衆議院

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第5号 平成26年3月12日(水曜日)

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平成二十六年三月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 小渕 優子君

   理事 中根 一幸君 理事 丹羽 秀樹君

   理事 萩生田光一君 理事 山本ともひろ君

   理事 義家 弘介君 理事 笠  浩史君

   理事 鈴木  望君 理事 稲津  久君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      小此木八郎君    門  博文君

      神山 佐市君    菅野さちこ君

      木内  均君    工藤 彰三君

      熊田 裕通君    小島 敏文君

      小林 茂樹君    佐々木 紀君

      桜井  宏君    新開 裕司君

      瀬戸 隆一君    冨岡  勉君

      永岡 桂子君    野中  厚君

      馳   浩君    藤井比早之君

      宮内 秀樹君    宮川 典子君

      岸本 周平君    寺島 義幸君

      細野 豪志君    吉田  泉君

      遠藤  敬君    椎木  保君

      三宅  博君    中野 洋昌君

      柏倉 祐司君    井出 庸生君

      宮本 岳志君    青木  愛君

      吉川  元君    山口  壯君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学副大臣      西川 京子君

   文部科学大臣政務官    冨岡  勉君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         常盤  豊君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官)    藤原 正彦君

   文部科学委員会専門員   久留 正敏君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     佐々木 紀君

  木内  均君     門  博文君

  比嘉奈津美君     藤井比早之君

  宮川 典子君     瀬戸 隆一君

  菊田真紀子君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  門  博文君     木内  均君

  佐々木 紀君     神山 佐市君

  瀬戸 隆一君     宮川 典子君

  藤井比早之君     小島 敏文君

  岸本 周平君     寺島 義幸君

同日

 辞任         補欠選任

  小島 敏文君     比嘉奈津美君

  寺島 義幸君     菊田真紀子君

    ―――――――――――――

三月七日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(大西健介君紹介)(第一六五号)

 同(黄川田徹君紹介)(第一六六号)

 同(階猛君紹介)(第一六七号)

 同(長坂康正君紹介)(第一六八号)

 同(古川元久君紹介)(第一六九号)

 同(八木哲也君紹介)(第一七〇号)

 同(吉川元君紹介)(第一七一号)

 同(三原朝彦君紹介)(第一八三号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第一八四号)

 同(大見正君紹介)(第二〇六号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第二〇七号)

 同(中野洋昌君紹介)(第二〇八号)

 同(阿部寿一君紹介)(第二一二号)

 同(近藤洋介君紹介)(第二一三号)

 同(左藤章君紹介)(第二三四号)

 同(大塚高司君紹介)(第二四一号)

 同(金子恭之君紹介)(第二四二号)

 同(北村茂男君紹介)(第二四三号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第二四九号)

 同(大久保三代君紹介)(第二五〇号)

 同(近藤昭一君紹介)(第二五一号)

 同(西村明宏君紹介)(第二五二号)

 同(林宙紀君紹介)(第二五三号)

 同(古本伸一郎君紹介)(第二五四号)

 同(三木圭恵君紹介)(第二五五号)

 同(山口壯君紹介)(第二五六号)

 同(柏倉祐司君紹介)(第二六三号)

 同(盛山正仁君紹介)(第二六四号)

 同(瀬戸隆一君紹介)(第二八四号)

 同(田所嘉徳君紹介)(第二八五号)

 同(辻元清美君紹介)(第二八六号)

 同(長島昭久君紹介)(第二八七号)

 同(額賀福志郎君紹介)(第二八八号)

 同(柚木道義君紹介)(第二八九号)

 同(青山周平君紹介)(第三〇四号)

 同(石川昭政君紹介)(第三〇五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第三〇六号)

 同(中村喜四郎君紹介)(第三〇七号)

 同(根本幸典君紹介)(第三〇八号)

 同(安藤裕君紹介)(第三一三号)

 同(松本剛明君紹介)(第三一四号)

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する請願(橘慶一郎君紹介)(第二〇五号)

 同(宮腰光寛君紹介)(第二三五号)

 教育予算の増額、教育費の無償化、保護者負担軽減、教育条件の改善に関する請願(吉川元君紹介)(第二一一号)

 教育費負担の公私間格差をなくするための私学助成に関する請願(今津寛君紹介)(第二一四号)

 同(堀井学君紹介)(第二五七号)

 教育費負担の大幅な軽減、安全な学校施設を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二七五号)

 同(笠井亮君紹介)(第二七六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第二七七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第二七八号)

 同(志位和夫君紹介)(第二七九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第二八〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第二八一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第二八二号)

 教育予算の増額、教育費の無償化、父母負担の軽減、教育条件の改善に関する請願(柚木道義君紹介)(第二八三号)

 同(津村啓介君紹介)(第三一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 私立学校法の一部を改正する法律案(内閣提出第四二号)


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     ――――◇―――――

小渕委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、私立学校法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として文部科学省高等教育局長吉田大輔君、高等教育局私学部長常盤豊君及び資源エネルギー庁廃炉基盤整備総合調整官藤原正彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 与党を代表しまして質問する機会を与えていただきまして、心より感謝を申し上げます。大変にありがとうございます。

 トップバッターということで、ふだんとちょっと違う、やや緊張をしておりますけれども、しっかり質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、私立学校法の一部を改正する法律案でございます。

 皆様御承知のとおり、私立学校法といいますのは、最初の制定が昭和二十四年、大変に古い法律でございますけれども、前回大きく改正をされたのは平成十六年、平成十六年に大きな制度改正がございました。

 そのときの大きな制度改正の柱は、管理運営制度の改善、具体的に申しますと、理事会の制度を法定した。そのときに、責任の所在を明確にして、私立学校が主体的にまたは機動的に意思決定をするように、できるように、こういう仕組みにした、こういうことであったと理解をしております。

 大変残念なことに、その後、群馬県の堀越学園の運営に重大な問題があった、解散命令を出すことになった、こういう事態になったことを受けまして、それに対応するために今回また法律の改正が行われる、このように私は理解をしております。

 前回の法律の改正のときにもさまざまな議論があったというふうに記憶をしておりますけれども、例えばその一つの論点としては、私立学校というのは、従来、その自主性を重んじる、こういうことが法律の仕組みとしてできているわけでございます。学校の自主性を重んじながら、なおかつ公共性も確保していく、こういうことを目指していくという法律でございますけれども、今回の改正法におきましては、私立学校の経営に対して所轄庁が命令等の行政処分を行うようにすることができる、ある意味、行政の関与を非常に強めていく、このような改正を行うようにも思えるわけでございます。

 大臣にお伺いをしたいんですけれども、今回このような改正を行うその趣旨は何か、これをまず大臣に御説明をいただきたいというふうに思います。

下村国務大臣 おはようございます。

 中野委員の御質問でありますが、御指摘のように私立学校は、独自の建学の精神に基づく、個性豊かな教育研究活動を積極的に展開しており、公教育の重要な一翼を担うとともに、我が国の学校教育の発展に大きく貢献をしております。その自主性を重んじることは当然のことであります。

 しかしながら、昨年三月に、運営が極めて不適切な学校法人に対して解散を命じざるを得ない事案が発生するなど、学校法人をめぐる重大な問題も生じてきております。

 現行の私立学校法では解散命令しか規定がなく、任意の行政指導から最終的な措置としての解散命令まで飛躍が大きいということから、こうした異例の事態に適切に対応ができず、さらに、そのことが自主性の尊重への不信を増大させるおそれがあるなどの課題が生じているところでございます。

 今も御指摘がありましたが、今回の堀越学園についても、相当前から新聞報道等で問題が指摘をされていたのにもかかわらず、これについては、現行法では文部科学省は何の手だても打てなかったという問題点がありました。

 このため、今回の改正は、私立学校の自主性を最大限尊重する現行制度の基本に立ちつつ、私学全体に対する不信感につながるような異例な事態に所轄庁が適切に対処することができるよう、必要な措置命令を行うことができる等の仕組みを整備するというものでございます。

中野委員 大臣、ありがとうございます。

 もう少し、この論点について踏み込んで御質問をさせていただきたいと思うんです。

 先ほど大臣がおっしゃられました、私立学校の自主性を最大限尊重するという基本に立ちつつ、しかし、私学全体に対する不信感につながるような異例な事態がある、これには適切に対処をしないといけない、そのための仕組みを構築をしたんだ、こういう御説明でございました。

 そうしますと、現行の私立学校法の基本的な理念、私学の自主性と公共性の自覚に信をおく、そして行政は関与を極力控える、自主的に改善をしてもらう、基本的な理念はこういうものであると思いますけれども、この改正によってこの基本的な考え方というものを果たして今回大きく変えるものなのか、あるいは、この基本理念というものはあくまで保ちつつ対応できるようにするものなのか、この点についてもお伺いをしたいというふうに思います。

下村国務大臣 私立学校法は、私立学校の自主性を重んじ、その公共性を高めることによって、私立学校の健全な発達を図ることを目的としており、その基本的な理念は今後とも重視していく必要があると考えます。

 他方、昨年、運営が極めて不適切な学校法人に対して解散命令をするような特異な事例が発生したということ、このような事態によって結果的に学生等が教育上の不利益をこうむる、そのことがないように所轄庁が適切に対応するための仕組みを整備する。

 この所轄庁も、大学等は文部科学省ですけれども、文部科学省も、国立大学法人と私学部と分けています。それから、高校以下は都道府県ですが、都道府県も、これは教育委員会が公立の学校ですけれども、私立に対しては、総務部の中に私学の別の部局を設けて対応するというふうに、分けているわけでございます。

 今回新たに規定する措置命令は、そういうところではなくて、一つは、学校法人の法令違反や運営の著しい不適切を要件とし、重大な問題がある学校法人のみを対象とすることと、それから、現行制度と同様に、行政の権限の濫用がないよう、私立学校審議会等に事前に意見を聞く仕組みを設けるということをしておりまして、私学の自主性への信頼を基礎とした現行制度の基本的な理念は、今回の改正においても何ら変わるものではないということでございます。

中野委員 ありがとうございました。

 私学の自主性への信頼を基礎とした現行制度の理念は変えない、しかし、やはり学生を守らないといけない事態であるとか、いろいろな事態にしっかり対応できるような仕組みを設けるという大臣の御説明、大変にわかりやすいものであったというふうに思います。

 法案の具体的な中身の方に移ってまいりたいと思います。

 今回新しくできた規定というものが幾つかございますけれども、例えば第六十条、命令ということで、「所轄庁は、学校法人が、法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分若しくは寄附行為に違反し、又はその運営が著しく適正を欠くと認めるときは、」こういう必要な措置を命ずることができる、こういう条文になっております。

 私、ここで課題だと考えますのは、必要な措置をとるように命ずることができるこの要件というものを、法律を読むだけですと、一体どういう場合に命令ができるのか、必要な措置ができるのか、それが余りはっきりしていない。私はここは大変問題であるというふうに思います。

 ある意味、行政権限を行使をしていくという場面でございますので、これが余り権限を濫用するようなことがあってはいけない、あるいは、所轄庁によって恣意的に運用されるようなことがあってはいけないのではないか、このように考えておりますので、必要な措置をとるように命ずることができる要件、「著しく適正を欠く」というのは、実際の運用に当たっては、どういう場合に著しく適正を欠くと判断をするのか、具体的な基準はどのようなものか、あるいはどのような具体的な事例を想定しているのか、これも含めてしっかりと御説明をいただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正におきましては、所轄庁が措置命令を行い得る場合として、他の公益的な法人制度における同様の措置も参考といたしまして、学校法人が、法令の規定、法令に基づく所轄庁の処分または寄附行為に違反している場合、または学校法人の運営が著しく適正を欠く場合を規定しております。

 具体的に措置命令を行い得る事例といたしましては、一つには、学校の運営に必要な資産の不足によりまして教育研究活動へ支障が生じているとして、例えば、学校法人の所有する土地建物が競売により売却され、必要な校地、校舎の一部が保有されていない、あるいは教職員の賃金未払いが生じ、必要な教職員が不足している等の場合、二つ目に、理事会において必要な意思決定ができず、教育研究活動への支障や学校法人の財産に重大な損害が生じているといたしまして、例えば、理事の地位をめぐる訴訟により、必要な予算の編成や事業計画の策定がなされず、教育研究活動に支障が生じている、理事が第三者の利益を図る目的で学校法人の財産を不当に流用し、学校法人の財産に重大な損害を与えているなどの場合を想定しているものでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 私学部長は、先ほど、いろいろな具体的な事例も含めて述べられました。もう一点追加で質問をさせていただくんですけれども、例えば、教職員の賃金の未払いが生じて教職員数が不足している、さまざまな事例を述べられましたけれども、こういう要件に該当した場合に、直ちにそういう措置命令のようなものが下されるのか。

 例えば、自主的にこれから改善をしよう、こうしている場合はどうなるのか。あるいは、経営が苦しい大学というのはいっぱいあるわけでございますけれども、単に経営赤字に陥っているような場合、こういう場合に対しても命令の対象となるのかどうか。もう少し詳しく教えていただければと思います。

常盤政府参考人 今御質問がございましたが、法令違反や不適切な運営が行われているからといって、必ず直ちに措置命令等を行うというものではございません。

 今回の措置命令は、先ほど申し上げましたような事態に陥るなど、私立学校の設置者として求められる要件を欠く場合であって、かつ、自主性の尊重という私立学校法の趣旨を踏まえれば、自主的な改善が望めない学校法人に対して措置命令を行うということを想定しております。

 なお、単に経営赤字である場合は、そもそもこのような措置命令の要件に該当するものではないと考えております。

中野委員 ありがとうございます。この第六十条に書いてあります「著しく適正を欠く」場合とは何か、これについて大分具体的な基準が示されまして、どういう場合にこういう措置を行うのかというのが非常にわかりやすくなった、私はこのように思います。

 そして、もう少し質問なんですけれども、先ほどのさまざまおっしゃられたこういう要件に仮に合致をした場合、そのときには「必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」これが第六十条の規定でございますけれども、「必要な措置」とは具体的にはどのような措置を想定しているのか、これについても御説明をいただきたいというふうに思います。

常盤政府参考人 改正法の第六十条に規定をいたします措置命令を行う場合の具体的な例でございます。

 運営の改善を図るものといたしまして、例えば、私立学校法第二十五条に定める、学校法人として必要な資産を有していない場合に、改善計画を作成して必要な財産を備えるよう命ずること、あるいは、理事が未充足である場合に速やかに理事を選任するよう命ずることなどが考えられます。

 またさらに、財政状況の悪化により教育活動の継続が困難となり、解散も避けられない学校法人がなお学生の募集を行おうとする場合に、新たな入学生の募集の停止を命じることなども想定されるものでございます。

 なお、これらの命令を行うに際しましては、私学の自主性を尊重し、行政の権限濫用を防止するため、私立学校審議会等に事前に意見を聞くということとしてございます。

中野委員 ありがとうございます。

 続きまして、今回改正をされる第六十三条についても御質問をしたいというふうに思います。

 この六十三条といいますのは報告及び検査の規定でございまして、所轄庁が、この法律の施行に必要な限度において、学校法人に対して立入検査あるいは報告ができる、こういう規定でございますけれども、これも今回新しくつけ加わった規定である、このように理解をしております。

 この六十三条、法律の施行に必要な限度において報告及び検査を実施する、このように規定がされておりますけれども、具体的にどういう場合を想定されておられるのか、これを明確にしていただきたいなというふうに思います。

 例えば、措置命令あるいは解散命令の対象、こうした命令の対象となり得る事態に立ち至っている場合にこうした措置がとられるのか、あるいは、現状まだそういう状態にはなっていないけれども報告や検査を行う、こういうことがあり得るのか、少し具体的にお話をいただければというふうに思います。

常盤政府参考人 今回の改正によりまして新たに規定をする報告及び検査でございます。これは、法律上、この法律の施行に必要な限度において実施をすることができると規定をしております。

 この法律に必要な限度においてと申しますのは、本法に定めます措置命令、解散命令等の対象となり得るような事態に立ち至っている場合、それらの命令を行うために必要となる事実を確認するために行われるということを想定しております。

中野委員 ありがとうございます。これについても、具体的にどのような場合に行うのかということが非常にわかりやすくなったというふうに思います。

 先ほど私学部長がおっしゃられました法律に必要な限度においてとは何か。それは、本法に定める命令等の対象となり得るような事態に立ち至っている場合、具体的に既にこういう事態に立ち至っている場合に、それらの命令を行うために必要となる事実を確認する、このために報告及び検査を行う、これについて非常に明確になった、このように思います。

 それでは、先ほどおっしゃられた報告及び検査、これを具体的にどういう手順で行うことを想定しているのか、これについてもお伺いをしたいというふうに思います。

常盤政府参考人 報告及び検査の必要性などにつきましては、私学助成を受ける学校法人が所轄庁に届け出る財務関係書類など、所轄庁がさまざまな情報を総合しつつ、みずからの権限と責任において適切に判断することになります。

 具体的には、本法に定めます措置命令や解散命令等の対象となり得るような事態に立ち至っている場合に、まずは任意の行政指導によって調査や報告を求めることとなりますが、それらの任意の報告の求めや調査では必要な書類等の提出が行われないなど、十分な対応がなされず、所轄庁が法人運営の実態を十分に確認できない場合に、本法で定める措置命令等を行う場合に必要となる事実を確認するための行為といたしまして、改正法第六十三条の規定に基づき、法人に報告を求めたり、法人の施設に立ち入って書類の検査等を行うことを想定しております。

 なお、報告及び検査の結果により、その後に措置命令等を行う場合には、「あらかじめ、私立学校審議会等の意見を聴かなければならない。」ということとなっております。

中野委員 ありがとうございました。具体的な基準あるいは具体的な事例について説明をいただくことで、どういう状況においてこの法律が施行され運用されていくのか、これが大変に明らかになったというふうに私は思います。

 私、今回、私立学校法の関係でさまざま勉強させていただきまして、やはり難しい課題だなというふうに思いました。

 日本の私立学校というのは、大学、短大でいうと約八割、高校では約三割、幼稚園でも約八割、このように、日本の教育において大変に重要な位置を占めている。しかし、その成り立ちを考えると、もともと建学を行われた方がいて、その方の財産、寄附などで成り立っていて、やはり、国立の学校に比べるとなかなか支援というのもなかった。そのかわり、私立学校のそれぞれの自主性を重んじて教育を行う。こういう成り立ちであったがゆえに、その自主性に信をおく、そうして公共性を確保してもらう、こういう仕組みをつくっていった。

 しかし、少子高齢化、いろいろなさまざまな状況がありまして、こういう不適切な事例というか、所轄庁が適切に対応しないといけない事例も出てきた。自主性に信をおく、しかし、しっかりと対応すべきときには対応する、このバランスをとることが非常に難しいなと感じたわけでございます。

 今回、こういう形で法律改正案ができまして、先ほど、非常に具体的な、どういう基準で運用するのかということもはっきり御説明をいただいたわけでございますので、これからしっかりまた審議していただいて、私立学校をめぐっては、私学振興、ガバナンスの問題、助成のあり方、さまざまなまた課題がございますので、今後、文部科学委員会でも私もしっかりと考えていきたいと思います。

 時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。

小渕委員長 次に、吉田泉君。

吉田委員 民主党の吉田泉です。よろしくお願いします。

 きょうは私からも、私立学校法の改正案に関連して質問をいたします。

 今回は十年ぶりの改正ということです。今も中野議員から御指摘がありましたが、その背景は、堀越学園の昨年の経営破綻ということでございます。学生を抱えたまま破綻するというのは初めてのことだったそうですが、その際明らかになりましたこの法律の不備を今回改正しよう、こういう趣旨だと理解をしております。

 この堀越学園の破綻の背景には学園の財政危機というのがあったわけですが、考えてみますと、単にこれは堀越だけの問題ではなくて、少子化が進んでいる時代においては、相当広範囲の私立学校、特に私立大学で、財政悪化という心配があるように思います。

 そこで、日本全体の私立大学の現状と今後の見込みについて何点かお伺いしたいと思います。

 まず、これまでの大学入学者数の推移、そして定員充足状況の推移、これを教えていただきます。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 大学入学者数の推移でございますが、平成元年度の約三十六万人から平成二十五年度には約四十八万人と増加をいたしておりますが、近年は横ばいの状況にあるという状況でございます。

 また、入学定員を充足していない私立大学の数でございます。平成五年度は十九校、全体の四・九%、平成十五年度は百四十七校、全体の二八・二%、直近の平成二十五年度は二百三十二校、全体の四〇・三%となっております。

 なお、入学定員充足率が八〇%以上の大学の割合ということで見ますと、十年前から、およそ八割で推移をいたしております。

吉田委員 学生数、入学者数は、いっときふえましたけれども、グラフを見ますと、この十五年ぐらいは四十六万人とか四十八万人とか、その辺で大体横ばいに推移しているというふうに思います。

 一方で、充足率というのが今のお話だと悪化しているというわけであります。八〇%ぐらいの充足率が欲しいわけですが、それを満たしている学校がだんだん減ってきているという今お話だったと思います。

 全体の数がほぼ安定している中で充足率八〇%を満たせない学校がふえているということは、要するに、充足率の高い大学と低い大学に分かれつつある、いわば大学間格差がつきつつある、そういうことじゃなかろうかというふうに理解をいたします。

 一方で、そういうことを踏まえて、私立大学の収支の状況、これまでどのように推移しているか、教えていただきます。

常盤政府参考人 近年、十八歳人口の減少に伴いまして、主な収入を学生生徒等の納付金に依存する私立学校にとりまして、単年度赤字となる大学等が増加傾向になるなど、従前に比べて厳しい経営状況となっております。

 平成二十四年度の決算におきましては、単年度収支、帰属収支差額と言っておりますけれども、単年度収支がマイナスの大学数は五百八十八大学中二百八校、三五・四%となっておりまして、十年前の平成十四年度の決算の五百七大学中百三十三校、二六・二%と比較をいたしまして、割合が増加している状況でございます。

吉田委員 帰属収支という計算をするわけですけれども、本来ですと、この中から次の設備投資に回すお金を蓄えなくちゃいけませんので、プラス一〇%ぐらいが欲しいところだというのが基準になっているようですが、今のお話ですと、帰属収支が赤字になっているという学校が三五%ですから、もう三分の一ぐらいがそういう状況だということだと思います。

 そういう意味で、日本全体の私立大学が大変厳しい収支状況になっているというふうに理解をいたします。

 さて、今後ますます子供の数が減っていくという状況であります。十八歳の人口を見ますと、今後十八年で二割ほど減る。これはもう確定しているわけですよ。この十八年間に生まれてきた子供の数があるわけですから、二割減るということが確定しております。

 そういう環境の中で入学者数というのを私学全体のために維持しようとしますと、大学の進学率というものを、大体二割ぐらい今度はこっちは上げないと全体として進学者数を維持できない、確保できない、こういうふうに考えます。

 そういう意味では、進学率というのが、私立大学の今後の経営を占う上で一番大きな要素になるように私は思いました。

 OECDの資料というものがございます。それを見ると、日本の大学の進学率というのは、かつてと比べると随分上がってきたわけですが、それでも今の五一%というのは、OECDの平均六二%に比べると、高いとは言えないというのが日本の政府の評価であります。

 確かに、その資料に出ているよその国を見ますと、オーストラリアは九六%の進学率がある、アメリカは七四%だ、イギリスは六三%、そういうところに比べると、日本は五一ですから、相当に低いという印象を持ちます。

 どうして日本の進学率が低いのか、その原因をどう見ておられるのか、副大臣にお伺いしたいと思います。

西川副大臣 おはようございます。

 吉田先生の御質問にお答えさせていただきます。

 私も、ヨーロッパと日本と、その経済状況、発展状況、あるいは今までの過去の歴史の教育に対する思い、そういうものに差があるとは思えないので、何が原因なのかなとずっと思ってまいりましたけれども、一番ああなるほどと思う理由が、社会人学生の割合、社会人になってからまた大学に入学し直す、この割合が、実は日本が二%、OECDが平均で二〇%、これがかなり大きく影響しているということがわかりました。

 そしてもう一つは、外国人の留学生の割合が、日本は三・一%、OECD平均六・九%。これも結構大きな要因になっていると思います。

 それともう一つ、OECD諸国に比べて高等教育支出に占める私費負担の割合がやはり日本は高くて、日本六六%、OECD平均三二%。家庭の経済状況が進学率に影響を与えているという側面が考えられます。

 その中で、高校卒業者のうち、経済的理由で進学できなかったという者の割合が六・三%ほどありますので、社会人の再入学というんでしょうか、学び直しというか、そういう率を上げることと、経済的な側面、これから奨学金制度の充実とかそういうことで対処していくとかなり上がっていくのではないのかな、そんなふうに思っております。

吉田委員 ありがとうございました。

 ちょっと確認ですが、社会人の学生かつ留学生、これが、OECDと比べると、よその国と比べると相当低い、この二つが大きいということだと思うんですけれども、そうしますと、その二つを除いた純粋の、国内の十八歳を中心とする二十五歳以下のお子さん方の進学率というのはそんなによそと変わらないんだというふうに考えていいものなんでしょうか。

西川副大臣 きちんとした数字は今ちょっと手元にありませんが、大体OECD並みになると思います。

吉田委員 ありがとうございました。

 それから、今後の進学率の考え方についてちょっと大臣にお伺いしたいと思います。

 知識基盤社会という見方があります。今後ますますそちらの方向に向かっていくというのが文明の必然だろうと私も思います。そういう流れに適応しようとすると、やはり、大学進学率はさらに高まった方がいいようにも私は思います。

 ただ、一方で、今ちょっと西川副大臣も触れられましたが、ヨーロッパの方でドイツとかフランスというのは、日本よりもさらにこの進学率が低いという国もございます。職人重視のような人生哲学があるんだろうというふうに思います。

 そういういろいろな要素はございますが、全体として今後の日本における大学進学率についての考え方、さらには、今出ましたいろいろな課題を乗り越えるためにどういうことをやろうとされているのか、お伺いしたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、この二十年間、世界の中で経済成長してきた国というのは、同時に大学進学率を高めている。つまり、吉田委員がおっしゃいましたが、知識基盤社会、こういう中では、それだけの知識をしっかり学ぶということが、やはり、支える人材としても必要になってくるというふうに思います。

 我が国は、特にこれからグローバル化の進展など社会構造の変化、それから、世界で少子高齢化が一番進んでいる。そういう国の中で世界に伍して発展をしていくということを考えると、さまざまな分野で次代を担い、活躍することができる人材を育成するということが、これはもう必要条件だというふうに思います。

 特に、大学力というのは国力そのものでありまして、我が国も、一方で大学の定員割れしているところもありますが、しかし、これからのことを考えると、大学教育、質、量ともにさらに充実していくということを国を挙げて考えていく必要があるというふうに思います。

 我が国の大学進学率は、諸外国と比べてこれは高くない、低い。特に、OECD諸国の中では下位の方であります。これは、今後、学ぶ意欲と能力を持つ若者全てが大学教育を受ける機会を確保するということを国がもっとバックアップしていく必要があるというふうに思います。

 そのために、今、西川副大臣からも御説明をさせていただきましたが、諸外国と比べて少ない社会人や、留学生の受け入れもさらに一層深めるということも必要であるというふうに思います。

 また、学生の主体的な学びを重視した大学教育への転換など、大学教育の質の確保も高めていくことが必要であるというふうに思います。

 既に教育再生実行会議でこのことについても提言をしていただいておりますが、これを充実させるために、奨学金の充実など教育費負担の軽減を図るとか、あるいは、学び直しの機会の充実など社会人の受け入れの推進を図るとか、あるいは、留学生交流の推進などグローバル人材の育成と大学の国際化の推進を図っていく、また、大学教育の質的転換に取り組む大学への重点支援を行う、さらに、大学入学者選抜を含む高大接続のあり方の見直し、こういうことをトータル的にしながら、我が国の将来を担う人材を育成する大学について質、量ともに充実を図っていくということが、これから日本が発展をしていく、また、日本国民が豊かさをさらに享受するという意味での位置づけが、今まで以上に教育に求められていると思います。

吉田委員 高等教育の質、量ともの改善というお話だったと思います。

 確かに、私も高等教育がさらに必要になるという流れだと思いますが、一方で大学のレジャーランド化というような現象も、依然として一部においては続いているような気もいたします。ぜひ、その質、量両方ともの改善を目指したいというふうに思います。

 次に、今度はちょっと話題がかわりますけれども、今回の法改正のきっかけになった堀越学園の問題についてお伺いしたいと思います。

 この学園は平成十六年に大学を開設したわけですが、それ以来、経営が急速に悪化したと。そして、昨年、平成二十五年の三月に解散命令ということに至ったわけです。

 改めて、この堀越学園の経営の失敗の原因をどう見ておられるのか、お伺いします。

西川副大臣 実は、この堀越学園の経営の失敗、この問題に関して、これにのっとった反省といいますか、それがきっかけとなりまして、実は、私立学校法の改正を今回あれしたということの大きなきっかけになった事例でございます。

 堀越学園は、本来は幼稚園から出発しているんです。平成十六年四月に、その以前に短大その他も併設しましたが、創造学園大学という大学を開学いたします。そして、平成十八年四月には高崎医療技術福祉専門学校を開校。この二つが、きちんとした経営の見通しがないまま大きく展開したということが経営状況の悪化の大きな原因ではないかなと思っております。定員の未充足、あるいは賃金の未払い、税金の滞納、学校債の償還未履行など、さまざまな問題が発生しておりました。

 学校法人として実は非常に管理運営が正常に機能していなかったということがございまして、理事の地位をめぐる関係者の争いとか、非常に管理体制そのものがおかしかった。そして、報告の中で借金を小さく見せたりとか、完全な虚偽のあれがありましたので、そういう状況の中で、経営失敗、管理運営が正常に機能しなかったということが大きな原因だったと思っております。

吉田委員 大学の新設というのが、事業の見通しが無理があったということだろうと思います。大学新設さえしなければ、もっと安定経営ができたかもしれないというふうにも思われます。

 それで、今ちょっと触れられたのかもしれませんが、大学をつくるときの設置許可の申請の書類に虚偽記載があったということが、これは、五年後ぐらいに文科省が初めて検査に入ったときに判明をしたということであります。

 そこで、その虚偽記載というのはどういうものであったのか、そして、申請時にそれをなぜ見抜くことができなかったのか、さらには、五年後どうやってそれを見抜いたのか、その辺を教えていただきます。

常盤政府参考人 堀越学園につきましては、平成十六年度に開設をいたしました創造学園大学の設置に関して提出された申請書におきまして、添付された財務関係書類の負債額につきまして、実際の額よりも少ない額に改ざんをされていたわけでございます。申請書に添付をされておりました監査法人による監査報告書の署名押印が偽造をされていたということが判明した次第でございます。

 大学等の設置認可については、財産目録などの財務関係書類に加えまして、財産目録について公認会計士の監査結果を記載した書類、監査報告書を添付することとされておりますが、今回の事案におきましては、公認会計士の監査報告書の添付をもって、財産目録等の数字等が事実と相違ないと判断したところでございます。監査報告書の署名や押印が偽造されたものであるということまでは見抜くことができなかったというところでございます。

 この事案につきまして文部科学省はどのように把握したのかということでございますが、学校法人堀越学園における認可申請上の不正行為につきましては、財政状況の悪化の報道等を受けまして、経営面の現況等を確認するため、平成二十一年一月及び二月に文部科学省担当官による実地調査を実施いたしまして、その後の調査を進める過程で判明をしたものでございます。

吉田委員 もうちょっと具体的にお聞きしたかったんですが、なぜ見抜けなかったのかという御答弁に、公認会計士の監査報告書が偽造されていた、それが主な理由のように受け取りましたけれども、そうなると、結局公認会計士任せだったのかなという気もするんですよ。

 もう少し踏み込んで、バランスシートやら何やら財産目録やらいろいろ来るんでしょうから、許認可する立場でその数字の正確性、妥当性を文科省なりにチェックできなかったのかなという気がいたします。虚偽記載がそのときに見破られていれば、三億も四億もお金が足りないわけですから、当然大学の新設は許可が出ない、そうすると学園の破綻もなかったのかもしれない、こういうふうに思います。

 問題は、許認可に当たって、これは人、物、金、全部審査するんだと思います。例えば、経営陣がどういう方がやっているのか、さらには事業計画の見通しが妥当なのかどうか、さらには、今話題になっていますが、財務体質が健全なのかどうか、こういうことを全体的に審査していると思います。

 この堀越の事例を踏まえて審査体制の強化ということに恐らく文科省は取り組んでいるんだろうと思うんですが、その辺の状況を、これは副大臣にお伺いしたいと思います。

西川副大臣 確かに、大学設置に係る申請書類が適正に記載されているかどうか、これをチェックすることがまず一番大事だろうと思いますが、そういうときの最初のあれとして、申請書に係る根拠書類、例えば預金の写しを要求するとか、この書類の正確性をもう少しきちんとしていくべきだと、そんなふうに思っております。

 それから、審査基準の運用方法について、認可処分に重大な違法性がある、あるいは不正行為が組織的、意図的に行われているような場合に、理事長、学長、学部長、事務局長等組織としての責任を有する者が直接関与しているか否か、こういうところを、これから、この前起こったこの堀越の事案をしっかりチェック体制を強化して、審査基準、これをもう少し正確を期したいと思います。

 その中でもう一つのあれとしては、いわば悪意を持って虚偽の記載や偽造がなされた場合は、それを完全に把握するというのは大変厳しいことは事実なんですが、虚偽記載、不正な行為が行われた場合のペナルティー、これを厳しくするということが一つの方策だろうと思っておりまして、私学助成の減額あるいは私学助成の不交付、こういうことを行うとともに、最長五年間の不認可期間の設定、これをきちんと課す制度を設けまして、その防止に努めているところでございます。

吉田委員 根拠書類をしっかり審査するというお話、それからペナルティー強化。許認可をする所轄庁といいますか、文科省として、専門的な審査の目ききができる方々をさらに育てていただきたいというふうにお願いしたいと思います。

 それから、もう最後になりますけれども、今回の法改正の運用と効果の問題であります。

 私は、今までのこの御議論で、やはり、全体として進学率を上げるとか審査体制を充実させるとか、そういうことが私学全体の経営改善のためにはより基本的、より必要ではなかろうかというふうには思いますが、今回の法改正は、もっと直接的に措置命令を出せる、役員解任の勧告ができる、立入検査ができる、こういう制度を導入する、いわば所轄庁の権限の強化という法改正だというふうに思います。

 ただ、一方で、先ほども出ましたけれども、自主性と公共性のバランスということも必要ですので、ぜひ、そこは配慮しながら運営をしていただきたい。

 私学のサイドからは、文科省が介入するケースをなるべくその要件を具体的にという要請もあって、それも質問したいとは思いましたが、先ほどの中野委員の御質問で大体それは明らかになったと思います。

 最後に、これは大臣にお願いしたいと思いますけれども、今回の主として三つの手段を強化するということの法改正がなされると、今後、それはどのぐらいの効果を見込んでおられるのかということでございます。よろしくどうぞ。

下村国務大臣 今回の改正は、学校法人堀越学園のように、運営に重大な問題のある学校法人に対して適切かつ効果的に対応できるよう、所轄庁が学校法人に対して立入検査や必要な措置を命ずることができるようにしたものでございます。

 これは、最終的な措置としての解散命令に至るまでの間に段階的な措置を整備するというものでありまして、改善できる余地を失う前に、当該法人に対して、事態を改善する契機を与えるものでございます。

 この堀越学園は、実は私は群馬の高崎高校というところの出身なんですが、その隣にこの学園がありましたので高校時代からよく知っておりまして、小渕委員長の地元でもあるんですが、これは相当前から、この創造学園という大学ができたときから、いろいろなトラブルで地元ではもう連日のように報道されていた案件だったんですが、これに対して、今のような法律では国が何の対応もできなかった。これが数年間ある意味ではそのまま放置されたような状況があったということが今回の改正案にもつながっております。

 財政状況の悪化により結果的に教育活動の継続が困難、結果的に学生が一番の被害者である。これを防ぐということで、解散も避けられない学校法人に対して、新たな入学者の募集の停止を命ずること等を含めて、学生の保護を図るということが今回の法改正の効果として出てくるというふうに思います。

吉田委員 大臣のお話で、改善する契機を今回の法改正でより与えることができるようになるというお話でございました。

 今回の行政権限の強化、私も、堀越の事例を見るとやむを得ないことだと思います。さらには、私学全体にとっての経営環境の改善という意味では、進学率の向上とか、そして、そのためには社会全体で向学心が増してくるというようなことが一番根本的なようには思いますが、そういう方向での一層の取り組みをお願いして、終わります。

 ありがとうございました。

小渕委員長 次に、三宅博君。

三宅委員 日本維新の会の三宅博でございます。

 続きまして、私立学校法の一部改正案についてお伺いしたいと思います。

 今回、堀越学園の騒動といいますか、これに端を発してこの改正案ができたんですけれども、改正案を見ますと、非常に理事会に対して監督権限といいますか指導権限を強化されているんです。ただ、確かに大学の運営、経営の部分は理事会がやっているんですけれども、教学部分といいますか、内部の教学については教授会といった部分があるんですけれども、そこの部分はほとんど手つかずみたいな感じなんですね、私が見た限り。としますと、非常にバランスを欠いた部分があるんじゃないかというふうな思いがいたします。

 学校経営と教学部門、本来ですと、この両者に対して同等にやはりメスを入れていくべきではないかなと思うんですけれども、今回の改正案は理事会に対してのみ指導監督権限を強化されているように思えて仕方がないんです。

 そこでお聞きしたいんですけれども、堀越学園の事件の際に教授会の及ぼした影響、あるいは教授会の対応、これはずっと過去どのようなものであってこういうふうな結果に至ったのか。そのあたり、文科省の方は把握をされていらっしゃるかどうか、あるいはまた、その認識をちょっとお聞かせいただきたいと思います。

常盤政府参考人 堀越学園におきましては、教職員等の関係で申しますと、教職員に対する賃金の未払いというようなことがあったわけでございます。

 ただ、その賃金の未払いの期間におきましても教育活動は教職員の側でむしろ継続をしていたというような状況でございまして、その間の経緯において、教授会について特段何か問題があったということは承知をしておりません。

三宅委員 今私が質問をさせていただいたことに、大臣はどのような受けとめ方といいますか御認識をされているかどうか、ちょっとお聞かせいただきたいんです。

下村国務大臣 堀越学園における教授会については、今答弁したとおりであります。

 今回の法律改正案の趣旨でございますが、これは、私立学校法の改正、昨年、運営が極めて不適切な学校法人に対して解散を命じざるを得ない事案が発生するということから、学校法人をめぐる重大な問題が生じてきた、そういうことを含めて、所轄庁が重大な問題を抱える学校法人に対し適切に対応するための仕組みを設けるというものでございますが、教授会の問題については、大学ガバナンス改革の中で、これまでも教育再生実行会議それから中教審の中で議論されておりまして、三宅委員と同様の問題意識を持っております。

 そして、これは別の法案で、大学ガバナンス改革の中で、学長のあり方とかそれから教授会のあり方については今国会に法案として出させていただきたいと思っておりますが、今与党の中で議論をしていただいている最中でもございますので、これを踏まえて今国会に提出する予定でございます。

三宅委員 なぜこういうふうなことをお聞きしたかといいますと、本来理事会が責任を負うべきような問題といいますか、最終決定権を持つ問題にやはり教授会が相当容喙しているといいますか、そこに介入をしている部分があるんじゃないかなというふうな思いがいたしました。これはやはり、教授会の位置づけといいますか、私立学校法でその辺の規定が十分になされていない部分があるんじゃないかなと思うんです。

 学長の選任について、教授会で選挙をしたりとか、あるいはまた理事会で任命したりとか、いろいろなケースがあると思うんですけれども、そのあたりは、あるべき姿を大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか、ちょっとお聞きしたいんです。

下村国務大臣 まず、今回の堀越学園の例で申し上げれば、これは、理事会の存在というよりは、経営者の独断的な暴走によって、教授会が経営まで把握していなかった、あるいは全くタッチできるような状況でなかったというような、個別具体的な、極めて異例の事例だというふうに思います。

 一方で、現行における教授会のあり方については、学内における重要事項について審議するということが、教育研究全てにおいて、大学のガバナンスも含めて教授会が審議するということによって、結果的に大学改革が進んでいないのではないか。これから厳しい国際社会の中で我が国が生き残っていくための大学のガバナンスのあり方を考えると、教授会のあり方についても、教育研究ということが拡大解釈されて、全ての部分において教授会が大学ガバナンスに対して影響を与えているということが結果的にマイナスになっているのではないか。こういう問題点から、今、中教審の中でも議論され、そしてそれを踏まえて与党で議論していただいているところでもございます。

 特に私学においてはそれぞれ建学の精神もありますから、教授会をどう位置づけるかということについてはいろいろな議論があるところでありますが、教授会という存在がいろいろな意味で大学の経営に結果的にマイナスになっているということであれば、これは位置づけとして考えなきゃいけない。

 一方で、教授会は教授会として、位置づけそのものを否定するわけでは、存在そのものを否定するわけではもちろんありませんから、これを法律上どう改正として盛り込むかということは重要な課題であるというふうに認識しております。

三宅委員 今の大臣のお話を聞きまして、やはり相当な問題意識を持っていらっしゃる、あるいは具体的な改革像もそれなりに考えていらっしゃるということはよくわかりました。こういう部分にもやはりメスを入れていかないと、本当の意味で大学の改革というものが理想的な形で実行できないんじゃないかなと思うんです。

 これはよく御存じなんですけれども、本来教授会というのは、教学部門での最高議決機関といいますか意思決定機関なんです。そこでは、入試判定、卒業判定、学生の懲戒、あるいは教員の昇格とか採用、学則全般、こういった部分が決められていくんですけれども、ところが、やはり一部の学校においては、それを超えて運営面での意思決定に相当関与してきている部分があると思う。それが結果的にこういうふうな今回の、紛争に至らないにしても、学校運営、経営に相当暗い影を落としている部分も一部かいま見られるように思えて仕方がないので、こういうことをちょっとあえてお聞かせいただきました。

 やはり、さっきも申しましたように、学長の選任といいますか選挙といいますか、このあり方自体も、文科省として理想的な形を追求し、それを法律なりなんなりで規定していくべきではないかなというふうに思います。

 これは大学じゃないんですけれども、大阪で、東樟蔭だったと思うんですけれども、同じように新旧の理事会で相当な泥仕合みたいなふうになって、告訴合戦みたいな感じで、堀越学園の騒動と極めて似通ったような事件が起きているんですけれども、そのあたりは文科省の方は多少把握されていらっしゃいますか。報告等を聞いていらっしゃいますか。

常盤政府参考人 今御指摘がございましたのは、大阪において、学校法人樟蔭東学園の件かというふうに存じますが、その中で、理事の地位をめぐる争いであるとか、あるいは不適切な融資がなされたというような、そういう事案があるということは承知をしております。

三宅委員 このような、どちらかというと極めてまれなケースだと思うんですけれども、文科省の方にそういうふうないろいろな報告といいますか、あるいはまたその詳細等、ほかにも何件か把握されている案件はございますか。

常盤政府参考人 今、堀越学園の件と大樟東の件をお答えしたわけでございますけれども、私どもといたしまして、例えば今回のこういう措置命令が発動されるような、そういう状況に陥っているような学校法人というものの存在については把握をしてございません。

三宅委員 私立学校には国から巨額の助成金というのがここに注入されておりますので、やはり健全な経営、運営というものをできるように、いろいろな部分で整備をしていかなくてはならない。また、学校自体も迅速な意思決定をしていかなくてはならない。にもかかわらず、その部分が十分に発揮されていないというふうな部分がございますので、やはり教授会のあり方、本来ですと、教学部門において限定された最高意思決定機関である。

 その運営面と教学部分といいますか、経営面とこの部分の峻別というものをこれからもっとやっていかなくてはならないんですけれども、もう一度そのあたりの大臣のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 教授会は、別に最高決定機関ではありません。これは学校教育法の第九十三条の中に、「大学には、重要な事項を審議するため、教授会を置かなければならない。」こういう法文があります。この「重要な事項を審議するため、」という「重要」が、内容が明確でないということから、大学の経営に関する事項まで広範に審議される場合もあるということで、先ほど申し上げましたが、結果的に学長のリーダーシップを阻害している、こういう指摘もあるわけでございます。

 今後、大学のガバナンス改革というのは、つまり、大学を取り巻く社会環境が大きく変化をしているわけであります、それに対して日本の大学がトータル的に地盤沈下をするということでなく、国際社会の中で日本の大学が、といいますか日本の大学に通っている学生が世界の中で通用するような人材育成をするという意味では、大学そのものが社会の期待に応えていくような改革を常時していく必要があるという中で、大学ガバナンス改革の一つの位置づけとしての、教授会もそうですが、これは法律の中で役割を明確にしていく、この九十三条を改正してより役割の明確化を図っていく必要があるのではないか。

 それから、そもそもの大学のガバナンスの中で、何をもってガバナンスとするのかということでの学長の位置づけとか、あるいは学長の選考の仕方も含めて、今、今国会に向けた改正案として議論を与党の中でもしていただいているところでありますが、できるだけ早く国会に提案をして、国会の中で議論していただきたいというふうに考えております。

三宅委員 今学校教育法の九十三条のお話もされましたけれども、定められた法律が忠実に履行されていけば、こういう問題はそもそも起きないんですよ。やはりそれを逸脱したといいますか、これは、理事者側の理念とかあるいは人格とかそういったもの、いろいろと及ぼす部分もあるかもわかりませんけれども、十分に決められたことが履行されていない部分があるから、いろいろな事件が起きてくるというふうに思います。

 今大臣がおっしゃったように、最高意思決定機関じゃない、それはそのとおりなんですよ。ところが、教授会は最高議決機関であるとか、あるいは意思決定機関であるというふうに勘違いしている教授会が多いんじゃないでしょうかね。だからこそ、こういうふうにいろいろな問題で教授会が影を落とす。

 その勘違いしている原因は、学長選挙を教授会が決めたりとか、そういう部分もあるんじゃないかなと思うんですけれども、やはり学長の選考については、それなりのきちっとしたガイドラインみたいなものをこれから定められていった方がいいと思いますし、当然、大臣もそのあたりは視野に入れておられると思います。

 これは、単に話は大学だけじゃなしに、義務教育諸学校、小中学校なんかもそうなんですけれども、過去、職員会議が学校の最高意思決定機関であるというふうな勘違いで、何もかも、管理運営面まで職員会議でいろいろと決められてきた。まだその尾を引いているといいますか、いまだにそういうふうな、都道府県の義務教育諸学校においては最高意思決定機関であるかのごとくやっている学校が多くあると思うんですけれども、大臣、そのあたりはどのように把握あるいは認識されていらっしゃるか、ちょっとお聞きしたいんです。

下村国務大臣 職員会議の法律上の位置づけでありますが、これは学校教育法施行規則第四十八条により、校長の職務の円滑な執行を補助するものとして位置づけられているわけでございます。校長は職員会議を主宰することとされているということですから、当然、職員会議が最高意思決定機関ではないということであります。

三宅委員 ところが、学内のいろいろな人事について、校長がその決定権を持たずに職員会議が決定権を持ち、校長はそれを追認しているだけという、そのような実態が多くあるんですけれども、それはある程度御理解されていらっしゃると思いますし問題意識を持っていらっしゃると思いますけれども、文科省の方、このあたり、全国の義務教育諸学校の職員会議のあり方といいますか、現実にどういうふうに運営されているかどうか、どの程度これは把握されていらっしゃるんでしょうか。

下村国務大臣 実態調査について報告は後でさせていただきたいと思いますが、基本的にはそれは法制上あり得ない話でありまして、今四十八条の説明をさせていただきましたが、あくまでもこれは校長の職務の円滑な執行に資するための職員会議ということでありますから、当然、職員会議の意向によって人事が左右されるということはあり得ないわけでありまして、基本的には教育委員会がそれをするわけですね。

 ただ、今の御指摘は、校長のリーダーシップの問題と同時に、教育委員会のあり方そのものもやはり問題があって、三宅委員のような指摘がされているのではないかと思います。

 ぜひ今国会で教育委員会についても抜本的な改革案を提案させていただきたいというふうに思いますし、そういう中で、我が国は法治国家ですから、法律のもとで、きちっとしたルールの中でそれぞれが職務ができるような体制に持っていくということは当然のことだというふうに思います。

三宅委員 今、大臣、そういうことはあり得ない、あってはいけないというふうにおっしゃいましたけれども、現実に多くあるんですよ。そのあたり、文科省の方が十分に現場の実態を把握されていないと思えて仕方がないんですね。

 人事の面につきましてもその他運営面につきましても、校長の権限というのが発揮されていない学校が数多くあるといいますか、そういう都道府県が数多くある。しかしながら、文科省がその実態を把握できないから、これは指導もできませんよね。そのあたり、どうなんですか。

常盤政府参考人 先ほどの直接のお答えになるかどうかわかりませんが、実態把握という点でございますけれども、先生御指摘のような事態がかつてにおいて、私もある県の教育委員会に出向で行っていたことがございますけれども、例えばその県において不適切な職員会議の運営がなされている。その中で校長権限をしっかり確立するということを、県の教育委員会の指導の徹底の中でそういう点をしっかりと適正化したというふうな事例もございます。

 そういう事例がかつてあったことは事実でございますし、今も必ずしも全て把握できているわけではございませんけれども、そういう状況を踏まえた上で、先ほど申しましたような、法令の規定での職員会議の位置づけの整備というようなことがなされたというふうに承知をしております。

三宅委員 かつては多くあったと。今、絶無とは言えないけれども、ほとんどなくなったというふうに思っていらっしゃるんですか。そんなことはないでしょう。まだ数多く全国に残っているでしょう。あなた方はその実態把握ができていないんじゃないんですか。

下村国務大臣 これは逃げているわけじゃなくて、担当が私学部長それから高等局長で、今御質問されているのは初中局の分野で、事前に通告していただいていれば担当部局がいることになっているんですが、今の御質問に対しては担当部局がいないということです。

 ただ、今の御質問ですけれども、これは、そういう危惧を受けて、平成十二年に改正をしております。平成十二年の改正のときの趣旨というのは、お話があったように、

 一部の地域において、校長と職員の意見や考え方の相違により、職員会議の本来の機能が発揮されない場合や、職員会議があたかも意思決定権を有するような運営がなされ、校長がその職責を果たせない場合などの問題点が指摘されていることにかんがみ、職員会議の運営の適正化を図る観点から、省令に職員会議に関する規定を新たに設け、その意義・役割を明確にする

というのが、平成十二年のときの学校教育法施行規則等の一部を改正する省令の施行通知案でございます。

 その後変わっていないのではないかという御指摘ですが、実態調査をしている部局がきょう来ておりませんけれども、その後どうなっているかということについては、私の方でも改めて把握をするようにしたいと思います。

三宅委員 大臣にお伺いしたいんですけれども、人事についてなんです。

 これは、ある自治体といいますか、私は大阪の八尾市なんですけれども、八尾市を例に挙げれば、新規採用ですと四年、あるいはそれ以外ですと七年、本人の申し出がない限りこれを異動させてはならないというふうな教育委員会からの通知といいますか指導があるんですけれども、そのあたり、御存じですか。それを今聞いて、そのことに対してどのような印象を受けられましたでしょうか。

下村国務大臣 それは大阪特有の内規のような形なのかなというふうに思ってお聞きしました。

 そういうことはほかの自治体では基本的にはあり得ないのではないかという感想を持ちました。

三宅委員 あり得ないことが大阪ではあると。これは単に大阪だけじゃないんですよ。ほかでもあるんですよ、やはり。そのことに関して、言ってみれば十分な人事権というものを教育委員なり校長が持っていないということを私はちょっと申し上げているんですよ。

 それに対して、大臣、どういうふうな問題意識を感じられますか。

下村国務大臣 人事権は教育委員会が持っているものでありますが、その教育委員会が人事権を行使できていないということは問題だと思います。

三宅委員 これは、過去、教育委員会とそれから組合、日教組なりの間で取り決めといいますか、そういうふうな協定が結ばれて、いまだにずっとそれが存続しているということを申し上げているんです。だから、本来持つべき教育委員会の人事権が十分に発揮されていない。組合が相当人事に対して意向を反映しているということをちょっと申し上げているんです。

 これは単に異動だけじゃなしに、いろいろな、主任とか主事とか、これの選任についても、教育委員というよりも組合の意向が反映されるようなシステムがいまだにずっと残っているんですよ。存続をしているんですね。

 例えて言えば、中学校ですと、生徒指導主事とか教務主任とか進路指導主事とか学年主任とか、いろいろあるでしょう。これも、教育委員会によっては、職員会議が、職員会議といいますかそこで勝手に人事委員会みたいなのをつくるんですな。人事委員会みたいなのをつくってそこが決めて、校長がこれを追認するというふうな形になっているんですよ。これが実態なんですよ、今現在も。

 今お話をお聞きになってどう思いますか、大臣。

下村国務大臣 今から十年ぐらい前だと思いますけれども、文部科学大臣政務官をしていたとき、当時中山成彬先生が大臣のときなんですが、スクールミーティングをしようということになりまして、全国三百校を手分けして回ったんですね。その中で唯一拒否されたところが実は大阪だったんです。ほかは全部オープンで迎え入れてくれたんですが、それだけ大阪は非常に組合の意向で教育委員会が迎え入れない、唯一の残念なところだという印象がいまだにありまして、今後これは、私は大阪の教育委員会も問題があると思いますよ、ですから、教育委員会制度改革の中で、きちっとした人事権が行使できるような、そういう体質改善をぜひしていただきたいというふうに思います。

三宅委員 組合が実質的には学内の主任あるいは主事の決定権を持っているというふうに今お話をさせていただきました。

 大臣は、いや、それは大阪だけの特殊な事例だ、大阪はおかしいというふうに今おっしゃったけれども、大阪の名誉のために言いますけれども、大阪だけじゃないですよ、こんなのは。

 それでは広島はどうなんですか。広島は、部落解放同盟やら組合と五者協議、七者協議、八者協議とやって、学校の管理運営面とか教学部門の内容を左右されてきたでしょう。やってきたでしょう。だからいろいろな悲劇が生まれてきたんじゃないんですか。そのあたりは御存じでしょう。どう思っているんですか、それは。

下村国務大臣 私が申し上げているのは、スクールミーティングで唯一受け入れてくれないところが大阪だったということを申し上げているわけで、ほかは全てうまくいっているということを申し上げているわけでは全くありません。

三宅委員 もう時間がなくなってきましたので、またの機会にこういうお話を、相当深く入り込んだ話をちょっとやりたいと思いますけれども、最後にお礼もちょっと、お礼といいますか、私個人のお礼じゃないんですよ。

 前に、去年の臨時国会で、学校といえば人権が好きでしょう、教育現場というのは。人権や平和や平等あるいは国際理解、これは全て前置詞みたいなものがつくんです。全て学校で、全てと言ったらあれなんですけれども、多く学校で繰り広げられている教育の人権、平和、平等、国際理解、ほとんど反日のあれなんですな。

 そういう中で、やはり日本の最優先課題である人権の拉致問題の「めぐみ」のビデオをもっと実施すべきじゃないかなというふうに前に指摘させていただいて、きのうある県の教員とちょっとお話ししておりましたら、おかげさんで相当県内でこれが実施されてきています、ほぼ八〇%「めぐみ」のビデオというのが実施されてきたということ。それをお聞きしまして、相当やはり各県の教育委員会に対してこれを実施するようにという指導を強くされたんだなというふうに思いました。本当にそういう部分では感謝申し上げて、質問といたします。

 終わります。ありがとうございました。

小渕委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは私立学校法の一部改正法案ということで、この堀越学園の一連の事件を契機にした今回の法律改正案に関しては、特に大きな問題はない、積極的に進めてほしいと我が党も思うところでございます。

 そこできょうは、この個別的な事象の分析というよりは、時代的な背景、これは当然乱脈経営などが原因となってこういう形になっているとは思うんですけれども、学生がどんどんどんどん少なくなっている、定員割れしている大学が私立大学では四割もあるというこの現状もやはりしっかりと議論して、分析をしていかなければいけないんだというふうに思っております。

 これは平成二十三年の数字になりますけれども、大学受験者数が六十七万人いて、入学者が六十一万人ということでございます。現在、ほぼ九割近い方が入学できる、全入時代になっている。こういう時代になっているにもかかわらず、やはり私立の四割は、先ほど申し上げました定員割れを起こしております。

 一方で、これは入試倍率になりますけれども、きょうもネットに出ていました、近畿大学で物すごい入試の倍率になっている。また、東京でも明治大学というようなところが非常に就職なんかもよくて学生に評判がいい。こういう形で、しっかりと経営戦略が功を奏しているところと、残念ながらそうでないところと、若干、二極化しているのではないかなというような危惧もしております。努力をしているけれども、生徒数がなかなかふえていかない、受験者数も頭打ちというところです。

 二〇〇〇年以降、大学設立に関して抑制傾向がなくなってきたということで、さらには、同一学種の学部に関して許認可制から届け出制になって、新設大学、新設学部が数多くできている印象があります。そして、少子高齢化という現実の前に、四割の私立大学が定員割れを起こす状況になっております。

 これに関して、少子高齢化に比して相対的に大学が多いのか、学部が多いのか、定員が多いのかという議論、いやいや、そうではなくて大学は少ないんだ、欧米と比較しても少ないんだ、定員の一・三倍まで受け入れられるというようなそういった裁量がそもそも問題なんだというような、さまざまな議論がされていると思います。

 そこでお伺いしたいんですが、この大学、学部の設立に関して、高等教育計画では今後どのようにしていくのか。つまり、その量的規模に対する認識と今後の方針について御説明いただければと思います。

吉田政府参考人 高等教育計画につきまして御質問がございました。

 我が国では、昭和五十一年度以降、高等教育計画を策定し、十八歳人口の増減等も踏まえた上で高等教育規模を想定して、大学等の新増設の抑制等を行った経緯がございます。しかしながら、その後、大学が社会の変化等に対応して、みずからの判断により多様でかつ特色ある教育研究活動を展開できるように、平成十五年度から抑制方針を原則として撤廃し、設置認可の弾力化を図ってきているところでございます。

 二〇〇〇年度から二〇一三年度にかけましての十八歳人口の減少の状況を見てみますと、百五十一万人から百二十三万人ということで約一九%の減少というのがございます。この間、四年制大学と短期大学を合わせた大学の入学定員は七%ということで、数字で申し上げますと七十万人から六十五万人ということで五万人の減少というような形になってきております。

 また一方、大学数ということについて見てみますと、二〇〇〇年度から二〇一三年度にかけてでございますけれども、四年制大学が百三十三校増加をしてきておりますが、一方で短期大学は二百十三校減少をしておりまして、四年制大学と短期大学と合わせた学校数では千二百二十一校から千百四十一校へということで、八十校の減少というものが見られるところでございます。

 大学数の減少ということにつきましては、短大が四年制大学に改組するということのほかに、閉校する短期大学も増加をしているというふうなことがございます。

 また、十八歳人口の減少ほどに入学定員が減っていないということについては、やはり高等教育へのニーズが高まり進学率が上昇したということ、これは四九・一%から五五・一%という形でこの間上昇をしております。そういったものが背景にあるものというふうに考えております。

 私どもとしては、基本的には大学が社会の変化等に対応して、みずからの判断により多様で特色ある教育研究が展開できるように、そういう趣旨から大学の設置認可というものを行ってまいりたいと思っております。

柏倉委員 量的規模に関して、多い少ないに関しては、そんなにとらわれないということなんですね。

 基本的には、多様性に基づいてさまざまな教育を提供するという意味では、それは多ければ多いほどいいんでしょうけれども、やはり定員割れをかなりしているところもあります。そういうところは当然経営も厳しいわけであります。そういった現実に適応しようとさまざまに工夫を凝らしているわけでございますが、特に地方ではやはり受験者がどうしても地域限定、その地方限定なんですね。文字どおり孤立化しているような状況の大学もあります。先細りする受験者数、入学者数に頭を抱えている、こういう大学も、私立大学は地方に行けば行くほどあると思います。

 私学ですから、経営という観点でいけば会社と同じで、経営努力をしていかなくてはいけない、そして生き残りのために創意工夫をして魅力ある大学をつくっていかなければいけないわけです。

 しかし一方、こういう競争をして自分たちで生徒を確保しなさい、経営も改善していきなさいという考えもある一方、文科省の分科会の議事録を見ても、いやいや、そもそも大学は競争に向くような組織じゃないんだ、これはやはりアカデミックというのを一義的によりどころとしているところなので、競争というのはなかなか難しいんだという意見をお持ちの方もいらっしゃいます。

 簡単でないのは十分承知をしておりますが、このままいきますとやはり自然淘汰されてしまう、経営の悪い大学がいつの間にかぼんぼん特に地方でなくなっていってしまうんじゃないかという危惧を私は抱いております。やはり在学生、OB、OGたちがよりどころを失わないように、最低限度のマネジメントというのを国が考えていくべきじゃないかというふうにも思っております。

 つまり、再編というものも、やはり私立大学であっても国が何らかの関与をしていく、こういったことをそろそろ考えなくてはいけないのかなというふうにも思うわけです。

 もちろん私学ですから、その経営母体は一つ一つ違う。建学の精神も当然違う。非常に難しいわけです。この二十年間で大学法人同士の合併ですけれども、これを見ますと八件しかないわけです。相思相愛のところもあれば、吸収合併なのかなと思わせるようなものもございます。いずれにしても、大学同士助け合う、支え合うというのは、当然会社が違うわけですから非常に難しいわけです。

 私が危惧するのは、自然淘汰によっていびつな形で大学の地域偏在、こういったものが生じてしまうんじゃないかという危惧を持っているわけです。地方の大学はなくなってしまう。やはり首都圏、大都市に大学が偏ってしまう。こういった格差型偏在といいますか、こういったような状況だけは何とか避けられないかなと今から思うわけでございます。

 そこで大臣に御意見をお伺いしたいんですが、定員を大きく割っている、かつ財務状況もよくない大学、そういったものを何とか、どういう形でもなくさない、再編という形も含めて国が主導していく、そういった私立大学再編に関して大臣の御所見を伺えればと思います。

下村国務大臣 学校法人が経営基盤の強化のため他の学校法人と合併するということも有効な手段の一つかもしれませんが、基本的に、合併は学校法人の自主的な判断によって行われるべきものであるというふうに思います。このため、建学の精神に基づき私立学校を運営し、その自主性が尊重されるべき学校法人について、国が関与をし再編を行うということは、これはすべきことではないというふうに私は思います。

 一方、学校法人の健全な経営に向けた支援は必要であるわけでありまして、文科省においては、私学事業団と緊密に連携し、各学校法人の経営状況を分析するとともに、学校法人の運営調査等を通じて、経営が悪化している学校法人に対して個別に経営指導、助言を実施し、学校法人の経営改善に向けた取り組みを支援していきたいと思っております。

 さらにこれから国が必要なことは、そもそも一校当たりで考えると私学助成額が減額している。ですから、私学助成金が、本来の趣旨にのっとった限りなく二分の一に近いようなアップを国がすることによって財政的な支援といいますか、そして、先ほど来の御質問でもお答えをさせていただいておりますが、そもそも我が国の大学進学率はOECD諸国に比べて平均以下といいますか下位ですから、今後、知識基盤社会に向けて、やはり高度な教育力を一人一人に身につけるチャンス、可能性を提供するという意味では、これは大学の質も量も両方高めていく必要があるというふうに思いますし、そういう部分から各大学に対して応援をしていかなければならないというふうに思っています。

柏倉委員 各大学のボトムアップを図っていくということが基本方針であるということでよろしいですね。

 済みません、資料をきょうは出させていただきました。時間がないので簡単に紹介します。

 これは北海道の私立大学のさまざまな取り組みを書いている新聞なんですけれども、とにかく北海道というのは、大学が二十三校あって十一校が定員割れしている、少子化も全国で三番目に進んでいて、なおかつ景気も悪い、進学率も高くない、いわゆる現在の私立受難の縮図みたいなところであるということですね。

 そこで、こういった中で、かなり私立大学は頑張ってやっております。例えば北海道情報大学は、入試担当者が道内の各高校を年間五回以上訪問して、その高校からの入学者の近況や就職先を伝えている、こういったものから、ミニオープンキャンパスをいろいろ積極的にやっていく。

 こういう私立大学の取り組み、非常に切迫感を持ってやっているわけですけれども、こういった私立大学の取り組みに何らかの効果的な助成というのを国が考えるべきではないかと思いますが、その辺のところをお聞かせいただければと思います。

西川副大臣 お答えさせていただきます。

 確かに、今、少子化の中、そして不況もあったと思いますが、各地方の大学の経営状況というのは大変厳しいのは事実でございまして、私立大学のうち地方大学の割合、政令指定都市と二十三区を除きますと、それをいわゆる地方大学と言っておりますけれども、これが学校数で約六割、学生数で四割となっておりまして、地方における進学機会の確保あるいは多様な教育の機会を提供するということで、大変大事だと思っております。

 今先生の御指摘のような大変厳しい中でいろいろな取り組みをしていただいているという中で、文科省としても、いわば大学を全部同じ色ではなくて、将来的にやはり、今世界のトップ百に日本の大学が余り入っていない、いろいろなことがありますので、いわばスーパーなそういうところを目指す大学と、あともう一つは、やはり地域に本当に密着した、地域貢献、そういうことをしっかりと見据えた、いろいろないい活動を展開している大学、そこにはしっかりと援助をしていこう、そういう方向性を出しております。

 そういう中で、自治体と連携し、地域の拠点として教育研究、社会貢献を行う大学を支援する、これは地(知)の拠点整備事業と申しまして、チというのは地方の地、それに括弧して知識の知とかけているんですけれども、この事業として、平成二十五年度は二十三億予算はありましたが、平成二十六年度予算案で三十四億円を計上いたしまして十一億円の増、こういうことで、いろいろな取り組みをしている地方の大学を援助していこう、そういうことを考えております。

 そしてまた一方で、全学的な国際化の改革に取り組む大学に私学助成を重点的に配分する私立大学等改革総合支援事業、これは平成二十五年度から二十六年度には約二十三億円を増額いたしまして二百一億円計上しておりまして、こういうさまざまな財政支援を行っているところでございます。

 文科省としても、一つの方向性というんでしょうか、頑張っている地方の大学は一生懸命応援しよう、それともう一つ、世界に通用する大学、スーパーな大学もという、そんな方向性をにらみながら、しっかり頑張っている大学には応援していきたいと思っております。

柏倉委員 ありがとうございます。

 私は地元は北海道ではありませんけれども、北海道は非常に今平均年収でも大きく全国を下回っているというところだそうです。ぜひこういった地方の大学にも日を当てていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

小渕委員長 次に、井出庸生君。

井出委員 結いの党、信州長野の井出庸生です。よろしくお願いをいたします。

 昨日、震災から三年という節目の日を迎えまして、私もまた改めて、その復興また原発事故の収束、そういったものに取り組んでいかなければいけない、皆様と同様にそういう思いを新たにしました。

 そこで、きょうまず冒頭に、原発の賠償について、先日、私、予算委員会の分科会でも指摘をさせていただいたのですが、その件について伺います。

 先日の分科会で私が指摘をさせていただいたのは、東京電力が社員に対して社員限りの文書を配って、その社員がどういう住宅に住んでいるのか、それによって賠償の終期、終わりの期限を示している、その結果、東電の社員、家族に賠償の事実上の返還請求がなされたりしている。また、この間の分科会で明らかになったのは、この二年半で、東京電力がADRの和解を拒否した、東京電力の意向で拒否したものが十五件あった、その全てが、被災者が東電の社員または家族だと。私は、これはどんなに違うと東電が否定をしても、社員、家族とそうでない被災者の方との現実的な差別があると思って、改善を求めました。

 その分科会で大臣から、「文科省としては、今後とも、東京電力が指針の趣旨に沿って、」紛争審査会がつくっている指針ですね、「迅速、公正かつ適正な賠償を行うよう働きかけたいと思います。」という御答弁をいただきましたが、具体的にその後改善の働きかけをしていただいたのか、まず大臣にお伺いします。

下村国務大臣 本件については、東京電力を監督する責任を有する経済産業省が、転居の事実のみをもって賠償の打ち切りとせず、指針の趣旨に沿って、個別具体的な事情に十分配慮するよう東京電力に対して指導していることを確認したところでございます。

 先日の委員の御指摘を受けまして、再度経産省に確認をいたしました。経産省から東京電力に対し、被害を受けた方が社員であっても、個別の事情を踏まえ、適切な対応を行うよう改めて指導したということでございます。

 文科省としては、引き続き、被害者に寄り添い、経産省と連携して、指針の趣旨に沿って、迅速、公正かつ適正な賠償を行うよう東京電力に働きかけてまいりたいと思います。

井出委員 今、経済産業省の方に確認をしていただいた、経済産業省から東京電力の方に改めて指導していただいたというお話がありました。

 きょう経済産業省の方にも来ていただいているんですが、本当は東電の人にも来ていただきたいと思ったんですが、さきの分科会で東電の方は、どうもちょっとした行き違いがとか、私は行き違いどころではないと思っていて、その東電をまさに監督するお立場である経産省にお伺いをしたいんですが、改めての指導の中で、東電から、では今後こうした事態を改善していく、そういった回答があったのかなかったのか。どういう話し合いがなされたのか。お聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 二月二十六日の予算委員会第四分科会での委員の御指摘を踏まえて、私ども資源エネルギー庁から東京電力に対して、被害者が東京電力社員の場合であっても、賠償の終了の判断に当たっては、被害者の個々の事情を踏まえた適切な判断を行うように改めて指導をした次第でございます。

井出委員 東京電力からはどのような対応、意向が示されたのか、改めてお聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもからの指導に対して、東京電力からは、指導の趣旨を踏まえ、引き続き個別の事情を考慮した判断をしていきたいという回答があったところでございます。

井出委員 私は、東京電力また経済産業省が社員とそうでない方を区別はしていない、また、避難をしている状態を見て精神的苦痛に対する賠償をする、決して住居や引っ越しという事実をもって賠償を打ち切ったりするようなことはないということをこれまで繰り返し伺ってはいるんですが、ただ、現実的に、賠償金の返還請求をされている、また、先ほども申し上げましたが、東電側が和解を打ち切っているのは社員とその家族だけだ、そういう現実が現にあるんですね。

 東京電力の社員の方が、こうした事故があって非常に社会的責任もある、声を上げにくい、そういった、声を上げないで我慢しているところに会社側が、その気持ちを、表現が適切かどうかわかりませんが、逆手にとるというかその気持ちに入り込む形で、東電の社員や家族に対して一般の方より賠償の金額が大きく少なくなっているのではないか。それが問題の根本だと私は思っているんですが、まず経済産業省、監督する立場としていかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 賠償が終了する場合、これは、避難生活が終われば精神的損害に対する賠償は終了するというのは、被災者が東京電力の社員であれそれ以外の方であれ共通のルールであります。

 その避難の終了の判断に当たって、一部の報道にあるような、転居の事実のみをもって避難が終了した、したがって賠償は終了する、そのような判断はしない、あくまでも個別の事情を踏まえて判断をするというふうに東京電力からは聞いているところでございます。

 この考え方に沿って、個々の事情を踏まえて、引き続き、損害賠償を適正に行うように指導してまいりたいと考えております。

井出委員 先日の分科会でなかなか東京電力から、当事者から思ったような御回答がいただけなかった。ですから、きょうはその監督責任のある経済産業省に来ていただいているんですが。

 経済産業省と東京電力がお互いその方針をよしとして、現実的な賠償金、社員とそうでない人との賠償金を黙認しているとなれば、やはり文部科学省が、和解の仲介をやっている、和解仲介に対する指針も出している、そして大臣も公正な賠償に努めてまいりますということはもう何度もおっしゃっていると思うんですが、やはり文部科学省のお立場から、私は先日は、審判がレッドカードを出さなきゃだめだ、もっと強く言っていただきたいと思っているんですが、この現実について、大臣からもう一度答弁をいただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘の、審査会が策定した指針、これは避難を余儀なくされた者の精神的損害等について類型的に示したものでありますが、避難指示が解除された場合のほかに、居住形態等でどのような場合を避難を余儀なくされた状態ではなくなったとするかは、これはまさに個別具体的な事情に応じて当事者間で判断されるべきものであるというふうに思います。

 その点、今回の東京電力の対応というのは、一般の方に比べて社員の方は、東京電力側からするとより具体的に個別具体的な事情に応じて対応するということでありまして、それにのっとって対応するという意味であれば、これは必ずしも指針に反するということは言えないというふうに思います。

 あとは、個別具体的な解決についてちゃんとしてほしいということを我々としてはお願いするという立場であります。

井出委員 今、東京電力の社員に対してやっている賠償が指針に沿っていると。特に、社員のことだから、家族ですとか生活実態とかいろいろわかるからそういう対応ができるんだと。

 もしそうおっしゃられることをそのままのみ込めば、ほかの一般の被災者の方にこれまでやってきている賠償は、東電や経産省の本意ではない、東電の社員や家族にやっている賠償が本来東電、経産省がやろうとしている賠償で、その指針をつくっているのは文部科学省ということになる、そういう理解になってしまうんじゃないかと思うんですが、経産省、いかがでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げたとおり、避難生活を余儀なくされている方に対して精神的損害を賠償するというのが指針の考え方でございます。この指針の考え方に沿って、事実関係に即して、個別の事情を考慮して損害賠償を行っていくということに尽きると考えております。

井出委員 賠償は公正にやっていただきたい。しかしながら、こういう現実がある。

 日曜日だったと思うんですが、日曜日の毎日新聞に、今度は東電の社員の家財の賠償についての記事が出ておりました。またこれは家財の賠償が東電の社員が少ないという話なんですが、その記事によりますと、そのとき、東電は社員に文書を配って、事故における当社の立場を鑑みて、一般の方への賠償額と大きく異なるところ、だけれどもそれを理解してほしいと。

 やはり私は、こういう記事も、私この記事もまだ承知したばかりなので私自身も細かいことはわかっておりませんが、社員なんだから我慢しろと。声を上げられない社員に対して、やはり私は、問題の根本は、社員かそうじゃないかで社員に余計な我慢を強いているんじゃないか、公正とは言えないんじゃないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

下村国務大臣 まず、今の記事についてでありますが、東京電力による賠償の実施につき直接担当している経産省が今調査中というふうに聞いております。

 そして、審査会が策定した指針では、東京電力の社員とそれ以外の方とで異なる手法を適用するといった考え方は盛り込まれておりません。

井出委員 今、調査をという話がありましたが、経産省、これも改善をしていただけるおつもりで調査をされているんですか。経産省、最後に伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 報道を受けて東京電力に確認をしたところ、被災した単身、独身の社員に対して、家財賠償における社員の取り扱いについて通知をしたということでございます。

 その通知の中では、火災保険における賠償基準を参考に、東京電力の単身、独身の社員として考えられる一般的な居住スペース等を踏まえて、学生の方と同じ基準を適用しているという説明を受けております。あわせて、東京電力からは、基準を超える家財の賠償が必要な場合には、個別の賠償においてその超過分も賠償するという説明を受けております。

 したがって、私どもとしては、東京電力の社員であるという理由だけによって一般の方と東京電力の社員を別の扱いにしているというふうには考えておりません。

 他方、このような説明を受けたのに対しまして、私どもから東京電力に対しては、東京電力の社員であるか否かにかかわらず、被害の実態に沿って賠償を進めるように改めて指導をしたところでございます。

井出委員 時間になりましたので終わりますが、くれぐれも公正というところをしっかりやっていただきますようお願いをいたします。

 終わります。

小渕委員長 次に、宮本岳志君。

宮本委員 日本共産党の宮本岳志です。

 まず、本法案は、公教育の一端を担う私立学校、とりわけ我が国の高等教育においてその学生の七五%を担っている私立大学に大きな影響を及ぼす法案であります。我が党わずか十五分というような審議時間で質疑、採決を行うことに、強く抗議を申し上げたいと思います。

 本法案の直接の契機となったのは、群馬県の学校法人堀越学園に対する昨年三月二十八日付の解散命令とそれに至る経緯だと思うんですね。

 私立学校法は十年前に抜本改正をされ、理事会の明確化など一定の管理運営制度の改善がなされたはずであります。それにもかかわらず、堀越学園のような事態がいまだに後を絶たない。これは一体どういう理由によるのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 学校法人制度は、私学の自主性への信頼を基盤に、行政の関与を最低限抑制する制度として、学校法人の設立と解散について行政の関与に係らせつつ、その間における学校法人の運営については、行政は関与を極力控えるものとして制度が設けられました。

 平成十六年の私学法の改正についても、こうした中で、学校法人の自主的、機動的な管理運営機能の強化を図るため、学校法人の理事会の制度の整備、監事機能の強化、評議員会制度の改善等を行ったところでございます。

 一方で、昨年、自主的な管理運営という私立学校制度の趣旨を逸脱、濫用し、所轄庁の指導に対しても真摯な対応を行わず、当該学校法人のみならず私学全体や私学行政に対する不信感につながるような異例な事態が生じたところであります。

 このため、今回、所轄庁による最終的な措置としての解散命令に至るまでの間に、段階的な措置として、所轄庁による報告聴取、立入検査、必要な措置の命令の制度を創設するというものにしたものであります。

宮本委員 この堀越学園の今回の事件というのは、たび重なる法令違反、あるいは不祥事、経営状況の悪化と、採算を度外視した施設拡張もやりましたし、美術品の購入等々、私も中身を見て、本当に驚くべき中身であります。

 これは、やはり理事長の専断的な学園運営によって引き起こされたという面が私は一番大きいというふうに思うんですけれども、こういう認識は文科省もお持ちですね。

常盤政府参考人 堀越学園におきましては、当時の理事長のもと、賃金の未払い、公共料金の滞納など、さまざまな問題があったということは事実でございます。

 一方で、当時の理事会は、経営を立て直すため新しい理事長を迎え入れるなどの取り組みを行ったこともございました。ただ、結果として、法人の理事の地位をめぐる関係者の対立等が起こりまして、理事会が混乱して適切な意思決定がなされないなど、学校法人としての管理運営が正常に機能していなかったということが主な原因だというふうに考えております。

宮本委員 ところで、お伺いするんですけれども、今回の堀越学園問題でも、文部科学省は早くからこの堀越理事長の専横的な学園運営と賃金や一時金の不払い、税や社会保険料の未納、私学共済掛金の滞納など、放漫、乱脈ともいうべき経営の実態を教職員組合から知らされてきたのではありませんか。

常盤政府参考人 堀越学園につきましては、平成十九年ごろから、法人の役員や教職員等から理事会の機能不全や財務状況の悪化等について情報提供がございまして、文部科学省としても、経営上の問題が生じているということを認識していたところでございます。

 このため、情報提供のあった事実関係等について、その都度法人に確認するとともに、重ねて指導してきたというところでございます。

宮本委員 二〇一〇年三月に、組合が文科省を訪れた際に、文科省と群馬県にそれぞれ提出された財務諸表の数字に食い違いがある、このことを組合から指摘したことを契機に、国の私大経常費補助が不交付とされました。その後の文科省の調査で、学園が二〇〇三年四月の大学設置認可申請時に提出した財産目録と貸借対照表を虚偽記載していること、あるいは公認会計士の押印まで偽造していたことが発覚をいたしました。ですから、職員からのこういう指摘というものもあったわけですね。

 その後、二〇一一年の十一月二十九日に、創造学園大学創造芸術学部、そしてソーシャルワーク学部の合同教授会は、規定に基づく新学長選任を求める要求書を議決するなど、理事長の専横を正そうという教授会の動きもこれはございました。

 先ほど、教授会が大学のガバナンスの障害となっているという議論がありましたが、全くこれは逆でありまして、そういう教授会の動きも含めて、ことごとくこれは理事長、理事会の専横と混乱によって自律的な改善には結びつかなかったというのが、今回の堀越学園の事例であります。

 これは、理事長や理事会に大きな裁量を与えて、理事会をチェックすべき評議員会や監事の機能がたやすく、形骸化しようと思えば形骸化される、ともすれば専断的な運営が可能となる今の私立学校法に根本的な問題があるのではないかと私は思いますが、大臣はどうお考えになるでしょうか。

下村国務大臣 堀越学園では、当時の理事長のもとで、賃金の未払い、公共料金の滞納などさまざまな問題があったということは、これは御指摘のとおりであります。一方で、堀越学園においては、内部的なチェックという観点から、監事の選任方法について必ずしもその機能を果たすことができなかった。また、経営を立て直すため当時の理事会が新しい理事長を迎え入れるなどの取り組みを行ったところでありますが、その後、理事間の対立により理事会が正常な意思決定を行えなくなってしまった、そういう状況が出てきたわけでございます。

 このように、堀越学園の問題は、内部的なチェック機能を重視するという方向性には一定の限界があり、むしろ、公共性を高める観点から、異例な事態において所轄庁が適切に対応することができるようにする制度を設ける必要があると考えるものであります。

宮本委員 私学に関しては、文科省は、それぞれの学校法人が、建学の精神に基づき多様な教育を展開できるように、自主性、自律性が尊重されているというふうに答弁をしてこられました。これはもう当然の大原則だと思うんです。ところが、この自主性、自律性の最大の保証ともいうべき民主的な内部チェックの体制をどうつくるかということを本来は考えなければならないところを、文科省が事前に介入する規定を新たに設けようというのが今回の改正案の特徴だと思うんです。民主的な内部チェックの体制を保障することこそ中心問題だと、私はそう思うんです。

 これは二〇〇四年、十年前の私学法の抜本改正のときにもこういうことが議論になりました。二〇〇四年四月十四日の当委員会で、我が党の石井郁子衆議院議員は、大阪の当時の明浄短大、明浄大学の問題を取り上げて、教授会など教学側の意向を尊重せず、理事会が一方的に事を進めていることを指摘いたしました。当時の私学部長は、「学校法人の経営は、経営側と教学側、いわゆる両サイドが相互の役割分担を理解して、協力し合って進めていくことが大変重要だと私どもも考えておる」と答弁をしております。

 また、四月の二十七日、参議院文教科学委員会では、我が党の林紀子議員が、大学設置認可申請時の当初計画の変更を文科省に無断で行った秀明大学の事例を取り上げて、「いち早く問題を気付いて具体的に指摘できるのは現場の教職員ではないか」、こういう問題提起をいたしました。このとき政府はどう答弁をしておりますか。

常盤政府参考人 今御指摘の委員会におきましては、当時の副大臣から、学校法人が健全に、また安定的、継続的に運営されるためには、監査制度の強化、充実が必要であります、また、それとは別に、いわゆる内部監査、中の人が自主自律の立場からいろいろ問題点を監督するということも非常に大切だろうと考えておりますというふうに御答弁をしております。

宮本委員 教職員の声もしっかり聞いて、内部監査機能、内部チェックの体制を充実するように取り組みたいという答弁がこのときにもされているわけです。

 私立大学に働く教職員の労働組合である日本私大教連は、既にこの私立学校法改正要綱というものを発表しておられます。この中を見ますと、法改正をするならば、学校法人の役員、理事長、理事、監事の公正な選任、教職員の運営への参画、監事制度の改善、理事会に対する評議員会のチェック機能の強化、財務諸表の公開の促進といった制度改正こそ行うべきだというふうに御提案されているわけですが、大臣、こういう改革こそ必要なのではありませんか。

下村国務大臣 今回の改正は、学校法人堀越学園の事例など、自主的、自律的な管理運営を重視する私立学校制度の趣旨を逸脱、濫用した異例な事態への対応が必要な状況も生じたことから、所轄庁が異例な事態に的確かつ効果的に対応できるための制度を設けるものであります。

 今回の制度改正を議論した大学設置・学校法人審議会のワーキンググループにおいても、法人運営の透明性の一層の向上や法人内部のガバナンスのさらなる強化など、学校法人制度の充実全般についても議論がされたところでもあり、私学の自主性の観点にも十分留意しつつ、さらにこれはこれで議論を深めていくことは大切であるというふうに思います。

 御指摘の日本私立大学教職員組合連合の案は、教職員から選出された評議員を四割以上とし、評議員会に強い権限を与えることなどを内容とするものであるというふうに承知しておりますが、学校法人制度は、設立時の寄附者の意思及び寄附行為を基盤に置きつつ、理事会が最終的な意思決定機関として運営していくものであり、監事や評議員会が適切に役割分担しながら、それぞれに期待される機能を発揮していくことが重要であるというふうに考えます。

宮本委員 今大臣も触れられたように、本法案のもとになった大学設置・学校法人審議会学校法人分科会が昨年八月に発表した報告を見ましても、解散命令に至る以前に改善を促すための段階的な手段を整備するという今回の法改正を提言するとともに、所轄庁による法的な関与により改善を促されることがないようにするための学校法人制度の充実全般についても議論されて、具体的には、財務諸表の公開の充実や内部統制システムの強化といった論点もきちっと挙げられているわけであります。

 堀越学園では、二〇一一年九月から十九カ月、教職員に賃金は支払われませんでした。もちろん一時金は二〇〇八年以来支給をされておりません。文科省が二〇一三年三月末までに解散命令を出すということを決定した二〇一二年十月二十五日以降も理事会は混乱を続け、理事長はまともな対応すらしようとはしなかった。

 そういう状況のもとで、学生の学ぶ権利の保障を優先して活動し、学生たちのほとんどを無事卒業、転学させるために、いわば一円も受け取らずに頑張り抜いてきたのは、まさに教職員と教職員組合の方々だったと私は思うんです。この方々の声に耳を傾ける、そして、そういう方々に未払いになっている賃金をこのままにせず、きちっとやはり解決していく方向で力を尽くす、このことがどうしても必要だと思うんですけれども、最後に大臣の御見解を聞きたいというふうに思います。

下村国務大臣 この件は、先ほど申し上げたように、私も相当前から存じ上げておりましたし、関係者が私のところにも、大臣になる前の話ですが、相談にも来られておりました。

 教職員の方々が、未払いであっても子供たちに授業を教えるということについては、ぜひ放棄をしないでやっていきたいというその熱意と情熱は、本当に胸を打たれるものがあります。やはり、子供第一主義ということで考えてもらった。解散命令が出た後も、希望する学生がほかの学校等で学べるような環境づくりも、教職員の方々も努力されたんだろうというふうに思います。

 ただ、解散命令された後でございますので、今の法制度のもとでその分の給料を補填するというのは、残念ながらなかなかこれは難しいことではないかと思います。

宮本委員 ぜひしっかりと耳を傾けていただきますようにお願いをして、質問を終わります。

小渕委員長 次に、青木愛君。

青木委員 生活の党の青木でございます。

 私立学校法の一部を改正する法律案について質問をいたします。よろしくお願いいたします。

 現在、私立学校に在学をする学生生徒の割合は、大学、短大で約八割、高等学校で三割、幼稚園で八割、専修、各種学校で九割以上と、私立学校は、多様化する国民のニーズに応じた特色ある教育研究への期待も高まり、我が国の学校教育の発展に質、量ともに重要な役割を果たしております。

 一方、今なお繰り返される不祥事は、たとえ一部でありましても、私立大学、私立学校全体の社会的信頼を損なうことになり、不祥事の根絶は、私立学校全体にとっても大きな課題となっています。

 私立学校を設置する学校法人には、その公共性を担保するために、昭和二十四年に制定されました私立学校法でさまざまなルールが定められております。そして平成十六年には、やはり、私立大学での相次ぐ不祥事を受けまして、制定以来初めての私立学校法の大幅な改正が行われました。

 具体的な改正内容は、理事会の制度の改善、監事制度の改善、評議員会制度の改善、情報公開の推進、この四点を大きな柱とするものでした。しかし、改正されたこの私立学校法では不祥事の発生を防止できないということが、今回のまた事件で明らかになったわけでございます。

 私立大学のこの不祥事は、先ほどから指摘がありますが、理事会による大学への介入や支配、理事長のワンマン支配、私物化された運営、こうした中で発生をしている場合が多く、現行の私立学校法では、理事会体制が刷新されない限りは、例えば、投機的な資産運用で大学に巨額の損害を負わせた学校法人の役員が法的責任や賠償責任を追及されることもありません。監事、評議員会の権限は大変弱く、理事会の体制を刷新することは極めて困難であると指摘をされています。

 このような点から、今回の法案の改正は重要な問題が生じてからの対応策となっておりますが、これとあわせて、そもそもこうした重大な問題が生じないように、根本的な解決を図るための抜本的な私立学校法の改正が必要だと考えます。

 もちろん、健全に運営をされている学校法人の自主性を損ねること、また、圧迫するものであってはなりませんけれども、学校法人制度そのものに踏み込んだ私立学校法の改正もやはり必要なのではないかと考えますが、下村大臣の御所見をお伺いをいたします。

下村国務大臣 今回の改正案は、自主的、自律的な管理運営を重視する私立学校制度の趣旨を逸脱、濫用した異例な事態への対応が必要な状況も生じたことから、所轄庁が異例な事態に的確かつ効果的に対応できるための制度を設けるというものにしたものであります。

 しかし、御指摘のように、今回の制度改正を議論した大学設置・学校法人審議会のワーキンググループにおいて、法人運営の透明性の一層の向上や法人内部のガバナンスのさらなる強化など、学校法人制度の充実全般についても議論をされたところでございます。

 私学の自主性の観点も十分に踏まえつつ、さらに議論を深め、そして、これと並行して、今国会で大学ガバナンス改革、先ほど申し上げましたが、学長の選考の仕方あるいは教授会のあり方等を含めた法案を今国会にぜひ提出をさせていただきたいと、今用意をしているところであります。

青木委員 前向きな検討と捉えさせていただきますが、平成十六年の四本柱でありました改正内容、前進をしたものの、やはり問題が残されていたわけであります。それが明らかになったわけであります。

 その問題とは、理事長が理事全員を任命することが可能であったり、監事を監査される側の理事会が任命をしていたり、役員が学校法人に重大な損害を発生させても責任を追及する枠組みが未整備であったり、財務情報の公開が閲覧にとどまっていたり、こうした問題点が考えられるわけでございます。

 今、大臣からも御答弁にございました大学設置・学校法人審議会学校法人分科会の八月の報告を拝見いたしますと、学校法人制度のあり方全般にかかわる論点を展開することとは今回はしていない。ただ、「制度の改善の視点として、その必要性や有効性に留意しつつ、実情に応じて論議が将来的に深められることも有意義と考えられる。」とございました。

 若干、先送りの感も否めないわけでございますけれども、今回の法案改正とあわせて、ぜひ、抜本的な学校法人のあり方についても踏み込んだ取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 再度御答弁いただけますでしょうか、今の点を踏まえて。

下村国務大臣 御指摘の点はそのとおりだというふうに思います。

 一方で、私学の自主性の観点、これも十分に担保する必要があるというふうに思いますし、一方で、厳しいグローバル社会、国際社会の中で、我が国の大学が少子高齢化という現実的なハンディキャップを負いつつ、質、量ともに充実をしながら、世界の中で伍していくような人材育成をしていくための大学のあり方あるいは私学のあり方等についても、法整備を考えていく時期に来ていると思います。

青木委員 ありがとうございます。問題点の認識は共有させていただいているというふうに思いました。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、今回の法案の中で幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 所轄庁の唯一の制度的手段であります解散命令に至る以前に、その改善を促すための段階的な手段の整備の必要性からこのたびの審査に至ったと認識をしておりますが、質問が重なりますけれども、まず、どのように問題のある学校法人を把握されるのかをお伺いしたいと思います。

 文科大臣が所轄する学校法人数は六百七十一、都道府県所轄法人数は六千百五十三、準学校法人数は一千百十九法人に及びます。これだけの数がある中で、どのように問題ある学校法人を把握されるのか、そして、現在どの程度把握をされているのか、問題を有する学校法人は今幾つくらいあるのか、その点についてお伺いをさせていただきます。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正によりまして新たに規定をする報告及び検査の必要性等は、私学助成を受ける学校法人が所轄庁に届け出ます財務関係書類など、所轄庁が、さまざまな情報を総合しつつ、みずからの権限と責任において適切に判断をすることになると思います。

 具体的には、私学助成の交付を受けている学校法人から私立学校振興助成法に基づきまして届け出される財務計算に関する書類であるとか、あるいは、学校法人がホームページ等で公表している財務計算に関する書類もございます。また、監事が学校法人が法令あるいは寄附行為等に違反する重大な事実を発見した場合には、所轄庁への報告ということもございます。また、関係者による情報提供ということもあろうかと思います。こういうものを通じて把握をしているという状況でございます。

 これらのことからさらに具体の情報が必要な場合には、当該学校法人に対しまして任意の情報提供等を求めることとなり、これによりがたい場合には、今回の改正により創設される報告徴取、立入検査によることとなるわけでございます。

 先ほど来、措置命令を講じる場合等についての、どういう例が考えられるのかということについても御答弁をさせていただいたところでございます。

 昨年、堀越学園に解散命令ということになりましたが、現時点において私どもとして、そのような状態に立ち至っているというものは把握をしていないというのが現状でございます。

青木委員 問題を有している学校法人がみずから正確な情報を申し出るというのもなかなか考えにくいわけでありまして、多くは、教職員による問題提起であったり、また、組合による取り組みがあったり、あるいはまた、定期的な文科省の現場の視察といいますか、情報報告を求めているかとは思いますけれども、これだけの数があって、本当にまず立ち入りの前の把握ができるのかどうかというのは、大変疑問に思うところでもございます。

 それゆえに、やはりこうした問題が起こらない、法律の抜本的な改正が必要ではないかというふうに考えるところでございます。

 もう一点用意した質問がございますので、重なりますが、質問をさせていただきます。

 改正案の第六十条一項でございますが、「所轄庁は、学校法人が、法令の規定、法令の規定に基づく所轄庁の処分若しくは寄附行為に違反し、又はその運営が著しく適正を欠く」、この「著しく適正を欠く」というのはどういうことなのか。「と認めるときは、当該学校法人に対し、期限を定めて、違反の停止、運営の改善」、そこまではわかりますが、「その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」とございます。

 「運営が著しく適正を欠くと認めるとき」というのはどういうことを指すのか、また、「その他必要な措置」というものもどういうものを指すのか、極めて曖昧でありまして、所轄庁の行政権限の濫用につながる危惧もございます。また、審議会委員の判断に左右されるのではないかという指摘もございますけれども、その二点について改めてお伺いをさせていただきます。

常盤政府参考人 今回の改正では、所轄庁が措置命令を行い得る場合といたしまして、他の公益的な法人制度における同様の措置も参考として規定を設けたところでございます。

 具体的に措置命令を行い得る事例といたしましては、学校の運営に必要な資産の不足により教育研究活動へ支障が生じている場合や、理事会において必要な意思決定ができず、教育研究活動への支障や学校法人の財産に重大な損害が生じている場合を想定しております。

 このうち、運営が著しく適正を欠く場合ということでございますけれども、明白に法令違反とまでは言えない状態ではあるけれども、私立学校の設置者として求められる要件に照らして適正を欠く場合で、具体的には、理事の地位をめぐる訴訟により、必要な予算の編成や事業計画の策定がなされず、教育研究活動に支障が生じている場合、あるいは、理事が第三者の利益を図る目的で学校法人の財産を不当に流用し、学校法人の財産に重大な損害を与えている場合などが想定されるというふうに考えてございます。

 また、違反の停止、運営の改善その他必要な措置ということでございます。

 改正法第六十条に規定する措置命令を行う場合の具体的な例といたしましては、違反の停止や運営の改善を図るものとして、私立学校法第二十五条に定める、学校法人として必要な資産を有していない場合に、改善計画を作成して必要な財産を備えるよう命ずること、あるいは、理事が未充足である場合に速やかに理事を選任するよう命ずることなどが考えられます。

 さらに、その他必要な措置でございますけれども、財政状況の悪化により教育活動の継続が困難となり、解散も避けられない学校法人がなお学生の募集を行おうとする場合に、新たな入学生の募集の停止を命じることなども想定されるものと考えております。

青木委員 ありがとうございます。

 今回のこの重大な問題が起きてからの対応策と文科省の権限強化だけでは、不祥事を起こさない仕組みづくり、抜本的な改革にはなかなかならないだろうというふうにも思います。

 ぜひ、それとあわせて、私立学校法の弱点に焦点を合わせていただきまして抜本的な改正の速やかな検討もお願いをし、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

小渕委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日最後の質問となりますが、何とぞよろしくお願いいたします。

 私立学校に通う学生の割合は、大学や短大で約八割、高校で約三割、専修学校や各種学校では九割以上を占め、日本の教育の大きな部分を担っていることは明らかです。私立学校が独自性を発揮し、特色ある教育を推進できるように、あらゆる面でのサポートが必要だというふうにも考えます。

 ただ、学校法人堀越学園の事例が示すように、放漫な経営を続け、財務書類さえ偽造した上に、教職員の賃金未払い、税や社会保険料の未納を繰り返し、解散せざるを得なかった悪質なケースも存在しております。

 堀越学園の事例では、教職員の方々はいまだに労働債権を確保できておりません。また、在学生がいる中、初めての学校法人の解散命令が発出されたわけですが、生徒や園児の学ぶ権利も奪われかねなかった重大な事案だろうというふうにも思います。

 このようなことを二度と繰り返させないためにも、しっかりとした対応が必要だ、そのように考えます。

 さて、今回の法改正で、理事の忠実義務規定を置くほか、措置命令、あるいは役員解任勧告や検査規定を整備するということになりますけれども、この法改正が実施された場合、堀越学園のケースでいえば、解散命令を発出する前に具体的にどのようなことができたのか。

 先ほど大臣からも答弁がありましたが、この問題が発覚したといいますか世間に知れ渡ったのは、二〇〇四年からもう既に地元のマスコミ等々では言われ始めておりました。言葉は文部科学省としていろいろな指導だとかもされたと思いますけれども、結局、十年間何も改善されることなく、最後は解散ということになってしまいました。

 今回の法改正によって具体的にどのような段階で措置がとられるのかということについて、答弁をお願いします。

常盤政府参考人 お答え申し上げます。

 堀越学園におきましては、学校の運営に必要な資産が確保されず、また、理事会において必要な意思決定ができないこととなり、教育研究活動に支障が生じるという状況になっていたわけでございます。

 今回の改正では、同学園のように運営に重大な問題のある学校法人に対して的確かつ効果的に対応できるよう、所轄庁が学校法人に対して立入検査や必要な措置を命ずることができることとするなど、最終的な措置としての解散命令に至るまでの間に段階的な措置を整備するというものでございます。

 学校法人堀越学園の場合、私どもが問題を認知いたしましてから平成二十三年の末まで、繰り返し学校法人運営改善の指導を行っていたわけでございますけれども、有効な改善計画が提出をされないという状況が続いてきたわけでございます。

 二十四年の一月以降、理事間の対立が裁判等の争いになりまして、理事会が正常に機能し得ないという状況に陥りました。こうした中で文書による指導も行いましたが、その後提出された改善報告書も、具体性がなく、内容が不十分なものであった。このような中で文部科学省が現地調査を行ったところ、学校法人側より入構を拒否され、現地で調査を行うことができなかったというような状況でございました。

 今回の改正によりまして立入検査あるいは措置命令が制度化された場合には、こうしたそれぞれの段階におきまして、必要な事実を確認するために報告及び検査ができるようになりますし、また、学校法人の運営のあり方について検討し改善計画を作成し実行すること、あるいは理事間の対立を解消し理事会の機能を回復すること、こういうことなどについて必要な措置を命ずることが可能となるというふうに考えております。

 また、さらに、解散が避けられなくなった段階におきましては、新たな学生募集の停止であるとか、適切な転学支援等必要な措置を命ずることも可能になるというふうに考えております。

吉川(元)委員 問題発覚が二〇〇四年といいますか、世間に知られたのは二〇〇四年なわけでして、どの段階でいろいろな措置をとれるようになるのか。もう際の際まで来ていろいろやったとしても、できるだけ早い段階で、未然に大きな問題にならないように措置をするというのが大切だろうというふうに思います。

 今ちょっとお話を聞くと、どの段階でというのが少しはっきりとはしなかったんですが、できる限り最悪の事態になる前に、できるだけ早い段階での手当てというのが必要なんだろうというふうに思います。

 次に、具体的な内容についてお聞きしようと思ったのですけれども、もうほかの委員の先生方からも御質問がありましたので、ここでは、行政の裁量が際限なく拡大していくということがないように、そこのところだけ指摘をさせていただきまして、次の質問に入りたいというふうに思います。

 私立学校の自主性や独立性を保障するために、今も言いましたが、行政が過度に介入するということは好ましいことではないというふうには思います。他方、これだけ多くの学生や園児が私立の学校法人で学んでいる現状の中で、放漫経営などの不祥事による被害が生徒や園児あるいは教職員に及ぶことがないような、実効性のある措置が必要だろうと思います。

 実は、前回の私立学校法の改正、二〇〇四年に行われましたけれども、その際にも、不祥事を防止するために、通知や行政指導ではなくて、法律で定めて遵守させることが必要なのではないかというような質問も多くの委員から出されたというふうに聞いております。その際、文科省の方としては、法案の修正を行わず、法改正の趣旨を徹底していく、そういう答弁を一貫して続けられました。

 ちょうどその時期に堀越学園でのいわゆる不祥事というものが表面化したわけで、結果的に言うと、二〇〇四年の改正では不十分だったということではなかったかというふうにも思います。

 この点からしまして、国や自治体から助成を受けている私立学校の経営については、公共性の維持という観点から、一般社団法人あるいは一般財団法人に準じた措置を整備する必要性があるのではないでしょうか。私立学校を一般社団、一般財団法人等と比較をいたしますと、経営側である理事長や理事の権限、裁量権が非常に強いような気がいたします。

 今回、法改正で、理事の忠実義務規定を置き、所轄庁による役員解任勧告規定を置きましたが、実効性という観点からは果たしてどうなのかという疑問もあります。

 堀越学園の問題にとどまらず、私立学校の不祥事は後を絶たないという状況でありますし、理事らの学校経営側の無自覚や無責任さから生じているということも考えますと、法律で理事の選任のあり方や責任を明確化してもいいのではないかというふうにも思います。

 その立場から二点ほど指摘をさせていただきます。

 まず一点目ですけれども、私立学校法では、理事の選任は、校長と評議員から選任された者に加え、寄附行為の定めによって選任された者となっております。一般社団・財団法人法では、理事の選任は社員総会か評議員会で行うことが規定されていますから、私立学校法においても、原則は評議員会によって選出するとした方が、恣意的な理事の選任を防げるのではないでしょうか。

 それから二点目としては、学校法人の役員、すなわち理事や監事の責任についてです。

 二〇〇四年に、先ほども触れましたが、私立学校法は大幅に改正をされましたが、その後、二〇〇八年のリーマン・ショックの際に表面化したわけですけれども、少なからぬ私立大学で、デリバティブ取引などによって巨額の損失が発生をいたしました。生徒からの授業料や、あるいは国、自治体の補助金をもって運用されているそういう学校が、リスクを伴う投機活動を行うこと自体が果たして適正なのかという問題がありますが、現行の私立学校法では、学校運営に巨額の損失を与えた際に、経営側に責任を問う仕組みが十分ではありません。

 これに対して、例えば一般社団・財団法人法の第百十一条では、「理事、監事又は会計監査人は、その任務を怠ったときは、一般社団法人に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」ということが明記をされております。私立学校法でもこのような規定を整備することが必要ではないかと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

常盤政府参考人 学校法人の理事につきましては、学校法人の公共性を高め、その運営に教育的な観点を確保するため、設置する学校の校長、当該学校法人の評議員、その他寄附行為の定めるところにより選任された者から選任するということとされております。

 平成十六年の私立学校法の改正におきまして、学校法人の運営に多様な意見を取り入れ、経営機能を強化するという観点から、いわゆる外部理事の選任を法令上義務づけたということがございます。また、理事の任期や選任、解任の方法等についても寄附行為に必ず規定するということとするなど、その改善を図ってきたところでございます。

 学校法人の役員の責任の明確化につきましては、今回、理事に対して、御指摘にございましたように、忠実義務を規定するということでございます。理事が学校法人のために忠実に職務を行うべきことを私立学校法上明確にすることといたしておりますので、これによりまして、理事の職務の指針となるとともに、理事の忠実義務違反が民事上の損害賠償責任にもつながる可能性があることから、理事が法令等に違反する行為の抑止も期待できるものと考えております。

 なお、今回の制度改正を議論いたしました大学設置・学校法人審議会のワーキンググループにおきましても、先ほど来御議論に出ておりますが、法人運営の透明性の一層の向上、法人内部のガバナンスのさらなる強化など、学校法人制度の充実全般についても議論がなされたところでございまして、私学の自主性の観点にも十分留意しつつ、さらに議論を深めていくということが大切であるというふうに考えております。

吉川(元)委員 やはり、理事会というものがいわゆる暴走を始めたときにそれをとめ得る力が学内になければ、ガバナンスというものもできないだろうというふうにも思いますし、今回の法改正、我が党としては一歩前進であるとは思いますけれども、引き続き、私立学校に混乱がないようなそういう法改正を今後もお願いしたいというふうに思います。

 もう時間もあとわずかとなりましたので、最後にちょっと大臣の方に、私立学校の経営の基盤のことについてお伺いをしたいというふうに思います。

 二〇〇三年、私立大学の新設についての抑制方針が転換され、以降、四年制の私立大学が大幅に増加をいたしました。他方で少子化も進んでおりますから、生徒の確保については、私立大学にとっても至上命題というふうになっております。入学定員を満たしていない大学は全体の約四割、短大では六一%に達し、また、充足率が五〇%未満の大学や短大も存在をしているというふうにも聞いております。

 これはいろいろな見方があるんだろうと思いますけれども、東日本大震災の影響を受けてということもあるかとは思いますけれども、リスク管理の債権の割合も今ふえつつあるということも聞いております。

 そういう中で、今後の私学の経営をどう安定をさせていくかということについてお尋ねをしたいと思います。

 残念ながら、家計所得全体もこの間ずっと下がってまいりましたし、そういう意味では、少子化の進行もあわせて、学校法人の努力だけで解決できるということではないだろうと思います。

 来年度予算案では、私立大学等の経常費補助がことしに比べて約九億円ふえており、また、私立高校への経常費助成も十八億円強ふえているということで、文科省としては、私立学校への支援について努力されているということはうかがえます。

 ただし、私立大学で経常的経費に占める経常的補助金の割合というのは、ここ数年、一割程度にとどまっているのが現状です。ちょっと古い話になるんですけれども、私立学校振興助成法、一九七五年に成立をいたしましたが、その際の参議院の文教委員会の附帯決議で、「私立大学に対する国の補助は二分の一以内となっているが、できるだけ速やかに二分の一とするよう努めること。」こういう附帯決議が付されております。

 もちろん、現下の国の財政状況を勘案すれば、直ちにこの水準ということは難しいというのはわかりますけれども、現状はこの附帯決議から遠く離れているということは、これは間違いないだろうというふうに思います。

 この現状についてどのように認識をお持ちになり、また、今後どのように対応されていくのかについてお尋ねします。

下村国務大臣 吉川委員御指摘のように、文科省としては、私立大学等経常費補助金について、平成二十六年度の予算案では、四年ぶりの増額となる、対前年度九億円増の三千百八十四億円を計上するなど、充実に努めていきたいと思っております。

 一方、教育研究の高度化によりまして、大学の経常費経費が年々増大する中、現時点での補助割合は、御指摘のように一〇%程度ということでございます。

 現下の厳しい財政状況を考えてみますと、補助率二分の一を速やかに達成するということは非常に困難でありますが、今、文部科学省の中にも、教育財源確保のための勉強会、これは外部の有識者の方々、二十人ぐらいの方々に参加していただいて行っておりまして、できるだけ経済的な理由にとらわれず、あるいは、私立学校においても、全ての子供たちにチャンス、可能性を提供できるような形での財源確保ということを努めていかなければならないというふうに思いますし、中長期的な戦略を含めて、全ての子供たちに、私立学校も含め、大学、大学院まで進学できるような、そういう経済的負担軽減に対してさらに精力的にぜひ努めてまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 私立大学、私立学校への支援、経営の安定のためにまた引き続き努力していただくことをお願いして、私の方からの質問を終わります。

小渕委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。宮本岳志君。

宮本委員 私は、日本共産党を代表して、私立学校法の一部を改正する法律案に反対の立場で討論を行います。

 本改正の直接の契機となった群馬県の学校法人堀越学園が解散命令でしか無軌道、無責任な学園経営を正すことができなかったことから、解散命令に至る前の段階で行政の法的関与を強化するとしております。

 堀越学園のみならず、学校法人の不祥事の根本原因は、現行の私立学校法が大きな裁量を理事長、理事会に付与し、理事会のチェックすべき評議員会や監事の機能がたやすく形骸化され、ともすれば専断的運営が可能となる仕組みとなっていることにあります。

 本法案は、学校法人に対して行政が関与するための法的措置が新設され強化されるのみで、私立学校の公共性の確保、向上のために必要な学校法人自身のチェック機能、自浄能力を高めるための制度改正は何ら盛り込まれておりません。学校法人の自浄能力を高めるための制度改正を行わないまま行政の法的権限だけを強化することは、問題を未然に防止することにはつながりません。

 今求められているのは、学校法人の役員、理事長、理事、監事の公正な選任、教職員の運営への参画、監事制度の改善、理事会に対する評議員会のチェック機能の強化、財務情報の公開の促進など、私立学校の公共性の確保、向上を進める私立学校法の改正です。

 行政が果たすべきは、設置認可審査の強化、私立学校振興助成法に基づく処分など、現行の法的権限を適切に行使し、教職員などからの告発などに的確に対応し運営の改善を促すことで、問題の未然防止に努めることです。

 本法案により、私立学校の自主性を尊重し、抑制的、限定的であるべき行政の法的関与が強化され、これを背景にした行政による学校法人への指導強化、介入も懸念されます。また、本改正案第六十条第一項には、「その運営が著しく適正を欠く」ときにも措置命令を発することができるなど、恣意的な運用も可能となる広い裁量が所轄庁に与えられており、私学の自主性が侵害されかねません。

 よって、本法案には賛同できないことを申し上げ、討論といたします。

小渕委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

小渕委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、私立学校法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

小渕委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小渕委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

小渕委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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