衆議院

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第8号 平成28年5月18日(水曜日)

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平成二十八年五月十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷川 弥一君

   理事 青山 周平君 理事 池田 佳隆君

   理事 石田 真敏君 理事 木原  稔君

   理事 山本ともひろ君 理事 太田 和美君

   理事 長島 昭久君 理事 浮島 智子君

      安藤  裕君    石原 宏高君

      岩田 和親君    尾身 朝子君

      大見  正君    門山 宏哲君

      神山 佐市君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      下村 博文君    谷川 とむ君

      豊田真由子君    鳩山 邦夫君

      船田  元君    古川  康君

      古田 圭一君    宮川 典子君

      八木 哲也君    菊田真紀子君

      郡  和子君    坂本祐之輔君

      玉木雄一郎君    平野 博文君

      松田 直久君    笠  浩史君

      角田 秀穂君    吉田 宣弘君

      大平 喜信君    畑野 君枝君

      伊東 信久君    吉川  元君

      松本 剛明君

    …………………………………

   文部科学大臣       馳   浩君

   国務大臣

   (東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会担当)       遠藤 利明君

   財務大臣政務官      大岡 敏孝君

   文部科学大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    豊田真由子君

   政府参考人

   (内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局総括調整統括官)   芦立  訓君

   政府参考人

   (内閣官房新国立競技場の整備計画再検討推進室総括審議官)         中川  真君

   政府参考人

   (内閣府子ども・子育て本部審議官)        中島  誠君

   政府参考人

   (総務省大臣官房総括審議官)           富永 昌彦君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部長)      山下  治君

   政府参考人

   (文部科学省生涯学習政策局長)          有松 育子君

   政府参考人

   (文部科学省初等中等教育局長)          小松親次郎君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局長)            常盤  豊君

   政府参考人

   (文部科学省研究振興局長)            小松 弥生君

   政府参考人

   (スポーツ庁次長)    高橋 道和君

   政府参考人

   (文化庁次長)      中岡  司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉本 明子君

   参考人

   (公益財団法人日本オリンピック委員会会長)    竹田 恆和君

   文部科学委員会専門員   行平 克也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  神山 佐市君     八木 哲也君

  福井  照君     岩田 和親君

  笠  浩史君     玉木雄一郎君

  國重  徹君     角田 秀穂君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     福井  照君

  八木 哲也君     神山 佐市君

  玉木雄一郎君     笠  浩史君

  角田 秀穂君     國重  徹君

    ―――――――――――――

五月十七日

 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法の一部を改正する法律案(平野博文君外三名提出、衆法第一九号)

は撤回された。

同月十六日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(石川昭政君紹介)(第一八七二号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第一九二〇号)

 同(宮本徹君紹介)(第一九二一号)

 同(池内さおり君紹介)(第一九七五号)

 専任・専門・正規の学校司書の配置に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一九七四号)

同月十八日

 教育費負担の公私間格差をなくし、子供たちに行き届いた教育を求める私学助成に関する請願(大平喜信君紹介)(第二一二五号)

 同(松原仁君紹介)(第二一二六号)

 同(吉川元君紹介)(第二二二四号)

 私立幼稚園教育の充実と発展に関する請願(大平喜信君紹介)(第二一二七号)

 義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律案に関する請願(阿部知子君紹介)(第二二二一号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二二二二号)

 同(吉川元君紹介)(第二二二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 文部科学行政の基本施策に関する件

 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法の一部を改正する法律案起草の件


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     ――――◇―――――

谷川委員長 これより会議を開きます。

 文部科学行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として公益財団法人日本オリンピック委員会会長竹田恆和君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局総括調整統括官芦立訓君、新国立競技場の整備計画再検討推進室総括審議官中川真君、内閣府子ども・子育て本部審議官中島誠君、総務省大臣官房総括審議官富永昌彦君、文部科学省大臣官房文教施設企画部長山下治君、生涯学習政策局長有松育子君、初等中等教育局長小松親次郎君、高等教育局長常盤豊君、研究振興局長小松弥生君、スポーツ庁次長高橋道和君、文化庁次長中岡司君及び厚生労働省大臣官房審議官吉本明子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷川委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田真敏君。

石田(真)委員 自由民主党の石田真敏でございます。

 衆議院議員として十四年務めさせていただいておりますけれども、初めて文部科学委員会に所属をさせていただきまして、きょうは同僚議員の御理解をいただきまして初めて質問をさせていただきますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 この文部科学にかかわって少し勉強させていただきますと、まず感じているのは、非常に課題が多岐にわたっているということ、それから、関係者も非常に多くて、幅広く、非常に深いな、そういう印象を持っているわけであります。それだけに、見ておりますと、やはりスピード感が乏しいかな、あるいは小回りがきかないのではないかな、そういうふうに思うわけでございます。

 ただ、子供たちは毎年入学し、そして卒業していく、そういうことを考えますと、やはり、基礎学力をしっかり身につけさせるということ、それから、社会の大きな変化に対応していけるだけの能力、教育というものをしっかり受けさせなければならない、そういうふうに思うわけでございます。

 そういう意味で、いろいろな面で改革に着手されているということについては私は大いに評価をさせていただきたいと思いますけれども、先ほど指摘いたしましたように、スピード感という点、それから、本当に最新の知見に基づいた教育というのがなされているのかという点については、いささか疑問に思うところがございますので、きょうはそういう点を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、スピード感という点でありますけれども、文科省では、今、平成三十年から三十四年度を対象にした第三期教育振興計画を策定するために、平成二十六年の十一月に、中央教育審議会に見直しについての諮問をされたということでございます。

 その後のスケジュールというものを見ていきますと、平成二十八年度中に答申を、そして平成二十九年の十二月ごろに閣議決定をということでございますけれども、そうなりますと、もう既に、諮問してから三年たつんですね。

 そして、その答申を受けて閣議決定をして、幼稚園では平成三十年、それから小学校では平成三十二年、中学校では平成三十三年、高校では平成三十四年度、つまり二〇二二年から新学習指導要領で行うというふうにされているわけでございます。平成二十六年に議論がスタートしてから、実施されるのは、幼稚園では四年後、小学校は六年後、中学校では七年後、高校では実に八年後なんですよ。これはいかにもスピード感がないなというふうに私は思います。

 二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開会されるということで、例えば、テレビを見ましても、自動運転車が走り回るとか、あるいは多言語翻訳機がいろいろ活躍されるだろうというようなことが報じられているわけですね。そういうふうに、やはり技術革新というのは物すごく加速度的に進んでいる。恐らく人工知能ももっと進むだろうと思うんですね、二〇二〇年を超えますと。そうすると、本当に、このような技術の変化、それに伴う社会や経済の変化、それに対応していけるのかな、ちょっと悠長過ぎるのではないかな、そういう感じを抱くわけでございます。

 もう少しスピード感を持ってできないのかということ、さらには、やる途中で新しい知見が入ってきたときには、そういうものを追加する、適切に対応していく、そういうことについて、そういう対応ができないものかということについて、文科省の御見解をお聞かせいただきたいと思います。

馳国務大臣 おはようございます。

 結論から最初に申し上げて、ちょっと解説をしますが、不断の見直し、改善という方向は、石田委員御指摘のとおりだと思いますので、それは改めて取り組むということはまず申し上げさせていただきたいと思います。

 ただ、学習指導要領を見直して、そして教育振興基本計画に基づいて現場で展開していこうとすると、どうしても、教科書の執筆、検定、採択、そして現場に供給をしていく、この間はやはり法律に基づいてのプロセスがございます。その上で、例えば小学校一年生さえやればいいとか、中学校三年生さえやればいいというものではありません。やはり、学校教育法の第一条項というのは幼稚園から始まっておりますので、幼小中高、連動を持たせて、児童生徒の発達段階に応じて、この時期にこういう内容を指導していくべきで、また、それに基づいてどういう教材を有効に活用していくか、さらに言えば、教職員の編制にもかかわってくる問題であります。

 こういったことを総合的に、計画的に進めようとすると、どうしても、中教審の議論、それを踏まえた政策づくり、必要であるならば立法措置や予算措置、これに基づいて実行、こういうふうになってくるので、いかにも時間がかかり過ぎてしまうという印象を持たれるのだと思います。

 ただ、例えば主権者教育についても、昨年答申をいただいて、速やかに昨年の十二月には副教材などを出して、ことし、参議院選挙から十八歳選挙権ということになりましたので、速やかに対応したつもりであります。

 案件にもよるのですが、基本的な教科を学習指導要領に基づいて進めていこうとすれば、どうしてもそれだけかかってしまう。

 しかしながら、教科書に基づいて授業を展開していくに当たって、やはり時代に応じて、特に情報通信機器というのは進んでまいりますから、それを有効に活用できるように、そういった観点においては関係省庁と連携しながら、現場に提供しやすくしていく、こういう対応が必要だと思っています。

 石田委員は地方自治体の首長を長らく務めておられたので、地方行政に関して精通しておられますが、やはりこういう、現場の、設置者の観点からのスピード感に、我々文科省もできるだけ間に合うようにというか、機動的に対応できるようにという改善の論点は持ちたいと思います。

 以上です。

石田(真)委員 恐らくそういう御答弁だろうなというふうに思うわけですけれども、変わるもの、それから変わらないものというのがあるわけですから、全部を一からやるということではないわけで、いろいろな改善の余地は私はあると思います。そういう議論を少ししたいと思います。

 私は、なぜこういうことを申し上げるかといいますと、我々自由民主党の国家戦略本部というところで、これから将来大きく変わるだろうということで、二〇三〇年の日本、一体どうなるのかという勉強会をやってきたんです。

 そうしますと、簡単に言いますと、大きな変化が四つ起こる。それは、人口の変化、技術の変化、環境の変化、時間と空間の変化、こういうことが起こってくるだろう。そうすると、それに基づいて、恐らく、社会、経済、今とはがらっと変わるほどの大きな変化が起こるだろうということで、それに対応していろいろやっていかないといけないということがあったわけです。

 そして、それに関連して、最近耳目を集めたのは、人工知能が囲碁の世界チャンピオンに勝ったことです。我々、二〇三〇年の日本の勉強会をやっているときには、これは十年ぐらい先だと専門家が言っていたんですよ。それが、ほんの二年、三年の間に、これはもう実現しちゃったんですね。そのくらいやはりスピード感を持って世の中が変わっている。

 そして、人工知能がこういう活躍をすると、一体どこまで進化するんでしょう、あるいは、それによって社会がどう変わっていくんだろう、これは国民的不安なので、今、マスコミが連日のようにそういう報道をしているということだと思うんです。やはり教育もこういうものに応えていかないといけない。

 特に、野村総研は、今後十年、二十年先に、今ある職業の四九%が人工知能に取ってかわられる、そういう予測を発表している。アメリカの学者も、今のアメリカの小学生が大学を出るころには今存在していない職業につくだろう、こういうことを言っているわけですから、我々、これからどういう教育をそういう子供たちに施していくのかということを、従来の流れの中で考えるのではなくて、本当に今の時点を捉えて考えていかないと、私は、子供たちに責任を負えないというふうに思います。

 その技術革新の一つの簡単な例を私は申し上げたいと思うんですけれども、多言語翻訳機です。これは、二〇二〇年に、東京オリンピックのときに、一般的にある程度のレベルまでやろうということで、今、特にNICTで頑張ってやっておられますので、まず総務省から、その進捗状況についてお聞かせをいただきたいと思います。

富永政府参考人 お答え申し上げます。

 情報通信研究機構、NICTが研究開発を行っております多言語音声翻訳システムでございますけれども、現時点では、一部テキストベースの入出力を要するものを含めまして二十九言語に対応しておりまして、日英中韓の四カ国語の旅行会話につきましては、精度の高い音声翻訳を実現しております。

 訪日外国人観光客、昨年、一千九百万人を超えておりまして、今後さらに増加することが見込まれております。また、先ほど委員の御発言にもございましたが、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されますので、非常に多くの外国人が訪日されると予想されます。

 このため、総務省では、NICTや民間企業と連携いたしまして、二〇二〇年までに、十カ国語について旅行会話を中心とした生活会話で実用レベルの翻訳精度を実現するための研究開発を行っております。また、このシステムを全国に普及させることを目的といたしまして、全国各地の商業施設ですとか観光案内等での利活用実証にも取り組んでおります。

 さらに、昨年七月に情報通信審議会より中間答申されました「新たな情報通信技術戦略の在り方」におきまして、二〇三〇年の同時通訳の実現が目標とされていることを踏まえまして、NICTにおきまして、長文音声認識技術、漸次翻訳処理技術等の基盤技術の研究開発に取り組んでおりまして、これらの課題を解決することにより、同時通訳が実現できるものと考えております。

 以上でございます。

石田(真)委員 十四年後に同時翻訳レベル二十九カ国語です。

 私は、英語教育、不必要だとは言っていません、必要だと思います。これからグローバルにやっていく中で必要だと思うんですけれども、ただしかし、全ての小学生に本当に必要なんでしょうか。

 冨山和彦さんという株式会社経営共創基盤の経営者ですけれども、グローバル人材というのは、あえて言えば、世界で戦うんだから、オリンピック選手だ、大臣のようなオリンピック選手だと。そのオリンピック選手の教育はやはりそういうことが大事だろうと思うんですけれども、しかし、国体の選手もいれば、県大会レベルの選手も、市町村大会レベルの選手もいるわけですね。その市町村大会や県大会のレベルの選手にオリンピックの選手と同じ訓練をさせる必要があるのかというのが私の素朴な疑問なんですね。

 ですから、私の経験からいっても、我々は中学から英語を習いましたけれども、中学生ぐらいの段階で何らかの選択肢を用意する、私はそういうことで十分グローバル人材というのに対応していけると思うんですけれども、大臣、この多言語翻訳機の出現というものをどう捉えて、どう教育に反映させていかれるのか、お聞かせいただきたいと思います。

 できたら簡単にお願いします。時間がないものですから。

馳国務大臣 石田委員のおっしゃることもわかりますが、実は、倉敷宣言をG7教育大臣会合でまとめましたが、やはり基礎教育の段階から英語等を通じて、他国の言語を通じて異文化理解を進める重要性ということについて理解したところであります。

 実は、安倍政権に政権交代してからもそうですが、恐らく民主党政権のときもそうだったと思いますが、グローバル人材ということは、まずはコミュニケーション能力、相手を理解しようとする力、それについては、基本的な英語力の活用ということについて理解を得ながら進めてきたものでありますから、私としては、やはり、まだ柔軟な思考力のある小学校の早い段階から英語教育に親しむことが必要だと思います。

 ただ、中高それぞれにおいてレベルはあると思います。

石田(真)委員 見解の相違ということですけれども、私は英語が不必要だと言っているんじゃないんです。しかし、本当に必要な人と、さほど必要でない人たちといるわけですから、その段階で選択をされたらいいのではないかなと思うんです。

 このことに関連して、東ロボくんというのをやっておられる新井先生という方がおられるんです。東ロボくんというのはロボットで、東大に合格させようということです。今もう既に、受験生中のトップ二割の中にその東ロボくんは入っているんです。

 それで、この新井先生は、これはおかしい、一体どういうことなんだということで、中高生にアンケートしたんです。これは日経新聞に載っていましたけれども、私らは先生から直接お話を聞きましたけれども、アンケートをやった、そしてその結果はどういうことかというと、受験生の日本語力が低いと言われてきたが、ここまで低いとは想定していなかった、教科書も読めないのに小学校で英語やプログラミング教育とかやっている場合ではない、大学教育の前提として中学校段階での読解力を引き上げることこそが必要であるというような主張をされているんです。

 私は、この先生は英語やプログラミングを必要でないと言っているんじゃなくて、しかし、その前提条件はやはり読解力を引き上げないとだめですよということを言っておられるんだと思うんですね。

 こういうような意味から申し上げても、私も、やはり我々は日本語で物を考えて、日本語で人の意見を聞いて、日本語で発言するわけですから、日本語を中心に。ですから、日本語力というんですか、国語力、これを徹底的にやはり鍛えるということが私は非常に重要だと思うんですけれども、この辺の、アンケート調査あるいは語学教育について、文科省の御意見を聞かせていただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のとおり、読解力や論理的思考力は全ての学習や生活の基盤でございますので、もとより常に必要でございますけれども、とりわけ、今後ますます重要性が高まっていると考えています。したがいまして、学習指導要領の改訂に関する検討を中教審で行う中でも、言語能力の向上に関する特別チームというのを設けて議論させていただいております。

 それから、プログラミングに関しても有識者会議を設けて議論させていただいており、さまざまな人に入っていただいておりますが、ただいま御指摘の新井先生なども加わっていただいております。

 こうした読解力、論理的な思考力等にきちっと資することを基本として、その上に外国語能力やICTを使いこなす能力を培っていく、そういう方向で議論を進めていっていただくようにしたいと考えます。

石田(真)委員 まず基本は、私は、やはり物事を理解できる能力をきちっと育てるということだと思うんですね。その上で、今もお話ありましたけれども、やはりICT分野の進展というのが非常にすごいということを考える中で、何が必要なのか。まず基礎学力、これは国語であったり数学であったり理科であったり社会あるいは芸術、こういう基礎的なことが私は必要だと思います。同時に、やはりICTリテラシーというものも、これは必須だと思うんですね。

 それで、この間新聞を見ていますと、小中学校で二〇二〇年から段階的にプログラミング教育を必修にする方向を固めたという。これは私は評価しますけれども、先ほど言いました、二〇二〇年からというと、あと四年先ですよ。これもスピードが遅いんですよ。御承知のように、イギリスやフィンランドはもうプログラミング教育に入っています。

 先日、トロンで有名な東大の坂村健教授のお話を聞いたら、こう言っておられるんですよ。イギリスでは、二〇一二年一月にプログラミング中心の新カリキュラムにした方がよいとなってから二年余りで、つまり一四年に、もう既に小学校のプログラミングを義務化した、日本もこれぐらいのスピードで行うべきというふうに主張されているんです。

 なぜ、イギリスでは二年余りでできて、日本では四年以上かかるのか。理由も含めて、今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。

馳国務大臣 制度的な違いであります。

 イギリスは、ナショナルカリキュラムについて言うと、各教科の授業時数も決まっておりません。現場の裁量の大きい、緩やかな規定となっておりまして、教科書は自由発行となっておりまして、検定もございません。といった中で、恐らく今回のプログラミング教育の導入に当たっても速やかになされたのではないかと思います。我が国の制度は先ほど申し上げたとおりであります。

 したがって、今後の展開についても、やはり既にプログラミング教育を義務教育段階から進めた方がよいという提言もいただいておりますので、それをいかに速やかにしていくことができるか、より一層早く導入できるように努力したいと思います。

石田(真)委員 やはりこういう第四次産業革命と言われている変化のときですね、だから、変化のときには変化にどう対応するかというのが私は物すごく大事だと思うんですね。ですから、私は、今までの制度であるとか今までのやり方がこうだったということだけではだめなんだろう、やはり、思い切って新しい変化に対応するためにどうしていけばいいか、本当にみんなで真剣に考えるべきだと思います。

 このICTにかかわってもう一つ言いますと、タブレット端末を使った教育、これは非常に重要ですよね。

 NPO法人CANVASの理事長の石戸奈々子さんという方が、有名な方なんですけれども、こう言っておられるんです。タブレット端末の導入は、情報の伝達ではなく、創造力を高めるために意味がある、こう言って、実際に彼女はデジタル時代にふさわしい子供たちの創造的な学びの場をつくるとの目標を掲げて、ワークショップをやっている。そして、そのワークショップでは、アニメとかブログとか新聞など、子供たちが自分でつくって、そのプロセスを通じて主体性や協調性、創造性を身につけていくことを学んでいるというんですね、タブレットを使ってです。

 つまり、小さいころからこれを使いこなせる環境に育つか否かで大きな差が出るということなんですよ。つまり、デジタルデバイドということがこういうところでも起こってくるんです。

 そうしますと、なぜタブレットが短期間に一人一台ぐらい各学校に導入できないのか。私は、デジタルデバイドとか、これからのことを考えたら、一刻も早くこういうことを考えるべきだと思いますけれども、文科省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

馳国務大臣 同感であります。

 同時に、やはり自治体の首長、これは義務教育の設置者でありますから、まだまだ理解が進んでいない面もありますので、こういう団体を通じて、やはりICT教育、タブレットの配付ということがいかに重要であるか。さらに、これは発達障害児を含め、障害児の教材としても有効に活用されております。

 したがって、我々とすれば、総務省や経産省とも連携しながら、そのための予算確保というのをやはりしっかりしていかなければいけないので、また委員の方も御支援いただきたいんですが、現場の子供たちにとっても、またアクティブラーニングを推進していく教師の側にとっても非常に有効であるという認識を持っておりますので、今後さらに推進していきたいと思います。

石田(真)委員 時間がありませんので、では、人工知能ロボットと共生するための教育というのは一体どういうことが大事なのか。こういうことも、今恐らく世界でもなかなかわかっていないんです。いろいろなところを見ても、それはなかなかわかっていない。ですからいいというんじゃなしに、日本として何を今のこの変化の時代に子供たちに教えていかなければならないのかということ。これは質問したいんですけれども、時間がかかりますので、ちょっと省きます。しかし、しっかり考えておいてください。

 それで、次の質問なんですけれども、先ほどから、変化に対応するということで、私は教育環境をやはり見直していくべきではないかなというふうに思います。

 義務教育学校の品川区日野学園。これは新聞に出ていたんですけれども、学習指導要領に定められた総授業時間数を一割以上上回る時間数をこなしている。日野学園では、一―四年生は一時間目の前に三十分間、五年から九年生は昼休みの後の二十五分を基礎の復習や補習に充てている。

 私は家庭教師をしたことがありますけれども、これは物すごく大事ですね。どんどんどんどん前へ進むのではなしに、やはり、その都度、わかったか、わかったかという確認をしながら前へ進んでいく。非常に大事なことなんですね。ですから、これをやっている学校とやっていない学校で大きな差が出るんです。

 しかし、考えてみますと、先ほどから議論した例えば英語教育あるいはプログラミング教育、また超党派でやっている農山漁村の体験教育の推進、こういうことをずっと積み重ねていくと、学習指導要領に定められた総時間数では対応し切れない、私はそう思いますよ。そうなってくると、一体どうするんだ。子供に教えなくていいのか。私は、教えないといけない。

 やはりそういうことを考えると、補助教員の配置とか環境の整備、そういうことが前提ですけれども、夏休みなどの長期休暇期間の活用を考える時期に来ているのではないかな、私はそのように思いますけれども、文科省の御意見を聞かせていただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 日本の学校教育の総授業時間数自体につきましては、現行の学習指導要領では従来よりかなり増してございます。諸外国と比べましても、むしろ多い方になっているわけでございます。

 他方、御指摘のように、時代に応じてどのように新しい要請を取り入れていくかということを考えなければいけません。

 そこで、夏休みに関しましても、各学校において、全体を見て活用する中で、社会体験、自然体験、家庭、地域との連携のこと、あるいはその中でどう活用するかということが行われております。それから、今御指摘のように、短時間学習や、学校教育法施行規則を改正しましたので土曜授業とか、そういったことも行われております。

 これらの実情に応じまして、むしろカリキュラムマネジメントをその要請に合わせるような形でやっていくことを重視するような、そういう形で学習指導要領のことも考えてまいりたいと思います。

石田(真)委員 今、御両親が働いておられるような家庭も多くて、結構、夏休みの問題というのがあるわけですよね。そんなことも考えると、クーラーのきいた部屋であれば、子供さんたちに来てもらって、通常のカリキュラムでなくてもいいけれども、必要な、例えばプログラミングを集中的にやる講座とか、何かそういう夏休みらしい取り組みでもいいんですけれども、やはりもうちょっと授業をやっていっていいのではないかなというふうに私は思っております。

 ただ、これはある新聞の社説なんですが、こういうのがありました。プログラミング教育について、「教師がいかに知識や技術を習得するか。必修化に向けた日本の最大の課題だろう。IT企業やNPOが手がける講習会などは多い。民間の知見を活用し、教師のレベルアップを図りたい。」私、これはちょっと違うんじゃないかなと思うんです。ここまで学校の先生に負担を負わせていいのかな。これは過重負担ですよ。小学校の先生に英語を教えろ、プログラミングを教えろって、それは無理でしょう。

 そうなると、どうするんだ。民間人を活用したらいいんですよ。英語教育でALTか何かを活用するとか言っておられますけれども、もっと、英語塾の先生とか、例えばプログラミングであれば専門の人はいっぱいおるわけですから、そういう人を活用する、そして学校の先生には本当に生徒に向き合う本来の仕事をしっかりやってもらう。私は、そういうことに取り組んでいったらいいし、例えば退職された先生、六十幾つで退職だったらまだまだお若いから、あるいは期限つきの先生とか、そういう方々を活用していくべきだというふうに思います。

 それからもう一つは、やはり格差をなくすために、ICTの利活用ということでいうと、マスカスタマイズ教育というのがありますよね。何か、世界でいうと、ウエブ上には非営利の教育サービスとしてカーンアカデミーというのがあって、世界で六百万人以上が使っているんだそうですよ。そういうことを活用して、一人一人の生徒が、ちゃんとおくれないでやっていっているか、あるいはもう一度繰り返し学習できるか、そういう環境を整えていくということも私は非常に大事だと思うんです。

 そのためには、人の確保も財源も要ります。しかし、先ほどから申し上げているように、第四次産業革命と言われているんですよ。そんな時代に、やはり我々がしっかり取り組まなければいけないのは、我々の子供や孫たち、その子供たちが社会で活躍するころに、きちっと対応していけるだけの能力をしっかり身につけてあげるということだというふうに思います。

 私は米百俵だと思うんですね。米百俵の精神で予算獲得、人員獲得をやっていかなければならないと思いますけれども、大臣の決意、我々もしっかり応援させていただきますけれども、お聞かせをいただきたいと思います。

馳国務大臣 今ほどの石田委員の御指摘というのは、ぜひ経済財政諮問会議の委員の皆さんにも、財務省の主計局の諸君にもしっかりと聞かせてやりたいぐらいの思いで拝聴いたしておりました。

 もとより文科省が主導的に、実際にそういった環境整備をしたときにどのような効果が上がっていくのかという、確かにエビデンスを持つ手法を持ちながら、必要な計画性と、教職員の配置にしてもそうですが、またそれを支えてくださる、チーム学校という言い方を今与党でもしておりますが、外部の人材との連携、協働、こういった形で進めていく必要があると思っておりますし、そうすることによって、教職員の皆さんにも、昔は悪い意味でいわゆる教育村という言い方をしましたが、そうではない、本来の専門性を教職員が果たしていただけるようにサポート体制を充実していく必要がある、そう思っています。

石田(真)委員 時間が来ましたので、終わります。大臣、頑張ってください。よろしくお願いします。

谷川委員長 次に、吉田宣弘君。

吉田(宣)委員 おはようございます。公明党の吉田宣弘でございます。

 本日も質問の機会を賜りましたこと、委員長、理事、それから委員各位に心から感謝を申し述べる次第でございます。

 では、質問に入ります。

 まず、フリースクール、夜間中学校にかかわる大切な法案について質問いたします。

 この法案は、今、学校で苦しんでいるのに無理をして、また我慢に我慢を重ねて、それでも耐えて学校に行っている子供たち、心が折れそうになっている、その寸前にまでなっている子供たちに、無理をして学校に行かなくてもいいんだよ、そういった救いのメッセージを送る大切な意味合いを包含した法案でございました。また、不登校児童の心情に寄り添いつつ、教育の機会を確保し、かつ夜間中学校を整備する重要な意義を有する法案でした。

 この法案は、本日、本委員会で採決され、あすの本会議に上程され、また採決される、そのようにお聞きをしておりましたが、そうはなりませんでした。残念でなりません。心から遺憾の意を表するものでございます。

 馳文科大臣は、この法案の取りまとめにおける座長をお務めになられ、文科大臣に就任された後も、二十回に及ぶ立法チームの取り組みを、また、この法案の行く末を見守り続けてこられたと承知をしております。今般の経緯について、馳文科大臣の客観的な御認識そして御所見をお伺いさせていただければと思います。よろしくお願いします。

馳国務大臣 一言で申し上げれば、残念でありますが、しかし、諦めてはいけないというのが私の率直な思いであります。

 国会の運営というのは、各政党の御主張もありますし、また、衆議院、参議院の連携もあります、国会の会期といったものもある中で、一面、ガラス細工のように積み上げるものだというふうに思っております。

 私の二十一年間の議員生活で、二十五本を超える議員立法に、特に超党派の議員立法に携わってまいりましたが、それぞれの方々や、国会議員の背景にある現場の声といったものがございますので、できる限りその声を踏まえて対応すべきと思っております。

 今回の法案については、国会に提出をされたということは承知しておりますが、残された会期の短い中で、やはりより一層の連携が衆参でとられればよかったなというふうには思っておりますが、しかし、ここで諦めてはいけないというのが私の本音であります。

 既に文科省は、議員立法の、提案された内容も踏まえて、来年度の概算要求に向けて、できる限りの学習支援や経済的な支援がなされるようにという準備もしております。同時に、そもそも、学校に全ての子供が安心して通うことのできる環境づくりをするというのが文科省の最大の責務であるというふうな認識を持っております。

 そういった意味では、引き続き、この超党派の議員連盟にかかわる先生方には、予算についても応援していただきたいんですが、一人でも、不登校であったり自殺を選ぼうとしていたり、あるいは学齢期を超えてでも基礎教育を改めて学びたいという子にその場を提供できるようにする、この切実な願いに応えていく国会議員としての活動が常に必要だと私は思っています。

 今、一億総活躍というふうな政府の方針の中で、国民を包摂していく、誰もアクセスする機会を奪われることのないようにという姿勢で取り組んでいるわけであります。そういう意味でいえば、今回の議員立法は非常に重要な案件だという認識を私も持っておりますので、諦めずに私も取り組んでいきたいと思いますので、委員も御支援を今後ともよろしくお願いいたします。

吉田(宣)委員 確かに、議員立法は政治の世界で行われる取り組みでございます。さまざまな御意見、そういったものがあることも私は承知をしております。そういった中で、ガラス細工のように本当に細心の注意を払いながらやっていくこと、これも私は求められていると思いますが、そのためには、やはり私ども国会議員一人一人が信頼をされる存在となっていかなければいけないんだなというふうに改めて確信をした次第でございます。

 短い時間でございます。質問を移らせていただきます。

 当初用意をしていた質問について、若干時間が足りませんので、飛ばして質問させていただきますが、当初予定をしていた三番目の質問から入らせていただきたいと思います。

 熊本地震における学校の耐震化、そういったことに関連した質問でございます。

 私も、四月十七日、五月七日と被災地に入らせていただいて、まさに学校に避難をされている被災者の方、そういった生のお声を聞かせていただきました。

 私がそこで感じたことでございますけれども、私が伺ったのは益城町の広安小学校というところでございますが、学校にまさに多くの避難者の方がいらっしゃいました。教室を使って寝泊まりをしているというふうな状況でございました。これは何を意味するかというと、まさに学校は、この二回にわたる震度七を超える地震に耐えたということを意味しておりまして、しかも生活にたえ得る程度まで補強をされていたということでございます。

 これは、学校の耐震化について、我々公明党も地方議員と連携をとり合いながら本当に全力で取り組んできたその一つの成果であったのかなというふうに思いますが、一方で、その広安小学校では体育館が全く使えませんでした。

 体育館も、構造材についての耐震化というのはなされておったところでございますが、残念ながら、非構造部材、いわゆる天井であったりとか照明器具であったりとか窓ガラスであったりとか、そういった部分に対する耐震化がなされておらず、かつ加えて、いわゆる老朽化をしていたというふうなことが相まって、避難所としての使用に耐えられず、体育館は使われていなかった。

 私は、この体育館が使われていたら、その小学校のグラウンドには、何百台もある車、そこで寝泊まりをしている方々もいらっしゃったわけで、やはり体育館が使えれば、その車の中で避難をされていた方もちゃんと平らな場所で休むことができた、そういうふうに思っております。

 そういった意味からしても、この学校の耐震化ということについては徹底的にやり上げていかなければいけない、徹して完成させていかなければ、最後の最後で使えないというふうなことになると思っております。

 そういった意味からも、今、構造材における耐震化については全国津々浦々一〇〇%までこぎつけているというふうに承知をしておりますが、非構造部材における耐震化についても、全国津々浦々一〇〇%までこぎつけていただきたい、加速化をさせていただきたいと思っておりますけれども、当局の御見解をお聞かせいただければと思います。

馳国務大臣 今回の熊本を中心とした地震で言えることは、耐震化が進んでいたわけでありますから、一切崩れることがなかった、崩落することはなかった、これは国民の皆さんにも感謝したいと思います。御支援のおかげです。

 ただ、非構造部材については、まだ耐震化が六四・五%までしか進んでいない。公明党の皆さんにも、現地に入った報告、懸念をいただいております。政策としていただいておりまして、本当に感謝申し上げます。

 今後は、やはり一〇〇%に近づけていく、そのための計画的な予算措置を求めていく、これは大きな課題であろうと思いますので、今後とも御支援よろしくお願いします。

吉田(宣)委員 我々公明党も、徹してこの問題、最後の最後まで取り組んでまいりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

 次に、今度は四番目の質問を飛ばさせていただいて、修学旅行のことについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。

 今般の熊本地震の影響で、熊本の観光施設というものが軒並み宿泊のキャンセルをされておりまして、九州全体の数であるかと思いますが、実に七十万泊の宿泊キャンセルが起きておりまして、観光産業にとっては極めて重大な影響が生じております。

 その意味からもこの問題には対応していかなければいけないのですが、実は、被災地以外の温泉地域であったり、そういったところというのは物すごく元気がよくて、ぴんぴんしているんですね。そういったところへの影響も生じているわけでございますが、やはり、修学旅行についても、この影響でかなりのキャンセルが出ているというふうに承知をしております。

 そういった意味からは、先日も本会議の質問で、国交大臣の答弁ですけれども、文科省と連携をとって事実状態の適切な提供等々をやっていくというふうな趣旨の答弁もあったかと思いますけれども、九州における修学旅行の取り組みについて、文科省の方からお聞かせをいただきたいと思います。

小松(親)政府参考人 お答え申し上げます。

 この熊本地震の影響によりまして、九州方面への修学旅行のキャンセルが発生している旨の報道がなされているということなどは私どもも承知しております。

 修学旅行の実施につきましては、ただいま御指摘ございました観光施設等の状況もあって、観光庁から御依頼も受けております。

 こうしたことを踏まえまして、各都道府県教育委員会に、五月十日に通知を発しております。修学旅行の行き先等の内容自体は各学校で定めるべきものでございますけれども、この通知で、現地の正確な情報に基づき、できる限り予定どおりの実施が望まれるという旨の周知を現在図っているところでございます。

吉田(宣)委員 被災地以外の熊本の観光業、非常に元気でございますので、ぜひ、正しい情報を発出していただいて、正しい認識を保護者の方も含めていただけるような取り組みをお願いしたいと思います。

 時間がもうそろそろなので最後の質問に移らせていただきますが、私、先ほど申し上げた視察において、学校で大変に心温まることに出会いました。

 それはどういうことかというと、まさに四月十七日の話で、水もない、食事もない、そういった中で、一生懸命、被災者、特にお年寄りのために頑張る人たちがいました。まだボランティアの人たちが入ってくるような状況じゃない、そのときでございます。

 どういう人たちだったか、人たちと言うと非常に申しわけないんですけれども、子供たちでございました。まさに自分が被災をしているその広安小学校の小学生、また卒業生である中学生、高校生がみずから名乗り出て、手を挙げて、ほかのお年寄りや多くの被災者の皆様のお手伝いをしていました。

 水を運んだり、わずかに届いた食事を持っていってあげたり、トイレに付き添ってあげたり、そういったことを自分たちから手を挙げてやり始めていた子供たち。私は、その小学校に伺わせていただいて、校長先生から一番最初にその小学生、中学生、高校生のことを教えていただきました。彼らにも会って話をしました。心から感謝をしている、そういったことも申し述べさせていただいたところでございます。

 私は、こういったとうとい子供の存在がどれだけ被災者の方に希望を与えていたか、はかり知れないと思いますし、そういった意味においても、何らかの形でこのとうとい子供たちに光を与えてほしいなというふうに考えているところでございます。

 まあ方法はいろいろあるのかもしれませんけれども、具体的に何ができるか、何があるかということは、私もなかなかいいアイデアがないところでございますが、何か光を当てるような、そういった施策、そういった取り組み、そういったところに関するお受けとめを最後に文科大臣にお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

馳国務大臣 私も、視察に参りましたとき、子供たちみずからが、被災者の皆さん方とともに作業にいそしんでいる、また高齢者を支えている、あるいは、就学前のちっちゃい子と遊んであげている、お互いにサッカーをしたりゲームをしたり、その姿に非常に感動を覚えました。

 また、学習指導要領においても、みずから進んで自主的にこういったボランティア活動をすることを奨励していることも事実であります。

 私も、委員の御指摘により、調べてみました。そうすると、日本教育新聞社とか、国立青少年教育振興機構とか、日本フィランソロピー協会など、独自に顕彰制度をしているところを文科省として後援しておりましたので、改めて、今回の震災を通じてというのではなくて、そういう子供たちの寡黙な活動が、地道な活動が、これはやはり褒められてしかるべきである、すばらしいということを、よい事例として表彰される制度が既にありますので、こういったところを今後とも後援し、応援していきたいと思います。

吉田(宣)委員 ありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷川委員長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 おはようございます。民進党の玉木雄一郎です。

 私は、きょう、先般の予算委員会に引き続きまして、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの招致をめぐる疑惑について質問したいと思います。

 私も、スポーツが好きな人間として、また、これは馳大臣とも議論させてもらったこともありますが、オリンピック応援団の一人として、この間の報道や、さまざまな疑惑と言われるものが取り沙汰されて、大変残念であります。

 まず、これは通告はないんですけれども、遠藤大臣、御意見、御感想を伺いたいんですけれども、海外のメディア、最近、私はこの件が出てからいろいろチェックしていますが、こういうことがありました。トルコのオリンピック委員会の副事務局長、これはアクソイさんとおっしゃるんでしょうか、彼のコメントとして、今回の不正が事実なら、東京はオリンピックを返上し、ロンドンに譲らなくてはならない、イスタンブールやマドリードではもう間に合わないと。

 こういうオリンピックの返上にかかわることが海外のメディアで報じられているのは、私自身、ショックであります。

 こういったことについて、オリンピックを担当する遠藤大臣、どう思われますか。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 そうした論調が出るというのは大変残念でありますが、これまでの経緯につきましては、JOC等が中心となってしっかり説明を果たされている、また、きょうもこうして委員会の中で果たしていただけると思っておりますので、自信を持ってオリンピック・パラリンピックは開催したいと思っております。

玉木委員 私も、みんなが楽しみにしている、特にアスリートの皆さんはこれに向けて、子供たちも含めて一生懸命頑張っている中で、返上なんということは夢にも思っていませんけれども、ただ、こういうことが国際的にさまざまな報道がなされていることも事実であります。これは我が国の名誉にもかかわることであるので、疑念については、払拭できるところは、これは官民挙げて払拭をしていかなければならない、そう思っています。

 その意味で、できるだけそういった疑惑が払拭できる、その機会だと思って質問をさせていただきたいと思いますので、ぜひ誠実に、また簡潔にお答えをいただければと思っております。

 竹田会長にもきょうまたお越しをいただいております。連日、大変ありがとうございます。

 まず、十六日の予算委員会の私の質問に対して、竹田会長は、ペーパーカンパニーではないと。

 これは、振り込みがなされた、今回のコンサル契約がなされたブラック・タイディング社と今申し上げますが、ここがペーパーカンパニーであるかという疑惑が言われているわけです。

 お手元の資料、配っている中の三の資料を見ていただくと、一部テレビの報道でもありますけれども、シンガポールの、ある公営住宅、一九五〇年代に建てられた集合住宅の一室が登録をされていて、今はそこに会社がもうないのではないか、登記も抹消されているのではないかというようなことも言われていて、海外のメディアの中には、これはアメリカのメディアですけれども、明らかなペーパーカンパニーだ、シェルカンパニーという言葉を使っていますが、そういう指摘もある。

 これを、私、この前予算委員会で質問したところ、竹田会長は、ペーパーカンパニーではないということを確信しておりますという趣旨の答弁をされました。

 ただ、こういう報道がなされていること、また、これも紹介しましたけれども、世界反ドーピング機関の独立委員会の報告書の中には、そもそもこのブラック・タイディングスというのは、ヒンディー語で言うとブラックマーケティングまたはローンダーブラックマネー、二つのことが書かれていまして、つまり、ブラックの、裏のマーケティング、あるいは裏金を洗浄するということをヒンディー語で意味するということが、これは公式の報告書の中の注書きに書かれています。

 まさにその名前を冠するこのブラック・タイディング社について、ペーパーカンパニーではないということを確信しているということもおっしゃいましたけれども、けさも、朝刊、朝の新聞で、この送金がなされた直後にパリの市内で、約二千万円、高級時計をそれで買ったということをフランス当局に確認したという報道もありました。

 改めて伺います。このペーパーカンパニーではないという確信はどのような根拠でお持ちなのか。そして、その確信を得るためには、このブラック・タイディング社あるいはタン氏と接触をとって確認をする、つまり、変なものには使っていませんねという確認が必要だと思いますが、十六日の時点では確認されていなかったということでした。その後、確認されたでしょうか、あるいはいまだに未確認でしょうか。お答えください。

竹田参考人 御指名いただきました、日本オリンピック委員会、JOCの竹田でございます。

 特に文部科学委員会の先生方におかれましては、日ごろから我が国のスポーツの振興に多大なる御支援を賜り、また、これから始まりますリオデジャネイロ・オリンピック、また二〇二〇年の東京大会に向け、多大な御支援そして御協力をいただいておりますこと、まずもって御礼を申し上げたいと思います。

 この招致活動の件では大変御心配をおかけしております。

 ただいま玉木先生より、御心配いただき、御質問いただきましたが、今後の取り組みについてまず御報告をさせていただきたいと思います。

 私自身は、JOCと、元招致委員会の理事長として確認し、報告させていただいておりますが、JOCと東京都で立ち上げた招致委員会は、JOCとは法人格の異なる法人として活動いたしてまいりました。御承知のとおり、解散している状況でございます。

 現状のJOC事務局による事実関係だけでは、当事者がほとんどいないことにより、限界もございます。つきましては、まずは外部弁護士を加えた調査チームを立ち上げることとし、改めて、当時の招致委員会の関係職員などからのヒアリングを行うなどして、この指摘の業務委託行為において違法性の有無について調査することといたしました。チームのメンバー、期間などを早急に詰めてまいりますが、まずは、第三者の外部弁護士を入れた形で調査を急ごうと思っておりますことをお伝え申し上げたいと思います。

 ただいま玉木先生から御質問のございました、ブラック・タイディング・カンパニーはペーパーカンパニーではないかという御質問でございますが、ブラック・タイディング社は、二〇一五年世界陸上北京大会での招致実績を初め、これまでの、博鰲フォーラムの運営サービス、二〇〇八年北京オリンピックのホスピタリティーサービス、二〇一二年の世界室内陸上競技の実績があったことから、ペーパーカンパニーでないということは認識しております。

 また、国際的な情報も広く持つ株式会社電通より、契約に値する会社であるという助言もあり、実際に、招致活動を通じて有形無形の成果を得ることができたと実感しているところでございます。

 また、ただいまもう一つ御質問をいただきましたが、この契約を開示できないかということでございます……(玉木委員「いや、確認しているかどうか」と呼ぶ)確認しているか。はい。

 現在は、この会社と確認はとっておりません。今刑事問題として挙げられているこの会社と我々が直接コンタクトをとることは問題もあると思っておりますし、私どもは現在控えております。

 ただ、捜査当局から調査の要請があれば全面的に協力してまいるつもりでおりますことをお伝えしたいと思います。

玉木委員 この前の予算委員会でもこれは政府に対してお願いしたんですが、弁護士を入れた第三者調査チーム、これを立ち上げるということは評価をしたいと思います。ぜひしっかりとこれはやっていただきたいなと思います。

 ペーパーカンパニーではないかということなんですけれども、二〇一五年の北京での世界陸上、こういったものが一つ実績であるから大丈夫だということなんですが、そもそも、なぜペーパーカンパニーというふうに言ったかというと、私の調べたところによると、日本でいうといわゆる個人事業者なんですね、会社の、コーポレートとしての法人格を持っていないのではないかと思われるんです。

 これは確認したいんですが、そういう、登録も抹消されていて、全く会社としての実体がもう既にない、もともとないということも言われているんですけれども、この点については確認されておられますでしょうか。

竹田参考人 ブラック・タイディング・カンパニーが実際登録されていたということは確認はいたしておりますが、現在どうなっているかということは確認いたしておりません。

玉木委員 これはぜひ確認していただきたいと思うんですね。

 一部報道にもありましたけれども、シンガポールの会計企業統制庁、ACRAというのがありまして、ここで、登記等の登録あるいは抹消、こういったことはどうもわかるようですから、直接接触すると口裏合わせだというような疑念があるということも理解はできますので、ただ、調べようと思ったら調べられますから。

 そもそも、今問題になっているこの会社が今も現に存在しているのかどうか、法人格があるのかどうか、この点、わかりますか。これはやはり、調べられるし、調べるべきだと思うんですが、いかがですか。

竹田参考人 確認いたしましたところ、ブラック・タイディング社は、二〇〇六年の四月二十七日にレジスターされ、二〇一四年七月四日にターミネーションしているというふうに報告を受けております。

玉木委員 だったら最初からそう答えてくれたらいいので。

 二〇〇六年にできて二〇一四年の七月四日に業務を停止している。ないということですね。だから、今現在ないということなんです。

 馳大臣にちょっとお願いがあるんですが、疑惑を晴らしていくためには、まず、どういう契約になったのか、二・三億円を払った成果物がどういうものか、まずこれをチェックするというのが基本の基本だと思います。

 ただ、聞いたところによると、守秘義務がかかっていて出せないんだと。守秘義務を解除するのは、ある種これは民間同士の取引ですから相手方の承認を得なきゃいけないということなんですけれども、今説明があったように、相手方はないんです、会社としては。そうすると、では守秘義務を解除するまで待ってくださいと言ったら、永遠に待たなきゃいけない。つまり、必要な情報は我々に永遠に入ってこないということです。

 必要な手続をして、できるだけ出せるものは出してもらうように求めるということを大臣もおっしゃっていたやに伺っていますけれども、改めてお願いしたいんですが、我が国の疑惑を晴らすために、できるだけ出せるものは出すということ、もちろん必要な手続をとる必要はありますけれども、そこは、これは重大な、ある種公益にもかかわる話であります。スポーツ庁等を通じて、JOCの皆さんあるいは関係の皆さんに、そういった資料をしっかりと出すこと、このことを改めてお願いしていただけませんでしょうか。

馳国務大臣 二つの段階があるかなと思っています。

 この問題が先週発覚したのは、フランスの捜査当局によるWADAの資料の開示に基づく指摘でありましたので、私は、まずその時点でこういうことを申し上げました、フランスの捜査当局については全面的に協力をしてほしいと。こういった形で疑惑というふうな表現をされたり、あるいは、不正があったのではないかとか裏金が渡ったのではないかというふうな言われ方をすることは、私も招致にかかわっていた一員として耐えられない表現であります。そこで、まずは一つの段階は、フランスの捜査当局に協力をしてほしい、これは一つの指示を出しました。

 二つ目が、今の、やはり守秘義務の問題であります。これもやはり国際的な信頼関係のもとでありますので、さはさりながら、相手がいない、どうするかということについては、公式には、直ちには出せない、こういうふうな表現をしております。直ちに出せないのはわかるけれども、やはり、まずフランス捜査当局の捜査に協力をしつつ、どの時点でどの程度まで出せるのかということのわかった時点で出せるように努力すべきではないか。

 今回のこのコンサルに払ったお金は確かに税金は入っておりませんと伺いました。とはいいながらも、やはり招致活動というのは公的な活動ということでありますし、我々、政府という立場で側面から東京都とJOCそして招致委員会を支援した立場でありますから、ここはやはり見守る必要もありますし、また、どの時点でどこまで資料が出せるのかということを確認しながら、出せるものはやはり出して説明をしていくという真摯な態度が必要だと思います。

 そして、そういうふうな態度を我々日本側がとることが、今後のことなんですよ、我が国だけではなくて、今後もいろいろな、今度、二〇二四年の招致活動が世界で多分始まるでしょう。IOCにもルールがあると思います。そこに与える、やはり日本としての姿勢ということにもつながると私は思いますので、そういうことも御理解いただきながら、段階を踏んで対応していきたいと思います。

玉木委員 よろしくお願いします。

 きょう、この場で明らかになったのは、今、ずっと取り沙汰されてきたブラック・タイディング社がもうないということですね。ないという中で、相手の同意を得てしか開示ができないということになると、それは開示をしないということと一緒なので、これだと我が国の、ある種疑惑が深まるばかり。

 多分、ルールを守ってやろうとしているんですが、外から見たときに、嫌疑をかけられている人の権利を守るために守秘義務を守る、結果として、我が国の潔白が証明できない、情報が出せませんということになると、どんどんあらぬ嫌疑もかけられてしまうということなので、ここは何らかの判断が必要なのではないかと私は思っていますので、大臣としても、そういったことを踏まえて、スポーツ庁また関連団体にしっかりと後押しをお願いしたいと思います。

 そこで、幾つか、JOCとしてもこれまでも説明に努めてこられたとは思います。その最たるものが、五月十三日に発表された東京二〇二〇招致活動に関わるステートメントというのがございます。今現在文章になっている、国際的にも、英訳もされているんでしょう、これが最大の反論文書だと思うんですが、この中に幾つかちょっと気になることがあるので、反論の強さを補強するという意味でも、幾つか質問したいと思うんです。

 まず最初、正当に評価された結果、招致が実現したということを柱書きに書いた上で、一番最初に出てくるのが、監査法人の監査を受けたということを一番の理由に挙げているんです。こういうふうに書いています。「報道されている支払いはMR.TANの会社から受けたサービスに対するコンサルタント料であり、これは新日本有限責任監査法人等により正式に監査を受けたものである。」ということです。

 これを見ると、監査を受けているので大丈夫かなということで思うんですが、ここで質問です。

 監査というのはいろいろあります。いわゆる会計監査というか、あるお金が正しい勘定項目に入っているかという形式的なチェックをするものと、これは農協の全中監査でも問題になりましたけれども、その中身自体が、ここでいうと、違法性がないかも含めて妥当かどうかという業務監査。実際、支払われたお金が目的どおり正しく使われているかまで含めた監査をしているなら、もうこの文書をもってオーケーです。国際的にも、何らやましいことはないということでやればいいんですが、そこまでしているとはとても思えないんです。

 確認です。ここで言われている「正式に監査を受けたもの」というのは、お金の使途の妥当性まで含めた、そういう監査なのか、単なる形式的な監査なのか、どちらか、お答えください。

竹田参考人 ただいまの御質問でございますが、監査法人からは、もちろん、契約があり、そしてそれに基づいて送金がされているということは監査の対象になっております。

 ただ、その契約の内容に基づいて行われたこと、それに十分対価があるかどうかというのは我々がそれに対して判断することで、今回の契約は、この金額そして成果に関しては、我々は、十分それに報いていただいたというふうに思っております。

玉木委員 わかりにくいのでもう一回聞きます。

 今問題になっている、支払われた対価たるお金が妥当なものかどうか、違法か適法かまで含めた監査をしたものではないですね。

竹田参考人 監査業務が妥当性を含むものであったということは理解しておりますが、現在、その監査書類を入手すべく、監査内容について詳細を検討すべく努力しておりますので、それに基づいてまた確認したいというふうに思います。

玉木委員 ちょっと待ってください。その書類を入手したからこのステートメントが出せたんじゃないんですか。

竹田参考人 書類は現在入手する努力をしておりますが、それに携わった事務局の職員からの報告を受けてお話し申し上げています。

玉木委員 一番最初の、反論文書のイの一番に出てくる、監査を受けたということを理由に挙げているんですが、では、これは監査を受けたという事実だけ書いてあって、どういう内容の監査かについては皆さん自身も把握していないということですね、現時点で。

竹田参考人 事務局から受けておりますその監査内容というのは、まず組織的な意思決定が行われていること、契約書が存在すること、そして契約に従って支払いが行われていること、それに対する成果物が存在することというものに関して監査を受けていると報告を受けています。

玉木委員 ということは、形式的な、支払いがあった、成果物がある、契約書があるという、いわば形式的なチェックだけであって、中身の、その支払い内容の妥当性、使途についてまで監査しているものではないということですね。

竹田参考人 詳細については、これから調査して、それからお答えしたいと思います。

玉木委員 わからないということなんです。

 これは、特定目的監査といって、オリンピックにかかわる、ある種の特別な目的を持った監査なんですね。

 きょうは政治家の先生がいるからわかると思いますが、会計検査院を思い出してください。単に、ある費目が予算書のこの項や目できちんと出されているかというのをチェックするのが形式的な監査です。ただ、それが実際、予算がついて、そうだと言って使われているのが別のものに流用されているか、ここは会計検査院が現場を回って調べる、こういうことまで含めてオーディットするということもありますね。

 それがどこまでの範囲のものを、この特定目的監査が含んでいるのかを聞いたんですが、把握されていないということがよくわかりました。少なくとも形式的なことはチェックしているけれども。

 だから、私が言いたいのは、反論すればいいと思います。どんどん反論すべきです。ただ、このことをイの一番に書いたからといって、そのことがその支払いの妥当性、もっと言うと、その払った対価の使途の妥当性まで担保するものではないということです。反論があったらお願いします。

竹田参考人 いずれにしろ、調査をして御報告申し上げたいと思いますが、この監査法人の監査に関しましては、IOCからのリクワイアメントで、それに対して、監査法人から監査を受け、それをIOCに提出して、それで初めてIOCから承認を受けているということはお伝えしておきます。

玉木委員 そういうことなんです。IOCと多分東京都に対してレポートする責任があるような監査だと思うので、普通毎年一回受けるような監査ではないので、中身が何なんですかと聞いたんです。

 そのことが、会計検査院がやっているような、中身まで入っていって妥当性をやるような監査だったら、そのことを堂々と書いて反論すればいいんです。領収書までとって全部調べましたというような監査なら書けばいいんですが、どうもそうじゃないなということできょう質問したら、そうじゃないということがわかったし、今後、もしそうであれば、きちんとそのことは、いや、反論があればしてください。

 つまり、私の質問は簡単です。お金を支払いました、二・三億円、そのことは、まさにコンサル料とかいろいろなことで、契約上書いていることであります。今、フランス当局からも疑われているのは、そのことによって貴金属なり物品を購入し、それを例えばIOCの委員の、言葉は悪いですけれども、買収に使ったようなことがフランス当局から疑われているわけですよ。そんなことがないんだということまできちんと、つまり、何に使ったかみたいなことまで調べていれば、そういうことまで調べた監査ですよと言っていただければいいんです。そうじゃないんだったらそうじゃないと言ってください。

竹田参考人 もう既に招致委員会は解散しておりますが、我々がそういった調査権があるとも思えません。

 ただ、これに関しては、調査チームでよく調査して、また御報告申し上げたいと思います。

玉木委員 なぜこういう質問をしたかというと、十三日のインタビューで竹田会長はこうおっしゃっています、適切な監査を受けてから送金したと。これは私は、事実に反すると思うんですね。監査というのはあくまで事後的なものなので、全部監査を受けて、あるいは支払い方とか、それで支払ったので大丈夫というわけではないですね。

 ここは、もし事実と違う発言をされているのであれば訂正された方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。

竹田参考人 私が申し上げたのは、送金の事実については監査を受けているということを聞いているということを申し上げたつもりでおります。

玉木委員 私が読んだのは、これはサンスポだと思いますが、報道で見たのは。いや、それは書いていますよ。それはもしあれだったら否定されたらと思いますよ。十三日、まとめてインタビューを受けていますよね。

竹田参考人 それは、私の説明と、事実が違うと思います。

玉木委員 では、報道が間違っているということですね。

竹田参考人 私の発言と、内容が違うというふうに申し上げます。

玉木委員 いずれにしても、支払いの妥当性ということでいうと、契約書、そして、なぜこのブラック・タイディング社を選んだのか、組織内でいろいろなしっかりとした、組織として決定したということもさっき話がありましたけれども、だったら、その組織内の決裁書、二億を超える支出をする、こういったものを、これも可能な範囲で提出をお願いしたいと思いますので、ぜひこれは前向きに検討していただきたいと思います。

 次に、契約内容そのものについてお伺いします。

 タン氏との契約締結は東京でやったんですか、シンガポールでやったんですか。

竹田参考人 どこでその契約を行ったか、現在確認できませんので、それもあわせて調査したいと思います。

玉木委員 二億円を超える支払いなので、この前の予算委員会でも、向こうからある種売り込みがあって、それでそれを電通に確認して、いいからといって契約したという話があったんですが、では、こっちからシンガポールに出かけていって、わざわざそこで契約しているんですかね。東京でしていないんですか。そのことも今わからないんですか。わかりますか。

竹田参考人 コンサルの契約だけでも十幾つありますので、それぞれがどこでどういうふうに行われたか、今ここでは現状はわかりません。(玉木委員「調べる」と呼ぶ)はい、調べて御報告いたします。

玉木委員 では、調べて報告してもらいたいと思います。

 質問は、今回の契約です。具体的にこの契約内容はどういうものだったのか。一部、支払いは二回に分かれていますけれども、契約そのものも二つなのか、一つなのか。当該相手人が一人ですから一個の契約でいいと思うんですけれども、支払いは二回ですよね。これは確認しましたけれども、契約も二つなのか、一つなのか。もし分かれているとしたら、それぞれどういう契約なのか。これをちょっと簡単に、簡潔にお答えいただけますか。

 つまり、コンサル料、コンサル報酬と、成功報酬と、あとは日々の旅費、庁費みたいな、そういったものもあると思いますけれども、どのようなものを払う契約になっていたのかというのを簡潔にお答えいただけますか。

竹田参考人 ブラック・タイディング社との契約は、異なる業務内容で二つの契約を行い、それぞれの業務対価として二回にわたって支払ったものであります。もちろんこれは、招致委員会の正式な手続に基づいて契約を交わし、行っております。

 この契約の内容でありますが、一回目は、最終段階に入った国際ロビー活動を効果的かつ効率的に行うため、ロビー活動コミュニケーション戦略の確立、IOC委員の動向、周辺情報の収集、大会関係の情報収集などの業務委託であります。これは、期間が二〇一三年七月一日から九月三十日、そして契約金が九十五万USドル、そして支払い日が七月二十九日となっております。

 二回目の契約は、招致決定後、IOC総会や東京招致の要因について情報収集、分析を委託し、招致に関する報告、今後の活動などのために基礎資料とすべく業務委託をいたしました。契約期間は二〇一三年十月五日から十一月三十日、百三十七万五千USドル、支払い日が十月二十四日であります。

 そして、本日のこの文部科学委員会の皆様にも、多くの方が、なぜこの時期に実力がある会社と契約することが重要となったのか、御承知でない方も多くいらっしゃると思いますので、少し御説明をさせていただきたいと思う……(玉木委員「いや、いいです」と呼ぶ)これは、二つに分けた理由が、重要なことがここに書かれておりますので。(玉木委員「次に聞きますから」と呼ぶ)そうですか。はい、わかりました。

玉木委員 次の質問は、なぜ二つに契約を分けたのかということと、もう一つは、今、ちょっと済みません、私、聞き逃したのかもしれませんが、成功報酬というのが一つ目の契約にも二つ目の契約にも入っていなかったと思うんですけれども、成功報酬的なものは一番目の契約なんですか、どっちに入っているんですか。その二つの質問に答えてください。

竹田参考人 まず、二〇一三年八月十日から十八日まで開催されましたIAAF世界陸上選手権大会は、同時にIOC理事会が行われたため、三十名以上のIOC委員が出席するということが事前にわかっておりました。そして、二〇一六年のオリンピック・パラリンピック招致時にも、二〇〇九年、ベルリンで行われました同選手権が招致の決定一カ月前に開催され、これが決戦の場であった、そこで活動が十分できなかったということが敗因となったことの一つでもあります。

 二〇二〇年の招致では同じ失敗は許されず、モスクワの世界陸上選手権で、活動の決戦の場であり、そのための招致戦術を策定するべく、二〇一三年四月から六月にかけて全力で取り組んでいたというふうに報告を受けております。

 しかし、世界の陸上関係者へのアプローチの点での人脈が脆弱であるとの結論に至り、そこで、事前にアプローチを受けていた数名のコンサルタントのうち、国際陸上競技連盟関係に太いパイプを持つブラック・タイディング社に業務委託を行うことが大変有効であるということが、電通の紹介もあり、そして推薦もあり、確認をして、そして契約交渉を進めたという経緯がございます。

 そして、契約金額については、二〇一三年六月時点、この時点では招致委員会の収入状況がとても悪く、契約するには十分な金額を提示することができませんでした。報酬と諸経費を含めて、込みで九十五万ドルの契約を行うこととし、その際、招致が決定した際の、その時点の収入の確保状況も踏まえ、成功報酬的な要素のある新たな追加業務委託もあることを話し合っていたということを聞いております。

 他の契約はほとんど、諸経費は、諸経費と申しますのは、旅費とか、いわゆる滞在費、そういうものでありますが、これは別建てになっておりましたが、このときは非常に収入状況が思わしくなく、全て込み込みで九十五万ドルということで契約をいたしていると報告を受けております。

 二〇一三年九月七日、ブエノスアイレスのIOC総会での東京決定を受けて、日本国内で盛り上がりも大きく、日本国民全体に活気をもたらすことができたと思っております。

 また、その時点において、民間からの収入を確保するめどが立ったことにより、ブラック・タイディング社との追加契約も可能であると判断を行い、そして、東京に決定した成功要因の分析もあわせて報告していただくことで、二回目の契約を行ったと報告を受けました。

 ブラック・タイディング社からは有形無形の多くの有益な情報を受け、評判どおりの業務を行っていただくことができたというふうに確信をいたしております。

玉木委員 ちょっと違和感を感じますね。

 では、一回目の契約には成功報酬は入っていなかったということですね、お金がなかったから。

 でも、定義上、成功報酬というのは、成功したら払うということをその決定の前に約束をしないと成功報酬になりませんよね。つまり、招致できることが完全に決まった後に契約をして払うのは、それは成功報酬じゃないですよね。つまり、今のお話だと、一回目の契約、約一億円の契約は、コンサル報酬と必要経費を入れたものが主な構成要素ですね。

 ほかにこういった、例えばプレゼンテーションのやり方を教えてもらうようなコンサルとか、いろいろ雇っていると思うんですが、伺います。今回、招致に関して雇ったコンサルは全部でどれぐらいいて、十人、二十人、三十人いたらそれをお答えいただきたいんですが、何人いたのかということと、あと、このような形態の成功報酬の払い方、つまり、契約の中には成功報酬を書かないで、それを、何かさっきの話では口頭ですか、うまくいったら後で払ってあげますよということを口頭でつけ加えて、契約書自体にはコンサル報酬と必要経費だけを対象にする、このような内容の契約は他のコンサルとも同じように結んでいるんですか、これだけなんですか、お答えください。

竹田参考人 報告を受けておりますが、それぞれのコンサルによって内容はまちまちだということを受けております。ですから、成功報酬が入っているものと入っていないもの、あるいは旅費が入っているもの入っていないもの、それぞれの契約によって内容が異なるというふうに報告を受けています。

 それから、ただいま御質問の、何名のコンサルを使ったのかということでありますが、報告によりますと、まず招致の計画づくり、あるいは広報のPR戦略、プレゼンの指導、国際渉外とそのアドバイス、ロビー活動、招致活動全般について、それぞれの技術的なものからコンサルアドバイスなど、多岐にわたる、そういったコンサルを受けたわけでありますが、基本的には、東京大会のすばらしい我々の計画を各IOC、オリンピック関係者に伝えて、そして招致をかち取ることでありましたので、大体十名程度ということで聞いております。

玉木委員 十名程度ということですね。

 いろいろなことがあるということですが、私の質問は、その中で成功報酬として払うこともあるということだと思いますが、成功報酬を渡すということをした中で、それを契約に書かないで成功報酬を払った例はそのほかにもあるのかということを聞いているんです。

竹田参考人 現在、全ての契約書をチェックしているわけではありませんので現状ではわかりませんが、それもこの調査チームで調べる努力をしたいと思います。

玉木委員 よくわからないですね。

 では、お伺いしますけれども、さっきちょっとわからなかったのは、招致が決定した時点で成功報酬を払うということを、では口頭で先方と了解していたんですか。

竹田参考人 ですから、最初の一回目の契約を行うときに、収入、原資が少なかったということもあり、先方とのいわゆる協議の中で、成功報酬までは、このまま行って、実際、招致が終わったときにどういう財政になっているかわかりませんから、それは契約はできませんでした。ただ、終わった時点での収入、そのときの財政の状況によってはそういうこともあり得るなというニュアンスで話はしていたということは報告を受けております。

 ですから、契約書に、そこで、その時点で書かれているわけではないということだと思います。

玉木委員 驚きました。

 これは、支払い、資料一を見ていただければわかるんですが、一回目が一億円、招致が決まった後に払っているのが一・三億円です。先ほどの説明だと、対象の期間が、一回目の一億円は三カ月ですね、七、八、九。二回目の一・三億円、より多い方は、十月、十一月の二カ月だという御説明をいただきましたけれども、短い期間の方が一・三億円と大きいのと、この支払いを、口頭で、やることを了解していたと。

 だから私聞いたんですよ。逆に言うと、成功報酬として一億円を超えるお金を払うということであれば、当然明文の契約を交わすべきですね。お金がないという話がありましたけれども、そういう条件つきの支払いで、一回目の契約書に書いておけば、招致が決まらなければ、それで協賛金もさらに入ってこないから、払わなくていいわけですから。決まれば入ってくるから、そのときに払いますよということを一回目の契約書に書けばいいんです。

 書いていないということで、契約からは外れた形で、ただ決まったらお支払いしますよということを口頭了解していたというのは、異様だと思いますよ。

 それと、確かに、八月のモスクワの世界陸上、あれは、そこにIOCのメンバーが集まるときは非常に大事な、招致決定の一カ月前ですから大事なことはよくわかります。わかるんですが、今の話の裏から少し透けて見えるのは、一番最初のコンサル費、まあ、成功報酬も含めたものでしょう、この要求は二億円を超えるものであって、その時点の財政状況では払えなかったものだったんですね。でも、それでも口頭で約束することまで含めて契約しようというふうに意思決定したというのは、これは相当無理しているんじゃないかなと思われるんです。

 少なくとも、一億円を超えるお金を契約書に基づかず払うことを約束していたというのは、組織として問題ではないですか。

竹田参考人 第一回目の契約の時点で了解していたとは一言も申し上げておりませんし、その時点でそういう要素の話があったということは後で報告を受けています。ですから、そのときに了解している、そういうことを事前に約束しているということは全くありません。

玉木委員 先ほどの説明とちょっと矛盾すると思うんですけれども、いろいろそういう話があったということをおっしゃったじゃないですか。

竹田参考人 そういう話し合いがあったと聞いておりますだけで、了解はしておりません。

玉木委員 そうすると、招致が正式に、もう明確に決まった後に払っているこの一・三億円のお金は何なんですか。

竹田参考人 ですから、その後に契約して、その契約に基づいてこの対価が払われたということであります。

玉木委員 さっきも言ったように、契約期間は二回目の方が短いんですね。先ほどの話だと、成功要因に関する情報収集、分析といって、もう決まった後に、あるコンサルとわざわざ契約を結んで成功要因の分析をして、また冬季オリンピックとか夏季オリンピックをやるんですか。それに前の分よりも大きい一・三億円を払う意味がわかりません。それは、先ほどおっしゃった成功報酬的な要素があったということでしょう。

 成功報酬ということは、決まる前に、何らかの文書上、口頭上の約束がないと、成功報酬と定義できないじゃないですか。

竹田参考人 先ほども申し上げましたけれども、成功報酬的な要素のある新たな追加業務もあるということを話したということを申し上げました。ですから、決して、そこで確認している、あるいは認めているということではありません。

 それから、招致決定後のことについてお話ししたいと思いますが、招致決定後の各種分析、それからロビー外交の有効性の検証、それから一連の招致活動で築き上げた信頼関係、これを守って今後に発展させていく、招致をかち取ったその後、二〇二〇年の大会を成功に結びつけるためにも世界とのきずなをさらに強固にしていく、非常に必要不可欠な重要な分析データだったというふうに思います。実際には、日本を支援したと言いながら協力を得られなかった委員もおりますし、いろいろなことを分析していくということは今後のためにも非常に重要であり、そういったものの分析がこの二回目の契約の主なところだというふうに申し上げます。

玉木委員 いや、よくわかりません、私。

 中身が、いろいろなコンサル契約ですから無形物が多いんですけれども、これは外形的に見て、単純に三カ月で一億円、二カ月で一・三億円ですから、一日当たりに割ると、前の契約は一日当たり大体百万円ですよね、百万円ちょっとかな。二回目の契約が二百万円ぐらいになるんじゃないですか。もう終わってしまって招致が決定した後、次につなげていく、それは分析するにこしたことはないですけれども、新たに契約を結んでやるようなものなんですかね。

 質問します。十ぐらいコンサルタント契約を結んだというふうに話がありましたが、同様に、招致が決定した後、同じ人と新たに契約を結んで、前の契約より大きい金額として払ったケースはありますか。

竹田参考人 現在、詳細についてはわかりませんが、特にブラック・タイディング社とは、世界陸連の世界選手権大会、そこに合わせた最後の非常に重要な場面であったということで、そういった意味ではほかの契約とも内容が異なっているというふうには思います。

玉木委員 では、こういうケースはブラック・タイディング社だけなんですね。同じ相手と二つの契約を招致前後で分けて支払ったというケースはブラック・タイディング社だけという理解でよろしいですね。

竹田参考人 それは、全部の契約を見ないと確実なことは言えないと思います。現状では確認できておりません。

玉木委員 先ほど、ブラック・タイディング社が特別だという、特別の趣旨はどういう趣旨でしょうか。

竹田参考人 九月に招致決定をするわけですが、その直前の最後の世界選手権、世界陸上で、やはりそこは重要な、最後の決戦場だというふうに我々も考え対策を練っておりましたので、そういった意味での特殊性があったということを申し上げたつもりです。

玉木委員 ちょっとよくわかりません。

 招致が決定した時点で追加の契約をし、追加の成功報酬を払うということを、事前に文書を交わすことなく話し合っているということは、それは一体どういうことなんでしょうか。成功報酬的という、成功報酬に的がつくという説明も私はよくわからないんですが。これは決裁文書をぜひ見せてもらいたいと思うんですね。どういう目的でこの契約に至ったのか、組織内でもいろいろな議論をされていると思います。

 あわせて、先ほど十程度あると言いましたが、私が質問したように、このようなケース、まず、これは主に二つあると思いますが、コンサル報酬と必要経費という組み合わせでしたよね、今回。普通は、成功報酬を払う場合は、コンサル料と、うまくいったらこうですよという成功報酬も書いたものをセットで契約を一本すると思うんですよ。ブラック・タイディング社と同じようなケースがほかにあるかどうかについては、十ぐらいですから、あと九調べればいいので、それは早急に調べて委員会に提出いただきたいと思います。今答えられるんだったら答えてください。

 次に伺いますけれども、これは、選定に電通さんが深くかかわっていますね。

 二〇一五年の北京世界陸上の招致なんかが実績として挙げられるということなんですけれども、提出いただいた資料にも、ブラック・タイディング社というのは、主な実績、二〇一五年世界陸上北京大会の招致コンサルタントとかと書いてあるわけですが、お伺いします。タン氏の実績を見て、まさに招致に対していろいろな力があるんだということなんですが、具体的に彼のどのような力を期待して契約をしたのか、お答えいただけますか。

竹田参考人 先ほど申し上げたように、陸上競技連盟に対しては人脈その他脆弱な点があったということで、幾つかのコンサルの中から、経験のある、特に国際陸上競技連盟、IOCとの非常に情報を持っている電通さんの意見を聞いたわけですが、電通さんは、御承知のとおり、広報やスポーツマーケティングの世界においても非常にすぐれた実績を持っておりますし、IOCそして世界陸連に対してもいろいろなマーケティングの関係も多く持っております。そして、このスポーツ分野において多くの人脈、情報を持っている企業であるということから、国際的な招致に関する情報について電通を深く信頼していたということは言えると思います。

玉木委員 多くの人脈の中にディアク親子は含まれていますか。つまり、ディアク前会長あるいはその息子さんとの関係がこのタン氏は非常に近いということを認識した上で契約をされたということでよろしいですね。

竹田参考人 ブラック・タイディング社が、国際陸上連盟の仕事、いわゆる業務実績がありますから、当然ブラック・タイディング社とディアク会長は知らないわけはないと思いますし、そういう関係があるということはもちろん知っての上での契約であります。

 ただ、一つ申し上げておきたいのは、今報道で出ているような、ああいった関係があったということは全く知る由もなかったということを申し上げたいと思います。

玉木委員 以前、竹田会長は、国際陸連に近いとは知っていたが、ディアク親子とのつながりは知る由もないというふうに一回答えておられるんですが、今は、当然そういう関係があったのは知っていた、ただ、こういう不正、不当な関係があったようなことは知らなかったということ。

 当然、これだけの、二億円を超える契約をするわけですから、それはもうIAAFも、ディアク会長に何らかのつながりがある人じゃないと契約しませんよね、普通。当然それは知った上で契約したということは先ほどの答弁のとおりでよろしいですね。改めて確認です。

竹田参考人 その関係を知らなかったということの意味ですけれども、関係なんですけれども、当然、先ほど申し上げたように、ブラック・タイディング社と世界陸上競技連盟の会長のディアク氏との仕事のつながりもありますから、そこの関係はあるのは存じていました。

 ただ、先ほど申し上げた、その関係を知らなかったと私が言った意味は、そういう、今報道で出ているような、ああいった関係があったということは全く知らなかったということを申し上げただけで、意味合いが、関係という意味が違うようにとられておりますので、それはしっかり御説明申し上げたいと思います。

玉木委員 今、重要な答弁だと思いますね。十六日の私の質問に対して、会長はこのようにお答えになっています。「このIAAF、世界陸上競技連盟とブラック・タイディングス社は業務の実績はあるということは伺っておりますが、ラミン・ディアク氏そしてその息子さんたちとこの会社が」、ブラック・タイディング社ですね、「関係があるということは、全く我々は知る由もなかったということをお伝え申し上げます。」十六日の私の質問にはこういうふうにお答えになっているんですね。何の限定も注もついていない。

 ただ、今の話だと、当然関係があることは知っていたけれども、悪い関係があることは知らなかったということだと思うので、これは訂正というか、ちょっと舌足らずな説明だったのかなと思います。

 それで、次の質問をします。

 これは、最終的には電通さんに聞いて、それで決めたということだと思うんですが、きょうもちょっと説明した世界反ドーピング機関の独立委員会の報告書、WADAといいますけれども、そこの報告書によると、電通とタン氏は直接は関係がないんですけれども、電通の関連会社、スイスにある会社、AMSと略しますが、この国際陸連のコンサルタントとしてタン氏が雇われていたという記述が出てきます。その意味では、広い意味での電通グループとタン氏は関係があるということですので、タン氏が仮に売り込みに来たときに、それを電通に聞いて、この人はいいですかと言ったら、いいと言うに決まっていますよね。

 だから、その選定において客観性があったのかどうか。電通のみに聞いたのか、どのような過程で、つまり、このタン氏を選定する際に、電通はスポーツ界でも非常に大きなビジネスをされていますから信頼できる主体だと思いますけれども、ただ、このタン氏が、電通というよりも電通関連会社、グループとの関係がある者だということが今報告書の中では言われているので、その意味では、選定の、あるいは評価の客観性に欠けていたのではないかなとは思われませんか。

    〔委員長退席、木原(稔)委員長代理着席〕

竹田参考人 当時、電通さんは招致委員会の業務委託も受けておりましたし、一番信頼ができるスポーツのマーケティング会社というふうに我々は理解しておりました。長らくJOCのマーケティングの仕事も手伝っていただいております。そういった意味では信頼を持っておりましたし、今の、AMS社と電通さんの関係、あるいはタンさんの関係ということは、私どもはその記事を見て知ったということでございます。

玉木委員 もう終わりますけれども、きょう少しいろいろ議論して幾つかのことが、明らかにしなければいけないなと思ったのは、一つは、やはり契約ですね。他の契約との関係は、少しこれはやはり比較をしてみる必要があると思いますので、十程度あると言われていた契約について、コンサル報酬、必要経費、成果報酬、どういうことが書かれてあるのかを一度きちんと整理して、これは当委員会に提出していただくことを求めたいと思いますし、改めて両大臣にお願いしたいのは、疑惑を晴らすためには、やはり情報を出してこないとしかるべき反論ができないと思いますから、その意味では、しっかりとしかるべき情報を適時開示するということを関係機関、団体に要請することを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

木原(稔)委員長代理 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 まず初めに、二〇二〇年開催の東京オリンピック・パラリンピック競技大会をめぐる問題です。

 この間、白紙撤回に追い込まれた新国立競技場の建設問題、エンブレム選定の不透明なプロセスなどに国民的な批判が起きております。

 さらに、今回の招致をめぐる疑惑です。多額の資金が国際陸連前会長側に振り込まれたとされる疑惑です。オリンピックをお金で招致したのではないかと疑念を持たれております。重大な問題です。

 伺いますが、これではとても東京オリンピック・パラリンピックを国民が支持することなどできない、そういう深刻な問題だと思いますが、その受けとめは遠藤オリンピック・パラリンピック担当大臣にございますか。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 今回の件につきましては、国民の皆さんに大変御心配をおかけしている、そういう認識ではあります。

 同時に、今、先ほどの質問の中にも、竹田会長から、調査チームをつくって、そしてその経緯を報告したいということがありましたので、今回の件はまずはしっかりと説明がつくと表明されておりますが、改めてその調査チームで調査をし、何よりもJOCがなお一層丁寧に説明をして、そして国民の皆さんの理解をいただけるよう御努力をしていただきたいと思っております。

畑野委員 馳文部科学大臣は記者会見で、きのう、ロビー活動を展開するため、より核心に触れる情報が必要だった、多数派工作で、買収ではない、票読みの山場で、二〇年の五輪をどこで開催するか、激しい情報合戦が繰り広げられていたと指摘されました。IOCメンバーによる東京電力福島第一原発の汚染水問題に対する懸念を払拭する必要もあったと説明されました。その上で、どうしたら汚染水の問題にきちんと答えられるのか、東京がふさわしいと思ってもらえるのか、核心的な情報を得るにはコンサルが果たした役割は極めて大きいと述べられました。

 しかし、オリンピック招致に、このようなコンサルティングに何億円ものお金が必要だという現実にも国民はあきれております。

 そこで伺いたいんですが、オリンピック招致は、開催都市である東京都と、日本オリンピック委員会、JOCが行ったもので、今回の疑惑についても、お話がありましたように、それぞれの責任でみずから明らかにするべきことであるのは当然です。その上で、招致に当たって、どのようなコンサルタント会社が、ちょっと先ほどありましたが、幾ら契約してきたのか、全て明らかにするべきだと思いますが、馳文部科学大臣、いかがでしょうか。

馳国務大臣 二つお答えしたいと思います。

 本当に非常に重要な段階にあったということはまず申し上げましたが、加えて、汚染水の問題とともに、当時、ブエノスアイレスのIOC総会では、実は三つの選挙が行われることになっておりました。

 一点目は、IOCの会長選挙です。もう一点は、中核競技としてどの競技が残るかという選挙です。そしてもう一つが、二〇二〇年の開催会場をどこにするかということで、この三つの選挙に当たって、我々日本の招致委員会がどのような情報をもとに判断し、働きかけをするのか、そして、より日本が開催都市としてふさわしいと思ってもらえるようなストーリーをつくっていくための核心に触れる情報はどのようにして入手すべきか、そのためのコミュニケーションをどうするか、こういうことが当時大きな課題であったということはまず申し上げておきたいと思います。

 その上で、今御指摘の点ですが、二〇二〇年東京大会の招致活動について、招致委員会は、海外コンサルタント業務について十社程度と契約を締結していたと報告を受けております。

 文科省としては、ブラック・タイディングス社以外の海外コンサルタント業務について、捜査当局等から具体的な疑いが提起されているものがあるとは承知しておりません。

 税金が一切投入されていない純粋な民間の活動であるため、他のコンサル契約について、契約額などの調査を求めることは考えておりません。

畑野委員 オリンピック・アジェンダ二〇二〇、二〇一四年十一月十八日のものですけれども、その中で、提言三として「招致経費を削減する」ということが入っております。こういうことが問題になっているということなんですね。ですから、これまでと違う一層の対応が私は必要だと思うんです。

 東京都とJOCが招致を行ったわけですが、政府や国会議員もこの招致に深くかかわってきたと思います。先日の予算委員会で、馳大臣は、二〇一三年八月のモスクワ世界陸上にみずからも行き、招致活動を行ったと答弁されました。

 伺いますが、馳大臣は、招致活動として、海外への渡航は何カ国、何日行ったんでしょうか。また、IOC委員との面談はしていらっしゃいますか。

 あわせて、同じことを遠藤大臣にも伺います。

馳国務大臣 十二カ国に計五十八日間、訪問をさせていただきました。

 そして、国際会議の場面など、あるいはホテルのロビー、深夜のバーなどで、お会いできる限り、顔を見かけたら、下手な英語ではありましたが、やはり直接話をしないと話を聞いてもらえないんですね。

 遠藤さんはこの後お話しいただくと思いますけれども、私の場合には、ちゃんとスポーツ基本法という法律があって、我が国がどういうふうにスポーツに取り組んでいくのかとか、一番関心の高かったのは、子供たちのスポーツに取り組む環境、学校教育において体育の授業がどのように行われていて、その指導者はどうかとか、また、政治家でもありますので、経済界の反応はどうか、こういった周辺の情報をやはり直接聞いていただいて、東京の取り組みを支援する体制が、なるほど、国会議員団、それも与野党を通じてですが、それぞれの範囲内で働きかけをする役割を果たし、同時に、相手方からもお話を聞いて、その情報を最終的には理事長である竹田理事長に集約する形にして、確実な情報を集めるように努めた、これが当時の私の任務でありました。

遠藤国務大臣 お答えいたします。

 私は、実質的に、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック招致の国会の中での活動の中心を担っておりました。そこで、国会決議も皆さんに御協力いただきましてさせていただきましたし、その後、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック招致議員連盟というものを結成し、これは超党派でありますから、当時、元総理大臣でありました鳩山由紀夫先生に会長になっていただき、私が幹事長として、超党派の皆さんで一緒にこの招致活動をしてまいりました。

 正確に今、何カ国、何日、まだ精査しておりませんが、少なくとも、その二〇一三年の決まった年は、ロシアに二回、ウクライナそしてスペイン、そして最終的にブエノスアイレスに行ったということを覚えております。

畑野委員 今、両大臣からお答えしたので、ちょっとつけ加えて伺いたいんです。

 それは、相当な回数、馳大臣も行っていらっしゃるんですけれども、費用、滞在費などはどこから出ているんですか。

馳国務大臣 正式な私の当時の立場は自由民主党二〇二〇年オリパラ招致本部長ということで、当時、三月ぐらいでしたかに、いわゆる総裁直属として、僕は、ロビー活動は日本は今までも弱い、二〇一六年のことは御承知のことかと思いますが、やはり政治の側からも、特に私は実はオリンピック選手でありますし、また日本レスリング協会の副会長もしておりましたので、そこそこの人脈がございましたので、そういう観点から、活動してほしいと言われました。

 国会議員の中にオリンピック選手は五名おりまして、麻生太郎さん、私、橋本聖子さん、堀井学さん、谷亮子さん。この中で、やはり総理とすれば、自由民主党の、私は当時十八年の経験もありましたし、福島の問題については放射性廃棄物処理の法案にも議員立法で携わっておりましたので、ちゃんと、政治家という立場と、オリンピアンという立場と、また、福島問題に答えていくに当たって説明して歩くにはふさわしいということで指名をされたわけでありまして、したがって、党の経費で行かせていただいたというのが実情であります。

畑野委員 遠藤大臣はいかがでしょうか。

遠藤国務大臣 今、馳大臣からお話ありましたように、私も、当時、馳大臣と一緒に自民党のオリパラ本部の本部長代理をしておりましたので、私の渡航については自民党本部で出したと記憶しております。

畑野委員 今、両大臣から御答弁がありましたように、お二人とも招致に深くかかわってこられたというのは事実ですよね。お話があったように、招致の最終プレゼンテーションには安倍総理大臣みずから出席もし、招致を訴えてきたという経緯もあります。

 ですから、私、申し上げたいのは、政府として、東京都あるいはJOCの対応を待ちたいということではなくて、本当に、直ちに、そういう点も含めて、明らかにしていく点を求めてやっていただくことは必要だというふうに指摘をしておきたいと思います。

馳国務大臣 おっしゃるとおりだと思っているんですよ。私も、先週、疑惑として指摘された、これは、こんな疑惑を抱えてとんでもない、したがって、やはり事実関係はフランス捜査当局にちゃんと協力をしてほしいと。ただ、捜査当局に協力するということは、同時に、説明責任を果たしていくに当たって、捜査中というのはなかなか情報が外に開示できないという問題もありますから、そのバランスをとりながら、契約書等、守秘義務があったりするものですから、法律に基づいて適時適切に、やはりまず疑惑を晴らすための協力をしっかりしてほしい、こういう指示を出したところであります。

 私も、実際自分がかかわっていた招致に対してこういうことを言われることは極めて残念に思っておりますので、そういう観点からも、やはり丁寧に対応していきたいと思います。

畑野委員 オリンピック、パラリンピックのあり方そのもの、根本から本当に考えていく必要があるということを私は申し上げたいと思います。

 そのことを申し上げて、次の質問に移ります。

 子供の教育にとって困難な状況が広がっている中で、教育条件の底上げ、とりわけ少人数学級の推進は待ったなしの課題です。繰り返しこの問題をこの委員会で各党の議員の皆さんも熱心に御提案もされ、御議論もされてきたと思います。

 二〇一一年に、全会一致で、小学校一年生を三十五人学級にする法改正を行ったとき、その附則で、小学校二年生から中学三年生の学級編制の標準を順次に改定するということなどが定められて、政府にそのことを求めました。当時、全会派による修正案が出されて、「政府は、前項の措置を講ずるに当たっては、これに必要な安定した財源の確保に努めるものとする。」という言葉が加えられました。立法府の意思は明らかだと思うんです、進めようということだと思うんです。

 私が昨年の予算委員会でも質問した安倍首相が、全会一致の重みもかみしめながら、さらに三十五人学級の実現に向けて鋭意努力していきたいと答えられました。

 しかし、予算案やその後の予算の状況を見ると、一向に進まない。安倍政権になって三回の予算編成ですが、今回もまた、三十五人学級推進の、推進のスの字もないんです。財務省は、教職員をもっと減らせ、もっと減らせ、そういうふうに言ってくるということも聞いております。

 それで、世間はどう見ているか。昨年十二月に放映されたNHKの「時論公論」で、少しでも予算を削りたい財務省と、先生の数を確保したい文部科学省との間で、毎年のように予算編成で最後までもめ、政治決断が図られないまま、根本的な問題解決が果たされない状態だと報じられております。

 先生の、教職員の数の確保は、保護者、教育関係者そして立法府の総意です。

 私はことし四月の小学校の入学式に伺いまして、校長先生が、教職員を減らすなんてことは絶対にやめてくださいというふうに訴えておられました。しかし、これが、財務省の反対があって、いろいろあって、なかなか進まない。

 これは、総理が鋭意努力したいとお答えになったわけですから、馳文部科学大臣に、改めて、前に進めていただきたいということで、きょうは質問させていただきます。

 なぜ少人数学級が切実なのかということなんですが、学校現場の現状、これは御存じのとおりですけれども、今の教職員の数では子供の変化に追いつかないという状況があります。

 四十人学級が完成した一九九一年と比較して、二〇一四年、中学校の学内暴力なんですが、これは途中で調査方法が改められていて、単純な比較はできないという資料ですが、文部科学省からいただきました。この間、件数は十倍になっている。それから、外国人の子供の人数は約五倍、小中学校で大きくふえております。同じく、小中学校、通級による指導を受けている児童生徒数は、これは二〇〇六年との比較ですが、二〇一五年には約六倍にふえている。

 ですから、丁寧に対応する必要のある子供が急増している。既に一九九〇年代後半には、学級崩壊という言葉も生まれました。

 先日、現場の先生方からお話を聞いたんですが、皆さんからは、何かあればすぐキレてしまう、自傷がとまらない、授業中に立ち歩くなど、それまで二、三年に一度会うかどうかという子供が今ではクラスに何人かいるとおっしゃっていました。

 そこで、馳文部科学大臣に伺いますが、中教審初中分科会が、二〇一〇年七月二十六日の提言で、「生徒指導面等の課題が複雑化・多様化し、学級の秩序が確保できなくなる事態も生じるなど、四十人という学級規模では学級経営が困難。」となっているという見解を示しました。大臣、この現状認識は間違いありませんか。

馳国務大臣 間違いありません。

畑野委員 それで、今、本当に進まないものですから、例えば、現場は加配の教員を活用して少人数学級を広げています。これは、やってみたら少人数学級はよかったという経験が生まれております。

 神奈川県川崎市教育委員会のまとめた各校の報告書があるんですが、国基準では一クラス三十八・三人になる小学校三年生で、一学級ふやして一クラス二十八・八人にしたA小学校です。

 その報告書では、指導者がゆとりを持って児童に接することで、学習の中で困り感を持った児童にすぐ対応し支援することができた、そのことで、わかる喜び、学ぶ楽しさを児童に味わわせることができ、基礎基本の充実につながった。これは学習面の成果です。児童一人一人と触れ合う時間がふえ、児童の悩みや友達関係のトラブルにいち早く気づき対応することができた、また、個々の児童のよさを生かし、生活、友達関係などのコミュニケーションを培う上でも少人数学級が有効であった。これは生活面の成果です。

 ほかの小学校でも、また中学校でも、同様の成果がこもごも書かれています。

 学級というのは、ただ勉強するだけの場所ではなく、生活する単位です。そこに四十人の子供が詰め込まれれば、手のかかる子が多過ぎて、トラブルが絶えない、落ちつかない生活になる、それで勉強にも身が入らない悪循環になる。こういう状態に人生の入り口で置かれれば、将来にマイナスの影響を与えるのではないでしょうか。逆に、少人数であれば、生活も落ちつき、それが勉強にも好循環を与えていくというふうになると思うんです。

 加配でそうやって頑張っているんだけれども、もう加配だけでは限りがあるわけですね。

 神奈川のある中学校の教職員がこう訴えております。空き時間の教員が絶えず校舎内を巡回し、授業に入れない生徒、また途中で出てきてしまう生徒の対応に追われて、問題生徒の多いクラスには支援という形で入り込むなど、教材研究や授業準備の時間が圧倒的に不足しています、このままでは、やがて疲労こんぱいした教員が年休、病気療養休暇をとり始め、残された現場の教員がさらに疲労こんぱいしていくという悪循環に陥りかねません、このような状況は、多かれ少なかれどこの学校も抱えている問題ではないでしょうか、教職員が余裕を持って授業や教育活動に取り組まなければ子供にとっても不幸なことではないかと思います、三十人以下学級の早期実現、教職員定数の増員を切に求めますという声です。

 馳大臣に伺います。四十人学級完成から二十五年、子供の変化の中で、四十人という学級規模では学級経営が困難になっている、こういう差し迫った認識がございますか。

馳国務大臣 総体的に四十人学級ということが厳しい状況であるという認識は、まず持っております。

 同時に、私も、時代でいえば四十人から四十五人ぐらいいた小中高校の中で、やはり多くの、競い合う、またいざというときには助けてくれる仲間がいたというふうな、集団の重要性といったこともこれはまた認識しているところであります。

 ただ、先ほど畑野委員がおっしゃったように、一九九一年、あの時代から四半世紀たって、発達障害児などの特別な支援を必要とする児童生徒の激増、また日本語教育を必要とする児童生徒の激増、また校内の暴力等の事案で、教職員が生徒指導、いわゆる生活指導に教育的な配慮、時間を要する現状を見ると、私は、やはり十分な、教職員の定数というよりも、教職員の配置を丁寧に行っていく必要があるということを肌身で感じております。

 恐らく、畑野委員は、私の応援団というよりも尻をたたく意味での御質問をいただいていると思うんですが、我々は、こういう現状をきちんとエビデンスとして財務省にもお示しをしながら、やはり、良質な教職員の確保、そして教職員の処遇の改善、OECDで言われておりますように、週平均五十四時間というのは、これはやはりどう考えても働き過ぎですよ。こういう状況も踏まえて対応する必要があると思いますし、昨年来、義家副大臣のもとで、どのような指導体制が必要かとプロジェクトチームでも議論しておりますので、こういったことを踏まえて適切に対応していきたいと思います。

畑野委員 そういう点で、この間、私も、三十五人学級にどれほどの予算がかかるのかということで、毎年一学年ずつ実施した場合、試算をすると、国庫負担金は、来年度からやるとして、初年度、二〇一七年度でおよそ二十四億円、完成年度の二〇二四年度でもおよそ三十九億円の負担だということで、さほど予算はかからないというふうに試算をいたしました。

 それで、質問は飛びます。文部科学省と財務省に伺いたいんですが、教員は、単なる授業の専門家ではありません、日々のいじめ対応を含む生活指導の専門家でもあります。生活指導とは授業と並ぶ教員の中核的業務だと思いますが、文部科学大臣、間違いないですよね。

馳国務大臣 教育基本法第一条においても、また学校教育法においても、また学習指導要領においても、生活指導、いわゆる生徒指導ですね、これは教員の、授業と並ぶ中核的な業務と言って差し支えないというよりも、生徒指導の業務をすることによって全人格的な教育を完成させるために大きな役割を果たしている、こういうふうに表現をした方がふさわしいのかなと思います。

畑野委員 財務省はいかがでしょうか。生活指導は授業と並ぶ教員の中核的業務ということですので、教員を生活指導の専門家ときちんと位置づけなければならないと思いますが、いかがですか。

大岡大臣政務官 畑野先生にお答え申し上げます。

 まず、財務省は、授業の専門家ということだけ位置づけて、そのほかは位置づけていないのかということでございますが、当然、授業の専門家であることは私も論をまたないと思っておりまして、ただし、先生に、授業の専門家だからといって授業だけに特化してくださいということをお願いしているわけではございません。

 ただし、生活指導の専門家となりますと、先ほど馳大臣の御答弁のとおりでございまして、非常に重要な任務を担っておられますけれども、生活指導の専門家と言い切れるかどうかということにつきましては、もう少し議論が必要なのではないかと思っております。

 と申しますのも、生活指導となりますと、当然、整理整頓ですとか、しつけだとか身なりだとか、清潔にするとか、いろいろな、暮らしにまつわるさまざまな課題の専門家ということになりますが、先生も教師でいらっしゃったので、職員室に入りますと、必ずしも整理整頓が得意な先生とは言えないような、もう山積みの机の先生もいらっしゃるし、中には、身なりだとか、生活をするとかの専門家とは言えない先生もいらっしゃるが、そういう人に限って授業は抜群だったりするわけでございますので、そうした視点からも、生活指導の専門家とは言い切れないけれども、先ほど馳大臣の答弁のとおりの位置づけとさせていただければありがたいと思っております。

畑野委員 よくわからない答弁だったんですが、昨年の十一月の財政制度等審議会で言っている建議は、これは訂正されたというふうに受けとめておきます。

 風邪の子供が教室で吐いたら誰が掃除するのか、けんかのトラブルが起きたら誰が仲裁に入るのか、キレた生徒が窓ガラスを手でたたいて出血したら誰がケアするのか、みんなその場にいる先生ですよ、呼んでくるには時間がかかるということですから。丸ごと子供を見ている、人間として見ている、このことをしっかりと位置づけることを強く求めて、時間が来ました、質問を終わります。

木原(稔)委員長代理 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 おおさか維新の会の伊東信久です。よろしくお願いいたします。

 本日は、少子化問題の解決策に関する提案と、最先端科学についての質問をさせていただきたいと思うのです。

 実は、昨日、衆議院の国際会議室におきまして、第一回日韓議会未来対話という、日本の大島衆議院議長を含む国会議員団と韓国の議長を含む国会議員団で意見交換会がありまして、私も、おおさか維新の会の国際局長の立場で参加させていただきました。隣国の韓国とこのような政策論争の機会は、非常に貴重なものでした。

 その中で、午前のセッションは、お互いの、それぞれの国の関係というもののセッションだったんですけれども、午後のセッションにおきましては、お互いのいわゆる共通の悩みと申しましょうか、少子化対策の話をしたんですけれども、経済格差によって均等な教育の機会を子供たちから奪ってはいけないということを両国の国会議員団で確認いたしました。

 深刻な課題である少子化対策について今から御質問をさせていただきたいわけですけれども、少子化対策の喫緊の課題の一つに、やはり待機児童問題も挙げられると思います。

 ただし、待機児童の多い順に自治体を並べると、その多くは人口が増加傾向にある大都市に集中していることがわかります。そこで、小規模保育事業として、多様な主体が保育を提供できるようにし、また、既存のさまざまな事業形態の保育施設が移行できるようにしました。

 小規模保育事業は二歳児までですので、卒園後の連携施設を設定するというのが必要なんですけれども、その受け皿となるべきまず一つに認定こども園、これは内閣府が所管でございまして、二つ目に認可保育園、これは厚生労働省が所管でございますけれども、三番目に幼稚園、これは文部科学省が所管でございます。これらの連携に消極的なことが多く、小規模保育事業は広がっていないのが実情でございます。

 私は、そもそも科学技術の分野におきまして、いわゆる、各省庁間のデスバレーと呼ばれる死の谷、その橋渡しについて常々申し上げていますけれども、少子化問題、待機児童の問題もこういった省庁間の壁がございまして、この省庁間の縦割り行政によって、省庁関連の弊害が理由かと思いますので、今申し上げましたこの受け皿となるべきところ、どのような認識をされているのか、各関係省庁よりそれぞれお答えください。

馳国務大臣 最初に済みません。私も、実は委員と同じような問題意識を持っておりまして、党におりますときには幼児教育振興法の必要性といったものを訴えてきたものであります。

 つまり、幼稚園であろうと保育所であろうと認定こども園であろうと、どの施設においても、また家庭においてすらも、全ての幼児、子供において十分な保育環境そして教育の環境が整えられている必要があるという認識で取り組んできております。

 この待機児童の問題についても、文科省とすれば、幼稚園における一時預かり事業等について加算をするなどの支援をすることを決めておりますけれども、当然、厚労省や内閣府と連携をとりながら、情報を共有しながら、同時に、我々、人事のたすきがけもやったりしながら一緒に取り組んでおるところでありますので、私は、今まで以上に連携をしながら取り組んでいく必要がある、こういうふうな認識でおります。

中島政府参考人 内閣府でございます。

 御指摘のとおり、待機児童問題は政府を挙げて取り組むべき重要な課題であると認識しておりまして、私ども内閣府におきましては、子ども・子育て支援新制度に係ります財政と給付、それから、委員御指摘の認定こども園を所管させていただいておるところでございますが、文科省さん、そして厚労省さんと、これまでも連携をして対応を進めているところでございます。

 本日の御指摘も踏まえ、一層の連携を強めて、待機児童解消、さらには保育士確保のための処遇改善等に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

吉本政府参考人 厚生労働省でございます。

 御指摘ございましたとおり、待機児童の解消に向けまして、内閣府、文科省とよく連携をとりながら対応を進めてきているところでございます。

 政府におきましては、待機児童解消加速化プランで保育の受け皿整備を従来の二倍以上のペースでやってきておりますけれども、その受け皿と申し上げましたときに、御指摘ございましたように、保育園のほかに認定こども園もございますし、小規模保育などの地域型保育事業もあるわけでございます。またさらに、長時間の預かり保育を実施されている幼稚園でも就労家庭のニーズを受けとめていただいておりまして、一時預かり事業の幼稚園型として支援が行われているところでございます。

 特に、小規模保育の御指摘がございましたけれども、ゼロ―二歳児の待機児童が多いということで、その解消に向けては非常に有効な普及すべき施設だというふうに考えておりまして、この事業につきましては、昨年度の補正予算におきましてハードの整備の予算の補助を開始しておりまして、これにつきましては幼稚園でも御活用いただけるわけでございますので、文科省とよく連携をしていきたいというふうに考えております。

 またさらに、三月末に厚生労働省といたしまして緊急対策をまとめさせていただきましたけれども、その中で、幼稚園の預かり保育への支援の強化、また、小学校の空き教室等の有効活用などの施策も盛り込んでおりまして、先月には文部科学省が中心となって三府省連名でこうした取り組みを推進すべく自治体に周知を図っているところでございます。

 今後とも連携に努めてまいりたいというふうに考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 これにおいては連携の意識があるという認識で受けとめておるのですけれども、我々おおさか維新が主張しているのは、待機児童の問題はそれぞれの地域で問題が異なることから、やはり自治体に独自性を持たせて解決していくべきだと思います。

 そこで、全国画一的な制度では待機児童問題の解決はやはり進まない、となると出生率の向上も期待ができない、やはり柔軟な制度設計が求められる。そこで、制度をニーズに合わせて変えることもぜひとも検討をしていただきたい。つまり、全国画一でなく、それぞれの地域に合わせた、そういった柔軟な制度というのを検討していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

馳国務大臣 子ども・子育て支援新制度は、私も実は議員のときには自公民の立法チームに入っておりましたので、そのころからの経緯も踏まえながら、今聞いておりました。

 昨年この制度が始まりまして、一番よかったことは、基礎自治体の方で就学前の乳児や幼児に対応する部署が一元化をされてきたということが言えると思います。子供課という言い方をしたり幼児課という言い方をしたり、私は、基礎自治体において、行っている施設にかかわらず、地域の子供はきちんと一体的に行政的な対応をしましょうということをまずとっていただくようになったというのはいいと思います。

 また、加えて、昨年、地教行法も改正されて、御存じのように、総合教育会議が教育長と首長のもとで編成されるようになり、ここにおいても、就学前の幼児教育のあり方について議論をいただいている事例もございます。

 私は、まず基礎自治体において就学前のお子さん方に対する対応を一元的にしていくという、この方が保護者の皆さん方も安心して、対応しやすいと思いますし、この傾向、流れといったものをとどめないように、やはり促していくことが必要だと思っています。

    〔木原(稔)委員長代理退席、委員長着席〕

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、立法機関ですので国としての法律をつくる、しかしながら、地域に応じたそういった政策、何も無理やりに地域主権というのを我々は主張しているわけでもなく、そういった自治体のことも大臣は十分御認識いただいていると理解しますので。

 加えて、きのうの日韓議会の会議の中で、日本の方が少子化なり出生率の低下というのは進んでおりまして、後から韓国が追っかけてくるような形に、いわゆる統計上なんですけれども、なっております。

 しかしながら、何もお隣の国がやっているからそれを見習えという意味ではないんですけれども、ただ、独自の政策を取り入れ、出生率の向上という成果を出していますし、出そうとしています。その中の一つに、子育て費用の負担をなくそうと、無償保育という政策を導入しております。

 私が今からお聞きしたいのは教育費の無償化についてなんですけれども、前回も、そして何度か委員会でも取り上げさせていただいた大阪府の私立高校授業料無償化についてなんです。ここはちょっと、いささか大臣のお気持ちを聞くような形にもなると思うんです。

 お互いの、今の若者の教育についての悩み事、いろいろな話を聞いたんですけれども、韓国では若者の失業が深刻化し、三放という言葉があります。三放の放は、諦めるという意味です。これは、恋愛、結婚、出産を諦めた、この三つのことを諦めた若者がふえておりまして、それが現代では五放になった、つまり二つふえた。それは、家を持つことを諦めて、さらに人間関係も諦める。近々では七放世代と言われまして、夢と希望まで諦めて、非常に悲しい話だと。

 お隣の話なんですけれども、何となく、私らも、我が国が直面している若者の課題、我々文部科学委員会で考えなければいけない、日本でも同じような若者がいてるのではないかということも事実だと思います。

 我々おおさか維新の会は、就学前教育から高等教育、大学までを無償化し、教育の機会均等が少子化対策そして貧困対策につながると主張しております。

 以前に触れましたアメリカのペリー就学前計画という、経済的に恵まれない三、四歳の子供たちに就学前教育を継続的に受けさせて、そして四十歳になった時点で貧困から抜け出した比率が非常に高かったという実験結果があります。高度な就学前の教育を受けたことによって学習意欲が高まり、その後の人生に大きく影響しました。

 このように、やはり日本でも全ての人に希望を持てる教育を提供するよう、一つの手段、方法論として、教育費無償化の範囲を拡大するべきと思いますけれども、今後の展望などを大臣からお伺いしたいと思います。

馳国務大臣 おおさか維新の主張されるいわゆる教育無償化というのは、まず憲法改正というふうな切り口から入っておられますので、これはやはり、なかなか現実的な、憲法改正、はい、教育の無償化という論の進め方は、ちょっと乱暴だなということをまず申し上げた上で、現状において、やはりできる限り親の負担あるいは子供たちの負担なしに、どの子供も希望を持てば高等教育を受けられる環境づくりをすることが重要だと思っています。

 今政権におられる安倍総理は、そうはいっても、まずは幼児教育の無償化、それも段階的な無償化、その上で、高等教育に当たっては意欲と能力のある方が進学を諦めなくていいような体制づくりが必要だということで、極めて前向きといいますか、段階的な無償化に向けての考え方をお持ちだ。

 私自身も同様でありまして、まずはやはり義務教育においてできる限り負担のないようにしてあげることが第一、次には幼児教育の段階だろうと思います。同時に、高等教育においても、奨学金制度あるいは授業料の減免制度などに応じて、意欲と能力のある学生が学びを継続することのできる環境づくりをしていくことが必要だと思っています。

 先般、G7の教育大臣会合がありましたときに、やはり教育投資、それも公的投資の重要性についても議論がなされました。

 我が国でいえば、当然これは財政と税制にかかわる課題になってまいりますが、私は、文部科学大臣として申し上げれば、やはり財政上も税制上も、国民に大いに関心を持っていただいて、ここに予算を確保する。要は、いわば国民みんなが出し合って協力をし、どの家庭においても負担のないように育て上げることのできる環境づくりという合意をまずつくり上げていくことが大事だと思いますし、私は、今回消費税八%になったときに、初めて少子化対策、なかんずく教育に対しても消費税の使い道といったものが開かれたことを踏まえれば、少しずつ国民の理解もふえてきているのではないかなと思っております。

 改めて、教育投資の、公的投資の拡大というのはやはり重要な課題として訴えていかなければいけないと思っています。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 本当に、教育投資に関しては、党派を超えて共通の概念だと思います。

 私、憲法PTの事務局長だったので、あえて申し上げさせていただきますと、大阪においては私立高校の教育の無償化を実現しましたけれども、国においてはやはり現憲法が壁になりますので、立法事実として、うちは法律顧問もいますので、憲法改正の話を提言させていただいたわけで、憲法改正が前提だったわけじゃないということだけ、ちょっと一言言わせていただきます。

 では次に、時間もあれなので、最先端科学について質問します。

 昨年発足しましたバイオシミラー使用促進議員連盟の事務局長として、非常に高額なバイオ医薬品から比較的安価なバイオシミラーの使用へかえていくことで、増大する社会保障費を縮減できると活動しておりまして、経済の成長戦略としても注目すべきだと思っています。

 しかしながら、バイオシミラーという言葉は聞きなれないと思います。バイオ医薬品の後続品でありまして、例えば、ジェネリック医薬品は新薬と同等と認められて低価格な薬なんですけれども、バイオシミラーは、シミラー、つまり似ているという意味でございまして、これは時間の関係上詳しいことははしょりますけれども、バイオ医薬品と同質の品質、同等ではなくて同質なんですね。安全性、有効性を認める後続品なんです。後続品なのは間違いないんです。

 ただ、バイオ医薬品そのものは、遺伝子の組み換え、細胞融合、細胞培養などのバイオテクノロジーを応用して製造しますので、この開発研究には膨大な費用と設備が必要なんですけれども、文部科学省の中で把握している、バイオ医薬品とバイオシミラーの研究を行っている研究機関がどれくらいあるのか、まず教えてください。

小松(弥)政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの、大学や研究機関におけるバイオシミラーの研究開発でございますけれども、例でございますが、例えば、大阪大学におきましては、バイオシミラーを含むバイオ医薬品の効率的な生産プロセスの開発につきまして、AMEDから資金を得まして研究開発を行っております。

 また、北海道大学では、平成十三年にバイオベンチャーを大学発でつくりまして、同大学の遺伝子病制御研究所の研究成果を活用いたしましたバイオ医薬品の開発を行っておりまして、その中でバイオシミラーを上市するという段階まで至りまして、そのような研究開発が進められているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 事例として、大阪大学、北海道大学の事例を出していただきまして、全研究機関の統計を出すのは、通告もきのうでしたので、なかなか難しいということも認識した上での質問でした。

 しかしながら、日本は諸外国に比べて、もともと、一九八〇年代からのバイオ医薬品の研究開発にとって、とてもおくれを示しております。現在の医薬品の、売り上げばかりの話でもなんなんですけれども、ベストテンの中、世界も日本も、ほとんどが、九割、下手したら、医療機関においては一〇〇%ぐらいをバイオ医薬品が占めているこの現状におきまして、バイオ医薬品の研究開発にとって、日本は大変おくれを持っております。

 これはきのうの日韓議連とは関係ないんですけれども、たまたま、私が昨年視察に行きました仁川のセルトリオン社が今度はアメリカでの承認を、インフリキシマブ、レミケードという薬、リウマチの薬なんですけれども、あと、クローン病とか潰瘍性大腸炎にも有効なんですけれども、この薬、世界七十一カ国で承認されまして、アメリカでも今回承認されました。ファイザー社が商業化するらしいんですけれども。

 過去のバイオ医薬品の研究開発におくれて、さらにバイオシミラーもおくれるのかという懸念が私はありまして、このバイオ医薬品の研究開発がおくれたことの過去の問題に対して、総括というのはされていますか。ちょっとお聞きします。

小松(弥)政府参考人 バイオ医薬品につきましては、議員御指摘のとおり、低分子化合物による医薬品に比べて治療効果が高いとか副作用が少ないという非常に大きな期待が寄せられているということ、それから、バイオシミラーにつきましては、先ほど御質問の中でおっしゃいましたように、ジェネリックとは違って、改めて治験によって確認することが必要ではあるけれども、バイオ医薬品そのものに比べて非常に安価に供給できる、そういう点で大きな期待を寄せられているということは認識をしてございます。

 これまで、御指摘のように、諸外国に比べておくれているという点はございますけれども、厚生労働省、経済産業省、そしてAMEDとも協力をいたしまして、バイオ医薬品、そしてバイオシミラーに関する研究開発の取り組みを加速してまいりたいと存じます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 総括に関して質問したんですけれども、なかなか総括もされていないのではないかと懸念もしておりますけれども、ぜひともよろしくお願いいたします。

 あと私の質疑時間二分ですので、あともう一問質問します。

 橋渡しのことをお話ししていますけれども、シーズからニーズへの研究費を出していくことが重要ではないか、研究が文部科学省、臨床が厚労省、製造、販売が経産省の省庁間の橋渡しができたらいいという趣旨です。

 例えば、iPS細胞研究の山中先輩のように、研究成果を経済的ニーズにまで結びつける研究者というのはまれでございます。先ほど申し上げましたセルトリオン社の戦略じゃないですけれども、今や世界的な医療の成長産業というのは非常に大事でございまして、日本におきましても、FIRSTのように単発の研究に対してでなく、バイオシミラーのように、ニーズからの、市場のニーズに対して研究費用を継続して支出することも研究いただきたいと思います。

 つまり、研究に対する費用対効果、恐らく科学者の中には、そうではなくて萌芽的研究にもという意見もあろうかと思いますけれども、あえて研究に対する費用対効果を期待してもいいと思いますけれども、そういった研究開発に関しての大臣の御認識をお伺いします。

馳国務大臣 バイオ医薬品は、低分子化合物による医薬品に比べて高い治療効果等が期待されており、我が国発の革新的なバイオ医薬品の創出を目指した研究開発を推進していくことが重要と認識しております。

 文科省においては、平成二十六年度より、大学における研究開発を推進する革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業を実施しております。この事業においては、バイオシミラーの製造、品質管理の自動化にもつながるシステムの開発を実施しているところであります。

 関係府省等と連携して、バイオシミラーを含め、いち早い、革新的なバイオ医薬品の創出を目指した研究開発に、引き続き着実に、前向きに取り組んでまいります。

 以上です。

伊東(信)委員 ありがとうございます。ちょうど時間です。終わります。

谷川委員長 次に、吉川元君。

吉川(元)委員 社会民主党の吉川元です。

 きょうは、既にもうこの場でも議論されておりますけれども、東京オリンピック・パラリンピック招致の際の海外コンサルタントへの支払いの案件について、何点か質問をさせていただきたいと思います。

 そもそも、今回のブラック・タイディングス社との契約、これは一体何が目的で契約をされたのか。大臣は、票を固めることができるかどうかが最大の勝負だったと。つまり、票固めのためにこのブラック・タイディングス社と契約を結んだということの認識でいいのかどうか、そもそもどういう目的で契約を結ばれたのか、大臣、それからあと、JOCの竹田会長にも来ていただいておりますが、簡単に説明をいただけないでしょうか。

馳国務大臣 端的に言えば、票固めのための情報収集であります。

 票を最終的に入れていただくのは九月七日の日でありますので、そのときにIOC委員の皆さんがやはり日本だなと確信を持って一票を投じてもらえるような、票を固めるためにはその事前の情報収集が必要でありますから、そのためにはこのブラック・タイディング社がベストというふうに判断をJOCとしてされたと思います。

 そして、その要因は、私もよく存じておりますが、五つの要因が当時絡み合っておりました。

 一つには、二〇二〇年、何とか東京でやってほしいけれども、イスタンブールもマドリッドも強い。

 二つ目は、オリンピックの中核競技として残るにはどの競技がよいのかというふうな選挙もありました。私は個人的には、レスリングの協会の役員でもありましたので、何とかレスリングが残らないのかな、そのためにはいろいろなIOC委員の方々にも御理解を求めたいなという、そのための情報収集もありました。

 三点目は、これは恐らく一番竹田会長が悩まれたことだと思いますが、IOC委員の皆さん方の関心の多くは、この前の二つのことよりも、やはり、IOCの会長が次誰になるんだろう、誰になってどういうビジョンを国際オリンピック委員会において進めていくのであろうか、ここに関心が高かったように思っています。したがって、誰の情報に基づいて、どういうふうに候補者であった六名のIOC会長候補を支えていったらいいのかということ、そのための情報収集が必要だったと思います。

 何よりも我が国にとって一番厳しい状況であったのは、やはり汚染水の問題であります。これは、政府を挙げてこの汚染水の問題を直視し、それをどのように解決していこうとしているのかということを各IOC委員はやはり心配をして見ておられました。これに答えるためにも、どのようにアプローチをし、適切にその情報をお伝えし、信頼をかち取っていくのか、このことに竹田当時の理事長は大変な努力をして、世界じゅうを駆け回っておられました。

 そういう観点からでも、モスクワの陸上競技の世界大会においてIOC委員の皆さん方が一気に集まってこられる、このときに流れができるわけでありますから、その流れを把握するための情報収集としてやはりコンサルに頼らざるを得なかったというのは、十分に私は皆さんにも御理解をいただきたいと思っています。

 その後は、竹田会長からもお聞きいただければと思います。

吉川(元)委員 もう時間が余りないので、今の答弁に関してちょっとお聞きしたいんですけれども、IOCの委員は福島の汚染水について非常に強い懸念、関心を持っておられたということでありますが、私も多分そうだったんだろうなというふうに思います。

 福島の汚染水の問題に関して言いますと、国内でも十分な情報が開示されていなかった部分はあるわけで、今後どうしていくのかも含めて非常に不明な点が多々あったというふうに思います。

 私、疑問なんですけれども、このブラック・タイディングス社というのは、原発の関係とか汚染水の関係をよく知っている会社なんですか。一体どういうことなんでしょう。

馳国務大臣 つまり、モスクワの世界陸上競技大会、これに集まってくるIOC委員が、個人的な人間関係において、どういうことに関心があり、そして、どういうふうにその関心に対して答えてあげたらいいのかということについての情報収集をするに当たってベストなコンサルがこのブラック・タイディング社であったというふうに招致委員会の方で判断されたのだということであります。

 したがって、汚染水の問題について詳しい、詳しくないというよりも、IOC委員の皆さん方が、当時、本当に汚染水の問題は大丈夫なのか、東京オリンピック・パラリンピック大会を開催するまでに政府としても、また日本の国全体としても十分に対応できるのかどうか、こういうふうな関心があったということでありますから、IOC委員が持っておられる関心事項に対して、誰がどのようなレベルで関心事項を持っておられる、それに対してどのように答えてあげたらいいのかというふうな情報は、やはり招致委員会のメンバーにおいても複数の方々からの情報を集めなければいけないわけであって、そのときに、情報を収集するに当たってこのコンサルの会社が最もふさわしいという判断をされたのであった、こういうことであります。

吉川(元)委員 そうしましたら、竹田会長に伺いますが、今、情報収集、とりわけ汚染水の問題についての関心があると。これは非常に専門的な問題でありますし、現状も知っていなければ恐らくやりとりすらできないと思うんですよね。

 そうしますと、竹田会長は、このブラック・タイディングス社というのは、原発の問題についても一定の知見、特に福島の汚染水の問題についても一定の知見がある、だから、その点に関しての情報収集については適切であるというふうに考えられて選ばれたということなんですか。今大臣のおっしゃることを聞けばそういうふうに聞こえるんですけれども、いかがですか。(馳国務大臣「委員長、委員長」と呼ぶ)いやいや、会長に聞いているんです。

馳国務大臣 ちょっと言葉尻を捉えるような言い方でお話しされたので。

 そうではなくてということを先ほど申し上げたのであって、IOC委員の関心事項が、先ほど申し上げた四点にはありました。したがって、IOC委員の皆さんがどのようなレベルの懸念事項を持っておられて、その懸念事項に対してどのように対応したらよいのかという情報を得るには、御指摘のブラック・タイディング社に業務を委託した方が情報収集をしやすいということであります。

 パーソナルな情報を収集しやすいというふうな意味で申し上げているのであって、関心を持っておられる事項が、原子力発電所の問題や汚染水の問題に対してより深い認識を持っているかどうかではなくて、IOC委員がどういうことに関心があるかということについての情報を収集するに当たって必要なコンサルはどの会社かということで判断をされたということであります。

吉川(元)委員 いや、判断をされたのは招致委員会なわけで、だから私は竹田会長に、そういうことで選ばれたということなんですかと聞いたわけですから、別に大臣に答弁を求めているわけではないので、会長の方に、今、私がその前に質問したことについて伺います。

竹田参考人 まず、招致を実現するためには、正攻法で、IOC委員あるいはその関係者に、東京の開催地、この計画がふさわしいんだと、三つの立候補都市がありましたけれども、その中で東京は安心、安全、確実ですばらしい大会だということをIOCの皆さんに知ってもらう、理解してもらうことが最大の我々の任務であったというふうに思います。そのためには多くのコンサルタントが必要でありました。

 この契約をしたときには、まだ汚染水の問題は、日本でもまだそういう報道がされる前です、その後に実際、汚染水の問題が報道されました。ですから、先ほど大臣が言われたように、どのIOC委員がこの問題について非常に懸念を持っているかというような情報は、我々はこういうコンサルを通じて受けたということであります。

吉川(元)委員 何か大臣の話と少し食い違っているような気がしますね。

 汚染水の問題について関心を持っている、そのことについて、どのようなところに関心を持っているのかということを聞かなければ、私、専門的な知識がある程度ないとそれは聞きようがないと思いますけれども、それでも、人間関係も含めてIOC委員をよく知っているんだから、だから汚染水の問題についても聞けるからこの社が適切だと判断されたと大臣は答弁されたんですけれども、今の話だと、汚染水の問題とは関係なく、たまたまその後、汚染水の問題が出てきたから、使って話を聞いたんだということですから、汚染水の問題についてのIOC委員の問題意識について聞くのに最適だったという話では私はないと思います。

 ちょっと時間がないので次に行かせていただきます。(馳国務大臣「違う、違う」と呼ぶ)時間がないので行かせていただきます。いっぱい聞かなきゃいけないことがあるので。(馳国務大臣「認識が間違っている」と呼ぶ)いやいや、そういうふうに答弁されたじゃないですか。

 では、短く、短く。

馳国務大臣 一言で言えば人間関係の問題であります。この人から関心事項について十分に情報を聞き出すことができるようなコンサルを招致委員会の方で選ばれたということでありまして、私が申し上げたのは、実際にモスクワ大会のときの最大の関心事項は、汚染水の問題や、先ほど申し上げた三つの問題であったということであります。

吉川(元)委員 後でまた議事録をよく見せていただきたいと思います。

 次に、契約時点について、どういう契約をされたのかということで、支払いについては、これは七月、十月、二回に分かれておりますが、十月は東京開催が決定した後、翌月ということにもなります。これは成功報酬としての契約だったのか、もしそうだったとすれば、失敗した場合には支払われなかったのか、どのように処理をされたのかについて竹田会長に伺います。

竹田参考人 二回目の契約に関しては、成功報酬という意味合いも含まれていたというふうに理解していただいて結構だと思います。

 それから、もし招致に成功しなかった場合はどうしたのかという御質問ですが、仮定の御質問ですので、わかりません。

吉川(元)委員 次に、また同じく竹田会長に伺います。

 十六日の予算委員会で、会長は、同社がIOC委員を務めるラミン・ディアク国際陸連前会長の息子との関係があることを知らなかったというふうに述べておられますが、報道によりますと、JOCの平岡専務理事は、ブラック・タイディング社がラミン・ディアク氏と近い関係にあることは承知をしていたということを発言されておられます。これは一体どういうことなんでしょうか。

竹田参考人 私が申し上げたのは、現在報道されているような、ブラック・タイディング社と世界陸連の会長そしてその息子さんとの疑わしい関係については知る由もなかったという意味合いで私は申し上げました。

 ですから、このブラック・タイディング社と世界陸上連盟は業務実績がありますし、当然、お互いが知っているということは私もよく承知しているところでございます。

 そして、平岡専務理事は、通常のコンサルタント契約は、開催をかち取るために有効かつ有益な会社や個人と契約を行うものであり、IOCやIOC委員の精度の高い情報を得ることが招致戦略上必要であり、IOC委員を熟知したコンサルタントと契約することは一般的なことであると説明されて、全く矛盾していないと思います。

吉川(元)委員 つまり、怪しい関係にあるということは知らなかったけれども、関係があるということは知っていた、そういう認識でよろしいんですね。

竹田参考人 当然、知っておりました。

吉川(元)委員 先ほど、成功報酬だったのかどうだったのかということで少し聞かせていただきました。

 それでは次に、この会計処理についてなんですけれども、二〇一四年の四月に招致委員会が招致活動報告書を公表しております。

 報告書の第十章で、「招致推進活動経費の内訳」、これは東京都の部分と招致委員会の実施分に分けて、年度ごとに報告がされておられます。

 このうち、招致委員会による「海外PR活動」の項目に、海外コンサルタント費用の決算額が出ております。それを見ますと、二〇一一年九月から二〇一三年九月までの期間に総計で七億八千六百万円が計上されております。

 そこでお聞きしたいんですが、先ほども言いましたとおり、本件の支払いは、一回目が七月、そして、開催決定後、成功報酬の意味合いもあったというふうにおっしゃられましたが、十月に一億三千五百万円、これは送金をされたことになっております。

 そうしますと、前者の九千五百万円、七月に支払ったものについては、招致推進活動経費の対象期間内なので、この総額の中に含まれているものと思いますけれども、後者の一億三千五百万円、これは報告書が対象とする期間からは外れておりますが、このお金はどのように会計処理をされたんでしょうか。

竹田参考人 この七億八千六百万円は、二回目の契約は含まれておりません。これは事務局より報告を受けて確認したことでありますが、二回目の契約は、招致活動報告書上では、今委員がおっしゃられたとおり、二〇一三年九月末時点のものであります。そのため、「残務処理・寄附金」などの項目に入っており、最終的な二〇一四年三月末の決算報告書では、二〇一三年九月末時点と同じ項目に入れていると報告を受けております。この国際活動経費約二十億の支出のうちにまたがっていると報告を受けております。

吉川(元)委員 つまり、二回目の支払いについて、私が手に入れることができた招致活動報告書、これは解散した後に総括的につくられた報告書だと思うんですが、この中には一億三千五百万円は入っていないということでよろしいんですね。

竹田参考人 これは報告書を提出する上でずれが出てきたということで、先ほど申し上げましたように、「残務処理・寄附金等」の項目に入っております。

吉川(元)委員 いやいや、私が確認したいのは、この報告書の中には含まれていないけれども、ほかに財務の、会計のそういう報告書があるという認識でよろしいんでしょうか。私が手に入れたのはこれだけなので、ほかにあるのであれば、どういう形で出されているのか、教えていただけますか。

竹田参考人 これは、報告書の中の「残務処理・寄附金等」の項目であります。

吉川(元)委員 そうすると、これは十章ではない、ほかの章の中に入っているということなんでしょうか。

竹田参考人 この招致活動報告書の二百二十三ページの残務処理、寄附金の、この中に入っております。

吉川(元)委員 そうしますと、実際にその一億三千五百万円というのは、海外コンサルタントに対して支払ったお金にもかかわらず、なぜそれがこの中に計上されていないのか。実際にこの報告書を出されているのは四月でありますから、解散が一月だというふうに聞いておりますから、その時点では、これは海外コンサルタントに、成功報酬という意味合いもあったということでありますけれども、支払われているわけで、なぜこれを海外コンサルタント費用の中に含めていないのか、その理由を教えてください。

竹田参考人 これは九月末時点の報告でありますので、この報告書の二百三十二ページの、二十五年の四月から九月までに関しましては、この海外コンサルタント料というのが「海外PR活動」の中に入っています。この中に入っています。

 最後の、この全部の締めの中には、これには間に合いませんでしたので、「残務処理・寄附金」の中に含まれているということでございます。

吉川(元)委員 では、ちょっともう一回。

 その報告書、私が読んだのは、この第十章のところの招致活動経費の内訳。当然この中に入っている。これは二百二十五ページからですから、二百二十三ページというのは、その前の章のことになるわけで。

 間に合わなかったというふうに言われますけれども、一月の段階で、解散した後につくられた報告書で、十月に支払ったものがなぜ間に合わないのか。これは私、非常に理解に苦しむんですけれども。

竹田参考人 これは九月末時点の決算の中に含められなかったということで、最終的な決算の中にはきちっと入っているということでございます。

吉川(元)委員 もう時間が来てしまいましたので、委員長にお願いなんですけれども、今回、東京大会招致に向けて契約した、ちょっと時間がなくて聞けなかったんですが、それ以外の海外コンサルタントの会社名、それから、委託した業務、支払い金額について、本委員会に資料を提出していただくことをお願いしたいと思います。

谷川委員長 理事会で検討します。

吉川(元)委員 以上で終わります。

     ――――◇―――――

谷川委員長 次に、平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、かねてより各会派間において御協議いただいておりましたが、理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を得ました。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から御説明申し上げます。

 平成三十二年に開催される東京オリンピック競技大会及び東京パラリンピック競技大会に関しましては、昨年の新国立競技場などをめぐって、国民から厳しい意見もいただきました。

 これらを踏まえ、同大会の円滑な準備及び運営に関する取り組みの透明性を高め、国民の広範な理解と支持のもとに当該取り組みを実施し、同大会を成功に導くことができるよう、国会による関与の強化を図る必要があります。

 本案は、このような状況を踏まえ、政府は、同大会が終了するまでの間、おおむね一年に一回、同大会の円滑な準備及び運営の推進に関する政府の取り組みの状況についての報告を国会に提出するとともに、これを公表しなければならないこととするものであります。

 以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。

    ―――――――――――――

 平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

谷川委員長 お諮りいたします。

 本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷川委員長 起立総員。よって、そのように決しました。

 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時九分散会


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