省さん、文科省さんでは長い議論があったとはいうものの、その長い議論ということだけじゃなくて、この国会だけで通そうというのは非常に危険であり、また心配することが多いと私は思います。まるで、本当に企業や何かほかの都合で全部進められているような気がします。
 現場の方を歩いても、第三者評価機関をつくろうとしている人たちの、現場の意見を本当に聞いているのか疑問になる。これは文科省の方と話をしていますけれども、中教審で全部そういうのはヒアリングをしている。文科省が直接、第三者評価機関を設立すると想定されるところの現場の意見を本当に聞いているかといったら、僕は聞いているとは思えません。そういう中でこういうものがどんどん進むということは非常に危険だし、私は、また同じ過ちを繰り返すんじゃないかとも思います。
 最後に、一点だけ副大臣にお聞きをさせていただきたいんですけれども、私どもの西岡議員からも前から御指摘があったかと思いますが、日本学士院というのを改組したり、変えたりなんかすることによって日本の大学機関を、または教育機関を変えていこうというふうにお考えになりませんか。
河村副大臣 日本学士院を活用するお考え、御指摘でございますが、これは日本学士院というのは、まさに終身の会員で組織をされて、学術上すぐれた業績に対する授賞を行うと同時に、国際学士院連合に加入して諸外国のアカデミーとの交流を行う、功績顕著な科学者の優遇、栄誉機関としての性格を持っているわけですね。
 その機関が、これまではそういう機関でありますから、国際交流とかあるいは学術の発展に貢献するための事業の充実を図るとともに、学術に対してアドバイスをするという、非常に高い見地といいますか、あるいは非常に高い専門技術、全般に関しての発展に学士院会員という方が尽くしてこられた、この使命がやはりあるわけですね。ここにそういうものを持ち込むということになると、これはちょっと性格が変わってくるのではないか、そういうことが本当に果たしてできるだろうかという思いも一方あります。
 学士院、これは私の個人的な感想ですが、もしするならば、今の評価機関そのものを評価する、全体から評価するというような機能を持ってもらうのはどうであろうかということであれば考えられるかなと思いますけれども、そのものということは、ちょっと私は疑問がございます。
佐藤(公)委員 どうもありがとうございました。
 でも、本当にこの部分でいったら、さっきJDという話、ドクターという話もありましたが、世界に通用する大学の育成、安っぽくなってしまいますよ。この辺はちゃんと考えた方がいい。やはり安っぽくしない大学であり教育にするためには、もっと考えて時間を、本当は審議すべきだと思います。
 今、第三者評価機関が必要なのは永田町であり、政治ですよ。永田町に第三者評価機関が一番必要なんですよ。これをつくってやった方が僕は一番いいんじゃないかと思いまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
古屋委員長 児玉健次君。
児玉委員 日本共産党の児玉健次です。
 今回の、学校教育法の一部改正案と言っていますけれども、内容は非常に多岐にわたって、しかも重要な内容を含んでいますね。ぜひ、十分かつ慎重な審議を私は求めたい。
 この機会に、重点を絞って、三つについて私はお聞きします。
 まず一つ。専門職大学院の発足によっても、学校教育法六十五条で言う、さっき工藤さんがいろいろ言っていたけれども、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめようとする現存の大学院の重要性はいささかも変わりがない、私はそういうふうに考える。専門職大学院で先行しているのが法科大学院ですから、それとの対比で、法学研究科、法学政治学研究科をまず取り上げたいと思います。
 今、国立大学でこれらの課程を持っている大学が、熊本大学から北は北海道大学まで十四あります。それらの専攻、講座を私は取り寄せて拝見しました。憲法、民事法、刑事法などの講座があるのは当然のことですけれども、専攻によっては、政治理論、現代政治行政分析、アジア太平洋国際関係、政治思想史、現代行政分析などなどの講座があります。もし、これらが全部、法科大学院にシフトしてしまったら、これらの講座は恐らく行方不明になってしまうでしょうね。
 大学院と専門職大学院の教育研究を、政府、文部科学省が、双方ともに手厚く支えて充実発展させることが非常に重要だと私は思う。そのことについて、遠山大臣のお考えを端的に聞きたいと思います。
遠山国務大臣 大学院は、本来、学術研究の推進とともに研究者の養成、それから高度の専門的能力を有する人材の養成という役割を担っております。
 大学院博士課程あるいは修士課程につきましては、特に、世界の第一線に伍した水準の高い教育研究の積極的な展開によりまして、世界的な教育研究拠点を形成することが重要でありまして、その役割は今後とも重要であると考えます。
 今回の専門職大学院は、高度専門職業人養成に特化した新たな大学院制度を整備するものでありまして、これによって、国際的にも社会的にも活躍できる多様な能力を持った高度の専門家を養成しようということでございます。
 したがいまして、専門職大学院をつくること自体が、既存の大学院が目指していたものをなくするというようなことには全くつながらないというふうに考えているところでございまして、それぞれの目的に応じて、それぞれの大学がしっかりと考えて、既存の役割も十分に果たしながら、新たな仕組みについてもお取り組みをいただけたらというふうに考えております。
児玉委員 次に、認証評価機関による評価についてです。さっき言葉がいろいろと飛び交ったけれども、正確には私は認証評価機関による評価だと思います。
 学問研究において、到達点を明らかにして取り組みの問題点を適切に指摘する、これは必要なことでしょう。しかし、評価のための評価は、これは有害無益ですね。
 一九九九年に大学に対して、自己点検と評価の実施、そしてその公表を義務化し、自己点検、評価の学外者、第三者による検証を努力義務化して、何年たったでしょう。いまだ三年しか経過していません。三年しかたっていない。しかも、その評価は未成熟であると皆さん自身がきょうも何回もおっしゃっている。
 今、国立大学九十九校に関して言えば、昨年の段階で自己点検、評価の実施は九十九校中九十九校です。一〇〇%になっている。実施結果の公表も一〇〇%です。外部評価、第三者による評価、一昨年は七十校であったけれども、一年間で去年七十九校にふえて八〇%に達していますね。この間の経過を大臣はどのように受けとめていますか。
遠山国務大臣 大学改革の流れは、自己点検、評価が決まった二年前、三年前ということでございませんで、一九八〇年代の終わりのころから非常な勢いでそれぞれの大学で取り組みが始まっております。また、それを私どもとしても、制度としてもいろいろ規制を緩和するという形でサポートしてまいっているわけでございます。そのプロセスにおいて、それぞれの大学がみずからの教育研究のあり方をいろいろ改革していく中で、自己点検、評価の重要性ということは早い段階から私は認識されていたと思います。
 それを制度化したのが平成十一年でございますか、そういうことでございますけれども、やはり改革を進めていくために、それは大学という社会的存在がより充実したものになっていくために必要なものであるということで、それぞれの大学がそれを納得され、今もそういう努力が続いているというふうに考えております。
児玉委員 時間がないですから、その前の経過は知っているので、私はもう限定して言ったんです。平成十一年にあなたたちが自己点検、評価の実施と結果の公表をした、三年たったその経過をどう見ているかと。今あなたは、それぞれの努力があったと。私もそう思う、不十分ではあるけれども。
 そこで、学問研究を短期的な効率の視点あるいは単一の指標によって評価することの問題点、危険性が今重要です。国立大学理学部長会議、九九年の十一月に行われたこの理学部長会議は、今の点について二つの実例を挙げて指摘していますね。
 その一つ。火星探査機などに指令信号を雑音に邪魔されずに送ることができるのは、符号理論を応用して信号の誤りを自動的に修正しているからです、最新の符号理論の基礎は有限体上の代数幾何学ですが、ここで使われる有限体は一八三〇年ごろガロアがつくったものです、百五十年以上もたってから自分の理論が日の目を見ることは、天才ガロアといえども予見し得なかったでしょう、本当に僕はそうだと思う。
 もう一つの例。C型肝炎の治療薬であるインターフェロンや糖尿病のためのヒトインシュリンが製造され、医療に供せられています、遺伝子工学の学問的基礎は分子生物学ですが、分子生物学はワトソンとクリック二人によるDNA分子の二重らせん構造の発見を契機として発展した分野です、この二人が一九五三年に発表した論文、わずか二ページに満たない短いものです、しかし、この論文が持つ意義の大きさは、幾ら強調しても強調し過ぎることはないでしょう、これも説得力ありますね。
 そこで、理学部長会議はこう言っている。以上の例からも明らかなように、基礎科学は、息の長い研究の推進が可能な環境下で、自由な発想のもとに自律的に探求されることによってのみ大きな成果が期待できる学問領域であり、その成果は数十年後、五年とかなんとかではなくて、数十年後あるいはもっと後の社会を支える中核技術を生み出す可能性を持つものです、そう言って、短期的な効率の視点、単一の指標によって評価することはできない、こう述べていますね。
 この指摘を真剣に生かすことが今求められていると思います。河村副大臣、いかがでしょうか。
河村副大臣 自由な発想でやっていく大学自治の考え方、これをさらに進めることが望ましいというお考え、私もそのとおりだと思いますし、またそうでなければいけない、こういうふうに考えております。
 今回、そうした評価機関等をある程度、今回は義務づけるという方向を打ち出してきた、これについて、そのことがいわゆる大学の自由な研究、そういうものを抑えてしまうとかいうことになりはしないかという御懸念、御心配かと思いますけれども、この今の日本の大学が、もっと大学間の競争のもとで、そして社会のニーズにこたえる、あるいは国際社会の中で発信できるような大学にしていきたいという大学改革の大きな流れの中で考えたときに、あるいは欧米、特にアメリカの先駆的なやり方等を見ておりますと、これは評価については非常に定着したものを持っている。これは必ずしも義務づけではありませんでしょうが、そのことを受けているというそのことが社会的な高い評価を受けて、あるいは学生が大学を選ぶ一つの大きな基準にしている。日本もやはりそこへ近づける努力をしなきゃいかぬ。
 そういうことを考えますと、確かに御指摘のように、まだ今回の大学評価について、国立大学からもいろいろ注文もついたり、御意見もいただいておる、そういうものを踏まえながら、これはやはり私学も含めて大学がそれを受けとめてもらいたい。しかし、その基本はまず第一に自己点検、自己評価にある、こう思います。しかし、それではどうしても内々の評価になってしまうのではないかという社会の評価もございますので、それを含めて、やはり義務化して第三者の公正な機関でやっていただくことが大学の活性化につながる、このように確信をいたしております。
児玉委員 今副大臣がおっしゃったように、アメリカでは義務づけておりませんね。
 そして、ニーズという言い方に対して、学問研究に対する評価のスパンは長くなければならない。独創性、将来の発展性をどう見るかというときに、ニーズよりもシーズだ、その学問研究がどんな豊かな種を持っているか、そこに着目する必要があるという議論が、日本でも、この国会審議と並行して進んでいますね。
 そこで私は言いたいんです。国立大学協会第八常置委員会の大学評価・学位授与機構への申し入れ、ことしの三月です。先日、私どもの石井郁子議員がこの問題を取り上げました。
 その申し入れの中で、評価員の個人的信念という言葉が出てきたり、見解の相違という言葉も出てきます。私の友人で大学にいる人物から、私は端的にこう言われました。信念というのは上品な表現であって、評価員の偏見と言った方が正確だと。私もそう思う。偏見によって押しつけられて研究が伸びるはずがない。
 私は文部科学省の皆さんにちょっと聞きたいんだけれども、今、日本の大学の学長や学部長などの対話で評価疲れという言葉が飛び交っていますね、評価疲れ。この言葉を御存じでしょうか。私は、一つの問題として、COEの申請を準備するために何カ月間もみずからの研究を横に置かざるを得なかった研究者が少なくない、そう聞いています。
 この機会にお尋ねしたいんですが、COEの審査委員会はどのような基準によってプログラムを選定したのか、説明責任が全く果たされていません。少なくとも採択過程、評価基準を公開すべきではないか、こう考えますが、大臣、どうですか。
古屋委員長 工藤高等教育局長。(児玉委員「いや、答弁者に設定していない」と呼ぶ)まず工藤高等教育局長、お願いします。(児玉委員「では、端的に答えてください」と呼ぶ)
工藤政府参考人 COEプログラムの審査は、外部に委託して、江崎玲於奈先生を委員長とする委員会で定めてございます。公募に当たりまして、こういうことで評価しますよという評価基準、項目は既に公表しているところでございます。
 ただ、実際にそれぞれの大学の採否に当たって、審査合格はいいんですけれども、残念ながら不採択になりましたところについては、こういう点でお考え直しいただいてはどうでしょうかということなども含めた審査の側からの観点を今月中に整理して、関係の大学にお知らせすることにしてございます。
 ただ、確かに、全体を通じての情報公開の仕組み、ことしが初年度でございますので、ことしの反省も踏まえ、かつ大学側の御希望なり意向も踏まえながら、来年度以降、より改善してまいりたいと思っております。
児玉委員 大臣、今の工藤さんのお話は重要だと思う。説明責任、不採択に、プログラムにならなかった部分からの異議申し立てを含めて、そのことで双方的でなきゃいけないと思うので、この点の検討を求めたいと思うんですが、遠山大臣、どうですか。
遠山国務大臣 COEプログラムは、私は、このことのプログラムに対する申請を各大学がどうするかという議論の中で、それぞれの大学の分野を越えた、その大学が一体どうあったらいいかという本格的な議論がなされたという点で大変よかったという話を、国立の大学あるいは私立大学の方々からたくさん聞いております。そういうふうに、COEプログラムそのものが及ぼした効果というのは大変大きいものもあると思います。
 審査は、私は、これは官がやるべきでないということで、これこそまさに専門家たちが知恵を絞ってやっていただくということで、外部にお願いしたわけでございます。そして、結果が公表されて、申請者たちに対しましては、採用されなかったところについてはその理由をちゃんとお示しをするということにおいて説明責任を果たしていく、これは非常に大事なことだと思っております。
児玉委員 そこで、政府、文部科学省が今、国立大学の法人化に向けて突っ走り始めている、この改正案で提起されている認証評価機関による評価、これに対して多くの研究者や国民の懸念、不信が、文部科学省の、法人化に向けてともかく一路走り出している、それが不信を強めていますね。
 これは皆さんの有名なパンフレットで、二百八ページのところに、去年の六月、文部科学省、大学の構造改革の方針、遠山プランと現場では言われていますね、そこの中に何と書いてあるか。スクラップ・アンド・ビルドで活性化。スクラップ・アンド・ビルドと。ビルド・アンド・スクラップじゃなくて、スクラップが先に来る。それから、大学に第三者評価による競争原理を導入する。国公私トップサーティーを世界最高水準に育成。トップサーティーをセンター・オブ・エクセレンスと言いかえても、現場では今でもこの言葉が生きている。結局、今度の認証評価機関の提案はここに収れんするのではないか。
 認証評価機関の提起と遠山プランの関連について、遠山大臣からお示しいただきたいと思います。
遠山国務大臣 昨年示されました大学の構造改革の方針といいますものは、これは日本の大学をいかに国際的にもすぐれたものとしていくかというさまざまな努力の前提のもとに、一つの方針として取りまとめたものでございます。
 これは、名称自体、固有名詞を冠して呼ばれることについては、これは私としては、みずからの生き方と違うので、これは困ると思っておりますけれども、それは別といたしまして、認証評価機関の重要性ということにつきましては、これは昨年示しましたその方針に源を発するということでは全くございません。これは大学そのものがこれからみずからの教育研究の高い理想を達成していくために、より充実し改善していくに際して必要な第三者の目による評価、これの必要性につきましては、私は多くの大学関係者それから行政担当者等で共有されているものだと思っております。
 ということで、昨年の方針そのものもいろいろな議論をベースにした上での方針でございますし、また、認証評価機関をつくろうとする動きも日本の大学を本当によくしていく、これは私、日本の社会にとって、日本の大学がどのようにすぐれた教育研究をしていってくれるかということは、まさにその質の向上ということが日本の将来を左右するというぐらいに思っておりまして、私は大学というのはそういう社会的な役割ないし意義を持っていると思っておりまして、それぞれの大学の取り組みというものを前提としながらも、それがますます改善され、国際的な角度から見てもレベルの高い内実を持っていただくようにしていくのが私どもの役割だというふうに思っております。
児玉委員 今の御説明に私は納得しないけれども、この後の事態はしっかり見ましょう。
 そこで、認証評価機関についての基準を適用するに際しての必要な細目、法律では「文部科学大臣が、これを定める。」と書いてあるだけで、法案からは姿が出てきません。学問研究に対する重層的な評価、あえて言えば、私は、今、日本の大学に対する評価はある意味では縦、横、斜め、もう錯綜して行われている、しかも、それが、資源配分機関が認証結果を参考にすることが十分にあり得るところ、先日、石井議員の質問に対してあなたは何のことかわからないとおっしゃったけれども、わからないでは済まないんで、文部科学省が十月十一日に出した学校教育法に関しての考え方の中にはっきり書いてあるじゃないですか、資源配分機関が評価結果を参考にすることは十分あり得ると。
 制度設計をされた方と私は会ってみたら、この資源配分機関の中に文部科学省もワン・オブ・ゼムのワンとして入っているというふうに私は聞いた。
 そこで、そうなってきますと、学問研究の場から自由濶達な空気を奪って、研究者を評価のための自己点検、その他いろいろありますけれども、そういった種類の報告書作成にも追い込んでしまう、研究者を萎縮させることにつながらないか。中教審や大学審議会の文書の中にも、過重な負担にならないようにという言葉が散見されるんだけれども、なっているんですよ。
 この点、河村副大臣、どうですか。
河村副大臣 先ほど御指摘ありましたように、評価員の個人的な思い込みといいますか、そういうものが随所にあるんだという指摘があった、こういうことを私はしっかり改める必要があると思いますね。だから、評価員間の相互研修といいますか、これはやはり評価員の能力というものが非常に問われている面が一面あると思います。
 御指摘のように、我々文科省、これを設定したときには、大学の活性化につながり、そしてやはり生き生きとした研究ができるように、そういうことに対してやはり国は支援はいたしますよという思いで、トップサーティーもそうでありますけれども、そういうふうにとらえておるわけでございますので、児玉委員御指摘のような懸念がなきように、やはり我々も十分配慮して、この制度をしっかり運営していくということが必要だ、こういうふうに思います。
児玉委員 そこで、ちょっと私は同僚議員にも申したいんですが、ある企業があって、その企業が企業の営業活動を展開している。そのとき、社員、職員の活動の評価、評価のための機関だけが肥大化して、経費もスタッフもそっちの方に集中していったら、こんな企業は多分生き残ることができないでしょうね。今日本の大学はそうなりはしないか。
 何よりも重要なことは、日本の学問研究の場で、認証評価機関の評価の尺度に適応した研究だけが残る。先ほどの友人がこう言いました。現在、大学ではあなた好みの研究という言葉が飛び交っている。あなたというのは評価機関と評価員のことです。そんな研究だけが残って、さっきのガロアのような創意性のある、そして小柴さんのノーベル賞受賞のような、ああいうものが育ちますか。これはもう日本の学問研究にとって非常に重要な損失になりますね。私は再検討を求めたい。大臣、どうですか。
遠山国務大臣 私は、評価といいますか、そういう制度について、そのような見方しかできないというのは、私は大学人自身の自信がなさ過ぎると思いますね。みずからの教育研究をしっかりやっていれば、どんな評価されたって、堂々としていればいいと思いますね。しかも、この評価が学問研究の中身、あるいはその質の中身に入って評価するものではないわけですね。そこのところを十分、むしろ委員の方から御説明いただけたらと思います。
児玉委員 あなたが言っていることは重要ですね。そんな無責任な評価を許していいんですか。それがこの問題の本質です。そのことをはっきり言って、終わります。
古屋委員長 中西績介君。
中西委員 私は、専門職大学院制度並びに評価等について質問をしたいと思いますが、その前に、委員長にお願いを申し上げたいと思いますのは、本委員会のあり方であります。
 特に、先般の連合審査、ずっと聞いておりましても、本当の議論になり得ていない。わずか十五分だとか十分だとかいう時間の中で討論をするということは、大変私は困難だと思っています。皆さんはそうした点で御自信があるかもしれませんけれども、私たちはそういう時間で核心に触れる論議までやることはできないんではないかと思います。
 そのことを考えますと、本委員会、わずか二日間、五時間です。連合審査二・五時間。七・五時間で、このような大改革をするときに、果たして十分な時間と言い得るだろうかということを私は危惧いたします。
 このように、制度改革を伴う内容についても、後でまた申し上げますけれども、大学の高等教育改革というのが今取りざたされ、たくさんの中教審答申等が出ておりますけれども、ここで論議する場合には、そうした問題をすべてやはり踏まえた上で論議するのが至当ではないかと思っています。
 そうした意味で、委員長はどのようにお考えなのか、そして、もし許せるなら、きょう採決ということになっておりますけれども、今後十分な時間なり、それをとってやるということをそこでお答えいただければと思います。
古屋委員長 質問時間等につきましては、与野党理事間で十分な協議をして決定をさせていただいております。したがいまして、この審議時間というものは全参加委員が了解のもとで進められているということを、改めてここで認識させていただきたいと思います。
 なお、御指摘のありました点につきましては、改めて理事会で協議をさせていただきます。
中西委員 この前の個々の論議でもそうなんですけれども、この前の連合審査なんか特にそうだったんですけれども、皆さん何か胸に一物残ったまますべてが終わっているという実態を、委員長御自身も見たんじゃないかと思うんですよね。論議を尽くしたということが果たしてあるだろうか。ぜひそうした点をこれからしんしゃくいただきまして、理事会で決定をしたと言われますけれども、少なくとも我が党の場合にはやはり時間を、こういう短時間でなしに、十分保証された中でやりたいということは言ったと思います。
 それで、なぜ私そのことを言うかといいますと、大変僣越で、皆さんには失礼とは思いますけれども、かつてこの委員会では、一人持ち時間一時間半、これを保証したんですよね。八人おろうと一時間半なんです。徹底した論議をしてやった経験を私は持っておるから、そのことを主張しておるわけです。この点をひとつお酌みの上、御論議いただければと思います。
 それでは、質問に入りますけれども、まず法令違反大学、違法状態大学と申しますか、に対する是正問題、特に私立大学問題で、過去、森文部大臣以降、続発した時期がありました。相当議論されましたけれども、改正せずにこれまで来ています。今なぜ改正を必要としたのか、この点をお答えいただきたい。
古屋委員長 工藤高等教育局長。(中西委員「大臣に要求しています、大臣に」と呼ぶ)工藤局長、お願いいたします。まず、事務的にお答えください。
工藤政府参考人 今回の改正は、大学改革という背景もありますし、司法制度改革という背景もいろいろありますが、もう一方、もう一つ規制改革という観点もございまして、大学の設置認可を緩和するに伴いまして、事後的なチェック体制を整備しようということで、中央教育審議会で十分御審議いただきながら、このような措置をお願いしているところでございます。
中西委員 今お答えいただいたけれども、このような長い時期、法律改正をせずにずっと来ていたわけですよ。だのに、今こうして法律改正をするということ、この意味は相当大きなものがあっての話だろうと思うんですけれども、そのようにとられておるかどうか、大臣。
遠山国務大臣 大学の質の向上というのは常に図られなくてはならないわけでございまして、その際には、各大学の改善に向けた自発的な取り組みが基本になるということは当然でございます。
 しかしながら、違法状態にある大学について、そのまま見守るというふうなことは、これは許されないわけでございますし、現在の私立大学に対する私どものとり得る手段といいますのは、一気に大学の閉鎖命令でしかないという状況でございます。
 したがいまして、今回の是正措置の導入といいますものは、違法状態の大学にいきなり閉鎖を命ずるということではなくて、段階的で緩やかな方途をとりまして、改善を促しながら、またそれを見て次のステップにということで、目的としてはその大学の教育研究水準の確保を目指すというものでございます。しかも、その段階を追っての是正措置の中で、適正な事前手続の保障ということで関係審議会の御意見も聞くというような方途を考えているわけでございます。
 長い間、このことについてはどういうふうに対応するかという議論があったと思いますけれども、今回のきっかけになりましたのは、そのたび重なるさまざまな問題というものも考慮に入れながら、これは私立大学の賛同も得、また審議会の御意見も聞きながら、私どもとして、是正命令等の措置について今回法改正の提案をさせていただいているところでございます。
中西委員 先ほども帝京大学問題で論議されておりましたけれども、この種問題について、やはり文科省が毅然とした態度なり、確かに私立学校の場合には手を突っ込んでひっかき回すわけにいきませんけれども、そのことはわかりますけれども、適切な処理を果たしてやったかどうかということが私は今問われておったと思うんです、さっきの討論からしましても。
 ここを考えたときに、今改めてこれをするということになれば、よほど大きな原因があったと私は思うんだけれども、今の答弁では十分ではございませんが、私、二十五分ですから時間がありませんのでこれでやめますけれども、そうした点はやはりてきぱきと処理をしていくという体制をとっていただく、その上でこれが必要だということであればまた別でありますけれども、そうした点を十分お考えいただきたいと思います。
 それから、専門職大学院制度についてお聞きをしたいと思います。
 根本的な問題といたしまして、高等教育改革、とりわけ大学改革については、いろいろこの間、特に十年に出されました二十一世紀の大学像と今後の改革方策などというのが次々に出されました。出されましたけれども、国立大学の法人化を初め、二〇〇九年、大学全入時代に突入するわけでありますけれども、大学改革に対する国のグランドデザインが明確にされないまま、また、今次法制度改革が行われようとしておるとしか言いようがありません。
 制度改革の前に、大学の改革に関するグランドデザインを示して、全体的意思統一の議論が行われるべきであると思いますけれども、いかがですか。
河村副大臣 中西委員御指摘のように、今回のこの専門職大学院の導入というのは、大学院改革の全体の中で位置づけられている。委員は不十分だ、こういう御指摘でございますが、いわゆる専門職大学院あるいは専門大学院、そういう修士課程の中でこれをもっと今後の大学像とあわせて改革していこうということは、実は、平成十年の大学審議会、十月二十六日でございますけれども、ここでも答申を得ておるわけでございます。
 特に、高度専門職業人の養成の充実とあわせて、これをさらに進めるために、特定の職業等に従事するのに必要な高度の専門的知識、能力の育成に特化した実践的な教育を行う大学院修士課程の設置を促進することが必要だ、制度面の所定の整備を行うべきであろう、そして研究水準の向上を図るべきだ、こういう御指摘の中で、今回この専門職大学院にさらに高めていった制度を今日取り入れようとまさにしておるわけでございまして、そういう意味では、私は、大学院改革全体の中でこの専門職大学院というのは位置づけられている、このように考えておるわけでございます。
中西委員 私、見ましたけれども、やはり、全体の基本的な構想という中における位置づけだとかそういうものが非常に不足しておったと私は感じるから、したがって、こうした問題については、先ほど要請をいたしましたが、これから時間をたっぷりかけて、国の基本をなす教育政策というのは大変な私は重要性を持っていると思いますよ。
 それをやっつけ仕事で、短時間で、行政の皆さんはずっと継続的にやってきたかもしれませんけれども、ここにいらっしゃる委員の皆さんというのは、それまでの継続性とあれを全部持ち合わせ、熟知した上で論議できないんです。
 ということになれば、時間をかけてやはりそれらについて追及できる自信と内容を持たなければできないと私は思いますから、そうした点で、いち早くそうした根本的なものを論議できるような体制をとっておかないと、なかなかこのことが後になって禍根を残すようなことにならなければよろしいがということを私は考えますので、指摘をしたところであります。
 そこで、日本の高等教育機関の関係の予算が大変低いということなんですね。GDP比〇・四三%が日本です。一九九八年のOECD諸国平均が〇・九三%。このように、この種計画が特化する形で出てくることは、予算が少ない中でこのようなことだけが、話が出てくると直ちに飛びついて法科大学院だとかいうようなものをつくり上げるわけでありますから、こうした問題について、大学改革にとって後に問題が残らないようにしていかなくちゃならぬと思うんです。全体的な構想というのが予算面である程度充実されているということ、保障されておるということであれば私はこれまでは申し上げませんけれども、非常に低い、半分しかないという実態なんですね。こういう点について、どうお考えですか。
工藤政府参考人 国によりまして、いわゆるGDPに対します公財政支出の割合でございますとか教育制度の相違などがあるわけでございますので、一律にはいかないのでございますが、諸外国に比べて、日本の場合にその支出の割合が低いのは御指摘のとおりでございます。
 これは、大きく理由は私は二つあると御指摘させていただきますが、一つは、日本の場合、余りにも私学の割合が多くて、私学助成の割合が全体の経常費に対する割合で今一三%ぐらいの水準でございます。それから、他方で、国立大学といえども一〇〇%国立ではございませんで、一般会計からの繰り入れというのが約五割の水準でございます。
 ということで、国公私を含めて日本の高等教育のための財政の充実というのは大きな課題だと受けとめてございまして、それと他方で、今回お願いしておりますのは、大学院制度あるいは設置認可制度を含めた全体の高等教育の、大学改革の一環としての制度改革でございまして、これに伴ってどういう支援をどうするかというのは、先ほど来いろいろ委員各位からの御指摘もございますし、中教審等からの御指摘もございますので、財政事情をにらみながら、今後さらに検討してまいりたいと思っております。
中西委員 だから、予算が少ないということは自覚しているわけですよ。だから、私はこの計画なりなんなり、例えば法科大学院などになりますと、教授の数は倍、でなければ、今予定されておる教員一人に二十人という、ところが諸外国はそれよりまだ低いですね。
 ということになってくると、やはり全体的な、さっき言う大学構想というものを立てた上で予算はかくあるべきだという、やはり年次計画的なものを立ててやらないことには、その都度その都度の予算要求では私はだめだと思うんです。そうした点を十分考えてやられることがこれからの文科省の大きな課題だろうと私は思っていますので、この点は、ひとつ皆さん、これから後また予算問題等が出てくるわけでありますから、そのときに果たしてこういう予算でいいのかどうか。
 だから、私は迫り方が、文部省、役人の皆さんはもう少し腹を決めてやらなきゃだめだろうと思っているんですよ。いろいろ話をしたときの私の受けとめ方は、こんなへなちょこじゃ取れぬな、こう私は思いますから、その点だけは、ひとつ皆さん、これから後、十分な体制をしいていただいて、考えていただきたい。そして、今私が指摘するような形にならないように、ぜひ皆さんが気をつけていただくことが大事だと思います。
 そこで、第三者機関による大学評価制度の導入について、もう時間がなくなってきましたので、一、二だけお聞きをしたいと思います。
 大学の水準確保、質の保証からすれば、必要性は認めるけれども、実施するには、十分な議論と評価制度が真に機能するための条件整備が不可欠と思います。
 それで、中教審答申でも指摘しているように、評価機関が十分育成されていない。この中で、すべて大学で評価が行われ、結果が公表されることになると言われておりますけれども、第三者機関の構成、評価の基準、公表の仕方等、そういう体制がどうつくられておるかということ、私は、基本的なものがそこにでき上がっていない中で事を急ぐということになりますと、いろいろまた問題が派生すると思います。この点、どのようにお考えになっていますか。
工藤政府参考人 先ほどの先生からの、財政支援をもっと頑張れということと関連しますけれども、今回の制度改正は、日本の大学にもっとよくなってほしいということなのでございます。大学あるいは初等中等教育の財政支援をするといたしましても、先ほど来、一部名前が出ました、若干、不祥事を起こしている大学にまで、では私学助成をやるのかとなりますと、先生方も首をかしげられるでしょうし、国民の方々の信頼も得られないわけでございますので、私どもは、その財政投資を仰ぐためにも、ああいう大学だったら援助しようじゃないかと言われるように、各大学がもっと生き生きと活躍できるようにしたいというものでございます。
 そのために、欧米諸国の経験にも照らしまして、何しろこの評価システムの発足と定着が急務でございます。幸いといいましょうか、後発の利益もございますので、先発の国で大変評価で手間取ったり負担過重だったりといういろいろな反省点もありますから、そういう反省点も踏まえながら、できるだけ合理的で効率的な形での評価の仕組みが定着することを私どもも支援してまいりたいと思っております。
中西委員 全部すっ飛ばして聞きますけれども、この評価機関が文科大臣が認証した認証評価機関でなくてはならないと言われておりますけれども、認証が必要なのかどうか。
 例えば、進んでおると言われるオランダあたりにおきましては、公的大学でありましたために、当初は中央集権的な大学統制のシステムがしかれていたらしいけれども、今日では、大学評価システムそのものを大学が自主的に加入する団体で自律的に運営し、政府はそのシステムが機能することを支援する役割を担っておると言われています。
 したがって、このように、先ほども論議されておりましたけれども、本当に今評価システムというのをどのようにするかという、そして、それは文科省がまたそれを掌握しなければならないようにしようとするんだけれども、このことは、私は、先ほど申し上げた大学のグランドデザイン等を考えてみたときに、大学のあり方自体を、一定の方向性と自律性、自主性というものをどのように育てていくかということとあわせ、この問題は大変重要です。この点、どのようにお考えかお答えください。
工藤政府参考人 大学の評価というのは、現に今でも、今までも行われておりますように、何人でも行うことができるわけでございます。
 そういう中で、今回は、設置認可の弾力化とあわせて、事後的なチェック体制の充実ということで制度化しようということでございますから、いわばいいかげんと言ってはなんですけれども、身勝手な評価が行われて、もうこれでいいですよねということでは済まされない部分がございますので、どういう評価を受けられるのも自由でございますけれども、この制度化に当たりましては、一定の要件、先ほどごらんいただきましたような法令上の規定がございますけれども、その要件に合致したものについて、一応ちゃんとしっかりした団体ですよというのを公に確認するために認証という行為を行おうとするものでございまして、これをもって私ども文部科学省が評価を牛耳るとか、評価機関を差配するということでは決してないのでございます。大学に対する関係、社会に対する関係で、しっかり団体としてこういうのがありますということを公に表明するための行為として、認証という仕組みを設けた次第でございます。
中西委員 いろいろ評価したり、基準を設けて、ずっと文科省が指導というか規制というか、こういうものをしていくことによって、今まで大学等で問題になるのは何かといったら、その網の目をくぐる、そういう問題が起こるわけですね。そうでなしに、それを自律的に自己規制できる体制というのがなければ、真の進歩はないと私は思うんですね。
 そうしたことからすれば、むしろ今は自主的にやっているわけですから、それとあわせて、今度は第三者機関的なものを自分たちで構成をし、そしてやっていくということの方が実際的であろうし、公表すれば、そのことを今度はみんながどのように評価するかという点からすれば、私は、そこの自己責任ということを徹底追及することが今一番大事じゃないか。
 日本の今出ておるいろいろな問題等を見ましても、自己責任ということを追及しないんですよ。これが非常に弱い。ですから、いつまでたっても自律、自制ということができぬというのが、今、日本の社会の全体の状況であるわけでありますから、特に大学等におきましては、その点を徹底させるという意味で、むしろ規制を加えるよりも、そのように自律的にやることについてどうみんなが評価し批判をするかという、私はこっちの体制を強化することの方が大事だと思いますので、この点は、まだ時間もあるようですから、もう一度十分御検討いただければと思っています。
 以上です。
古屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局をいたしました。
    ―――――――――――――
古屋委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。石井郁子君。
石井(郁)委員 私は、日本共産党を代表して、学校教育法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
 本法案は、大学の学部等にかかわる認可事項の見直し、法令違反状態の大学に対する是正措置の整備、法科大学院を含む専門職大学院の創設、認証評価制度の創設など四つの重要な内容を持っています。
 法科大学院の創設をめぐっては、法務委員会との合同審査が行われました。しかし、最も重要な内容である認証評価制度の創設については、参考人招致すら行わず、採決がされようとしています。
 今回の認証評価制度は、真に政府から独立した第三者評価機関が自主的、自律的に行うというものではなく、文部科学大臣の認証を受けた評価機関の評価をすべての大学に義務づけるものです。認証基準も細部にわたり、国の意向に沿った評価機関とならざるを得ません。
 我が国では、大学評価が始まったばかりであり、大学評価・学位授与機構による平成十二年度着手の大学の評価結果は、国立大学協会が深刻な懸念を持たざるを得ないと指摘しているように、評価の名に値しないものでした。そのような状況で全大学に評価を義務づけるのは余りにも拙速と言わざるを得ず、大きな混乱をもたらすとともに、我が国の大学の信用を失墜させかねないものです。
 しかも、文部科学省の説明文書で、資源配分機関が評価結果を参考にすることも十分あり得るとしているのでは、大学の生殺与奪を評価機関が握ることになりかねないもので、学問研究の自由、教育の創造的発展にとって深刻な影響を及ぼすものと言わざるを得ません。
 認可事項の見直し、法令違反状態の大学に対する是正措置については妥当なものと言えます。また、専門職大学院の創設について、その必要性は認められます。しかし、認証評価制度の創設は、これまで述べてきたように、評価の名のもとに、これまで以上に大学を政府の管理統制のもとに置き、大学をランクづけし、大学の選別、淘汰につながるもので、到底認めることはできません。したがって、本法案に反対するものです。
 以上で討論を終わります。(拍手)
古屋委員長 次に、山内惠子君。
山内(惠)委員 社民党の山内惠子です。
 学校教育法の一部を改正する法律案に反対する立場からの討論をさせていただきます。
 この法案の中の専門職大学院の創設にかかわって、今後、ほかの大学院、現在ある大学院にとっても、大学改革のあり方に大きな影響をする問題であるだけに、今回の審議日程が、何度も言っていますが、理事会でも私は申し上げましたけれども、二日間、五時間、そして連合審査を足しても、全体の集計をすると正味一日というような時間でこの専門職大学院について検討するというのは余りにもひどかったと思います。
 現在ある法学部がどのような現状にあるのか、何を願いとして変えていきたいかという参考人の声もお聞きすることができなかったということは、本当に残念でなりません。
 今回の改革につきましては、法曹界や教育界の都合だけではなく、利用者の側からも多くの期待があるものと思います。お医者さんとか裁判官とか弁護士の方々に求められるもの、そのことでいえば、基本的な人権、社会正義が通じる社会、そして泣き寝入りをしない社会ということを実現していくということが、本当に多くの願いの中に、根底にある問題だと思います。
 その意味で、単なる実務ではなく、人権感覚、平等感覚、人間性の養成というものをどこでなしていくかということが大変重要な課題と思います。その意味で、お二人の大臣にお聞きしましたときの答弁も、私としては歯切れの悪い答弁に思いました。
 今回の法案で一番の懸念は認証問題です。憲法が保障する学問の自由、戦後五十七年間守られ、培われてきた大学の自治を侵す心配があると私は思います。
 第二次世界大戦を振り返って、当時の文部大臣、高橋誠一郎大臣は、我が国において最も欠けていることは個人の覚せいがなかったことだ、この点が国を誤らせたのではないかと考えるとおっしゃっています。この個人の覚せい、それは、個人が集団にのみ込まれていった過去の歴史を強く反省したものと思います。
 私は、この法案の最大の問題が認証問題であること、このことを強く指摘しまして、反対の討論を終わります。(拍手)
古屋委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
古屋委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、学校教育法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
古屋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
古屋委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、鈴木恒夫君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党及び保守党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。山元勉君。
山元委員 民主党の山元勉でございます。
 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    学校教育法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、本法施行に当たり、次の事項について配慮すべきである。
 一 今後、大学の教育研究の質的向上については、大学関係者の自主的・自律的な取組みが一層求められることにかんがみ、大学関係者に対し、本法の趣旨・制度の内容等について十分周知し、その理解と自主的な努力を促していくこと。また、大学・大学院の教育研究機能の改善・充実に一層努めること。
 二 大学の法令違反状態が生じないよう努めるとともに、大学における違法状態の是正措置を講じるに当たっては、その基準を明確にし、公正性、妥当性及び透明性の確保に努めること。
 三 第三者評価の実施に当たっては、大学の個性・理念を損なうことのないよう、公正、妥当かつ透明性のある評価を確保するとともに、すべての大学が適正に評価を受けることができるよう、認証評価機関の整備充実に配慮すること。また、評価が与える社会的影響を認識しつつ、評価の在り方についても必要に応じ見直しを行うこと。
 四 専門職大学院については、社会の変化に対応して求められる多様な分野における高度で専門的な知識と能力を有する人材が育成されるよう十分配慮すること。その設置・運営に当たっては、大学の自主性・自律性が確保されるよう努めること。また、多くの者がその機会を得られるよう、奨学金等の支援制度の充実に努めること。
以上であります。
 何とぞ御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
古屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
古屋委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決定いたしました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。遠山文部科学大臣。
遠山国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
    ―――――――――――――
古屋委員長 お諮りをいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
古屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十七分散会


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