衆議院

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第8号 平成18年3月17日(金曜日)

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平成十八年三月十七日(金曜日)

    午前九時三分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 乙彦君

   理事 小渕 優子君 理事 大前 繁雄君

   理事 小島 敏男君 理事 西村 明宏君

   理事 松浪健四郎君 理事 藤村  修君

   理事 牧  義夫君 理事 池坊 保子君

      阿部 俊子君    秋葉 賢也君

      井脇ノブ子君    飯島 夕雁君

      浮島 敏男君    小川 友一君

      小野 次郎君    岡下 信子君

      加藤 紘一君    川条 志嘉君

      木原  稔君    近藤 基彦君

      佐藤  錬君    坂本 剛二君

      清水清一朗君    鈴木 俊一君

      西本 勝子君    林   潤君

      福田 峰之君    藤田 幹雄君

      馬渡 龍治君    松本  純君

      山本ともひろ君    吉野 正芳君

      泉  健太君    岩國 哲人君

      奥村 展三君    北橋 健治君

      末松 義規君    田中眞紀子君

      松木 謙公君    松本 大輔君

      山口  壯君    笠  浩史君

      西  博義君    石井 郁子君

      保坂 展人君

    …………………………………

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   文部科学副大臣      河本 三郎君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   衆議院調査局長      大西  勉君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  藤井 昭夫君

   政府参考人

   (総務省行政評価局長)  福井 良次君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 玉井日出夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         干場 静夫君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            石川  明君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       小田 公彦君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (文化庁次長)      加茂川幸夫君

   参考人

   (独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター理事長)       高  為重君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十七日

 辞任         補欠選任

  近藤 基彦君     林   潤君

  坂本 剛二君     小野 次郎君

  鈴木 恒夫君     松本  純君

  永岡 桂子君     清水清一朗君

  福田 峰之君     浮島 敏男君

  奥村 展三君     岩國 哲人君

  田中眞紀子君     泉  健太君

  横山 北斗君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     福田 峰之君

  小野 次郎君     木原  稔君

  清水清一朗君     永岡 桂子君

  林   潤君     近藤 基彦君

  松本  純君     鈴木 恒夫君

  泉  健太君     田中眞紀子君

  岩國 哲人君     奥村 展三君

  松木 謙公君     横山 北斗君

同日

 辞任         補欠選任

  木原  稔君     坂本 剛二君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人国立オリンピック記念青少年総合センター理事長高為重君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として総務省行政管理局長藤井昭夫君、行政評価局長福井良次君、文部科学省大臣官房長玉井日出夫君、大臣官房総括審議官干場静夫君、生涯学習政策局長田中壮一郎君、高等教育局長石川明君、科学技術・学術政策局長小田公彦君、スポーツ・青少年局長素川富司君及び文化庁次長加茂川幸夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本ともひろ君。

山本(と)委員 おはようございます。自由民主党、京都二区、近畿ブロック選出の山本ともひろです。

 本日は、独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案について幾つか御質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず初めに、独立行政法人とは一体何なのかという極めて基本的な御質問をさせていただきたいと思います。

 この独立行政法人という議論が出たのが、五年、六年、七年ぐらい前だったかと記憶しております。六年ぐらい前になりますと、私自身もまだ学生でありまして、一体、独立行政法人というのは何なんだろうかというような話を仲間と議論していたことをきのうのように思い出すわけでありますが、実際、世の中の組織として大別されるのは、パブリックセクターとプライベートセクター。公営、国立のパブリックセクターとは、では一体何なのかといえば、市場に出して市場原理で競争させても利益は得られないけれども、実際の社会のニーズあるいは公共性、社会性をかんがみると必ずやっておかなければいけない分野あるいは仕事、業務ということになろうかと思います。そして、プライベートセクターといえば、市場原理で競争をし、そして需要と供給のバランスを考えて顧客あるいは消費者に対してよりよいサービスを提供していく。

 その中で、では独立行政法人というのは一体何なのかと考えた際に、今現在、我々自民党を中心とする与党あるいは政府は、日本という国そのものを小さな政府にしていこう、効率のよい小さな政府にしていこう、あるいはナショナルミニマムというものを考えていこう、民間でできることは民間で行いましょう、これは私は大変いいことだと思います。こういった改革は、どんどんと我々がしっかり頑張って進めていかなければいけないと考えております。

 そういった中で、では独立行政法人というのは一体何なのか。私が理解している中では、民間でできることは民間でといっても、採算の合わないもの、しかしながら社会のことを考えて、日本のことを考えて、あるいは公共性を考えればやっておかなければいけないこと、そういったことを独立行政法人が、民間のいいところはどんどんと活用して、システムを活用して取り入れて、なおかつ、社会性あるいは公共性を考えてしっかりと仕事をしていく、業務をこなしていく、そういったものが独立行政法人なんだろうと私は理解をしておるところでございますが、そのあたり、独立行政法人とは一体何なのかというところを、大臣の御見解をお聞かせください。

小坂国務大臣 山本委員が御指摘のように、平成八年に設置されました総理大臣の直属機関であります行政改革会議の最終報告、これは平成九年の十二月に提出されたわけでございますが、ここにおいて提言された独立行政法人制度、これに基づいて独立行政法人というものを創設したわけでございますが、今、委員御自身がおっしゃったように、国が実施すべき事務事業のうち、一定のものを国とは別の法人格を有する独立行政法人にゆだねることによって、機動的、弾力的な組織、業務運営を可能として、効率性、質の向上、透明性、これらの確保を図ることを目的としております。

 政府が重要な課題として取り組んでいる簡素で効率的な政府、今、小さな政府を目指すとおっしゃっていただきました、この実現に資するものと考えておりまして、委員御理解いただきましたように、採算性というよりも、むしろ国が行うべき実施事務のうちで、一定のものを独立行政法人にゆだねることによっての効率化、適正化を、適正かつ質の向上を図っていこう、こういうものでございます。

山本(と)委員 民間ではなかなか、一〇〇%民間にしてしまえば採算が合わなく、組織としての機能が停止してしまう。しかしながら、社会として非常に重要な部分、果たしていかなければいけないということを独立行政法人が、今まさにしっかりと行っていただいているということが、大臣からいただいた今の御答弁で私もよく理解をいたしました。

 続きまして、この法律案によりますと、十二法人の役職員の非公務員化ということが挙げられておりますが、この独立行政法人は、既に五年間、独立行政法人として業務を果たしてきた。その中で、今までパブリックセクターで行ってきたものを独立行政法人に変えたことによって、随分と意識が変わって、非常によいサービスがどんどんどんどんと提供されてきたというふうに私も伺っております。

 その中で、今回、またさらに、役職員の身分を非公務員化する、いわゆる民間人になっていただく、いわゆるサラリーマン、サラリーウーマンになるということになろうかと思います。そういった中で、この五年間、しっかりと独立法人として、その職員として、公務員としてしっかりと仕事をされてきた方々が、これからは民間人になる、サラリーマン、サラリーウーマンになるということですが、その中で、彼らの、職員の、民間人になる、サラリーマンになる、サラリーウーマンになるということに対する何かインセンティブといいますか、モチベーションを上げるものというものは一体どこにあるんでしょうか。

 さらに、きちっとこの五年間、しっかりよりよいサービスをしようという努力をしてきた。そして今回、さらに民間人としての立場に変わる、変えなければいけなかった、変えようということに今その法律案ではなっているわけですが、どうしてそういうことになったのか。

 以上、大臣はどのように御理解されているのか、よろしくお願いします。

小坂国務大臣 従来公務員であった者を非公務員化することによりましてのインセンティブはいかなるものかという御質問でございますけれども、例えば成果主義を導入することができるわけでございまして、成果主義の観点から、賃金制度や労働条件を大胆に見直し、柔軟性を持たせることができる。また、法人の独自の判断でこういったことが可能になるほか、職員の側から見ても、自分が努力すればそれに応じた報酬が得られる、いわゆる公務員横並びではない、そういったことがみずからのインセンティブになると考えております。

 また、民間との人事交流が容易になりまして、今まで公務員が民間に行く、出向をするにしてもいろいろな規制がございますけれども、自由な人事交流が可能になりますし、職員に対する、それが刺激や職員間の切磋琢磨がここに起こってくる、このように期待をして、これらがインセンティブというふうに考えられるところだと思っております。

 一方、それが達成されない、所期の目的、成果というものを達成できない場合どうするかというような意見もあるわけでございますが、こういったことに対しては、これは法人それぞれが独自の労務規程等を設けることによりまして、人事その他の政策の中で本人のインセンティブをより働かせるという方向で、ペナルティーを恐れるということではなくて、萎縮するようなそういった取り組みではなくて、むしろインセンティブを働かせることによって職員それぞれが頑張ってもらう、こういう取り組みを期待しての非公務員化でございます。

山本(と)委員 確かに、今大臣が御指摘のとおり、ペナルティーを科す、組織として、民間の企業でも、例えば営業に携わる人間、目標を定められて、その目標をクリアすれば何か報酬を得られるというような、ポジティブな、積極的なことは大変いい結果をもたらすと思いますが、目標をクリアできなければペナルティーを科すということであれば、職員が萎縮してしまって、組織としてなかなかいい結果が全体を通じて得られないなと私も思っておりますので、民間に移ることによって人事交流ができたりあるいは成功報酬を得ることができる、そういったインセンティブがいろいろオプションとして用意されているということは、この独立行政法人がこれからもよりよいサービスを国民に提供できるのではないかと私も期待をしているところであります。

 続きまして、独立行政法人の役職のポストについてでございます。

 いろいろな立場の方々がいらっしゃいます。いろいろなお話があります。日本は言論の自由がありますので、どのような話をされても基本的には自由なんだと思います。マスコミ等々もいろいろな話をしますが、その中で、私もよく耳にする話なんですが、独立行政法人の役職、ポスト、こういったものが随分といわゆる天下りの温床になっているのではないかというような御指摘があろうかと思います。

 一見しますと、また、それをちょっと聞きますと、さも、独立行政法人の役職、理事長、理事、さまざまなポジションがあると思いますが、どうもそのすべてが天下りで、政府、中央省庁、皆さんで、その先輩や後輩にポストを渡してというような、すべてそんなことで話が決まっているかのような議論があります。私は、それはちょっと乱暴な議論で、誤解を招いているのではないのかなと常々思っておりました。

 この独立行政法人の中のその役職、もっとポジティブに考えておられる人たちの立場のお話を聞きますと、いや、そうじゃないんだ、官民の格差のバランスも考えて役職のポジションは決まっている、あるいは適材適所で役職についていただいているという話を聞きます。この独立行政法人、ただの団体ではなくて、社会性、公共性を持った、そしてまた専門性を持った組織でありますので、だれしもがその役職についてすぐに業務ができるというわけではないと思います。

 そういった意味合いで、天下りの温床になっているという議論はかなり乱暴であり、私自身は的を射ていないと思いますが、このあたり、実際上、どういった状況になっているのか、政府の御見解をお聞かせください。

馳副大臣 平成十六年三月十二日に、内閣官房長官が記者会見でこういうふうに申しておられます。特殊法人及び独立行政法人の長の人事について、まず、そもそも論ですが、特殊法人及び独立行政法人は、公共性の高い業務を効率よく実施することが求められており、法人運営には行政の経験と民間の感覚をともに活用することが必要である。これを前提にして、人事に当たりまして、法人の長及び役員については、官民の出身者をいずれかに偏ることなくバランスよく適材適所で登用する。こうされておりまして、こういう政府の方針に従って、文部科学省所管の法人に対しても適材適所の人事を行っておるということが事実でございます。

 ちなみに、我が省所管の二十八の独立行政法人の長のうち国家公務員OBが十三名、それから、その他の役員として九十二名のうち国家公務員OBが三十三名、おおむね大体四割方がいわゆる国家公務員OBであるという事実を申し上げておきたいと思います。

山本(と)委員 今、馳副大臣に御答弁いただいたように、天下りの温床になっているというような乱暴な議論があるけれども、実際は、数字的に見ても四割程度の国家公務員のOBの方が役職につかれているということでありますので、やはりいささか乱暴な議論ではないかなと私も今再認識をいたしました。

 続きまして、この法律案にあります追加出資の規定についてお尋ねをしたいと思います。

 独立行政法人に国が土地や建物を提供する。国立新美術館の建物、あと九州国立博物館の土地を国が無償で提供する。簡単に言えば、ただで上げてしまう。そうなりますと、今現在、国または地方も非常に財政的に苦しい状況にあるということは、もうだれしもが知っている状況であります。実際、この土地建物というのも、およそ安いものではないと思います。私も、試算したわけではございませんのでわかりませんが、一億、二億という話ではなく、何百億という話になろうかと思います。それをただで国が上げてしまう、日本国の財政状況の中でいくと、随分ぜいたくな話だというような感じも受けますが。

 先ほど大臣からの御答弁にもありましたとおり、独立行政法人の性格上、そもそも利益を追求しても採算の合うような事業ではなく、にもかかわらず社会性、公共性を考えれば引き続きやっていかなければいけないことがある、大事なことがある、そのことに対して国ができる限りの支援をする、土地を提供する、建物を提供するということは、私はやっていかなければいけないことだと思っておりますが、そのあたり、どういった理由で土地や建物を提供するのかというところを、政府の御見解をお聞かせください。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 いわゆる出資規定を今回お願いしておりますことにかかわってのお尋ねでございます。

 お話にもございましたように、現在国は、国立の美術館としては五番目になります、国立新美術館の建物を新たに建設中でございます。来年一月の開館に向けて現在鋭意準備中でございますが、この建物を独立行政法人国立美術館に追加して出資することを予定しておるわけでございます。また、お話にもございましたが、平成十七年十月に開館いたしました九州国立博物館の土地につきましては、現在国が所有している部分について、独立行政法人国立博物館に有償で貸与をしている状況にございます。

 これらの土地建物につきましては、国が所有して管理をするというよりも、実際にこれらを使用する独立行政法人が管理した方が施設等の適切な管理運営でございますとか、また事務の効率化に資することが考えられますので、私どもは出資することが適切と考えているものでございます。

 ただ、御指摘にもございましたように、財政難にもかかわらず出資をお願いするわけでございます。国民の貴重な財産を出資していただくわけでございますので、出資後の管理につきましては、より厳正な管理が求められるわけでございまして、例えば、こういった財産の処分につきましては、勝手に処分をすることができない、主務大臣の認可を得ずに処分をすることができないといった独立行政法人の適切な仕組みが働くことも付言させていただきたいと思っております。

山本(と)委員 ありがとうございました。

 本日議論をさせていただいた中で、私も、独立行政法人がこれから果たす役割ということを再認識させていただきました。これからもよりよいサービスが独立行政法人から我々国民に対して提供されることを心から願っております。

 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

遠藤委員長 井脇ノブ子さん。

井脇委員 自民党の井脇ノブ子でございます。

 私は、今回の独立行政法人の国立青年の家と国立少年自然の家、国立オリンピック記念青少年総合センター、この三つが国立青少年教育振興機構となりますが、社会教育をしていましたので、そこで利用させていただいておりましたので、そのことについて質問をしたいと思っております。

 現在、政府においては、小さくて効率的な政府の実現を図る観点から、積極的に行政改革を推進しています。昨年末には行政改革の重要方針を閣議決定し、去る三月十日には行政改革推進法案を国会に提出したところであります。

 今回の法案はこの行政改革の一環であるとのことですが、まず、この法律案の趣旨、目的についてお聞きしたいと思います。また、法律案の題名にもありますとおり、今回の法律案は独立行政法人に係る改革を推進するためのものであるとのことですが、具体的にどのような改革が推進されますか。改めて、その内容と効果について、文科大臣にお伺いしたいと思います。

馳副大臣 社会教育、とりわけ青少年教育に身命を賭して率先して努力してこられた井脇先生には、深く敬意を表しております。

 そこで、今回の法案によって大きく三点を、改革の方針を申し上げたいと思います。

 まず、十二の特定独立行政法人を非公務員化し、文部科学省所管の二十八法人すべてを非公務員化すること、二、青少年教育関係の三法人を統合し、役職員の削減や一体的な事業運営を行うこと、三、国立美術館及び国立博物館への追加出資を行うこととしております。これによって、非公務員化に伴う柔軟で弾力的な人事制度の構築をすること、統合に伴う総合的、効果的な青少年教育の振興を行うこと、追加出資に伴う法人自身による施設の管理運営が実施され、効率的、効果的な法人運営の実現が期待されるところであります。

 以上です。

井脇委員 ありがとうございました。

 次に、青少年教育の三法人の統合に関して何点かお聞きしたいと思います。

 まず、子供の体験活動の実態や意義についてお伺いしたいと思いますが、子供の豊かな人間性や社会性をはぐくむ上で、自然体験活動を初めとしてさまざまな体験活動が極めて重要であると考えています。実態としては、子供がこうした体験活動を行う機会が年々減っている現状でございます。

 例えば、自然体験活動について、子供の体験の状況はどうなっていますか。また、文部科学省では、自然体験活動の効果についてどのようにとらえているでしょうか。馳先生、お願いします。(馳副大臣「細かいことは政府委員に任せておりますので、具体的なことは」と呼ぶ)

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、都市化、情報化社会の進展を背景として、自然体験を行う機会が子供の周りから減少してきているわけでございます。

 幾つか調査はあるわけでございますけれども、例えば国立オリンピック記念青少年総合センターが行っている実態調査によりますと、例えば昆虫を捕まえたことがあると答えた青少年は、平成十年には八一%ございましたが、平成十七年には六五%に減少しているわけでございます。また、キャンプをしたことがあると答えた青少年は、平成十年には六一%あるのに対して、平成十七年には四八%に減少しているということが報告されております。

 また、子供の自然体験活動の効果についてのお尋ねがございました。ある調査によりますと、自然体験が豊富な子供ほど道徳観、正義感が充実しているというような傾向が見られるということがございますし、また、学習意欲に関する調査研究によりますと、自然に触れる体験をしたときには子供は学習意欲が高まるというような調査もあるわけでございます。

 このような調査結果を踏まえて、自然体験活動は、子供たちの社会性や豊かな人間性を図っていく上で、大変有意義であると考えております。

馳副大臣 文部科学省としては、学校等における体験活動等の充実などについて規定した学校教育法及び社会教育法の改正、これは平成十三年七月にいたしておりますが、この趣旨を踏まえて、家庭、学校、地域社会において体験活動を推進するための諸施策を実施しているものでございます。

 事業の名前だけをちょっと申し上げさせていただきますが、豊かな体験活動推進事業、地域教育力再生プラン、奉仕活動体験活動の推進・定着のための研究開発、民間社会教育活動振興費補助金、「ものづくり」人材の育成・確保の推進、省庁連携子ども体験型環境学習推進事業、問題を抱える青少年のための継続的活動の場づくり事業、青少年の自立支援事業、「子どもゆめ基金」事業、独立行政法人国立青少年教育振興機構の管理・運営、伝統文化こども教室事業などの事業を展開しておりまして、今般の法改正によって三法人が統合されることによって、これらの事業が効率的に運営されていくものと期待しておりますし、そうすべく努力をしてまいりたいと思っております。

井脇委員 ありがとうございました。大変よくわかりました。

 自然体験活動が子供にとっていかに教育効果があるかということが今申し述べられましたが、今後もぜひお願いしたいと思っております。頑張ってやりたいと思っております。

 自然体験の減少に加えて、少子化や情報化社会の進展に伴い、子供が友達と遊ぶ機会が減少し、テレビゲームやコンピューターに向かって一人で過ごす時間がふえているのではないでしょうか。このために、友達や地域の人たちとの交流体験の減少が、不登校や引きこもり、自立のおくれといった近年の子供たちをめぐるさまざまな問題の背景にあると思われます。

 このような現状に対して、文部科学省としてどのように対応すべきだとお考えでしょうか。また、その際に、今回の青少年教育三法人の統合メリットをどのように生かそうと考えていますでしょうか、お聞きしたいと思います。

馳副大臣 今回統合される三法人で、実際に委員御指摘の課題に対してのモデルプログラムを開発しておりまして、ちょっと紹介させていただきたいと思います。

 まず、国立オリンピック記念青少年総合センターでは、ボランティア専門研修というのを行っております。それから、国立青年の家の方では、例えば、国立岩手山青年の家の方では、カンガルーキャンプ。これは、引きこもりがちな青年を対象にして、九泊十日の自然体験や生活体験、グループワーク等を通して自主性、社会性をはぐくみ、心身ともに健康な生活ができるようなきっかけをつかむ場を提供しております。また、国立淡路青年の家では、環境教育プログラム集をまとめております。それから、少年自然の家に関してですが、国立那須甲子少年自然の家では、「ひとり立ちへの挑戦!君がつくる一四四アワー」と題しまして、子供の主体性、問題解決能力、基本的生活習慣、自律性などをはぐくむことを目的として、少年自然の家での生活や活動など、六泊七日、百四十四時間のプログラムすべてを、八人という小グループで、子供みずからが計画し、実践する機会を提供しております。

 これらのように、なかなか現代社会では子供たちが自然と触れ合う、また他者とともに小グループで生活をする機会が少のうございますので、そういう機会を提供することによって、みずから問題をつくり、その問題を解決していく、課題があればそれに挑んでいく、こういう姿勢を後押しする事業を今後三法人の統合によって効率的に展開していきたいと考えております。

井脇委員 ありがとうございました。

 今すごい、すばらしいプランが、今まで六泊七日とかそういうのが、そう簡単には長くはなかったんですが、こういう非常にすばらしい計画があります。

 この三法人が統合して、国立青少年教育振興機構が、このような立派なプランがたくさん子供たちに提供されておりますが、やはりプログラムをつくったり、また現場に立ち会っての指導者がとても大切であると私は思っております。

 昔になりますが、三十年前ごろに、御殿場の国立青年の家で、鳩野修二郎という文部省からの職員で、所長をしておりましたその方の教育を私は国立青年の家で受けましたが、すばらしい社会教育者でありました。そういう人がこの中に何人かいないと、ただプランはいいけれども、子供たちに対する教育の指導者がとても重要であると考えております。

 そういう意味で、今後も指導者に対する、先ほど山本先生からも職員についての話がありましたけれども、教育のベテランの、そしてまた、子供たちへの社会教育家としての本当に立派なプログラムができたり、実践ができたり、そして子供に夢を与えたり、体験を充実させたり、そういうことの徹底した社会教育家を選んでほしいな、こういうふうに思っております。

 続いて、統合後の法人が行う事業について、もう一つ確認したいと思います。

 体験活動をあまねくすべての子供たちに提供するためには、活動の意義や教育上の効果について、保護者や住民の理解を求め、活動への子供たちの参加を促すことが必要であると考えます。自然体験活動等を提供する青年の家や少年自然の家といった施設は、公立施設としても数多く設置されています。今後は、統合後の法人と公立施設が協力して多様な活動を提供するとともに、他施設が提供する活動へ子供の参加を積極的に促すことが大切であると考えます。

 そこで、公立施設に対して、統合後の法人はどのようにかかわっていくのか、先ほどはプランを聞きましたけれども、どのような支援を行うつもりなのかをお伺いしたいと思います。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 統合後の法人は、引き続き、全国に設置する施設におきまして、各地域の中核的な拠点としての活動を行うわけでございます。この意味で、地域の公立青少年教育施設を支援するわけでございますけれども、具体的に申し上げますと、開発いたしましたプログラムを公立施設に普及させるということ、それから、公立施設の職員を対象とした研修を実施する、こういったことで公立施設が行う事業の質を高めるための各種の支援を行うこととしております。

 あわせまして、青少年教育のナショナルセンターといたしまして、青少年教育に関します調査研究の成果でございますとか、また、全国の青少年の体験活動等に関する活動内容を収集して、これを広く公立の青少年教育施設に周知する、こういったことで、地域の公立の青少年教育施設をサポートする中核拠点として今後も位置づけをきちんとしていくということでございます。

馳副大臣 先ほど委員御指摘の指導者の問題でありますが、今までも業務として基本研修と専門研修を行ってきておるところでありますし、今後はさらに、こういう指導者育成事業などを行う民間団体とも連携しながら、より一層指導者の研修を充実していきたいと考えております。

井脇委員 最後に、青少年の体験活動については、独立行政法人や公立施設だけでなく、民間の青少年団体もさまざまな活動を提供しております。それぞれの立場で青少年の体験活動を充実することが重要であります。青少年の体験活動を学校のカリキュラムの中に取り入れるような考えはありますでしょうか。

 また、こうした施設や団体が教育効果の高い体験活動を提供するためには、先ほども言いましたが、その活動を企画立案し実施する職員の資質向上が必要不可欠であると考えます。先ほど馳先生から解決をいただきましたけれども、もう一歩掘り下げて、学校の教員は、免許制度や教員養成、研修制度など、教員の資質向上の仕組みが充実しております。今なされようともしております。しかし、社会教育の、統合した機構ではそれがない。そのような仕組みのない学校外での青少年教育にかかわる指導者の育成は、青少年教育のナショナルセンターである統合後の法人が特に力を入れて取り組むべき課題ではないかと考えます。

 青少年教育指導者の育成に対して統合後の法人はどのように取り組むつもりでしょうか、御見解を述べていただきたいと思います。

小坂国務大臣 井脇委員の御指摘、なかなかポイントをついていると思います。

 やはり、体験学習というものを学校の教育の現場でもどんどん取り入れるべきだという御意見はございまして、総合学習の時間を設けたのもその一つでございます。例えば、福祉の勉強あるいは環境についての勉強というのは、教科にとらわれずに、教科横断的な取り組みが必要でございますし、また、その中においては、実際に福祉施設に行ってみるとか、あるいは環境問題を、校外に出て実際にそういったところの症状を見たり、いろいろなところを見学したり、あるいはそれについて考えるということは大変意義があることだと思っております。また、それに対する教員の認識、また指導力というものも必要とされることから、そういったものに対してのプログラムをつくり、また教材等の開発等を行っていただくなど、そういった意味での充実を図っていくことも必要だと思っております。

 今回の国立青少年教育振興機構、こういう形で統合されたこの機構においても、関係の皆さんだけでなく、こういった指導者の皆さんの質的な向上、そして、そういった皆さんが使いやすいプログラムの開発、こういったものにも努力をしていく形になる、このように考えておりまして、先生の御指摘の部分、今後とも私ども努力してまいりたいと存じます。

井脇委員 大臣、ありがとうございました。

 社会教育の充実をより図り、体験教育が展開されることを希望して、終わります。ありがとうございました。

遠藤委員長 西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 本日の内容でございますが、独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案について質問をさせていただきます。

 まず初めに、この機会に、文部科学省関係の独立行政法人のこの間の推移等、ずっと拝見いたしましたが、独立行政法人というもののあり方については議論はあると思いますが、それぞれの法人が前向きにこの間受けとめて、また努力をされているということに対しては敬意を表したいと思います。

 初めの質問でございますが、ずっと拝見しまして、文部科学省関係の独立行政法人、非常に多様性に富んでいるというふうに思います。一つは、研究機関、たくさんございます。それからもう一つは、美術館、博物館という展示を主として行っている施設、それから、青年の家、少年の家等の教育研修を行っている施設、こんな施設並びに機関がさまざまな役割を負って、法人として一元的に通則法という法律のもとで管理され、また評価もこのたび行われているわけですが、これを全く同じ基準で評価するのは本当に正しいのだろうか、こういう疑問がございます。

 お聞きするところでは、総務省では、評価に当たって、参考になる指標を提示しているというふうに聞いておりますけれども、各省庁の独立行政法人評価委員会の議事の内容を拝見しますと、適正な評価とは何かということについて、それぞれの機関が試行錯誤しているという様子が思い浮かばれます。

 そこで、法人の特性に合わせたタイプ分けを行って、評価基準、指標を随時見直していくという作業がこれから必要なんではないか、どういう評価をそれぞれの機関がやっていくのか、もう少し類型化していただいてもいいんですが、一つ一つ個別というわけにはいかないと思うんですが、先ほど申しましたような、文部科学省だけでも大きく分けて三つぐらいの類型化ができるんじゃないかと私自身は考えておりまして、この評価のあり方につきまして、総務省の御意見、それから大臣の御意見、それぞれお伺いをしたいと思います。

福井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、独立行政法人はさまざまな事務事業を実施しているところでございます。したがいまして、評価を行うに当たりまして、御指摘のとおり、業務の特性に応じた評価の視点を持つことも必要と考えているところでございます。

 そこで、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会におきましても、研究開発あるいは教育、指導、訓練、その他幾つかの業務類型ごとに評価の観点を整理した上で、平成十六年の六月でございますが、報告書を取りまとめ、各府省の独立行政法人評価委員会にも通知しているところでございます。

 独立行政法人の評価を行うに当たりましては、こうした成果も参考にしつつ、法人の業務の特性を踏まえた評価を行っていただくことが重要であるというふうに考えております。

西委員 不断に、そういう観点から、それぞれの実情に合わせた評価のあり方を今後も検討していっていただきたいということを申し添えさせていただきます。

 それから、この間、独立行政法人になりまして、それぞれの法人は三年から五年の期間の中で、いわばそのときそのときの業績が上がるようにということで大変努力をしていただいているんですけれども、例えば、美術、文化財の収集など、また保管ということもございますが、中長期的な視点で、経営的な観点から、このときに思い切って美術品を購入したい、こういうことがあろうかと思います。短期的に見ればその年は経営的に厳しくても、中長期的に見れば大きな財産になり、経営的にはプラスになる、こんなことが十分あり得るんじゃないかというふうに考えております。

 そんなところを理解し、それから、法人が中長期的な観点からも安心して取り組めるような、そんな評価のあり方をぜひとも検討していただきたい。短期短期の評価だけではだめなんじゃないかという観点から、それぞれ総務省と文部科学省から御回答をお願いします。

福井政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人の運営に当たりまして、各法人さまざまでございますので、それぞれの業務の特性によりまして、三ないし五年の中期目標期間を設定した上で業務運営について評価をしているところでございます。

 御指摘のように、もちろんこれ以上の長期的な業務展開がございますので、そうした業務展開を見据えまして中期目標を設定した中で、各法人はそれを踏まえた中期計画を策定することとなっております。評価を行うに当たりましても、必要に応じまして、長期的な視点を踏まえつつ評価を行うことが重要であるというふうに考えているところでございます。

河本副大臣 西先生、ありがとうございます。

 国立博物館、美術館の収集につきましては、我々の財産であります美術品や文化財を保管して、そして次代へ継承していくということが極めて重要であると考えております。おっしゃるように、長期的な観点から行うことが極めて重要でありますし、この趣旨は中期目標、中期計画にも適切に反映されておりまして、この趣旨に沿って今後の運営が期待されているところであります。

 評価委員会の評価につきましては、法人の特性を踏まえて、中期目標の達成度と、それから長期的な観点からの評価、この両面から総合的な評価を行っておるところでございます。

 西先生、きょうも適切な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。

西委員 ありがとうございます。

 研究施設でもそうなんですね。人材の投入にしても、そのときは予算的に厳しいときがあっても、それが研究の成果として花開くにはやはり年月がかかりますし、そういう短期短期の目だけではなくて、長期的な観点からの経営を安心してといいますか安定的に行えるようなシステムもこれまた大事かというふうに思います。

 次に、予算のことについてちょっとお伺いしたいんですが、独立行政法人は運営交付金という形で今予算が入っていまして、以前に比べると自由度は増したように思います。しかし、いずれにしましても、税金という形で投入されているわけですから、工事をしたり、それから物品を購入したりということの契約、入札の基準の透明化、これはきちっとしていただかなければならない、こう思います。また、よく高いと批判されている役員の報酬、また手当ということについても、これは適正化をし、貴重な予算を本来の業務にできる限り使用していくという方向が絶対に必要である、こういうふうに思います。

 そこで、資本金百億円以下の法人、これは文部科学省の法人で見ますと、そうたくさんはないと思うんですが、一応今のところ、外部監査の必要はない、義務づけをされておりません。しかし、透明性を確保するためには、若干のお金はもちろんかかるわけですが、ぜひともすべての法人について外部監査を導入すべきではないか、こう思っておりますが、見解をお伺いしたいと思います。

干場政府参考人 お答えいたします。

 ただいま三点につきましての御質問があったかと存じます。一つは物品の契約等に関すること、それから二番目は役員の報酬に関すること、三番目につきましては外部監査につきますことと思います。

 まず、物品の契約、入札に関しましては、明確な基準の設定、それから、その透明化を図るということが重要であるというふうに認識しております。一方、独立行政法人におきましては、業務運営における自主性を十分配慮する必要があるということから、随意契約の下限額の基準につきましては、各法人の会計規程等により独自に設けられているところでございます。

 随意契約における透明性、効率性の確保を初めとする公共調達の適正化につきましては、現在、政府として、公共工事における入札契約の改善及び随意契約の適正化に取り組んでいるところでございまして、独立行政法人におきましても同様の改善等が講じられるところ、そのように周知を図ったところでございます。

 それから、役員の報酬に関してでございますが、独立行政法人の役員の報酬につきましては、独立行政法人通則法に基づきまして、業務の実績を考慮し、社会一般の情勢に適合したものとなるよう定められなければならないということとされております。加えて、その支給の基準は公表しなければならないこととされておりまして、また、独立行政法人の評価委員会により厳正に評価される仕組みとなってございます。このような制度や評価を通じまして、独立行政法人の役員の報酬につきましては適正な水準が担保されるものと考えております。

 それから、三番目のお尋ねの外部監査についてでございますが、先生御指摘のとおり、資本金額が百億円に達しない独立行政法人、小規模な法人ということでございますが、それにつきましては、会計処理が煩雑でないこと、あるいは負担が過大になるおそれがある、そういったようなことなどがございまして、例外的に義務づけられていないわけでございます。

 御指摘のとおり、財務会計の透明性の確保は重要な視点でございますので、文部科学省の独立行政法人につきましては、外部監査が法的に義務づけられていない七つの法人がございますが、そのうちの五つにつきましては、法人の判断によりまして外部監査を受けているところでございます。

 すべての独立行政法人への義務づけにつきましては、政府全体の問題でございますので、文部科学省としては、法人の負担等も踏まえながら取り扱ってまいる所存でございます。

西委員 ちょっと時間が押してきましたので、一つ通告を外させていただいて、次の質問にさせていただきます。

 目的積立金のことでございます。これは、法人の経営努力の一つの大きな指標になってくると思うんですが、認定がなかなか厳しいというふうに思います。経営努力が認められるための判断基準をはっきりすべきだというふうに考えておりまして、目的積立金の扱いについては、これは政府全体にかかわることでもございますので、ぜひ客観的なルールづくり、これは今までの経緯を見ますと、そのときそのときの基準で、どうやら財務省と関係省庁との間で交渉といいますか、そういう感じでやられてきたような形跡が見受けられますけれども、そうじゃなくて、きちっとした客観的なルールというのが必要ではないか、こう考えております。

 そのルールづくりをする主体は全体を取り仕切る総務省ではないかと考えておりますが、総務省の意見をお伺いしたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 確かに、経営努力の認定に際しての判断基準というのは非常に難しいものがあるというのは私どもも十分認識しているところでございます。

 ただ、全法人を通じる、客観的でしかも納税者である国民を納得させられるような合理的な基準がつくれるかといったら、それは相当困難な問題かと思っております。経営努力がなされたかどうかというのは、各法人の事業内容とか、あるいはいろいろな努力とか、そういった実態を踏まえるとともに、あと、各省に独立行政法人評価委員会が設けられておるわけですが、そこの意見を聞くことになっております。

 そういう委員会がやはり第三者性、客観的な立場から評価していただいて、そういったのを踏まえてやっていただく。当面はそういうやり方をやっていただく以外にないんじゃないか、こういうふうに考えているところでございます。

西委員 客観的な立場はわかるんですが、財務当局と各省庁との間は客観的な立場の入る余地がなく、これはいわば綱引きのような形になっておりまして、少し長期的に見て、私たちはこの状況だと本当に経営的にうまくいっているんだな、だからこれだけの独立行政法人にお金が、目的積立金が上がってくるというその形が、将来が見えるような、そういうものがないとなかなかやる気を起こしていただけない、そういうインセンティブが必要だというふうに思いますので、その点、また総務省でも御議論をいただければというふうに思います。

 それから、自主的な取り組みを本当に頑張ってしていただいていると思うんですが、せっかく自己収入が、先ほども申しましたように、上がってきましても、運営交付金がその割には十分残らない、削減されていくということがございます。そういうことではなくて、インセンティブが働くような、そういう意味で財政措置というのがぜひとも必要であるというふうに思いますが、御意見を伺いたいと思います。

干場政府参考人 文部科学省の立場からお答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のように、目的積立金といいますものにつきましては、経営努力による利益ということで認められているものでございますけれども、そのための明確な基準というものが策定されているというわけではございませんので、独立行政法人におきましては、実績を上げても経営努力が認められないのではないかという懸念があるといったようなことがございまして、経営努力に対するインセンティブに強く影響しているというところがあろうかと思います。

 このような現状を踏まえまして、目的積立金につきまして、法人の経営努力に対するインセンティブを高めることができるよう、文部科学省としても関係省庁に意見をお伝えするなど努力してきたところでございまして、また今後とも独立行政法人がその経営に創意工夫を一層発揮できるよう努めてまいりたいと思っております。

西委員 よその省庁に比べますと、独立行政法人、各種ざっとございますが、文部科学省は、そういう意味では、博物館、美術館それから研修施設等、いわば営業努力と言ったらおかしいかもしれませんが、努力をして自己収入を得る可能性の高いところが私は特徴だと思います。もちろん、試験研究機関でも、努力すればそれだけの特許料とか共同研究とかいう形で入ることは事実なんですが、そういう特殊性にかんがみて、そこの、先ほど申しました運営交付金をどういうふうに判定するかということは、これは一文部科学省だけのことではございませんので、総務省、財務省も含めて十分協議をしていただきたい、このように思う次第でございます。

 独立行政法人になりまして、人事と予算の裁量権がふえていくという大きなメリットがあります。もう一つの側面は、やはり人事ということでございます。

 ずっとこの間の経緯を眺めてみますと、積極的に職員の数をふやしている組織もあります。主に非常勤という形で採用しているようですが、これは、特に研究施設では、それぞれの法人と大学との間のことになると思うんですが、任期つきの研究員の採用、この状況について、最後、もう時間が来ましたので、この一点について御質問をさせていただきます。

小田政府参考人 お答えいたします。

 任期つきの採用の状況と大学との交流の関係でございますが、文部科学省で平成十六年度の一年間の四十九の独立行政法人につきまして、その採用の状況についての調査した結果がございます。それによりますと、新規採用者、一年間で九百六十人あったわけでございますが、そのうち任期つき採用が七百五十人ということで、約十人に八人が任期つきに採用されているという実態がございます。

 また、先ほどの大学との間の人材の交流の状況についてのお尋ねでございますが、独立行政法人の新規採用研究者のうちの約四人に一人以上が大学等で研究を行っていた者、その中には実は大学等でポスドクなどをやっていた者も含まれておりますが、採用されているところでございます。

 これは第二期基本計画、今最終年度でございますが、任期制の広範な普及による人材の流動性の向上というのが一つの大きな課題となっておりまして、ある一定の進展が見られたんじゃないかと思っておりますし、また、来年度の四月から始まります第三期科学技術基本計画におきましても、研究者の任期つき採用の広範な定着を図っていくということが大事だということでございますので、文部科学省としてもしっかりこれに取り組んでまいりたいと思っております。

西委員 相当積極的な人材配置をしているということがわかりました。

 ますます次の評価に向けて頑張っていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

遠藤委員長 笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは独立行政法人の見直しということで、私も一時間十分お時間をいただきましたので、質問をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、そもそも独法というものがどういう存在なのかという全般的な話からさせていただきたいわけですけれども、今回、平成十三年の四月に設立をされたいわば独法の一期生というような法人が対象になって、この五年間の中期目標ということを、中期計画、これに基づいて、設立後初めて中期目標の見直しを迎えたものと私は承知しております。

 その中で、これは非常にいい機会だと思うんですね。五年間たって、それぞれの独法というものがどういう役割を果たしてきたのか、あるいは、そういう中で、この機会に合理化をしていく部分は合理化をしていく、見直していく部分は見直していくということで、実は冒頭申し上げたいのは、今回この法案が、非公務員化というものが一つの大きな柱であると思っておりますけれども、文科省の関連法案として一括をして提案をされている。本当ですと、一つ一つ法人によって、これはむしろ国に戻してやった方がいいのではないかという法人もあれば、あるいは、今回の中にはそうは見当たりませんけれども、大胆にすべて民間にやらせてもいいのではないかというようなたぐいのものもあれば、あるいは部分的にこれは事業を思い切って民間に任せていこうとか、あるいは思い切って廃止をしていこうとか、それぞれの法人によってやはりさまざまだと思っております。

 そういう点で、最初にまず大臣にお伺いをしたいのですけれども、やはりこれは一つ一つ、本来はもう少し時間をかけて、その全般的な業務のあり方であるとか、あるいは本当にこれから独法としてどういう組織形態でやっていった方が、運営した方がより国民にとっていいのか、その点をもっと審議をしっかりとすべきだと私は考えておりますけれども、その点について大臣に冒頭お伺いをいたしたいと思います。

小坂国務大臣 委員が御指摘の問題意識は、すべての施策は一定の期間たったら見直して、その施策の正当性についての評価をすべきだという観点だと思います。そういった意味からは、私どもは、独立行政法人通則法で定められました中で中期目標を定めてきたわけでございますが、平成十七年度末にこの中期目標の期間が終了する文部科学省所管の独立行政法人について、その組織及び業務のあり方に関する検討結果を踏まえて、一括して関係法律の整備に関する所要の措置を講ずることとしたわけでございます。

 今回、この法律では、独立行政法人の改革を推進するため、十二の独立行政法人の役職員の身分を非公務員化することによりまして柔軟で弾力的な人事制度の構築を可能とするとともに、青少年教育関係の三法人を統合いたしまして国立青少年教育振興機構と変えることによりまして、幼児期、少年、そして青年期、それぞれの青少年を対象にした諸課題に総合的かつ効率的に対応できるようにする、こういうものでございます。

 この内容は、各独立行政法人の創意工夫に基づく効果的かつ効率的な取り組みをさらに促すものでありまして、行政の国民に対するサービスの質の向上につながるものと考えておりまして、そういった観点から御理解を賜りたいと存じます。

笠委員 大臣、先般、この法案の提案説明の中で、「政府においては、これまで「小さくて効率的な政府」の実現を図る観点から、行政改革を積極的に推進してきたところであります。この一環として、平成十七年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人について、独立行政法人通則法第三十五条に基づく検討を行い、組織・業務全般の見直しについての結論を得た」ということをおっしゃっているわけですが、ということは、効率化という観点においても、今回、組織、業務全般の見直しというものがこの政府の方針を踏まえてしっかりと行われる、十二法人になるわけですけれども、という理解でよろしいでしょうか。

干場政府参考人 お答え申し上げます。

 このたびの独立行政法人の見直しということにつきましては、ただいま大臣からお話ございましたように、平成十七年度末に中期目標期間が終了する十四の独立行政法人につきまして見直すということでございます。

 これらにつきましては、今後の事業費あるいは一般管理費、そういったものにつきまして一層の業務の効率化を図るというようなことに努めてまいる次第でございます。また、法人ごとの状況に応じまして、統合効果による経費の削減あるいは自己収入の拡大、競争入札の推進等を行いまして、効率化、合理化のためのさまざまな工夫を図ることによりまして、運営交付金の抑制に努めていくということにしておるところでございます。

笠委員 まさに業務の効率化、自己収入を拡大、ふやしていくということ、それに伴って、当然ながら、運営費交付金という税金の投入を減らしていく、これは基本方針として当然のことだと思っております。この点については後ほど、対象法人についてそれぞれ具体的に、幾つか質問をさせていただきます。

 私は、どうしても、今回の法案を見ていますと、統合の部分は後に回しますけれども、やはり非公務員化することだけしか見えてこないわけですね。そこあたりはきょうの質疑の中でもまた深めていきたいと思っておりますけれども。

 同時に、じゃ、非公務員化といいながらも何が変わるのかなと。人事の交流がしやすくなるとかなんとかということはあるかもしれませんけれども、効率化の観点から検討がなされているのかどうか。退職金にしても、これは通算になっていきますし、ほとんど今の公務員のときと変わらない。

 独法が設立をされてきたこれまでの経過の中でも、やはり、ひょっとしたら、独法というものは、当然ながら、独立行政法人の職員になることによって、これは公務員の定数の枠から外れていくわけですね。何かそういう公務員の定数の削減の隠れみのになってしまう可能性があるんじゃないかというようなことは、これは各党からもいろいろな指摘があったわけでございます。

 そして、今回の非公務員化ということによって、実はさらにそういった隠れみのというものに使われる可能性があるんじゃないかと思っているんですけれども、その点に対する御答弁というものをお願いいたしたいと思います。

小坂国務大臣 委員が懸念されている、実態として何も変わらないんじゃないか、単に公務員という名前が非公務員に変わっただけじゃないか、そういう意味での懸念であれば、それは無用なといいますか、そういった懸念は当たらないと申し上げたいわけです。

 それは、まず、非公務員化することによりまして、営利企業との兼職制限というものがなくなりますので、法人独自の判断でそれを行うことができるようになりますし、国家公務員試験によらない採用へ転換することによって幅広い人材の確保が可能になります。また、外国人管理職の登用等もこれによって可能になるというようなことになるわけでございますし、また、インセンティブが働くかという、先ほど別の委員の御質問がございましたけれども、やはり、成果主義になるということで、働けば給料も上がっていく、そしてそれが認められる、こういったそれぞれの法人独自の規定を設けることによってインセンティブを働かせることもできるようになる。

 こういった意味で、公務員と非公務員との差が大きく出てくる、こう考えておるわけでございまして、これにより効率的な運営が図られる、このように認識をいたしております。

笠委員 大臣、私が申し上げておりますのは、例えば非公務員化する、今大臣がおっしゃったようなことがしっかりとこれから、じゃ、例えば次の中期目標なり五年間の中で、当然ながらこれをチェックしていかなければならないわけですね。

 例えば、非公務員化しても人件費というものは、ほとんどすべて運営費交付金、税金で支払われているという、これが一般の民間人とは一番違う点ですよね、当然ながら。だから、逆に、無理して非公務員化しなくてもいい法人だって、先ほど申し上げた、国にむしろ戻した方がいいというような機関、これは文科省幾つか、私(わたくし)的にはあると思っております。

 それがわざわざ独法という法人、そして非公務員化することによって、言いかえれば、国会のチェック、税金がこれだけつぎ込まれているにもかかわらず、例えば国民に対して国会を通じてのチェックというものが働かなくなる可能性も一方ではあるわけですね。そういうところでは、何か非公務員化することで、いやいや、もう公務員は悪い、民間になったみたいな錯覚を、これは起こさせるわけにはいかないということで、きょうも幾つか、この後、本当に具体的にそこあたりの、では何が効率化されるのかといったところを一つ一つチェックさせていただきたいと思います。

 それで、きょう、資料の方をちょっとお配りさせていただいておりますけれども、まず、これは独法全体の、私ども民主党の方で、昨年十月十四日、予備的調査というものを衆議院の方で行わせていただきました。そして、全独法の中で昨年発足した法人を除く百九の独法で、役員が六百五十七名、そのうち所管省庁の役員が三百十五名、これに他省庁あるいは関連公益法人等々を入れると、ここには出向役員も含まれますけれども、およそ四分の三が公的機関からの天下り、出向の役員ということになっているわけです。

 文科省においても、二十七法人、原子力研究開発機構、これを除きまして、役員が百四十八人、文科省OBが八十二人、他省庁が九人、公益法人が十七人、それで百八人と、実に七割以上の役員が公的機関のOBで占められている。

 私、これから、五年間たちました。先ほども、官民のバランスをしっかりと考えていくんだという御答弁がございましたけれども、やはりこういう実態というものは変えていかなければ、まさにそれぞれの法人の、プロパーの方々が、先ほど大臣がおっしゃったように、非公務員化されることによって、頑張れば給料だって上がる、あるいは、頑張れば理事長にだってあるいは役員にだってなれる、そういう当たり前の組織にしていくことが大事なんだと思いますけれども。

 こういう実態、そして、これをどう変えていこう、やはりこれは健全な形にしていこうという指導力を発揮されるおつもりがあるのかどうか、小坂大臣にお伺いをいたしたいと思います。

玉井政府参考人 数字の部分だけちょっとお答えをさせていただきたいと思います。

 この十七年四月一日現在のお示しの数でございますが、これは、これまでの御答弁でもお示ししております、官民の出身者をいずれかに偏ることなくバランスよく適材適所で登用するといったときの、官民の意味の問題になるわけでございまして、多分この八十二名の中には、ちょっと数え間違いがあったら恐縮でございますけれども、国立大学の教員、教授等が入っているのではなかろうか、三十三名ぐらいが入っているのではなかろうかと思っております。ずっと教授でいらっしゃった方は、国立大学の出身者であっても、それは官民でいえば民という扱いでございます。そして、役員出向もこの中には入っておりますので、そこはちょっとまた別で、いわゆるOBではございません。

 そういう意味で、今、十七年四月一日現在の、文部科学省所管の二十七の独立行政法人の役員数、ちょっと、百四十八じゃなくて百四十五というこちらの数字になっているんですけれども、違っていればまた後で訂正させていただきますが、うち、常勤役員が百七名で、そして、役員百四十五名のうち、文部科学省いわゆるOBは三十六名でございまして、それから他省庁OBは八名という数でございます。

小坂国務大臣 ただいま官房長の説明しましたような実情でございまして、役員の選任に当たりまして、文部科学省及び各独立行政法人におきましては、それぞれの法人の目的及び業務等に即してふさわしい役員の人事の起用を図っている、こういうことでございまして、今委員いろいろ御指摘ございましたけれども、文部科学省所管の独立行政法人の役員の人事については、先ほどおっしゃっていただきましたように、官民の出身者をいずれに偏ることなくバランスよく適材適所で登用するという政府の方針に従って、適切に対処してまいりましたし、これからもさらにその点に努力をしたいと考えております。

笠委員 官房長、都合がいいんですよ、その数字は。これは確かに国立大学の人は入っているんだけれども、その中でもこれは、国立大学というのは今は法人化されましたけれども、文科省に採用されたり、あるいは途中文科省でしっかりと働いたりというようなことがある経歴をお持ちの方がほとんどなんですよ、この中で、一つ一つは。

 それで、私が言っているのは、要するに、本当の純然な民間の方々、そういう方々というものがこの中で本当に三割ぐらいしかいないじゃないかと。「公益法人等」というこの中でも、これは特殊法人出身の方であったり、あるいは文科省からお金の行っている財団、そういったところ出身の方のことを私はこれはカウントしているわけです、ここでは。

 ですから、先ほど私は天下り、出向と言いました。しかも、この「民間」の中の半分ぐらいは非常勤なんですよ、非常勤の監事とかが多い。例えば監事という、これは二人置くことができるところが多いですけれども、常勤になると不思議と官僚OBの方が多いんですね。常勤というのは、これは理事と変わらないぐらいの高額のお金をもらっているんですよ。

 だから、トータルのこの数字だけを「官民のバランス」と言っても、その実態というものをしっかりと見ていかなければ、まさにこれはごまかしじゃないですか。ですから、もうそういう詭弁はおっしゃらなくて結構なんです。別に、今の実態はこうだけれども、むしろ大臣にお伺いしたいのは、これからやはりしっかりとそういった点もチェックをしていくと。厳しいですよ、国民の見る目は。運営費交付金、後で言いますけれども、ほとんど変わっていませんからね、今回の統合、あるいは非公務員化されても。今審議されているこの十八年度予算の中で計上されている。

 そういう実態がある中で、私は、職員の方の人件費を下げろとか、そういうことは申し上げない。それは、逆に言うとトータルの人件費というものはあってもいいじゃないですか。例えば一人一人の単価を下げてもっと人をふやしたいというんだったら、そういうことをやるのも、またこれは独法が努力、工夫してやればいい。だから、むしろ定数とか何とかよりも、職員の方は、私は、独法に今たしか五%削減をしていくというようなのがあると思いますけれども、むしろ金額ベースで効率的にこれを削減していく努力というのは必要だけれども、人数がふえたからどうだとかは言いません。しかし、役員については、本当にバランスをとっていただかなければ、これは余りにも極端ですよ、一つ一つ見ていくと。

 ですから、これから五年間、また次へ向けて、あるいは今回、きょうはわざわざ高理事長にも来ていただいておりますけれども、この三法人が一緒になる、そのときの、本当に新しい組織としてスタートをするときの役員の顔ぶれ、これも大事です、非常に。そういうことも含めて、やはり大臣、そこあたりは文科省、大臣として、政治力を発揮して、チェックしていただかないといけないと私は思うんですが、どうですか。

小坂国務大臣 チェックすることを否定はいたしません。今後とも努力すると先ほど申し上げましたように、今後とも努力をさせていただきたい、こう考えております。

 運営交付金は変わらないとおっしゃるけれども、百億程度ずつ毎年下がっております。これはそれなりの数字だと思っておりますので、これも一つ御認識をいただきたい、こう思っております。

笠委員 運営費交付金のことは後ほど具体的に実態を、今回のこの法案に関連しての、これは具体的にお伺いをいたしたいと思います。

 それで、今回、十四法人が十二法人になって、それがすべて非公務員化されるということになっておるわけでございます。私、まずそこで一つお伺いしたいことは、この十二法人に今回非公務員化する、あるいは三法人を一つに統合して国立青少年教育振興機構を新たに立ち上げるといったこの方針、これについて、該当する独立行政法人と文科省との間で、当然ながらこれまで相当な議論、あるいはどういうふうな形で効率化を図っていくのか、その事業の見直し、新しくどういう事業をやるのか、あるいはこういう事業はもう廃止していこう、そういったことが、当然中身もあるいは運営についても検討されてきたと思っておるんですけれども、いつから、どういう期間で、どういう形でその話し合いを進められてきたのかということをまず説明をいただきたいと思います。

馳副大臣 経緯等もございますからちょっと長くなりますが、お願いします。

 まず、平成十八年度からの三法人の統合については、平成十六年十二月二十日に作成した文部科学大臣の見直し案が十二月二十四日の政府の行政改革推進本部において決定されることにより決まったものであります。文部科学大臣の見直し案については、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の勧告の方向性を踏まえるとともに、三法人の意見も聴取しつつ作成したものであります。

 そして、見直しについてですが、具体的には、文部科学省においては、業務の質の向上に関する事項などの独立行政法人が達成すべき中期目標に掲げる事項を中心に検討を進めてきたところであります。

 一方、三法人においては、新法人設立のための法人準備事務局を設けて、文部科学省と連絡をとりつつ、統合後に行う具体の事業のあり方等を検討してきたところであります。その結果として、事業の重点化、戦略化や、三法人の本部を統合した集中的、統一的な事業の企画立案などについて、その具体的な内容が固まりつつあるところであります。

 一応そういう経緯をもって、法人の見直し、統合について検討されてきたものであります。

小坂国務大臣 失礼いたしました。先ほど、国立大学法人の運営交付金と若干勘違いしていた部分がございまして、百億と申し上げたのを訂正させていただきたいと思いますが。

 先ほどの御指摘の部分で、言うならば、今回の三法人、ここに出ているのは三法人じゃないですか、これは。ですので、今回の三法人の統合による運営交付金削減額は、十七年から二十二年度までで、運営交付金が十六億、また人件費部分で七億、このように算出されておりますので、訂正させていただきます。

笠委員 大臣、今の訂正は承りました。後で、ちょっとまた具体的に聞かせていただきたい。

 それで、今、馳副大臣の方が、検討してきたということで、特にこの統合については、法人準備事務局、これを設けてやってきたということですけれども、例えばその中で、この担当法人の、今度新しくできる法人もそうですけれども、ちょっとこれは確認だけ。ほかの非公務員化される法人についても、その事業の見直し、いろいろな組織の見直し等々については文科省も主体的に検討されたということでよろしいですか。確認だけ。

干場政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま馳副大臣からお答え申し上げたところでございますけれども、今回、見直しを行いました十四の法人につきまして、これは平成十六年度、十七年度とわたるわけでございますけれども、これらの間におきまして、独立行政法人の評価委員会におきましてしかるべく議論を経て方向が決められ、その結果といたしまして、青少年関係三法人につきましての統合との方向が出されたところでございます。

笠委員 要するに、文科省の独立行政法人の評価委員会の中で検討してきたという理解でよろしいわけですね。間違っていなかったら結構です。違いますか。

干場政府参考人 失礼しました。評価委員会は文部科学省の評価委員会でございます。しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたように、平成十六年十二月二十日の文部科学大臣の見直し案というのにつきましては、同年十二月二十四日の政府の行政改革推進本部において決定された、そういったような関係になってございます。

笠委員 大臣は、この間の見直し、いろいろな事業を見直していくような、省内で担当、該当の独法とも話し合いをされている、そういったことについては、中間報告等々というのはやはり随時お受けになっているわけですか。中身は結構ですけれども、大体大臣の方がチェックをしながらやっていくということで進められるんですか。

小坂国務大臣 この青少年教育関係の三法人につきましては、十六年中に組織、業務の全般の見直しが行われたところでございまして、私は、そのときはまだ就任をいたしておりません。その際、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会や政府の独立行政法人に関する有識者会議におけるさまざまな検討を踏まえて、前大臣のリーダーシップのもとで三法人を発展的に統合することを決定された、このように認識をいたしておりまして、主務大臣の見直し案の作成、これが十六年の十二月二十日でございました。及び、政府の行政改革本部の決定が十六年の十二月二十四日でございました。このような経過をたどったと認識をいたしております。

 私も、三法人の統合準備に当たっては、この見直し案に沿って、組織、業務の再構築及び具体化を図るよう指示をしてきたところでございまして、そのような経過でございます。

笠委員 その中で、これは文科省として、今回の十四法人含めて、十四法人ですけれども、三つの法人は一緒になるので、これは新たな形となるわけですけれども、例えば、役員の数、これはそれぞれの法律で定められているわけですけれども、理事長、監事あるいは理事を何人以内というように、それぞれの独法によって定められていると私は承知をしておりますけれども、ここあたりを、今回を機に、大体何人以内というと、三人以内だったら三人置いているんですね、五人以内だったら五人置いているんですね、実態は。まあ、そうじゃないところも、今、欠員が出ているところなんかもありますけれども、そこあたりの、例えば適正な人数というものはどうあるべきかということ、そういったことも検討されたということでよろしいんでしょうか。

干場政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人の理事につきましては、独立行政法人通則法によりまして、法人の長が任命する、そのような形になってございますが、その数につきましては個別法で定めるという形でございます。個別法におきましては理事の数の上限を定めておりまして、その範囲内で具体的に何名の理事を置くかということが、法人の長の裁量にゆだねられているところでございます。

 しかしながら、法定されております理事数といいますのは、法人の規模、業務内容、その困難性等を考慮しまして、必要最小限の人数を規定しているということでございまして、結果として、各法人におきまして法定の上限の理事が任命されるというようなことの状況になってございます。

 なお、特殊法人の独立行政法人化の際、これは特殊法人から独立行政法人になった場合ということでございますが、これにつきましては、例えば、特殊法人等整理合理化計画におきまして、役職員は事業内容に応じ必要最小限のものにするということとされております。この趣旨につきましては、他の独立行政法人につきましても同様のことかと存じます。

笠委員 今、規模あるいは事業の困難さ等々というお話があったわけですけれども、きょう私、この資料と、もう一つの資料、かなりページ数のある資料をお配りさせていただいておりますが、これも予備的調査をしたところで文部科学省の方から出していただいたものでございますけれども、規模に応じて理事の人数が決められているとか、あるいは、その業務に応じて本当に適正に、こういう仕事があるから、この部分の担当はこの人なんだと、要するに、そういう説明のつくような形での、根拠となるような、指針となるようなものが感じられないわけですね。

 では、今、規模とおっしゃいましたけれども、何人規模であれば、あるいは組織の、これはお金かもしれない、資本金によるのか、それとも組織の従業員の数なのか、何をもって規模というのか、ちょっとそれを御説明いただけますか。

干場政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、その法人の例えば業務の困難性といったところは、いわば予算とか、それから職員数とか、そういったところにかかわらないところがございます。したがいまして、個別の法人ごとに決められるということでございまして、一般的に、例えば何名以下だったらというような形ですべての法人を一律に仕切るという考え方にはなってございません。

笠委員 これは後日で結構でございますけれども、二十八法人について、どういう根拠で今の役員の数が定められているのか。今ちょうどおっしゃった、こういうところが困難であるからとか、こういう人数だからとかというのを、後日、ぜひ委員会の方に資料を提出していただければと思いますが、委員長、よろしくお願いします。

干場政府参考人 特定行政法人につきましては、それぞれの法人の中におきます業務がございますので、その業務との関連につきまして、私どもとしましては御説明申し上げることが可能かと存じております。(笠委員「では、提出していただくということでよろしいんですか、後日」と呼ぶ)そのように検討させていただきます。

遠藤委員長 今の笠委員の御要望は、理事会で検討いたします。

笠委員 はい、よろしくお願いいたします。

 それで、この表を見ていただいてもあれなんですけれども、私、先ほど申し上げた、確かに出向者も含めた役所出身の方が多いという、純粋な民間の方がこの常勤の中で非常に少ない、おっしゃっている割には、やはり少ないという実態があるわけですね。さらには、兼職されている方も結構多いんですよね。

 兼職されて、有給、無給はあっても、有給といっても、これはほとんどは審議会とかで、そこに行ったときにもらうということで、それがお金をもらい過ぎているとか言うつもりは全く私はございません。ただ、兼職の多い方、集中している方というのは物すごく集中しているんだけれども、本当にそういう方が、先ほどおっしゃったように、役員の困難さであるとか事業が大変難しいとか、それに応じて人数が限られた人数に定められているのであれば、こんなに兼職をしていて、ちょっと言い方をかえると、忙しくないんじゃないかなと思ってしまうような方もたくさんおられるわけですね、この文科省の独法の役員の方々の兼職状況だけ見ても。

 そういった状況についてはどういうふうに考えられるか、御答弁をいただければと思います。

玉井政府参考人 兼職の関係でございますけれども、独立行政法人は公共性がございますので、兼職によって理事長の本来の職務がおろそかになってはならないのは当然のことだろうと思っております。

 一方、独立行政法人の理事長がその経験や知識を請われて、そして非常勤で、そちらの資料の方にございますように無報酬、それから、有給といったって、これは出たときにちょっといただく程度のものでございますけれども、そういったところに兼職をしているのはそのとおりでございます。そのときでも、やはり職務の公正かつ中立な執行の確保に影響を及ぼすおそれがないこと、職務の遂行に支障がないと認められること、それから当該独立行政法人の業務の信用の確保に影響を及ぼすおそれがないことを考慮した上で、各法人において適切に判断しているものと認識をしているわけでございます。

笠委員 本当にその独立行政法人のために先頭に立って、そのことのみにしっかりとできるような方を役員の中に。私は公務員の方が悪いと言っているんじゃないんです。ただ、これから新たな、今の時代に合った業務をやっていこうとすれば、この独立行政法人化のときに一つの議論としてあった、民間のやっているような効率的な、あるいはもっといろいろなノウハウを活用していこうというような目的があるわけですから、それが、逆に言うと、本当は国でそのままやっていてもいいような事業が独立行政法人化されている一つの理由ではないかと私は認識をしておりますので、そういったところはやはりしっかりとこれから考えていっていただかなければならないと思っております。

 その中で、では、実際に効率化の部分において、今回の十四法人についてちょっと幾つか具体的にお伺いをさせていただきたいと思います。

 最初に、先ほどの運営費交付金の話なんですけれども、今回の統合される、あるいは非公務員化される、まだ統合されておりませんので、対象となる十四法人について、どれくらいの国費の投入の削減が行われるのか、そのことを、事務方で結構ですからお答えください。この十四法人で結構です。

干場政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、統合三法人に関しましては……(笠委員「一緒にです、十四法人全部で」と呼ぶ)十四法人全体でございますか。十四法人全体につきましての合算は行っておりませんので、トータルにつきましては、ただいますぐにはわからないところでございます。

笠委員 きのう資料をいただいておりますけれども、これは平成十七年度予算で、運営費交付金が七百十八億八千九百万円なんですね、この十四法人に。そして、今予算審議されている十八年度予算案の中で、運営費交付金が七百十七億四百万円。要するに、この十四法人で〇・三%しか削減されていないんですよ。恐らくそれは間違いないはずですけれども、これでは、何がどう減っているのか、どういうふうに効率化が図られたのか全くわからないと思うんですけれども、その点についてどのような答弁をされますか。答弁をお願いします。

干場政府参考人 お答え申し上げます。

 法人につきましては、当然ながら、個々の事業がそれぞれあるわけでございまして、運営費交付金予算につきましても、その年その年につきましての変動があるわけでございます。ただいま先生がおっしゃいましたのは、いわば十四法人につきましてのトータルでございますけれども、個々の法人につきましては増があったりあるいは減があったりといったことの合算の結果ということでございます。

笠委員 何を言っているんですか。それぞれに増減があってもいいんですよ。しかし全体として、文科省が今回これだけの、十四法人の見直しをするという中で、大臣も先ほどおっしゃっていた、あの金額の間違い、あれはいいんですが、年々年々削減してきているということを大臣も答弁でおっしゃっていたんですよ。

 要するに、今回はこの十四法人が見直しの対象なわけだから、この中でしっかりとこれだけは節約しましたよと、トータルでですよ。例えば、この法人についてはやはりこういう事業が必要だからふやしました、しかしその分をここで減らしましたというようなことをコントロールするのが文科省の役割じゃないんですか。私はその点をお伺いしているんです。

玉井政府参考人 今回、この三月三十一日で中期目標期間が終了いたします十四の独立行政法人につきましては、こういう法案の御審議をいただいておりますけれども、あわせて、今までのものを、実績を見直し、次期中期目標に向かって、どのように効率的に、また重点的に事業を実施していくのかというのを十分検討させていただいたわけでございまして、したがって、この十四独立行政法人につきましては、次期中期目標期間中に、事業費及び一般管理費については、それぞれ、事業費で五%以上、一般管理費で一五%以上の業務運営の効率化を図ることとしているわけでございます。さらに、各法人ごとの個別の事情に応じて、統合効果による経費の削減やあるいは自己収入の拡大、さらには競争入札の推進等を行うなど、効率化、合理化のためのさまざまな工夫を次期中期目標期間中に行うという考え方に立っているわけでございます。

 また、人件費につきましては、御案内のとおり、法人共通の事項として、昨年十二月に閣議決定いたしました行政改革の重要方針がございます。これに基づきまして、各法人は今後五年間で五%以上の人件費の削減に取り組むこととされておりまして、これに加えて、役職員の給与に関しましても、国家公務員の給与構造改革を踏まえた見直しに今後取り組む必要があると考えているわけでございます。

 そういう意味で、文部科学省としましては、このような方針に基づきまして、次期中期目標期間中の運営費交付金につきましてはできるだけ抑制をし、効率化、合理化に最大限取り組んでまいりたい、かように考えております。

笠委員 一つ確認します。次期というのはいつからですか、スタートは。それだけ答えてください。

玉井政府参考人 本年四月一日からでございます。

笠委員 だったら、私、先ほど質問しましたよね。これまでこの見直しが行われるということでいろいろと検討を重ねてきた、その中には事業の見直し等々もあるということをおっしゃったじゃないですか。では、それが何で十八年度の予算ではほとんど変わらないんですか。もうこれまでに既に各法人の中で、事業を見直したり、これはやめようとか、ここはなくしていこうとか、ここは廃止をしていこうとかということをこれまでやってきたわけでしょう。でも、別に、今年度予算と同じような予算で、減っていないとおかしいじゃないですか。同じなんですよ。変わらないんですよ。

 大臣、どうですか、この実態。感想をお願いします。

干場政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来申し上げているところでございますけれども、それぞれの法人につきましては、事業の見直しを行う等々というこの間の評価によって新しい業務のあり方等々を進めてきたところでございますけれども、それぞれの法人の運営費交付金予算につきましては、それは法人によりまして、この間、平成十三年からの間におきまして、その増減があった結果としての合算がそのような結果になっておるということでございまして、それは、それぞれの法人が新しく……(笠委員「もうちょっと大きい声でお願いします」と呼ぶ)失礼しました。それぞれの法人が新しい業務を開始したりあるいは特定の業務を終えたりといったようなことの結果としてのトータルの数字ということでございます。

小坂国務大臣 笠委員がおっしゃりたいところは、私もわかりますよ。ただ、感想を述べるわけにはいかないので。

 それで、今まで努力してきたこと、それから今後の目標という点で、先ほど官房長から御説明申し上げたように、各法人ごとの個別の事情に応じて、統合効果について、経費の削減や自己収入の拡大、競争入札の推進等をこれからどんどん進めて、いろいろな工夫をして運営費交付金の抑制に精力的に取り組んでまいりますということをまず決意として申し上げているわけです。これは私も同じでございます。

 そしてまた、十八年度の予算につきましては、国立新美術館、六本木の美術館、あるいは九州博物館の運営経費、これに新たなものが必要になる。あるいは競争的資金を積み増すというような、そういった事情もありますから、そういったものの増額分があって、効率化を図りつつ、一方では新しい取り組みもなされて、全体的に、最終的にそんなに差がないという状況になることは御理解をいただきたい。新しい取り組みをするための効率化でもありますので、そういったことも御理解を賜りたいと思います。

笠委員 では、この四月からスタートをする、それはまた次の五年間ですよね。だから、その中でトータルとしてこれぐらいのものをという、しっかりと金額を掲げて、税金の投入というものを減らしていくんだということを、具体的に何%、何%目標ですということも大事だけれども、やはり示していく。

 当然ながら、この法案が成立したらもう四月からスタートするわけですから、私は本当はそういう準備ができていないとおかしい、だから、非公務員化を何のためにするのかということがよくわからないということなんです。ただ単に公務員を非公務員化するというだけの見直しであって、先日の政府の、小さくて効率的な政府の実現を図る観点から行政改革を積極的に推進する、本当にそのことを踏まえた見直しなんだろうかという疑問がどうしてもわいてくるわけです。

 続けますけれども。

 人件費というのも、もうこの運営費交付金なんですよ。一部の法人で、自己収入でかなりの収入を上げているところもありますけれども、もうほとんどの独法というものが運営費交付金の中から、事業をするお金もそうだけれども、莫大な人件費を投入されている。

 私、一つだけ確認したいのは、これは、きのうちょっと言っておったと思いますけれども、今回の対象法人の総人件費というんですか、職員、役員、福利厚生含めていろいろあるでしょう、共済組合等負担金とか退職手当の引当金とか、そういう人件費というのは、大体私のあれだと三百億ぐらいだというふうに理解しているんですが、よろしいでしょうか。

干場政府参考人 お答え申し上げます。

 運営費交付金と申しますものは、いわば渡し切りのお金でございますので、その中につきまして、正確な意味で人件費が幾らというふうに完全に張りついているという、そういったものではないわけでございます。したがいまして、これまでにつきましても、それぞれ決算ベースで大体どのぐらいかといったようなことが出るということでございます。

 なお、平成十七年度につきましては、まだその辺が定かでないわけでございますので、その意味で、総額につきましては、現時点では把握しておらないところでございます。

笠委員 定かじゃないと言うんですけれども、私、別に十七年のあれじゃなくてもいいんだけれども。平成十六年でもいいですよ。運営費交付金は、もちろん渡し切りで、これに使えという補助金とは違います。しかし、それは文科省が当然ながら予算として出すわけだから、それがどういうふうな形で何に使われたのかということは、これはチェックするんでしょう。それだけちょっと聞かせてください、イエスかノーかで。

干場政府参考人 決算において行われるところでございます。

笠委員 それで、私が平成十六年度のものを試算したら、大体三百億ぐらいになるんですよ。だから、四〇%ぐらいのお金が今回の十四法人でも人件費なんですよ、一番広い意味での、いろいろな人を雇う。だから、これは効率化を図っていくとしたら、やはりそこにかなり切り込んでいかないといけない。そういった合理化というものをやるためには、私は、例えば若くて優秀な人たちをたくさん雇いたい、そういう気持ちもあるでしょう。それはやればいい。しかし、だからこそ、役員であるとか、そういったところには高額の退職金も出ています、そういったところにはやはりメスを入れて、しっかりと合理化をしていかなければいけないのではないかと思っております。そういった点は、次期中期目標の中でしっかりと、ちゃんと目に見える形で残していただけるようにお願いを申し上げたいと思います。

 そして、大変お待たせしたんですけれども、今回の三法人の統合について、ちょっと具体的にお伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、運営費交付金については、百二十億九千七百万というのが十七年度予算での三法人。それが、百十五億二千二百万、今度新たな法人の予算として十八年度予算に計上されているわけですね。大体五%程度削減をしていく。

 これは、ちょっとお伺いしたいんですけれども、役員の数は、理事長及び監事二人を置くことができ、理事が五人以内ということになっておりますけれども、これは高理事長にお伺いした方がいいのか文科省の方なのか、ちょっとわからないんですけれども、今度のこの法案が成立をした場合に四月一日からスタートする新機構の役員の人数を教えてください。特に理事、何人にするのか。

素川政府参考人 まず、法案におきましては、今先生御指摘のとおり、五人以内ということで、それぞれ、私どもの方で法案を作成しますときに、業務の内容というものを考えながら、五人以内という数字を出したわけでございますが、御案内のように、この中で具体的に何人の理事を置くかということにつきましては、法人の長の判断によるということでございますので、現在の段階で、何人にするということを申し上げるようなことは難しいという段階でございます。

笠委員 だって、もう四月一日からでしょう。

 では、四月一日は理事長だけが決まるんですか。

 要するに、私が言っているのは、もうできていないとおかしいですよ。だれをどうこうするというのは、これは人事ですから、法案が成立しないと。まあ普通は決まっていますわね、どう考えたって。そこは譲るとして。

 ただ、先ほど言ったように、この統合に向けて、いろいろな組織をどうするんだということをしっかりと検討してきたと言ったじゃないですか。そうしたら、そういう業務において、理事の人数、職員の人数は六百三十人ぐらいでしたっけ、要するにそういう規模になっていく。あるいは、業務は何を新法人でやっていくか。なくすもの、新たにやるもの含めて、もう決まっているわけでしょう。さっきも、役員の人数というものもそうしたことにかんがみて決めるんだということをおっしゃっていたじゃないですか。それが今も決まっていないんですか。

 別に私は、だれがなるとかそういうのは聞かないから、じゃ、予定は何人ですか、予定は。

素川政府参考人 先ほど御答弁させていただきましたように、五人以内ということで、それは新しい法人の業務内容を考えまして、私どもの方は五人という数字を一つの数字として設定し、五人以内という条文にさせていただいているところでございます。

 そういう意味で、五人というのが想定される数字ではございますけれども、少し形式的になるかもしれませんけれども、新法人の長が四月一日において具体的に発令されるということでございますので、先ほどのような答弁になったわけでございます。

笠委員 要するに、五人ということなんですね。

 それで、理事、監事、恐らく三人、二人とか四人、一人になるんでしょうけれども、非常勤も含めて五人ということになるんでしょうか。

素川政府参考人 具体的に五人の内訳を常勤、非常勤、どのように配分するかということにつきましては、これもやはり各役員の具体的な職務分担を踏まえながら新法人において判断、決定されるべき性格のことでございますので、今の段階で申し上げることは困難であるということを御理解いただきたいと思います。

笠委員 高理事長にちょっとお伺いをしたいんですけれども、理事長の方が、今まで、国立オリンピック記念青少年総合センターということで、ここに統合されるような形になっていくわけですね、新法人は。法人側の主体的な見直し、統合へ向けての役割を担ってこられたのだと私は考えておりますけれども。

 では、逆に言うと、独法側から、今回、どれぐらいの事業の見直しをして、そしてそういった、例えば役員の人数であるとか、役員のメンバーであるとか、あるいは新法人の給与、これはやはり理事長の立場で、高さんが理事長になられるかどうかわからないのであれなんですけれども、独法の理事長が決められるということですよね。ちょっと確認させてください。

高参考人 役員は、今、素川局長の方から御答弁がありましたが、常勤、非常勤をどうするかも含めまして、現在準備過程で、検討中でありますが、基本的には、局長の御答弁にありましたように、私どももやはり五人、運営を適正に行っていくには必要であろうというふうに考えて、準備作業に入っております。

 それから、もう一点は給与のあれですが、給与は法人の長が定めることになっております。現在はそれぞれ三法人で給与を決めておりますが、それをどのように調整をとって新しい給与体系にするかということを検討中でございます。

笠委員 では、次期の理事長を含めた人事については、これは今三法人あるわけですけれども、高理事長含めて、それぞれ理事長がおられますよね。そこでいろいろと集約をして決めていくということになるんですかね。その上で、大臣の方に上げていくというか、そういう形になるわけですか。

玉井政府参考人 お答え申し上げます。

 人事につきましては、もうこれは委員御案内のとおりでございますけれども、理事長、新法人の長ですね、理事長と監事、これは主務大臣でございまして、文部科学大臣が任命する。それから、その中の理事につきましては、これは新法人の理事長が任命するということでございますので、文部科学省においては、そういう方向で、どういう人選をするか今検討中でございます。したがって今具体にだれをというのは、これはまず長と監事のところを私どもが今検討している、その上で、決まった後で、さらに理事をどうされるか。ただ、事実上、いろいろなことは検討をしているわけでございます。

笠委員 では、大臣、ちょっとお伺いしたいんですけれども、例えば、今回こういう新たな組織ができるということで、理事長を、例えば民間からでもいいですけれども、あるいは公募で行うとか、そういったお考えというものはありますか。

小坂国務大臣 枠組みをどのようにするかということにつきまして、公募とかそういう特定の方式を今ここで申し上げるのは適切ではないと思っておりますし、統合後の法人にふさわしい人材の選考に十分に配慮をしていきたい。先ほど委員の御指摘もありました、そういったものも頭の中にとどめながら適切な人選を行うようにしてまいりたい、このように考えております。

笠委員 ちょっとお手元の資料の、ずらっと役員の一覧があるんですけれども、それの三―三というのをごらんいただきたいんですけれども、これは今現在、国立オリンピック記念青少年総合センター、きょう高理事長来ておられますけれども、理事長、理事、そして非常勤の監事、三名が文科省の方ですね。それで、非常勤の監事で一名、これは財団の吉田記念テニス研修センターというところの方がお手伝いされている。

 それで、さらに二枚めくっていただいて、三―五という資料で、国立青年の家、これも理事長は文科省。そして理事。監事には労働省の方が来ておられるんですね。これは、実は私、青年の家の方からお話を聞いたときに、何で労働省の人がこんなところに常勤監事で来るんですかと言ったら、いや、我々もわからないので、上の方で、役所の方でやられているのでというような答えがありました。これはもう常勤、これも三名とも役所の方ですよ、役所のかかわりのある方。そして、結局は、非常勤の二名だけが民間人と言っていいんでしょうね。

 それで、その次のページの国立少年自然の家。この理事長、理事、監事と、見ていただければわかるんですけれども、この常勤の中で民間と言えるような方って本当に、ほとんどいないんですね。だから、私は、これは注目したいと思いますよ。今度の新しい法人の。

 官民バランスというのは、トータルでもあるけれども、やはり法人ごとにもそのバランスをとっていくということがあるわけですから、例えば今度、じゃ仮に理事長が一人、監事が二人、そして理事が五人ということで、八人の役員の中で非常勤監事二人だけが民間で、残りはみんな役所の方だったでは、はっきり言って私は通らないと思いますので。

 大臣、やはり大臣が最終的にこれは認めないといけないわけですから、そこあたりのバランスというものは、やはりそこらあたりまでしっかりとチェックをしていただかないと。もう四月一日、もうほとんど想定されているんでしょうけれども、もしバランスがとれてなかったら、今からでも変更していただくというようなことも含めて、ぜひ大臣、政治的に指導力を発揮していただき、白紙であったならば、やはりこれは四人四人ときちんと見えるような形でこの役員人事をやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 新たな機構のスタートに当たり、円滑な運営、スタートが切れるように人事面の配慮もしてまいりたいと思いますし、また、委員の御指摘がありました事項等々、いろいろな関係のことを頭に置きながら、適切な人事を行ってまいりたいと存じます。

笠委員 大臣、でもね、もう適切にやるということで今約束をされたということでよろしいですよね、官民バランス。よろしいですね、大臣。一応確認させてください。

小坂国務大臣 政府の方針であります官民バランスにも配慮をし、また、それぞれの円滑な運営に資するためのスタートがしっかり切れるような、そういった点にも配慮をして人事を行ってまいりたいと存じます。

笠委員 大臣の立場ではそうした答弁しかあれでしょうけれども、小坂大臣を私も人間的にも信頼をしておりますので、私はぜひこの人事を楽しみにして待たせていただきたいと思います。

 これはたしか独立行政法人ができるときに、当時私はまだ政治記者として取材をしていたんですけれども、イギリスのエージェンシー、そのときにこれが割と議論をされていたんですね。その制度が、やはりサッチャーさんが始めた改革というものが一つのモデルになっているんじゃないかと思うんですけれども、そのときに、やはりイギリスのエージェンシー制度というのは、もちろんこれは公務員で、外局が置かれているけれども、これはこの独法の非公務員化とはちょっと違って、明確に公務員なわけですよね。

 それで、その中で、特に独法との違いというのが、イギリスの場合、責任体制というのが、このエージェンシー制度の方が非常に明確化されているんじゃないかというふうに私は感じております。例えば、エージェンシーは大臣に対してしっかりと責任を負って、そして大臣はそのエージェンシーの業績などについて議会に報告をして、そしてそのことを通じて国民の皆様にしっかりと知らせていく。

 だから、今確かに評価機関が総務省の中に、あるいはそれぞれの当該の省庁の中にあるわけですけれども、その顔ぶれを見ても、もちろん専門家じゃないとわからない部分もあるから、全くすべてが第三者的な人とはならないことは承知していますけれども、やはりこの責任の所在あるいはその評価の仕方、情報公開、そういったものが、もう少し全体の話として確立をしていく必要があるんじゃないかと私は思っておるんです。

 その中で、先ほどちょっと申し上げたんですけれども、イギリスの場合は、例えばそのトップを公務員だけでなくて、公務員でもいいんです、でも民間人も含めて有能な人を公募していこうというようなことも例としてかなりあるようでございます。

 これは、ちょっと教えていただきたいんですけれども、公募しようと思ったら、法律的にはできるわけですよね、何の問題もないですよね。

玉井政府参考人 お答え申し上げます。

 特段の制約があるとは承知しておりません。

笠委員 そうしたら、ぜひ大臣、例えば文科省あたりでも、今度理事長が任期を迎えた、かわるという法人、これからも出てくるので、全部が全部とは言いませんけれども、そういったこともやられたらどうですかね。これは別に今ということじゃなく、今後。どうですか、ちょっとお答えを、そういう気持ちがあるのかどうか。

小坂国務大臣 イギリスの事例等も研究をする中で、すべての可能性を否定はいたしません。

笠委員 もう少し踏み込んで、ぜひ小坂文科大臣時代に、文科省所管の独法についてはほかの省庁に比べると全然違う、先を行っているというようなぐらいのリーダーシップを発揮していただきたいなと思います。

 これはちょっと確認したいんですけれども。

 今回、非公務員化されます。仮に今国家公務員の方が特に関連のある民間企業に天下るというか再就職されるときには、二年間それはだめだということになるわけですけれども、逆に言うと、独法の場合は、非公務員化されるわけですから、ある意味ではひょっとしたら、悪く言えば天下りの抜け道になっていくんじゃないかなというような危惧も私は抱いております。

 それで、先般もちょうど当委員会で御指摘をしましたけれども、やはり、役所から独法へ行く、そして、独法に行って、非公務員化になって、非公務員としてそこで終えて、そしてまた民間にというような、抜け道になるようなことが決してあってはならないことなので、だから、省庁と独法というものの関係も、これは協力する部分はあっていいんだけれども、基本的にはあくまで主体的に、独立してやっていくというようなことをこれからも進めていただきたいと思います。

 せっかくきょう来ておられるので、ちょっと高理事長にもう一つお伺いしたいんですけれども。

 理事長として務めてこられて、高さんも文科省の方から行かれているのでなかなかあれでしょうけれども、文科省から行かないと理事長は務まらないですか。ちょっとお伺いしたいんですけれども。

高参考人 ちょっとなかなか……。私の場合は、これまでそれぞれ御答弁されてきた文部省の人事方針に従って、その方針のもとで私は任命されたと思っておりますので、自分で申し上げるのもいささかあれですが、いわゆる適材適所であったんだろうというふうに思っております。

 私の場合はそういうことでなったと思っておりますので、その余の人がどうなのかというのは、それは理事長の任命権者であられる文部科学省が御判断なさることだろうというふうに思っております。

笠委員 私も、高理事長わざわざ出てきていただいて。今はまだ国家公務員ですものね。これが非公務員化というふうになると、民間人ということになりますので、こうした委員会においでいただくこともなかなか、難しくなるんじゃないかなと思っておるんですけれども。

 それで、最後にちょっとお伺いをしたいんですけれども。大臣と高理事長に一つずつ質問したいんですけれども。高理事長、もう一つ。

 今実際にプロパーの職員の方もおられますよね。あるいは、出向されている方も物すごく多いんですけれども。この出向者の解消とか、あるいはプロパーの方が本当にもう理事長をしっかりとやっていくというような体制というのは、これからの独立行政法人の中で進められるというふうに、それとも、やはりあれぐらい役所の方から来ないと、そうはいってもなかなか、文科省もいろいろと言ってくるし、難しいものなんだということなのか、ちょっとそこあたりをお伺いできればと思うんですが。

高参考人 現在、人事につきましては、職員につきましては理事長のということで、私どもの方の人事方針に従って文部科学省からの出向者も適任者をお願いしてやっていますので、そうした体制でずっと来ておりますので、今直ちにそれが変わるということは適切な運営上問題があろうかと思いますが、御指摘の点も将来的にはあり得るのではなかろうか、そういうことになろうかと思っております。

笠委員 きょう幾つかお伺いをしてきたわけですけれども、事業の見直しも大事なんですけれども、やはり本当に新しくやらなければいけない、この前私も話をお伺いしていまして、例えば今回この統合に当たって、これからは少し役割も変えて、地方の施設、研修施設とかそういったことは、ある意味、地方でやれているところはそこに任せてもいいじゃないか、ただ、これから、例えばフリーターとかニートの対策の延長線上でどういったことができるのかとか、そういう新しいことを前向きにやっていきたいというような御説明があったんです。私はそれは大いに進めるべきだと思うし、だったら逆にそういうところで、本当にそういうのを今、NPOでも何でもいいです、民間でも一生懸命やっておられる方もおられるので、そういうノウハウを持ったような方にも役員で来ていただくとか、やはりそういう目に見える形で、わかりやすい新しい組織づくりをぜひ心がけていただきたい。その大臣の指導力に期待を申し上げまして、私の時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

遠藤委員長 松本大輔君。

松本(大)委員 民主党の松本大輔です。

 提案理由説明によれば、大臣は、「平成十七年度末に中期目標期間が終了する独立行政法人について、独立行政法人通則法第三十五条に基づく検討を行い、組織・業務全般の見直しについての結論を得たところであります。」というふうにおっしゃっていらっしゃいます。

 そこで、この独立行政法人通則法第三十五条に基づく検討が行われているのかどうか、ちょっと私も気になりまして、通則法三十五条というのを当たってみました。

 そこに何と書いてあるかといえば、これは二項なんですけれども、「主務大臣は、前項の規定による検討を行うに当たっては、評価委員会の意見を聴かなければならない。」という義務規定がございます。

 それで、では、検討を行うに当たっては評価委員会の意見を大臣は聞かなきゃいけないんだと。その評価委員会の意見が一体どういうものだったのか。私、文科省のホームページを当たったんですが、今回の独法改革に関連して重要だと思われる十五回、十六回、十九回、こちらの委員会の議事録についてはいずれも公表されておりません。配付資料さえ公表されていないということでありました。

 何で公表されていないのかなと。公表されていなければ、我々としては、実際に主務大臣が評価委員会の意見を聞いた上で検討を行って、それでこの結論が出たのか、判断しようがないからなんですね。

 それで、公開に関する規則というものを読みましたら、第四条「議事録の公表」というところで、「委員長は、委員会の会議の議事録を作成し、これを公表しなければならない。ただし、運営規則第五条第一項の規定により会議を非公開とすることとされた案件に係るものについては、この限りでない。」つまり、原則、議事録を作成し、公表しなきゃいけないんですね。

 それで、ただし書きの規定に今回当てはまっているのかどうかということが問われてくるわけですが、このただし書きの運営規則第五条、これもちょっとしつこく当たってみたんですが、第五条は、分科会の規定になっていまして、「分科会の会議は、必要に応じ、分科会長が招集する。」という規定なんですね。

 ということは、つまりこの議事録の公表について定めた公開に関する規則四条のただし書きというのは、意味不明な文章になっている。つまり、議事録を非公開とする規定については無効になっている。非公開について定めたその根拠規定が無効になっている。こういう状態なんですね。ということは、つまり規則の前段が生きてくる。つまり、議事録は作成しなきゃいけないし、公表しなきゃいけない、こういうことになるんですが、先ほども申し上げたように、現状は公表されておりません。

 これは公表しなければならない義務があると思いますが、なぜ公表されていないのか、御答弁をお願いします。

馳副大臣 人事に係る案件や独立行政法人の業務の評価に係る案件などについては、自由闊達な議論の場を確保するとの観点から、会議を非公開にするとともに議事録も非公開としてきたところであります。ただし、会議の透明性を確保する観点から、議事要旨については、会議終了後、速やかに作成、公表してきたところであります。

 今般、第一期の中期目標期間が終了し、評価についての実績を蓄積することができたことを踏まえ、より一層の透明性確保の観点から、会議が非公開の場合における議事録の作成、公表についても検討してまいりたいと考えております。

干場政府参考人 評価委員会の公開に関する規定の事実関係につきまして、恐縮でございますが、御説明させていただきます。

 先ほど五条というお話がございましたが、その後、実は改定がございまして、二条挿入がございまして、現在、七条になってございます。

 したがいまして、その辺のリンクにつきまして、あるいは、至らない点があるのかもしれませんが、会議の公開につきまして……(松本(大)委員「済みません。もう少しマイクを、大きくしてください」と呼ぶ)はい、失礼しました。

遠藤委員長 少し大きい声で発言してください。

干場政府参考人 恐れ入ります。

 会議の公開に関しましては、独立行政法人の評価運営委員会の運営規則の現在第七条になってございます。

 念のために七条をお読み申し上げますと……(松本(大)委員「いや、あります、大丈夫です」と呼ぶ)はい、七条でございます。

松本(大)委員 それでは、ただし書きについての引用条文というのは七条ということで、現在、改正されているのでしょうか。

干場政府参考人 運営規則の第七条におきまして、「ただし、委員長の決定その他の人事に係る案件、」等々でございます。(松本(大)委員「いえ、違います。公開に関する規則の第四条、議事録の公表のところに、後段、ただし書きがありますよね、運営規則第五条と書いてあるのが」と呼ぶ)

遠藤委員長 ちょっと待ってください。

 委員長の指名を受けて発言してください。

松本(大)委員 私が今お伺いしていますのは、改正をされて七条になっているという御答弁だったのですが、それは公開に関する規則の第四条、議事録の公表について定めた文章の後段、ただし書きのところ、非公開とすることのできる場合を定めたただし書きのところも運営規則第七条というふうに改正をされているのかどうか、お答えください。

干場政府参考人 第七条の二項におきまして、「会議の公開の手続その他委員会の会議の公開に関し必要な事項は、別に委員長が委員会に諮って定める。」というようなことで、七条にそれにつきましても含まれていると認識しております。

松本(大)委員 そうしますと、ごめんなさい、しつこいようですが、公開に関する規則四条の後段について今私はお伺いしていますので、そこについてまだ御答弁いただいていませんから、七条の二項に定めがあるというのは、これは読めばわかるんですが、公開に関する規則の四条に議事録の公表があるわけで、そこにただし書きとして、今おっしゃられている運営規則の七条が根拠だとおっしゃるんですが、その七条を引っ張ってきていないわけですよね。

 文部科学省のホームページ上には、これはアップデートが遅いだけならともかく、「運営規則第五条第一項」というふうに書いてありますので、ここの部分もあわせて第七条と改正されているのかどうかをお答えください。

干場政府参考人 お答え申し上げます。

 五条、七条につきましては、記載上のミスでございます。

松本(大)委員 運営規則については七条というふうに改正をしたんだと。記載上のミスというのは、要するに、運営規則の改定を受けた公開に関する規則の改定が漏れた、こういうことですか。

玉井政府参考人 お答えを申し上げます。

 運営に関する規則を改正して七条になったときに、この今御指摘の公開に関する規則の第三条、第四条のそれぞれの中の規定も変えるべきでございましたけれども、変わっておりません。大変申しわけなく思っております。

松本(大)委員 改定が漏れた結果、公開に関する規則は、現状ではただし書きが無効になっているんですね。つまり、議事録を作成し、公表しなければならないというのがこの法律にのっとった正しい解釈だと思うんですね。この法律を字面どおり読めば公表しなければならないということだと思うんですが、現状、公表されていない。

 この評価委員会の議事録については、提案理由説明にもあるとおり、通則法三十五条に基づく検討が行われたのかどうか。つまりは、評価委員会の委員の意見をしっかりと聞いた上でこの結論が出たのかどうか。私はこの法案審議について不可欠な判断材料だと思っているんですね。そこを非公開とされているその根拠法令の改定が行われていない。つまりは、非公開とする根拠法令がない状態なんですよ。

 となれば、当然、法案の判断材料でもあるから公開をしてください、このように申し上げているわけで、公表についての非公開規定が無効となっている以上はその議事録を公表されるべきではないですかという私の質問に対して、御答弁をお願いします。

干場政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま玉井官房長から申し上げましたように、条文の条番の改正に際しまして、公開に関する規則の方の修正が漏れたということでございまして、実体的なことにつきましての変更はございませんので、そのような意味におきましては、公開に対する評価委員会のポジションというのは変わっておりません。

松本(大)委員 申しわけございませんでしたとおっしゃる割には、ちっとも悪びれた風には、私は答弁を聞いていても感じないんですね。法律に従っていないわけですよ、現状、それは原因は改正漏れかもしれませんけれども。とにかく現状では法律に従っていない。作成し、公表しなければならないと定めた議事録の公表の第四条にのっとっていないわけですから、では、これを踏まえて、どうされるおつもりなんですか。これはこのまま、もう何も公表しないんだ、これでいいんだというようにお考えだということでしょうか。

干場政府参考人 議事録の公開あるいはその会議の公開につきましては、先ほど申し上げましたように、原則として公開しているところでございますけれども、人事に係る案件あるいは業務の評価に係る案件、先ほど御指摘のように、評価を行う際、そのような案件につきましては、自由闊達な議論の場を確保するという観点から、会議を非公開にし議事録も非公開にしてきているというところでございます。これは、今日までのことでございます。

松本(大)委員 改正をきちんとされた方の条文を繰り返し述べられるばかりで、改正漏れになったことについて、悪びれた風もなければ、現状改正漏れになっている法律に文字どおり従う気もない、公表する気もないんだ、こういうことなんですが。

 私、立法府の役割というのは、この法案が本当にこのまま通っちゃっていいのかどうか納税者にかわってしっかりと審議をしなきゃいかぬ。そのための判断材料の提示をこうして求めている。しかも、公開しなくていいという根拠条例は存在をしていない。こういう状況の中で、チェックされる側の行政側が、チェックする側の立法府に対して、法案審議に必要な判断材料の提示を拒否できるのであれば、それは、国会は行政に対する追認機関に成り下がってしまうんですね。これは、私たちにとっては自殺行為だと思います。そういう国会軽視の姿勢には、まず私は強く抗議をしておきたい、このように思います。しかも、善処されるような答弁は何ら出てこない、追加で何か公表されるのかといえば、そうじゃないんだ、いいじゃないですか、つまりこういうことですか。

玉井政府参考人 改めてお答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、そもそもの規則、運営規則で、改正をしたときに、本来改正すべきものであったものがなされていない、大変申しわけなく遺憾に思っております。これは直ちに改正をいたしたいと思っております。

 ただ、公表の考え方自体は、これは確かにこの部分だけごらんになれば、今も御指摘ございますけれども、もともとの運営規則における考え方にのっとってきたものでございますので、そこはひとつ御理解を賜りたい。

 ただ、先ほど来申し上げたとおり、今般、第一期の中期目標期間が終了するわけでございますので、評価についての実績をかなり蓄積をしてきているところでございますので、そういったことを踏まえ、より透明性確保の観点から、今後、会議の非公開の場合における議事録の作成、公表、こういったことについても検討をしてまいりたいと思っております。

松本(大)委員 この問題ばかりやっていると本論に入れないのでもう終わりますけれども、みずからのミスで公表することができなかったというか、議事録を作成していない状況になっているんだ、そのことについて開き直りの答弁を繰り返されるばかりだったというのは、私は非常に遺憾であるということを申し添えておきたいと思います。

 次の質問に移りたいと思いますが、ちょっと時間の関係で通告の二番を飛ばします。

 三番以降についてやっていきたいと思うんですが、提案理由説明には、「独立行政法人に係る改革を推進するため」とか「「小さくて効率的な政府」の実現を図る」といったぐあいで、相変わらず威勢のいい言葉が躍っているんですけれども、果たして本当にそうなのか、健全な懐疑心を持って、やはり納税者のかわりにしっかりとチェック機能を果たしていかなければならないと思うんですね。

 そこで、国の契約では、予定価格が工事であれば五百万円以上、物品であれば三百万円以上のものについては、原則として一般競争入札に付すという会計上の規定があるかと思います。

 そこで、先ほど来、競争入札の促進を図っていくんだという御答弁があるんですが、ちょっと確認のために、現状はどうなっているのかということを聞かせていただきたいと思います。

 今回の法改正の対象となっている十四法人について、予定価格が工事で五百万円以上、物品ならば三百万円以上であるにもかかわらず、随契や指名競争入札になっているものの件数と合計金額について御答弁をお願いします。

干場政府参考人 お答え申し上げます。

 予定価格が工事五百万円以上、物品三百万円以上で、随意契約または指名競争入札としている契約件数及び契約金額につきましては、十四法人の合計につきまして、随意契約で五百十六件、金額で百三十三億四千二百万円、指名競争入札で三十八件、三十四億二千四百万円となってございます。

松本(大)委員 随契が五百十六件で指名競争入札が三十八件ということは、合計で五百五十四件ということになるんですかね。金額の方は、随契が百三十三億、指名競争入札が三十四億ということですから、合計で百六十八億。年間で五百五十件近い件数、金額でいえば百六十八億円という非常に多額の、また件数も多い契約が随契や指名競争入札で行われているということであります。

 今回の改革が「「小さくて効率的な政府」の実現を図る」という、この観点に、この目標に資するものなのであれば、投入されているのはもともとは税金なわけですから、まずは少しでも節約をする努力というものを、一層の努力というものを私は促していかなければならないと思います。

 先ほど来、事務方の方からの答弁の中で、競争入札の促進を図っていくんだ、大臣自身も運営費交付金の見直しに精力的に取り組んでいくんだというようなことを御答弁されています。

 そこで、確認なんですが、大臣、この各独法の内規を見直して、国の会計基準に合わせなさい、つまりは工事でいえば五百万円以上、物品でいえば三百万円以上については原則一般競争入札なんだというような勧告を行うなり、あるいは次期中期目標にそのことをしっかり盛り込む、しかも、さらに何年かたって、その目標が守られていない場合は運営費交付金の大胆な見直しも図っていくべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

干場政府参考人 随意契約等の下限額におきましては、御指摘のとおり、国におきましては、予算決算及び会計令において定められているところでございますが、独立行政法人におきましては、各法人の会計規程において独自に設けられているものでございます。独立行政法人の会計規程は、法人の財務や会計に関しての詳細事項を内部規定として定めたものであり、そもそも各法人の状況に応じて作成するものでございまして、随意契約等の下限額に相違があることによって、例えば国と合っていないというようなことではございません。

 現在、政府全体といたしまして、公共工事の入札制度の改善等に取り組むこととしておりまして、独立行政法人等においても、一般競争入札の拡大を含む政府の取り組みと同様の改善策が講じられるよう、文部科学省より各独立行政法人に通知を行ったところでございます。この通知の趣旨を踏まえ、各独立行政法人において適切に対応していただけるものと考えております。

玉井政府参考人 今総括審議官の方からお答えをいたしましたけれども、要するに、独立行政法人はそれぞれの自主性、自律性があるものでございますから、個別の内部規定について、個々具体の個別の内部規定にかかわる見直しを求めるのはいかがであろうか、こう思っております、個々具体について。

 ただ、こういう公共工事あるいは随契の問題についていろいろな議論が今起こっておりまして、国としてもその見直しをせねばならない。つまり、国の直接の事業として見直しをしなければならない時期でございますので、既に国がこういう方向で見直しているということについて、文書をもって各独立行政法人に周知を図っているところでございますし、今後さらに国自体としてさまざまな見直しをする場合には、そのことをまたさらに各独立行政法人に周知を図ってまいりたい、かように考えております。

小坂国務大臣 もっと明確に申し上げますと、十八年の三月の七日、各関係独立行政法人の長あてに、「公共調達の適正化に向けた取り組みについて」という通知を発出いたしておりまして、今官房長申し上げましたように、随意契約における透明性、効率性の確保を初めとする公共調達の適正化については、現在、政府として、公共工事における入札契約の改善及び随意契約の適正化に取り組んでいるところでありまして、独立行政法人においても同様の改善が講じられるように、この周知を図っているところでございます。

松本(大)委員 中期目標に盛り込むべきではないかという私の質問には御答弁をいただいていないと思うんですが、適正化に取り組むというのは、中期目標に盛り込ませるというような強いリーダーシップを発揮されるおつもりはあるのかないのか、大臣、そのところをもう一回御答弁をお願いします。

小坂国務大臣 独立行政法人の運営に関して、独立行政法人の自主性を重んじる観点から、今のような形で独立行政法人における適正化の周知を図ってまいりたいと考えております。

 中期目標に盛り込めとの御指摘でございますけれども、当面、ただいま申し上げたような形で推移を見守りたいと存じます。(発言する者あり)

松本(大)委員 今不規則発言もあったんですが、まさにおっしゃるとおりで、中期目標を認定しているのは文部科学省ですから、それは大臣のやる気次第だと思うんですね。

 独法の通則法の六十四条にはたしか立入検査の権限が書いてありますし、六十五条には違法行為の是正という形で、実は強い権限が大臣には与えられている。要はやる気次第だと僕は思うんですね。

 先ほど来、自主性とか自律性とかという言葉が何度も出てきていますが、独法は、みずからのリスクでマーケットからお金を調達して、それで事業を営んでいるんであれば、それは自主性、自律性ですというのも僕はわからなくもありません。しかしながら、その大半は運営費交付金なんですよ。もとをただせばそれは税金ですよね。その運営費交付金、単年度で、先ほど笠委員の質問のときにもありましたけれども、七百十九億もつぎ込まれているんですね。

 もとをただせば税金なのに、国直轄でやっているときには会計法上の義務規定があって一般競争入札に付されなければならぬ。ところが、独法になった途端にその義務規定を外れることができる、あるいはたがが緩んで基準が緩くなってしまう。これでは、私は、小さくて効率的な政府の推進という観点からは本末転倒であると思いますし、今回の独法改革でもそれがそのまま放置されるのであれば、一体何のための改革なのかと。言葉は悪いかもしれませんが、小さくて効率的な政府の推進、本当にやる気があるのかな、ちゃんちゃらおかしいというのが一般の納税者の感覚ではないかというふうに思います。

 そこで、随契について、中期目標に見直しを図っていく、つまりは一般競争入札の促進ということについて中期目標に盛り込む予定は、今のところ要するにないということだと思うんですが、私は、独法のガバナンスという観点からちょっと残された時間で幾つか聞いてみたいと思うんですけれども、ちょっと時間の関係で評価委員の構成については多分聞けないかもしれないなと思いましたので、ちょっとそこも後で時間があれば聞くことにします。

 きょうは衆議院事務局の方に、調査局の方にお越しいただいていますので、ごく簡潔に御答弁をいただきたいと思います。

 この独法の評価委員の独立性について、私たちはこういう形で独立行政法人の組織等に関する予備的調査というのを行っておるわけですが、その際に評価委員の独立性について回答されていると思いますので、まず文科省絡みの審議会や委員会の兼務の状況と、それから金銭の授受の状況について、調査局の方、簡潔に御答弁をお願いします。

大西調査局長 お答えいたします。

 今回の独立行政法人の組織等に関する予備的調査につきましては、民主党の先生方五十四名からの要請を受けまして、昨年十月に総務委員長から調査するよう命令を受けたものでございます。

 そこで、お尋ねの件でございますが、文部科学省における独立行政法人評価委員の総数は百七十二名でございまして、そのうち当該省の審議会等の委員についたことのある者の数は八十八名となっております。また、評価委員で当該所管の独立行政法人から金銭授受があった者は二十八人、金銭授受をした件数は四十三件でございまして、その総額は二千百三万九千円、こういうふうになっております。

 以上でございます。

松本(大)委員 私は、この独法のマネジメントの適正さを担保していく手段として、まず、外部評価が適正に行われるのか、その評価を踏まえて次年度の運営にその評価が反映されるのか、経営が改善されるのか、さらには、いつまでたっても経営が改善されない場合はその首を飛ばすことができる、責任者の責任を問うことができるという、この三段階の仕組みというものがやはり必要だと思っているんですね。

 今その評価のことについてお伺いしたんですが、評価者が本当に適正なのかというのを、私は今の御答弁を聞いて疑問に思っております。つまりは、評価委員百七十二人の中に、文科省やあるいはその外郭団体のメンバーを務めている方が八十八人もいて、しかも二十八人の方が年間で総額二千百万円もの金銭の授受を行っている。

 やはり政治は情と理だと思いますから、こういったある意味ずぶずぶな関係の評価委員が、本来緊張関係にあるべき両者がこんな密接な関係を持っているもとで、本当に厳しいチェックができるのかというのが私は納税者の方の感覚だと思いますので、この委員の構成についてはぜひ見直しを図っていただきたいというふうに思います。

 そして、そのガバナンスの二点目に移りますけれども、では、一体全体この評価委員の評価が次年度以降の独法の運営にちゃんと反映されているのかという点なんですが、これについてはお配りしております資料の三というものをごらんいただきたいと思います。

 総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の独立行政法人の状況、これは年報なんですけれども、その十四年度版に次のような記載があります。この資料三の一番上の6というところですが、「十四年七月九日の閣議後の閣僚懇談会において、小泉内閣総理大臣から、独立行政法人の十三年度業務実績の評価の結果を、予算等に速やかに反映するとともに、その反映状況を国民にわかりやすい形で、積極的に公表するよう指示等が行われたところであるが、十五年四月時点において、評価結果の予算への反映状況を公表している法人はみられない。」となっております。

 十五年度、中段に行くとどうかというと、「十六年四月に至っても、」「反映状況を公表している法人はみられない。」

 次の年度はどうなっているかというと、ついに十六年度版では記載自体が何と削除されてしまっているんですね。

 総理に十四年七月に言われている、全然進んでいないじゃないか、何となく気まずいね、これはもう記載からそもそもやめちまおうかというような隠ぺい工作が働いたんじゃないかというふうに野党議員としては思ってしまいたくもなるわけなんですが、最後に、総務省の方にきょうはお越しいただいておりますので、なぜ記載が落ちているのか、そして、十七年度は、これはやはり記載を復活させるべきじゃないかということ、それから、現状はどうなっているか、公表しているところはあるのかどうかという点。

 それから、大臣にもちょっと最後に御答弁いただきたいんですが、こういった形で総理からきちんと、評価結果を次年度以降の予算に反映するように、そして、もう一つの指示である、その反映状況を国民にわかりやすい形で積極的に公表しなさい、これは企業でいえばIRですよね、情報開示ですよ。国民の資金提供者としての共感や理解を生むような努力を前向きにしなさい、こういうことだと思うんですが、この指示がいまだに守られていない、どこも公表していないということについて、大臣としては、主務大臣として傘下の独法のトップに対してこの公表を積極的に働きかけていくおつもりがあるのかどうか、総務省の方と大臣に御答弁をいただきたいと思います。

福井政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいまの御指摘を踏まえまして、十七年度版以降につきましては前向きに検討してまいりたいと思います。

 現状でございますが、リアルタイムで我が方も承知しておりませんので、十七年度版の年報を作成する段階で照会をして、きちっと公表してまいりたいと思います。

玉井政府参考人 毎年度の予算に当たりまして、毎年我が方の独立行政法人評価委員会において御議論をいただき、その議論の中でより適切に対応すべきものの御指摘を受けたものについては毎年度の予算にそれぞれ勘案をしているところでございますが、御指摘のような公表の仕方についてはまだ十分ではなかろうか、かように思っております。

小坂国務大臣 委員御指摘の平成十四年度における独立行政法人の状況の報告、評価年報でございます。ここに指摘されてもおりますし、また、委員の御指摘の点は私としても理解できるところがございます。私の立場で公表を促すようなことを行っていきたい、こう思います。

松本(大)委員 事務方の方からは、総理の指示がたなざらしにされていることについての何か申しわけない気持ちは全く聞き取れなかったんですが、最後に大臣から少し前向きな御答弁をいただいたので安心しました。ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。

 終わります。

遠藤委員長 山口壯君。

山口(壯)委員 民主党の山口壯です。

 きょうは小坂大臣とじっくり議論をさせていただきたいと思って、馳さんも適宜よろしく。きょうは、政府委員の方々、いてもらっても結構ですけれども、お二方と私は議論をさせていただきますので、よろしくお願いします。細かいことはそんなに聞きませんから、大きな話です。

 私は、この間の小坂大臣の答弁、本当にとらわれのない心で非常に大きな視点からの答弁があったと思うし、私は、非常にそこは大事だと思うんです。

 きょうは、この間、独立行政法人となった国立大学、そういうものを、考え方が今回の話にもつながりますから、そういう意味で、きょうまた話を続けさせていただければと思います。最後に、もちろん今回話題になっていることについても共通点を探っていきたいと思います。

 今お手元に配らせていただいている資料、二枚紙のものですけれども、いや、これは結構時間がかかったんですよ、ここまで調べるのには。本当に時間がかかった。これが本当に全貌かどうか、私は余りそこは自信がないかもしれない。でも、私が見た限りでは、こういう一つの姿があるわけです。全部を言っていると時間がありませんから、そういう意味では、一部分部分ずっと指摘をしていきます。その中で、大臣、いろいろお感じになられることもあるかもしれない。

 この仕組みについては、大臣もこの間、必ずしもひょっとしたら正確に把握されていなかったかもしれないので、もう一度確認しますけれども、現職の国家公務員は理事になれないわけですから、一回退職をして、そして役員出向という格好で行っているわけです。だけれども、これはそのまま退職、いわゆる一般のイメージでいう退職ではなくて、もう一回文部科学省に戻るかもしれない、そういう部分があるわけです。そのことを念頭に置いておいてください。したがって、退職か役員出向かじゃないんです。退職して役員出向をするんです。ここをよく押さえておいてください。

 最初に、北海道大学に遠藤啓さんという方がおられます。たまたま私の中高の先輩なんですよ。とてもいい人ですし、彼は非常によくできる方だと思います。東大の法学部を出てから、香川県の文化行政課長をされたり、あるいは、OECD代表部で外務省にも来てもらったり、あるいは大臣秘書官もされて、それから生涯学習政策局の学習情報課長とか、あるいは文化庁においては総務課長とか文化部長とかされて、内閣府の官房審議官を経てから、この北海道大学に行かれているわけですね。年は、まだ若いですから、二十七年九月一日生まれですから、まだ五十三歳です。そういう意味では、この方がもう文部科学省に戻ってこないというふうには私には思えません。そういうことをまず大臣、一つ押さえておいてください。

 それから、例えば、東北大学の徳重真光さんという方がおられます。この方なんかも文部省に昭和五十二年に入られてから、学校健康教育課長とか、あるいは高等学校課長とか、あるいは初等中等教育企画課長とか、ずっとされてから横浜国立大学の事務局長を経て、この東北大学の理事になっておられるんです。年はこの方は六十三ですから、もう文部科学省には戻ってこないかもしれません。しかし、文部科学省の言ってみれば生え抜きの方がこうやって行っておられるわけですね。独立行政法人となったのかどうか、ここにかかわってくるわけです。

 あるいは、もう少し下がって、茨城大学の長谷川正文さんという人がおられますね。長谷川正文さんなんかも官房の総務課におられたり、あるいは会計課の契約専門官をやっておられたり、あるいは会計調査官をされたり、あるいは会計課の経理班の主査をされたり、ずっと勤められているわけです。非常に文部科学省の生え抜きの方ですよ。

 あるいは、埼玉大学の原政敏さん。この方も会計の専門家ですね。会計課の第四予算班主査から第三予算班主査やって、第二予算班主査やって、会計課長補佐もされて、予算企画調整官もされて、この国立少年自然の家の理事から来ておられる。

 この山根さん。この方なんか割と大物でしょうね。山根さんは、昭和五十四年に文部省入省、ああ私と同じ年に役所に入っているんだ。それで、山根さんは、その後、大学入試室長をされて、特殊教育課長あるいは私学助成課長、私学行政課長、スポーツ・青少年局企画・体育課長と。年も私と同じようなものだから、まだ文部科学省に絶対戻らないとは私は言えないと思うんですね。この方が今理事として千葉大学に行っておられる。

 東京大学の上杉道世さん。事務局長の前は、内閣の審議官だったんですね。もちろん文部科学省の方です。

 それから、ずっと下って、金沢大学の本木章喜さん。この方も文部科学省で活躍されていますね。本木章喜さん、生涯スポーツ課長をされたり、あるいは日本学術会議に出向という形になるのか、文部科学省の所管の中ですよ、総務部長をされて、そしてこういうところに今行っておられる。

 福井大学の飯田和郎さん。この方も国立科学博物館の庶務課長をされたり、あるいは文部省に来られて国際企画課の課長補佐、あるいは国際学術課の監理官、あるいは国立天文台に行かれては管理部長をされたり、文部科学省の本当に生え抜きの方ですよ。

 そして、名古屋大学の豊田三郎さん。遠山大臣がおられたときに、後ろにいつもおられた秘書官だったんですね、たしか。私も覚えていますよ。あの温厚な顔をされている立派な秘書官だったんです。豊田さんあたりは、文化庁の、これは宗務課長と読むんでしょうか、ここから現在名古屋大学に行っておられますけれども、文科大臣の秘書官をされたりして、年もまだ若いですから、文部科学省にこの方は戻らないんですかね。よく考えてみてください。

 あるいは、ずっと下がって滋賀大学の斉藤和信さん。この方も文部省の留学生課の課長補佐をされたり、会計課の主査をされたり、会計室長されたり、そこから行っておられるわけです。

 京都大学に来ると、また大物の方が出てくるんですね、本間政雄さんとか木谷さんとか。本間政雄さん、名古屋大学の法学部を出られて、四十六年に文部省に入省か。私より少しシニアですね。フランス大使館にも来てもらったりして、後、生涯スポーツ課長、専門教育課長、国際企画課長、高等学校課長、官房審議官、そこから横浜国立大学に行って、そして今の京都大学に行っておられる。そしてその後、大学評価・学位授与機構国際連携センター長兼教授で行っておられる。文部省との強い関係ってすごいですね。独立行政法人なのか何なのか、よくわからない。

 そして、この木谷さんが今京都大学に行っておられるんですけれども、木谷雅人さん。この方、昭和五十一年に京大の法学部を出られて、大体私と同じぐらいですね、そうしたら。外務省の寿府代にも来てもらったり、留学生課長、医学教育課長、企画課長、高等教育企画課長、文化財部長を文化庁でされて、それから高等教育局の審議官、官房審議官、そして京都大学に行っておられる。文部科学省の言ってみれば超目玉の人事ですよ、きっと。

 そして、大阪教育大学の中岡司さんと椎広行さんも文部科学省の枢要のポストをされていますね。中岡さんは学校健康教育課長、椎さんも民間教育事業振興室長をされていますね。お年的にも、お二方とももう文部科学省に戻らないんですかね。どうでしょう。

 あるいは、和歌山大学にちょっと下って、坂本邦夫さん。この坂本邦夫さんあたりは、この方も国立民族学博物館の管理部長をされて、総合地球環境学研究所の管理部長をされて、それから和歌山大学に行かれて、そこから今に至っておられる。文部科学省との人事は本当に密接にあるんです。

 そして、鳥取大学の三宅保信さんと高木さん。三宅さんは、文部科学省の学術研究助成課企画室長から鳥取大学の事務局長に来られているわけですね。大学業務に精通しておられるということでとられているんでしょう。しかし、本当に密接に関連しています。高木さんは国際理解教育専門官としてやっておられた。

 広島大学の、これは興さんと読まれるんでしょうか、直孝さん。この方は科技庁入庁なんですね。科技庁に入られて、すごく立派な役職を、官房長も歴任され、原子力局長も歴任されている。この人は社会連携担当なんですね、広島大学では。どういうことなのかなと。工藤敏夫さんという方も行っておられて、この方は文部省に五十二年入省で入られて、その後、教育大学室長、生涯スポーツ課長、総合研究課長、研究技術課長、量子放射線研究課長をずっと歴任されてから行っておられる。年的には私と余り変わらないはずですね、五十二年入省だから。五十三、四、五ぐらいでしょう。文部科学省にもう帰ってこないんですかね。退職という格好で行かれたんですか。あるいは、工藤敏夫さんと今申し上げましたけれども、工藤敏夫さんは鹿屋体育大学の理事をされてからこちらの広島大学に来ておられるんです。鹿屋体育大学は下から四つ目ですけれども。

 こういう格好でずっとつながるわけですね。全部言っていたら切りがありませんから。私が言わんとしていることはほぼ明らかになっていると思います。仕組みとしては、退職という形をとって、そして役員出向の形で理事になるわけです。こういうのを本当の意味で退職と言うんですか。偽装退職みたいなものですよ。

 こういうことについて、大臣、どうですか。今までは、確かに文部科学省の、いろいろな意味で、連絡も密な、様子を知っておられる方がいたら心強いなということで大学の方もこういう人材は欲しかったと思うんです。そして、独立行政法人ということになった以上は、この独立ということを本当に実のある独立にしていくためには、むしろ変えていく方向が望ましいとかえって私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

小坂国務大臣 委員は大変に、公務員の御出身であるだけに、文部科学省出身者等についてまで、私よりもはるかに人事面で精通されているなと思っておりました。この人も知っている、この人も知っている、私は全然知らない人ばかりが出てきて、挙げていただきまして、その経歴まで御紹介いただきました。

 まず、私が聞いていて思いましたことは、委員の御認識の中に二つ私とはちょっと違う部分があるなと思ったのは、一つは、独立行政法人と、今御指摘になったそれぞれの大学は国立大学法人という形で、同じような形態をとりながらも、国立大学が国立大学法人になった、その経緯というものを、一般の独立行政法人化と若干違うというところの認識がやはりちょっと違うのかなということが一つ。

 もう一つは、今日まで、我々も同じように、わたりと言われるような、公務員が外郭団体へ行って、また再度、退職をして退職金をもらい、また別の団体等に行ってまた退職をもらい、また退職を得ていくというような、そういった税金の無駄遣いにつながっていくような、外郭団体あるいは補助金等が出ているところでそういう者を採っていくということは是正せないかぬ、こういう考え方は共通していると思うんですね。

 その中で、私どもは、そういった観点から、短期の在職期間であって高額の退職金が支払われるというようなことのないように、役員出向についての規定を変えて、そして、退職ではなくて出向の形で出ていくことによって、求められる人材、請われて行く人材が退職金の二重払いになるようなことのないように。

 そしてまた、早期退職慣行ということについて、公務員の制度の中で、これは問題なんではないか。早期退職慣行をしているから次々にわたりが起こるのではないかという批判がございますので、そういったものに、また戻ることによって対処できるという、逆の意味の、公務員の人事制度の改善という観点から行われている部分があるという認識がやはりちょっと私とは違うなと思って聞いておりました。

 それで、今、委員が理事についてのことをおっしゃいましたけれども、理事になるということは、すなわち、国立大学法人の学長がみずからの判断において、当該大学の経営に必要と考えられる適任者を選任して任命をするという原則は貫かれているということ。それから、このような仕組みのもとで、国立大学法人から要請があった場合には、必要に応じて、適材適所の観点から、文部科学省の職員の推薦を求められれば推薦を私どもがいたしてきたということ。そして、国立大学法人からの要請は、文部科学省職員として国立大学事務局長等を経験するなどの長年にわたる大学の管理運営に関する知識、経験があって、それを買われて、請われて行く、そういう流れで選定がされてきた経緯があるということ。これらの理事は、学長のリーダーシップのもとで、大学の経営陣の一員としてそれぞれの役割を適切に果たしていくということに、これは当然のことでございますし、それによって大学の主体性が損なわれるようなことはないという認識を私どもは持っております。

 その辺の点で、委員が御指摘の部分と実態とを考えますと、委員も御存じだと思いますし、私も民間の経験者でございますが、民間の会社においても出向ということはございます、子会社に出向したり。ところが、子会社に出向したら、その人間は子会社の人間になって、その経営に一生懸命やるというのが当然でございまして、親会社と子会社の場合に、親会社の側の立場に立って仕事をしていたら、これは出向しても意味がないし、出向者としての評価が得られません。出向者というのは、その立場になり切って一生懸命努力するというのが当然のことだと私は考えておりますが、いかがでしょうか。

山口(壯)委員 大臣、玉井官房長が心配そうにずっと聞いておられて、今回は玉井さんのブリーフが大分きいて、そのとおりにおっしゃっているんだと思いますけれども。

 私は、確かに、この資料をつくらせてもらう段階で、一人一人の顔が一瞬思い浮かぶぐらいの感じになりました。一回この方々に全部ずっと会ってみたいぐらいです。

 でも、今大臣がおっしゃったことについて、私はもちろん全部わかっていますよ。出向者というのは、建前はそうであっても、文部科学省に帰ってくる。例えば、なぜそこに行っているかということを考えると、文部科学省に顔がきくからだろうなということでその方々が欲しいわけですよ。そういう意味では、今の仕組みというものも関係している。

 既にきのう資料でお願いしてありますけれども、今の仕組みが、運営費交付金がだんだん減って、そして、COEとかGPとか、いわゆる目的に縛られたような額がどんどんふえている。こういう仕組みになっているわけですね。大臣、こういう細かいことについて余り私は問うつもりはありません。

 大臣、今手元にもしも資料を持っておられなければ、秘書官はちょっと渡してください。運営費交付金予算額。今、大臣、手元にありますか。この予算額が、十六年、十七年、十八年とだんだん減っているわけですね。一兆二千四百億が一兆二千三百に、そして一兆二千二百に、だんだん減っているわけですね。要するに、目的に縛られない一般の交付税のような運営費交付金、これは順番に減っている。

 そして、COE、センター・オブ・エクセレンスとか、あるいはGP、グッドプラクティスですか、これに関しては、文部科学省の物すごいぎちぎちの審査が待っているわけですから、この審査のお金は順番にまたふえているわけですね。大臣、手元に、また秘書官は渡してください。COE、GPの額、これは仕組み上ももちろんふえるようにはなっているんだけれども、十四年度、十五年度、十六年度、十七年度で順番にふえているわけですね。十四年度で百六十七億と書いていますね。その後、三百七億、十五年度。そして、十六年度は三百三十八億。そして、十七年度には三百五十一億。順番にふえている。目的がしっかり縛られている。ニンジンみたいなものです。

 これに関する事務的な量というのは莫大なものがある。もう、研究しているのか、このための資料を文部省に書いているのかわからないぐらいの膨大な事務量をこなしている。

 そういう意味では、文部科学省がいかにコントロールする仕組みを、これは意図的だと私は言わないけれども、結果としてそうなっているかということが背景にある。だから、文部科学省に顔のきく人がどうしても国立大学の行政法人の中に欲しいわけです。まあ、玉井さん、一生懸命首振っておられるけれども、そういう図柄になっているんです。だから、私が独立行政法人か、あるいは従属行政法人でしょうかと皮肉な言い方で聞いたのは、こういう仕組みも関係してあるんです。

 大臣、独立行政法人ということで、この経緯ということでるるお話、もう全部わかっています。私も、あのときはまだちゃんといましたから。その後お休みしましたけれども、ちゃんといましたから、その経緯はちゃんとわかっています。この渡り鳥云々も、これは違います。もちろん違います。これは渡り鳥云々じゃありません。退職という形をまずとって、本当はここもおかしいんですけれども、そして、出向という格好でうまくまた戻ってきている人がいっぱいいるんです。

 さらには、学長からの判断、これも建前の話です。だって、学長は全部の人間知らないんだから。文部科学省さん、だれかいい人いませんかね、おたくの業務にも精通したいい人いませんかと、それは聞いているわけですよ。それは当たり前のことです。何もおかしいことじゃないんです。すごく自然なことです。だから、学長は、与えられた人について、ああ、そうですか、その方だったら、またCOEでもGPでもお世話になれますね。ああ、任せておいてください、この人は審議官もやったし課長もやったし、もううちとの関係がばちばちですから。こういうことがごく普通に、私も理解できます。

 でも、独立行政法人となったからには、こういう姿からだんだん脱皮していくことが大事じゃないでしょうか。この間の大臣の答弁、私は与党の方の中でも、やはりとらわれのない素直な心で非常に立派な答弁されたなという声を聞きました。そういう意味からいったら、余り役人的な答弁にならないように、やはり大臣として、こういうことに対して中長期的に、今までは確かに国立大学について文部科学省のいろいろなコントロールがあった。これからは、しかし、ちょっともう少し実質的なところでやってやろうか。人事についてもだんだん見直そうかというところを、大臣、お考えいただきたいと思うんです。

 ちょっと待ってくださいね。済みません、ちょっと待ってくださいね。

 そして、この人事についても、私もわかります。私も玉井さんの官房長の立場だったら、みんな、何千人も抱えた人たちを職につけておかなきゃいけないわけですから、それはいろいろなところに行かせたいでしょう。それは、人事課長吉田さんも大変なんです。だけれども、そんな中でも、やはり独立行政法人という仕組みをおつくりになられたんですから、私は、あのときにむしろ反対の討論をさせてもらいました。それは、すそ野を広くしなきゃいけないと。例えば、基礎的な物理学科とかあるいは文学部、こういうものについてはもうからないわけですから、あるいは産学連携になじまないから、では、そういうものについてはだんだん予算も少なくなっていくなということもあり得るだろう。すそ野が広くなって、初めて山は高い。そういうことを考えると、国立大学をほかの独立行政法人的にしてしまうのはよくない。

 大臣も、最初におっしゃったので、私はそのことをよく大臣との間では意見が共有できていると思うんですよ。だけれども、こういう独立行政法人にされたんだから、された以上は、その自主的な、自律的な部分を、建前だけではなくて、実質にも持っていくように、小坂大臣には政治家としてのリーダーシップをきちっととっていただかなきゃいけないと思います。

 答弁をお願いします。

小坂国務大臣 山口委員の御質問、聞きながら若干疑問が生じてきたんですけれども、山口委員は、役人というものは、天下り、あるいは出向、あるいは退職して出向して復帰、いろいろな形はあるかもしれないけれども、派遣された先では、性悪説ではないけれども、何か自分の保身と功名心だけで動くような、そういう種類の人間だという先入観がおありなんじゃないか。それにしては、委員御自身が御出身でございますので、そういう形で仕事をされていたのかなという疑問が生じてしまうんですね。(山口(壯)委員「ちょっと今のは答弁おかしいよ」と呼ぶ)私は、そういうことではなくて、やはり役人も、物事がよくなるように、この社会がよくなるように、やはりそれぞれに努力をしていると私は信じたい。ですから、今、この職について、文部科学省の人間にいろいろなレクを受けたり、あるいは人事について相談を受けたときに、私は、その基準で、あなた方もやはり国民の立場に立って、この世の中をよくするという観点でやはり取り組んでいかないといけない、そう思っているんでしょうと確認をしながら日々仕事をしているつもりなんですね。

 そういう中で、大変幅広い御質問をいただきましたので、それぞれにお答えをしなきゃいけないと思いますけれども、例えば、このCOEのプログラムにおける十四年度の予算額百六十七億のうち、国立大学は百三十億、約七八%に該当しますが、十五年度は三百八億で二百三十九億、十六年度は三百三十八億のうち同二百六十八億、十七年度は三百五十二億で同二百七十七億、確かに国立大学が、百三十、二百三十九、二百六十八、二百七十七と毎年ふえているではないか、こういう御指摘でございます。

 しかしこれも、これは何も官房長ほかからレクを受けたからただただ言うわけじゃなくて、レクを受けてもその内容が理解できなければ私は申し上げるつもりはありませんが、ここで指摘をされたことについては、センター・オブ・エクセレンスをつくるということは、この事業自体が大学院の博士課程を対象としておりまして、そういう意味から、国立大学の中に公私立大学と比べて博士課程の学生数が多い、また教員数も規模が大きいということから、必然的にこのようになってしまうという部分があるわけでございまして、そして、国立大学の申請が多かったということになります。

 したがって、今後とも、このプログラムの比率を変えていくには公私立大学の積極的な応募を呼びかける必要がある、こう考えますので、そういった対応はしてまいりたい、こう考えますが、実情はそういうふうな形から出てきた数字だ、私はこのように理解をいたしております。

 また、運営費交付金の話でございますけれども、この運営費交付金は、毎年、先ほど別の答弁に使ってしまいましたが、国立大学法人への運営費交付金は、十六、十七、十八、それぞれ九十八億減あるいは百二億減と、約百億円の削減を行ってきている。これは、運営費交付金は、効率化によって、目標を掲げて削減をしていきなさい。しかしながら、大学においては、ただいま先に申し上げたセンター・オブ・エクセレンスあるいはグッドプラクティスというようなプログラムを通じて、いい企画に対してはお金をつけて、そして、委員御自身がニンジンとおっしゃいましたけれども、あめとむちとよく言われますが、そのあめとかむちとかということではなくて、むしろ、いいインセンティブと、そして節約の精神、合理化の精神というものを育成していくという観点から、一方では合理化を進めながらも、一方ではいいものに対してはしっかりとお金をつける、こういう立場でこれが行われた、このように御理解をいただきたいと思っております。

山口(壯)委員 大臣、今のは何ですか。少々聞き捨てならない答弁もありました。

 私も、外務省から防衛庁に出向した。行っていたときに大韓航空機の撃墜事件が起こって、防衛庁にとってアキレス腱になると言われたところ。それはもう徹底的に頑張りましたよ。だから今でも防衛庁にたくさん仲間がいる。

 今の一言、まず取り消してください。

小坂国務大臣 委員は、そういったように防衛庁に行かれて御努力されたという御説明をいただきました。同じように立派な志を持っていらっしゃるんだな、そういうふうに認識をさせていただきます。

山口(壯)委員 そういうつながりがやはりあるわけです。だから、人間なんですから。大臣、それから、やはり就任間もないかもしれないけれども、センター・オブ・エクセレンスの実態。それを作業として、例えば大学で煮詰めていくための作業、そしてペーパーにする作業、文部科学省の役人の人からもえらい指導を受けるのです。大変なんです。その辺についてももう少し理解をいただいた方がいいと今の答弁からは察しました。

 そして、いろいろと事務方からお聞きになるのは、これは当然のことです。しかし、事務方と同じであっては、政治家じゃないのですから、やはりその前を見て、そして大きく見ていかないといけないと思うのです。

 私は決して、きょうも質疑でおわかりになったとおり、大臣を何か困らそうとか、そういう趣旨で聞いていないということははっきりわかられたでしょう。そして、いい方向に少しでもお互いの認識が共有できればということで聞いているわけですから。きょうは質問時間ももうなくなりましたけれども、もう一度反すうしていただいて、そして大臣が、これから日本のすそ野を広くする基礎的なものについても、きちっと独立行政法人のいいところ、そしてそういう補わなきゃいけないところ、これを、文部科学省の今までの人事が少し、そのことがどっぷりになってしまっていないかということについて、もう一度思いをいたしていただいて、これからの文部科学大臣としての職責をぜひ果たしていただきたいと思います。

 終わります。

遠藤委員長 石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 法案に関連しまして、独立行政法人日本スポーツセンターのサッカーくじについてお聞きをいたします。

 まずお聞きしますけれども、独立行政法人の日本スポーツセンターの理事長など役員に支払われている年間の報酬及び給与はそれぞれ幾らですか。

    〔委員長退席、池坊委員長代理着席〕

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本スポーツ振興センターの役員、理事長一名、理事四名、監事二名、うち一名は非常勤でございますけれども、この七名、平成十六年度に支払った報酬の総額九千七百六十七万円ということでございます。

石井(郁)委員 それでは、もう一つですが、このセンターのサッカーくじ担当セクション、そこにかかわる職員の人数及び給与は幾らでしょうか。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 日本スポーツ振興センターにおいては、スポーツ振興事業部という部がございます。この部は、スポーツ振興くじの運営業務をやっておりますほか、スポーツ振興基金の管理業務、その助成に係る業務等をやっているわけでございますけれども、この部の中でスポーツ振興くじの業務にかかわっている職員は、平成十七年の四月現在十七名でございますが、平成十六年度に支払った給与総額は一億二千二百万円ということでございます。

 なお、この職員の給与につきましては、国庫費ではございませんで、独立した勘定で、くじの勘定で支払われているものでございます。

石井(郁)委員 今明らかになりましたように、センターの理事長、先ほど理事長の年間報酬はおっしゃらなかったんですけれども、私ども一千九百二十万円というふうに聞いているんです。この役員に支払われている給与で約一億円なんですね。そして、今お話しのように、職員の人数、職員の給与分で一億円を超えている。だから、二億円を超える額がこのセンターの役員及びサッカーくじにかかわる職員に支払われている。二億円です。

 ところで、この理事長の雨宮忠氏は、前の文部省学術国際局長からの天下りですよね。サッカーくじ担当の高杉重夫氏も文部科学省のスポーツ・青少年局スポーツ・青少年総括官出身でございます。それから、若松氏も文科省から、児島氏と監事の請川氏も財務局出身。だから、役員レベルでいうと、いわば官僚の天下りで占められているということなんですね。こうした天下り役員に毎年一億円近くだ、職員にも一億円超えているという二億円近い支出がされているということなんですね。私は、これをまず確認したいと思います。

 では、次に伺いますけれども、サッカーくじのこの間の売り上げ及びスポーツ団体に対する助成額は幾らなんでしょう。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 スポーツ振興くじの売り上げは、全国販売を開始したのが平成十三年度でございますけれども、この平成十三年度は六百四十三億円でございます。平成十四年度は三百六十一億円、そして平成十五年度は百九十九億円、そして平成十六年度百五十七億円となっているわけでございます。平成十七年度はまだ確定はしていないわけでございます。

 また、スポーツ振興くじを財源といたします助成でございますけれども、これは、十四年度から開始しておりますけれども、助成額は、十四年度は五十八億円、十五年度は二十四億円、十六年度は約六億円、そして十七年度は二・五億円となっているわけでございます。

石井(郁)委員 十八年度の見込みは幾らですか。

素川政府参考人 これは十七年度の売り上げが確定していないわけでございますけれども、見込みといたしまして一億数千万円であろうかと思っております。

石井(郁)委員 売上額は、本当に初年度から比べるとどうなんでしょう。もう四分の一弱に落ち込んでいるわけでしょう。そして助成額は、今やっと御答弁されましたけれども、十八年度一億円少し、少しなのかどのくらい伸びるかはあれですけれども、一億円台ですよ。そうしますと、役員の報酬とか職員の給与に払っている額の約二分の一じゃないですか。それぐらいしか助成額がないと。私は大変な事態だというふうに思うんですね。

 ところで、ではもう一つ伺いますが、サッカーくじ業務にかかわるこの間の累積債務ですね。これは一体幾らあるんでしょう。そして、毎年これは幾ら返済する計画となっているのか、お答えください。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十三年から五年間、金融機関等に販売業務を委託しているわけでございますけれども、初期投資といたしまして、初期投資はシステム開発とか端末機の製造が中心でございますけれども、三百五十一億円ということで金融機関が支払い、それを五年間で約七十億円ずつ償還するということであるわけでございますけれども、これが平成十六年度末現在で約二百二十億円残っているということでございます。

石井(郁)委員 ですから、この初期投資分も五年間で払う計画が全く達成できていない、二百二十億円も未払いとなっているという問題なんですね。

 それから、今はお答えになりませんでしたけれども、センターが直接運営に乗り出すための新たな借金、これも百数十億円ぐらいあるんじゃないですか。では、この借金の返済のために、年間一体幾らぐらいの売り上げがあったらできるんでしょうか。

素川政府参考人 第一期の償還でありますが、これは第二期といいますか十八年度以降の売り上げから返済していくということでございます。何年でどれぐらいずつ返済するかということによるわけでございますけれども、少なくとも二百億の半ば以上の売り上げを確保したいと考えているところでございます。

石井(郁)委員 確かな数字じゃないかもしれませんけれども、二百億円以上の売り上げが必要だということですけれども、しかし、先ほどの売上額のように、今百四十億円とか百五十億円ぐらいの売り上げじゃないですか。到底私は借金返済に回らないと思うんですね。ますます累積がふえていくということになると思うんですね。これは、大変国民的な心配ですよ、どうするのかと。

 では、まさかどこかの時点で税金を投入、そういうことにはなりませんか。

馳副大臣 先ほどから具体的な数字のやりとり、私も把握しておりますが、大変心苦しく、しかしながら、何とかしなければいけないという思いを持って拝聴しておりました。

 というのも、私は、このスポーツ振興投票法案について、参議院議員時代に修正案の提案者として国会での答弁もしておった。そういう意味でいえば、責任の一端を担っている立場、また現在は副大臣としてあり、できる限り売り上げを上げて、経費を節約しながら、また日本スポーツ振興センターの役員の皆さんにも報酬に見合った働きをしっかりしていただいて運営をしていただく、こういうことを求めながら、まずは、累積債務ではなくて、初期投資の分は、あと二百数十億残っておる分は早くお返しをするのが筋ですから、そういう方向に向けて努力をしなきゃいけないというふうに思っております。

 実際に、この勘定というのは日本スポーツ振興センターの経理とは別の勘定で運営している。これは法律上そういうふうになっておりますから、そういう意味でいえば、税金を投入するということは想定をされていないということは申し上げたいと思います。

石井(郁)委員 この間、スポーツ団体への助成額が一億円だということなんですね。この事実を私は本当に重く見たいと思うんです。

 スポーツ振興投票の実施に関する法律第一条の目的、どう掲げていたでしょうか。「この法律は、スポーツの振興のために必要な資金を得るため、スポーツ振興投票の実施等に関する事項を定め、もってスポーツの振興に寄与することを目的とする。」だから、スポーツ振興のために必要な資金を得るためなんだ。今、それが一億円です。私はこの目的が今や果たせなくなっていると言わなければいけないと思うんですね。

 そればかりじゃないんです。この間、重大なことが出てまいりました。これは先般の委員会で池坊委員も御質問されていましたけれども、附帯決議や国会答弁を無視した、いわば文科省の暴走とも言える事態が進んでいると言わなきゃいけないと私は思っています。

 端的にお聞きします。お答えください。

 この二月からコンビニエンスストアで一般販売というのを実施しているのかどうか。二点目、当日販売も行われているのかどうか。それから、二百四十三分の一という確率のサッカーくじが販売されているのかどうか。また、インターネットや携帯電話からの販売をしているのか。しかも試合開始一時間前までに買えるようにしている、こういうことじゃないんでしょうか。いかがですか。

素川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、この三月から十八年シーズンが始まっておりますけれども、コンビニエンスストア、これは従前、個々のコンビニの会員に限っていたわけでございますけれども、いわゆる一般販売というものを実施しております。

 それから当日販売、これは当日販売と申しましても、今お話ありましたように、試合の一定時間前ということでございますけれども、それも実施しておるところでございます。

 それから確率二百四十三分の一のくじ、これにつきましては、昨年、百万分の一というくじの確率の制限を省令改正いたしまして撤廃したわけでございますけれども、いわゆるminitotoというくじの種類でございますけれども、これを導入しているところでございます。

 それから、もう一つお話がありましたインターネット販売、これにつきましては、実は、昨年はネット専用銀行の口座決済をするという範囲で導入していたわけでございますけれども、それに加えましてクレジットカード、特定のクレジットカードでございますけれども、これも決済とリンクしているということで年齢確認ができるということで、導入をいたしているところでございます。

石井(郁)委員 この法案の国会審議、私もかかわった一人でありますし、当委員会には、たまたまといいますか、小坂大臣も提案者でございましたし、また松浪議員も提案者でございました、馳副大臣もかかわっておられたということでもございます。それぞれがいろいろな思いをしておられると思いますけれども、だからこの国会審議、また答弁をされたこと、よく御記憶のことだというふうに思います。

 コンビニエンスストアでの販売という点では、これはしなくても、これに頼らなくても売上額は小さくならない。つまり、コンビニは販売場所の対象とはしないというのが当時の有馬文部大臣の御答弁でした。つまり、附帯決議にあるように、販売に当たっては、十九歳未満の者に対する購入等の禁止が徹底されるように、販売場所、販売方法等について青少年が入手しがたい方策を講じるなど適切な配慮をしなきゃいけない、やはり青少年に射幸心をあおっちゃいけないということが最大のというか大きな論点で議論されたというふうに思うんですね。

 しかし、これが今はもう解禁になっている。いわば行われている。それから当日販売はしないということも進められている。確率も、当時は百万分の一から百六十万分の一にするんだ、富くじのようなものだ、こう言っていたけれども、何と二百四十三分の一ですよ。ここまで来てしまった。対面販売が原則だ、こう言っていたけれども、今やネット販売、インターネット上でも進められている。競技場では売らないということも答弁がありました。

 もう、こういうすべてが答弁違反ですよ。いかがですか。

小坂国務大臣 青少年の健全育成に有害な影響を与えないという視点からいろいろな議論がなされたところでございます。コンビニエンスストアにおける販売ということについても十分な注意を払って今日まで運営をしてまいっておりまして、そういった意味では十九歳未満の購入禁止が徹底をされているというふうに理解をいたしております。

 また、今回のコンビニエンスストアにおける販売においても、コンビニエンスストアの運営がいろいろ形態が変わってまいりました。その中で、コンビニエンスストアが独自のシステムによっていろいろなチケット販売を一つの機械でこなせるようになってまいりまして、一般的にそういったもので購入することが非常に利便性が高いということから、それを利用させてほしい、こういう御要望も大変に多くなってまいりました。

 そこで、そういった利便性の向上と対面販売というものの整合性を保つために、コンビニエンスストアにおきまして、券売機で出したものを一たんレジへ持っていって支払いをしていただくということで、対面販売と同じ効果を、効果といいますか体制を維持することとしたものでございまして、このことにより答弁との間に食い違いがあるとは認識をいたしておりません。

石井(郁)委員 今は一点、コンビニでの販売のことだけを例として挙げましたけれども、しかし、これとて状況ややり方が変わったという話をしているだけでございまして、本当に十九歳未満の方が買っていないのかどうか、その保証はないですよ。ないです。そして、ほかの幾つもの項目が全く答弁違反ですから、私は、本当にこんな形で国会答弁が踏みにじられて、いわば変質していっているということはゆゆしいことだというふうに思っています。

 しかも、最初に申し上げましたように、文科省所管の日本スポーツセンターでしょう。そのサッカーくじですよ。そこに文科省の天下りが行って、そしてこういう事態を引き起こしている。これはどう見たらいいんですか。本当に官僚の暴走以外の何物でもない、傍若無人のやり方だ、こう言ってもいいと思うんですね。私は、国会としてこれは到底許すことはできない、もちろん、私自身も審議にかかわった者として、到底これは認めるわけにいかないというふうに思うんですね。

 それでは角度を変えまして伺いますが、この間のスポーツの予算というのはどのように推移していますか。

素川政府参考人 多分、平成十三年度から十八年度の間の変化というお尋ねであろうかと思います。

 平成十三年度、前提が少しございますけれども、平成十八年度からは、公立学校等のいわゆる体育施設の整備費が交付金化したということで、スポーツ関係予算とは外して、全体の大枠の中の内数になったものでございますから、それは外して考えてみたいと思います。

 そういうことで、少し金額は少なくなっておるわけでございますけれども、平成十八年度のスポーツ関係予算百六十七億円という数字がございます。

 それで、スポーツ振興くじの発売が開始された十三年度、これは助成金がまだ出ていない時代でございますけれども、それは百四十二億円ということで、十八年度は二十五億円の増加になっているということでございます。

    〔池坊委員長代理退席、委員長着席〕

石井(郁)委員 スポーツ予算は一貫して下がり続けているんですよ。十八年度で二十五億円、本当に少な過ぎると思いませんか。私は、これだったら、サッカーくじ実施のための投資、三百五十億円投資したんですから、また、毎年の人件費などを考慮したら、直接国から補助した方がずっとよかったんじゃないか、ずっとスポーツの予算、確保できたんじゃないかと言わざるを得ないんですね。

 サッカーくじ実施のための法律の附則に何とありましたか。この法律の施行後七年を経過した場合、スポーツ振興投票制度の見直しを行うものとすると。ちょうどことしで七年ですから、この見直しをどうされるんですか。行ったんですか。

素川政府参考人 昨年の十一月で七年が経過したというふうに承知しているわけでございますけれども、その一年前の平成十六年の九月に、スポーツ振興くじの売り上げ回復といいますか、平成十八年度以降のあり方を展望いたしまして、中教審のスポーツ・青少年分科会から、くじの種類とか販売方法等の改善策の提言をいただいておるわけでございます。それを踏まえまして、この十八年三月からの販売をいたしておるわけでございますけれども、十八年二月には、この提言の実施状況をスポーツ・青少年分科会に報告し、三月から具体的な改善方策を実施しているわけでございます。

 このように、現行の枠組みの中でできる限りの改善策を実施してきたところでございまして、今後、必要があれば、さらに見直しを図っていくことが適当と考えているところでございます。

石井(郁)委員 私は部分的な改善とかそういう話じゃないと思うんですね。スポーツ振興投票制度の見直しを行う、これが法律の趣旨ですから、ちゃんと法律に明記されているんですから、この立場で行うべきですよ。まずこれを強く申し上げておきたいと思うんですね。

 時間の関係がありますので、私は、最後に大臣に伺いますが、サッカーくじ依存のスポーツ振興行政というのは、今、本当に大きな見直しの時期に来ているんじゃないでしょうか。ここに依存するようなスポーツ行政では立ち行かないんじゃないでしょうか。

 それで、ことしのトリノ・オリンピックでございますけれども、金メダリストの荒川選手が記者会見で言っていたことに、私、とてもなるほどと思いました。私が幼いころから基礎を築いてきたスケートリンクが閉鎖されて、子供たちは困っている、私も米国で練習するしかない、日本の環境は悪くなっていると思っていると述べているんですよ。トリノ四位の村主選手も、この選手の拠点とするリンクも売却候補に浮上していると。

 この五年間で四十以上のリンクが閉鎖されたというんでしょう。何か、本当にこれは情けない話じゃありませんか。金メダルをとれた、とれたといいながら、こんな状況に置いている。私はこれは国のスポーツ行政の貧困の一つを象徴する話じゃないかと思いますので、大臣に御見解を伺います。

小坂国務大臣 スポーツは、その競技選手がオリンピック等の世界大会で金メダルをとる、優勝、賞をとるということで、国民の皆さんの心の中に明るさとそして元気を与えてくれる。そして、大変厳しい試練を超えて、そのメダルを獲得するまでのストーリーそのものが、国民に生きる勇気を与えてくれると思っておりますので、そういった意味で、国民スポーツの振興と競技スポーツの振興は、ともに文部科学大臣として積極的に進めなければならないことだと認識をいたしております。

 委員が御指摘のように、私も荒川さんのそのお話を聞きまして、そのお話を閣議後の懇談会でも直後に披露をしまして、冬季スポーツ競技の振興と競技施設の拡充について、また、支援、助成の拡大について、各閣僚の御理解を得る努力をしたところでございますし、あらゆる場を通じて、JOCの竹田会長ともお話をする中で、私ども、この必要性を訴えてまいりたいと思っております。

 そういう意味において、委員が御指摘になりましたように、詳しい数字を申し上げるとあれでございますが、平成八年から十四年までで、屋内のスケートリンクで三十三、屋外のスケートリンクで百二十七減少しているんですね、民間のものと両方合わせてですが。すなわち、トータルで百六十ものスケートリンクが全国で閉鎖を余儀なくされている。こういった環境では、次なる荒川選手、村主選手あるいは安藤選手のようなフィギュアスケーターが育ってこない。

 また、同じように、私もそうでしたけれども、スケートの取っつきというのは、意外とフィギュアから入るんですね。それからホッケーに行ったりスピードに行ったりすることが多かった。そういったことも振り返りながら、こういったフィギュアのリンクを初めとして、スケートリンクそのものがあるということが、やはり国民スポーツの幅を広げることになると思っております。そういった意味で、委員とともに私も努力したいと思いますので、ぜひとも応援をよろしくお願い申し上げます。

石井(郁)委員 時間ですけれども、もう一点、具体的な話で、大臣のそういうお気持ちですので、ちょうど長野にかかわりますので。

 冬季スポーツのナショナルトレーニングセンターというのが日本にはないんですよ。ところが、あの長野オリンピックでエムウエーブができましたよね。これは世界最大級だ、すばらしい施設だというんですが、十月から三月までしか使えないというんですよ。

 もったいないじゃないですか、今、もったいないというのがはやりですけれども。やはり通年リンクにする、このぐらいのことがなぜできないのか。聞きますと、四億から五億円ぐらいじゃないかと言われるんですね。私は、こういうことは、ぜひ大臣に英断をしていただきたいと思います。

小坂国務大臣 何か私の出身地の関係になりますので、応援の質問をいただいているようで答えにくい部分もあるんでございますけれども。

 おっしゃるとおりに、エムウエーブというスピードスケートの屋内リンクは、日本で唯一の施設でございます。イベント等を開催して、夏場に一生懸命稼いで、冬場のアイスリンクにする費用を捻出しているというのが現状でございまして、その支出経費を、株式会社エムウエーブで三億四千万、また、長野市の負担分で二億一千万。ただ、このうちの一億四千万はエムウエーブの会社の方に提供していますので、差し引きいたしますと変わってまいりますけれども、このような資金を必死に稼いで維持しているというのが現状でございます。そういう意味からすれば、やはり国の助成で通年氷が張れるリンクにしていくことが、競技力を向上させる。

 また、ボブスレー、リュージュのスパイラルというコースがございます。ボブスレー、リュージュのコースは日本でただ唯一、この長野市のサイトだけでございます。この維持には膨大なお金がかかりまして、今は市民とそれから九八年のオリンピックの基金の中から維持しておりますが、これも大変厳しい状況にあります。

 そういった意味で、関係の皆さんの御理解を得る中でこういったものに対する支援をすることも、ナショナルトレーニングセンター化することによってそういったものが可能になってくると考え、そういったことの検討を真剣にやってまいりたいと存じます。

石井(郁)委員 サッカーくじにつきましては、この間、各新聞の社説、そのほかいろいろな記事等で大変厳しい批判が相次いでいます。

 私は提案いたしますけれども、これは委員長にお諮りいただきたいのですが、サッカーくじのあり方については、見直しを含めて、本委員会での集中審議等をぜひお願いしたいと思います。このことをお願いして、質問を終わります。

遠藤委員長 今の件につきましては、理事会で協議をいたします。

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四十八分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十一分開議

遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 まず、法案に先立って、オリンピックの唯一の金メダルで荒川選手の活躍が本当によかったというこの余韻も冷めやらないうちに、日本スケート連盟の不祥事ということが伝えられております。

 文部省所管の財団法人で、このスケート連盟が、国際大会などを運営する国際事業部門で一億五千万という赤字を計上してしまった。また、当時の会長がこれらの部門をみずからの運営する会社に事務所を置いて、またそこに経理の透明性があったのかどうかということが問題になっています。

 まず、文部大臣に総括的に伺いたいのですが、これから大いなる発展が期待される分野だけに非常に残念なことだと思いますが、この不透明な経理や公私混同などが万が一にもこれはあってはならないというふうに思います。まず、大臣の所感を伺います。

小坂国務大臣 ただいま御指摘のように、財団法人日本スケート連盟の、現在会長は空席でございます、前々会長の国際事業関係の経理に関する問題について、三月の十三日に文部科学省に対しまして財団の会長代行から担当課長に説明がございました。

 現在、事実関係を調査しているということでございまして、六月の評議員会までに結果を取りまとめた報告を申し上げるということでございますので、私どもとしても、まずもって、この調査が円滑に、そして適正に行われて真実が明らかになることをしっかり見守ってまいりたいと存じます。

 そこで、心配になりますのは、私ども国から補助金を支出している団体でございます。その行方ということになりますが、JOCを通じて連盟の選手強化に対しての補助金が出されておりますが、当日の説明によりますと、特別会計として区分が経理されていることから、今般の経理問題とは関係のない形になっているという説明がありました。

 そういったことで、この報告が出ましたならば、厳正に吟味した上で、厳正に指導をしてまいりたいと存じます。

保坂(展)委員 それでは、幾つか具体的に馳副大臣に伺いたいと思います。

 まず、この連盟が調査委員会を設置したということなんですけれども、この調査委員会の人的な構成はどうなっているか。外部の者を入れて客観的、公正にやるということを目指さなきゃいけないのでしょうけれども、調査委員会の責任者や、あるいは連盟の中にどういう方が入っているのか、外部から例えばどういう専門家が入ったのか、これらについてお願いします。

馳副大臣 財団法人日本スケート連盟の財務部長、連盟の公認会計士一名、連盟の顧問弁護士一名、外部の公認会計士一名、外部の弁護士一名で構成されており、今後必要に応じて追加されると伺っております。

 ただ、具体的な構成員名については、連盟は調査が終了した段階で公表するということですので、それまでは調査に支障を来すおそれがあるとの理由で公表しないということでありました。

保坂(展)委員 馳大臣、その責任者はどなたになっているんでしょうか。

馳副大臣 この構成から察するにというか判断するに、どう考えても、財務部長がある意味では連盟を代表しての責任者になるものと思われます。

保坂(展)委員 それでは、この調査委員会はいつから開催をして、どのような日程で、何をテーマにして、もちろん報道されたことがテーマになるんでしょうけれども、しかし、調査委員会は何をテーマにして、六月までというのはわかりましたけれども、どのぐらいの頻度で、もう既に始まっているのかどうなのか、それについてもお願いします。

馳副大臣 テーマについては、国際競技大会を開催する財団法人日本スケート連盟内組織の国際事業委員会について、平成十年から平成十六年までの収支の調査を行うものと承知をいたしております。

 報道によりますと、一昨日、三月十五日に第一回が開催されたと聞いておりますが、今後の調査日程についても連盟は公表しないとしているということであります。

 最終的には、連盟は、六月十七日に開催が予定されている評議員会までに結果を取りまとめると報告をいたしておりまして、その際には、結果のみならず、調査の経緯も含め公表されるというふうに伺っております。

保坂(展)委員 まないたのコイが包丁を握るという言葉もありますけれども、連盟の中で起きた問題ですね。今大臣からお話があったように、補助金が、不正にという心配は直接にはないにしても、例えば、新聞報道によれば、この専務の方が直接決済をされていた。この専務の方も、調査委員会に入っていないまでも、自分は責任がないとは言い切れないが、専務理事の職にとどまって内部調査に関与していきたい、こう言っているんですね。

 やはり、これだけの波紋を呼んだからには、調査委員会を開いて、こうだったということをしっかり対外的に明らかにしながら調査を進めていくべきではないかと思うんですが、いかがですか。

馳副大臣 その専務が調査委員会の中に入るというのは私もいかがなものかと思いますね。調査委員会から調査を受ける立場の者が中に入って信頼性の置ける調査結果を出せるのか、私は思いませんので、その辺もしっかり指導してまいりたいと思います。

保坂(展)委員 これも確認できないのですけれども、例えば、航空会社から協賛以外に無料航空券などが提供されて、これは役員の方がむしろ優先的に使っていたのじゃないかという話がございます。選手の方はエコノミーで役員はビジネス、本来逆だろうという話もございます。

 こういった中で、連盟自身そうやって赤字になっていく中で、選手の遠征費、これは連盟が負担する部分の半額ですか、選手自体はそういう部分の請求を受けてしまうというようなことも伝えられていますけれども、かなり正すべき点は多いと思いますが、同じスポーツの世界で活躍された馳副大臣、どうですか。

馳副大臣 大体どの団体も同じだと思うんですけれども、役員がいい思いをして選手にしわ寄せが行ってはならないというのは大原則でありますから、国会で保坂委員からこういう御指摘があったということも先方にお伝えをして、きっちりと疑問に答えることができるような調査をするように指導したいと思います。

保坂(展)委員 そして、六月に調査結果が出るということなんですが、私は、もう少し文部科学省は踏み込んでいいのじゃないかというふうに思うんですね。なぜならば、所管法人として三年に一回の定期監査を行っているはずですし、毎年決算書も提出されているはずですね。そうすると、手元に材料はないわけではないわけですね。

 そうすると、これだけの問題、長く蓄積した問題でしょうから、文科省がまず今入手している決算関係の書類、あるいはこれまでの経過を総合して、調査委員会をやっているならこういう点についてきっちりしなさいよというような項目指摘とかいうことを、もう少し踏み込んでやっていいのじゃないかと思いますが、いかがですか。

馳副大臣 文部科学省が今まで実地検査をして指摘していなかったわけでは実はないのですね。平成十五年五月十五日に、私どもの競技スポーツ課の方で、平成十四年事業年度の実地検査を行って、一般会計から国際事業会計が分離されていたのですね。おかしいじゃないかと指摘をして、翌年度から直させております。

 ただ、そのときには、実際には監査、決算等が正常に上がってきておりますので、その中身にまで踏み込んでではなくて、なぜこの一般会計のところから国際事業会計だけが分離されているのか、おかしいじゃないかという指摘はして、翌年から直させているということはございます。

保坂(展)委員 そうしたら、やはり連盟内部の調査、外部から公認会計士の方と弁護士の方が二人入ったようですけれども、どなたかということはこれは公表されていない。せめて、何を議論し、どんな調査をしたのかということをその都度公表する、あるいはまとめたペーパーでも出すということぐらいはしなさいというふうに指導してもよろしいんじゃないですか。

馳副大臣 連盟は、外部の会計士、弁護士も入れて調査をし、六月十七日に評議委員会があって、恐らくそこで報告をし公表する、こういうふうにしておりますので、折に触れて、こういったことは対話と圧力で、しっかりやらないと社会的な理解が得られないということを含めて指導してまいりたいと思います。

保坂(展)委員 では、最後に大臣に、こういうことで選手の方の日々の努力が悪い影響を受けるようなことがあってはならないと思うんですね。

 この点で、やはり六月までやるということですけれども、文科省の方で、さらにある資料を総合して、この点もしっかり調べなさいということを、私はそういうものがあれば指摘するべきだと思うんですね。いかがでしょうか。

小坂国務大臣 私といたしましては、六月までただただ待っているのではなくて、その途中で、調査の進捗状況はどうなんだ、早く結論が出たらその時点で知らせなさい、そういったことは指導してまいりたいと存じます。

保坂(展)委員 次に、この法案にかかわることなんですが、昨年の秋に、国立美術館、博物館、文化財研究所の統合問題、及び市場化テストをやったらどうかという話がありまして、これは平山郁夫さんほか日本を代表する芸術家や作家、文化人あるいは学者の方が、効率性追求による文化芸術の衰退を非常に危惧する、こういった小坂大臣あての申し入れ書といいましょうか声明、これを出されたと思います。

 今回の法案では統合は見送られているものの、来年、一応統合予定というふうに聞いております。声明にある、文化というものは大変な資産なんだ、これは国の顔なんだ、これは多くの方が共感をしたと思うんですが、この声明について、今、小坂大臣はどのように考えられておりますか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 国立美術館、博物館に関します、いわゆる市場化テストの導入問題、あるいは、こういった館、施設を運営しております独立行政法人の統合問題に限って、委員御指摘の文化人、平山前芸大学長を初めとします文化人の方々からの、いわばメッセージ、アピールがあったわけでございます。

 私ども、この文化人の方々が非常に大きな危惧を抱いているということにつきましては、思いを同じくいたしておりまして、市場化テストの問題につきましても、今後の独立行政法人のあり方につきましても、効率一辺倒ではない、本来あるべき独立行政法人の使命を果たすことについて、十分思いをいたしながら慎重に対応する必要があるという考えを持っておる次第でございます。

保坂(展)委員 では、続けて文化庁にお尋ねしますが、市場化テストそのものが、これはやった方がいい分野もあるでしょう。しかし、美術館とか博物館に適用すると、この声明が言っているように、そのときの人気のある企画になだれ込む、したがって、そのことによって長期的に文化的に失うものが多いだろうということを考えるわけですね。

 そうなると、保存とか修復とか研究とか、収益に直結しない重要な作業がこれから軽視をされていくおそれですね。これは、市場化テストはしないまでも、今回組織がえをするに当たって、そこの哲学はどうなのかという点について答弁してください。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 御質問は、国立美術館、国立博物館の役割、その重要性にかかわってくるのだと認識をいたしております。

 国立美術館は、我が国における芸術文化の創造と発展、国民の美的感性の育成を使命といたしておりまして、美術振興の中心的拠点として、美術に関する作品等を広く国民に紹介することを役割の第一といたしております。また、我が国の顔として、海外の主要な美術館等と連携をいたしまして、美術を通じた国際文化交流を推進する等の役割を担っております。

 一方で、国立博物館でございますが、国の文化財保護政策の一翼を担う機関として、貴重な国民の財産であります多数の国宝、重要文化財等を初めといたします文化財を収集、保存、展示いたしまして、次世代へこれを継承するという役割とともに、これらを活用して国内外に我が国の歴史、伝統、文化を発信するという重要な役割を担っておるものでございます。

 また、これらの国立美術館、国立博物館は、いずれもいわゆるナショナルセンターといたしまして、美術館活動の全体あるいは博物館活動の全体につきまして、その活性化、充実を図る上で、これに寄与することが大きく期待されておるという役割を担っておるものと思っておるわけでございます。

 こういった役割の重要性を考えますときに、独法化になったわけでございますから、独法化以後のその制度のメリットを生かすということも大事な課題でございます。

 いろいろな努力はなされておりますけれども、これまで、国立美術館、国立博物館、先ほどの重要性、使命を踏まえた上でも独法化のメリットを生かしながら、例えば、コンサート、演劇などさまざまな文化事業との融合による新たなサービスの提供にも心がけておりますし、例えば、夜間、休館日における施設の一般貸し出しによる有効利用といったことにも工夫を用いておるわけでございまして、繰り返しになりますが、その役割、重要性を十分認識しながらも、独法の特性を生かした、メリットを生かした工夫を行っておるものでございます。

 このことによりまして、大きな成果、例えば入館者数、自己収入といった成果を上げておりますけれども、これのみにとどまらず、本来の重要性、役割を踏まえた上での質の維持につきましても十分認識をして運営に当たっておることも御理解いただきたいと思うわけでございます。

保坂(展)委員 小坂大臣に。

 先ほどお聞きをして文化庁次長の方から答弁いただいたので、再び、この独法化の後の統合。私は、これは市場化テストにはふさわしくないと思いますし、この声明のとおりだというふうに思います。大臣の考えをお願いします。

小坂国務大臣 いろいろな合理化、効率化を図っていくということは常に考えていかなければならないことではありますけれども、長期的な視野に立って、計画的に美術品の展示及び国民に対する文化事業の推進を図っていくことはやはり必要だと思っております。

 そういった意味で、競争あるいは採算性のみを追求するようなことのないように、市場化テストに適するものと適さないものというものをしっかり分けて考えなきゃいかぬ。

 そういう意味において、この事業については、従来の形のような形でしっかりと計画性を持って取り組んでいくというその必要性を強く認識いたしていることだけ申し上げておきます。

保坂(展)委員 文化庁の方に伺いますが、この市場化テストとは全く逆の発想なんですが、地方自治体の試みとして、博物館や美術館を完全無料化する、こういうところが出てきていて、やってみると、入場者が思いのほか、予想外にたくさんふえた、こういうことがありますが、思い切って無料化ということも考えてみるということはありませんか。

加茂川政府参考人 美術館等の入館料、入場料についてのお尋ねでございます。

 いわば国民の共有の財産でございます価値のある美術作品あるいは文化財を国民に鑑賞していただく機会をできるだけ広く設ける、そのためにいろいろな工夫をするということは、大変大事な課題だと認識をいたしております。

 私どもが承知しております限り、例えば、先進諸国において、ヨーロッパ諸国において、こういった美術館等の入場料が有料のところがあるということも承知しております一方で、例えば、著名な大英博物館でありますとか、アメリカのスミソニアン機構などに関しましては、その関係する美術館等において入場料が無料となっている例も承知をいたしております。また、地方でも、日本の公立美術館につきましてもいろいろな取り組みが取り組まれておりまして、最近でも、マスコミ報道、新聞報道があったことも承知をいたしておるわけでございます。

 若干法律の仕組みを申し上げて恐縮でございますが、我が国の博物館法によりますと、公立の博物館では、入館料その他博物館資料の利用に関する対価を徴収してはならないという規定がございます。この規定の趣旨は、入館料につきましては原則として無料が望ましい、先ほど冒頭申し上げましたが、鑑賞機会をより広く提供するという趣旨から考えますと、これが望ましいというのが同法の趣旨であろうと私どもは理解をいたしております。

 ただ同時に、この法律は、維持運営のためにやむを得ない事情のある場合には入館料を徴収できるという規定も定めてございまして、これらを総合して考えますときには、入館料をどう設定するかというのは、各館の事情等を考慮して設置者が適切に定めるべきものだというのが私どもの総合的な理解でございます。

 ちなみに、国立の美術館、博物館について申し上げますが、いわゆる常設展、平常展につきましては、現在、小中学生以下は無料になっておるところでございます。

保坂(展)委員 それでは、文化庁に。

 五つ目の新美術館ですか、来年、六本木にかなり大規模な美術館がオープンすると聞いておりますけれども、これは公募型というんですか、ギャラリーとして使われる。

 この国立の新しい建物の機能、これは従来、東京都美術館などがこのような役割をしてきたと承知しているんですが、こことの競合や役割の違いなどがあるのか。そして、時間がありませんので、もう一点。この公募に当たって、透明な、あるいはだれにでもわかりやすい開かれた基準、こういうことをどういうふうに準備されているのか、お答えください。

加茂川政府参考人 御指摘にございました六本木に建設中の国立新美術館でございますが、お話にもございましたように、一万四千平米の大規模な展示スペースを要するものでございまして、これを利用して全国的な公募展でありますとか、大規模な共催展に会場を提供することを主な目的として、いわば独特の機能、性格を持った施設として準備をしておるものでございます。ちなみに、独自の収蔵品というものは持たない美術館でございます。

 お話にもございましたが、同種の美術館としては、既に東京都立美術館があるわけでございますが、私どもの認識といたしましては、大都市圏における各種の文化団体からのニーズは多様なものがあると思っておりまして、この美術館そのものが関係団体の強い要望を踏まえて開設するものでございますけれども、例えば、公募展については、大規模な展覧会で長期間にわたって実施するものでありますとか、全国的な活動を継続的に行っている団体を優先することといったことを念頭に置いてその運営を心がけようとしておりまして、関係団体から見ますと、既存の美術館と相まって、新たな選択肢、多様な選択肢がふえるというメリットがあるのではないかと理解をしておるわけでございます。

 また、もう一点の御質問にございました公募団体の選考の公明性、または公平性の確保についてでございますが、この美術館では、使用につきましては五年間優先して会場を使用できるという仕組みになってございまして、とりわけ団体の選定が公平に行われることが大事でございます。

 このため、応募資格でございますとか選考手続、あるいは利用の調整手順につきましては、事前にオープンにいたしまして、さらに一定期間説明を行った上で調整、原則抽せんということによって決定をしておりまして、御指摘にございました客観性、公平性はかなり担保されておるのではないかと私どもは思っておりますし、この選考過程につきましても関係のホームページで公表をいたしておりまして、努力をいたしておるところでございます。

保坂(展)委員 博物館、美術館についてお聞きをしました。

 文化というのは、採算ということではかれば、採算というものは別の尺度が必要だ、お金の帳じりではないということを強く思います。この美術館もいい美術館になることを期待して、私の質問を終わります。

遠藤委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。

笠委員 私は、民主党を代表し、政府提出の独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案に反対の立場から討論を行わせていただきます。

 独立行政法人は、国民生活及び社会経済の安定等の公共性の見地から確実に実施されることが必要な業務、事業を、政府から独立した主体が行うことにより、その効率かつ効果を向上させることを目的としています。しかし、今回、政府が提出してきた法案は、効率化はおろか、その効果についても不透明であり、何ら期待ができない内容となっています。

 民主党が本法律案に反対する第一の理由は、非公務員化に実態がなく、天下り隠しの非公務員化という点が否定し切れないということであります。本法案によって、文部科学省所管の十二の特定独立行政法人で公務員の身分の非公務員化が予定されています。しかし、その給与等の人件費は交付金、すなわち税金から出され続けます。単に政府の掲げる公務員数の削減を実現するための数合わせ的な非公務員化には意味がなく、かえって国民の利益を損ないかねません。

 反対の第二の理由は、国立青年の家、国立少年自然の家、国立オリンピック記念青少年総合センターの統合についても、事業の効率化が図られているのかどうか疑わしいことであります。そもそも、これら三法人について、県や市の類似の施設が多数存在しているにもかかわらず、その稼働率や、国立として残す必要があるのかについて、具体的な検討が行われていないのではないでしょうか。今後の運営費交付金についても、五%減にとどまり、将来的な数値目標も示されませんでした。

 そして、第三の理由は、現在の独立行政法人を含め、その情報公開が不十分といった点であります。独立行政法人の事業の妥当性、そして効率性のチェックを行う第三者による評価制度が必要不可欠です。しかし、今回の審議でも明らかになりましたが、現在の独立行政法人も、実質的に内輪の評価だけにとどまっており、事業が適正に行われているかどうかわかりません。まずは、独立行政法人の情報公開、第三者評価のあり方について見直していくべきだと考えます。

 以上、本法律案の問題点を述べてまいりましたが、結局、本来の独立行政法人制度に期待される効果は全く発揮されず、改革とは名ばかりの中身のない法案であることを申し上げ、私の反対討論といたします。(拍手)

遠藤委員長 石井郁子さん。

石井(郁)委員 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案に反対の討論を行います。

 反対理由の第一は、公務員型の法人を非公務員型の法人に移行させる点です。

 独立行政法人化されてきた現状を見ると、長期的視野に立った基礎的研究や、貴重な文化財、美術品などの保存や収集など、国民にとって必要な公共性の高い研究などが軽視され、短期的な成果を求める研究に重点が置かれてきました。公務員型を非公務員型とすることは、さらにそうした状況に拍車をかけ、国の責任を放棄することになり、認めることはできません。

 また、非公務員型の独立行政法人には、雇用継続を明確に保障する規定がなく、業務の変化に応じて安易な人員削減が行われる可能性があります。効率性追求のもとで、研究所などの新規採用者がほとんど任期制職員になるなど、非正規雇用がふえ、任期後の身分の不安定さから落ちついて研究や課題に取り組むことが難しくなるなどの影響も出ています。

 第二に、子供を取り巻く状況や地域環境の激変から、青少年教育を初めとする社会教育施設の充実が求められています。にもかかわらず、本法案による統合で不採算部門が縮小廃止されるおそれがあります。

 以上の点から、本法案に対し反対するものです。(拍手)

遠藤委員長 保坂展人君。

保坂(展)委員 社会民主党・市民連合を代表して、独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案に反対の立場から討論を行います。

 反対する第一の理由は、本法案の対象となる独立行政法人には教育研究機関が多く含まれ、非公務員化がこれらの機構の行う活動に大きな影響を与える懸念があることです。非公務員となることで身分の安定が失われ、より効率性や成果が重視されることになれば、基礎的な研究がないがしろにされたり、あるいは企業との癒着が進むのではないかとの疑問がぬぐえません。

 第二に、余りにも安易で御都合主義の組織いじりに終始していることであります。非公務員化に当たっては、それぞれの独立行政法人が公務員型である必要があるのかどうかを慎重に精査する必要があり、また、組織の統廃合に当たっても、その機能や任務を検証し、利用者や国民生活に支障が生じることがないような配慮を十分に行うことが求められます。この法案審議に当たって、そのような疑問が晴れたとは言えず、公共性の高いこれらの組織を行財政改革の名で安易に統廃合することは問題です。

 以上の理由で、本法案に反対する討論といたします。(拍手)

遠藤委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

遠藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

遠藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十二分散会


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