衆議院

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第7号 平成28年3月18日(金曜日)

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平成二十八年三月十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 渡辺 博道君

   理事 秋葉 賢也君 理事 江渡 聡徳君

   理事 小松  裕君 理事 後藤 茂之君

   理事 白須賀貴樹君 理事 初鹿 明博君

   理事 山尾志桜里君 理事 古屋 範子君

      青山 周平君    赤枝 恒雄君

      井野 俊郎君    石川 昭政君

      大串 正樹君    木村 弥生君

      新谷 正義君    鈴木 馨祐君

      田中 英之君    田畑 裕明君

      田村 憲久君    高橋ひなこ君

      谷川 とむ君    中川 俊直君

      永岡 桂子君    長尾  敬君

      丹羽 秀樹君    丹羽 雄哉君

      比嘉奈津美君    福山  守君

      堀内 詔子君    牧原 秀樹君

      松本  純君    三ッ林裕巳君

      村井 英樹君    山下 貴司君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      緒方林太郎君    大西 健介君

      岡本 充功君    神山 洋介君

      郡  和子君    中島 克仁君

      山井 和則君    伊佐 進一君

      角田 秀穂君    中野 洋昌君

      高橋千鶴子君    堀内 照文君

      浦野 靖人君    重徳 和彦君

    …………………………………

   参議院厚生労働委員長  三原じゅん子君

   厚生労働大臣       塩崎 恭久君

   厚生労働副大臣      竹内  譲君

   厚生労働副大臣    とかしきなおみ君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   文部科学大臣政務官    堂故  茂君

   厚生労働大臣政務官    三ッ林裕巳君

   厚生労働大臣政務官    太田 房江君

   国土交通大臣政務官    宮内 秀樹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 安田 貴彦君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  神田 裕二君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  福島 靖正君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            山越 敬一君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部長)  坂口  卓君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児童家庭局長)       香取 照幸君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           石井 淳子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    藤井 康弘君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  唐澤  剛君

   参考人

   (特定非営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク代表)

   (自殺対策全国民間ネットワーク代表)       清水 康之君

   厚生労働委員会専門員   中村  実君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十八日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     石川 昭政君

  高橋ひなこ君     青山 周平君

  牧原 秀樹君     鈴木 馨祐君

  村井 英樹君     井野 俊郎君

  郡  和子君     阿部 知子君

  中島 克仁君     神山 洋介君

  西村智奈美君     山井 和則君

  柚木 道義君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     高橋ひなこ君

  井野 俊郎君     村井 英樹君

  石川 昭政君     田畑 裕明君

  鈴木 馨祐君     牧原 秀樹君

  阿部 知子君     郡  和子君

  緒方林太郎君     柚木 道義君

  神山 洋介君     中島 克仁君

  山井 和則君     西村智奈美君

    ―――――――――――――

三月十七日

 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 自殺対策基本法の一部を改正する法律案(参議院提出、参法第一号)

 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

渡辺委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として特定非営利活動法人自殺対策支援センターライフリンク代表・自殺対策全国民間ネットワーク代表清水康之君の出席を求め、意見を聴取し、また、政府参考人として内閣府大臣官房審議官安田貴彦君、厚生労働省医政局長神田裕二君、健康局長福島靖正君、労働基準局長山越敬一君、職業安定局派遣・有期労働対策部長坂口卓君、雇用均等・児童家庭局長香取照幸君、社会・援護局長石井淳子君、社会・援護局障害保健福祉部長藤井康弘君、保険局長唐澤剛君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。初鹿明博君。

初鹿委員 維新の党の初鹿明博です。おはようございます。

 きょうはトップバッターで質問をさせていただきます。

 きょうは、お忙しいところをライフリンクの清水さんにお越しをいただいております。どうもありがとうございます。あしたが大きなイベントがある前日ということで、大変お忙しいところをこのように国会に来ていただきましたことを、心から感謝申し上げます。

 今回、十年目を迎えた自殺対策基本法が改正をするということになりまして、私も超党派の議員連盟の一員としてこの改正案の作成に携わらせていただいてまいりました。

 この十年間、本当に、現場でずっとこの自殺対策を見守って、また実際に自分自身でも行ってきた清水代表にまず最初にお伺いさせていただきますが、この十年間を振り返っての感想や、十年後の見直しにかける思いをお話しいただきたいと思います。

清水参考人 NPO法人自殺対策支援センターライフリンク代表の清水康之です。

 本日は、この厚生労働委員会に参考人としてお招きいただきまして、どうもありがとうございます。

 まず、一言御礼を申し上げたいというふうに思っております。

 自殺対策基本法の改正案、この原点となっているのは現場の声です。昨年五月十三日になりますが、院内集会が開かれまして、そこで、自殺対策に取り組む全国の民間ネットワークと、あと、自殺のない社会づくり市区町村会、これは自治体でつくる全国の自殺対策のネットワークですが、その連名で、超党派の議連に対して、自殺総合対策の更なる推進を求める要望書というのを出させていただいて、それをもとにして、翌六月の二日に参議院の厚生労働委員会において自殺総合対策の更なる推進を求める決議を行っていただき、その後、その決議を踏まえて、二十八団体に対するヒアリング、あるいは関係府省、関係機関に対しての意見照会及び二週間のパブコメを経て、それで法案をまとめていただき、御承知のとおり、先月二十四日には参議院本会議で全会一致によりこれを可決していただいた。

 そうした中で、衆議院におかれましても、これを一日も早く通すというその意思のあらわれだと思いますが、こうして本日、厚生労働委員会において基本法の改正案について御審議をいただくということは、本当に、現場で取り組む私たちにとっても、現場をしっかりと国会が、政治が後押ししてくださっているんだ、そういうメッセージでもあるというふうに思っていますので、まずそのことについて御礼申し上げたいというふうに思っています。

 この十年間、早かったというのが率直なところですが、実感として、自殺はそもそも防げるのか、そういうところから始まった自殺対策ではあったんですが、御承知のとおり、日本の自殺者数、長らく三万人を超える状況が続いてきましたが、昨年の年間の自殺者数は二万四千人にまで減少しました。ピーク時からすると年間で一万人減ったことになります。見方を変えれば、一万人の命を毎年救っているということにもなるわけですので、そうした取り組みが広く進んできている、そのことに対して心強く思っていますし、さらにこれを進めていく必要がある。その意味でも、法改正が極めて重要だというふうに考えています。

初鹿委員 清水さん、どうもありがとうございます。

 さて、塩崎大臣。

 これまで自殺対策の所管は内閣府でありましたが、今回の改正によって厚生労働省に移ることになりました。これから所管大臣になるわけですけれども、まず最初に、厚生労働大臣のこの自殺対策にかける決意、思いを述べていただきたいと思います。

塩崎国務大臣 平成十八年に自殺対策基本法が成立をしてちょうど十年、先ほど先生から御指摘をいただきましたが、それを機会に厚生労働省に所管が移るということになって、私も、同級生やあるいは身内に自殺未遂もおりました、したがって、その所管をするということについて身の引き締まる思いであるということをまず申し上げたいというふうに思います。

 自殺対策として、厚生労働省においても、既にこれまで、精神保健医療の充実であるとか、あるいは生活困窮者への支援の充実、それから失業者に対する相談など、自殺につながりかねないような状況の方々について幅広くやってきているわけでございますが、引き続いて、こうした取り組みに係る知見あるいは自治体とのネットワークをしっかりと生かしながら対応していかなければならないというふうに思っております。

 この四月からの業務移管に当たりまして、内閣府から振りかえで、厚生労働省に自殺対策専任の大臣官房参事官を設置することになりました。当初はちょっと心配をしましたが、それが何とかできるようになって、総合調整を担う政策統括官とともに関係業務に当たらせる予定でございます。

 予算も、二十八年度は、当初予算において地域自殺対策強化交付金を計上いたしまして、地域の実情に応じた計画的な取り組みを支援しなければならないと考えております。

 関係閣僚会議がございますが、自殺総合対策会議、これまでは官房長官が会長でございましたけれども、本年四月からは厚生労働大臣が会長ということになります。この場も大いに活用して、私自身が先頭に立って、総合的な自殺対策の実施に取り組んでまいらなければならないという気持ちでございます。

初鹿委員 自殺対策は、一省庁だけでの問題ではなくて、各省庁にまたがってしっかり対策をとらなければならないわけでありますので、ぜひ厚生労働大臣がリーダーシップをとって、現在二万四千人ということですから、これをもう一刻も早く二万人を切る、目標は最終的にはゼロにするということが目指すところだと思いますが、一歩一歩、少なくしていくことに努力をしていただきたいと思います。

 それでは、ちょっと個別の話に入っていきます。

 皆さんのお手元に資料をお配りしておりますが、ここに自殺総合対策大綱を皆さんにお示ししております。これは十年前に閣議決定がされたものであります。閣議決定ということは、これが政府の方針になっているわけですね。

 これまで、この法律ができるまで、大綱ができるまでは、ともすると、自殺というのは個人の問題ではないかというように見られていたのではないかと思いますが、この大綱によって、自殺というのは、下線を引かせていただいておりますが、「個人の自由な意思や選択の結果ではなく、「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」ということができる。」ということが明記をされているわけですね。自殺は個人の故意でやるものではない、意思でやるものではないということが大綱に書いてあるんです。

 つまり、この自殺に対する考え方に基づいて国の施策は組み立てられていかなければならないはずなんですけれども、一ページおめくりをいただきたいと思います。これは、独立行政法人日本スポーツ振興センター、いわゆるJSCが、学校の中で事故や何らかのことでけがをしたり、またはお亡くなりになったりしたときに支給をしている災害共済給付の基準の規程の一部を抜粋させていただいております。

 この備考の欄を見てください。「高等学校及び高等専門学校の生徒・学生の自己の故意による死亡は給付の対象とはならない。」と書いてあるんですね。つまり、小学生、中学生が学校の管理下において自殺をした場合には死亡見舞金は支給をされます、しかし、高校生になると、自分の意思で自殺をしたら、これは故意だということで、死亡見舞金は出さないということになっているんですよ、今でも。自殺総合対策大綱には、自殺は追い込まれた末の死で、個人の自由な意思や選択の結果ではないと書かれているにもかかわらず、十年間、放置がされてきたわけです。

 きょうは内閣府から高木政務官に来ていただいておりますが、これまで所管をしてきた内閣府、このことを認識していたんですか。そして、今これを見てどのように思っているのかを、ちょっとお答えいただきたいと思います。

高木大臣政務官 初鹿委員にお答えをいたします。

 高校生を含めて、若者がみずから命を絶つというのは大変痛ましい、本当に、非常に深刻な事態であると認識をしております。

 内閣府においても、これまでも、自殺総合対策大綱に基づいて、文部科学省等関係省庁と連携して、学校における自殺予防、不幸にして自殺が起こってしまった後のケア等の対策に取り組んできたところであります。

 委員御指摘のとおり、この大綱においては、平成十九年六月に初めて策定されたときから、自殺総合対策における基本認識として、「個人の自由な意思や選択の結果ではなく、「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」」であるとしております。

 御指摘の災害共済給付制度においては、学校の管理下において、精神的に極度に追い詰められ、精神障害を負うことなどによって、正常な認識や行為選択能力が著しく阻害された状態で起きた自殺については給付の対象としているものと承知をしており、この自殺総合対策大綱に言うような、個人の自由な意思や選択の結果とは言えないような死まで給付の対象から外すという趣旨ではないと認識をしております。

 いずれにしましても、昨年九月二日の文部科学委員会においても、委員同様の御指摘に対して文部科学大臣から前向きな答弁があったこともあり、文部科学省における検討状況を見守ってきているところでございます。

初鹿委員 政務官、今の答弁、ちょっと看過できないことがありますよ。わかって言っていますか。

 極度に追い詰められて、精神疾患などによって自殺した場合は給付の対象となっているという言い方をしましたよね。では、自殺の中に、故意による自殺というのはあるんですか。故意による自殺があるかないか、あるという、そういう認識でいるのかどうか、お答えください。

高木大臣政務官 お答えをいたします。

 この災害給付制度……(初鹿委員「いや、災害給付制度にかかわらず、故意による自殺というものがあるのかどうかということを聞いています」と呼ぶ)給付の対象となっているものの中に、個人の自由な意思や選択の結果とは言えないような死まで給付の対象から外すという趣旨ではないと認識をしております。

初鹿委員 いや、だから、そう言うなら、故意による自殺というのがあるんですかということを聞いているんですよ。故意による自殺があるんですか。あるから、それとは別に、追い詰められて病気になった場合は給付をしますという、そういう言い方ですよ、今のは。これを認めることになるんですよ、故意による自殺。いいんですか。

高木大臣政務官 重大な過失等の場合に関する運用基準、これは独立行政法人JSCの各支所長宛ての通知でございますが、そこの故意関係というところに、行為またはその結果に対する認識のないような場合には、故意があるものとはみなさないとしております。そして、例えば、精神障害によって正常な認識、行為選択能力が著しく阻害され、または自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたと認められる場合を含むとしております。

初鹿委員 ここで時間を余り使いたくないんですけれども、今の話を聞いていると、故意による自殺もあり得るというようにしか聞こえません。私は、非常に不適切だというふうに言わせていただきます。

 では、当該文部科学省の堂故政務官にお伺いいたします。

 昨年、私が下村大臣の当時に質問した際に、政令、当時政令という言い方をしていましたが、省令なんですかね、本当は。「柔軟な見直しということについて検討してまいりたいと思います。」と答えております。

 今回、十年目の基本法の見直しがあるわけですから、このタイミングで私は、たった四行を取るだけのことですから、行っていただきたいと思いますが、現状、検討状況はどうなっているんでしょうか。

堂故大臣政務官 お答えします。

 ちょっと基本的なところからお話しさせていただきます。

 災害共済給付は、学校の管理下で発生した児童生徒等の偶発的な不慮の災害による負傷などについて、国、学校の設置者及び保護者の負担により救済を図ろうとする互助共済制度であり、その意味において、みずからの意思によって負傷または死亡したような場合は対象とならないというのが基本的な考え方でありました。

 しかしながら、委員御指摘の自殺総合対策大綱における自殺の基本認識等も踏まえ、高校生や高等専門学校生の自殺に対しましても、その原因である事件が学校の管理下で起きていることが明らかであると認められるものについては、災害共済給付を行えるよう、必要な見直しを現在進めているところでありまして、しっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

初鹿委員 来年度、つまり来月、四月一日からこれはなくなった状態になるということでいいんですか、備考を取るんですか、四月には。今年度中にやるんですか。四月から、基本法が改正されて、新しい基本法がスタートするんですよ、そのときに間に合うんですか。

堂故大臣政務官 この制度改正にはJSCの法改正も必要になってまいります。(初鹿委員「法律は関係ないとこの前答えていますよ」と呼ぶ)また、共済の趣旨からいって、負担がふえる分について、保護者あるいは関係者の御負担も要るわけですから、その辺をしっかり理解をいただきながら、所定の作業を進めてまいりたいと思います。

初鹿委員 負担がふえるというのはどういう意味ですか、お答えください。

堂故大臣政務官 これは、先ほど申し上げましたが、この共済制度は、国とそれから設置者と保護者の負担で共済の掛金が賄われています。そういうことでありますから、その全体のスキームが負担がふえるということ……(初鹿委員「どうして負担がふえるのか説明してください。なぜ負担がふえるのか」と呼ぶ)

 今現在、推定されているだけでも、いろいろな事項を加えるとかなりの金額になるということが想定されています。これは今現在、作業を進めております。(初鹿委員「どういうことですか」と呼ぶ)

渡辺委員長 ちゃんと委員長の許可を得て発言をしてください。

初鹿委員 つまり、今、自殺をしてしまっている高校生がいて、それを対象に加えると給付額がふえる、それによって掛金などもふやさなければいけなくなるから、それについてまだ検討をしているところだ、そういう意味でよろしいんですか。

堂故大臣政務官 そのあたりも含めて、作業を進めているところです。

初鹿委員 まず、学校の管理下で自殺がある、あっちゃならないことですよ。高校生の自殺を全て対象にしろと言っているわけじゃありません。学校の管理下ということは、例えばいじめ、また指導死、この前も、中学三年生、これは中学生ですけれども、進路指導の中で、万引きをしていないのに万引きをしたということにされて、亡くなるということがありましたよね。それは、どこまで関係性があるのかまだよくわかりませんけれども、こういうことが学校で起こる、その前提で、自殺者がいるから給付金がふえるから、だから、この見直しがすぐにできない、そういうふうに今言っているんですよ。

 自殺をなくすのが文科省の仕事じゃないんですか。自殺者がいることを前提にして考えるなんてあり得ないと思いますが、いかがですか。

堂故大臣政務官 先ほど言い方が少し、法改正と申しましたが、施行令の改正が必要だということを申し上げたいと思います。

 それから、もちろん、全体のことについて今作業を進めておるところなものですから、負担がふえるということとか、そういうことではなくて、全体をどう進めたらいいかということについて作業を進めているところです。

初鹿委員 四行や五行なくすだけなんですから、すぐにやりましょうよ。故意による自殺は、我が国の自殺総合対策大綱では、ないんですよ。自殺は追い込まれた末の死なんですよ。それを、故意による場合もあるみたいな答え方はしないでいただきたい。

 清水さん、今の答弁を聞いて、いかがですか。

清水参考人 直接的なお答えになるかわかりませんが、私は、この共済給付、つまりお金のこと以上に、残された御家族がどう受けとめるかという、私はそちらの方に物すごく思いを寄せたいと思っています。

 つまり、自分の子供が勝手に死んだのか、みずから死を選択したのかということを、遺族はそういうふうに認定されることになるわけですので、これは、現状において、自殺は、その多くが追い込まれた末の死である。

 私たちは自殺の実態調査をやりました。五百二十三人、自殺で亡くなった方お一人お一人について、どういう経緯で、どういうふうに問題を抱え込んで自殺で亡くなったのか、自殺に至ったのかという調査をした中で、平均すると四つ、問題を抱え込んで亡くなっているということがわかってきています。

 自殺は、最期の瞬間は確かにみずから命を絶っているんです。でも、その最期の瞬間だけを見ても自殺問題の本質はつかめない。むしろ問題をさかのぼって、どういうふうなプロセスでもって自殺が起きたのかということをしっかりと捉えなければ、この実態を正確に見立てることはできないと思いますので、その意味で、自殺はまさに、その多くが追い込まれた末の死であり、特に子供たちにおいては、それがより強い傾向としてあらわれるんだと思いますので、私は、率直に申し上げて、この条文というのは現場感覚からして遠く離れているというふうに言わざるを得ないと思っています。

初鹿委員 今、清水さんから非常に重要なお話がありました。残された遺族は、自分の子供が勝手に死んだということを認定されるような気持ちになるんですよ。

 先日、桜宮高校の、体罰によって亡くなった事件の判決が出ましたけれども、その中でも、やはり執拗に体罰を繰り返されたり指導をされたりしたことによって自殺に追い込まれたということは認定をされているわけです。

 つまり、こういうことが学校で一つでも、一件でも、あっちゃいけないんですよ。違いますか。いけないんですよ。だから、あることを前提のような話はしてもらいたくないんです。

 この五行をなくすことなんて、そんなに難しいことじゃないでしょう。私は、本当に、今月中にやってもらいたいと思います。

 塩崎大臣、これから自殺対策を所管する大臣なわけですから、今のやりとりを聞いていて、いかが思いますか。しっかり文科省に、自殺は故意ではない、故意による自殺というのはないんだということをはっきり命じていただきたいと思います。その上で、この省令の改正ぐらいはすぐにでもやらせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど来御議論がございますように、大綱に、「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」ということが書いてあるわけで、やはりこの大綱を政府としても重く受けとめなければならないわけであります。

 また、先ほど文部科学省の方でも、自殺に関する災害共済給付のあり方について検討、つまり見直すということでございます。四月から、自殺対策の総合調整を厚生労働省として所管を行って、自殺総合対策大綱に基づいた施策が推進するように、文科省を初め関係省庁と連携をしていかなければならないというふうに思っております。

 今、ちょうど節目の、そして新しい基本法が四月から施行されるから、それに間に合うようにという御指摘をいただきました。今、政令改正が必要で、少し時間がかかるという話でありますが、どこまでスピードアップできるのか、よく政府内の調整をして、できる限り早く結論を出していきたいというふうに思います。

初鹿委員 ぜひ厚労大臣がリーダーシップをとって進めていただきたいと思います。

 政務官も、しっかり対応していただくようにお願いします。あと、とにかく、自殺が故意だというのはやはり発言をしないでいただきたいので、発言があるようですから、どうぞ。

堂故大臣政務官 私は、自殺は故意だとは申しておりませんが、大臣からの答弁もありましたので、できるだけ速やかに作業を進めたいと思います。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 それでは、次の、別の話題に移りたいと思います。

 もう一枚資料をめくっていただきたいと思いますが、昨年の七月ごろに話題になって、私も質問主意書を出した問題です。母乳のネット販売についてです。

 母乳がネットで販売をされている。それをぱっと聞くと、皆さんはびっくりするんじゃないかと思いますが、現実に販売をされていて、マスコミでも、新聞の記事になったり、週刊誌に取り上げられたりいたしました。

 もう一枚めくっていただきますと、厚生労働省から通知が出ているんですね。都道府県や保健所設置市、特別区に対して、「母乳を販売している事業者を把握した際は、事業実態を確認の上、必要な指導を行うようお願いします。」という通知が出ております。

 事前に事務方と確認をしましたところ、記事で書かれているところを幾つか当たってみて、そのうちの幾つかは、もうホームページも閉じちゃって所在がつかめなくなったということでしたが、この通知を出して以降、都道府県とか保健所の設置市から、事業者を把握したとか、こういう状態だったとか、そういう報告は厚生労働省に上がってきているんでしょうか。

塩崎国務大臣 以前に先生からの御指摘もございましたが、また質問主意書も頂戴をいたしたわけでありますけれども、母乳のインターネット販売ということでございます。

 食品衛生法に違反するおそれがあることから、昨年の七月三日付で、今お配りをいただいた通知を都道府県などに出したわけでありまして、母乳販売を行っている事業者を把握した際には厚生労働省に連絡するように依頼をしておりますけれども、これまでのところは、自治体からの報告事例はございません。

 インターネットに掲載されている販売業者の、たしか二つあったと思いますが、そのうちの一つ、三鷹市の所在地には、七月三日に保健所が確認に参りました。建物の管理人等から聞き取りをしたわけでありますけれども、母乳の販売実態は確認ができなかったという報告を受けています。

 それから、昨日、改めて全国の自治体に照会をいたしました。いずれの自治体においても、母乳を販売する事業者や健康被害に関する情報はなかったというふうに報告を受けています。

 販売される母乳が人の健康を損なうおそれがある場合には、食品衛生法の規定によって、その販売等は禁止をされるということになります。また、母乳を、乳を標榜して販売した場合にはやはり食品衛生法違反となるわけで、これは、牛とヤギと綿羊、これだけが乳として販売が可能だということでございます。

初鹿委員 実態がいまいち解明できない、ネットでの売買なので難しいのかなと思うんですが、昨日も検索していると、まだホームページが残っているんですね。実際に販売がされているか、また、買い取りが実際に行われているかまでは確認ができていないんですが、今皆さんに資料をお配りしておりますけれども、これは残っているんですよ。

 今、一年間話題になっているから、同様なことをやるところはないのかもしれませんが、海外などを見ると、意外と多くの国でネットでの販売というのがやられているんですね。アメリカや中国なども結構あるんですね。そういうことを考えると、今後、同じようなことをまたやり始めるような人がいてもおかしくないんじゃないかと思うんです。

 やはり衛生面だとか感染症へのリスクだとかを考えても、私は、そもそも母乳を販売することを認めること自体不適切ではないかと思うんですけれども、何らかの基準をつくればいいんじゃないかという質問をしましたが、「母乳が販売されることを前提として、母乳について同法第十一条第一項の規定に基づく規格基準を設けることは、現時点においては考えていない。」そういう答弁が返ってきているんですね。

 よくよく考えてみると、母乳というのは本当に食べ物なのか、食品なのかなというふうに思ったわけですよ。

 例えば、体から出るものということで、体の中に入っているものというふうに考えれば、血液と似たようなものではないかなと思うんですね。血液については売血が禁止されていますよね。二〇〇三年に安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律というのがきちんと定められて、そこで、献血とか、またそれを輸血に使う場合とかの基準を全部決めているわけですよね、また加工したりするということも。

 ですから、血液に準じた取り扱いを母乳でもして、そもそも、買い取ることもしちゃいけません、買い取って、今回の例を見ると、何かいろいろなものをまぜているみたいですからね、いろいろなものをまぜているわけですよ、普通の母乳には入っていないたんぱく質とかが入っていると書いてありますから、そうやって加工をすることもいけないというふうに、禁止することは私はできるんじゃないかと思いますけれども、大臣、御見解を伺います。

塩崎国務大臣 おっしゃるように、今、食品衛生法などでもまだきちっとした分類がなされていないわけでございまして、言ってみれば新手の商売ということでありますが、何よりも大事なのは、我々は健康を守るということで、例えば、インターネット等で販売されている母乳が、提供者の既往歴とか医薬品等の服用状況、こんなことも全然わからない。当然、一緒に出てくるということもあり得るわけですから。それから、搾乳方法とか保管方法、そういった衛生管理状況というのが全くわからないままだ。そのために、インターネット等を介して販売される母乳の中に例えば病原体とか化学物質とかそういうものが含まれていたりする、不衛生な母乳であるといったこと、そういうリスクがあるわけですね。

 ですから、厚生労働省としては、とりあえず、地方自治体に対しては通知をして、こうしたリスクについて注意喚起をお願いした。今後も、母子手帳の交付時あるいは乳幼児健診等の機会を通じて、妊産婦やあるいは乳幼児の養育者に対して周知徹底を図っていかなければならない。地方自治体の積極的な取り組みを促して、リーフレットをつくって、ひな形をこちらからつくって、そういうことで注意喚起をしようと思っていますが、今先生は、規制をきちっとして、むしろそれは、規制をするということは、やらすということになりますから、そういう形があり得るということであるならば、これは少し議論をしてみないといけないんじゃないかなというふうに思います。

初鹿委員 私は、むしろ禁止しちゃった方がいいかな、禁止ができないなら、せめてきちんと安全管理ができるような形というのもあり得るんじゃないか、そういう趣旨ですので、誤解なきようにしていただきたいと思います。

 今、大臣も少し触れましたけれども、売り手がいるということは買い手がいるということなんですよね。だから商売として成り立っているわけで、やはりそこには、我が国における母乳神話と言ったらいいんでしょうか、母乳で赤ちゃんを育てることがいいんだということがすごく、何か浸透しているというか、それにこだわり続けてしまっているような方がいて、自分が母乳が出ないことを悩んで、粉ミルクを使えばいいのに、わざわざ人の母乳を買って、それで上げなきゃいけないみたいな強迫観念に駆られてしまっている、そういう意識もやはり変えていくことが私は非常に重要なんだと思うんですね。

 先ほど大臣もおっしゃっていましたけれども、やはり、産前産後の母親教室とかそういうところで、母乳だけではないですよ、母乳じゃなくても大丈夫ですよということをきちんとお母さんたちに教えていくというか知らせていくということも必要だと思いますし、あとは、やはり、子供が生まれたときに、母子手帳とか、いろいろな案内、リーフレットとかがありますよね、そこに、ネットで販売はされているケースがあるけれども、そこは衛生上、または感染症に感染するリスクがあるので購入しないようにというような注意書きを、おせっかいかもしれないけれども書いた方がいいんじゃないかと思うんですよ。

 仮に国内で禁止をしても、先ほど言ったとおり、海外で売られているわけですよ。中国とかアメリカとかそういうところの例を調べてみると、やはり、貧困な親が生活費の糧として売っていたりするわけで、そういうことを考えても必ずしも健康状態がいいわけではないと思うと、非常にリスクは高いんじゃないかと思いますので、やはり、買い手にならないようにするよう、しっかり啓発していくことが必要だと思うんですが、例えば、母子手帳とか出産した後にもらうパンフレットとかで、きちんと警告文を記載するようなことは考えられないでしょうか。

塩崎国務大臣 これはさっき申し上げたつもりだったんですけれども、リーフレットのひな形を自治体にお配りしようと思っておりまして、それの利用は、今お話があったとおり、母子健康手帳、いわゆる母子手帳の交付のときとか、それから乳幼児健診、医療機関でもやはり配っていただいたらどうかなと思ったり、注意喚起していただいたらどうかなというふうに思っておりますので、周知徹底を図るように、自治体を通じて積極的に働きかけていきたいというふうに思っております。

初鹿委員 ぜひ、本当に、子供の健康にかかわることですから、ここはしっかりと対応していただきたいと思います。

 少々時間が押してきてしまったんですけれども、毎度行われておりますが、労働移動支援助成金について、最後、一つ質問をさせていただきます。

 先般の、維新の党と民主党の合同の部門会議で提出をした資料を添付させていただいておりますが、そこの、では六番目の項目について質問させていただきます。

 ここで、再就職を委託しただけで助成金が支給されるという現行の制度を改めるつもりはないかということで、慎重に検討していきたいということが書かれておりますけれども、やはり、この制度の最大の問題は、リストラをしようとする会社が人材紹介会社に委託をして、そして、対象となった退職者にそこの人材紹介会社で仕事を見つけてもらうということが、私はこの発端なんだと思うんですよ。最初から、リストラをする企業と人材紹介会社がもう接点を持っちゃっているという、この時点で、一人目が退職者として人材紹介会社としてはお客さんになったら、では、二人目も三人目もつくればまたお客さんがふえる、そういうふうになるんじゃないかと思うんですよね。

 その結果、この人材紹介会社が、では、お客さんをつくるために退職の仕方を無料でコンサルしますよということで、この王子とテンプの例のように、退職勧奨、退職強要のようなことができて、退職者がふやされて、その人たちがテンプスタッフで仕事を見つける、そのことによってテンプスタッフは収入が入ってくる、そういう仕組みになってしまったんじゃないかと思うんですね。

 ですので、私は、事業者が最初から人材紹介会社を決めて、そして委託をするというやり方ではなくて、退職した本人が自分で人材紹介会社、どこで職業紹介してもらえるかを選べるような形にして、そこに対して支援ができるようにする必要があるんじゃないかと思うんですね。そうすれば、リストラをしようとしている企業と人材紹介会社の間でマッチポンプのようなことは起こりにくくなると思うんです。

 ただ、事業者の負担で賄われているものであるということでありますから、例えば事業主に対してバウチャー券のようなものを発行して、退職に応じた社員に対してそのバウチャー券を渡して、これを使って自分で人材紹介会社を探して、そこで有料の職業紹介を受けてくださいね、そういう仕組みにした方が、私は、このような不正は起こりにくくなる。

 そして、やはり大企業に広げたことが大きな問題ではないかと思いますので、もともとは中小企業からスタートしているわけですから、もう一回、中小企業限定にして、なかなか自分の力で人材紹介会社に、退職した社員の後の仕事の世話をするような余力がない中小企業を支援する、従来の制度に戻す必要があると思いますが、御見解をお伺いいたします。

渡辺委員長 既に持ち時間を経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。

塩崎国務大臣 本来、企業は従業員に対して、リストラでおやめをいただくということになれば、心ある会社であれば、やはりそれは就職の世話をするというのが人の道。一方で、雇用対策法の第六条に、企業は、リストラを行う場合には、それに伴って離職せざるを得ない方々に対して、再就職支援を行う努力義務というのが明定されているんですね。

 でありますので、今こういう形で、労働移動支援助成金を私どもが当初考えていたのとは少しゆがんだ形で悪用されるということが起きたということがわかりました。したがって、この要件の厳格化をするということで、既に、さっきのマッチポンプケースは、このようなケースが明確な場合には不支給とすると要件の改正を行うこととしたわけでありますけれども、そういうことも踏まえ、不断の見直しを検討するということが必要でございますので、今お話をいただいた御提案を含めて、さらなる改善について取り組んでまいりたいというふうに思います。

初鹿委員 まだ幾つか質問したいことはあるんですが、時間が来ましたので、次回に譲らせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、重徳和彦君。

重徳委員 改革結集の会、重徳和彦です。

 本日は、自殺対策基本法改正についての審議でございます。

 私は、自殺対策議連の若者自殺対策ワーキングチームの事務局長として活動を行ってまいりまして、若者自殺の原因の一つは、やはり性犯罪の被害者となったことというのが大きいと言われております。

 資料一をごらんいただきますと、これはある映画のチラシなんですけれども、「ら」という、拉致されるの「ら」であります、「ら」という映画であります。この映画は、この監督さんみずからが性犯罪の被害者の若い女性なんですけれども、昨年七月十四日に、その映画、国会の中で、院内で上映会も行いまして、きょうの参考人の清水さんとか初鹿委員にも協力いただきまして、上映会をやったという経緯があります。

 きょうポイントにしたいのは、最初の第一歩であるホットライン、電話なんですね。この映画の中でも、被害者である主人公が最初に電話をするんです。電話をした先は警察です。ところが、警察は、所轄が違うということで冷たくあしらった。したがって、被害に遭った女性はその場で電話をできずじまい。結局、警察に届け出たのは数カ月後。この数カ月の間に同一犯人が次々と婦女暴行事件を繰り返す。その事態に対しても、被害者であるはずの女性がさらに自責の念に駆られてしまう、こういうような場面があります。

 この最初の電話が、本当に本人に寄り添う電話で、相談員につながって、そして関係機関の支援が適切に行われていればこんなことはなかったんじゃないか、こういうことで、これが私の問題意識です。

 そこで、よりそいホットラインという制度が平成二十四年から始まっていて、資料二をごらんいただきますと、その実績の推移がございます。

 自殺に関して言えば、二十四年度からの三年間で、それぞれ、二万一千件、二万七千件、三万二千件という数字が出ているんですが、このよりそいホットライン、この実績、厚労省としてどのように評価されていますでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 よりそいホットラインでは、生活上の悩みや自殺の悩み、DV被害など、さまざまな困難に直面する方を対象に、二十四時間三百六十五日、無料で電話相談に応じるとともに、必要に応じて面接相談や同行支援などを行い、具体的な問題解決につなげていらっしゃいます。

 この事業ですが、相談内容を特定しない一般ラインのほか、自殺予防ライン、DVラインなど、各専門ラインを設け、相談内容別の対応を行っています。

 平成二十六年度の延べ相談件数、先生が御配付の資料の中に書いてあるとおりでございますが、約二十九万件となっており、このうち、一般ラインに寄せられた相談は約十五万件、そして自殺予防ラインは約三・二万件、DVラインは約二・七万件となっております。そして、このうちの自殺予防ラインでございますが、全体の相談件数がやや減っておりますけれども、この自殺予防ラインに限ってみますと、これは増加をしているということも見てとれるわけでございます。

 その意義でございますけれども、電話相談のみならず、具体的な支援を行うつなぎ先を確保する観点から、自治体の自立相談支援機関、社会福祉協議会、病院など、さまざまな関係機関との連携体制を構築しておりまして、各地域における自殺防止関係機関のネットワークづくりにも大変貢献をしているものというふうに考えております。

重徳委員 ありがとうございます。

 まだ三年ですので、これからもずっとこういう体制を充実させていくことができればと思っております。

 ここで、参考人の清水さんにコメントをいただきたいんですが、今、意義については石井局長から話がございましたけれども、大体こんな評価かなというふうにも思います。清水さんの目から見てどうかということと、あと、一つ、これは非常に重要なホットラインなんですが、単年度の予算事業で行われているんですよね。だから、相談員さんが、もちろん、研修なんかを行って、気持ちもすごく持ってやっておられる方ばかりだと思うんですが、それでもやはり、来年この事業どうなっちゃうんだろうという状況の中では、いろいろな不安があったり、十分な相談体制とは言えない部分もあるんじゃないか。このあたりについて、清水さんの御見解をよろしくお願いします。

清水参考人 よりそいホットラインは、自殺対策に資するというよりも、今や日本の自殺対策には欠かせない、そういう存在になっているというふうに思っています。

 先ほど少し触れましたとおり、自殺のリスクを抱えた方というのは、多くの場合、複数の問題を抱え込んでいます。その複数の問題を解決しようと思うと、当然、複数の相談機関にたどり着かなければならない。

 ただ、実際に、より深刻な問題を抱えている人ほど、支援先を探すという時間や労力をなかなか負担することができないという中で、地域にはさまざまな相談機関があるにもかかわらず、そこにたどり着けないがゆえに自殺に追い込まれていくという人が、今、日本社会ではたくさんいるわけなので、そうした社会資源、相談機関と、問題を抱えている本人との深い溝を埋める、そういう役割をこのよりそいホットラインというのはしているんだと思います。

 この実施団体である社会的包摂サポートセンターの熊坂代表がよくおっしゃっていることなんですけれども、自殺でいうと、人が亡くなったときにはどこにかけるか、一一〇番にかけます。では、自殺行動をして、未遂だった場合はどうするか、これは一一九番です。でも、一一〇番や一一九番にかける前に、命や暮らしの危機に陥ったときに簡単にかけることができる、やはりそうした社会の第三のダイヤルとなるような、そうした電話相談が極めて存在として重要だと思いますし、よりそいホットラインはその役割をまさに果たしていく必要があるんだというふうに思っています。

 課題でいいますと、まさに御指摘いただいたとおり、これは単年度の事業ですので、来年度、事業が続くのかどうか、それは予算が通ってみないとわからない、あるいは、これが先々予算が安定して確保されるのかどうかもわからないという中で、事業を行う主体あるいはその事業にかかわる相談員は、安定してこのよりそいホットラインに本当にかかわれるのかどうかという不安を抱えながら日々相談に当たることになりますので、ぜひこれは、制度としてしっかりと社会の中に安定させていく、安心して相談員も相談対応できるような体制をつくっていただくという必要があるんだと思います。

重徳委員 今、清水さんが言われたように、一一〇番、一一九番の前に、まずよりそいホットラインだと。非常にわかりやすいし、筋の通った御意見だったというふうに思います。

 また、法制度にちゃんと位置づけるべきという問題について議論してみたいと思うんですけれども、今、いわばワンストップの相談窓口というと、一番近い制度は生活困窮者自立支援制度ではなかろうか。

 これは今年度からスタートをして、今一年程度たとうとしているところなんですが、資料三をおつけしておりますけれども、全国の新規相談受け付け件数を見ますと、十八万八千五百九十件、プラン作成が四万四千件、就労支援対象者数は二万三千件というように、一定の数字的なものも出てきていると考えます。

 ここで、やはりこれは法律に基づく制度ですから、ちょっと大臣に御見解をお伺いしたいんですが、この生活困窮者自立支援制度、入り口としては経済的な困窮者という切り口から入るんですが、さまざまな関係機関との連携をこの制度も想定をしております。そういう意味で、よりそいホットラインとも共通した部分が非常にありますし、法律上、何かしら位置づけるとすれば、この生活困窮者自立支援法の中によりそいホットラインというものを位置づけていくというようなことが一つの有力な選択肢ではないかというふうに思います。

 清水さんが言われた、やはり法制度にきちんと位置づけて安定的な相談体制をしくためにも、その点、御検討されてはいかがかと思うんですが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今、よりそいホットラインを生活困窮者自立支援法の中に位置づけたらどうだ、こういう御提案だというふうに理解をさせていただいております。

 幅広く相談を受け付けるというのがこのよりそいホットラインの特徴だという話があったと思いますけれども、生活困窮者に対して包括的な支援を行う生活困窮者自立支援制度の相談支援機関が連携するということは、自殺対策の体制強化のためにも極めて重要だと思います。両者が連携をするように、繰り返し自治体にも周知をしているところでございます。

 一方で、このよりそいホットラインを生活困窮者自立支援制度に位置づけることについて御提案でございましたけれども、これは、対象者を生活困窮者に限らず、自殺やDV被害の悩みを初め、幅広く相談受け付けができるこの事業の目的がやや見えにくくなるという課題もあるのかなというふうにも考えられるわけでございます。

 いずれにしても、生活困窮者自立支援制度との連携を進めて、よりそいホットラインがより一層効果的に活用されるように、その改善について絶えず検討はしていかなければならないというふうに思うところでございます。

重徳委員 大体予想された御答弁なんですけれどもね。やはり、生活困窮者自立支援制度というと、経済的な生活困窮者がまずは対象だよと。

 でも、そういうことを言っていると、全ての制度は、まずは何かの対応なんですよ。失業してしまった人、今の生活に困っている人、DVを受けた人、いじめを受けた人、犯罪に遭った人、そういうそれぞれの別々の切り口でしか、基本的には制度というのはつくりにくいんです。

 だけれども、その先に、さまざまな関係機関と連携する、そういうネットワーク的な広がりを持った制度を構築していかなきゃいけないという意味では、これは全ての制度共通なんですよね。

 資料四、おつけしておりますのでごらんいただきたいんですが、生活困窮者自立支援制度のことです。

 やはりあらゆる制度と結びつかなきゃいけないということで、今まで、これは通知という形だそうですが、この生活困窮者自立支援制度という核から十四本の通知が出ているというんですね。十四の関係機関との連携をちゃんとつなぐように、こういう議論がこれまでもされて、全国に通達が出されているわけであります。

 ここを法制度としてどういうふうにしていくかというのは一つの大きな課題だと思いますが、いずれそういうことにも踏み込んで、よりそいホットラインも法制度に位置づけるべきだというのは、私はこれからも主張し続けようと思いますけれども、まず、きょうは自殺対策基本法の議論でありますので、この生活困窮者自立支援制度、これは、図を見ると、自殺対策というところにはまだ結びついていないというふうに見えます。

 今回の基本法改正を機に、生活困窮者自立支援制度、この各種十数本ある連携通知の一つに、自殺対策というのを加えるお考えはありますか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 既に厚生労働省では、生活困窮者自立支援制度とよりそいホットラインとの連携のための通知を発出いたしているところでございますが、御指摘の自殺対策施策との連携通知、これは現状において発出いたしておりません。

 ただ、生活困窮者の方の中には、メンタルヘルスの課題を抱え、自殺を図るおそれのある方もおられます。自殺対策分野との連携は重要と考えておりますので、今後、この分野との連携のあり方についても通知でお示しをしてまいりたいと考えております。

重徳委員 今局長から、明確に、通知を出されるということでありますので、さらに一歩前進ということだと思います。ぜひお願いします。

 それからもう一つ、自殺対策、今度は大臣にお尋ねしますが、今回の自殺対策基本法、この大きなポイントは、各都道府県、市町村が自殺対策計画というものをきちんとつくって、そして、今は、生活困窮者自立支援制度の中では、さまざまなところと連携するようにというような仕組みをどんどんどんどん充実させていっていると思いますが、自殺対策においても、各都道府県、市町村においてそういった連携体制をきちっとつくっていく、これを計画に盛り込んでいく、そして実行していく、これが今回の改正の最大のポイントの一つだと思うんですね。

 その意味で、きょう議論してまいりましたよりそいホットライン、そして生活困窮者自立支援制度、こういったものをきちんと位置づけて、そして、生活困窮者自立支援制度は、その制度においては、今局長が御答弁されたように、自殺対策とも連携するという通知を出されるということでありますが、自殺対策の計画の中にも、生活困窮者自立支援の制度と自殺対策、そしてよりそいホットラインというものをきちんと結びつけて連携させていく、こういったことを位置づけていくということを、主体はもちろん自治体ですが、厚労省としてもその取り組みを促していく、こういうお考えがあるかどうか、お尋ねいたします。

塩崎国務大臣 自殺総合対策大綱におきまして、生活困窮者への支援や、よりそいホットラインも含めた無料電話相談支援について、自殺を防ぐための社会的な取り組みの一環として掲げられております。自治体においては、この大綱の内容も踏まえて、今お触れをいただきました自殺対策計画、これを策定するということになるというふうに考えております。

 厚生労働省としては、こうした自治体の計画の策定を支援することが今後とも重要と考えておりまして、地域自殺対策推進センターの全ての都道府県、指定都市への計画的な設置を含め、御指摘の内容も含めて、同センターが計画策定に必要な助言を行えるような体制をしっかり確保していきたいというふうに考えております。

重徳委員 ごめんなさい、今、私が質問したのは、生活困窮者自立支援制度を位置づけるかということも含めて質問させていただいたものですから、それについてはいかがですか。自殺対策計画の中に生活困窮者自立支援制度を位置づけるかどうか。

塩崎国務大臣 両者の関係は大変深いというのが先生の御指摘でありまして、そのとおりだと思いますので、どういうような形で織り込めるか、よく考えてまいりたいというふうに思います。

重徳委員 あらゆる制度の乗り入れ、ネットワーク化、これが本当に肝だと思いますので、ぜひとも前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 この後も追いかけていきますので、よろしくお願いします。

渡辺委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時休憩

     ――――◇―――――

    午前十時三十六分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大西健介君。

大西(健)委員 民主党の大西健介でございます。

 大臣、お疲れさまでございます。大臣に答弁を求めるのはまだしばらくありますので、息を整えていただければと思います。

 先ほど来お話が出ておりますけれども、我が党の、今は亡き山本孝史先生が、参議院の厚労委員会で自殺対策の推進を求める決議を主導して議決をされ、そして、それを受ける形で自殺対策基本法ができて十年という節目の年を迎えます。本委員会で、きょうしっかりとこの改正案を上げていきたいというふうに思っております。

 そこで、まず自殺対策についてお聞きをしたいというふうに思っています。

 きょう参考人として出席をいただいている清水参考人、これまで十年の歩みの上に、さらに自殺対策を強化、加速させるために、古くなったOSの更新が必要という表現をされていますが、非常にわかりやすい表現だなというふうに思っております。

 民主党政権におきまして、十五年ぶりに自殺者が三万人を下回るという結果を出すことができました。この背景には、清水さんの取り組みというのが非常に大きかったというふうに私は思っております。

 民主党政権では、同じように、例えば貧困対策に関して、湯浅誠さんに内閣府の参与になっていただくということもありました。

 清水さんや湯浅さんのように、現場で問題解決に当たっている社会運動家の皆さんに、政府の中に入っていただいて、実際の政策決定に関与してもらうというのは、私は民主党政権での非常に特徴的なことであったのではないかなというふうに思っております。

 そこで、まず清水参考人にお伺いしたいのは、こういうことをどう評価されているか、そしてまた、実際に政府の中に入って仕事をしてみて感じられたこと、気づいたことというのがあれば御教示をいただきたいというふうに思います。

清水参考人 主観的な感覚をお話しするよりも、具体的に私が何をしたのかということをお示しした方がいいのではないかと思いまして、本日、資料をお配りいただいています。

 最初のページに「自殺総合対策大綱(見直し後の全体像)」という、パワーポイント、スライドが二ページにわたって印刷されているものになりますけれども、こちらの三枚目、ページ数でいいますと八と書かれているところをごらんいただければと思います。自殺対策百日プランです。

 これは、私が参与に就任してからすぐに作成に取りかからせていただいたものになっています。大臣がトップを務める自殺対策緊急戦略チームの一員として、政務三役、あと、私を含めた参与二人、これがチームのメンバーだったんですが、私がこのたたき台をつくらせていただいて、二〇〇九年のリーマン・ショック後の自殺リスクの増大が懸念される中で、早急に対策を進めるべきということでまとめたのがこの百日プランになっています。

 裏面、ページをめくっていただきますと、九ページ目のところに目次を印刷していただいています。全て印刷するとページ数が多くなりますので、目次のみ印刷していただきました。

 ここには、基本的な方針や具体的な対策、あるいは対策を進めるに当たっての心構えといったものも書かれているわけですが、1「基本的な方針」の2に当たります「三つの基本戦略」、自殺対策を生きる支援として推進するということであったり、あるいは、大きな2の「具体的な対策」の中の、自殺対策強化月間を三月に定めるということ、あるいは、自殺実態に基づいた対策の立案をする、地域のワンストップ総合相談体制のあり方を検討するといったような、つまり、今回の自殺対策基本法の改正につながる理念や戦略、あるいは具体的な施策をこの百日プランとしてまとめることができたというふうに思っています。

 これは、新たに考えてつくったというよりも、現場の活動で常日ごろ感じていたこと、こういうふうにすべきだというふうに思っていたことを素案としてまとめさせていただいて、官僚の方や、あるいは政務の方たちと一緒に煮詰めてつくり上げたのがこの百日プランということになります。

 私がこうした政策づくりにかかわらせていただく中で強く実感したことというのは、今、言うまでもなく社会は多様化していて、そうすると、現場で起きている問題も多様化していく。これまでの制度やこれまでの枠組みではなかなか解決できないような問題も多く起きている。そのときに重要なことは、いかに現場の実態を正確に把握して、その把握した実態に基づいて戦略を立てるか。つまり、現場の把握と政策の立案、これをできる人たちが協力していかなければならない。

 現場に一番近いところで活動しているのは、我々のようなNPOだったりします。ただ、我々には、政策を立案する、そういう力はありません。ですから、現場からはちょっと遠いかもしれませんが、政策を立案するお立場にある政府や国会と、現場に一番近いところにいる民間がしっかりと協力をして、オール・ジャパンで本当に取り組んでいかないと、今の日本のさまざまな社会問題の解決には到底、解決に導くことはできないというふうに思っていますので、そうしたことの重要性を非常に強く実感したところです。

大西(健)委員 ありがとうございます。

 今まで、専門家の御意見というのは、会議の場に出席をしていただいて意見を聞くだけみたいな話だったんですけれども、より実際に政府の中に入っていただいて、政策立案の実務者である役人の皆さんと、現場で活動してきている皆さんがそうやって連携をしていくということは、私は、非常に今後ますます必要になってくるのではないかなというふうに思っております。

 今回の法改正、さまざまな特徴がありますが、一つは、地域レベルでの実践的な取り組み、これを強化していくということで、市町村にそれぞれ自殺対策計画をつくるように、そしてまた、その財政的な裏づけもするということであります。

 当然のことながら、自殺をめぐる状況というのは、地域それぞれ事情が異なるというふうに思います。

 例えば、私の地元というのはトヨタ系のグループ企業が集積をする地域でありますけれども、例えば製造業のライン業務、これは非常に、トイレに行くにも手を挙げて行かなきゃいけない、あるいは、もう本当にトヨタのラインのスピードというのは速くて、応援で行った人なんというのは、一日働くと、駐車場に行ったら、車の中で休んでからじゃないと車を運転できない、それぐらいげっそりしてしまうというような話もあります。あるいは、昼夜逆転の勤務、夜勤がありますので、これも非常にライフスタイルが乱れるということで、メンタル不調を訴えるという人も非常に多い地域であります。

 そういう意味では、自殺防止のためには、こういうところに特化した取り組みというのは私の地元では非常に有効ではないかなというふうに思います。

 地域の事情に応じたきめ細やかな対策の重要性について、改めて、ほかの事例も含めて御教示をいただければというふうに思います。

清水参考人 地域の実情に応じたきめ細やかな対策の重要性というのは、これは強調し過ぎることがないというふうに思います。

 先ほどの、お示しした資料の二枚目に、職業別に見る地域の自殺特性並びに年代別に見る地域の自殺特性という資料を添付させていただきました。これは、内閣府が警察の自殺統計を使って毎月公表している市区町村ごとの自殺データを、私たちが集計してつくったグラフになっているわけですが、見ていただくとわかるとおり、地域によってかなり特徴が異なっています。

 例えば、職業別に見る地域の自殺特性の右上、まさに愛知県の豊田市ですけれども、ここの特徴は、被雇用者、つまり勤め人の自殺が多いということですね。円グラフが四つ並んでいるスライドが縦に並んでいるものになりますけれども。あるいは、京都市左京区で見てみますと、ここの特徴は、学生、生徒等の自殺がほかの地域と比べて非常に多い。あるいは、年代別に見たときも、東京都の新宿区でいいますと、二十代、三十代の自殺が全体の約四割を占めている。あるいは、秋田県の由利本荘市にいきますと、逆に七十代以上が四割を占めるといったように、地域によって、年代も職業も、こうしたかなりばらつきがありますので、その特徴をしっかり踏まえて施策を打っていく必要がある。

 その手前のページ、スライド番号でいうと三番となっているところに、自殺の危機経路事例、これも載せています。

 実は、職業や立場によって、抱え込みがちな問題の組み合わせというのも大きく異なっているということがわかっています。ですから、失業者の自殺が多い地域であれば、失業者が抱え込みがちな問題の組み合わせに応じて関係機関が連携を図っていく、あるいは、労働者の自殺が多い地域においては、労働者が抱え込みがちな問題の組み合わせに応じる形で関係機関がやはり連携を図っていくといったような、地域の実情に応じて関係機関が連携をしていく、そういうふうなことをしないと、闇夜に矢を放つような対策になってしまうので、ターゲットをしっかり絞る、そこに集中的に資源を投下し、効率的、効果的に対策を全国で推し進めていくということが重要だと思います。

大西(健)委員 ありがとうございます。

 今の説明、非常にわかりやすかったと思います。地域によって、年代も職業も非常に違いがあるということでありますから、ターゲットを絞った対策をこれからも講じていく必要があるというふうに思います。

 また、こういうデータが出るようになったのも、この自殺対策基本法ができた、その成果だというふうに思います。ぜひ、これからも、この自殺対策基本法、きょうのこの委員会でしっかり議論して、法改正をして、さらに前に進めていただきたいというふうに思っています。ありがとうございます。

 次に移りたいというふうに思います。

 保育の問題ですけれども、実は私は保育も全く同じじゃないかというふうに思っています。というのは、保育でいうと、フローレンスの駒崎さんみたいな、やはり学者、研究者ではなくて現場で問題解決に当たっている専門家の方がいろいろな政策提言をされています。また、保育をめぐる事情、これも地域によって全然違うんです。

 皆さんのお手元に記事をお配りしていますけれども、右側の新聞記事は、実は、私の地元の刈谷というところで、二〇〇七年から、デンソー、豊田自動織機、トヨタ車体、ジェイテクト、トヨタ紡織の五社が共同出資をして企業内託児所というのを運営しています。

 先ほども言いましたけれども、私の地元はトヨタ関係の自動車産業の企業が集積しておりますので、実は、私の地元はトヨタカレンダーで動いているんです。トヨタカレンダーというのは何かと申しますと、国民の祝日でもトヨタが稼働日だったら町は動いているんです。休みじゃないんです。ですから、そういうところに、保育園もしっかりトヨタカレンダーに対応してくれないとこれは困ってしまうということであります。

 こういう企業内託児所、二〇〇七年からこういう取り組みをやっているんですけれども、こういう託児所だとトヨタカレンダーにも対応していますし、また稼働時間、先ほども言いましたけれども、夜勤があったりとか、そういう時間にも対応している。あるいは、通勤経路や自宅周辺など、都合に合わせて、幾つか託児所があるんですけれども、どこに預けてもよい。あるいは、何かあったとき、社内にあるので、熱が出たとかそういうときにもすぐに迎えに行ける。いろいろ利点が挙げられるというふうに思います。

 左側の記事、これは最近の記事ですけれども、最近でも愛知県では、こういった働く女性の人材確保あるいは離職防止のために、企業内の保育施設を設ける動きが活発にあります。

 もう一つ言えるのは、私の地元というのはやはり車社会で、マイカー通勤の人が多いです。マイカー通勤だと、子供を預ける手間というか子供を預ける負担というのが、企業内保育所だと送迎しなくていいですから、非常に楽にできる。ただ、この点も、逆に、都会だと電車通勤ですから、満員電車に子供を連れてなかなか通勤を一緒にできないということですから、むしろ会社にある託児所よりも自宅に近い託児所の方のニーズが高い。

 つまり、繰り返しになりますけれども、やはりこれは地域によって保育のニーズそのものも私は大きく異なっているというふうに思いますので、保育においても、きめ細やかな、地域の実情に応じた対策が必要だというふうに思っております。

 特に、次のページに資料としてつけておきましたけれども、内閣委員会に今、法案がかかっているということでありますけれども、このたび、政府としても、事業所内の保育施設を有効活用し、それを支援していこうということで、平成二十八年度予算の中にも補助金の予算が計上されています。

 このような取り組みを強力に推し進めていただいて、その企業はもちろんですけれども、関連の下請の中小企業で働いている皆さんも、あるいは地域にもその定員の一部を開放していただくと、これは非常に喜ばれるし、私の地元では効果が非常に高いのではないかというふうに思いますので、ぜひこういう取り組みを厚労省としても強力に推し進めていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 待機児童解消加速化プランで、今後、女性の就業がさらに進むことを念頭に、五十万人に加速をして上積みしようということでありますけれども、その実現に当たって、保育所等の施設整備費の上積み等のほか、企業における多様な働き方に対応しやすい事業所内保育等の企業主導型保育サービスというのを今回創設いたしたわけでございます。

 もちろん、今まで企業内の保育所は、今先生御指摘のようにあるわけでありますけれども、今回、それを改めて定義し直して創設をして、最大五万人の受け皿を整備するということで進めさせていただこうと思っております。

 この企業主導型保育事業につきましては、設置する企業等におけるさまざまな就労形態がございますので、それに対応して、延長保育とかあるいは休日保育など、仕事に合った多様な保育を必要に応じて実施しやすい仕組みとしたいと考えておりまして、また、複数企業の共同利用、今トヨタの例がございましたけれども、これも共同設置をしているというふうに理解しておりますが、多くの企業が利用しやすい形で実施を可能にしたいというふうに考えております。

 多くの企業に、今回提案をしている事業を積極的に御活用をいただいて、保育の受け皿拡大を図れるように、迅速かつ適切な事業運営、そして周知、広報に努めてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 今回、新たに設置する場合には施設整備にも補助金が出るということでありますが、既に二〇〇七年からやっているように、企業の持ち出しでやっているところについては、ぜひ既存のものについても運営費の補助をしっかりやっていただきたいというふうに思いますし、先ほども言いましたけれども、働く女性の人材確保それから離職防止のためにこれは非常に効果がある。本当に、日本の物づくり、産業を守っていくためにも必要なことだと思いますので、ぜひともよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、また違う話題ですけれども、資料の三ページの記事をごらんいただきたいんです。

 障害者虐待防止法、これは議員立法でありますけれども、第十六条に、虐待を発見した場合には通報義務というのが定められています。ところが、これに従って通報した職員が施設側に訴えられるというケースが最近起きております。同じく十六条の四項では、通報した施設職員の不利益取り扱いの禁止というのが書かれているんですけれども、これは罰則はありません。こういうことが今鹿児島と埼玉で二例あるということでありますけれども、こういうことが続いていくと、やはり職員が萎縮して内部通報が行われなくなってしまうんじゃないか。

 特に、虐待に遭う人というのは、多くは知的障害の方です。重度の障害の場合には、自分が虐待に遭っているという認識さえなかなか持ちにくい。また、軽度であっても、自分が受けた虐待に対してうまく表現ができないということでありますので、これは内部通報が萎縮してしまうと、こうした虐待が闇の中に葬られていくということになるのではないかというふうに思います。

 何か、厚労省の方も、対応マニュアルを月内に改定して、自治体や運営事業者にそれを通知するということを考えておられるというふうに聞いています。また、報道によると、退職してしまっている場合には、そうやってもう退職している職員の方がいろいろと話しやすいだろうということなので、そういう元職員の聞き取りなんかもしっかりやるようにということで、施設側にそういう通知もするようなことも検討しているというふうに聞いております。

 これはまだ今のところは埼玉と鹿児島ということですけれども、こういうのが広がると、先ほど申し上げましたように、内部通報というのが萎縮する可能性があると思いますので、何らかの対応をとる必要があると思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今先生御指摘のように、埼玉あるいは鹿児島などで、障害福祉施設内の虐待について地方自治体に通報した職員に対して損害賠償を請求される事案が起きていることは私どもも承知をしております。

 今御説明いただいたように、障害者虐待防止法におきまして、虐待を発見した場合には通報義務、それから、通報したことを理由に不利益な取り扱いの禁止というのを定めているわけであります。

 この規定どおり通報した者が、通報したことを理由に損害賠償を請求されるというのは、法の趣旨から見てもこれには沿わないというふうに考えておりまして、厚労省としては、地方自治体向けの全国会議、それから障害者福祉施設における虐待防止マニュアルの改正を、今御指摘いただきましたが、行おうということで、それを通じて、虐待を発見した施設の職員が通報をためらうことがないようにしないといけない。

 そしてまた、責任者の方もこの重要性を改めて認識してもらうということが大事であろうと思っておりますので、障害者虐待防止法の趣旨の周知徹底をこうした形で図り、虐待防止に向けた取り組みをしっかりと進めてまいりたいと思っているところでございます。

大西(健)委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 きょうは一般質疑ですので、いろいろなトピックスについて質問しますけれども、次に、資料の四ページをごらんいただきたいんです。

 これは、私の地元の病院のロビーに張ってある張り紙を秘書に写真で撮ってきてもらったんですけれども、表題が、「交通事故で、接骨院等にもかかっている(かかられる予定の)患者さんへ」ということで、当院では、交通事故診療において、同時に接骨院等に行くことは認めていませんというふうに書かれていますね。それから、2の方ですけれども、事故後から接骨院等のみにかかっている場合や、医療機関受診後に長期間にわたって接骨院等にかかっている場合等は、病状の経過が不明となり云々ですけれども、最後のところで、「当院では交通事故における自賠責様式診断書や後遺障害診断書の作成をお断りする場合があります。」という張り紙なんですけれども、ちょっとこれはいささかやり過ぎじゃないのかなというふうに思っています。

 後でいろいろなトラブルになることがあるので、最初の段階でちゃんと医師の所見を受けてくださいねというぐらいなら、私は百歩譲ってそれはありかなというふうに思いますけれども、さすがにこれは、事実上、もう交通事故では接骨院にかかっちゃいけない、かかっちゃったら、その場合には自賠責保険はおりませんよ、あるいは使わせませんよと言うに等しい、そういう内容だというふうに私は思います。

 私は別に柔整師や接骨院の肩を持つということではなくて、交通事故被害者の方が柔整の治療、施術を受けるというその権利、機会を奪うような張り紙であって、これはさすがにちょっと行き過ぎじゃないかというふうに思いますが、大臣、これをごらんになられた感想と、やはりこれはちゃんと指導してもらわなきゃいけないと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 御案内のように、自賠責保険というのは私どもの所管ではないわけであります。そういう意味では、現時点において問題の有無についてお答えをすることは、この自賠責関連では差し控えたいところでございますけれども、医療機関がどのような趣旨で御指摘の掲示を行っているかなどの詳細が確認をできた場合には、自賠責保険に関係する国土交通省、そしてまた金融庁とも協力しながら適切に対応をしてまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 自賠責保険そのものは、保険ですから金融庁であったりとか、あるいは国交省の話でありますが、これは療養費の問題ですから、柔整を所管する厚労省としても、これはさすがに問題じゃないかという意識はしっかり持っていただきたいというふうに思います。

 私の知り合いの柔整師さんに聞くと、最近は、損害保険会社が、柔整についてはもう自賠責を払わないみたいなことを言ってくるケースも結構ふえているようです。

 また、逆に、自賠責は、限度額を超えなければ、これは保険会社の腹も痛みませんし、患者を抱き込んで、悪徳な柔整師が不正請求を働くということも横行しているのも事実です。これはしっかり業界の方にも自浄作用を働かせていただかなければならないと私は思います。

 この点で、平成二十六年の四月九日の本委員会で、我が党の長妻委員が、自賠責の問題は、今、大臣が言われたように、厚労省と国交省と金融庁にまたがっている問題だから、そのときは自賠責保険の不正請求の観点からですけれども、その三省庁がしっかり連携して、一緒に三省庁の検討委員会を立ち上げるべきじゃないかということを質問で指摘しています。

 当時の田村大臣が、いらっしゃいますけれども、その関連三省庁の連携の形については検討したいとおっしゃっているんですが、その後、その検討は進んでいるんでしょうか。どうなっているのか教えてください。

太田大臣政務官 お答え申し上げます。

 御指摘の二十六年四月九日の答弁を受けまして、厚生労働省といたしましては、平成二十六年度から、四半期ごとに、交通事故専門などの不適切な柔道整復師の広告に対する指導件数、これを都道府県経由で把握をいたしております。そしてまた、あわせて、適切な指導と報告を都道府県に対してお願いしております。

 また、日本損害保険協会が開催しております保険金不正請求防止対策勉強会にも、先ほど触れられました金融庁、国土交通省等とともにオブザーバーとして参加をいたしておりまして、情報共有と連携をさせていただいております。

 厚生労働省といたしましては、整復師さんたちの施術が適切な形で受けられるようにということで、こうした取り組みを通じながら、関係団体とともに、啓発指導、養成段階での倫理観の醸成など、柔道整復師業界の健全な発展に取り組んでまいりたいと思っております。

大西(健)委員 当然、不正はしっかり取り締まっていただかなきゃいけないんですが、これは業界の皆さんも問題視を、自覚をしていて、業界の皆さんも、ぜひ三省庁の検討委員会をつくってくれと言っておられます。そこに、何らかの形で、柔整師、当事者の皆さんの意見も入るような形をつくってくれとおっしゃっていますので、先ほどもお話がありましたが、これは国土交通省が主管ということでありますので、きょうは政務官に来ていただいていますので、ぜひ、国土交通省の立場でも、この療養費の自賠責における使用の問題、三省庁でしっかり検討委員会のような形を、長妻委員が言われたように、立ち上げていただきたいと思いますが、その方向性について御答弁いただければと思います。

宮内大臣政務官 お答えをいたします。

 自賠責保険は、自動車事故被害者の保護を図るために、自動車の所有者から義務的に徴収した保険料を財源としているということを踏まえますと、不正請求の防止等の徹底を図りまして、適正な支払いの確保を図ることが重要だと考えております。

 御指摘の検討会の設置につきましては、一般社団法人日本損害保険協会主催の勉強会に、金融庁、厚生労働省とともに参加をいたしまして、自賠責保険の不正請求防止対策に関し情報共有を図るとともに、啓発活動の推進、調査体制の整備等につきまして検討を行ってきたところでございます。

 今後も、金融庁、厚生労働省等や関係機関との連携のもと、自賠責保険の適正な支払いの確保に努めてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 検討委員会の立ち上げというところまでは言っていただけないんですけれども、連携は強化していると。

 ただ、それは不正請求の面からだけですので、さっき言ったように、逆に、損害保険会社が、療養費を払わないぞ、柔整を使ったものは払わないぞみたいなこともあるわけですので、これは当事者に自浄作用を働かせていただくことが私は必要だと思いますので、柔整師にもやはりそこに何らかの関与をできるような形というのをつくっていただきたいなというふうに私は要請をしておきたいと思います。

 政務官、ありがとうございました。

 残りの時間、労働移動支援助成金と、それを利用した退職強要の問題について質問していきたいというふうに思うんですが、私が最初に予算委員会で取り上げて以降、正直、私、個人的にはよくここまで来たなというふうに思っています。山井先生は満足されておりませんけれども、私は、まあまあ、それなりの評価をしています。ただ、何で初めから、これが言えるんだったらもっと初めからこう答弁すればいいじゃないかと。何回も何回もこれを取り上げて、やっとここまで来たわけです。これはちょっと不信感もあります。

 資料の五ページ目をごらんいただきたいんです。これも、きのうになってやっと我が党の部門会議に提出をされてきましたけれども、線を引いたところですけれども、人材会社に出向し、自分の再就職先を探すことや、自分の出向先を探すことといった業務命令は不適切である旨がわかるような、そういう記載をしたパンフの改定や通知というのを行っていきたいということが厚労省の方から示されました。

 これはもう最初のころからずっと言ってきたことですけれども、再就職先を探すだけじゃなくて、出向先を探すのもだめですよということが示されたということは、私はそれなりの前進だというふうに思っているんです。

 そこで、前回の質問でも取り上げた、次のページの、パソナの子会社、日本雇用創出機構が提供している人材ブリッジバンクというサービス。

 この会社のということではなくて、一般論でお聞きをしたいんですが、一定期間、企業から在職出向というのを受け入れて、そして再就職先や出向先を探させるというのがこういうサービスなんですけれども、こういうサービスは、今のように、出向先を探すのも再就職先を探すのもだめよということになると、こういうサービスそのものがもう認められないということになるというふうに思いますけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

塩崎国務大臣 今お示しをいただいた、部門会議に提出させていただいた、今のブリッジバンクの一枚前のところにもございますけれども、これは、まず、通称人材ブリッジバンクと言うんでしょうか、この日本雇用創出機構、これについての個別の事案につきましてはちょっとお答えを差し控えないといけないと思いますけれども、一般論として申し上げると、労働者が個別に同意した上で在籍出向をして転職に向けた支援を受けるというならば、それは同意の上であれば問題はないと思いますけれども、他方で、やはり、労働者保護が我々の使命であれば、これは働く方々が安心して働けるような環境整備という観点が大事なので、そういう意味では、一枚前にお示しをしているように、人事権を濫用して、出向させてみずからの再就職を探すよう命ずるということは不適切だということを、私たちも明確にしなければならないというふうに思います。

大西(健)委員 せっかくここまで言ったわけですから、本当に、個別のことについてはコメントできないというのはわかりますが、しかし、やはり、この間も言いましたけれども、あたかも公的機関かのような名前で、日本雇用創出機構なんて名前でこんなサービスが堂々と行われているということを今後も厚労省が放置するならば、これは言っておられることとやっておられることが違うんじゃないかということになりますので、私は、ここはしっかりそういうことは言っていただきたいなというふうに思っております。

 それから、資料の次のページですけれども、これは、前回も示されている、十二月二十二日に厚労省が王子を呼んで啓発指導したときの概要メモということなんです。ここでは、3の(1)の一番下のところで、「法令を遵守し、法的に問題のない手続きを踏んだ上で実施していると認識。」という先方の認識が示されているわけですけれども、王子側がテンプに報告するためにつくったメモを私は独自に入手していますけれども、そこには何と書かれているかというと、違法性はないことを御理解いただけたという感触ですと書かれているんですね。

 ですから、これは問題ないと言ったんじゃないのかという話をしたら、先日、岡本委員とのやりとりの中で、王子については二月二十六日にもう一回呼んで厳しく指導したんだという話でした。では、そのときの概要メモを出してくださいということでお願いしたところ、けさの理事会にそれが出てきたということで、先ほど私もいただきました。

 これを見ると、厚労省側の対応として、退職強要が疑われる事案に対する通常の啓発指導に比べ厳しい啓発指導を実施した、国会でも大きく取り上げられており社会問題になっていることを詳しく教示し、会社トップまでしっかり状況を伝えることというようなことを、厳しい指導をしましたよということは書いてあります。

 ただ、私、一つこの中で気になるのは、王子側の説明部分で何と書いてあるかというと、勧奨の過程で新聞が報道したケース、括弧、テンプでの仕事探しが存在するのは事実、これは認めているんです。ただし、テンプへの出向ではなく業務命令による配置転換で行っているものと。つまり、出向ではなくて、人事総務部付にして、そして、実際にはテンプスタッフキャリアコンサルティングに行って仕事を探すというのが実際の業務なんですね。

 だから、そうなると、さっきの、二枚戻っていただいて、さっきやっと出てきた、出向もだめよ、出向させて再就職先を探すこともだめよ、出向させて出向先を探すこともだめよですけれども、これは出向させてということなんです。王子が言っているのは、出向させていません、人事総務部付のままですと。でも、実際には、テンプスタッフキャリアコンサルティングに行って仕事を探させる。

 そうすると、このせっかく出していただいた、出向させて仕事を探させる、出向させて出向先を探させる、これはだめですよと言うけれども、出向させていませんと言うと、これは入らないことになっちゃうんじゃないかと思うんですけれども、そういうことにならないんでしょうか。

 やはり、この間からこの委員会で、例えば井坂委員や初鹿委員も言っていますけれども、そもそも、自分の仕事を探してこいという業務命令自体が労働契約法の趣旨に照らしておかしいということであれば、これは、出向であろうが人事総務部付であろうが、自分の仕事を探してこいなんというのはおかしいので、これもちゃんと含むような形での通知や啓発指導というのを行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 これは何度か御答弁申し上げたとおりでございまして、それは、出向先を探すとか出向して自分の再就職先を探せとか、そんなことも含めて、いずれにしても、人事権を濫用してそのようなことを指示するということは不適切であるということを申し上げてきておりますので、再就職をみずから探せということを人事権を濫用してやるということはやはり適切ではないということは、変わらない私たちの考え方でございます。

大西(健)委員 私も、だから、人事総務部付であろうが出向させていようが、やはり、自分の仕事を探せとか出向先を探してこいというのは、これは人事権の濫用に当たる可能性が高いというふうに思いますので、こういうところが、要は、抜け穴にならないような形にしっかり見ていただきたいなというふうに思います。そのことは強く要請しておきたいと思います。

 それから、そもそも、私はやはり、この十二月二十二日の王子の啓発指導とか、あと、次のページにつけてある二十四日のテンプを呼んだときの啓発指導とか、この概要を見ていて思うのは、それは、業者を呼んで、こういう話があるんだけれども、あなたたち悪いことしませんでしたかと言ったら、いや、私たちはちゃんとやっていますと言うに決まっていますよ。それで、ああ、そうですか、でも、パンフを見せて、こういうことをやると違法になる可能性があるから気をつけてくださいねと言ったら、はい、わかりましたと言うに決まっているんです。だから、こういう啓発指導をやっていても私は意味がないというふうに思います。

 今回の場合は、これだけ話題になって国会でも取り上げられたから、アンケート調査をしようとか労働者にヒアリングをしようとかいう話になりましたが、全部というとなかなか大変だと思いますし、実際にはなかなかできないと思いますが、やはり、今回はもう十二月末の時点で山井委員を通じてこういう話が入っているわけです。そのときに、一方当事者である企業とか人材会社の話だけ聞いて、ああ、問題はありませんね、ああ、わかりましたで済ますんじゃなくて、その時点でちゃんと労働者側の話を聞くべきだ。

 そうでないと、これは、啓発指導、しっかりやりますと言っても、こんな啓発指導をやっても私は意味がないというふうに思いますので、労働者の話、これをしっかり、できるだけ、全部とは言いませんが、問題のあるケースでは聞くということをこれからはしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 委員おっしゃいますように、今回の件、啓発活動の指導、これがとても大切だというふうに心得ております。

 ということで、啓発活動の実施に当たっては、働く側の方から御相談があれば当然その声を踏まえて対応していきたい、御相談が寄せられた場合は適切に対応するということをさせていただいておりますが、これだけでは、委員会の中の御答弁の中でも不十分という声も十分いただきまして、社会的影響が大きくて特段の対応が必要と認められるような案件につきましては、特に今回のような案件でございますけれども、働く方の個人に対する状況確認等を行うことについても今後検討していきたい、このように考えております。

大西(健)委員 これも一歩前進の答弁だというふうに思います。

 時間がないので、次の資料、九ページ目ですけれども、これも我が党の部門会議に出てきた資料ですけれども、成熟産業から成長産業へと言えるのかということについて、下にあるような、この間の委員会でも話題になった、どういう産業からどういう産業に移っているのかということについてですけれども、回答の部分で、成熟産業や成長産業については、単純に産業分類からだけでは判断がつきにくいというようなことが書かれています。それから、課長の説明でも、何が成長産業か何が成熟産業かというのは一概には言えないみたいな説明なんですけれども、そんなことを言ったら、私は元も子もないと思いますよ。

 だって、これは成熟産業から成長産業への労働移動を促すという政策であるにもかかわらず、そんなことを言っちゃったら、政策目的がしっかり達成できているかどうかの検証のしようがないじゃないですか。

 このことは、次のページですけれども、実は、これは二十六年度にこの予算が拡充をされたときの委員会等でも既に指摘が行われているんです。

 右側の、我が党の石橋委員の厚労委員会での質問ですけれども、この時点では、実は、雇用形態とか産業別の内訳等再就職の内容が一切把握されていない、それに対して、石橋委員が、政策効果がわからないままに巨額の予算を積み増すのか、おかしいじゃないかということを言っているんです。

 こういう指摘があって産業別の内訳はとるようにしたんですけれども、今もって結局、何が成熟産業で何が成長産業かもわからないので政策効果が検証できないという状態にある、これでいいんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 今お話ございましたように、二十五年度に閣議決定されました日本再興戦略に基づいてこのスキームは拡充をされたわけでございますけれども、今御指摘の、成熟産業から成長産業への失業なき労働移動という達成について、産業別にちゃんとした把握をしないで、成果を見ないでやるのはおかしいじゃないかということを、既に二十六年三月に石橋議員が指摘しているという点についてお話をいただきました。

 前回も少し御説明を申し上げましたけれども、今回、今お配りもいただいておりますけれども、移動元企業の業種は約九割がもともと製造業、移動先が約六割が製造業ということで、かなり製造業のウエートは下がっているわけでありまして、移動先について、例えば、医療、福祉を含むサービス業が約二割、卸、小売が約一割となって、移動の前後で変わっているということでございます。

 経済のサービス化というものが行われているわけでございますから、こういう形になるのはごく自然なことだろうと思いますが、しかし、私が前回申し上げたように、これは産業として全部成熟でだめだということではないわけであって、これは企業単位で見るべきものであるわけでございます。

 ですから、衰退産業から成長産業へというだけではなくて、成熟企業から成長企業へということも十分、例えばこの間申し上げたように、電機産業にしてもそうでしょうし、あらゆる業界でそういうことがあり得るので、大事なことは、労働移動で、失業の期間がない形で労働移動ができるということが大事で、我々としては、その際に、できれば付加価値の高い、競争力のある、収益力も生産性も高い、したがって賃金をより多く払ってもやっていけるというところをこれからどんどんふやしていかなきゃいけないと政策的にも誘導しているわけでありますから、そういうところに引っ張っていきたいと思っているわけであります。広く言えばそういうことだと思っております。

 ただ、そうはいいながら、政策のツールとして助成金を使うならば、政策評価が大事だということはそのとおりで、この間、岡本議員に対しても私は率直に認めたところでございまして、移動前後、どういう形で移っていったのか、それは、単にばくっと産業というよりは、企業としてもどうなのかということは検討して、何を応援するかということをもっと的確に、ピンポイントでわかるようにもしなきゃいけないのかなということで、不断の見直しをしてまいりたいと思っております。

大西(健)委員 時間ですので終わりますけれども、ちゃんと政策評価をできるようにしてください。

 それから、もう一度最後に同じ会議録を見ていただきたいんですけれども、右上のところに、共産党の高橋委員がこう言っているんです。大企業にも対象を拡大しただけじゃなくて、委託しただけで十万円、これでは、幾ら何でも派遣会社をただもうけさせるだけになっちゃいませんか、大臣と言っているんですよ。あるいは、左側の会議録、これは同じく石橋委員ですけれども、まさに、在職中から転職支援に労働移動支援助成金を活用するという規制改革会議での意見に関して、「これはまさか、さらに普通の正社員まで人材ビジネス会社に預け、どんどん離職、転職させようみたいな、これまさに本当にリストラ支援金みたいなことになったら大変なことだと思いますが、」と指摘しているんですよ。この指摘のとおりに実際なっている。

 つまり、私は、やはり平成二十六年度の拡充が失敗だったということを認めるべきだということを重ねて申し上げて、私の質問を終わります。

渡辺委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 本日は、一般質疑ではありますけれども、自殺対策基本法十年目の改正を目指し、参考人としてNPO法人ライフリンクの清水康之さんに出席いただいております。ありがとうございます。

 先ほど来の答弁を聞いていても、大変勉強になりました。後ほど私からも質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 まず、内閣府に伺います。

 昨年九月四日成立の内閣官房・内閣府見直し法に基づき、自殺対策は内閣府から厚労省に移管されました。関係施策は確かに厚労省が一番多いと思うわけであります。とはいえ、各省庁を束ね、機動的な対応が求められると思いますけれども、どういう権限が厚労省にあるのか、伺いたいと思います。

安田政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府は、現在、内閣府設置法及び自殺対策基本法に基づき、自殺対策に係る関係省庁との調整、総合的な自殺対策の推進等の業務を担っております。

 具体的には、自殺総合対策大綱の策定及び推進に当たっての関係省庁との調整、自殺総合対策会議の庶務、自殺対策白書の作成、自殺予防週間及び自殺対策強化月間における啓発活動の実施等の業務を行ってきたところでございます。

 これらの内閣府において行ってまいりました業務につきましては、本年四月一日の業務移管後、いずれも厚生労働省において実施されることになると承知しております。

高橋(千)委員 もうちょっと伺いますけれども、とはいえ、これまでは内閣府が、例えば災害対策などでも、関係省庁との連携といいますか、一定束ねる役割があったと思うんですね。それが、厚労省に移っても同じだということでよろしいでしょうか。

安田政府参考人 そのように承知しております。

 自殺対策に係る総合調整の機能が厚生労働省に移るというふうに承知をしております。

高橋(千)委員 この法案、私自身は所管しておりませんけれども、説明を受けたときにそういうことを聞きました。本当にそういうふうになるのかなというのが正直ちょっと不安だったものですから、改めて確認をさせていただきました。

 同じ時間に今、復興特別委員会をやっておりますけれども、復興大臣もやはり各省庁に対して勧告する権限があるんですね。法律でそういうふうに書いたんです。だけれども、実際に一度もやったことがないわけなんですね。

 そういう意味で、やはり厚労大臣がどれだけリーダーシップを発揮できるのかということが大変気になっているわけですが、これは塩崎大臣にぜひ決意を伺いたいと思うわけであります。

 厚労省が自殺対策に関係する主な分野にはどんなものがあると考えていらっしゃるでしょうか。厚労省というのは、本当に、人が生きること全部にかかわる、まさに受精卵から御遺骨までというせりふをここでおっしゃった方がいらっしゃいましたけれども、全てにかかわりますから全てと言えるとは思うんですが、でも、ぜひ大臣の認識を伺いたいし、今後、所管するに当たって、特に力を入れたいのはどういうことなのか、伺いたいと思います。

塩崎国務大臣 自殺は、先ほど来お話が出ていますように、健康問題であったり、あるいは経済、生活問題など、複雑にさまざまな問題が関連をし、生活面あるいは心の健康面を含めた包括的な対応が必要だというふうに思います。

 厚労省に今回移るわけでありますけれども、厚労省では、これまでも自殺対策として、一つは、精神保健医療の充実を行ってきた。あるいは、生活困窮者への支援の充実も新法の施行に伴ってやってまいりました。失業者に対する相談、これは長らくやってまいっているところでございますし、こういった取り組みに係るこれまでの蓄積、知見、それから自治体とのネットワーク、こういうことが生かせる強みで、医療機関にしても、やはり現場を持っている、そういうところが内閣府と少し違うところかなというふうに思います。

 この四月から所管するに当たって、自殺者数については、全体として減少傾向にあるといえども、近年、健康問題を原因とした自殺者の割合はむしろ増加をしているわけでありますから、こういうような状況を踏まえれば、職場における労働者のメンタルヘルス対策、あるいは地域における心の健康づくり推進体制の整備などについても、これまで以上に力を入れて取り組まなければならないと思っております。

 それから、総合調整の話で、厚労省で大丈夫かねというお話をいただいたように聞こえましたが、これは法律で定められた総合調整機能でございますので、自殺総合対策会議において厚生労働大臣が会長を務めることに、官房長官から移るわけでございますから、この場をしっかりと活用して、関係省庁の施策も含めた、つまり、大事なことは、やはり総合的に行う、複雑な問題であるがゆえに総合的に対処しないといけないということでありますので、まさに先生御指摘のとおり、総合調整機能を発揮するということが大事なので、そこにしっかりと力を入れて実施をしてまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 最初におっしゃった精神保健ですとか、生活困窮者対策、あるいは相談活動、いずれも現場を持っていると大臣はおっしゃいました。やはり、もしや自殺を考えている、あるいは、そこに至るかもしれない、そういう方たちに対して直接、接する場所があり、医療機関のような場所があり、かつ、直接、例えば心理療法士ですとか、さまざまな方たちの、いわゆる支え手の側の担当でもある。

 同時に、過労死防止対策推進法もつくりました。国として、例えば、労働時間、働き過ぎですよねと、こういうルールをしっかりつくっていくことによって過労自死を防ぐですとか、そういうことも大きな役割だと私は思うんですね。

 ですから、防ぐことができるという立場に立って、厚労省が本当に役割を果たしてほしい。それと同時に、今大臣が当然やりますとおっしゃいました総合調整機能を大いに発揮していただきたいということをまずお話ししたいと思います。

 世界では、毎年八十万人、四十秒に一人が自殺しているといいます。

 二〇一三年五月の第六十六回WHO総会において、初めてのWHOメンタルヘルスアクションプランが採択されました。二〇二〇年までに各国の自殺死亡率を一〇%減少させることを目標としています。

 ただ、日本は、一〇%なら、もう既に達成したことになるわけですね、ずっと三万人で来たわけですから。だけれども、自殺率の水準が世界の倍ですから、これは、目標もやはり倍、そういう気持ちで取り組んでいく必要があるのかと思います。

 清水さんの資料の中にもありましたけれども、これが二〇一四年のWHOの自殺レポート。タイトルがまさに、「自殺を予防する 世界の優先課題」と書いてありまして、並々ならぬ決意を感じます。

 各国が優先課題として取り組むことを提言し、そして、その調整役は保健大臣と書いておりますので、やはり厚労省が持つのが正しかったのかなと思っております。

 そこで、この中で、日本が、自殺総合対策大綱、つまり、戦略を持って現実に自殺者を減らしたことを好事例としてWHOが紹介し、評価をしております。

 基本法制定までと、そして制定後十年、取り組んでこられた清水さんに、この基本法が果たした意義について伺いたいと思います。

清水参考人 基本法が果たした意義は、大きく二つあると思います。

 一つは、実務的な面での意義です。

 御承知のとおり、自殺対策基本法には、政府や地方公共団体の責務がうたわれており、それがゆえに、政府のみならず、都道府県や市区町村が、自殺対策を行政の仕事として、予算や人材を確保して推し進めることができる。これは基本法ができる前にはあり得なかったことですので、事業を進める上での根拠になっているということがこの基本法の意義の一つだろうというふうに思います。

 もう一つは、啓発においても決定的な役割を果たしているというふうに思います。

 かつて、自殺は、今よりもずっとタブー視されて、忌み嫌われ、個人の問題として片づけられていたわけですが、法律ができたことによって、大分変わってきました。

 本来の施行の順番としては、自殺が社会問題だという認識が広まって、その中で対策を社会的に進めていこう、法律をつくろうという合意が形成されていくということになるわけですけれども、ただ、逆から見れば、法律ができたということは、社会的な対策が必要だということになり、また、社会的な対策が必要なのは、それは問題が社会問題だからということになるわけなので、ですから、そうして自殺対策基本法の存在自体が、自殺を個人の問題ではなく社会の問題だというふうにしっかりと認識させていく、その啓発的な意味を非常に果たしているんじゃないかというふうに思います。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 個人の問題ではなく社会の問題にしたということ、この法律ができて、大綱ができて、また自殺対策白書が出されているわけですけれども、この数字をさまざまに分析すると同時に、その数字の背景にあるさまざまな要因をしっかりと可視化していくというんでしょうか、そして、それが対策に結びついていくという意味で、本当に重要な役割を果たしているのではないかと思っております。

 関係者の皆さんには、改めて敬意を表したいと思っております。

 そこで、先ほど紹介したWHOの同レポートでは、主要メッセージ五つを挙げているわけですけれども、その五つ目に、「地域は自殺予防において重要な役割を果たす。」とあります。

 先ほど、言い過ぎることはないとおっしゃっておりました。本当にそのとおりだなと思うし、今回の法改正もそこがポイントだと思います。

 自治体にどのような役割を期待し、しかし、そうはいっても、自治体というのは、一つの窓口がいろいろなことをやっていたりします。その体制の中でどんな支援を国がしていくべきなのか、伺いたいと思います。

清水参考人 自殺対策は、三つのレベルで考えると理解しやすいんじゃないかと思っています。

 一つのレベルというのは、相談事業などに象徴される対人支援。個人のレベルですね。

 二つ目のレベルというのは、さまざまな関係機関が連携して相談、対応に当たる。これは地域のレベルです。

 最後の三番目のレベルは、いわゆる制度レベル。各地域地域で連携しやすいような枠組みをつくるであるとか、あるいは、さまざまなデータを提供するであるとか、地域がしっかりと対策を進められるような、その枠組み、制度をつくるというのが最後のレベルです。

 市区町村、自治体において重要なのは、まさに対人支援の強化と、あと地域レベルの強化ということになります。個々人への支援を強化するために、人材の育成、研修もしなければならない、あるいは、地域のネットワークを強化するためのそうした連携事業をやっていかなければならないということが、市町村のこれからの重要な役割だと思います。

 あわせて、国の役割としては、地域地域がそうした事業をしやすいような研修プログラムの開発であるとか、地域の自殺の実態を分析して、それを提供するであるとか、あるいは、先進事例を全国から集めて、それを各自治体に提供していくといったような、現場が対人支援をやりやすいような仕組みをちゃんと国がつくっていく、現場本位の制度を、仕組みをしっかりつくっていくということが国の役割になるだろうというふうに思います。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 現場本位というのがとても大事かなと思っております。どうしても、地方分権だと言いつつも、さまざまな制度の要綱ですとか、かなりがちんとしていて、地方がすごく大変だということもあります。やはり、地方の課題に合わせて支援をしていくということがとても大事なのかなと今伺って思っております。

 そこで、次に、若年者の死亡原因のトップが自殺であるということは、よく知られていることだと思います。平成二十七年版の自殺対策白書では、ここを掘り下げた特集を組んでおります。

 この中で私がとても注目したのは、自傷行為の救急搬送の率は、女性の若年層が多い。三十歳前後の女性では、自殺者の二人に一人が未遂の経験があるということでありました。

 これは資料の一枚目に、白書から抜粋してつけておきましたけれども、左側が男性であって、自殺未遂の経験ありというのが一〇%台なわけですね。ところが、右側の女性は、三〇%から、二十代、三十代、四十代は四〇%台ということで、非常に、自殺未遂歴がある。また、比較的軽傷だったりもする。つまり、リストカットが繰り返し行われているのかなということも想像できるかなと思っております。

 そこで、こうした部分の分析と対策が予防のためにも大変重要だと思うんですけれども、自殺未遂者の相談などにも直接取り組んでこられた清水さんの見解を伺いたいと思います。

清水参考人 今お示しいただいたデータから読み取るべきことの一つとして、若年世代の女性の自殺未遂歴のある方が非常に多いということは、亡くなる前に医療機関等につながっていた可能性が非常に高いということだと思うんです。

 では、医療機関が自殺未遂者に対してどういう支援を行っているのか、どういう治療を行っているのかというと、多くの場合は、身体的な傷を治療するだけで、大体、病院から帰してしまいます。そうすると、自殺未遂というのは、これは自殺行動を起こした本人からすれば、言ってみれば失敗に終わったわけですので、身体的な治療だけされて病院から出されると、今度は失敗しないと思って確実な方法をとる。結果、自殺で亡くなってしまうということが大いにあり得るわけです。

 ですから、身体的な治療のみならず、精神的な治療も同時に行っていく。そうした医療の中の精神と救急の連携を行いつつ、同時に、その人が自殺せざるを得なかった要因を取り除いていくという意味では、これは医療ではできませんので、地域でやっていかなければならない。ですから、医療と地域がしっかりと連携を果たして未遂者への支援を行っていくということが非常に重要だろうというふうに思っています。

 連携できているかどうかの試金石の一つは、私は、情報の共有ができているかどうかだと思います。かつて、警察の自殺の統計というのは、残念ながら、自殺対策に取り組む内閣府や厚労省には提供されていませんでした。ただ、自殺対策基本法ができた中で、そうしたデータが共有されるようになり、対策に生かされるようになってきた。今では、毎月、市区町村単位の自殺の統計が公表されるようになってきました。

 ただ、未遂者のデータというのは、これは消防庁が自損ということで持っているわけですけれども、残念ながら、今日においては、まだ自殺対策に生かされるような形では情報の共有がなされていないという現実がありますので、ぜひこれは、省庁の壁を越えて、しっかりと連携するということのあかしとして、情報を共有して、未遂者支援に役立てていただきたいというふうに強く思っています。

高橋(千)委員 ありがとうございました。大変参考になりました。

 最初にWHOの話もしたわけですけれども、現実に、命を落とさずに済んだ方たち、そこを救うことを糸口として、予防に広げていくことができるのではないかということを非常に考えさせられました。ありがとうございました。

 そこで、次の話題にしたいと思うんです。

 東日本大震災と原発事故から既に五年が過ぎました。被災地では、今なお十七万四千人もが避難生活を送っておられます。死者・行方不明者は一万八千四百五十五人、震災関連死は三千四百七人です。そのうち、福島では、直接死よりも震災関連死が上回っているということも重ねて指摘をされてきたことであります。

 また、阪神・淡路大震災から既に二十年以上たった今も、やはり災害公営住宅などでの孤独死が大きな問題となっております。東日本大震災でも同じような道をたどるのではないか、非常に心配をしているわけですが、この孤独死の定義自体がまだ明確にされておりませんので、今、例えば、ひとり暮らしで仮設住宅で亡くなったという方であれば、昨年は既に五十三名もいらっしゃる、こういう実態もつかむべきだと思っております。

 そこで、震災被災者の自殺はどのようになっているのか、また、どのような原因なのか、伺いたいと思います。

安田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十三年六月から平成二十七年十二月までの間におきます東日本大震災に関連する自殺者数は、百六十二人と把握をしております。

 これらの自殺者の原因、動機別の内訳でございますが、原因、動機に関しましては複数掲上を可能としておりますため、合計は必ずしも自殺者数と一致はいたしませんが、健康問題を原因、動機とする方が七十四人、経済、生活問題が三十七人、家庭問題が三十二人、勤務問題が十六人、男女問題が三人、その他が二十人、不詳が四十三人となっております。

高橋(千)委員 震災直後から私は発言しておりますけれども、せっかくあの大津波と原発事故から助かった命が、やはりそこからまた失われるようなことがあってはならないと思っております。

 そういう意味で、今、原因を一定の分類で御報告いただきましたけれども、やはりここも予防という観点から、もうこれ以上は犠牲者を出さないという観点から、できることを進めていきたい、このように思っております。

 その一つとして、医療の問題をきょうは伺いたいと思うんです。

 大震災の直後に、被災者の医療費を、国庫負担で減免制度をやってきました。現在、被災地の減免制度と実績はどのようになっていて、来年度以降はどうするのか、伺います。

唐澤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、東日本大震災直後から、被災者の方に対しましては、国民健康保険等の窓口負担の減免を決めた市町村に対しまして、減免に要する費用の全額について、国が財政支援を行ってまいりました。これは、震災発生から一年間。

 そして、平成二十四年度以降でございますけれども、こちらでは、まず、東京電力福島第一原発事故に伴う避難指示区域等の被災者の方、こうした方につきましては、市町村が窓口負担の減免を行う場合、それに要する費用に対しては、原則、国による全額の財政支援を行ってきております。

 また、避難指示区域等以外の地域の被災者の方につきましては、国民健康保険等における窓口負担の免除を保険者の判断により実施することが可能でございます。こうした場合に、免除による財政負担が著しい場合には、減免額の十分の八以内の額を国が特別調整交付金として財政支援する措置を講じているところでございます。

 その金額でございますが、この窓口負担の免除に係る国の財政支援について、被災三県における平成二十六年度の実績、これは約八十億円という金額になっているところでございます。

 こうした措置につきましては、来年度も引き続き実施する予定としておりまして、厚生労働省といたしましては、今後とも、こうした仕組みを通じまして、被災地の支援をしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 来年度も、自治体が取り組んだ場合は、国保の減免制度の枠組みではありますけれども、国が八割支援をする、これは変わらないということをまず確認させていただきました。

 これはもう一押ししたいなというのが率直なところなんですね。

 残念ながら、自治体でもう既にやめるところが出てきております。資料の二を見ていただきたいと思います。

 宮城県保険医協会が実施した被災者に対するアンケートであります。回答数は二千五百十九件で、うち、免除の対象になっている方は五五%というところで、免除ありの人と免除なしの方を比較して答えています。そのうち、健康に何らかの不安があるという方は、免除ありは八九・八%、免除なしも八六・二%、いずれも高いです。これはもう想像できる話だと思うんですね。医療機関を現在受診していますかという問いに対して、免除ありの方は九一%、ほとんどの方が利用しています。免除なしは七八・八%と、少し差が出てまいります。

 そこで、次のページをめくっていただきたいんですけれども、受診していない方にその理由を聞いているんですね。免除ありの方は、支払いについての心配がないわけですので、治療の必要がないからというのが四七・三%で一番多いわけですよね。ですが、免除なしの方は、四六・九%が経済的に苦しいからと言っている。これが実態ではないかなと思っております。

 私は、少し大臣に聞いていただきたい。自由記入欄というのがあるんですけれども、そこに本当に切実な声が紹介されております。

 復興住宅に移住する時期に医療費の一部負担金免除がなくなることは生活にかなりの負担がかかることになります、もう少し継続をお願いしますと。つまり、家賃が発生して、それプラス医療費が発生するというのは本当にきついということ、これはかなりの方がおっしゃっているんですね。

 一方では、東日本大震災より医療費一部負担金免除していただき本当に助かりました、これからもと思いますが、一般の方に申しわけなく思っておりますので、仕方ないかなと思っております、ありがとうございました。こういう方もいる。仕方ないかなと、本当は続けてほしいんだけれども、おっしゃっている。

 年金だけの収入では到底現在の医療費は支払いができなくなります、低所得者は診療も受けられなくなります、医療費免除の継続をお願いいたします。

 収入が減って生活が大変になりましたので免除は本当にありがたいです、国民年金では生活していけないです。

 所得が少なく、免除になるので助かっています、働きたいが持病があり、何度も面接したが採用されず困っている、預金を崩している状態、先が不安、何とか国、子供たちに迷惑かけたくないが。こういう声がありました。

 もっともっと紹介したいところですけれども、特徴があるんですね。まず、免除に対して本当に感謝をしているということ、同時に、申しわけないと思っている。自分たちが免除を受けていることで一般の受けられない方たちに対して負担をかけているのではないか、そう思っているんですね。だけれども、家賃も発生するし、年金はますます少なくなるし、払えないのは明らかなんです。

 今でも狭い仮設にいて、本当に狭い仮設でつらい思いをしている、さらにこの医療費の免除の問題でも肩身の狭い思いをしている、この声にちゃんと応えていただきたいと思います。

 大臣に伺いますが、被災地、被災者にとって医療、介護の減免制度がまさに命綱であるということ、その認識がおありでしょうか。

塩崎国務大臣 先生今御指摘のように、医療、介護の減免制度が、東日本大震災の被災地で、被災された方々の生活のまさに根幹をなしているという意味で重要な役割を担っていることは、よく私もわかっているつもりでございます。

 このため、先ほどからお答えも申し上げておりますけれども、医療保険それから介護保険において窓口負担や保険料を自治体が減免した場合には、この費用について、先ほど来申し上げているとおりの国の財政支援というものを行ってきているわけでありまして、自治体の負担が過度にならないように配慮をしているところでございます。

 こうした措置につきましては、引き続き来年度も予算計上を既にしているわけでございまして、引き続いて実施をしてまいります。

 厚生労働省としては、今後とも、こうした仕組みを通じて被災地の支援を継続してまいりたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 わかっているなら、もう少し頑張ってもらいたい。

 今紹介した方たちも、ずっとと言っているわけじゃない。未来永劫なんて言ってません。せめてやはりまだ仮設にいる間だけでも、あるいは、公営住宅に入って家賃がいきなり出て負担がふえる、それを軽減するだけでも、もう少し何とかならないかということをおっしゃっているんですよね。

 自治体によっては、今おっしゃったように、自治体がやるときには八割まで見ますよと言っているんだけれども、減免制度を来年でやめるというところも出てきています。続けている岩手県でも、大変だという率直な声も聞くわけです。残りの二割がきついんですね。県と市町村で一割ずつ見ているわけですけれども、岩手県はもちろん継続を決めました。宮城県は、三十五市町村中、免除の継続を決めたのは八市町、非常に少なくなっちゃった。やめたのは二十六市町です。

 しかし、実施している市町村も大変厳しい状況なんです。岩手県山田町では、町議会で、無所属の議員さんなんですけれども、国保の財政調整基金はわずか二百八十六万円しか残っていない、調整基金の取り崩しは、二十五年度に一億一千万円、二十六年度に二千百万円という指摘があって、もうない袖は振れないから打ち切りも視野にするべきではないか、こういう質問があって、それでも、町当局はこらえて、二十八年度も延長します、基金や一般会計からの繰り入れで対応すると答えているんですね。

 やはり、通常のスキームでやっても、対象者が多いからこういう事態になるんですよ。そこをやはり、追加支援も求められておりますけれども、もう一歩踏み込んでいただけないでしょうか、大臣。

唐澤政府参考人 先生御指摘のとおり、被災地はなお厳しい状況にございます。

 私ども、先ほど申しました形で御支援をさせていただいているところでございますけれども、昨年来継続してまいりました国民健康保険制度の改革の中で自治体に対する支援を強化してまいりたいと考えておりますので、具体的にどういう方法でできるかということはございますけれども、財政力の弱い自治体につきましては、きちんと支援を強化できるように検討してまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 財政力の弱い自治体に関しては強化していきたいとおっしゃっておりますので、何か追加的な支援があるのかなということを期待したいと思います。

 そこで、国保法四十四条に、一部負担金の徴収猶予及び減免というものがございます。これが今回の仕組みのもとになっているわけですが、これは、別に被災地だけではなくて、オール・ジャパンで使える制度なわけです。

 私、ずっとこの問題を取り上げてきておりまして、平成二十二年九月十三日に、保険局長通知によって減免の基準が示されて、ここに、基準に沿った条例をつくった自治体に対しては国の特別調整交付金によって上乗せがされるというふうに仕組みがなりました。

 資料をつけておりますけれども、二十二年度は、要するに、これが始まる前は一万四千七百二十五件、六億二千万円の実績でありました。これが、この基準をつくったことによってどのようになったでしょうか。

唐澤政府参考人 御指摘がございましたように、これは、震災前はなかなか、全ての市町村でなかったわけでございますが、この基準が示されて、条例をつくっていただいた保険者数でございますが、まず、平成二十二年度は千百五でございましたが、二十六年度には千四百十六に増加をしております。

 また、減免の実施件数でございますけれども、二十二年度が一万四千七百二十六件でございましたけれども、二十六年度には十三万二千百三十件に増加をしております。

 減免の総額でございますけれども、二十二年度が約六億二千万円、六・二億円という金額でございましたけれども、二十六年度には約百七億七千万円、百七・七億円という金額になっているところでございます。

高橋(千)委員 六億の実績だったのが百七億まで広がったと。それだけ助けられた方がいるということですから、これは本当によかったと思います。

 同時に、私は、きちんとこの減免制度が動いていれば、やはり国保というのは保険料が高いし、一部負担も重いという声が本当にどこへ行ってもあるわけですね。ここは本当に大事だと思っているんです。なので、もうちょっとここの対象について、もうそろそろ見直してもいいんじゃないかと思うんです、五年以上たったわけですから。

 減免の対象は、今の基準は入院療養費に限るんですね。これは大変厳し過ぎないか。しかも、自治体に対しては、もちろん基準より広い範囲で条例をつくってもいいですよ、ただし、その分は一切交付金の対象とはなりませんと言っているんです。これも見直すつもりはないでしょうか。

唐澤政府参考人 これは、先生御指摘いただきましたとおり、今、減免の対象は、入院を対象にしております。それは、私ども、やはり入院した場合に高額な医療費がかかるということを考えまして、入院というものを対象にしているところでございますけれども、最近、外来でも高額な場合もふえてきているのは事実でございますので、これはちょっと、私どもだけというよりも、自治体の、保険者の皆さんの御意見も聞きながら検討させていただきたいと考えております。

高橋(千)委員 ぜひ御検討を前向きにお願いいたします。

 保険料も、当然、災害や倒産など、急激な所得の減少のときは減免の対象となります。このときに、やはり生活保護基準程度だったら保険料免除、こういうこともあっていいんじゃないかと思うんですが、自治体独自にはやっているところも当然ありますけれども、これについて、いかがでしょうか。

唐澤政府参考人 保険料でございますが、先生が御指摘のとおりでございまして、保険料については、減額という措置は講じておるんですが、免除というものは、国の制度としては講じていないのが現在のところでございます。

 これは、国民皆保険ということで、皆さんから少しずつでも御負担をいただいて、保険に御参加をいただいて運営をさせていただくということでお願いをしているわけでございますけれども、保険料の免除も設けるべきではないかという御意見も自治体の方からもいただいておりますので、こうした点については、引き続き検討をさせていただきたいと考えております。

高橋(千)委員 よろしくお願いいたします。

 大臣に、ぜひこの問題で伺いたいと思うんです。

 私は、制度としてなかなか特例がきかなくなった被災者に対しても、あるいは全国の大変負担が重いと思って困っている方に対しても、やはり一定のこういう減免制度があれば本当に助かるということをずっと言い続けてきたんです。

 それで、厚労省の一部負担金減免に対するQアンドAを見ますと、こういう問いがあります。収入が生活保護基準以下であり、かつ、預貯金が生活保護基準の三カ月分以下という世帯は、そもそも生活保護の対象となるのではという質問なんですね。

 答えは、いやいや、生活保護というのは、本人の申請意思とか、資産とか能力の活用、要するに全て活用しなきゃいけない、それから、扶養義務者がいるのではないかとか、そういうことを全部見て、他法他施策の活用などの要件があるということを解説して、「したがって、今回示した基準に該当する場合には、まずは一部負担金減免の手続きを進めることとし、その上で、必要に応じて、生活保護担当など福祉部局と連携するようにしていただきたい。」と言っているんですね。

 もう一つ、似たような問いがあるんです。

 減免の相談を受けたとき、まず生活保護の申請を援助して、却下されたら減免を行ったらいいんじゃないかというふうな問いに対して、これも同じ答えで、いやいや、「まずは一部負担金減免の手続きを」と答えているわけなんですね。

 これは、安易に生活保護に行くなと言っているように見えるんですけれども、やはり、さっき話したような事情のある方たち、減免制度がなくなれば保護以外に行く道がない人も出てくるわけなんですよね。生活保護受給開始の理由のトップは、収入の減少、貯蓄が減ったということがトップですよね。そして、その次がやはり医療なんです。我慢して保護を受けないで、急迫して緊急医療扶助を受ける、こういう方も大変多いです。

 そういうことを考えると、確かに生活保護受給者は年々伸びていますけれども、保護を受けずに頑張ろうとしている人たちに、減免制度がちゃんとあるよということで、さっき言ったように、まずは減免とQアンドAをつくっているんですから、そうやってちゃんと制度を確立して助けてやるということが、回り回って、コスト的にも大変効果的じゃないかと思うんですね。

 これを、大臣、思い切って進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 国民健康保険で健康を守るということを原則としながら、厳しい状況にある被災者の皆様方にどういうサポートが引き続いて必要かということでありますが、基本的には、今先生お読み上げもいただきましたが、国民健康保険を継続していく中で減免制度を御活用いただくということを、私どもとしても、言ってみれば、それがまず一歩、第一歩ということでお続けをいただき、また、先ほど来、支援については継続をしていくという考え方でございますので、そのような形で、できればやはり自立というものが大事でございますので、その点も踏まえた上でやっていきたいというふうに思います。

高橋(千)委員 減免制度を御活用いただくとおっしゃいました。だからこそ、活用しやすいものにしてくださいと言っているんです。

 それで、自立と言ったって、結局、そこで減免に至らなければ、条件が外れてしまえば、最初に言ったように、今、大変厳しい条件ですから、あるいは入院しか使えないとか、そういうようになっていますから、やはり、そこを御活用いただくと言う以上は、活用できるように検討してほしいということを言っております。重ねてお願いいたします。

 この間、山田町を初め、被災地を回って聞かされたことの中に、ちょっと共通していることがあったんですね。それは、男性の方が大変深刻であるということ。大変失礼でございますけれども、多くの男性の皆さんに。

 実は、自殺も七対三で男性の方が圧倒的に多いわけです。もちろんこれは、働き手であって、倒産ですとかリストラですとか、いろいろなことを苦にしているということもあると思うんですけれども、ここで私が言いたいのは、それだけではなくて、やはり人との交流の問題なんですよ。

 例えば、女性はお茶飲み会をやりましょうとか、何か小物をつくるから集まりましょうとか、何かと行事に参加をして交流をするんですね。ところが、男性は一人ではまず出てこないということを言われたんです。それから、病院の先生もおっしゃっていました。診察の日がなければ、本当にあと何にも出てこないんですよ、とっても心配ですということをおっしゃっておりました。

 私は、本当にそうだと思うんですね。かつて、老人医療費の無料化で病院がサロン化していると批判が強まって、それからだんだん有料になってきた経過がありました。でも、私は、あの被災地の医療機関というのは、本当に気軽に通えることが、交流の機会をふやし、看護師さんにだったら思いのたけを述べたりするんですね、そういう心を開く機会でもあるんだなということにすごく気がついたんです。

 ですから、今回のことで結局病院にも行かなくなったら、これは本当に危ないなと思いますので、こうしたことも、大臣、ぜひ心にとめていただきたいと思う。

 このことを最後に、私、清水さんにもう一回伺いたいと思うんです。

 ここまで後半の質問を聞いていただきました。ぜひ感想的な意見を伺いたいと思うんですけれども、やはり今の、なかなか表に出てこない方たちの問題、今お話ししました。それから、自殺のトップはやはり依然として健康問題である。不治の病を苦にしてという側面もありますけれども、やはり低所得者対策ができていなくて、高額の医療費が払えないとか、そうしたことも大きく背景としてはあると思うんですね。

 これらを含めて、厚労省に期待する点があれば伺いたいと思います。

清水参考人 自殺は、人の身体、生命の問題そのものですから、最後は、最終的には、多くの人というか、誰もが健康問題を抱えるようになるわけです。ただ、だからといって、健康問題のみを対象とした支援を強化すればいい、メンタルヘルスを強化すればいいということではなくて、その背景に潜んでいるさまざまな問題に対してやはり当然手を打っていく必要があるんだろうと思います。

 厚労省に移ったことによって、自殺対策、これまで地域づくりとして進めてきたものが、うつ対策に後退したということが言われることのないように、私はしっかりやっていただきたいというふうに思っています。

 健康問題が一番多いのは、これは、要因の数を数えれば、確かにそうなんです。ただ、要因をそういうふうにばらばらにカウントができても、でも、人というのはやはり一つの個体として、ばらばらにできませんから、人は複数の問題を抱え込んで自殺のリスクが高まっていく。ですから、関係者がしっかりと連携をして、包括的な生きる支援として一人の人を支援していく、生きる支援を強化していく、そうしたことを厚労省全体としてぜひやっていただきたい。

 点の取り組みではなくて、プロセスの取り組みとして、線の取り組みとしてやっていきたいというふうに思っております。

高橋(千)委員 大変参考になるまとめをしていただきましたので、前回ちょっと時間が延びたので、きょうはここで終わりたいと思っております。

 清水さんがおっしゃってくださった、うつ対策に後退したと言われないようにというのは、私はすごくこれは自分自身も言いたいことなんです。大変、原因としてあるのは確かなんだけれども、そこに矮小化しちゃったら、やはり違うんだと思うんですね。ですから、本当に、丸ごと、包括的な支援ということを厚労省に期待したいとおっしゃっておりますので、ぜひ大臣にも期待をいたしまして、引き続いて、質問はまた次の機会にしたいと思っております。

 きょうは本当に勉強になりました。ありがとうございました。

 終わります。

渡辺委員長 清水参考人は御退席いただいて結構です。

 本日は、御出席いただき、ありがとうございました。(拍手)

 次に、井坂信彦君。

井坂委員 お昼どき、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、一般質疑ということで、大きく三点をお伺いしたいと思います。

 一つ目は児童養護施設の問題、そして二つ目が同一労働同一賃金の問題、そして三つ目が、それに絡めてですけれども、いわゆるパート労働者の方の百三十万円の壁と言われる問題についてであります。

 まず、児童養護施設についてお伺いをいたします。

 ことしに入って、実は、地元の地方議員さんと一緒に、厚生労働省の担当の方に、かなりこってりとした陳情というかお願いをさせていただいたことがあります。

 どういうことかというと、保護司をしておられる地元の議員さんなんですけれども、児童養護施設、これは大変一生懸命やってくださっている、ただ、十八歳になると、原則的にはそこを退所しなければいけない、出ていかなければいけない。多くの方は、大学に行くこともなかなか経済的に難しいので、就職をされる。寮のついている会社とか、初めて外で暮らすわけですけれども、就職をする。

 ただ、これは児童養護施設の子に限らずですけれども、今は、会社に入っても、三年で三割の人が会社をやめる、職をかえる、こういう時代です。普通の子であれば、会社をやめて失業状態、失業時代があっても家があるわけでありますが、そういう児童養護施設を退所した子は、会社をやめたら、途端に天涯孤独、住む場所もない、そして、そのための家賃も捻出できない、こういう状態になってしまう。何とか戻ってこられるような環境をつくれないか。

 また、十八歳にこだわらず、特に、やはり最近は、大学に行きたいという子も昔に比べて極めて多いわけです。そういう場合は、二十二歳、特に大学生の場合は、施設を出て、外で自分のお金で家を借りて大学に通うなどというのはおよそ現実的ではありませんから、そういう場合は、施設に何とか残れるような仕組みをつくれないか。

 こういうことで、御本人も大変熱のこもった方だったものですから、こってりした陳情になってしまったわけであります。

 その後、先月末ぐらいですけれども、報道で、児童養護施設で暮らせる期間が二十二歳まで延長という報道がされました。また、その際には、陳情に行った地方議員にもわざわざ厚労省の方から、また今度制度が変わりますよということで、お声がけもいただいたということで、大変喜んでもおりました。まず、この場をかりて、お礼を申し上げたいというふうに思います。

 そこで、本件なんですけれども、報道はこのようにされましたが、実際は、報道ほどすかっとした形にはなっていないというふうにも聞いております。

 すなわち、児童養護施設で二十二歳まで暮らせるのかというと、そういうわけではないんだと。児童養護施設ではなくて、全国百十八カ所ある自立援助ホームというところで、現状二十歳までのところを、大学に入っていれば二十二歳までいられる、こういう仕組み。

 一方で、この児童養護施設は、現状どおり、暮らせる期間は原則十八歳まで、そして、延長は二十歳までできて、二十歳を過ぎても、必要があれば支援はする、こういう仕組みだというふうに伺っております。

 そこで、まず大臣にお伺いいたしますが、この延長、児童養護施設の方、延長を二十歳までというところを、二十歳まで、ただ、大学に入っている子は、やはり大学卒業までは児童養護施設にいてもよい、こういうふうに変更できないか、お伺いをいたします。

塩崎国務大臣 これは、早晩、法律が出てまいりますから、そこでまた御議論いただくことになろうとは思います。

 今の児童養護施設の入所というのは、原則として十八で措置が一応終わるということになっていて、そういう子供さんを対象としているわけでありますけれども、今でも、実は、都道府県等が必要と判断した場合には、つまり、児相が判断した場合には、二十に達するまでの入所の延長というのが可能となっているわけであります。

 十八歳に達した方に対する継続的な自立支援のあり方、これについて、私どもは、社会保障審議会にお願いをしてつくっていただいた、新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会というところで議論をたくさんいただきました。

 その報告書が出てまいりましたが、その報告書では、社会的養護を必要とする子供は、現行の制度のもとで成人年齢に達する二十歳未満を支援の対象とすべきであって、児童養護施設に入所している児童等について、二十歳に達するまでの間、措置延長を積極的に活用するという、措置の世界のままで二十までというのが一つ。

 もう一つは、二十に到達した後も、少なくとも二十二歳に達した日の属する年度末までは、その後の自立生活につなげるために、引き続き必要な支援を受けることができるようにする仕組みを整備しようというその必要性について、訴えていただいています。

 私もいろいろなケースを見てまいりましたが、やはりここのところは、例えばイギリスだと、コネクションズというところが二十五歳までサービス提供、お世話をしているということでもございますが、私どもも、少なくとも二十二歳になるまでは、措置という世界ではないかもわかりませんが、同様のサービスが提供できるように、今度は利用という形でできるようにすべきじゃないかということを考えておりまして、今、自立援助ホームというお話がありましたが、それは必要に応じて、児童相談所が児童養護施設のままでいくべきだと判断をすれば、そういうこともあり得るので、ケース・バイ・ケースでそれは決めていこうということで考えているところでございます。

 いずれにしても、児童福祉法等の改正法案を今通常国会にお出しをいたしますので、社会的養護を必要とする子供たちの自立にとって何が大事か、本当に、社会に出たら何も守ってくれるものがなくなるというのに近いケースがほとんどだろうと私も思っていますので、そういうようなことに配慮をした法改正になればと思って、今日までやってきたところでございます。

井坂委員 原則は、もちろん、成人になる二十までが措置延長ということでわかるんです。ただ、やはり、大学生になった場合は、十八が原則で二十までしか延長はされない、それが原則ということになってしまうと、大学の三回生になって、今でしたら就職活動とかで急速に忙しくなる、勉強も研究室やらゼミやら忙しくなる、そのときに、いきなり住みなれた施設を出ていかなければいけなくなる。

 必要な支援はしますよ、あるいは、いたければいられますよと柔軟には考えてくださっているとは思うんですけれども、やはり二十で区切るのが現実的な社会人のケースと、それから大学生の場合は、そもそも二十で区切ることがおよそ非現実的だというふうに私は思うんですね。

 ここはぜひ、大学生であるのかそうでないのかということを分けて制度設計をしていただきたいなというふうに思います。

 先日、私、予算委員会で奨学金の話をいたしました。日本は、返さなくてよい給付型の奨学金というものがまだありません。これはOECD加盟の三十四カ国の中では、もう日本とアイスランドだけということになっていて、アイスランドは大学の学費がただみたいな国のようでありますから、事実上、返さなくていい給付型の奨学金がないのは日本だけ、そろそろやりませんかと、財源論も含めて予算委員会で議論をさせていただいたわけであります。

 今、児童養護施設、現状、ここに入っていた子の大学進学率の数字を見ますと、わずか一一%しか大学には進学をしていないということであります。もちろん、学費も含めて経済的な理由が一番大きいというふうに思いますが、もう一つは、先ほど議論をした、原則十八歳までで児童養護施設を退所しなければいけない、措置延長も二十どまりだ、これもやはり大きな理由ではないかというふうに思います。

 措置延長そのものも、実は、十分に活用されているとは言いがたい数字です。措置延長をされる児童は現状一三%だけというふうに伺っております。

 お伺いをいたしますが、なぜ、この措置延長は一三%しか使われていないのか、利用率がこんなに低いのか、お伺いをいたします。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 先ほど大臣からも御説明させていただきましたけれども、児童養護施設への入所措置は、原則として十八歳でございますけれども、都道府県等が必要と判断した場合は二十まで延長することが可能でございます。

 この措置延長については、都道府県等が個々に判断していくわけでありますけれども、実際の運用としては、高卒時点で退所するケースが非常に多いというのが現状でございます。

 井坂委員がおっしゃるように、厚生労働省としても、ここはちょっと問題だなということで、都道府県等が支援を継続する必要があるという判断をすれば措置延長は可能になるという、ここの周知徹底を、もうちょっと浸透させていこうということで力を入れまして、平成二十三年の十二月から、措置延長の積極的な実施について都道府県等に通知を出させていただきまして、積極的な活用をお願いさせていただきました。

 委員の御指摘で、まだ一三%しかとおっしゃいましたが、実は、これによりまして、平成二十二年度の末で九・六%だったんですが、平成二十五年度で一三・四%まで増加してきているということでございます。

 ということで、措置延長の積極的な活用についてはしっかりと自治体に働きかけていきたい、このように考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 答弁をいただいてあれなんですけれども、委員長、さすがに定足数が満たされていないような気がするので、ちょっと御確認をお願いいたします。

渡辺委員長 はい。確認をいたします。

 ちょっととめていただけますか。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 井坂君。

井坂委員 失礼しました。ありがとうございます。

 今のお答えなんですけれども、九%から一三%にふえてきている、このことは御努力だというふうに思います。ただ、今、もう大学の進学率が五割になろうというこの時代に、天涯孤独、親御さんのいない施設の子が、経済的な理由、加えて、やはり措置延長、私はまだまだ少ないんじゃないかなというふうに思います。

 いろいろ伺っておりますと、延長がなかなか児童相談所に認めてもらいにくいというようなケースもあるやに伺いますし、また、逆に、延長はしてもらってもやはり原則十八、延びて二十だと、大学の四年間、本当にこれまでどおり気持ちよくそこに居続けられるのかがいま一つ確信が持てない、こういう遠慮をするような気持ちもあるんだというふうに伺っております。

 施設にあきがなければ私もこういう無理は申し上げないんですけれども、現状、児童養護施設は全国で六百一カ所、入っておられるお子さんは二万八千人で、平均四十六人ぐらい入っておられる。ただ、定員は、三万三千人定員があるということですから、まだ、あきは五千人分あるわけですね。満員の施設というのは、六百一カ所中まだわずか五十二カ所、八・七%だけということでありますから、あきがあって、本来は、隠れたニーズがあって、十八を過ぎてもやはりそこに居続けたい、しかも、居続けることで大学にもチャレンジしたい、こういう流れが私はあるというふうに思います。

 お伺いをいたしますが、今申し上げたような延長を頼みにくい雰囲気、あるいは児童相談所の方が本来もっともっと認めてもいいのに何らかの理由で断っている、こういうような実態はないでしょうか。

塩崎国務大臣 今回の専門委員会で随分議論いたしましたし、我々もいろいろ議論しましたが、実質的に、やはり、措置を二十二まで延ばしたいという声が随分ありました。

 ありましたが、児童福祉法における措置というのは二十までというふうになっているので、では、実質的に、実質的措置と同じようなことで、子供さんが二十になって、子供とはもう言わないでしょうけれども、その方が、児童相談所から見て、やはりこれはなかなか社会にぽんと出ても難しいというケースはまだまだ幾らでもあるだろうということで、必要だと判断をした場合には、今回、児童相談所の専門性もかなり強化をしよう、それから弁護士も関与をするようにしよう、いろいろな形で強化をしてまいりますから、そこがきちっとした判断を、児童心理学等々を含め、それから児童精神医学等々を含め、やっていくということが大事なので。

 私は、大学も一つの大事な要素だと思いますけれども、大学ではなくても、進学していなくても、いろいろな問題を抱えている子供さんがおられたり、親御さんとの関係が難しいというために施設の中に居続けた方がいいという場合もございます。

 そもそも、里親も、考えてみたら、十八で終わりとなっているのも、何かこれはちょっと、親子関係という意味においてはいささかどうかな、そういうことも議論をして、これについてはまだ答えは出ておりませんけれども。

 措置については、少なくとも、本当は私は、二十五でもありじゃないかということはイギリスの例を出して大分申し上げましたが、二十二までは実質的な措置に近いような形で利用ができるという、措置の世界が二十で終わった後は利用という言葉になりますけれども、気持ちは同じように、必要に応じて施設の中でもいられるようにしようということでございます。

井坂委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣がおっしゃった、大学に限らず、社会人となったときでも、やはり継続的な支援が必要だというケースはたくさんあるというふうに思います。

 私が伺った例ですと、ちゃんと十八で施設を出て、一生懸命働いて、ただ、やはり、仕事先でうまくいかなかったときに、案外、もといた施設の方にすっと相談ができるかというと、どうもそれが、遠慮があるのかもしれません、仕組み上はできる仕組みになっているんですけれども、なかなか自分の親に相談するような簡単な形では、いや、会社がうまくいっていないんだ、やめようと思うんだ、でも、やめたら家のことが心配なんだ、こういう切実な相談も、もといた施設にすっと相談できないケースが多い。回り回って保護司をやっている地元の地方議員のところに相談が来たりとか、こういうケースが間々あるようであります。

 そこで、大臣にお伺いをいたしますが、社会人となって施設を出た子に対するアフターフォロー、これは、いきなりフルスペックで何でもできるとは思いませんが、まずは、本当にささやかな第一歩として、施設を出た子にも、月に一度でも、あるいは二月に一度でも、電話をかける。元気でやっているか、仕事はどうや、何かあったらまた施設に寄ってよね、こういう感じでアフターフォローの電話をかけて、それが、安否確認や、あるいは本当に本人が深刻な状態のときには施設に相談に来る、さらには施設のまた一時的な利用をする、こういうことにつながるというふうに思います。いかがでしょうか。

塩崎国務大臣 本来は、やはり家庭で親子関係があるというのが一番望ましいわけでありますし、その次にあり得べき望ましい姿は、特別養子縁組だったり、里親だったり、その複数形であるファミリーホームだったりということがあって、さらには、それがかなわないというときに小規模の施設、場合によっては、その次に来るのが、今、大舎と呼ばれている施設ということだろうというふうに思います。

 ですから、今回の児童福祉法の改正には、むしろ、親子関係あるいはその準ずるもの、そして、どうしてもというときには小規模な施設ということを考えているわけでありますが、一足飛びにそれをやれと言ってもなかなか難しいので、今お話がありましたように、施設を出る場合にアフターフォローが必要じゃないか、私も全くそのとおりだというふうに思います。

 今、児童養護施設運営指針において、退所後も施設に相談できることを退所者に伝えるということになっておりますし、退所後の状況を把握して記録を整備するということなど、退所後の支援を積極的に行うこととなっているけれども、それがなかなかうまくいっていないんじゃないかということなので、今般、先ほどの専門委員会の報告では、社会的養護が必要な子供については、児童福祉法の児童の年齢を超えた場合も、自立のための支援が必要に応じて継続されることが不可欠であって、そのための仕組みを整備することが必要である、そして、施設退所後においては、それぞれの子供の状況を把握している職員が相談に応じるなどの、特定の者が継続してかかわることを可能にする条件整備が必要との指摘がなされておるわけでございまして、この報告書を踏まえて、これから法律の御審議をいただく中で、そして、その成立を見れば、児童養護施設による積極的な退所者支援というものが今まで以上に図られるようにしていかなければならないし、その手だてを打っていかなければいけないんじゃないか、そういうふうに思っております。

井坂委員 大臣には、総論では全く同じ考えで御賛同いただいているというふうに思います。

 きょう質問通告をいたしました、まさに具体策として、もちろん、いろいろやろうと思えば予算や人員がかかる話だと思いますが、ただ、もともといた職員さんが月に一本だけいわゆるOB、OGに電話をかける、これは追加の予算が要るほど大層な話じゃないというふうに思うんですね。

 事前に事務方の方とも議論をしたんですけれども、もちろん、事務方の方はよりよいサービスを、ちゃんと予算を要求して、予算をつけて実施したいというふうにお考えで、それは私は全く否定はしません。ただ、その予算がつくまで何もできない、あるいは予算が、もし来年の平成二十九年度の予算に入れ込めなかったら、またあと一年も二年も何もできない、こういうことでは私はいけないというふうに思います。

 電話を一本かける。これは、四十六人平均で子供がいて、毎年多分四、五人子供が卒業していくようなペースなんだろうというふうに思いますけれども、例えば退所後三年は毎月電話をかける。仕事は安定してきたか、職場の人間関係はどうやと。そういうことを、本当に時間がかかることではないというふうに思うんです。これは、できないという理由がないし、予算が必要な話ではないというふうに思いますが、できないでしょうか。

塩崎国務大臣 これは児童養護施設協議会などともよく相談をして、おっしゃるように、月に一遍電話を入れてフォローを三年間ぐらいするというのは、私はあり得る対処の方法だろうと思いますし、見てみると、やはり出てすぐからが本当に試練が待っているというケースが多いと聞いておるわけでありますので、そういうところについて何ができるか、児童養護施設協議会ともよく話し合ってみたいというふうに思います。

井坂委員 大臣、ありがとうございます。

 これは、児童福祉法が平成十六年に改正をされまして、この四十一条に、児童養護施設は、保護者のない児童を養護し、「あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする」と。わざわざこの部分がつけ加えられておりますから、退所後の方の相談、援助、それも待ちの姿勢ではなくて、今大臣が前向きに言ってくださったように、ちょっと最初の三年ぐらいは定期的に声をかけてやる、戻りやすい、相談しやすい雰囲気をこちら側からしっかり出すということをぜひお願いしたいと思います。

 続きまして、同一労働同一賃金についてお伺いをいたします。

 これは、昨年の通常国会で、同一労働同一賃金法が成立をいたしました。

 私も筆頭提出者として、この委員会でも、それから参議院でも、与野党の諸先輩方からのさまざまな御質問に答弁をさせていただき、いろいろ考えを深めさせていただきました。

 現在は、日本の法律では、パートそれから契約社員の方は、これはパート法八条、九条、また労働契約法二十条というところに、差別的な取り扱い、それから不合理な待遇格差、これは禁止だというふうに法律に書いてあるんです。ところが、派遣の方だけはこういう条文がなくて、昨年の派遣法改正でようやく、均衡待遇の配慮義務という、いわばパートや契約社員とは、私から見れば二段階ぐらい条文の厳しさが違う、緩やかな条文がようやくつけ加えられたというところであります。

 昨年出した同一労働同一賃金法は、まず、きちんと法律で差別待遇あるいは不合理格差は禁止だと書いてある、パートや契約社員では書いてある。派遣だけおくれているので、派遣も、ここの部分は、三年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講ずると、これは政府に法律で義務づけをしています。

 ここでお伺いをいたしますが、総理も、第五回の一億総活躍国民会議で、ちゅうちょなく法改正の準備を進める、こういうふうに力強くおっしゃっておられます。この派遣法、派遣労働者にもパート法の八条、九条、あるいは労働契約法の二十条のような、差別的取り扱いや不合理な待遇格差を禁止する条文を加える派遣法の改正を近々行うのかどうか、大臣にお伺いします。

塩崎国務大臣 今お触れをいただきましたように、二月二十三日の一億総活躍国民会議において総理から、我が国の雇用慣行には留意をしつつ、同時に、ちゅうちょなく法改正の準備を進める等について、厚生労働省と内閣官房で協力して準備を進めるようにという指示をいただいたわけでございます。

 御指摘のように、パートタイム労働法第八条それから第九条、さらに労働契約法の第二十条では、不合理な労働条件の禁止、そして差別的取り扱いの禁止が規定をされているわけでありますけれども、御指摘のとおり、労働者派遣法については、そうした規定が存在をしていません。

 そこで、今お話がありましたように、昨年九月に施行されました、井坂先生御努力をいただいた、職務待遇確保法と我々は呼んでいますが、この第六条において、労働者派遣法について、「派遣先に雇用される労働者との間においてその業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度その他の事情に応じた均等な待遇及び均衡のとれた待遇の実現を図るものとし、この法律の施行後、三年以内に法制上の措置を含む必要な措置を講ずる」ということになっているわけでありますが、同一労働同一賃金の実現に向けて、検討に当たっては、ただいまの職務待遇確保法第六条も踏まえた対応を検討する必要があると認識をしております。

 その具体的な内容につきましては、きょう記者発表もさせていただきましたが、総理の指示に基づいてつくられた同一労働同一賃金の実現に向けた検討会、これを、三月の二十三日に開催を、第一回目を行いたいと思っております。ここで多角的、精力的に検討していただいて、今お話のあった法改正の可能性、それからガイドラインというのもありますけれども、こういったことについて深く議論をしていきたいというふうに思っております。

井坂委員 ありがとうございます。

 私の考えでは、やはり、派遣法のこの部分の改正をせずに、現状の均衡の配慮義務だけで正社員と派遣労働者の均等・均衡待遇を企業に義務づけることは難しいというふうに思っておりますので、ぜひ法改正をよろしくお願いいたします。

 続きまして、均等待遇と均衡待遇ということで、昨年も与野党で随分議論があったわけです。

 均等待遇というのは、私の理解では、全く同じ仕事をしていれば、きちんと同じ、全く同じ給料を保障しましょうと。均衡待遇というのは、その周辺にあるような概念で、働き方のコースが違うとか、あるいはいろいろな能力が違うとか、ちょっと違う場合は、ちょっとの賃金格差は許しますよ、ただ、ちょっと違うことを理由に、例えば、パートと正社員で働き方が違うからというだけで、ほぼ同じことをやっているのに倍ほど給料が違う、これはだめだと。要は、仕事の違いに比例した賃金の格差までは認めるけれども、それ以上はだめですよ、こういうことだというふうに理解をしております。

 賃金に差をつける合理的な理由があるかないかということが、今後、均衡待遇とそれが言えるのか、それとも不合理な格差ということで違法になってしまうのかの最大のポイントになってまいります。

 今後、政府は、合理的な賃金格差とはどういうものなのかというのをガイドラインを策定するというふうに伺っております。

 このガイドラインの方向性についてお伺いいたしますが、どのような理由があればどの程度の賃金差まで許されますよという、数字もある程度入った定量的なガイドラインになるのか、それとも、不合理はだめですよとか常識外れはだめですよとか、こういういわゆる主観的、定性的な表現にガイドラインがとどまってしまうのか、これは大きな分かれ道だと思いますので、お伺いをいたします。

とかしき副大臣 お答えさせていただきます。

 ガイドラインの具体的な内容につきましては、先ほど大臣の方から御案内させていただきましたように、三月の二十三日に始まります同一労働同一賃金の実現に向けた検討会、こちらの方に多角的、精力的に議論していただくことになります。ということで、非正規雇用で働く方の処遇改善をさらに徹底的に進めていきたい、このように考えております。

 ということで、今回の同一労働同一賃金の主要な目的は非正規雇用で働く方々の処遇改善であり、不合理に低くなっている方の処遇の改善を図る方向で検討すべきものである、このように考えております。

井坂委員 このガイドラインが、定量的なものになるのか、それとも主観的、定性的なものになるのかというのは、これは大きな差が出てくるというふうに思います。

 今のところ、お聞きしている範囲では、政府は、例えば資格、それから勤続年数、あるいは学歴、こういったところで賃金に差がつくことは一定の範囲で認めるという方向やに聞いております。

 しかし、大事なのは、あくまで職務に応じた賃金であります。つまり、その職務がどれだけうまくできるのか、熟練度、あるいはその職務に必要な能力、そしてその職務で出した成果あるいは生産性、こういったところが基本であります。ですから、例えば、勤続年数が違えば給料が違っても当たり前だ、これは日本では当たり前の考え方でしたけれども、よくよく考えると、その仕事、その職務に何年ついているかというものが大事であって、全然関係ない仕事を何年やっていようが、その職務についている年数で基本的には比較をしていくということではないかなというふうに思います。

 逆に、単なるその会社にいる年数で賃金の格差を認め始めたら、これは結局、正規労働者は、十年、二十年、三十年、非正規の方は、一年、二年、三年、五年、ここでもう最初から差がついてしまうのは明らかで、ちょっと心配をしておりますのは、ガイドラインをつくって同一労働同一賃金を始めてみたら、結局、何か勤続年数とかそういうところでどんどんどんどん平気で差がつけられて、現状の、パートや契約社員や派遣社員の方と正社員の方の格差とほとんど変わらない結果になってしまった、しかも、それがある種合法的に許されるような状態になってしまった、こういうことを心配するわけであります。

 ガイドラインにきちんと実効性を持たせる、特に職務についてどうなのかということを、きちんと、そこの差しか認めないということについて、ちょっと大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

塩崎国務大臣 まさに、結論から言いますと、そのことをこの検討会で議論していただかなきゃいけないと思っております。

 例えば、もう釈迦に説法でございますけれども、ヨーロッパでは、EU指令でもって、基本的には同一労働同一賃金とはこういうものだということを書いて、合理的な理由がない限りは同一でなければならないということを、それぞれの国がまた法律にしているわけでございます。

 ガイドラインでどこまで定めるべきか。今、定量的にというお話がありましたが、ガイドラインは、法的な位置づけをすれば法律ではございませんから、数値的なことを入れた場合にどういう効果を持ち得るのかということもよく考えていかなきゃいけませんので、ヨーロッパなどの例もよく検討して、今回のメンバーの中には、ドイツやフランスやイギリスなどにとても詳しい労働法学者の先生方にもお入りをいただいて、そういったことも含めて議論をしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 かなりこれは奥行きのある話であり、また広がりのある話でもあろうかというふうに思いますので、今先生が御指摘いただいたように、実質的に、やはり、非正規の方の賃金と正規の方の賃金の格差が理由なく開いたままである今の現状というものは解消していくということが大事なので、その実効性をどう持たせるのかということについての工夫をよく議論していただきたいと思いますし、また、先生方の御意見も引き続き承ってまいりたいというふうに思います。

井坂委員 ガイドラインに数値が入る、定量的なガイドラインになるということは、私は、ガイドラインはもちろん法律ではないですけれども、ある種の物差しとして重要になってくるというふうに思います。

 その物差しに数値の目盛りが入っているのか入っていないのか、もしガイドラインが余りにも主観的、定性的だと、前回まで議論をしておりました労働移動のときのように、何か法律では濫用だとだめだぐらいしか書いていないと、では何が一体濫用なのかということで、そこを逸脱してくる企業が出てくる、それをとがめるためには結局最後は裁判をやるしかない、こういうことになってきますから、数値、定量的な目盛りが入っているガイドライン、それに照らせば、企業も自分がやっている賃金体系が許されるのか許されないのかが裁判をしなくても大体わかる、労働者も自分の待遇が不合理な範疇に入ってしまうのか、それとも合理的な範疇にとどまっているのかがちゃんとガイドラインを見れば自分でもわかる、こういうことがとても大事だというふうに思います。

 最後、ガイドラインの話ばかりしてきましたが、一方で、職務に応じた賃金ということを真面目に考えれば、職務評価というものも進めていかなければいけないというふうに思います。

 厚生労働省も、職務評価のモデルケース、実施イメージというようなもの、要素別点数法というようなものをつくっております。

 簡単に申し上げますと、仕事ごと、職務ごとにその大変さをちゃんと小分けにしてはかっていく。かわりの人材が見つかりやすい仕事なのか、それとも見つかりにくい仕事なのか、あるいは新しいやり方が求められる、革新性が必要な仕事なのかそうでないのか、専門性が必要なのか、従業員の裁量がたくさんある仕事なのか、言われたとおりやればいい仕事なのか、対人関係が大変なのか、それともほぼ一人でできるような仕事なのか、こういういろいろな要素に小分けして、その仕事がどれだけ重たい仕事なのか、どれだけ大変な仕事なのか、こういうことを数値化して、職務としてそれに見合った賃金を払っていきましょう、こういうのが職務評価の考え方です。

 お伺いをいたしますが、職務評価などのツールを私は広めるべきだと思います。ただ、今政府は、職務評価よりはどちらかというとガイドライン、物差しを一本つくってそちらでやっていこう、これは一長一短あって、私も別に今の政府のガイドライン主体のやり方は否定はいたしません。

 ただ、結局、ガイドラインだろうが職務評価だろうが、実際に現場で起こっている賃金格差が不合理なのかどうなのか、これは最後は裁判になりますけれども、不合理であるということをきちんと説明責任、さっき大臣もおっしゃいましたけれども、企業側は、これは不合理な格差じゃないんだ、職務評価に基づいてやっている許される格差なんだ、あるいはガイドラインの物差しに基づいてやっている許される格差なんだと立証する責任、説明する責任は、私は、企業側に、使用者側に負わせなければ、この制度全体がほとんど実効性を持たない。何かあると労働者が、結局、労働審判とか裁判に訴えなきゃいけない、でも、そんなことをやっている暇がないから、結局放置をしてしまう。

 実例を挙げれば、パート法の八条、九条、あるいは労働契約法の二十条、今法律で格差は認めませんとはっきり書いてあるパートや契約社員の方でも、では実際にそれで裁判をやった方が何件あるかとお伺いをすると、パートではわずか一件、契約社員の方ではわずか二件。要は、裁判で解決するなどというのはおよそ現実的には行われないということであります。

 ですから、物差しをはっきりさせる、ガイドラインならきちんと数値、定量的なものを入れる、あるいは職務評価をちゃんと導入する。格差が合理的か合理的でないかは企業側、使用者側がきちんと数字で立証する、説明をする。ここを義務づけることが今回の最大のポイントではないかというふうに思いますが、大臣のお考えをお伺いいたします。

塩崎国務大臣 先生御指摘のとおり、職務の評価というものが極めて大事だということは、もうそのとおりだと思います。

 これは、例えば公務員制度の改革の中でもこの点はまだ未達と私は思っておりますし、企業はかなりやっていますけれども、しかし、こういうような格差が非正規、正規の間にあるということは、職務の評価は、パートタイム労働者と正社員との間の点数化されているガイドライン、要素別点数法による職務評価のガイドラインというのが二十四年の十一月に制定をされておりますけれども、これを本当に実効あらしめるためにどうするのかということが大事だと思います。

 挙証責任の話がありましたが、パートタイム労働法あるいは労働契約法に関する訴訟において、待遇差の不合理性に関する立証の責任は、労働者側に一方的に負わされているものではなく、今、企業も負っている形となっているわけでありますが、ヨーロッパのケースを見ますと、この合理性については企業が立証責任を負うというふうになっています。

 さあこれを日本でどうするのかということについては、これからこの検討会で議論していただいて、先生のような御意見も踏まえてこれからまた議論をさらに深めていくということが大事で、さっき申し上げたように、かなり、奥行きだけじゃなくて、幅も広い問題を議論することになるんだろうというふうに私は思います。

井坂委員 時間が参りましたので。

 この同一労働同一賃金、おっしゃるように、本当に議論すべきことは多いと思います。また引き続き、この委員会も通じて、とにかく、実効性のある制度、そして非正規の方がきちんと待遇が改善される制度にしていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中野洋昌君。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 今国会の厚生労働委員会では、安倍政権が掲げました一億総活躍というテーマがございます。介護離職の問題、あるいは待機児童の問題、女性の活躍、また、さまざまな皆様が活躍をするために何をしていけばいいのかということを、与野党を超えて本当に大事な議論が続いている、このように思います。

 私は、今回、公明党の青年委員会で学生局長という立場もいただいておりますので、若い人たちが活躍する、若者の活躍、これをテーマにまずは質問をさせていただきます。

 昨年、私ども公明党も強くお願いをしておりました若者雇用促進法、これが、一部改正法ですけれども成立をいたしまして、これの全面施行というのがことしの三月一日ということでございます。

 少子高齢化社会が進んでおりますけれども、若い人たちを使い潰すのではなくて、社会全体として、育てていく、しっかりと活躍をしていただく、こういう機運を高めていくことが本当に大事だな、このように感じております。

 この法律が施行されて初めての就職活動というものも今まさに行われているところでございますけれども、今までは、若者応援宣言企業、若い人たちをしっかり育てていこう、こういう企業をぜひふやしていこう、こういうことを訴えておったんですけれども、若者応援宣言企業という形でやっておりました。こういう仕組みがございましたけれども、今回、若者雇用促進法、これができまして、法律上の認定制度というものも初めてできております。これが、若い人たちをエール、応援するということで、ユースエール認定企業、こういう新しい制度ができました。また、さまざまな支援措置も講じられております。

 ただ、まだ施行後間もないということで、まだまだ認定企業の数が少ない。これは、三月の段階で数を伺いましたら、現在十四社だ、このようなことも伺いましたけれども、今、就職活動をされている学生の皆様にも、まだこのユースエール認定企業、この制度自体の認知度もこれからどんどん上げていかないといけないんじゃないかな、このように思っております。ですので、なるべく多くの企業がこうした認定企業となるようにしっかりと後押しをしていく、これが非常に大事なのではないか、このように考えております。

 厚生労働省からも、ぜひ積極的な後押し、あるいは認知度を上げていくための周知というものも含めてしっかりやっていただきたい、このように思いますけれども、御答弁いただければと思います。

坂口政府参考人 お答えいたします。

 今、先生の方からも御紹介いただきましたユースエール認定制度でございますが、まず、状況でございますが、今御紹介いただいたとおり、昨日の時点で十四社ということになっておりますが、このほか認定審査中の企業が十数社、加えて、複数の企業からも問い合わせをいただいているところでございますが、やはりまだ少ないということで私どもも認識をいたしております。

 これまでも当然、ホームページへの掲載、あるいは求人開拓、求人受理時のさまざまな機会を捉えまして周知、広報に取り組んできたのはもとよりでございますけれども、ことしの一月から三月にかけましては、不本意非正規対策・学卒正社員就職実現キャンペーンということも、この三月施行の関係も含めまして、都道府県労働局長等の幹部が地方の事業主団体等を回っておりまして、そういった中で、この認定取得の働きかけということを積極的に行っておるところでございます。

 また、今委員の方からも御紹介ございましたけれども、この認定企業につきましては、これまでも助成金の制度等で加算措置というようなことも行っておりますけれども、平成二十八年度からは、日本政策金融公庫による融資についても、金利の引き下げの対象とするということとしておるところでございます。

 先生からも今御指摘ございましたけれども、我々としましても、引き続き、こういった認定取得のインセンティブの拡充ということにも努めますとともに、こうした新たなメリットも前面に出しつつ、それから、地域の雇用管理が優良な中小企業等において認定取得に向けた個別の勧奨等も含めまして、しっかり私どもも認定企業の確保ということに取り組んでまいりたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 若者雇用促進法、ほかにもいろいろな大事な制度が施行されております。よく新聞等で報道されるのは、いわゆるブラック企業のような、労働法令を遵守しないようなこういう企業、これをハローワークで紹介しないんだ、こういう仕組みも導入をいたしました。

 また、若い人たちがさまざま気になるような情報、有休がどのくらいとれるのかとか、あるいは離職率がどのくらいであるかとか、いろいろな情報を、就職活動、こういう機会を通じてそういうものをいろいろな企業が情報をどんどん公開していく、そうして、若い人たちをこれだけしっかりと育てていくんだ、大事にしているんだ、こういう企業こそが選ばれる、こういうことをぜひ機運としてまた盛り上げていっていただきたい、このようにもあわせてお願いを申し上げたいというふうに思います。

 続きまして、私、昨年もこの問題を厚労委員会で質問させていただきましたけれども、働く若者、学生という意味ではアルバイトをしている方も多いわけでございまして、ただ、実態としては、試験のときによくシフトが、急に入ってくれと言われて試験がなかなか受けられないとか、労働法令がちゃんと守られていないのではないかな、こういう認識で実態調査をしてほしい、こういう質問を昨年させていただきました。いわゆるブラックバイトと呼ばれることもございますけれども、これの調査をしっかり行います、こういうお答えを昨年いただいたわけでございます。

 この実態を調査するということなので、そうすると、どこに典型的に問題があるのか、こういう業種は典型的に問題が多いんじゃないか、こういうケースが多いんじゃないか、いろいろなことがわかってくると思いますので、その上でしっかり手を打っていただきたい、このように私としては考えておりますけれども、厚生労働省から御答弁いただきたいと思います。

山越政府参考人 御指摘をいただきました学生アルバイトの労働条件の問題でございますけれども、昨年七月に先生から御質問をいただいた後、厚生労働省として初めての、大学生などを対象といたしました調査を実施させていただきました。

 この調査結果でございますけれども、学生が経験したアルバイトのうち、約半数で何らかのトラブルがあり、その中には、労働基準関係法令をめぐるトラブルだけではなくて、アルバイトにより試験や授業などの学業への影響が生じたというような回答も見受けられたところでございます。

 こうした調査結果を踏まえまして、厚生労働省といたしましては、文科省とも連携をいたしまして、経済団体でございますとか学生アルバイトが多い業界団体に対しまして、労働基準関係法令の遵守はもとよりでございますけれども、シフトの設定上の配慮などについても要請を行ったところでございます。

 さらに、この二月には、学生の方向けのリーフレットを新たに作成いたしまして、これも文部科学省と連名で全国の大学に送付をいたしまして、学生に配付するよう依頼申し上げているところでございます。

 さらに、これから多くの新入学生が入学をされましてアルバイトを始められますこの四月から七月までをキャンペーンの期間といたしまして、学生の方に労働条件の確認を促す取り組みを進めていきたいと考えております。

 あわせまして、さらに、高校生につきましてもアンケート調査を今実施しているところでございまして、調査結果が取りまとめられましたら公表するとともに、高等学校における労働法制に関する知識の普及につなげていきたいと考えております。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

中野委員 ありがとうございます。

 特に四月とか、大学に入学をして、新しくアルバイトを始めよう、あるいは高校生の方でもう既に始められているような方もいらっしゃるかもしれませんけれども、またこういう機会を通じて、そういったさまざまな意識啓発活動、先ほど御答弁でも文部科学省と連携してということでもいただきましたけれども、しっかりやっていくことがまた非常に大事だなというふうに思います。

 余り皆様、書面でそもそも契約をして、こんな条件があるものが出てくるんだよ、こういうことも存じ上げない方も大変多いなという感覚を持っておりますので、これもあわせてお願いをさせていただきたいというふうに思います。

 今回、自殺対策、これについても、本日、大きなテーマになっております。これに関連しても幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 実は、私も、初当選以来、こうした自殺に関連する取り組み、こういうものも進めて、また携わってまいりました。例えば、文部科学の分野では、いじめ防止対策推進法、議員立法で提出をいたしまして、これの制定作業にもかかわってまいりました。あるいは、地元の方で、大変残念なことに過労死をされた方、こういうまた家族の会の皆様、いろいろな方の本当に強い思いをいただいて、過労死等防止対策推進法、こういうものもさまざま携わらせていただいたわけでございます。

 平成二十一年以降、自殺者数というのは減少に転じておりますけれども、残念なことに、若い世代、若者の自殺ということに関して言えば、やはりもっともっと減らしていかないといけない、減少の傾向というのがまだまだ弱いんじゃないか、こういう強い思いを私は持っております。

 そうした観点で質問をさせていただきたいんですけれども、過労死に関連をいたしますと、やはり長時間労働というものを削減していくということが大事なのではないかなというふうに思います。政府としても、週の労働時間が六十時間以上のこうした人たち、これを全体の五%以下にしよう、こういう目標というものもある、こういうことでございまして、長時間労働の削減、これに向けてぜひ取り組みを進めていただきたい、このように考えておりますけれども、厚労省の答弁を求めます。

山越政府参考人 今御指摘をいただきましたように、長時間労働による過労死あるいは過労自殺をなくしていくためにも、長時間労働をなくしていくことが大変重要であると思っております。

 このため、厚生労働大臣を本部長といたします長時間労働削減推進本部の決定に基づきまして、まずは昨年一月から、月百時間を超えるような残業を把握した全ての事業場に対する監督指導の徹底を図っております。また、昨年の四月からは、複数の労働局にまたがるような事案に対する特別のチームといたしまして、通称「かとく」と呼んでおりますけれども、こうした特別のチームを東京と大阪の労働局に新設をいたしまして、取り組みを進めてきたところでございます。

 また、業種によっては、非常に長時間働いている人の割合が多い業種もございますので、こうした業種対策も進めているところでございまして、一つはトラック運送業でございますけれども、荷主企業も含めまして協議会を設置いたしまして、取引慣行の見直しを通じました手待ち時間の削減等による労働時間の見直し、そのモデル的な取り組みの普及を進めようとしております。また、医療機関に関しましても、関係団体とのネットワークを生かしたコンサルティングなどの展開をしているところでございます。さらに、二十八年度におきましては、これに加えまして、IT産業におけますこうした取り組みを進めていきたいと思っております。

 働く方が安心して働けるように、こうした長時間労働の是正に向けて取り組みを進めてまいりたいと存じます。

中野委員 ありがとうございます。

 長時間労働の削減に向けては、働き方改革、こういうものも含めて、いろいろなことを考えていかないといけない。やはり社会全体として、しっかり休むときは休むというか、日本人はやはり有給休暇の取得率も非常に低いということもございますので、こうした取り組みを官民挙げてしっかりやっていかないといけないというふうに思います。

 若者の自殺の理由のうち、健康問題というのはかなり上位に来る問題でございます。その中でも、やはり、例えばうつ病でございますとか、精神疾患に関連するもの、こうしたものも非常に多いということで、この対策をしっかり進めていかないといけない、このように思います。

 もちろん、なるべく早期にこうした適切な治療というか対応をできるような体制をしっかり組んでいく、こういうことも大事でございますけれども、私もかねてから委員会でも質問をさせていただいておりましたのが、うつ病というのは、投薬の治療もございますけれども、認知行動療法、こういう療法もございます。もちろん、投薬以外にも、こうした療法も含めて、さまざまな治療が受けられる、こういう体制を確保していくことが大事だと思います。

 私も、実際に、こうした方から御相談を受けて、こういう認知行動療法というものも取り組んでいますよ、こういう話もさせていただいたんですけれども、しかし、なかなか受ける場所がない、これをやっている場所がどうしても、例えば、療法そのものに時間がかなりとられたりですとか、できる方が少なかったりですとか、受けたいけれどもなかなか受けられない、こういう御相談もいただいたことがございまして、これは何とか前に進めていかないといけないな、こういう決意で今までもやっております。

 これにつきまして、ぜひ、さまざまな制約もございますけれども、なるべく多くの場所でこういう認知行動療法ができるように、厚労省としてもしっかり後押しをしていただきたいと思うんですけれども、御答弁いただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 うつ病につきましては、御指摘のように、薬物療法とあわせまして、面接を通じて治療を行います認知行動療法も有効であるということが明らかとなってございます。

 私どもといたしましては、認知行動療法を実施できる人材を確保するために、これまでも、平成二十三年度からでございますが、認知行動療法研修事業を実施してきたところでございますけれども、今般、平成二十八年度の診療報酬改定におきまして、認知行動療法に対応する医師の負担を軽減するという観点から、医師の指示のもとに、一定の知識と経験を有する看護師が認知行動療法のそれぞれの面接の一部分を実施するような、そういう形式のものにつきましても点数を設けたところでございます。

 このような取り組みも踏まえながら、今後とも、この認知行動療法につきまして普及を図ってまいりたいと考えております。

中野委員 やはり、こういう精神疾患ですとか、御本人も大変につらい、そして周りの方も大変につらい、御苦労もされている、そんな現状があるわけでございます。これが少しでも改善をしていくように、私も与党の立場で全力でやっていきたいと思いますし、また、厚生労働省としても、本当にこうした環境整備が進むように全力で施策をやっていただきたい、これをぜひお願いさせていただきたいと思います。

 私、続きまして、質問させていただきたいのが、この委員会でもずっと議論になってまいりました労働移動支援助成金、これの関連でお伺いをしたいというふうに思います。

 大臣からも、もうさまざま今も御答弁を現状いただいているところではございますけれども、しっかりと論点整理をしていく必要があろう、このように思います。ですので、私どもの方からも、一度しっかりと大臣の御認識をぜひ伺えれば、こういうことで御質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 報道によりますと、ある企業で、退職勧奨を断った、こういう場合に、再就職支援会社に出向をさせて、みずからの再就職先を探せと命令をしている実態がある、このような報道が出ております。

 ここで、改めて大臣にお尋ねをいたしますけれども、こうしたみずからの再就職先あるいは出向先を探させるような企業の業務命令、これについて大臣がどのようにお考えか、改めて御答弁をいただきたいと思います。

塩崎国務大臣 企業における業務命令あるいは退職勧奨についての紛争が生じた場合には、これはもう何度も申し上げておりますけれども、民事上の問題であって、適法なのか否かは最終的には司法において判断をされるものでございます。

 しかし一方で、労働者保護を使命とする厚生労働省としてこれを手をこまねいて見ているわけにはいかない。そういう意味では、人事権を濫用して、そして、みずからの再就職先あるいは出向先を探すような業務命令を命ずるということは不適切だというふうに考えているところでございます。

 厚生労働省では、こうした観点から、企業の適切な労務管理を促すために、まず、啓発指導に用いる厚生労働省のパンフレットに、いわゆるベネッセコーポレーション事件などの裁判例を追加した上で、みずからの再就職先や出向先を探させるような業務命令は、これは人事権を濫用して行えば不適切だということを記載し、これを通達した上で、周知をしていこうというふうに思っております。

 また、こうしたパンフレットを活用して、企業に対する啓発指導をしっかりと行ってまいりたい、このように考えているところでございます。

中野委員 かなり御明確な御答弁であるというふうに思います。厚生労働省はやはり、労働者保護を使命とするんだ、こうした不適切な事例に手をこまねいて見ているわけにはいかない、こういう通達もしっかりとしていくと、しっかりと御答弁をいただけたというふうに思っております。

 では、次に、労働移動支援助成金、この制度そのものについてもお伺いをさせていただきたいと思います。

 この助成金は、私の理解では、離職を余儀なくされる方がいらっしゃって、これに対して、在職中からしっかりと再就職の支援を行っていこうじゃないか、失業をすることなく労働移動というものを図っていこうじゃないか、こういう趣旨の助成金だ、こういう理解をしておりまして、決してリストラを促進するようなものではない、私はこのように理解をしております。

 その上で、しかし、制度として、私が一つ感じますのは、再就職が実現をした段階で助成をするというのは、わかりやすい、そうですねということだと思うんですけれども、この助成金の制度が、再就職の支援のサービスをまず最初に委託する段階、この段階でも経費の一部を支給する仕組みとなっている。やはりここが、どういう意図なのかなということがあるのだというふうに思います。

 また、厚労省の方でもこの一連の事案を受けまして助成金の見直しを行うということもお伺いをしておりますけれども、改めて大臣の方から、まずは本助成金の趣旨、目的、これについてお伺いをしたい。そして、この再就職の支援サービスを委託した段階でなぜ助成をする仕組みとなっているのか。また、見直しということもございますけれども、具体的な見直しの方向性、これについても、三点あわせてお伺いをしたいというふうに思います。

塩崎国務大臣 企業は、リストラを行うとか、あるいは仕事の中身が変わることによって人員をかえないといけないというような場合、そういうときに離職せざるを得ない方が出てくるわけでありまして、そういったときに企業の責任で再就職支援を行うような努力義務というのが、もともとこれは雇用対策法の第六条というところで定められているわけであります。

 労働移動支援助成金は、企業が、再就職支援をしっかり行うように、再就職支援会社に委託をして行った場合の経費の一部を助成するというものでございまして、リストラを促進しようというものではないという先生の今の御指摘は全く同感で、そのとおりでございまして、これがあるから失業ができるというような話では全くないというふうに思っております。

 この助成金につきまして今御指摘がございましたが、対象者の再就職が実現した段階だけではなくて、今のスキームでは、企業が再就職支援会社に対して再就職支援サービスを委託した段階においても、その委託経費の一部を支給する仕組みとなっています。

 これは、企業が、事業縮小等のリストラを行う際に、離職する方のために再就職援助を、本助成金を活用しながら進めていただけるようなインセンティブを持たせるということを目的としたものでありまして、再就職支援会社を利することを意図したものではない。ただ、今先生からの御指摘もございましたので、こういうことについても、インセンティブを与える方法として何がいいのかということを含めて、今後考えていきたいというふうに思っております。

 労働移動支援助成金の支給に当たりましては、これまでも、制度の趣旨に反するような運用がなされないように、再就職支援をすることについて、労働組合の同意を得ることなどの仕組みを最初から設けてきたわけでありますが、今回の一連の事案を受けまして、要件の厳格化を図ることとしております。

 具体的には、再就職支援会社に再就職支援サービスを委託する企業が、同じ再就職支援会社から退職コンサルティングを受けていた場合には助成金は不支給にする。そして、本助成金の支給申請書に、事業主から退職強要を受けていないことの確認欄というのを新たに設けます、それによって、退職強要を受けていたとした場合に、これまた助成金は不支給とする、こういうふうにするわけでございます。

 今後とも、今申し上げたような点を初めとして、不断の見直しをしていく中で、さらなる改善に取り組んで、成長産業への労働移動をスムーズにできるようにしてまいりたいというふうに思います。

中野委員 ありがとうございます。

 見直しの方向性、さまざま御答弁をいただきました。再就職支援会社にどういう形で確かにインセンティブを与えるかというのは、どういう形にするのかというのが、やはりなかなか、ここは工夫のしどころかなというふうに思いますので、引き続き厚労省の方でしっかりと議論をしていただきたい、我々としてもしっかりと見守ってまいりたい、こういう思いでございます。

 最後にもう一点、再就職支援会社、これに関連してお尋ねをさせていただきたいというふうに思います。

 今までの審議の中で指摘がされていましたのは、再就職の支援会社が積極的に営業というか、積極的に、リストラをしたらどうですか、こういう提案をして、そしてその支援を受託するような、こういう事例があるのではないか、こういう指摘がこの委員会の中でされてきたのではないかなというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いをするんですけれども、再就職支援会社が、例えば違法な退職勧奨に加担をする、あるいは積極的に退職勧奨の実施を企業側に、これをやったらどうか、こういうことで提案をする、その際、助成金を活用できますよ、こういうことを働きかける、私は、こういうことについては大変不適切なことなのではないか、こういうことを考えておりますけれども、大臣としてはどうお考えか、また今後の対応方針、どのように考えておられるのか、これをお伺いしたいと思います。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎国務大臣 ただいま、再就職支援会社についてのお尋ねがございました。

 リストラなどによって離職を余儀なくされる方々の円滑な再就職を支援することが再就職支援会社の使命であるわけでありますけれども、積極的に退職者をつくり出すようなことは、その使命から見れば、これは趣旨に全く反するというふうに思うわけでございます。

 このため、再就職支援を行う職業紹介事業者については、平成二十八年三月十四日に、企業の労働者に対してその自由な意思決定を妨げるような退職強要を実施したりすることは許されないこと、さらに、企業に対して積極的に退職勧奨の実施を提案したりすることも適切ではないこと、この旨の通知を職業紹介事業者の団体に対して発出をいたしたところでございます。

 また、労働移動支援助成金の趣旨に鑑みれば、再就職支援を行う職業紹介事業者が労働移動支援助成金を活用できることを理由に、再就職支援会社が企業に対して積極的に退職勧奨の実施を提案することも、これまた適切ではないというふうに考えているわけでございます。

 今後、これらの内容の周知徹底を図るとともに、不適切な行為を把握した場合には、適切にこれは指導をしていくということでございます。

中野委員 ありがとうございました。

 さまざま御答弁いただきまして、大事なことは、助成金が本来の趣旨に沿った運用がなされることである、このように考えております。引き続き厚生労働省としてもしっかりと対応していただきたい、このようにお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、山尾志桜里君。

山尾委員 民主党の山尾志桜里です。

 大臣に、今から三つ、ちょっと困っているお母さん、お父さん、子供さんの例をお話し申し上げます。いずれも、やはり保育園に落ちたの私だといって、ここに二万七千六百八十二の署名があるんですけれども、さらにまたそこから、私のもとにも、恐らく大臣のもとにもたくさんの声が届けられていると思いますが、そういった中で聞いていただきたいと思います。

 私が伺いたいのは、その一つ一つの例について、これは政治が解決すべき課題なのか、それとも、当事者である親子が自分の努力で解決するしかない問題なのか、どうお考えになるかというところからスタートさせていただきたいと思います。

 まず一つ目なんですけれども、この方は、認可外は家計上無理なんですね、だけれども、認可外しか通らなくて、次の四月の認可を目指している。でも、そういう中で、必死に自分もフルタイムで働きながら、フルじゃないともう認可の芽がないので、働きながら、四月まで必死に家計をやりくりして、認可外に子供を通わせている。

 もし、次の四月に認可に行けなければ、その方は、もう子供を認可外に通わせることはできない。子供もそれなりにいろいろな先生や周りの子たちとなじんでいくだろうけれども、続かないのでやめさせるしかない。子供が保育園をやめるということは、自分も仕事をやめるしかない。そういう中で、必死の思いで、認可外に入りながら次の認可を目指している親子。

 この問題は政治が解決するべき課題だと私は思いますけれども、大臣はいかがお考えですか。

塩崎国務大臣 今先生が、政治が解決する問題だということをおっしゃいましたが、そのとおりだと思います。

 そのためには、今、私どもは、受け皿をたくさんつくることによって、特にこれは認可の保育園をつくるということが、今のような形で、要するに、負担が過度にならないようにしながら、子供を安心して預けられるところをつくっていくということが大事でありますので、一番大事なことは認可保育園をつくっていくということだと思いますので、それに努力をしているところでございます。

山尾委員 受け皿をつくっても、受け皿で働く人がいなければ結局子供を預けることはできないということが今起きているわけでありますけれども、大臣も、これは政治が解決すべき課題だというふうに言ってくださった。

 では、二つ目、申し上げます。

 認可で唯一通った園が、通勤する駅とは逆方向。お兄ちゃんが通っている保育園とも、当然、別の園しか通らなくて、全く方向違い。そういう中でも、唯一ここしか受からなかった、でも、受かった認可だからということで、ここに必死で親子三人、送り迎えを続けたけれども、自分も疲れ果てたし、何よりも、やはり余りにも長い送迎距離に子供が毎朝毎晩疲れ果てている姿を見て、結局仕事をやめた。

 これは政治が解決すべき課題だと思いますけれども、大臣、いかがお考えですか。

塩崎国務大臣 これは、例えば私の愛媛県などでも、市町村に聞きますと、同じ市の東端と西端に子供さんお二人毎日連れていかないといけない、迎えに行かなきゃいけない、そういう問題があって、市長さんはやはりそういう問題についてもしっかり耳を傾けて御相談に応じているというところもあります。もちろん応じていないところも全国にはあるのかもわかりません。

 そういう意味において、そういう方々ももちろん困っていらっしゃるということはよくわかるところでございますので、これも広い意味では政治が対処しなければいけない問題であります。ただ、どうやるのかというのはすぐにはなかなか難しいということもあって、今はそういうことになっているんだろうと思いますけれども。

 いずれにしても、先ほど申し上げたように、話した市長さんでもそういうことがあり得るということで、決して大都会だけの問題では、待機児童の問題というのはないということは、私はずっと地元でも言ってきたことでございます。

山尾委員 待機児童の問題が大都会だけでの問題ではなくて、それぞれ全国で、いろいろな環境の違いはあるんだけれども、それぞれにこの子供の保育の問題というのは大きな問題なんだ、そのことは私も共有したいと思いますが、今最初にお話しした一つ目の例、二つ目の例、この二つの例は、二〇〇二年以前までは待機児童にカウントされていましたが、二〇〇二年以降、待機児童に含まれていない例です。

 そして、三例目をお話しします。妊娠中に、それこそ出産前ですね、つわりも大変な中で、もうその時期から保育園を探し続けて、認可も認可外も見つからず、育休を延長して次の年度を目指すけれども、一歳の入園はさらに狭き門で、とても復帰の見通しも立たない。

 育休中で探し続けている例です。これも御自身ではどうにもならない思いの中で、やれることは全部やっている。

 これは政治が解決すべき課題だと思いますが、大臣、いかがですか。

塩崎国務大臣 今の定義の中に育児休業をとっていらっしゃる方々は入っていないということであることはそのとおりでありまして、一方で、やはり働きたいということで手を挙げていらっしゃるからそういうことになってくるわけでありますので、これを解決するというのも政治の課題であって、それを含めて私どもは、四十万から五十万にふやすという受け皿の拡大を今目指して、最善の努力をしているというつもりでございます。

山尾委員 働きたいという中には、働かないと生きていけないという例もあれば、一生懸命働いてきて、職場には、きちっと子育てもやりながら復帰をしますという約束を守れずに、自分の今までのキャリアや職場での人間関係やさまざまな仕事環境を続けたいと思っているのに続けることができない悔しさを抱えている女性もたくさんいます。でも、今の育休中の例、これは二〇一五年以降、含めないことができるというふうに厚労省が決めました。

 皆さんのお手元に資料があると思うんですけれども、まず一枚目。これは、二〇〇二年の改正の資料です。注三というところを見てください。これは最初の例ですね。

 それ以前は、保育所に入所できなかったため、それ以外で保育を受けているけれども、要は認可外で保育を受けているけれども、保育所への入所希望が依然としてある場合は待機児童としてカウントすること、こういう規定でした。それが一枚めくった資料二の注三に書いてあります。「保育所への入所希望が依然としてある場合には、待機児童としてカウントすること。」こういうふうに決めてあったんです。

 お戻りいただいて、改正後。保育所以外の場で適切な保護を行うために、地方公共団体における単独保育を実施している場合は、「その単独保育施策で保育されている児童は、本調査の待機児童数には含めないこと。」

 これは、なぜか「保育所への入所希望が依然としてある場合には、」という文言を落としていますけれども、つまり、保育所、認可への入所希望が依然としてある場合にも、認可外で単独保育、地方のお金が入っているようなところに預けられているんだったら、もうそれはカウントしなくていいですよ、認可保育の入所希望が依然としてある場合でも、一定のところに入れているんだったら、カウントしなくていいどころか、カウントしないこと、こういうふうになっているのが一つ目の例であります。

 二つ目、これは同じページ、一番最初のページ、二〇〇二年の改正の紙の注七です。「他に入所可能な保育所があるにも関わらず、特定の保育所を希望し、保護者の私的な理由により待機している場合には、待機児童数には含めないこと。」これは、さっきの例でいうと、兄弟とも別々、それぞれ反対方向、駅とも違う方向、それでも受かったんだからいいでしょう、これを断ったらもう私的な理由ですよね、こういう中で、さっきのお母さんは必死にそこで頑張ったけれども頑張り切れなかった例です。こういう例もカウントしないということになりました。

 三つ目、二〇一五年の改正、これもしっかり紙で用意をさせていただきました。右端の数字でいうと資料三の2というところです。二〇一五年の厚労省の保育課長の通知の注八を見ていただきたいと思います。「保護者が育児休業中の場合については、待機児童数に含めないことができること。」これが新たにつけ加わった。カウントしなくてもいいですよ、こういう話です。

 大臣、ではちょっと今の例でお伺いしたいんですけれども、この注八を見ていただいて、「ニーズを適切に把握し、引き続き利用調整を行うこと。」とも書いてあるんですね。ニーズは適切に把握してくださいよ、引き続き利用調整もしてくださいよといいながら、でも、ことしからカウントからは外してもいいよ、こういう通知です。保育課長の通知です。これは、見た目の数を減らす以外に、何の理由、どういう効果があるのですか。(発言する者あり)

 委員長、時計をとめていただけませんか、手を挙げてもまだ御答弁なされないので。

渡辺委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

渡辺委員長 速記を起こしてください。

 塩崎厚生労働大臣。

塩崎国務大臣 失礼しました。

 今、育児休業取得中の方の扱いについてのお尋ね、御指摘がございましたが、これは、自治体の判断で待機児童に含めないことができるということにしているわけでございます。

 これは、子供の年齢、月齢を初めとしてさまざまな状況の方がいるなど、保育園等の入園へのニーズや希望の強さもそれぞれでございますのでそのようにしているところでございますが、育児休業中は待機児童に含まない取り扱いとする場合には、それらの者のニーズを個別、適切に把握をそれぞれしていただいて、引き続き入園に関する利用調整を行うことを市町村に求めておりまして、ニーズや希望ができる限り反映される運用がなされることが適当で適切だというふうに私どもは考えているところでございます。

山尾委員 子供がさまざまであること、希望の強さも家庭の事情によってさまざまであることは、これは自治体によって何か特別なキャラクターや性質があって違うというものではないはずです。どの自治体でもそれぞれにさまざまなんです。今のは理由にならないと思います。

 ましてや、大臣は今、ニーズを適切に把握することが重要だというふうにおっしゃいましたが、それではなぜカウントから外したのですか。ニーズを適切に把握することが重要だということは引き続きながら、カウントからは外すことができるようにすることによって、親子にとってはどういうメリットがあるのですか。

塩崎国務大臣 これは、かねてよりこのような扱いをしていたところでございまして、それぞれの市町村が判断をしていただくという扱いでずっとやってきていただいているわけで、ですから、これは民主党政権時代も同じようにやってきていることでございまして、それを、この今お配りをいただいた注三というところで明確化をさせていただいているということでございます。

 ですから、先生が御指摘になっている、問題点がそれぞれあるということ、あるいは、深刻な方もたくさんおられるということは、それはよく我々もわかっているところでございます。

 いずれにしても、こういう方々も含めて対処をしていかなければいけないということは先ほど申し上げたとおりでございまして、そのためにこそ、定員枠をふやしていくという努力をスピードアップしているということでございます。

山尾委員 いずれにしても、対処しなければならない重要な問題であるならば、待機児童のカウントに一方は入る、一方は入らない、こういう区別をすることは、この状態を解消するに当たって、何の意味もないどころか、むしろ、とても逆効果だというふうに思うんです。

 民主党政権時代からそうだったというような声が聞こえました。後で私はしっかりその話をしようと思っていたんですけれども、ぜひお手元の資料四を見てください。

 これは、前回の質問でも出しました。平成十三年、二〇〇一年までは旧定義のみ、平成十三年から平成十八年、二〇〇一年から二〇〇六年までは旧定義と新定義の併存、二〇〇七年からはカウントを減らした新定義のみの把握、公表となっています。

 御案内のように、民主党政権であった二〇〇九年から二〇一二年も新定義のみなんです。だから、私は、一緒にやはりもう一度、ニーズを覆い隠すんじゃなくて、ニーズを掘り起こすことでお互いに責任を負っていきませんかということを申し上げています。

 民主党政権時代でも、これに気づいて、そうすべきだったと私も思います。だからこそ、できるんじゃないですか。決して、あなたの、皆さんの政権だからだめだったとか、そんな話をしているんじゃないんです。私たちのときも、こうやって、ニーズをどちらかというと隠すような新定義だけでやってきたから、でも、今、こうやってみんなで、一人のお母さんの声が二万七千六百八十二人に広がって、さらに広がって、みんなで与党、野党を超えてやっていこうというときに、今なら、数がふえるというのは怖いことです、でも、今ならできるんじゃないですか。私は、それを申し上げています。どうでしょうか。

塩崎国務大臣 民主党政権もやっていたから許されるとかいうことを言っているわけではなくて、ずっとそういう新定義のままで来ているという事実を言っただけでございます。

 それで、確かに、旧定義の待機児童の推移は、平成十三年度まで、実は、これはホームページに公表しておりました、旧定義のままですね。それ以降の数字は、精査をされない形の数字があったようでございまして、それは公表していなかったものだというふうに認識をしておったわけでありますけれども、先生からの御指摘もあって、どこかの本に載っていたという話がありまして、この御指摘を受けて、これまでのデータとして提示したことがあることが、途中まで、きょうお配りをいただいていますが、これは平成十八年ですかね、ということで出ているわけでございますが、その記載があったということでございます。

 現在の定義は、さっき申し上げたように、保育の実施主体である市町村が、その地域の実情を踏まえて、待機児童解消のためのさまざまな取り組みをする中で、自治体の御意見も聞きながら定めたものでございまして、待機児童としての旧定義による数値の公表は今はしてこなかったということなんです。

 そこで、先生が、今、現実があるじゃないかと、今三つのケースをおっしゃっていただきました。まさにこれは、旧定義には入っていて、新定義で外れたものじゃないかと。そのとおりでありまして、その中で、無認可とおっしゃいましたけれども、私どもは、特に、把握して、外していると言っているのは、地域単独で、税金を入れている分でありまして、それから、先ほど、特定の園に入りたかったけれども入れなかった、こういう方についての数字は特に重要だというふうに思っております。

 ということで、二十七年度、今の年度ですが、ここに、子ども・子育て支援新制度がスタートいたしましたので、改めてこの数字は集めております。これをちなみに申し上げますと、地方単独の事業の保育園は一万七千四十七人、それから、特定の園のみ希望されていて入れなかったという方は三万二千百六名。

 こういう方々がおられるので、新制度をスタートするに当たって、こういう方々がどれだけいるのかということは、私たちもよくこういうことを踏まえた上で、そしてさらに、女性活躍がこれからさらに高まる中で保育ニーズもふえるだろうということも、これは市町村に御判断をいただいて、潜在待機児童という数字を挙げていただいて、それをベースに、今の安倍内閣としての保育の定員をふやすということをやっている。それが、五十万に今回上積みをさせていただいたものであります。

 これを実現することが、先ほど先生がおっしゃったようなケースを含めて問題解決につながるものだというふうに考えて、今臨んでいるところでございます。

山尾委員 今言っていただいたような数字は、やはり待機児童の数として広く公表していただいて、社会全体で共有すべき情報だというふうに思うんですね。

 なので、これから、平成二十七年、二万三千百六十七人、これは二〇一五年の待機児童数として公表されている数字でありますけれども、できればさかのぼって、そうじゃないとしても、もうすぐ二〇一六年度の数字も発表される時期が近づいてきますよね、そういうものに関しては、やはりここからだと。私たちは、結局、認証に預けられているからいいじゃないか、遠い保育園を自分で断ったんだからいいじゃないか、会社を休めているんだからまあ我慢してくれ、そういう考えを変えるという意味合いを込めて、ちゃんと待機児童の数に入れて公表していただくということが大事だと思うんですけれども、もう一度、大臣、答弁いかがですか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、潜在的にどれだけの定員が必要なのかというときに、私どもは五十万人分ということを言っておるわけでございますから、当然、分母はでかいわけですね。それを目指していかなきゃいけないわけです。

 私どもが、さっきも申し上げたように、地方単独の保育園に今入っていらっしゃる方については、緊急度からいって待機児童として即座に対処を最優先でしなきゃいけないものとして多分この新定義というものが行われてきたんだろうというふうに思いますので、当然、新制度が始まった今年度ですから、今申し上げたように、改めてこの数字をつかみ直したというか、新たにつかんだということになっていますので、こういう数字を今後とも把握していくということは当然のことだというふうに思っております。

山尾委員 私がこの数週間で一番驚いたのは、この署名の方もそうだし、直接たくさんの方にお話を聞きましたけれども、物すごい悲鳴を上げて、それはもう何とかしなきゃいけない、今まで本当に、気づいていなくて、対処していなくて申しわけないと思った方の相当数は待機児童の定義には入っていないんですよね。

 私は、生の声を聞いていただいていたら、これを読んでいただいていたら、必ずしも新定義というのが本当に緊急性のあるものをあぶり出している定義だというふうには余り言えないんじゃないかというふうに思うんですね。

 これはいろいろ議論があるところだと思うんですけれども、せめて旧定義と新定義と併存で、把握したら出すということはやっていただいて、何か支障があるんでしょうか。

塩崎国務大臣 先ほど申し上げたように、これは自治体、市町村にお願いをして出してきていただいていて、先ほどのように、地方自治体が判断をして出してこられているものもあるものですから、必ずしも全部統一されているわけではない部分もないことはないわけであります。

 しかし、そうはいいながら、先ほど先生がお取り上げをいただいたようなところについては、私ども、今度保活の調査をやる中の対象になられるような方々が多いのではないかというふうにも思いますし、その調査はやることは、もうこの間、先生にお約束したとおりでございますので、今後、今申し上げたように、少なくとも、地方単独で、いわゆる認証と呼ばれているようなところに行っていらっしゃる方々が、やはり認可の保育園より保育料が高いということは十分あり得るわけですから、認可に行かれるようにするために、我々としてはその数字をちゃんと把握していくということが大事。

 そして、特定の園を希望された方々についても、できれば、やはりお母さん、お父さんが御苦労されないようにするということは大事でありますから、これも解消するようにする、それがどれだけいるのか。

 ですから、あとは、どこまでの緊急性のものがどの数字なのかということを明確にして、今までは新定義というのは、やはり緊急的に解決をしなきゃいけない待機児童だ。この定義でいくと、例えば横浜での、まずこれを目標にして一回解消させた、ところが、残念ながらこれがまた発生してしまった、全国的にも同じようになってしまったということですから、これをまず達成していくということが大事だという意味の新定義でずっと来ているわけです。

 それに加えてどういう人がおられるかということを無視するとかなんとかいうことは、我々はさらさら考えているわけではなくて、今申し上げたように、数字もちゃんと押さえておりますから、こういうことをちゃんと公にしていくことも含めて、ちゃんと我々は対応をしていかなければならないというふうに考えております。

山尾委員 やはり今の説明はおかしいと思うんですね。深刻な課題だと言いながら、さらにやはり緊急性が高いものを優先順位を高くやるんだとおっしゃるのであれば、両方出すべきじゃないですか。それを途中から外しているから、この表を見れば明らかですよね、空欄になっているから、これは、無視したとは言いませんよ、でも無視しているじゃないですか。両方出し続ければいいじゃないですか。

 もう一つ理由で、自治体が必ずしも把握の仕方が統一されていないということをおっしゃいましたけれども、統一しなくていいようにしているのは、やはり国の問題なんですよ。

 ちょうど次の話になりますけれども、皆さんのお手元の資料六を見ていただきたいと思います。これは朝日新聞の二〇一五年八月三日の記事です。

 これはさっきの話ですけれども、左下の方に、「自治体によって待機児童の数え方 まちまち」と、これを待機児童と数えているところをマルとか、待機児童に含めていないところはバツ、こういう表がありますよね。

 その中で、今まさに申し上げた、では、育休を延長しているときはカウントするのか、しないのか。まちまちなんですよね。また、求職中、この定義。求職中も外に出てハローワークに行って求職している人しかカウントしないのか、それとも、自宅で待機をしながらインターネットなんかを使って一生懸命求職している方も含めるのか、これもまちまちなんですよね。

 では、ちょっと具体的にお伺いしますけれども、自宅で子供を見ながら求職中の方、これは私、求職中に入れなきゃおかしいと思うんですね。子供を預けられないのに、外に出て求職するのは難しいんです、外に出て職探しするのは大変なんです。でも、これは自治体によってまちまちでいいとなっているからまちまちなんですね。

 これは、大臣、統一すべきだと思いませんか。自宅で求職中もちゃんと求職中だということで待機児童に入れよ、そういうふうに国がちゃんと言うべきだと思いませんか、いかがですか。

塩崎国務大臣 これは、かつて、保育に欠けるという概念がありましたが、これについては、子供が保育園などに入ることとする考え方を改めましたよね。これで、就労形態を問わず、また、これから就労しよう、つまり、求職中の方についても幅広く保育の必要性を認定するということで、求職中の方も保育園には入れるということになりました。

 今のお話でございますが、確かに、お配りをいただいた朝日の中で、ばらばらになっているという御指摘がありました。

 自宅で求職中という方について、求職中というものの、これもいろいろ市町村が考えているのは、濃淡がやはりあって、どうしても本当にお勤めをしないとなかなか家計が苦しいという方がおられる一方で、働くことについて、もちろん家計的に問題がなくても働くということは十分あり得ますから、それは全くイコールフッティングだと私は思っていますが、そういうことについての市町村での判断が反映されているんだろうというふうに思いますので、今このようなことになっているんだろうというふうに思います。

 ですから、そういう意味で、この指摘も随分私ども自民党の中でも、あるいはいろいろなところで私も話を聞いていて、おかしいという話ももちろん聞いておりますので、そういうところについての判断というのはなかなか難しいわけでありますけれども、本当に一生懸命探している方々にとっては、やはりちゃんとそれを認めてもらいたいというお気持ちがあることはよく理解できるところでございます。

山尾委員 よく理解できるならやっていただけませんか。国が、求職中というのは自宅で職探しをしているのであっても含まれるのだというふうに、ちゃんと通知を出していただけませんか。

 今、大臣は、職の必要性の強弱みたいなことをおっしゃいましたけれども、違うんですよ、これは。自宅で職探しをしているか、外に出て職探しをしているか、そこで線引きをされているから、そんなのおかしいんじゃないですかと言っているんです。理解できるというならやっていただけませんか、厚労大臣なんだから。

塩崎国務大臣 私が決めたら全部そのまま通るかといったらそんなことはないので。

 ここの、今のようなばらばらな判断になるようなことがあり得るのは、こういうことを市町村に御判断いただいてきた中でこういうことになっているわけですね。

 したがって、市町村がどのように判断をするかということもよく聞いていかなければいけないと思うので、やらないということを申し上げているわけでは決してございませんが、よく市町村の現場の声を聞いていきたいと思っていますし、これは四月に改めて、今のこのマッチングをして、大変忙しい現場の方々が一段落したところでしっかりお話を聞いていこうということで、その中にそういうことも含めてお尋ねをしようと思っているところでございます。

山尾委員 もう一回この資料三の1を見てくださいよ、二〇一五年の課長通知。自治体に、これは含めない、これは含めない、これは含めない、これは含めない、これは含めない。含めない方向では思いっ切り指示を出しているじゃないですか。おかしいですよ、そんなの。

 育休だって、これこそ、では今度は含めないことができるというふうにたまに自治体にボールを投げて、自分で統一の解釈ができないような、国が自治体にばらばらの解釈をさせているようなことをやりながら、自治体のカウントがばらばらだから今度は旧定義で集計するのが難しいなんておかしいじゃないですか。

 これは、カウントが自治体ごとにまちまちだと、結局、ニーズを浮かび上がらせる努力をした自治体は数がふえるんですよ。国の方向に従って、含めない、含めない、含めないというふうに従ってニーズを潜らせれば、見た目の数は減るんですよ。

 それで何が起きているかというと、結局、親は、少ないと思って、子供を入れられると思って引っ越していったのに入れられなかったと困っているじゃないですか。また、事業者だってその見た目の数字で判断して、あ、ここは見た目の数字が少ないな、ではもう別のところに行こうといって、ニーズが潜った自治体には事業者が行かなくて、最後はそれが子供にツケが回っているじゃないですか。

 理解できる、理解できるとおっしゃるんだけれども、これからやるということは今まで一つもおっしゃっていないじゃないですか。

 待機児童のことだって、私たちの民主党政権時代でも新定義のままでこうやって公表してきたから、今だから一緒に、やはり本当に深刻な問題を浮かび上がらせるのは今だ。私たちはできないんですよ、政権にいないから。政府の資料をつくることができないんですよ。

 もう一つ、時間もあと十分ですので、保育士さんの不足の問題。

 大臣、受け皿のスピードアップだと言うんですけれども、何度も申し上げていますが、今、足りていないのは、保育士さんの不足です。人です。そういう中で、私たちは、保育士さんの給与を引き上げないと根本的な解決にはならない、こういうことをずっと申し上げています。

 皆さんのお手元の資料八を見てください。これは、厚労省が保育士さんの現状ということでアンケートをとったものですけれども、結局、保育士さんが保育士としての就業を希望しない理由は、四七・五%が賃金が希望と合わないということです。ここに切り込まなくて、幾ら保育士さんになるための学費を援助したり、もう一回保育士をやってくれれば二十万円上げるといったって、そんなことじゃないんです。そこじゃないんです。

 保育士さんの給与を上げるということに切り込まなければ、今上げてきたさまざまな悲鳴には応えられないんです。

 大臣、そんなに後ろの方、そんな難しいことを聞きませんので大丈夫です。ストレートな質問です。

 私たちは、さっきのお昼の民主党と維新の党の政策調整会議で、保育士さんの給与改善、これを五万円上げるということを、それぞれ来週の政策決定会合で通した上、早期に法案を提出するということを決めました。

 大臣、この前、私に、安倍総理と私は全く同じ方向を向き、同じ思いだとおっしゃいました。そうおっしゃるんだったら、私たちの提出する、しますから、この法案、真摯に議論をしていただけますよね。

塩崎国務大臣 保育士さんの報酬を上げるということに関しては、もう前々から申し上げているとおり、もともと一体改革で決めたときには約一兆円の子育て支援を行うということで、消費税で七千億、残り三千億余り、これをどうするかということを宿題としてあの一体改革のときには残していて、それを私どもも最優先課題として取り組む、特に、あの中で、約四百億の報酬については最優先の課題の大きな一つだ、こういうことを申し上げてきた意味において、総理と山尾さんは同じ方向を向いているはずだということを申し上げているわけであります。

 五万円というお話で、それが、審議をちゃんとするかということでありますが、それは、議員立法で出てきて、ここで議論するということになれば、当然のことながら、真正面から議論をしなければいけないというふうに思います。

山尾委員 議員立法で提出をし、この国会でしっかりとこのことを議論するということに、よもや反対をする方はいらっしゃらないと思うんです。もちろん、その数字やさまざまな財源のあり方については真剣に議論を重ねる必要があると思います。でも、この国会で私たちがこの法案を提出したら、しっかりと私も大臣とこの場で議論していきたいというふうに思っております。

 政権の皆さんが、今、保育士不足解消策として挙げているものですけれども、幾つかありますよね。

 再就職するときに二十万円上げるというのがありますね。余裕があるならやった方がいいと思います。でも、私がこういう話をすると大臣が財源とおっしゃるように、余裕がないなら、最も必要な政策にその財源を集中投下しなければならないと思います。

 再就職のときの二十万円、これはどんなことに使ってもらうつもりで制度が設計されているんですか。

塩崎国務大臣 それはもちろんケース・バイ・ケースで、いろいろなことがあろうと思いますけれども、少なくとも仕事を変えられるということでございますので、当然のことながら、御準備をいただくこともたくさんあるだろうというふうに思います。学生が社会に出るときも同じように、背広をつくったり、スーツを買ったり、いろいろと御準備もありますし、前の仕事の整理のこともあるんだろうというふうに思いますから、当然そういうことはいろいろあろうかというふうに思いますので、こういうことも一つのアイデアとして今回御提案を申し上げているということでございます。

山尾委員 アンケートを見るまでもないんですけれども、先ほどの資料八で、再就職がなかなかできない理由の中に、そういう一時金がもらいたいから、もらえないからなんというのはもちろんないわけですね。保育士さんとして復帰するのに服を新調するとか、そういうこともないんですね。大臣はわかっておっしゃっていると思うんですけれども。余裕があるなら、それはいいですよ。でも、余裕がないないとおっしゃっているときに、この二十万というのは、そこじゃないよという声なんですよね。

 もう一つ申し上げますけれども、幼稚園とか小学校の先生で緊急的にかわりになってもらうと。

 資料七を見ていただきたいんですけれども、これは厚労省が出してくださった資料ですけれども、要するに、潜在保育士さんが八十五万人もいて、政権がカウントしている保育士さんの不足人数は九万人だという話です。

 私は、今把握している人数が不十分だと思っているので、本当に九万人なのかというところには疑義があるんですけれども、それでも、八十五万人の潜在保育士さんがいて、そして厚労省は九万人足りていないという数字を出している。ここを考えたら、かわりでやってもらうなんということよりも、ちゃんと資格を持っている人に保育士として働いてもらえれば十二分なんです。

 やはり、このかわりという制度は、本当に頼らない方がいいと私は思う。なぜなら、緊急的だとおっしゃるけれども、逆効果になるおそれがあるからなんです。

 先ほど、資料八で、保育士さんとして就業を希望しない理由の中に、二二・三%の方が業務に対する社会的評価が低いという言葉を挙げています。業務に対する社会的評価が低いという理由で保育士として就業を希望しない、複数回答ですけれどもね。でも、その理由を挙げている方が五人に一人いるんです。

 そういう中で、やはり今のメッセージ、私、ここにもいっぱいあるんですけれども、せっかく勉強して資格を取って、誇りを持って専門職として働こうと思ってスタートしているんだけれども、えっ、ほかの資格でもできる仕事なんだ、こういう声が広がったら本末転倒なんじゃないですか、大臣。

塩崎国務大臣 基本的な考え方は、やはりフルスペックで、保育士の資格を持って、誇りを持って、専門性を持って働いていただくということが第一であります。

 これが基本でありますけれども、その基本の方々が、今潜在保育士八十万と言っていますが、実は私の妻は大学の先生をしていまして、そこに保育士の養成のコースもあります。見てみますと、やはり保育士以外になっている卒業生がたくさんおられることも事実であります。

 そういう中で、専門職でありながら、他の、専門職じゃない、保育士以外の方を入れるということについて、質が下がるじゃないか、あるいは保育の仕事自体の評価が下がるじゃないかということをおっしゃいますが、そこはやはり、いろいろな組み合わせで職場は成り立って、保育はやはり保育士の方が専門的にやるということは間違いない。

 それは、お医者さんが医師として医療をやるのは当然ですけれども、日本に全く欠けている医療クラークみたいな方々がいつもサポートしている外国に比べると、お医者さんの負担がめちゃくちゃ重いということで、保育士さんの負担をどう減らすかということも実は大事なことで、ITについての助成金も出すということにもしていますけれども、あらゆる手を尽くしていくということが、保育士さんみずからが、過度な負担のもとではなく、なおかつ誇りを持ってやっていただくための道だろうというふうに思いますので、いろいろなものの合わせわざをやはり今緊急的にもやっていかなきゃいけないんだろうというふうに思っております。

山尾委員 緊急的な合わせわざが、逆に保育士さんの数を減らす方向になりやしませんかということを私は申し上げているんです。

 最後に、今、保育士さんを応援して、子供たちを応援しようという話をしているわけですけれども、自民党の務台俊介議員という方でしょうか、この保育園落ちたの話について、東京を便利にすると、ますます東京に来て子育てしようとなる、ある程度、東京に行くとコストがかかり不便だとしない限りだめだというような話をし、このブログについて、保育所に入りたくてやっているのか、安倍首相が嫌いで言っているのか、よくわからないと。こういう話を自民党の議員が、今こういう状況の中でお話をされたと聞いております。

 大臣、このことについて、不適切だと私は思いますけれども、大臣はいかがお考えですか。

渡辺委員長 既に時間が経過しておりますので、答弁は簡潔に。

塩崎国務大臣 報道ベースでありますから、本当に何を言ったのかというのは本人に聞いてみないとわからないというふうに思います。

 ただ、子育てが重要であるという認識は、全ての自民党の国会議員は持たなければならないというふうに思います。

山尾委員 持たなければならないのに、持っていない自民党議員がいるということだと思います。平沢さんの、本当に女性が書いたんですかとか、総理がこれから勲章を考えるとか、とんちんかんというか、ちょっとやはりずれているというふうに感じますので、本当に、これを機にしっかりこの厚労委員会でさらに議論を深めていきたいと思います。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、阿部知子君。

阿部委員 民主党の阿部知子です。

 厚生労働委員会を外れましたので、久しぶりに塩崎大臣に御質問させていただきます。大変うれしいです。よろしくお願いします。

 さっきのとんちんかんの話の続きですけれども、私も、これはちょっと変かなと思うことがありますので、冒頭は、まず、今、保育問題でヒートアップしていますが、それ以外のことでちょっと大臣にお伺いいたします。

 実は、国連の女性差別撤廃委員会が日本の報告書の審査の最終段階で皇室典範を取り上げようとして、これは外務省などの働きで実際にはそうはならなかったんですけれども、そのことに言及されて菅官房長官が述べられた言葉で、私は、えっと思ったことがあったんですね。

 要約して言うと、女性に対する差別ということの捉え方で、菅さんは、我が国の皇位継承のあり方は、条約の言う女子に対する差別を目的としていない、ここは明らかだと。

 差別を目的としていないから差別じゃないというふうにおっしゃったんですけれども、実は、女性差別撤廃条約の第一条というのは、女性に対する差別とは、「政治的、経済的、社会的、文化的、市民的」「いかなる分野においても、女子が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的」、要するに、結果においても差別になったらいけないよと。間接差別もそうですけれども、差別してやろうと思って差別したら、もちろんいけない、女子差別を目的としたものだったらいけないというのは、もう当たり前なんですね。でも、女子差別撤廃条約というのは、結果において差別になる、効果において差別になることも問題だというふうに言っているわけです。

 私は、皇室典範の扱いについて言っているのではありません。でも、女性皇族方の力もかりないとこれから大変になるなというのは私は思っておりますが、その主張はさておいて、この菅さんがお使いになった、女性の差別を目的としていないから差別じゃないという言い方は、私はおかしいと思います。結果において何らかの女性差別になれば、例えば、過重に女性に家事労働の負担が行くのもある意味で差別です。

 この結果においてということ、効果においてということも女性差別という表現には含んでいる、この点、塩崎大臣の御見解を伺います。

塩崎国務大臣 今の菅官房長官のお話でございますけれども、いわばこれは条約の解釈にかかわることでございまして、どういう考えかとおっしゃられても、官房長官の見解に関しては、厚生労働省として、この条約の解釈権はございませんので、それにかかわることについてお答えをする立場にないということで御理解を賜れればありがたいと思っております。

 厚生労働省は、特に民間における女性活躍について責任を負っているので、この間の女性活躍法案でも、大企業については数値目標の義務化ということを決断して、経済界、労働界は必ずしもそういう考えではなかったと私は聞いておりますけれども、私は、これは義務化しないといけないということを申し上げて、総理ももちろんだということでこういう法律になって、今、この四月からいよいよ本格的な施行になるということでありますから、その厚生労働大臣としての守備範囲の中では、女性の活躍推進に引き続き取り組んでまいらなければならないというふうに思っております。

阿部委員 私は、全ての閣僚の守備範囲なんだと思います、女性差別撤廃の問題は。この社会の基本だから。(塩崎国務大臣「いや、条約解釈」と呼ぶ)その上で、条約の解釈だって問題であります。

 塩崎さん、わかっていらしていて、なるべくそこに触れまいと思っているのかもしれませんが、特に厚生労働行政は、女性に対してどんなまなざしを向けるか。結果における差別も是正していかないと、この社会はやはり女性が生きづらいという声を上げていて、安倍内閣は女性の活躍と打っているんだから、せめてこの女子差別撤廃条約の正しい認識と正しい解釈について、塩崎さんも菅さんとよくお話し合いをしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 引き続いて、質問に入らせていただきます。

 今お手元に資料としてお渡しいたしました一枚目を見ていただきますと、先ほど来問題になっている保育園の定員、あるいはどのくらいの方が利用しておられるかということの最近の調査、平成二十七年四月一日のものをグラフに直したものがございます。

 上段を見ていただきますと、直近、平成二十七年の保育所等定員数は二百五十三万千六百九十二。さて、利用者数は二百三十七万三千六百十四。おや、あら、定員の方が多くて利用者の方が少ないのね、ああ、これだったら待機もないわね、定員はこんなにありますよ、利用者はわずか二百三十七万。ギャップが十四万くらいあるんですけれども、もうちょっと多いですけれども、これは、大臣、なぜでしょうか、このギャップの要因。

 ちなみに、数値だけに直して、ここに言う地域型保育とか幼稚園型の認定こども園を除いて集計したもの、表一ですね。平成二十七年の保育所の定員、二百四十七万四千五百五十四、利用児童数、二百三十三万六百五十八。これはもう正しい数字だと思うんですね。それで、おまけに定員充足率が九四・二。これの意味するものは何だとお思いでしょう、大臣。

塩崎国務大臣 平成二十七年四月の保育園などの定員が二百四十七万人で、利用児童数が二百三十三万人となっておって、約十四万人分、定員の数が上回っているという、この点についての御指摘をいただきました。

 これについては、従来より、一定程度両者の間には開きがございまして、まず第一に、新規に保育園を開設した場合には、四歳児とか五歳児の入園枠については、初年度からは入園をしていない、子供さんはいない。そのかわり、ゼロ歳とか一歳とか、そういうちっちゃい子はおるわけであります。これが第一点と、年度途中に入園する児童のために確保されている分があるということが主な理由だというふうに考えておりまして、まずは、そういうことでその差があるということでございます。

阿部委員 お役所の方がそう言ったのかもしれませんが、大臣、これを虚心坦懐に見ると、ギャップは広がっているんですね。

 平成二十五年、二十六年は定員充足率が九七・〇ですよ。これが九四・二、すなわち、定員が普通でいえば割れている状態が広がっているんですね。途中で開園したから、あるいは秋に急に入ることになったから、いろいろあるとは思います。だけれども、このギャップが広がっている理由、やはり厚生労働省は明らかにすべきだ、探るべきだと思うんです。

 私からの助言は、ゼロ歳児、一歳児、二歳児、三歳児、どの区切りでもいいです。ゼロから三、あるいは三から六、年齢区分を分けて、どうしてこうやって定員枠を設けていても余りが出てくるのか、それによってどこを補強すべきかが出てくると思うんです。

 私は、行政のというか、質問取りに来られた担当の方に、年齢別で充足率をとっていますかと伺いました。簡単に言うと、とっていないということなんですよ。

 ぜひ、数値の中でこれだけギャップが開いてきている、どこが足りていて、どこが足りないのかということで施策もおのずと変わってくると思うので、大臣、年齢別の、どの区分でもいいんです、一年ごとが大変だったら、三歳前と三歳後でも、あとはゼロ歳児とか、とっていただけまいか。いかがでしょう。

塩崎国務大臣 まず第一に、何でギャップが広がっているのかという御指摘がございました。

 これは、この三年間、相当な定員増を図ってきている、これまでの二倍以上のペースでやってきているものですから、新しいのがどんどんどんどんできています。その分が、さっき申し上げた四歳児、五歳児、この年齢のところは必ずしも入っていないということがあり得るわけですけれども、それがだんだん、小さい子が大きくなってきますから、当然埋まってくるわけですね。

 ですから、今ちょうど、この三年間が圧倒的に多かったということが一つでございますので、御理解を賜りたいということです。

 年齢ごとの定員についてお尋ねがございましたが、実は認可定員が年齢ごとになっていないものですから、把握をすることはなかなか難しいわけでありますけれども、保育の必要性の認定を受けた三歳未満と三歳以上の児童の利用定員については、社会福祉施設等調査において、平成二十七年の調査から把握をすることとしておりまして、既に行っている年齢ごとの利用児童数や待機児童数の把握とともに、必要な分析がよりよくできるように、今後努めてまいりたいというふうに考えております。

阿部委員 三歳未満と三歳以上、それで結構です。数値は恐らく三歳未満のところが大変足りない。ところが、今大臣がおっしゃったように、園をつくるとき、上に行ったらどうなるのという問題が当然出てきますから、そこだけ、こっちだけふやすわけにはいかないというお考えも成り立ち得るんだとは思います。

 子ども・子育て全体の支援法ができたときに、多様なバージョンを考えたわけです。家庭的保育もその一つだし、あともう一つ言えば、認定こども園の幅をもっとふやそうと。解決策は必ずあると思います。そのために、まずプロフィールをとる。三歳以上であれば、より、認定こども園あるいは幼稚園に吸収されている部分との、どうやればうまく子供たちの健全な発育ができるかの、私は、いろいろな図が描けると思いますから、ぜひ年齢別にとっていただきたい。また、その結果で政策を進めていただきたいと思います。

 次の質問ですけれども、こういう年齢別の状況がなかなかわからない中で、今度五十万人まで定員をふやすために、市町村の積み上げで五・六万人で四十五・六だと。あと、残る五万は、私が内閣で午前中質問しましたが、企業が拠出した事業所内保育でやってもらおうというのが今の政府のお考えだと思うんですけれども、そもそも、この市町村の保育拡大量については、年齢要因とか、そこまできちんと分析して積み上がってきたものなんだろうか。

 大臣、これは自治体が上げてくるからとかいうんじゃなくて、もちろんそこは自治です、だけれども、五・六万人という数だけ上がって、後ほどお話ししますが、事業所の方で五万人で、ああ、数が足りたという考え方では、とても実態が伴わないと思いますが、果たして、地方からの五・六万人は、不足するところの年齢要因を加味したものであるのかどうか、御認識を伺います。

香取政府参考人 加速化プランの当初の目標値四十万を五十万に引き上げたわけでございますが、この当初の四十万の設定の時点においても、待機児童とよく言われますけれども、私どもは、今ある待機児童の数だけではなくて、待機児童以外にも、将来的に、条件が整えば働き出す、あるいは、景気の動向によっては、労働力率といいますか就労率が上がってくるということが見込まれますので、いわば、そういった将来に向けての潜在的なニーズも把握してくださいということで、そういった数字も含めて積み上げてつくったものが四十万人の数字でございます。

 現実に、市町村の取り組みによりまして、二十七年九月段階では、当初の目標を上回る四十五・六万人の保育枠が確保できたわけでございますけれども、それでも待機児童がまだいらっしゃるということなので、それで今回上積みをするということでやったということです。

 したがいまして、この上積み分に関しましては、それぞれ市町村は潜在ニーズというものを当然ながらわきまえながら積み上げていらっしゃいますし、各自治体では、やはり、各自治体の子供たちの年齢構成ですとか、あるいは前年における応募状況等々を見て、自分のところの手元にある認可保育所、あるいは今度新しくできました認定こども園ですとか小規模保育園ですとか、さまざまな整備を自分の手元でやるということを頭に置きながらこの数字を出してきている。

 私どもは、全体としてそれを取りまとめると同時に、いわば、政府全体として、例えば、ゼロ、一、二歳の保育のカバー率がどれくらいを目標にするのか、今回もそれはかなり高目に、上方修正して数字をつくっておりますが、そういったマクロの女性の社会進出の動向等も加味して数字の見直しをするという作業をして数字をつくっているところでございます。

阿部委員 ゼロ、一、二歳児の保育のカバー率はどれくらいですか。今、ゼロ、一、二歳児の保育のカバー率とおっしゃいましたが、政府はどのくらいに設定をしておられますか。

 もう一問。実は、きょうの朝日新聞、私は余り新聞から情報をとったことで言いたくありませんが、既にお気づきのように、定員があっても保母さんがいなくて実は子供を預かれないという現状も本当に多発しています。そうすると、政府はカバー率とか、数値を言いますよ、でも、現実は全然そうじゃないから、またママさんたちは保育園に落ちたとなるんですよね。保育のカバー率で本当に現状がわかっているのか。保育のカバー率はあらまほしき数ですよ。ところが、現実はそうではない。

 では、皆さんの言うところのゼロ歳児、一、二歳児の保育のカバー率をまずお答えいただいて、そして、現状とのずれをお答えください。

香取政府参考人 私が申し上げましたゼロ、一、二歳の保育所等の利用率ということでございますが、これは、私どもが目標値を定める場合にどういう数字を目標として定めるかということでございます。

 その意味でいいますと、足元の一、二歳の保育所の利用率は、二十六年四月では三五・一%ということになってございます。二十七年の四月で三八・一。今回、五十万人の確保というものを新たに一億のプランの中でお示しをしましたが、ここで目指している、あるいはその時点で想定している利用率は四八・〇%ということで、その意味では、こういういわば先ほどの潜在的なニーズというものを含めて、あるいは将来の女性の社会進出も含めて、それを受けとめていけるような目標ということで掲げているということで、もちろん、足元、この数字がちゃんと達成できているかどうかということはございますけれども、目標のつくり方としてそういう考え方に立っているということでございます。

阿部委員 目標のつくり方も間違っているし、現実を見ていないし、そんなことをしたって何の意味もないですよ。そもそも、私は、きょう午前中、内閣委員会でも言いましたけれども、お母さんが働いているから保育が必要という発想を本当に改めていかないと、あらゆる子供の健全な保育のために保育を必要とするとやったわけだから、何%働いて幾つと算定して、およそそれも想像の世界ですね、就労率をそこに設定したというだけですから。私は、物事をつくっていくときに、現実を見てやっていない今の保育行政が本当に不安でならないですよ、子供たちにとっても、お母さんにとっても。

 大臣、今、私と香取さんのやりとりを聞いていただいたことと思いますので指摘にとどめさせていただきますが、加えて、さらに私は、先ほど申し上げましたように、今度、事業所内の保育を事業主の拠出金によって五万人ふやすということを、政府として、内閣府の方の委員会でやってございますから、言っておられますが、これも果たして、地方の方の積み上げは四八%女性が働いたらこのくらいねという数だと。事業所の方に五万人上乗せする根拠、これはニーズ調査もないし、積み上げもないんですよね。

 大臣、どうですか、企業内保育所五万人。とにかく四十万人から五十万人にしようというときに、私だったらまず現実を見ますね。でも、こちらの五万人も非常に、机上の空論だと思うのですが、いかがですか。

塩崎国務大臣 先ほど香取局長の方から御説明申し上げたように、二十九年度の末で達成をすべき五十万人分のときの一、二歳児の利用率が四八・〇ということですが、その際の女性の就業率を見てみますと、二十七年四月が七〇・八に対して、二十九年度末は七七%ということで想定をしているわけでございまして、これを前提に保育の定員がどれだけ必要かということを計算し、その中に企業主導型の保育事業というものを五万人ということで設定させていただいているということになっているわけでございます。

阿部委員 今大臣がおっしゃったように、後追いなんですよね。五十万というのを決めて、まず地方自治体の積み上げをこれくらいだろうと計算して、そして、足らざる分を企業内保育所に投げたということなんだと思いますね。

 でも、大臣、今度新たにできる企業内保育所、まあ、企業の外にあっても内保育所という言い方でいいとして、企業が主導する保育所、これは認可外ですよね。新しくできる、企業が主導する保育所は認可外ですよね。どうでしょう。大臣にお願いします。

塩崎国務大臣 定義上は認可外となります。

阿部委員 それで、大臣、ここに入った子供たちは、もし五万人入れたとして、待機児童のカウントからは外れるんでしょうかね。待機児童のカウントからは、認可外なんだけれども、外れるんでしょうかね。いかがですか。

塩崎国務大臣 この企業主導型の保育事業について、認可外の保育園という位置づけであることは今申し上げましたけれども、一定の質の確保を図った上で公的財源を投入することと今回しているわけです。

 具体的には、この設置に当たり、人員配置、設備基準などについて、子ども・子育て支援新制度のもとでの認可事業であります事業所内保育事業の基準と同様に設定をするということを検討しておりまして、このため、このような質の確保が図られた事業を利用する児童については、待機児童に含めないということにしているわけでございます。

 なお、企業主導型保育事業につきましては、財政支援と監査事務を公募団体に実施していただくとともに、認可外の保育園として、国が定めた指導監督基準に基づいて都道府県等が指導監督を行っており、質の確保を図ることとしているわけでございまして、先ほどは大西議員からもトヨタでの例を御披露いただきましたけれども、これからこういう形のものも、院内保育所もそうですが、同じように質を担保しながら広げていくということは、私たちの望むところではないかというふうに思います。

阿部委員 今までであれば、事業所内保育所、トヨタもそうでしょうけれども、認可外なので待機児童にカウントされたんですよね。待機児童にカウントされたんです、今までであれば。

 今回、補助金が出て、それによって、もちろん今までの認可外というか事業所内保育でも、百五十カ所余りは、地域の子も受け入れて、これによって、ある市町村の許認可にかかわるので待機児童にはカウントされなかったけれども、七万何千人の企業内保育所の子供たちは待機児童にカウントされたんですね。

 今度できる企業内保育所、事業主が拠出する保育所は、今大臣るるおっしゃいましたが、保育の質が補助金が入って担保できるので、形式としては認可外なんだけれども、待機児童にはカウントしないということですか。区分は認可外なんだけれども、実質がそうなるであろうから待機児童にはカウントしないんですか。お願いします。

塩崎国務大臣 これはさっき山尾先生との議論の中にも出てまいりましたけれども、東京都であれば認証保育所、これを待機児童にカウントしないということになっていますが、それは先ほど申し上げたように、一定程度の東京都からの税金が投入をされている。今回の企業主導型保育事業についても、これは公的資金を投入して質の担保を一定程度図る、認可というわけにはいきませんが、そういうことでこのような扱いをするということでございます。

 問題は、だからこれで全部いいのかといえば、それは先ほどの議論のとおり、緊急度からいって、あるべき姿は、本当は認可が一番皆さんがお望みになるところでありますけれども、それが直ちに間に合わないということであれば、やはりそこのところの手だても一日も早くやらないといけないというのが今求められているニーズだろうということで、このような形にさせていただいているということでありますので、そこのところは少し段階を踏んで考えて整理をすべきなのかなというふうに思います。

阿部委員 ずっと大臣と山尾さんのやりとりが、待機児童としてカウントするかどうか。年次、厚生労働省としては、定義を変えてというか、地方におろす指導を変えて、ある意味では実態的には待機児童であろうが、しかし、それを待機児童ではないという扱いをしてきた歴史を山尾さんは指摘されたんですね。

 それにプラス、また一つ新たな歴史のページを開くのがこの事業所内保育所になるならば、私は不幸だと思うんです。私は、事業所内保育所はいい質のものを働いている人たちに提供してほしいから。

 しかし、大臣御存じですか。認証保育園だったら東京都が管理しますね。この事業所内保育所は、実は、もちろん設置主体の事業所が基本的責任は負われますが、公募団体をつくって、ここでその進捗状況とか保育の状況を見るということになっているんですね。

 この公募団体は、まだ影も形も何もない。全国に散らばる企業内保育所の監督が本当にできるんでしょうか。いかがでしょう。

塩崎国務大臣 企業主導型の保育事業について、その財政支援と監査事務を公募団体に実施していただくということを申し上げまして、認可外の保育園として、国が定めた指導監督基準に基づいて都道府県等が指導監督を行っていて、質の確保を図るということにしているわけでございますので、これは都道府県が指導監督責任を負うということで、その物差しは国が定めた指導監督基準に基づくということになるわけでございますので、御理解を賜れればと思います。

阿部委員 大臣、それは余りにも保育について質を軽んじていると思うんですね。

 この新たにできる公募団体が、まだ影も形も何もわからない。そして、全国のものを監査するといったって、幾つできるんですか。毎日監査して、監査して、監査して、確かに定員が、保母さんもいますかと、そうやって毎日歩くんでしょうか。

 私は、少なくとも、これは認可外保育園なんですから、それを認可に近づけるような努力が第一で、区分上待機児童じゃないと外すことじゃないと思うんですね。

 大臣、おっしゃったでしょう、認可の保育園をふやすというのが一番の目標ですよと、冒頭、山尾さんにおっしゃいましたよね。しかし、ここにエアポケットのようにできた事業所内保育は、全否定はしません、しかし、保育の質をどうやって担保するかということにおいてと、さらに、これを待機児童から外してしまうことによって、大臣、どんなことが起こると思いますか。

 企業内の保育所に三歳まで行っていて、でも、そうすると、次に三歳で地域の保育園に行きたいときに、今まで待機児童としてカウントされていない子は、今度の、地域の三歳からの保育園にすごく入りにくくなるんですね。

 大臣ももう嫌というほど御存じでしょうが、今、保育園はポイント制で待っているわけですよ。待機児童としてカウントされている子の方がポイントは高いんですよ。そうすると、一度企業内保育所で、これは待機じゃないと言われたところに行った子供は、そこから移ることも難しくなってしまいます。

 せめて、大臣、これを待機にきちんとカウントしてくださいな、それだけでも子供たちに道は広がるんですから。いかがですか。

塩崎国務大臣 まず第一に、ポイントにおいての扱いについては、私どもの理解は、企業主導型の保育園に入っていると不利になるという理解はしておりませんで、それは無関係ではないかというふうに思います。

阿部委員 大臣、自治体が勝手にポイント制をやっていると思われるかもしれませんが、実態をよく調査してくださいな。

 せんだっても、山尾さんと、今保育園に困っているお母さんたちの話を聞きましたが、例えば、十二月の末に生まれたお子さんを、ゼロ歳児ですよ、四月から預けるんですね。育休は一年持っているんですよ。本当は一年休めるんです。でも、ゼロ歳のときに入っておかないと一歳からは入りづらいからと言って、みんなゼロ歳児で入れるんですよ。政府は三歳までの神話とか抱っこし放題と言っているけれども、保育の受け皿の問題で、お母さんたちは泣く泣く、まだ母乳もやっている赤ちゃんをゼロ歳児保育に預けているんです。ポイント制の本当につらいところなんですよ。

 だから、大臣、企業内保育、今までは認可外だったんです。これは普通の待機児童として扱われたんです。今度は扱われないんです、もし、大臣たちの今の認識だと。

 私は大臣にお願いをします。今、特にゼロ歳児の保育園に行っているお子さんたちの状況、本当はお母さんたちは一年育休をとりたかった、会社もそうしてあげたかった、だけれども、ゼロ歳で入らなきゃ、一歳からはハードルが高過ぎて入れない。次は三歳の壁。どんどん壁が高くなって、壁ばっかりになっているんですね。

 現状で、まず、ゼロ歳で入っているお母さんたちの声を調査してくださいな。そこから、待機とかポイント制の問題が出てくるし、なぜ私が事業所内保育は待機児童としてカウントすべきだと言っているのかもわかってきますから。全年齢で調べてほしいんですよ。

 でも、余りにも厚労省側の認識が薄いですよ。何でそこまでお母さんたちが追い込まれるか。いかがですか。まずゼロ歳児のお母さんたちの調査をしてください。

塩崎国務大臣 これは既に山尾先生にお約束をしたことで、保活の実態調査を行うということで、今、鋭意、どういう質問をどういう方々にしたらいいのかということをつくっているところで、もしお知恵があれば、山尾先生を含め、御指導いただければありがたいなというふうに思います。

 一方で、先ほど、今回の企業のつくる保育園についての新たな類型をつくるということでございまして、これが待機児童から外れるのはけしからぬ、こういうことでございますが、先ほどの山尾先生との議論で申し上げましたけれども、いわゆる新定義でずっと来た、あるいは来てしまった、旧定義のままでいくべきだったということは、先ほど来お話が出たことでございます。

 そこで、我々は、今回の新制度がスタートするに当たって、先ほど申し上げたように、いわゆる認証のような、地方の単独で税金を投入しながらやっている保育園についての人数も把握をする、さらに、特定の園のみを希望されていてうまくいかなかったというような方でお手を挙げていらっしゃる方についても数字をきっちり把握する、それと同じように、この企業のつくられるこれからの新しい類型の保育園に関しても、人数はずっと把握をし続けて、五万人と言っていますが、いきなり五万人できるわけがないので、どういうふうにいくかということをしっかりと見ながら、それもよく念頭に入れて待機児童がどうなのかということを常に見ていかなければならないというふうに考えているわけで、先ほどの山尾先生との議論の中で申し上げた考え方だというふうに私は思っていますので、いわゆる新定義のみで、これが待機児童なんだと言って石にしがみついて頑張るみたいな話は全く考えていないということであります。

阿部委員 今おっしゃったことは、もう当然、山尾さんへの答弁にあるのは存じておりますので、私は、今ゼロ歳児でもう預けられているお母さんにちょっと聞いてみていただきたいんですね、なぜそんなに早い時期からお子さんを預けようと思われたか。

 いろいろな事情があると思います。私は別に三歳までお母さんのもととは思いませんが、でも、例えば、多くのお母さんは、せめて母乳を断乳するまでとか、いろいろな思いがあるはずです。でも、預けられている実態というのは何であるのか。経済的余裕ももちろんあるかもしれません。そこを、本当に女性たちを支えられるものにしていただきたいので、私の意見を言いました。

 あるいは、地域型の保育所に預けていると、やはり三歳の壁ってすごく大きいんです。ほかの、三歳からの認可保育園に行けないんです。これが現状で、これも大臣よくわかっておられると……(塩崎国務大臣「はい」と呼ぶ)どうぞ。短くお願いします。

塩崎国務大臣 この間申し上げて、評価は二分されていましたが、私の次男のケースを申し上げました。あれは実は認証じゃなくて無認可でありました。だからとんでもなく高かったということなんですが、実は、息子のケースも、ゼロ歳児で入れる、それも四カ月えらい高い保育料を払ってでも、四月のちょうど一歳になるときに行けるようにするためにそういう保活をしていたというケースとして申し上げたわけで、たまたまラッキーで、多分、一人ぐらいぎりぎりセーフで入れたぐらいのことであって、外れれば、恐らくまた目黒区のとんでもない遠いところとか、そういうようなところに行っていたんだろうなというふうに思いますので、ゼロ歳児のお母さんの話を聞けということですが、これはうちのお嫁さんからたくさん聞いておりますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。

阿部委員 もっと聞いていただきたいと思いますし、私は、特に認可と無認可ということで随分処遇が、預けるお金も違いますけれども、違っている状況というのは、何とかやはり、子育て、子供たち全体を支援してほしいですから、よろしくお願いします。

 最後に一問、昨年の十月に始まりました医療事故調査制度の見直しについてということで御質問をいたします。

 去年の十月から始まりまして、まだ五カ月ですが、今度の六月にはこの医療事故調査制度の見直しが予定をされております。死亡が予期されずに亡くなったケースを報告して、必要であれば調査をしてもらうというものですが、これまでのところ、五カ月間で、報告は百四十件で、調査依頼は一件でありました。この制度の発足時には、年間千三百から二千件、調査依頼も三百件と思って始めた制度ですが、どうもこれは、まだ少ないということです。

 医療事故は、私も医療現場におりましたから、医療者にとっても不幸ですし、亡くなられる御本人、御家族にはもうこれ以上ない不幸ですから、この制度をうまく育み、育てていかねばならないと思いますけれども、そのために、大臣に二つお願いがございます。

 これは、実は、病院側が予期せぬ死亡事故と認識しないとスタートしない制度で、患者さん側からのアクセスが非常に限られている。ないわけではありません。でも、非常に、病院側が最初、初動をしないと、報告をしないと始まらないという制度で、実は、そこに至るまでに、御家族は、どうして家族が死んだんだろう、これは何が起きたんだろうという思いがもう本当に湧いてきます。そのことをなかなか受けとめる窓口がありません。

 このことについて、どうしていくべきかの改善と同時に、私がきょう御紹介したいのは、実は名古屋大学でやっておられる非常に進歩的な取り組みで、ここは、医療安全のための講座をつくられて、「あすいし」という、あす医者になる若い世代にこのプログラムの提供をしたり、あるいは、各病院に、とにかく事例、問題が起きたら報告する風習ですね、どうしても医療者というのは隠したくなります、落ち度かもしれないと思うところもあります、だけれども、とにかく報告して、検証して、そして患者さんに寄り添う、こういうことをやっておられるプログラムがあります。厚生労働省の科研費もいただいていますし、文科省の研究費もいただいておられます。

 大臣には、ぜひこの取り組みをごらんいただきまして、私は、すごくいいヒントを与えてくれていると思います。名古屋大学の事例であります。この医療事故調査制度を育てていくためにも、大臣にお目通しというか、ちょっとそこにアクセスしていただきたいが、いかがでしょう。

塩崎国務大臣 今月の初めでありましたが、イギリスのハント保健大臣が、ペーシェントセーフティーに関するサミットというのをやるから、おまえ来い、こう言われましたが、国会があるものですから行けませんでした。しかし、大事な論点だと思います。

 私は、この医療事故調の制度がスタートしたばかりだからぜひ議論したいということを申し上げたわけでありますけれども、残念ながら行けなかったわけですけれども、今のこのイニシエーションを誰がやるかということで、遺族からの求めによる調査を可能とすべきかどうか、あるいは院内調査における遺族からのヒアリングの問題とか、いろいろ課題が残っていることはよくわかっておりますので、ここは関係者によく話し合ってもらって、よりよいものに絶えずしていくという努力が必要だというふうに思います。

 もう一つは、名古屋大学の長尾先生の御研究についてでありますが、まさにペーシェントセーフティーが問題だというハント保健大臣の問題意識も踏まえてみれば、やはり医療安全、これは、このところ特定機能病院での死亡事故が続発するのはなぜだろうかと私も真剣に考えてきた問題でありますので、その専門家を育てるとか、そういうような観点からも、ぜひこういう研究はしっかり応援をしていかなければならないと思っております。

阿部委員 前向きな御答弁をありがとうございます。

 大臣がおっしゃったように、医療安全以上に、ペーシェントセーフティーなんですね。今、世界の潮流は、ペーシェントセーフティー、患者の安全となってきておりますので、ぜひその方向に、いいかじ取りをしていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

渡辺委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 よろしくお願いいたします。おおさか維新の会の浦野です。

 きょうは、まさに子育ての集中審議みたいになっていますけれども、それはまた別の機会でちゃんとしっかりと一日確保していただくこと、またもう一度お願いをしておきます。

 私も、きょうは、子育てに関する、待機児童のことに関する質問もしますけれども、一つ目は、受動喫煙について質問をしたいと思います。

 これは、衆議院の中でも議員立法で受動喫煙防止の法案をつくっていこうという話がもう大分前からありますけれども、これがなかなか前に進まない。その原因の大きな一つには、国会内にたばこを吸う議員の団体が一つありまして、もくもく会という名前ですけれども、その団体が割と権力を持っておりまして、なかなか前に進まないというのが現状だ。私の党のもくもく会に所属する議員もいらっしゃいますので、そういった人たちが障害になっている。これはなかなか抵抗が激しくて、前に進みません、議法は。もう多分進まないんじゃないかと思っているぐらい抵抗が激しいです。もちろん一番人数が多いのは自民党さんなので、自民党さんが何とか説得をしていただけたら一番ありがたいんですけれども。

 そうはいうものの、私はこれは、議法でやるのもいいんですけれども、本来はやはり国も受動喫煙に関してはしっかりと取り組んでいかないとだめだと思うんですね。

 特に、やはり今、オリンピック、パラリンピックの関係で、WHOとIOCがそれに取り組めというので一生懸命やっています。その関連で、国も、重い腰、重い腰でなかったとは思うんですけれども、それをやろうということで考えているということなんですけれども、今の検討状況をお伺いいたします。

福島政府参考人 お答えいたします。

 国際オリンピック委員会、IOCと世界保健機関、WHOは、たばこのないオリンピックについて合意をしておりまして、近年の全てのオリンピック開催地及び開催予定地におきましては、受動喫煙防止に関しまして強制力を持った法令上の措置が講じられております。二〇二〇年の東京大会におきましても、受動喫煙防止対策の推進が求められているところでございます。

 政府として、昨年十一月に、東京オリンピック・パラリンピックに向けた基本方針、これを閣議決定いたしましたけれども、この中で受動喫煙防止対策の強化を盛り込んでおりまして、本年一月の二十五日に、杉田官房副長官を座長としまして、関係省庁の局長級を構成員とします受動喫煙防止対策強化検討チームを立ち上げたところでございます。法整備を含めた検討を開始したところでございます。

 私ども厚生労働省といたしましても、東京オリンピック・パラリンピックやその前年のラグビーのワールドカップまでに実効性ある受動喫煙防止対策を講じることができるように、必要な準備を進めてまいりたいと考えております。

浦野委員 その立ち上げた会議なんですけれども、今まで何回ぐらい開催をされていますか。

福島政府参考人 これは、全体のチームについては、一回、立ち上げのときに開催したものでございます。

浦野委員 要は、立ち上げのときに集まっただけなんですよね。だから、事実上、ほとんど何もやれていないというのが現状なんです。

 ただ、先ほどおっしゃったように、ラグビーのワールドカップもあります。それまでにはぜひ何らかの対策、議法で出そうと言っていた法案も、当初、かなり高目のハードルを設定していました、それを、やはり、なかなか皆さん、喫煙者の方が抵抗するので、そのハードルがどんどん下がっていっているのは残念なことなんですけれども、そのハードルを下げていっている今現在の議法でもなかなか前に進まないというのが現状です。どちらにしても、受動喫煙はやはり禁止すべきだと思っています。

 私の事務所は、私の秘書と呼ばれる仕事をしている全員がたばこを吸います。私以外、全員たばこを吸うんです。私は吸わないんです。私は、別にたばこぐらいいいよと言っています。言っていますけれども、事務所の中でみんな平気で吸っていたので、さすがに、事務所の中ではやめようと言ったら、最近やっと外で吸ってくれるように地元の事務所はなりまして、受動喫煙、進める中で、ああ、こういうお願いをしたらみんなちゃんと聞いてくれるんやなというふうにはちょっと思いました。それを全国規模で、オリンピックは東京ですから、少なくともやはり東京でそういう対策がとられるようなことをしっかりと考えていただけたらと思います。

 まだ多分ハードルが高いんでしょうね、一回しか会議をやっていないし。これはちょっと頑張ってください。オリンピックはいろいろなことでちょっとつまずきましたので、そういうところをしっかりと対策をとって、国民が喜んでくれるものにしていただけたらと思います。

 続きまして、ここからは待機児童ゼロに向けての政府の対応。

 こういう議論が活発になったということは、私は非常にいいことだと思っています。これをうれしい悲鳴という言い方をしたらまた怒られますので、私は引き合いにしか出しませんけれども、こうやって議論をすることによって、本当にいろいろな解決策というか、いろいろな提案が出てくるんだと思います。

 きのう、我々おおさか維新の会は、やはりスピード重視で、今すぐできる待機児童解消の対策というので提言をつくらせていただいて、政府の方に、菅官房長官が対応していただけましたけれども、持っていかせていただきました。

 内容を、もう塩崎大臣も恐らくぱっと目を通していただいているとは、今通していただいているんですかね、思いますけれども、率直に、今までやれることがあれば、多分、政府もやっていたと思うんですよ。ただ、でも、やはり、ここまで社会問題、クローズアップされてきた中で、さらに一歩思い切ったことをしないと、この待機児童、私は、これまででも質問の中で、このままじゃ問題解決できませんよということはずっと指摘をさせていただきました。今回、こういう議論の高まりを受けて、私は、やはり重い腰を政府も上げていただきたいと思っています。

 我々の提言の中に書かれていることを、率直に、大臣、感想をいただけたらと思います。

塩崎国務大臣 このおおさか維新の会の提言を拝見いたしますと、保育士の給与を五年間で一カ月当たり九万円上げるという大胆な御提案をいただき、また、保育士資格は持たないけれども知識と経験を持つ保育サポーターというのを配置するということもございまして、あと、児童一人当たりの面積基準の緩和によって受け入れ児童をふやす、こういうことでございました。

 これらのうちで、例えば今の保育サポーターの配置については、子育て支援について一定の研修を受けた子育て支援員を、今回、保育園などでも一定程度活用できる措置を講ずることとしたわけでありますけれども、政府が進めているこのような施策とも重なり合う部分があるなというふうに思っております。

 処遇改善につきましては大胆な御提案をいただいておりますけれども、従来から私どもはやはり待機児童解消を最重要課題というふうに思っておりますので、それを行うためにも処遇の改善は避けて通れない道であるというふうに思っていますし、引き続きこの待機児童解消を最優先課題として実行して、そして、今御提案をいただいたような、保育園に預けられない方々の切実な声を真摯に受けとめていく必要があると思っております。

 いずれにしても、ニッポン一億総活躍プランの策定に向けて、さらなる対策を私どもとしても、また与党とも相談をし、また、おおさか維新の会を含めて、皆様方の御提言をしかと受けとめてやっていきたいというふうに思います。

浦野委員 ありがとうございます。前向きに評価していただける部分もあるということで。

 きょう、倫選特の委員会とちょっと重なってしまって、山尾委員の質問を最初から全部ちょっと聞きたかったんですけれども途中からしか聞けなくて、ただ、私が聞けた部分の中で、待機児童のカウント方法、この件は、私もきょう質問通告をさせていただいていた件なので私も質問します。

 まさに本当におっしゃるとおりで、山尾委員の指摘のとおり、カウントの仕方というのは市町村でばらばらなんですよ。これは、我々保育園を経営させていただいている側からも、やはり市町村によってカウントの仕方がばらばらだというのは従来からずっと言われ続けていることなんですね。そのカウントの仕方によって待機児童の数を自由に操作ができるというのが現状なんですよ、残念ながら。

 性善説で、そんな人はいないというのはもう通用しなくて、やはり市町村は、自分たちの不作為を隠すために、待機児童が少なくなるようにカウントできるようにやるんですよ。窓口で話をしていて、待機児童にカウントされるような人も窓口ではねて待機児童じゃなくしたり、そういったことが日常行われているのが現状なんですよ。だからこそ、カウントの仕方を統一してくださいというのは、これは今に始まった話ではないですよ、正直。山尾さんも一生懸命おっしゃってくれていましたけれども。

 この待機児童のカウントの方法は、本当に全国で統一した方がいいと思います。全く実情を把握できないばかりか、そうじゃないと公正な数字が出せないんですよ。これは国がやはりどこかで線をきちっと引いてカウントの仕方を統一する、そうじゃないとちゃんとした数字は出ないです。それをもう一度答弁をお願いします。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 待機児童のカウントの基準といいますか考え方でございますけれども、多分二つの切り口があると思っております。

 一つは、保育を必要とされている方をどのように定義するかということで、これは御案内のように、従来は保育に欠けるという考え方に立っておりましたので、例えば、現に働いている人でないとカウントしない、あるいは、親御さんが、おじいちゃん、おばあちゃんですね、家庭にいたりするとカウントしないといったような取り扱いだったわけですが、新制度のもとでは、これを保育を必要とするということに考え方を改めましたので、いわば求職中の方ですとか同居親族がいる方についても保育の必要性は広く認定するという形になって、基本的にはできるだけ多くの方を認定するという形に変わっております。

 もう一つは、具体的に保育所に入れたか入れなかったかというのをどのように考えるかということで、先生御案内のように、先ほどから旧定義と言われている定義は、端的に申し上げると、認可保育所に入れれば丸、入れなかった人はみんな待機児、こういう考え方だったわけですが、その後、私どもでも、家庭的保育でありますとかさまざまな認可保育以外のサービスも用意いたしました、それから、自治体でも単独事業で責任を持った水準の保育をやるようになっていただきましたので、こういったところに入っておられる方は待機児から、カウントから外す。今回、新しい新制度では、地域型の保育でありますとか小規模、こういったものも全て公的な制度の中に入れ込みましたので、そういったところに入られている方についても外すという取り扱いにしたわけでございます。

 一方で、先生御案内のように、現実に市町村は待機児童を持っておりますので、いわば優先順位をつけなければいけないということになって、いわばポイント制のようなものを導入する。

 基本的には自治事務でございますので、私どもで考え方をお示しはしているわけですけれども、やはり、市町村現場で個別の親御さんについて判定する場合に、おっしゃるようにある程度の裁量がある。そうなりますと、出た目の数字との関係で、先生おっしゃるようなことが起こるということはあるのかもしれないと思っております。

 私ども、もとより、待機児童でない方は、今の理由で待機児童のカウントから外したからといって、もはやいわば支援の対象にはしないという考え方には立っておりませんで、先ほど御答弁申し上げた五十万人の数字のときも、いわゆる潜在ニーズでありますとか、そういったものも広く支援の対象にするという考え方で数字も目標も立てております。

 現場で先生のおっしゃるようなことが起こっているということは、私どももさまざまな自治体からの報告や現場の方から聞いておりますので、改善すべき点があればそれは率直に改善してまいりたいと思っております。

浦野委員 隣の市ではこの人は入れたけれども、同じような条件でこの人は待機にカウントもされていない、そういう例はもう幾らでもあります。旧のカウントの仕方と新のカウントの仕方の対比なんか僕は言っていません。今のカウントの仕方ですらもうそういうことになっているので、そこはしっかり考えてもらわないと、本当に市町村によってもうばらばらですので、よろしくお願いをします。これは何回言ってもやってくれないので、本当にやる気ないんやろなと思うんですけれども。

 もう一つ、待機児童が一番多いのは、やはり都市部。というか、待機児童というのは都市部の問題ですから、残念ながら、日本全国の市町村の中で、待機児童を抱えている市町村の方が少ないですよね。これはもう完全に地域の問題になりつつあるんですね。

 だから、実は、国でこういう議論をするのももちろん大事だとは思うんですけれども、基本的には、地域の実情を一番知っている市町村に本来は地方分権で権限と財源を渡すべきなんですよ。そうじゃないと、いろいろな意見があると、皆、今質問でも阿部先生もおっしゃっていました、ではそのいろいろな意見に一つ一つ国が対応できるんですかという話です。僕はもうできないと思います、そんなさまざまな意見に。

 さまざまな意見に対応できる最前線はどこかといったら、市町村なんですよ。やはり、基礎自治体で、保育園の入所の権限を持っている、決めることができているのは市町村ですから、僕は市町村に本当にもっと権限も財源も移譲したらいいと思います。それが一番手っ取り早い、一番きめ細かく保育ニーズに対応できるやり方だというのは、これは質問ではありません、これはこれからの課題としてしっかりと考えていただきたいと思います。

 それと、東京で、今言ったみたいに、やはり都市部、特に東京ですけれども、待機児童が多いです。ところが、小耳に挟んだんですけれども、東京都で、最低基準以上の面積基準で、要は三・何平米を五まで上げて、それ以上の子供を入れていない保育園がたくさんあるとお聞きしたんですけれども、それは事実ですか。

香取政府参考人 保育は自治事務ということになりますので、これは各自治体で、いわゆる上乗せ、横出しという形で、国が決めた基準を上回って例えば面積基準ですとか職員配置基準を決めるということは、これは当然できることになりますので、東京都内においても、そういった形で国の最低基準を上回る面積基準あるいは人員配置というものを設定している自治体というのは一定ございます。私どももそこは承知をしております。

 それをどう考えるかということなんですが、これは、自治体それぞれが、市区町村で、いわば市区町村のお考え方として保育の水準あるいは子供にとって必要な生活水準というものを考えて、財政措置も含めて一定措置をしておられるということですので、例えば、東京の場合はそういうものもありますし、一方で、認証保育のような形で、国基準に準じますけれども、若干緩い基準の単独のものもつくったりもしておられますので、それぞれ自治体のお考えで保育サービスをされておられるということだと思います。

 一方で、現実に待機児童がかなり東京の場合には、東京は大体八千人弱いらっしゃいますから、二万三千人のうちの三分の一強は東京ということになります。

 一方で、これから女性の就労も進むという状況の中で、保育の質、東京都なりの御判断、あるいは各自治体なりの御判断の質の確保という問題と、やはりこういった受けられない方々が他方で残っているということは現実にありますので、そういったことも十分勘案して、これは自治事務ですので、余り私どもからどうこうということは申し上げにくいんですが、やはり制度運用の面では、両面考えていろいろ御判断いただければなというふうに思っております。

浦野委員 子供の環境を整えるのはいいことだと思うんです。そういう意味では、面積基準を上乗せするというのは、子供にとっては確かにいいことです。私も保育士ですから、その方がいいというのはわかりますよ、理解はできます。しかし、そのことによって待機児童がまだ解消できていない区があるわけですよね。

 それで、そういうところを、では待機児童が解消できていないからといって、また新しい保育園をつくるわけでしょう。それは国民の税金でつくるわけですよね。でも、努力すればもっと子供が入れるようになるんですよ。最低基準を割らなかったら大丈夫なはずなんですね。そういうところを、それは、そういうときだけ自治や自治やと言いますけれども、地方分権、では、それだったら完全にしてしまってくださいよという話ですよ。

 面積基準をそうやって上に上げているところ、それは僕は批判はしません。だけれども、そのおかげで待機児童ができているところに保育園を新しくつくってくれ、それにお金をまた、国が税金を入れなあかん、それはちょっとおかしくないですかと思いますけれども、どうですか。

香取政府参考人 なかなか申し上げにくいんですが、確かにそういう面はあろうかと思います。入れた方は国基準より高い水準でいい保育が受けられる、区は当然お金を入れているわけですから。他方で、入れない方はいわばサービスゼロという状態になるということになりますので、やはりそこはいろいろな判断をしていただける余地はあろうかと思います。

 ただ、そこも含めて、もちろん、私どもからお願いすることというのはあろうかとは思いますけれども、やはりそこは、上乗せ、横出しのサービスをして、全体として自分の自治体の保育サービスをどのように考えるか、待機児童のことも含めてどのように考えるかということは、最終的には当該自治体の御判断、首長さんの御判断というところになりますので、私どもとしては、さまざまいろいろな形で今回の待機児童問題で各自治体ともお話をしなきゃいけないことになろうかと思いますので、議論はさせていただきたいと思いますけれども、そこは、最終的な判断ということでいいますと、やはり自治体の御判断ということになるんだと思います。

浦野委員 言っていることもわかりますし、もちろん、余裕があるんだったらそうしていただきたいなというのは、我々子育てに携わっている人間の思いです。だけれども、最低基準を割らないのであれば、私はそこまで待機児童がある市町村、行政体は努力をすべきだと思うし、その地域に住んでおられる方々が待機児童を嘆く前に、行政にそういったことをちゃんと言っていただかないと、保育園を無駄につくることになる。

 これは税金を投入するわけですよ。子供の数が減っているのはわかっているのに、保育園をどんどんどんどんつくっていっているんですよ、今でも。これはどこかで逆転するんですよ。

 待機児童を完全に解消しようと思ったら、過剰供給しかありません。過剰供給するときに、では定員の割れたところに国は補助金を打ってくれるのかとか、例えば社会福祉法人の保育園、ニーズのあった時代につくったけれども、今は子供の数が減って、保育園をやめなしゃあないとなったときには、社会福祉法人の保育園は国庫返納ですよね。そうなったとき、使いようのなくなった保育園を国が譲り受けるわけですよ。

 それはどのようにやって管理するんですか、国全体で。日本全国に何百件、何千件という廃園になった保育園を抱えて、国は一体どうしていくんですかというところまで、私はもうそろそろしまい方も国は考えるべきだと思うんですよ。社会福祉法人、昔はその制度でよかったかもしれないけれども、もう今は時代におくれつつあるんですよ、社会福祉法人のあり方自体が。その部分の、しまい方の部分のあり方が。

 私は、そこら辺も含めて、短期的には待機児童の解消のさまざまな手だてをしないといけない、だけれども、長期的には、これから子供が減っていく中で、保育園の数、そういった保育園の社会福祉法人のあり方、全てやはり今しっかりと考えてあげないと、保育園を経営している皆さんも、怖くて保育園をふやせないんですよ。だからふやせないんですよ、今。それで、保育士も将来不安だからみんな就職しないんですよ。僕は、そこら辺の長期的な話もしっかりとこの際議論していただけたらと思っています。

 時間ももう終わりますけれども、我々、提言の中で、保育士の資格を持っていない人もサポーターとして使うべきだという提言をしています。これをすることによって保育士の質が下がるというところは、もちろん業界団体は必ず言ってくるでしょうし、そういうふうに主張する方はたくさんいらっしゃいます。

 でも、皆さんどうかわからないですけれども、私は保育園の担任を持ったことがある人なので言いますけれども、別に保育士じゃなくてもできる仕事は、実際に保育園の中にあります。だからこそ、サポーターも入れたらいいと思うんです。だって、そうじゃないと子供を預かれないんですから、今、現状。だから、現状に対応するにはそれしかないんです。無理やり保育士を持っている人を一生懸命集めるというのは限界があるからこそ、今問題になっているんです。

 だから僕は、そこは現実的な対応で、そういった人じゃない、資格を持っていない人でも、赤ちゃんを産んで子供を育てた人は、別に保育士の資格がなくても子育てできていたわけですから、できぬことはないんですよ、絶対に。だから、そこは僕は、質の低下というのは別問題としてあるとは思いますけれども、今対応できる現実的な策として、そこはもうそういうのをやるべきだと思っていますので、保育の集中審議でまたいろいろと議論をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

渡辺委員長 次に、木村弥生君。

木村(弥)委員 自由民主党の木村弥生でございます。

 私も、待機児童対策について、まず四つの質問をさせていただきます。

 昨今、保育園の待機児童に関する報道がなされております。私ども自民党といたしましても、緊急対策を検討するための特命チームを本日開催したところであります。田村先生を顧問として、私が座長を務めさせていただいております。

 その中で、いろいろな意見が本日も出たわけでございますけれども、まず、今、政府として、これまでどのように待機児童の対策の取り組みを進めて、また、現状についてどう捉えているのかということを、簡潔で結構ですので、初めにお尋ねしたいと思います。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 改めまして、この安倍政権になりましてからの保育対策について御説明申し上げます。

 安倍政権発足以来、女性の活用を政権として掲げてございまして、二十五年の四月に待機児童解消加速化プランというものを策定いたしました。子育て世代の女性の就業率上昇に対応できるように、足元の待機児童だけではございませんで、潜在ニーズも含めた保育の受け皿の確保というものに重点的に取り組んでまいりました。

 これによりまして、保育の受け皿の拡大のペースは、プラン策定前と比べますと約二倍、平均しますと十万人のペースでふやしているところでございます。

 他方で、昨年の四月は、保育園等の申込者の数は大幅に増加をいたしました。十四万人を超える応募者がございまして、この結果、待機児童は、千七百九十六名増加いたしまして、二万三千百六十七名となっているところでございます。先生方御案内のとおりでございます。

 今後、さらに女性の就業が進んでいくということを念頭に、昨年末の一億プランの緊急対策におきまして、保育サービスの整備量を四十万人分から五十万人分に上積みするということにいたしました。これに伴いまして、約九万人の新たな保育人材の増というものが必要になりますので、これの確保に向けて、保育士の処遇改善、就業の促進、あるいは離職の防止などについて、総合的な取り組みを進めているところでございます。

 保育所の施設整備費の上積みをいたしましたし、それから、小規模保育に対しては新たな施設整備の補助金を新設いたしました。あるいは、事業所内保育を主軸といたしました企業の拠出による企業主導型の保育サービスといった多様なサービスも確保しております。

 あるいは、保育人材の確保につきましては、消費税財源以外で〇・三兆の財源を確保いたしまして、二%相当の処遇改善を今後実施していくということを考えておりますし、保育士を目指す学生につきましては、卒業後、保育士として五年間勤務すれば返済を免除するという新たな奨学金の拡充も行いました。あるいは、離職した保育士の方が再び再就職する場合には、二年間の勤務で返済を免除するといった再就職準備金、あるいは、未就学児がいらっしゃる保育士さんについては、自分のお子さんの保育料の一部貸付事業といったものも創設いたしましたし、事務負担の軽減ということで、保育補助者の雇い上げ、あるいはICTの活用による業務の効率化といったものも今般の補正予算で計上いたしたところでございます。

 しかしながら、現在まだ多くの待機児童がいらっしゃるという現状で、我々はさらに対策を加速化していかなければならないと考えておりまして、今般、与党の方でもプロジェクトを立ち上げて御議論いただけるということでございますので、与党とも十分御相談しながら、子育て世代のお声に応えていけるように政府としても全力で取り組んでまいりたいと思っております。

 ありがとうございます。

木村(弥)委員 待機児童につきましては、地域差が指摘されているところであります。具体的な保育の受け皿整備などの課題についても、各地域で抱える特有の実情があると考えております。実効性のある対策につなげるために、まず、地方自治体の意見を十分に聞くこと、それぞれの個別性を考えながら方向性を考える、柔軟性ある方向性を考えていくことが重要かと思いますけれども、御見解のほどを伺います。

塩崎国務大臣 今御指摘が木村先生からございましたように、待機児童というのは、首都圏、近畿圏の七都府県とその他の指定都市、中核市で全国の七三・七%を占めております。都市部に多く見られる状況ということであります。

 都市部では、保育需要が大きく拡大する一方で、主に保育スペースや保育人材の確保が地方に比べて相対的に困難な状況にございまして、このため、待機児童の解消に向けて、まずは各自治体の実情をしっかりと把握するということが大事だというふうに思います。

 こうしたことから、住民と最も身近な立場の自治体から私ども厚生労働省も直接情報を得ようということで、特別のメールアドレスを、ダイレクトメールをいただけるようにするとともに、入所決定が一段落をする四月に入ってから市町村の皆さん方との意見交換の場を設けようというふうに、今、厚生労働省で企画をしております。

 また、自治体の声だけではなくて、当然、保育園などの利用に当たっての、御苦労されている皆さん方の現状、実情、そしてまた改善すべき点についての御提案、こういったことを、厚生労働省のホームページを活用して意見募集をしていこうというふうに思っております。

 また、これは山尾先生との議論の中で、保活についての実態調査を行うということを申し上げましたけれども、これについても、保育園などへの入園について苦労されている点を明らかにするとともに、いわゆるポイント制での御苦労や、それぞれ市町村によって幾つかやはり相違点もあるということで、そういうようなことを含めてしっかりとした調査をやって、これを政策に反映していきたいというふうに思っております。

木村(弥)委員 先ほどからほかの先生方の御指摘もございましたように、やはり人材確保というのは大事な問題でございます。人材確保と質の向上は、私ども看護職にとりましても、やはり共通課題でございます。

 先ほど、サポーターの存在というのも大切だというお話もありました。今、政府においてさまざまな取り組みを進めておられます中で、子育て支援員制度がございます。こちらは、今年度から立ち上げて、各市町村が子育て支援員の研修、大体三十時間というふうに伺っておりますけれども、これがまだまだアピール不足ではないかと私は思います。

 今現在どの程度それが進んでいるのか、そしてまたどういった層をターゲットにしているのか、具体的な人数や地域差、好事例などがあれば、ぜひお聞かせください。

香取政府参考人 子育て支援員についての御質問をいただきました。

 子育て支援員でございますが、今般、子ども・子育て支援新制度を創設いたしまして、その中で、先ほどから大臣からも御答弁申し上げていますが、小規模保育ですとか家庭的保育といったような新たな多様なサービスというものを今度創設したわけでございます。そういった中で、お子様たちが健康で健やかに成長できる環境や体制を確保するということで、各地域の実情やニーズに応じてさまざまな担い手となる人材を確保していこうということで、平成二十七年度から創設をいたしました。

 今年度は、都道府県、市町村が実施主体で、地域保育コースですとか、放課後児童対策の関係で放課後児童の対応をしていただくといったようなコースなど、幾つか支援の内容に応じたコースというものが行われておりまして、私どもの現在の集計では、延べ二百五十五の自治体で実施をされておりまして、全体で約二万四千人の方が受講をされるというふうな見込みであるというふうに思っております。

 子育て支援員の研修を受けた方々は、まず一つは、小規模保育、あるいは事業所内保育、あるいは家庭的保育といった、そういうところで保育従事者として働いていただくということもございますし、先ほどありました、認可保育所における保育士の補助といったような場面もございますし、そういったさまざまな場面で活躍をいただくということで、保育士のサポートに入る。さらには、こういった現場の経験を積み重ねていただいて、保育士の資格も取得をするということも期待できるところでございます。

 こういった、子育て経験などを生かして、子育て支援の分野に関心のある方にできるだけ多く参加をしていただいて、裾野の広い人材確保というものにつながるように、この研修制度を充実してまいりたいと思っているところでございます。

木村(弥)委員 私も、子育て経験者として、そういったことで何かお役に立てられたらいいなと思っておりましたので、これからどんどん進めていっていただきたいなと思っております。

 それから、質の向上についてでございます。

 保育士が意欲を持って働き続けられるためには、労働環境の整備とともに、やはり専門性の確立というのが課題であるかと考えます。

 私、先日の予算委員会の分科会で介護士の専門性についてお尋ねしましたけれども、保育士におきましても、専門性の質の評価、段階的にキャリアアップが図っていけるような仕組み、キャリアラダーみたいなものが必要ではないかと考えておりますけれども、いかがでしょうか。

香取政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘のとおりでございまして、保育士は専門職でございますので、もちろん資格を取って就職するわけでございますが、その後、その専門的な技術や能力を高めていっていただく、そのことによって提供する保育の質が上がっていく、そういったプロセスがきちんと働くということがとても重要でございます。その場合には、当然、シニアの方、先輩の保育士の方々の指導というものももちろん重要ですし、そういった先輩の方々がきちんとキャリアアップしていくという形をつくるということはとても重要であると考えてございます。

 現在、新制度の中で、公定価格という形で保育費用の支払いをしているわけでございますが、新制度発足の段階で、消費税財源を活用した三%の処遇改善をいたしております。この処遇改善は加算という形で行いましたが、一律に加算をするという形ではございませんで、保育所に勤務をする保育士の平均勤続年数に応じて段階的に上がるという形で、いわばキャリアと経験に応じて給与が上がるというような形で加算をつけてございます。

 もう一つは、保育士さんみずからがさまざまな形で資質の向上を図るということで、研修に行っていただく。都道府県、市町村が保育士さん向けの研修を行っておりますけれども、これに対して一定の補助を行う。あるいは、保育士同士のいわば意見交換、人材交流のようなことに対する支援というものも行っております。

 もう一つは、大変勤務環境が厳しいので、そういった研修を用意してもなかなか研修に参加できないという声が非常に強くございますので、こういった研修の機会を確保するために、いわば研修期間中の代替の要員を確保するということで、このための代替要員を確保することができるように、これも公定価格の単価の中に織り込みまして、各保育施設に単価の中でお支払いしているところでございます。

 さまざま、まだまだ十分でないところもあると思っておりますけれども、保育士の方々が将来に希望を持って、できるだけ長く働いていただいて、キャリアを積んでいただいて、キャリアアップしていただいて、それが保育の質の向上を通じて利用者のお子様に還元されるという形ができますように、私どもも努力してまいりたいと思っております。

木村(弥)委員 お願いいたします。

 これは私の個人的な見解ですけれども、この問題の背景には、出産や子育てがキャリア形成に不利になるんじゃないかといった、そういう意識がやはり根底にあるようにも感じております。再就職、再雇用が難しい現状、何とか、子供が小さいうちには育児に専念して、キャリアに邁進したい、そういう人もいらっしゃると思います。そういった再チャレンジを応援するような社会になるように、ぜひお願いしたいと思います。

 時間がないんですけれども、子供の在宅療養についても一つ質問させてください。

 今、NICUやGCUで長期に入院している子供たちについて、親子関係がなかなか構築しづらいといった問題があります。それについては、皆様のお手元の資料にございます。在宅での受け皿というものがまだまだ乏しい状況にございます。

 私は、前職の日本看護協会の広報部時代に、新聞などのメディアの方たちを呼んで、夜勤の状況を見ていただくという夜勤ツアーを実施したことがあります。ある大学病院では、NICUや小児病棟に長期に入院している重症児たちを支える看護師たちが、深夜勤の時間帯でも準夜勤の看護師たちがまだ帰れずにナースステーションで記録を書いていたという風景を目の当たりにいたしました。

 そういった子供たちが、そしてまた御家族が地域で安心、安全に療養、生活ができるよう、これらの子供、家族のニーズを踏まえた適切な退院支援をしていただきたい、そしてまた、さらに、訪問看護ステーションに対して、子供の在宅療養支援の実施について財政的なインセンティブを与えるような取り組みも必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

神田政府参考人 先生御指摘のとおり、NICUやGCUから退院する子供やその御家族が地域で安心、安全に療養、生活できるようにするためには、それを支える体制整備をしていくことが重要であるというふうに考えております。

 このため、厚生労働省としては、退院支援につきましては、平成二十八年度の診療報酬改定におきまして、NICU等からの退院支援に関する評価の充実を図ったところであります。また、NICU等から在宅医療への移行に向けてトレーニングを行うとか、あるいはレスパイトケアを行う中間施設として地域療育支援施設を設置して在宅医療等への円滑な移行を行う医療機関に対して、運営費の支援を行っているところであります。

 それから、退院支援に係る教育についてでありますけれども、これは、地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、都道府県において、NICU等から退院する小児の退院支援や訪問看護を行う看護師に対する研修が実施されているところでございます。

 また、訪問看護ステーションに対する財政的なインセンティブといたしましては、今回の改定におきまして、機能強化型訪問看護ステーションの実績要件に超重症児等に対する訪問看護をその評価に加えたところでございます。

 今後とも、NICU、GCUから退院した子供とその御家族が、子供の状態に応じた望ましい療育、療養環境へ円滑に移行し、地域で安心、安全に療養、生活できるような、こうした政策を進めてまいりたいというふうに考えております。

木村(弥)委員 ありがとうございました。

 そういった在宅での取り組みが、また、看護師たちが自分たちからまた進んでそこで働けるような、そういった教育環境も必要だと思いますので、何とぞその点もよろしくお願いいたしますということで、私の質問は終わりにさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

渡辺委員長 次に、谷川とむ君。

谷川(と)委員 自由民主党の谷川とむでございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 昨年は、予算委員会第五分科会、厚生労働委員会で、生活保護についての質問を二度させていただきましたが、今回もライフワークの一つである生活保護について質問をさせていただきたいというふうに思います。

 前回の質問では、私が大学院在籍時に、大阪市の被生活保護人員の約五人に一人が居住するという大阪市西成区、その中でも約三人に一人が居住するというあいりん地区を中心に、被保護者の生活保護受給の実態、路上生活者の居宅保護開始時に支給される敷金、一時的な生活保護費に関連する生活保護ビジネスの実態、住宅扶助、生活扶助、医療扶助、葬祭扶助に関連する生活保護ビジネスの実態について、フィールド調査、ヒアリング調査、インタビュー調査を行い、その調査で明らかとなった実態をもとに質問をさせていただきました。

 前回、時間がなくて、介護扶助に関連する生活保護ビジネスの実態をもとにした質問ができませんでしたので、今回は、介護扶助についての質問をさせていただきたいと思います。

 介護扶助は、原則、現物給付であります。介護保険制度では、七段階の要介護認定があり、それぞれ利用できる介護サービスの上限金額が規定されています。しかしながら、被保護者以外の利用者が介護サービスを受ける場合、基本的には、原則として報酬基準額の一割を負担するのに対して、被保護者の負担額は、介護扶助費として支給されます。つまり、自己負担なしであります。

 デイサービスのような施設で行うサービスに関しては、介護を受ける者が多数来訪して人目があるので、比較的不正が起きにくいと聞いております。

 それに対して、被保護者の中には訪問介護を受ける者も多く、訪問介護では、実際に居宅でどのようなサービスが行われているか、外部からはわかりづらい。また、訪問介護事業者、ケアマネ事業者が結託するケースも存在していました。例えば、ケアマネジャーの中には、必要がないにもかかわらず、上限額いっぱいまでのケアプランを作成し、適切なサービスを行っていないにもかかわらず、訪問介護事業所に利益をもたらし、その対価として報酬を受ける者も存在していました。

 生活保護指定介護サービス提供者の中には、このように、生活保護に便乗して、被保護者に過剰または架空の介護サービスを施して、税金が原資の生活保護を請求している者が、西成区あいりん地区及び浪速区には存在しています。

 そこで、このような実態があるんですが、厚生労働省としては、どのように考え、どのような取り組みを行っているか、お聞かせください。

    〔委員長退席、小松委員長代理着席〕

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 被保護者に適切な介護サービス利用をしていただくことは、生活保護制度に対する国民の信頼を確保する上で大変重要と考えております。

 被保護者は、原則として、介護保険に加入をしていただいた上で、介護給付の九割を保険から給付を受け、一割に当たる自己負担分、これを介護扶助の給付という形で受けていただいているわけでございます。

 したがいまして、まず、基本的には、介護保険制度における保険者が、ケアプラン点検の実施などを通じまして、過剰なサービス提供となっていないか確認を行うなど、適切な給付に取り組んでいるものと承知をいたしているところでございます。

 その一方で、介護保険の二号被保険者、四十から六十四歳の方でございますが、この方々は、加入の要件が、医療保険に加入しているということとなっております。

 生活保護世帯は国民健康保険の被保険者となれない、これは国民健康保険法の第六条で規定があるわけでございますが、その結果、基本的に、被保護者というのは介護保険に加入ができませんで、十割を介護扶助によって給付を行う、こういう形になっております。

 このようなことでございますので、二号被保険者につきましては、その方々の給付についてですが、福祉事務所において、ケアマネジャーの資格取得者を雇用いたしまして、介護サービスの確認を行うことなどを通じまして、不正または不適切な介護サービス提供の適正化に取り組んでいるところでございます。

 大阪市さんも、平成二十五年度からこの事業に取り組んでいただいておりまして、介護扶助の適切な給付の確保を熱心にやっていただいていると承知をいたしております。

    〔小松委員長代理退席、委員長着席〕

谷川(と)委員 非常に、少し複雑なシステムになっているのも承知しておりますけれども、過剰介護、ぜいたく介助、架空介助にならないように、しっかりとこれからも取り組みを進めていただきたいなというふうに思っております。

 次に、前回、被保護者の生活保護受給の実態の中で少し指摘させていただきましたが、パチンコなどギャンブルに生活保護費を使ってもいいのかという問題であります。

 この問題に関しましては、賛否が分かれます。

 大分県別府市では、生活保護ケースワーカーが市内のパチンコ店や競輪場で張り込みを行い、来店、来場した被保護者を発見した場合、文書で立ち入らないように指導し、その指導に従わなければ、繰り返し来店、来場する場合には、保護費給付の一部を停止するケースがあります。また、大分県中津市は減額していたケースもございました。そのことについて、マスコミ報道を初めさまざまな議論がなされています。

 そのような中、昨日、被保護者がパチンコなどギャンブルに保護費を使った場合、給付の一部を停止、減額してきた両市が、国と県から不適切とする指摘を受け、来年度から停止、減額措置を行わない方針であると報道で知りました。

 確かに、被保護者がパチンコなどギャンブルをすることを直接禁止する規定はありませんが、生活保護法において、被保護者は、生活上の義務、届け出の義務、指導等に従う義務がございます。

 まず、生活保護法第六十条で、「被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。」と規定されています。

 この中の、「支出の節約を図り、」とは、生活保護は最低限度の生活を保障するものであって、被保護者がみずからの生活態度上の過失、例えば浪費的消費、借金などによって要保護の原因を過大、加重することを戒めたものであると解するのが妥当であると考えます。

 また、生活保護の原資は国民の税金であり、被保護者がパチンコなどギャンブルで生活保護を使うということに疑問を感じている納税者である国民が多数いることも現実であります。私が実態調査をした際も、パチンコなどギャンブルで保護費を使っている被保護者も多く存在していました。

 前回も申しましたが、あるパチンコ店の経営者に話を聞くと、その店の売り上げを比較すると、生活保護費支給日以降三日間の一日の売り上げは、そのほかの日の三倍であるといいます。言いかえれば、多くの被保護者が客として来店し、遊技しているということです。

 さらに、パチンコ依存症である被保護者の中には、生活保護費の全てを三日で使い果たし、同じ被保護者に借金する者、または悪質な金融会社に借金する者さえいます。そのような実態があるのも御認識いただきたいと思います。

 そこで、被保護者がパチンコなどギャンブルで生活保護費を使うということは浪費的消費に当たらないのか、また、保護費の全てをパチンコなどギャンブルで使い果たしてしまったり、さらに借金までしてパチンコなどギャンブルをするという実態がある中で、厚生労働省としてはどのようにお考えか、お聞かせください。

石井政府参考人 被保護者が生活保護を受けながら過度にギャンブルなどを行うことは、被保護者に対して生計状況の適切な把握や支出の節約などを求める生活保護法第六十条、先ほど先生から御指摘がございましたが、その趣旨から見まして、望ましいことではないと考えております。

 その上ででございますが、被保護者の中には、生活費をギャンブル等の遊興費に充てて費消してしまう、そういった金銭管理能力に問題を抱える事例も見受けられます。

 そのため、平成二十六年から施行された改正生活保護法、ここで受給者の責務を強化したわけでございます。もともとこの規定といいますのは、「支出の節約を図り、その他生活の維持、向上に努めなければならない。」これだけの規定であったわけでございますが、そこに「自ら、」「収入、支出その他生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、」、かなり書き込まれたわけでございます。

 そういった規定がございまして、自立支援プログラムというのを現在行っておりますが、本人同意のもとに金銭管理の支援を行う、そういう取り組みを行っているところでございます。

 また、いわゆるギャンブル依存症を含めまして、個々の課題を有する被保護者が自立した日常生活を営めるように、これはまた支援も必要だろうと思っております。福祉事務所が、適切な支援を実施することができるように、民間団体などと連携をしながら、アルコール依存、ギャンブル依存、そういった問題を抱える方が自立した日常生活を営めるよう、これも自立支援プログラムを含めまして、いろいろな形で支援を行っております。

 今後とも、この生活保護制度が国民の信頼に応えられるように、適切な保護の実施に努めてまいりたいと考えております。

谷川(と)委員 ありがとうございます。

 今、答弁でもいただきましたけれども、アルコール依存症の方もたくさんおられて、僕もいろいろとお話を伺いました。この依存症の方々に対する金銭管理の問題についても進めていただきたいなというふうに思いますし、やはり、全て国費で賄われているわけでございますから、国民の信頼を得られるような保護費の使い方をどんどん指導していっていただければなというふうに思います。

 次に、生活保護法第六十一条では、「被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。」と規定されています。

 収入とは、保護金品を除外して、保護世帯に入る全ての金銭、物品をいいます。

 なお、収入の届け出義務は、単なる道義的、訓示的な義務ではなく、法律上の義務であり、保護の実施機関の誤認に乗じて保護費を受給すれば、不正受給となるものと考えられます。

 これらの違反に対しては、法二十七条第一項により、保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持向上その他保護の目的達成に必要な指導、指示をすることができる。さらに、法第六十二条第三項により、被保護者がこれに従わない場合は、保護の実施機関は、保護の不利益変更、停止、廃止処分をすることができると規定されております。

 パチンコなどギャンブルで得た収入も生活保護制度上の収入申告の対象であると考えるが、それらを含めた収入申告に関して、果たして徹底されているのか、また、何か対策を講じていることがあれば、答弁をよろしくお願いします。

石井政府参考人 まさに、この生活保護受給者の収入実態の把握、これは単に訓示ではございませんで、責務でございますので、しっかり対応すべきと思っております。

 その上ででございますが、生活保護法第六十一条の規定に基づきまして、本人からの収入申告のほか、税務担当官署の協力を得て、課税の状況を調査し、未申告の収入を把握しているところでございます。

 二十六年から施行されました改正法におきましては、福祉事務所の調査権限、これも拡大されておりまして、官公署等への情報提供の求めに対する回答の義務づけなどが行われております。

 今後ともこのような取り組みを推進するとともに、生活保護の支給に際しては収入申告義務があることを周知徹底する、この周知徹底の意味も、先ほど来先生から御指摘あった、軽い気持ちで収入申告を怠ってはいけないということもるる御説明するということで、適切な保護の実施に努めてまいりたいと思っております。

 また、ギャンブルの常習者などに対しましては、個々のケースワーク業務の中で丁寧に対応していく、それも必要かと思っております。

谷川(と)委員 就労による収入と、また臨時的に入ってくる収入に関して、いろいろと確認することは難しいかもしれませんけれども、周知徹底していただいて、少しでも生活保護費が削減できる方向に取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 生活保護は、憲法二十五条、生存権保障の意義が重要であるのは言うまでもありませんが、生存権は、具体的権利説ではなく、抽象的権利説であるのが通説であり、すなわち、どのような生活保護を行うかは行政の裁量に委ねられていると私も思っております。

 しかし、国民の信頼が得られなければなりません。生活保護でしか生きていけない人間はしっかりと守り、そして、国民の信頼を守れる制度であるように、私も引き続き、生活保護についてしっかりと頑張っていきたいというふうに思いますので、厚生労働省としても引き続き御尽力を賜りますようによろしくお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、参議院提出、自殺対策基本法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。参議院厚生労働委員長三原じゅん子君。

    ―――――――――――――

 自殺対策基本法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

三原参議院議員 ただいま議題となりました自殺対策基本法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国の自殺対策は、平成十八年に自殺対策基本法が制定されて以降、大きく前進しました。それまで個人の問題とされてきた自殺が社会の問題として広く認識されるようになり、地域の状況に応じた自殺対策が全国で実施されるようになりました。平成十年に急増し、その後長らく年間三万人を超え続けてきた自殺者数は、平成二十二年以降六年連続で減少し、平成二十七年は約二万四千人となっています。最も多かった平成十五年と比較すると、一万人以上の減少です。

 しかし、平成十八年から平成二十七年までの十年間だけでも、我が国の自殺者数は約三十万人に上り、平成二十七年にも一日に平均六十六人が自殺で亡くなっております。人口十万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率についても、我が国は主要先進七カ国で最も高く、また、十代後半から三十代の死因第一位が自殺であり、児童生徒を含む若年世代の自殺も深刻な状況のままです。さらに、自殺で亡くなる人の四倍から五倍とも言われる、残された家族の数もふえ続けています。

 自殺の背景には、過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立などのさまざまな社会的要因があることが知られています。

 政府の自殺総合対策大綱においても、自殺は、その多くが追い込まれた末の死であり、その多くが防ぐことができる社会的な問題であるとされ、そうした基本認識のもと、自殺対策は、国、地方公共団体、関係団体、民間団体、企業、国民等の関係者の連携による包括的な生きる支援として展開されるべきことがうたわれています。そして、これを踏まえ、地域の先駆的な取り組みを通じて得られた知見や経験を広く全国各地における対策に還元していくこと等が求められており、地域レベルの実践的な取り組みを中心とする自殺対策への転換を強力に推進していくことが必要です。

 こうした観点から、平成二十七年六月二日には、本委員会において、全会一致をもって自殺総合対策の更なる推進を求める決議を行いました。この決議において、我々は、非常事態はいまだ続いており、我が国の自殺問題は決して楽観できないとの認識を共有するとともに、誰も自殺に追い込まれることのない社会を実現するため、立法府の責任において、政府に対し自殺総合対策のさらなる推進を促すとともに、自殺対策基本法の改正等の法整備に取り組む決意を宣言したところであります。

 本法律案は、この決議を踏まえ、自殺対策基本法を改正し、自殺対策を、地域レベルの実践的な取り組みによる生きることの包括的な支援としてその拡充を図り、さらに総合的かつ効果的に推進していこうとするものであります。

 次に、本法律案の主な内容について御説明申し上げます。

 第一に、目的規定において、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して、対処していくことが重要な課題となっている旨を明記することとしております。

 第二に、基本理念として、自殺対策が生きることの包括的な支援として実施されるべきこと、関連施策との有機的な連携が図られ総合的に実施されるべきこと等を明記することとしております。

 第三に、自殺予防週間及び自殺対策強化月間について規定することとしております。

 第四に、都道府県は都道府県自殺対策計画、市町村は市町村自殺対策計画をそれぞれ定めることとするとともに、国は、これらの計画に基づいて当該地域の状況に応じた自殺対策のために必要な事業等を実施する都道府県または市町村に対し、交付金を交付することができることとしております。

 第五に、基本的施策を拡充し、自殺対策の総合的かつ効果的な実施に資するための調査研究等の推進及び体制の整備、自殺対策に係る人材の確保等に必要な施策を講ずるに当たっての大学等との連携協力、困難事態等における対処の仕方を身につけるための教育または啓発を初めとする学校における児童生徒等の心の健康の保持に係る教育または啓発等について規定するほか、医療提供体制の整備として、精神科医とその地域における心理、保健福祉等に関する専門家、民間団体等との円滑な連携の確保等を追加することとしております。

 第六に、政府は、自殺対策の推進につき、必要な組織の整備を図ることとしております。

 なお、この法律は、平成二十八年四月一日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

渡辺委員長 本案につきましては、質疑、討論ともに申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 参議院提出、自殺対策基本法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

渡辺委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

渡辺委員長 次に、内閣提出、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。塩崎厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩崎国務大臣 ただいま議題となりました戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 戦傷病者等の妻に対しましては、さきの大戦で障害を負った夫の介助、看護や家庭の維持等のため、長年にわたり大きな負担に耐えてきた精神的痛苦に特別の慰藉を行うため、これまで特別給付金として国債を支給してきたところでありますが、本年、国債の最終償還を迎えることから、国として引き続き慰藉を行うため、これらの方々に対し、特別給付金として額面五十万円、五年償還の国債を二回支給すること等とします。

 また、戦傷病者等の妻として支給を受けた国債の償還を終えたときに、夫たる戦傷病者等の死亡により戦没者等の妻となっている方に対して、特別給付金を支給すること等とします。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願いいたします。

渡辺委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時七分散会


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