衆議院

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第2号 平成20年3月18日(火曜日)

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平成二十年三月十八日(火曜日)

    午後三時開議

 出席委員

   委員長 佐藤 茂樹君

   理事 伊藤信太郎君 理事 江崎 鐵磨君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 渡辺 具能君 理事 小宮山洋子君

   理事 牧  義夫君 理事 富田 茂之君

      阿部 俊子君    井脇ノブ子君

      飯島 夕雁君    小川 友一君

      小渕 優子君    近江屋信広君

      岡下 信子君    加藤 紘一君

      近藤 基彦君    佐藤  錬君

      鈴木 恒夫君    高木  毅君

      土屋 正忠君    中森ふくよ君

      西本 勝子君    萩原 誠司君

      原田 令嗣君    平口  洋君

      福田 峰之君    藤田 幹雄君

      二田 孝治君    保坂  武君

      馬渡 龍治君    松野 博一君

      矢野 隆司君    安井潤一郎君

      山本ともひろ君    楠田 大蔵君

      田島 一成君    高井 美穂君

      土肥 隆一君    藤村  修君

      松本 大輔君    山口  壯君

      笠  浩史君    西  博義君

      石井 郁子君    日森 文尋君

    …………………………………

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   法務副大臣        河井 克行君

   文部科学副大臣      池坊 保子君

   文部科学大臣政務官    原田 令嗣君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          深山 卓也君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 坂田 東一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      舌津 一良君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          加茂川幸夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            清水  潔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            徳永  保君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        樋口 修資君

   文部科学委員会専門員   佐久間和夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  井脇ノブ子君     安井潤一郎君

  飯島 夕雁君     近江屋信広君

  近藤 基彦君     萩原 誠司君

  中森ふくよ君     西本 勝子君

  平口  洋君     土屋 正忠君

  松野 博一君     高木  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  近江屋信広君     飯島 夕雁君

  高木  毅君     松野 博一君

  土屋 正忠君     平口  洋君

  西本 勝子君     中森ふくよ君

  萩原 誠司君     近藤 基彦君

  安井潤一郎君     矢野 隆司君

同日

 辞任         補欠選任

  矢野 隆司君     井脇ノブ子君

    ―――――――――――――

三月十四日

 公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一九号)

二月二十六日

 父母負担軽減、私立高校以下への国庫助成制度の拡充に関する請願(篠田陽介君紹介)(第一五二号)

 同(山本明彦君紹介)(第二〇六号)

 学校事務職員等の定数改善と給与費等国庫負担の拡充に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一七一号)

 行き届いた教育を求めることに関する請願(逢坂誠二君紹介)(第一七二号)

 同(仲野博子君紹介)(第二〇五号)

 教育格差をなくし、子どもに行き届いた教育を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一九九号)

 学費値上げストップ、大学予算増額に関する請願(石井郁子君紹介)(第二一六号)

 学費の負担軽減、大学予算増額を求めることに関する請願(石井郁子君紹介)(第二一七号)

 すべての子供に行き届いた教育を進め、心の通う学校に関する請願(赤羽一嘉君紹介)(第二五五号)

 教育予算の充実を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二七二号)

 同(石井郁子君紹介)(第二七三号)

 同(笠井亮君紹介)(第二七四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二七五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二七六号)

 すべての子供に行き届いた教育を進めるため教育条件の整備を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第二七七号)

三月七日

 すべての子供に行き届いた教育を進めるため教育条件の整備を求めることに関する請願(岩國哲人君紹介)(第二九六号)

 同(林潤君紹介)(第三七三号)

 子供に行き届いた教育を進めることに関する請願(馳浩君紹介)(第三二六号)

 すべての子供たちに行き届いた教育を進めることに関する請願(岩永峯一君紹介)(第三二七号)

 同(宇野治君紹介)(第三七四号)

 行き届いた教育を進めるための私学助成の大幅増額に関する請願(中川泰宏君紹介)(第三四四号)

 同(北神圭朗君紹介)(第三七五号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三七六号)

 同(山井和則君紹介)(第四二一号)

 同(泉健太君紹介)(第四三三号)

 私学助成大幅増額等に関する請願(安住淳君紹介)(第三四七号)

 同(郡和子君紹介)(第三四八号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第三七七号)

 教育格差をなくし、子どもに行き届いた教育を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三六四号)

 同(石井郁子君紹介)(第三六五号)

 同(笠井亮君紹介)(第三六六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三六七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三六八号)

 同(志位和夫君紹介)(第三六九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三七〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三七一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第三七二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四一五号)

 同(石井郁子君紹介)(第四一六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四一七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四一八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四一九号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四二〇号)

 教育予算を大幅に増額し、行き届いた教育を求めることに関する請願(新井悦二君紹介)(第四〇六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四〇七号)

 同(牧原秀樹君紹介)(第四〇八号)

 国立大学等の運営費交付金増額など高等教育への公的支出の充実に関する請願(高井美穂君紹介)(第四〇九号)

 小中高三十人以下学級実現、行き届いた教育に関する請願(笠井亮君紹介)(第四一〇号)

 教育格差をなくし、子供たちに行き届いた教育に関する請願(土井亨君紹介)(第四一一号)

 子供に行き届いた教育に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第四一二号)

 同(渡部恒三君紹介)(第四一三号)

 教育格差をなくし行き届いた教育に関する請願(穀田恵二君紹介)(第四一四号)

 父母負担軽減、私立高校以下への国庫助成制度の拡充に関する請願(土井真樹君紹介)(第四三一号)

 学校事務職員等の定数改善と給与費等国庫負担の拡充に関する請願(保坂展人君紹介)(第四三二号)

同月十七日

 すべての子供たちに行き届いた教育を進めることに関する請願(上野賢一郎君紹介)(第四六八号)

 同(田島一成君紹介)(第四六九号)

 国立大学等の運営費交付金増額など高等教育への公的支出の充実に関する請願(石井郁子君紹介)(第四七〇号)

 同(楠田大蔵君紹介)(第四七一号)

 同(小宮山洋子君紹介)(第四七二号)

 私学助成大幅増額等に関する請願(土井亨君紹介)(第五〇一号)

 すべての子供に行き届いた教育を進め心の通う学校をつくることに関する請願(柚木道義君紹介)(第五五八号)

 行き届いた教育を求めることに関する請願(石川知裕君紹介)(第五六九号)

 教育格差をなくし、行き届いた教育に関する請願(大串博志君紹介)(第五七〇号)

 私学助成の大幅増額、教育費の保護者負担軽減、教育条件の改善に関する請願(大串博志君紹介)(第五七一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として法務省大臣官房司法法制部長深山卓也君、文部科学省大臣官房長坂田東一君、大臣官房総括審議官合田隆史君、大臣官房文教施設企画部長舌津一良君、生涯学習政策局長加茂川幸夫君、初等中等教育局長金森越哉君、高等教育局長清水潔君、高等教育局私学部長磯田文雄君、研究振興局長徳永保君及びスポーツ・青少年局長樋口修資君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩谷立君。

塩谷委員 自由民主党の塩谷立でございます。

 渡海大臣から所信をお伺いして大分時間がたってきまして、やっとこの委員会を開けること、本当にほっとしているところでございまして、きょうは大臣よろしくお願い申し上げます。

 渡海大臣には私は個人的に初当選のときから御指導いただいて、つい昨年も党の科学技術創造立国推進調査会の会長と事務局長という立場で大変お世話になってきまして、そういう意味では大いに御活躍を期待しつつ、きょうは質問をさせていただきたいと思っております。

 一昨年、六十年ぶりに教育基本法を改正して、その理念に基づいて、私は前々から、各条文に対して課題を列挙して、それを今後どのように教育改革を進めていくかという一つのロードマップ的なものをつくって今後の教育行政に生かしていくことが大事だ、その上で、教育振興基本計画、これを五年ごと立てていくということがいいのではないかということで、昨年来そのことを言っていたんですが、なかなかロードマップが出てこない中で、今回、教育振興基本計画が中教審の答申とあわせて明らかになってきたわけですが、教育振興基本計画は当然大変重要だと思っておりまして、私どもも十分に議論もさせていただきたいなと思っている中で、前大臣が、もう少し時間をということがあったかと思うんです。それも、多分予算の裏づけ等も考えながら時期を見たんだと思いますが、少し出てくるのが遅いなという気がしております。

 しかしながら、この教育振興基本計画の位置づけといいますか、その重要性というものを大臣としてはどうとらえているのか、認識しているのか、その点からまずお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 委員御指摘の教育振興基本計画でございますが、この策定時期につきましては、前大臣の時代からいろいろな御指摘をいただきまして、そしてさまざまなタイミングの議論というものがあったというふうに承知をいたしております。

 その中で、今御指摘のように、やはり予算との関係というものをどう考えるかということが随分議論されていた、そういう経緯があったというふうに思っておりますが、要は、計画ができても、それが予算に結びつかなければ、結果として、少し適切な表現じゃないかもしれませんが、単なる紙切れ、絵にかいたもちということになるわけでありまして、そういった伊吹大臣の判断もあったかというふうに思っております。

 二十年度予算というものが年末に編成をされまして、それ以前の議論というものを一応骨格として十二月にパブリックコメントをさせていただいたわけでございまして、それ以降、実は鋭意努力をして審議をいただいているというのが現状でございます。

 この重要性でございますが、言うまでもなく、教育基本法の改正を受けて昨年は教育三法が改正をされております。そういった情勢を受けて、法改正というのも、これは幾ら条文でうたっても実効性がなくてはいけないわけでありますから、いわゆるしっかりとやっていくための工程表であり、そのことをこの基本計画の中にしっかりと具体的に盛り込んでいく、こういう重要な意味を持っている、そういった計画であるというふうに思っております。

 内容の充実したものになるよう努力をして、いつまでかかってもいいというものではありませんので、できるだけ早い時期にまとめたい、そのような取り組みをしているところでございます。

塩谷委員 大臣からも、今、この教育振興基本計画が大事だというお話がございました。

 予算のことはちょっとまた後でお伺いするとしまして、今回、初めての基本計画を策定するわけですから、ある面では、将来教育どうあるべきかという目指すべき教育のあり方といいますか、そういうものを立てるということで、今回の答申にもあったわけですが、約十年ぐらい先の日本の教育を見越して、そして五年計画を立てる、この考え方は私は正しいと思っておりますので、まずは、おおむね十年先の日本の教育のあるべき姿というのは、大臣、どうお考えでしょうか。

渡海国務大臣 まず基本となってくるのは、やはり教育基本法の改正ということであろうと思います。この中で、従来の教育の中で、時代の変化とともに、新しい時代に対応し切れていないさまざまな問題、またさまざまな懸念といいますか、そういったことが議論をされておりまして、教育の目標というものがより明確になったというふうにとらえております。

 例えば、新しい理念といいますか、そういったところでいいますと、公共の精神とか、命や自然を大事にする、環境を保全する、また伝統や文化を尊重するといったような、そういった新しい教育の理念というものが教育基本法の中でしっかりとうたわれておるわけでありますし、また、各発達段階で学校というものがどういう役割を果たすのか、これは幼稚園から高等教育まで、すべてにわたってその目的をはっきりさせた、また、家庭や地域、こういったものの役割についてもより明確に定められたわけでございますから、そういったことを踏まえて、それが現実の教育現場でどういうふうに行われていくかということをしっかり書き込んでいかなきゃいけない。

 もちろん、今、学習指導要領、これは年度内に告示をしたいというふうに思っております。パブコメももう終わりました。こういったことを踏まえて、学力の向上という点もありましょうし、また、それだけではなくて、心身ともに健やかな発育を図るために何をやっていくか、こういうことを、個別具体的には申し上げませんけれども、しっかりと目標を定めて、繰り返しになりますが、具体的な工程を示してお示しをする、こういったことが非常に大事であろう。十年後の姿は、おのずとその中から出てくるものであるというふうに考えておるところでございます。

塩谷委員 次に、先ほど大臣もお話あったように、やはり教育改革、これから新しい施策を実行するに当たっては、何といっても予算が伴っていかなければならないということで、我が国の教育予算というものが前々からいろいろな形で問われておりました。

 特に諸外国との比較という点で、公財政支出の問題がいろいろなところで議論をされてきているわけでございますが、公財政支出に対して一つの指標があるんです。これは、二〇〇四年の統計で、OECD、先進国の二十八カ国の中で、教育への公財政支出、GDP比が平均大体五%ぐらいということですが、日本の場合は三・五%ということで、順番でいきますと、二十八カ国中二十七番目という、大変教育に対する予算のあり方が低いということでございます。

 こういう点も含めて、私ども、教育予算については何とか国民の期待にこたえられるようにということで毎年努力をしているところでございますが、残念ながら、厳しい財政の中で、比較をしますと二十七番目ということでございますので、今後、教育振興基本計画を立てるに当たって、やはりこの教育予算、教育予算というのはまさに未来への投資でありますから、これをどう位置づけるかということでやはり教育の重要性が問われてくるわけでございますから、ぜひとも私どもとしては、ここをしっかりと教育振興基本計画の中に織り込んでこの計画の実行に当たっていただきたいと思っておりますが、この点、大臣、どうお考えでしょうか。よろしくお願いします。

渡海国務大臣 OECDの統計というのは、これをどう読むかというのはさまざまな考え方があるわけでございます。私自身もかなり細かく分析をしたりしてみました。

 例えば、人口全体の中で今教育にどれぐらいの人口がかかわっているかとか、生徒の数なんかですね、こういったことも非常にありますし、それから、各国の教育の制度によって大きな差があるということも事実でございます。また、政府全体の支出がGDPに対してどうあるかという点も、これは一律じゃありません。

 二〇〇四年のデータを見ますと、購買力平価はかけているようでありますけれども、最近話題になっています円の問題ですね、円・ドルレートでいいますとたしか百三十円ぐらいで計算をしていた、こういうこともありますから、実は一概にこのことをもってということはなかなか難しいなというのが正直な実感であります。

 しかし、やはり教育にどういう投資をしていくかというのは、これはまさに国の形が問われているわけでありますから、私は、やはり国会でも十分な御議論をいただいて、そして必要なものをしっかりと予算として獲得していくというのは、これは私の役割でもあるというふうにも思っておりまして、そういうことを考え、そして、やるべきことをしっかりやるためにどういうことを例えば議論していかなきゃいけないかという観点から、この委員会でもぜひ先生方にも御議論をいただきたいというふうに思っておるところでございます。

 塩谷委員は、従来から教育政策、大変熱心に党の方でも、これまでどちらかというと、文教関係議員と言うと失礼かもしれませんが、そういう立場で御活躍をいただいておりまして、どうか力強い御支援をいただきたいというふうに思います。そのことを申し上げまして、私の感想とさせていただきます。

塩谷委員 財務大臣かなと思うような答弁もちょっとあったような気がしますけれども、やはりこの振興基本計画にその方向性をどこまで書けるかどうか、これはなかなかいろいろな財政当局との話し合いもあるかもしれませんが、しかしながら、やはり日本の教育、教育基本法を改正して、これからこういう方向だというのを示すような数値なり書きぶりなりしていただきたいと思っておりますので、ぜひ期待をしているところでございます。

 この基本計画については、先ほど、いつまで議論をするかというような話がありました。今後、今、どのように予定されているのか、どのようなプロセスで、大体いつごろ策定されるのか、それはいかがでございましょうか。

渡海国務大臣 少し誤解を与えたようでございますが、要は、元気のいいことだけ言っていても実現をしないというのは、実は非常に失礼な態度だというふうに思っておりまして、そういった面で、むしろ応援団として御活躍をいただきたいという思いでございます。

 スケジュールでございますけれども、できるだけ早急にというふうに考えております。

 しかしながら、今も委員が御指摘をいただきましたように、これは閣議決定という手続になるわけでありますから、そのことを考えれば、政府部内の調整ということを避けてただ単に書けばいいというものでもないと思っております。中教審の特別部会で今御議論をいただいておりまして、その議論と並行しながら今調整をしているところでございます。

 いろいろな意見の幅があるわけでございますが、私としては、せっかく教育基本法を変え、そして教育三法を変えたという状況の中でこれは初めての振興基本計画でございますから、単に時期だけ早くやればいいというものではなくて、やはり中身がしっかりと充実したものにしなければいけないという思いで今頑張らせていただいておるところでございます。しかしながら、できるだけ早い時期にしっかりとしたものをお示ししたいということで今頑張らせていただいておるところでございます。

 いずれにいたしましても、そんなに時間をかけている時期ではない。これは、地方も振興基本計画をつくるということでございますから、そういうことも考えながら最終的に答申を出していただき、また、出たら速やかにこれを策定したいというふうに思っておるところでございます。

塩谷委員 教育基本法の改正がされてもう一年と数カ月がたったわけでございますから、そういう意味ではそろそろこの基本計画をしっかり策定して実行に移す時期だと思っておりますので、十分に議論をしていただいて、そして我々としても納得いくような内容で、しっかりとお互いに教育行政に努力をしていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いをいたします。

 次に、先ほどちょっと大臣のお話の中にもありましたように、学習指導要領の改訂ということで、この内容について、多分、同僚の渡辺委員の方から詳しく質問があると思いますが、私は、一点、やはり道徳教育について、いろいろ、教科化するかとかという議論もありましたし、このあり方とかそういったものが議論されてきたわけですが、私はむしろ、教科でなくて、つまり、一般の教科とは違って、学校生活の中全般にわたって、あるいはむしろ社会全体で道徳教育は行うものだと思っておりますので、そういった位置づけでやっていただくのがいいあり方だろう。週一回一時間やっても、ほかの時間は全然それは関係ないというと、道徳の内容もなかなか子供たちに理解されないだろうし、実行もされないだろうと思いますので、そういう意味で、道徳教育というのは学校生活全般にかかわってくるものだなと思っております。

 ただ、問題は、その指導内容と、やはりいわゆる道徳というものはこうあるべきだ、例えばあいさつしようとか目上の先生を敬おうとか、いろいろなことがあると思うんですが、そういったものに対してある程度強制力というものがないと、これはなかなか実際には行われない。これは大変難しい話でございますが、そこら辺を、やはり学校の中でどう道徳の指導内容を、ある程度、強制力というとかなり反発もあるかもしれませんけれども、やはり道徳の内容というのはそういうものでないと意味がないと私は感じておりますので、そういう点をどう大臣は考えていらっしゃるか、この点をちょっとお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 道徳の問題につきましては、さまざまな議論がございました。中教審の議論、それから再生会議の議論ですね。そして、委員御指摘の教科化の問題について、これは特に注目をされたといいますか、あった部分でございます。

 ただ、これは理屈になるかもしれませんが、通常の、一般論としての教科化というのは、検定教科書を使い、そしてきっちりと数値評価をする、また道徳の免許、そういったことを必要とするということになるわけでございまして、現在の、教科と言っているこういった定義にはなかなかなじまない部分があるなということで、今回は教科化とは書いておりません。それを一つの結論とさせていただきたいわけでありますけれども、しかしながら、今御指摘のように、道徳の教育が大事だというこの意見というのは、ほとんどの国民が大事だということをおっしゃっておるわけでありまして、充実をしなければいけない。

 この充実をしなければいけないという御意見を大体集約いたしますと、簡単に言いますと、一時間ちゃんととっていても、それが使われていないじゃないか、ちゃんと指導がされていないじゃないかということ、また、何を教えるかということについて、やはり非常にわかりにくいというか戸惑いがある。そのためにはやはりしっかりとした教材を準備しなければいけない、ここの部分においては大体の皆さんの意見が集約しているんだろう、このように思っております。

 委員がおっしゃいました、確実にしっかりとやられるようにということで、我々としては、まず、この指導体制というものをどうするかということで、今回、指導要領の中では道徳推進教諭という、その学校で中心になって、計画を立てていただいたり、そして道徳の授業をどう行うかということの、ある責任を持っていただく先生を選んでいただくということ。

 それから、なおかつ、先ほど言いました、教材を充実させるために、心のノートというのが今あります。これを二十年度は全面改訂して、より使われる、アンケートをとると、九七%でしたか、使われていると出てくるんですね。ただ、この中を見るとほとんど使われていない、要するに、一回使っても使ったことになるみたいなアンケートになっていますから、このことをやはり改善できるような、そういうことを予算の中に計上いたしております。

 加えて、一月の中教審の答申において、適切な教材が教科書に準じたものとして十分に活用されるような新たな支援策が必要である、こういう答申もいただいておりまして、現在、振興計画の特別部会では、道徳の教材の充実方策の一つとして、国庫補助制度の創設を検討しているというふうに承知をいたしております。このような答申をもしいただいた際には、それも尊重しつつ、新たな仕組みも含めて、しっかりとした充実した授業が行われるように、我々としては指導をしてまいりたいというふうに思っております。

 しかし、これは社会全体がやはりそういう意見、多くの意見でありますから、そのことを踏まえ、さまざまなレベルでしっかりと教えていきたい。加えて言いますと、少し長くなりますが、指導要領では各発達段階に応じて、例えば、小学校の低学年では、人間としては、してはいけないというのはこういうことだよということをしっかり教えるとか、具体的な指導内容もより明確にさせていただいている。これで道徳教育というものを充実させることができるというふうに学習指導要領では考えさせていただいたところでございます。

塩谷委員 それでは、余り時間もありませんが、大臣の所信の中でも一番時間を割いてお話しいただいた科学技術についてちょっとお尋ねをしたいと思っております。

 昨年、京都大学の山中教授が画期的な発見というか作成をしたというんですか、iPS細胞をつくったということで、これは、今後、再生医療にどうやって生かすかという研究開発を、国としてもオール・ジャパンの体制でやろうということで、いち早く大臣が決定していただいたわけでございます。先日、先ほど申し上げました我が党の調査会に山中教授をお呼びして、この内容の話とかをお聞きしたんですが、とにかく画期的なことでありますが、世界が再生医療に向かって大変な研究競争を始めている、アメリカへ行くと研究グループというのが幾つもあって大変な圧力を感じるということをおっしゃっていました。

 それに対して、日本もオール・ジャパンで、しっかり体制を整えるということでやっていただいていると思っておりますが、今後、この研究に対して我が国としてどういう具体的な体制で臨むかということをぜひお聞きしたいと思います。

渡海国務大臣 山中先生のこの研究というのは、日本発の画期的な研究であると思っております。このシーズをやはり我々はきっちりと生かす、そういった政策を展開していかなきゃいけないということで、文部科学省は主に基礎研究ということになるわけでございますが、具体的に、これを臨床とか治験とかこういったところへ結びつけていく、また産業に結びつけていくということからしますと、経済産業省もそして厚生労働省も、こういった府省が連携をして、しっかりとしたオール・ジャパンの体制をつくらなきゃいけない。総合科学技術会議、岸田大臣にもすぐお話をいたしまして、とにかく全体をうまく調整して、そちらでコントロールしてほしいということもお願いをさせていただきました。

 我が省といたしましては、山中教授からお話を聞きまして、早々の十二月二十二日に、既にiPS細胞研究等の加速に向けた総合戦略というものを策定いたしまして、それを受けて、それをより発展させるために、この予算が通りましたら、iPS細胞研究等の加速に向けた総合戦略の具体化ということを策定して対応しようというふうにしております。

 その中で、二月の二十九日には、この研究の拠点として四つの拠点、京都大学そして理化学研究所、また東の方では東京大学また慶応大学、今までの研究の進捗状況を見て、これは公募で募集したわけでございますけれども、四つを拠点として、そして、それを中心に、関係のさまざまな研究機関やさまざまな研究者に広げていくというネットワークをつくるということを既に決めておりまして、これから一番やらなきゃいけないことは、知的所有権等がファイアウオールになってしまってとまってしまうというようなことがないように、スムーズな動きができるように、また、それぞれの持っている力が総合的に発揮できるように、そういった体制をつくり上げていきたい、そのための支援というものを、これはもう本当に政府を挙げて取り組んでいく、そういうことが大事であろうと思っておりますし、我々も、その中の一端として、特に基礎研究を中心にして役割を果たしていきたいというふうに思っております。

塩谷委員 このような画期的な研究がなされて、これを今後どう役立たせるかというところが非常に大きなポイントで、過去においても、そこら辺をアメリカにとられて、せっかく我が国のすばらしい研究開発のシーズを、花が咲くのは結局アメリカだったという例が幾つかありますので、そういうことのないように、ぜひ政府の方の対応をお願いしたいと思います。

 科学技術については、やはり産学官の連携というのが非常に大きな役割を果たすということで、政府においてもこの点を推進してきていただいていると思っております。

 国立大学が大学法人化されて、やはり大きくその点が変わったということがありますが、今までの統計を見ますと、例えば、十八年度で共同研究が大学では一万四千件まで上ったということ、これは五年前の三倍ということでございますが、また、特許の出願件数も外国での出願を入れて九千件に及んでいるということで、そういう意味では、法人化がこういった研究開発に対して大変な一つの影響を与えているということだと思います。

 文部科学省の方で知的クラスター創成事業を行っていただいて、各地区を指定して、それが第二期に入っているわけでして、私の地元も実はその二期目の研究開発に今進んでいるところでありますが、つい先日も、光工学を中心にしたオプトロニクスフォーラムというもの、これは研究成果を発表する場が、先週の週末でしたか、あったわけでございます。私も出席をしましたが、特に、これから国際競争力を強化する、あるいは、当然ながら産業化にどういうふうな道筋をつけるか、そういった点で産学官の連携がまだまだ足りないというんですね。やはりふだんのそれぞれ研究の中で、例えば、まだ大学は敷居が高いんだという一般企業からの声が直接ありました。

 ですから、日常のそういった研究活動の中でもっともっとお互いに、人事の交流も含めて、やりやすいような形なり、また、お互いに交流しやすいような仕組みなり、もうちょっと、一歩も二歩も踏み込んでいかなければならないのかなという気がしておりますので、この点をぜひ今後、今までも相当御努力いただいたと思いますが、やはりここをより重点的に政策的にもやっていただくことが大事かなと思っておりますが、その点について大臣はどうお考えでしょうか。

渡海国務大臣 委員御指摘のとおりだと思います。

 私は、大学側にも産業側にも努力をしていただかなきゃいけない。政策的にはやはり、それをつなぐための支援なりスキームというものをしっかりとつくっていく。できていることは非常に多くのメニューがあるんですね。しかしながら、それでもまだ足りないというのは、やはりこれまでの、日本の文化と言うと大げさでございますが、我々の学生のころを考えてみますと、いわゆる産業界が例えば学内に入ってくるのは汚らわしいと言っていたんですね、はっきり言って。そういったような時代の亡霊がまだ生きているのかな、お互いに何となく敷居が高い。

 それから、もう一つ、産業界に私はあえて言いたいのは、これは山中先生が多分言われていたと思います。今、山中先生のところへ来られているのは、ほとんどアメリカの企業なんですよ。要は、先生が発見をしたというだけで、将来どうなるかわからないけれども、リスクを抱えて研究をとにかく支援しよう、こういう企業がいっぱい来ているということだと思います。日本はやはりこのリスクマネジメントが非常にまだ低いんですね。

 そういったことも含めて、そういったことを進めていくような土壌をどうやってつくっていくか、また、情報をどうやって提供していくか、そういうことを考えながら、今後とも、今あるメニューも含めて、より強化をしていきたいというふうに考えております。

塩谷委員 さすが科学技術に造詣が深い大臣の御答弁、ありがとうございました。ぜひ、力強く、これから政策を推進していただきたいと思います。よろしくお願いします。

 終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 以上で塩谷立君の質疑は終了いたしました。

 次に、渡辺具能君。

渡辺(具)委員 自民党の渡辺具能でございます。

 渡海大臣、連日御苦労さまでございます。渡海大臣は、ずっとかねてから科学技術立国の政策について深く勉強してこられましたし、また、その周辺で、教育行政の重要性を常々主張してこられたわけでありまして、文部科学大臣に就任されたということは、我が意を得たり、そういう思いで頑張っていただいているんじゃないか、そういうふうに思うわけでございます。そこで、教育基本法が改正されまして、まさに新しい教育行政が始まろうとしている折でありますし、大臣としては本当に大きな使命感を持っておられるのではないかというふうに思います。

 渡海大臣と、ある場所で憲法改正について議論をしたことがあるわけであります。その中で、今の憲法を改正するとしたら、やはり公共の精神の遵守とか、あるいは愛郷、愛国心を育てることだとか、あるいは日本の持っている文化あるいは伝統を大切にすることを憲法に書き込むべきだというような主張をされる方もその場であったわけでございますが、私は特にこういうふうに思うわけでございます。

 憲法というのは、人権だとか、人間がどんな場合でも侵されてはいけない人間の尊厳性みたいなもの、そういうものは憲法に書くべきだけれども、先ほど申し上げたような公共の精神だとか、愛郷、愛国心だとか、あるいは文化、伝統を尊重する、こういうことは憲法に書く話ではなくて教育の問題だ、人の心に関する問題だから、そういう問題は憲法というよりは教育の分野でやるべきことだというような議論をしたことがあって、その点では渡海大臣もそういう思いではなかったかというふうに記憶をしているわけでございます。

 そこで、まさにそういうふうに我々が主張したことが教育基本法の改正で実現をしたわけであります。そして、教育三法も改正になって、教育行政関係の法整備としてはほぼ終わったんではないか、これからは、教育基本法に盛られた精神だとか新しい考え方を教育現場の中でどう実現していくかという大切な時代に向かっているというふうに思うわけです。

 これは、そういう面では、多くのことが教育の現場に任せざるを得ないという面もありますが、そこはやはり文部科学省としてやるべきこともたくさんあるのではないかというふうに思うわけでございまして、教育の現場において教育基本法あるいは関連の法律の精神が実現に移されるために、一番重要な時期に大臣に就任された渡海大臣としては、どんな強い思いを持ってこういう重要なときに当たられるか、あるいは、先ほど言いました教育基本法の新しい考え方をどんなメニューをもって実現しようというふうに思っておられるのか、まずその辺をお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 今委員の御指摘、お話を聞いておりまして、そういえばそういうことを話をしたこともあるな、あのときはまだ、ある意味出会ったばかりでございましたから、お互いがお互いのことをよくわからない中で、割と考えが一致する人がいるな、そんなことを思い出しておりました。私は、これは文部科学大臣としてというよりも、人間の心というのは縛れないわけでありますから、やはり例えば愛国心などというのは国づくりの基本なんですよね、要するに、国民が国を愛するような国づくりをするというのが政治の役割だと常に思っておりましたから、あのように申し上げたわけでございます。

 これは余談といたしまして、教育基本法、教育三法、基本的な部分の法律はしっかりと整備されたわけでございます。社会教育法とか学校保健法とか、出した法律も残っておりますが、そういう中で新しい精神をどうやって生かしていくかという作業というのは、例えば学習指導要領、この中にどういう内容を盛り込むか、また、どういうふうにそのメッセージを現場に伝えていくかということがやはり一つ大きな仕事としてあると思っております。加えて、先ほどから議論になっております振興計画、これも、やはり教育基本法、教育三法を受けて、十年を見据えつつ五年間の工程表、具体的な目標を書くということでございますから、こういった中でしっかりと示していきたい。

 いずれにしても、私は内閣の名誉のために申し上げたいと思いますが、福田内閣は教育に熱心じゃないという声がよく聞こえます。そんなことはありません。要は、基本のことはもう決めたわけでありますから、それを具体化しているのが今の作業でございますから、そういった御理解をぜひいただきたい。しっかりしたものをつくって、それをお示しすることで内閣の教育の姿勢というものを示していくのが私の役割である、そういうふうに考えておるところでございます。

渡辺(具)委員 大臣の思いを聞きまして、これからの教育行政の進展に大きく期待するところでございます。

 今、大臣が、教育基本法の改正の精神を具体的に実現していくためには、三つのメニューをおっしゃったわけであります。学習指導要領と振興計画、それから予算という面でありました。

 そういえば、昨年の政府案で、現在審議中でありますが、来年度の予算案の中に教員の定数を千人ふやすということが盛られているわけでございます。全国で千人といえば、薄めてしまうと大したことないという言い方もできるかもしれませんが、しかし、行革推進法の縛りのある中で、それだけ踏ん張って、頑張って千人の教員の増員を予算案の中に入れられたということは、大臣、よく頑張っていただいたなというふうに思うわけでございます。

 この千人の定員増によって、今、特に、文科省で考えておられる主幹という役割、先生たちの中において主幹という役割を入れて、そして、どちらかといえば今なべぶただと言われている学校の組織というものの中に、ある程度、上下関係といいますか、そういうヒエラルキーを導入して、学校を効率的に管理する、効果を上げるためにある程度の管理能力、管理体制みたいなものを導入しようというふうに聞いているわけでございますが、こういうものについて、今、大臣はどういう思いで、具体的にどんなことで学校の管理体制をもっと効果的というか、戦略的にしようとされているか、その辺をお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 ただいまお話がありました主幹教諭のことでございますが、これは、昨年改正されました学校教育法の中でしっかりと職務が位置づけされておりまして、「主幹教諭は、校長及び教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の教育をつかさどる。」というふうに規定をされておるわけでございます。

 委員がおっしゃいましたように、学校の組織力を高める、そのことによってしっかりと学校をマネジメントすることで、直接子供に向き合う教師の時間を少しでも拡充するというか、効率的なマネジメントが行われるということを目的として設置されるというふうに私は受けとめておるわけでございます。

 そのために、昨年末、委員の大変な御支援も、委員は党の文教部会長でございますから、その御支援もいただいて、厳しい中でやっと、私としてはじくじたる思いでございますが、千人という増を認めていただきました。この加配が適用されることによって、これは標準法も通していただかなければいけないわけでございますけれども、そのことによって学校の現場の環境が改善できるというふうに考えております。

 なお、加えて、いわゆる組織的な生活指導や個人に応じたきめ細やかな教育指導、こういう学校現場が抱える問題の解決にも役に立つというふうに考えておるところでございまして、我々としては、より一層、現場の環境の改善という意味で、予算としてはこうでございますが、例えば事務量を減らすとか、そういうことも含めて努力をしていきたい。そのことが、学力の向上、また心身ともに健全な子供たちを教育するという点でプラスになるというふうに考えておるところでございます。

渡辺(具)委員 主幹についてもう少しお伺いしたいんですが、この主幹というのは、大臣のお言葉をかりれば効率的なマネジメントをするためにというお話がありましたが、私の理解では、授業もするわけですね。必ずしもマネジメントだけをやっているわけではなくて、自分も教壇に立って、今の生徒がどんな思い、どんな悩みを持っているのか、その辺を感じ取りながら、そして、子供たちの教育のために先生がどうあらねばいけないか、そういうものが先生同士で討論されるというか、話し合いされるというか、議論されることが非常に大事だと私は思っていまして、そういう先生同士の結びつきが主幹の導入によって始まることを大変期待するわけであります。

 これは政府参考人で結構ですけれども、担当局長から、主幹にどんな役割を持たせようとしているのか、もっと具体的に教えていただきたいと思います。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 学校をめぐるさまざまな課題に効果的に対応していくためには、学校の組織力を高めることが重要だと考えております。

 主幹教諭の制度を設けることによりまして、学校の実情に応じて、校長、教頭と教諭との間に置かれた主幹教諭が、校長などを補佐し、任された校務の一部を整理することを通じて、例えば組織的な生徒指導や、また個に応じたきめ細やかな教科指導など、教育現場が抱える課題により的確にこたえることができるような体制となり、学校運営の改善が図られるものと期待をいたしているところでございます。

 その結果、各学校において、すぐれた教育実践が行えるようになることも期待をしているところでございます。

渡辺(具)委員 主幹の導入によって、きめ細やかな先生同士の情報交換だとか意見交換が行われると、授業の内容、質はもっともっと上がるんじゃないかというふうにも思っています。

 戦前のことは私もよくわからないんですが、これは私の推測ですけれども、例えば、戦前は、先生同士がきっといろいろな意見交換をしていたんじゃないか、先輩の先生に対して、新米というか新しい先生が、いろいろな意見を聞いたり、尋ねたり、悩みをぶつけたり、そういうことが私はあったんじゃないかと思うんですが、最近どうも、先生たちの中で余りいい意味でない平等主義みたいなものが出てきて、余り先生同士がそういう意見交換をしなくなっているんじゃないか。そういうことも、ぜひ主幹のポストをうまく使ってそういうものができるようにしていただきたいなというふうに思います。

 それから、さっき、千人の定員増は全国的に散らばらせれば大したことないわけでありますが、そこで、私は、いろいろな形の人材を先生としてもっと活用したらいいんじゃないか。

 第一線級でいろいろな分野で活躍しておられた方々が、年金生活を送られるようになって、引退しておられて時間がたくさんあるわけで、そういう人たちを先生として、教員の定員じゃなくて、定員の外でやれば、かなりいろいろなことができるんじゃないか。

 例えば、海外で英語を使っていた人が生きた英語を教えるとか、あるいは理化学関係の研究所で研究していた人たちに化学を教えさせるとか物理を教えてもらうとか、あるいは、芸術家でかなり年を召されて第一線級を引かれたような方々に学校の教壇に立っていただければ、本当に、子供たちが感動するような、目を生き生きとさせるような、そういう授業をやろうと思ったらできると思うんですね。

 そういうことは文科省として取り組んでおられるのかどうか、これからどういうつもりでそういうものをやられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

金森政府参考人 お答え申し上げます。

 多様な知識や経験を持ったすぐれた人材が学校現場で指導できるようにすることは、学校教育の充実を図る上で大変重要であると考えております。

 このため、文部科学省におきましては、免許状を持たないすぐれた社会人について、教員への登用を図るため、特別免許状制度や特別非常勤講師制度の活用を各都道府県教育委員会に対して促しているところでございます。

 また、平成二十年度予算案におきましては、子供と向き合う時間を拡充するため、こうした外部人材の活用を行うこととしておりまして、七千人の退職教員や、また経験豊かな社会人などを学校に配置するための経費を計上しているところでございます。

 私どもといたしましては、引き続き、これらの取り組みを促進し、質の高い多様な人材の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。

渡辺(具)委員 ぜひ、今局長おっしゃったような行政を進めていただきたいと思うんです。余りお金を使わないで、そして質の高い、コストパフォーマンスのいいと言ったら教育上余りいい言葉じゃないかもしれませんが、一生懸命積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。

 それでは、先ほども申し上げておりましたが、教育基本法の新たな規定が、今度は学習指導要領の中でどういうふうに反映されるのか、その辺をお伺いしたいと思います。

 教育基本法の第二条の第五項にこういうことを書いてあります。「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。」これは本当に、新たに盛られた大きなポイントの一つだというふうに思いますが、こういうものを具体的に学習指導要領に反映させていかないと、この教育基本法をつくった意味がないわけでありますので、まずその面で、学習指導要領のどのあたり、そしてどういうふうに反映をさせていくつもりか、お伺いしたいと思います。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 改正教育基本法の第二条では、今御指摘いただきましたような規定が新たに設けられたところでございます。先般公表いたしました学習指導要領の改訂案におきましては、このことを踏まえ、伝統と文化に関する教育につきまして、各教科等の特質に応じた学習内容を大幅に充実しているところでございます。

 例えば道徳教育におきましては、先人の生き方や伝統と文化、スポーツなど児童生徒が感動を覚える教材を活用し、指導を充実すること、また、社会科におきましては、歴史教育や宗教、文化遺産に関する学習を充実すること、そのほか、各教科におきまして、そろばんや和楽器、唱歌、美術文化、和装などの指導の充実や、武道の必修化などを行っているところでございます。

 今後、新しい学習指導要領のもと、ただいま申し上げましたような伝統や文化に関する指導の充実を通じて、我が国と郷土を愛する態度を一層はぐくんでまいりたいと考えております。

渡辺(具)委員 それから、同じ二条の中に、「健やかな身体を養うこと。」ということを書いてありまして、これは食育とも非常に関連するわけでありまして、また、食育の議論が進められて、食育という言葉が法令用語としても定着をしたというふうに思うんです。この部分は非常に重要な部分の一つでありまして、これも学習指導要領に反映させるべき精神だというふうに思いますが、この点はどうでしょうか。

樋口政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、改正教育基本法におきまして、教育の目標として、健やかな体を養うことを規定したところでございまして、子供たちの食をめぐる問題につきましては、近年、食生活を取り巻く社会環境の変化等に伴い、偏った栄養摂取や朝食欠食等、子供たちの食生活等の乱れが見られることから、食育の果たす役割は今後ますます重要になると認識をしております。

 このため、今回の学習指導要領の改訂案では、「総則」の「教育課程編成の一般方針」におきまして、心身の健康保持増進に関する指導として、新たに食育という概念を明確に位置づけさせていただきまして、児童生徒の発達段階を踏まえ、学校教育活動全体を通じて行い、家庭や地域社会との連携を図りながら行うことに配慮するよう明記したところであります。

 また、関係する教科におきまして、食育について学校教育活動全体で取り組む体制が一層進むよう、具体的には、例えば小学校の家庭科において、米飯及びみそ汁の調理を扱う際にはそれらが我が国の伝統的な日常食であることに触れることや、中学校の技術・家庭科において、地域の食材を生かすなどの調理を通して地域の食文化について理解することなど、食に関する指導内容の充実を図ったところであります。

 以上でございます。

渡辺(具)委員 それから、第六条でありますが、ここは学校教育のところで、学校教育においては、児童生徒が規律を重んずるとともに、学習意欲を高めることを重視すべきことを規定しました、こう書いてあるわけでありますが、この規律を重んずるというところは、塩谷委員が先ほど質問されました道徳教育に関係するところだというふうに思いますが、特に後段の、学習意欲を高める、こういう意味では、必ずしも学習指導要領だけではないかもしれませんが、学習意欲を高めるために文科省はどういう努力をされるおつもりですか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 改正教育基本法の第六条第二項では、「自ら進んで学習に取り組む意欲を高めることを重視して行われなければならない。」という規定が新たに設けられたところでございます。また、この改正教育基本法を受けた昨年の学校教育法の改正におきましては、学習意欲につきましても、第三十条の第二項に規定が盛り込まれたところでございます。

 これらを踏まえた学習指導要領の改訂案におきましては、学習意欲につきまして、「総則」の「教育課程編成の一般方針」におきまして、主体的に学習に取り組む態度を養うことを規定いたしますとともに、「指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」といたしまして、新たに、学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりする活動を計画的に取り入れるということを規定したところでございます。

 今後、各学校において、改正教育基本法や改正学校教育法を踏まえた新しい学習指導要領にのっとって、次代を担う子供たちがこれらをしっかりと身につけられる教育が行われるよう努めてまいりたいと考えております。

渡辺(具)委員 次に、家庭教育についても、第十条で、すべての教育の出発点である家庭教育の重要性にかんがみ、保護者が子供の教育について第一義的責任を有すること、これも極めて大切な規定だというふうに私は思います。

 どこの国か忘れましたけれども、ヨーロッパのある国では、学校の先生が子供たちに最初に言うことは、学校で教えることと家庭で教えることがもし食い違っていたら、それは家庭で教わった方に従いなさいと。家庭の教育の方が大切という言葉だったかどうかは別にして、家庭の教育の方に従いなさい、家庭で受けた教育に従うことということを学校でちゃんと教えるそうでありまして、私は、教育の第一義的責任が家庭にあるということをはっきり法律として明確にしたことは大変重いというふうに思うわけであります。

 だとすれば、家庭教育をどういうふうに助けていくつもりなのか。これは学習指導要領の問題だけではないかもしれません。予算の面だとか、いろいろな制度の面だとかでいろいろあり得ると思いますが、家庭教育に対して、文部科学省としてどんな施策を用意してありますか。

加茂川政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のように、改正教育基本法には、その第十条に新たに家庭教育に関する規定が設けられたわけでございます。近年、すべての教育の出発点であるべき家庭の教育力の低下が指摘されて久しいわけでございますけれども、この規定が新設されましたことは、保護者がそれぞれの子供の教育に対する責任あるいは役割について改めて認識を深めようという意味でも、大変意義のあることだと私どもも理解をしておるわけでございます。

 文部科学省といたしましては、家庭教育の支援方策としまして、これまでも、例えば子育て講座の実施あるいは家庭教育手帳の作成、そして「早寝早起き朝ごはん」運動の推進などに取り組んできたところでございます。改正教育基本法第十条の規定も踏まえながら、今後とも、これまでの取り組みに加えて関連施策の充実に努めてまいりたいと思っておるところでございます。

 具体には、委員の御指摘にもございました予算についてでございますが、第一に、平成二十年度予算案におきましても新たな予算をお願いしてございます。具体には、新たに地域の人材あるいは専門家、民生委員、臨床心理士といった方々で構成する家庭教育支援チームを身近な地域に設置させていただきまして、子育ての悩みを抱えて孤立しがちな親など、さまざまな状況にある保護者に対しましてきめ細やかな支援を行う体制整備の促進を図る経費をお願いしておるところでございます。

 また、第二としまして、関係法令の整備ということでございますが、家庭教育支援を一層促進するための関係規定の整備等につきましても、社会教育法等の一部を改正する法律案を今国会に提出させていただいておりまして、体制整備に努めていきたいと思っておるところでございます。

 これらの施策を中心に、一層家庭教育支援に努めてまいりたいと思っておるところでございます。

渡辺(具)委員 まだまだいろいろお伺いしたいことがあるんですが、余り時間もなくなってきているんですが、これは大臣にぜひお伺いしたいんです。

 私は、学校教育において大切なこと、考えなきゃいけないことは、もう数え切れないぐらいたくさんあると思うんですね。例えば、学校の先生の質を上げるということもこれは大切だ。子供たちがいかにいい先生にめぐり会うか。たった一人のいい先生にめぐり会って、すばらしい子供が育つということもあるわけで、先生の質を高めるということも大切なんですけれども、幾つかある中で、たった一つだけ、学校教育で大事なものは何か、何か一つ挙げろと言われれば、私は、生徒が先生を先生と思うことが学校教育において一番大切じゃないか。幾らいい先生でも、先生と思って、先生の言うことを聞いて教わろうというふうに思わなければいい教育は始まらないし、これは言葉は悪いんですけれども、たとえぼろ先生であっても、一生懸命聞いて教わろうと思えば、幾らぼろ先生であっても、十や二十は教わることがたくさんある、そういうふうに私は思うんです。

 だから、まず大切なことは、子供たちに、先生は先生だ、こういうふうに思わせることが私は学校教育においては一番大切な点ではないかというふうに思っていまして、その面では、今の親御さんたちにもう少し考えていただきたいこともたくさんあるわけでございますが、まず、先生は先生だというふうに思わせることが私は教育の中で大切なことだというふうに思いますが、その点で、大臣、どんなお考えか。

 それともう一つ、さっきから学習指導要領の議論をしているわけでございますが、先生を先生だというふうに指導するという意味で、今の学校で「仰げば尊し」をもっともっと教えて歌わせる、これが私はいいんじゃないか。私も、有識者とかいろいろな方々に話を聞いても、「仰げば尊し」というのはいいよね、あれを歌わせなさいと言う方は多いんですね。地元でも多いんですが、学習指導要領にこれを入れることについて、大臣、どういうふうにお考えかお伺いして、終わりにします。

渡海国務大臣 時間もないようですから、簡単にお答えします。

 先生の御意見、前半の部分は全く賛成でございます。教師を尊敬する、そういう気持ちがなければ子供はやはり成長しない。そのために何をやればいいか。これは先生自身にも努力をしていただかなきゃいけないし、また社会全体でそういった環境をつくり上げていかなきゃいけないんだろうというふうに思います。努力をするだけでは先生も御苦労が多いわけでありますから、あらゆる機会に研修を受けられるとか、そういった環境も整えなきゃいけないというふうに思っております。

 後段の「仰げば尊し」でございますが、これはどうかなと思いまして、まあ、我々の子供のころは卒業式には必ず歌っていたわけでございますが、最近そういうことをやらない学校も多いようでございます。ただ、これを学習指導要領に入れるということになりますと、どうも曲数が非常に多いようでございます。ですから、指導要領に入れるというよりも、そういう環境をつくっていく、また、いろいろな中でそういったことを地域で進めていただくということも大変大事なんじゃないだろうかというふうに考えているところでございます。

渡辺(具)委員 ありがとうございました。

佐藤委員長 以上で渡辺具能君の質疑は終了いたしました。

 次に、馬渡龍治君。

馬渡委員 自由民主党の馬渡龍治でございます。

 渡海大臣に初めて質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。また、後ほど池坊副大臣、よろしくお願いいたします。

 先ほど、塩谷先生から教育振興基本計画についての御質問がありました。少し重なるところがあるかもしれませんが、大事なことなので改めてお聞きしたいことがあります。

 大臣所信において、改正教育基本法の第十七条を受けて大臣は、「教育施策の総合的、計画的な推進を図るため、今後十年先を見通しつつ、五年間を期間とする教育振興基本計画を策定し、学校、家庭、地域、行政が一体となった教育再生の道筋を明確にします。」とお述べになられました。

 前にいただいた文科省の、計画の基本的な考え方ということで、その中に、教育改革の基本的方向を明らかにして、「国民に分かりやすい具体的な政策目標と施策目標を明記するとともに、施策の総合化・体系化、重点化に努めることが必要」とありますが、渡海大臣としては、どのような思いでこの基本計画を策定されようとされているのか、そして、特に重点化とするその目標とはいかなものがあるのか、お聞かせいただきたいと思います。

渡海国務大臣 先ほどの塩谷委員との議論でもお話をいたしましたが、重点化というと、私は、あえて言うならば、全般にわたってしっかりとした工程表をつくることを重点的にやらなければいけないと思っております。例えば、指導要領もございます。教育三法もございます。各学校段階で何をやるか、そしてどう考えていくかということについても、かなり具体的な指標が示されているわけでありますから、それを例えばこの振興計画では、どういった道順に沿って、いつまでに、達成目標をしっかり持って、どういうことを仕上げていくのかということが振興計画の趣旨だというふうに私はとらえております。

 今、いろいろな意味で最終的な調整をさせていただいておるわけでございますが、やはり目標を持ったものでなければいけない。そういう意味で、例えばこの五年間の計画につきましても、達成目標をでき得る限り明示して、それに向かって進んでいくということを書きたいというふうに思っております。

 ただ、財政が非常に厳しい中でございますから、簡単にいかないという点もありまして、今、少し時間がかかっておりますけれども、そういった目標を持って進まない限り、どんな基本法をつくっても、例えばどんな計画を立てても、それはある種のうたい文句でありまして、それでは実効が上がらないわけでありますから、そういったことをしっかり書き込んでいくのが振興基本計画の特徴であろうと思います。

 ただ、これは初めての試みでございますから、第一期でございますから、そういったところで、私は、よりよいものにするためにやはり全力を挙げて取り組んでいかなきゃいけない。塩谷委員も、できるだけ早く、遅いとしかられたわけでございますが、できるだけ早くしたいとは思っておりますが、やはり中身をしっかりと詰めてお示ししたいというふうに思っているところでございます。

馬渡委員 この基本計画の基本的な考え方という文科省がおつくりになった資料の中に、「留意すべき事項」「教育投資の質の向上を図り、投資効果を高め、その充実を図ることが必要です。」まさにそのとおりだと思います。限られた予算の中で、改正教育基本法と教育三法を受けて、これから日本の教育のあるべき姿をお示しになるわけですから、大臣としては、そのやりくりに大変御苦労されることと思いますが、ぜひ、先ほどおっしゃられたように、しっかりとそれが実行できるようなものをおつくりいただければな、そう願うわけです。

 次に、その五年間の中でぜひ御検討いただきたいと思うことがございます。一つは私立学校についてなんですが、大臣所信の中で、改正教育基本法のことについては、社会教育法の改正とか、公共の精神、伝統や文化の尊重に関する教育内容などお述べになっておられましたが、実は私、この改正教育基本法の中では、第八条の「私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。」と、初めて国の姿勢を示していただいたと思います。

 所信の中では、大臣は大学の私学助成について措置をするということをお述べになりましたが、大臣としては、現在の公教育において私立学校が果たしている役割についてどのように評価をなされておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

渡海国務大臣 私立学校、大学生の約七割、高校で三割、幼稚園は約八割が在学するということでございまして、また同時に、私立学校は、やはり建学の精神というものを大事にしながら個性豊かな教育をされているという意味でも、大変重要な役割を果たしているというふうに思っております。

 そういう観点に立ちまして私学助成というものが行われているわけでありますが、現状はなかなか厳しい。これは私は、先ほど財務大臣みたいなと言われましたが、そうじゃなくて、現状を申し上げている。非常に厳しい財政再建という、これは国家としてやはり大きな一つの仕事だと思います。我々の世代のツケを後世に回さないというのは、これは当たり前の話でありますから、このことも考えて集中的、効率的に投資をしていくというのは、教育に限らず、あらゆる分野において我々政治家は心しなきゃいけないことなんだろうというふうに思っておりますが、そういうことを考えましたときに、これは大学だけではなくて、高校においても幼稚園においても同じでございます。

 幼児教育においては、今実は無償化の議論もあるわけでございまして、歳入歳出の一体改革の中で将来の無償化を考えるというのは、ここは国会の場でございますけれども、我が党の公約でもありますし、また民主党さんもマニフェストの中で恐らくそういうことを書かれていたと記憶をいたしておりますが、そういったことも考えますと、やはりしっかりとこういったことを助成していくということが大事であろうと思います。

 高校も、ただ単に学力だけではなくて、私は、去年の年末、御父兄にお会いしました。いろいろな環境の方が実はやむを得ず私学に行っておられる、こういう話もあるわけでございますから、そういうことも考えますと、今後頑張って、できるだけこういう問題に取り組んでいかなきゃいけない。昨年は、実は大学は一%カットということをやったわけでありますけれども、高校については現状を維持するということ、まあ、わずかではございますけれども踏ん張っているということで、御理解をいただきたいというふうに思います。

 そういう趣旨も踏まえて、教育基本法でこの私学の規定が新たに設けられたというふうに理解をいたしております。

馬渡委員 今大臣から頼もしいお話をいただいたと思いますが、まさに、私立高校の現場において大変苦しんでいる生徒、保護者がいるんです。

 今高校の進学率が九七%を超えました。義務教育ではないけれども、それに準ずるような状況があろうかと思います。そして、私立の高校に通っている生徒さんは今約三〇%近くと聞いています。国としても、この私立学校の振興助成法というもので昭和五十年から私学助成については力を入れていただいているわけでありますが、現在でも学費の公立と私立の格差というのがかなりございまして、ちなみに、ここ最近のデータですと、全国平均で初年度納付をしなければならない額が、公立で約十二万円、そして私立で約七十万円ですから、五・何倍、約六倍近い差があるわけですね。

 このために、経済的な理由によって私立学校を自由に選択できない生徒、保護者が出てくるのと、中には、どうしても学費を払うことができなくて、本当に泣く泣く退学をした事例があります。片や、私立学校の経営もかなり逼迫しているところがありまして、例えば、生徒のための教育環境も改善できずに、また、専任の教師をちゃんと配置ができない中で、その不足によって過労の問題や教育の質が低下する懸念があるというところも出てきているんです。

 改正教育基本法において、画期的な第八条ができました。これは、国として、先ほど大臣もおっしゃっていただきましたが、私学の役割をしっかり認識して、今後もちゃんと助成していこうという気持ちがその中に入ったということですが、私立高校のこういった現状において、私学助成を拡充する必要が今あるんじゃないかと私は思うんですが、この現状を受けとめて、その対応策というものはどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。

渡海国務大臣 制度の足りない部分があれば、私学部長がきょうは出席しておりますのであれですが、今の先生の御認識、これはやはり我々も非常に深刻に受けとめております。

 そして、これは各都道府県で、恐らく地財で措置されていると思いますが、例えば学費免除というふうな制度がございますし、それから奨学金の問題、私学助成という形でやるということも非常に重要でございます。そういった各施策を通じて、九七%といえば、義務教育じゃなくても、ある意味、皆教育ですよね。そういった中で、実は、差が生じないというか、機会の均等さが与えられないということがないような努力というのは我が省としてもしっかりとやっていかなきゃいけない、それが我が省の役割でもあるというふうに考えておるところでございます。

馬渡委員 今完全にそれを解決する方策がなければ、そのことについてぜひ前向きに御検討いただきたいと思うんです。

 大臣、私立の高校というと、経済的に恵まれた家庭の生徒が通うような認識を持っている方もいらっしゃいますが、実は、公立高校の受験に失敗して、本当にやむなく私立高校に通わざるを得なくなった生徒さんもいます。そして、自治体によっては、内申書に重点を置く余りに、例えば、二年まで成績が悪かったお子さんが、三年から頑張って公立の高校を受けたいと思っても、それはもう学校の方で、あなたはここにしておきなさいというところもあるんです。そこで、行きたい公立高校に行けなくて、じゃ、こっちの私立ということもありますし、最初から困窮しているだけじゃなくて、そのときは卒業までの経済的な見通しが立っている御家庭でも、今はこういう時代ですから、お父さんが離職されて、突然経済的に困窮される方たちも出てきているわけです。

 私は、生徒さんたちが学費の問題で悩むことなく、その分を勉強の方で、またはスポーツの方で頑張ってもらって、本当に健やかな人になってほしいな、そういう願いを込めているわけであります。

 学費未納で退学しなければならなくなった生徒さんが、もし順調に卒業していて先々頑張ったら、日本の未来を担うような人材になる可能性だってあるわけで、そうなってくると、国づくりというのは人づくりですから、資源のない日本で唯一胸を張って言えるのが人材の育成だと思いますから、これは教育の投資として大変質の高いものだと私は思っております。

 ちなみに、最近、十八年度の事例で、こういうものがありました。ちょっと紹介します。

 十八年に入学した男子生徒の場合なんですけれども、授業料未納のまま退学したんですね。家族構成は両親とお兄さんと御本人、お兄さんは専門学校生でした。なかなか御両親の職がないもので、授業料の支払いが滞っていたんです。でも、その生徒さんは休まずに頑張っていたんです。ところが、ある日突然、退学しますということを言ってきた。それは、家庭の中で、お兄さんを優先させて学校に行かせたいから、弟さん、御本人にあきらめてくれということで、本当にこれもかわいそうな話です。

 もう一つは、母子家庭の高校三年生の女子生徒の場合なんですけれども、三年生の二学期途中で退学したんです。この御家庭は母子家庭で、ずっとおくれながら授業料を納入してきた。本人もアルバイトで頑張ってきた。ところが、お母さんとの関係もうまくいかなくて、結局、家出状態になってしまいまして、それで授業料納入のめども立たないで退学をされたということなんですね。

 そういった理由で退学した生徒さんたちがその先どういう人生を歩むのか、ちょっと想像しただけでも胸が痛むような、そういった事例が全国で結構あるんです。だから、ぜひそれを救ってあげていただきたいな、日本の国のためにもそこに力を入れていただきたいな、そう思う次第であります。

 そこで、公立の高校に行けなかったために、無理をして私立の高校に通うことになった生徒さんが、結局、高い授業料を払えずにやむなく退学をせざるを得ない、しかも、本人の希望に反して、そういうことがあります。こんな状況をなくすために、今後ぜひしっかりと検討していただきたいんですが、そこのところをよろしくお願いいたします。

磯田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、私立学校におきましては、多様な生徒のニーズ、あるいは興味、関心に応じた極めてきめの細やかな教育活動を展開しているところでございますし、また、その中で、家庭の経済状況を踏まえた経済的な支援ということは重要な課題であると認識をしているところでございます。

 このため、各都道府県におきまして、生活保護世帯の生徒、あるいは保護者の失職などの家計急変による理由から授業料納付が困難となった生徒、これらの生徒に対し、授業料減免等を行っているところでございまして、国におきましても、その一部、二分の一までを補助する授業料減免事業等支援特別経費の充実を年々図ってきているところでございます。

 十八年度におきまして約六億の予算にこれまでよりも倍増したところでございますが、引き続き、各県の実施状況を踏まえながら、厳しい財政状況のもとではございますが、今後とも、生徒の就学支援の重要性にかんがみ、一人一人の就学の機会を確保するべく努力してまいりたいと思います。

馬渡委員 さらにパワーアップして、本当に学費の心配なく思い切り頑張れる生徒さんたちをつくる、そういった環境づくりをお願いいたします。

 次に、環境教育についてなんですが、これも私は、本当に投資効果のある、すばらしいものだと思うんですけれども、ビオトープについてです。

 ビオトープというのは、敷地内にもともとあった地域の自然を確保した生物の生息空間、これを学校にいっぱいつくっていただけないかな、こういう話です。

 実は、この間、財団法人の日本生態系協会というところが主催している、ことしで十年目になりますが、ビオトープコンクール、発表会に私も行ってきました。ここの会場には銭谷事務次官も御出席いただきまして、ごらんになっていただいたんですが、ことしのキャッチフレーズが「目がかがやいているね、ビオトープ」、私もずっとその発表を見ていて、本当にお子さんたちの目が輝いているな、今の時代にこういった子たちがいるんだな、そう感激いたしました。また、その発表の中で、子供たちだけじゃなくて、学校と地域がしっかりと連帯した教育に取り組む体制というのも感じましたから、ああ、すばらしいな、ただその一言です。最後までいました。

 洞爺湖サミットでも地球温暖化とか生物多様性の喪失といった環境問題が取り上げられると思うんですけれども、こういったことをしっかりと認識してもらうためには、やはり小さいころから教育の中に入れていただいて、自然とそういう行動ができるような子供たちが大人になってくれれば、さぞかし日本の国はよくなるんだろうな、そう思います。

 それで、ビオトープというのは、そこにいるお子さんたちが、実はみずから進んで調べてやろうという探求心が芽生えるんです。そして、今までちょっと学校に行きたくなかったお子さんも学校に行きたくなるような、何かそういう魅力があるようなんです。それから、例えば国語とか算数が苦手だったお子さんも、そこに飛んでくる三十数種類のトンボを研究して図鑑をつくると、トンボ博士になって、クラスのお子さんたちからも尊敬されるような、そういう効果が、私も実際に話を聞いて確かめてきました。

 そこで、私は、今までこの文部科学委員会でも学校ビオトープのことを質問させていただいて、文部科学省としてもその重要性は御理解いただいているのかな、そう思います。過去、エコスクール事業や学校ビオトープの国庫補助などの推進に取り組んでいただいているとの答弁もいただきました。

 そこで、現在の全国の普及状況をどう評価されているのか、そして、これから全国に普及していくためにはどのような分析をされているのか、そこのところについてお聞かせいただきたいと思います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員が御指摘になったように、文部科学省では従来から、環境を考慮した学校施設づくりが重要である、こういうような観点から、エコスクール整備事業を推進したり、あるいは学校ビオトープを含む屋外教育環境施設の整備を行う際には国庫補助を行ってきたところでございます。

 こういうようなことの結果で、現時点の数でございますけれども、公立学校におきましては、約二千八百校の学校でビオトープの整備が行われているところでございます。特に、小学校でございますけれども、これは小学校全体の約一割強の学校において整備されているところでございます。

 こういうような、かなりあるというふうに私ども認識はしておるわけでありますけれども、いわゆる学校のビオトープについての生態系協会の活動もございますので、そういうようなことで、広く一定の理解は得られているというふうに理解しているところでございます。

 今後とも、文部科学省としては、先進的な取り組み事例を紹介するなど、学校の設置者に対してさまざまな情報を提供しながら、学校ビオトープを含む屋外教育環境施設の整備について積極的に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

馬渡委員 ぜひ、より一層の推進をお願いします。ビオトープをつくっても、活用するプログラムが生きていなければ何にもならないわけで、そこにかかわる方たちの教育についてもぜひ御検討いただければと思います。

 大臣、お子さんが、探求心が芽生える、それから命を大切にする、学校に行くことが楽しくなる、一石で何鳥ものこういった成果が発表されているんですね。実は、本当だったら小学校よりも幼児から、幼児教育の中でやった方がいい、園庭ビオトープ、園の中の片隅につくって。これについては、日常的な自然との触れ合いの場をつくってあげると、園児たちが自然や生き物に興味を持って大切にするということだけじゃなくて、ほかの子供たちも尊敬する、そういった倫理面での成長も見られる、そういった研究成果が、ドイツのブランデンブルク州の州立自然と環境センターの所長を務めたギーゼラ・コッホさんという女性の方の報告を聞きました。これは本当にすばらしい。しかしながら、先ほど最初に言ったように、限られた予算の中であれもこれもというと焦点がぼやけてしまうので、私は、まずは小学校の中でしっかりとそういった学校ビオトープを推進していただきたい。

 このことについて、命とか環境問題に対して本当に真剣に取り組んでおられます池坊副大臣から、その推進に向けてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

池坊副大臣 馬渡委員がおっしゃいますように、改正教育基本法の中にも「生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養う」と書かれてございます。それが教育の目標でございますし、それを受けまして、学校教育法の中でも、自然体験とか自然と触れ合う機会を多くするようにということになっております。

 ビオトープというのは、土に触れて、汗を流して作業する、手づくりをする。地域住民、保護者、子供が一体となって、人間のきずなが深まりますから、私は、子供を守り育てる体制づくりというのをいたしておりまして、どうしたらいじめがなくなるか、いじめをする方もされる方にもいろいろな心の葛藤がございますから、これは、一緒になって自然と向き合うことによってこういういじめ問題もなくなっていくのではないかというふうに思っております。また、子供の知的好奇心、昆虫だとかメダカの子供が生まれる、それを育てる、世話をする、たまには死んでしまう。命のとうとさとか命の悲しさとか、そういうものも知ることができると思います。

 私は、自然体験活動というのは本当にこの十二年間の政治活動の中で力を入れておりますので、このビオトープというのも二千八百校にふえておりますけれども、いろいろな機会のたびごとに、ぜひ、田んぼだとか学校の一部の庭園でいいわけですから、これを推進していくように普及に努めてまいりたいと思います。

馬渡委員 力強い御答弁をいただきました。ありがとうございます。

 時間ですので、これで質問を終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 以上で馬渡龍治君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 私の方からは、学習指導要領の改訂案についてと、もう一つは法科大学院のあり方について、大臣、副大臣、またきょうは法務省の方から河井副大臣にも来ていただいておりますので、御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、学習指導要領の改訂について、先ほど大臣の方から、パブコメも終わって、何とか年度内にというお話もありました。これまで、一月十七日に中央教育審議会の方から答申が出て、二月十五日付で公表されて、私たちも説明を受けて、三月十六日までパブリックコメントを受け付けていたということなんですが、文科省の方からいろいろ御説明を受ける中で、今回の改訂案の基本的な考え方ということで、大きく分けて三つ説明をいただきました。

 一つは、教育基本法改正等で明確になった教育の理念を踏まえて、生きる力を育成するんだということ。二つ目としては、知識、技能の習得と思考力、判断力、表現力等の育成のバランスを重視する、そのために授業時間数も増加するというふうな御説明でした。三つ目として、道徳教育や体育などの充実により、豊かな心や健やかな体を育成していくというような御説明を受けたんですが、今回のこの改訂案が公表されると、いろいろな形で各界の方が意見を言われている。

 そういう中で、やはり今までのゆとり教育とか総合的な学習の時間というのが失敗だったんじゃないか、ちょっと方向性を間違えていたんじゃないか、そこを今回の改訂案で直しているんだというふうに評価する方もいらっしゃいますし、有馬元文部大臣なんかは、そうじゃない、総合学習時間はよかったんだ、ちゃんと成功しているところをきちんと見るべきだというようにコメントをされています。

 ただ、先日、兵庫教育大学の学長の梶田叡一先生、中教審で御担当されていたと思うんですが、先生が幾つかの新聞に御自分の御意見を表明されていまして、ゆとり教育で学力が低下したとの批判がありますが、どこに問題があったのですかという問いかけに対して、大きく二つありましたと。

 要するに、やはりそういう批判を認めた上で、理数系の教科を中心に授業内容と時間数が国際的な水準に比べて大幅に下がっちゃったんだ、ここにまず大きな問題があったと。もう一つは、国語の点について、聞く、話すを重要視し過ぎて、きちんとした認識や思考に不可欠な読む、書くがおろそかになった。こういうことをきちんと踏まえなきゃだめだという御指摘をされていました。

 もう一つ、授業の仕方が前回の改訂でやはり変わってしまったんじゃないか、その結果、ゆとり教育の結果、学力は大幅に低下したんだというふうに梶田先生は断定されているんですね。

 ゆとり教育というのは、梶田先生に言わせると、つらいことは避けたい、できるだけ楽をしたいという世の中の流れに教育行政がおもねった結果だ、勉強を否定するものだったんだ、ちょっと極端な言い方かもしれませんけれども、梶田先生はこうおっしゃっています。

 実際に今回の学習指導要領の改訂に携わってこられた先生方からこういう意見が出るということは、ゆとり教育なり総合的な学習の時間というものに対してどういう成果があったのか、これはよくなかったのか、どういう反省あるいは評価に立って今回の改訂に至ったのか、大臣から率直な御意見をお伺いできればと思います。

渡海国務大臣 率直にということでございますから、私は、記者会見のときに、やはり反省があったのですかと言われれば、反省がなければ新しいものは出しませんというふうにお答えをしたんですが、やはり反省すべき点はあったんだろうというふうに思います。

 梶田先生はそういうふうに言われております。それがすべてではありませんが、前回の改訂でのゆとり教育という考え方、生きる力という考え方が、現場になかなかしっかりとおりていなかったという反省があります。誤解を生んだという言い方をされる方もいますし、現場が理解をしていなかったという言い方があります。いずれにしても、うまく伝わっていなかったということであろうと思います。

 その結果、いわゆる総合学習の時間がいろいろな使われ方をした。これをうまく使って実はやっているところを見ていると、結構うまくいっているじゃないか。例えば、私も某小学校を見に行きましたが、四年生と二年生で英語のコミュニケーションを実践的にやっておられるんですが、非常に楽しそうにやっておりましたね。

 ただ、ゆとり教育という言葉そのものがどうも何か誤解をされて、何となくゆったりやればいいんだと。そういうことではなくて、やはり生きる力というのは、単に知識を詰め込むのではなくて、それをちゃんと応用をして、活用をして、表現をして使える力を養うということであったというふうに、十年前でございますから、聞いております。

 そういうことを考えたときに、総合学習でそういうことがよく生かされてやっているところはうまくいっているけれども、自分で考えさせるんだからじっと見ていればいいというふうな間違いが起こったり、そういうことがありますから、そういうことを反省して、やはり今回はしっかりと前回の反省に応じて新たな学習指導要領を、中教審ではああいうふうにまとめられた。我々もそういった御意見を尊重して、今回出させていただいている学習指導要領の中でも改訂をしたというふうに御理解をいただいたらいいんではないかというふうに思っております。

富田委員 今、大臣の方から、要するに、前回の改訂の趣旨が現場できちんと理解されなかったんじゃないか、そこの部分も踏まえて、今回きちんとまた新しい学習指導要領を今度現場におろしていかなきゃならないということになりますね。

 私もそう考えて、きのうずっと質問を考えていましたら、きのうの日経新聞に、まさに千葉大の明石教授が、「新指導要領 私はこうみる 言語能力育成に主眼を」というふうに、かなりスペースを割いて、記事を書かれていました。

 明石先生は大学でユニークなゼミをされていまして、どこかの本を読んできてとかそういうのはもう一切認めないで、全部現場でフィールドワークをして卒論を書けということを始めた先生で、千葉大でずっとそれをやられているので、私もいろいろな形で教えを受けているんです。

 その先生が、今回の教育現場の反応がいま一つ盛り上がりに欠けているというふうに言われています。それはどうしてだろうと。それは、先生たち、教師たちに元気がないんだと。この今回の指導要領はいろいろなことを提言してくれているのでいいと思うんだけれども、盛り上がらない理由は、新指導要領のコンセプトが明確でないんだ、多くのことを提示し過ぎていると。要するに、教育内容が、明石先生の言い方だと、てんこ盛りだ、盛りだくさん過ぎて、どれが目玉なのか、どこが中心なのかわからない。ということになると、今大臣が言われていたように、前回の改訂もいい部分があったのに、結局現場に理解が足りなかったために、この十年間でちょっと方向が違う方に行ってしまったんじゃないかという、そこを多分、明石先生はこの新聞記事の論文の中で指摘されているんだと思うんですね。

 明石先生は、言語活動の充実こそが新指導要領の目玉で、コンセプトはこれ一本に絞るべきだ、これは先生の考え方ですけれども。

 ずっと読んでいまして、やはりおもしろいなと。現場の先生方が理解しやすいように一本的を絞って、そこからいろいろなことを考えてもらうように現場に落とすべきじゃないか。先生たちが、あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、基礎をやる、応用をやると何でもかんでも自分に言われたってそんなことできるわけないというようなところを明石先生は多分心配されているんだと思うんです。

 大臣が、前回は現場になかなか理解がいかなかった、では、今回はどうやって現場の教師の皆さんにこれから正式に発表される新指導要領を徹底していくのか、そのあたりはどんなふうにお考えですか。

渡海国務大臣 明石先生が言われている言語力というのは、指導要領のある意味目玉であることは間違いないと思います。あらゆる科目を通じて言語力がしっかりしていないと、いかに知識を詰め込んでもそれを活用する力は生まれないわけでございまして、これと体験活動、それから実験、こういったものをやはり大いに生かしていこう、こういったことはしっかりと伝えていきたいというふうに思っております。

 今回の指導要領は、昨年十一月に審議のまとめというものが出ました段階で、既にすべての教員に対してパンフレットを配付させていただいておりますし、我が省の担当官が地方に出向いて、全国の教育委員会、学校関係者に対しての説明というものも大綱として行っております。ホームページもその段階で開設をいたしております。

 そして、来年度、この一年間を集中期間としまして、しっかりと伝えるということを考えておりまして、これは、まず解説書をつくるという作業がございます。夏前ぐらいに何とか出せるかなと思っておりますが、それが一つ。

 それから、やはり都道府県教育委員会を対象に、新教育課程説明会というものを実施して、この内容、ここで、やはりそういった、少し、明石先生がおっしゃるようなポイントをしっかり絞り込む必要もあるのかもしれませんが、説明を行う。ホームページをまた充実させるというふうなことをやりたい。

 いずれにしましても、前回の反省を踏まえて、きっちりと一年かけてしっかりとこの内容を伝えていく。その過程でやりとりもあるでございましょうから、それも参考にしながら、しっかりと内容が伝わるように努力をしていきたいというふうに考えております。

富田委員 一年かけてやっていく中で、梶田先生はまた、今回の新指導要領で、先生側にとって大事なのは、教師の専門性を取り戻すことだというふうに指摘をされています。ただ、授業負担は、授業時間はふえるわけですから、当然先生方の負担はふえますので、そんなの精神主義で乗り切れるわけがない、教員の増員がまず第一だと。教員の皆さんの勤務のあり方も改善していかないと、専門性を高めるといったってそんなことはできっこない。

 また、そのための予算措置もきちんとしなきゃだめだ。文科省も随分頑張られましたけれども、教員は、結局、正規は千人の増員だけでした。

 今後、この新指導要領が現場に徹底されるまでの間に、やはり教育条件の改善に文科省も一生懸命取り組んでいく必要があると思うんですけれども、そのあたりはどんなふうにお考えですか。

渡海国務大臣 新指導要領が完全に実施されますのは、小学校で二十三年、中学校で二十四年になると思います。これは教科書の問題もありますから。しかし、私としては、できるものから早くやれという指示を出しておりまして、特に理数教育等につきましては、できるだけ二十一年度初めからやりたいというふうに思っております。そういった負担がふえることも事実でございます。

 そのために、少しでも改善をしていくという努力を、例えば、今まで、ちょっとやり過ぎているんじゃないかというぐらいいろいろな調査をやったり、現場に負担をかけているのを、できるだけ少なくしろとか、これは都道府県教育委員会も同じでございますが、そういった工夫。わずかでございますが定員増。それから、非常勤講師七千人という枠もとらせていただいたところでございます。いずれにいたしましても、現場の負担を減らす努力をしっかりとしていきたいというふうに思っております。

 加えて、この新指導要領で、新たな教材とか設備、例えば武道の問題なんかがあります。こういったものについては、なかなか場所が確保できないとかいう問題もあります。外国語ということになりますと、やはりこれは教師の問題も、これは小学校の高学年でございますが、あるわけでございまして、そういった新たな条件に対してどうやって対応していくかということについては、できる限りのことを我々もやっていきたいというふうに考えているところでございます。

富田委員 与党の方もしっかりバックアップしますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、法科大学院のあり方について質問させていただきます。

 先日、新聞に、法務省は、司法試験合格者を二〇一〇年までに年間三千人にし、その後もふやすことを検討するという政府の計画について、現状を検証した上で内容を見直す方針を固めたというような報道がされていました。

 なぜそんなふうになったかという理由として、合格者の急増による質の低下を懸念する声が相次いでいることに危機感を募らせた。また、鳩山法務大臣が、年間三千人は多過ぎるという持論を展開している。鳩山法務大臣は就任後さまざまな記者会見の場で、三千というのは幾ら何でも多過ぎるということを御自分の言葉で何度も何度もおっしゃっていますので、その点も踏まえたこの報道なのかなと思うんですが、実際に法務省はこういうことを検討されているんでしょうか。

河井副大臣 御質問いただき、ありがとうございます。

 法務省の基本的な考え方を申し上げますと、司法試験の合格者数については、司法制度改革審議会意見書及びそれを受けて閣議決定された司法制度改革推進計画に従い、法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定めながら、平成二十二年ころに三千人程度を目指してまいりたいと考えております。

 この平成二十二年ころに三千人程度を目指すに当たりましては、まず、法科大学院を含む新たな法曹養成制度の整備の状況等を見定める必要があると考えておりまして、この点について、関係者一同、改めて深く認識をすべきだと考えております。

 その後の将来的な法曹人口のあり方につきましては、これから検討していくべき重要な課題であると考えておりまして、今、富田元法務副大臣、御質問をいただきました事実かどうかということでありますが、新聞記事の中身はいろいろなことが書いてありますので、一概に、事実のところ、事実でないところを言うことはできませんが、法務省といたしましては、見直す方針を固めたかのように読めますが、固めておりません。

 その上で、今、鳩山法務大臣の繰り返しの発言、御質問をいただきました。ぜひこの機会に申し上げたいんですが、鳩山大臣の御発言の趣旨は、平成二十二年以降の将来的な法曹人口について、毎年の司法試験の合格者数を恒久的に三千人程度とすることが閣議決定されているわけではなく、一つ、質の高い法曹を今後どの程度確保することができるのかという観点、二つ、法曹に対して、どのような方面で、どの程度の需要があるのかという観点、三つ、我が国をいわゆる訴訟社会にしてはいけない、毎年三千人では多過ぎるのではないかという観点、四つ、隣接法律専門職種との関係を考えるべきだという観点などを総合的に考えながら検討すべき課題であると認識しておりまして、委員御指摘のとおり、ことしの二月二十日に、法務省内に将来的な法曹人口のあり方について勉強するための勉強会を既に立ち上げております。この勉強会では、先ほど申し上げた観点から、勉強をしっかりと積み重ねている最中でございます。

富田委員 ありがとうございました。

 結果として、どっちなのかよくわからない。ただ、協議を始めたというのが事実で、河井副大臣の方から、幾つか検討している中身について触れていただきましたし、鳩山法務大臣がどういう観点でこういう発言をされたのかについても明確にお話をしていただいて、ありがたかったなと思います。

 法務省の方でこういう動きが出ているということを見ますと、文部省所管の法科大学院が今のままでいいのかなという疑問を私はずっと持っています。今の、七十四校で定員が約五千八百ですか、これだけの法科大学院。法学未修学者は三年制、法学をずっと大学で勉強してきた人は二年間、法科大学院で勉強するわけですけれども、法科大学院の制度をつくったときは、旧司法試験は合格率三%から五%ぐらいで、本当に、ある意味、一番難しい試験だったわけですけれども、法科大学院でしっかり二年なり三年勉強すれば、七割から八割ぐらいは合格して法曹資格を持てるだろうというふうに、多分、入学された方たちはそういうふうに思われていたんですね。

 河井副大臣に御指摘いただきましたけれども、ただ、私は法務副大臣のときに、法務省に言われて、七割から八割を約束した覚えはありませんとずっと答弁していたんですが、そこもきちんと決まっていない中で、やはり学生たちはそういう期待を持って今法科大学院で学んでいる。そうしたときに、今のままで、七十四校、定員五千八百というので本当にいいんだろうか。法務省の方でも見直しを始める。文部科学省の方でも、この状況でいいというふうに考えているのかどうか、そのあたりをちょっとお聞かせ願いたいと思います。

池坊副大臣 私が文部科学大臣政務官だったときに、この法律が成立いたしました。私もさまざまな問題点を感じましたけれども、検討してクリアして、この法律ができ上がりました。

 弁護士でいらっしゃる委員は、もう当然御存じでいらっしゃいますけれども、法科大学院の設置については、平成十三年六月十二日に、司法制度改革審議会意見書の中で、「関係者の自発的創意を基本としつつ、基準を満たしたものを認可することとし、広く参入を認める仕組みとすべきである。」と提言しております。

 この「広く参入を認める」というのは、各大学がもし法科大学院をつくりたいならば、設置に必要な文部科学省の最低限の基準を満たしたものについては設立を認めるということです。ですから、文部科学省が何人の定員の学校をつくれということではなくて、その学校が地域のニーズにこたえながら定員を定めて学校をつくってまいったのが今日でございます。

 私は、もとより、法科大学院を修了した者は法曹界で活躍してほしいと思いますけれども、それ以外にも、企業だとか行政機関でその能力を発揮して働いてくれたらいいのではないかなというふうに考えておりますし、今、法務副大臣がおっしゃったように、平成二十二年ごろには司法試験合格者を年間三千人程度とすることを目指す、これは閣議決定でございますから、やはり平成二十二年までは尊重されなければならないのではないかというふうに考えております。それ以後は、また将来的な法曹人口の見直しなどを行う場合がございましたら、関係者の方々と、幅広い観点から慎重に検討してまいりたいと思っております。

富田委員 池坊副大臣のおっしゃるとおりなんですが、実際に、例えば司法試験に受かった。実は、ことしの二月三日の東京新聞でびっくりしたんですけれども、ことし司法修習を終了して検察官、裁判官、弁護士になる修習生が二千四百人ちょっといると。裁判官、検察官は百人も採りませんから、二千二百人前後が弁護士になる。

 ところが、日弁連のアンケートでは、ことし、新人の弁護士さんを雇う事務所というのは千四百しかない。八百人あぶれるわけですよね。一生懸命勉強して法科大学院に入って、法科大学院で勉強して司法試験を受けて、司法修習もやって、では弁護士でスタートだとなったときに働く場がない。今、軒弁とか宅弁とかいう、軒先を借りて給料はもらわない、その事務所に一応自分の電話とか置かせてもらって、全部自分で稼げというのを軒弁と言うらしいんですが、私が司法修習生から弁護士になるころは、そんな言葉はありませんでした。実際問題として、軒弁じゃ食べていけないし、クライアントが困っちゃいますよね、何もわからない弁護士に、いきなり全部やられちゃうわけですから。

 池坊副大臣にちょっとお聞きしたいんですけれども、ワーキングプア・ローヤーズという言葉があるのを御存じですか。(池坊副大臣「はい」と呼ぶ)御存じですか。私もびっくりしたんですけれども、ワーキングプア・ローヤーズ。ワーキングプアというのは雇用の問題でいろいろ出ていましたけれども、ローヤーになってもワーキングプアだ、そういうことで本当にいいのかな。これは、やはり合格者数の問題もありますし、考えなきゃいけないんじゃないかな。池坊副大臣おっしゃったように、司法試験合格者で司法修習を終了した皆さんが全員法曹になる必要はないと私も思います。行政の分野に進む方がいてもいいし、当然、企業法務を担当されてもいいと思うんです。

 司法制度改革の最初の議論のときには、規制改革の方で、企業法務に人材が不足しているから司法制度を改革して、法曹になるんじゃなくて企業法務を担当してもらう人たちのパイを広げる必要があるんだということを、オリックスの宮内さんとか旭リサーチの鈴木さんでしたか、一生懸命言われて、多分、弁護士会もそれに乗っかった部分があるんですね。それで、みんな、どどっと行ったけれども、では、実際に司法修習が終わってみたら、どこも雇ってくれない。結局、去年は日弁連が一生懸命弁護士さんにお願いして、本来、勤務弁護士を雇えないような、雇う予定もないような法律事務所が無理にみんな抱え込んだんですね。やっと一応全員就職できたという形になって、それでもやはり、先ほど言った軒弁とかそういうのが出てきてしまっている。ことしは八百人、これはもう絶対収容できないですよ。

 実は去年の暮れ、私の法律事務所にも一人、雇ってくれという子が来まして、うちのパートナーがどうしようかと言ってきたんですけれども、そんな雇う予定もないし、要するに、弁護士一人雇うということは相当給料を用意しなきゃなりませんから、そうすると、売り上げを上げなきゃならない。こちらとしてもいろいろなことを考えなきゃいけないということで、本当に申しわけなかったんですけれども、お断りして、東京の方の知り合いの弁護士の事務所を紹介しました。何とか就職が決まったというふうに先週報告を受けたんですが、決まった就職先も、まだ若手の弁護士さんで、何年先まで雇ってもらえるかわからないというような話をしているんですね。そうすると、こういう八百人就職先がないというのは、本当に現実の問題として、現場で今、司法修習生の人たちが一番苦しんでいる話じゃないのかな。

 もともと優秀な司法修習生というのはいるんですよ。東大に行って現役でぱっと受かって、私の事務所で先日、司法修習をしていた女性の修習生は、TOEIC九百二十五点と履歴書に書いてきました。もうびっくりしちゃいますよね。そういう子は、受かった途端に渉外事務所に来ませんかと言われるんですね。そうじゃない普通の、まじめに一生懸命勉強してきて、何とか法曹になりたい、本来、そういう人たちに道を開いた新しい法曹養成制度であるはずなのに、そういう人たちが一番困っているというのは、ちょっとやはり制度設計のときと現実が違ってきたら、私は見直す必要があると思うんですね。

 池坊副大臣がおっしゃったように、確かに閣議決定があります。ただ、そのままいっちゃって本当にこの一、二年、いいんだろうか。三千人になった上でもう一回考えればいいんじゃないかという意見もありますけれども、多分、鳩山法務大臣はそういうことを言われているんじゃないんだと思うんですね、本音の部分では。ただ、閣議決定がありますから、大臣として踏み込めないのかもしれませんけれども。

 今、本当に、このときに考え直さなきゃいけない。こういうワーキングプアなんて出てきたときに考えないと、今一生懸命法科大学院で勉強している学生さんがいるわけですから、そこはやはり考えるべきじゃないかな。

 もう一つは、法科大学院の学生は、法科大学院は学費が結構高いですから、奨学金をもらっていますよね。この奨学金が、私は、将来ばかにならないと思うんです。

 文科省の方から法科大学院の奨学金の貸与状況の推移を教えてもらったんですが、平成十八年度で貸与人員七千九百五十六人、貸与金額百五億円。そうすると、一人、大体年間百三十万ぐらい貸与してもらっている。三年間行けば三百九十万ですよね。学生時代も奨学金を受けていたりしたら、これは弁護士にならなかったら返せないですよ、単純に考えて。司法試験も受からない、弁護士にもなれないという人たちが、将来自己破産する人がいっぱい出てくるんじゃないかな、それこそ本当のワーキングプアで。

 そういったことを考えたときに、先ほど池坊副大臣が認可の基準を説明してくれましたけれども、基準を満たせば文科省としては認可せざるを得ないというのはわかるんですが、やはり、七十四校、五千八百人という定員は、仮に三千人体制を維持したとしても、合格できない人たちが物すごくふえてくる。去年で合格率が四割ですか、法学を未修の方たちは合格率三〇%台ですよね。

 そうすると、残りの人たちはどうなるんだということを考えたときに、文科省がこうやれとは言えないんでしょうけれども、全法科大学院が協力してやはり定数減に取り組む。一番いいのは、大きな大学の方から、自分たちはこれだけ定数を下げますと言えば、小さな大学の方もついてこざるを得ないので、そういったところを考えるべきときに来ているんじゃないかなと思うんですが、こうやってやれとは言えませんけれども、大臣、今の私の話を聞いていてどう思われますか。

渡海国務大臣 この問題について今お話をお聞きしておりました。

 実は、どう思われるかと言われますと非常に困るんですが、私は、やはり、これはスタート時期ですから、いろいろなことが起こっているんだろうなと正直思います。果たして、そういうある種の規制みたいなものを本当にかけるのがいいんだろうかというのは、ちょっと正直今お答えができません。

 要は、志を持ってなりたいという人が勉強できる機会というものを用意するというのは、それは教育の責任者としては大事なことだと思います。

 いわゆる司法試験というこの一つの枠の中でいろいろな考え方というのは確かにあると思うんですね。しかし、そういうことが、例えば、未修了者の合格率が三割と今言われましたか、そういうことが見えてくれば、現実に定数というのを構えていても、実は行く人は意外と少なくなってくるんじゃないかなというふうな気もいたします。

 いずれにしても、入り口で絞るのか出口で絞るのか、また、これを労働形態としてこれからどういう形で考えていくのが一番いいのかということは、トータルとして議論をしないとなかなか簡単には答えが出せないなというのが正直な私の感想でございます。

富田委員 時間が来ましたので、これで終わりにしますが、河井副大臣が協議を始めたとおっしゃっていただきましたので、ぜひ、この委員会にもまた来ていただいて、そういう協議を委員会の場でも私はさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 以上で富田茂之君の質疑は終了いたしました。

 次回は、明十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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