衆議院

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第4号 平成26年10月31日(金曜日)

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平成二十六年十月三十一日(金曜日)

    午前十時二分開議

 出席委員

   委員長 西川 京子君

   理事 櫻田 義孝君 理事 冨岡  勉君

   理事 萩生田光一君 理事 福井  照君

   理事 義家 弘介君 理事 中川 正春君

   理事 鈴木  望君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    池田 佳隆君

      石崎  徹君    神山 佐市君

      菅野さちこ君    木内  均君

      木原  稔君    工藤 彰三君

      小林 茂樹君    桜井  宏君

      新開 裕司君    野中  厚君

      馳   浩君    宮内 秀樹君

      宮川 典子君   山本ともひろ君

      渡辺 孝一君    菊田真紀子君

      松本 剛明君    笠  浩史君

      遠藤  敬君    椎木  保君

      中野 洋昌君    田沼 隆志君

      中山 成彬君    柏倉 祐司君

      宮本 岳志君    青木  愛君

      吉川  元君    山口  壯君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   外務大臣政務官      薗浦健太郎君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 吉利君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省研究開発局長)            田中  敏君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力損害対応総合調整官)   森本 英雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月三十一日

 辞任         補欠選任

  熊田 裕通君     石崎  徹君

  比嘉奈津美君     渡辺 孝一君

同日

 辞任         補欠選任

  石崎  徹君     熊田 裕通君

  渡辺 孝一君     比嘉奈津美君

    ―――――――――――――

十月三十日

 原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案(内閣提出第二七号)

 原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案(内閣提出第二七号)

 原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

西川委員長 これより会議を開きます。

 この際、下村文部科学大臣から発言を求められておりますので、これを許します。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 おはようございます。

 当委員会における十月二十九日の田沼隆志委員及び吉川元委員の御質問に対する答弁において、教科書の共同採択に関し、各教育委員会は採択地区協議会の結果と異なる教科書を採択し得る趣旨の発言をしましたが、これは誤りであり、正しくは、共同採択地区内の市町村教育委員会は、採択地区協議会における協議の結果に基づき、同一の教科書を採択するというものであります。

 また、共同採択地区に参加するかどうかは各教育委員会の判断のみで可能ととられるような発言をしましたが、採択地区の設定及び変更は、市町村教育委員会の意見を聞いて都道府県教育委員会が行うものです。

 ここで、さきの発言が不正確であるものとし、訂正し、おわびいたします。

     ――――◇―――――

西川委員長 それでは、内閣提出、原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案及び原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。下村文部科学大臣。

    ―――――――――――――

 原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案

 原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

下村国務大臣 このたび政府から提出いたしました原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案及び原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所事故の当事国として、原子力損害に関する国際的な賠償制度の構築に貢献することが我が国の責務と考えられます。

 このような状況の中で、締約国間で補完的な資金調達の制度を設けること及び事故発生国に裁判管轄権が専属すること等を定め、国際原子力機関において平成九年に採択された原子力損害の補完的な補償に関する条約につきまして、我が国として締結することを承認いただくために、今国会に提出されているところであります。

 今般提出いたしました二つの法律案は、ともに相まって、この条約の適確な実施を確保するための所要の国内法整備を行うことを目的とするものであります。

 まず、原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律案について内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、国は、原子力事業者が賠償する原子力損害の金額が政令で定める金額を超える場合において、当該原子力事業者に対する原子力損害の賠償の請求の訴えについて、条約の規定により日本の裁判所が管轄権を有することとされているときは、当該原子力事業者に対し、原子力損害を賠償するために必要な資金の一部を補助することとしております。

 第二に、文部科学大臣は、条約の規定により算定される額の拠出金に要する費用に充てるため、各原子力事業者から、毎年度、一般負担金を徴収することとしております。また、原子力事業者が賠償する原子力損害の金額が政令で定める額を超えた場合は、当該原子力事業者から特別負担金を徴収することとしております。負担金の額の算定については、拠出金の額等の事情を考慮して、政令で定めることとしております。

 なお、この法律案は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行することとしております。

 次に、原子力損害の賠償に関する法律及び原子力損害賠償補償契約に関する法律の一部を改正する法律案について内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、原子力事業者間の核燃料物質等の運搬により生じた原子力損害の賠償責任に関する特約及び求償権に関する特約は書面によることとし、原子力事業者は、他にその損害の発生の原因について責めに任ずべき自然人があるときであって、当該損害が当該自然人の故意により生じたものである場合は、その者に対して求償権を有することとしております。

 第二に、核燃料物質等の運搬に係る原子力損害賠償責任保険契約及び原子力損害賠償補償契約については、保険者及び政府は、当該運搬の開始後その終了までの間においては、これを解除することができないこととしております。

 なお、この法律案は、条約が日本国について効力を生ずる日から施行することとしております。

 以上が、これらの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

西川委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

西川委員長 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として、外務省大臣官房審議官中村吉利君、文部科学省初等中等教育局長小松親次郎君、研究開発局長田中敏君、資源エネルギー庁原子力損害対応総合調整官森本英雄君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君、以上の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

西川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

西川委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨岡勉君。

冨岡委員 おはようございます。自由民主党、冨岡勉でございます。

 本日、下村大臣におかれましては、常日ごろから、教育改革、鋭意本当に努力され取り組まれておられますことを、まずもって敬意をもって表したいと思います。

 きょうの議題と申しますのは、原子力損害の補完的な補償に関する条約、コンベンション・オン・サプリメンタリー・コンペンセーション・フォー・ニュークリア・ダメージ、以後CSC条約と呼ばせていただきます。ちょっと毛色の変わったような議題ではございますけれども、文部科学行政にとっても、また外交上も大変重たい条約の審議だと私自身は思うわけでございます。

 なぜかと申しますと、スリーマイル島そしてチェルノブイリ、いろいろな事故に対する補償、賠償が問題になってまいりました。我が国においても、残念ながら、福島の事故によって今もってなお非常に甚大な被害をこうむられる方たち、賠償問題が現実にあるわけでございます。いつこの加害国あるいは被害国になるやもしれない。

 こういった中で、国際的には、御案内のように、パリ条約一九六〇年、あるいはウィーン条約一九六三年、これらの条約がヨーロッパにおいてチェルノブイリ等の事故を契機に締結がなされたわけでございますが、この歴史をちょっと振り返ってみると、一九六八年に発効したパリ条約では、その最低賠償額が、日本円に直しますと二十三億円、あるいは改正条約がしておるのを見ても九百六十億円、ウィーン条約に至っては、一九七七年に発効した賠償最高額はわずか五億円であります。

 今、これが改正をされようとして、ウィーン条約も改正がされようとしておりますけれども、こういった条約がありますが、今の我が国においての賠償額に比べると、実際に損害が発生して四兆円とも五兆円とも言われる我が国としたら、なかなか低額であるということがまず一点指摘されるのではないかと思います。

 そこで、今回のCSC条約においてこの金額を見ると、四百七十億円という金額が出てきております。

 我が国が、いろいろな条約がある中でCSCの条約を締結する、また、それに伴ってこの国内法の整備をする、なぜこのタイミングでやるのか。随分昔からいろいろな条約があり、加入をしていなかったわけでございます。

 このCSC、国際原子力機関でのこの条約も、一九九七年に既に採択されており、その後、アメリカを初めとして五カ国が加盟しております。CSCの拠出金制度や原子力損害賠償についての国際ルールは、原子力事故時の賠償の充実や、被害者の迅速かつ公平な救済などに資するものがあると考えております。

 本件、この条約については、米国のエネルギー長官から大臣に、そういった関係閣僚に締結要請があったとも仄聞しておりますけれども、なぜ今のタイミングでCSCを締結し、国内関連法を整備することとしたのか。

 まず、基本的な大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

下村国務大臣 CSCの締結によりまして、原子力損害に関する国際的な賠償制度の構築への貢献、それから、原子力事故時の賠償の充実と被害者の迅速かつ公正な救済等が図られると考えます。

 特に、福島第一原子力発電所事故の当事国として、原子力損害に関する国際的な賠償制度の構築に貢献することが我が国の責務でありまして、CSCの発効後は、近隣諸国等に働きかけを行い、アジア環太平洋地域等における国際的な原子力損害賠償の枠組みの構築に努めていくことが必要であると考えました。

 このため、早期のCSCの締結の承認と関連法案の成立が必要であると考えたわけでございます。

 今回の法案は、CSC締結に必要となる法整備を行うもので、具体的には、CSCが定める拠出金制度に基づき、原子力事業者が行う原子力損害の賠償に必要な資金の一部を補助することや、原子力事業者から負担金を徴収すること等、新たな仕組みを創設するとともに、現行の原子力損害賠償法等について、条約の規定に適合させるため、核燃料物質等の運搬に関する特約を、これは書面をもってするなどの所要の改正を行うものであります。

冨岡委員 基本的なお考えはそうでありますけれども、私も了としたいんですが、今お手元のこの資料、ちょっと文字が小さくて読みづらいかもしれませんが、このCSCを締結とした、パリ条約とかウィーン条約でなくて、もう数十年前からある、当然我が国も締結をしておかなくてはいけない、何らかの条約に加入しておかなくてはいけなかったそういう環境があったと思いますけれども、このCSCを新たに締結して、なぜこちらに入らないのという疑問も当然生じるわけでございますが、その点、外務省のお考えをお聞かせいただければと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力損害賠償条約といたしましては、先生御指摘のとおり、パリ条約、ウィーン条約、そしてこのCSC条約、三系統が存在をいたしますが、最も新しいCSC条約は、締約国、署名国の地理的な状況ですとか、被害者の救済、我が国の原賠制度との整合性などの観点から、我が国にとって最も望ましい条約というように考えております。

 具体的に申し上げますと、パリ条約は西ヨーロッパ諸国、ウィーン条約はロシアを含みます中東欧諸国、さらに中南米諸国等に締結あるいは署名をされているところでございます。

 一方、CSC条約につきましては、環太平洋地域を中心に締結、署名をされておりまして、将来的にはアジア太平洋地域に共通の原子力損害賠償制度となることが期待をされております。

 また、CSC条約につきましては、パリ条約、ウィーン条約締結国も参加できるようになっておりまして、国際的な原子力損害賠償制度、この構築の観点から最も最適であると言えようかと考えております。

 そのほか、我が国の原賠制度と整合的であります原子力損害賠償の範囲ですとか、さらに最低賠償措置額、こういった点を勘案して、CSC条約が最も望ましいというように考えている次第でございます。

 以上です。

冨岡委員 一つは、地政学的な地域の条約のように思えるんですが、果たしてそれでいいのかなというように私自身は思うんです。

 何でも一つの条約で、地球規模で起こるような災害にとって、この表にあるように、多くの共通点がございます。なぜこういうふうになったか。その歴史、あるいは締約国、締結国の事情もあったんでしょうが、果たしてそれでいいのか。地域性の条約でいいのか。このCSCの条約の締結国も、アルゼンチンからモロッコやルーマニア等が入るわけなんですよ。

 だから、地政学的に、ヨーロッパはヨーロッパ、アフリカはアフリカ、アジアはアジア、そういう考えで外務省はお考えなのか、そういう点をちょっとお聞かせ願えればと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、CSC条約につきましては、現在の締約国、署名国というのは、アジア太平洋地域の諸国が多くなっているところでございます。

 繰り返しになりますが、CSC条約にはパリ条約、ウィーン条約の国々も参加できるようになってございまして、現状でも、パリ条約、ウィーン条約の締約国がCSCの締約国ないしは署名国になっているという例もございます。

 そういった意味から、CSC条約につきましては、世界的な原子力損害賠償制度につながっていく基礎になり得るものではないかというように考えているところでございます。

冨岡委員 これは個人的な見解かもしれませんけれども、なるべく条約というのは、海洋条約とかいろいろあります、こういった地球規模で起こるようないろいろな災害に対しての国際条約というのは、共通項目を拾いながら、やはり一元的な条約に持っていくのが筋ではないかというふうに感じるわけであります。

 被害国になる国が入る、あるいは加害国になる、あるいは被害国にも加害国にもなるような国が現に存在するわけでございますので、そういった観点から、地政学的な条約だけではどうも不都合が生じるのではないかと思います。

 今後、中国、韓国などアジア環太平洋地域の国々の加盟を促すことが重要であると恐らく外務省もお考えでしょうけれども、一番地政学的に言えば、韓国とか中国、あるいは台湾という国が日本の周辺にはロシアを含めて存在するわけです。もちろんCSCには現在入っておられませんけれども、今後、我が国がこのCSC条約を批准するとなると、どういうリーダーシップ、あるいはアクションというんでしょうか、周辺国に対してどのような考えで、原発増設が急ピッチで進んでいる中国等にどう働きかけられるのか、その点、もしプラン等がございましたらお聞かせいただければと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、近隣諸国が加盟をしていくということに関しましては、我々といたしましても、極めて重要なことであるというように考えております。CSCの中には、インドですとかインドネシア、フィリピンといったような一部アジアの各国、さらにはオーストラリアが署名をしているところでございます。

 政府といたしましては、こうした国々も含め、CSCが我が国が締結すれば発効することになりますので、条約の発効が、これら近隣諸国、韓国、中国を含めまして各国による締結の促進につながることを期待している次第でございます。

 また、政府といたしましては、CSCに近隣諸国が加入するという重要性を認識いたしまして、アジア地域を対象とした、IAEA、国際原子力機関でございますが、その主催のワークショップにおきまして、地域における原子力損害賠償制度の構築の必要性を訴えるなどの取り組みを既に行ってきているところでございます。

 先ほど来申し上げておりますとおり、福島第一原発事故の当事国として、国際的な原子力賠償制度の構築への貢献は我が国の責務であるというように考えております。

 我が国としましては、CSCを早期に締結し発効させるとともに、近隣諸国に働きかけを行いまして、アジア地域などにおける国際的な原子力賠償制度の枠組みの構築に努めてまいりたいと考えている次第でございます。

冨岡委員 ありがとうございます。

 ぜひ、グローバルというか、地球規模での条約の締結を目指す、そういう条約に仕上げていただければと思います。恐らく、アジア周辺国は今後原子力発電等に取り組むはずでございますので、よろしくお願い申し上げます。

 それから、これは文部科学省になるんでしょうか。このCSCの締結に伴い、我が国独自の国内の原賠制度を持っているわけでございますが、この条約に加入することにより、メリットもあるかもしれません、デメリットについてどのように整理され、どのようにお考えなのか。

田中政府参考人 CSCの意義は、まさに先生も言っていただいたとおり、国際的な賠償制度の構築への貢献等々ございます。

 他方、デメリットにつきましては、CSC自体が要求しているものの幾つかについて、例えば、海外締約国の原子力事業者が発送人である核燃料物質等の国際輸送中に我が国の領海等で事故を生じさせた場合、当該海外締約国の法令が適用され得る場合が生じること、あるいは、原子力事業者のリース物品等の事故を生じさせた原子力事業者の原子力施設内の第三者の財産に生じた損害が原子力損害の賠償の対象外となること等が考えられます。

 これらの点につきましては、CSCの規定において我が国は留保を行う予定にしてございまして、我が国においては、現状と同様の原子力損害が維持できるよう対応しているというところでございます。

冨岡委員 今、農産物等でTPPの交渉をやっているわけなんですが、この条約において、留保してそれが認められるような、制度上そういう仕組みになっているのですか。つまり、お互いに嫌なところは全部留保し合うと、TPPの交渉も成立していないように、この条約のつくり自体が、そういう既に入っている国々に認めることができるのですか。その点、お聞かせいただければと思います。

西川委員長 中村大臣官房審議官。

 質疑時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いします。

中村政府参考人 条約に関する御質問でございますので、私の方からお答えさせていただきます。

 国際法上、条約が明示的に認めている留保以外の留保につきましては、他の締約国による受諾といったものが必要になってまいります。

 本件について、CSCは明示的に留保を認めておりませんので、他の締約国による受諾というものが必要になってまいります。

 留保が受諾をされた場合には、当該受諾国との関係におきまして、留保に関します条約の規定を留保の限度において変更する効果を持つというようなことになってまいりますが、今後、締約国に受諾を働きかけるよう努力をしてまいりたいというように考えているところでございます。

冨岡委員 ぜひ、条約ですので不利にならないように、しかし、リーダーシップをとっていただくようにお願い申し上げ、私からの質問を終了いたします。

 ありがとうございました。

西川委員長 次に、青山周平君。

青山委員 自民党の青山周平です。おはようございます。

 本日は、質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。先ほどに引き続きまして、CSCに伴う国内法の整備に関して質問をさせていただきます。

 先ほど冨岡委員から、この条約に関する意義について多くの質問をいただいたところでありますが、私も、国内法の整備においては、まさにこのCSCに入る意味というのが重要になってくると思いますので、その点で、一点質問をまずさせていただきたいと思います。

 実は、今回調べましたら、今から六年前、平成二十年に既に、CSCを含めて、文部科学省の検討会、原子力賠償制度の在り方に関する検討会において、原子力賠償制度についての国際条約に入るか入らないか検討がなされていると思うんですが、その時点では、直ちに我が国が国際条約に参加しなければならないという状況にないという結論に至っておりますが、そのとき、なぜそういう結論に至ったのか、まずお伺いをさせていただきたいと思います。

田中政府参考人 ただいま先生が御指摘をいただきました報告書にも、その記述がございます。その記述を、若干概要を御説明申し上げたいと思います。

 現時点で直ちに我が国が国際的枠組みに参加しなければならない状況にはないのは以下の状況にあるからだ、一つは、既に原子力先進国としてふさわしい水準の国内制度を有していること、そして、他の原子力利用国と相互に陸続きで国境を接していないというようなこと、そして、周辺諸国の姿勢は必ずしも明らかではないこと、こういうような点が、その時点で直ちに参加しなければならない状況にはないというふうに判断した理由として掲げられてございます。

青山委員 理由はよくわかりましたが、では、今CSCの締結に向けて議論がなされているわけでありますが、例えば原賠法によって、被害者の保護、原子力産業の発達のための法整備は十分できていたということ、また、陸続きでないのも、今締約しているところも、手を挙げているところも含めて陸続きではないですし、国際条約については、近隣諸国、輸出先の国等がともに締結しなければ意味がないということでありますが、なぜ、今回この締約に踏み切ったのか、締結に向けて今審議がなされているのか、お答えいただきたいと思います。

下村国務大臣 先ほど田中局長から答弁がありましたように、今までは、直ちに原子力損害賠償の国際枠組みに参加しなければならないという直近の、緊急の状況はなかった。しかし一方で、従来から、アジア諸国が参加する可能性や、我が国原子力損害賠償制度との整合性等を踏まえて、三系統ある条約のうちCSCを最も有力な候補として、加盟に向けた検討も一方で行ってきたということも事実であります。

 そうした中で、特に福島第一原子力発電所事故後におきまして、事故の当事国として、原子力損害に関する国際的な賠償制度の構築に貢献するということが我が国の責務である、また、CSCの発効後は、近隣諸国等に働きかけを行い、アジア環太平洋地域等における国際的な原子力損害賠償の枠組みの構築に努めていくことが必要である、こういうことが改めて認識されたため、我が国としても早期にCSCを締結する必要があると考えたところであります。

青山委員 御丁寧な答弁、ありがとうございました。

 原発事故があったということ、そういったことで、この六年間、国際状況が大きく変化しているということを認識させていただきました。それとともに、東アジアにおいても、今、原子力の開発など、どんどん進んでいるところだと思います。

 そこで、二つ目の質問をさせていただきたいと思うんですが、先ほど冨岡委員のときの質問の中で、CSCの意義についてお話をいただいておりました。ただ、今の御答弁と、閣議決定以降、新聞だとか報道各紙から言われるところとちょっと意義が違って伝わっているようなところがあるというふうに感じております。

 例えば十月二十六日の毎日新聞では、

  効果が大きいのは、原発輸出の方だろう。日本企業の輸出先がCSC締結国なら、事故が起きても免責される。政府はアジア諸国などに締結を働きかける方針だ。文科省の検討会が六年前にまとめた報告書は、CSCを「日米共通の原子力産業の国際展開の法的基盤としても期待しうる」と位置づけていた。

  安倍政権は、原発依存度低減を掲げている。「世界一安全な原発の技術を提供できる」と輸出に前のめりになるのは、自己矛盾ではないか。

というようなことが書かれたり、いろいろなところで、輸出のためのというようなところが多く出てきておりまして、私は、先ほどの議論を聞いておりまして、国際条約、国際の法的基盤、賠償の基盤をつくっていくことはとても重要だと思うんですが、どうしても、売るためなんだ、そんなような議論になってしまっているように感じます。

 もう一度、その意義について、しっかりとわかりやすい形でお答えをいただけたらありがたいと思います。

田中政府参考人 恐縮でございます。

 CSC締結の意義というのは、再三にわたって大臣からも御説明申し上げているとおり、原子力損害に関する国際的な賠償制度の構築への貢献、そして、被害者の公平かつ迅速な賠償の実現ということだというふうに考えてございます。

 原子力事故というのは決して起こしてはいけないというふうに思いますけれども、万々が一起こった場合の対応を備えておくということは、原子力事故を起こしてしまった我が国としての国際的責務であろうというふうに考えてございます。

 また、CSCの締結により、我が国として、原子力事故についての国際的な姿勢を示すことができるとともに、我が国の原子力賠償制度というのは国際的にも高い位置にあるというようなことについても海外に認知されるということになろうかと思います。

 他方、福島原子力発電所の廃炉・汚染水等々の外国企業の参入に当たっても、その活動環境ということが明確になるのかなというふうに思ってもございます。

 結果として、原子力産業界にとっても、CSCの締約国との関係強化ということが導かれることも考えられるというふうに考えておりますけれども、これを目的としてCSCを締結するものではないというふうに考えているところでございます。

青山委員 ありがとうございました。

 本当に大切な部分がしっかりと伝わっていくようにしていただきたいなということを実感いたしております。

 失礼いたしました。先ほど薗浦政務官に御質問をしようと思っておりましたが、外務省の方から、同じ質問になってしまうかもしれませんが、今回、CSCに入る、これは文部科学委員会では法的な基盤の整備ということでありますので、実際に条約を締結しに行くのは外務省の皆様方であり、先ほどのお話がありました、アジア近隣諸国に広がっていかないと大きな意味をなさないわけでありますので、そういった部分でこの意義についてお話をいただけたらと思います。

薗浦大臣政務官 委員から意義について御質問がありましたので、お答え申し上げます。

 先ほど下村大臣からも答弁がございましたように、あの福島原発事故の当事国として、やはり、このような国際的な賠償制度の構築への貢献をするということは我が国の責務であるという点がまず一点考えられようかと思います。我が国の締結によってCSCが発効するという状態に今あるものでございますから、我が国としてその早期発効に寄与すべきではないかという点がまず一点ございます。

 二点目が、事故のときの賠償の充実ということであります。事業者への責任集中、そして無過失責任ということが定められました。これによって、被害者の迅速な救済を図ることができますし、また、越境、つまり国境を越えた損害に際しましても、自国の被害者に対して外国の事業者から公平な賠償というものが確保されることになっております。また、ほかの締約国から、原子力損害が一定額を超える場合には原資が補填をされることになっておりますので、こうした点も補完的に意義があろうかと思っております。

 加えて言いますならば、裁判の管轄権、事業者への責任集中等、各国共通のルールを策定することによって、原子力事業における法的な予見性を高めることができることになっておりまして、これは、福島第一原発の廃炉・汚染水対策事業等の関連で、知見を有する外国の関連企業の活動の我が国における環境整備にも資するものだというふうに考えております。

 ありがとうございました。

青山委員 ありがとうございました。

 CSC自体が本当に重要で、入ることによって、例えば近隣諸国にもしっかりと締結をしてもらって、日本の国内で事故が起きたときに、被害が及んだときの賠償制度はしっかり確立していかなければいけないということをまた認識させていただきました。

 先ほどお話ありました拠出金と、事故が起こったときには日本に対しては七十億円ぐらいのお金が入る、額は小さいわけでありまして、今回の福島の事故に関しては四兆円を超えるお金がもう既に賠償で使われているということでありますので、額は小さいものでありますが、その拠出金に関して、今回の法律はその拠出金をどういうふうに出していくかという法律でありますので、お伺いをさせていただきたいと思います。

 まず、CSCは締結国各国に拠出金の提供を義務づけておりますが、その負担金について、それぞれ国内で誰が負担をするかということに関しては各国の判断に任されていると聞いております。政府提出法案では原子力事業者が負担することとされておりますが、なぜ原子力事業者が負担することになるのか、お伺いをいたします。

田中政府参考人 CSCの締結により我が国が負担義務を負う拠出金に要する費用につきましては、原子力損害を生じさせた場合における我が国の原子力事業者がCSC締約国による拠出金の受け手になること、また、原因者負担の考え方から、原子力損害を生じさせた原子力事業者が賠償に充てるための資金負担を求めることが合理的であるというふうに考えますことから、我が国の原子力事業者が負担をすることが適当だというふうに考えているところでございます。

青山委員 ありがとうございました。

 引き続いて御質問させていただきます。

 政府法案で、第五条において、海外での事故時の拠出金に要する費用を原子力事業者が負担金として納付することとなっておりますが、その負担金額は政令で定めるとなっております。具体的に事業者がどの程度の金額を負担することになると想定してみえるのか、お伺いをいたします。

田中政府参考人 負担金には二種類ございます。まず、原子力事業者から徴収をする負担金の中の一番目は、海外締約国の原子力事業者が事故を発生した場合に、我が国が拠出する拠出金に充てるための費用は全ての原子力事業者から徴収する、これは一般負担金というふうに言ってございます。また、我が国の原子力事業者が事故を発生した場合に、我が国が拠出する拠出金に充てるための費用として当該原子力事業者から徴収する特別負担金ということがございます。

 それぞれの負担金の金額については政令で定めるということにしてございますが、現在、極めて概算いたしますところ、一般負担金の金額ということにつきましては、現在、我が国におきましては三十社原子力事業者がございますけれども、その合計額として毎年約一億円強ぐらいになるかなということを見込んでございます。

 また、特別負担金の金額ということにつきましては、発生した損害の大きさに応じ決めることになりますけれども、最大約七十億円ぐらいかなというふうに考えているところでございます。

青山委員 ありがとうございました。

 今、負担金をお伺いさせていただいたのはどういうことかといいますと、例えば負担金が、電気事業者が支払うわけですので、その電気事業者に負担金を求めることによって、その負担分が電気料金の値上げにつながり、国民の電気料金の負担がふえるということがあるのかないのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案に基づきまして、一般電気事業者を含みます原子力事業者は、毎年一般負担金を納付する義務を生ずることになります。

 したがいまして、この負担につきまして、料金の原価に算入することには合理性はあるものと考えておりますけれども、実際にこれを理由に事業者の方が料金値上げの申請を行うかどうか、これにつきましては、各事業者の経営判断に属するものと考えております。仮に、値上げの申請が行われた場合には、電気事業法に基づき厳正な審査を行うこととさせていただきます。

 なお、先ほど御答弁がございましたけれども、一年当たり一億円強ということでございますので、本来、三十法人が負担をすることになっておりますが、これを便宜的に、仮に、原子炉を保有します九つの電力会社のみで負担するとして、九社の総電力販売量で単純に割り算をいたしますと、キロワットアワー当たり〇・〇一銭から〇・〇二銭、こういった水準でございます。

青山委員 〇・〇一銭というのが、ちょっと理解しにくい数字でありますが、大きな負担にならないということは理解ができました。

 国際条約を批准するに当たって国民の負担がふえるというのは、やはりよろしいことではないように感じますので、ぜひその点をしっかりと御指導いただきたいというふうに思っております。

 そうしましたら、次に、CSC締結に伴う我が国の損害賠償への影響についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 現在、あの福島の事故によって、我が国では原子力賠償制度により損害賠償が行われているところでありますが、CSCの締結によって賠償に影響が生ずるようなことがあれば、被害者の皆様方に不安を与えてしまうことになります。

 CSCの締結によって、福島で行われている損害賠償に影響が生ずる可能性があるのかないのか、お伺いをいたしたいと思います。

下村国務大臣 条約は、遡及適用されるものではありません。現在の福島第一原子力発電所事故で行われた損害賠償の支払いに、何ら影響を与えるものではありません。引き続き、被災者の方々に寄り添いながら、迅速かつ適切な賠償を進めてまいります。

青山委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 また、CSCの原子力損害の定義は、損害の項目を列挙されるような形になっておりますが、我が国の原賠法は包括的に定義が規定されているという違いがあります。CSCの原子力損害には、現在福島で行われているような損害賠償も含まれるのか、今後、同じようなケースが含まれていくのか、お伺いをしたいと思います。

田中政府参考人 先生にただいま御指摘いただいたとおり、原子力損害の定義につきましては、CSCでは個別に損害項目を列挙している、我が国の原子力損害賠償に関する法律では包括的な記述ぶりになってございます。

 ただ、記述ぶりの違いということはございますけれども、原子力損害賠償法上の原子力損害と条約上の原子力損害の範囲ということは一致してございまして、CSCを締結しても原子力損害の賠償の範囲に違いは出てこないというふうに考えてございます。

青山委員 ありがとうございました。

 時間となりましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

西川委員長 次に、中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 臨時国会もまた文部科学委員としてしっかり頑張らせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 まず、このCSC条約の実施に関連して、二本、法律が改正をされるということで、このCSC条約に加盟をするという動きも、やはり福島原発事故というのが一つの大きな契機になっていると思いますので、私、冒頭、まず福島の関係のお話から入らせていただきたいというふうに思います。

 震災から三年七カ月以上が既に経過をしておりますけれども、ことしの四月の段階で福島県全体の避難者数がどのくらいまだいらっしゃるかというと、まだ約十三万人、四月の段階でいらっしゃる。避難指示区域の中からという意味では約八万人まだいらっしゃる、こういう状況でございます。

 そのような中で、本年の四月には田村市、そして十月には川内村、避難指示解除準備区域の避難指示が解除をされるということで、まさに帰還に向けた動きというのも着実に進んでいるところではないかなというふうに思います。

 しかし、私も福島県に、ことしも六月に訪問させていただきまして、また楢葉町など、今なお避難をされている方々からお話を伺ったり御要望をいただいたりしておりますけれども、やはり、将来について大変に悩んでいる方がまだまだ多いなという現状であるというふうに思います。

 見通しが立たない、いつ帰れるのかもよくわからない、そうしている間に自分の家というのがどんどんぼろぼろになっていってしまって、これをどうすればいいのか。新しいところに住めばいいのか、あるいは帰還に向けてまた待っていないといけないのか、どうすればいいのか。こういう切実な御意見であったなというふうに思います。

 故郷に戻るという選択をされる方もいらっしゃいます。また、新しい生活をしたい、新しいところでスタートをしたい、こういう、いろいろな御要望をされる方がいらっしゃいます。

 しかし、このいずれの形でも、しっかりと新生活がスタートできる、こういう形で、しっかりと原子力損害についてまず補償していく、それをしっかり迅速に行っていく、これが非常に大事だなと、いろいろな御意見を伺って改めて思ったところでございますので、しっかりと補償していく、また迅速にしていく、こういう点について改めて御要望させていただきたいと思いますけれども、経済産業省の方の御意見を伺いたいというふうに思います。

森本政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年末に文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会におきまして、いわゆる中間指針の第四次追補というものが策定されました。これを受けまして、帰還困難区域等については、「長年住み慣れた住居及び地域が見通しのつかない長期間にわたって帰還不能となり、そこでの生活の断念を余儀なくされた精神的苦痛等」ということが規定されております。

 これに対します一括の賠償につきまして、東京電力がことしの四月十四日から申請の受け付けを開始させていただき、今、順次支払いがなされているところでございます。

 また、住まいということに関しましては、被害者の方の生活の再建を図るための移住等に伴う新しい住居、それから、帰還に伴う住居の建てかえのための費用、こうしたものを住居確保損害として規定されておりまして、ことしの七月二十三日から、これも東京電力が申請の受け付けを開始しておりまして、順次支払いがされているところでございます。

 被害者の生活再建という観点からは極めて重要な賠償と考えておりまして、これらの賠償が迅速に実施されるよう、引き続き東京電力を指導してまいりたいというふうに考えております。

中野委員 しっかりと御対応、よろしくお願いいたします。

 震災からかなり、三年以上経過いたしますと、やはり記憶の風化、あるいは風評被害、これとしっかり戦っていかないといけない、これを我が党はいつも主張させていただいております。

 私は、この委員会の前も、JC議連という議連がございまして、福島から来られていたJCの現役のメンバーの方と、ちょうど意見交換もまさにさせていただいておりましたけれども、しっかりと風化をさせない、そしてまた風評被害を何とかしてほしい、まさにこういうお話でございました。特に観光需要という意味では、やはり、福島県について何かネガティブなような報道等、情報が流れると、すぐにまた非常に観光需要が落ち込んでしまってなかなか戻ってこない、こういうお話もいただいたところでございます。

 この関係で、ぜひ一点、文部科学省にお願いをさせていただきたいことがあるんですけれども、福島への修学旅行、これも一時期に比べるとかなり落ち込んだというお話を伺っております。旅行需要を民間の方でもしっかり取り戻す努力を、復興庁を中心に風評被害の払拭ということでやっていただいておりますけれども、文部科学省としても、修学旅行など、こうした観点で、またもとに戻っていくようにしっかりと対応をお願いできないか、こう思うんですけれども、いかがでございましょうか。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災及びこれに伴いまして発生いたしました福島第一、第二原子力発電所の事故等の影響によりまして、震災から約三年半がたちますけれども、現在においても、福島県への修学旅行などの件数が震災前を大きく下回る状況にあると認識しております。

 具体的には、修学旅行のみに限ったデータというものはないんですけれども、むしろ修学旅行を含んだ教育旅行のデータといたしまして、福島県観光局のデータによりますと、震災の発生前には約七十万人で推移いたしておりました延べ宿泊人数が、震災直後の平成二十三年度には約十三万人と大きく落ち込みまして、その後徐々に回復しております一方、平成二十五年度で約三十二万人ということでございますので、震災前の五割弱程度にとどまっておりまして、これは依然として大変厳しい状況と認識しております。

 文部科学省といたしましては、平成二十三年の八月に、各都道府県教育委員会等に対し、観光庁の依頼に基づきまして、風評に惑わされることなく、現地の正確な情報に基づき、福島県への修学旅行等を実施していただきたいという旨の観光庁の意向を周知いたしましたけれども、この状況の中で、本年九月十八日付、先月でございますが、復興庁及び観光庁の依頼に基づきまして、改めて同趣旨の復興庁及び観光庁の意向を周知したところでございます。

 それから、この通知を発出いたしましたことを踏まえまして、文部科学省としては、一つには、教育委員会や校長会などの関係団体に働きかけまして、そうした団体の主催会議において、復興庁と福島県の担当者による通知の内容説明の場を設ける、それから、文部科学省主催の都道府県・指定都市教育委員会の指導事務主管部課長会議などにおきまして、私どもの方からその通知の内容を説明したりするというような形で、福島県への修学旅行等の回復に向けた取り組みを進めているところでございます。

 修学旅行は学習指導要領における特別活動に位置づけられておりまして、その行き先等の内容については、地域や学校の実態、児童生徒の心身の発達の段階や特性等を十分考慮して各学校において定めるべきものでございますけれども、各学校が適切に修学旅行の行き先を定めることができますよう、教育委員会等を通じて参考となる情報の周知が必要というふうに考えますので、これからも関係省庁それから福島県とも連携をして努力をしてまいりたいというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございました。

 初中局長は、何か次の委員会にまた行かれるということで、もう御退席いただいて結構でございますので、よろしくお願いします。

 では、今回議論になっている、まさにCSC条約の関係の質問に入らせていただきたいと思うんですけれども、先ほど冨岡先生、また青山先生の方から同趣旨の質問もございましたので、重複する部分は省かせていただきたいというふうに思いますけれども、先ほどの質問でも、このCSC条約に入るメリット、意義は何なのかということがさまざま議論されておりました。やはり、国際的な原子力損害賠償の体制を構築する、あるいは、日本人であるとか日本企業、被害者の方の迅速な救済が図られる等々、企業の行動の予見可能性が高まる、さまざまな意義があるというふうに私も承知をしております。

 よくCSC条約の入るメリットの説明として、福島の廃炉で外国の企業の方が活動しやすくなるというお話がされることが多いかと思います。やはり、日本で起きる原子力の事故に関して、外国の企業に対してどういう補償になるか、こういう観点から、こういう御説明をなされているかと思うんですけれども、私、逆のケースもあると思っておりまして、すなわち、外国の原子力事故で、邦人であるとか邦人企業がもちろん被害に遭うケースというのもあるんだろうなというふうに思います。島国でございますので、越境して被害どうこうというのが、具体的にはこういう形でというのがなかなか想定しにくいかもしれませんけれども、もちろん外国で活動される場合のケースもある、このように考えます。

 このCSCに加盟するメリットとして、邦人あるいは邦人企業、外国でこういう事故に遭われたようなときに、具体的にどのように救済をされていくのか、どのようなメリットがあるのかというのを、ひとつ確認させていただきたいというふうに思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、この条約によりまして、裁判管轄権の集中ですとか事業者への責任集中など、各国、締約国に共通のルールがもたらされることになります。これによりまして、原子力関連事業における法的予見性を高めることができるということでございます。委員御指摘のとおり、福島第一原発の廃炉ですとか汚染水対策との関連で、知見を有する関連の外国企業の活動の環境整備にも資するということでございます。

 逆に、日本の企業が外国に行きました場合におきましても、締約国の間でありますれば、裁判管轄権の集中ですとか事業者への責任集中といったようなルールが適用されますので、その関係において、我が国の企業の活動の基盤が整備をされてくるというようなことが言えようかと考えているところでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 しかし、そうすると、いろいろな意義、メリット、日本にとってメリットをふやしていくという意味では、やはり、日本の周辺国であるとかつながりの深い国々がこのCSCに加盟をどんどんしていかないといけないんだろうなというふうに思います。

 例えば、中国、韓国なども含めたアジア諸国でありますとか、こうした国々に、今後どのようにこの加盟の見通しというか、どのように働きかけていくのか、あるいはどのように見通しを考えられているのかについてもお伺いをしたいというふうに思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、中国、韓国を含めます近隣諸国にCSC条約の加盟を促すということは、非常に重要なことであるというように考えてございます。

 今般、我が国がCSC条約を締結しました場合には、CSC条約が発効することになります。この条約の発効が、これら近隣諸国を含む各国による締結の促進につながることを期待するところでございます。

 さらに、政府といたしましては、アジア地域を中心といたしました国際原子力機関、IAEAの主催のワークショップにおきまして、地域における原子力損害賠償制度の構築の必要性を訴えるなど、これまでも取り組んできたところでございます。

 福島第一原発事故の当事国といたしまして、国際的な原子力賠償制度への構築の貢献は我が国の責務というふうに考えてございます。我が国としては、CSCを早期に締結し発効させるとともに、近隣諸国にさらに働きかけを行ってまいりまして、国際的な原子力賠償制度の枠組み構築に努めてまいりたいと考えているところでございます。

中野委員 ありがとうございました。

 さまざまな取り組みがこれからも必要になってくるかと思います。

 やはりこのCSC、国際的な原子力損害賠償の枠組みを、しっかり我が国の責任として構築をしていく責任を担っていくということでございますので、この加盟国の広がりというのもしっかりと、近隣諸国も含めてこうした体制が構築をされていくということに、日本もしっかり働きかけをしていっていただきたいなというふうに御要請を申し上げます。

 最後に、今回、原賠法の改正がございますので、原子力損害賠償制度、これの抜本的な見直しという議論がなされてきたかというふうに思います。最後に、これについて御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 原子力損害賠償支援機構法の附則にも書かれておりますけれども、福島第一原発の事故を踏まえて、原子力損害賠償のあり方そのものをどうしていくかという議論はやはりやっていかないといけない、私もこのように考えております。この附則の中には、国の責任のあり方をどうするのか、こういうことも明記をされております。

 私も、今回を機会にさまざまな国の制度というのもまた見させていただきましたけれども、確かに、日本の制度というのは原子力事業者に無限責任を課しているという形で、こうした仕組みをとっている国というのは、ドイツなどもございますけれども、どちらかというと少数派なのかなというふうに思っております。

 さまざまな国の制度、いろいろなメリット、デメリット、また国の関与のあり方、いろいろなことをこれから検討していかないといけないんだろうなというふうに考えておりますけれども、最後に大臣に一つお伺いをしたいというふうに思います。

 原子力損害賠償の抜本的見直しについてこれからどのように進めていかれるのか、その進め方等々について、最後に大臣の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

下村国務大臣 御指摘のように、原子力損害賠償制度の見直しにつきまして、政府としても、これまでさまざまな取り組みを行ってまいりました。

 具体例におきましては、原子力損害賠償紛争解決センターの整備や時効特例法の制定、また、昨年末に閣議決定をいたしました福島再生加速化方針におきまして、今回の福島第一原発事故に伴う賠償費用等の負担や事故収拾への関与について国と事業者との役割分担を明確化し、さらに、さきの通常国会で改正された原子力損害賠償・廃炉等支援機構法におきまして、事故が生じた場合に賠償と事故収束の両面から事業者を支援する仕組みの整備をしてきたところでもあります。

 その上で、制度のさらなる見直しについては、内閣官房副長官が主宰をし、関係副大臣などから成る原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会合におきまして検討を行い、まずはCSCの締結に必要な原子力損害賠償制度の整備に関する検討を喫緊の課題として進めることを決定しております。

 CSC以外の原子力損害賠償制度の課題については、現在進行中の福島の賠償の実情等を踏まえつつ中長期的なエネルギー政策を見通し、この副大臣等会議で検討を進めていくこととしているところであります。

中野委員 ありがとうございます。

 エネルギーに関するさまざまな問題については、やはり中長期的な課題がございます。それを、いろいろな課題があって、これだけを議論すれば済むという話でもない、いろいろなものを同時に考えていかないといけない。やはり大変に難しい課題ではあると思いますけれども、非常に国の根幹となるエネルギー政策でございますので、しっかりと議論をこれからも深めてまいりたい、このように決意を申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

西川委員長 次回は、来る十一月五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時九分散会


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