衆議院

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第15号 平成20年6月6日(金曜日)

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平成二十年六月六日(金曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員   

   委員長 佐藤 茂樹君

   理事 伊藤信太郎君 理事 小渕 優子君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 渡辺 具能君 理事 小宮山洋子君

   理事 牧  義夫君 理事 富田 茂之君

      阿部 俊子君    井脇ノブ子君

      飯島 夕雁君    遠藤 利明君

      小川 友一君    岡下 信子君

      加藤 紘一君    佐藤  錬君

      鈴木 恒夫君    中森ふくよ君

      長崎幸太郎君    原田 令嗣君

      平口  洋君    福田 峰之君

      藤田 幹雄君    二田 孝治君

      保坂  武君    馬渡 龍治君

      松野 博一君   山本ともひろ君

      田島 一成君    高井 美穂君

      土肥 隆一君    藤村  修君

      松本 大輔君    山口  壯君

      笠  浩史君    和田 隆志君

      西  博義君    石井 郁子君

      日森 文尋君

    …………………………………

   文部科学大臣政務官    原田 令嗣君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 御園慎一郎君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      舌津 一良君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         磯田 文雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           村木 厚子君

   文部科学委員会専門員   佐久間和夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     長崎幸太郎君

  近藤 基彦君     遠藤 利明君

同日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     近藤 基彦君

  長崎幸太郎君     江崎 鐵磨君

    ―――――――――――――

六月五日

 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律案(文教科学委員長提出、参法第二六号)(予)

同月六日

 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律案(参議院提出、参法第二六号)

は本委員会に付託された。

六月六日

 公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法案(藤村修君外二名提出、第百六十六回国会衆法第五三号)

は委員会の許可を得て撤回された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法案(藤村修君外二名提出、第百六十六回国会衆法第五三号)の撤回許可に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

佐藤委員長 これより会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 第百六十六回国会、藤村修君外二名提出、公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

佐藤委員長 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官御園慎一郎君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長舌津一良君、高等教育局私学部長磯田文雄君及び厚生労働省大臣官房審議官村木厚子さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

佐藤委員長 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、遠藤利明君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。遠藤利明君。

遠藤(利)委員 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 小中学校等の施設は、子供たちの学びの場、生活の場であるだけでなく、地域住民にとって最も身近な公共施設の一つであるとともに、災害時の避難場所としても中心的な役割も担っているところであります。

 しかしながら、耐震化工事は市町村等の取り組みによってなされるものでありますが、対象となる施設数が多く、地方財政が大変厳しい中、工事を先送りにするなど、その取り組みがおくれております。

 文部科学省の公立学校施設耐震改修状況調査によりますと、平成十九年四月一日現在の小中学校の耐震化率は五八・六%にとどまっており、いまだ四割近くの小中学校は耐震化の対策がなされておらず、その安全性の確保は喫緊の課題であります。さらには、去る五月十二日に中華人民共和国四川省で発生しました地震によって、数多くの校舎が倒壊し、多数の子供たちの命が失われた大惨事を見るにつけ、なおさらその思いを強くしております。

 これを受けて、公立の小学校、中学校等の校舎等の地震に対する安全性を早急に確保することを目的として、地震の際に倒壊の危険性の大変高い公立の小学校、中学校等の校舎等の改築及び補強についての国の補助の特例を設ける等、学校施設の耐震化を促進するための必要な措置を講ずるため、本案を起草した次第であります。

 次に、その内容について申し上げます。

 第一に、地震防災緊急事業五カ年計画の対象に公立の幼稚園を追加するとともに、同計画に基づいて実施される事業のうち、地震の際に倒壊の危険性の高い公立の幼稚園、小学校及び中学校等の校舎等について、補強事業については補助率を三分の二、やむを得ず行う改築事業につきましては補助率を二分の一にそれぞれ引き上げることとすること。

 第二に、地方公共団体に対してその設置する公立の幼稚園、小学校及び中学校等の校舎等に係る耐震診断の実施及びその結果の公表を義務づけること。

 第三に、国及び地方公共団体は、法律の趣旨を踏まえ、私立の幼稚園、小学校及び中学校等の校舎等についても、地震防災上必要な整備のため財政上及び金融上の配慮をすること等であります。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 本件について発言を求められておりますので、順次これを許します。鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 おはようございます。自由民主党の鈴木淳司です。

 質問に先立ちまして、先月発生しました中国四川大地震の被災者に心からお見舞いを申し上げますとともに、多くの犠牲者、とりわけ授業中の校舎倒壊によって亡くなられた児童生徒の御冥福を、当委員会の一同一緒にお祈りをしたいと思います。

 さて、今回、地震防災対策特別措置法の一部改正案が議員立法で提出されたことに対し、取りまとめに御尽力された各党御担当者並びに関係者に改めて感謝と敬意を表したいと思います。

 さて、高まる防災意識の中で、学校施設の耐震化の必要性は理解されつつも、市町村においては公立小中学校の耐震化率はいまだ六割程度にとどまっておりますが、その理由及び原因はどこにあると文科省はお考えでありましょうか。

 また、今回の起草案に盛り込まれた法改正事項により、こうした課題は解決に向かうものとは思いますが、それでもなお、例えば、実質公債費比率が高く新たな起債が困難な自治体への対応や、補強よりも改築を優先する余りに耐震化が進まない市町村の意識転換などの課題が残るかと思いますが、これらの課題に文科省はどのように取り組んでいくのか、お尋ねをいたします。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 まず、耐震化が十分に進んでいない理由でございますけれども、まず第一番目に、市町村におきます財政上の理由がございます。二点目に、学校でございますので、対象となる施設数が多い。三点目が、学校の統廃合等の問題を抱えているということ。また、四点目でございますが、地震防災に対する意識の問題といった点が考えられるところでございます。

 次に、公債費率の問題でございますが、今回の国庫補助率及び地財措置の拡充によりまして地方負担分が縮小するわけでございまして、起債を起こしやすくなるというふうに考えておるところでございます。

 なお、市町村の状況を把握の上、起債しにくいという実情がございましたらば、関係省とも相談の上、対応策を検討してまいりたいと考えております。

 また、従来から文部科学省では、費用のかかる全面建てかえ方式から耐震補強・改修方式に重点を移すという方針のもとに市町村にお願いをしてきたところでございますけれども、今回の法案にございます改築に対する補助率のかさ上げにつきましては、コンクリート強度の不足など一定の限定されたものになっているわけでございますので、これまでの文部科学省の方針と同様でございます。

 こういうようなことによりまして、耐震化がさらに一層進むものというふうに理解しております。

鈴木(淳)委員 次に、予算確保と耐震改修促進への文科省の決意についてお尋ねいたします。

 一万棟とも推計されるIs値〇・三未満の学校施設をすべて耐震化するのに必要な国費の総額は、今回の補助率引き上げにより約四千二百億円と見込まれております。今後五年間の期間で考えれば、現行の交付金の範囲内で何とか対応可能かとは思われますが、五年を待たず、喫緊の課題でもある耐震化をより短期で進めるためには、現行の予算規模、当初予算規模では不十分で、補正予算も含めた予算獲得が不可欠になるものと思われます。

 高まる危機意識を受けて、今後の予算確保の見通しと、早期の耐震改修の促進に向けての文科省の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。

舌津政府参考人 今後のいわゆる予算関係のお尋ねでございます。

 私ども、昨年十二月に、生活安心プロジェクトなどにおきまして、今後五年を目途に一万棟の耐震化を図ることとしておるわけでございますけれども、今後これにどの程度の財源が必要かということは、ひとえに市町村の取り組みの状況にかかるわけでございまして、私どもも、Is値〇・三未満の学校施設の耐震化につきまして、喫緊の課題であるということで、市町村に対しまして、五年を待たずに、できる限り早期に耐震化を図るようお願いをしているところでございます。

 今回の法律の改正によりまして市町村の取り組みがどの程度加速するのか、現時点でこれを予測することは極めて困難でございますが、今後の事業計画の動向を見ながら、耐震化事業に支障が生じないよう、あらゆる機会を通じて財源確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(淳)委員 それでは次に、私学配慮の具体化のあり方についてお尋ねをいたします。

 今回、補助率の引き上げと地方財政措置の拡大、耐震診断の実施と公表以外で、今般の法改正に盛り込まれた大きなポイントは、新たに公立幼稚園が補助対象に加えられたことと、私立学校への配慮規定の明記かと思います。

 言うまでもなく、学校施設等の耐震化の必要性は、公立、私立の別を問いません。私学配慮の視点が今回明確に盛り込まれたことは大きな前進かと思います。しかしながら、耐震診断の実施や公表も含め、私立学校に対しては公立と同じように一律に義務づけることができない点や、民間への補助の仕組みが公立のそれとは異なる点などの課題があり、今後、私学配慮の具現化に向けては詳細な検討が必要かと思われます。

 果たしてこの先、財政上並びに金融上の措置も含め、どのような方向性での検討が進められようとしているのか、お尋ねをいたします。私立学校との協議も踏まえ、この問題に熱心にお取り組みになられました我が党提出者の遠藤議員と文科省にそれぞれお尋ねをいたします。

遠藤(利)委員 お答えいたします。

 今委員御指摘のように、子供の命は公立も私立も問わないわけでありますし、同じように対応するのが我々の責務かと思っております。

 ただ、これまで、御存じのように、この法律の中で公立のみを取り上げてきました。私立は、予算規定としてこれまでなされておられました。何とか今回それも含めてと、いろいろ検討したわけでありますが、先ほどお話がありましたように、地震防災緊急事業五カ年計画、それを早急に私立に対応させることができるか、あるいは診断の義務化、公表化を早急にさせられるか、そんな点をいろいろ踏まえ、まずは公立の小中学校を先行してかさ上げしよう、そんな形でさせていただきました。

 御存じのように、これまでも、私立の幼稚園、小中学校につきましては国庫補助金が支給されておりますし、また、それに関しての費用負担を軽減するための、私立学校振興・共済事業団からの低利融資などの制度も設けられております。私立小中学校等の団体の皆さんあるいは幼稚園の皆さん方とも相談の上、今回は配慮規定として書かせていただきましたが、我々としてもなお一層の対応が必要だと思っております。

 そんな観点から、提案者として政府にさらにこの点を強く求めてまいる所存でありますので、ぜひ御支援をいただきたいと思っております。

磯田政府参考人 今お話がございましたように、文部科学省では、国庫補助金並びに日本私立学校振興・共済事業団からの低利融資制度などを使いまして、私立の幼稚園、小中学校等の耐震化事業を促進しているところでございます。

 今回の法案の制定に際しましては、私どもといたしましては、この法案がつくられるに至りました経緯、その趣旨を十分踏まえまして、私立の幼小中学校等施設の耐震化が促進されますよう、施策の充実に努めてまいりたいと存じます。

鈴木(淳)委員 最後に、小中学校等以外の教育施設に対する耐震改修の取り組みについてお尋ねをいたします。

 耐震改修の促進は、小中学校等に限らず、高校や大学などの他の学校種についても重要な課題であります。とりわけ、広大な敷地を持ち、防災上の一大避難拠点にもなるべき大学の耐震改修の促進はこの先重要な課題になると思われますが、私立大学の改修支援も含め、小中学校等以外の教育施設に対する耐震改修の取り組みの必要性についていかなる御認識をお持ちか、文科省にお尋ねをいたします。

磯田政府参考人 大学の施設の耐震化につきましては、学生の安全確保上特に緊急な必要があるということで、私立学校も含めまして国庫補助を行っているところでございます。

 また、高校以下と同様の低利融資などにより支援しているところでございますが、今回の法案が高校以下に対する私立学校に配慮を求めているということではございますけれども、安全確保の重要性ということを踏まえまして、私立大学も含めました大学につきまして耐震化が促進いたしますよう、施策の充実に努めてまいりたいと存じます。

鈴木(淳)委員 地震国日本にあって、地震の発生は防ぎようがありません。仮に大規模地震が発生をしても、学校現場における被害を最小限にとどめるためにも、公立、私立を問わず一日も早い耐震改修が進むことを願って、発言を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 これにて鈴木君の発言は終了いたしました。

 次に、西博義君。

西委員 公明党の西博義でございます。

 今回の地震防災対策特別措置法の一部改正案に関連して御質問を申し上げたいと思います。

 このたび、地方自治体の財政負担軽減を図り、学校耐震化を促進するという法案をおまとめになられた提案者の皆さんの御努力に、まず心より敬意を表したいと存じます。

 実は、私ども公明党も、阪神・淡路大震災の直後、学校耐震、特に当時は避難場所と言われる体育館の耐震というのが話題になりまして、そのことについて独自に補助率のかさ上げ等の法案を新たにつくって、そして国会に提出しようと努力をいたしました。残念ながらいろいろな事情がありまして日の目を見なかったんですが、今回、このようにして大変御努力をいただいて、新たに財政負担を軽減する方策をとっていただきましたこと、心より感謝を申し上げたいと思います。

 初めに、この法案では、学校耐震化の国の補助、これがIs値の〇・三未満の補強の場合が三分の二。それから、やむを得ず行う改築、これに限っては二分の一ということで、引き上げができることになります。一方、地方財政措置に関しては、起債充当率及び元利償還金に関する地方交付税の算定割合を引き上げるということで、二つの大きな措置がとられているというふうに伺っております。

 Is値の〇・三以上の補強の場合には補助率は二分の一で現行どおり、あわせて地方財政措置の拡充も対象外、逆に言えばそういうことだというふうに理解をしておりますが、今回、Is値〇・三未満の補強をいわば重点に行うというふうに、区切りを一応つけたと理解しておりますが、この立法段階におけるお考え、このことについて、まず提案者にお伺いをしたいと思います。

富田委員 Is値〇・三未満の学校施設は、Is値〇・三以上の施設に比べまして、地震による倒壊等の可能性という点におきまして危険性が特に高い状況にあるというふうに理解をしております。そこで、本改正案は、こうした危険性が特に高いIs値〇・三未満の施設の耐震化を緊急に行う趣旨で、これらの施設に限りまして、従来から三分の一から二分の一にかさ上げされております補助率を、さらに三分の二まで引き上げることとしたものでございます。

 なお、Is値〇・三以上の施設の補強につきましても、これまでどおり、地震防災対策特別措置法によりかさ上げされた補助率二分の一を引き続き適用するとともに、地方財政措置につきましても、従来から講じられていた措置を引き続き行い、できる限り早期の耐震化を推進することといたしております。

西委員 次に、国の補助に関しまして、この補助単価の問題についてお伺いをしたいと思います。

 補強にかかわる単価、それから改築や新増築にかかわる建築単価、これがそれぞれ今幾らかということをまず報告していただきたいと思います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年度におきます新築、増築、改築事業の予算単価は、平方メートル当たり十四万六千円でございます。これは小中学校校舎の鉄筋コンクリート造の場合です。

 それから、耐震補強事業の配分の基礎となります単価は、平米当たり二万六千二百円としておるところでございます。

西委員 今御報告をいただきましたが、この補助単価については、特に建設単価が現実の実例単価と比べてかなり低く設定されているというふうに考えております。さらに、この補助単価と実例単価の差額については地方財政措置も十分とは言えない、こういう課題があります。この地方財政措置についてどのようになっているのか、文科省の方から簡単に説明をいただきたいと思います。

 原則として補助単価を引き上げてほしいというふうに考えておりますが、できなければ、補助単価と実際の単価の差額について地方財政措置を拡充してほしい、こういうふうに要望したいと思いますが、これもあわせて答弁をお願いしたいと思います。

舌津政府参考人 実際の国庫補助を行う際には、先ほど申し上げました単価に、一つとしては地域の物価水準、あるいは離島というような立地条件、それから三点目として木材利用など事業の内容に応じまして、若干単価を上乗せして補助金を交付しているところでございます。

 今、実際の単価との差の問題でございますけれども、新増築事業におきましては、いわゆる実施単価と補助単価の間に差があるというのは事実でございまして、この差額に対する地方財政措置というのは、いわゆる継ぎ足し単独事業という形で起債対象となっておるわけでございます。その起債の充当率は、当該事業費の七五%であります。それから、これに対する元利償還金の交付税措置も、一部の改造事業の場合は、地方債のうち三割を交付税の基準財政需要額に算入するというような仕組みになっていると聞いておるところでございます。

 文部科学省といたしましては、今後、諸物価の動向等を踏まえまして、実施単価と補助単価の乖離が生じないよう努めていきたいというふうに考えております。またさらに、地財措置の拡充についても関係省と相談させていただきたいというふうに考えておるところでございます。

西委員 ありがとうございます。

 各学校を訪問しますと、やはり特徴のある学校づくりというのが今各地で行われております。若干のお金がかかる、プラスアルファがかかるということを十分理解していただいて、その辺の手当てもぜひともお願いしたいというふうに思います。

 先ほど私学の問題について委員からお話がありましたが、財政問題のほかに、私学などが耐震化を進めるに当たってネックになっているのが、私どものところにもいろいろ話が来るんですが、耐震化のための仮校舎の確保というものが問題になります。休むわけにいきませんし、十分な用地が確保されていない、そのときに仮校舎をどうするかという問題が実際には課題になっているということで、仮校舎用として、廃校の校舎の利用、それから国有地、公有地の未利用地などの貸し出しをするなどの措置を講じて学校耐震化が進むように文科省も取り組むべきではないか、こう思いますが、いかがでしょうか。

磯田政府参考人 各私立学校におきましては、児童生徒等の安全確保や授業等への影響を考慮しまして、夏休み等の長期休業期間を利用して補強を行うというのが一般的ではございますが、委員御指摘のような事情を考えますと、具体的には他の用地、公共的な用地を活用するということは必要な観点ではないかと考えるところでございます。

 事例は、校舎建てかえの事例ではございますが、千代田区の小学校の廃校舎を私立学校が二年間弱利用したというケースもございますので、本法案の趣旨あるいは御指摘の点を十分踏まえまして、各都道府県の担当者及び私立学校関係者と情報を交換しまして、具体的な対応について検討してまいりたいと思います。

西委員 ありがとうございます。積極的に対応していただきたいと思います。

 時間が来ましたが、最後に、前回のこの文部科学委員会でも耐震化の問題を取り上げさせていただいて、さらに厳しい財政状況にある地方自治体についての種々の課題を申し上げました。これを第一歩として、さらに充実した学校耐震化の議論がなされ、また、文科省として対応していただけますようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

佐藤委員長 以上で西博義君の発言は終了いたしました。

 次に、松本大輔君。

松本(大)委員 民主党の松本大輔です。

 民主党は、これまでも耐震化促進のための法案を提出してまいりました。私も、本日取り下げとなった法案の提出者の一人でありまして、今まで審議に付されてこなかった、なかなか進んでこなかったことについては、正直申し上げていろいろな思いもあるわけですけれども、一方で、きょう、その法案を取り下げることと引きかえにといいますか、こういう委員長提案という形でようやく前に進むということについては、大きな一歩であるというふうに受けとめているところであります。

 提出者の藤村委員は、我が党の法案の最初の提出時からの文部科学委員であるというふうに理解をしておりますが、藤村委員はどのように受けとめていらっしゃるのか、これまでの経緯も含めて、お答えください。

藤村委員 お答えいたします。

 先ほど冒頭に、私ほか二名の、公立の小中学校等における地震防災上改築又は補強を要する校舎等の整備の促進に関する臨時措置法案、いわゆる学校耐震化法案を取り下げをいたしました。そして、結果として、今議題となっておりますこの改正法案を与野党で協議し、おおむね各派すべてが賛同いただけるということで、きょう委員長提案のお願いをしているということでございますが、本当に、ある意味では私どもにとっても長年の夢がかなう、そんな思いでいっぱいでございます。

 民主党が過去、いわゆる学校耐震化法案を初めて衆議院に提出しましたのは二〇〇二年、六年前の話でございます。今も当時も変わらないのは、学校は子供たちの学習の場、生活の場であり、その伸びやかな成長と生命身体の安全が十分に確保されていることが最低限の要件というのが認識でございます。

 当時、公立学校施設の六二%以上が現行の耐震設計基準施行以前の建築であり、そのおよそ四三%に耐震性がないと推計されておりました。教育現場の報告あるいは新聞報道等でも、建物の老朽化からくる床のひび割れ、雨漏り、壁や天井の崩落、また耐震性に問題がある事例が数多く指摘され、極めて危険な状態にあると言わざるを得ない状況でございました。

 一九九九年にはコロンビア、トルコ、台湾、二〇〇一年にはインド西部地震などの大震災に見舞われて、地震大国の日本も震災対策が必要と考えて、私ども法案を提出したところでございました。その後も、二〇〇三年には宮城北部地震、二〇〇四年には中越地震、二〇〇五年には、これはちょっと違いますが、耐震偽装問題などが大きく取りざたされる中で、解散で廃案になるたびに再提出をしてきたものでございます。

 今回、先日の中国四川大地震が起こり、特に学校施設の崩壊で多数の児童生徒の犠牲は本当に胸が痛む事態でございました。そして、この大災害が日本にも大きく影響して、与党の側からも対策が急務との認識が高まって、ここに与野党共同で立法いたしました。そういう経緯でございます。

 何とかこの法律を早くにつくりたい、この思いは変わりませんので、ぜひともこの法案、私どもは単独法案を提出しておりましたが、いわゆる改正法案でも中身はすべて入っておりますので、皆さんに御賛同いただきたい、このように感じております。

 ありがとうございます。

松本(大)委員 お気持ちはよく伝わりました。私たちも全力で取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 さて、この耐震化の問題については、ちょうど前回の文部科学委員会でも私は取り上げまして、幼稚園と保育所を取り上げたんですけれども、保育所については、残念ながら今回の対象外ということでありまして、先週厚労副大臣にお尋ねをしたんですが、「報告義務がありますので、それを踏まえて県の方に、この耐震化率、のっとってやるようにということをしっかり強化してまいりたいと思います。」という、ちょっと何とも言いがたい御答弁が返ってまいりましたので、改めてお伺いしたいというふうに思います。

 現状では、避難所に指定をされていなければ、地方債調達部分の元利償還金に対して交付税措置もされていない。避難所まで逃げればいいじゃないかということですけれども、保育所となれば乳児もいる。そもそも避難所まで自力でたどり着けないじゃないかということでありまして、その施設そのものを耐震化する必要がある。

 しかも、今回、幼稚園は耐震化が促進されるのだとすれば、親の就労の有無、親が共働きなのかどうか、その保育所が避難所になっているのかどうか、あるいは地域の財政力格差というものもあります、こういったものによって、つまり、子供が自己決定できない、自己責任を問えない部分で安全に格差が出てしまう。これを放置しておくわけにはいかないというふうに思います。

 したがって、これは国交省との間で、例えば、補助対象費用を今の二三%から避難所に準じて五〇パー、一〇〇パーというふうに上げていくのか、あるいは地方債調達部分の率を今回のように九割に引き上げていくとか、あるいは元利償還時の交付税措置を盛り込んでいくとか、こういった何らかの対策を講じなければ、このままではさすがにいけない、早急に手だてを講じるべきだというふうに私は思いますけれども、厚労省はいかがですか。

村木政府参考人 御答弁申し上げます。

 先生御指摘のとおり、特に保育所は乳幼児が通う施設でございますので、保育所の耐震化の促進は非常に大事な問題だというふうに認識をしております。

 今、保育所の耐震化率は五六%でございます。地域差も実はかなりあるところでございます。ことしの三月に、私ども、地方自治体の担当者が参集する全国会議におきましても、耐震化の診断それから耐震化の施設整備等について、施策の周知と推進のお願いを強くしたところでございます。

 私ども、私立の保育所につきましては、施設整備について補助等の仕組みも持っておりますが、公立の保育所につきましては、この予算が一般財源化をされたということもございまして、施設整備についてのスキームがないというようなこともございます。

 しかし、私立、公立で差があるということもあってはならないことでございますので、引き続き、自治体へ協力を呼びかけながら、先生に今御示唆をいただきましたような他省庁の施策も含めまして、関係省庁ともよく御相談をしながら、施策が強化できるかどうかということで一生懸命やってまいりたいと考えております。

松本(大)委員 きょうは総務省にもお越しいただいていますので、これは総務省として、交付税措置を拡充していくんだというようなお考えは、もしそういう要望があれば前向きに検討していただけるんでしょうか。

御園政府参考人 今御指摘の点につきましては、毎年、私ども、関係省庁と協議をしながら地方財政措置というのは決めてきておりますので、厚生労働省から話があれば、きちんと対応させていただきたいと思います。

松本(大)委員 保育所の耐震化率は非常に地域の格差が大きくなっておりますので、ぜひしっかりと御対応いただきたいというふうに思います。

 次に、公立学校施設の耐震化推進計画というものを実は文科省は十九年中につくる予定であるというふうにおっしゃっていらっしゃったわけですが、なぜか今年度版の文部科学白書からは期限が抜け落ちていて、だけれども、実は、二十年度から、協力者会議で定める計画期間はもう始まっちゃっている。これはもう非常に遅い、遅過ぎると言わざるを得ないわけであります。

 そもそも、今回の法律で診断の義務づけがされるわけですが、完了期限は、当時の小坂大臣は、十八年中ということで御答弁もされていました。この計画の中に新たに診断の完了期限を設けるのか。

 あるいは、今回の議員立法には入っていない高校の部分、これは、協力者会議の報告書の中では、公立学校施設ということで計画対象に含まれているわけでありますし、先般の学校保健法の改正案では、修正がされて「財政上の措置その他の必要な施策を講ずるものとする。」と、国の義務も責務も明確化されたわけでありますから、この公立学校施設の耐震化推進計画に診断の完了期限をしっかりと盛り込むのかどうか、そして、高校についてはどのようにこの進捗を図っていくのか、地域間格差を解消していくのか、最後にその点についてお答えください。

舌津政府参考人 委員御指摘のとおり、昨年八月に、有識者会議におきまして御提言をちょうだいしたところでございます。

 この計画におきます耐震化の推進に必要な事項のうち、例えば、倒壊等の危険性の高い約一万棟の耐震化の達成時期につきましては、昨年十二月に政府として、生活安心プロジェクト等におきまして、今後五年を目途に耐震化を図るということとして定めたわけでございます。

 またさらに、中央教育審議会の答申におきましても、達成時期につきまして、教育振興基本計画に盛り込む方向で現在検討を進めているところでございます。

 また、耐震診断につきましては、今回の法律の改正案によりますれば、法令上の義務づけ規定が置かれるわけでございます。

 このようなことから、今後の耐震化を計画的に進めていく上で必要な事項につきましては、今回の法律改正また今後策定される教育振興基本計画によりまして、いわゆる国の法律レベルあるいは計画レベルで明示されるということになるというふうに考えているところでございます。

 それから、高等学校に関するお尋ねでございますけれども、これは、公立高校の施設整備に関する補助金の制度がございましたが、国と地方の役割分担という観点で、現在一般財源化されているところでございます。

 しかしながら、公立高等学校施設におきましても、生徒の安全性を確保するということは大変重要なことであり、さらには、地域の避難所にも指定されているわけでございますので、耐震性確保につきまして、小中学校と同様に、特に危険性の高い建物につきましては耐震化を緊急に進めるよう、地方公共団体に対して要請してまいりたいと考えておるところでございます。

松本(大)委員 診断実施については、盛り込む方向で検討ではなくて、ぜひ盛り込んでいただきたいし、高校については、要請するだけではなく、責務が先週の法案で義務づけられたわけです、明確化されたわけですから、ぜひ主体的に取り組んでいただきたいということを申し上げまして、発言を終わります。

佐藤委員長 以上で松本大輔君の発言は終了いたしました。

 次に、石井郁子さん。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子です。

 法案は、地震防災緊急事業五カ年計画に基づいて実施される事業のうち、大規模地震の際に倒壊等の危険性の高い公立小中学校の建物、Is値〇・三未満の緊急を要する建物の耐震補強や改築工事について補助率のかさ上げを行うものであります。

 文科省がまとめた教育振興基本計画原案でもこのように書かれています。「特に、大規模な地震が発生した際に倒壊又は崩壊の危険性の高い小・中学校等施設」、これは約一万棟となっているんですね、「について、優先的に耐震化を支援する。地方公共団体等に対し、今回の計画期間中のできる限り早期にこれらの耐震化が図られるよう要請する。」ということであります。

 この振興基本計画の閣議決定までは、まだ紆余曲折があるようでございますけれども、計画そのものが五カ年計画となっているわけですね。

 そこで、文科省にお聞きをします。

 倒壊の危険のあるものを五年間も放置することはまずできないわけであります。だから、法律のこのかさ上げ期間中、これは平成二十二年度末ということですから、それまでには耐震補強や改修ができるように急ぐべきだというふうに思いますが、そのお考えはいかがですか。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 大規模地震によりまして倒壊等の危険性が高いと判定されましたIs値〇・三未満の建物につきましては、阪神・淡路大震災におきましても特に倒壊等の被害が顕著であったというものでございます。これらの耐震化を緊急的な措置として加速することが極めて重要であり、急がれる課題であると考えているところでございます。

 これに合わせまして、Is値〇・三以上の施設の耐震化につきましても、できる限り早期の耐震化を図ることは大変重要なことと考えておるところでございます。

 しかしながら、昨年四月一日時点で耐震化を必要とする公立小中学校施設は全国で多数あるわけでございまして、これらの施設の耐震化をすべて二十二年度末までに完了させるというのは、市町村の財政規模等から考えて、なかなか難しいことではないかなというふうに考えておるところでございます。

石井(郁)委員 結局、その市町村なんですね。だから自治体がどのように取り組むかということですけれども、そこはやはり政府が支援をしないといけないというふうに思うんです。今、その自治体からやはり心配の声が非常に上がっているわけですね。

 耐震診断未実施、これは八千五百九十五棟があるわけですが、耐震性のない建物で、残り四万四千棟です。だから、Is値の〇・三から〇・七までの建物の改修とか補強工事が後回しになっていくんじゃないかということなんですね。緊急度の高い、危険度の高いものということになっておりますから。そういう心配があるわけです。

 私はやはり、倒壊の危険のある、そういう建物の改修、補強工事、これは急ぐべきですけれども、それを進めながら、それ以外の建物の耐震化についても、これは自治体のいろいろな取り組みがあるでしょう。だから、要望があれば、やはり同時並行的に予算措置をしていくという立場に立つべきだというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。

舌津政府参考人 委員御指摘のとおり、文部科学省としても、究極的な目標はすべての学校の耐震化であるということは違いがないわけでございます。

 Is値〇・三以上の施設の耐震化につきましてもできる限り早期に耐震化を図るというのは、とても重要なことであるわけでございます。このような観点から、国の補助の対象をIs値〇・三未満の施設に限定するということはできる限り避けたい。したがいまして、Is値〇・三以上の施設につきましても地方公共団体の計画並びにその計画に基づいた補助金の御要望に対して積極的に補助を行っていくということは、従来と変わらないことでございまして、今後ともその耐震化の推進に一層努めていきたいという考えでございます。

石井(郁)委員 今の御答弁は大変重要だというふうに思っておりまして、ぜひそういう姿勢で臨んでいただきたいというふうに思っております。

 結局、耐震化の問題というのは予算の問題になるわけですから、その点でいいますと、この間、学校耐震化の関連予算というのは千百四十億円で推移しているんですよね。だから、相当残されていると文科省も認識されながら、やはり千百四十億円、学校耐震化の予算、これは本当に少な過ぎると言わざるを得ないわけですね。さらに、十八年度、十九年度、これは、年度末に当初予算規模の補正予算を組む、結局、地震が起こったら補正予算を組んでそれで対応していくというやり方をしてきたわけであります。

 ですから、私は、重大な問題ですから、やはり当初予算から必要な額というのを、現行の倍規模の予算を組む必要があるんじゃないか、そして、学校耐震化をきちっと政府として促進すべきではないかというふうに考えるわけです。

 その点で伺うんですけれども、耐震化予算というのを抜本的に増額する、学校耐震化を促進するという点での文科省の認識を伺いたいと思います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 文部科学省といたしましては、これまでも、当初予算におきまして計画的に耐震化に取り組むということで、必要な予算を確保してきたところでございます。

 近年の補正予算につきましては、それぞれ、当初予算の予算編成以降、緊急に耐震化を実施することが必要と判明した施設につきまして、事業の実施を可能にするため、必要な予算額を計上してきたというところが実情でございます。

 本改正法案が成立すれば、耐震化事業は一層加速するものと考えておるわけでございまして、今後、毎年どの程度の財源確保が必要になるかということにつきましては、各市町村の取り組みによるところが大きいわけでございます。

 したがいまして、今回の改正により市町村の取り組みがどの程度加速するのか、現時点で予測することは困難でございますけれども、今後の事業計画の動向を見ながら、耐震化事業に支障が生じないよう、あらゆる機会を通じましてその財源確保に努めていきたいというふうに考えておるところでございます。

石井(郁)委員 学校の耐震化については、私どもも、これまでも本当にたびたびここでも質問してまいりました。

 子供たちにとって何よりも安全、安心な場所である学校、そしてまた、地域にとっても避難場所となる学校、コミュニティーセンターとなるような学校ですけれども、やはりそこをしっかりと耐震化していくということが求められているわけでありまして、今、文科省の答弁にもありましたけれども、この法案によって一層、市町村を含めて、促進されることを願っているところでありまして、そのためには、何よりもやはり政府として、国としての、当初予算での予算措置、これをきちっと確保していただきたい、このことを強く申し上げて、質問を終わります。

佐藤委員長 以上で石井郁子さんの発言は終了いたしました。

 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森でございます。

 文科省は今後五年間で危険性の高い校舎を耐震化させるというふうに計画を立てていらっしゃいます。

 人と防災未来センターというところの全国調査によりますと、回答した八百七十自治体のうち一九%で学校耐震化補強のめどが立っていないということが言われているようです。その原因としては財源不足、九三%の自治体がお金がないからめどが立たないんだ、こうおっしゃっているようです。私の地元の埼玉でも全国平均以下でございまして、その意味では、この改正案が成立をすること、非常に大きな期待が寄せられていると思います。

 先ほど来、さまざまな御質問がありますが、この改正によって、向こう五年間で危険性の高い校舎の耐震補強をやるということなんですが、これはどの程度前倒しといいますか、市町村の決意というか意向にかかっているというお話は何度も聞きましたが、文科省側として、数値目標はなかなか出せないかもしれませんが、これは一日も早く実現をしていくという意味も含めた法改正であるというふうに理解していますので、改めてその決意をお聞かせいただきたいと思います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 耐震化を加速するためには、短期間に多くの施設を同時に耐震化する必要があるわけでございますけれども、委員御指摘のとおり、財政上の問題等々の限界があるわけでございまして、国の補助あるいは地財措置の拡充が必要になるということで、今回の法案の支援策の拡充というのは大変大きく加速に寄与するものではないかというふうに考えております。

 それから、どの程度加速されるのかということでございますけれども、やはり市町村の計画に負うところが大きいわけでございますけれども、文部科学省としても、現在検討しております教育振興基本計画におきましても、本計画期間中のできる限り早期にというような記述としておるところでございまして、そういうような考え方に基づき、積極的な支援に努めたいというふうに考えているところでございます。

日森委員 今回の法改正で、小中学校の耐震診断、それからその結果を公表するということが義務づけられました。

 平成十九年四月一日現在での調査によりますと、全体で六・六%、八千五百九十五棟が耐震診断が未実施であるというふうに言われています。診断結果の公表割合も、同じく二七%程度で極めて低いということだと思うんです。

 これはさまざま理由があると思いますが、この理由について、公表すると市民が不安に思ってしまうとか、さまざまな問題があると思うんですが、こうした問題が生じていることについて、文科省の御見解についてお聞きをしたいと思います。

舌津政府参考人 委員御指摘のとおり、現在の公立小中学校におきます耐震診断の実施率は、昨年春の段階で約九割でございます。

 耐震診断を実施しにくい理由でございますけれども、地方公共団体からお伺いしますと、まず第一には、厳しい財政状況にあり、耐震診断及びその結果を受けて必要となる地震補強事業の財源が確保しづらいということ、二点目としては、学校の統廃合の予定がある、あるいはその検討を現在進めているため、その動向を見きわめた上で対応を考えたいというようなことが主な理由でございました。

 それから、耐震診断経費につきましては、従来から国によりまして財政支援の措置を講じているわけでございますけれども、市町村がそういうような制度について十分詳しく承知していないという側面もあるやに聞いておりますので、耐震診断経費につきましては、例えば、過去に行った診断経費につきましてもさかのぼって補助を行っているとか、あるいは他省庁の補助金も活用できるというようなことにつきまして周知を図るよう、私どもとしても一層の努力をしていきたいというふうに考えているところでございます。

日森委員 最後に、これまでもう耐震補強をやったところと、おくれていて、財政上の問題等もあってできなかったところ、今回は、この法の適用は当然これからやるところに適用されるわけで、子供たちの命をしっかり守ろうとか、あるいは避難所としての機能をしっかり果たさせようということで、かなり財政的には無理をしてかどうかはわかりませんけれども、先にやってきたところと、これから新たにやるところでは随分補助率の差が出るわけですよね。後出しじゃんけんで後の方が得するのかという話にもなりかねないわけで、この問題は大変難しい問題だと思うんですが。実際に資料を見てみると、一番進んでいるところと、おくれているところといいますか、さまざまな事情があるんでしょう、耐震化補強ができていないところと、五〇ポイントぐらい差があるということですよね。

 この差といいますか、不平等と言っていいか、不公平と言っていいか、余りいい言葉は見つからないんですが、これについて文科省として、いやいや、それは議員立法でつくった法律だから議員の方で考えろという答えはあるかもしれませんが、いやしかし、そうはいっても、財政上の問題でなかなか進まなかったということも実際あるわけで、こうした問題について何かお考えがあったら最後にお聞かせいただきたいと思います。

舌津政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、地域におきまして耐震化率の進捗に差があるわけでございます。それの原因でございますけれども、これは私どもの推測でございますけれども、まず第一点としては、高いのは、東海地域など耐震化に対する支援策がこれまで比較的手厚い地域であったこと、また、地域によりましては地震発生についての危機意識が高い、それから、三つ目でございますが、比較的財政力が高いところがいわゆる耐震化が進んでいるのが多いんではないかというふうに見受けられるわけでございます。

 それから、今までやったところの気持ちを考えるとということでございますけれども、私どもも、子供たちのことをまず考えますと、地震によります倒壊等の危険性の高い施設について耐震化を図るということは、緊急措置として取り組まなければいけない課題であるというふうに理解をしているところでございます。したがいまして、いわゆる危険な建物を放置することなく、各市町村のこれまでの取り組みのいかんを問わず、国の支援策を拡大するということは適切なことではないかなというふうに考えているところでございます。

日森委員 終わります。ありがとうございました。

佐藤委員長 これにて発言は終わりました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

佐藤委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十日火曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時七分散会


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