衆議院

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第7号 平成20年4月16日(水曜日)

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平成二十年四月十六日(水曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員   

   委員長 佐藤 茂樹君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小渕 優子君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 渡辺 具能君 理事 小宮山洋子君

   理事 牧  義夫君 理事 西  博義君

      阿部 俊子君    赤澤 亮正君

      井脇ノブ子君    飯島 夕雁君

      稲田 朋美君    浮島 敏男君

      小川 友一君    大塚 高司君

      岡下 信子君    加藤 紘一君

      近藤 基彦君    佐藤  錬君

      鈴木 恒夫君    高木  毅君

      中森ふくよ君    原田 令嗣君

      平口  洋君    藤田 幹雄君

      藤野真紀子君    二田 孝治君

      保坂  武君    馬渡 龍治君

      松野 博一君    矢野 隆司君

      山本ともひろ君    石川 知裕君

      岡本 充功君    楠田 大蔵君

      田名部匡代君    田村 謙治君

      高井 美穂君    土肥 隆一君

      平野 博文君    藤村  修君

      山口  壯君    笠  浩史君

      高木美智代君    赤嶺 政賢君

      石井 郁子君    日森 文尋君

    …………………………………

   文部科学大臣       渡海紀三朗君

   文部科学副大臣      松浪健四郎君

   経済産業副大臣      中野 正志君

   内閣府大臣政務官     西村 明宏君

   文部科学大臣政務官    原田 令嗣君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 西川 泰藏君

   政府参考人

   (内閣府原子力安全委員会事務局長)        袴着  実君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房総括審議官)         合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      舌津 一良君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       森口 泰孝君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤田 明博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      西山 英彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院審議官)   平岡 英治君

   参考人

   (独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長)   岡崎 俊雄君

   文部科学委員会専門員   佐久間和夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     大塚 高司君

  江崎 鐵磨君     藤野真紀子君

  加藤 紘一君     赤澤 亮正君

  福田 峰之君     浮島 敏男君

  馬渡 龍治君     稲田 朋美君

  松野 博一君     高木  毅君

  田島 一成君     田名部匡代君

  高井 美穂君     石川 知裕君

  松本 大輔君     平野 博文君

  富田 茂之君     高木美智代君

  石井 郁子君     赤嶺 政賢君

同日

 辞任         補欠選任

  赤澤 亮正君     加藤 紘一君

  稲田 朋美君     馬渡 龍治君

  浮島 敏男君     福田 峰之君

  大塚 高司君     飯島 夕雁君

  高木  毅君     松野 博一君

  藤野真紀子君     矢野 隆司君

  石川 知裕君     高井 美穂君

  田名部匡代君     岡本 充功君

  平野 博文君     田村 謙治君

  高木美智代君     富田 茂之君

  赤嶺 政賢君     石井 郁子君

同日

 辞任         補欠選任

  矢野 隆司君     江崎 鐵磨君

  岡本 充功君     田島 一成君

  田村 謙治君     松本 大輔君

同日

 理事江崎鐵磨君及び富田茂之君同日委員辞任につき、その補欠として小渕優子君及び西博義君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

四月十四日 

 高等教育予算増額、私大経常費補助二分の一の早期達成、父母・学生の学費負担軽減を求めることに関する請願(笠浩史君紹介)(第一五七二号)

 私立幼稚園教育の充実・発展に関する請願(近藤基彦君紹介)(第一五七三号)

 同(田島一成君紹介)(第一六七九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一八四八号)

 同(石井郁子君紹介)(第一八四九号)

 同(笠井亮君紹介)(第一八五〇号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一八五一号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一八五二号)

 同(志位和夫君紹介)(第一八五三号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一八五四号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一八五五号)

 同(馬渡龍治君紹介)(第一八五六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一八五七号)

 学費の負担軽減、大学予算増額を求めることに関する請願(笠浩史君紹介)(第一五七四号)

 大幅な私学助成増額に関する請願(馬淵澄夫君紹介)(第一六七八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任 

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が二名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に

     小渕 優子さん 及び 西  博義君

を指名いたします。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 内閣提出、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人日本原子力研究開発機構理事長岡崎俊雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官西川泰藏君、原子力安全委員会事務局長袴着実君、文部科学省大臣官房総括審議官合田隆史君、大臣官房文教施設企画部長舌津一良君、科学技術・学術政策局長森口泰孝君、研究開発局長藤田明博君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長西山英彦君及び原子力安全・保安院審議官平岡英治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平野博文君。

平野委員 おはようございます。民主党の平野博文です。

 四年ぶりの質問でございまして、私は、新人として、非常に緊張して、きょう質問に立たせていただきます。

 きょうの法案は、日本原子力開発機構法の一部を改正する法律ということでございますけれども、それに関連して、もう少し、渡海大臣ともこういう場面でやるのも初めてでありますから、各副大臣の皆さん方にも少し切り分けて、御答弁をちょうだいしたいと思っております。

 原子力開発機構法を一部改正するということに行き立つ経過の中で、なぜこういう状態になってきたのかというそもそものところをきちっと振り返らなければならないのかな。といいますのは、我が国の原子力の平和利用をする、安定的なエネルギーを供給する、こういうことで、原子核をさわって、パンドラのふたをあけたわけですから、そのあけた責任というのは、私は、国の、原子力を推進してきた国策事業としてのあり方にやはり起因するものなんだ、このように思っています。

 そういう中で、そのことの、今、国民に対する、安定的なエネルギーを供給されているということに対しての効果は非常にあるし、これだけさまざま地球的規模で、温暖化であるとかいろいろなことを言われている中で、このエネルギーを供給していくためのスキームはこれからも続けていかなければならないんだろうというふうに私は思っています。

 そういう中で、必ず負の部分として起こり得るものは何なのか。一般的に、我々が物事を処理する、あるいは消化をする、消費をすると、必ずそこにごみというものが起こってくるわけであります。原子力も燃料でありますから、当然、そのプロセス、過程として、いかに効率的な消費をするかというテクノロジーは別にいたしましても、結果的には、最終処分という問題、あるいはその過程における処理という問題は起こってくるわけであります。

 これに対する決め事を、まず、核開発をする、あるいは核の平和利用をしていく中において、最後の、マンションであるけれどもトイレがない、こういうことを世間でよく言われてきたわけですが、今まさに、このトイレのあり方を、トイレを早くつくらなければならない、こういう事態に陥っているのではないか。こういう観点で、今回、どういうわけか日本原子力開発機構法の一部を改正するということで、法案の中にそんな部分を一部かいま見るような気がしてなりません。

 したがいまして、私は改めて聞きますが、大臣、これからも我が国の安定的なエネルギーを供給していく上において、原子力行政をどのようなところに位置づけし、エネルギーを供給していくために、これからもこの問題をさらに我が国の国策事業の一部として、柱として推進していく予定にあるのか、これからの考え方について所信を聞かせていただきたいと思います。

渡海国務大臣 平野委員とは、科学技術という分野で随分、党派を超えて仕事を一緒にさせていただきました。

 その中で、今、冒頭の平野委員の認識というのは全く同じでございまして、国民にエネルギーを供給していく、この中でも電力が一番大きいわけでありますけれども、これは、国民生活を支えていくという国家の責任としても非常に大きい。

 その中で、パンドラの箱という表現をされたわけでありますが、原子力というエネルギーを平和利用するという国家の選択をしたわけでございます。昭和三十年代だと記憶をいたしておりますけれども、それ以来、日本の原子力政策というのは、ある意味一貫して行われてきたとは思っておりますが、しかしながら、確かに、廃棄物の問題、今トイレという表現をされましたが、これは、低レベル、高レベルにかかわらず、大きな一つの問題として提起をされてまいりました。なかなかスムーズに、そして、ターゲットを決めてしっかりとやってきたということではなかったな、山あり谷ありというふうには正直感じております。

 その中で、やはりこれからも我々は、こういった問題も含めて、エネルギー政策としてしっかりとした原子力政策をやっていくというのは国の大きな役割であるというふうに考えておりますし、同時に、喫緊の課題としてはさまざまな課題もあるわけでございますけれども、一つ大きな時代の変化ということでいえば、実は、私がこの仕事をした当初というのは、どちらかというと、原子力発電をやめていこうという世界の潮流があったんですね。それは、やはり核というもの、放射能というものの危険性といったものを考えたさまざまな心配といいますか、こういった点がございました。大きな事故も二つあったわけですね、チェルノブイリとスリーマイル。こういったこともあったわけでございますが、にもかかわらず、こういう政策が、今むしろ、地球温暖化、また石油高騰等の問題を考えましたときに、どちらかというと、安全はもちろん当然のことでありますけれども、そういったことを前提として、原子力政策ということを世界的に推進していこうという方向に今来ているんだというふうに思っております、いわゆる原子力ルネサンスの時代。

 こういった中にあって、我が国も、繰り返しになりますが、安定的にエネルギーを供給していくための不断の研究開発の努力、これから問題になってまいります核燃料サイクル、それから「もんじゅ」、高速増殖炉でございますが、この増殖技術に関しては、G4と言われております次世代の原子炉の中でも日本が大きな役割を果たすというふうな、世界の中での役割もございます。

 こういったことを含め、しっかりとした政策のもとで安定的にこれからもこのエネルギーを確保していくのが日本の役割でもあり、また国としてのやはり責任であるというふうに考えておりまして、廃棄物もこの中にしっかりと位置づけて考えていかなきゃいけないというふうに考えております。

平野委員 大臣の言葉をそしゃくすると、これからも進めていかなければならない、こういう立場に立っていると。途中段階では、原子力は放射能の問題を含めてやめていこうという潮流があったけれども、地球的規模のいろいろな要因から、これからは改めてそういうことがより大事であるというふうに見直されてきている、こういう認識でいいというふうに私は理解しました。

 ただ、そこで大事なことは、やはり国民の皆さんの信頼を得るということが大前提だというふうに思います。その信頼というのはどういうことかというと、やはり安全なんだというところがしっかりと国民の皆さんに理解されなければならないと思うんです。

 薬でも、非常に効果がある、しかし反面、必ず副作用がある、こういうことですから、副作用をいかに少なくして効果を最大限に出すというのが本来の薬であるわけでありますから、私は、これはどうしても、安全性というところを最大限に担保するということは、いかに副作用をゼロに持っていくかということに等しいと思うのであります。そのことが、国策事業としてやってきた割には、副作用のあり方をいかに抑えていくか、ゼロに近づけるかということが、余りにも今までの国の仕事としての中に抜けていたのではないか。遅まきながら、もう大変だ、おしりに火がついたから何とかしなきゃいけない、こういう場当たり的な処理の仕組みをやってきたのではないか、こういうふうに危惧してなりません。

 そういうことから、今回、この改正法案が出たことを最大の機会として私はとらまえて、改めて、これは大臣にも申し上げたいと思いますが、委員長にも提起をしておきたいと思います。ぜひお諮りをいただきたいと思います。

 文部科学委員会という委員会が、行革の名のもとに統合されました。我が国は科学技術立国と言っているわけでありますから、国民の代表たる国会議員が科学技術とこれからのあるべき日本の姿を委員会で議論をする、こういうことが国民の皆さんの理解をより深めていくことになるんだろうと思うんですね。

 昨今、この委員会、私はメンバーでございませんので外から見ておりますが、余り他の委員会でも、科学技術にかかわるところで、国会議員が、本当に我が国の将来のことを考えての、立国としての科学技術のあり方について真剣に議論をしている機会というのは極めて少ないのではないか、こういうふうに思えてなりません。改めて、この文部科学委員会という、行革という統合は、科学技術立国を目指す我が国としてはマイナスの方向に働いているんじゃないか、まずその点について、大臣、お聞かせいただきたいと思います。

 加えて、委員長にぜひお願いでございます。改めて委員会をつくるということについてはなかなか難しいことかもわかりませんが、この文部科学委員会の中に専門委員会をぜひつくっていただいて、科学技術のあり方についてしっかりと常に国会では議論をしている、こういう委員会を、先ほど言われたように、私は、これは与野党に分かれるという問題ではなくて、日本の将来の根幹をやはり国会議員が一緒になって国民の皆さんの代弁者として議論している、こういう場面をぜひこの委員会の中におつくりをいただきたい。

 この二点。まず、委員長に先に提起をしておきたいと思います。

佐藤委員長 ただいまの専門委員会の御要求につきましては、それと似通った御要求も、既に当委員会の理事懇談会及び理事会でもさまざまに御議論をさせていただいております。引き続き、理事会において、今の御要求につきましてはしっかりと議論させていただきたいと思います。

渡海国務大臣 平野委員の提案は全く同感でございまして、数年前に、与野党分かれて、新たな委員会、特別委員会でもいいからまたつくろうというふうな動きもさせていただいたわけでございます。両方とも筆頭理事をさせていただいておった時代には、科学技術だけの一般質疑をやろう、そういうことを一度やったこともありますが、開いてみると、半分も科学技術は出てこない、こんな状況もありました。非常に残念でございます。

 私は今こういう立場におりますので、委員会の構成について私の方から申し上げるということは控えたいと思いますが、ぜひ我々としても、そういった場においてさまざまな分野にわたっての科学技術の議論をさせていただきたいというふうに思っているということを今はお伝えさせていただいて、また御努力をいただきたいというふうにお願いをさせていただきます。

平野委員 それでは、前振りはこれぐらいにしておいて、本論に入りたいと思います。

 きょうの質問の一番の趣旨は、先ほど申し上げましたようなことを含めて、国の国策事業として始めたわけですから、最後の廃棄物の処理並びに処分について、国がやはり責任を持ってこの事業を閉じていかなきゃならない、閉じるについてはかなりの年数がかかっていくわけですから、これについての管理責任をしっかりしておかないといけない、こういう考え方に私は実は立っております。そういう考え方を前提として、まず何点か質問をしたいと思います。

 先ほど来ございましたように、処分スキームをつくっていこうという早期整備の必要性については、今まで余りにも放置しておったからもう火がついたんだということで、早くやらなきゃいけないということなんだろうというふうに思います。しかしながら、何に端を発したかというと、やはり電力である発電事業に伴って発生している処分、あるいは民間の研究機関あるいは公の研究機関の研究開発にかかわる問題、あるいは医療等々の問題等々からくる廃棄物の処分にしろ、やはり原子力の放射性物質を利用していくということについてはこれからも変わらない、こういうことは今後もどんどん出ていくということの前提に立つわけであります。

 したがって、先ほども申し上げましたような、危険な放射性廃棄物の管理や処分の不安は、やはり国民から見れば常に持っているわけでありますから、これをどう解消するかということが一番大事なキーワードになると思うんですね。

 今回も、そういう意味で、改めて、放射性廃棄物の処理処分、これをぶつ切りにして、これは今もう満杯になってきたらそこでやりなさい、こういうことじゃなくて、放射性廃棄物のあり方をトータルパッケージとしての処分の考え方というふうに立たなければならないと私は考えますが、この点、そのとおりですと言うのか、いやいや、ちょっと待ってくださいと言うのか、大臣、ちょっと聞かせてください。そこの答えがないと質問に入れませんよ。

渡海国務大臣 平野委員の問題意識というのは、関係部局からもいろいろと聞かせていただいております。

 まず一つは、私はこう考えております。今、真っ白な紙の上に新たなプランを書く場合と、現状というものを前提に物事を進めていくということで、考え方が変わるのではないかと私は考えております。それはやはり過去があるわけでございますし、また、放射性廃棄物の処理というのは、これはいろいろな種類のものがあるわけでございますが、高レベルから低レベル、そしてウラン残土というような問題もございましたね。あのときに、私はたまたま科学技術庁の総括政務次官でございまして、直接にはかかわれなかったわけでありますけれども、いろいろ相談に乗りながらあの問題に取り組みました。あのときに、やはり放射性廃棄物の難しさというものを実はつくづく私は勉強させていただいた、そんな思いがいたします。

 そういった前提に立って考えたときに、全体の放射性廃棄物をパッケージとして考える、基本的にはこのことに関してはそういうことであろうというふうに認識をいたしております。ただ、それを、現状を踏まえた上でどういうふうに将来も見据えて今回解決していくか。その一つの方法として出させていただいているのが現在の法案であるというふうに御理解をしていただければいいのではないか、そういうふうに考えているところでございます。

平野委員 基本的な思考回路についてはトータルパッケージで考えていくべきだということを前提にしながら、今回のものが出てきたというふうに思いますが、では、パッケージとして考えるセクションは、我が国においてどこなんですか、大臣。

渡海国務大臣 これは、いわゆる処理までと、それから廃棄物の段階等々に応じて、また種類に応じて、必ずしも我が国としてどこというのが一つに決まっているわけではございません。委員はよく御承知のことと思いますが、具体的に言いますと、基本的には、電力でいうと商用炉、こういったものは経済産業省の所管でございますし、研究開発ということになりますと文部科学省の所管ということになるわけでございます。

 しかし、基本的に、原子力安全委員会において、それぞれがきっちりと調整をするようにということも御指示をいただいておりますし、また、低レベルについてはこういう処理がある、高レベルについてはこういう処理があるといったさまざまな処理の仕方、また安全規制なり、もっとさかのぼって、例えば原子炉等の問題になりますと、しっかりとした規制のもとに、また原子力委員会、原子力安全委員会、それから保安院、こういったそれぞれがそれぞれの部署においてしっかりと統一のとれた規制というものをかけておりますから、そういう形で安全性を確保されているというふうに私どもは理解をいたしております。

平野委員 今、大臣はそんなこと言うけれども、こちらは経済産業省、こちらは文部科学省、こちらは内閣府の原子力委員会、安全委員会、こういうふうに縦割りの弊害があるから、私は、ではトータルパッケージのスキームを、処理のところはそれぞれであっても、具体的な、司令塔となるトータルパッケージを考える部門はどこなんですか、こういう質問なんです。

渡海国務大臣 そういう意味においては、基本的には原子力委員会がトータルで物事をまとめておられると思います。

 それから、縦割りということはありますが、平野委員ですからあえて一言。最近縦割りということが問題になっております。よく言われます。これは、やはり縦割りを排してやるというのは、行政の役割もありますが、これは私は政治の役割だと思っております。これ以上は申し上げませんが、縦割りと政治が言った途端に、これは政治の敗北宣言になりますから、それは我々がしっかりとコントロールをしていく、これは立法府もそうですね、立法府がしっかりとコントロールしていく、これが大事なんだろうと思っております。

平野委員 やっと渡海大臣らしく答弁してこられましたね。本当に私は、縦割りという表現は、役所の立派な方に対しては失礼な言い方をしますが、やはり国益と国民のために、省益最優先ではありません。したがって、大臣おっしゃるように、政治がしっかりとコントロールしていく、そういう意味では、これは、私でいえば渡海大臣が最高の司令塔だというふうに思いますが、どうですか、大臣。おれはそこまでそういう権能をいただいてないよとおっしゃいますか。

渡海国務大臣 このことに関して、私は、司令塔であるかということについて、残念ながら今即座にはお答えはできませんが、何か問題があったときは、我々は常にしっかりとした連携をとって、今回そういうことがなかったのは幸いでございますが、例えば、今、医師不足なんという問題がありますね。このことは政府で、即座に内閣として対応する、こういった体制がいつでもとれるようにしておりますし、そういうことはやはり政治の役割だし、また立法府においても、平野委員が今、科学技術委員会、小委員会でもいいですが、こういうものをつくろうというふうにおっしゃったことも、まさにそういったことだと思っております。

 一義的には内閣府が今総合機能を発揮するということになっておりますが、場合場合においてそれは変わってくるわけでありますから、そのことについて今即座にはお答えできない状態でございます。

平野委員 それでは、具体的に少し私の考え方に沿って聞いてまいりたいと思います。

 まず、放射性廃棄物がそれぞれの事業のもとに当然結果としてできるわけですが、処理スキームとしてのあり方については、一つには、平成十二年に、高レベルの廃棄物については原子力発電環境整備機構、通称NUMOと言っているところが一括して埋設処分を担うということで決められました。一方、高レベル、低レベルという定義があいまいだと僕は非常に思っていますが、一般的に言っている低レベル放射性廃棄物については、現在は、原子力発電に由来しているものについては日本原燃がもう既に他の低レベルの廃棄物より先行して実際に最終処分を行っている、これも事実であります。

 今回の法案は、原子力機構や民間から発生した低レベルの放射性廃棄物について、今既に実施をしている原燃とは別のスキームで構築しようとしていることも今回の法案にあらわれております。

 この考え方の基本に立っている理屈というのは、ごみを発生した責任は発生者責任の原則に立ってやっているのではないかと思っていますが、ごみの、廃棄物の発生者責任の原則というものは、どういうところに端を発しているルールあるいは担保なんでしょうか。この点については、松浪副大臣。

松浪副大臣 委員の御質問は、発生者責任の根拠は一体何なのか、そして法的裏づけというようなものはないのではないのかというような趣旨というふうに受け取らせていただきます。

 実は私も、私の住んでおる、生まれたところのすぐ近くに、京都大学の研究用の原子炉実験所が中学生のときにできました。それ以来、原子力というようなものに深いかかわりを持ち、興味を持って今日に至っておるわけでございまして、その研究所の中で廃棄物が出てくる、そしてその廃棄物はどのように処理されているのかというようなことは、私なりにも興味を持っておったところでございます。

 放射性の廃棄物を発生者責任の原則のもとで処分すべきだというのは当然のことでございますし、また、そうしなきゃいけないけれども、これはなかなか難しい、言うまでもございません。そこで、原子力委員会が平成十七年に決定されました原子力政策大綱において定められておるところでございます。

 この放射性廃棄物の処分にかかわる発生者責任の原則は、実は法律でもって直接規定されたものではございませんけれども、発生者責任の原則につきましては、環境基本法第八条、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第三条に「事業者の責務」として規定されるなど、我が国における廃棄物の処理処分に当たっての一般原則になっておるというところでございます。これは、事業活動を行うに当たりましては、当該事業活動から利益を得る事業者がその結果に責任を持つという考え方が、我が国の経済社会の原則になっておるというふうに思います。

 放射性廃棄物の処分につきましては、以上のような考え方に基づいて、発生者責任の原則によって発生者に第一義的責任が帰属することを基本としつつ、放射性廃棄物の特殊性にかんがみますと、国はその処分が確実に実施できるよう必要な措置を講じる責任を当然持つものである、このように思います。

平野委員 今松浪副大臣がおっしゃったのは、廃掃法に基づくルールと大綱に基づく原則で述べられたと私は思うんですが、では、民間は全部発生者責任でその負担を強いられるのか。

 廃掃法の二条によれば、放射性物質及びこれによって汚染されたものは除くという規定があるんです。だから多分松浪先生は一義的という言葉を使われたんだろうと思いますが、基本的には、発生者責任というのは何の法律的担保によってあるわけでない。大綱というのは、閣議で決めているのかもしれませんが、法律的根拠はない。ないけれども、国の、どこで決められているかわかりませんが、閣議だからといって、民間にこれを発生者責任だといって押しつける根拠は、私は極めて乏しいと思う。

 しかしながら、私は何回も言っているように、いっぱい放射性物質があります、これが無秩序に放置される、あるいは勝手に投棄される、これはもうたまったものではないから、ゆえに、やはりここに法律的担保をしっかりとると同時に、国の責任においてそれをしっかりと守らなければならない、こういうふうに私は思っているんです。

 したがって、発生者責任ということだから、原子力機構に、あなたのところで処分しなさいよ、処理をしなさいよという原則で今回法律をそこに、法改正の名のもとに、発生者責任という名のもとにもしつくっているとしたら違うのではないか、私はこういうふうに思うのであります。

 そこで言いたいわけですが、では、原子力発電は、それぞれ電力会社が発生者責任だとするならば、そこで処分しなさいよ。ただし、それは違いますよ。NUMOという組織をつくって、そこで埋設処分を法律で決めているわけですよ。だから、これは発生者の原則からいくと一義的に本来電力会社にある、だけれども何かの法律担保があればそれを任せてもいい、こういうルールで多分NUMOをつくってきたんだろうと思いますね。

 したがって、発生者責任の原則によって、もし今回の法律が改正されたとしたら、本来の趣旨云々からいったら少し逸脱しているのではないでしょうか。松浪先生、どうですか。

松浪副大臣 仰せのとおり、私も先ほど答弁させていただきましたとおり、第一義的責任が帰属するということは基本であるけれども、放射性廃棄物の特殊性、これをかんがみると、国はその処分が確実に実施できるような必要な措置を講じる責務を持つということでございますので、やはり国が考えて、そしてその法律をきちんとつくって、そして国民が、また地域住民の皆さん方が安心できるようにしなければならない。

 それで、平成十七年の原子力委員会での原子力政策大綱、この一番最後に「発生者等の関係者が処分のための具体的な対応について検討中の放射性廃棄物の処理・処分については、情報公開と相互理解活動による国民及び地域の理解の下、具体的な実施計画を速やかに立案、推進していくことが重要である。」このことをかんがみて、この法律の改正というものが必要でないかということでございます。

平野委員 したがって、ここで確認をしておきたいことがございます。

 放射性廃棄物に発生者責任があるとしても、その処理スキーム、処分スキームにおいては、発生者責任の原則からは、原子力機構などの発生者自身が処理処分を行う義務はないという考え方に私は立つんです。また、原子力発電と別々のスキームで処理処分を行わなければならないという理由も私は見当たらないんですが、どうですか。

松浪副大臣 委員の質問は、私も十分に理解できますし、極めて大切であります。そして、今後、この原子力について、委員が先ほど仰せになりましたように、いろいろなジャンルで放射性の廃棄物が出てくるということ、これは当然、予想じゃなくて現実味を帯びておるわけであります。

 原子力機構は、現行の原子力機構法におきましても、その研究開発業務に伴って発生した放射性廃棄物につきましてはその業務に付随する附帯業務として、原子力機構以外の者の放射性廃棄物については本来業務に支障のない範囲内で処分を行うことができる。しかしながら、現行の規定では、あくまでも他の事業者の廃棄物の処分は本来業務に支障のない範囲内で行うものとされているなど、原子力機構が積極的に処分実施主体となり、みずからの廃棄物とあわせて他者の廃棄物の処分も集中的に実施することが必ずしも明確に示されていない。そこで、どうしても一体的にやっていく必要があるのではないのかというようなことになろうかと思います。

平野委員 では、一体、原子力研究開発機構というのは、本来の主たる任務というのは何なんだろうか。あそこは研究開発をするセクションであって、これからどんどんふえてくる廃棄物の処理をする機関に、今回の法改正で、付随的に起こる部分から主たる任務に格上げしておるわけですよ。今回のスキームはそういうことでしょう。

 そうすると、きょうわざわざ理事長にもお越しをいただいておりますが、本来、原子力開発機構というのは何を使命としてある機関なんですか。それをぜひ理事長にお聞かせいただきたいと思います。

岡崎参考人 私ども原子力機構は、二年半前に旧日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合いたしまして設立をされました独立行政法人で、原子力の分野の広範な研究開発の責任を担う機関でございます。

 したがって、今原子力開発に課せられた高速増殖炉開発、核融合開発あるいは放射線利用の開発、こういった原子力の研究開発に責任を持つ機関であるわけであります。

 ただし、同時に、先ほど来御説明がありますとおり、私ども、研究開発活動から発生をいたしました多くの放射性廃棄物を抱えている。この放射性廃棄物を避けて通ることはできない、私どもにとっても大きな課題であるし、今後、今回の法改正によって、他の機関の廃棄物についてもしっかりとその責任を担えということでありますれば、もちろん研究開発をしっかりと進めながらも、この廃棄物を適切に処理処分していくことが、将来の日本の原子力研究開発を的確に進める、そういう道ではないか、このように理解をしております。

平野委員 理事長の立場ではその答弁が限界なんだろうとは思いますが、今、余力はあるんですか、理事長。

岡崎参考人 先生御指摘のとおり、先ほど申し上げました幾つかの多くの重要な課題に今私ども取り組んでおります。

 正直申し上げて、資金面あるいは人員の面でも大変厳しい状況であるということは申し上げなくてはならないと思います。ただし、そうかといって、この廃棄物の問題を見過ごすわけにはいかないというのも実態でございます。

 したがって、原子力機構の総力を挙げ、あるいは関係機関の御協力もいただきながら、研究開発と放射性廃棄物の処理処分にまさに責任を持って取り組んでいくということが私どもの使命だと思っております。

平野委員 私は先日、東海村を見学させていただきました。本当に皆さん一生懸命やっておられます。現場にも上げていただきましたし、現場の声も聞きました。

 あの現場に行きますと、階段を上っていきますと大変疲れます。エレベーターないんですか、いや、予算がありません、私らゴルフで足を鍛えていますから大丈夫です、まじめにそう言う職員さんがおられました。では、きょう大臣、副大臣おられますが、あの現場の階段を上がってみてくださいよ。一発でひざが笑いますよ。そこまで腐心をしてやっている。

 二十年度の予算を見ると、さらに予算が減額されようとしている。減額しろと言われている。さらには人員も削減しろと、こういう独立行政法人に対して文科省は指導している。これは経営効率ということでは当たり前なんですが、今度新たに主たる任務をここにつけようとしている。これはどこから人的資源と資金と、理事長、これは担保されているんですか。

岡崎参考人 御指摘のとおり、独立行政法人の制度によりまして、大変厳しい合理化を当然のことながら我々は果たさなくてはならないということであります。

 したがって、これからの研究開発、あるいは今回このような廃棄物の事業が加わることによっても、さらに一層の徹底した業務の効率化、重点化ということを進めることによって、この独立行政法人に課せられたいろいろな責任を果たしながら、何としてもこの業務を達成していきたい、このように思っています。

平野委員 理事長、ぜひ頑張ってくださいよと言うけれども、まあ、無理なんじゃないか。この際、ここで公に、人と銭下さい、そうしなければできませんと言ったらどうですか。僕は、単純ですが、ぱっと見る限り、本当に切り詰めて、文科省から言われるままに、費用削減しろ、はい、削減します。今回のスキームだって、これをやればまたコストが出る。そのコストに対する担保すらまだない。その中でこの法律が今審議されている。片や、現場では一生懸命予算を削ろうとしている。そういう中に本当に無理が来ないのか。職員を減らして派遣労働者を入れ込む、こういうふうにして何とかつじつまを合わせようとする。これは負の連鎖が起こりかねない問題だと私は思っております。

 本当に国策として必要なものであれば、先ほど言いましたように、信頼と安全ということが一番のキーワードですから、それをしっかり確保でき得る予算と人的資源をそこに投入することこそ国民の信頼を得られるものだ、私はこういうふうに思っています。

 そういう意味で、もう一例挙げます。

 処理とか処分とかよく言っていますが、いつも問題になるのは、最終の、土の中に埋めるのであれば埋める立地、これがなかなかうまくいかない。今回のスキームでいうと、原子力研究開発機構にそのことを担わせるというふうに私は思うのでありますが、さっき言いましたように、NUMOを鳴り物入りで平成十二年につくった、これから八年たっているけれども、その立地の場所すら決まらない。公募に応じた行政体が取り下げた、こういう事例もある。

 一番難しいのは、最終処分をするその立地が一番難しい。これはもう全部わかっていると思うんです。それを、それぞれ独立した行政法人に、あなたのところがやりなさいとおっつけておるのが、NUMOがいい例じゃないですか。NUMOがなぜできなかったかを少し簡潔に御報告いただけますでしょうか。立地がうまくいっていない理由は。

西山政府参考人 お答えいたします。

 NUMOは、広報活動によりまして、国民の理解を得つつ、地元でどうか処分地になっていただけるところはないかということで一生懸命やってまいりましたけれども、やはり全体としては、国民の理解がまだ不十分であるということ、自分たちの世代に解決しなければいけない問題であるという認識が不十分であるということと、それから、地元で関心を持たれたところに関しましても、その地元の中で十分なコンセンサスをつくることが難しいし、そこに対して、NUMOや私どもにおいても、安全それから地域の振興などについての十分な情報の提供ができなかったこと、そういったことが主な問題だろうと考えております。

平野委員 八年かけても今そういう程度ですよ。

 東海村に行ったら、もうすき間がないほど廃棄物がたまっていますよ。もし、これからまだあと十年先だから大丈夫だみたいな考えでおるとしたら、大間違いだと思いますよ。国民の信頼を得られていないんですよ、この放射性廃棄物に対する考え方を。だれがどれだけ責任を持ってこういうふうにすれば大丈夫だということがやられていないから、平成十二年につくり上げたNUMOがいい前例じゃないですか。よもや低レベルだからできると思っていないでしょうね、大臣。

渡海国務大臣 今、NUMOの御指摘をいただきました。大変難しい問題であるというふうに思っております。

 私は、例えば、ちょっと余計な話をさせていただいて恐縮でございますが、ヨーロッパで多くの国が原子力発電を一時、モラトリアムといいますか、停止をしている最大の理由は、高レベル核廃棄物の処理というものの具体的な方策がまだ決まっていないからというふうなことも聞いておるところでございます。

 低レベルだから簡単というふうには、これは決して考えられないわけでございます。あのウラン残土でもあれだけ苦労したわけでございますから。しかし、この低レベル放射性廃棄物の実施というのは、既に実績もございます。これは電力がやっていただいておるわけでございますが、そういったことも含めて、そして、ちょっと踏み込んだお答えになるかもしれませんが、これは原研がやるからといって、国は一切知りませんということではなくて、当然地域との関係もあるわけでございますから、国も一体となってこの問題というのを進めていくわけでございまして、そういった点で我々は、今、平野委員もおっしゃいました、もういっぱいになっているじゃないか、その状況をやはり一刻も早く解決をしなければいけないという思いでございまして、今回のこの法律を出させていただいたということを御理解いただきたいというふうに思います。

平野委員 大臣、さっきNUMOの話が出ましたけれども、NUMOも、では今どうなっているか。こんな最終の埋設処分の立地を探す仕事がNUMOの仕事か。一番困っているのはそこなんですよ。

 きょう隣に田名部さんお越しでございますが、六ケ所村の問題も含めて、隣にいるから余り言いにくくなりましたけれども、私は、本当に国が責任を持って、国民はどこに頼るかといったら、渡海大臣に頼らないんですよ。国に頼るんですよ。渡海さんが永遠に大臣をやっておれば別ですよ。国というものにやはり信頼を置く国民なんですよ。

 独法がありますからこの独法が、いや、法律にのっとっての組織ですから大丈夫です、これはだれも信用しませんよ。では民間に最終処分を任せようか、民間なんていつつぶれるかわからないんじゃないですか、つぶれたらずっと放置じゃないですか。まして、十年や二十年で終わるこの埋設の処分でないんですよ。長いものであったら何百年とかけてやるわけですよ。

 だから、国が責任を持って最後のトイレをつくってください。それは、水洗にするかどうするかというのは、それぞれレベルに応じてあるんでしょう。一時簡易浄化槽に入れるか、直通、水洗にするか、あるいはぽっちゃんという、よくわかりませんが、そういうトイレもあるじゃないですか。だから、それは種別はいろいろある。だけれども、そうします、これは水洗にします、これは何にします、ここに流しますという責任は国なんですよ。どうなんですか。

渡海国務大臣 今回の法律に関する限り、平野先生、例えば今原燃がやっています事業まで含んでということになりますと少し議論は変わると思いますが、独立行政法人というのは、御案内のように、民間でできないことであって、そして国が直接やらなくてもいいものを独立行政法人という形態をとってできるだけ効率的に、ここは非常に議論のあるところなんですね、何で、では国がやらなければ効率的にできぬのかという話は、随分あのときもありました。しかし、そういうことでやっているわけでありますから、国だと言っても私は過言でないというふうに思っております。

 高レベルのことに関して言うならば、これは、国の時代からさまざまなことはやってきたというふうに記憶をいたしております。例えば幌延の実験から始まって、御党の幹事長が当時一生懸命実はやっておられたわけでありますが、なかなかこれは国だからできるということではないわけであります。

 しかも、NUMOの事業についても、これは国はそっちで勝手に決めろと言っているわけではないんですね。一体となってその責任を果たすということで、地域の問題等々も含めて国もかかわっているわけでありますから、平野先生がおっしゃる意味での国の責任という意味では、国は私は責任をしっかり果たす。

 そして、三百年という問題でございますが、今回の独立行政法人に関しては、これは通則法を見ても、もし事業が終わったときには新たな法律をつくってその事業をどうやって継承していくかということが、これは立法において担保されるわけでございますから、責任をきっちりと果たしていくことは可能であろうというふうに考えているところでございます。

平野委員 だから、最初私が申し上げましたように、もともと原子力のエネルギーのところについては、国の国策事業で始めたんですよ。だから、最後は国策、国のスキームで埋設処分してくださいよ。その過程に、埋設するための効率的な埋設のあり方とか、これは法律にのっとって処理スキームでやればいいんですが、最後の墓地は、トイレと言ったり墓地と言ったり、私いろいろ言いかえていますが、最後のところは、これはいわば国の天領です、ここできちっと何百年としてここに置くんですという仕組みをつくらないと、本当に国民の皆さんは安心しませんよ。これが言いたいわけであります。

 したがって、今たまたま機構の問題が出てまいりましたけれども、時間が来ておりますから前に進めていきますが、本当に、今回の機構の法律でやれば、放射性廃棄物を網羅的に処分をしていくトータルパッケージのスキームの一里塚になっているんですか。まだまだ抜けているじゃないですか。あと、どうするんですか。いや、たまたま文科省の独法だから、文科省が法律を起こして、機構にこれを処分でき得るように法改正をしただけです、あとはまたちょっと別ですよ、こんな時間的余裕はないんですよ。このことをぜひ私は言いたいわけです。

 いろいろとってみますと、これは資料を配付しておりませんから、配付できておりませんが、いろいろ高レベル、低レベルから見ますといっぱいあります、処分のあり方。あるいは放射性物質、いっぱい種類があります。どこが担当してどこがやりますか、まだパズルのごとく、対応を決めかねているところがいっぱいあります。どうするんですか、こんなことで。

 この際、改めてきょうの委員会で私、提起をしますから、あらゆる放射性廃棄物の処分のあり方、これをしっかりと、私は文部科学省にしろとは言っておりませんよ、内閣府にしろと言っていません、経産省にしろとは言っていません、改めて、放射性廃棄物の処分を国の独立した機関で、国の直轄機関で、このことを責任を持ってやる機関を創設されたらどうですか、大臣。

渡海国務大臣 冒頭に、白紙の上に新たに書く場合であれば違う選択もあっただろうということを申し上げたわけでありますが、平野委員もよく御存じのように、電力、それから高レベル、NUMOですね、これ以外のものについては、今回のスキームの中ですべてが網羅されているというふうに理解をいたしております。なお、確かに非常に複雑なものでございます。

 それから、この間、これは管理の問題でございますが、実は、千葉県からイリジウムが紛失をしたという、これは事故でございますから、国が一括管理していても防ぎようがなかった部分でもあるわけでございますが、なおこういったことが起こらないように、そして、将来の見通しも含めて再度確認をさせていただいて、国として、この三つの施設で放射性廃棄物というものがすべて処分場が確保できるということを確認させていただきたいと思います。

 もう一点は、処理の問題につきましてはもう少し複雑でございますから、再度整理もしてみたい。みずから処理されるところがございますから、そういったところの確認もしっかりと行って、今先生から御指摘をいただいたことも踏まえて、国として、これは三つの組織になるわけでございますが、この三つがパッケージとしてこの処理ができるというふうに確認をさせていただきたいと考えております。

平野委員 今大臣言ったように、では、すき間はないという認識なんですか。このスキームで、今回の法改正をすれば、低レベル廃棄物の処理処分については全部目が詰まって、基本的に日本の放射性廃棄物の問題については大丈夫ですと、これは言えるのですか、理事長。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 低レベルの放射性廃棄物につきましては、大きく分けますと、原子力発電所等発電関係から出るもの、それから原子力機構などの研究機関や、それから放射線のRIを利用する事業所、こういったところから出るというふうに分けられるわけでございます。

 このうち、原子力発電所関係につきましては、日本原燃が六ケ所村において埋設処分事業を行っておるということで、この部分はカバーされているわけでございまして、それ以外の低レベル廃棄物の処分については、今回の法改正によって基本的にはカバーをされるというふうなことでございます。

 なお、先生の方、多分、ウラン廃棄物の問題というのが残っているのではないかというふうなことがあろうかと思いますけれども、これは、安全規制の考え方につきましては、今、原子力安全委員会でまさに検討がなされているところでございます。

 したがいまして、今後、原子力安全委員会における検討を踏まえまして具体的な基準等が整備されるというふうなことと相まって、実際の廃棄物の処分が実施されることになるわけでございますが、いずれにしましても、ウラン廃棄物の処分につきましては、比較的浅い地中への処分、または地層処分ということになりますので、これまでの日本原燃ないし今回の法改正による原子力機構、または地層処分であればNUMOというふうな体制の中で、いずれかの中で処分が対応されるというふうなことになろうかと考えております。

平野委員 私が言いたかった、放射性廃棄物処分のための諸制度の整備状況というのを、これはいつのものかはちょっとわかりませんが、最近のものですが、ウランの廃棄物を除くになっているんですよ。このウラン廃棄物についても、これは大丈夫なんですか。ウラン廃棄物を除く。まして、これは余裕深度という領域にあるいは埋設をしなきゃならないか、こういうところの部分がはっきりしていないのに、今の局長の答弁は、大臣もそうでしたが、これで全部スキームは終わっているんだと。だったら僕は安心しますよ。あとはどこが責任を持ってやるかというところにかかわるんですが、まさに、では、燃料の加工会社なんかのウランのものはどうするんですか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 委員御指摘の点は、昨年の七月の原子力安全委員会の専門部会の報告の中で、ウラン廃棄物については、天然起源の核種を主たる組成とする廃棄物であって、天然の放射能との関連なども考慮する必要があると考えられることから、濃度上限値の試算とともに、そのような廃棄物を対象とする埋設計画が具体化する段階で、安全委員会としてきちっと安全規制の基本的考え方を検討していくというふうなことになっているところでございます。

 したがいまして、安全委員会の方で規制の考え方について決めていただくというふうなことになりますと、その中で、例えば余裕深度処分をする、場合によっては、放射能レベルが高いものについては地層処分をする、そういったことになりますので、その段階で、研究開発に関連するものであれば原子力機構、原子力発電そのものと密接な関係があるということであれば日本原燃、それから、地層処分をしなければならないということであればNUMOというところで役割分担をしていくというふうなことになろうかと思っております。(平野委員「民間会社は、民間会社」と呼ぶ)

 民間会社につきましても、電力と密接に関係があるということであれば、日本原燃の廃棄物処分施設の中で余裕深度処分を実施するということを検討していくということだろうと思っております。

平野委員 検討しているということは、やっていないということですよ。いい答弁言葉ですよ、そんなの。検討するということはやっていないということです、やらないということですよ。御意見を承りましたで終わるのですよ。

 だって、これは現実に書いているじゃない、ウラン廃棄物を除く。これは二〇〇七年五月ですよ、報告。安全審査の指針、検討中ですよ。ということは、ここは歯抜けになっておるということですよ。じゃないの。民間のウラン燃料も、例えば、電力会社が持っている子会社の部分については原燃に行くんですよ。これは電力の問題だというんですよ。電力会社と関係のない燃料加工会社は、その部分についてはどこへ行くんですか。決まっていないじゃないですか。うそを言っちゃいかぬよ。決まっていますか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現時点において、日本原燃の処分場で処分をするのか、または原子力機構の今回の法改正に基づく処分施設で行うのかについては、まだ決まっていないというところでございます。

平野委員 そう言ってもらわないと話が進まないんだ。

 したがって、私は、言いたいことは、まだパズルのように歯抜けになっているんですよ。この際に、歯抜けのないように、もう後ろはないんですよ。だから、せっかくの機会だから、しっかりとお決めをいただいて、ばらばらばらばらとあちこちで検討しておるから、一カ所で集中的に検討する、あるいは処分をする、企画立案をする、あるいは責任を持って対処する国の直轄機関を起こしてもいいぐらいだと私は思っていますから。直轄なんておかしいですよと言うんだったら、国が全面責任を持って対処するという担保がやはり国民の信頼を、昨今、政治不信ですから、余り信頼を得ているかどうか知りませんが、改めて私は、政治が責任を持って、あるいは国が、国家の機関が責任を持って対処するということをぜひ申し上げておきたいと思います。

 時間がたってきましたが、したがって、先ほど来からの議論をいたしましたが、処分の実施主体、すなわち研究開発機構が、本当にこの法改正のスキームに妥当性があるのかどうか、これは非常に私は危惧をいたします。では、もう本来業務が終わっていくから、次の新しいスキームを考えておかないとこの機構がもたないから、何か文科省の悪知恵のような気がしてしようがない。失礼な言い方を省みずに言えばそんな気がするものですから、もし、そうではない、いわゆる本当にこの機構が妥当性があるんだ、その一番妥当性があるというのはどういうことかといったら、放射性の廃棄物の扱いになれていますわ、あるいは、ようたくさん廃棄物を出しているから、それはまたさっき言う排出者責任、発生者責任になっていくんですが、こういう理由から機構がいい、こう言っておるわけですよ。

 でも、先ほど確認したように、本当に本来業務である原子力の研究開発に機構はもっと本来汗をかき、そこに没頭すべきである。先ほど言ったように、別に機構に持っていかずに、国がしっかりとした直轄機関として、この問題はあらゆるところにかかわる問題だからというところで、そこにスキームをつくっていくことの方が、パズルのようになっていることを解消するプロセスだと思うんですね。

 機構でいけば機構のことしかやりませんよ。一部民間から受け入れますよと言っているけれども、そこに搬送の仕組みとか、何の処理の仕組みがないじゃないですか。とりあえずはめとくかみたいな感覚ですよ、今回の法律は。だから、先ほど言いましたように、本当に処分の実施主体が妥当なのかどうか、ここは私は疑問を呈したいということであります。

 この点については、理事長、妥当だと思いますか。一言でいいですよ。いや、悩んでいますと言うのか、はっきり言ってくださいよ、妥当だと言うかどうか。

岡崎参考人 御指摘のとおり、我が国の低レベルの研究所等の廃棄物の八割以上、私ども原子力研究開発機構から発生したものであります。当然のことながら、日本全体の原子力の研究開発についての責任を持っている。こういう観点から、今回、原子力機構が、我が機構だけではなくて、関連する機関の低レベルの放射性廃棄物の処分についても責任をお持ちなさい、こういう御方針を示されたわけであります。

 私自身は、大変厳しい状況、あるいは国の支援だとか、ましてや国民の皆さんの理解がなくてはこの事業はとても達成できない大変困難な事業だとは思っていますけれども、我々機構全力を挙げて、関係機関との連携のもとにこの事業を達成していきたい、このように思っています。

平野委員 決意、覚悟はお聞きいたしました。

 ただ、機構自身がこの埋設処分事業に、テクニカルなところに精通しておると私は思っていません。研究開発に対しては、私はすばらしい機関だと思っております。

 一部、埋設さらには減容する施設をつい最近、先日、見させてもらいました。私は、直観で見ている限り、やはりさすが研究機関だな、マニアックにやっているな、費用対効果を考えていないな、こういうところの疑問を、ぱっと入って、直観ですから間違っていることもあるかもしれません。しかし、私自身がぱっと見る感じ、ああ、やはりさすが、私も昔研究所にいましたから、研究所というのはあらゆる知恵をそこに集積していくんですね。

 本当にそこで、事業として、今度はコストの問題があります。なぜならば、国民に全部負担として返ってくるわけでありますから、いかに効率的に、安全にしていくために、もし本当に機構の中のあの装置で、あの処理施設でやろうと考えているんだったら、大問題だと僕は思います。

 現実に今あれは故障しているんじゃないの。復旧の見通しはあるんですか。どうですか。

岡崎参考人 御指摘のとおり、研究開発によって発生した廃棄物は、大変量が多いこともさることながら、大変多種多様な形の廃棄物が発生しております。これを最終的な処分に適した固化体に処理するためには、焼却、溶融、圧縮等のいろいろな処理をしなければなりません。このための処理の施設というのは、やはり大変大きなお金と、これからの運転経費もかかるという施設ではございます。それだけに、我々は、現在設置されています研究所の枠を超えて、機構全体もさることながら、ぜひ日本全体のこれからの処理体制の中で我が機構が協力できるかどうか、そういう点も含めて、ぜひ効率的な施設の運営に取り組んでいきたい、こう思っています。

 確かに、ごらんいただいた一部の施設は、今トラブルによって停止をしている段階であります。まだこれから本格的な運転に備えなくてはなりません。課題はまだ残されてはいますけれども、将来の処分の実現に向けて、適切な時期にきちっとこの役割が果たせるように努力をしていきたい、こう思います。

平野委員 ああいう状況の施設であれば、私は、今申し上げている低レベルというレベルにおいての処理は、余りにもマニアックに凝り過ぎている、表現は妥当ではありませんが、凝り過ぎた施設かなと。もっと簡単に、低コストで安全にやれる仕組みはあるんだろうというふうに思います、コストをかけずに。

 なぜコストをかけずにというと、コストをかけなかったら安全が損なわれるというんであればコストをかけるべきですよ。低レベルだから言っているわけですから。したがって、高レベルだから大変だ、低レベルだから大丈夫だということよりも、低レベルはいかに国民の健康を損なうことがないようにしていますということを国民の安心としてしっかりまず出すことが大事であろうと思っています。

 時間が参っておりますので、ちょっとはしょりますが、一つは、先ほど言いましたように、経費の問題であります。独立行政法人としての予算、経費等々があるわけですが、非常に処理処分の費用というのがかかるわけでありますから、今さら、処分をする費用について、どこでこの処理処分をするコストを算出するんですか。専門的になりますから、どうぞ、どなたでもいいです。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 今回の法改正を仮に認めていただきまして、原子力機構が研究施設等廃棄物の埋設処分の実施主体になりました暁には、まず、国が処分にかかわります基本方針を定めまして、それに基づいて、原子力機構がそういった料金の考え方とか、全体の施設の建設の総事業費、建設計画、そういったものを具体的に盛り込んだ実施計画を提出し、国が認可をするというふうな手続をとるということでございますので、まずは原子力機構が建設計画等についてきちっと詰めていただくということだと思っております。

平野委員 いや、だから、先ほど言うたように、研究開発用に凝りに凝った施設をつくれば、費用対効果でいくとその処理コストが上がるじゃないですか。世界の各国の処理は、みんな民間でやっているところが多いですよ。なぜならば、やはりコストなんですよ。国民負担をいかに軽減させるか、こういうことが大事なんですよ。

 理事長には申しわけないですが、今の原研でのあの処理施設で処理をしたら、トンベースでどのぐらいかかるのか。とてもじゃないけれども、その負担はだれが負担するのか。今度は当然機構で、トータルコストがありますから、それをはじいた処理コストを出すわけでしょう。そこを民間と競争入札をやってごらんなさいよ。数千の差になると私は思いますよ。だから諸外国は民間でやっているところもあるんですね。

 私が言っていることは、最終埋設処分は国の責任できっちりやりなさいよ、処理のところについては、もっと民間にきちっと規制をかませて、民間によっての、競争入札で処理をするぐらいの気持ちでやらないと、このコストをだれが負担するかという問題が新たな問題として発生をいたしますから、この点は、私、警鐘を鳴らしておきたい。

 あらゆる知恵を絞って、逆に機構からアウトソーシングをする、あるいは機構の中に、そういうコストということをやはり意識して処理をし、最終処分は、機構ではありませんよ、国が責任を持って立地も含めて考えるというスキームにぜひしていただきたいなと思います。

 同じ考え方で、本来、機構の会計、財政について、財源について言うと、一般会計に基づく会計勘定と特別会計に基づく特別勘定と二本立てが法人の中にあるんですね。今回、また、このスキームを入れますと、三本立ての会計を機構の中で持つことになるんですね。

 私、昔、委員会で質問させてもらったことがあります。一般会計と特別会計がごちゃごちゃになって、いいように使っているということを指摘したことがありますが、これは、今回三本立てにすると、だれがそのチェックをして、どこでその会計基準で見るんですか。これは問題ないですか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今回の法改正で、独立した処分のための勘定を設けることといたしております。これはまさに、一般会計それから特別会計で行われております研究開発活動と、処分のための事業と、お金がまざったりして処分のためのお金が研究活動等に使われることがないように、きちっと処分の勘定だけ特別に独立した形でチェックができるような形に、透明性を確保するためにこういう勘定を設けようとしているところでございます。

 この勘定につきましては、例えば決算につきましては、財務諸表について、この勘定だけの財務諸表を作成し、そして文部科学省の承認を得る、それから会計検査院のチェックを得るなどのチェック体制をとるというふうなことで透明性を確保しようというふうに考えているところでございます。

平野委員 透明性を確保することは当然だと思いますが、会計の財布が三つもある、同じ機構の中でそういうワークをする、当然、流用する可能性だってあるんですよ、資金の関係でいえば。しかし、例えばこちらの研究開発費用が少なくなったら少しこちらの部分を回そうかとか、一般会計の経常経費を少し外注のコストと関係を含めて回しましょうよ、これは民間の経営だったら知恵だと僕は思うんですよ。ただ、今、税金ですから、そのことが許されていないし、会計基準ですから。私は非常に、三つの財布を持つということは、昨今いろいろ言われておるじゃないですか、特会の問題を含めて。一般会計と特会。塩川さんはうまいこと言いました。母屋はおかゆ、離れはすき焼き。そうなる可能性も、おかゆと御飯ぐらいかもわかりませんが、すき焼きとは言いませんが。

 したがって、この会計はしっかり透明性は担保してもらわないといけないし、先ほど理事長に失礼なことを申し上げましたが、やはりどんどん財政を圧縮される、しかし大きな大義をここに持たされる、法律によって。人員削減を求められている。しかし、機構が、埋設に対応する専門事業でもない、本当に人的な部分を補強しなきゃいけない、この法案が通れば、こんな苦渋の中の課題を持っての船出になるんですが、私はしっかり頑張ってもらいたいし、逆に言いますと、さっきも何回も言っていますが、大量にこれからも何十年として原子力の平和利用をしていくわけであります。そういう観点から見ると、何回も言いますが、国が責任を持ってとか協力してとか言うんじゃなくて、国が全責任を持つという担保をやはり明確にしないと、国民の皆さんが安心してその立地の要件をより選択しやすいような環境は出てこないと僕は思う。

 そういう意味で、白地であれば大臣はできると言うけれども、まだらになったからこそ、責任を持ってやるんですということを明快にしないといかぬのだと私は思うんですね。

 ぜひ、そういう思いで今回質問に立たせていただきましたが、私は、この法律は一里塚だと思っています。したがって、トータルのスキーム、安全規制においても、原子炉の規制なのか放射線の規制なのか医療の規制なのかという、それぞれの縦の規制ではなくて、廃棄物としての横の規制でもってトータルの規制をやはりパッケージしていくということが一番大事なんだろうというふうに思っております。

 時間が参っておりますので、これは最後、これぐらいにしますが、大臣、一言でいいです。国の責任でこの問題については対処をするという決意を出してくれませんか。

渡海国務大臣 日本が将来とも現在の経済社会を持続的に発展させ、国民生活を守っていくというのは、これは国の責務でありますから、そういった観点に立って、この原子力政策というものをしっかり国家の責任においてやっていく、その中でそれぞれの役割というのがあろうと思います。

 これはいろいろな議論がなされてきて現在のような形になっているというふうに私は思いますけれども、きょうの平野先生の質問の趣旨も踏まえて、今後ともしっかりと原子力政策の中において国の責任を果たしていきたいというふうに思います。

平野委員 最後になりますが、「もんじゅ」の再開に向けてそれぞれ努力をいただいているんですが、トラブルがあった、ナトリウム漏えいの検知器においての一部ふぐあいがあった、こういうふうに聞いています。

 これの対処と、もともと予定でいきますと、再開に向けての確認試験で、臨界の再起動が大体十月ぐらいだというふうに聞いておりますが、今回の事故によって、トラブルによって、この期日が後ろに行くことはよもやないでしょうねと聞きたいんですが、それに向けて大丈夫でしょうね、こういう質問をしたいと思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。

平岡政府参考人 「もんじゅ」の安全規制を担当しておりますので、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。

 今御指摘のナトリウム漏えい検出器の警報、結果的にこれは誤警報であったのでございますが、電極の変形というものを確認したこともございまして、類似の検出器でも同様の変形があったということで、私ども保安院の方から、四月七日に、すべてのナトリウム漏えい検出器の施工状況等についての計画的な点検というのを指示させていただきました。そして、点検計画が今提出をされておりまして、この点検計画に基づき、原子力研究開発機構の方で点検がなされるという状況にございます。その実施状況、点検結果等につきましては、規制当局でございます私どもとしては、しっかりと検査等において確認をしていくという方針でおります。

平野委員 方針はいいんだけれども、十月というリミットがやはりあるわけです、当初の。今のお立場でいったら、十分にしっかりとやりますと。しっかりやってもらっておくれていくということもあるのかもしれません。おくれないでしっかりやってもらうようにぜひお願いをしておきたいと思います。

 時間が参りましたので終わりますが、多くの政府の方々に来ていただきました。これだけ来ていただかないと原子力のことについて、分散をしているというあかしでもあるわけであります。きょう十分に質問をできていない副大臣、政務官につきましても、大変申しわけなく、貴重な時間、来ていただきました。政府参考人におきましても十分に質問をしておりませんが、もう少しやはりスリムに、渡海大臣が一人おれば全部やれるという責任を持つような仕組みをぜひお考えいただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 以上で平野博文君の質疑は終了いたしました。

 次に、牧義夫君。

牧委員 おはようございます。牧義夫でございます。

 ただいま平野博文委員から、四年ぶりということで、九十分にわたる堂々たる質疑が展開をされたわけでございますけれども、私は一週間ぶりでございますから、軽く三十分、素朴な疑問を中心にお聞かせいただきたいと思うわけであります。

 今、国の最終的な責務も含めて、この問題の本質的な議論が展開をされたと私は拝聴しておりました。ただ、こういった難しい議論というのは、ともすると、最終的に、一体どんな話だったのかなと、キツネにつままれたような、煙に巻かれたような形で終わってしまうということが割と多いものですから、私は、もう少し原点に返って、そもそも廃棄物の処理というのは、最終的にはどのみち避けて通れない話でありますから、大変おくればせとはいいながら、どこかで手をつけなければならないという意味では、この法案に対する積極的な賛成かどうかはともかくとして、反対する理由はないだろうなという観点に立つものでございます。

 しかしながら、やはり最終的にはこれは立地の問題、先ほど来お話も出ておりますけれども、大きな壁もあるわけでございますし、やはり一般の国民にもう少しわかりやすい議論が必要なんじゃないかなというふうに思いますので、私もきょうは、この際、一般国民の目線で、まさに子供のような気持ちで素朴な疑問をぶつけていきたいと思います。

 今回のこの法案に基づいての本来業務、これは低レベルの放射性廃棄物の最終的な処分ということでありますけれども、そもそも低レベルというのは一体どういう定義なのか、まずそこら辺からお聞かせをいただきたいと思います。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 原子力施設やRIの使用施設などにおきまして、施設の運転保守、放射性廃棄物をいろいろ使いました実験、それから施設の解体などに伴いまして発生をいたしますさまざまな放射性廃棄物、放射能レベルの高いものから低いものまでさまざまございますが、そういった放射性廃棄物のうち、いわゆる高レベル放射性廃棄物など、非常に放射能レベルが高くて半減期が長いというようなことから地下三百メートル以上の深さの地層処分が必要なもの、これを除きました放射性廃棄物を指して低レベル放射性廃棄物と呼んでおりまして、非常にわかりにくい表現なんでございますが、そういう、高レベル放射性廃棄物などを除きましたものを一般的に低レベル放射性廃棄物と呼んでおります。

 低レベル放射性廃棄物も放射能レベルがさまざまでございますので、これらにつきましては、原子力安全委員会の考え方に基づいて設定されます放射能濃度に関する基準に従って、それぞれの放射能レベルに応じて適切に処分がなされるというふうな形になっておるところでございます。

牧委員 私は、やはり一般の国民がこのことについてもう少し、より具体的にイメージできるような議論にしたいと思ったからこそ素朴な疑問をさせていただきたいと冒頭申し上げたので、今の御説明ですと、高レベルじゃないものが低レベルだという程度の話でしかないわけですね。

 実際に今、現状でドラム缶五十五万本というお話でありますけれども、この五十五万本の中身というのは、一体どんな中身が詰まっているのか、どの程度のレベルのものがあるのか、そしてまたどういった形状になっているのかということと、どういうところから、まあこの機構から出ている部分が一番多いわけですけれども、どんな事業所から出ているのか、そこら辺もあわせてちょっとお聞かせをください。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 文部科学省におきましては、本年二月から三月にかけまして、研究施設等廃棄物を保管しておりますすべての事業者を対象に、昨年の十二月末時点での保管廃棄物量についての調査を実施いたしました。その調査結果によりますと、それぞれの事業所が保管をしております廃棄物量は合計で、今委員御指摘のとおり、二百リットルドラム缶換算で約五十五万本というふうなことになるわけでございます。

 大きなところでは原子力研究開発機構、その中でも、原子力研究開発機構は、日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構、この二つが十七年の十月に統合してできた法人でございますが、現在、旧原子力研究所では合計約十六万本、それから旧核燃料サイクル開発機構では合計約十九万本の廃棄物が保管をされているというところでございます。

 旧原子力研究所の事業所におきましては、例えば、原子炉の安全性に関する研究や、放射線、RIを使いましたさまざまな照射の実験等が行われてきましたことから、原子炉の解体により発生します金属やコンクリートなど、それから、RIを使いましたときに取り扱いました手袋だとか紙だとか、そういったRIに汚染された物品等が発生をしているわけでございます。

 それから、旧核燃料サイクル開発機構の事業所では、委員よく御承知かと思いますが、高速増殖炉の「もんじゅ」でございますとか、大洗にございます高速実験炉の「常陽」、こういったところでの研究開発、それからウラン濃縮とかウラン製錬などの研究開発も実施をしてきておりましたことから、例えば、原子炉の中に材料を入れて照射しましたときに出ます廃棄物でございますとか、それからウランなどの核燃料物質によって汚染された廃棄物などが発生しているところでございます。

 これらの日本原子力研究所や旧核燃料サイクル開発機構の事業所の中での廃棄物として一番大きなものは、やはり金属とかコンクリートなどの不燃物が最も多いというふうなことになっております。

 また、それ以外、大学でございますとか、民間の事業所、例えば三菱マテリアルだとか日立、旭化成だとか、そういった民間機関、それから医療機関、そういったところで発生する廃棄物につきましては、その事業や研究の目的ごとに、例えば、医療機関でありますれば、放射性同位元素を用いましていろいろ診断とかを行いますのでRIに汚染された廃棄物が出てまいりますし、それから、核燃料物質などを使いましていろいろ基礎的な実験をやるとか、そういった機関におきましては、核燃料物質、ウラン等で汚染された廃棄物が発生をしているというふうな状況でございます。

牧委員 いま一つよくわからないのは、今お話を伺っていて、実に種々雑多なものがあるわけですね。それが、今二百リットルドラム缶の中にどういう状態で入っているのかということも私は存じ上げませんし、それもちょっと後で伺いますけれども、例えば、今度「ふげん」の廃炉計画というのがございますよね。原子炉を解体して、約五万トンの放射性廃棄物が出るというお話を伺っておりますけれども、例えば、約五万トンというと、ドラム缶で何本になるんですか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 「ふげん」の廃止措置につきましては、ことしの二月に原子力安全・保安院による認可が行われたところでございまして、廃止措置が完了します予定の平成四十年度までに発生する放射性廃棄物量は、委員御指摘のとおり約五万トンと見込まれております。

 原子力機構によりますと、これらの廃棄物を、施設を解体しました後に、放射性物質をできる限り取り除く除染処理等を行いまして、放射性廃棄物として扱う必要のあるものが約一万トンになるというふうなことでございます。そして、これを、圧縮するとかそういった形で、減容処理と呼んでおりますが、量を減らす処理をいたしまして、その上で、セメント等できちっと充てんして廃棄体にしました場合には、二百リットルのドラム缶で約三万六千本というふうな数字になると想定しているというふうに聞いております。

牧委員 今、五万トンが三万六千本になると。減容処理をするということはわかりましたけれども、さっきの質問に戻って、例えばアイソトープ協会に保管されているもの等、今そういうものも全部含めて、結局、機構の三十五万本プラスその他二十万本ということですが、その他も含めて五十五万本というのは、そういった減容処理がされたものが五十五万本なのか、あるいは、例えば研究施設等で、動物実験の動物の死骸なんかもあるというふうに私は聞いておりますけれども、そういったものはもう焼却しているのか、あるいはそうじゃない、乾燥したままなのか。そういうことがちょっと、ドラム缶の中が、見たわけじゃないので、そこら辺をちょっと教えていただきたいんです。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 さまざまな研究開発施設、それから医療機関、RIの事業所などで出ます廃棄物につきましては、その事業所では、まずは基本的にその廃棄物の種類、形態等に応じて分けて、コンテナ等に詰めて保管をしておるということでございます。その中で、一部、焼却とか圧縮等を行って、なるべく量を減らすというふうな処理を行っているところでございます。

 例えば、日本原子力研究開発機構におきましては、一部の事業所を除きます主な事業所におきましては、焼却、圧縮施設を有しておりまして、発生しました廃棄物の一部を焼却とか圧縮等をしまして、量を減らしてドラム缶に封入して保管しておるというふうなことでございますし、また、RI廃棄物につきましては、日本アイソトープ協会が一手にRIの事業者から廃棄物を集荷しておりますけれども、その中の一部につきまして、岩手県の滝沢村にございます茅記念滝沢研究所というところで焼却、圧縮の処理を行っている。特に、医療関係のRIに汚染された廃棄物については、そういった形で処理をしておる。また、原子力機構でございますとか、それからRI協会におきましては、こういった処理施設を増強しようという計画もございます。

牧委員 つまり、焼却、圧縮等、既にやっているということでありますけれども、ちょっと先ほどの質問ともかかわると思うんですけれども、今後、この最終的な埋設の処分もさることながら、やはりこういった減容処理、あるいは運搬ということが、本当に機構ですべてこれが処理できる、し切れるものなのかどうなのかということが、私、大変心配に思っております。

 今、現状についてのお話はありましたけれども、今後、これから先五十年で五十三万本の処理をするというお話を伺っておりますけれども、それが今現在できる体制にあるのかないのか、ちょっとお聞かせをいただきたいと思います。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 まず、廃棄物の中で、日本アイソトープ協会が行っておりますRI廃棄物について一手に引き受けて集荷して、そして処理を行うということでございますが、これにつきましては、既にもう一部処理まで進んでおるということで、アイソトープ協会においては、自分のところで集荷したものについては、基本的に今後とも処理をしていくというふうなことだと聞いております。

 それから、原子力研究開発機構におきましては、今申し上げました焼却、圧縮施設のほかに、先ほども、各主要な事業所でさらに減容処理等を行います施設を一部試運転中、それから計画中のものがございます。そういったもので、原子力研究開発機構のものについては、基本的に、今後発生するものについて処理ができるものというふうに考えてございます。

 ただ、それ以外の、民間の事業者等から発生します、特に核燃料物質関係の廃棄物について、これについてはまだ、どこで処理をするのか、それから運搬をどういう団体が行うのかというのは決まってはいないところでございますけれども、例えば、今申し上げました原子力研究開発機構の施設におきましても一部余裕がございますので、そういったものを活用するとか、それから事業者の間で共同して処理施設をつくるとか、そういった形で、一番効率的な処理の仕組みを、私どもも入りまして、これから鋭意取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 それから、輸送につきましては、先ほども日本アイソトープ協会の件を申し上げましたけれども、既にアイソトープ協会が廃棄物を民間の事業者に委託して輸送しているという実態もございますし、それから原子力発電所から発生します廃棄物についての輸送についても、原燃輸送という会社が輸送しているという実態もございます。そういった形で、きちっと国の安全基準等にのっとった形で、民間の事業者で輸送をするということは可能なのではないかというふうに考えております。

牧委員 つまりは、国の基準があって、輸送の手段というものがあるわけですね。これは、もっと突き詰めればIAEAの基準というのがあるんだと思うんですけれども、それに基づいて民間でももう既に搬送等については実施しているということであります。

 そうすると、今回この法改正によってこの機構がこれを本来業務とするということになって、そういう部分は民間でできるというふうにもとれるわけですけれども、先ほどの平野委員の質問で、私も全く同感なんです、最終的な責務は国にあるというのは同感ですけれども、結局は、その担い手というか、実際現場でそれに従事する人間というのは民間なわけですね。それで間違いないですか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 今回の廃棄物処分事業については、法律改正によりまして原子力研究開発機構が実施主体となるわけでございまして、その施設の建設それから運営については、原子力機構が国の基本方針とか安全規制に基づいてきちっと運営をしていくということでございます。もちろんその一部で、例えば放射線の監視だとかそういった業務について、民間の事業者を活用するということはあろうかと思っておりますが、原子力研究開発機構の責任のもとで実施をするということでございます。

 それから、処分場までの輸送につきましては、これは、先ほども申し上げましたが、きちっとした国の輸送に関します規則にのっとって民間の事業者に、おのおのの廃棄物を持っております事業者が委託をする等してきちっと輸送をするということができるんではないかというふうなことでございます。

牧委員 これに関してもう一つだけお聞きしたいんですけれども、そうすると、今回の法改正に伴って、機構として、この本来業務に従事する人間等の、専門員と言うんですか、その補充というのは計画としてあるんでしょうか、ないんでしょうか。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 法律が成立をするということを前提で物事をあらかじめ決めておるということではないわけでございますけれども、仮に法案が成立した場合には、処分事業を円滑に実施するために、当然のことながら専門の技術職員も含めまして人員の再配置などを行いまして、担当部署の人員を、現在大体十二名程度でございますが、まずとりあえずは約二十人ぐらいに増強をする。それから、その後は、約十年ぐらいかけて立地から施設の建設、そして運用段階に入るというふうなことでございますが、そういった事業の進展に伴いまして、組織、人員の見直し、重点化を順次行っていくということで、最終的には数十人程度の体制で事業を推進するということを今、内々、原子力機構としては見込んでいるというところでございます。

牧委員 そんなことだろうと思っていましたけれども、つまりは、今後の、この実施主体としての最低限の責務を果たすための人員はきちっと充足しますよということだと思うんです。

 ただ、私がさっき聞いたように、実際に現場で、搬送なりあるいは埋設の作業なり管理なり、管理の一部はそれはもちろん機構の方がやるんでしょうけれども、いわゆる本当の現業職の部分については、結局民間にゆだねるしかないわけですよね。

 その意味で、ちょっと前の話を蒸し返して大変恐縮なんですけれども、先週富田委員の質問に対して、なぜこれまで放置していたんだということに対する大臣の答弁の中にも、これまでなかなか民間でやろうというところが出てこなかったというような理由を挙げられてきましたけれども、そもそもこの機構には、附帯業務として埋設処分というのもできないことはなかったわけだし、そういう中で、民間にきちっとした基準のもとで仕事をゆだねる形で、何も法改正しなくてもこれはできるんじゃないかというのが私の素朴な疑問なんですけれども、大臣、ちょっとお答えいただけますか。

渡海国務大臣 私も全く同じ疑問を持ちました。従来でもできるなら、それでやったらいいじゃないかと。

 ただ、一つ言えますことは、それはある観点なんですね。先ほど平野委員もおっしゃいましたけれども、要は、焼け太りするんじゃないか、そういうことはだめだぞという観点だったんですが、なかなか民間の方々から実施主体が生まれなかったというこの最大の理由は、やはり、原研それから核燃料サイクル機構以外のところというのは皆非常に小さいわけなんですね。ですから、その方々がそれぞれの責任において今保管をされているという状況がずっと続いていたということが一点ありまして、なかなか話が、例えば、協会でもつくってやったらどうかというふうなことも随分私も追及したんです、これは省内でございますけれども。だけれども、そういうのがあらわれなかった。

 それからもう一点は、これは、原研としても、二つの機構が一緒になることによって、最大発生源として、将来約八割を実は出すということを考えると、自分としてもその発生者責任で処理をしなければいけない、従来からもやっていた、そういうところを現実的に考えれば、この原研がやるのが一番合理的じゃないかと。

 牧委員の質問でございますが、従来でもやれていたんじゃないか、附帯業務で、しかも業務に差しさわりのない範囲でやれていたんじゃないかと。それに関して言うならば、なかなか差しさわりのないというところで済むような量ではなくなってきたというふうに考えていただく必要があるんじゃないか、これが一番率直な考えだと私は思っております。

 そういう中で、いろいろな検討がなされて、今回このような形をとらせていただいて、形が基本的に、法律によってやり方は変わるわけであります、会計も変えます。そして、そういったことも主体業務になるわけでございますが、そのことによって焼け太りというようなことは起こらないということもしっかりと確認した上で、原研にやっていただくということにした次第でございます。

 あと一点だけ、私もちょっとよくわからなかったんです。こんなのがある、後でお届けしますが。

 例えば低レベル、今回出そうとしているのがこのドラム缶なんですが、せいぜい一日の線量が平均〇・〇七ミリシーベルトという、聞いたこともないような単位なんですね。それはどれぐらいかというと、例えばエックス線写真を一回撮ると〇・〇五ぐらいだそうです。自然界で一年浴びると二・四ぐらい。これぐらいの量を実はドラム缶にして扱う。少し高い低いはあると思いますけれども。高レベルはこれに比べて一億倍ぐらい高い。そばに寄ると、下手するとすぐ死ぬというふうなものが高レベルであるというふうに理解をいただいたらいいんじゃないかと思います。

牧委員 それでは、さっき平野委員からも会計のお話が出ましたので、私は、聞こうと思っていたこと、時間の関係でちょっとはしょって、大事な部分だけお聞かせいただきたいと思うんです。

 今回、将来的な見積もりとして二千億という数字が出ておりますけれども、これは、減容処理だとかあるいは運搬だとかそういったものは含まれていないんですね。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 今回、私どもが最新の調査に基づきまして、これまで発生をしている廃棄物と今後四十年間に発生をいたします廃棄物、これが廃棄体換算で約五十三万本というふうな数字になるわけでございますが、これを浅地中処分するために必要な処分場の建設、施設の操業、それから処分場を閉鎖しました後の管理、そういった処分事業に直接かかわりますすべての費用を合わせると、委員御指摘のとおり、約二千億円と試算をされているというところでございまして、運搬とか処理にかかわる費用はこの中には入っておらないというふうなことでございます。

牧委員 よくわかりました。

 五十年後までに五十三万本。この数字は、現在五十五万本あって、単純計算すると毎年一万本ぐらいふえているのかなという印象がありますけれども、そうすると、五十年後は百万本を超えているんじゃないか。多分それは、減容処分するから五十三万本ということでよろしいと思うんですけれども、ただ、今のお話を聞いて、そうすると、これから先、幾らお金がかかるのか全く見当もつかないという理解しか私にはできませんし、多分渡海大臣も、今小刻みにうなずいておられますので、そういうことだと思います。

 ただ、そうはいいながら、当面、立地がきちっと定まらないことにはこの事業というものは全く一歩も進まないわけで、ちょっとここで大体見積もって将来的に総額幾らなのかという質問をするのは多分酷だと思いますから、それは避けさせていただきますけれども、少なくとも、立地の確保に向けての予算取りというのは、もう既にいろいろな自治体からもいろいろな反響もあるように聞いておりますけれども、地方自治体に対する支援策等についても含めて考えておられるのかどうなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。

渡海国務大臣 これまでの例を見ましても、地方の理解がなくしてはこの事業は成り立ちません。そういった意味において、これは国としてもという言い方になると思いますが、そういったこと全体を考えながらやっていかなきゃいけないというふうに思っております。

 具体的に今どういうことをどういう額で見込んでいるということについては申し上げることはできませんが、当然、地域振興策も含めて、御理解をいただいて、しかも安心をいただいて実施をしなければいけない事業だというふうに考えているところでございます。

牧委員 時間が参りましたので、これで終了いたします。ありがとうございました。

佐藤委員長 以上で牧義夫君の質疑は終了いたしました。

 次に、石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 提出の法案にかかわりまして、何点か御質問させていただきます。

 初めに、原子力二法人の統合準備会議がまとめた原子力二法人の統合に関する報告書、これは二〇〇三年に出されておりまして、読ませていただきましたが、当時、渡海文部科学副大臣が座長でいらっしゃいました。そこにはこのようなことがあります。「自らの原子力施設の廃止措置及び自らの放射性廃棄物の安全、かつ、着実な処理・処分を実現すること」と、殊さらみずからの廃棄物の処理処分ということが強調されていたんですね。

 ところが、今回の法律案では、みずからの分及び他事業者の低レベル放射性廃棄物の埋設処分を行うことをその業務に加えたわけであります。そして、文部科学大臣の定める基本方針のもと、基本計画を立て実施するというふうにされているんですが、なぜ、みずからの分及び他の事業者の埋設処分を行うということになったんでしょうか。その辺をお聞かせいただきたいと思います。

渡海国務大臣 これは既に、当委員会に委員もお座りいただいておりましたから、いろいろと御説明を申し上げております。

 このみずからのというのは、当時、二つの法人を統合するということに際して法人に課した使命でございます。要するに、発生者責任はしっかりしているという意味で書いたものでございまして、これは別にみずから以外のことを否定するものでも何でもありませんし、現行の法でも、先ほど来お話がございますように、附帯業務としては実はやれることになっておるわけでございます。

 今回なぜこういうふうにしたかということについては、これは朝から何度も御説明を申し上げておりますけれども、低レベル放射性廃棄物、この処理というものが長年、解決策というものが見つかっておりませんというか、解決策が提示をされておりませんでした。

 そこで、原子力委員会にもいろいろと御議論もいただき、また有識者等の御意見もいただいて、現実的に、事業者が非常に小規模であって、しかも多種多様なものが出てくるといったようなところから、牧委員の御質問にもございましたが、なかなか民間事業者があらわれてこなかったということ。また、原子力機構自身が、十七年に統合いたしまして、これから出てくると予想されるものも含めて八割ぐらいをみずからが持つというふうなこと。

 こういったことも含めて考えたときに、今回、このような法案の整理をさせていただいて、業務を整理させていただいてやっていただくことが一番合理的であり現実的であろうという判断のもとでこのようにさせていただいたと御理解をいただきたいと思います。

石井(郁)委員 放射性廃棄物の埋設処理事業ですから、安全にかかわる極めて重大な事業だというふうに思われますし、国の責任で本来行うのが筋ではないのかというふうに私は考えますが、既に議論にもなっておりますけれども、改めてやはり国の責任ということをきちっとまず明確にすべきだと思いますが、この点でももう一度御答弁いただきたいと思います。

渡海国務大臣 これも繰り返しになりますが、国はちゃんと基本方針を示して、そして実施計画等のチェックをやる。それから、これは独立行政法人でございますから中期計画を出していただいて、その計画についても、これは所管大臣がしっかりとそれについて承認を与えるということになっております。いろいろな面において、この原子力についてはそれ以外にも、安全基準であるとかさまざまな法体系の中で、国が一定の責任は常に担っているというふうに考えております。

 特に、この原研は独立行政法人でございますから、先ほど来言っておりますように、本来民間ではできないことを国でなくてもやれる形でやっているという、少しわかりにくいところがありますが、そういう法人でございますから、国としてはしっかりとこの独法を通じて責任を果たしていけるというふうに考えております。

石井(郁)委員 国の責任というのは後でも少し触れたいと思いますけれども。

 そうしますと、原子力研究開発機構が処分業者となるわけですよね。まず処分場の選定とか交渉、整備、それが決まって他の研究機関や医療機関など、これは二千四百事業者を対象にしてドラム缶の集荷に回るということで、それで集めたものが処分される、これがどうも数百年にわたる長さで続けられるということを聞いているんですけれども、では、そのために必要な人員と予算というのはトータルどのぐらいになるのでしょうか。少しこれも出ているんですけれども、改めてお聞かせいただきたい。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 先ほども御質問がございましてお答えをいたしたところでございますけれども、処分費用につきましては、発生者責任の原則に基づきまして、廃棄物の種類や発生量に応じて各発生者が負担をするというふうなことで、原子力機構以外の事業者の負担分も含めまして放射性廃棄物の処分事業全体に必要となります総事業費は、現時点での廃棄物のこれまで発生している量それから今後四十年発生すると見込まれる量をもとに算出をいたしますと、約二千億円程度ということでございます。そして、そのうちの原子力機構の負担分は大体約八割ぐらいということで、千七百億円程度と試算をしているところでございます。

 それからまた、人員についてでございますけれども、これにつきましても、仮に法律が今回認められて成立をしました後は、当初は、今十二人程度を約二十人ぐらいにして、その後、事業の進捗に対応して担当部署の人員の充実を図りまして、最終的には数十人程度で処分事業を実施していくというふうなことで今見積もっておるところでございます。

石井(郁)委員 最初は二十人ぐらいだ、その後には数十人というのは、かなりの規模だというふうに思うんですね。

 まず、この人数とその予算なんですけれども、果たして原子力研究開発機構で現状で対応できるんだろうかという問題なんですね。それは、こうした処分事業が原子力機構に加わるわけですから、機構におけるやはり原子力の安全などのそもそもの研究開発の仕事があるわけですけれども、それがおろそかにならないのかという危惧の声があるわけでございまして、それで伺いたいと思うんです。

 第一に、数十人という人員の確保なんですけれども、まず、日本原子力研究開発機構の定員数、これは平成八年と平成十九年度で結構ですけれども、ちょっとその数字をお示しいただきたい。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 委員もよく御存じのとおり、日本原子力研究開発機構は、平成十七年の十月に日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構が統合して発足しました。

 平成八年度当時は、日本原子力研究所の職員数は二千四百十人、それから核燃料サイクル開発機構の前身でございます動力炉・核燃料開発事業団の職員数は二千八百九人ということで、二法人合わせますと、平成八年度は五千二百十九人ということでございました。一方、平成十九年度の日本原子力研究開発機構の職員数は四千百五十七人というふうなことになっております。

石井(郁)委員 今おっしゃった御答弁のとおりなんですけれども、平成八年五千二百十九人、十九年度四千百五十七人ですよね。だから、どうも統合によって千人以上減っているという状況になっているわけです。これは、原子力開発機構も毎年人員削減がされている。

 その状態で、これは任期の定めのない職員について、平成十六年度に比べて、二十一年度までの中期計画中に四百八十九人以上の削減というのが盛り込まれていました。だから、約一〇%以上の定員削減というのがずっと押しつけられているわけです。一年間に百人もの削減だと。既に職場では、退職者は原則不補充ということで、安全関連、品質保証などで職員の業務量が増大している。それから、過重労働のために、体調不良とか精神疾患となる職員がふえているということも聞いています。そして、研究員の不足を補うためには、博士課程等の任期つき研究者の雇用をふやそうとしている。一方で、財源不足から、その報酬単価は引き下げられようとしている。非常に、やはり職場の研究者あるいは技術者の環境というのは悪化しているんじゃないでしょうか。

 こういう状況の中で、どのようにして埋設処分、管理のための人員を確保するんだろうか。今十人ちょっとを二十人にして、さらに数十人にする、この人員はどのようにして確保されるんでしょうか。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 今も申し上げましたとおり、今回の研究施設等廃棄物の処分事業を進めるに当たりまして、原子力機構では、事業の進捗に合わせて数十人程度の人員を措置していくというふうなことでございます。

 原子力研究開発機構では、これまでもそうしてきたわけでございますけれども、事業について選択と集中ということを進めまして、必要性の薄れました業務、例えば新型転換炉でございますとかウラン濃縮でございます、そういった事業を縮小、廃止しながら、人員について、廃棄物処分事業について所要の人員を確保するというふうにお聞きをしているところでございます。

石井(郁)委員 私は、やはりそういう答弁ではとてもだめだと思いますね。つまり、今でも非常にいろいろな困難が来ているということを申し上げました、定員削減がどっとされてきて、その現状の中でやりくりするという話でしかないんですよ。

 大臣、いかがでしょうか。こんな答弁で私はとても承服できませんし、既に限界だと思います。やはり必要な人員はふやすということでなければいけないと思いますが、大臣はいかがですか。

渡海国務大臣 必要な人間はしっかりと確保するということであろうと思います。

 ただ、私は従来の経緯から少しは知っておりますが、例えばこの二法人の統合のときに随分議論されたこととして、かなりの業務の縮小というものもあるんですよね。従来の、例えばウランの開発業務というのはもう完全になくなっているわけですね。それから、濃縮の問題等の研究の終わったもの、こういったものについても、やはり、集中と選択というよりも、しっかりと効率化をしてやっていただく。そういう中で、各独立行政法人、これは原研だけのことじゃないですよ、今みんな努力をして、そして、やはりこれは運営費交付金という国民の税金でとにかく基本は行われているわけでありますから、そのことを主体に、今一生懸命独法改革をやっておられる中でございます。

 ただ、委員がおっしゃるような、例えばそのことによって非常に過重な部分が生じているとか、これはこれとしてまた問題でございますから、そういうことがないように、我々はその配慮はちゃんとしなければいけない、必要な研究は行われなければいけないということであろうというふうには思っております。それで、そのことと定員削減、独法全体の基本的な改革ということは必ずしも僕は矛盾することではないというふうに考えておりまして、現場の実態を見ながら、支障がないようにこの事業も進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

石井(郁)委員 私も、いろいろやはり不必要な部分とか、研究ですから発展する部分がいろいろありますから、そういう縮小だとかということはあるかもしれませんけれども、現実にやはり業務量が増大している、いろいろな困難が来ているということがありますから、まさに大臣最後におっしゃっていただきましたように、現場をよく見ていただいて、やはり必要な部分はきちんと確保するということは本当にどうしても必要だというふうに思いまして、非常に大きな業務量をこれから課していくわけですから、その辺の確保をきちんとしていただきたいというふうに思います。

 さて、そのためにはやはり予算の問題になっていくわけでございまして、予算で少し伺いたいんですけれども、先ほど来、総事業費が二千億円ということなんですね。この二千億円というのが、原子力機構自身は千七百億円だということですけれども、どのぐらいの、何をもって二千億円なのかということが一つあるんですけれども、まずこの点でも、機構の予算の推移、機構自身が予算をどのようにして持ってきたのかということについて、平成十五年からで結構ですけれども、ちょっと推移を教えていただきたいと思います。

藤田政府参考人 御説明を申し上げます。

 平成十五年度予算、それから平成十六年度、十七年度の前半までは、日本原子力研究所とサイクル機構の予算額、政府からの支出金の合計額で御説明をさせていただきます。

 平成十五年度予算が二千十億円、平成十六年度予算が千九百八十億円、平成十七年度予算が千九百十一億円、それから平成十八年度予算が千八百九十七億円、十九年度予算が千八百九十七億円、そして二十年度予算が千八百六十一億円というふうな推移になっております。

石井(郁)委員 予算の点でも明らかにずっと右肩下がりというか減っているわけですね。この六年ぐらいを見てもずっと減額の一途で、だから、一般会計の減りぐあいというのは非常に著しいわけであります。

 原子力機構でいいますと、一般管理費は中期計画中に一五%も削減しています。その他の事業費についても年に一%以上の削減と、例の運営費交付金が減り続けているわけですけれども、こういう中で、施設の運転維持とか研究開発に支障が出ているという状況ですね。二千十億円が今や千八百六十一億円なんですから、約二百億円近く出ているわけですけれども。

 ですから、こういう状況の中で、国が埋設処分に対して予算措置をしなければ一体どういうことになるだろうかと。やはり、研究開発が危機的状況に陥るという声が出てくるのもうなずけるわけであります。ですから、一つは、この総額二千億円、実際、原子力機構の分は千七百億円だというふうに伺いましたけれども、この予算というのは今後どのように確保していくんでしょうか。

藤田政府参考人 原子力研究開発機構は、先ほど来、大臣からも御説明をしておりますけれども、今後四十年まで見通しますと、研究施設等廃棄物の大宗、約八割を発生させるということでございますので、発生者責任の原則に基づきまして、みずからの研究開発によって生じた放射性廃棄物の処分に責任を負わなければいけないということで、処理費用を確実に措置するということ。

 それから、多額な必要経費でございますので、費用負担の平準化を図ることによりまして、他の研究開発への影響を極力少なくできるよう、処分費用を平成二十年度から毎年度計画的に積み立てるというふうなことを予算で措置をしているところでございます。平成二十年度におきましては、本処分事業のための積立金として約四十三億円を計上しているところでございますけれども、この予算につきましては、機構全体、千八百数十億円という中で二・三%程度ということでございます。先ほどの理事長の答弁にもございましたように、他の研究開発活動に影響を与えることがないように何とか事業を実施ができるというふうな数字であろうかというふうに考えております。

 それから、原子力機構以外の発生者の廃棄物につきましては、廃棄物の量及び種類に応じて必要な費用をきちっと徴収をして処分を実施するというふうなことで、そのためにも、処分勘定について特別な勘定を設けてきちっと透明性を確保しようというふうなことでございます。

石井(郁)委員 お聞きしますと、私は、こんなことでいいのかなという気がやはり本当にするんですね。

 というのは、原子力機構として、今後、千七百億円総費用がかかる、毎年四十三億円を積み立てしていくということですね。その四十三億円というのは、二〇〇八年度でいうと千八百六十一億円の中から出すという話になっているんでしょう、今の答弁だと。それはわずか二・三%だと言うけれども、今私が申し上げたのは、運営費交付金自身が、原子力機構のいわば研究開発にも非常に支障を来すような額でしかないんだと。原子力機構本体の研究開発の予算、それにいわば食い込む形で積み立てが四十三億円入るんですね。こんなことでいいんでしょうか、大臣。

 私は、四十三億円積み立てというのは、新たな運営費交付金として国が措置するということならまだしもだと思うんですよ。そうじゃないんですか。

渡海国務大臣 独法は今、中期計画の見直しということで、運営費交付金のルールについても新しいルールを議論させていただいております。研究開発、私は、随分長い間一生懸命科学技術をやってきたものですから。

 ただし、先生、今の基本的な考えとしてありますのは、運営費交付金というのは基盤的経費なんですね。それにプラス競争的資金というのがありますから、例えばJ―PARCとか、要は、研究者の皆さんが使える枠というのは、ほかにも用意はされていることはされているんですよ。ただ、運営費交付金というのは、自由に使えるといいますか、自分たちの中で使える交付金だから使い勝手がいいということも、これは事実であります。

 しかしながら、それは基盤的な経費にできるだけ充てていっていただいて、研究の経費等はまた考え方はいろいろあるわけでして、これは原研だけじゃないです、理研であろうと、また海洋研であろうと、いろいろな科学技術の研究開発独法というのは、今そういう問題は皆さん工夫をしていただいて、実は頑張っていただいているという状況にあるということも一言だけ言わせていただきたい。

 そして、今回新たな事業が生じることについては、先ほどから言っておりますように、実は、原研の中でも整理していただく事業があるんですね。これは新型転換炉もそうでありますし、それから処分事業というのは、先ほどから平野議員も言われましたけれども、今までのやり方だけで本当にいいのかということも考えていただかなきゃいけない。そういうことを総合的に判断した上で、先ほどの岡崎理事長のお話になっているというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

石井(郁)委員 私は、今大臣から、運営費交付金の使途、その考え方をお聞きしたわけではないのでありまして、だって、原子力機構に新たな業務、この廃棄物処理の埋設処分業務というのがいわば課せられるわけでしょう。そのための費用というのはかなりの額なんだということを言われているじゃないですか。それが現状の運営費交付金の中から出すんだというんだったら、これでいいのかと言うのは当然じゃないでしょうか。

 私が伺ったのは、これでは、この新たな業務に何の予算措置もしないということと同じことなんですよ。本来国がやるべきことを機構にいわばさせるわけですから、押しつけるわけですから、そういうことにしておいて人も出さないし予算もつけないというのでは、余りにも国としての責任回避じゃないんでしょうか。そのことを申し上げているわけで、少なくとも、予算をきちんと措置するということは、私は、大臣としてやはり言明すべきだと思いますけれども、いかがでしょう。

渡海国務大臣 この処理事業、先ほどから言っていますように、これは将来ですが、実は、今でもかなりの部分はこの二法人が今までやってきた、その中から出ているわけですね。そういうことを考えれば、何もしなくても、その部分については本来法人が背負っていた一つの業務なんですね。それは御理解をいただきたい。

 それに加えて、先ほどから申し上げていますように、機構の仕事の中でも、これまでの仕事の中で、合理化をしたり効率化をしたりという部分もまだ残っているわけでございますし、事業として縮小していく部分もあるという前提で先ほどのお話をさせていただいたわけでございます。

 ですから、もちろん、そのことによって、例えば安全に支障があるとか、これは原子力でございますから、そういうことは絶対あってはならないことでありますから、そのことはよく原研も考えていただいた上で、そしてやりますということを岡崎理事長はおっしゃったものだと我々は理解をいたしておりますし、また、それはただ単に、原研がそう言っているからいいということではなくて、我々としても、この後のさまざまな状況というものをしっかりと見守っていきたい、そのことによって国の責任を果たしていきたいというふうに考えておるところでございます。

石井(郁)委員 本当に国の責任が問われると思いますので、きちんとしていただきたいというふうに思います。

 最後ですけれども、処分地の候補地というのは挙がっているんでしょうか。私は、やはりこの処分地の問題というのは、その選定、自治体との交渉というのは国が率先して行うべきではないかというふうに思っておりますけれども、そういうことで確認していいのかどうか、伺いたいと思います。

渡海国務大臣 それは、結果的には一体となって行うこととなると思います、今までのケースからいたしましても。

 一義的には発生者責任ということでお願いをするということになると思いますけれども、この処分地の問題、立地の問題等々について、今まで国自身が実は責任を逃れたということは一度もなかったと私は思いますよ。ウラン残土のとき、あのときは、たしかまだサイクル機構で特殊法人だったと思いますが、あの形態のときでも、全面的に国が出ていって実は交渉をしていたわけでございますから、そういう意味においては、今後とも、この事業について、一義的に原研がやっていただくといっても、国は一体的にその責任を負っていくというふうに考えていただいて結構だと思います。

石井(郁)委員 質問をいろいろしてまいりましたけれども、やはり全体として機構任せの感が強いんですね。

 改めて、日本原子力研究開発機構というのは本来研究機関です。こういう業務を押しつけること自体が、本来の研究開発がおろそかになるおそれがあると言わなければなりません。しかし、早急な処分体制の必要性ということから、一定の処分技術を持つ機構が行うということはやむを得ないと私どもも考えております。

 しかしながら、やはり原子力研究開発機構としての本来の安全研究などの研究開発に支障が出ないように、文部科学省として、人の面、予算の面でバックアップしていくんだということについては、再度大臣の御決意も伺って、質問を終わりたいと思います。

渡海国務大臣 もちろん研究は重要でございますから、我々は、そのことについて、これは原研だけではなくて、科学技術、また研究開発の予算の獲得のためには、文部科学省としてもしっかりとやっていきたいというふうに考えております。

石井(郁)委員 以上で終わります。

佐藤委員長 以上で石井郁子さんの質疑は終了いたしました。

 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 重複を避けて質問したかったんですが、既に通告をした分がほとんど重複をしていますので、やや角度を変えて御質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、発生者責任ということが、平野さんもおっしゃられたし、それから御答弁の中でも大変出てまいりました。この発生者責任の原則というのは、処理処分過程でどこまでが包括をされたものなのか。もうちょっと具体的に、二千四百事業者がいるけれども、そこからお金を出せば機構に処分をゆだねることができるし、そうすると、その後は機構が一切責任を負うということになるのかということが一点なんです。

 先ほどの御答弁をいろいろ聞いていますと、いやいや、そうではなくて、第一義的にはそうだけれども、がしかし、最終的には国の責任もあるというふうな趣旨のことをおっしゃられていたと思うんですが、では、その埋設処分をする機構の責任に対して、国はどの程度関与して、責任を分担すると言った方がいいかもしれませんが、ということが想定されているのか。

 できたら具体的な例でお話しいただけるとわかりやすいと思うんですが、もしありましたら、最初にお答えいただきたいと思います。

渡海国務大臣 詳細について、もし足りない部分があれば担当当局からお答えをさせていただきますけれども、まず、国は法に基づいてしっかりと基本方針を示すということであろうと思います。その方針に基づいて、今回の場合ですと、具体的にということでございましたから、原子力研究開発機構が実施計画をつくる、その実施計画をしっかりと保安院でチェックして、そして、保安院というのは国の機関でございますから、そのチェックに基づいて、処分の責任を原研が果たすということであろうと思います。

 ここのところはちょっと実はわかりにくいところなんですけれども、では、各発生者は発生者責任はどうなのかということでありますが、先ほど来御説明を申し上げておりますように、我が国の現在の廃棄物の現状からして、より現実的な、合理的なやり方として今回の処分の方法を選んだわけでございますから、そういった意味からすれば、機構に対して処分費用を負担するということによって事業者がみずからの責任を果たしている、基本的にはこういう大枠の枠組みではないかなと思います。

 加えて、先ほど来、これも話が出ておりますように、例えば立地ということになりますと、国は知りませんよというのではなくて、やはり機構に協力をして、例えば地域の問題もございますから、そういった問題について、これは責任というよりも、一体となってやっていくという責任、こういうものを国は持っているのではないかなというふうに考えておるところでございます。

藤田政府参考人 申しわけございません。ちょっとだけ大臣の補足をさせていただきます。

 先ほど大臣の方から、実施計画について、原子力安全・保安院の方に提出するというふうに申し上げたところでございますが、これは主務大臣でございますので、文部科学大臣と経産大臣の方に出すということでございまして、そして、きちっと審査をしまして認可を行うということでございます。

 それから、国の役割ということにつきましては、きちっと放射性廃棄物の処分が確実に実施されるという責任を果たしていかなければいけませんので、まずは、国の安全基準に基づいて施設が安全に運転されるということをきちっとチェックするということで国民の安全を確保する。

 それからまた、大臣からもお話ございましたような、立地を初めとして、促進のための施策を講じる。その中には、今回のような法律に基づいて処分体制を整えるということも、当然のことながら含まれておるというふうなことでございます。

日森委員 後でちょっと触れたいと思うんですが、かつて動燃時代に埋設をしたものが大変不都合が生じて、国民に大きな不安を与えたという事故がありました。

 三百年もずっと維持管理をしなきゃいけないということがあるわけで、例えば半減期がえらい少ないものというのは別かもしれませんが、それ以外のもので、そういう事故が、これはあってはならないことなんですが、起きないとも限らないわけですよ。

 そういうときに、この責任というのはだれがどういうふうに分担するのか、それとも、うちが承認した計画に従ってやって、しっかりとチェックをしたにもかかわらず事件が起きたんだから、それは国が全責任を負いますということになるんですかという具体的なお話を聞きたかったんですよ。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 施設の運転等に伴います事故が発生をしました際に、国の原子炉等規制法等の安全規制の体系の中で、どういう原因であったのかきちっとチェックをして、その原因が事業者のミス等であれば、当然のことながら、原子力機構が責任を負うというふうなことになろうかと思っております。

日森委員 我々も、本来は国が責任を持って、それはずっと平野さんもおっしゃったとおりで、これは基本的に責任を持ってやるべきものだと思っているんです。

 しかし、今までの経過も踏まえて、機構がこの仕事を当面、当面というか、三百年はかかるんでしょうか、やるということになっているので、処理しなきゃいけない問題ですから、それはそれで私たちも理解しないわけではありませんが、そういう意味から考えると、この発生者責任の原則というのは、今回それからその他の場合でも、ここに依拠したようなやり方というのは、これはいかがなものかという気がしてならないんですよ。もちろん、全くなくていいとは言いません。言いませんが、最初に申し上げたように、第一義的というのは一体どこまでの話なんだと。本当に国民に対して暮らしその他に不安を与えるような事態が生じたときは全面的に国が責任を持つ、そういう方向性を示す必要があるんじゃないかという思いがあるんですが、改めてお聞かせいただきたい。

渡海国務大臣 私も、放射性廃棄物のいわゆる処理についてどういう形態が一番いいのか、世界がどうしているのかということも含めて、日本は国土が狭いですから、そういう意味では世界と違っているということもあり得るのかもしれませんが、いろいろと調べてみました。

 アメリカは、これは基本的に完全に民間がやっているんですね、まあ、あれは広い国土ですから。ただし、その立地に関しては、土地は州政府なり連邦政府が提供している、こういう形態をとっているようです。これが一番民間に近い形でございます。

 原子力大国と言われているフランスでは、やはり独立行政法人に近いような国の機関、国の機関というか、独立行政法人的なものがありまして、そこがやっているというようなこともございます。

 一概にどこがというのはなかなか難しいわけでございますけれども、従来の経緯からして、我が国では発生者責任というのが、ある意味経済社会の原理といいますか、経済社会の原理というのは、それによって利便を得る者がその廃棄物について責任を持つ、産業廃棄物の場合も同じ考え方に立っているわけでございますが、日本の一つの考え方として、経済的原理としてはそういう社会の考え方があろうかと思います。そういう考え方に立った上、さて原子力は、ただし原子力は、こういうことになるんだというふうに思っております。

 先ほどから御説明を申し上げておりますように、では基本的に国がやるという考え方も私はないとは言いませんが、しかし、これまでの経緯からして、そういったことの発生者責任を前提としたその時々の合理的な解決策、これが今大きく言えばNUMOと原燃という形でやられているということであろうというふうに考えております。

 今回のものにつきましては、ちょっと先ほども私、まだウラン残土も分けなきゃいけないという問題が残っていたわけでありますけれども、ほぼそれを除いた、NUMOと原燃を除いた部分の低レベル放射性廃棄物について、我が国で散らばっているさまざまな、医療廃棄物もあります、こういったものをどうやって処理するかということで、一番その発生源として大きい原研に、これは発生者責任も原研は持っておるわけでございますから、お願いをしようという現実的な、また合理的な選択ではないかということにしたわけでございます。

 この責任の問題ということからすれば、発生者責任ということではそういうことに、先ほどから議論をさせていただいてなろうかと思いますけれども、国は、安全審査なり、また例えば立地なり、そういうものについては当然国としての責任を果たしていかなければいけない。安全審査の問題は先ほどありました。立地の問題については、地方の問題もございますから、基本的には一体的にやらないといけないだろうな、そういう責任はやはり国も持ってやらなきゃいけない。

 少し長くなりましたが、こういうふうに考えているところでございます。

日森委員 発生者責任は、結局、利益の問題と安全の問題ですよね。このバランスといいますか、それを政治がどう考えるかということで、本来、放射性物質という、大臣おっしゃったとおり極めて特殊な問題について、その利益だとかいうことに重きを置いてその責任を考えていくのか、それとも一億二千万国民の健康、命、安全、安心ということに重きを置いて考えていくのかというその違いがあると思うんですよ。そういう意味では、今回はこういう形になっていますが、しかし、国の責任もしっかりと持っていきたいという方向は示されているわけだから、ぜひ議論を通じて、事放射能に関する問題ですから、方向性を出していけたら大変いいんじゃないかというふうに思っています。

 それから、二つ目の問題なんですが、機構が処理するというふうに事業主体が決定をいたしました。しかし、低レベル廃棄物の貯蔵ピットが水浸しになっちゃったとか、ドラム缶に穴があいたまま放置されていたとか、岡山県や鳥取県ではウラン残土の問題などが大きな問題になりました、これは動燃時代なんですが。こういうずさんな管理が大きな社会問題になって、国民に物すごい重大な不安を与えた、そういう歴史的経過があるわけです。最近でいえば「もんじゅ」の問題もありますが、それはちょっとおいておきます。

 そういう事態について一定の反省なり改革があったというふうにお聞きをしていますが、今度機構をこの処理の事業主体に選定したことに対して、この考慮がされたのかどうなのか、こういうことについてどういうふうに判断をされて機構でよろしいというふうにされたのか。一般的な理由は聞いています。ノウハウもあるし、最もふさわしい技術を持っているし、八割も実際には廃棄物を出しているんだ、だから機構なんだという話は聞きましたが、この辺の問題についてはどう総括されたのかということを改めて聞きたいと思います。

渡海国務大臣 確かに、いろいろな事故が起こりました。そのたびごとに組織の持っている体質を問われたということも当時事実だったと思っております。

 当然、原因究明をやり、組織の再点検をやり、そして再発防止ということに努めてこられたということもやったわけでございますが、大丈夫かなと思うとまた起こるというふうなことを繰り返してきたわけでございますから、委員の御質問もそういうことから今されたというふうに思います。

 一つは、この二法人が統合されたということによって組織が再点検を大きくされたということがございます。そのことによってやはり組織自身もある意味変わった部分もございますし、そういった点はプラスの面に働いている面だというふうに思います。

 同時に、先ほどから何度も話題になっております、これは原子力の問題でありますから、やはり、しかしそのところを、なお安全を期すためにどうしていくかということについては、今こうです、ああですとか申し上げるよりも、むしろ今後、先ほど岡崎理事長もお話しになったわけでありますけれども、当然気を引き締めて、今までのようなことが起こらないように、今回の「もんじゅ」の問題は私もちょっと違うという気はしますけれども、組織としてもしっかりと、この業務に臨むに当たって再度徹底した、モラルをしっかりしていただきたいということを我々からも当然求めていきたいというふうに考えております。

日森委員 気合いで解決できるという大臣の強い決意がございました。しかし、実際には気合いだけではなかなか安全とか業務が円滑に遂行できるということにはならないのではないかというふうに思っているんです。

 そこで、これはもう何度も言われました、先ほどの石井委員からもお話がありましたが、やはり問題といいますか気になるものですから、私からも改めてお話を申し上げたいと思うんです。

 超長期ですよ。三百年間維持管理しましょうということに、例えばコンクリートピット処分などはそういうことになるわけですね。大臣はわかりませんが、私は恐らく生きていないということですし、多分だれも、今ここにいる人が確認できないぐらい長い期間、維持管理を機構さんがやりなさいということになっているわけですね。

 今、一方では独法改革とかいろいろな話があって、いやいや、私たちは、機構はしっかり体制を充実して、予算も人員もふやしてしっかりとやっていくべきだ、三百年先だって、機構という名前かどうかわからないけれども、国民の命や健康をしっかり守るということも含めてやっていくべきだと思っていますが、今の政治の流れ、政治の流れと言うとおかしいですが、独法改革ということが叫ばれていて、どうも不安になるわけですよ。

 その意味で、先ほどから何度も各委員が申し上げていますが、ここでもやはり国が前面に出て、国がしっかりと責任を持って、三百年先まで国民の健康や命に不安を出さないように責任を持ちますということを明確にする必要があるんじゃないかというふうに一つ思います。それがないと、それは、いや、原子力研究開発機構、一体、三百年先はあるんですかねと。私もそう思いますからね。私も大臣も確認できない先の話ですから、今ここで政府の立場というのを明確にしておく必要があるんじゃないかというふうに思うんですよ。

 それから、処分の問題が本来業務に格上げになってきたわけなので、そういう意味からいうと、先ほど来心配されている予算の問題なんかも、これは総額幾らかかるんですかというのはなかなか、牧さんは酷だから聞かなかったとおっしゃっていましたが、私はちょっと非情な男なので聞きたいと思うんですが、膨大なお金がかかるわけですね。それが研究開発を圧迫したりすることも当然予想できるわけで、そういう意味から考えると、人員や予算についても、これはきっちりと配慮して確保していくという担保を示しながら、この問題について進めていくということでなければならないんじゃないかというふうに思うんですが、そこはいかがでしょうか。

渡海国務大臣 独立行政法人、これはおのおのの設置法を持っているわけでございますけれども、通則法で業務を見直し、もちろん廃止をすることもあるというふうになっておりますが、これは法律で廃止をするわけでございますから、当然そのときには、立法府もしくは政府が関係をいたします。

 もし、原研がもはや必要なくなった、ほかの部門が必要なくなった、しかし三百年残るわけですから、この部分は残しておかなきゃいけないということになれば、当然、法律に基づいてきっちりと継承がされる形をとるということは、私どもも、現時点でもはっきりと申し上げることができるというふうに考えておるところでございます。

 なお、しっかり研究費をとるというのは私も全く同じ思いでございまして、先生、今いろいろなところで研究費が足りない、研究費が足りないという研究者の声もございまして、私としては、とにかく、日本が科学技術創造立国として今後ともしっかりと世界の中で生きていくためにも、この研究費の確保というものには今後とも全力を注いでまいりたいということを申し上げておきたいと思います。

日森委員 次に、ちょっとテクニカルな話なんですが、RI・研究所等廃棄物、これは浅い地中に埋める分なんですが、この処分の実現に向けた取り組みについてという平成十八年九月の文書があるんですが、その中で、「廃棄物の処分事業を円滑に実施するためには、安全確保に必要な基準の整備など安全規制上の課題が解決されていることが必要である。」というふうに書かれているわけです。

 具体的に申し上げると、ちょっと長くなりますけれども、例えば原子炉等規制法に関する問題、廃棄物の放射能濃度の上限値をどうするかとか、いろいろなことが規制されている。あるいは放射線障害防止法に関する、例えばRI廃棄物の基準の整備をどうするかとか、幾つか示されていて、両法に関するものもあるんですが、こうしたものが解決されていることが必要なんだというふうにこの文書は言っているわけです。

 現段階で、これらの要請に対して、どの程度満足いく回答を得られているのか、あるいはこれからきっちりやろうとしているのか、やろうとしているんだったら、すぐには始まらないんでしょうけれども、そういう段階で見切り発車しても大丈夫なのかということについてお聞きをしたいと思います。

森口政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生からお話のございました平成十八年九月に、科学技術・学術審議会の原子力分野の研究開発に関する委員会、ここが取りまとめました報告書におきまして、国として、安全規制上の課題、基準の整備の必要性が述べられております。

 当省の関係でいいますと、放射線障害防止法における安全規制上の課題ということで、埋設処分する場合の具体的なRI廃棄物の基準の整備、それから、放射線防護基準等の埋設処分に係る線量基準の整備、鉛等の有害物質を含む混合廃棄物の取り扱いの考え方の確立、クリアランス制度導入に向けた検認に係る技術的要件の整備、こういったことが示されてございます。

 これを踏まえまして、文部科学省におきましては、その一番目のものについては、RI廃棄物の基準の整備でございますけれども、標識を付す必要のある埋設廃棄物における線量当量率、あるいはトレンチ処分可能なRI廃棄物の放射能濃度の上限値などを、関係法令あるいは原子力安全委員会の報告書を踏まえまして、施行規則あるいは告示により定めることとしております。

 また、二番目の線量基準の整備につきましては、廃棄物埋設施設における管理期間中及び管理期間終了後の放射線量の限度を、放射線審議会基本部会報告書を踏まえて、告示により定めることとしております。

 また、有害物質を含む廃棄物の取り扱いにつきましては、廃棄物に含むことを禁止する鉛等の有害物質に関する基準を、関係法令等を踏まえて、告示により定めることとしております。

 スケジュールでございますが、これらの基準につきましては、埋設事業の計画の進展を踏まえまして鋭意検討を進めてきたところでございまして、外部有識者の意見も聞いた上で、埋設施設の立地や事業の円滑な推進に支障を来さないように、必要な法令の整備を進めてまいりたいと考えております。

 それから、最後のクリアランスの制度導入に向けた検認に係る技術的要件につきましては、現在、実際の施設におけるデータを収集、調査しているところでございまして、今後、検認手法の確立等、具体的な技術基準の検討を進めていくこととしているところでございます。

日森委員 これは、ぜひしっかりやっていただきたいと思います。

 今、原発関係から生まれる廃棄物については、もう何度も議論になっていますが、原燃がおやりになっているわけですね。発生者責任の話がまた出てくるから、機構は多いから、機構自身が整備をして、では、ついでに医療関係その他のところも全部やりましょうかという話になっているんだと思うんですが、その廃棄物の線引き、原燃と機構でそれぞれ取り扱う廃棄物の線引きというのは一体どのように行っていくのかということがちょっと知りたいと思いました。

 法案の中でちょっとわかりにくい話があったんですが、二十八条ですか、それだけ申し上げておきますが、「政令で定めるもの」というのはどういう取り扱いになるのかということも一緒にお聞かせいただきたいと思います。どんなものが想定されるのかということも含めて。

藤田政府参考人 御説明申し上げます。

 日本原燃の廃棄物の処分事業との線引きということでございますが、これにつきましては、今改正案を御審議いただいております、改正後の機構法第十七条第一項五号の規定によりまして、実用発電用原子炉及びその附属施設、並びに日本原燃が実施しているウラン濃縮や再処理といった、原子力発電と密接な関連を有する施設から発生するものを原子力機構の処分対象から除外するということで法律改正をお願いしているところでございます。

 それから、二十八条の四号の関係でございますが、発電の用に供する原子炉であって研究開発段階にあるもの、それから原子力発電と密接な関連を有する施設であって政令で定めるもので、民間から、機構以外の者から処分の委託を受けた放射性廃棄物について引き受けるというふうなことで、その場合には主務大臣が文部科学大臣と経済産業大臣になっているという件でございます。

 まず最初の、機構以外の者でもって、発電の用に供する原子炉であって研究開発の段階にあるものというのは、これは概念的な問題でございますけれども、例えば高速増殖炉の「もんじゅ」のような発電用の原子炉で民間がつくるもの、これは研究施設であるから、廃棄物を原子力機構が研究施設の廃棄物として処分するということです。

 次に、お尋ねの、原子力発電と密接な関連を有する施設であって政令で定めるもの、これについては、核燃料サイクルにかかわる加工施設など、原子力発電と密接な関連を有する施設のうち研究開発に関係するものがやはり概念的にございますので、そういうものについては、研究開発にかかわるということで、原子力機構の処分の対象の廃棄物に含めるということにしたものでございます。

 なお、現時点ではおのおの対象となる施設は確定をしていないわけでございますけれども、今後、具体的な施設が出てきた時点で政令を定めるというふうな形で当該施設からの廃棄物を処分するというふうなことにさせていただきたいと思っております。

日森委員 「もんじゅ」と「ふげん」以外はないということなので、今後何か出てくればこの法律によって適用するというふうな理解でよろしいですか。

 では、もう時間が来ました。最後に、立地の問題。大臣から大変力強いお言葉をいただきました。これは本当に事業主体だけでは物すごく難しい。これはもう皆さんおっしゃっているとおりで、大変な話になると思うんですよ。やはりこれも国が前面に出て、できたら札束でほっぺたをひっぱたくような話はやめてほしいと思うけれども、本当に住民の合意を得ながら、これは大事な問題なので、きちんと立地ができるような努力をしていただきたいということを申し上げて、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 以上で日森文尋君の質疑は終了いたしました。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 午後五時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後五時開議

佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 ただいま議題となっております内閣提出、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案について審査を進めます。

 本案に対する質疑は、先ほど終局いたしております。

 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、鈴木淳司君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。牧義夫君。

牧委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    独立行政法人日本原子力研究開発機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 原子力の研究、開発及び利用に伴って発生する低レベル放射性廃棄物の最終処分に関して、その必要性、安全性について国民の理解と協力が得られるよう情報提供に努めること。

 二 政府が定める埋設処分業務の実施に関する基本的な方針及び独立行政法人日本原子力研究開発機構が作成する埋設処分業務の実施に関する計画について国民の理解が得られるような情報提供に努めること。

   また、埋設処分業務の実施に関する基本的な方針の策定に当たっては、科学技術・学術審議会において審議を行い、パブリックコメントを行うなど広く国民の意見を聴き、その反映に努めること。

 三 政府は、放射性廃棄物の埋設処分地の選定に当たっては、地域住民の理解と協力が得られるよう努めること。

 四 政府は、放射性廃棄物処分のための埋設施設の安全審査に当たっては、安全審査体制を整備し、審査の過程に万全を期すること。

   また、独立行政法人日本原子力研究開発機構は、施設を管理する者として、放射性廃棄物埋設処分施設の安全確保に万全を期すること。

 五 放射性廃棄物の輸送、処理等が安全かつ的確に実施され、放射性廃棄物処分が確実に進められるように、放射性廃棄物発生者の経済的負担及び放射性廃棄物発生者から放射性廃棄物を引き取る際の放射性廃棄物の性状等の基準をも考慮して、放射性廃棄物処分について、国、独立行政法人日本原子力研究開発機構、関係者が協力して円滑に行われるよう努めること。

 六 独立行政法人日本原子力研究開発機構は、放射性廃棄物の埋設処分業務をその他の業務と独立した勘定として区分し、厳正に経理を行うとともに、安全性に留意した上で効率的な事業の実施に努めること。

   また、政府は、放射性廃棄物の埋設処分が確実に行われるよう独立行政法人日本原子力研究開発機構の予算及び人員の確保に万全を期すること。

 七 政府は、放射性廃棄物の処分について責任を持って安全かつ確実に行われるよう措置すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。渡海文部科学大臣。

渡海国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五分散会


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