衆議院

メインへスキップ



第3号 平成21年3月18日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十一年三月十八日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 岩屋  毅君

   理事 木村  勉君 理事 佐藤  錬君

   理事 馳   浩君 理事 原田 令嗣君

   理事 茂木 敏充君 理事 小宮山洋子君

   理事 牧  義夫君 理事 池坊 保子君

      阿部 俊子君    井澤 京子君

      井脇ノブ子君    浮島 敏男君

      小川 友一君    岡下 信子君

      加藤 勝信君    加藤 紘一君

      鍵田忠兵衛君    亀岡 偉民君

      篠田 陽介君    谷垣 禎一君

      中森ふくよ君    永岡 桂子君

      西本 勝子君    萩生田光一君

      原田 憲治君    平口  洋君

      福田 峰之君    藤井 勇治君

      藤田 幹雄君   山本ともひろ君

      田島 一成君    高井 美穂君

      高山 智司君    土肥 隆一君

      松本 大輔君    山口  壯君

      笠  浩史君    和田 隆志君

      富田 茂之君    西  博義君

      石井 郁子君    日森 文尋君

    …………………………………

   文部科学大臣       塩谷  立君

   文部科学副大臣      松野 博一君

   文部科学大臣政務官    萩生田光一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 森口 泰孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      布村 幸彦君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          清水  潔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            徳永  保君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (文化庁次長)      高塩  至君

   文部科学委員会専門員   佐久間和夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  井澤 京子君     藤井 勇治君

  飯島 夕雁君     篠田 陽介君

  岡下 信子君     原田 憲治君

  藤田 幹雄君     永岡 桂子君

  藤村  修君     高山 智司君

同日

 辞任         補欠選任

  篠田 陽介君     飯島 夕雁君

  永岡 桂子君     藤田 幹雄君

  原田 憲治君     岡下 信子君

  藤井 勇治君     井澤 京子君

  高山 智司君     藤村  修君

    ―――――――――――――

三月十八日

 すべての子供に行き届いた教育を進め心の通う学校をつくることに関する請願(柚木道義君紹介)(第九九五号)

 私学助成大幅増額等に関する請願(秋葉賢也君紹介)(第九九六号)

 同(井上義久君紹介)(第一一一六号)

 教育格差をなくし、すべての子供に行き届いた教育に関する請願(笠浩史君紹介)(第九九七号)

 同(岩國哲人君紹介)(第一〇〇四号)

 同(阿部知子君紹介)(第一〇一一号)

 同(志位和夫君紹介)(第一一一七号)

 学校事務職員等の定数改善と給与費等国庫負担の拡充に関する請願(保坂展人君紹介)(第一〇七五号)

 教育予算を大幅に増額し、行き届いた教育を求めることに関する請願(新藤義孝君紹介)(第一〇七六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一八号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

岩屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省大臣官房長森口泰孝君、大臣官房文教施設企画部長布村幸彦君、生涯学習政策局長清水潔君、高等教育局長徳永保君、研究振興局長磯田文雄君、研究開発局長藤木完治君及び文化庁次長高塩至君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岩屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岩屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土肥隆一君。

土肥委員 おはようございます。民主党の土肥でございます。

 私は、今回の法案の中の国立高等専門学校を中心に質問もし、また私の持論も述べたいと思っております。

 高専ができましてもう四十年近くなるわけです。後でもまたその経過について御質問いたしますけれども、一体、この高専というのは何のためにつくったのか。昭和三十六年の法改正で三十七年度からスタートするわけでありますけれども、今日まで五十五カ所の国立高専はそのまま残っているわけであります。私は、地元にも神戸市立の高専がございまして、そこも訪れたことがあります。また後でも、地方自治体における高専のあり方についての御意見があればお聞きしたいと思っております。

 私は、高専の様子を外から見ておりまして、いろいろなデータをとってみますと、一体、学生が本当に満足して高専に通い、高専を利用しているんだろうかということでございます。

 例えば、中卒から五年間の高専コースに入る。これは、中卒からというのはすばらしい私はテーマだと思いますね。何でも後ろに後ろに延ばしていくんじゃなくて、つまり、六・三・三・四の制度ではなくて六・三・五・二という、いわば今まで考えられてきているような教育制度からずれているとかはみ出ているということでございますが、ではそのはみ出ているのは悪いのかというと、そうではなくて、私は高専のあり方を大変高く評価しているんです。

 ところが、いろいろデータを見てみますと、まず一番驚くのは、五年生、つまり、中卒で高一から五年間高専の本科に入りますけれども、その上の専攻科あるいはその他の大学に進学率が四割なんです。四割も進学するような専攻科があるだろうかという疑問であります。なぜ四割も高専本科を終えて専攻科あるいは大学あるいは大学院にというふうに、上昇志向といえば上昇志向ですけれども、とにかく、高専を超えて高学歴な部分に移っていくのはなぜだろうかということです。

 高専は高専の目的があって、本科で、つまり五年で解決すべきコースであるはずですけれども、四割進学しちゃうということですね。こういう教育機関というのは何か本旨から外れているんじゃないかなというふうに思うわけであります。それが私の基本的な感じでございます。

 それから、卒業しまして社会人になるわけでありますけれども、進学状況は、今申しましたように、四割からが専攻科も含めてその他の大学に進んでいく。この専攻科ができたのもまた歴史的にずっと遅くなるわけですけれども、やはり、学生のニーズに応じようということだったと思うのであります。

 ところが、高専本科を出まして就職しますと、私が持っているデータによると、給与は、その企業それぞれ格付があるわけでございますけれども、給与は高校と同等の給料しかもらわないというのが約三%、そして短大と同等というのが七五%、大卒と同等というのが九%、その他しかない。これは、業種別に分けますと、いろいろな企業がございまして、業種、業界があるわけですけれども、業種別でどういうふうな採用をしているかというと、ちょうどぴったり会社と同じで、業種別でも、高校と同等が三%、短大が七五%、大学が九%、ぴったり合うわけです。つまり、社会的評価は短大卒であるという認識なんです。

 高専は短大なのかということでございまして、短大という大学がございますけれども、短大卒を目指したような高専なのかということでございます。

 卒業生のアンケートも出てまいりますけれども、やはり自分は、就職してみて短大卒と同等に扱われている、これが七四・六%、高校卒と同等であるというのが七・四%でございます。大学の学部卒と同等というのが八・四%でございます。つまり、卒業して就職した本科生はそういう扱いを受けている。そういうクラスに置かれている。もちろん、高専で受けた教育は満足度は非常に高いんですけれども、社会的な扱いが低いということであります。

 今後、高専があるべき方向性はどうだというふうにいいますと、これは企業でございますけれども、あるいは卒業生もそうでございますけれども、高専に求められている方向性は、専門性の追求と幅広い知識、技能の習得、この二つの方向に二極化しております。つまり、もっと専門性をやってくれというのと、幅広い技術者といいましょうか、幅広い学生といいましょうか、そういうふうな方向を求めておるようでございます。

 私は、高専が発足しまして今日までの歩みを歴史的にずっと見てまいりまして、最近、中教審答申も出まして、非常に参考になりますし、あるいは手元には、平成十九年度の独立行政法人国立高等専門学校機構の事業報告書というのをここに持っております。つまり、国立の高専の五十五校を一くくりにしまして、機構がすべての予算から教育方針から、その本部といいましょうか、そこからの発信に基づいて日常の教育が行われているようでございます。

 国立高専の説明の仕方はいろいろございまして、一番際立っているのは、これは今日もそうでありますけれども、早い段階で、頭のフレッシュなうちに、つまり中卒で技術や科学的な勉強をさせて、そして早くこの産業社会に役立つような人材を供給するんだ、その意気込みは結構でございます。そういう問題意識を私は持ちながら、やはり高専というものをもう一度見直すべきではないか。つまり、制度としても、それから教育内容としても見直すべきではないかというふうに考えております。

 そういう見直しの議論は最後にさせていただいて、つまり、六・三・三・四と六・三・五・二という二つの体系が同時並行的にあって、そして、高専の本科からもあるいは専攻科からも普通の大学に国立大学も含めて編入ができる。これはキャリアパスというんですけれども、皮肉った言い方をしますと、数学と理科が得意な、理数の得意な中学生が卒業して、大学受験を避けて高専に入って、そして、その後五年、二年と行って、その上で大学に編入する。その方が、いわば無駄な大学受験勉強するよりも早道じゃないか、そういう動機もあるようでございます。英語でキャリアパスなんて格好いいことを言っていますけれども、案外、子供たちはそういう意識も持っているようでございます。

 あるいは、高専を、新しいタイプの学校だとかあるいは新たな教育モデルなんだ、こう言いますけれども、それにしては、卒業生の意識も、それから企業の意識、社会の意識も、彼らのキャリアというか、実力に合った位置を持ち得ない。例えば、五年で卒業しますと準学士、それから専攻科を出ますと学士、こうなるわけですけれども、それは卒業証書に書いてあるだけの話であって、学士であろうと準学士であろうと、社会的にどう見られているか、そして子供はどう考えているか、自分たちはどう考えているかということを見ますと、私は、高専というのはかなり危機的な状況にあるんじゃないかというふうに思っております。

 残念ながら、政府発行の中教審の答申にしましても、あるいは機構の報告書にいたしましても、今ある高専をどうするかということは語っていますけれども、将来の高専はどうあるべきかというと、余り展望は出てきません。私は、この独立行政法人が一くくりでやっているわけでありますから、今こそ独立行政法人の大胆な改革を試みてほしい。

 もう最初に申しますけれども、要するに、五・二の七年間を一つのコースにして、全員七年間を履修して、それを大学にする。英語ではカレッジ・オブ・テクノロジーとなっています。英語では、カレッジというと短大になっているんですよ。そうじゃなくて、七年制の専科大学にする。そして大学として取り扱い、かつ、学士もその大学が授与する。いわば工業系の専門大学ですから、例えば東京でいえば東京工業大学みたいな、これはユニバーシティーじゃなくて、あれは何と言うんですかね、また後で申しますけれども、ちょっとど忘れしました。東京工業大学、インスティテュートですね。だから、インスティテュートというふうな呼び方で大学並みに扱うべきじゃないか。私の感想はそういうことでございます。

 今申し上げましたことについて、一体、この機構は今後どういうふうな展望を持っているのかということでございますけれども、ただ、自己矛盾といいますか、中卒から技術者養成に入っていく、私も高専のカリキュラムを見ましたけれども、これはすばらしいカリキュラムですね。そして、五年間あるいは七年間を本当に合目的というか、この学校はこういう目的があるんですよ、こういう目的のためにはこういう勉強をしなきゃいけないんですというのをきちっと入れておりまして、一、二、三年ぐらいは教養課程も入れながら、くさび形と言っておりますけれども、中に技術教育をはめ込んでいくわけです、コンピューターだとか。そして、きっちり五年で相当な技術力を持つ人材になる。これは、ぼうっと普通高校に行くよりははるかにいい教育システムです。

 だから、高く評価しながら、高専が持っている特殊性を普遍化しようと思ったら、今度は大学をどうするかという話、大学に入れるのかという話になりまして、このはざまにいるのが高専ではないかと思っております。

 それで、まず質問したいのは、機構が出しております文書によりますと、国立高等専門学校固有の機能を充実化し、社会のニーズにこたえる活発な教育研究を展開したい、こう言っております。これは、四十年前も今日も同じなんです。もう一つ重大なことは、大学と高等専門学校の教育を初めから複線となす。大学と高専は複線だ、複線の教育機関なんだ。それにしては、高専の方は複線の域に達していないんじゃないかというのが私の疑問でございます。

 今申し上げましたような、ちょっと長々と言いましたが、私の問題意識も含めて、機構は今後この複線というものの定義をしっかりしなきゃいけないし、高専を出た子が誇りを持って社会に出て、出てみたら高卒かあるいは短大卒扱いだったというのでは、高専で勉強した意味がないんじゃないか。そういう待遇面も含めて機構はどういうふうに考えているか、御説明ください。

徳永政府参考人 高等専門学校に関するこれまでの歴史を踏まえての御質問でございます。

 先生も御承知のように、高等専門学校は、あくまでも工業の発展を支える実践的な技術者の養成を目指す、こういうことから、いわば実験、実習、実技等の体験重視型の専門教育、こういうことに重点を置くわけでございます。あくまでも実践的な知識に関する教育を行う機関、そういう意味での目的養成機関と位置づけられております。一方で大学といいますのは、高度の研究を前提に、幅広い理論等の理解を重視する。そういう意味では、高専と大学というものはもともと性格が異なるものでございますし、その意味で、いわば複線、ダブルトラックというようなことを思っているわけでございます。

 その後、いわば技術が高度化という中で、先生が御指摘のように、高等専門学校の卒業生も、ある者は大学に入学をする、ある者は高等専門学校を出ましてから大学の三年生に編入をする、あるいは、その後専攻科ができて、専攻科にさらに進学をし、さらに専攻科から大学院に進むということもございますが、これは、さまざまな学校制度を用意いたしましても、それぞれの学生、お子さんたちが、その時点その時点で、やはり自分の人生についてさまざまな選択肢がなければいけない。

 そういう意味では、高等専門学校に入ったからといって、その先が行きどまりということではまずいということから、いわば複線ということを前提にしながらも、柔軟な進学というものを可能にしたということでございます。

 もちろん、さまざまな高等専門学校に関して、御指摘のようないわば所期の意味での中堅的な技術者の養成という需要から、現在では、実践的、創造的な技術者の養成、あるいは、そういう工学に関する基礎的な教育を行うという意味では、さまざまな需要があることは承知をしております。

 このことについては、私どもの方、中央教育審議会でもさまざま議論しておりますし、高専機構の方におきましてもさまざまこれから議論しております。また、各高等専門学校それ自体におきましても、それぞれ主体的に御検討いただければと思っております。

土肥委員 複線は、何の差なんですかね、能力の差なのか、学力の差なのか、技術力の差なのかよくわかりませんが、四割も進学するという本科生がいる。私、これはやはり異常じゃないかと思います。学生がそれぞれ勉強しているうちにもっとキャリアアップをしたいというのは、それはわかりますけれども、やはり高専ではだめだねという危機感みたいなものが生徒にあるんではないか。専攻科をつくったときも、そういう生徒の意識を酌んでつくったんでしょう。それを、卒業するとまたほかの大学に行く。専攻科までならいいと思います。

 だけれども、専攻科を含めて四割が進学するというのは、何か予備校と言ったら言い過ぎですけれども、確かに理数のよくできる子がいるわけです。理数のよくできる子は普通高校に行っても理数はできるわけで、そのまま工業大学なり総合大学に入ることもできるわけですけれども、せっかく高等専門学校というのをつくって技術者養成をしたのは何のためだったかということになるわけです。

 そこまでさかのぼってやっていただかないと、これは莫大な経費がかかっているわけです、莫大な国費をつぎ込んでいるわけでございまして、この手元の資料によると、平成二十年は六百九十四億です、職員数は六千四百三十七名、これだけの国費を使いながら、これからどうしていくんだろうか、この方向性が見えないというのが私の率直な感想でございます。

 したがって、この答申、中教審にしましても、あるいは機構の報告書にいたしましても、昭和三十六年、七年当時の文書がそのまま出てきて、そして今回、八つの専門学校が四つになるという法案が出ておるわけでありますけれども、それも、どうも教育の本旨からではなくて、その高等専門学校の業種が時代に合わなくなったからというふうな感じがいたしまして、根本的にこの高等専門学校の協議をしてほしい、するべきだというふうに考えております。

 昭和三十六年時代を我々だれも、文科省にいる人たちもだれも現在の人は経験していないと思いますけれども、三十六年に学校教育法を改正しまして、高等専門学校の設置を制度化しました。そして昭和三十七年からつくり始めるんですけれども、三十七年十二校、三十八年十二校、毎年ですよ、三十九年も十二校、四十年には七校、そして少し飛びますけれども、最後は沖縄の高専がつくられるということでございます。

 この当時、どんな文科行政をしていたんだろう。その意気込みが今日の高専に残って、そしてそのまま四十年間維持されているということでございまして、その当時のこと、どんな時代で、国がどういう気構えで取り組んだかというようなことがわかれば、お知らせください。

徳永政府参考人 私どもの方も文書等で見るしかないわけでございますが、昭和三十六年当時、これは、産業の現場で活躍できる実践的な技術者の養成という強い要請があったわけでございます。当時の文部省といたしましては、先生御案内のように、昭和三十六年に新しい高等専門学校という学校制度を創設いたしました。また同時に、国立の理工系学部、こういったものを増設して、そういった技術者の人材需要にこたえようとしたわけでございます。

 先生の御指摘いただきましたように、昭和三十七年から三十九年まで十二校ずつつくり、そして、四十年度には七校設置をし、四十年代末までに計五十四校を設置しております。また同時に、昭和三十年代、四十年代を通じて、国立の工学部を十二大学に設置しております。

 当時の予算状況を申しますと、昭和三十七年の文部省予算は対前年度で一三%という伸びでございました。また、当時、昭和三十九年には、国立学校特別会計、要するに、国立大学と高等専門学校を一緒に会計をする仕組みができまして、その中で、いわば一般会計への繰り入れ、当時は八〇%を超す繰り入れでございまして、十五年当時の五〇%台と比べて違うわけでございますが、そういう豊富な一般会計への繰り入れ、さらには学生納付金、あるいは大学病院の収入、こういったものを一体としていわば機動的、弾力的に予算編成をし、執行することが可能になった。

 こういったことから、さきに申しましたような、高等専門学校の急ピッチの整備あるいは国立大学の理工系学部の増設ということが可能になったと考えております。

土肥委員 大変な意気込みだ、国策高等専門学校と言ってもいいかと思います。全力を挙げてよくこんな事業ができたもんだなというふうに思うのであります。

 それはいいんですけれども、今や四十年たって、いろいろな備品、機具、機械、実験用具、建物が古びてきて、それに対する予算の手当てがこれからどんどん出てくる。半数近くは既に耐震構造にたえないというふうな資料もございますけれども。そういうことからいいますと、これを維持していくというのが物すごい課題になる。

 四十年近く歩んでいて、ずうっとそのまま四十年歩んでいるんです。学生数もほとんど変わらない。それで、昔から月謝が非常に安いんです。都立高専の資料を持っていますけれども、授業料は年間で二十二万八千円です。入学料や全部入れれば三十万四千三百円でいいわけです。そういう極めて安い授業料で、優秀な、理数の得意な中学生を集めよう、これはおもしろい実験だと思うんです。それで、その実験の結果をもっと今の教育界に生かさなきゃいけないと私は思っております。

 ところが、何か文科省ないしは関連する資料を読んでおりますと、これは行政の一体性というか普遍性というか、同じことを毎年繰り返しているなと。もちろん、産業界のニーズというのが最大の課題ですから、四十年前の産業界と今日の産業界と全然違うわけでありまして、そういう意味では、コミュニケーションであるとか、これを専門にする学校も出てきております。それは結構なことですけれども、根本的に、高専をこの社会の重要な位置づけをして、活性化して、そして、これを支える国民もあるいは卒業生も、積極的に高専を運営していくというにはどうしたらいいかということで、その高専の特殊性を生かしながら、社会的な評価も十分得て、そしてその結果、企業に入りましても大学卒並みの扱いをきっちり受けるという体制をつくらなきゃいけないんじゃないかな、こう私は思うわけであります。

 平成十六年に独立行政法人高等専門学校機構が機構法の第三条に基づいてつくられました。これは、機構の文献を見てみますと、機構は、各国立専門学校の自主性を踏まえというふうに言っております。しかしながら、その他の事業として、進路選択及び心身の健康等に関する相談、寄宿舎における生活指導の援助、これは機構がやる仕事なのかなと、こう思うわけであります。つまり、機構は、大きく予算を獲得して、そして全体的な予算配分をして、あとは職員管理でありますとか先生方の資格の充実に努めるとか、機構の仕事はそういう本部機能でありますから、一々こんなことを言う必要はないんじゃないかなと思ったわけです。

 一つだけお聞きしたいと思いますけれども、自主性というのはどういうふうに実現、実施していらっしゃるんでしょうか、お尋ねします。

徳永政府参考人 先生御指摘のように、高専につきましては、平成十六年に高専機構として一元的に法人が設置をされたわけでございます。

 今、先生御指摘いただいたさまざまな学生支援というのは、これは高専機構の業務規定に書いてございますが、これは法律上の法人の業務規定として書いているだけでございまして、実際のその主体は各高専でございまして、本部がやっているわけではございません。

 そういう中で、高専機構としては、各高等専門学校の自主性ということを当然尊重しております。具体的に申し上げれば、教員の人事、こういったことについては、当然これは各高専で行うわけでございます。校長あるいは教員会議といったものがいわばそれぞれの高専の教員人事を行っております。また、予算の執行等につきましても、各高専に対して予算を配分するのは、これは高専機構の役割でございますが、配分された予算については、それぞれの高専におきまして、その裁量で執行しているわけでございます。

 もちろん、高専機構ができましてから、従来、教員が固定的に勤務しておりましたものが、全国で数千人いる教員の中で四十五人程度、人事交流が行われているということで、いわば今までにない人事上の試みも行われておりますが、基本的には、教員の人事そして各配分された予算の執行というものは、各高等専門学校が主体となって決定しているものでございます。

土肥委員 それでいいと思うんですが、機構の中にそれを書いてありますから、何するんだろうと思うのは無理もないと思います。

 それで、平成十九年度の事業報告書を見ますと、要するに同じようなパターンで書いてあるわけです。各学校の、学科名は何であって、財政状況はどうであって、入学者はどうであって、進路状況はどうであって、土地建物の面積はこうである。それで沿革史が下にちょっと書いてある。これは、一枚ずつがそれぞれの高専が持っているスペースなんです。これでは、我々国会議員として各高専の実態を知ることはほとんどできない、概括的にはわかりますけれども。したがって、これは国費でやっている、国立であるという意味からいうと、我々国会議員は何をしたらいいんだろうかと。

 実は、高専がない県が六つあるんです。六つですよね。もう高専はふやさないんですか。それをお聞きします。

徳永政府参考人 高専未設置の県は、公立まで入れますと五県でございます。大阪府には大阪府立工業高専がございますので、国立高専がない県が六県でございますが、私どもとして、これまで高専については、中堅技術者を養成するという意味できちんとしたその設置目的は達成をしてきたと思っております。

 ただ、今後、いわば全体として学齢人口が急速に減少している中で新たな高専を設置するということについては、慎重な対応が必要と考えております。

 また同時に、昨年の中央教育審議会答申でも記述されましたように、さまざま既存の、例えば公立の専門高校あるいは大学等をもとにして新しい公立の高等専門学校の設置をする可能性、そういったことについても検討する必要があると思っておりますし、また、私どもも、そういう新しい枠組みでの高専の設置の可能性や支援方策の検討といったことについて、きちんと勉強していかなければいけないと思っております。

土肥委員 勉強するとおっしゃるんですけれども、では、その六県には産業界のニーズはないんですか、産業はないんですか。そういう技術者を必要としているんじゃないんでしょうか。そのことも含めて申し上げたいと思うし、データを見ますと、当該県に定着するという定着率が非常に悪いんです。全部外へ出ちゃうわけです。都府県外に出てしまう。つまり、大企業のあるところにどんどん流れていくということでもあります。

 ですから、ちょうど自治医大のお医者さんのようなもので、しばらくは地方で勤務してもらうけれども、一定の年限が切れると好きな病院に行ってしまうというようなこともありましょうし、そのことから考えると、こんなにまで固定化してしまった制度の中で、何か次に進む、次に設置する余裕はないんじゃないかなというふうにも感じております。

 もう最後になりますが、公営の自治体立の高専が三つ残っております。東京都も二つを合体して一つの大学もつくり、東京都はどんどん先を進んでいるようでありますけれども、単体で持っている公営の、つまり公立の専門学校は、文科省から見てどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。ちょっと一言お願いします。

徳永政府参考人 高等専門学校は、当然、学校教育法に基づいて設置をされました、きちんとした目的を持っている学校でございます。それぞれの地方公共団体がその主体的な判断によりまして高等専門学校を設置するということも、私どもとしては非常に望ましいことと考えております。

 私ども、そういった観点から、特に平成三年には、高等専門学校の目的を拡大いたしました。そういう中で、例えば、平成三年には札幌市立でデザインの高等専門学校ができたということもございます。また、そういったものが平成十七年には大学に転換をしていくという例もございます。

 そういう意味では、それぞれの団体がそれぞれの地場での産業あるいはその地域の発展ということを考えて高等専門学校をおつくりになる、あるいは今後専門高校を転換していく、そういったことも大いにあり得るものと考えております。

土肥委員 最後に大臣にお聞きします。

 大臣はこの高専をどうしたらいいと思いますか。将来の展望の立つような高専にしてほしいと思うんですけれども、感想で結構でございますから、お願いします。

塩谷国務大臣 高等専門学校につきましては、委員が今までお話しいただいたように、大変評価も得ていますし、また、そういう中で今回の統合等、そして、内容的にも学科をふやしたり、そういうことも考えておるわけでございまして、いずれにしても、今後、我が国の地域あるいは産業の発展に大変大きく寄与する学校だと思っております。

 いろいろな考え方、多様化された社会でありますから、それに対応すべく、今後、キャリア教育の考え方、あるいは大学との位置づけ、そして学位等の授与に関しても今後検討していかなければならないと思っておりますし、いずれにしても、大変な実績をもとに、今後、より一層発展できるような学校にしたいと考えているところでございます。

土肥委員 以上で終わります。ありがとうございました。

岩屋委員長 以上で土肥君の質疑は終了しました。

 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。よろしくお願いいたします。

 冒頭に、大臣に一問お尋ねいたします。

 実は、この独法改革法案に入ります前に、文科省としてのガバナンスの問題として、財団法人日本漢字能力検定協会の大久保昇理事長に対して、今般の数々報道されております事案に対して全く記者会見も行わず説明責任を果たしていないという現状の中で、大臣としてどのように考えておられるか。

 私は、せめて説明責任を果たすために、指導はもう受けておりますが、まずは記者会見をして国民に対して明らかにすべきだと思っておりますし、強い姿勢で臨んでいただきたいと思っておりますが、まず大臣の見解をお伺いしたいと思います。

塩谷国務大臣 今回の漢検のいろいろな今までのあり方等々で問題が出てきたこと、非常に残念に思っております。

 公益法人として、当然ながら、今委員がおっしゃったように説明責任があると思っておりますし、私どもとしては、今までの指導も正直甘かった点もあったかもしれません。今のいわゆる公益法人法のもとでどこまでできるかということもありますが、つい先日、改善通知を出して、その後、理事長、副理事長にも当省へ来ていただいて、その趣旨を明確に伝えて、説明責任も果たすようにということを言ってありますので、近いうちにそういうことが行われると思っております。

 その改善の中身によっては、またいろいろな厳しい指導もしていかなければならないと考えております。

馳委員 大臣は、この後参議院で二〇一六年東京オリンピック招致の決議に際して同席しなければならないので、ここで退席いただいて結構です。どうぞ。

 そこで、改めて漢検の話をちょっと深掘りしたいと思いますが、そもそも、今回の漢字能力検定協会の問題はどこから浮かび上がってきたんですか。新聞の取材でわかったことですか。文部科学省が知らなければ、ずっとこのままだったのでしょうか。そういう意味でのガバナンスの問題がまずあるのではないかという認識を持っております。

 これは局長にお願いいたしますが、私が申し上げたように、どうして今回の問題がこうやって明るみに出たのかという点と、これまで、公益法人として毎年報告書が上がってくる中で随分ともうけておるというか利益を出しておりますが、こういったことに対しての指導が甘かったのではないか。指導をしてきたにもかかわらず言うことを聞かなかった漢字能力検定協会の理事長を初め役員体制に対して、やはり文科省の対応は甘かったと言わざるを得ないわけでありますが、この辺のどうだったのかという事実関係とお考えを明らかにしていただきたいと思います。

清水政府参考人 今回の漢字能力検定協会の事態につきましては、指導監督上、ただいま大臣からも答弁いたしましたように、私どもとして、全体としては指導監督が不十分であったと言わざるを得ない、このように思っております。

 漢検の状況について、主に二つの類型に分けて考えることができるかというふうに思っております。一つは、公益法人として過度の利益を得ているという問題と、もう一つは、例えば利益相反取引でありますとか、あるいは広大な土地建物の取得でありますとか、そういう問題でございます。

 まず、第一点の過度の利益という問題についてでございますが、この漢字能力検定協会は、過去五年間で約四十四億四千万という公益事業における利益を得ております。

 これは、漢検発足以降ということを考えてみますと、十三年度志願者数百八十万、四億九千万円の利益というような急激な増加という事態、その決算を踏まえまして十五年度に実地検査を行って、対価を伴う公益事業を適正なものとするよう指導し、そしてそれ以降、なおその改善が見られないということで、十六年度、十七年度、十九年度、臨時の実地検査を行い、指導してまいりました。

 この間、一部検定料の引き下げ等、あるいは公益事業の拡大等は行われたわけでありますけれども、なおそういう状況が続いているということでございます。

 このような多額な利益が生じていたことについては、私どもまさに反省しなければならないのは、指導監督が一般的なものにとどまって強力な指導になっていなかったという、不十分な監督指導であったということでございます。その要因もいろいろ分析はしておるところでございますが、一言で言えばそういうことであるということでございます。

 第二点目の、例えば利益相反の問題でありますとか、あるいは広大な土地建物の取得でございますとか、そういう問題でございます。

 まず、利益相反の問題につきましては、先ほど委員御指摘ございましたように、秋でございますか、二十年から二十一年にかけて、外部通報によりまして、そういう利益相反関係で問題があるものがあるようであるというふうな通報を受け、私も調査を行いました。調査を行いまして、その結果として、四社に及ぶ利益相反取引というものが実態が明らかになり、したがいまして、個々の部分でまず事実関係の把握ということが最大の問題であったということでございますし、広大な土地建物の取得自体につきましては十五年でございますので、実は、提出された書類等にはそのことは一切付されておりませんが、予算書を見る限りでそこは把握できたのではないという問題でございます。

 いわば、第二の問題に関しては、事実関係の把握、把握のための努力ということについて私ども反省すべき点が多々ある、このように考えておるところでございます。

馳委員 特に、不透明な業務委託費、漢検の理事長、事務局長が代表を務めている企業に対する利益相反関係を含むいわゆる不透明な取引について、これは、現状、文部科学省は違法な行為と認識をしているのでしょうか。これはすごく大事なんですね。違法と認識していないのであるならば、公益法人という制度を隠れみのにしてやりたい放題できるということを文部科学省がこの場で宣言することになるんですよ。いかがですか。

清水政府参考人 利益相反取引ということについてで、まずちょっと一般論から申し上げさせていただければというふうに思っております。

 公益法人が代表である企業との取引について、法人にとって有利な取引というのも実はあり得るわけでございます。したがって、そういう意味で、取引自体が一義的に禁止されているというふうには理解しておりません。要は、その取引について理事会なり評議員会なりにきちんとその情報が開示され、その承認を得るという手続が必要であるというふうに思っております。

 そしてその上で、例えばその場面で、取引関係でございますので、その取引というのは実質的には利益相反に当たらないというケースもありましょうし、あるいは法人が許容範囲内という見方もありましょうし、あるいは、これは問題があるということで、損害を与えるということで損害賠償を求めるケースもありましょう、あるいは、それに刑事的な責任が生じる場合というのもあろうかというふうに思っております。

 そこで、それを前提といたしまして、同法人の四つの企業との取引ということについて申し上げれば、まず手続的な面でいえば、法人内部において適正な手続はとられておりませんというのがまず一点目でございます。

 それから内容についてでございますが、実際上、具体的にその取引の個々の実態に照らし、そしてその取引が、例えば取引の内容とその手数料、委託料との関係でそれがどこまで適正か、妥当かという問題になろうかと思いますけれども、このあたりはなかなか判断のしがたい部分もございます。一義的には、追完といいますか、法人の理事会、評議員会でさかのぼって認めるというのも法制的には許容されているという面も考えますと、そこは法人の判断にある部分でゆだねざるを得ない部分はあろうかというふうに思っております。

 ただ、私ども、実地検査を踏まえまして、また、その後もさまざまな書類等をいただきまして、そういう中で申し上げられることは、株式会社メディアボックスあるいは株式会社文章工学研究所については、少なくとも法人との関係では、その取引に即していえば、委託の内容あるいは理由等を含め、取引の必要性というものは不明瞭であるというふうに考えております。

 そういう意味で、先般の通知では、取引の解消を含めた抜本的な対応が必要であるという指導を行ったわけでありますし、また、それ以外についても、一部事業についての法人との業務分担がどうなのかということで、不明確な部分について委託の必要性を検証することが必要であるというふうに考えております。

 そのために、文部科学省としては、法人に対して、手続規定を整備するとともに、これまでなされたすべての取引について実態を詳細に調査し、法人内部において取引の見直しを含めた対応を検討するよう指導している、こういう状況でございます。

 違法か違法じゃないかというのはなかなか申し上げにくいということでございます。

馳委員 独法改革法案の話をしなきゃいけないので、私のこれから申し上げる発言で漢検については最後にしたいとは思いますが、四月十五日が期限でありますので、私もそれを待って、全く納得できないという状況であるならば、大久保理事長を我々文部科学委員会に参考人としてお呼びをして、事実関係に基づいて公益法人のガバナンスのあり方について大いに議論をさせていただきたいと私は考えております。

 同時に、現状で清水局長は一般論としておっしゃったのは当然でありますが、私たち、ここは司法ではなくて立法府でありますから、しかし、立法のすき間をついて公益法人が極めて社会的に妥当ではない取引をしたり、公益法人の本来の趣旨を逸脱する活動をし、多額の利益を得て、それを不透明に使っていたとするならば、それは立法府としても看過できない問題であり、当事者がいまだに記者会見もせず説明責任を果たしていないということに対して、我々は、怒りを持って何としてもこれは追及せざるを得ないということを表明して、本来の法案の質疑に入りたいと思います。

 まず最初に、実は、きょうは平成二十一年三月十八日ですが、この法案を見ると、海洋研究開発機構と防災科学技術研究所の統合が来年の四月一日、もう一つ、大学評価・学位授与機構と国立大学財務・経営センターの統合が来年の四月一日、何で来年四月一日のものを今この時点で統合案としてお出しになったのか。そもそもその部分をお聞きしたいと思いますが、これ、何で来年の四月一日のを平成二十一年のこの時点でお出しになったのか。副大臣、何で。

 これは、実はきょう一日にとってはとても大事な質問をしているつもりなんですが。何で来年四月のものを今ごろお出しになったのか。もちろん、我々与党としても承認をしたのでありますから、本当なら私も答弁した方がいいのかもしれませんが、まずは政府として、来年四月一日統合の案を今ごろお出しになったのはなぜでしょうか。

松野副大臣 期日に関しましては先生御指摘のとおりでありますけれども、整理合理化計画によって、閣議決定では速やかに実施をするようにということになっておりますので、今回御審議をお願いしております。

馳委員 速やかにという答弁でしたが、ということは、来年四月一日に間に合えばよいということですね。答弁は求めません。

 そこで、今回は五つの統合案が、つまり、政府の独法改革案の中で、文科省が所管する、ある意味では五つの改革案を出されたというそのうちの一つで、国語研究所のことについて答弁を求めて、時間ですので終わりたいと思います。

 実は、私は今与党の中で、外国人に対する日本語教育の充実を図るためにあらゆる政策の横断的な対応を求めて勉強会をし、また予算措置等も求めているところでありますが、外国人に対する日本語教育の充実を今後より一層図っていくための調査研究、分析、あるいは教育手法の開発、その政策への提言、こういった機能が国語研究所の機能から失われてしまうのではないかという不安を持っております。

 新たに統合となった場合に、この機能がより一層充実をされて、さらに予算措置もされて、我が国の実態に即した日本語教育が発展していかなければいけないという思いを持っておりますが、私のこの指摘に対して、副大臣、政府として十分お答えしていただくことができるのでしょうか。どうかお答えください。

松野副大臣 馳先生は国語指導の専門家でいらっしゃいますけれども、お話にありましたとおり、外国人に対する日本語教育の振興というのは喫緊の政策課題でありまして、新しい体制となった国立国語研究所においても社会的な期待が大きいものであるというふうに認識をしております。

 今回、移管後、現国語研が行っております外国人に対する日本語教育に関する科学的な調査研究やその成果の活用、公表といった業務が、大学共同利用機関の教育研究の特性を生かしながら、これまで以上に充実されることが重要であるというふうに考えております。

 文部科学省といたしましては、このような基本的な考え方に基づきまして、人間文化研究機構及び新国語研への積極的な支援を通して、関係機関とともに連携しながら総合的な施策を講じることによって、外国人に対する日本語教育の一層の振興につなげてまいりたいと考えております。

馳委員 終わります。

岩屋委員長 以上で馳浩君の質疑は終了しました。

 次に、亀岡偉民君。

亀岡委員 自由民主党の亀岡偉民です。

 きょうは、文部省に関係する独立行政法人の合理化案、そしてまたいろいろ審議されているわけですが、ぜひ私は、今政府全体として、独立行政法人、国立病院も含めて、病床数のまさに適正化とかいろいろな課題がたくさんあります。そういう中で、ちょっと医療の問題に触れてみたいというふうに考えております。

 特に、最近の医師不足は大きな社会問題になっております。特に、地方の医師不足はまさに地方にとっては危機的な状況になっておりますし、また、診療科の縮小や廃止など、医療をめぐる問題は毎日が新聞の報道になっている。

 そういう中で、この原因は何でだろうということで私どもいろいろ考えていたんですが、昭和五十七年の閣議決定以来、医師数抑制、これが進められて、かなりその抑制政策が結果を出し過ぎているんじゃないか。医師の絶対数が不足しているのはなぜかというと、そこに原因が起因するんじゃないかというふうに考えております。

 そして、これだけ問題が顕在化した中で、平成十六年度から、今度は、医師の臨床研修制度で大学病院が担ってきた医師派遣機能がかなり低下しておりますので、さらに地方は大きな問題を抱えることになったんじゃないか。これは、一社会問題にもなりました、小説なんかでも「白い巨塔」なんて出てきましたが、いろいろな問題があったゆえにこういう制度をとられたというのはわかるんですが、現在の余りにも医師不足に関して、または緊急医療に対して対応できない病院のことを考えていきますと、そろそろこれはしっかりと国として対策をとらなければいけないということがまた議題になってきているわけです。

 昨年、ようやく経済財政改革の基本方針二〇〇八でその問題が取り上げられました。そして、医師抑制基調を転換するということが決められました。しかし、その結果、文科省がこの増員に対する姿勢、取り組みがどうなのかというのは、ちょっと私どもはっきり見えてこないという面があります。

 そういう意味では、来年度の医学部の入学の定員、これはかなり各地域から例えばふやしてほしいという要請がたくさん出ていると思うんですが、文科省としてそれにどれぐらいしっかりと対応したことを考えているのか、具体的に教えていただければ、よろしくお願いします。

徳永政府参考人 先生御指摘のように、大変地域の医師不足が深刻であるということの中で、私どもとしても、地域の医療を担う医師の養成は非常に重要な課題であると認識しております。

 そういったことから、先生御指摘の経済財政諮問会議の答申を受けまして、平成二十一年度におきましては、国公私立大学を通じて医学部の入学定員を六百九十三人ふやしまして、全体で八千四百八十六人といたしました。そして、特にその増員に当たりましては、各大学におきまして入学者選抜における地域枠の設定でございますとか、地域医療への従事を前提とする都道府県や大学の奨学金の充実、こういったことを行うこととしております。

 文部科学省といたしましては、またこういった大学の増員に対して、あるいはまたそれぞれの地域医療を志す医師の養成に対して支援をする観点から、既に成立させていただきました第一次補正予算等におきまして、学生の実習に必要な設備等を整備しているところでございます。

 今後とも、今回の増員に関する各大学の取り組みが確実に実施されますよう、それぞれの大学の取り組みをきちんとフォローアップをして、地域医療の担い手で活躍できる能力、志ともに高い医師の養成に努めていきたいと思っております。

亀岡委員 ありがとうございます。ぜひ、増員に関してはきちんと前向きに各大学にその意識の徹底を図っていただいて、連携を図っていただきたいと思います。

 私もびっくりしたんですが、医学部の医師国家試験の合格数というのはかなり高いということで、大学の定員をふやせば確実に医師国家試験に受かる数がふえるということも過去の統計でわかっておりますので、この辺に真剣に取り組むことによって医師はふえるだろうというふうに考えておりますので、その辺はぜひお願いしたいと思います。

 実はもう一方、きょう特にこの問題に私は触れたいと思っていたんですが、実は、人口の増加、高齢化により、死体数というのはこれは表現がおかしいんですが、死者の数がたくさんふえるというのは当たり前なんですが、ふえてきているという現状があります。

 皆さんのお手元に資料を配らせていただいたんですが、最初の一ページ目に書いてあるように、平成十五年から十九年までの間にかなり死亡数がふえております。特に平成十九年は、百十万を超しているという現状があります。

 そして、二枚目の資料を見ていただくとわかるんですが、実は、これはちょっと詳しく書くのを忘れてしまったんですが、ここに死体の取り扱い数と一番左に書いてありますが、これは自然死以外の死亡の数になっております。ということは、俗に言う異状死というものですね。異状死の数が平成二十年は十六万を超してしまったと。まさに、これから高齢化社会の中で自然死と異状死の境がなくなりつつある。そして、どういう問題が起こり得るかというのもこの数に出ていると思うんです。

 ということは、いろいろな方がいろいろな状況で亡くなっていく可能性がある。そういう中で、犯罪に巻き込まれるケースもある。しかし、その犯罪に巻き込まれたかどうかも今の状況では検視ができない状況である。要するに、解剖医が余りにも少な過ぎるということでほとんど特定できない。それが現状の大きな問題になりつつあるということを私は伺っております。

 これは法医学の皆さんにもお話を伺ったんですが、法医学に従事する医師がほとんどいない。何でいないんだろうということで私お聞きしたら、就職先がないと。私はちょっとこの辺はびっくりしたんですが、これだけ変死体がふえているとしたら、少なくとも各県これだけ異状死が出ているとしたら、各県にそういう方々が配置できているのかと思ったら、ほとんどいらっしゃらない。

 これは、今の独立行政法人の改革等を図るんですが、逆に、必要なものはきちんと配備していかなきゃいけないだろうと。この制度が現実に対応し切れていないとしたら、これは、文科省としてこの法医学というものをもう少し重要視しなきゃいけないんじゃないだろうか。せっかく大学の定員をふやすのであれば、確かに、医師不足で、きちんと治療に当たる方々も必要ですし、また、現在の人口増に加えて高齢化社会の中で、きちんと今度は異状死に対する解明、これは、ウイルスとかいろいろな新しい病気も生まれるかもしれない、または、自然死と異状死の間をしっかりと境を見きわめる必要がある、または、犯罪に巻き込まれていないケースをしっかり検証するケースがある。

 まさにこれだけふえてきている現状の中で、ぜひこれは文科省としてはこの法医学というものに真剣に取り組んでいただきたいと思っているんですが、現状で医大のこの法医学というもの、どういう取り組みをしてどんな現状になっているかというのをちょっと詳しく教えていただければと思うので、よろしくお願いします。

徳永政府参考人 大学の法医学を担当する講座でございますが、これは、医学部を有する七十九大学すべてに設置をされております。これにかかわっております教職員でございますが、総計で五百三十八名、そのうち医師が百七十一名となっております。

 なお、法医学会における法医学教室実態調査によりますと、回答のありました三十七大学におきます一大学当たりの人員の総数、これは、常勤の教職員とそれから非常勤の職員、さらには大学院生の合計数でございますが、これにつきましては、平成六年で四・七人いたということに対しまして平成十九年では四・〇人ということで、〇・七人少なくなっているという状況でございます。

亀岡委員 少なくなっているというのは非常に僕は残念だと思うんです。これからふえ続けるという統計が出ている中で減っていくというのは何でだろうと。

 これは、私は文科省としてぜひお願いしたいのは、きちんとこれから医師不足に対する治療の平等化が図られると同時に、まさに今度は、たくさん出てくる高齢化社会の中での死因解明、そして、できれば公衆衛生上の死因解明による病理学に対する予防医学、そして、犯罪に巻き込まれないというきちんとした明確な回答も含めて、文科省がここだけは真剣に取り組んでもらいたいという気持ちがありますので、文部科学省としてこれからの取り組みをどう考えているか、ぜひ政務官にお話を聞きたいと思うので、よろしくお願いします。

萩生田大臣政務官 亀岡先生の御指摘、極めて重要だというふうに私も認識をしております。

 法医学は、生命と社会とのかかわりをとらえる観点から医学部教育では重要であるということは既に認識をしているんですが、今御説明がありましたように、国内で百七十一名のドクターで、ふえる独居老人の死亡案件等々、これからきちんとした法医学を進めていくとすれば、当然その人材不足は否めないと思います。

 法医学の先生方は、一般の医学部よりさらに四年間大学院で高度な研究をしなくてはならないという問題がありますから、当然、在学期間中の授業料等の問題もあろうかというふうに思います。あわせて、多分、医学部を志したときに、最初から死体を扱いたいと思って医師を目指す人というのは極めて少ないんだろうというふうに思います。

 その中で、こういった法医学というのが社会的に、行政的に必要な医療であるということを学生の皆さんにも選択をしていただくためには、何らかのインセンティブをきちんと発揮をしなくてはいけないというふうに思っておりまして、現在では、医学部を有する七十九大学すべてに法医学を担当する講座は設置をされておりますし、また文科省としましては、医学教育モデル・コア・カリキュラムというものを設置して、学習到達目標を策定し各大学に提示するなどの教育研究の充実を図っています。

 今後、各大学から法医学分野や死因究明に関する教育研究組織の充実に向けての予算要求や支援要請があれば積極的に検討してまいりたいと思いますが、これは、文部科学省だけではなくて、やはり社会全体で支え合う行政医療の分野だというように思いますので、各省横断的に協力を仰ぎながら、ぜひ人材育成に努力をしていきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。

亀岡委員 ありがとうございます。

 確かに、この法医学に関しては、犯罪も含めて社会的に取り組むべき面がかなりあると思います。ただ、やはり優秀な人材をたくさん育てていただいて、そして各分野に分かれるときに、これは私ちょっと個人的にヒアリングをしてみたんですが、かなり興味を持っている医学生がたくさんいらっしゃるんです。ただ、先ほど申したように、食べられないだろうということでそこに行きたくないという結果になってしまったのでは、せっかく向学心に燃えて、では解剖を専門でやってみようかという気持ちの学生たちも、専門医に入るときにそこで選択できなくなってしまうということもあるので、これは政府全体としても考えてもらいたいというふうに考えておりますし、その医学生たちが意欲の持てるような環境は文科省にもぜひつくっていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 もう一つ、きょうは法科大学院の問題もちょっとお尋ねをしたいと思います。

 司法制度改革推進計画で法科大学院というのをつくらせていただいて、平成二十二年、合格者数を三千人程度にするということを目指して現在やってきております。ところが最近は、特にこの法科大学院の一番の目的は、司法関係者をふやすということで、裁判官や検事もふやすということに当初の目的はあったように思われますが、どうも弁護士ばかりがたくさんふえて、そして、その弁護士の質も落ちているんじゃないかというような話もたくさん出てきているということが言われております。

 これは、三千人ありきということが正しいのかどうかは別にしまして、法科大学院のもともとの創設の基本理念というのがあったはずなので、その辺をもう一度教えていただけたらと思うので、よろしくお願いします。

徳永政府参考人 法科大学院につきましては、先生今御指摘いただきましたように、司法制度改革の一環として創設されたものでございます。具体的には、平成十三年の司法制度改革審議会意見書、あるいは平成十四年の、閣議決定されました司法制度改革推進計画に基づいて創設されたものでございます。

 その具体的な理念といいますのは、これまで一回の司法試験、いわゆる点のみによって選抜をされていたということではなく、法科大学院における法学教育、そして司法試験、そしてその後の司法修習、こういったことを有機的に連携をさせ、一定の期間をかけた法曹養成を行う、そういう制度に転換をするという趣旨で創設されたものでございます。これによりまして、豊かな人間性や幅広い教養と専門的法知識、そして柔軟で創造的な思考力、こういう資質を持った法曹、そういう質の高い法曹を確保しようとするものでございます。

 こういった理念に沿いまして、法科大学院では、一つは、法理論教育を中心としつつ、実務教育の導入をするということが大きな特色でございます。具体的には、教育課程におきまして、法律基本科目に加えまして、法律実務基礎科目、あるいは基礎法学・隣接科目、展開・先端科目、こういう幅広い授業科目を体系的に開設をしております。

 また、教育方法につきましても、従来の講義一辺倒という形ではなく、法的分析能力や法的理論の能力等を育成するために、少人数教育を基本として、事例研究、討論等の双方向、多方向型の教育の充実を図ることとしております。

 また、同時に、今後の法曹養成ということでは、さまざまなバックグラウンドを有する方々を受け入れていくということから、経済学、理数系、医学系など、多くの他の分野を学んだ方々を幅広く受け入れていく、そういう多様なバックグラウンドを持った法曹養成を受け入れるために、法学部以外の学部の出身者あるいは社会人等を一定割合以上入学させるということを義務づけております。

亀岡委員 ありがとうございます。総合的に今の話をまとめると、多分、資質と意欲を持った優秀な人間を厳格な成績評価及び修了認定で入れるというのが条件だと思います。

 そしてこれ、当初は、七、八割の者が新司法試験に合格できるようにするというお話がたしかあったと思うんですが、私、調べたら、平成十八年度、四八・三%、十九年度で四〇・二%、平成二十年、三三%、毎年減っているんです。これはどうしてですか。

徳永政府参考人 その司法制度改革審議会の意見書では、法科大学院の目指すべき教育水準の例示といたしまして、「その課程を修了した者のうち相当程度(例えば約七〜八割)の者が新司法試験に合格できるよう、充実した教育を行うべき」ということでございまして、これは、ある意味で教育の水準の目的、目標を目指したものでございまして、いわゆる一定の合格率を保証する趣旨の文言ではないというふうに我々理解しておるわけでございますが、一方では、その法科大学院につきましては、できるだけ関係者の自発的な創意を基本として、基準を満たした者については「広く参入を認める仕組みとすべき」ということがなされております。

 こういったことの結果、七十四校が設置をされ、そのために入学定員が五千七百九十五名となっているわけでございます。結果、現在、新司法試験の合格者数は二千名程度でございますから、先生が御紹介のような合格率となっているものと認識をしております。

 文部科学省といたしましては、法科大学院につきましては、質の一層の向上が必要であるというふうに認識をしております。

亀岡委員 時間になりました、申しわけないんですが。

 今の答えのとおり、質の向上のために、せっかく法科大学院をつくったその機能を充実させない限りまた批判が出るだろうと思いますし、司法を担えるような人材が社会に本当にきちんと補充されていくかということにはなっていかないということではまた大きな混乱を招きかねないと思いますので、文部科学省として、ぜひこれからの体制、しっかりした取り組みを御説明願えればと思います。よろしくお願いします、大臣。

塩谷国務大臣 法科大学院につきましては、法曹養成制度の中核機関として質の向上が当然求められるわけでございまして、数も、今七十四大学ですか、大変多く設置をされて、そういう中で数多くの学生が学んでおるわけでございます。

 私としましても、数が適正かどうかということも含め、また、質の多様性の確保とか、あるいは、これはただ単に入学者だけじゃなくて、当然ながら修了者の質、それから入学定員の見直し、あるいは質を重視した評価システムの構築等を考え、改善方策の検討を行っているところでございます。四月に中教審の法科大学院特別委員会においてそれをまとめていただくことになっておりますので、それをもとに、しっかりと今後、質の高い、また信頼される法科大学院の構築により一層努力をしていきたいと思っております。

亀岡委員 ぜひ、数ありきではなくて、しっかりと中身が充実した上での法科大学院等司法制度の取り組みというのをお願い申し上げて、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

岩屋委員長 以上で亀岡君の質疑は終了しました。

 次に、池坊保子君。

池坊委員 おはようございます。公明党の池坊保子でございます。

 今回の独立行政法人の改革によって行われます国立高等専門学校の統合について幾つかの質問を大臣にさせていただきたいと思います。

 そもそも、この行革は独立行政法人制度が導入されてから六年目に当たります平成十九年五月、経財諮問会議から、独立行政法人のゼロベースでの見直しという提言から始まりました。同年六月、経済財政改革の基本方針二〇〇七で、当時百一あったすべての独立行政法人について見直すということが閣議決定され、また、それを受けて本法案が提出されました。

 私も、経財諮問会議が主張しております、独立行政法人が天下りの温床になっているのではないか、あるいは特殊法人の看板のかけかえになっていないかの見直し、あるいは競争原理を導入するとか、また官から民へ、それは基本的には決して反対ではございません。合理化できるものはすべきである、効率化されるべきというふうに考えております。

 特に、制度とか組織というのは、長時間たちますと、それがいいものであっても疲弊してまいりますから、必ずある時点において原点に立ち返るということはすべてのことにおいて必要なことではないかというふうに私は考えております。

 ただ、私は、ただ効率化、合理化、整理合理化計画に沿うというのは、教育は沿わない部分が多いのではないかと思います。この高専の問題に関しましても、整理合理化計画にのっとって統合されたとしたら、ちょっと残念だなという感じがするのです。

 なぜならば、私は、高専が果たす役割というのは非常に大きいと思っている人間です。日本には中小企業は四百二十万社ございますが、その中小企業を支えているのは、多くは物づくりです。インドや中国がこれから台頭してまいりましても、この技術力、物づくりがしっかりしているならば、この不況にあっても必ず日本は立ち上がっていくことができると私は思っているわけです。そういう意味では、この高専が持っております特殊性というのは大変重要であると思っておりますし、また、社会に果たす役割も大きい。にもかかわらず、さっきも御指摘なさった方がございますように、社会的認知というか評価が、その大きな役割を果たしているにもかかわらず、伴っていないのではないかという感じをいつも私は持っておりました。

 給与体系を見ましても、短大卒が七十何%であるということ、だけれども、企業の方は本当によくこの高専の卒業生を受け入れていらっしゃるわけですよね。この辺のギャップを感じながらも、ただ高等学校に行く、余り目的意識がなくて高校に行き、そして大学に進むのと違って、目的意識を持って学んでいる五年間というのは非常に大切というふうに私は考えております。

 まず大臣に、現在における高等専門学校の意義と役割についてどのようにお考えでいらっしゃるか、伺いたいと存じます。

塩谷国務大臣 高等専門学校の意義について、ただいま池坊委員からもそれぞれその重要性のお話があったわけでございますが、高専につきましては、中学校卒業後、五年一貫の実践的教育によって、幅広い分野で活躍できる実践的、創造的な技術者を養成してきているところでございまして、卒業生につきましては、高い就職率、求人倍率に見られるように、社会的にも高い評価を得ていると思っております。

 そして、昨今、産業技術が急速に高度化する中で、これからもすぐれた資質と高い意欲を持った卒業生が企業の中で高い位置づけの技術者として活躍できるように、今後とも、その開発から現場、さまざまな場で活躍する多様な技術者を輩出していかなければならないと思っておりまして、そういう意味では、我が国の物づくりの基本をしっかり学んでいただいて、産業界あるいは地域のニーズにしっかりと対応できていると思っておるわけでございます。

 そういう状況の中で、やはり高専が、昭和三十年代からずっと同じような形でしっかりと地域の要望にこたえてきたわけでございますから、今後、多様化された、あるいは高度技術社会の中で、より高専がしっかりと、また将来に向かって対応できるようにということで私どもは今回の再編に至ったわけでございます。

池坊委員 事務局の方に伺いたいのですが、再確認です。

 高専はこの統合によって何校から何校になるのでしょうか。そして、それによって定員は何名から何名に変わっていくのでしょうか。また、高専の卒業生の就職率はどうなっているのでしょうか。また、卒業生の地域への定着率を教えていただきたいと思います。

徳永政府参考人 現在、国立の高等専門学校は五十五校でございますが、今回御審議いただいております法案によりまして統合いたしますと、五十一校となります。

 そして、入学定員でございますが、統合を予定しております八高専を含め、現在九千六百八十人、本科の入学定員がございますが、これが二百八十人減少して九千四百人となる予定でございます。

 また、専攻科につきましては、九百七十二人から七十二人増加をして千四十二人となる予定でございます。

 また、これまでの学生の就職状況でございますが、平成十九年度で見ますと、本科で五四%、専攻科で六一%の学生が就職を希望しておりまして、その就職希望者に対する就職者の割合はほぼ一〇〇%となっております。

 また、地元の就職率ということでございますが、本科の卒業生については二九%が地元に就職をし、専攻科の卒業生については三五%が地元に就職をしております。

池坊委員 今の数字でもよくおわかりのように、公立高校の平成二十年度の入学志望倍率は一・三八倍です。これに対して、高専は一・七八倍と倍率が非常に高くなっております。これは、やはり目的意識が高いのではないか。それから、中退者も、高専は二・七%であるのに対して、普通の高等学校は三・八%だと思います。

 そしてまた、地元の定着率が三割、七割が他府県に行ってしまうじゃないかというお声もありましたが、私は、地元に三割定着するというのは定着率としては高いというふうに思うわけです。

 それから、この急激な企業業績の悪化を受けて内定取り消しなどが問題になっておりますけれども、高専は内定取り消しがありましたけれども、すぐにまた就職が決まった、つまり、それほど企業が高専の方々を求めていらっしゃるわけですね。

 私は、にもかかわらず、この削減、定員が減らされるということに対しては残念だな。つまり、高専を将来的にどうしたらいいのかという、義務教育終了後の子供たちの行く末に対してきちんとした方向性を定めていらっしゃるのだろうか、やはり義務教育終了後の子供たちをどうするのかということへの、もう一つ目標が高く掲げられていないのではないか、このことをきっちりと議論する必要があるというふうに私は考えているんです。

 経済産業省は、〇六年度から、基盤技術を担う中小企業の重点的な支援に乗り出しております。中小企業の競争力強化をねらいとした中小ものづくり高度化法というのを六月に施行いたしました。各地で物づくり中小支援の動きが高まっており、その中心となるのは、言うまでもなく人材の育成、確保なのです。中小企業にいい人材が集まりませんと、日本の基盤技術が崩壊してまいります。

 そのようなことを踏まえて、経済産業省は、五年度にスタートした、製造現場の中核人材育成を図る産学連携製造中核人材育成事業に続いて、六年度に、高専の施設を活用した中小企業の若手技術者育成支援に着手したことは、文部科学省の方はよく御存じだと思います。七年度には、工業高校と地元産業界との連携を進める方針だそうです。これは、各地域の産業界と工業高校、行政など、地域ぐるみで取り組む工業高校の実践的な教育プログラムづくりを支援し、工作機械からソフトウエアなど幅広い科目で効果のあるプログラムを手がけ、また、当面、全国で三十三カ所程度の支援を目指すと言っているんですね。

 つまり、中小企業は、地域と連携しながら物づくりを支援しましょうよと言っているんです。言っているにもかかわらず、この物づくり技術者の人材育成である高専の定員が減るということはどうしてなのかなというのが私の率直な気持ちです。物づくりの、今経済産業省がしようとしているこういうような取り組みに対しても、その中核をなすのが高専ではないかと私は思います。

 平成十八年に国立高等専門学校機構が、企業の人事担当者と高専卒業生を対象に「高等専門学校に対する企業、卒業生の意識調査」を実施しております。これによると、高専卒業生に対する企業側の総合評価というのは非常に高いんですね。大変満足、やや満足していると回答した企業は七一%です。卒業生が高専で受けた教育が社会に出て役立っていると感じているかどうか、高専教育の成果については約七二・三%の卒業生が役立っていると答えているんですね。

 この結果を見ますと、今いろいろな組織がえをしておりますけれども、今のところ社会のニーズに適した教育を実践しているのではないかと私は思うのですが、そういうことを踏まえた統合になっているのでしょうか。簡潔に答えてください、時間がありません。

徳永政府参考人 先生の御指摘の調査のことは、私ども十分承知をしております。

 そういった中で、各高等専門学校としては、十分に地元の関係者とも話し合いをし、それと同時に、教員間でも十分なディスカッションをし、そういった中で、今回の新しい学科構成、そして専攻科の充実といったことをそれぞれが主体的に御判断いただいたものと考えております。

 先ほど私が千四十二名というふうにお答えしましたが、千四十四名の間違いでございます。済みません。

池坊委員 地元とよく相談をしたということであるので、その言葉を信じたいと思いますが、私は、議論だけされているのではなくて、大切なことは、地域と密着して、そして学生たちにとってプラスであるということだと思うんですね。

 私は、五年修了でもいいと思うんですよ。ある意味じゃ四割の人が二年に進むと言っていますが、これだと、義務教育を終えて普通の高校に行って大学に行くのと同じ七年制になりますね。だから、五年で修了したって十分なんじゃないか。そういう学生たちもあるので、あくまでも、四割の人をどこかの大学に入れなきゃいけないとか、あるいは専攻科に進まなければいけないとか、そういう指導というのはする必要はないと私は考えているんですね。

 このアンケートによりますと、企業は特に機械工学分野を求めており、企業側から求められる新分野では、機械工学分野が三七・三%であるのに対して、機械工学分野を求めている卒業生は二八・八%と開きがあるんですね。また、卒業生から求められる新分野で一番多いのが情報工学で、五九%に上がっておりますが、実は、この情報工学というのは、企業はこの分野を三三・四%しか求めていないわけです。ここにも乖離があるんですね。

 情報工学、電子制御工学、また比較的最近の教育領域でございます経営情報学、環境都市工学、名称は大変いいんですけれども、これは企業、卒業生ともに求められていますが、卒業生が求めているほどには企業が求めていないというのがあるんですね。

 にもかかわらず、今回の再編で、仙台高等専門学校では、マテリアル環境工学科、情報システム工学科、情報ネットワーク工学科、これは富山高等専門学校でも同じです。熊本高等専門学校でも、情報何とか情報何とか。情報何とかというと卒業生が喜ぶんじゃないか。でも地域では、余り卒業生はこれを喜んでいない。企業では、そういうことを学んだ卒業生を必ずしも求めてはいない。むしろ、しっかりと定着して、地味だけれども物づくりに精進するような、そういう生徒を求めているんですね。

 もしかしたら、高専に入りたいと思っている多くの学生たちも、そういう思いの子がいるのではないかと思うのです。この辺、ミスマッチがあるのではないかと危惧するのですが、いかがでしょうか。

塩谷国務大臣 ただいまのアンケートによる企業あるいは生徒との、いろいろな要望がミスマッチではないかということ、確かにそういう結果が出ておりますので、今回の統合についても、学科の見直しをして、学生が要望している新分野、例えば食品加工とかバイオとか、そういったことも新しく学科として創設しました。

 多少、すべてがマッチングするのがいいのかどうなのかという議論もありますし、また、やはり学生の要望も取り入れないと、なかなか学生も集まらないという点もあるでしょうから、そういう点も含めて十分に議論して、先ほども申し上げましたが、技術の高度化、そして多様化、そういったことにできる限り対応できるように、今後とも議論を深めて、そういった時代に対応していきたいと考えております。

池坊委員 私が危惧いたしておりますのは、義務教育終了後の子供たちの進路というのが画一的になりつつあるのではないか。選択肢がある方が、子供たちが生き生きと学ぶことができるわけです。ところが、情報がいいというと、それしかない。

 でも、そうじゃないんですね。子供たちは、時流に乗っていないかもしれないけれども、ほかのことがしたいという子供たちもたくさんいるわけです。あるいは、普通の高校では自分は勉強は余りしたくないけれども、農業をしたいとか物づくりをしたいと、そういう子供たちの個性というものを生かすことが、これからの二十一世紀の日本の未来のためにも絶対に必要ではないかというふうに私は感じております。

 高専なんですけれども、一つの県に一校程度設置されております。今度統合されるのは、一県に二つあるところが統合されたように思いますけれども、保利政調会長が、自分が住んでいる佐賀にはない、高専というのはすごくいいから自分の地域にもぜひ欲しいと、前に委員会で質問なさったのを私は記憶いたしております。

 御存じのように、埼玉、神奈川、山梨、滋賀、佐賀という五県には高専がございませんね。今の時の流れというのは整理合理化で、国立というのは認めないという方向になっているので、設置をされる見通しがないのか、その辺の御方針をちょっと伺いたいと思います。

徳永政府参考人 先ほども別の先生にお答えしたところでございますが、全体として学齢人口が急速に減少していく中で、高専を全く新しくつくるということについては慎重な対応が必要と思っております。

 ただ一方で、昨年の中央教育審議会答申にもございますように、今後、既存の公立の専門高校や大学等をもとにして新たな公立高等専門学校の設置を、そういうことを探っていく、あるいは、その支援方策の検討が必要だということが言われております。私ども、ぜひそういった方向での検討を進めていきたいと思っております。

池坊委員 せっかく統合されるのですから、私が大切に思っております、そして日本の社会で物づくりという大変大きな役割と意義を担っております高等専門学校がこれからももっともっとよくなることを願いますとともに、さっきも申し上げましたように、子供たちの進むべき道が、いろいろな道があるのだということをどうかお示しいただきたいと思います。とかく文部科学省は画一的であるのを好みますが、それはそこに生きている子供たちにとって決して幸せなことではないと私はいつも感じておりますことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

岩屋委員長 以上で池坊君の質疑は終了いたしました。

 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうもまた大臣と、きょうは独法の議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、今回のそれぞれの統合あるいは移管、廃止といった個々の問題の前に、独法のあり方、独立行政法人というもののあり方自体について、少し大臣の認識をお伺いいたしたいと思います。

 私ども民主党は、私も実は、この独立行政法人改革ということを、党内のプロジェクトチームで取り組んでまいったわけですが、基本的に、国としてやはり責任を持ってやらなければいけないものは国に戻して国がやる、しかしながら、もう既にその役割を終えていたり、あるいは民間でもできるじゃないかというものについては廃止をしていくという基本方針の中で整理を進めてまいったわけでございます。

 大臣、特に文科省の所管する独立行政法人には、かなり研究あるいは開発型の、そういった独立行政法人が多いわけですね。そういう中でいうと、やはり国でやるものはしっかりと国でやりましょう、しかしながら、そうでないものについては、もちろん効率化を含めて、しっかり無駄遣いを含めてやめていくということは当たり前の話ですけれども、私は、そういう視点に立って大臣がこの整理というものを行っていく必要があるのかなというふうに思っているわけです。

 まず、独立行政法人という組織でさまざま、教育あるいは科学技術にかかわる政策についてその役割を担わせている部分があるわけですけれども、この文科省所管の、どのということではないんですが、独立行政法人のあり方というものについての大臣自身の認識をお伺いいたしたいと思います。

    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕

塩谷国務大臣 独法につきましては、そのあり方等、かなり内容において違いが基本的にあると思っております。

 我が文部科学省の所管する独法につきましては、今お話しございましたように、いずれも公共上確実に実施されることが必要であるというものと思っておりまして、引き続き、国による一定の関与のもとで効果が最大限に発揮できるような組織形態として独法があると考えておるわけでございまして、現行の独法制度につきましては、中期目標あるいは中期計画や理事長の任命を通じて国がしっかり責任を持ちつつ、そして国立の機関に比べて予算や人事面での弾力的な運用が可能ということで、そういった特色を生かして、今回もその改革をしているわけでございます。

 我が省の独法につきましては、やはり国がしっかり最終的な責任を持つと同時に、実行においては弾力的な運用ができるような現在の独法のあり方をこれからも続けて、そういう中で改革を進めてまいりたいと思っております。

笠委員 大臣、今、予算やあるいは人事面での弾力的な運用が可能になるということで、この独立行政法人という組織体、これは必要なんだという認識を示されたと受けとめます。

 どうなんでしょう、私、以前、この文科委員会でも議論させていただいたことがあるんですが、例えば、身分を公務員から非公務員にするというようなこともやりました。しかし、そのときに、今の予算の点にもかかわるわけですけれども、結局は、ほとんどの人件費は運営費交付金、つまりは税金から支払われている実態ですよね。むしろ、独立行政法人になったことによって、例えば我々国会、議会が関与する、あるいはいろいろなチェックをすることが、独立という名のもとに非常に難しくなっている点もあるわけです。そういう意味では、やはりどうしても、看板のかけかえじゃないか、あるいは、公務員の数を減らすというための非公務員化じゃなかったのかということを以前にも指摘させていただいております。

 この後、幾つか具体的にはお伺いしますけれども、大臣、この独立行政法人は本当に予算や人事面で、これは文科省の所管の範囲でいいですよ、そういう弾力的な運用ができていますか。

塩谷国務大臣 基本的には、非公務員という状況の中で、今の人事とかあるいは予算面で弾力的なということでございますが、現実はなかなか厳しい面も当然ありまして、私は、そういう面で、形態としては独法の特色をしっかり維持することで、今後やはりそれをもっと生かしていくための改革をしていかなければならない、単に国に戻せばそれでいいのかということではないと思っておりますので、独法という形態の中で、よりその特色を生かして、どうできるのかということを今後考えていかなければならないと思っております。

笠委員 私もやはり、特にこの教育あるいはさまざまな科学技術という、もう本当にこれは未来、将来に対しての投資ですよね。ですから、そういう研究開発についての予算というものは、むしろこれはしっかりと確保をして充実をさせていかなきゃいけないと思っています。

 ただ、だからこそ、そういうところに限られた財源を振り向けていくわけですから、一方で言うと無駄な部分、その体質は徹底的に改めて、そして、いろいろな意味での工夫、努力というものをしていく、その両方をやはりやっていかなければならないんだろうと思っております。

 その点で、ちょっと幾つか具体的にお伺いをいたしたいと思いますけれども、本当にこの独法の改革の中で、これは独法だけに限らないんですけれども、今、国家公務員の、官僚の天下りということについて、国民の皆様方も非常に厳しい目で見ておられるわけですね。

 この天下りの問題というものについては、何度も何度も、この独立行政法人の長、理事長あるいは役員といった、理事や監事といったところに本当に多いんですよ。そして、なかなかこの現状が、少しは減らしましたよといっても、どうもやはり見ていて、果たしてそれだけの努力をしているんだろうかと指摘をせざるを得ない状況が今続いております。

 その中で、独立行政法人整理合理化計画が平成十九年の十二月二十四日に閣議決定をされております。この中で、独法の「長等の役員については、公募制の積極的活用等により、適材適所の人材登用を徹底する。」ということが入っているわけですけれども、今現在、文部科学省所管の独立行政法人で、現在の理事長あるいは役員で公募制で起用した例は何件あるでしょうか。お答えください。

    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕

森口政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省の所管の独立行政法人の役員の中に、公募の手続を経て任命された者は今のところいないというふうに承知しております。

笠委員 ないというのはどういうことなんですか。今後はどうですか。では、例えば、今度の平成二十一年度にはこういうところの独立行政法人の理事長は公募で起用しますよ、そういう具体的な計画があるんでしょうか。

森口政府参考人 先ほど先生から御指摘のございました独立行政法人整理合理化計画におきましては、「独立行政法人の長等の役員については、公募制の積極的活用等により、適材適所の人材登用を徹底する。」こういうふうにされております。

 その取り組み事項につきましては、平成二十二年度末までに措置するということにされてございまして、文部科学省といたしましても適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

笠委員 大臣、この人事権というのは、特に長については大臣が持っておられるわけですから、ちょっと今のような答弁では、文科省は独立行政法人の改革自体に非常に後ろ向きじゃないかと。

 いろいろないい人材がいますよ。私、この独立行政法人をいろいろと調べてみたときに、行く行くはそこのプロパーの方が理事長、理事になっていく。あるいは、まだそういうふうに年代的にも経験的にもお育ちになっていない場合についての、今、過渡期の法人もありますよ。けれども、やはり民間からいい人を登用した方がもっといいんじゃないか。そろいもそろって、ほとんど本当に大体が天下りですよ、あるいはかつての国立大学の方から来られている方ばかり。

 そういう方はすべて悪いとは言いません。しかし、せめて、閣議決定をしている重い計画でございますから、これはやはり、幾つかそうした公募制で、公募によって理事長、トップを決めるということを、大臣、これは本当にリーダーシップを発揮してやっていただけませんか。そのことをちょっとお約束いただきたいと思います。

塩谷国務大臣 独法の役員等、理事長を初め、今のところ適材適所ということで現在大変御尽力いただいていると思っております。

 それとは別に、公募ということも当然ながら閣議決定されている中でそこに書かれている、これも大事なことだと思っておりますので、これからそのことについてしっかりと検討をさせていただきたいと思います。

笠委員 もう一点、この整理合理化計画の中で「主務大臣は、国家公務員と比べて給与水準の高い法人に対して、その水準が高い理由及び講ずる措置について公表し、国民に対して納得が得られる説明を行うとともに、社会的に理解が得られる水準とするよう要請すること。」ということで、ちょっと文科省関係の独立行政法人、今度の四月以降は今回の法案の行方によって少し数が変わってくるわけでございますけれども、今、二十五法人ですか、あるわけですけれども、本当に、いわゆる対国家公務員指数、ラスパイレス指数を見てみますと、結構一〇〇を超えているところが多いんです。ですから、科学技術振興機構一二二・三、理化学研究所一二二・四、宇宙航空研究開発機構一二三・四、日本スポーツ振興センター一一一・三、海洋研究開発機構一一六・四、日本原子力研究開発機構一一九・七。一一〇%、つまりは一割以上多く人件費、給与をもらっているところですら、今読み上げただけあるわけですね。

 これはここにも書いてあるわけですね、しっかりと主務大臣がということですから、これはやはり大臣が本当にきちっとした対応をとっていただきたいと思いますけれども、これについて大臣、いかがですか。

塩谷国務大臣 ただいまの文部科学省所管独立法人の中でラスパイレス指数が一〇〇を超えているということで、先ほど整理合理化計画での閣議決定の内容をお述べいただいたわけでございますので、その点につきましては、文部科学省の法人の給与水準が高い理由として、職務の専門性が高く、国に比べて高学歴者の割合が高いこと、それから事務所が大都市にあること、そして管理職の割合が高いこと、さらには人材確保のための給与措置を講じていることということで、私ども、このような数字になっているということでございます。

笠委員 今のは、なぜこうなっているかという説明だったわけですけれども、でもこれは適正に、来年からこれを一〇〇を切るとかあるいは一〇〇並みにするとか、それは現実的ではないかもしれませんけれども、これから五年かけてとか、やはりしっかりとした計画を大臣のときにつくっていただいて指導していかないと、これは総務省の評価委員会から指摘を受けてじゃ困るわけですね。文科省にも評価委員会はあるわけです。そこでもさまざまな指摘がなされているわけです。総務省になるともっと厳しい評価がなされていますよ。

 ですから、そういう法人もある、ちゃんとやっている法人もある。ですから、やはり大臣がここはしっかりともう一つ踏み込んで、そうした形での計画というものをぜひ立てていただきたいし、それを実行に移していただきたい。もう一度その点を御答弁いただきたいと思います。

塩谷国務大臣 今の給与等、私どもも先ほど申し上げました高い理由にということで設定しているつもりでございますが、改めて、いろいろな指摘に対してしっかり説明がつくように、それと同時に、また将来的な見通しも含めて、みずから評価をもう一度しっかりしたいと思っております。

笠委員 ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。

 やはり本当に説明責任というのが非常に大事なので、先ほど、単に人件費をどんどん切れとか給与を下げろとか、私はそういう乱暴な議論をするつもりはありません。ただ、国民の皆さんは今大変厳しい、そういう中だからこそ、やはりそれだけきちっとした形で納得できるように、そのためには、まず天下り等々の理事長、役員の給与等々から見直していくというようなことが先決かと私は思いますので、その点を指摘しておきたいと思っております。

 さて、今回の法案の中に含まれております具体的なことをこれから順番にお伺いをしていきたいと思っております。

 まず、今回の二つの統合の問題ですね、海洋研究開発機構と防災科学技術研究所、また、大学評価・学位授与機構と国立大学財務・経営センター、これをそれぞれ平成二十二年の四月から統合をするということで、これは来年の四月からということになるわけですけれども、なぜ今回これを、来年の四月であるにもかかわらずこの国会でやらなければいけないのか、まずその点について、私は後ほど指摘しますけれども、もっともっといろいろなことを検討していく必要があると思うんですよ。にもかかわらず、ぽんとこうして一括で出てきていることについて、私は極めて不自然だし時期尚早だと思っておりますが、その点についていかがか、お答えください。

森口政府参考人 今回の法案でございますが、先ほどの独立行政法人整理合理化計画を踏まえまして当省所管の独法改革に速やかに取り組む、こういうことが一点ございます。

 それから、やはり統合のためには一定の準備期間も必要だ、確保する必要がある、こういうことから、今国会において、平成二十二年四月に統合予定の法人も含めまして一括して御審議をお願いしている、そういう状況でございます。

笠委員 では、四つの法人、二つ、二つと統合されて計二つになるわけです。このことによって当然ながら一つの大きな、さまざまな経費の削減等々、効率化ということも大きな柱の一つなんですけれども、この二つの統合によって具体的にどれくらいの運営費交付金が削減されるんでしょうか。

森口政府参考人 今先生から御指摘のございました二つの、海洋機構と防災研究所、それから大学評価・学位授与機構と国立大学財務センター、この統合につきましては平成二十二年四月一日施行ということになってございますので、統合後の予算につきましては平成二十二年度予算の編成以降に反映される、そういうことになってくるということでございます。このために、現時点において具体的な削減の額について申し上げることは困難でございますが、実際の統合時におきましては、統合効果がきちっとお示しできるように予算、人員等の効率化に努める、こういうことで対応していきたいというふうに思っております。

笠委員 それがおかしいと言っているんですよ。

 要するに、この後中身の、実際にどういう仕事、業務を行っているのか、それが統合されることによってどういうふうに例えばメリットが出てくるのか、そういうこともお伺いしますけれども、それと同時に、先ほど言ったように、しっかりとした効率化を図るわけでしょう。私が思うのは、ただ単に数を減らしているだけじゃないかと、急げということで、無理やりくっつけなくていいものをくっつけて。そして、ではそのことによって、我々がこの国会でこの法案を審議するためには、これは国民の皆さんが見ておられるわけですから、こういうふうに統合することによってよりよくなるんですよ、あるいは、これだけの今まで税金から投入されていたこの運営費交付金というものもこうやって削減されるんです、そういう説明がなければ、これは議論できないじゃないですか。

 だから、そういうこともまだ固まっていない、具体的なことも提示できない中で、なぜ今回その統合だけを急ぐのかということなんですよ。どうですか。

森口政府参考人 若干繰り返しになりますけれども、我々としては、やはり閣議決定に基づいて統合する。それに当たりまして、できる限り速やかにその準備も含めて取り組んでいきたい、そういう趣旨で今回一括して法案を提出させていただいたということでございまして、具体的な個々の法人の統合効果、こういったものについても改めて御説明をしていきたいというふうに思っております。

笠委員 もう一点、今、いただいた資料の中で、役員だけは削減するんですよということだけは決まっていて、こんなものはすぐできる話で、まだだれをどうこうまではいっていないんでしょうけれども、ただ、単に人を減らせばいいとか、単に例えば一緒にしてそして数を減らせばいいとかということじゃなくて、やはりその中身ですよね。

 この中の、特に海洋研究開発機構と防災科学技術研究所なんですけれども、私も随分いろいろと資料も見て、勉強させていただきました。ただ、なぜこれを無理やり一緒にするのかということがわからないんですよ。それは閣議決定されたからそれをそのとおりやるんですという説明は要りませんよ。

 だったら、この両方の組織がこれまで具体的にどういうことを一緒になって連携してやってきたのか、それが統合することによってどれだけスムーズになっていくのか、あるいは、そういった形での両方の法人によって共通の成果物のようなものがあるのか、別々にやっていることでこういう不都合があったというようなことがあるのか、官房長、そこを少し具体的にお話しいただけますか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生から御指摘のありました、海洋研究開発機構と防災科学技術研究所の統合に関しての具体的な効果が実際にあるのかという御質問でございます。

 それに関しまして、まず二つの法人のそれぞれの今やっております研究開発、これがよりよい研究開発成果が出るということが大事だと我々は思っておりますので、その点を若干説明させていただきますと、海洋研究開発機構は、海底の地下構造の探査、あるいは地球シミュレーターを用いた気候や気象の変動予測研究などの研究開発を行っております。一方で、防災科学研究所は、陸上における地震観測網を整備、運用して、それによって地震や火山噴火の発生メカニズムの解明、あるいは耐震工学研究の実施、あるいはゲリラ豪雨あるいは雪崩等の風水害の発生を予測する研究など、そういった自然災害の原因を解明するような研究活動を行ってございます。

 両法人はいずれも、異なる角度ではございますけれども、地震、火山の噴火、あるいは気候や気象の変化といったような点に関する研究開発を行ってございまして、これらの両法人が有する研究資源を結集するということで、より総合的な観点から研究開発に取り組むことが可能となる。その結果、よりよい研究成果が得られるようになるのではないかというようなことを期待しているということでございます。

笠委員 よくわかりません。

 これは本部が横須賀とつくばとそれぞれあって、それぞれの研究拠点が全国にあるわけですよね。けれども、それはほとんどそのまま、本部なんかも分かれて、恐らく今までと変わらない環境の中でそれぞれに今までの仕事をやっていくということでしょうから、何のためにこれを統合するのかと、少なくとも今の説明では私はわからないし、もっと言えば、きょうはそれは余り、時間も限られているのでこれは改めますけれども、それぞれいい研究をしているんですよ。

 これは、実は文科省の枠の中だけでの統合とかそういう形じゃなくて、経産省所管にも同じようなことをやっているところはあるんです。そういった中で、政府として一体としてどういう形の研究機関をつくっていくのかというような、やはり省庁ごとの縦割りを超えた中で整理統合していくというんだったら、まだ議論としてはわかる。しかし、恐らく文科省の中で数を減らさなきゃいかぬということで、私はこれは出てきているんじゃないかと。

 いずれにしても、やはり、今後どれくらいの運営費交付金の削減につながっていくのか、あるいは仕事の効率化や、あるいは一足す一が二じゃなくて、一足す一が三の成果を生んでいくんだというような、そのプラス面というものがしっかりと説明できるように、きちっとそのことをまずは整理し、検討し、その上で改めてこの統合問題ということはやるべきで、これは時期尚早であるということを私は指摘しておきたいと思います。

 大臣、いかがでしょうか。

塩谷国務大臣 今回の二つの法人の統合につきましては、先ほど来説明を申し上げておりますが、整理合理化計画に基づいて、当省としてこの独法の改革に速やかに取り組んできたところでございます。

 確かに、ただ単に数を減らすということがお話しございましたが、それももちろん一つの方向性で、当然ながら数を減らすということも重要な観点で、そういう中で今回、この二つの法人を統合させるということで、私ども、今お話しあったような具体的にどういう成果をということをしっかりと進めてまいろうと思っておりますが、いずれにしましても、両法人の役割、そして統合した法人のあり方、そういうことを明確にする中で、今後、当然ながら議論をして明確にしていくところがありますので、今、笠委員がおっしゃった時期尚早ではないかという点も踏まえて、今後も検討していく部分は検討していきたいと思っておりますが、当面、この計画に基づいて今回審議をお願いしたということでございますので、その点はぜひとも御理解を賜りたいと思っております。

笠委員 もう一つの方の独立行政法人大学評価・学位授与機構と国立大学財務・経営センターなんですけれども、これも今度、大学改革支援・学位授与機構というふうに、仮称というかそういう名前でやるということなんですけれども、それぞれがやっていることの中で、ちょっと具体的にお答えいただきたいんです。

 大学評価・学位授与機構の認証評価業務については民間でやっていくということになって、今回統合された後はこの仕事というものはなくなるということなんですけれども、これは具体的には民間のどういう機関が担っていくことを予定されているのか、その点をお答えいただければと思っております。

徳永政府参考人 現在、大学評価・学位授与機構では、大学、短期大学、高等専門学校、法科大学院、四つのカテゴリーについて認証評価業務を行っているわけでございます。こういう大学評価・学位授与機構以外の認証評価機関としましては、大学につきましては大学基準協会と日本高等教育評価機構の二つ、短期大学につきましては短期大学基準協会、そして法科大学院につきましては大学基準協会、日弁連法務研究財団、こういう団体が認証評価業務を実施しております。高等専門学校につきましては、大学評価・学位授与機構以外の認証評価機関はございません。

 仮に、今後大学評価・学位授与機構が認証評価業務を行わないということにつきましては、こういった民間の認証評価機関がすべての評価業務を担うことになりますが、例えば大学について申しますと、大学基準協会と日本高等教育評価機構の平成十九年度における大学評価実績は合計で九十二校でございます。今後二年間で約三百校の大学について認証評価を行わなければいけませんので、大学評価・学位授与機構を除く二機関のみでこの二年間で適正な評価を実施するということは困難ではないかと思っております。

 したがいまして、私どもとしては、整理合理化計画への対応につきましても、こういう実際の認証評価業務の状況、そういったことを踏まえて検討していきたいと思っております。

笠委員 大学の改革支援という言葉が、これは普通に何か名前を考えると、今の評価のあれがあれですから、大学学位授与・財務経営機構ぐらいでいいかと私は思うんです。何か仰々しく、大学改革支援なんという本当に大層な名前になっているんですけれども、これは何の改革をやるんですか。新たにこれを統合することによって、今までにはない、こういう大学改革の支援をしていくんですよというようなものがあれば教えていただけますか。

徳永政府参考人 大学評価・学位授与機構、そしてまた、今後、統合いたしました新法人におきましても、いわば大学に対する評価自体の業務を行っておりますし、また、大学におけるそういう評価ということについての研究も行っていくわけでございます。いわば、各大学がそういう評価結果を踏まえて、みずから教育研究活動を改善していく、そういう意味での大学の自律的な改革を支援するものでございます。

 一方で、現在、財務・経営センターが行っておりますものは、基本的には、施設費の貸し付け、交付、そういったことが大きいわけでございますが、一方では、財務、経営に関する情報の提供、あるいはそういったことに関する研究も行っておりまして、そういう教育研究環境の整備充実、あるいは国立大学法人の財務、経営の改善、そういったことに関する情報提供あるいは支援ということを通じて改革を支援しているものでございます。

 今後、今回の法案の中でやりますように、両法人が統合いたしまして新しい法人になりますと、いわば今まで別々に、教育研究活動面と経営面、それぞれの側面から大学改革を支援してまいりましたが、こういったものが一体として大学改革を支援することになるということで、私どもとしては、さらなる大学の発展が望めるものと考えております。

笠委員 これはもともとは国立大学の財務・経営センターですよね。ですから、今は確かに、大学の改革や大学に対する支援というのは多岐にわたって必要だと私は思っているんですよ。しかし、やはり今、経営も含めて、私立大学も大変な状況を抱えている。だから、そういったものを国としてどういう形で支援、あるいは時に指導できるのかということが最も大事なことなので、少しくやはりこの組織のあり方というものについては本当にさらに精査をして、もし大学改革ということを、改革支援というところまで名前を変えて、名称を変えて新しい組織として発足をするというのであれば、その点もしっかりと今後もう少し協議をしていただきたい、そしてまたそれを御提示いただきたいと私は思っております。

 今、ちょっと二つの統合の問題点についてお話をさせていただき、議論させていただきました。先ほど大臣から、しっかりこの点は踏まえてということもありましたけれども、これは本当に、一足す一、足して、そして数は、トータルは減りました、そういうことでやるのはやはりよろしくないと私は思いますよ。たとえ、総務省がとか、あるいは閣議で、こういうふうに統合しろ、あるいは廃止しろと言われても、残すもの、国としてやらなきゃいかぬものはしっかりとやればいいと私は思っています。

 この後、国立国語研究所の話を少し議論させていただきたいんですけれども、これなんというのは、私は、やはりまさしく国でしっかりとやるべきであると。もともとが、昭和二十三年に文部省の所管、所轄の機関として設立して、国立国語研究所としてスタートした。昭和四十三年に文化庁が設置をされたときに、その附属機関としてずっと国がやってきたわけですよ。でも、平成十三年度に独立行政法人になったわけですけれども、これはなぜ独立行政法人にする必要があったのか、お答えいただけますか。

塩谷国務大臣 この国立国語研究所につきましては、今お話しございましたように、平成十三年に独立行政法人に移行したところでございます。

 国語は、長い歴史の中で形成されてきた国の文化の基盤であるということでございます。同時に、我が国の先人たちの築き上げた伝統的な文化を理解し、考える力や表現する力を養い、豊かな感性や情緒を身につけ、幅広い知識を持つために不可欠なものでありまして、今後の文化の継承、創造に欠くことのできないものであるわけでございます。

 そういった目的で研究機関として独立行政法人になったわけでございますが、基本的に、国が直接実施する必要がある業務を行う機関以外はということでございまして、これは、直接行うということよりも、幅広く独立行政法人としていろいろな形で政策研究が行われるということでありますので独立行政法人に移管したわけでございますので、当然ながら、国策としての国語政策も行うことと同時に、幅広い国語の改善等も含めた研究機関として、今日、独立行政法人という形で活動をしているわけでございます。

笠委員 私も大臣と全く同じ認識なんです。国策としてやらなきゃいけない、これはもう本当に文化でありますから。だからこそ、やはり今、幅広くやるのはいい、しかし、それは国のもとでしっかりとやって、別に独立行政法人にする必要はないんですよ。

 これは、例えば予算なんか見ても、平成二十年度の予算、十一・二億円、そのうち運営費交付金が十一億一千百万円と、いわばほとんど、これもずっともう国のお金でしっかりとやっている法人なんですよ。ですから、これは今回、大学共同利用機関法人の一つの研究機関になるということなんですけれども、大学共同利用機関なんていうレベルの話じゃないですよ。

 広く国民にしっかりと、国語というもの、国語力の充実もあれば、今まさに外国人の皆さんがたくさんおられます。そういう方々への日本語教育をもっと充実させていくためのいろいろな調査研究等々、これは本当に大事なことですから、ソフトパワーの時代ですから、外国人の方にもどんどん日本語を学んでもらうぐらいの積極的な姿勢がやはり必要なわけで、そのための中核たる国語研究所だと私は思っています。

 独立行政法人になるときも、わざわざ国立という言葉を残しているわけでしょう。本来おかしい話じゃないですか。やはりそれは一つの意思ですよ。だから、これはしっかりと、文化庁の附属機関にするなり、いろいろな検討、そのあり方というものは、必ずしも独立行政法人であるよりも、もっと逆に、国の機関に戻して、そして力を入れるべきではないかと私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

塩谷国務大臣 今の委員のお考えは、私どもも当然そういうふうに考えておるわけでございまして、そういう観点で、今回、大学共同利用機関ということで、当然ながら国策としての研究所、同時に、先ほども申し上げましたように、幅広く大学との連携を密にして、より研究活動を活発にしていくという点で、私どもは今回こういう形をとったわけでございます。

 当然、国策として大事な研究機関でありますので、そういった点も当然ながら第一の目的として考える中で、幅広いより一層の研究をしていくということを加えたわけでございますので、その点も、今回の移管についてはぜひ御理解をいただきたいと思っております。

笠委員 三年前、教育基本法の改正をめぐる六十年ぶりの議論の中で、我々は、日本国教育基本法案というのをつくらせていただきました。この中で、あのときの政府案とは我々は違って、新たに一つの大きな柱として、国語力の充実というのを私どもは盛り込んでおるわけです。

 これは恐らくどの党の皆さん方だって、あるいは政府と国会という関係だけじゃなく、やはり国語力が大切であるし、逆に、こういう国際化の時代だからこそ、もっともっとしっかりと、英語教育も大事です、しかし、それはまず母国語、この国語があって、その上に英語が、外国語があるわけですから、だから、やはりこの点については本当に国として、国策としてしっかりとやっていくということを担保していただきたいと思っております。

 それで、ちょっと具体的にお伺いしますけれども、これが仮に移管をされて、後の日本語教育事業を担当する部門というのはしっかりとこの移管後も設置をされるのか、あるいはさらにそれを充実させていくというようなお考えがあるのか、その点をお答えいただければと思います。

磯田政府参考人 大学共同利用機関法人人間文化研究機構に移管されます新たな新国語研究所におきましては、現在の国語研において外国人に対する日本語教育事業を担当しております日本語教育基盤情報センターの業務、これを引き続き、日本語教育関連事業を実施するということとしておりまして、これらの業務を行う組織を設置する予定でございます。

 また、共同利用機関としての機能を生かし、その研究教育内容についても充実をしてまいりたいと考えております。

笠委員 その点は本当にしっかりやっていただきたいと思います。仮に移管をされた場合には、今よりもむしろやはり充実させるぐらいの形で今後の組織の、これはきちっとやるべきであろうと。

 それと、先ほどちょっと指摘したんですけれども、外国人の皆さんに対しての日本語教育についても、これは非常に必要性が増しているんだと思います。この振興についても、今回、移管をされた後に、他のさまざまこうした実際の教育を行っているようなところもございますけれども、そういうところとの連携も含めて充実をさせていくんだ、あるいは組織として発展させていくというような方針、お考えがあるのかどうかをお伺いしたいと思います。

磯田政府参考人 この機関は大学共同利用機関ということでございますので、当然、大学はもとより、関係の機関、さらにはさまざまな国の行政機関とも連携を密にしながら、社会あるいは国民全体の求めておる国語教育、あるいは外国人に対する日本語教育の基礎的な研究をしっかりやっていくように体制を組んでまいりたいと考えております。

笠委員 この国立国語研究所で働いている皆さん方という中には、この職員の方々はやはりかなり本当に専門的な知識、見識をお持ちの方が多いわけですけれども、このほとんどの皆さん方がそのまま移られるということでよろしいんですか。

高塩政府参考人 新しい国立国語研究所が大学共同利用機関に移るに際しましては、現在、新しい人間文化研究機構の方でその準備を進めているところでございまして、今まさに準備中でございますけれども、そうした方々の希望を最大限生かしながら、その職員の承継といいますか、移管の方に努めてまいりたいというふうに考えております。

笠委員 そこはしっかりとやっていただきたいと思います。

 それと、もう一点、時間がちょっと限られてきましたので、今回、唯一廃止をされるメディア教育開発センター、私もこのメディア教育開発センターというのは廃止で結構なことじゃないかと思っています。必ずしもこの独法でやる必要はない。しかし、そこで行われているICTを活用した教育というものは、これは非常に大事なことなんですね。

 今、日本の場合は、二〇〇八年四月の世界経済フォーラムが公表した世界ITリポートの中でも、世界百二十一カ国中、日本は十四位から十九位とランキングが下がっている。他方、韓国なんかはすごく上がっているわけですね。それは、このICTを活用した教育の充実というものがかなりその要因として、ランクアップした原因というか、そこに力を入れているからランクが上がっているのではないかということでございます。

 今回、放送大学学園に業務が移管されますけれども、このICTを活用した教育の推進というのは、本当に我が国の大学の国際競争力というものを高くしていくためにも、向上させていくためにも必要でございますので、これをしっかりと続けていくことができるのかどうか、これは大学の要請も多いと思いますので、その点についてお答えをいただけますか。

塩谷国務大臣 メディア教育開発センターの廃止に伴ってICT教育の今後の状況はどうかということでございますが、大学教育へのICT活用は、学習スタイルの多様化や教育の質の向上等、さらには大学の国際競争力の観点からも大変重要だと考えております。

 IT新改革戦略で定めた、二〇一〇年度までにインターネット等を活用した遠隔教育を実施する学部、研究科の割合を二倍にするという目標のもとで、二倍にすることは当面の目標値であり、今後さらなる推進が必要であると考えております。

 現在のところは今の目標にあと少しということで、二七・六%になっておりますので、この点でも努力をしなければならない。また、文部科学省としましても、遠隔教育のみならず、例えば学生の学習成果を可視化して、きめ細やかな教育を実現することや、大画面に各学生の意見等をリアルタイムに表示させてコミュニケーションの高い授業を実施するなど、大学教育における最先端のICT活用を目指して努力してまいる所存でございます。

笠委員 大臣、今おっしゃったIT新改革戦略、これは二倍じゃなくて二倍以上なんです。だから、二倍はもちろん含まれるわけですけれども、ちょっとあえて私は言わせていただいたのは、たしかに今三三%が目標で、今年度中にインターネット等々を利用した遠隔教育を実施する学部、研究科の割合というのが二七・六%、さらにはそれをしっかりとやっていけば三三%に到達するんじゃないかということをブリーフでも受けましたけれども、やはり国際的には日本はまだまだ、これは決して先頭を走っているわけじゃありません。

 ですから、そうした形で、特に大きな大学はまだいいわけですよ、財政的にも余裕のあるところは。しかし、そうじゃない、あるいは地方の大学等々、むしろそういったところが、こういう意味でこの遠隔教育というものも、もう本当にこの国際化の中で、常に海外ともいろいろな形で情報交換、あるいはいろいろな新しい情報をとりながらやっていくということでは、やはり力を入れていかなければならない問題なんで、三三%ということじゃなく、もう本当に五〇%に持っていくぐらいに力をぜひ入れていただきたいと思います。

 そして、そうした形で、今回の廃止がこの計画以上に普及させていく、実施をする割合を上げていくということに、マイナスになることはないですよね、その点だけ、簡単でいいのできちっと言明していただければと思います。

徳永政府参考人 今先生御指摘のメディア教育開発センターがこれまで行ってきた業務のうちの大学のICT活用教育のシステム、こういった研究につきましては、今後、放送大学学園においても継承され、そのことについては二十一年度予算案におきましても十一億四千万円の経費を計上しております。

 また、さらに各大学側でそういったことを活用するということにつきましては、私どものさまざまな大学改革推進等の補助金によってそういうすぐれた取り組みを支援していきたいと思っております。

笠委員 その点は大臣にもよろしくお願いをいたしたいと思います。

 それともう一点、確認なんですが、これは先ほどの国立国語研究所あるいはメディア教育開発センターということで、組織が移管する、あるいは廃止となる。このときに、やはりそこで働いている皆さん方の雇用問題というのは一番大事なんですよね。その中でも、出向されていた方は戻ったりとかいろいろあるんでしょうけれども、もしアルバイトとか嘱託のこういう非正規の方々、そういう方がおられたら、その方々の雇用のしっかりとした確保についてはどのようになっているのか、お伺いをしたいと思っております。

徳永政府参考人 常勤の職員につきましては、当然これから雇用を継続するということが基本でございますが、今先生から御質問ございました非常勤の職員の方々につきましても、御希望がある限り、それを最大限に私どもとしても対応させていただきたいと思っております。

笠委員 本当に今はこういう雇用情勢が急速に悪化している状況でございますから、そこについては万全の措置をとっていただきたいと思います。

 時間が参りましたので終わりたいと思いますけれども、大臣に、ぜひ今後、この独法のあり方、特に文部科学省というのは、これは総務省の言われるような独法改革じゃなくて、国としてやらなければいけない分野がたくさんありますから、その気概を文科省として持って、これからは取り組んでいただきたいと思います。

 そのことをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

岩屋委員長 以上で笠君の質疑は終わりました。

 次に、石井郁子君。

石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。

 国立高専の統合問題でお聞きをいたします。

 高等専門学校のあり方に関する調査、平成十八年三月でございますが、その結果に、企業アンケートによる高専卒業生の満足度と卒業生アンケートによる高専プログラムに対する評価というのがありましたが、おのおのどうだったでしょうか。ちょっとお示しください。

徳永政府参考人 お尋ねのございました、十八年三月に高専機構が行った調査でございます。

 これは、高専卒業者の就職先となっている企業及び卒業者を対象として意識調査を実施したものでございますが、この結果を見ますと、約七割の企業が高専の卒業生に満足をしており、特に、専門知識、コンピューター活用能力、誠実さなど、現場技術者としての資質についてすぐれていると評価をしております。また、高専卒業者の意識調査の結果を見ましても、四分の三の者は高専の教育プログラムが役立っていると答えております。

 その一方で、英語能力やコミュニケーション能力の不足などが指摘されておりまして、企業も卒業者も、コミュニケーション力強化を期待していることがわかっています。

石井(郁)委員 今お示しいただいたとおり、非常に高い評価を、企業の側からもまた卒業者の側からも得ているということがございました。

 この点、中教審答申でも、「高等専門学校教育の充実について」という中では、「多くの企業が高等専門学校卒業生に満足している。特に、専門知識、コンピュータ活用能力、誠実さなど、現場技術者としての資質について優れていると評価している。その一方で、英語力やコミュニケーション能力の不足などが指摘されていた。こうした指摘も踏まえ、現状の高等専門学校教育においては、相当改善が図られているところである。」と述べられていました。

 高専プログラムが社会に出て大変役立っている、一四・四%、やや役立っている人が六一・三%で、七五%の方が高専プログラムを評価しているわけです。

 それを踏まえて、では、高専の求人倍率を言っていただきたいと思います。

徳永政府参考人 高等専門学校の卒業者に対する求人倍率は、本科、専攻科とも、平成十九年まででございますが上昇傾向にございまして、本科で二十三・八倍、専攻科につきましては四十三・〇倍となっております。

石井(郁)委員 二十三・八倍というのは、やはり非常に高い求人倍率ですよね。就職志願者のほとんどもう一〇〇%就職していらっしゃる。これだけ企業の評価もいい、卒業生のプログラム評価もいい、就職状況も極めていいという中なんです。それなのに、今回、高専の入学定員をなぜ二百八十人減らすのか、学科も七学科減らすのか、どうも理解ができません。

 縮小ではなく拡充こそ求められているのではないかと思いますが、この点は大臣の御見解はいかがでしょう。

塩谷国務大臣 今回の統合につきましては、各地域における人材ニーズ等に対応していく上で、限られた教育研究資源を最大限に活用するということで、高専の改革を進めているわけでございます。

 特に定員の削減につきましては、基本的に、十五歳人口の減少、また国立高専全体の入学志願者の低下、そして目的意識や進路の多様化などの状況を踏まえて、今まで以上にきめ細かな教育をするという点で、いわゆる将来的な高専のあり方も踏まえて、新しい学科とか、また、地域のニーズそして企業のニーズ等にこたえるためにも、今回、このような削減あるいは学科の再編をしたわけでございます。

石井(郁)委員 それはどうも納得がいきません。表向きそういう理由を掲げられていると思いますけれども、五十五校あるうち四校減らす、入学定員までも減らすという問題なんですよね。本音のところでは、運営交付金が毎年一%減らされている、この問題にあるんじゃないでしょうか。十六年度で七百十一億七千九百万円であった運営交付金、十九年度で六百九十億円、四年間で二十二億円の減なんですよ。これで五十五校の高専等の教育と研究をしなければならない。一%の削減というのは、一校の高専の廃止に相当するわけです。こういう状況の中で統合、縮小を図っていくということではないのでしょうか。

 やはり、予算をふやしてそれぞれの高専の充実、拡充を図るというのが本来のやるべき方向ではないのかということで、大臣、いかがですか。

塩谷国務大臣 予算的な点も非常に重要なことでありますが、高専が今日まで大変に地域等の要望にこたえて、また、産業の中核的存在として今日まで担ってきた役割は大きいわけでございます。

 ただ、その中で、当然ながら、予算の問題も含め、そして、今後高専としてどうあるべきかということも考えた今回の結論でございますので、今回は、同じ県で二つあるところということで、お互いに自主的な話し合いの中で、より地域に貢献できる形をということで、予算を含めて今回こういう結果になったわけでございますので、その点は、将来に向けての今回の判断だということで御理解いただきたいと思います。

石井(郁)委員 予算の削減が実際何をもたらしているのかという点で、私は施設整備の状況も取り上げなきゃいけないと思っているんです。大変老朽化が進んでおります。

 国立高専の建物のうち、改修を要する建物はどのぐらいあるのか、耐震補強の必要な建物はどのぐらいあるのか、ちょっと数字でお示しください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 平成二十年五月一日現在になりますけれども、国立高等専門学校全体で百六十八万平米ございますけれども、その施設のうち、建築後二十五年を経過した施設のうち老朽改修を必要とする施設は約七十三万平米で、全体の約四三%という実態でございます。

 また、耐震化の必要な施設についてでございますが、大規模な地震によって倒壊の危険性のある施設、Is値で申しますと〇・七未満になりますけれども、それは約二十八万平米ございまして、施設全体の一七%という実態でございます。

石井(郁)委員 築後二十五年以上たっているものが百二十六万平米で、全体の建物の七五%を占めているということがあるかと思います。

 今お話しのように、老朽化の激しい、改築を要する建物が全体の四三%も占めている。耐震補強も必要なものが一七%も占めている。ここまで放置してきているという政府の責任も重大だと思いますが、どうもこれらの改修補強に千四百八十五億円かかるだろう、これは機構の試算があるわけでございますけれども、これの予算措置というのはどうされますか。

布村政府参考人 お答えいたします。

 これまでは、国立高等専門学校の施設の整備につきましては、現在は第二次国立大学等施設緊急整備五カ年計画に基づいて、特に耐震化など、老朽施設の再生整備を最重点課題として取り組んでございます。

 その中で、二十年度補正予算の第一回目、それから第二次の補正予算、そして二十一年度予算案、今審議いただいておりますけれども、合わせまして、国立高専の施設の改修、耐震化に必要な予算として七十三億円という予算を計上させていただいております。これらによりまして、耐震化、老朽改修に取り組んでいるところでございます。

石井(郁)委員 機構が試算された千四百八十五億円かかるということからすると、まだ本当に道が遠いという感じがいたしますけれども、やはり、これは急がれる問題でありまして、きちんと予算措置をすべきだというふうに思います。

 実はさらに深刻なのが、設備の老朽化という問題があるんです。高専というのは、実習工場を持つ、旋盤等物づくり教育のための基本的設備というのがいろいろあるわけですから、その辺が、約六割は経年二十年以上だ、四十年以上の設備も二割強を占めているということが言われております。だから、基本的設備の大半が旧式だということなんです。

 私、ちょっと写真でこういうのを見せていただきましたけれども、昭和四十年代前半に設置された横スライス盤というのがあるようですけれども、それが現役として活躍している。中型旋盤も四十年代に設置されたものだということです。

 それで、実習工場以外の実験設備、これは一万八千あるようですけれども、その二割が経年二十年以上だと。測定装置、試験機、分析装置等実験、実習を行うための基本的設備、これが旧式化、老朽化している。これは大変深刻だということのようです。

 これも写真で見せていただきましたけれども、昭和四十二年に設置されたほこりまみれの電気動力計、こういうものを今もって動かさなきゃいけないということで、いつ火を噴くか、学生の安全も心配しながら動かしているということです。

 だから、今は本当に急速にそれこそ技術革新が進んでいる中で、最先端の科学技術を学ばなければいけないそういう高専生がこういう旧式の機械で教育を受けるというような現状を大臣はどう思われているでしょうか。

 そして、実習工場の二十年以上の設備の更新には約四十四億円かかる、実習工場以外の十年以上の設備の更新の費用は二百七十三億円かかるという試算があるんですが、私は、このくらいは本当にすぐにでも更新してはどうかというふうに思うんですが、こういう問題、どのように更新されていくおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 高専につきましては、旋盤などの実習工場設備のほか、物づくりの基礎から、応用を学ぶ実習のための各種設備が必要であることは言うまでもございません。

 今御指摘のとおり、実習工場の多くが旧式かつ老朽化しており、六割が二十年以上経過、また、二割が高専設立以来更新を行っていないということで四十年以上経過しているわけでございまして、こういった状況を踏まえて、文部科学省としては、平成十九年度からこれらの設備の更新を計画的に今進めているところでございまして、高専の物づくり教育の充実の観点から、引き続き設備の更新に努めてまいりたいと考えております。

石井(郁)委員 今後の高専の発展等々を考えますと、いろいろなニーズに対応していろいろなことを考えておられるようですけれども、しかしやはり、予算を全体として削減するという中では高専自身の発展が望めないだろうというふうに思うんです。だから、こういう縮小、削減はあってはいけないということを強く指摘しておきたいというふうに思います。

 次の問題ですけれども、海洋研究開発機構と防災科学技術研究所の統合についてでございます。

 二〇〇三年に、特別認可法人海洋科学技術センターと東大の附置研究所である東大海洋研の研究船運航組織を統合して独法化するという法案の審議が行われました。当時私も質問いたしましたので、それが現在のところどうなっているかということをちょっとお尋ねしたいというふうに思っています。

 海洋研究開発機構の設立に当たりまして、東京大学の海洋研究所から、淡青丸、白鳳丸という二隻の船と、その運航に携わっていた船員六十三人が機構に移管されたんですね。その六十三名のうち一体何名が退職され、その補充は今何名になったでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の、平成十六年度に海洋研究開発機構が設立されましたが、その際に、東京大学の海洋研から、淡青丸及び白鳳丸の二つの学術研究船の乗組員ということで、当時、五十六名の方が新しく設立されました海洋研究開発機構に移籍されております。その後、海洋機構設立以降、退職者の数は現在まで五名でございます。また、補充者につきましては、新たに船員として二名を機構として雇用されているということでございます。

石井(郁)委員 最初、六十三名だったんですよね。六十三名で出発したんじゃないですか。ちょっと今数字が合わないように思うんですけれども、そこで、もう一度はっきりさせてください。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 六十三名は、平成十五年度における海洋研究所におけるこれら船員の方々の定員でございました。しかしながら、その年度において海洋研に実際に在籍されておられた船員の方は六十名でございました。そのうち四名の方は退職等により移籍されなかったということがございまして、結果として五十六名の方が移籍された、そういう状況でございます。

石井(郁)委員 それで五名の方が退職されたと。不補充になっている方は今何名ありますか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 五名退職されて二名採用されておりますので、三名でございます。

石井(郁)委員 二〇〇四年に機構と東京大学が、学術研究船の移管に関する協定書というものを交わしているんですよ。協定書ですからちゃんと文書として残っているわけですが、その覚書によれば、東京大学から機構に移管された職員定数は六十三名だ、学術研究船の運航に関する職員数の管理はこの定数を基礎とする、次に、乗務員に欠員が生じた場合は速やかに欠員を補充するというものになっているわけです。

 国会でも、これは参議院の審議ですが、「現在の東京大学海洋研究所の二隻の研究船の船員の方々も新しい海洋研究開発機構の職員として継承される」という御答弁がありました。

 だから、これから見ましても、国会答弁並びに覚書がこれはほごにされているんじゃありませんか。船と船員を一緒に移管するというのは、やはり二隻の運航には、船の持つ特性を熟知した船員が必要だという判断があったからだと思うんです。

 まだ不補充が三名いらっしゃるわけで、なぜ補充していないのか。協定書に基づいて機構職員の船員として私は補充すべきだと思いますが、いかがですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十五年になりますけれども、当時の文部科学省と東京大学の間で先生がおっしゃられるような文書がございます。そこにおきましては、海洋研に所属する乗組員については機構における定年までの雇用を保証する、退職等による定員に欠員が生じた場合には乗組員を補充するというふうに記されてございます。

 現在まで東京大学海洋研究所から移られた先ほどの五十六名の方々につきましては、その文書を踏まえまして、機構による定年までの雇用あるいは淡青丸、白鳳丸での勤務といったことが確実になされてきておりまして、そういった約束につきましては着実になされてきているものと考えております。

 しかしながら、平成十六年にこの海洋研究開発機構が発足いたしましたけれども、その後の平成十七年十二月に行政改革の重要方針が閣議決定されておりまして、独立行政法人の人件費につきまして、新たに計画的に五年間で五%以上の人件費を削減するという方針が打ち出されてございます。そして、この方針は各独立行政法人にももちろん適用されていくことになりますので、海洋研究開発機構につきましても、東大から移籍された船員の方々を含めて機構全体にこの方針が適用され、この結果、機構においても人件費の削減に取り組むという努力をされてきた結果であるというふうに認識しておりまして、三名というのは約五%でございますけれども、その減はやむを得ないものではないかと認識しているところでございます。

石井(郁)委員 その後の状況がいろいろ変わったからといって、国会答弁や協定書を無視していいという話にはならないと思うんですよ。そうすると、やはり国会の審議というのは何だったかということになるわけですから、私は、なし崩し的に不補充にしていく、人員を削減していくというのは本当にいかがなものかというふうに思いますし、厳しく指摘をしておきたいというふうに思うんです。

 それで、現場ではそうした人員削減というのがどういう事態を招いているのか。これは、本当にあなた方は現場はやはりちゃんとつかんでいらっしゃると思うんですけれども、申し上げたいというふうに思うんです。

 例えば船上では、観測機器、船の機材操作にふなれなことからくるミスというのが何か多数起きている。これはなぜかというと、外部委託、外部からの補充というか、そういうことがなされているからなんですけれども、ガラス玉に入った地震計を海中に設置するという非常にデリケートな作業で、機材扱いになれないために、船から海へおろす作業中に地震計を壊してしまった、そして一つのラインの地震計の設置が行えなくなったということも聞いています。

 観測用のウインチの操作も、一気にウインチを上げおろす普通の船とは違う、毎秒十センチというゆっくりとした作業。観測場所の状態によっては微調整も必要なのだけれども、できずに、観測機器がおろせないということも聞いている。

 また、ある航海では、航海中に収集するデータの管理を行う機関士が派遣されてきた船員だったために、今までパソコンを扱ったことが一度もなかった、収集中のデータなどを過って消去するというミスをしてしまったというようなことがある。

 だから、派遣によって人を補充して船を動かしているということがやはりいろいろな事態を生んでいる、ミスも起こしているということだと思うんです。

 それから、観測とかデータ収集などを行う学術研究船という性格は持っています。ただ船を運航したらいいという問題ではないはずですよね。移管されてきた船員の技術、経験を次代へ引き継ぐということも重要なこととしてあると思います。

 ですから、こういうところで、今お話しのような、国会答弁にも反するような人員削減というのはやはりやるべきじゃないんじゃないでしょうか。私は、不補充というのは直ちにやめるべきだし、補充すべきだと重ねて質問しますが、いかがですか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 学術研究船のみならず、海洋研究開発機構は全部で八船の海洋観測研究船を運航してございます。学術研究船、二船ございますけれども、以外のそれら六船につきましては、民間の船員の方が運航されてございまして、それによりまして大変大きな支障が研究上生じているということは生じておらないところでございます。

 学術研究船の運航に関しましても、先生まさに今お話しありましたように、海洋研から移られた方々の数は三名減少してございますけれども、まさに先生がおっしゃったように、民間の船員の方々の活用によりまして、全体の船を運航していることに携わっております船員の数、これは、十分に安全な運航体制ができるように確保されているというふうに認識してございます。もちろん、事故等があってはならないことでございますので、そういったことには十分注意していかなければいけないと思いますけれども、人数としては、安全な運航を行えるように確保されているというふうな認識であると聞いております。

石井(郁)委員 ところでもう一点ですが、学術研究船運航の外部委託が検討されていると伺っていますけれども、具体的に教えてください。

藤木政府参考人 お話しのございましたのは、平成十九年度、海洋研究開発機構が、独立行政法人通則法に基づきまして、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会による中期目標期間終了時の主要な事業等の見直しという評価を受けてございます。

 この中で、次期中期目標期間中に、東京大学海洋研究所から移管された研究船のうち一隻を外部委託化するという御指摘がなされ、この内容が、独立行政法人全体の見直し計画を示した独立行政法人整理合理化計画、一昨年の十二月の閣議決定でございますけれども、その中でも規定されたということから、先生がおっしゃられました、そのうち一隻を外部の運航委託化するということとされた状況でございます。

 それで、海洋研究開発機構におきましては、先ほどのあの東大から移籍された船員の方々の雇用の問題もございます。東大から移籍された人員の方々の現在の雇用を確保しつつ、この計画に基づいて、次期目標期間終了時までに学術研究船一隻の運航業務の外部委託を検討していくということであると承知してございます。

石井(郁)委員 今でも外部からの人材が入っていますし、学術研究船としての運航技術の継承などできないと船員の皆さんの不満も聞いています。多くの研究者によって共同利用されてきた淡青丸が完全にこれは外部委託されるということになるわけですね。研究者は、今まで研究者らをサポートしてくれた船員がいたときのように必要な観測や調査、データが収集できるんだろうかという不満、不安を大変持っています。船だけあればいいということではないと思うんです。それで海洋研究が進むというわけでもありません。

 船を運航し、技術的サポートを行える技術者である船員をきちんとやはり養成していくということは重要であって、私は外部委託はやめるべきだというふうに思いますが、これは大臣にお聞きしてもいい答弁になりそうもありませんので、主張しておきます。

 残りの時間で、もう一点、高専問題と関連して確認しておきたいことがございまして、伺います。

 私はこの間、大学を訪問し懇談を行っていますけれども、各大学は、来年度からの第二次中期目標・中期計画の検討を行っているんです。大体六月を目途に検討している、それでいいですか。

徳永政府参考人 委員の御指摘のとおりでございます。

石井(郁)委員 それでは、この二月に、これは国立大学法人中期目標・中期計画担当理事あてに、文部科学省の国立大学法人支援課長名で、永山さんですね、「国立大学法人の組織及び業務全般の見直しに関する視点」というものが送付されていますね。それはどう書いているかといいますと、「今後、文部科学大臣は、見直しの「視点」をもとに組織・業務全般の見直し内容を作成し、六月を目途に国立大学法人に示す。」「各法人は、文部科学大臣から示される見直し内容を踏まえ、中期目標・中期計画の素案を作成する。」としているんですね。では、六月以降から各大学がやるということになりませんか。

 それともう一点、この「視点」というのは国立大学評価委員会が作成したものとされていますけれども、それでいいのかどうか。その「視点」を決めた評価委員会の議事録というのはすべて提出していただきたいと思いますが、いかがですか。

徳永政府参考人 国立大学法人法におきまして、文部科学大臣は、中期目標期間終了時に、組織及び業務全般にわたる検討を行い、「その結果に基づき、所要の措置を講ずるもの」とされている。これは国立大学法人法三十五条に規定されているわけでございます。

 その検討を行うに当たりましては、当然、教育研究という国立大学法人の業務の特性あるいは大学の自主性、自律性、こういう大学の特性にかんがみますと、国立大学法人評価委員会に専門的な観点から組織、業務全般の見直しのあり方について意見を聞く、このことはもう既に法律に規定されていることでございますが、これに加えまして、まずは大学御自身の自主的な組織、業務全般の見直し状況を踏まえて文部科学大臣が検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ずるということが妥当ではないかと考えているわけでございます。

 このため、国立大学法人の組織、業務全般の見直しに関しまして、いわば、現時点で国立大学法人評価委員会が有する課題意識を「国立大学法人の組織及び業務全般の見直しに関する視点」という形であらかじめ提示することにより、まずは国立大学法人御自身に、自主的な見直しといったことについて、組織及び業務全般にわたる検討をお願いしたいと思っております。そのことを踏まえて文部科学大臣が組織及び業務の見直しについて検討を行い、所要の措置を講ずる、こういうことを私ども考えているわけでございます。

 この「視点」につきましては、本年一月二十八日に開催をされました国立大学法人評価委員会において審議し、おまとめいただいたものでございます。その委員会の議事録につきましては、委員の方々への確認など所要の作業が終了次第、速やかに公開したいと考えております。

石井(郁)委員 済みません、時間が参りましたけれども、大変大きな議論すべき内容を含んでいると思っていますけれども、議事録を速やかにというのはいつごろですか。それだけ一点。

岩屋委員長 徳永局長、時間が来ておりますので簡潔に願います。

徳永政府参考人 これから委員の方々に確認、それからさまざまな作業がございます。現時点でいつまでということは申し上げられませんが、速やかに公開したいと考えております。

石井(郁)委員 以上で終わります。

岩屋委員長 以上で石井君の質疑は終了いたしました。

 次に、日森文尋君。

日森委員 今回の法改正によって、独法の統廃合、移管あるいは廃止、国立高専の高度化再編、これらが予定をされるということになりますが、それぞれ大変心配なのは、職員の数がどういうふうに変化をしていくのか。統廃合によって業務量にも当然変化が生じるわけですが、これに応じて職員数も変化をするということであって、とりわけ仕事が厳しくなるとかいうことが想定を、当然されないということなんでしょうけれども、ちょっとその辺について、最初に教えていただきたいと思います。

森口政府参考人 お答え申し上げます。

 文部科学省といたしましては、今回の統合、移管に当たりまして、いわゆる看板のかけかえ、こういうことにならないように、互いの業務が一層効果的に実施できるようにすること、これを目指しております。その観点から、人員につきましても、業務に応じてめり張りをつけつつ、効率化、スリム化に努めてまいりたいと思っております。

 具体的に申し上げますと、まず、役員でございますが、海洋研究開発機構と防災科学技術研究所の統合によりまして十名が七名になります。それから、大学評価・学位授与機構と国立大学財務・経営センターの統合によりまして九名が五名になります。国立国語研究所の移管によりまして四名、これはすべて削減となります。メディア教育開発センターの解散によりまして五名が、これもすべて削減となります。合計いたしますと、二十八名が十二名ということで、十六名が削減される、そういう形になります。

 職員につきましては、独立行政法人は、いわゆる職員の定数でやるのではなくて人件費で管理をしてございますので、統合、移管する法人にかかわる新たな中期目標、中期計画を平成二十一年度中に策定いたしまして、その中で、業務量の変化も踏まえた具体的な計画を策定したいと考えております。

 なお、解散予定のメディア教育開発センターにつきましては、業務を精査の上、放送大学学園において実施することとされていることを踏まえまして、整理合理化計画策定時点で在職していた九十六名の職員のうち、同学園に移行する人数は五十二名ということを予定しております。その他の職員は、出向元の国立大学法人等への復帰あるいは退職、こういうことを見込んでございます。

日森委員 ぜひ、雇用問題が生じないように最大限の努力をしていただきたいと思います。

 国立高専機構法が一部改正されて、四県において国立高専が二校に統合されるということになります。高専に限らず学校の存在というのは、地域のプロフィールを決定したりあるいは地域の発展に多大な貢献をしているということは御存じのとおりだと思います。

 今回、この四県における統合に対する地元の自治体、それから教員、保護者、生徒、これら学校関係者への説明がどのように行われたのか、それぞれ当該の方々がどういう御意見をお持ちになっているのか、恐らくいろいろな御意見があると思いますので、それはぜひお聞かせをいただきたいと思います。

 それと同時に、今回統合されるといっても、それぞれの学校のキャンパスは維持されるということになっているようですが、学校の管理運営上、さらには教員、生徒にとっての利便性、そうしたことについて問題が生じないのかどうなのか、生じた場合どういう対応をされるのかということについてお聞きをしたいと思います。

塩谷国務大臣 今回の統合につきましては、平成十八年に高専機構及び各高専に対して、科学技術の高度化や社会経済環境の変化など、時代の進展に即した改革の検討を要請したところでございまして、それに対応して各高専では再編統合を含む改革について検討が始められ、今回の四地区の各高専では、全教職員が参加した会議等を行うとともに、統合検討協議会等を設置して全学的な検討を重ね、統合計画案を取りまとめたものであります。したがって、統合計画案につきましては、全職員、地元の業界あるいは学生及び保護者、同窓会等にもこの案について説明を行って、地元からも十分の理解を得ていると思っております。

 そして、キャンパスの件でございますが、キャンパスを継続して使うということで、特に運営面においては、両キャンパスに副校長を配置したり、また両キャンパスを結んだ会議システム等を設置する、そして教員が移動することなく効率的な学校運営が可能となるように対処する予定でございます。

 また、各学科ごとにいずれかのキャンパスに分属して、基本的に五年間同一キャンパスにおいて授業の実施を行うようにしております。さらに、異なるキャンパスの授業を学生の希望に応じたネット等を活用して受講できるように検討するとともに、両キャンパス間の教員や学生の移動に対して必要に応じてスクールバス等の活用を検討しているところであります。

日森委員 高専本科というのは五年の一貫教育でして、これは当たり前の話なんですが、実験、実習を重視した専門教育を行う、工学系の技術者の養成機関として極めて大きな役割を果たしてきたわけです。現在、科学技術の発展が大変急テンポで進んでおりまして、これは産業構造の変化にも大変大きな影響を与えるというふうに考えております。

 そういう中で、今度、四校の専攻科において組織の見直し、拡充ということが行われるというふうになっているわけですが、本科あるいは専攻科においてどのような学科、専攻科を新規に設けていくのか、あるいはどれを廃止していくのかということについて、今後の高専のあり方そのものも含めて不断に検討されていかなければいけないというふうに思います。先ほど設備が老朽化しているという話が石井先生からありました。そういうことも含めて、学科、専攻科をどうしていくのかということについては大変重要な課題だというふうに思っておるんです。

 中教審が昨年の十二月に、今後の高等専門学校教育の方向性について答申を出していますが、今後、この答申を受けてどのように具体的な検討が進められていくのか。特に、学科、専攻科の新設、統合あるいは廃止をするということも当然出てくると思うんですが、こうしたことについてどういう基準で現在の状況を踏まえながら判断をされていくのか、これをお聞きしておきたいと思います。

塩谷国務大臣 今後の高専のあり方につきましては、今お話しございましたように、昨年十二月に中教審から答申を得たところでありまして、従来の中堅技術者の養成から、幅広い場で活躍できる多様な実践的、創造的な技術者の養成を目指すこととしておりまして、教育の高度化や新たな分野への展開などが提言されたところでございまして、今後、各高専において自主的、自律的な改革が進められることを期待しているところであります。

 なお、その際に、学科、専攻科の設置や廃止等については、各高専及び高専機構の主体的な判断にゆだねられておるわけでございまして、各高専が地域の人材のニーズや各高専の特性などを踏まえて適切に判断されるものと考えております。

日森委員 今、少子化という傾向にありまして、それから同時に、子供たちといいますか、児童の理数科離れということも大変問題になっているようです。

 今回、統合がされるわけですが、今後の高専の廃止あるいは統合について、これは検討されていくんでしょうか、その見通しについてお聞かせいただきたいと思います。

塩谷国務大臣 今後のあり方について、今回四つの統合がなされたわけでございまして、今後、大学や地域産業界との連携など、地域の実情に応じてさまざまな手段が考えられるわけでございます。したがって、単に統合ということだけを進めるということではないと思っております。

 今回の四つ以外の高専においても改革に向けた取り組みをしておるところでございまして、これまでのところ、統合という結論に至ったところはないわけでございます。

 いずれにしましても、今後、文部科学省として、各高専がそれぞれの地域や特性などを踏まえて多様に展開するように支援してまいりたいと考えております。

日森委員 統合、廃止だけでは日本の高等専門学校の教育がいわば崩壊をしてしまうということになるわけです。これは、先ほど申し上げた学科の新設であるとか、専攻科の新設であるとか、本当に時代のニーズに合わせた拡充策というのも当然出てくるわけで、あるいは新たに設置をするようなことも当然考えられるわけで、考えていないかもしれませんが、そういうことも当然視野に入れて、ともかく効率化だけを求めて、それが先行してこうしたことが行われないように要望だけしておきたいと思います。

 それから、大学評価・学位授与機構についてお伺いしたいと思うんです。

 これは、大学評価・学位授与機構と国立大学財務・経営センターが統合されて、先ほど笠さんのお話にもございましたが、何を改革するんだという話もありましたが、新たに改革支援・学位授与機構というのが発足をするということになりました。

 そして、認証評価業務について、この中で、民間の認証評価機関のみでも対応可能である、そうされた分野から順次、廃止または休止するということになっていくということです。

 そこで、最初にお尋ねしますが、大学の認証評価業務というのは、一体どういう業務を具体的に行っているのか、まず、それからお聞きをしたいと思います。

徳永政府参考人 認証評価は、平成十六年度から導入されました新しい制度でございますが、これは、従来、大学の質の保証ということを大学設置基準と設置認可ということで二つだけでやっておりました。それが、当時の事前規制から事後チェックへというようなこともございまして、いわば事前の設置認可と事後の認証評価と二つのことで質を担保するという仕組みでございます。

 すなわち、評価といいましても、例えば五、四、三、二、一というような段階別の評価ということではなくて、あくまでもある一定の基準をクリアしているかどうか、そういったことを確認する作業でございます。

 具体的に申し上げれば、すべての大学、短期大学あるいは高等専門学校が文部科学大臣から認証されました認証評価機関を自分で選び、認証評価を受けます。そして認証評価機関が定める基準を満たしているかどうかについて判定をされる、そういう制度でございます。

日森委員 そうなんですが、その評価結果が出されて、これを踏まえて大学みずからが改善を図っていくんだということになりますね。

 評価結果の公表によって大学等が社会による評価を受けることを目的としてということになっているようなんですが、この認証機関による評価が、今後、例えば国から国公私立への財政的支援に、今はともかくお金は少なくということでやられているようですが、この評価が財政的支援に影響を与えるというようなことはないというように考えてよろしいんでしょうか。

塩谷国務大臣 この評価につきましては、それぞれ、例えば適合と判断されなかった認証評価の結果の中には、法令上大学が満たすべき最低基準である大学設置基準も満たしていないものもあれば、満たしているものもあるという内容でございまして、これを今後整理して明確化していかなければならないと思っておりますが、その結果が直接財政的支援に関連していくかどうかにつきましては、これは今のところそういうことは考えておりませんが、今後、この評価のいろいろな基準とか、そういうことについて整理をしていく中で検討してまいらなきゃならぬと思っております。

日森委員 文部科学省ですから、札束でおどすようなやり方はまねしないで、本当に教育を高めていくんだという観点で今後とも対応していっていただきたいと思います。しかし、評価は評価ですから、改善すべき点は改善をきちんとしてもらうということは当然のことだと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 私どものいただいた資料によりますと、評価を受けるべき教育機関というのは、大学、短大、高専、法科大学院、合わせて千二百七十一校ある、これは膨大な数になるわけです。現在まだ全体の半分が残っているようですが、平成二十二年までに民間の認証機関でこの評価を行うということになっているわけですが、それでも膨大な数であって、認証機関はそれほどたくさんないわけですから、これで適正な、十分な、かつ公平な認証を行うことが可能なのかどうなのか。

 これは、いろいろな意味で、こうした重要な問題についてそごがあると、あるいは時間がないから、かつて建築確認の問題なんかでもありましたけれども、そういう形でぱっぱといかれると、それは大学その他学校にとっても大変な事態に陥ることもあるわけで、この辺は、適切な認証を行うことが本当に可能なのかどうなのか、どう判断されているのか、お聞きをしたいと思います。

徳永政府参考人 平成十六年以前に設置をされた大学につきましては、平成二十年度末に大学の五六%、いわば平成二十二年度がその審査の期限となります六百八十三校のうちの三百八十一校について認証評価が出る予定でございます。

 まだ評価を受けていない大学に対して調査をしたところ、平成二十一年度で百六十四校、それから平成二十二年度で百三十八校で、ほぼ半分ずつの大学が評価を受けるということを予定しているわけでございます。

 先生御指摘のように、大学につきましては、大学評価・学位授与機構のほかには、民間の認証評価機関としては、大学基準協会と日本高等教育評価機構という二つのものがあるわけでございますが、この大学基準協会、日本高等教育評価機構の十九年度の評価実績は合計九十二校でございますから、今後二年間で約三百校の大学をすべて適正に評価を実施するということは、仮に審査体制を大幅に充実をしたとしても、私どもとしては極めて困難であると考えております。

 したがいまして、そのいわば整理合理化計画への対応といったことについても、こういった状況を踏まえて検討をしていきたいと思っております。

日森委員 これは大変な問題だと思いますので、今お答えいただいたとおり、認証評価についてはきちんと適切に行われるような、そういう体制をぜひ組んでいただきたいということと同時に、この評価機関について、認証は文科大臣によって行われるということになっているわけですが、認証の基準というのはどういうふうになっているのか、これをお聞きしたいと思います。

徳永政府参考人 最初にお答えしましたように、認証評価は、大学設置認可というものといわば対になって大学の質を担保していく、そういう仕組みでございます。したがって、当然、認証評価そのものが公正かつ的確に行われる必要があると思っております。そういった観点から、認証評価を行う機関、そのこと自体につきましても、別途文部科学大臣が認証を行うということにしております。

 その際の基準といたしましては、それぞれの認証評価団体が認証評価基準及びその評価方法をきちんと的確に行うに足りるかどうかということ、そしてまた、認証評価を公正かつ的確に実施するための必要な体制が整備されているかどうか、あるいはまた、そういったことを継続的、円滑に行っていくような、いわば財政的、経理的基礎を有する法人であるかどうか、そのほか、評価の公正かつ的確な実施に支障を及ぼすおそれがないかどうか、そういったことについて、私どもとして、そういう認証評価機関を認証する際の基準を定めているわけでございます。

 具体的な審査につきましては、大学関係者及び有識者の意見を踏まえて認証を行うために中央教育審議会に諮問することとされておりまして、その中に特別な委員会をつくってございます。その答申をもって認証を行っているところでございます。

日森委員 大変重要な問題だと思いますので、ここはそごのないようにしっかりとやっていただきたいということを要望しまして、時間前ですが、終わりたいと思います。

岩屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岩屋委員長 この際、本案に対し、牧義夫君外二名から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。牧義夫君。

    ―――――――――――――

 独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

牧委員 ただいま議題となりました本修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び概要を御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人防災科学技術研究所及び独立行政法人海洋研究開発機構の統合については引き続き検討することとし、今回の法案ではこれを行わないこととしております。

 第二に、独立行政法人大学評価・学位授与機構及び独立行政法人国立大学財務・経営センターの統合については引き続き検討することとし、今回の法案ではこれを行わないこととしております。

 第三に、国語に関する調査研究等の業務の重要性を踏まえ、附則において、国は、独立行政法人国立国語研究所の業務が移管される大学共同利用機関法人人間文化研究機構で、独立行政法人国立国語研究所法第三条に定めるところにより行われていた国語に関する調査研究等の業務が引き続き維持、充実されるよう必要な措置を講じなければならないこととするとともに、移管後二年を目途として当該業務を担う組織及び当該業務のあり方について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすることとしております。

 以上が、修正案の趣旨及び概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

岩屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

岩屋委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。石井郁子君。

石井(郁)委員 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対討論を行います。

 今回の独立行政法人の統合ですが、海洋研究開発機構と防災研究所の統合は数合わせの統合であり、波浪観測の廃止など国民生活に直結するものの廃止も含まれています。

 国立国語研究所の移管も、外来語言いかえ事業や重要研究の廃止、民間委託も含まれています。

 国立高専の統合は、入学定員で合計二百八十名、学科を七学科減らすというものです。この間の運営費交付金の削減に対応するための縮小策の押しつけと言わなければなりません。

 大学評価・学位授与機構と財務・経営センターの統合は、大学評価に基づく財務支援となりかねません。

 以上、これらの統合に反対するものです。

 メディア教育開発センターの解散は、実施する必要性が薄れたとして廃止し、ICT活用教育事業を放送大学に移すもので、妥当と言えます。

 内閣提出法案は全体として問題が多く反対ですが、民主党提出修正案には賛成することを表明し、討論とします。

岩屋委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

岩屋委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、牧義夫君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岩屋委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岩屋委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

岩屋委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、馳浩君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松本大輔君。

松本(大)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    独立行政法人に係る改革を推進するための文部科学省関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 国立高等専門学校の高度化再編に当たっては、各地域の入学志願者数の動向やニーズを踏まえ、各高等専門学校の自主性・自律性を尊重し、教育研究の個性化、活性化、高度化がより一層進展するよう配慮すること。

 二 国立高等専門学校の今後の在り方については、個々に法人格を有する国立大学法人との整合性の観点等、これまで議論されてきた経緯を踏まえ、個々の高等専門学校にではなく、機構本体に一の法人格を付与していること、独立行政法人としていること等、組織の在り方の見直しを検討すること。

 三 国立国語研究所の大学共同利用機関法人人間文化研究機構への移管に当たっては、これまで担ってきた日本語教育事業の重要性に鑑み、引き続き日本語教育事業を主体的に担っていくための十分な財源措置及び人的配置を行うものとすること。また、移管後の国立国語研究所に、日本語教育事業を担当する部門を設置し、さらなる充実を図るとともに、新たな中期計画に日本語教育事業の質の向上を図るための措置を盛り込むこと。

 四 国立国語研究所が担ってきた国語及び国民の言語生活並びに外国人に対する日本語教育の調査研究の重要性に鑑み、学術研究の中核機関として共同研究の活性化を図るとともに、引き続き、国語政策への貢献と外国人に対する日本語教育の振興という観点からの基盤的な調査研究、必要な研究課題の設定・実施、その成果の活用が図られるよう努めること。さらに、将来的には国の機関とすることを含めて組織の在り方を抜本的に検討すること。

 五 独立行政法人メディア教育開発センターの廃止に当たっては、生涯学習社会の形成の観点から放送大学学園はもとより、関係府省、地方公共団体等とも連携しつつ、ICT活用教育を含めたメディア教育の振興に努めること。

 六 運営費交付金等の算定に当たっては、算定基準及び算定根拠を明確にした上で公表し、公正性、透明性を確保するとともに、各法人の規模、事業等その特性を考慮した適切な算定方法となるよう工夫すること。また、組織改定前の公費投入額を踏まえ、従来以上に研究等が確実に実施されるのに必要な所要額を確保するよう努めること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

岩屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

岩屋委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。塩谷文部科学大臣。

塩谷国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意いたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

岩屋委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岩屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

岩屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.