衆議院

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第3号 平成27年3月27日(金曜日)

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平成二十七年三月二十七日(金曜日)

    午前八時四十五分開議

 出席委員

   委員長 福井  照君

   理事 池田 佳隆君 理事 石原 宏高君

   理事 冨岡  勉君 理事 萩生田光一君

   理事 義家 弘介君 理事 郡  和子君

   理事 牧  義夫君 理事 浮島 智子君

      青山 周平君    安藤  裕君

      尾身 朝子君    大見  正君

      加藤 寛治君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    木村 弥生君

      工藤 彰三君    小林 史明君

      櫻田 義孝君    谷川 とむ君

      辻  清人君    馳   浩君

      古川  康君    古田 圭一君

      前田 一男君    宮川 典子君

      山本ともひろ君    若狭  勝君

      菊田真紀子君    中川 正春君

      平野 博文君    柚木 道義君

      笠  浩史君    上西小百合君

      遠藤  敬君    鈴木 義弘君

      初鹿 明博君    中野 洋昌君

      吉田 宣弘君    大平 喜信君

      畑野 君枝君    吉川  元君

    …………………………………

   文部科学大臣       下村 博文君

   文部科学副大臣      丹羽 秀樹君

   財務大臣政務官      大家 敏志君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   文部科学大臣政務官   山本ともひろ君

   政府参考人

   (内閣官房教育再生実行会議担当室長)       高橋 道和君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局人事政策統括官)       若生 俊彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中川 健朗君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 上冨 敏伸君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房長) 戸谷 一夫君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            吉田 大輔君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         藤原  誠君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     辻  清人君

  鳩山 邦夫君     加藤 寛治君

  船田  元君     木村 弥生君

  松本 剛明君     柚木 道義君

  上西小百合君     遠藤  敬君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 寛治君     鳩山 邦夫君

  木村 弥生君     若狭  勝君

  辻  清人君     青山 周平君

  柚木 道義君     松本 剛明君

  遠藤  敬君     上西小百合君

同日

 辞任         補欠選任

  若狭  勝君     船田  元君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

福井委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、義家弘介君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び社会民主党・市民連合の五派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおり、独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案の起草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。浮島智子君。

浮島委員 おはようございます。

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案の起草案につきまして、提案者を代表して、趣旨及び内容について御説明申し上げます。

 独立行政法人日本スポーツ振興センターが運営する災害共済給付制度は、学校や保育所等の管理下で発生した災害に対して給付を行うもので、全国の児童生徒等の約千七百万人が加入しております。

 子ども・子育て支援新制度が本年四月一日から実施される予定となっておりまして、幼稚園と保育所の両方の機能をあわせ持つ認定こども園の普及を図るとともに、少人数の子供を保育する地域型保育事業を市町村による認可事業として児童福祉法に位置づけ、財政支援を行うこととしております。

 地域型保育事業は、都市部の待機児童の解消や子供の減少地域の子育て支援機能の維持、確保を目的としておりまして、人員、面積等の認可基準が定められ、保育所同等の安全管理が確保されている事業類型もあります。

 しかしながら、地域型保育事業については、幼稚園、保育所、認定こども園とは異なり、災害共済給付制度の加入対象となっていないことから、このままでは施設間での制度的格差が生ずることとなります。

 そこで、本案は、地域型保育事業のうち、法令等により保育所と同等の安全管理を確保することができるとされる家庭的保育事業、小規模保育事業及び事業所内保育事業の管理下における児童の災害について、当分の間、独立行政法人日本スポーツ振興センターの災害共済給付の対象にしようとするものでございます。

 なお、本案は、子ども・子育て支援法の施行日の、すなわち、平成二十七年四月一日から施行することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ御賛同くださいますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 独立行政法人日本スポーツ振興センター法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

福井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

福井委員長 起立総員。よって、そのように決しました。(拍手)

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

福井委員長 引き続き、文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房教育再生実行会議担当室長高橋道和君、内閣官房内閣人事局人事政策統括官若生俊彦君、内閣府大臣官房審議官中川健朗君、法務省大臣官房審議官上冨敏伸君、文部科学省大臣官房長戸谷一夫君、初等中等教育局長小松親次郎君、高等教育局長吉田大輔君及び高等教育局私学部長藤原誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

福井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

福井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。

柚木委員 おはようございます。

 本日は大臣の所信に対する質疑ということであります。ただ、大変残念な、かつ遺憾なことでございますが、下村文部科学大臣、そして事務所の秘書の方、あるいは、大臣の後援団体である全国の各地方博友会の役員の方々、今週二十四日、火曜日に東京地方検察庁に刑事告発をされ、現在、被告発人という立場でこの審議に臨まなければならないこと、全国の教育関係者や、あるいは、さまざまな課題に直面をしている子供たち、親御さん、そういった皆様に対しても、私は本当に残念な気持ちでいっぱいでございます。

 まず前半、この刑事告発を受けていることに対して、これはこの間、下村大臣は全くやましいことはないというふうに言明されておりますので、これまでの質疑、そしてまた、当然告発状をお読みになられていると思いますので、その内容についてお伺いしたいと思うんです。

 今回の、政治資金規正法八条違反ということで、この分野では一線級の弁護士の方々、二十四人の方々が告発人となられております。告発の趣旨、内容の前段にこのように書かれています。

 下村文部科学大臣の国会での答弁では全く疑惑が晴れず、むしろ、次々と暴露される資料を見ると、教育に携わる大臣として不適格であるのみならず、このような違法行為を長年継続してきた関係者には厳重に法的処罰を受けさせるべきと思料し、本告発に及ぶ次第である。

 そして、告発の内容、被疑事実については、政治団体の無届け違反罪、他人名義の寄附及び受領罪、そこには、被告発人として各地方博友会、そして、被告発人として下村博文、兼松正紀、榮友里子は共謀して、東北博友会、以下括弧博友会から、前記未記載の金銭の交付を受け、もって他人名義の寄附を二〇一二年四月一日から現在までの間寄附を受けたものである、こういった記述になっておりますし、さらに収支報告書の虚偽記載罪、こういったことで罪名、罪状と続いていくわけであります。

 私は、この国会での審議を通じて、この間五度にわたって、きょうは六度目になりますし、同僚議員がきょうこの後質疑をさせていただきますし、さらには、他の同僚議員とも本当に真摯にこの問題に対して大臣にお尋ねをしてきたわけでありますが、残念ながら、大臣のこの間の御答弁は、本当にたび重なる二転三転、そういうような経緯もあって、私自身も、疑惑は晴れるどころか、むしろますます深まっていっていると言わざるを得ない状態でのこのたびの告発に至っているということでございます。

 私が特にこの間やりとりをさせていただいたことについて幾つか伺いたいと思います。

 まず、今回、全国各地の地方博友会、これは、後ほど近畿博友会の問題も取り上げますし、同僚の郡委員からもここはただされると思いますが、下村大臣の政治活動を支援することを主たる目的とする後援会、すなわち、学習塾の経営者などを中心とした全国網の後援会組織でありまして、しかも、これは一時的なものではなくて、何年も継続的に下村大臣を支援する団体である。これが規正法に定める政治団体でなければ、ここにいらっしゃる全ての政治家の後援会は、全てこれは任意団体でやれるわけですよ。規正法を脱法することが可能となって、著しく法の趣旨に反する、こう告発文にも述べられているわけですが、改めて下村大臣、この告発の今申し上げた部分についてどのように認識されていますか。

下村国務大臣 まず、告発の事実については確認しておりません。マスコミ情報以上の情報を持ち合わせておりませんので、刑事告発されたということでありますが、コメント申し上げる立場にはありません。

 ただ、今もお話しありましたが、選挙区支部に対する寄附につきましては、再三、柚木議員、もう今は御自分でお話しされましたが、六回目でありますが、質問されているわけでございます。丁寧かつ具体的な事実を挙げて一つ一つ誠実に説明してきたとおりでありまして、その事実関係に照らせば、選挙区支部にいただいている寄附は寄附者からの寄附にほかならず、法律上全く問題がないというふうに承知をしております。

 そして、今は地方の博友会についての御質問がありました。これも再三再四国会で既に答弁をさせていただいておりますが、もともと私は学習塾を経営していたことがございまして、そういう経緯の中で、全国の塾仲間や教育関係者の方々から、年に一度ぐらい来て教育や政治についての話をしろということの中で、年に一度程度行って話をさせていただいている、そういう関係でございます。

柚木委員 事前の通告で、当然、この委員会に臨むに当たりまして、このような異常の中で質疑をせざるを得ない中で、かつ、こういったこれだけ報道等も続いて、今は教育業界、この間もさまざまな報道で、ある意味ではお金の問題について非常に国民の皆さんが敏感になっている状況の中で、事前通告で、当然この告発状をしっかりとお読みをいただき委員会質疑に臨んでいただきたいということも申し上げておりますし、今、大臣は、法律上全く問題ないという従来どおりの答弁を繰り返されるわけですが、その大臣の認識の甘さが、大臣を本当に長年一生懸命支援をされている方々まで巻き込んで、被告発人ということになっているわけですよ、各地方博友会の役員の方が。

 こういう認識をいまだにお持ちで、何らそういう意味では、御支援をいただいた方に対して、あるいは教育行政、その親御さんに対しても反省の思いを述べられない今の御答弁には、本当に私は残念ですし、ある意味憤りを覚えるものでございます。

 大臣、この告発状の中には、承知していないということを言われるわけですが、私の方から申し上げますが、この間、国会審議の中でも、大臣はもとより、榮秘書官、あるいは会計責任、担当の方、そういった方々が、当然、地方博友会の方々とのやりとりを前提に、私も全国を回りましたよ、大臣。仙台、愛知、大阪、九州、泊まり込みで行きましたよ。いろいろな方から話を聞きましたよ。大臣を熱心に支援されている方は多いですよね。そういう方々と、下村大臣はもとより、事務所の方がコミュニケーションを図りながら、このように書かれていますよ。項目の中に共謀という項目があります。

 各博友会の役職者の違法行為は単独でなし得る行為ではない。政治家下村博文の支援を目的にするのに、その了解を受ける必要性があること。毎年開催する講演会、セミナー、パーティーなどに下村博文本人及び秘書たちが関与せず開催することは不可能であること。博友会が集めた会費名目の金を十一支部、これは下村大臣の支部ですね、その支部に一括で交付するにしても、会員の氏名、住所、職業、金額の明細を報告しないと判明しないことなどから、下村博文側の関係者が関与しない限り不可能である。会員の会費の送付先が第十一支部の口座であるスキームの場合であっても、その寄附者の氏名、住所、職業からは博友会の会員かどうか不明であるのに、二月十三日の会合、これはまさに大臣室で行われた会合ですが、全国博友会幹事会で配付された御協力状況なる年会費納入状況やパーティー参加枚数等を見る限り、各地の博友会の役職者と下村博文側が相談しない限り作成できない表である。このような事実は、各地の博友会幹部が下村事務所側と共謀しない限り不可能である。

 こういう告発内容でございます。

 改めて大臣に伺いますが、下村大臣、あるいは榮秘書官を初めとする事務所の秘書、会計担当の皆さん、これは各地方博友会の皆さんと、まさに二月十三日のああいった協議も含めて、相談をしながら、この間、全国博友会における活動を行ってこられたんではないですか。

下村国務大臣 ちょっと今の柚木議員の質問そのものが問題じゃないでしょうか。刑事告発を市民オンブズマンがしたというのは私も報道で承知していますけれども、検察が受理をまだしていないんじゃないでしょうか。そのことについて一方的に国会で質問をするというのはいかがなものかと思いますが、ただ、内容について柚木議員の疑問に対しては、一つ一つ率直にお答えをしていきたいというふうに思います。

 これは、ですから、刑事告発のその内容に対して私がここで今答弁するとか、そういう段階でもありませんし、また、そういうことをすべきことではないと思いますが、それはおいておいて、柚木議員が今までもう六回目ですから、今までの経緯の中での質問ということで申し上げたいと思うんですけれども、これは再三再四申し上げていますが、私は、地方の博友会における規約とか人事、それは私の事務所も、それから私自身も全くタッチしておりません。

 そして、しかしなぜそれができているのかということについては、御質問がありましたが、これは、ことしも二月十三日に、年に一度、最初の、年の初めのころに年間スケジュールを決めさせていただいております。年間スケジュールの中で、バランスよく、できるだけ年に一度は地方の博友会にも行ってお話をさせていただきたいということで決めているわけでございまして、それぞれの地方の博友会の内容とか、そういうことについて決めているわけでは全くなく、それぞれの地方の博友会として任意に、独自に考えてやっていただいているということであります。

柚木委員 日程の調整といいますか管理については今もお認めになられましたが、当然ここにおられる全ての方々、これは共有されると思いますが、まさに日程管理、ロジですよね、その部分というのは、運用、運営の中のまず根本的な部分ですよ。それから、会費の納入状況等、きょうも資料をおつけしております。大臣室での会議、その後の懇親会、そういう協議が行われ、配付された資料ですよ。この中には会費の納入状況等が克明に記されておりますが、これについても、会費が、大臣はそれを寄附として計上しているわけですが、これも当然しっかりと納入をされているかどうか管理もされて、納入されていない会員がいれば秘書官から催促が行く。

 日程管理、ロジ、お金、資金管理、これこそまさに、本来であれば政治団体がしっかりと活動を管理する上での要諦でありまして、そこについてコミットしておきながら全くタッチしていないという認識自体が、私は非常に不誠実だと思いますよ。

 大臣、伺いますが、近畿博友会、後ほどこれは同僚の郡委員の方からただされると思いますが、私がこの間ずっと申し上げてきた疑念、疑問、それがこれほど明確に近畿博友会の趣意書、規約の中に書かれているというのを知って、私は大変驚いております。

 後ほど詳しくただされると思いますが、この規約の「目的」には、「本会は、下村博文氏の政治活動を支援することを目的とする。」云々書かれていますが、第四条にこのように書かれているんですね。「本会は、第二条」、今申し上げた目的に「賛同し、入会申込書を提出した者をもって会員とする。なお、会費は年払いとし、「自由民主党東京都第十一選挙区支部 下村博文」宛てに振り込むものとする。」

 任意の団体の年会費を政党支部である下村大臣の選挙区支部に振り込む、この規約、大臣、事実ですか。

下村国務大臣 まず、この委員のきょう配付されている資料、この文部科学委員会では初めてのことでありますから、聞いているほかの方々からすると何が議論されているか全くわからないと思いますので、ちょっと私が簡単に御説明申し上げたいと思います。

 ページ数が書いてありませんが、三枚目でしょうか、全国博友会後援会の御協力の案内とあります。今回、なぜこの資料がつくられたかというのは、先ほど申し上げましたように、年に一度、全国の代表の方々が来ていただいて年間スケジュールを決める、また、そのときに私の方で教育や政治に関する近況をお話しする、そういう会であります。

 しかし、今回、このペーパーが初めて配られたわけでありますが、配った理由というのは、昨年の暮れに写真週刊誌等で、地方で行われている講演会があたかも私の政治資金パーティーのような形で金集めをして、そこで私に対して裏献金なり偽装献金なりが配られているかのような報道がありました。全く事実ではありません。そして、その後二月ぐらいに週刊誌等から取材がありました。

 そういう中で、全国の方々が、これはやはり整理する必要があるのではないかということで、何人かの方々の意見をお聞きして私の秘書官がまとめたものが、このお手元に配付されている全国博友会後援会の御協力御案内ということであります。

 この中で、原本はカラーになっているんですが、この「各地で開催される講演会」というのは、これはそれぞれの地方博友会でやっていただいているものであります。その下に書いてある「年会費」とか「博友会セミナー」、それから「清和政策研究会パーティ」、これは私が所属している派閥でありますが、これについては、分けてあるというのは、それぞれの地方の博友会で所属をしていただいている方々が、個人的に任意に参加をしていただいている、協力をしていただいている、そういう意味で分けているわけでございます。

 その中で、次のページでしょうか、「年会費納入一覧表」がある。これについての御指摘だと思うんですね。具体的に、例えば近畿博友会、ここに件数が十二件ある。この年会費を納入したのが会員ではないか、そういう御指摘だと思いますが、それは全く事実ではありません。

 例えばこの近畿博友会には、これは近畿博友会の事務局からの了解といいますか資料で、私の事務所の方で二十六件、これは毎年でありますが、私の今まで縁があった方々に対して、年に一度、政党支部から寄附のお願いをさせていただいています。この近畿博友会から二十六人の方々に寄附のお願いをさせていただいて、そして十二人の方が寄附をしていただいたということであります。

 そして、当然これは、近畿博友会ではなくて、東京十一選挙区支部から寄附のお願いをさせていただいて、そして、寄附をしていただいた方には、十一選挙区支部の領収書をもちろんお送りさせていただいているということでございます。

 この、後援会の一覧表と書いてありますが、中には、それぞれ独自に、年会費という形で別に会費を取っておられる方々もおられます。

 ですから、今御指摘のように、この年会費の納入者が事実上全部寄附で、そして、この寄附と年会費が全部イコールで、会員がイコールそういう形でやっているのではないかということは事実でありません。会員の中の一部の方々が寄附をしていただいている、そういうことであります。

柚木委員 大臣、お答えになっていないんですけれども、私がお聞きをしたのは、近畿博友会の規約の中に、任意の団体である塾の経営者初め教育に携わっておられる方が中心ですけれども、その会員の方々の年会費が年払い、ところが、振り込み先が何で政党支部、下村大臣の選挙区支部になるのか、そのことを認識しているのかということを聞いたわけですよ。

 これはおかしいじゃないですか。任意の団体ですよ。任意の団体が何で政党の支部に振り込むんですか。それだったらもう政治団体とちゃんと明確に届け出をして、東京の博友会もそうなっているわけですよ、きっちりとした活動収支報告を明らかにして、今回、告発に至るような疑念を持たれないようにするのが本筋であって、会員の方々もこれは理解されていませんよ、この間、私いろいろ取材しましたけれども。何でこんなことをするのかということを聞いたわけです。

 大臣は、今は近畿博友会のことについてるる述べられましたが、全てがこれは会員かどうかというのは述べられました。ただ、実質的に、ちょうど全国博友会の会長も務めておられる方の個人献金や会社名義での献金も行われておりますし、会員の方々がこういった形で認識をしている、していないというのが一つポイントですが、納めておられることは事実なわけですよ。

 関連して伺いますが、もちろんこの規約、私は東京都選管の政治団体の届け出のひな形も確認してみましたけれども、まさに政治団体の届け出をするひな形ともうそっくりそのままなんですけれども、これが政治団体になっていないわけですね。

 私、今ちょうどお答えいただいた部分に関連して非常に不可解だなと思っていた点があって、関連して伺いますが、私がお配りをしている資料でいえば二枚目、これは裏表になっていますから、ページということでいえば三ページ目になるんでしょう。ここに、私の国会での質問に対して大臣が、予算委員会での質疑に対して御回答いただいた資料に、「地方の支援者に対する選挙区支部からの領収書送付の件」、そもそも、私がこれが出てきて大変当初驚いたのは、要望があった方と要望がなかった方で、年会費を会員の方からしてみれば無断で勝手に寄附という扱いになって、かつ領収書が送られてくる、こういう部分についても、二ポツですが、ほとんどないと思うという答弁を国会でされておきながら、何と、平成二十六年、八十一件、約六百万円もの領収書が寄附として発行されていたわけですが、その下に、「「寄付金(税額)控除のための書類」申請件数〇件」となっているわけですね。大臣、本当にゼロ件で間違いありませんか。

下村国務大臣 まず、もう一度詳しく御説明しますけれども、近畿博友会のこの趣意書等は私も初めて見ました。これは、私が初めて見たということはそのとおりのことであります。

 それから、二ページ目というか二枚目ですか、これは、衆議院の予算委員会で柚木議員が資料要求されたことに対しての説明の資料ですね。この中で「地方の支援者に対する選挙区支部からの領収書送付の件について」、これは、先ほど申し上げましたように、なぜ会費ではなくて寄附かということについては申し上げましたが、それぞれの地方の博友会で、この方々に案内を送ってくれ、それは、それぞれの地方の博友会でそういう会員とかあるいは会員に近い特定した方々がいらっしゃるわけです。その方々に選挙区支部から寄附のお願いをさせていただいている。毎年ですね。こういう経緯の中で、当然、これは政党支部からの、寄附ですからそういう領収書を出している。

 ただし、平成二十六年については、寄附のところの領収書のただし書きのところに年会費と書いてしまった事例があった。それは、なぜ二十六年だけそうなってしまったかというのは……(柚木委員「わかっています」と呼ぶ)いや、ほかの方は御存じないと思いますので、誤解されると困りますのでちゃんと説明を申し上げたいと思うんですが、二十六年だけなぜそうなってしまったかというのは、経理担当者がかわって、そして、ある方から、一番上に書いてありますが、先方の要望でただし書きを年会費として記載してほしいというのが一件あって、それを書いた。それ以降、その経理担当者が気を使ったんでしょうけれども、二十六年一月から九月十日までの間で、ほかの八十一件についても、そのような要望がないのにもかかわらず、寄附の領収書のところのただし書きに年会費と記載してしまった領収書が八十一件あったということでございます。

 それは、九月の十日以降、わかりましたので、それ以降は、それは適切ではありませんから、寄附は寄附ですから、ただし書きに年会費と書くことについてはもちろんありません。

 それから、二十五年以前も見当たらずということであります。

 それから、寄附金、税額控除のための書類申請、平成二十四年から二十六年、届け出ている範囲内の中で全部調べましたが、申請件数はありません。

柚木委員 大臣はそういう説明をこの間もされているんですが、私は、全国の会員の方に取材をさせていただく過程の中で、さらに、きょう初めて私も、資料としては後ほど郡委員がしっかりと質疑しますが、これを拝見して驚いた。近畿博友会の規約を見ても、これは、会員の方々がそう認識するのはやはり当たり前だと思いますよ。任意の団体に会員となった、年会費として納めているんですから。大臣、真実はこういうことですよ、告発にもありますが。

 もし会員が本当に寄附として政党支部に納めるということを認識されているんだったらば、例えば個人として年間数千円、あるいは一万円とか、そういう次元であれば、ひょっとしたらそういうことを必要としない方もおられるかもしれませんが、企業名で、十万単位で、これはまさに書かれているように一口六万とか十二万とかあるわけですよ。もっと納められている方もおられますよ。そういう方が寄附控除を求められない、それぞれ委員の皆さんもそんなことがあり得ますか。ゼロ件ですよ。

 これは、まさに会員の皆さんが寄附じゃなくて会費と思っているからこそ申請をしないわけでありまして、逆にゼロということは、やはりこれは、支払いをしている地方の博友会会員の方々が当然に年会費と認識をしているから、何か変な身に覚えのない政党支部からの寄附控除が受けられる領収書が送られてきたけれども、これは何だ、何かよくわからないけれどもということでそのままになっていて、申請をしていないからゼロ件。大臣、これが真実じゃないですか。

下村国務大臣 それは全くの臆測であります。私も……(発言する者あり)いやいや、説明します。近畿博友会のこの趣意書ですか、初めて見ましたが、この第四条のところに、「本会は、第二条の目的に賛同し、入会申込書を提出した者をもって会員とする。」

 ですから、近畿博友会から二十六人に送ってほしい、政党支部からの寄附のお願いですね。それはこの二十六人が会員ということだと思います。その中で全員が寄附をしていただいたのではなくて、柚木議員のこの資料の中にも入っていますが、二〇一四年については、その中で実際に寄附をしていただいたのが十二件ということでありまして、当然そういうことを認識されておられるわけですね。ですから、会員が全員寄附ということをされたわけじゃなくて、それぞれの会員の中で、では政党支部に対して寄附をしてやろうという方々が二十六人のうち十二人寄附をしていただいたということで、全員が対象でないということは、ここで、数字の中でも明らかです。

 それから、繰り返すようですけれども、これは近畿博友会からそういう寄附のお願いをしているわけじゃなくて、自民党の十一選挙区支部から寄附のお願いをしている。そして、十一選挙区支部から寄附をいただいた方に対して領収書をお出ししているということでありますから、会費イコール寄附、それがイコール会員ということではないということはこれからも明らかだと思います。

柚木委員 いや、全く明らかでないですよ。告発状にもこう書かれていますね。

 他人名義の寄附の供与とその受領罪について、近畿博友会の規約の点については、まさに、第二条の目的に賛同し、入会申込書を提出した者をもって会員とする。なお、会費は年払いとし、下村大臣の支部宛てに振り込むものとすると明記されていて、このような場合でも他人名義の寄附にあることは変わらない。なぜなら、博友会が、自己の口座ではなくて、近畿博友会が指定する口座に他人名義の送金先を指定したにすぎないからである。その場合でも近畿博友会の年会費であり、その帰属は近畿博友会であるからである。すなわち、近畿博友会の会員が会費として支払った金銭は、あくまでもその団体である近畿博友会に対する金銭上の債務の履行として支払った金銭であり、第十一支部に対する寄附として交付されたものではないからである。その点では、真実は近畿博友会が第十一支部に寄附したにもかかわらず、その会員名義で寄附したかのごとく偽装するのは、他人名義の寄附に該当する。近畿博友会以外の各地の博友会においても、会費の振り込み先が第十一支部であったとしても、各地の博友会会員が第十一支部に送金したとしても、その会費は当該博友会に帰属する以上、他人名義の寄附であることは変わらない。

 今後、当然、東京地検特捜部が受理の上、捜査、既に開始をされているとも思われますが、こういったことはしっかりと明らかになっていくと私は思いますよ。

 大臣、私は、質問をしながら、ある意味、御答弁を聞いていると本当にむなしい気持ちになるわけですよ。

 まさにきょうおつけしているこの資料の中でも、御自分でも認識されていますよね。この「全国博友会後援会のご協力内容」の中に、まさに今御自身がいみじくもおっしゃったように、虚偽献金、迂回献金の疑いを受ける、そういう課題があるから、さまざまなこれは改善策と書いていますよ。

 この間、私との質疑の中でも、政治団体としてやはりしっかりと届け出をして収支を明らかにして、疑念を持たれないようにやはりするべきかもしれない、あるいはそういう相談をしている。当初は全くそういう必要性はないというふうに私には答弁されていながら、審議でいろいろなことが明らかになるにつれてそういうふうな答弁に変わってきましたよ。

 ところが、私は、調べてみてまた驚きましたよ。この間、全国の博友会、ここに載っていない博友会の中で、私が知る限りでも、埼京博友会、神奈川博友会、これらはしっかりと政治団体として届け出をされて、収支報告もしっかりと提出されていますよ。その資料を、埼京博友会のものを、裏表面でいえば九枚目になりますが、おつけをしておきました。

 やるところはちゃんとやっているんですよ、大臣。私、担当の方からも話を聞きましたよ。ちゃんとしておかなきゃいけないから、政治団体として届け出をしてやっていたんだと。

 何で、やっているところはちゃんとやっているのに、こういう収支報告を明らかにしない、そういう任意の団体がこんなに全国にあるんですか。(発言する者あり)

下村国務大臣 いや、言いわけとかなんとかじゃなくて、どうも柚木委員の質問というのは決めつけ的な、そういうふうにしか私はとれない部分があります。

 それから、市民オンブズマンが提出されたという刑事告発状についてそのまま一方的に述べておられますが、これはそもそも私がここで述べることではなくて、これはもう告発状が出ているわけですから、司法の場できちっと明らかにできることだというふうに思います。

 それから、委員がお配りのこの資料で、何か私がすごくころころ変わっているみたいな印象を与えるような御質問がありましたが、これについてちょっと御説明申し上げたいと思うんですね。

 この「全国博友会後援会のご協力内容」の下の方の「各博友会後援会の位置づけと講演会開催について」ということで、これは、柚木議員の質問によって何か変わってきたとかそういうことではなくて、二月十三日に配られた資料の中の一つであります。

 これは、先ほど申し上げたように、全国の博友会の代表の方々が集まっていただいて、毎年は年間スケジュールを決めるところでありますが、今回は、昨年の暮れに写真週刊誌でそういうようなことが、事実でないことを勝手に報道されたということもあり、あるいはその後の報道もそういう部分がありますから、これは正々堂々とやっているにもかかわらず偽装献金とか迂回献金とか書かれるということは、私も非常によしとしませんし、地方の博友会の方々にとってもそれは全く本意じゃない、正しいことじゃないですから。そのために何人かの方々が、この博友会のあり方については検討すべきではないかということで、私どもの秘書官が取りまとめたものでございます。

 その中に改善策一、二、三とある中、二月十三日の議論の中で、改善案の一にしたらどうかと。それは、東京には博友会という、これは政治団体として選挙管理委員会に届け出ている団体があります。収支報告しております。その下部組織にすることによって、私が年に一度行くその講演会についても収支報告を、きちっとその東京の博友会の中に入れることによって明らかにすれば誤解は生まれないのではないかということで、この改善案の一の方向にしたらどうかということが二月十三日にまとまりましたが、実際はそれぞれ任意の博友会で判断されることになりますので、今後、地方の博友会でどうするかは決めていただくことになると思います。

柚木委員 私がこの問題を初めて質疑をしたのが二月二十六日の衆議院予算委員会ですよ。もうあれから一カ月たちますよ。改善しようと思えばできているじゃないですか、この間に。さんざん答弁の中でそういった形で今のように述べられますが、では、何でこれまで改善してきていないんですか。

 そういう思いにもなりますし、今ちょうど御説明いただいた資料の中にも、私、本当にここがポイントだと思って、同僚委員も質問して、大臣はそれを否定されましたが、講演料のところも改めて私申し上げておきますが、「現状」の左側の中に、ポツはずっと上から日本語にしてみればちゃんとつながるようになっているんですね。三ポツ、各講演会は、外部で主催されたもので、大臣は招かれて参加している。大臣は招かれて参加している、そのため、会費等、博友会には入金が一切なく、講演料としての報酬をもらう場合はある。主語は当然大臣はに係るわけですよね、普通に読めば。

 改めて伺いますが、私、複数の方から大臣が講演料を受け取られているというふうにお聞きをしていますが、講演料を受け取っていないんですか。

下村国務大臣 受け取ってありません。

柚木委員 今後、この告発の捜査はもとより、本当に大臣が真実を述べられているのかどうなのか、これは明らかになっていくものと考えますよ。

 私、この間の質疑の中で、私が質問をしたこと以外にも、同僚議員が質問した中でも非常に疑念が深まっている部分があります。その一つ、これは参議院の予算委員会で大塚委員の方からの質問の中で、東北博友会主催の会に、これは大学の医学部が新設をされた東北薬科大学の理事長が出席をされていて、やはり巨大な許認可権、特に医学部新設なんというのは、つくりたくてもつくれない大学がいっぱいある中で、この東北博友会の会に来られること自体も問題じゃないかという質問に対して大臣も、そういう点が指摘をされるのであれば、やはり改める必要があるという認識を述べられました。

 確認ですけれども、東北薬科大学の理事長は、東北博友会主催のこの会に会費を支払って出席をされているんですか。確認です。

下村国務大臣 それは、昨年の九月に開催された東北博友会であると思います。再三申し上げていますが、私も招かれて行っておりますので、どういう方が来られているかということは存じ上げていません。

 しかし、そのときに東北薬科大学の理事長がみずから名刺を持ってこられましたので、来たということは間違いないことでありますし、当然、私の方がチェックしているわけじゃありませんけれども、会費は一万円だったと思いますが、会費は支払われておられると思います。

柚木委員 そういった場に医学部新設を受けた大学の理事長が出席をされること自体についても大臣は、そのような疑念があるのであれば十分注意する必要があると思いますと答弁されていますが、そこに会費まで払って何口購入されているのか、これはまだ報告が出ていませんからわかりませんけれども、そのこと自体も私は不適切ではないかと言わざるを得ない。

 当然、逆に、会費を払って来ていなければ飲食を無銭で提供することになりますから、いずれにしても不適切になるわけですが、こういうようなことがもう本当に重なり過ぎているわけですね。

 さらに、大臣所信の中でさまざまな今後の取り組みについても述べられていますが、資料におつけをしておきましたが、例えば、新しい学校の会、あるいは、その前のページにも構造改革特区の開校予定一覧とつけておきましたが、このそれぞれ学校あるいは設置会社一つ一つを私は調べましたよ、二〇〇〇年以降の献金額を。

 これは驚きですね。例えば新しい学校の会でいうと、十五の会員法人が出ていますが、私が調べた中では、そのうち過半数の八法人、上から、株式会社アットマーク・ラーニング三万円、三番目のウィザス百二十万、四番目のウィッツ百九十五万、開桜学院十万、新教育システム三十五万、学校法人みつ朝日学園二十四万八千円、ルネサンス・アカデミー六万、代々木高校七十八万、合計四百七十一万八千円の寄附、献金がなされている。前のページも同様なわけですよ、合計をすると。

 大臣がいかなる施策を、例えば本当に現場にとってはいい施策を進めようとしても、そこに必ずお金がかかわってくる。ちなみに、新しい学校の会の理事長のルネサンス・アカデミーの理事長は、構造改革特区のヒアリングにまで出席して自分の意見を述べているじゃないですか。こういうようなことを、大臣、本当に注意してやっていただかないと、本当にあっせん利得とかそういうことになりかねませんよ、献金の時期によっては。

 四百七十一万八千円、私が指摘したこと、これは間違いありませんか。

下村国務大臣 非常に失礼なことを言いますね。何をもってあっせん利得なんですか。事実関係で質問してください。全くありません。

 これについては、十年以上の間にわたる金額を今は言われたと思いますが、それぞれ政治資金規正法にのっとって適切に処理をしておりますし、また、どんな状況においても、そのような疑惑を持たれるようなことは全くしていません。

 それから、今は内閣府の方の話を言われていましたが、それも、別に私が全く関与している話ではそもそもございません。

柚木委員 時間が来たのできょうは終わりますけれども、私、告発状の文章を読んで、今問題になっている大阪桐蔭の裏金五億円のことを思い浮かべました。こう書いてあるんですね。

 全国の地方博友会は、政治団体としてどこにも届け出をせず、政治資金収支報告書も提出されていないので、その結果として裏金づくりが容易に可能になったと言えるだろう。したがって、その裏金の使途を解明するためにも、強制力を有する御庁において、これは東京地検特捜部、徹底的に捜査を尽くしていただく。告発する次第である。

 私もそのことを切に求めて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

福井委員長 次に、郡和子君。

郡委員 政治家の政治資金の処理においてしばしば指摘をされるというのは、これは不適切である行為、それから脱法的である行為、そしてまた不法、違法行為、この三つであります。今回の大臣のこの疑惑に関しては、三つが入りまじっているというふうに思っています。

 まず、不適切と言われる行為についてですけれども、これは下村大臣もお認めになって返金を表明されました、反社会的勢力と関係のある法人、個人からの献金ですね、これを受けていた事実というのは政治資金規正法上の不法行為でありまして、政治家としては不適切な、まあ不法行為ではありませんけれども、政治家としては不適切な行為で、大臣が返金を表明されたというのは当然のことだったというふうに思います。

 それからまた、先ほども柚木委員から指摘がありましたけれども、教育行政のトップが教育関連業界から広く献金を受けて、また、任意団体であるとしている全国の博友会、これがパーティー券を販売しているということは、たとえ法令に直ちに抵触しないと説明されても、文部科学行政、教育行政との関係を考えれば、不適切と指摘せざるを得ないというふうに思います。

 そして、脱法的行為であります。任意団体とされている全国の博友会、実質的には文科大臣の後援団体であります。政治資金を扱う団体は政治団体という法の中での縛りがあって、任意団体であること自体が、現時点ではグレーであっても、市民団体などからの告発を見れば明らかではないかというふうに思います。脱法的な行為だというふうに思います。

 また、全国の任意団体である博友会と政治団体届けをしている東京の博友会、また大臣の選挙区支部、この関係が非常に曖昧であります。

 下村大臣は説明責任を果たしているというふうにおっしゃるわけですけれども、この間の報道を見ましても、その疑問は払拭されるどころか、新たな疑問も湧いてまいります。

 この問題に関連して、下村大臣の政務秘書官、榮友里子さんが各地の博友会の幹部に取材を断るようなメールを発出したというふうにされる問題、議論もされておりましたけれども、また、きょうも柚木委員から配付をされた資料、そのときの幹部会の配付資料ですけれども、ある意味で、その幹部の皆さんたちに意思統一を図ったというふうなことでありまして、これもまさに、これから進められなければいけない事実解明を妨げる行為ではないか、そう受け取られかねないというふうに指摘をさせていただきたいと思います。

 そもそも、政務秘書官というのは国から給与が支払われているわけでして、政治と金をめぐるこうした事案のもみ消しというようなことが図られるとすれば、これは職務的にふさわしいのかどうかという問題も出てこようかというふうに思っているところです。

 さらに申し上げれば、国会議員関係政治団体制度があるにもかかわらず、政治団体届けをしている東京の博友会、そして、その政治団体届けすら出していない全国の博友会、これをみずからの関係政治団体と認めて届け出をしていない対応、これはやはり脱法的な行為であるというふうに言わざるを得ないと思います。

 下村大臣関連の博友会、ずっとさかのぼると、平成十八年の十二月十三日、議事録がございました。共産党の議員に答えていろいろやりとりされたものですけれども、下村大臣は、当時、全国後援会を形成する組織であるものが、現在は全く関係のない団体、当時は全国組織の団体だったというふうな認識でいらっしゃったわけですけれども、それが現在は全く関係のない団体だというふうに強弁なさっている。これはまさに脱法的だというふうに思います。

 そして、先ほども柚木委員とのやりとりにありました、会費と寄附の区別、混同。これは大変不適切であったことを大臣も認められて、そしてその後、是正をしたというふうに言われているわけですけれども、寄附であるならば所得税上の寄附控除が認められて、会費なら認められないわけですね。その指摘も先ほどあったところです。これも一歩間違えば税の不正還付、公金の詐取ともなる、こういうふうに指摘せざるを得ないんじゃないかというふうに思っているところです。

 そして、不法行為、違法行為を指摘される件についてであります。

 学校法人からの献金のうち、国の補助金の交付通知を受けた以降一年間は政党それから政党支部に献金することが禁じられているわけでして、この点も大臣は事実関係をはっきり説明しておられませんけれども、補助金を受領した学校法人から献金を受け取って、もし大臣が知っていた場合は、これは大臣自身も罪に問われるわけです。たとえ大臣が私は知らなかったとおっしゃっても、その献金をしていた団体は規正法違反であるわけでして、これも立件せざるを得ないような事案だというふうに思います。

 また、これも大きな問題だと思っているんですけれども、大臣の関連政治団体博友会が都内の雑居ビルの中に住所を置いておりますけれども、この家賃をお支払いになっておりません。実際にこのビルに入っているのは、下村さんの第十一選挙区支部に寄附をしていた学習塾の運営会社だったというふうに指摘をされております。

 これが仮に事実であるとすれば、下村大臣の関係する政治団体博友会は、政治資金規正法で定める企業・団体献金禁止に違反している、つまり、現物供与しているわけですから、違反しているという指摘に対して説明責任を果たすべきだというふうに考えるわけです。

 十点目、挙げていくと切りがないんですけれども、三月二十四日に市民団体が告発をしたということですけれども、これはまさに違法行為に対しての告発であります。

 また、みずから二〇一二年十月に大阪市の二企業と一個人から受けた九十六万円の献金、これは、代表者が日本人ではなかったというふうなことで、昨年十一月に返金されたことを明らかにしました。外国籍の方からの献金、寄附は違法であります。企業が外国企業か否かは不明ですけれども、仮に外国企業であるなら、これも違法というわけでございます。

 十二番目。下村大臣の答弁と地方の博友会幹部の証言、これが食い違っております。講演料、お車代等々であります。講演料もお車代ももらってはいないと重ねて大臣はお話しになっておられますけれども、であるならば、当然、確定申告の際にはそのような所得は申告されていないというふうに思うわけですけれども、この点についても、きょう明らかにさせていただきたいと考えています。

 今、私が列挙いたしましたのは十二項目であります。さらに、国会でのこの間の転々とする答弁の変節ぶり、これを入れれば十三項目にわたって大臣の疑惑があるというふうに私は思っているところです。

 言うまでもなく、文科大臣、文部行政のトップであります。法令遵守はもとより、道徳、モラルにおいても曇りなき人であることが求められていると思います。まさに文部科学大臣としての資質が問われているんじゃないでしょうか。説明責任を果たしているというふうにおっしゃっておられるわけですけれども、その説明を受けて、疑問を持っている人が納得するということが必要なんです。きょうは、この時間、納得できる御答弁を求めたいというふうに思います。

 まず、東京博友会の二〇一三年の収支報告書を見させていただきました。およそ三千万円の収入があって、千二百万円以上の支出が発生し、備品や消耗品費が六十六万七千二百七十円、これを計上されていますけれども、家賃は計上されておりません。報道されているように、企業に間借りしているとすれば、これは現物寄附であります。企業・団体献金に当たるわけでございます。

 ぜひ説明をしていただきたい。この博友会は、大臣の十一選挙区支部に二百万円という大金を寄附している以上、関係はない、知らないという説明は納得できません。

下村国務大臣 郡先生、私は、誠実にきちっと正しく答弁をしたいと思います。ですから、前提条件で、知らないとか関係ないという言い方をそもそもしていませんし、そういう前提で質問しないでいただきたいと思いますし、一つ一つに対して誠実にお答えすることを、まず冒頭、申し上げたいと思います。

 東京博友会のお話がございました。

 これは、主たる事務所は、ここの事務所の代表の方が博友会の事務局長を務めていただいている方でございまして、そのことから、この方の会社の事務所の住所を主たる事務所として届け出ております。そして、家賃を払っていないというのは、これは事務所の物理的使用がありませんから、当然、家賃を払う必要がございません。

 この博友会が、御指摘の企業から事務所の無償提供を受けたという事実はありません。ですから、当然、政治資金規正法にも違反をしておりません。

郡委員 その人が持っているところだから家賃は発生していないということで説明が成り立つのでしょうか。

下村国務大臣 私も誠実に答弁をいたしますので、きちっと答弁についてお聞きになっていただきたいと思うんですが、先ほど申し上げたのは、この事務所を主たる事務所として届け出ておりますが、この事務所の物理的使用はしていないということですから、家賃を払う必要はないということであります。

郡委員 ということは、この東京博友会というのは幽霊なんですか。

下村国務大臣 いや、ですから、ちゃんと届け出ている団体です。

郡委員 いや、そういうことではなくて、ですから、団体として届け出があるのに実体はないということですか。

下村国務大臣 いや、実体があるから届け出ているわけです。ただ、そこの届け出ている事務所で物理的な使用をしているわけではない、ですから、家賃を支払う必要はないということであります。

郡委員 申しわけありません、私の頭ではどうにも理解できません。とても納得できないわけですけれども、丁寧な御説明をするというふうに冒頭お話しになられましたけれども、とても私は納得できません。今の説明で皆さん納得できているんでしょうか。

 では、事務処理についてはどういうふうになっていますでしょうか。

下村国務大臣 実質的な事務処理は、これは事務局長と相談をして、私の事務所の方でしております。

郡委員 なぜ、そのようなことになっているのでしょうか。

下村国務大臣 それは、その方が適切だからでありまして、これはもう政治資金規正法にのっとった全く合法的なやり方であります。

郡委員 なぜ、国会議員関係団体への届け出はないのですか。

下村国務大臣 これは東京の選挙管理委員会に政治団体として届け出ている団体でございまして、政治資金規正法にのっとって適切に処理をしている団体であります。

郡委員 これ以上言っても、お認めにはならないのでしょう。またこれは、さらに詳しく調べさせていただきたいと思います。

 それから次に、先ほど柚木議員から言及がございましたけれども、まだお配りしていませんけれども、私の資料として今回出させていただきました。近畿博友会のPRの文書でございます。このようになっていて、広くこれが配られているようでございます。

 この中に、規約の抜粋というふうにございまして、第二条、「本会は、下村博文氏の政治活動を支援することを目的とする。」そして第四条に、「なお、会費は年払いとし、「自由民主党東京都第十一選挙区支部 下村博文」宛てに振り込むものとする。」というふうに書いてあります。

 初めて見たというふうにおっしゃいましたけれども、それでは、十一選挙区支部に振り込まれているその会費ですけれども、先ほど来、全員の会費、全員が出しているものではないというような御答弁もあったわけですけれども、それでは、会員とそうでない人の振り分けというのがなぜできるのでしょうか。

下村国務大臣 これは近畿博友会についての御質問だというふうに思いますが、きょうの資料、お配りされた中で、私もこれは本当に初めて見る資料でありますが、この第四条のところに、「本会は、第二条の目的に賛同し、入会申込書を提出した者をもって会員とする。」と書いてあります。

 二〇一四年については、近畿博友会から、二十六人の人に対して政党支部から寄附のお願いをしてもいいということで、二十六人の方々に政党支部から寄附のお願いをいたしました。その結果、これは柚木議員の資料の中に入っておりますが、近畿博友会から十二件の寄附があったということであります。つまり、会員と寄附件数は違うということであります。

 十二件というのは、先ほど申しましたように、会員の中から二十六人、十一選挙区支部から寄附のお願いをして、そしてこの十二人は領収書を出した方々でございます。そういうことでありますから、これは寄附の数であります。

郡委員 十二件の話、この方々は寄附だと。しかし、ここに書いてあるように、年会費を振り込むわけですよ、皆さん、会員の方々は。ということは、その十一選挙支部には、この近畿博友会の会費として、プールしているところもあるんですか。

下村国務大臣 これは会費ではございません。

 先ほど申し上げましたように、近畿博友会の二十六人の方々に対して、東京十一選挙区支部から年に一度、寄附のお願いをさせていただいております。その中で、先ほどのように、十二人の方は寄附をしていただいた、ですから十二人の方々に政党支部としての寄附の領収書を出させていただいている、そういう関係であります。

郡委員 であるならば、なぜ、この近畿博友会のパンフレットに、会費は年払いとし、下村博文宛て振り込むものとするというふうになっているのかどうかが理解できませんし、しかも、会員二十六人おられる、その中の十二件が寄附として大臣の選挙区支部に振り込まれたということでしたけれども。

 それでは、大臣、この近畿博友会の会員の名簿というのを持っておられるわけですね。

下村国務大臣 二十六人の方々に自民党東京十一選挙区支部から寄附のお願いをしているわけでありますから、当然、事務所として持っていると思います。

郡委員 今までの大臣の御答弁は、大臣の事務所はこれらの博友会にノータッチだとおっしゃっていましたですね。ノータッチのものが、ちゃんと会員の名簿も全部事務所で把握をされている。ノータッチではないんじゃないですか。

下村国務大臣 それは全く矛盾していないと思います。

 今までの国会答弁のいうノータッチというのは、地方の博友会における会則とか規約とか人事とか、そういうことについてはノータッチですということを申し上げてまいりました。ただ、年間スケジュールを決める必要があるので、年に一度、代表者の方々に集まっていただいて、それを決めているということでございます。

 一方、政党支部として、私は、全国の今まで縁のある方々に年に一度、寄附のお願いをさせていただいております。その中で、地方の博友会、その博友会によって、ちょっと会員とかの位置づけというのは違っておりますが、近畿博友会からは、この二十六人に対して寄附のお願いをしてもらっていいということでしておりますので、そういう形でのデータはありますが、それ以上、それぞれの地方の博友会の方々の内容、先ほど申し上げたような会則とか規約とか人事、そういうことについてタッチしているわけではないということは、これは終始一貫して説明しているとおりであります。

郡委員 まず、今大臣は、名簿の管理は行っていることはお認めになったと思います。ということは、これは、事務所としても組織的、継続的にこの問題に関与をしていたということだというふうに思います。

 そして、今、人事だとかには一切関与をしないというふうに御説明があったわけですけれども、二月十三日の幹部が集められた折に、これは週刊文春に出ておりましたけれども、下村さんから後援会をつくってほしいと頼まれた、十三日の会合の一週間くらい前にも榮秘書官から、どうしても来てほしいと電話があった、そして北陸博友会の設立を依頼されたという理事長のお話が掲載されているわけです。これは、人事だとか運営だとか、そういうものと深くかかわっているわけではないんでしょうか。

 下村大臣の御答弁だけでは疑惑は全く解明できません。ぜひ、この理事長の参考人招致、あるいは、委員会として出向いて調査をすべきと考えます。委員長、お願いいたします。

福井委員長 その前に、下村大臣に御答弁いただきます。

下村国務大臣 まず、名簿の管理はしておりません。十一選挙区支部から寄附のお願いをしてもいいということについての名簿はいただいていますが、それは管理ではありません。ですから、毎年その名簿の内容も変わっております。こちらの方からそういう管理をしているということではありません。

 それから、あともう一つの、新しい後援会云々がとおっしゃいましたが、これは週刊誌ネタでありまして、そのような事実はありません。

郡委員 名簿は管理されていないとおっしゃいました。

 では伺わせていただきたいんですけれども、ただし年会費としてという、ただし書きを出した件数を発表してくださいましたけれども、それでは、これ以外に年会費というふうにして出したものがあるのかないのか。この間、八十一件、要望がない中で出したというふうなことでしたけれども、それ以外にはないということでよろしいんですね。

下村国務大臣 それは、柚木委員のきょうの配付資料の中に書いてあったとおりでございまして、二〇一四年についてはありましたが、それ以前は見当たらず。そして、もちろん、二〇一四年の九月以降、これは適切ではありませんから、寄附の領収書に、当件におけるただし書きで年会費と書いてあるということはありません。

郡委員 では、誤って引き継ぎがうまくいかなかった等の趣旨の御答弁があったわけですけれども、であるならば、全ての方々に年会費というただし書きがついたという理解でよろしいんですか。

下村国務大臣 何をもって全てと言うのかよくわかりませんが、八十一件、そのように書いてしまったということであります。

郡委員 八十一件以外にないということですね。

下村国務大臣 もともと、資料要求の中で、地方の博友会ということであったと思います。地方の博友会という意味で八十一件であります。

郡委員 さまざまな方々から献金が大臣の選挙支部にも集まっているんだろうというふうに思います。地方にお住まいの方、八十一人からしか献金がなかったというのは、またこれ、収支報告書は出ておりませんから今ここで言及するわけにはまいりませんけれども、しかし、そうはどうも考えにくいというふうに思っております。そのほかの方々もたくさんおられたにもかかわらず、その人たちには年会費というただし書きがなくて、一部にだけただし書きがあるというのは、どうやってより分けたのか、私にはちょっと理解ができないんですね。

 何を申し上げたいかというと、名簿は把握していない、管理していないということでしたけれども、お持ちになっているからこそ、そういうことができたんだというふうに思います。

 それから、なぜ、では、こんなわけのわからないようなことをこの近畿博友会の規約の中に書き込まれなければならなかったかということです。つまり、なぜ、自民党東京都第十一選挙区支部下村博文宛て振り込むものとする、会費は年払いとし、こういう記述があるんでしょうか。

下村国務大臣 これは先ほどから申し上げていますが、近畿博友会から、二〇一四年については、二十六人の方々に政党支部から寄附のお願いをしてもらっていいということで御案内を出したわけでございます。その結果、十二人の方が寄附をしていただいたというのが、これは私の事務所との事実関係でございまして、この近畿博友会の資料も、今、私の方で初めて拝見させていただいています。

 これは、終始、国会で答弁をさせていただいていますが、それぞれの地方の博友会の会則とか規約とか人事については、全く私自身も私の事務所もタッチしておりません。ですから、このような記述がどう書かれているかどうかについては、私どもは承知しておりません。

郡委員 それでは、榮友里子政務秘書官についてお尋ねをしたいと思います。

 政務秘書官で間違いありませんか。兼職はおありですか。

戸谷政府参考人 お答え申し上げます。

 榮秘書官につきましては、大臣秘書官ということでございます。それで、兼職はされていないというふうに伺っております。

郡委員 政務秘書官就任前は、どういうお仕事をして、どういうお立場でいらっしゃいましたか。

戸谷政府参考人 大臣秘書官就任前におきましては、下村大臣の議員秘書であったと承知をしております。

郡委員 政務秘書官の標準的給与水準は幾らでしょうか。また、医療保険、年金、これらはどういうような扱いになっていますでしょうか。

戸谷政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣秘書官の給与につきましては、特別職の職員の給与に関する法律に基づきまして、内閣総理大臣に協議の上、決定されるということでございます。

 特に、議員秘書から大臣秘書官におなりになった場合におきましては、特に榮秘書官の場合におきましては、公設の第二秘書ということでございまして、その公設の第二秘書の給与におおむね相当する金額ということで給与が決定をされております。

 それから、医療保険につきましては、常勤の国家公務員ということでございまして、文部科学省の共済組合に加入をいたしております。

 以上でございます。

郡委員 特別国家公務員ですけれども、その職務、榮秘書官の職務は何でしょうか。

戸谷政府参考人 大臣秘書官の職務につきましては、国家行政組織法第十九条に規定されておりまして、各省大臣の命を受け、機密に関する事務をつかさどり、臨時に関係部局の事務を助ける事務を行うというふうにされているところでございます。

郡委員 政務秘書官、大臣を補佐するという職務であるということだと思うんですけれども、大臣とは直接関係のない任意団体、政治団体における会費の徴収というのはあり得るのでしょうか。

戸谷政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣秘書官につきましては、特別職の国家公務員ということでございまして、いわゆる国家公務員法の適用はございません。そういうことで、一般職の国家公務員と比較をいたしますと、活動できる範囲というものは広くなっているというふうにこれまで理解されているところでございます。

郡委員 この榮秘書官が、国会でいろいろと指摘されている事項に関して、事実確認がとれないようにいろいろされているようでありますけれども、公務員法に照らしてこれは認められるのか。つまり、政治活動と法令行為、これは同列に扱われるのでしょうか。

戸谷政府参考人 今先生御指摘の前提としての事実についても、私どもよく、詳細に承知する立場にございませんので、これ以上、ちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

郡委員 榮大臣秘書官、政務秘書官が、取材を受けないようにしてほしい旨のメールを配信したり、大臣室で、きょうも配付されていますけれども、そういうような文書をつくったり配付したりするということ、これは非常に、いいのでしょうかという、そういう疑問を持たざるを得ないと思うんです。大臣室での行為であります。

 国会、文科委員会に、榮秘書官の、参考人、証人としての招致をお願いしたいと思います。

福井委員長 追って、理事会で協議をさせていただきます。

郡委員 それでは、告発について伺わせていただきます。

 大臣は、冒頭、それが受理されたのかどうかもわからないというような御発言がありましたけれども、二十三日の告発状の有無、今後の取り扱いについて、法務省にお尋ねします。

上冨政府参考人 お尋ねは、捜査機関の活動内容にかかわる事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきます。

郡委員 違法行為などの疑いのある事案における口どめあるいは口裏合わせなどの行為、これは一般的に、偽証、証拠隠滅、こういう行為に該当するものと思いますけれども、いかがですか。

上冨政府参考人 犯罪の成否は、捜査機関により収集された証拠によって個別に判断されるべき事柄でございますので、お答えを差し控えさせていただきます。

郡委員 一般的なことで結構です。

上冨政府参考人 あくまで一般論として申し上げれば、例えば証拠隠滅罪は、他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、もしくは変造し、または偽造もしくは変造の証拠を使用した場合に成立するものと承知しております。

郡委員 これも一般論でしかお答えになれないでしょうから、伺いますけれども、告発状が提出をされて、それが受理をされ、違法行為が明らかになった場合の検察の一般的な対応を教えてください。

上冨政府参考人 一般論として申し上げれば、告発を受理した場合、検察官は、当該告発事実について所要の捜査を行い、その結果に基づき、公訴を提起するか否かを判断することになります。そして、検察官は、告発のあった事件につき公訴を提起し、または提起しない処分をしたときは、その旨を速やかに告発人に通知することとされております。

郡委員 そして、それが起訴になるか不起訴になるかですけれども、その対応についてはどういうふうになっていますか。

上冨政府参考人 検察当局におきましては、収集された証拠及び法に照らし、適切に処理するものと承知しております。

郡委員 この間も、大臣、ちゃんと説明をするというふうにお話しになられたわけですけれども、私の時間内でも、全く納得できない、そういう御答弁でしかございませんでした。

 よもやこの件で内閣による指揮権の発動の可能性はない、そういうふうに思っておりますけれども、ぜひ、この市民団体、政治資金規正法に大変お詳しい大学の先生や弁護士が名を連ねておられます。

 私は、言葉で説教をするよりもあなたの生き方そのものがよりよい説教になるんだというふうな言葉が好きでして、これまで、そうなりたいと思いながら生きてまいりました。やってまいりました。

 下村大臣は、今、教育行政のトップにあられるわけです。教育に関しての情熱というのを幾ら熱く語ろうとも、説教しようとも、あなたの今の態度、行動、今回の疑惑を通して、一般の皆さんたちにどのように受けとめられているか。

 そして今、選挙権の十八歳への年齢の切り下げ、十八歳以上の選挙権を議論するわけです。このことについても、政治不信を招く大きな要因になっているわけでして、その方のもとで、子供たちへの政治教育というんでしょうか、これが本当にできるのかどうかも私は大変な心配でございます。

 教育行政不信を招いていることの責任をぜひとられるべきだというふうに思いますが、いかがですか。

下村国務大臣 率直に言って、今の郡先生のお話、私は驚きました。このことが、指揮権発動とかそういうレベルの話なのかどうかということについても、いかがなものかというふうに思います。

 私は、ごまかしているようなことは全くございません。国会の中でも、一つ一つの質問に対しては、誠実に、そしてきちっと答弁をしていきたいと思っております。

 今回の刑事告発というのも、本当に事実に基づかない、週刊誌ネタだけの告発ではないか。これは、報道によるとで、実際それを見ていませんから、詳しくは、今の質問等の中で、そういうことが書かれてあるのであれば、そんなふうな思いがいたしますが、これは司法の場できちっと対応されるものだと思いますし、私は何ら不正をしているということはありませんから、もし御疑問の点があれば一つ一つただしていただいて、それに対して私の方でも誠実にきちっとお答えすることによって、わかっていただけるのではないかと思います。

福井委員長 郡和子君、申し合わせの時間が経過しております。

郡委員 重ねてお願いいたしますけれども、地方の博友会の幹部の方々、それから榮秘書官の国会招致、これを要請させていただきたいと思います。よろしくお願いします。

福井委員長 追って、理事会で協議をさせていただきます。

 では、よろしいですか。

郡委員 以上で質問を終わります。

福井委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。初鹿明博君。

初鹿委員 維新の党の初鹿明博です。

 文部科学委員会で初めて質問をさせていただきます。

 午前中、下村大臣、いらいらしながら答弁をされているように感じたんですが、私からは基本的に政策議論を中心に行っていくので、落ちついて答弁をしていただきますようによろしくお願いいたします。

 大臣の経歴を見ますと、小学校のときにお父様を交通事故で亡くされて、そして、奨学金で大学に新聞配達しながら通ったというふうに聞いておりまして、私も、小学生のときに父が家からいなくなってしまって、ほぼ母子家庭のような形で子供時代育ってきたので、非常に共感するところもあって、非常に期待をしているので、ぜひ、そういうことも考えて御答弁をいただきたいと思います。

 そこで、まず最初に、下村大臣の基本的な考え方をちょっとお伺いしたいんですけれども、ダイバーシティー、多様性を認める、そういう社会がいいのか、それとも、国が一定の価値観を定めてそこに人を当て込むような、そういう社会のあり方がいいのか。この日本という国は、どちらの社会を選んでいくのがいいと大臣はお考えでしょうか。

下村国務大臣 冒頭、励ましのお言葉ありがとうございます。政策議論ができるということは大変にありがたいことでございます。

 私は、時代の変化の中で、明治から始まった近代工業化社会、それを支える人材育成という意味では、富国強兵というのが戦前言われました、戦後は高度経済成長。いずれにしても、画一、均一の教育のもとで、それを押し上げるような人材育成が必要であった時代があったことは事実だと思います。

 ただ、一九九〇年以降、そういう近代工業化社会から情報化社会に変わっていく中で、情報化社会は、まさに多様化、ダイバーシティーの中で、みんなと同じことをしていたら逆に仕事もどんどん衰退化してしまうという意味では、それぞれの能力においても多様化、ダイバーシティー。画一、均一とは違う形で、本人の意欲、やる気、それから持っている能力をさらに引き出していくような、そういう教育をしていくことがこれからの時代において適切な教育になってくる。

 これから目指すべき方向は、ダイバーシティー、多様化に力を入れた、一人一人を伸ばす教育にシフトをさらにしていく必要があると思います。

初鹿委員 大臣おっしゃるとおり、今、国際化も進んで、公立の学校に行くと、私の子供の通っている学校なども、クラスに一人は親が日本人ではない、そういう生徒さんがいるんですよね。中国だったり、韓国だったり、また別の東南アジアの国だったり。

 そして、髪の毛の色も顔の色も違うような子たちがいて、それで中には、そうなんだけれども国籍は日本であったりとか、だから、国籍とか民族とかでもわからないような、いろいろな、多様な人がいて、そういう中で学校の教育を行っていくということを考えると、やはり多様性を認めるような、そういう教育を学校現場の中で行っていかなければならないと思うんです。

 ところが、いざ学校の中を見ていると、いまだに、例えば、頭髪で校則があって、指導がされて、髪の毛が長いのはだめだとか、また、女子生徒だと、一つで結んじゃだめで二つに結べ、二つに結ぶのも、頭の上で結ぶのはだめで下で結ばなきゃいけないとか、そういうことが言われることがあって、中には、男の子で、例えば性同一性障害とかで髪の毛を伸ばしたいんだけれども、それが中学生らしくないとか、そういう理由で切らされるとか、髪の毛を切らないと学校に来させないとか、そういう指導をやっている学校がいまだに少なからずあるというふうに聞いているんです。

 こういう校則で、外見で、髪の毛の色がどうだとか、そういうことで指導をしていくというようなことについて、大臣、どのようにお考えでしょうか。

下村国務大臣 基本的に、校則については、各学校がそれぞれの教育目標を達成するために、必要かつ合理的な範囲内で定めるものであるというふうには思います。しかし、生徒児童の実情、それから保護者の考え方、地域の状況、また社会の常識や時代の進展等を踏まえて、絶えず適切なものになるように見直すことは必要であるというふうに思います。

 三十年、四十年前の感覚が今の時代に合うのかどうかということはあるわけでありまして、今後も、学校を取り巻く社会環境、児童生徒の状況、これは変化しているわけであります。確かに、何十年か前は、髪の毛を染めるということ自体が非行化につながるということで認めてこなかったというのがあると思いますが、社会全体が、髪の毛を染めている人が、みんな非行化しているというか、不良の大人ということではないわけでありまして、それだけ時代変化が起きている中で、学校においても、基本的には、まず子供たちが自信を持って学べる環境の整備というところから校則等は考えていただきたいと思います。

初鹿委員 ぜひ、そういう、髪型とかだけで指導をして、それを切らないと学校に行かさないというような指導をすることは基本的にやるべきじゃないということを、文科省としても各教育委員会に言っていただきたいなということをお願いさせていただきます。

 それで、多様性を認める、尊重するということを考えたときに、障害を持っているお子さんたちが障害のない人たちと一緒に学ぶインクルーシブ教育というのは非常に重要になってくると思います。

 きょうは障害者基本法を資料として出させていただいておりますけれども、この第十六条が教育についてなんですが、ここで「障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、」ということが書いてあるように、障害者基本法でも、このインクルーシブ教育ということをまずは前提としております。

 また、御承知のとおり、二〇一四年に障害者の権利条約を批准して、来年度から障害者差別解消法も施行をされるということでありますが、この障害者権利条約においても、資料の二枚目になりますけれども、この第二十四条「教育」のところで、2の(b)で「他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、」というふうに書かれておりますので、この障害者基本法や、また障害者の権利条約の精神を考えても、基本的にインクルーシブな教育を目指していくということが、今私たちのこの国は求められているんだと思います。

 大臣も所信の中で、「障害のある子供たちのため、インクルーシブ教育システムの構築に向け、特別支援教育を推進します。」と明確に言っているわけですね。

 ところが、障害者権利条約が国連で採択されたのが二〇〇六年ですけれども、二〇〇七年に我が国は署名するんですが、それから、二〇〇七年から条約を批准した二〇一四年までの七年間で、障害児を分離して教育をする場である特別支援学校が何と八十三校、そして特別支援学級においては一万四千百十一学級、増加をしているんです。特別支援学級に通っている在籍者は七万三千七百二十三人も増加をしていて、特別支援学校の方で二万七千人ぐらいなので、大体十万人ぐらいが分離した教育の方に進んでいるという状況なんですね。

 これは私は明らかに権利条約や権利条約の精神に反しているんじゃないかと思うんですけれども、大臣、御所見をお伺いいたします。

下村国務大臣 昨年一月二十日に我が国が批准をいたしました障害者の権利に関する条約において提唱されたインクルーシブ教育システムの実現に向けた取り組みは非常に重要だと考えておりまして、今御指摘がありましたように、所信の中でも入れさせていただきました。

 特別支援学校及び特別支援学級の在籍者、また通常学級に在籍し、通級による指導を受けている児童生徒数は、いずれも増加傾向にあります。増加の理由について特定することはできませんが、特別支援の対象となる児童生徒全体について、早期からの教育相談や就学相談が充実してきたことによりまして、一人一人の児童生徒の障害の状況等に応じた教育への理解が進んできたことなどが、その要因として考えられます。

 なお、障害のある児童生徒の就学先の決定は、平成二十五年八月に学校教育法施行令を改正し、特別支援学校への就学を原則とし、例外的に小中学校への就学を可能としていたこれまでの仕組みを改めまして、新たに、個々の障害の状況等を踏まえ、本人、保護者の意向、意見を可能な限り尊重しながら、総合的な観点から市町村教育委員会が就学先を決定する仕組みというふうに変えたところでもございます。

 障害者権利条約との関係については、条約の掲げるインクルーシブ教育システムとは、障害のある者が特別支援学校等も含む一般的な教育制度から排除されないことが必要であるとするものでありまして、特別支援学校等の在籍者が増加することが条約の精神に反するとは言えないというふうに認識しております。

 文科省としては、引き続き、インクルーシブ教育システム構築に向けた特別支援教育の充実に取り組んでまいりたいと思います。

初鹿委員 今、特別支援学校や特別支援学級に通うことが必ずしも権利条約の精神には反しない、そういうお答えでしたけれども、もう一度、この資料を見ていただきたいんです。

 先ほど述べたとおり、障害者基本条約では、「自己の生活する地域社会において、」ということが書かれていることを考えれば、自分の住んでいる近くの学校に行くということがまず前提になってくると思います。

 それと、次のページを見ていただいて、これは(e)のところですけれども、「学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられること。」という規定があるんですが、ここの「学問的及び社会的な発達を最大にする環境」というのが特別支援学校や特別支援学級だとすると、「個別化された支援措置」に当たるとは思います。

 しかし、ここで書かれているとおり、「完全な包容という目標に合致する」と書いてあるんです。これは原文でいうと、「ゴール・オブ・フル・インクルージョン」というふうに書かれているんですね。フル・インクルージョン、完全なインクルージョンだということですから、この文章を読む限りだと、やはり、特別支援学校や特別支援学級というのは、あくまでも過渡的な学びの場であって、ここを通過することによって、最終的なゴールは一緒に学べる環境に持っていく、インクルーシブ教育を完全にしていくことだというふうに私は理解をするんですけれども、いかがでしょうか。

下村国務大臣 障害者の権利に関する条約に定めるインクルーシブ教育システムとは、障害のある者がその能力を最大限に発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とすることの教育理念のもとで、障害のある者と障害のない者とが可能な限りともに教育を受けられるよう配慮することを意味するというふうに理解をしております。

 この条約の批准に向けては、平成二十三年八月に障害者基本法の改正が行われたほか、平成二十四年七月に公表された中教審初等中等教育分科会の報告におきまして、「インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求する」、御指摘がありましたが、「追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要である。」ことなどが提言されております。

 これを踏まえて、先ほども申し上げましたが、文科省において、平成二十五年八月に学校教育法施行令を改正して、障害のある児童生徒の就学先の決定について、特別支援学校への就学を原則とし、例外的に小中学校へ就学を可能としてきたこれまでの仕組みを改めて、新たに、個々の障害の状況等を踏まえ、総合的な観点から就学先を決定する仕組みというふうに変えたところでございます。

 文科省では、また、就学時に決定した学びの場、それは固定したものではなくて、児童生徒の発達の程度等を勘案しながら柔軟に転学できることを全ての関係者の共通理解とすることが適当であるというふうに認識しておりまして、各都道府県に対してもこの旨を通知しております。

 さらに、学習指導要領において、特別支援学校や特別支援学級で学ぶ障害のある児童生徒と障害のない児童生徒との交流及び共同学習について明記しているところでございます。

 目指すべき方向は、初鹿委員の御指摘もそのとおりの部分を私も感じますが、今いる子供に対しては、そうはいっても、理想よりは、まず、子供や親から見たら、我が子の、あるいは本人が教育環境としてベストな状況ということを考えると、普通の学級よりは例えば特別支援学級の方が子供にとってより望ましい環境ではないか、そういう選択も保障していかなければならないというふうに思いますが、いろいろな子供たちが一緒に教育環境の中で育むような、その方向はさらに努力、目指していくべきだというふうに思います。

初鹿委員 今大臣、重要なことをおっしゃっていただいたんですが、一回、特別支援学校や特別支援学級に行ったからといって、そこで卒業までずっとい続けるというのではなくて、やはり発達をしていく段階の中で、特別支援学校から特別支援学級に移ったり、特別支援学級から普通学級に移ったりということが柔軟にできるような、そういう教育にしていただくと、子供たちや親のニーズにもより的確にかなっていくのではないかなと思います。

 私も、障害を持っている子供を預かる施設、放課後デイサービスというのをやっているんですが、障害を持っている子供たちもやはり日々成長していくし、その成長していく中で、見ていて感じるのは、自分よりちょっとできる子と一緒にいると、そこに近づこうという努力をやはりしていくものだと思うんですね。

 ですので、同じぐらいの障害の子たちだけを集めている特別支援学校よりも、やはり特別支援学級で、普通学級の生徒さんたちと同じ建物の中で、授業は分かれているけれども、触れ合う機会があったりとかいう方が成長していくことにもつながるし、また、やはり普通学級の中に入って普通の子たちと一緒に暮らすことによって、どんどんどんどん伸びていく可能性が私は高まるんじゃないかと思いますので、ぜひ、できる限りのインクルーシブを目指していただきたいと思います。

 さて、先ほどから学校施行令の改正をしたというお話がありますが、今までは、障害があったらまず特別支援学校に行くのが原則だとされていたものを、親や本人の意見を踏まえて、総合的に判断して就学先を決めるというふうに変わった。これはかなりの進歩だとは私も思うんです。

 ところが、では、実際に市町村の教育委員会が判断をするときに、本人や親の意見というのがきちんと反映されているのかというと、少々疑問に思うところもあります。

 資料の一番最後に一つ新聞の記事を載せているんですが、これは、ダウン症のお子さんを小学校の普通学級に入れたいと言ったら断念せざるを得なくなったということで、人権侵害ということで救済の申し立てを行ったという記事なんですね。こういうことが日本全国でいまだにやはり起こっているんだと思うんです。

 私のいろいろ聞いている話によると、例えば、自分たち親や本人は地元の普通学級に通わせたいと言っても、いろいろな専門家の意見を聞くと、やはり特別支援学校の方がいいだろうというふうに教育委員会から勧められるとなかなか反論ができなくて、本当は望んでいないんだけれどもやむなくそちらを選ばざるを得ないとか、例えば教育委員会が特別支援学校を勧めたときに、そこを拒んで普通学級に入れたいと言っていると、いつまでたっても就学通知が来なくて、結局、断念して教育委員会から言われたとおりの選択をせざるを得なくなっている、そういうケースが起きているということなんです。

 私は、基本的に、権利条約の精神というのを尊重するならば、親や本人、保護者が特別支援学校や特別支援学級を選択する、そういう場合は当然そちらを優先するべきだと思いますが、そうでない場合は普通学級に就学をさせるということが基本になるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

赤池大臣政務官 既に大臣もお答えになっておりますし、委員も御指摘のとおり、平成二十五年の改正後の就学先決定の仕組みというのは、本人、保護者に対して十分な情報提供をいたしまして、その意見を可能な限り尊重しながら、子供の障害の状態や教育的ニーズ、教育学等の専門的見地から総合的な観点を踏まえまして、最終的には設置者であります市町村教育委員会が決定するということになっているわけであります。先ほど委員御指摘の資料によれば大阪市の教育委員会が決定をしたということになるわけでありまして、これは、本人、保護者の意見を可能な限り尊重しつつ、関係者間での合意形成に向けた努力が最後まで求められるが、希望すれば必ず小中学校へ就学することが保障されている制度ではないということであります。

 障害の状態等によりまして、特別支援学校でなければ当該児童生徒に対して十分な教育が提供できない場合は、本人、保護者が小中学校を希望しても特別支援学校への就学措置がなされることはあり得るというものでございます。

 これは、委員何度も御指摘のとおり、また、大臣からも答弁させていただきましたが、障害者権利条約が提唱いたしますインクルーシブ教育システムの理念、すなわち、障害のある者がその能力等を最大限に発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの教育理念のもとで、障害のある者とない者とが可能な限りともに教育を受けられるよう配慮するという理念に反するものではないというふうに理解をしているところであります。

 文部科学省といたしましても、小中学校における教育環境の充実を含めて、インクルーシブ教育システムの構築に向けた特別支援教育の充実にしっかり取り組んでまいりたいと存じます。

初鹿委員 今、政務官の答弁を聞いていて思うんですけれども、普通学級で適切な教育が受けられない場合は特別支援学校だ、特別支援学級だ、そういうお話だと思うんですが、では、なぜ普通学級でその子に合った教育ができないのか。最大の理由は、人を加配できるかできないかになっているんじゃないかなと思うんですよ。

 今回のこの例でも、加配の教員がつけられるかどうかということでずっと議論をしていて引き延ばされていた。恐らく市町村の教育委員会も、人の配置ができればもっと受け入れたいと思っていると思うんですね。やはり、保護者の意見を聞いて、保護者の気持ちにできるだけ寄り添っていきたいと現場は思っていると思うんですよ。

 ただ、実際には人の配置ができなくて、その配置をできないままで学校に障害を持っているお子さんを入れてしまうと学校の現場が混乱をする、負担がそちらに行ってしまうということで、市町村としては、特別支援学校を勧めたり学級を勧めたりしているというのが実情なんだと思います。ですから、加配をきちんとつける、支援員をつける、また、医療的ケアが必要だったら看護師をつけるということをやはり積極的にやっていくべきだと思うんです。

 今回の予算案を見ると、医療的ケアが必要なお子さんのために看護師を約三百三十人配置できる、そういう予算をつけていらっしゃいますよね。この予算なんですけれども、説明を聞きましたら、特別支援学校に対して看護師を配置するときにこの予算をつける、そういう中身なんですよ。普通学級や特別支援学級という市町村の学校に対しての予算じゃないわけですね。

 ちょっと新聞記事をつけさせていただいたんですが、四枚目の紙を見ていただきたいんですが、「大阪 進む「医療的ケア」」「難病・障害の子 地元の学校へ」という記事を載せさせていただきました。この記事をごらんになっていただくとおわかりになるんですが、大阪府は独自に看護師の配置をしております、予算をつけているんです。看護師を配置すれば、地元の学校に医療的ケアが必要なお子さんも入っているんですよ、実際に。つまり、看護師の配置ができないから、市町村は特別支援学校に行ってくれということを勧めているわけですね。

 特別支援学校というのは都道府県や政令市が設置をしていますよね。財政的には都道府県や政令市の方が豊かですよ、市町村に比べれば。大阪市は政令市だから独自の予算が組めるんだと思いますが、市町村でやはり看護師一人を配置するというのは本当に大変なことだと思います。それができないから、結局、特別支援学校に行かざるを得なくなっている。

 特別支援学校は必ずしも家の近くにあるわけじゃないですから、お子さんによってはスクールバスで一時間、いや、一時間どころか一時間半もバスに乗って学校に行かなきゃいけないわけですね。これが自分の地元の小学校だったら本当にすぐに行けるのに、一時間半も乗って行かなければならない。往復で三時間。ただでさえ体力的に弱いお子さんたちにその負担を毎日させるというのは、私はいかがなものかなと思うんです。

 今のこの都道府県の特別支援学校だけに看護師の配置の予算をつけるというのだと、都道府県は楽になりますよ。でも、都道府県を助けるだけであって、本当に障害のある子たちを助けることになっているのかというと、私はいささか疑問に感じてしまうんです。市町村の、自分の地元の学校に通うときに看護師をつけてもらえるようになれば、もっと普通学級の受け入れというのは進んでいくんじゃないかと思うんです。

 もう一枚紙をめくっていただきたいと思うんですが、今現在、医療的ケアが必要なお子さんで通常の学級に通っている子が、小中学校合わせて三百三人も既にいるんですよ。

 ですから、看護師の配置があれば、普通学級でも十分に受け入れられるんです。それがないから特別支援学校に集まって、そこに集まっているからさらに看護師が必要になっていって、都道府県に支援をしていくというのが今回の予算なわけですが、これを、やはり私は、特別支援学校だけじゃなくて、普通学級とか特別支援学級の看護師の配置についても国が支援をするようにしていただけないかなと思います。よりその方が、障害を持っている子供たちのためになると思うんですが、いかがでしょうか。

赤池大臣政務官 公立学校におきましては、日常的に看護師などから経管栄養などの医療的ケアを受けている児童生徒数といたしましては、最新の統計ですが、平成二十五年五月一日現在の調査で、特別支援学校が七千八百四十二人、小中学校が八百十三人となっております。

 このような医療的ケアを必要とする児童生徒の教育環境の充実を図るために、委員御指摘のとおり、平成二十七年度予算案においても、看護師の配置の充実が必要な特別支援学校について、看護師の配置に必要となる経費の一部、三分の一を補助するための所要の経費を計上しているところでございます。

 また、本補助事業は、特別支援学校に看護師を配置するものではあるんですが、特別支援学校のセンター的機能、特別支援学校に配置した看護師さんに、そこから、その一環として、小中学校へ助言や巡回を行わせるということも可能としております。回っていただけるということですね。

 文部科学省としては、今後とも、小中学校等に在籍する児童生徒数を含めて、医療的なケアを必要とする児童生徒等に対する支援の充実には努めてまいりたいと存じます。

初鹿委員 文科省として意識をきちんと持っていただいているというのはわかるんですけれども、巡回をしても、常時やはり横にいてもらわないといけないお子さんたちにとって、たまに巡回して看護師さんが回ってくるのだと、やはり普通学級で学び続けるというのは難しいので、ぜひ、市町村の普通学級や特別支援学級に対しても国が支援をできるようにしていただきたいと重ねてお願いをさせていただきます。

 これは看護師だけの問題じゃなくて、やはり支援員についても同様なんだと思います。支援員も市町村の学校にきちんと配置がされれば、障害を持っているお子さんたちをもっと普通学級で受け入れていくということは進んでいくと思います。

 先ほどの、救済申し立てをしているというお子さんのケースを見ても、ダウン症のお子さんということですよね。私も障害を持っているお子さんたちとたくさんずっとかかわりを持っていますが、ダウン症のお子さんが普通学級にいて何ら問題がないと私は思うんですね、それほど手がかかるわけでもないし。それなのに受け入れられないとしているのは、やはり支援員の配置がなかなか財政的に苦しいということなんだと思います。

 今、現状では地方財政措置でこの支援員の人数分の予算を割り振っているということですけれども、そのやり方だと、やはり不交付団体はもらえないわけですよ。下村大臣も私も東京ですから、東京からすると、地方財政措置と言われても全く関係ないわけですよね。

 ですから、やはりきちんと支援員が配置をされるような、そういう予算の措置を私はするべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、障害のある幼児、児童生徒の学校生活上の介助や学習活動上のサポートなどを行う上で、特別支援教育支援員の配置は重要であるというふうに考えております。

 その配置に必要な経費についても、これもまた委員御指摘のとおり、国からの地方交付税として地方財政措置がなされているところでありまして、これまでも配置を促進しつつ、その配置実績を踏まえて年々拡充をしてきているということでございます。

 平成二十七年度におきましては、前年度、今年度から来年度に向けまして三千四百人増の四万九千七百人分の財政措置を予定しているというところでございます。

 今後とも、しっかり特別支援教育支援員の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。

初鹿委員 実際に人数の推移を見ると確かに伸びていて、その分の予算措置をされているんだと思いますが、やはりこの地方財政措置というやり方だと、つけた分の人数分、市町村が本当に支援員をふやすのかどうかというのがはっきりしないわけですよね。それと、やはり不交付団体は全く対象にならないので、その点もぜひ考慮をしていただいて、不交付な団体に対してどういう支援のあり方があるのかということも今後検討をしていただきたいとお願いをさせていただきます。

 それでは、今までは、障害を持っている子供たちが学校に、普通学級に通うというインクルーシブ教育についてお話をさせていただいてきましたが、今度は逆に、学校の場で働く人に障害者を雇用するという話に移らせていただきます。つまり、障害者雇用率の問題です。

 二十五年に障害者の雇用率が民間企業で二%に引き上げられて、今まで対象になっていなかった企業も雇用率が課せられるようになりました。今だと、従業員が五十人いたら一人の障害者を雇うようになっているわけですね、民間企業は。それで、民間企業の場合は、その雇用率を達成していないと一人当たり五万円の納付金を納めなければいけないということになっています。

 ところが、地方自治体は、その五万円は払わないでいいわけですね、達成しなくても。それはなぜかといったら、地方自治体や行政機関は雇用率を守るのが当然だということで、この五万円は入れられていないわけであります。

 ところが、教育委員会で雇用率を達成している割合が非常に低いです。今、現状で、都道府県と市町村で雇用率を達成している割合は何%ですか。

赤池大臣政務官 通告がないのですが、ちょうど手元に資料がございましたのでよかったんですけれども、都道府県の教育委員会の状況でいいますと、全体で、平均すると実雇用率で二・一一%。二・二からいうと、委員御指摘のように、平均値を下回っている。それから、政令市でいいますと一・九五%。これも二・二%を下回っているという状況です。

初鹿委員 そうではなくて、自治体の数で、達成している自治体とそうでない自治体の割合。

赤池大臣政務官 失礼しました。

 教育委員会ではなくて、自治体ということですね。(初鹿委員「自治体じゃなくて教育委員会だ、ごめんなさい。教育委員会で、達成している教育委員会の数の割合と達成していない数の割合」と呼ぶ)教育委員会の全体のですね。失礼いたしました。

 教育委員会の全体の実雇用率としては、平成二十五年度で二・〇一%。これが二・二%に上がりましたから、平成二十六年度で二・〇九%という形になっております。

初鹿委員 いや、そうではなくて、まあいいです。

 私が聞きたかったのは、都道府県の教育委員会の中で、何割、何%が雇用率を達成している教育委員会で、市町村も何%かということです。

赤池大臣政務官 大変何度も失礼いたしました。

 委員の御質問の、障害者雇用の法定雇用率を達成している都道府県教育委員会は、平成二十六年度、四十七都道府県、四十七機関のうち二十二機関、四七%。それから、市町村の教育委員会でいいますと、七十三機関のうち五十八機関、七九%、これは平成二十六年度ということです。失礼いたしました。

初鹿委員 七九%、四七%ということで、都道府県は特に半分を切っているわけですね。

 確かに、障害を持っていて教員免許を持っているという方がなかなかいなくて、教員の割合が多いから雇用率を達成するのは難しいというのも理解はしますけれども、教育委員会の事務職員や学校の事務職員、また用務員さんなどもこの教育委員会の職員に当たるわけですから、もう少し努力をすれば達成をできるんじゃないかと思うんです。

 実際に達成している教育委員会もあるわけですから、ぜひ、達成していない都道府県など五〇%、半分の自治体、また市町村の方の、二割達成していないわけですけれども、もっとしっかりやるように文科省からも言って、民間企業にやらせておいて、学校だからといってやらないというのは、私は望ましいことではないと思いますし、やはり、障害がある子供たちがともに学ぶということと同時に、障害を持っている人が学校の中で働いているということも、子供たちにとって非常に教育的な効果が高いんじゃないかと思うんですね。

 そういう観点からも、ぜひ、今年度中に全ての教育委員会で雇用率を達成するように文科省からもハッパをかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、障害者の雇用促進につきましては、これは厚生労働省が各地方公共団体に対しまして、直接、採用計画の作成や法定雇用率の達成に向けた取り組みの推進等々の指導助言を行っているところであります。

 それを受けまして、文部科学省といたしましても、委員御指摘のとおり、先ほど数字の具体的なお話もさせていただきましたが、やはり未達成の教育委員会があるということは課題だということは十分認識をしております。

 そこで、各教育委員会に対しまして、教員の採用選考試験においては、募集人員枠を確保するなど、障害のある方を対象とした特別選考、それから、筆記試験における文字拡大や手話通訳、実技試験、面接の免除など、選考方法の工夫などをぜひしていただきたいということでお願いをしているところであります。障害のある方の適正配置の事例等の情報提供もさせていただいているところでありますので、障害のある方への配慮の徹底については指導助言を行っているところであります。

 今後とも、インクルーシブ教育を推進する上で、障害がある方が教員を目指せる環境づくりを行うということも重要だと考えておりますので、引き続き、厚生労働省と連携をして、各教育委員会に対し指導助言を行ってまいりたいと存じます。

初鹿委員 どうぞよろしくお願いいたします。

 時間なのでこれで終わりにいたします。ありがとうございました。

福井委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 私も、文部科学委員会で初めて質問に立たせていただきます。大臣所信につきまして質疑の時間でありますので、そもそもの話が多いんですけれども、お尋ねをしたいと思っております。

 大臣の考える教育とは、最初に当たり前のことを聞くんじゃないよというふうに思われるかもしれませんが、大臣の考えておられる教育とは何ぞや、お尋ねしたいと思います。

下村国務大臣 教育は、英語で言うとエデュケーションですが、これはもともと語源的に引き出すという意味がありますが、一人一人の潜在能力を最大限に引き出す、そして、人間は同時に社会的動物ですから、互いに認め合いながら、また、社会に貢献しながら自己実現を図る、そのことによって、全ての子供たち、人々が幸福に、よりよく生きていくことができるような、そういうことをしていくことが本来の教育の役割であるというふうに思います。

 そういう意味で、教育というのは、全ての人たち、子供たちが、自分がかけがえのない存在であると感じることに対して手助けをする、そういうものであるべきだと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 私は個人的に、自分の考えですけれども、教育というのは、親から自立して自分で御飯を食べていく飯の種だと思っていますし、あと、それまで育ててくれた親、きょうだいも含めて、周りの環境の人たち、関係者に恩を返していかなくちゃいけないだろうというのが一つ。

 それと、何で英語を学ばなくちゃいけないのかと単純に考えたときに、外国の人とコミュニケーションを図るために英語を習うんだろう、中国語でもロシア語でも韓国語でもいいはずなのに、なぜ英語なのかといったときに、それの方が一番、公用語にはなっていませんけれども、まあまあ世界の中では英語をしゃべる人が共通語の一つになっているだろうと言うから英語を習うんだと思うんです。

 そこで、大臣がお考えの教育と、私が今、自分の考えを述べさせていただきましたけれども、教育に対するいろいろな定義というのがあるんだそうです。その中で、教育とはよりよく生きるためのものであるというのが、目標や目的の定義からそういった言い方をされます。方法や手段からの定義とすれば、教育とは強制の一種であるという考え方です。それともう一つ、機能や効果からの定義と考えれば、教育とは社会の再生産であるというふうな定義づけです。これも一つの定義ですから、違うよと言う方もいらっしゃると思うんです。

 では、現在の教育は、方法や手段として、さらに、機能や効果としての定義に力点が置かれ過ぎているのではないかという考え方なんですけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 教育の根本的な目的は、改正教育基本法第一条にあるとおり、人格の完成と国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成であるというふうに思います。

 この教育の目的を実現するために、改正教育基本法では第二条に新たな教育の目標を掲げ、それは、知徳体の調和がとれ、生涯にわたって自己実現を目指す自立した個人である、また、公共の精神をたっとび、国家社会の形成に主体的に参画する国民である、さらに、我が国の伝統と文化を基盤として国際社会を生きる日本人の育成、これを目指しているわけであります。

 教育は、このような目的、目標を踏まえつつ、一人一人の子供たちの実態に即して行われるべきものであると考えます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 日本の教育の概念というんですか、定義はそれでよろしいかと思うんですけれども、国によっては、もともとの教育の目的がまた日本と違うところもありますし、今御答弁いただいたんですけれども、教育は本来の目的や目標が一番大切にもかかわらず、昨今は、機能や効果、数値化していろいろな序列を図ったり、私も大好きな方なんですけれども、そういったことを求める余りに、方法や手段が産業化し過ぎてしまったんじゃないかということです。

 もともと教育というのはそうじゃなかったにもかかわらず、産業化し過ぎてこの何十年の間来てしまっているんじゃないかというふうに疑念が湧くんですけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 あらゆる段階の教育は、教育基本法に掲げる教育の根本的な目的、目標を踏まえて行われるべきものであります。

 鈴木委員がおっしゃっている、教育が産業化という意味がいま一つちょっと理解できない部分がありますけれども、本質的な部分として、テクニック的なものとか、そういう意味でもおっしゃっているんじゃないかなと思いますが、先日も中教審が、現在の子供たちは、これは都会の子供だけじゃなく地方の子供も、体験が非常に少ない、自然体験とか、人と人との集団体験とか、それが生きる力を育むパワー不足になっているという指摘がある中で、これからいろいろな直接体験ができるような環境にもっとしていくべきではないかという提言、指摘を受けました。

 一人一人の子供たちが、目的、目標をしっかり持ちながら、社会状況や多様なニーズにきめ細かく対応していきながらもたくましく生きていく、そういうものを教育の中でしっかり取り入れるということが、今我が国の大きな課題の一つでもあると思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 それに基づきまして、教育を受けるといったときに、よくIQが、知識というんですか、知能というのか、それを上げることにすごく力点を置いていて、他人の気持ちがわかるような能力というのをEQというんだそうですけれども、そちらの方が高い方が人間は幸福になれるという、研究で明らかになったというふうにも言われているんだそうです。

 現在では、若者のコミュニケーション能力の低下や利己主義になる人がふえていると指摘されて長いんですけれども、本当に学習者、学生の幸福を望むのであれば、IQを上げようとするよりは、他人に共感できること、他人の心の痛みを理解できること、他人と協力的で建設的な人間関係を築く能力を上げていくことが先決ではないかとも言われています。私も同感なんですね。

 今、いろいろな教育を取り巻く問題が山積していて、文科省もそれに全力で取り組んでおられるし、都道府県教育委員会もそうだし、市町村も同じだと思うんです。でも、何か枝葉の議論ばかりに終始されてしまって、本当に教育というのは何をしなくちゃいけないのかというのが、ちょっとずれてきちゃっているのかなと私は個人的に思うんですけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 今、教育改革については、抜本的な、戦後以来というよりは、明治以来の改革が時代の大きな変化の中で求められていると思います。

 その一つの象徴として、大学入学試験、高大接続、大学入学試験だけでなく、大学教育それから高校教育もあわせてトータル的に変えていく必要がある。この大学入学試験というのは、今委員が御指摘のような、ある意味ではIQしか問わない、つまり、知識とか、どれぐらい記憶していて、それを短時間にいかにペーパーとしてあらわせるかということだと思います。

 EQという言い方をされていましたが、ほかの人の気持ちがわかるような能力、こういうものがこれからの時代はさらに問われると思います、情報化社会の中で。そのときに、大学入学試験でも、こういうような能力を問うような試験に変えていく必要があるのではないか。

 つまり、知識、技能中心の今までの入学試験、そういうことも必要です。しかし、そういう学力の向上に加えて、何事にも主体的に取り組もうとする意欲とか、それから多様性を尊重する態度、また、他者と協働するためのリーダーシップやチームワーク、コミュニケーション能力、さらには、豊かな感性や優しさ、思いやりなどの豊かな人間性の育成が重要であるというふうに考え、こういうものも大学入学試験で例えば問う。

 そのためには、学力一発勝負の入学試験ではなくて、面接とか小論文とか集団討議とか、多様な入学試験制度に変えることによって、他人の人の気持ちもわかるようなEQの能力も評価、育むような教育にシフトしていくということが、これからのダイバーシティー、多様化社会の中において、教育においても大変重要なことだというふうに認識しております。

鈴木(義)委員 今、大学の入試と大学のあり方について大臣から述べられたので、ちょっと質問を飛ばさせていただきたいと思うんです。

 大臣は所信の中で、日本再生のための教育再生ということで、今述べられたことなんでしょうけれども、所信の中で、アメリカの学者が十年先から二十年先で労働時間の縮減や自動化すると例示を挙げておられますけれども、逆に高度化すればするほど、システムのメンテナンスだとか災害時の対応、特に日本の社会が強く求めている安全、安心を維持するための、人を初め膨大なコストがかかります。人口減少の中で、国民一人当たりの負担は増大すると思われます。

 ハイテクとローテクという言い方をするんですけれども、バランスがやはり必要なんだと思うんですね。システムを高度に上げれば上げるほど、何かトラブルがあったときに、それでは社会が混乱してしまう。そのために対応しなければならない人がいなければならないということなんですね。

 例えば、これは一つの例示です。ガソリン自動車が今町じゅうを走っているんですけれども、この自動車の部品が約三万点、小さなねじからゴムまで入れて。これが電気自動車、幾つかのメーカーが出していますけれども、電気自動車だけで走らせる車があったとすると、部品が約一万点と言われているんです。ということは、もしこの世の中に電気自動車しか走らない車があったときに、三分の二の部品は要らないということなんです。では、もし一年とか二年でそれが本当に実現してしまったら、三分の二のそこに携わっている業種の人たちは、もう車はつくっても日本では買う人はいないということなんです。

 今大臣が、高大の接続改革に取り組み、若者の多様な夢や目標を支える高等教育、大学教育、大学入学者選抜へと一新しますというふうにおっしゃられておりますし、大学の入試のあり方について述べられたんですね。

 でも、七百八十ある大学の入試の状況の一覧表を昨年いただきました。実技や学科試験が一切ない、面接だけ、論文だけというところもありました、七百八十の大学の中で。それで、本当にこれが大学の入試の選考としてなじむのかなじまないのかということなんですね。

 それで、なおかつ大臣は所信の中で、先を見通すことの難しい時代をたくましく生き抜くことが可能か、可能な社会にしていきたいんだと述べられているんです。現実は今みたいな入試が行われているにもかかわらず、本当にそれで厳しい時代を生き抜く若い人たちを教育できるのかという、そこのところをお尋ねしたいと思います。

下村国務大臣 今、鈴木委員から御指摘ありましたが、大臣所信の中でも述べたことでありますが、ある学者は、ことし小学校一年生で入学をし、大学を卒業するころには今の職業の六五%が変わっているだろうと。また、ある学者は、今の御指摘の部品にも関係しますが、自動化によって十五年、二十年後ぐらいには四七%の職業がなくなっているだろう、こういう指摘。これはアメリカだけでなく、日本も同じだと思います。

 そのときに、今の大学入学試験で問うているような能力で、十五年、二十年たったときに、リストラ対象にならないでたくましく生きていくような教育力を身につけているような人材が、本当に社会の中に、そういう激しい時代の中で対応できるような学校教育がされているのかということになると、これはされていないというふうに考えております。

 そのために、大学入学試験を変えるということが、高校以下の教育、もちろん大学教育も変えなくちゃいけないし、それが我が国の、ある意味では教育改革のキーの部分だというふうに思います。

 そのためには、今御指摘ありましたが、実際に、大学の入学科目が二科目とか、それから小論文や面接のみによって選抜される大学でいいのかという話がありました。今、七百八十ある大学の中で、実際に半分ぐらいが高校以下の補習授業をしているような大学は、世界の中では実際は通用しないと思います。

 ですから、そのためには、確かにAO入試や推薦入試は否定しません。しかし、AO入試や推薦入試をするのであれば、同時に学力もきちっと高校のときに身につけておいて、そして大学に入ったときには高校以下の補習授業を受けなくてもいいような、高校教育のあり方が問われるのではないかと思います。

 そういう意味で、大学入学者選抜においては、十分な知識、技能は当然ですけれども、それだけでなく、思考力、判断力、そして表現力、それから主体性を持って多様な人々と協働して学習する態度など、真の学ぶ力を多面的、総合的に評価する、そういう大学入学試験が求められると思います。

 このため、昨年十二月の中教審の答申におきまして、大学入学センター試験にかえて、思考力、判断力、表現力等をより重視した大学入学希望者学力評価テスト、仮称でありますが、こういうことを設けることによって、各大学の個別選抜において、小論文、面接、集団討論、プレゼンテーション、調査書、それから資格・検定試験の成績、こういうことを活用することによって多面的、総合的な評価を促進する方向に改善する、改革をする、これが提言されたところであります。

 今後、各大学において、このことを踏まえて、それぞれのアドミッションポリシー、どんな学生を自分の大学は入学させるのか、そのためにどういう入学試験をするのか、これを明確にした上で、それに沿って多面的、総合的な選抜を行うことが期待されますし、そういうことに対して国が支援をしていきたいと思っています。

 このような大学入学者選抜の改善を含め、高等学校教育から大学教育まで一貫した改革の検討をさらに進めるために、二月に文部科学省の中に高大接続システム改革会議を設置いたしました。ことしの夏をめどに、中間的な取りまとめをしてもらいたいと考えているところであります。

 文科省として、この会議での検討を踏まえながら、教育改革における最大の課題である高大接続改革にしっかり取り組むことによって、二十一世紀の社会の中でたくましく生きていけるような、そういう教育に学校現場からしっかり変えていきたいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。取り組みの結果を楽しみにしたいと思います。

 では、再度、今の時点で、教育とは違っているんですけれども、そもそも大学は何のためにあるのかということなんですね。

 今の答弁の中で、大学に入学してから、一般教養の時間に高校の授業をもう一回学び直していると。もっと言えば、今は、授業に出てこない学生さんがいると、三回ぐらい授業に欠席すると事務方が携帯電話に電話をかけて講義に出てきてくださいと、何かサービスしている大学もあるんだそうです。ふと、大学は何なのかなと疑問に思う時代になってしまったんですね。

 私たちのときは、出席カードをとられて、一生懸命、ここにマジックで一本線が入っていたとか二本線が入っていたとか、こそっと裏からもらって名前を書いて出したりしたのが三十年前、四十年前なんですけれども、そのぐらいの時代はまだ緩かったんでしょう。テストも、期末にテストをやるんですけれども、先輩と仲よくしている人が、テストのその日に過去問のペーパーが回ってきまして、慌ててコピー屋に駆け込んで、みんなでそのコピーを回しながら、試験時間まで、どうやって答えようか、それが私たちが学生のころだったんですけれども、それよりも今の学生さんの方がもうちょっと、違うんじゃないかという学生が多くなっちゃっているんだと思うんですね。

 私も、自分が出た大学にたまに行って、大学の先生と話す機会があるんですけれども、では、そもそも大学は何なのと問いかけられている時代じゃないかと言うんです。大臣、どうでしょうか。お考えをお聞かせいただきたいと思います。

下村国務大臣 まず、中学校までの初等中等教育は、PISAの結果も国別では世界でトップレベルでありまして、それなりの成果、効果は上がっていると思います。

 ところが、高校、大学になると、これは学生が怠けているというよりは制度の問題も非常に大きいと思うんですけれども、アメリカの学生に比べると日本の高校生、大学生は学習時間が半分以下ということで、そもそも勉強しなくなっている。昔から比べても勉強しなくなっていますが、アメリカの学生に比べても勉強していない。勉強しなくても卒業できる、そういう仕組みそのものも問題があるのではないかと思います。

 ただ、この二十年間で見ると、経済成長している国というのはやはり高等教育に力を入れる、つまり、大学進学率が高くなっているところが経済成長するという意味では、社会が高度化、複雑化している中で、高等教育によって人材をどんどん社会に供給するようなシステムがあるかどうかということが、個々人だけでなく、社会全体の活力としても問われているというふうに思います。

 そういう意味で、日本の大学は本当に社会に対して必要な人材を供給するための人材教育をしているのかどうか。大学は教育と研究をあわせてやっているところでありますが、象牙の塔になり過ぎてしまって、学問は学問、しかし社会は社会で、それとある意味では隔絶した中でやってきた部分があったのではないか。しかし、これからグローバル社会の中で、あと、非常に厳しい時代の中で、今までのような大学教育の延長線上に日本の大学の未来はあるのか、これは非常に厳しい部分があると思います。

 そのために、例えば、ことしの四月から、大学ガバナンス改革法案も国会で成立をさせていただいてスタートするようになりましたが、世界の中で伍して生きていける、仕事をしていける、そのための高等教育、大学教育については、あらゆる部分で抜本改革をすることによって、学生が伸びていく、そういうチャンス、可能性が提供できるような、そういう大学に日本の大学も大きく改革をしていかなければならないという、非常に重要な時期に今来ていると思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。同感するところばかりなんですね。

 そうしますと、これはほかの省庁に絡む話になるので、文科委員会でお尋ねして、そうですねというふうにならないと思うんですけれども、例えば医学部は六年制です。歯学部も六年制、薬剤師の資格を取る薬学部も六年制、獣医の先生も六年制なんです。資格を取るために大学に行くんだったら、専門学校でもいいじゃないかという考え方です。

 今の日本の社会というのは、許認可を与えて、許認可を与える前提として、資格を取りなさいとなるんですね。では、資格はどうすれば取れるのかといったら、学歴を問わない資格もあれば、学歴を問う資格もあるわけです。だから、将来何の仕事につきたいかというのを学生なら学生で思っていたときに、どこの大学に入るかというのは、職業を目指してその大学を選ぶわけです。というと、先ほどお尋ね申し上げた、大学というのは何のためにあるのかというところに返るわけですね。

 資格を取るための大学なのか。資格を取るためだけだったら専門学校に行けばいいんですよ、だって専門教育なんだから。でも、大学というのはそういう位置づけじゃないじゃないですか。そういったことも含めて、今後、改革に取り組んでいくお考えがあるのか。

 ましてや、大学を卒業するときに就職の面談をしたときに、あなたは大学で何を学んできたんですかと聞いたら、私はサークル活動とアルバイトを一生懸命やって社会性を身につけてきましたと答弁されても、その大学で何を学んできたのかというのを問いかけているのに面接官にそういう答弁をされるような教え方では、やはり今大臣がおっしゃられたような人材育成にはならないんだと思いますし、それを許容している大学が考え方を変えない限りは、では、資格を取るための大学だったら、はっきりそういうふうに言えばいいと思うんですね。

 やはりアカデミックなところを追求していくのが大学だ、知財の集積場所が大学なんだったら、そういう方向を目指していかなくちゃいけないだろうし、その辺をもう一度大臣にお尋ねしたいと思います。

下村国務大臣 これはおっしゃるとおりでありまして、今、高大接続改革、大学入学試験改革の中で、文部科学省の中で、これから各大学に対して提示をしていきたいと思っているポリシーが三つありまして、一つはアドミッションポリシーで、そこの大学のそこの学部はどういう学生を採りたいのか、どういう学生を育てたいのかということで、そのためにどういう入学試験をする必要があるのか。センター試験のような一律の試験じゃなくて、自分の大学は特にこういう能力を必要とする学生を採りたいというアドミッションポリシーをまず一つ明確にする。そして、採った後、その学生を四年間とか六年間の中でどんなふうに育てていくかというディプロマポリシー。それから、そのためにどんな教科を学生に必修科目として提示する必要があるのかというカリキュラムポリシー。この三つを明確にする大学。

 そして、これは、これから受験をする学生にとっても、あるいは世間から見ても、そこの大学のそこの学部におけるそういうアドミッションなりディプロマなりカリキュラムなりを明確にしていて、確かに、四年間とか六年間、その大学教育を受けることによって、その学生は間違いなくそういう能力がつく、養成されて、逆に言えば、養成されなかったら卒業させるのも厳しくする、出口も厳しくする。一定の目安があるわけですから、その目安をクリアした学生が卒業するということで、世間から見ると、そこの大学のそこの学部生はそういう能力が身についたと。これを社会に対して明確にするような大学教育に変えていく必要があるというふうに思います。

 そういう大学に対しては、財政的なインセンティブ等を提供しながら、大学側がそういうことにシフトしていけるような、そういうフォローアップを文部科学省としてもぜひしていきたいと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 国公立、今は独法になっていますけれども、そういった元公立系の大学は運営費交付金を国が支給していますし、私立の場合は私学助成金を出しているんだと思うんです。必ず私立学校の場合は、建学の精神をいいように使いますから、学校運営については余り口を出さないでくれというのが建学の精神。いいように使うときもあれば、逆に言えば、ちょっとそれを盾にとるのはどうかなと。

 なおかつ、そこに税金を入れるわけですから、結局、もう少し、国の大きな指針の中に、方針の中に私立の大学もやはり入ってもらわなければならないだろうという考え方ができるんだと思うんです。私学助成金を一切もらわないということであれば、自由、好きにやってもらうというのは、一つありかもしれません。

 これは、アメリカでもう既にやっていることが幾つかあるんですけれども、大学の教授、これも大学の中で決めるんじゃなくて、国が一つの基準を示して、あなたは教授としてふさわしいですよと言って初めて、試験でやるのか、面接でやるのかは、ちょっと私も精査していないんですけれども、そういったものも、きちっとレベルを上げる意味では、位置づけを明確にしてあげる。

 私は、昨年の科学技術・イノベーションの特別委員会で質問させてもらったんですけれども、学位のあり方について質問させてもらいました。そのときに、いろいろな大学でドクターの称号、学位を出すんですけれども、文科省は、緩やかな方針というのは出していますけれども、これとこれとこれをクリアして、なおかつプラスアルファは大学で考えてくれというやり方はしていないんですね。

 例えば、論文を三本以上、そのうちの一本は英文で論文を出さないと学位を上げる資格には該当していませんよ、なおかつ、日本の学会なら学会で論文を二本出してくれ、トータル三本以上出して、なおかつ学業が優秀な者に学位を与えてくれというのだったら、それもありだと思うんですけれども。そうしたらば、まあ私も、一年前の答弁だったので記憶から飛んじゃっているんですけれども、何かよくわからない答弁だったなと思うんです。

 これは、どこの国でも学位のあり方についてはいろいろ研究はしているみたいですが、明確なその方針が出ていない、試行錯誤している状況。ですから、大学を改革するのと一緒に、学位のあり方だとかマスターだとかドクターも含めて、その辺もやはりきちっとやってもらわないと、本当の大学改革にならないんじゃないかと思います。これは一つアメリカでやっているやり方で、これが日本にすぐ合うか合わないかなんですが。

 特に理工系の大学については、やはり、教育大学としての位置づけと、研究大学としての位置づけです。研究大学としての位置づけは、外部資金をどんどん入れて、七割以上の外部資金を調達できるような大学は研究大学の位置づけにして、なおかつ国が科研費をもっと多く出す。

 何を申し上げたいかといったときに、大学の先生の中でも、三十年間教科書が変わらずに、ずうっとそれを使っている先生もいらっしゃるわけです。それでも先生です。でも、時代がどんどん変わっているのにもかかわらず、三十年前御自分が書かれた教科書になる本を使って授業をやっているというのは、ちょっと時代が違っちゃっているんじゃないかなということです。

 それと同じように、やはり、どこを基準にして予算を割いて、そういった研究大学に集中的に予算を投下していくかというのをやらないと、今みたいに、ある独法の大学なんですけれども、年間の科研費が八十万しかないというわけです。個人の教授の先生がですよ。それは、八十万で何を研究すればいいんだと。逆に言えば、教授の数が多過ぎちゃっているからそのぐらいしか渡らないのかもしれませんし、ある方は、すごい金額の科研費をいただく先生もいらっしゃるんだと思うんです。

 そこのところを、やはり大学も選択と集中をしていって、今大臣が三つのポリシーを述べられたような形を早く出して、それに向けた予算の配分をしていかなければ、一番最初に、そもそも大学というのは何ですかという問いかけになるんだと私は思いますので、御所見を伺いたいと思います。

下村国務大臣 世間一般的に、大学の教授というのは非常に立派な見識を持っている人がいるという前提があるんですが、確かに、その研究分野においてはそうなわけですけれども、しかし、実際は、例えば大学は、教授会は重要事項を審議することができるという今までの定義で、あらゆることが教授会の審議にかけられて、そして、そこで認められなかったら大学改革はできないという部分が、結果的には時代の変化に対応できていない大学状況があります。

 いまだにかなり多くの大学は、五十五歳、五十歳、教授は給料が全部同じ。努力している教授も、何十年も同じようなテキストを使っている教授も、全部給料が同じ。平等ということかもしれませんが、しかし、それは、能力のある、活力のある教授の意欲をそぐことによって、結果的に、大学の研究機関としての役割や教育機関としての役割が社会の時代の中で対応できない。そういうようになっている部分があります。

 そもそも、教育基本法第七条においても、「大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与する」というふうにうたわれているわけであります。

 このような高度人材の育成と新たな知の創出を担う大学は、社会の発展の原動力となるべき存在であります。とりわけ、社会経済の高度化、複雑化やグローバル化が進む今日、大学には、さまざまな分野で活躍することができる高度人材の育成や、ますます多様化する国民の学習ニーズへの対応、また、学術研究の深化とイノベーションの創出、そして、教育研究機能を生かした地域社会の発展への貢献が求められると思います。

 そのためには、各大学が、それぞれの教育機関の特色や強みを生かして、社会の要請や期待に主体的に応えていくことが必要であります。

 このために、国立大学については、平成二十五年に策定した国立大学改革プラン、これに基づいて、各大学の強み、特色、社会的役割を生かした、機能強化を推進する大学を重点的に支援するということにいたしました。

 また、私立大学についても、私学助成等を通じて、教育の質的転換、地域発展、産業界・他大学等との連携、グローバル化といった改革に、全学的、組織的に取り組む大学を重点的に支援するということにしております。

 文科省として、我が国の大学が社会や地域から期待される役割を果たし、世界的にも評価されるものとなるよう、今後とも大学改革の推進に全力で取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、これからの改革の推移を見守りながら、大学があるべき姿に戻っていくように期待をしていきたいと思っております。

 それで、最初に話を戻しちゃうんですけれども、なぜ教育を施すのかというところに戻っていくわけです。

 日本は、儒教の伝統を引き継いで、教育熱心であるとされてきました。その中で、教育の目的を、生活全般において社会の道徳規範を身につけることを重視することから、社会秩序の維持もその一つとして認識されていることが多いと言われています。

 振り返ってみて、戦後、私は戦後の動乱期の経験はありませんけれども、外圧や内政の影響で経済が立ち行かなくなると、バブルがはじけたり、リーマン・ショックだとか、いろいろ経済が立ち行かなくなってくると、価値観を変えなければならないというふうに誰もが口をそろえて言って、それから、教育に問題があるというのが、バブルがはじけてからゆとり教育というのはスタートしているんだったと思います。そこでまた方向を変えたんですけれども、社会が混乱していながら、新しい制度をつくれば問題が解決してきたというふうに錯覚して、今日まで教育行政をしてしまったんじゃないかというふうに思っています。

 本来、日本人は正直で勤勉で真面目、私はそれだけでいいのではないかというふうに考えております。ただ、今は多様な価値観があるから、それを認めるということが本当に公教育の中で必要なのかというのは、問いかけなければならないと思うんですね。個人個人の価値観は多様化していてもいいけれども、公教育としての教育をやるということに関して多様性をどこまで認めるかというのは、議論をしなければならない時代に私は入ってきていると思います。

 ただ、日本人の特質性として寛容性を持ち合わせている民族ですから、でも心棒だけは変えない、それをやはりきちっとどの時代になっても、経済が疲弊しようが発展しようが、でも日本人の心意気ないし心棒だけは変えない教育をどうお考えになるか、大臣にお聞かせいただければと思います。

下村国務大臣 鈴木委員の言われる心棒というのは、これは教育基本法における教育の目標だというふうに思います。

 教育の目標において、知徳体の調和がとれ、生涯にわたって自己実現を目指す自立した個人、公共の精神をたっとび、国家社会の形成に主体的に参加する国民、我が国の伝統と文化を基盤として国際社会に生きる日本人、これは教育基本法の中の教育目標に掲げていますが、これは、いつの時代においても教育の柱というべき重要なものであって、これをしっかりと押さえながら教育を進めていくことが必要だと思います。

鈴木(義)委員 もう時間が来ているんですけれども、最後に一言だけ。

 教育が格差を生んでいるという考え方があるんですけれども、大臣の御所見を伺って終わりにしたいと思います。

福井委員長 では大臣、手短によろしくお願いします。

下村国務大臣 教育が格差というよりは、格差社会がそのまま、教育が施されないことによって連鎖しているという部分がありますので、教育によって格差を生まないような支援をぜひやっていきたいと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

福井委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 神奈川県川崎市で痛ましい事件が起きました。中学校一年生の少年が、容疑者である十八歳の少年にカッターナイフで刺殺されるという事件です。中学校一年生の死を悼んで、今でも現場に花束をささげる人たちが後を絶ちません。

 上村遼太さんに心より哀悼の意を表します。そして、御遺族に謹んでお悔やみを申し上げます。

 文部科学省が行った児童生徒の安全に関する緊急確認調査について、その結果について伺います。そして、安全確認はいつまで行うのか、今後の対応についてあわせて伺います。

小松政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、お尋ねの緊急確認調査でございますけれども、第一に、生命身体に被害を生じるおそれがある児童生徒を学校側が把握するということが大事であるということから、二月二十七日に緊急に調査を開始したものでございまして、生命や身体に被害を生じるおそれがある児童生徒について合計四百人という数字が確認された旨を、三月十三日に公表したところでございます。

 一つだけ補足をさせていただきますと、この類型が、授業日で七日間以上連続して連絡がとれないということからそのおそれがあると見込まれる者が二百三十二人、それから、それ以外に、学校外の集団とのかかわりの中でおそれがあると見込まれる者が百六十八人、こういう状況でございました。

 その結果を私どもとしては重く受けとめまして、まず、児童生徒一人一人の安全確保に万全を期する必要があるという考え方のもとに、一つは、児童生徒、お子さんへの直接の連絡など安全確保のためのきちんとした措置を講ずるということ、それから、臨時の学校警察連絡協議会を開催するなど関係機関との連携を図ること、こうしたことの内容を、通知で学校及び設置者に対応として求めたところでございます。

 さらに、この調査で被害のおそれがあるとされた児童生徒、つまり四百人ということになりますけれども、その安全が確保された場合は、学校が設置者にその都度報告するよう求めておりまして、四月十七日までに再集計をいたしたいと思っております。

 関係省庁と連携しつつ、丹羽副大臣を主査とするタスクフォースにおいて再発防止策の検討を現在行っているところでございますので、今後、その取りまとめも踏まえまして、全国の学校設置者においてしっかりとした対応がとられるよう要請してまいりたいと思っております。

畑野委員 四月十七日までに最終集計をするということですが、子供の命にかかわるものですので、ぜひとも急いで確認をするように求めます。

 今回の事件は、担任の教師が三十四回電話し、家庭訪問を五回行ったわけですが、連絡がとれたのは一回だったと報道されております。中学校一年生の少年がそろそろ行こうかなと登校意欲を示した四日後に事件が起きております。警察官も容疑者の家に駆けつけましたが、今回の事件を防ぐには至りませんでした。上村さんが顔にあざをつくり、殺されるかもしれないと友達に発したシグナルは大人たちに届かず、救うことができなかったという、本当に悔やまれる事件でした。

 川崎市の場合、現在、生命または身体に被害が生ずるおそれがあると見込まれる児童生徒は何人いるのでしょうか。

小松政府参考人 川崎市の公立学校に関する今回の調査結果でございますけれども、安全の確保がとれない児童生徒は合計十一人であったと聞いております。

 具体的には、中学校が十人、高等学校が一人。先ほど申し上げました、七日間以上連続して連絡がとれないということからおそれがあると見込まれる者が二人、それから、学校外の集団とのかかわりにおいておそれがあると見込まれる者が九人という結果と聞いております。

畑野委員 十一人もいるということでした。

 上村さんは、ことし一月から学校を長期欠席していました。

 それでは、川崎市における不登校の中学生は何人いるのでしょうか。

小松政府参考人 平成二十六年度の学校基本調査で平成二十五年度の状況がわかりますけれども、これによりますと、川崎市における中学生の不登校生徒数は、総計、国公私立を合わせてということでございますが、一千七十二人となっております。

畑野委員 一千七十二人というお答えでした。

 中学校の生徒数千人当たりの不登校の生徒数は全国平均二十六・九人と伺っておりますが、川崎市では三十六・五人と高いものになっているというふうに伺っております。

 下村文部科学大臣に伺います。

 今回のような事件を二度と繰り返さないために、学校、教育委員会、福祉関係機関などあらゆる機関が連携して、児童生徒の安全確保に努めるべきではないでしょうか。あわせて、同時に教員の加配を行って、不登校の生徒に寄り添った対策を行うべきだと思いますが、いかがですか。

下村国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、これは特別の事例ということでなく、どこでも誰でも起きる可能性がある。第二、第三のこのような事件、事故を起こさないためのしっかりとした体制を、この際徹底的にうみを出し切って、何が問題で、どう対処していったらいいのかということを、これは安倍総理からも指示があり、文部科学省だけでなく、他省庁にも働きかけて対応していきたいと思います。

 まず、不登校への対応に当たっては、その兆候をいち早く把握して迅速な対応をとること、それから、子供の悩みや不安を受けとめるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどによる教育相談体制の充実を図ること、そして、学校と家庭、地域社会の連携強化、及び、御指摘ありましたが、福祉部局それから警察などの関係機関との連携などが重要と考えられます。

 また、平成十三年の附属池田小学校事件を教訓に、大阪教育大学が主体となり、学校、家庭、地域、関係機関が一体となって子供の安全確保を目指すセーフティープロモーションスクールを認証する仕組みが始まっておりまして、これも大変先進的な取り組みであるというふうに評価をしております。

 これらのことを踏まえながら、今回のような出来事が二度と繰り返すことがないよう、丹羽副大臣を主査として、関係府省庁も参加する形でタスクフォースをつくりまして、新学期に向け、三月末までに再発防止策をまとめることとしております。

 川崎市に対しても強く検証委員会を要請しておりまして、当初は内部だけの検証委員会でしたが、これは、外部の方々を入れて川崎市としてもしっかりと対応をしてもらう必要があると思っておりまして、そういうフォローアップも含め、文科省としては、学校、教育委員会、それから福祉部局など、あらゆる関係機関が連携し、児童生徒の安全確保に取り組むように努めながら、教員の問題についても、その中で、どんな部署にどんな形で配置することが必要なのかということも含めて、あわせて検討してまいりたいと思います。

畑野委員 大臣からお答えがございましたけれども、その中で学校の教職員の充実というのも大事です。これはぜひ進めていただきたいと思います。

 同時に、家庭に接触できるという点でいうと、学校の担任などとともに、お話がありましたスクールソーシャルワーカーあるいは児童相談所などが挙げられます。学校や家庭だけで解決できない問題に対してスクールソーシャルワーカーがかかわっている。

 例えば神奈川県の伊勢原市では、二〇一三年度から、スクールソーシャルワーカーや民生委員、市教育委員会などで構成するチームが対応を協議いたしまして、スクールソーシャルワーカーが月二、三回のペースで生徒の自宅を訪問して生徒との信頼関係を深めている、チームで小中学生六人に対応して三十一回の家庭訪問を実施しているというふうに伺っております。

 事件のあった川崎市川崎区にはスクールソーシャルワーカーは何人配置されているでしょうか。

小松政府参考人 私どもで把握しております平成二十六年度のスクールソーシャルワーカーの配置計画では、全国で千百八十六人の配置となっておりますのですけれども、この中で見ますと、川崎市は七人という数字になっております。

畑野委員 七人といいますと、七つの区がありますから、川崎区では一人ということでよろしいですか。

小松政府参考人 そのとおりでございます。

畑野委員 一人のスクールソーシャルワーカーが、区内の小学校二十校、中学校十一校、公立高校一校の合わせて三十二校、約一万六千人を見なければならないという状況になっていると思います。

 下村文部科学大臣に伺いますが、緊急にスクールソーシャルワーカーを増員して不登校の生徒に当たるとともに、今お話しのあった安全確認ができていない児童生徒について、学校と地域の連携によって事に当たるべきではないかということと同時に、スクールソーシャルワーカーの計画的な増員を図るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 不登校対策を初めとした生徒指導上のさまざまな課題に対応するために、教育と福祉の両面において専門的な知識、技術を有するとともに、児童生徒を取り巻く環境に応じた支援を行うスクールソーシャルワーカーの役割は大変大きいというふうに認識しておりまして、一人親家庭の例えば困難な家庭における子供の状況把握など、そういう役割も期待されるところであると思います。

 そのため、平成二十七年度予算案におきましては、スクールソーシャルワーカーを約一・五倍の二千二百四十七人、拡充することといたしました。さらに、特に貧困対策が求められる地域においては、配置人数をふやす仕組みを新たに設け、これらに必要な所定の経費を計上したところでもございます。

 今後とも、多様な社会的な背景により課題を抱える児童生徒に対応していくためのスクールソーシャルワーカーのさらなる有効活用等、計画的に取り組んでまいりたいと思います。

畑野委員 ぜひ計画的に取り組んでいただきたいと思います。

 さて、今回の事件で被害者となった生徒がいた中学校の一年生の学級規模を教えてください。

小松政府参考人 お答えいたします。

 神奈川県によりますと、被害に遭われた生徒さんが在籍しておられた中学校の第一学年、五学級ございまして、いずれも学級規模は四十人であるということでございます。

畑野委員 この学校の中学校一年生は五学級で、それぞれが四十人学級に置かれていたということでございます。一人一人の子供に目が届く、きめ細やかに取り組める条件を今こそ整備すべきときだと思います。

 私、残念でならないのは、二〇一〇年八月に出された概算要求の改善計画がそのとおり実施されておりましたら、二〇一四年度に中学校一年生で三十五人学級になっていたということです。そうすればまた対応も変わっていたと思わざるを得ません。そういう意味では、立法府の責任も問われると思います。

 本委員会では、二〇一一年、全会一致で三十五人学級法案を通して、附則に、学級編制の標準を順次に改定する、そして、必要な財源に努めるという条文を書き込みました。ところが、小学校二年生は予算措置をされたものの、法律では小学校一年生のみ三十五人学級です。

 私はことしの二月二十三日に予算委員会で、「三十五人学級の推進を国として決断すべきとき」と安倍総理大臣に質問いたしまして、安倍総理からは、「全会一致ということの重さをかみしめながら、」「さらに三十五人学級の実現に向けて鋭意努力をしていきたい、」こう答弁をいただきました。今こそなすべきときではないでしょうか。

 下村文部科学大臣に伺いますが、三十五人学級を前に進めるために、この夏作成する二〇一六年度概算要求にきちんと要求すべきではないでしょうか。そうならなければ、ここにおられる委員の皆さんで、三十五人学級に向けた議員立法で臨むということも考えなくてはならなくなると思いますけれども、下村文部科学大臣、御決断をぜひしていただきたいと思います。

下村国務大臣 御指摘のように、きめ細やかで質の高い教育を行うためには、教員が子供への指導に一層専念できるよう、教職員指導体制の整備を図っていくことが重要であるというふうに我々も当然考えております。

 現在、小学校一年生については法律上、二年生については加配措置によって実現している三十五人以下学級については、よりきめ細やかな指導が可能となることから、学校現場などからも要望が多く、少人数学級の推進は望ましいというふうに我々も考えますが、厳しい財政状況のもとで、授業の質向上に向けた多様な取り組みや自治体の創意工夫を踏まえつつ、柔軟で効果的な定数改善を早急に進めていくことも必要であるというふうに考えております。

 文科省としては、引き続き、きめ細やかで質の高い指導体制の構築に向けたさまざまな方策について前向きに検討を進めてまいりたいと思います。

畑野委員 下村大臣から前向きに検討していきたいとお答えがありました。ぜひ概算要求で要求していただきたいということを重ねて申し上げておきます。

 次に、学校統廃合問題について質問をいたします。

 各地で学校統廃合が性急に進められ、多くの住民や保護者の方々から反対の声が上がっております。乱暴な形で学校統廃合が続けば、日本の教育そして地域は大変なことになると考えざるを得ません。

 今こそ政治が、無理な学校統廃合はだめですという明確なメッセージを出すべきときだと思います。

 ことし一月二十七日、文部科学事務次官通知「公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引の策定について」が出されました。同時に、一九五六年の通達「公立小・中学校の統合方策について」と一九五七年の「学校統合の手引」及び一九七三年の通達「公立小・中学校の統合について」が廃止されました。

 特に考えなくてはならないのは、七三年の通達のことです。一九五六年と一九五七年に出された通達と手引により無理な学校統廃合が広がり、社会問題になって、その是正のために一九七三年の通達が出されたという経過があるからです。この一九七三年の通達には、無理な学校統廃合を防ぐ重要な三つの教訓、原則が含まれております。

 第一に、「学校規模を重視する余り無理な学校統合を行い、地域住民等との間に紛争を生じたり、通学上著しい困難を招いたりすることは避けなければならない。」と、無理な学校統廃合禁止と住民合意を述べていることです。

 第二に、「小規模学校には教職員と児童・生徒との人間的ふれあいや個別指導の面で小規模学校としての教育上の利点も考えられるので、総合的に判断した場合、なお小規模学校として存置し充実するほうが好ましい場合もある」と、小規模校を頭ごなしに否定せず、充実する方が好ましい場合もあるという旨を明記していることです。

 第三に、「学校統合を計画する場合には、学校の持つ地域的意義等をも考えて、十分に地域住民の理解と協力を得て行うよう努めること。」と、学校の地域的意義を明らかにしております。

 これらをきちんと守れば無理な統合は防げると思います。

 そこで、今回、二〇一五年の通知というのは、この一九七三年通達の三つの原則を引き継いでいる、盛り込んでいるという確認をしたいと思いますが、いかがですか。

小松政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、今回、文部科学省において公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引を策定いたしましたその趣旨は、少子化のさらなる進展によりまして学校の小規模化等が進む中で、児童生徒が集団の中で切磋琢磨しながら学んだり社会性を高めたりするのが難しくなるといった、さまざまな課題の顕在化が懸念されているという状況から、学校設置者である各市町村の実情に応じて、活力ある学校づくりに向けた検討がなされるということが必要だということで、それを促していこうということにございます。

 この考え方からいたしまして、学校の地域コミュニティーの核としての役割を重視するという観点からは、一つは、学校統合によりまして魅力ある学校づくりを行って地域の活性化を図るという場合もありますでしょうけれども、地域の実情に応じては、小規模校のデメリットの克服を図りつつ学校を存続させる場合というのもあるであろう。

 こうした複数の選択肢があって、文部科学省としては、市町村のいずれの選択も尊重し、支援すべきものであると考えておりまして、また同時に、これらの検討の際には、保護者や地域住民との十分な合意形成を図ることが重要と考えております。

 このような意味におきまして、先般公表いたしました手引は、先ほど御指摘の昭和四十八年の通知の考え方も引き継いだ上で、学校統合の適否の検討に当たり、保護者や地域住民の方々との合意形成を図る上での留意点や、学校統合を行う場合には、その魅力ある学校づくりの工夫、あるいは、小規模校の存続を図る場合の活性化策、それから、通学時間の設定に関する基本的な留意点や、通学距離が長くなる場合に生じる課題の解消策といったようなことについて、きめ細かく盛り込んだところでございます。

 文部科学省といたしましては、各市町村において少子化に伴う学校の小規模化という課題に向き合っていただいて、地域コミュニティーの核となる魅力ある学校づくりをそれぞれの市町村で主体的に御検討いただきたいというふうに考えているところでございます。

畑野委員 今のお話で、一九七三年の通達の教訓、原則は引き継がれているということを確認いたします。

 今回の手引には、保護者や地域住民との共通理解を得ながらとか、行政が一方的に進める性格のものではなくて、保護者の声を重視しつつ、地域住民の十分な理解と協力を得るなど、丁寧な議論を行う必要があると書かれております。ところが実際は、今までの、言われた教訓や原則が守られないケースが後を絶ちません。

 山梨県のある町の学校統合の例を紹介したいと思います。話を伺って驚いたのは、住民の意見を聞くことなく統合計画をつくっていることです。

 今から八年前の二〇〇七年に、町が学校統合のための適正配置審議会を発足させ翌二〇〇八年に、小学校を九つから二つに、中学校を五つから一つにするという答申を発表したことです。ところが、この作成に当たって住民への何ら意見聴取も行われない。答申が出た後も、長い間住民はその存在すら知らされない。

 この答申を受けた町教育委員会は、翌二〇〇九年に統合計画の前期分をつくりますが、このときも住民からの意見聴取はありませんでした。そして、その年の二月に、前期の統合対象の四つの小学校、二つの中学校のうち、たった一つの小学校の保護者だけ説明をして、三月に前期統合計画を最終決定してしまいました。地域や関係する保護者に説明が行われたのは、全部決まった後だということです。

 二〇一三年に全ての小中学校にかかわる後期統合計画が決定されましたが、これも事前には意見を聞くということはしておりません。その内容は、決定された後の四月に初めて住民、保護者に伝えられ、皆さん本当にびっくりして怒ったわけです。町教育委員会は二十二回の説明を開きましたが、ほとんどが紛糾して、保護者会は、不同意が七校、同意が四校です。二〇一四年の十一月には、一万三千人の町で住民四百二十人が反対の集会を開きました。

 下村文部科学大臣に伺います。

 国の新しい手引には先ほどのような原則が書かれております。しかし、今お示しした町では、全く反対に、検討前や検討の途中で保護者や住民には知らせない、意見を聞かない、決定した後で保護者や住民に説明をするだけだったんです。こういうやり方は文部科学省の通知に照らしておかしいと思われませんか。検討前や検討途中で住民、保護者の皆さんに具体的なプランを示して意見を聞くという、そして、保護者の多くが反対ならば、あるいは住民の多くが反対ならば、統合計画は再検討するのが当たり前だと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 今般策定した学校規模適正化・適正配置等に関する手引におきまして、学校が地域コミュニティーの核として大きな役割を果たしていることに鑑み、学校規模の適正化等の具体的な検討に当たり、保護者や地域住民の十分な理解と協力を得ることなど、地域とともにある学校づくりの視点を踏まえた丁寧な議論を行うことが重要である旨、明示しているところであります。

 仮に、市町村が学校規模適正化等に関する検討の際に、地域の声を聞かず、一方的に学校統合を決定するということであれば、これは丁寧さに欠けるとも考えられますが、いずれにしても、どのようなプロセスで住民の理解や協力を得て少子化に対応した活力ある学校づくりを進めるかどうかは、基本的には、設置者である市町村が主体的に判断すべき事柄であります。

 文科省としては、地域コミュニティーの核となる魅力的な学校づくりが行われるよう、今後、手引の内容それからその趣旨、これについてもっと積極的に周知してまいりたいと思います。

畑野委員 二つまとめて伺います。

 一つは、バスなどの通学時間をおおむね一時間以内としているんですけれども、実際は、妹の中学生が今六時に起きているんだけれども、五時に起きなくちゃいけない、本当に体が心配だというお姉さんの心配、あるいは、三十分もバスに乗ったら車酔いしてしまう、親御さんが毎日薬を飲ませなくちゃいけないんですかという心配がございます。

 私は、おおむね一時間以内などと手引に書くということ自体はやめるべきで、実情を調べて再検討を求めたいと思うのが一点です。

 もう一つは、無理な統合には一つの共通項がありまして、学校の適正規模を振りかざして、それ以下の学校を根こそぎなくそうという立場があるということです。

 国は小中学校とも十二学級以上十八学級以下を適正規模としておりますが、これが多くの自治体には、十二学級以下は適正でない、だからなくさなければならないと言わんばかりのものとして受けとめられております。

 この際、十二学級以下の規模の学校はあたかも子供のためになくさなければならないかのような見地に立つものではないということを、文部科学省が、大臣が全ての自治体に正しく伝える必要があると思いますので、その点、いかがでしょうか。

 私は、資料をかざしたいのは、これは山梨県の早川町、「日本一人口が少ない町の素敵な学びができる学校」「小さいけれど、笑顔はでっかい!」ということで、本当にこの小さな学校のよさをアピールして新聞広告に出されておる。こういう学校を手厚く支援するべきではないかと思いますが、いかがですか。

小松政府参考人 失礼いたします。二点お尋ねがございました。

 一つはバス等の関係でございます。

 今回の手引におきましては、近年、スクールバスや公共交通機関が通学手段として活用されているという状況がございますので、これを踏まえまして、従来の通学距離の基準に加えて、各市町村が公立小中学校の児童生徒の通学時間の基準を導入する場合には、おおむね一時間以内を一応の目安として、各設置者において判断することが適当としております。

 実際にどのような基準が使われているかというようなことを伺ってみますと、まあ一時間ぐらいというところが多いことも事実でございますが、今申し上げましたように、一時間以内を一応の目安として、各設置者において判断することが適当としております。それぞれの状況というものはあろうということは考えております。

 その際、手引では、通学時間の基準を導入する場合においても、その前提として、遠距離通学や長時間通学によるデメリットを一定程度解消できる見通しが立つことを求めておりますほか、通学が児童生徒に過度な負担となったり、大きな課題が生じたりしないようにするためのさまざまな工夫例も盛り込んでいるところでございます。さまざまな工夫が行われております。

 それで、文部科学省としては、今後とも通学が児童生徒に過度な負担となることのないように、この手引の趣旨や内容を踏まえて市町村において適切な検討がなされるように促してまいりたいと思っております。

 あわせまして、ただいま適正規模の学級のお話がございました。

 集団の中で切磋琢磨しながら学習したり社会性を高めるという学校の特質に照らしますと、学校は本来一定の規模を確保することが望ましいことから、学校教育法施行規則によりまして十二から十八学級を学級規模の標準としておりますが、一方、この規定そのものにおきまして、特別な事情のあるときはこの限りでないという弾力的なものとなっておりまして、これを下回ったからという理由で機械的に学校統合を行うべきという趣旨ではないということも定めているところでございます。

 手引におきましても、こうした標準の趣旨について丁寧に記述するとともに、少子化に対応した活力ある学校づくりに向けた市町村のさまざまな選択を尊重する観点から、学校統合を行う場合の魅力ある学校づくりの工夫だけでなく、小規模校存続を図る場合の教育活動の活性化策などについても、きめ細かく盛り込んだところでございます。

 文部科学省としては、今後とも、学校規模の標準の趣旨や手引などについて、さまざまな機会を捉えて積極的に周知していきたいと思っております。

畑野委員 時間が来ました。大臣、そういうことでしっかり周知していただきたいと思いますが、一言だけお答えください。

 終わります。

福井委員長 では、手短に大臣。

下村国務大臣 地域事情に応じた対応をするように周知いたします。

畑野委員 終わります。ありがとうございました。

福井委員長 次に、大平喜信君。

大平委員 日本共産党の大平喜信です。

 今年度から始まった奨学給付金制度についてお聞きをいたします。

 今年度の入学生から、公立高校授業料の無償化、そして私立高校への授業料補助の就学支援金制度が見直され、所得制限の導入と私立高校での低所得者層への加算、そして奨学給付金制度が導入をされました。

 その結果、新制度が適用される新入生と旧制度が適用される二、三年生と、二つの制度が併存することになり、特に私学では、全ての申請者を年収によって五段階に分けなければならず、大変複雑で膨大な作業の中で、現場はこれまでになかったさまざまな苦労や混乱が生じています。

 新年度を目前にし、新入生を持つ保護者への申請の説明会や手続も現在進行形で順次行われていると思いますが、現場から寄せられている状況も御紹介しながら、特に、奨学給付金の申請と手続にかかわって、改善が必要だと思われる幾つかの点についてお聞きいたします。

 今年度入学した新入生とその保護者の皆さんは、この新制度のもとで、一年間に三度の申請手続を行わなければなりませんでした。まず就学支援金の申請手続で四月に一回目、六、七月に二回目の作業が求められ、さらに九月ごろに、今度は奨学給付金の申請手続を、つまり三回目の手続をしなければなりませんでした。

 保護者にとっては、制度の複雑さにより、まず理解するのが大変であることに加えて、特に、パートなどをかけ持ちし、夜遅くまで働いている世帯の保護者にとっては、書類を熟読して申請書を記入することや、平日の昼間に何度も所得証明書をとりに行くなど、必要書類を準備するのがかなり大変です。

 その結果、特に三度目の手続となる奨学給付金について、その手続の煩雑さから申請を辞退するケースが生まれたという報告も、各都道府県の担当者の皆さんから寄せられています。

 まず、下村大臣にお聞きをいたします。

 今年度新たに創設された奨学給付金制度が現場でどのように受けとめられ、活用されたのか、その成果と、また課題についてどのように感じておられるか、お聞かせください。

    〔委員長退席、義家委員長代理着席〕

下村国務大臣 家庭の経済状況にかかわらず、学ぶ意欲と能力ある全ての子供が質の高い教育を受け、一人一人の能力、可能性を最大限伸ばし、それぞれの夢にチャレンジできる社会を実現することが重要であると考えます。

 高等学校段階においては、御指摘のように、平成二十六年四月より、高校無償化制度の見直しによりまして、低所得世帯を対象とした返済不要の高校生等奨学給付金、給付型の奨学金制度、これを創設いたしました。

 この給付金の創設によりまして、就学支援金による授業料の支援に加え、教科書や教材、学用品、通学用品に要する費用など授業料以外の教育費にも支給対象としたところでありまして、また、多子世帯においては、重い教育費負担を軽減するため、給付額をさらに手厚くするというふうにしたところでございます。これにより、低所得世帯の経済的負担は一層軽減されているというふうに認識しております。

 一方、御指摘がありましたように、今年度から創設された事業であるということで、事務手続については、都道府県、学校へのヒアリング、関係団体と意見交換などにより多方面からの御意見をいただき、実態や課題の把握に努めてまいりましたが、その中で、所得を確認すべき保護者を特定する際の手続について、プライバシー等への配慮、それから学校現場の事務の簡素化、これらについては多くの御要望をいただいたところでありますので、今後、改善に努めてまいりたいと思います。

大平委員 給付制の奨学金制度は私たちも一貫して求めてきましたので、本当にこの制度が、受けられるべき人全員にきちんと行き渡るように、手続の煩雑さを理由に辞退する人が生まれないように、できるだけ申請の簡素化をすることが求められていると思います。

 一つずつ確認をしていきますが、今年度の就学支援金と奨学給付金の申請用紙を見ましたが、ほとんど同じ様式でした。先ほども御紹介したように、一年で三回も同じような手続をしなければならなかったわけですから、手続の回数を減らしてほしいというのは現場の切実な願いなわけです。この制度の保護者への案内や申請用紙を一枚にして、提出すべき必要書類も一本化できれば、随分と手続が簡素化されると思います。

 そこでお尋ねしますが、来年度の奨学給付金の申請手続は、いつごろ行う予定なのか決まっているのでしょうか。私は、就学支援金の六、七月に行う二回目の届け出のときにあわせて奨学給付金の申請もできれば簡素化されると思いますが、いかがでしょうか。

小松政府参考人 高校生等奨学給付金事業につきましては、この申請時期につきましては、都道府県事業であることから、各都道府県において定めているという仕組みでございます。

 文部科学省といたしましては、でき得る限り早期の給付が望ましいと考えておりますので、その観点から、来年度、この四月から始まる分ですけれども、につきましての申請時期につきましては、でき得る限り早期にということをお願いすることにしておりますが、現状から見ますと、大体七月から十月ごろで募集を行うことをお願いするということになるかと思います。

 なお、こういった中で、都道府県の御判断によりまして、就学支援金の二回目の手続とあわせて募集を行うことは可能でございます。各都道府県において、それと事務負担等を考慮しながら、適正に実施されるということになっていくかと考えます。

大平委員 都道府県の担当者の方からは、悲鳴のような訴えが今年度たくさん寄せられています。新潟の担当者からは、煩雑な業務と人手不足とで心身ともに疲労が重なり大変である、過労死するかもしれない、こんな訴えも寄せられました。学校現場にとって、そして保護者にとってどうすることが本当にふさわしいのかということを基準に、知恵も出し合っていかなければならないというふうに思っています。

 さらに、申請簡素化の問題にかかわって、手続のたびに提出が求められる課税証明書についてなんですが、今年度、これは原本でなければならないという自治体が少なくなかったわけです。そうなると、その都度平日の昼間に役所にとりに行かなければならず、この点でも保護者からの苦情が寄せられています。

 コピーではいけないのかなどの声が寄せられていますが、これはどのようにお考えでしょうか。

小松政府参考人 都道府県の中には、独自に実施する授業料減免事業等があって、課税証明書を原本で提出するというような仕組みにしているところもあるということは確かに伺っております。

 就学支援金と奨学給付金の申請に当たっての必要となる課税証明書の調製でございますけれども、生徒、保護者の負担を軽減する観点から、文部科学省としては、都道府県の判断によりまして、コピーを提出することとしても差し支えないと考えておりまして、その旨周知しております。

 この就学支援金の事務処理要領に、「複写としても差し支えない。」ということで明記をするところでございます。

 それから、平成二十六年度の就学支援金の手続を見ますと、公立高校で三十七県、私立高校で三十四県が課税証明書はコピーでも可というふうにいたしておりますので、文部科学省としては、こうした都道府県の事例を紹介しながら、生徒、保護者の手続に係る負担が軽減されますように、引き続き、この手続の関係を周知してまいりたいというふうに思います。

大平委員 コピーでいいとの答弁でした。

 これは、細かいようなんですけれども非常に大事な問題で、本当に仕事や家事、育児に忙しくしている保護者の皆さんにとっては、二度も三度も平日の昼間に仕事を休んで役所に書類をとりに行かないといけないわけですから、これはぜひ周知徹底をしていただきたいというふうに思います。

 一部の県では、今年度の事例で、昨年の四月に入学した新入生が、三度の申請手続を行った上で就学支援金の支給は十一月に、奨学給付金の支給についてはつい一カ月前のことし二月に行われるなど、申請であれだけ大変な思いをしたのに支給はずっと後、忘れたころに突然行われるというそんな状況だったわけです。教育費の負担を軽減するという趣旨が忘れ去られるような、今年度のような状況ではまずいわけです。

 それも申請手続の煩雑さによって事務作業が膨大になっていることが最大の理由だと思いますので、この支給時期を早めていくためにも、申請手続の簡素化は、引き続き、知恵も出し合いながら進めていかなければならないと思います。

 次に、申請用紙の内容についてお伺いいたします。

 今年度の就学支援金と奨学給付金の申請用紙を見ましたら、高校生たち、そして保護者の皆さんのプライバシーに踏み込む設問があるのが私は大変気になっています。

 就学支援金の用紙はもう配られていると思いますので奨学給付金についてお尋ねをするんですが、一つは、児童相談所や児童福祉施設に入所している高校生がその旨をチェックするようになっている点です。

 この項目は私は不必要だと思いますが、来年度に向けて文科省はどのようにされようとしているのでしょうか。

小松政府参考人 お答えいたします。

 高校生等奨学給付金事業につきましては、都道府県事業でございまして、申請用紙については各都道府県において定めるという前提はございますが、文部科学省としては、都道府県の参考となるようにひな形を示しているところでございます。

 それで、これは今年度創設された事業でございますことから、事務手続について、先ほど大臣からも御説明がございましたように、都道府県、学校へのヒアリング、関係団体との意見交換など、さまざま各方面から御意見をいただいて実態や課題の把握に努めております中で、所得を確認すべき保護者を特定する際の手続について、プライバシー等への配慮、学校現場の事務簡素化についてさまざまな御要望をいただいたところでございます。

 現在、来年度の予算ということでございますのでまだ配られておりませんけれども、こうした状況を踏まえまして、来年度につきましては、就学支援金の申請書でもそのようにさせていただきましたが、児童相談所に入所する生徒さんに入所している状況を書かせる欄は削除したものをひな形といたしまして、今後都道府県に対して周知をする、こういうことを考えて予定いたしております。

大平委員 「扶養親族等の状況について」の欄で、世帯員の続柄、氏名から職業まで書かせることになっている。この件についてはどのような見解でしょうか。

小松政府参考人 お尋ねの点でございますが、今予定しておりますものでは、来年度は、先ほどお話しいたしましたひな形の、私どもからの参考の扶養親族の欄につきましては、まず、祖父母の記入、これを不要とするようにいたしまして簡素化を図るというふうに考えておりますが、一方、家族構成につきましては、高校生等に十五歳以上二十三歳未満の扶養されている御兄弟、姉妹の方がいらっしゃる場合には、この当該世帯への高校生等奨学給付金の納付額が増額されるという仕組みがございますので、この点につきましては、御兄弟あるいは姉妹の方々につきましては、最低限、続柄、それから氏名、生年月日などを確認する必要があると思います。充実のためということでございます。

大平委員 祖父母は書かなくていい、きょうだいがいるかどうかの確認のために必要だということでしたので。最低限ということもありましたが、今年度の用紙では、誤解される方も含めて少なくない方が、同居家族全員を書かなければならないのかとか、それに抵抗があって申請をしないという方もいたわけです。きょうだいがいるかどうかの確認だけなら、こんな様式はやめて、もっと簡素化するように求めたいと思います。

 さらにお聞きしたいのは、一人親世帯の個人情報にかかわる記述についてです。

 申請用紙の「保護者等の収入の状況について」という項目の中で、保護者が一人の場合は、その理由を詳しく書かせるようになっています。

 この点について、ほとんどの保護者が無記入で提出、学校で生徒に聞いたり保護者に電話したりするのもためらわれるので削除してほしい、あるいは、プライバシーに触れることを聞くことについて、調査に協力しないのならお金は出しませんよということになるわけで、これはいかがなものだろうかなど、現場からたくさんの苦情の声が寄せられています。

 私自身も、まさに、私が高校二年生のときにわけあって両親が離婚をしました。これから自分の人生はどうなっていくのだろうかと本当に動揺をし、大変なショックを受けたことを今でも覚えています。そんなときに学校から、あなたの家庭は何で一人親なんですか、いつ離婚したのですかと聞かれるわけですから、本当に、心に受けた傷に塩をすり込むようなひどい仕打ちだと私は思います。そして、こういう家庭こそ、こうした就学支援金、もちろん奨学給付金の申請をされるわけです。

 これはぜひ大臣にお聞きしますが、これは絶対にやめてほしい、削除してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

下村国務大臣 今年度から実施している新制度の手続事務については、都道府県、学校へのヒアリング、関係団体と意見交換などにおきまして、各方面から、所得を確認すべき保護者を特定する際の手続についてプライバシーに配慮するよう、御意見をいただきました。

 これを踏まえ、文科省としては、平成二十七年度の就学支援金の手続から、従来は、保護者の所得を確認する際に、一人親世帯である場合などの家庭の状況についても記述式で詳細に申告を求めていたものを、プライバシーに配慮した簡便なチェックボックス式に改めることといたします。

 高校生等奨学給付金の申請用紙は各都道府県で定めているところでありますが、就学支援金の手続と同様に、プライバシーに配慮した簡便なチェックボックス式に改めるよう、都道府県に周知いたします。

大平委員 言うまでもありませんが、申請用紙の文科省のひな形というのは、一度都道府県におろしてしまえば、それで全国の大半の高校がそれに縛られてしまうわけです。ですから、今年度の反省もしっかり踏まえて、慎重に、念入りに作成するよう重ねて求めておきたいというふうに思います。

 私は、こうした現場で生まれている保護者の混乱と学校窓口の煩雑さの最大の要因は、授業料無償化に所得制限を導入したことだと考えています。

 そもそも、二〇一〇年度に導入された公立高校授業料無償化、それに伴う私立高校生への授業料補助の就学支援金制度は、格差と貧困対策だけではなくて、学びを社会全体で支えるという理念に基づくもので、日本国憲法第二十六条が定める、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」このことの実現でした。

 所得制限の導入は、これらの理念からの重大な後退にほかなりません。就学支援金の加算にせよ、奨学給付金の創設にせよ、本来は、教育予算を増額することで対応すべきものだと考えます。

 所得制限の導入を中止し、高校無償化を復活させるべきだと考えますが、下村大臣、いかがでしょうか。

義家委員長代理 質疑時間が過ぎておりますので、大臣、簡潔にお願いいたします。

下村国務大臣 見直し前の制度では、依然として、授業料以外の教育費負担は大きく、公私間の授業料負担の格差も大きいことから、低所得者層、そして私立学校の生徒への一層の支援が必要であるということから、文科省として、財源に限りがないのであればこれは所得制限を設ける必要はもちろんないわけでありますが、現在の厳しい財政状況のもとで、その限られた財源を有効に活用する観点から、新しい高等学校等就学支援金制度においては、所得制限を設けて、その捻出した財源を低所得者層支援や公私間格差の是正に充てることとしたものであります。

 今後、教育における財源確保、教育投資については、教育再生実行会議等でぜひ取りまとめて、国民的な議論に資するように進めていきたいと思います。

大平委員 社会全体で青年の学び、成長を保障するため、高校無償化を復活することを重ねて求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

義家委員長代理 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 本日は政策のことを中心にお聞きしようと思ったんですが、午前中、博友会の問題で大臣が答弁されておりまして、聞いていてちょっと疑問に感じた点が何点かありましたので、その点についてまず最初に大臣の方に尋ねたいというふうに思います。大臣も、日ごろ、予算委員会等々でも一つ一つ疑問については丁寧に答弁していくということでございますので、通告しておりませんので、わかる範囲で答弁していただければというふうに思います。

 午前中聞いておりまして、いわゆる博友会の任意団体の方ですね、の名簿の管理を大臣のところでやられているのではないかという質問に対して、いや、そんなことはない、各任意団体の博友会の方から、この方については寄附のお願いをしてもいいですよというふうに言われた方について、当然、そのレベルで名簿を持っているという答弁がございました。

 見ておりますと、非常に不思議に感じるのが、三月十二日の衆議院の予算委員会、それから翌日の十三日の予算委員会なんですけれども、まず近畿博友会に関して言いますと、会員は二十六人というふうに答えられております。一方、寄附のお願いをしているのも二十六人。これ以外にも、例えば群馬博友会は、三百九十四人の方にお願いをして三百九十四人の方が会員である。見てみますと、全部言いませんけれども、寄附のお願いをしている方と会員の数が全部ぴったりと一致をしているわけです。

 これは人の数ですから、もしかしたら名前が違うかもわかりませんけれども、まあ、名前が違うということはないですね、博友会の会員の方でお願いしているということですから、ここまでぴったり一致するというのは、ちょっと私自身は腑に落ちないといいますか、事実上、名簿の管理をされているということになるのではないかと思いますけれども、その点どうですか。

    〔義家委員長代理退席、委員長着席〕

下村国務大臣 これは一致しているのは当然でありまして、任意の博友会から、この方にその選挙区支部から寄附のお願いを出していいですよという中に、今、例えば近畿博友会は二十六人、これは申込書を書いた方ということの数だというふうに思います。

 それから、群馬博友会のお話がありましたが、それは、年に一度、私が行ったときに講演会を開いていただいている。その案内を出す方々ということで、ここは正式には会員とかいう位置づけではなくて、いつも案内を出す方々に対して選挙区支部からも寄附のお願いをしてもいいということでの名簿ということでございます。

吉川(元)委員 やはり、人数が多少違っている、例えば寄附のお願いをしてもよろしいですかという方は、当然、会員全員がオーケーですというのであれば、ほとんどもうこれはイコールのものでありまして、また、やはりプライバシーの問題だとかもあるから、自分は会員にはなるけれども寄附はできないという方も、これは事実、やはり普通いらっしゃると思うんですけれども、見ると全部同じというのは、やはり私は腑に落ちないというふうに感じております。

 この件については、また後日、もし機会があれば質問させていただきたいと思います。

 それからもう一件。

 きょう、郡委員から資料が出されまして、これを見て私も愕然といたしました。大臣自身は初めて見るものだということでありますけれども、大臣の顔写真が大きく載って、なおかつ大臣の言葉もここに載っております。大臣が今回の所信表明の際の結びの一番最初に、「意志あるところ必ず道あり。」これは恐らく大臣の座右の銘だと思うんですけれども、それを丁寧に英語で書いてある。ですから、もし仮に知らないのであれば、勝手に使われたわけですから、抗議して、やめてくれというふうに言うべきだろうと思います。

 それはどちらでもいいんですが、ただ、驚いたのは、ここの第四条のところに、先ほど午前中にお話がありましたけれども、「本会は、第二条の目的に賛同し、入会申込書を提出した者をもって会員とする。」これは普通よくあるところですけれども、その後ろに、「なお、会費は年払いとし、「自由民主党東京都第十一選挙区支部 下村博文」宛てに振り込むものとする。」という文言が入っています。

 見たこともないし、これは本物なのかどうなのかというのは私自身も知る由はありませんけれども、もし仮にこれが本物であるとすると、これはこの間の大臣の答弁と大きく食い違ってくるんじゃないかと。これは明らかに、この文章を読みますと、これはどう見ても会費だと思うんです。これを寄附だというふうに読み込むのはもうほぼ不可能で、これは絶対に会費です。

 大臣自身は、これは参議院だと思うんですが、参議院の三月二十三日の予算委員会、小川委員の質問に対して、近畿博友会は会費を徴収していないというふうにおっしゃっています。これは明らかに会費だと思うんですけれども、会費は徴収をしていないというのは、どのように調べられたんですか。

下村国務大臣 まず、使命感が原動力、意志あるところ必ず道あり、これは私が衆議院に立候補したときからの座右の銘でありまして、私のリーフレット、パンフレットには必ず入れております。その中から使われたものであると思いますし、これはもう常に私がいろいろなところで使っているということでありますから、別に、抗議して消せとか言うものではあり得ないというふうに思います。

 それから、近畿博友会のこの件でありますが、これはもう国会の中でも再三申し上げていますが、名簿管理ではなくて、それぞれの地方の博友会から、この方々に対して自民党の十一選挙区支部から寄附のお願いをしてもいいというその名簿をいただいて、そこで毎年、新しい新年度になる前に自民党の十一選挙区支部から寄附のお願いをさせていただいております。

 そして、この近畿博友会は、二〇一四年については、二十六人の、その名簿で出していいということで出させていただいて、そして十二人が寄附をしていただきました。

 これは、自民党の東京十一選挙区支部から寄附のお願いをそういう方々にお出ししているわけであります。その中で、寄附をしてもいいという方々がしていただいて、そのための、寄附としての領収書も出しているわけでありますから、これは明らかに寄附ということは、これは、法的に見ても、また、手続の書類上も明らかであるというふうに思います。

 そして、ほかの地方の博友会は、会費を取っているところと取っていないところがありますが、近畿博友会は会費は取っていないというふうに聞いております。

 この会費というのは、これは事務手続上の年会費、これは大体五千円とか六千円とかそういうレベルの、事務的にかかる経費での会費ということで国会で申し上げているわけであります。

吉川(元)委員 規約の中に、第四条「会員」ですね、そこに「会費は年払いとし、」と書いてあるんですよ。これは、会の目的に応じ、下村大臣を応援するために寄附を納めてくださいぐらいのことを書いてあるんだったらまだしもですけれども、「会費は年払いとし、」というふうにはっきりと書いてあるんです。ここには寄附なんというふうには、だから余計へんてこりんになるわけですけれども、ここに、なぜ第十一支部に送るのかというのは不思議なんですが、ただ、どう見てもこれは会費です。これを寄附だと言い始めたら、もうそれは、世の中はどうにもならないですよ。

 大臣自身は、さっきも言ったとおり、明確に、近畿博友会は会費を徴収していないというふうにおっしゃっているんです。では、それはどうやって調べられたのか。規約を見られたということですよね、これは当然のごとく。徴収していないというふうに大臣は明言されているんですよ。

下村国務大臣 まず、この近畿博友会のことについてでありますが、今までも再三国会でも答弁をしておりますが、地方の博友会について、会則とか規約とか、それから人事、これについては直接私なり私の事務所がタッチしているわけではありません。それぞれがつくっていただいています。ですから、きょう提出された近畿博友会のこの規約も、私は初めて見るものでございます。

 そして、繰り返すようでありますけれども、法的な手続、それから選挙区支部としての領収書、そういうことについては、これは寄附としてお願いをし、寄附として処理しています。これはきちっと届け出ていることでありますから、もちろんごまかしているわけではなくて、明らかなことであります。

 近畿博友会が会費を取っていないということについては、近畿博友会から事務所の者が聞いている、それを私がお答えしているということであります。

吉川(元)委員 大臣はそれは誤解であるだとかいうふうに言われていますけれども、これだけ問題が大きくなっているわけです。恐らく事前に通告があって、参議院のことですし、他の委員のことですから私はわかりませんけれども、近畿博友会として会費は徴収をしていないというふうに明確に答弁している。だとすれば、当然、その裏といいますか、それはきちんと、例えば、ここに書いてあるこの規約なりなんなりを取り寄せて、会費は取っているか取っていないか、それをチェックするのが普通じゃないですか。

 もう一回、答弁をお願いします。

下村国務大臣 私の任意の地方の博友会が、その博友会の会長が会費は取っていないということを私の方の事務所に言ったということですから、別にチェックする必要はないと思います。

吉川(元)委員 まさに、会費なのか寄附なのか、これが問われているわけで、例えばほかの、東北では少し取っている。これは恐らく確認されたんだろうというふうに思います。見ると、やはり近畿の博友会については取っていないと言う。だったら、その証拠といいますか、それをきちんと確認するのが普通なんじゃないんですか。聞いたからないんだ。

 ところが、今ここに出てきたこの規約には、まさに会費として、これを寄附だというふうに言うのは、これはもう幾ら何でも無理だと思いますけれども、まさに会費として年払いで払ってくださいというふうに書いてあるわけです。規約を全くごらんになっていないんですか。

下村国務大臣 再三言っていますけれども、近畿博友会のこの規約はきょう初めて見ました。これはそのとおりであります。

 私どもとしては、寄附としていただいているということについては、先ほど申し上げたとおりであります。そして、この近畿博友会は会費は取っていないということについては事務方が聞いているということについて、今まで申し上げたとおりであります。

吉川(元)委員 博友会の人に聞いたら会費は取っていないと言ったから取っていないんだ、その程度の調べで国会の中でこの答弁をされたということですね。まあそれはいいです。

 この規約、これを見て例えば近畿博友会に入った方は、恐らく会費として、まさにこの第十一選挙区支部にああ会費なんだなと思ってお金を振り込む。ところが十一支部の方では、これは寄附だというふうに勝手に解釈をして……(下村国務大臣「勝手にじゃないですよ」と呼ぶ)そうですよ、ここにまさにそういうふうに会費だと書いてあるんですから。会費だと書いてあって、これを振り込んだわけですよ、例えば。

 では、会費は取っていないと言いますけれども、これは明確に会費だというふうに思われますか、ここの規約、これが事実だとすれば。

下村国務大臣 これは、おっしゃっているようにここに書いてありますが、「入会申込書を提出した者をもって会員とする。」これが二十六人いるんですね。ですから、二十六人全員が、私の方ではこれは寄附としてちゃんと処理させていますけれども、二十六人がそうであれば、そういう誤解というのはあるかもしれません。

 しかし、二十六人のうち、実際に寄附として御協力いただいたのは十二人ですから、当然それは会費としてのお願いをしているわけじゃありませんから、十一選挙区支部として寄附としてのお願いをしているわけでありますから……(発言する者あり)いや、今答えています。書類上これは明確に明らかでありまして、それぞれの近畿博友会の方々もそれぞれ寄附をするかしないか判断して、そして寄附していただいている方が十二人ということであります。

吉川(元)委員 ちゃんときちんと答えてください。

 ここに書いてあることは、これは会費ですよね。これはどこをどう見ても、これでお金を払う人が寄附だと思って払う人はいないですよ。これは明らかに近畿博友会の会費として支払っているんです。それとも、これを読むとああこれは下村大臣に寄附をするものだというふうに読める人がいたら、私はぜひその人の解釈の仕方を聞きたいぐらいですけれども、これは普通に素で読んだら、これは明らかに会費ですよね。

下村国務大臣 これは、私の事務所は会費のお願いとして出しているわけではありません。十一選挙区支部として寄附のお願いとして出しています。寄附のお願いとして出していて、それで寄附をしていただいている方が二十六人のうち十二人いるということであります。

 この規約については、きょう初めて私も拝見しました。

吉川(元)委員 いや、大臣にお聞きしたいのは、初めて見たのならそれで結構ですけれども、この文章を見て、これは寄附だというふうに思われますか。

下村国務大臣 ですから、うちの事務所の方がこれをこのまま送ったらそういうことになるでしょう。しかし、うちの事務所の方は、十一選挙区支部として寄附のお願いで出しているんです。これを出しているわけじゃありません。

 ですから、寄附としてお願いをして、相手の方々も寄附として認識して、そして十一選挙区支部の方に寄附として振り込んでいただいて、そして寄附としての領収書を出させていただいているということであります。

吉川(元)委員 もう一度聞きます。

 この第四条のなお書き以降、これは会費ですね。これは会費ということでよろしいですか。これを普通に読めば、これは会費ですよね。これに基づいて支払ったものは会費ですよね。

下村国務大臣 ですから、これに基づいて支払っていないということであります。それは、このペーパーを案内で出しているわけじゃなくて、私の方の事務所では、十一選挙区支部から寄附のお願いを出しているわけです。ですから、このことで出しているわけじゃありません。

 それで、このことについては、先ほどから申し上げていますように、これは私も初めて見るペーパーでありますが、これをうちの事務所が近畿博友会の方々に出しているわけでは全くありません。

吉川(元)委員 聞いていることに答えてください。

 この文章というのは、これを初めて見られたのは結構です、これを見る限り、どこをどう読んでもこれは会費ですね、ここで支払われるお金は会費ですね、そういうふうに解釈できますねというふうに大臣に聞いているんです。大臣がどういうお願いをしているかということを聞いているわけじゃないんです。

下村国務大臣 これは初めて見ましたが、このまま読めばそのとおりだと思います。

 ただ、私どもの方では、そういうことではなくて、十一選挙区支部として寄附としてお願いしているということを申し上げているわけであります。

吉川(元)委員 これはまさに会費であります、会費として払う。

 そうすると、第十一支部に例えば自分は会費として支払った、吉川元、大阪市どこそこ、だけれども、大臣の方では処理としてはこれは寄附だ、だけれども私は違う、その確認はされているんですか。一つ一つの寄附に関して、これは会費なんですか、これは寄附なんですか、確認されているんですか。

下村国務大臣 そもそも寄附としてのお願いをしているんです、十一選挙区支部として。そして、振り込んでいただいた方々に対しては、寄附としての領収書を出しているわけですから、それは明らかだと思います。

吉川(元)委員 これは会費であって、これに基づいて支払う人もいるわけです、現実に。それは実際にいるかどうかわかりませんよ。だけれども、これは明らかに会費なわけですから、会費として納めた。恐らくこれは銀行か何かに振り込むんだろうと思いますけれども、そこには名前がある、日付がある。会費なのか寄附なのか全く区別がつかないじゃないですか。(下村国務大臣「寄附と書いてある」と呼ぶ)どこに書いてあるんですか。(下村国務大臣「請求書に」と呼ぶ)いや、請求書じゃないです。振り込まれたお金に、これが寄附なのか会費なのか区別がつかないじゃないですか。(下村国務大臣「ついています」と呼ぶ)どうやってつけるんですか。

福井委員長 下村大臣、では、もう一度お願いいたします。

下村国務大臣 これは、繰り返すようですけれども、東京十一選挙区支部から地方の今まで縁のある方々に対して、年に一度、寄附のお願いというのをさせていただいております。それを見て寄附をしていただいている方もいらっしゃるし、この近畿博友会の方々の中でも、この会員の方でも、寄附をされていない方もいらっしゃいます。個々の判断です。

 寄附のお願いをしているというのは、これは相手に届いていますから、おわかりになっていることだと思います。そして、振り込んでいただいた後、十一選挙区支部として寄附の領収書をお送りしていますから、これは明らかに寄附として認識をしていただいて振り込んでいただいているというのは明らかだと思います。

吉川(元)委員 大臣の側から見れば、お願いして入ったからこれは寄附だというふうに解釈されるのは勝手ですけれども、ここに書かれてある言葉をそのまま実行すれば、自分は会費だと思って払ったとしても自動的に寄附で処理をされる、そういう構造的な問題があるんじゃないんですか。答弁をお願いします。

下村国務大臣 それは、二十六人の会員が全員そうであれば、そのような、危惧されるような質問もあるかもしれませんけれども、そうではなくて、そのうちの十二人が実際に寄附として十一選挙区支部に振り込んでいただいて、そして寄附としての領収書を発行しているということですから、当然、それぞれがそのように寄附として判断をしていただいてやっていただいていると思います。

吉川(元)委員 ちょっとほかにも聞かなきゃいけないことがありますので、引き続きこの後もお聞きしますけれども、私が聞いていて、例えば、年会費だって滞納される方は恐らくいるわけです、幾らなのかわかりませんけれども。二十六ですか、全員払っていないから寄附なんだというふうに言えるかどうかなんというのは、それは全くわからない話じゃないですか。直接その人に、お金を振り込まれた人に、これは振り込まれましたけれども、近畿博友会の会費として振り込まれたのですか、あるいは自分に対する寄附として振り込まれたのですかということを確認しない限り、同じところに振り込まれるんですよ、これじゃ全然わからないじゃないですか。

 もう時間がないので、次の質問に移らせていただきます。

 実は、理研の問題について二点ほどお聞きしたいと思います。

 三月二十三日ですか、大臣、理研に行かれまして、その後に、理研改革については一定のめどが立ったと考えるというようなことを述べられておられます。一定のめどが立ったというふうに考えておられるんでしょうか。また、なぜそういうふうに考えられるのか。

下村国務大臣 理化学研究所においては、昨年八月に策定した理研改革に関するアクションプランに基づき、これまで改革に取り組んできたところであります。

 改革の実施状況につきましては、理研の運営・改革モニタリング委員会において検討が進められ、その評価結果について、今月二十日、野間口委員長から御説明いただくとともに、私自身が今月二十三日に理化学研究所に赴き、改革の実施状況を視察したところであります。

 運営・改革モニタリング委員会において、アクションプランを踏まえた体制や規程の整備は完了し、取り組みが機能し始めているとして、理研改革に道筋がついた旨の評価を受けたことについて、私も現場に行きまして、妥当なものと考えました。

 今後も引き続き、理研の全役職員が一丸となってアクションプランの取り組みを継続し、取り組みの実効性を高めていくことが重要であるというふうに考えています。

吉川(元)委員 確かに、改革モニタリング委員会が適切であるという評価をしています。それは何に基づいてかというと、昨年八月に理研自身がつくったアクションプラン、この実行状況について機能し始め、改革への道筋がついているというような評価がされております。

 しかし、このアクションプラン、これが果たして理研の改革に十分なものなのかどうなのかについては私は非常に疑問に感じております。

 そこで少し伺いますけれども、それに先立つ二カ月ほど前に、六月十二日に、研究不正再発防止のための改革委員会というものが、これは全て外部の方が入った委員会ですけれども、提言書を出されておりますが、その内容については御存じでしょうか、大臣。

下村国務大臣 これは通告がありませんので、改めて、手に入り次第、また御説明いたします。

吉川(元)委員 いや、通告の際にこの件については触れておりますから当然ごらんになっているというふうに思いますが、それはいいです。

 実は、この六月十二日の提言書、これは何のためにつくられたかというと、まさにこのアクションプランをつくる上においてどういうことが必要なのかというのを、外部の有識者の方に諮ってもらうというのがこの委員会の使命でありました。そこで出されております。当時のセンター長はこの内容を見て、大変厳しいものだというようなこともおっしゃられております。

 八月に出されたアクションプランがまさに六月の提言書と軌を一にして同じようなことが書かれているのであれば、私も一定進んでいるというふうに思いますけれども、実は、六月の提言書とアクションプランを見ますと、幾つか落ちているものがございます。

 例えば、提言書の方では、外部に告発対応窓口というものを設置すべし、これは、理研の内部ではなくて外部につくるべしという非常に重要な提言がされておりますが、これは完全にアクションプランの中では抜け落ちています。

 それから、この提言書では、まず第一に持ってきたのは、未熟な研究者をユニットリーダーに据えた選考のあり方が大変大きな問題だ、選考については、規程を簡単にクリアしてしまうようなやり方が問題だ、そういうふうに提言をしております。

 ところが、これはある理研の理事、お名前は言いませんが、理事の方が新聞に答えられている部分があります。人を選ぶ際に手順が拙速だと批判されていますけれども、どうですかと聞かれた際に、そのユニットリーダーを選ぶ手順が異様とは思っていないと。ということは、六月の提言書からは大きく後退をしたアクションプランであり、また、理事会として六月の提言書を真摯に受けとめると言いながら、実際には全く真摯に受けとめていない発言が理事から行われている。

 これで果たして前進をしたというふうに言えるんでしょうか。大臣、もう一度伺います。

下村国務大臣 理研が改革委員会からの提言を踏まえ作成したアクションプランにおいては、御指摘ありましたが、実際は、外部人材を活用したガバナンス体制の強化、それから、研究不正の再発防止のための取り組み等、改革に必要な取り組みがこれは盛り込まれているというふうに承知をしております。

 私としては、運営・改革モニタリング委員会による理研改革に道筋がついた旨の評価は妥当なものとして考えておりまして、引き続き、今後もその取り組みを継続し、その取り組みの実効性を高めていくということが重要であると考えます。

吉川(元)委員 私自身は、そういう立場といいますか、そもそもの最初のアクションプランというものが、当初言われていたレベルから大きく落として内部でつくったアクションプラン、これをクリアしたから改革が前進しているというふうには私は言えないのではないかというふうにも感じております。

 これについては、また引き続き、いずれ理研の方もおいでいただいてお話を聞かなければいけないというふうに思っておりますので、次回以降、質問させていただきたいというふうに思います。

 きょうは内閣府の方にも来ていただいておりますが、今の理研の現状、そして、特定国立研究開発法人、これは、法案を準備をされていて、昨年、通常国会は結局STAP細胞の問題があって出せなかったということでありますけれども、これについて、今後のスケジュールだとか、どのように考えているのか、尋ねます。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる特定国立研究開発法人制度の創設に当たりましては、科学技術に関する総合的な研究機関でありまして、また、現時点で世界トップレベルを標榜するにふさわしい実績を備えるもの、こういうものがその対象法人となり得るということで、その考え方のもと、総合科学技術会議、現在は総合科学技術・イノベーション会議でございますが、その決定した基準に基づきまして、昨年三月、理化学研究所と産業技術総合研究所が候補とされたものでございます。

 この決定を踏まえつつ、特定国立研究開発法人に関する法案につきましては、理研の改革状況等を踏まえ、関係省庁等とも相談しながら、総合的に判断してまいりたいと考えております。

吉川(元)委員 そうしましたら、次に、教員定数、教員数について伺いたいと思います。

 きょうは大家財務大臣政務官に来ていただいておりますので、時間がありませんので、政務官の方にお聞きしたいというふうに思います。

 来年度の予算を見ますと、教職員定数についてでありますが、文部科学省は、少子化等に伴う教職員定数の減が四千人というふうに言っております。大臣自身も会見の中で、これは一月十四日ですね、「教職員指導体制についてでありますが、少子化等に伴って教職員定数が四千人削減する、これは我々もやむを得ないことだと思っております。自然減につながることであります。」というふうに大臣は会見の中で述べられております。

 一方、財務省の資料を見ますと、当該する部分、自然減は四千人ではなく三千人となっております。さらに、定数増九百人に対し、既存定数の合理化減と学校統廃合による定数減を合わせて一千人、差し引き百人の純減というふうに説明になっております。

 ちょっときょうは時間がないので財務省の方に、これはどちらが正しい認識なのか、正しいといいますか、財務省としてはどういうふうに考えられているのか、お答えください。

大家大臣政務官 先生が最後におっしゃった、百人の純減ということで我々は認識しております。

吉川(元)委員 ちょっと時間が来てしまいましたので、引き続きこの問題についても、次回以降、文科省の方に尋ねていきたいと思います。

 以上で終わります。

福井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十七分散会


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