衆議院

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第3号 平成22年10月29日(金曜日)

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平成二十二年十月二十九日(金曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 佐藤ゆうこ君 理事 高井 美穂君

   理事 松崎 哲久君 理事 村上 史好君

   理事 本村賢太郎君 理事 下村 博文君

   理事 馳   浩君 理事 池坊 保子君

      石井登志郎君    磯谷香代子君

      今井 雅人君    大西 孝典君

      大山 昌宏君    奥村 展三君

      金森  正君    川口  浩君

      川越 孝洋君   木村たけつか君

      熊谷 貞俊君    笹木 竜三君

      瑞慶覧長敏君    高野  守君

      竹田 光明君    津村 啓介君

      土肥 隆一君    道休誠一郎君

      中屋 大介君    仁木 博文君

      野木  実君    浜本  宏君

      福田衣里子君    室井 秀子君

      山尾志桜里君    笠  浩史君

      渡辺 義彦君    あべ 俊子君

      遠藤 利明君    河村 建夫君

      齋藤  健君    塩谷  立君

      田野瀬良太郎君    高木  毅君

      永岡 桂子君    松野 博一君

      宮本 岳志君    城内  実君

    …………………………………

   文部科学大臣       高木 義明君

   内閣官房副長官      古川 元久君

   文部科学副大臣      笹木 竜三君

   文部科学副大臣      鈴木  寛君

   文部科学大臣政務官    笠  浩史君

   文部科学大臣政務官    林 久美子君

   会計検査院事務総局事務総長官房審議官       藤田 英夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          山中 伸一君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            磯田 文雄君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       合田 隆史君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            藤木 完治君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        布村 幸彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           唐澤  剛君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  生田 正之君

   文部科学委員会専門員   佐々木 努君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十九日

 辞任         補欠選任

  石井登志郎君     大西 孝典君

  金森  正君     道休誠一郎君

  田島 一成君     仁木 博文君

  田村 謙治君     今井 雅人君

  室井 秀子君     渡辺 義彦君

  古屋 圭司君     齋藤  健君

  松野 博一君     高木  毅君

同日

 辞任         補欠選任

  今井 雅人君     山尾志桜里君

  大西 孝典君     木村たけつか君

  道休誠一郎君     竹田 光明君

  仁木 博文君     田島 一成君

  渡辺 義彦君     室井 秀子君

  齋藤  健君     古屋 圭司君

  高木  毅君     松野 博一君

同日

 辞任         補欠選任

  木村たけつか君    石井登志郎君

  竹田 光明君     金森  正君

  山尾志桜里君     福田衣里子君

同日

 辞任         補欠選任

  福田衣里子君     田村 謙治君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として文部科学省初等中等教育局長山中伸一君、高等教育局長磯田文雄君、科学技術・学術政策局長合田隆史君、研究開発局長藤木完治君、スポーツ・青少年局長布村幸彦君、厚生労働省大臣官房審議官石井淳子君、大臣官房審議官唐澤剛君及び職業安定局派遣・有期労働対策部長生田正之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 去る二十七日の委員会での下村博文委員からの要求について文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高木文部科学大臣。

高木国務大臣 おはようございます。

 一昨日の本委員会における議論並びにこれまでの衆参両院における議論などを踏まえ、各種学校である外国人学校のうち、高等学校の課程に類する課程を置くものの指定に関する基準等を含む規程について、次のように決めたいと考えております。

 各種学校である外国人学校のうち、高等学校の課程に類する課程を置くものの指定に関しては、指定に当たって、満たすべき基準、指定の際の手続、審査方法、指定後のフォローアップの方法等について、文部科学省令に基づく大臣決定で規程を定めることを考えております。

 まず、指定教育施設の基準については、専修学校高等課程の基準をベースに、具体的には次のような内容です。

 第一に、修業年限等について、三年以上の修業年限や一年間に八百時間以上の授業時数、生徒数に応じた一定数以上の教員数や施設面積などを求めること。

 第二に、授業科目について、中学校の教育の基礎の上に、高度な普通教育に類する教育を施すにふさわしい授業科目の開設を求めること。

 第三に、情報の提供等について、自己評価の実施と公表、学校運営の状況に関する情報の積極的な提供、財産目録等の備えつけ及び閲覧等が適正に行われることを求めること。

 第四に、適正な学校運営について、就学支援金の授業料債権の弁済への確実な充当など、法令に基づき学校の運営を適正に行うことを求めること。

 次に、指定の手続等について、次のような内容です。

 第一に、指定の申請について、指定を受けようとする外国人学校は、年間指導計画や財務関係書類などの必要な書類を添えて文部科学大臣に申請することを定めること。また、申請書類としては、学校の概要、学則、学級編制表、年間指導計画など、検討会議報告に審査資料として掲げられている書類の提出を求めること。また、これらの書類のほか、文部科学大臣が必要と認める書類の提出を求めること。

 第二に、意見の聴取について、文部科学大臣は、指定を行うに当たって、あらかじめ専門家で構成される会議で意見を聞いた上で、申請された学校が指定基準を満たしているかどうかを判断し、指定を行うこととすること。

 次に、指定後のフォローアップの方法については次のような内容です。

 第一に、定期的な書類の提出等について、文部科学大臣は、毎年度申請の際に、学校が提出をした書類及び就学支援金が生徒の授業料債権の弁済に充当されていることが確認できる書類の提出を求めること。また、このほか必要と認める書類の提出または報告を求めることができること。

 なお、書類の提出については、検討会議報告の内容に加え、財務関係書類だけではなく、すべての書類について毎年度提出を求めることとし、さらに、就学支援金が生徒の授業料債権の弁済に充当されていることが確認できる書類の提出を求めることとします。

 第二に、指定の取り消しについて、文部科学大臣は、指定の基準に適合しなくなったとき、重大な法令違反があったとき、正当な理由なく書類を提出しないときには指定を取り消すこと。

 なお、検討会議報告には示されていませんが、重大な法令違反があったときを取り消しの要件として加えることとします。

 最後に、留意事項及びその履行の状況の確認について、文部科学大臣は、留意事項があると認めるときはそれを通知すること。また、その履行の状況を確認するため、必要と認めるときは報告を求めること。

 以上が、私が現在考えている規程案の概要でございます。

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。下村博文君。

下村委員 おはようございます。自民党の下村博文です。

 今回、おとといの委員会において高木文科大臣は、十一月の上旬に新たな規程を設けてそれを発表するということでございましたが、委員会では、きょう、事前に中間取りまとめでもいいから、それでは出してほしい、そうでなければ、国会の質疑を経ないで、これについていきなり記者会見等で新たな検討事項について発表するということで、これは国会軽視甚だしいということについて、間に合わないと答弁されたんですね。

 しかし、田中委員長の要請によって、きょう冒頭に発表されたということについて、田中委員長に敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 そして、今の内容をお聞きいたしまして、大きく教育内容を問うか問わないか、それからもう一つは、経理問題で生徒本人にきちっと就学支援金が渡っているかどうかということがチェックできるのかどうか、こういうことが今までの論点の中でも明らかになってきたわけでございます。

 それについて、検討会議の報告よりも、さらに今のお話ですと、これは二日前にも実際は述べられていることでありますが、毎年経理についてのチェックをされるということでありましたが、しかし実際は、おとといは、もう一つの教育内容については、これはどこまでチェックできるかどうか検討中であるという話をされていましたが、今の大臣の報告によれば、これは事前には教育内容については問わない、こういうふうに私は理解いたしましたが、そういうことでよろしいわけですね。

高木国務大臣 下村委員にお答えをいたします。

 今回の規程においては、専修学校高等課程の設置基準をベースにしております。教育内容については、中学校の教育の基礎の上に高度な普通教育に類する教育を施すにふさわしい授業科目の開設を求めることを予定しておりまして、これを超える教材の記述等、具体的な教育内容については基準としておりません。

 四月三十日に指定した外国人学校についても、本国政府や国際的な評価機関の認定といった制度的、客観的な基準により指定しております。したがって、専修学校高等課程に係る設置基準においても、各教科等に対する具体的な教育内容についての基準を設けていないこと、専修学校、各種学校の自主性を重んじる私立学校法第六十四条等の趣旨を尊重すべきとの指摘があることなどからでございます。

 ただし、指定に際し留意事項があると認めるときは、それを通知する旨の規定を置いておりまして、具体的な教育内容について懸念される事項がある場合には、各学校に伝え、改善を促す仕組みを担保することを考えております。

下村委員 大臣、端的に答弁してくださいね。

 今回は、この新たな規程というのは、朝鮮学校が対象、明確なわけですね。この中で、私が申し上げて、また二日前にも議論になって、大臣も、例えば、我が国政府の見解と異なる部分がある、こういうことを明確に言われているわけですね。また、この朝鮮学校が設置されている自治体においても、独裁者崇拝教育がされている、日本社会と大いに異なる教育が行われていると。

 私は、反社会的とも言われるような教育が行われる、こういうことについて、それを無条件に、つまり無条件ですよ、事前にチェックをしないで出していいんですかと。今の答弁は、いいということですね。ただし、その後の留意事項の中でチェックを、事後はする、しかし事前においてはチェックはしない、そういうことですね。

高木国務大臣 留意事項においてこれを我々は促すことにしております。もちろん、申請が出てからのことであろう、このように思います。

下村委員 いや、明確に言ってください。申請が出てからは当然の話で、申請が出て、そしてそれを審査して、そして出すか出さないかについては教育内容は問わない、そういうふうに答弁されたということですね。

高木国務大臣 委員御指摘のとおりでございますけれども、今回の規程では、教材の内容を含め、ただいま私が申し上げましたように、留意事項がある場合、それを学校に伝えて、必要に応じ留意事項の履行状況の報告を求めることにしております。

下村委員 これはもう決定的な判断ミスだというふうに思います。

 私は、外国人学校に対して就学支援金を出す、これは世界の中でも我が国が初めてのことですよ。それは、私は同意をいたします。国際社会において我が国に住んでいて、外国人が、これからも住み続けたいと思われている方もおられるでしょうし、ハンディキャップをできるだけなくすということは、外国人の子供たちにとっても我が国にとっても、これは私は必要なことだというふうに思いますから、世界に先駆けて外国人学校の生徒に対しても就学支援金を出すということについては一つの大きな見識だというふうに思います。

 しかし、その中で、事前チェックの段階で教育内容を問わない。例えば、オウム真理教のような団体が学校をつくったとしても、結果的にそれは該当するということもあり得る話なんですよ、これは。少なくとも、これは大臣みずから我が国政府の見解と異なる部分を言っていて、そして、政務三役の一人である笠さんも、個人的に、この朝鮮高校で教えている現代史については、政治家として大いに疑念がある、認められない部分があると明確に国会の中でも答弁されているわけですね。そういう教育が行われているということにもかかわらず、それにも金を出そう。これは、まさに統治能力がない。ほかの国からしたら、一体日本政府というのは何なんだ、政府としての見識、体をなしていないのではないか、こういう判断をされるのは、外国だけじゃありません、日本国民から見ても当然のことだというふうに思うんです。

 そもそも、今回の民主党政権は、本当に統治能力を持った政権運営をしているとは全く思えません。例えば尖閣問題においても、検察のせいにする、そういうひきょうな政府の姿勢、二つ目には、日本は恫喝をすれば幾らでも引っ込んでしまうという意気地なさ、これは中国だけじゃなくて世界じゅうに発信したことになったと思います。三つ目には、何かがあったときにはアメリカが守ってくれるのではないかという、日米安保条約に頼るという属国性ですね。アメリカが守るはずないですよ。まずは日本が、日本の領土、領海、領域についてはみずから守るという姿勢を持たなくて、集団自衛権も何もないと私は思うんです。

 こういう問題も含めて、さらに今回の問題においても、教育内容を問わず、日本社会の中でどういう内容を教えているのかどうかを問わず、結果的には税金を投入する、国民の皆さんの税金を投入する。いや、留意事項があるから後でチェックする、それ自体がまさに判断ミスだというふうに思いますね。

 こういうことを決定された文科大臣は文部行政の責任者としての資質がない、こんなふうに私は判断します。これは大いなる政治責任ですよ。大臣としてどう思われますか。

高木国務大臣 委員、今極めて重要なことを指摘されております。

 我が国においても、国際社会においても、すべての子供たち、生徒たちが、意欲に応じて学習を受ける権利、教育を受ける権利、これを保障しなければならない。ましてや、親の経済状況によってそれが失われてはならない、そういう思いは私も同感をしておりますし、そのことも高等学校の就学支援の趣旨の一つであろうと思っております。

 そういう中で、教育内容について、先ほども申し上げましたように、もう既に四月三十日、これは法律が制定された以降でございますが、三十日に指定した外国人学校についても、本国政府や国際的な評価機関の認定といった、いわゆるそういう制度、あるいは客観的な基準によって指定をしております。

 同時に、専修学校の高等課程に係る設置基準においても、各教科等に関する具体的な教育内容について基準を設けていないこと、これも事実でございます。したがいまして、専修学校あるいは各種学校の自主性を重んじる、いわゆる私立学校法第六十四条等の趣旨を尊重すべき、こういう指摘も強いものがございます。

 そういうことで、教育内容については私たちはある意味で厳しい目で今回の規程を最終的に決めていきたいと思っておりますし、ただし、御指摘のような指定に際して留意事項があると認めるときは、具体的な教育内容について懸念される事項、これについては我々はその改善について促す、こういう仕組みも担保する、こういう考え方を持っております。

下村委員 古川官房副長官は二十三分には出なければいけないということですから、順番を変えて一つだけ質問します。

 十月十三日の予算委員会で、菅総理に対して、十月に入ってから自治労全道庁労組が数々の選挙違反、法令違反をしているのではないか、これについて、民主党の候補者を支援しているわけだから民主党としてもきちっと調査をする必要があるのではないかという質問に対して、菅総理は、「党の立場でやれることはきちっと調べてみたい、」こういうふうに答弁をされました。その後、党としてどんな調査をされているのか、お聞きしたいと思います。

古川内閣官房副長官 お答えいたします。

 先日の御質問は、民主党代表として菅総理にお尋ねいただいたものというふうに承知をいたしております。

 したがいまして、政府としてお答えする立場にないということを御理解賜りたいと思います。

下村委員 まあ、とりあえずはいいです。しかし、これからはそんな答弁じゃ通用しませんよ。

 次に重要な会議もあるということを言われているので、そこで国会がこんなことでとまるのもかわいそうですから、とりあえずは帰っていいですけれども、次からはそんな答弁、認めませんからね。

 今の話に戻ります。高木大臣、今の話に戻りますが、結果的には全然厳しくも何ともないんですよ、新たな規程においても。つまり、教育内容は問わない、それから、その後留意事項でチェックするということ自体がそもそも法律の設定としておかしいと思いますよ。

 入り口から明確に決める、その中で対応する。特に今回の場合には、ほかの外国人学校と比較して、北朝鮮とは国交がないわけですから、外交関係がない中、実際調べようもない中での今回の問題でもあるわけですね。それから、留意事項というのも言われていましたが、それ自体もおかしな話ですが、では、留意事項についての根拠規定はどう置くのか。これについてはいかがですか。

高木国務大臣 私は、かなり厳しい姿勢で基準をつくることにしております。既にこの国会でも報告書が八月三十日に示されて以来、閉会中も議論があっております。また、これまで、民主党もそうでありますが、各党においても、あるいは国会においても、そして専門家会議の内容から見ても、今回の我々の考え方というのは、こういった国会議論でいろいろな御指摘があるところです。

 したがって、それを踏まえた上で今このような考え方を示しておりまして、私としては、一定の御理解はいただけるものではないか、このように考えております。

下村委員 いや、答弁していないですよ、答弁していない。ちゃんと答えてください、ちゃんと。ごまかさないで。

鈴木(寛)副大臣 高校無償化法案の法令に基づいて授権をされた省令に基づいて定める規程において、留意事項という規定を新たに、新たにといいますか、その規程の中で留意事項を付すことができるという条項を設けるということであります。そのために、文部科学大臣に、留意事項を付すことができ、通知することができるという権限を付与いたします。

下村委員 明確に権限を付与すると、留意事項。では、留意事項にのっとって、具体的に改善しているかどうかということをどうチェックできるんですか。

鈴木(寛)副大臣 自主的な改善状況等々についての報告を求めるという規定を、規程の中にそういう条項を置くということを考えております。

下村委員 だから、結果的にはできないということなんですよ。自主的な改善要求をされるわけですから。だから、結果的には教育内容については問わないということなんです。一たん規定してしまったら、指定をしてしまったら、その後は、どういう教育内容がされているかどうかということについては、文科省も、実際はチェックをすることによって取り消しできないということを今答弁しているわけですね。そんなことを決めていいのかと。それについて大臣の責任を問うたわけです。

 これは重大な政治的な判断ミスですよ。将来に対して大変な禍根を残すということを指摘して、このような政権の判断のもとでの教育行政はこの日本をさらにおとしめる、こういうことを指摘を申し上げたいと思います。

 前回、このことで一時間ぐらいで、ほかの項目は質問できませんでしたので、残りはこの後、我が党の馳委員にバトンタッチをしまして、次のテーマに移ります。領土問題。

 尖閣諸島の問題で、領土教育というのは大変クローズアップをされました。さすがの高木大臣においても、領土教育については重要性は認められているとは思いますが、一応確認で、子供たちに領土について教育することの意義、目的、どのようにお考えか、お聞きいたします。

高木国務大臣 将来を担う子供たちに、我が国、自国の領土及び領土問題を正しく理解させること、また我が国の安全と防衛及び国際貢献について考えさせること、これは、我が国の国土に対する理解と愛情を深め、国際社会に生きる、そして平和で民主的な国家、社会の形成者として必要な資質を養う観点からも大変重要であろう、私はこのように思っております。こうした点について、各学校において学習指導要領に沿った指導がなされることが必要であろう、このように思っております。

下村委員 きょう、お手元に資料配付をいたしました。この資料をごらんになっていただいて確認をしていただきたいと思うんですが、私もびっくりいたしました。尖閣諸島に対して、どういう記述が高校教科書において行われているか。

 まず地理A、これは清水書院で今配本されている教科書ですが、時間がありませんから尖閣諸島のところだけ申し上げますけれども、「日本の領土問題」の中ですね、「沖縄県の尖閣諸島については、中国が領有権を主張している。」という表現なんですね。それから次が、同じく清水書院の現代社会です。現代社会の中の囲みのところで「日本の領土問題」、「魚釣島など尖閣諸島については中国・台湾が、領有を主張している。」それから次が、三省堂の政治・経済。これは「日本にかかわる領土問題」ということで、「尖閣諸島 中国と係争」という文言しか入っていないんですね。それから第一学習社の政治・経済。これは「未解決の領土問題」という項目の中で、「尖閣諸島に対して中国が領有を主張するなどの問題もある。」こういう記述ですね。それから次が、同じく第一学習社政治・経済のところで、「中国との間に尖閣諸島問題がある。」それから次のペーパーが、第一学習社現代社会のところで、「尖閣諸島に対して中国が領有を主張するなどの問題もある。」

 これは、今回の民主党政権になって記述が改まったというわけではありませんから、これは我々の政権のときも問題があると思います。私もかつて文科の政務官をしていたことがありましたが、気がつきませんでした。我々も問題があると思います。

 しかし、いずれも、すべての教科書の中に、尖閣諸島は我が国の固有の領土だという文言が全く入っていないんですね。ですから、これだけ読んだら、これは普通の高校生だったら、今回の尖閣諸島の問題、中国サイドの主張も一理あるんじゃないかと。国会の中では日本固有の領土だということを再三再四政府も主張しておりますが、しかし実際は海外には全く伝わっておりません。当然、中国にも伝わっておりません。ましてや日本国内においても、普通の高校生が素直にこの教科書をそのまま読んだら、我が国の固有の領土だということは思わない。尖閣諸島についての領有権というのは今、中国、日本で争っていて未解決だ、こんなふうにみんな思うんじゃないかと思うんですね。

 ですから、これは反省を込めて提言とお願いを申し上げたいと思うんですが、それぞれの教科書に改めて尖閣諸島について、我が国固有の領土だということを明確に入れる、これをぜひ文科省としてはしていただきたいと思いますが、いかがですか。

高木国務大臣 御指摘の教科書でございます、私も目を通しております。見出しは「日本の領土問題」ということになっておりますが、記述としては、例えば沖縄県の尖閣諸島とか沖縄県帰属の沖縄とか、あるいは色分けで我が国の領土ということを表現していることを承知いたしております。

 自国の領土、領土問題、これは正しく理解することは大変重要なことでございまして、尖閣諸島については領土問題は存在をしない、これが政府の統一見解でございまして、今後とも、学習指導要領、あるいは、その解説に記述されておりません、他の領土、領土問題というのは。したがって、教科書では、我が国の領土、領域について理解させる観点から、我が国の固有の領土として尖閣諸島を取り上げております。

 委員御指摘のとおり、これからかなり明確にさらに書くべきではないかということの御意見でございますが、これはしっかり受けとめて、いわゆる教科書検定等について反映をできればしたいと思っております。

下村委員 一言余分なんですね。できればというのを削ってほしいんですよ。大臣ですから、それはそういうふうに言えばできるんですよ。はっきり、我が国の固有の領土、尖閣諸島ですね、明確に入れる、大臣としての思いだというのをもう一度はっきり言ってください。

高木国務大臣 尖閣諸島においては、我が国の固有の領土だ、これを明記したいと思っています。

下村委員 はい、ありがとうございます。

 次に、近隣諸国条項というのがあるんですが、これは、大臣、御存じですか。

高木国務大臣 教科書、教科用の図書検定基準におけるいわゆる御指摘の近隣諸国条項については、近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮を求める規定でありまして、我が国の領土や領土問題に関する教科書の記述とは関係がないものと承知をしております。

下村委員 もう一度確認しますが、おっしゃるとおり、そもそも近隣諸国条項があること自体がいかがなものかというふうに私自身は思っておりますが、少なくとも、領土問題についてはこれは該当しない、つまり、竹島それから尖閣諸島、この記述、これについては近隣諸国条項は適用すべきではないということでよろしいわけですね。

高木国務大臣 そのとおりだと考えております。

下村委員 それでは次に、特別支援教育について移りたいと思います。

 これは鈴木副大臣にお聞きしたいんですが、今週の火曜日、私は中野にある翔和学園というNPO法人の学校といいますか、施設に視察に行きました。ここは、お聞きしましたら、現副大臣の鈴木さんも参議院の文教科学委員会として視察に行ったことがあるということを校長から聞きました。今までも、いろいろな国会議員、あるいはいろいろな自治体関係者が毎日のように視察に行っているところだそうです。

 小学生から大学部までありまして、生徒が約百人いるんですが、ここは、既存の学校をドロップアウトして、とても既存の学校では対応できないという発達障害の子供たちをフォローしている民間団体です。これは、どこの学校においてもお荷物になってしまって、そして、特別支援教育というのが公立学校でも行われているけれども、そこでもなかなか対応できない、結果的に不登校になって、行くところがなくなって、それを民間機関が救済しているというところなんですね。

 文科省からもアドバイスがあって、もともと株式会社だったけれども、NPO法人になればいろいろな対応ができるという指導を受けてNPO法人にしたけれども、結果的には何ら対応、フォローをしてくれないまま、国も自治体も含めて、現在に至っている。ですから、すべて一〇〇%保護者からの負担によって成り立っている。

 しかし、それも限界ですから、かなりの赤字を出しながら、ほかの事業によって補てんをしながら何とか運営しているという、本当に慈善事業でもここまでやれるのかというぐらいぎりぎりの中、無理をして無理をして、しかし、自分たちが今目の前にいる子供たちを何らかの教育的な救済をしていかなければ、本当に社会そのものの中でドロップアウトしてしまう、こういうことで教育をされているところなんですね。

 このところについて、文科省として、本来これは国がやるべきことだと思うんですよ。自治体がフォローアップできない、国がフォローアップできない、これを民間がやっている。この翔和学園だけではなく、こういう施設は全国には実はたくさんあります。こういうところについて、やはり国が何らかの形で救済、フォローアップをするということが必要だというふうに思いますが、鈴木副大臣も現場を視察されていますから、文科副大臣としてどんなことができるというふうにお考えか、まずお聞きしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 お答え申し上げます。

 私も、翔和学園を初めとするこのようなNPO法人の皆さんが、本当に子供たちの学ぶ権利の保障のために大変な御尽力をいただいているということを大変感銘を持って拝見させていただきましたし、何らかの形で応援させていただきたい、そのためにまさに委員の皆さんの御指導も得ながらと思っております。

 ただ、御承知のように、結局、学校教育法上の枠組みになかなかはまりづらい、あるいは、はまることによっていろいろな規制を受けてしまう、ここが非常に悩ましいわけでありまして、現状は学校教育法の規定外で、その分自由度を持ってきめ細かなことをやっていただいている、こういうことでございます。

 そういう中で、平成二十二年度から、生徒指導・進路指導総合推進事業というものを始めました。これは、不登校児童生徒などへの支援の観点から、フリースクールを含むNPOなどに対しまして、その教育プログラムの開発のための取り組み、その中での具体的な効果的なカリキュラムや活動プログラム、関係機関等との連携プログラムの開発ということを目指しているわけでありますが、そうした委託事業ということを始めたところでございます。

 こうしたことに申請があれば、もちろん有識者による審査というのはございますけれども、こうしたスキームには乗り得る、乗っていただいた場合にはぜひそうした観点で応援を、御一緒にこの事業を推進してまいれることはあるということをまず申し上げたいと思います。

下村委員 鈴木副大臣もよく御承知で言われていることだと思うんですが、この方々も、それは学校法人にできるのであればそうしたいわけですよ。しかし、東京で新たに学校法人を設立するとなれば数百億のお金が必要なんですね。自前で校地、校舎を確保するということを考えたら、これは現行の学校法人では不可能な話なんですよ。

 そして、今のお話ですと、委託事業があると。では、実際に委託事業でどれぐらいの補助が考えられるんですか。

鈴木(寛)副大臣 まず、数百億ということではないと思います。今回、例えば、高等部もこれはありますよね。そうすると、専修学校高等課程の場合は高校無償化法案によって就学支援金の対象になりましたので、かつ、準学校法人としての専修学校の認可は可能でございますので、そういう意味では数百億ではないということだけはちょっと事実関係として申し上げておきたいと思います。こうしたことについては、東京都と調整の可能性はあるんじゃないかと思います。

 それから、幾らぐらいのということでございますが、トータルで申し上げると、本当にいろいろケース・バイ・ケースでございます。数百万円が大体平均でございますが、今、三十二ぐらいのそうしたNPO等々に対して委託をしているというのが現状でございます。もちろん、この額が、今やっておられる方に対する補助額として、あるいは委託額としては十分でないということは私ども承知いたしておりますが、そうしたいろいろなことを、枠組みとしては引き続き工夫をしていきたいというふうに思っております。

下村委員 副大臣、そんな数百億じゃないと、明確に本当に否定できるんですか。ここは、先ほど最初から申し上げているように、小学生から大学生までいるんですよ。専修学校というのは当てはまるんですか。

 例えば小学校から高校までつくるのであっても、私立の学校法人をつくるのであれば、生徒一人当たりの校地面積、校舎面積等々、これは明確な規制があるんですよ。それにのっとって自己所有物件でやろうとしたら、東京都内において、数百億のお金がなかったら学校はつくれないですよ。それをよく勉強していただきたいと思うんですね。

 それから、先ほどの委託事業ですが、百万以下のもあるし、あるいは上限で二百か三百かということだそうですけれども、相当このNPO関係で全国から申請があっても、基準があって、漏れるところも結構あるということで非常に厳しいということでもありますから、ぜひ、こういう善意でやっている、そしてそういうハンディキャップを持った子供たちに対してのフォローアップについては、しっかりと国の方で拡充施策として考えていただきたいというふうに思います。

 そもそも、このような発達障害の子供たちというのは非常にふえているんですね、今の我が国の状況の中で。この子供たちに対しては、早期発見、そして早期教育フォローをすることによって、いろいろな形で未然にフォローアップができるのではないかということを関係者の方々が言われております。

 その中で、学校の先生方が発達障害についての理解をしていない、あるいは医師、専門家の方々も限られている、こういうことをよくお聞きします。

 私の地元は東京の板橋ですけれども、板橋でも、発達障害を持った母親の会がありまして、再三陳情を受けているんですが、学校の先生方がほとんど知らないので、知っている先生のところに学校を転校したいぐらいだけれども、それもままならないという中で、本当にこういう子供たちを持った親御さんも苦労されていて、ぜひ学校の先生方には、発達障害にもいろいろなレベルがありますから、いろいろな内容がありますから、これをよく勉強していただいて、それでその子に合った対応をしていただきたい、こういう要望というのはたくさんあるんですね。これは翔和学園でも、やはり同様のことを言われました。

 この発達障害に対する先生の研修、これは今どんな状況なのか、お聞きしたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 私も先生と同じような問題意識を強く持っております。実は私のゼミ生にもディスレクシアの学生がおりまして、大変私も一緒に学ばせていただきました。まだまだ教員に対する研修を徹底しなければいけない、おっしゃるとおりだと思っております。

 現状は、平成十九年に、こうした発達障害を含む特別支援教育に関する専門性の向上の周知を初中等局長通知で行いました。

 そして、文部科学省の特別支援教育総合推進事業におきまして、各教育委員会において、教職員を対象としました発達障害に関する基本的な知識や指導のあり方についての研修の支援を実施したりしておりますが、研修歴のある教員が五三・九%、こういう現状でございます。

 それから、これも委員よく御承知のとおり、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所というのがございまして、地方において指導的立場にある教職員の専門性、資質向上のための発達障害を初めとした専門研修であるとか、あるいは、発達障害教育情報センターにおける発達障害に関する情報発信やインターネットによる講座配信等々を行っているところでございます。

 御承知のように、私も、都道府県レベルになりますと、発達障害にかなりフォーカスした支援体制というものが、今、少しずつはできてきておりますけれども、まだまだ途上だなという印象を率直に持っておりますので、ぜひ、きょうの御指摘も踏まえて、専門性の向上、研修の充実、そして対象者の拡大ということをさらに支援してまいりたいと思っております。

下村委員 今、副大臣からディスレクシアという言葉が出ましたが、この言葉も御存じでない学校の先生の方が圧倒的に多いというふうに思います。我が国においても五、六%ぐらいはいるのではないか。ヨーロッパ諸国においては一〇%ぐらいいるのではないか。知的障害ではなくて、ある部門において、例えば漢字がなかなか覚えられないとか、それだけのことで、ほかの能力は全然問題ない。しかし、我が国においては、やはり画一、均一教育であるし、入学試験も、まさに筆記試験として問われたとき、それが大きなハンディキャップになってしまって、結果的に我が国の教育においてはドロップアウトしてしまうんですね。

 しかし、御承知だと思いますが、諸外国においては、ヨーロッパにおいて、イギリスにおいて、その子に応じた入学試験をする。その子に応じた例えば補助者もつけるという形で、大学に入っても、基本的な能力におけるハンディキャップがあるわけではありませんから、フォローアップすれば十二分に社会の中で対応する。

 日本の今の教育は、エジソンみたいなそういう子供たちは育たない教育だというふうに思うんですね。多様性教育の中でいかに一人一人の能力を高めていくか。特に、今の学校現場においては、ADHDとか、そういうことを含めた、知的障害ではないけれどもほかの部分における発達障害の子供は相当いる。しかし、それを学校の先生方が理解していないから、ただ協調性のない子だとか、落ちつきのない子だとか、わがままだとかいう形で現場で対処することによって、結果的にスポイルされる。こういうことによる不幸のさらなる拡大につながっている部分があると思うんですね。

 ですから、今のお話ですと、かなり研修をしているといっても、実際は、現場感覚でいうと、ほとんどの学校の先生方が、これについてよく理解していないといいますか、勉強していない。しっかりと研修の時間をふやす、あるいは研修の回数をもっとふやす、そして、これも社会の大きな変化の中で同時に出てきたことでもありますから、常時研修をしていく、そういうことがさらに求められるというふうに思いますが、学校の先生方の研修、発達障害を含めた、ほかの研修も含めてですが、それの拡充をぜひさらに求めたいと思いますが、いかがですか。

鈴木(寛)副大臣 御指摘ごもっともだと思います。

 研修といいましても、やはり、これも先生よく御存じのように、発達障害、かなりバリエーションが広い、そして個別対応が必要ということであります。LDといっても本当にいろいろなタイプがありますし、ADHDといってもいろいろなタイプがあります。ディスレクシアのフォローの仕方も、これはかなり多様でありますので、やはりそうしたことをかなりきめ細かく教えていかなければならない。そうすると、現在の教える側の体制も含めて、そして今おっしゃった時間の問題、まだまだ改善をすべき点は大いにあるというふうに私は思います。

 しかし、こうした子供たちは、その部分のサポートさえすれば極めて優秀な学業をやれます。私も、慶応大学のゼミ生にそういう者がおりまして、無事卒業いたしましたけれども、そうした子供たちの学習権をきめ細かく保障するために、きょうの御指摘を踏まえ、さらに頑張ってまいりたいと思いますが、特に、やはり都道府県レベルの体制、ここの強化というのは急務かなというふうに思っているところでございます。

下村委員 しかし、まず、文科省がそのような体制を都道府県、区市町村に対してどうつくるか、それから、文科省としてそのような多様化教育についてどう取り組むかということを明確にする必要があると思いますし、先生に対する研修、こういうことも含めて我々が政権のときに免許更新制というのを入れたわけです。

 これは、十年ごとぐらいに先生方も研修してもらって最新の知識を身につけなければ、的確な子供に対する教育ができないのではないか。それから、そもそも今の学校現場における教職員のあしき平等主義的な勤務実態によって、せっかく意欲を持って、そして優秀だと思われる若い人たちも、三十代、四十代になるにつれてどんどんその能力がスポイルされてしまっている。こういう中で、教員としての必要な資質、能力がきちっと保持される、最新の知識をきちっと、技能も含めて身につけてもらう、こういう免許更新制というのは、こういう社会だからこそ逆に必要になってきているのではないかと我々は思っております。

 高木大臣は、このことについて否定的な発言をされた、免許更新制についてですね、というふうに聞いておりますが、事実関係を含め、あるいは免許更新制についてどうお考えなのか、お聞きしたいと思います。

高木国務大臣 委員御指摘のとおり、今、前段では知的障害に関するいろいろな、詳しい現場の実情を含めてありましたし、中でも教職員の研修、私も過日、下村委員が書かれました書籍を読ませていただきまして、多くの、一人一人のニーズに合った指導をしなきゃならぬという思いが非常に伝わってまいりました。

 この教職員の免許更新制というのは、時代に合った教育内容を子供たちにできるようにという、教職員の資質向上のために行われておる制度でございまして、一般的に、不適格な教員を排除することを目的としたものではないと私は承知をしております。

 今、このことについても、教職員の資質向上についてさまざまな御意見がございます。私どもとしましても、専門家の皆さん方の御意見、あるいは中教審の中でも御議論をいただいて、どのような形が一番望ましいのか、このことを議論していただいておりますので、そういうのを見ながらしっかり取り組みを進めてまいりたいと思っております。

下村委員 大臣、知的障害と発達障害というのは違うんですよ。重なる部分もありますけれども、発達障害が全部知的障害じゃありませんから、それはぜひ勉強していただきたいと思います。

 それから、もう一つ、今重大なことをおっしゃいましたが、不適格教員の排除はしてはいけないんですか。だって、不適格なんだから、学校の先生としてはそれは教壇に立つのはまずいでしょう。今、不適格教員の排除ではないと言っていましたけれども、排除しないと言っているんですよ、今の大臣の答弁は。どうなんですか。

高木国務大臣 教員免許制度でございますが、直接の目的ではないということでございます。

 しかし、このことについて我々は常に、教職員のまさに資質そして指導方法、これについては重要な教育的意味を持ちますから、この点についてはしっかり都道府県教育委員会などを指導しながら、問題のない教育現場について努めてまいる所存でございます。

下村委員 いや、端的に言ってくださいよ。不適格教員は教壇から去ってもらう、当然のことでしょう、子供たちから見たら。それをしないんですか。ちゃんと答えてください。

高木国務大臣 不適格教員ということについては、更新時期をまつまでもなくて、それはそれできちっとした対処をしなければならない、私はそのように思っています。

下村委員 はっきり答えてください。不適格教員は排除するのかしないのか。きちっと答えてください。

高木国務大臣 私は、適格性のない教員は教育現場としては望ましいものではないと思いますから、当然、そのような方はそれぞれの更生をしていただかねばならない、このように思っています。

下村委員 これはぜひ、労働組合的な発想じゃなくて、教育を受ける側、子供たちや子供たちを持っている親の立場から、よりよい教育条件における教師とは何なのか、こういう視点から文部科学大臣として文科行政をしてもらわなければ、基本的に誤りますよ。これはしっかりと対応していただきたいと思うんですね。

 先ほどの免許更新制についても、あやふやな答弁が今ありましたが、大臣は就任記者会見のときに、教員免許更新制の改正案を提出する予定の有無を問われたときに、マニフェストの掲げたことは一つの大きな目標でありますから、これに向かって努力する、こういうことはもう今でもそのように思っております、こういうふうに答えているんですね。

 この大臣の答弁といいますか記者会見の発言をそのまま受けとめれば、免許更新制については廃止する、こういうふうに受けとめられるんですけれども、どうなんですか、実際は。

高木国務大臣 私は、一般的に、例えば医師の免許なども頭にありました。

 私としては、研修というのは、まずみずからが日々努力をして、時代の流れに合った教育についてみずからが習得する、これが何より大事でございます。

 しかし、そうはいっても、いろいろな事例もございますので、この点について、資質の向上のためにはどういった方策が適切かというのは、これはまさに今、中央教育審議会等でも議論をしていただいておりますので、この点については、それを踏まえて、よりよい方向を見出していきたい、このように思っております。

下村委員 御党の大きな支持母体の一つである日教組はこの免許更新制の廃止を打ち出しているんですが、民主党のマニフェストもそれに沿ったマニフェストだというふうに承知をしておりますが、今の答弁というのは、免許更新制を廃止するという前提ではない、こういうことなんですか。もう一度確認します。

高木国務大臣 いずれにしましても、やはり抜本的な改革をする、そういうことでございまして、その意味において、今、中教審で御議論をいただいておる、こういうことでございます。

 私は、我が国の教育が、日々研さんをされて、すばらしい、次代を担う子供たちがこの学びの中で成長されるように、そういう意味で、文部科学大臣としてしっかり取り組んでいきたいと思っています。

下村委員 答弁が全く抽象的で、何が言いたいのか、何を目指しているのかが全くわからないんですよ。免許更新制を廃止するんですかどうですかと聞いているだけの話ですから。先ほどの答弁は、いや、そもそも学校の先生方には自分で勉強してもらいたい、自己研修が必要なんじゃないですか、こういう話ですよ。それは当然の話です、そんなことは。すべての仕事がそうでしょう。しかし、それでも不十分な部分があるんじゃないですか。

 最初に申し上げた発達障害の問題についても、今、最新の医学はどうなっているのか、最新の教育現場はどうなっているのか、子供たちを通じての対応についてのノウハウについて、一番成功事例については組織的に、これは都道府県じゃなくて、国が先頭に立ってフォローするためにどうしたらいいか、こういうことを研修の中で教えていくのは当然じゃないですか、そういうふうに申し上げているんですね。

 ですから、十年に一度の研修、この程度のことは、教育立国を目指すのであれば国が先頭に立ってやってもらいたい、こう申し上げているんですよ。それについてはっきり答えてくださいよ。

高木国務大臣 私が申し上げておるのは、今お尋ねの、また引用された案件もございました。さまざまなニーズに対応できる教育、これが何よりも必要であります。その教育をするのが、ほかならぬ教職員であります。

 したがって、教職員の資質の向上のために、いかなることが最も今適切であろうかというのを、まさに我々も抜本的改革という名の中でやっておるわけでございますので、そのようにひとつ御理解いただきたいと思います。

下村委員 抜本的改革とおっしゃっているだけで、大臣が何を抜本的と思われているのかどうかも全くわかりません。改めて、これについてはまた議論をしたいと思います。

 もう時間がありませんので、北教組の問題に入ります。

 大臣は、川端前大臣のときから、この北教組問題については、道教委や市教委に対して、文科省として厳しくきちっと対応しているということをおっしゃっていましたけれども、新しく大臣となられて、引き続きどのような対応をされているのか、それから、これからどうされようとしているのか。

 具体的に、職務規律の問題等で協力をしなかった教職員が相当いましたね、五千人とか六千五百人、項目の中で。既に、この職務規定について、服務規定をきちっとしていなかったということで罰則も道教委としてしましたね。しかし、きちっと答えなかった人に対しては罰則しない、これはアンフェアですから、こういうことについて、これから具体的にどう指導されようと考えていますか。

高木国務大臣 当然のことながら、服務規定は遵守されなきゃなりませんし、法をきちっと守っていくという中で教育活動をされることは当然です。

 私としましては、各都道府県教育委員会の指導について、これからもしかるべき助言、指導を行っていきたいと思います。

下村委員 大臣、余りごまかしちゃだめですよ。ごまかしでしょう。各都道府県に対してどう指導するのかなんて聞いていないですよ。北海道の道教委、市教委に対して、この問題についてどう調査するんですか、どう指導するんですかと聞いているのであって、全国の都道府県に対して、満遍なくこうしろああしろという話について、質問なんか全然していないですよ。答弁に対しては、もっときちっと誠実に答えていただきたいと思います。

 これは重要なテーマですから、今後も引き続きさせていただきますが、もう時間がオーバーいたしましたので、馳委員にバトンタッチをしたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、馳浩君。

馳委員 下村委員の質問を受けて、また、大臣の冒頭の、高校無償化法、朝鮮学校に対して支援金を拠出するかしないか、省令に基づく判断基準、これについてまず質問をさせていただきますが、改めて伺います。留意事項に法的権限はありますか、ありませんか。

高木国務大臣 規程として省令で定めますから、これはあると。

馳委員 留意事項に法的権限があると明言をされました。

 そこで、先ほど大臣は答弁の中で、改善を促す仕組みになっているとおっしゃいました。改善に従わなかった場合には、権限に基づいて支給をしますか、しませんか。それ以前の問題ですね。改善を守るように命令できますか。

高木国務大臣 そのように、先ほども申し上げましたように、私立学校法等の規定の中に、そのような自主性を侵害することはできません。私たちとしては、あくまでもそのような要請をしていきたいと思っております。

馳委員 答弁になっていませんね。改善を促す。改善に従わなかった場合には命令をしますか。指導できますか。勧告できますか。だから私は、法的権限が留意事項にあるかないかということを最初に聞いたんですよ。

 改善に従わない場合に、指導できますか、勧告できますか、命令できますか。そして、改善に従わなかった場合には支給をしませんということで私は判断してよろしいですか。

鈴木(寛)副大臣 委員もよく御承知だと思いますが、我が国の私立学校法は、私立学校並びに各種学校、専修学校等に対しまして一般的な行政指導権限は有しておりますが、教育内容の変更等は命ずることができません。したがいまして、指導助言という意味で申し上げると、一般的な指導助言ということになります。

 しかしながら、指定の取り消し要件に該当する事案があった場合には、指定の取り消しはできますということでございます。

馳委員 それもまた大変なことになるんですよね。拠出をしました、こういう事情で指定を取り消しました。これはまた大きな社会的な問題になると私は思いますよ。だから、その前に明確に規定ぶりを確認しておかないと、改善を促しても、朝鮮学校が命令じゃないから従いませんと言ったときにそれ以上言えないじゃないですかということなんですよ。

    〔委員長退席、高井(美)委員長代理着席〕

 教育は、イコール内容そのものです。もちろん、自主的な教育の自由性というものが担保されなければいけないことは言うまでもありませんが、我が国においてこれは初めて文部科学省が、ダイレクトに支援金の拠出について朝鮮学校に対して権限を持つことになるんですよ。そして、支援金を拠出することについての判断、そのための基準が定められようとしているんです。

 他の外国人学校とか専修学校の規定にないからというふうな言い方は私は通用しないと思うんですね。何でかというと、他の外国人学校は、すべて外交関係を結んでおりますから、日本における外国人学校が当該国においてどういう教育機関としての位置づけがなされているかどうかというのは確認できるんです。朝鮮学校は確認できません。だから、確認できるようにしましょうねというふうにして今日まで議論が続いてきているんですよね。

 そう考えると、今回、我が国において初めてこの朝鮮学校に対して文部科学省がダイレクトに国費を投入する権限を持つ以上は、その教育の内容について改善を促しても命令ができない、こういう状況は放置しておいたまま最終的に決定をしてはならないんではないですか、こういうふうに指摘しているんですね。鈴木さん、お願いします。

    〔高井(美)委員長代理退席、委員長着席〕

鈴木(寛)副大臣 朝鮮高級学校は、我が国の学校教育法に基づく、我が国の制度であります各種学校でありますので、当然に私立学校法の適用を受けます。

 私立学校法におきましては、この私立学校、あるいはそれを準用する各種学校、専修学校の場合であっても、直接教育内容の是正を指導する根拠規定はございません。これは、私立学校であれ各種学校であれ専修学校であれ。

 したがいまして、朝鮮高級学校も、我が国の学校教育法に基づく機関でありますから同法の適用があるということで、教育内容についてはそうした命令なり変更命令というのはできないというのがこれは従前からの文部科学省の解釈でありまして、それを今回変更することはできないというふうに考えております。

 ただ、これも従前のとおり、設置認可取り消しはできますので、そういう意味では、指定取り消しは、これは重大な指定条件違反があった場合にはできますし、それから、今回の検討会議のプラスアルファということで、重大な法令違反があった場合ということを要件として加えましたので、その場合は指定の取り消しということは可能であると。

 こういった、今までの私立学校法体系に準拠したものであるということを御理解をいただきたいと思います。

馳委員 朝鮮高校で使われている教科書の記述を今から読み上げます。

  新たな高い段階に入った朝鮮革命の要求をお見抜きになった敬愛する金正日将軍様におかれては、一九七四年二月十九日に全社会を主体思想化することに関する綱領をお示しなさった。

  全社会を主体思想化するということは、主体思想を指導的指針として、革命を前進させ、主体思想にもとづいて社会主義社会を建設して完成させることをいう。

  つまり、人や経済や文化など社会のあらゆるものを主体思想の要求通りに改造して、社会主義社会の思想的要塞と物質的要塞を占領することをいう。

そのほかにも申し上げます。

 総連は学生を愛国事業の働き手に育てるために教育内容を改善して、一九五六年四月に祖国の教科書と教員用の参考書にもとづいて、教科書も自分たちの力で作った。民族教育発展の要求に応じるために準備された民族幹部や教育関係者を体系的に育てるために、総連は一九五五年九月に朝鮮大学校創立事業を推進することを決定して、この事業を活発に推進した。

 まさしく、特定の政治指導者そして特定の思想教育、その継承者を育成する教育を総連は行う。そして、朝鮮総連と朝鮮高校には密接不可分の関係がございますね。これは、私たちも視察に行って確認をしたということは何度も申し上げております。

 だから私は、鈴木副大臣にその法的な話を聞いていると同時に、こういう、教育イコール内容そのもの、北朝鮮の国家体制、その継承者を育成する教育が朝鮮高校で行われている、明確に教科書にも書かれている、このことを改善を促すような指導の内容として盛り込む可能性はあるんですよ、留意事項の中に入ってまいりますから。でも、留意事項というのは確かにあいまいかもしれませんが、それに基づいて指摘できるし、私たちは今後とも、このままでよいのだろうかということは指摘をし続けます。

 だから、私はこの間も聞いたんですよ。十一月上旬にあなた方は強引にでも決めるんでしょう、内閣として、政府として。それに基づいて申請が上がってくる。審査をされる。審査に基づいて、支援金を拠出するかしないか決めるんですよね。したがって、審査に基づいて拠出をしないということもあり得るんですよ。また、審査の段階で、やりとりをして改善を促すこともできるんですね、先ほどの大臣の表現からすれば。

 大臣、これは重大な問題なんですよ。民主党の党内の議論においてすら、留意事項、注意事項が何項目も付記されております。確認をさせていただきました。心配をしておられますね。

 また、柳田拉致担当大臣は、九月二十二日、拉致被害者家族会との懇談会で、明確に反対の意思、反対の方向、反対とはおっしゃっていませんけれども、その旨はしっかりと高木文部科学大臣に申し上げますと宣言をされておられます。

 こういう状況の中での、まずは、教育であるから教育の問題として文部科学大臣は判断しなければならない。しかし、高木大臣が判断した後は、内閣の中において、柳田大臣も前原外務大臣も仙谷官房長官も、最終的には菅総理も、了解の上で支給するかしないかの決定の手続がとられることになるはずです。

 だから、教育を所管するあなたとして、文部科学省のやはりリーダーとして、私の今の指摘をどのように受けとめて、どのようにお答えになりますかということを聞いているんです。

高木国務大臣 質問の前ですが、先ほど私が留意事項を省令で定めるという答弁をいたしましたが、正しくは、学校を指定する際の通知の中に盛り込むというものでございまして、訂正をさせていただきます。

 その上で、留意事項の趣旨、十分理解を求めるとともに、その実施について改めて私たちは働きかけをしていきたいと思っております。

 なお、今お話しのありましたように、私どもは、検討会議の報告、そしてそれに対する民主党内の議論、あるいは、これまで行われてまいりました衆参国会における議論、あるいはさまざまなメール等での世論のお考え、こういったものを私の方で十分検討しながら、きょう冒頭の、私の基準決定に当たる考え方を私は述べました。したがって、かなり厳しいものになっておる、このように私は認識をしておりますし、なお我々は、そのことについてしっかりしたことができるように、我々としては努力をしていく以外にはないのではないかと思っております。

 あくまでも、私は教育的見地に立って判断をする、これはまさに私が判断することであろう、このように思っております。

馳委員 では、私も訂正しなきゃいけないですね。留意事項に法的権限があるかという質問ではなくて、この通知に法的権限はありますか。

鈴木(寛)副大臣 通知には根拠法に基づく法的権限がございます、法律によって授権されておりますので。

馳委員 何度も申し上げますが、教育の内容を問わないという通知を、省令の基準、そしてまた、それに基づく留意事項を通知するということについて、私はそのことについては明確に反対をいたしたいと思いますし、そうすべきではないと改めて申し上げます。

 そして、もう一回確認しますね。柳田大臣とこの問題でどの程度議論を深められましたか。また、最終的にはこれはやはり菅総理のゴーサインをいただくものだと私は思うんですよ。文部科学大臣だけで勝手に決めましたからというわけではいけないですよね。柳田拉致担当大臣としての意見を聞いて、教育的見地からの判断を高木文部科学大臣はされようとしている。内閣総理大臣に相談をした上で最終的に判断をするという手続でよろしいですか。

高木国務大臣 具体的な教育内容について懸念される事項がある場合には、各学校に伝えて改善を促す仕組みをつくる、このことを、私、冒頭述べましたことにきちっとうたっております。

 最終的には、これは私の責任と権限で規程をつくりたい、このように思っています。

    ―――――――――――――

田中委員長 御発言の前に、この際、お諮りしたいと思います。

 今質疑が続行している本件調査のため、本日、会計検査院事務総局事務総長官房審議官藤田英夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決します。

    ―――――――――――――

田中委員長 どうぞ質問を続行してください。

 馳浩君。

馳委員 大臣、本当に重要な局面に来ているんですよね。つまり、朝鮮高校の立場に立って考えると、改善を促された、それに応じないと支給をされないのかな。当然なんですよ。私たちはそのように判断しているんです、今ほどの答弁を伺って。改善を促した、改善に応じた、だから支給しますという手続がされるのが当然だと思っています、今までの答弁を判断すれば。

 朝鮮高校は、改善を促されて、それに従って、教科書の内容とか指導者の肖像画を外すとか、言われているように、いわゆる教育の政治的中立と反するような行為を改善すればちゃんと支援金は拠出されるんだなと判断してもらえばいいんですよ。

 この私の理解でよろしいですか。

高木国務大臣 今、当面ここで御議論をいただいておりますことは、指定するかしないかの基準をまずつくらなきゃなりません。その基準づくりを、私は、これまでの議論を踏まえて、先ほど冒頭示しました考え方で最終的に取りまとめる。したがって、それを受けていわゆるそういうことについて申請があるかないか、これはまだ今からの段階でございますので、今、そのことをもってどうこう言う段階ではないのではないかと思う。

 懸念のことについては、それがないように我々としては改善を促す、こういうことも、改めて冒頭の私の基本的な考え方に盛り込んでおりますことは御承知いただきたいと思います。

馳委員 さすが、高木さんは国対委員長や議運の筆頭理事を長らくやっておられたから、論点をはぐらかすのが得意ですよね。

 今、私は聞いたんですよ。朝鮮高校の立場に立って見てくださいよと私は言っているんです。改善を促された、それに従わなければ支援金をもらえない、彼らはそのように判断するか、あるいは、改善を促されたって、はいはいと右の耳から左の耳へ聞き流しておけばまあそれでいいや、外形的な基準で決まっているんだから、それに従っているんだから出しなさいよ、こういうふうな対応をすることもできるんですね。だから聞いているんですよ。

 高木大臣、もう一度答弁をお願いします。

高木国務大臣 委員御指摘のとおり、今回の規程づくりについては、教材の内容を含め留意事項がある場合、それを学校に私たちはお伝えをします。そして、必要に応じ、その留意事項の履行状況の報告を求める、このようなことを今私は考えております。

馳委員 留意事項の報告状況を求めて、そしてさらに改善を促すこともあるし、こういうふうな対応をして、判断基準、何度も言いますけれども、私はそこに教育内容を盛り込むべきだと思っておりますが、一歩譲ったとしても、先ほどからおっしゃるように、教材の内容等についても改善を促すことはできるわけですから、それについての改善の方向をお示しになった、そういうふうなやりとりの中で最終的に拠出されると判断していいんですね。

高木国務大臣 委員御指摘のとおり、指定に際しましては、まず一つ、留意事項があると認めるときはそれを通知いたします。留意事項及びその履行の状況を確認するために、必要と認めるときは報告を求めます。この規程を定めることを考えておるということでございます。

馳委員 議論が煮詰まってきましたね。最終的には、その規程を文部科学委員会にお出しくださいますね。

高木国務大臣 時期は別にしましても、これは早く決めなきゃなりません。その考え方は、本日、まさに委員長の指示を受けまして私が申し上げたとおりでございますので、そういうことで御理解をいただきたい。

馳委員 私は最終的にという誘導尋問をしたつもりなんですけれども、さすがに高木さんはよく理解されましたですね。時期はいずれにせよというのはだめなんですよ。決める前に出さないと、国会審議を参考にして出すか出さないか決めるという今までの大臣答弁とそごが出るんですよ。だから田中委員長も、この間もしつこく、またきょうも、委員長の指示に従ってあなたはきょうの委員会開会冒頭に答弁されたじゃないですか、判断基準について。決める前に出さなければ、それはまさしくあなたの態度として不誠実ですよと言わなきゃならないんですね。

 委員長はどう思われますか、私の指摘は。

田中委員長 私は答える立場ではありませんので、答弁は高木文部科学大臣から。

高木国務大臣 基準はいつごろ決定するのかということも含めてお答え申し上げますが、この基準については、もう何度も申し上げましたとおり、八月三十日に検討部会から報告をいただきました。翌三十一日には検討会議報告を公表しております。別に、これをとにかくブラックボックスにしまっておることではないんです。この辺は御理解いただきたい。

 したがって、今日まで約二カ月、国会での議論あるいは国民の皆様方の御意見、こういうものを私はいただいております。また、各党の部会においても検討会議報告については御説明させていただいた、御意見をいただいたと私は承知をいたしております。

 何月何日にどうのこうのは言いません。言いませんが、こういう議論を踏まえて、文部科学大臣の仕事として、あるいは権限として早急に私は決める覚悟です。

馳委員 いや、答えていないんですよ。決める前に委員会にお出しくださいますね。その確認をしているんですよ。いかがですか。決める前に、判断基準について委員会に資料を文書としてお出しになりますね。

高木国務大臣 これは、まさに私の権限においてしっかり対応します。

馳委員 答弁になっておりませんね。あなたが決める前に委員会にお出しになりますね。もう一度お聞きします。

高木国務大臣 国会にお諮りする、まさにきょうはこの国会の場です。これまでいろいろ御議論が出て、一昨日もこの委員会でもございましたし、先週には参議院の文教科学委員会でも御議論がございました。そういうものを受けて私がここで示しましたので、まさにこれを踏まえての議論も行われておる、このように思っています。最終的には私の権限と責任で決めるものだと承知をしています。

馳委員 答弁になっていないですね。

 もう一度、朝鮮学校の立場を言います。改善を促された、この改善の促されたものにどう対応したらいいんだろうかという不安を彼らは持っています、どこまでの改善にこたえれば拠出金を受けることができるのかどうか。そういうことを考えてあげてくださいと私は大臣に言っているんですよ。

 そしてまた、オープンに議論するのは衆参のこの委員会の場なんですよ。だから、あなたが決める前にこの委員会の場に出して、それが妥当かどうかということも審議に資するように努力をしなさいよと、私はこういう指摘をしているんですよね。そういう努力をすることが、あなたの先ほどからの責任を果たすということではないんですか。

 もう一度求めます。

高木国務大臣 このような努力をしておりますから、これまでも各閉会中も含めてこういう御議論があり、そしてまた、委員も堂々と御意見を述べられております。これがまさに国会審議ではないかと私は思っております。

馳委員 決定をする前に委員会にお出しください。そして、そのことを田中委員長に求めたいと思います。理事会で協議をしてください。

高木国務大臣 今御指摘の件が、きょう私が冒頭、細部にわたりまして考え方を明らかにいたしました。まさにこれに尽きます。

馳委員 言葉で述べただけで、また、きょうの委員会審議のこの深まりも踏まえて最終的にまたどう判断するかということなんですよ。先ほどからあなたもそう言っているじゃないですか。だから、最終的に決める前にちゃんとした文書を委員会に提出してくださいと。私はそんなに無理難題を言っているつもりはないんですよ。

 高木大臣、もう一度答弁を求めます。

高木国務大臣 したがって私は、一昨日の委員長の指示によって早急にまとめたのがきょうの報告です。

 したがって、馳委員もこれについては賛否の立場の中で御議論をされておりますので、私はそのことも十分承知をいたしております。それぞれに御意見があるもの、これは、前々からわかった中での検討委員会の設置、そしてまた国会の議論であろう、ここまで来た経過だと私は思っております。

 したがって、皆さん方の前で堂々と、最終的にまとめる方針を私がきょう皆さん方にお示しをしたということでございます。

馳委員 改善を促す仕組みに従わなくてもよいんですか、絶対に従わなければいけないんですか、朝鮮高校の立場に立って考えてあげてくださいと私は再々言っていますね。私の問いにもう一度お答えください。

 改善を促す仕組みはあるんですよ。改善を促すことができるんですよ、皆さんは。それに従わなくても支給されるんですか、絶対に従わなければならないんですか。その判断はあなたたちにゆだねられているんですね。どうですか。

高木国務大臣 私たちはあくまでも改善を促す、その努力を大いにさせていただきます。

 ただ、取り消し規定等もございまして、この件については、私の判断でこれを決めさせていただきたい。

馳委員 取り消し規定、重大な法令違反等、先ほどちょっと早口で申されましたが、私は何度も申しますが、教育内容というものについて十分な判断をされないと歴史に禍根を残すことになりますよということを改めて申し上げます。

 そして、先ほどからの私の質問に答えていない部分が一つあって、柳田大臣と今までどの程度議論をされましたか。私、実はきょうこの後、午後一時から法務委員会で柳田大臣に質問することになっているんですよ。そのときに確認します。

 今、高木大臣は、これまで柳田拉致担当大臣とこの件についてどの程度議論をし、どういうふうに説得をするか、説得をされたか、議論が平行線か、そのことをお示しください。

高木国務大臣 以前、マスコミの、柳田大臣が私にこういう話を立ち話ではしたという報道もございました。私は、この種問題は立ち話で済むことではない。きちっと会って柳田大臣とも話をし、私が今進めておる、また検討しておることについて説明をいたしまして理解を求めました。

馳委員 理解を求めたら、柳田大臣はどのようにおっしゃいましたか。

高木国務大臣 この件につきましては、御承知のとおりです。

 どう言ったかというのは、この前の衆議院の予算委員会、下村委員の質問に対して柳田議員は、すべては割愛しますけれども、なお、現在、党の政調会で本件に関する議論を行っていると聞いています、いずれにしても、最終的には文部科学大臣が適切に判断されるものと思っております、こういうふうに明確に答えておるんです。

馳委員 最終的に決定をした高木大臣の決定を、この委員会に文書としていつお示しになりますか。そして、その確認を今委員長にも求めたいと思います。ぜひ下村筆頭や高井筆頭に、この件について今確認をしてください。

田中委員長 この件につきましては、また理事会で協議をいたします。よろしいですか。(馳委員「だめです、今です」と呼ぶ)

 ちょっと速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 馳浩君。

馳委員 もう一度言いますね。

 省令に基づく判断基準、通知を含めて、大臣はこの委員会にいつ提出をしてくださいますか。そして、今までの審議を含めれば、この委員会に出して、審議を踏まえて最終的にさらにその判断を私たちは求めなければいけないんですね。いつでしょうか。

高木国務大臣 私としましては、これまでのさまざまな御議論を踏まえて、最終的に考え方をまとめたのがきょうお示しした内容でございます。改めてもう一回私の方から述べさせていただきます……(馳委員「そんなことは要りません、さっきそれは聞いていますから」と呼ぶ)いいですか。

 したがって、きょう、これが最終的でございますので、改めてこの場で出すことは考えておりません。そして、できるだけ早くこれを審査基準について規程として発表したい、このように思っています。

馳委員 そうすると、余りにも不親切だと私は指摘をいたします。

 委員会審議に資する場合には、やはり事前にいただいて吟味をして、こういう論点についてはどうですかというふうに事前質問通告をして、また丁寧な答弁をいただくというのが委員会の運営なんですよ。委員長の求めに応じて最初口頭で述べられただけで、私も汚い字で一生懸命メモしましたよ、全部書き取れませんでした。それに従って今質問していて、私の理解のできる答弁が得られていないんですよ。

 私は、審議をいたずらにあさってまで引き延ばすとか、そういうことを言っているんじゃないんですよ。審議に資するような丁寧なやり方を文部科学省はした方がいいですよということを今言っているんですよ。

 したがって、もう一度言います。文書としてこの委員会に、あなたが最終的にお決めになる省令、方針、通知、先ほどから言えば、大臣決定すると言っていた判断基準、手続、フォローアップの仕方、取り消し規定、こういったことを文書として出してください。

高木国務大臣 ことしのこの法案の審議の状況は、私以上に皆様方がよく御存じでございます。その制定された法律に基づいて省令を定める、そして、または省令の中で、今、審査基準を含めた規程を私の責任でつくることは、むしろ法律の中で規定されたことでございます。

 したがって、私は改めて申し上げませんけれども、これは、八月三十日、既に公開をされた資料でございまして、この間、もちろんこれは文部科学省としては、鈴木副大臣が記者会見で発表し、そして公開をされておりますよ。その後、二カ月にわたる国民的な議論があったと私は思っています。私たちもそう受けております。

 したがって、先ほど申し上げましたように、私としては、法令に従って私がその規程について決めさせていただく、そして早い時期に発表をさせていただく、このようなことでございます。

馳委員 高木さんらしくないですね。田中委員長の再三の求め、そして民主党の高井筆頭理事の努力、また下村理事からの指摘、これに基づいて、ようやくきょうの冒頭にあなたは口頭でその最終的な文部科学省としての考えをお述べになったんです。私たちはそれをメモして、もしかしたら不正確かもしれませんが、それに基づいて今審議をしているんです。

 あなたが読んでいるメモを事前に理事会に提出すればそれでよかったんですよ。何でそんな大事なことまで手続を恐れているんですか。そのことを私は言っているんですよ。田中委員長もこれは理解しておられるんですよ。

 文書として出してください。最終的な方針を委員会にお示しください。それに従ってあなたはさっき述べたんでしょう、文書を出しなさいよということなんですよ。丁寧にやってくださいよ。委員長、改めて求めます。

 今、あなたはもう最終的な文部科学大臣としての考えだとおっしゃった。(高木国務大臣「委員長」と呼ぶ)私はまだあなたを指名していません。下村筆頭理事にも高井理事にも改めてお願い申し上げますが、委員会にやはり文書として提出をしてくださいよ。このまま私たちが不正確な状況で質疑を続けるということは、委員会に対して、やはり政府の姿勢としてはいかがなものかと思いますよ。ちょっとこれを協議してください。(発言する者あり)

田中委員長 今、大臣が発言しますから。

高木国務大臣 御指摘のように、丁寧に行いなさいという、まさにそれを受けて我々はここまで二カ月、この間、それぞれの議論の場でやってきたんですよ。別に慌ててどうのこうのという話じゃ全くございません。

 こういう、二カ月間議論をかけて皆さん方にお示しをして、そしていろいろな賛否の両論がありました。早くしろという意見も国会で出ております。しかし、私たちはそれはそれとして受けとめて、そして最終的に、急がなきゃなりません、十一月の上旬と言っていましたけれども、私は、国会の議論を踏まえて、きょうここで急遽こういうことで取りまとめさせていただきましたよ。

 したがって、それでひとつ御理解をいただきたい。(馳委員「委員長、速記をとめてください」と呼ぶ)

田中委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

田中委員長 速記を起こしてください。

 高木大臣からまず発言をお願いいたします。高木文部科学大臣。

高木国務大臣 改めて私の方から申し上げます。

 一昨日の本委員会における議論並びにこれまで衆参両院における議論などを踏まえ、各種学校である外国人学校のうち、高等学校の課程に類する課程を置くものの指定に関する基準等を含む規程について、次のように決めたいと考えております。

 各種学校である外国人学校のうち、高等学校の課程に類する課程を置くものの指定に関しては、指定に当たって、満たすべき基準、指定の際の手続、審査方法、指定後のフォローアップの方法等について、文部科学省令に基づく大臣決定で規程を定めることを考えております。

 まず、指定教育施設の基準については、専修学校高等課程の基準をベースに、具体的には次のような内容です。

 第一に、修業年限等について、三年以上の修業年限や一年間に八百時間以上の授業時数、生徒数に応じた一定数以上の教員数や施設面積などを求めること。

 第二に、授業科目について、中学校の教育の基礎の上に、高度な普通教育に類する教育を施すにふさわしい授業科目の開設を求めること。

 第三に、情報の提供等について、自己評価の実施と公表、学校運営の状況に関する情報の積極的な提供、財産目録等の備えつけ及び閲覧等が適正に行われることを求めること。

 第四に、適正な学校運営について、就学支援金の授業料債権の弁済への確実な充当など、法令に基づき学校の運営を適正に行うことを求めること。

 次に、指定手続等については、次のような内容です。

 第一に、指定の申請について、指定を受けようとする外国人学校は、年間指導計画や財務関係書類などの必要な書類を添えて文部科学大臣に申請することを定めること。また、申請書類として、学校の概要、学則、学級編制表、年間指導計画など、検討会議報告に審査資料として掲げられている書類の提出を求めること。また、これらの書類のほか、文部科学大臣が必要と認める書類の提出を求めること。

 第二に、意見の聴取について、文部科学大臣は、指定を行うに当たっては、あらかじめ専門家で構成される会議で意見を聞いた上で、申請された学校が指定基準を満たしているかどうかを判断し、指定を行うこととすること。

 次に、指定後のフォローアップの方法については次のような内容です。

 第一に、定期的な書類の提出等について、文部科学大臣は、毎年度申請の際に、学校が提出した書類及び就学支援金が生徒の授業料債権の弁済に充当されていることが確認できる書類の提出を求めること。また、このほか必要と認める書類の提出または報告を求めることができること。

 なお、書類の提出については、検討会議報告の内容に加え、財務関係書類だけではなく、すべての書類について毎年度提出を求めることとし、さらに、就学支援金が生徒の授業料債権の弁済に充当されていることが確認できる書類の提出を求めることにします。

 第二に、指定の取り消しについて、文部科学大臣は、指定の基準に適合しなくなったとき、重大な法令違反があったとき、正当な理由なく書類を提出しないときには指定を取り消すこと。

 なお、検討会議報告には示されていませんが、重大な法令違反があったときを取り消しの要件として加えることとします。

 最後に、留意事項及びその履行の状況の確認について、文部科学大臣は、留意事項があると認めるときはそれを通知すること。また、その履行の状況を確認するため、必要と認めるときは報告を求めること。

 以上が、私が現在考えている規程案の概要であります。

 したがって、この法律の決定に従い、まさに省令事項、私文部科学大臣の責任において発表し、国民の皆様に明らかにすることにしたいと思っております。

馳委員 あなたは本当にいつまでも国会対策委員長のつもりでいたら困りますよ。大臣なんですよ。注意しておきます。

 今、あなたがしゃべっていた五分間で、私の質問の貴重な時間を奪ってしまったんですよ。けさ、素直に理事会にその書類を出しておけば、私たちもそんなにばかじゃありませんから、委員会中に自分の質問をするまでに吟味をして、さらに深めた質問をすることができたんですよ。

 今後、そうやって与野党の駆け引きをするみたいなことはしないで、委員長の指示に従って、審議に資するものは協力する姿勢を政府として持つように注意をして、この問題については、さらにこれは党としても、やはりこのような教育内容が全く問われないような仕組みではいかぬなということで対応することにいたしますので、私の質問におけるこの問題はここまでにしておきたいと思います。

 会計検査院が来ておりますので、北教組の問題で質問したいと思います。

 主任手当拠出金、これはマネーロンダリングの疑いがあるんじゃないんですか。国費の不正支出という疑いがありますね。会計検査院の見解を伺いたいと思います。お願いします。

藤田会計検査院当局者 お答えいたします。

 主任手当は、条例等に基づきまして、校長が作成する特殊勤務手当、教育業務連絡指導手当支給実績簿に記載された額が、翌月の給与支給日に給与等と一緒に支給されております。

 北海道では、事務の効率化を図るため、給与の支給につきましては、そのほとんどが銀行振り込みによる直接支給となっておりまして、主任手当につきましても、その全額が当該教職員に支払われていると思料されます。

 したがいまして、主任手当は教職員に対してその全額が直接かつ確実に支給されていると考えられまして、この時点で公金性が失われている。そして、その後の北海道教職員組合員の主任手当の拠出は、資金の使途の問題でありまして、本院の検査対象からは外れることになると思料されます。

馳委員 先般の北海道教育委員会の勤務実態調査で、いまだにその主任手当拠出はしているんですね。これは明らかになりました。文部科学省もその実態を把握していると思います。

 そしてこれは、会計検査院の方、よく聞いておいてくださいね。日教組の書いた「教職員の権利相談」というこの著書の中にもあるんです。手当拠出の同意書を書かせて、それをまず集約して、いわゆる機械的にシステマチックに吸い上げているんですよ、教職員組合の方で。日教組の著書「教職員の権利相談」、こういう本の中にこういう仕組みまで具体的にされているそうでありまして、驚きますよね。

 そして北海道教職員組合は、勤務実態調査を調べたら、いまだに拠出していますというんですよ。積み上がっているんですよ。だから私は、マネーロンダリングという余り使いたくない言葉ですけれども、システマチックに公金が同意書を間に挟んで右から左へ流されているんですね。

 この実態が明らかになっていながら、それでも、国庫支出されたお金、私金だから、それ以降は私たちは知らぬ存ぜぬでありますというふうにおっしゃいますか。

藤田会計検査院当局者 主任手当につきましても、先生の御意見を踏まえ、会計検査の対象となるかどうかにつきましてしっかりと検討してまいりたいと思います。

馳委員 これは重大な答弁ですね。私も今指摘しました。システマチックにと言っていいんですかね、システム化されて、同意書に基づいて支払われているんですよ。いまだに続いているんですね。

 また、今回の小林千代美さんのあの事件においても、ではあの千六百万円の違法政治献金はもともとどのお金だったのかということはわかっていないんです。なぜかといえば、家宅捜索をしても、北教組は隠ぺいしたんでしょうね、見つかっていないんですよ。そしてそれ以上追及できないというこういうことがあって、法的権限の中で文部科学省もそれを調べることができないとのうのうとおっしゃっていて、こういう指摘を私や下村さんがしていたら、私たちは、組織破壊攻撃をする馳浩と呼び捨てにされているのが現状なんですね。

 これはどう考えても会計検査院の皆さん、ここまで物事が明らかになっていて、拠出された後は私金ですから私たちは関与できませんということを言ってはならないと私は思うんですね。

 もう一度、会計検査院の決意をお述べください。

藤田会計検査院当局者 会計検査院に与えられました権限を十二分に行使して、検査を実施してまいりたいというふうに考えております。

馳委員 私の質問時間はあとどのぐらいあるのかな。ちょっと口当たりが悪くなってきたので、少し地元の宣伝をさせていただきますよ。

 実はきのう、私のふるさと石川県では、「武士の家計簿」という映画の完成披露試写会というのが行われたんですね。ふるさと教育の一環です。侍物のドラマというと、切った張ったのチャンバラが随分メーンではありますが、一切そういうものはありません。幕末、明治維新のころ、加賀藩のそろばん役が、藩の財政を立て直すために、まず自分自身が倹約をしたその家庭のあり方、これは、磯田さんという方が、茨城大学准教授だったかな、この方が本を書かれた。「武士の家計簿」、それを映画化したんですね。

 ここに、きのうの完成披露試写会を見た方々、こういうふうに述べておられる新聞記事、地元の北国新聞の記事をちょっと読みます。「見えを張ることをやめて実を取り、身の丈にあった生活をした。現状と向き合い、物事を計画的に進めることの大切さは現代社会にも通じる」「「ふるさと自慢」となる」「先の見えない幕末維新の時代に、武士として自らができることを考え、行動に責任を持った姿がかっこいい」。

 この映画をプロデュースされたエグゼクティブプロデューサーというのは、飛田秀一北国新聞社社長なんですね。まさしく地元の民間企業の一新聞社ではありますが、偉人というわけでは多分ないと思うんですよ、加賀藩の一そろばん役の人生を、その家計簿、帳簿をもとにして本を書いて、その本をもとにシナリオが練り上げられてこういうふうに映画という文化に昇華したということなんですね。

 私は愛国心というものをこぶしを振り上げて大上段から論じる人間ではありませんが、まさしく自分の生まれたふるさとに対する愛情というものを涵養していく姿勢というものが、大臣、やはり文部科学大臣として求められる私は資質なのではないかと思いますよ。あとまだちょっとありますから、ふるさとはどこでしたっけ、長崎でよかったんでしたっけ、もしふるさとの自慢も含めておっしゃりたいことがあるならば。

 まさしくそうなんですよ。教育基本法に基づいてやっていこうと当時私たちがねらったことは、当時の自民党も公明党も、私は当時副大臣としてさせていただきましたが、ふるさと自慢のできる子供たち、ふるさとがいかに歴史的な経緯をもって今日があるかということに感謝できるような教育、それをいかに現場において市町村の教育委員会が適切に行っていくか、それを支えるのがやはり国の責任ではないか、こういう理念であったわけですよね。

 大臣いかがですか、この私の、今のはちょっと紹介ではありますが。

高木国務大臣 御指摘の加賀藩のお話でございまして、私も神妙に承りました。見えを張らずにと、本当に私も考えさせられることでございますが、私としては、やはり国づくりは人づくり、人づくりは国づくり、こういう思いであります。社会の構成員として最低限の責任や義務を果たす、こういうことをそれぞれに習得をする、そういう社会人の形成を図ることが何より大事だと思っております。

 人間形成、これが教育の大きな役割だと思っておりますから、しっかり我々みずからがさらに精進をしなきゃならぬ、このように思っています。

馳委員 改めて、いつまでも国対委員長じゃないんですから、切った張ったじゃなくて、大臣としての姿勢を今後とも委員会に対してお示しをいただきたいとお願いを申し上げます。

 本当に最後に私、前国会で委員長提案の法案として成立をしたPTA・青少年教育団体共済法案についての心配事が関係団体から寄せられておりますので、確認の質問をさせていただきます。

 まず一つ、この法案に基づく共済事業は平成二十三年四月一日から開始できます。この共済事業の認可を受ける前に生じた事故について認可後に共済金の申請が上がってきた場合は、その請求について円滑に審査、支払いが継続をしてなされると考えてよいのでしょうか。お伺いします。

鈴木(寛)副大臣 今、政省令の整備を行っておりますけれども、委員の御指摘についても、事故の発生が共済事業の認可の前か後かにかかわらず、円滑に必要な共済金を支払うことができるよう、その手続について検討を進めてまいりたいと考えております。

馳委員 関連して、認可を受ける前に生じた事故について、一部の共済金が認可前に支払われた場合、認可後に残りの共済金は確実に支払われると考えてよいのでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 必要な共済金が確実に支払われますようにすることは、契約者保護の観点から当然に必要なことでございますので、PTA等におきます共済金の支払いについても、支障のないように手当てをしてまいりたいと考えております。

馳委員 終わります。

田中委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。あべ俊子君。

あべ委員 自由民主党、あべ俊子でございます。このように質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 午前中に大臣からお話がございました。口頭でありましたそのお話に対しまして速記録が出てまいりました。そうした中におきまして、各種学校である外国人学校の高等学校の課程に類する課程を置くものの指定に関する基準等を含む規程について、「次のように決めたいと考えております。」というお話の御説明がございました。

 これは、次のように決めたいと考えているということで、最終的な結論ではないという理解でよろしいでしょうか。

高木国務大臣 これまでのさまざまな御議論を踏まえて、時期も時期ですから、私としては、もうほぼ最終的な考え方だ、こういうことでございます。

あべ委員 大臣の御説明の最後のところで、「以上が、私が現在考えている規程案の概要でございます。」というお話がございました。最終であるとは言っていないし、今回は外国人の高校無償化の問題に関しての集中審議ということでございますから、これで結論というのは余りにも誠実さに欠けるのではないでしょうか。

 大臣、これに関して委員会の質問時間をしっかりと置いていただくのが筋ではないでしょうか。

高木国務大臣 先ほどからの午前中の御議論もありました。法律が制定されたのはさきの通常国会でございまして、四月一日からその法は発効しておるわけでございまして、朝鮮学校の指定について、これが今後の課題となっておりました。

 この件につきましては、文部科学省に検討会議を設けて、鋭意検討を進めておられました。その結論がこのような「高等学校の課程に類する課程を置く外国人学校の指定に関する基準等について」、この報告がまとまっております。八月三十日に鈴木寛副大臣から記者会見をして以来、閉会中の審査を含めて多くの御議論をいただいております。

 私としては、一昨日の本院のこの委員会、あるいはそれまでの衆参の両院の委員会等の意見を踏まえて、当初は、十一月上旬と基準決定の一つのめどを私はお示ししておりましたけれども、御議論の中で、早くこのことについて決めた方がいいという意見もございましたので、私としては、今回の委員会にそのようなほぼ最終的な考え方をお示ししたということでございます。

あべ委員 これはすなわち最終で、この概要案というふうに言われているものは最終決定であるから、ここの委員会では幾ら議論しても全く動かない結論であるというふうな理解でよろしいでしょうか。

高木国務大臣 国会議論は貴重な場でございまして、私たちはそれを尊重しなきゃならぬと思っております。

 そういう議論を尊重して、最終的には省令でその規程を定める、こういうことで、法律に基づいて私の権限として私が最終的には決める、こういうことになるわけです。

あべ委員 大臣、文部科学大臣にしては日本語がおかしいです。

 先ほど最終結論だと言いながら、委員会の意見は尊重して最終的に自分が決める。最終結論が出たんですか、出ないんですか。この委員会は、この高校の無償化についてこれ以上議論しても無駄なんですか、無駄じゃないんですか。これは最終結論ですか、改正する余地があるのか。それをお答えください。

高木国務大臣 ほぼ私としては最終結論だと考えておりますが、今も意見がございます、あるいは、これからもまた御議論があるかと思います。そういうことも最終的に含めなきゃならぬ、このように思っております。

あべ委員 最終でありながら委員会の意見も尊重するということでございましたが、最終でありながら委員会の意見を尊重するのであれば、これが紙で出てきたこの時間を軸にして、私は委員会のこの集中審議をしっかりと求めるべきだというふうに思います。

 それに対して、やはり委員長、これは、ここのいわゆる集中審議をしていくことに対しまして、この紙が今しか出てこなかった。結論だと朝言ったのに、委員会を尊重しながらと日本語が全く矛盾していることに対してしっかりと議論いただきたいと思います。

 委員長、これは、審議時間を私はこれに対してしっかりと時間を持つことを要求いたします。

田中委員長 発言者あべ俊子さんに申し上げますけれども、感情的にならずに、今までにるる議論があって意見の交換がありましたので、それを踏まえて、大臣の意見を尊重してお聞きください。

あべ委員 では大臣、最終結論に対して委員会の意見も尊重してくださるということでございました。私が特にこの中で気になりましたのは、問題に対しまして、指導内容、さまざまなことを要求されていることが今回高校無償化の対象となる外国人学校から出てこなかったときにはどのように対応されますか。

高木国務大臣 仮の議論でございます。私どもはそのときに、最終報告といいますか、私が述べましたきょうの考え方、これに立ってそのときに判断をしていきたいと思っております。

あべ委員 その判断は大臣の判断だという理解でよろしいでしょうか。

高木国務大臣 そのとおりでございます。

あべ委員 これまで菅内閣におきまして、政治主導と言われながらだれが責任をとるのかわからない、いざとなったら政治主導が隠れみのになって変なところに行ってしまうことがないように、文部科学大臣、資源のない日本のやはり根本は、私は教育であると思います。この文部科学大臣の態度は本当に大きくさまざまな影響があると思っておりますので、この外国人の問題に関しましても、大臣がしっかりとこれに対して結論もまた判断も責任を持つというふうにお誓いの言葉をぜひともいただきたいと思います。

高木国務大臣 さまざまな御意見を踏まえて、最終的に私が決めさせていただきます。

あべ委員 はい、ありがとうございます。

 次の問題に移らせていただきますが、就職問題に関してでございます。特にこの就職問題、高校の無償化の問題も非常に大きな問題でございますが、今回の集中審議の中には若者の就業問題も入っているところであります。

 そうした中にありまして、卒業後の三年以内の新卒者扱い、これは本当に大きな福音である、若い方々にとってはそういうものであると私は思っております。

 特に、四年制大学を卒業しても就職率が六〇・八%、さらには、大学を卒業しても進学も就職もしていない人が本当にこの数で言うと八万七千人という中にありまして、人生一発勝負、新卒でないと仕事がなかなかなかったということに関しまして、三年間の新卒者扱いということに対して九月十日に閣議決定されたこの新成長戦略に向けた三段構えの経済対策、これを大臣はどのように具体的に進めていくのか、私はぜひ知りたいと思っておりますが、大臣、一言でお答えください。

高木国務大臣 御指摘のように、昨今の厳しい経済環境の中で、大学生、もちろん高校生もそうですが、就職が厳しいことは私も認識をしておりまして、また、このことが大きな課題であることは言うまでもありません。

 大学教育においても、職業人としてあるいは社会人としての自立する力、あるいは就業力を高めること、これが何よりも必要だと思っておりまして、成長戦略の大きな礎がまさに人材の育成であろう、こういうことを私は考えております。

 特にこの経済環境においては、我々としては、まずは今の円高、デフレ、こういった経済環境を少しでも立て直す、まさに政策の実行が大事であります。したがって、一段構え、二段構え、三段構え、こういうことで今国会におきましても補正予算等の審議をいただいて、こういったものの成立を含めて景気対策を進めていく、これがまず何よりも大切だろうと思っております。

 その上で、企業に対しましても、産業、経済界に対しましても、今の大学生の就職、採用の実情を見ますと、本来の学業がしづらくなるような、特に、三年生になりますと就職活動、採用活動が始まっておる、こういうことについては私たちは問題と考えております。したがって、私もせんだって、企業関係者、経済界の皆さん方とも意見交換をする場を持ちました。経済界としてもそういう認識には変わりないと。

 また、大学においても、まず、大学の皆さん方の学力そして就業力、これについて今我々は大きく支援をしておる、こういうことでございます。

あべ委員 本日は、今回の質問に関しまして、労働関係の厚生労働省の参考人の方もいらしていると聞いております。

 本当にこの景気の悪いときに就職ができない、人生一発勝負が三年間の拡大になったということは非常にありがたいことでございますが、さらに今回、現政権、与党が重点法案として出している派遣法の改正法案、これは私は雇用に大きな影響を及ぼしていくと思いますが、参考人の方でございますので、これは何万人に影響を及ぼすか教えていただけますか。

生田政府参考人 ちょっと今手元に数字を持ち合わせておりませんけれども、大体三十万人弱の方が、製造業務の原則禁止それから登録型派遣の原則禁止につきまして影響があると思っておりますが、ただ、この法案につきましては、施行時期につきまして、基本的にその二つの部分につきましては三年後ということにいたしておりまして、その間にできるだけ派遣先に直接雇用されることですとか、あるいは派遣元でできるだけ安定した雇用になるように支援策を講じていって、雇用の安定が確保できるようにしていきたいというふうに考えてございます。

あべ委員 私、前回厚生労働委員会で質問したときは二十七万人ということでございました。

 本当に、大臣も非常にお親しい労働組合の方々が自分たちの正規雇用をしっかり守りたいと思われて今回も出された法案だと思っておりますが、それに反しましてパート、アルバイトがふえてしまっている。なおかつ、雇用の柔軟性ということに関しては企業が本当に懸念をしている部分でございまして、労働者栄えて国滅びるということにならないように、景気回復、新卒の雇用の受け皿をまずつくっていくことが大切でございまして、セーフティーネットのあり方以前に、その雇用口をしっかり確保するためには、一体この日本のために何をしなきゃいけないかということは大臣にしっかりとお考えをいただきたいというふうに思います。

 次に、障害を持つ子供たちに対しての質問に移らせていただきます。

 特別支援学級の学級編制の標準についてでございますが、今回、平成二十二年の七月二十六日、中央教育審議会初等中等教育分科会で、「今後の学級編制及び教職員定数の改善について」という中で、小中学校は八名ということが出てまいりました。

 特別支援学級、在籍者数が本当にふえております。そうした中におきまして、この小中学校は八名という定数が本当に全国に及ぼしている影響は大きいと言われておりますが、大臣、この影響に関してお聞きになったことはございますか。

高木国務大臣 最近の動向として、そのように承知をいたしております。

あべ委員 現在、小学校は十万一千十八人が特別支援学級にいる、中学校は四万四千四百十一人がいるということでございますが、今、その特別支援学級に約十五万人が在籍する中、五万人が通級指導を受けているということであります。

 それで、軽度発達障害の子供たちがふえていると言われていますが、子供たち全体で何%ぐらいいると大臣お考えですか。

高木国務大臣 今、はっきりした数字は持ち合わせておりません。

あべ委員 データがいろいろございますが、文科が調べたところによると、軽度発達障害の児童数は全体の六・三%じゃないかというデータが出されています。調査方法とかいろいろデータがございますので、どれが正確か、どれを軽度発達障害と定義するかなど非常に難しいところだと思っております。

 そうした中におきまして、先ほど申し上げた小中学校は特別支援学級八対一ということによって、満たせていない自治体数がかなりございます。教員が法定基準を満たしていない自治体数、大臣、これは何割ぐらいあると思いますか、全国の自治体の中で。

高木国務大臣 御指摘の点については把握をしておりません。

あべ委員 実は最新データが出ていないので、ここは、大臣の所信のところでも特に障害問題に関してはもっと触れていただけたらなと希望もあるところもありますし、調査ももっともっとしなきゃいけないと思っておりますが、二〇〇七年で三十六県が基準を満たしていません。

 そうすると、これも基準を満たさなくてもいいということも皆さんは承知をしているところでございますが、標準を下回る編制が行われている実態、かなり格差があるということでございます。

 私自身が小中学校の先生方、校長先生方にお聞きしたところ、これをどうも複式学級にしていただけないかと。一年二年、三年四年というふうにしていただかないと、例えば、一年生に三人発達障害の子がいて二年生に四人いるというのを一人一人つけるのは難しいので、これを複式でやることは可能だろうかという質問をいただいているんです。

 大臣、これに関してはちょっと文言が見当たらなかったんですが、これは可能でしょうか。

鈴木(寛)副大臣 都道府県教育委員会の判断でそうした編制ができることになっております。

 今現在、さらにそれを市町村の実態に応じて市町村の権限を拡大すべく、中教審等々での議論をしているところでございます。

あべ委員 その教育委員会判断ということでございますが、では、逆に、教育委員会判断で複式学級にしているところはどれぐらいあると認識していらっしゃいますか。

鈴木(寛)副大臣 特にそのような数字は、極めて流動的な数字でもありますので、把握をいたしておりません。

あべ委員 今、本当に発達障害の子供たちがふえている中、障害を持つ子供たちがふえている中、クラスも、さらには教員も足りないと言われているんです。これを各教育委員会に任せますというのは余りにも無責任であり、各教育委員会で決めていいと言われたときに、では、各学校の校長先生たちが教育委員会に対して自分たちの裁量権と権限と発言権がどれだけあるかということを考えたときに、各教育委員会に丸投げというのは私は国としての責任を放棄するものだと思いますので、鈴木副大臣、これはぜひとも早急に調査をしていただき、もしその判断が進められていなければ、被害者は生徒なわけでございますから、障害を持っている子供であろうと障害を持っていない子供であろうと、それは子供としても学ぶ権利をしっかり確保するということが私は大切だと思います。

 副大臣、このことにしては速やかに調査を進め、この柔軟性のある対応をできるように進めていただけますか。

鈴木(寛)副大臣 自民党政権下の行政改革の中で定数改善計画が策定をされませんでした。したがいまして、私どもは、十年ぶりに教職員定数改善計画を今概算要求、要望の中で行っておりまして、そういう中で、この発達障害も含む特別支援教育に当たる教員の拡充ということに努めているところでございます。

 そして、確保した人員をどのように配置をするかということについては、これまで都道府県教育委員会が行っておりましたが、さらにきめ細かく現場の状況に応じてできますように市町村の権限をふやしていこう、こういう方向で検討をしているところでございます。

 御指摘も受けて、今回要望いたしておりますこの少人数学級、定数改善計画実現のための予算確保に万全を期してまいりたいと思います。

あべ委員 政権交代から一年たって、いつまでも昔の政権の悪口を言い続けるような国の方向性では、子供たちが被害者になってしまう。ですから、一年たって検討ばかりしていないで、早く前に進めていただきたい。ポピュリズムばかりに走って、今実際やらなきゃいけないことが何なのかということを各種団体に縛られてしまわずに、ここは、子供たちがこの日本をこれから支えていくわけですから、皆さん方が政権を担ってこの国がだめにならないように、文句ばかり言わないでしっかり仕事をしていただきたいと私は思っているわけでございます。

 鈴木副大臣、もう一度お願いをいたします。今の……(鈴木(寛)副大臣「委員長」と呼ぶ)まだ聞いていません。今のこの子供たち、特に、教育委員会に投げる状態じゃなくて、しっかりと柔軟性のある形で障害を持っている子供たちの教育が保障されるように対応していただけますか。

鈴木(寛)副大臣 このたび政権をとりまして初めての概算要求を行うに当たり、今のような現状を踏まえ、発達障害を含む、特別支援を含む定数改善計画、これを、三十五人を目指して、そして当然その中には特別支援に当たる教員の拡充も含んでおりますが、そうした要求をさせていただいたところでございます。

あべ委員 現場の校長先生たちからは、三十五人という問題よりも、その八人の部分の対応が本当に混乱をしていると言われておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 続きまして、障害者の就労に関して質問させていただきたいと思います。

 法定雇用率一・八%でございますが、なかなか障害者の就労が進んでいかない。これに対しまして、二〇〇九年の障害者の雇用が一・八%ふえました。これは改正障害者雇用促進法によるものだと言われておりまして、従業員の数が三百一人を二百一人以上にした、さらには、労働時間三十時間以上であったのを二十時間から三十時間未満としたということになっておりますが、しかしながら、この障害者の就職、特に、行くところがないのは高校を卒業してからだと言われています。

 高校を卒業してからの、その間、本当に、障害者、障害を持つ子供たちとしての教育を受けた後に、では現実の世界がその子たちを受けとめてくれるようなところまで教育として持っていけたのかということに関して、鈴木副大臣、どうお考えでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 御指摘のとおり、障害ある生徒の自立と社会参加を図っていくということは本当に大事でございまして、そして、学校教育段階からの就労支援というものをきちっと意識した教育あるいは指導体制を確保していかなければいけないというふうに思っております。

あべ委員 では鈴木副大臣、具体的には十八歳以降のフォローをどのようにしようとお考えでしょうか。

鈴木(寛)副大臣 十八歳以降さまざまな職場で働けるように、教育段階におきましては、すべての児童生徒ごとに、学校と労働福祉関係機関との連携によりまして個別の教育支援計画を策定するといったことをやってございます。

 そして、その計画策定に当たって連携をさせていただいた労働福祉関係機関と御一緒に学校段階においてそうした就労能力というものを確保し、そして、連携先を初めとするそうした機関において就労が確保されていくというこうした循環をつくっていく、そのことをさらに強化をしていくということを頑張ってまいりたいと思っております。

あべ委員 本当に、障害者、障害を持つ子供たちの就労に関しては、基礎教育が一番私は影響が大きいとも思っております。

 先ほど、午前中にお話に出ました翔和学園、子供たちの発達障害をいかに早期に発見し、いかに早期に教育をしていくかによって、働くことができ、納税者になることもできるんだと。この対応が本当に子供たちの将来の担保になるということであれば、その基礎教育における部分もしっかり努力をしていく、文部科学省が力を入れていくということが、国全体の力をつけていくためには本当に必要なことであると私は思いますので、ぜひともここはお願いしたいと思っているところでございます。

 また、次に移らせていただきますが、幼保一体化、これは文部科学大臣からもお言葉がございました。そうした中にありまして、すべての子供がどこに生まれても質の確保された幼児教育や保育が受けられるように、幼保一体化を進めた制度改革というふうにお話をされたところでございますが、これは、保育園はさることながら、幼稚園の先生方にも大変混乱を及ぼしております。

 先日、岡山県の方にも文部科学省の方が説明に行ったそうでございますが、何の説明もなく、検討中だから皆さんの意見を聞かせてくださいで終わったということであります。

 そうした中で、やはり、幼稚園の特徴、これをどのように維持できるかということが非常に懸念な部分であると言われています。大臣、特に私学幼稚園からは、例えば学校法人として寄附行為があった、このことは幼保一体化によって消えるか消えないかという質問がございますが、大臣、いかがでしょうか。検討中ではなく、お答えいただきたい。

林大臣政務官 あべ委員の御質問にお答えをさせていただきます。

 現場でさまざまな声をいただいていることは十分に承知をいたしております。そうした皆様のお声をしっかりと踏まえながら、幼保一体化を実現していくために、現在、子ども・子育て新システムの検討会議というのをつくっておりまして、その中に三つのワーキングチームを設けております。基本制度ワーキングチーム、幼保一体化ワーキングチーム、こども指針ワーキングチームということで、三つのワーキングチームを設けております。当然、その中の委員のメンバーとして私立の幼稚園の代表の方にも入っていただいておりまして、さまざまな各論については、まさに今議論をしているところでもございます。

 会議での議論あるいはこうした国会での議論を踏まえて、また、関係省庁とも連携をしっかりと図りながら、何よりも、子供たちにとって質のいい教育、保育が実現ができる幼保一体化を目指していきたいと思っております。

あべ委員 姿勢はよくわかりましたが、お答えいただきたいのは、学校制度を守るというのは具体的にどう守るのか。さらには、幼稚園が幼保一体化するときに、不採算部門というのがゼロ歳から二歳なんですね。まずは給食施設をつくらなければいけない。特に、保育の人員体制とさらには幼稚園の人員体制が大きく異なっていることに関して、林政務官、御存じでしょうか。

林大臣政務官 今御指摘の点については、委員もよく御存じかと思いますけれども、幼稚園あるいは保育所に対しては全く別体系でこれまで歩んでまいりました。そうした中で、ただ、現場では、幼稚園教育要領、保育所保育指針の五領域については、合わせてつくってくるなどしておりまして、かなり内容は近づいてきているというふうに理解をいたしております。

 しかしながら、そのゼロ―二の問題等々を含めて、なるべく現場に負担がかからないように、これは当然経営についてもそうですけれども、しっかりとその点は踏まえながら実現をしていきたいと思っています。

あべ委員 お答えが言語明瞭、意味不明でございまして、しっかりやるのはわかったので、どっちの方向に合わせてきているのか、林さん、お答えください。

林大臣政務官 まさに、制度の詳細についてこれから決めていくためのワーキングチームでございます。これは議事録等々もごらんいただければ結構かと思いますけれども、まさに、細かいところをこれからいろいろな御意見を聞きながらつくっていく最中でございまして、まだ今の段階で決まっているというわけではございません。

あべ委員 林政務官、議論しているんだったら方向性ぐらいはあるはずで、現場の声を聞くんだったら、政治主導というのは何なんですか。

 ですから、方向性をどちらに持っていったら子供にとって幸せかということを政務官としてお考えは全くないんですか。保育園に合わせるんですか幼稚園に合わせるんですか、そこだけお答えください、人員配置に関して。

林大臣政務官 何度も申し上げて恐縮でございますが、まず、政治主導についての考え方ですけれども、現場の声を無視するとか議論をしないということではないと私は思っています。最終的な判断について政治が責任を持つということにおいて非常に政治主導というのは私は重要であるというふうに思っておりますけれども、現場の声を無視するとかいうことではないということを、ぜひこれを機に御理解をいただきたいと思います。

 その上で、幼稚園に近づけるのか保育所に近づけるのかという議論をいただきました。この点については、重ねて恐縮なんですが、これからでございます。ただし、ゼロ―二歳あるいは年齢を重ねていくのに従って、子供の人数に対して必要な教員の数、保育士の数が当然変わってくるわけでございます。

 こうしたことについてもしっかりと議論をしながら、まさに、詳細については、こうした国会での委員の皆様方の御意見やワーキングチームでの御意見を踏まえて、総合的にベストな形を目指していきたいと思っています。

あべ委員 今、政治主導というのは現場の声を無視することではないんだということをおっしゃっておりましたが、それにしてはちょっと事業仕分けが変なところがあるなというのと、政治主導でやっているんだか財務の方の何かシナリオどおりやっているんだか、復活させたり、さらには、よくわからないように目くらましでほかの省庁で復活させているようなことをやっていて、本当に、自分たちで立てた予算を自分たちで仕分けするんだったら、もう少しほかに仕分けるものもたくさんあるんじゃないかと思っているところでありますが、まあ、これは林政務官に言っても仕方がない。

 いずれにしても、十一月末ぐらいまではある程度出ないとこれは結論が出ないことだと思うので、いつまでも検討検討と言うのはやめていただきたい。菅さんが空缶にならないように、菅内閣が空っぽだから音がガラガラするということにならないように、ぜひとも早く中身も詰めていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移らせていただきます。医師不足に対しての医学部定員増、これは、大臣のお話の中に、医師不足に対しての医学部定員をふやすというお話がございました。大臣、ドクターはどこに足りないんですか。

高木国務大臣 委員も詳しい分野での質問でございます。

 御承知のとおり、せんだって厚生労働省が発表いたしました必要医師数実態調査の結果によれば、地域の医師不足は深刻である、こういうことで、特に、地域医療を担う医師の確保というのは喫緊の課題であろうと思う。

 具体的には、厚労省がこの実情を踏まえて今検討されておりますので、それを私も十分見守りながら医師の養成についても考えてまいりたいと思います。

あべ委員 地域に足りないということでございまして、本当に、地域に足りない、どの地域かということでございます。その中に、大臣がおっしゃったことに、地域医療における中核的機能を担う高度医療を開発、提供する大学病院の機能の充実に努めるというふうに言葉がございましたが、実は、地域に足りないドクターというのは、大学病院で養成しているドクターと私は微妙にずれているのではないかというふうに思っております。

 大臣、この辺はいかがでしょうか。参考人の方がいらしているので、そちらの方でお答えいただいても結構でございます。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 医師不足の実情でございまして、あべ先生から御指摘のございましたように、我が国の必要医師数の調査を実施いたしましたところ、二万四千人の不足という調査が出たわけでございますけれども、特にこの必要医師数の多いところ、不足しているというふうに実績の出ているところでございますけれども、これは、岩手県でありますとか青森県でありますとか山梨県というような、地方の方で必要医師数が少ないというふうな実情でございます。

 そこのところをどういうふうにその地域の医師を確保していくかということが、私どもの、医師養成の増だけではなくて、地域ごとの偏在でありますとか診療科ごとの偏在というものをあわせて対策を講じているというのが現在の状況でございます。

 以上でございます。

あべ委員 本当におっしゃるとおりでございます。特に、大学病院における大学院教育の重視の中、これは文部科学省の管轄でございますが、私は、臓器別専門医が日本の人口に対して多過ぎて、患者さん、国民の全体を診ることができる総合医というのが決定的に足りないんじゃないかと思っております。

 大臣、これは感覚的に、臓器別がもっともっとふえるべきだと思いますか、それとも、総合医と言われる、全身を診ることができるそういう医師がもっともっと養成されるべきだと思いますか。お考えを個人的にお聞かせください。

鈴木(寛)副大臣 お答えを申し上げます。

 地域医療の観点から申し上げますと、今御指摘のいわゆる総合医、この言い方もいろいろあろうかと思いますが、総合診療能力を身につけた医師の養成というのは大変重要な課題だというふうに認識をいたしております。

あべ委員 では、この総合診療という教育を実施している医学部を有する大学、いわゆる国が管轄している、今は独立行政法人になりましたが、全八十大学のうち、どれぐらいの大学が総合医の行っている総合診療を行っているというふうに鈴木副大臣は認識していらっしゃいますか。

鈴木(寛)副大臣 もちろん、総合診療能力は、大学における医学教育と、そしてその卒業後の卒後臨床研修、双方において養成をされるべきものだというふうに思っておりますけれども、私ども文部科学省がつくっております医学教育のモデル・コア・カリキュラムの中でも、そうした総合診療能力の養成ということを促してきたところでございます。

 現在、六十八大学及び防衛医科大学におきまして総合診療に関する教育が行われているというふうに承知をいたしております。

あべ委員 私は、文部科学省のいわゆる管轄するところの医学教育は、国民の安全と安心を守るべき教育であると思っております。カリキュラムの管轄が文部科学省、さらには、その卒業後の養成の資格認定の部分が厚生労働省というのは、医学教育、さらには、これは看護教育また薬学教育においてもこの矛盾が起きているわけでございますが、これはこのまま続けていくべきだと、鈴木副大臣、思っていらっしゃいますか。

鈴木(寛)副大臣 おっしゃるとおり、この点が我が国の医療教育政策の大変な課題の一つだと思っておりますので、医学教育については、特に私になりましてから、厚生労働省とも日々相談をしながら進めていっているところでございます。

 さらに有機的な連携、融合を強めていくべきだというふうに考えております。

あべ委員 さらには、医師が足りないからといって医学部の人員をふやしていく、それが医師不足の解決にならないということは、鈴木副大臣も認識をしていらっしゃると思います。

 そうしたときに、例えばイギリスが、また米国の一部が何をやってきたか。臓器別ではなく総合医をつくっていかなければ、また、地域の医療を守ることができるのはその総合医であるということを考えたときに、国がしっかりと見ているこの大学医学教育に関しては、総合医を出していくということ、数割出すということを確約しない限り補助金をカットしてもいいのではないかという著書も書かれているところであります。

 鈴木副大臣、これに対して、医学部、特に、国が一人卒業するのに六千万ぐらいの税金を使って応援しているこの医学教育において、地域の医療を担うということをもっともっとしっかりと国の政策として後押しをしていく必要があるのではないでしょうか。総合医の育成に関して、鈴木副大臣、御意見をお聞かせください。

鈴木(寛)副大臣 おっしゃる観点から、今現在、文部科学省におきまして、医学教育のモデル・コア・カリキュラムの改訂作業を、現場の方々の御支援をいただきながら、また看護協会の御指導もいただきながら行っておりまして、その改訂の中で総合診療に関する教育が充実されるよう促してまいりたいというふうに考えておりますが、臓器別の医療も、例えば産婦人科等々はそういう診療科の偏在というものも問題でございますので、それをおろそかにしていいということではないと思っております。

 ただ、とりわけ総合診療能力の充実が重要だということについては、委員と全く同じ認識を共有させていただいているということでございます。

あべ委員 ありがとうございます。

 本当に、地方の病院を歩くたびに、大学病院から臓器別に特化した方が送られてきて、その方に合わせて患者さんも合わせていかないといけない、全体を診るドクターがもっと欲しいということは、奥へ行くほどお声が上がっていることでございまして、ここは、文部科学省といたしましてぜひともお願いをしたい。この総合医を文部科学省が後押ししていくことが、地域医療、これを守るためには本当に重要だというふうに私は思っているところであります。

 またさらに、もう一つ私がいつも問題に感じるのが、がんで亡くなる方であります。日本人の二人に一人ががんで亡くなるといったときに、施設に入った、ホスピス、それは、緩和ケアとして痛みをとってさしあげ、最後、本当に御自分の思いのままに生きていくことができる場所を確保していくということでございますが、日本はまだまだおくれております。

 そうした中に、私、先日、かなり前でございますが、ある外国に参りましたときに、がんの医学会が、とにかく治療方針が、放射線、化学療法、さらには何をやってとぐるぐる治療方法は回っているけれども、人間は最後死ぬんだということをだれも言わないというんです。

 私は、この医学教育において、人間は必ず一回死ぬんだということを教えないといけないと思っておりますし、人が亡くなるときにどういうふうに医学として対応しなきゃいけないかということは、基礎教育の中にしっかり入れるべきだと思っております。私、今五十一でございますが、自分が亡くなるときに病院に何度も何度もいろいろなところに運ばれるのは嫌だと思っておりまして、最後、人間が死ぬときにはちゃんと人間らしく死にたいと思っています。

 それにおいては、医学教育において、人間は死ぬんだということを基礎教育の中にしっかり入れていただくということが重要であると思っておりますが、鈴木副大臣、このことに対しての御見解をお聞かせください。

鈴木(寛)副大臣 私もある程度医療現場を歩いてまいりました。そして医学教育の現場も歩いてまいりましたけれども、今の委員の御指摘と全く同じ見解を持っております。

 現在ももちろんそうしたモデル・コア・カリキュラムにおいてはそのようなことは文言としては入っておりますけれども、そうしたことをさらに実のある医学基礎教育とするべく、文部科学省として、総合医の問題とあわせてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

あべ委員 ありがとうございます。ぜひ私が死ぬときには、鈴木副大臣がおっしゃるように、しっかり人間らしく死ねたらいいなと思っているところでございます。

 最後になりますが、大臣にお伺いいたします。

 夏に民主党の幹部が、教育に政治的中立はあり得ないという発言がございました。大臣は、教育に政治的中立はあると思っていらっしゃいますか、思っていらっしゃいませんか。

高木国務大臣 私は、教育は中立公正であるべきだと思っております。

あべ委員 ありがとうございます。

 では、国家公務員は政治的行為に関して罰則規定がございますが、大臣、これはなぜだと思いますか。

高木国務大臣 公務員としての全体の公務、当然、服務規定は遵守されなきゃなりません。そのような考え方だと思います。

あべ委員 おっしゃるとおりでございます。

 では、地方公務員もこれが適用するというふうに大臣はお考えでしょうか。

高木国務大臣 国家公務員と地方公務員、公務員という大きな制度、国家公務員法がございます。私は、全体的な国家公務員の法制度の中で議論されるべきものだと思っております。

あべ委員 現状では、地方公務員、特に学校教員を含む方々に関しては、政治的な中立性に関しては罰則がございません。

 大臣、ここはしっかりと教育の観点からも地方公務員にもこの中立性を保たせるべきだと思っておりますので、私ども、議員立法を出させていただきますので、大臣、教育においては政治的中立が大切だと思われたというふうにおっしゃっておりましたから、ぜひこれは御一緒に頑張ってまいりたいと思います。

 時間になりましたので質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

田中委員長 次に、池坊保子君。

池坊委員 公明党の池坊保子でございます。

 先ほどちょっと事業仕分けの話、そして政治主導という話が出ておりましたので、そこの席におりましてふっと思ったのですけれども、政治主導とはどういうものかということへの御説明はもういいんですけれども、事業仕分けでジョブカフェを廃止と出ておりましたが、民主党はマニフェストの中で、ジョブカフェ拡充ということで数値も挙げられていらっしゃいました。何か本当にちぐはぐだなと思いましたので、国民がそれを見たときに、マニフェストと事業仕分けと違うのは、何だこれはとお思いです。この文部科学委員会においては、どうかそういうちぐはぐがありませんことを私は切に願っております。

 先ほどから問題になっておりました朝鮮学校への高校無償化をどうするかという問題に対して、私は高木大臣に伺いたいと思います。

 鈴木副大臣も御存じのように、これは先回から何回もかけて審議をしてまいりました。私も何日も審議させていただいております。この国会の審議というのは大変重いものがあるのではないかと思います。にもかかわらず、高木大臣が冒頭でお読み上げになりました最終報告をどうしてこの委員会で配付することができないのか、私、それはとても残念に思っております。

 大臣が誠心誠意、もしこの委員会に対して立ち向かっていこうとお思いでいらっしゃるならば、中間報告は八月三十日に出ましたね、副大臣がお出しになったんです。あれも拝見しました。今、高木大臣がこういうものをお出しになった方が、みんなの共通認識の中で問題点もあぶり出され、そして、より方向性のある審議が行われたのではないかと私は思います。お読み上げになったのは二回でした。NHKの記者もおりましたから、もし書こうと思えば、これはすべてマスコミにもう出てしまうことなんですから、それならば、しっかりとこれはお出しになるべきだったと私は思っております。

 大臣、いかがでいらっしゃいますか。私は、大臣に誠心誠意、この委員会で対応していただきたいという思いがございますので質問させていただきます。再度、大臣、これをお出しになることに何ら問題がないと私は思いますので、ちょっとお考えを、短くて結構です、お聞かせいただきたいと思います。

高木国務大臣 この問題については、さまざまな御意見が出ておりますことは承知しておりまして、私も、タイムスケジュールを考えますと、そんなに悠長なことはできません。したがいまして、私がこの問題に取り組むことになって、少なくとも基準については十一月の初旬までに明確にしたいと考えておりました。

 ただ、衆参の議論、そして一昨日の本院のこの委員会の議論を聞いておりまして、委員長の御示唆もございましたので、私どもとしましては、かなり急ピッチで検討を進めてまいりまして、きょうこの委員会に間に合えばと思いながらも、きょうの朝の朝まで議論をしておりましたので、こういう形になったということでございます。委員の御指摘のことについては、私はしっかりと受けとめさせていただいております。

池坊委員 最初から出すとおっしゃったらこんなに紛糾しなかったのにと思いますときに、大切な時間が空回りいたしますことには私は遺憾と申し上げておきたいと思います。

 私は、朝鮮学校を高校無償化の対象にするかどうかに関しましては、私は文部科学政務官のときに朝鮮学校を視察に参りました。そしてまた、先回は、田中眞紀子委員長のもとで朝鮮学校に行ってまいりました。私が参りましたときには、初めて行政の人が視察に来たと言われました。私は、現場を見なければ何もわからないのだと思います。子供たちは明るく、伸びやかに、そして日本人社会に溶け込み、当然だと思います、日本で生まれ育っている子供たちなのですから、地域社会とも連携をとりながら学校生活を過ごしております。

 私は、基本的に、確かに北朝鮮とは国交はございません。でも、次の世代に夢と希望。星野監督は、楽天の監督のときに、リーダーのロマンである、若い人の力を伸ばしたい、私もその思いです。先を歩んでいる人間として、次の世代に私は夢や希望を紡いでおりますから、子供たちにできるならば私は支援をしたいというふうに願っております。

 今、子ども手当というのはすべての人に上げられますね。そして、それが本当に子供のために使われているのか、もしかしたら親が使っちゃっているかもしれませんから、一々細かく言ったならば、私はちょっとすべてのことにおいて問題があるのではないかと思いますから、朝鮮学校に、でも二つの問題点があるのだと私は思います。

 一つは、高校生本人のためになっているのか、手渡されているのか、本国に送金されるのではないか。二つ目には、教科書に反日感情を植えつけるような記載が多く見られる。特に、拉致問題に対してなどは、これは極めて遺憾である等々あるのだと思いますが、これは担保できないのかな、担保できるような方法をお考えになってもいいのではないかというふうに私は考えているんです。

 私、この間、ミュンヘンの日本人国際学校の視察に行ってまいりました。ここはバイエルン州が支援をしております。そのかわり、小学校では二百十時間、中学校では百四十時間、ドイツ語を勉強してくださいと義務づけているんですね。私は、これは極めていい方法だなと思いました。つまり、小学校、中学校時代にドイツ語を学ぶことによってドイツへの理解を深め、そして、大人になったときに日本とドイツとのかけ橋になっていくんだと思います。

 私、そのときにふと、日本のドイツ学校、高等学校にも委員長のもとで視察に参りましたが、ドイツというのは学制が違いますから、日本のように高等学校は三年制じゃないんですね。ある日突然、終わりから三年前から、あなた方は日本政府によって支援されますよといって十一万八千八百円が贈られる。これは何だか、ドイツ人にとっては、もらうのはうれしいけれども、えっ、どうしてかななんて思うのではないか。

 私は、権利と義務というのはあると思うんですね。こういうふうに国民の大切な血税を皆様方に支援いたしますから、これに対しては、こういうこと、ああいうこと、命令はできません、指導改善は行われるんですから、指導改善を毅然となさったらいいんじゃないか。そこに対して、私はちょっと弱腰ではないかとむしろ思うんですね。

 例えば、朝鮮学校の多くは、全国高校総合文化祭へ参加しております。国体も、高校野球も、インターハイも、サッカーの天皇杯もちゃんと参加しているんです。ですから、私は、入り口において、こういうことはしてください、こういうことはだめなんです。この中間報告を拝見したら、書いてございましたね、財産目録、情報公開しなさいとか。先ほどいただいた最終報告にもちゃんと出ているんですから、入り口において私はこういうことをなさるべきだというふうに思いますが、いかがですか。大臣の見解を伺いたいと存じます。

高木国務大臣 池坊委員のただいまの御質疑、私は本当にその思いをしっかりと受けとめております。いろいろなさまざまな意見のある中で、御指摘のドイツの件についても、委員を初めでございますが、民主党の議論の中でも、あるいはまた国会の中でもそういう議論があったことは承知をいたしております。

 したがいまして、いろいろな懸念があることについて、我々としては、指定に関し留意事項の一つとして通知の旨の規定を置いておきまして、そして、具体的な教育内容において懸念される場合には各学校に伝え、改善を促す、そういう努力を重ねてまいりたい。私は、ある意味では、今回取りまとめ、そして皆さん方にお示ししました考えはかなり強目の対応だ、このように思っております。

池坊委員 個々にしっかりと、個別に毅然とそれをなさればいいことだと思います。

 例えば、朝鮮学校に行っている子供たち、親たちは六割が韓国籍です。小学校、中学校では、かつては北朝鮮の指導者の写真が飾ってございました。小学校、中学校ではもう取り外されております。私は、何度も言うようですけれども、大人の紛争を子供に持ち込んでいいのかな、いつも楽しく、そして子ども手当ももらっていて、日本社会で生きてきた子供たちが高校の支援をもらえなかったら、やはり大きくなっていい感情を持つはずがないと思うんですね。私は、それは反日感情を膨らませていくんじゃないかと思うので、このことに関して毅然とした態度をお示しになった上で、それができなかったら、では、それは無理ですねということなんだと思います。

 今度は、鈴木副大臣は先回からずっといらっしゃると思います、いかがでいらっしゃいますか。

鈴木(寛)副大臣 指定に際しまして、留意事項がある場合には通知する旨の規定を置くということになっておりますから、その規定に基づき、しっかりと指導をするということはあり得るというふうに思っております。

池坊委員 留意すべきというのは、今これだけいろいろな賛否両論がございますよね。そして、いろいろな人たちがいろいろな意見を言っている。それは朝鮮学校に携わっている方々も心配しながら聞いているんですから、入り口において指導するというふうに解釈してよろしいんですか。入り口でちゃんとおっしゃるのですね。

鈴木(寛)副大臣 指定の際に指導をするということでございます。

池坊委員 入り口だとおっしゃっているんで、これは議事録でも、うんとうなずいていらっしゃいますから入り口ということで、私は、ここは議事録にしっかり書かれるのですから、これを信頼していきたいと思います。だって議事録以外に、私たち委員会で何が担保されるのかといえば、やはり議事録だと思います。(発言する者あり)

田中委員長 御静粛に願います。

池坊委員 今答弁なさいましたよね。(発言する者あり)私の質問ですから、ほかの方が横からおっしゃらないでください。私はそのように解釈いたしましたし、今しっかりと入り口でとおっしゃったんですよね。

 でも、もう一度、何かやじがいっぱいいますから、鈴木副大臣のためにも、入り口だということを伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 指定の際に行うということだと思います。

池坊委員 指定ということは入り口だから、それでいいのではないかというふうに私はします。(発言する者あり)ほかにいろいろある方は、御自分が質問のときにお聞きになっていただきたいと思います。私は、少なくとも、これでこういう問題が若い世代に禍根を残さないように、そのことを強く願っております。

 次の問題に入ります。

 大臣がこの間のあいさつの中でおっしゃった、国際人権A規約の留保撤回を視野に入れて、私、この視野に入れてというのを拝見したときに、随分消極的だなというふうに思ったんですね。

 大臣、今百五十カ国の中で批准されていない国は何国あって、どことどこかは御存じですか。

高木国務大臣 お答えいたします。

 批准されていないのは我が国日本とマダガスカル、このように承知をしております。

池坊委員 そうなんですね。百五十カ国の中で批准されていないのが二つだというのは、皆さん、悲しい、恥ずかしいとお思いになりませんか。私は恥ずかしいと思います。

 あのアフリカのルワンダでさえ、昨年十一月に批准いたしました。あのルワンダと言うと、差別しているとお思いかもしれないけれども、そうじゃないんですよ。

 私は、アフリカの子女教育というのをシンポジウムで行いました。アフリカでは、教育を受けさせる人が、みんなが、教育を親たちが受けさせたいと思っているわけじゃないんですね。むしろ働いてほしい。貧困ですから、そのためにはそんな教育じゃないよ、働いて担い手になってもらう方がいいんですよ。にもかかわらずこれは批准をしている、そういう難しい環境の中にあってもです。にもかかわらず、日本は一応先進国と言われているのではありませんか。これは情けないというふうに思っております。

 文部科学委員会における高校無償化法の附帯決議の中でも、「国際人権A規約における中等教育の漸進的無償化条項の留保撤回を行うこと。」と盛り込んでございますね。

 また、高校無償化法に対する三月二十五日の参議院文教科学委員会の質疑の中で、鈴木副大臣が、最初は省略いたします、まさに国際人権A規約十三条の2の(b)の趣旨に沿うものであるというふうに考えております、この同条の留保撤回につきましては、現在外務省において精査をしていただいておりまして、検討していただけるものと承知しておりますと答弁していらっしゃいます。

 この法律の提案理由の中で、「我が国はこの規定を留保していることから、この留保の撤回に向けた施策を進めることが求められております。」としております。

 このような状況で、では、文部科学省と外務省はどのような取り組みを行ってきたのか、ちょっとお教えいただきたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 お尋ねございました十三条の(b)につきましては、高校無償化法案の成立によりまして留保撤回の条件が整ったというふうに理解をいたしております。

 そして、(c)について、今鋭意折衝を行っているところでございまして、(c)は高等教育でございます。そして、「すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとする」となっておりますが、この漸進的導入というものの裏づけとなる、そうしたことが、どのようなものであればその裏づけとなるのかということを詰めているところでございます。

 今、奨学金の充実、あるいは特に授業料減免について要望、要求を行っておりますが、我が国は昭和五十七年以来、例えば国立大学等におきましては授業料減免比率を下げてまいりました。そうしますと、漸進的な要するに減少になっておりますので、これでは(c)項の確保はできません。したがいまして、来年度はこの授業料減免比率を引き上げていく、そういったことについての要望、要求を今行っているところでございます。

 こうした予算編成をまずきちっとした上で、そして、それを国の方針としてどのように位置づけることが必要なのか、そうしたことについての作業と調整、折衝を今行っている最中ということで御理解をいただきたいと思います。

池坊委員 鈴木副大臣がおっしゃるように、今問題になっているのは高等教育なんですね。規約の第十三条2(c)では、私立学校の占める割合が大きいことから、私学を含めた無償教育の導入というのは、予算の関係から大変難しい。私学制度の根本原則にもかかわる問題だと思います。

 今、さまざまな、予算も含めて進めていきたいと言われておりますけれども、では、大学等の高等教育の無償化についてはどのような方針で臨んでいらっしゃるのか。それはもう全然視野に入っていないのか。

 あるいは、大臣所信では、大学の授業料の減免や無利子奨学金の拡充などが挙げられておりましたが、私立大学等経常費補助金の拡充、給付型奨学金の導入などについて、具体的にどんなふうに検討をしていらっしゃるのでしょうか。今おっしゃいますように、国立大学などはどんどん減っておりますよね。では、私立大学などにおいてもどのようにしていらっしゃるのかをちょっと伺いたいと思います。

鈴木(寛)副大臣 財務省と一生懸命折衝をしているところでございますが、まず、国立大学については運営費交付金約二・八%増の要求をいたしております。そして、私立の私学助成金につきましても三・三%の増要求をいたしております。

 それから、給付型奨学金、それからTA、RAによって大学院レベルの学生に対する実質的な支援。

 それから、先ほどと繰り返しになりますけれども、授業料減免比率を来年度から三カ年かけまして過去最高水準の一二・五%まで引き上げたい。加えまして、大学院レベルにおきましては二五%まで授業料減免比率を引き上げたい、こういった要望、要求を行っているところでございます。

 委員の先生方の御支援をいただきまして、何とかこの要求、要望の実現に向かって全力を尽くしてまいりたいと思いますので、御支援のほどお願い申し上げます。

池坊委員 文部科学委員並びに閣僚の方も、良識的な方がいらっしゃり過ぎて、私は、むしろ強さに欠けるのではないかと。これは、財務省とのかかわりの中で、こうした人権規約に批准できないとするならば、これはちょっと悲しいことですね。情けないことですね。もっと財務省に強くおっしゃらなければだめですよ。そして、きっちりと批准できるようにしなければいけない。

 私も内容を見ましたが、必ずしも批准している国がすべて満額オーケーというのではなくて、随分ルーズなところもあって、事務局に聞きましたら、日本はまじめだから、全部パーフェクトにしないと、これは提出するときにもいけないんじゃないかと思っているところもあります。ありますが、財務省に対してもっと、これは恥なんだということを強くおっしゃっていただきたいと思います。そのことのためには何をするか、予算確保しかないのです。

 今おっしゃいました大学ですけれども、高等学校が無償化になりました。でも、先回、私はさまざまなことを申し上げましたが、高等学校の入学金とか私立高等学校等に通う生徒の授業料などの負担は残されております。そのほかに、低所得者層のさらなる支援の拡充なども考えなければいけない。でなければ、これは批准はできないというふうに思いますけれども、大臣はいかがでしょうか。大臣の御見解を伺いたいと思います。簡潔に、そして的確に、具体的にお答えいただきたいと思います。

高木国務大臣 先ほど、我が国とマダガスカルというお答えをしました。

 先ほど鈴木副大臣が、これから取り組むべき課題について具体的に申し上げました。まさに私の当面の一番の仕事は、委員御指摘のように、必要な予算を確保することにあろう、このように思っております。本委員会の議論、そしてまた皆さん方の御支援もいただきながら、何とか全額、それが実現するように頑張っていきたいと思っております。

池坊委員 留保撤回を視野でなくて、必ず高木大臣御就任の間にこれを撤回できるようにしていただきたいと思います。

 では、次の質問に入ります。

 ほかの方も言っていらっしゃいましたが、教員の免許更新制度です。

 大臣と鈴木副大臣とに伺います。十年研修、そしてこの教員の免許更新制度、二つございますね。今でも二つが必要と思っていらっしゃるか、なぜ必要かを端的にお答えいただきたいと思います。大臣からお願いいたします。

高木国務大臣 この件につきましては、午前中も議論がございました。

 委員御指摘のとおり、教員免許更新制導入の際の附帯決議において、現職研修と免許状更新講習との整合性の確保、特に十年経験者の研修のあり方について検討することとされております。

 したがいまして、現在、重要なテーマでもございますので、中央教育審議会において教員の資質、能力の向上について見直しの議論をしておりますので、委員の御指摘も十分に参考にさせていただきまして総合的に検討してまいりたい、このように思っています。

池坊委員 高木大臣、これが今でも必要と思っているか、思っていないか、それだけお答えいただいたら結構です。その後、鈴木副大臣、お願いいたします。

田中委員長 これはとおっしゃるのは、今の教員の免許ですか。

池坊委員 十年研修と免許更新制、同じ十年ごとにいたしますでしょう。ですから、この二つは、やはり必要だとお思いですか、それともそうじゃないと。今の段階でいかがお考えですか。

高木国務大臣 したがって、二つが本当に必要なのか、どちらかに合わせていいんじゃないかという議論、私もある意味では理解するところがございますので、この点について、最終的にはそのような検討を踏まえて決定をしていきたいと思っております。

鈴木(寛)副大臣 この整合性の確保は、もうよく御存じのように、附帯決議でも、そのもともとの導入のときからあった議論でございます。私も、これは整合性をとるべきだというふうに個人的にも思っておりますし、附帯決議もそういう認識だと思います。したがいまして、中教審でそのことも含めて今御検討をいただいているということで御理解をいただきたいと思います。

池坊委員 免許更新制のときに私も内閣におりましたから余り偉そうなことは言えないのですが、でも、やってみて誤りがあったならそれを修正することは私は必要ではないかと思います。何か忘れましたが、孔子の言葉にもありましたね。誤りというのはすぐにそれを直したならばそれは誤りではないんです。だけれども、このまま過ごしてしまったら、現場の教員たちが非常に負担が多く、そして余り意味がないのではないかというふうに私は思うんです。

 私が今さら申し上げるまでもございません、もう十二分に御存じのことではあると思いますけれども、教員の十年研修と免許更新制というのは、内容は似ておりますけれども、形式が全然違うんですね。十年研修は、教育委員会がずっと自発的にやってまいりました。ところが、これが平成十五年度から、教育委員会が自主的にやるのではなくて、法律として義務づけられました。

 そういう意味では免許更新制と同じような性質があるのではないかと思いますが、言うまでもなく免許更新制というのは、十年たったら、八年から十年の間にとらなければいけない、とらなければ免許が剥脱される。そしてこれは国がやっていくというものですから、形式が全然違うし、それから、大臣御存じですか、自己負担として三万円ほどかかるんですよ。だから、お金はかかる、時間はかかる、そしてとらなければこれは自分の身分保障も剥奪されるという大変重いものではあるんですね。

 私も現場に行っていろいろ聞きまして、免許更新制の利点は何もなかったか。そんなことはないんですね。なぜかといいますと、大学が教員研修のために大変意欲的にさまざまなカリキュラムをつくるようになった。

 今までちょっと手ぬるかった教員養成系の大学が緊張感を持って研修をしたりするようになったということが私はプラスであったのではないかと思いますけれども、大体、子供たちと向き合って十年といいますと、三十四歳ぐらいの働き盛りなんです。子供と向き合わなければいけない、本当に現場重視の立場に立っているのがこういう人たちであるわけですね。ですから、二つをとらなければいけないというのは、大変私は負担ではないか。

 教員の質の担保からいっても、何も免許更新制をしなくたって、十年研修でチェックできることがたくさんあると思うんです。これは例えば、では本当に要らないような不適格教員はこの免許更新制でチェックできるかというと、私はなかなかできないと思いますよ。不適格教員、不適格な人というのは、現場において不適格なのですから、このような講習を受けただけでチェックできるなどということは絶対に私はないと思います。私は、この二つの研修、講習を絶対に一つにしていただきたいと思います。

 それで、免許更新制のアンケート、あれはアンケートもとっておりますよね。一〇%の受講生が、受ける必要がなかったというふうに自己評価しております。現状では、さっきも言ったように、重複している、時間的にも、またさまざまな点で自分には重荷だったと。まあ、九割がよかったと言っているんですが。

 このメニュー、多分大臣はごらんになったことがないと思いますけれども、文部科学省が定めたメニューと、それ以外に選択できるメニューとがございます。選択科目の方が評価が高かったんですね。選択できるメニューの中には、受講者がゼロというような講座もございました。

 ですから、私は、これを必ず大臣も副大臣も精査なさって、このような無駄なことは調整する必要があるというふうに思いますので、再度、これに対して大臣は今まで余り御認識がなかったのではないかと思いますので、御認識いただきたいと思います。中教審の審議をするよと中教審にばかりおんぶにだっこではいけないと思います。やはり大臣のリーダーシップというのが問われていると思います。いかがですか。

高木国務大臣 池坊先生、まさにその制度の中におられた方で、さすがにいろいろな問題点、あるいは詳しいことが改めてわかりました。

 それだけに難しい問題でございまして、教師の資質向上というのは何よりも優先されることであります、まさに子供に対してのことですから。そういう御意見も十分踏まえて、最終的には改善に向けて判断をさせていただきたいと思います。

池坊委員 これはぜひ、もし法律を変えなければいけないならば、来国会でもお出しいただけたらというふうに思います。検討している場合ではありません。

 なぜかといったら、今実際に受けている先生方が負担なんですよ。ですから、そんな時間をとっている場合ではないということ。鈴木副大臣はずっと免許更新制は関係していらしたと思いますので、ぜひ頑張ってこれは調整していただきたい。教師の負担を軽くして、その分は子供と向かい合わなければならないと私は思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 学生たちの就職難の問題。これは、大学生の就職がなかなかできないよというのはテレビなんかでも出ておりますから、これは割と取り上げられるんですね。その隅で、高校生の就職については余り取り上げられないのではないかなというふうに思っておりますが、高校生の就職をめぐる状況、もう本当に厳しい環境が今続いております。

 厚生労働省が九月に発表した、七月末現在における来年卒業する予定の高校生の求人、就職状況では、求人倍率として〇・六七倍と低い数字になっております。三カ月たちましたから、もうちょっと変わっているのではないかというふうに思っておりますけれども。

 これは、高校新規就職者の三年以内の離職というのも実に多いのです。平成十八年では四四・四%、約半分の人が離職しております。大学新規の場合には、平成十八年で三四・二%、やはり高校生の方が就職も大変であると同時に、離職する人たちも多いわけです。

 職業別就職者数については、昭和四十五年と平成二十一年を比較いたしますと、高校を卒業した人の就職先というのは、生産工程、労務作業部門への比率が多いのですね。

 このような現状を踏まえて、文部科学大臣、どういうような政策をとっていこうと思われているのか、あるいは今の実情を果たしてどう思われているか、見解をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 ことしも来年以降も厳しい就職状況だと認識をしております。

 委員は、求人倍率、特に高校生の場合、〇・六七という数字を示されました。ことしの三月末の高校卒業者の就職内定率で見てみますと、昨年に比べて一・七%減、九三・九%になっておりまして、過去七番目に低い水準であった、このように考えております。

 私は、高校生も含めた新卒者の雇用支援を重要課題の一つとして位置づけております。既にお話をいたしましたけれども、経済界に対して、あるいはまた大学に対して、ミスマッチを克服できるように、そして少なくとも社会人として、あるいは職業人として、まさに自己決定、自立を深められる人材を育成しなきゃなりません。

 そういう意味では、大学の方も就業力向上のために努力をしなきゃなりませんし、また経済界、企業側においても、就職採用活動の早期化とか長期化、これは避けていかなきゃならぬと思っておりまして、本来の学業をしっかりできるような、そういう体制のためにこれからも取り組んでまいりたいと思います。

池坊委員 確かに今おっしゃったような、学校教育で育成しようとする人材と、産業界などが求めている人材のミスマッチ、それから就職活動の厳しさにより就職自体をあきらめてしまう高校生の存在、つまりアルバイトのみで生活していく。それから大学生が、これまで高校生の就職していた分野へ、やはり大学生が就職難であるので、そういう分野に進出しているなどの要因が複雑に絡み合って、高校生の就職の困難に拍車をかけているのではないかと思います。

 私は、これらのことを考えますときにも、中教審でも、高校生の就職の問題などを含めたキャリア教育・職業教育特別部会において幅広い議論が行われたかと思います。二次審議経過報告も今行われているというふうに思っておりますけれども、高校生も含めたキャリア教育というのは本当にしっかりとしなければならないと思いますが、なかなか、キャリア教育というのは何も就職させるための教育ではないんですね。今経済界がどういう人を求めているのか、あるいはその人間が持っている個性をどういうふうにしたら、ミスマッチではなくて、仕事の場で反映さすことができるかというようなことも必要かと思います。

 平成二十三年度から小学校、平成二十四年度から中学校の新学習要領が完全実施されます。教科書も変わってまいりますけれども、キャリア教育の充実について、最後に伺いたいと思います。

高木国務大臣 児童生徒が社会的あるいは職業的に自立をするということは、極めて重要なことであります。

 私どもとしましては、現在、中央教育審議会において、いわゆる今後の学校におけるキャリア教育、職業教育のあり方について慎重な議論を進めておられます。キャリア教育の視点に立って、義務教育から高等教育まで、体系的な教育の改善充実、これが必要であろうと考えておりますので、御指摘の点についてしっかり取り組みを進めてまいりたいと思います。

池坊委員 職業教育が安易な就職活動に走ることがないような、しっかりとしたキャリア教育、そして職業教育をしてくださることを願い、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 大臣は、先日の所信的あいさつで、就職が決まらないまま卒業する者が約七万五千人に上るなど、新卒者の就職難が極めて深刻な状況にあること、また、就職採用活動の早期化、長期化についても触れられました。きょうは、この問題を取り上げてお尋ねしたいと思っています。

 我が党は、十月七日の衆議院本会議代表質問で、志位和夫委員長が、過熱した就職活動を是正するルールをつくるために、大学、経済界、政府の三者による協議を直ちに開始するということを提案いたしました。十月の十三日、衆議院予算委員会で我が党の笠井亮議員が、総理が雇用問題に真剣に取り組んで、特に新卒者の就職に力を入れるとおっしゃるなら、今すぐにでも政府自身が音頭をとってテーブルに着いて、大学、経済界、政府、三者による協議を始めるべきだ、こう質問をいたしました。それに対して高木大臣は、「御指摘の経済界関係者あるいは大学関係者、そして私ども関係省庁との一つのテーブル、これについては、検討の場としてできるだけ早く開会をできれば、このように思っておるところです。」と答弁をされました。

 できるだけ早くとおっしゃったわけですけれども、これは一体いつ開会をするのか、どのようなメンバーで協議をしようとしているのか、大臣、お答えいただけますか。

高木国務大臣 宮本委員にお答えいたします。

 現在、新卒者の就職採用活動の課題については、経済団体あるいは大学関係者が意見交換する場を、関係省庁とも連携をして、それぞれの日程等もございます、できるだけ早く設定をしたい、このように思っております。これには、国公私立の各大学団体や主要経済団体のほかに、文部科学省はもちろんでありますが、厚生労働省、経済産業省などの各省庁の参加を予定しております。

 関係者が一つのテーブルに着けば、例えば、大企業と中小企業のミスマッチについてどのように対応していかなきゃならぬかという案件を中心として、または、卒業後三年以内は新卒扱いにしていただく、こういった促進。また、企業側が求める人材像を明確にしていただいて、大学の方にもそのようなことを伝え、教育の中に生かせる。また、採用活動の早期化、長期化、これはもうこれまでもるる出ておりました。そういうものについての現状把握、改善策、これについて率直な、それぞれの立場からの御意見をいただく。このことによって、就職採用活動の適正化、こういったものについて引き続き取り組んでいきたい、このように思っております。

宮本委員 そういうことはわかった上でより具体的にお聞きしているわけです。

 先日、文科省からレクを受けました。そして、素案もいただいております。それによると、十一月中に開催できればということで大学側の参加メンバーについても検討が始まっている。大学関係者による就職問題懇談会で検討してもらっており、主要経済四団体等として、経団連、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、経済同友会の四団体から出ていただく。そして、政府からは、経産省、厚労省、文科省から参加する予定で進めている。具体的なメンバーについてはまだ検討中だということであります。

 これはもう一度確認しますが、これでよろしいですか、大臣。

高木国務大臣 委員御指摘のとおりでございます。

宮本委員 そのレクの際に、政府関係の参加者は課長レベルだという話をお伺いしたわけです。私は、これではやはりまずいんじゃないかというふうに思っております。大臣が、厚労大臣そして経産大臣と連名でお出しになった、この企業に対する、業界に対する要望書を見ても、やはり大臣の名前でそういう文書も出しているわけですね。

 私は、学生たちの未来をどうしてくれるのか、こういう場所には大臣みずから出ていただいて、やはり経済界にも大学にもしっかり話をしていただく、これこそ政治主導でやる必要があるというふうに思いますけれども、大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

高木国務大臣 もちろん、それぞれの時間調整、これが重要です。私も、今、国会中でございますし、時間が許せばぜひ出席をしたい、このように考えています。

宮本委員 事態は本当に極めて深刻でありまして、対応が急がれている。

 日本経済新聞によりますと、十月二十四日段階の採用状況調査、これを見ますと、主要企業の大卒採用内定者数は、今春実績比六・一%減の七万二千人にとどまった、内定者数が三年連続して減少したのは、一九九五年度の調査開始以来で初めてだというふうに報道されております。

 できるだけ早くというふうにおっしゃるわけですけれども、これが十一月中というのでは、ちょっと悠長に過ぎるんじゃないか。こういう深刻な状況を踏まえて、本当にもっと早く開くべきだと思うんですが、このあたりは、大臣、いかがでしょうか。

高木国務大臣 できるだけ早く対応したいと思っています。

宮本委員 この間、私は、学生と就職問題で懇談を重ねてまいりました。その懇談の中で、就職活動にかかわる交通費、宿泊費の経済的負担が学生に大変重くのしかかっているという状況が出されております。

 ある地方大学の学生は、東京で就活をしている、バイトをして、生協の安いバスで行くけれども、一日で終わらず、ホテルに泊まると、交通費と宿泊代で一回二万円前後かかる。何社も受けると、毎週上京することになり、月八万円、半年間就活が続いたので、交通費だけで五十万円近くかかった、こういうふうに述べられておりました。

 また、ある女子学生は、文系女子は特に厳しく、大抵百社以上受ける、何人かでウイークリーマンションを借りて、シェアリングして宿泊代を減らしたと語っておりました。

 東京近郊の私立大学生は、東京で行われる説明会に行くと、片道一時間半、往復で千五百円かかる。奨学金の月九万円とアルバイト代の月四万円で家賃や生活費を賄っているので、お金がなくなり、就職活動が六月までしかできなかった、こういうふうに語っておりまして、まさに就職活動も金次第という状況が浮き彫りになりました。

 それで、文科省にお伺いしますと、今年度予算でも、大学教育・学生支援推進事業というものがありまして、学生の就職活動に係る負担軽減の観点から、交通費や宿泊所の確保のための費用への支援も含む財政支援を行う仕組みが既にあるというふうにお伺いをいたしました。

 各大学から、この就職活動の交通費、宿泊費などが申請されているという事実があるようですけれども、その申請の具体例をお示しいただきたいということと、そして、これらが申請されれば全額補助されるということだと思うんですが、御確認を願います。

高木国務大臣 御指摘の件は、大学教育・学生支援推進事業と認識をしておりまして、その具体的な事例ということでございます。

 例えば、東北公益文科大学におかれては、東京や仙台で多く開催される企業説明会に参加する学生のために交通費を計上しておる。あるいは、愛知みずほ大学においては、大都市圏で実施される企業説明会へ集団参加するための交通費、あるいは宿泊所確保のための費用を計上しておる。また、京都外国語大学においては、首都圏での就職活動を行うための卒業生で構成する校友会会員等へホームステイを依頼するための費用の計上、こういったことが挙げられております。

宮本委員 全額補助でしょうか。全額補助される仕組みでしょうか。

高木国務大臣 全額となっております。

宮本委員 懇談した学生はどこでも、交通費、宿泊費補助の必要性を訴えておりました。ところが、こういう事業があることがまだ大学に周知徹底されていないのではないかと思うんですね。大学がこのような事業があることを知っていれば、もっと申請があるはずだし、そして学生の負担も軽減されると思うんですよ。これからでも大学に周知徹底をして、申請を募って、交通費や宿泊費について学校から申請があれば、補助、支援の対象にすべきだと思います。

 それで、来年度概算要求をお聞きしますと、継続のみ認めて新規は認めないという概算要求になっているという説明を受けました。来年度もこういう申請、新規も含めてやはり受け付けて、もっと多くの大学でこういうことがちゃんと活用されるようにすべきだと考えますが、大臣の御答弁を願いたいと思います。

高木国務大臣 本事業については、できるだけ皆さん方が周知徹底を図るように、当然我々もその努力をしなきゃならぬと思っておりますし、この事業は二十一年度からの三カ年事業として実施されております。

 現在採択されている大学等の活動状況を見ながら、その成果を各大学等に発信、普及を行う、また、採択されていない大学を含め、より多くの大学等によってよりよい就職支援ができるように今後努めていきたい、このように考えております。

宮本委員 ぜひ、御努力をお願いしたいと思います。

 次の問題に移ります。

 予算委員会の笠井議員の質問を見た方から、笠井議員は、就職活動の早期化を三年生夏場の職場体験のインターンシップから、としておったけれども、実は、就職活動は今や大学一年の入学直後から始まっているという、そういう告発とともに持ってきたものが、きょう資料配付をしたものなんです。もともとはこんな分厚いものでありますけれども、きょう、資料配付をさせていただきました。

 この資料の、表紙がついていますが、一枚めくっていただいて、「検査の種類」というものを見ていただきたいんです。

 それには、「この検査は、大学生・短期大学生が今の自分の力や強みを理解し、将来について考えたり、就職活動の準備をするために受検するものです。」とし、検査は七種類ありますと書いてあります。検査名として「自己発見レポート」、これは一年生がガイダンス後に受けるもの。「自己プログレスレポート」、これは大学二年生で受けるもの。そして、「就職支援アセスメントキャリア・アプローチ」、これは就職適性検査とも言われておるもので、三年生の十月。「一般常識・基礎学力テスト スタート」、これは別名、就職筆記試験対策テストと呼ばれるもので、これも三年の十月ごろ実施。そして次のページ、三枚目のページに移ってもらうと、「エントリーシート攻略テスト基礎編」、「エントリーシート攻略テスト実践編」、「完全突破!!履歴書攻略トライアル」というふうに続きます。

 学内では、まさに大学一年生の春から就職活動の準備が始まり、三年には本格的、実践的対応が行われている。この七種類の検査、これは一体どこが実施をしているか、大臣、おわかりですか。

高木国務大臣 この委員会の場で拝見いたしましたので、詳細はわかりません。

宮本委員 表紙に出ておりますように、これは、私どもが入手したものにはベネッセコーポレーションの名前が書き込まれてございます。私はこの告発者ともお会いしましたので、一応、この資料の信憑性を私としては確認した上で資料配付もさせていただいております。

 それで、ベネッセといえば、小学校の学力テストを請け負ってきた受験産業ですね。しかも、この検査は、一部有力大学を除いてほとんどの私立大学で実施されているというふうにお伺いをいたしました。本日お配りしたのはその一部ですけれども、実は、ベネッセの社員とともに大学に派遣される人材派遣会社の社員用の実施マニュアルというものがこのマニュアルであります。

 ここには、大学に出向くときの身だしなみ、持参品から、そして、三十分前には着いて大学担当者様へごあいさつ、本番ミーティング、事前ミーティング、事細かにこういった、いわばもう大学一年生から進めているキャリア教育という名前の就職対策のマニュアルが載っております。

 それで、こういうことを、つまり受験産業、学習塾関係者が直接大学へ乗り込んで、そして就職活動対策を行っているということを大臣は御存じでしたか。御存じだとすれば、どのようにお考えになりますか。

高木国務大臣 このような事例があるのも承知をいたしております。したがって、学生が十分に学業に専念できないという実態、これについては、当然、学生の質の低下ということを招きかねず、そういう懸念であり、私は、早急に是正すべきものだと考えております。

 したがいまして、私も、就任当初、経済団体あるいは大学に出向きまして、就職活動、採用活動の早期化あるいは長期化、こういったものをやはり是正してほしい、または是正したい、こういう意見を表明いたしまして、経済界からも、非常に経済を取り巻く環境は厳しいものがございますが、そういうことについては認識はほぼいただいておる、このように私は思っております。

 その一つとしまして、商社業界の方で、二〇一三年度入社の新卒者対象の採用スケジュールをおくらせるための具体的な検討を始めると。こういうことから見ても、経済界もさまざまな動きが出ておりますので私はそれを期待しておるところでありますが、私たちとしても、先ほどの、いわゆる検討のテーブルというのも早期に開催をして、こういうところでも是正に努めていきたい、このように思います。

宮本委員 だからこそ僕は、大臣に出ていただいて、しっかりと議論していただかなきゃならないと思うんです。

 そして、商社に今前向きの状況が出てきているというのはいわゆる本当の採用の話なんですけれども、今ここで紹介したやられていることというのは本当に、一年から始まっている、また大学がそういうことをやっているわけですよ。

 キャリア教育というふうにおっしゃるわけだけれども、その中身はエントリーシート攻略とか履歴書攻略トライアル。これではキャリア教育の名が泣くというものだと言わなければなりません。こういうやり方をしていると、本当に学生たちが一年から浮き足立っていく。先ほど大臣も、それが大学教育に重要な、学生たちに負担になっているというふうにもおっしゃいました。こういった検査の結果を、診断結果として赤ペンで間違いなどが指摘され、フォローガイダンスも行われているという状況であります。

 大学では、フリーター、派遣になりたくなかったら、日経、四季報を読み、ビジネスセンスを学べとか、そしてまた、一年からこんなことをやるんですかとある学生が聞いたら、もう就活かよと思うでしょうが、現実は甘くないのですと大学から言われたとか、本当に、むしろ逆に開き直って、甘くないんだ、今からやらぬでどうするかという話になっている。

 ここに私がお持ちしたのは、ある大学で配付されている「就職活動記」と記載されたものでありまして、「先輩から、君たちへの激励メッセージ」と。つまり、就職が決まった先輩たちの、内定者の華々しいプロフィールがつづられたオリジナル雑誌ですよ。これが配られて、この成功例に学べというキャンペーンが一年、もう入学直後から始まっているということなんですね。これは学生から借りてきたものでありますけれども。

 これはどういうものがこの中に載っているかといいますと、例えば、ある企業に受かった人の経験談、運輸系大企業に採用された女性、資料請求を含むエントリーは何社しましたか、約四百社、会社説明会に参加した数、約八十社、エントリーシートの提出、約百二十社などの数とともに、エントリーシートの記入の工夫、試験対策などがここに書いてあります。注目すべきは、百二十社にエントリーシートを出し、八十社の採用選考試験を受けて、内定がわずか六社。

 こういうものを見せられると、やはりここまでやらねばならぬのか、こういう気分になるというんですよ、学生たちは。そして、ほぼ全員参加して、ベネッセがやっている検査が行われている。これではもはや、大学は就職予備校になっていると言わなければなりません。

 大臣、これはどうお感じになりますか。

高木国務大臣 今御指摘の点は、私は、すべてだと思いたくありませんが、現実の一つだろう、しかし異常だ、このように思っております。それを是正するために我々としては役割を果たさなきゃならぬ、このように思っております。

宮本委員 ぜひともこういうテーマも三者のテーブルというところで取り上げていただいて、まともなルールをやはりつくる必要があると私は思います。

 そして、このようにして検査結果が今度は、今はベネッセですけれども、ベネッセという企業に集積をされていきます。そういう就活指導に名をかりて、学生の心理傾向、学力状況、就職希望先などの個人情報を私企業が握るという形になってくるわけですね。

 大臣、これにも問題があるというふうにお感じになりませんか。

高木国務大臣 先日、国立大学協会の代表の方々と懇談をいたしまして、就職問題は大きな懸念材料、大学も企業も強い人材を求めている、採用活動は長期化、学生も企業も疲弊するという懸念が示されておりますように、私も、委員御指摘の状況について正常な形ではないと思っておりますので、改めて、まさにその解決のための努力をしなきゃならぬ、このような思いです。

宮本委員 もう一つ指摘せざるを得ないことがあります。

 この秋から、ベネッセの活動は一層活発化していると聞いたんですね。ベネッセは、こうして大学のキャリア教育、就職支援活動に食い込み、それを通じて学生の個人情報を集積するばかりか、今度は、それを企業利益のために利用する新たな商売を始めていると言わざるを得ない事実があります。

 お配りした資料の最後に、ベネッセがこの三月から始めましたウエブサイト、ベネッセドリームエントリーというものの法人会員申し込みフォームをつけてございます。これは法人がベネッセに申し込むんです。つまり、よい人材を送ってくださいねという希望のある法人がこの会員になる。下を見てください。契約期間一年、十二カ月で六十三万円。

 一方で、就職支援教育で学生や大学から金を取って商売し、もう一方で、今度は企業から年六十三万円の法人会費を取って商売する。圧倒的多数の学生の個人情報を握り、大学生と企業をマッチングさせる一大企業になろうとしているとしか言いようのない事実だと思うんですね。超氷河期などと言われる学生の就職難につけ込んで、学生の個人情報を集め、それを企業利益につなげるこのようなやり方は、私は許されるものではないと思います。

 こうした就職活動にかかわる企業活動のあり方全般を、先ほど大臣御答弁になった三者協議の対象にして、もっとまともなルールを三者でしっかりつくるということがなければならないと思いますが、大臣のその御決意をお伺いしたいと思うんです。

高木国務大臣 例として出された経過についても、いま一度事実関係を調査することが何よりも大事だと思っております。

 いずれにいたしましても、就職採用活動の早期化、長期化というのは問題でありますので、これまでも述べてきましたように、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

宮本委員 この問題、就職活動のルールという問題は、私どもが三者の協議の場を御提案申し上げたのは、この日本学術会議の「大学教育の分野別質保証の在り方について」の中でも、学生が大変な状況になっているというだけじゃなくて、企業にとっても深刻な負担になっているということが触れられているからなんですよ。

 少し紹介しますけれども、「学生の学業生活に甚大な支障を及ぼすばかりか、メンタルヘルス面でも少なからぬ問題を発生させている。また企業にとっても、近年の過熱する就職活動(採用活動)は、多分に非効率性を感じさせるものになっている」こう言っておりまして、その他の問題のように、利害がただ単にぶつかるものじゃないんですね。

 学生が被害者で、企業は何かそれでいい目しているかというと、実は、こういう長期化、早期化、過熱化というのは、学生も大変な状況に追い込んでいる、大学も大変な状況に追い込んでいるけれども、先ほど商社の例が出ましたけれども、企業にとっても、これではやはり本当にいい人材を集められない。三者が三者とも、ちゃんと話し合えば、ウイン・ウインの関係になるというか、全体が一致できる、一致点を見出すことのできる分野だと思うからこそ、ちゃんと三者のテーブルをつくって話し合いを尽くすことを御提案申し上げたんです。

 こういう点では、企業とも経済界とも、大いに一致点を見出すことはできるというふうに私どもは感じておりますけれども、大臣、これについてはどのようにお感じでしょうか。

高木国務大臣 それぞれの立場からの主張を十分に把握しなければならぬと思っておりますので、協議の場もできるだけ早く開会をしたいと思っております。

 同時に、雇用、就職問題というのは、かかって経済の活性化が我々が取り組むべき最大の課題ではないかと思っておりますので、何としても、かかる円高、デフレ、こういったものに緊急経済対策として全力で取り組むことも私はこの問題の解決の大きな柱だと思っています。

宮本委員 時間が参りましたので終わりますけれども、この問題は、大学生が、まあ高校生もそうですけれども、社会に出るその一日目に失業者というような状況で本当にいいのかということが問われる大問題です。どうか、早くということでありますけれども、一刻も早い取り組みを求めて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時散会


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