衆議院

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第13号 平成18年4月14日(金曜日)

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平成十八年四月十四日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 遠藤 乙彦君

   理事 小渕 優子君 理事 大前 繁雄君

   理事 小島 敏男君 理事 西村 明宏君

   理事 松浪健四郎君 理事 藤村  修君

   理事 牧  義夫君 理事 池坊 保子君

      阿部 俊子君    秋葉 賢也君

      井脇ノブ子君    飯島 夕雁君

      上野賢一郎君    小川 友一君

      岡下 信子君    加藤 紘一君

      亀岡 偉民君    川条 志嘉君

      近藤 基彦君    佐藤  錬君

      篠田 陽介君    鈴木 俊一君

      鈴木 恒夫君    永岡 桂子君

      西本 勝子君    福田 峰之君

      藤田 幹雄君    馬渡 龍治君

      山内 康一君    山本ともひろ君

      吉野 正芳君    奥村 展三君

      小宮山洋子君    高井 美穂君

      松本 大輔君    山口  壯君

      横山 北斗君    笠  浩史君

      西  博義君    石井 郁子君

      保坂 展人君

    …………………………………

   文部科学大臣       小坂 憲次君

   文部科学副大臣      馳   浩君

   厚生労働副大臣      中野  清君

   文部科学大臣政務官    吉野 正芳君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中村 吉夫君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          田中壮一郎君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          銭谷 眞美君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        素川 富司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           白石 順一君

   文部科学委員会専門員   井上 茂男君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     篠田 陽介君

  坂本 剛二君     山内 康一君

  藤田 幹雄君     上野賢一郎君

  馬渡 龍治君     亀岡 偉民君

  北橋 健治君     高井 美穂君

  末松 義規君     小宮山洋子君

同日

 辞任         補欠選任

  上野賢一郎君     藤田 幹雄君

  亀岡 偉民君     馬渡 龍治君

  篠田 陽介君     飯島 夕雁君

  山内 康一君     坂本 剛二君

  小宮山洋子君     末松 義規君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案(内閣提出第五八号)


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     ――――◇―――――

遠藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、高井美穂君外一名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。笠浩史君。

    ―――――――――――――

 就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

笠委員 おはようございます。

 ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表いたしまして、その主な趣旨及び概要を御説明いたします。

 政府原案においては、急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化に伴い、保護者の就労の有無等にかかわらず、小学校就学前の子供の教育及び保育に関する多様な需要に適切、柔軟に対応できるように、認定こども園に係る制度を設け、幼稚園及び保育所等における小学校就学前の子供に対する教育及び保育並びに保護者に対する子育て支援の総合的な提供を推進するための措置を講ずるものとしているところであります。

 しかし、文部科学省及び厚生労働省の縦割りの弊害が取り除かれていないことや認定こども園に係る財政的な支援等が不十分であり、立法の趣旨が実現されない懸念があります。

 ほとんどの幼稚園、保育所はそのまま存在し、第三の施設として認定こども園をつくるという政府の考え方とは異なり、民主党の考え方は、将来、幼稚園、保育所を一体化することにより、就学前の希望するすべての子供に質のよい居場所を提供することを目指しています。

 このため、本修正案においては、第一に認定こども園並びに幼稚園及び保育所に係る事務を当面、内閣府に移管する措置を講ずる、第二に認定こども園に係る補助の特例を拡充する、第三に認定こども園並びに幼稚園及び保育所の制度の統合について、法律の施行後三年以内に検討を加え、必要な措置を講ずる等の内容を規定するものであります。

 以上が、本修正案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

遠藤委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案及び修正案審査のため、来る十八日火曜日午前九時、参考人として品川区二葉すこやか園園長大竹節子さん、白梅学園大学・白梅学園短期大学学長無藤隆君、帝京大学文学部教授村山祐一君及び東洋大学社会学部教授森田明美さんの出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中村吉夫君、文部科学省生涯学習政策局長田中壮一郎君、初等中等教育局長銭谷眞美君、高等教育局私学部長金森越哉君、スポーツ・青少年局長素川富司君及び厚生労働省大臣官房審議官白石順一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

遠藤委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西本勝子さん。

西本委員 おはようございます。自由民主党の西本勝子でございます。本日は、質問の時間をいただきましたこと、関係各位の皆様に感謝申し上げます。

 さて、もうすぐ端午の節句が参ります。私の出身地高知県では、こいのぼりとあわせて、のぼり旗、フラフを立てるのが習慣で、初節句のお家では、今ごろからのぼりを競うように立てたものです。のぼりは支柱が高さ十メートルを超えることから、三本、五本、十本と立てるとなると、相当の人力が必要となってきます。隣近所、知人たちが助け合っての作業ですが、いわば結いのようなもので、大人たちみんなが、地域の子供たちの成長を喜び、見守ってきたことでした。また、のぼりは、立ち上げといって、小学校入学時まで毎年立てる習慣でしたから、村じゅうあちこちに林立しておりまして、のぼりが凜と立ち、たなびく姿から、不思議と多くの人たちが力をもらっていたような気がいたします。

 ところが、最近、めっきりのぼりが立てられなくなってしまいました。ゴールデンウイークに入ってこいのぼりを三、四匹泳がす程度で、のぼり立てのような、たくさんの人力を必要とする作業をしなくなったのです。寂しい思いがしますが、何より、地域の大人がかかわることで、昔からあった地域力と申しますか、子供たちを見守り、育てるという力量が落ち込んでいることがとても心配であります。

 加えて、地方の財政力の低下から、自治体の超過負担額を必要とする地域密着型の保育園も経営が難しく、統廃合されている現状を考えますと、安全で安心な公の制度の確立がぜひとも必要であることを踏まえて、質問に入らせていただきます。

 当委員会に付託されておりますこの法案の認定こども園につきましては、就学前の教育、保育、子育て支援の総合的な提供という説明があっております。これは、現下の子供を取り巻く環境や子供の育ちの変化に対応するためには、以前から文部科学省、厚生労働省の両省の壁を越えた新たな制度設計が求められていたものであり、この法案整備により、ようやく幼保の連携が図られ、次世代育成支援対策と相まって、就学前の子供はいろいろな制度の適用を受けられることとなります。子育て支援という観点からも、大いに評価できるものと認識しております。

 ここに至った中には、幼稚園、保育園の現行制度の限界もあり、やっと両方の省庁が一歩歩み寄った形ですが、就学前の〇歳―五歳の幼児教育全般ということになりますと、まだまだ多くの課題を残していると思いますので、それらの点について順次お願いいたします。

 まず、この法案提出までの経過は、平成十六年五月から、中教審幼児教育部会と社会保障審議会児童部会の合同の検討会議で取りまとめられ、平成十七年度になって、総合施設モデル事業評価委員会において、試行事業の評価結果を踏まえて制度設計されたとなっています。この認定こども園制度が幼児教育政策の新たなスタートでありますが、従来なかなかまとまらなかったこの問題がこのたび法案化されたことについて、まず大臣の御所見をお聞かせいただきたいと存じます。

小坂国務大臣 西本委員の今のお話を聞いておりまして、ああそうだなと、自分の子供のころを思い出しておりまして、こいのぼりがたなびく姿を見て、当時はまだ家も立て込んでおりませんでしたから、自分は三番目、末っ子でしたから、一番小さいのが自分のこいなんだな。それがひもに絡まっていると、泳ぐように一生懸命ひもから外そうと努力したり、幼児ながらに自分も認めてもらっているというような気持ちをもらったり、いろいろな勇気を子供ももらい、また大人も、ああ、あの家には子供がいるんだな、元気に育てばいいなということで、地域の応援も得られたように思って、実感がこもったお話だなと思っておりました。

 そういった、幼児の健やかな成長を願う意味から、今般の法律案は、就学前の子供の教育、保育等に関する多様なニーズが出ておりますが、これに対応して、幼稚園そして保育所を通じて、就学前の子供に対する教育と保育、そして地域における子育ての支援を総合的に提供する機能を備える、そういう施設を認定こども園として認定する制度を設けることにしたわけでございます。

 子供が健やかに成長、育成される、そういう環境を整備する、そういう意味で提出をさせていただいたものでございますが、この認定こども園制度は、文部科学省と厚生労働省の両省が一体となって検討を行ってまいりまして、提案に至ったものでございます。また、両省の関係審議会が合同で検討を行うなど、広く学識経験者や関係者の意見を踏まえて制度設計を行ってきたものでございます。

 今後とも、子供の健やかな成長を第一に考えて、両省がしっかりと連携をして施策の推進に努めてまいりたいと考えております。

西本委員 私、直前まで勤めていました地方の議会でさえも、内容によっては横のつながりがなかなか難しいことがたびたびございました。ましてや国レベルとなると大変な御努力が必要であったと思いましたが、大臣の御所見をお伺いいたしまして、改めて先輩議員や関係各位の皆様に敬意を申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 次に、今後の就学前教育をさらに充実さすために、お伺いいたします。

 まず、現行保育園と幼稚園では、制度の上からいろいろな違いがあるわけですが、幼児教育という視点からどうしても検証しておかなければならない点は、小学校へのバトンタッチだと思います。保育園から入学した子供も、幼稚園から入学した子供も、同じスタートラインに立てることは重要でありまして、小学校に入学した後、今まで受けてきた保育園の保育内容と幼稚園での教育内容の違いが、小学校生活において子供の発達にどう影響しているかを検証されていますか。また、検証の結果、違いがあったとすれば、その結果をどのように保育園、幼稚園に伝え、検討してきたのかをお伺いいたします。

銭谷政府参考人 幼稚園と保育所における教育、保育内容につきましては、従来から、文部科学省と厚生労働省が連携をしまして、三歳から五歳児について、幼稚園教育要領と保育所保育指針の内容の整合性を図ってきたところでございます。

 よく、幼稚園児と保育所児とで小学校入学後にどのような発達の違いが見られるかということにつきましては、いろいろな見方が言われているわけでございますけれども、一般性、実証性の高い研究成果があるというわけではございません。

 一般論として申し上げれば、むしろ、それぞれの園がその特色としている教育、保育活動の違いでございますとか、それぞれの子供の家庭環境、地域環境などの育成環境の違いによる影響もある、こう考えられるわけでございまして、一概にお答えすることができないわけでございます。

 ただ、大事なことは、ただいま先生からもお話がございましたが、幼稚園、保育所から小学校に入学しますと、これまでは体験や遊びを通して学ぶことになっておりました幼稚園、保育所の活動から、教科の学習が中心となる小学校の教育活動に入るということの戸惑いでございますとか、集団の規模の違いといったようなことも含めて、子供たちにいろいろな課題があるということは事実でございます。

 そこで、文部科学省といたしましても、幼稚園、保育所と小学校の接続ということが大きな課題だと認識をいたしておりまして、今、学習指導要領、幼稚園教育要領の改訂を進めておりますけれども、その中でも、こういった観点から、改善の方向性について御議論をいただいているところでございます。

西本委員 ありがとうございました。

 今まで、幼稚園に比べ、保育園と小学校との間では、引き継ぎが余り密接に行われていない傾向があるのではないかと危惧いたしておりましたが、局長の答弁を踏まえまして、認定こども園の制度を充実ある制度にするためにも、入り口論として一番重要なポイントであると思いますので、さらなる充実を要望いたします。

 次に、二問目の質問と関連いたしますが、私は、小学校のスタート時において、保育園組と幼稚園組では、子供の生活とレベルに違いがあると考えています。それは、保育園は、園児個人と接して、基本的生活習慣に重点を置き、幼稚園は、クラス単位で、一定レベルの学習に重点を置いている、その特徴の差が出ているものと考えますが、そうだとすれば、実施しようとする認定こども園でそれらの修正は可能でしょうか、お伺いいたします。

銭谷政府参考人 予定をいたしております認定こども園における教育、保育につきましては、集団生活の経験の年数に差のある子供がいるということとか、あるいは利用時間の長い子供、短い子供がいるといったようなこと、あるいは三歳から五歳児の共通の時間というのは幼児期の特性を踏まえた教育を行うことが必要だといったような、いろいろな、保育、教育の内容について、今後工夫をしていかなければいけないと思っております。

 それから、先ほども申し上げましたが、小学校教育との連携、接続ということも、認定こども園の教育、保育における大きな課題だと思っております。

 今後、認定こども園におきます教育、保育の質の確保のための指針を定める際には、幼稚園教育要領、保育所保育指針の内容や小学校教育との連携などについて十分考慮をして、考えていきたいというふうに思っているところでございます。

西本委員 局長の答弁をお伺いいたしまして、若干安心いたしました。今後、運営する上で、指導的内容など、しっかり定めることをお願いいたしまして、次の質問に移ります。

 この認定こども園を考えるとき、〇歳から二歳という年齢層をどのように処遇するのか、どのような指導方針にするのかなどは、三歳―五歳児から考えると、やや蚊帳の外という気がいたしますが、将来、親の就労形態にかかわらず、すべての子供に幼児教育の機会を与えるとなった場合、身体や脳の発育、情緒の安定などからして、〇歳―二歳児の扱いは慎重に議論すべきだと考えます。

 そこで、〇歳、一歳、二歳児についての親とのかかわり方、育てられ方については、個別ケースではあっても、親と接している時間による発育状況などの検証が専門的な見地から必要ではないかと考えていますが、いかがでしょうか。そのような研究や取りまとめられたものがあるのでしょうか、お尋ねします。

銭谷政府参考人 お話のございました〇歳、一歳、二歳までの間は、大人への依存度が高く、保護者など特定の大人とのかかわりが子供の発達の上で大変重要であると認識をいたしております。

 文部科学省が昨年行いました情動の科学的解明と教育等への応用に関する検討会の報告書を読みますと、〇歳から二歳の間では特に、大人に全面的に受け入れられているという愛着形成ということがその後の対人関係能力や社会的適応能力の育成のためには非常に重要であるという調査結果が出ております。また、ほかの調査結果を見ますと、家庭や保育サービスのケアの質が重要であること、保護者が固定せずに複数の家庭外保育を利用する場合には問題が生ずることといったような指摘もなされているところでございます。

 一方で、共働き世帯と専業主婦世帯では、子育ての不安感は専業主婦世帯の方が大きい、こういう調査結果もございます。家庭で育児をしている専業主婦家庭が抱える子育て不安への対応ということが必要ではないかと思うわけでございます。

 こうした点を踏まえまして、認定こども園の制度化による子育て支援の充実や、男女ともに教育、子育てに参加できる働き方の見直しなど、こういった施策を進めることによりまして、〇歳、一歳、二歳の子供に対する保護者の積極的なかかわりを促すことが必要であるというふうに考えているところでございます。

西本委員 答弁の中に、報告書、そしてその調査結果も出ているということでございますが、もしお構いなければお届けいただきたいと思います。

 次に、少子化の進行とのかかわりについてであります。

 地方では、少子化に対する対応が既にどんどん進んでいます。保育現場では、コーホート法、センサス換算率からの人口推計をもとに、施設の統廃合、公立から私立への移行、保育士と保育内容の検討などが主なものですが、年次ごとに事細かく、児童数による歳入歳出まで検討項目に入れて協議をし、計画を立てています。

 このように、地方は動きが急であると考えますが、国は、認定こども園の検討の段階で、少子化の実態をどのように制度に反映させてきたのかをお尋ねします。また、今後、少子化推計人口に応じた対応をしていくおつもりかどうかもお尋ねいたします。

銭谷政府参考人 今般の認定こども園につきましては、少子化の進行によりまして子供や兄弟の数が減少する中で、子供の健やかな成長にとって大切な集団活動や異年齢の交流の機会が不足をしていること、一方、都市部を中心に二万人を超える保育所待機児童が存在すること、一方で幼稚園の利用児童はこの十年間で十万人減少しており、既存施設の有効活用による待機児童の解消が求められていること、こういった、少子化を初めとする近年の子供を取り巻く状況を踏まえて検討してきたものでございます。

 これまでの幼稚園、保育所制度の運用や連携では対応が困難な多様なニーズに、地域の実情に応じて柔軟に対応するための新たな選択肢を提供しようとする観点から、今回制度化をしたものでございます。

 今後とも、少子化の動向など、社会の情勢や地域のニーズ等を踏まえまして、必要に応じて適切に対応してまいりたいと考えております。

西本委員 政調の部会での説明にもありましたように、また答弁にもありましたように、地方においては、保育所、幼稚園別々では子供集団が小規模化し、運営も非効率化することを見込んでの認定こども園の設置でありますので、今後も少子化推計人口に応じた対応をしていくおつもりだという答弁を聞き、安心いたしました。

 次の質問に移ります。

 次に、認定こども園で大きな役割を果たすものと期待しているのが、子育て支援機能であります。従来も子育て支援センターは設置されていたのですが、おおむね中心地に一、二カ所程度で、利便性の問題などがあって、やや低調であったと思います。

 ところが、次世代育成支援メニューのニーズ調査では、病後児保育に次いで要望が高かった記憶が残っています。今回の認定こども園に地域子育て支援機能を持たせるということは、お母さんたちにとって心強いものと考えるところですが、実際、どの程度の支援策をお考えでしょうか、お伺いいたします。

馳副大臣 家庭の教育を基盤としながらも、幼稚園や保育所などの施設の機能を活用して、保護者の子育てに対する喜びや理解の向上を図ることが極めて重要と考えております。その上で、認定こども園においても、子育て支援を必須の機能としているところであります。

 具体的には、教育、保育相談事業、親子のつどいの広場事業、一時保育事業、地域の子育て支援に関する情報提供、紹介事業、子育てサークル等の育成支援事業などを考えているものであります。

西本委員 ありがとうございました。

 馳副大臣も実際に子育て中とお聞きしておりますので、副大臣の答弁をお聞きしますと実感が本当にこもります。ありがとうございました。

 次に、認定こども園は幼稚園、保育園、双方の機能を持たせ、子育て支援のメニューつきですので、中身、内容がいいのは保証されていると思いますから、積極的に設置を推進してもらいたいのですが、経営面での問題はいかがでしょうか。運営補助の制度はどの程度になっているのでしょうか、お尋ねいたします。

銭谷政府参考人 認定こども園の認定を受ける施設としては、地域の実情に応じて選択が可能となるよう、四つの類型を考えております。国の財政措置は、子供に対する教育、保育の質の確保の観点から、幼稚園、保育所の認可を受けた施設に対して行うことといたしております。

 まず、幼稚園と保育所の双方の認可を有する幼保連携型、これにつきましては、幼稚園と保育所の双方の補助の組み合わせということになります。

 また、幼稚園が保育所的な機能を備える幼稚園型につきましては、従来どおり、幼稚園の補助制度を活用するということになります。

 また、保育所が幼稚園的な機能を備える保育所型につきましては、従来どおり、保育所の補助制度を活用するということになります。

 最後、四つ目の類型といたしまして、幼稚園、保育所いずれの認可も有しないが、地域の教育、保育施設が認定こども園の機能を果たす地方裁量型というものがございまして、これにつきましては、国の財政措置はなく、地方自治体の一般財源により対応するということを考えております。

 なお、幼稚園と保育所とが一体的に設置される幼保連携型の認定こども園に関しましては、幼稚園や保育所が地域のニーズに柔軟に対応できるように、その幼稚園及び保育所の設置者が学校法人、社会福祉法人のいずれであっても、特例的に経常費及び施設整備費を助成する措置を講じているところでございます。

西本委員 ありがとうございました。

 ちょっと質問が多いものですので、次の質問に移らせていただきます。

 法律案では、附則で、施行後五年を経過した場合において、必要があれば措置するという規定があります。この規定は単なる法規範のスタイルを整えたということではないと思いますが、まず、五年間という経過の意図するものは何なんでしょうか。また、想定される必要な措置があればお伺いいたします。

銭谷政府参考人 今般の法律案につきましては、認定こども園の認定などの規制を創設しておりますので、附則に定める五年の見直しの規定は、法律によりまして新たな制度を創設して規制の新設を行うものについては、当該法律に一定期間経過後、その見直しを行う旨の条項を盛り込むとの平成九年三月の閣議決定を踏まえたものでございます。

 その上で、五年経過後見直しとしているのは、認定こども園は〇歳から就学前までの五年程度の期間の子供の育ちを支える施設でございますので、新たな制度の普及、この定着の状況を踏まえた的確な検証を行うには、五年程度の期間の経過後が適当であると判断をしたものでございます。

 現時点において、具体的な見直しの内容を想定しているわけではございませんが、規制のあり方を含め、制度全般の状況について検証するということになると考えております。

西本委員 次に、認定こども園は保育園でもなく幼稚園でもない第三の施設としての検討もあったと承知していますが、今回の法案では、四類型で保育園、幼稚園の機能を持たせたいわば幼保の連携施設という位置づけであろうかと思います。

 この制度のよしあしは、新しい制度ですので、利用者側、特に子供と家庭、施設側、財政担当側、認定者側などから広く意見を求め、専門的な観点も受け入れ、本年十月からは施設を動かしながら検証する必要があると考えますが、その事務作業はどのようにして行うおつもりでしょうか、お伺いいたします。

銭谷政府参考人 今般の認定こども園制度は、就学前の教育、保育にかかわる新たな仕組みでございますので、その実施後の状況について、的確に把握をし検証していくことは重要であると考えております。

 その際、今般の仕組みは教育と保育の双方にかかわるものでございますので、文部科学省、厚生労働省が協力をして幼保連携推進室といったようなものを設けるなど、緊密な連携のもとにその実施に当たることとしておりまして、制度実施後の状況把握等につきましても、こうした体制のもとで地方自治体とも連携を図りつつ、また、関係者や有識者の方の御意見も伺いながら対応してまいりたいと考えております。

西本委員 私がこの質問の冒頭で述べましたように、地方でも地域のみんなで支え合う地域力、住民力は低下しています。この力の復活に力を与えてくれるものと、希望を持っているのが団塊の世代の登場です。つまり、地域で支えられて育った年代の方が第一線を退き、地域に戻って、まだ余りあるエネルギーを地域活動に使ってもらう、そうすれば生涯各期の活動に連動することは必定であります。就学前の子供たちには、このような地域の環境があって、その上に幼児教育の制度が乗ることが、より効果を上げることにつながるのではないかと考えます。

 大臣はこのような地方の地域力と教育についてどのようなお考えかをお伺いいたしたいと存じます。

小坂国務大臣 御指摘のように、地域で育った世代が、定年退職を迎えてまた地域に戻り、まだ十分に活力のあるその力を地域の教育力の再生に向けて取り組むというのは大変いいアイデアだと思います。社会の宝である子供たちを地域において健やかにはぐくむための教育力を支えるということをみんなでやることが必要でございますが、私どもといたしましては、具体的には地域教育力再生プランという形で十八年度も予算取りをしておりますが、地域の大人たちの連携協力によって子供たちが安全かつ安心して活動できる子どもの居場所づくり推進事業、これを初めといたしまして、ボランティア活動の機会の提供、そして総合型の地域スポーツクラブの育成など、これらを推進していこうと考えております。

 今委員の御提案を受けながら、私も考えておるわけでございますが、以前から私は、塾に通える子供と通えない子供があります、経済的な理由で塾に通えない子供との間に格差ができるということは、やはり好ましいことではございませんので、こういった子供の居場所づくりで、教員OBの皆さんの力をかりながら、補習を行ったり、勉強をしたい子供たちのアドバイザーとしての活動をしていただくような、そういった活動もそこに込めることができたら、これはいいんではないか、このように考えているわけでございますが、今委員の御質問を聞きながら、なるほど、やはり団塊の世代をそうやって活用することがいいんだなということに少し自信を持ったような気がいたしました。ありがとうございました。

西本委員 先ほど冒頭の私の質問に対しての小坂大臣の答弁を聞いておりまして、私もこいのぼりの話をお伺いしたとき、ちょっと目頭がうるるんとなりました。私も団塊の世代ですけれども、団塊の世代の方は郷愁感をたくさん持っていると思いますので、そういう意味でも、先ほど小坂大臣が述べられましたいろいろなプランの推進に御尽力をいただきたいと思いまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

遠藤委員長 亀岡偉民君。

亀岡委員 自由民主党の亀岡偉民です。本日は、こういうすばらしい機会をいただきましたことに心より感謝申し上げたいと思います。西本先生からかなり詳細な質問が出ておりますので、重複する部分もあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。

 まず、最近本当に、犯罪がこれだけ多発してきた中で、現在の日本においても、就学前の教育というのがようやく重要視をされてまいりました。そういう中で、小坂大臣及び馳副大臣、今回は就学前の教育の制度の改革、これは幼保一元化と昔から言われておりますが、就学前の教育に関しては、成り立ちが当然違った、幼稚園と保育所というものがございまして、昭和二十二年から学校教育法と児童福祉法によって、教育の分野からできた幼稚園と、社会環境の中で、働く方々への手助けの中で教育というものを見直すという、二つの観点からでき上がったものであるというのはよく認識しております。

 そういう中で、私自身も、実は生まれたときから幼児教育と関係したところにおりまして、大学も幼児教育が専門だったんですが、私が一番感じたのは、昭和五十五、六年ごろになると思うのですが、当時、臨教審の中で、就学前の教育は一元化した方がいいという話が大分出ておりまして、当時も大分議論になりまして、その議論の中で一番話題になったのが、家庭教育が先か学校教育が先かという、鶏と卵論がありまして、それが大分激論になって、結論が出ないまま今日に至っているような気がいたします。

 そういう中で、今、制度の改革という、すばらしい、認定こども園も含めて、取り組もうとしているわけですが、制度ができてしまうとどうしてもそちら側に目が行きやすくて、例えば親御さんも含めてその制度に全部任せてしまうという傾向があるんじゃないかと思うのです。

 まず、制度の中身の質問に入る前に、私ども改めて再認識するためにも、これは子育てをする意味において一番家庭教育が大事なわけです。制度の中でしっかりした制度をつくりながら教育をするということも大事ですが、家庭教育というものをしっかりと認識していく必要があるだろうと思いますので、改めて再認識をする意味で、文部省の考え方、見解を御説明していただければと思うので、よろしくお願いいたします。

小坂国務大臣 亀岡委員は幼児教育に大変関心をお持ちいただいておるわけでありまして、御指摘のとおり、まさに鶏と卵でございますが、しかし、お子さんが生まれて一番身近に接するのはお母さん、そしてお父さん、まず家庭でございますから、家庭における教育、子育てというものがやはり先にあるんだろうと私も思います。連携が必要でございますけれども、重要性という点においては、子供の健やかな育ちを支えていくその基盤はやはり家庭であろうと思っておりますし、親は人生最初の教師として、豊かな情操や基本的な生活習慣、社会的なマナーや自立心を養う上で重要な役割を担っていると認識をいたしております。

 このために、文部科学省では家庭の教育力の向上を図る観点から、家庭教育手帳の配付、乳幼児及び小中学生を持った全国の親に配付をしているわけです。また、子育て講座の全国的な開設を行ったり、ITを活用した家庭教育支援などを実施しているわけでございます。また、今年度からは新たに、「早寝早起き朝ごはん」、こういった子供の生活リズムを向上させるための取り組みもスタートいたしております。

 今後とも、学校、地域と連携をしつつ家庭教育に対する支援の充実に努め、健やかな子供の生育を支えていきたいと考えております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 制度にかなり力を入れてしまいますと、本来の姿である家庭教育がどうしても軽視されがちであるというのは現代社会の縮図ではないかと思っておりますので、ぜひ、そういう意味では、今の取り組みを含めて、家庭教育がまず大前提にあるという中で就学前の教育制度のしっかりとした位置づけというものをお願いしたいと思います。

 次の質問なんですが、幼稚園と保育所の今までの制度の違いがございまして、その中で、認定こども園という、一元化をするための制度がつくられるわけですが、幼稚園の場合は幼稚園教育要領というのがございまして、今まで過去にしっかりと位置づけられてきて、何度か改正をされてきています。それを後追いした形で保育所の保育指針というのがつくられているようなんですが、どうもその整合性がしっかりしているのかしていないのか、ちょっと私にはわからないんです。

 これから、認定こども園というものに関しては、幼稚園と保育所の、教育と保育の内容のしっかりとした整合性を図らなければいけないというふうに考えておるのですが、認定こども園の教育と保育の内容、こうした取り組みの方向性をしっかりと定め、そして反映させるべき文部省のこれからの考え方があると思うんですが、その指針を御説明いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

銭谷政府参考人 今先生からお話ございましたように、幼稚園は幼稚園教育要領、保育所は保育所保育指針に基づいて教育、保育が行われているわけでございますが、文部科学省、厚生労働省におきましては、従来から、三歳以上の子供について、幼稚園教育要領と保育所保育指針における教育、保育の目標やねらい、指導事項などの内容の整合性を図っているところでございます。

 ただいまお話がございましたように、最近の改訂におきましても、幼稚園、保育所、双方の関係者が参加をしてそれぞれ改訂を行っているという状況にございます。その結果、内容について言えば、幼稚園、保育所、双方とも、健康、人間関係、環境、言語、表現の五領域といった構成になっているところでございます。

 お尋ねのございました認定こども園制度は、幼稚園、保育所を通じまして、教育、保育機能の双方を有するものを認定する制度でございますので、いわゆる保育所型の認定こども園につきましても、幼稚園教育要領と保育所保育指針を踏まえまして、しっかりとした教育保育の内容を確保していく必要があると思っておりまして、その方向で努めてまいりたいと思っております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 ただ、一つ、どうしてもちょっと私も理解できないんですが、認定こども園の場合、保育所型とか幼稚園型というのではなくて、できれば、認定こども園を認定したら、そこを最優先に出していただく方がいいのかなという感じがしないでもないので、ぜひその辺はお願いをしたいと思います。

 それから、認定こども園の場合、今までの幼稚園と保育所の違いが出てきておりまして、先ほども申し上げたんですが、過去の歴史の中で、どうしても幼稚園の教育要領が定められた後に保育所の保育指針が出ているということで、どうも、今の調整期間、文科省と厚労省の調整機関というのはわかるんですが、やはり教育という部分でまとめて、縦割り社会じゃないように、弊害のないようにしっかりとシステムは構築していっていただければと思いますが、そこもお願いしておきたいと思います。

 次の質問になりますが、実は、そういう意味では、一番大事な幼稚園と保育所の保育者の質の向上というのが、またこれは一番問題になってくるんだろうというふうに考えております。

 過去に中央教育審議会や中央児童福祉審議会等でいろいろ出されておるんですが、どうしても、保育者の質というものの違いが双方に出てしまうと、当初の目的と全く違った認定こども園になってしまう可能性がありますので、そういう意味では、しっかりした保育者の設定またはその指導ということが必要なんだろうというふうに考えております。

 そのために、特に国や地方、関係団体等では、それに対してどのような取り組みをこれから行っていくのか、それとも行われてきたのか。保育の質を高めていくには保育者の一層の資質の向上が不可欠と考えておりますので、ぜひ、保育者の質の向上を含めて、これは、文部科学省のみならず、保育所の厚生労働省の方の見解もあわせてお聞かせいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

銭谷政府参考人 指導に当たる教員の資質の向上を図るということは極めて重要でございまして、国、地方公共団体、幼稚園関係団体において、それぞれの役割に応じた教員研修を実施しているところでございます。

 代表的なものを一、二申し上げますと、文部科学省におきましては、特に指導的立場にある幼稚園の教員や保育所の保育士が参加をする幼稚園教育課程理解推進のための研究協議会の開催、それから、独立行政法人教員研修センターとの共催によります、中核的な園長、教頭等の育成を目的とした研修を実施いたしております。

 また、都道府県等におきましては、新規採用幼稚園教員あるいは十年程度の中堅教員に対します研修の実施といったようなことを行っております。

 さらに、幼稚園関係団体におきましては、国公立の幼稚園関係団体、私立の幼稚園関係団体、それぞれにおきまして、全国単位、あるいはブロック、都道府県ごとに、現場のニーズや今日的な教育課題に対応した研修を行っているところでございます。

 引き続き、こうした取り組みを推進、充実していくことによりまして、幼稚園教員の資質の向上を図ってまいりたいと考えております。

白石政府参考人 厚生労働省の方の研修の内容でございます。

 保育所の保育士、御案内のように、多様な保育のニーズ、あるいは地域の子育て支援への対応というふうなことなど、その専門性に大きな期待が寄せられておりまして、その資質の向上が極めて重要だということは、御指摘のとおりでございます。このため、保育所職員の資質の向上ということで、厚生労働省におきましては、社会福祉法人の日本保育協会との共催によりまして、全国規模の研修といたしまして、例えば、保育所長さんあるいは主任保育士を対象とする研修会であるとか、障害児保育の担当者の研修、あるいは乳児保育の担当者の研修などを実施しておりますほか、関係団体により、全国規模あるいは地域単位のさまざまな研修が行われております。

 厚生労働省といたしましては、今後とも、こうした研修の充実を図りまして、関係者の資質の向上ということに、文部科学省同様、努めてまいりたいと考えております。

亀岡委員 保育士の質の向上は、ぜひお願いをしたいと思います。

 私も一つだけちょっとお願いがあるんです。私も幼児教育懇談会というのを、十八年ですか、親父から引き継いでやっているんですが、我が福島県においても、私学の研修会に私も何回も参加をさせていただいたんですが、私立幼稚園の研修は、物すごく子供に合った、子供を中心にした若い先生方の研修がかなり、毎年行われていくんです。公立幼稚園や保育所の場合は、どうも行政が主導に立った、何か制度的な指導が多くなりがちなのかなという、ちょっと違和感を持っておりましたので、ぜひその辺はそういうことのないように、そして、できれば子供中心の、質の高い保育所を目指していただくというのが、いいこども園ができる形になると思いますので、そこをお願いしておきたいと思います。

 それから、私、今ちょっと私立の話をさせていただきましたが、我が国の幼稚園の実情を見ると、約一万四千園のうち、六割に当たる八千四百件が私立幼稚園であり、幼稚園全児童のうちの八割に当たる百三十八万人が私立幼稚園児であります。

 このように、今、私立幼稚園は、我が国において非常に重要な役割を担っております。そしてまた、私の体験した研修も含めて、真剣に取り組んでいる私立幼稚園ばかりでございます。そういう意味では、この私立幼稚園の果たしている役割は極めて大きいと思うのですが、文部省がこの私立幼稚園についてどう考えているかをお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

馳副大臣 委員お示しいただいたとおり、私立幼稚園の数もそうですし、そこに入園しているお子さんの数もそうですが、それ以上に、私立幼稚園の場合には建学の精神がございますし、当然、保護者が多様なニーズを求めてまいりますので、それに対応するための多様な教育を提供するということで地域の信頼を得ているものということでの私立幼稚園の重要性というのは極めて大きいものと評価しております。

 今後とも、私学助成あるいは幼稚園就園奨励費など、これを充実して支援していきたいということは考えております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 私は、まさにこれから幼児教育の一番中核を担うのは私立幼稚園だろうと思っております。そして、今までの経緯を踏まえて、今行革ということが叫ばれておりまして、民でできるものは民にするということで叫ばれておりますが、過去の幼稚園を見ますと、どうも公立が、言い方はおかしいですが、効率の悪い経営をしているんじゃないだろうか。まさにそれは保育所もそうなんですが、生徒数の割には職員の数がかなり多いということで、十分な成果を上げるには、本当に民間にすべて帰属した方がいい教育ができるんではないだろうかと私は実は思っている一人なんです。

 先ほど馳副大臣が言われましたが、私立の場合は本当に建学の精神にのっとって、しっかりした幼稚園経営をしようということで、研修のみならず、自園での、個々の園でそれぞれがまた研修を行っている例が非常に多い。まさに、これは、今我が国において幼児教育の根幹の一番多く担っている部分が私立幼稚園だというふうに考えております。そして、運営の管理も含めて、私立幼稚園は自助努力によって、こんなことを言うのはおかしいんですが、先生方の給料もそんなに高くない中で、本当に一生懸命、自分の仕事をこなすために先生方が働いている。

 そういう私立幼稚園の経営体質をもう少し国できちんと援助してやることによって、もっと効果が出るのではないか。まさに認定こども園ということで、新しい制度の取り組みの中でしっかりしたそういう制度の支援ができれば、この認定こども園、さらにいい形になっていくんではないかと思うのですが、ぜひ、私立幼稚園の助成の一層の充実や、支援措置を少し拡充することによって、この制度、認定こども園がさらに生かされるのではないだろうかと思いますので、文部省の私学に対する、私立幼稚園に対する助成のこれからの取り組みというものをひとつお聞かせいただければと思うので、よろしくお願いいたします。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、私立幼稚園の果たす役割の重要性にかんがみまして、従来から、私学助成の充実など私学振興の推進を図ってきたところでございます。

 平成十八年度予算におきましても、私立幼稚園に対する経常費助成につきましては、対前年度二億八千百万円増の三百三十七億三千八百万円を、幼稚園就園奨励費補助につきましては、対前年度三千百万円増の百八十一億四千五百万円を措置するなど、その充実を図っているところでございます。

 また、税制面におきましても、収益事業を除いて、法人税や事業税が非課税となるなどの種々の優遇措置が設けられておりますが、十八年度税制改正におきまして、学校法人に対する個人からの寄附につきまして、寄附金控除に係る適用下限額が、従来の一万円から五千円に引き下げられたところでございます。

 さらに、都道府県教育委員会などが主催いたします研修におきまして、私立幼稚園教員の受け入れを促進いたしますとともに、市町村における私立幼稚園を担当する部署を明確化するなど、私立幼稚園の振興を図るために、地方公共団体における取り組みを推進するための施策も講じているところでございます。

 今後とも、私立幼稚園の振興のための支援策の推進に取り組んでまいりたいと存じます。

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひ、私立も含めて、これからそういう支援措置をしっかりとっていただければと思います。

 それでは、今度は、認定こども園について少しまたお尋ねをしたいと思います。

 幼稚園と保育所は、それぞれ過去に長い歴史を持って運営をされてきております。それぞれ個々の施設や関係団体が御尽力をされてきております。その御尽力はすばらしいものがあると思います。一方では、現代の社会において、これだけ大きな変化を来しております。例えば、幼稚園でも預かり保育の普及、保育所においても教育の機能の充実などを求められ、幼稚園と保育所の果たす役割も大きく変わってきています。

 そこでこの認定こども園になったわけですが、この認定こども園の制度化を一つの契機に、これにとどまることなく、今後とも子供の健やかな育ちという視点に立って、幼稚園と保育所の果たすべき役割や機能ももっと柔軟に見直していただいて、そして今後の幼稚園と保育所の果たすべき役割や機能について、これからしっかりと、このこども園とともに考えていっていただきたい。このことの見解を文部科学省と厚生労働省にお尋ねを申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。

銭谷政府参考人 これまでも、幼稚園教育要領と保育所保育指針の整合性の確保や、幼稚園教諭免許と保育士資格の併有の促進などによりまして、幼稚園、保育所を通じた教育、保育機能の強化に努めてきたところでございます。

 認定こども園におきましては、教育機能と保育機能の双方の充実が求められるわけでございまして、この制度の実施を契機といたしまして、幼稚園と保育所の関係者の意見交換や相互の交流がさらに進められ、それぞれが積み上げてきた経験の共有がさらに促進されることになると考えております。その結果、認定こども園はもちろん、すべての幼稚園、保育所を通じた教育、保育機能の一層の強化が図られることになると期待をいたしております。

 また、認定こども園におきましては、地域の子育て支援が必須の機能とされていることから、幼稚園、保育所を通じた子育て支援機能の充実ということも期待をしているところでございます。

白石政府参考人 ただいま文部科学省の方から御答弁あったとおりでございまして、先生御指摘のように、子供の健やかな育ちというふうなことを第一に考えまして、適切な教育、保育が行われるようにということで、繰り返しになりますけれども、教育要領と保育指針のさらなる整合性の確保、資格の併有の促進等々を通じまして、また今回のモデル事業によりましても、さまざまお互いのノウハウで、ああ、そういうことがあったのかという新たな発見等もございました。そういうふうなこともさらに意見交換等々を積み上げることによりまして、経験の共有ということもさらに促進してまいりたいと考えております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 それぞれから質問に答えていただいて、すばらしいと思うんですが、今同じような答えでこられたような気がするんですね。認定こども園というのは、まさに今の社会のニーズに合った制度をつくるがための一つの制度改革の手順であるということはわかるんですが、ぜひ子供の側の視点に立った、子供のための教育制度、就学前の教育制度ということで、文科省、厚労省ともしっかりとその辺を認識していただいて、できれば将来に向けてきちんとした、現代の社会に合った、それから未来を見据えたような制度改革の第一歩であるということで、これから認定こども園、しっかりと制度を進めていっていただきたいというふうに思います。

 それから、最後にもう一つ私からの質問なんですが、最初に質問したとおり、どうしても制度にばかり頼ってしまいまして、本当の、真の子供の教育、子供をしっかりと見据えた教育というものをこれから我が国として、自民党としても政府にそれを求めていかなければならないと思うんですが、その中で、文科省の、将来を見据えた制度的なつくり方、そして持っていき方というのが一番大きな重要な役割を担っていくんだろう。そのときに、一番は、やはり教えるとかということではなくて、育ち方、社会の中で育っていく子供たちというものを見据えながら、文科省、これからしっかりした制度をつくっていくんだろう。そのためには、ぜひ、これからの就学前教育制度のしっかりとした取り組み、将来を見据えた児童教育というものを示していただきたいと思いますので、質問させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

小坂国務大臣 御指摘のように、三つ子の魂百までという日本のことわざがございます。人生の基礎である、人間形成の基礎である部分を養う三歳までの幼児期というものは、大変に重要でございます。三歳だけでなくて、幼児期の教育というものは大変重要でございますので、その重要性を子供の側に立って制度的にもしっかりとやってもらいたい、こういうお話でございます。

 安心の保育環境、安全な保育環境の中で、幼児の、人生を貫く生きる力、その基礎をつけられるような幼児教育というものにしっかり取り組んでまいりたい、このように改めてお答えをして、決意とさせていただきたいと思います。

亀岡委員 ありがとうございます。

 私も野球というスポーツを通じて教育の場を経験してきたわけですが、どうしても技術に頼りがちであるというのは、指導者の中で過ちを犯すことが多くて、本来は子供にやる気を起こさせることによって、やる気が出れば、技術を教えなくても自分でまねしようとする。まさに教育というのは、詰め込みではなくて、いかにやる気を起こさせ、そして興味を覚えさせて、そして自分からその技術を体得したいという気にさせるかというのが、我々、スポーツの世界では行われております。

 馳副大臣なんかもそのことは十分御存じだと思うんですが、そういう中で、やはり就学前の教育というのは、自我の発達の段階でして、まさに周りがつくってあげなければいけないと。

 ですから、これから我が党として、政府にしっかりと、幼児教育の重要性と、さらにこの制度が将来に向けて一番いい制度になるような取り組み、これは、認定こども園というのは一つの過程の段階であって、ぜひ将来に向けて、本当に三つ子の魂百までのすばらしい教育環境をつくるための一手段であるということで、次の就学前制度のすばらしい制度設計の一つの手順にしていただきたいことをぜひ重ねてお願いを申し上げて、質問を終えたいと思います。

 どうもありがとうございました。

遠藤委員長 池坊保子さん。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 私は、十年前に政治家になりましたときに、子供の視点、保護者の視点に立って、幼稚園と保育園の一元化に力を尽くしていきたいと思いました。

 預ける側としては、厚労省の所管であろうが文科省の所管であろうが、そんなことにかかわりなく、子供にとって負担が少なく、快適な日々を過ごせることが一番の願いであるわけです。

 幼稚園に、三歳になり、あるいは四歳になって入れた。でも、その後引き取って、また保育園に行く。子供にとっても、環境が違うところに行くというのは負担ですし、働いているお母様、お父様にとっても、引き取って、また別の場所に連れていくというのは大変なんです。

 でも、十年前の現状というのは、幼稚園と保育所の隔たりが本当に強く、幼稚園は、私たちは就学前の教育をしているのだ、私たちの存在価値はまた別にあるとおっしゃいましたし、保育所の方々は、きめ細やかな養育をしているのだ、幼稚園とは違うと。例えば、御飯一つとっても、私たちは手づくりだ、そう言われましたことと、私、鮮明に覚えておりますのは、武道館で保育所の大集会が行われました、現場は難しいんだなというのを非常に強く記憶しております。その間に、現場の理解も得られ、そして、厚労省と文科省の人事異動も行われて今日を迎えられましたこと、まだまだ将来的な課題はたくさん残ってはおりますが、私は、大きな前進なのではないかと思います。

 周囲を見ますと、多発する児童虐待は、保護者の子供への情愛の欠如とともに、地域の連携の希薄さ、地域の子供を持つ親への支援の貧困さを浮き彫りにしていると思っておりますし、また、子供たちがどんな恵まれた愛情のもとに、そして豊かな環境の中で育つかというのは、幼稚園の創立者のフレーベルが、三歳までに人間の基礎が形成されると言っているのにもあらわれているように、そういうものをつくってあげるのが、私は、大人の責務ではないかと思っております。

 そういう意味では、私は読み聞かせ運動というのを全国的な展開でいつも広めておりますけれども、この法律も、子供の視点に立って、極めて重要な法律だというふうに認識しております。

 この法律は、二〇〇三年に骨太の方針の閣議決定で幼保一体型の総合施設の新設というのを受けて、政府が一歩を踏み出したのだと思います。

 認定こども園制度が創設されても、引き続き、文部科学省と厚生労働省が所管する幼稚園、保育所は残ることになります。そういう意味では、完全な一元化の制度ではないと思うんですね。認定こども園というのは第三の幼児教育の施設ということになるんでしょうか。

 認定こども園というのは新しい言葉ですね。幼保一元化とは違うのか、違うとしたらどこが違うのか、なぜ幼保一元化とならなかったのか、文部科学大臣にお伺いしたいと思うんです。

 地方自治体はもう幼保の形でやっているところが多いわけです。そういう意味では、国の方がちょっとおくれたのかなという感じはいたしますが、これは、今までやっている、幼保連携を実施している施設の位置づけを明確にするための法整備なのか。

 それから、私は、中央集権であってはいけないと思うんです。こういうのは、やはりあくまでも現場を大切にして、現場の盛り上がりを重視しなければいけないと思うのですが、そういうことを踏まえながら、大臣の御見解を伺いたいと存じます。

小坂国務大臣 池坊委員には、これまでも委員長として、また大臣政務官として文部科学行政に御貢献をいただいているわけでございますから、基本的な考え方についても十分おわかりの上での御質問とも思うわけでございます。

 幼児期の多様な教育、保育ニーズに適切に対応するためには、単に制度を一元化するということ、それよりも、一律な対応を求めるのではなくて、まさにおっしゃった地域の実情に応じた対応が可能となるように、利用者のための新たな選択肢を提供することが重要であると考えておるわけでございます。

 今般の法律案は、こうした基本的な考えのもとで、教育、保育及び子育て支援を総合的に提供する機能を持つ施設を認定こども園として認定する仕組みを設けるものでありまして、すなわち、幼稚園、保育所を一体的に設置する施設に関する法整備ではなくて、幼稚園、保育所を通じて就学前の子供に対する教育及び保育を一体的に提供する機能と、地域における子育て支援を行う機能の充実を図るということに主眼を置いたものでございまして、いわゆる幼保一元化にまつわり指摘されている課題の解決につながるものと認識もいたしておるわけでございます。

 また、今回の法律案は、今申し上げたような利用者のニーズに対応して、果たすべき機能に着目した認定制度を設けるものでありまして、幼稚園、保育所のほかに第三の施設類型として認定というようなものを設けるものではないということを御理解いただきたいと思います。

池坊委員 昨年四月から、文部科学省と厚生労働省の両省で、全国に三十五カ所の総合施設モデル事業というのを実施していらっしゃいますね。私も品川区のすこやか園に前に視察に行ってまいりましたけれども、三月三十一日に、総合施設モデル事業評価委員会が、この三十五カ所の職員配置、施設設備等の状況を書面審査、実地調査などによって検証し、その評価を通じて総合施設のあり方についての考え方を整理した「総合施設モデル事業の評価について」を公表しております。

 この法案が出されましたのが三月七日でございます。最終まとめが公表されましたのが三十一日となっております。一部には、まとめの公表を待ってから法制化すべきだったのではないか、早かったのではないかという声もございますけれども、それについて、政府でもいいですけれども、子細を聞かせていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 平成十七年度に実施をいたしました総合施設のモデル事業につきましては、事業評価委員会というものを設置いたしまして、その実施の状況について評価を行ってきたわけでございます。昨年の十二月に、総合施設モデル事業評価委員会から中間まとめというものを取りまとめていただきました。その中では、今後の認定こども園に係る制度設計に必要な、例えば認定こども園の類型でございますとか、職員資格、職員の配置、施設整備、子育て支援のあり方等について、大体こういうことで考えたらどうだろうかという内容の報告をいただいておりましたので、この中間まとめをもとにして今般の法律案を提案させていただいているものでございます。

 なお、三月に評価委員会が最終まとめをいただきましたけれども、これは中間まとめの内容を確認していただくとともに、教育、保育に関する配慮事項を追加していただいたということでございまして、制度設計の基本的内容については、中間まとめに示されたものと基本的には変わりはないということでございます。

池坊委員 評価委員会が三十五のモデル事業の実地調査をした、その結果として、課題点とか問題点が浮き彫りになったんじゃないかと思います。これは新しい選択肢の一つではあるんですけれども、画期的なことである。それだけに、いろいろな問題点があるのは当然だと思います。どのような問題点が浮き彫りにされたのか、そしてそれは新たにできる認定こども園の創設に当たって、どのように反映されていかれたのでしょうか。

銭谷政府参考人 総合施設モデル事業評価委員会の評価のための活動を通じましてモデル園をいろいろ見てみますと、例えば、幼稚園がモデル園として実施をしたようなケースでは、乳幼児が身近にいるといったようなことで、これまで経験のない乳幼児期の保育の大切さを職員が実感できて、またそのための課題も浮き彫りになった。一方、保育所が総合施設モデル事業を実施した場合には、長時間利用児と短時間利用児に共通する保育時間のあり方についてやはりいろいろと検討する必要があるといったような報告がなされております。

 こういったことを踏まえまして、特に中間まとめでは、総合施設として必要な機能は多様な類型で実施をした方がいいといったようなこととか、子育て支援事業については利用者からの要望が強く、総合施設の必須の機能とすべきことなどが指摘をされております。これを踏まえまして、認定こども園につきましては、多様な類型において実施可能となるように制度設計をしたり、子育て支援機能を認定こども園の必須の機能としたところでございます。

 このほか、職員資格や調理室、運動場のあり方についても課題が示されておるところでございまして、これらについても、今後、策定をする認定基準に関する国の指針においてしっかりと反映させていきたいと思っております。

池坊委員 私ども親にいたしますと子供は一人で、その子供が幼稚園に行ったり保育所に行ったりということになりますから、これは同じじゃないかと思うんですが、設置している幼稚園、保育所というのは長い年月培ってきたそれぞれの文化というのがありますから、すぐに一緒にしようといっても、ああ、そうですか、わかりましたということにはならないんだなということを、私は現場を見て回り、そして幼稚園、保育所の方々と話をしながら実感いたしました。

 そういう意味では、先ほども申し上げましたように、お互いが、厚生労働省と文部科学省との人事交流も行われてきて、そういう土壌の中で現場も理解をして歩み寄っていい点を取り入れていこうという、ようやっと機が熟したのではないか。親から見ますと、文科、何をやっているのよ、遅いのじゃないのと言われがちですし、私も正直言ってそう思ってはおりましたけれども、いろいろな現場に行くと、そんなことはないんだということも、行けば行くほど理解したというようなところがございます。

 今度、一番問題になっているのは、やはり私はお金の問題なんじゃないかと思うんですね。もちろん、幼稚園教諭だとか保育所にかかわる人の問題もさることながら、補助金のあり方というのはどうなっているのかなというふうに率直に思うんです。今回の認定こども園というのは幼稚園と保育所が一体になっているわけですから、当然、厚労省と文科省の予算を使うということになると思うんですね。保育所は国の負担金で、これは義務的経費ですね。幼稚園の場合には裁量的経費。ですから、一人の子供が二つの違うお金を使うということになっておりまして、今回のモデル事業ではどういう会計の仕方をしたのか、トータルとして使ったのか、ちょっと一般の人にはわかりづらいんですけれども、その辺はどうなっているんでしょうか。

銭谷政府参考人 認定こども園はあくまでも幼稚園、保育所というものを前提として〇歳から五歳までの子育てについて総合的なサービスを提供する、そういう機能を持っているものを認定していくという考え方でございます。ですから、幼稚園と保育所はそれぞれ設置の趣旨、目的を踏まえた、それぞれに対する国からの財政措置が行われているわけでございまして、基本的にはそれぞれに対する助成措置が今後も行われるということになります。

 ただ、幼稚園と保育所が連携をする一体型の幼保連携型の認定こども園につきましては、国の助成についての幾つかの特例は設けるということになっております。なお、そこにおります子供については、別々の助成ということよりは、むしろ子供の類型に応じて保育所と幼稚園の助成措置が行われるということになります。

 ただ、実際の業務に当たっては、ただいま先生からお話がございましたように、利用者や施設の立場に立って窓口事務等の一本化を図っていくということが重要だと思っておりますので、補助金の申請の窓口でございますとか、あるいはいろいろな認定の申請等につきまして、窓口の一本化などによりまして、事務の一元的な対応が図られるように促してまいりたいというふうに考えております。

池坊委員 今、窓口を一本化するつもりだというお考えを伺ってちょっとほっとしたんですね。なぜかといいますと、保護者が参りますと、それは文科ではありません、厚生労働です、厚生労働省に行きますと、今度は、これはうちではありませんと。たらい回しにされるというのがよくございまして、せっかく認定こども園というのができたならば、やはり窓口を一本化するとか、いろいろな工夫があると思うんです。今後どういうふうにしていくおつもりか、もし今考えていらっしゃることがあったら教えていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 まず、国段階でございますけれども、認定こども園の制度化に当たりましては、認定こども園自体、小学校との接続とか地域の子育て支援の対応など、文部科学省と厚生労働省がしっかり連携をして、教育行政と福祉行政の総合的な展開の中で対応していく必要があると思っております。具体的には、両省が協力をして幼保連携推進室といったようなものを設けまして、一体的な事務処理体制を整えるなどの措置を行って、緊密な連携協力を図りながら、制度の円滑な施行に努めてまいりたいと思っております。

 また、地方公共団体レベルにおきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな子育ての相談等も含めまして、それぞれの地方公共団体において、窓口の一本化といいましょうか、事務の一元的な対応が図られるように、私ども、厚生労働省と協力をして促してまいりたいと思っております。

池坊委員 まず、国が、政府の方がこれは範を示して、せっかく人事交流も行われたことなんですから、窓口は一本化していただきたいと思いますことと、何よりも、さっきから申し上げているように、現場が大切なんだと思いますね。ですから、現場でそういうことができないと、幾ら政府の方がやっていてもだめだと思いますので、これは現場がしっかりと一本化できるようにということを指導し、アドバイスをしていっていただきたいというふうに思っております。

 伺いたいこと、たくさんあるんですけれども、細かいことは、職員の配置とか免許証のことなどございますけれども、それはまた次回に回すとして、新しい出発ができました。大臣としてはどういう御決意でこれからやっていかれるのかを最後に伺って、質問を終わらせたいと思っております。

小坂国務大臣 今後とも、厚生労働省と連携をしっかりとりながら、子供の、幼児の立場から、また子供を持つ母親の立場から、家庭の立場から、しっかりとこの制度の定着と、そしてそれをさらに発展させた形での幼児教育というものに取り組んでまいりたいと存じます。

池坊委員 ありがとうございました。

 終わります。

遠藤委員長 高井美穂さん。

高井委員 民主党の高井美穂です。どうぞよろしくお願いいたします。

 本日は、この委員会室にも、現場で働いている皆様、それから関係各位の皆様も傍聴に来ていただいております。小坂文部大臣、そして馳副大臣、どうぞ現場の皆様に直接お答えするというおつもりで御答弁をいただきたいと思います。

 まず、冒頭に申し上げたいんですけれども、私の先般の代表質問に対しまして、小坂大臣並びに川崎厚生労働大臣は全く同じ答弁をされました。同じ趣旨ですのでそのとおりお答えしますということでございましたけれども、それならば、なぜこの文部科学委員会だけにこども園がかかるのでしょうか。できれば、共管ですので、連合審査していただきたいということを私は思うんですが、ここの場には川崎大臣はお答えになられないということは、こども園に関しては、小坂文部科学大臣にお聞きしても、厚生労働部分に関することもすべてきちんとお答えいただけるということの認識でよろしいんでしょうか。

小坂国務大臣 先日の本会議におきまして、委員の御質問に対しましては、同様の質問を両省でいただきました。いずれも、認定こども園という制度に関するものでございましたので、両大臣が同様の答弁をさせていただきました。

 この委員会においては、いろいろな質問があると思いますけれども、その内容によりまして、それぞれの保育所に関すること、また幼稚園に関すること等、出てくると思いますけれども、いずれも、誠意をもって、私の答弁できるところは答弁させていただきますし、また、厚生労働省の副大臣もおいでをいただいております。また、厚生労働省のそれぞれの担当部局も、お呼びいただければこの委員会に来て答弁をしていただけると思っておりまして、そのような中でこの法案の質疑を進めていただければありがたい、このように考えております。

高井委員 では、こども園に関しては、厚生労働省も文科省も全く理念もやり方も同じであるという認識で受けとめます。だから、大臣は、文部科学委員会では厚生労働大臣はお呼びすることはできませんけれども、政治的な理念等もきちんとお答えいただけるということと思っております。

 委員長にお願いしたいんですけれども、でき得ることならば、連合審査でということを検討していただきたいと思います。

遠藤委員長 現時点におきましては、厚生労働委員会から申し入れがございません。申し入れがありましたら、当委員会において協議したいと思います。

高井委員 ありがとうございます。ぜひ、政治家としても、やはり共管の法案を出しているわけですから、よりよい質疑をするためにも、きちんとした連合審査をやるということを、政府の方としてではなく、大臣にも政治家としてお話し合いをなさっていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 早速ですけれども、質問に入らせていただきます。

 その前に一言、先ほど、こいのぼりのお話が出ましたけれども、私の三歳半になる子供はこいのぼりが大好きでございます。ただ、こいのぼりが減っているというのは、さまざまな、それ以外に見えない諸事情があると思います。今、市町村、疲弊しております。子供がおりません。現実は大変に、私自身の家庭であっても、例えば、介護を抱え、子供も抱え、それでこいのぼりまで立てられる家というのは余裕がとてもある、いわゆるお分限者と言われる家であるというふうに思います。もちろんこいのぼりも……(発言する者あり)小さいのは小さいので、あります。今、先ほどの質問の中には、小さいこいのぼりの話をしていたんじゃないと思います。そうですよね、大きなこいのぼりがたなびくという話ですから……

遠藤委員長 質疑を秩序正しく続けてください。

高井委員 はい。(発言する者あり)

遠藤委員長 静粛にしてください。静粛にしてください。

 質問を続けてください。

高井委員 もちろん、政治家としても、就学援助を受けている子供もいます、そういう場にこそたくさん目と心を注いでいただけるようにぜひお願いしたいというふうに思います。これは単なる意見でございますので、どうぞ、お聞きおきというか、お聞き流しいただいて結構でございます。

 質問に入ります。

 法案の趣旨において、保護者の就労の有無にかかわらず、小学校就学前の子供の教育、保育に関する多様な需要に適切、柔軟に対応しというところ、子育て支援を総合的に提供するということ自体は私どももとても賛同しております。民主党も、保護者の就労や経済状況によって子供を区別することなく、よりよい教育、保育環境を確保するために、現在の幼稚園、保育園を一体化することを目指してはおります。

 しかしながら、今回の法案では、先ほどの池坊委員のお話にもございましたけれども、その趣旨に沿うだけの手段が十分に講じられているようには思いません。とても中途半端で、かえって現場の混乱を招くことがあるのではないかということを懸念しております。

 その点について、以下、細かく御質問を申し上げますので、せっかくできる制度で、趣旨は間違っていないのですから、よりよい制度にするためにも、立法府の皆様にぜひとも修正も含めて御検討をお願いしたいというふうに思っています。

 こども園の目指すところについて、先ほど来、答弁が多々ございました。

 もう一度お伺いいたします。

 就学前の子供の保育、教育についてのビジョンを教えていただきたいのです。文科省、厚労省、全く同じでございますか。それは、こども園についての理念並びにこれからの教育、保育の理念についてでも結構でございます。

小坂国務大臣 まず、私の方から答弁させていただきますが、聞き流して結構ですというお話でございますが、先ほどのこいのぼりのお話は、もう委員もお聞きになっていておわかりのとおり、西本委員が子供のころのという話をされ、また私も、自分の子供のころ、すなわち五十年以上前のお話として、思い出話として語ったわけでございますので、今日、こいのぼりを立てるという話とはちょっと違ってくるかもしれません。申し上げたように、家庭環境も変わってまいりまして、住宅環境も変わって、なかなかこいのぼりが立てにくい状況にあるというのは、お互いに残念な思いを含めながらお話をしたところでございます。

 生涯にわたる人間形成の基礎を培う大切な時期である幼児、先ほども申し上げた三つ子の魂百まで、また、外国にも同じ趣旨のことわざがあるように、適切かつ質の高い幼児教育、保育が提供されることは極めて重要なことでございます。それを担うために、保育所の皆さん、また幼稚園の皆さんが日夜本当に御努力をいただいているわけでございます。このために、家庭、地域、幼稚園や保育所などの施設が連携をして、それぞれの機能を十分に発揮させていくことにより、子供の健やかな育ちを確保していくことが大変重要なことだと認識をいたしております。

 こうした考えのもとに、幼稚園や保育所における教育、保育機能の充実を図り、家庭や地域社会の教育力、子育ての力の向上を図る、また、働き方の見直しなどによって、社会全体で子供の育ちを支援していくことが重要であると考えております。

 こうした就学前の子供に対する教育、保育についての考え方のもとに、この法案においても同様に、適切かつ質の高い教育及び保育の提供と地域における子育ての支援を総合的に提供する機能を備える施設を認定し、認定こども園とする制度を設けることによりまして、既存の幼稚園、保育所と相まって子供の健やかな育ちを確保していきたい、このようなことでこの法案を提出させていただいているところでございます。

中野副大臣 高井委員の御質問にお答えしたいと思います。

 今議員の御質問につきまして、ただいま小坂文部科学大臣が御答弁をされましたけれども、私も大臣の御答弁と同じ認識でございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした認識のもとで、まず、施設については、保育所における教育、保育の充実、また、家庭におきましては、保護者が子供、子育てにしっかりと向き合うための働き方の見直し、また、地域におきましては、親子がともに集う場の確保といった地域の子育て支援の充実などに取り組むことにいたしております。

 今回の法案におきまして、同様に、この考え方によりまして、まず第一に、教育及び保育の一体的な提供と地域における子育て支援を総合的に提供する機能を備える施設を認定する認定こども園制度を設けることにいたしたわけでございまして、これによって子供の健やかな育ちを確保してまいりたい、こう考えておるのでございます。

高井委員 本会議質問の答弁の中で、すべての幼稚園や保育所を認定こども園に統合しようというものではありませんというふうなことがございました。そして、今の御答弁の中では、既存の幼稚園、保育所と相まってこの施設を推進していくというような趣旨であったかと思いますけれども、先ほどの御答弁の中では、第三の施設という新しい施設としてつくったわけではないという御答弁でしたが、それでよろしいのでしょうか。

小坂国務大臣 教育と保育というその機能に着目をしてまいったわけでございまして、類型として新たな第三の類型をつくったわけではないというふうに申し上げたところでございます。

高井委員 でも、現場から見ると、形として第三の施設ができたように思えるのではないでしょうか。

 幼稚園、保育所、そのまま制度があります。では、こども園、どういう制度かといえば、全く幼稚園でもない、全く保育所でもない、でも第三の施設でもない。非常に難しいんではないか。現場としても混乱を来すのではないか。それは、ひいては窓口が一本化されていないことにもつながっていくと思うのですが、その点、少し詰めてお聞きをしていきたいというふうに思っています。

 もう一つ、理念についてお伺いしたいんですが、現行の幼稚園、保育園で、どのような点がこの多様化するニーズに柔軟に対応できにくいとお考えになってこの案を出されたんでしょうか。

銭谷政府参考人 現在、保育所は、〇歳から五歳の子供を対象に、保育に欠ける子供を保育するという福祉施設でございます。それから、幼稚園は、三歳から五歳の子供を対象に、保育に欠ける欠けないにかかわらずその子供たちを教育する、いわば教育機関でございます。

 地域によりましては、子供の減少によりましてそれぞれの施設の規模が縮小をいたしまして、集団的な教育、保育ができにくいところが出てきている。あるいは、地域によりましては、待機児童が大変多くなりまして、もう少し保育所の機能が拡充しないかといったようなことの要望がある。あるいは、働いている時期それから働かなくなった時期によりまして、保育所から一たん退所をしてまた別の幼稚園に行かなければいけないといったようなこともある。

 さまざま、地域や親の事情によりまして、子供たちの就学前の教育、保育に対するニーズが多様化をしておりますので、子供の保育に対して新しいいわば選択肢を提供するという観点から、教育、保育について総合的な機能を持つものにつきまして、これを認定こども園として認定するということが基本的な考え方でございます。

高井委員 何か新しい施設、第三の施設でもなく、新たな選択肢というほども目新しいことが大変多く取り込まれているというわけでもないように思います。

 つまり、従来型の制度はそのままで、折衷した形の園をこども園という形でつくるというふうにしかどうしても認識を持てないんですが、先ほど銭谷初等中等局長の御答弁の中でも待機児童がもうたくさんいるというふうなお話がございましたので、つまり、待機児童解消のためにもこのこども園が役に立つのではないかということを織り込んでおられるのか、おられないか、もう一度確認したいんです。

銭谷政府参考人 新しい選択肢というふうに今申し上げたわけでございますが、例えば既存の幼稚園の活用によりまして待機児童の解消に資するという面もあると思います。また、親の就労の有無にかかわらず利用できる施設ということになるわけでございますし、また、適切な規模の子供集団を保ち、子供の育ちの場を確保できる、そういう面の機能もございます。さらに、認定こども園では、育児不安の大きい専業主婦家庭への支援を含む地域子育て支援というものを行うことといたしておりますので、そういった意味での地域子育て支援を充実するといったような機能もございます。いわば、それぞれ就学前の子供たちにかかわるさまざまな教育、保育ニーズに対応できる新たな選択肢としての認定こども園制度であるというふうに御理解を賜ればと思うわけでございます。

高井委員 教育、保育の現状というのは、地域によって大変にばらつきもあるし、家庭によってばらつきもあると思います。農山村部と都市部では違うと思います。待機児童が多いのは都市部が中心である。特に、保育所に入れない子供たちを待機児童というふうに主に言うんだろうと思いますけれども、今回の法案ができたからといって保育の枠が拡充するというわけではないということが、私は質問を調べる中で、少しわかってまいりました。というのは、待機児童に多いのは〇歳から二歳児でございます。

 確認なんですけれども、幼稚園型のこども園において、原則として、三歳未満の子供を受け入れることをするのでしょうか。

銭谷政府参考人 幼稚園が機能を拡張して認定こども園となるケースは大きく二つあるというふうに考えております。

 一つは、〇歳から二歳児は保育はしない。ただ、正規の教育時間、いわば四時間の教育時間が終わった後の保育をする長時間保育の子供は受け入れて、かつ、子育て支援事業というものを行うというようなケースが一つあるわけでございます。

 それから、もう一つのケースは、〇歳から二歳児を常時保育するというケースでございます。この場合は、幼稚園が認可保育所を併設するという場合と、いわゆる認可外の保育施設を併設するというケースがございます。幼稚園が保育所の認可を受けていわば幼稚園と保育所の幼保連携施設として行うケース、それから、保育所の認可を受けないで幼稚園と認可外保育施設の合わさった幼保連携施設ということで行うケース、こういうことがあるわけでございます。

高井委員 今の幼保連携型の一番のケースというのはまだ十分に制度としてない中で、今お聞きになったように、こども園の類型というのはほぼ四類型あるということなんですが、従来の幼稚園においては、原則として三歳未満の子を受け入れていなかった。今の御答弁のとおり、こども園になっても、原則として三歳未満の子は幼稚園では預かってはもらえないということだろうと思います。

 つまり、長時間保育はできる。長時間保育ができるというのは、多分三歳以上の子供のことなんですよね。しかも、子育て支援の施策のやり方というのはどうなんですかと私がお聞きすると、〇―二歳児の子は親と一緒に来てくださいと。そこで一緒にお話を聞いたり、子育て支援をしましょうと。つまり、〇―二歳児の子を少しだけ、一時間、二時間、幼稚園型のこども園で預かってくれるということはないというふうに私はお聞きしましたけれども、そこら辺はいかがなんでしょうか。

銭谷政府参考人 いわゆる幼稚園型というのが、法律でいいますと三条一項の認定になるわけでございますけれども、呼び方は、どう呼ぶかというのは、いわゆる幼稚園型というふうに言わせていただきますけれども、〇―二歳児は保育をしないで、幼稚園の保育時間に加えて長時間保育を行って、それから親子登園などの子育て支援を行うというのが、三条一項の認定のケースでございます。

 これに対しまして、幼稚園が例えば空き教室を活用いたしまして、〇歳、一歳、二歳児を受け入れて、認定こども園の認定を受けるということは、これは可能でございます。

 ただ、その場合に、〇歳、一歳、二歳児の受け入れということになったときに、幼稚園が保育所の認可を受けて、すなわち認可保育所を併設して受け入れるケースと、幼稚園に認可外保育施設を併設して受け入れるもの、こういう両方のケースがあるということになるわけでございます。これが、認定としては、三条二項の認定ということになろうかと思っております。

高井委員 法律上の読み方はわかりました。

 では、現実的に空き教室を利用してやるケースというのは、今までに何件ぐらいあるんでしょうか。もしわかっていたら、教えていただきたいと思います。

銭谷政府参考人 認定こども園事業はこれからでございますので、今のところどのぐらいあるかというのは詳細には承知をいたしておりません。

高井委員 わかりました。では、恐らく今までにはないということなんですね。これからやってほしいという思いでこの法案をつくられたと。

 つまり、可能性としては、空き教室を活用してやってきたケースというのは、私はモデルケースか何かであったのかなと。それとも、今までの中に、大分現場が努力されて何件かあった上で、こういう制度がいいよというので今おっしゃったのかなと思ったんですが、現実的にはまだ未知数で、できるかどうかわからないですね。

銭谷政府参考人 今後、認定こども園の制度ができまして、そして認定こども園の認定を受ける幼稚園が出てくるわけでございますけれども、例えば現時点でも、認可外の保育施設を併設している幼稚園というのはあるわけでございまして、数でいうと、私の記憶では二百ぐらいじゃなかったかなと思いますけれども、そういった幼稚園が、それが空き教室を利用しているのか、それとも校舎といいましょうか園舎を増築してやっているのか、そこまではちょっとつまびらかではございませんけれども、そういう認可外の保育施設を併設している幼稚園が認定こども園の認定を受けるということは、これはあり得ることでございます。

高井委員 お聞きになられたとおり、全国でたった二百、全国の数ある保育施設、幼稚園施設を合わせると、それこそ三万七千ある中での二百ぐらいがそのケースであるということで、これからふえていくというふうには、私はとてもじゃないけれども思えません。

 というのは、特に待機児童の解消という点からすれば、一つもこれは効果がないというふうに言っても過言ではないと思います。つまり、保育所が今待機児童がいっぱい、二万四千人ぐらいいるというふうに聞いていますけれども、幼稚園に入る子供が減っているという現状の中で、幼稚園がやはり〇―二歳児の預かり保育を、この法案の中ではすぐに拡充できると。制度としてはできるにせよ、実質的にすぐにできるような形になっていないということは、やはり現実的には余り変わらないのではないか。待機児童が減っていく、幼稚園型こども園にいっぱい手を挙げて、保育所型と機能を併用して子供たちをたくさん、特にニーズが多い〇―二歳児を受け入れることができるというふうにはならないというふうに懸念をしています。

 法律上の説明は先ほどいただいたとおりなので、できるようになったということはわかりますが、現実としてはそれはついていかないのではないかというふうに懸念があります。

 特に、いろいろ問題点もわかります。〇―二歳児の保育に関しては、やはり調理室が必要だ。私も下の子が九カ月半ですから、離乳食を与えるに当たっては、やはり三時間とか四時間おきに、特に夏場であれば、すぐにつくってすぐに食べさせるところが要る。だから、近くに調理室なり、できるところがないとできない。だから、幼稚園型にはなかなか〇―二歳児を受け入れることができない。現実はそうだと思います。だからこそ、政府が言うほど総合的な施策、待機児童の解消のための一つの施策とは十分になり得ないということを指摘申し上げたいというふうに思っています。

 今後、これに関しては、できることならば拡充をというか、幼稚園施設に対してできるだけ調理室を持てるように財政支援をしていくとか、さまざまな点をお考えかどうか、お聞きしたいと思います。

銭谷政府参考人 先生お話しのように、幼稚園で認可外の保育施設を持っているところの数はそれほど多いわけではございませんけれども、今後認定こども園となる場合に、例えば、施設設備等のいろいろな特例等を設けることなどによりまして幼稚園が低年齢児の保育に取り組むということになれば、それは、規模はいろいろございますけれども、一定程度の待機児童の解消に資するものではないかというふうに私ども期待をしているところでございます。

 モデル園の中でも、モデル事業の中でも、幼稚園が〇―二歳児を受け入れていろいろ事業を行ったケースがあるわけでございますけれども、幼稚園の側にとりましても、〇歳から二歳児の低年齢児をお預かりするということは、非常にある意味では、いろいろないい、経験と言うと言葉は悪いですけれども、いろいろな意味で配慮すべきことがだんだん明らかになってきて、そういうことの積み重ねということが、今後これが広がっていくことにつながるというふうに期待をしているところでございます。

 なお、認定こども園につきましては、調理室等の問題につきましては、原則は原則としつつ、いろいろな特例等についても、今後国が示します指針の中でよく検討していかなければならないと思っております。

高井委員 そのためには、先ほど来から御答弁でありました教育と保育の理念すらまだきちんとすり合わせされていません。さらに、施設の基準、それから教諭、教諭というか幼稚園で働く職員の方、保育士の資格を持っておられる職員の方、その制度のすり合わせも、これはまだ十分ではない。さまざまなハードルを越えなければならない中で、一方の資格しか持っていない人を排除しないようにすることが大事であろうと思いますけれども、そういった点の研修制度等も少し教えていただけたらと思います。

銭谷政府参考人 幼稚園の教諭の免許と保育士の資格につきましては、現在、短大などの養成施設における両資格の取得の促進、それから幼稚園教員による保育士試験受検の際の一部科目の免除、あるいは保育士を対象としました幼稚園教員資格認定試験の創設といったような、併有の促進策を講じてきているところでございます。今後とも、併有の促進策については取り組んでいきたいと思っております。

 ただ、こうした取り組みを踏まえつつ、一方の資格しか有しない方を排除しないよう、認定基準に関する国の指針におきましては、三歳から五歳児の教育、保育に従事する者が両方の資格を併有することが望ましいわけでありますけれども、本人の能力等を判断の上、一方の資格のみ有する方も従事可能とするということを考えているところでございます。

高井委員 なかなか現場の方はこれから混乱をしていくのではないかと思います。ぜひともフォローアップ並びに丁寧な説明、情報開示をよろしくお願いしたいというふうに思います。

 続きまして、先ほど来からのお話の中で、文科省としては、こども園になることを推進したいんでしょうか、ふえていってほしいんでしょうか。一体、根本的にどうなんでしょうか。大臣、いかがですか。

小坂国務大臣 認定こども園をふやしたいという方向性を持つとかということではなくて、それらの機能を地域が必要としているということが前提となってくるわけでございます。それらのそういうニーズに対応するためにこういう制度を設けたわけでございますので、個々に判断をしていただきたい、このように思っております。

高井委員 というのは、やりたければやってくれというような話なんですかね。違うんですか。新しい選択肢として提示した、やりたければやってくださいということなんですよね。こども園になりたければなってくださいというふうなところの、これを設けたというお話なんですよね。推進していくわけではなくて、将来像は一体化していくわけでもないし、まあ、新しい選択肢としてただ一つ提示した。しかし、新しい施設でもない。やりたいところがやってくれればいいんだという話ではないんですか。

小坂国務大臣 高井委員のお話だと、各幼稚園あるいは保育園がどうしようかと勝手に考えて判断するみたいに思われがちですけれども、地域にはそれなりのニーズがあってのことだと思います。

 例えば、今まで幼稚園児が十分に人数がいたものがだんだん減ってきた、あるいは保育園が人数が減ってきた、そういうような中で、どういった形でこの先やっていこうかと考えたときに、幼稚園に保育機能を併設することによって、そして両方が円満な運営がしやすくなるという状況になる。例えば、基本的には幼稚園の機能を備えて、定数も満足しているけれども、保育園が欲しいという地域の要望がある。ところが、保育園単体では設置できない。こういったときに、その選択肢としてこの制度を活用していただくということでございまして、勝手に考えろということではございませんで、それぞれの地域でそういうニーズがあるということがやはり大前提になってまいります。

 そういうニーズがある中で、それでは、保育園と幼稚園をそれぞれ別々につくることができるのか、あるいはそれぞれにニーズを充足できるのかと考えたときに、では、この新しい類型を、類型というよりこの新しい制度を使って、それを、両方のニーズを充足することができないだろうかといったときに、その選択肢が提供できるという制度でございます。

高井委員 現場が望んでいるから、ニーズがあるからこの法案ができたという御趣旨でございます。それは、ある意味ではとても納得できます。

 そうすると、こども園というこの法案が通ったら、ニーズがあるんだから、たくさんこども園の認定をされる人がふえるはずですよね。制度ができて使いやすくなって、現場は喜んでいるはずなんです。しかし、ふえるというふうにはお考えになってはいないでしょう。

小坂国務大臣 認定こども園はふえていくと思います、現在認定こども園はありませんので。

高井委員 わかりました。とりあえずわかります、認定こども園は現在ございませんから。

 ただ、現場の方が喜んで、では、認定こども園という制度ができたから、待っていました、これはぜひやりたいというふうなことで、ニーズにこたえて手を挙げてくださるだろうということを今お聞きしているわけであって、これから法案も通し、予算措置もつけているわけですから、恐らくどれぐらい、こういうふうな認定こども園が認定をされるんではないかということを計算しておられるんではないかというふうに思います。それがあったら教えてください。

銭谷政府参考人 どの程度の数の認定こども園を見込んでいるのかというお尋ねかと存じます。

 先ほど来大臣からお話がございますように、今般の認定制度は地域の実情に応じて活用されるものでございますし、また、認定の申請を行うかどうかは各施設の判断によるものでございます。したがって、当面どの程度の施設が認定こども園となるか予測することは難しいわけでございますけれども、現在の幼稚園、保育所の現状をもとに、当座、認定の対象となり得る施設として、いろいろ考えてみますと、約千ぐらいの施設があるのかなというふうに思っております。

 それは、例えば既存の幼稚園と保育所が共用化施設となっているようなケース、それから先ほど申し上げました幼稚園が認可外の保育施設を併設しているようなケース、あるいは幼稚園が預かり保育についてこれを長年の経験で充実をしているようなケース、こういったようなことが考えられますし、また、保育所においても保育に欠けない子供さんを受け入れているようなケースとか、こういったようなことを重ね合わせますと、千程度は当座考えられるのかなというふうに思っております。

 ただ、先ほど来大臣がお話し申し上げておりますように、この制度はやはり地域の実情に応じて活用されるものでございますし、認定の申請を行うかどうかは各施設の判断によるものでございますので、私どもとしては、こういう選択肢を一つ提供する、こういう制度をつくったわけでございますので、この認定こども園については、十分、関係者の間、さらに広く国民にもお知らせ、周知を図って理解を促進していきたいというふうに思っているところでございます。

高井委員 では、活用しやすいように垣根を下げて、こども園という法案をつくった以上は、本当に現場に活用しやすくしていただきたいと思います。

 そのために、まず、本当に窓口自体がやはり文科省、厚労省と分かれていて、私はこども園に手を挙げたいんだけれども、では、どこへ電話すればいいんだというときに、文科省、厚労省のどちらに電話してもきちんとわかるようになっているというふうに制度としてきちんと連携がとれているとお聞きしていますけれども、この二元化の形というのは県の内部でも同じように二元化の形になっているわけでして、一般財源で幼稚園や保育所に補助しているところに対しては、恐らく予算措置も、中央で文科、厚労と分かれているとおり、県の方でも福祉の方の予算と教育の予算と分かれていると思います。大変しばらくは混乱をするのではないか、周知徹底なり制度を活用しやすくするためにはしばらく混乱を来すのではないかという懸念が消えません。

 できることならば、私は、内閣府にでも、子供担当部局、子供政策担当部局でも何でもいいです、そういう局を設置して、そこで文科省の教育部門と厚労省の保育部門とを一緒にやっていく、そこで受けて、一本化して伝えるということができればベストだというふうに思っておりましたが、そうはなりませんでした。

 この委員会でもるるお述べになっておられましたけれども、やはり教育の理念、保育の理念は違うんだ、すべてをこの二つに統一しようということではないというふうな御答弁だったと思いますけれども、この制度ができれば、幼稚園型のこども園では、午前中は、幼稚園教諭が幼稚園教育要綱に基づいて四時間の教育を行うわけですよね。午後においては、長時間保育として、保育士が保育所指針に基づいて子供を保育するということになるわけですよね。つまり、一つのこども園の中で、私は、朝は幼稚園児、昼から保育園児という状態が、もちろん見た目では差がないですけれども、実質、制度としてそういうふうになってしまう、これは何かおかしいのではないかと。一人の子供にとって、もちろん子供にはそんな説明はしないと思いますが、大人が見て、制度として見た場合に、朝は幼稚園児、昼は保育園児みたいな形になっていること自体何だかおかしい。おかしいと思いませんか。感想で結構ですから。

銭谷政府参考人 幾つかのお話がございました。

 まず、認定こども園制度は、教育と保育の双方にかかわるものでございますので、文部科学省と厚生労働省の両省で、幼保連携推進室を設けるなど緊密な連携のもとにその実施に当たることといたしております。認定こども園制度を円滑に実施していくためには、さらに利用者や施設の立場に立って、窓口事務等の一本化を図ることが重要であると考えております。このため、法律案におきましても、地方自治体の関係機関と連携協力義務を規定しているところでございまして、これに基づきまして、幼児期の教育、保育に関する保護者向けサービス窓口の一本化ですとか、認定こども園の認定申請、あるいは幼稚園、保育所の認可申請の受付窓口の一本化とか、補助金の申請窓口の一本化など、事務の一元的な対応が図られるように促してまいりたいというふうに思っているところでございます。

 それから、認定こども園に通って同じサービスを受けているのに、例えば午前中と午後で扱いが違うんではないかといったような御趣旨のお尋ねがございましたけれども、認定こども園のうち、例えば幼保連携型の施設につきましては、一体的運営を行う幼稚園と保育所が認定こども園としての認定を受けるということになるわけでございますので、制度上、同じ施設に保育園児と幼稚園児が存在をするということはあると思っております。しかしながら、幼稚園と保育所が認定こども園として一体的に運営されるわけでございますので、個々のニーズに応じた教育及び保育の一体的な提供が行われるわけでございますので、両施設の園児は認定こども園の園児として四時間の教育サービスは一体的に提供されるということになるわけでございますから、子供の側から見てサービスに差があるとかそういったようなことにはならないというふうに思っております。

高井委員 恐らく、子供の側から見て差があるとは思わないでしょう。子供にとっては、一日の流れの中でそのこども園にいるわけですから、私が子供であったら多分全くわからないと思います。しかしながら、理念としても制度としても全く違うわけで、先ほど来から大臣お述べになられるとおり、保育と教育の理念というのは合致しているわけではない、まだそのすり合わせの最中だというようなお話だと思いますので、制度としてはおかしいような状態が、しばらく中途半端な状態が続くんではないかというふうに非常に懸念します。

 つまり、大臣でも副大臣でも結構なんですけれども、やはりおかしいですよね。一つのこども園の中で、保育と教育の時間、時間というか、子供によって、同じサービスを受けながらも全く分かれているんですよ、理念が。大人が見る理念が分かれているのに、子供は全く一つの一貫したところにずっといるにもかかわらず、大人から見たサービスの理念が分かれている状態に置かせてしまう。何か、それを解消するためにも、軽々にというか、急いでこういう制度をつくる前に、やはりちゃんと一元化する、一体化するための方策をさまざまに講じてからこういう制度に踏み切るべきではなかったのかというふうに思います。モデル事業等の検証等もまだ十分になされていない中で、私はこれは、現場がどれだけ手を、予想どおり千近い施設がなりたいと手を挙げてくれるのかどうか、本当にまだ未知数だとは思いますが、相当な、政府の側としても努力も必要だと思いますし、現場の皆さんにも御協力を仰がなくてはならないと思います。誠実な、丁寧な説明と透明化が求められると思います。

 それで、特に、分かれる初めの段階は、入園基準で保育に欠けるか欠けないかというのが、やはり窓口から別ですよね。その要件から幼稚園児か保育園児かに分かれてしまうので、その状態、まあ保護者も感覚が違うわけですよね、保育に欠けるから子供を預ける保護者と欠けない保護者と。だって、理念がそのまま違うわけですから。その状態を子供にそのまま引き継ぐ状態というのは何かおかしいんではないかと思いますが、感想で結構ですが、大臣か副大臣か、どうですか。

小坂国務大臣 本当は、私は委員に逆に質問をしたいぐらいなんですが、質問は認められておりませんので、私のひとり言を聞いてください。

 学校教育法による幼児教育と児童福祉法による保育と、これは確かに法制度は分かれております。現在、例えば保育園はあるけれども幼稚園のない地域に住んでいらっしゃる方が、保育に欠けない子供を保育園に行かせたいと思っても、行かせられないですね。同じように、保育に欠ける子供を幼稚園に行かせたくても、行かせられませんよね。そういう地域の人のニーズをどうやって吸収するかということを考えることが一つありますよね。

 それから、そのニーズを吸収して認定外の保育所を持っているようなところもありますけれども、そこにおける保育というのは、教育をやっているときは学校教育法に基づく教育をやっていて、保育をしているときは児童福祉法による保育をしているんだというふうに保育士さんたちが思っているかというと、そんなことはないわけで、いずれも子供のためにという一心で、認可のない保育所の方々が子供に幼児教育的なこともされるでしょうし、保育的なこともされるでしょう。そういうことを考えたときに、要するに、子供のためと思って皆さん考えていらっしゃるわけですから、どのような制度をつくっても、子供の側から見ると、自分のために保育士さんあるいは幼稚園教諭はそれぞれやってくれているというのが社会の実態だと思うということを申し上げたいんですけれどもね。

 ですから、そういうふうに、今高井委員は、一体この連携型の場合、この時間帯はこうなって、午後の時間帯はこうなってとか、この子供についてはこうだから、この子供についてはこうだからといって分けて考えるのは難しいですよねとおっしゃるけれども、実際にはそう分けないで考えることを皆さん、実質的にはもう既にやっているわけですよ、実態的には。だから、それ自体は矛盾ではないということを申し上げたいわけ。ただ、それを法律的にちゃんと認められる枠組みをつくって制度化しようということが今回の趣旨でありまして、そこを御理解いただきたいなと。

 印象ということでございますから、御質問を聞いていての印象は、そういう印象を持ちました。

高井委員 実質的に区別がないんです、本当にそのとおりなんです。だから、一体化したらいいじゃないですか。保育園も内閣府に一元化して、部署を一つにすればいいじゃないですか。今、認可外の保育所、幼稚園で教える職員の方は、児童福祉法に基づくか学校教育法に基づくかを意識せずに教えているとおっしゃいましたよね。本当にそうなんですか、趣旨として。では、認可のところは、別々にその趣旨として持って教えていて、認可外のところはその趣旨を別々に分けて教えているわけじゃないんだということなんですかね。

 つまり、大臣の御答弁は、今まである法律は法律としてあるけれども、まあまあ実態はそんなの折衷してやっているんだよというような御答弁だったと思います。私もそう思います。現実的には区別なく子供のためにやっているわけですけれども、法律があって制度がある以上、それをすべてないがしろにして現場で働いているわけではないと思います。だから、制度が分かれているからこそ、一緒に早くする方向でお考えになったらいいじゃないかということを御提案申し上げているんです。

 理念には全く賛同していますので、その方向で、本当に一体化する方向に進めていけばいいのに、いや、そうではないんだというような、非常に私にとってもわかりにくい制度になっているような気もしますし、一体全体、それで責任官庁はどこになるんでしょうか。何かが起こったときもそれぞれに対応するということなんでしょうか。

小坂国務大臣 高井委員に誤解を招いたかもしれないので恐縮でございますが、私が申し上げたのは、高井委員がおっしゃっている、この制度はわかりにくいですよね、こうでしょう、例えば、この認定こども園の中の子供は、この子は保育に欠けるから本来は保育の扱いを受けているんだ、あるいは、午前中は幼稚園で午後の部分は保育園なんですかという御質問をされたものですから、そういう御質問を聞いていると、あたかも、現在も、認定外であろうと認定であろうと、それぞれあるわけですけれども、例えば子供に対して、保育士さんあるいは幼稚園教諭がどういう態度で接しているかといえば、この子は保育に欠けるから保育に欠ける部分を補ってあげなきゃいけないという気持ちを持ちながら幼稚園教諭としての仕事をしていらっしゃるし、保育の方も、この子にやはり幼児教育的なこともしなきゃいけないからと思って保育の免状を持っていらっしゃる方もやっていらっしゃる。大概は両方を持っていらっしゃる方が最近多いんですけれどもね、実態は。ただ、そういうことを一々頭の中で分けて接してはいないでしょうということを印象として申し上げたかったことであります。

 制度的なものについては、先ほどからずっと答弁申し上げているように、それぞれ役割を担って、機能的には分かれているわけですよね。機能的に分かれている制度を、こういう形で、連携型だとか幼稚園型とか保育園型という形で法律の条文としてはつくってきましたけれども、それがそれぞれの現場の、地域のニーズに合った形でそれを選択していただく、その枠組みをつくらせていただいた。そういう制度であるということをまず申し上げたわけでございます。

 残余の部分については、今局長の方から答弁させます。

高井委員 姿勢とか現場でやっていることは本当にそのとおりだと思います、分けていないと思います。

 では、分けているのは、制度上は分かれていますよね、これは確実に確認をしたいのです。制度上は分かれていますよね。それで、現場は分かれていないけれども、分けているのは国だけだ。中央省庁だけが分けていて、現場は、実はそういうふうに気持ちとしては分かれていないのに、制度とシステムだけ中央の考え方が分かれているというだけなんでしょうか。

銭谷政府参考人 まず認定こども園の責任ということでございますけれども、これは文部科学省と厚生労働省の共管の法律でございますので、両省がともに責任を持つということになります。両省がともに責任を持つ法律でございますので、この認定こども園制度につきましては、両省が幼保連携推進室のようなものを一緒につくりまして、その事務執行をやっていきたいというふうに思っているところでございます。

 それから、先ほど来いろいろお話が出ております幼稚園と保育所でございますけれども、これはもう繰り返しになりますが、それぞれ目的、意義がある施設でございます。幼稚園は、繰り返しになりますが、三歳から五歳の子供さんを対象に、保育に欠ける欠けないにかかわらず教育を施して、いわば標準一日四時間の教育を施すという教育機関でございます。それから、保育所は、児童福祉施設として、〇歳から五歳までの保育に欠けるお子さんを対象に保育を行うという施設でございまして、通常、保育時間は幼稚園より長い、八時間ぐらいということが一般的な姿になっている。

 それぞれ幼稚園は幼稚園としての、保育所は保育所としての意義があるわけでございますけれども、今回の認定こども園は、幼稚園と保育所の機能の中に、共通部分あるいはお互いに相補う部分がございますので、子供たちに対して多様なニーズに対応して、新しい一つの選択肢として、こういう認定こども園という制度をつくるというものでございます。

高井委員 本当に多様なニーズに対応できるべく御尽力をいただきたいと思うんですが、私がなぜこの制度上の区別にこだわるかといいますと、御承知のとおり、補助金の出方が違うんですよね。

 現場は、どこに申請するか、どうやって手続をするか、補助金を幾らもらえるかというのは、今までどおりの中でこども園に手を挙げても補助金が同じような形で出るわけですから、それによって、やはりこども園になろうかどうかとかいうインセンティブも変わってくるだろうと思います。というのは、申請に非常に手間取ったり、わからなかったりすれば、ニーズはあるけれどもなかなか手を挙げにくいな、混乱を来すからもうやめようみたいなケースも出るかもしれませんし、補助金の類型が非常に分かれているので、大変にわかりにくいと思います。

 それを内閣府に、私たちがいつまでもそれにこだわるのは、補助金の入り口も出口も一緒にして、同じようにこども園に手を挙げたところは、同じような仕組みで挙げられれば、子供のために挙げられればいいんじゃないかと。だって、さっき小坂大臣が答弁されたように、現場は理念もやり方も同じですから、同じ気持ちで子供とかかわっているというふうなことをおっしゃいました。

 でも、制度が明らかに違っていて、補助金というか、施設整備費、運営費、それから私学奨励補助金とかさまざま、私立、公立でも違うし、幼稚園、保育所でも全く違います。その中でも、認可、無認可、もちろん無認可には補助が出ておりませんが、さまざまな制度が本当にいろいろにあってわかりにくい。私も調べてみて大変難しいところがあると思いました。

 それで、特に、この補助金の仕組みの中でもやはり欠けてしまう部分があります。幼稚園型のこども園に入る保育所園児には、その子に対する補助が出ないことに仕組みとしてはなっております。逆に、保育所型のこども園に入る幼稚園児には、その子のための補助は出ない仕組みになっております。こういうところを補おうと思って私たちは修正案を出したわけなんです。

 管轄が共管になっていて、責任体制も真ん中をとるんだ、両方が責任を持ってやるんだということは、逆に言うと、責任の体制が明確化しにくい。補助金の申請をどこにすればいいのか、申請しづらい。こういうところに関しても、現場に対して丁寧な、細かい情報提供をお願いしたいと思います。お願いできますでしょうか。

馳副大臣 御指摘のところは本当に重要なポイントだと私も思います。

 一応、法第十一条の第二項、「地方公共団体の長及び教育委員会は、認定こども園に関する事務が適切かつ円滑に実施されるよう、相互に緊密な連携を図りながら協力しなければならない。」ということになっておりますので、地方公共団体においては、今読み上げました法律案において連携協力義務を規定しているところから、補助金申請窓口の一本化の実現の促進などの取り組みを通じて、補助金申請等の事務の利便性を確保してまいりたいと考えております。

 現行でも幼稚園と保育所の一体型施設と同様の補助制度というものはありますので、私、必要な事業の補助や運営費負担金を申請するということに関して、特段そんな複雑なことになるとは考えてはおりません。

高井委員 従来からやっている保育園や幼稚園であれば、今までどおりの形で、こども園に手を挙げることができれば、そんなに混乱はしないかもしれませんが、これからこの制度ができて、しばらく、特に五年間は見直しをしないということなので、万が一何か現場に混乱が起こった場合のことも考えられると思いまして、新しくまたこれをやりたいという人もおられるだろうと思います。そのときのためにも、丁寧な指導の方をよろしくお願いしたいというふうに思っています。

 でき得ることならば、私たちは、これだけ環境の変化が激しいですから、見直し規定も、五年ではなくて三年で変えてくださるようお願いしたいと思いますけれども、それはこの後の質疑に回したいと思います。

 もう一つ確認をさせていただきたいんですけれども、入園の申請について、厚労省が三月二十三日に開いた都道府県の事務担当者を対象にした会議で、保育所では保育料の滞納による退所は認められないというふうに回答をしたと聞いております。こども園の場合も同じでしょうか。

白石政府参考人 お答えいたします。

 通常の認可の保育所を例にして御説明をしたケースだというふうに承知しておりますけれども、通常の保育所におきましては、市町村と利用者との契約により当該保育所が利用されているわけでございますので、利用者が市町村への利用料を滞納したとしても、施設の判断として退所してくださいということはできない、つまり市町村と利用者との間の契約関係だからということで御回答したものでございます。

 一方、認定こども園の認定を受けた保育所でございますけれども、ここが認可の保育所であれば今のお話にも関係はしてまいりますけれども、利用者が、今度の認定こども園の場合は、施設と直接の契約をするということになります。そうすると、施設が定める利用料を施設に支払うという直接の関係になりますので、利用料徴収の責任とそれから未払いのリスクというものは当然に施設が負うことになる。このため、こういう認定こども園の場合には、利用料の滞納を理由に施設が利用者の退所を命ずることも法律的には生じ得るというふうに考えております。

 しかしながら、全体として、地域を管轄いたします市町村には保育の実施責任というものがございます。したがって、今のような、認定こども園で滞納が生じた例、退所とかいうふうなことがある場合でも、その方が保育に欠けるという実態はございますので、認定こども園ではない、ほかの、通常の保育所に入所させるなど、処遇をきちんとしなければならないことが市町村に求められるというふうな形でございます。

高井委員 ありがとうございます。

 今さまざまな経済環境の中で子供が育っている中で、やはり子供に直接すぐ影響が出ることもこれから多くなってくるのではないかと思います。ぜひとも今のような特段の御配慮をお願いしたいというふうに思っています。

 それから、先ほど私立幼稚園のお話も出ましたけれども、実は、調べてみたところ、東京都などの私立幼稚園が多い地区、特に障害児児童の受け入れが非常に少ないというふうなデータを拝見いたしました。

 私立幼稚園は今、数からすると十六万三千二百七十四名、これは二〇〇五年の調べのようですが、公立幼稚園児が一万五千七百二十六人に比べて、約十倍私立幼稚園に通っているという数がいるそうであります。ところが、障害を持つ児童、幼児の入園は、わずか五百三十一名、〇・三%のようです。私立幼稚園においては、十六万人いる中でわずか五百三十一名、公立幼稚園においては、一万五千七百二十六名中、四百九十一人、約三・一%。児童数は、公立と私立を比べて、十倍私立が多いにもかかわらず、障害児の数は、公立が十分の一にもかかわらず、受け入れは私立幼稚園の十倍をしているというふうな数になっております。

 これはどういう理由からなのかはさまざまな要因があろうとは思いますけれども、私がやはり懸念するのは、こども園の入園の選考基準等も、障害児、母子家庭、父子家庭、いわゆる一人親の家庭、虐待を受けた子供に対する配慮をしていただきたいと思うことなんですが、その基準等を省令でもう少し明確に定めるようにするべきなのではないかと思います。当委員会でぜひこれを要請したいと思って、ハンディがある子供に対する配慮をぜひともお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

白石政府参考人 認定こども園の制度における、障害児などハンディを持った方への適切な配慮の御指摘でございました。

 当然のことでございますけれども、認定こども園は障害児や母子家庭などに適切な配慮が行われる必要があるということはおっしゃるとおりでございます。

 まず、障害児の受け入れにつきましては、職員の配置、施設の構造、設備などに照らしまして、子供の処遇の観点から適切に実施されるものでありますので、一律に何か基準を定めるというのは、障害の態様その他もございますので、困難でございますけれども、例えば保育所におきましては、この十年の間の動きを見ますと、受け入れ児童数、施設数ともに一・六倍強となるなど、着実な受け入れ増が図られてきているところでございますし、私どもの方で承知している中では、幼稚園におきましても、障害のあるお子さんが二人以上在籍している園を対象としました私学助成の特別補助、あるいはいろいろな調査研究が行われているというふうにも承知しております。

 こういう施策の充実を図ることによりまして、認定こども園におきましても引き続き努力してまいりたいと考えております。

 お尋ねは、障害児というお尋ねでございましたけれども、法律の十三条の八項の方におきましては、そのほかの、母子家庭あるいは児童虐待防止の観点から特別の支援を要する御家庭につきましても、入所のお子さんの選考に当たりまして配慮すべきということを義務づけておりまして、真に利用が必要な方が排除されない仕組みということでは、法律において担保していると考えております。

高井委員 ありがとうございます。

 やはり、障害児童のための設備を整えるには、財政的にも措置が必要であると思います、大変現場の先生方にも理解が必要だと思います。この点こそ、国の方で補強して支援をお願いしたいというふうに思います。

 今、世界の流れの中では、インクルーシブ教育というふうな言葉を使うそうなんですが、エクスクルーシブ、排除するのではなく包括して、障害者や弱い立場の人を排除するのではなくて、みんな一緒に、できれば同じ場所で、同じように理解し合いながら、やはり障害を持っている人は、たまたま障害を負って、目が悪い人が眼鏡をかけるのと一緒で、ちょっと介助をだれかにしてもらうことによって一緒の生活ができる、それを同じ感覚でやっていくということが進められていると聞いておりますし、その点というのは大変必要だろうと思います。

 やはり障害を持った皆さんも社会の中で一緒に生きていけるような国にすることこそ、先進国として大事なことであり、それこそが国の、品格ある国家といいますか、それを高めるというか、評価を受ける基準にもなってこようかというふうに思います。ぜひともさまざまな特段の配慮をお願いしたいというふうに思います。

 それから、その点に関しても、最後になりますけれども、子供のことはとても大事であると皆さんがおっしゃいます。日本の宝、国の宝というふうに先ほども大臣の答弁にもあったと思います。その割には、予算的に軽んじられているのではないかという懸念を私は持ちます。

 社会保障給付費については、高齢者関係費が七〇・四%、児童・家族関係は何と三・八%、たったの三・八%にすぎないということです。これは、本会議での質問の中でも安倍官房長官がお答えになられた、少子化支援対策会議でしたか、全閣僚の方々が参加する少子化対策会議、安倍官房長官が主宰する少子化対策推進会議等でもこの話が出ておりまして、私はこのパーセンテージをその会議の議事録の中から拾ったのでありますけれども、この意見は猪口大臣が取り上げておられたわけですから、多分大臣ももちろん御承知だと思いますし、全閣僚の皆さん御存じだと思います。

 すごくすごく、言葉は子供が大事と皆さんおっしゃるんですが、実質的に予算措置の問題でついてきていないというのは大変残念な現象でございまして、ぜひともその点に関して、強く強く、本当にそう思われるのであれば、子供のための支援措置をお願い申し上げたいというふうに思っています。

 最後になりますけれども、この少子化社会対策会議というのはどれぐらいのペースで、所要時間、人数等、どんな感じで御出席されて議論されたんでしょうか。中身について、こども園の件も、幼児教育それから保育についての議論もあったのであれば、少し教えていただきたいんです。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 少子化社会対策会議につきましては、平成十五年九月に少子化社会対策基本法が施行されたことに伴い設置されたものでございます。

 これまで四回開催されておりまして、一回目では、少子化社会対策大綱の案の作成方針、それから二回目では、少子化社会対策大綱の案、さらには第三回目では、子ども・子育て応援プランの決定というようなことが議論になっております。

 いずれもその案を決定するということでございますので、所要時間は二十分程度ということで短うございますけれども、それぞれ決定するまでの過程で、調査検討あるいは調整というようなことが行われたところでございます。

 なお、出席された閣僚につきましては、一回目は十名、それから二回目は七名、三回目は十五名ということで、それぞれ代理の方が出席をされたりということでございます。なお、四回目につきましては、昨年十月に、少子化社会のさらなる進展ということを受けまして、少子化社会対策推進会議というものを設置しようということでの決定でございましたので、これにつきましては持ち回りで開催をされたところでございます。

 なお、本日議論になっております認定こども園というような問題につきましても、先ほど申し上げました大綱あるいはプランの中で十分記載がございます。

高井委員 政府として、少子化問題は大事であるというふうに常におっしゃっておられるわけですから、ぜひとも子供のための政策を、本当に財政支援も含めて全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 もちろん、制度ばかり充実すると、家庭教育がおろそかになるんではないかというお話も先ほどどなたかからかあったと思いますけれども、私は、家庭教育ももちろんとても大事だと思っています。ただ、講座を開いたりパンフレットを配ったりとかして、家庭教育をしてもらおうと上から強制をしても、例えば講座をしても、家庭教育がよくできる人しか来ないんじゃないか。家庭教育を本当にしてほしい、例えば虐待されていたりネグレクトされている子供たちのところにはやはり届かない、それを懸念しています。

 余りにも上から家庭教育、家庭教育と言っても、やはり現場の子供たちにできるだけ近い方への直接の支援というのをできるような、家族制度全体を支援する仕組みというのをぜひ一緒に考えていきたいと思いますし、私も、やはり子供が健やかな社会は、保護者も元気だし、おじいちゃんもおばあちゃんも元気、日本全体が元気になるわけですから、特段の配慮を、こちらとしても、一緒にできるだけよりよいものにするために、反対ばかりはしませんので、私は趣旨にはとても賛成しておりますので、よりよい制度にするために一緒にまた耳を傾けていただけたらと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十四分開議

遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小宮山洋子さん。

小宮山(洋)委員 民主党の小宮山洋子でございます。

 いつもこの文部科学委員会に属しているのではございませんが、私は子供の保育の方のことを長年ずっと、NHKにいたころから取材もしてまいりましたし、私自身も三人の男の子を公立、私立、合わせまして六つの保育園で一緒に育てていただいた立場から、このこども園の問題、就学前の子供の質のよい居場所づくりに議員になってからもずっと携わってまいりました関係で、きょうはぜひ質問をさせていただきたいということで、ちょっと長目の時間でございますが、おつき合いをいただきたいというふうに思っております。

 もともと、民主党といたしましても、就学前のすべての希望する子供に質のよい居場所をつくりたいということをここ数年真剣に検討してまいりまして、そういう意味では、今回の政府が始められる認定こども園、これがもし、将来は幼稚園と保育所を一体化していくことの第一歩ということであれば、もろ手を挙げて賛成ということなのだと思いますけれども、先ほどから伺っておりましても、第三の施設ではないけれども、新しい機能を、どう見ても別につくったような形で、どうもそこがすっきりいたしません。でも、せっかく始められる制度ですから、子供たちのために、また保護者のために、少しでもよいものにしていっていただきたいという思いで質問をさせていただきたいと思っております。

 まず第一に、この認定こども園のねらい、目標ということがどうもはっきりしないのですけれども、その点について何点か伺っていきたいと思います。

 現在、保育園に入りたくて入れない待機児さんが二〇〇四年で二万四千人、二〇〇五年は二万一千人。確かに政府の方は努力をしてこられているんですが、ふやしても、それ以上のニーズがどんどん出てくるという現状なんだと思います。この待機児の解消にこの認定こども園が役立つのかどうか、今政府を挙げて取り組まれております少子化対策の一環という位置づけなのかどうか、まずその点から伺いたいと思います。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、保育所につきましては二万人を超える待機児童がいるわけでございます。一方、専業主婦の方を考えてみますと、大変、育児不安というようなことが言われているわけでございます。また、親の就労を考えてみますと、就労の有無で利用施設が限定をされるといったようなこともあるわけでございます。さらに、地方の状況を考えてみますと、保育所、幼稚園別々では、子供の集団が小規模化し、運営も非効率である。特に最近の少子化ということを考えますと、子供の数が減って、集団的な保育、教育活動がなかなかできにくいといったような事情もあるわけでございます。

 まさに少子化ということも一つの背景といたしまして、こういった就学前の子供たちの教育について、いろいろな状況を踏まえたときに、就学前の教育、保育を一体としてとらえて、一貫して提供する新しい枠組みを考えようというのが認定こども園の発想の原点にあるということでございます。

小宮山(洋)委員 小坂大臣に伺いたいと思いますが、新しい枠組みというお話がございますが、今回四つの型に分かれているのが、また複雑な感じをどうしても否めないんですが、今回この四つの型にお分けになって、新しい機能にこたえようとされたのは、どういうところからなのか、その基本的なお考えを伺えればと思います。

小坂国務大臣 小宮山委員は、御自身がおっしゃっておられましたように、みずから保育園で子供を見ていただく中で子育てを体験された、また御自身の仕事の中においても特に興味を持っていらっしゃったと言うだけありまして、専門的な見地からも御質問いただいているわけでございます。

 私は、今回の類型が単純に区分けできれば、それにこしたことはないんでしょうけれども、しかし、機能的な面での皆さんのいろいろな要請、それから現実の法制度の枠組み、こういったものを全体的に見た中で、設置目的に応じた対応をどのようにしたらいいかということで、四つの類型に分かれてきたわけでございます。

 就学前の教育、保育を行う施設としましては、当然、幼稚園、保育所があるわけでございますから、地域の実情やそれぞれの設置目的に応じた活動をこれまでも展開をしていただいております。

 ただ、近年、就学前の教育、保育につきましては、少子化により、特に地方を中心に、幼稚園、保育所を別々にすると子供の集団が小規模化してしまって、子供の育ちに必要な集団活動の機会が得られない。現在は保護者の就労の有無で利用施設が幼稚園、保育所のいずれかに限定されているわけでございますけれども、就労形態が多様化する中で、就労を中断あるいは再開しても継続して利用したいといった多様なニーズ、これに対応するには今の枠組みではなかなか難しい。

 そういったことから、今般の認定こども園については、こうした多様なニーズに対応して、いわゆる幼稚園と保育所が合設されているというような、両者が連携して一体的な運営を行う幼保連携型と、そして、幼稚園が保育に欠ける子供のための保育時間を確保するなどの保育所的な機能を備える幼稚園型、保育所が保育に欠けない子供を保育するなどの幼稚園的な機能を備える保育所型、そして、幼稚園、保育所のいずれの認可も有しないけれども、地域の教育、保育施設が認定こども園として機能を果たす地方裁量型、この四つの類型を設けることが選択肢を提供する上で一番いいのではないか、このように考えたところでございます。

小宮山(洋)委員 重ねて大臣にもう一言だけお答えいただきたいと思うんです。

 午前中からの質疑を伺っておりまして、第三の施設ではなくて、新しい機能だというふうにおっしゃっていましたよね。大臣もおっしゃいましたように、各都道府県、地域によって、幼稚園が七割から八割の地域、それから、保育所が七割から八割で、既に選べない地域があるというのは、もう以前からのことですね。幼稚園の中でも、平均しますと七割から八割の幼稚園で、少子化の中の生き残り策ということも含めまして、預かり保育を既にやっている。それから、後ほど詳しく伺いますが、それぞれの、幼稚園の教諭と保育園の保育士、両方の資格をあわせ持った方が特に若い方に多い。それなのに、なぜ、新しい機能をというときに、幼稚園と保育所を一本化していく方向ではなくて、複雑な四類型に分けて、新しい機能を別につくるというようなことになるのでしょうか。

 確かに、それぞれ歴史が違いますし、やり方も違います。私も、現場の方々の声も保護者の声もよく聞いております。難しいのはわかるんですが、せっかく一歩踏み出すのであれば、いろいろ現場でも、本当に今までも、一体化施設をつくったり、省庁縦割りの中で努力をされていることは私もよく知っております。だからこそ、新しく踏み出すなら、将来一本化する方向でなぜ踏み出せないのかというところが一番の疑問点なんですね。そこについてぜひもう一言、ここの場面で大臣からお答えをいただきたいと思います。

小坂国務大臣 私も個人的には、制度というのは単純である方がいいとは思いますよ。しかしながら、残念ながら、現在の環境、すなわち、社会の要請、それから法律的な制度の枠組み、その中でも、単に制度を変えれば済むという性格のものもありますけれども、しかし、機能面でどうしても単純に割り切れない部分があるんですね。

 そういった現状を踏まえた上で、多様な教育、保育のニーズに適切に対応するために、制度を一元化する、そして一律な対応をするのではなくて、地域の実情に応じた対応が可能となるような、利用者のための新たな選択肢を提供するという方が適当だろうというのが、今度の認定こども園の制度化の最大の理由だと私は理解をいたしております。

 ですから、就学前の子供に対する教育及び保育を一体的に提供する機能と、そして地域における子育て支援を行う機能、この充実を図るために、同時にまた、今先生のおっしゃった、いわゆる幼保一元化にまつわり指摘されてきた課題の解決にも資する面もあるということから、まずはこの法律を成立させていただいて、認定こども園を導入してみて、その制度をしっかりと運用して適用する中から、さらに必要があり、なおかつ、私どもの行政的な面からもそうすべきだという考えになれば、そういう方向もあるかもしれない。

 しかしながら、今のところは、まずもってこの法律を成立させていただいて、利用者に選択肢を提供させていただいて、当面の不便を解消させていただきたい、このように考えております。

小宮山(洋)委員 個人的にはなるべく簡素な制度の方がよい、それで社会的要請あるいは現状の中でいろいろ割り切れないものもあるという、大臣のお立場としては最大限のお答えをいただいたのだと思いまして、これ以上余り追及をしようとは思いませんが。

 結局、社会の要請、利用者の要請も、やはりわかりやすい制度がいいんだと思うんです。割り切れないところがあるのは、文部科学省の幼稚園、そして、厚生労働省の保育所ということで長年やってきた、縦割りとは申しませんけれども、それぞれのやってきたことへの自負とかそういうものがありますし、やはり保育所の団体、幼稚園の団体、いろいろなお考えもあるかと思います。その中で、今回こういう形で踏み出されたことが、私としては、なるべく簡素な、わかりやすい、そして、子供たちにとっても、保護者にとっても、その場で働く人にとっても、わかりやすく、よい制度になるための一歩であるような審議を、ぜひこの委員会でもしていただきたいということをお願い申し上げまして、ここは一応これにとどめておきたいというふうに思います。

 次に、昨年モデル事業をされまして、最初は三十六だったかと思いますが、実際なさったのは三十五の、さまざま、保育園型であり、幼稚園型であり、幼保連携型であり、それぞれのモデル事業が行われましたが、そのモデル事業での四つの型の割合ですね、どれぐらいの割合のところが三十五のモデルケースの中に入っているのか、今後の見通しとしては、大体どういうバランスでこの四つの型がふえていくとお考えなのかを伺いたいと思います。

銭谷政府参考人 平成十七年度に全国三十五カ所で実施をいたしました総合施設モデル事業の具体的な類型について御説明を申し上げます。

 まず、幼稚園と保育園が連携をいたしまして一体的な運営を行うことで総合施設としての機能を果たす幼保連携施設型が、三十五のうちの十八施設でございました。それから、幼稚園が機能を拡充させることで総合施設としての機能を果たす幼稚園型が九施設でございました。それから、保育所が機能を拡充させることで総合施設としての機能を果たす保育所型が七施設でございます。それから最後に、幼稚園、保育所のいずれの認可もないわけですけれども、地域の教育、保育施設が総合施設としての機能を果たす地方裁量型が一施設でございます。

 次に、今後の認定こども園の見通しについてでございますけれども、今般の認定制度は、地域の実情に応じて活用されるというものでございますし、また、認定の申請を行うかどうかは各施設の判断によるものでございますので、どの程度の施設がどのような類型の認定こども園となるかを予想するというのは、なかなか難しいところがあるわけでございます。

 ただ、幼稚園、保育所の現状をもとに、当面あるいは当座の可能性ということで申し上げますと、幼稚園と保育所の共用化施設、いわゆる幼保連携施設型が三百五、六十程度ございます。それから、子育て支援事業あるいは預かり保育等が充実をしている幼稚園が、いろいろ合わせまして五百施設程度あると見込んでおります。これがいわゆる幼稚園型になるのかなと思っております。それから、子育て支援といった事業が充実をするとともに、私的な契約の子供を一定程度受け入れている保育所が約二百施設程度あると承知をいたしております。いわゆるこれが保育所型になるのかなという感じで、合わせまして、当面、認定の対象候補としてこの千ぐらいの施設がまず考えられるのかなというふうに思っております。

 今後、先ほど申し上げましたように、それぞれの地域の実情に応じて、この認定こども園というものがよく周知をされてきたときに、それぞれの設置者の御判断で認定を受けてくるというふうになるものと思っております。

小宮山(洋)委員 ちょっと私が聞き漏らしたかもしれないんですが、地方裁量型はこれからどれぐらいになるかというのは、それは地方の裁量だからまだわからないとおっしゃるのかもしれないんですが、私が伺ったところ、十月から始めて実際に運用し出すのは来年の四月になるだろうと思われるけれども、およそ一千施設を考えていると文科省からも厚労省からも伺っています。

 今、幼保が三百五十、幼稚園が五百、保育所型が二百というと、これを足しただけで千五十になるのですが、地方裁量型は当面出てこないというお考えでよろしいのかどうか。

銭谷政府参考人 地方裁量型がどの程度出てくるかというのは、ちょっと私どももまだ予測がついていない状況でございます。地方裁量型というのは、例えば東京なんかでは認証の保育施設とかそういういろいろな試みをやっておりますけれども、私どもとして、具体的な状況というのは、まだ余りつかんでいないというのが正直なところでございます。

小宮山(洋)委員 地方裁量型のところだけが補助制度じゃなくて一般財源なんですよね。ですから、それはやはり、やる気のある地方自治体がないと、ここは数を見込めないと思うんですよ。

 そういう意味では、こういう型、四つの型がニーズに合わせるのに必要だったとさっき大臣もおっしゃったわけですから、この四つ目の地方裁量型のところも、地方にやってもらうようなインセンティブとか働きかけということは考えていらっしゃらないんでしょうか。全然今わかりませんというふうに聞こえたんですが。

銭谷政府参考人 いわゆる認証の保育所のようなものが今七千前後あったと思いますけれども、私どもとしては、この認定こども園というものの内容の周知を今後よく図って、そして、それぞれの施設においてその機能を付加しながら、認定こども園の認定の対象になるのかどうか御判断いただけるように持っていきたいなと思っております。

 ただ、地方裁量型については、現在いわゆる地方の一般財源で財政的な措置をしているわけでございますけれども、認定こども園の認定基準をこれから各都道府県で国が定める指針を参酌しておつくりをいただくわけでございますので、認定基準をつくる際の国の基準について、地方裁量型の施設も認定こども園になり得るように指針を考えていきたいというふうに私ども思っております。

小宮山(洋)委員 どうも何か自信なげに聞こえますね。

 今おっしゃった認証保育というのは東京都が行っております。それに近い形でいろいろな自治体がやっておりますけれども、これから周知を図ると。だから、そういう意味では、後ほどまた細かく伺いますが、一年間のモデル事業でスタートをするところに現場も混乱しておりますし、モデル事業で手を挙げた中でも幾つかやめられるとも聞いております。そういう中で、せっかく四つの型をスタートさせるのであれば、周知を図ってからスタートさせるべきなんじゃないですか。

 そうすると、一千カ所ということが、あたかも当面確定したかのように聞いておりましたけれども、今伺うと、そこも余り定かではないということですよね。何でこんなに急いでスタートしなければいけないんでしょうか。

銭谷政府参考人 これにつきましては、政府全体として、現在の就学前の子供の状況を踏まえて、多様な教育、保育のニーズにこたえる選択肢をつくっていこうということで、私ども文部科学省と厚生労働省でいろいろ御相談をしながら準備を進めてきたものでございます。

 ですから、できるだけ現下の多様なニーズに早くこたえたいということで、昨年、十七年度にモデル事業も行いまして、それがもちろん一つの周知活動にはなっているわけでございますけれども、そういうことも含めながら、就学前の教育、保育の充実のために今般制度化を考えているというものでございます。

小宮山(洋)委員 またいろいろ具体的な点を伺う中で、いかに準備がまだ足りないと私どもが感じているかということをお話しさせていただきたいと思いますが、何か自信なく、だんだん声が小さくなっていくようにも聞こえますけれども。

 次に、この四つの型によってそれぞれ補助金の制度が違うんですよ。ですから、せっかく先ほど大臣が、できることなら制度は簡素なものがいいとおっしゃったんですが、全然そうはなっていなくて、幼保連携型の場合は幼稚園と保育所の補助の組み合わせ、そして、幼稚園型の場合は保育機能の部分も幼稚園の補助制度でやる。保育所の場合は、幼稚園機能へ延ばした部分も保育所の補助制度でやる。地方裁量型は、幼稚園機能と保育所機能を持ってやるんだけれども、ここは補助ではなくて一般財源でやる。これは、受ける側からしても、施設の側としても、非常に複雑過ぎるのではないですか。これも、急いでスタートするために、今まであるものをただ延ばして、延びないところは、こうくっつけてと思わざるを得ないんですけれども、この補助制度の複雑さについてはいかがでしょうか。

 馳副大臣も、子供の虐待防止とか一緒に仕事をさせていただいて、いろいろなお力をお持ちだとよくわかっておりますので、小坂大臣とぜひ力を合わせて、わかりやすい、いい制度をつくっていただきたいという思いも込めて、御答弁をいただきたいと思います。

馳副大臣 本当におっしゃるとおりで、幼稚園の方が私学助成、幼稚園就園奨励費、保育園の方は運営費負担金制度、それぞれが別々の制度ではないかということですし、当然、経営者あるいは保育所の担当の方にとっては複雑な制度になるのではないかという不安があるというのは、私もよくわかります。そういう心配を払拭するためにも、この法律の第十一条の第二項で、いわゆる連携協力義務を規定として書いているということであります。

 具体的に申し上げますけれども、幼児期の教育、保育に関する保護者向けサービス窓口の一本化、認定こども園の認定申請及び幼稚園、保育所の認可申請の受付窓口の一本化、補助金申請窓口の一本化、こういった事務の一元的な対応がより図られるように促していくことによって、そういった御懸念に対応していけるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 先ほども十一条のお話を承りまして、連携協力義務を地方に法律上課していらっしゃるのはわかるんですが、だけれども、実態からいくと、地方がそういうふうに連携して窓口を一本化してやるような仕組みにすぐなるとは、ちょっと、とても思えない。

 私自身、さっき申し上げたように、東京の中野区と横浜市とで、公立と私立と、三人男の子がいましたので、三人一緒にはならなかったんで、常に二人ずつで全部で、十三年間保育所とおつき合いをしてまいりましたけれども、それぞれ窓口はばらばらです、御承知のように。それは都道府県もそうですし、一番身近な市町村の窓口もそうです。

 そこを義務化で、強くすればするほど、じゃ、そこはできないからうちはやめよう、そういう話にはならないですか。義務化をしたからできるという話では現状はないと思うんですが、いかがでしょう、馳副大臣。

馳副大臣 まさしくそのために、こうして法律でお願いしているわけでありますし、義務化をすることによって、今後やはりそういった対応の窓口の一本化、サービスの一本化を図っていくことが、今回のそういった機能をできるだけ集約してサービスを提供しようということになってくる、これは一番重要なポイントだと私も思うんですよ。

 先ほど委員も御指摘いただいたように、虐待案件のときにも、窓口のたらい回し、どこに行っていいかわからない、こういったことで、保護者もそうですし、また学校の先生方もそうでしたし、保育園の担当者もそうでしたよね。福祉と教育の窓口が別々であるがゆえに、どういった対応をサービスとして受けられるのか、何よりも一番最初に相談できるところはどこなのか、こういった不安というのはあったわけですね。それは、虐待の法案の場合には基本的に、連絡協議会、こういったものをつくって対応してください、窓口はちゃんとしてください、こういうふうな仕切りをして対応していくことになったわけであります。

 今回の認定こども園制度についても、まさしく窓口を一本化してサービスを提供する、教育と保育に関してはこういったサービスの対応をする窓口を一本化するということが、今保育園にいらっしゃる方、今幼稚園の園長さん方にとっては一番大事な、現場において混乱しないための対応の仕方であるというふうに考えておりますし、そのために法律として義務化を規定しているわけでありますから、強くそれが進められるように促していくのは、我々、当然の使命であると考えております。

小宮山(洋)委員 幾ら促されてもなかなか、人数とか人員の面とか、さまざまな業務のこれまでのやり方とかで、できないところが現場として多いんじゃないかと思うんです。

 大臣、ちょっと一言伺っていいですか。質問の、通告と違ったやりとりをしていて申しわけないんですが、せっかく先ほどから前向きに御答弁をいただいているので。

 私も、本当にこれが進めばいいという気持ちから、確かに法律にその連携の義務化を置かれたことはいいと思うんですが、むちでたたかれても、やりたくないところは手を挙げないのではないかと私は思うんですね。そうだとすれば、この認定こども園を、将来一本化とはなかなかおっしゃらないとは思いますが、将来、そういう方向も考えられないわけでもないというようなお話もさっきございましたので、もし本当にこの四つの機能を持たせた認定こども園が今のニーズに合うものであるならば、その意味でふえていった方がいいわけですよね、それぞれの地域のニーズに合うわけですから。

 そのためには、義務で縛るだけではなくて、例えば補助金にしても、今の、保育所で延ばしているというか、保育所だけでやっているあるいは幼稚園だけでやっているよりも、多少なりとも色をつけるというか、メリットがあるようにしてもいいのではないかということを、私どもの修正案では多少考えているんですね。

 ですから、窓口をなるべく一本化するということと、この認定こども園、今のニーズに合ったものに実施園も一歩踏み出すわけですから、それには多少の補助金制度などのインセンティブをつけるという考え方があってもいいのではないかと思うんですが。今すぐということは、もちろん、これは法律ができているので無理だと思いますが、これからの方向として、様子を見て、そういうことはお考えにならないかどうか、大臣、後ろからの紙は結構です、大臣の御答弁をいただきたいと思います。

小坂国務大臣 ともかく、役人の答弁でなく私の答弁をお求めになりますので、なるべく率直にお答えをしたいとは思っておるんですが。

 私として、この認定こども園で注意をしたいと思っているのは、この四類型がその自治体の中で、幼稚園型のときには教育委員会へ行ったり、保育園型のときには児童福祉課へ行ったり、同じ認定こども園でありながら、同じ自治体、例えば先ほどおっしゃった横浜市なら横浜市へ行ったらそうであったということはやはり避けてもらわないかぬ、だからそれは一本化してくださいよということは現場になるべく伝えるようにお願いをしておるんですね。ただ、それについては、どちらかに一本化をするということについては自治体の判断で、自治体内の事務の都合もありますので、そういうふうにはなるだろうと思いますが、基本的にはそうしてほしい。

 インセンティブの話でございますけれども、すべてが認定こども園になることを奨励するために今この認定こども園を入れるという、そういう体制でやるならばそれなりにインセンティブも考えなきゃいけないんでしょうけれども、そこは地域事情でございまして、近くに幼稚園がなくて保育に欠けない子供を預かるという場合に、今までは保育園における保育に欠けない子供の預かりはやっていないというような場合に、この制度を導入することによって、では、うちは今後は認定こども園になっておこうというふうに考えていただけることがインセンティブであって、それ以上の、金銭的なインセンティブをつけるということは、まず財源問題が発生しますし、それから、そのまま保育園でいるあるいは幼稚園でいるという、そういう園、所との間に格差ができる、地域内における格差という問題が発生してしまうということも考えますと、拙速にそういったインセンティブを導入すべきではないのではないかと思っております。

小宮山(洋)委員 率直にお答えいただいてありがとうございます。

 私どもはもともと方向性が違うわけですけれども、民主党としてはやはり一本化していく方向が望ましいと考えておりますので、多少なりのインセンティブをつける。財源につきましては、いろいろな考え方がございますけれども、先ほど高井委員も質疑の中で言いましたように、ある意味で高齢者の十七分の一しか子供に税金が使われていないということやら、今行われております行政改革の中で、特別会計の改革とかいろいろなことに本気で取り組めば、そういうことに充てる財源は出してこられるのではないかと思っておりますので、ぜひ、今後の経緯を見て、この認定こども園が本当に地域のニーズにこたえるものであれば、少しでも手を挙げるところがふえるような工夫もしていただければと、これは要望をしておきたいと思います。

 次に、地方裁量型では、一般財源となって、全く補助金が出ていないので、地域の格差が出てまいります。先ほど局長も、そのあたりはどうなのか定かでない、これから周知をしたいとおっしゃっておりましたけれども。とにかく、例えば地方裁量型でつくられたときに、どこに住んでいても、保育の優先順位の高い子供が、負担が多くなく、そこへ通えるようにというような、何か最低限の安全装置が必要なのではないかと思うんですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

中野副大臣 小宮山委員の御質問にお答えしたいと思います。

 認定こども園のうちの地方裁量型は、地方分権の理念に従って、地方の良識を信じて設けたものでありますが、いかなる類型にありましても、その基本的機能というものは法律の定めに基づき確保されることが必要だと思っております。また、職員の配置や施設設備等の具体的な認定基準につきましては、国の示す指針を参考に都道府県が定めることとしておりますし、また、都道府県は、条例によって、住民の意向を反映した認定基準を定めるものとしていることから、保育の質の一定の確保が図られるものと考えておるわけであります。

 また、これまでも、自治体が責任を持って、地方独自の財源措置によりまして施設整備を支援してきた例もたくさんありますけれども、地方裁量型の認定こども園につきましても、認定を行う地方自治体が、財政的な問題を含めて、責任を持って対応されるというふうに考えておるものでございます。

小宮山(洋)委員 ちょっと、よくわからなかったんですけれども。

 私は、質というよりは、保育に欠ける子と言われる優先順位の高い子が、地方裁量型でも間違いなく入れるんですかということを伺いましたので、政府委員の方で結構でございますが、はっきりお答えいただければと思います。

白石政府参考人 認定こども園の認定を受けました保育所について、保育の必要度が高いお子さんが排除されたりということについての御懸念だと受けとめました。

 その部分につきましては、そういうことがないように、保育に欠ける子供さんの利用が適切に確保されるように、保育に欠けるというふうに市町村が認めましたお子さんについては、正当な理由がない限りその入所は拒めないということにしておりますし、さらに、利用の希望が多い場合につきましては、入所するお子さんの選考につきましては、例えば母子家庭あるいは先ほど例示でございました児童虐待防止というふうな観点から特別の支援を要するような御家庭には配慮する。あるいは、そのほかの選考法につきましても、あらかじめ公表した公正な方法によって選考するというふうにこの法律上はなっておりますので、御懸念のないものというふうに考えておりますし、また、保育所の利用申請についても、いろいろな工夫が行われるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 保育の必要度の高い子は拒めないということを、今お約束いただいた。中に書いてあるのかもしれませんけれども、ちょっとはっきり読み取れなかったものですから。この委員会の議事録で、しっかりと確認をさせていただいたと思います。

 先ほどからのやりとりの中で大分伺ってしまったんですけれども、現在、保育所が全国に二万二千五百七十カ所、そして幼稚園が一万三千九百四十九カ所、合わせて三万六千五百十九カ所というのが、昨年二〇〇五年の四月の数です。およそ三万六千五百あるわけですね。その中で、認定こども園は、当面、さっきのお話を伺って、おおよその、あらあらの、既に今やっているところから推計したのが千カ所ということなんですが、三万六千の中の千カ所というと、やはり一握りなんですよね。

 ですから、それをせっかく新しい機能、ニーズにこたえたものとおっしゃるんですから、そこがもっと広がっていくような方向に、これにある程度のやはりインセンティブも持たせて、広げていくということでないと、幾ら第三の施設ではないとおっしゃっても、やはり国民の側からの受けとめとしては、保育所があって、幼稚園があって、ああ、何か認定こども園というのができたのねという話になりかねないんですよね。

 ですから、その辺の、将来を見据えたスタンスがはっきりわかるような考え方をお示しいただいた方がいいのではないかと思うんですが、政治家としていかがでしょうか。答弁書じゃなくて、どうぞ。

馳副大臣 当面という言い方で申し上げたように、一千カ所でスタートをさせていただきたい。しかし、この認定こども園制度を始めるに至った背景を考えれば、全体が三万七千近くある中で、千でとどまるべきではないのはもう当然のことであります。

 まさしく今現在、保育所があり、保育園があり、幼稚園がありという中で、認可されたものあり、無認可のところもありという中で、できる限り認定こども園がふえるようにバックアップしていくのは、我々文部科学省も厚生労働省もこうやって人事交流しながら進めておりますので、お互い力を合わせて、一つでも多くふえていくように理解を求めて、当然、先ほど申し上げたように、窓口も連携協力をするようにという義務化もして進めていくわけでありますから、ここはやはり協力し合いながら、これは上の、上というか文部科学省と厚生労働省ばかりではなく、都道府県や市町村の現場も協力体制を進められるように促していくのが本当に我々の使命であるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 ありがとうございます。力強いお言葉をいただきました。

 おっしゃったとおりなんだと思うんです。これは別に与野党がある話でもございませんし、今の子供たちと保護者にとって、地域にとって、よりよいものに、せっかく新しいものをつくるわけですから、これは知恵を出し合って、これは野党が言ってきたから聞けないとかいうことではなくて、本当に力を合わせてよいものにしていければいいと心から思っております。

 ここまでは、認定こども園のあり方について、全体的なことを伺わせていただいたので、なるべく、大臣、副大臣に伺ってまいりました。

 もう一点だけ、大臣に伺いたいことがございます。

 昨年実施のモデル事業では、職員の配置、施設設備、教育保育の内容などについて基準がほとんど示されないままの実施だったので、現場でも大変戸惑ったという声がございました。ことし十月からの実施ということで、モデル事業について昨年の末に中間まとめが出され、先ほどもありましたが、先月三月三十一日に出された最終まとめをもとに、これから、文部科学大臣、厚生労働大臣が指針をまとめられて、それを参酌して都道府県が条例で認定基準をつくるということだと聞いております。その指針の内容が、やはりある程度のアウトラインはこの法案を審議する国会の場で明らかになる方が望ましいのではないかと思っております。

 指針と政省令は別ですけれども、先日、法案を提出するときには、政省令など、内容がわかるものについても同時に示すようにするということが、議運の場で政府から一筆が入れられたと聞いておりますけれども、そういう形式上のことではなくて、大体どういうことをガイドラインとしているかということも、この審議をする中である程度お示しをいただいておいた方がいい。これは後からガイドラインでやるんだから任せてくれと言われても、なかなか中身がわからないということがございます。

 数も足りないわけですから、規制緩和で、手を挙げるところにやっていただくのがいいと思うんですけれども、子供は自分で判断できるわけではありませんから、特に子供の施設については、最低限必要なものは、裁量に任せずに、しっかりとした基準を出す必要があると思っているのですが、大臣、いかがでございましょうか。

小坂国務大臣 御指摘の総合施設モデル事業、三十五カ所で実施しております。この検証の中間まとめの公表をしたわけでございますが、この認定基準に関する国の指針のもととなります総合モデル事業評価委員会による最終まとめはこの三月に提出されたわけでございますが、制度設計に必要となる職員資格、施設整備等については、昨年十二月の中間まとめとして取りまとめて公表した、これに基づいて今般の法律案を取りまとめたわけでありまして、今後策定する具体的な国の指針については最終まとめを踏まえていくわけでございます。

 職員資格につきましては、〇歳から二歳児につきましては保育士資格保有者というふうにしたい。三から五歳児については幼稚園教諭免許と保育士資格の併有者が望ましい。しかしながら、片方の資格のみの者についても、本人の能力等を踏まえ従事可能とする。施設整備につきましては、例えば調理室については、設置が望ましいが、子供の状態に応じた対応が可能である等の条件のもとで、外部搬入を認めるといった内容にすることを予定しております。

 都道府県におきましては、こうした国の指針を参酌して一定の質を確保し、地方の実情に応じた検討を行って、条例で適切に認定基準を定めることになるものと考えておるわけでありまして、それを御理解賜ることをお願いいたします。

小宮山(洋)委員 確かに、三月三十一日に最終まとめが出ているのに、三月の初めにはもう既に法案が出ている。だけれども、御説明としては、施設の設置の基準ですとか職員配置とか、アウトラインはもう中間報告で出ていたということなんですが、そこで行われる教育保育の内容については最終報告なんですね。そこで何をするかという中身、これは非常に大切なことだと思います。

 そういう意味で、ガイドラインを事細かに明らかにということではないんですけれども、どういうことを考えているのかということを審議の中でお示しいただくためには、法案が出るのがやはり早い。最終まとめをしっかり受けて、内容も吟味をした上で出されてしかるべきではないかと思っておりますと、これは意見にとどめさせておいていただきます。

 せっかく長い時間をいただきましたので、あと、具体的に詰めていかなければいけない点を、幾つか具体的に伺っていきたいと思うんです。

 というのは、モデルを実施された実施園から、幼稚園型、保育所型、幼保連携型、それぞれヒアリングをさせていただいております。ですから、一年やってみて、こういう点が疑問だ、実際やっていく上でここを解決してくれということを具体的に伺っておりますので、その中から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、これは先ほどお答えいただいているのかもしれないんですが、現場としても、文部科学省、厚生労働省連携してということで、確かに国の方としては、推進室をつくられて、課長さんが入れかわったりとか、努力はされていると思うんですけれども、縦割りのままでは、実施園にとって、保護者にとって、都道府県、市町村へ行くと、そこでは、窓口が一本化されるのか非常に不安だと。先ほどもうお答えがあったので、これは簡単で結構でございますけれども、やはり現場としては非常に不安をこの点も持っております。いかがでしょうか。

馳副大臣 改めて具体的に申し上げれば、幼児期の教育、保育に関する保護者向けサービス窓口の一本化、認定こども園の認定申請及び幼稚園、保育所の認可申請の受付窓口の一本化、補助金申請窓口の一本化、こういった事務的な部分の一元的な取り扱いを一本化することによって対応していくべきであると考えております。

小宮山(洋)委員 ところが、現状としては、公立の幼稚園は都道府県教育委員会、また、私立の幼稚園についてはまた別の窓口があり、保育所も公立と私立によって担当課が違うわけですよね。この四つのケースをいっても、現状としては全部違う場所がやっているんです。そこが一本化されるということは、現場にとっても、本当にできるのという思いがございますので、これは法律にも書かれていることですから、国が、その支援も含めて、相当な思いでやっていかないと、現場は、やはりたらい回しにされて、わけがわからなくなるということになりかねないのだと思いますので、そのあたりは力を入れて、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、利用手続というのは、原則、直接契約となっております。先ほど、地方裁量型の中で、保育に欠ける子は断れないというふうに言っていただいたんですが、本当に、保育に欠ける、保育の必要度の高い子供が入れないということはないのか。

 これまで、保育所については地方行政が窓口で受け付けていた。今回の認定こども園だと、一応、原則、直接こども園が申請受け付けをするとなっているんですね。そこに、拒むことができないという、どういう形で行政が介入というか、きちんとそこをやることができるのでしょうか。そこをわかりやすく、ここでの御答弁とあわせて、ぜひ現場にもわかりやすく御説明をいただきたいと思います。

白石政府参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、認定こども園の認定を得た保育所については、直接契約ということでありますので、欠ける子供の適切な利用が大事だと。そのあと、欠ける子という言い方は不適切ですね、保育に欠けるお子様というふうに市町村が認めた方については正当な理由がない限りは入所を拒めないということでございまして、また、その選考につきましては、母子家庭や児童虐待防止の観点から特別の支援を要する家庭に配慮するということ、それから、そういう公表の公正な方法で選考するということは措置として講じるということでございます。

 なお、そのほかに、例えば地方裁量型の場合、利用料を御自分で設定されるということで、それが高くなっちゃって、そうすると物理的に入れないというケースは想定をし得ます。そういう場合ということでございますけれども、それは、保育に欠ける子自体は、児童福祉法の二十四条に基づいて、その地域を管轄している市町村がどこかにきちんと入所をさせていただくようなことをしなければならないというふうなことによって担保される。だから、その希望する地方裁量型のところで、あるいは保育所の認可を受けていない認定保育園であって、そこに入れないことがあったとしても、それは別の保育所できちんと措置する責任が市町村長にある、こういうことでございます。

小宮山(洋)委員 そうすると、この「法律案の概要」ということで色刷りの、わかりやすくしていただいた中では、「利用手続き」として「認定施設の利用は直接契約。」としか書いていないんですね。「利用料も基本的に認定施設で決定。」とあるんですが、保育に欠ける子についてはそうではないということですか。今までと同じように市町村の窓口に申請するんですか。そうすると、この書き方は違いますよね。

白石政府参考人 すべてのお子さんが直接契約でございます。ただ、保育に欠けるかどうかの認定自体は市町村が行いますので、受け付けをした上で、市町村がそれを判断して、その判断をその施設にお伝えするということでございます。だから、直接やりますが、保育に欠けるかどうかの認定自体は市町村が行います。窓口は一本でございます。

小宮山(洋)委員 そうすると、保育に欠ける子もすべて、ここにあるように認定施設に直接契約の申請をすると。ただ、それについて、今度はそこの施設側が市町村にそれを持っていって、どの子をやるかということをするんでしょうか。保育については市町村との契約という話もこの間ちょっと途中で伺ったりして、私も頭が混乱してしまうんですけれども、どうやって保育に欠ける子がきちんと入るという、手続はどうなるのか。そのことが本当に施設側、保育所にわかりやすく、保育者にわかりやすくなっているのか。私もこの話をずっとスタートのときからいろいろヒアリングさせていただいていますが、まだこの私もわからないんです。

白石政府参考人 説明が下手で申しわけございません。

 受け付けることは、それぞれの施設の方で親御さんなり保護者なりが申請をします。それで、受け付けて直接契約をするんですが、その方自体が保育に欠けるかどうかという判断は、施設ではなくて、そこを管轄する市町村が行って、その返事をその施設に送る。それによって、ああ、この人は保育に欠ける枠のお子さんだからこっちの枠でと。枠というのは、例えば両方の認可を持っている幼保連携型といたしましょう。そうすると、そこで、そのお子さんは幼稚園枠の人数として考えるのか、それとも、保育に欠ける側の、つまり今でいえば保育所の定員の枠の中の数として数える子なのかということを判断するわけです。

小宮山(洋)委員 皆さん、聞いていらしておわかりになりますか。これはなかなか難しいですよね。

 では、今の話をもうちょっと伺いますと、そこで受け付けて、例えば百人なら百人受けますということになりました。そのうち、幼稚園枠が七十人、保育所枠が三十人となったとすると、その幼稚園枠の人たちと保育園枠の人の割合によって、施設が受ける補助あるいはそれぞれの保育者が受ける補助に何か違いがあるんですか。それは、そのことがどこで、どのようにしてわかるんですか。

白石政府参考人 先ほど、幼保両方の認可を持っている例で申し上げました。そうすると、例えば、おっしゃられるように、幼稚園として三十人、保育園として七十人というふうなそれぞれの定員をお持ちだとしますと、保育に欠けるかどうかということは、ともかく親御さんの就職の資料とか所得とかいろいろな資料を拝見して、そのうち、保育に欠けるかどうかということは市町村の方に書類を送って見てもらって、これはどっちですねということを決める。決めたものを、それぞれの枠の定員の中で、何人目、何人目と、こういうふうに入れていくわけですね。

 そうすると、例えば七十人ぴったり保育園の定員の方がおさまったとしたら、七十人分の保育園の運営費として出るし、三十五人が一つの学級の規模だとすると、例えば三十人なり三十五人の分の幼稚園の方の私学助成の方は、その定員の分だけ出る、こういうことですね。

小宮山(洋)委員 何か、ずっとこれだけ聞いていると、これだけで終わっちゃいそうなんですけれども。

 一つの園が、そういう、何か枠を設けるんですか。そうすると、今言われた七十人の枠に一人ずつ入れていくみたいなことをすると、地域のニーズによって、その時々によって違ったりということはできないで、一つのところは何人枠というふうにするのかということと、もう一つ、先ほど申し上げたのは、保護者の側からして、どっちの枠で入ったかによって補助金とか助成の受け方が違ってくるんですか。その二点です。

白石政府参考人 まず、失礼いたしました、二番目の方の御質問の点については、おっしゃるとおりでございまして、保育園の定員枠の何人分が保育園の方の運営費として補助が出る、それから、欠けないお子さんである場合ならば幼稚園の方の私学助成のお金として出ますが、そのこと自体は親御さんなり本人の方から見れば、どっちの金ということじゃなくて、実際には、入園される方がお金を背負ってくるわけではございませんので、それは補助金の申請として施設の側が行うことであって、どちらの金の子だということ自体は、別にそのお子さんなり親御さんなりは意識することなくできるようになるわけでございます。

 それから、おっしゃられるように、その時々で、例えば園児を募集したとしても、人数が集まらないときもあれば、若干ふえたりとかいうこともあります。当然、そこの地域の認可の人数というものは、その地域のニーズを踏まえたものとして大体認可されるわけでございますけれども、その時々の多少の変動には柔軟に対応できるような形ではありますが、大きく変わったりする場合は、それぞれの認可の取り直しということにはなろうかと思います。

 ただ、それは頭の上の体操のことでありまして、通常は、その地域において何人ぐらいのお子さんがいて、どれぐらいの保育所としてのニーズがあるか、幼稚園としてのニーズがあるかということは、そこの地域地域で大体予測がつくことでございますので、大きな変動というのは通常ないと思います。

小宮山(洋)委員 頭の体操は日ごろいっぱいしているので、別にここで体操させていただかなくてもいいんですが。

 今伺っていても、やはり非常に複雑、少なくとも施設の側にとってはとても複雑だと思いますので、また後ほど御質問なさる方にそこは譲りたいと思います。

 予定した質問が進まないうちに私の残り時間があと三十分になりましたので、済みませんが、ここでちょっと民主党の提出者に何問か聞いた後、また戻って、伺えるところまで伺いたいと思います。

 民主党としては、先ほど私の方からもお話ししたように、一本化を将来はしたいという方向で今回修正案を出したと思うんですけれども、民主党の提出者に伺いたいと思います。保育所と幼稚園、全体を一本化しようとずっと以前から民主党が考えているのはどういう理由からなんでしょうか。

高井委員 ありがとうございます。

 基本的な理念といたしまして、あくまで子供と保護者の利益の視点に立つべきであるという前提に立って考えております。

 それで、現状の文部科学省所管の幼稚園と厚生労働省所管の保育所、そして今回の認定こども園が併存するということは、先ほど来から質疑があったように、大変利用者にとってわかりにくい部分が出てきているというふうに思います。まさに縦割りの弊害が出ているということがございますので、通園先が幼稚園か保育所であるかによって受けられるサービスや費用負担のあり方に差が生じるべきではないというふうに考えておりますので、最終的な形として、やはり幼稚園と保育所を一本化すべきであるというふうに考えておるわけでございます。

小宮山(洋)委員 その一本化をした施設にはどういう子供たちが入れるんでしょうか。

高井委員 小学校に入る前の、就学前と言われるすべての子供を対象に、希望すればすべての子供が入れるという、子供にとって質のよい居場所を提供すべきというふうに考えています。

 働きながら子育てしたいという女性が今半数を超えておるようでございますが、仕事をしている保護者の子供はもちろんのこと、仕事を持たない保護者の子供も、希望すればすべての子供が利用できる施設として考えております。

小宮山(洋)委員 先ほどから申し上げているように、仕事をしている保育に欠けると言われている子供たちがちゃんと優先順位を持って入れるということがぜひ必要ですが、一方で、馳副大臣とも一緒にさせていただいた児童虐待防止の取り組み、あの改正の中でも、残念ながら、子供と接する時間の長い専業主婦の母親が虐待をするケースが一番多い。そういう意味からしても、必要な、希望する子供たちには、すべての就学前の子供に居場所をつくろうという考え方なのだと承っております。

 それで、その際に、そういう形にするためには、やはり今、文部科学省と厚生労働省に分かれている人手とか予算とかを、できることなら一体運用した方がもっと効果的にできると考えての今回の修正案だと思うんですが、その担当部局を一元化するというのもなかなか簡単なことではないと思いますが、どのような手順で一元化をしていこうと考えているんでしょうか。

高井委員 お答えをいたします。

 将来的には子供及び家庭に関する事務を総合的に処理する新たな省、子ども家庭省を設置することを我々としては検討しております。

 しかしながら、それまでの当面の措置として、やはりこの認定こども園関係の事務を含め、文部科学省の幼稚園関連事務それから厚生労働省の保育所関連事務を内閣府に移管して、そこで子供担当部局でもいいです、子供政策部局でも結構ですし、そういう形で一本化して、出入りをきちんとわかりやすくするということを考えています。

 このこども園という一つの施設に対して異なる省が所管することにより、責任があいまいになるのではないか、担当窓口がわかりにくい、そういう懸念が現場から出ておりますので、何とぞ、この現場の不安を減らすためにも御賛同いただきたいと思っています。

小宮山(洋)委員 今の省庁の発想を飛び越えなきゃいけないので、実現への壁はかなりあるのかとは思いますけれども、本当に子供たちの視線に立って言えば、少なくとも、せっかく両方の省庁が乗り入れをして、新しい機能としてこども園をつくるのですから、このこども園担当部局は、例えば内閣府に一本化をすれば、先ほどから申し上げている各都道府県も市町村も、その内閣府の窓口のところでやればいいわけですから、そういう意味では混乱がなくなるという考え方なのかと思います。

 また、今も話題になっておりました保育に欠ける、保育の必要度の高い子供については、民主党案ではどのような配慮をしようとしているのか、また、その理由は何なのかを聞かせてください。

高井委員 保育に欠ける、保育の必要度の高い子供については、やはり優先して入れるように児童福祉法の理念を生かしながら、公、つまり国や地方公共団体が責任を持って取り組むべきだというふうに考えております。政府案において、先ほど来御答弁ありましたとおり直接契約ということですが、やはり必要度の高い子供への配慮という点で少し足りない部分があるのではないかと懸念をしております。

小宮山(洋)委員 これも先ほど来質疑でいろいろ申し上げているように、国の補助のあり方が今の政府案では複雑過ぎるというふうにも思うんですけれども、民主党案では、国の補助のあり方はどのように考えているのでしょうか。

高井委員 先ほど申し上げました、できることならば内閣府に移管して、そこから補助なら補助も一本化して出せるということが望ましいわけでございますが、現状の中で、今回の政府案で、私立幼稚園型には文部科学省の私学助成、私立保育所型には厚生労働省の保育所運営費負担金という両者の補助制度を両方活用というふうになっていますが、それぞれ機能を拡充した部分について、やはり補助の制度も拡充または新設していかなければならないのではないかと我々は考えています。

 認定こども園に徐々に手を挙げやすいようにするためにも、さまざまな穴が、穴というか足りない補助が、クロスして足りなくなる部分が政府案では出ますので、その行き渡らない部分に対して補助の特例を設けるべきではないかというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 その行き渡らない部分についての補助の特例を設ける修正案が提出されているのだと思います。

 それから、第三者評価の導入ということが入っています。現状では、保育所の方は第三者評価をする試みが、少しずつですが行われておりますが、幼稚園の方はまだ第三者評価ということを考えているという段階だと聞いておりますけれども、民主党案が認定こども園に第三者評価の導入を入れたのは、どういうことからでしょうか。

高井委員 やはりすべてのこども園に対して、保育所も幼稚園もすべて第三者評価を客観的にすることによって、第三者の目から見て、子供に質のよい居場所をつくるということが達成されるのではないかというふうな我々の思いがありまして、こういうふうに規定に入れさせていただきました。

 今回の修正案に盛り込んだ第三者機関が評価した結果もきちんと公表するということを提案に入れておりますけれども、やはりこのこども園が提供するサービスの情報をきちんと利用できるように、子供たちの状況に合った、利用者にとってもわかりやすい質の高いサービスを選択できるように、きちんとした公表なり透明化が必要だと思っております。

小宮山(洋)委員 そして、教育保育の内容、施設整備、運営、職員の資格などについて、統一したものが必要だと考えるんですけれども、どのような考え方をとっているでしょうか。

高井委員 御指摘のとおり、統一的なものが必要というふうに我々も考えております。

 幼稚園、保育所を将来的に一本化することによって、一本化した施設において、必要な幼児教育を行い、保護者のニーズに応じた多様なメニューの保育を提供するべきというふうに考えておりまして、財政措置や保護者の費用負担のあり方、それから職員資格、施設、職員配置に関する基準もできる限り統一的なものにしていく、これは現場との話し合いが大分必要かと思いますが、できるだけ統一的に合わせていくということで検討していきたいと思っております。

小宮山(洋)委員 民主党案の提出者に修正案についての最後の質問になりますけれども、民主党では、チルドレンファースト、子供第一ということを考えてずっと政策をつくってきていますが、その子供や子育てを応援する総合的な政策の中で、幼稚園と保育所の一本化ということの位置づけはどのようになっているでしょう。

高井委員 やはり生まれてきた子供がすべて安心して育つことができる、保護者が安心して子供を産み育てることができる、そのためには、本当に省庁の枠を乗り越えた総合的な政策が必要であると強く強く考えています。

 民主党としましては、就学前の子供によりよい環境を提供するために、経済的な負担を軽減する子ども手当の創設や、今、法案を出しておりますけれども、幼児医療等の充実、それから、仕事と生活の調和、いわゆるワークライフバランスと言われるものを図るための両立支援施策の充実などを提案しております。

 こういった取り組みをより一層充実させるためにも、家族を総合的に支援する政策の一環として、この幼保一本化ということを提案している次第でございます。

小宮山(洋)委員 今やりとりをさせていただきましたけれども、民主党が考えていることの中にも将来取り入れていただけるような考え方もあるかと思いますので、ぜひそこのところは、一緒に考えていけるような形をとっていただければと希望をいたします。

 それでは、政府側への質問を、あと私の持ち時間が二十分ほどかと思いますので、続けさせていただきたいと思います。

 先ほど、保育に欠ける子に、直接契約の中で配慮に欠けるような事態がないかということで、それはないというお答えをいただきました。そして、利用料も、認定こども園の場合は基本的に認定施設で決定となっておりますが、そうしたことへの配慮も含めて、基本的にというのはどういうことなのかをお答えいただきたいと思います。

白石政府参考人 あるいは先ほどのお答えと重複する部分もあるかもしれませんが、認定こども園の認定を受けましたところの利用料につきましては、施設が決定をするということでございますが、法律上は、保育サービスの提供に要した費用が家計に与える影響を考慮して定めること、それから、施設が定めた利用料につきましては市町村に届け出ること、この届け出られました利用料が不適切である場合には、市町村長がその変更を命じることができることというふうな規定の仕方でございます。

 したがって、利用料の決定は施設が行うわけでございますけれども、そういう、不適切である場合の変更命令があるという意味において、全く自由というわけではないので、基本的にと、こういうふうな御説明をしていたかと思います。

小宮山(洋)委員 やはり、同じように保育に欠ける状態の中で、認可保育所に入った場合とこども園に入った場合で、保育料に余りに差があるというのはいかがなものかと思うので、認可保育所の保育料とある程度の均衡を図ることが公平性から必要かと思いますが、どこまでの基準を国としてはおつくりになるつもりでしょうか。

白石政府参考人 認定こども園の認定を受けました保育所の利用料は、今申し上げましたように、保育サービスの提供に要した費用が家計に与える影響を考慮して定めると規定されている点は、今の認可保育所と同じなわけでございますが、この利用者負担の基本的な考え方を踏まえた上で、幼稚園の方の利用料も各施設で定めておるわけでございます。認定こども園全体の利用料は、その施設の中におけるそれぞれのお子さんの利用料の均衡を図るという観点が必要になってまいりますので、施設に利用料設定の裁量を認めている。

 ただ、余りに不適切な利用料の差というのが近隣の保育所同士で比べたときにあったりしたら、それは合理的な理由を超えているのではないかということで、市町村の方から変更命令をかけることができるというふうな仕組みでございますので、逸脱するような利用料の設定というものは行われないというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 もちろんそういうチェックの目が入ることも必要ですけれども、せっかくガイドラインをおつくりになるんですから、その中で、そういうような余り不均衡にならないようにというような、料金設定のことについてもぜひ一項入れておいていただきたいというふうに思います。

 それから、あと、兄弟姉妹の減額制度につきましても、幼稚園はないんですけれども、保育所は第二子、第三子、割引になるようになっています。この点はこども園ではどうなるでしょうか。

銭谷政府参考人 お話がございましたように、保育園におきましては、第二子、第三子の割引ということがあるわけでございます。

 幼稚園でございますけれども、幼稚園に通う園児の保護者に対する経済的な負担の軽減、これを目的といたしまして、幼稚園の就園奨励事業というものを実施する地方公共団体に対しまして、国は、その経費の一部を幼稚園就園奨励費補助金という形で補助をいたしております。

 この幼稚園就園奨励事業は、親の所得に応じまして授業料を減免していくものでございますけれども、これまでその減免額につきまして、兄弟姉妹の同時就園ということを条件に、第一子の保育料の保護者負担に対しまして、第二子以降の保護者負担についてはこれを優遇する。つまり、兄弟が同時に幼稚園に入っている場合には、第二子の方の減免額が大きくなるということになっていたわけでございます。ですから、同時就園の場合、幼稚園についても、保育料については結果的に減免ということがあるということでございます。

 なお、これについては、逐年その充実に努めているところでございます。

小宮山(洋)委員 そのあたりもやはり非常にわかりにくいので、保護者の方が混乱しないように、それから施設の方もよくわかるように、しっかりと周知徹底を。本当に複雑なんですよ。だから、それをわかりやすくするというのは、これは相当な努力が要ると思うんですが、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 ちょっと時間がないので、質問を少し飛ばしながら行きますけれども。

 幼稚園と保育所で、先ほど、入った人にとってはどこから出ているかは関係ないという話がありましたけれども、やる施設にとっては、保育所型でやるのか、幼稚園型でやるのか、両方からもらうのかによって、運営費の補助につきましても、施設整備をするときにも、書類をいっぱいつくらなきゃいけないわけですよね。その型が違えば両方へ出すことになると、今、ただでさえ、行って帰って、後の会計処理、そこが大変で人手を割かれてしようがないという声が現場からある中で、そこのところが、また今までより複雑に手間暇かかることになるのではないかと思うんですが、その事実関係と工夫の仕方をお答えいただければと思います。

銭谷政府参考人 まず、補助金につきましては、幼稚園には私学助成、幼稚園就励費補助金というものが出るわけでございます。それから、保育所につきましては保育所運営費負担金というものが措置されるわけでございます。

 幼稚園と保育所というのはそれぞれ、設置の趣旨、目的を踏まえた国からの財政措置が行われているわけでございますけれども、それは、それぞれの保育所、幼稚園から見た場合には、その補助の入り方に差異があるということは、これは合理性があるというふうに考えているわけでございます。それぞれ、目的、趣旨が、補助金、違いますので、幼稚園に対してはこういう補助金、保育所に対してはこういう補助金ということでございます。

 それからもう一つ……(小宮山(洋)委員「ごめんなさい、今のお答え、ちょっと違う。私が聞いたのは、今までより書類の数が多くなるんですか、ならないのですか」と呼ぶ)

遠藤委員長 ちょっと待って。委員長の指名をとってください。とりあえず答えさせてください。

 では、簡潔に答えてください。

銭谷政府参考人 失礼いたしました。

 それからもう一つ、会計処理の仕方、あるいは書類の作成の問題ということがよく言われるわけでございます。幼稚園については学校法人会計で書類を処理いたします。それから、保育所は社会福祉法人会計ということで会計処理をいたします。例えば幼保連携施設、認定こども園で幼保連携型になりますと、例えば学校法人が保育所を設置するということもあるわけでございますので、そういう場合には、学校法人会計と社会福祉法人会計の調整を図りまして、事務の軽減等を考慮した取り扱いの整理ということをやるようにいたしているところでございます。

小宮山(洋)委員 それで、書類の数がふえるんですか、ふえないのですか。

銭谷政府参考人 例えば学校法人の場合で申し上げますと、幼稚園と保育所と両方やっておりまして、それで保育所事業部分について求められる貸借対照表とか収支計算書とかいろいろな書類につきましては、学校法人会計基準による学校法人の貸借対照表とか収支計算書でよくて、改めて作成する必要はないとか、そういうぐあいな事務の軽減を図っているところでございます。

小宮山(洋)委員 日本語で伺っているんですが。ふえるんですか、ふえないんですか。

銭谷政府参考人 幼稚園と保育所、それぞれ必要な書類があるわけでございますけれども、例えば学校法人が保育所を設置している場合、保育所部分について、それぞれつくらなきゃいけないものが、ある部分はこちらの書類でかえることができるようにするということで、合理化が図られるということでございます。

小宮山(洋)委員 なかなかふえるとはおっしゃいませんが、ある部分はということは、そうでない部分は両方出さなきゃいけない。だから、少なくとも両方兼ねてやろうというところは、ふえるんです。

 今でさえ、やっていることが、補助金を受け取るときも、会計処理もややこしくて、そのために、子供の保育にもっと時間を充てたいのが、この書類の数、何とかしてくれという声が現場から上がっているんですよ。それを、認定保育園をつくるときに、よっぽどのインセンティブがなければ、より複雑に数が多くなるところに、そんなに手を挙げるとは思われない。ですから、ぜひそこの工夫をもっとしていただきたいと強く申し上げておきたいと思います。

 次に、教育、保育の中身なんですけれども、幼児教育と保育の部分の担当者の間で密な連携や協調を図る有効な方法が見つからない、これはモデル事業をやった現場の声です。特に保育部分では、保育時間と勤務時間がほぼ重なる。結局、長い時間、ほぼ勤務時間中子供がいるわけです。幼稚園の部分というのは、子供がいる時間が限られている。そういうような、今までとやり方も違うために、十分な時間の確保が難しいという声が現場側からあるんですが、ここはどのように対応されるんでしょうか。

白石政府参考人 御指摘のように、認定こども園におきます教育と保育の質の確保、向上という意味では、今まで教育を担当していた方、今まで保育を担当していた方という、両者の間で密接な連携、協力、これはおっしゃるとおり重要な課題でございまして、先ほど御指摘のありました本年三月の総合施設モデル事業評価委員会の最終まとめにもありますように、いろいろな会議をしたり研修をするということも大事でございますし、それから打ち合わせの時間という御指摘がよく聞かれますけれども、確かに、お昼過ぎで終わって、後は教材のセットとか、いろいろすることができる側と、やはり夕方、日が暮れるまでお子さんの相手をする業務とがあるわけでございますので、例えばお昼寝の時間あるいは休業日の活用あるいは非常勤の配置、あるいは勤務体制、シフトをどういうふうに組むかということをよく考えてみるというふうなことが必要だということも御指摘を受けておりますし、また、研修の中身自体がお互いの相互理解につながるような形にするべきだというふうな御指摘を受けております。

 こういうことを私どもも具体的にいろいろな形でお示しする中で、それぞれの職員間の連携協力ということが図られるように努めてまいりたいと考えております。

小宮山(洋)委員 そこをもちろん一生懸命やっていただかなきゃいけないんですが、例えば、お昼寝の時間に保育士さんは、親への、保護者への連絡帳を書いたりとか、その間もやはり保育にかかわることの仕事をほぼフルにやっています。そうしたことからしても、そこをどうするかということはかなりの工夫が要るのではないかと思います。

 それから、保育士と幼稚園教諭の資格の問題を申し上げると、大体八割の人が両方持っていますという答えがあるんですが、新卒者でいうと、幼稚園教諭の免許を持っている人の八二%が保育士の資格も持ち、保育士さんの八五%が幼稚園教諭の免許も持っている。確かに八割あるんですけれども、全体を本当は歴年で出してくださいと言ったら、そういう数字はないと言われまして、現職全体でいうと、両方持っている方は、幼稚園では六八%、保育所では七九%という数字になっています。働いていかれるにつれて、やめていかれる方の数もあると思いますので、長年やっていらっしゃるほど片方の資格しか持っていないという割合が多いのだと思います。そうした方々への配慮というか、うまくやっていくための工夫をぜひお願いしたい、これは意見として申し上げます。

 それからもう一点。運営上の統一をどうとるかということで、現場は困っておられます。

 というのは、これまで幼稚園では、学校と同じように夏休み、春休みといった長期休暇があったり、また、台風ですとか、インフルエンザなどの病気がはやりますと閉じるということがあったんですが、保育所は原則としてずっと開いているわけです。その文化の違いもございます。その辺の統一を図る必要があるのではないかという、これは現場からの声ですが、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、池坊委員長代理着席〕

銭谷政府参考人 確かに先生おっしゃいましたように、保育所と幼稚園ではいろいろな違いがございます。例えば、保育に欠ける子供に対する保育は、夏休みなどの長期休業期間中にも行う必要があるわけでございますので、認定こども園においてはこうした期間も含めた教育、保育の全体的な計画を編成し、教育、保育を適切に展開する必要があると思っております。

 認定こども園につきましては、その長のもとに、多様な機能が総合的に提供されますように、一体的な管理運営ということを促してまいりたいと思っております。

小宮山(洋)委員 それから、やはり保護者の方たちも非常に意識が違います、幼稚園に入れていらっしゃる方、保育所に入れていらっしゃる方。そこの意識の壁を取るというのも大変かと思うんですが、この点はどうでしょう。

銭谷政府参考人 お尋ねの点につきましては、ことし三月の評価委員会の最終まとめにおきましても、保護者の生活スタイルが異なることを踏まえて、すべての保護者の相互理解が深まるように配慮することが必要だという指摘を受けております。

 こうした考え方を踏まえまして、保護者の働き方の違いに配慮しつつ、例えば保護者会の開催の時間、行事の実施のあり方、こういったようなことについて工夫を行いながら、認定こども園の活動への保護者の参加を促していく、そういうことを工夫していく必要があると思っております。

小宮山(洋)委員 もう一点、調理室は設置が望ましいが、外部搬入も一定の条件で認められることとなっておりますけれども、三歳未満についてはやはり外部からでは無理ではないかということが実施した園からありますが、この点はいかがでしょう。

白石政府参考人 御指摘の最終まとめの内容はもう省略いたしますけれども、その内容を踏まえまして、給食の外部搬入を認める場合というのは、やはり〇―二歳というものは特に配慮が、離乳食とかそういうことがあるので必要であろうということから、外部搬入を認める場合の対象年齢は三歳から上であろうというふうに私どもは考えておりまして、それ以下、〇歳から二歳のお子さんにつきましては自園調理、自分のところで調理をするということが適切であろう。

 さはさりながら、三歳以上の場合でありましても、例えば食物のアレルギーのお子さんとか体調不良のお子さんというものへの適切な配慮ということが必要であるというふうなこともございますので、何が何でも全部すべて外部にゆだねてしまうのではなくて、施設が主体的にかかわることで評価と改善が図られるような仕組み、衛生面の対応、そういうふうなことは必要であるというふうに考えております。

小宮山(洋)委員 持ち時間があと三分ほどになりましたので、あとはもう質問ではなくて、意見としてちょっと一言申し上げます。

 補助とかを受けたとき、あるいはやり出すときの手間暇がかかり過ぎるということが、せっかくの新しい機能の認定こども園へ手を挙げることをちゅうちょさせるのではないかという懸念が強くございます。

 例えば実施園の中で、幼稚園部門と保育所部門を両方あわせて実施をして、その結果、会計処理として、業務が非常に複雑になった。ある実施ケースでは、給食の材料のキャベツを保育所用六〇対幼稚園用四〇で処理したとか、そういうことを実際やっているんです、現場では。これでは、やはりよっぽどの何かメリットがなければ手を挙げないということがあるんじゃないかと思うんですね。

 最初から申し上げたように、最後に一言大臣に、これからのお取り組みをまた伺いたいと思うんですけれども。

 私たちは、本当に、申し上げたように、せっかく新しいものですから、何とかいい形にしたい。ただ、今の質疑、政府委員との話もお聞きいただいていたと思いますけれども、特に、いろいろな書類の行き来が、二カ所に分かれたまま行うことによって、煩雑になるということ。それから、保護者の方にも、どこでどうしたらいいのかということがまだ周知されていないこと。今言われた〇歳―二歳はやはり調理室が必要だとおっしゃっているんですが、まだそういうガイドラインが出ていないので現場が混乱をしている。

 そういう意味で、ちょっとこれで秋からやるというのは、相当な大車輪でやっていただかないと混乱が出てくるかと思うんですけれども、なるべくスムーズにいい形で、最初におっしゃったように、将来はいい形に広がっていくように、どのようにお取り組みになるかの御決意を伺いまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

小坂国務大臣 小宮山委員には各方面から検討を加えていただいて、御質問を賜りました。

 基本的に、先ほど来の御質問の中にもありました待機児童の状況というのが現状としてあります。また、それぞれの地域においての現状で、先ほども、御説明を重ねる必要もないかもしれませんが、保育所、幼稚園の設置基準等々において、もう少し柔軟にしてほしいという御要望もあります。そういった現実的な御要望を全般的に見る中で、そして幼稚園と保育所というこの二つの行政は、小学校以上の教育行政あるいは地域の子育て支援など、教育としての小学校との連携とか、それから地域の子育て支援などの福祉行政という部分、それから、働き方の見直しなどの労働行政というもの、こういったものがそれぞれ絡み合っての幼稚園と保育園の行政なんですね。

 ですから、今の認定こども園のような一体化のところだけに着眼をして子ども家庭省のようなものを設置してしまうと、逆に他の面での問題が連携を欠いてしまうという嫌いも出てまいります。そんな形から、私どもとしては、文部科学省と厚生労働省とで幼保連携推進室を設けて、一体的な事務処理についての皆さんのそういった懸念を払拭するような取り組みをさせていただきたい、こう思っております。

 おっしゃるとおり、基本的に将来の目標は似たようなところにあることもわかっております。ただ、民主党の提案の、私どももそうすべきだと思うようなところはすべて、やはり前置きが、将来にはというところが私どもと同じようについてしまうんですね。ですから、その将来にはという方向性はなるべく同じ方向に持っていきたいと思って、私も努力させていただきますが、ともかくも幼稚園、保育所の現場の皆さんの負担の軽減と、それから受ける方のお子さん方の幼児教育、保育という、そのニーズにしっかりと対応できるような体制を連携を持って厚生労働省ともども頑張りたい、これだけ申し上げておきます。

小宮山(洋)委員 ありがとうございました。

池坊委員長代理 石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 就学前の保育、教育が豊かな環境のもとで行われてほしい、行うべきであるというのは、今、親にもさまざま、フルタイムで働く親やパートや、また家庭にいらっしゃってもいろいろなことをしていらっしゃる、そういう親、女性にとって、まあ、女性だけじゃないんだけれども、本当に切実な思いであると同時に、私は、やはりそれは何よりも子供たちが求めている、必要としている、そういう施設だというふうに思っております。

 当文科委員会に私もずっと所属しておりますけれども、そういう幼児教育というか就学前施設の問題としてこういう法案を審議するというのは初めてなんですね。そういう意味での一つの感慨も込めまして、きょうは具体的に質問したいと思っております。

 最初に、この法律案の提案理由のところに、きょうはもう長い時間の質疑がございましたけれども、就学前の子供の教育及び保育に関する多様な需要に適切、柔軟に対応できる新たな枠組みが求められている、そしてこの認定こども園に係る制度、新たな制度を設けたということだろうと理解するんですが、それであるだけに、やはりこういう保育、教育に対して、国民の間でというか、そして特に保育や教育に携わる専門家、職員の皆さんにとっても、本当にその願いにこたえるようなものとなっているのかどうかという点で、私は慎重な審議が今求められているというふうに考えているところでございます。

 それで、きょうは、法案の具体的な理解、法案に即して幾つかお尋ねをしたいというふうに思っております。

 まず、こども園が認定されるために幾つかの要件があるわけですが、その最も重要だと私も思っておりますのは、先ほど小宮山委員も質問がございましたけれども、文科大臣、厚生労働大臣が協議して定める施設の設備及び運営に関する基準を参酌して都道府県の条例で定める認定の基準に適合することということがございますね。

 それで、先ほどもこの基準というのはきちんと当委員会にお出しくださいということがありまして、大臣からも一定の御答弁がありましたが、私はもう一度確認をさせていただきたい。この基準はどのようなものとしてお考えになっていらっしゃるのか、お願いしたいと思います。

小坂国務大臣 先ほども答弁させていただいた部分がありまして、必要があれば担当の局長の方からまた補充させていただきたいと思いますが、認定こども園の具体的な認定基準につきましては、一定の質の確保を図るために国において定める指針ということでございまして、それを参酌して都道府県が条例で定めることになるという仕組みになっております。

 この場合、都道府県において、国が質の保証の観点から定める指針を考慮した上で具体的な認定基準を定めていただくことになるわけでありますけれども、国の指針はいわゆる最低基準としての拘束力を有するようなものではないために、各都道府県の定める認定基準が国の指針に違反するというようなことにはならないわけですけれども、そういう枠組みの中で、国の指針は教育、保育等の質の確保を趣旨としていることを十分に周知していただくことで、都道府県も適切に認定基準を設定していただけるもの、このように考えているわけでございます。

 〇歳児以降のそれぞれの段階に応じた基準または施設についての基準、必要があれば、また局長の方から細かく説明をさせていただきたいと思っております。

銭谷政府参考人 認定基準と国が定める指針の関係につきましては、ただいま大臣の方から御答弁を申し上げたとおりでございます。

 それで、今私どもの方でいろいろ検討しております認定こども園の認定基準に関する国の指針の内容として考えられるものを幾つかお話をさせていただきたいと思いますけれども、一つは職員の配置の問題がございます。それから職員の資格の問題、あるいは施設設備の問題、それから教育保育の内容、それから子育て支援についての内容、管理運営等の問題といったようなことにつきまして、総合施設のモデル事業評価委員会による最終まとめ、これを踏まえながら検討しているという状況でございます。

石井(郁)委員 では、今の段階では検討しているということで、当委員会には具体的な内容はお示しにならないということですか。これはやはり示していただかないと議論は進まないと私は思うんです。施設もありますけれども、とりわけ職員の配置なんですね。例えば保育所の場合ははっきりしているでしょう、子供何人に対して職員という基準がありますよね。幼稚園は三十五人に一人という配置ですけれども、その辺はいかがですか。

銭谷政府参考人 職員の配置でございますけれども、〇歳から二歳児につきましては、保育所と同様の職員配置を考えております。それから、三歳から五歳児につきましては、まず学級単位で職員を配置いたしまして、長時間利用児につきましては、個別の対応ができるような職員の配置を考えております。

石井(郁)委員 そこのところも大変重要なんですが、どうもおっしゃりたがらないので、ちょっと先へ進めさせていただきますけれども、これはぜひ、要望としてはもちろん、当委員会で私は重ねて、国が考えている基準はこういうものですというきちっとしたものをやはり出していただきたいということを強く申し上げたいと思うんです。

 条文で、そういう国の基準を参酌して都道府県が条例として定めるとなっておりますけれども、参酌というのはどういう意味でしょうか。

銭谷政府参考人 通常、参酌といいますと、いろいろな事情、条件等を考慮に入れて、参照して判断をするということになろうかと思います。

石井(郁)委員 今参照とおっしゃいましたよね。参考とも違うんですね。参照するということでいうと、大変緩やかなものだという理解にちょっとなろうかと私は思うんです。ですから、都道府県は、国の基準をそのままというんじゃなくて、まあ参照すればいい、そういう程度のものなんですか。その中でいうと、国の基準から大きく、例えば上回っても、あるいは逆に下回ってもという場合があり得るということですね。いかがですか。

銭谷政府参考人 認定こども園につきまして都道府県が定める認定基準は、国の指針を参酌して都道府県が条例で定めるということになっているわけでございますので、各都道府県におきましては、やはりそれぞれの地域の実情等も踏まえながら、国の基準をもちろん十分参照していただきますけれども、必ずそのとおりにしなければいけないというものではないわけでございます。多少の地域的な基準のあり方というものの変化はあるというふうに考えております。

石井(郁)委員 私は、どうも伺っていますと、基準を出していただきたいけれども、その指針というのはどれほどの意味を持つのかなというふうに言わざるを得ないんですけれども、ちょっと具体的に申し上げます。

 昨年十二月の社会保障審議会児童部会での資料を見ますと、認定こども園では地方裁量型というのがありますよね。その例示として、東京の認証保育所が幼稚園機能を持つ場合ということが挙がっておりました。東京の認証保育所における基準というのは一応国の基準に準じるとしているんですけれども、二〇〇四年に東京都が行った認証保育所の実態調査というのがございますが、それで見ますと、認証保育所A型の場合、これは駅前に設置されるという場合ですね、駅から徒歩五分以内に設置されている園というのは八四%、これは非常に高いわけです。そこでは敷地内に屋外で遊べる場所もない、そういうところがほとんどですよね。そういう施設面の基準というのは、〇歳児の施設基準面積、これは国の方は一人当たり三・三平米としていますが、ここでは二・五平米という形で弾力化されているということですね。それから職員配置の基準も、認証保育所は十三時間以上開園しているというのがふれ込みなんですよ。ところが、職員は十一時間開いている認可保育所の配置基準のままです。明らかに下がっているわけでしょう。こういうことからしても、国の基準以下でここは行われている。

 だから、都道府県というのはこういうことが認められていくのかということになるわけで、そういう施設が今後も認定こども園だということで認定されていくというふうに考えていいですか。

    〔池坊委員長代理退席、委員長着席〕

白石政府参考人 東京都の認証保育所の仕組みの御指摘も踏まえたお尋ねでございましたので、私の方からお答えさせていただきます。

 ある程度繰り返しになりますけれども、参酌してというふうなことでございますので、当然、これは都道府県が条例で定めるという手続を経て都道府県は基準をつくるわけでございますが、参酌する場合の我々の指針というものは、今御答弁申し上げておりますように、法的な拘束力という点では、絶対に守らなければならないというものではありません。その意味で参酌ということになるわけでございますけれども、基本的には、幼稚園、保育所の基準をともに満たすような水準を想定して、これらをまさに参酌していただいた上で、それぞれの議会における議論を踏まえて条例で定めるという手続を経ますので、各都道府県ごとに定めるとしても、これらの基準から大きくかけ離れるということはないというふうに、それは地方分権の時代でもございます、そこはお互いの信頼のもと、そのようなものになろうかというふうに考えておるところでございます。

石井(郁)委員 この点でもう一点確認をさせていただきたいのは、これは規制緩和の民間開放推進会議の第一次答申、二〇〇三年十二月です。ここではこういうふうに言っています。施設設備、職員資格、職員配置、幼児の受け入れなどに関する規制の水準を、それぞれ現行の幼稚園と保育所に関する規制にとらわれるのではなく、どちらかの緩い方の水準以下とすることを原則とするというんですよ。一体この答申は法案の中には採用されているんですか。それともこういう立場はとっていないというふうに言えるんですか。

白石政府参考人 御指摘の答申は、二年前の十二月の規制改革・民間開放推進会議の見解のことだろうと思いますが、それ自体は厚生労働省及び文部科学省両省としてこの合意を見たということで、会議の見解が出たものではございません。

 認定こども園の施設設備につきましては、次の世代を担うお子さんの健やかな育ちということを中心に置いて考えていく一方で、地域の実情に応じて柔軟な対応を可能なものにするということもまた必要であるということは繰り返し申し上げておりますが、このため、認定こども園の施設設備につきましては、先ほど文部科学省の方から御答弁ありましたように、基本的には、幼稚園、保育所双方の基準を満たすべきでありますけれども、また、それがゆえに既存施設からの転換が困難にならないようにという点からもいろいろな配慮が必要でございまして、子供の処遇に悪影響を与えない合理的な範囲内において、調理室であるとか運動場であるとか、そういう施設設備については一定の弾力的な措置もあり得るのかなというふうには思っておりますけれども、御指摘の規制改革・民間開放推進会議の答申を踏まえたというものではないという御理解をいただければと思います。

石井(郁)委員 私は、最初に申し上げましたように、やはり子供にとってどういう安心できる場所であるのか、最適な場所であるのか、これが最大の判断の基準だと思うんですね。

 それで、国としては一応最低基準があるわけですね。ところが、その最低基準から下がっても都道府県ではあり得るというような方向で今話が出ているわけです。そうしますと、極端な話ですけれども、幼稚園では三歳児で三十五人に職員が一人。私は、今この文科の委員会で、小学校も三十人以下学級とか言っているときに、幼稚園児で三十五人というのは、これは何としても、もう時代に合わない、まずこういうところから本当に直したいといつも思っているんです。

 そういう幼稚園、そこに保育所的な機能ということで三歳、二歳児も入ってくるということになりますと、保育所では三歳児二十人に職員が一人という配置でしょう。ところが、低い方に合わせるということで、保育所ではそうだけれども、まあ三十五人でもいいですよということにこれはなりかねないんですよね。そういう点を私は大変危惧しているということなんです。そんなことは考えられないということをはっきり言えますか。

銭谷政府参考人 職員の配置についてでございますけれども、今私ども検討しております方向としては、先ほどちょっと申し上げましたけれども、〇歳から二歳の子供については保育所と同様の職員配置とする、それから三歳から五歳の子供につきましては、学級を単位として学級ごとに職員を確保しつつ長時間利用児に対する個別対応が可能な体制とすると。

 具体的には、まず学級担任ということが必要でございますので、これは子供三十五人以下で構成される学級を単位といたしまして、一学級に職員を一人配置する。それから、子供の中に長時間利用児がいるわけでございますので、長時間利用児への対応が薄くならないように、三歳児は長時間利用児二十人に一人、それから四―五歳児は長時間利用児三十人に一人とか、そういった職員の配置を今検討しているところでございます。

石井(郁)委員 こればかりで時間をとるのはいかがかと思うんですけれども、しかし、今予想されている認定こども園には、認可外の保育所、認可外の施設のところでも手を挙げることもできるわけですよね。そうすると、そこでは本当に国の基準以下のことが認められることにもなりかねない、これは地域がそういうことを許すかどうかとかいろいろな問題があるかと思いますけれども。やはり国が基準をしっかりお示しする、そしてまた、都道府県の条例も最低基準はしっかり守るという方向でいくんだということの確約がないと、柔軟だ、多様だということで、いわば水準が下がっていく、本当にそういう心配があるわけですよ。

 だから申し上げているわけで、いかがですか、法的な拘束力は都道府県に及ばないという話ですけれども、国としては、ナショナルミニマム、私は、今の最低基準でもこれは到底、今後もっといいものに引き上げなければいけないと思っていますけれども、それはどういう認定こども園であってもしっかり守っていきたい、大臣、そういう御決意はございますか。

小坂国務大臣 今局長から答弁申し上げたように、保育所そして幼稚園、両方の機能を持つ形をやっていく以上、幼稚園は午前中だけということですから三十五人という枠でありましたけれども、今後は、認定こども園においては午後も長時間預かるということになってまいりますので、そういったものもしんしゃくして、保育所の四―五歳児の三十対一の基準に近づけるというようなことも考えていかなければいかぬ。そういう観点で厚生労働省と文科省との間で今鋭意詰めているところなんですね。それをつくっても、それは国の一つのガイドラインであって、それが自治体にちゃんと守られるという保証がない以上、もっとひどくなるんじゃないですかという懸念をお持ちのようでございます。

 その点につきましては、国としては、その指針を、質の確保という趣旨から十分に周知していきたい。この認定こども園の趣旨というものはこういうことなので、それに配慮して、しっかりと国のガイドラインに沿った形の認定基準を設定してほしい、こういうことを都道府県に対してしっかりと指導していきますので、そういう形の中で極端なことが起こらないように注意をしてまいりたい、このように考えております。

石井(郁)委員 ぜひそのようにお願いをしたいと思います。

 次の問題は、入所の契約あるいは選考、そして保育に欠ける子供の問題なんですね。

 認定の園になりますと、利用者と認定の保育所の直接的な契約になるということがありますね。一方で、保育に欠ける子供は市町村が保育の義務を負うというか、市町村の責任としてあるわけですから、認可保育園では市町村との契約になる。だから、直接契約と法律的な契約と、二つ生まれるわけですよね、二つの方法が。

 だから、この問題は先ほどもいろいろ質疑もございましたけれども、いろいろ混乱を生まないかという問題がありますけれども、私は、ちょっと原則的なことで確認をしたいのは、保育に欠ける子供にしてみたら、市町村との契約、契約といったら変ですけれども、市町村にきちんと申し込むという形で、市町村は児童福祉法の二十四条に沿った措置として責任を果たすということが必要なのであって、認定こども園の場合でも、保育に欠ける子供はきちんと市町村に申し込むということが私は望ましいのじゃないかというふうに考えていますが、いかがでございましょうか。

中野副大臣 今、委員がおっしゃった保育に欠けると市町村が認める子供については、正当な理由がない限り入所を拒むことはできない、それはおっしゃるとおりでございまして、その中で認定こども園が、例えば希望者が多い場合について言いますと、母子家庭とかそれから児童虐待防止の観点から特別な家庭については配慮するとか、また、その仕方については、公正な方法で選考したものにするというようなことがございます。

 その中で、認定こども園はこうした選考の結果につきましては、市町村に届けることを義務づけておりまして、その届け出を受けた市町村においては、選考に漏れた保育に欠ける子供を他の通常の保育所で、通常というか一般の保育所、そういうところでもって受け入れることによりまして、市町村としての保育をする義務といいますか、責務といいますか、それを全うするというような仕組みになっておりますから、そういう点では大丈夫だと思っております。

石井(郁)委員 その点の確認をぜひさせていただきたいのは、児童福祉法の二十四条、市町村が負っている保育に欠ける子に対する保育の責任というか義務というのは、認定のこども園、認定ということになっても変わらない。それはいかがですか、言うまでもないかもしれませんけれども。

白石政府参考人 今、副大臣から御答弁させていただきましたように、最終的な責任は市町村にございますので、保育に欠けるお子さんがいずれかの保育所で処遇されることができるように、市町村としては保育の実施の責務を果たすということに変わりはございません。

石井(郁)委員 そこでもう一点、具体になんですが、選考についてですけれども、この選考の主体というのは、今度、認定になりますと、市町村ではなくてその保育所になるんですよ。認定の保育所になるということになっています。それで、公正な選考の結果、しかし、希望するそこに入所できないということも生まれてくる、あるいは、先ほど来出ている、保育料がとても払い切れないという場合も出てくるかもしれない。

 そういう場合に、その保育に欠ける子供についての措置については、認定の保育所に責任はなくて、そして保育に欠ける子供は結果として放置される、そういう場合が生まれるんじゃないかということがございますが、それはいかがでしょう。

白石政府参考人 ある程度繰り返しになるかもしれませんけれども、認定こども園の認定を受けました保育所で、仮に利用の希望者が多い場合ということになりますけれども、御答弁申し上げましたように、例えば、母子家庭のお子さんであるとか、あるいは児童虐待防止の観点から特別な支援を要するような御家庭であるとか、そういうふうなことを配慮して施設が選定をする、それはあらかじめ公表された公正な方法でなければならないというふうな形でございます。

 その上で、どうしても定員よりも多いというふうな場合があります。優先した上でもまだ保育に欠けるお子さんがそこの施設で処遇がし切れないというふうなことはあり得ます。それは技術的にはいろいろ、定員をある程度超過しても最低基準の範囲内であればとか、そこら辺は先生お詳しい分野でございますけれども、その上で、どうしてもというときは、市町村の方でそのお子さんを別のところで処遇するというふうなことをやらなければならないということでございます。

石井(郁)委員 それは、大変大事な御答弁をいただいたと思っておりますけれども、その園に入れなかった、受け入れてもらえなかった、だからその後の措置がそこで終わりじゃなくて、やはり市町村がちゃんと責任を持って措置しますよという今御趣旨ですよね、それはぜひ確認させていただきたい。だから、この児童福祉法二十四条が生きていますから、それに基づいて、保育に欠ける子供について市町村は責任を持って保育所に入所させる、そこはきちんとしていただきたいということを強く申し上げたいと思います。

 あと、もう時間ですけれども、最後に一点、今、幼保連携という形でこれは出ているんですけれども、この幼保連携というのは、文科省からもいろいろ通知も出し、もう既に十年近くなるでしょう。だから、施設の共用、それから職員の資格の併有という形で、地域ではいろいろ、かなりいい施設として、幼保の連携施設というのは立ち上がっていると私は思うんですよ。

 だから、既にあるそういう幼保の連携的な施設、そして保育実践等々についてはどういう評価をされていらっしゃるのか。そういう既にあるような幼保の連携の具体は、認定こども園ができたからといって、何というか、余りよしとしないというようなことではない、それはそれとして大いに促進するというものなのかどうかということをちょっとお聞かせください。

銭谷政府参考人 ただいま先生からお話がございましたように、幼保の共用化施設の設置促進、幼稚園における預かり保育の実施など、幼稚園、保育所を通じた教育保育機能の強化が図られて、幼保の連携も進んできているわけでございます。文部科学省と厚生労働省は、特に、平成十年以降、こういう施設の共用化、資格の相互取得の促進等を図ってきたところでございまして、今後とも引き続きこういった幼稚園と保育所の連携というものは進めていく必要があると思っております。

 今回は、こういう幼保の連携が進んでいる施設の中で、認定こども園という機能を持っているものが多いわけでございますけれども、そういうものを認定こども園として認定もしていこうというものでございます。それは、もちろんその施設の方が幼稚園、保育所連携をしているということで、認定こども園の認定を希望する、そういう施設について認定をしていくというものでございます。基本的な幼稚園と保育所の連携の取り組みというのは、引き続き今後とも進めていくのに変わりはございません。

石井(郁)委員 その辺になりますと、少しまたわからなくなるのは、そういう一方で、いろいろな形での共用、連携というのは進んでいる。なぜそこで新しく認定こども園ということを設けなきゃいけないのか。この関係がちょっとつかみにくいんですよね。その違いが何なのかということについては、今後もう少しはっきりさせていきたいと私は思っています。

 それから、盛んに幼稚園は教育だ、保育所は保育だという言い方で、教育と保育がばらばらという言い方もありますが、保育所というのは、既に〇歳から五歳まで、いわば保育と教育と共同の機能を持って現実にさまざまな役割を果たしてきているわけでしょう。私も二人の子供が保育所で育ちましたからよくわかっているんですけれども、だから、そういう意味では、どういう施設をどういう機能を持って今後充実させていかなきゃいけないかというのは、本当に、先ほど来将来像という話がありますけれども、将来像をしっかりこの機会に考えておかなきゃいけないという思いも含めて、きょうは質問させていただきました。また、続きは後ほどにいたします。

 どうもありがとうございました。(拍手)

遠藤委員長 保坂展人君。

保坂(展)委員 社民党の保坂展人です。

 私は、幼保一元化という言葉を聞いたのはたしか三十五年ぐらい前だったかと思いますけれども、今回の制度は、地道な議論が積み上げられてきて、本格的に生まれてきた制度であることを期待したいんですが、まず文部科学大臣及び厚生労働副大臣にお尋ねしますが、だれのための制度創設なのか、そしてまた、これは本格的な幼保一元化なのか、それとも幼稚園、保育園、さらにこども園、言ってみれば三元化なのか、理念について伺います。

小坂国務大臣 既にいろいろな皆さんの御質問の中でも出ておりますが、重ねて御理解をいただきたいと思って御説明をさせていただきますが、近年の急速な少子化の進行や家庭、地域を取り巻く環境の変化に伴って、就学前の子供の教育、保育等のニーズが多様化してきているということがございます。保護者の就労の有無にかかわらず、継続して同一の施設を利用したいというニーズ、また保育に欠ける子供も欠けない子供も同じ施設で受け入れて、子供の育ちに必要な規模の集団を確保したいといった、過疎あるいは少子化ということに関連したいろいろなニーズ等の要請に適切かつ柔軟に対応できる新たな枠組みが求められているという認識があることが第一でございます。

 本法律案は、このような状況にかんがみまして、子供の視点に立って、就学前の子供に対する教育と保育、そして地域における子育て支援、これらを総合的に提供する機能を備える施設を認定こども園として認定する制度を設けて、子供が健やかに育成される環境の整備を図る、このように考えたわけでございまして、機能面から着目をしてこのような対応にしてまいりましたから、決して、保育園と幼稚園、そしてまた新たな類型としての認定こども園というものが全く別にできるわけではないわけでございます。

中野副大臣 今、保坂委員の御質問に小坂文部科学大臣から御答弁がございましたけれども、厚生労働省といたしましては、この大臣の御答弁と同じ認識を基本的にはいたしておるわけでございます。

 これはだれのためかとなれば、これは当然でございますが、子供の視点に立って、子供が健やかに育成される環境の整備を図る、これがそうだと思いますが、具体的には、就学前の子供に関する教育や保育に求められているところの機能に着目した保育園や幼稚園の中から、いわゆる教育、保育を一体的に提供する機能、それから地域における子育て支援を行う機能を備えたものを認定する仕組みを設けるものだと考えておるわけでございます。

 以上でございます。

保坂(展)委員 先ほど石井委員からも御紹介ありましたけれども、規制改革・民間開放推進会議の平成十六年十二月二十四日の答申、この施設の部分を見ていくと、「現行の幼稚園と保育所に関する規制にとらわれるのではなく、どちらか緩い方の水準以下とすることを原則とする等、」この「どちらか緩い方の水準以下」、こう書いてあるんですね。これをよく読んでみますと、どちらか緩い方の水準にするというならわかるんですね。あるいは、どちらか緩い方の水準以上というのもわかるんですね。「どちらか緩い方の水準以下」というのがわからない。つまり、これだとゼロまで含んじゃう。

 これは単なる言い間違いなのか、あるいはゼロ規制まで含むのかわかりませんが、立法化に当たって政府はどういうふうに考えたか。これはどちらからでも結構です。

馳副大臣 当然、これは政府として閣議決定していない文書ですし、文部科学省としてはとんでもないというふうに考えております。

 例えば、幼稚園でいえば調理室がありませんよね。けれども、保育に欠ける子を預かるとなった場合には、何らかの施設等、あるいは外部から搬入するということは必要ですし、保育所の場合には運動場の問題がありますよね。これは何らかの、一定の弾力的な対応というのは必要でしょうけれども、何か、こんなことをまともに受け入れて事故があったらどうするんですか。そのことを考えた上での、一定の配慮のもとで水準を定めるものというふうに考えております。

 以上です。

中野副大臣 今委員の御指摘の答申につきましては、厚生労働省といたしましては、文部科学省と合意した文書でないと考えております。

 ですから、具体的に、厚生労働省といたしましては、今いろいろな、委員もおっしゃいましたけれども、認定こども園の施設設備につきましては、基本的には幼稚園や保育所双方の基準を満たすべきでありますが、そういう点が基本でございます。既存施設からの転換が困難にならないよう、子供の処遇に悪影響を与えないよう、合理的な範囲内で、調理室とか運動場とかという一部の設備につきましては一定の弾力化の措置を講じるということでございまして、いわゆる文部科学、厚生労働両省で定める指針に反映させたいと思っておりますので、その点は御理解願いたいと思います。

保坂(展)委員 安心しましたけれども、緩い方の水準以下になってしまったら、これは本当に、日本語としても余り成立していないような文章ですので、こういうものは認められないということだと思います。

 私、用意した質問がいろいろ、最後ということで大分重複というか、もう既になされたものがございますので、ちょっと予告はない部分で、答えられる範囲で結構ですので、厚生労働省の方に、簡単なことだと思うので、答えていただきたいと思います。

 新聞を読んでいましたら、これは、保育園児百三十人、幼稚園児百七十人が遊ぶマンモス園が一体化してできたという話が書いてあるんですね。最長は六時半までである。ところが、幼稚園で終わる子供は早く帰る、それから、六時半までいる子は当然お昼寝の時間があるということで、お迎えの時間が遅い子はお昼寝をしなければならない。昼食を終えたら、午後は昼寝をする子としない子に分かれて過ごす、こういうようなことが現に起きているようですね。

 例えば、保育園で行われているお昼寝や給食など、こういう施設がない幼稚園で保育園枠の児童を預かっていく場合に改装等が必要になると思うんですけれども、厚生労働省からのきのうの説明では、例えば十人でも認められるんですよね、幼稚園部分が五十人で保育園部分が十人で。その場合は外から業者さんに持ってきてもらうということも考えていらっしゃるということなんですが、このあたりは実際どうなるのか。例えば、アレルギーなどできめ細かい対応を保育所ではやっていると思うんですが、そういうことを果たしてできるのかなど、給食やお昼寝をめぐっていろいろな不安の声もあるんですが、厚生労働省の事務方で結構ですから、お願いします。

白石政府参考人 例えば、お昼寝ということが今例に出ておりましたけれども、基本的に、やはり長時間ということであれば、どこかで休息をとるというふうなことは保育の現場では必要だと考えておりますが、ただ、そうは申しましても、それぞれ個性をお持ちのお子さんですので、もう一律にということではなくて、いろいろな園児の中で個性に応じた配慮というのはそれなりに行われるものだろうと思っております。

 それから、調理の話、アレルギーということで御指摘を承りましたけれども、これからまた文部科学省と一緒になっていろいろな基準をつくっていくわけでございますけれども、三月末にまとめられた取りまとめの報告、あるいはその中間取りまとめ、十二月のものにも掲げてありますように、やはり離乳の時期、つまり〇歳から二歳ぐらいのお子さんの食事ということについては、かなりそれより上のお子さんよりいろいろな配慮が必要であろうというふうなことが委員会の方のまとめにもございますので、私どもとしてもそれを受けた形で、自分のところで調理ができるような仕組みというものは、少なくとも〇歳から二歳までのお子さんを預かるところでは必須にすべきではないかというふうなことは考えております。

保坂(展)委員 もう一点厚生労働省の方に伺いたいんですけれども、今度の認定こども園の場合は直接契約というふうに聞いているわけですけれども、設定された保育料が納められない、こういう場合に、未納対策ですね。これは、例えば自治体がかわって認定こども園に補てんするというようなことがあるのか、あるいは、例えば登園停止とかそういうような措置をもって直接あくまでも請求する、こういうことになるのか、その辺は詰められておりますでしょうか。

白石政府参考人 認定こども園の認定を受けました保育所の場合を例にしてお答えを申し上げますけれども、先ほどちょっとどなたかの御質問にお答えしましたとおり、保育所である場合につきましては、滞納その他を理由にして退所していただくことはできないということは申し上げたと思いますが、認定こども園の中には、保育所でない、例えば地方裁量型のようなものがあるということも御説明申し上げました。そういうものの中におきましては、直接契約でございますので、最終的には、施設の方の判断で御本人との契約を解除するというようなこともあり得る。あり得るわけでございますけれども、そこを管轄する市町村にとりましては、そのお子さんが保育に欠けるお子さんであるというふうなことである以上、いずれかの別の施設においては少なくとも処遇しなければならないということに変わりはないと先ほど御答弁申し上げたとおりでございます。

保坂(展)委員 原則なんですが、幼稚園型を含めて、すべての認定こども園に対して、障害を持つ子の受け入れ等の応諾義務ということがしっかり確立されてほしいと思うんですが、この点は、文部科学省、何かはっきり答えられるでしょうか。

銭谷政府参考人 総合施設のモデル事業評価委員会の最終報告におきましても、障害を持つお子さんの認定こども園への受け入れ、それから、その際の指導上の配慮ということが言われておりまして、基本的には、認定こども園はもともと保育所ないしは幼稚園であるわけでございますけれども、認定こども園として、そういう子供さんの受け入れということについては十分配慮をしていくということになっております。

保坂(展)委員 もう一度文部科学省なんですが、これは予告済みなんですが、これで認定こども園が幼稚園の空き教室などを使って広がっていくだろうとも言われていますけれども、他方で、かなり小規模な、地域でのユニークな教育内容を持った幼稚園などがたくさんあるわけですね。ただ、少子化の影響で非常に経営が大変である、人手も物的な条件もなくて認定こども園などの申請が難しいという場合に、何年かたってみると、そういう小規模な幼稚園の経営が全く困難になってしまった、こういう心配はありませんでしょうか。

銭谷政府参考人 幼稚園全体を見ますと、少子化の影響で園児数が全体としては今減少の傾向にあるわけでございます。

 そういう中で、今回の認定こども園につきましては、幼稚園の側から見ますと、子供一人一人のニーズに応じた教育、保育を展開することができ、また、園児の受け入れということも空き教室等を使って可能になり、園児数もふやすことができるといったようなメリットがあるわけでございます。

 したがいまして、小規模な幼稚園でも、認定こども園として認定をされれば、子供の受け入れにおいてさまざまな工夫をして経営を進めるということができるものと考えております。ただ、なかなか認定こども園の認定にまで至らない幼稚園というのもあるかもしれませんけれども、こういった認定こども園を通じての幼稚園のいわば教育活動のさまざまな展開というものについて、いろいろ情報交流をするような、そういったような点で、今後の経営基盤あるいは経営についてのいろいろなサジェスチョンをいただくといったような、またそういう効果も期待できるのではないかというふうに思っております。

保坂(展)委員 東京の商店街もこの五年ぐらいで激変しまして、人がいっぱいいたところがほとんどだれも通らなくなって、御存じのとおり、大規模店舗が出るとそうなっちゃうわけですね。安いからなんですね。だから、資本力がある企業などが集中的に出しちゃったりするようなことを心配しているわけですが、その議論はまたこれからさせていただきたいと思います。何らかの形でコントロールするということが必要かと思われます。

 もう一点なんですが、先日、私、保育士の養成課程を持っている女子大に行きましたら、地域の皆さんにサロンとして開放して、赤ちゃん連れのお母さんに来てもらおう、そして学生たちが子供たちを見る。こういう施設をオープンして大変好評だというふうに聞いているんですが、なぜそれをオープンしたのかというと、やはり保育の現場に行くまで赤ちゃんというものにさわったことがないという、まさに少子化時代ですから兄弟も少ないですし、そういう学生さんは多いそうなんですね。

 幼稚園においても、幼稚園の先生の資格を取っていらっしゃる、今まで幼稚園で教えていた先生方が保育所部分もある種兼ねてやるんだというときに、親たちの不安は結構大きいと思います。この辺のカバーをどういうふうにやっていくのか。統一した免許など必要ではないのかというあたりについてはどうでしょうか。

銭谷政府参考人 認定こども園として認定をされた幼稚園が、例えば〇歳から二歳の子供さんも受け入れて保育をするということが今後考えられるわけでございます。そういった場合に、幼稚園の教諭の方がそういう小さいお子さんの扱いの経験が余りないといったようなことから、適切な研修機会といったようなことの確保、これは重要な課題だと思っております。

 昨年実施をいたしましたモデル事業の報告の中でも、やはり幼稚園型のそういうケースで、今まで余り小さい子供さんの指導あるいは保育ということを経験していなかったので、いろいろと考えされられたり工夫すべきことがあったといったような報告もなされているところでございます。

 今後、私ども、認定こども園における教育の質の確保、向上を図る上で、研修時間の確保に関するさまざまな施設の工夫の紹介、普及を図るとともに、こういった研修に当たりましても、例えば幼稚園と保育所の関係者がともに参加をしていろいろ経験を交流できるとか、こういった研修の充実に努めてまいりたいと思っております。

保坂(展)委員 声として紹介をしておきますけれども、幼稚園と違って保育園の場合は、やはり子供の生活の場である、長時間そこで過ごすんだということで児童福祉施設。幼稚園は学校、保育園の方は児童福祉施設としての基準が長いこと培われてきているわけですね。ですから、そこまで広げるのであれば、やはり保育園の基準を基本に組み立てていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 馳副大臣に、この委員会で何度か議論させていただいた、法案からちょっと離れるんですけれども、残りの時間で、日本スケート連盟とJOCの方を昨日文科省に呼んでお聞きになったということを報道でちょっと聞いたんですが、どのようなことをお聞きになったのか、ちょっとよろしいでしょうか。

馳副大臣 日本スケート連盟に関しては、大きく二点ほど、最初、朝日新聞でしたか、報道がありまして、国民の皆さんに疑惑を持たれた点がございました。

 一点目は、国際事業委員会の会計上の問題。もう一つは、理事が経営する施設を優先して合宿を展開していたのではないか。それも割高なお金を取っていたのではないか。大きく言えば、この二点についての疑惑がございましたので、ここまで報道されました以上、直接、所管するJOCの強化本部長の福田さんとスケート連盟の亀岡理事を昨日副大臣室に呼びまして、まず事情を聞きました。大臣から、事実関係をしっかりと聞いて、それを精査した上で適切な対応をするように、こういう御指示をいただいておりましたので、直接話を伺いました。

 とりわけ、報道ではうかがい知れないような事情というものもありますし、なかなかここですべてをお伝えすることはできませんが、とりあえず、担当の競技スポーツ課長のところで、その事実関係については我々で精査をしますよ、その上でまた適切に対応します、加えて、やはり疑いを持たれたことについて、事実関係も当然含んでいるわけでありますから、スケート連盟の体制も含めて、まずみずから襟を正すべきであるということは申し上げました。

 強化事業の三分の二は、これは国庫補助というか国が支援しているわけですね。そういったお金を、公費を使って強化事業を展開し、連盟の事業を運営している以上は、まさしく、みずからそういったことに関して襟を正す姿勢を示す必要があるということは強く申し上げました。

保坂(展)委員 そういうことで、襟を正すようにと言われた。そしてまた、報告もなるべく早くするようにと求められたとも聞いているんですが、この報告についてなんですけれども、この時期に調査委員会のメンバーの方が、たしか二人辞任をされて交代されたというようなことも聞いておるわけなんです。

 六月の報告、それは副大臣の方は、もっと早く報告をしっかりまとめるようにと言われたのではないかと思いますけれども、この報告を前の大詰めの時期に交代をされるというようなことについて、何か事情は聞かれたでしょうか。

馳副大臣 これは二名、一名はもう既に辞任、もう一名は退任予定ということで、事情を申し上げますと、先般この委員会でも保坂委員から御指摘いただいたように、疑惑を持たれている財務担当の理事が調査委員会のメンバーになることは、それはあってはならないと私もここで答弁したとおりでありまして、多分そういった声も届いていたのでしょう。その財務担当理事が退任し、公認会計士が入られた。あと、スケート連盟の方の顧問公認会計士も、これは退任予定だということで、それから調査委員会に関しては、委員長が、第一東京弁護士会所属の和田正隆弁護士が務めておりますと明確に報告もしてまいりました。

 そして、きのうは、理事会が六月であるからといって六月までやらないで、できる限り早く精査をして、まずJOCに報告、その上で文部科学省にも報告を下さい、その上で我々もまた適切に対応します、こういうふうに申し上げた次第であります。

保坂(展)委員 しっかりと言っていただいていると思いますけれども、六月には役員の改選があるということなんですね。恐らく調査委員会のみずからの自己調査を踏まえてのことだと思いますけれども、不明朗な経理等が実際あったということは事実ですから、こういうことに、結果としてこれを任用してしまった人たちが、やはりそれなりに身を処してしっかりけじめをつけていただき、また再生に向けて、早くこういう問題に決着をつけて発展に努めていただくことがとても大事かと思いますけれども、そのあたりについてのお考えを伺いたいと思います。

馳副大臣 ここで、当然個人名は申し上げませんが、疑惑を持たれ、報道され、また事実関係も調査していく中で、当然、責任のある方は責任のある身の処し方というものはあるでしょう。これは一つの課題として申し上げてあります。

 それから、これはすべてのスポーツ団体、実は、役員に関しては定年制をしいているところとそうでないところとあるんですね。ちなみに、スケート連盟の方は、役員に関して定年制をしいておられませんでした。こういうことから考えると、やはり基本的に営利団体ではない、そういうことを考えると、やはりまず役員の中、あるいはそういった団体の中での透明性ある、そして公平な運営がなされるべきであり、その一つの指針として定年制ということも考えられるのではないですかということは、これは申し上げてございます。

 以上です。

保坂(展)委員 ありがとうございました。

 きょうは、認定こども園について第一回目の質疑ということでやらせていただきました。あと一問ぐらいよろしいでしょうかね。

 また本案に戻りまして、認定こども園というブランドがしっかり確立するかどうかというのは、これはスタートしてみなければわかりません。今の、例えば一体型施設でも、認定こども園の認定を受けない施設も出てくるのかなという気がいたします。

 そうすると、その認定こども園という名前自体、これはしっかり基準があるんだと思いますけれども、類似の名称は、例えばこども園とか、そういうものは一体どういうふうになるのか。名称の規制なども考えているのか。では、これは文科省から答えていただいて、終わりにしたいと思います。

銭谷政府参考人 お答え申し上げます。

 認定こども園でないものが認定こども園という名称またはこれと紛らわしい名称を用いることによりまして、その名称を信頼した住民に不利益が及ぶことのないようにするために、本法案におきましては、第九条において認定こども園という名称の使用制限を規定し、違反した者については罰則の対象としているところでございます。

 認定こども園と紛らわしい名称につきまして、例えば、認証こども園とか認可こども園とか、いろいろ考えられるのかなと思っております。

保坂(展)委員 続きは、また次回やりたいと思います。

 ありがとうございました。

遠藤委員長 次回は、来る十八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時六分散会


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