衆議院

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第4号 平成17年3月9日(水曜日)

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平成十七年三月九日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 斉藤 鉄夫君

   理事 伊藤信太郎君 理事 稲葉 大和君

   理事 中野  清君 理事 保坂  武君

   理事 奥村 展三君 理事 川内 博史君

   理事 牧  義夫君 理事 河合 正智君

      江崎 鐵磨君    小渕 優子君

      加藤 勝信君    加藤 紘一君

      岸田 文雄君    近藤 基彦君

      佐藤  錬君    下村 博文君

      鈴木 俊一君    鈴木 恒夫君

      西村 明宏君    葉梨 康弘君

      馳   浩君    古屋 圭司君

      保利 耕輔君    山際大志郎君

      青木  愛君    加藤 尚彦君

      城井  崇君    須藤  浩君

      高井 美穂君    武山百合子君

      達増 拓也君    長島 昭久君

      肥田美代子君    松本 大輔君

      村井 宗明君    笠  浩史君

      池坊 保子君    石井 郁子君

      横光 克彦君

    …………………………………

   文部科学大臣       中山 成彬君

   総務副大臣        今井  宏君

   文部科学副大臣      塩谷  立君

   財務大臣政務官      倉田 雅年君

   文部科学大臣政務官    下村 博文君

   政府参考人

   (総務省自治財政局長)  瀧野 欣彌君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  古賀 一成君     村井 宗明君

同日

 辞任         補欠選任

  村井 宗明君     古賀 一成君

    ―――――――――――――

三月九日

 学費値上げストップ、大学予算増額に関する請願(奥村展三君紹介)(第三〇八号)

 同(達増拓也君紹介)(第三〇九号)

 私学助成大幅増額、三十人以下学級実現に関する請願(今野東君紹介)(第三一〇号)

 同(萩野浩基君紹介)(第三一一号)

 同(橋本清仁君紹介)(第三一二号)

 国による三十人学級実現、私学助成大幅増額に関する請願(三原朝彦君紹介)(第三二〇号)

 三十人学級の早期実現、私学助成の大幅増額に関する請願(平野博文君紹介)(第三二一号)

 父母負担軽減、私立高校以下への国庫助成制度の維持と拡充に関する請願(青山丘君紹介)(第三四三号)

 同(前田雄吉君紹介)(第三四四号)

 国による三十人学級実現、私学助成の大幅増額に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三六三号)

 同(石井郁子君紹介)(第三六四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三六五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三六六号)

 同(志位和夫君紹介)(第三六七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三六八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三六九号)

 同(山口富男君紹介)(第三七〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三七一号)

 すべての子どもに行き届いた教育を進めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三七二号)

 同(石井郁子君紹介)(第三七三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三七五号)

 同(志位和夫君紹介)(第三七六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三七八号)

 同(山口富男君紹介)(第三七九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三八〇号)

 豊かな私学教育の実現のための私学助成に関する請願(中山義活君紹介)(第三八一号)

 すべての子供たちへの行き届いた教育に関する請願(海江田万里君紹介)(第四〇六号)

 同(手塚仁雄君紹介)(第四〇七号)

 小・中・高三十人学級実現、私学助成の抜本的改善、障害児教育の充実等に関する請願(篠原孝君紹介)(第四一〇号)

 同(下条みつ君紹介)(第四一一号)

 同(羽田孜君紹介)(第四一二号)

 子どもが伸び伸びと学べる学校に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四一八号)

 同(石井郁子君紹介)(第四一九号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四二〇号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四二一号)

 同(志位和夫君紹介)(第四二二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四二三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四二四号)

 同(山口富男君紹介)(第四二五号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四二六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


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     ――――◇―――――

斉藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省自治財政局長瀧野欣彌君及び文部科学省初等中等教育局長銭谷眞美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斉藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

斉藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤基彦君。

近藤(基)委員 おはようございます。自由民主党の近藤基彦でございます。

 本日より義務教育費国庫負担法等の一部を改正する法律案の審議に入るわけでありますけれども、トップバッターとして、中山大臣に基本的なことで幾つかお尋ねをいたしたいと思います。

 資源の乏しい我が国において、人的資源というのは我が国が最も大事にしてきたものの一つであります。その人的資源を有益に、有効に活用するためには、教育というものは欠かせないものであります。その中でも、義務教育というものは基礎的学力を身につけるためには不可欠なものだと考えます。

 そもそも論になりますが、この義務教育というものに関する中山大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

中山国務大臣 おはようございます。

 近藤委員から、そもそも義務教育に関する私の所見ということでございますが、まさに今近藤委員が申されましたように、天然資源に恵まれない我が国にとりましては、人材こそが最大の資源であるということは、これはもう前々から言われたことでございまして、教育を国政の重要課題と位置づけ、新しい時代を切り拓いていく心豊かでたくましい人材を育てていく必要がある、このように考えているわけでございます。

 私は、義務教育というのは二つの目的があると思っていますが、一つは、国家社会の形成者、構成員たる国民の育成という面と、子供たち一人一人がこの世に生を受けたありがたさを実感して、そして一生を幸せにかつ有意義に生きることができる、そういう土台をつくってあげるという二つの目的を持っている、このように考えております。

 これらの目的を達成するために、義務教育におきましては、国が全国的な教育水準の確保、教育の機会均等、必要な財源の確保等についての責務をしっかり果たしながら、その上で、その実施に当たりましては、地域や学校の創意工夫を生かし、常にその時点で考えられる最善の教育が行われるようにすることが重要である、このように考えております。

近藤(基)委員 私も全く同感であります。子供たちが将来において国家の構成員になるわけでありますから、そういった意味で、国に対する、そして個人、自分に対し、社会に対し、そして家族に対して、有意義に生活を将来にわたって送るという一番大事なその基礎をつくる時期でありますので、大切にしなければいけないというのは当然のことであります。

 我々が今、現行憲法のもとでこうやって生活をしているわけでありますが、この憲法では、第二十六条二項に、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」となっております。ここに憲法の中では唯一「義務教育」という言葉があらわれてきます。

 当時の現行憲法の制定過程を見てみますと、この条文はベアテ・シロタという女性が、この条文だけではなく社会権に関して担当したわけでありますけれども、当時、彼女は、農村の子供たちは子守やでっち奉公などで忙しく、学校にも十分に行っていないと嘆いていたと言われております。また、当時の人権小委員会のローストも、そういう子供たちは、学校も低学年でやめさせられて、半年に一回着物をもらうだけで賃金はほとんどもらっていなかった、そして、農村が飢饉になれば娘身売りが頻繁に起こると本に書いております。

 こういった背景の中から、そういう貧困にあえいでいる子供たちにも教育は受けさせなければならないという理念に基づいて、この第二十六条ができ上がったわけであります。

 「義務教育は、これを無償とする。」これには主語がありません。前段の「すべて国民は、」という部分には主語があるんですが、「義務教育は、これを無償とする。」という部分に主語がありません。それではだれがという話になりますが、憲法というのは、国家権力を制限し、もって個人の権利を守るという観点から、主語のない部分は、すべて国家権力を制限するという意味合いから、国家はあるいは国家がということが主語になる。つまり、この部分では国が義務教育を無償で行うと規定をしております。

 そこで、義務教育について大臣の御所見をお伺いいたしましたが、それでは、国あるいは地方、地域、個人の役割というのは、この義務教育に関して大臣はどうお考えになっているか、お伺いしたいと思います。

中山国務大臣 義務教育というのは、人が人として生きていく上での不可欠の教育である、こう考えておりまして、全国どこにおいてもすべての国民に対してこれをひとしく無償で提供する、このことは、今御指摘ありましたように、憲法の要請により国に課された責任と考えます。このため、我が国におきましては、国と地方の適切な役割分担のもと、義務教育を実施する仕組みが整えられていると考えております。

 具体的には、国は、義務教育における基本的な制度の枠組みや全国的な基準の制定、必要な財源の確保等の役割を担い、都道府県は、広域で一定水準の人材を確保する役割を担い、市町村は、学校の設置、運営というまさに義務教育の直接の実施主体としての役割を担い、個人は、その保護する子女に九年間の義務教育を受けさせる役割を担っている、このように考えておるわけでございます。

 文部科学省といたしましては、義務教育に対する国の責任を確実に果たしつつ、地域や学校の創意工夫を生かした教育が実現できるように、義務教育の改革を力強く進めているところでございます。

近藤(基)委員 私は、憲法にそううたっているこの理念からも、あるいは、昔から言われているように、人的資源、天然資源に乏しい我が国で子供たちは国の宝であるという観点からも、国が責任を持って教育というものをしなければならないと思っております。

 そのためにも、特に義務教育に関しては、私自身は国が全額を負担して教育に当たるべきだと考えておるわけでありますが、しかし、仮にこの義務教育費国庫負担制度が廃止された場合、過去に短期間ではありますが、戦後数年、その例があるわけでありますけれども、しかし、その当時と現在では状況が違ってきております。

 では、もし仮に、仮の話というのはなかなかお答えしにくいかもしれませんが、しかし、過去にそういった事例があるわけでありますので、現代では、もしこの制度が廃止をされた場合、どのような不都合が起きるのか、中山大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

中山国務大臣 この義務教育費国庫負担制度というのは、地方公共団体の財政力の差にかかわらず、全国のすべての地域において、すぐれた教職員を必要な数確保して、そして教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る極めて重要な制度である、このように考えております。

 もしこれが廃止された場合にどうなるかという御質問でございますけれども、この義務教育費の国庫負担の沿革を見ましても、義務教育の水準確保と機会均等を保障するために、義務教育に目的を特定した国による財源保障措置が重要であるということは、これは歴史的にも明らかでございますし、また、過去の例を踏まえますと、昭和二十五年にシャウプ勧告に基づきましてこの制度は廃止されたことがございますが、このときに教育条件の全国的な低下や地域間の格差が拡大するという事態が発生いたしました。このため、全国の知事会やあるいは地方行政関係者からこの国庫負担制度の復活の声が高まりまして、昭和二十八年に制度が復活したという経緯があるわけでございます。

 さらに、主要先進国におきましても、フランスとかドイツなど、多くの国が義務教育の教職員給与費についてはその全額を負担しておるところでございますし、また、アメリカとかイギリスなど全額を負担していない国でも、近年、中央政府が財源保障について積極的に役割を果たすようになってきております。とりわけイギリスでは、二〇〇六年から全額国庫負担が予定されているというふうに聞いているわけでございまして、このような中での国庫負担制度の廃止というのは世界の潮流に逆行するということになるのではないか、このように考えるわけでございます。仮にこの制度を廃止した場合には、これは地域間の税収格差によりまして、試算によりますと、四十道府県で教育費の財源不足に陥るおそれがあります。

 また、その財源措置を地方交付税で調整するというふうにしたとしましても、そもそも、この地方交付税自体が三位一体改革によりまして総額を抑制されておりまして、その影響が教育費に及ぶおそれがありまして、義務教育の水準に著しい地域格差、財政力による地域間格差が生ずるおそれとなりかねないことなどの大きな問題がある、私はこのように考えておるところでございます。文部科学省といたしましては、この義務教育費国庫負担制度の重要性を踏まえまして、義務教育に係る国の責任というものをしっかり果たせるようにこれからも努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。

近藤(基)委員 私自身は、国土の均一的な発展というのはもうこの時代に望むべくもない、各地域で、個性的なその地域の特色を生かした発展をするべきだ、そういった意味では、地方分権には大賛成であります。しかし、人的資源に関しては、あくまでも基礎的な学力というのは均一に最低限保障をしなければならない。

 よく海外へ我々も旅行をしたときに、どことは言いませんが、大概のところで、買い物をしたときなど、この国は引き算ができないからとか、苦手だから足すことで、足し算で、生活が最低限もしかすると足し算だけで生きられるのかもしれないんですが、しかし、日本人の小学生が海外で買い物をしても、足し算でやるということはまず恐らくないだろう。少なくともおつりは引き算ですぐに頭の中に描けるというぐらい、やはり教育的な水準は平均的には高いんだろうと思っております。

 それがなければ、その後の個性的な、あるいは自分個人の、有意義に社会で生活できるという観点からすれば、この日本社会の中ではなかなか難しいのかなという思いがいたしますので、少なくともやはり義務教育というのは全国均一であるべきだろう、そして、その基礎的学力を向上させるのに不断の努力として続けなければいけないと思っております。文部科学省にもその点は、最近、学力が低下したと成績のことで随分と言われておるわけでありますので、ぜひ頑張っていただきたいと思っております。

 そういった意味で、いわゆるPISAの成績が話題になるわけでありますけれども、そこの成績上位国でありますフィンランドあるいはカナダ、オランダ等では、市町村と学校の裁量が非常に大きい、そして、義務教育費のかなりの割合を国、あるいは連邦ですとその州が負担しているという、共通点かどうかはよくわかりませんけれども、同じような形で成績が上位になってきているとお聞きいたしておりますが、この点、文部省はどういうふうにお考えになっておりますか、お聞きしたいと思います。

銭谷政府参考人 御説明申し上げます。

 ただいまお話がございましたように、フィンランド、カナダ、オランダは、二〇〇三年のPISAの成績において比較的上位に位置してございます。例えば、フィンランドは読解力と科学的リテラシーは一位という状況でございます。また、オランダも数学的リテラシーが四位、カナダが読解力が三位といったようなことで、比較的上位を占めているわけでございます。

 これらの国について、まず義務教育費について見てみますと、フィンランドでは、国の教育省が、義務教育に必要な経費、これは人件費と運営費でございますが、その五七%を負担するということで必要な財源が確保されております。

 それから、オランダでは、国の教育文化科学省が、必要な教育費、これも人件費と運営費でございますが、これを全額負担いたしております。

 それから、カナダでございますけれども、カナダは、御案内のように、国土が広大であるという地理的な理由と、国家形成時の歴史的、文化的な背景によりまして連邦制をとっております。州の政治的な自立性が強く、州が教育に責任を負っている国でございます。教育予算につきましては、カナダでは、従来は市町村の教育委員会ごとに予算が確保されていたわけでございますが、一九九〇年代から、多くの州が一括して教育費を確保し教育委員会に交付するということで、教育費の市町村間の格差をなくしているという状況にございます。

 それから、お話のございましたこれらの国では、カナダの場合は州でございますけれども、国や州が教育制度の枠組みを定めつつも、学校運営や予算の使い方につきましては学校や市町村レベルの裁量が大きいということが言われております。

 これらを踏まえますと、国が義務教育に必要な予算をしっかり保障しながら、地域や学校が創意工夫しながら、実は地域の多様な教育活動を展開しているという点でこれらの国は共通点があるというふうに私どもは考えております。

近藤(基)委員 個人的なことでありますけれども、私自身の子供が大変遅くできたものですから、まだ今小学校一年生、今度の四月で二年生になるのであります。私立の学校に今通っているんですけれども、学校の現状を見ますと、確かに、義務教育費そのものは無償であるということではあるんですが、しかし一たんできた中の設備を更新する、あるいは特に図書費、いわゆる図書館みたいな部分で、大変本が傷んでもう古くなっているんだけれどもなかなかそこまでお金が回せないと。昔は、図書費も含めて、国庫負担の部分、国からの補助というのが出ていたわけでありますが、一般財源化してから、その辺の教材とか副読本あるいは図書にどうも十分に行き渡っていないのかなというような印象を受けております。

 そんな思いから、やはり交付税措置、あるいは地方に裁量をということはわからぬではないのでありますが、しかし、私も地方出身の政治家でありますので、自分の地元を見ていますと、やはり先進的な教育を受けた教員というものの数は圧倒的に不足している。その中で少しでもいい教師を選ばざるを得ないとなれば、当然、財源も必要になってくる、人件費も高くなってくるというようなことで、果たして、本当に地方の中でそういった人材が確保できるのかどうかというのは甚だ疑問の点が多いわけであります。

 今回、こうやって三位一体の中で行われた来年度の予算措置でありますけれども、これはあくまでも暫定的なものであると。私は、来年限りで終わってくれればなと思っているんですが。地方の方も、そうなってくると、では、再来年はどうなるのかという不安もあるでしょうし、そういった意味で、こういうことをやっていると地方に混乱が起きるのではないかと思っておるんですが、そういった兆候あるいは認識を文部科学省はどういうふうに思っていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

銭谷政府参考人 御説明申し上げます。

 義務教育費国庫負担金の取り扱いにつきましては、昨年の政府・与党合意を受けまして、平成十七年度の暫定措置として四千二百五十億円程度を減額するということになったわけでございます。このことを踏まえまして、ただいま提案をいたしております法律の改正案におきましては、義務教育費国庫負担法等の附則におきまして、十七年度限りの暫定措置として、四千二百五十億円を減額する旨の規定を設けているわけでございます。

 この十七年度の暫定措置は、義務教育費国庫負担制度の原則を維持した上で、義務教育費国庫負担金から四千二百五十億円を減額し、減額分に対する補てん措置として、同額相当の税源移譲予定特例交付金を教職員給与費を基本として配分するということでございます。

 したがいまして、各県ごとに見ますと、義務教育費国庫負担金から一定額が減額をされるわけでございますけれども、減額される額と同額の税源移譲予定特例交付金が交付されることになります。結果的には、各都道府県ごとの義務教育費国庫負担金と税源移譲予定特例交付金を合算すれば、本来国庫負担すべき額に相当する額が国から交付をされるということになるわけでございます。

 ただ、今お話ございましたように、税源移譲予定特例交付金というのは一般財源でございますので、文部科学省としては、各都道府県において義務教育水準の維持に必要な教職員の給与費が適正に確保されるように、各都道府県の予算措置状況について把握をしているところでございます。

 現在までのところ、各県御努力をいただいているというふうに私ども思っておりますけれども、今後とも必要な指導助言を行って、各都道府県における教職員の配置を含む教育条件の整備に支障がないように努めてまいりたいと思っております。

近藤(基)委員 義務教育費国庫負担制度の措置については、この夏とも秋とも言われている中教審の結論を見てということになっているわけであります。中教審ではどのような議論になっていくのかわかりませんが、しかし、これは国の礎である教育の問題でありますので、財政的な観点だけではなく、というよりも、それは逆においておいて、やはりきちんとした国家戦略に基づいた教育論でどうするのかということを議論していただきたいと願うばかりであります。

 大臣の私見でも御所見でも結構なんですが、今後中教審が秋の答申に向けてどのような形で議論を深められていくのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

中山国務大臣 義務教育費国庫負担制度の今後の取り扱いにつきましては、昨年末の政府・与党の合意におきまして、ことしの秋までに中央教育審議会において結論を得ることとされているわけでございまして、これを受けまして、中央教育審議会におきまして、義務教育のあり方全体について検討するために、総会直属の組織といたしまして義務教育特別部会を設置いたしまして、今御議論をいただいているところでございます。

 具体的な検討事項といたしましては、義務教育の制度、教育内容のあり方、国と地方の関係、役割のあり方、義務教育に係る経費負担のあり方、学校と家庭、地域の関係、役割のあり方等につきまして関係者からヒアリングを行うなど、幅広く御審議をいただくことになっているわけでございます。

 特に義務教育費国庫負担制度を含む経費負担につきましては、国と地方が負担しております総額約十兆円でございますけれども、この十兆円の負担のあり方全体を視野に入れた議論が行われるものと考えておりまして、私はその中で、先ほど申し上げましたが、この国庫負担制度を廃止した場合、四十道府県で税源不足が生じるとか、あるいは、近藤委員が御指摘になりましたが、教材費とか図書購入費等、国の基準を下回ったり、あるいは地域によって多い少ないの問題があるというようなことで、全国均一の最低限の教育水準というものが果たして担保できるものか、そういったことも考えるわけでございます。

 いずれにいたしましても、この特別部会、さまざまな分野の方が入っておられますし、地方の教育行政に携わっておられる方々も十名入っておられますので、幅広い議論が行われる、このように考えているわけでございまして、このような教育論からの議論も十分していただいた上で、本年秋までに結論を出していただきたい、このように考えておるところでございます。

近藤(基)委員 基本的な話をきょうお聞きいたしたわけでありますけれども、やはり教育というのは、これは国全体で考えなければいけない。中教審で有識者を入れた特別部会ができて、そこの中での結論待ちということにはなっておるんですが、いろいろな方が入っていられると大臣もおっしゃいましたが、しかし、国民全部が入っているわけではありません。国民それぞれ物の考え方も違う、いろいろな御意見の方がいらっしゃることも確かであります。

 そういった意味で、ただし、少なくとも子供の教育というのは、最低限の学力、いわゆる生活をする、社会に出て、全くその後勉強をしなくても何とか生活ができるレベルというものは必ずあるんだろうと思っております。しかし、これには必ず、経済的な格差あるいは地域的な格差ということではなくて、最低限これをあまねく学力として身につけていただくためには、やはり国の関与というのは絶対的に必要なんだろうと思っております。

 義務教育は九年がいいのか、あるいはいろいろな御議論があります。私なんかは、幼稚園から小学校までを義務教育にすればいいと常々思って、中学校ぐらいからはもう少し個性的な学力を身につけていただくことも、もうこういった世の中ですから可能かなと。幼児教育というのはもっと大事にしなければいけないんだろう。そして、少子化対策にも幼児教育というのは大変な、今待機保育児童ゼロとかという作戦も厚労省の方でやっているわけでありますけれども、やはり幼児教育というのは大事だろうと思っております。

 義務教育そのものについては、やはり国が全責任を持って子供たちを育て上げるというぐらいの覚悟が我々には必要なんだろうと思っておりますので、文部科学省に関しても、そういった意味合いで、今後ともぜひ頑張っていただきたい、我々も精いっぱい頑張らせていただこうと思っておりますので。そういった意味で、子供の教育に関して、社会教育もあるんですけれども、まずは子供の教育、子供を立派に育て上げる、そして国の礎として子供たちが将来的に頑張っていただけるように、文部科学省としてもぜひ頑張っていただきたいというお願いをして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

斉藤委員長 保坂武君。

保坂委員 おはようございます。委員会での質問はまだ若輩者でありますが、よろしくお願いをしたいと存じます。

 義務教育費の国庫負担法の一部改正ということで、本会議並びに既に委員会等で各方面にわたりまして委員の先輩の皆さん方から質疑等もあるところであります。重複する部分もあろうかと思いますが、私も、具体的に義務教育の現場のことについて少し質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 日本の高校一年生の学力が世界の中で急落していると比較調査でわかったとされておりますが、文部科学省が推し進めてきたゆとり教育や総合学習の無残な結果であると各方面からも指摘をされているところであります。さきの委員会でも我が党の馳委員からも御指摘があったように、国語の時間が少なくなったのも要因の一つ、こう言われております。同時に、日本の生徒は、授業以外での勉強時間が週六・五時間と、経済協力開発機構での平均の八・九時間よりかなり少ない、短い、宿題に当てる時間も週三・八時間ほどで、主要国の中では最低レベル、こう聞いているわけであります。

 課題は多いと思いますが、活字に触れる等の時間の絶対量が少ないことが、読解力や他の教科の学力にも悪い影響を及ぼしているのではないかと危惧するものであります。

 今後、学力向上にどのように取り組もうとされているのか、中山文部大臣にお伺いいたします。

中山国務大臣 お答えいたします。

 昨年末に公表されました国際的な学力調査の結果によりますと、御指摘のように、読解力が大幅に低下するとともに、我が国がこれまでトップクラスにありました数学あるいは理科についても低下傾向にあるということは、これを深刻に受けとめる必要がある、このように考えております。

 特にまた私が憂慮いたしますのは、保坂委員からも御指摘ありましたけれども、日本の子供たちの勉強時間が一番短くなっているということでございます。また、子供たちが、何のために勉強しなければならないのかという動機づけに乏しく、学ぶ意欲とかさらには学習習慣が必ずしも身についていないというようなことが明らかになったということでございます。

 なぜこのような結果になったのかということにつきましては、学校教育の問題、家庭、地域の問題等いろいろあると思いますが、社会が変化する中で、現在の教育が子供たちに学ぶ意欲を持たせ学習習慣を身につけさせるものとなっているのかどうか、学習指導要領における教育内容や授業時数が十分か、あるいは教員の資質、能力の向上が図られているのか、さまざまな検討すべき課題がある、このように考えているわけでございます。

 今、私どもは、教員や保護者と直接対話するスクールミーティングを通じまして学校現場の意見を聞いているところでございますが、その中で、書けない、読めないなどの国語力が低下している、あるいは以前に比べて本を読まない子供がふえている、読書活動を続けることによって逆に読解力が向上しているなどの指摘がなされているところでございます。

 私といたしましては、子供たちの学力の向上を図るためには、あらゆる教科の基礎となります国語力を高めることがまさに御指摘のとおり重要である、このように考えているわけでございまして、そのためには、子供たちが新聞とかあるいは本などの活字媒体に親しむことや、それぞれの学校で朝の読書活動などに取り組むことが大切である、このように考えております。また、今、学習指導要領全体の見直しを進めることにいたしておりますが、先般、その検討課題の一つといたしまして、国語力の育成という項目を示したところでございます。

 今後とも、スクールミーティング等を通じまして、子供たちの学力がどうなっているのか、どこに課題があるのか等を把握してまいりたい、このように考えておりまして、その上で、再び世界のトップレベルの学力をつけさせるために、学習指導要領全体の見直し、教員の資質、能力の向上など、教育全般につきましてスピード感を持って改善策を講じてまいりたい、このように考えているところでございます。

保坂委員 これまでの教育は、ゆとり教育、あるいは総合学習の中で、地方に任せる、自主性に任せるというふうなことの中に、もう少し文部科学省がリーダーシップをとってほしいというふうな一点が私には考えられると思うのであります。

 学力向上への方策は専門家に具体的には任せるといたしますが、このOECDの調査が高校一年生の十五歳でありますことから、これは小中学校の義務教育課程に生まれた結果でもある、こういうふうに思うわけであります。

 例えば、十五年度の文部科学省の統計によれば、高校生の中途退学者数は、学業不振で五千三百四人、そして、学校生活、学業不適応が三万六百九十三人、このように多いわけであります。

 その中途退学する理由に挙げられたものが、もともと高校生活に熱意がない、授業に興味がわかない、人間関係がうまく保てない、それから学校の雰囲気が合わない、このことは既に小学校、中学校のときに学校というものに関する関心度、そういったことが薄れてきてしまっているということにあろうかと思うのであります。こういった一つの視点から見ますと、教師と児童生徒の信頼関係の欠如にある、こういうふうに思うわけであります。

 そこで、初等中等教育局長にお伺いいたしますが、近年、たび重なる痛ましい、青少年の命まで失う事件あるいは先生や親の命まで奪う事件は、目を覆うばかりであります。したがって、義務教育課程の学校生活習慣の中で、あいさつや声かけは重要であると思っております。

 人の命を守るのは、校門に防犯カメラ、児童生徒に防犯ブザー、無線で確認のできるICタグ、校内の監視カメラなど、こういった機械器具により子供を守るという、そんなツールになっておりますけれども、これに頼り過ぎると非常に危険もあるのではなかろうかと思います。子供の安全は、やはり学校の先生と保護者、家族、地域の人たちが協力して守るのが昔も今も変わらぬ基本であると思っております。

 そこで、学校現場におけるあいさつや声かけ指導の方法などについてどのようになっているか、局長にお尋ねをするものであります。

銭谷政府参考人 学校現場におけるあいさつや声かけ指導方法などにつきましてお尋ねがございました。

 子供たちがよりよい人間関係を築いていく上で、あいさつの大切さを理解し、進んで実践できるようにするということは、私ども大変に重要だと思っております。

 子供に対しましては、例えば学校教育では、小学校低学年の道徳の時間で気持ちのよいあいさつや言葉遣いに心がけることについて指導することとしておりまして、これを踏まえて、さらに中学年以降で礼儀の大切さ等へ発展した指導をすることにしているところでございます。具体的なあいさつの実践の指導は、例えば朝の会、帰りの会など学校生活全体を通じまして、適切な場面や機会をとらえて実施をしているところでございます。

 また、いわゆる声かけ運動、あいさつ運動などにつきましては、学校、児童会、生徒会、PTA、地域の方々などが協力して展開している例が多いわけでございます。例えば、オアシス運動ということで、おはようございます、ありがとうございます、失礼しました、済みませんといったようなあいさつをみんながする、そういう運動を展開している学校の例も多く見られるところでございます。

 こういったあいさつ運動、声かけ運動を保護者や地域からの協力を得て実施するということは、子供たちの社会性の育成だけではなくて、先生今お話がございましたように、児童生徒の安全確保の観点からも重要であると私ども考えております。文部科学省といたしましては、今後とも、あいさつなどにつきまして適切な指導が行われるように努めてまいりたいと思っております。

保坂委員 お答えをいただきますと、ちょっと理解しにくい。というのは、何か方法論、形だけの指導で、家庭や地域に任せておく、こういう感がするのがこのあいさつや声かけではなかろうかと思うのであります。

 あいさつは、生活習慣の中で青少年の健全育成の観点からも重要な要素だというふうに、日ごろからだれしもが思っておるわけであります。実態は、日常、あいさつだけの方法、指導で、具体的なものが明確でない、こう思っております。

 つい最近、これは二月の十五日の事件ですが、小学校二年生の男の子がおはようと、朝七時五十分ごろ、登校中に声をかけました。これは二十歳前後の男に声をかけたわけですが、うるさい、ふざけるなと素手で数回殴られてけがをしたという事件が報道されておりました。

 これは、私どもは、子供のころから、年下が年上の人にあいさつをしろ、こういう指導でありますから、率先して子供たちは年上の人にあいさつをした。ですが、この事件は、せっかく年上の人にあいさつをしたんですが、逆でありまして、これからは年下の人に年上の人があいさつをする、年上の人が年下の人にあいさつをしてあげるという教育をごく自然にやっていかなければならない、こう思うわけであります。

 学校では、そういった指導の仕方が、単なるあいさつ、日ごろの日常あいさつをしておればいい、こういうふうなことであろうと思いますが、近年、凶悪な青少年犯罪と児童虐待事件が増加しております。特に、子供が親に対して、また、子が小さな子に対して行う家庭内での暴力行為や学校内での暴力行為が年々増加傾向にあります。青少年犯罪の凶悪化あるいは低年齢化、不登校、学級崩壊、家庭崩壊、この状況は非常に憂慮するところがあります。けさの報道にも、先生八人が五人ぐらいの中学生に暴力でやられております。

 こういったことを見ると、これは、一昔前に、親が子に愛情あっての愛のむちということで心のこもった体罰を与えておりましたが、その体罰を受けた子供は体罰の痛みとともに後で親の愛情の温かさを感じたものでありますけれども、近年は、愛のむちが乳幼児や小さな子供を死に追いやる悪のむちに変わっている、こういう状況であります。

 こういった意味で、私は、学校、教育、義務教育現場の中で、人と人との触れ合い、そのことが非常に欠けている、こう思うわけであります。必要なのは、具体論として、人と人との触れ合いの欠如、礼に始まり礼に終わる、相手を思いやる心の重要性、そして政治は最高の道徳であるという言葉から、義務教育における教員のあいさつや声かけについての意識や指導方法について、具体的に中山大臣にお尋ねをいたします。

中山国務大臣 私も、文部科学大臣になりまして、まず、あいさつの大切さ、重要性ということを指摘したんですけれども、今、保坂委員が言われましたように、子供はあいさつするとさらわれてしまう可能性があるというふうなことを言われる人がありまして、本当に寂しい社会になったな、こう思うわけでございます。

 しかし、それは極めて例外中の例外でございまして、やはりあいさつというのは、大人の社会もそうですけれども、子供の社会もとても大事なことだなと思うわけでございまして、学校で先生から声をかけられると、子供というのは自分の存在が認められたということで、本当に自信もわき、喜ぶと思うわけでございます。

 そういう意味で、これはあいさつの問題だけではございませんが、先生というのが教育においては本当に大切だな、先生次第だなということを痛感させられる昨今であるわけでございます。

 あいさつの仕方等について、どのように先生方に教育といいますかそういう指導をしているんだということについての御質問でございますが、礼儀とかあいさつの指導を含めまして、道徳の指導方法につきましては、年間約三万人の教員等を対象とする道徳教育の中核的な指導者養成のための研修を独立行政法人教員研修センターにおいて実施しているところでございます。また、各都道府県における初任者研修におきましても、児童生徒へのあいさつの指導のみならず、社会人としての規範意識の確立の一環として、言葉遣いや礼儀作法の習得等に関する研修を実施しているところでございます。まさに、あいさつに始まってあいさつに終わるということでございますが、あいさつの重要性に関する研修を含め、教員の資質向上のための研修の充実が図られるように努めてまいりたい、こう考えています。

 個人的なことを申し上げれば、あいさつしろということは、私は親から教わったなと今思うわけですね。近所の人とか知っている人にはちゃんとあいさつしろよというふうに親から言われて、そのことはずっと今でも心に残っているわけでございます。あいさつとか礼儀とかそういったことにつきましては、まず家庭で指導するというのが出発点じゃないかな、こんなことも考えているところでございます。

保坂委員 あいさつを新採用教員の研修とか学習会等でやれ、こういうことだろうと思います。

 具体的なことについて僕も調査をした経緯がありますが、先生方は、あいさつをしているとはいっても型どおりのあいさつでありまして、例えば、先生が入ってくると、生徒の代表が起立、先生おはようございます、先生がおはよう、着席、帰りは、先生に礼と号令をかけると先生さようならというのが初歩的なあいさつの仕方ですが、こういうことをしておられるのが現実ではなかろうかと思います。

 ぜひ変えてもらいたいというのは、あいさつをするときに、先生が入ってきたら、みんなの顔を、三十人の顔を見て、そして先生の方からおはよう、そして子供たちがおはようとするように変えてもらいたい。そして、顔を見るときのたった一分の間に三人ぐらいの、だれだれ君、保坂君、だれだれ君に、君はきょう元気な顔をしているな、君は何か、おい、飯を食ってきたのかと声をかけて、名前を呼んでやることによって、私は認識されているという理解が得られると思うのであります。

 けさほども理事会へ行きましたら、筆頭たちがやりとりしておりまして険悪なムードでありますから、ちょっと困ったなとは思いますが、その前にお互いにあいさつをしていると、その後やってもいいなと、いい雰囲気の中でやれるということを感じるわけであります。

 しかも、今大臣がお答えしたように、だれかがあいさつということを慣例づけていかなければならないとすれば、文部科学委員会でありますので、ぜひ委員長あるいは中山大臣の機会に、少なくともこの委員会で、礼に始まり礼に終わる、朝始まるときには委員長が着席したら筆頭の号令であいさつをする、あと終わって夕方、また筆頭の号令で御苦労さまでしたとあいさつをする、そのことができなくして、何で日本の子供たちがこういった時代に事件にさらされなければならないのかということを考えていくと、必要ではある。

 ぜひそのことを理事会でも御検討していただいて、このことを、これは山梨県の県議会は全国で初めてやっております。すべての町村議会も、委員会でも本会議でもやっていることでありまして、そのことが地域のすべての会議に通用している問題でもあります。ぜひ御研究をしていただいて、私もそういった提案をさせていただきますが、きょうのこの委員の皆さん方の総意でできるような取り組みをぜひお願いいたします。

斉藤委員長 すばらしい御提案ですので、また、個人的にはぜひ実現したいと思っておりますが、また理事会で諮りたいと思います。

保坂委員 続きまして、文部科学省は、義務教育段階におきまして、食育教育の重要性にかんがみ、その導入に力を入れておりますが、食料・農業・農村基本法に示されたように、農林水産業につきまして、国の基本であり、安定的な発展を築かなければならない農業分野でもあります。食料自給率は約四〇%と著しく低下している状況にありますが、国民の食料の大切さを高める教育に対して、趣旨とか経緯など、農業体験学習の実態はどうなっているのか、塩谷副大臣にお伺いいたします。

    〔委員長退席、中野(清)委員長代理着席〕

塩谷副大臣 お答え申し上げます。

 今、保坂委員おっしゃったように、子供たちが農業体験を行ったり、自然や社会環境などが異なる農村に出かけていって、自然や地域の人々と触れ合ったり、自然と人間のかかわりについて学び、豊かな人間性をはぐくむ上で極めて意義があることだと思っております。

 私も過去において農業体験事業に携わったこともありますし、特にこの問題については、教育改革国民会議の提案から、農業体験を初めとする体験活動については、平成十三年度学校教育法の改正において、学校における体験活動の充実に努めることとされております。現行の学習指導要領においても、総合的な学習の時間や特別活動で、体験的な学習、勤労生産、奉仕的行事などが位置づけられておるところでございまして、平成十四年度より豊かな体験活動推進事業を実施しており、学校教育の中で児童生徒の農業体験活動等の体験活動を充実するための施策を推進しているところでございます。

 実際には、農業体験学習の実態としては、平成十五年度に実施された全国農村青少年教育振興会の調査によれば、小学校については、平成十三年度において六六%だったものが十五年度には七九%、中学校については、平成十三年度において二六%だったものが平成十五年度においては二八%というように増加しております。

 したがって、今後とも、農水省とともに連携をとりながら、農業体験活動を推進するための施策を推進してまいりたいと思っておるところでございます。

保坂委員 努力をされておられるということで、その成果も上がっているやに今聞いたところであります。

 一方では、高等学校教育において職業高校の衰退が進んでいるという状況でありまして、農業高校は特に数が減ってきているのが現状であります。農業高校において、外見は農業高校なんだけれども、今は総合学科とか、選択科に移行しておるというのが現状であります。

 食育教育の重要性が大きいとすれば、具体的に食物をつくる、育てる教育の果たす役割は大きいものがあります。農業教育は、命を教材とする教育課程を持ちますし、そして青少年の心の荒廃が叫ばれる中でありますから、将来を担う青少年の最も重要な教育手段であると思います。

 私も若干調査いたしましたけれども、数値は上がったといって、件数とかそういうものがパーセントでは上がってくるわけですが、実態は生徒数に応じて農園の面積が非常に小さい、あるいはばらつきが学校の中でもある、そしてその時間が少ない。やっている数字は上がっても、面積が小さかったり、あるいはやる時間が少なかったりしたのでは意味がないわけでありますので、ぜひそういった面でも調査を引き続きお願いしたいと思います。

 そこで、副大臣にお尋ねしますが、農業高校と小中学校との連携など、農業の大切さに触れる教育の重要性についてのお考えをお尋ねいたします。

塩谷副大臣 ただいま保坂委員がおっしゃったように、農業の大切さを実際に子供たちに教えることは、単に食料の自給性を上げるとかそういった具体的な施策を推進する上だけではなくて、やはり我々が生きていく上で非常に大切なものだと思っておりますので、小中学校においての農業体験授業、そして農業高校との連携した農業体験学習を取り入れることは、農業の大切さに触れる上で極めて重要だと考えております。

 文部科学省においては、このような体験活動を充実するために、平成十五年度から、農業高校など専門学校が有する人的、物的資源を活用した小中学生に対する農業体験活動や、地域産業活性化への支援を行うみんなの専門学校プロジェクトということを実施しているところでございます。

 例えば、農業高校の生徒が小学生と一緒に田植えをして収穫したお米を試食したりするなどの取り組みが行われているところでございまして、このような取り組みは、農業高校と小中学校が連携して農業の大切さに触れる教育の促進に今後とも努めてまいりたいと思っておるところでございます。

保坂委員 今回の法案は、教職員の給与費を国がきちんと責任を持って負担するということについて論議になっております。実際に、人づくりのために国民の税金で国や都道府県から給与が賄われていることを考えますと、国民の期待するところは大きいものがあるわけであります。

 義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法は、第一条で、教育基本法の精神に基づき、諸学校における教育を党派的勢力の不当な影響または支配から守り、政治的中立を確保し、これに従事する教職員の自主性を擁護することを目的とするが、山梨県では、私の出身地ですが、教職員組合が特定の政治家を支持する山梨県民主政治連盟という団体と並行して、強制的な資金カンパ、後援会の会員カード集め、児童生徒宅への電話作戦といった選挙活動などを行っているという実態が表面化しております。私の選挙のときにも、相手候補のお願いを私の家内に電話が来ておるというようなのが実態であります。これは事実で、体験をしていることであります。

 こういった意味で、このような組合の活動に対しまして、今月山梨県議会では、県教育委員長が、これは生活習慣病のようなものと指摘をしたところであります。ここにも報道されております。

 これはやはり、法のもとに教職員の正しい組合活動と義務教育指導を望むものでありまして、私は、この事例において、責任を問うものでもなく、また犯罪者を捜すということでもなくして、とにかくあしき慣習はやめるべき、改めるべきだと考えておりますが、中山文部大臣のお考えをお尋ねいたします。

中山国務大臣 山梨県の教職員組合の件につきましては、当委員会でもあるいは本会議でも再三取り上げられたところでございます。今保坂委員がおっしゃいましたけれども、私も県議会におきまして教育委員会の委員長が生活習慣病みたいなものだという認識を示されたと聞きまして、生活習慣病、昔の成人病ですけれども、要するにどういうことかなと。知らず知らずのうちに自分がそうなっているということを自分で自覚していないということだろうかな、そう思うわけでございます。

 まさに、教職員というのは子供の教育に携わる非常に大事な仕事をしていらっしゃるわけでございまして、子供の模範ともなるべき先生方がそういう病気にかかっていることを気がつかないというのはゆゆしき問題ではないか、このように思うわけでございます。もし、そういう実態があるとすれば、しっかりお医者さんにかかって治さなければいかぬ、こう思うわけでございますが、そのお医者さんがだれかといえば、これは教育委員会だろうと思います。

 そのことを私は、文部科学省としてもちゃんと指摘しなければいかぬということで、昨年来、教育委員会等に対しまして、その実態を調査して、そういった違法なことが行われていたとすればしっかりとした処分をすべきだということは再三再四にわたって通知しておるところでございまして、今後ともちゃんとした教育が行われるように頑張っていかなければいかぬな、このように考えておるところでございます。

保坂委員 ありがとうございました。

中野(清)委員長代理 池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 提出されました法案の審議に入ります前に、今保坂委員が御提案なさいましたあいさつ運動、私も心から賛同するものです。文部科学大臣政務官を二年九カ月やってまいりました間に、事あるたびに、あいさつの最後には必ず皆様方へのお願いとして、あいさつをいたしましょう、子供たちに声をかけてください。もしかして、いじめに遭って自殺しようと思っている子も、地域のおばさんが、元気、おはよう、お帰り、そう言って声をかけてくれることによって、もう一度生きる力を取り戻すかもしれない。だから、PTAの方々にも、学校の校長の大会がありますときにも、もう本当に事あるたびにそう申し上げてまいりました。文部科学大臣も、ぜひあいさつの大切さ、これから事あるたびに言っていただけたらというふうに思っております。

 それでは、提出されました法案の審議に入りたいと思います。

 私は、この委員会でこのような問題を審議しなければならないことを日本の精神の貧困だと思って情けなく思っております。言うまでもなく、何度も繰り返してまいりましたが、教育は国が行う政策の最も最優先事項ではないかと思っております。ブレア首相は、一に教育、二に教育、三に教育とおっしゃいました。ブッシュ大統領は、教育は私が行う政策の最優先課題であるとも言われております。

 さかのぼって、明治五年に学制がしかれます前から、それぞれの環境の中にあって、先達の人々は寺子屋や藩校に子供たちを通わせ、そして教育力だけはつけさせてまいりました。それがあの明治維新の改革にもつながったと思います。そしてまた、第二次世界大戦という未曾有な悲劇の中にあっても、日本人がこれだけの経済大国になり得たのは、一人一人が持っている教育力のたまものではないかと思っているのです。日本にいれば、いかなる地においても、いかなる環境においても、ひとしく教育が受けられる、これはすばらしいことだというふうに考えております。

 イギリスでは、言うまでもなく、学力低下、特に公立学校の学力低下がひどくなっておりますので、これを憂えて、二〇〇六年からは今までのを改めまして国が責任を持って教育を行う、給与もきちんと持つということになっております。言うまでもなく、フランスはきちんと持っております。今問題になっておりますドイツは、このごろ学力低下がある、各州だけに任せておくのはだめだということで、これから検討が始まろうとしている。つまり、先進国においてはすべて国が責任を持っているにもかかわらず、日本だけ何で、教育ニッポンだったのに、逆行するのかと私はいぶかしい思いがいたしております。

 GDPにおいても教育が占める割合というのは、OECD各国平均三・五%でございますね。日本は二・七%です。本来低いのです。よく財政と学力低下は関係ないよとおっしゃる方がございますけれども、私はそんなことはないと思います。教育というのは特効薬はなくてボディーブローでございます。いい先生といかにして出会うかということは子供にとっては大きな影響を持つものですし、いい先生をやはり得るためには給与ということも関係してくるのではないかと思っております。

 このような世界の流れを見ておりますときに、今の三位一体と言われております国と地方分権、教育のあり方、どういう姿が望ましいというふうに中山文部科学大臣はお思いでございましょうか。

中山国務大臣 お答えいたします。

 あいさつの件につきましては全く大賛成でございまして、私も自分のマンションなんかで子供たちに会うと、いつも自分の方からおはようとか声をかけるんですけれども、なかなか返答は返ってこないことが多いですね。

 あれは、アメリカに住んでいた経験からいたしますと、向こうの人たちは本当にハーイとかこうやるんですけれども、考えてみるとああいう国は相手がどういう者かわからないものですから、自分は何の敵意はないよということを示すために自分の方からあいさつするのかな。日本は逆に、大体同じ日本人ですから、ぶすっとしていても危害は加えないなんということがわかった上であいさつもしないのかなというふうに思いますけれども、日本もだんだんそうじゃない社会になりつつありますから、大人の方からもまずあいさつをする、そういうことをすることが子供たちにも好影響を与えるのではないかな、こんな感想を持っているところでございます。

 そこで、この義務教育費国庫負担の話でございますが、まさに池坊委員がおっしゃいますように、主要諸外国では国の関与を強めるという方向に行っているわけですね。特にイギリスにおいては二〇〇六年から全額国が負担するようにするということでございまして、まさにどこの国も国家戦略、戦略という言葉はちょっときついかもしれませんが、国の政策として教育に力を入れようとしている、そういうところでございまして、日本だけが逆行するような、そういう動きがあるわけでございまして、昨年の秋の三位一体の改革の中で、私の思いとしては、少なくとも私が文部科学大臣のときにそういうふうなことだけはしたくない、そういう大臣として歴史に名前を残したくない、そういう思いで頑張ってきたところでございます。

 何といいましても、義務教育につきましては国が責任を持つ、最終的に責任を持つということだろうと思うんですが、既にもう御承知のように、今現在約十兆円かかっております義務教育費の費用のうち、国は三割しか負担していないんですね。これでは大きな顔はできないなと思うぐらいでございまして、まさに全部持ってもいいぐらいなんです。過去のいろいろな経緯がございまして三割ということになっているわけですけれども、少なくとも三割ぐらいは国が負担するということはもう最低限じゃないかと私はむしろ思うわけでございます。

 ところが、あの三位一体の改革の中で、補助金改革とか地方分権とかそういうかけ声の中で、義務教育費国庫負担、国の負担はもうゼロにしていいんだという地方側の御意見があるわけでございまして、それに対してはぜひとも堅持するということでやっていきたいと思っていますが、そのためには公明党さんの力がどうしても必要でございますから、秋の陣に向けて一層のまた御支援もお願いしたい、こう思っております。

 それで、御質問がありましたけれども、予算につきましては国がしっかり担保した上で、現実の教育というのはこれはもう本当に現場の、学校、校長先生にお任せする。それぞれの地区地区のいろいろな特色がありますから、その地方のローカルないいところをいっぱいため込んだといいますか、そういうローカル色豊かな子供たちが育つように、これはまさに地方分権の一つの目的であります地方間の競争になるわけでございます。子供たちの子育てコンテスト、そういうような意味も含めまして、競い合ってすばらしい子供たちを育てるように、それぞれの地方地方、学校学校が努力していただくということが基本ではないかな、このように考えております。

池坊委員 公明党もけさから、教育を考える小委員会、私が委員長をさせていただいて発足いたしました。財政もさることながら、公立学校の教育のあり方を、真摯に各方面の方々の御意見を伺いながら勉強会を重ねていきたいというふうに思っておりまして、その会には、代表、代表代行、幹事長代行、皆様出席していただきました。教育の党公明党にふさわしく、これからも教育に対しては力を注いでいきたいと思っております。

 きょうは総務省から今井副大臣、わざわざおいでいただきまして本当にありがとうございます。きょう、提出されました法案も三位一体の改革の一環でございます。文部科学省だけでなくて総務省とのかかわりなくしてこの法律もなかったわけですから、教育について、こういうことを申し上げますと、総論賛成各論反対なんだとか、あるいは、あなたは族議員かとか言われるんですね。私は、そうじゃない、私は未来の子供たちのことだけを考えている。人というのは自分の物差しでしか人をはかれないんだなとつくづくそのときに思って、情けない思いがいたします。

 私たちは、省庁を代表しているのではなくて国民の代弁者である。私は子供の代弁者でありたいというふうに考えております。よく、では、不熱心な首長さんが選ばれたならばその人は四年後に落選させたらいいんだよなんて乱暴なことをおっしゃる方があるんですけれども、道路はでこぼこでも四年間我慢できます。でも、子供は、一年から五年、もう育っていってしまうんですね。取り返しがきかないんです。

 今度の改革案の中でのこの法案提出に際して、副大臣として、政治家としてどうお考えかを伺いたいと思います。

今井副大臣 おはようございます。今井でございます。

 池坊先生は、学園の理事長さんもなさっていますし、政務官として文科省で大変な活躍をなさって、ほか文科委員長さんとして、特に、教育がすべての基本である、教育が一番重要なものですよという御認識の中で大変な御活躍をいただいていることに、まず敬意を申し上げる次第であります。

 今お話がございましたように、今回の三位一体の改革につきましては、いわゆる国庫補助金の削減をして、そのかわりに一般財源としてそれを保障する、それについてどのように考えているんだ、こういう御質問かと思うわけであります。

 お話にもございましたように、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツを初め先進主要国における教育財源はほとんど一般財源で賄われているのが主流でございます。イギリスのお話もございましたけれども、イギリスの教育財源は、国費としてということで、主張もございますが、実際にはそのほとんどが日本で言う、日本の交付税に当たるものでございまして、地方の一般財源がその九割を負担しているわけでございます。

 そもそも、三位一体の改革でございますが、教育費を削減する、減らすという議論ではないわけでありまして、財源保障のあり方、三位一体というのはいわゆる税財源の改革ということでございます。

 なお、いわゆる国際的な学力比較ということが発表されまして、大変我々も、先生も同じなんですが、心配しているところでございますけれども、このデータを見る限りにおきましても、教育水準と財源の種類、この種類ということは国費でやるのかあるいは地方費かということとは直接的なかかわりがないわけであります。

 例えば、中央集権的なフランス、イタリアは全額国庫負担でございますし、先生の身分も国家公務員なんでございますが、そのフランスやイタリアが、学力ランキングですと、フランスは十四位になっていますし、イタリアは二十位になっているわけですね。これは二〇〇〇年のことを申し上げましたが、二〇〇三年でも、フランスは十七位、イタリアが二十九位ということになります。

 そのほか、地方分権型のカナダ、イギリス、スウェーデン、アメリカ、ドイツ、これは財源は地方財源であります。そして身分は地方公務員です。それらの国々の、この世界ランキングにおきましては、むしろ、必ずしも財源がどっちであるかということじゃなくて、データ的には大変上位のランキングをしているという実態があるわけでございますので、いろいろな御主張で、イギリスは国庫負担が七五%の国だ、このように主張なさっている方もおりますけれども、この内容につきましては事実誤認でございまして、実際は九割が一般財源で賄われている、これが実態でございます。

 以上です。

池坊委員 御存じだと思いますが、イギリスは二〇〇六年からこの改革が、学力低下に伴って改革されます。それからフランスは、知識だけでなく価値を伝え、生きる力が必要、確かにこの間の国際学力調査では余り上位に行かなかったかもしれませんけれども、やはり主眼としているのは教育そのものであって、ただ学力低下だけでなくて、トータルとしてきちんと伝統あるフランスを守っているのではないかというふうに私は思っております。

 では、ついでにちょっと伺いたいのですが、地方に移しましたらどういういいことがあるのか。いいことがなければ地方に移しませんね。子供にとってどんないいことがあるのか。これは追加で申しわけございません、お考えをお伺いしたいと存じます。

    〔中野(清)委員長代理退席、委員長着席〕

今井副大臣 お答えを申し上げるわけであります。

 結局財源が国であれ地方であれ、学力そのものにイコールでリンクしていないということを先ほどお話しさせていただきましたが、それは御理解いただけると思うんですね。それがきちんと保障されるというのは、もちろん前提であります。いわゆる一般財源で保障されなくて、金額まで削減されてしまうんだ、補助金が削減されるだけじゃなくて金額まで削減されてしまうんだということでは今回はないわけであります。

 したがって、地方に任せたときにどういうメリットなりがあるんだ、こういう御質問かと思いますけれども、基本的なことは国が法令できちんと決めているわけです。例えば、教職員の配置あるいは学級編制、これは国の基準を満たされなければならないわけですよね。そして地方団体が、一般財源化することによってまさに当事者の意識を持つ。北海道から沖縄まで、地方はいろいろあります。その地方の教育の環境あるいは児童生徒数の実情、そんなことを考えたときに、弾力的な学級編制あるいは教職員の配置が可能になるわけです。ただし、前提はあくまで国の基準というものがありますので、法令でございますので、それは考慮した上でやっていくわけであります。

 現実に、国の基準以上に、職員その他も実態としては都道府県は加配しているんです。国の基準よりも多くなっているわけです。国の基準よりも実際に地方がお金を使っているわけです。この事実を見ましても、私は地方側にメリットがある、こういうふうに考えています。

池坊委員 全額削減されない、保障されるということでございましたら、今のままでいいのではないか。地方の長の方は、裁量権のないものは要らないよとおっしゃるんですね。では、この給与費は裁量権があるのか。裁量権があるということは、ほかに何にお使いになるおつもりなのかというふうなことが私は疑問なんですね。これは議論してまいりますと、もう私の持ち時間三十分過ぎますから。

 今度は、わざわざ財務大臣政務官、倉田政務官にお出ましいただきました。例えば、教育目的税というのをやっている国もございます。それからまた、さっきも申し上げましたように、GDPで本当に日本は先進諸国の中で最下位ほど低いのですね。GDPの何%は教育費に使おうかとか、そういうお考えがあるのか。それも込めて、地方分権のこれについて、教育のあり方としてどうお考えかを伺いたいと思います。

倉田大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生の御高見、先ほどから伺っております。私も、教育が国のまさしく基本である、こういう考え方には全く同意でございますし、違うところはございません。

 今回の三位一体の改革という中におきまして、要するに、今後義務教育費の国庫負担金をどのように扱っていくのか、こういう御趣旨の質問ではないかと思うわけでございますけれども、昨年の十一月に政府・与党合意というものができております。その中で、義務教育制度に関する国の責任は引き続きこれを堅持する、こういう方針のもとに、その費用負担につきましては、地方案をも生かす方策とか、あるいは義務教育のあり方について幅広くこれを検討してまいる、平成十七年秋までに中教審において結論を得ることとされているわけでございます。

 財務省といたしましても、今後、この政府・与党合意に従って義務教育費国庫負担制度の改革を進めてまいりたい、こういう考えでございます。

池坊委員 谷垣大臣は同じ京都でございます。これについてお話をしたときに、教育や文化にお金を使う国でありたいとおっしゃいました。大変見識ある方だと私は頼もしく思いました。お帰りいただいて、ぜひ大臣とも、これからの二十一世紀の国のあり方、国の姿を決める大切な問題だと思うんですね。ですから、ぜひこれをお考え、検討していただきたい。この教育について、教育的見地から、どういうのが子供たちにとっていいのか、ひいては、それが二十一世紀の日本をつくっていくのだという見地から、もう一度お考えいただけたらというふうに思っております。

 今回提出されました法案の改正によりまして、今まで要保護の子供たちは、学校給食だとか、あるいはまた学校保健で、虫歯になったり中耳炎になったりいたしましたときに国からの補助がございました。今回の改正でもそれはちゃんと補助されますけれども、百十三万人の準要保護の子供たちには補助がなくなってまいります。

 これも総務省に伺いたいと思います。これは市町村のマターになってまいりますけれども、きちんと百十三万人の子供が、虫歯になった、中耳炎になった、あるいは給食費が払えなくて悲しい思いをする、そのようなことはないのでございましょうか。

 一例を挙げますと、先ほど皆様もおっしゃっていたように、総務省は六百五十億、学校図書の費用を計上してくださいました。一年間に百三十億でございます。私は、党の子ども読書プロジェクトチームの座長をしておりまして、五年間、本を読むことの大切さ、そして本を読むことによって、さまざまな正義感とか公平さだとか予測の能力、今子供は、インターネットとかテレビゲームで、すぐ発作的にいろいろなことをしてしまいますけれども、突発的じゃなくて想像力を働かせて、自分がこういうことをしたらこうなるんだよという予測の能力も身につく、本当に本を読むことはすべてですよと言って、朝の十分間の読書運動の推進、あるいはブックスタート、読み聞かせ等々を私どもは頑張ってまいりました。これがつきましたときにも、学校図書の蔵書が多くなると私は大変にうれしく思いましたけれども、残念ながら、これを学校図書に使っているのは五〇%なんですね。あとの五〇%は使途不明。何に使っちゃったのかなと私は思うんですけれども、教材費もこういうことでございます。

 このような前例がございますので、百十三万人の子供は守られるのでしょうかということをちょっとお伺いしたいと思います。

今井副大臣 百十三万人のお子さんを大変心配なさっているわけでありますが、この地方の改革案の対象とされた事業につきましては、地方自治体、地方団体が責任を持って事業を行っていくと、明確にこれは表明もしているわけであります。

 言うなれば、準要保護児童生徒のことかと思いますけれども、この援助費の補助につきましても、具体的に地方側から改革案に計上されているわけでありまして、生活保護世帯に準ずる程度の困窮していると認める方々に対しては補助を行うということがはっきりしております。現実に、一般財源化されてもその御心配はないものと思っておりますし、そうあるべきだろう、こういうふうに考えております

 いずれにいたしましても、こういった事業は長年既にもう地方の事務として定着をしているわけでございますので、法令によって実施義務が課されておる、地方団体において着実な実施が求められている学校教育法の就学援助の事務、あるいは、各地方自治体において、地域の実情においてきちんと適切に対応されるものと考えておりますし、地方分権を進めていくにつきましては、やはり地方と国との信頼関係、地方自治体を信用しない限り何事も進んでいかないわけであります。

 学校図書の話も大分話題があるわけですが、これは、各都道府県で一般財源化されて図書費がほかに使われてしまったというお話もあるわけでありますが、実は、現実に、平成十四年度、十五年度の予算決算を見た場合に、平成十四年度につきましては措置費、いわゆる交付税で措置するわけでありますけれども、これについては一〇五%の措置率でありますし、平成十五年度は一〇九%の措置率であります。いわゆる基準財政需要額では、十五年でいえば百三十億円でございますが、予算額は百四十二億円を措置しているわけであります。したがって、全国ベースで基準財政需要額を上回る予算措置が現実にはされているわけでございます。

 お話のように、読書をするということは、見ると違って頭を使う、こういうことですから、読み書きそろばんは全部頭を使うからいいわけでして、まさに読書は人間の人格形成にとってこれまた基本中の基本だろう、こういう認識を私も持っているところでございます。

池坊委員 確かに、一年間に百三十億いただきました。ただ、私が申し上げているのは、お金はいただいたんですけれども、それは学校図書には必ずしも使われませんでしたということを申し上げたかったのでございます。やはり学校の図書に使いたい、だからこそ子供たちは感性豊かに成長できるのだ、ほかのことに使われても、それは悲しいということを私は申し上げたかったのでございます。

 三位一体改革を見ておりますと、一人一人の声を上げることができない弱い人に随分しわ寄せが来ているなということを大変私は悲しく思いますし、これは必ず何十年先に、この日本にいい結果をもたらすことはないというふうに思っております。この問題をまだまだ申し上げたいことはたくさんありますけれども、話すほど何か悲しい思いがしてまいりました。

 最後に、ゆとり教育について文部科学大臣にお伺いしたいと思います。

 みずから問題提起し、問題解決する能力を身につける、基礎、基本をもとにして、その知識をどのように駆使し、英知を集めて行動していくか、考える教育、その時点において、このゆとり教育の最初の理念は正しかったというふうに私は思っております。総合的な学習の時間、四百二十時間ですか、小学校でございます。中学校では二百十時間から三百三十時間ございます。これがあるから学力低下になったのではないと私は思うんですね。

 今問題なのは、本当に総合的な学習の時間を一生懸命やってきてよかった、これがなくなるのは悲しいというまじめな先生方からのメールがたくさん届いております。そうかと思うと、ほら見ろ、文部科学省は訂正するじゃないか、やっていなくてよかったよと言っている先生もそばにはいるんだというような嘆かわしいこともございます。むしろ、この総合的な学習の時間をどういうふうに指導したらいいかわからない先生がいるんですね。

 教師の力量が問われていると思いますので、私は、この内容の見直しと教師の指導の仕方をもう一度検討していただきたいというふうに思っておりますが、それについて大臣はどのようにお考えでございますか。

中山国務大臣 お答えいたします。

 私も委員と同じように、いわゆるゆとり教育とか言われていますが、現行の学習指導要領がねらいとしております基礎、基本をしっかり身につけさせて、その上で、みずから考え、判断し、行動する、そういう主体性のあるといいますか生きる力を持った子供たちを育てたい、この理念といいますか、これは間違っていないと思うんですが、果たしてそれがそのようになっているんだろうかということを検証しなければいけない。

 もうゆとり教育は始まって三年たちますから、そういう観点から、今、スクールミーティングを全国展開いたしまして、三百校を目標にしてやっているところでございますが、その中で、総合的な学習の時間をうまく使っているところもあれば、逆に、教科との関連づけが必ずしも十分でないとか、有効に使えていないとか、いろいろな例があるわけでございまして、やはり結論としては、総合的学習の時間を実践する先生方の力量次第だなということを改めて感じているところでございます。

 そういうことで、これまでも、教員の指導の参考になりますようにすぐれた取り組みを掲載した実践事例集を刊行したり、全国各地の教育委員会の指導主事や教員等を対象とした研修協議会を開催するとか、あるいは、モデル事業の実施による実践研究などの取り組みをやってきているわけでございます。

 また、本年度からは、新たに総合的な学習の時間を含めた特色ある教育課程を円滑に編成するための指導者養成研修を実施しているところでございまして、このような取り組みを通じまして、総合的な学習の時間において先生方が教育現場で十分な指導力が発揮できるような、そういう措置を取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。

池坊委員 時間が参りました。国際学力調査は、新学習指導要領の結果ではないと思うんですね。それ以前だということと、それから、家庭において勉強する時間が日本は少ないじゃないかとおっしゃいましたけれども、フィンランドは、たしか授業が二時までで終了するところもございます。ドイツも午前中だけでございました。ですから、そういう子供たちは当然家で勉強する時間が多くなるので、日本の子供たちは学校にいる時間が長いのだと思いますので、比較をしてああだこうだと言う必要はないと私は思っております。もっと自信を持って私どもは子供たちと接したらいいのではないかと思っております。

 どちらにいたしましても、総務副大臣それから財務大臣政務官、総務省、財務省のお力も大でございます。私たちは、一政治家として、そして先を歩んでいる人間として、後に続く人たちに恥ずかしくない政策を立てていかなければならないと思っておりますので、お力添えをいただきたいと思います。

 ありがとうございました。

斉藤委員長 牧義夫君。

牧委員 おはようございます。民主党の牧義夫でございます。

 与党の三名の質疑を拝聴いたしておりました。本当に、こういう教育の問題については、与党も野党もなく、真摯に子供たちの未来を考え、そしてまた、将来世代の責任をしっかりと自覚をしながら政務に取り組む皆様方の姿勢というものを感銘を持って拝聴いたしておった次第でございます。

 そういったこともあり、また、これまでこの義務教育費の問題については昨年あるいは一昨年も法改正があったわけで、その都度、我が国の義務教育というものはどうあるべきか、国と地方の役割分担についてはどういう姿があるべき姿なのかという真摯な議論が闘わされてきたところでございますから、私は、このきょうの質問に先立って、まずは、この国会における審議というものが一体どういう位置づけになるものなのか。

 とりわけ、この問題については、中央教育審議会のみならず、経済財政諮問会議ですとかあるいは地方団体の意見を取り入れてということでございますけれども、私たちは何もここで教育について茶飲み話をしているわけじゃないわけですから、そういった意味で、この委員会での議論というのがまずはどういう位置づけになるのか、そして、これまでの議論というのがここに至るまでどういうふうに生かされてきたのかということを、まず大臣にただしながらこの質疑を進めさせていただこうかな、そう思っておりました。

 近年、特に国会が形骸化している、そんなようにも言われておりますけれども、そういった意味で、委員会の意義というものを確認するところから本当はスタートするつもりでおりました。ただ、形骸化したとはいっても、きちっと形式にのっとり、そしてまた手続を踏んで審議を進めるというのがこの民主主義のルールでありますけれども、それさえも今危うくなってきているというのが現状でございまして、まずそういったことからお話をしなければならないのは大変残念なことでございます。

 まず、きょう御出席の委員の皆様方にも認識を共有していただきたく、私は、先日、三月二日の予算委員会総括質疑において私がこの問題について質問させていただきました、まだこれは未定稿の速記録でございますけれども、お許しをいただいて皆様方にお配りをさせていただいたわけでございます。そこら辺からきょうは入りたいと思うんです。

 今回のこの法改正というのは、四千二百五十億円の減額措置、十七年度に限っての減額措置ということでこの法律の附則を追加するという内容になっておりますけれども、実は、三月二日の私の予算委員会の質疑において、その前提が崩れるような答弁を総理並びに中山文科大臣よりちょうだいをいたしました。

 皆様、お手元の資料のまず二ページをごらんいただきたいと思います。総理の発言でございますけれども、二ページ、これは三段ございますけれども、この中段の真ん中から少し後ろの部分、「私は、この補助金の問題、今回、義務教育の国庫負担金の中学校にかかわる部分、こういう点については、地方にその権限を渡してもいいのではないかと思って、そういう方針を決めて、今年度は約八千五百億円の中での約半分、今後のことについては中教審等の意見を踏まえましてよく協議していこうという判断をしたわけであります。」このように総理は述べられております。

 そして、五ページをごらんいただきたいと思います。五ページの一番下の段、終わりの方で、私のこの八千五百億の根拠についての質問に対して、中山大臣が「この八千五百億円というのは、中学校の分の先生方のお給料の半額ということでございます。」と、そういう答弁をされております。

 私は、あれと思ったものですから、再度もう一度、私も人がいいものですから、助け船のつもりで、再度もう一度確認をいたしました。それが最後のページの一番終わりのところでございますけれども、中山大臣が再度、「今申し上げましたように、この八千五百億円というのは、まさに中学校の分の先生方の給料の半分ということで、それがそのままだというふうに御理解いただきたいと思います。」このように述べられているわけでございます。

 そうすると、今回提出されたこの法案、せんだって大臣からもその提出の趣旨説明を受けましたけれども、この内容とこのときの答弁がまるっきり違うわけで、この法案と先日衆議院を通過いたしました十七年度予算との関連、それぞれ相互に前提となっているものでございますから、そこら辺がずれていると、私たちはこの委員会における審議、どこから始めていいのか、何を前提に何を議論していいのかさえわからないというのが実情でございます。

 これは、文科省の方でおつくりになったこの法案の中身が正しいのだとすれば、小泉総理あるいは中山大臣も含めてとんでもない勘違い、心得違いをしていたのかということにもなりましょうし、あるいは、そうでないということであれば、この法案そのものに重大な瑕疵があるわけで、これは附則で片づけられるわけではないわけで、中学校分が義務教育国庫負担の対象から外れるということは、本則の第二条で義務教育諸学校の範疇から中学校を外さなければならないわけですから、そういった意味で、我々はここで総理並びに文科大臣のそこら辺のところを問いたださなければ、これから先の審議も進められないということでございます。

 せっかく今中山大臣もおられますので、私は、あのとき助け船を出すつもりで再度お聞きをしましたし、そしてまた予算委員会の現場でも、与党の渡海理事にも、まだ時間中でありますからこれは委員長に発言を求めて訂正することもまだ可能ではないか、そのようにも私、申し上げたわけであります。そこら辺のところをまず大臣からお聞きしたいと思うわけで、私、予算委員会の部屋から出たらもう文科の皆さん方に取り囲まれて、これは大変だ、大臣はこんなふうに認識しているはずはないんだというふうに、大変皆さんが慌てふためかれておりましたので、ぜひ大臣から、まずはっきりとお聞きをしたいと思います。

中山国務大臣 あのときは、ここにも、牧委員の方からも「もう時間がないので説明は要しません。」こう言われるものですから、また理事の方々からも、急げ急げ、簡単に簡単にと言われるものですから、説明不足だったかなと思うんですけれども。また、私も、牧委員の本当に何といいますか、親心というか親切心もよくわかりませんで、その八千五百億というのが、中学校の先生の給料の半分をそのまま削除するんだ、そんなことはもう考えてもおりませんでしたから、はっきり申し上げて、何を質問されておるのかよくわからなくて、要するに規模、八千五百億という規模はどういう規模ですか、どういうことですかと言われるから、要するに、まさに八千五百億円という中学校の先生方の給料の二分の一に当たる額ですよ、そういうことを結論だけ申したので、その辺のところが意思の疎通がなかったかとも思うわけでございますが。

 もう当然そういうことはわかった上で質問していただいているんだろうと思ったものですから、要するに、その分でございます、額はそういう分でございます、そういう規模でございますという意味で、その分というのはそういうつもりで、ここにありますが、「この八千五百億円というのは、中学校の分の先生方のお給料の半額ということでございます。」こういうふうに答えたわけでございまして、要するに、そういう金額の規模ということでございます。

 規模という言葉を入れればよかったんでしょうけれども、分ということで、規模というそういうことでなんだろうと思ったわけでございまして、決して誤解しているわけでもなくて、説明不足であったということは申しわけがなかったと思うんですけれども、本当に時間が切れておりましたので、しり切れトンボになりましたが。

 改めて答弁させていただきたいと思いますけれども、この政府・与党合意における八千五百億円や四千二百五十億円については、昨年八月の地方六団体の改革案において義務教育費国庫負担金について、中学校教職員の給与に係る負担金八千五百四億円を税源移譲対象としていることを踏まえまして、全体像において、金額の規模として、暫定的に八千五百億円程度を計上したものである、このように認識しておりまして、また四千二百五十億円というのはその半分というふうに理解しております。

 すなわち、四千二百五十億円というのは中学校の教職員の給与とは関係なく、今回の法案は、義務教育諸学校の教職員給与から単に四千二百五十億円を減額するものである、要するに、その四千二百五十億円というのは中学校の先生方の給料の半分に相当する分だ、こういうふうに私は考えて、理解しているところでございます。

牧委員 御趣旨はわかりますけれども、私はもうちょっと気のきいた答弁をしていただけるかなと期待をいたしておりました。

 私は、あえてこれを聞いたのは、その根拠を聞いたわけで、そしてまたもう一回繰り返し聞いたのは、数字はかりてきただけの数字でしょうと。まさに今おっしゃったように相当額ということなわけで、相当する額であるけれども、何も中学校分じゃないということを私はお答えいただきたかったわけです。

 これは一番この法律の中で、四千二百五十億というこれを減額して、その減額した分、比例案分して地方にまた配分するんだというただ単純な足し算と引き算と掛け算と割り算だけですから、ここで大事なのはやはり根拠なんですよ。そこを私はきちっと答えていただきたかった。

 それは本当に残念な話ですし、この委員会のここで大臣の答弁をいただければこれで片がつくというのは、形式的にはそうなのかもしれませんけれども。ただ、これは予算をもう通してしまいましたからね。こういう前提で予算を通したわけですよ。この予算とこの法案というのはお互いにその前提になっているわけですから、私たちはやはりきちっと総理の真意をただしたその上で、大前提をしっかりと、皆さんが同じ前提に立ってこの法律の中身の議論に入らなければ、もうこれ以上の質問をしても本当に茶飲み話で終わってしまう。

 委員長、どうされますか。私はもうこれ以上、総理出席の前提がなければ、質問をする意味もないと思います。

中山国務大臣 この暫定という言葉、実は、三位一体の中で、私も財政諮問会議あるいは四大臣会議等におきまして、暫定的に、仮積みということでどうだ、そんな議論がずっとありました上でのこの四千二百五十億、八千五百億の半分でございました。そういった議論の経緯がずっとございましたものですから、中学校の分の二分の一だ、それはもう当然のことだという前提がありましたものですから、はっきり申し上げて、牧委員がどういう質問をしておられるのかがよくわからなかったんですが、規模としてそういうものだ、仮積みでやっているんだということだったものですから、私もそういう答弁でございまして、何か間違ったことを言っているとは思わないんですけれども。

 時間がなかったので説明が足りなかったことはこれは申しわけなかったと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、規模としてそういう額をぼんと削減したんだ、その分を税源移譲予定特例交付金で積んだんだ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

牧委員 大臣、そこで、さっきのところでやめておけばまだよかったんですけれども、私、間違ったことを言ったとは思っていなかったんですけれどもという言い方をされると、それは私は心外ですよ。だって、これは最後に、「今申し上げましたように、この八千五百億円というのは、まさに中学校の分の先生方の給料の半分ということで、それがそのままだというふうに御理解いただきたいと思います。」とあえてまたつけ加えているわけですよ。

 それで、今ここでそれを訂正して済ませようと思ったけれども、またそういうことをおっしゃるのでは、これはますます話の前提が壊れてきてしまいますね。

 それと、もう一つ言わせていただくと、そのとき私、やはり総理が目の前に座っているわけですよ。大臣が答弁されるとき、後ろから総理は、いや中学校分だ、中学校分だ、もう早く言って済ませろと。まさに、これは議事録には残っていないですよ。ただ、ビデオを見てみていただければわかると思いますよ。もう確信犯なんですよね。この法律の審議をする前提がもう違うじゃないですか。どうやってここから議論しろというんですか。

中山国務大臣 要するに、規模としてそのままですという、それをぽんと仮積みしたというそれだけのことです、私はそう思っています。

 あのときはざわざわしていましたので、総理がどういうふうなことを発言されたか、私に聞こえたのは、簡単にしろ、時間がないと言われるという声だけは聞こえたものですから説明は省略したんですけれども、言いたいことは、そのまま仮積みしたのでございます、そのままでございますという言葉を使ったと記憶しております。

牧委員 もう大臣の御答弁はいいですよ。とにかく、この議事録を見ていただいても、またほかの審議の議事録を見ていただいても、総理は再三再四、地方案を尊重して、地方案を尊重してとおっしゃっているんですよ。だから、ひょっとすると、本当に中学校分だと言い張るかもしれない。本当に、総理から聞いてみないとわからないんですよ、これは。だから、そういう前提で私は質問をしたいと思います。(発言する者あり)後日じゃだめですよ。後日じゃなくて、その前提がなければ、この審議に入れないということですよ。この法案の中身に入れないということです。

斉藤委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

斉藤委員長 速記を起こしてください。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四分休憩

     ――――◇―――――

    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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