衆議院

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第6号 平成20年4月11日(金曜日)

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平成二十年四月十一日(金曜日)

    午前九時四十分開議

 出席委員

   委員長 佐藤 茂樹君

   理事 伊藤信太郎君 理事 江崎 鐵磨君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 渡辺 具能君 理事 小宮山洋子君

   理事 牧  義夫君 理事 富田 茂之君

      阿部 俊子君    井脇ノブ子君

      飯島 夕雁君    遠藤 利明君

      小川 友一君    小渕 優子君

      岡下 信子君    金子 恭之君

      佐藤  錬君    鈴木 恒夫君

      中森ふくよ君    西本 勝子君

      原田 令嗣君    福田 峰之君

      藤田 幹雄君    保坂  武君

      馬渡 龍治君    松野 博一君

      山本ともひろ君    岡本 充功君

      楠田 大蔵君    田島 一成君

      高井 美穂君    藤村  修君

      松木 謙公君    山口  壯君

      西  博義君    石井 郁子君

      日森 文尋君

    …………………………………

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   文部科学大臣政務官    原田 令嗣君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       森口 泰孝君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            徳永  保君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤田 明博君

   文部科学委員会専門員   佐久間和夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  近藤 基彦君     金子 恭之君

  平口  洋君     西本 勝子君

  二田 孝治君     遠藤 利明君

  松本 大輔君     岡本 充功君

  笠  浩史君     松木 謙公君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     二田 孝治君

  金子 恭之君     近藤 基彦君

  西本 勝子君     平口  洋君

  岡本 充功君     松本 大輔君

  松木 謙公君     笠  浩史君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長金森越哉君、科学技術・学術政策局長森口泰孝君、研究振興局長徳永保君及び研究開発局長藤田明博君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田幹雄君。

藤田委員 自民党の藤田幹雄でございます。

 本日は、このような質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。きょうは、研究施設等の廃棄物の処分に向けた体制整備の法案ということでありますが、この廃棄物の処分の法案に入る前に、まず原子力について総括的なお話をお伺いさせていただきたいと思います。

 原子力というのは、基本的に、現在、原油価格が高騰しておりまして、地球温暖化への高まりも受けまして、大変世界的に原子力エネルギーというものが注目をされておると思います。いわゆる原子力ルネサンスという動きになっておるわけでありますが、その一方でまた、スリーマイル島原発事故等々いろいろな……。多数の原発建設が進んでいるということもございます。

 このような状況を踏まえまして、まず渡海大臣にお伺いしたいんですが、原発の重要性についてどのようにお考えかというところをお尋ね申し上げます。

渡海国務大臣 委員御指摘のように、最近、原子力というのがまた世界的に見直されているという状況にあるというふうに認識をいたしております。一つは、やはり地球温暖化等の温室効果ガスの問題というものが大変大きな話題でございます。そういうことを考えた場合に、やはりクリーンエネルギーとして注目をされている、この点が大きいというふうに考えております。

 しかし一方、原子力というのは、さまざまな問題があったことも事実でございます。ただ、例えばチェルノブイリもスリーマイルもどちらも、どちらかというと、技術的というより人為的な問題であったというふうに私は認識をいたしております。

 時間の関係で細かくは言いませんが、そういうことを考えた場合に、やはり安全管理ということをしっかりする、また、そのことをしっかりと国民に説明をするということが大事であろうと思いますが、そういう前提に立って我が国の電力というものを考えた場合に、安定的に、これはエネルギーという意味で安定的に燃料が供給をされている状況、それからもう一点は、やはり価格変動が少ない、こういった国民生活に直接かかわる問題としても有力な選択肢であると思います。

 現状、電力供給の三割ぐらいが日本における原子力エネルギーということだと思いますけれども、そういった意味で、地球環境の問題、また経済、こういったものを両立させるという意味で、今後とも重要であるというふうに考えております。

 ただ、繰り返して申し上げますが、これはやはり安全性という問題、それから信頼性という問題、この問題をしっかりと踏まえた上で、今後とも我が省としてはとらえていきたいというふうに考えておるところでございます。

藤田委員 ありがとうございました。

 私も、原子力発電の重要性については同意をさせていただくところであります。今後とも、ぜひ推進をしていただきたいと思っております。

 もう一点お伺いさせていただきたいんですが、きのう文科の方々からお伺いもしたんですけれども、放射線の利用というところで、発電ということだけではなくて、医療や工業、農業等、最近はさまざまな分野で利用されており、もう国民生活には原子力というのは欠かせない状況となっておるわけであります。身近なところにおいては、医療機器であるCTスキャンとかMRIとか、そういったところにも使われているところは皆様御承知のとおりであります。

 その中で、J―PARC計画というのがあるというふうにきのうお伺いをしました。これは、大きな加速器を用いて、最先端技術を駆使して、いわゆる大強度陽子加速器計画ということで、この研究が進みますと、大変高性能の燃料電池や水素を安全に取り扱う環境問題への貢献、たんぱく質の詳細の構造解析等々によって、各分野において研究開発が大変進むというふうにお伺いをしております。かなり大規模な計画であるというふうに思っておりますが、このことにつきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 委員御指摘のように、J―PARC、これは高エネ研とたしか原研が一緒になってやっていると思いますが、世界最大のパワーを持っている、強度を持っている中性子のビームというものを持っておりまして、さまざまな利用が考えられるわけでございます。

 一言で言えば、応用物理学といいますか実験物理学の世界というのはなかなか、専門家の世界でございまして、私も何となくばくっとしかわからないわけでございますが、いろいろなこういう装置を通して見えないものが見えるということであろうというふうに思っております。分子を解明するとか、また一方、加速器でいいますと、SPring8という加速器がございますけれども、これはJ―PARCではございませんが、こういったものを通じて物質の根源であるいろいろな物質を見ることができるということによって、これが製薬につながったり、また医療につながったり、そういった分野に発展をしていくということであろうと思います。

 ただ、実験しているだけでは意味がないわけでございますから、これを現実に利用していくということが大事でありまして、このJ―PARCにつきましても、ことしの五月に産業界の中性子ユーザーから成る中性子産業利用推進協議会というものが設立をされる予定でして、広く産業界を含めた中性子の利用体制を整えるということが必要であるというふうに認識をいたしておりまして、今後とも、幅広い研究者、技術者に活用されている、先ほど申し上げましたSPring8、こういったものの利用体制も参考にしながら、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律、こういったものも念頭に置きつつ、この利用促進方策について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

藤田委員 大臣、ありがとうございます。

 それでは、これから法案の本題の方に入らせていただきたいと思うんです。

 まず、廃棄物という問題でありますけれども、原子力発電の方は廃棄物の処理というのがかなり進んでいるというふうに聞いておったわけでありますが、今回、研究施設であったり、あるいは医療、産業等の幅広い分野において放射性廃棄物というものがどのように、私は、当初は、原発と同じように保管をされて処理をされているのかと思っておったわけでありますが、残念ながらこのような廃棄物の処分施設がないということが判明をいたしました。研究施設とか大学等では、もう数十年にわたってこのような原子力開発というのは進んでおるわけでありまして、その処分というのが大変大きな問題であると思います。

 そこで、我が国における研究施設の廃棄物の保管状態について、現在、一体どのぐらいの量が保管をされていて処分が必要であるのかということ、そしてまた、それが安全性がきちんと担保されているのかということをまずお尋ねしたいと思います。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 今委員御指摘にございました、原子力の研究施設やRIの利用の現場から発生をいたします廃棄物につきましては、文部科学省におきまして、ことしの二月から三月にかけまして、これらの廃棄物を保管しているすべての事業者を対象に、昨年の末時点での保管廃棄物量について調査を実施いたしました。この調査結果によりますと、これらの事業者が現在保管をしている廃棄物量は、二百リットルドラム缶に換算をいたしまして合計で約五十五万本という数字になっております。

 安全管理についてでございますけれども、これらの廃棄物につきましては、原子炉等規制法や放射線障害防止法などの規定に従いまして、各事業者の事業所において、例えば管理区域へのあらかじめ認められた者以外の立ち入りを制限するとか、それから管理区域内における放射線の量や放射性物質による汚染の状況を定期的に測定をし、異常がないことを確認するなどの措置を講じることで適切に安全管理がなされているというふうに承知をいたしております。

藤田委員 ありがとうございます。

 五十五万本という大変多くの廃棄物のドラム缶が、行き場がなかったということで単純に保管をされていたということであります。各事業者にとって、その保管場所を確保したり、あるいは管理をしたりというのは大変大きな負担であるというふうに思ってしまうわけであります。これからこのような処分体制というものをきちんとすることが、研究開発等に必須条件となるというふうに考えるわけであります。

 ここからまた、この法案についてお伺いさせていただきたいと思います。

 今回のこの法案では、体制整備ということでありますけれども、具体的にはどのような内容で整備をするのか、お伺いさせていただきたいと思います。

渡海国務大臣 今委員御指摘をいただきましたように、研究開発を進めていく上でも、最終的に発生をいたします放射性廃棄物の処分というのは、これは原子力共通の問題でございますが、やはり燃料から廃棄物まできっちりと管理をされている、また安全に管理をされているというのは重要な問題でございます。

 これまでもこの問題というのは問題意識としていろいろと議論がされたところでございますけれども、各事業者が持っておりますといいますか、発生をする廃棄物の量が非常に少量である、いろいろなところで行われていた、例えば医療現場とか小さな研究所とか、そういうことが一つあって、みずから処分を行うということが余り現実的ではなかったということ。それから、放射性廃棄物の事業というのは、これはもう御案内のことでございますが、立地というのが大変困難でございまして、しかも、例えば今回の場合、三百年ぐらいと考えられますが、大変長期にわたって保管の責任がある。こういったことを考えた場合に、なかなかこの処分事業を実施するという民間事業者があらわれなかったという点が一点ございます。

 同時に、放射性廃棄物、今局長の方からこれぐらいの量という説明があったわけでありますが、かなり多くの部分は、従来の核燃料サイクル機構と原子力研究所、現在の原子力研究機構が持っておりまして、そういった意味も含めて、喫緊の課題である体制整備を、原子力機構がみずからの廃棄物と他者からの処分の委託を受けた廃棄物もあわせて処分をすることをやるということで、従来もできなかったことではないんですけれども、きっちりとそのことも本来業務に位置づけてやるというのがこの法律の一つの大きな目的でございます。

藤田委員 どうもありがとうございます。

 このような形で処分を行っていくということでありますけれども、まず、廃棄物処分の運営は原子力機構というところがされているというふうに聞いておるわけであります。

 これまで原子力機構といいますと、さまざまな、「もんじゅ」であったりとかアスファルトの固化処理施設等々の事故に代表されるとおり、余り安全性に、本当に大丈夫なのかというようなイメージを持たれていることも一方にあると思います。このような原子力機構が、みずからつくった廃棄物と他者から処分の委託を受けた廃棄物を処分するということでありますけれども、このような処分施設というのは大変ほかの民間事業者にとっては大きな負担であるということを考慮すると、原子力機構というところが率先して行っていくことというのは非常に大切ではあると思います。しかしながら、国民の中で、原子力機構に対するイメージといいますか、安全性の信頼性というものがまだまだ足りない部分があるのではないかというふうに思ってしまうんです。

 「もんじゅ」の事故なんかに加えて、実は私は新聞で一つ発見してしまったんですが、日立の原発配管強度計算ミスというのが新聞で書いてありました。このようなことで計算ミスがあったというような記事でございました。このようなことを踏まえて、本当に大丈夫なのかというような心配をされる方もおいでであると思いますけれども、このような信頼性につきましてどのようにお考えかという御見解をお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 委員から御指摘ございました平成七年の「もんじゅ」の事故でございますとか、それから平成九年のアスファルト固化処理施設の事故などへの、当時、動力炉・核燃料開発事業団でございましたが、動燃事業団の対応につきましては、反省すべき点があったことは事実でございます。そういった事実の上に立ちまして、その反省に立ちまして、現在の原子力研究開発機構は、事故はもとより、それに至らないふぐあいなどが起こった際にも徹底的な原因究明と対策を講じ、その結果について国、地元へ報告を行うとともに、情報公開に努めているものと承知をいたしております。

 また、原子力機構におきましては、安全確保の徹底と社会からの信頼を得るために、品質保証の強化や、運転マニュアルのチェックなどを通じた安全管理体制の強化、それから組織全体で相互に支援するなど危機管理体制の強化、また事例に基づく研修など職員全員へのコンプライアンス、法令遵守教育の実施などの取り組みが進められているというふうに承知をいたしております。

 今後も、原子力研究開発機構がこのような取り組みを積極的に進めまして、安全確保を最優先に、国民から信頼を得られる組織運営によって処分事業が確実に実施されるように、文部科学省としても指導をさせていただきたいと思っております。

藤田委員 ありがとうございます。

 放射性廃棄物の処理というのは、安全確保というのがまず最低条件でありますし、また、国民の信頼や、あるいはそこの付近の地域住民の信頼を得るということがまず何より大切であると思います。国民から信頼をきちっと得られるような組織運営というものを原子力機構にこれから強く要請していただきたいというふうに思うところであります。そして、文部科学省としてもこのことを適切に御指導いただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 そして、今回の処分事業というのは、いわゆる発生者責任ということが原則であるというふうにお伺いしております。他の事業者の部分については、処分料金を取って、委託を受けてやるということでありますけれども、一つ問題なのは、その資金管理というものが当然疑われてはいけない。ほかから持ってきたのをまた違うものに使ったりとかいうことがあってはまた大問題になってしまうと思うわけでありますけれども、この辺の、資金の管理の透明性とか、あるいはきちっとした独立性や管理体制というものがどのようになっていくのかというところをお伺いしたいと思います。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 研究施設等の廃棄物の処分事業におきましては、今委員お話ございましたように、原子力機構がみずからの廃棄物の処分を行うとともに、ほかの事業者からの廃棄物につきましても、発生者責任の原則に基づいて、処分に必要な費用を徴収した上で処分事業を実施するということとしているわけでございます。

 そのため、処分事業におきます財政状況などを外部から評価、判断できるようにする必要があること、それから、他の事業者が負担した処分費用が原子力機構のほかの研究開発業務などに流用されないよう管理する必要があることから、今回お願いをいたしております原子力機構法の改正によりまして、処分事業にかかわる費用を独立して管理する特別な勘定として処分事業勘定を新設することとしているものでございます。この処分事業勘定によります事業につきましては、独立して実施計画を定めましたり、事業の決算や評価を行うということで、適切に国がチェックしたり、関連情報が公表をされるというふうにすることといたしております。

 これらを通じまして、処分事業の独立性、透明性を制度的に確保したいというふうに考えているところでございます。

藤田委員 ありがとうございます。

 ほかの事業者に誤解を招くことがないように、きちんとした管理、徹底をお願い申し上げたいと思います。

 そして、次に、処分事業にかかわっているところでは、安全確保というのが非常に重要な命題だと思います。先ほど大臣から御説明をいただきましたとおり、完全に原子力の放射能がなくなるのが三百年かかるということでありまして、要するに、三百年間はきちんと管理をしないと、そこで重大な事故につながってしまうということであります。本当に三百年もきちっと管理できるのかというのが大変心配になってきてしまうわけであります。

 このように、原子力機構が処分事業を実施する際に、廃棄物というものの性質上、単純に埋設してしまえばそれで終わりということではなくて、三百年間、きちんと安全性というものを担保し、そしてまた、それを国民や地域住民の方々に説明する必要があるというふうに思うわけでございます。その辺のところにつきまして、どのようにお考えかというところをお伺いしたいと思います。

渡海国務大臣 お答えをさせていただく前に、先ほど委員から御質問がございました、信頼が得られる組織運営というのは大変重要であると考えております。

 先ほどお出しになりました二つの事故の例は、いずれも、どちらかというと、やはり組織の運営上の問題といいますか管理の緩みといいますか、そういったことに起因するものだと私は理解をいたしておりますし、それから同時に、原子力事故を見ていますと、やはり設計の段階で考え方が甘かったんじゃないかというような例も見られるわけでございまして、そういった点について、私は、原子力というのはやり過ぎてもやり過ぎることはないというぐらい何重にもガードをしていかなきゃいけないということが大事だと思います。

 事実、「もんじゅ」も、私はちょうど副大臣として随分かかわったんですね、あの事故の後。あのコンクリートの部屋の中にきっちりととまっているわけですよね。このガードみたいなものを何重にもつくっていく。しかしながら、それでも人為的に、例えば発表がおくれたとか、こういうことがあれば、実は国民の信頼というのは大きく揺らぐわけでありますから、そういう組織運営の管理というものをしっかりやるように今後とも指導していきたいというふうに思います。

 先ほどの御質問でございますが、安全管理ということでありますけれども、これにつきましては、既に低レベルの放射性廃棄物というのは、原子力発電所の廃棄物、これである程度いろいろな考え方とか技術が確立をされていると言っていいというふうに考えております。

 今回も、具体的には、浅地中処分、浅い地下に埋めて、これは浅い方が地下水が少ないわけでありますから、そういった意味で、きっちりとガードをして地下水が流入しないようにカバーをする。このことによって放射能が外へ漏れない。簡単に言いますと、こういったやり方でしっかりと、三百年でございますから、安全管理の体制というのも大事だと思います、安全管理の体制も含めてやっていきたい。そのことをしっかりと指導していくということも我が省としても大事な仕事だと思っておりまして、法律もありますから、その法律に基づいてしっかりとやっていただくように、文部科学省としても指導していきたいというふうに考えておるところでございます。

藤田委員 大臣、ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、安全確保というのが本当にこの事業は極めて大切だと思います。ぜひ文部科学省の方からもそのような指導徹底をお願い申し上げたく思うところであります。

 そして、この法案が成立しまして、実施体制が整ったところでいよいよ事業が始まってくるわけでありますけれども、その中で、まず最も重要となるのが、一体どこにこれをつくるのかというところであります。立地活動といいますか、場所の選定というものがこれから行われてくると思うんですけれども、当然、余り十分な情報が行き渡らないと、地域の住民の方あるいは地方自治体の方々の反対運動とか、そういうことが起きてしまう可能性もあると思います。

 先ほどおっしゃったような、安全性を担保するというところをきちっと説明するということが大事だと思いますし、また、そのような理解を得るための何らかの方策というものが必要ではないかと思うわけでありますが、そのことにつきまして、大臣にお伺いを申し上げたいと思います。

渡海国務大臣 立地の問題というのは、大変難しい、また重要な問題でございます。これまでも、低レベルだけではなくて、例えば鳥取県の方面のウラン残土の問題とかさまざまな問題で、放射性廃棄物というものは大変住民に理解をしていただかなければ処分ができないということを我々も経験してきたところでございまして、おっしゃるように、これは原子力機構だけがやってもなかなか難しい点もございますので、国としても責任を持って、我が省ということになると思いますけれども、今後とも一体的に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。

 その際、やはり大事なことは理解を得ること、そのために、何度足を運んででも説明をきっちりとさせていただくこと、同時に、やはりそのことを理解していただくために、いろいろな意味での、地域と一体となった、例えば地域振興等も含めて、地域の御協力をいただくことに努力をしていくための対策というものを今後とも検討して推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

藤田委員 大臣、ありがとうございます。

 安全性の担保と、それを説明するところがこの法案に関しては一番重要じゃないかというふうに思うところであります。

 私は、これは原子力機構だけに任せていてもなかなか難しいんじゃないかと思うところであります。やはり大臣が先頭で指揮をとられまして、積極的にその立地活動及び説明活動をしっかり行っていくことが重要じゃないかというふうに思うわけであります。

 今回の法案、最後に整理させていただきますけれども、まず、発電以外の廃棄物の処理というところがずっと先送りにされていた、そして今回、原子力機構を中心に、ほかの研究施設での廃棄物も一緒にきちんと処分をしていこうというところであります。

 これから我が国が、国際社会の中で、このような原子力研究であったり開発であったりというところは、しっかりまず、この廃棄物の処理というのが、足元を固めていくというのが極めて重要ではないかと思うところであります。したがいまして、きちんと、大臣のリーダーシップのもと、このことを推進して、国民に信頼をいただけるような形にしていただければというふうに思うところであります。

 時間がそろそろでありますので、最後に、大臣の大所高所からのこの事業に関する意気込みをお伺いして、終わりたいと思います。

渡海国務大臣 今回法律を提案させていただいた理由等につきましては、先ほど御説明をさせていただきました。私も、いろいろな意味でこの法案につきまして、大所高所というより細かいところまでつついて、なぜ原研がやらなきゃいけないかということも含めて検証はさせていただいたつもりでございます。

 原子力というのは、やはり一番大事なのは、国民の理解と、それから、その施設が立地をする地域の住民の皆さんの理解というものがなければ先に進まないわけでありますから、そういったことを常に念頭に置きながら、しかも安心していただける、そういった努力を重ねながらこの事業を実施していきたいというふうに思っております。

 国会議員の先生方は、そういった意味では各地域をお持ちなわけでございますから、いろいろな意味で、これからの日本のエネルギー確保という点、また地球環境、こういった問題からも御支援なり御協力なり、また同時に、厳しい御意見も含めた御指導をいただけますれば幸いというふうに感じておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

藤田委員 以上でございます。大臣、丁寧な御説明をありがとうございました。

 以上で終わります。

佐藤委員長 以上で藤田幹雄君の質疑は終了いたしました。

 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 今、自民党の藤田議員の方からの質問で、この法案の必要性等について大臣から御説明がありましたけれども、最初にこの法案の概要を文部科学省の方から説明を受けたときに、何で今ごろこんなことをやっているんだというのが正直な印象でした、今まで何をやっていたんだと。先ほど局長の方から、二月から三月に調査して、二百リットルのドラム缶換算で五十五万本というようなお話がありましたけれども、それだけたまるまで何をしていたのかなというのが正直な印象でした。

 調査室の方からいただいた資料を見ますと、平成六年の六月二十四日に、原子力委員会が原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画を公表しまして、その中で、放射性廃棄物に対する早急な検討を始めろというふうに求めています。また、平成十年五月二十八日には、原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会から「RI・研究所等廃棄物処理処分の基本的考え方について」という報告書が提出され、ここでも、関係機関においては処分事業の具体化に向けた諸準備に早急に取り組むことが必要であるというような指摘がされていました。

 このときから見てもう十年たっているわけですね。今まで一体何をしていたんだというところについて、やはりこの法案の審議に当たって疑問に思うんですが、そのあたりはどのようにお考えですか。

渡海国務大臣 全く同感でございます。ただ、大変難しい事情がなかったとは言えないというのが正直な実感でございます。

 放射性廃棄物というのは、言葉にちょっと語弊があるかもしれぬが、厄介者でございまして、なかなかだれも引き受けてくれない、そういう中で、やはりぎりぎりにならないとなかなか仕事が進まないのかなというのが正直な実感でございます。

 事情としては、非常に多種多様な放射性廃棄物がいろいろな事業所から出されて、しかもこれは、原研は少し違いますが、非常に少量なものがいろいろなところでためられているという状況がございます。そういうことでありますから、関係者間でいろいろな意見を調整するとしてもなかなかまとまらなかった、また引き受け手がなかったということもあろうかというふうに思います。

 それから、先ほどからお話が出ておりました立地の問題ですね、こういった問題もあるということになりますと、なかなか民間でやろうというふうには話が進まなかったんだというふうに承知をいたしております。

 同時に、だとするならば、例えば国の独法である、昔は国の機関である、こういったところがなぜできなかったかということになるわけでございますが、ちょうどここ数年来、行政改革の中で、例えば核燃料サイクル機構とそれから原子力研究所、これが統合されるとか、これは五年前ぐらいに議論されていたと思いますが、こういったことがあってなかなか実施主体が決まらなかったという状況であろう。説明というよりこれは言いわけっぽくなりますけれども、そんな状況があってなかなか進まなかったわけでありますけれども、この二つの大きな機関が一元化されたのが十七年の十月でございます。

 こういうことによって、先ほど来説明をいたしておりますような実施主体が割とはっきりと決まってきた。将来予測をやりますと、約八割ぐらいが原子力開発機構から出てくるということでございますから、そういうことを踏まえて、今回、最終的にこのような形でまとめさせていただいたといいますか、そのことによって、法案を提出し、実施主体というものをしっかりと確保するということに至ったと御理解をいただければというふうに思います。

富田委員 いろいろ大変なことがあったんだ、また、新しい機構ができたのをきっかけにここできちんとやるんだということだと思うんですが。

 この法案の審議の前提として、我が党の部会で、何度も部会を開かせていただいて、いろいろ文科省の方から説明を受けました。先ほど局長の方で、二月から三月に調査した結果、二百リットルドラム缶換算で約五十五万本、今までたまってきているんだというお話がありました。

 法案提出の前は、概要の一枚紙で説明をいただいたときには約五十一万本と書いてあったんですね。この五十一万本が、十六年の十二月末で約五十一万本、十九年度末に法案をつくって、この二十年に国会へ出てきて、幾ら何でも三年前の調査でこの法案審議というのはないだろうということで指摘させていただいたら、文科省の方でちゃんと調査しますということで、先ほど、二月から三月まで調査の結果五十五万本だというふうな数字を局長の方で述べられていました。

 四万本近く差があるわけですね。調査室の資料でもやはり五十一万本というような数字が出ていました。この四万本の差はどこから出てきたんですか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 委員御指摘のように、公明党の方から、十分な調査をして最新の保管廃棄物量をきちっと出すべきではないかというふうな御指摘をいただいたところでございまして、本年二月から三月にかけて、研究施設等廃棄物を保管しているすべての事業所を対象に、最新の保管廃棄物量について調査を実施したところでございます。

 その結果といたしまして、昨年の十二月末時点での合計の廃棄物量が二百リットルドラム缶本数換算で約五十五万本となったところでございます。前回、十六年の調査におきましては、必ずしもすべての事業所をカバーできていなかった部分がございます。それから、十六年から十九年末までの間での廃棄物の増量、そういったものが合わさりまして約四万本の増となったというところでございます。

富田委員 今のお話ですと、十六年末までは決して全量の把握ができていたわけじゃない、漏れていた事業所も多分あったんだろう、それから三年たっているのでふえた分もあるということですけれども、それだと、やはり毎年どのぐらい残っているのかの調査をきちんとせざるを得ないんだと思うんですね、これからずっと処理していくわけですから。そういう意味で、きちんとそういう措置をとるべきじゃないかというのも公明党の部会の方で指摘させていただきました。

 異例のことだと思うんですが、法案審査の前にそういう措置を文科省の方できちんととっていただいたというふうに伺っていますので、毎年度、全事業所でどれだけの廃棄物が出てきているのかを把握するための措置を、具体的に、どんなふうにとられたのか、ちょっと説明をしていただきたいと思うんです。

森口政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省におきましては、放射性廃棄物の埋設処分の実施に向けた体制整備、これは今般検討されているところでございます、そういうことを踏まえまして、発生する放射性廃棄物の量を把握するために、まず、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則、それから核燃料物質の使用等に関する規則、これの一部を改正いたしまして、今年、平成二十年の三月三十一日に施行したところでございます。

 具体的に申し上げますと、まず、放射性同位元素等の許可届け出使用者、それから許可廃棄業者に対しましては、放射線障害防止法施行規則を改正いたしまして、毎年度、放射性廃棄物の種類、数量、保管本数の報告を求めるようにしたところでございます。

 それから、核燃料物質の使用者につきましては、これは改正前におきましても、法令に定める一定量以上の核燃料物質使用者につきましては保安検査が義務づけられておりまして、放射性廃棄物の量等については把握できておったわけでございますが、今般の改正で、一定量未満の核物質使用者に対しましても、核燃料物質使用規則を改正いたしまして、毎年度、放射性廃棄物の種類、数量、保管本数の報告を求めたところでございます。

富田委員 三月三十一日に施行していただいたので、これがきちんと実行されていけば、毎年度末、全量の把握ができると思います。調査室の方でつくっていただいた資料ではここの部分がまだ載っていませんので、ぜひ、文科省の方でも、野党の皆さんにも詳しく説明していただいて、次の機会に十分な審議ができるようにしていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、先ほど、藤田議員の方からも、各機関から集めたお金がきちんと透明性を持って確保されなきゃいけないという御指摘がありましたけれども、今後の処分に必要な資金について、処分費用の確保方策について、科学技術・学術審議会の報告書の指摘によれば、拠出金方式とか外部積み立て方式による積立金制度をとるべきだという指摘がされていたと思うんですが、今回は、原子力機構の中に従来の研究開発のための勘定とは別に独立した特別の処分勘定を設けるという先ほどの御説明でした。

 せっかく審議会の方で議論してかなり詳しい報告書が出ているのに、これと全く違った形での必要な資金の確保方策をとったというのは、何か特別な理由があるんでしょうか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 処分費用の確保方策につきましては、委員御指摘のとおり、平成十八年九月の科学技術・学術審議会の原子力の研究開発に関する委員会の報告書におきまして、「長期にわたる資金の積立て及び支出が適切かつ確実に行われるとともに、資金管理の中立性・透明性を確保できる制度を構築することが望ましい。」との考え方に基づき、「拠出金方式又は外部積立方式を中心に検討することが適切」とされたところでございます。

 しかしながら、研究所等廃棄物の大半の発生者でございます原子力研究開発機構におきましては、総事業費の約八五%を負担しなければいけないというふうな試算になりますので、平成二十年度から、予算措置といたしまして、毎年度処分費用を積み立てることとしているところでございます。

 また、二番目に廃棄物の保有量が多くなります社団法人の日本アイソトープ協会におきましては、RI廃棄物の集荷に当たりまして、処分費用まで含めて料金の徴収を行い、既に資金の積み立てを行ってきているところでございます。

 また、それ以外の事業者につきましては、先ほど来大臣からお話し申し上げておりますように、出てまいります廃棄物の量が処分費用を積み立てておかなければならないほどの大きな量になるわけではないということから、各事業者の実情に応じた支払い方法とすることが合理的と考えられるというふうなことから、拠出金方式や外部積み立て方式のように一律に強制的な積み立て義務を課さなくても、発生者責任の原則に基づいて、円滑に処分事業が実施できるというふうに判断したものでございます。

 また、原子力機構の中に独立した勘定を設けて対応するという、この国会でお願いをしております法改正案の内容におきましても、法律による明確な区分経理、それから実施計画についての国の認可、監査法人や会計検査院等による財務諸表等のチェックなどによりまして、資金管理の中立性、透明性を十分確保できるというふうに判断をした次第でございます。

 以上を踏まえまして、報告書の趣旨を可能な限り実現しつつ、最も実効性の高い方策として、現行の案を国会に提出させていただいた次第でございます。

 なお、今回のこの考え方につきましては、ことしの三月十日に、報告書をお出しいただきました原子力分野の研究開発に関する委員会にも御報告をさせていただきました。御報告をさせていただきましたところ、廃棄物発生事業者の実情等を踏まえると適切なものであるというふうに御見解をいただいているところでもございます。

富田委員 今、三月十日に審議会の方に報告したというふうに初めて聞いたんですが、我が党の部会では、審議会でこういう報告書が出ているのに全く違った方式をとるのであれば審議会にもう一回差し戻せというような厳しい意見もあったんですが、それについては、今局長が説明されたような、こういう経過だからというお話がありました。また、審議会に報告して了承されたということですので、我が党の部会での議論も役に立ったのかなと思います。

 一点、今後、この法律が成立して処分事業が始まると、国が基本方針を決めますよね。機構の方で実施計画をつくって、これを国が認可する。ただ、このときに、国会の方に報告しろとか、そういう規定は一切ないわけですよね。もう事業としてはずっと流れていってしまう。

 資金の透明性とかそういうことを考えたときに、先ほど藤田議員も言われていましたけれども、きちんと明らかにしていくということは大事だと思いますので、法律上の義務ではないですけれども、やはり国会の方の審議にできるような何らかの手段を考えてもらいたいと思うんですが、そのあたりはいかがですか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 先ほど御説明を申し上げましたように、処分勘定という特別な勘定を設けまして、そこにお金を入れます。それから、国が処分に当たりましての基本方針を定めまして、それに即して原子力機構から実施計画を提出させ、国が認可を行うわけでございます。

 その基本方針や事業実施計画の認可に当たりましては、先ほど来御説明をさせていただいております科学技術・学術審議会の原子力の委員会にきちっとお諮りをする、それからまた、その際にはパブリックコメント等に供させていただくということで、積極的に、国として国民の御意見等もお聞きをしながら手続を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

富田委員 ぜひ、国会の方でも審議できるような手だてをとっていただきたい。パブリックコメントで出していただければ、それをもとに質問することもできますので、そのようにやっていただきたいというふうに思います。

 ちょっとこの法案から離れて、一点確認をさせていただきたいんですが、海外の修学旅行に行って再入国する外国人生徒の個人識別情報提供の免除についてということをお伺いしたいと思います。

 昨年の十一月に施行されました出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律によりまして、テロリストの入国を阻止するため、特別永住者を除く十六歳以上の外国人は、入国審査時において個人識別情報として指紋及び顔写真を提供することになりました。

 ただ、今、高等学校で海外の修学旅行によく行かれるわけですよね。その際、再入国する際の外国籍の生徒さんが、この個人情報の提供ということで、ほかの生徒さんと一緒に帰ってくるのに、外国籍の生徒さんだけ指紋をとられて、顔写真を撮られる。これはちょっと問題じゃないかという御指摘を受けまして、我が党の法務部会と文部科学部会合同で、二月十四日、鳩山法務大臣に申し入れをしました。

 修学旅行というのは、そもそも学習指導要領に明記された特別活動等に基づいて各都道府県教育委員会の承認を得て実施されているわけですから、この中にテロリストなんか入るわけないんですね。テロの防止ということで指紋押捺と顔写真の義務づけがされたんですが、たまたま外国籍だからということで、ほかの日本人の生徒さんと一緒に海外に修学旅行に行って、いろいろな経験を積まれて帰ってきたのに、その子だけが指紋をとられ、顔写真を撮られるということで、これはちょっと人権上も問題じゃないかということで、何とかこの生徒さん、少なくとも修学旅行で行かれた生徒さんにはこういう義務を外すべきじゃないかということで鳩山法務大臣に申し入れをさせてもらいました。

 申し入れの際、大臣も、そんなふうになっているのか、知らなかったということで、何とか自分のところでやりたい、できれば省令を改正して、きちんとこの春からの修学旅行に対応したいというふうに言われていたんですが、実は、先日、我が党の法務部会、文部科学部会の合同部会の方に法務省の入国管理局の方が見えまして、とりあえずゴールデンウイークの修学旅行に間に合うように運用で免除したい、免除する方向でやっていきたいというふうに御説明を受けました。

 どういうふうにやるのかというと、あらかじめ法務省が定めて文部科学省を通じて周知する方法により、学校長が対象となる外国人生徒の身元保証を行って、都道府県教育委員会、市町村教育委員会、都道府県知事または国立大学法人の学長に報告して、これらの者が地方入国管理官署に通知することにより個人識別情報の提供義務の免除がされるというふうに、法務省の入国管理局の方で、まず運用面でやってみますという御説明を受けました。

 この説明によると、文科省の方できちんと各機関に通知していただかないと、入国管理局の方でやりますよと言っても実際には動かないわけですよね。この点は、文科省の方としてはどのように措置されたんでしょうか。

金森政府参考人 お答えを申し上げます。

 海外修学旅行により再入国する外国人生徒の個人識別情報提供の免除についてでございますが、ただいま御指摘ございましたように、法務省におきましては、入国法施行規則を改正いたしまして学校教育法施行規則に規定する特別活動としての旅行により再入国する外国人生徒の個人識別情報の提供義務を免除することとし、そのための省令改正を進めていると伺っておりますが、この省令改正が行われるまでの間におきましても、連絡があった外国人生徒につきましては、現行法令のもとで、海外修学旅行による再入国する外国人生徒からの個人識別情報の提供義務を免除することといたしました。

 こうした措置につきましては、法務省が四月八日付で地方入国管理局あてに指示いたしますとともに、文部科学省におきましては四月十日付で各教育委員会等あてに事務手続の周知の文書を発出したところでございます。

富田委員 局長、これは、どういうところに問題があるのかをそれぞれの教育委員会が理解していない部分がまだあると思うんですね。実際にそういうことをされた生徒さんがいる地域からやはり要望が上がってきていますので、経験がないと、教育委員会の方でも、この通知は一体何なんだというようになってしまうと思うんですね。

 入管法改正のもともとの趣旨とか、今回なぜ外国籍の生徒たちの修学旅行の際に義務を免除したのかという趣旨も通知に当たってよく伝えていただいて、教育委員会の方がきちんと動いてくれないと、これは幾らこういうふうに運用で変えるんだと言ってもできませんので、その点をぜひ丁寧にやっていただきたいと思うんですね。

 今回は、法務省の方ですぐよく動いてくれたなと思うんですね。運用でというのは、本来、なかなか難しいと思うんですね。この改正入管法ですと、下記の免除者を除き、日本に入国する外国人のほぼすべてが対象となりますというふうに書いてあって、免除される人は、まず特別永住者、そして十六歳未満の者、外交または公用の在留資格に該当する活動を行おうとする者、四番目として、国の行政機関の長が招聘する者、五として、三また四に準ずる者として法務省令で定めるものというふうになっているんですが、省令の改正がまだできていませんので、法務省に聞きましたら、国の行政機関の長が招聘する者というところを大きく解釈して、各都道府県教育委員会の方できちんと処置してもらえばこの運用でやるんだということですので、なかなかこの条文からはすんなり出てきませんから、ぜひ文科省の方で丁寧に御説明をいただきたいと思います。その点、どうでしょうか。

渡海国務大臣 この話は、ついこの間聞きまして、大変適切な御対応をいただきましてありがとうございました。

 より徹底して現場に趣旨がおりるように私の方から再度指示をしまして、先生の今の御発言の趣旨も踏まえてきっちりと対応させていただきます。

富田委員 まだ時間前ですけれども、質問はこれで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

佐藤委員長 以上で富田茂之君の質疑は終了いたしました。

 次回は、来る十六日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十七分散会


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