衆議院

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第2号 平成27年3月25日(水曜日)

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平成二十七年三月二十五日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 池田 佳隆君 理事 石原 宏高君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 義家 弘介君 理事 郡  和子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      尾身 朝子君    大見  正君

      門山 宏哲君    神山 佐市君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      瀬戸 隆一君    谷川 とむ君

      馳   浩君    鳩山 邦夫君

      船田  元君    古川  康君

      前田 一男君    宮川 典子君

      宗清 皇一君   山本ともひろ君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      松本 剛明君    宮崎 岳志君

      笠  浩史君    上西小百合君

      鈴木 義弘君    初鹿 明博君

      中野 洋昌君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    畑野 君枝君

      吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   文部科学副大臣      藤井 基之君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (総務省自治行政局選挙部長)           稲山 博司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 富山  聡君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         藤原  誠君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十五日

 辞任         補欠選任

  工藤 彰三君     瀬戸 隆一君

  古田 圭一君     宗清 皇一君

  平野 博文君     宮崎 岳志君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     工藤 彰三君

  宗清 皇一君     古田 圭一君

  宮崎 岳志君     平野 博文君

    ―――――――――――――

三月二十四日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五三〇号)

 同(吉川元君紹介)(第五三一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五六二号)

 同(斉藤和子君紹介)(第五六三号)

 同(横路孝弘君紹介)(第五六四号)

 同(大岡敏孝君紹介)(第五八八号)

 教育予算の増額、教育費の無償化、保護者負担軽減、教育条件の改善に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五三二号)

 同(吉川元君紹介)(第五三三号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(池内さおり君紹介)(第五三四号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 文部科学大臣から所信を聴取いたします。下村文部科学大臣。

下村国務大臣 おはようございます。

 このたび、引き続き文部科学大臣並びに教育再生及び東京オリンピック・パラリンピック担当大臣を拝命いたしました下村博文でございます。

 今後とも、委員長を初め、理事、委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますこと、よろしくお願い申し上げさせていただきたいと思います。

 さて、第百八十九回国会において各般の課題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。

 アベノミクスの三本の矢の経済政策は、確実に成果を上げつつあります。今後、これを加速し、日本を真の成長軌道に乗せて経済、社会を発展させるためには、国民一人一人の生産性の向上、労働力人口の増加を果たすとともに、絶えることなく新たなイノベーションを創出していくことが必要です。また、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催決定が国民に感動や希望を与えたように、人々の心を豊かにし、活力ある社会を構築していくためには、スポーツや文化芸術が持つ、人々を引きつけ、感動させる力が欠かせません。

 私は常々、文部科学省は未来を切り開く未来省であると考えています。私は、その先頭に立って、日本再生のための教育再生、先端研究開発による革新的なイノベーションの創出、東京オリンピック・パラリンピック大会のレガシーの創出の三つを日本の未来戦略として掲げ、これら第四の矢で日本の成長を牽引してまいります。

 来月には福島県双葉郡に、文部科学省が設置を支援し続けてきた、ふたば未来学園高校が開校します。この学校は、ふるさとを愛する子供たちが、地域が抱える課題と向き合い、復興のために何ができるのか、仲間とともに探求する場となります。困難な状況を乗り越えて、夢や希望に満ちた未来を創造していくことのできる人材を育成することで復興は加速されます。学校の復旧、就学支援、児童生徒の心のケア、学習支援等を初め、復興を支える人材育成や大学、研究所による地域再生への貢献など、被災者の心に寄り添った復興に全力を尽くします。東北地方における医学部新設については、準備が円滑に行われるよう支援します。

 原子力災害からの復興のため、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉を円滑に進めます。昨年、私のイニシアチブで、廃止措置等研究開発の加速プランを取りまとめました。国内外の英知を結集するため、来月には廃炉国際共同研究センターを設置し、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉に関する研究開発や人材育成を一層加速させてまいります。原子力損害賠償については、引き続き、被災者の方々に寄り添い、迅速、公平かつ適正な賠償に万全を期します。

 ニューヨーク市立大学大学院のデビッドソン氏は、二〇一一年に米国の小学校に入学した子供たちの六五%は、大学卒業後、今は存在していない職業につくと指摘しています。また、オックスフォード大学のオズボーン氏は、今後十年から二十年程度で、米国の約四七%の仕事が自動化される可能性が高いと予測しています。さらに、経済学者のケインズ氏は、二〇三〇年までには、週十五時間程度働けば済むようになるだろうと予測しました。

 先を見通すことの難しい時代をたくましく生き抜いていくのは、生涯を通じて不断に学び、考え、予想外の事態を乗り越えながら、みずからの人生を切り開き、他者と協力し合ってよりよい社会づくりに貢献していくことのできる人間です。子供たちに、社会で自立していくために必要な、真の学ぶ力を身につけさせなければなりません。教育改革における最大の課題である高大接続改革に取り組み、若者の多様な夢や目標を支える高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜へと刷新します。

 高等学校までの教育については、知識、技能の習得のみならず、新しい時代を生きる上で必要な資質能力を育むことができるよう、課題の発見と解決に向けた主体的、協働的な学び、アクティブラーニングの飛躍的充実を図ります。小学校英語の早期化、選挙権年齢の引き下げの検討状況なども踏まえ、高等学校において、公共の精神や民主主義社会における参加意識を育み、主体的に社会生活を営むために必要な力を身につけることを狙いとした新たな科目等の創設、日本史の扱いを含めた地理歴史科の見直しなど、次期学習指導要領改訂に向けた検討を進めます。全国学力・学習状況調査の活用、高等学校教育の質の確保、向上、言語活動や理数教育の充実、教育におけるICT活用の促進、食育、健康教育の充実に取り組みます。

 障害のある子供たちのため、インクルーシブ教育システムの構築に向け、特別支援教育を推進します。教職員の専門性向上、通級による指導の充実、拡大教科書等の普及充実、特別支援学校の教室不足の解消、学校施設のバリアフリー化等の必要な教育条件を整備します。

 川崎市の中学生、上村遼太さんの痛ましい事件がありました。このような事件が二度と起こらないよう、学校の早期対応、学校と警察を初めとした外部機関との連携など、子供のSOSを受けとめ、適切に対応する取り組みを充実します。

 いじめは絶対に許されません。いじめ防止対策推進法をもとに、総合的な対策の実施を進めます。心と体の調和のとれた人間を育成するため、道徳の時間を特別の教科として位置づけ、道徳教育の改善充実を図るとともに、道徳教育用教材「私たちの道徳」の活用を促します。体罰についても、禁止の徹底を図ります。

 学校現場で教育の再生を担うのは、教育への使命感と高い指導力を有する教員です。教職員等指導体制の整備を進め、教職員の質と数を一体的に強化します。教員の養成、採用、研修のあり方を見直し、再構築します。教員と多様な専門性を持ったスタッフが連携してそれぞれの専門性を発揮し、学校がチームとして力を発揮できるよう、教員と事務職員、さまざまな人材との役割分担や連携のあり方を検討するとともに、コミュニティースクール等の学校と地域との連携、協働を強化します。

 大学力は国力そのものです。世界トップレベルの大学力の実現や世界を牽引するリーダーの養成を目指し、スーパーグローバル大学への重点支援など、大学の徹底した国際化を推進するとともに、国立大学改革プランに基づき、国立大学の改革を実行します。

 大学の教育研究活動を支えるには、財政基盤を確立した上で、めり張りある配分を行うことが重要です。国立大学法人運営費交付金や施設整備費補助金、私学助成のさらなる充実を図るとともに、積極的に改革に取り組む大学を重点的に支援します。法科大学院については、昨年十一月に公表した総合的な改革方策に沿って、法科大学院の強化と法曹養成の安定化に向けた取り組みを進めます。独立行政法人改革に関する閣議決定に基づき、先般、大学関係の二つの独立行政法人を統合するための法案を提出いたしましたので、速やかな御審議をお願い申し上げます。

 学制改革については、先般、小中一貫教育の制度化を初め、高等学校等の専攻科から大学への編入学を可能とする制度を創設するための法案を提出いたしましたので、速やかな御審議をお願い申し上げます。多様な価値に対応した公教育が可能となるよう、国家戦略特別区域での公立学校運営の民間開放に向けた準備を進めます。実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化、夜間中学校の設置促進にも取り組みます。

 教育は、全ての子供たちが、自分がかけがえのない存在であると感じることができるよう、手助けをするものであるべきです。さまざまな悩みや課題を抱え不登校となっている子供たちは全国の小中学校等で約十二万人にも上り、不登校の子供たちに対する取り組みの抜本的な見直しを行う必要があります。学校という環境のみでは十分に能力を発揮できていない子供たちについては、その多様な実態に応じて、それぞれの才能や能力を引き出していくことが重要です。フリースクール等で学ぶ子供たちへの支援策の検討を進めるとともに、不登校施策に関する検討を行い、全ての子供たちにチャンスを提供し、一人一人の可能性を伸ばせる環境を整えてまいります。

 子供たちの未来が、いわゆる貧困の連鎖によって閉ざされることがあってはなりません。子供の貧困対策に関する大綱を踏まえ、幼児教育の段階的な無償化、スクールソーシャルワーカーの配置拡充、地域による学習支援や家庭教育支援の充実に取り組みます。高校生等奨学給付金の拡充や、経済的に修学困難な専門学校生への支援などによる教育費の負担軽減を目指します。大学等奨学金事業の有利子から無利子への流れを加速するとともに、平成二十九年度進学者からの適用を目指して、所得連動返還型奨学金制度の導入に向けた取り組みを進めます。

 これからの子供たちが活躍する舞台は世界じゅうにあります。外国語教育の強化、スーパーグローバルハイスクールの整備、国際バカロレア認定校の大幅増に向けた取り組み、ESD、持続可能な開発のための教育に関する取り組みなどを推進します。

 留学生交流は倍増を目指します。官民が協力したトビタテ!留学JAPAN日本代表プログラムを初め、日本人の海外留学支援の充実を図ります。あわせて、海外拠点の構築や学生宿舎等の整備、就職支援の充実等、一貫した取り組みにより、優秀な外国人留学生の戦略的な受け入れを強化します。

 社会や経済のグローバル化が進展する中、教育、科学技術、文化、スポーツの各分野における積極的な国際貢献が重要です。ASEANやインドを初めとするアジア諸国等からは、日本の教育制度や内容を取り入れたいとの強いニーズがあります。これを踏まえ、官民一体となって取り組んでいるインフラシステム輸出とも連携して、日本の強みや特質を生かした教育を海外に展開する取り組みを強化するなど、諸外国との協力を一層推進します。

 人口減少などの我が国が直面する課題を解決するには、個性あふれる地方の創生が重要です。学校を中核として、地域のあらゆる力を結集します。とりわけ、地域や企業の協力を得て、放課後子ども総合プランをさらに加速させるとともに、土曜日の教育活動が全国各地で展開されるよう取り組みます。

 活力ある地方の創生のため、大学、高等専門学校や専修学校の力をもっと活用することが重要です。理工系人材の戦略的育成の取り組みを集中的に進めるなど、地域の知の拠点である大学等が特色、強みを生かし、地域に必要な人材の育成、定着を促進する取り組みを推進します。総務省と連携して、地方で就職する学生に、奨学金の返済が免除される新たな仕組みをつくります。社会に出た後も学び続ける全員参加型社会を目指し、大学、専修学校、社会教育施設等における、女性や高齢者を含む社会人の学び直しの環境を充実します。

 学校施設は、子供たちの命を守るとともに、地域の防災拠点としての機能も果たします。早期の耐震化完了を目指すなど、安全、安心な教育環境の整備を推進します。

 教育への投資は未来への先行投資です。その充実のためには財源の確保が不可欠です。教育行財政のあり方について、これからの時代に求められる創造的な能力などを高めるための教育の革新のあり方とあわせて、教育再生実行会議で検討を進めます。

 昨年は、赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の日本人三名がノーベル物理学賞を受賞されました。ノーベル賞を選考したスウェーデン王立科学アカデミーの、二十世紀はエジソンの白熱電球に照らされたが、二十一世紀はLEDに照らされる世紀であるという言葉のとおり、日本で生まれ育った技術が世界を大きく変えようとしています。

 我が国が成長を続けるための鍵は、未来をつくるイノベーションと、それを生み出す人材です。最先端の知識や技術を結集して、世界で最もイノベーションに適した国を目指します。その中核を担う文部科学省として、第五期科学技術基本計画の策定に向けた検討を進めます。

 我が国は世界トップレベルの基礎研究力を有しています。青色発光ダイオードのように、基礎研究の成果を世界に先駆けて革新的なイノベーションに育て上げるためには、明確なターゲットを設定し、研究者が組織を超えて協働することが必要です。産学官の力を結集した中核拠点の構築、卓越した若手研究者の積極的な登用等を集中的に進めることにより、日本発のイノベーションを創出し、アベノミクスを牽引していきます。

 山中伸弥京都大学教授を中心としたiPS細胞研究に対しては、十年で一千百億円という集中的な支援を行い、昨年、世界初のiPS細胞由来の網膜の移植を実現しました。今後とも、来月設立される日本医療研究開発機構を通じて、パーキンソン病などへの臨床研究を順次開始してまいります。

 これからの成長の切り札として、省エネルギーイノベーションの実現を目指します。名古屋大学等を中核拠点として、オールジャパン体制で研究開発、その後の製品化、社会への普及を加速します。

 多様な学術研究や基礎研究に加え、国主導で取り組むべき基幹的な技術開発を推進します。大学発ベンチャーの創出や、国立研究開発法人をハブとした産学官の人材の循環、最先端施設の共用などによって、成果の実用化を着実に進めます。

 地方の成長を実現するためには、世界で勝てる産業の育成が重要です。地方の大学等が持つすぐれた研究成果を活用した地方発イノベーションの創出を、産学官の力を結集して進めます。

 宇宙航空分野は、多くの中小企業の高い技術力に支えられています。二〇二〇年に地球に帰還する「はやぶさ2」は、福島生まれの技術を携え、長い旅を続けています。世界初の技術の創出や産業競争力強化等を目指し、新型基幹ロケット、国際宇宙ステーション計画、次世代航空機技術等の研究開発に取り組みます。

 原子力については、日本原子力研究開発機構が安全を最優先とし、国民に信頼される組織となるよう指導してまいります。特に「もんじゅ」については、安全に運転管理する体制を整え、放射性廃棄物の減容化や高速増殖炉の研究成果の取りまとめに向けて取り組みます。高温ガス炉や高レベル放射性廃棄物の処理処分の研究開発も着実に進めます。

 昨年の大規模な土砂災害や御嶽山の噴火等を踏まえ、自然災害の観測・予測・対策技術の開発を強化します。新たなスーパーコンピューター、ポスト「京」や、材料分野等の基盤的な研究開発を推進します。海洋資源調査研究や北極研究、次世代蓄電池、ITER計画等の環境エネルギー分野の研究開発を進めます。量子科学技術に関する研究開発を強化するため、先般、放射線医学総合研究所と日本原子力研究開発機構の業務の整理統合を行うための法案を提出いたしましたので、速やかな御審議をお願い申し上げます。

 科学技術イノベーションを生み出すのは人材です。特に、グローバルに活躍できる人材の確保が重要です。初等中等教育段階からの人材育成、多様なキャリアパスの整備、世界トップレベルの研究者交流、出産、育児等に係る女性研究者などへの支援を強化します。研究不正の防止についても着実に取り組みます。理化学研究所については、ガバナンスの強化を初めとする抜本的な改革が進捗しているところであり、引き続き、その力を十全に発揮できるよう指導してまいります。

 一九六四年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会は発展途上型であり、これを機に新幹線などのインフラ整備が飛躍的に伸び、高度成長の波に乗ることができました。今回、政府は、二〇二〇年の東京大会を絶好の機会と捉え、世界に誇る魅力あふれる観光立国の実現を目指し、二〇二〇年には訪日外国人旅行者を一昨年の二倍の二千万人にすることを目標に掲げています。

 こうした取り組みを牽引する中核的な役割を担うのは、スポーツや文化、芸術です。我が国には世界の人々を引きつけるすぐれた文化やさまざまな魅力があります。このまたとないチャンスに、ホストシティ・タウン構想等を通じて、東京のみならず、全国津々浦々に大会の開催効果を波及させ、大会後も地域が力強く発展していくための幅広いレガシーを生み出すことができるよう全力で取り組みます。

 大会を日本全体のスポーツと文化の祭典と位置づけ、二〇二〇年に向け、史上最大規模で、魅力あるプログラムを全国で展開していきます。文化財の活用による地域活性化や観光振興を進めるため、地域に点在する有形無形の文化財をパッケージとして日本遺産に認定する仕組みを創設します。実演芸術やメディア芸術等の幅広い芸術の振興を図り、日本文化の魅力を国内外に積極的に発信します。こうした取り組みを戦略的に進めるため、第四次の文化芸術の振興に関する基本的な方針を策定いたします。

 二〇一六年リオデジャネイロ大会直後の来年十月には、オリンピック・パラリンピック・ムーブメントを国際的に高めるためのキックオフイベントとして、スポーツ・文化・ワールド・フォーラムを京都と東京で開催し、二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年東京大会に向け、スポーツや文化を通じた国際貢献、協力、スポーツや文化が生み出す有形無形のレガシー等について、観光とも連動させつつ、世界へ発信していきます。また、二〇二〇年東京大会においては、東日本大震災の被災地が見事に復興をなし遂げた姿を世界に向けて発信できるよう、被災地を走る聖火リレーを行うなど、復興の後押しとなる復興五輪としてまいります。

 東京大会の前年には、アジア地域で初めてのラグビーワールドカップが我が国で開催されます。両大会の一体的な準備に配慮しつつ、国立霞ケ丘競技場の改築などのインフラ整備や競技者の育成強化などに取り組みます。先般、両大会の円滑な準備と運営に資するよう所要の法整備を行うための法案を提出いたしましたので、速やかな御審議をお願い申し上げます。政府全体として、セキュリティー、復興、地域活性化、外国人旅行者の受け入れ、バリアフリー、環境などに関する取り組みにも万全を期します。

 オリンピック・パラリンピック教育の推進やスポーツ・フォー・トゥモローによる国際貢献を通じて、オリンピック・パラリンピック・ムーブメントを国内外に推進します。大会後も見据え、学校体育の充実、地域スポーツや障害者スポーツの推進を通じ、国民が生涯にわたってスポーツに親しむ機会の充実を図ります。スポーツを通じた健康増進や地域活性化など、スポーツの役割を一層高めていくための体制を構築するため、先般、スポーツ庁の設置に係る法案を提出いたしました。十月にスポーツ庁を設置できるよう、速やかな御審議をお願い申し上げます。

 意志あるところ必ず道あり。

 一人一人の子供、若者に、自分の可能性を信じ、夢に向かって一生懸命努力をし、挑戦してもらいたい。その子供たち、若者たちの挑戦を温かく応援する社会をつくろうではありませんか。

 大人になってからでも学び続けることで、何度でも新たな挑戦ができる社会にしたい。国民一人一人がみずからの夢や希望に向かって、持てる潜在力を最大限に発揮していくこと、それこそが我が国の将来を明るく活力あるものに変えていく原動力です。

 いかに困難な道のりであろうとも、私は、日本と子供たちの未来を見据えながら、さらに大胆に、さらにスピード感を持って、文部科学行政全般にわたり、戦後以来の大改革をなし遂げる決意です。

 オールジャパンで日本の再生を実現することができるよう、全力で取り組んでまいります。引き続き関係各位の御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。(拍手)

福井委員長 次に、平成二十七年度文部科学省関係予算の概要について説明を聴取いたします。丹羽文部科学副大臣。

丹羽副大臣 このたび、引き続き文部科学副大臣を拝命いたしました丹羽秀樹でございます。

 副大臣として大臣をよく補佐し、東日本大震災からの復旧復興のほか、特に、我が国の根幹を形づくる教育の再生、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを初めとするスポーツの振興に全力を尽くしてまいります。

 今後とも、委員長を初め、委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、平成二十七年度文部科学省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 文部科学省関係予算は、一般会計五兆三千三百七十八億円、東日本大震災復興特別会計二千百九十六億円などとなっております。

 第一に、社会を生き抜く力の養成として、授業革新などによる教育の質の向上を実現するため、教職員指導体制の充実など、教員の質と数の一体的強化を図ることとしております。

 また、全国的な学力調査を実施するほか、道徳教育、特別支援教育、いじめ対策、子供の体験活動、キャリア教育、職業教育、学校における情報通信技術の活用、土曜日の教育活動を推進します。さらに、地域コミュニティーの活性化を図る学校を核とした地域力強化プランや、女性の活躍推進等のための環境を整備する放課後子ども総合プランなどを実施することとしております。

 同時に、フリースクール等で学ぶ子供への支援の検討など、多様な教育機会の確保に取り組んでいくこととしております。

 第二に、未来への飛躍を実現する人材の養成として、グローバル人材育成のため、スーパーグローバルハイスクールや大学等の海外留学支援制度を拡充することとしております。

 また、各国立大学の強み、特色を生かした機能強化への取り組みを重点支援することで国立大学改革を促進するとともに、建学の精神に基づき多様な人材を育成する私学の振興を図ることとしております。

 第三に、安心して教育を受けることができる学びのセーフティーネットの構築として、幼児教育の段階的無償化に向けた取り組みについて、平成二十六年度に引き続き低所得世帯の保護者負担の軽減等を図るほか、高校生等奨学給付金を拡充します。

 また、大学等奨学金事業について無利子奨学金を拡充するほか、大学等の授業料減免等の充実を図ることとしております。さらに、スクールソーシャルワーカーの配置を拡充するほか、地域の人たちの協力により中学生を対象に無償の学習支援を行うなど、学校をプラットホームとした子供の貧困対策を推進します。

 同時に、国公私立学校施設の耐震化、老朽化対策等のほか、防災教育や通学路の安全対策を推進することとしております。

 第四に、きずなづくりと活力あるコミュニティーの形成として、学校支援地域本部、コミュニティースクールなどにより、地域の活性化や社会全体で子供を育む環境づくりを推進することとしております。

 第五に、スポーツ立国の実現を目指し、スポーツ庁を創設するとともに、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック東京大会に向けた選手強化費の充実や、二〇二〇年東京大会のレガシーとして継承するためのスポーツ・フォー・トゥモローによる国際貢献、スポーツによる地域活性化などを推進することとしております。

 第六に、世界に誇るべき文化芸術立国の実現を目指し、二〇二〇年東京大会の文化プログラムを見据えた文化芸術活動を推進するとともに、日本遺産の創設など、文化遺産を活用した地域活性化方策への重点支援を行うこととしております。

 また、我が国の多彩な文化芸術の発信や国際文化交流、国立文化施設の機能強化などを推進することとしております。

 第七に、科学技術イノベーション・システムを構築するため、研究開発法人を中核としたイノベーション共創の場の形成や、研究開発力を駆動力とした地方創生に取り組むとともに、基礎研究力強化を図るため、独創的で多様な学術研究などを継続的に推進します。また、科学技術を担う人材を育成するため、若手研究者や女性研究者の活躍促進を図ります。さらに、ポスト「京」の開発など、国際水準の研究環境及び基盤の充実強化や、科学技術の国際活動の戦略的推進を図ることとしております。

 第八に、ライフサイエンスによるイノベーション創出のため、平成二十七年度に設立する日本医療研究開発機構において、関係府省と連携し、革新的な医療技術の実用化を加速するとともに、クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現を目指し、ITER計画などを推進します。また、次世代インフラの整備に向け、地震、津波や火山、豪雨等の自然災害による被害軽減に資する研究開発などを実施することとしております。

 第九に、人類のフロンティアの開拓及び国家安全保障・基幹技術の強化を図るため、宇宙航空分野の研究開発、海洋資源の調査研究を推進するとともに、東京電力福島第一原子力発電所の廃止措置等研究開発の加速プランに基づいた国内外の英知を結集した廃炉研究や人材育成の実施、「もんじゅ」の安全対策、維持管理に必要な取り組み、固有の安全性を有する高温ガス炉等の研究開発を推進することとしております。

 以上、平成二十七年度文部科学省関係予算の概要につきまして御説明申し上げました。

 なお、これらの具体の内容につきましては、お手元に資料をお配りいたしておりますので、説明を省略させていただきます。

福井委員長 以上で説明は終わりました。

 この際、藤井文部科学副大臣、赤池文部科学大臣政務官及び山本文部科学大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。藤井文部科学副大臣。

藤井副大臣 このたび、引き続き文部科学副大臣を拝命いたしました藤井基之でございます。

 副大臣として大臣をよく補佐し、東日本大震災からの復旧復興のほか、特に、日本の経済再生の原動力となる科学技術イノベーションの推進、文化芸術立国の実現のための文化の振興に全力を尽くしてまいります。

 今後とも、委員長を初め、委員の皆様方の御指導、御鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

福井委員長 次に、赤池文部科学大臣政務官。

赤池大臣政務官 このたび、引き続き文部科学大臣政務官を拝命いたしました赤池誠章でございます。

 大臣政務官として、大臣、副大臣とともに、東日本大震災からの復旧復興のほか、教育の再生及び文化の振興に全力を尽くしてまいります。

 今後とも、委員長を初め、委員の先生方の御指導、御鞭撻を心よりお願い申し上げます。(拍手)

福井委員長 次に、山本文部科学大臣政務官。

山本大臣政務官 皆様、おはようございます。

 このたび、引き続き文部科学大臣政務官と復興大臣政務官を拝命いたしました衆議院議員の山本ともひろです。

 私は、大臣政務官として、各副大臣、政務官とともに下村大臣をお支えし、東日本大震災の復旧復興のほか、科学技術・学術、スポーツを担当させていただきます。

 福井委員長を初め、理事、委員の皆様方におかれましては、引き続き御指導、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

福井委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省自治行政局選挙部長稲山博司君、法務省大臣官房審議官富山聡君、文部科学省初等中等教育局長小松親次郎君、高等教育局長吉田大輔君及び高等教育局私学部長藤原誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。義家弘介君。

義家委員 自由民主党の義家弘介です。

 まず、近年というか、ここ一年だけでも、青少年による非常に凄惨な事件が発生しております。二〇一四年の長崎佐世保で、友人を人を殺してみたかったと殺害、あるいは、ことしに入ってからの名大生の、かかわりの薄いおばあさんを殺してしまう、さらには川崎で起こった事件。

 青少年の犯罪は、過去、反社会性を帯びたものが中心であったというふうに思います。反抗する相手や反抗する対象があって、しかし、現代の青少年事件は、非社会的なものと大きく変容していると私自身感じております。

 また、青少年の日常、交友関係も含めて教育の側が把握できなくなってしまっている。どのようなグループがあって、どのような子供たちと交流しているのか。これは、ネットの普及も大きな要因になっているかと思います。

 あるアメリカの調査によると、ネット社会で生きる現代の子供たちは、小学校を卒業するまでにおよそ八千件の殺人を目撃する、そして、およそ十万件の暴力行為を目撃するという衝撃の調査結果も出されておりますが、それらのほとんど全てはバーチャルリアリティーの中でのものであり、そこには痛みが全くありません。

 必然、我々が常識として想像している以上に、現代の子供たちの衝動やあるいは命に対するハードルは低くなっていると言えると思います。時に平然とそのハードルを跳び越えていってしまう。それが、一部で起こっている非社会的と呼ばれる事件のような気が私はしてなりません。

 井の中のカワズ大海を知らずと言われてきましたが、現在は、井戸の中のカワズも大海を知っているんです。しかし、井の中のカワズ大海の情報を知るが体験を知らず。実体験に乏しい若者たちに、このような高度情報化社会だからこそ、どのような実体験をさせていくか、これは大きなテーマであろうと思います。

 また、そのような状況の中、教育する側からもゆゆしき行動が発覚いたしました。千葉県船橋市の高校での話です。六日の午後、三十代の男性教諭が産まれたばかりの子猫五匹を発見し、担任する生徒三人に穴を掘らせて、そのまま生き埋めにしたという問題行為であります。

 放置すれば死ぬと思った、対処の方法がわからず埋めた、とにかく早く処分したかったなどと説明しておりますが、教育をする側も非社会性を持って子供たちに接しているという危機感を感じてなりません。

 我々は今、分析したり嘆いたりするのではなくて、しっかりと議論をし、教育を再生するだけではなくて、新時代に対応した教育の創生、これをなし遂げていかなければならないと改めて思っております。

 さて、質問に入らせていただきます。

 まず、投票年齢の十八歳引き下げ。これは、各党で合意し、これから今国会でという形になっていくと思いますが、これは文部科学行政において大きな大きな影響がございます。

 まず、投票年齢十八歳への引き下げ、また、それに伴い議論になっている少年法の改正、ひいては民法の成人年齢の引き下げについて、これは総論としてで結構でありますが、大臣の所見を教えてください。

下村国務大臣 御指摘の投票年齢の十八歳への引き下げでありますが、学校において現在、教育基本法第十四条第一項にのっとり、学習指導要領に基づき、日本国憲法の基本的な考え方や、我が国の民主政治や議会の仕組み、政治参加の重要性や選挙の意義などについて指導が行われております。

 選挙年齢を満十八歳に引き下げた場合、新たな有権者となる若い人たちの政治や選挙への関心を高め、政治参加を含め、主体的に社会生活を営む知識や実践力、態度を育む教育の必要性、さらに高まる、今までではまだまだ不十分であるというふうに認識しております。

 このため、昨年十一月に中教審に対して行った学習指導要領の改訂に関する諮問におきましても、選挙権年齢の引き下げの検討状況なども踏まえ、高等学校に主体的な社会参画の力を育む新教科、これを設置することなどについて審議をお願いしておりまして、現在、具体的な検討が進められております。

 しかしながら、仮に来年の夏に参議院通常選挙から選挙年齢が十八歳以上となった場合、現在の高校生に対する政治参加の意識を高めるための指導の充実は、これは喫緊の課題でありますので、中教審の答申を待っていたら間に合わない。

 このため、まずは取り急ぎ総務省と連携して、ことしの夏をめどに、模擬選挙などの実践例やワークシートなども盛り込んだ、政治や選挙などに関する指導の充実を図るための副教材を作成して全ての高校生に配付し、公民や総合的な学習の時間において、体験活動も含めた指導の徹底を図ることを予定しております。

 文科省としては、子供たちが将来一層積極的に社会に参画することになるための教育を進める、これがさらに必要だと思いますし、また、一方、教員が公職選挙法を初めとする関係法令をしっかり遵守してもらう、各学校において教育基本法第十四条を前提とした指導が行われるようにしっかり指導してまいりたいと思います。

義家委員 ありがとうございます。

 公職選挙法以前に教育公務員特例法も踏みにじってしまっているような一部の教職員組合等の活動について、これもしっかりと正していかねば、子供たちにだけ公職選挙法や政治の知識を教え育んでいくということだけでは足りないと私自身も思っております。

 さて、その上で、そもそも、十八歳で一人前の権利行使ができるということを前提に日本の教育制度がつくられていないということをまず我々は認識すべきであろうと思っております。明治で二十が成人になりましたけれども、当時は、成人の前の社会人経験、これを前提にして学校教育が組まれていったというふうに私は思っております。

 例えば一九五五年、今から六十年前でありますが、高校進学率は五一・五%、大学進学率は一〇・一%、つまり、若者たちの半数以上が五年間の社会経験を経て成人となっていた。そして、大学進学率は一〇・一%ですから、そのほかの大半の生徒が、十八歳から二年間の社会人経験を経て成人になっていくという形で現在の教育システムのプログラムが組まれていると思います。

 しかし今、高校進学率は九七%以上、大学、短大、専門学校の進学率は合わせて七三%、つまり、七割以上が学生として成人を迎えているというのが今の状況であります。

 とりわけ、十八歳は高校三年生でありまして、選挙権も含め、仮に成人に編入するのであれば、教育カリキュラムそれから教育施設等の抜本的な組みかえ、つまり、今進めている学制改革以上の学制改革を進めていかなければならないというふうに私自身は考えておりますけれども、大臣の御意見をお聞かせください。

下村国務大臣 おっしゃるとおりで、基本認識は全くそのとおりであります。

 私も、十八歳選挙年齢引き下げについては随分前からいろいろな民間団体と活動してきたことがございまして、当時から、高校三年生が十八歳になりますので、高校三年生や、あるいは、まだ成人になっていない大学生に、選挙年齢十八歳引き下げをどう思うかということをよく聞いたことがございました。驚いたことに、私は当時驚いたんですが、早く十八歳選挙年齢が欲しいというふうに手を挙げている学生の方が、高校生の方が当時は三割ぐらいですね。ほかの人は要らないと言うのでびっくりしたんです。それは、選挙年齢というのは権利ではなくて義務だと若い人たちが思っていて、そんな義務は、つまり負担を伴うことは要らない。これはやはり教育に問題があるというふうに思います。

 今は世界どこでもほとんどの国が実際は十八歳の選挙年齢、あるいは成人年齢も含めて日本が二十歳というのは、世界の中では最も高齢に部類として入るということの中で、できるだけ早く自立した精神を持つ、そして民主主義というのは、誰かが一方的に与えてくれるものではなく、自分たちが参加することによって一緒にこの社会を、日本の国をつくっていくものだ、そういう意識を教育の中でしっかり育む、発達段階に応じてすることによって、より早く精神的にもあるいは人間的にも自立できるような、それこそが教育として問われているのではないかと思いますし、そういう意味では、今までの教育はどちらかというと、親の意識もそうだったかもしれませんが、ひとり立ちさせなくてもいいような、自立しなくてもいいような、ほかの国に比べると日本はそういう状況があったのではないかと思います。

 それは結果的には、これから少子高齢化の中でこの国の活力をさらにそいでいくことにもつながってくると思いますので、そのような抜本的な意識改革を含めた教育改革を同時に進めていくということは、大変重要なことだと思います。

義家委員 ありがとうございます。

 私自身は、学制、これは四・四・三制あるいは四・四・四制、十八歳年齢を後期中等教育から切り離す等々の議論を今行っていかなければ、今後大変な問題もはらんでいくだろうなというふうに思っております。

 また同時に、主権者教育と道徳教育です。欧米の例なんかを見ると、やはり、この道徳教育と主権者教育というのは一緒に行われているんですね。人として、市民としてよりよく生きる、そしてみずからの責任を自覚するという意味で、例えばイギリスで導入されたシチズンシップ教育、これなんかもまさに道徳と一体ですし、フランスなんかの公民・道徳、これも、主権者教育と道徳というのはセットになっております。

 大臣の強いリーダーシップで道徳の教科化が今後進んでまいりますけれども、単に生き方を教えるだけではなくて、市民として、国民として、地域の一人としていかに生きていくのかということを、小学校、中学校、高校の段階からしっかりと系統立てて教えていく必要があろうと思います。

 先ほど、大臣の答弁の中で「公共」という教科の創設についての検討等も触れられましたが、ここで出てくる問題は、例えばイギリスのシチズンシップは、専任教員が教えているんですね。フランスの公民・道徳も、専任教員が教えて、しっかり評価もしているわけであります。一体、誰がどの時間にどのような方法で教えるのか、これが問われているんです。

 例えば、今も道徳というのは基本的には担任の先生に委ねられておりますけれども、担任の先生によっては、熱心にやる先生とやらない先生も存在する。つまり、無責任に「公共」というものを誰かがやってくださいではなくて、むしろ、今ある高校の必修の現代社会、これを明確に公民という名前にして、前回の改訂で現代社会の必修は四単位から三単位に減らされましたが、やはり四単位にふやす、あるいは一学年二単位ずつ行っていく、六単位にふやすぐらいの思いを持って主権者教育というのをしていく必要があるだろうというふうに私は思っています。

 その上で、例えば生徒に投票行動を教えようとするときに、いろいろな問題があります。例えば、二月二十二日、沖縄の与那国で行われた陸自の部隊配備についての賛否を問う住民投票、何と、働きかけで、中学生以上の未成年、さらには永住外国人までに選挙権が与えられました。生徒を巻き込んでの教員による政治活動、これもこれまで具体例を示して再三指摘したことですが、教室や教育から特定のイデオロギーに基づいた教育を排除しないまま主権者教育が行われ、そして成人年齢が付与されるといったら、私は大変なことになるというふうに思っております。

 文部科学省にお伺いします。

 昭和二十九年につくられた義務教育諸学校の政治的中立を確保するための臨時措置法だけではなく、この際、公教育の政治的中立を確保するための法律等の新規立法や、あるいは、教員の政治活動を禁じている教育公務員特例法第十八条の改正等の検討もずっと行ってきておりますけれども、省内での検討状況を教えてください。

小松政府参考人 御指摘のとおり、学校教育において一党一派に偏した政治的主義主張が持ち込まれてはならないということで、教育基本法等にのっとった適正な学校運営、政治的中立が確保されるようにしていくという観点からこれまで臨んできているところでございます。これまでの国会での御審議でも、教特法、教育公務員特例法、あるいはいわゆる中確法等の法令の改正についていろいろ御提案をいただいているところでございます。

 文部科学省からは、大臣の方から、教特法及び中確法の改正につきましては、過去、自民党から議員立法として国会に提出されたことを承知しており、議員立法として進めることにより、学校において政治的中立が担保されていることを国民に示すことが必要ではないかと考えているという趣旨の答弁がございます。

 私どもといたしましては、先ほど御指摘がございました立法のときの経緯、国会における御議論等を踏まえますと、その国会での御議論の推移を見ながら立法については慎重に検討していく必要があると考えておりますが、他方、現行の法律の趣旨の徹底をきちっと図っていくべきであるという御指摘は、さらに重みを増すものと考えます。

 十八歳への選挙権年齢の引き下げ等に伴い、その辺を徹底できるようにさまざまな施策を講じていきたいという考え方で検討しているところでございます。

義家委員 文部科学省におかれては、これまでの国会での議論の中で、副教材の取り扱いについての見直しも本当に毅然として通知していただきまして着々と進めてはおりますけれども、一方で、毎回毎回私が事例を出すように、一党一派あるいは政権批判のみのような社会科の授業、政治・経済の授業が行われていることは事実なんです。

 この三月に卒業した高校生からも授業の板書ノートや配付されたプリントが届きましたけれども、それは、政治教育の授業というよりはイデオロギー教育まさにそのものでありまして、こういう実態がある中で来年からまた投票年齢が引き下げられて政治に参加するようなことがあったとしたら、これは投票行動に大いなる影響を及ぼしていくものと思われますので、ぜひともこの議論はしっかりと行ってまいりたい、一緒に進めてまいりたいというふうに思っております。

 さて、また、学校だけで主権者教育ができるわけでは全くございません。学校に任せておけば主権者として育っていくなんというふうに私も感じておりません。教育基本法にも明記されているとおり、第一義的責任は保護者にあります。主権者として親の姿勢を見せながら、見ながら子供は主権者として育っていく、これが大前提であろうと思います。

 しかし、例えば昨年の暮れの衆議院総選挙、子供の親世代である三十代の投票率は四二・一%、四十代の投票率は五〇%という状況であります。政権選択の総選挙は、言うまでもなく、各政党が示した国の根幹政策を国民が選択するという極めて重要な選挙でありますが、この投票率は極めて残念な結果と言わざるを得ません。親が主権者としての姿を子供に示すことが今問われていると思います。

 そこで、総務省に質問と提案です。

 公職選挙法第五十八条では「投票所に出入し得る者」を定めております。具体的にさらっと読みます。五十八条、選挙人、投票所の事務に従事する者、投票所を監視する職権を有する者または当該警察官でなければ投票所に入ることはできない。ただし、選挙人の同伴する幼児そのほかの選挙人とともに投票所に入ることについてやむを得ない事情がある者について投票管理者が認めたものについてはこの限りではない。

 私は、幼いころから子供を投票所に連れていっております。そして、あの静ひつな環境の中で父親が主権者として一票を託す姿を見せておりますが、しかし、本来、この法律だけを読み込めば、これは幼児しか入れないですよね。一番の教育は本物を見せることなんです。例えば、絵画や音楽などの芸術も、あるいは自然体験も全く同様でありまして、私は、親ができ得る一番の我が子への主権者教育は、投票という民主主義の土台を実際に子供たちに見せることだと考えております。

 公選法では、入れる規定は幼児までであります。そう、法律を普通に解釈すると児童は入ることができません。ぜひ、法改正も含めて検討し、特に、小学生の子供を選挙に連れていこうというような啓発ができるようにしていただきたい。

 学校の模擬投票ではできない、本物の選挙という体験を小学校のころに親とともに経験する、これが実現できれば、家庭内において子供も交えた政治議論も行われるでしょうし、親世代の意識も高まって、親世代もしっかりと子供に主権者教育をしなければという自覚の中で、投票率も高まっていこうと思います。また、静ひつな環境を乱さないために、子供にはしっかりと、静かにマナーを守って等々の道徳教育を子供に親が施すいい契機にもなろうかと思いますが、ぜひ、総務省の検討と、そして現時点での見解、前向きな答弁をよろしくお願いします。

稲山政府参考人 お答えをいたします。

 「投票所に出入し得る者」、御指摘ございました公職選挙法第五十八条が規定をいたしております。

 もともとは、投票所に出入りし得る者ということで、選挙人あるいは事務従事者等に限定されていたところでございます。しかしながら、投票の秘密の保持でございますとか投票所の秩序の維持といいました同条の趣旨に鑑みますと、選挙人の同伴する幼児等が出入りすることまでも禁止しているものではない、これはそれまでも解されておりました。ただ、現実の取り扱いといたしましては、投票所でいろいろなばらつきが見られたところでございます。

 このため、平成九年に法改正がなされまして、同伴する幼児等一定の者につきましては投票所に出入りすることができることが明確をされた、こういった経緯があるところでございます。

 ただ、その場合にも、今御指摘ございましたように、選挙人とともに投票所に入ることができる子供について、一定の制約があるというところでございます。

 一方で、選挙権年齢の引き下げの議論が進められております。また、各選挙を通じまして、御指摘もございましたように、若年層等の投票率が低くなっております。こういった中で、将来を担う子供たちにも早い段階から社会の一員あるいは主権者としての自覚を持ってもらうことが、これは大変重要なことであると認識をいたしております。

 そういった観点からも、ただいま御提案のございました、親が子供を投票所に連れていくことにつきましては、現実に投票している姿を子供に見せることができるものでございます。将来の有権者に対する有効な啓発にもつながるものと考えております。

 したがいまして、御提案の提案につきましては、投票所の秩序保持や静穏の確保、これも大事なことでございますが、こういったことにも留意しつつ、今後の若者の政治意識の向上に係る御議論等も踏まえまして、これは十分検討してまいりたい、このように考えております。

義家委員 前向きな答弁、ありがとうございます。

 私も投票所に行くたびに非常に思いを持って一票を入れておりますが、あの静ひつな環境、これは、口で説明するだけでは子供たちに伝えられない貴重なものであろうと思います。現在の前向きな答弁、我々も背中を押してまいりますので、ぜひとも実現させていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 さて、その上で、少年法、少年事件の実態、そして更生保護の実際について議論を移してまいりたいと思います。

 三月十日、神奈川県の私立高校で三十六人が総額三十万円万引きし、理由は欲しかったと説明。実は、社会では集団窃盗ですよね。しかし、この事件が発覚して学校側は、登校謹慎処分、学校に来て謹慎する。つまり、教育界の実態と社会の実態が乖離している。

 これは、いじめ問題も含め、ずっと指摘してきたことです。町でやったら逮捕されるものを学校でやったら出席停止にもならないというこの乖離した状況をイコールフッティングにしていく、これなくして、やはり青少年問題というのは語れないと私は思っております。

 その上で、時間も迫ってきていますので、まず、川崎で起こった痛ましい事件、これは連携不足等々の背景もございますけれども、文部科学省はどのような対応をこの発覚後とったのか。ぜひ大臣、お答えください。

下村国務大臣 今回の事案については、深い悲しみと憤りを禁じ得ないこのような事案が二度と起こることがない、そういう断固たる決意で臨みたいというふうに強く感じております。

 この事案を受けまして、丹羽副大臣を主査とした、関係府省庁とも連携したタスクフォースの設置、川崎市に対し、正確な事実の解明、外部有識者を交えた検証、関係機関との連携の要請、同様の危機にさらされている児童生徒がいないか把握する調査の実施と、その結果に基づく児童生徒の安全確保についての全国の学校設置者への要請、学校と警察の連携に係る調査の実施等、取り組みを行っているところであります。

 今後さらに関係府省庁と連携しつつ、タスクフォースにおきまして、学校における早期対応、関係機関との連携、子供のSOSを受けとめる窓口等につきまして、今月中に一定の取りまとめを出すことを予定しております。

 今後とも、全国の学校設置者においてしっかりとした対応がとられるよう、全国の学校設置者に働きかけてまいります。

義家委員 ありがとうございます。

 私は、事件を受けて、事一つの事件だけではなくて、日本全国の青少年の実態を本当に速やかな判断で調査し把握しようと努力されていたその文科省の動きの速さに敬意を表したいと思っております。

 その上で、少年の更生保護、少年審判と学校と、そして社会の乖離というものをどうしても指摘せざるを得ないわけでありますけれども、報道で明らかになっているこの川崎の事件ですが、主犯格の少年は、昨年六月、スクーターの後部座席から通りすがりの壮年男性の頭部を手にしていた鉄パイプで殴り重傷を負わせる件で逮捕され、家裁から少年鑑別所に送られまして、去年十二月二十五日に、少年院に送致されることなく地元に帰されております。

 見ず知らずの人間をいきなり後ろから鉄パイプで殴る、事実であれば、なぜ鑑別所は少年院送致にしなかったのか。つまり、鑑別所に行った場合というのは、四つのパターンです。まずは検察送致、悪質なので検察で判断してください。それから保護処分、これは少年院ですね。それから試験観察、鑑別所の外には出すが、一定の監視のもとで試験的に観察するというもの。一番軽いのが保護観察です。

 見ず知らずの人を後ろから鉄パイプで殴る、もしかしたら死んでいたかもしれないわけですけれども、その事件で、一番軽い保護観察処分で、およそ一カ月の鑑別所での調査の上で出してしまう。この判決自身が非社会性を帯びていると私は思えてならないんです。

 もちろん、個別具体の案件は法務省としては答えられないことは重々承知の上でありますが、法務省、今の更生システム、つまり、反社会的な少年犯罪を扱っていた時代と変わっている今、このような判断を続けている実態についてどのように感じているか、お考えを聞かせてください。

富山政府参考人 お答えいたします。

 法務省所管の少年鑑別所という組織につきましては、家庭裁判所の観護措置の決定を受けて収容された少年につきまして、その資質を鑑別し、その少年の改善更生等を図るためにどのような処分が適切かという意見を鑑別結果通知書という形で家庭裁判所にお出しする、そういった役目を負っている施設でございます。

 また、そういった鑑別結果通知書を踏まえ、さらには、家庭裁判所の調査官という方がおいでになりますが、そういった方の調査結果も踏まえ、最終的に家庭裁判所でその少年についての審判結果が出されるというような仕組みになっていると承知しております。

 委員の方からは、今、そういった仕組みについて、非行少年の状況が反社会的なものから非社会的なものに変わってきている中で的確な対応を欠いているのではないかというような御指摘をいただいているところでございますが、私どもといたしましては、個々の少年の持っております資質あるいは環境等を十分に分析して、的確な指針が出せるように、今後ともぜひ努めてまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

義家委員 まず、どのように対応し、どのように更生させていくのか。これまでのモデルをそのまま当てはめていっても対応ができないと私は言っているわけでありまして、例えば少年事件で鑑別所に入ったら、所属していた高校は間違いなく退学処分になるでしょう。そうしたら、鑑別所で保護処分を出して地元に戻ったら、それが箔になってさらなる非行行為が繰り返されていくわけですよ。つまり、学校と少年審判の連携もないんです。

 私が教師をやっていたときも、少年院に入所経験があったけれども、親も本人もそれを隠していれば、受け入れる学校はわからないですよ。仮に、本当に更生と言うならば、その部分でしっかりと連携をした上で、方針を一致させてともに力を合わせて行っていく等々の連携がなければ、問題はずっと繰り返されていってしまうというふうに思っています。

 この議論、成人年齢引き下げ、十八歳投票年齢引き下げ等の議論と直結する問題でもございますので、今後も、さまざまな場面で意見を述べながら議論を深めてまいりたいと思います。

 以上です。ありがとうございました。

福井委員長 次に、浮島智子君。

浮島委員 公明党の浮島智子です。よろしくお願いいたします。

 早速、時間がないので質問に入らせていただきたいと思います。

 三月十三日の予算委員会では、上村遼太君をどうすれば救えたかという観点から、総理、そして大臣に質問をさせていただきました。

 具体的には、学校は校長、教頭、教員のみで構成されるという明治以来の官立学校といった固定観念から、きょう配付をさせていただいています資料一から資料二への、ソーシャルワーカー、個別学習・生活支援ボランティア、いわゆるこれはチューター、メンターですけれども、などの連携と協力で成り立っている、地域主導のいわば地域立の学校へ向けた改革、これへと発想を転換する必要があるということを申し上げさせていただきました。

 現在、いろいろなものはありますけれども、ばらばらに学校や子供にかかわっているこれらの関係者、機関をつなげる仕組みとして、セーフティープロモーションスクールの認定を促すことを提案をさせていただいたところでございます。

 総理からも大臣の方からも大変積極的な御答弁をいただきまして、心より感謝を申し上げます。

 また、大臣の進める、ここにもありますチーム学校、この観点からもこれら地域立学校への支援を進めていただきたいと思っておりますが、私ども公明党といたしましても、近く部会で、第一号に認定された台東区立の金竜小学校を視察させていただく予定でもございます。

 このセーフティープロモーションスクール、この認定を広げる前提として、認定を行っている大阪教育大学の学校危機メンタルサポートセンターへの支援も欠かせないと思っております。

 そこで、セーフティープロモーションスクールの認定を担う大阪教育大学に対しまして運営費交付金等による支援を積極的に行うべきであると思いますけれども、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 まず、浮島委員のこの資料、「明治以来の学校の固定観念」、それから「「チーム学校」への転換」、これはすばらしいお考えだと思います。

 本当に、学制、明治五年から始まった、それ以来の根本的な固定観念から変えていかないと、今の一人一人の子供たちに対して対処できなくなっているという、非常に、明治のとき以上の多様化、複雑化、困難な時代になってきていますので、学校に対するサポートをしていくことが大変重要だと思います。

 ぜひ、御支援と一緒に、政府と、そして与党、国会一体となって進めていただけますようにお願い申し上げたいと思います。

 その上でセーフティープロモーションスクールの件でございますが、御指摘のように、池田小学校事件を教訓に、これまで学校安全に関する人材育成や教材開発等のさまざまな取り組みを実施してまいりました大阪教育大学が、このたび、安全推進の取り組みを継続的に実践する学校をセーフティープロモーションスクールとして認証する取り組みを我が国で初めて開始したこと、これは、学校安全を推進していく上で極めて意義深いことであるというふうに考えております。

 大阪教育大学に対する国立大学法人運営費交付金については、平成二十七年度予算案におきまして対前年度比二千万円増の六十億七千万円を計上しており、こうした取り組みを含めた教育研究活動にも活用できるものと考えております。

 文科省としては、大阪教育大学を含め、各国立大学が実施する教育研究活動の基盤となる運営費交付金の確保に努めてまいりたいと思います。

浮島委員 ありがとうございます。しっかりと子供たちの命を守るという観点から、積極的な支援をお願いしたいと思います。

 次に、川崎の事件と同様、決して忘れてはならない、大津のいじめの自殺事件がございます。これを一つの契機として議論が行われまして、今年度中に学習指導要領の改正が行われる道徳の特別教科化について何点か、確認とお伺いをさせていただきたいと思います。

 私は、この道徳というのは、しっかりとやらなければならないと思っております。しかし、その中で、教科そして心の評価にはなじまないのではないかと思っております。道徳の教育というものは、子供たちの心の中を管理するものではなくて、豊かな心を育てるため、そして、体験活動や良書の活用により、人を慈しみ、大切にし、思いやりの心など、内面をしっかりと引き出していくことが大事だと認識をしております。

 昨年十月の中教審の答申が述べている、「道徳教育の本来の使命に鑑みれば、特定の価値観を押し付けたり、主体性をもたず言われるままに行動するよう指導したりすることは、道徳教育が目指す方向の対極」であり、「むしろ、多様な価値観の、時に対立がある場合を含めて、誠実にそれらの価値に向き合い、道徳としての問題を考え続ける姿勢こそ道徳教育で養うべき基本的資質」というのは、そのとおりだと私も思います。

 また、大臣が、発達の段階に応じて、答えが一つでない課題に道徳の問題として向き合い、考え、そして議論する道徳教育に転換することが大切であるとおっしゃっていることは、とても理解できます。

 そこで、今回の特別教科の趣旨を、決して特定の価値観を押しつけるものではない、大臣を先頭に文科省として、教員、保護者、そして子供たち、教科書会社を初め、国民の皆様にしっかりと御説明願いたいと思います。

 また、今回、六千件に近いパブリックコメント、意見が寄せられました。その中でも、不安そして懸念が示されているのも事実でございます。その最も大きなポイントは、道徳の、教科化にしたときの評価の問題でございます。一、二、三、四、五とかA、B、Cとか、そういった評価がなされるという誤解もまだ少なくありません。

 そこで、道徳の評価について、文科省の基本的な考え方と今後の検討のあり方についてお伺いをさせていただきたいと思います。

小松政府参考人 道徳科の評価についてお尋ねでございます。

 パブリックコメント等も終わりまして、現時点での私どもの基本的な考え方、御説明させていただきたいと思います。

 今御指摘ありましたように、今回の道徳の特別教科化は、昨年十月の中教審の答申を踏まえて行っているところでございます。

 その基本的な考え方は答申において述べられているわけでございますけれども、評価のことにつきましては、児童生徒一人一人のよさを伸ばし、成長を促すための適切な評価を行うということが必要であるということが述べられております。そして、数値などによる評価は不適切という提言でございます。

 そこで、この内容に沿いまして本年二月四日に公表しております学習指導要領改正案においては、児童あるいは生徒の、「学習状況や道徳性に係る成長の様子を継続的に把握し、指導に生かすよう努める必要がある。ただし、数値などによる評価は行わないものとする。」という形にしているところでございます。

 それから、この道徳科の評価の問題につきましては、パブリックコメントでも非常に関心が高く、さまざまな御意見が出ております。記述式で評価するからこそ教師も意識して指導に当たることができるといった御意見もございますし、教師の求める発言をする子供がふえたり本音で語ることができなくなったりする道徳教育は避けるべきだという御指摘などもございます。

 そこで、私どもとしては、これらを踏まえまして、この評価の問題は専門性が非常に高いところもございます。平成二十七年度に、評価や道徳教育、あるいは発達障害等のこともございますので、専門家による会議を設け、道徳科の評価に関する専門的な検討を行った上で、教師用指導資料の作成や指導要録の改正を行うという手順で進めたいと思っております。

 その際、文部科学省といたしましては、数値による評価ではなく記述式であること、それから、ほかの児童生徒との比較による相対評価ではなくて、児童生徒がいかに成長したかを積極的に受けとめて励ます個人内評価として行うこと、それから、今申し上げました、ほかの児童生徒と比較して優劣を決めるような評価はなじまないということに留意する必要があること、そうして、個々の内容、項目ごとに細かく評価をするのではなくて、大ぐくりなまとまりを踏まえた評価を行うこと、また、発達障害等の児童生徒についての配慮すべき観点等を学校や教員の間で共有すること、そして、現在の指導要録の書式におきましては、「総合的な学習の時間の記録」、「特別活動の記録」、「行動の記録」、そして、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」といった既存の欄もございます。

 こういったあり方も総合的に見直すことといった基本的な方向性をお示しした上で、それを前提に専門的な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

浮島委員 基本的な方針のもと、専門的な検討をしっかりと行っていただきたいとお願いをさせていただきたいと思います。

 ただやはり、入試において道徳を評価するという取り扱いはとても重要なポイントだと私は思っております。入試のために道徳科の授業で点を上げたいと、言いたいことも言わず、また言えず、先生の考えていることを先取りして発言するなんということがあっては本末転倒でございます。ここでは、考える、議論する道徳にしっかりとしていかなければなりません。

 そこで、一人一人の子供たちが、答えが一つではない問題に向き合い、考え、議論する道徳教育への転換という今回の特別教科化の趣旨と、受験生を公平に比較して公正に選抜するという入試の趣旨とはなじまないと私は思いますが、大臣の見解をお伺いさせていただきたいと思います。

下村国務大臣 もともと道徳は教科ではありませんので教科書があるわけではないわけでありますが、ただ、過去の教師の指導書というのがありまして、教材に対してこの教材はどんなふうに指導していったらいいかということをチェックしてみますと、やはり教師が教材の中の物語はこんなふうに読み取るべきだ、こんなふうに考えるべきだということが指導書の中に書いてあった部分がありました。

 これは、御指摘のように、子供たちが主体的にみずから多様な価値観の中で道徳について考えるという価値観ではありませんので、これを変えて、その物語も立場立場によってそれぞれ違うと思います。正義が一つだけではなくて、違う角度から見たときそれぞれが正しいという考え方はあるわけでありまして、そういう意味で、これからの特別の教科の道徳は、考え、議論する、そして、それぞれの子供たちが主体的に見ることに対してどれがいいとか悪いとか、そういう評価ということではない。それがアクティブラーニングとしても必要ではないかと思います。

 そういう点で、高校入試の選抜方法や調査書の書式等、これは基本的には都道府県の教育委員会や設置者が決定するものでありますが、高等学校の入学選抜においては客観性、公平性の確保が求められるということから、学力調査の結果と調査書における各教科の評定等によって行われております。

 この中で、例えば、学校生活全体にわたって認められる生徒の行動を道徳性の涵養等の観点から評価する行動の記録を点数化して合否判定を使用するといったことは、承知している限り、行われていないというふうに思います。

浮島委員 ぜひとも、内申には書かせないなど、そういった配慮も必要だと思います。これによって子供たちが、何というか、いい子ぶりっ子になってしまうということもあってはいけないと思いますので、ぜひともそこは慎重にしていただきたいと思います。

 もう一つ、パブリックコメントにもありました懸念は、教科化されることにより、道徳教育が偏狭なナショナリズムにつながるのではないかという点がございました。我が国の道徳教育はあくまでも教育基本法にのっとって行われるもので、この懸念は当たらないと考えています。

 従来から道徳の内容事項として位置づけられている、我が国や郷土を愛することは、身近な郷土を慈しむことから始まり、国際的視野に立った開かれたもの、その考え方をいま一度御説明の上、どのように改めて周知徹底するか、お伺いをさせていただきたいと思います。

小松政府参考人 現在の学習指導要領の道徳の内容項目における、国あるいは郷土を愛する心を持つといった規定は、教育基本法において「教育の目標」として、伝統と文化を育んできた我が国や郷土を愛する態度を養うと定めているのと同様の趣旨であって、我が国や郷土を愛する態度と心は教育の過程を通じて一体として養われるものである、まずこれが現行の考え方でございます。これまでも政府答弁等で明らかにしているところでございます。

 したがいまして、今回、道徳の特別教科化の前後にかかわりませず、学習指導要領の道徳の内容事項に規定している国の趣旨はこれと同じでございまして、その国が、政府や内閣などの統治機構を意図するものではなく、歴史的に形成されてきた国民、国土、伝統、文化などから成る、歴史的、文化的な共同体としての国を意味しているものであるという考え方でございます。

 それから、従来から学習指導要領の解説において明らかにしておりますように、社会に尽くした先人や高齢者に尊敬の念を深め、地域社会の一員としての自覚を持って郷土を愛する心を国という広がりで考えれば、国を愛し、国家及び社会の発展に努め、すぐれた伝統の継承と新しい文化の創造に努める心につながるものであるという位置づけでございます。

 国を愛する心を持つということは、偏狭で排他的な自国賛美ということではなく、国際社会の一員として自覚と責任を持って国際社会に寄与しようとするものである、そういうことにつながっていくというものであって、我が国や郷土を愛することと、世界の中の日本人としての自覚を持ち、他国を尊重し、国際的視点に立ってその発展に努めることは切り離せない関係であるということなど、我が国や郷土を愛することが国際的な視野に立って開かれたものであることが重要と考えます。

 そこで、文部科学省におきましては、こうした趣旨を、学習指導要領の解説、あるいは、これから各種会議、それからさまざまな場面での研修等機会が用意されてまいりますが、その機会等を活用いたしまして、教育関係者、それから保護者の方々もあろうと思います、あるいは、教科書が出てまいりますので民間教科書会社等もあろうかと思います、幅広く多くの国民の方々に対して誤解のないよう、広く周知をしてまいりたいというふうに考えます。

浮島委員 誤解のないようにしっかりと周知していただくよう、お願いをさせていただきたいと思います。

 そして最後に、今回の道徳の特別教科化は、学習指導要領に位置づけられてからの六十年ぶりの大きな改革になります。しかし、先日の予算委員会で大臣もおっしゃった、明治以来百三十年続いてきた学校についての固定観念からの脱却という視点からも、重要であると思います。

 教師や保護者だけではなくて、地域の方々や専門家、芸術家やスポーツ家などのさまざまな専門家の多くの大人が子供たちと真正面から向き合う中で、子供たちの道徳性を高めるために今回の特別教科化をどう生かすか、最後に大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

下村国務大臣 今回の道徳の特別教科化の趣旨は、従来の読み物道徳と言われたり軽視されたりした道徳教育から、教科書を使って、子供たちが答えが一つでない問題を道徳的課題として捉え、考えたり議論したりする道徳へと転換することにあります。

 そのためには、教科書の充実や教員の資質向上に加え、地域や家庭との連携が欠かせないというふうに思います。

 具体的には、道徳科におきまして、教科書や地域教材の課題を机上で学ぶだけではなく、保護者、地域の方々、各分野の専門家などの知見も活用しながら、子供たちが道徳性を高め、それぞれの人生をよりよく生きていこうと考えるきっかけとなるような授業展開が重要となってくると思います。

 そのため、今回、学習指導要領上、地域の人々に加え、各分野の専門家などの積極的な参加や協力を得ながら、問題解決的な学習や道徳的行為に関する体験的学習といった指導上の工夫を行うことの重要性を明記するとともに、引き続き、外部講師の活用や地域教材の作成、家庭、地域との連携など、各地域の実情を踏まえた、特色ある道徳教育の推進を支援してまいりたいと思います。

 今回の道徳の特別教科化を契機として、社会全体で子供たちを育てていこうという機運を高めていくとともに、各地域、各学校における道徳教育のより一層の充実に努めてまいります。

浮島委員 豊かな心を育てるための、育んでいくための道徳教育になるよう私たちも一緒に戦っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 公明党の吉田宣弘でございます。

 早速質問に入らせていただきます。奨学金に関して質問いたします。

 奨学金は、学ぶ意欲がある学生のために、大学や専門学校に進学できるよう、また学生生活の一助になるように、経済的側面から支援する制度でございますが、私自身、大学生の時代に奨学金を受けさせていただいて、その恩恵にあずかることができました。大変に助けられた経験がございます。

 我が公明党は、これまで、国会議員と地方議員、力を合わせてその充実に大変に頑張ってきた、大いに汗を流してきた分野でございます。

 安倍首相も、二月十二日の施政方針演説におきまして、「大学生への奨学金も、有利子から無利子への流れを加速し、将来的に、必要とする全ての学生が無利子奨学金を受けられるようにしてまいります。」とおっしゃっております。

 そこで、今回の私の質問は、下村大臣の所信を受けての質問でもございますので、その意味におきましても、まず下村大臣から、奨学金制度の重要性に対する御認識と、先ほど申し上げた安倍総理大臣の施政方針演説に対する受けとめをお聞かせいただければと思います。

下村国務大臣 私も、奨学金があったからこそ、高校、大学に進学できたと思います。当時は、学生支援機構の前身の日本育英会は、半分返済すればいいという給付型奨学金制度がありました。それだけでは足らなかったので、あしなが育英会の前身である交通遺児育英会の奨学金も貸与することができ、高校、大学に進学することができたと思っております。

 多くの子供たち、家庭の経済状況にかかわらず、意欲と能力のある全ての若者が、質の高い教育を受け、一人一人の能力、可能性を最大限に伸ばして、それぞれの夢にチャレンジできる社会を実現する、そのためには、奨学金事業のより充実、経済的負担の軽減、これを図っていくことが極めて重要だと思います。ぜひこれを積極的に進めてまいりたいと思います。

 安倍総理も同様のお考えであり、私としても、今後さらに、意欲と能力のある学生等が家庭の経済状況によって進学等を断念することにならないように、できるだけ早期に、必要とする全ての学生等がまずは無利子奨学金が受けられるよう、大学等奨学金事業の充実に努めてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 下村大臣も奨学金の恩恵を受けてこられたということで、また、奨学金の重要性については、公明党ともその認識を共通にしておられるようでございます。大変にうれしく思うところでございます。

 ところで、私が文部科学省から説明を受けたところによりますと、現在約四万人ぐらいの学生さんが、無利子奨学金の貸与資格要件を満たしているけれども有利子奨学金の貸与にとどまっているということでございました。

 予算の都合のようでございますが、今後、有利子から無利子への加速ということで先ほど所信でもございましたけれども、どのように加速をしていかれるのか、お聞かせいただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 有利子から無利子への流れということでございますけれども、平成二十七年度の予算案におきましては、無利子奨学金の新規貸与人員を、これまでの過去最大の八千六百人の増員ということにいたしております。学年進行分も含めますと、一万九千人の増ということでございます。こういった取り組みを通じて、奨学金の有利子から無利子への流れを加速してまいりたいと思っております。

 先ほど御指摘のございました、無利子奨学金の貸与基準を満たしていながら無利子奨学金の貸与を受けられない者、これについては、今後とも早期解消に努めまして、できるだけ早期に必要とする全ての学生などが無利子奨学金を受けられるよう、大学等奨学金事業の充実に取り組んでまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 加えて、公明党としては、学ぶ意欲のある学生が将来にわたって安心して学ぶことができる環境を目指したいというふうに考えております。

 将来にわたって安心ということは、晴れて大学を卒業した後に社会の荒波の中でいろいろな経済的に困窮した状態とかに陥ってしまった場合、その上で奨学金の返済というものを迫られてしまったらますますつらい状況に陥ってしまう、そこで奨学金がそういった人生を苦しめるようなことになってはいけないのではないか。そういう観点からも、さまざまな事情で奨学金の返済が困難に陥ってしまった方が、例えば、奨学金の返済をちょっと待っていただくとか、待っていただく間は遅延損害金であったりとか利息もつかないような、そういった制度を何か御検討しておられないでしょうか。もし御検討されておられるようでございましたら、お教えいただければと思います。

吉田政府参考人 お答えいたします。

 さまざまな事情によりまして、卒業後、厳しい経済状況に置かれて奨学金の返還が困難な若者がいるということは確かでございまして、そのような返還者に対しましては、きめ細かな対応が必要であると認識をしております。

 このため、平成二十六年度からは、延滞金の賦課率を一〇%から五%へ引き下げるとともに、経済困難を理由とする返還期限猶予制度の年数制限を五年から十年へ延長するなど、真に困窮している奨学金返還者に対する救済措置の充実を図ったところでございます。なお、この返還期限猶予期間中は、延滞金及び利息は賦課をしていないところでございます。

 さらに、奨学金の返済月額が卒業後の所得に連動する、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度、これを平成二十九年度進学者から適用することを目指しまして、平成二十六年度の補正予算では、システムの開発に着手をしたところでございます。

 今後とも、意欲と能力のある学生等が経済的理由により進学等を断念することがないように、返還に係る制度の充実も含めまして、引き続き、学生等の経済的負担の軽減に取り組んでまいります。

吉田(宣)委員 学生さんが将来にわたって奨学金を受けていけるという意味でも大変に期待できる制度かと思われますので、ぜひとも詳しく御検討いただければと思います。

 今御説明いただいたように、奨学金を拡充する方向で御検討していただいているのかなというふうな意味では、公明党とその方向性が一致しているのかなと思われます。

 そして、奨学金、すなわち学生さんへの支援という課題は、これは広く社会的な課題だと思うわけでございます。そうだとすると、これを、社会的な課題ということを最後まで貫くとすれば、それは最終的には、返済不要な給付型の奨学金制度の創設という形で実現していかなければならないのではないかというふうに思うのです。さまざま壁は多いと思いますけれども、この給付型奨学金の創設について、下村文科大臣の思いといいますか、御認識といいますか、御見解をお聞かせいただければと思います。

下村国務大臣 高校においては、昨年から給付型奨学金をスタートいたしました。

 大学等奨学金事業におきましては、まずは、無利子奨学金が基本であるということに鑑みて、有利子から無利子への流れを加速させて、有利子をできるだけ早くゼロにするということをしていくことが大切だと思います。その上で、返還月額が卒業後の所得に連動する、より柔軟な所得連動返還型奨学金制度の導入に向けた詳細な制度設計を今進めているところでございます。

 大学における給付型奨学金については、将来的な導入を目指し、検討を進めているところでありますが、まずはこれらの施策の充実によりまして、学生等への経済的な支援の一層の充実に努めてまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 公明党は、これからも奨学金の拡充について努力してまいりますので、下村大臣におかれましても、ぜひともお力をおかしいただきますよう、ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、学校の耐震化についてお聞きいたします。

 学校の耐震化につきましては、我が党が、国会議員、地方議員、連携を密に協力して、その推進に力を込めてきた、そういった分野でございます。

 先日も予算委員会の場で、我が党の佐藤茂樹議員が質問させていただいております。その質問でも、これからの耐震化の問題として、その問題提起として、いわゆる非構造部材、天井とか窓ガラスあるいは照明器具などにも耐震施策を進めていかなければいけないところでございますが、そもそも、耐震化をするためには、その前提として、まず点検というものが行われていなければならないと思うわけでございます。

 今、非構造部材の耐震化に向けて、その点検の実施状況というものをお聞かせいただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員お尋ねの、学校施設の非構造部材の耐震対策に係る点検実施率でございますが、平成二十六年四月現在の調査では、公立学校が八九・八%、私立学校につきましては六四・二%という状況になっております。

吉田(宣)委員 若干、私立学校がおくれているようではございます。子供の命に公私の差はございません。繰り返しでございますが、耐震化といっても、点検が行われないと耐震のしようがない。そういった意味では、先ほどの所信表明の中でも、早期の耐震化完了を目指すというふうにおっしゃっていただきました。これを加速化していっていただきたいと思います。

 点検実施率一〇〇%に向けて、下村大臣のお受けとめをお聞かせいただければと思います。

下村国務大臣 御指摘のとおり、学校施設における非構造部材の耐震対策を進めるためには、耐震点検の早期完了を目指すことが重要というふうに認識しておりまして、公立、私立の学校設置者に対し、点検や対策の手法をわかりやすく示したガイドラインを配付するとともに、非構造部材の耐震対策について財政支援を実施しているところであります。

 文科省としては、非構造部材の耐震対策も含めた耐震化を進めるため、学校設置者からの要望を踏まえつつ、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと思います。

吉田(宣)委員 ありがとうございました。質問を終わります。

福井委員長 次回は、来る二十七日金曜日午前八時三十五分理事会、午前八時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十九分散会


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