衆議院

メインへスキップ



第1号 平成26年2月4日(火曜日)

会議録本文へ
本国会召集日(平成二十六年一月二十四日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 小渕 優子君

   理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君

   理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君

   理事 義家 弘介君 理事 笠  浩史君

   理事 鈴木  望君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      小此木八郎君    神山 佐市君

      菅野さちこ君    木内  均君

      工藤 彰三君    熊田 裕通君

      小林 茂樹君    桜井  宏君

      新開 裕司君    冨岡  勉君

      永岡 桂子君    野中  厚君

      馳   浩君    比嘉奈津美君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      菊田真紀子君    細野 豪志君

      吉田  泉君    遠藤  敬君

      椎木  保君    三宅  博君

      中野 洋昌君    柏倉 祐司君

      井坂 信彦君    宮本 岳志君

      青木  愛君    吉川  元君

      山口  壯君

平成二十六年二月四日(火曜日)

    午後三時四十五分開議

 出席委員

   委員長 小渕 優子君

   理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君

   理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君

   理事 義家 弘介君 理事 笠  浩史君

   理事 鈴木  望君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      小此木八郎君    神山 佐市君

      菅野さちこ君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      佐々木 紀君    桜井  宏君

      新開 裕司君    田中 英之君

      武部  新君    冨岡  勉君

      中谷 真一君    永岡 桂子君

      野中  厚君    比嘉奈津美君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      菊田真紀子君    細野 豪志君

      吉田  泉君    遠藤  敬君

      椎木  保君    田沼 隆志君

      三木 圭恵君    中野 洋昌君

      柏倉 祐司君    井出 庸生君

      宮本 岳志君    青木  愛君

      吉川  元君    山口  壯君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   内閣府副大臣       後藤田正純君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   倉持 隆雄君

   政府参考人

   (文部科学省科学技術・学術政策局長)       川上 伸昭君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房技術監) 外園 博一君

   文部科学委員会専門員   久留 正敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

一月二十七日

 辞任         補欠選任

  井坂 信彦君     井出 庸生君

二月四日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     田中 英之君

  木内  均君     武部  新君

  永岡 桂子君     中谷 真一君

  馳   浩君     佐々木 紀君

  椎木  保君     三木 圭恵君

  三宅  博君     田沼 隆志君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     馳   浩君

  田中 英之君     小此木八郎君

  武部  新君     木内  均君

  中谷 真一君     永岡 桂子君

  田沼 隆志君     三宅  博君

  三木 圭恵君     椎木  保君

    ―――――――――――――

一月二十四日

 教育委員会制度を廃止する等のための地方自治法等の一部を改正する法律案(中田宏君外四名提出、第百八十三回国会衆法第二五号)

 地方教育行政の適正な運営の確保に関する法律案(笠浩史君外二名提出、第百八十三回国会衆法第四五号)

二月三日

 独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

小渕委員長 これより会議を開きます。

 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 文部科学行政の基本施策に関する事項

 生涯学習に関する事項

 学校教育に関する事項

 科学技術及び学術の振興に関する事項

 科学技術の研究開発に関する事項

 文化、スポーツ振興及び青少年に関する事項

以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。

 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

小渕委員長 次に、内閣提出、独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。下村文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

下村国務大臣 このたび、政府から提出いたしました独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 平成二十五年十二月五日に閣議決定した好循環実現のための経済対策では、その具体的施策として、科学技術イノベーション、技術開発の推進の観点から、ハイリスク・ハイインパクトな革新的研究開発を強力に推進することとしております。

 この法律案は、将来における我が国の経済社会の発展の基盤となる革新的な新技術の創出を集中的に推進するため、平成二十五年度の一般会計補正予算(第1号)により交付される補助金により、独立行政法人科学技術振興機構に、革新的な新技術の創出に資することとなる科学技術に関する基礎研究等の業務等に要する費用に充てるための基金を設ける等の措置を講じるものであります。

 次に、この法律案の内容の概要について御説明申し上げます。

 第一に、独立行政法人科学技術振興機構は、平成三十一年三月三十一日までの間に限り、革新的な新技術の創出に資することとなる科学技術に関する基礎研究等の業務等に要する費用に充てるための基金を設けるものとし、あわせて、これらの基金の運用方法の制限や、基金を廃止する際の残余額の処理について規定するものであります。

 第二に、文部科学大臣は、基金を財源として実施する業務に係る部分について、独立行政法人科学技術振興機構の業務方法書や中期計画の認可等をしようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、総合科学技術会議の意見を聞かなければならないものとするものであります。

 第三に、基金を財源として実施する業務について、特別の勘定を設けて経理しなければならないとするものであります。

 第四に、独立行政法人科学技術振興機構は、毎事業年度、基金を財源として実施する業務に関する報告書を作成して文部科学大臣に提出するとともに、文部科学大臣は当該報告書を国会に報告しなければならないものとするものであります。

 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

小渕委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官倉持隆雄君、文部科学省科学技術・学術政策局長川上伸昭君及び防衛省大臣官房技術監外園博一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 きょうは限られた時間でございますので、ぜひ、下村大臣また後藤田副大臣にも端的にお答えをいただければと思います。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

 まず、具体的な質問に入ります前に、先週、理化学研究所の小保方晴子さんが、理研のユニットリーダーとして、新しい万能細胞、STAP細胞を発見したことは、本当にこれは大きな喜びであり、大変な偉業であるというふうに思っております。今後の再生医療にとって新たな道を開く可能性を秘めた画期的なものであるというふうに思いますし、このように小保方さんのような、特に、若い、三十歳ですか、女性の研究者が先頭に立ってこうした発見をしたということが、ある意味ではインパクトが非常に大きいものではないかというふうに思っております。

 ただ、我が国の女性研究者の割合は、徐々に増加をしているとはいえ、諸外国と比較するとなお低い水準にございます。日本は女性研究者の割合は一四%、英国で三八・三、米国でも三四・三%、フランスにおいても二五・六%、ドイツにおいても約二五%、韓国でも一六・七%。

 政府としても、第四期科学技術基本計画で、第三期の女性研究者の採用割合の数値目標を、自然科学系で四分の一、二五%の早期達成、そしてさらには三〇%まで高めていくということが掲げられておるわけでございますけれども、これはなかなか、我々が政権を担当していたときも、そして今、自公政権のもとでも、さまざまないろいろな対策、施策を講じているけれども、非常に難しいという状況がございます。

 そしてもう一点は、そもそも、大学進学で理系に進む女子学生の割合が非常に低い。歯学や薬学あるいは医学部に進む女子学生の割合は非常にこれは高くなってきています。しかしながら、学部でいうと、理学部でいうと、女性の割合は二六%、修士で二二%、博士課程で一八%、工学部でいうと、女性の割合は一二%、修士で一一%、博士課程で一七%、こういったところも、いかに動機づけをして、そして今、リケジョと言われることがブームになるかもしれませんけれども、まさにそういったところに対するさまざまな支援というものを、力を注いでいただきたいというふうに思っております。

 こういった意味においては、後ほど若干触れさせていただきますけれども、このImPACTの前の事業であるFIRSTにおいても、これも男性の研究者が中心となってそのプロジェクトが、たまたま女性の研究者というものがおられないということで、この手のプロジェクトで、女性のリーダーというもの、女性の研究者がやはりリーダーとして活躍する道というものもしっかり開いていくべきではないかというふうに思っておりますけれども、その点について下村大臣の、今後の施策あるいは対策というものについてどのようにお考えかというものをお聞かせをいただきたいと思います。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

下村国務大臣 今、笠委員からお話がありましたように、今回、小保方晴子さんが画期的な成果を上げたということに対して、本当に心から拍手を送りたいというふうに思います。

 女性が活躍できる社会をつくることは、安倍内閣の成長戦略の重要な柱の一つでもございます。特に、今回の小保方さんのような女性研究者の活躍を促し、その能力を発揮させていくことは、我が国の経済社会の再生、活性化や、男女共同参画社会の推進に大きく貢献するものであるというふうに期待をしたいと思います。

 残念ながら、今御指摘がありましたが、我が国の女性研究者の割合は諸外国と比較して低い水準にあります。文部科学省でも従来より女性研究者に対する支援策を講じてきたところでありますが、まだまだ十分でないというふうに思いますし、研究と出産、育児等との両立や研究力の向上を図る上で、さらなる取り組みの推進が必要であるというふうに認識をしております。

 平成二十六年度予算案では、従来の取り組みに加えて、新たに、複数の大学、研究機関等が連携して、女性研究者の研究力向上を図る取り組みを支援することとしておりまして、今後とも、女性研究者の活躍促進を図ってまいりたいと思います。

笠委員 その点は、我々もいろいろな提案もまた後日改めてさせていただきたいと思いますので、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 そこで大臣にお伺いをしたいんですが、今回のこの小保方さんの発見、先ほど申し上げたように、まさに世界じゅうに衝撃が走ったわけでございます。これは本当に革命的であり、インパクトがある発見だったわけですけれども、こうした研究というものが、きょう議論をする、今回創設されるImPACTの事業の対象となる可能性はあるんでしょうか。例えば、この小保方さんがプログラムマネジャーになるという道も御本人が希望すれば開かれていくのか、その点をお伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 このたび、理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーらによりまして、従来とは異なる新たな手法を用いて、ES細胞やiPS細胞のように、さまざまな細胞に分化できるSTAP細胞が作成されたと承知しておりまして、御指摘のように、科学的に大変大きな発見であるとともに、今後の研究の進捗によっては、将来的に革新的な再生医療の実現につながり得るものと大いに期待をしております。

 文部科学省としては、従来からこの再生医療の実現に向けたさまざまな研究支援策を講じてきたところでありますが、今回の成果を受けて、国際的にも大きな関心を呼んでいるSTAP細胞研究の加速にぜひ取り組んで、支援をしていきたいというふうに考えております。

 具体的には、このSTAP細胞研究の加速に向けて、一つには、今回発見したSTAP細胞の初期化に関する原理の解明、二つ目に、ヒト細胞への適用等の再生医療の実現に向けた取り組みなど、研究現場のニーズに合致した効果的な支援を行うことが重要であるというふうに認識をしております。

 ImPACTについては、現在、内閣府において制度設計を行っているわけでありますが、文部科学省としては、今後、再生医療実現拠点ネットワークプログラム等の関連する枠組みを含めまして積極的な対応策を検討し、具体的な支援を講じてまいりたいと考えています。

笠委員 これはちょっと大臣でも後藤田副大臣でも結構なんですけれども、このImPACTでは、マネジメントを強力に実施しつつ、みずからの研究も遂行できる研究者も候補者として手を挙げることができるというふうに私は理解をしておるんです。

 確かに、このプログラムマネジャーというのがどういう資質を備えた方なのかということはあると思いますけれども、御自身が研究をしていて、やはりそのマネジメント能力も持ち合わせたような方も私はおられると思うんですね、中にはそういった点はいささか欠ける方もいるかもしれませんけれども。だから、そういった方も対象としているのかどうかということをお答えいただきたいと思います。

後藤田副大臣 このたびは、補正予算に関係しての法案審議、ありがとうございます。

 笠先生の今のお話でございますが、答えはイエスでございます。それと同時に、若干、PM選定の資質、指定につきましても御紹介したいと思います。

 まず、マネジメントの経験とか実績、潜在的能力、柔軟な構想力、こういうものも、当然その中で査定させていただくということも含めて、その中での研究者であったらそれは当然対象になるということでございますし、その他も、やはり触媒として、産業界だとか研究者、そういった方々とのコミュニケーション能力、専門家とのネットワーク、情報収集力とか、また、対外的に国民の皆様にも説明責任としてわかりやすく説明する力だとか、そういうことを総合的に勘案しながら、PM、プログラムマネジャーを選定してまいりたいというふうに考えています。

笠委員 今年度終了する最先端研究開発支援プログラムのFIRST、今回こういった成果が出たからということではなくて、この小保方さんのプロジェクトというものは、当時、五年前ですね、みずから手を挙げて例えば応募していれば、ひょっとしたら対象になっていたかもしれないと思うんです。

 今回、まだ今は最終的な成果というものは内閣府においてもあるいは文科省においても分析をされていると思いますけれども、山中先生を初めとして、やはりすばらしいプロジェクトで、私は、一定の成果が出ているというふうに理解をしておりますし、そのように認識をしております。

 ただ、これからまだ実用化へ向けた道筋というのはかなりの課題が多く残っており、多くの研究、これは今後も相当な資金をやはりつけていかなければ、一つ一つちょっと拝見をしましたけれども、まだ、資金繰りのめどがついているプロジェクトとそうじゃないプロジェクトがあるように伺っております。

 これから、研究から技術開発段階のいわゆる魔の川、あるいは、技術開発から事業化段階での資金や人材の枯渇の危機の死の谷をいかに克服していくか、あるいは、事業化を成功させ、いよいよ産業化へと転換を図っていくダーウィンの海を越えて勝ち抜くための支援をやはり強化することも、ImPACTの、新しい、まさに革新的ないろいろなイノベーションにつながるようなものも必要なんですけれども、今既に、衝撃を与えるすばらしい成果が上がってきている研究に対して、実用化を急ぐというところのプロジェクトというものが、JSTが絡んでいるものも今幾つかあります。あるいは科研費からのいろいろな、先ほど大臣もおっしゃったように、その点の研究にも支障なきようにやっていくんだ、さらに力を入れてやっていくということでございますけれども、やはりそこをこのImPACTが、五百五十億という基金が積まれたということで、その点が、FIRSTの成果をさらに実用化へ向けてつなげていくようなやはり枠組みというものもぜひ御検討していただきたいと思います。

 その点について下村大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 これはおっしゃるとおりだというふうに思います。

 この小保方さんの研究も、今まで政府の方も理化学研究所に対して支援をしていた、その支援の一環の再生医療の枠の中での研究であるというふうに思いますし、しかし、御承知のように、山中教授を中心としたiPS再生医療も、これも十年間で一千百億円のバックアップをしながら、これが新たな我が国における新産業の強みになっていくような再生医療バックアップ支援をするということで昨年から始めたわけでございますけれども、今回についても、ぜひ、FIRSTの後継事業としてのImPACTの創設に当たって、こういうことも研究対象に、資金の対象にしていくべき分野であるというふうに認識をしております。

笠委員 それで後藤田副大臣にお伺いをしたいんですけれども、例えばこのImPACTのプロジェクトが決まってくれば、そこにプログラムマネジャーがいて、さらに研究者であったりあるいは産業界であったり、さまざまこのチームが構成されていくことになると思うんですが、そのときに、特に、やはり優秀な研究者というものは中核をなさなければなりません。

 そのときに、そういう研究者の皆さんは、恐らく、科研費であるとか、今現在JSTの方でやっております戦略的創造研究推進事業など、あらゆる、この国の予算が使われている、支援を受けているプロジェクトというものがございます。こうした、他の既にある制度で研究資金を受けている研究開発プログラムについても、今回の基金による資金措置をあわせて受けることができるのか、あるいは、その辺の調整をどのように図っていくのかということをお聞かせをいただきたいと思います。

後藤田副大臣 笠委員におかれましても、元文部科学副大臣として、FIRSTの仕組みも含めて、競争的資金のさまざまな研究のことはよく御存じだと思います。今おっしゃったように、今回、ImPACTの研究費が他の競争的資金と重複するということについては、これはできるだけ避けたいとは思っております。

 これはやはり、予算の過度の集中をなくすという観点からもそうでありますし、これだけのインパクトのある研究プログラムでございますので、やはりそこに集中していただくということももちろんでございます。

 しかし、他の研究の資金による研究課題の内容がImPACTで実施する研究開発の内容に類似しないような形でそれはしっかり分けていきたいというふうに思っておりますが、ただ、他の競争的資金における研究といわゆる相互的に化学反応を起こすような形もあればそれはいいんですけれども、全く同じというものについては、事前に適当な機関によってそれをしっかり判断した上で、進めさせていただきたいと思っております。

笠委員 それともう一点伺いたいのは、私も、ハイリスク・ハイリターンというのは、ある意味では、評価、成果というものがどういう形で評価をされるのかと、まだわかりやすいと思うんですよ。ただ、今回は、ハイリスク・ハイインパクトということなので、果たしてどういうものがその対象になるのかなというふうに、率直、このイメージが湧かない点もございます。例えば、何かもう天才的な、我々が考えも及ばないような発想、あるいは、こういうことをやればすごいんだというようなものだと思うんですけれども。

 そこで、これからこの補正予算が成立をしたら、当然ながらこれは公募の作業等々に入るわけですけれども、逆に、応募してみたいと思っておられる方からしても、どういう成果を求められるのか、あるいは、どういうことが具体的にその評価の対象となっていくのか、そういった点をかなり明確に、絞れということじゃなくて、しておかないと、これは、研究者の方々で今すばらしい研究を行っているような方々も含めてですけれども、その辺のわかりやすい周知というものがやはり大事になってくるのではないかというふうに思っております。

 その点の具体的な指針というか、わかりやすくぜひ副大臣の方からちょっとお答えをいただきたいと思います。

後藤田副大臣 大変大事な御指摘であると思います。

 ハイインパクトであるということはどのようにその大きさを評価するというこういう御趣旨だと思いますが、まさに、今までの従来の技術の延長線上にあるそういう開発でもなく、やはり、社会的にも経済的にも、産業構造また社会、生活様式を大きく変えるような構想を選定したいというのが基本でございます。

 それで、近々、総合科学技術会議におきまして、そのテーマ設定を五つぐらいに、今先生がおっしゃったように細かな話ではないのでございますが、絞りまして、その絞ったテーマというのにそれぞれまずその問題意識、例えば、日本のような資源のない国において、資源の有効活用、こういうのをしなくてはいけないという問題意識の中で、結果、最終的な出口としてどのように資源制約から解放されるか、また、資源のない国として世界における我が国の存在感を高めるかという出口、この間にまさに求められるのが、非連続的なイノベーションという、今回のハイインパクトのPMを中心とする研究、これは一つの例でございますが、これがやはり、約五つのくくりの中でそれぞれ細かく示していきたいというふうに思っております。

笠委員 最後に、もう時間が参りますので終わりにしたいと思いますけれども、一つ考えていただきたいのは、例えば、もう既に産学官と、いろいろな連携の中でいいプロジェクトが立ち上がったり成果を出しているものもあるんですね。ですから、ある意味では、自薦ということだけではなくて、先ほどの例えば小保方さんの発見であるとか、同じようなすばらしい最先端の研究をしているプロジェクトもございます。そういったところと、例えば産業界であるとかいろいろなそういうプログラムマネジャー、こういう人が指揮をとるともっとすばらしい成果を生むんじゃないかというようなこと、マッチングをむしろ政府主導でやっていくというようなことも私は検討していただく必要があるんじゃないかということを御指摘を申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

小渕委員長 次に、鈴木望君。

鈴木(望)委員 それでは質問をさせていただきます。

 さきの笠議員の質問の中にもありましたけれども、小保方さんのSTAP細胞のニュースというのは日本を非常に明るくしてくれた、そのように思います。もしかしたら、ダーウィンの種の起源説を覆すかもしれない大発見を日本の若い女性がやった。

 どのようなスーパーエリートの女性がやったのかな、我々が近づきがたいような女性かなと思っていましたところ、意外や意外、ごく普通の、かわいらしい、元気で優しい、隣の娘さんといった女性が出てきたわけでありました。しかも、おばあさんからもらった割烹着を白衣のかわりに着て、何やら我々には難しそうな、我々といいますか、少なくとも私には難しい何か研究みたいなことを、実験みたいなことを一生懸命やっているということで、こういう大和なでしこが世界を驚かすような成果を上げたことは本当にうれしいことだなというふうに思います。

 こういった、若い女性に限らず、若い研究者がすばらしい研究成果を上げることがまた可能となるような、できやすいような環境を整備することが我々の責務であるというふうに思うところであります。

 そういった意味合いで、本法案が目指すところは、我々日本維新の会も大賛成であります。

 そこで、お尋ねをさせていただきたいと思いますが、ImPACTが助成対象としようとする、目的としている、実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらすハイリスク・ハイインパクトな革新的研究とはどのようなものなのでしょうか。具体的な事例も入れてお答えをいただければと思います。よろしくお願いします。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 ハイリスク・ハイインパクトな革新的な研究と申しますのは、必ずしも確度は高くないかもしれませんけれども、まさに、成功すれば社会や産業に大きな変革が期待できる研究を意味するものでございます。

 すなわち、技術的にはそれまでにない新しいコンセプトを持つものであって、それが実証されると、予想もされていなかった新しい市場の創出であるとか、従来の技術体系が根幹から置きかえられてしまう、そういったような効果が期待されるものでございます。

 これまでの例ということで挙げさせていただければ、例えばでございますけれども、スマートフォンであるとかデジタルカメラだとかLED照明だとか、そういったものにつながっていくような研究が相当するのではないかというふうに考えているところでございます。

鈴木(望)委員 それでは、今のお答えが若干抽象的だったものですから具体的に、さきも笠先生の質問からも出ておりましたけれども、小保方さんのSTAP細胞のような研究、また、それから派生したような研究が対象となるのか、簡単にお答えいただきたいと思います。

倉持政府参考人 このImPACTは、まさに、すぐれた提案を持つプログラムマネジャーという方を公募して、その方が持っている構想、それをもとに、プログラムマネジャーの方に大きな権限を委ねる、こういう新しい仕組みでございます。

 プログラムマネジャーというのは、先ほど、研究者の方もその資格がある、まさにそうではございますけれども、基本的な役割は、みずからの研究開発をやるというよりは、研究計画全体を企画管理する、そういうプロデューサーの役割というもの、重要な役割を担っているものでございます。

 したがいまして、プログラムマネジャーが目標とするイノベーション実現のためにすぐれた研究者を結集していくということになるわけでございますけれども、その際、小保方さんのように大胆な発想で挑戦的な研究を行う若手であるとか女性研究者を広く見出していく、こういうことが期待されているというふうに認識しているところでございます。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

 小保方さんのような研究をぜひ、そういう意味では、またそれに派生するような革新的な研究を対象に含めていただきまして、日本の若い才能に、十分活躍できるような環境を整備してほしいと願うところでございます。

 とすると、これは、助成対象を採択するのに急いで年度内にさっと決定をしなければならないような案件なのかなと、根本的な疑問が湧いてくるわけであります。もちろん、リスクはとらなければならない。たとえ失敗しても、案件の中から一つでも輝かしい成果が出てくるんだったら、国民は満足、納得をすると思います。しかしながら、それと、慌てて研究課題を選定する、またPMを選定するというようなことは、リスクをとるということとは全く別の事柄であるというふうに思います。

 そこで、基金の設立を本予算ではなく補正予算で措置すべき理由は何でしょうか。お答えをお願いいたします。

川上政府参考人 御説明申し上げます。

 先ほどから御説明を申し上げておりますが、この革新的研究開発推進プログラム、ImPACTでございますが、革新的な科学技術イノベーションを創出することを目指すというものであるわけでございます。そして、この革新的なイノベーションによりまして、今後の我が国の持続的な経済成長の実現に大きく寄与するというふうに考えているところでございます。

 今回の補正予算におきましては、我が国の持続的成長ということを目指しているわけでございまして、本プログラムは、その補正予算の意図に合致するものとして、今後五年間にわたって独立行政法人科学技術振興機構において資金を措置し取り組んでいくということで、補正予算に盛り込んだものだということでございます。よろしくお願いいたします。

鈴木(望)委員 言うまでもありませんけれども、補正予算は、財政法二十九条で、当初の見込みどおりに本予算を執行することが不可能または不適当な場合に認められるものであります。つまり、今回の補正で言えば、予算委員会でも再三再四強調されておられましたように、緊急の経済対策に必要な予算が一番大きなメーンフレームということであります。

 ImPACTは、どこが補正予算の趣旨、目的に合致するんでしょうか。もう一回答弁をお願いいたします。

川上政府参考人 本プログラムでございますが、我が国の持続的な経済成長に資するということでございまして、本補正予算が我が国の持続的経済成長を、それも、即効的なものだけではなくて、持続的に成長を繰り返すことができるというものも目的にしているということで、本補正予算に合致するものということで措置されたわけでございます。

鈴木(望)委員 申しわけありません、全く納得できないわけであります。どこに緊急性があるのか、それだったら本予算でやればいいじゃないのかという答えしか私には思い浮かばないわけですけれども。

 それでは、具体的にお尋ねをしていきたいと思います。

 五百五十億円の算定根拠をお尋ねしたいと思います。一件三十億から五十億と聞いておりますが、それが十数件というふうに聞いておりますが、具体的に調査課題はめどがついているんでしょうか。ほとんど決定しているんだったら、これはゆゆしきことだというふうに思います。まだ法案も補正予算も成立はしていないわけですね。その点を踏まえてお答えをお願いします。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 先生御指摘のとおり、ImPACTは、プログラムマネジャーを公募する際に提案されるプログラムを厳正に審査し、実施する内容が決定されるというものでございますので、今、あらかじめ個別の予算というものを積算しているものではございません。

 ただ、まさに、ImPACTの制度設計に当たりましては、前身となる最先端研究開発支援プログラム、FIRSTと申しておりますけれども、こういった規模、その資金の運用の状況等を参考にいたしまして、御指摘のとおりでございますけれども、五年間で例えばプログラムマネジャー当たり約五十億円、すなわち、プログラムマネジャーを全体で十人程度の規模というのを想定して制度設計を行ってきたというものでございます。

鈴木(望)委員 要するに、まだ具体的に研究課題が決まっていない、公募で採択をするというお答えかと思うんですけれども、補正予算が決まってから本予算が決まるまでの短い期間に、研究課題の具体的な採択、予算づけが決められるんでしょうか。その点についてお尋ねします。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 ImPACTでございますけれども、まさに総合科学技術会議の司令塔機能強化ということで検討してまいったものでございます。この補正予算で、先ほどのFIRSTというすばらしい前例を踏まえまして基金をつくらせていただいて、その基金をもとに公募をさせていただいて、きちんと評価をして具体的な中身を決めるというものでございます。

 ただ、成長力の底上げに資するという補正予算の編成方針、これを受けて、まさに未来への投資だということで計上させていただいていますけれども、やはり早くその実施ができるように、補正予算というものを活用させていただいて準備を進めさせていただいているという状況でございます。

鈴木(望)委員 補正予算で措置をしたというのは、今言われた御答弁とは別のところにあるというのは私も認識をしております。ですから、余りこの点について追及をしていくということはもうここら辺でやめたいと思うんですけれども、やはり本予算できっちりとやるべきである、今の御答弁を聞いても。持続的成長に資する、そのとおり。だから、本予算でやればいいじゃないですか。

 このぐらいでやめたいと思いますけれども、要するに、まだ採択がこの短い期間の間にきちんとできないというのであれば、私はできないと思うんですけれども、採択選定に係るその費用だけを補正予算で措置をすればいいと思うんですけれども、その点について、この項についてのお答えをお願いして、次に進みたいと思います。

川上政府参考人 このプログラムでございますけれども、予算をお認めいただいたとなれば、内閣府総合科学技術会議において、テーマの設定、プログラムマネジャーの選定ということを始めるわけでございますが、先ほど内閣府の方からも御答弁がございましたように、一刻も早くこのプロジェクトをスタートさせるということが、我が国の競争力を維持していくということに対して必要なことであるわけでございます。

 このため、独立行政法人科学技術振興機構におきまして、テーマの設定後、体制の整備をなるべく急いで開始し、なるべく早くスタートさせるということにしたいというふうに考えてございます。

 この科学技術振興機構における必要な体制でございますけれども、選ばれるテーマの内容であるとか数であるとか、そういったようなものに応じてさまざまな整え方があるということから、その部分だけを切り分けて予算措置をするというのは極めて困難なことであるというふうに考えてございます。

 そういうことから、補正予算において一体的に経費を措置させていただきたいというふうに考えたわけでございます。

鈴木(望)委員 今回の基金設立は、今後五年間の複数年度にわたるものであり、まさに中長期的に取り組む課題であるというふうに認識をしております。ハイリスクをとる分、余計に研究課題の選定などをきちんと腰を据えてやるべきではないのかというふうに思います。

 そういう意味では、幾ら説明を聞いても、本来補正予算で措置されるべきものではない、そういう思いはますます深まるばかりでありますけれども、文科大臣、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。

下村国務大臣 今回の補正予算は好循環実現のための経済対策に即したものでありまして、この対策では、一つは、御指摘のように短期で需要が発現されるということがありますが、それだけでなく、同時に、力強い成長軌道に早期に復帰できるように、経済の成長力底上げや持続的な経済成長の実現に資する、イノベーションの誘発効果が高い施策に取り組むということで補正予算の中に入れたものでございます。

 この革新的研究開発推進プログラムは、実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出を目指すものでありまして、経済の成長力底上げにつながる施策であります。

 また、研究開発を開始することにより、研究者や技術者の雇用や、資材の購入などによる経済波及効果も期待できるところであります。

 少しでも早く世界に先駆けた研究開発に取り組む、そして成果を、効果を実現する。この早期のイノベーション創出を目指すために補正予算として計上したところでありまして、総合科学技術会議と連携して、早期に取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(望)委員 次に、もう時間もなくなってきましたけれども、研究事業の検証体制について質問をさせていただきたいと思います。

 いろいろ質問したいことがありますが、一点、このImPACTの課題について、一課題三十億から五十億、余りにも漠然とした数字であります。きちんと精査しているのかということについてお尋ねをしたいと思います。

 五十億という数字は、高額な機器を購入しない限り大変な額であります。漏れ聞こえてくる声では、ラットを三十万匹購入するといったようなずぼらな積算が行われているというような声もあります。

 ハイリスクをとるということと積算がいいかげんということは、全く私は別なことだと思いまして、これは、リスクはとらなきゃいけない、しかし、その研究費の積み上げ、これは国の税金ですのできちんとやってもらう。その体制がどうかということと、もう時間もないので、あわせて、研究結果の検証体制はどうなっているのか。ハイリスクな研究課題だから失敗してもいいよということではやはり進歩はないと思います。やはりきちんとした検証体制が必要というふうに考えますが、その二点、まとめてお答えをいただければと思います。簡単にお願いします。

倉持政府参考人 ただいま大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 ImPACTにつきましては、繰り返しになりますけれども、プログラムマネジャーと研究開発プログラム構想の提案を公募するものでございます。応募された提案につきましては、総合科学技術会議のもと、外部有識者の知見も活用しながら、費用を含めた研究計画等を厳正に審査して、総合科学技術会議が最終的に決定していきたい、このように考えているところでございます。

 研究開発の実施に際しましては、プログラムマネジャーから研究の進捗状況についてきちんとヒアリングを行い、必要に応じ、これはFIRSTでもやってきたことでございますけれども、改善を求めるということをする所存でございます。

 研究結果の検証体制についてお尋ねがございましたけれども、まさに総合科学技術会議のもとに設置する有識者会議が、プログラムマネジャーから直接研究の進捗状況の報告を受けつつ、必要な場合は改善を求めることも可能としたいというふうに考えております。

 研究開発終了時には、期待された成果が得られ、将来の展開につながるかどうか、プログラムマネジメントが適切であったかどうか等の観点から、外部有識者も活用して、プログラムマネジャー及び研究成果に対する評価をしっかりと行ってまいりたいと考えております。

 その際、当初想定しない成果が出た場合の展開などプログラムマネジメントの過程の適切性や、目標どおりの成果が得られない場合もそこから何を学んだかといったことも評価の対象とするなど、ハイリスク・ハイインパクトな取り組みを促すというこの制度の趣旨を踏まえまして、研究成果の検証にしっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

鈴木(望)委員 国民の大事な税金を使用するという観点から、この種の研究事業についても、当然、研究資金の適正使用や効果の検証をきっちりやっていただきたいというふうに思います。

 その点について大臣に重ねてお願いをしまして、質問を終わりにしたいと思います。

小渕委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 補正でこの大事なImPACTというのを入れていくというものに関しては、今、鈴木委員からも説明を多く求めていたように、我々としてもそこが納得いかないという部分が根幹にございます。先ほどの予算委の締め総で私は麻生大臣から懇切丁寧に説明を受けたものですから、この件に関して私は、もうこれ以上は質問はいたしません。

 ただ、FIRSTというのは、私も研究者でしたからわかるんですけれども、どちらかというと、ボトムアップを中心にいろいろなものを開発していこうという趣旨だったと思います。今回のImPACTというのは、ハイリスク・ハイリターンという研究スキーム、スキームといいますか目的でございます。新しいやり方をやる、その上で、プログラムマネジャーをしっかり選定していくというのは、これはやはりDARPAで一番大事なところだとも言われておりますので、そこのところをしっかり時間をかけていくべきであるということだけ述べさせていただきたいと思います。

 それでは早速中身に入らせていただきたいんですが、お手元の資料を見ていただきたいんですが、これはSCHAFTという、日本の、東大発のロボットベンチャーです、人型ロボット。このSCHAFTという非常に優秀な日本発のロボットベンチャーの記事です。

 非常に優秀で、ImPACTが目指すところのDARPA主催のロボコンで一位になったんです、ぶっちぎりで一位になった。車の運転から、はしご登り、瓦れき除去、ホースつなぎ、バルブ締め、壁破り、ドアあけ、でこぼこ歩きというようなものを非常に見事にやってのけるということで、物すごい高い評価を得て、断トツでトップになった。ところが、これがグーグルに買収されてしまったんです。外国資本に持っていかれた、語弊がありますけれども、そういう形になったというのがこの記事でございます。

 せっかく頑張っても、開発しても、外国資本に持っていかれてしまう。これはやはり、日本の国力に資するべく研究につぎ込んだお金が無駄になるとは言いませんが、非常にゆゆしき事態であるということは間違いのないことだと思うんです。

 この経緯がどういうものだったかといいますと、SCHAFT、このロボットベンチャーのCEOが、ロボコンに出場するために日本の企業を歩いて回った。しかし、どこの企業も投資をしてくれなかったんです。それで、たどり着いた先がグーグルだった。グーグルは、そのコンセプトを聞いて、十年という長期投資であればこれは元が取れる可能性がある、もっと飛躍する可能性があるということで買収を決定したということでございます。

 なぜ日本の企業がそこで触手を伸ばさなかったのか。これは私は、一つ、出口戦略なんですけれども、やはり日本の大きな問題だと思います。なぜリスクをとれないのか、日本の企業がどうしてベンチャースピリッツとコラボレーションできないのか。この状況を是正しなければ、幾らいい開発をしても産業化には結びついていかないわけでございます。

 某大手メーカー、介護ロボットをつくっている日本の大手メーカーに、なぜリスクをとれないのかというところを聞いたという記事がございます。その研究所長の話ですと、イノベーションを起こす可能性を追求しても、もし事故が起きたら責任は誰がとるのかという守りの発想に入ってチャレンジできないというふうに言っています。

 この守りの発想、これが問題なんです。資金、目きき、そういったものがあっても、やはり精神的に縮みに入っている。最初から事故のない完璧なものをつくらなければいけない、こういう強迫観念がある以上、日本の企業が日本のベンチャーとコラボすることはなかなか難しいんじゃないでしょうか。

 やはり日本では、基礎科学からの産業化、民生転用、活用、経済成長に直接結びつけるこういう道をしっかりつくっていかなきゃいけない。どうやって出口戦略を描いていくのか、どうやって日本企業の野心に火をつけリスクをとらせていくのか、その辺の政府のお考えをお聞かせいただければと思います。

倉持政府参考人 御説明を申し上げます。

 まさに、このImPACTは、プログラムマネジャーという方を中心に、この方がどのように利用の現場にその技術を持っていくかということを考えながら、研究現場と利用の現場、何が必要なのか、どこがネックなのか、そういったところを走り回りながら研究全体をマネージしていく、こういう考え方で設計されている部分でございますけれども、こうしたことで、まさにハイリスク・ハイインパクトな研究開発へのチャレンジを促したいというものです。

 ただ、プログラムマネジャーがお一人でそれをやろうとしてもなかなか、まさに、おっしゃった出口戦略を見据えていろいろシナリオに沿って活動されるわけでございますけれども、知財であるとか規制であるとか、あるいはそういった企業の中の体質の問題であるとか、そういったところに働きかけて問題点をえぐり出しながら課題を解決していく、そういうことが必要でございますので、このプログラムマネジャーのもとに知財であるとか規制の専門家などの必要な人材も結集しながら、チームプレーでサポートしていく、こういう体制をつくって臨んでいくことが大事ではないかというふうに考えているところでございます。

柏倉委員 企業側の問題を質問させていただいたつもりなんですが、ちょっと答えが的が外れていると思います。

 次の問題を質問させていただきます。時間がございませんので、端的に質問をさせていただきます。

 このDARPAとImPACTというのは、根本的に違う部分は、もう一つ、DARPAというのは国防省が丸抱えしている研究なんですね。ですから、物を開発すると必ず実践できる場が与えられるわけです。

 例えば医療用のロボット。今、前立腺がんなんというのは、ダビンチというロボットで遠隔でできるようになりました。それも、最初は国防省のこういう予算で研究をされているものなんです。

 あと、例を例えれば、地雷除去ロボットなんかもやはりここから出ている。それで、最初は精度は八〇%ぐらいしかなかったらしいんです。これは戦場では使えるけれども民間の人が住むところでは使えないということで、一生懸命戦場で実践、改良して、民生用の、普通の人が住んでいるところの地雷除去用に使えると。

 つまりこれは、基礎研究、そして実践、改良の場、そして実用、そういうなだらかな階段があるわけで、そこの実践、改良の場は日本は全く持っていない。DARPAということで予算をつけるのはいいんですが、やはり、DARPAを目指す上での日本の大きな欠陥だということを一つ指摘させていただきたいと思います。ここは、時間がございませんので質問はいたしません。

 それでは、最後の質問なんですが、このDARPAにしても、なぜこういう優秀な技術がここに集まってきてよりいいものになるのかという一つの原因として、DARPAにはコンペティションがあります。いいものがいっぱい来て、そこで勝ち残っていく人にどんどん補助金をつけてあげる、お金を上げる。そうすると、どんどんどんどんいいものができてきて、より高いレベルでの競争ができるということになっているんです。

 本邦でも、来年度から、経産省と国交省の開発プロジェクトで、社会インフラの点検や維持管理のためのロボット研究開発というのが行われるというふうに聞いております。目標達成の評価に競技大会をするということなんですね。それで、コンペ形式で、研究費をどんどん上積みしていく、ないし振り落としてしまう、こういうDARPAから得たやり方をやるということなんです。

 ImPACTに関しては、このコンペティション、これはどのように考えているのかということと、今の、申し上げた経産省と国交省の開発プロジェクト、合同プロジェクト、これとのコラボレーションといいますか、兼ね合いはどうなっているのか、お聞かせください。

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 ImPACTにつきましては、総合科学技術会議が設定するテーマのもとで、プログラムマネジャーが出口戦略を見据えてシナリオを構築して、従来の技術の延長線にない技術課題にチャレンジする、これを促そうというものでございます。

 プログラムには期間もございますので、実施するのは、課題解決のための技術原理の実証であるとか、あるいはプロトタイプ機の作製といった研究段階が中心になるのではないかというふうに想定しております。

 委員御指摘のとおり、現場、産業化といったようなことを考えたときには、当然現場で使える技術にしていかなければならないわけでございまして、そこの部分について、イノベーションのまさに担い手である民間企業との役割分担等も踏まえまして、ImPACTでの成果の出ぐあいを見ながら具体的に考えていく必要があろうかと思います。

 その中で、ImPACTの中でコンペ形式という部分につきましても、例えば、プログラムマネジャーの方がある研究を促進する上でそういう方式が非常に有効ではないかということがあれば、それは検討の対象になるものだというふうに思っております。

 また、ImPACTの成果を産業化につなげていく上で、各省がいろいろ持っておられるほかの競争的資金や公共調達の仕組みを活用してつないでいくということも大変重要なことだというふうに考えております。

柏倉委員 では、最後に確認なんですが、先ほど伺った経産省と国交省の開発プロジェクトとは全く関係なく進めるという理解でよろしいでしょうか。

倉持政府参考人 私どもは、総合科学技術会議のもとで、いろいろ府省連携のプログラムについて、総合調整なり、あるいは課題解決に向けてゴールを同じくするものについて、府省で工程表を共有しながら進めていくという取り組みを進めております。

 そういったところの、まさに今御指摘の国交省と経産省のプログラム、取り組み、そういったものとImPACTの方で関連するようなプログラムを実施するようなことが仮にあれば、そこのつなぎということをしっかり考えていきたいというふうに思っておりますが、基本的には、今、フェーズとしては別の段階にあるのではないかというふうに考えております。

柏倉委員 将来的にはぜひつなげていただきたいと思います。

 以上です。

小渕委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 結いの党、信州長野の井出庸生です。

 質問に先立ちまして、私ども結いの党が、今国会を迎えるに当たり、各党の御理解をいただいてこうして質問に立たせていただきましたこと、お力添えをいただいた各党の皆様に改めて感謝を申し上げます。

 しかしながら、参議院の不正常な状況を見ますと、私、まさに今、身を引き裂かれる思いであり、そうした中でも職責を全うしていく覚悟でおりますので、引き続き御指導を賜りますようにお願いをいたします。

 質問に入らせていただきます。

 今回の法案ですが、これまで議論のありましたように、総合科学技術会議を中心に始めるImPACT、これに五百五十億円の基金を出す。このImPACTの、実現をすれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす科学技術イノベーションを創出する、そのことは私も、大変夢のある、すばらしいことだなと思っております。

 しかしながら、大きな変革をもたらす科学技術イノベーション、きょうお配りさせていただいた資料に、その例が総合科学技術会議の資料としてあるのですが、これまでの、さきの委員の皆様方の議論を聞いていても、まだちょっと抽象的、これから決めていくということで大きな可能性も感じているんですが、逆に、今の段階ではまだ抽象性という部分もあるのではないかと思っております。

 後藤田副大臣にそのあたりの所見を伺いたく思います。

後藤田副大臣 ありがとうございます。

 御提出いただいた資料でございますけれども、極限環境下における高度で知的な行動力の実現ということでございますが、先ほども議論になりましたけれども、近々、総合科学技術会議で、大きく五つほどのテーマの中で、それぞれまた細かく、いわゆる、今までにない、技術的に連続性のない、今までの技術の延長線上にない、本当に社会的に経済的にインパクトのある姿というものを想定しながら、そこで結果を生むためにイノベーションを加速化させる、支援させていただく、こういう大きな考え方の中でテーマ設定をしていくということでございます。

 お示しいただいた資料は我々が考えている中の一部でございまして、やはりそういった部分も含めて、具体的に言えば、スマホの開発だとかデジカメ、またLEDの照明とか、LEDにしましても、これは名古屋大学の赤崎先生に約十億から二十億ぐらいの資金を援助しながら、そしてまた、私の地元でございますが日亜化学さんというところがまさに産業化して、四千億、五千億、これから何兆円、こういうところに進化していっているところでございます。

 そういう意味では、今申し上げたように、今までにない発明、そしてそれが産業化し得るために、きょう先生がお示しいただいたものは一部でございますが、さらに具体的な中身は、もう近々でございますが、総合科学技術会議でお示しをさせていただいて、そしてその中でPMの公募をさせていただいて、我こそはという人をしっかり我々は検証しながら、チェックしながら、すばらしいPMのもとで開発の援助をしていきたい、こういうことでございます。

井出委員 今、テーマの設定、また近々というお話もありましたが、私は一つ提案がありまして、今、日本が取り組まなければいけない喫緊の技術革新として、自然エネルギー、再生エネルギーの普及を加速させる技術革新に国を挙げて注力するべきではないかと。

 それは、今、政権与党が原発への依存度を可能な限り低減していくと。また、原発をゼロにしていくんだという方もたくさんいらっしゃる。そうした中で、その方向性を見れば、自然エネルギー、再生エネルギーの技術革新を国が先頭に立って、司令塔となって進めていくということはかなり多くの理解が得られるのではないかと思うんですが、そういったテーマというのは、これから検討されるような余地とかそういったものはあるんでしょうか。

後藤田副大臣 まさに委員の御指摘のとおり、これから正式決定をしっかり総合科学技術会議で御議論いただくわけでございますが、それまでの議論の過程の中で、まさに先生おっしゃった問題、資源の問題でございますね、これは大きなテーマになり得るという形で進めております。

 まさに、資源制約からの解放と物づくり力の革新、新世紀日本型の価値の創造、こういった議論を重ねながら、そこで最終的に、資源制約から解放されるだけじゃなくて、新たな資源国家として世界における我が国の存在感を高める、まさに先生おっしゃったところを出口として、それまでに求められる非連続的なイノベーションというものを応援していく。例えば、空気などありふれた資源、また、汚泥、廃棄物など価値のないものを有用資源また高付加価値材料など価値のあるものに少ないエネルギーと労力で転換していく、改質していく。

 こういうことを、一つの例でございますけれども、大きなポイントの一つ、テーマの一つとして考えております。

井出委員 次に、今回の基金です。ImPACTを進めていくのは総合科学技術会議、そして、その基金は今回の科学技術振興機構がやっていくということで、例えば、附則の五条の六を見ると、中間報告などの報告書については機構が作成をする、国会への報告は文部科学大臣がやっていくとありますが、私は、これまでの説明、議論を拝聴している限り、やはりこの主体は総合科学技術会議なのではないかと考えていて、きょうも文部科学委員会に科学技術の大臣をお招きするというのはちょっとなかなか難しいということも承知しておりますし、ただ、今回はそういう縦割りを超えた大きな取り組みでもあるのかなと思っております。

 その実施主体、説明責任の主体というものは総合科学技術会議ではないかと考えておりますが、そのあたりの所見を副大臣にお願いいたします。

後藤田副大臣 ありがとうございます。

 まさに、先ほど来議論になっておりますけれども、我々内閣府が総合科学技術の司令塔として今までやってまいりましたし、そしてまた、今回、FIRSTの発展形としてのImPACTということで御議論いただいているわけでございます。また、テーマの設定からプログラムマネジャーの選定、こういったものも我々でやらせていただくことになっております。

 まさに委員の御指摘は、それをなぜJSTの中で、中期目標だとかそういったものについてJSTがというお話だと思いますが、やはり、私ども、今までのFIRSTという実績のあるこういった事業につきましても、JSTさんの中で運用、管理をしていっていただいております。

 例えば、お財布をつくるということではなくて、そこで使い方だとか管理ということも、やはり今までのFIRSTで知見のあるJSTさんに今回もそういう形でお願いしたいし、仮に内閣府でそういうものをつくった場合に、また予算管理または使い方だとかそういう事務的なものも含めて、行革の観点からもやはりオール・ジャパンでこれはやっていくという中で、今回、JSTさんの法律の中で、またJSTさんの今までの経験を運用の中で生かしていただく、そこでお助けをいただく、こういうたてつけになっております。

井出委員 今おっしゃられたことは私も大変理解をいたしました。その実施に当たって、また、国会への報告等の説明についてもその制度と。ただしかし、その実体、責任は総合科学技術会議にあるというところだけをいま一度念押しさせていただきたいと思います。

 次に、先ほどほかの委員の先生からも御指摘ありました、なぜ今回の事業を補正予算でやるのかというところなんですが、私も、補正予算でやらざるを得ない理由ですとか、基金をつくっていく、五年ごとだ、それをなかなか単年の予算でやっていくのは難しいといったことは承知をしているんですが、これが順調にいって、また五年後に補正で五百五十億ですとか、もっと実現可能性が出てきたから大きな額にしようということになってくると、逆に、補正予算の性質、財政法二十九条にあるような緊急性といった部分が、この事業がうまくいけばいくほどそこの形骸化というか、私はそういうところを懸念しております。

 大臣に端的にお伺いをしたいんですが、やはり、こういった夢のある事業を将来的には本予算の中で実現をできるような、そういう努力をしていくべきではないかと私は考えますが、そのあたり、大臣、いかがでしょうか。

下村国務大臣 今回のImPACTは、前回のFIRSTの継承ということではなくて、コンセプトそのものが全く違うということでございますので、このImPACTの基金が、これがなくなったらまた補正予算でさらに追加するということが前提でない、まず、これを完結型として位置づけているということであります。

 今回の補正予算になぜ入れたのかということについては、先ほどもちょっと申し上げましたが、今回が、単に四月からの消費税対策としての反動ということではなくて、緊急の、短期で需要が発現されるだけでなく、好循環実現のための経済対策の位置づけとして、経済の成長力底上げや持続的な経済成長の実現に資する、イノベーションの誘発効果が高い施策として取り組むということでございますので、いずれこれもまた補正予算に入れるということで入れているわけでは全くないということであります。

井出委員 こういった基金を組んで、ある程度投資に柔軟性を持たせていくというのは、まさに研究分野においては私も必要だと思いますし、また、この先行事例と言われているアメリカのDARPAの事例を見ても、アメリカの方では毎年予算を組んでいるやに聞いております。

 これは文部科学省に限った話ではないんですが、基金を予算にするということは。ですが、特に教育という分野は、目先の完結、やはり長い目でやっていかなければいけないものも多々あるかと思いますので、こういったものも本予算でやっていけるような、その声をまず文部科学省から上げていただければということをお願いさせていただきます。

 次に、総合科学技術会議の役割について伺いたいのですが、今回の予算、総合科学技術会議はもともとは司令塔機能だ、各省庁がやっている研究開発関係の予算をやっていく、ただ、今回は独自に予算をとると。これは野球で例えれば、代打俺だと監督がバッターボックスに出ていくようなものなんじゃないかなと思って、いま一度、総合科学技術会議の使命、役割について、副大臣から御答弁をいただきたいと思います。

後藤田副大臣 委員、済みません、先ほどのFIRSTのものでございますが、私、JSTと申し上げましたけれども、JSPSでございました。済みません、訂正だけさせていただきます。

 今の総合科学技術会議でございますけれども、委員も御承知のとおり、今、さまざまな予算で、いろいろな研究開発、大学法人も含めて、研究開発法人も含めて行っておりますが、先ほど来も御議論が出ていますが、それに対してアウトプットの責任ということ、そういうことを考えたときに、やはり、総合科学技術会議に権限を与えるけれども、しっかり責任を持ってもらう、こういうこともこれから重要ではなかろうかなと思っています。そういう意味では、総合科学技術会議のメンバーが、代打俺のようなところはなかなか難しいと思います。

 そういう意味で、そういう方々には、やはり今まで以上に、テーマ設定からPMの選定から、そこにみずから国民の皆様に説明責任をしっかり持っていただく、そういう緊張感を持った仕事をしていただきたい、このように考えております。

井出委員 はい、わかりました。

 以上で終わります。どうもありがとうございました。

小渕委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 本法案は、独立行政法人科学技術振興機構、JSTに、補正予算案に計上された革新的研究開発推進プログラム、ImPACTを実施するための基金を設立しようというものであります。

 安倍首相は、昨年の九月十三日の第八回総合科学技術会議でも、このImPACTを、我が国の未来を開拓していく上で鍵となる国家重点プログラムだと位置づけて、強力に推進することを宣言いたしました。

 そこで、文部科学委員会でありますから文科大臣にまずお伺いするわけですけれども、これはどんな研究にどれだけの支援をする予定なのか、お答えいただけますか。

下村国務大臣 このImPACTは、総合科学技術会議がテーマを設定し、課題達成のためのプログラムマネジャー、PMを公募し、選定することとしております。具体的な採択課題ごとの予算規模は、あらかじめ一律に定めるものではなく、PM候補が提案してくる具体的な提案内容に応じて決まっていくものであります。

 文科省としては、プログラムの成果が最大限得られるよう、JSTの持つ知見を活用し、総合科学技術会議と連携して取り組んでまいりたいと思います。

宮本委員 先ほどから質疑を聞いておりましても、この中身がさっぱりわからないわけですよ。どういうテーマ設定がされて、どういう形でどういう研究がされるのか。

 科学技術担当の山本大臣は、昨年十一月十四日の科学技術イノベーション予算戦略会議後の記者会見で、ImPACTについて、アイデアはやっぱり二十も三十もありますと答えておられます。

 同時に、このImPACTを検討している最先端研究開発支援推進会議の内容は、実は、会議要旨も配付資料も非公開となっているんですね。

 これは内閣府後藤田副大臣に聞きますけれども、一体どういう中身になるのか、お答えいただけますか。

後藤田副大臣 お答えいたします。

 総合科学技術会議におきまして、ImPACTの制度設計を行うに当たりまして、構想を練るための参考として、関係省庁等と意見交換を実施してまいりました。その際、プログラムの具体的な姿をイメージするため、事例的に研究内容のアイデアを収集、検討する作業を事務局を中心に実施してまいりました。

 その結果、多様な技術的アプローチを可能とし、飛躍的なイノベーションの創出を促進するよう、また斬新で飛躍的な提案も受け入れられるよう、簡潔な表現で五つ程度の大くくりのテーマを設定し、公募を行うこととしております。正式には、先ほど来お答えしていますが、総合科学技術会議の近々の決定をもって公表する予定としております。

 そして加えて、委員の御質問の中で、最先端研究開発支援推進会議の議事要旨の問題につきまして非公開云々の話がございましたが、これもやはり、ImPACTの全体像をしっかりお示しする際の、その中の議論、これは自由な意見の場とならなくてはいけないということでございますし、その議論の集約が見えないと、研究側、またその研究を通じて産業化、事業化する産業側の混乱を招く、こういう危険性も我々は注意しながら、タイミングを見てしっかりと公開をしていきたいというふうに思います。

 例えば、アカデミアの方々と産業界の間で、やはりいろいろな意見の相違もその間あったと思います。それをしっかり調整して集約した上で、しっかりと政策として、理念として出さなければ世の中に間違った印象を与えてしまうということで、まとまったものはしっかりと公表してまいりたいと思います。

宮本委員 五百五十億円の基金をつくると言いながら、その中身は、非連続的な云々とか斬新で飛躍的なという話を聞かされるばかりで、一体どういうことがやられていくのかということがさっぱりわからないわけですね、まだ現時点では。

 それで、どんな研究を進めるのかがはっきりしない一方で、一つだけはっきりしていることがあります。

 ImPACTはいわゆるデュアルユースがコンセプトであるということでありますけれども、デュアルユース技術を視野に入れたテーマ設定も可能とされている中には、国民の安全、安心に資する、こういう言葉が出てまいります。この国民の安全、安心に資するということの意味は、つまり、安全保障、防衛分野の技術も含めて、これはデュアルユースが可能、こういうことで内閣府、よろしいですね。

後藤田副大臣 お答えいたします。

 ImPACTは国民の安全、安心に資する技術と産業技術の相互に転用が可能なデュアルユース技術も含まれ得るということになっております。

 これは、産業競争力の飛躍的な向上、社会的課題を克服する革新的イノベーションが創出された場合、多様な活用先の一つとして、国民の安全、安心に資する場合も想定されるという意味であります。

 国民の安全、安心に資するということは、防衛、安全保障が含まれますが、本プログラムは、分野や組織の枠を超えた連携、融合によりインパクトの大きな飛躍的イノベーションを目指すものでありまして、防衛技術に特定した研究開発を目的とするものでも、特定の用途をあらかじめ排除するものでもございません。

宮本委員 特定の用途をあらかじめ排除するものでもないという点、そして、大体、このImPACTが議論されるときに、先ほど柏倉委員も触れておられましたが、日本版DARPAということが言われてきたわけです。大体、六月七日閣議決定された科学技術イノベーション総合戦略では、「米国DARPAの仕組みを参考に、」と書いていますから、DARPAというものが念頭にあることは明らかなんです。

 このDARPAという組織が一体いかなるものであるのか。私はここにJSTの研究開発戦略センター海外動向ユニットがまとめた米国DARPAの概要という資料を持ってまいりましたけれども、これははっきり、国防高等研究計画局、つまり、国防総省内の内部部局の一つであります。DARPAのミッションは、米軍の技術優位性を維持し、国家安全保障を脅かす技術的サプライズを防止するというのがDARPAのもともと設立の趣旨なんです。

 なるほど、さまざまな、民間技術にも転用されて、画期的な、例えばGPSとかインターネットなどに結びついたとはいうものの、これが始まってやってきたことというのは、専ら、ステルス技術とか暗視技術とか防空ミサイルの精密誘導とか空中照準レーザー、無人航空機などの軍事技術を開発してきた、これははっきり、まさにJSTがそういうものだということを述べているわけですよ。

 だから、そういう意味では、まさに防衛という分野は、これからこのImPACTを使って大いに進めていく分野になるんじゃありませんか。

後藤田副大臣 御承知のとおり、我々はDARPAモデルを今回のImPACTの参考にさせていただいたということは事実でございますが、また、DARPAの中身につきましては、委員先ほどおっしゃったとおりでございます。

 ただ、やはり国のなりわい、そしてまた憲法、これは全く異なるものでございまして、私どもは、DARPAの組織論、いわゆる組織における意思決定プロセス、これを参考にするということでDARPAモデルということを申し上げておりまして、やはりDARPAの意思決定のスピード、そしてプログラムマネジャーに裁量権を与えて、そこでその人間が研究者を集めて、そしてまた触媒としていろいろな機能を発揮して、スピード感を持って研究開発を進めそれを産業化に導く、こういう、組織論としてのDARPAモデルを参考にさせていただいたということでございまして、防衛計画の局である、こういうこととは全く別の議論として受けとめていただきたいと思います。

宮本委員 そこで、きょうは資料をおつけいたしました。自衛隊・防衛省の関連紙と言われております朝雲、昨年十一月十四日付をつけております。

 昨年十月二十九日、三十日の両日、都内で開催された防衛省技術研究本部の防衛技術シンポジウムでは、このImPACTが日本版DARPAとして紹介されたことが報じられております。

 記事によりますと、この技術研究本部のシンポジウムでは、特別講演で、政策研究大学院大学の白石隆学長と角南篤准教授がImPACTの意義を、総合科学技術会議の久間和生議員がImPACTの具体的な内容と防衛省技術研究本部への期待を述べたと報じられております。

 きょうは防衛省に来ていただいておりますが、これは事実ですね。

外園政府参考人 先生御指摘のとおり、平成二十五年十月二十九日、防衛省技術研究本部が開催いたしました防衛技術シンポジウム二〇一三において、政策研究大学院大学の白石隆学長と角南篤准教授並びに総合科学技術会議の久間和生議員により特別講演を行っていただきました。

宮本委員 記事の中に、どういう中身を述べたかが出てまいります。

 このシンポで白石学長は「(民生・防衛共用の)デュアルユース技術が重要になる。武器輸出三原則の見直しで(国産装備の)マーケット拡大が見込める。米国の同盟国やアジア諸国も日本に期待しており、その司令塔となる総合科学技術会議には防衛大臣も入れてほしい」と語り、角南准教授は、「日本版DARPAでミッション型研究を行っていくには、日本版NSCに首相を補佐できる技術戦略担当を加えるべきだ」、こう語りました。そして、まさにImPACTの具体化を進める総合科学技術会議の久間議員は「デュアルユース技術を視野に、プログラムに取り組んでほしい。防衛省は人材が豊富。人の育成と優れた人材の発掘でも協力してもらいたい」と語っている。

 まさに防衛省は、この期待に応えてImPACTにどうかかわるおつもりでいるのか。防衛省にお答えいただきたいと思います。

外園政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる革新的研究開発推進プログラム、ImPACTは、特に防衛技術の発展を目指しているものではないと承知をしておりますが、国民の安全、安心に資する技術と産業技術の相互に転用可能ないわゆるデュアルユース技術の育成が含まれている可能性もあることから、防衛省としても注視してまいりたいと考えております。

宮本委員 まさに防衛省としても注視すると。まさに否定されないわけですよ。

 私は、こういうやり方、これは全部じゃないですよ、しかし、これが進められるならば、防衛省が進めたいハイリスクの研究をこの費用で肩がわりする、こういう結果にもなりかねない。全てが安全保障ではないと言うんでしょうけれども、日本版DARPAと銘打って防衛省が入り込む余地があることは否定できません。

 このようなプログラムを進めるための法案には反対であるということを表明して、私の質問を終わります。

小渕委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木愛でございます。ことしもどうぞよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきます。

 平成二十五年度一般会計補正予算におきまして五百五十億を基金として科学技術振興機構に設けまして、いわば官邸主導で、総合科学技術会議の司令塔のもと、実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出を目指し、ハイリスクだけれどもハイインパクトな革新的研究開発促進プログラム、ImPACTを実施するということでございます。

 そして、取り組むテーマは、我が国の産業競争力を飛躍的に高めるものであり、我が国の深刻な社会的課題を克服するものという二つの観点から、革新的進歩、新たな価値、新たな市場の創出につながるもの、国民の理解、応援を得られるものを設定するという方針が立てられていると認識をいたしております。

 産業力を飛躍的に高めるものであり、特に、この深刻な社会的課題を克服するテーマというものはどういうものを想定されているのか。例えば、原発の中であったり瓦れきの下であったり、捜索するような何かそういう技術であったり、あるいは、高齢社会における介護、医療現場の何か新しい技術であったり、そういうものを想像するのでございますが、どういうテーマを想定されているのか。これから設定されることはわかっておりますけれども、ある程度具体的に教えていただければと思います。

    〔委員長退席、萩生田委員長代理着席〕

倉持政府参考人 御説明申し上げます。

 繰り返しになりますが、ImPACTで実施される研究開発プログラムというのは、総合科学技術会議で設定したテーマのもとにプログラムマネジャーがみずから構想して提案していただくというものでございまして、あらかじめ具体的な対象を決めているわけではございません。

 先ほど、次の総合科学技術会議で御議論いただきたい、大くくり化したテーマについて御議論いただきますけれども、そういったものを参考に、プログラムマネジャーがみずから構想するプログラムの提案をお待ちするというものでございます。

 ただ、これまでのいろいろな制度設計の中で、これはあくまでも例えばでございますけれども、これは、去年の十一月に総合科学技術会議で検討の状況を報告したときにプログラムの例として紹介させていただいたもので、例えばでございますけれども、極限の環境下における高度で知的な行動力を実現するということで、例えば、生物機能を応用した瓦れき内の探索ロボットであるとか、高度に自律化した無人航空機による自動捜索システム等々が想定もされます。

 ただし、これはあくまでも我々が関係省庁等と議論しながら想定したものでございまして、具体的には、プログラムマネジャーの方が提案していただくその構想をお待ちしている、こういう状況にございます。

青木委員 年度明けからスタートをするということでありますので、そうそう時間が残されているわけでもないとは思うんですけれども、五百五十億と経費の方は設定されているわけでありますので、この設定した根拠を教えていただけますでしょうか。

倉持政府参考人 これも、ImPACTにつきまして、具体的には、公募する際にプログラムマネジャーが提案されるプログラムを厳正に審査して実施する内容が決定されるため、あらかじめ個別に所要額を積算しているということではございません。

 ただ、制度設計に当たりましては、このImPACTの前身となる最先端研究開発支援プログラム、FIRSTを参考に、五年間で一人のプログラムマネジャー当たり約五十億円、すなわち、全体で十人程度のプログラムマネジャーの規模というものを想定して予算を計上させていただいているものでございます。

青木委員 前回の最先端研究開発プログラム、FIRSTは、二十一年度のやはり補正で組まれまして、五年間で一千億円の基金を日本学術振興会に設立をして、現在も研究が進行中であります。

 この前回のFIRSTの成果と課題について御質問をいたします。

倉持政府参考人 最先端研究開発支援プログラム、FIRSTの成果でございます。

 FIRSTの各研究課題、三十課題ございますけれども、それぞれの研究目標の達成に向け、進捗している状況にございます。

 私ども総合科学技術会議では、平成二十四年度に中間評価を行っております三十課題のうち多くの研究課題が、まさに世界の最先端をリードする研究開発成果を上げているというふうに評価されています。

 例えばでございますけれども、平成二十四年にノーベル生理学・医学賞を受賞された京都大学の山中伸弥先生は、より安全で高効率なiPS細胞を世界に先駆けて開発するとともに、得られた細胞の評価系、これをFIRSTで構築されております。

 東京大学の片岡一則先生は、高分子を化学的にコントロールしたウイルスサイズのナノカプセルによる革新的な治療法を開発し、今、副作用の少ないがん治療薬の臨床試験を実施する段階まで来ています。

 それと、東京大学の荒川泰彦先生は、光と電子を融合させた高速で小型かつ低消費電力な集積回路の開発を進めておられまして、世界最高性能を達成する、こういった成果が得られているところでございます。

 一方、中間評価におきましてFIRSTの各プロジェクトは、これは、基礎研究から実用化までさまざまなフェーズのものに取り組んでいるわけでございますけれども、創出した成果をまさに次のステージに円滑に展開、発展していくことが、今後の我が国の科学技術の向上、産業化の促進の観点から極めて重要であるということが中間評価において指摘されているところでございます。

青木委員 ありがとうございます。

 今のFIRSTの成果の部分を捉えて、今後そのFIRSTの継続性についてお伺いをしたいのです。来年度に予算が切れるわけですけれども、FIRSTの予算で得た成果や人材をさらに活用、育成するシステムの構築について国として取り組む必要があろうかと思いますけれども、何か行われている検討はありますでしょうか。

倉持政府参考人 委員御指摘のとおり、FIRSTの研究資金である先端研究助成基金、今年度で終了になるわけでございます。

 このFIRSTの制度の趣旨に沿って創出されたすぐれた研究成果、研究資源につきましては、先ほども申しましたけれども、有効かつ円滑に次の段階の研究開発につなげていくことが重要だと認識しております。

 このFIRSTが終わりますと、三十課題、いろいろございますけれども、例えば、共同研究をしている企業と研究を継続して実用化を進めようと考えておられるもの、あるいは、ベンチャー企業を立ち上げて成果の実用化を目指すもの、あるいは基礎研究の分野では、新たな知の創造に向け基礎研究を継続するもの、この研究課題の内容に応じ、さまざまな方向性がございます。各研究課題の内容や進捗に応じた対応が必要であるというふうに認識しているところでございます。

 私どもといたしましては、FIRSTの研究成果を実用化、産業化につなげるために、関係省庁等への研究成果の情報の提供、例えばですけれども、FIRSTの研究成果の概要と今後の道筋につきまして、各関係省庁であるとか産業革新機構等に情報提供をさせていただいております。

 あるいは、産業界への研究成果の広報活動、FIRSTの研究成果ビジネスマッチングシンポジウムなどを開催させていただきまして、その研究成果をお知らせすることに努めております。

 あるいは、各研究課題側に対して関係省庁の広報事業等に関する情報提供を行う等によりまして、関係省庁とも連携して、次のフェーズに円滑につながるよう努力をしているところでございます。

    〔萩生田委員長代理退席、委員長着席〕

青木委員 ぜひ、予算が切れておしまいではなくて、次へつなげる御努力をお願いを申し上げておきたいと存じます。

 そして、このFIRSTでは、研究者を募集して、研究者の自由な発想に基づく仕組みでした。このたびのImPACTでは、米国の国防高等研究計画局、DARPAの仕組みを参考にして、プログラムマネジャーの選任を特徴としていると伺っています。

 これからの研究開発は、社会還元できるもの、社会の課題解決につながるもの、国民の理解が得られるものという方向性が示されています。この研究成果と市場、研究成果と社会、研究成果と国民生活、これをどうつないでいくか、これがこのImPACTの最大の使命なのではないかと捉えています。

 そういう意味から、このプログラムマネジャーの果たす役割そしてその処遇についてお伺いをしたいのと、あわせて、このImPACTの成果をどのように実用化をし産業化をして世の中に役立てていくのか、その具体的な方策についてお伺いをいたします。

川上政府参考人 このプログラムマネジャーでございますが、科学技術振興機構に所属をさせ、そのプログラムマネジャーの能力に合った処遇を考えていきたいというふうに考えてございます。

 そして、そのプログラムマネジャーが全責任を負って、裁量権を持って本プロジェクトを進めていくわけでございますけれども、得られた成果につきましては、先ほどからるる御説明を申し上げていますように、破壊的なイノベーションを起こすものであるということを目指すわけでございますので、すぐれた成果については、きっちりと、社会へ、産業へ、国民へというふうに返さなければいけないというふうに考えてございます。

 科学技術振興機構に基金を預け、そこでPMをサポートするということをしましたのも、科学技術振興機構がすぐれた技術シーズを企業化まで持っていく豊かな経験と実績を有しているということであるわけでございまして、この力を最大限活用していくことが必要であると考えてございますが、これに加えまして、今回は、政府を挙げてこの問題に取り組むわけでございますので、総合科学技術会議とも連携をいたしまして関係省庁等にも働きかけをいたしまして、実用化、産業化について、具体的な方策についてさらに検討してまいりたいというふうに考えてございます。

青木委員 ぜひよろしくお願いします。その辺がFIRSTの課題として残された部分であり、ImPACTの最大の課題であるというふうに考えています。

 実は、昨年の科技特の視察で、このFIRSTに参加をされた筑波大学山海先生の介護用装着型ロボットHALを視察いたしまして、その実践と説明を受けました。筋肉を動かそうとするときに脳が発生する微弱な電気信号を読み取って、装着者の身体機能を改善、補助するロボットということで、どうしてそんなことが可能なのかと、ただただ感心をしながら見ておりました。

 ところが、その際の山海先生のお話では、日本では薬事法の壁が高く、実用化が難しいということをおっしゃっていました。

 一方、ドイツでは既に現場で使用されており、スイスやオーストリアなど欧州では、医療機器として認められて、普及体制ができています。

 日本で生まれた技術でありながら、日本では実用化がおくれ、ヨーロッパに先行されておりました。FIRSTの成果が社会に生かされていないのはなぜか、誰もが疑問に思うところでございました。

 昨年の百八十五回臨時国会で薬事法の改正が行われましたけれども、この介護用ロボットHALの実用化のおくれに象徴される国内的課題についてお伺いをさせていただきます。

小渕委員長 時間が来ておりますので短目にお願いします。

倉持政府参考人 委員御指摘のとおり、筑波大学の山海先生、ロボットスーツHALで国際臨床試験を進められておられます。

 また、国内においても、昨年三月から神経難病患者に対する臨床試験が行われているところでございますけれども、その際、先生の御指摘は、諸外国と比較すると臨床試験の計画書の作成にとても時間を要する、あるいは保険適用に時間を要するなどの課題があるというふうにおっしゃっておりまして、我々もその問題を認識しているところでございます。

青木委員 時間でございますので。

 この法案審査において各委員から先ほど来主張もされておられるように、なぜ補正でやらなければならないのか、また、当初予算でスタートをさせないのか、その根本的な問題は、再びこの概算要求基準による縦割り行政の弊害があらわれている結果だと考えております。

 ここについては、今後やはり下村大臣のお力を発揮していただくことの御要請を申し上げなければならないと思いますが、下村大臣の、このImPACTも含め、今後の科学技術振興に向けての御決意をお聞かせいただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

小渕委員長 一言でお願いいたします。

下村国務大臣 今の青木委員の意見を私もしんしゃくして対応したいと思います。

青木委員 よろしくお願いします。ありがとうございます。

小渕委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川です。

 先般、理化学研究所の研究成果が発表されました。この事例を取り上げるまでもなく、実用化されれば画期的な成果を期待できる最先端の研究というものは、非常に重要であることは疑いようもありません。ただ、経済対策として措置すべきものなのか、あるいは、これはもうほかの委員の先生方からも質問がありましたけれども、補正で行うべきものなのかということについては、やはり私も疑問が残ります。

 その上で何点かまずお聞きをしたいと思います。

 これは、秋の臨時国会の際の研究開発強化法の改正案の質疑の中でも指摘をさせていただきましたが、今回創設されるImPACTで行われる技術開発は、これも他の委員の先生方から質問がありましたが、アメリカのDARPAの仕組みを取り入れるものだというふうにも聞いております。

 もちろん、そのDARPAが開発をした技術の中から民生用に転用され、インターネットあるいはGPS、そうした技術がたくさんあるということも知ってはおりますが、やはり、軍事技術の開発をメーンにした組織であることは間違いないということだろうと思います。

 もちろん、技術開発の段階で軍事、民生の明確な区分というのがあるというわけではありませんし、それを実用化する段階でその区分というのは発生するんだろうというふうにも考えております。今回、DARPAの手法を利用するということですが、組織の手法を利用することについては、それはあり得るんだろうと思います。

 ただ、軍事、防衛技術の開発に傾斜したプログラムということであればやはり問題ではないかというふうにも思いますし、この点から、研究開発から実用化に至るまで、民生分野で国民生活の向上に結びつく技術の開発を進めていただきたいというふうに思います。

 そこでお伺いしますが、ハイリスクな研究、しかも複数年度にわたる基金を利用した研究ということですから、プログラムマネジャーの選考過程、あるいは研究プログラムの内容、成果、そして予算の執行状況などについて、やはりきちんと透明性が担保される必要があるというふうにも思います。

 これらの情報提供あるいは情報の公開についてどのように考えておられるのか、まず尋ねます。

川上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案におきまして、革新的研究開発推進プログラムの業務の状況につきまして、科学技術振興機構は毎事業年度におきまして報告書を作成し、文部科学大臣に提出するということが決められるわけでございます。また、文部科学大臣はこれに意見をつけて国会に報告するというのがまず法律で決められることでございます。

 この内容につきまして、検討中ではございますが、さきのFIRSTの例を援用いたしますと、基金の残高や委託先、委託額、事業内容等、そういったような内容を含むわけでございます。

 それで、情報公開はこれにとどまるというわけではございませんでして、科学技術振興機構がこの基金を管理いたしますわけでございますが、ホームページ等を利用いたしまして、研究の状況や成果、そういったようなものについて積極的に広報することを考えているところでございます。

 このような取り組みを通じましてきっちりとした情報公開を進めていきたいというふうに考えてございます。

吉川(元)委員 情報公開の方法をきちんとよろしくお願いします。

 次に下村大臣の方に、研究者の雇用あるいは労働条件について、今回の法律と直接関係があるわけではありませんけれども、少し尋ねたいと思います。

 これもまた秋の臨時国会で質疑をさせていただきましたけれども、大学や民間を問わず、研究者の雇用、労働条件が極めて不安定であるということを指摘させていただきました。

 労働契約法で定められた有期雇用契約五年での無期転換権が、研究分野においては十年に延長されたわけですけれども、その対象者というのが、質疑の中では、約十万人ほど想定しているというような答弁もありました。多くの方々が有期の非正規雇用で研究活動に従事されているのが今の現状だろうというふうにも思います。

 期限を区切った大規模研究プロジェクトを実施しますと、研究員や補助員がどうしても有期の非正規雇用になりがちであることは指摘されておりますし、今回の基金も、存続期間が五年ということですから、当然、有期非正規の研究員がプログラム開発にかかわる可能性が非常に強いというふうにも思っております。

 さきの臨時国会の法案の採決に際しての附帯決議でも、研究者等の雇用の安定が図られるよう必要な検討を進めていくことが盛り込まれておりますけれども、この点の検討を今後どのように進めていくお考えなのか、大臣の方にお聞きします。

下村国務大臣 御指摘のように、昨年十二月に公布された改正研究開発力強化法及び任期法におきまして、大学等の研究者、技術者、研究開発の運営管理を担う専門人材及び大学等の教員などが労働契約法の特例の対象となったところでございます。

 この特例によりまして、有期雇用で働く研究者等についても、労働契約期間中にまとまった業績を上げ、適切な評価を受けやすくなるとともに、将来的な無期労働契約への転換も含め、雇用の安定化が図られやすくするものと期待をしております。

 文部科学省としては、研究者等が、複数の有期雇用契約を繰り返しながら、その過程で多様な教育研究経験を積み重ねていくことにより、能力の向上を図り、テニュアポスト等の安定的な職についていく傾向にあることも踏まえ、これまでも、みずからの研究活動に専念するための研究奨励金の支給や環境整備、産業界も含めた多様なキャリアパスの整備を図るための取り組みを講じてまいりました。

 平成二十六年度予算におきましても、これらの取り組みを引き続き推進するとともに、新たに、科学技術人材育成のコンソーシアムの構築により、複数の大学等でコンソーシアムを形成し、企業等とも連携して、研究者の流動性を高めつつ、安定的な雇用を確保しながらキャリアアップを図ることとしております。

 これらの取り組みを含め、文科省においては、御指摘の改正法の附帯決議も踏まえ、研究者等の育成や雇用の安定を図り、その活躍促進に努めてまいります。

吉川(元)委員 今回設置する基金、ImPACTということですけれども、これも既に他の委員の方から質問がありましたが、これとは別に、二〇〇九年度の補正予算、これもまた補正なんですけれども、FIRSTという事業が一千億円の基金事業として措置をされております。

 聞くところによりますと、FIRSTというのは研究者支援を最優先にしたボトムアップ型の事業、ImPACTはどちらかといえばトップダウン型というふうにも聞いておりますが、ImPACTをこうした形にした理由、そして、FIRSTの場合は日本学術振興会に置かれたわけですけれども、今回は科学技術振興機構とする理由について尋ねます。

倉持政府参考人 昨年六月に閣議決定された日本再興戦略あるいは科学技術イノベーション総合戦略におきまして、やはりこれからは科学技術でイノベーションにつなげていくという意識から、FIRSTの後継として、ハイリスク・ハイインパクトな、挑戦的な研究開発を推進する新たなシステムをつくろうということが決められたものでございます。

 それで、先ほど来御説明していますように、FIRSTの特徴を生かしつつ、プログラムの立案から遂行に至る過程で大きな裁量権をプログラムマネジャーに与える制度ということを検討してまいったところでございます。

 このImPACTの実施に当たりましては、基金をきちんと管理すること、あるいは、このプログラムマネジャーをしっかりと所属していただくこと、それから、プログラムマネジャーの活動支援について総合科学技術会議のもとにしっかりとした体制を構築する、こういうことが重要でございます。

 この基金管理につきましては、基金を適正に管理する組織として、法的手当てをできる法人が必要だということになります。そして、プログラムマネジャーの身分、処遇が確保できて、プログラムマネジャーの指示によりトップダウンで研究開発を推進できる法人というものが求められるところでございます。

 そして、プログラムマネジャーの活動を支援するためには、科学技術イノベーション全般の推進を目的とする資金配分機関で、研究開発戦略や知財戦略の立案、支援等の、このプログラムマネジャーをしっかりと支える能力を有する法人であること、こういったことがこのImPACTにつきましては求められることになりました。

 こうしたことを踏まえまして総合的に検討した結果、科学技術振興機構が最も適任であるというふうに判断されたため、JSTを活用することとさせていただいたものでございます。

吉川(元)委員 時間が来ましたが、実は私の地元大分では、科学技術振興機構の支援を受けて、プロジェクトの規模自体は一千七百万と非常に小さいんですけれども、磁力を活用して、チェーンを使わない、風力、小水力用の発電機の開発を進めています。

 もちろん、大規模で最先端の技術開発というものも必要だというふうに思いますけれども、そうではない小さな技術開発についてもしっかりと目配りをお願いをしたいということを最後に申し添えまして、質問を終わります。

小渕委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。井出庸生君。

井出委員 私は、議題となりました独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論をいたします。

 本法案は、内閣府総合科学技術会議の司令塔機能を強化する一環として、革新的研究開発推進プログラム、通称ImPACTのために五年間で五百五十億円を基金化するものであり、将来の社会、産業に大きな変革をもたらす科学技術イノベーションの創出を目指すという目的は大いに賛同するところです。

 しかしながら、十年単位の時間を要するかもしれない夢の技術を生み出すと言うのであれば、補正予算ではなく通常の予算で組んでいただきたい。研究にかかる長期の期間を考えれば、通常予算の中で腰を据えてやっていくべきであり、また、本予算化を目指していくという努力も怠ってはならないと考えます。

 総合科学技術会議の大きな仕事は、各省庁にまたがる科学技術関係事業を俯瞰し、リーダーシップをとることにあり、この総合科学技術会議自体の役割が何なのかという議論もいま一度必要であります。その時間が必要です。

 さらに、幾ら夢の技術革新とはいえ、目的、テーマをはっきりさせる必要があり、今、国が挙げて取り組むべきは、自然エネルギー、再生エネルギーの普及に向けた技術革新、これこそが脱原発、そして原発への依存度を可能な限り下げていく第一歩であり、具体的な検討をしていただきたい。

 以上のことから、補正予算審議という短い時間の中でこうした日本の将来に係る新しい技術革新を後押しする基金を予算化していくことに疑問を感じざるを得ず、反対をいたします。

 大きな大きな夢のある事業だからこそ、今後腰を据えた議論をしていただくことをお願いいたしまして、私の討論を終わります。

小渕委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。

 本法案は、アメリカ国防総省のDARPAをモデルに、総合科学技術会議がトップダウンで挑戦的研究開発を行う革新的研究開発推進プログラム、ImPACTを実施するものです。

 しかし、質疑で明らかになったように、どのような研究テーマを設定し、何にどれだけの資金を投入するのか、検討過程さえも公開されてはいません。

 明確になっていることは、ImPACTは、国民の安全、安心に資する技術と産業技術の、相互に転用が可能なデュアルユース技術を視野に入れることです。国民の安全、安心には当然防衛技術も入るし、防衛省技術研究本部が中心を担うことが既に報じられています。

 昨年閣議決定された国家安全保障戦略には、「技術力の向上」として、「デュアル・ユース技術を含め、一層の技術の振興を促し、我が国の技術力の強化を図る必要がある。」「科学技術に関する動向を平素から把握し、産学官の力を結集させて、安全保障分野においても有効に活用するように努めていく。」とされており、ImPACTを活用して防衛技術の研究開発を大学などと共同して進められることは明らかです。

 安倍内閣は、兵器開発と軍需産業による兵器の海外売り込みを成長戦略の一環として国家戦略と位置づけ推進し、武器輸出禁止三原則の全面的撤廃をも策しており、憲法の平和原則に照らして許されるものではありません。

 以上、反対する理由を申し上げ、討論を終わります。

小渕委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小渕委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、中根一幸君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及び生活の党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。笠浩史君。

笠委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。

 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。

    独立行政法人科学技術振興機構法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府及び関係者は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。

 一 本法及び補正予算により行われる「革新的研究開発推進プログラム」の個別テーマの設定に当たっては、国費投入の有効性・適正性を考慮しつつ、既存の研究開発の延長線上ではなく、飛躍的なイノベーションにつながる可能性のあるものを選定し、広く国民の生活に還元されるよう努めること。

 二 研究の成果を左右するプログラム・マネージャーの選任に当たっては、広く内外から人材を公募し、卓越した構想力、知見、企画力及びマネジメント能力を有する者を選定すること。

 三 個別研究プログラムの実施においては、プログラム・マネージャーが最適と判断する研究者の人選、研究機関の選定等の契約及び調達が可能となるよう、必要な措置を講ずること。また、基金の使用及び管理・運用に当たっては、公正性及び透明性を確保すること。

 四 研究プログラム及びプログラム・マネージャーの評価に当たっては、複数年にわたり多額の国費が投入されるものであることに鑑み、有効性や適正性を含め、適切に評価するシステムを整備すること。また、評価や研究成果等の国民への情報提供を適切に行うこと。

 五 「革新的研究開発推進プログラム」の実施を通じて、我が国における長期的な視野に立った野心的な研究開発を推進するとともに、既存の研究助成制度及び研究開発に係る基盤的経費の充実にも積極的に取り組み、我が国の研究開発力の強化を図ること。

以上であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

小渕委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小渕委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

小渕委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小渕委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.