衆議院

メインへスキップ



第7号 平成22年3月12日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十二年三月十二日(金曜日)

    午前九時十分開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 奥村 展三君 理事 首藤 信彦君

   理事 松崎 哲久君 理事 本村賢太郎君

   理事 笠  浩史君 理事 坂本 哲志君

   理事 馳   浩君 理事 富田 茂之君

      石井登志郎君    石田 勝之君

      石田 芳弘君    江端 貴子君

      神山 洋介君    川口  浩君

      城井  崇君    熊谷 貞俊君

      後藤  斎君    佐藤ゆうこ君

      瑞慶覧長敏君    杉本かずみ君

      高井 美穂君    高野  守君

      中川 正春君    平山 泰朗君

      牧  義夫君    松本  龍君

      湯原 俊二君    横光 克彦君

      横山 北斗君    吉田 統彦君

      伊東 良孝君    遠藤 利明君

      北村 茂男君    塩谷  立君

      下村 博文君    菅原 一秀君

      永岡 桂子君    古屋 圭司君

      松野 博一君    池坊 保子君

      宮本 岳志君    城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       川端 達夫君

   内閣官房副長官      松野 頼久君

   外務副大臣        福山 哲郎君

   財務副大臣        野田 佳彦君

   文部科学副大臣      中川 正春君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   文部科学大臣政務官    後藤  斎君

   文部科学大臣政務官    高井 美穂君

   文部科学委員会専門員   芝  新一君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  牧  義夫君     杉本かずみ君

  松本  龍君     神山 洋介君

  遠藤 利明君     伊東 良孝君

同日

 辞任         補欠選任

  神山 洋介君     松本  龍君

  杉本かずみ君     牧  義夫君

  伊東 良孝君     遠藤 利明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(内閣提出第五号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案を議題といたします。

 この際、本案に対し、笠浩史君外四名から、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の三派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。富田茂之君。

    ―――――――――――――

 公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

富田委員 ただいま議題となりました修正案について、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。

 本修正案は、本法律案施行後の高等学校等における教育の充実の状況、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減の状況等を踏まえ、この制度のより一層の充実を図るため、本法律案の附則に、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする旨の規定を加えるものであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。松野頼久内閣官房副長官。

松野内閣官房副長官 おはようございます。

 就学支援金の支給対象について、いわゆる高校実質無償化法案は、日本国内に住む高等学校等の段階の生徒が安心して教育を受けることができるようにするものであります。

 このために、外国人学校の取り扱いに関しましても、外交上の配慮などにより判断するべきものではなく、教育上の観点から客観的に判断するべきものであり、政府としては以下のように考えるものでございます。

 本法案においては、外国人学校を含む専修学校等及び各種学校に係る就学支援金の支援の対象範囲については、高等学校の課程に類する課程として位置づけられるものを文部科学省令で定めることとしております。

 これまでの各大臣の発言につきましては、高等学校の課程に類する課程としての位置づけを判断する基準や方法についてはさまざまな論点があることを述べたものでございます。

 文部科学省令については、国会における審議も踏まえつつ、文部科学大臣の責任において判断するものでございます。

 以上であります。(発言する者あり)

田中委員長 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 これから質疑をしてから、またいろいろと御意見を伺いたいと思います。

 ただいま議題となっております内閣提出、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案及びこれに対する修正案中、内閣提出法律案について議事を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 おはようございます。

 松野官房副長官、なぜこの時期に、なおかつ、あなたはこの内容を把握していますか。全く内容がないですよ。何のために内容のないことをわざわざここで発言したんですか。

松野内閣官房副長官 一応、政府としての統一的答弁ということで御発言をさせていただきました。

下村委員 田中委員長、あなたは、外務大臣やほかの大臣を経験された大変に見識あるすばらしい政治家だと私は評価させていただいています。しかし、あなたは委員長でしょう。今の松野副長官の発言をお聞きになりましたよね。把握されましたよね。これは文科委員会の最初からの答弁、今まで川端大臣がいろいろ発言されていましたけれども、全くこの委員会の質疑が反映されていない政府見解ですよ。今まで文科委員会でやってきたことは何なのかと問われますよ。こんなことを許していていいんですか、委員長。

田中委員長 ですから、これから質疑をいたします。

下村委員 あなたの感覚はずれていますよ。そうじゃない。今の松野官房副長官の政府見解は、今までの文科委員会の議論を踏まえた発言になっていないということを言っているんですよ。あなたは委員長として、今まで取りまとめてきたこの委員会のことが全く政府見解の中に反映されていないじゃないですか。委員長としてどう思いますか。

田中委員長 内閣官房副長官が代表として出てこられて、これから説明をるるされるわけですから、ぜひそれを聴取して、よく伺いたいというふうに思います。

下村委員 そうじゃないですよ。あなたは委員長としてずっと審議にかかわってこられていたでしょう。今までの審議のいろいろな議論をお聞きになっていたでしょう。その審議について踏まえた発言になっていないじゃない、全然。

田中委員長 これから文部科学大臣及び内閣から来られている松野官房副長官の御意見を聞いて、質疑を進めたいと思います。

下村委員 それは全然、委員長としてのリーダーシップで進めている委員会では全くないですね、そもそも。

 これは川端大臣にお聞きしますけれども、今まであなたは、この各種学校についての内容、これについて、どこまでを対象にするかしないかについては、今までの議論の中で、客観的、普遍的な判断基準が出せるように努力するというのは、これはもう予算委員会のときからおっしゃっていました。しかし、ここには、今の政府見解の中には全く入っていません。一歩も踏み出ていないんですね、委員会が始まる前から。

 そもそも、二日前に馳委員から同じ質問がありました、客観的そして普遍的な判断基準が示されなければ、これは採決に応じることもできない、委員会審議もこれ以上できないと。こんな答弁では、こんな政府見解では、これ以上質問できませんよ。

 早目にこの客観的、普遍的な判断基準、これは今まで大臣も努力をすると言われていたわけです。そして、我が党は明確に、馳委員から、出されなければこれは審議にこれ以上応じられないと言っていたわけです。ですから、これが出てこない限り審議には応じられません。

川端国務大臣 高等学校の課程に類するものという判断の基準と方法について、さまざまな観点から検討を加えて最終的な省令を決めたいと答弁を申し上げてまいりました。そして、それと同時に、国会の審議も踏まえつつということで申し上げてまいりました。

 この国会のこの委員会においても、さまざまな角度から御指摘も御提言もいただきました。そういうことを含めて、制度的に申し上げれば法律が通った後に省令は決めるものでありますので、ぜひとも法律を通していただきたいということでございますけれども、いろいろな判断基準そして判断方法は、この国会の議論も踏まえて最終的に検討させていただきたいということでございます。

 なお、予算委員会からの段階を踏まえて申し上げれば、専修学校の高等課程は対象としたい、そして、各種学校は原則としては除外するけれども、専修学校に制度上なれない各種学校の中の外国人学校だけは、基準と評価方法を含めて検討して、例外的にその条件をつくりたいということを申し上げてきたところでございます。(発言する者あり)

田中委員長 質問者の発言を求めます。(発言する者あり)質問者の発言を求めます。

下村委員 これは全く答弁になっていない。こんな答弁じゃ審議に応じられません。(発言する者あり)

田中委員長 今、大臣とそして内閣からの意見が披瀝されているところですから、もう少し審議を冷静に進めていたしましょう。(発言する者、離席する者あり)さらに審議を進めます。さらに審議を進めます。席に戻ってください。

 質問者、下村博文君。

 質疑を進めたいと思います。質問者、発言いかがですか。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 質問者、どうぞ。ルールどおりに質問をしてください。

 下村博文君。

下村委員 川端大臣、何回も同じことを聞いているんですよ。あなたは、今までの文科委員会の中でも、この各種学校について、どの学校を高等学校の課程に類する課程に置くかどうかについては、国会審議の中で、客観的、普遍的な判断基準が出るように努める、協力するということも、何度も何度も発言しているんですよ。しかし、先ほどの政府見解、全く踏み込んでいないじゃないですか。委員会前と全く同じですよ。こんな政府見解を認めるわけにいかないですよ。もう一度つくり直してください。

川端国務大臣 高等学校に類する課程のものとして、先ほど申し上げましたように、専修学校の高等課程以外に、各種学校で専修学校になれないという条件がはまっている外国人学校に対して、それが高校の課程に類するかどうかということの判断基準と方法を検討している、国会の審議を踏まえて決めたいということは何度も申し上げてきたとおりでございます。

 先ほど申し上げました議論の中でも、各委員からも、こういう方法で確認するべきだという御提言や、こういう中身からどうなんだというふうな御提言や御意見もございます。それで検討を今進めているところでございますが、外国人学校については、独自の教育課程に基づく自由な教育活動を行っておりまして、我が国の学校制度をそのまま当てはめて高校と同じ基準で評価するということは、適当ではないとまず考えております。

 そのために、外国人学校については、まさに高等学校の課程に類するというので、判断基準としてどの項目を判断基準にするのか、それから、その判断基準を満たすかどうかをどういう方法で確認するのかを、まさに国会での御審議も踏まえながら、現在検討しているところでございます。

下村委員 川端大臣は、先ほどの松野副長官の政府からの発言、政府見解ですか、これをちゃんと協議しているんですか。あなたも参加しているんですか。今までの大臣の発言がこの政府見解の中に全く入っていないじゃないですか。つまり、文科委員会の審議を踏まえた上での政府見解に全くなっていないでしょう、これは。文科委員会を開く前と同じですよ。これは政府内不一致ですよ。

川端国務大臣 先ほどの松野官房副長官の御発言は、当然ながらこの審議の経過、そして私の発言も踏まえた政府の統一見解でございます。加えて、総理及び関係閣僚が発言をしてきた経過も、政府として統一的に、これまでの各大臣の発言は、高等学校の課程に類する課程としての位置づけを判断する基準や方法については、さまざまな論点があることを述べたものであるというまさに統一見解を出したところでありまして、最終的に、政府統一見解として、文部科学省令については、国会における審議も踏まえつつ、文部科学大臣の責任において判断するものであるということを改めて政府として確認したところでございます。

下村委員 いや、私が言っているのは、こんなのは政府見解じゃないですよ、こんなのは。ただの今までの論点整理的な、表面的なものをそのまま並べただけじゃないですか。全く踏み込んでいないじゃないですか。

 きょうの朝日新聞の朝刊一面トップに「朝鮮学校無償化除外へ」、きのうの産経新聞では朝鮮学校無償化対象。マスコミによってばらばら。はっきりさせてくださいよ。どうなんですか。

川端国務大臣 報道についてコメントする立場にはございませんが、まさにこの国会審議を踏まえつつというときに、さまざまな論点からさまざまな考え方がここでも議論されているということを踏まえて、私としては最終的に判断をしてまいりたいと思っております。

下村委員 いや、ですから、対象に入れるのか入れないのかの判断基準を聞いているんですよ。客観的、普遍的な判断基準として出してくださいというのをさっきから言っているんですよ。それが出てこなかったら議論のしようがないじゃないですか。

川端国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、最終的には、法律成立後、省令で私の責任において判断するものでございますが、先ほどから申し上げておりますように、一つは、我が国の高等学校設置基準等をそのまま当てはめることは、実際の判断としては、先ほど申し上げましたように、学校は自由な教育を行っているという意味で、そのまま当てはめてやるという基準を適用することはないという一つの方向を持っております。

 同時に、その基準や方法というのは何かということのお問いだと思いますが、どのような基準を、要するに何を評価項目とするかということも、外形的な問題を含めていろいろな基準を、妥当性を含めて現在幅広く検討しているということでありまして、当該基準に該当するかを判断するときに、何をどのようにチェックし、個別に指定するべきかということであって、そのことを含めて、まさに幅広く御意見を賜りながら検討しているのが現状でございます。

下村委員 全く答弁になっていないですね。客観的、普遍的な判断基準を示さなければ、それは朝鮮学校が入るのか入らないのか、これは議論しようがないですよ。実際は省令で決めるにしても、国会審議の中でそれは大臣が出してもらわなかったら、これ以上審議できないですよ、大臣。(発言する者あり)

田中委員長 静粛に願います。御静粛に願います。

川端国務大臣 この検討している大前提としては、朝鮮学校を入れるのか入れないのかという議論をしているわけではありません。各種学校の中で、専修学校の高等課程は入るわけですが、専修学校に制度上なれないのが外国人学校であるということでありますので、その幾つかある学校を、どういう基準とどういう方法で評価して、高等学校の課程に類するものであるかどうかを判断するものを議論しておるということは、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。

下村委員 そんなの当たり前のことじゃないですか。今回の法案の中で、外国人学校を入れるか入れないか、これが出てきたわけでしょう、そもそも。それについての客観的な判断材料がなかったら議論のしようがないでしょう。その一つとして朝鮮学校が出ているわけで、別に朝鮮学校だけを区分けするという話じゃないですよ。そもそも外国人学校が当てはまるのか当てはまらないのかという客観的な判断基準をもっとクリアにしなきゃ議論のしようがないですよ。

川端国務大臣 何度も繰り返しておしかりを受けるかもしれませんが、まさにこの学校が高等学校の課程に類するかどうかをどう評価するかということに、この委員会でもさまざまな御提言もございました。私たちとしては、それを踏まえ、制度上客観的に判断できる物差しを納得できる形でつくるために、国会の審議を含めて現在鋭意検討しているということを、ぜひとも御理解いただきたいと思います。

下村委員 大臣、きょう採決するのであれば、今の答弁では、これはこれ以上質疑できないですよ。採決の前に明確にそれを出してください。きょう採決するなら明確に出してください。今出してください。

川端国務大臣 国会の審議は委員会でお決めいただくことだというふうに思っております。

 私としては、今お問いのことに関しては、先ほど来申し上げておりますように、客観的な判断基準、評価方法を、国会審議を踏まえながらしっかりと検討して決めてまいりたいと思っております。(発言する者、離席する者あり)

田中委員長 自席に戻ってください、審議中ですから。(発言する者あり)自席に戻ってください。自席に戻ってください。

 発言者どうぞ。発言者どうぞ。発言者が御自分の持ち時間の中で発言なさってください。発言者、どうぞ進めてください。発言者がどうぞ質問をしてください。自席に戻ってください。(発言する者あり)

 もう一回申します。自席にお戻りください。質問者が御自分の範囲内で、御自分の言葉で質問をしてください。発言者がどうぞ御自分の言葉で質問をなさってください。

下村委員 では委員長に確認を求めますが、きょう採決をするという前提であれば、先ほど文科大臣が、この高等学校の課程に類する課程として位置づけられたものについて客観的、普遍的な判断基準を、その前に明確に出していただかなければ、採決に応じることはできません。それは、委員長、取り計らいをお願いします。

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 川端文部科学大臣。

川端国務大臣 現在、先ほど申し上げましたように、各種学校の中で専修学校に入れない位置づけの外国人学校が高等学校の課程に類する課程かどうか、その評価基準と方法を検討しているところでありまして、先般来の委員会でも、各委員からこういう方法でやったらどうかという御提言もいただきました。

 いろいろなそういう国会審議も踏まえて、これからも最大いいものができるように検討しているところでございまして、どうかまた、この場を通じてもいろいろな御提言をいただければありがたいと思っております。

下村委員 大臣、これから委員会で幾らでもまだ審議時間があるのであれば、今の答弁はとりあえずは途中経過として認めてもいいですよ。でも、きょう採決するのであれば、今の答弁ではこれは了承できません。

 その前に、既に鳩山総理等からいろいろな発言が出ているじゃないですか。報道でいろいろ出ているじゃないですか。それを大臣がきちっと言えばいいんですよ、ここで。客観的な普遍的な判断基準についてきちっと言えばいいんですよ。それが言えなかったら、これは採決前提の質疑には応じられないです。

川端国務大臣 法律が成立した時点で、その法律が動き出して省令を発するという時間的な経過に制度上はなっております。したがいまして、成立する過程においてのそれまでの国会の審議をしっかりと踏まえて、あらゆる角度から検討してまいりたいと思っております。

下村委員 全然答弁になっていないですね。答弁が先ほどの質問に対して明確に出していただけなければ、審議はこれ以上できないですよ、大臣。

川端国務大臣 総理の会見の部分を引用いただきましたが、まさに総理も、各般のいろいろな意見もあるので、しっかりとそういう国会審議も踏まえて、文部大臣の責任において決めるようにということの御指示をいただいておりますので、まさに、先ほど来何度も申し上げておりますように、皆さんの御意見も踏まえながら最終的に判断をしてまいりたいということでございます。

松野内閣官房副長官 政府の見解におきましては、先ほどから文部大臣も申し上げているとおりに、この国会の審議を踏まえて、さまざまな議論を踏まえて立法過程の中で立法した後に省令として落とし込むというべきものでございます。

 ですから、政府といたしましては、下村先生は官房副長官も御経験でございますので、その立場はよくおわかりだと思うんですけれども、一義的には文部科学大臣の責任においてこれは御決定されるものだというふうに承知しております。

下村委員 今の松野副長官の答弁は、全く答弁になっていないです。

 それで、川端大臣、これはきょうの話じゃないですよ。前からずっと、このことについてはもっと客観的、普遍的な判断基準を明確に示せとお願いしているわけですよ。

 これからも審議について担保してくれますか、委員長。まだまだ来週も担保していただけますか。そうしたら今の審議について、とりあえず大臣の答弁を前提で議論していきますけれども、きょう採決するのであれば、今の大臣の答弁は、これでは全く納得できません。委員長、どうですか。

川端国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、法律が成立して、その法律に基づいて、省令で決めろという権能が働いて省令を決定するわけでございます。それまでの間にいろいろな議論があるのを踏まえて最終的に判断をしたいと思っておりますので、私たちとしては、その評価基準と評価方法について、まさにさまざまな御意見をこの委員会でもいただいておりますので、それを踏まえながら検討して決定をしていきたいと思っております。

下村委員 委員長にお聞きしているんですよ。あんな答弁で採決に応じることはできない。ですから、これからも審議については時間を担保していただけますかと。それだったら審議に、とりあえずは今の答弁の中で、前提でやっていきますよ。でも、きょう採決するという前提の答弁だったら、委員長……(発言する者あり)ちょっと、ちゃんと質問しているんだから邪魔しないでよ。

 きょうの採決前提の答弁だったら、あんな答弁ではこれは審議できないですよ。答えていません、全く。

田中委員長 採決云々ではなくて、審議時間もありますし、今までの審議も踏まえて、きょう、有効にこの時間を使いたいというふうに思います。

 したがいまして、大臣もそれから官房副長官も、もう少し違った文言といいますか、そういう御発言もお願いしたいと思います。

下村委員 違った文言じゃなくて、何度も申し上げているのは、客観的、普遍的な判断基準についてもっと踏み込んでいただかないと、これは採決に応じられない、審議しようがないと。これは理事会で決めてください。理事会協議してください、今。

田中委員長 川端文部科学大臣。(下村委員「理事会協議してください」と呼ぶ)まず発言してもらってからにしましょう。発言を聞いてからにしましょう。

川端国務大臣 高等学校の課程に類するとみなせるものの判断基準と評価方法を検討している過程において、この場でも何人かの委員から、こういうことだから入れていいのではないかという御提言をいただいたり、あるいは、いろいろな形ではなかなか難しいからこういうふうにやって確認したらどうかという御提言もいただいたり、いろいろなことをこの審議を踏まえても出てきております。

 そういう意味で、より客観的そして妥当性のある基準と評価方法を今本当に一生懸命検討しているところでありますので、ぜひともの御理解をいただきたいと思っております。

下村委員 今の答弁は、先ほどの委員長の指示にも従っていませんし、そもそも答弁にはなりません。

 これは、改めて大臣が客観的、普遍的な答弁がきちっとできるまで、これは質疑できないですよ。理事会協議してください、ちょっと。

田中委員長 ただいまの件につきましては、理事会でしっかりと協議をしたいと思います。(下村委員「いや、今です、今」と呼び、その他発言する者あり)

 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 着席してください。

 川端文部科学大臣。

川端国務大臣 高等学校に類する課程であるかどうかの外国人学校の認定の評価基準と評価方法について検討している過程の中で、一つの参考にしながら議論をしているものは、いわゆる高校を卒業したとみなす、今は在学の話をしているわけでありますが、高校を卒業すれば大学の入学資格ができるという意味で大学の入学資格が今決まっている制度も、卒業という条件を判定するという意味で制度がございます。

 申し上げますと、学校教育法第九十条の第一項で、大学入学資格というのは三つある。

 一つは、高等学校または中等教育学校を卒業した者。

 二番が、通常の課程による十二年の学校教育を修了した者(特別支援学校の高等部、高等専門学校三年次修了者。)。

 三、これらと同等以上の学力があると認められた者。これは卒業のレベルではありません。学力の判断として、いわゆる高等学校と同等以上の学力があると認められた者というのが法律で決められておりまして、この三番のこれらと同等以上の学力があると認められた者というのは、学校教育法施行規則第百五十条及び文部省告示で決めております。まさに我々が今やろうとしているのと法体系的な仕組みは同じでございます。

 その中で、一つは、外国において学校教育における十二年の課程を修了した者、これに準ずる者として、外国における十二年の課程修了相当の学力認定試験の合格者、これは外国の話ですが、それから、我が国における外国の高校相当として指定した外国人学校の修了者。

 二番目が、高校と同等と認定された在外教育施設の修了者。

 三番が、専修学校の高等課程、修業年限三年以上、総授業時間数二千五百九十時間以上のもので、文部科学大臣が別に指定するものの修了者。

 四番目が、文部科学大臣の指定した者。一つ、旧制学校等の修了者。次に、国際バカロレア、アビトゥア、バカロレアなど、外国の大学入学資格の保有者。国際的な評価団体、WASC、CIS、ACSIの認定を受けた外国人学校の十二年の課程の修了者等。

 五番目が、いわゆる旧大検ですね、高等学校卒業程度認定試験の合格者。

 そして六番目に、大学において、個別の入学資格審査により認めた者。

 これが高校を卒業したということと同程度とみなすという基準として現在運用されている制度であります。

 私たちの高校の課程に類する課程というのは、卒業というレベルを問うものではなく、在学していることを問うものですので、若干の性格の違いはあります。そして、卒業のレベルを問うというので、現実には、各大学において、入学選抜の前に個別に、一番最後に申し上げました、大学において個別の入学資格審査ということで、一から五に当てはまらない者に対して審査をして入学を認めているという実態がございます。

 卒業レベルでこういうことをやっているときに、在校レベルで高等課程に類するものとしてやるときに、まさに客観的な評価基準と評価方法をやるときの一つの参考として、これらも検討の素材にのせて議論をしておるところでございます。加えて、国会の審議等も踏まえて、しっかりと検討してまいりたいということでございます。

下村委員 何かいきなり細かい話になってきている。最初からきちっと話されればいいじゃないですか。全く審議拒否ですよ、まさにそちらの方が、大臣の方が。

 今回の各種学校における外国人学校、対象三十六校。これはどこが当てはまるんですか、今の話の中では。

川端国務大臣 これは、先ほど申し上げましたように大学入学資格というものの基準でありますので、と同時に、個々にこのものに関して指定をするという段階で評価をしておりますので、今回、そのものに当てはまるかどうかということの確認はまだ正規にはできていないというのが正直なところでございます。

下村委員 では、何でそれを話したんですか、大臣。当てはまるか当てはまらないかよくわからないのに、何でそんな説明をしているんですか、意味のないことを。大臣。

川端国務大臣 今大学の資格の要件に当てはまっている外国人学校を副大臣の方から報告させます。

鈴木副大臣 大学入学資格の認定の有無という観点で、それを有している学校を御答弁申し上げます。

 北海道インターナショナルスクール、東北インターナショナルスクール、エスコーラ・パラレロ、セント・メリーズ・インターナショナルスクール、清泉インターナショナル学園、聖心インターナショナルスクール、アメリカンスクール・イン・ジャパン、クリスチャン・アカデミー・イン・ジャパン、リセ・フランコ・ジャポネ・ド・トウキョウ柳北校、東京中華学校、東京韓国学校、横浜中華学院、サンモール・インターナショナルスクール、横浜インターナショナルスクール、東京横浜独逸学園、エスコーラ ブラジレイラ プロフェソール カワセ、エスコーラ・アレグリア・デ・サベール碧南校、エスコーラ・アレグリア・デ・サベール豊橋校、エスコーラ・アレグリア・デ・サベール豊田校、名古屋国際学校、ニッケン学園、エスコーラ・アレグリア・デ・サベール鈴鹿校、大阪インターナショナルスクール、カネディアン・アカデミィ、マリストブラザーズインターナショナルスクール、広島インターナショナルスクール、福岡インターナショナルスクール、沖縄クリスチャンスクール・インターナショナルが、認可校として大学入学資格認定を有している学校であります。

下村委員 確認ですけれども、朝鮮学校を除く各種学校の中の外国人学校すべてということですか。

鈴木副大臣 朝鮮学校を除くすべてではありません。

下村委員 では、具体的に述べてください。朝鮮学校以外で該当しない学校はどこがあるんですか。

 委員長、速記をとめてください。

田中委員長 では、ちょっと速記をとめます。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 鈴木文部科学副大臣。

鈴木副大臣 K・インターナショナルスクール東京、ムンド・デ・アレグリア学校でありますが、K・インターナショナルスクール東京については国際バカロレア認定校でございまして、学校にではなくて、資格保有者に大学入学資格が認められている、こういうことでございます。(発言する者あり)

 ですから、改めて御答弁申し上げます。K・インターナショナルスクール東京とムンド・デ・アレグリア学校、学校としてはその二校でございます。

田中委員長 鈴木文部科学副大臣、もう少しちょっと明確に。

鈴木副大臣 朝鮮人学校と、それからK・インターナショナルスクール東京、ムンド・デ・アレグリア学校が大学入学資格認定を有しておりません。

下村委員 鈴木副大臣、そのK・インターナショナルほかの二つの学校は国際バカロレアの資格があるとさっき言っていましたよ。どうなんですか、それは。はっきり答弁してください。

鈴木副大臣 今の二校は学校としては認定を有しておりません。そして、K・インターナショナルスクール東京につきましては、バカロレアの資格保有者に大学入学資格が認められております、K・インターナショナルについては。(下村委員「もう一つは」と呼ぶ)ムンド・デ・アレグリア学校については、バカロレアの認定校ではございませんので、資格保有者に大学入学資格は認められません、現状においては。

下村委員 そうすると、この線引きでいうと、朝鮮学校とムンド・デ・アレグリア学校が該当しないという線引きがこの線引きだと言えるということで理解をいたしました。

 川端大臣、九日の日に鳩山総理とお会いしていますね。そのときに、高校無償化法案の外国人学校の線引きについて御議論されたと思うんですね。今の話も含めて、どんなような議論がされましたか。

川端国務大臣 審議入りをしておりましたので、今回の審議でこういう議論が出ているということと、高等学校に類する課程という判断を客観的にしたい、ついては、先ほど統一見解で松野官房副長官もおっしゃいましたけれども、まさに教育上の客観的評価基準と評価方法でやるということで、その他の外交上の配慮とか等々というものを判断するものではないという方針で臨んでおります、そして、委員会では各般いろいろな御提言も含めた議論がされております、そして、制度上でいえば今申し上げました大学入学資格というものはこういうふうになっているということ等々を含めて、状況を御説明いたしました。

 総理からは、いろいろな幅広い意見がある中を踏まえて、しっかりと文部科学大臣において決めるようにという御指示をいただいたところでございます。

下村委員 鳩山総理は、十一日、昨日、記者団に対して「客観的に(日本の)高校の課程に類すると言えるか、ということになる。何らかの客観的な基準を作ることが必要だ」、さらに、「ある程度時間がかかるんじゃないか」と発言しております。

 客観的な判断基準として先ほどの事例を出されたと思うんですが、ほかにも判断基準を何かお考えですか。

川端国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、大学入学資格というのは、高等学校を卒業したというレベルを認定する制度として今やられているということでありますが、今回のは、在学している学校が高等学校の課程に類するかどうかというので、性格が異なります。

 同時に、各種学校の中の外国人学校で、高等課程、学年的に高等部に類するものの中で、例えば今申し上げたようなことで言うと、大学の受験資格ということで言うと、先生今お問いのように、朝鮮人学校と一部の学校は対象にならない。

 しかし一方、大学の入学資格においても、個々人に受験資格を認定するという制度はあるということでありますが、この大学の受験資格というのは、卒業した人がそれなりのレベルを持っているかどうかということで判断するということを大学にゆだねるという仕組みをつくっているんですが、在校しているときは個々人にというわけにはいきませんので、それがどういうことで評価ができるのか、どうしたらできるのかということも踏まえて検討しているところでございます。

下村委員 何か今のは答弁になっていないじゃないですか。何を言いたいのか全くわからないですよ、大臣。つまりどういうことですか。答弁になっていない、全然。

川端国務大臣 ですから、いろいろな評価基準を、そして評価方法を検討している中に、一つ大学の入学資格の基準というのも大きな参考になるということを先ほどから申し上げました。そういう中で、大学の入学資格を認めるというときのいろいろな評価基準というんですか認定基準の中に、大学において個々人を認定するということがあります。

 しかし、今回の私たちの無償化の制度は、その在学しているところが高校の課程に類するかどうかというときには、個々人の認定ということにはなじみませんので、そういう意味では、そういうことが、ほかに何らかの基準と評価方法を、どうしたらいいのかということを議論し、検討しているということを申し上げました。

下村委員 だから、それはわかっているんですよ。それ以外に違う判断基準が例えばあるんですかとさっきからお聞きしているんですよ。

川端国務大臣 ですから、申し上げたように、国会でも、正直申し上げまして前回の委員会でも、何人かの委員の皆さんから、こういう方法でやったらどうかというふうな御示唆の御発言もございます。そういうことも踏まえながら実際に検討しているということでございます。

下村委員 いや、だから、全然答弁になっていないじゃない。

 具体的に、では、とりあえずは、今その一つの物差ししかないということですか、先ほど答弁されたような。

 違うんだったら違う答えを具体的に言ってくださいよ。全然言っていないじゃない。中川副大臣でもいいですよ、首振っているんだから。どなたでもいいですよ。

川端国務大臣 お答えいたします。

 今までの物差し以外に今例示的に示すものが、ここで言う状況にはない段階であることは御理解をいただきたいと思います。

 そして、どういう基準をつくれるのかということを今一生懸命検討しているということでございます。

下村委員 今の答弁では納得できません。

 もうすぐ採決を予定されるんでしょう。あれが一つの、唯一絶対の判断だというんだったら、それはそれで一つの判断で結構ですよ。でも、それ以外にあるんだったら明確にしてください。それをさっきから求めているんですよ。

川端国務大臣 何度も繰り返しになりますけれども、法律が通った後で省令を決めるということでございますので、国会の議論を、本当に幅広な議論がございますので、それをしっかり受けとめて決めたいということでございます。(発言する者あり)

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 川端文部科学大臣。

川端国務大臣 今、高等学校、それから専修学校の高等課程、そして各種学校の外国人学校と。

 高等学校は当然ながら認める、対象と。専修学校は、高等課程ということに入れようと。そして、各種学校はどうするか。その中の外国人学校だけを評価の対象とするというところまで整理をしておりますけれども、その中でそれぞれに、高等学校、専修学校、各種学校ともに、いわゆる設置基準あるいは認可基準、そしてそれに必要な書類、届け出の中身等々がございます。

 目的、入学資格、修業年限、卒業・修了要件、教職員、設置者、それから設置認可ということがございます。それぞれに当然ながら異なります。その部分を、ベースは高等学校でございますので、そこに合わせた評価項目をどう選ぶのか、同時に、それをどう確認するのかということを詳細、専門的に調査をしているところでございます。

下村委員 それは二つ目の判断基準を今提示されたということでよろしいわけですね。ちょっと確認します。

川端国務大臣 基本的には、むしろこれが一番もとになる判断基準だともともと思っておりますが、先ほど申し上げましたように、これを一つ、これで判断基準を整理することを検討しております。

下村委員 大臣、最初からそう言えばいいじゃないですか。最初から言えば、こんな無駄な、一時間半も浪費をしなくて済んだんですよ。何でそんな隠しているの。おかしいじゃない。

川端国務大臣 そういう部分の御指摘は大変恐縮でございますが、当然のことだと思っておりましたので、申しわけございませんでした。

下村委員 いや、当然のことだけれども、大臣、あなたはその当然のことを今まで一度も言っていないですよ。今回初めてですよ。初めて言っていて当然だなんということは、それは国会軽視も甚だしいですよ。

 では、具体的にちょっと聞きます、もう時間もありませんから。

 教育内容を客観的にチェックする。例えばどういうふうにチェックするんですか。四月一日からですよね。きょうは三月の十二日ですよね。どうチェックするんですか。

川端国務大臣 法案成立後、直ちに省令を今の議論を踏まえて出すべく検討しておりますが、それに基づいて、対象校としては申請をしていただく中でそのことを決めるという手順になっておりますので、その手順に従ってやってまいりたいと思っております。

下村委員 何か、はっきり言ったり言わなかったりで、答弁の内容に一貫性がないんですね。

 では、大臣、最初の基準に戻ります。

 最初の基準に該当しない学校というのは、朝鮮学校と、それから実質的にはもう一つの学校だけということですよね。それについては、客観的なチェックをするということになると、四月一日からの高校無償化対象校には間に合わないですね。どうですか。

川端国務大臣 二種類の学校の部分が先ほどの基準からは外れるということでございますが、この部分に関して、評価基準と評価方法を省令で決める中で、審査そして指定が実務上間に合うべく進めてまいりたいと今思っております。

 評価基準、評価方法を、国会の審議を踏まえてということでございますので、そういう部分では、一部、四月に間に合わないことがあることもあり得ると思っております。

下村委員 最初からそういうふうに答弁してくださいよ。

 国会審議というのは参議院もあるんですからね。どう見たって間に合わないのはもう明らかじゃないですか。

 では、客観的にどうするんですか。第三者機関を設ける必要があるんじゃないかと文科省の中で議論をされていると報道されていますけれども、これはどうするんですか。

川端国務大臣 まさにそれを、どういう評価基準、どういう評価方法とするかをまさに議論しているところでございます。いろいろな選択肢があると思っております。

下村委員 それをいつまでに決めるんですか。はっきり明確に、期限で、あるいはどんなことを具体的に設定を考えているのか、チェック機関ですね、お答えください。

川端国務大臣 まさに、現在国会の審議を踏まえて検討中でありますので、検討が整い次第、また進めてまいりたいと思っております。

下村委員 結果的には、四月一日にもう間に合わないということですよね。なぜそんな四月一日から急ぐ必要があるんですか。だって、対応できないところが出てくるわけでしょう。

 これは、この外国人学校だけの問題じゃなくて、地方自治体の対応の仕方、それから私立高校の対応、事務的な手続、これは相当大変な話ですよ。もっときちっと周知徹底をする、それから明確な線引きをはっきりさせる。つまり、この各種学校における外国人学校も、実質的にはそれぞれの都道府県が対応するところが出てくるわけですから、もっと丁寧にやるべきじゃないですか。これは見切り発車ですよ。今時点でもわかっていないのに、決まっていないのに。どうですか。

川端国務大臣 現在、都道府県及び都道府県を通じての分の公立高校及び私学でありますが、という形の都道府県と、関係団体を含めて、現在提出させていただいている法律を通していただくことになればこういう状況になるということをきめ細かく対応を説明させていただいておりまして、混乱の起こらないように、円滑なスタートが切れるように、引き続き最大限努力をしてまいりたいと思っております。

下村委員 川端大臣の答弁は非常にまだらなんですよ。詳しいところは詳しく答弁するけれども、本当に官僚答弁は官僚答弁。今のような答弁で通用しますか。それで地方自治体や私学あるいは外国人学校の方々が了解するという答弁ではとてもないです。

 しかし、時間がないので次に移ります。

 我々自民党は、昨日、朝鮮学校は無償化の対象とすべきでない事を強く表明する決議というのを、自民党の政務調査会の文部科学部会と拉致問題対策特別委員会合同会議で決めました。

 きのうの決議ですので、ちょっと最初に読みます。

  昨日、自民党は正式に「高校授業料無償化法案」への反対を決定したが、民主党は今週末に衆議院で法案を強行採決する構えを見せている。

  しかし、法案には、いまだに内容が決定されていない重要事項があり、無償化の対象となる各種学校に、朝鮮学校を含めるかについても、三月も中旬に入った今日に至るまで、政府側の方針は示されていない。

  こうした世論が分かれる重要な課題について、結論を得ないまま採決を強行すること自体、国民に対して責任ある意思決定を放棄するものである。

  自民党としては、引き続き政府に対し、説明責任を果たすよう、強く求めてゆく所存であるが、朝鮮学校については、以下の通り、無償化の対象とするにあたっての課題が存在する。

 一、無償化の対象となる外国人学校については、「高等学校の課程に類する課程を置くもの」として文部科学省令で定めるとされているが、いまだ国会審議の中で、客観的・普遍的な判断基準が示されていないこと。

 一、客観的・普遍的な判断基準が決定されても、朝鮮学校については、現行法のもとでは、その基準に合致しているかを判断する方法及び権限がない事を、政府においても国会答弁で認めていること。

 一、朝鮮学校には本国である北朝鮮が強く関与しており、教科書も労働党の工作機関である統一戦線事業部が作成しているとされ、純粋な教育機関ではなく、北朝鮮の体制を支えるためのイデオロギー学校・対日工作機関の疑いがあること。

  以上の理由から、朝鮮学校は無償化の対象とすべきでない。同様の考えを持つ自民党以外の議員の協力も得て、最終的には政府が良識ある判断を下すよう国会論戦に臨んで参るので、国民各位のご理解を賜りたい。

これは、きのう自民党の中で決議をされたものでございます。

 残念ながら、一時間半近くにわたって客観的、普遍的な判断基準について議論をしていましたが、すべてまだ明らかではないわけですね。

 もう一度確認します。

 先ほどの大臣の発言された内容が、我々の言う客観的、普遍的な判断基準の物差しのすべてであるということでよろしいですか。

川端国務大臣 先ほど来申し上げた客観的判断基準の例を検討しているという例として申し上げました。

 まだ引き続きこれからの国会審議でいろいろな御提起もあるかもしれません。すべてかと言われたら、まだほかにもあり得るというふうに思います。

下村委員 これからの国会審議にという発言をされましたので、委員長、きょう採決することはぜひ見送っていただきたいと委員長に申し上げたいと思います。

田中委員長 御発言は賜りましたけれども、また審議をこのまま、今の時間帯では続行したいと思います。(下村委員「今、答弁になっていないです、委員長」と呼び、その他発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 今の下村委員からの御指摘ですけれども、これは理事会で与野党の筆頭と私に一任をされておりますので、協議の上判断をいたします。

 下村博文君。

下村委員 いつ協議されますか。

田中委員長 一応一任されていますので、審議を続けてから、もう一回繰り返しますけれども、両筆頭と私に一任されていますので、ですから、この後、審議を踏まえて、これからの審議を踏まえて判断をすると申し上げたんです。(発言する者あり)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 下村委員の質問にお答えしますけれども、きょうは二時間半の質疑を予定しておりますので、その審議を踏まえまして、そして、終了までに両筆頭と判断をいたします。よろしいですか。

 下村博文君。

下村委員 それが前提だったら、大臣、さっきのような答弁は通用しませんよ。もしかしたらきょうで終わりかもしれないわけですから。

川端国務大臣 きょうも私、国会の質疑時間が残されていると同時に、委員会の意思としての部分は、いつが採決かは存じ上げませんが、附帯決議等々の意思表示もあるというのが制度上担保されていると思っております。したがいまして、そういう意味を含めて、政府の立場だけでこれ以上の議論はないと申し上げることはできないということを申し上げました。

下村委員 いや、今の答弁も全く納得できませんけれども、とりあえず次に移ります。

 先ほど決議のところで申し上げましたが、川端大臣にちょっと確認します。

 客観的、普遍的な判断基準がたとえ決定されたとしても、朝鮮学校については現行法のもとではその基準に合致しているか判断する方法及び権限がない、これは国会答弁で認めておりますけれども、そういうことでよろしいわけですね。

川端国務大臣 まさに先ほど申し上げていますのは、客観的な判断基準、客観的に判断できるものとして、基準と方法を検討していると申し上げました。そして、直接的に権限の及ばない部分があることは、今までの議論でも、権限がない部分はたくさんあります。しかし、確認する方法はいろいろと考えられるのではないかと思っております。

下村委員 今までと答弁が違いましたね。今までは、たとえ決定されても、客観的、普遍的判断基準が決定されても、その基準に合致しているか判断する方法及び権限がないと言っていたんですよ。今までと答弁が違うわけですね。では具体的に答えてください。

川端国務大臣 委員あるいはほかの委員からの御質問で、例えばの例でございましたが、北朝鮮あるいは朝鮮総連に直接聞いて確認できるのかというお問いに対しては、現時点では確認できないということは申し上げました。そして、届け出も国に届けているわけではありませんので、国としての直接の権限は有していないことは申し上げましたが、先ほど来申し上げておりますように、客観的な評価基準と方法について検討しているということは、そういう中で、例えば、先ほど例示をいたしました大学の入学資格は、性格を異にするものではありますが、個々人に着目をして、大学において個々人を入学資格があるかどうかを審査するという方法をとっております。入学資格と在学資格とは全く性格の違うものでありますが、何らかの形の方法があるのかどうかを今議論しているところでございます。

下村委員 川端大臣、自分の答弁について中身をわかって答弁しているんですか。だって大臣はさっき整理された中で、大学入学の基準については朝鮮系の学校は入らないと答弁されているんですよ、明確に。答弁されたでしょう。なおかつ、しかし個々においては云々といっても、今回は、個々についての話ではあるけれども、実際は朝鮮学校の生徒全員を対象にするかしないかの話ですから、その中のある生徒は対象にするけれども、ある生徒は対象にしないという話じゃないわけですから、今のは全然答弁じゃないですよ。

川端国務大臣 大学の入学資格というのをどう認定するかという現行の法の仕組み、省令の仕組みはそうなっているということは事実でありますから、そう申し上げました。そして、今おっしゃいましたように、大学の入学資格というのは、卒業時の、高校卒業と多分みなせる学力のレベルを問うというのが主であろうというふうに思います。そういう意味では、制度上、学校単位で朝鮮人学校が認められるという条項にはなっていないのは事実であります。

 そして、その中で、さはさりながら、個々人においては大学に行き得るのではないかということが、客観的な状況があったんだと思いますが、そういう意味で、個々人に対して入学資格を認め得る制度がされているというのが大学入学資格を問うときの制度でございます。

 同時に、今、下村委員、まさに御指摘をいただきましたように、今回は大学入学資格を学校単位あるいは個々人単位で認めるというものではなくて、生徒が行っている学校が高校の課程と同程度であるかどうかを判断するということでありますので、直ちに大学入学資格の制度をそのまま全部適用するということではない。そして、一番最後に申し上げました、個々にその子供たちを判定するというわけにもいかないという中で、どういう評価、判定方法があるのかを議論しているということを申し上げましたので、特段先ほどの答弁が矛盾しているとは思っておりません。

下村委員 大臣、質問に対して正確に答えていないんですよ、そもそも。私が質問で申し上げたのは、朝鮮学校については現行法のもとではその基準に合致しているか判断する方法及び権限がないということは答弁されていますねと。それに対して大臣が答弁したけれども云々で、今のは答弁になっていないですよ。

 では、これからどうするんですか。今までは方法、権限がない、それは認められましたよね、今。では、これからどうしようということなんですか。

川端国務大臣 以前のお問いで、今国交がないという意味で、その国に、あるいは出先機関に問い合わせるということの権限や方法はないということは申し上げました。そして、直接的に国は認可しているという立場でないということを含めて、権限という意味では難しい状況にあることも申し上げました。

 したがって、何度も繰り返しになりますが、さはさりながら、この委員会の議論を含めても、高校と同じ実態があるのではないかという御指摘もございました。しかし私たちは、実態で判断するということはできない、制度上、客観性を持たないと判断はできない。そういう中で、大学入学のときは個々審査ということで門戸を開いているということがあるので、何らかの方法でそういうことが可能かどうか、どういう物差しをつくればいいのかということを、くどいようですが、検討していると同時に、この場でのいろいろな御提言もいただいていることも現実的にどうなのかも議論をしている過程にあるということだけはぜひとも御理解をいただきたいと思っております。

下村委員 今の答弁、全然理解できません。そこまで踏み込むんだったら、きちっと答えてくださいよ、きちっと。副大臣でもいいですよ。鈴木副大臣、きちっと答えてください。

川端国務大臣 これは前回だと思いますが、委員会で馳議員からお問いをいただきました。その部分で、調査できる権能を持っているのかという、要約すればそういうお問いでございましたが、私からは、調査できる権限を持つということは極めて体系的には難しい問題ということを認識しておりますというふうにお答えいたしました。そして、加えて馳議員から、朝鮮学校は北朝鮮本国においてどういう教育の中にあるのか、そしてそれを文部科学省が確認することができますかとお問いでありましたので、事実を承知しておりませんし、確認する方法はございませんということが、その流れの中ではお答えをいたしました事実だというふうに思います。

 ただ、それと、客観的に基準と方法を担保することがどうしたらできるのかということを、場合によっては、それはできないということもあるのかもしれませんが、できるのかということをこの前から、例えば馳議員は、こういうふうにしたらどうだという御提案をいただきました。ほかの委員からも、多分私の記憶では、具体的にそういうことまでお触れいただいたのは合計三名の委員がおられたと思うんですが、そういうことも含めながら、先ほど来話題になっております大学の入学資格の状況も踏まえながら今検討しているということをぜひとも御理解いただきたいと思っております。

下村委員 だから、それは理解しますよ。それは理解します。

 しかし、四月一日からですから、今検討している、検討しているだけでは、これは議論にならないですよ。いろいろな人から意見を聞いていますじゃなくて、文科省としても、さらに踏み込んで、ではどうするのかという具体的な案が出てこなければこれは議論できませんが、もう時間がないので次に移ります。せっかくほかの役所からも来ていただいているので、このまま終わったら申しわけないですから。

 外務副大臣にお聞きします。

 今のように、いろいろなことをこれから考えていくことが必要だと思いますよ。つまり、権限、チェック、実際にどうできるのか、できないか。その前の前提条件として、北朝鮮との間には国交がないわけですね。だから今のような状態になっているわけです。つまり、朝鮮学校の現状を把握できない。さらに、北朝鮮との間には拉致問題や核問題など重要な課題が存在し、六カ国協議が行われているところでもあるわけです。

 確かに、子供に罪はない。しかし、先ほど決議でも申し上げましたように、朝鮮学校は朝鮮総連を通じて本国である北朝鮮の関与が著しく強く、経済制裁を行っている中で、無償化による税金の投入は結果的に資金援助にもつながりかねず、慎重であるべきであると我々は思います。

 まずは政府がやるべきことは、国交正常化の議論をもっと積極的に進めるべきである。その上で、朝鮮学校を無償化の対象とすべきである。政府の努力というのは、そういう外向的な、積極的な努力を一方でやっていく必要があります。しかし全く見えません。今外務省では、このことについてどんな取り組みをまたこれからしようとしているか、お聞きしたいと思います。

福山副大臣 下村委員にお答えをさせていただきます。

 今、下村委員からは、北朝鮮との政治的な状況等について言及がありました。しかしながら、先ほど松野副長官からの政府見解でお示しをしたとおり、今回の外国人学校の取り扱いについては、外交上の配慮などにより判断するべきではなく、教育上の観点から客観的に判断すべきものだというふうに、我々も政府見解どおりの認識でございます。

 ただ一方で、御案内のように、二月の二十六日、岡田外務大臣は、ボスワース特別代表と六カ国協議の再開に向けての意見交換をさせていただきました。北朝鮮は六者会合の再開に当たりまして、制裁の解除などを強く求めているということも含めて、我々としては、六者会合再開の見通しが確たるものとなっているという段階ではないというふうに思っておりまして、今後も、韓国、アメリカ、そして中国としっかりと連携をしながら、六者会合再開に向けて努力をしていきたいというふうに思います。

 もちろん制裁の解除に必要なことは、北朝鮮が累次の国連安保理決議に定められた義務を遵守することもありますし、とにかく、二〇〇五年九月の六者会合共同声明を完全に実施しなければならないという我が国の立場は変わるものではございません。

 岡田大臣のもと、外務省としても、各国と連携をし、六者会合再開に向けて努力を続けたいと思っております。

下村委員 これに関連して、全く積極性が見られないですね、残念ながら。

 これは、松野副官房長官、やはり鳩山総理に問題があると思うんですね。もうぶれにぶれまくっている。どういう方向性かというのがわからないというのが多々あると思います。ですから、我々は、この委員会で鳩山総理の発言を松野副長官にお聞きするのは、これは申しわけないですよ。ですから、鳩山総理にこの委員会に来ていただきたいと何度も委員長にもお願いしているわけでありまして、改めて委員長にお願いいたします。

田中委員長 再三この御要望は出ておりますので、しかし、きょうの審議には官房副長官、松野さんが来られていますので、どうぞ松野官房副長官、御発言ください。(下村委員「いや、聞いていない、聞いていない。これから質問するから」と呼ぶ)

 下村博文君。

下村委員 今は委員長に、総理をこの委員会でお呼び願いたいということを申し上げたんです。

 今はもちろん総理は来ていないわけですから、これから松野副長官に、きょうのところは副長官にお聞きします。

 総理は、二月二十五日の時点においては、「朝鮮学校の指導内容というか、どういうことを教えておられるかということが必ずしも見えない中で、その考え方は一つあるな」、つまりこれは拉致担当大臣からの発言を受けてですね。その方向、つまり朝鮮学校を対象外とする方向になりそうだと聞いているとか、いろいろなぶれがある。

 例えば三月二日には、朝鮮学校の生徒との面会を検討、必ずしも私の発言の真意が伝わっていないかもしれない、省令を決める前に、子供たちに会うことは私としても大いに結構だとも発言しているんですね、この真意もよくわからないんですが。いつ面会されるんですか。その真意と、いつ面会されるのか。

松野内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 今、要は、高等学校の課程に類する課程ということで、るる下村委員初め多くの議論があるということは事実でございます。

 そういう中で、総理も、判断の基準だとか、それに類する課程がどういう方向から決定されるのか等々、さまざまな角度から今議論が行われている最中でございまして、それに対して、ぶれということではなく、あらゆる論点からの言及をなさっているというのが現実ではないかというふうに思ってございます。

 そしてもう一つ、三月二日、阿部知子議員から予算委員会の中で、朝鮮学校の子供たちにお会いになるのかという質問に対して、お会いになりたい旨の発言をなさいました。そのことは私も承知をしているところでございます。今、総合的に判断をしてそれを対処してまいるところでございますので、もうしばらくお待ちをいただければというふうに思ってございます。

下村委員 松野官房副長官、答弁が違うじゃないですか。別に待っていないですよ、全然。

 世間的に、いろいろな発言をされているというのは、そういうのをぶれていると言うんですよ。そのときそのときで前の人の意見に合わせたような発言をされているというのは、それはぶれているということなんですよ。

 それから、私は、この時期に総理が朝鮮学校の生徒と会うこと自体、不見識だと思っているんですね、法案審議の中で。このことについては、川端文科大臣、はるかに見識ありますよ。こういうことを審議している最中にそういう学生と会うべきではない、別の次元の問題だ、こういうふうに明確に文科大臣は答弁している。総理としてそもそも、そういう発想、姿勢そのものが、これは資格ないんじゃないですかね。だから、お待ちくださいとかなんとか、そんなレベルじゃないですよ、これは。

松野内閣官房副長官 答弁申し上げます。

 ぶれている、ぶれていないということでございますけれども、何か決まったことに対して違うことをおっしゃったならば、それはそれで、そういうふうにとられても仕方がないというふうに私は思うんですけれども、今ここでさまざまな立場の議論があるように、要は、高校の課程に類する課程というところで、判断基準また判断方法等々さまざまな議論、また、この委員会、国会におきましても、衆参合わせまして多分さまざまな御意見というものが出てくるというふうに思うわけでございます。ですから、それに対していろいろな論点から言及をされているというふうなことだと思ってございます。

 また、面会の件につきましては、今申し上げましたとおり、総合的な判断を加えた上で検討しているところでございますので、どうか御理解をいただきますように、よろしくお願いを申し上げる次第でございます。

下村委員 副長官、墓穴を掘るような答弁はしない方がいいですよ。それは、鳩山総理からは、なかなか自分の忠臣だというふうに思われるような発言かもしれませんけれども、国民的には、そんなことで納得するような答弁では全然ないですよ。だから、正直に、思ったことは思ったこととして、副長官としてお答えいただきたいと思います。

 きょうは質問を、用意していたうちの十分の一しか質問できませんでした。改めて、委員長、残りの十分の九についての質疑をお願い申し上げまして、とりあえず、時間になりましたので、今の段階では終了させていただきますので、よろしく御配慮のほどお願い申し上げます。

 終わります。

田中委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 四十分時間をいただきましたので、一昨日に引き続いて、残った論点について質問をさせていただきたいと思います。

 今、お手元に資料を配っていただいておりますが、資料の四枚目、資料四、これは昨日文科省の方でつくっていただきまして、一昨日のこの委員会の審議で問題になった、定時制高校に通うお子さん、また通信制で高等学校の課程を勉学されているお子さん、そして特別支援学校に通っているお子さんたちを持つ親御さんたちが特定扶養控除の縮減によってどういう影響を受けるか、文科省の方でつくっていただきました。一昨日の宮本委員の質疑の中でも数字が出てきましたけれども、これを見ると、明らかに、通信制と特別支援学校のお子さんを持つ御家庭はマイナスになっちゃうんですね。

 これをわかった上で、文部科学省の方から政府税制調査会で特定扶養控除の縮減を提案したのか。もしわかっていてやったとしたら、これはかなりひどい話だと思うんですけれども、こういう部分が委員会の審議を続けている中で出てきたのはよかったと思うんですね。

 一昨日の審議でも、私は中川副大臣に、政府税調の中でこういうふうな経過でなったというところで、一昨日の私の質問に対しては、一万六千人、高校に通っていないお子さんたちの部分は中川副大臣が政府税調の中で取り上げていた。ここの部分を何とかしなきゃいけないということで、税制改正大綱の中にも検討するんだということを書いてもらったという話は出ましたけれども、残念ながら、定時制、通信制、特別支援学校に通うお子さんたちにもこれだけ負担になってくるというところは政府税調の中でも話が出ていません。

 中川副大臣が担当でずっと政府税調に出られていて、十六歳から十八歳は実質高校無償化のこの法案の中で十一万八千八百円が支給されるんだからその見合いとして縮減部分をというような話になったと思うんですが、ここの部分を意識されて縮減案を文科省の方から出したんですか、そこはどうなんですか、中川副大臣。

中川副大臣 お答えをしたいと思います。

 定時制あるいは通信制あるいは特別支援学校高等部においては、確かに、御指摘のように、負担が大きくなるということがあり得るということは今認識をしております。

 それだけに、我々が税調で提案をしたという経緯ではなくて、もともと税調の中で、前にも申し上げたとおり、入り口の部分で、扶養控除も含めてなんですが、扶養控除、特定扶養控除については見直していくという議論があったものですから、それに対して、これは出口の部分で、それをもしやっていかなければならないとすれば、さまざまに考えなければならないことがある。

 その中で、さっき先生からも御指摘があったように、一万六千人、高等学校に通っていない子供たちの部分について、これが一つ。それから、ほかにもいろいろ影響が出るだろうから、これは我々の高校無償化とあわせて制度を設計していく必要があるだろう、こういう指摘をさせていただいたということであります。これは税調の中の議論です。

 それを踏まえて、税調としては、「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。」ということで、大綱にこの文言を盛り込んで、そして閣議決定をしたということでありますから、これから具体的にこの中身については制度設計をしていくということになります。

 この実態等を踏まえながら、特定扶養控除縮減によって実際に家計に影響が生じる平成二十三年末に向けて、例えば給付型を含む奨学金事業の充実、これなども念頭に入れて、文部科学省の範囲としてはでき得る限りのことをしていきたい。それ以外にも、これは税調全体の中で、ここのところは制度として設計をしていくという議論、こういうことになっていくというふうに認識をしております。

富田委員 今、給付型の奨学金の話が出ましたけれども、それはちょっと後でまた質問しますが、政府税調の議事録だと、今中川副大臣が言ったような終わり方をしていないんですよ。中川副大臣の方から、現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討していただくというのはありがたいという発言を受けて、これは昨年の十二月二十二日の二十四回の税制調査会の議事録ですが、どういう対応ができるんだろうというような中川副大臣の提案に対して、財務省の古谷主税局長が「今、いただいた御提案でございますので、この特定扶養控除が廃止になりますのは平成二十三年度からでございます。御指摘も踏まえて、また私ども、副大臣や政務官とよく相談をさせていただきたいと思っております。」主税局長としてはこう答弁するしかないんですが、それを受けて、総務省の渡辺総務副大臣が「それは、特別支援学校のようなところだと言っているわけですか。」と口を挟んでくるわけです。渡辺さんは、これは特別支援学校の子供たちが影響を受けるというのをわかっていたんだと思うんですよ、こういうふうに発言したというのは。ところが中川さんは「その辺はいいんです。」と断っちゃっているんです。それに対してまた渡辺副大臣は「いわゆる増税になるような、負担増になるんですか。」と聞いているのに、中川副大臣は何を言ったか。「学校に行っていない層があるんです。」これは一万六千人のことを言っているんだと思うんです。

 だから、特に、特別支援学校に通うお子さんたちに特定扶養控除の縮減によって負担増だけがかぶってきているのに、私は、文部科学省として、ここのところがずぼっと抜け落ちていたんではないかなと思う、この議事録の経過を見る限り。

 文部科学省として今後対応を検討するといっても、何ができるんですか。特別支援学校、国立で千三百六人、公立に五万一千二百九十七人、五万人を超える、いろいろな障害を持ったり大変なお子さんたち、親御さんも大変な思いの中で学校に通わせているわけですよね。その人たちをこの縮減によって負担増が直撃するような、こういうことを文部科学省の方から提案したというのは大問題だと私は思うんだけれども、どういう支援をするんですか、具体的に。

中川副大臣 何回も申し上げますが、私たちの方から提案をしたということではなくて、もともとこうした議論というのが税調の中にあったので、私たちとしては、それは最小限に調整をすべきだということで、全部を廃止ということじゃなくて、二十五万円の減額で、普通の扶養控除と同じレベルで、とにかく維持をするようにという議論をしたということ、これが一つです。

 それからもう一つの、先ほどの議事録の中の議論ですが、当然、支援学校を含めて、あるいは定時制その他、具体的に負担増となっていくところについては、我々は制度としてそこのところは精いっぱいの工夫をしていかなければならないという認識は当然のことであります。もういいというのは、当然そういうことをやっていかなければならないということは認識をしているということであります。

 そこのところを文科省だけの制度の設計の中でできれば、そういう工夫は当然していくということでありますが、それだけでは完結をしないというケースも出てきます。そのときには、税調の中で、今の私の思いとしては、そういう部分について改めて控除の組み立てというのを考え直して工夫していく、いわゆる実質的に増とならない設計をしていくというような議論をぜひこれからしていきたいというふうに思っています。

 税調の具体的な制度設計というのはこれからの議論でありますので、そうした思いで過去も議論をしてきたということであります。

富田委員 野田副大臣にお見えになっていただいていますので、今、中川さんが税調で何とかまた負担増にならないような仕組みを考えたいとおっしゃったんだけれども、実際に今度二十三年度の税制改正に向けて議論をしていくようになるんだと思うんですが、やはり税の世界というのは一律だから、こういう大変な方たちが出てきたときにそこだけを特別に見るというのは、少なくとも、私も財務副大臣をやらせていただいたので、無理だと思うんですけれども、野田さん、そこはどうなんですか。

 税制改正の中で、こういう負担増になるところをもう一回救い直すというのは可能なんですか。

野田副大臣 富田委員にお答えをさせていただきたいと思います。

 高校の実質無償化による便益、それとこの特定扶養控除の縮減による負担で、負担の方が多いというような家計については、先ほど委員が御指摘のように、去年閣議決定した税制改正大綱において適切な対応を検討するということになっています。

 この時期は、先ほど中川副大臣もお話しされましたけれども、この負担、影響が出てくるのは平成二十三年の末、年末調整のころでございますので、そのころまでに関係省庁と協議をして、その適切な対応の中身を決めていきたいと思います。必ずしも、それが、だから税であるのかそうでないのか含めて検討をさせていただきたいというふうに思います。

富田委員 二十三年度末だからいいということには私はならないんだと思うんです。

 特別支援学校に通わせている親御さんたちは、自分たちが負担増になると多分知らない。二十三年度末から具体的な影響が出てくるというけれども、この法案の審議をされていて、実質、特別支援学校は、ここの表にもありますように、国立の場合、四千八百円の御負担です。公立もこれに近いか、あるいはもうほとんど無償に近い形で各地域で授業料を決めているので、もともと負担がないわけですね。だから、高校無償化法案といっても余り自分たちには関係ないと思っていたのに、その見合いで特定扶養控除の縮減の分が二十三年にかぶってくるなんて今だれも知りませんよ。おとといの委員会で出てきたので明らかになって、今後検討していくというふうになるんだけれども。

 税の世界だけで難しいというのは、もう野田さんがおっしゃるとおりだと思うんですね。

 そうなると、やはり文部科学省として、定時制や通信制で一生懸命頑張っているお子さんたち、またいろいろなハンディのある中で特別支援学校に通っている子供たちに、普通の高校に通うお子さんと同じような実質的な支援を考えていく必要があると思うんですね。この法律ではそのままはできないけれども、何か具体的な工夫をして、こういう負担増になりますけれども、それに見合う分きちんと政府としては手当てしますよという具体的な提言がないと、なかなか御納得いただけないと思うんですが、川端大臣、それはどうですか。

川端国務大臣 先ほど来、大変大事な御指摘をいただいております。

 先ほど中川副大臣から申し上げましたように、間違いなくこの制度の部分で結果として負担がふえるという、しかもそれがむしろ苦労しながら頑張っているところに直撃をされる。時間的猶予は二十三年末まで許されているとはいえ、大変大きな課題であることはしっかり認識をしております。

 そして、税制改正大綱で「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。」というのは閣議決定でございますので、税の世界だけということではなくて、内閣の意思として、このことが問題であって、適切に対処しなければならないという意思を表示したものだと思いますし、税だけでの限界があることは御指摘のとおりだと私たちは思っております。

 したがいまして、教育費負担の実態等を踏まえつつ、実際に家計に影響を生じる平成二十三年の末に向けて、文部科学省が主体的に取り組める方策は、給付型奨学金が一番大きな効果をもたらすものであると認識をいたしております。そういう意味で、これのとり得る対応について、現状、御指摘のことをしっかり受けとめて対応することもあわせて、この二十三年に向けて進めてまいりたいと思っております。

 また、加えて、中退者に関しても同じようなことが言えます。

 これは、また別の意味の教育的な観点からの支援、いわゆる中退しないようにということも含めて、いろいろな施策もまた力を入れてやってまいりたいと思っておりますので、またいろいろなことでの御示唆、御提言をいただければありがたいと思っております。

富田委員 今大臣の方から、文科省が主体的に取り組むと言っていただいたので、本当に、やはり司令塔は川端大臣だと思うんですね。特に学校の問題ですから、政府税調といっても、だれが責任を持つんだという話になってしまって。川端大臣が具体的な問題として認識していただいて、具体的な対応をとるということを今から準備していただく必要があると思うんですね。

 今、中退者のお話もありました。文科省の学校基本調査速報とか生徒指導上の諸問題の現状に関する調査等で数字をいただいたんですが、高校に進学もまた就職もしないお子さん、一学年で一万六千四十四人いる、先ほどの一万六千ですね。中退者も六万六千二百二十六人、二十年度。定時制に通うお子さんが十万七千六百十三人。通信制に通うお子さんが八万八千百三十二人。特別支援学校は、先ほど数字を挙げましたように、国立が千三百六人で、公立が五万一千二百九十七人。

 これだけの子供さんたちに影響が出るわけですから、やはり、それぞれに応じた、定時制、通信制というのはまたいろいろ事情があると思うので、そのお子さんたちに対応した具体的な支援策を考える必要があると思うんですね。特に、特別支援学校にお子さんを通わせているお母さんというのは、やはり学校までの通学手段も大変だし、介添えの人が必要になったり、普通の子供さんが高校に通うのと違う御家庭がたくさんあると思うんですね。

 そういったところを何か具体的に支援できないか、そういうところもぜひ文科省の方で考えていただきたいし、一昨日も話題にしましたけれども、二十一年度の一次補正であれだけ、四百八十六億、基金を積んだわけですから、そういう基金の使い道としても、私はこういう本当に困難な中で頑張っている子供たちに特別の支援をしてもだれも文句は言わないと思うんです。制度を文科省でつくればみんな賛成すると思いますので、ぜひここは具体的に考えていただきたいなというふうに大臣に御要望して、大臣、もし御意見ありましたら。

    〔委員長退席、奥村委員長代理着席〕

川端国務大臣 要するに、学校にも行かない、就職もしないという、いろいろな問題が周りにある子供たちもたくさんいるし、中退、これもいろいろな環境、背景があります。そういう問題もあります。あるいは特別支援学校、まさに御指摘のとおりであります。

 そういういろいろな部分で学ぶ場を頑張って確保しようという人たちに、個別に、前向きに進めるように、今までもいろいろな施策がありますけれども、先ほど申し上げました給付型奨学金も含めて、いろいろな形で丁寧にきめ細かく、真っ正面から一生懸命取り組んでまいりたいと思いますので、またこれからも御指導をお願い申し上げたいと思います。

富田委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 先ほど来、給付型の奨学金がやはりこういうところで役に立つだろうというお話でしたので、それについて次に質問したいんです。

 この法案の本会議質疑で、民主党の江端議員が民主党を代表して質問に立たれて、こんなふうに述べられていました。

 この法案を早く成立させるべきだとおっしゃった後に、「それに加えて、入学金、修学旅行費用、学用品の購入など、授業料以外の教育費負担をも軽減するために、私は、奨学金制度についてもさらなる拡充が必要ではないかと思います。特に、現在各都道府県において実施されている奨学金制度については、貸与型が中心ですが、子供たちが安心して勉学に打ち込めるようにするために、私は、給付型の奨学金制度も確立すべきではないかと考えます。この点、文部科学大臣の御所見を伺います。」という御質問に対して、大臣は、「高校奨学金についてお尋ねがありました。 経済的理由により修学困難な者の授業料以外の教育費負担については、高校の実質無償化後においても、引き続き各都道府県が行う高校奨学金事業により軽減が図られるものと認識しております。 また、先ほど述べた高校生修学支援基金により、高校奨学金の希望者数の増に対応したところでございます。」と述べた後、「御指摘の給付型奨学金についても、大変重要な課題と認識しており、今後ともさらに検討してまいります。」というふうに御答弁されていました。

 私は、この代表質問と答弁を聞いていて、議場でかなりやじりました、失礼だとは思いましたけれども。

 それは、資料の二と三に文科省の資料をつけさせていただきましたけれども、資料の二「高校奨学金事業等の充実・改善」ということで、去年の八月、平成二十二年度概算要求、麻生内閣での概算要求ですが、ここで、給付型の奨学金が大事だということで四百五十五億の概算要求をしていました。資料の三を見ていただきますと、これは鳩山内閣での概算要求ですが、一たん白紙に戻された後、それでも同じ形の奨学金ということで、百二十三億概算要求されました。でも、これは結果的に平成二十二年度予算に反映されませんでした。

 民主党は政策集で、給付型の奨学金についても外国の例を参考にしながら検討したいというふうにずっと言われてきていて、私はこれは絶対入れてくれるんだろうなと思っていたんですが、残念ながら、概算要求にのっかってきているのに予算に計上されませんでした。

 今、中川副大臣も川端大臣も、給付型奨学金が大事だ、この高校の無償化の中で穴があく部分をこれでやるんだと言っているのに、では何で平成二十二年度の予算にこれが入っていないんだ。

 野田副大臣、なぜ入らなかったんですか。

野田副大臣 富田委員にお答えをさせていただきたいというふうに思います。

 今回の予算編成で、限られた財源の中で、どうしてもやはり優先順位をつけて予算措置をせざるを得ませんでした。その中で、高等学校の授業料無償化はマニフェストの主要事項でございましたので、この実現のためには私どもも全力で協力をさせていただきました。

 給付型の奨学金については、委員御指摘のとおり、インデックスの中では検討課題というふうになっています。確かに、これまで、高校生の支援については、奨学金についてもあるいは授業料減免の補助についても都道府県がやってきております。では国の関与はこれからどうあるべきかという議論もあるでしょうし、加えて、今回、まさに高校の授業料無償化によって家計の負担を大きく減らすという予算措置もするということ等々、総合的に勘案をして、優先順位からすると主要事項を優先とせざるを得なかったということでございます。

 ただし、全体的に言えば、コンクリートから人へという投資の中で、社会保障費に次いで文教及び科学振興費は五%以上の予算の伸びをしておりますので、これは必ずしも文教をおろそかにしようという意図は全くない、御指摘の課題をしっかりとこれからも議論していきたいと思っております。

富田委員 マニフェストを優先されるのはいいんですが、やはり、高校の実質無償化といった場合に、ここの部分が抜け落ちると、低所得者層に対しての支援がずぼっと抜けちゃう。この予算組みを見ると、ここの部分にやはり今の民主党連立政権は思い至らなかったんじゃないかなと。本当に困っている人たちに具体的にどう支援するんだという観点があれば、ここの概算要求を削ることはなかったと思うんですね。今、大臣も副大臣もこれが必要だと言っているんだから、なぜここのところに入れられなかったのか。

 資料一で、おとといも配らせていただきました私立高校無償化の施策パッケージ、これも、都道府県による貸与型奨学金というのが真ん中をどんと貫いているんですよ。でも、二百五十万以下の収入、三百五十万以下の収入の世帯の方に貸与型の奨学金を借りろと言ったって、将来、高校生は返せる見込みないですよ。ここの世帯には、やはり給付型の奨学金をどんと導入すべき。本来、このパッケージの絵は、貸与型じゃなくて、ここが給付型の奨学金になるべきだった。それが民主党らしさだったんじゃないのかなと私は思っていたんですが、残念ながら、ここはもうずぼっと抜け落ちた。(発言する者あり)今、やじが、ばらまきだけになったと、そのとおりだと思うんですね。

 一番大変なところにどういうパッケージを考えていくかというのが大事だと思うのに、貸与型をそのまま平然とのせる、このパッケージしか用意できなかった点は、私は相当反省していただかなきゃいけないなと思うし、では、今後、財政が大変な中で、給付型の奨学金をどういうふうに導入に向けて文科省として取り組んでいかれるつもりなのか、そのあたり、大臣からお聞きしたいと思うんですが。

川端国務大臣 今御指摘の件に関しましては、いわゆる経済的な理由により大変な子供さんにということにおいては、制度的には都道府県で貸与型の奨学金制度がありまして、貸与人員が十五万九千人、貸与額が四百六十四億円、これは地方で実施していただいているわけです。

 文部科学省としては、今のお問いは、貸与型から給付型に変えて、いかに充実していくかということでありますが、これは経過は先ほど御指摘のとおりでありまして、今の富田委員の御意見は真摯に受けとめたいと思っておりますし、どう取り組んでいくのかというのは、まさにその必要性をしっかり踏まえて、来年度に向けて全力で真っ正面から取り組んでいく覚悟を持って進めていきたいということでございます。

 加えまして、いわゆる修学支援基金も弾力的な運用をできるだけ図ってほしいという御要望と同時に、入学金にも活用できないかということであります。これは、財政当局とも今詰めを行っておりまして、最終段階に来ているというふうに思っておりますので、何らかの前進ができるように、これからもやってまいりたいと思います。

 それから、貸与型奨学金の事業は、都道府県でもっと充実できるように、これは応援ベースでありますが、これもしっかりと支援をしてまいりたいというふうに思っております。

富田委員 前向きな御答弁をいただいてありがたいと思うんですが、高校生の奨学金というのは、最初は国がやっていたんですよね。それで都道府県事業に移っていった。本来、国が面倒を見るべきものなんですよ。そこをもう一度思い直していただきたい。

 大臣、この資料の二と三を見比べていただきたいんですけれども、積算対象費目というところがありますよね、資料の二と三で。資料の三、鳩山政権での概算要求では、対象が入学料と教科書費だけになっていたんです。ところが、麻生政権では、入学料に、私立の施設整備費、教科書費、学用品費、制服費、通学用品費、修学旅行費、ここまで対象に含めるべきだと。きめ細かかったんですね。こういうことを、政権がかわったら全部ひっくり返したんじゃなくて、こういう部分は、やはりいい部分は引き継いでいただいて、これを含めて、今後、次に向けて検討していっていただきたいということをぜひ御要望しておきますので、よろしくお願いいたします。

 また時間がなくなってきましたので、もう一点。

 先ほどの朝鮮学校を含めるかどうか等も含めて、やはりこの法案はちょっと急ぎ過ぎたなという感はあるんですね。もう少しスケジュールをきちんと詰めて、いろいろなことを決めた上で、この法案を成立に向けて努力すべきだったんじゃないかなと先ほどの質疑を聞いていても思いました。やはり中央教育審議会できちんと議題にのせて、有識者の意見を聞いて、いろいろな問題点があるんだというのをその場で検討してもらったらよかったんじゃないかなと私は思うんですね。ただ、もうそれは今となってはせんないことなんですが。

 実は参考人質疑で、小川参考人、東大の元教授で、今は放送大学の教授をされていますが、小川さんに私の方でこういう質問をしました。

 「これだけの制度改正なので、私は中央教育審議会できちんと審議すべきだったと思うんですが、政府は、制度の内容じゃないのでこういうのは審議会の審議になじまないんだとすぐ答弁するんですけれども、かなりの大転換だと思うんですね。教育の無償化という点に関しての大転換だと思うので、中央教育審議会への諮問が必要だったんじゃないかと思うんですが、」その点どうでしょうかと小川さんに聞きましたら、

 民主党の政権がどういうふうな形で中教審を活用しようとしているのかというのは、私自身もよくわかりません。私も今、中教審の正委員をやっていますけれども、中教審の分科会、総会、なかなか開いてもらえないということがあります。

  ただ、伝え聞くところによると、財政とか教育条件等々については中教審でかんかんがくがく議論するような筋ではなくて、これは政治主導で、トップダウンでやるのが正当で、教育の中身とかそういうことについてはやはり中教審でじっくりやってもらう、そういう使い分けが民主党の政権の中ではどうもあるように聞いております。

 ただ、今回の無償制というのは、先ほど私もお話ししましたように、高等学校の教育内容とか教育制度のあり方にも密接にかかわることですので、法案の成立後でも、これは重要なテーマですので、ぜひ、実質義務化に近づきつつある高校教育制度、高校教育内容のあり方については、じっくり中教審等々で審議していくのがやはり望ましいのではないかと考えております。

こういうふうに御意見をいただきました。

 この小川参考人の意見、大臣はどう思われますか。

    〔奥村委員長代理退席、委員長着席〕

川端国務大臣 いろいろな教育課題について、これまでも、中教審で御審議をいただくものや、そうでないことで御審議いただいたりすること、いろいろあったというふうに承知をしております。そういう部分で、教育内容にかかわるものは必ず行ってこられた、そして、教職員定数の改善など、教育状況の整備に係るものについては必ずしも諮問を行わずにやってこられたというのが文部科学省の今までの経緯だというふうに思います。

 しかしながら、無償化については、その重要性を踏まえて、これまでも、地方教育行政の責任者、私立学校関係者を初めとする関係団体との意見交換会、それから中教審委員を含む有識者との懇談会の場を開いて意見聴取に努めてきました。文部科学省主催の学校関係者への説明会、意見交換会が七回、公立学校等々のそういう関係団体主催会議の説明とか意見交換会が十一回、私立学校団体主催の説明、意見交換会が四回等々。と同時に、本年一月二十一日の中教審総会においても意見を伺ってきたところでございます。

 なお、本制度導入後、御指摘のように、運用状況やその効果を検証し、課題等が明らかになった場合には、中教審等においても改善方法、施策についても御意見を伺うこともあり得ることだと思っております。

富田委員 いろいろな努力をされたのは伺っております。小川委員も、懇談会に呼ばれて、そこで高校無償化について発言されたという議事録もいただきました。

 中央教育審議会、一月二十一日の総会に御報告されたということですが、総会の議事録を見ますと、この高校無償化法案について触れられたのはお二人の委員だけでした。中身も、曽我委員から、やはり授業料以外にいろいろかかる部分をどうにかしなきゃいけないんじゃないかというふうに、これは鈴木副大臣は出られていたから覚えていらっしゃると思うんですけれども、そういう提案だけだった。今回のこのパッケージがどういう影響を与えるとか、そういう話は、残念ながらこの議事録を見る限り、委員の皆さん、そういう提案も受けていないから、別の件とも絡んでの総会の議事だったので出てこなかったと思うんですが、やはりちょっと、今後もあれば検討するというふうに大臣の方で言っていただきましたけれども、これは教育内容に本当にかかわると思うんですね。

 小川参考人が本当に大事な点を二点指摘してくれたんです。ちょっと御紹介したいと思うんですが、「今回の高校授業料の実質無償化に向けた取り組みをさらに高校教育のあり方を深めていく論議に結びつけていくことも、今後の大きな課題であろうかと思います。」と言って、「これまでも、中学校と高校、高校と大学の接続のあり方、また高校から社会、就職への移行など、中教審などでも広く論議されてきたところですけれども、それらの課題を、高校教育の質を高めていく方策とともに、さらに検討を進めていくことがますます必要になっているのではないかと考えます。」と。

 この点が本当に大事だと思うんですね。法案の目的も多分ここに来るんだと思うんです。これはやはり中教審できちんとこれまでの議論も踏まえて議論する必要があると私は思います。

 もう一つ、小川参考人は大事な点を指摘してくれました。「今回の授業料実質無償化の措置は、私学との関係、また、これまでの私学助成との整合性を問うものにもなっているかと思います。」というふうに言われて、公私間格差とかいろいろ問題になる、「今後、公私間格差の是正をどう考えていくのかということは、これからの私学助成のあり方も含めて検討を要する課題ではないかと思います。」こういうふうに御指摘をしていただきました。

 そして、「私学助成のあり方ですけれども、今回の授業料無償化というものは、従来の私学助成の基本であった機関補助重視の方法と明らかに異なるものです。従来の私学助成の方法と、今回の個人に対する授業料負担低減の措置という間の整合性をどう考えるのか、また、これからの私学助成をどういうふうな方向に進めていこうとするのか、今回の私学への就学支援金の支援方法というものは、そうした問題も新たに検討を要することかと考えます。」というふうに、この二点は本当に大事な指摘だと思うんですね。

 これもやはり中教審できちんと議論していただく必要があると思いますし、文部科学省としても、この二つの指摘はきちんと受けとめて、この法案が仮に成立して四月一日から動き出したときに、きちんと検証していく必要があると思うんですね。第一条の目的がきちんと効果を達成しているのかどうか、この小川先生の二つの指摘を含めて、今後、高校教育のあり方について文科省としてどういうふうに取り組まれるか、ちょっと大臣のお考え方をお聞かせください。

川端国務大臣 極めて本質的で大事な御指摘をいただいたというふうに思います。まさにこの委員会でも、そういう御議論もずっとあったというふうに思います。

 高校教育をどうやっていくかということの中での位置づけとしての無償化制度との関連を含めて、これからの高校教育をどうしていくかということは極めて重大な課題でございます。同時に、私学助成のあり方も、私たちが今までやってきた私学助成に加えて、こういう制度を踏まえたときに、将来どう考えていくかという御指摘だというふうに思います。両方とも大変大きな課題であることは私も認識をいたしております。

 そういう中で、本制度を導入させていただくならば、その運用状況、その効果を検証することは当然大変大事でありまして、それをさらに発展してどう施策をしていくかというときに、幅広い意見をいろいろ伺う中に、中教審も大きな役割を果たしていただくことは間違いないと思っておりますので、また御示唆も受けとめて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

富田委員 もう時間があと二分しかありませんので、最後に、自民党の委員の先生方がこの委員会でも随分取り上げてきましたけれども、北海道教職員組合の問題というのは、文科省としてもかなり深刻な問題だというふうに受けとめていただく必要があると思います。

 鳩山総理の政治と金の問題、民主党小沢幹事長の政治と金の問題、そして石川さんという議員、辞職勧告決議案が出ていますけれども、まだたなざらしになっています。そこに加えて、この問題が、こういう大事な法案を審議しているときに出てくる。

 個人の問題にとどまらないと思うんですね。民主党の大きな支援団体ぐるみの事件になってしまっている。やはり民主党政権としても、みずから自浄能力を示して、こういったことをきちんと検証する必要があるんじゃないか。個人の問題で済ませるんじゃなくて、ここを個人の問題で済ませたら、政権交代に期待をかけた国民を裏切ることになると私は思います。

 ぜひ大臣の方で、この委員会でも、きちんと教育委員会を通して今調査中だということですので、きちんとその調査の結果をこの委員会に上げて、委員会としてもこの問題に真摯に取り組んでいくんだということを議論を進めていく必要があると私は思いますので、その点も委員長に、今後の委員会運営の中でぜひ取り上げていただいて、きちんと、衆議院の文科委員会としてはこういう方向で行くんだということを、御議論の場を設けていただきたいことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 きょうは、私どもも総理の出席を求めてまいりましたけれども、総理にかわって松野官房副長官が御出席いただいて御答弁いただくということになっておりました。今、松野副長官は参議院の方で答弁があるということで席を外されておりますので、後からお見えになるということで、順序を入れかえて、その他の質問から始めていきたいと思っております。

 まず、私は一貫して、国際人権規約のA規約十三条二項の留保撤回の問題をお尋ねしてまいりました。

 去る二月十八日、衆議院の予算委員会で、私が岡田外務大臣にこのことについてお伺いしたところ、この国会中に予算が成立し、法案がきちんと成立をするということになれば、これは直ちに撤回について、それを求めることができるというふうに考えています、こう岡田外務大臣から御答弁をいただいております。また、川端大臣は、大学授業料の減免と奨学金事業など諸施策を拡充する中で、(c)項の留保が撤回されるように外務省の精査を待ちたい、こういう答弁もいただいております。

 今回のこの法律の成立とともに人権規約の留保撤回ができれば、教育の無償化に向けた国際的な仲間入りができるということになります。きょうは外務副大臣に来ていただいておりますので、この点について、この法案が成立すればこの留保を撤回するということになると思うんですけれども、しっかりとした御決意をお示しいただきたいと思います。

福山副大臣 宮本委員にお答えをさせていただきます。

 岡田外務大臣が先ごろ答弁をさせていただいたとおりの現状でございますが、今まさに審議をいただいている法律と、人権規約上の我が国が負う義務との関係について精査をし、検討をしているところでございます。

 しかしながら、一般的に申し上げれば、法案を通していただいて、そして予算が成立をした時点で外交上の要件は整ってくると私は判断をしておりますので、今後とも、そのことを前提としながら検討しているということを申し上げたいというふうに思います。

宮本委員 外交上の要件は整うという御答弁をいただきました。これで障害はなくなるわけでして、直ちに留保撤回に向けて手続に入ることを求めたいと思います。外務副大臣、結構でございます。

 さて、その留保撤回対象の国際人権規約第十三条二項(b)というものはどういう条文か。「種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。」という条文になっております。そして、十三条そのものの条文には、「締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。」こう明言をしております。

 無償教育はすべての者を対象にしなければならない、これは今回の法律適用に当たって、特定の国の外国人学校を排除するようなことは、この条文に照らしてもあってはならないと私は思うんですけれども、これは文部科学大臣の認識をお伺いいたします。

川端国務大臣 お答えいたします。

 今御指摘のように、まさに国際人権A規約、我々はこれを批准できるように、留保を撤回できるようにということで取り組んでまいりましたし、今回、この法案は、いわゆる高等学校等に通う生徒の学びは、その恩恵が社会全体に貢献しているということで、みんなで負担をしようという趣旨であり、そういう意味では、日本国内に居住する者を国籍を問わず応援するということでは、まさにこの趣旨に沿った精神にのっとっていると理解をいたしております。

 そういう中で、今議論になっているのは、いわゆる各種学校の中の外国人学校が適用になるのかどうか。これは、議論としては、この国だからとか、あるいは外交上の配慮とかいうことで判断するのではなくて、高等学校の課程に類するものであるかどうかということを唯一の判断基準にする、評価方法も考えるということでありますので、御指摘の部分で、今、この国際人権規約十三条の(b)は、さまざまな形態の中等教育が漸進的に無償化という、我々が今、ずっときょうも議論になっているのは、この学校が中等教育なのかどうかという判断をするのであって、そういう意味では、御指摘のような特定の国を外すつもりはございませんし、そういう選考でなくて、中等教育に該当するかということを判断するという意味では、この国際人権規約の中で特段問題があるとは認識をいたしておりません。

宮本委員 やっと留保撤回に踏み出そうというときに、この条文に万一反するようなことがあれば、それこそ、国連の経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会から、これはどういうことなんだと新たに是正の勧告を受けるという、本当に情けない恥ずかしい事態になります。ですから、そんなことはくれぐれもないようにすべきだと思うんですね。

 ところで、先ほどの議論で、先日私がこの委員会で大臣に対して、今、朝鮮高級学校の卒業生が大学受験資格も得て受験した結果、大学にも多く入学している、これは日本の高等学校と同等の水準の教育を行っているとみなす一つの有力な指標ではないか、こう指摘をいたしました。そのことについて、先ほども一つの参考として検討しているという御答弁もあったようですが、これはしっかり検討していただいているということでよろしいでしょうか。

川端国務大臣 先ほどの下村委員との議論の中でも触れさせていただきましたけれども、大学入学資格というのは、非常に一般的な概念で申し上げますと、高校を卒業したということでありますから、その高校を卒業したということの卒業レベルを評価するという一つの物差しが既に日本の国内にはあるということであるので、卒業レベル、学力を評価するという物差しであって、在学しているというその学校の中身を高校同程度というものとは違う概念でありますけれども、参考にはさせていただきたいと思っております。

宮本委員 そこで、後で松野副長官にもたださなければならぬと思っているんですけれども、きょうの朝日新聞の一面に、先ほど議論になったように、「朝鮮学校無償化除外へ」という見出しが躍ったわけですね。きょう、私どもはこの法案には基本的には賛成をする立場でありますけれども、こういうことがあらかじめ決まっているかのような報道であると、これは非常に国民の間に不安も懸念も広がると思っております。これは事実に反すると思うんですけれども、まず文科大臣にお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 報道されたことは、それぞれいろいろな報道が、先ほども御紹介がありましたように、除外へというのと入れるという、いろいろな報道がされていますが、報道のそれぞれ個々にコメントする立場にはございません。

 先ほど来の議論のように、まさにしっかりとした基準と評価方法ができるように検討してまいりたいというふうに思っております。

宮本委員 後でまた松野副長官にお伺いしたいと思います。

 次に、この財源確保のための、特定扶養控除の十八歳以下、上乗せ部分の廃止によってさまざまな影響が出るという問題です。

 先ほども公明党の富田委員の方から、るる御指摘がありました。先日私が示した、高等学校に通っていない、働いていない人、それから通信制や定時制、特別支援学校の高等部の方々、あるいはその他の私学の方々もということを指摘をしましたけれども、控え目に見積もっても五十万人を下らない数に上ると私は思います。大変な数ですね。

 それで、富田先生の配付いただいたこの資料でありますけれども、この資料によると、公立高校の定時制はプラス七千九百円と、八千円程度プラスになるという結果が出ておりますけれども、実は、文部科学省の便益の比較で、二万四千五百円、特定扶養控除の切り下げでマイナスが出るとなっている、この計算に私は若干の間違いがあると、いろいろ調べてみてわかったんです。それは、住民税所得割の部分の調整控除の配慮、考慮がされておりませんのでこういう額になっておりまして、私どもがそこをちゃんと考慮して計算したところ、やはり三万一千円、こういう額になっておりまして、公立高校の定時制も、マイナスとは言いませんけれども、ほぼとんとんということになるんですね。だから、影響が出る人数でいいますと、この富田先生の試算よりもさらに広がるというのが私どもの認識であります。

 まず、文部科学大臣にお伺いしますけれども、どれだけの影響が出ると見ているのか、責任を持ってきちんと全体を把握いたしますか。

川端国務大臣 お答えいたします。

 授業料が、いわゆる十一万八千円という想定より相当低い学校種に通う子供、あるいは高校に全く通っていない子供を持つ家庭において、所得もないというふうな家庭においては、先般来議論にありますように、無償化に伴う便益よりも特定扶養控除の圧縮による負担の方が大きくなることはあり得るというのは、当然認識をいたしております。

 高等学校に進学していない者は毎年約一万六千人ぐらいいるのではないか、定時制、通信高校に通う生徒が約二十万人、特別支援学校高等部に通う生徒が約五万人、今まで授業料全額免除を受けていた生徒が約二十万人、この人たちは、多分トータルの便益ではマイナスになるというのが考えられます。そして、相当な数であることも認識をいたしております。

 ただ、これらの子供を持つ家庭の具体的な収入の状況について文部科学省として今把握しているわけではなく、また、非課税世帯、勤労生徒のような扶養親族になっていない者、中退後に復学して就学支援金の支給を受ける者等の家庭について、必ずしも負担がふえる者ばかりでもないということもありますので、実際に特定扶養控除の見直しの影響を受ける者の数を正確に把握することはなかなか難しい。ただ、概数の数字は、先ほど申し上げたようなことが大ぐくりにはつかめるというふうに思っております。

宮本委員 相当数に上る、そして少なくないということはお認めになっておられるわけですね。ですから、これも文部科学省にお伺いしても、この間でいうと「適切な対応を検討します。」という税制改革大綱の言葉しか出てこないので、後で松野副長官にもお伺いしたいと思っておりますけれども、直ちに対策をとられなければならないと思っています。

 それで、公立高校の授業料不徴収の一方、私学の就学支援金を一定額にとどめたために、公私間格差、とりわけ格差感の広がりについて、これも文科大臣はお認めになりました。きょうはもう繰り返しませんけれども、支援金の拡大、私学助成の充実など、具体的な対応を求めておきたいと思います。

 さて、高校が無償化に一歩を踏み出す以上、首相が施政方針演説で述べたとおり、今度は大学の段階的無償化に向かわなくてはならないと思うんです。

 我が国の学費は、国立大学で八十一万七千八百円、私立大学で平均百三十万九千六十一円。アルバイトに追われ、学業に専念できないという深刻な状況に置かれております。いわば日本の知の危機だと言わざるを得ません。

 まず、文部科学大臣に、この大学の学費をどのように引き下げていくのか、ここについてもひとつ御決意をお伺いしたいと思います。

川端国務大臣 あらゆる階層における学びの場をしっかり確保していく方向の国でありたいということは、鳩山内閣の基本的な考えでございます。そういう中で、学生の教育費負担軽減策としては、奨学金事業の充実とともに、実質的給付型支援の充実が必要と考えております。

 二十二年度の予算案では、大学が実施する授業料減免の拡大への支援と大学院生に対するTA、RA雇用等に必要な経費を盛り込んでおりまして、こういう施策で実質的に支援をするということと同時に、いわゆる給付型奨学金も大きな検討のテーマでございますが、高等教育の段階での給付型奨学金制度というのはやはりいろいろな議論があります。負担の公平感の問題、あるいは、大学まで行くということでいうと、みずからへの投資はみずからが貸与型奨学金を受けて将来返していくべきものではないかというふうな、多様な問題と財源の確保等もありますので、諸外国の例を見ながら、慎重に検討していく課題だというふうに思っております。

 授業料減免措置では、国立大学では、対前年度十四億円増の百九十六億円で、免除人数を五万人から約五万五千人に拡充、私立大学は、対前年度二十億円増の四十億円を計上して、約二万八千人を約三万人に拡充、国公私立合わせて奨学金としては八万五千人に拡大しました。公立高校は地方財政措置を通じて支援をいたしました。

 大学奨学金は、対前年度五百八十億円増の一兆五十億円の事業経費を計上、貸与人員で三万五千人増の百十八万人に拡充することとしておりまして、いろいろな施策で支援を続けてまいりたいと思っております。

宮本委員 今お話しになった給付制の奨学金、大学についてもきちっと進めていく必要があると思うんですね。

 先ほど、借りて返すべきだという議論もあると言いましたけれども、現状はやはり本当に教育ローンですよ。大学を卒業したら、大学院まで出たら、それこそ五百万とか一千万という借金を背負うということになっております。そんなものを社会に出るときに背負わせている国はないんですね。

 諸外国の例とおっしゃいました。OECD三十カ国の中で給付制奨学金がないのはアイスランドと日本だけ。アイスランドは既に大学の授業料を取っておりませんので、授業料を取り、その上給付制の奨学金もないというのは日本だけだということになります。諸外国の例を見るならば、一刻も早く給付制奨学金を創設すべきだということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、余りにも日本の私立大学の学費が高過ぎる。日本の八割近い学生を抱え、百三十万円を超えるという事態は放置できないはずです。

 私学助成も、できるだけ速やかに二分の一とするように努めることとした附帯決議が繰り返し上がりながら、一九八〇年の経常経費の二九・五%をピークに減り続けて、二〇〇八年には一〇・九%にまで落ち込んでおります。私学助成を抜本的にふやして学費軽減の方向に持っていけるようにすべきだと考えますけれども、文科大臣の御見解をお伺いいたします。

川端国務大臣 我が国の大学生の約八割が私学に通っております。そういう意味では、高等教育における私学の役割は大変大きな役割を果たしていただいているというふうに思っています。

 私学助成は、御指摘のように、学校の教育条件の維持向上や学生の修学上の経済的負担の軽減にもつながる、あるいは私学経営の健全性の向上のためにも重要なものであり、引き続き充実していくべきものであるというのが基本認識でございます。

 そういう中で、平成二十二年度予算案では、私立大学等への経常費補助については、授業料減免補助のほか、地方中小規模大学への支援を充実するという観点を含めまして、四年ぶりにこの額は増額させていただきました。三千二百二十二億円、対前年度四億円増、計上させていただきました。

 高等教育における私学の果たす重要な役割にかんがみ、今後とも私学助成の充実に取り組んでまいりたいと思います。

宮本委員 こうした学費減免枠を拡大したりあるいは給付制奨学金を創設する、これが大きな課題になっておりますし、大学の運営費交付金や私学助成の充実、これを進めるためには予算が必要なんですね。先ほども、結局最後は予算の問題ということになってきます、給付制奨学金をなぜ削ったのかと旧政権の側からも問われて、そのことも議論になっておりました。

 私は、本当に今この予算をどうするのかというのは大問題だと思うんですけれども、まず、我が国の教育予算がいかに低いのかというところをはっきりさせなければならないと思うんですね。

 まずお伺いしますけれども、我が国の教育に対する公的支出、国内総生産、GDPに対する学校教育費で、全教育段階の公財政支出は何%か、また、高等教育における公財政支出は何%か、このパーセントをお答えいただけますか。

川端国務大臣 我が国の全教育段階における公財政支出は、対GDP比で三・三%、ちなみに私費負担が一・七%、合計で五%でございます。

 そして、高等教育段階では、我が国は、公財政支出が対GDP比〇・五%、私費が一・〇%、合計一・五%でございます。

宮本委員 OECDの五%に対して、我が国は三・三%なんですね。高等教育では二分の一にも満たないという状況にあります。

 やはりここまで引き上げていくと、この委員会、衆議院の文部科学委員会でも、教育振興基本計画について審議した際に、「教育投資について、欧米の教育先進国の公財政支出の平均的水準を目指した数値目標を設定し、その充実を図ること。」という決議が上げられておるわけでありますから、これに向けて努力すべきだと思っています。

 ちなみに、五%に引き上げれば、八兆五千億円引き上げなければならない。民主党はさきの総選挙のマニフェストでも五%を目指すとおっしゃっているわけですから、その点ではしっかりと財源の確保に努めていただきたいと思うんですね。先日、二百六十億円をめぐって、わずか二百六十億円かどうかという議論がありましたけれども、私はその点でわずかと申し上げたつもりであります。

 松野副長官がお戻りになりましたので、松野副長官に最後に何問かお伺いして終わりたいと思うんです。

 まず、きょうの朝日新聞の一面、「朝鮮学校無償化除外へ」、こういう記事が載りました。先ほど文部科学大臣にも御答弁いただいたんですけれども、まるで除外が決まったかのような報道でありますけれども、こういう事実はございますか。

松野内閣官房副長官 先ほどからも御議論いただいているように、文部科学省の中におきまして、また文部科学大臣の責任において、要は高校程度であるということが確認できることという部分がまだ決まっておりませんので、どちらのどういう方向になるか決まっていないというふうに認識をしてございます。

宮本委員 先ほど実は外務副大臣から、この法案が通り、そして予算が通れば、直ちに国際人権規約の留保撤回に向けて外交上の要件は整っていくという御答弁をいただきました。政府としてもこの人権規約の留保撤回に向けて直ちに踏み出す、その御決意はございますか。

松野内閣官房副長官 高校無償化に関して、いわゆる国際人権規約のA規約、いわゆる社会権規約の第十三条二項の(b)に関しての御質問だというふうに思ってございます。

 これに関しましては、先ほど外務副大臣から御答弁されたというふうに今伺いましたけれども、まさに高校実質無償化の法案と我が国が同規定上負う義務との関係、これについて精査をしているというふうに承知をしてございます。外務省において、本件規定に関して留保の撤回につき検討しているものということを承知しているところでございます。

宮本委員 最後にお伺いしますけれども、今回の法律の財源確保のために、特定扶養控除の十八歳以下上乗せ部分が廃止されることによって、実は差し引きで負担増だというところが相当数出てくる。先ほど文部科学大臣からもそれをお認めになる御答弁がありました。

 これに対策が求められておりますが、残念ながら、文部科学省では「適切な対応を検討します。」という以上の言葉はなかなか出てこないわけでありまして、この点、政府として必ずこの対応を具体的に責任を持って行うということを、本来は総理にここで言っていただきたかったわけですけれども、総理にかわって、副長官、明言していただけますか。

松野内閣官房副長官 お答え申し上げます。

 特定扶養控除の廃止に伴いまして、若干数の、約二%程度の方が増税になるのではないかというふうな御議論があることは承知してございます。(発言する者あり)失礼いたしました。縮減に関しまして、そのように認識をしているところでございます。

 昨年の十二月に閣議決定された税制大綱におきまして、「現行よりも負担増となる家計については適切な対応を検討します。」ということになってございます。政府としては、この税制大綱を踏まえまして、実際に家計に影響が生じる平成二十三年度末に向けて必要な対策が行われるように検討してまいるところでございますので、ぜひ御理解いただければありがたいと思います。

宮本委員 二%をわずかというふうには私どもは思っておりません。この場所でも明らかにしたように、少なく見積もっても五十万人というふうに私も申し上げました。しっかりと対策をとられることを求めて、私の質問を終わります。

田中委員長 首藤信彦君。

首藤委員 動議を提出いたします。(発言する者あり)

 本案に対する質疑を終局されることを望みます。

田中委員長 首藤君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。(発言する者あり)

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、そのように決しました。(発言する者あり)休憩といたします。他の委員の方は着席していらしてください。(発言する者あり)暫時休憩といたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時十七分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 両筆頭と協議をした結果、この際、馳浩君から発言を求められておりますので、これを許します。馳浩君。

馳委員 まずは、田中眞紀子委員長に強く抗議をいたします。

 我々は、ずっと理事会で協議をし、お互いにこの法案の論点を明らかにしながら、政府の誠意ある答弁を求めてまいりました。そして、総理、中井大臣の出席、あるいは、政府答弁が十分でない場合に採決に応じる環境にないということを理事会でも求めてきました。

 きのうの理事懇談会で、田中眞紀子委員長は、朝鮮学校についてはもっと情報公開も必要ですよね、この法案を通じて、世界の各国から日本の国が笑われるようなそういう状況になってはいけませんよね、したがって、あしたの審議も、十分に政府側も誠意を持って意を尽くすように、質問にちゃんと答えられるように督励をするということも申しておられました。

 また、審議中に、民主党の山岡国対委員長から、我々理事懇談会の決定を上から押さえつけるような発言があったことに対しても、抗議をしていただきました。当たり前の話です。与野党の理事同士が話をして、委員長と確認をとって決定をして議事運営を進めていくのが、これが国会の進め方のルールです。当たり前の話です。

 そこまで委員長が了解をし、きょうの採決をするかどうかについても、細かい段取りは打ち合わせをしましたが、最終的に採決をするかどうか、これは笠筆頭と私とそして委員長の判断、これに一任をするということで、きょうの質疑に入ったところであります。

 ところが、採決をするかどうか協議をしていないままに、民主党の首藤委員が緊急動議をなされ、それを、あろうことか、田中眞紀子委員長、あなたはその採決に応じたんですよ。今まで言ってきたこととさっきあなたがやったことは全く違います。あなた自身が権威ある国会のルールを破ったことになるんですよ。このことに私は強く抗議を申し上げているんです。

 国会の委員会の質疑を尊重し、それを踏まえて、川端大臣も、政府として省令、政令、基準を決めます、こういう答弁を繰り返してこられました。残念ながら、十分な答弁をいただいていません。

 採決に応じるかどうか、私はまだ表明もしていない段階で、あなたは緊急動議の採決に応じて、そして、結果、民主党の諸君、数の力で緊急動議が採決をされたんです。これは、今まで自由民主党が国会運営において行ってきたことと同じことを繰り返しあなた方はやっているんですよ。

 改めて言いますよ。そんなことを繰り返しているから、自由民主党も国民の信頼を失って、こういう状況になったんですよ。またあなた方は同じようなことを繰り返し、あまつさえ、自民党がやってきたことと同じようなことをあなたがやっているということを私はあえて言いましたが、私たちは、事前に協議をし、その上で強行採決をしてまいりましたが、あなたは、私が採決に応じるかどうか、このことを私に求めもしていませんし、私はまだ笠委員とも協議をしておりません。そんな中で採決を強行した、緊急動議を認めた、このことに改めて強い抗議を申し上げ、文句があるんだったら、田中委員長、私に言ってくださいよ。そんな協議もしないで採決をしたんですよ。恥ずかしいと思わないんですか。

 改めてこのことを申し上げて、私の発言を終わります。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。横山北斗君。

横山委員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、本法律案及び修正案につき、賛成討論を行うものであります。

 本法律案は、教育に係る経済的負担の軽減を図り、教育の機会均等に寄与することを目的としており、まさに、国民の生活が第一を掲げる私たち民主党がマニフェストで訴えてきたことであります。

 修正案についても、この制度のより一層の充実を図るため、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減の状況等を踏まえるものであります。

 特に、国民の皆様からの期待の高い政策の一つである高校無償化の実現は、昨今の長く続いている厳しい経済状況により負担の高さが顕著となっている教育費の負担軽減にこたえるものであります。

 本法律案は、保護者の教育費負担を軽減し、家庭の経済状況にかかわらず、すべての意志ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会を形成する基盤となるものであります。

 また、多くの国では、後期中等教育を無償としております。国際人権A規約にも中等教育における無償教育の漸進的な導入について規定されているなど、高校無償化は世界の常識となっております。本法律案こそは、このような世界の潮流にも沿うものであります。

 今日、高等学校等は、その進学率が九八%に達し、国民的な教育機関になっており、その教育の効果は広く社会に還元されています。高等学校等における教育については、広く社会全体で負担していくことが要請されております。

 本法律案は、社会全体の中で子供たちの学びを支えていくために不可欠な制度改革となっているものであります。本法律案に基づく新たな制度を四月から確実に実施することが、学費の心配をしている高校生たちを前に、政治が果たすべき責任であります。政治が争っているときではない、一刻も早く彼、彼女たちを安心させてあげたいというのが私たちの思いです。

 本法律案及び修正案に対しての賛成の討論とさせていただきます。(拍手)

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 改めて、先ほどの田中眞紀子委員長の緊急動議を採決したことに強く抗議を申し上げます。

 委員長、その私の抗議に対して、先ほどお答えがありませんでした。見解を申してください。

田中委員長 発言を続けてください。

馳委員 そういう田中委員長の態度が、そういう委員会の運営方針がこの委員会審議を混乱させてしまったということを改めて申し上げます。

 ルールを破って、いいですか、あなた自身が委員会審議を充実させようと言っておきながら、民主党側の緊急動議に応じて採決を決定してしまった、このことに強く抗議を申し上げて、あなたの委員長としての適格性を自分自身で判断すべきであるということを私は申し上げているんです。それに対して何も一言も言うことができない、そのことを私は本当に恥ずかしく思います。

 その上で、討論を私は申し上げます。

 この委員会において改めてポイントとなってきたのは、十ポイントほどありました。理念がない。朝鮮学校が対象となるのか確認できない。省令の基準がいまだに不明確であり、政令の基準も不明確であり、さらに東京都、大阪府の上乗せ分の補てんについてどのような激変緩和措置をするのか、それが平成二十二年度だけなのか、これからもずっとやるのか、それについての答弁もまだありません。鳩山総理、中井大臣の出席もありませんでした。在外日本人は残念ながら支給をされることがありませんので、教育基本法第四条の理念に明確に違反をしております。低所得者に対する負担軽減策もありません。これは所得制限をしなかったからにほかなりません。地方自治体の条例も準備も間に合いませんし、何よりも、私学の手続が煩雑であり、公私間格差解消策にもなっておりません。

 これらの指摘に対して、全く文部科学省は誠意ある具体的なわかりやすい回答をいたしておりません。そんな中で採決を強行したということ、そして、生煮えのこの法案に対して、ざる法の法案に対して、とても賛成できるものではありません。

 そもそも、我々自由民主党は、限られた財源を使って高校生またその保護者の教育費の負担軽減策を拡充するべきだということは、従来かねがね申してまいりました。昨年、総選挙のマニフェストにおいても、我が党の政権公約においては、給付型の奨学金であったり、新たな就学援助金の制度を創設するものであったり、あるいは公私間格差の解消、本当に支援の必要な低所得者の方々に手厚く対応すべきだという主張をして、これは予算措置においても対応できるものだということで、さきの麻生政権における概算要求にもその内容を盛り込んできたものであります。

 ところが、民主党政権になって、残念ながら、カットすべきものはどんどんカットをされ、財源あさりのために、何とマニフェストにはなかった特定扶養控除の十六歳から十八歳の上乗せ部分の廃止まで決定をし、昨年の十二月には財務省と文部科学省ですったもんだの捕り物帳が行われたような、恥ずかしい結果になってしまいました。

 税金の無駄遣いをなくそうじゃないか、政策については、そのプロセスにおいて透明性そして公開性、それが必要であるということで政権選択を迫り、政権交代を果たした、それが民主党政権であるとするならば、今回の高校無償化法案の提出に当たって、国会答弁に当たって、全くその民主党の政治姿勢が反映されているものとは言えません。

 国会の審議を十分に行おうとしないこういうやり方に対して抗議をするとともに、その内容についても全く賛同できるものではないということを申し上げて、私の反対討論といたします。(拍手)

田中委員長 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案に対する修正案と修正案を除く原案につきまして、賛成の立場から討論いたします。(拍手)

 なぜならば、本法案が目指す家庭の教育費負担の軽減、教育の機会均等は、私たち公明党がこれまで全力で取り組んでまいりました政策の柱の一つだからです。

 私たち公明党は、長らく、丁寧に、地味な努力の中で、家庭の教育費負担の軽減、教育の機会均等をさまざまな施策の中で積み上げてまいりました。

 しかし、本法案の中身を見ると、授業料無償化では全く支援とはならない低所得者層の方への対策や、特別支援学校に通う生徒の世帯など特定扶養控除の見直しによりかえって負担増となる家計への対応、また、そもそもこのような重要政策を行う上で、教育的観点、生活支援的観点等からしっかりと検証したのかどうか、さらに、高等学校教育の質の向上や公私間格差の是正をどのように図っていくかなど、高等学校教育が抱える根本的な課題の解決については一切触れられておりません。その意味から、全く不十分な法律案と言わざるを得ません。

 しかしながら一方で、高校授業料の家計における負担感は重いものとなっており、大胆な支援策を求める声が大きくなっていることも事実です。

 そこで公明党は、授業料の無償化による家計支援を行いつつも、教育の機会均等と質の向上を図る観点から、本制度の施行後三年を経過した場合の検証とそれに伴う見直しを行うべきと考え、その主張が盛り込まれたことをもって、本修正案に賛成することといたしました。

 政府におかれましては、修正案の趣旨を重く受けとめ、よりよい高等学校教育の実現を目指し、例えば給付型奨学金の創設や高等学校教育のさらなる質の向上、公平公正な仕組み、私学助成の拡充、本制度の運用に伴う負担増への対策など、必要な施策には速やかに取り組むべきであることを強く申し上げ、討論を終わります。(拍手)

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 まず冒頭、合意のないまま質疑を打ち切り、かつて自民党がやってきたことと同じような委員会運営については私どもも反対をいたします。

 私は、日本共産党を代表して、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案及び修正案、両方に賛成の討論を行います。(拍手)

 世界の大勢が高等学校教育の無償化を図っている中で、日本共産党は、一貫して高校教育無償化を主張し、その実現のため全力を挙げてまいりました。我が国でもこうした無償化の方向が打ち出されたことは、国民の粘り強い運動の成果であり、当然のことだと言わなければなりません。高校教育無償化の実現が国際的に大きく立ちおくれた現状を取り戻し、国際人権A規約第十三条第二項(b)の留保撤回が現実のものとなります。さらに、これをステップに、高等教育の段階的無償化の実施に向かうべきであります。

 審議の中で指摘したように、本法律案の実施は、公立高校は授業料不徴収にする一方で、私立高校に通う生徒への就学支援金は一定額の支給にとどまり、公私間格差を拡大するという問題、就学支援金の支給も三十六カ月にとどまり、学ぶ権利を保障する観点からは不十分であること、十八歳以下の特定扶養控除の上乗せ部分の廃止に伴う負担増、授業料以外の教育費の負担軽減策などの課題が残されています。

 なお、外国人学校から朝鮮人学校を除外するなどということは、国際ルールに照らして断じて許されないということも申し添えます。

 今後、これらの問題、課題に政府として直ちに取り組み、解決するよう求め、討論を終わります。(拍手)

田中委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、笠浩史君外四名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、松崎哲久君外二名から、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。松崎哲久君。

松崎(哲)委員 民主党の松崎哲久でございます。

 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 本法施行後三年を経過した後に見直しを行う場合には、高等学校等における教育の充実の状況、義務教育後における多様な教育の機会の確保等に係る施策の実施状況、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減の状況を勘案しつつ、教育の機会均等を図る観点から……(発言する者あり)

田中委員長 御静粛に願います。

松崎(哲)委員 検討を加え、必要な措置を講ずるものとすること。

 二 教育の機会均等を図る観点から、奨学金の給付に係る制度の創設その他の低所得者世帯の高等学校等における教育に係る経済的負担の一層の軽減を図るため、必要な支援措置を講じること。

 三 高校教育改革の取組を一層進めるとともに、高等学校等における教育の質の更なる向上に努めること。

 四 私立高等学校の生徒に関しては、本制度の実施後も、授業料が無償とならない上に、授業料以外の教育費負担も大きいことから、今後より一層教育費負担軽減を図る必要があることにかんがみ、私学助成等の充実を図ること。

 五 特定扶養控除の見直しに伴い、現行よりも負担増となる家計については、適切な対応を検討すること。

 六 国際人権A規約における中等教育の漸進的無償化条項の留保撤回を行うこと。

 七 本制度の趣旨・内容について、関係者に対する周知・説明を十分に行い、円滑な実施に向けて、最大限努力すること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。(拍手)

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。文部科学大臣。

川端国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十二分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.