衆議院

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第16号 平成16年4月27日(火曜日)

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平成十六年四月二十七日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 池坊 保子君

   理事 青山  丘君 理事 伊藤信太郎君

   理事 遠藤 利明君 理事 渡海紀三朗君

   理事 川内 博史君 理事 平野 博文君

   理事 牧  義夫君 理事 斉藤 鉄夫君

      今津  寛君    宇野  治君

      江崎 鐵磨君    小野寺五典君

      小渕 優子君    奥野 信亮君

      加藤 紘一君    上川 陽子君

      城内  実君    岸田 文雄君

      近藤 基彦君    鈴木 恒夫君

      田村 憲久君    津島 恭一君

      西村 明宏君    馳   浩君

      古川 禎久君    増原 義剛君

      水野 賢一君    山際大志郎君

      加藤 尚彦君    城井  崇君

      小林千代美君    古賀 一成君

      須藤  浩君    高井 美穂君

      土肥 隆一君    鳩山由紀夫君

      肥田美代子君    牧野 聖修君

      増子 輝彦君    松本 大輔君

      笠  浩史君    富田 茂之君

      石井 郁子君    横光 克彦君

    …………………………………

   文部科学大臣       河村 建夫君

   文部科学副大臣      原田 義昭君

   文部科学大臣政務官    田村 憲久君

   文部科学大臣政務官    馳   浩君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 白川 哲久君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)   玉井日出夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)   近藤 信司君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)   遠藤純一郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)   加茂川幸夫君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)   田中壮一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)   鶴田 康則君

   文部科学委員会専門員   崎谷 康文君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十七日

 辞任         補欠選任

  小渕 優子君     津島 恭一君

  奥野 信亮君     増原 義剛君

  鈴木 恒夫君     水野 賢一君

  山際大志郎君     小野寺五典君

  鳩山由紀夫君     増子 輝彦君

同日

 辞任         補欠選任

  小野寺五典君     山際大志郎君

  津島 恭一君     小渕 優子君

  増原 義剛君     奥野 信亮君

  水野 賢一君     鈴木 恒夫君

  増子 輝彦君     鳩山由紀夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校教育法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八六号)

 文化財保護法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)


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     ――――◇―――――

池坊委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省官房長白川哲久君、総括審議官玉井日出夫君、初等中等教育局長近藤信司君、高等教育局長遠藤純一郎君、高等教育局私学部長加茂川幸夫君、スポーツ・青少年局長田中壮一郎君及び厚生労働省大臣官房審議官鶴田康則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。

小野寺委員 おはようございます。自由民主党の小野寺五典です。

 本日は、このような質問の機会を与えていただきましてありがとうございます。きょうは、先般、民主党の議員の方からも質問がありました学校法人東北文化学園の問題について、質疑をさせていただきたいと思っております。

 実は、きょう、この委員会にも伊藤理事、それから西村委員いらっしゃいますが、私も含めて、宮城県ではこの学校の問題について、今非常に大きな問題になっております。と申しますのは、この学校法人、専門学校からスタートしまして、それなりの実績がきちっとある学校でした。それが大学に移りまして、生徒をかなり集めている。

 その中で、例えば、水増しの入学試験の問題とか、それから前理事長の脱税の問題、そしてまた、この学校法人が地域にあります公立の病院を事実上買収するというような状況が起きていたり、あるいはまた、県を離れまして、隣の福島県の郡山には薬学部を新設するとか、あるいはその前には岩手県の久慈市の短大を買収するとか、そういうかなり広範囲にわたって今活動されている学校法人なんですが、それだけに今回の問題、非常に影響力が大きいと思います。

 それで、今問題となっておりますのは、御存じのとおり、学校法人の設立に当たりまして、設立認可にかかわりまして、当然、学校法人ですから寄附金というのを集めまして、それを基本財産として学校を運営する、この基本財産がしっかりしているということで、入学する生徒にも安心してここで学び、そしてまた社会に旅立ってもらう、そういう非常に大事な役割を担っているわけですが、一部報道機関あるいは一部議員の指摘の中で、どうも学校法人の設立認可にかかわる寄附の内容について虚偽があったのではないかという疑惑が起きました。

 先般の委員会でも、その問題が大分追及されまして、きょうはその結果、この何日間、文部科学省は大変御努力をされてこの事実解明について調査をされたというふうに伺っておりますので、まず、その調査の現在の状況について教えていただければと思います。

加茂川政府参考人 学校法人東北文化学園大学をめぐりましては、去る四月二十日以来、同法人が平成十一年度からの大学開設に向けて平成九年九月に文部省に提出いたしました設立認可申請書類の一部について、寄附者が当該寄附の事実を否定しており虚偽の疑いがあるとの報道がなされたわけでございます。

 文部科学省といたしましては、最初に報道のあった、先ほどの四月二十日でございますが、この日に、学校法人に対して事実関係の迅速かつ徹底した調査を行って明確な報告をするように求めたところでございます。その後、再三にわたって厳しくこの報告について督励をしたわけでございます。

 その後、学校法人からの報告をまとめますと、これまで、大要、以下の事実が判明をいたしたところでございます。

 第一点目は、学校法人側の追及に対しまして、前理事長、この理事長はこの二月に辞職をしておりますが、大学の設置認可の際の責任者であった者でございますが、前理事長がいわゆる二重帳簿の存在を認めたということでございます。また、これを受けて、学校法人内部でもこの二重帳簿の存在の事実を確認しております。

 第二点目は、寄附の関係の現金の部分、現金寄附についてでございます。

 申請書類には、設置財源として記載されていたのは、現金寄附は約四十八億円でございます。この中、申請書類上に記載されております寄附者に確認をした結果、寄附の事実が確認できたものが約六億三千万円でございます。また逆に、寄附者が寄附の事実を否定しているものが二十五億三千万円ございました。なお、国税当局に差し押さえ中の書類等がございますけれども、これを閲覧し確認した結果明らかになったところでは、寄附金控除証明書の交付者と符合しまして確かに寄附があったものと認められるものは約七億円でございました。

 数字をいろいろ申し上げましたけれども、先ほどの四十八億円に比べますと、およそ約四十億円については虚偽の可能性が考えられるのではないかと私どもは受けとめておるわけでございます。

 なお、詳細な書類、いわゆる総勘定元帳が現在国税当局に押収されておりますので詳細が確認できない状況にございまして、最終確認には至っておらないことをつけ加えさせていただきたいと思います。

 また、寄附のうち現物寄附、教具等に関する現物寄附でございますが、これも、申請書類に記載されておりました額は約十五億円でございます。申請書類上の寄附者に確認をした結果、実際には寄附がなかったことが確認できたものが約五億円分ございます。一方で、資産台帳等を記録したフロッピーディスクの内容と照合した結果、申請時点で確かに受け入れられていた、寄附入れが確認されたというものが約二億円でございまして、先ほどの約十五億円と比べますとこの差額、すなわちそれ以外の約十三億円分については、寄附の形跡が現時点では確認できておりません。すなわち、申請は虚偽の内容を含むものと考えられるわけでございます。これも同じく関係帳簿がございませんので、最終確認には至っておりませんが、一応、私どもはそういう調査結果、整理を今いたしておるわけでございます。

 こういった事実関係が明らかになりましたので、私どもはその重大性を十分認識いたしまして、必要な確認調査を行うため、本日、文部科学省の関係職員を六名現地に派遣いたしまして、関係者からの事情聴取あるいは当初の設置認可申請書記載の寄附物品あるいは現物の存否の確認等を行うことといたしておるわけでございます。

小野寺委員 今、とても驚いております。まず一つは、前理事長が二重帳簿をつくっていた、それを学校側も認めているという、恐らく前代未聞ではないかと思います。

 それから、今伺いましたら、まず現金寄附、お金の寄附については本来四十八億円しているというふうに言っているところが、実際あったのは七億円。四十八億円のうちの七億円しか実は寄附がなかった。また現物寄附につきましても、十五億円のうち確認できたのは二億円分の現物と。

 そうしますと、当初の設置基準の中で寄附が約六十三億円必要だという中で、実際あった寄附というのは九億円、ですから、五十四億円が実はもしかしたら虚偽かもしれない。ちょっと余りにも差が大き過ぎる状況になっていると思うんですが、こういう事例というのは今まであったんでしょうか。

加茂川政府参考人 私が知っております限りで申し上げますと、このように申請書記載事実と調査結果が乖離している、著しく異なっているという例を存じないわけでございます。ほかに例を存じません。

小野寺委員 これが多少の違いというのであれば、寄附の前約束があって、実際それが履行されないとか、その辺は理解できるんですが、本来、六十三億しなきゃいけないところが九億しかしていなかった。これは、どうやってこういうチェックをくぐり抜けることができたのか。このときの検査の状況というのは、どんな状況だったんでしょうか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 設置認可申請がありました際には、先ほど申しました申請書類がございます。これには、必要な財務書類もついてございますし、公認会計士の証明に値するような書類も添付されておるわけでございます。関係書類をすべてチェックいたしまして、これに遺漏がないこと、さらに面談調査、審査、現地調査も行いまして、最終的な認可決定に至る手続を慎重に踏んでおったわけでございます。

小野寺委員 多分、大学の設置については、認可というのは大変厳しいというふうに伺っています。提出書類も大変なものだというふうに、時間もかかると伺っているんですが、今、お話によりますと、きちっとやっていたという中で、実際これだけのものが漏れているということは、これは手続上、もしかしたら本当に悪意でやられた場合にはなかなか見つけられないということもあるのかもしれませんが、今後の問題として、この問題をきちっと精査するということと、それから、ぜひこのようなことが二度とないように、きちっとやっていただきたいと思っております。

 その中で、ちょっと気になることがありまして、実は、この学校法人の現在の副理事長に、石川さんという方がいらっしゃいます。この方は、文部科学省のキャリア出身の方というふうに伺っております。

 この方があるホームページにインタビュー記事として載せております内容なんですが、この方は、実はこの学園と知り合った経緯といいますのは、以前、この方は東北大学の方に勤務していた、出向していたということがあるらしいんです。そのときにこの前理事長と知り合いになりまして、前理事長と知り合いになった中で、石川副理事長が、当時、臨教審の主任調査官として専門学校について勉強していた。ですから、この分野に関心を持った。当時専門学校を運営していた前理事長と協議の上、その理事長から短大をつくりたいという相談を受けた。そして、その短大をつくりたいという相談を受けたところからこの縁は始まったということで、実は、この学校、前身の短大、それからこの東北文化学園大学が大学を設立する段階において、このような文部省のキャリアがここに関与したというような、そういう事実はないんでしょうか。

加茂川政府参考人 委員御指摘のように、学校法人東北文化学園大学の現副理事長は、当省のOBでございます。しかし、このOB就任に当たっては、私ども文部科学省としては、一切関与していないものでございます。

 この就任の経緯については、私どもは関与しておりませんから了知をしておりませんでしたが、本人に確認をいたしましたところ、先生の御指摘にもございましたが、前堀田理事長と、昭和五十年代の初めに現副理事長が東北大学の事務局に勤務していたころ、旧知の間柄となったということでございまして、その縁で、平成十三年四月にこの東北文化学園大学の教授にまず就任をいたしまして、その後、十三年七月から理事、十五年五月からは副理事長になったと聞いておるわけでございます。

 なお、この大学の設置認可申請書類が文部省に提出されましたのは、平成九年九月でございます。また、認可がなされましたのは十年十二月でございますが、この時点ではいずれも、この副理事長本人は既に当省を退職しておりまして、別の私立大学の教授であったわけでございます。

 また、余談ながら、この副理事長本人は、文部省在職中に大学の設置認可、先ほど専門学校についての知識云々というお話がございましたが、大学の設置認可を担当する部署に勤務したことはございませんで、決してその道のプロ、専門家ではないと私どもは認識をいたしております。

小野寺委員 確かに、この御経歴を見ると、どちらかといいますと体育畑が御専門の方のようです。また、余談になりますが、我が党から参議院の候補者として立候補された経緯もあるというふうに伺っておりまして、若干その面に関しては少し、この方が今回の問題にかかわっていなければ本当にいいなというふうに思っております。

 それで、さらにお伺いしたいんですが、今回、確かに設立認可についてはいろんな問題があったと思います。それは、そのときは見つけられなかったというのも、もしかしてわかるかもしれません。あってはいけないんですが、そういう経緯はおいておいて、でも、今回、新たに薬学部をまた認可するということなんですが、学校法人として、薬学部とか新学部の認可に当たっては、実は大学設立と同じような手続があったかというふうに思っているんです。

 今回、薬学部をつくる、しかも、一部報道では、既に郡山市でくわ入れをしてもう工事を始めるというようなところまで来ている段階で、このような財務内容あるいは寄附の虚偽の問題というのを改めてチェックすることはできなかったのか、そのことをちょっとお伺いしたいと思います。

加茂川政府参考人 薬学部の設置認可申請にかかわってのお尋ねでございます。

 まだ東北文化学園大学からは、薬学部の設置認可申請が出ておりません。学部の設置に係る認可申請期限は開設前年度の六月末または九月末となっておるわけでございまして、この期限がまだ到来していないということもあるのかもしれませんが、正式な申請はまだなされていないのでございます。

 ただ、設置に先立って、学園から、教学面、経費面でいわゆる事前の相談が合計、都合三回ございました。この相談におきまして学校法人側が経費面等で明らかにしておりましたのは、設置する学部・学科等の名称、あるいは設置に要する経費、その財源の調達方法等でございまして、こういった関係の書類は、大学関係者が持参をいたしまして、事前の相談を求めたわけでございます。しかし、いわゆる決算書類、財務状況が明らかになる決算書類については持参をしておりませんで、財務状況についての説明も全くなされておりませんでした。

 したがいまして、委員御指摘のような、この薬学部設置認可申請手続、その事前手続等も含めました手続の間で、財務状況が何かわからなかったのかということについて申しますと、関係書類が明らかになっておりませんでしたために、持ってきておりませんでしたために、チェックのしようがなかったわけでございます。

小野寺委員 とても不思議に感じます。というのは、地元では、もうくわ入れ式という、いわば着工を始めているわけです。薬学部ができるということで工事を始める段階で、実は、文部科学省では書類提出がまだされていない。そうすると、許可もしていないうちにもう建物をつくっちゃってもいいのか。

 何を心配しているかというと、地域の学生が、今度薬学部ができる、だからあそこに自分は進学したい、進路を決めようというふうにもう既に考えている学生が多いと思うんです。その中で、もう工事が始まっているというと、普通であれば、これはできるんだというふうに感じます。ところが、まだ書類の申請すらちゃんと出されていない、財務内容もチェックできていない。

 こういう段階で工事ができるというのはおかしくないですか。

加茂川政府参考人 起工式についてのお尋ねでございます。

 先ほど申しましたように、現行の設置認可スケジュール、申請に係るスケジュールでは、まず、本年六月の申請に係る認可期日が本年十一月末となるわけでございます。六月末までに申請をし、認可が十一月末までにおりるということになっております。

 そうしますと、認可から開学までに、十一月から翌年の四月までを考えますと、約四カ月しかないことになるわけでございまして、一般に、大学側において開学までに必要な校舎を整備するための建築工事に手をつける、起工式等を行うことはあり得るわけでございます。このケースでもそういった観点から工事に着手したものではないかと思っておりますし、ほかの大学、過去においても、認可または認可申請前に校舎の建築工事等に着手した例は少なくないと私どもは知っておるわけでございます。

 ただ、この起工式の実施時点では、何度も申し上げますけれども、認可がなされておりません。ある場合には申請すらなされていないわけでございますから、認可の見通しが明確でない時点でこういった行動を起こすのは、あくまでも学校法人の自己責任で行われるわけでございます。

 その際に、先生御指摘のように、社会や関係者、学生等に迷惑が及ぶこともあるわけでありますから、学校法人としては、その責任において、私学や大学の信頼を損ねることのないように、もしくは認可があった、または認可が確実であるといった誤解を生じることのないような十分な配慮のもとにそういった手だてを講ずるべきだ、対処をすべきだと私どもは考えておるわけでございます。

小野寺委員 もう既に新聞等で何度も薬学部ができるというふうにPRされているわけです。しかも、くわ入れのところが写真に写って新聞に出ております。だれが見てもこれはできるものだと思っている。そういう中で、まだ申請書も上がっていない。これはちょっと、幾ら規制緩和の時代といっても、ぜひ何らかの形で指導していただくなり、誤解を与えないような形で今後ぜひ対応していただければと思います。

 最後になりますが……(発言する者あり)ちょっと済みません、時間がなくて、申しわけありません。

 今回の件、これは二重帳簿が、前理事長も認めたということがあります。また、本来寄附しなきゃいけない六十三億のうち、現在、実際にされているのは九億しかない。こんな余りにずさんなことが本当にあっていいのか。さらに、この法人は、今回薬学部をつくるのでまた五十億、六十億の負債を抱えるわけです。財務内容が本当に心配だ。一番実は心配しているのは、在学生あるいは今後進路としてこの学校を考えている、また教職員の皆さん、そういう多くの皆さんがこの問題を心配しております。ぜひ、しっかりとした原因究明、解明と、それから在学生含めて教職員が安心できるような体制を、ぜひ文部科学省、全力を挙げてやっていただきたいと思います。

 最後に、大臣に答弁を求めたいと思います。

河村国務大臣 本件は、大学の設置認可に係る事前の重要書類に虚偽があるということであれば、これはあってはならぬことでありますから、これについては、まずは事実関係を究明しなければなりませんので、先ほど答弁いたしましたように、早急に、今、直接出向いて調査をいたしております。

 この事実関係をきちっとしたいと思いますし、仮に申請書類に重大な虚偽がある、こういうことになりますと、これは認可行為の適正にかかわる問題でありますから、文部科学省としても厳正に対処したい、こういうふうに思います。

小野寺委員 どうもありがとうございました。ぜひ頑張ってください。

 終わります。

池坊委員長 古賀一成君。

古賀(一)委員 古賀一成でございますが、民主党・無所属クラブを代表しまして、きょうは、大臣及び副大臣、関係各位に御質問を申し上げます。

 今、小野寺議員の方から指摘がございました。重要事案であろうと思いますけれども、私どもの安住委員、そしてきょうも増子委員の方から質疑をすると思いますが、私の方から、本題に戻りまして、学校教育法の一部を改正する法律案につきまして質問を申し上げます。

 まず、質問の前に、私の基本的認識を申し上げたいと思います。

 栄養というものは本当に最近軽んじられておるように私は思いますけれども、私自身は、個人的には、大げさに言えば人生を規定する極めて重要なファクターだ、こう思っております。

 実は、大臣もそうでありますけれども、こういう話があるんですね。かつて、私の秘書にプロ野球に在籍した男がおります。彼はかなり短気な男でありまして、結局プロ野球では大成しなかったんです。彼がよく言っておりましたのは、私はハンバーグが大変好きだと。まあ若いですから、ハンバーグが好きです、よくハンバーグを食べますと。しかし、私は物すごく切れやすい、すぐかっとすると。結局、かっとしてあるプロ野球球団を去ることになったんですけれども。

 ところが、彼がいわく、今でも元気な稲尾和久という大投手がいますね、彼はたしか大分の漁村出身でありまして、小さいころ、櫓をこぎ、小魚ばかり食べていたと。プロ野球を見渡してみると、結局、海辺に育って小魚を幼いころ食べていた大投手というのは、単に骨が強いだけじゃないというんですね。物すごく忍耐強いと。そして、負けてもけろっとして、次の目標に向かって、大記録をなし遂げるのは大体そういう人が多いんですというような話を聞きました。私もそう思うんです。

 もう一点申し上げますと、私の母は実は、もうおととし他界をしましたけれども、女子大の家政学部出身でありまして、栄養に関してはちょっと類を見ないぐらい熱心。幾ら貧乏であっても、私の家族も満州から引き揚げてきまして、国家公務員のときは大変貧乏しておったんですけれども、ただ、子供の栄養に関しては、鬼気迫るというのは大げさにしても、自分の着物をたたき売ってでも、貧乏してでも食べさせなきゃならぬといういわゆる信念の母だったと思うんです。

 その母が言っておりましたのに、どんなに年をとっても一日ざっと三十種類の食材を食べないと、本当に心の健康というか元気、気力、活力、もちろん体力も保てないということで、八十九歳で亡くなるまでみずから一生懸命料理をつくっておりましたけれども、私は、それほど栄養というものは重要な問題だろうと思っております。

 今般、学校教育法の改正ということで、栄養教諭を学校に配置するということになったわけでありまして、それは私は、一歩前進だろうと素直に評価をいたしたいと思います。

 しかし、説明を聞いたり法案を見ていまして、何か欠けているんじゃないか、何かしっくりこないという感じがしておりました。何だろう、こう思ったんですけれども、結局それは、前進なんだけれども、要するに、今言ったような栄養の重要性、とりわけ子供にとっての幼いころに食べる食生活、食習慣、そして実際食べるものの重要性というものの原点から文部行政が発して、こういう制度をつくるんだという魂というか意気込みというか、そういうものがなかなか伝わってこない。

 今回、要するに、栄養職員から格上げした栄養教諭にします、小学校、中学校にそれを置きます、こういう感じで、それにとどまっているんですね。私は、これで本当に問題が解決するんだろうかと。学校ではそういう措置を講ぜられても、家に帰ったら、お母さんは相変わらず冷蔵庫のほかほか弁当をチンして食べなさいというような、やはりもっとトータルな問題が社会にあるんですね。それをさておいて、学校はこうします、栄養職員は置きますというふうにとどまっている。

 そういう面では、私はこれを機に、総理大臣ほか河村大臣も食育の重要性というのを所信表明でも述べられ、本当に意気込みを感じます。それならば、この際、栄養教諭を配置する、はい、それで改正です、前進するでしょうではなくて、一歩も二歩も踏み込んで、私は、仕掛けといいますか、健康あるいは食育あるいは栄養問題というか、そういうものを訴えるチャンスじゃないか、こう思って、そういう視点に立ちまして、幾つかの質問を時間の許す限りしたいと思います。

 私、学校教育の現場の問題等は受けとめますけれども、基本的には、やはりこれは今、日本人の食生活あるいは栄養、それから有害物質の問題もたくさんあります。発がん性物質から、たくさんありますけれども、いわゆる日本人の今の栄養そして健康問題について、基本的にどういう問題意識を文部科学省はお持ちなのか。恐らく食育の担当所管庁になると思うんですよ。じゃないんでしょうか。そういう面から見たら、この点はぜひ、問題意識の原点を、まずは冒頭お聞きしたいと思います。原田副大臣、よろしくお願いいたします。

原田副大臣 古賀委員から、本当に熱のこもった、また真髄に迫るお話があったところでございます。お話の中に稲尾選手の話が出ましたけれども、そのお話を聞いていまして、私、柔道の山下選手、今はもう引退されて柔道界で指導者として頑張っておられますけれども、彼が世界選手権十連覇だかやったときに、いつも出てくる話が、彼のおじいちゃんなんですね。まさに小魚を本当にしっかり食べさせたと。そればかりが当時話題になったわけでありますけれども、やはりその辺に真髄があるのかな、こんな感じがしたところであります。

 食生活の大事さについては今委員のおっしゃるとおりでありますし、また、栄養教諭、このたびそういう形で制度化されるわけであります。制度化しただけでそれにとどまっているのではないか、こういうお話がありましたけれども、私は、やはり制度というのは、まずつくり、それにいかに魂を入れていくかというのは、それこそこれからだろうと思うんですね。担当されるそういう先生方も相当な努力をしなければいけないし、また、国、自治体、地域挙げて、この制度を本当に意味のあるもの、また、やってよかった、こういうものにしなければならないな、こう冒頭に思うわけでございます。

 御質問の、日本人全体の栄養、健康の現状と問題についてどう考えるかでありますが、戦後、日本人の食生活が大きく変わってきました。高塩分また高炭水化物のような伝統的な食事から、動物性たんぱく質や脂質の多い、そういうものへと変化を遂げてきたわけであります。このことが、国民の体位の向上、健康の増進、そして、現在は世界一とも言われておりますが、高齢化を誇る、そういう最大の原動力になったとは思っておりますけれども、一方で、いいことばかりじゃございません、そのことが、生活習慣病の増加等々、いろいろな心配の要素にもまたなってきているわけであります。

 また、とりわけ子供の健康、食事の問題につきましては、もう既にこの委員会でも何回も御指摘、また説明をしたところでありますけれども、社会環境の変化に伴いまして、朝食欠食、孤食、孤食なんというのは、これがもう一般的な言葉になったように、本当に悲しい現実であります。また、偏った栄養摂取など食生活の乱れが、肥満傾向の増大とか過度の痩身、やせてしまっていることが見られることでありまして、このことが、将来の生活習慣病の予備軍といいますか、子供のうちにその傾向が出てきておる、大変私たちは懸念しておるところであります。

 平成十二年に、当時の厚生省が中心になりまして、健康日本21という立派な報告書を出されたわけでありますが、この中に、日本の戦後の食生活の変遷、そして問題点、さらに、二〇一〇年という年度を挙げまして、このときまでにどういうふうな形で食生活が改善されなきゃならないか、目標値といいますか、そういうものを挙げて、しっかりした報告書が出されておるわけであります。

 例えば、児童生徒の肥満児は、現状、当時では一〇・七%が、二〇一〇年度には七%以下に抑えたいというような、こういうこととか、食塩摂取量の減少については、現在は十三・五グラムを一日にとっているのを二〇一〇年には十グラム未満にしたいとか、そういうような事細かに目標まで挙げてやっておるわけでありまして、こういうような現状と問題点は認識をされておるわけです。

 私どもからしますと、このような状況を踏まえて、この教育分野、文部科学省としてもしっかり対応しなきゃいけないなと。栄養教諭の問題もその第一でもありますし、また、御指摘ありました食育基本法案も現在国会で審議されるやに聞いておりますけれども、そういうものを通じてしっかりこの中身を充実していかなければいけない、こう思っております。

 なお、文部科学省として、食育関係の予算はもう既にして三億八千万ほどのものを大体毎年予定しておるところでありますが、とりわけ、平成十六年度においては幾つかの新規施策を導入しておりまして、指導啓発パンフレットの作成費とか、地場産物を活用した事例集の作成、さらには学校を中心とした食育推進事業、こういうものを通じまして、先生御指摘のように、食が一番、栄養が一番大事なんだというような観点からいろいろな行政を推進しているところでございます。どうぞ御指導いただきたいと思います。

古賀(一)委員 私は、大人については、先ほどの話じゃありませんが、自己責任でいいと思うんです。子供ですね。今そういうことで、健康日本21の報告書がある、あるいはパンフレットもつくる、こうおっしゃっていましたけれども、でも、子供から見れば、国民の中でもとりわけ子供から見れば、そういう発信が届いていないと思うんですね。

 だから、やはりそこに問題があるわけで、そういう役所がよくやるパンフレットをつくりました、報告書を書きました云々じゃなしに、後ほども申し上げますけれども、もっと強烈に、私は、本当に子供を救うためには、この問題は、食育という言葉を政策の中心に掲げるならば、発信をもっとうまくすべきだと思うんです。事は、文部科学省が考えているよりも、もっと底辺では深刻じゃないかと私は思っているんです。

 このいろいろな資料を見させていただきましたけれども、基準の中に、エネルギーあるいはたんぱく質、脂質、カルシウム、鉄、ビタミン類、食物繊維、ナトリウム、マグネシウム、こう書いてありますけれども、大体、この手のたぐいのことを栄養の基準として文部省が指示しておられます。私は、野菜づくりというのは自分自身も大変好きなのでよく経験しますけれども、いわゆる今の日本の大地には、何十年、半世紀にわたって化学肥料ばかりまいてきたことがございまして、洪水もほとんど起こらないということで、これ以外の、香りであるとか味であるとか苦みであるとか、いろいろな植物が本来持っておった味といいますか香り、そういうものをつくる希少元素といいますか、そういうものが昔は山から洪水で流れてきまして、それを向こう十年、五十年、百年、植物が微量でありながらも吸収して、あのおいしい野菜というのをつくってきたと思うんですよ。ところが、今の子供たちというのは、本当の意味での味覚というものを知らずに育っている。それを感じられるものもあると思うんですよ。あるんだけれども、やはり供給体制がそうだから、そういう本当の味を知らない。

 もう一つは、先ほど言いましたように、本当の意味での健康、とりわけ、母がつくる弁当、母がつくる朝食のその意味というものを強烈に発信していないから、ついついお母さんも忙しい、お父さんも忙しい、結局このままで、子供には申しわけないけれども、今のいわゆる孤食あるいは店屋物でいいだろうというのがずっと続いていると思うんですね。やはりそこに一石を投ずる。それは、できない人はできないでしょう。しかし、できる人は、ああ、やはり子供のためにひとつといって、とりわけ幼児のころ、小学校のころは、ちょっと自分がもう一時間、二時間早起きしてでも子供のためにつくらなければならぬと。やはりこういう価値観を発信するのは、私は、食育ということを言うならば、文部省の重大使命じゃないか、これがいいきっかけじゃないか、学校にも配置しましたと。

 そういう方向にこの際やるべきだと私は思うところでございますが、国民運動としてこれを法律改正を機に訴えるということについて、今、大臣のやる気をひとつ御披露いただきたいと思います。

河村国務大臣 先ほども御指摘をいただきましたが、就任しての所信の中においてもこの食育の重要性を取り上げたところでございますし、就任早々、総理からも、知徳体プラス食育だ、これを重視した人間力向上の教育改革に努めるべし、こううたわれておるわけでありまして、それに向かって、まさに食育を重視した展開をしなきゃいかぬ。今回のこの学校教育法の改正によりまして栄養教諭制度ができる、これもまさにそうでございます。

 ただ、冒頭御指摘がありましたように、それでよしとすべきような、そんな生易しい課題ではございませんで、御指摘のように、大きな国民の理解と、そして一緒にやっていく、そういうことが必要であろうと思います。そういう意味で、まさに国民運動的な盛り上がりというのが必要であろう、こう考えております。

 これは、我が省だけではなくて、厚生労働省、さらに農林水産省、一体となってやる必要があると思っておりまして、児童生徒だけではなくて、一般の方々にも参加をしていただくようなもの、これが必要だろうと思います。これまでも、農水省、厚生労働省、連携をしながら、食生活指針の策定あるいは食に関するシンポジウム等も行われてきておりまして、特に食と健康の問題、この啓発運動、広報活動、これをやってきておるわけでございまして、この点、さらにやっていかなきゃならぬと思っております。

 また、一方では、食育基本法も今検討をされておりまして、この法律の制定も相まって、一体となってこの食育という問題を、食と健康の国民運動、こういうような形、御指摘のようなそういう課題としてしっかり取り組んでいこう、このように考えております。

古賀(一)委員 今、小泉内閣で国民運動としてやろうと思っておられるのに、いわゆる国際観光立国というような話がちらちら最近新聞に載っていますし、ビジット・ジャパン、日本を訪問しよう、観光に行こう、それをやろうとしておられます。私は、これはこれで非常にいいことだし、私自身も一つの運動といいますかアイデアを持っておるんですけれども、でも、こんなことよりも、むしろ、BSEの問題、鳥インフルエンザの問題、そして子供たちの体力低下の問題、切れる、犯罪に走る、家庭が団らんの場所がない、これは、ある面じゃビジット・ジャパンどころじゃない、本当に一番重要な問題だと思うんです。

 私は、この法律を質問するから思いついたわけじゃないんです。もう昔から、極端に言うと数十年前から、やはり、何で政府がそういうキャンペーンというか国民運動を堂々と張らないんだと思っておりまして、竹下登総理が例のふるさと創生をやられました。知恵がなかろうがあろうが、一億円ぽんとくれましたよ。それで、知恵のないところは金庫の中に入れておったとかいろいろな話が、笑い話みたいな話までありますけれども、こんなのは、私、その十分の一でいいと思うんですよ。

 私は、国が補助金でするというのはいいかどうかは別として、要するに、国民の健康運動、一村一健康運動、まあいろいろなネーミングがあるでしょう、これをやったときの社会的効果、財政的効果というのは投資した額よりもはるかに大きいものだと思うんです。私はそう信じています。

 例えば、ひところよく言われました、病院に行くといつも近所の御老人が集まっておしゃべりをしていると。病院に行くのが、老人医療費の自己負担の問題で大分変わってきましたけれども、かつてはそういう現象がありました。要するに、病院によもやま話をしに行くというような文化があったんですね。

 ところが、政府が一村一スポーツ、一村一品ならぬ一健康運動と言って推奨して、全国的にそういう健康に対する関心が高まれば、例えばうちの村では、私は地元のある町には筑後川ウオークラリーをやったらどうかと、そういう政府の推奨に基づいて。それで、私、出身は久留米ですけれども、久留米はブリヂストンの発祥地でもあるし、筑後川の河川敷に大規模自転車道もあるわけですね。それならうちの市は自転車ラリーをやろうと。そういうことをやっていったら、間違いなく、介護財政、とりわけ国民健康保険会計、これは見る見るうちに私は改善すると思います。間違いなく改善しますよ。幾つかの事例を知っております。

 つまり、国民の皆さんに健康の重要性、そして、村挙げての秋祭りのときにウオークラリーをやって、六十歳の部、七十歳の部、青年の部、表彰する。隣の町では何をやっている。そういう仕掛けですね、それをやっていったときに、私は、これから大問題になる介護保険の赤字の問題、それから国民健康保険の既に大きな赤字があるこの問題。それで、どちらかというとみんなが萎縮しがちな今の日本人の心に、やはり競争心、頑張ろう、健康になろう、いつもけんかしている三軒隣のおばあちゃんが去年優勝した、ことしは私頑張るよ、こんなムーブメントを本当は起こすべきなぐらいに、実は国民の健康を支える財政はもう破綻寸前です、破綻しているわけです。

 いろいろな意味において、私は、ビジット・ジャパンというような国民運動以前にそういうのを打つべき時代だと思いますけれども、これはひとつ大臣の方から総理に提言をしていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでございましょうか。

河村国務大臣 総理も、予算委員会等々においてもこの食育の重要性というのは非常に強調してきておられるところでありますし、もう既に気持ちはそういう気分になっておられる、こう思っておりまして、これからこの学校栄養教諭制度ができる、これをきっかけにして、このことの周知徹底とともに、国民みんなで健康を考え、食育の重要性を考え、一体となって取り組む、内閣としてもそれをもっと前面に出す、御指摘のとおり、私もそれに向けて努力してみたい、こういうふうに思います。

古賀(一)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 それでは、今回の法律の改正によって設置されることになります栄養教諭のいわゆる機能といいますか、どこまで本当にやれるんだろうかという点についてちょっとただしてみたいと思います。

 これまで学校栄養職員ということで、栄養士の資格を持った人が配置されておったんですけれども、今度は一定のカリキュラムを修得していただいた後に栄養教諭となって学校に張りついてやられる。ところが、やはり実際の栄養問題というのは、もちろん、カロリーが一日何ぼ、たんぱく質は一週間にこのくらいとれ、これで済むならば事柄は簡単なんです。

 ところが、私は地元のお母さん方からいろいろ聞きます。この前も聞きました。私の娘が千葉に嫁いでいる、私の孫、その子供ですね、卵アレルギーだ、学校に行ったら、卵の給食が出たときに、それは困る、弁当を持たせたいと言ったら、いや、それはだめです、こう言われたとか、アトピーの話とかぜんそくの話とか、今たくさんおられますよ。

 そうしたときに、私は、栄養士という資格を土台に、今度栄養教諭という資格を取ってもらって学校に張りついてということになるんですけれども、栄養士の資格の中というか試験制度というか、この中で本問題に、学校教育現場の今の問題に十分対応し得るんだろうかというのを素直に疑問に思うんですけれども、この点につきまして、局長、どうなんでしょうか。

田中政府参考人 学校栄養職員にかかわります知識、能力の御質問でございますけれども、学校栄養職員は、学校給食の栄養に関する専門的事項をつかさどる職員でございますので、学校給食の栄養管理や衛生管理といった給食管理業務を担っておりまして、このために栄養士の免許を持っていただくことを義務づけておるところでございますけれども、この栄養士の免許を取りますためには、栄養と健康でございますとか食品と衛生、あるいは給食を運営するためにはどうすればいいか、こういうことに関して必要な知識や技術を兼ね備えていただいておるわけでございます。

 さらに、これは、今回は栄養教諭制度の創設をお願いしておるわけでございますけれども、近年の学校教育におきます食に関する指導を充実していきますためには、こういう食に関する高い専門性を持った学校栄養職員の方々が、さらにその高い栄養に関する知識を生かして、子供の指導あるいは学校における食に関する指導計画の作成等に当たっていただくことが大変重要だろうというふうに考えておるところでございまして、私どもといたしましては、こういう今までの学校栄養職員の方々の栄養に関する高い専門性に加えまして、児童生徒に対する指導の仕方と申しますか、子供たちの心理に配慮しながら教育的な指導を行うためにはどのようにすればいいか、こういった資質を身につけさせていただく栄養教諭制度の創設をお願いしておるところでございます。

古賀(一)委員 では、栄養士の免許を持っておられる方が今度栄養教諭として働いていくときに、新しい地域のデータとか地域の実情とか個人的なニーズとか、いろいろなものを修得しなきゃならぬと思うんですけれども、それは研修で教えるんですか、文部科学省が、教育委員会がやるんですか。

田中政府参考人 栄養教諭につきましては、教育職員として位置づけさせていただきたいと思っておりますので、免許法を変えさせていただきまして、栄養教諭となるためには栄養教諭免許状を取っていただくということでございますので、一般的には、栄養教諭養成課程というものを大学に開いていただきまして、そこで所要の単位を取ることによって栄養教諭の免許状が取れるという仕組みになるわけでございますけれども、現在学校栄養職員として御勤務いただいておる方々につきましては、勤務、経験年数が三年以上あれば、管理栄養士の資格を持っておられる方に関しては十単位、それから栄養士の免許を持っておられる方には八単位の教職に関する科目等の単位を修得していただくことによって、それぞれ一種あるいは二種の栄養教諭免許状を授与して、それで栄養教諭に移行していただくということを考えております。

 では、この十単位なり八単位の単位をどのように修得するかでございますけれども、これは、単位の修得の方法といたしまして、都道府県の教育委員会が文部大臣の認めた単位付与講習を開くことができることになっておりますので、そういう講習を開いていただいて、そこで単位を取っていただくということを考えておるところでございます。

古賀(一)委員 私は、これは質問じゃありませんが、局長に申し上げたいと思うんです。

 これは、当然、法律ができれば通達が行く話ですね。そうした場合に、今は、今の栄養士の資格にプラスして何単位取りなさい、こういう話であるんですけれども、それは枠組みの、制度の話であって、本当の現場はそんなことじゃ解決できないと思うんですよ。この子はアトピー、このお母さんは大変栄養に詳しいとか、あるいは地元の農協からは、来月になると産品で本当においしいイチゴがとれる、あれがとれる、だからこれをひとつ使って子供に郷土愛も教えようかとか、実は、いろいろな現実に応じたニーズもあれば要請もあれば、問題も出てくると思うんですね。

 だから、それを、私は、この栄養士から栄養教諭になった人が通達で縛られて、要するに、文部省の管理行政の中の一角で上の指導を待っているというようなことじゃこれはだめなんです。やはり、柔軟性のある、本当に地域に根差し、子供と対話し、子供の個別事情にも応ずるような伸びやかな栄養教諭というものに、そういう方向性というのかな、理念というものをしっかりやっておかないと、今度格上げになったのか何か知りませんが、食堂のおばさんから栄養教諭になった、でも何をしていいんだろうと。私は、先ほど母親の話をしましたけれども、やはりその当事者が責任を持って、誇りを持って、伸び伸びとやれるような栄養教諭制度に導くような通達を出さないと、この制度は生きないと思うんですよ。それは私の問題提起として申し上げておきます。

 それで、私はここまで法律ができる以上、食育であるとか健康あるいは栄養に配慮した学校教育の現場というものは、皆さん事例として幾つか知っておられるのであろうと思うんですね。あるいは、問題を起こした事例もあるかもしれません。

 どうなんでしょうか。私自身は、こういう法律の枠組みだけじゃなくて、この法律をつくらなくても、何とか県の何とか小学校では、地域と一体となってこういう地域の産物を子供と一緒につくり、子供がおいしく食べ云々という事例をたくさん探し出して、それを事例として伝達すれば、私は、別に法律つくらなくたって動くんじゃないかとも思うんですよ。問題は法律の枠組みじゃないんです。やはり、そういうことをやっているところが、子供の栄養管理は重要だ、おいしい味覚を教えることについては子供たちはこう反応したとか、そういう事例を広めることが私はこの問題の要諦だと思うんですよ、ポイントだと思うんです。

 そういう面で、今言いましたように、食育、子供の健康あるいは栄養、いろいろな分野で、学校教育の現場で実践をした事例で際立ったものというのは集めてあるんでしょうか。

田中政府参考人 先生御指摘のように、食育に関して、あるいはその地域の産物の活用に関して、こういうものを積極的に活用していただいておりますところの情報を広く伝達していくことは大変重要だろうというふうに考えておるところでございます。

 私どももそういう事例を幾つか集めておるところでございまして、学校給食を初めとして、関連教科や特別活動を通じて家庭や地域とも連携しながら食に関する指導が行われておる事例というものをある程度御報告させていただきますと、例えば、千葉県の佐倉市のある小学校におきましては、食の指導について学校教育全体で取り組んでおって、各学年について、いろいろな教科を通じて年間指導計画を作成して、これに基づいてやっている。

 例えば五年生では、総合的な学習におきまして、食と健康を考えようというものを一つのテーマとして取り上げてございます。そして、そのまず第一のステージにおきまして、健康によい食材の追求というようなことで、食品に含まれる栄養素調べでございますとか、体に必要な栄養の調査、あるいは栄養過多になるとどういう弊害があるのかといったようなものを取り上げまして、家庭科や社会科などの教科、学級活動等も関連させながら、そして給食の食材を提供してくれる農家の方々との交流をやる。また、その第二ステージにおきましては、探ろう長寿と生活ということで、健康を考えた食事、そして集めよう長生き地域の献立でございますとか、私の勧める自慢料理といったようなことも取り組んでおりまして、その中で地域のお年寄りとの交流を図るといったような取り組みもあるわけでございます。

 それからまた、福岡県の久留米市の事例で申し上げますと、福岡県の久留米市では、学校給食の食材といたしまして、大根、大豆、ネギ、ナシ、イチゴなど、これら地元の食材を活用しておるところでございまして、また、しゅんの野菜や果物を活用して行事食や郷土食も積極的に取り入れておりまして、例えば、郷土食のがめ煮というのがあるそうでございますけれども、そういうものを献立に入れる。さらには、給食試食会というものを開催しまして、保護者の方々に試食をしていただくと同時に、その場を通じて食の大切さや学校給食のねらいを保護者の方々に説明することによって家庭への働きかけも行っているというような事例も聞いておるところでございます。

 今後とも、私どもといたしまして、こういう事例を集めまして、それを一冊の本にいたしまして、またPRをさせていただきたいというふうに思っております。

古賀(一)委員 そういうことで、今度は教育現場に栄養教諭が配置されますが、上にはまだ教頭先生もおるわけですね、校長先生もおるんです。そうしたら、栄養教諭が情熱を燃やして、こういうことをしたい、地元の産物のあれを使ってこういう企画でやってみたいと言っても、恐らく、校長先生がそれに了解を出さなければこれは実現しないんだと思うんですよ。

 そうなりますと、まさに、先ほど言いましたように、こうした事例を、あまねく学校にやっている例を見せることによって、そうしたら校長先生も、ああ、ほかでもやっているのか、こういう流れなのか、法律もできたか、それは頑張らぬといかぬ、こうなると思うんですね。今のままほっておくと、いわゆるキャンペーンといいますか、まさにそういう価値観というものをしっかりと校長先生まで伝達しないと、この制度は校長先生の手によって抑えられるということになるんです。

 今後通達が出るのだと思いますが、それ以前に、今おっしゃったような事例というものは、文部科学省のインターネットというか、あるいは田中局長の所管のホームページにおいて、集められて発信されているんですか。小学校、中学校がそれぞれやっているものはその小学校、中学校でやっているんですけれども、文部科学省がそれを集めて、学校における新たな食育への挑戦、全国の百事例はこうですよと、そういったことは発信しておられるんでしょうか。

田中政府参考人 残念ながら、まだ私どものホームページの中にそういう具体的な食に関する指導の事例というものを掲載はしておりませんけれども、学校栄養士の方々の研修会でございますとか、そういうところにおきましてはそういう事例発表をしていただきまして、それをその年の紀要として全国に配布するといった取り組みをしておるところでございます。

 また、一般論ではございますけれども、学校給食の食材として地域の産物を活用するということは、食事内容の多様化、あるいは児童生徒に地域の産業や文化に関心を持たせる上で大変よい教材になるというふうに私ども考えておるところでございますし、また、地域の農業に従事している方々との交流等を通じて感謝の気持ちやあるいは地域との触れ合いを実感する、さらには、それによってよりまた安全な食品が提供されるというようなことにもつながると考えておるところでございます。

 私どもといたしましては、平成四年に学校給食指導の手引というものを作成いたしまして、そういう中で郷土食や地場産業の導入について工夫をしていただくように指導しておるところでございます。また、その通知等も通じて指導してきておるところでございます。

 それと同時に、食生活学習教材というものをつくりまして、こういう中でも、地域の伝統食でございますとか地域の産物を、きょうの給食の中にはどういうものが取り入れられているんだろう、そういうものを勉強しようじゃありませんかといったようなことで、子供たちにもそういう地域の産物について関心を持たせる、あるいは地域の献立について、食べてもらうことによってその伝統を受け継いでいくといったような取り組みもしておるところでございます。

古賀(一)委員 それで、先ほど地産地消との関連のお話が出ましたけれども、私のふるさとの話もしていただきましたけれども、今農業も、将来の見通しについていろいろ苦しみ、呻吟しながらも、地産地消に一つの活路を見出そうとしてやはり頑張っていますよ。農業青年も頑張っています。そういうときに、ちょうど学校の現場でこうして、子供においしいもの、フレッシュなもの、安全なもの、願わくば郷土愛につながる何かをというのは当然出てくる話だと思うんですけれども、これは、今回の改正を機に、地産地消との関係で、何かもっと積極的に文部科学省として取り込んでやっていこうという方針をお持ちなのか。ぜひ持っていただきたい、こうお願いしつつ、方針をお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 ただいま御説明申し上げましたように、これまでも、地産地消の観点から地場の産物の積極的活用というものを指導してまいったところでございますけれども、ことし、特に平成十六年度予算におきましては、そういう地場産物の活用に関する事例集をつくるための経費も計上させていただいておるところでございまして、私どもといたしまして、積極的に全国の学校でいろいろ取り組んでおる事例を集めまして、その中で、特にまた全国にPRしたいような事例についてこの事例集にまとめまして、その周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

古賀(一)委員 では、もうそろそろ最後になりますけれども、この際、私の方から、文部行政全体の体質といいますか、それについて再度申し上げたいと思うんです。

 これは文部科学省だけじゃないんです、各省庁がこの国会でたくさんの法律を出しております。最近それをつらつら見るに、やはり依然として縦割りの中にこもっているんですね。縦割りの中で、今度はこの局でこういう制度をこのくらいいじりました、改正ですといって法案がたくさん出ておるわけでありますけれども、この栄養の問題一つとりましても、これは決して学校にこういう職員を配置して解決する問題ではないんです。やはり縦割りを超えて、関係のあるところに全部手づるを伸ばして、そして、トータルとして、農林省は農林省、厚生労働省は厚生労働省、文部省は、ではどう手をとり合ってこの目標を達するかというのを、縦割りを超えて議論すべき時代なんですよ。

 かつてのように、縦割りで、道路局は道路局、初等中等局は初等中等、予算は足りぬ、小学校は足りない、予算をとってまず自分のテリトリーのことをやっておけば、絶対量が足りなかったわけですから、それで済んだのですよ。今はもうそうじゃありません。

 次に出る文化財保護法も私はそうだと思うんですよ。ほとんどの法律について、何でこれだけの枠の中にはまって法律だけいじるんだ、条文だけいじるんだ、問題解決のためにはこれじゃ片づかぬじゃないか、何であの省と手を組んでやらないんだ、私はこう思うことばかりなんですよ。それが今の政府の政策づくりの依然残った欠点で、時代は変わり目、そういう縦割りを超えた総合行政あるいは連携行政をやるべき時代に、縦割りにこもって、うちは改革をしました、改革とまでは大げさに言わなくても、改善をしましたと。それにとどまっているところに、今の日本の財政赤字が一向に減らず、予算はぶち込むものの何か効果が出てこない、そこら辺の有機的な連携、ネットワークの不足だと私は思うんです。

 そういうことで、あと五分あるそうでございます、私は、ぜひ大臣に、先ほど申し上げましたように、BSEの問題もありますよ。それから鳥インフルエンザの問題もある。体力低下、先ほど言いましたとおりです。これを機に、文部科学省が中心となって、厚生労働省、旧厚生省、農林水産省、あるいは場合によっては経済産業省、ひとつ食の問題というものを全部洗い出して、現場は、学校もある、地域もある、家庭もある、それでツールとしては、インターネットもある、通達もある、あるいはイベントもある、表彰制度もある、国民スポーツ運動もある、そういう全体を私は見据えていただきたい。そういう必要性のあるぐらいこれは大きい問題ではないかと思います。

 これに関連して、最後に、私は、この栄養というものは、恐らく体の栄養、つまりたんぱく質であるとかビタミンであるとかミネラルとか、そんなたぐいだと思うんですね。ところが、もう一つ、これとも絡むんですけれども、私は、心の栄養という点もこれまた非常に欠けた問題ではなかろうか、かように思っております。

 私もよく外国に行きます。一番驚いたのは、ブータンという国に行ったときですね。人口がたった六十万人しかいない、ヒマラヤ山脈の山の中、中腹にあるあの国ですけれども、子供たちの目が本当にきらきらと輝いているんですね。悩みもないのかな。要するに輝いているんです。かつて中国なんかにしょっちゅう行っていたときも、子供たちがやはりきらきら輝いている。日本の子供を見ると、勉強で疲れたというか、何か輝いていない。そこには、単に、食べているもの、体にとっての栄養だけじゃない、私は心の栄養が何か欠けているんだろうという気がしますよ。

 そうしたときに、食の問題とも絡むんですけれども、この際、やはりもう一度、子供たちに心の栄養を与えるシステムがあるのかというものを私は問いかけてもらいたい。最近の子供は全然遊ばない、遊び場がない、自動車が多過ぎる、こんなことばかり言ってずっと来ているんですけれども、そういうことじゃなくて、やはり、文部行政の一環として心の栄養を与える仕組みというものを教育の現場に何か組み込めないかということを真剣に考えてもらいたい、私はかように思います。

 具体的に言えば、林間学校もあるでしょう、それから農業体験学習というのもあるでしょう。私自身は、小学校、中学校、遊びほうけていましたけれども、映画だけはみんなと文部省選定のものをよく見に行きましたよ。文部省選定じゃないのもたくさん見ましたよ。結局、そういうものが一番印象に残っているんです。

 私自身は映画少年で、よく見に行きました。でも、今思えば、当時はテレビもほとんどなかったですから、ましてインターネットもない、世界の情報を知るのは映画ぐらいだった。私自身は、見たことのない世界というものを教えてくれる映画に本当に感動しましたね。「世界残酷物語」とかは、やはり日本映画よりも、自分の知らない世界というものがこんなにあるのか、ああ、こんな苦しい国もあるんだ、こんな野蛮な、まだ未開な地域もあるんだと。そうしたら、自分が偉くなったというか、何か少々のことでくじけない、成績が少々下がったって大したことじゃないんじゃないか、世界は広い、私は少年時代からそう思っていたんです。やはりこういうチャンスを今の家庭教育は与えられませんよ、個室に押し込めてテレビをあてがっていますから。

 やはりそういう、私はもう詳しく申し上げませんけれども、栄養は、心の栄養も今枯渇していますよ。それに今の文部行政が、今のままで、社会のせいにしただけでは済まない責任を今文部行政は背負っているんだと私は思うんです。それを真剣に私は再考していただき、今、心の栄養について何か文部科学省がすべきことはないかというものをもう一回見直していただきたい、こうお願いをし、最後に大臣の御所見を聞きまして、質問を終わりたいと思います。

河村国務大臣 貴重な御意見をいただきまして、私も心の栄養をいただいたような気がいたします。

 おっしゃるように、食育の問題はやはり広く大きく考えていく課題だというふうに思います。もちろん体の健康もありますが、あわせて、食育を通じて、例えばしつけの問題でありますとか、食に対する感謝の気持ちとか生き物に対する感謝の気持ち、そういうものが一体となって生まれる、これが本当の食育だ、御指摘のとおりでございますし、また、文部科学省だけの問題ではなくて、各省庁との連携もしっかりとる。一義的には栄養教諭の皆さんにしっかり頑張っていただく。きょう、幹部の皆さんも傍聴に見えておりますが、熱意のほどを伺いながら、大いにこの制度を国民運動としてやっていく、こういう思いで頑張ってまいりたいと思います。

 ありがとうございました。

古賀(一)委員 よろしくお願いします。終わります。

池坊委員長 増子輝彦君。

増子委員 民主党の増子輝彦でございます。

 きょうは、私は、大学のあり方あるいは教育のあり方ということにつきまして、大臣初め関係の皆さんに御質問させていただきたいと思います。

 先週、我が党の安住淳議員が、仙台にあります東北文化学園大学等についての質疑をさせていただきました。また、この件につきましては、三月一日の予算委員会の分科会で、私も、薬学のあり方あるいは教育のあり方、そして国民の血税が私学助成にたくさん使われているというような観点も含めながら、大臣に大学の問題等についても御質問させていただいたことでございます。

 大臣、実は私立大学等には経常費の補助金として、先般もお聞きしましたけれども、平成十一年度から十五年度の間に何と一兆五千六百三十四億五千万円もの国民の血税が実は投入されているわけです。こういう国民の血税がこれだけの高等機関に実は投入されているということに関して、本来、高等教育のあり方というものは、先ほどの心の栄養じゃありませんけれども、どういう形が高等教育としてあるべき姿なのか、まず大臣に所見を伺いたいと思います。

河村国務大臣 日本の高等教育の全体を見ましても、今、今度は国立大学が法人化いたしましたけれども、学生の八〇%近くは私学に行っているという現実があるわけでありまして、私学の日本の高等教育における重要性というのは非常に大きいものがありまして、私学振興なくして日本の高等教育なしと言っても過言でない、こう考えております。

 そういう意味で、これから私学の果たす役割は非常に大きくなっていくわけでございます。そういう面で、国は私学に対して適切な支援をするという観点に立って私学助成をいたしておるわけであります。

 この私学助成のあり方が今日の状況で本当に適正なのかどうなのか。私学助成金をもっとふやすべきだ、こういう意見もございます。同時に、私学には私学の建学の精神というのがありますから、それを生かして、まさに私学としての特色ある教育をやってもらう、その意味においては私学の自主性を重んじなければいかぬ。このバランスをいかにとっていくかということがこれからの課題であろうと思いますが、いずれにしても、私学が公教育に果たした役割の大きさからいいますと、私学が健全であって、そして国民の期待にこたえていく、このことが非常に大事であろう、このように考えております。

増子委員 まさに大臣の御答弁のとおり、建学の精神に基づいて健全な教育機関としてあるべきことが、私は特に私学に求められている。これだけの血税が入るわけでありますから、非常に重要です。

 大臣は、一部ではもっと税金を投入しろという声もあるということでありますから、なおのこと、不正とか疑惑とかあるいは偽装とか、そういうことがあってはならないということは当然のことだと思うんです。

 そういう意味で、実は、これから東北文化学園大学について幾つかの質問をさせていただきたいと思いますが、先般、安住議員の方から文科省について、すぐにでも事実解明に当たれということが要求されましたし、当局も、これについてはそれに応ずるという実は答弁がありました。朝の質問で与党の小野寺議員の方からも、この質問に答弁があったかと思いますが、私からももう一度、簡略に、この件について、今日までの東北文化学園大学についての調査の報告を求めたいと思います。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 学校法人東北文化学園のいわゆる虚偽報道を踏まえての調査についてでございますが、文部科学省といたしましては、最初に報道のあった四月二十日に、学校法人に対しまして事実関係の迅速かつ徹底した調査を行い、明確な報告をするように求めたところでございます。この報告依頼を再三督励いたしまして、きのうまでに明らかになった点が以下三点でございます。学校法人から報告があったわけでございますが、大要、以下三点のことが明らかになりました。

 一点目は、前理事長が学校法人側の追及に対しまして、いわゆる二重帳簿の存在を認めたということでございます。学校法人としましても、その内部で二重帳簿の存在の事実を確認しております。

 二点目は現金寄附についてでございまして、現金寄附につきましては、設置認可の申請書類に設置財源として約四十八億円が計上されておりましたけれども、この四十八億円の中身について、寄附者への確認あるいは否定しているものの確認等を経ました結果、約四十億円については虚偽の可能性があると考えられるという報告を得ておるわけでございます。詳細についてはまだ確認する必要がありますけれども、そういう報告を得ております。

 また、現物寄附につきましても、申請書類に記載されていた約十五億円のうち、確認等を経ました結果、確かに受け入れられていたものが約二億円でございまして、それ以外の十三億円分については、寄附の形跡がなく、申請は虚偽の内容を含むものと考えられるとの報告を得ているところでございます。

増子委員 大臣、これを聞いていかがでしょうか。高等教育のあり方あるいは私学のあり方という観点からすれば、こんな大学が存在していいんでしょうか。これだけの文部省が先週来調査をした結果、とんでもない数字が出てまいりましたよね。これをごらんになって、大臣、どういうふうにお感じになるか。簡単で結構でございますが、所見のほどをお願いします。

河村国務大臣 私学というのが、今重要な役割を果たしている。これはやはり、大学運営に対する国民の信頼感があって初めて生まれていくものでありまして、これを損なうような法人経営がなされているということが現実にあるとすれば、非常に残念なことであります。

 これは大学の許可、認可に係る問題でもございますので、この事実関係をきちっと調査いたしまして、厳正に対応していって、まさに私学に対する信頼を回復する、こういう努力は当然文部科学省としてはこれからもやっていかなければいかぬ、このように思っています。

増子委員 大臣、実は、私が予算分科会でも、税務調査を受けて、査察を受けているということで質問をさせていただきました。そのときに、実は、加茂川さんの方から、この脱税容疑についてもどのような状況になっているかということでの事実解明に努めたいという御答弁をいただいているんですね。

 今報告がありましたこの大学のいろいろな問題のほかに、脱税容疑がもちろんあるわけですから、何か血税が、個人と大学という形の中で、まさに勘定が一緒で、自由にやりたい放題で、自分の私腹を肥やすようなことに使われているんではないかという疑いは当然出てくるわけであります。

 この脱税容疑について、加茂川さん、その後何か、先般の分科会での御答弁でございましたけれども、どういう形で調査をされたか、お聞かせいただきたいと思います。

加茂川政府参考人 前理事長の脱税関係についての御質問でございます。

 先般の予算委員会でもお答えをいたしましたが、学校法人としましては、この前理事長の脱税事件につきましては、大学とは一線を画したもの、関係はないものという考え方をとっているという報告を受けておりますし、何より前理事長も大学とは一切かかわりはないものとして迷惑をかけたということを申されて、辞任を申し出られたということを聞いておるわけでございます。実際、二月に理事長が交代をしておるわけでございます。

 私どもとしましては、この脱税につきましては、現在、税務当局が鋭意調査等を、捜査等を行っておると聞いておるところでございまして、その後の進展については、学校法人から新たな報告等は受けていないところでございます。

増子委員 私は、これは徹底的に調べる必要があると思うんです。血税が入っているんです。ですから、そういう意味では、やはり税務当局と連携をとりながら、この虚偽の報告やいろいろな不正、偽装があるんですから、当然、理事長個人の問題ということではなくて、現実に理事長であったわけです、今も実質上の理事長なんですね。文部科学省の調査に対応すると、当時の申請にかかわった人がいないからわからないとか、そういうとんでもない答弁も実はあるわけであります。

 それに、もう一つお聞きしたいと思いますが、この堀田前理事長は、寄附行為変更許可申請のことで、実は、てんまつ書を出しているんですね。このてんまつ書は、実は、学歴詐称の疑いがあるということで書かれたと私はお聞きをいたしております。申請のときには東北大学大学院卒業というふうに記していた。しかし、それは事前相談、いわゆる協議の中で指摘を受けたのかどうかわかりませんが、堀田さんは平成十年の十二月十八日にこれのてんまつ書を出しておるんですね。それが、修正したのが東北学院大学経済学部というふうにお聞きしています。間違いありませんか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 申しわけありません、手元にそういった関係の資料はございませんで、委員確認の事項については、この場で即座にお答えをすることができません。申しわけございません。

増子委員 おかしいですね。これは私は、実は事前に、この件についても質問をしますからお答えできればお答え願いますということをお願い申し上げておったんですよ。何でしょう、これは。おかしいんじゃないですか。もう一度お聞きします。いかがですか。

加茂川政府参考人 まことに申しわけございません。先生から質問の事柄についていろいろ御指示がございました中で、私どもの方で手落ちがあって必要な資料の準備ができなかったものと考えております。

増子委員 ちょっと加茂川さん、おかしいんじゃないですか。そんなことをやっているから、大学の管理監督ができないんですよ。私、ちゃんと言っているんですよ。そしてきのう、それなりの私に対する答えも実は返ってきておるんですよ。だから私は、事実を確認しているだけなんですよ。できないんですか。もう一度お聞きします。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 再度担当者に確認をいたしましたが、およそ先生の御指摘のとおりの事実であったということが今確認をできたところでございます。

増子委員 何ですか、一体。おかしいじゃないですか、皆さん。こんな答弁をしていて質疑ができますか。ちょっと理事、諮ってください。

池坊委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

池坊委員長 速記を起こしてください。

 加茂川私学部長、事前に通告したことに関しては、正確に答弁していただきたいと思います。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 済みません、私の事実関係の整理の不手際でございまして、委員からは事前に通告がございました。私、たまたま手元に資料がないために、不確かな答弁ではいけないかと思いまして明確な物言いを避けましたけれども、再度確認をいたしましたら、委員御指摘と同じ事実がございました。そういうことが確認ができたところでございます。

増子委員 こういうことをやっているから、実はちゃんとしたことができないんじゃないですか。だって、先ほど大臣からも、教育行政のあり方、高等教育のあり方、それで私、申し上げましたが、一兆円をはるかに超える血税が実は投入されているんですよ、日本全体の私学の補助金として。加茂川さん、よろしくお願いしますよ。

 それで、実はこの寄附行為変更認可申請書の中に、堀田さんが誓約書を出しているんですよ、大臣。ちょっと読み上げます。「誓約書 今般の申請に伴う調達財源について、設置等に要する申請年度の財源の確保及びその説明がなされない場合は、申請を取り下げます。」という誓約書が出ているんですね。

 そうすると、一連のこれだけの文部科学省のわずかな期間での調査を見ても、とんでもないでたらめがあるんですね。これは、こんな大学が存在していいんでしょうか、皆さん。誓約書もあるんですね。申請書の取り下げとは別に、こんな問題のある、まさに、だれかの言葉じゃありませんが、疑惑のデパートじゃない、疑惑の大学、こんなものがこの世の中に存在すること自体が、私は高等教育機関として血税を投入するには値しないと思います。

 これは、場合によっては取り消しという対象まで私は行き着くんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

河村国務大臣 御指摘いただきましたような疑惑が生じておる。そこで、きょう、具体的に、調査団を出しまして、今徹底的に調査をいたしております。その上で、まさに私学運営に値しない、まさに御指摘のようなことが現実にあるということになれば、これは御指摘の点も含め、まさに補助金も出ておることでございますから、その返還も含めて厳正に対処しなければいかぬ、このように考えます。

増子委員 調査団を、本日、職員六名を現地に派遣ということでの報告がございます。と同時に、この大学が独自に調査委員会を設置したというふうに報道もされております。これは間違いございませんね。

 問題は、幾ら大学側が調査委員会をつくったとしても、そんなことに実は文部科学省があぐらをかいてその報告を待つということだけでは、これは疑惑は解明されないんですね。ですから、最低限、まず、ではこの調査委員会、大学側の調査委員会がいつまでに結論を出すのか、どういうメンバー構成なのか、どういう方法でそのいわゆる調査をしていくのか、そういうものはきちっと私は確認をしなければいけないと思う。

 と同時に、今回六名の方々を派遣したということでありますが、これはいつまで、期限を切らなきゃだめですよ、いつまで現地調査を徹底的にして真相を明らかにする、そのお考えをお伺いしたいと思います。

加茂川政府参考人 現地における文部科学省の職員の調査について御説明を申し上げます。

 委員も御確認いただきましたように、本日、関係職員六名を現地に派遣いたしまして、先ほど報告をさせていただきました重大な虚偽に対する疑惑もしくは明らかになった事実について、詳細な確認調査を行おうとしておるわけでございます。この中には関係者からの事情聴取も含まれておりまして、委員御指摘がございました前理事長を含む学校役員関係者、設置認可申請時の担当者等ともじかにヒアリングといいますか事情聴取を行いまして、徹底した調査をきょうまず行うつもりでございます。

 この事実解明が一体きょう一日で終わるのか。私は、この事実の乖離、その虚偽の大きさから見ますと、とても一日で終わるという印象を今持っておりませんけれども、とりあえずはきょう一日、担当者からの徹底した事情聴取も含めて、まず調査、確認を行った上で、何日かかるのかの判断をその後させていただきたいと思っております。

 決して、委員御指摘の大学が立ち上げる調査委員会、これもどういった組織で、どういった期間で、洗いざらい調査をするということを聞いておりますけれども、行われるのかまだ確認をしておりませんけれども、この結果を待つというのではなくて、文部科学省が直に確認をしておりますので、再度、きょうの成果を踏まえて、どのくらいの期間を要して、できるだけ迅速に結果を得ることができるのか鋭意詰めてまいりたい、こう思っております。

増子委員 文科省の調査団と同時に大学の調査、二つできるわけですが、これは徹底してできるだけ速やかに調査をしていただかなきゃならない。また、それを報告していただかなければなりません。

 それで、委員長、ぜひ、私はこの堀田正一郎前理事長をこの委員会に証人あるいは参考人招致をして、やはり直接私ども委員会のメンバーが聞くことが必要だと思います。それは、何といっても税金がたくさんこれは入っているわけですし、また、すべてこれは不正に固まったような大学でありますから、文科省の調査は調査として、委員会は委員会として聞くだけの十分理由と必要性があると思いますので、私は堀田正一郎前理事長の参考人もしくは証人の招致をお願いしたいと思います。

池坊委員長 理事会で協議をいたしまして決めたいと思っております。

増子委員 ありがとうございます。

 それでは次に、先ほど来も問題になっております現物寄附あるいは現金寄附、このリストが申請時には出されているんですね。ところが、これはどうも不自然な点がたくさんあるというふうに思われるんですね。何か筆跡が同じような人がいっぱいいるとか、あるいは、先ほど来問題になっている、実際に寄附をしていないのにあたかも寄附がなされたということが、偽装で、明らかになっているということがあるんですね。

 実は、私どもも、このリストを出してほしい、申請時の寄附リストを出してほしいとお願いしましたけれども、残念ながら、これについては現時点では出せないということの回答がありました。しかし、この疑惑を解明するためには、どうしても私はこの申請者リストを見なければ、もっと深いところにいろいろな問題があると思うんです。

 ぜひ、委員長、このリストも当委員会から要求をしたいと思いますので、よろしくお取り計らいのほどをお願い申し上げたいと思います。

池坊委員長 あわせてそれも理事会で協議をして決めたいと思っております。

増子委員 それと、この申請者リストの中に、実は、同一人物かどうかはわからないんですが、宮城県の現職の県会議員さんあるいは現職の市会議員さん、当時の。同姓同名の方が実は二名いらっしゃるんです。そして、その金額も一千四百何十万、一千五百万という多額の実は現物寄附リストに挙がっているんですね。同姓同名なんです。同一人物かどうかはわからないんですよ。

 ですから、これも徹底してやはり調査をしないと、場合によってはこれは寄附行為の違反に当たりますね。当たるんですよ。ですから、これはぜひ、政治家がこういう現物寄附的なものを本当にやったということであれば、これも私は解明をしていかなければならない。(発言する者あり)公選法違反です。当然ですね。

 その当時の現職県会議員の方は、昨年の衆議院選挙に実は県会議員を辞して出馬したんです、自民党公認で。残念ながら安住議員に敗れまして、今は自由民主党宮城県第五総支部の支部長をやっている方と同姓同名の方なんです。これはわかりませんよ、同一か。これはよく調査をしなければならないと思っているんです。

 大変な実は問題になっているわけですから、ぜひこの件も、そのリストをちょうだいしてやっていけばわかると思うんです。

 次に、もう一つ、大事な虚偽があるのは、グラウンド用地の一部が医療会社の方に売却をされたということがやはり新聞報道でもなされておりますし、多分今回の調査でもこれは出てきたと思うんです。十一億一千万で売却をした、ところが売却したはずの相手の医療会社の社長さんは一切こういう契約はしていないということなんです。その後に出てきたことが、実は別な方と売買をした、現実にお金は十一億一千万入ったんだと。それは申請前なんです。申請前に現金、保有金、積立金というものがなければ大学申請というものは実はできない。足りなくなってしまうんですね。ですから、これもまさに偽装ではないか。

 これは文科省が調べたんですね。これについて、御答弁をお願いいたします。

加茂川政府参考人 本件につきましては、四月六日の地方紙に、今問題になっております東北文化学園大学の前身法人が、平成九年三月に、その前年に取得したグラウンド予定地の一部を委員御指摘の十一億一千万円で売却したとする契約について、契約の相手方である医療会社は契約を結んだ覚えがないとそのものを否定している、学校法人側も、同社と一たん契約を結んだけれども同社の契約不履行で売買に至らなかった、そういった報道がなされたものでございます。

 私どもとしましては、この報道を踏まえまして、学校法人に早速事実関係の調査と報告を求めたところでございます。報道が六日でございまして、学校法人からは八日、二日後に報告が一応はございました。ところが、事実解明がほとんどなされておりませんでした。法律関係もかなり入り組んでおりまして、なかなか解き明かすことには専門的な知識も必要なんですが、私どもとしては、事実解明が学校法人からの説明ではなされなかったという判断をいたしております。

 すなわち、一連の流れ、契約等の流れについては報告はなされたわけでございますが、その裏打ちとなる、例えば理事会の議事録でありますとか、あるいはその契約書といった物証、裏づけの資料がなかったわけでございまして、私どもとしては、一応報告は得ましたけれども、事実関係の解明は極めて不十分だということで、学校法人に引き続き調査の進展を、依頼を強力にしておるところでございまして、先ほど申し上げました、きょう現地に赴いております調査団も、このこともその調査項目に含めておりますので、その調査結果を私どもとしては待ちたいと思っておるわけでございます。

増子委員 時間があと五分ということでございますが、平野理事からの了解もいただき、また与党の皆さんにも御理解をいただきたいんですが、若干食い込むかもしれませんが、お願い申し上げたいと思います。

 これについて、実は現物寄附についても、今回の売買における問題についても必ず、追及されますと、いや、実はその方ではなかったんだ、別な方とやったんだと、必ず言うんですね。何かいつも同じ手口なんですね。これはやはり問題だと思うんです。

 それから、もう一つおかしいことは、グラウンド用地として実はある会社から大学が取得した際に、この用地は林地開発の問題で実はグラウンド用地としては使ってはいけないということで、仙台市から宮城県にいわゆる意見書が出されて、グラウンド用地ではないんですね。実習用地、測量実習用地というような目的等が実は付されて、この開発がなされたんです。それがいつの間にかグラウンドとしてこれを使っているんですね。これも大きな問題ですね。これは文科省の問題ではないので、それは私が事実だということだけをお話し申し上げておきます。

 しかし、これだけのやはり数々の、前理事長の問題や学園そのものの問題があるんですから、これはやはり告訴なり告発をしなければならない重要な問題だと私は思うんですが、先般の安住議員の質問にも答えておられましたけれども、この件について再度お伺いします。告訴もしくは告発をする用意があるんでしょうか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 現時点では、何度もお答えをしておりますように、現地にも赴きまして、事実関係の解明に向けて鋭意調査中でございますので、その事実関係が明らかになった時点で、先生おっしゃった事柄も含めて、厳正に対処することといたしたいと思います。

 告発につきましては、所定の手続が法律に従って必要になってまいりますので、事実関係が明らかになった際に、関係方面とも十分相談をさせていただいて対応を考えてまいりたいと思っております。決して後ろ向きというのではなくて、事実を究明した上で厳正な対応を行政としてもとりたいという気持ちを強く持っております。

増子委員 実は、この大学は、今度の薬学部の改正の問題等も含めまして、新しい薬学部を郡山市に来年の四月に開学をしたいということで準備を進めているんです。これは予算委員会の分科会、あるいは安住議員、あるいは小野寺議員からも多分話があったと思います。

 郡山市としましては、ここにまた九億円の補助金を出すんですね。県が五億円、県が直接出せませんから、教育振興費として、郡山市を通して五億円。合わせて十四億円出すんですね。それから、学校用地として三十年間無償で土地を提供するんです。

 それからもう一つ、実は隣接地、大学が来るかどうかわからない前に、わずか一カ月前に、地元の不動産業者さんが国鉄清算事業団からこの土地を実は買い上げたんです。これは宅地ということで、宅地外の使用目的はだめですよということになっているんですが、実は一カ月後にこの土地が大学に転売されたんですよ、発表になった後。何かちょっとおかしいなという感じがするんですね。国鉄清算事業団だって、宅地として売ったものが、業者さんが入って大学に売られたから後は知らないということでは、甚だ遺憾だということの言及もされているんですね。

 やはりこの大学のやっていることが極めて悪質な手口であり、血税を何か私物化するようなごまかしの使い方をしているとか、そういうことが実はあります。

 これからさらに、地方自治体が大学を誘致する場合に、こういった問題が多々出てくる可能性がないわけではない。規制緩和という名のもとで、大学の許可申請が容易で、もちろん認可も容易になってくればなおのこと、何かそういう不正に使われる、あるいは個人の私腹を肥やす、あるいは何か錬金術のような形の中に使われるということがこれはあるんですね、きっと。ですから、私は、こういう問題を含めて、ここは文科省としてもきちっとした対応をしないと、今後の大学の設置のあり方について問題が出てくると思うんです。

 そういう意味で、郡山市のこの大学に対する事前相談もなされているんでしょう。来年の四月に開校ということで、もう校舎も起工式をやって建てようとしているんですね。これは万が一何かあったら、学生が一番困るんじゃないですか。ですから、私は、その意味で、今回のこの郡山市への大学薬学部新設については、大臣、やはり事前協議にも応ずべきではない、ましてや大学の認可を出すべきではないというふうに私は思っているんです。

 事実解明を速やかにしながら、そして、この事実関係の中でどういう問題が生じて、場合によっては刑事事件にも発展する、あるいは大学の前理事長、関係者もそういうことに問われるということも可能性があるわけですから、少なくとも現時点では、事前相談には応ずべきではない。そして、万が一許可とかいうことになったら、これは大変なことになります。

 この辺についての御見解、大臣、お願いを申し上げたいと思います。

河村国務大臣 許可申請の事前の問題、許可申請について、これはこのケースという前提でなくて、法令上は、一応書類に不備がなければこれは受け付けなければならぬということになっておるのが本来のあり方ですね。

 今回のようなケース、事前相談も一切受け付けないことができるかどうか。これも事前相談というのは、基準の解釈を問い合わせる、あるいは書類の記載方法の相談を受けるというのが事前相談ですから、こういうことがあるから、どこをどうすればいいのかということについて相談をするわけでありますから、これを門前払いするというわけにもいかない課題だろうとは思いますけれども、おっしゃることは私も理解をいたします。

 ただ、まさに薬学部の話がございましたが、許可申請、こういうことになりますと、これはもちろん大学設置・学校法人審議会においてやることになるわけでありますけれども、大学等の管理運営の適正を期しがたいと認められる事実がないということがこれは認可の前提になっていますから、要件でありますから、この観点から、当然このケースについては極めて慎重な審査になっていかざるを得ないかというふうに私は思いますね。

増子委員 大分時間も経過しましたので、最後に、再度お願いを申し上げたいと思いますが、やはり文部省OBの方々が、全国の私学関係にたくさんの方々が実は天下っているんですね。この天下っている方々が、大学のこういった申請については大変能力を発揮されるという事実はあるんでしょう。大学にどのぐらいの文部OBが天下っているかということも含めながら、実は、大臣、やはりこれだけ不正、偽装、問題がある大学について、事実が解明されるまでは、少なくとも文部省としてきちっとした姿勢を出すことが、今後の高等教育のあり方ということについて重要だと思うんです。事実解明が明らかにならないうちは、私は、事前協議にももちろん応ずべきではないと思うんです。これは善意の中ですべて事前相談をしながらやっていくということがあるんですから、その善意をやはり踏みにじる、こういう大学に甘く、手続上はそれは拒むわけにはいかないと言いながら、ここはやはり大臣も先ほどおっしゃったように、厳正に対処をしなければいけない。

 やはり、この問題の事実解明が明らかにされるまでは、少なくとも事前相談、協議には応ずべきではないというふうに私は思いますが、再度、大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

河村国務大臣 先ほど天下りの話もされました。文部科学省の中では、もちろん、私学等々から要請があればしかるべき人材を派遣するということはこれまでもあったことだし、また、その方々が今までそれぞれの分野で非常に活躍をされていることも事実でありますから、これは、お互いに善意に基づいてそういうこともやってきております。

 しかし、こういうことに使われるということは非常に遺憾なことでありますから、これは慎重を期さなければならぬ課題だというふうに思います。

 と同時に、事前相談を含めて、この大学のケースの問題については、まさに文部行政、まさに設置基準等に対する違反行為に当たる可能性が非常に高いわけでありますから、これはまさに信頼を裏切られたということになるわけでありまして、これこそ、こういうことが再び起こらないようにしなければいかぬ課題であります。

 でありますだけに、このケースについては、まさに文部科学省としても、そうした私学経営に対する、法人経営に対する信頼を回復するためにも厳正に対処する、これは当然のことだというふうに思います。

増子委員 ありがとうございました。

 本当に、事実解明が何よりも大事であります。と同時に、今までの申請手続等の問題も含めまして、入り口は善意に基づいて優しく、あるいは時々厳しくということですが、問題は、やはり事後チェックという体制をこれからきちっとしていかなければならないと思うんです。

 と同時に、この申請時において、きちっとした監査法人の検査も受けて実はこれが申請されるということが条件の一つになっているわけであります。今回のこの問題を考えると、どうも監査法人も、言葉は悪いんですが、ぐるではないかというおそれがあります。

 ですから、最後に、厳正な対処をお願いすると同時に、この監査法人についても、関係者を当委員会にお呼びしてきちっと問いただすことが必要だと思いますので、委員長、お取り計らいのほどをお願い申し上げまして、私のきょうの質問を終わらせていただきたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

池坊委員長 増子委員からの三つの御提案につきましては、きちんと理事会で協議をしたいと思います。

 平野博文君。

平野委員 民主党の平野博文でございます。

 我が党として最後の質疑者になるわけでございますが、今入れかわっておりますから少し待っておりますけれども。

 過日の当委員会で私どもの同僚議員が質疑を、確認をさせていただきましたことについて、議事録を、速記を見たわけですが、少しわかりにくいものですから、簡単に確認をしたいと思います。

 その案件は、昨年の衆議院選挙におきまして、安倍衆議院議員がみずからの推薦はがきにおきまして京都大学の中西教授の名前を推薦人に使ったや否やという、このことに対しての確認でございます。

 改めまして私は速記をずっと読んでおりますと、中西教授は、当人は知らない中で勝手に使われた、こういうふうな認識だから、文科省として公務員である中西さんに対しての対処はしなかった、こういうことでよろしいんでしょうか、改めて確認をいたします。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘の件につきまして、先日もお答え申し上げましたけれども、京都大学におきましては、三月五日に本件事実調査について調査会を設置し、関係者から事情聴取を行ったわけでございまして、その調査会としては、中西教授本人及び安倍議員の秘書から事情聴取を行い、審議を行ったわけでございます。

 その結果、議員秘書から選挙運動用通常はがきの推薦人になることの依頼が電話でなされ、その電話には中西教授の夫人が応対したが、そのことは教授本人には伝えられていなかった、それから、議員秘書から中西教授本人に再度の確認がなされていなかったということから、京都大学では、中西教授本人は、自身の職、氏名が推薦はがきに掲載されていることを全く承知していなかった、そういう結論を得たために、京都大学では特段の措置を講じなかったというふうに承知をしているわけでございまして、文部科学省としても、本件については、京都大学の判断により適切な対処がなされたものというふうに考えたわけであります。

平野委員 それはこの前の委員会でも経過説明がありましたが、結論として、そういう状況であるから、中西教授の名前は勝手に使われたというふうに理解をしてよろしいのか、このことの確認であります。再度お願いします。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど来御説明を申し上げましたとおりでございまして、こういう要請という事実としては、それはあったわけでございますが、相手が中西夫人でございまして、そういうことが伝えられていなかった、あるいは本人には直接の再度の確認がなされていなかった、そういうことから、中西教授御本人につきまして、御本人自身が承知していないということでございますので、特段の措置は講じない、こういう答えであった、結論であったわけであります。

平野委員 措置を言っておるわけではありません。措置は、そういう経過だから措置をしなかったということですから、結果としては、勝手に使われたということを認識したからそういうことになったのかということを聞いておるのであります。いかがでしょうか。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 これは、京都大学で、まさに中西教授、それから安倍議員の秘書の方に事情聴取を行った上で結論を得たわけでございますけれども、その際、議員秘書から要請があったということは、これは事実でございます。ただ、その電話に出たのが教授夫人でありまして、その応対をしたのも教授夫人でございます。そこから教授御本人には伝えられていない、そして、議員秘書から中西教授本人に再度の確認がなされていなかった、こういうことから、中西教授御本人が承知をしていなかった、こういうふうに申し上げているわけでございます。

平野委員 承知していない中で現実的に使われているということは、勝手に使ったということ、普通、一般的にそう言うのではありませんか。大臣、どうですか。一般的に言えばそういうことじゃないでしょうか。

河村国務大臣 事情については先ほど玉井審議官が説明したとおりでありますが、本件につきましては、私も、同じ自民党の議員のことでありますから、安倍議員から直接お伺いいたしました。日ごろから中西教授とは親しくしておられて、中西教授が自分の論文等においても安倍議員のことを取り上げておられる、そこで、安倍議員の秘書がそのことを踏まえて中西教授の自宅にお電話されて、そのところ教授はおられなくて、夫人が電話に出られて、わかりました、主人に伝えますということで承知いただいたものであった、こういうふうに私は伺ったのであります。

平野委員 いやいや、私、その経過とか状況はいいんですよ。結論として、教授自身は全く知らない間に使われておったというこの事実さえはっきりしていただいたらいいわけで、その間の経過は、例えば、子供さんに言ってありましたとか秘書が何かをしましたとか云々じゃなくて、要は、基本的には、御本人が承知をした結果、まあ、いいだろうと言ったのか、いや、御本人は全く知らないのに勝手に使われた事情が推薦はがきという形で出ていったのかということを私、聞きたいわけであります。結論としては、御本人の知らない間に使われたと私は解釈をしますし、ここにおられる委員の方々も、経過を見るとそういうふうに思われますが、私の解釈に疑義があれば、逆に今度は申し出てください。

玉井政府参考人 お答え申し上げます。

 解釈についてどうこうということではなくて、私どもは先ほど来、京都大学できちんと事情聴取をし、そして調べた結果について御報告を申し、御説明を申し上げている、そういうつもりでございます。

平野委員 経過についてはよくわかりましたと私、言っておるじゃないですか。経過に基づいた事実として、推薦はがきに中西教授の名前が出ている、これは御本人は知らないことだから、京都大学との事情聴取の中ではお構いなしとしましたということに、結果として、玉井審議官が御報告されたわけですよ。そのことを踏まえると、勝手に使ったんですねということの答えが導かれますがどうですかと言っておるわけですよ。それはどうですか。そのとおりですと言ってもらったら、私、もう次の質問に行きたいんですよ。

玉井政府参考人 経過は何度もお答えしているとおりでございまして、そういう中西教授宅への要請があったことも、これは事実であったわけでございます。しかし、御本人には伝わっていなかった。したがって、先ほど来申し上げておりますとおり、京都大学の結論としては、中西教授本人は自身の職、氏名が推薦はがきに掲載されていることを全く承知していなかったという結論を得たということでございます。

平野委員 決して私は、これで安倍衆議院議員をどうだとかいうことを言っているわけじゃないんです。物事の道理の流れの中で導かれることということもあるでしょう。事実ということをやはりしっかり、それは事実である、事実でないということを、白黒をはっきりつけなきゃいかぬときもある。

 今回のケースは、少なくともお構いなしと、京都大学が出したわけですから、そのことは逆に、中西教授の名前を勝手に使われたから、大学の公務員たる本来の職務の部分からいくと、勝手に使われているんだからお構いなしだと。もし勝手に使っていないとしたら、本来、お構いありでしょう、これ。だから言っているんですよ。お構いなし、結構ですよと。ということは、勝手に使ったということでしょうということを言っているだけのことですから、そのとおりですとなぜ答えられないんですか。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 経過はもう繰り返すつもりはございませんけれども、要するに、私どもがお答えするのは、やはり京都大学の報告に基づいてお答えを申し上げているわけでございますので、したがって、京都大学の報告においては、先ほど来申し上げた経過の中で、中西教授御本人は自身の職、氏名が推薦はがきに掲載されることを承知していなかったというふうに京都大学は認定しているわけでございます。そういう結論を得たわけです。そういう結論に基づいて特段の措置は講じなかったということを申し上げているわけでございます。

平野委員 これに余り時間をとるわけにいきませんが、京都大学総務部人事課長から文科省の方に、政治的行為の疑いについてという報告書が上がっておりますが、京都大学が何ゆえにそういう結論を導き出したかということについて、参考人を要求いたしますが、よろしいでしょうか、委員長。

池坊委員長 参考人に関しましては、理事会で協議して決定させていただきたいと思います。

平野委員 そもそも、私、黙っておりますけれども、文科省もやはりちゃんとしているんですよ。事務連絡で、公立学校職員について、選挙運動等の禁止行為という、ちゃんとこういう通達を出しているんですよ。だから、使われたか、使われていないか、そんなのは、あうんの状況でわかるんですよ、だれであろうが。まして、中西教授のような立派な方が自分でオーケーしていると私は到底思いません。だから言っているんです。

 あと、公選法云々というのは別の問題であって、やはりこの事実確認だけをしっかりしておくことがいいのかなと。同僚の牧議員の速記を見ると、審議官があいまいに、どっちを向いておるのかようわからぬけれども、言っていることだから、この際にそこだけははっきりしておきたかったということで、これはまた別途、今、委員長にお願いをいたしましたから、これで終えたいと思います。

 さて、学校教育法にかかわる、改正する今回の法律案でございますが、薬学と栄養教諭という二つの大きな案件にかかわっております。したがって、大臣には大変長時間この審議に加わっていただきましたが、確認というところもあり、多少ダブっているところもあるかもしれません。その点についてはお許しをいただきたいと思います。私の持ち時間、同僚議員に多少食われましたので、減りましたので、飛ばすかもわかりませんが、ポイントだけ絞って確認をさせていただきたいと思います。

 まず、薬学についてでありますが、薬学教育の六年制導入の意義ということで、私も、長い何十年という思いの中で、この六年制の導入をしていただいたということは非常に喜んでおりますし、結構だと思っております。今までの薬剤師の役割というのは、単に薬剤を調合する技術者、こういう形から本来あるべき姿に、この六年制を導入することによってより近づいていくし、そういうふうにまた持っていかなきゃならないと私は考えております。

 諸外国から見ますと、我が国のように四年制で来ているという例はほとんど皆無の状態であります。したがいまして、冒頭、もう最後ですから大臣に、今回、六年制にした意義を簡潔にお伺いしたいと思います。

河村国務大臣 薬学六年制の実現、長年の薬剤師の皆さん方の念願でもあったわけでございます。現実に、医療技術、高度医療、非常に進んだわけでございますし、また、医薬分業も五〇%にも近づこう、こういう状況でございます。

 そういう観点から、医薬品の安全使用、それから最適な薬物療法の提供等々、まさに患者への適切な服薬指導、こういうこともありますし、さまざまな医療場面において、医療の担い手としての薬剤師の役割というのが非常に重要になってきておる。高度な専門性、しかも高い倫理性、医療人としての知識と教養、こういう資質の向上が現時点で求められている、このことが言われ続けてきたわけでありますが、まさにもうそれをほっておける段階でないということであります。

 特に、今、平野委員も御指摘ありましたように、諸外国の実情を見ても、これはもうまさに日本は遅きに失したと言ってもいいぐらいだということで、今回のこの改正に取り組み、六年制にしようということで、いよいよ御審議を賜っておるわけでございます。これによって、医療の高度化の中で薬剤師の役割というものがきちっと果たされる、こう思って、このおくれた分をぜひこの六年制によって取り返す勢いで、この法案をお認めいただいて、薬剤師の皆さんに頑張っていただきたい、このように期待をいたしておるところであります。

平野委員 結構かと思います。私も、大臣のその御答弁に対して評価をしたいと思います。

 ただ、今回の法改正の中で、少し残念な点がございます。といいますのは、六年制に一貫してやろう、こういう法改正の中にあって、いわゆる四年制学部と二年制の大学院に進んだ後にも薬剤師の受験資格を得るという、いわゆる四プラス二のルートが残ったことは、私は残念であると思っています。

 文科省の四プラス二を残す理由として、我が国の薬学部がこれまで重視してきたとする基礎薬学の進路、すなわち、早期に研究者あるいは製薬企業等々に進む研究者の道を残しておくべきだ、こういう主張があったと思うのでありますが、その点は、そうでありますか否かで結構ですから、お答えをいただきたいと思います。

遠藤政府参考人 御指摘のとおりでございます。

平野委員 しかしながら、我が国の薬学が、製薬の産業化を主目的、こういう流れの中にありましても、世界のレベルから見たら我が国の薬学産業というのはどれぐらいのレベルにあるんでしょうか。国内の、ドメスティックなマーケットだけを対象とした日本の製薬会社になっていないでしょうか。世界に冠たるマーケットに本当に日本の製薬会社が参画をし、そのマーケットを駆逐していく、参画していく、こういうレベルに私はないんではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。

遠藤政府参考人 全体的な評価はなかなか難しいとは思いますけれども、例えば新薬開発の点で申しますと、世界における売上高トップ三十の新薬の中でそのうちの六つを我が国が開発しておる、こういう事実はあるわけでございます。

平野委員 私は、そういう一部のところはあるにしても、トータル的な部分からいきますと、やはり日本の製薬の力量というのは世界に余り通用しているというふうには思っていません。

 それはなぜか。やはり、四年制で十分に通用するというふうに国内的には思っておるでしょうけれども、世界の国々はほとんどがもう六年制以上の薬剤師の養成課程、薬学の養成課程に入っているわけであります。したがって、私は、四年制で製薬に、研究ルートに上っていく、こういうことが本当に今の時流、時代に対処した方法なのか、ここが非常に疑問に思えてなりません。

 この前の参考人も、別に六年制をやったからそれにおくれをとるということではない、六年制をやればやるほど、そういう意味で、よりクリエーティブな研究者が誕生する、こういうことだって当然言えるわけであります。

 したがって、今回四プラス二を残したこの理由は、どういう理由で残されたのかをお聞きしたいと思います。

遠藤政府参考人 考え方としては、先ほど来平野先生がおっしゃったように、これまでの経緯として、いろいろな人材を養成してきた、こういうことで、薬剤師養成六年というだけではなく、この際四年というコースも残そう、こういうことでございます。

平野委員 そうしますと、六年制を卒業して薬剤師になった人と、四プラス二を出てきて薬剤師になった人と二通りの資格者が、結果としては薬剤師という名のもとに、ルートが二つのルートで薬剤の資格を得るようになるんですね。

 したがって、もともとは、この六年制にした最大の根拠は、単に実務実習とか薬学的なそういう知見の教授を追加するとかそんなことではなくて、一貫した教育課程全体の中で医療人としての資質を、また自覚を持っていただくということが非常に大事なんだ、そこから六年制を導入しているんだというふうに私は思っているんです。いろいろなところでやりたい、その方に道を開く、こういうことも、今までの学校の中でも編入学であるとかそういうことはありだと思うんですが、私は、今回の薬剤師の六年制という一貫教育というのは、本当の意味の、全教育課程を通じて一貫した流れで医療人としての自覚と資質を高めるんだ、ここに大きな要素があると思うんですね。

 この点は、文科省と、きょう厚生労働省にも来ていただいていますが、今私が申し上げましたような考え方に相違はないか、イエスかノーでお答えください。

遠藤政府参考人 薬学部、多様な人材と言いましたけれども、薬剤師養成、この点につきましては、これは六年一貫の学部が本来である、こういうことで改正をお願いしてございます。

 薬剤師になるためには、国家試験を受けてその免許を取らなくてはならない。国家試験の受験資格も、基本的には六年の一貫の学部を出た人、卒業生、こうなってございます。

 ただ、暫定的、例外的措置として、四プラス二の人も一定の条件のもとで受験資格を認める、こういうことで、もう一つ薬剤師法の改正の方もありますけれども、そういうことでトータルとしてお願いしているということでございます。

鶴田政府参考人 お答えさせていただきます。

 今回の薬剤師改正法案の中の本則におきまして、薬剤師国家試験の受験資格は六年制課程を修めた卒業者に付与することとしております。

 しかしながら、新制度が施行された後しばらくの間は、やはりそれぞれの課程におきまして、一つはカリキュラムが必ずしも定着していない。また、卒業生が十分輩出していないということから、学生がそれぞれの課程を適切に選択する上での情報が不足する可能性もあるんじゃないか。四年制課程に入学した学生が、途中で進路変更し薬剤師になることを希望することもあることが予想される。こういったことから、今般の改正薬剤師法の法案の附則におきまして、新制度導入後一定期間は、四年制課程を卒業し、その修士課程を修了した者が、一定の条件を満たす場合には、個別に認定した上で薬剤師国家試験の受験資格を付与するという経過的な取り扱いを行うということにしたわけでございます。

平野委員 法律の中身はそういう状況ですが、そもそも学生のために六年制にする、こういうことではなくて、したがって、学生が混乱するから、四プラス二を例外的にとか一定条件とかこういう条件設定をしている。こういうふうに聞こえますが、私、これは薬剤師を六年制にするというのは国民のためにするんですよ。学生のためではありませんよ。国民が、医療の事故のかなりの数が薬剤に基づくところが多い、したがって、やはりしっかりした医療薬剤師を養成しなきゃならないというのが、今、時代の趨勢の流れだ、時代が求めている、すなわち国民が求めている、だから六年制の一貫教育をして医療人たる薬剤師を育てるんだ、こういうことからの僕は改正だと思うのであります。

 しかし、例外的措置ということ、一定条件ということですが、その割には余りにも長い経過措置をとっておるわけであります。例えば、平成何年ですか、経過措置を平成二十九年まで併用している。この趣旨は本来の趣旨から随分逸脱した、こんな長い経過措置をとる今までの制度設計というのはあるんですか、どうですか。

遠藤政府参考人 十二年ということでございますけれども、そのうちの六年間は、入学して卒業するまで六年かかる、六年かかった後で試験を受け、薬剤師になり、それぞれ活躍する。したがって、もちろん四プラス二の人も六年かかっていろいろな活躍をしている。ですから、そういう人たちがどんなぐあいで活躍しているのかなと見られる期間が五年、こういうことでございまして、そういうことで十二年というふうに理解をしておるわけでございます。

平野委員 どのように活躍しているか見られる期間を五年置く、これは本来、本人の問題であって、では六年制を出て、活躍できていなかったら、行くのをやめておこう、こんなことを判断させるためにこの経過措置を置いているんですか。

 私は、やはり違うと思うんですね。余りにも今までの時代の大きな流れの中で、変えることに対する抵抗勢力が働いているんですよ。今までのままでいいじゃないかという声もあることも事実だと思います。しかし、それを超えて、やはりこれからの時代の薬剤師さんとはこうあるべきだ、そのことによって、病院、いろいろな活動分野が逆に広がるだろうし、国民からも信頼される薬剤師さんになっていくんだろうというふうに私は思っているんです。

 したがって、私、こういう例外的措置を十二年間も設けているということを考えますと、ここで一つだけぜひ確認させてください。それは、法律としてそういうことにしているんですから、あくまでも例外的だ、こういうことで認識をいたしますが、先ほど来の東北の某大学の話もありましたが、薬学を設置する、うちの大学は四プラス二でも十分薬学の資格を取れますからどうぞということを大学のPRなり募集要項の中に入れるような宣伝をもし大学がするとしたら、それは認めますか、どうですか。

鶴田政府参考人 その前に、例外的措置であるということについて、ちょっと簡単に厚生労働省の方から説明させていただきます。

 先ほど申しましたように、法案の附則について、四年制課程を卒業して、修士課程を修了した者に、一定の要件を満たす場合には、受験資格を付与するということで、法律上も六年の方が本則であり、四プラス二の方は例外規定である、そういうふうに考えております。薬剤師養成のための薬学教育は六年間の学部教育が基本ということでありますから、この取り扱いについては、今言いましたように、平成二十九年までの入学生に対するあくまでも経過措置である。

 それから、私どものあれでは、定員ベースで薬学部全体の八五%程度は六年制へ移行すると考えております。したがいまして、この学校教育制度、それから薬剤師国家試験制度の見直し、こういったものが浸透することによりまして、残りの一五%の四年制の定員のうち進路変更を希望する者に限られていくことに加えて、通常、途中での六年制課程への編入、再入学により進路課程へ対応することで薬剤師国家試験の受験資格も得られること。さらに、個別認定を行う場合であっても修士課程を修了することが必要であり、これに加えて、さらに六年制の学部・学科の卒業生と同等以上のカリキュラムの履修を行う者は、全体から見れば例外的な人数となるものと考えております。

 このように、そういった意味では、先生おっしゃったようなことにつきましても、正確に学校の方で対応していただきたい。

平野委員 要は、違うんです。審議官がおっしゃったことはよくわかりました。

 要は、四プラス二という、この四年制プラス大学院という制度設計で薬剤師資格を取得する、こんなカリキュラム編成を宣伝で使うというそんな大学に対しては、きちんと、そうじゃないですよということを言ってくださいよ、これはあくまでも暫定、例外ですよ、誇大広告で、四プラス二でもうちの大学は薬剤師資格取れますよみたいな話がまかり通っていくと、二本立てのレールが例外的にいつまでも適用されるようなことになりますから、そうならぬようにしていただきたいということでございます。

 時間が押していますから、ちょっと飛ばしていきます。

 それで、やはり薬剤師の需要が非常に高まってくるということになりますと、いろいろな学校がタケノコのように薬学部をつくっていく、こういうことになってきますと、たくさん薬剤師を養成する過程があるということは私は結構だと思いますが、質が本来おっこちてしまうと元も子もないわけであります。クオリティーの高い薬剤師さんを目指そう、そのことが今求められているんだということですから、余りにも今薬剤師さんが売り手市場になっておりますから、各大学も目玉的に薬学部をつくっていこう、さっきの件もそうですね、そういうことがもし起こるとしたら、本質論とは違うことになってくるものですから、私はしっかりと質の担保ということを、どういうふうにするかは別にして、してもらいたい、このように思っています。

 特に医学部、歯学部については、閣議決定を受けてかどうかわかりませんが、新規の設置については調整をしている、薬学についてはする必要はない、こういう話も聞くわけです。一貫した考え方がそこにないように思うのですが、この点、簡単でいいですが、お答えいただけますか。

遠藤政府参考人 医師、歯科医師につきましては過剰を招かない、こういう明確な政府の方針のもとで、昭和六十一年に、厚生省あるいは文部省におきまして検討して、入学定員の削減をするということで、その方向で今削減をずっと行っておるわけでございますし、設置認可についても、削減するぐらいですから、新増設は認めない、こういうことでやってきております。

 薬剤師につきましては、近い将来、供給過剰の問題が発生するのではないかという厚生労働省の検討会の報告はありますけれども、これはもうストップするんだという明確な意思がまだ出ていない、政府の意思が出ていない、こういうことでございますので、一般の設置認可の扱いと同等に当たっているということでございます。

平野委員 いずれにしても、質を落とさない、このことでの担保はしっかりとってもらうことが本質だと思っていますので、ぜひくれぐれもよろしくお願いをしたいと思います。

 あと一つ、薬剤師の活躍の範囲を拡大する、こういうことは僕は非常に大事だと思っています。例えば、病棟に薬剤師を必置させる、こういうところも含めて大事だと思っておりますが、少し気になる話を聞きました。

 薬剤師と医薬販売の分離を含めて、将来、薬剤師の資格がなくても医薬が販売でき得る、こんなことを検討しておるということをちらっと聞いたものでありますから、そんなことを考えておるのでしょうか。厚生労働省、ちょっと聞かせてもらえますか。

鶴田政府参考人 お答えさせていただきます。

 現行の薬事法では、医薬品の販売に当たっては、薬剤師、それから一つの要件を満たした、都道府県の試験に合格した薬種商といった専門家を店舗に常時配置することを求めております。

 しかしながら、これらの者による適切な情報提供が行われないケースがあったり、また十分にその役割が果たされていないとの指摘がございます。また、薬学教育六年制が導入された場合、薬剤師の専門性が一層高まることが期待されるわけでございます。

 このため、一般用医薬品、OTCの販売に当たりまして、そのリスク等の程度に応じて消費者に対して適切に情報提供が行われますよう、薬学教育六年制の導入を踏まえまして、薬剤師等の専門家がどのように関与していくべきかについて検討を開始していこうとしたところでございます。

平野委員 確認すると、より専門性の高い薬剤師を誕生させていくのだから、通常の医薬品は別の資格、ルールによって販売してもいいような窓口を、ルールをつくるというふうにも聞こえるのであります。

 本来は、薬剤師がしっかりと国民の皆さんに薬剤を販売する、すなわち、販売だけではないんです。医療行為として、本当に薬のリスクについてチェックをして売るという本来の薬剤師の姿に戻そうとしているにもかかわらず、そういうあさっての、高いレベルの薬剤師さんですから、通常の医薬品については別の資格で、別の情報さえあれば売ってよろしいみたいな抜け道をつくるということはよもやしていないと僕は思いますが、絶対にそれは認められないということだけは申し添えておきたいと思います。まだ検討している最中でしょうから、そんなことをしないでください。

 時間が参りました。最後に、栄養教諭にかかわる改正について、これも非常に大事な法案であります。十六問質問を用意してきたんですが、一問だけにしておきたいと思います。

 特に、食育、こういう言葉が今回出てきて、見なれない言葉でありますが、よく聞きますと、百年ほど前に食育という言葉があるそうであります。

 河村大臣の「ほんねとーく」という、ホームページですかね、これにもすばらしい言葉でつづられています。家庭での一家団らんを通じて社会性をはぐくんだり、我が国の食文化を理解したりすることも含む幅広い教育なんです、実はこういうくだりがあります。

 もともと食育というのは、公教育で教えるべきことではなくて、人間、食べるものは親が指導し、またみずからが本能として食をとって、みずから生きていくという力強い生命力を持っていく、これが本来の生命体としての本能だろうというふうに私は思うんですね。

 しかしながら、今回、なぜか経過の中で、私はちょっと疑義があるんです。もっと家庭教育、地域教育ということをしっかり食の中に、食教育というのは本来そこに持っているものだろうと思うんですが、今回、公教育において食育を取り入れたという大きな意味、これは僕、本質論から少しちょっと違う方向へ動いているんじゃないかと。非常に免疫力のないひ弱な人間をつくっていくことを助長しているような気がしてならないんです。本来のところに戻すための教育を公教育でできるのでしょうか。その点、大臣、どうでしょうか。

河村国務大臣 平野先生おっしゃるとおり、食に関する問題というのはやはり家庭が第一義的でなければいかぬと私も思います。責任を持ってもらわなければいかぬ。そういう意味で、家族そろっての食事、これは家庭教育において非常に大切なものである、これが食育の基本をなす場でなければいかぬ、こう思います。

 しかし、学校においてこのことをきちっと位置づけていきながら、学校給食においてその部分をかなり補う点がございます。と同時に、家庭に対しても、今度栄養教諭制度ができるということは、このことの重要性を発信することになると思うんですね。教諭と家庭、また保護者との触れ合い、こうした中でこのことはきちっと位置づけられる、私はその点において大きな意義があるというふうに考えています。

平野委員 時間が参りましたから終わりますが、最後に、公教育でとらまえるということは、やはり、学校給食をしているところ、未整備のところ、あるいは地域間格差、こういうものがあってはだめなんだというふうに私は思うんです。したがって、今回の法案は、私はアクションプランをもっと明確に出してもらいたかった、いつまでにしっかりと公教育の中に全部一律的に取り入れていきますと。今は選択ですから、ここがこの法案の最大の問題点だと思っております。

 したがって、河村大臣、大臣就任中は、こういう欠陥的な法案だけれども、全国津々浦々の公教育の場においても、食の教育をしっかりと、最低ミニマムはきちっとやれるような制度設計を心よりお願い申し上げまして、あと十三問残っておりますが、終えたいと思います。

 ありがとうございました。

池坊委員長 石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 前回、栄養教諭の全校配置の問題と、学校給食の共同調理場方式から自校方式への転換の問題について質問をいたしました。自校方式への転換という問題について、重ねて伺っておきたいと思います。

 地場産の野菜を出荷している人から聞いたお話がございまして、自校方式の給食を行っている栄養士さんから、箱にニンジンの葉っぱのついたものを入れてほしいという連絡があった、送ったら、子供たちから、画用紙を二枚つなげてニンジンの葉っぱをかいた、非常にリアルな絵が返ってきたという話でございました。そして、この方が言うには、やはり都会の子供たちは、ニンジンだけではなくて、いろいろ食べている野菜の姿を本当に知らないということを実感したということなんですね。

 もう一つの例でございますけれども、モンシロチョウの卵がついたキャベツを送った、これを大事に育てたらチョウになるよというふうに言いましたところ、みんなびっくりしたと。それからは、モンシロチョウの卵のついたキャベツをお願いしますと言ってくるそうでございます。生産者としては、こういうことにこたえるというのも大変なことなんだけれども、それにこたえるように努力をしている、そういう話でございました。

 私は、やはり給食を通じてこういうような生産者と子供たちとの交流が発展するわけですね。だから、まさに生きた教育ができるというふうに思います。日本の食文化を子供たちに伝えていきたい、日本の味を伝えていきたい、こういう熱意の中でこんなことも生まれてきますし、食の教育というのはこういうことではないかと思うわけでございます。

 そこで、やはり生きた食の教育のためには共同調理場方式から自校方式に移していくべきではないか、もうそういう切りかえをしていいときではないのかというふうに思いますが、ぜひ大臣に本音のところの御所見を伺いたいと思います。

河村国務大臣 共同調理方式というのは最初なかったわけであります。ただ、これは、学校給食の業務のあり方についても臨時行政調査会の方から指摘もございまして、もちろん学校給食の質を落としてはならないけれども、やはりそこには合理化というのが必要ではないか。それは学校によっては、小学校、中学校、隣にあって、この真ん中で一緒にやれば非常に効率化も図れるじゃないかと、いろんな御指摘もあって、各地方自治体も、こういう財政のときでありますから、そういうことを考えながら共同調理方式も取り入れてきたわけでございます。既に中学校あたりでは、過半数、六〇%ぐらいまでいっている現状がございます。

 そういうことで、確かに単独調理方式の学校の方が、学校行事との関連等、献立に工夫ができる、だから有効ではないかという点、それから、今御指摘があったように、学校現場に直接野菜類を取り込む、泥のついたものがそこにある、その現場を知る、そういう効果もあると思います。

 私は、今どんどん共同調理方式にいっているもの、これを引き戻して、一遍にまた単独にするというのもなかなか大変だろうと思いますが、これから学校栄養教諭の皆さんが、学校現場において、給食の際に、特に都会の方々には、おっしゃるように、キュウリがどういう形をしてというのを知らない人がいるかもしれない。写真は見ても現物は見ていない、そういう方には、ぜひ一回は、きょうのおかずはこういうものですと現物を見せながら説明をしていただくとか、そういう御努力をいただければ、今御指摘のような点もかなり理解が深まるのではないかと思って、そういうことも期待をいたしておるわけでございます。

 単独であろうと共同であろうと、いずれにしても合理化の推進には努めてもらわなければなりません。学校給食は学校教育活動の一環として実施をしていただいておるわけでありますから、その中にあって、食に関する指導の充実、衛生管理を図っていくということが私は必要なことではないかと思っております。

 学校給食というものが子供たちにとって、おいしくて、楽しくて、待ち遠しい時間になるように、一層なるようにということで、学校栄養教諭制度の実現を機に、特に都道府県教育委員会についてもそのことの徹底を図ってまいりたい、このように考えております。

石井(郁)委員 大臣としてはそういう答弁が限界かなというのは変ですが、思わざるを得ないんですけれども、私はやはり、食の教育ということでございますから、教育として本当にすぐれたところを推進していくという立場で、自校方式に切りかえるということを本当に進めていただきたいと考えているところでございます。

 さて、もう一点なんですけれども、そういう食育という話題の言葉になって、文科省が掲げていらっしゃるわけですから、やはりそれにふさわしい体制を構築するということだろうと思うんですね。

 それで、具体的な話としてきょうもう一点伺いたいのは、かつては米飯とか牛乳に対しては国庫補助がついておりました。今はなされていません。どうしてそういうことになったのか、その経緯を簡単に御説明ください。

田中政府参考人 学校給食用の米穀に対します値引き措置につきましては、農林水産省におきまして昭和五十一年度から実施されてきたところでございますけれども、臨時行政調査会等の指摘を踏まえまして、これは平成十一年度末で廃止をされたところでございます。また、学校給食用の牛乳への助成措置につきましても、これは三十二年度から農林水産省の方におきまして単価助成として実施されてきたところでございますけれども、これにつきましても、平成十一年度末で単価助成は廃止されたところでございます。

石井(郁)委員 そのような経過のようですが、牛乳は一九八二年には一本当たり五円という補助金がございました。毎年毎年削られて、今はゼロ円、一九九〇年ですね、九〇年。学校給食用の米に対しても、七九年には新規実施校では七〇%という値引きがあったかと思うんですが、二〇〇〇年には廃止。今はやはりゼロ円ですね。

 私は、やはりこういうことでは本当に、地元でとれたおいしいお米とか新鮮な野菜や魚、肉や牛乳、今いろいろ問題があるところですけれども、それをやはり食べ、飲むという、それが食の教育の基本になるだろうというふうに思うんですね。だから、改めてこの点でも、牛乳の補助や米の値引きということをもとに戻すべきではないのか。

 先ほど来、合理化とか効率、臨調行革という路線でずっとこういうことがされてきましたけれども、もうそれを押しつけて済む時代ではないんじゃないかということも考えられますので、やはり農水省と折衝すべきではないかと思います。食育を掲げていらっしゃる文科大臣でございますので、御決意のほどをぜひお聞かせいただきたいと思います。

河村国務大臣 私も、この助成金といいますか補助金が、助成措置がなくなっていく過程を知っておるわけでありますが、極めて残念に思っております。農水省も、米飯給食等を本当に推進しようとするならば、たとえ十万トンといえども、やはり将来のことを考えてそういうことを考えるべき課題であろうと私は思っています。

 ただ、国の財政措置等々、それからそうした補助金的なものを今削減の方向という大きな流れの中で、なかなかこれを復活するということは難しい課題だろうな、私はこれはそう思うわけでございますが、日本の文化とも言われます米飯、それを大いに推進していく、また、健康のために牛乳をしっかり飲んでもらう、このことは推進していかなければなりませんから、我々がそういう強い願いを持っておるということ、そのことは農水省にも御理解をいただかなければならぬ、このように思っています。

石井(郁)委員 私は先ほど、大臣には失礼かと思ったんですが、大臣としては自校方式について余りいい答弁ではなかったので、限界かなと申し上げたんですけれども、しかし、今の御答弁のように、子供の健康そして教育、また、これは日本の農業の発展のためにもなるということを考えたら、やはり文科省が頑張ってもらわなくては困るわけですよ。それで、大臣にぜひ今の御答弁のような決意の方向で努力をいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 次に、薬学教育の問題でございますけれども、私は、今後の薬学教育のあり方ということについてきょうは質問をさせていただきます。

 「薬学教育の改善・充実について」という中教審答申を見ますと、こうあります。「近年の医療技術の高度化、医薬分業の進展等に伴う医薬品の安全使用や薬害の防止といった社会的要請に応えるため、薬剤師の養成のための薬学教育は、教養教育や医療薬学を中心とした専門教育及び実務実習の充実を図る」とあるわけでございます。

 今後の薬剤師養成のための教育では、この医薬品の安全使用、また薬害の防止という視点が重視されていくのかどうか、いかがでしょうか。

河村国務大臣 私も、御指摘をいただきましたが、今後の薬剤師養成のための薬学教育においては、医薬品の安全使用あるいは薬害の防止等の視点というのは非常に大事だと思いますね。BSE問題が起きた、食の安全、こういうことから考えると、やはり口の中に入れるものというのは非常に大事でありますから、そういう広い視点で考えていかなければなりません。

 特に、六年制の薬学の課程においても、服薬指導、薬歴管理、医療事故や薬害を防ぐリスクマネジメント、あるいは医薬品情報の伝達、こういうことが的確にできる薬剤師を養成するということが医療薬学系の科目を充実する中にあって、そして、そういう観点から実務実習、これをやはり拡充しなければいかぬ、こういう視点があるわけでございます。

 また、各大学におきましては、平成十四年八月に日本薬学会が作成をいたしましたモデル・コアカリキュラムというのがありますから、これを参考にして、医薬品の安全使用あるいは薬害の防止等の重要性を踏まえたカリキュラムの充実が図られるように、こういうことを促してまいりたい、このように考えております。

石井(郁)委員 もう少し具体的にこれは伺いたいんですけれども、参考人質疑でも、医薬品の安全使用、薬害の防止などは、カリキュラムの中で間違いなく必修科目で取り上げられるだろう、今大臣もそういうふうに少し触れられましたけれども、こういうことがございました。だから、今後こうした教育が必修科目となるのかどうか、それから、薬学教育のモデル・コアカリキュラムで、今大臣も少し触れておられましたけれども、どのように扱われていくのかということで、ちょっとお聞かせください。

遠藤政府参考人 今大臣が申し上げましたように、医薬品の安全使用、薬害の防止、この教育が大変大事でございまして、モデル・コアカリキュラムにおきましても、その内容といたしまして、一つは、医薬品の適正使用における薬剤師の役割について概説できる、薬害について具体例を挙げ、その背景を概説できる、薬物の主作用と副作用、毒性との関連について説明できる、代表的な薬害の例、サリドマイドあるいはスモン等々ございますけれども、それにつきまして、その原因と社会的背景を説明し、これらを回避するための手段を討議するということなどが挙げられておるわけでございます。

 こういったコアカリキュラム、すべての薬学生が卒業までに身につけるべき最低限の到達目標を示しておるわけでございますけれども、そういうガイドラインに基づきまして、それぞれの大学できっちりと教育に取り組んでもらうよう促してまいりたい、こう思っております。

石井(郁)委員 確かに、薬学教育のモデル・コアカリキュラムを見ますと、実際の薬害問題を取り上げるということになっていますが、「医薬品の製造と品質管理」で行うようになっているんですね。その中に「薬害」というのがあって、今お話しの、代表的な薬害の例、サリドマイド、スモン、非加熱血液製剤、ソリブジンなど、その原因と社会背景を説明して、これらを回避するための手段を討議するということになっております。

 私が問題にしたいのは、最も結びつきの強いと思われる「薬学と社会」、この項目では、医薬品による副作用について触れてはいますけれども、薬害については触れられていないんですね。今お話しの医薬品の有効性、安全性教育の一環として副作用教育は重要だというのは当然だと思うんですけれども、それにとどまっていられない。水俣病などの公害と同様の社会的災害としての薬害というのはいろいろあるわけでございますから、被害者の実態や被害者支援のあり方、また被害の社会的原因と再発根絶対策のあり方、こういう社会薬学的に教育する薬害教育というようなものが不可欠だと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

遠藤政府参考人 御指摘のように、コアカリキュラム、多岐にわたってございまして、「薬学と社会」の中にはおっしゃったようなことについては記述はございませんけれども、全体を通して「ヒューマニズムについて学ぶ」という表題のもとで、「薬学と社会」、こういう項目が立ち、そしていろいろ教えていく、こういう形になっておるわけでございます。

石井(郁)委員 二〇〇二年の三月に薬害ヤコブ病訴訟の和解勧告書というのが出されております。それによれば、「厚生労働大臣は、我が国で医薬品等による悲惨な被害が多発していることを重視し、その発生を防止するため、医学、歯学、薬学、看護学等の教育の中で過去の事件等を取り上げるなどして医薬品等の安全性に対する関心が高められるよう努めるものとする。」とあるわけでございます。これは確認事項として入っているわけでございまして、その後、大学ではこれについてどのような取り組みがなされてきましたか。

遠藤政府参考人 先ほどから申しておりますように、医療人の養成に当たりましては、薬害に係る知識を修得するということは非常に重要である、こういうことで、特に近年、薬害被害者団体連絡協議会等の関係団体から、医学、薬学教育等の医療人養成における薬害の防止に関する教育の充実についての要望を踏まえまして、私ども、各大学に対して薬害問題に関する教育の充実について促してきたところでございまして、この点につきましては先ほど医学教育についてのコア・カリキュラムを御紹介いたしましたけれども、こういう点。

 さらには、薬学教育につきましても、平成十四年八月の薬学教育モデル・コアカリキュラムにおきまして、こういった医薬品の適正使用における薬剤師の役割や代表的な薬害の例につきまして、その原因と社会的背景を説明し、これを回避するための手段を討議するということなどが薬学生の到達目標として設定されておりまして、そういった意味での教育がなされているもの、こう考えておる次第でございます。

石井(郁)委員 もう少し、実際はどんなことがされているのかお聞きしたいわけですけれども、薬害の苦痛を生の声で語るということで、薬害の被害者を大学に講師として招いて、原因とか被害の実態、あるいはそれを医師や薬剤師を目指す人たちに学ばせる、そういうような講義などが行われてきたと思うんですね。

 それは、平成十四年と十五年度でこういう講義の実態はどの程度進んでいるかとか、調査したことはあるでしょうか。薬学部、医学部等々はどんな状態だったでしょうか。

遠藤政府参考人 国立大学について聞いてみた状況でございますけれども、平成十五年度で、薬学問題に関する授業の実施状況はどうか、こういうことで聞きましたところ、医学部につきましては四十二大学中三十九大学、薬学部につきましては十四大学中十三大学で行っている、こういう結果になっております。

 また、直接薬害の被害に遭われた方の声を聞く授業をやっているかどうか、こういう点についてお聞きしましたところ、これはまだ進んでおりませんが、医学部につきましては四十二大学中七大学、平成十四年度は四大学でございまして、三大学ふえております。薬学部は、平成十四年度はございませんでしたけれども、平成十五年度で十四大学中一大学がこういう授業をやっているし、あるいは、こういう直接声を聞く授業を今検討しているという大学につきましては、医学部が二十大学、薬学部が五大学ある、こういう状況だと承知しております。

石井(郁)委員 ずっと質問してまいりましたように、やはり薬害の被害というのは大変深刻な問題がございますし、それを本当に原因を究明したり、また予防したりしていくためにもいろいろ取り組んでいかなければいけないということで、薬害の被害者を招いていろいろ講義に生かすという大学が、取り組みが進んでいるというふうに伺っているわけです。

 今、お話を聞きますと、医学部では一定進んでいるけれども、何と、一番やはり薬害被害について学ばなければいけないという薬学部が何で少ないのかと。十四大学中一大学だという話でありますので、この点では、なぜそんなふうにおくれているんでしょうか。その原因はどうお考えですか。

遠藤政府参考人 薬学部、四年制でやっておりまして、その中で医療薬学もやっておるということでございまして、やはりそういう意味でも、医療薬学の充実ということについて、まだこれまでそういう取り組みが少なかった、こういうことだろう、こう思っております。

石井(郁)委員 私は、やはり社会の全体のこういう動きからすると、それではちょっと困ると思うんですね。

 それで、一説によれば、やはりここには産学協同の影響などもある、製薬会社が嫌がっているんじゃないかとか、それで薬学部では進まないというような話も聞こえてくるわけであります。だから、薬害被害者を招いての薬害に関する教育にもっと真剣にやはり取り組むべきだ、薬学部でこそ取り組むべきだというふうに思うんですが、こんな今の状態に対して、文科省として今後どのように取り組んで、臨んでいくのか、これはぜひ大臣に御答弁をいただかなければいけないと思います。

河村国務大臣 医学部に比べて薬学部がまだそういう点が少ないという御指摘がございました。

 これから、こうした医療の担い手としての薬剤師、その倫理規範あるいは医療事故回避の重要性、そういうものをしっかり学んでいくということは大事でありますから、先ほど御指摘がありましたように、薬剤師を希望する学生が薬害被害に遭われた方の直接生の声を聞く、こういう授業を、またその重大な被害の実態を認識する、そしてそれを討議する、私は、こういうことも貴重な体験になりますので、そういう授業を設けるということは有効であろう、こう思っております。

 今後、薬学教育を充実するという観点から、医薬品の適正使用を推進する、あるいは薬害を起こさない医療の実現に寄与する医療人としての質の高い薬剤師を養成していくという方向でありますから、こういう取り組みをこれから促してまいりたい、このように思います。

石井(郁)委員 次に、学費の負担軽減の問題で一問お聞きをいたします。

 学費は本当に高くなっておりまして、国立大学法人で五十二万八百円です。私立大学薬学部平均で百二十七万九千円ということですから、本当に高いわけですね。この点でも、「薬学教育の改善・充実について」の報告の中ではこのようにあります。「年限が延長されることに伴い、二年分の学費が追加されることに関して、高校生の進学を容易にするために、大学に対しては授業料の減免や奨学金等の配慮を求める意見があり、国に対しては大学への財政的支援や奨学金制度の充実を求める意見があった。今後、学生の負担が過重にならないような工夫が求められる。」ということがあります。

 学生負担の軽減のためにどのような措置をお考えでしょうか。

遠藤政府参考人 御指摘のように、薬学教育の調査研究協力者会議の報告におきまして、今先生がおっしゃった点が触れられておるわけでございます。

 学生の負担を軽減するという観点では、やはり一つには奨学金ということがあろうかと思います。日本学生支援機構による奨学金事業におきましては、これまでも修業年限の終わりまで、四年であれば四年間、六年であれば六年間、これを貸与期間としてきてございますので、薬学が六年間の学部ということになりましたならば、やはりその薬学部六年の間、これを奨学金事業の貸与期間という取り扱いになることになるというふうにも思うわけでございます。

 それから、これは現在も行っていることでございますけれども、授業料の減免等の奨学事業、これにつきましては、国立大学におきましては運営費交付金の予算措置に反映させておりますし、私立大学につきましては、実施状況に応じまして、私立大学等経常費補助金の配分の際に補助金を増額するといった措置を講じているところでございまして、薬学部六年ということになりました後も、同様の措置を検討してまいりたい、こう考えております。

石井(郁)委員 本法案ではありませんけれども、最後に一問伺っておきたいことがございます。

 これまで学校病の指定に当たって治療費援助の対象は、齲歯、虫歯ですね、齲歯の場合、乳歯については抜歯、永久歯についてはアマルガム充てん、複合レジン充てん、銀合金インレーに限定されておりました。これは四月一日に政令改正になったんですね。どのような改正になったのか、その理由も含めてちょっと御説明ください。

田中政府参考人 お尋ねの就学援助に係る医療費の援助対象となります齲歯、虫歯の治療方法につきましては、ただいま御指摘いただきましたように、乳歯にあっては抜歯に限るなどといった、治療方法に制限があったわけでございます。

 これに関しまして、国会や関係者の中から、実態に合っていないのではないかというような御指摘を受けたわけでございまして、文部科学省におきましては、これを踏まえまして、児童生徒の虫歯の治療方法等の実態を調査いたしまして、その結果を踏まえまして、保険診療の対象となる治療全般にその対象を広げるよう、今般、学校保健法施行令の改正を行ったところでございます。

石井(郁)委員 今お話しのように、これまで補助の対象となる齲歯の治療方法、限定されていました。そして、これではやはり子供たちの歯の治療のためにも決してよくないという話がありましたが、今お話しのように、健康保険の適用となるすべての治療に広がったということは関係者の間でも大変喜ばれています。私も質問主意書を出してきた者として、大変感慨深いものがございます。

 しかし、まだ、四月一日政令改正ということであって、従来どおりと受けとめている自治体、歯科医も多いというふうに聞いておりますので、ぜひこのことを早急に周知徹底すべきだと思いますが、どんな対応をとられていますか。

田中政府参考人 ただいまの政令の改正につきましては、各都道府県教育委員会等に対しまして通知を発出したところでございますし、また、日本学校歯科医会等関係機関にも情報提供を行っておるところでございます。

石井(郁)委員 文部省も、いいことは大いに周知徹底をしていただいて、これは子供たちのためになることですから、また関係者も本当に非常に喜んでいることでございますので、ぜひ取り組み方よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

 以上です。

池坊委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 これより討論に入りますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、学校教育法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池坊委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

池坊委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、遠藤利明君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。川内博史君。

川内委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。なお、句読点については省略をさせていただきます。

    学校教育法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 学校栄養職員及び栄養教諭の給与費については、国の責任において確保するとともに、適切な処遇等を維持するよう配慮すること。

 二 学校給食未実施校を含めた全国の義務教育諸学校等において、食に関する指導が充実するよう、現行の定数改善計画を進めるとともに、引き続き適切な配置基準の下、学校栄養職員と栄養教諭について必要な定数を確保するよう努めること。

 三 学校給食の管理と食に関する指導を一体的に行うことを任務とする栄養教諭の制度を確立するため、栄養教諭が食に関する指導を行うに当たっては、学校全体として、学級担任、教科担任等と連携し、より効果的な指導ができるよう条件整備を図ることに努めること。

 四 栄養教諭養成のための大学等の教員養成課程を整備するとともに、教員養成課程を置く大学等と栄養士養成を行っている大学等とが連携し、栄養教諭免許状の取得が可能となるよう努めること。

 五 学校栄養職員が栄養教諭免許状を取得するための認定講習等の機会の確保に努めること。

 六 薬学教育の修業年限延長の目的である医療薬学教育の充実のため、医療機関、関係行政機関等の理解と協力を得て、各大学における指導体制の整備、教育・実習施設の確保等の充実を図るよう努めること。特に、長期の実務実習の受入れのための指導者及び施設の確保について配慮すること。

 七 第三者評価体制の整備を進めること等により、高度化する薬剤師の職能を支える基礎教育及び実務で要求される知識、技能、医療人としての倫理観が養えるような質の高い教育の維持向上を図るよう留意すること。

 八 医療技術の進展等の状況を踏まえ、現に薬剤師の資格を有している者が、生涯にわたり学習する機会を充実するよう配慮すること。

 九 薬学教育の修業年限延長に伴い、学費の負担が増加することから、大学への財政的支援や奨学金制度の充実に努め、経済力の差が進路選択及び学業の成就に影響を与えないよう配慮すること。

 十 薬学の充実・強化に当たっては、生命科学の進展、医療の高度化に対応し、大学、民間研究機関等において、国際競争力を持つ創薬等の研究開発を担う人材の育成に努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

池坊委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

池坊委員長 起立総員。よって、本案に対して附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。河村文部科学大臣。

河村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいります。

    ―――――――――――――

池坊委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

池坊委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

池坊委員長 内閣提出、文化財保護法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。河村文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 文化財保護法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河村国務大臣 このたび、政府から提出いたしました文化財保護法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 文化財は、我が国の長い歴史の中で生まれ、はぐくまれ、今日の世代に守り伝えられてきた貴重な国民的財産であり、我が国の歴史、文化の理解のために欠くことのできないものであると同時に、将来の文化の向上発展の基礎をなすものであります。

 文化財保護の制度は、これらの文化財のうち重要なものを指定、選定するなど、必要な保護措置を講ずるものであり、我が国の文化行政の一翼を担うものとして、文化財保護の推進に大きな貢献をなし、広く国民の間に定着しているところであります。

 しかしながら、社会の変化に対応した文化財保護の制度の整備を図るため、国民の生活に密接に関係した文化的な所産として新たに保護対象の拡大が求められる分野や、保存及び活用のための措置が特に必要とされる分野への対応を図っていくことが必要となってきております。

 この法律案は、このような観点から、文化的景観及び民俗技術を新たに保護の対象とするとともに、建造物に加え、他の有形の文化財を登録制度の対象として新たに追加するものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、文化的景観の保護についてであります。

 地域における人々の生活または生業及び当該地域の風土により形成された景観地で、我が国民の生活または生業の理解のため欠くことのできないものを文化的景観とし、新たに文化財として位置づけることとしております。

 文部科学大臣は、都道府県または市町村の申し出に基づき、別途今国会に提出されております景観法案で定める景観計画区域または景観地区内にある文化的景観のうち、特に重要なものを重要文化的景観として選定することとしております。

 この重要文化的景観については、滅失または毀損した場合や現状変更等をしようとする場合に、所有者等が届け出を行うとともに、文化庁長官が必要な指導、助言または勧告をすることができることとするなど、必要な保護措置を講じることとしております。

 第二に、民俗技術の保護についてであります。

 地域における生活や生産に関する用具、用品等の製作技術として伝承されてきた民俗技術を文化財として保護するため、民俗文化財に、現行の風俗慣習及び民俗芸能等に加えて、新たに民俗技術を追加し、現行の民俗文化財と同様の保護措置を講ずるものであります。

 第三に、登録制度の拡充についてであります。

 届け出制と指導、助言、勧告を基本とする緩やかな保護措置を講ずる登録制度は、平成八年の文化財保護法の改正により、保護の緊急性の高い建造物について導入され、これまで効果的な保護が図られております。近年、保護の必要性が高まっている近代の生活用具や資料、文書類等の文化財についても、より幅広く保護するため、建造物以外の有形文化財、有形の民俗文化財及び記念物にも登録制度を拡充するものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 なお、この法律案は、平成十七年四月一日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようにお願いをいたします。

池坊委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十二分散会


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