衆議院

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第4号 平成22年3月5日(金曜日)

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平成二十二年三月五日(金曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君

   理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君

   理事 笠  浩史君 理事 坂本 哲志君

   理事 馳   浩君 理事 富田 茂之君

      石井登志郎君    石田 勝之君

      石田 芳弘君    江端 貴子君

      川口  浩君    城井  崇君

      熊谷 貞俊君    後藤  斎君

      佐藤ゆうこ君    瑞慶覧長敏君

      高井 美穂君    高野  守君

      中川 正春君    永江 孝子君

      平山 泰朗君    牧  義夫君

      松本  龍君    山本 剛正君

      湯原 俊二君    横光 克彦君

      横山 北斗君    吉田 統彦君

      遠藤 利明君    北村 茂男君

      塩谷  立君    下村 博文君

      菅原 一秀君    永岡 桂子君

      古屋 圭司君    松野 博一君

      池坊 保子君    宮本 岳志君

      城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       川端 達夫君

   内閣府副大臣       大塚 耕平君

   総務副大臣        渡辺  周君

   外務副大臣        武正 公一君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          金森 越哉君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月五日

 辞任         補欠選任

  牧  義夫君     永江 孝子君

  松本  龍君     山本 剛正君

同日

 辞任         補欠選任

  永江 孝子君     牧  義夫君

  山本 剛正君     松本  龍君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(内閣提出第五号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案を議題といたします。

 本案の審査に資するため、去る三日に二十三名の委員が参加し、東京横浜独逸学園、世田谷区医師会立看護高等専修学校及び東京朝鮮中高級学校の視察を行いました。

 この際、参加委員を代表いたしまして、その概要を御報告申し上げます。

 まず、神奈川県横浜市都筑区の東京横浜独逸学園では、シェフチック学園長から学校の概要についての説明を聴取し、日本における高等学校段階に相当する教育内容、卒業生の進路の状況、本法律案に対する保護者の意見、日本人の教員数等についての質疑応答を行った後、学校施設や授業の状況を視察いたしました。

 次に、東京都世田谷区の世田谷区医師会立看護高等専修学校では、学校施設を視察した後、古畑校長、長嶋教務主任から学校の概要についての説明を聴取し、学校と医師会との関係、卒業生の進路の状況、東京都内にある医師会立学校の数、学校運営費の状況、学校に入学する生徒の状況、生徒の実習先確保の問題、准看護師をめぐる課題等についての質疑応答を行いました。

 最後に、東京都北区の東京朝鮮中高級学校では、学校施設や授業の状況を視察し、金理事長、愼校長から学校の概要を聴取した後、同校長から本法律案に対する要望がなされました。

 その後、保護者、生徒等も交えて、北朝鮮や韓国からの資金の支援の有無、韓国籍の生徒が朝鮮学校に通う理由、チュチェ思想についての授業実施の有無、最近十年間で生徒数が百人以上減少した理由、朝鮮学校に対する東京都等からの支援額、授業における核問題、拉致問題、テポドンなどの扱い等についての質疑応答を行いました。

 そして、私から生徒に対して具体的な将来の夢や希望について伺いましたところ、さまざまな意見が述べられました。

 今回の視察に当たりまして御協力いただきました方々に深く御礼申し上げ、視察の報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長金森越哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文でございます。

 きょうは二回にわたってでございますが、よろしくお願いを申し上げたいと思います。大臣の都合ということで二回に分けさせていただきましたが、両方とも出ていただけるということ、ありがとうございます。

 川端大臣にまずお聞きしたいと思うんですが、きのう、ある会合で森前総理にお会いをしたとき、川端大臣に対して大変評価をされておられまして、東レの労組の委員長をされていたんですか、そのときに、資本側あるいは地域を含めて、大変すばらしいバランス感覚を持った労組委員長としての活躍をされておられたということをお聞きしました。そういう川端大臣の経歴からすると、今回の北教組、同じ労働組合とはいえ、雲泥の差というふうに多分思っておられるのではないかというふうに私は思うわけでございます。

 昨日、我が党の谷垣総裁が、汚れたH2Oと言いました。これは、鳩山、北教組、小沢、この三つの政治と金の問題、これで汚れたH2Oというふうに言われたわけですが、この北教組の問題というのは、想像を超えるような大変な背景が中にあるのではないかと我々は思っております。

 そもそもこれは、直近では、三月一日に札幌地検が政治資金規正法違反容疑で長田秀樹委員長代理など幹部ら三名を逮捕した。現在、北教組は委員長が空席になっておりますから、この長田委員長代理は北教組の最高責任者な方です。事態は、北海道教職員組合の最高責任者以下幹部が逮捕されるという重大な事態に発展をしております。

 これは、民主党の小林千代美代議士の選挙における買収の選挙違反で逮捕されたことに発して、さらに、主任手当という公金を原資とした裏金一千六百万円、これを小林千代美陣営が選挙資金として受け取ったとされる事件でありまして、小林千代美議員の連座制での議員辞職とのつながり、さらに、教職員団体としてあるまじき悪質な事件であるというふうに思います。

 川端大臣として、文科大臣という立場から、この北教組の政治資金規正法違反事件について関係大臣としてどう責任を感じておられるか、まずお聞きします。

川端国務大臣 まず初めに、森元総理のお話をしていただきまして恐縮でございます。そんなに言うほどのことではないと思っておりますが、委員長じゃなくて、ローカルの支部長をしておりました。

 それはさておきまして、北海道教組をめぐっての、逮捕者を出した、あるいは、違反事件を起こして略式を受けたことを含めて、教育にかかわる人たち及び団体が法令違反及び法令違反の疑いを受けてこういう事態を起こしたことは極めて遺憾なことであるというふうに思っておりますし、あってはならないことが起こったという認識をしております。

 そういう中で、私の立場でこの北教組をどう思うかということのお問いかとも思いますけれども、厳密に申し上げますと、文部科学大臣が責めを負っている教育行政、そして、その方針に基づいて都道府県、地方の教育委員会とそれから学校設置者が実務を行うという仕組みの中で、教職員団体がどうこうしたことに関しての直接の管理監督をしている立場ではありません。

 ただ、教育関係団体であるということは間違いないことでありますので、その所感としては、容疑段階の中身に関してコメントする立場にありませんが、現実に逮捕者を出していて、それは教育にかかわる団体であるということでは、極めて遺憾であるということの所感でございます。

下村委員 これは川端大臣が就任される前からでありますけれども、文部科学省としても、北海道の教育については北教組の影響等で大変な問題が各地域で生じているという認識を持って、北海道教育委員会次長、ナンバーツーですね、文科省から出向させているんです。それだけ国としても北海道の教育問題については、国といいますか文部科学省というふうに申し上げてもいいと思いますが、重大な関心を持って対応している。

 ですから、今回のような事件が起きる前から文部科学省としてはそういう姿勢を持って北海道の教育委員会に次長を送り込んでいるという姿勢を、ぜひ継続して、政権交代になっても、これは、子供たちの立場からあるいは保護者の立場から看過できないことが多々あると思います。ですから、しっかりこれは対応していただきたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、かねてからいろいろと、教育現場におけるあり方を適切にしっかりやらなければならないという立場での議論があったことは承知をいたしておりますし、今回こういう問題が起こったことで、きょうおられる馳理事さん、あるいは参議院における義家委員からもいろいろな資料の提示もいただきました。そしていろいろと、報道だけでありますけれども、こういうことがあったのではないかという、教育現場における政治の中立性が疑われかねないことが指摘をされました。

 それを受けて、こういうことが報ぜられているが、あるいは、こういう資料にこういう記述があるがこれは事実なのかどうかを、しっかりと事実関係を個々具体のことを調査をして報告するようにということを求めております。逮捕者が出たときには、報道を含めて多分その翌日だと思いますし、それから馳議員の分に関しては、正式に黒塗りがなかった分までいただいたのが週末でございましたので、三月二日にその調査を依頼をいたしました。

 教育現場が公正、政治的中立をしっかり保って、いい教育ができるようにということは私の一番の願いでありますので、このことの思いにおいては政権交代をしたからどうこう変わるものではなく、その精神を踏まえてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

下村委員 小林千代美議員ですが、大臣と同じ政党に所属されておられ、既に選挙違反で連座制が問われている。さらに、北教組のこの裏金献金一千六百万問題等も出てきた中で、これはやはり政治家としての責任がさらに問われているのではないかと思うんですね。特に、北教組という教育に関係する組合絡みでもございますし、私は小林千代美議員は即刻議員を辞職すべきであるというふうに思いますが、関係大臣としての見解をお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 選挙に関して関係者が判決を受け、法の適用で言うたら、連座対象者がそういう事態になったということは承知をしております。

 また、今、北教組を中心とした逮捕者が出た部分でいろいろと報道されていることに関しては、捜査中のことですので、その事実関係どうこうを私がコメントする立場にありませんが、先生おっしゃるように、教育現場にかかわるそういう団体が起こしてはならない事態を招いていることは極めて遺憾なことであると同時に、そういう団体との選挙の関係でこういういろいろと逮捕者を出しているということは、極めて深刻であると思います。

 ただ、行政の立場に今いる者として、立法府で選ばれた議員の身分というのは極めて重いものでございます。この身の処し方は、逆に、こういう非常に深刻な事態を招いているということでの責任は非常に重く小林さんにはあるというふうに私は認識をいたしておりますが、その身の処し方に関しては、選挙民に選ばれた議員という立場は憲法上も法律上も極めて尊重されるものとして位置づけられているというふうに私は承知しておりますので、その身分に関してコメントすることだけは控えたいというふうに思います。

下村委員 同じ民主党に所属をされている先輩議員の立場としても、やはり、国会議員としての倫理観あるいは政治的責任、これについては、特に北教組絡みですから、しっかりと指導、アドバイスをしていただきたい。我々としては、即刻議員辞職を求めるものでございます。

 先ほどお話にありましたが、馳議員と義家参議院議員が、この北教組問題、そしてこの小林千代美議員にまつわる選挙違反問題等で北海道に調査に行きました。そのときに手に入れた資料の一部がお手元に配付されていると思いますが、一番最後の資料でございます。

 きのうの産経新聞に、北教組日高支部、ことしの卒業式、入学式、小中学校における国旗・国歌の適切な取り扱いをさせないため、「「「日の丸君が代」強制に反対するとりくみについて」と題した“闘争マニュアル”を作成、支部内の学校に配布していたことが三日、分かった。」とありますが、原本はこれでございます。お手元に配付しているのは新聞記事ですが、原本は、これは馳議員が実際に手に入れた、これだけの、十二ページにわたる大変細かな取り組みが書かれております。それを要約、まとめたものとしてきのうのこの新聞記事に同じものが載っておりましたので、新聞記事の方からちょっと指摘をさせていただきたいと思います。

 これは「「日の丸君が代」強制に反対するとりくみについて」というマニュアルですが、「掲揚・斉唱阻止に向けた綿密な指示とともに「学校から完全排除」を掲げている。教師の違法な選挙活動だけでなく、学習指導要領に定められた式典での国旗掲揚や国歌斉唱への妨害も野放しに近い状態になっていることを示す内容になっている。」ということで、このマニュアルについている具体的なポイントがありますが、例えば四番目には、「掲揚や斉唱を通じて改悪学習指導要領の徹底につながる―という観点で共通理解を図るよう求めた。」というポイントがあります。

 「さらに、国旗や国歌は「天皇を中心とした国家主義的な日本人としての自覚をもたらす役割」を持っており「文部科学省が天皇制のもと、侵略戦争・植民地支配の歴史を隠蔽し、国際化の美名の下、ハイテク時代における日本人の海外進出拡大のため「国際競争に勝ち抜く大国日本人の自覚」を求める人づくりを目指すもの」ととらえるよう求めている。そのうえで学校から完全排除する「戦い」を呼びかけている。」ということで、具体的にどう排除するかということが、項目的にこの十二ページ、詳細にわたって書いてあるんですね。

 私は驚きました。いまだにこんなことをマニュアルとしてやっているところがあったんだということがそもそも驚きでございましたけれども、現物がここにありますから、後でよろしかったらお見せいたしますけれども、これは文部科学省も敵になっていますね。こういうことについてはしっかり指導する必要があるかと思いますが、これについていかがお考えか、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 私もその資料は、全部ではなくて一部提供いただきましたので、読ませていただきました。文部科学省は随分敵になっているなというふうに思いましたけれども、基本的には、これがどういう資料、性格のものか、どういう位置づけのどういうものかというのはよくわからないんですけれども、国旗・国歌は、当然ながら国旗・国歌法に定められていると同時に、学習指導要領を含めて、子供たちにも、自国の国旗を尊重しとうとぶと同時に他国のものにも敬意を払うようにということで、国歌は君が代が歌えるように指導するとか、式典等々においての部分を利用して国旗・国歌を大事にする態度を育てるとかいうことで指導しております。

 そういう意味からいえば、この記述自体は私たちの考えとは全く違うということは間違いがございません。今御指摘の部分は、いろいろ書いてあること自体は、文部科学省が教育現場において行おうとしていることと相入れないものであることは事実だというふうに認識をしております。

 この資料がどういう資料で、どういう立場でやっておるのかは知りませんが、少なくとも、このことが学校現場に実際に持ち込まれることがあってはいけないという立場でしっかりと調査すると同時に、関係教育委員会とも連携しながら指導するようにしてまいりたいと思っております。

下村委員 先ほど御指摘を申し上げたように、この資料は北教組の日高支部がつくった資料ですから、事前にお手元にもあるということですから、十二分に、入学式、卒業式、この対応について、北海道の教育委員会等に働きかけながら、このようなことがなされないように、文部科学省としても十分に指導していただきたいというふうに思います。

 私はフィンランドに視察に行ったことがございまして、ここは世界で一番学力の高い国である、どうして世界で一番の高い学力の国になったのかということで、これは自民党調査団を組んで視察に行きました。そのときに印象に残っていることが幾つもありますが、一つは、フィンランドにおける組合問題はどうなのか。

 フィンランドにおいては、もちろん教職員組合はある。しかし、あくまでもそれは労働者としての条件の中での組合であって、教育においては中立性を保たなければならないし、また、極めて抑止的に対応することが必要だということで、イデオロギーそれから政治思想、こういうものは一切教育現場には持ち込まない、あるいは関与しない、そういうことをフィンランドの教育委員会というのはきちっとしているんですね。

 だからこそ、フィンランドにおいて地方分権や学校現場における教育の移譲がなされても、国民も信頼をしているし、また、この北教組のようなことが起こらないということを組合みずから自制している。それが世界で一番の学力になっている要因の一つにもなっているのではないか、こんなふうに感じました。

 鈴木副大臣は民主党の日本国教育基本法を作成したときにもかなり中心的なことをされたというふうにお聞きしておりますけれども、民主党の日本国教育基本法、これも、地方分権、地方自治体に任せる、あるいは学校現場に移譲する、こういうものがなされております。

 しかし、この組合問題、こういうことがそのまま放置されていて、果たして現場に任せることができるのかということについて私は疑問に思うわけでございますが、いかがでしょうか。これは鈴木副大臣にお聞きします。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 法令に違反する実態が放置されているということが事実であれば、そのことはやはりきちっとしていかなきゃいけないというふうに思います。ですから、制度論の問題と、その制度あるいはルールをきちっと徹底する、その実行の問題だというふうに思っております。

下村委員 その法令がないんですね。これは、予算委員会で馳委員も、また、参議院で義家議員も取り上げました。教育公務員特例法第十八条第二項、罰則規定がない。教育公務員は国家公務員のような罰則規定を当時設けなかった。それは、教員だから、それだけの識見もあるし、また社会常識、バランスもあるし、自分たちの労働条件等、現場において混乱させる、あるいは子供たちや父母の皆さんに迷惑をかける、こういうことはしないだろう、極めて自重されるだろうということで罰則規定を設けなかった。これは昭和二十九年ですけれども、北海道だけではありません、それが結果的に今のようなこういう日教組の問題に来ているのではないか。ですから、第二項の中で罰則規定をきちっと設けて、そしてそういう心配がないようになさるべきではないか。

 これは鳩山総理も、これを受けて、ぜひ文科大臣に検討を指示する、こういうふうに予算委員会で言明をされておりますが、文科大臣としてどのように対応をこれからお考えか、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 御指摘のように、教育公務員の政治的行為の制限は教育公務員特例法の第十八条第一項で禁止をされておりますけれども、御指摘のように、第二条で罰則規定を設けないということで、いわゆる公務員法と違う扱いになっております。当然ながら、第一項は当然生きているわけですから、いわゆる俗に言う、この条項に違反をした者は行政処分の対象にはなりますが、刑事罰がかからないという位置づけに今なっております。

 そういう中で、私もこの経過をもう一度おさらいをしてみたんですが、委員御指摘のように、昭和二十九年の教育公務員特例法改正の際に、当初の政府原案では、教育公務員が政治的行為の制限に違反した場合、国家公務員と同様の罰則が適用されるものとされていた、当初の案は。しかしながら、国会審議の過程の中で、参議院において、教育界で起こったことは、できるだけ教育界の内部、教育行政の手によってこれを匡正すべき等の理由から議員修正が行われて、現行の規定になったというふうに承知をしております。

 そして、昭和二十九年ですからもう随分昔の話でございますが、その後、いろいろなタイミングでいろいろとこの条項をどうするかという議論があり、やはり同じようにするべきだ、いや、そうすべきでないという議論があって、現在まで動きはあったときもありましたが、改正が行われていないで現在に至ったというのが現状であるというふうに思います。

 今回、北教組におけるいろいろな逮捕者まで出した事件において、教育現場の中立性が著しく損なわれているではないかという国民的不安と疑念が起こっていることは事実でございます。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、私たちとしては、実際に、いわゆるこの教育公務員特例法第十八条の第一項に違反する事態ではないかという指摘があるのを踏まえて、北海道教育委員会及び札幌市教育委員会において、事実関係としてこの法令違反があるのかどうか徹底的に調べなさいということを今指示をしております。

 そういうことを踏まえて、もしあれば処分をしていくということを北海道教育委員会がやっていくことになろうというふうに思いますけれども、その中で、二度とこれからこういう事態を招かないというためにはどういう施策がとり得るのかの一つとしてこの第十八条の第二項の議論があるんだと認識をしております。

 国会の御議論の中で、総理からも、この教育公務員特例法の第十八条第二項について検討の指示がそれを踏まえてありました。

 つきましては、目的は、教員の政治的中立をいかに確保して、子供たちに安心した教育ができるかということに尽きるわけでありますので、過去の経緯を検証する中で検討を進めてまいりたいと思っております。

下村委員 我が党も、この教育公務員特例法第十八条の第二項、これについては削除する、それから第一項も、「当分の間、」を削除する、改正をするということで議員立法として近々に、さきの国会で廃案になりましたので、改めて今国会で提出をして、そしてぜひ議論をしていただきたいと思いますが、今御答弁されたように、鳩山総理はこのことについて相当踏み込んでお答えになって、そして今大臣からお答えいただいたように、検討していくということでございますから、政府としてもぜひ同時に取り組んでいただきたいと思いますが、いつぐらいまでに検討状況について結論を出す予定か、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 現在、昭和二十九年の改正の際の状況とそのときの論点を、整理を進めることから着手をいたしました。

 つきましては、いつまでに検討するか、何をするかということを今の段階ではお答えすることはちょっとまだできない状況でございます。

下村委員 川端大臣、最初に御指摘を申し上げましたが、川端大臣も組合活動をされておられたということですが、北教組とは全然違うことだったと思うんです。この北教組の問題等、それは事実関係を確認すると言っても、逮捕者も出ているし、連日の報道もされているし、だれが見ても事実は事実としてもう明らかなんですよ。

 それで、この十八条の問題はそんなに難しいことじゃないんです。政府の方も、責任を持って教育における中立性を保つ、そして子供たちが安心して学校教育が受けられるというために、これはペナルティーを科すということと言っても、別にすぐそれで先生がどうのこうのという問題じゃないわけですから、ルールをつくるということですから、そんなに難しい話じゃないんじゃないですか。やろうと思ったら今国会ですぐできることだというふうに思いますが、いかがですか。

川端国務大臣 申し上げましたように、二十九年に政府案で当初なかったものが国会の議論で追加をされた、そして、それ以降もいろいろな時期に改正の動きがあり、前回は多分衆議院の解散によって廃案になったのかなというふうに思いますけれども、それまでも、提出に至らなかった、あるいは、至ったけれども廃案になったという経過があります。そういう意味で、いろいろな議論が幅広くあることは事実であります。

 そういう中で、今御指摘にありましたけれども、私の立場でいえば、北海道の教育委員会、札幌の教育委員会に問い合わせをしたというのは、いろいろ報道をされていることを踏まえて、教育現場において教育公務員が法令違反をしている事実が確認できるのかどうかということを調べろということをお願いをしております。

 そういう意味では、今、逮捕者が出たあるいは捜査がされたということは、教育公務員の直接の当事者では今ございませんで、団体でありますので、そういうことも踏まえながら、先生おっしゃるように、教育現場の教育の中立性を確保してさらに向上させるために、現実にどういうことが起こっていて、何をするのが一番効果があるのかというのを検討していくのにスタートをしたということで御理解をいただきたいと思います。

下村委員 文科大臣としての責任を全然感じていない答弁ですね。これは大臣、コメントが北教組と同じですよ。北教組は一日夜、コメントを発表した。「逮捕容疑のような事実は一切なく、不当な組織弾圧と言わざるを得ない」、「このような不当逮捕に対して、嫌疑を晴らすべく組織一丸となってたたかっていくこととする。今後もこれまで同様、不当弾圧にひるむことなく、憲法を守り民主教育を確立する運動を引き続き推進する」、こういうコメントなんですね。

 ところが、日教組はどういうふうにこのことについてコメントしているか。日教組は同日、「捜査段階とはいえ、逮捕されたことにより結果的に子どもや社会に不信感を抱かせることにつながり、深くおわび申し上げます」、こういう談話を日教組でさえ出しているんですよ。日教組の方が、はるかにこれに対して丁寧に国民に対して対応しているじゃないですか。大臣の今の話は日教組以下の話ですよ。

川端国務大臣 誤解があるようでありますので、申し上げます。

 こういう教育関係団体が逮捕者を出したことは、教育にかかわるという意味で極めて遺憾なことであるとは再三申し上げてまいりました。そして、教育の政治的中立がしっかり守られるようにこれからもやっていかなければならないとも申し上げました。

 そういう中で、別に彼らが不当な弾圧で云々ということに同調していることではさらさらございません。逮捕されたことは極めて遺憾なことであるし、そういうことがあってはならないことであるという認識でございます。これに不当弾圧で闘うということとは全く立場が違うということは御理解をいただきたい。

 それと同時に、この教育公務員特例法というのは、まさに教育公務員の、教員の問題でありますので、この件に関してと、それから、馳委員や先ほどの委員のいろいろな指摘の中で、教育現場において教育公務員特例法に違反している事例があるのであればゆゆしきことである、ただ、まだ事実が確認をできていないから、このことを早急に、こういうことがある、こういうことがあるということをしっかり調べて報告してくださいということをお願いしているのであって、真っ正面から、起こってはいけないことが起こっているのではないか、もし起こっていたらそれは許しがたいことであるということを踏まえて対応していることだけはぜひとも御理解をいただきたいと思います。

下村委員 私が言っているのは、大臣の答弁よりは日教組のコメントの方がはるかに国民に対して誠実である、こういうことを申し上げているわけです。このことは、引き続き同僚委員がこの北教組問題を取り上げますので、時間の関係で、本題の高校無償化法案について入っていきたいというふうに思います。

 この高校無償化法案については、今まで予算委員会でも二度ほど質問させていただきました。私にとっては今回三回目にもなるわけでありますが、その中で、どうしても大臣の答弁の中で理解できない、あるいは納得できないことがございます。それを中心に御質問申し上げたいと思います。

 一つは、この高校無償化法案の目的、成果、効果、何のために高校無償化法案を導入するのか、目的、成果、効果、これについては二回ほど質問したんですが、なかなか私にとっては明確な、私にとってというか、国民にとっても明確な答えになっていないと思うんです。

 それは大臣が二つおっしゃっていましたね。学力を上げるため、それから公共性のため。でも、具体的に、高校無償化法案を導入してどう学力を上げるのか、あるいはどう公共性を高めるのか、具体的なことは何もおっしゃっていないんですね。学力についてはまずどうお考えですか。どう高めるんですか。

川端国務大臣 この高校無償化法案にも書いてありますけれども、何回も答弁していますが、九八%以上の子供が行っているという部分でその成果は広く社会に還元されているという意味で、子供のその年代の者を社会全体が支えるということを行いたいというのと同時に、その年代における経済的負担を軽減するということを目的として法律を出させていただきました。

 そして、その効果はいかがかと問いがありましたので、一つは、やはり、国費を使って高校時代の学びをみんなで支える。なぜ支えるのかといえば、子供たちに、しっかり勉強をして、そして、その成果を社会に還元するということにおいて社会貢献を果たしていただきたい、それだけ期待をしているということを強いメッセージとして出すことによって、しっかり勉強したいという意欲を向上させたい。そして、社会が我々の世代を支えてくれているということを通じて公共性の概念をしっかり身につけていただきたいということを効果として思っているということを申し上げました。

 その中で、学力に関してというのは、無償化したらすぐにそのことの直接に効果が、学力が上がるということではなくて、今までからいろいろな調査を含めて、例えば、コミュニケーションにおける言語能力が特段弱い、あるいは、理数科系の教育をもっとしっかりしないと国際的に通用しないというふうなこと、あるいは、いろいろな学びの場の機会あるいは学習環境が変化している中で、通信制の問題や単位制の高校の問題、いろいろなことを前政権からも本当にまじめに一生懸命取り組んでいただきました。

 そういうことを踏まえながら、新しい学習指導要領のもとで教育の充実はさらに一層力を入れてまいりたいと思いますが、その根底に、子供たちに幾ら環境を整えて勉強しろ勉強しろと言っても、やはり本人が、ああ、勉強せないかぬなと思わないとなかなか学力というのは上がらないというのは、いろいろな調査でも、やはり学習意欲というのが一番学力につながるものだと私は思います。また抽象的だとおしかりを受けるかもしれませんが、学習意欲というものが日本の高校生は世界に比べても非常に低いという数字も出ております。御案内のとおりでございます。

 そういう意味で、今回、無償化が実施されたときからは、入学時も含めて、生徒あるいは保護者に対してのこういう趣旨でありますからということのパンフレットやホームページだけではなくて、校長の入学式のあいさつや先生の生徒へのお話、それからホームルームや社会、公民における授業など、あるいはディスカッションを通じて、自分たちの学びは税金で支えられている、そして、その税金というのは国民の納税によって当然ながら支払われている、その背景には勤労というものがある、したがって、自分たちも大きくなったら、それで支えられているということは、納税とそれから勤労ということの意識をしっかり教え込むことをさらに強化することによって、自分たちも社会の中でこういう仕事をしたいな、そして、それによって社会の一員として頑張りたいなというふうな意欲、職業意識も含めて強化することをあらゆる機会を通じて展開できるように、私の方から教育現場にはお願いをしていきたいと思っております。

下村委員 今の答弁は、人間個人川端さんとしての御発言であれば、それは私はよしとします。しかし文科大臣として、果たしてそれだけで本当に子供たちの学力が伸びるのか、公共性が高まるのか。全然関係ない話だと思うんですね。

 お手元に資料、下から二番目だと思いますが、「諸外国の後期中等教育修了認定試験」というのを見ていただきたいと思います。文部科学省の方につくっていただいたんですが、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、とりあえず四カ国の資料ですが、ございますか。

 この中、例えばアメリカは、後期中等教育の修了、つまり高校卒業ですね、「ハイスクールにおける取得単位により決定されるが、州によってはこれに加え、主要教科の州共通テストの合格により認められる。」ということなんですね。

 ちなみに大臣、アメリカにおいて高校三年生のとき、留年、まあ落第といいますか、どれぐらいいるか御存じですか。

川端国務大臣 申しわけございません、承知していません。

下村委員 一人の落ちこぼれを出さない政策が施行される前は七〇%ぐらいが落第していたんですね。七〇%が落第していたんです。それが実施されるようになって、まあ今は五〇%ぐらい。半分ぐらいは落第しちゃっているんですよ。でも逆に言えば、それだけ、高校を卒業するときにはきちっとしたやはり基準に達するようにしていこうというのがあるわけです、基準として。

 それからイギリスは、「後期中等教育の修了という概念はない。」「後期中等教育の終盤で通常受験するGCE・Aレベルは、大学入学資格の基本的要件であるが、後期中等教育の修了を認定するものではない。」云々ということで、要するに、高校生のとき、GCEのAレベル、つまり、大学受験するための資格基準をクリアすることによって、つまり大学入学試験はありませんので、結果的にこれが大学入学のときの条件になる。高校のときの勉強の成果ですね。こういうことで、つまり大学入学試験はしない。このGCE・Aレベルで、そのままその成績によってどこの大学に入るか決まるということが二年間において試されるということです。

 それからフランス、「後期中等教育の修了認定は、一般に国家資格である「バカロレア」の取得により行われる。これは大学入学資格を兼ねる。」ということでちょっと似ていますが、修了試験と大学入学資格が同じである。フランスです。

 それからドイツ、「後期中等教育の修了認定は、州の資格である「アビトゥア」の取得により行われる。これは大学入学資格を兼ねる。」ということです。似たようなものです。

 それで、この高校無償化というのは、後期中等教育、我が国でいえば六・三・三・四制のちょうど真ん中ぐらいのところです。これを無償化するということですから、あわせて、我が国の教育制度そのものをどう制度設計するかということも同時にやはり検討しなければいけないのではないか。今既に、高校生の七割はついていけないというふうに言われておりますし、また、少子化の中、実際は入学試験が易しくなって、大学に入ってもついていけなくなって、大学生の中でも高校生以下の勉強をし直さないと大学の授業についていけない、あるいは、そもそも大学生であっても二次方程式もよくわからない、こういう子供がふえている。しかし、基本的に、では日本の子供たちはばかなのか。そうではなくて、私は教育システムに問題があると思うんですね。

 随分前から七五三教育ということがよく言われました。小学校で三割、中学校で五割、高校で七割の子供たちが落ちこぼれている。これはやはり教育システムに問題がある。わかってもわからなくてもそのままどんどん同じレベルで、そして画一、均一的な教育をすることによって、結果的にそのときにやる気がなくなってドロップアウトしてしまって、もうついていけなくなってしまう。基本的な能力がないわけじゃないのにもかかわらず、今の学校教育システムによって、結果的には高校を卒業するまでまともな学力がつかないという不幸な子供というのがたくさんいるわけです。

 ですから、こういうときに、私が申し上げるのは、例えば高校を卒業するときに検定試験を厳しくしてもっと落とせとかいうことではなくて、そもそも高校を無償化するということは、これは事実上義務教育に近いような形をさらにとっていく、つまり、教育費負担をそれだけ減らしていくということになってくるわけですから、義務教育まで含めて、そもそも我が国における学習のあり方を考える、考え直す。これは、精神論で幾ら大臣が先ほどおっしゃったように、これだけ国が四千億のお金を投資するんだから高校生はもっとしっかり勉強してください、これだけで解決できないですよ。

 ですから、この高校無償化議論と一緒に本質的な教育議論をしながら、具体的に子供たちにどう学力をもっと高めてもらうのかということを議論して、そしてそれを制度設計しなければ何の効果も上がらないんじゃないでしょうか。いかがですか。

川端国務大臣 大変重要な御指摘をいただいたというふうに思っております。

 今現実に起こっている問題の事実は、私もその現象は承知をしておりますし、深刻な学力低下、いわゆる中学校から高校、高校から大学、いつでもその部分で、大学生なのに中学校、高校のことをまた改めて教えなければついてこられない、一方で、少子化の現象の中でいろいろな経営上でいえば、生徒数は確保したい、どんどん質は落ちてくるというふうなことの中で、教育の状況をどうしたらいいかということが一番根源的な問題であることは私も認識をしております。

 そういう中で、これは無償化ということでの取り組みももちろん大きな背景として乗り越えなければいけないという御指摘は素直に受けとめたいと思いますが、同時に、もっと幅広く、先ほどアメリカ、イギリスの例をとられましたけれども、基本的に全部そうなんですね。日本の大学においても、入ることが何かゴールみたいになったら、あとは何かもうほっとしてしまうのかどうか知りませんが、だから、日本の大学が世界の中で非常に珍しいというか、新卒者、高校を新卒したいわゆる年齢がほとんど一緒の人がいて、アメリカなんかだと、まさに働きながら単位だけまた取りながらスキルアップしていくというふうな機関というのと、長年の日本の社会的な環境を含めての位置づけで機能してきたことは事実ですが、これがそろそろ、そろそろというより、もうもたなくなってきているという認識は私もそのとおりだと思います。

 そういう意味では、直近のいろいろな手当ても苦労しながら積み重ねてきていただき、我々も必要な部分はしっかり継承してまいりたいと思いますが、根源的な課題についてもまた引き続き我々もしっかり議論していくので、ぜひともまた、委員や先生方にも御指導いただきたいというふうに思っております。

下村委員 この間、大学生百人の前で講演したことがございまして、幾つかアンケートをしたんです。自分はだめな人間か、それともすぐれた人間か、どちらかに分けたらどっちに自分は入るかと手を挙げてもらった。大学生百人、自分はだめな人間だと思う、手を挙げた子が九割いるんですよ。これが日本の教育の現状です。別に特定の大学でやったわけじゃなくて、いろいろな大学生が集まった。

 でもこれは、いろいろな調査でも、例えば高校生でも七割ぐらいが、どんな調査でも自分はだめな人間だと。日本においてはですよ。日本においては、ほかの国以上に自分自身に対する誇りとか自信とか持っていないんです。中学生でも五割ぐらいの子が、あるいは六割ぐらいが、自分はだめな人間だ。

 これはいろいろなデータでも同じことが言えます。つまり、上の学年に上がれば上がるほど、ある意味では受験競争という世界の中で、まあ一割ぐらいは自分は優秀だと、比較されますから。そうすると、九割ぐらいはだめな人間だと。結果的に、ある意味では、これは我々の反省を含めてですけれども、日本の教育は不幸にする教育システムになっている。

 これは、やはり戦後教育云々というのはありますけれども、もっと言えば、近代工業化社会の中でいかに優秀な人材を支えるか、そういうある意味では記憶、暗記中心のロボット型といいますか、そういう能力がもう日本では問われないといいますか、それだけの能力では社会の中ですぐれた人間として生きていけない。

 つまり、ポスト近代工業化社会の中で教育も今までのような教育システムをそのまま続けていったら、ますます不幸感を持ってしまうような、社会に結果的に適応できなくなってしまうような、そういう人材をただ育成するだけの話になってくるから、大臣が先ほどおっしゃったように、日本における大学入試そのものを変えていかなければ、高校以下全部変わらない。

 ですから、今回の高校無償化法案というのは、そういう意味で積極的にとらえれば、これは、大学入学試験まで、あるべきこれからの将来における人材像としてどうするかということを、ここまで文部科学省が同時に考えていくことが、ただの無償化ではなくて、必要であると私は思うんです。

 ですから、ぜひこれは、中教審等にも審議してもらったり、文科省としても、大学入学試験のあり方そのものを抜本的に見直すという機会としてとらえて検討されたらどうでしょうか。我々もちろん協力しますけれども。

川端国務大臣 大変重要で貴重な御提言をいただいたというふうに思いますし、真っ正面から受けとめて、また議論をさせていただきたいというふうに思っています。

下村委員 もう一つ、公共心を高める、おっしゃっていましたね。しかし、先ほどの答弁で公共心は高まらないですよ、今の高校生に。具体的ににどうしていきますか。

川端国務大臣 先ほど、百人に聞くというお話がありましたけれども、世界的ないろいろな調査の中で先生が御指摘の部分も全く一緒でして、公共心も含めて、小学校の低学年から中学年、高学年、中学校、高校と行くにつれて、そういう今言われた自分に自信があるかというと、どんどんなくなっていくと同時に、世の中のために役に立つ人になりたい、あるいはみんなのために何かをしたいというのが、小学生低学年で非常に高いのがどんどん低くなっていっているというのが現実にあります。

 そういう意味では、なぜそういうことが起こるのかといえば、やはり、根源的に私は先生がおっしゃったのも同感な部分がたくさんありまして、いわゆる大学進学率も非常に高くなりましたから、ある種の教育の個々人にとってのゴールが大学入試までというところで全部いくと、公共心とかみんなのためとかいうふうなことは物差しから外れてしまうということが一番の根幹に多分原因としてはあるんだと私は思います。

 そういうことの中で、一つは、そういう教育システム自体をどうしていこうかという議論と同時に、とはいえそうではないんだよということを、小さいときの子供はちゃんと意識があるのにだんだんなくなっていっているということ自体は、やはり実感としての部分のことが足りないんだろう。だから、授業以外のボランティアの単位を認めようとかいろいろな工夫をしていただいている部分は、私は一つの方法としては非常に有効な問題だと思っていまして、やはり、実体の社会体験ということを通じてというのが一番の効果がある方法だと私は思っております。

 そして、今までいろいろ議論の中でいろいろな工夫をされてきたことで大体メニューはほぼ出そろっているんではないでしょうか。特にすごいことが何か新しく思いつくということではなくて、いかに着実にしっかりと実施できるかということと、それから、常に検証をしながら、フォローアップしながらより改善をしていくということではないのかなというふうに思います。

 根幹的に、大学入試を含めた教育のシステムに大きな問題があることは事実として認識をしております。

下村委員 メニューは出そろってはいないと私は思います。教育基本法が改正をされた中に、それまでなかった例えば家庭教育、教育における第一義的責任は保護者にある、親にあると。例えば、こういうふうな改正教育基本法もまだできて数年しかたっておりませんし、新しい教育理念のもとにどうするかということがまだまだ具体的に見えていない部分がたくさんございます。

 しかし、これだけ時代変化の厳しい中、より新しい時代にのっとった、そして、新しい時代の中で幸せに生きていくための教育はどうするかということを日々積極的に対応していくように努力をしていかなければならないと思いますし、その中でこの高校無償化法案というのは、財源さえ確保されれば、これは望ましい方向性であることは事実です。しかし、その財源がない中で今こういう、あるいは我々からすると中途半端な部分がたくさんある。これは予算委員会でも御指摘を申し上げましたけれども、そういう部分があるわけでございます。

 しかし、無償化だけに特化するわけではなくて、先ほど申し上げた大学入学試験もそうですけれども、例えば六・三・三・四制の問題ですね。公私間格差の問題も御指摘をしたことがございましたが、私学について、十一万八千八百円については、公立高校と同じように授業料については奨励費として出す。しかし、例えば私立中学校、これは一切出さないわけですよね。同じ子供であっても、私学中学から私学の高校へ行ったら今度は十一万八千八百円軽減される。それは義務教育と義務教育じゃないというような線引きをされておられますけれども、そういうことを含めて、では高校、九八%ですからもう準義務化みたいなものですよね。そのことを考えると、六・三・三・四制あるいは義務教育そのものについての枠のとり方、あるいは年数のとり方、もっと五歳ぐらいから始めてもいいのではないかという議論もあります。

 こういうことも含めて、あわせて本質的な教育改革議論としてしていく必要があるのではないでしょうか。いかがですか。

川端国務大臣 メニューが出そろっているというのは、こういうことが問題で、こういうことをやるべきだというメニューであって、具体的な手法はまだまだ工夫の余地がいっぱいあることは事実でございます。

 そういう中で、建前の話になりがちなんですけれども、義務教育はまさに義務教育ですから、小学校、中学校を公ですべてを受け入れるという義務を負っているという意味で、それを超えて、もっとある種の自由な教育方針、特別の教育方針を持って私学に行っている子供そして親は、それは自分の選択だからという理屈の整理をされております、今までの議論は。それは一つの理屈としてはあるんだと思います。

 ただ、実際に高校に至りますと、私学が約三割の定員を支えていただいて、役割を果たしていただいている存在であることは間違いがありません。そうすると、その義務教育の部分と何かギャップがあるというふうな御指摘もいただいております。そして、現実にいろいろ学校で児童生徒が、あってはいけないんですが、いじめに遭ったり不登校になったりして、環境を変えるためを含めて私学にかわったということで、決して経済的に裕福でないのにという方がおられることも事実であります。

 そういう部分を含めてきょうの先生の御議論は、本当に教育の根幹に立ち戻って、日本のこれからの教育をどうしていくのかという問題意識と御提起だと思いますので、個々の個別の政策を超えた形を含めて長期的な議論をしっかりと我々もしていきたいし、また御指導もいただきたいというふうに思っております。

下村委員 ちょっと勘違いをされた答弁ではないかと思ったんですが、私が問題提起をしているのは、高校における公私間格差をもっとさらに是正すべきであるという視点を持ちながら、一方で、中学校については、義務教育だから一切そういう、私学助成はありますけれども、公私間格差という前提で今回の高校のような形は考えない。これは義務教育であるということで切っているわけだけれども、そもそも、高校についても準義務教育化になるわけだから、本質的に子供にとっては、中学生、高校生であっても、それぞれの段階でこのときにはこれだけ助成しますよ、このときはしませんということではなくて、教育という視点から見たら、トータル的にどうバックアップするかということを制度設計として考えるべきではないか。つまり、積極的に私立の中学生の生徒に対しても考えるべきではないか。こういうふうに申し上げたわけでございます。

 大学入試のあり方とか、それから六・三・三・四制、それから義務教育、この問題はある意味ではすぐ解決できることではないかもしれません。少なくとも一年か二年かはきちっと議論して国民的なコンセンサスを得る方向性をつくっていく、そういう政策的な合意を図っていく努力は必要だと思います。

 最初に戻りますけれども、しかし、高校無償化法案というのは、政府としては四月から実施を予定されておられるわけでしょう。だとしたら、とりあえずことしの四月からスタートするとしたら、その時点ですぐ無償化における成果、効果、目的、これはやはり明らかに高校生たちに、自覚の問題じゃないですよ、システムとしてこれだけの税金を投入するわけだから、高校教育はこれだけよくなります、これだけ内容がよくなります、例えば高校中退が七万近くいますけれども、これをどの程度減らせるかとか、そういう数値目標をきちっとつくってやらなかったら、それはまさに事業仕分けじゃありませんけれども、費用対効果として具体的な目標をつくるということは大切なことなんじゃないですか。そのことを申し上げているわけです、抽象論ではなくて。それはいかがですか。

川端国務大臣 無償化の、抽象的だとおっしゃいますが、これは、こういう国の形として公教育をここまで支える国であるという大きな教育のインフラ整備でもあるというふうに思っております。御指摘のいろいろな効果に関しての数値目標等々は、これからもそういう御指摘を意識しながら、効果がしっかりあらわれるように努力をしてまいりたいと思っております。

下村委員 時間が参りましたので、とりあえず、午前中の私の質問は終了させていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 自由民主党の馳浩です。

 下村委員に引き続きまして、高校無償化法案についての質問をさせていただきます。

 三月一日、北教組の問題で、私も予算委員会で質問いたしましたが、残念ながらその後に逮捕者が出てしまいました。そのとき、教育公務員特例法の法改正、つまり罰則の適用について必要ではないかと私が指摘をしたことに対して、鳩山総理はこういうふうに答弁しておられました。

 法令遵守というものを徹底させるというのが一つあると思います、その法令遵守で十分にそれが行き届いて改正されるのかどうかということがあろうかと思います、それが必ずしもそれだけでは十分でないというときに、法令の改正というものの必要性があるのかどうかということも、これは川端文科大臣に検討させていく必要があるのではないか、この透明化を図っていくためにもっと徹底して行わなければならないことがあろうかと思いますので、文科大臣に検討させてまいりたいと思いますという答弁を鳩山大臣がなされまして、その場で川端大臣に検討が指示をされたというふうに私は認識をしておりますが、それでよろしいですね。

川端国務大臣 その後ろに私もおりましたので、そういう認識で結構でございます。

馳委員 そして、先ほど下村委員も指摘しましたように、逮捕者が出た翌日に北教組から出たコメントが、不当逮捕である、組織弾圧である、組織を挙げて徹底的に闘うというコメントであったこと、また、北教組内の一部の支部においては、これまでと変わらぬ活動を継続するという文書が流されております。

 残念ですよね。せっかく国会で真摯に、総理も大臣も答弁をいただいた、検討が始められようとしているにもかかわらず、私の質問の後に逮捕者が出た、それに対するコメントとして、現場の北教組からは、不当逮捕だ、組織弾圧だという指摘がなされた。日教組も困っていると私は思いますよ、本音で言えば。だって、日教組はおわびのコメントを出したんですから。

 したがって、私は、あのときに原口大臣もおっしゃいました、鳩山総理もおっしゃいました、川端大臣もおっしゃいましたが、法令遵守は当たり前、そして、透明性が必要だという私の指摘について、検討するとおっしゃった。まさしく今が検討する、そして法改正を視野に入れる段階であり、ことしの七月には参議院選挙が行われます。組合ぐるみで資金の面倒を見る、組合ぐるみで動員の面倒を見る、組合ぐるみでポスターを張ったり戸別訪問をしたりポスティングをする、このことの実態が明らかになってきている中で、やはり法改正をし、一定のルールはつくる、こういう姿勢が必要なのではないんですか。そこなんですよ。私が指摘をし、日教組に引き続き北教組も、これはやはりみずからの活動を改めていかなければいけないという殊勝な、真摯な姿勢が示されれば、私も今これ以上突っ込むのはやめようと思っていましたが、現場は違うんですよ。

 この実態を踏まえて、この国会で一定の、疑惑を指摘され逮捕者も出したその団体を今後どう扱っていくかということについて、この国会においてやはり一つの決着を図っていかなければいけないと私は思っていますし、我々自由民主党も法案を準備し、きょうか来週にも提出をするところです。同じ土俵にのって議論をいただきたいし、当然、現場を熟知する文部科学省としても、ぜひこの議論にのっていただきたいと思っているんですよ。大臣の答弁を求めます。

川端国務大臣 お答えいたします。

 教育にかかわる団体という意味で、教育現場における、子供たちも含めて、父兄、国民に対して大変な不安と動揺を与えた今回の事態は極めて遺憾なことだというふうに思っております。

 ただ、文部科学省が直接に監督指導するという立場ではないという法的な位置づけがありますから、この団体がどうこう言ったことを今の立場でいいとか悪いとかも申し上げられないことだけは御理解をいただきたいんです。

 今おっしゃいました部分は、そういう意味でも、先ほどから申しておりますが、今回、いろいろな資料もいただきました。そして、一連の報道での疑惑も報じられております。したがって、教育現場において教育公務員が法令違反をしているのであれば許しがたいことであるということで、まずはそれをしっかり確認したい。何となくそうではないかということだけでいろいろな対処をすることは行政の性格でいえばしてはいけないことだと思いますので、まずそれを要請いたしました。

 それを踏まえて、今の教育現場がどうなっているのか、そしてそういうことを起こさないためにはどういう手法が必要なのかという中の一つに十八条二項というものも位置づけられるものだというふうに私は理解をいたします。

 ただ、昭和二十九年でしたか二十八年以来、さまざまな議論で議員立法で追加をされ、その間もまたいろいろなところで出そうとして出せなかったり、出してうまくいかなかったりという経過の議論もあることも事実でございます。

 目的は、教育現場がいかにより政治的中立、安心して教育が政治的中立の環境の中で行われることが確保できるかという目的であることは一緒でありますので、そういうことを含めて、総理の指示もございますので、検討に着手したところでございます。

馳委員 検討に着手したということで、第一歩として、私は既に大臣に墨消しのないファクスを提出いたしました。その結果、いかがでしたか。

川端国務大臣 いただきましたので、三月二日に、その資料を添えて、北海道教育委員会及び札幌市教育委員会に事実関係を詳細に把握するようにという調査依頼をいたしました。今、結果を待っているところでございます。

馳委員 私も、現地調査に行きました折にこれを提出いただいた教員とのパイプがございます。違った意味で恐れおののいているということを皆さんにもお伝えしておきます。組合員が教員としてこういう資料を自由民主党の私に提出するという決意がどういうものかというのは、皆さんならおわかりいただけると思います。同じ職場にいるほかの組合員からどういう仕打ちを受けるのかという恐怖でありますよね。

 したがって、彼が言っていたのは、この程度ならという一言があったことを改めて皆さんにもお伝えしておきます。つまり、日常的に選挙活動の指示にまでかかわる、まさしく法令違反としか思えないような資料が学校機材を使ってやりとりをされ、勤務時間中に学校施設内で会議が行われている、常態化している、そんな中で、この程度ならということで資料を提出いただいたんです。

 そのことを踏まえて、北海道教育委員会だけではありません、全国の都道府県の教育委員会を通じて、法令違反のないように、法令の遵守、そして教育公務員特例法第十八条に、そして人事院規則にありますように、特定の政党を支持するため、あるいは支持しないために活動することは教育公務員は許されていないんです。しかし、罰則がないんです。だから、やりたい放題に現場がなっている。

 そして、組合員も被害者になっています。上部から指示が来れば従わざるを得ない、従わないと人事にかかわるかもしれない、従わないと部活動の、顧問として部活動を担当していると、対外試合の相手にもなってもらえない、これが現場の教員の私に対する証言でした。そんなことは、いじめというんですよ。優越的な地位を使って、支配下にある方に対するいじめというんですよ。

 これが教育現場における実態であるということを私はお伺いして、組合活動は法律上認められています。組合の政治活動も認められています。しかし、その美名のもとに、いかに多くの組合員が自分の時間、自分のお金を犠牲にして活動させられているのかという、このことに私たちは大きな憤りを持つとともに、是正を求めていかなければいけない。

 そして、その第一歩として、やはり国家公務員並みに、教育公務員も聖職者であるんですよ、道徳心を教え、規範意識を教える立場にある者として、これは是正されなければいけないし、法改正によって罰則も検討されなければいけないんですよと、このことを私は指摘しているんですよ。

 もう一度、大臣の答弁を求めます。

川端国務大臣 御趣旨は理解をいたしております。

 そういう中で、やはり一番大事なことは、こうした教育公務員特例法が罰則がないからやりたい放題し放題をしているという疑念をお持ちのこともよくわかります。そして、そういうことを示唆するのではないかという証言や資料も提示をいただきました。

 したがいまして、本当にそうなのかそうではないのか。今言われたように、非常にセンシティブな状況にあるということも理解をいたします。そういう中で、厳正中立な立場として、教育委員会において、具体的な指示として、こういう報道があるけれども事実か、こういうオルグとか選挙専従とか、いろいろ御指摘をいただきましたが、個別具体に、こういうふうな指摘があるがそれが事実かどうかというふうにまで指示をして、調査を今させております。

 まずは、その調査の中で具体にどう出てくるのかということを踏まえて、御指摘のように罰則がないのをいいことにやりたい放題という実態なのか、現実にそういうことがどの程度行われていたのか行われていないのか、まずはその事実をしっかり踏まえる中で、先ほど申し上げたように対処してまいりたいというふうに思っております。

馳委員 資料二をごらんください。

 これは、いわゆる学習指導要領違反であり、職務専念義務違反ということでありまして、十二ページもありますから、まず一枚目をごらんください。波線を引いて(一)から(五)まで、ここが私はちょっと気になったところで、今から指摘します。読みます。

 (一)「学校から「日の丸・君が代」を排除することを基本に」、(二)「「これまでの取り扱いを変えるものではない」との道教委回答を引き出し」、(三)「校長交渉」、(四)「約二割の分会が反対の意志を貫く」、(五)「修礼の排除は前年度を上回る」。こういう学習資料、そして上部からの指示書を出して、教育公務員としての職務専念義務違反、また学習指導要領に明確に違反することを指示しているんですよね。

 細かく読んでいきますと、極めて巧妙になっていて、物理的な抵抗をしないとか、保護者を仲間にするように配慮するとかですね。非常にまじめな学校の先生で組合員であるとするならば、このまま従えば、なるほど、元組合員であった教頭、校長と、また元組合員もいる教育委員会の職員ともなあなあでやっているというふうに指摘をせざるを得ない、そういう資料なんですよね。

 渡辺総務副大臣にもお見えいただいております。

 この資料二についてのさらに具体的な指摘は後ほどいたしますけれども、私は原口大臣とも予算委員会でやりとりをさせていただきました。

 こういう組合というのは、地方公務員法において人事委員会に交渉団体として登録されている。その登録する要件として、活動の透明性、また法令遵守、これが担保される、これを一言で言うと適格性ですよね。その適格性を確保するために収支報告書の提出とか、その収支報告書が正しいかどうか監査人を選定しチェックしてもらう。万が一虚偽があったりあるいは間違いがあったりした場合に、是正しなさいという勧告とか、あるいは、これはけしからぬよという命令とか、余りにもひどいから登録を一時停止しますよとか、それだけ言うことを聞かないんだったらば登録抹消しますよ、こういう規定がないんですよ。

 原口大臣もこうおっしゃいました。法令遵守は当たり前です、それが守られていない、透明性がよくわからないという状況であるならば考える必要がある、こういうふうに段階を追っておっしゃいました。

 今までの経緯を渡辺副大臣もお聞きだったと思います。私と川端大臣のやりとりも。そして、これはあなたにお聞きをするということは、教職員組合の問題だけではなく、こういった登録団体としての組合活動にも踏み込む大きな社会的な問題であるとも私は自覚をしています。これを踏まえての現状を御答弁いただきたいと思います。

渡辺副大臣 三月一日の予算委員会の席で、馳委員と原口大臣がこの職員団体の登録制度の適格性について御議論されたことはよく承知しております。

 当然、職員団体の登録制度は、構成員の範囲ですとか、規約の作成、変更や役員選挙の方法など、適格性を判断する観点から、現状記載をする要件が定められております。

 今、委員と川端大臣のやりとりというのは、私自身もよく認識を共有できるところはあるわけでございますが、総務省の一員として、所管するところではございませんので、なかなかすとんとした答弁ができなくて申しわけないんですけれども、この点については原口大臣の考えもぜひ私自身聞いて、どういう思いで答弁されたんだかということも確認をしたいと思います。

 いずれにしても、透明性を高めるということ、また適格性が備わっているということは当然のことでございまして、また先ほど川端大臣が、今調査を命じているというふうに答弁されておりましたけれども、現状どうなっているかということについても注視をしていきたいなと。その報告を待って、また川端大臣にも御指導いただいて、現状を把握したいなというふうに思っております。

馳委員 渡辺副大臣には一言だけ、原口大臣の答弁を申し上げておきます。法令を破ることは絶対あってはならないと。

 この姿勢で、まさしく政務三役として、法令を破っている現実がある、それを破ってはならないというふうにするためには、まずは活動の透明性が必要であり、それを担保するために、活動するためにはやはり資金が要るわけですから、その出入りが必要であり、その収支報告書、会計帳簿、領収証等、確実なものなのかどうかという確認作業はやはり必要ですよね。それが特に官公労、公務員の組合である以上は、やはり立場上、政治的な中立は、これは教職員組合ばかりではなくどの組合にも言われるところでありますから、それを担保するためにも、法令遵守を絶対するためにも、まずは事実関係が国民に対して明らかになっていなければなりませんよね。私は、原口大臣の答弁のこの一言にはこういう意味が含まれているというふうに理解しているんですよ。

 あなたも政治家として私の指摘はもっともだなと思いますか。

渡辺副大臣 疑念を持たれるようなことがあってはならない、透明性と公開性をやはり旨としなければいけないということは、まさに原口大臣も私も同じ思いでございます。

 いずれにしても、この登録のあり方については、その趣旨、歴史的な背景を踏まえた慎重な検討が必要でありますけれども、また原口大臣とも、ぜひいろいろ三役の中で認識を共有していきたいなというふうに思っております。

馳委員 渡辺さんらしくないな。今まで一生懸命、こういった法令遵守、透明性、あり方、こういうことを指摘したあなたである、また原口さんであるならば、今事件が起きたわけですよ、そして私たちは疑いを持たざるを得ないわけですね、報道によって。したがって、行政の方みずからがこの法令遵守について、やはりみずから公開性を高めていこうという姿勢を示すことの方がより民主党らしいと私は指摘して、渡辺副大臣には、もうこれで結構ですから、お引き取りいただきたいと思います。

 さて、高校無償化法案で、きょう私は朝鮮学校の問題について集中的に取り上げさせていただきます。

 まず第一に、ちょっときょうは逐条審査みたいな形になりますが、お許しください。第一条の目的、「公立高等学校以外の高等学校等の生徒等」に言う「生徒等」は、日本人と外国人と両方含んでいるのでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 本制度は、高等学校の教育費について、我が国の社会全体を支えることを趣旨としておりますので、我が国に所在する高等学校等に在籍する生徒であって、我が国の社会を構成する者について、国籍を問わず支給対象とすることにしておりますので、第一条の「教育の機会均等に寄与する」とは、日本人及び外国人を対象としております。

馳委員 私の質問の二番目にも今お答えになりましたね。議事録に残さなきゃいけないので、私は二点目も言います。

 つまり、第一条の「もって教育の機会均等に寄与する」とは、対象は日本人と外国人と両方含むのですかというのが二番目の質問ですが、今答弁されました。含むんですね、国籍を問わず。

 では、三点目にいきます。

 第二条の五、「専修学校及び各種学校」の中に朝鮮学校は含まれるのでしょうか。四千八百人の予算の積算根拠の中に含まれているのでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 予算案においては、専修学校などのうち、高等学校の課程に類する課程を置くものということで、要するに、高等学校の課程に類する課程というものをこの法律の高校の対象として加えるということにしておりますので、高等専修学校、専修学校の高等課程とあわせて、各種学校ではあるけれども、制度上、専修学校から適用除外されている外国人学校の高等課程部門を算定の数字として入れました。

 したがいまして、四千八百人の予算の中には、専修学校の高等課程と、各種学校の中の外国人学校の高等課程に該当するものというのを入れて四千八百名が積算されておりますが、ただ、これは実際に、どのいわゆる外国人学校が対象になるかはこれからの議論でございますので、積算に入れているということが自動的に対象になっているというものではございません。

馳委員 もう一度言います。

 朝鮮学校は積算根拠の中に入っていますね。

川端国務大臣 今申し上げましたように、各種学校の中の外国人学校で高等課程に類するものを入れましたので、それに該当する朝鮮人学校は積算の中には入っております。

馳委員 そこで、同じく「高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるもの」とあります。省令の基準というものは、私は普遍的であると思っています。政治状況、外交、安保、社会情勢に、その時々において省令というものがゆがめられてはならないと私は思っています。

 この省令で定めるものは、まだ対象は決まっていませんね。決まっていますか。決まっているか決まっていないか、まずこの点を御答弁ください。

川端国務大臣 省令でございますので、法律成立後に定めるということでありまして、予算委員会のときに下村委員からも議論のたたき台は出すべきということでありますし、また、きょう以降の議論でいろいろと御答弁申し上げたいと思いますけれども、そういう意味でも、国会の議論も踏まえることも必要であろうと認識しておりますので、現時点で決まってはおりません。

馳委員 そして、私の質問の本質的な部分、やはり普遍的であるべきだ、政治状況、社会状況、外交状況、こういったことに教育の現場が左右されてはならないんではないんですかというのが私のこの質問の本音です。

 普遍的であるべきだと私は思っていますが、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 私も、この省令で定めるときの基準はたった一つでありまして、高等学校の課程に類する課程ということが基準でありまして、その判断としては、先生御指摘のように普遍的、客観的に評価されるというものであるべきだと思っております。

馳委員 関連して、朝鮮高校を排除すると鳩山総理や中井大臣が示唆をする発言をしておられます。民族教育を差別するおつもりですか。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、その学校教育施設が高等学校の課程に類する課程であるかどうかを判断するということだけを物差しとして決めていきたいと思います。

 総理もいろいろな論点があるという中のことを御意見として申されたんだと思いますし、中井大臣は担当のお立場としての思いを述べられたんだと思いますが、所管する立場としては、委員御指摘のとおり、普遍的に、別の言葉で言えば客観的に基準で判断をするものだと思っております。

馳委員 質問に答えてはおられません。

 我が国の文部科学大臣である川端達夫文部科学大臣は、民族教育を差別しますか、しませんか。

川端国務大臣 民族教育は、民族それぞれにとっての固有のものであり、それは意味のあることであり、それは、やることを差別することは毛頭考えておりません。

馳委員 鳩山総理と中井大臣の当委員会への出席を求め、その発言の真意をただしたいと思っておりますので、委員長にお願いをしておきたいと思います。

田中委員長 その件については、また後日、後に相談をしたいと思います。

 質問を続けてください。

馳委員 次に、関連して、朝鮮高校を排除するということは、拉致、ミサイル、核問題があるから外交的に除外をするという方針なのでしょうか。

川端国務大臣 何か朝鮮学校を排除するという論点からのお尋ねでありますが、朝鮮学校を排除するという立場でこの問題を検討し、議論していることは一切ございません。

 何度も申し上げますように、その学校が高等学校の課程に類する課程であるかどうかということを普遍的、客観的に判断するという立場で決めてまいりたいと思いますので、今御指摘のような問題は判断の対象ではございません。

馳委員 朝鮮高校を除外するということは、日本と国交がないから除外をするということになるのでしょうか。私は、これは川端大臣に聞く質問でないということはわかっていて質問しているんです。だから、こういう発言が公式にマスコミに対してある以上、鳩山総理やあるいは中井大臣をお招きして真意をただす必要があるというふうに思って、あえてこの場で川端大臣が答弁しづらいだろうなという質問を今しているんです。

 いいですか、もう一回言いますよ。朝鮮高校を排除するということ、これは日本と国交がないから排除し、差別しようとするんですか。文部科学大臣に答弁を求めます。

川端国務大臣 そういうことで学校の対象を決める基準にするつもりは一切ございません。

馳委員 先般、朝鮮学校を視察させていただき、そのときいろいろな方にお声をいただいてまいりましたので、その証言に基づいて質問をいたします。

 在籍する半数は在日韓国人である。しかし、そのうち何人が朝鮮籍から韓国籍に変更したかということを文部科学省は把握しておりますか。この事実をどう思いますか。

川端国務大臣 きのう、御視察いただいた方から、半分半分ぐらいで朝鮮籍と韓国籍がおられるようだというのは、調査の結果として、行かれた委員からは伺いましたけれども、その詳しい中身とか事実関係は承知をいたしておりませんので、国籍をどう変わられたかというのは全く承知をしておりません。

馳委員 やはり私も、現場に行っていろいろな立場の方にお話を伺って本当によかったと思っていますので、その証言に基づいて引き続き質問をいたします。

 朝鮮学校は朝鮮総連の傘下にあり、朝鮮総連が朝鮮学校の人事権、財政、学校の方針を指導し、主体思想、この方針を現場において教育しているということをどう思いますか。そして、このことを文部科学省は把握しておられましたか。

川端国務大臣 事実関係は把握いたしておりません。

馳委員 朝鮮学校のあり方を判断する上において極めて重要なポイントだと私は思って、この証言をいただきました。

 把握をしておりませんという今ほどの答弁でありましたが、今後こういう問題について把握をしなければいけないと思っていませんか。それとも、そういうことは把握をすることができないので、把握をする必要がないという答弁をされますか。大臣の政治家としてのお考えをお述べいただきたいと思います。

川端国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、各種学校の中の外国人学校、そしてその中の高等課程の学年におられる人の学校が高等課程に類する課程であるかどうかを判断するということでございますので、朝鮮学校の今言われたようなことは、もともと各種学校は都道府県の認可でやられている学校でありますので、調べる立場でもないと同時に、我々がその中身をどうこうする、今回の無償化のことに関して言えば、そういうことは考えておりません。

馳委員 引き続き、視察でいただいた証言から質問したいと思います。

 朝鮮高校を卒業して、そのうち何%が朝鮮大学に進学をしているのか御存じですか。そして、朝鮮大学を卒業して、朝鮮総連など北朝鮮の組織の一員となっているのを御存じでしょうか。したがって、北朝鮮の指導陣の養成学校となっているというこの現状を御存じでしょうか。

川端国務大臣 事実関係を承知いたしておりません。

馳委員 事実関係を承知しておられないのは、現状の我が国の法体系から当然だと思っています。しかし、今後、こういう問題について、教育の内容あるいは教育の環境整備、こういったことにかかわってくる問題でもあります。

 もう一度、大臣。知らないはずです、調べようとすることは多分法律上できないと思います。しかし、このままでよいんですかねということを私は実は、政治家として、政務三役という立場においても、政策の決定権が最終的に与えられている以上、そういう現状のまま、知らぬ存ぜぬのままでよいのでしょうか、このことを大臣に質問したいと思います。

川端国務大臣 法体系上、制度上、調べる権能もございませんと同時に、そういうことに関心がないのかというお問いかもしれませんが、各種学校として認められた学校においてどういう教育がされるかは基本的には自由でございます。

 私たちは、この法案に関して申し上げれば、くどいようですが、高等課程に類する課程のものであるかどうかというのを普遍的、客観的に判断するという点のみで議論をしてまいりたいと思っております。

馳委員 では、お伺いします。

 朝鮮学校の教育課程や内容を文部科学省は確認できるのでしょうか。各種学校として認可している東京都に確認しようと思えばできるのではありませんか。視察も受け入れているということでありますし、私たちも行ってまいりました。確認できるのではないですか。

 高校段階においては東京都から六百五十万円の補助金ももらっているので、その使い道についての収支報告もしているということでありましたし、これはまさしく、都議会において議論の上、ちゃんと使われているかどうか確認することもできるんですよ。

 したがって、文部科学省は確認しようと思えばできるんじゃないんですか。

川端国務大臣 もう御承知の上でのお問いでございますが、朝鮮学校を含めて各種学校に関しては、文部科学省としては教育内容を把握する権限はございません。

 東京都から聞けばいいではないかというお話でございましたが、先ほど申し上げておりますように、個別具体の現実をどう把握するかではなくて、普遍的、客観的に高等課程に類する課程を置くものと判断できるという基準を今議論しているところでございます。

 加えて申し上げますと、都道府県は所管庁として、その学校に対しての、書類の提出を受けているという仕組みになっておりますけれども、先ほどと同じですが、提出をしなかったときの罰則規定はございません。立ち入りの調査権限もございません。したがって、例えば東京都から手に入れたとしても、それが制度的にまさに普遍的、客観的に担保されているものではないということに結果としてはなるのではないかと思いますが、基本的にそういうことを想定いたしておりません。

馳委員 だからこそ、こういう委員会審議をして、あなたに参考にしてもらいたいと思って私は現場の話を言っているんですよ。つまり、教育内容とか教育環境についてとか、そういった教育条件についてとか、把握しておく権限が文部科学省にあった方がよいのではないですかということを私は今あなたに質問しているんですよ。

 権限は今ないんですよ。皆さん、改めて言います、今ないんですよ。調べることはできないんですよ。調べることを文部科学省ができないんだから払うことはできないというふうな論法をあなたにとってほしくはないから、私はこういう嫌らしい質問をしているんですよ。

 教育内容について、あえて言いましょう、今回対象とする専修学校や各種学校について把握できるようにしておく権限を持てばいいじゃないですか。そうしたら、私たちは何もこんなことで、朝鮮学校に対して、私はきょうは非常に失礼な質問をしていると自分でも思っているんですよ。ここまで、現地視察に行って、保護者から話を聞いて、公開の場であなたに対してこういう失礼なことを質問することはないんですよ。

 権限を持てばいいんじゃないんですか。ましてや、今回、高校無償化は政府の責任において、そして対象とする私学等々は、これは代理受領となりますけれども、お出しをする話でありますから、そんなことで負担を都道府県や自治体や学校法人に与えてはならないと私は思っていますよ。

 だから、わかるようにしておけばいいじゃないですか。今、権限ないんですよ。大臣の答弁を求めます。

川端国務大臣 お答えいたします。

 失礼な質問とは思っていませんので、どうぞお気にされずに。

 何度も申し上げますが、高等課程に類する課程とみなせるということをどう判断するかということにかかっているんだというふうに思います。

 そういう部分で、この委員会の議論も踏まえながら、先生おっしゃるように、どういうふうにしたら客観的、普遍的に判断できるのかということも含めて、今、皆さんの議論も踏まえながら我々も検討しているところでございますので、御理解をいただきたい。全部を、全く排除するために何かをやっているのではないかということではなくて、真摯に議論をしておるということだけは御理解いただきたいと思います。

馳委員 二つ言います。私は、視察をした証言をもとに質問するというのは、やはり大臣に対してもちょっと失礼かなという部分と、もう一つは、朝鮮学校の経営者や朝鮮総連の皆さんに対しても失礼かなと思いながらも、でも、現場の話だからこれはちゃんとお聞きしなきゃいけないなと思っていることをまずお伝えします。

 高等学校の課程に類する課程を置くものとして今あなたは最終的に判断されようとしていますが、そのためにも、もう一回言いますよ、公開性、透明性が必要ではありませんか。今、文部科学省には、私が指摘したようなことについての、理解する、調査する、あるいは報告を求める権限がないんですよ。あった方がいいと思いませんか、なくてもいいと思いますか。

 もう一度言いますよ。あった方がいいと思いますか、なくてもいいと思いますか。なくてもいいなら、ないままに、高等学校に類する課程、これについての判断をされますか。私は、それはやめた方がよいなと思っていますよ。権限を持って、公開性、透明性のある中で最終的にこの省令を決定し、その判断を、普遍的な基準を国民に対して国会の場においてお示しいただくことの方が私は丁寧な法律のつくり方だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 後段の、客観的、普遍的に判断基準があって、そこで現実に審査をされて判断するということが国民の納得のできる仕組みであるということを目指していることは、全く私も同感でございます。

 ただ、そのときに、国が調査権限を持つということは、これは専修学校あるいは各種学校を含めた学校教育法における学校等々の位置づけの中でいうと、それぞれの認可の地位と、それに基づく管理監督権限というものが今はっきりと明示されておりますので、それを、このことだけをもって、そこだけは調査できる権限を持つということは、極めて体系的には難しい問題だというふうに認識をしております。

馳委員 では、調査という言葉を私は撤回しましょう。報告を求める、そして透明性、公開性を高めるということは必要なのではないんですか。

川端国務大臣 調査でなくて報告も、すべて法の体系のもとにやることは極めて難しいと思っております。

馳委員 現地視察でいただいた保護者の言葉をお伝えいたしたいと思います。

 現在、朝鮮学校に学ぶ保護者の本音としては、一部には、朝鮮総連の組織の支配下にあることに不信を持っている、このことを御理解ください。例えば、本当の在日の民族学校としようとして、言語や文化や歴史を教えるための教育改革活動がかつてあり、今現在もあるということを御理解ください。その過程において小中学校においては、教室の前面に、金日成前主席、金正日現主席の肖像画を外したんですよ。今、高等学校においてもこの議論があるということをまずお伝えしたいと思います。

 そして、朝鮮学校でチュチェ思想を教えていることについて、校長先生は強制ではなく学問として教えていると証言されましたが、このチュチェ思想こそが北朝鮮の政治体制、社会体制を支えているんじゃないんですか。そのことに保護者の一部が疑問を持っているということもお聞きをいたしましたので、この場で改めてお伝えいたします。このことについて文部科学省はどのように考えるのか。

 修学旅行には平壌だけに行っているそうです。ソウルに行ったことのある朝鮮学校はありません。民族教育であるならば、ソウルにも行ってもおかしくありません。韓国からの助成金はありません。あったらいいのにな、こういうふうな保護者の声であったということもお伝えいたします。

 こういう指摘が、現地調査の結果、証言としていただくことができました。

 そこで、大臣、朝鮮学校は北朝鮮本国においてどういう教育体系の中にあるのか。そして、それを文部科学省は確認することができますか。

川端国務大臣 事実を承知しておりませんし、確認する方法はございません。

馳委員 何度も言いますね。確認する方法がないんですよ、皆さん。ないんですよ。

 確認する方法があった方がよいと思いませんか、大臣。

川端国務大臣 あった方がいいか悪いかということではなくて、現実にないというのが事実としてあるということでございます。

馳委員 今、田中委員長がなぜちょっとお笑いになったのか、私は意味はわかります。

 私は今、この法案を審議する過程において、政治家として、政治家である川端大臣、また行政の長である大臣に提案しているんですよ。

 今、権限はないんですよ。わからないんですよ。私も知っていて質問しているんですから。だから、高校無償化法案、これに基づいて国民の税金が、日本人、外国人、分け隔てなく配分されようとしている今こそ、国民の税金の使い道についての透明性、公開性という観点からも、どういうところに出すんですかということを、政府の政策として出すわけですから、これを承知しておく。この外国人学校、教育体系は本国においてどうなのかということを把握するようにしておいた方がいいんじゃないんですか。確認できるようにしておいた方がよいんじゃないんですか。今、できないんですよ。

 では、あなたは、私の指摘に対して、確認できなくてもよい、確認できないんだから絶対しない。今ちょっと貧乏揺すりしましたね。動揺したんじゃないんですか。大臣にお聞きいたします。

川端国務大臣 事実として確認できないというのは御承知のとおりだというふうに思います。そして、いつの日か日朝が国交正常化ということになれば確認できるという事態になることも事実だというふうに思います。そういう中であるというのが現実としてあります。

 ただ、先ほど来先生が何度も御主張されているように、客観的に、普遍的に、そして透明性を持って国民に対して説明できるような制度設計にするべきであるという認識は、私も同感であります。

 ですから、確認すること自体はできないのが現実の中で、どういう基準でどういう判断をしたらいいのかを検討していると同時に、こういう場での、きょうの御議論も大変参考になりますけれども、踏まえて判断をしていきたいと思っているところでございます。

馳委員 今ぽろりとおっしゃいましたね。日朝国交正常化するまでは難しいなと思っておられますか。

川端国務大臣 いや、確認する手だてはないというのが現実であるときに、ちょっと正確には忘れましたけれども、先生の方から、確認する準備をしたらどうかというふうな趣旨の御発言があったので、それはそういう状況になったらこのルート自体は間違いなくできるという一般論を申し上げたわけでありまして、高校の無償化の制度にダイレクトに結んでお答えしたわけではございません。

馳委員 私は、日朝国交正常化すればという大臣の一言は委員会審議において極めて重いということをまず指摘したいと思います。

 では、それ以外の方法で高校の教育課程に類するものかどうか判断する材料として、私は一つお聞きしたいと思いますが、朝鮮高校の卒業生は日本の大学を受験できますね。受験を受け入れている大学は、現在何校ありますか。

川端国務大臣 大学入学資格は、学校教育法第九十条に基づいて、高等学校を卒業した者、または、文部科学大臣の定めるところにより、これと同等以上の学力があると認められた者というふうになっております。

 そういう中で、学校教育法の中の文部省令として、大学の個別資格審査により大学入学資格を付与する制度、大学が個別に資格を審査して認めてもいいという制度を省令でつくっております。そういう中で、各大学の判断で実施される個別資格審査により、朝鮮学校の卒業者が日本の大学を受験することは可能であります。

 受験を受け入れている大学は現在何校かということでありますが、朝鮮人学校に限りませんので、この制度という意味で申し上げますと、平成十九年度入試で、個別資格審査の制度を導入している大学は、国立七十九校、これは全体の九五%です、公立五十六校、七六%、私立三百十三校、五六%、合計で四百四十八校、全体の大学の中で六二%という状況でございます。

 それで、何人がこの資格で合格したかというのは、ちょっと調査として今数字をつかんでおりません。

馳委員 私は、これは質問通告してあったので、こういう具体の数字は局長にでも聞いた方がいいのかな。でも、これは初中局長じゃわからないよね。大学教育担当じゃなきゃわからないですからね。

 もう一回言いますね。つまり、今現在、朝鮮学校を卒業した、そしてそれを大学受験の資格として個別に認めて大学受験を受け入れている国公立、私立の大学は幾つありますか、こういうふうに私はお聞きしたんですね。そのことは把握しておられないんですか。

 もう一回言いますね。日本の大学を受験できますよね、学校教育法第九十条に基づいて。その受験を受け入れている、朝鮮学校卒業生もうちの学校を受験していいですよと、受かるかどうかは別ですけれども、その大学は現在何校ありますかという質問です。

川端国務大臣 朝鮮人学校の例えばA校とかB校とかあったときに、A校の人は受けていいですよという制度にはなっておりません。個々人です。

 ですから、個々人が、例えば朝鮮人学校あるいはほかの外国人学校を出る見込みの生徒が、A大学を受験したいというときは、資格審査をしてくださいという手続から始めなければいけない。高校と認定されていない学校はですよ。ということでありまして、そういう制度を導入している大学は合計で四百四十八校あるというのが先ほど申し上げた数字であります。平成十九年度入試ではそうでした。そして、国立大学は、現在八十二大学全部、個別資格審査の制度、要するに、個別資格審査を受け付けますよという意味では国立大学は全部今はなっております。

 そして、それを経て、試験を受ける資格ですから、受けて合格するかどうかはまたその本人の勉強次第でございますが、その中で、これは平成十九年度入試で、実際に入学した大学は国立七校、公立二校、私立二十八校の三十七校、入学した学生数は国立で二十三名、公立三名、私立二百十二名、二百三十八名でありますが、内訳として朝鮮人学校かどうかは把握をしていないというのが実情でございます。

馳委員 ありがとうございます。

 そうなんですよ。制度としてそうなっているので、大学側も受験資格を認めて朝鮮学校も受け入れることができるわけですよ。そうですね。だから、朝鮮高校は日本の高校の教育課程と同等と認められるという判断材料の一つになるんじゃないんですかということを私は指摘しているんですよ。

 だって、学校教育法は、大臣、省令も含めてあなたが判断しているわけでありますから。大学受験を受け入れているわけですから、日本の高校の教育課程と同等と認めているという、その根拠にはなるんですよ。このことをまず指摘し、時間もないので、最後の指摘をして終わりたいと思います。

 第四条第一項、「日本国内に住所を有する者」とありますが、どうして在外日本人には認めないんでしょうか。国内の外国人には認めて海外に在住する日本人に認めないのはおかしいんじゃないんですか。教育基本法第四条第一項の理念、「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」とあります。在外邦人の高校生には残念ながら認められない法律立てになっているんですよ、第四条第一項。もう一回言いますよ、「日本国内に住所を有する者」。

 そもそも、教育基本法の精神からすれば、この高校無償化法案をつくるときに「日本国内に住所を有する者」という限定をしたことは間違いではありませんか。これは、在外の邦人にとってみれば、何か置いてきぼりになったような気になると思いますね。

 教育基本法の理念、もう一回しつこく言いますよ。「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。」という理念であります。どうして最初から在外の日本人をこの高校無償化の法案の対象としなかったんですか。同じ日本人なのに、国内の外国人は対象とし、国外の日本人は対象としていないんですね。お伺いします。

川端国務大臣 法の仕組みはそうなっております。

 現在、高校相当の在外教育施設としては七校あると承知をしております。基本的には、この制度は、いわゆる学校教育法に基づく一条校、高等学校と、それの課程に類すると思われるものを対象とするという形で応援をするという法体系になっておりますが、海外の教育施設に関しては、いわゆる日本の法令に基づかないという立場になっておりまして、いわゆる国の公の関与ができないという中でありますので、法律的にこのように整理をさせていただきました。

馳委員 一言だけ指摘して、終わります。

 海外の日本人学校は日本の国の教育基本法やこの高校無償化法案の適用が及ばないということを今大臣はおっしゃったんでしょうか。とするならば、在外の日本人の教育についての機会均等とかまた条件整備について、文部科学大臣は、法律の及ばないところにあるから財源にしてもまた教育条件についても関知しないと言っているに等しいような発言だったんじゃないかなと私には受けとめられました。

 この点についてちょっと指摘をし、また、この法案審議は今後とも続きますので、こういった細部についても、今後私は大臣にも御理解をいただけるように、私が御理解をいただけるように求めるのはおかしいんですが、私が理解できるように大臣から答弁をいただけるようにしたいと思っております。

 もし答弁がありましたらお伺いをして、私の質問はこれで終わります。

川端国務大臣 先ほど申し上げましたように、いわゆる教育施設としては法の関与の及ばないところになっているということであることは御理解いただけると思います。

 ただ、在外子弟の教育は同じく日本人の教育にかかわる問題でありますから、いわゆるそういうところへの教師の派遣とかいろいろな教材の提供とか、そういう支援は今までも幅広く可能な限りやってきておりますので、そういう制度としては教育上大事だと思っていることは、そのとおりでございます。

 が、今回の法体系では、いわゆる高等学校というふうに認定するということに関しての学校教育法上の枠の中という整理をさせていただいたので、結果としてこういう形になっていることは御理解をいただきたいというふうに思っております。

馳委員 終わります。

田中委員長 次に、池坊保子さん。

池坊委員 おはようございます。公明党の池坊保子でございます。

 私は、先回に引き続き、先日提出されました高校無償化法案について質問いたしたいと思います。

 それに先駆け、先ほど来問題になっておりました北海道教組のさまざまな問題に対して、私はこれは大臣へのお願いでございます。ぜひこの問題を抜本的に解決するべく、これは今国会における文部科学省の最大テーマではないかと思っております。なぜならば、皆様もそうお思いになると思います。先生が、勉強を子供たちに教えないで、保健室で票集めをしている。生徒がそういう先生を信頼するはずはありません。保護者がそういうことを容認することはございません。これはだれが見ても私は当然のことではないかと思います。

 かつて文部科学省は、規範意識を醸成するための心のノートというのをつくりました。私は、いろいろな子供たちにこれはどう思うと見せましたところ、いいな、こんなこと僕たちが忘れているけれども思い出す、当たり前の日常生活の、人への思いやりとかいたわりとかエチケットとか、いろいろなことが書いてあると言っておりましたが、北海道に参りまして視察をいたしましたら、教員室に山積みされておりました。つまり、子供たちに教えていない。国旗・国歌の否定もこういうことから私は生まれてくるんだと思います。

 大臣は、調査する、今しているとおっしゃいました。その調査を受けて、毅然と何か手だてをなさるおつもりかどうかを、私も三十分で時間がございませんので、簡潔にお答えいただきたいと思います。

川端国務大臣 まずは、こういう事態を招いていることは極めて遺憾なことだというふうに思っております。

 そういう中で、いろいろ報道もされております。指摘もされております。そういう意味で、本当に何が起こっているのかということを今調査をさせておりますが、法令に違反する事態が万が一あれば、これは地元の教育委員会との連携をする中で厳しく対処するようにやってまいりたいというふうに思っております。

池坊委員 どうぞ強い決意を持ってこれに立ち向かっていただきたいと思います。法令に違反しなければいいというものでも私はないと思います。教師のあるべき姿というのがあると思います。教師はやはり使命や責任感を持つべきと思いますから、そういうことの指導もぜひともしていただけたらと思います。

 公明党はいつも現場を大切に、現場の声をしっかりと受けとめ、政策に反映していこう、これが私たちの方針でございます。なぜならば、法律というのは、それぞれの個人に多大な影響を与え、人生や生活や価値観やすべてを変えていくだけの大きな力を持っております。ですから、政策をつくるときは、法律をつくるときは、私たちは真摯に誠実に、それを受け入れる人たちにどういう影響が与えられるか、与えてしまうかを考えて私はつくっていかなければいけないと思っております。

 そういう意味では、一昨日、東京横浜独逸学園、東京都世田谷区医師会立看護高等専修学校、東京朝鮮中高級学校を視察してまいりました。

 私は、このような新政権における二大政策の一つである高校無償化が大ざっぱにつくられていきますことを、新政権を応援する気持ちからも、本当は憂えております。もっと丁寧にしていただきたかったという思いがするのです。

 どの学校を選ぶかどうかというのは省令で決める。当然、省令のトップは大臣でいらっしゃいます。禍根を残さないような私は判断をしていただきたいと思うんです。

 私が二〇〇三年、文部科学大臣政務官だったときに、初めて朝鮮学校を視察いたしました。そして、国立大学が受けられないのはおかしいと思って、受けられることに力を注いでおりました、その傍らで、税の優遇措置を省令でインターナショナルスクールだけにいたしました。私は、インターナショナルスクールに税の優遇をしたことを悪いと言っているのではありません。客観的、普遍的に、もっとほかにもするべき学校があったのではないか、そう思うのです。ですから、禍根を残すような法律であってはならないというふうに思います。

 私は、朝鮮学校に行き、保護者や子供たちや校長たちと話をしながら、この法案の中で、朝鮮学校は、私たち、ほかの学校と同じようにやはり無償化の対象になるべきというふうに考えました。何も私は朝鮮学校の回し者でも何でもありません。ただ一点は、私は次の世代に夢と希望を持っている。先回も申しました。環境を選ぶことができない子供たちにいい環境整備をするのは、今を歩んでいる人間の責任ではないか。

 それから二つ目には、ここは文部科学委員会です。教育行政を審議するところです。子供たちの視点に立って、大人たちの紛争や思惑やさまざまなことがあったとしても、いい二十一世紀のための教育にはどうあるべきか、それを私は判断の軸にするべきだと思います。そういう意味では、私は、三位一体で義務教育国庫負担金のときにも、いろいろな省庁がいろいろな意見を言いましたが、文部科学省、この部会は、教育行政の立場から判断すべきだとずっと主張してまいりました。

 先ほど大臣は、高校の課程に類する学校を客観的、普遍的に判断するとおっしゃいました。もちろん、すべてのことを御存じだと思いますが、再確認のために、私が見てきたこと、子供たちと話したことをお伝えしたいと思います。

 一つは、国交がないからというならば、台湾系の学校はどうなるんだろうか、これも国交がないよね、僕たちだけではないんだと。それから、学制は六・三・三・四、これは日本と同じようにやっている。

 教科書は何で日本のを使わないのと言ったら、文部科学省が出している教科書をもとにして、本国とは全然関係ない、自分たちのいい教科書をきちんと使っている。確かに大学は日本の大学に半数以上行っておりますから、その受験にたえられるカリキュラムでなければなりませんので、見ましたところ、朝鮮語が四こまあったら、国語も四こまありました。

 教科書の中には、確かに、朝鮮語で書かれているものは私には判断できませんから、どんなことが書かれているかということはわからないわけですけれども、先ほどお話が出たように、朝鮮籍の子供は四六%、韓国籍が五三%でした。あとの一%が日本国籍等です。私たちの願いは、南とか北とかではないんだ、統一されるということを願っている、だから、統一が私たちの教育の基本にあるんだと言っておりました。

 それから、子ども手当は十五歳まで僕たちももらえる、だけれども、教育において差別されるということは、私たちには何か理解できないのだと。そして、確かに、苦しんでいる、経済的に困難な両親の姿を見ているから、無償化、支援されることは大変うれしいと。でも、それ以上に、もし支援されなかったら、お金の問題じゃないんだ、僕たちがこの日本社会の中で存在を認めてもらえなかったんだ、そう思う気持ちが僕たちには大変につらいと。今までいろいろなことがあって、差別かなと思うことがあっても、僕たちは、日本社会の中で受け入れて、みんなと仲よくやってきた。だけれども、今ここで拒否されるということは、そういうことがつらいんだと言われましたとき、私は苦しみの連鎖というものを生んではならないというふうに思いました。

 御存じのように、サッカーだとかインターハイあるいは作文コンクール、こういうところに出て優勝したりもしております。そして、何といっても、国際社会においても、二月二十四日、ジュネーブで行われた国連人種差別撤廃委員会で、朝鮮学校の無償化対象外については疑念を表さなければならないと言われております。これらの、今国際社会の中にもあって、日本がどういう立場をとるかということをほかの国の人たちも見ております。そういう中にあって、私は、正しい日本の二十一世紀のあるべき姿を示すことが日本のためになるんだというふうに考えております。

 これらのことを勘案したときに、そして、先ほどございました、朝鮮総連の偉い人にも卒業生はなっているそうですが、民団の幹部にもなっているのが現実なんですね。ですから、彼らたちの建学の精神は何なのだと聞きました。埼玉や千葉から、定期代二万円もかけて通っているんですね。そんなに大変なのになぜかといったら、一つは、語学、言語、朝鮮語をやはり教えていきたい、文化を教えていきたい、そして民族というものを教えていきたいんだと。

 ある意味では、日本は今そういうものがなくなっているんじゃないかと思います。日本語というのは大切にされていますか。英語、英語と言われていて、日本語の大切さ、とかく忘れがちだと思います。そして、文化。日本にどんな文化があってどういう、それは長い歴史に培われてきた文化ですが、そういうことを知らない子供たち、国際社会の中で言葉だけしゃべればいいわけではありません。しっかりと自分自身のものを持っていなければいけない。そして、日本人のアイデンティティーなんて、私たち余り感じないんじゃないかと思います。

 私から見れば、先ほどもお話がございました、小中学校では教室にもう肖像画がないけれども、高校には金総書記の写真が今も飾ってありまして、違和感を感じるわと言ったら、私たちは創設の苦しいときに支援を受けてきた、だからその精神を忘れないためにここに飾ってあるのですというふうには答えていました。では国旗でもいいのね、韓国と朝鮮の国旗を掲げたらというふうに私は提案をいたしましたけれども、現実はこういうものです。

 そういう中にあって、大臣はどういうふうにお考えかを、もちろん御自分の意見を今この時期におっしゃれないとは思いますが、こういうことをお聞きになってどうお思いになるかを伺いたいと存じます。

川端国務大臣 お答えいたします。

 何年も政治家として、特に教育の分野で本当に長い間御活躍をいただいている先生から、御視察のお話を伺わせていただきました。

 民族教育、固有の文化や言語を含めた民族教育が、その国、国民の誇りであり大変大事なことであることは当然のことでありますし、私も尊重すべきだと思います。そして、それぞれの子供たちに負の連鎖をつないではいけないという御指摘もそのとおりだと思います。

 今回の法律の趣旨は、ここを入れよう、ここを排除しようというふうな立場で議論は一切しておりませんし、冒頭に何か、割に乱暴にか、ちょっと言葉は忘れましたが、やられたということでありますが、決してそうではありません。今我々も大変検討して議論しておりますのは、まさに高等学校の課程に類するというものであるかどうかを、先ほども馳委員とのお話でもありましたけれども、客観的、普遍的にどうして判断しようかと。

 例えば、高校の教科書を使い、それの年代の子供が通っているといったら、予備校とかそういうようなものでも、ちゃんとした先生が高校の中身を教えているとかあるわけですよね。それはもうだれが考えても高校ではないというふうに思うという部分とか、必ずしも中身だとか云々でない部分も議論するとありますので、どういう基準と判定方法で、高等学校に類する課程と、みんなにああそうかというふうに言っていただけるかどうかを今検討しております。

 御視察での貴重な御意見も、きょうもいただいておりますけれども、そういうふうな国会の審議も踏まえながら、慎重に、丁寧に、誤りなきように判断をしてまいりたいと今思っております。

池坊委員 川端大臣は大変まじめで真摯な方だと私はお見受けいたしておりますので、その大臣が、禍根を残さない、誤りない判断をしていただきたいと切に願っているから私は先ほどのことも申し上げましたので、そのようにしていただけると私は信じております。

 次に、経済的な負担だけすればいいわけではありませんよ、支援だけではございませんということを、私は先回の最後の質問でいたしました。ちょっと重複いたしますけれども、私、大切なことだと思うので、大臣、お聞きいただきたいと思います。

 平成二十年度の中途退学者は六万六千人。原因は、学校生活・学業不適応、それが四割です。中途退学者のうち、高校生活に熱意がわかない、授業に興味がわかない、そういう生徒の割合は二割です。一万四千人にも上っております。不登校児は五万二千九百七十七人です。大臣も、経済的支援だけすれば高校生がきっちりと楽しく学業生活が続けられるというふうにはもとより思っていらっしゃらないと思います。

 一昨日視察に参りました二番目の准看護師を養成する学校、私は、ああ、みんなを支援できるのかなと思って喜びましたら、この人たちの、中学卒業ですぐ入ってくる子供というのは数名なんだそうです。こういう人たちの平均年齢はどれぐらいだとお思いですか。二十八歳、二十九歳なんだそうです。つまり、社会人になった、だけれどもこれは自分の仕事に向かないんじゃないか、あるいは自分はそこで意欲を持てない、もう一度資格を取ろう、もう一度違う新たな人生にチャレンジしよう、そういう人たちが多いんですね。

 それからまた、高校の中退者も多いそうです。高校の勉強は好きじゃない、それで、だらだらとそこで学校に行ってしまって卒業しても、私は何の意味もないと思います。社会に貢献できる人材に育つわけがありません。そこで、その子供たちが中退したり不登校になったりしながらも、もう一度チャレンジしよう、そういってこの学校に行っているんですね。

 ところが、今、これは厚生労働省との連携をぜひとっていただきたいんですが、看護協会は、もう准看護師養成はやめて正看護師にしようと。正看護師というのは、御存じのように、高校を卒業しなければできないんですね。私は、こういう回り道、准看護師の免許をもらった人は、八割は正看護師になるんだそうです。また養成所に通うんですね。つまり、回り道をしながらも、回り道をして自分の目標に到着するような選択肢を、私は教育行政は示していかなければいけないというふうに思っております。

 ですから、私は、高校無償化と並列して、具体的に、内容、質の担保ということを考えていらっしゃるのか、ではそれはどういうことなのかということを簡潔にちょっとお示しいただきたいと思います。

川端国務大臣 この高校の無償化の仕組みとしては、いわゆる高校に行くあるいは高等学校の課程に類するところに行くということを支援するという意味では、若者がいろいろ勉強するのを幅広く応援するというのとは少し制度的には違います。

 そういう中で、先ほど二十八歳ぐらいが平均年齢だとおっしゃいました。そういう中の人で、年齢を問わず、中学校を出て高校に行っておられない方、あるいは中退して一年しか行っていない方とかという部分の三年間の分に関してはこの対象になりますが、幅広く、この学校へ行った人はみんなという意味にはそういう専修学校等に関してはならない。全体として、高校に行った人は既に高校教育を受けた人ということの対象であることは御理解をいただきたいと思うんです。

 今言われました看護師の養成等々に関しては、おっしゃるように厚生労働省との関係も含めての整理が必要であるというふうに思っておりますが、個別の議論ではなくてトータルとして、いわゆる若者が学校を出ても一年たったら随分たくさんやめてしまうとか、この前も日本経団連あるいは日経連のアンケート調査を見ていましたら、企業が欲しい人材のナンバーワンは、七割以上の採用担当の人が、意欲のある、熱意のある人間というふうに言っているんですけれども、その意欲と熱意を表現し切れない人材が多くて、それと、これになりたいという非常に職業意識を持った若者は、看護師さんでもそうですし工業高専でもそうですけれども、非常に意欲的に学んでおられるんですが、何となく、何になりたいかもはっきりしないという人は非常に多くいて、就職も苦労するという現象が今起きています。

 先生御指摘のように、やはり目的意識を持ってしっかり学ぶという環境をどう強化するか、そして、そういう意識をしっかり持ってもらうということは大変大事な視点だと思っておりますので、また御指導いただきながら、無償化とは並列するまた別な形としてしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

池坊委員 トータルとしてであって、今申し上げたのは、個別にこういう例もありますよということで私は提示しただけでございます。そういうようなことがいっぱいあったらいいですね、選択肢の一つとしてありますよということを申し上げたのです。

 それからまた、この高校無償化は、高校生の勉学を幅広く応援するための一つの道だとして高校無償化というのがあるんだと思います。高校無償化があるのでほかのことはないんだよ、別問題よということではないと思います。幅広く応援することの一つと私はとらえております。

 その中で、私は、例えば准看護師の方が二十五歳から入った、この人はどういう証明書をもらえばこの高校無償化の支援を受けることができるのでしょうか。つまり、これは年齢制限はありませんね。中学校を卒業して高校に行っていない人は三年間は支援いたします。ところが、統廃合で学校はなくなっちゃっているかもしれない。それから、その人間が高校生活を二年半した、では半年だけ応援するのか。

 それからまた、東京の都立新宿山吹高校を視察に参りました。ここの学校は、不登校の子供たち、だけれどもまたもう一度勉学したい、苦しんでいろいろな暗中模索しながら、勉学したいとすごく意欲に燃えている子供たちなんですけれども、こういう子供たちは三年じゃなくて四年かかる人もあります。でも、三年しか支援しないのですか。それからまた、途中、前の学校で不登校になっていたかもしれない、それが一年半だった。そうしたら次は一年半しかしないのでしょうか。この辺をちょっと教えていただきたいと思います。

 こういう基準をまだおつくりになっていないんだと思いますが、その個人にとってはとても大切なことなんですよ。そんな細かいこととおっしゃるかもしれませんけれども、これはその子にとっては、進学をそのまましていくか、勉学を途中でやめなくちゃならないかという大切な問題だと思いますので、ちょっとお答えいただきたいと思います。

    〔委員長退席、笠委員長代理着席〕

川端国務大臣 完全に正確かどうかはわかりませんが、私は高校には一年しか行っていないとかいうことは基本的には本人が申請をしていただくということでありまして、それで虚偽の申請をしたときは罰則が適用されるということであります。基本的には本人の申請主義ということでありまして、添付する書類云々ということはちょっと今事務的に答えられませんが、検討はしております。

 それと同時に、やはり年数はトータルとして三年ということは基本として持たせていただいております。

池坊委員 そうしたら、高等専門学校、五年制の学校がございますね。ここに行きますときには、三年までは援助する、ところが四年になったらもう援助できないよ。ここの家が大変生活が苦しかった。四年から、では引き続いてすぐ奨学金の給付等が受けられるシステムになっているんでしょうか。

 私は、ある意味では、三年間だけ面倒を見ますよ、四年はもう知らないよ。でも、一人の人間は五年間勉強していくわけですね。ですから、こういうこともきちんと手だてがしてあるのかと思いますときに、そういう手だてが余りないのは大変不安だと私は思います。いかがですか。

川端国務大臣 例えば工業高専なんかは五年制です。そういう部分で、いわゆる今回の趣旨は高校三年に相当する分ということですので、例えば高専に行かれた人は前期の三年分だけになっております。

 それで、家庭の事情等々いろいろある部分は、これはまさに二年分でいえば大学の年代になりますので、そこの部分は大学と同じようにいわゆる奨学金制度等々を御活用いただくという、そちらの世界に対応していただくことになります。

池坊委員 それでは、奨学金制度がきっちりと手だてできるようなこともあわせて考えていただきたいと私は思います。これは重要なことだと思います。一人の人間が学ぶときに、三年間でもう打ち切りだよ、後は何の手だてもないというのは、私はひど過ぎるというふうに思います。

 ドイツ学校に行ってまいりました。ドイツ学校にも三年間だけは支援するんですね。私、ちょっと、それもおかしいな。よっぽどこれは周知徹底し、どういう教育理念で三年間だけ応援しますということを伝えるのか。

 つまり、御存じのように、ドイツ学校は四年で一区切りです、初等教育。その後、九年あるんですね、中高一貫制で九年あるんです。そうすると、最後の三年だけなさるんですか。受ける父兄にしてみれば、百三十万の授業料、小学校のときに受けたかったわ、あるいは中学校で受けたかったわ。それが、小学校でも受けられない、中学校の六年間は受けられない、ところが突然、最後の三年間だけぽんと受けられる。これはきっと寄附と思うんだと思うんですね。これは国がやろうとしている理念というのがなかなか伝わりづらいと私は思います。

 もちろんこれは日本の小学校でも一緒なんですね。私立の小中学校は何にもない。中高一貫制に行っていて、中学校には何の支援もない、高校だけぼんと支援される。突然高校だけ支援されるというのも私には理解できませんが、この教育理念をちょっと教えていただきたい。ドイツ学校にどういう教育理念でお知らせになるんでしょうか。

川端国務大臣 ドイツの例を出されまして、ドイツの外国人学校が対象になったらという前提でのお話でございますが、確かに一年違うんですね。ただ、この年数は、当該学校と、どういう形の部分が一番適当か、基本的には三年であることは大原則でありまして三年を超えることはありませんが、その中で個別に協議をしてまいりたいと思います。

 ただ、ドイツは何年か後にはまた学制が、来年ですかね、変わるということでありますけれども、そういう状況を踏まえながら柔軟に対応せざるを得ないというふうに思っています。

 それと、小中学校の私立に関しては、いわゆる私学の助成等々での支援と所得の大変な人への奨学金制度は、それぞれ都道府県においてやっていただいて、財政措置を含めて支援をしているという形でありまして、先ほど御議論ありましたように、義務教育というものは公立ですべての受け皿を用意するという前提になっているということで、高校とは少し位置づけが変わっていることは御理解をいただきたいと思います。

池坊委員 時間が参りましたので終わらせていただきますが、この法律は、高校生に対しても、低所得者はもう既に減免措置を受けている人が多いので、子供たちには、そういう人たちには対象に、ああ、よかったなという思いはしないのです。むしろ入学金の補てん、それらのことにもしてほしいと思っているのが実情であるということを私は強く申し上げたいのと、ドイツ学校ではもう既に受けられると思っておりますから、きょうにでも保護者に私たちは通達したいと思いますというふうに校長さんは言っていらっしゃいました。

 申し上げたいのは、これは大切な、本当に一生懸命働いている方々の、納税者からの支援でございます。ドイツ学校、ほかの学校でも、ああ、これは日本の教育行政のこういう教育理念の中で私たちがもらうんだな、支援されているんだなというのがわからなければ、単なるばらまきになってしまいます。富裕層に聞きました、どうかと。それはお金をもらって怒る人はいないわよ、それはだれだってうれしい、でも、どういう理念でするのかと。理念が大切です。そのことをしかと、これからもう時間がありませんよね。これが悪法だったと言われないために、私は大臣のためにもそう思います。いい、いろいろなことを細やかに絶対に審議して、そして詰めていただきたいと願い、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

笠委員長代理 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 高校無償化法案の内容を充実する立場から質問をいたします。本日は、この無償化法案の外国人学校への適用問題と、高校の公私間格差問題、私学の無償化問題をお伺いいたします。

 まず、文部科学大臣に確認をいたします。

 この無償化法案は、法案第二条のとおり、「高等学校の課程に類する課程を置く」、日本にある外国人学校のすべてに適用する、こういうことでございますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 法案では、専修学校と各種学校については、高等学校の課程に類する課程として文部科学省令で定めるものということでございます。文部科学省令において対象を定める際の客観性を保持するために、高等学校の課程に類する課程として、その位置づけが、学校教育法その他により制度的に担保されているということを規定することと予定をいたしております。

 そういう意味から、自動的に外国人学校の高等課程に類するものすべてが今の時点で対象になっているということではありません。今からの議論にもよると思っております。

宮本委員 そこが大問題に今なっているわけですね。

 改めて聞きたいんですけれども、日本は、国際人権規約A規約、いわゆる経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約を一九七九年に批准をしております。子どもの権利条約も一九九四年に、あらゆる形態の人種差別撤廃に関する国際条約についても一九九五年に加入をしております。

 この人種差別撤廃条約では、その第五条で、「第二条に定める基本的義務に従い、締約国は、特に次の権利の享有に当たり、あらゆる形態の人種差別を禁止し及び撤廃すること並びに人種、皮膚の色又は民族的若しくは種族的出身による差別なしに、すべての者が法律の前に平等」という権利を「約束する。」こうして、「(e) 経済的、社会的及び文化的権利」、特に五番目には、「教育及び訓練についての権利」を挙げております。

 また、首相が施政方針演説で、段階的な無償化条項についてもその留保撤回を具体的な目標とすると述べられたまさにその国際人権規約の第十三条は、「この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。」としております。子どもの権利条約も、すべての者に教育についての児童の権利を認めております。国際条約上、どの国の子供に対しても学ぶ権利をひとしく保障するというのが当然の国際ルールだというふうに思います。

 文部科学大臣、この国際ルールは守らなければならない、この認識に違いはありませんね。

川端国務大臣 国際人権規約のいわゆる留保以外の部分は批准をしておるわけでありますし、その部分に沿ってやることは当然のことでございます。

 ただ、今回の無償化の部分、要するに権利という部分でいえば、高校に入りたいのにこの人たちは受験資格があるとかないとか、そういう基本的な権利の阻害はあってはならないことであることは当然でございますが、そういう意味で、今回の部分は高等学校の課程に類する課程という人に対して支援をするということでありますので、高等学校の課程に類するということの判断をすることは差別をすることではないというふうに思っております。

宮本委員 そもそもこれまでも、まさに今大臣が述べられた大学の入学資格について、文部科学省の対応について国連の子どもの権利委員会では大きな問題になってまいりました。

 一九九八年の国連の子どもの権利委員会最終所見で、本委員会は、在日韓国・朝鮮人の子供の高等教育へのアクセスに不平等が存在していることという懸念が表明されました。

 二〇〇四年の第二回国連子どもの権利委員会の最終所見では、日本における外国人学校の卒業生の大学入学資格が拡大されたものの、高等教育へのアクセスが依然として否定されている者がいることという懸念が表明されました。

 二〇〇一年にも、人種差別撤廃委員会から最終見解が出されまして、「委員会は、韓国・朝鮮人マイノリティに対する差別に懸念を有する。」と、差別的取り扱いを撤廃するために適切な措置をとるよう勧告を受けております。

 今回、二月の二十四日、二十五日にスイスのジュネーブで開催された人種差別撤廃委員会でも早速この問題が取り上げられて、高校の無償化法案をめぐって、朝鮮人学校を対象から除外することに意見が出されたと報じられております。

 きょうは、外務省から副大臣に来ていただいておりますけれども、どのような意見が委員から出され、そして、日本政府はどのように対応いたしましたか。

    〔笠委員長代理退席、委員長着席〕

武正副大臣 宮本委員にお答えをいたします。

 二月二十四日、二十五日にジュネーブにおいて、人種差別撤廃委員会による我が国政府報告に対する審査が行われました。

 同審査において、二十四日、ロシアの委員から、高校無償化法案に関して朝鮮人学校を無償化の対象から除外するのかとの質問がありました。また、グアテマラの委員から、在日朝鮮人を排除しようとする態度を憂慮している、日本の新聞の社説がその態度を批判し、日本政府にもう一度見直しをするよう求めているとの発言がありました。

 これに対し、二十五日、我が国政府代表団より、いわゆる高校無償化法案がことし一月閣議決定され、本国会に提出され、同法案において、外国人学校を含む各種学校については、高等学校の課程に類する課程として文部科学省令で定めるものを対象とすることとしており、今後の国会における審議等を踏まえつつ適切に対処してまいりたいと発言をいたしました。

宮本委員 早速こういう懸念が国際社会から示されたわけです。それで、今回もしこの朝鮮人学校を排除するというようなことがあるならば、まさに国連の各委員会で大問題に発展せざるを得ないと思っています。

 今回提出された高校無償化法案は、文部科学大臣も趣旨説明でこう述べられたように、「諸外国では多くの国で後期中等教育を無償としており、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約においても、中等教育における無償教育の漸進的な導入について規定されておりますが、我が国はこの規定を留保していることから、この留保の撤回に向けた施策を進めることが求められております。」これが大臣の本法案の趣旨説明であります。諸外国では常識になっているようなこの後期中等教育の無償化を、我が国もおくれた現状を取り戻し進めるのだ、こういう御決意だと思うんですね。

 私はこれについては大いに評価をしているんです。しかし、世界の常識からの立ちおくれを取り戻そう、やっと日本もそこに追いつこうというこの法律の審議の過程で、特定の国の外国人学校を排除することによって、新たな非常識、新たに国際的な場でこれはちょっとおかしいんじゃないかと言われるようなことを生み出したのでは、私は本当に重大なことになるというふうに思います。

 大臣、その点どのようにお考えになるか、お答えいただけますか。

川端国務大臣 人権条約の件に関して御評価をいただいていることはありがたいことだと思いますが、何度も先ほど来申し上げていますように、特定の国を排除するとかそういうことではなくて、高等学校に行っている子供たちを応援しよう、それがまさに人権条約の留保条件の撤回につながるわけですから、そういう中で高等学校の課程に類するというものを客観的な判断基準としてどうしたらいいかということを議論しているのであって、何か特定の学校を入れるか入れないかということを議論しているのでないことだけは、ぜひともに御理解をいただきたいと思います。

宮本委員 特定の国を排除するというつもりはない、高等学校の課程に類する課程を置くということをどう判断するかという問題だ、こうおっしゃいました。

 ところで、朝鮮人学校の卒業者が個別資格審査でどれぐらい大学の入学資格を認められ受験し、入学しているのか。先ほども議論がありましたが、もう一度御答弁いただきたいと思います。

川端国務大臣 制度的に、個々人に対して個別の入学資格審査を大学が行うという制度で入学資格が認められるということが、制度としてあります。

 平成十九年度の入試においては、個別資格審査制度を導入している大学数は、国立七十九校、公立五十六校、私立三百十三校の計四百四十八校。なお、国立大学については、平成二十二年になりましたが、現時点では、すべての大学、八十二大学において個別資格審査の制度を導入しております。これで実際に学生が入学した大学というのは、国立七校、公立二校、私立二十八校の三十七校で、入学した学生数は、国立二十三人、公立三人、私立二百十二人の計二百三十八人でございます。

 その中間にあります、何人が資格を得たのかという数字は把握できておりませんのと、この中で朝鮮人学校を出た者がどれぐらいかも把握をしておりません。

宮本委員 一昨日、委員会の皆さんとともに朝鮮人学校を視察してまいりました。そこでは、日本の国公私立のほとんどすべての大学が朝鮮高級学校卒業生の受験資格を認めているというふうにお伺いをいたしました。今、個別資格審査という点では日本のすべての国立大学だというふうに文部科学大臣からも御答弁がありました。説明によると、国立大学、私立大学に入学している子供は、〇八年卒業生で百七十七名中四十七名、〇六年には七十六名にも上っております、日本の大学に進学しておられるのが。

 大学受験資格があり、受験した結果大学にも入学しているということは、日本の高等学校と同等の水準の教育を行っているということは明瞭だと思います。高等学校の課程に類する課程を置くという点でもこれは一つの大きな物差しになると思っております。差別なく適用すべきだと私はこう思いますけれども、再度、文部科学大臣の御答弁を求めたいと思います。

川端国務大臣 この制度も、いわゆる学校として、高等学校ですと高等学校ということで一条校として認められるということで自動的に大学の入学資格はあるんですけれども、そういうことが学校としてはいろいろな状況でできないので個別に認めようという、個人を対象にしている制度であります。

 そういう意味では、学校単位にこの学校を高等学校の課程と同等の課程というふうに判断するというときに、この制度で大学に行っている人がいるからという条件だけではなかなか客観的に難しいと思っております。

宮本委員 先ほどから議論があったように、これだけで認めるかどうかというのは別として、大変大きな指標であるというふうに思っておりますので、くれぐれもそういうふうに国によって差別をしていると受け取られることのないように、国際ルールにのっとった運用を求めたい。これは引き続き議論をしていきたいと思っております。

 次に、公私間格差の問題でお伺いをいたします。

 この高校無償化法案でありますけれども、概算要求段階で私立高校に対する就学支援金は、年収五百万円以下の世帯まで対象にし、公立高校生の二倍、すなわち二十三万七千六百円が助成される、こういう予定になっておりました。ところが、予算案では、年収二百五十万円程度未満で二倍、年収三百五十万円以下で一・五倍に縮小をされております。

 まず確認しますが、なぜ縮小したのか、これによる概算要求からの減少額は幾らか、お答えいただけますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 御指摘のとおり、概算要求時には、年収五百万未満の世帯について支給できるように要求をいたしております。このときの概算要求時の増額支給分については四百億円でございます。最終的には、予算編成の中でも、厳しい財政状況の中で、御指摘のように、二百五十万以下及び三百五十万以下という部分の二倍及び一・五倍という制度になります。結果として百四十億円の予算になりましたので、二百六十億円減額をいたしました。

宮本委員 概算要求からそれだけの額を減らしたことによって、大きく父母負担を残すことになりました。

 先日の本会議で私が大臣に、公立の授業料を不徴収にする一方で私立高校の授業料については一定額の補助にとどまり、公私間格差を助長しかねないと指摘をいたしましたところ、大臣は御答弁で、「私立高校生に対しては手厚い支援を行っているところであり、むしろ公私間格差は縮小すると考えております。」と答弁をされました。これは今も変わりはありませんか。

川端国務大臣 公立、私立にかかわらず、十一万八千円を年額、平均ですけれども支給するということに加えて、今申し上げました百四十億円分は私立の低所得者に手当てをするということと同時に、都道府県において、昨年まで私立の低所得者層に対しての授業料の減免制度というのがございます。これで総額約二百九十億円、地方において私学の低額所得者に対する授業料減免として手当てをされております。今回、一定額分を国が負担をすることになりました。したがいまして、そこの部分に今までどおり上乗せをしていただきたいと要請をいたしましたが、これ以上上乗せする仕組みでないというところもあれば、いろいろでありましたが、結果として、今調査している段階では、二百六十三億円は引き続き地方自治体が私学への助成をしていただけるということでございます。

 そうしますと、例えば三百五十万未満の私学のところにいわゆる十一万八千円プラス二倍ないし一・五倍ということで、総額として三百十八億円、国庫のお金が出ます。それに加えて、減免補助が地方財政として二百六十三ですね。総額五百八十一億円になる。今まで二百九十億円は年収五百万未満に大体やられていましたので、そこまで計算しますと、今まで地方だけがやっていた私学の減免措置二百九十三億円が二百六十三に減額されましたけれども、国庫から出るという分を合わせますと約七百七十七億円になるという意味では、今までよりは相当額手厚い支援が私学の所得の厳しい人に手当てされるという意味では、今までからの相対的な比較においては、縮小するというのは数字的には間違っていないというふうに認識しております。

宮本委員 それは、国の制度でそれだけの枠を出すわけですから、合計額が前に比べてふえるという議論は当然であって、そんなものが減ってしまうんだったら本当にひどい話になるわけですね。

 それで、本会議でも指摘しましたけれども、私立高校に就学支援金が助成されるからと、これまで自治体独自に行ってきた私学授業料減免予算を減額するという自治体がふえている。今御答弁にあったように、全体としても二百九十億円から二百六十三億円へと、これは現に減っているわけです。それで、私どもの調査でも、三分の二以上の自治体がこれを減額することになっているということを指摘をいたしました。

 本会議では明確な答弁がありませんでしたけれども、その後、文部科学省から、二〇〇九年と二〇一〇年の各都道府県の私立高校生への授業料減免補助の状況という資料が届きました。前年度から減額した県は幾つあるか、減額した総額は幾らか、ひとつ御答弁いただけますか。

川端国務大臣 就学支援金の導入後の、これまで把握できた四十五都道府県の平成二十二年度当初予算案の授業料減免補助の予算額によると、平成二十一年度当初予算に比べて増額の県が十一県、減額の県が三十三県となっております。

宮本委員 三十三県、ですから、これは三分の二を超えるどころか、七三・三%の県で明確に減額になっております。そして、総額で見ると、五十一億五千七百万円の減というふうになると思います。

 それを、私は改めて見やすいように資料一にまとめてまいりました。三角印がついているところが全部減額になっているんですね。つまり、国からこの支援金が出るからといって、これまで出していた授業料減免補助を減らしたというのがこの黒三角のついた県でありまして、今ふやした十一県というのは、下の、印のついていない十一だけなわけであります。

 それで、資料一の上から二段目、長野県は、二〇〇九年度が一億七千二百万円、今年度はわずか二千七百万円へと実に八四・三%も減額をしております。

 これも文科大臣にお伺いいたしますけれども、長野県の今年度の父母負担は年収別にどのようになっているか、聞かせていただけますか。

川端国務大臣 事前にお尋ねいただいたのでございますが、年代別の保護者の授業料負担額については、ちょっと詳細を把握しておりません。

宮本委員 私ども、もしつかんでおられなければと思いまして、掌握をしてまいりました。全国私立学校教職員組合連合の調査をお借りして資料をつくってまいりました。資料二に、長野県その他の県についておつけをしてあります。

 長野県の今年度の私立学校の一人当たり父母負担、すなわち授業料と施設設備費の平均は四十七万四千六百八十円になります。二〇〇九年度と二〇一〇年度、一番上の長野県の欄の上の段と下の段を見比べていただきたい。生活保護世帯や住民税の所得割非課税世帯、年収約二百八十万円以下という家庭では何の変化もなく、上下とも二十六万二千八百八十円となっております。

 長野県では、従来から、年収三百五十万円まで授業料部分の全額免除が行われてまいりました。今回の支援金実施に当たっても、県の減免制度は授業料に限っておりますので、年収三百五十万円までの層は父母負担は少しも減らないということになります。残るこの二十六万何がしというのは、つまり、授業料と本来同等の位置づけである施設設備費が丸々残るわけです。

 これは、三段目につけた栃木県も、上下とも十三万六千円余り、全く同様の事態になっています。

 これでは、結局、自治体がこれまで行ってきた授業料減免を国の就学支援金で肩がわりしてやるだけということになるのではありませんか。生活保護世帯、所得割非課税世帯で二十六万円という負担は極めて重いです。父母負担の軽減につながらないのでは法律の趣旨に反する、こう言わざるを得ません。

 文部科学省はこういう事態をつかんでいるのか、そしてどのように是正するのか、大臣、ひとつ答弁をいただきたいと思います。

川端国務大臣 トータルとしては増額になるということを申し上げました。そして、個々の県において多少のばらつきがあることは事実でございます。

 そういう中で、二百五十万程度未満の世帯に対しては既に全額免除相当の補助を行っている県、いわゆる全額補助ですので、すべてということをやっているところを除いたすべての都道府県で、就学支援金と合わせると増額になるということになっております。二十四都道府県では、新たに、今までそうでなかったのを全額授業料の免除、既に行っている十三県と合わせて三十七都道府県で全額免除相当の支援になる。あるいは十県では、全額でないものの、現在よりも手厚い支援と予定しています。

 三百五十万未満の世帯に対しても、八府県で新たに授業料を全額免除相当の支援、既に行われている四県と合わせると十二府県で全額免除相当の支援、二十七都道府県で、全額免除でないものの現在より手厚い支援になるということで、おおむね手厚い支援になるんですが、御指摘の例は、こういうところが出てまいりました。

 私たちとしては、都道府県に対しての財政措置も二十億円を五十億円に増額いたしました。そういう部分であとは地方自治の判断にゆだねることになっているんですが、できるだけそういうことのないようにお願いをしているというのが現状でございまして、御指摘の部分は、こういう実態にあることが事実として起こってしまったということでございます。

宮本委員 前よりもよくなるところがある、そんなことはわかっているんですよ。問題は、何も変わらなかったり悪くなるところが生まれるおそれがあるということを申し上げているわけです。

 資料二の二段目に静岡県をつけておきました。静岡県は、授業料、施設設備費で今年度で平均五十一万三千五百四十七円ということになるんですけれども、これが父母負担なんですが、二〇〇九年度と二〇一〇年度とを比べていただきますと、なるほど、生活保護世帯は下がっておりますけれども、問題は、所得割非課税、年収二百八十万円以下という左から二つ目の欄であります。昨年度二十九万七千五百四十七円、それが今年度は何と三十三万五千三百四十七円、これは逆に四万円も負担がふえるということに私どもの調査ではなるんですけれども、こういう事例が生まれるのではありませんか。

川端国務大臣 こういう試算、家族がどれぐらいいて、どういう前提条件にするかということでいろいろあるということで、この事例に関して詳細を把握していないのでコメントをできないんですけれどもというのがお答えでございます。いろいろな前提条件によるんだというふうに思います。

宮本委員 これは、授業料だけに限って、そして施設設備費も含めてきちっと無償に向かうということをやっていかないと、やはりこういう問題は解決しないと思うんです。

 それで、私たちの調査でも、公立高校と同額の補助しかされない三百五十万円から四百万円世帯の学費負担というのが、大変枠外に置かれてくるわけですよ。京都の五十二万三千九百九十円、岡山では四十九万二千五十六円、こういう高額負担の県が出ている一方で、北海道では、この三百五十万円から四百万円世帯というところでは十四万千百七十一円というふうになりまして、自治体間のばらつき、格差というのも非常に大きいわけです。

 つまり、県による地域格差をこのように放置しておいていいと思うのか、もっとこういう問題についてしっかりと目を配るべきではないか。この点、川端大臣、いかがですか。

川端国務大臣 国としては、公立の授業料不徴収と同時に、私学に対して一定の同額プラスアルファの支援をするという中で、先ほど申し上げましたように、地方の財政措置も講じる中で、地方自治体それぞれがその地域の実情に応じてきめ細かく対応していただくという仕組みになっておりますので、私たちとしては、できるだけきめ細かくかさ上げできるようにという要請はいたしておりますけれども、最終的には地方の判断でおやりになるという状況でございます。

 また、先ほど、施設整備費等のお話がありました。高校生修学支援基金も、授業料あるいは授業料以外の施設整備費の減免補助にも活用できますので、これも、都道府県に対して、そういう活用することの充実もお願いをしているところでございます。

宮本委員 もう時間ですので、最後に大臣にお伺いいたします。

 私は、私学にはこうした五十一万、五十二万というような高学費を残す一方で、これは当然のことでありますけれども、公立高校は所得にかかわらず授業料不徴収となる。この私学の負担感というのは圧倒的なものだと思うんですね。だから、大臣は格差は縮まるとおっしゃるけれども、私立と公立の格差感というのは広がる、こう言わざるを得ません。

 予算編成段階での私学支援分の削減というのはやはり大きく響いていると思います。また、県独自の減免予算の削減が響いているわけです。各県の減免制度の上限を授業料の範囲にとどめて、本来授業料と同等であるはずの施設設備費が除かれているというのも一つの原因だと思っています。

 国の予算を今こそもっとふやす、自治体予算をちゃんと拡充させて、やはり、施設設備費も含む私学学費についてもすべてを無償化させるべきだと、その方向に向かうという大臣のこの御決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

川端国務大臣 私学に対する助成は、一つは、地方は地方の実情に合わせた、それぞれの特色ある対応をしていただきたいということでございます。

 同時に、私学の果たしていただいている役割は大変大きいわけでございますが、トータルの額としていえば格差は縮小する方向で予算措置されていることは間違いありませんが、格差の拡大感とおっしゃいました、感があるというのは事実でございます。それは、一方は払わなくていいという部分でありますが、私学とのそれぞれの役割の中で国としてどうかかわってお手伝いするのがいいのかという今までの議論もありますので、きょうの意見も踏まえながらまたいろいろと議論し、対応してまいりたいと思います。

宮本委員 終わります。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る九日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑を続行いたします。松本龍君。

松本(龍)委員 民主党の松本龍です。

 川端大臣におかれましては、参議院の予算の最中に出席をいただいて、ありがとうございます。また、田中委員長におかれましては、精力的に学校の視察を行われたりしておられることに心から敬意を表したいというふうに思っております。

 きょうは暖かくて、三月の五日、あしたが啓蟄ということで虫が土からうごめき出すという時期になって、これから本格的に春を迎えるこの時期に質問をさせていただきます。

 私は、初当選して間もなくして、実は、ある仲間の議員から北朝鮮に行かないかというお誘いを受けました。私が何の目的で行くんですかと尋ねたら、その議員が何と答えたかというと、金日成さんの誕生日だからお土産を持っていくということを言われたんです。私は、個人崇拝は大嫌いですし、また、貢ぎ物を持って外国に行くなんというのはちょっと常識ではないというふうに思っておりましたので、お断りをいたしました。それ以来、私は北朝鮮には行っておりません。許し難い拉致の問題等々ありまして、この国のありようについては疑問を持っている者であります。

 しかし、翻って考えてみますと、日本に住んでおられる在日韓国人あるいは在日朝鮮人の方々に対しては、まさに、偏見も持っておりませんし疑問も持っておりません。また、いろいろな意味でたくさんの友人も仲間もおりますから、そういう人たちといろいろな話をして過ごしております。

 ですから、先ほども朝鮮学校の話、池坊さん、宮本さん、出ましたけれども、池坊さんは理念と言われ、また、宮本さんは人権規約等々を持ち出されて話をされました。私も、心のありようというか、この国のありようという観点からこの問題について御質問したいというふうに思っております。

 大臣、国連ができた意義というのを御存じですか。

川端国務大臣 松本議員にお答えいたします。

 御質問いただきましたので、改めてダイジェストでおさらいをさせていただきます。

 改めて読み返すと、ああそうだったんだというふうに思いました。第一条で設立目的というので要約いたしますと、一つは、国際の平和と安全の維持、二つ目が諸国間の友好関係の発展、三つ目が国際問題の解決、人種等による差別なく、人権及び基本的自由を尊重すること、四番、これらの共通の目的達成に当たって諸国の行動を調和するための中心となること等と書いてあります。

 まさに、国のあり方の基本に、憲法と同時にいつも議論されるものであるというふうに承知をいたしております。

松本(龍)委員 お答えありがとうございます。

 今難しくお答えいただきましたけれども、簡単に言いますと、「国連には次の四つの重要な目的があります。」と書かれています。その第一に「全世界の平和を守ること」、「各国の間に友好関係を作り上げること」、「貧しい人々の生活条件を向上させ、飢えと病気と読み書きのできない状態を克服し、お互いの権利と自由の尊重を働きかけるように、共同で努力すること」、「各国がこれらの目的を達成するのを助けるための話し合いの場となること」というふうに書いてありました。

 私もこれを十年ぐらい前に読んでちょっと国連が好きになりましたけれども、まさに今、世界じゅうを見ますと、貧困と飢餓で教育が受けられない、あるいは日本においても、格差社会になって教育にまで格差が広がって、いろいろな状況がある。私は今までずっと政治家をやってまいりましたけれども、やはり、教育の機会均等ということをしっかり自分の腹に据えてこれまで取り組んでまいりました。そういう意味では、教育の場がない、子供たちに教育の格差があってはならない、そういうふうに考えているところであります。

 この法案で朝鮮学校を除外するべきか、または入れるべきかという議論がいろいろありますけれども、現在どういう状況になっているのかお答えをいただきたいと思います。

川端国務大臣 この法律の条文では、いわゆる高等学校と、高等学校の課程に類する課程、高等学校と類してみなすものということを対象にしようということで、法律の立て方としては、専修学校と各種学校の対応については「省令で定める」というふうになっております。

 今、朝鮮学校を入れるか入れないかということがいろいろ議論になっているというふうに言われましたが、どの学校にしろでありますが、専修学校でどういうものが入れるのか、各種学校でどういうものが入れるのかという、要するに、まさに高等学校の課程に類する課程というものをどういう物差しで評価するのかということにすべての議論が集約されるのではないかというふうに思っております。その基準と確認方法についていろいろ検討しているところであります。

 加えて、この国会の審議も踏まえながら、最終的に省令として決めたいというふうに思っております。

松本(龍)委員 私は、基本的に朝鮮学校を除外するべきではないというふうな立場に立っております。ありがとうございます。

 なぜかというと、将来を担う子供たちがしっかり育っていく、そういう意味では、これからの時代を担う子供たちにひとしく教育の場を与えていかなければならないというふうに思っているところであります。

 実は、四年前に私は予算の分科会で質問をいたしました。朝鮮半島の戦時中の民間企業への動員犠牲者の遺骨収集に関する件で私はずっと調べまして、いろいろな意味で強制的に連れてこられた方々の遺骨を収集する、川崎厚生労働大臣でしたけれども、そのときに前向きの答弁をいただいたのを今でもよく覚えております。

 当時、一九三九年、国家総動員法からずっと、アメリカの資料あるいは厚生省勤労局の資料によりますと、六十七万人の方々が連れてこられた。最初のころは募集という形で連れてこられたんですけれども、それからあっせんになって、もう終戦間際になりますと、徴用という形で強制的に日本に連れてこられた実態があります。

 それをずっと調べていくうちに、一九四五年、終戦に近くなるほど、いろいろな写真があるんですけれども、子供たちがふえてきている。物すごくびっくりしました。落盤事故の犠牲者の名簿を見たんですけれども、十五歳という子供がその落盤事故で亡くなりました。十五歳で亡くなったということは、十三歳、十四歳で連れてこられた経緯もあるというふうに思っております。

 そして、そのときの状況をちょっと想像するんですけれども、日本人がやってきて、だれか日本に来いということを言われて、おやじが大黒柱だから、子供が私が行くと手を挙げたかもしれませんし、兄貴が大黒柱だから、弟が私が行くと言って手を挙げて日本に来たかもわからない。そういういろいろな家族の歴史がかいま見えるような気がしてならないわけであります。

 そういう悲惨な歴史あるいは過去の出来事に対して、やはり日本は無関係ではいられない。私は、そういう出来事があったから朝鮮学校を除外するべきではないと言っているわけではありません。そういう狭義の問題ではありません。もっと、心のありようというか、そういった日本と朝鮮半島の関係等々やはりいろいろ考えていかなければならないし、胸に刻んでいかなければならないたくさんの事柄があると思いますけれども、川端大臣の御見解をお伺いをしたいと思います。

川端国務大臣 鳩山内閣の一員という立場で申し上げれば、鳩山総理が就任直後に韓国の大統領と会談をされて、常に正しく歴史を見詰める勇気を持つことというふうに述べられました。まさに今お触れになった過去も含めて、しっかり正視をする中で未来志向の関係を持っていきたいということを述べられたのは、私もそのとおりだと思っております。

 内閣の一貫性でいえば、村山内閣、村山談話というのがございます。我が国が過去の一時的に植民地支配や侵略により、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えたことの認識を示しておられまして、常にその認識の中で見るべきだというふうに思います。

 私自身も滋賀県が選挙区というか出身でありますが、私の家は、江戸時代のいわゆる朝鮮人街道に面した家で生まれ育ちました。ことしが奈良平城京千三百年と言われていますが、平城京の前は天智天皇の大津京。大津京は、白村江の戦いという百済・新羅の戦いで負けました百済の人が亡命して、天智天皇にいろいろアドバイスをして都をつくったということのゆかりでありまして、文化的にも歴史的にも非常に縁の深いところに過ごしました。子供のときは、いわゆる在日の友達がいっぱいいました。多くがいわゆる北に帰還運動で帰ってどうなっているのか、胸が痛むようなこともありますが、周りにも友達もいっぱいいます。

 そういう中では、松本先生が言われたような事実の認識と、そして、やはり人としてそのことを認識する中で人間としてしっかりつき合っていくということは、私も、個人的にはその旨で努めておるところでございます。

松本(龍)委員 川端大臣の歴史講座、ありがとうございました。そして、さまざまな自分の生い立ちからお話をしていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。

 私も、ある意味いろいろな在日の方々がおられて、いろいろな人の話を聞くんです。七十歳の方が私に聞かせてくれたのは、私の母親は北朝鮮、父親は南、だから、長男は母親の方の北朝鮮の国籍、そして次男の私は南の方の国籍を取った。そういう方々がたくさんおられるわけですね。そういう話を聞くと、日本と朝鮮半島の関係というのはいろいろな意味で重いなというふうに考えているところであります。

 大臣、中国貧困地区教育支援事業というのを御存じですか、ちょっと通告していなくて済みませんけれども。

川端国務大臣 済みません、ちょっと承知しておりません。

松本(龍)委員 中国貧困地区教育支援事業というのがあって、中国には物すごい格差があって、都会の子、あるいは山奥の子、あるいは海岸に近い人たち、あるいはさまざまな貧困に悩んでいる人たちがおられます。

 私、二、三年前でしたか、中国激流という番組を見て、お父さんのおじいちゃん、おばあちゃん、お母さんのおじいちゃん、おばあちゃんにかわいがられて一人っ子で育てられている子が一方にいて、片方では、父親が出稼ぎに行ってことしは帰ってこられない、たまに帰ってきたら泣きすがって、お父さんもう行かないでという番組がありましたけれども、ちょっと涙を流しました。そういう格差があって、やはり中国には、いろいろな意味で貧困地区に学校がないところもたくさんあります。

 そういう意味では、私は、十年ほど前からこの事業の一環として、仲間と希望小学校というものをずっとつくっているわけですけれども、この希望小学校をつくる根幹は、やはり教育の機会均等、どんなに貧しくても教育の機会均等を与えてやらなければならない、そういう一環としてずっと希望小学校をつくって、もう十校目になりました。

 そういう意味では、やはり教育の機会均等をしっかりすべての子供たちに与えていかなければならないという腹を私は持っていますけれども、大臣、この問題が教育の機会均等と同じかというと、別の問題とは思いますけれども、その辺の御感想をお聞かせ願いたいと思います。

川端国務大臣 教育の機会均等は大変大事な理念であり、最大限そのことに努めなければならないというふうに思っております。受けたいのに受けられない、勉強したいのに勉強できないという環境は絶対に起こしてはいけないというふうに思っております。

 ただ、今回の法律に関しましては、そういう中で、法の趣旨として、高等学校に行くという子供を支援しようということで、その高等学校というものにどの学校が当てはまるのかということの議論でありますので、教育の機会均等とそれに当てはまるか当てはまらないかという部分は、必ずしも、それに外れたから機会均等を害しているということではないというふうに私は思っております。

松本(龍)委員 お答えありがとうございます。私は、教育というのは百年、二百年の計だというふうに思っております。

 イギリスのトニー・ブレアさんが首相に就任したときに、こう言って拍手喝采を受けました。私が優先的に実行しなければならない政治課題が三つある。それは教育、次に教育、そして教育だというふうに言って、有名な話でありますけれども、まさに、教育というのが本当に一番大事な根幹だというふうに考えているところであります。

 そういう意味では、今回の問題、昔、ハマーショルドという国連の事務総長がこういうことを言いました。人権を侵害することによって得られるものよりも失うものがはるかに大きいことをみんなが銘記するべきだということを言われましたけれども、まさに私は、今度の場合、朝鮮学校が除外されることによって得られるものよりも失うものがはるかに大きい。これは、日本のトレランスといいますか、日本という国のありよう、寛容度というのが一つ試されている問題だというふうに考えているところであります。

 そういう意味で、この問題についてさまざまな困難があると思いますけれども、よろしく大臣の御決意を最後にお聞きして、私の質問を終えたいと思います。

川端国務大臣 非常に深いお話をいただきまして、ありがとうございます。

 教育の充実と機会の確保に努める中で、高等学校を無償化して、公立高校、私立高校、差がありますが、実質無償化に向けてこの法案を提出させていただきました趣旨は御理解いただけるというふうに思います。

 そういう中で、法のもとでしっかりと効果が出るような対応を省令においてもしてまいりたいと思いますが、この国会での議論もまた我々としてはいろいろと踏まえさせていただきたいと思いますので、引き続きの御指導をお願い申し上げ、精いっぱい努力をすることを申し上げておきます。

松本(龍)委員 ありがとうございました。

田中委員長 次に、松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案について質問させていただきたいと思いますが、この法案は非常に大きな変化をもたらす法案だと思います。こういった大きな変化をもたらすときは、やはりその主体に関しての求心力が非常に重要だというふうに思います。

 ここで取り上げるのも大変恐縮でございますけれども、最高責任者としての川端大臣の事務所費問題というのが本会議でも取り上げられましたし、また各種マスコミでも書かれているわけであります。

 衆議院本会議におきまして、大臣は、我が党の馳浩議員の質問に対しまして、精査をしたけれども何ら問題はないというふうにお答えをされ、今後とも適切に説明責任を果たしていきたいと答弁をされています。

 これは適切で問題がないということであれば、会計帳簿や領収書等の書類を委員会にぜひ提出していただきたいというふうに思います。委員会で審議をして、川端大臣のお話のとおり、法律上も政治倫理上も社会的道義上も全く問題がないということになれば、今後この問題に時間をとられることなく、大臣にとってもいいことだと思いますけれども、いかがでしょうか。

    〔委員長退席、奥村委員長代理着席〕

川端国務大臣 お答えをいたします。

 本会議でも御答弁申し上げましたが、一部報道機関で私の事務所費問題が報じられました。

 実情を申し上げますと、政治団体達友会というのがございまして、この団体は本会議場でも御紹介いたしましたけれども、規約の目的の中で、衆議院議員川端達夫氏の政治活動を後援することを本来の目的とするということで活動しております。事務所として、会計責任者あるいは代表者の自宅を主たる事務所として登録をして活動してきましたが、ここは連絡拠点ということで、事実上、そこに空間を占める事務所としての機能を持っておりませんでしたので、水道光熱費が発生しない。しかし、その団体自体が政治目的に沿って活動するときに発生する費用で、事務所費として計上すべきものは発生したので、それを法に基づいて適切に処理したということでございます。そういう意味で、適切に処理されておるということで、この前答弁を申し上げたところでございます。

 そういう中で、今資料の開示を求めるということでございますが、私自身といたしましては、政治資金にかかわる問題は三つの観点から法律的に規制されているんだというふうに思います。

 一つは、それぞれ政治団体に幾つかの種類があります。その種類ごとに入ってくるお金の種類、例えば企業・団体献金とか個人献金とか、いろいろな種類のものが入ってくるときに、種類を規制することと量を規制すること。それから、出ていくときに一定のルールに基づいて、五万円以上の領収書を添付とかあるいは保存とかということでの透明性の確保。そしてもう一つは、政治活動の自由を保障する。したがって、これにかかわるものすべてにひとしくこの法のルールに基づいて処理しなさいということであると私は理解しています。

 そういう意味では、決められたとおりに法に基づいて報告をいたしておりますので、中身におきましては、電話代とか車代とかコピー代とかいう費用は、基本的には領収書を全部、法に定められた部分は保存しておりますけれども、ここで、何かあったら出すということをやり出すとみんな出すのかというのは、何年か前の多分この委員会でも議論があり、みんな同じルールにしようと。

 そういう中で、先般、事務所費問題が国会で議論になりました。それを受けて、国会として各党各会派で議論をされて、それで、今度は政治団体の種類で政治家の指定する政治団体という種類を新たに設け、そして原則的には領収書は全部保存、今までは五万円以上だったのを全部保存するようにと。それから、政治団体によっては、事務所費に関して開示請求があれば、情報公開としてその書類は全部出さなければいけないというルールに変わりました。

 そういう意味で、そのときそのときの法に基づいた部分で私は適切に処理しており、その時々に応じた報告をしているということでございます。

    〔奥村委員長代理退席、委員長着席〕

松野(博)委員 大臣から御説明をいただきましたけれども、やはり、さまざまな問題点がマスコミ等々も含めて指摘をされているという事実がございますので、この問題は早期にはっきりさせた方が、これは教育行政の求心力を維持するためにも、また、大臣御本人のためにもいいと思いますので、委員長、ぜひ、川端大臣の政治団体の資金管理責任者の方を当委員会にお呼びをして質疑をする機会を設けていただきたいと思いますが。

田中委員長 ただいまのその件につきましては、また理事会で後ほど協議いたします。

松野(博)委員 先ほどの下村委員の質問の中の話で、川端大臣は労組出身の中でも、まあ労組出身が悪いわけではありませんが、大変常識に富んだ判断力をお持ちの方だというお話がありました。私も実はその席におったわけでありますが、先輩方からの大臣に対する評価は大変高いなと改めて思いました。その話の中で、もしかしたら、川端大臣が一番今回の北教組の問題も苦々しく思っているんだろうななんということまで、その中の会話で出てきたんです。

 大臣、政治家として、個人のお考えはともかくとして、教育行政の最高責任者としてのお立場がありますから、ぜひこの北教組の問題についても御所見をお伺いしたいと思いますけれども、民主党の小林千代美代議士に対する北教組の裏献金の問題、逮捕者にまで発展をしております。この問題で、教職員組合に対する信用の失墜というのは著しいものがあったなというふうに思いますし、これはいわゆる労組丸抱え、金も出す、人も出すという民主党の選挙の全貌に関して国民は驚かれている、一部失望しているというところも正直あるというふうに思います。これはまじめに教壇に立っている先生方にとっては大変迷惑な話でありますし、怒りを持たれていることというふうに思います。

 この問題も文科委員会で徹底的に議論をするべきだというふうに私は思いますが、それ以上に私が心配をしておりますのは、この北教組の偏向したイデオロギー教育で北海道の子供たちというのが犠牲になっていないのかな、そのことを大変心配しております。

 私もそうでありますが、一番心配しているのは、現に北海道で子供たちが教育を受けている親御さんたちだというふうに思います。同僚議員の質問等にもありました、また、我が党の聞き取り調査の結果、資料等々も大臣にお届けをさせていただいているというふうに思いますけれども、北教組は、竹島問題等、また国旗・国歌問題等を初め、会報や研修会を通じてさまざまに偏向的な教育を目的とした活動をしているということが、私どもの聞き取りでも上がってきております。

 そういった活動をしている、研修をしているということは、現場で子供たちにその教育をいかに伝えるべきかという目的の中でしているんだろうというふうに推察するわけでありますけれども、川端大臣は、衆議院の予算委員会で、我が党の山本幸三議員の質問に対して、教育現場では政治的中立は確保されている、そう思っているというふうな趣旨の答弁をされました。

 私は、どうもこの北教組の状況を見ていると、本当に今、北海道でも教育現場での政治的中立は確保されているのかなという心配を持っているわけでありますけれども、大臣が現在は確保されていると答弁をされた根拠は、どのような調査から基づいて御発言をされたのか。また、先ほどの答弁の中で、これは今現在もさまざまな調査を行っているところであるというお話もいただきました。ぜひ、この問題に関してどう取り組んでいくかもあわせてお伺いをさせていただきたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 まず冒頭、こういう教育にかかわる団体が司直の捜査を受け、逮捕者まで出した事態を招いているということは、教育現場に与える影響は先生御指摘のとおり大変深刻な問題でございまして、極めて遺憾な事態だというふうに思っております。

 同時に、そのことでいろいろ報道され、あるいは各委員からいろいろな情報提供もいただきました。自民党からもいただきました。そのことで、教育現場に政治的中立が侵されている事態が起こっているおそれがあるということでありますので、現場の教育委員会に対して、具体的、個別の事例も挙げながら、しっかり調査して報告してくださいという要請を二度にわたって今出しているところでございます。

 今お問いの、先日の予算委員会における私の発言は、教育現場における政治的中立性に関して、あの時点で具体的にこんな違反事件が起こっているという問題は承知していないという意味で申し上げましたが、御指摘のように、それが脅かされているのではないかという指摘は今いっぱい起こっていることは事実でありますので、事実関係をしっかり確認するために今要請をしているところであります。

 万が一にも、公務員たる教職員が政治的行為の制限に違反するなどの違法な行為があれば、これは教育委員会とも連携して厳正に対応してまいりたいと思っております。

松野(博)委員 鳩山総理のきのうのマスコミに対するインタビューで、北海道教組から民主党議員に違法な政治献金が渡っているという件で、全国調査は必要ないと考えているという発言が報道されました。僕はちょっとインターネットで見たものですから、主語が、政府として調査する必要がないと発言されたのか、民主党党首として必要がないと発言されたのかわかりませんが、僕は全国的にも調査する必要はあると思いますけれども、せめて北海道に関しては、北教組のエリア内に関しては調査をするべきだというふうに思います。

 この北教組の活動、労組の活動は、法律的には大臣の所管外、直接的な所管外のことではありますが、教育現場に与える影響は先ほどの大臣の御答弁のとおり大変大きな問題でありますから、北海道の地区に関してこの種の問題を調査するということに関しての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 お答え申し上げます。

 幾つか論点があるんですが、一つは、捜査上で、お金の、政治資金規正法違反という容疑であるということが言われております。ただ、文部科学省としては、御指摘のように、当該団体を管理監督する位置づけにございませんので、調査するという権限がございません。

 そして、都道府県教育委員会に調査を命ずるといいましても、都道府県教育委員会というよりも、この団体の届け出先は、その都道府県、北海道では道ですけれども、道の人事委員会に対して交渉団体としての登録を行うという意味で行政とのかかわりを持っている団体でありまして、この届け出の要件として財務諸表等々の届け出の義務は課せられておりませんので、調査ができないという状況でございます。

松野(博)委員 大臣も北教組の活動に関しては危惧を抱いているということであります。

 先ほど申し上げましたとおり、何よりも一番の問題点は、北海道の教育現場で子供たちが被害に遭っていないかという点が最大の問題であるというふうに思いますので、委員長、ぜひ、当委員会に北海道の教育関係者、これは北教組も、また教育委員会も含めてお呼びをいただいて、この問題に関して審議をする機会を設けていただきたいと思います。

田中委員長 後ほど、またそれもあわせて理事会で協議いたします。

松野(博)委員 教育公務員の特別法の改正に関しては先ほど来議論があったとおりでありまして、私も、ぜひこれは進めるべきだ、罰則を持った法に改正するべきだというふうに思っておりますが、今伝わっている北教組の現状を見ると、それだけでは足りないかもしれないなという思いがあります。

 教育中立確保法という法律で、これは教職員組織が教育現場を通して政党を支持すること、または支持しないことを働きかけることを禁止するという法律でありますが、事実上この法律も、処罰の請求権があるのが教育委員会であったり大学の学長であったり知事であったり、ほぼ使えない、使い勝手が悪いという法律になっております。

 まずは教育公務員特例法の改正というのを進めていただきたい、いきたいというふうに思いますけれども、その次の段階として教育中立確保法も私は改正するべきだというふうに思いますが、この問題に関してはまた改めて議論をさせていただきたいというふうに考えております。

 公立高等学校の授業料の不徴収及び高等学校の就学支援金に関する恒久的な財源の話をお聞きしたいというふうに思いますが、この法案は、御承知のとおり、一度始めてしまったら、民主党政権さんがずっと続いても、また政権交代が起こっても、この制度は一回やったらなかなかやめられない制度なんですね。ですからこそ慎重な審議が必要だというふうに考えております。その中で一番重要な点というのは、果たしてこの制度をずっと続けていくだけの恒久的な財源が維持をできるのかという点にあるかと思います。

 昨年の総選挙におきまして、民主党は、一般会計と特別会計を合わせた二百七兆円とおっしゃったと思いますが、この中から無駄を削れば二十兆円から三十兆円財源は出てくる、その財源でマニフェストを実現していくんだ、そういう御主張をされたというふうに思います。これが公立高校の無償化、また子ども手当等々を含めたマニフェストの財源ということでありますが、国民の皆さんは、無駄を省いた財源でやってくれるんだったらこれはいいなというふうに御判断をされたんだろうというふうに思います。

 現在では、公立高校の無償化に関しては国民は、今の予算の無駄を省いた財源で行うんだ、だからよしとしようということですが、しかし、ここに実際新たな負担が生じたり、国債発行などで後世にツケを回すような事態になるということであれば、この高校無償化に関しての判断も変わってくると思いますし、やはり所得制限もつけるべきだというような声もより大きくなってくるのではないかというふうに思います。

 大臣、民主党が選挙時に約束をされたように、消費税率のアップ等々も含めた負担増もなく公立高校の無償化の恒久的な財源の確保というのは、めどがあるんでしょうか。

川端国務大臣 高校の実質無償化については、まさに全体の歳入歳出の総見直しの中で今回も予算編成をさせていただきました。全体の努力の中で、政府全体として必要な財源は今後とも確保されていくものと思っておりますし、政府全体として必要な財源はこの部分に関しては確保されると思っております。

松野(博)委員 先般の自民党の政調会において同じ質問をしたら、文科省の事務方は、文科省の予算だけを考えるとなかなか厳しい、難しいという話をされていましたが、きょうは財務省から野田副大臣にお越しをいただいております。御就任どうもおめでとうございます。委員会の場で会うのは初めてだと思います。

 既に、野田副大臣も含めてお二人の財務副大臣が、来年度の子ども手当の満額支給は難しいという発言をされました。これは、単に子ども手当満額の財源が難しいという趣旨よりも、現在の歳入のあり方、構造、状況では民主党の掲げたマニフェスト全般に関して見直しが必要だろうという趣旨の御発言なのかな、私はそうとったわけでありますが、大変正直に責任ある見識を示されたということに関しては敬意を表しているところであります。

 昨年行われました事業仕分けの中でも、さまざまな意義はあったんでしょうが、しかし財源に関しては目標額を出すことはできなかったということだと思いますし、担当の枝野新大臣も、事業仕分けというのは政策の優位性であったり優先度等々を判断する手法であって、財源の獲得を目的としたものではないという趣旨のお話をされたと思いますし、なかなかこれで大規模な財源を確保するというのは難しいんだろうというふうに思います。

 そもそも、現鳩山総理が、鳩山民主党総裁当時、党首討論で、四千五百の天下り団体に二万五千人が天下って、国の予算十二兆一千億が流れている、これははっきりとした数字だというふうに断言をされました。そして、こういった無駄を省けば財源というのは出てくるんだというお話をされましたけれども、今回、我が党の谷公一議員が、質問主意書の中で、鳩山総理がおっしゃっていたところの四千五百の天下り団体、二万五千人の天下り、国の予算十二兆一千億が流れているということの数字の根拠を示していただきたい、どの程度の予算が流れているのかもあわせてお願いしたいという質問主意書に関して、返ってきた答えが、数字がそのとおりかどうかは調査に膨大な作業を要することから、答えるのは困難であるというのが回答でありました。

 この回答もちょっとびっくりしたんですが、これ一つを見ても、なかなかすぐに全体の見直しの中で予算が出てくるよという状況でもないということだと思います。

 そこで、野田副大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、民主党の公約どおり、一般会計と特別会計から省いた無駄、またさまざまな天下り団体に流れている無駄、こういったものを削れば、新たに国民負担を求めたり国債等々の乱発によらなくても、後世にツケを回すことなく、今回の恒久的な公立高等学校の無償化や高等学校等就学支援金の財源が維持できると現在お考えでしょうか。

野田副大臣 松野委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 平成二十二年度の予算編成では、お尋ねの高等学校の授業料の無償化を含めて、子ども手当等々、民主党のマニフェスト、初年度に実施する事項については、効率的な実施を考えて、三兆一千億円の予算規模とさせていただきました。

 その財源は、御指摘のあった行政刷新会議の事業仕分けで評価をしていただいたものと、これだけでは財源確保できないものですから、横断的な見直しを私どもお手伝いしながらやって一兆円の歳出削減をする、同時に、十月十五日に各府省から予算の要求を出していただく段階で一兆三千億円の歳出削減をしていただく、加えて、公益法人の基金からの国庫への返納ということで、合わせて三兆三千億円、きちっと財源を確保して、新規に国債を増発するという形ではなくてマニフェストを実行させていただくという段取りをさせていただきました。

 平成二十三年度以降も、先ほど私の発言の子ども手当の満額支給は難しいというお尋ねがございましたけれども、確かにハードルは高いんですが、ハードルを越えるべく、財源確保を目指して全力で頑張っていきたいと思います。

松野(博)委員 野田副大臣のお話をお伺いしても、この公立高校無償化という相当長いスパンで判断していかなきゃいけない政策に関して、現時点で恒久的な財源がしっかりとしています、明確ですということではないのかなという印象を私は持ったわけであります。

 だからこそ、私はもう一度、この法案というのは財源の問題も含めて国民の方々に御理解をいただき、また御判断をいただかなければいけない課題だというふうに思います。

 野田副大臣、お忙しいと思いますので、どうぞ、結構でございます。

 次に、特定扶養控除の減少の問題に関して質問させていただきたいというふうに思います。

 衆議院予算委員会におきまして、下村委員が、民主党はマニフェストで特定扶養控除について存続するということを明記して、なおかつ、当時の直嶋政調会長が記者会見をして、これは民主党のマニフェストで明記をしていることだから特定扶養控除はなくさないというふうな発言があった、そして、当時の鳩山民主党総裁は、選挙期間中に、現行制度は維持しつつ新たに家計の負担を軽減するとまで発言をしているにもかかわらず、特定扶養控除を見直し、縮小していることについて、大臣の見解を問うという質問をされました。

 それに対して、大臣は以下のように答弁をされています。民主党のマニフェストにおきましては、特定扶養控除、老人扶養控除、障害者控除等は存続をさせると書いてある、中はいろいろあるんですが、「今回、高校に行く世代、三年間に関して国で無償化に向けたいろいろな諸施策をとるということで、教育費の負担増のためにという特定扶養控除の上乗せ分に関しては、両方の政策効果が共通するということで上乗せ部分を廃止するものであり、特定扶養控除制度自体は存続させることには変わりございません。」という答弁をされています。しかし、私はやはり明らかにこれは公約違反だろうというふうに思います。

 ただ、ここでもう一度大臣にこれは公約違反じゃありませんかという質問をすれば、同じお答えが返ってくると思いますので、ちょっと違う角度からお聞きをしたいというふうに思います。

 民主党は常々、マニフェストというのは国民との約束である、そして民主党というのは国民目線を大切にして、情報開示をして、オープンでわかりやすい政治を心がける政党なんだというふうに訴えられています。私は、国民、有権者が民主党のマニフェストを読んで、当時の党の最高責任、今も最高責任者ですが鳩山総理や、政策の最高責任者である直嶋政調会長が、現行制度を維持した上で新たに教育費負担を軽減するという訴えをされたわけですし、各選挙区の候補者も同様の訴えをされたと思います、こういう情報の中で、多くの国民は、特定扶養控除も維持をして公立高校も無償化してくれるんだなというふうに理解をされたんだというふうに思います。

 大臣の答弁で、これは両方の政策効果が共通するということで上乗せ部分を廃止するから特定扶養控除制度自体は存続させるんだという答えを聞いて、私は国民が、ああ、なるほど、あのマニフェストはそういう意味だったのか、そういう読み方をしなきゃいけないのかというふうには思わないんじゃないかと思うんですね。

 私は、政治姿勢として、やはりこれは国民が納得する答弁、国民が話が違うじゃないかと思わない答弁が必要だというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

川端国務大臣 公約違反でないという答弁は、御指摘のとおり、全く同じことになるというふうに思いますし、私は、いわゆる高校の実質無償化という政策の実現というのを踏まえた中で税制もあるべきだ。そして、この特定扶養控除のできてきた経過は、十六歳ですか、十五歳ですか、中学を卒業した以降の層の教育負担がたくさんかかるということを配慮してできた税制控除でありますので、そういう意味で、この税制議論のときに、これだけを将来上げようとか下げようとかいうときに、当然ながらそういう教育制度の充実と相互的に影響を与えるものであるということは御理解をいただけるというふうに思っておりますし、そういう部分では、おしかりを受けるかもしれませんが、圧縮をして制度自体は残っているということで、違反ではないと思います。

 それと、確かにいろいろな公約、マニフェストで書いたことがちゃんと実現できていない部分も正直言ってあると思います。そういうことを含めて、私たちの目指す政治というのは、主権者は国民であるという部分の、いろいろな部分の我々の説明を含めての最後の審判は国民によって受けるということであるということを覚悟しながら、これからも進めてまいりたいというふうに思いますので、御理解をいただきたいと思います。

松野(博)委員 この問題は、一種、政治家として国民と向き合う姿勢であったり、マニフェストというものに対する考え方であったり、国民の理解を求めるという国民目線のとらえ方と絡む非常に重要な要素を持つのではないかというふうに思いますので、政務三役の方にもお聞きをしたいと思いますが、今、中川副大臣いらっしゃらないんですけれども、中川副大臣は、昨年の十月二十八日の毎日新聞のインタビューで「進学する子どもにはお金がかかる。マニフェストでも特定扶養控除の廃止はうたっていない」と述べて、公立高校の無償化をするに当たって特定扶養控除の廃止はないという旨の発言をされています。

 私は、今大臣の御答弁もありましたが、マニフェストに明記したものの中でも、さまざまな状況変化の中で事情が許さなくなったり、また、当然、当時の野党であったわけでありますから、情報面であったりして、実際にマニフェストにはそう書いた、また発言したけれども、変更せざるを得ないということも出てくるというふうに思います。しかし、委員会審議の答弁というのは、これはもう国民に対する答弁であります。学生のディベート大会ではありませんから、やはりその答弁が国民の胸にすとんと落ちる答弁をいただきたいなというふうに思います。

 ですから、例えば、特定扶養控除は維持をするというふうに約束しましたが、公立高校の無償化の財源を考えたときになかなか難しくなった、だけれども高校無償化はちゃんとやりますというような答弁であれば国民は理解する方もいらっしゃるというふうに思いますけれども、やはり、特定扶養控除制度自体を存続することに変わりはございませんというような答弁は、なかなか国民が、何だそうだったのか、自分たちの勉強が足らなかったんだなと思うかといえば、思わないと思うんですね。

 こういうような、マニフェストに対する提示の仕方、また委員会答弁に関して、鈴木副大臣、いかがですか、どうお考えですか。

田中委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 では、速記を起こしてください。

 お尋ねは、中川副大臣の発言に対するものでしたけれども、今おられませんので、要望なさったとおっしゃっていましたが、要望は出ていませんので、したがって、鈴木副大臣がまずは答弁をいたします。(松野(博)委員「委員長、よろしいですか」と呼ぶ)松野博一さん。

松野(博)委員 答弁の要求は委員部の方に、大臣、副大臣、政務官をということで出させていただいています。ぜひ中川副大臣にも答弁をいただきたいというふうに思いますが。

田中委員長 では、速記をとめてください、再度。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 二、三分で御指定の中川副大臣が本委員会に参りますので、ほかの質問を先になさるか答弁をと思いますが、質問なさいますね。

松野(博)委員 それでは、中川副大臣もいらっしゃっていただけるということですから、では鈴木副大臣。

鈴木副大臣 文部科学省の税制改正要望は、国民が、その経済事情を心配することなく、安心して子供に適切な教育を受けさせることができるように、扶養控除の見直しが行われる際には、現行の扶養控除や特定扶養控除が家庭の教育費負担の軽減に資している現状を踏まえ、より一層負担が軽減されるよう、税制上の配慮を行うという要望でございました。結果といたしまして、すべての家庭における教育費負担がトータルで軽減をされておりますので、税制改正要望どおりになっているというふうに考えております。

 極めて財政が厳しい中で、いろいろな、税制調査会等々においても御議論がなされて、このような結果になっているというふうに理解をしているところでございます。

松野(博)委員 でも、選挙時のマニフェストや責任者の方の発言というのは、特定扶養控除を残した上でさらに教育費負担を軽減するということだったんですから、そこは、国民、有権者の方々にとっては違う話だというふうにお感じになると思いますが。

 中川副大臣、質問の内容の方はよろしいですか。どうぞ、中川副大臣の御答弁をいただきます。

中川副大臣 事前の通告で行き違いがあったようで、失礼をいたしました。

 特定扶養控除の議論なんですが、これはもともと税制調査会の中で所得税を見直していくという議論が前提になっていまして、控除から手当へという流れをつくっていくというのが所得税の中では一つ考えていかなきゃいけないところだろうと。そのベースになる考え方というのは、同じ、税の再配分をしていくという目的の中でも、控除でやると所得の高い人たちに対して有利に働いて、所得の低い人たちについては効果が出ていないじゃないかと。そういう形の中で、例えば子ども手当にしても、あるいはこの高等学校の無償化についても、そういうトータルな話の中で見直し議論というのがありました。

 それで、高校については、これはダブルで、いわゆる一般の特定扶養控除よりも二倍の額で控除が設定されていたものですから、それを半分にするということで調整をしていこうということ、だから、そういう議論をした上で調整をしたということであります。

松野(博)委員 いや、内容は存じ上げていますが、要は、中川副大臣も昨年の十月二十八日の毎日新聞のインタビューで、特定扶養控除は削減しないんだという旨の発言があったと、新聞にはそう書いてあったから、事実関係は違うとおっしゃるかもしれませんが、発言があったと。

 そういう中で、皆さんの答弁としてはいろいろあるんでしょうが、国民の目線からすれば、選挙時の約束としては、特定扶養控除を残した上で、さらに教育費の家計負担を減らすんだという主張をされていたんだから、国民の目線から感じれば話が違うじゃないかというふうに思うんじゃないですかという趣旨の質問でありましたけれども、これをこのままずっと言っても同じ答えが返ってくるんだろうというふうに思いますから、これはまた別の機会で、政治家の姿勢と国民目線、マニフェストの考え方等々でもう一回やらせていただきたいというふうに思います。

 今回、公立高校の無償化がされるということよりも、私は給付型の奨学金を優先させた方がいいんじゃないかなというふうに思っておりました。

 公立高校の無償化では、既に減免措置がある低所得者層に関してのメリットがない、もしくは少ない、そういった発言が、自民党がヒアリングをしました全国教育長協議会の会長さんからありました。私もそう思います。

 そして、授業料を払わないことを理由に退学をする生徒二千二百人、この高校生の方々を救うためには、まず、これは既に減免措置のある層とかぶると思いますから、授業料以外の高校生活にかかる経費をカバーするための給付型奨学金という方が、本来的にすべての高校生が経済的な問題で高校で学ぶ機会を失うということを防ぐんだという趣旨では、こっちの方が合理性があるんじゃないかというふうに思います。そういった思いで、昨年、自公政権時に、四百五十五億でしたか、給付型奨学金の要求をしたわけであります。

 川端大臣も二月二十五日の本会議の質問に対して、これは民主党の委員の方からの質問に関してだと思いますが、「給付型奨学金については、平成二十二年度予算案への計上を見送ったところですが、大変重要な課題と認識をしており、今後とも、さらに検討してまいります。」という答弁をされています。されていますけれども、私は、今回、まず優先順位としては、公立高校の無償化よりもこの給付型奨学金の方を先に手がけるべきではないかというふうに思いますけれども、この給付型奨学金よりも公立高校の無償化を優先された理由をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 先般も自民党さんの基本的な考え方を予算委員会でもお示しいただきました。政策判断としての問題だというふうに思っておりまして、給付型奨学金を含めた支援が大切であることも十分承知をしております。

 そういう中で、私たちとしては、経済的に厳しい人に支援をするという、いわゆる支援策の拡充という選択なのか、この国の形として、高等学校の教育は無償化を目指しているという国にするのかという選択、大きく、理念、政策的に言えばそういうことかなというふうに思いまして、後者を我々としては選択をしたということで御理解いただきたいと思います。

松野(博)委員 余り理解できないんですが、やはり今回の法案の趣旨は、経済的な問題で高校の学業をあきらめなきゃいけない、そういう子たちを減らすんだ、全員に機会を担保するんだということであるから、そういうことであるならばやはり給付型奨学金を優先して、そしてその上で、また新たな議論として公立学校の無償化等々の議論をすべきだというふうに思います。これも、まだ今回の質疑は続きますので、細かく質問させていただきたいというふうに思います。

 続いて、大臣がこれまでの本会議、予算委員会の答弁においても、また午前中の下村委員との議論の中でも、今回、公立高校を無償化することによって公費を投入するんだ、その公費を投入することによって生徒が勉学に対する責任感が芽生えてくる、公共心が芽生えるというふうなお話を目的として挙げられました。

 だけれども、私は本当にそうかなというふうに思うんです。私は、公費よりも、保護者が額に汗して働いた金で高校の学費を出してくれるとか、自分で稼いだお金で学校に通うという方が、よほど真剣味が出るんではないかというふうに思います。もちろん、これはさまざまな事情でそのことがかなわない子たちに関しては、先ほど申し上げたとおり手厚い給付をするべきだというふうに思います。私自身も地方の零細企業のせがれで、親が苦労して学校へやってくれましたから、親に関しては大変感謝をしております。

 なぜ公費を投入すると責任感が芽生えて勉強に集中して頑張ろうという気になるのか、その理由がわからないものですから、ぜひ御説明をいただきたいというふうに思います。

川端国務大臣 親が子供さんを一生懸命額に汗して働きながら育てるということ自体で親に対する感謝と尊敬というのがはぐくまれることは、大変大事なことであるというふうに私も思います。

 同時に、税金というものが、世の中の人がみんな払っていて、それによって社会が支えられている、その社会によって子供たちは支えられ、期待をされているということをしっかりと認識させ、教えることも同じように大変大事なことであるというふうに思いますし、とりわけ、公共に対する意識や勉強の意欲というので、抽象的過ぎてそれが本当にどうかよくわからないとおっしゃいますが、私は、粘り強くそういうことをいつも意識してもらうことの大切さは十分にあると思っております。

松野(博)委員 例えば無償化になった場合、そういった場合、例えば親の子供に対する、公立高校に通わせている親御さんの求められる最大の責任というのは何なのかなというふうにも思いますし、また、多くの国民が公立高校の無償化には所得制限をつけるべきだというのが各種の調査でも上がってきているんですね。これは調査によってばらつきがありますけれども、インターネットなんかを使った調査でも大体七割近い人が所得制限をつけるべきだというふうに答えられております。

 ガソリン等の暫定税率の話では、マニフェストで維持をするというふうに書いたけれども、国民が継続を望んでいるというさまざまな声、提言があったから変更したんだというふうに鳩山総理がお話しになりました。

 今、やはり公立高校の無償化を進めるということであっても所得制限というのは必要だという多くの国民の声があると思いますが、こういう声があるんですから、所得制限をつけて変更するというようなお考えはありませんか。

川端国務大臣 これは理念の問題として、所得制限ということは、自民党さん、先生がおっしゃっている、いわゆる所得の低い人に対する支援という意味での政策ということと基本的に同じ考え方だと思います。

 私たちは、親の所得にかかわらずそういう環境がつくられる社会を目指すという制度として考えているということで、所得制限はもともと考えておりませんでしたし、所得制限をかけるかどうかという議論も制度論上はあるんだと思いますが、控除から給付へという一つの大きな物の考え方で、トータルとしての政策として、先ほど御議論ありました特定扶養控除の上乗せ分を減額するということで、税制においては所得においての部分が、高校生に相当する年代の世帯に対しての税額控除が圧縮される中で、総体的な効果としてはそういうものも結果としては生じることになっているのではないかと思っております。

松野(博)委員 先ほど質問させていただきました、この制度の恒久的な財源の問題と所得制限をどうしていくかという問題は本法案を議論するに当たっての大事な点だと思いますので、このことも今後この委員会審議の中でさらに詰めていきたいというふうに思います。

 私は、今回の法案の中でやはり気になっているもう一つの点というのが公私間格差の問題であります。

 投入額としては私学に対する投入がふえるから格差は縮まる方向だというのが大臣のお話でありましたが、本当にそうかなと。片っ方が全くただになるという状況の中で、大臣は格差感という言葉をお使いになりましたけれども、私は、格差感というよりもやはり格差というものが逆に広がるのではないかというふうに思います。

 その中で、一つ大臣の御答弁の中で気になった点があるものですから質問させていただきたいと思いますけれども、川端大臣が本会議における答弁、これも質問者は民主党の委員の方でありましたけれども、なぜ私学を無償化しないのかという質問に関して、「私立高校は建学の精神に基づいて特色ある教育を行っており、その自主性を尊重する必要があることにかんがみれば、私立高校について授業料の全額無償化を行い、国の関与が強まることについては課題が多いものと考えております。」という御答弁をされています。

 まずは一つ目は、なぜ全額無償化をすると私学の建学の精神や自主性を損ねることになるのか、このことがわからないんですが、お答えをいただければと思います。

川端国務大臣 私立高校の授業料は、それぞれの建学の精神に基づく特色ある教育活動あるいはさまざまな経営判断に基づいて、学校設置者がみずからの判断で、その権限と責任において設定をされております。その自主性は基本的に尊重されるべきものだと思います。

 仮に国が私学の授業料を全額公的支援するということにいたしますと、現実に平成二十一年の私立高校の授業料でいいますと、最高額が五十四万九千七百六円、最低額が二十万六千五百七十一円、全国平均で三十五万四千五百五円でありますけれども、高いところも低いところも全額補助をするということの負担の公平感の問題。それでいいますと、それと相場として高いということに関して、私学の自主的にみずからの責任と権限で決める授業料に対して、国が高過ぎるからもう少し低くならないかとかいうことを結果的に関与することになりかねないということでありまして、国の関与はそういう部分では直接、間接強めざるを得ない状況になるということを懸念するという趣旨を申し上げたところでございます。

松野(博)委員 私学を全額無償化するとという今私が申し上げたことは、本会議での質問がそういう全額無償化しないのかという質問だったのでそう申し上げたんですが、やはり私は私学助成のあり方についてはさらに議論をする必要があると思います。

 私は、私学に関して助成を強めていくことが、先ほど申し上げたとおり、建学の精神や自主性を排除するようなことにはならないのではないかというふうに思いますし、現にヨーロッパにおいては、私学であっても多くを公費によって賄われている形態もあるわけですから、私学助成のあり方と私学の自主性の問題についても、これはちょっと場面を変えて議論させていただきたいと思います。

 その中でもう一つ気になったことが、今回の高等学校就学支援金の支給というのは、これは対象者は生徒本人なんですよね。私立高校等に通う生徒本人。あくまで私立高校は、代理受給権を持って代理受給者になっているということだと思います。ですから、今回の場合は私学に入るんですが、しかし、本来この請求権を持っているのは生徒本人であります。

 ですから、生徒本人にもっと支援の額を厚くしてどんどん強めていっても、これはあくまで生徒個人に対する支援でありますから、私学に対する支援になって、大臣の御議論であれば、それによって私学の建学の精神や自主性が損なわれるということとは違う話なんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

川端国務大臣 形としては個人に支給でありますが、額が行く学校によって全部差ができるということになりますから、そういう意味で、先ほどと同じことでありますが、学校の部分に関しては、国が助成するのに実際何十万円も差がつくという部分でいうと、もう少し安くならないかとかいう関与は当然学校に対して結果的には出てくる話は起こり得るという懸念を示したものでございます。

松野(博)委員 私の質問は、先ほど言いましたように、全額無償化ということではなくて、私学に関して今十一万八千八百円を支給するということの額をもっと厚くしていっても、これはあくまで生徒個人に対する支援であるから、それを支援することによって私学に関しての自主性を阻害するようなことにはならないんじゃないか、だから、それを厚くしていく理由として今回のことの事由とは違うんじゃないかという質問ですが、もう一度お願いします。

川端国務大臣 大変失礼をいたしました。

 その部分でいいますと、いわゆる低額所得者、二百五十万円―三百五十万円以下の所得に対しての一定の増額ということの制度設計をいたしましたが、御案内のように、概算要求ではもう少し幅広に五百万円以上ということでありました。

 先生の御指摘も、それをどこかまで広げて乗せるという形で、結果的に段を上げるということの制度設計につながるお話かと、大体そういうことだと思いますが、ということは十分に政策的な判断としてはあり得るというふうに思いますが、概算要求としてはいたしましたが、財政上の諸般の事情で今回取り組めなかったということでありますので、そういう意味では、先ほどいろいろ全額を前提にしたことの答弁をしたのは失礼をいたしましたが、御趣旨はよく理解をいたします。

松野(博)委員 私は、私立はこれからもどんどん、特に普通高校においては私立の割合をふやしていくべきだ、その方が行政効率上もいいんじゃないかというふうに思っています。ただ、そのためには、しっかりとした私立学校に通う生徒等々に対する助成のあり方を強めていかなければいけないというふうに思います。

 今の大臣の御答弁で、要は、生徒本人を対象にした支給であるならばそれをどんどん厚くしていっても私学の建学の精神云々ということとはかかわりがないという整理だというふうに思いますので、その方向で私の方は理解させていただきたいと思いますし、今後の議論につなげていきたいというふうに思います。

 ちょっと時間が足りないものですから、全部の質問をし切れないんですが、先ほど公明党の池坊先生が、しっかりと高校生の修学の機会を担保するのは経済的側面だけじゃないよというお話、御指摘がありました。大変重要な御指摘であろうかというふうに思います。高校中退の理由の多くは、議論があったように、学業不振であったり環境の不適応、目的喪失等々であります。

 現代の日本において、高校中退をさせないというのが、社会からドロップアウトさせない、ドロップアウトという言葉が適切ではないかもしれませんけれども、させないことが最大の大きな要因の一つだというふうに思います。

 私も、友人が行っている通信制高校のサポート校のいろいろな行事に参加をしたり、卒業式も出たりしていますけれども、生徒と話すと、高校を中退したことがいかに自分たちの人生にとって遠回りになってしまったか、なぜあのとき続けられなかったんだろうかと大変悔やんでいる方がほとんどです。

 年代は、十代の方もいれば、二十代で仕事を新たに始めるに当たって改めて高校資格を取りたい、また三十代で、子供が生まれたからしっかりともう一回高校教育で学んでみたいという理由もありました。これは本当に大事なことだろうというふうに思いますし、そして今、私たちは高校をとにかく中退させないという施策に全力を続けていかなければいけないというふうに思います。

 先ほど申し上げましたけれども、経済的理由で今高校を中退しようとしている方の数は二千二百人前後という数が上がっておりますので、そのほかの問題に関しての対応も同時にしていかなければいけないというふうに思います。

 これは正直、中学教育の問題もあるんですが、全国的には、五教科の試験をやって百点をとれなくても入学が可能な高校というのが今あるんですね。そういった状況で高校に入ったときに高校のカリキュラムに対応ができるかといえば、これは最初からなかなか難しい。そういう問題の中で、高校の学習指導要領の柔軟性も高めて中学の復習等々も可能にするように変えてきてはいるんですけれども、まだまだそういった柔軟度が足らないというふうに思います。また、キャリア教育等も設計をしていかなければいけないというふうに思います。

 私は、高校の無償化の前に、高校の目的であったり制度設計であったり、また効果の検証のあり方等々の議論をまずするべきじゃないかなというふうに思っております。

 そして、きょう一番大臣にお訴えをしたいことというか、お願いをしたいことでありますけれども、先ほどお話を申し上げた恒久財源の問題。これも、今の時点においてなかなかはっきりしない。ずっとこれが続けられていくという保証、担保もできない。

 そして、地方議会もこれに対応する条例制定が終わっていないところがいっぱいあるし、地方の声を聞くと、はっきりしたことがわからないから対応に困っているという声が多いわけです。そして、今申し上げたように、まず高校において学ぶべきものは何か、目的をどうするのか、カリキュラムは、こういったことも議論をしなければいけない。

 こういったさまざまな問題を抱えたまま、きょうは三月の五日でありますが、四月の一日にこの法案を施行するというのはいかにも無理だ、さまざまな問題が生じるというふうに思います。ぜひ、このことは重要な課題でありますから、今挙げたような論点を含めて、じっくりと慎重にこの文部科学委員会で議論を進めていただきたい。

 そういうことをお願いし、大臣、ぜひ、今三月五日で、これから文科委員会で議論が始まるのに、四月一日に施行するんだ、こういうような取り運びはやめていただきたい。そのことに関して御所見をいただいて、質問を終わりたいと思います。

川端国務大臣 四月一日が目前に迫っております。私たちは、この国が子供たちの高校教育を社会全体が支えるという仕組みを実行する国にしたいという思いの中でこの法律を提出いたしました。四月一日、迫っておりますので、ぜひともに御審議の上、成立させていただきたいと思っております。

 と同時に、これからの教育のあり方、先ほど下村委員からも重要な提起をいただき、議論させていただきました。この問題は、並行して、非常に大事な問題としてじっくり議論をしていくということと、可能な限りにおいてはそういう対処をしていくということは、また議論をし、進めていかせていただきたいと思います。

 それと、年度末ということで二月議会、地方議会が今開かれておる中でありますが、できるだけ事前に、この我々が考えている法律の仕組みというのはいろいろな機会に地方自治体の皆さんにも御相談を申し上げ、議会の対応もできるようにいろいろと個別にお願いをしていると同時に、資料提供等々も適宜やらせていただいているという状況でございますので、ぜひともの御協力をよろしくお願いいたします。

松野(博)委員 質問を終わります。

田中委員長 次に、佐藤ゆうこさん。

佐藤(ゆ)委員 私は、愛知一区より選出をいただいております、民主党の佐藤ゆうこと申します。初めてですので、少し自己紹介をさせていただきます。

 愛知一区といいますのは、今全国的に注目をされています名古屋市、その市長河村たかしの後任になるわけですけれども、今、名古屋市は本当にいろいろなことで議論が繰り返されております。一つ何か制度を変えるには激しい議論があるということは、とてもいいことだと思っています。今回、高校無償化法案のことの質問をさせていただくわけですけれども、その前に一点だけ、公立高校施設整備費について質問させていただきます。

 高校無償化のために耐震化関連予算を削減したと発言をされた議員がこれまでにいらっしゃいますけれども、実際には、平成二十二年度予算におきまして、公立学校施設整備費全体の予算が前年度より二%削減されたものの、耐震化関連予算は九百十億円と、前年度に比べて一六%増となっております。このことは、学校耐震化が進んでいない自治体にとっては非常に心強い予算だと思いますけれども、逆に、既に耐震化を一〇〇%達成している自治体や、名古屋市のように一〇〇%近い達成率を持つ自治体には、耐震化の前倒しによって滞ってしまった老朽校舎の大規模改修や改造が急がれます。

 こうした自治体は、今回の公立学校施設整備費全体の予算が前年度より削減されていることが気になるところだと思いますけれども、政府として、公立学校施設整備費負担金や安全・安心な学校づくり交付金を自治体の事情に合わせて重点的に配分するようなお考えはありますでしょうか。

鈴木副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のように、今回は耐震化に重点を置かせていただきまして、予算も、御指摘いただきましたように、昨年の七百八十三億円から九百十億円に、そして対象棟数も、千九百棟から二千二百棟に増強いたしているところでございます。

 それで、今御指摘の老朽化、それから、社会的な要因で児童生徒数の増加に伴って生ずる教室不足のための新増築、こうしたことも、耐震化に加えて強い要望があることは承知をいたしております。

 平成二十二年度の予算執行に当たりましては、耐震化のほか、アスベスト対策でありますとかバリアフリー対策、あるいは特別支援学校の教室不足といったことは優先的に配慮をしたいというふうに思っておりまして、今御指摘の老朽改修の事業につきましても、緊急性の高い事業というふうに理解をいたしておりますので、予算の範囲内で積極的に対応をしてまいりたい。

 いずれにいたしましても、地方公共団体と密接に、ニーズを伺って、あらゆる機会を通じてこの公立学校の施設整備を推進してまいりたいというふうに考えております。

田中委員長 佐藤ゆうこ君、指名してから発言してください。

佐藤(ゆ)委員 はい。

 ありがとうございます。命を守るという観点からぜひ進めていただきたいと思います。

 では、本題の高校無償化法案について質問をさせていただきます。

 この法案は、保護者の皆さんはもちろんですけれども、今春から高校に入学をされる十五歳のお子さんまでがかかわる法案ですから、すべての回答につきましては、十五歳のお子さんがわかるような、わかりやすい言葉を使って答弁をよろしくお願いいたします。

 実は私は、最初に高校無償化という言葉を聞きましたときに、正直疑問を感じました。といいますのは、私自身四人の子供がおりまして、どうしても削れないのが教育費です。その中で、やはり夫婦で力を合わせて何とか捻出をして子供を卒業させたという思いから、ああ、これからは公立高校は無償になるのかとうらやましい気持ちと、複雑な思いがしました。

 また、周囲からは、もっと早くこういった制度をつくっておいてくれたら公私の高校進学の幅が広がった、公立か私立か迷うときに、もし補助があれば、もっと迷うことなく子供の思ったところに行かせられたんじゃないかとか、教育は家計を圧迫するというふうに思わずに済んだとの声も聞こえてきました。

 私と同年代の方は、一生懸命頑張った子育てが一段落をして、今度は親の介護を心配する時期に入りました。ですから、高校の無償化よりも介護や福祉を優先してほしいと思われることは、ある意味当然のことだと思っています。

 しかし、皆さんにも御理解いただきたいのですけれども、教育に関して世界各国の状況を見たときに、私は、高校教育の無償化は世界的な常識になっているんだ、日本はおくれていて、知らなかったのは私たちだけなんだと感じました。

 また、先ほども言いましたけれども、何か一つ制度をつくるときには、必ず移行するときに生じるはざまがあり、すぐに結果が出なくても、将来に結果を残すことも多々あることも事実として受けとめなければならないと思いました。

 国際人権A規約では、中等教育における無償教育の漸進的な導入が規定されていますけれども、日本とマダガスカルだけが留保をしているわけです。

 そして、お配りをさせていただきましたけれども、お手元の諸外国における授業料の表を見ていただきますと、ほとんどの国が授業料を無償としており、今や、高校教育の無償化は世界的に潮流であることがおわかりいただけると思います。そういった観点からも、高校無償化法案の必要性はとても高く、一日も早い成立が望まれます。

 今法案の基本理念の堅持について、改めて大臣の見解をお示しください。

川端国務大臣 お答えいたします。

 国民の九八%以上が高校まで実際には行っておられるという状況で、高校で教育を受け、社会に出て活躍されるという意味でのその成果は社会に大きく還元をされるという意味では、社会に貢献をしていただいております。

 そういう意味で、今のマダガスカルだけだという人権条約のお話や世界的な潮流の無償化等も含めて、この高校教育を社会全体が支える仕組みとして日本もそういう国にするということで、ひいては、そのことによって、学びの場としての経済的な安心、不安をなくした中で勉強に打ち込めるという環境をつくるとともに、しっかりと社会が支えて子供たちの勉強を応援しているということの中で、その社会的意味を自覚をして勉強に励んでいただくようにしたいと思っております。

 ぜひとも御理解をお願いしたいと思います。

佐藤(ゆ)委員 今回の無償化法案に関連しまして、特定扶養控除の見直しは家計の負担がふえるだまし討ちではないかとか、低所得者の世帯は便益がないのではないかとの批判がありますけれども、これもお配りしておりますけれども、資料二ページ目のように、高校無償化と特定扶養控除の見直しをセットで考えれば、便益がプラスになっていることは一目瞭然です。

 しかし、こういった誤解が生じるのは、政府側の説明不足とも受け取れます。税制の見直しを含めた政策パッケージ全体についてより丁寧に説明をする必要があるかと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。

高井大臣政務官 資料もお配りしていただいているとおり、今回の予算編成過程において、教育費などの支出がかさむ世代の税負担の軽減を図るために創設されたこの特定扶養控除については、高校の実質無償化に伴って、十六歳から十八歳までの特定扶養控除に対する控除の上乗せ分、所得税でいうと二十五万円、そして地方税は十二万円を縮減することというふうになりました。

 それで、御指摘があったとおり、控除から手当へという考え方に基づいて、特定扶養控除を縮減して高等学校実質無償化の措置をあわせることによりまして、限られた予算の中ですべての所得階層において便益が増となるように、とりわけ低所得者世帯ほど便益が厚くなっているというところでございます。

 これは、佐藤委員がお配りしていただいているこの高校無償化と特定扶養控除見直しの影響試算例というのを見ていただければ、各年収別にするとどれだけアップになっているかということがここに出ておりますが、このとおりでございます。

 今後、さらに高等学校実質無償化について、やはり、税制全体の見直しを含めた効果や、都道府県において取り組んでいただいている施策などもあわせて、御指摘あったとおり、こうした審議を通じても御理解いただけるように我々も努力していきたいと思いますし、政策パッケージ全体をできるだけ丁寧に説明してまいりたいと思います。

佐藤(ゆ)委員 対象の方が不安になることのないようにお願いしたいと思います。

 私立高校など就学支援金は世帯年収に応じて加算をされますけれども、その所得について伺います。

 この所得とは、総収入を指すのでしょうか、それとも課税所得を指すのでしょうか。また、いつの時点での所得のことでしょうか。

鈴木副大臣 世帯収入をベースにいたしておりまして、今もお話にございましたが、いろいろな控除の際を参考にいたしまして、市町村民税の所得割額によってこの世帯の所得というものを確認することを考えております。

 それで手続等々でございますけれども、市町村民税の所得割額を確認できる課税証明書を、私立高校等を通じて御提出をいただくというようなことを予定しているところでございます。

佐藤(ゆ)委員 そうしますと、所得は前年の所得ということでよろしいでしょうか。

鈴木副大臣 今申し上げました課税証明というのは、大体、毎年六月ごろに出ます。したがいまして、四月、五月につきましては前々年度の所得ということになります。そして、六月以降が前年の所得に基づく市町村民税の所得割額、こういうことになります。

佐藤(ゆ)委員 対象者が、私は一体どこの部類に入るだろうかと確かめたい場合はどのような方法をとればよろしいでしょうか。

鈴木副大臣 直近の証明書をとっていただいて、それを確認をしていただければよろしいかと思います。

 直近のということは、結局、四月、五月にとっていただいた場合には前々年度、こういうことになりますし、六月は、直近のということになれば前年の所得証明をもらえるというふうに思いますので、そのことで確認をしていただいて、そのまま対象者、対象額を決めてまいるということになります。

佐藤(ゆ)委員 前年の所得より不幸にして本年の所得が下がって授業料の支払いが困難になった場合、そういった世帯に対する救済措置はありますでしょうか。

鈴木副大臣 家計急変などの奨学金というのがございますので、その対象になる世帯については、そうした支援をあわせて活用していただく、こういうことになります。

佐藤(ゆ)委員 わかりました。

 この法案が通れば、いよいよ四月からこの制度が実施されます。私立高校など既にもう進学が決まっているお子さんもいらっしゃいますけれども、その手続の周知につきましては、学校側にすべてを任せるのか、それとも行政の責任において行うのか、教えてください。

鈴木副大臣 これは、ありとあらゆるチャンス、会議を通じまして私どもも団体に対して、それから、法律を成立していただきましたならば、速やかに学校現場、いわゆる直接その生徒さんやその家庭に情報が行き渡る、そうしたチャネルも使いまして、地方公共団体にも行いますし、学校法人にも行いますし、そして、直接のポスターだとかパンフレットといったようなこともぜひ考えてまいりたいと思います。

佐藤(ゆ)委員 説明会を開いているということをお聞きしていますけれども、その説明会の対象者はどこになりますでしょうか。

鈴木副大臣 説明会の対象者は、基本的には地方公共団体や学校関係者ということでございます。

佐藤(ゆ)委員 まだ法案の段階ですけれども、まだまだ周知がされていないと思っております。私たちのような一般の人がわかるような周知の仕方をさらに考えていただきたいと思っております。

 次ですけれども、先ほども委員の方から質問ありましたけれども、長野県八四%減、愛知県五三%減など、国の無償化をにらんで、都道府県が従来行ってきました私立の授業料減免措置を来年度予算で削減する動きが数多く見られ、一見しますと、国の政策が実行されても、これまでに比べて、授業料減免補助が減額された都道府県の方々が今までと同じより損をしたような錯覚に陥る気配が感じられます。

 実際のところ、私立高校にかかわる保護者の負担は、これまでより軽減されることははっきり明確になっているでしょうか。

鈴木副大臣 お答え申し上げます。

 先ほども大臣からもお話しを申し上げましたけれども、年収五百万円未満程度の世帯に対しては、これまで国、地方合わせまして、例えば平成二十年度の授業料減免補助実績で申し上げますと、約二百九十億円でございます。これが平成二十二年度におきましては七百七十七億円、二百九十億円の実績が七百七十七億円に大幅に拡充をされます。

 この結果、例えば全国の二百五十万未満程度の世帯に対しましては、全額免除になるのが三十七県、三十七都道府県において全額免除相当の支援になります。そして、十県においても、全額ではございませんけれども、現在より手厚い支援ということになります。

 それから、三百五十万円未満程度の世帯ということで申し上げますと、十二府県で全額免除相当の支援になります。そして、二十七都道県で、全額免除ではございませんけれども、現在より手厚い支援を予定をしているというふうに聞いておりますので、多くの都道府県では現在より手厚くなると考えております。

 ただし、愛知県におきましては、これまでも極めて手厚い支援をしていただいたという関係上、愛知県につきましては、二百五十万以下では引き続き全額免除相当でございます。

 そして、三百四十万円以下二百五十万円以上が、これまでは二十六万四千二百円であったものが全額免除になります。ここはプラスでございます。

 それから、三百四十万から六百万のところは、今まで二十万五千二百円でございましたが、これが二十二万九千二百円に増額をいたします。

 それから、六百万円から八百三十万円以下でございますが、これまでが十四万六千四百円でございましたのが十七万四百円になるということで、三百四十万円から八百三十万円の世帯についてはいずれも増額ということになっておりますので、愛知県におきましても、私立高校生への支援が現在より充実をいたします。ということでございます。

佐藤(ゆ)委員 どうもありがとうございました。

 愛知県は授業料免除につきましては断トツ一位なんですね。それで、愛知県の保護者の方からは、これによって愛知県は余り優遇されないんじゃないかという御意見をいただいておりましたけれども、安心をしました。

 あと、中途退学とかいろいろお伺いしたいんですけれども、今回お聞きするのは中途退学ではなく、一家転住などで私立高校から私立高校へ月の途中で転校した場合、その場合に就学支援金の基準となる高校は、一日付で在籍をする高校に限るのでしょうか。

鈴木副大臣 二重取りということは制度として不公正でありますから、法案上の処理といたしましては、月の初日に当該学校に在籍している者に月単位で就学支援金が支給をされるということになっております。

 したがって、月の半ばで編入をされた場合は、編入前、要するに、その一日にいた学校から支給をされることになりまして、翌月分は編入後の学校から支給をされる、こういうことでございます。

佐藤(ゆ)委員 わかりました。

 多少の負担はどうしても出てきてしまうということになるんですかね、月の途中の場合は。

鈴木副大臣 いや、多少の負担はございませんで、同額を、要するに世帯収入は変わりませんから、私立学校の場合でも、世帯収入に応じて十一万八千八百円なり、もう少し世帯収入が低い場合はその一・五倍あるいは二倍といったものが、転入学をしようがしまいが、毎月同じ額が支給される、こういうことでございます。

佐藤(ゆ)委員 わかりました。

 済みません、ちょっと質問の仕方が悪かったと思うんですけれども、A高校に最初いて、そこで授業料を払った。月の途中からB高校に行った場合、B高校にもその月は授業料を支払わなきゃいけないと思うんですけれども、そのときに、二重取りといいますか、A高校でも払ってB高校でも払う、支援があるということではないわけですね。

鈴木副大臣 学期途中あるいは学年途中の転入学の際の授業料の取った分の返す、返さないというのは、それぞれの学校法人においてそれぞれの方針で決められているものでございますので、ケース・バイ・ケースということになります。

 ですから、場合によっては御指摘のこともあり得るということだと思います。

佐藤(ゆ)委員 わかりました。

 最後になりますけれども、先ほども松野委員が質問をされました、鳩山総理大臣は、子育てや教育は社会全体が助け合い負担するという発想であると明言をされ、無償化によって子供たちが社会に支えられているという認識を持つことは、とても大切なことだと思っています。

 しかし、保護者への感謝の気持ちが薄らいではいけないので、受け入れる学校側でも、授業の中で、こういった税金のあり方や教育、そして親子のきずなについて子供が考えるような機会をつくっていただきたいと思っております。

 また、政府としても、今後この法案を周知させていくに当たりましてそうした配慮も必要になってくると思いますけれども、見解を伺って、時間となりましたので質問を終わらせていただきます。

鈴木副大臣 御指摘は踏まえてきちっと対応してまいりたいと思いますが、しかし、親への恩というのは、授業料を払うとか払わないとかいうことを超えて、まさに生まれてから十五歳あるいは十八歳に至るまで、親の支援なくして、あるいは保護なくして生きてこられなかったわけでありますから、そのことをその生徒児童を取り巻くあらゆる人たちが折に触れていろいろと話していく、まさにそうした思いを涵養していくということに社会総ぐるみで、もちろん学校がその先頭に立って取り組んでいくということではないかと、こういうふうに思います。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。以上で終わります。

田中委員長 次に、高野守君。

高野委員 民主党の高野守でございます。

 きょうは、私にとりまして、議員となりまして初めての質問でございます。質問の機会をいただきましたことに感謝を申し上げますとともに、ふなれでございますけれども、田中委員長を初め皆様方、どうぞよろしくお願いをいたします。

 多少自己紹介をしますけれども、私の家は代々神社でございまして、神社仏閣に限りませんけれども、日本には有形無形な、すばらしい芸術や文化がまだまだたくさん眠っております。また、私の父は教師で、保育園の園長もしておりまして、私自身、約五年でありますけれども、いじめや不登校の子供たち、そして親御さんたち、カウンセラーやボランティアの皆さんとそうした課題に今もかかわっております。そしてまた、選挙区には日本で初めて平和利用の象徴としての原子力の火がともった東海村もございまして、こうした経緯から特に思い入れもございまして、教育、文化、芸術、科学技術の分野にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

 教育についてでありますけれども、私自身、それなりの人生経験を持ってきた、あるいは教育についての考えを持ってきたつもりでありましたけれども、不登校の子たちと初めて接する機会を持ちましたときに、自分がいかに無力であったかということを痛感をさせられた経験がございます。

 そして今、やはり教育にとって、もちろん現場が大切なわけでありますけれども、特に現場で、教師も含めて、我々大人も含めて最も大切なのは、そうした子供たちをすべてとりあえずそのまままず受けとめる、そうした力を養うこと、そして、子供たちを見守り続ける忍耐力こそがその根底に必要ではないかというふうに思っております。

 教育とは何かということを、常にその原点を見直すことが、日本の教育の再生、教育力の向上に不可欠な要素であると考えております。どんなに立派な法律や制度をつくっても、それを運用するのは、これは教育に限りませんけれども、私たち人でございます。そこで関係者の情熱や魂がなければ、絵にかいたもちになってしまいます。

 これらの観点も踏まえまして、今回のいわゆる高校無償化法案、これは、法律、制度、運用を考えていくことが大切であるというふうに思っております。

 本日の議題であります公立高校に係る授業料の不徴収及び高等学校就学支援金の支給に関する法律案は、鳩山総理の掲げるコンクリートから人へを象徴する法案でございますし、私は、時宜に合った、本当に大切な、重要な施策であると評価をさせていただいております。

 また、本会議の趣旨説明及び質疑の中で大臣は、「種々の形態の中等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。」とする国際人権A規約における漸進的無償化条項の留保撤回を視野に入れながら、御決意を述べられました。私も大変に同感でございます。

 既に、このいわゆる高校無償化法案について鳩山総理も施政方針演説で触れていただいておりますし、大臣からは本会議において趣旨説明及び質疑も行われ、本委員会においてもまた今もいろいろと討論が行われておりますので、私からは、こうした点はちょっと省かせていただきまして、幾つかの私が非常に関心を持っております具体的な施策の運用について、中心に御質問をさせていただきたいと思います。

 初めに、外国人学校への支援の意義という観点でお願いといいますか御質問をさせていただきたいのでありますけれども、私は、先般、田中眞紀子委員長のもとで、ドイツ人学校の東京横浜独逸学園、世田谷のこれは医師会立でございましたけれども、看護高等専修学校、そして北区の朝鮮中高級学校の視察に参加をさせていただきました。独逸学園では、ちょうどひな祭りということもあったんだろうと思いますけれども、着物姿の子供たちが私たちを迎えていただきましたし、また朝鮮学校でも、私自身いろいろと感じるところがございました。

 先ほど来、馳委員の方からも出ておりましたけれども、普遍的なものであるべき教育、そしてまた、制度というのは客観的に簡明であるべきというふうにも私は思っておりますので、実際の省令で定めるということでありますけれども、これについてはそうした方向で御検討をいただきたいと思います。

 私は、一点、今最初に申し上げましたように、その支援の意義ということについてちょっとお話をしたいと思います。

 それは、国際的に見ましても、就学支援金のような形で外国人学校を支援する制度はほとんど余り例がないというふうに、私、細かくは確認していないのでありますけれども、聞いております。そうした意味では画期的なことであるわけでありますし、せっかく国民の税金を投入するわけでありますから、これが施行されたときに、日本はすばらしい制度をつくったなと諸外国から喜ばれて、感謝とまではいかなくても、少なくとも日本が、教育の面で、あるいは国の形として評価をされるようなものにしていくことが私は極めて重要であるというふうに考えております。

 日本では、池坊先生の生け花もそうでありますが、私の冒頭に申し上げましたように、すばらしい文化、芸術がまだまだ眠っておるわけでございますし、こちらから外国人学校の教育の内容に立ち入るということはこれはできないわけでありますけれども、しかし、結果として国際社会から評価をされるということが、同時に、それぞれの国の方が、日本をもっと知りたい、日本人をもっと知りたい、そうしたことによって日本のすばらしいものがまたさらに理解が深まっていくというふうに考えます。

 したがって、今回の制度、いろいろあるとは思いますけれども、やはり、そうしたすばらしいスタートの制度にしなくてはならないと思いますし、ぜひ諸外国に評価されるような運用に努めていただきたいと強く願っているものでありますけれども、文科省としてのこの点についての御見解をお伺いできればと存じます。

鈴木副大臣 委員御指摘のとおりだと思います。

 今回は、高等学校で学ぶすべての生徒に対しては、これはもう完全に無償化あるいは就学支援金を交付していく、こういうことであるわけでありますが、加えまして、一人でも多くの若者の学ぶ機会を応援をしたいという趣旨から、高等学校の課程に類する課程についても、その精神、その対象、そしてその支援を広げていこうというぎりぎりの挑戦を、財政状況は大変厳しいわけでございますけれども、させていただいたわけでございます。

 おっしゃるように、フランス、ドイツにおきまして国または地方自治体が、その国における一部の外国人学校に対して税制あるいは助成をしているという例はございますので唯一とまでは言えませんが、世界に先駆けた取り組みであるということは委員のおっしゃるとおりでございますので、この趣旨をぜひ諸外国に対しても世界に対しても発信をしてまいりたいというふうに思っております。

 それも結局、この無償化、委員も御存じのとおり、イギリスでは一九一八年、ドイツでは一九一九年、トルコでは一九二六年、第二次世界大戦以前にもう既に導入をされ、ドイツ、イギリスにおくれること九十年、このおくれにキャッチアップするということはもとよりなわけでありますけれども、まさに、このグローバル時代で日本が何を大事に思っているかということを発信していく上で非常に大事な取り組みだというふうに思いますので、きょうの御指摘を踏まえて頑張ってまいりたいというふうに思います。

    〔委員長退席、笠委員長代理着席〕

高野委員 ありがとうございます。

 日本は、お金を出してアピールをしろとか感謝してもらえとかそういうことではなくて、やはり、こうしたことをぜひ頑張ってやっていただきたいと存じます。

 次に、単位制高校についてちょっと御質問をさせていただきたいと存じます。

 茨城県には、全国でも数少ないわけでございますけれども、単位制の公立高校というのがございます。水戸南高校というところなのでありますけれども、この高校は、「いつでも、どこでも、だれでも」、「あせらず、あわてず、あきらめず」を理念として、やる気のある人には、年齢を問わず、過去を問わず、自分たちの可能性を探し求めることができるよう、そして夢を実現することのできるように門戸を開いている学校でございます。小中学校で実際には不登校を経験したといいますか、そうした状況になってしまった生徒たちもたくさんいらっしゃるわけでありまして、また、高校を退学した生徒などが、これまで生かし切れなかった能力を、そうした適性を自由闊達に十分発揮できるような、少なくとも今までの公立高校とは違った形で、そういうすばらしいシステムだと私は思っております。

 この公立高校には、昼間部、昼間制というんでしょうか、がございますけれども、四年間を標準としている学校でございます。もちろん、三年でも卒業することができるカリキュラムを、これは個人の意思で、生徒さんの意思で組むことができるようになっているわけですけれども、今回の公立高校の授業料不徴収の制度がこうした単位制の学校にどう適用されるのか。これは、確認を込めて御説明をいただければありがたいと存じます。

鈴木副大臣 単位制高校の役割、存在意義は大変大きくなっているというふうに思っております。当然、今回の法案におきましても、公立あるいは私立問わず、単位制高校も、公立であれば不徴収の適用、そして、私立においても就学支援金の適用になっております。

 そして、単位当たりで授業料を定めている場合には、ここも弾力的に考えまして、要するに実質的な公平が担保されていればいいわけでありますから、単位制の実態に応じて同程度の就学支援金が受給できるように、一単位当たりの授業料月額というようなことも視野に置いて政令を定めてまいりたいというふうに思っております。

 きょうもずっと中途退学の議論がございましたが、委員も御承知のように、その四割は学校と不適応だったと。ですから、別の学ぶ機会というものが提供されればこの問題は相当程度解決をされるというふうに思います。

 そういう中で、就学支援金というもので多様な学びを応援させていただくことで学びのチャンスをふやしていくということもあわせて留意しながら、単位制高校を支援してまいりたいというふうに考えております。

高野委員 ありがとうございます。私は、前段でお話ししましたような経験、今もそうなのでありますけれども、この単位制高校というのは、こうした非常にユニークですばらしい面がたくさんございます。文科省としてもこうした方向にも力をぜひ入れていただきたいということを要望させていただきます。

 次に、留年者への対応についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 留年に至る経緯というのは、病気であるとかいじめ、不登校、経済的理由など、実にさまざまでございます。今回、留年者に対しては、三年を基準とするということですから国庫はその分は負担をしないというふうに伺っておりますし、私自身は、どこかできちっと線引きをすることが制度は重要でありますので、これは妥当な対応だというふうに思っております。

 ただ、今は財政が各自治体大変厳しいですから、特にすぐにそうした差が生じるということはないかもしれませんけれども、国費負担を行わないときに留年者の授業料を無償化するかどうかというのは、各自治体の裁量に任される。もし無償化となれば、費用負担も自治体が負うことになると聞いております。私立学校の留年者も同様で、各自治体の判断にゆだねられるというふうに聞いているわけです。

 したがって、当面は本当に各自治体厳しいのは私も実感をしておりますし、わかっておりますけれども、やはり、制度というのは将来にわたった観点が必要だと思いますし、そうした意味で、今後、各都道府県の判断に任せていく場合に、近隣の都道府県や、あるいは市立もございますので、不平等や格差といったものが生じることを若干私は懸念をしておりまして、現段階での状況はよくわかりませんけれども、それぞれの自治体のそれらについての対応は文部省としてどうなっているのか、ちょっとお聞かせをいただければありがたいと存じます。

鈴木副大臣 あくまで、生徒間の負担の公平の観点から相当でない場合に授業料を特別に徴収するということでございます。ですから、例えば病気で休学をしているという場合は、これは、届け出があればその部分は当然カウントいたしません。それを入れないということは極めて公平な観点だと思います。

 しかしながら、本当にケース・バイ・ケースでございますから、具体的な判断は、地方公共団体が個別の事情を十分に勘案して対応していくことが望ましい。国が網羅的に類型化すると、かえってそうした地方公共団体の裁量を狭めることになりかねないというふうに思っておりますので、都道府県に御対応いただくのが適切だというふうに考えております。

高野委員 ありがとうございます。

 基本的に、地域主権という中でいろいろな学校、いろいろな取り組みが地方自治体にあっていいというふうにも思っております。しかし、将来、長い目で見た場合に、地域間で教育格差が生じないような万全の体制というのがやはり文部行政として忘れてはならないというふうに思いますので、ひとつよろしくお願いをしたいと存じます。

 次に、また不登校ばかり言って恐縮でありますけれども、本当に国民の皆さんにもこれはちょっと御理解をいただきたいなと思っているわけでありますが、この無償化法案が成立した後、現場において私がもっと危惧するところは、やはり、教師や、周りの不登校の子たちに対する対応でございます。

 それは、今回こうした制度、私はすばらしいと思っておりますし、文科省も既に述べられておりますけれども、子供たちに、国民みんなが君たちの学びを支えているんだよ、頑張ってねと学びの意識を醸成することは私も大変重要なことだ、大切なことだと思っております。しかし、その一方で、そうした姿勢が不登校で悩んでいる子供たちや親への新たなプレッシャーにならないように十分に留意をしていただきたいということを強く感じております。

 といいますのは、実際、これは本当に多くの国民の皆さん、親御さんたちが期待していると私は思っておりますけれども、一方で、そうした不登校の子を抱えている親御さんというのは、非常にまじめな方が多いわけであります。私の友人の一人は、今一年生でまだ学校に行けていないという状況が続いているんですけれども、うちの子は学校に行けないのに授業料がただになってしまう、これは心苦しいと思ってしまう人もいるんですね。喜んで待っている親御さんもいれば、その現実が心苦しいと感じる親御さんもいらっしゃいます。決してその学校に通い続けることがいいとはその親御さんも思っていなくて、ほかの道をというふうにももう既に考えているのでありますが、ただ、心苦しいからどこかで区切りをつけて退学させようかと思っているというようなお話が現実にございました。

 私は今回、表現は適切じゃないかもしれませんけれども、三年間は少なくともだれもが平等に公立学校に行くものであれば、差別なくこの不徴収ということの恩恵にあずかれるわけですから、三年間は気にしないでください、そして、その過程でどうされるかはそれぞれが判断するしかない、しかし、それを超えた部分は結局自分が払おうということでやればいいんだからと、制度を十分理解していないときだったので適切だったかどうかわかりませんけれども、そんなに心配しないで対応していただきたいという話を今しているところでございます。

 また例えばの話でありますけれども、生徒思いの若い熱心な教師によくあるんですけれども、こういった姿勢を子供たちにも理解してもらうというのはもちろん大事だということは先ほど私も認識を同じくしているんですけれども、そうした子に例えば、君の授業料は国民の税金で賄われているんだよ、みんなに支えられているんだよ、恐らく、優しい言葉で言うか強い言葉で言うかそれはそれぞれだと思いますけれども、それで早く学校に出てきて勉強しようよといったようなことが間々あるわけでございまして、叱咤激励のつもりで、こうした方針に従って発せられた言葉が現実の不登校で苦しんでいる生徒の心に大きな傷となって残り、最悪の事態を招きかねない状況も想定しなくてはいけないというふうに私は思っております。

 ちょっと長くなりましたけれども、要するに、子供たちに今回の無償化の意義というものを伝えることは、そうした学びの意欲、そうした意味でも大変重要だと思っている一方で、そうした子供たちへの無用なプレッシャーをかけないように、ぜひ教育現場、特に教師の皆様が、これは私たち政治家も、あるいは地域に住まいする国民のすべてではありますけれども、特段の御配慮をお願いしたいということをちょっと申し上げておきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鈴木副大臣 制度の意義ということについては委員も十分御理解をいただいているというふうに聞かせていただきました。

 不登校の生徒の実態というのはもう本当にさまざまだというふうに思いますので、これはもう本当に各学校において、そして不登校の生徒ごとに適切に対応していただくということになるんだろうと思いますし、また、各学校現場においてそのようにお願いをしたいと思います。これまでも、スクールカウンセラーを配置したり、不登校の生徒を対象といたしました教育支援センター、適応指導教室などもしております。

 しかし、加えまして、それぞれの学校現場で、そうした不登校児童に対する指導の専門的な知識、能力を持った教員、あるいは管理職がリーダーシップをとっていただいて、学校の教員全体あるいは保護者も含めてそうしたリードをしていただくということをぜひお願いしていきたいと思いますし、私どももさらにきめ細かい指導をさせていただきたいというふうに思っております。

高野委員 鈴木副大臣もこうした問題に大変に努力をしていただいているものとは思いますし、今回特に、何度も学びのそういうことを子供たちにも知らせようという動きが、前面といいますか出ているように、それはいけないことじゃないんですけれども、現場の個々対応についてはしっかりとしていただけるように、やはりこれは下手なメッセージを、私のおやじも教員でしたけれども、文部科学省というのは現場の教師にとっては大変遠い存在というか大きな存在なんですが、ですから、その点をちょっと留意していただきたいということで申し上げました。

 それと、教育というのは、本当に国の根幹、百年の計と言われております。この高校無償化法案を機に、きょうはさまざま幾つかの角度から申し上げましたけれども、新たな教育元年、どうしてもそうした意味ですばらしいスタートの年にしなくてはいけないと思いますし、この法案も、そうした本当に中身をつくっていくのは、運用が大切だと思っております。これからだというふうに私は思っております。

 こうしたことを進めるに当たって、繰り返しになりますけれども、やはり、立派な制度ができても、それを遂行したり、そういう現場の情熱とか、そこに魂を入れられるかどうかで全然もう意味が違ってしまう。きょうは質問いたしませんが、原子力の安全の問題もそうであります。制度が立派でも、バケツで臨界なんということが東海村では現に起こってしまったわけでございますし、ぜひ、教育においても私たち政治家も関係者一丸となって自問自答しながら取り組んでいただき、この法案が国益にかなうすばらしいものとなることを祈りまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

    〔笠委員長代理退席、委員長着席〕

田中委員長 次に、平山泰朗君。

平山委員 民主党の平山泰朗です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私も、今回が初めての質問ですので、多少緊張しながらさせていただいておりますけれども、そもそも、この文部科学委員会に所属させていただきましたのも、私、生まれが長崎県の壱岐という離島で生まれておりまして、ここで育つとなかなか教育の機会が厳しい。高校なんかも一つか二つしかありませんし、そういう中で育っていく中で、大学にも行かせていただいて、そして今この場に立たせていただいている。これは、まさしく教育がなかりせばこの立場になることもできなかった。皆様方の前で発言することもできなかった。そういうことを思えば、やはり教育の重要性を感じまして、この文部科学委員会に所属をさせていただきました。

 さて、高校授業料無償化とそれに関する奨学金について、きょうは質問させていただきます。

 私の選挙も応援に来ていただきました鈴木寛副大臣に、奨学金が非常にお詳しく、ホームページにも前々から掲載されているのを見させていただいておりました。そういう中でも、民主党の政策第一弾として、この高校授業料の無償化と、もう一点、それに関する奨学金に関して、私の方から御質問させていただきたいと思っております。

 私の選挙区である足立区は、昨年度、公立中学校を卒業した生徒の進学率が九六・一%、二十三区内では最悪の数値になっています。また、文部科学省による平成二十一年度全国学力・学習状況調査結果報告を見ると、足立区の平均正答率は東京都や全国の平均より低い状況にある。こうした背景には、区の人口に対する生活保護率が三%、二十三区平均で見ると一・七%という中で、結局、貧困層の方々がたくさん住まわれている中、教育にそこまでお金がかけられない。その結果、また負の連鎖を起こし、日々の生活だけでも大変だという方々がたくさん住んでいらっしゃるというのが私の選挙区でもあります。

 こうした教育格差が顕著な地域に私、回っておりまして、やはり高校授業料の無償化はありがたいという声を多々聞いております。親の収入のいかんにかかわらず、教育を受ける機会を平等にすることは非常に大切なことだと考えます。

 そこで、何度も聞かれたことにはなるかと思いますが、高校授業料の実質無償化の実現によって、高校生やその家庭に対してどのような効果を期待されておられるのでしょうか。

鈴木副大臣 私も東京都連の所属でございまして、ぜひ教育を一生懸命やらせていただければと思います。御協力をお願い申し上げたいと思います。

 足立区の例をとりましても、結局、都立単願の受験生が急激にふえている、これはまさに経済状況の影響だというふうに思います。そうしたことも、今回の高校無償化法案を策定するに当たって何とか支援をしていきたい。単願で不合格になってしまいますと、そこでもう高校に行くというチャンスが奪われてしまいますから、就学支援金等々を導入することによって、併願をするというチャンスが確実にふえるわけでございます。

 また、合格されて進学をされた後も、まさに社会全体が応援をしていくというそうした哲学、考え方のもとに、すべての意志ある高校生が心配することなく安心して勉学に打ち込む、これは勉学に集中できるという効果もあると思います。アルバイトをやりながら学んでいる学生も多々おりますけれども、そうしたアルバイトを減らすとか、あるいはアルバイトをせずに勉学が続けられる、こういうこともあります。

 それから、いろいろな統計を見ますと、どうしても、次の高等教育への進学という観点からも、今回の支援を講ずることによって、次の大学やあるいは専門学校に行ってみよう、こういう次の目標も持ちながら高校に通うということになれば、これも高校生の学ぶ意欲ということに大いに資することになるというふうに思っておりまして、こうした観点から、ぜひとも、足立区を初めとするすべての日本の若者に、今回の支援策によって学ぶチャンスというものをきちっと保障していきたい、このように考えているところでございます。

平山委員 今回の法案では、公立高校の授業料は実質無償として、私立高校の場合は高等学校等就学支援金を助成するとしておられます。

 授業料の高い私立学校について、就学支援金を支給しても不足する部分についてはどのように対応をされるのでしょうか。

鈴木副大臣 先ほども御説明を申し上げましたけれども、今までは、平成二十年度実績で申し上げますと、国、都道府県で、二百九十億円の支援、授業料減免補助でありましたものが、平成二十二年度は七百七十七億円に大幅に拡充をいたしております。

 その中で、年収二百五十万未満程度の世帯につきましては三十七都道府県で全額免除相当の支援というものが実施をされますし、三百五十万未満程度の世帯につきましても十二府県で全額免除相当の支援が実現をできますので、まず、このような支援の拡充になっているということを御理解いただきたいと思います。

 そして、その不足する部分については、さらに都道府県におきまして地域の実態に即した適切な対応が行われるということを強く期待いたしておるところでございまして、そうした観点から、平成二十二年度の予算案におきましては、授業料減免補助に係る地方交付税措置を対前年度約三十億円増の五十億円確保させていただいて、こうしたことも活用していただきながら、各都道府県においてさらなる御尽力、御努力を強く期待しているところでございます。

平山委員 ありがとうございます。

 授業料の関係について、今週の新聞記事で、私立高生支援、余る基金というのを見たんですけれども、リストラなどで家計が急激に悪化した世帯や低所得者層に対し支援をしている都道府県の負担を軽くするために、高校生修学支援基金制度を導入したとあります。

 高校生修学支援基金制度の目的と内容について伺いたいと思います。

鈴木副大臣 経済的な理由で修学困難な高校生に対する支援につきまして、すべての都道府県におきまして高等学校等奨学金の事業を行っております。授業料以外の負担についても、施設整備とかそうしたことも大変大事でありますから、授業料に加えまして、施設整備費の減免を促進するために高校生修学支援基金というものを設置いたしているところでございます。

 これを活用していただきまして、各都道府県において低所得世帯への支援を充実していただきたい、こういう趣旨でこの基金をつくらせていただいているところでございます。

平山委員 各都道府県は、今年度にふえた人数分については、その総額を基金から賄おうとしていますが、支援制度を拡充した場合、ふえた支援額の半分しか基金からは充てられず、残りは都道府県の負担となる仕組みで、そのため、財政状況が厳しい自治体では、新たな負担を恐れてどこも制度の拡充には及び腰になり、困っている生徒がいるにもかかわらず交付金が余る事態になっていると聞いております。このような事態をどのように考えておられますか。

鈴木副大臣 そういう観点から、今年度予算におきましては、地方交付税を一兆円ふやしているわけでございます。しかしなお、地方財政が厳しい中で、今御指摘のような状況になっていることは事実でございます。

 ここからは大変に難しい問題でございますけれども、高校というものをどこが担当するのか、国なのか地方公共団体なのかという学校教育法あるいは私学助成法のそもそもの考え方に考えを及ばせて、もう一度議論をし直さなきゃいけない課題にもなります。二分の一というのは、そういう整理の中で出てきた考え方でございます。

 もちろん、その地方自治体の財政状況、それから、それぞれの高校生をもっともっと支援したいという観点からいたしますと、この二分の一条件というのは、今御指摘のような、さらなる支援のある意味でのボトルネックになっているということは事実でございますが、しかし、二分の一を超えるということになりますと、そもそもこれまでの高等学校助成政策における国と地方のあり方という根本の議論もあわせてしないといけないということも背景にあるということを御理解いただいて、そして、まさにこの衆議院の文部科学委員会の場でもこうした議論もさらに深めていただきますれば、私どももぜひ御一緒にいろいろなことを考えてまいりたいというふうに思っております。

平山委員 ありがとうございます。

 教育にかかるお金は授業料だけではない、これは皆さん御存じだと思いますが、授業料以外に、教材、修学旅行、制服、通学交通費などの費用も大きな負担となっています。

 文部科学省の子どもの学習費調査報告書によると、公立高校の授業料平均額は約十二万円で、学校教育費は約三十六万円、授業料以外に約二十四万円が必要になります。私立高校の場合には、授業料以外に約四十六万円かかります。

 このような授業料以外の教材などの学費負担については、どのように対応していくのでしょうか。

鈴木副大臣 この点についても、もちろん、ぜひ支援を深めていきたい、拡充していきたい、こういう思いを持っております。

 したがいまして、概算要求におきましては、いわゆる給付型奨学金というものを要求させていただいたところでございますが、この件については継続協議という決着に今のところなっているわけでございます。

 文部科学省としては、ぜひこの点についてもいろいろと議論を深めていただいて、また、委員の御支援もいただいたり、あるいはこの委員会の御支援もいただいて、納税者の皆様方に、そうしたいわゆる授業料以外の負担金あるいは支出についても、しかも給付型の奨学金、御理解をいただける、そうした環境整備に努めていきたいと思いますけれども、これもこれまでにいろいろな議論の積み重ねがございまして、授業料といわゆるそれぞれの個人が所有したり消費したりする部分についての助成というものを税金でどこまで支援するのかという議論の積み重ねの中で現行のような状況になっているわけでありますが、ここはまさに学ぶ権利をさらに保障、そしてそれを万全を期して確保していくという観点から、さらに検討を深めていきたいというふうに思っております。応援のほどお願いを申し上げます。

平山委員 ありがとうございます。

 高等学校における奨学金の状況については、すべての都道府県において高等学校等奨学金事業が実施されており、国は、都道府県が必要な資金を円滑に確保できるよう、奨学金の原資として交付金を交付しています。

 そこで、質問が二つあるんですけれども、来年度予算では約二百七十億円の交付金を予算としていますが、全国の高校生がどれくらい利用しており、滞納の問題などの実態の把握はなされていらっしゃいますでしょうか。そして、当初は概算要求で計上されていた低所得者向けの給付型奨学金創設も検討すべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。

鈴木副大臣 まず、貸与実績でございますが、約十六万人ということでございます。そして、授業料の滞納ですか。(平山委員「はい」と呼ぶ)授業料の滞納ということであれば、公立が〇・四%、私立については〇・九%というのが現状でございます。

 以上です。

平山委員 続いて、日本学生支援機構の奨学金について幾つか質問したいのですけれども、日本学生支援機構の奨学金は無利子と有利子の奨学金で構成されており、二〇〇九年の受給者は約百十五万人、総額九千四百七十五億円になります。奨学金制度事業予算の推移を見ると、無利子型は十年前からほぼ横ばいである、有利子型は約十倍にふえています。

 なぜ有利子型だけがこのようにふえているのか。財源的に有利子でないと奨学金事業自体が難しいのでしょうか。

鈴木副大臣 これは、これまでの政権の中の予算編成の中で、私も参議院の文教科学委員会にほぼずっと所属させていただきまして、与野党、奨学金事業を充実していこうという議論を受けて、しかし、限られた財源の中で、有利子をふやすことによってまずは希望者全員というものを目指していくという考え方の中で、優先的に有利子への配分、そして有利子対象者の増ということになってきているわけでございます。

 当然、無利子をふやしてほしいという声も私どものところにも聞こえてきておりますし、無利子をふやしていくということも大変大事な課題だというふうに思っておりますが、我が政権におきましては、大学につきましては、もちろん無利子も重要なわけでありますが、さらに授業料減免の対象者、これを来年度、平成二十二年度予算におきましては八・五万人にするということに優先的に我々取り組ませていただいているということを御理解いただきたいと思います。

平山委員 ありがとうございます。

 日本学生支援機構の有利子型奨学金を入学後から上限の金利三%で月十二万円借りた場合、四年後の卒業時には八百万円近い借金を背負うことになってしまいます。卒業後の奨学金の返済状況が悪化していることは以前から問題になっておりますが、世界的不況の到来以降、返済できる自信がないという理由で奨学金を受けること自体をあきらめる学生や家庭も少なくありません。

 文科省と機構による学生生活調査を比較すると、奨学金を必要としないとする者が全体では十年間変わらずに約半数を占めているのに対し、親の年収が四百万円以下の層では、この十年で必要ないという方がほとんどいなくなっているが、その低所得者層の一一・三%は、希望するが申請しなかったと回答している状況があります。経済的援助を切望しながら、それを受けることによる将来の負担を考えて利用することをためらう、それを意味しているのではないかというふうに思っております。

 奨学金はもともと、低所得者層の人たちの進学を受けて教育の機会均等を達成するものであり、低所得者層の人たちが奨学金を受け取れない事態は、奨学金の本来の役割を果たせていないということになるのではないでしょうか。本当に借りたい人が借りられない、そういう現状を文科省の方ではどのようにお考えでしょうか。

鈴木副大臣 私も、委員と同じく、希望者全員に充実した十分な奨学金をということをライフワークにいたしております。そういう中で今のような課題もございます。と同時に、入学をした、とにかく学業を続けたい、そのときにその資金手当てを早急にしなければいけない、こういうニーズがあることも事実でございます。

 そういう意味では、私も九年間ずっと言ってまいりまして、これはこれまでの政権党の御理解も得て、今現在、希望者に対する採用率というのは九二%ぐらいまで来ました。ここはある程度、もちろんこれを一〇〇%に近づけていくという努力もしてまいりますが、ではその次に、今、借りた分が四年になると八百万という御指摘がありましたけれども、やはり借りるのではなくて給付型あるいは無利子というもので返済の負担をどれだけ軽減していくかということに重点を今移しつつあるところでございます。

 例えば、無利子の奨学金の支給開始時期を早期化いたしましたし、それから、経済的理由による返還猶予者に対する減額返還の仕組みというのをことしから導入いたしました。加えまして、授業料減免を導入したということは先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、実施をいたしました。

 それから、要求をしていながらまだ実現できていなくて、ぜひこの委員会を挙げての御支援をいただきたいことといたしましては、もちろん給付型奨学金に加えまして、TAだとかRAだとか、いわゆる学びと両立する、大学院生などがそうした形での仕事を通じて収入が入っていくという仕組みなども御議論を深めていただいて、何とか実現をしていきたいというふうに思っております。

平山委員 ありがとうございます。

 最後の質問になるかと思いますが、二〇〇九年十二月十五日の「内外教育」を見ると、年収百万円以下でも奨学金を返還している者が一五・七%いる一方で、延滞者の中には年収三百万円以上という者が一五・八%いるとあります。お金はないけれどもきちんと返還している人と、お金はあるけれども返せない人がいるという現状があります。

 返済能力のある者からきちんと回収する努力をもっと行うべきと考えますが、いかがでしょうか。

鈴木副大臣 それはおっしゃるとおりで、その点については財務省からもきつく言われておりまして、そのような取り組みはいたしております。

 しかし、ちょっと数字を精査してみますと、実は、奨学金事業におけるいわゆる延滞率と民間市中金融機関における延滞率というのは、算定のベースをそろえますと、そんなに変わるものではございません。したがって、むしろ返済というのは、結果を見てみますと、大卒より高卒の方が返済できなくなっているというパーセンテージも大きくなっているということから明らかなように、やはり、卒業後の就職率といいますか、十分所得が得られる職業に確実についていくという観点がこの問題には大きく影響しているということも御理解をいただきたいと思います。

平山委員 御答弁ありがとうございました。

 以上で質問を終わらせていただきます。

田中委員長 次に、吉田統彦君。

吉田(統)委員 民主党の吉田統彦でございます。

 本日は、まことに推参ではございますが、初めての質問に立たせていただきます。多々不調法があるとは思いますが、どうぞ御容赦賜れば幸甚でございます。よろしくお願いいたします。

 早速質問に移らせていただきます。

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給にかかわる法律案についてお尋ねいたします。

 一昨年秋のリーマン・ショック以降、世界的な経済不況の中、日本でも、経済的に家計が困窮し、そして授業料を滞納することによって中退せざるを得なくなった高校生が大勢いらっしゃいます。そしてまた、今後も、今の経済状況をかんがみるにつけ、増加していく可能性があります。

 そこで文部科学省は、こういった高校生の中退理由は把握されていますでしょうか。高校中退者のうち、授業料を支払うことができないことを理由とした中退者の割合はどの程度でしょうか。お教えください。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 まず、理由別で申し上げますと、学業不振が七・三%、学校生活・学業不適応が三九・一%、進路変更、編入学をしたとか就職をしたとか、これが三二・九%、病気、けが、死亡が四・一%、経済的理由が三・三%で、これが二千二百八名でございます。それから、家庭の事情というのが四・五%、問題行動等というのが五・一%、その他の理由が三・七%というのが平成二十年度の実態調査でございます。

吉田(統)委員 今お答えいただいたとおり、私の手元にも、文部科学省の調査で、平成二十年度の事由別中途退学者数の統計がございますが、この中で、就職を希望というのが九千四十五人、一三・七%、そして、家庭の事情というのが、先ほど副大臣がおっしゃったように、二千九百五十八人、四・五%いらっしゃいます。

 いろいろな御意見がある中で、経済的理由を中心に高校を中退する生徒さんの割合が比較的少ないんじゃないかということをおっしゃる方もいらっしゃるんですが、今挙げたようなところの統計をかんがみると、家庭に悩みを持っている方というのは相当数いらっしゃると推測されます。

 前途有望な高校生が経済的な理由によって学ぶ機会を逸することがないように、また、高校進学率は平成二十一年度で九七・九%と非常に高い状況ですので、国家として若い世代を育てていく一助としてこの法案が成立することが必要であると考えます。その中で、授業料を不徴収とする、あるいは支援金を支給するではなく、受け入れ側、学校側の準備も整えていく必要があると思います。

 そこで、学校側の事務の受け入れ準備は、現段階ではどのような状況でしょうか。御答弁をお願いいたします。

    〔委員長退席、奥村委員長代理着席〕

鈴木副大臣 もちろん、今法案が審議中でございますので、今国会に提出をいたしております予算案あるいは法律案のレベルではございますが、地方公共団体や学校関係者等に対し、各種会議、団体への説明、意見交換や資料提供などを通じ、説明を行っているところでございます。法案成立後、速やかにこの実施ができるように、今準備を整えさせていただいているところでございます。

 あわせまして、条例改正の必要性も検討をしていただいているということでございますが、いずれにいたしましても、本年四月からの円滑な制度の実施に向けて、地方公共団体あるいは各学校法人に対して適切な情報提供を、これまでもしてまいりましたけれども、さらに十分万全を期していきたいというふうに思っております。

吉田(統)委員 ありがとうございます。わかりました。法案が成立しましたら、文部科学省では遅滞なく各学校に手続を周知していただくよう、どうぞよろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 先日の委員会の視察で、世田谷区医師会立看護高等専修学校に参りました。ここで学んでいる学生さんは、学生さんといっても、先ほど池坊先生がおっしゃったように、非常に平均年齢が高く、大体三十歳前後であります。この中には、ほかの高校などを中退された後に看護職を目指されて、准看護学校ということで入学し直した生徒さんたちが大勢いらっしゃいます。

 このように、中退された後、他の、別の高校や専修学校等に入られた生徒さんたちというのは、今回の授業料というのは支給対象となるのでしょうか。そしてまた、例えば前の学校を一年で中退したとしたら、現在通っている学校には二年分の授業料が交付されることになりますでしょうか。そういった場合には、文部科学省としては、そのような再入学者がどれくらいの人数いて、前の学校にどのくらいの期間通っていたのかという情報をしっかり把握して、そして交付額を決定していくことは可能なのでしょうか。御答弁をお願いいたします。

鈴木副大臣 対象をどこまでにするかという省令については、まさに今この国会での御議論を踏まえて最終的に決めていくということでございます。

 仮に、今御指摘の学校が就学支援金の支給対象となったということで仮定をいたしますと、一度高校を中退した後に専修学校の高等課程である准看護学校に入学した場合、在籍していた高校などで就学支援金を既に受給していた場合、これは何年かたってからの話になろうかと思いますが、受給していた月数を三十六月から引いた月数分の就学支援金を支給する、こういう考え方でございます。

 したがいまして、例えば高等学校で一年間就学支援金を受給した後に中退をして二年制の准看護学校に入学した場合は、三十六カ月マイナス十二カ月、二十四カ月分の就学支援金を支給される、こういうことになります。

吉田(統)委員 今の質問に少しだけ追加なんですけれども、准看護学校は二年なんですけれども、そうすると、一年未満で中退されて、そしてその後にこの専修学校に入った場合というのは、中退しているにもかかわらず満額出るということでございますか。

鈴木副大臣 繰り返しになりますが、二年ということであれば、既に受給した月数が十二カ月だとすれば、三十六マイナス十二の二十四カ月分は出ますという理解でございます。

吉田(統)委員 大変よくわかりました。ありがとうございます。

 専修学校の中でも、とりわけ准看護学校というのは、高校中退後に入り直す方がいっぱいいらっしゃって、看護職というのはこれからもますます社会的なニーズが高い職業でございますので、こういった学びたい、そして看護を自分のなりわいとしたいと考えていらっしゃる学生さんのために環境をしっかり整えていただくことは非常に大事だと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 本法案の成立を見越した上での各都道府県の動向についてです。

 先ほど共産党の宮本委員が、資料を御提示の上で質問なさいましたが、各都道府県は私立高校への授業料減免補助予算を組んでいます。しかし、各都道府県の平成二十二年度予算では、これらが多くの県で削減されております。特に減少幅が最も大きなのは、私の地元でもございます愛知県で三十五億円。そして、減少率という割合でかんがみれば、岩手県、長野県が八四%以上ということで最大の下げ幅でございます。

 そこで、文部科学省としては、これを受けて、私学に対する都道府県単独の補助金額を大幅に減額したこのような都道府県に対して、どのように今後対応されていく御意向であるか、御答弁いただければと存じます。

鈴木副大臣 愛知県のことについては先ほど御答弁を申し上げました。三百五十万から八百三十万のところについては支援増、拡充ということになっておりますので、そこの点は御理解をいただきたいと思いますが、県の持ち出し分が減っているということは事実でございます。

 ここも、先ほども御答弁申し上げましたけれども、地方交付税は三十億増の五十億円を手当てもいたしておりますので、私どもといたしましては、もちろん十分にやってはいただいておりますけれども、授業料以外の分とか、いろいろな広範な可能性についてぜひ御検討を都道府県にはいただきたいなという希望は持っておりますけれども、それぞれの地域の実情、あるいは地域においての私立高校の位置づけというのも変わってまいりますので、最終的には都道府県がいろいろな御議論の中で御判断をしていかれることだと思っておりますが、重ねて申し上げますが、強い期待は持っております。

吉田(統)委員 いずれにいたしましても、本法案は、決して自治体の支援というわけではございませんで、あくまで前途有望たる学生さんのための法案でございますので、できるだけ適切な対応をお願いしたいと思います。

 では、次の質問に移らせていただきます。

 本法案に関連して、各種学校、とりわけ朝鮮高級学校を支給対象とするか否かが注目されています。この点に関しては、他の委員からも数度にわたり質問があり、また今後の本委員会でも議論されることと存じます。そこで私は、支払い根拠となる法令のあり方、つまり、この支給対象を何によって定めるか、この点について質問させていただきます。

 政府より提出されている、授業料不徴収または支援金の支給対象となる「高等学校等」の定義を定めた法律案第二条の第一項第五号に以下のような文がございます。「専修学校及び各種学校(これらのうち高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものに限り、学校教育法第一条に規定する学校以外の教育施設で学校教育に類する教育を行うもののうち当該教育を行うにつき同法以外の法律に特別の規定があるものであって、高等学校の課程に類する課程を置くものとして文部科学省令で定めるものを含む。)」となっております。つまり、各種学校の定義は法律ごとの省令で定めるとなります。

 そこで、省令とは何かといいますと、国家行政組織法第十二条第一項にこういう定義がなされています。「各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。」

 さて、この法律案について、これだけ議論が噴出している中でございますので、本項目も国会の議論を踏まえたものとしていただきたいと思いますが、これを省令で定めるとしている理由をお聞かせください。

鈴木副大臣 もちろん重要な課題であるということは私どももよく認識をいたしておりますが、これも大臣が何度も御答弁申し上げておりますが、高等学校の課程に類するかどうかということがまさに省令で定める内容でございます。専修学校あるいは各種学校というのは、その内容あるいは形態が非常に多種多様でございまして、これは極めて技術的、専門的事柄であるというふうに考えております。

 先ほど、これも大臣がお話しになりましたけれども、例えば大検向けの補習校、これは教科書に類似したものを教材に使い、そして授業とかなり連動した授業割りになっているわけでありますから、こうしたものはテクニカルな話で、しかしながら、これを入れる入れないという議論になったときに、これは高校ではないわけですね。それは、教員がどうなっているとか、教員の質がどうなっているとか、数がどうなっているとか、こういうまさに技術的、専門的要件でもって判断をしていく、こういうたぐいのことだというふうに思っています。

 このような法律において省令に委任している事例というのは幾つもございまして、一例を申し上げますと、例えば学校教育法で申し上げますと、学校教育法は各学校段階ごとの教育目的あるいは目標は法律で規定しております。しかしながら、教科に関する事項は文部科学大臣が定めることを規定していまして、各教科の構成とか年間標準授業時数とかについては省令であります。

 あるいは、教育課程についても、文部大臣の公示する学習指導要領、こういうことになっておりますので、これも省令レベルということでありますし、あるいは学校設置基準についても、同じく学校教育法が親法でございますが、これは学校教育法の施行規則、まさに省令でもって学級の編制を規定しております。

 といったことのバランス上からも、まさに今のようなことを参照しながら省令を決めていくという作業であるものですから、まさに省令というものがこうした法令上のバランスからも適切であるというふうに考えているところでございます。

吉田(統)委員 ありがとうございます。

 本委員会の議論を踏まえていただき、また国民に選ばれた議員でもあらせられる大臣が判断していただければと思います。

 先ほど准看護学校について触れましたが、こういった養成が急務となっているのは医療分野の職種のほぼすべてでございまして、そこで、この場を少しだけおかりして、医師養成について質問させていただきたいと思います。医学部定員について、文部科学省の今後の方向性についてお伺いいたします。

 民主党は、マニフェストで医師数を一・五倍にするとしています。しかしながら、医療の現場では一・一倍から一・二倍が至当であるという声も聞こえております。来年度から医学部の定員が増員されますが、これは向こう十年の期限つきの措置であると聞いております。その後の医学部定員に対する方向性はいかようにお考えでしょうか。

 人口も減っていきますし、特に、現在俎上に上がっておりますNP、PAについても考えないとなりません。NPというのは、ナースプラクティショナー、診療看護師などと訳されますが、ある程度の診療もできる看護師です。また、PAというのは、フィジシャンアシスタント、医師の監督のもとに医療行為を行うことができる専門職です。

 NPとPAが養成され、将来の医師の必要数が減少してくる場合も考慮に入れ、慎重に決すべき事案と考えますが、いかがでしょうか。副大臣のお考えをお聞かせ願えますでしょうか。

 また、現在問題となっているのは、医師数の不足もさることながら、医師の地域による偏在、各科医師の偏在でございますが、これらに対して現在まで有効であった施策というのは、大学ごとの地域枠の設定ぐらいであると私は思っておりますが、ほかに何かお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

    〔奥村委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木副大臣 民主党といたしまして、医師不足の問題は二つに分けて考えてまいりました。政権もその考え方を引き継いでおります。

 医師というのは養成に少なくとも十年かかります。したがって、今現下の医師不足というものに対して医学部定員をふやしても、それは直接的な解決策にはつながらない。今現在も大変な医師不足でございます。

 それに対する対応というのは、まさに医師には医師にしかできないことに集中してもらうために、コメディカルであるとかクラークであるとか、そうした、医師を中心とするけれども医療チーム全体の人員を拡充していただく、医師以外の医療スタッフを充実していただく。そのためには、特に入院医療が大変ですから、病院の診療報酬をふやし、病院収入をふやすことによって、骨太二〇〇六以降、約十万人が医療現場からリストラをされた状況になっていますから、その雇用を回復することで今の医師不足をしのいでいく。その中でNPとPAの話も含まれるという話でございます。

 そして、もう一つのフェーズは、二〇二五年に向けまして、推定患者数というのはこれから高齢化に伴って爆発的にさらにふえてまいります。特にこの傾向は都市部において深刻でございまして、それから、まず認識といたしまして、今現在の人口当たり医師数が最も少ないのは埼玉、千葉、茨城でございます。そして、さらにこうした都市部が高齢化がこれから進展をいたしますから、推定患者数当たりの医師数というのは、二〇〇五年から二十年後の二〇二五年対比で申し上げますと、そうした地域においては一〇〇に対して八〇という極めて深刻な、医師需給が逼迫をする、こういう状況があります。これに向けて今から医師養成のあり方をどういうふうに考えていくのかという観点から議論を行っていかなければならない。

 今は地域医療の問題でございますけれども、加えまして、ライフイノベーション政策を我が政権は成長戦略の非常に重要な柱として位置づけておりますが、委員も御存じのように、今、大学の医学部、特に研究に強い医学部の卒業生がほとんど研究医にならないという非常に深刻な状況がございます。いわんや製薬会社に進む医師というのは極めて少ない、こういう状況でございますので、ライフイノベーションを担う人材、それから、アジア戦略の中で日本の医療サービスを展開していく、こうした人材には今のままでは全く充てる余地がございませんので、そうした観点に従って、医師養成のあり方をこれから十分関係者の御意見も伺いながら伺っていきたい。

 とりあえず緊急の措置としては、この四月一日から三百六十人の増というものを決めさせていただいて、その中にも地域枠と研究医枠ということをちょっと先取りして考え方として入れさせていただいて、八千八百四十六人増員をさせていただいているところでございます。

 以上です。

吉田(統)委員 ありがとうございます。しっかりした議論の上で、現場の声にもぜひ耳を傾けていただき、方向性を定めていただきたく存じます。

 最後の質問に移ります。北海道医療大学、国際医療福祉大学、聖隷クリストファー大学において医学部新設が準備中とされていると言われております。それを踏まえた上で、医学部新設の認可基準についてお伺いいたします。

 医学部新設に関して、まずその必要性をよく考える必要があると考えます。特に、先ほども申し述べた内容も含め、将来どの程度の医師数増加を考えていくべきかの議論を優先させるべきであって、旧来の医学部の定員増だけで対応できるならそうすべきであると思いますが、御意見をお聞かせください。

 その上で、必要性が認められた場合は、その目的が、例えば地域医療の再生、特に医療過疎地域の再生にあるならば、当然その大学及び大学病院の立地というのは熟慮すべきでございますが、それに加えて、例えば新設された医学部はすべての入学枠を地域枠とするような思い切った施策が必要と考えますが、いかがでしょう。

 そして最後に、先ほどの医学部定員増員の話と若干重複いたしますが、例えば、あくまで地域医療の強化単体で考えるのであれば、自治医大の大幅な定員増を地方自治体と協議した上で進める方が有効な施策のようにも考えられますが、いかがでしょうか。

鈴木副大臣 今の御指摘も踏まえて、これからの議論でございますが、自治医大につきましては、平成二十年あるいは二十一年は、それぞれ十名、三名と増員をしていただいております。しかしながら、平成二十二年に向けては自治医大からの増要求はございませんでした。こういうものは、基本的にはやはりそれぞれの大学の自主的な御判断のもとによって申請されるべきことだと思っておりますので、自治医大についてはそういうことでございます。

 それから地域枠の議論も、実はこの医学部増員が数年前から俎上にのりまして、地域枠について、相当かたい運用の地域枠、地域枠というものも実は言葉がいろいろばらばらでございまして、地域の出身の高等学校から採るというのが地域枠になってございますが、本当は地域で勤めるという本来の地域枠にしなければいけないんですけれども、そういう地域枠を余りにも厳格に運用してまいったものですから、実は、平成二十二年度、四月一日向けの今回の医学部の定数増要望につきましては、もう少し大学の自主性それから地域の特性というものを、それこそ大学と地方自治体に任せてもらえないか、こういう声も強くいただきました。

 そうしたことも踏まえて、そしてきょうの御議論も受けて、これから白地で、多くの皆さんの御議論を伺いながら、先ほどの成長戦略、地域医療の再生といった観点から的確に進めてまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

吉田(統)委員 これで私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、下村博文君。

下村委員 また質問させていただきたいと思いますが、きょうは大臣の都合で質問時間が変更になりまして、与党理事の皆さんに申し上げますけれども、民主党が野党のとき、要求をしていた大臣との質問ができないということで審議を中断したこともありました。きょうはそういうことはしませんし、素直に時間変更も応じておりますので、それをよく留意をしていただいて、今後、委員会運営については、与野党協力して、ぜひ審議が尽くされるようにお願いをしたいと思います。

 さて川端大臣、きょうの読売新聞の社説、高校無償化が書かれていますが、ごらんになりましたか。

川端国務大臣 済みません。朝五時半から答弁の準備をしておりまして、一切新聞を読んでおりません。申しわけございません。

下村委員 五時半から御苦労さまでございます。

 読売新聞の社説に、見出しが「格差解消の本質を見失うな」ということです。「高校の授業料無償化法案の本格審議が、五日から衆院文部科学委員会で始まる。限られた財源で教育格差をどう解消していくか。それが本質ということを見失ってはならない。」ということで書かれておりまして、その中で、「予算案は衆院を通過したが、財政事情の厳しい中、所得制限を設けていれば、もっと低所得層支援や公私間格差の解消に回せる財源を捻出できたのではないか。 高校生の約三割は私立に通う。その負担を減らすため、文部科学省が総務省に要望していた地方交付税措置は五分の一になった。 私立に限らず、入学金や教科書代を援助する低所得層への給付型奨学金も、概算要求で計上した百二十億円余りは全額削られた。 川端文部科学相らは、所得制限を設けない理由に、社会全体で子どもの教育を支援するという理念の実現などを挙げる。だが、目の前の格差縮小のほうが先決だ。」

 これはもう世間一般の常識だと思うんです。こういうことを我々は、野党それぞれ主張は違いますけれども、このことについてはみんな同じ問題意識で質問もしているわけでありますし、こういうことについて旧来の主張を政府側も繰り返し答弁を同じことをされるということではなくて、本当に今必要な国民にとっての対応は何なのか、こういう視点から柔軟に今後審議については考えていただきたいというふうに思います。

 その中で、この社説の一番最後ですが、「法案では、生徒に授業料分を支給する専修、各種学校は、「高校に類する課程を置くもの」に限られている。その判断基準は、法案成立後、国会審議を踏まえて文科省令で定める。きちんと説明のつく内容にすべきだ。」こういうことでございまして、改めてこれは、専修学校とそれから各種学校ごとにこの省令でどのように線引きをするか、現段階における文科省の案について、まず、専修学校についてどうするかお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 御案内のとおり、専修学校と各種学校については、法律案においては、高等学校の課程に類する課程として文部科学省令で定めるものということで検討していると、先般も予算委員会のときは申し上げました。

 そういう中で、文部科学省省令において私たちの考え方の整理したのを申し上げます。

 省令においては、対象を定める際の客観性を確保するために、高等学校の課程に類する課程として、その位置づけが学校教育法その他により制度的に担保されているものを規定することとしたいと思っております。

 このような観点から見ますと、専修学校高等課程は、学校教育法上、中学校における教育の基礎の上に教育を行うことが制度上担保されていることから、今の時点では、就学支援金の支給対象に入れたいと考えております。

下村委員 文科省から専修学校の概要について一枚紙をいただいたんですが、この中で専修学校は、今のお答えであれば、高等課程と専門課程と一般課程に分かれておりますけれども、この高等課程、全部で専修学校が三千三百四十八校ありますけれども、この中で高等課程というのは四百九十四校ですが、ここに該当するということでよろしいんですか。

川端国務大臣 専修学校は、御案内のとおり、中学校卒業者等を対象者とする高等課程と、高等学校卒業者等を対象とする専門課程と、入学資格を問わない一般課程の三つがございまして、それの総計が今おっしゃった数字でございますので、今申し上げたのは、中学校卒業者等を対象とする高等課程に限定をして対象としたいと考えております。(下村委員「学校数は」と呼ぶ)四百九十四校でございます。

下村委員 わかりました。

 それでは、各種学校について同じことをお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 各種学校というのは実はさまざまございまして、各種学校は、修業年限が原則一年以上で、入学資格に制限がなく、学校教育に類する多種多様な教育を行うものでございます。教育の分野についてもさまざまなものがございます。

 その生徒数の内訳を見ますと、外国人学校と予備校、自動車教習所とで全体の約六割を占めていまして、生徒数でいいますと、全体で十三万四千九百八十一名で、外国人学校が二万五千五百五十二名、一九%、予備校が一七・三%、二万三千三百六十六、自動車操縦、いわゆる自動車学校でございますが、二三・九%、三万二千二百二十四名というのが各種学校というものの実態でございます。

下村委員 いや、お聞きしているのは、各種学校における今回の該当する学校はどこですかとお聞きしているんですよ。

川端国務大臣 各種学校全体では今申し上げたような中身でございますので、先ほど申し上げました一つの基準、高等学校の課程に類する課程としてその位置づけが学校教育法その他により制度的に担保されているという概念から、基本的には入りません。

 そういう意味では、制度的に担保されていないから原則として支給対象とはしないという方向を今検討しておりますけれども、学校教育法上、専修学校になれないために例外的に各種学校の認可を受けているのが外国人学校でございます。そういう意味で、例外的に各種学校の認可を受けているもので一定の要件を満たすものについては、就学支援金の支給対象とすることとしたいと考えております。

 なお、その際の要件として、客観的に我が国の高等学校の課程に類する課程であることが認められるものということでそのような外国人学校を指定することと考えておりまして、今その中身は検討をしておるところでありますし、国会の議論を踏まえながら最終的に決めたいと思っております。

下村委員 そうしますと、各種学校の中で今回該当するのは外国人学校だけであるということですね。一応、対象となる外国人学校というのは幾つあって、生徒数は何人ですか。

川端国務大臣 失礼をいたしました。外国人学校の数は百十二校、二万五千五百五十二名が外国人学校の対象者でございます。

 先ほど申し上げましたように、これをベースにして、この中で、高等学校の課程と同等の課程とみなされるという客観的な判断の基準に基づいて、対象とするということの検討を現在しておるところでございます。

下村委員 きのう文科省からいただいた資料の中で、この各種学校については……。訂正しますか、はいどうぞ。

川端国務大臣 大変失礼いたしました。外国人学校は、小学校の分も全部入れた数字を申し上げてしまいました。

 その中で高等課程という位置づけの学校は、三十六校、四千七百六十九人が一応対象の枠の中にある学校ということでございます。

下村委員 三十六校の中で朝鮮学校は幾つありますか。

川端国務大臣 十一でございます。

下村委員 十一校ですね。この朝鮮学校についてが、今回最大のテーマでございます。

 これについて中井拉致担当大臣が発言をされておられまして、本来、中井大臣にお越しいただきたかったんですが、時間的には来られるそうなんですけれども、どうしてもいろいろな事情で来られないということで、大塚副大臣が来られて、御自分の発言でないのに恐縮ですけれども、このことについて中井拉致担当大臣がどう発言されたか、お聞きしたいと思います。

大塚副大臣 拉致問題担当の大塚でございます。

 私が承っておりますのは、昨年の十二月に中井大臣から川端大臣に対して、今回の法案の対象校を定めるに当たっては、我が国が拉致問題を理由として北朝鮮に制裁を行っているという事実を十分に考慮をしていただきたいという申し入れを行ったというふうに承っております。

下村委員 総理にも来ていただきたかったんですが、このことについて鳩山総理も、記者団に対して、中井大臣の考えも一つだ、そういうふうに動いているというふうなことで、無償化の除外です、朝鮮学校を除外するだろうと示唆するような発言をしているということなんですね。

 これは改めて委員長に、中井大臣とそれから鳩山総理に来ていただきたいとお願い申し上げたいと思います。

田中委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をいたします。

下村委員 先ほど大塚副大臣から答弁がございましたが、それを受けて川端文科大臣はどのようにお答えになったんでしょうか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 昨年末だったと思います。そういうお話を私いただいたことは事実でございます。

 ただ、私が申し上げましたのは、文部科学省としては、外交上の配慮とかいろいろなこと、そういう観点でこれを判断の材料にする考えはありませんと。大臣のお立場としてのお気持ちは、そうは申し上げませんでした。お気持ちはわからないではない気がしたんですけれども、制度上、先ほど来きょうも申し上げておりますように、高等学校の課程に類する課程というものをどう客観的に判断できるかということだけを物差しにさせていただきたいので、お話は伺ったけれどもそういう考えですということは、そのときも、その後も申し上げております。

下村委員 この朝鮮学校がなぜ各種学校なのか、文科省でどなたかおわかりになる方がいらっしゃったら答弁をしていただきたいと思うんですけれども、どなたかおわかりになりますか。

川端国務大臣 わかる範囲でお答えさせていただきます。

 専修学校制度というものを検討しようということになって検討された当初では、職業に必要な能力の養成等を目的とする専修学校とともに、専ら外国人を対象とする外国人学校の制度化といういわゆる二本立ての部分が議論されたと伺っております。そういう経過の中で両者は別々に法律化しようという動きがあり、専修学校の範囲からは外国人学校は除くという概念が生まれてきたようであります、別建てで制度をつくろうという。

 しかしながら、結果としては、専修学校の制度というのは立法化されましたけれども、もう一方は立法化されないという状況で専修学校から外れたという経過があったと伺っております。

下村委員 これは専修学校だけでなく学校法人も可能だと思うんですけれども、なぜ学校法人にならないのか。おわかりになりますか。

川端国務大臣 いわゆる一条校という意味でございますね。

 外国人学校という分類でなくて、そういう学校が学校法人の要件を備えれば、当然ながら、しっかりその要件を整えればいわゆる学校法人になれますし、一条校、いわゆる正式な高等学校ということになることは可能でございます。それはそのとおりでございます、制度的には。

 ですから、それにならずに各種学校という枠で届け出をされ、都道府県の認可を受けておられるというのが外国人学校だというふうになっていると思っております。

下村委員 私は、十条の朝鮮学校は、七、八年前ですけれども視察に行ったことがございまして、選挙区が板橋ですぐ隣接をしているということで、そこの校長先生以下、経営者、経営陣の方々とも相当詳しくそのときに話をお聞きしたことがございます。

 ここの十条の朝鮮学校は、学校法人になる条件というのは、設備的に、校舎とか校地ですけれども、それはもうクリアしているんですね。にもかかわらずなぜ学校法人にならないかというのは、それは朝鮮人としての教育をしたい。日本の文部科学省なり東京都の管轄下の中で日本同化教育をしたいと思っているわけではない。ですから、例えば歴史教育なんかも、これは民族としての歴史教育をされているわけです。それはそれでそれぞれのアイデンティティーだというふうに思います。

 ただ、我々から見れば、それはやはり反日教育なんですね。しかし、彼らから見たら、自分たちの歴史の中の、子供たちも含めてなぜ今ここにいるのかという歴史的な部分ですから、それを否定しようとは思いませんが、しかし、日本の教育とは明らかに違う。少なくとも、日本から見たら反日教育をしているということです。

 ですから、民族としてのアイデンティティーという部分を堅持したいというために、学校法人になる必要を彼らも思っておりませんし、条件的には整備されておりますけれども、そういうような動きはしないで、そして、財政的にも本国からの協力もあるというふうに当時言っておりましたし、また、卒業生の人たちの支援によって成り立っている。そういう学校として現在あるわけです。

 そういう中で、一方で拉致問題の経済制裁の問題がございます。

 いろいろな方々が質問に立って、文部科学委員会、党派を問わず、視点としては、やはり子供に罪はない、我が国に住んでいる外国人であっても日本人であっても、できるだけ平等の教育条件の中でより子供たちに対して整備をしてあげたいという思いは、多分みんな共通をしている部分だというふうに思うんですね。それはやはり、日本がこれから教育立国としてさらに人材養成をしていく、それから、まさにこういうふうな外国人学校に対して助成をするというのはほかの国でも実際はありませんから、事実上世界で初めてに近いような制度設計になっているというふうに思います。

 ただ、中井大臣が、あるいは鳩山総理が危惧されているように、無条件でいいのかということはあるわけです。経済制裁の問題があるわけですね。

 この経済制裁については、ぜひこれは鳩山内閣として、そういう意味での子供たちの立場から見たら、つまり、中井大臣の発言が、そういうことがないようにするためには、経済制裁が解除されるという政府としての積極的な努力が必要だというふうに思いますが、これについて今どんな努力をされているか、大塚副大臣にお聞きしたいと思います。

大塚副大臣 拉致問題に関しましては、鳩山総理も施政方針演説の中で、被害者の皆さんの一刻も早い全員の御帰国を全力を尽くして実現をするという立場でございますので、そのことに資するような観点から経済措置のあり方については考えている次第でございます。

下村委員 残念ながら進展が、新政権になって半年になりますが、国民には見えません。ぜひ、この拉致問題、それから核の脅威含め、これは我が国と北朝鮮の国交正常化がなされて初めてそういう部分も同時に解決するということになってくると思いますし、政府として全力で力を入れていただきたいというふうに思うんです。

 今回のこの朝鮮学校については、つまり国交のない国である、外国人学校の中で国交のない相手国である、それから、先ほど来から御答弁されておりますが、その教育内容がチェックできない、どんな教育がされているかどうかわからないという中で、本当に気持ちとしては、それは子供たちに対しては出したいという思いは私もあります。恐らくみんなそうだと思います。しかし、それが立法国家として許されるのか、こういうことが問題になってくると思いますが、それについてはどういう見解を持っているかお聞きします。

川端国務大臣 一番核心の議論をされたんだというふうに思います。教育の機会均等というか、子供にどういう機会を与えるかということの思いと、残念ながら、日朝間にいろいろな外交課題を抱えているということであります。

 そういう環境にあることは事実でありますが、私たちとしては、いわゆる高等学校に学ぶ子供たちを支援するという本来の趣旨の原点に立てば、その学校がいわゆる法的な制度上に高校と同等とみなせるように、類するとみなせるように担保されているという意味で、専修学校の高等課程はそのまま当てはまるだろうと。

 そのときに外国人学校は、どういう客観的物差しでどういう方法でそれを確認するのかというのが、みんなにわかりやすく、そしてはっきりとある種の制度的な客観的担保がないと、おっしゃるように国としての責務を果たすことができないということの中で、まさにこの国会の議論も踏まえて検討させていただきたいし、いろいろな意見をまたいろいろお聞かせもいただきたいと思っております。

下村委員 これは、今回の各種学校の、朝鮮学校だけではなく外国人学校すべてに該当することでもあると思うんですが、お聞きしたいんですけれども、憲法八十九条との関係です。

 憲法八十九条で、公の支配に属さない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出してはならない、こういうのがあるわけです。既存の私立学校においても、これについて憲法八十九条に抵触するというような議論が今までもあって、これは、助成金なりのあり方については工夫をした中で、抵触しない、そういう形をとっているわけです。ですから、当然ストレートに出せないということなわけです。ましてや、各種学校についてだれがどういう形でチェックできるのかどうかという問題があるわけです。

 この八十九条との関係の中で、どんなふうにこれは支出を考えておられますか。

川端国務大臣 八十九条のことで、公の支配に属しない教育事業に対して公金を支出しないということとの関係でどうするのかというのは、長い議論の経過と知恵の中で今実際にやられていることは御指摘のとおりであります。

 今回の就学支援金は、個人に支給するという制度でありまして、代理受給権を学校に持たすということでありますので、この公金の支出の対象者は個人でありますので、その部分では、ストレートに憲法八十九条のことにかかわる枠の中ではないという認識を基本的にはしております。ですから、この支援金を出す対象はその学校に行く個人に支給するという意味では、八十九条上の問題は発生しないと思っております。

 なお、学校設置者が就学支援金を代理受領することとしているのは、一人一人に支給する事務経費を極力抑えるということの事務経費の節約と、間違いなくその支給したお金が授業料の支援に充てられるということを確保するために代理受領制度を導入するわけでありますので、本来からの、代理受領する機関に対して何らかの支援をするということではないという整理をさせていただいております。

下村委員 つまり、教育機関に対してのことではなくて、個人に対する助成であるという整理であると。

 それでは、インターナショナルスクールに対しては、教育内容についてはどんなふうにチェックをされますか。

川端国務大臣 そういう意味で、朝鮮人学校もインターナショナルスクールも、その他の民族系の学校、大体大きくはその三種類というか二種類というかあるわけですけれども、したがいまして、それが高等学校の課程と同等と、客観的にどういう基準でやればいいのかということの物差しをどうするのかの中の議論としてそれも含まれるということ、インターナショナルスクールはどう見るのか、何の物差しで見るのか、どうチェックできるのかということを同じように議論をしているところでございます。

下村委員 これはやはり教育の内容に入らざるを得ないと思うんですね。それぞれの学校でどういう教育をしているのかということについて、それが、我々の立場でいえば反日教育をしているのか、していないのかということも一つのポイントだというふうに思いますし、また、高校教育課程に類する課程ということですから、当然、該当する高校一年生から三年生なりそういう学年において、同程度のどんな教科書あるいはどういう指導内容で教えているのかということがやはりある程度チェックできないと、出せる、出せないという、そういう意味での法治国家としてのあり方が問われると思います。

 その点については今どんなふうに検討されていますか。

川端国務大臣 高校の課程と類する課程というときに何をもって評価するのかという、ある意味でそれを客観的にというときに、いわゆる民族教育をどう見るのかというのはかなり難しい話というか、制度上客観的に評価する担保として可能かどうかということにも議論はあると思います。

 そういう意味で、きょうでもいろいろな御議論もいただきましたけれども、そういう仕切りというふうに客観的に評価できる中身と制度というのに本当に一生懸命今考えているところでありますので、また御指導もいただきたいと思っております。

下村委員 いずれにしても、この三十六校に対しては、同じ条件の中でオーケー、ノーということであれば、その中身についてやはり精査する中でチェックできる仕組みがどうできるかどうかということが担保されないと、これは公金を投入することはできないということになってくると思います。では、この議論は改めてまたさせていただく。

 それからもう一つ、国交がない国に対して、これについてはどうお考えですか。

川端国務大臣 先ほど、馳議員のときに国交を判断することはないと申し上げましたけれども、言葉遣いが余り正確でなかったのかなと。いわゆる外交上の先ほど申されたような日朝間のいろいろな問題、それを判断することを考えていることではないという意味で申し上げましたので改めて訂正をさせていただきたいと思いますが、まさに、どういう項目を客観的に評価するのか、そして、それをどういう方法である種担保するのかということを考えているということでございます。

下村委員 これは文部科学大臣のお立場では答弁ができないことだと思いますが、やはり国交があるかないかということは、これは重要なポイントだというふうに思います、なければわかりませんから。つまり、教育担当大臣としては出してあげたい、しかし、政治的な政府としての立場から見たときにどうか。別の次元でこれは判断が求められることであるというふうに思いますので、改めて、ぜひ鳩山総理には当委員会にお越しいただきたいと思います。先ほど委員長に申し上げました。

 それからもう一つ、話題をちょっとかえさせていただきまして、きょうの新聞のトップニュースで学力テストのことが取り上げられておりましたので、これは触れないわけにいかないものですから、ちょっと質問させていただきたいと思うんです。

 大塚副大臣、もう結構でございます。

 今回の高校無償化法案もそうなんですが、私は、この学力テストも今の新政権は地方自治体に対して相当混乱をさせている、結果的に迷惑をかけているということにつながっているとしか思えないんです。

 この学力テストについて、もともと二〇〇七年から、小学校六年生と中学三年生全員対象に悉皆調査、全員学力テストしたわけです。それを今回から三二%の抽出方式に転換をした。しかし実際は、抽出に漏れた学校の六三%が参加を希望して、結果的には学力テスト実施校七三%、こういうことになったということなんです。

 それで、漏れた学校についてはそれぞれの地方自治体が負担をする。もともと、三二%の抽出方式のところは国が費用は全額持つ。しかし、漏れたところについては、では、地方がその分を負担するというところは積極的に手を挙げているし、地方が負担をしないというところは、やはり自分で自己採点から何から全部しなくちゃいけないものですから、この参加率が少ないということですね。つまり三通りになっちゃっているわけです。全国学力テスト、国が全額持ってやります、自治体が漏れたところについてやります、やりません。結果的に七三%。

 これは、どういうわけか日教組の組織率のちょうど反対ぐらいの数字だと思うんです。そもそも、この全国学力テストをなぜ鳩山政権になって悉皆から抽出に、一〇〇%から三二%に変えたかというのは、全国学力テストをすることを日教組が強力に反対をしたわけです。それを受けて抽出調査にしたというふうに私は思っております。

 しかし実際は、それぞれの各学校、ぜひ子供たちの学力向上の取り組みに必要なんだ、ぜひやりたいということですから、できたら、それぞれの教えている教師の立場からすれば、自分の教えている子供たちに対してぜひ受けさせたい、こういう思いではないかと思います。

 きょうの、「「抽出方式」元年」とあります。この半数以上は自主参加ということになっていますけれども、これについてどんなふうにお考えを持っておられますか。

川端国務大臣 この悉皆調査を三年やった結果、非常にいろいろなことがわかったという効果は非常にあったというふうに、私も検証して思っております。学習のあり方も含め、教育現場の指導の方法も含めて、実に示唆に富むデータが出てきたことは事実だというふうに思っています。

 同時に、そのことによって、学習指導要領への対応や教育方法の対応等々いろいろな施策が生み出されてきたわけでありますが、三年やった結果、大きなデータの蓄積の中のかなり詳細なことがわかってきたのを踏まえて、今回は若干おしかりを受けましたけれども、費用対効果も含めて、国としては、全国の都道府県レベルで一定の水準の学力が把握できるという統計学上の数字まで抽出するということでやらせていただくことにしました。そして、そのデータを踏まえて、それぞれの地域において、過去の実績を踏まえながら、教育の質の向上、学力の向上に資する努力をしてほしいという思いでございました。

 ただ、せっかく今までやったから、希望して自分たちもやりたいという声があることも事実でございますので、学力テストで一番費用がかかるというのは問題作成でありますので、その作成した同じ問題を同じ日に、試験の前に漏れることのないような運送方法を含めて、御希望のところにはお届けをして試験を実施していただけるという希望を受け付ける制度にし、申しわけないけれども、採点だけは御負担してやっていただきたい、そのかわり、結果は採点されたら現場ですぐわかりますということを含めて、そういうトータルの施策としてやらせていただきました。

 なお、加えて、日教組云々とおっしゃいましたけれども、日教組はもう廃止であります、このテストはやめろという御主張だと私は理解をして、運動方針なんかを見るとそう書いてあります。

 私たちは、この効果を十分に評価する中で、さらに現場の声としては、科目をふやしてほしいとか、やるときのやり方をというふうないろいろな希望もありますので、これから引き続きこういうもので学力を把握する中で、教育施策に生かすためにはどういう方法がいいのかという調査費も入れましたので、引き続き、よりいいものにやっていくというスタートにさせていただきたいと思っております。

下村委員 今、大臣は非常に重要な答弁をされました。私は、日教組の意向どおり、鳩山政権はだんだんこの学力テストをやめていく方向に向かうんだろう、その初年度が三二%の抽出だというふうに理解しましたが、そうでないという答弁でした。

 しかし、半数以上は自主参加。やはり不公平じゃないですか。さっきから言った、これは普通の状況じゃないですよ。国が三二%を持ちますよ。残り、手を挙げたところは、自治体なりあるいは自分で、ペーパーは来ますけれども、それ以外の採点等は全部自分でやってください。それから、参加しないところはしない。それから、先ほどから申し上げているように、参加しないところも、自治体が資金協力をしないから参加しないというところが多いわけです。

 このままほっておくんですか。どうするんですか、今後の方針は。

川端国務大臣 希望学校が先ほど示された数字のような回答であったことは、ごく近日、私たちが正式に受け取った数字でございます。

 都道府県では、抽出で選ばれなかったところも含めてすべてが希望でやりますという県も幾つかあります。自己負担であっても全部やりたいという県がありました。また、利用をされる人が非常に低い県もありました。これは、先ほど先生が御指摘のような経済的な負担の背景なのか、あるいは、独自にいろいろテストをしているから国のでなくていいという判断なのかというのはまだ詳細には把握しておりませんが、両方あると思っております。

 そういう中で、都道府県によって差があるのは、当然ながら、学校の設置者、設置者という意味では、市町村の教育委員会あるいは学校法人でありますが、そこがそれぞれ実情を踏まえて判断をされたんだというふうに思っていますし、まだ現時点では個々のどういう理由かまでは回答をもらっておりませんので詳細はわかりませんけれども、それぞれの事情で手を挙げられた。

 結果としてこれからどうするのかということについては、今までの三年の蓄積の中で今回こういう制度でやるということ、それから、新たな科目をどうしたらいいのかという検討も踏まえながら、今回のデータをまた見ながらこれからの試験のあり方、学力テストのあり方は議論していきたいと思いますし、制度上希望利用方式にして、結果として、抽出に当たったところと当たらないところという意味での負担に差があることは現実問題として認識をしておりまして、今後の、また実情を見ながらの課題だと思っております。

下村委員 この学力テストは、国がやる意味というのは幾つかあると思うんですね。

 一つは、やはり義務教育である。ですから、都道府県ごとに参加するしないについて自主的でどちらでもいいということではなくて、国が全額責任を持つべきものである。

 それから、なぜやるのか。これはやはり、残念ながら我が国の子供たちの学力低下の中で、学習指導要領も変更しました。最低基準ということになったわけですね。ですから、もう一度高い学力について子供たちにきちっと身につけてもらう。それで、その学習指導要領をどの程度到達しているかどうかも含めて、定期的な学力テストをしながら、子供たちの学力がどの程度向上しているか、地域ごと、都道府県ごとというのが文科省の今の公表基準ですけれども、それぞれの自治体なり学校なりがこれを使って、今後の学力アップについて、生徒指導等に活用をしてもらうということについては個々がやっているでしょうけれども、そもそも、そういう意味で、これは国として力を入れていくことなんじゃないでしょうか。

 それを都道府県ごとに出す出さないというのは、これはやはり国として無責任ですよ。

川端国務大臣 御指摘のように、国として、子供たちの学力水準が那辺にあるのか、そして、それが少なくとも都道府県レベルでどういう状況にあるのか、それから、得意なこと、不得意なところ、あるいは、指導方法等々でどういう効果が出てきたのか、どこが弱いのか等々をトータルで把握するのが国の責任だと思っております。

 その機能を担保するには、抽出で情報としては得られる。これは、過去に三年間悉皆をやった蓄積を踏まえているからこそ抽出で可能だというふうに私たちは思っておりまして、国が無責任ということで、国の果たすべき責務としてはしっかりと果たしておるというふうに思っております。

 そして、個々人の調べる子供と調べない子供の学力ということがわからないという御批判、御指摘もあるんですが、国は、全体のそういうものを把握して大きな教育方針をいつも見直していく、手当てをとっていく、それから、効果を上げたところを紹介して知らしめるというふうなことであると同時に、各学校においては、学校の責任で個々の子供たちは不断に学テ以外も含めて試験等々学力は評価しているわけですから、そこにトータルの国の施策を生かしながら進めていくというそれぞれの役割があるんだと思っておりますので、国としての役割はしっかり果たしてやっているというふうに思っております。

 なお、平成十七年十月の中教審の答申がこの学力テストの前提になっているんだというふうに御議論としては思っておりますが、その議論では、「全国的な学力調査を実施することが適当である。」という答申でございますが、対象学科や学年、調査の方式等については一切触れておられません。そして、中教審とは別に、専門家により構成する検討会議において検討が行われてやられたというふうに思っております。

 今回の私たちも、そういう部分での専門家の検討会議、地方の意見も聞く中でこういう方式をとらせていただいたことを御理解をいただきたいと思っております。

下村委員 そのときの中教審の答申と今回のきょうの記事は、状況が違うんです。私はそういうことを言っているんじゃなくて、出すところと出さないところ、つまり、抽出のところと、抽出に漏れたところが自主的にやっている。そういうのをそのまま続けるんですか、結果的にはそれは地方自治体が負担していますよね、そのまま放置していていいんですか、それを申し上げているわけです。これについては今後どうお考えですか。

川端国務大臣 仕組みとしては、国の教育方針を決めていく、そして調査をするということのためには、統計学上、これぐらいの数字の調査でいいという判断をさせていただきました。

 加えて、都道府県、市町村それぞれの学校において、せっかく試験があるならば自分たちも参考のためにやりたいという希望に関してということの制度でございますので、不公平とかいうことには当たらないと私たちは思っております。

下村委員 そうすると、整理しますと、大臣、来年以降も抽出調査は三二%ぐらいでやる、抽出して漏れたところについては、自治体でその費用を負担するなりなんなりはそれぞれの自治体が判断してくれということでしょうか。

川端国務大臣 今後とも、全国的な学力調査を活用して教育や教育施策の改善を図るということは当然のことでございますが、先ほど申し上げました教科の追加のニーズも踏まえながら、今回こういうふうに切りかえを行いましたので、切りかえを行った調査方式のもとでの地方や学校現場における状況や意見等も踏まえながら、よりよい学力調査になるように努めてまいりたいと思っております。

下村委員 抽出が三二%しかないのにもかかわらず実施校が七三%なんというのは、普通あり得ないことだというふうに思います。それだけ、今の学力低下の子供たちの問題についてそれぞれの教育関係者が切実な思いで努力をしようという数字が、この半数を超えるところが自主参加というところにあらわれているというふうに思いますし、これはぜひ、まさにこの全国学力テストは、国の責任として、金銭的な格差が出ないようにしっかり対応について検討していただきたいというふうに思います。

 高校無償化法案の方に戻ります。

 もともと概算要求では四千五百一億円でしたね、高校無償化法案。これが六百億円も予算が削減されたことについてどうお考えか。当然、マイナス的な要因がたくさん出てくると思いますけれども、それをどうカバーされるおつもりか、それについてお聞きしたいと思います。

川端国務大臣 お答えいたします。

 当初から約六百億円、概算要求から減りました。これは事実でございます。

 一つは、先ほど来のきょうの議論にも出ていましたけれども、私立高校に対する支援金を概算要求では五百万円所得以下の人に対象と想定をいたしておりましたが、諸般のいろいろな環境の中で、三百五十万以下と二百五十万円以下の二段階に変わりました。この部分で約二百六十億円削減になりました。

 もう一つは、今回のスキームとして不徴収ということに踏み込んで制度を設計いたしましたので、今まで、公立高校において都道府県が、設置者が授業料の減免をして、残った部分は授業料を徴収しているという制度でございますので、主体は地方自治体、都道府県でございます。この実際に徴収している分を国が支援をするという形になりますので、約三百十億円、都道府県が今まで授業料減免でみずからの県立高校の授業料を減らしていた分であとの授業料が要る分を補てんするという形になってありますので、その三百十億円と二百六十億円、合わせて五百七十億円、約六百億円という数字の根拠でございます。

下村委員 それが我々からすると非常に画一、均一的な、結果としてあしき平等主義的になってしまって、ある意味では、公立高校の無償化、公私間格差が結果論としてはさらに心理的にも広がっている。それから低所得者層の家庭の子供たちにとっては、今も御指摘のように、都道府県が相当援助していましたから、事実上それが肩がわりになっただけであって、実体的には変わらない、その子供、親の立場からすると。

 そういう数字になってきているということが無理な部分として出てきているのではないかと思いますが、今後、この私立高校の無償化に向けてさらに進めるおつもりがあるのかどうか、お聞きしたいと思います。

川端国務大臣 概算要求時点では、五百万円以下ということを私の立場では要求をいたしました。そういう意味では、先ほども議論がありましたけれども、何らかの形で、財政事情が許せば、そういうことは本来もう少しやられるべきだというふうに私は思っております。

 加えて、これもずっと議論がありますように、いわゆる奨学金、それも貸し付けか給付型かという議論もありましたけれども、いわゆる授業料以外の学校に関してかかる費用も、私たち、これも概算要求としては制度を要求したんですけれども、これも実現ができませんでした。

 そういう意味では、必要であるという認識は持っているということだけが現実、そして、可能で許されれば、そういうことを実現を目指していきたいという姿勢を持っているということでございます。

下村委員 先ほどの社説の記事のように「限られた財源で教育格差をどう解消していくか。それが本質ということを見失ってはならない。」ということで、まさに私はそのとおりだと思うんです。

 それで、前回、同じ三千九百三十三億円あるのであれば、我々はその分を、所得制限を設けて、そしてその所得層、年収八百万ですけれども、それでも八百万以上の家庭の子供の割合は四〇%近いんですね。その浮いたお金で低所得者層に対するもっとさらに手厚いものとか、同時に、私学と公立高校との格差を是正するとか、あるいは給付型奨学金の新たな創設とか、こういうことを提案しているわけでございます。

 限られた財源といっても、それはやはり皆さんが、一般会計、特別会計合わせた二百七兆円から予算組み替えをする、また、無駄な部分をカットすれば二十兆円出るんだ、それが財源の根拠だったわけですから、とてもそれは無理だというふうに我々は主張してまいりましたが、やはりきょうの新聞で、これは私の出身でもあるんですが、きのう東京都議会がございまして、都議会でこういう問題が今出ているんですね。

 全国の自治体が来年度中に着工予定だった公立小中学校などの耐震化事業をめぐり、文部科学省の関連予算が当初案から約六割削減された問題で、都側は、都内の区市町村の学校約三百三十棟の工事に影響が出るとの見通しを明らかにした。文部科学省が耐震性の低い施設に予算を優先配分する方針を示したため、計画されていた約四百八十棟のうち、約七割の約三百三十棟で補助金を受けられない可能性があるという。耐震工事をしなければ大地震で倒壊のおそれがあるが、自治体側は補助金を前提に工事を計画しているため、中止や延期などを迫られている。

 これは東京都だけの問題じゃないんです。全国の問題なんです。予算委員会でも指摘しました。つまり結果的には、この高校無償化法案、なかなか予算の組み替えや無駄なカットができなくて、いろいろなところから持ってきて、結果的にはこの三千九百三十三億円を集めてこざるを得なかった。その中の一つとしてこの耐震対策の予算が減ってしまったという部分です。

 しかし鳩山総理は、命の大切さ、命、本会議で二十四回も発言されたんです、命という言葉を。ですから、こういう問題についてこれはやはり文部科学省はきちっと各自治体に対して対処する必要があると思いますが、このことについてどうお考えですか。

川端国務大臣 予算委員会でも同じ御指摘をいただきました。

 それで、そのとき申し上げたんですが、今までも含めて、いわゆる当初予算で耐震化予算を組む……(下村委員「東京都が足らないということに対してどうか」と呼ぶ)それで、全国のニーズからいったときに、まだ希望がたくさんあるということは現実として承知をしております。

 したがいまして、総理も国会の予算委員会等々で答弁申し上げましたように、総理は、いわゆる予備費の中からも視野に入れてそういうことも考えていきたいということを申されました。

 私といたしましては、今参議院で審議中でありますが、予算を早急に決めていただく中で、その予算の中で優先的なものは執行してまいりますが、それと同時に、全国のそういう状況を踏まえて、時間が、夏休み云々という部分の御要請もいただいておりますけれども、あらゆる手だてを使ってそういうものが何とか手当てできるように、最大の努力を尽くしてまいりたいと思っております。

下村委員 予備費という話が出まして、今のお話のように、東京都でも具体的な数字が出ているわけですから、これは、調べていただければ四十七都道府県全部わかると思いますよ。この耐震対策について、合計で、では予備費でどれぐらい計上できるのか、トータルとして。これは早急に政府としてきちっと対応しないと、もし何かがあったときに、これは、高校無償化法案という法律を通すために結果的に大変なことになったということになりかねないですよ。これは文科省としてきちっと責任を持つべきではないですか。

 改めて四十七都道府県に対してこれを調査して、それで、文科省としてこの予備費についてどう対応できるかということを即検討していただいて我々の方に示していただきたいと思いますが、いかがですか。

川端国務大臣 基本的には、もう十分御案内だと思いますが、予備費というのは緊急のために備えているという意味で、制度的に申し上げれば、今ある、今はまだ決まっていませんけれども、決まった後の予算の執行を見ながらでないと、その対象としては一般論としては無理だという制度がありますが、その中で、総理としては、緊急経済対策ということの中でこういうことが対応できるのかどうか。

 ただ、景気が二番底で大変なことが起こるということに備えているという予算でもありますので、政府全体としての取り組みの方針の中でやられるものだと思いますので、私の立場では、予算案を通していただいた暁には、最優先に地元の部分での予算の中での事業を執行するとともに、既に御要望も含めて希望は今もいろいろと伺っております。ということで、それが、先ほど申し上げました、最大限早くに執行できるいろいろな財源手当てを含めて、これは総理を含めてに強く強くこれからも求めて、今までも求めておりますし、求めて、絵がかけるように努力はしてまいりたいと思っております。

下村委員 時間が来てしまいましたので、また次回のときにこれは引き続き議論していきたいと思いますが、おっしゃるとおり、夏休みも間に合わないですよ、学校休みのとき。ですから、これをどうきちっと政府として対応するかということについて改めてお聞きしたいと思います。

 以上で終わります。

田中委員長 次回は、来る九日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時九分散会


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