衆議院

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第3号 平成26年2月21日(金曜日)

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平成二十六年二月二十一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小渕 優子君

   理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君

   理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君

   理事 義家 弘介君 理事 笠  浩史君

   理事 鈴木  望君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      小此木八郎君    大野敬太郎君

      神山 佐市君    菅野さちこ君

      木内  均君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小林 茂樹君

      佐々木 紀君    桜井  宏君

      新開 裕司君    辻  清人君

      冨岡  勉君    永岡 桂子君

      野中  厚君    馳   浩君

      比嘉奈津美君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君    菊田真紀子君

      細野 豪志君    吉田  泉君

      遠藤  敬君    椎木  保君

      重徳 和彦君    三宅  博君

      中野 洋昌君    柏倉 祐司君

      井出 庸生君    佐々木憲昭君

      青木  愛君    吉川  元君

      山口  壯君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   財務副大臣        古川 禎久君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 南  俊行君

   政府参考人

   (外務省大臣官房国際文化交流審議官)       齋木 尚子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      関  靖直君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          清木 孝悦君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          前川 喜平君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省スポーツ・青少年局長)        久保 公人君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  原  徳壽君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  宮川  晃君

   文部科学委員会専門員   久留 正敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     辻  清人君

  馳   浩君     佐々木 紀君

  三宅  博君     重徳 和彦君

  宮本 岳志君     佐々木憲昭君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     馳   浩君

  辻  清人君     大野敬太郎君

  重徳 和彦君     三宅  博君

  佐々木憲昭君     宮本 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     神山 佐市君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

小渕委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官南俊行君、外務省大臣官房国際文化交流審議官齋木尚子君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長関靖直君、生涯学習政策局長清木孝悦君、初等中等教育局長前川喜平君、高等教育局長吉田大輔君、高等教育局私学部長常盤豊君、スポーツ・青少年局長久保公人君、厚生労働省医政局長原徳壽君及び職業安定局派遣・有期労働対策部長宮川晃君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本ともひろ君。

山本(と)委員 皆様、おはようございます。自由民主党の山本ともひろです。

 今、大雪の災害でまだ日常生活を取り戻せていない方々もいらっしゃると伺っております。今回の大雪災害で被害に遭われた皆様に対して、心よりお見舞いを申し上げます。

 とともに、この文部科学分野においても被害が出ていると聞いておりますので、そういった分野に関しては、大臣以下皆様で全面的にサポートをしていただきたいとお願いをいたしまして、私の質疑に入らせていただきたいと思います。

 安倍総理も所信表明の中でおっしゃっておられましたし、先日の下村大臣の所信表明の中でも、今国会で教育委員会の改正に取り組みたいというお話がございました。

 この教育委員会、きょうのこの委員会にお集まりの先生方の中でも、御地元でいろいろな教育委員会の問題が種々あると思います。例えば、いじめの問題で隠蔽の体質があるとか、あるいは、地元でアンケートを実施したにもかかわらずそのアンケートが各委員会の委員に上がってきていないとか、では、何のためにそういったアンケートをやったんだろうかとか。

 教育委員会を今回改正をする、大臣のその強い意気込みあるいは総理の意気込み、それは、私は、今の現状を見ますと必要なことだろうと思いますし、ぜひやっていただきたいと思いますけれども、そもそも論として、では、教育委員会が本当に必要なんだろうかと。

 いい教育委員会もあるかもしれませんし、悪い教育委員会があるかもしれませんし、そういった教育委員会がある中でも日本全国の小学校、中学校は日々きちっと運営もされていますし、実際、我々もそういった公教育を受けてこの委員会室にたどり着いているわけであります。教育委員会そのものが実際問題もう要らないんじゃないのかなというふうにも思われますが、大臣、いかがに思われますか。

下村国務大臣 おはようございます。

 私の方からも、まず、雪害の問題についてお見舞いを申し上げたいと思います。そして、文科省としてしてきたことについてちょっと御報告を申し上げたいと思います。

 日曜日に古屋防災担当大臣から、文部科学省としても適切に対応するようにという要請を受けまして、日曜日中に、山梨県については、知事部局を通じて把握をし、翌日月曜日からの登校については、県の方が、ほぼ九九%の学校を休校にして子供たちの安全確保を図るという報告を日曜日に受けております。

 月曜日には、今、大学受験シーズンでありますので、やはり雪害によって受けられないという子が出てくるということは、これは、一年間待つか、あるいは受験校を変更するかという重大な人生の岐路に当たることでありますので、七百八十三校全ての大学に対して、再受験ができるような、もし該当する学生がいれば、そういうことに対して適切に対応してほしいということを、大学入学試験について各大学に対して要請したところでございます。

 そして、御質問の教育委員会制度でありますが、これは、戦後、我が国における教育行政の中の中核的な機関として役割を果たしてきたものだと思います。その趣旨は、教育の政治的中立性、継続性、それから安定性の確保、さらに、地域住民の意向の反映といった機能、そういうことを期待されてきたわけでございます。

 もし、教育委員会が廃止されて首長が直接教育事務を執行するということになりますと、首長の判断によっては教育内容が大きく左右されるおそれがあり、そのことによって、教育委員会が本来求められていた教育の政治的中立性とか継続性とか安定性とかがなくなる、そういうことが危惧されるわけでございます。

 一方、今の教育委員会そのものも、権限と責任の所在が不明確であるとか、それから、審議が形骸化しているとか危機管理能力が不足をしているとかいったさまざまな課題が指摘をされているところでございますので、今回、責任体制の確立のための教育委員会の抜本改革が必要であるということで、今国会でこの教育委員会制度抜本改革案を政府として出したいというふうに考えているところでございます。

山本(と)委員 大臣がおっしゃられたとおり、子供たちにとってはその一日一日が大変大切でございますので、大学受験などは、一年間待つなんということになると、本当にそれは人生大変なことになりますので、引き続きフォローアップをしていただきたいと思います。

 そして教育委員会の件でございますが、確かに大臣おっしゃるとおり、政治的な中立性を確保する、あるいは継続性、安定性を求める、あるいは地域住民の声を聞く、いわゆるレーマンコントロールをきちっとしていただくという意味合いでは、教育委員会、存在意義があるということでございますが、しかしながら、その中でもやはり不祥事等があるので、きちっと改正もしていかなければいけない。

 その改正を政府でしていただくということでございますが、我々自民党では、既にその改革案というのを自民党の中で固めているところであります。これでまた与党で調整をして、また野党の皆様にもお話をして、また政府にもお話をして、みんなで一丸になって、子供たちが本当によりよい、有意義な教育環境を得られるような教育委員会を新たにつくり直すべきだと私も思っております。

 その中で、自民党で決めている改革案のことを下村大臣に聞くのもどうかとは思いますけれども、でも、自民党できちっと今案をつくっておりますので、ぜひ大臣にもその案についての評価をいただければなと思っております。

 教育委員会、私も若干あるところなんですが、市民の方にとってはさらにそうだろうなと思うんです。まず、教育委員会に似たような肩書がありまして、教育長と委員長と。では、この教育長と委員長が、どういう役割を持っていて、どういう権限を持っていて、何をやっているのかという、市民の人からすると、ほとんどごちゃごちゃになってしまって、もうわからない。教育長に対して委員長と言ってみたり、委員長に対して教育長と言ってみたり、このあたりがまさしく、責任の所在が明確になっていないし、何をやっているのかよくわからないということになろうかと思います。

 今回の自民党の改革案、改正案では、この二つのポジションを一本化する、一つの新ポストをつくる、そこで権限あるいは責任の明確化を図ろうということでありますが、ただ、その案をよく見てみますと、結局、教育委員会、今までの二名でやっていたことを一名でやるということであって、そもそも論としては、別にメンバーがかわるわけでもないし、そのポジションが変わるだけで、同じ人がやっているのに、そのポジションを変えた、肩書を変えた、制度を変えるということだけで果たしていい結果が得られるんだろうかという疑問も出ておりますけれども、こういった、教育長、委員長を同一人物に任せて一つの新ポストを設けるということに対して下村大臣はどのようにお考えになられますか。

下村国務大臣 教育長と教育委員長を一本化する、それは、教育行政の責任の明確化を図るという意味では、私は方向性については共有できるというふうに思います。

 ただ、今回、自民党の部会で了承され、そして昨日から与党協議がスタートしたというふうに承知をしておりますけれども、その中でも、自民党案として提言されているのは、総合教育施策会議を新たに置くということでございますので、ここに既存の教育委員会が行われた内容をどこまでシフトするかどうかということが今後の与党協議でもポイントになってくるというふうに思いますが、そういうことによって、民意をより一層反映するために首長が教育行政に積極的に関与できる仕組みを考えられているということでございますので、そういう方向性の中、よりよい教育委員会制度についてぜひ与党で取りまとめをしていただければと思います。

山本(と)委員 今大臣御答弁いただいたところが本当に私も肝だと思っておりまして、教育長と委員長を一本化して権限あるいは責任の所在をはっきりさせるというのは、私も大変わかりがよくていいなと思うんですけれども、今大臣がおっしゃられた総合教育施策会議、これは、当該の自治体の首長が主宰をして、関係者を呼ぶあるいは教育委員会のメンバーを呼ぶ、そこで大きな方向性を決めていくという会議になるというような案でございます。

 そうなりますと、先ほど大臣が教育委員会の意義としてまず第一に挙げられた政治的中立性、こういったところが、どうも心配される方にしてみれば、例えば保守的な首長が誕生すれば、その総合教育施策会議は随分保守的な方向性を示すんじゃないか、あるいは革新的な首長が誕生すれば、そこで一気にまた革新的な方向を示すんじゃないかと。そういったことを総合教育施策会議で方向性を決めてしまえば、いわゆる教育委員会そのものが逆に形骸化をしてしまうかもしれない。そういうと、政治的中立性を確保していかなければならないにもかかわらず、そこで中立性が担保できないんじゃないのかなという危惧も出てくるんです。

 もちろん、今のままでいいわけではありませんので、改正をするというのは必要だと思いますけれども、そういった政治的な中立性をきちっと担保できるような改革、改正にしていかなければいけないと思っております。

 そういった観点からいきますと、この総合教育施策会議という案について、大臣、いかがお考えでしょうか。

下村国務大臣 昨日から与党で協議がスタートしたばかりでございますから、余り議論の途中で私がそれに対してさらに詳細なコメントをすることは避けるべきだというふうに思います。

 ただ、御指摘のように、自民党の中で、教育委員会を残すということは、つまり廃止しないということは、今のような危惧で、政治的中立性の問題とか継続性の問題、安定性の問題等で、首長が誰かによってそのときそのときで極端に変わるということを避けるというために教育委員会は残す。しかし、今のままの教育委員会でいいわけではないので、その教育委員会と新たに設置される総合教育施策会議の役割分担をどうするかということでの今後議論だと思いますが、これは、まずは与党協議を見守りたいというふうに思います。

山本(と)委員 大臣、ありがとうございます。まさしく与党できちっと協議をして、また野党の皆様にもお声をおかけして、また政府の皆様ともきちっと連携をとって、本当に子供たちにとってよりよい教育環境ができるように、大臣の所信表明にありました教育委員会の改正案に対しては、しっかりと我々もサポートをしていきたいなと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では次に、話題をかえまして、道徳教育について少しお尋ねをしたいと思います。

 道徳教育という話をしますと、どうしても戦前の修身という話が出てきまして、これは私は随分誤解があるなと思うんです。修身がいい授業だったと言う人もいるでしょうし、悪い授業だったと言う人もいるでしょうけれども、そういった修身というものに対する評価が分かれる中で道徳教育を公教育でやるとなると、また、それに対する反発も出てきておりますけれども、道徳教育の重要性、大切さ、私はとても大切だと思っておりますけれども、西川副大臣、この道徳教育についての重要性、どうお考えでしょうか。

西川副大臣 山本先生、御質問ありがとうございます。西川でございます。よろしくお願いいたします。

 今、先生がおっしゃったように、本当に道徳教育という言葉を発すると、何かややもすると非常に思想的な、政局的な話になるような雰囲気というのがあったと思うんですね。ところがやはり、この道徳教育、まさに人格を形成する、他者と一緒によりよい人生を生き抜く力の根本になるのがいわば道徳教育だと思いますので、あらゆる教科の根本に据える教育だと、私はそういう認識を持っております。

 その中で、人が人として生きるために必要な思いやりや、あるいは命の大切さ、みずからを律する心というんでしょうか、そういうものを本当に社会の一員としてあなたは責任があるんだ、そういうことをしっかり育てていくことが基本だと思うんです。

 今までの教育の中で、ややもすると横の関係、個人が一人一人お互いに尊重し合ってという横の関係はかなり教えてきましたけれども、命をつなぐ縦の関係、例えば私自身がここにこうしていられるのは、ある意味では何十人、何百人の命をつないで奇跡のようにここにいるわけですね。その中の一人が誰か違う人だったとしたら自分はもういない。そういう中で、本当に多くの人間の人たちの命をつないで今あなたが奇跡的にここにいるんですよということを教えることによって、非常に自分が大事な存在である、愛されている存在だ、ということは、隣にいる友達も同じように大事な人間なんだなと、そういうことをしっかりと認識させることによって、例えばいじめとか、そういう問題にも実は対応できる一番大切な教育ではないかなと私は思っております。

 今回、大臣が率先して、この文科省として土曜授業の一つの方向性ともなるんですが、それぞれが自分の地元で授業をしろと、そういうことで、私は、それの一つとして、北九州市の小学校五年生を相手に道徳の授業をしてまいりました。

 そういう意味では、今、教育委員会の問題も出ていますが、道徳の授業、例えば私は、政治家でもあり行政官でもありますけれども、がするということは、すごく現場に対して緊張感があると思うんですね。でも、実際にやってみましたら、非常に子供たちが、何か我田引水のようで恐縮ですが、珍しい授業という感じで目を輝かせて聞いてもらえまして、御先祖様につながる、日本のいわゆる長い命をつないできて今君たちがいるんだよという話をしましたら、非常に子供たちの中に一つの心のポイントを何か持ってもらえたかな、そんな思いでおります。

 今後、この道徳を特別の教科という位置づけで、いわば、一つの知識を教えるような教育とはちょっと違うね、そういう全人格的な教育だということで、そういう教科の位置づけをいたしまして、今後、この充実に、もちろんそれを教える教師の研修その他大変いろいろな課題は抱えておりますが、しっかりと対応していきたいと思っております。

山本(と)委員 西川京子先生、大変失礼をいたしました。ふだんから京子先生とお呼びしているので、失礼をいたしました。

 今、副大臣が御答弁いただいたとおり、私も道徳教育はしっかりやっていくべきだと思っておりますし、下村大臣におかれましては、所信表明の中で、特別の教科としてやっていくんだということもおっしゃっていただいております。私は、特別の教科にするということは賛成でございますし、ぜひやっていただきたいと思いますが、将来的には普通の教科としてきちっと確立をしていただきたいなと強い思いを持っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 以上をもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

小渕委員長 次に、木内均君。

木内委員 おはようございます。自由民主党の木内均です。

 本日は、喫緊に迫っている課題から始まりまして、二〇二〇年あるいは二〇三〇年を視野に入れまして順次質問をしてまいりますので、よろしくお願いをいたします。

 まず、喫緊の課題、雪害対策につきましてお聞きをいたします。

 冒頭、山本委員からも触れていただきましたけれども、二月の十四日から十六日にかけまして、関東甲信を中心に大雪が降りました。被害に遭われた皆様に私からもお見舞いを申し上げますとともに、とうとい命を落とされました皆様に哀悼の誠をささげたいと存じます。

 私の地元であります北佐久郡の軽井沢町、それから隣の御代田町も災害救助法の適用になっております。大きな被害が出ております。

 そういった中で、昨日の午後五時現在でありますけれども、教育施設等の物的被害、これは体育館の屋根の崩落ですとかネットの損傷、機械室の壁の損傷、さらには倒木、こういったものが、教育施設等で物的被害五百五件が今のところ確認をされております。

 最初に二点要望させていただきたいと思いますが、一点目は、こういった被害を受けられた教育施設、子供たちの授業に差し支えがないように一刻も早く復旧をしていただきたい、それに全力を傾注していただきたい、まず一点御要望を申し上げます。

 そして二点目が、今週の雪も、さらにその前の週の雪も、たまたま土曜日、日曜日という週末に重なりました。これが平日であったらどうだっただろうか。登校している子供たちが学校で孤立をしてしまうようなことはなかっただろうか。平日時に起こった場合の対策、これを再度確認していただいて、それぞれ都道府県あるいは市町村に徹底をしていただきたい、二点目の要望を申し上げます。

 ここでまたお聞きをいたしますけれども、先ほど山本委員への大臣答弁にもありましたが、全大学に対し受験できなかった受験生への配慮を要請、こういった報告を受けております。具体的な救済措置がとられているのかどうか。

 そして、二月十六日の日曜日、看護師の国家試験が実施をされております。長野県からも私は御報告を受けましたけれども、須坂看護専門学校に関しては、残念ながら全員が受験することができませんでした。全国では、長野県の四十八名を含めて多くの学生が未受験であったと聞いております。

 その対策につきまして、まずお伺いをいたします。

吉田政府参考人 まず私の方からは、大学入試の関係につきまして御報告を申し上げたいと思います。

 先週末からの大雪の影響によりまして、一部地域の受験生が大学の入学試験を受験できなかった事態が発生をしていることから、十七日付で全大学に対しまして、再試験の実施などの配慮について文書で要請を行ったところでございます。また、十五日以降試験を実施した大学に対しましては、電話による配慮要請なども個別に行ってきているところでございます。

 関東甲信越地方の大学で、十五日から十八日にかけまして試験を実施した中で、対応の検討をする必要があるという受験生がいたと把握している大学が二十六ございます。このうち、再試験または試験日程の振りかえということにつきまして決定を行いました大学が、二月二十日付十七時現在という集計でございますけれども、二十二大学というふうになっております。

 文部科学省としては、各大学におきまして受験生の事情に配慮した適切な対応が行われますよう、引き続き状況の確認と要請を続けてまいりたいと思っております。

原政府参考人 看護師の国家試験の観点からお答えを申し上げます。

 二月十六日に第百三回看護師国家試験が行われましたが、大雪の影響が考えられましたために、受験者の試験会場への到着がおくれることを想定しまして、宮城県、東京都、愛知県における試験会場では開始時間を最大二時間まで繰り下げて対応を行いましたが、それでも結果としては、この三つの都県におきまして受験者約七百名が受験できなかったというふうに承知しております。

 この方々に対しまして後日改めて試験を実施することとしておりまして、これらの方々にできるだけ不利益が生じないよう、三月中に追加の試験の実施と合格発表を行う予定でございます。

下村国務大臣 さらに、言及しなかったことにおきましては、先ほど山梨のことを申し上げましたが、木内委員の長野県、群馬県あるいは栃木県等、かなり広範囲の雪害がありました。このことによって、学校における施設の破損等も生じているというふうに報告を受けております。

 子供たちの学校教育において差しさわりがあってはならないわけで、早急に国がフォローできることについてはしていきたいと思いますし、また、今、小渕委員長の地元でも大変な雪害があったというふうにお聞きしておりましたが、これは古屋防災担当大臣のもと、政府で今回の雪害対策の対策本部を立ち上げて対応していますので、政府全体として、教育以外の分野においても、国がフォローできることについては一体となって態勢をとっていきたいと思います。

木内委員 下村大臣からも答弁をいただきましたが、施設に関しましては早急な対応をお願いしますし、また、試験の関係につきましては、一生を左右することですので、これにつきましては、慎重でそして迅速な対応を改めてお願いいたします。

 二つ目の課題といたしまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックについてお聞きをいたします。

 現在、ソチ・オリンピックが開かれている最中です。二十三日、日曜日の閉会に向けて最終盤に差しかかっているわけでありますが、ここまで日本選手団は、金メダルを一つ、銀が四個、銅が三個と計八個のメダルを獲得しておりまして、今までの冬季のオリンピック歴代二位のメダル数となっております。大活躍に我々日本人は感動しているわけでありますけれども、まず、この日本選手団の活躍についての感想を文部科学大臣にお伺いをいたします。

下村国務大臣 きょうの印象としては、浅田真央選手を初め女子フィギュアにおいてメダルがとれなかったということはちょっと残念に思いますけれども、しかし、御指摘のように、本日までのソチ・オリンピック日本代表選手団、金メダル一個、それから銀メダル四個、銅メダル三個、合計八個のメダル獲得ということで、今まで最高が長野の十個、それに次ぐメダル獲得数ということで、それなりの成果が出ているのではないかと思います。

 その内容を見ると、十九歳の羽生結弦選手がフィギュアスケート男子でアジア初の金メダルを獲得したこと。それから、十五歳の平野歩夢選手がスノーボード男子ハーフパイプで銀メダルを獲得するなど若い世代の活躍。また、竹内智香選手がスノーボードパラレル大回転で、日本人女子としてスノーボード種目で初のメダルとなる銀メダルを獲得する等の活躍が見られ、さらに、ジャンプ男子ラージヒルで四十一歳の葛西紀明選手が冬季オリンピック日本人選手最高齢でメダル獲得、銀メダルを獲得するなど、これは中年の期待の星にもなったのではないかと思います。何事にも諦めない、七回目でメダルをとったということは、これはすばらしい励みにもなると思います。

 このように、日本選手が連日活躍しているということは、これは私自身もそうですが、国民に感動とそして勇気を与えてくれたことであると思いますし、また誇りに思うことでありますし、ソチで活躍されている日本選手団に対して私も、開会式は間に合わなかったんですが、ゼロ泊三日でソチに行って日本選手団を激励してまいりましたが、それぞれ頑張ったことに対しては誇りに思います。

 このように、スポーツが持つ、人々を引きつけ感動させる力、これは、人々の心を豊かにし、困難な問題に連帯して取り組む活力ある社会の構築に不可欠なものであるというふうに思います。

 今後とも、国家戦略としてスポーツの振興に全力で取り組んでまいりたいと思います。

木内委員 大臣答弁にもありましたけれども、メダルが期待されながら、残念ながらとれなかった選手もおります。

 私の地元の長野県でも、上村愛子選手が、長野オリンピックのときはまだ女子高生で初出場して七位入賞。その後、三回のオリンピックに出たんですけれども、六位、五位、四位と一歩ずつだったんですよね。それでそのときに、何でこんなに一段一段なんだろう、こういった発言が涙を誘ったわけでありますけれども、今回も四位でした。でも、メダルには届かなかったけれども立派な成績で、我々は大いに感動させていただきました。

 これが今度、二〇二〇年、東京に来るわけです。このオリンピック・パラリンピックに向けて、文部科学省、国が主導でナショナルトレーニングセンターを建設していく、こういった予定があるのかどうか、ずばりお聞きをいたします。

下村国務大臣 スポーツ基本法において、「国は、優秀なスポーツ選手を確保し、及び育成するため、スポーツ団体が行う合宿、」「優れた資質を有する青少年に対する指導その他の活動への支援、スポーツ選手の競技技術の向上及びその効果の十分な発揮を図る上で必要な環境の整備その他の必要な施策を講ずるもの」というふうにうたわれております。

 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会の開催に向けまして、オリンピック、パラリンピックともに選手強化を連携していくことが重要であり、国として、オリンピック選手やパラリンピック選手が効果的、効率的に集中して継続的にトレーニングに専念できる環境を整備していくということは、これは必要なことであるというふうに思います。

 日本オリンピック委員会や日本障害者スポーツ協会からは、ナショナルトレーニングセンターの拡充、設置について要望されております。日本チームの国際競争力の格段の向上が求められるということから、二〇二〇年東京大会の成功のためにも、オリンピック、パラリンピック双方のナショナルトレーニングセンターの拡充、設置については、競技団体の要望や強化計画などを踏まえながら、関係者の御意見を十分伺いつつ、今後積極的に対応してまいりたいと思います。

木内委員 十九日の大臣所信表明の中でも、東京だけのイベントとすることなく、日本全国に波及効果を生み出すことが重要な課題と述べられて、国内の強化拠点、海外選手団のキャンプ地など、スポーツ環境が広く全国で展開されるように取り組みますというふうに述べられておりますので、ぜひともナショナルトレセンの新規建設を検討していただきたいと思っております。

 特に、平成二十六年度の事業としては、トップアスリートの強化・研究活動拠点の機能強化に向けた調査研究とあって、新規事業としては、二〇二〇ターゲットエイジ育成・強化プロジェクトがメニュー化され、金メダルランキング世界三位から五位を目指すという大変高いハードルを掲げられております。全国には、標高が一千五百メートルの地点で長水路のプールを建設したりだとか、あるいは二千メートルの地点で四百メートルの陸上トラックの建設をしていきたい、こういった構想を持っている市町村もありますので、国、文科省も積極的に相談に乗っていただきたいとお願いを申し上げます。

 そして、一過性のイベントになってしまっては意味がないわけです。私も長野オリンピックの経験があるわけですけれども、そのときは、一校一国運動というものに取り組みました。さらには、商店街は一店一国運動というものにも取り組んで、それぞれの国を理解しようというところまで進めましたので、また二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、こういったことを検討していただきたいと改めて要望いたします。

 最後に、二〇三〇年日本教育の姿についてということで議論をさせていただきたいと思います。

 実は、自民党の国家戦略本部「二〇三〇年の日本」検討・対策プロジェクトの勉強会で国立情報学研究所の新井センター長をお招きして、そのときの演題が「ロボットは東大に入れるか」、こういった勉強会だったんですけれども、中身は大変ショッキングでした。

 簡単に内容を御紹介しますと、ホワイトカラーの仕事の七割がロボットに取ってかわられる。知的コンピューターによって、上下に労働が分断される。人間に残されるのは高度知的労働、それか、肉体労働、教育を要しない低賃金の労働、コンピューターの下処理になってしまうと。それで、機械に奪われない働き方が大切であって、意味を考えながら問題を解決するということを人間は身につけなければいけないという御指摘がありました。

 具体的には、三十代のリカレント教育、回帰教育、循環教育が必要であるという提唱をいただきました。これは、切実な経験がある三十代だからこそ、今どういったスキルが必要なのかということがわかるということなんですね。こういった実問題に接した方が高度知識、技能の必要性を認識しやすいということであります。

 そこで、一点目といたしまして、意欲と能力がある三十代の要望に応えられるような大学教育になっているのか、まずお聞きをします。

 そして二点目といたしまして、この二〇三〇年、こういったロボットが人間に取ってかわるような世の中になったときに、真に教育な義務教育というものはどういうものなのか。大臣も所信表明の中で、OECD生徒の学習到達度調査の結果、これは非常にすばらしい結果が出て評価をしておりましたけれども、そういった物差しだけで学力を判断していいのか、そういう時代がいつまでも続くのか。教育は国家百年の大計でありますけれども、もう秒進分歩の時代に入っているわけですよね。十年一日のような教育をやっていたら、これは世界に伍していけないわけです。そのときにどういった義務教育が必要になってくるのか、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 確かに、これからロボット、コンピューターがどんどん発達、充実することによって、これまでのような労働がそちらの方にシフトするということは当然の時代の流れだというふうに思います。

 しかし、基礎、基本を教育の中で教えるということは必要であって、それはそれぞれの発達段階において、特に初等中等教育等ではきちっとやはり教えるべきだというふうに思います。

 しかしそれで間に合うのかというと、今までは間に合っていましたが、今までの教育、暗記、記憶中心の、優秀な官僚を育成したりあるいは工場における人材を育成するような、そういうコンセプトはもう通用しないということの中で、さらに求められているのは、これから、つまりコンピューターやロボットがまねできない、それは一つには、例えばリーダーシップ能力。多様な価値の国際社会や、あるいは多様な価値のある人がたくさんいる組織の中、一つの方向にまとめていけるようなリーダーシップ能力。それからもう一つは、やはりコンピューター、ロボットがまねできない、クリエーティブ、創造的な、企画的なそういう能力。これをどう学校教育の中でも教えていくか。それから三つ目には、これもロボット、コンピューターでは太刀打ちできない、まさに人間的な感性、感覚、他者に対するいたわりとか優しさとか、そういう感性、感覚を育むような教育をこれから学校教育の中でもしっかり導入していかなければ、二十一世紀以降役に立つ学校教育とは言えないのではないかというふうに思います。

 そしてそのためには、十八歳までの教育ということではなく、大学教育も、十八歳からの教育ではなくて、社会人の学び直しができるような受け皿づくり。実際、ヨーロッパでも、二十五歳から大学に入って学ぶというのが一般的になっている国もあるわけでありまして、一旦社会へ出て、必要なスキルがまだ足らない、もう一度大学や大学院に入り直して、学び直して能力アップを図る。

 そういう環境づくりをすることによって、大学、大学院、あるいは高校を含めた教育機関が、その人の社会における能力アップのフォローにもなるような、そういう教育機関としても位置づけていく必要があるのではないかと思います。

木内委員 大臣からは、基礎、基本は変わらないんだという答弁をいただきました。

 私は、義務教育にとって大切な基礎、基本というのは国語、算数、理科、社会ではなくて、我々が戦後受けてきた教育というのは、自由や平等や権利を主張する、ここだけに力点が置かれて教育を受けてきたんですね。それにあわせて、自由や平等や権利を主張するのであれば、その裏には、強い使命感を持って責任を果たしていく、それから義務を果たしていく、こういったことを義務教育の間にしっかりと教えていかなければ、これからの日本人はどうなってしまうんだろうというような危惧を抱いております。

 そういった点につきまして、私も一緒に切磋琢磨させていただきたいと思いますけれども、次代に立派な日本を伝えるための教育、改めて文部科学大臣にお願いしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小渕委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、二月十四日からの大雪により犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げます。復旧に向けた政府の迅速な取り組み、改めて私の方からもお願い申し上げたいというふうに思います。

 今回の大雪、先ほど来お話が出ております。木内先生の方から、入試の関係、資格試験の関係、そういった質問も出されておられます。そもそもまだ孤立している方もいっぱいいらっしゃる。ライフラインの回復がまず第一でございますし、休校している学校、また入試、資格試験、こうした課題に迅速に対応する必要があると思いますけれども、私の方からは、施設の関係、主にハード面について質問をさせていただきます。

 例えば、ニュースでも出ておりましたけれども、埼玉県の富士見市、市民総合体育館の屋根が雪の重みで崩れた、こういうニュースもございました。幸いにもけが人はいらっしゃいませんでしたけれども、しっかり原因究明をする必要があるというふうに思います。

 そこで私の方からは、今回の大雪で、文教の関係の施設あるいはスポーツの関係の施設、今どのような被害が出ている現状なのか。また、これを利用する子供たちあるいは施設の利用者の方々、こうした方々の安全の確保、これについてどのように今後取り組んでいく形になるのか。文部科学省にお伺いをしたいというふうに思います。

関政府参考人 今季の大雪によりまして、二月二十日時点におきまして一都十七県で五百五件の物的被害が報告をされておりまして、体育館の屋根の崩落、これは今お話がございました富士見市の市民体育館、また、青梅市の中学校体育館の屋根が崩落するという事故でございます。そのほか多くが、駐輪場の倒壊あるいは防球ネットの破損等の被害があったところでございます。

 文部科学省におきましては、こうした被害状況を踏まえまして、学校施設等の設置者に対しまして、防災態勢の強化を図るとともに、二次被害の防止、雪崩や落雪等による被害防止を含めまして、児童生徒等の安全確保、施設の安全確保等に万全を期すよう要請をしたところでございます。

 また、先週末の大雪によります施設の被害といたしまして、先ほどの体育館の屋根が崩落するという甚大な被害も発生をしております。このため、文部科学省の職員と建築構造の専門家を現地に派遣いたしまして、被害状況と原因を調査、把握することとしておりまして、その調査の結果等を踏まえて、どのような対策が必要か、国土交通省等の関係機関と連携しつつ検討してまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。引き続きの対応、よろしくお願い申し上げます。

 次に、私の方からは、奨学金、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

 私、昨年の通常国会、当選して初めての質問だったかと思うんですけれども、下村大臣の方に、奨学金の拡充をぜひしていただきたい、こういうお願いをさせていただきました。今回、平成二十六年度予算案を見ますと、大臣の大変に強いリーダーシップで奨学金について大きな拡充をしていただいた、これに心から感謝を申し上げたいというふうに思います。

 従来より、公明党は、奨学金の拡充については大変に強い意見を訴え続けておりました。過去を振り返りますと、一九九八年、学ぶことを希望する学生全てが奨学金を受けられるようにしたい、こういうふうな要望をいたしまして、九九年予算において、きぼう21プランというものがスタートいたしました。以来、奨学金を受ける方の数というのは大きく拡大をいたしまして、現在百万人を超えるに至っている。しかし、今まで拡大をしてきた奨学金、有利子の奨学金というものが大変に数がふえてきた、私はこのように理解をしております。

 諸外国に比べまして我が国は、教育に関する費用、これを誰が負担するか、外国ではもちろん公、公共の方で学費、教育に要する費用というのは見ていくんだ、こういう国もあるわけでございますけれども、日本は比較的個人の家計で負担をする傾向が強い。その個人でも、学生個人が負担するというよりは、どちらかというと家計全体、お父さんお母さん方とかこういう形で負担をする割合が高い、こういうふうに理解をしております。

 私の家庭を振り返っても、私も奨学金を受けながら大学に通いましたけれども、両親もそんなに裕福な家庭でもございません。私の父親は小さな町の工場で職人をしている、そんな家庭でございましたので、教育ローンを借りたり、お金がない中何とか、無理をしても子供にはいい教育を受けさせよう、こういう思いでやってこられた両親の方というのは大変に多くいらっしゃるというふうに思うんです。

 しかし、デフレ経済の中で、子育て世代の所得というのは減少していく。特に、所得の低い方というのは、なかなかこういうローンを借りて負債を抱えて、こういうのも非常に難しいな、こういう傾向が強くて、このままいくと所得の格差というものが教育の格差につながりかねない、それがまた格差の固定化を生みかねない、こういう懸念を持っております。

 平成二十六年度予算案、無利子の奨学金の拡充、これに大きくかじを切られた、このように理解をしておりますけれども、これからのより中長期的な奨学金の政策の方向性として、無利子の奨学金をさらに拡充していっていただきたい。そして、従来より大臣の方からも大変に意欲を燃やしておられる大学生向けの給付型の奨学金の導入、これに向けてもしっかりと力を入れていっていただきたい、私はこういう思いを持っておりますけれども、この件に関して、ぜひ大臣の御決意を伺いたいというふうに思います。

下村国務大臣 旧来から、中野委員は昨年からですね、御党におかれましては、もう前から奨学金の充実については提言をされているわけでありますし、私も、高校、大学と奨学金があることによって進学できたということから、ぜひ、これを充実させることによって、経済的な理由にかかわらず、全ての意欲ある、能力のある学生にチャンス、可能性が提供できるような、そういう環境づくりをしていきたいと思います。

 そのために、平成二十六年度の予算案においては、無利子奨学金の貸与人員をまず増大するということを念頭に、これまで四十二・六万人であった対象者を四十五・二万人、二万六千人対象者をふやすということをいたしました。また、延滞金の賦課率の引き下げなど、本当に困っている奨学金返還者への救済措置の拡充、安心して奨学金の貸与等を受け大学等に進学できる環境整備、これをぜひしていきたいというふうに思います。

 ぜひ、まずは、給付型の奨学金をつくるという前段階において、有利子奨学金をこれは無利子奨学金にできるだけシフトする。有利子奨学金は奨学金ではなくて、御党が主張されているようにこれは学生ローンだと思いますね。ですから、学生ローンを無利子奨学金に早くシフトする。

 そして、給付型奨学金はことし高校生において初めて導入することを決定いたしましたが、ぜひ大学等におきましても、給付型奨学金の創設を目指すことによって、大学教育においてもより一層充実したチャンス、可能性が提供できるように頑張りたいと思います。

中野委員 大臣、ありがとうございます。引き続きの大臣の強いリーダーシップを期待させていただきます。

 そして、奨学金についてはもう一点、私、お伺いをしようと思っておりまして、まさに先ほど大臣がおっしゃられた、延滞利率の引き下げの話がございました。これは、大学を卒業した後もなかなか就職ができなかったり、あるいは、非正規労働者、フリーターなどであったり、御返済に苦しい方がいらっしゃるという話でございますけれども、今回こういう方策がとられたわけでございます。

 私は、基本的には奨学金は、延滞といってもいろいろな方がいらっしゃるわけでございまして、返さない方もいらっしゃいますし、返せない方もいらっしゃる。やはり、返さない人にはしっかりと徴収をする、返せない人には納付の猶予であるとか、しっかりめり張りをつけた、こういう形にした方がいいんじゃないかなという意見がございます。

 これも我が党、従来より要望しておりますけれども、所得に連動をして返済をする形の奨学金というものが諸外国にはございます。オーストラリア、あるいはイギリス、スウェーデン、アメリカ、韓国など、所得が高いときはしっかりと返す、所得が下がってくると返済する額も減ってきたり、あるいは、所得が低いまま一定の年齢までいけばそのまま債務が消滅するような、いろいろなタイプがあるというふうに思っております。

 今、日本にあるこの所得連動返済型、今の制度でもあるんですけれども、かなり限定的なものだと聞いております。これは、もともと借りるときの所得が三百万円以下の家庭に対してこういう制度もある、こういうふうに聞いておりますけれども、この所得連動返済型奨学金、これをぜひ広く導入していく、こういうことも検討していただきたいというふうに思うんですけれども、大臣の御見解を伺います。

下村国務大臣 御指摘のように、先ほどもちょっと申し上げましたが、平成二十六年度から、延滞金の賦課率を一〇%、低金利のこの時代にこれはある意味で高利貸しのような額ですから、これはまず五%、半分に引き下げる。それでも高いと思いますけれども、まず半分に引き下げるということを決定いたしました。それから、返済猶予制度の制限年数、五年から十年の倍に延長することによって、真に困窮している奨学金返還者への救済措置の充実を図るということもしてまいります。

 そして、今御指摘がありましたが、所得連動返還型無利子奨学金制度、これは平成二十四年度から導入をいたしました。これを充実させ、さらに、所得把握が容易となる社会保障・税番号制度への移行を前提に、卒業後に一定の年収を超えた時点で一定額を返済する現行制度から年収に応じた額を返済する柔軟な制度へ改善するなど、経済的理由等による返還が困難な方々に対して、きめ細かく対応してまいりたいと思います。

 さらに、今文部科学省の中で教育における財源を確保するための勉強会をしておりまして、オーストラリアにおいては、かなり高所得を取る方々はさらに上乗せして、次世代のために学費のフォローアップをする、教育費を負担するということも含めて、財源を確保することによってさらに給付型奨学金なりあるいは無利子奨学金の対象者をふやすというようなことを考えていくことによって、どんな家庭の子供であってもチャンス、可能性がさらに拡大できるような、新たな財源確保も含めて今省内で勉強会をしているところでありますが、そういう一層の拡大に向けて対応を今検討しております。努力をしていきたいと思います。

中野委員 大臣、ありがとうございます。

 我が党としても、検討の状況、どうなっていくのかということをしっかり見守ってまいりたい、このように思います。

 少し話はかわるんですけれども、大学生にとって大変大きな変化として、就職活動のスケジュールが後ろ倒しになる、これが昨年決まりました。我が党としても要望してきたことではあるんですけれども、今までは三年生のときから就活が始まりますので、学業に集中できない、あるいは留学ができない、こういう課題がありまして、今の大学二年生、この人たちの就活は、大学三年生になってから三月、ここから始まる、ここまでは決定をしております。

 私、党の学生局長でもございますので、学生の皆様と多く懇談を実はさせていただいておりまして、一昨日も二十代の投票率を上げようと運動されている学生サークルの皆さんがいらっしゃいまして、お会いをしました。ただ、率直に言いまして、割と不安を抱えられている学生の方が多いな、こういう印象を受けました。

 なぜかといいますと、三年生の三月に広報活動が始まる、すなわち説明会などに参加をし出す。面接が始まるのはいつかといいますと、八月から始まって、十月ぐらいには内定、恐らくその間に内々定は出ると思うんですけれども。要するに、四年生、あるいは例えば修士で就活をされる方は修士の二年生、この最終年次の一年間が、割と就活に長い期間ほぼ充てられる、こういう状況でございます。

 今まではどうかといいますと、大体四年生とか修士の二年生の割と早い段階で内々定がとれまして、四年生の後半は卒論なり研究なり学業に充てられる。しかし、四年生で就活をするということなので、果たして学業と就活が両立できるんだろうか。あるいは、夏の試験期間中も非常に就活が活発になりますけれども、本当に大丈夫なんだろうかですとか、スケジュールに関して本当に大丈夫かな、こういう御心配の声をいただくわけでございます。

 せっかく、学業に集中してほしい、留学してほしい、こういうことで導入をする就活の後ろ倒しでございますので、この就活の時期を変えたことによってカリキュラムなどの学業のスケジュール、これとバッティングして混乱を生じさせてはいけない、私はこのように思っておりまして、今後も大学側あるいは企業側、さまざまな意見を丁寧に聞きながら、調整をぜひこれは政府の方でしていっていただきたい、このように思うんですけれども、文部科学省の方の御見解を伺います。

吉田政府参考人 委員御指摘のように、就職・採用活動開始時期の見直しに伴いまして、その趣旨を学生に対して周知する必要があるわけでございます。

 また、今御指摘の学事日程、一般的な形でありますと、四年生の七月から八月にかけましていわゆる前期試験というものが行われます。また、八月から十月にかけましては大学院入試といったものがございます。それにその新しい就職活動に関するスケジュールが重なってくるというようなことは考えられますので、各大学におきましては、今般の就職活動に関するスケジュールの変更を踏まえまして、前期試験や大学院入試の時期などの学事日程の適切な見直しを今検討しているところだというふうに承知しております。

 文部科学省としても、関係府省と連携いたしまして、昨年十二月に大学などの就職支援担当者に対する説明会を開催するなど、さまざまな機会を通じて、各大学等に対しまして、今般の就職・採用活動開始時期の変更の趣旨を踏まえ必要に応じて学事日程を見直すなど、円滑な実施に向けた対応を行うよう指示しているところでございます。

 引き続きまして、関係府省並びに経済界との密接な連携のもとで、円滑な実施に向けた調整、周知を行ってまいりたいというふうに思います。

中野委員 ありがとうございます。

 今の大学二年生の皆様にとっては、修士の方もそうかもしれませんけれども、私どもにとってはこういう制度改正というのは何回もあるかもしれませんけれども、学生の方にとっては一生に一度のことでございますので、これが原因で混乱をした、就職ができなかった、そういうことがないように丁寧な対応をしていただきたいと思います。

 あと二問準備しておりましたけれども、時間がございませんので最後の質問にさせていただきます。

 この就活後ろ倒しに関しまして、今は、大企業の内定が大体十月ぐらいに出そろいまして、その後は実は中小企業の就活というのが本格化をいたします。例えば、昨年十二月の段階の大学生の内定率というのは七六%でございまして、ここからさらに中小企業を中心に就職活動がありまして、去年でいいますと最終的には九三・三%まで活動するわけでございます。

 ただ、就活のスケジュールが全体的に後ろに下がりますので、この中小企業の採用も割と混乱するのではないか、あるいは、内定がとれないまま卒業をしてしまうのではないか、こういう懸念の声も指摘されておるところでございまして、こうした声にどうやって応えていくのか、ぜひ厚生労働省の御見解を伺いたいというふうに思います。

宮川政府参考人 お答えいたします。

 就職・採用活動時期の後ろ倒しによりまして、学生の就職活動ですとか中小企業の採用活動への影響というのも想定されているところでございまして、中小企業と若者とのマッチング支援は今まで以上に重要になるだろうというふうに考えておるところでございます。

 そのため、全国の新卒応援ハローワークなどで、ジョブサポーターによるきめ細かな職業相談、職業紹介、これらを通じまして就職支援を行うとともに、若者を積極的に採用、育成する企業に若者応援企業と宣言していただきまして、中小企業の魅力を発信して、若者と中小企業のマッチングを支援していくという施策を行っておるところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、就職活動の開始時期にかかわらず、未内定学生が就職活動の終盤になっても就職を諦めないで就職活動をやっていただくための支援、あるいは、万一仮に未就職のまま卒業を迎えた場合であっても早期に就職が決まるよう、引き続き関係省庁とも連携を強化して取り組んでまいりたいと思います。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

小渕委員長 次に、笠浩史君。

笠委員 民主党の笠浩史でございます。

 まず私からも、先週末また先々週末の大変な記録的な大雪で犠牲になられた方の御冥福をお祈りいたすとともに、また、多くの被害が出ておりますのでお見舞いを申し上げると同時に、ぜひ文部科学省におかれましても、万全の対策を進めていただけますようにお願いを申し上げたいと思います。

 さて、質問に入らせていただきますけれども、大臣とは今週月曜日に予算委員会でも議論をさせていただき、ちょっと時間の方がなかったので、きょうも引き続き、少人数学級の推進と地方教育行政のあり方についてまた議論をさせていただきたいと思います。

 まず、財務省からきょうは古川副大臣、お時間をいただきありがとうございます。

 まず財務省にお伺いをしたいんですが、昨年一月二十七日に文部科学大臣と財務大臣の間で、少人数学級の今後の進め方、推進について、習熟度別指導等とあわせ、文部科学省において、その効果について平成二十五年度の全国学力・学習状況調査等を活用し十分な検証を行いつつ、教職員の人事管理を含めた教職員定数のあり方全般について検討すること、また、この検討を見つつ、今後の少子化の進展や国、地方の財政状況等を勘案し、教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うこと等その他の方策を引き続き検討し、その結果に基づいて必要な措置を講じるという合意がなされております。

 これについて、財務省としての、この検証の結果についてどのように考えられているのかをお答えいただきたいと思います。

古川副大臣 お答え申し上げます。

 財務省と文科省との間のその取り決めに基づいて検証が行われました。平成二十五年度全国学力・学習状況調査でございますね。その結果、少人数学級につきましては、政策効果が十分に確認できていないという、そういう判断になったと思います。

笠委員 次に、文部科学大臣に同じことを問いたいと思います。この検証をどのように認識をされておるでしょうか。

下村国務大臣 全国学力・学習状況調査を活用した少人数教育の効果検証の結果、一つには、習熟度の差が比較的小さい小学校六年生については、チームティーチングによりきめ細やかな指導を行うことが学力向上に効果がある、二つ目に、習熟度の差が比較的大きくなる中学校においては、習熟度別にきめ細やかな指導を行うことが学力向上に効果がある、三つ目に、また、少人数学級については、学習活動の基礎である学習への積極的な姿勢の育成や児童生徒の落ちつきなどに効果、特に学力下位層にある、こういうことが明らかになったものと分析をしております。

 また、昨年十二月上旬に発表したPISA二〇一二の結果から、チームティーチングや習熟度別少人数指導の導入など、定数改善の取り組みによるきめ細やかな指導を実現するための施策の積み重ねが一定の成果をもたらしているものと考えております。

 文部科学省としては、引き続き、少人数教育の効果についてさまざまな角度から分析を積み重ねてまいります。

笠委員 今、下村大臣がおっしゃった評価、私も同じような思いを持っております。

 古川副大臣、あなたは今、少人数学級は政策効果がないということを言い切りましたけれども、本当にそういうふうに思っていますか。

古川副大臣 十分な政策効果は確認できていないと思います。

笠委員 財務省としてどういう検証を行ったんでしょう。そして、どういう議論があって、今のような、効果がなかったということの結論を財務省的にはつけられたのか、その点をお答えください。

古川副大臣 ただいま下村大臣もお話しされましたけれども、この二十五年度の調査の結果を見ますと、少人数学級、それからチームティーチング、習熟度別指導、それぞれについて結果を比較しているわけですけれども、チームティーチングの結果、要するに効果がプラスであらわれているんですけれども、少人数学級の点を見ますと、これは全部マイナスになっちゃっているんですね。こういうものがやはり一つの有力な根拠になっていると思います。

 これは義務教育関係予算に限らないんですけれども、あらゆる政策分野、予算について、やはり、限られた財源を有効に使わなきゃいけない、政策効果の高い分野に重点的につけていかなければならない、こういう観点もありますので、文部科学省そして財務省との間で議論を重ねた結果、こういう判断になったということでございます。

笠委員 私、今はおかしいと思いますね、最後の部分。先ほど下村大臣が、文科省としての検証、もちろんこれは学力だけじゃありませんから、今、さまざまな問題を抱えているお子さんたちがおられる。学校の現場は十年前、二十年前よりも、校内暴力、あるいはいろいろな発達障害を抱えるお子さんがふえたり、いろいろな形で今は状況は厳しくなっているんです。

 そういった中で、やはり一人一人の教員がきめの細かい対応をする中で向き合っていくということは、これは確かに少人数学級だけで解決することではありません。習熟度別のそのやり方もあってもいいし、さまざまそれは自治体の方で工夫をしていかなければならないんですけれども、そこはきちんとした形でやはり計画的に教職員の定数の改善をやっていきたいというのは、これは学校現場だけじゃありませんよ、PTAの皆さんあるいはこういう保護者の皆さん、さらには地域の皆さんたち、多くの方々のやはり願いなんですね。そのことを下村大臣なんかとも、これは党派を超えてみんなで進めていこうということを我々はやってきた。

 今、最後に、文科省と財務省とで何かさもこの検証結果について合意をしたような発言をされたんですけれども、下村大臣、そういうことでよろしいんですか。

下村国務大臣 今回の検証結果においては、少人数学級に取り組んだ学校の平均正答率が低下しているというそのことは事実でありますけれども、しかし一方で、今、笠委員が御発言されているように、学習活動の基礎である学習への積極的な姿勢の育成とか、それから生徒児童の落ちつきなどに効果があるということについては、これは数値としては出てこない部分があるわけですし、さらに、財務省にはもっと理解をしてもらう努力をしてもらう必要があると思っているのは、数字だけの問題でなくて、時代の変化に応じて今学校現場が非常に複雑化、高度化してきた中で、御指摘のような発達障害児も非常にふえてきておりますし、また、家庭力や地域力が低下している中、一層、学校に対する期待感というのがすごくあります。

 一方で、今の教員が昔と同等の能力を持っていても、その厳しい時代の変化に今まででは対応できない部分がやはりあるわけで、そういう意味では、今まで以上にきめ細やかな対応をとるという意味では、やはり教員の数をふやすことによって、児童生徒第一主義の立場から見ても、責任を国が持つということでは、教員の数をふやすということは、これは必要なことであるというふうに我々は思っておりますし、今後とも、財務省に対してはそういう理解を求めるような努力も我々もしながら、政府として共有できるように、文部科学省としてさらに努力してまいりたいと思います。

笠委員 本当にこれは我々もしっかりとまた応援もしていきたいと思いますし、大臣、やはりこれは財務大臣とも一度しっかりとした議論、あるいはこの検証というのは、もちろん学力も大事だけれども、それだけじゃない。あるいは、学力でも成績のちょっと下位層のお子さんたちを、そのまま落ちこぼれるんじゃなくて、何とか引き上げていかなければ、人口が減少しているこの時代で、将来の担い手、しっかりとした教育環境を整えながら、全員を納税者にしていくぐらいの、やはりそういう教育の責任というものは今本当に重要なんだというふうに思っております。

 そこで、資料の方をごらんをいただきたいというふうに思います。お手元にお配りをさせていただきました。これまでの教職員の定数改善の経緯、これをまとめさせていただいた。これは、文部科学省がまとめたものを私の方で整理をさせていただきました。

 御案内のとおり、上段の方は第一次から第七次まで、これは計画的な定数改善計画というものでやっておったわけですが、残念ながらこの第八次計画というのは、私たちが政権を担当していたときも何とかこれをつくりたいと思ったんですけれども、財務省の壁を越えることができませんでした。

 ただ、そうした中で、二十二年、二十三年、二十四年は、ちょうどこの赤い数字で、四千二百人、二千三百人、三千八百人と、我々政権を担当していたときにこの改善をしてまいりましたところで、二十三年は、法律に基づいて、小学校一年生のみ三十五人以下学級を実現をし、そして二十四年は、加配で三十六人以上学級の解消を小二まで、三十五人以下学級というものを実現してまいりました。

 ちょうどさきの臨時国会でも大臣とも議論させていただきましたが、再び今度自民党政権になって、この二十五年、二十六年度、非常に残念な結果になっているんです。今、来年度の予算案が審議をされておりますけれども、これは初めてですよね、ここをごらんください。概算要求段階では、大臣も先ほどおっしゃったように、教師力・学校力向上七カ年戦略に基づいて、いわゆる少人数学級の推進を含む少人数教育推進ということで三千八百人の定数改善要求をしておりました。しかし、改善増が実質マイナス十人ということに今なっております。

 特に、少人数教育の推進として七カ年で一万四千七百人の定数措置を講ずる、そして、その初年度ということで、七で割りますとちょうど二千百人、二十六年度は求めていた。これが全く認められなかったんです。

 その点について、まず大臣の方から、どうしてこういうことになってしまったのかということをお答えいただきたいと思います。

下村国務大臣 平成二十六年度の予算編成過程においては、財務省から大幅な教職員定数の削減を求められました。この数字以外にも、さらに教職員の定数そのものを二千人減らせというのが財務省からの削減要求でありました。

 今後の少子化等を踏まえた定数の見直し、これはマイナス七百十三人を図る一方で、これから小学校の英語の教科化や特別支援教育の充実など個別の教育課題への対応に必要な定数改善増七百三人を計上して、結果的に、自然減を除く全体の定数は初めての純減、今御指摘がありましたが、マイナス十人となったわけでございます。

 その中でも優先度が高い課題に対応するため、定数の配置見直しを行い、実質的な教育環境の改善を図ったというふうに考えております。

 厳しい財政状況のもとで、重要な教育課題への対応を図るための必要最小限の予算が確保できたというふうに受けとめておりまして、所信表明でも申し上げましたが、文部科学省トータル的な予算は対前年度比〇・九%アップをしているということでございまして、先ほども質問がありましたが、奨学金とか海外留学支援とか、総合施策の中でこの教職員の定数についてもぎりぎりの妥協をせざるを得なかったということがありますが、今後、教職員定数のより一層の充実にさらに努めてまいりたいと思います。

笠委員 大臣、もうちょっとしっかりしていただかないと、今、大臣が例えば英語の教科化への対応であるとかいろいろおっしゃいましたけれども、これは全て、概算要求したものからかなり削られているわけですよ。英語の教科化、特別支援教育の充実、さまざまありますけれども、このやはり少人数教育というのは、非常にこれは優先度が高いものだというふうに私は思っております。

 昨年、臨時国会でもこの問題を取り上げさせていただいて、大臣、概算要求、しっかりとこれを予算編成に反映させるように私はエールを送らせていただきました。そして下村大臣自身も、本当にこの教職員の定数改善計画、しっかりと自治体が計画的にさまざま対応できるようにしていくことの重要性は最も御理解をされている大臣だと私は思っているんです。このままいくと、本当に毎年毎年こういう状況が続いていく、そういう懸念を私は持っています。

 今、大臣が、七カ年戦略ということで、七年間計画的に改善をしていくということをこの二十六年度からつくられたわけですけれども、これはもう一度見直すということになるんですか。その点をちょっとまず大臣にお伺いをしたいと思います。

下村国務大臣 教師力・学校力向上七カ年戦略は、世界トップレベルの学力、規範意識を育むきめ細やかな指導体制を整備する観点から、今後七年間で計画的に三万三千五百人の定数改善を図ることを目指したものでありまして、平成二十六年度概算要求においては、その初年度分として三千八百人の定数改善の要求を行いました。

 委員が御指摘の資料で、自然減で二十六年度マイナス三千八百人、財務省からは、先ほど申し上げましたが、学校の統廃合等あるのでさらに二千人減らせと。つまり、五千八百人減というところから始まった結果、改善増がマイナス十人になったということでありますが、これから、小学校英語の教科化への対応、それから、いじめ、道徳教育への対応、それから特別支援教育の充実など、個別の教育課題への対応、これにはやはり必要な定数改善増を計上しているわけでありますし、それを果たしていくことが必要だと思います。

 文科省としては、今後とも、教師力・学校力向上七カ年戦略の考え方を踏まえまして、中長期的な教職員定数改善計画を進めていく必要があると考えておりまして、義務標準法の改正も踏まえまして、平成二十七年度の予算要求に向けて検討を行ってまいりたいと思います。

笠委員 大臣、ちょっと端的にお答えいただきたいんですが、もうこの前提が崩れちゃったんですね、まず、七年間でのこの計画の初年度がここまでずたずたに切られたわけですから。ということは、二十七年度から六カ年ぐらいでやっていくというような新しい計画というものをつくられるということでよろしいんですか。

下村国務大臣 今申し上げましたように、義務標準法の改正もさらに踏まえて、それも検討課題へと入れて、二十七年度の予算要求でしっかり検討していきたいと思います。

笠委員 古川副大臣にお答えをいただきたいんですけれども、私たち、無理なことを言っているわけじゃないんですよ。今、少子化に伴って教職員の数がこれは減っていくわけですね、自然減、今大臣もおっしゃった。だから、新たに今まで以上に教職員をふやしていくために予算をつけろということを言っているわけじゃないんです。この自然減を活用しながらこの機会に、少人数学級、三十五人以下学級をせめて中学三年生ぐらいまではきちんと計画的に地方の自治体が取り組みができるように私たちはやっていこうよということ、これはずっとやってきたわけですよ。

 今後こうした少人数学級や少人数教育を推進するために、やはり計画的にやらせていただくということが、地方の自治体にとってもこれは願いなんです。毎年毎年定数がどうなるかわからないという状況だと、これから地方教育行政のあり方も議論させていただきますけれども、やはり、計画が立たなければ困るんですよ、これは地方の自治体も。

 今大臣は、法改正を行ってと、法律のもとでということもおっしゃったけれども、計画的な教職員の定数改善というものは認めないということですか。財務省、お答えください。

古川副大臣 お答えする前に、財務省は、何もむやみやたらに全部予算を切ってしまえということでやっているわけではありません。また、下村大臣も、予算折衝の過程においても大変熱心に御議論いただいてお考えをお伝えいただいておりますし、大変頑張っておられるなというふうに私も思っております。

 確かに、少人数学級推進のための定数増は今回見送らせていただいたわけなんですけれども、しかし、一方で、いじめへの対応あるいは特別支援教育の充実、こういった個別の教育課題の分野については必要な定数増は行っているわけですね、認めているわけです。あるいは、スクールカウンセラー等外部人材の拡充、道徳教育の充実、土曜日の教育活動の推進、英語教育の強化などなどを、予算的な手当てもこれは十分させていただいておるわけです。ですから、こういう教育予算全体を見て、限られた財源をより有効に使おうということで、めり張りのついた予算編成をさせていただいている。

 もちろん、昨年一月二十七日の財務省、文科省とのその合意に基づいて、しっかり議論しながら今回のような予算編成をさせていただいているというわけでございますので、何もむやみやたら切ることだけを考えて財務省はやっているというわけではないということは御理解をいただきたい、こう思います。

笠委員 十分にやっているなんていうことを言わないでくださいよ。いじめの問題への対応、四百人要求しているけれども二百三十五人じゃないですか。特別支援教育の充実、五百人の要求に対して二百三十五人じゃないですか。

 では、そういうふうにおっしゃるんだったら、少人数教育の推進については認めなかったけれども、一生懸命に概算要求を文科省がつくった、例えば、いじめや特別支援教育にはその満額しっかりと回答しているじゃないか、財務省としても厳しい財源の中でやっているんだと言うんだったら胸を張って答えていただいていいですけれども。

 もちろん、文部科学省の予算の中で何にどういうふうに重点配分するかということも大事でしょう。しかし、政権全体として、先ほど申し上げたように、やはりこれから人づくり、大臣も所信の中で、人づくりが国づくりであると。私もそうです。人づくりなくして国づくりなしということを私の信念にしています。

 特に、この少子高齢化の社会の中で、担い手の数が減っていくわけですから、そうしたらやはり、一人一人の将来の担い手を育成していくために、今何が現場で起こっているのか、何を現場は求めているのか、そのことを私は考えていただきたいというふうに思いますし、古川副大臣はそういうことをきちっと受けとめて、先ほど、二十七年度へ向けた下村大臣の改めての決意がございましたけれども、六カ年でも五カ年でも七カ年でもいいですけれども、ぜひ、やはり計画的な、できればこの法律に基づいた形での少人数学級、少人数教育を推進できるように、大臣の決意を再度伺いたいというふうに思います。

下村国務大臣 これはぜひ笠委員にも御協力をしていただきたいんですが、日本社会全体で、教育というのはある意味では社会保障だと。つまり、年をとって年金、医療、介護に対して厚く手当てをするという社会保障制度と、それから、教育によって若いときにチャンス、可能性を提供することによってより豊かな教育環境をつくることが、結果的に、そういう将来にかかる社会保障費の削減額にもつながる。

 学者の調査によれば、教育に対する先行投資の方が、結果的に、将来かかる社会保障費を軽減する。教育というのはそれだけの成果、効果が上がるというような分析をしている学者もいます。

 これはぜひ日本全体で共有する。まずは政府の中、文部科学省が、教育の財源確保のための理念づくりから、それからビジョンづくりから、少なくとも財務省を説得させるためのその理論を今つくりつつありますが、これは文科省だけの問題でなく、与野党を問わず、ぜひ文教関係の委員が共有して持っていただきたいものについて我々も提供していきたいと思いますし、その上で、これはそのときそのときの文科省と財務省の折衝ではなくて、義務教育の定数については明確に決めて、その中で安定的に教員の確保をするということが学校現場の教育の充実の担保につながるというようなことに持っていけるように、先頭に立って努力をしていきたいと思います。

笠委員 大臣、ぜひやりましょう。次の臨時国会ぐらいではしっかり担保できるための法律をつくって、そして二十七年度の予算編成が安心してきちんと行われるように、そのときもし財務省に古川副大臣がおられれば、私は非常に古川さんのことは評価していますので、きょうはいろいろと財務省のお立場で答えられた点もあろうかと思いますが、ただ、やはり思いは私は同じだと思っておりますので、ぜひ期待をしたいと思います。

 副大臣どうぞ、ありがとうございました。

 次に、教育行政のあり方について幾つかお話をさせていただきたいと思います。

 地教行法の改正については、先ほど来の話でも、今、与党内で最終調整が行われているということで、改めて個別具体的には当委員会でも十分議論する機会があろうかと思いますけれども、私自身は問題意識として、これだけの、ある意味では戦後の教育行政を根本から見直していくやはり議論ですから、教育委員会制度のあり方もそうですけれども、国、文科省があって、都道府県があって、そして市町村がある、さらには学校現場があるという中で、そして、この地方教育行政の分野においては首長と教育委員会の役割のあり方、そういったさまざまなことを、この機会にきちんとその責任と権限というものを整理をしていくことができるようなやはり改革というものにつなげていかなければならないんではないかというふうに思っています。

 それで、きょうちょっと大臣にお伺いしたいのは、私ども民主党の案は、二〇〇六年、第一次安倍政権のときに教育基本法の改正を六十年ぶりに行って、我が党も日本国教育基本法案を、当時、亡くなられた西岡武夫先生のもとで、五人で起草したんですけれども、私も、その一人、仕事に携わらさせていただきました。

 そのときに、今の首長に権限を一元化しながら、教育委員会を廃止する、しかし、当然ながら、政治的な中立性や安定継続性というもの、これをどうやって担保するかということで、教育監査委員会を新設していくということと、もう一つは、やはりこの教育の分権という形の中で、これは平成十六年、当時、自民党政権のときに我々も協力してコミュニティースクールの制度を導入し、残念ながらまだちょっと広まるスピードが十分ではないんですけれども、二十八年度ぐらいには全国の公立小中学校の一割、三千校にしていこうということを目標に今やっていただいていると思います。

 大臣とは実は十年前に、私、初当選した年でございましたけれども、イギリスに超党派の教育調査団で伺わせていただいたときに、イギリスのように、学校がしっかりとした理事会、日本でいうと私立のような運営で、校長を中心にしながら、地域の方やさまざまな保護者の皆さん方も入った、学校が主体となった、権限と責任を持った運営がされているということ、私は、非常にそのことがこれからの日本の教育行政に必要なんじゃないかということを当時から考えさせられているところなんですけれども、我々は、学校理事会という形に発展させて、もっと学校の現場でいろいろなことができるようにしていこう、そして、地域に学校を開くことによって、また地域の民意というものも反映させていこうというような方向性を出しているんですが、その点についての大臣のお考えというものをお聞かせをいただければと思います。

下村国務大臣 まず、日本国教育基本法が民主党の中でまとまったとき、私は率直に言って驚きました、よくまとめられたなと。我々から見ても評価する基本法であったと思います。日教組が多いと言われる中でまとめ上げたというのは、それだけ、西岡先生初め笠委員等、リーダーシップがあったのだろうなというふうに思います。

 そして、イギリスにも一緒に行って、イギリスの教育制度については、見方によって賛否両論はありますが、私は、学ぶべきところがたくさんあるということの中で、今御指摘の学校理事会制度も大いに学ぶべきことだというふうに本当に感じました。

 コミュニティースクールを導入して、残念ながらまだ二千校にやっと届くかどうかでありまして、私も早くこれはもっと拡大、拡充をしていく必要があるというふうに思っておりますし、そもそもこれは自民党政権のときから導入したものであって、導入する前に、当時、慶応大学の金子郁容先生と、それから副大臣をされていた鈴木寛さんが、慶応の助教授ですね、一緒にまとめられたということで、私は、法案を通す前から金子郁容先生のところに行って、このコミュニティースクールについては非常に関心を持って、ぜひ我が国でこれを導入したいということで、私も、当時、自民党の中で先頭に立って動いてまいりました。

 ただ、残念ながら、学校現場をいろいろ歩いてみると、それだけの能力を持って対応できる学校がなかなかまだ地域も含めて育っていないというのも率直なところでございます。私の選挙区、地元でも、ぜひ一つはコミュニティースクールをするようにということを地元の教育長に再三再四要請をしているんですが、なかなか教育委員会がその気にならない。あるいは、地域力がそこまで伴って、教育委員会からすれば安心してコミュニティースクールを任せられる、いっときは大丈夫なんですが、それが継続して、しっかりした校長がいて、しっかりとした地域で支えるところに対して、行政としては安心してコミュニティースクールを依頼する学校が今の段階でないということであります。

 ですから、教育に対する民主主義的な関心を地域の中で学校はどう支えるかということも相当醸成していかないと、形だけのコミュニティースクールをつくっても、確かに形骸化すると思います。その辺が我が国のまだまだ課題としてあるのではないかと、残念ながら、現実問題としてそう考えているところもあります。

笠委員 やはり、そういった地域の意識、あるいは、うまくいっているところと、なかなか第一歩も踏み出せないところがあるのは私も存じ上げているところでございますけれども、ただ、大きな方向性というものを、私は今回の地教行法の改正の議論のときにまた改めて大臣とも議論させていただきたいと思います。

 そして、きょうはちょっと時間がもうなくなりましたので、一点だけ。

 同時に大事なことは、確かに、教育の分権を進めていく、学校の責任と権限、そして市町村の役割、都道府県の役割。同時に、やはり国が義務教育に対しては特に最終的な責任を負うている部分をどのようにこれからしていくのかということも議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 実は教科書の検定制度、私は常々思っているのは、この採択の問題も含めてですけれども、国がきちんと検定をした教科書であれば、どの教科書を採択したとしてもいいはずなんですよ、本来だったら。しかしながら、これが時に政治的な対立を生むような形でそれがまた報じられるということで、私はこの教科書の方がというのはそれは個人としてはありますけれども、しかし、この教科書の検定制度、そういったことをまた子供たちが見たときにどういう思いをするんだろう。例えば、この教科書はだめだみたいなキャンペーンが張られて、実際にはその教科書を使わないといけない子供たちの立場に立ったときに。

 ですからやはり、そもそもこの検定制度というものも、このことも議論をしていかなきゃいけない、国が責任を持って検定を通した教科書は、どの学校がどの教科書を使っても大丈夫だというようにしていかなければならないというのが私の基本的な問題意識でございます。

 その点について大臣の所見を伺えればと思います。

下村国務大臣 それは全く同感です。検定教科書にもかかわらず、地域によって、この教科書がけしからぬとかどうだとかいうことが出ること自体がやはり問題だと思いますので、昨年十一月に教科書改革実行プランを公表いたしました。そして、ことしの一月十七日に教科書検定基準を改正するということにしたところでございます。

 教科書は、教育基本法の趣旨にのっとったバランスのよい記述となっているということが重要でありまして、そういう観点から、まずはきちっとした枠の中で、どの教科書を採択しても、それはそれぞれの自治体が判断をしたことでありますけれども、後で批判されるようなことがないような、そういうバランスのとれた教科書にしていくということが必要だと思います。

笠委員 ちょっと大臣がどういう思いなのかわかりませんけれども、今のこういう特定の教科書がおかしいということを私は言っているんじゃなくて、その議論をしているんじゃなくて、やはりそういった問題が起こる今の教科書の検定の仕組みあるいは採択のあり方、だから、むしろどういう採択をしたとしてもそういった問題が起こらないような検定の仕組み自体も、ぜひ議論を今後させていただきたいというふうに思います。

 それでは、きょうは終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

小渕委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 民主党の菊田真紀子でございます。

 きょうは短い時間でありますけれども、ぜひ前向きな御答弁をいただければというふうに思います。

 まず、これは通告はいたしておりませんが、今、ソチ・オリンピックで日本国じゅうが選手たちの活躍を見守って、そしてまた、たくさんの感動を与えていただいているわけであります。私もきょう浅田真央選手のスケートを見まして、前日、十六位に終わってしまったということでありましたけれども、フリーでは非常に頑張って六位に入ったということで、相当なプレッシャーと戦ったんだろうなというふうに思って見ておりました。メダルはとれませんでしたけれども、彼女の健闘に本当に心から感動をいただきましたし、また、拍手を送りたいというふうに思っておりました。

 ところが、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の森元首相が、二十日に福岡市で講演をされて、この浅田真央選手のことを、ショートプログラムで見事にひっくり返った、あの子、大事なときには必ず転ぶというふうに評したと、こういうニュースを見ました。今、ネット上でも大変批判が出ておりますけれども、さらにフィギュアの団体については、負けるとわかっていた、浅田選手を出して恥をかかせることはなかった、こういうふうに述べられたということであります。

 森会長はスポーツ界に非常に大きな影響を持つ方でありますし、ましてこの発言をした日というのは、ショートプログラムが終わって、まだフリーの前ですね。ぜひ頑張ってほしい、こういうエールを送るのであればいいんですけれども、そうじゃなくて、大事なときには必ず転ぶとか、負けるとわかっていたというような、非常にネガティブな発言をこういう立場の方がされるというのは非常によろしくない、不謹慎だと私は思っておりますけれども、大臣に御意見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 その発言だけ聞けば、恐らく、聞いた人は全員そうだなというふうに多分思われるんじゃないかなというふうに思います。

 私も、記者会見の言葉尻だけとって、自民党の中でけしからぬとよく言われることがあるんですね。しかし、よく記者会見の全部を読んでもらったら、言葉尻だけの話じゃないよということを自民党議員にはよく言う機会があるんです。

 同じように、森組織会長の発言も、その前後の中でどう言ったかということをよく把握しないとこれはいいとか悪いとかいう話ではないと思いますので、このことについては、私はその会話を全部把握しておりませんので、コメントできません。

 ただ、一つだけ思っているのは、ソチに私が行ったとき、フィギュア団体予選で浅田真央選手が出たときに、私の隣に森組織委員会会長もおられたんですね。一緒に見ていて、そのときに、団体戦に出て転んでしまったというのを見ていました。そのとき、残念だな、かわいそうだなと。

 ただ、直前が、ロシアの十五歳の、本当に天才少女のような演技が終わった後の、まだ歓声がやまない中での浅田真央選手の競技でしたから、相当ハンディキャップがあってかわいそうだというのを森会長とそのとき話していた経緯がありますから、これは批判というよりは、浅田真央選手に対する同情論的な部分で話したんだろうなというふうには私は思っていますが、ちょっとその発言については、前後関係の流れの中だと思いますので、安易にコメントすべきことではないというふうに思います。

菊田委員 これはインターネットだけじゃなくて、浅田選手の地元の愛知県からも、こういう発言がされたのは大変残念だというような批判が相次いでおりますし、やはりこういう立場にある方でありますので、発言は、どういう捉え方をされても、これがネガティブだったりマイナスに捉えられないようにぜひお気をつけをいただきたいな、こういうふうに思っております。

 それでは、通告しております質問に移らせていただきます。

 まず冒頭、この二月十四日から十六日の大雪の影響、被害についてお伺いしたいというふうに思っておりましたけれども、先ほど、木内委員あるいは中野委員からも同様の質問がございまして明確な御答弁がありましたので、ここで繰り返すことは避けたいというふうに思います。

 いずれにしても、今回の大雪は、私、地元は新潟なんですけれども、実は、日本海側の新潟は例年に比べて少雪なんですね。決して雪は多くないんです。むしろ、降らないとされていたところに大量の雪が降っているということで、今後、極めて不測の事態がいつ起こるかわからない、こういう状況でありますから、ぜひ文部科学省としても、常日ごろの備えを、今回のいろいろな教訓があると思いますので、それを生かして、今後万全の態勢をとっていただきたい、こういうふうに要望させていただきます。

 教科書検定制度について伺いますけれども、教科書検定制度というのは、特に歴史認識との関係におきまして、近隣諸国の反応あるいは家永教科書裁判など、内外からさまざまな問題提起を受けまして、デリケートなバランスの上に発展してきた、こういう長い経緯があると承知をいたしております。私は、こうした問題意識に立って質問をさせていただきます。

 平成十七年四月五日付文部科学大臣談話の二におきまして、「歴史教科書の検定は、国が特定の歴史認識や歴史事実等を確定するという立場に立って行うものではない。教科書検定はあくまでも、検定基準に則り、申請図書の具体の記述について、その時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして、欠陥を指摘することを基本として実施」する旨述べられていますが、この方針は変更されたのかどうか、大臣にお伺いいたします。

下村国務大臣 当然、変更しておりません。

菊田委員 ありがとうございました。

 下村大臣は、昨年十一月二十二日の挨拶の中で、歴史には光と影の部分がある、影の部分のみならず、光の部分も含めてバランスよく教えることが重要と述べておられますけれども、検定制度の運用上、何が光で何が影か、これは誰がどういうふうに判断されるんでしょうか。

下村国務大臣 一般論で言っても、やはり歴史というのは光と影の部分があるということについては、あることだと思います。これをバランスよく教えるということが、子供たちが我が国の歴史について誇りと自信を持つということにつながるという意味で重要なことであるというふうに思います。

 このような観点から、ことしの一月十七日に教科書検定基準を改正し、教科書が教育基本法の趣旨にのっとったバランスのよい記述となるよう、新たな内容を盛り込んだところであります。

 教科書検定においては、この新たな教科書検定基準に基づいて、申請図書の具体の記述について、教科用図書検定調査審議会が、その時点における客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして学術的、専門的審議を行い、記述に欠陥がないか審査するということになります。

菊田委員 下村大臣が発表した教科書改革実行プランを受けまして、教科用図書検定調査審議会が発表しました「教科書検定の改善について」によりますと、「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解や最高裁判所の判例がある場合には、それらに基づいた記述がされていることを定める。」とされています。

 歴代内閣が継承してきた村山内閣総理大臣談話は、ここで言う「政府の統一的な見解」に該当するのでしょうか。いわゆる従軍慰安婦問題に関する河野官房長官談話はどうでしょうか。

下村国務大臣 改正後の検定基準における「政府の統一的な見解」は、現時点で、有効な閣議決定等により示されたものを指します。村山内閣総理大臣談話、河野官房長官談話自体は、これは閣議決定されたものではありません。検定基準における「政府の統一的な見解」には当たりません。

 ただし、それらに示されている基本的な立場については、安倍内閣においても継承している旨、質問主意書の答弁により閣議決定されております。

 新たな検定基準は、この政府の統一的な見解そのものを必ず取り上げることを求めているというものではなくて、政府の統一的な見解に基づいた記述がされているということを求めるものでありまして、当然、政府の見解と異なる見解があるということを併記するということまで否定するということではありません。

菊田委員 平成十七年当時の文部科学大臣は、中山成彬、今の日本維新の会の代議士でありますけれども、平成十七年四月五日付の文部科学大臣談話の三におきまして、「我が国政府は、平成七年の内閣総理大臣談話において、我が国の植民地支配と侵略によって多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明しているが、こうした認識は、文部科学大臣としてもいささかも異なるものではない。」と述べられていますが、下村大臣も同様の認識でしょうか。

下村国務大臣 さきの大戦に係る歴史認識については、私も安倍内閣の一員として、我が国は、かつて多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えたものと認識しております。

菊田委員 安倍総理は二月五日の参議院予算委員会におきまして、中学、高等学校の学習指導要領解説書に尖閣諸島と竹島について我が国固有の領土と明記したことについて、極めて重要だ、海外で子供たちが論争したときにしっかりと日本の考え方を述べることができると答弁されました。それはそのとおりでありまして、子供たちが自分の考えをしっかりと述べることができる、日本の立場を主張し論争ができるということは、私も大切だというふうに思います。

 しかし、子供たちが海外で発信できるようにすべき重要政策として、戦後の日本の平和主義に基づく活動、日本の国際貢献、とりわけ政府開発援助というものがあるのではないかと思います。

 これはまず政府参考人に、小学校、中学校、高等学校の教科書におきまして、この国際貢献、ODAというものがどのように記述をされているのか、説明を求めます。

 その上で、日本の子供たちが世界で議論できるようになるために、繰り返しになりますけれども、戦後日本の国際貢献についても、これもしっかり教科書に記述すべきであるというふうに思いますが、大臣の所見を伺います。

前川政府参考人 小学校社会の第六学年の教科書における政府開発援助、ODAに関する記述状況につきましては、五点の中で、その五点全てにおいて記述が行われております。例えば、青年海外協力隊が日本の政府開発援助、ODAの海外援助活動の一つで、開発途上の国や地域で活躍していると記述されているようなものもございます。

 また、中学校の社会、公民的分野の教科書におけます政府開発援助、ODAに関する記述状況につきましては、これも七点ございますうちの七点全てで記述がされております。例えば、日本のODAは総額で世界のトップクラスにあり、援助で生活がよくなった国々も多いが、援助が無駄になることもあり、今後の課題となっていると記述されているようなものがございます。

 高等学校の公民科の教科書における政府開発援助、ODAに関する記述状況につきましては、現代社会につきましては十二点中十二点全てで記述がされておりまして、例えば、日本は国際社会でさまざまな取り組みを行い、ODA、政府開発援助は一九八九年には総額で世界第一位になった、その後も多額の援助を行っていると記述されているものがございます。

 政治経済につきましては、これも八点中八点全てで記述がされておりまして、例えば、日本もまた、国民の安全と繁栄のために国益を追求すると同時に、世界の平和と繁栄に貢献することも期待されており、その方法としてODA、政府開発援助などがあると記述されているものがございます。

下村国務大臣 国際社会における日本の政治的、経済的立場と役割は重く、海外からも非常に期待されているというふうに思います。

 こうしたことを踏まえた上で、我が国が世界の国々に経済や科学技術などさまざまな分野でどのような役割を果たすことができるのか、世界の平和と繁栄、人類の福祉に貢献するとはどういうことなのか、こういったことについて子供たちにしっかりと教えていくことは重要なことであるというふうに考えております。

 小中高等学校の教科書においても、今局長から話があったように、児童生徒の発達段階に応じて、ODAを初めとする国際貢献の取り組みについては、全ての教科書で記述されております。

 こうした教科書を用いた国際貢献に関する学習を通じて、国際社会における我が国の政治的、経済的、社会的な責務と役割について、日本人一人一人の課題として子供たちに考えさせるような教育を進めてまいりたいと思います。

菊田委員 東日本大震災の後に、本当に世界各国から日本への支援、義援金、さまざまな救援物資が届きました。必ずしも豊かではない国、途上国、本当に貧しい国々からもたくさんの支援をいただいたわけでありますけれども、改めて、日本に対する感謝、あるいは、日本をお手本として国づくりをやりたいという尊敬のまなざし、こういったものがここに一つ象徴的にあらわれたのではないかなというふうに私は思っております。

 先ほどいろいろ御説明いただきましたが、このODAの援助額、金額だけでない。アフリカの方に行きますと、小さな村に、女の子でサダコという名前がついている子供さんがいらっしゃる。聞いてみたら、緒方貞子さんの名前をそのままつけているというくらいに、海外青年協力隊を初め、本当に困難な生活を送っている方々の目線で日本人が貢献をしているということもぜひ学校教育現場で教えていただいて、それがまた誇りにもなるというふうに思っております。

 そしてもう一つ、日本は、戦後六十八年間、一度も他国を侵略したり戦争をしなかった、平和主義に基づいて国づくりをやってきたということが、私たちが日本の国内で思っている以上に大変高く評価されているということもぜひ学校現場でも教えていただきたい、こういうふうに思います。

 それでは、残り時間がわずかになりましたので、東日本大震災からの復旧復興に関しまして御質問をさせていただきます。

 もう間もなく三年がたちます。被災した岩手、宮城、福島三県の人々は、もう言うまでもなく、今もなお大変困難な生活を送っておられるわけです。

 我が民主党は、二月の八日、九日に定期大会を福島県の郡山市で開催をいたしまして、党大会に先立って、原発事故の影響で外遊びがほとんどできない子供たちのためにつくられた屋内子供遊戯施設を視察いたしました。また、郡山市役所も訪ねまして、民家の除染作業がどの程度進んでいるのか、どういう課題があるのかについてもヒアリングをしてきたところであります。

 改めて、福島の再生なくして日本の再生なしという思いを強くしたわけでありますけれども、他方、これだけオリンピックで盛り上がっておりますと、何か福島の方々、被災者の方々は、原発事故の処理とか除染の問題とか私たちの生活が忘れられてしまうんじゃないかというような思いも持っておられるんだなということも感じました。

 そこで下村大臣にお聞きしますけれども、これまでどれくらい被災地に足を運んでいただき、また、直接どのような声を現場からお聞きになられたか、御紹介をいただきたいと思います。

下村国務大臣 大臣就任後、すぐ福島を訪問いたしました。これまで六回被災地を訪問し、現地の教育を見てまいりました。

 その際、授業や給食での懇談を通じまして、子供たちが将来について大きな志、思いを語る姿や、地元への誇り、愛着を持って授業に取り組む姿を目の当たりにいたしました。福島の中学生とも話しまして、福島に光をというよりは、福島から光る、そういう志、意欲を持っている中学生に会いました。

 困難な中にあってもたくましく育っている子供たちと触れ合うことによって、改めて、子供たちは国の宝であるということも感じました。

 間もなく東日本大震災から三周年を迎えますが、被災の被害に遭ったか否かにかかわらず、全ての子供たちに対してチャンスと可能性が提供できるような、特に被災地の子供たちに対しては、それを十二分に国がフォローするようなことに対して一層努力をしていきたいと思います。

菊田委員 ありがとうございました。これからが非常に大事だというふうに思いますので、被災地のことを忘れずに、また、大臣が行かれればそれがまた励みになりますので、引き続き御支援をいただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

小渕委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 ありがとうございます。日本維新の会の重徳和彦でございます。

 きょうは皆様方に御理解いただきまして、いつもは厚生労働委員会に所属しておりますが、お時間を頂戴いたしましたことを心より感謝を申し上げます。

 まず初めに、先般の雪害によりまして大変な甚大な被害を受けられた方、とりわけお亡くなりになられた方々には、心から御冥福を申し上げます。また、被害に遭われた皆様方には心よりお見舞いを申し上げたいと思います。

 とりわけ、学校教育施設における被害も発生いたしておりますし、今の時期は若い子供たちの入学試験の時期にも当たります。人生の一番最初の重要な時期であると思いますので、文部科学大臣初め文部科学省の皆様方からの格段の御配慮をお願い申し上げまして、質問に入らせていただきます。

 下村大臣には、予算委員会などでも、いつも教育に関する高い識見をお聞かせいただいておりますし、教育のみならず、スポーツ、文化に至るまで、大変高い志をお持ちでありますことを尊敬申し上げております。

 その大臣のこのたびの所信におきまして、「私学の振興に努める」という箇所がございます。私学で学ぶ子供たちが最高の教育を受けまして、日本の将来を担う人材に育ちますように応援する、これが教育行政の重要な使命だと思います。

 とりわけ、今回の大臣所信の中では、「運営上重大な問題のある学校法人に適切に対応できるよう、今国会において、所要の法律改正を行うための準備を進めます。」ということで、これまで国の私学に対するかかわりというのは限定的だったと思いますが、今後は、その法律ができた暁には、法令違反や運営が著しく適正を欠くときに所轄庁が必要な措置をとるべきことを命ずることができるとか、場合によっては、報告を求めたり立入検査等もできるといったことになると聞いております。

 国がどこまで私学の運営に関与すべきか、これはいろいろな議論があると思いますけれども、一方で、適切な関与をしていかなければうまく回らない、そういう状況にある学校も中には現にあるということをきょうは指摘をさせていただきたいと思います。

 まず、全般的な総論といたしまして一つお伺いいたしたいのですが、私学におきましては、教育の提供というものはもちろんですけれども、経営とか財務といったそういう面もまた重要である。これはいわば両輪でありまして、一体として経営、財務ということと教育の質の確保、これは両方がそろっていなければ成り立たないと思います。

 その意味で、これはひとえに、私学の経営者が、財源、財務という経営面を確保しつつ教育の質を確保する、この両立をしなきゃいけないと思いますが、この両立をしっかりと確保するために何が必要か、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 学校法人は、その設置する私立学校において、独自の建学の精神に基づく個性豊かな教育研究活動が安定的、継続的に実施されるよう、経営基盤の安定が不可欠であります。

 他方、近年、十八歳人口の減少に伴い、主たる収入が学生生徒等の納付金に依存する私学にとって、単年度赤字となる大学等が増加傾向になるなど、従来に比べて厳しい経営状況となっているというところもございます。

 学校法人の経営基盤が全体として悪化傾向にある中で、学校法人の経営改善に向けた取り組みがより一層重要になっていると考えております。

重徳委員 経営ということ、財務面のお話もありますが、もう一方で、やはり教育の質の確保、これも重要なところだと思います。経営者としては、財務、経営ということと、そして質の高い教育を提供する、この教育の面におきましてはどのようなことが求められているか、これについてもお答えいただきたいと思います。

下村国務大臣 各学校法人は、それぞれの建学の精神に基づき、みずからの特色を発揮した、個性豊かな教育研究活動が展開されるよう、経営資源の有効活用に取り組むことが求められるというふうに思います。

 それを執行する立場の理事には、教育研究活動への理解や、学校法人を取り巻く環境の中で適切な経営判断、また教育判断を行うことが求められると思います。

重徳委員 それではきょうは、各論としまして学校法人の合併のあり方について取り上げたいと思います。

 合併というのは、言うまでもなく、異なる学校法人が一つになるということですから、当然ながら、教育現場ではいろいろなことが起こってまいります。

 今大臣からは、経営資源、経営資源の中にはいろいろなものがあると思います。財務面から、むしろ、現場を預かる教員がしっかりと働ける環境の確保などなどあると思うんです。

 まず確認なんですけれども、学校法人の合併の認可は文部科学省が当然行うわけですが、その要件として、ちょっと調べましたところ、提出書類としましては、例えば財務面では、経費の見積もりとか資金計画、貸借対照表、財産目録、不動産資産の状況などいろいろと規定されておりますけれども、財務面だけではなくて、合併によりまして教育効果としてきちんと適正によりよい教育の質が提供されることになるのかどうか、そういった改善効果というものは考慮されるんでしょうか。この点についてお伺いしたいと思います。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 学校法人の合併については、私立学校法上、所轄庁の認可を受けなければならず、同法施行規則によりまして、理事会等において法定の手続を経ていることを証する書類、合併契約書、財産目録等の財務状況を示す書類などを添付いたしまして、所轄庁に認可を申請するということとされております。

 それらの申請書類に基づきまして、合併後の財政見通し等を見つつ、理事会等において法定の手続を経ていれば合併認可を行っているというところでございます。

重徳委員 お聞きしますと、そうすると、財務の面ではかなり気にされるんですけれども、教育の内容、教育の質についてはさほど考慮されないということなんでしょうか。

常盤政府参考人 合併をする場合において、設置する学校が同一であるのか、それとも、合併に際して新たに学校を設置するということがあるのかというようなことによりまして状況は異なってくると思いますが、新たに学校を設置する場合におきましては、その場合には、別途、教育組織についての手続が、この学校法人の審査とは別に、大学の設置認可という形で別に定められております。

 この学校法人の方の手続におきましては、設置する学校が同一であれば、経営面に関する審査を行うということでございます。

重徳委員 ちょっと具体論に入っていきたいと思うんですが、きょう、皆さんのお手元に資料をお配りいたしております。

 私の地元の岡崎市には学校法人の岡崎学園というのがあります。これは歴史的には非常に古い歴史がありまして、一九〇六年に岡崎裁縫女学校に始まります学校で、今は学園としては大学と高校があります。私の高校時代には岡崎女子高校なんて言われていまして、おかめなんというふうに言われていたんですけれども、バレーボールの名門校でもありまして、非常に地域から愛される学校であります。

 この学園の経営が悪化してまいりましたこともありまして、平成二十三年から、専門学校を主に運営する別の学校法人、四国の方の学校法人の役員が岡崎学園の理事長に就任をされまして、これは、主に財務基盤、経営基盤の強化のためということだったはずであります。

 ところが、いろいろと、年度途中でちょっと理由がよくわからないような人事異動とか教職員に対する処分が相次いだり、定期昇給の停止とか一時金削減などについて団体交渉等を通じた教職員への説明が十分でない、こういう状況がここ二、三年の間に発生してまいりました。これで新しい経営陣に対する不信感が高まってきているというふうに伺っております。

 そしてさらに、昨年、このよそから来た法人が岡崎学園を吸収合併する、そういう方針が出されたんです。これにつきましても、現場の教職員に対する説明が十分ではないということで、これまた強い不信感が募っているというのが現状でございます。

 それで、資料の一枚目、二枚目に添付をしておりますが、先ほど申しました、非常に歴史のある、地域に根差した学校でありますから、本当に多くのその関係する卒業生や父母の方や教職員の方々が非常に強い思いを持ちまして合併反対の署名を集めましたところ、この新聞記事にありますように、十二万五千九百四十一人の署名が集まった、今もどんどんふえている、こういう状況でございます。また、今月のたしか十五日だと思いますが、下村大臣のもとにもこういった内容の署名や陳情書も届いていると伺っております。

 こういった状態に対する御認識はいかがでしょうか。特に、反対運動が起きている理由、これをどのように受けとめて分析をされていらっしゃいますでしょうか。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 学校法人岡崎学園と河原学園の合併につきましては、学校法人から提出をされました申請書類に基づきまして、合併後の財政見通し等を見つつ、法定の手続にのっとり合併認可を行ったところでございます。

 教職員を初め、同窓生や父母等から合併反対の署名がなされているということは承知をいたしております。

 今回の合併につきましては、岡崎学園自身が経営の継続が困難な状況であると認識をいたしまして、経営基盤の強化を図るということを目的として行うというものでございます。学校法人運営が円滑に行われ、合併の目的が果たせるよう、学校法人には、各関係者の理解を得るための説明に努めていただきたいというふうに考えております。

重徳委員 通常であれば、財務基盤、経営基盤の強化のためであり、経営陣によるリーダーシップ、これは大いに発揮していただきたいと思うんですよ。ですが、リーダーシップというのと、現場の方々から十分な理解をいただかないままに物事を進めようとするというのは、場合によっては大きく違うと私は考えております。

 ですから、経営や存続が困難になっている状況については、これまた多くの皆さんは理解をされているところだと思います。ですが、それにもかかわらず、このような多くの方々が不安になり、また、合併に反対する署名が十二万人以上集まっているんですよ。こういう状況についてどのように受けとめておられるか。

 説明に努めていただきたいというのは、これは言葉としては簡単なことなんですけれども、こういう状況、これは単に手続がどうという問題ではなくて、やはり、これまでの経営のあり方、経営者としての現場の職員、教員に対する接し方などなど、リーダーシップのあり方そのものが問われていると私は思っておりますが、ひとつ大臣御自身の受けとめをお伺いしたいんですけれども、いかがでしょうか。部長はもう結構です、今わかりましたので。部長さんは今伺いましたから。

下村国務大臣 重徳委員、私は、こういうことについて大臣が発言すべきことについては抑止すべきことだと思うんですね。

 大臣に対してそういう陳情が来ているというのは承知しておりますが、これは行政機関文部科学省の大臣宛てということですから、文部科学省が対処すべきことです。そのことについて大臣が、大臣宛てに来ているといっても、詳細に全部把握している中で答えられるわけではありませんから、これはやはり行政機関のそれぞれの立場立場で、行政としての立場から答えるということであって、最終的な判断は私がしますが、一つ一つのことについて、これは大臣としての矜持として、私が答えるべき項目ではないと思いますので、担当者に答えさせていただきたいと思います。

重徳委員 わかりました。では最後に、最終的な御判断について大臣にお伺いしたいと思うんです。

 今回、先ほど部長が言われましたように、文科省は既に合併の認可を出されていますが、この認可手続について経過を幾つかお尋ねしたいと思うんです。

 これまで過去において、専門学校を運営しているいわゆる専門学校法人が大学法人を吸収合併するという形の合併に認可をされたことはありますか。

常盤政府参考人 お答えいたします。

 確認をいたしました限りでは、いわゆる専門学校法人が大学法人を吸収合併するということを認可した事例はございません。

 なお、今回の河原学園と岡崎学園のように、高校法人が大学法人を吸収合併したという例は、過去に一件ございます。

重徳委員 今回のこの法人は、高校法人というか、これは通信制の高校を一つ持っていますので、そういう意味では高校法人という類型になるかもしれませんが、実質的には専門学校がほとんどですから、大学の経営を運営した経験はない、そういう法人でございます。

 そういう意味で、先ほど、財務を中心とした、財務基盤などについてを中心とした合併の審査をされているということですけれども、やはりこれはお金の話だけじゃなくて、一体これは大学を運営する力のあるきちんとした経営母体なのかどうか、こういったことも確認するべきではないかと私は考えております。

 しかも、今回は書面上の審査で、あとは世の中が静かならいいんですけれども、書面上だけでは捉え切れないいろいろな事情が地元の方にあるわけでありまして、そして、そういう声が文部科学省の方にも届いているわけですから、こういったことについてもきちんと考慮に入れていただきたいと思います。

 また、次に指摘したいのは、この法人は、不当労働行為の救済申し立て事件につきまして、昨年の十一月二十五日に愛知県の労働委員会からの命令が出されております。これが新聞記事になっておりますのが資料の三なんです。

 内容は何点かあるんですけれども、かいつまんで言えば、ある教員に対する自宅待機処分とか譴責処分、配置転換、こういったものを不当労働行為と認定されているわけですね。そして、教科主任やクラス担任から外された教員は、直ちに、あるいは二十六年度からもとに戻しなさい、こういう命令が出ております。

 また、団体交渉の申し入れを行ってもこれに対してきちんとした対応をしていないということから、その団体交渉についても、実質的な交渉権限を有する者を出席させた上で、合意形成に向けて誠実に応じなければならない、また、これらの点について書面を交付しなくちゃいけない、こういうような命令が下されているわけです。

 しかしながら、この法人側はこれを履行していないんですね。その上で、中労委、中央労働委員会の方に再審査を申し立てしているわけです。

 でも、再審査を申し立てたからといって、県の労働委員会からの命令に従わなくていいという、効力が停止されるわけではないんです。これは、法律上、労働組合法上、再審査の申し立てがあった場合にもその効力は停止されない、これが明記されておりますからこれを直ちに履行しなくちゃいけないんですが、このような法律あるいは法律に基づく命令を遵守する姿勢が見られないような法人であっても、これは、財務面を中心とした要件がクリアされていれば認可されるんでしょうか。

常盤政府参考人 今回吸収合併をされます岡崎学園の職員組合が不当労働行為救済の申し立てを行いまして、当該学校法人に県の労働委員会から命令がなされたということは承知をしております。

 不当労働行為救済申し立て事案に対しましては、学校法人として適切に対応いただきたいと考えておりますが、県労働委員会命令の履行状況いかんによって合併認可の可否に影響を与えるものではないというふうに考えております。

重徳委員 本当に文部科学省も、別に関係ないからというそういう姿勢にしか受けとめられませんね。いろいろな事情があるんですよ。書類審査さえクリアすればもういいやというふうにしか受けとめることができません、今の御答弁は。

 ですから、この履行状況についてもきちんと確認をとりながら、この合併が円満にいくように、あるいはいかないのであれば、合併をそのまま進めるわけにはいかない、そういう御判断もしていただきたいと思います。

 もう少しこの手続面を、少し細かいことなんですが、申し上げたいと思います。

 私立学校法四十二条に基づきますと、合併については、「理事長において、あらかじめ、評議員会の意見を聞かなければならない。」というふうにあるんですが、これは間違いなく評議員会の意見を聞く手続を踏んだと確認しているかどうかが一つ。

 もう一つは、同じく私立学校法四十条の四で、学校法人と理事との利益相反の場合には、「理事は、代理権を有しない。」「特別代理人を選任しなければならない。」というふうにありますが、岡崎学園の理事会においてこの吸収合併について議決する際に、岡崎学園の理事のうち二名は、その合併先の、吸収される先の役員でありますので、ここは利益相反に当たるんじゃないか。当たるとすれば、議決の際、そのお二人は退出をされたのか、あるいは特別代理人を立てたのか、こういったことも確認をされているでしょうか。

小渕委員長 常盤私学部長、時間が来ておりますので、答弁を簡潔にお願いいたします。

常盤政府参考人 今回の合併認可審査において、合併に係る評議員会及び理事会の議事録を確認し、手続に瑕疵はなかったことを確認しております。

 理事会の議決について、利害関係者が退室せずに行われたという御指摘でございましたけれども、理事兼任者一名が双方の理事会で議決に加わったことを確認しておりますが、そもそも、今回の合併は双方の利害対立の行為ではなく、利害の一致する共同行為に当たると考えられることから、退室が求められるべき事案だとは考えておりません。

重徳委員 非常に机上の話でしかないわけなんですけれども、書類を見ていい悪い、これはやはり状況判断というのは常にあるべきだと思いますよ。全く書類上だけを見てオーケー、オーケーと言っているだけで、現場もみんな平穏無事にいっているならいいんです。だけれども、そういうことではないわけですから、ここはいろいろなさまざまな状況も、合併を認可する権限のある国として、責任を持った対応をとるべきだと私は考えます。

 そして、何よりも私が申し上げたいのは、別に何でもいいから合併を潰せと言っているわけでも何でもありません。それに、経営基盤の強化は必要なことなんです。こういうことは私はわかっていますし、多くの関係者だってわかっているんですよ。にもかかわらず、こういった合併に反対だという署名活動にこれだけ多くの方々が賛同されるという状況について、総合的に、教育現場そして子供たちへの影響、こういったことも勘案した上でこの合併についての認可をするしないを判断していただきたいですし、過去形だとすれば判断していただきたかったですし、場合によっては、これからでも合併が本当にいいかどうかを改めて判断していただきたい。

 さらに言うと、これからは、新しい法律改正も行って、国が学校法人、私立学校に対するさまざまな法的な指導力を発揮する、そういう局面に今あるわけですから、今もるる申し上げましたような、やはりいろいろな疑義があるんですよ、現場では。だから、そういうことについてもきちんと国においてもう一度確認の上、今回の合併が、するにしてもしないにしても、本当に円満にこの学校現場が、子供たちのために、また、子供たちの教育を担う教職員の方々が、きちんとした環境の中で、この歴史ある学校で日々を送ることができますように、これはやはり国としての指導力をもっと発揮すべきだと思うんですが、この総合的なことについて大臣の御所見をお願いします。

常盤政府参考人 今回の案件につきましては、合併後の財政見通し等を見つつ、法定の手続にのっとり、既に合併認可を行ったものでございます。

 なお、認可前にも、合併への反対の御意見、あるいは愛知県労働委員会から命令を受けた事実を把握しております。申請者に対しましては、関係者に説明を行うなどの取り組みを促してきたところでございます。

 引き続き、必要に応じまして関係者に対して説明を行うなど、円滑な学校法人運営が確保されるよう努めていただきたいと考えております。

重徳委員 時間になりますのでこれまでにしますけれども、努めていただきたいというか、そういうふうに努めていないのであれば、そこは努めていただきたいというふうに学校の方にもちゃんと言っていただきたいと思います。

 それから、単に経営者の一部の方からの情報だけではなくて、やはり多くの方々が地元ではもう既にかかわりを持っているわけですから、この問題を非常に注視しているわけです。こういったところからもいろいろな関係者の声を広く受けとめていただいて、今後、国として指導力を発揮していただきたいということを申し上げます。

 本当は大臣からももうちょっと、ちょっとまだ状況を十分御承知じゃないんだとすれば、ここでの御発言はしないということでもそれはやむを得ないかもしれませんが、引き続きよく部長さんから御報告をいただいて、この問題、強く関心を大臣にも持っていただきたいと思います。

 これだけ申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

小渕委員長 次に、椎木保君。

椎木委員 日本維新の会の椎木保でございます。

 同僚議員の重徳議員が時間を食い込んでおりますので、私は残った時間の中で質問させていただきますので。ほかの委員会でも常に私の持ち時間は食い込まれながら、維新の中では縁の下の力持ちとして頑張らせていただいていますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。(発言する者あり)ありがとうございます。

 冒頭、他の先生方からもお話がありましたが、本当に、先般、雪害の被害に遭われてお亡くなりになられた方々の御冥福と、甚大な被害に遭われた方々のお見舞いを心から申し上げたいと思います。

 また、加えまして、連日ソチ・オリンピックで活躍している選手の皆さん、本当に国民に勇気と感動を与えてくださっていると思います。特に昨日のフィギュアの浅田真央選手、本当に、金メダルこそとれませんでしたけれども、私は、これまでの演技の中で一番最高の演技だったのかなと。大臣が先ほど長野オリンピックに続いて八つのメダルの数をお話しされていましたけれども、オリンピックというのは参加することに意義があるというものを思い返されるような、本当にすばらしい演技だったと思います。あの感動、成果を、次の二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、下村大臣が文科大臣であって迎えていただきたいなと切に願っております。よろしくお願い申し上げます。

 それでは、大臣所信に対する質問に入らせていただきます。

 私は毎回、冒頭申し上げていますけれども、国会議員になる前に小中学校、高校で教員をしておりましたので、本日も、その経験を踏まえて、今年度予算案から読み取れる若者たちが抱える課題、特にキャリア教育と職業教育の充実について質問させていただきたいと思います。

 キャリア教育、職業教育の充実は、私は極めて重要な政策だという認識でおります。また、単に職業訓練や職場体験、就業支援という面にとどまらず、施策を通して、勤労観、いわゆる働くということ、そういったことを考えて、セーフティーネット、いわゆる社会保障や納税、これらについて学ぶ、そして家族とのきずな、社会を支え合っていく、こういう大切な部分を義務教育の段階から学ばせること、身につけさせることこそが、私はやはり施策ではないのかなというふうに認識しております。

 キャリア教育、職業教育は、一九九九年の中央教育審議会、初等中等教育と高等教育との接続の改善で本格的に取り上げられました。また、二〇〇三年、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、そして内閣府、それぞれが合同でまとめた若者の自立・挑戦のためのアクションプランから十年が経過しました。

 まず、この間の総括、成果、目標の達成度について御答弁をお願いいたします。

西川副大臣 御質問ありがとうございます。長く教職についておられたということで、本当に現場の子供たちのいろいろな生の姿を御経験していらっしゃるという先生からの御質問でございますので、身の引き締まる思いでお答えさせていただきたいと思います。

 一九九九年から中央教育審議会の方でこういう問題がきちんと討議され始めた、そもそもそういう背景とはでは何なのかという思いをちょっと持ちました。

 やはり高度経済成長後の、特にいろいろ経済がやや下向きになる、そういう中で、核家族化その他いろいろ進む中で、子供たちのいわば自己肯定感というのがかなり低くなってきている、特に、世界の中で日本の中学生、高校生あたりが自己肯定感が低い。それが、引きこもりとかいろいろな問題がある中で、社会人としての能力とか職業意識とか、前向きな思いというのがだんだん心配する部分が出てきたのではないか。多分そういう問題意識の中からキャリア教育ということがきちんと言われ出したのではないのかな、そう思っております。

 そういう中で、やはり実際に今教育をしている、学校で勉強していることと実社会に出ていくときの力の積み重ねが本当にうまく前向きに動いていくか、そういう危機感の中で、文科省としても、今回のキャリア教育、職業教育ということをしっかりとやってきたということでございます。

 特に、職業に必要な知識、あるいは、成長を持続させるために、人々が技能を確実に身につけて、職業や社会の中に育っていって力を存分に発揮できるかどうか、その辺が非常に重要だということで、このキャリア教育、職業教育の果たす役割は極めて大きいと思っております。

 その中で、やはり、各成長期の段階に応じて、幼児期から高等教育までそれぞれ段階に応じた、体系的にキャリア教育というのは実施されなければいけないということで、職場の体験活動やインターンシップの実施など、そういうさまざまなことを通して、社会人、職業人として自立した人材の育成に貢献してきたと考えております。

 そういう中で、文科省としても、みんながみんな大学に行くのではなくて、やはり、本当に日本のものづくりというものにきちんと貢献する、誇りを持った職業人を育てていこう、それが大事だという線を今年度も大臣以下みんな打ち出しておりますけれども、そういうものに関する各産業に必要な専門人材、これもぜひ育てていかなければいけないということで、このキャリア教育、職業教育はそういう人材輩出に多少なりとも効果が出てきているのではないかな、そういう思いを持っております。

 今後とも、我が国の経済、社会の発展を支える人材を輩出してきたことがキャリア教育、職業教育の大きな成果であるという思いの中で、さらにこれが現場の子供たちに即したいい制度となっていきますように、前向きに頑張ってまいりたいと思います。

椎木委員 西川副大臣の非常に長い御答弁なんですけれども、中身は非常にしっかりとした中身だというふうに、私もありがたく思っております。

 私が何をお聞きしたいかといいますと、キャリア教育とか職業教育という施策が開始された時点というのは、ニートとかフリーターが深刻化していた時代だと思うんですよね。いわば、技術を学ぶとか職業訓練、就業対策の色彩が強かったと思うんですけれども、今、時代の変化に伴って、職場労働、国民生活を取り巻く環境というのはやはり非常に変わってきていると思うんですよね。

 ちょっと一つ事例を申し上げますけれども、例えば、ブラック企業に代表される賃金未払いやパワハラ等の新たな職場での問題が近年生じていると思うんですけれども、昨年十二月に厚生労働省が公表したブラック企業に関する調査では、調査を行った五千百十一社のうち、八二%に当たる四千百八十九社で賃金未払い等の違法行為が行われたと。

 さらに、NHKが一九七三年から五年ごとに行っている日本人の意識というかなり大規模な世論調査がございまして、この調査によりますと、職場で労働条件の不満が起きたときあなたはどうしますか、そういう設問に対しまして、これはちょっと古いんですけれども、一九七三年調査の回答では、何らかの行動をすると答えた人が三二%、静観すると答えた人が三七%だったんですね。これは、直近の調査結果をということで調べましたら、二〇〇八年の調査結果がございまして、活動するが一八%、静観するが五〇%なんですね。ちょっとこの五〇%というのは、私もこの統計結果を見て驚いたところなんです。

 厚生労働省が十五歳から二十四歳の高校生や大学生を対象に行った労働法の理解の調査では、未払い賃金の請求権を授業で教わったという割合はわずかに一五%。

 だから、やはり時代の変化といいますか、そういう中で、今ちょうど、子供たちにしっかりとした、今の時代に合ったキャリア教育というのを教えていく転換期じゃないかなと私は思いまして、予算的にはこれは二十二億円ぐらいの予算であるんですけれども、中身は、これは本当にしっかりと精査しながら進めていかなきゃいけない事業だというふうに私は思っているところなんです。

 今私が申し上げたこの事実を踏まえますと、職場で何か問題が生じた場合でも解決するすべ、相談するすべ、こういったものを社会に巣立ってしまう前に教えていかなきゃいけないと思うんですけれども、これに対しては、大臣か副大臣の御認識を伺えればと思うんですけれども。

西川副大臣 確かに、いわば今半分以上の方がそういう目に遭っても黙っている。それは多分、非常に積極性がないというか、先ほどのモラトリアムとか引きこもりとも相通じるものがあると思うんですね。だからこそ、生きている実感というか、そういう教育がいわばキャリア教育ということなんではないかと思いますので、そういうことに関して、やはりそれぞれの学校の中でもそういう学習ニーズへのいろいろな対応という項目の中で、学校の方で積極的にそういうものにきちんと対応していくノウハウもやはり教えていかなければいけないでしょう。

 そういう中で、キャリア教育、職業教育に共通の課題として、やはり今のこういう産業構造の変化、非正規とかいろいろな問題、多様な働き方の中で、本人自身がたくましくなっていかなければなかなか対応できないわけですから、そういう意味の中でのキャリア教育、職業教育というのは非常に大事だと思っております。

 今先生がおっしゃったような問題に対応するための学校側の整備というんでしょうか、特に、教員一人一人の受けとめ方や実践の仕方に非常にばらつきがあるという課題がありますので、その辺のところもしっかりと整備して対応していきたいと思っております。

椎木委員 気がついてみたら本当にあと五分ということで、いつもながら私の時間は短いなと思っているところなんです。

 西川副大臣、これは例えば私の経験論なんですけれども、地域人材の活用とよく言われますけれども、団塊の世代の人たちに子供の安全とか防犯というものをお願いしているような状況であると思うんですけれども、例えば、私は、そういう団塊の世代の人の活用の中で、海外在住経験のある人たちに英語を教えさせるとか、あるいは、新聞記者経験者の方に国語を教えさせるとか、銀行や証券会社経験者の人たちに経済やお金の流れを教えさせるとか、金属産業企業経験者の人たちにその技術を教えさせるとか、こういう取り組みを各学校で、本当に単発的なものじゃなくて中長期的に取り入れていくような、やはりそれがこれから学校教育には必要なのかなと思うんですけれども、これについての先生の、御感想でも結構ですので、お願いいたします。

西川副大臣 その御質問は先生と思いを大変共有していると思うんですね。

 カリキュラムの中にそういうOBになられた方々を即というのはなかなかいろいろな問題がありますけれども、今、土曜授業をもっと実施していくための方策というか、それを今文科省は全面的に打ち出しております。

 特に、本当に、そういう海外経験の方、あるいはいろいろな会社の人たちが自分の物づくりを通した体験とか、そういうのをぜひこの土曜授業の活用というところで大いにやっていただきたいということで、今これが、土曜授業の実施が月一回ぐらい、非常に頑張っているところと、本当に年に数回しかやっていない学校というのはいっぱいありますので、これをぜひもっとどんどん積極的にやっていただく方向で、そういう方々の体験を通した生きた教育をぜひしていただきたいな、そんな思いでおります。

椎木委員 私も、小学校三年生を担任して、中学、高校では、免許は社会なんですけれども他の教科も随分教えてはきたんですけれども、特に小学校は、一年生のときに家族とか家庭教育を教えて、二年生になって地域のコミュニティーというものを教えて、三年生で町の、市のこと、四年生で県、五年生では日本のこと、六年生では世界のこと。そういう中で、やはりこれからの担い手としての意識を子供たちにどうやったら持たせていけるのかなということを私も教員の現場を離れて今つくづく思いますし、非常に不安に思っているところなんです。

 そういう取り組みをぜひ下村大臣と西川副大臣に切にお願いして、頑張っていただければなと常々本当に思っていますので、何かの参考にしていただきながら今後取り組んでいただければと思います。

 時間が来たようですので、最後、下村大臣から一言ぐらい御答弁がいただきたいなと思って、ちょっと。

 私、国会議員になりたかったのは、文部科学省の皆さんと日本の教育というものを一緒にやれたらいいなということで、本当によく公務員の職を捨てて立候補できたなと今になって思っているところなんです。

 そういう中で、自分の教育観というのは持っているつもりなんですけれども、下村大臣の教育観には本当に私は敬意を表しているというだけじゃなくて、純粋に本当にいろいろ勉強させてもらっています。これから教育委員会制度の見直し等々、先生、かなり御苦労もあると思うんですけれども、私は、個人的には大臣の教育観、教育理念というものをぜひ応援していきたいと思っていますので、私の質問にもぜひ御答弁をいただけるように私も頑張りますので、最後に何か一言ありましたらよろしくお願いします。

下村国務大臣 応援ありがとうございます。

 ただ、もう時間が終わってしまっていますので、お話ししたいことは一時間でも二時間でもあるんですけれども、今の応援をしっかり受けとめて、それに応えられるような教育改革に向けて取り組んでまいりたいと思いますので、国会の中で活発な議論をしていただきながら、よりよい我が国の教育改革へ向けた成果が国会で得られるように御協力をお願い申し上げたいと思います。

 ありがとうございます。

椎木委員 どうもありがとうございました。

 質問を終わります。

小渕委員長 次に、鈴木望君。

鈴木(望)委員 私も時間厳守で、十二時三分までということですので、ちょっとはしょってやらせていただきたいと思います。

 私は、新しい時代の流れと教育のあり方という大層大きな題を掲げて、その割には時間が少なくて中途半端なものになるかと思うんですけれども、日本、戦後七十年、何もないところから経済大国に大発展をしてきたわけで、それに伴いまして大きく社会も変わったと思います。この大きく変わった流れを教育の観点から見てみますと、ICTの大変革、大改革、情報伝達技術の大変革というものが一つあった。もう一つは、やはり国際化ということだろうというふうに思います。

 この二つに関連して、大臣も所信表明の中で述べられておりますけれども、英語教育のあり方、もう一つはICTの利活用、この二つについてお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 まず最初に、物事には必ずメリットとデメリットがあろうかと思います。当然のことながら、いいことでもこの両面を見据えながら、全体として総合的に対策を進めていくことが一つの肝じゃないのかなというふうに思うわけであります。

 まず、英語教育の推進についてでありますが、所信表明の中でも、小学校における英語教育の早期化が必要であるということをうたわれております。英語教育については、安倍内閣になってから教育再生実行会議の第三次提言、またそれを受けた文科省内での実施計画等々、さまざまな提案であるとか計画が出されております。それらを踏まえて、どこに英語教育の重点を置いて、どういう観点で推進をされようとしているのかをお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

下村国務大臣 御指摘のように、文部科学省では、昨年の十二月に、グローバル化に対応した英語教育改革実施計画を公表いたしました。

 これは、小学校の三年生から英語教育をスタートさせる、また、高校においてはグローバルハイスクール、大学においてはグローバルユニバーシティースクール等を設けながら、グローバル人材の育成を図っていくというものでございます。

 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを見据えまして、児童生徒の英語による聞く、話す、読む、書くの四つの技能をバランスよく向上させ、コミュニケーション能力を確実に養うことができるようにしていきたいと思います。

 例えば、今、大学のセンター試験では、読む、書く両方で二百点、聞くというのが五十点、話すというのは対象になっていないんですね。しかし、読む、書くでも、実際は記述式ではありませんから、事実上は読むで二百点、それから聞くで五十点というような、四つの分野でいえば全くアンバランスで、つまり話すということは問われないということですので、日本でこれだけ学校教育で英語の勉強をしているにもかかわらず、実社会においてしゃべれない。読むことはできるかもしれないけれどもしゃべれないというのが我が国の受験英語の欠陥でもあるというふうに思います。

 これを四分野においてバランスよく教えることによって、学校で習ったことが即社会でも実用できるような、そういう英語教育に変えていきたいと思います。

鈴木(望)委員 聞く、話すが非常に重要である、そのとおりだろうというふうに思います。四つの要素をバランスよくやる中でも、今までの反省を踏まえて、聞く、話すというところに重点を置いた教育をぜひ進めていただきたいと思います。

 一方で、英語教育を進める中でのデメリットというか懸念材料として、国語の、日本語の能力がおざなりになってくるんじゃないのかな。ましてや、英語教育を小学校三年生から進めるということになってきますと、国語を初め他の教科にしわ寄せが出てくるんじゃないのかなという感じも一つ持つわけであります。

 実は、大阪でも英語教育を力を入れてやっております。同じような問題認識から、英語教育に力を入れようということで、大阪ではモデル校の実施段階でありますけれども小学校一年生からやっているということで、やり方としては、フォニックスという、スペルと発音とをうまく結びつけてやるような、AだったらアップルとかBだったらベアとかと楽しくやっているということで、それはそれで非常にいいなと思うんですが、一方で、国語能力、日本語の能力が低下するんじゃないのかという懸念に対してはどうなのか。国語についての今後の教育方針についてお伺いをさせていただきます。

下村国務大臣 小学校三年生から英語をやるということは時期尚早だ、その前にしっかり国語を教えろという批判が結構あります。私は、両方やることが必要だと思っております。

 つまり、真の国際人といっても、英語というのも、残念ながら、これは国際共通語ですから、やはり我が国も学ばざるを得ないと思うんですね。しかし、それで真の国際人になれるわけではなくて、そのためには、真の日本人としてのアイデンティティー、歴史、伝統文化、その中でも国語力を、国際人になるためには今まで以上に国語もきちっと子供たちに学ばせる、そういう環境づくりをしていくことが必要であるというふうに思います。

 小中学校においては、既に国語科の授業時間数をふやしたり、それから古典に関する指導を重視する、これはゆとり教育から比べると、小学校のときで合計で八十四時間、それから中学校の中では三十五時間ふえておりますが、それでも十分だとは言えません。

 これから英語を導入するに正比例して、説明とか論説とか討論などの言語活動を、国語科を中心としてさらに充実させるようにしてまいりたいと思います。

鈴木(望)委員 ありがとうございます。

 それでは、ICTの利活用についても御質問させていただきます。

 これについても、大臣の所信表明の中で「ICT活用の促進」というふうに述べられておりまして、力を入れていくことがうたわれているわけですけれども、私も当然であろうかというふうに思います。

 これもまた大阪の事例を出して恐縮でありますけれども、大阪の事例では、二十七年度にタブレットPCを全児童に配付する予定で、今のところまだモデル的な実施でありますけれども、そういうことをやっていて、私もその授業、実際のところを参観をさせてもらったということで、これはやはり大きな流れだからやっていかざるを得ないというふうに思うわけでありますが、一方で、例えば授業中に、先生よりもむしろもう生徒の方がこういうタブレットを使う技術的な能力が高まって、先生の指示とか何かはもう通り越して、何かタブレットで遊んでいるようなこともあるんじゃないのかなというのが一つ。

 また、もっと一般論で言いますと、インターネットとかスマホの中毒症のような問題も言われております。また、我々が思いもつかなかったような、例えばメールを使っていじめを行うとか、そういったICTの影の部分みたいなものが一ついろいろ懸念をされておりまして、当然大阪の場合も検証をしながら進めていくということで、その後での話の中で、一番大きい問題なのかなと思ったのは、ICTを使うとかえって自分で考えて判断する力が衰えてしまうんじゃないのかな。もしそういうことであるとしたら、非常にゆゆしきことだろうというふうに思います。

 そういう意味では、こういった問題にどのように対処をしていくおつもりなのか、御見解をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 今、我が国では、大阪だけでなく、東京では荒川区、それから佐賀県は高校で、また、佐賀県にある武雄市は小中学生一人一人にタブレットを配るということを計画しているし、また、最近の報道では、アメリカのオバマ大統領が、全米において子供たちにタブレットを一人一台配付したいということでございます。

 それだけ教育においてICTを活用するということは、子供たちの学習への興味、関心を高め、わかりやすい授業や子どもたちの主体的な学びを実現する上で効果的であり、確かな学力の育成に資するという意味で、これは積極的に活用すべきだというふうに思います。

 一方で、今委員が御指摘のようないろいろな問題点もあるわけでございまして、その辺をどう同時に克服していくかということをこれから同時に考えていくことが必要であるというふうに思います。

 その辺のプラス面と、メリットの部分とデメリット部分をよく把握しながら、しかし、もう時代の変化の中で、そして、間違いなくオール的に、全て解決するということではありませんが、やはりICTは学習成果、効果が上がるという、その学習上の機能がプラスの部分も相当あるわけですから、それをどう使いこなすかということについては積極的に取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(望)委員 大きな、あらがうことのできない流れだと思いますので、ぜひこれをうまく活用して、特に、自分で考え判断する力が衰えてしまうというようなことになっては大変なことですので、そこら辺の点も踏まえ、ぜひ検討をよろしくお願いしたいと思います。

 あと、視力の低下というのも一つ指摘をされておりましたので、課題の一つにつけ加えていただければというふうに思います。

 あと、ICTを使うということは当然でありますけれども、それと同時に、しょせんはバーチャルの世界だろうというふうに思います。

 例えば家庭科を例にとって考えてみますと、確かに、ICTを活用して、いろいろな料理が、こういうものがこういうふうにつくられるというのを目の当たりにするというのはできるかもわかりませんが、しかしながら、実際に御飯を炊いてみたりとか、材料を選んで、どの程度だったら煮込んで味がしみるのかというのは、実際やってみないとわからない。

 一つの例でありますけれども、自分でやるというリアルの世界をぜひお忘れなく教育の中に十分に、ICTを活用するんだったら、一方でリアルの教育の方も充実していくということで、よろしくお願いをしたい。

 時間がありませんので、次の質問に移らせていただきます。

 大臣の所信表明では、英語教育とかICTの利活用以外にも、世界トップレベルの大学の実現であるとか、大学の入試改革等々、さまざまな新しい施策に挑戦をされていて、教育再生という意気込みが非常に私どもにも伝わってまいります。

 私どもも応援をしていかなきゃいけないと思いますけれども、私どもの立場としては、教育行政を正すという側面も当然あるわけでありますので、そういった側面から、私ども、不易と流行という言葉でいいますと、今言ったようなICTの利活用であるとか英語教育、英語教育が流行というふうに言っていいのかどうかちょっと私も考えるところがありますけれども、でも、流行の部分だろうというふうに思うんです。

 教育には不易の部分があって、果敢にその時代に合わせて教育を変えていくということは当然必要、やらなきゃいけないんですが、もう一方で、教育の不易の部分は常に常に踏まえながら、新しいものに挑戦するということをやろうとすればするほど不易の部分は何だろうかということを考えていっていただかなければという気持ちもございます。

 そういう意味で、年度の出発の所信表明ということでございますので、不易の部分についての下村大臣の御所見をお伺いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

下村国務大臣 教育基本法が目指している、知徳体の調和がとれ、生涯にわたって自己実現を目指す自立した個人、また、公共の精神をたっとび、国家社会の形成に主体的に参画する国民、我が国の伝統と文化を基盤として、国際社会を生きる日本人。この教育基本法は、実際はかなり、文科省がつくったというよりは、これは国会議論の中で各党が、先ほども民主党が日本国教育基本法をつくられたということで、自民党の中でも相当これは議論をした中でつくった、そのエッセンスが新教育基本法でもあるというふうに思っておりまして、役人がつくったというよりは、まさに国会議員が、立法がつくったという中での、この不易という部分ではその三点が必要だというふうに私は思います。

 この理念のもとで、みずから課題を解決し、未来を切り開く子供たちの育成に取り組むことが必要であるというふうに考えておりまして、そのために全力を尽くして頑張っていきたいと思います。

鈴木(望)委員 ありがとうございました。

小渕委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

小渕委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 本日は、大臣所信に関しまして、海外留学生受け入れ、またワークショップ等のデジタル教育、そしてオリンピック等々、多岐にわたるところを質問させていただきたいというふうに思います。

 まず最初、海外留学生受け入れに関してでございます。

 日本から海外留学するのと違って、海外から留学生を日本に受け入れる、これはまた、いろいろと海外の事情にも目を向けた繊細な戦略が必要かと思います。政府は、三十万人の留学生受け入れ、これを目標にしているというふうに伺いました。しかし、数だけふやせばいいというわけではないというふうに思います。

 例えば、東北地方の某短大で就労だけをほぼ目的にした大学があって、大学自体がなくなってしまったというようなところもございます。やはり、数だけではなくて、質そのものも担保した海外留学生受け入れというところを一つの目標にしてやっていかなければというふうに思います。

 そこで、政府は、しかるべき人材の交流を生み出すということで、重点分野を四つ挙げて、工学、医療、社会科学、農学、これを定めて、重点地区、南米とかインド、そういった地区をちゃんと決めて、きめ細かい留学生受け入れ、勧誘をしていくという方針を立てているということでございます。

 この重点分野については、将来的な都市インフラ整備、医療機器を含めた医療施設のパッケージ輸出、食料安定供給というような、中長期的な、将来的な狙いをもとにして定めているというふうに聞いております。

 この方針は総論で賛成ではございますが、それ以外の分野、先ほどの重点分野以外の分野、例えば、政治、文化、科学技術全般、そういったところの、分野を問わない包括的な、各国で将来を担うような極めて有望な人材、いわゆるスーパーエリートというのをとにかく集めるという発想があってもよいのではないかというふうに考えますが、大臣の御所見を伺えればと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、少子化が進行し、社会や経済のグローバル化が進展する我が国において、優秀な外国人留学生を獲得し、我が国の成長に生かすことは極めて重要であるというふうに思います。日本で教育や研究を終えて帰国した留学生も我が国にとって貴重な財産であり、日本留学の魅力や日本文化の発信、国際的な人的ネットワークの構築に寄与する存在でもあるというふうに思います。

 このため、我が国への留学が世界の学生にとって魅力あるものとし、優秀な外国人留学生を獲得するため、文部科学省では、平成二十六年度予算案におきまして、日本への留学を促進する留学コーディネーターの設置等による日本留学に関する情報発信の強化、外国人留学生が安心して勉強に専念できる環境を整えるための奨学金等の経済的支援の充実、大学の徹底した国際化に向けた体制整備、我が国で就職を希望する外国人留学生に対する日本の企業等に就職するための支援の充実等、措置を講じております。

 諸外国との友好親善関係の増進や我が国のさらなる発展を図るため、引き続き優秀な外国人留学生の確保に取り組んでまいりたいと思いますが、まずは、優秀な外国人留学生が日本に来たい、アメリカとかイギリスではなくて、ぜひ日本に来たいと思ってもらえるような魅力ある大学もサポートしていく必要があると思います。

 そのために、ことしは、スーパーグローバル30ということで、新規に、この事業を獲得する予算もしました。また、大学の世界展開力強化事業についても支援をし、ぜひ日本の大学、大学院が、魅力ある、海外の留学生もとれるようなそういう大学改革もあわせてしていく必要が求められていると思いますし、また、それを国としてもサポートしていきたいと思います。

柏倉委員 大臣、ありがとうございます。

 今お話をしていただきましたコーディネーターの設置、これに係る問題かもしれませんが、私も留学をさせていただいておりました。メリーランドのボルティモアというところにありますジョンズ・ホプキンス大学というところで留学していたんです。

 これは私、日本から海外へ留学する観点なんですが、やはりその大学のネームバリューといいますか、この大学に行けばちゃんとした仕事ができる、ちゃんとした業績が積める、自分のキャリアアップ、ステップとしてもこの大学であれば間違いないだろうというその判断なんですが、一番目には、これはやはり、どうしても大学の知名度というものが大きく影響してくるというふうに思います。

 そこで、日本の大学のネームバリュー、これを客観的に推しはかることはなかなか難しいんですけれども、例えば、タイムズ社が毎年、国際大学ランキングというものを出しております。それを見ますと、当然、欧米の名立たる大学が上位をほとんど占めているわけでございますが、我が国の大学がなかなかトップテンにも入ってこない。東京大学が二十三位、京都大学が五十二位というような形でございます。

 これが全てではないんですけれども、知名度、これを高めるためには、このランキングをやはり上げていかなければいけないというのも現実的なやり方だと思います。留学生支援センターですとか留学生会館というのをきっちり整備をして、それを宣伝する、納得してもらって来るということも非常に大事だと思うんですが、この国際的な尺度でもって日本の大学が評価されるこのランク、これをどのように高めていくのか。

 この具体的な戦略、日本の大学のプレゼンス、ネームバリューを上げる戦略をお聞かせいただければと思います。

下村国務大臣 世界から優秀な外国人留学生を獲得するためには、先ほど申し上げましたが、我が国の大学の徹底した国際化を推進し、国際競争力を高めていくことが重要であるというふうに思います。

 そのため、政府としても、昨年六月に閣議決定された日本再興戦略におきまして、今後十年間で、世界大学ランキングトップ百に我が国の大学が十校以上入ることを目指すとの目標を掲げました。

 これについては、他者の、外国のそんな標準に合わせることないじゃないかと批判もあったんですが、やはり世界の標準、基準というものがありますから、日本独自でつくったとしても国際社会の中でそれが通用しなければ、残念ながらやはりそれが一つの目安ですので、それに合わせた目標を立てるということが必要だというふうに思います。

 文部科学省では、これまで、大学の国際化のためのネットワーク形成推進事業などを通じまして、英語による授業のみで学位取得可能なコースの拡充、つまり、日本語がマスターできないと日本の大学で授業を受けられないというような仕組みから、英語だけによる授業ということで、外国人にとってはより留学しやすい環境づくりをつくるということでございます。

 このように、大学における留学生受け入れのためのほかの環境整備を含め、支援、促進をしていく必要があると思います。

 さらに、平成二十六年度からは、これまでの事業の成果や課題を踏まえつつ、世界大学ランキングトップ百を目指す力のある大学や、先導的試行に挑戦し、我が国社会のグローバル化を牽引する大学をスーパーグローバル大学として三十校程度選定し、徹底した国際化への取り組みを重点支援をするということにしております。

 今後とも、日本の大学が世界の中で一層プレゼンスを高め、外国人留学生にとって魅力ある留学先となるよう、大学の国際化を加速するための施策の充実に努めてまいりたいと思います。

柏倉委員 ありがとうございます。

 国際標準に必ずしも合わせる必要はないじゃないかというような意見があるのは確かに承知をしております。ただ、一方で、世界に伍していくためには、共通の言語というものでやはり教育の場もある程度統一していくというところは現実的には必要だと思います。そこのところの後押しをしっかりとやっていただきたいと思います。

 この分野、最後なんですが、最初の質問でも大臣おっしゃっておりましたけれども、産学連携をしっかり図っていくということでした。優秀な留学生が、大学だけではなくて、その職を日本国内で求められるというような環境をつくっていくということ、これは極めて大事なことだと思います。

 アメリカのシリコンバレーというところも、これはもうITのメッカですけれども、やはり、中心の大学にスタンフォード大学というのがあって、そこにいろいろな優秀な留学生が来る。そして、その地場のベンチャーから大きくなった企業、まだまだ小さいベンチャーの企業、そういうところにもどんどん就職していく。線路というわけじゃありませんけれども、こういうやはりきっちりとした最終的な就職先というものまでしっかりこれは担保されているという安心感、これはもうどんな人間でも、やはりチャレンジしてみようという心をくすぐられると思うんです。

 この産学連携を、特に、いわゆるスーパーエリートの人たちを呼ぶための産学連携の具体的なこれからの国の施策、戦略について伺っていきたいと思います。

吉田政府参考人 優秀な外国人留学生を確保するために、我が国への留学が世界じゅうの学生にとって魅力的なものにする必要があるのも御指摘のとおりでございます。

 その際、魅力といったときに、大学改革を進めて教育、研究面の水準の向上を図るということも大事でございますが、今委員御指摘のように、日本企業への就職といったものが期待できるんだということも、これも大きなインセンティブになるものと考えております。このためには、大学と産業界との双方の理解とその連携といったものを深める必要があるというふうに考えております。

 文部科学省では、独立行政法人日本学生支援機構を通じまして、大学、企業の双方が一堂に会し、留学生の就職情報も含め意見交換を行います全国就職指導ガイダンスを開催したり、あるいは、外国人留学生が日本で就職活動するために必要な情報を活動の時期に応じて五カ国語でわかりやすく解説をした、いわゆる就活ガイドと呼ばれる情報を提供したりというような活動を行っているところでございます。

 また、留学生の国内への就職に関しましては、他省庁におきましても幾つかの取り組みがございます。

 例えば厚生労働省におきましては、企業側の意識改革や受け入れ体制整備の促進に加えまして、外国人雇用サービスセンター、いわゆる外国人版ハローワークを中心として行います就職支援の整備を行っておられます。

 また、中小企業庁におきましても、外国人留学生向け企業訪問ツアーや合同就職説明会を実施したり、あるいは、中小企業向け外国人留学生の採用、雇用に関するガイダンスや若手外国人従業員との交流会等の実施をされているということもございます。

 文部科学省では、これら関係省庁の施策と密接に連携をしながら、政府全体として、優秀な外国人留学生の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

柏倉委員 外国人向けのハローワーク、確かにもうあるようでございます。

 私の質問の趣旨としては、高度に優秀な人材が日本に定着できるような魅力ある産学連携、やはりこれをとってほしいということでございます。

 例えば、ここの大学に留学するとトヨタ自動車に勤められるとか任天堂に勤められるとか、そういうことを担保するのは国の施策じゃないのかもしれませんが、そういう雰囲気、空気をしっかりとつくっていく、あそこに行けばトヨタの社員になれる、こういったような明るい展望が開けているという雰囲気づくりもやはり国はどんどん企業に提案をして、つくっていっていただきたいと思います。

 それでは次の質問に移らせていただきたいと思います。

 今度は東京オリンピックに関する問題なんですけれども、趣旨としては東京オリンピックの情報政策ということで、下村大臣、東京オリンピックを担当されているということで質問させていただくのですが、基本的には、総務省の方にお答えいただければというふうに思っております。

 東京オリンピック、二〇二〇年ということで、今から胸躍る思いをしているのは私だけではないと思います。二〇二〇年、私ここにいるかどうかわかりませんけれども、ゆっくりテレビでは最低限楽しみたいな、ネットではゆっくりとオリンピック競技を楽しみたいというふうには考えております。やはり、臨場感を持って楽しんで、日本の花をしっかりめでたいという思いはございます。

 ただ、臨場感を楽しみたくてもなかなか楽しめないという方もいるのは事実でございまして、それがやはり障害者の方だと思うんです。

 視聴覚障害の方々は、見えない、音が聞こえないというハンディを負っていらっしゃる。しかし、日本はそういった情報弱者の方に対してもしっかりとしたサービスを提供して、テレビでそういった方が臨場感を持って見られる。競技場に行かれる方は少ないでしょう。ですから、まず、テレビでそういう障害者の方々が今よりもさらに楽しめるサービスをやはり提供するというのは、私は国の責務だというふうに思っております。

 例えば、聴覚障害をお持ちの方に字幕で楽しまれているんですかということを伺うと、いや、字幕というのは自分たちにとっては第二言語であって、第一言語は手話なんだと言う方がかなり多いんです。ということは、字幕を流せばそれでよいということではないんだと思うんです。手話サービス、これを同時翻訳でやれる、やはりそれが一番ベストだと思うんです。

 ただ、解説から手話まで、かなり日本の技術が進歩しているとはいえ、これは現実的には可能なのかどうか、そして、その可能性を追求して二〇二〇年までに総務省さんは頑張ってもらえるのかどうか、そこのところをちょっと伺ってよろしいでしょうか。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 字幕放送を初め、先生から御指摘の手話放送、あるいは解説放送も含めまして、障害者向けの放送の充実は非常に重要な課題であるというふうに考えております。

 昨年九月に閣議決定されました新しい障害者基本計画のもとでも、これらの放送の普及を図るという旨が明記をされているところでございまして、私どもの放送法の中にも、放送事業者による努力義務というものを規定をさせていただいております。

 それに基づきまして私どもでは、ガイドライン、これらの障害者向け放送普及行政の指針というものを定めさせていただいておりまして、平成二十九年度まで、二〇一七年、要するにオリンピックよりも手前でございますけれども、字幕放送につきましては一〇〇%、手話放送につきましては、これは新しい目標でございますので、できる限り増加をさせる、それから解説放送につきましても、NHKの教育は一五%、その他で一〇%というそれぞれ普及目標を定めさせていただいておりまして、放送事業者が制作する際の二分の一まで制作費を助成する等の仕組みによって、取り組みを今加速しているところでございます。

 それで普及の状況でございますけれども、字幕につきましては、順調に、NHKは八三・五、民法で九三・三、いずれも計画を上回って進んでございます。それから解説放送につきましても、NHK教育で一二・四、民放キー局が四・三、これも目標達成に向けて伸びているところでございます。

 先生御指摘のように、障害者や高齢者の人が使いやすいシステムあるいは機器の開発につきましても、民間企業に対して助成を実施しているところでございまして、特にNHKにおきましては、自動翻訳によって手話のCGを作成いたしまして、それを通信で流してテレビ画面の上で合成するという新しい、これはハイブリッドキャストというふうに申し上げておりますけれども、この研究開発を実施しておりまして、来年度には天気予報でまず導入可能なレベルというものを今は目指して鋭意研究を進めているところでございます。

 東京オリンピック・パラリンピックという中で視聴覚障害の皆さんがスポーツ番組を含みますいろいろな番組をお楽しみいただけますよう、引き続き、サービスの充実あるいはシステムの開発等を支援してまいりたいというふうに考えております。

柏倉委員 その天気予報の手話CG、私も見ました。日本のアニメをふんだんに使って、わかりやすいなと思いました。それを同時放送で同時翻訳的に手話を見せられるようになれば、これはやはり障害者の皆様方も、臨場感をもって楽しめるということになります。ますますこの喜びが日本全体としても倍加していくわけでございますので、二〇一七年の目標、できるだけということを立てているということですが、可能な限り、二〇二〇年に一〇〇%に近づけていただけるようお願いいたします。

 それでは次の質問に移らせていただきます。次は、教育におけるワークショップの役割について伺いたいと思います。

 近年、都市部中心にワークショップというのが盛んに開かれております。自分でプログラミングをしたり、ロボットをつくったり、映像をつくったりと、いわゆるデジタル技術をふんだんに使った能動的な学習といいますか、そういったものが行われているわけでございます。

 私も、自分でやってみて意外と楽しいなというふうに思いまして、ただ、ワークショップに連れていく年の子供がいないものですから、一人でずっとやっているわけにもいかず、ほとんど見ていたんですが、それでも楽しいということで、この能動的なアクションから、想像力、表現力、こういった潜在能力をどんどん幼少時から開拓するという意味でのこのワークショップ、どんどん国は取り入れていただきたいと思うんです。

 政府の知財計画でも、二〇二〇年の目標で、創作ワークショップ年間三十五万人参加というのを決めているというふうに聞いております。実際にこのワークショップが今はどれだけこの年間目標に近づいているのか、あと、全国的に普及しているのかも含めまして、この教育におけるワークショップの重要性に関して御所見をいただければと思います。

下村国務大臣 今御指摘のように、今後の教育において、我が国の未来を担う子供たちに豊かな創造性や表現力、問題解決能力等を育むことは重要であるというふうに考えます。

 御指摘のように、児童生徒の創造性や表現力を育成する上で、学校教育においては、教師が一方的に授業をするのではなく、グループ単位で、頭と手を動かしながら何かをつくり出したり課題を解決したりするワークショップ型の教育は、極めて効果的であるというふうに考えます。

 このような認識のもと、文部科学省では、平成二十六年度予算案において、民間の外部講師を活用し、学校において、演劇、ダンス等の表現手法やソーシャルスキルトレーニングなどを用いた、計画的、継続的なワークショップを実践するための所要の経費を計上しているところでございます。

 今御指摘ありましたが、残念ながら今までは、これらの取り組み、特に、民間の外部講師を学校において活用するということでは平成二十五年度においては二百校程度であったということでございますので、これについては、もっと積極的に文部科学省が奨励しながら、各学校で外部講師等導入をお願いしながらやっていくような環境づくりをつくっていくことが必要であるというふうに思います。

柏倉委員 ありがとうございます。

 民間活動のワークショップというものを、やはりこれは、アイデアはあっても、正直、財政的に厳しい状況で全国展開できない、どうしても都市部に限られてしまうという現状もございます。あと、どんな企業でもそうですけれども、立ち上げがやはり非常に厳しい。その時点での国からの補助金があればしのげるけれども、ない場合、なかなか新たに立ち上げることは難しいという現場の声もございます。

 そこのところをぜひ酌み取っていただいて、今後のワークショップ、全国展開にお力添えいただければというふうに思います。

 次の質問をさせていただきたいと思います。次は、ユネスコの世界記憶遺産についてでございます。

 私、去年の予算委員会の分科会でも取り上げさせていただいたんですが、鹿児島知覧の特攻隊基地の特攻隊員の遺書がユネスコの世界記憶遺産に今月申請されたということでございます。私一個人として、日本人としてはぜひこれは登録されてほしいと思うわけでございますけれども、一方で、撃沈された方のバンカーヒルの犠牲者家族がこれをどう思うのかというような視点を持った批判、指摘をする方もおります。

 歴史認識、教育とリンクする問題で、かなり難しい問題だと思いますが、まず大臣に伺いたいのは、特攻隊のユネスコの世界記憶遺産、この申請に関してどのように思われるか、率直に御感想を伺いたいと思います。

下村国務大臣 鹿児島県南九州市が特攻隊員の遺書等をユネスコ記憶遺産へ申請したことについては、市から連絡を受けております。

 中身の問題ではなく、現時点では、地方公共団体等により申請される個々の件については、公正公平の立場から基本的には今コメントする段階ではないというふうに思いますが、ただ、私個人的には、小泉元総理からこの知覧についてはぜひ見に行くべきだということをよく聞かされておりましたが、いまだに行っておりませんので、一度ぜひ行ってみたいところだというふうには思っております。

柏倉委員 大臣のお立場ですから、なかなか難しい答弁だとは思います。ただ、そのお気持ちがかいま見られるようなお言葉をいただけたと思いますので、私としては、ぜひ登録されたらなというふうに思います。

 ただ、その一方で、今度、韓国が従軍慰安婦に関する資料をやはりこのユネスコ記憶遺産に申請をするというような動きがあるというふうに聞いております。そもそもこの記憶遺産というのは、歴史的真正性というものがちゃんと担保されているということが前提条件になっていますので、この真正性に議論があるような現状においてこれを看過していていいのかと。

 これは実はこの記憶遺産だけの問題じゃありません。慰安婦像の問題もございます。アメリカのカリフォルニアで、グレンデールという市の市役所の門前に慰安婦像が建てられている。なおかつ、全米展開するんだというふうにロビイストたちは息巻いている。こういう状況の中で、在米の我々日本人同胞は違法であるということで訴えているというような状況でございます。

 ただ、そういった在外同胞の愛国心に甘えて日本は何もしない、こういうような状況では私は絶対にいけないと思います。同じ土俵に立つ必要は全くないと思いますし、大人の外交というものが必要であることは十分承知しております。しかし、何もやらない、外圧に屈するというようなこれはイメージもついてしまいます。

 これに関して、やはりしっかりとした、断固たる何らかの戦略を持った対抗措置というのは国は考えるべきだと思うんですが、外務省からきょう来ていただいております、どのように今後こういった宣伝、戦略に対抗していくのか、これについて見識があれば伺いたいと思います。

齋木政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘の、韓国による慰安婦に関連する資料のユネスコ記憶遺産登録を目指す動きにつきましては、私どもも承知しております。

 現在までに正式にユネスコに申請がなされたとは承知しておりませんけれども、我が国としましては、本件について韓国に懸念を申し入れてきているところでございます。

 この慰安婦の問題についての基本的な政府の立場は、この問題を政治問題化、外交問題化すべきではないというところでございまして、この基本的立場を踏まえて、日本の考え方、日本がこれまで行ってきたことを、関係国、関係国際機関にしっかりと引き続き広報してまいりたいと考えております。

柏倉委員 もう時間がないので終わりにしますけれども、もう政治問題、外交問題になっております。断固たる措置を検討して、一日も早い、即効性のある措置を発効していただきたいと思います。

 終わります。

小渕委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 結いの党、信州長野の井出庸生です。よろしくお願いをいたします。

 私からも、まず、大雪の被害、被災された方にお見舞いを申し上げます。私も、午前中質問に立たれました木内先生と同じ地元でございまして、特に被害の大きかった軽井沢などは、雪解けも遅いものですから、これからよく被害の状況をさらに見届けていかなければいけないと思っております。

 今も、ようやく雪をかいて通学路を確保して、そこは見守りが続いていたりですとか、私の地元では、小海高校というところは、ようやくきょうになって小海線が復旧したというような話もありまして、この問題を引き続きしっかりと見てまいりたいと思いますので、皆様の御理解を賜りますようお願いをいたします。

 きょうは、大臣の所信にもありました、あと、これまで予算委員会でも議論になっております、教育委員会の制度改革について伺いたいと思います。

 この問題は六十年来の大改革だと言われておりますので、どれだけの議論を尽くしても、それだけ議論するべきテーマだと思っております。

 私は、この大きな改革、これはしっかりと目的を果たしていかなければ、議論をしていくうちにテーマがぼやけてきたりですとか、教育ですから本当にさまざまな分野がありまして、議論がそれていってしまったりするようなことはあってはならないと思っております。

 まず、この議論のきっかけを少し確認しておきたいのですが、私は、お子さんが命を落としてしまったような過去のいじめ、そういった重大な事案がきっかけだったと、具体的には、やはりあの大津のいじめの問題だったのかなと思っております。

 その件については、たしか大臣も、二月十三日の予算委員会、維新の会の今井議員の答弁で、いじめがきっかけであり、もとはといえば、自民党が野党のときからも取り組んできているというような御発言がありましたが、そのきっかけが、そういういじめといった大きな問題にどう対処していくかというところからスタートしたというところはよろしいでしょうか。

下村国務大臣 御指摘のように、これは、大津における中学生のいじめによる自殺の事件、それからもう一つは、大阪における高校生の、教師の体罰、暴力による結果的に自殺の問題、いずれも、この事件が起きる一年以上前から大津教育委員会それから大阪教育委員会にそういう情報が行っていたのにもかかわらず、教育委員会が対処をしてこなかったと。

 これは教育委員会だけの責任ではその自殺問題はないかもしれませんが、しかし、結果的にその教育委員会がやはり形式化、形骸化していて、それから、そもそも責任体制がどこにあるのかということも明確でないというような、そういうことから対処できなかったということで、当時、自民党が野党のときにすぐ党の文部科学委員会で問題にしまして、第二、第三の子供の命をなくすようなことがあってはならないということで、教育委員会に向けた検証と議論をする中で、既に野党のときから、教育委員会における権限の明確化についての提言を取りまとめてまいりました。

 それを受けて、政権奪還した後、教育再生実行会議におきまして、第二次提言で教育委員会抜本改革案を出していただき、そして、それを受けて中教審に諮問し、昨年の暮れに答申を受けて、そして今は与党協議をしていただいて、ぜひ今国会で、戦後六十八年の中で最も抜本的な大きな改革案の一つでもございますこの教育委員会制度について明確な責任体制を整えていく、そういう改革案について国会で議論していただきながら、ぜひ成立に向けて政府も努力をしていきたいと思います。

井出委員 大津もそうですし、今お話しありました大阪も、事前にそういった情報があったけれども対処がなされなかった。それでああいう本当に残念な事態を招いてしまったと。

 このいじめや体罰の問題は、昨年の国会、特にいじめにおいては議員立法で各党間の議論もあったのですが、やはり責任の所在ということも大事なんですが、特に、学校ですとか教育委員会、首長との連携、そういったものが大事だということはいろいろなところで議論をされてきたと思っています。

 私が今ちょっと心配をしているのは、首長に権限、責任を持っていった方がいいんじゃないか、そういう声もあれば、教育委員会の果たしてきた役割も大きいと。最近、報道を見ていれば、首長の下に新しい会議をつくって、総合教育施策会議、仮称だとは伺っておりますが、そういう新しいものをつくって議論をしていくのはいいんですけれども、そこの連携がとれなければ、何のためにこの制度の議論をしてきたのかなというところは非常に心配をしております。

 そういう意味で、今、この教育委員会制度の改革の議論で、教育行政の責任ですとか最終責任はどこが負うのか、そういう報道がずっと続いてきております。私はその責任とか最終責任というのが何なのかなということをずっと考えてきているんですが、いじめですとか、体罰もそうです、未然に防いでいく、もしそういう予兆といった情報があったときは、連携をして、そういう重大事にならないようにしていくことが大事だと思うんですが、そこはかなり現場に負うところが大きいと思うんです。

 その最終責任とか責任というのは、教育委員会や首長、どちらに重きを置いてもいいんですが、何かあったり大きなことがあったときに、その責任をしっかりと首長なり教育委員会がとります、だけれども、そういうことがないように、現場の裁量、学校の裁量、地域の裁量でふだん取り組んでいってくださいよ、そういう意味合いなのかなと思っておりまして、ちょっと最近の議論を見ていますと、首長の部局に、学校の再編はこっちの部局がやっていく、教科書の問題はこっちがやっていくというような、責任の解釈、議論が当初のいじめや体罰に端を発したこの議論から少しずれているのではないかと思うんですが、大臣の考える教育行政の責任、今、教育委員会なり首長に求められている責任というものについてどういうお考えがあるかを伺います。

下村国務大臣 御指摘のように、教育行政の責任をある一カ所に集中させる、例えば全て教育長が持つということではなくて、教育行政は、教育基本法第十六条に定められておりますが、国と地方公共団体との適切な役割分担と相互の協力のもと、公正かつ適正に行われる必要がある。もとより、日々の教育活動は、学校現場の創意工夫に基づくというのは基本だと思います。各地域においてまた特色ある取り組みが行われる、国が全部画一、均一ということではなくて、そういうことも重要であるというふうに思います。

 一方で、いじめによる自殺事案など教育現場で深刻な問題が起きた場合には、権限と責任の所在を明らかにし、地方教育行政及び国において的確に速やかな対応を行うことができる体制を構築する、そういう必要があると思いますし、そういう観点からの教育委員会制度改革は必要だと思います。

井出委員 今、国が画一的にと、そういうことではないという御発言を、私は、これは議事録ができたら蛍光ペンで線を引いてとっておきたいと思うぐらい、そういういい御答弁をいただいたなと思っております。

 当然今議論となってくるのが、教育委員会と首長でその責任の所在ということになれば、今までの議論でもさんざんありますが、教育の安定性、継続性、そして政治からの中立ということがあって、私、一つの例で今はちょっと心配しているのは、どこの市町村、都道府県を見ても、今、学校の統廃合、学校再編の問題があると思います。

 私が昔、宮城県にいたときに、公立の男子校、女子校を共学にして再編しようという議論があって、それを教育委員会がかなりの年数をかけた計画でやってきた。それが、二〇〇五年に宮城県知事選挙があって、当選された今の村井知事なんですが、その村井知事は、その再編計画に口を挟める立場ではないということはおわかりだったんですけれども、共学化反対の方にちょっと理解のある発言を選挙中したために、当選後、再びそれがクローズアップをされて、結局は教育委員会の方が計画どおりやっていくということで、村井知事もそのときはそれでおさまって現在に至っているんですが、私は、そのとき教育委員会をちょっと見ていて、教育委員会が珍しく中立性というか、継続性を発揮したなという思いをそのとき持ったんです。

 今、首長と教育委員会、どっちに権限を持たせるかという議論の中で、この学校再編という問題、私は余り政治とか選挙に絡むような問題にはすべきでないと思っているんですが、首長なり教育委員会なり、どちらの権限といいますか、学校再編に臨むべきかというところを御所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 私も、宮城県で高校の別学を共学にするということで、それぞれの立場の人たちから協力してくれないかという話を随分受けたことがありました。それというのも、私、出身が群馬県で、群馬というのは、今でもほとんど男子校と女子校、普通高校は結構分かれているんです。それの経緯があるんですが、これはしかし教育委員会で、新たな学校のそういう別学か共学かを判断、今後どうするかとかいうこと、それから統廃合もそうですが、決め切れないこともやはりあると思うんです。

 これは、ある意味では、宮城県もそうでしたが、県民挙げて、我が母校をどう守るかということも含めて県民的な議論になっておりましたし、そういう意味では、幅広く、特に高校の再編とか、それから、そもそもそういう建学のときからの大きな方向転換ということは、私は、教育委員会だけでなかなかこれはやり切れない部分もあるのではないかと、率直に言って思います。

 このことについては、地域住民も参加の上、その県におけるあるべき今後の高校のあり方とか再編のあり方というのは議論してもいいことであって、必ずしも教育委員会のみに限定をさせるということではないのではないかと思います。

井出委員 確かに、今後の地域の学校のあり方を決めるときにおいては、地域の声をしっかりと聞いていく、その上で首長ですとか地元の地方議員の皆さんとかの役割もかなり大きいかと思いますが、ただ、再編計画を一度決まったものをまた変えるとなると、一番影響を受けるのは、二年後、三年後に受験を予定している子供たちだと思います。

 それは、その当時、宮城県でもそういう議論があったのですが、この学校再編の問題は、大臣は教育委員会では決め切れないというお話もありましたし、非常に難しい問題で、ただしかし、これから少子化の中で必ずどこの教育委員会、どこの首長も背負っていかなきゃいけない課題だと思いますので、まだ政府・与党で案をもんでいらっしゃる、猶予が少しあるように聞いておりますので、慎重に議論していただければと思います。

 もう一つ、この教育委員会制度改革の議論で私はちょっと心配を、心配は杞憂であってほしいということでこれはきょう質問させていただくんですが、きょうお配りさせていただいている新聞記事でございます。二月十九日の朝日新聞の朝刊なんですが、自民党の教育委員会制度のあり方を議論する小委員会の中でその見直し案が了承されたタイミングで、「国、教委へ関与強化 自民案 教科書採択・いじめ」、見出しを見てびっくりはしたんですけれども、中身を読むと、ごく小さい部分の話なのかなと思ってはおります。

 ただ、記事では、生徒がいじめなどで自殺した場合に、文部科学相が再発防止のため教育委員会に指示を行ったりできるようにする。あと、その前に教科書の採択の話も少し出ているんです。

 私は、去年、いじめの議員立法の議論をしたときも、あのときも、まずそういうことがないようにするのは現場の対応だ、だからこそ学校に新しい組織をつくるんだという意見もありましたし、その組織をつくること自体が今の現場に圧力になるかというような議論もあったぐらい、私は、いじめを防いでいく、減らしていく本質はやはり現場にあると思っておりまして、国が何かを言うときは、もう本当に残念なことがあってから事後的なことになると思うんです。

 ですから、私からすると、是正をしやすくすることによって国が教育委員会への関与を強めるというものは、いや、そういう国の権限が強まるということではないときょうはっきりとまず否定をしていただきたいんですが、大臣に答弁をお願いいたします。

下村国務大臣 まず、現行における地方教育行政法において、これは地方分権一括法の中で改正したものでありますけれども、基本的に教育というのは地方分権の中に入っていることであって、国が全て事細かに指導はできない、非常に抑止的な中で地方教育行政法の中にも書かれていることでございます。そのことによって、子供がその命を落とすようなことについて即対応できないという問題が逆にあるのではないかということが今問題提起をされているぐらいです。

 朝日新聞のこの記事は、これは、新聞社によって全然違う角度から見出しを書いているところもあって、中身がまだ決まっていないのになぜこういう見出しになるのかというのは私も不思議でしようがないんですが、これは私が答弁するよりは、ここにいる丹羽部会長とか義家委員とか、この与野党の協議メンバーが今どんな議論をしているかということを私が逆に詳細に聞きたい立場でございますが、まだ詰めた議論はされていないと思うんです。

 ですから、今後、与党協議の中でこのようなことをどうしていくかということが決まっていくということで、今の段階で、この見出しにあるようなことがまだ決定したわけではないというふうに聞いております。

井出委員 今の御答弁と私の質問を与党の皆さんに聞いていただくということが非常に私にとっては意味のあることだと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 もう一つ、教科書の話もちょっと記事に書いてあるので伺いたいのですが、教科書の採択です。これは、特に政治的中立という、新聞なんかではよくそういうところの問題として取り上げられるんですが、先ほど笠先生がおっしゃったように、検定を通ったものであれば地域や学校がどの教科書を採択してもいいというのが、私も笠先生と同じ立場でありまして、例えば私の長野県ですと、かつて戦争中に、満州開拓に、日本の中でもトップクラスに長野県から満州に行った方が多い、そういう歴史がありまして、そういったものはずっと語り継いできておりますし、そういう地域の歴史、地域の事情というものなどを考えれば、その教科書というものにある程度多様性が私はあるべきだと思っているんです。

 この教科書の採択、これをまた今議論している首長か教育委員会という議論になってくると、私はちょっとこれを首長にというわけにはいかないかと思うんですが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 これは、今までの教育再生実行会議それから中教審でも、この教科書採択について、教育委員会から首長部局に移すべきだという議論は一度も行われておりません。それから、与党協議においてもこれからの議論で、今までもこれは議論もまだされていないことだというふうに思います。

 それとは別に、昨年の暮れから教科書改革実行プランというのを発表いたしましたが、これは、教科書検定とか基準、これについては新教育基本法にのっとった教科書記述にしてもらいたい、それから、政府統一見解があるものについては、これも必ず入れていただきたいけれども、しかし、反対意見を付記することもそれは妨げないということでございまして、首長がある教科書を決定するというような議論がされているということではありません。

井出委員 首長が教科書をという議論はないという今のそのお話を伺って、非常に安心をしておりました。

 それと、大臣、教科書についてバランスのとれたということを所信でもおっしゃっておりますし、これから、新しい教科書検定の基準で二十八年に向けていろいろ作業があるかと思うんですけれども、政府、政治側からバランスのとれた教科書が何であるかというようなメッセージは、私は幾らか自重した方がいいのではないのかなと思っておりまして、きょうのお話を聞いていて、両論併記ですとか、そういったお話を伺ったのである程度安心はしておるんですが、これから新しい基準で教科書検定をやっていく、そのときに、私は、言いたいことがあってもちょっと口をつぐんでいるぐらいが政府のスタンスだと思うんですが、そこの御所見をいま一度お伺いします。

下村国務大臣 きょう午前中、笠委員から質問があって、笠委員がお話しされていたことで、一緒にイギリスにサッチャー教育改革について視察に行ったということを笠委員がおっしゃっていましたが、そのとき私が行ってびっくりしたのが、我が国の歴史教科書はよく自虐史観だというふうに言われますが、これは敗戦国に特徴のあることだなというふうに思っていたんですけれども、イギリスに行きましたら、戦勝国であるイギリスもそれまでの歴史教科書はそういう認識を持っていて、つまり、サッチャー改革前までのイギリスの教科書というのは、検定教科書とか国定教科書がなくて、教師がそれぞれ自分が好きな教材を使うことができるということで、結果的に、なぜイギリスが今まで植民地政策によって発展、反映してきたかというテーマの歴史を教えている。

 我々が見せていただいた歴史のその教科書が、大英帝国が、植民地のどくろ、骸骨、その上に成り立っている、つまりこれは、イギリスの元文部科学大臣にもお会いしましたが、そういう自虐史観の中で子供たちにイギリス教育は歴史教育を教えていた。

 これはイギリス人の誇りも自信も失わせているものだということで、サッチャー改革の中で、それは否定しない、否定しないけれども、しかし、大英帝国としてのプラスとして、イギリス人が誇るべき歴史というのもやはりあったのではないか、これも一方で教えるべきではないか、それが光の部分ですね。

 つまり、影の部分もあるけれども、それはそれで否定しない、教える。しかし一方で、イギリス人が子供たちに、これこそ歴史の中で教えたいというものについてもやはりきちっと教えるべきではないか。これが光の部分だというふうに思いますが、我が国においても同様のことが言えるのではないか。

 やはりその辺は、バランスよく、反省すべきところは反省する、一方で誇るべきところは誇るという意味で、光と影の部分をバランスよく教える必要があるというふうに考えているわけです。

井出委員 教育はその最たるものだと思いますし、私、さきの予算委員会で少し報道の問題を取り上げたんですが、やはり今大臣がおっしゃったように、光と影の両方を学ぶ、伝えていく、そのことが日本人としての誇りと言えるのか。その誇りというところはちょっと私はわかりませんが、海外から見たときに、日本の人はよく勉強をやっているですとか、そういう評価につながるのではないかなと思っておりますので、ぜひ、今おっしゃったようなバランスということを考えていっていただければと思います。

 この教育委員会制度改革の議論、私もきょう質問させていただいて、これから、教科書の問題ですとか、教育委員会や首長が今やっている教育関係の事務の部分ですとか実際の決定の部分とかの議論になってくれば、いじめにかかわらないいろいろなものが入ってくるかと思うんですが、やはり今回の問題は、いじめ、体罰、その責任の所在が曖昧であった、防げる可能性のあったものを防げなかったというところの議論で始まっておりますので、その役割分担、ふだんからの連携、そういった原点を大切にして、これからの審議、また、いましばらくの政府・与党内の議論を見てまいりたいと思いますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは終わります。

小渕委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 まず初めに、先般の雪害、お亡くなりになられた方々に御冥福をお祈りするとともに、災害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。

 まず最初に、先般の大臣の所信についてお伺いいたします。

 大臣が所信において原子力損害賠償に言及された部分、昨年も実は言及されておられるんですけれども、昨年はこういうふうに言われております。被災者の立場に立ち、迅速、公平かつ適正な賠償が行われるよう万全を期す、こういうふうにおっしゃられておられました。ことしの所信を聞きますと、実は、被災者の立場に立ちという文言が原子力損害賠償の部分ではなくなっておりまして、これはいわゆる言い回しの問題だというふうには思うんですけれども、引き続き、被災者の立場に立つということでよろしいんでしょうか。まずこの点を確認させてください。

下村国務大臣 私の所信を綿密に読んで分析していただいて、ありがとうございます。

 第百八十五回と百八十六回の所信を比べて、今御質問いただきましたが、その前に、被災者の心に寄り添った被災地の復興に全力を尽くすということを言っております。今回は、オリンピック・パラリンピックの担当大臣になったということで量が八千字を超えて、通常ですと六千字とか七千字もいかないぐらいなんですが、かなり量がふえたため、ちょっと二重になっているような言葉を、ここだけではないんですが、整理したということであります。

 逆に前回は、被災者の心に寄り添い、被災地の復興に全力を尽くす、それから、原子力損害賠償については、和解の仲介の体制強化に取り組むとともに、被災地の立場に立ちと、同じような言葉が続けてあったということもあって整理したということで、被災者の心に寄り添うというスタンスは全く変わっておりません。

吉川(元)委員 きっとそうだろうという思いで、ただ、あえて聞かせていただきました。

 実は、昨年の臨時国会、この委員会の場でも、茨城県で起きた東電による風評被害の一方的な打ち切りの問題について質問をさせていただきましたし、その際に大臣からも、東電の対応が不誠実であった旨の答弁をいただいております。

 その際にも指摘させていただきましたけれども、原発事故の補償においては、やはり最も大切なのは、被害者、被災者に寄り添う、まさに今大臣がおっしゃられた姿勢だろうというふうにも思います。その意味であえて確認をさせていただきましたけれども、今後も、被害者の立場に立って、誠実に補償が行われるように取り組みを強めていただければというふうに思います。

 次に、これはちょっと午前中も少し議論が行われましたけれども、文部科学関係の来年度予算案についてお聞きいたします。

 文教関係予算案を見ますと、今年度に比べ〇・七%増という結果になったことは、これは大臣を初め文部科学省の皆さんの努力のたまものだというふうにも思っております。ただ、義務教育の教職員配置については、加配措置による新規増で七百三人に対し削減数が七百十三ということで、初めての純減、たった十人ということではありますけれども、初めての純減ということになりました。

 恐らく実際の学校運営には支障は来さないというような見方もあるかというふうには思いますが、純減という方向にかじが切られたのではというふうに、深刻に受けとめております。

 教員定数が純減に至った結果について、大臣、どのように受けとめておられるのか尋ねます。

下村国務大臣 まず、二十六年度の予算は、昨年に比べて〇・九の増でございます。

 それから、今御指摘の教職員定数の問題でありますが、平成二十六年度予算編成過程においては、財務省から大幅な教職員定数の削減を求められた結果、今後の少子化等を踏まえた定数の見直し、マイナス七百十三人を図る一方で、小学校の英語の教科化や特別支援教育の充実など個別の教育課題への対応に必要な定数改善増七百三人を計上したということで、結果的にマイナス十純減に初めてなったということでございます。

 自然減を除く全体の定数ということでありますが、その中でも優先度が高い課題に対応するため、定数の配置見直しを行い、実質的には教育の環境の改善を図ったというふうに考えております。

 厳しい財政状況のもとで、重要な教育課題への対応を図るため必要最小限の予算が確保できたものと受けとめておりますが、今後、教職員定数のより一層の充実に努めてまいりたいと思います。

吉川(元)委員 〇・九と〇・七というのは、これは文教関係の予算の増のことを言ったまでで、恐らく文部科学関係予算では〇・九ということだというふうに思います。

 それで、それに関連いたしまして、これも少し午前中議論されましたけれども、昨年八月に文科省が教師力・学校力向上七カ年戦略を決定いたしました。この内容をぜひ、この問題についてはきょうは内容そのものについての質問ではありませんが、七カ年計画で三万三千五百人の教職員定数を改善する、そのうち一万四千七百人を少人数教育の推進に充てる計画だったわけです。初年度である二〇一四年度は、三十六人以上学級の解消かチームティーチングの推進をということで、二千百人の定員増を予定していたというふうに思っております。

 ただ、結果からいいますといわゆるゼロ回答でありまして、教育再生、教育改革をうたう政権が編成する予算としては極めて不十分であり、率直に言って失望感すら与える内容ではなかったかというふうに思っております。

 そこでお聞きしますけれども、七年間で一万四千七百人ということを予定しておりましたが、いきなり初年度から、表現がいいかどうかわかりませんけれどもつまずいてしまったわけで、今後七カ年計画をどのように遂行、実現していくお考えなのか、大臣のお考えをお聞かせください。

下村国務大臣 御指摘のように、教師力・学校力向上七カ年戦略は、世界トップレベルの学力、規範意識を育むきめ細やかな指導体制を整備する観点から、今後七年間で計画的に三万三千五百人の定数改善を図ることを目指したものであり、平成二十六年度概算要求においては、その初年度分として三千八百人の定数改善の要求を行ったものでございます。

 平成二十六年度予算案においては、少人数教育の推進のための定数改善は残念ながら財務省の理解が得られず計上されませんでしたが、小学校英語の教科化への対応、いじめ、道徳教育への対応、特別支援教育の充実など、個別の教育課題への対応に必要な定数改善増を計上しております。

 文科省としては、今後も、教師力・学校力向上七カ年戦略の考え方を踏まえ中長期的な教職員定数の改善計画を進めていく必要があると考えておりまして、義務標準法の改正も含め、平成二十七年度の予算要求に向けて検討を行ってまいります。

吉川(元)委員 しっかりと対応していただきたいというふうに思いますし、きょうの午前中の財務副大臣のお話を聞いていても、非常に危惧を感じざるを得ません。

 昨年の十月二十八日に行われた財政制度審議会の財政制度分科会で、財務省が教育に関して提出した資料があります。それを見ますと、教育への公的支出がOECD加盟国で最下位であるというようなことをずっと当委員会でも議論されておりましたが、それに対して、総人口に占める子供の割合を勘案すれば平均水準だ、あるいは、在学者一人当たりの公財政教育支出も、ドイツは入っておりませんでしたけれども、先進国と遜色がない、教育関係予算の水準が低いということを必死で打ち消そうというような、そういう内容の資料が大量に提出をされております。

 さらに、義務教育の教職員定数については、少子化の進行によって、定数改善措置をしなくても事実上毎年二千二百人ふえたことになる、少人数学級については政策効果が不透明で、三十五人以下学級を進めるのであれば、担任外の教員十六万六千人を活用すれば十分だというふうなことまで言っております。

 恐らく、大臣以下文科省の皆さんは、財務省の考え方、この言い分に納得しているわけではないとは思いますけれども、結果として財務省に押し切られ、来年度は少人数教育推進分の定数改善が行われないということになっております。

 この財務省の言い分について、文科省としてどのように認識し、また、今後どのように対応していかれるおつもりなのか、お聞かせください。

下村国務大臣 文科省としては、財政制度等審議会の主張のように、少子化によって減少が見込まれる子供の数と同じ比率で教員を減員するのではなくて、むしろ、少子化によって生じる教育予算の自然減を教育環境の充実に充てるべきだと考えております。

 先ほど、笠委員の質問のときにもお答えをいたしましたが、基本的に、財務省の考え方でこの国の活性化はあり得ないというふうに思います。やはり教育というのは、未来に対する先行投資ですし、ある意味では社会保障であって、今、文部科学省の中でも教育における公財政支出を確保するための財源確保勉強会をしておりますが、その中で、子供のときにきちきちっとした教育をさせるということが、結果的に、将来かかるであろう年金、医療、介護のトータル的な社会保障の相当な軽減策にもなるということを議論されております。

 例えば、高校卒業よりも大学卒業の方が、四年間であっても、平均的な生涯獲得収入が九千万の違いが出てくる。しかし、実際に大学四年間でもちろん九千万もお金はかからないわけですから、それだけの先行投資を、年をとってからやるということではなくて、若いときにするということが結果的に国家における社会保障費の削減にもつながるという観点から、今後教育費について考える必要がある。

 こういう観点から、財政審の考え方というのは、まさに木を見て森を見ず、目先の財源論だけで議論をしているのではこの国の発展、繁栄はあり得ないというふうに思いますし、教育に一人一人投資できるような環境づくりをするということが、結果的に一人一人の豊かさは国の豊かさにつながるということについて、ぜひこれは与野党問わず、文部科学委員の先生方の御協力を得ながら、しっかり対応していくように頑張りたいと思います。

吉川(元)委員 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 大変壁は厚いというふうにも思いますし、実は私、決算行政の方も委員を務めておりまして、昨年秋の臨時国会、麻生財務大臣の方に教育予算について質問をいたしました。その際、麻生大臣は答弁席にいらっしゃる方々を指さして、この人たちは六十人のすし詰め教室を食らった人たちですけれども、この人たちよりも今の三十人学級の方がレベルが高いかというと、違うんじゃないんですかねというような、こういうことを下村大臣に私は言いましたよというようなことも答弁をされております。

 大変壁は厚いと思いますけれども、戦う文部科学省、文部科学大臣ということで、私もこの点に関してはしっかりと大臣と一緒になって頑張っていきたいというふうに思っておりますので、ぜひ今後もよろしくお願いをいたします。

 関連いたしまして、臨時、非常勤についての処遇改善についてお聞きをいたします。

 昨年も質問をいたしましたが、いわゆる教育職、教員の非正規の割合というのは年々ふえ続けておりまして、現在一六・一%にまで達しております。正規の教員の代替という側面が非常に強いと言わざるを得ないのではないかと思います。こうした方々の処遇の改善、一番よいのは定数改善を通じてきちんと正規教員になっていただくというのが一番いいんですが、ただ、一方で、今の臨時、非常勤の処遇の問題についてもやはりしっかりと対応していかなければいけないというふうにも思っております。

 実は、我が党は、他の野党の方々と一緒になって、地方自治体の非常勤職員について手当が出せるように、そういう手当が支給できるような改正案というものも提出させていただいておりますけれども、教職員についても、教員についても同じような形で行っていくことが必要なのではないかと考えておりますが、これについての大臣のお考えをお聞かせください。

下村国務大臣 応援をしていただいた後の答弁で恐縮なんですが、教職員を含む非常勤の地方公務員に対して手当支給を可能とする見直しについては、これは地方公務員制度全体の議論の中で判断すべきものであると考えておりまして、文部科学省としても、その議論を踏まえて対応をしていく必要があると思っています。

吉川(元)委員 もう余り時間がないので、次に、道徳教育について質問したいと思います。

 道徳教育の充実に関する懇談会が昨年末に報告書を取りまとめ、現在年間三十五時間の道徳の時間を教科化し、記述による取り組み状況の評価、あるいは、検定教科書の使用が望ましいというようなことが提言されておりまして、私自身は、道徳というものそのものを否定するつもりはありませんけれども、これを教科化するというのが果たして正しい道なのか、強い違和感を感じざるを得ません。

 道徳の教科化については、第一次安倍政権の時代にも教育再生会議が提案をいたしましたが、数値評価はなじまない、あるいは、検定教科書の使用もやはりなじまないだろうということで、中教審が見送った経緯があります。それがなぜ今また再び教科化なのか、その主たる理由について教えていただきたいと思います。

下村国務大臣 道徳教育は、国や民族、時代を超えて、人が人として生きるために必要な規範意識や社会性、思いやりの心などの豊かな人間性を育み、一人一人が自分に自信を持って、また、社会の責任ある構成者として幸福に生きる基盤をつくる上で不可欠なものであると思います。

 しかしながら、我が国の道徳教育を全体として捉えると、歴史的な経緯に影響され、いまだに道徳教育そのものを忌避しがちな風潮があることや、教育関係者にその理念が十分に理解されておらず、効果的な指導方法も共有されていないことなど、多くの課題が指摘されております。

 これらのことを踏まえ、道徳教育が学校教育全体の真の中核としての役割を果たせるよう抜本的な改善を実現するためには、教育課程における位置づけをより適切なものに見直すとともに、目標、内容、指導方法等についても改善する必要があると考えております。

 このような認識のもとで、文科省としては、教育再生実行会議の第一次提言や道徳教育の充実に関する懇談会の報告を踏まえ、去る二月十七日に、中教審に道徳に係る教育課程の改善等について諮問を行ったところでございます。

 今後、道徳を特別の教科として位置づけることを初め、特別の教科というのは、つまり、教科のように一、二、三、四、五という相対的なあるいは絶対的な評価はなじまないということと、道徳という特別なそれだけの専任教員を設けるというよりは、担任教員が、道徳の時間だけでなく学校におけるトータル的な形で子供に対して道徳的な観点からも接する必要があるという、教育の立場の点から特別の教科というふうに位置づけているわけでありますが、この道徳教育の改善充実に向けた専門的な議論が中教審でも進められることを期待しております。

吉川(元)委員 まさに今から中教審での議論ということでありますけれども、記述式ということであってもやはり評価というものは私もなじまないというふうに思いますし、また、教科書の検定ということについても、一元的な検定基準を設ければ特定の価値観を子供に押しつけることになるのではないかというふうにも思っております。

 実は、数年前に、「ブタがいた教室」という映画が公開をされました。小学校六年生に、子豚を先生が持ってきて、一年間育てて、最後にみんなで食べましょうと言う。一番最後のところは、子供たちが、食べるべきか食べてはいけないのかということの大激論を教室の中でやりました。

 これは実話に基づくお話ということですけれども、その中で、命とは何なのかだとか、食とは何なのかということについて、恐らく非常に深い考えが身についたのではないかと思いますし、私個人でいっても、学校時代に道徳の時間というのは余り覚えていなくて、それよりも、例えばフナだとかカエルの生体解剖、私の時代はありましたので、その際に命の問題であるとか、あるいは、中学校の時代の地理の時間にアパルトヘイトの問題を聞いたりだとか、あるいは、これは高校ですけれども、漢文の時間に孟子と荀子の性善説、性悪説ということを、これは国語の時間の中で議論をして、その中で少しディベートもしましたけれども、人間の本性とは何なのかというようなことについても考えさせられました。

 そういう点からいうと、やはり、教科化ということではなくて、そういうことも含めたあらゆる場面での教育ということが私は必要なんだろうということを最後に指摘させていただきまして、私からの質問を終わります。

小渕委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木愛でございます。改めまして、よろしくお願いいたします。

 きょうは、平成二十六年度予算の教育行政にかかわる幾つかの項目について確認、質問をさせていただきたいと思います。

 まず下村大臣にお伺いをいたしますけれども、概算要求と比較をいたしまして、平成二十六年度の文科省予算に対する大臣の自己評価をまずお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 平成二十六年の文部科学省予算案については、幼児教育の無償化に向けた段階的な取り組み、それから、特別支援教育や無利子奨学金事業の充実、大学等の海外留学支援制度の創設などグローバル人材の育成、科学技術イノベーションの推進などの施策に重点化し、科学技術イノベーションの推進などの施策がさらに促進されるような、現下の厳しい財政状況の中で、実質的には対前年度四百五十六億円増、〇・九%確保したところでございます。

 先ほどからも問題として出ておりましたが、教員の定数増については概算要求どおり認められなかったというのが残念なことでございますが、ぜひ限られた予算の中で一人一人の能力や可能性を最大限に引き出して、そして付加価値や生産性を高めていくような、そういう教育の一人一人に対するバックアップ、フォローをすることによって、安倍内閣においては、経済再生、教育再生が内閣の最重要課題でもございます、教育再生の取り組みを加速させ、そして文部科学省予算がさらに充実されるように努めてまいりたいと思います。

青木委員 ありがとうございます。

 〇・九%増ということでございます。補正の部分も合わせてということも一応置かせていただきたいと思いますけれども、大変な御努力もあったと思います。

 ただ、教育機関への公財政支出の対GDP比の統計、最新版を見ますと、やはり、OECD各国平均五・四に比較をいたしまして日本が三・六ということで、まだまだ追いついていない状況がありますので、教育再生の初年度がいよいよスタートをするわけでございますので、今後とも財源確保に向けた御努力をお願いしておきたいと存じます。

 今も触れていただきましたが、また午前中からも、また各委員からも指摘がございました少子化時代に対応する教職員配置改善について、私からも一応確認をさせていただきたいと思います。

 教師力・学校力向上七カ年戦略の中で少人数教育の推進をうたっていたわけでありますけれども、平成二十六年度、この教育再生初年度に残念ながらそれが組み込まれなかったということで、対前年で初めて教職員の総数がマイナスになったということでございます。

 その状況を受けて、今後、二十七年度予算に向けて、気が早いということはないと思いますので、大臣の御所見、御決意をまた改めてお伺いをさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 学校現場において高度化、複雑化しているさまざまな教育課題に対応し、世界トップレベルの学力や規範意識等を育むため、教職員等の指導体制の充実が必要であると考えております。

 平成二十六年度予算案においては、少人数教育の推進のための定数改善には残念ながら理解が得られませんでしたが、少人数学級を実施するための定数や習熟度別少人数指導、チームティーチング等のための加配定員は引き続き計上し、きめ細やかな指導を行えるようにしているところでもございます。

 文科省としては、教師が一人一人子供に対してきめ細かく指導し、より質の高い教育が実現できるよう、義務標準法の改正も含め、平成二十七年度の予算要求に向けて検討してまいります。

青木委員 よろしくお願いいたします。

 あわせて、財政当局は、教職員定数削減とともに、人材確保法の廃止も視野に教員給与の大幅な縮減を主張していたとお伺いをしております。この人材確保法の優遇措置も七・四二%から〇・三二%、大分目減りをしております。平成二十六年度予算案の中で、この教員の給与の確保というのはしっかりとされているのでしょうか。

前川政府参考人 平成二十六年度予算編成過程におきましては、教員給与を引き下げるべきであるという財政当局からの指摘に対しまして、これ以上の引き下げは人材確保法の趣旨に反し、現場の教員の士気を著しく低下させると私どもは主張いたしまして、結果といたしまして、教員給与の縮減についてはこれを行わないということとされました。

 文部科学省といたしましては、今後とも優秀な教員を確保するため、人材確保法における教員給与の優遇措置について、その基本を維持しながら、教員の士気を高めるためのめり張りある給与体系の確立に向けて検討してまいりたいと考えております。

青木委員 この少人数教育の推進とともに、やはり教職員の皆様方がしっかりとした身分保障の中で、安定した環境の中で指導に当たっていただくということも大変重要なことだというふうに思っています。

 また、その一方で、やはり教師の質の向上、研さんも積んでいただかなければならないわけではございますが、新規施策の中で、総合的な教師力向上のための調査研究事業というのが新しく一億円計上されています。五テーマ、八機関とございますけれども、具体的な事業内容についてお伺いをさせていただきます。

前川政府参考人 来年度予算に新たに計上いたしました総合的な教師力向上のための調査研究事業でございますが、この中では、実践的指導力を身につけた教員を育成するために、教育委員会と大学とが連携した形で養成、採用、研修を行っていくよう抜本的な改革をしてまいりたいということでございます。

 そのために、学校全体で初任者を指導するとともに、初任者が研修により専念できるような初任者研修体制を構築すること、また、教員志望者を対象とした教師塾の拡充に向けた指導体制の検証、また、新たな教育課題に対応するための教員養成カリキュラムの開発につきまして、教育委員会や大学に委託して調査研究を実施することとしております。また、校長を初めとする管理職がリーダーシップを発揮して的確に学校を運営できるよう、管理職となる前の教員を対象とした管理職養成のための研修プログラムの開発を実施するとともに、教員免許状を持たない専門的な知識、技能のあるすぐれた人材の学校現場への登用を促進するよう、特別免許状などを活用した社会人登用の仕組みを構築するための調査研究を実施することとしております。

 文部科学省といたしましては、こうした取り組みを通じて、総合的な教師力の向上に努めてまいりたいと考えております。

青木委員 ありがとうございます。

 次に、全国学力調査の実施についてお伺いをいたします。

 小学六年生、そして中学校三年生を対象に毎年度国語と算数を実施しています。そして、三年ごとに理科を加えて、悉皆調査で行うこととなっています。悉皆については現場の先生方からもいろいろと御要望いただいているところではありますけれども、まず、この教科の選定理由、そして公表の時期、さらに早めることが可能なのかどうか、また、この悉皆調査の目的と理由について、お伺いをさせていただきます。

前川政府参考人 全国学力・学習状況調査でございますが、その対象教科につきましては、専門家会議の議論も踏まえまして、基本的には、国語、算数・数学としております。これに加えまして、科学技術人材育成等のため、理科離れ現象の把握なども含めまして、平成二十四年度に初めて理科を追加したわけでございますが、これは三年に一度実施するということで、次回は平成二十七年度に実施いたします。

 この調査結果の公表、提供についてでございますが、小学校、中学校それぞれに、百万人以上の採点を、学校の指導改善に生かせるようなきめ細かい統一の基準に基づいて、記述式問題も含めて確実に行う必要があるということで、やはり一定の時間を要するところでございます。平成二十五年度は八月末に公表したところでございます。

 学校において二学期の指導改善等に活用できるように、できる限り早い時期に公表、提供できるよう、今後とも努めてまいりたいと考えております。

青木委員 最終学年での調査ということでもありますし、結果が早くわかるほど、残された時間の中でさまざまな対応もできようかというふうに思います。

 悉皆調査の目的についてお伺いできますでしょうか。

前川政府参考人 失礼いたしました。

 国として、全ての子供たちの学力向上を図るため、全ての市町村、学校等において、全国的な状況との比較によって課題を把握し、その結果を学校の指導改善等に生かすということが重要であるというふうに考えております。そういったことから、平成二十五年度の調査につきましては、四年ぶりに悉皆調査として実施したところでございます。

 また、昨年六月十四日に閣議決定されました第二期教育振興基本計画におきましても、全国学力・学習状況調査につきましては「全数調査を継続的に実施する。」としたところでございます。

 今後とも、全ての子供たちの学力向上を図るという趣旨から、継続的に悉皆調査を実施してまいりたいと考えております。

青木委員 ありがとうございます。

 次に、昨年発表されましたOECDの生徒の学習到達調査、PISAで、所信でも御報告がございましたけれども、我が国が、読解力そして科学的リテラシーの分野で調査開始以来初めてOECD諸国トップになったということでございます。数学的リテラシーも二位と、過去最高の結果になったという御報告でございます。

 二〇〇三年ごろ、学力の低下が大変問題になりまして、科学的また数学的リテラシーは比較的高い水準にあったように思いますけれども、特に読解力の面において二〇〇〇年から二〇〇三年にかけて落ち込みがあり、そしてまた、二〇〇六年から急にこの読解力の成績が上がっておりまして、そしてついにトップまで上り詰めたということなんですけれども、なぜ二〇〇三年にかけて落ち込み、そしてその後またこの成績が上がっていったのか。この間の文科省の取り組みについてお伺いをさせていただきます。

下村国務大臣 御指摘のように、我が国のPISAの結果については、二〇〇三年調査で、前回調査と比べ読解力の平均得点が低下するとともに下位層の割合が増加しましたが、二〇〇九年調査では改善傾向が見られ、昨年十二月に公表された二〇一二年調査では、読解力、科学的リテラシーの二分野において調査開始以来初めてOECD諸国中トップ、また数学的リテラシーについてはOECD諸国中二位、全分野において下位層の割合が減少し上位層の割合が増加するなど、過去最高の結果となりました。

 これについてはさまざまな要因が考えられますが、文科省、各教育委員会、学校等が一体となってこれまで進めてきた、一つは、習熟度別指導など少人数教育の推進によるきめ細やかな指導体制の整備、二つ目には、いわゆるゆとり教育から脱却し、基礎的、基本的な知識、技能と思考力、判断力、表現力など、確かな学力を育成するための取り組み、そして三つ目には、全国学力・学習状況調査の実施による教育施策や教育指導の改善の取り組み、これらが着実な成果を上げた要因ではないかというふうに思います。

 今後とも、世界トップレベルの学力と規範意識を備えたすぐれた人材が育成できるよう、一層取り組みを進めてまいりたいと思います。

青木委員 ありがとうございます。

 続きまして、道徳教育の充実に関連した施策で、道徳教育パワーアップ研究協議会各都道府県開催費一億円と道徳教育地域支援事業で七億一千万円が計上されていますが、この狙いと内容についてお伺いをいたします。

前川政府参考人 道徳教育につきましては、教育再生実行会議の第一次提言や道徳教育の充実に関する懇談会の議論も踏まえまして、その抜本的な改善充実を図る必要がございます。そのため、平成二十六年度予算案におきましては約十四億円を計上したところでございます。

 そのうち、道徳教育パワーアップ研究協議会でございますが、これは、道徳教育の効果的な指導方法が十分共有されていないなどの課題に対応するため、各都道府県におきまして、教育委員会の担当者、学校の管理職、道徳教育推進教師等を対象といたしまして道徳に係る指導方法等の改善を図るための協議会を新たに開催し、教員の指導力の向上を図ろうとするものでございます。

 また、道徳教育地域支援事業でございますが、これは、外部講師の活用でありますとか地域教材の作成、家庭、地域との連携などの自治体の特色ある取り組みを支援いたしまして、各地域の実情を踏まえた道徳教育を推進しようとするものでございます。

 文部科学省といたしましては、こうした取り組みのほか、来年度から全国の小中学校で使用いたします道徳教育用の教材「私たちの道徳」の積極的な活用を支援するための教師用指導資料の作成なども行うことによりまして、道徳教育の改善充実を図ってまいりたいと考えております。

青木委員 ありがとうございます。

 やはり学校の外に、家庭、地域にこそ題材があるというふうに私も思っておりまして、ぜひ実りある結果につながるよう期待をするものでございます。

 先ほども、新規施策で、専門的人材の登用がありました。この中にも外部人材の登用ということがございまして、やはり教師の先生方もそれはそれで一つ専門分野でございますけれども、社会の経験を積んだ方々、スポーツ選手はもちろんですけれども、科学者の方ですとか、あるいは商社マンとして世界各地で活躍された方々ですとか、こういう外部の人材登用を積極的に進めていただきたいということを私もお願いさせていただきます。

 続きまして、食育の推進について伺わせていただきます。

 この食育という言葉も大変もうなじみの言葉になりましたけれども、新規施策の中にスーパー食育スクール二億円という事業がございます。スーパーという言葉が大変散見されるようになりましたけれども、このスーパー食育スクール事業というのはどのような事業を行おうとされているのか、お伺いをいたします。

久保政府参考人 学校における食育につきましては、これまでも食育基本法それから学校給食法に基づきまして、各学校におきましてさまざまな取り組みを推進してまいりました。

 お尋ねのスーパー食育スクール事業は、これらの取り組みのさらなる充実を図る観点から、実践指定校を指定いたしまして、栄養教諭を中心としながら地域の生産者、大学、企業などとの連携を進めまして、地域を挙げて食育に取り組むモデル事業を推進することを目的として、平成二十六年度予算に新たに計上したものでございます。

青木委員 地域の生産者あるいは大学、民間企業との連携の中でモデル事業をつくっていくということでございますが、これが学校現場にどのような形で還元されるのかというところは、私もまた今後も見ていきたいというふうに思っております。

 そして、この食育の推進の中で、やはり新規で、学校給食における食物アレルギーの対策推進事業二千万円が盛り込まれた。これは大変必要なことだというふうに思っています。

 あともう一点気にかかるのが、やはりこの冬、ノロウイルスが原因で大規模な集団食中毒が相次ぎまして、小中学校が学校閉鎖に追い込まれました。文科省としてはどのような対応をなさっているのか、まずお伺いをさせていただきます。

久保政府参考人 ノロウイルスを含めました食中毒の発生防止に関しましては、まず学校給食衛生管理基準を踏まえた学校給食の衛生管理の徹底を図ること、それから、保健所などとの連携を図りながら、地域の感染症情報などを把握しまして、調理場や製造業者などにも情報を共有し、手洗いの徹底、健康管理に努めることなどについて周知を図ってきたところでございます。

 文部科学省といたしましては、今回の一連の事故を踏まえまして、学校給食におけます衛生管理の一層の徹底を図りますために一月二十八日付で通知を出したところでございまして、今後とも引き続き、会議や講習会を通じまして周知徹底を行うなど、学校給食における適切な衛生管理に努めてまいることといたしております。

青木委員 ありがとうございます。

 給食の外部委託も大分ふえているようでございまして、本当に目配りが必要なんですけれども、何といっても予防と感染の拡大防止ということに尽きますので、本当に来年はこういう学校閉鎖がないように未然の対応をお願いしたいと思いますが、この学校給食を原因とする食中毒、それにかかわる、例えば病院に行ったときの治療費などが災害共済給付金から支払われるというふうに確認をしておりますけれども、意外とこれは知らない方が多いのではないかと思いますが、この点について確認をさせていただきたいと思います。

久保政府参考人 学校の管理下で発生いたしました児童生徒の不慮の負傷、疾病や、障害、死亡につきましては、医療費などの給付を行う制度といたしまして、独立行政法人日本スポーツ振興センターが行います災害共済給付制度がございます。

 学校給食に起因します食中毒につきましても、独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令第五条第一項第二号におきまして、学校給食に起因する中毒その他児童生徒などの疾病で、その原因である事故が学校の管理下で発生したものを医療費等の給付対象とすると規定されているところでございます。

青木委員 確認をさせていただきまして、ありがとうございます。

 最後の質問とさせていただきますが、社会人や女性の学び直しの機会の充実ということで十六億八千万円が計上されています。これは、社会人の方々や女性の方々がどのような志でもって学び直そうと決意をし、そして、その機会に期待をされているのか、そこのところからまずお伺いをさせていただきます。

清木政府参考人 お答え申し上げます。

 産業構造の変化を踏まえまして、成長産業に労働力をシフトしたり、また、女性の方の育児休暇からの円滑な職場復帰などの活躍の支援を含めまして、社会人の就労、キャリアアップ、それからキャリアチェンジを促進したり、また、多様な教育ニーズに応えるためには、社会人や女性の学び直しの機会をより一層充実することが大変重要だと認識しております。

 昨年六月に策定されました日本再興戦略におきましても、女性のライフステージに対応した活躍や若者の活躍を促進する観点から、社会人の学び直し支援等を行うことが明記されております。

 これらを踏まえまして、先生御指摘の平成二十六年度予算におきましては、成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進事業におきまして、各地域の専修学校、大学、短期大学等と産業界が連携いたしまして、社会人や女性の就労等に必要な実践的な知識、技能、技術を身につけるための学び直しのための教育プログラム、これは実践的なプログラムが既に三十六開発されております。それを全国で開発、実証するための取り組みに必要な経費を計上しているところでございまして、これらを通じまして、社会人や女性の学び直しの一層の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

青木委員 ありがとうございます。

 特に、女性の学び直しの機会の充実という観点から、地方にございます短期大学の教育機能の充実を図ることが必要ではないかというふうに思います。

 文科省の資料によりますと、平成五年のものと比較をさせていただきますが、国立短大が三十七校あったのが現在ゼロ校、公立短大が五十六校あったものが現在十九校、私立の短大が五百二校から三百四十一校に減少しております。

 昨年九月に中教審の大学教育部会に短期大学のワーキンググループが設置されたというふうに伺いました。今後、地方から、地元から何らかの理由で離れられない女性の学び直しの機会という観点からも、短期大学における教育機能の充実についてどのようにお考えか、お伺いをいたします。

下村国務大臣 青木委員御指摘のとおり、短期大学はこれまで、短期に社会へ送り出す身近な高等教育機関として、高等教育の機会均等を確保する役割や、保育士、幼稚園教諭、看護師等、社会を支える職業人材の育成、地域の発展にも大きな役割を果たしてまいりました。

 短期大学の役割、今後のあり方については、御指摘がありましたが、中教審のもとに短期大学ワーキンググループを設置し、昨年十二月より、短期大学の機能のあり方や教育のあり方などについて活発に御議論をいただいているところでございます。

 文科省としては、中教審での御議論も踏まえつつ、職業人材の育成や女性のライフステージに応じた学び直し教育を行うなど、短期大学が社会の中で十分役割を果たせるよう支援をしてまいりたいと思います。

青木委員 ありがとうございます。

 そして、保育士もそうですし、介護のお仕事をされている方もそうですが、労働が大変重い、その割には給料が安いということもあって、職場離れが目立っております。現場での経験がまずあって、それプラス学び直しの機会を得ることによって、例えば施設の経営ができるとか、あるいは短大での今度は指導的な立場になれるとか、講師の道が開けるとか、何かそういう御自身のキャリアアップにつながるような流れをぜひつくっていただきたいなというのをお願いさせていただきたいと思います。

 そしてまた、地域社会もそういう学びをまた地域のために還元いただくことに大変期待をしておりますので、常にやはり地方というものを視野に入れながらさまざまなお取り組みをしていただきたいというふうにお願いをさせていただきまして、何か御所見がその点についてあれば、それで質問を終わらせていただきます。

下村国務大臣 おっしゃるとおり、保育士とか教員、それから介護士等を含めて非常に収入が低いという状況の中で、これはスキルアップをして所得改善につながっていくような社会全体の取り組みが必要だと思います。

 そういう中で、短期大学は、社会人、特に女性の方々の学び直しの受け皿ということで、これまで短大というと高校を卒業した子がそのままということでしたが、それはそれでニーズを保ちながら、一旦社会へ出て働いた方々がさらにスキルアップを目的として大学、短大に入り直して学ぶような、そういう環境づくりとしての短大のあり方については、しっかりと中教審でも議論をしていただきたいと思います。

青木委員 ありがとうございました。質問を終わらせていただきます。

小渕委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十分散会


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