衆議院

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第3号 平成13年2月28日(水曜日)

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平成十三年二月二十八日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 青山  丘君 理事 岸田 文雄君

   理事 新藤 義孝君 理事 馳   浩君

   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君

   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君

      伊藤 達也君    石原 伸晃君

      小此木八郎君    梶山 弘志君

      高木  毅君    竹本 直一君

      中馬 弘毅君    中野  清君

      林  義郎君    平井 卓也君

      松野 博一君    松宮  勲君

      茂木 敏充君    保岡 興治君

      山口 泰明君    北橋 健治君

      後藤 茂之君    後藤  斎君

      鈴木 康友君    中津川博郷君

      肥田美代子君    松本  龍君

      山内  功君    山田 敏雅君

      赤羽 一嘉君    石井 啓一君

      土田 龍司君    大森  猛君

      塩川 鉄也君    大島 令子君

      西川太一郎君    宇田川芳雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   経済産業副大臣      中山 成彬君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   経済産業大臣政務官    竹本 直一君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君

   政府参考人

   (外務省経済局審議官)  本村 芳行君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議

   官)           北村 俊昭君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長

   )            岡本  巖君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    中村 利雄君

   経済産業委員会専門員   酒井 喜隆君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十八日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     平井 卓也君

同日

 辞任         補欠選任

  平井 卓也君     梶山 弘志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件




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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官北村俊昭君、経済産業省製造産業局長岡本巖君、資源エネルギー庁長官河野博文君、中小企業庁長官中村利雄君及び外務省経済局審議官本村芳行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北橋健治君。

北橋委員 民主党ネクストキャビネットで経済産業相を担当しております北橋健治です。時間は三十五分で限られておりますので、きょうは大臣の先般の所信全般にわたりまして、特に関心を持っております事項について、以下、順次質問をさせていただこうと思います。

 まず第一に、現在の厳しい経済情勢の認識であります。そして、それに対して政府として、今後、経済財政運営に当たってどのように考えるかということについて質問をさせていただきます。

 まず、私どもは大変ショッキングなことだと受けとめているわけですけれども、日本の国債の格付が下がりました。これまでにも世界の有名な格付機関によって国債は下げられることがあったわけでございますが、今回の、二月二十二日、スタンダード・アンド・プアーズの引き下げということで、あるエコノミストによれば、日本がついに財政破綻等の行き詰まりのために先進国の経済から転落をした一つのあらわれだ、このように厳しい評価をする声も出ておりますが、大臣としては、今回の格下げという問題についてどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のように、国際的な格付機関であるスタンダード・アンド・プアーズ社が行いました日本の国債格付引き下げ措置というのは、私はやはり非常に厳しく受けとめております。しかし、政府といたしまして、一民間企業が行ったそういう格付でございますので、コメントする立場にはございませんけれども、やはりこれは厳しく受けとめなければならない、そういうふうに思っています。ただ、日本の財政事情というのは非常に厳しいわけでございますけれども、直ちにその支払いの能力に懸念が生ずる、こういうことは私は言い切れないと思っています。

 したがいまして、やはり国としては、経済を安定的な成長軌道に乗せるためにいろいろやっていかなければならない、そして、既に取り組んでいることが幾つもございますけれども、そういうことを着実にやっていく。そして、委員も御承知のように、経済構造改革を主体として二百六十項目をリストアップして、そのうちの半分の百三十は三年以内に達成しよう、その百三十のうちの百は一年以内に達成して、企業を取り巻く、あるいは経済を取り巻く環境を整備しながら、力が出てくる政策をやはり力強く展開していく、こういうことだと思っております。

 厳しく受けとめつつも、私は日本の経済というものはやはり潜在力をまだ持っていると思います。そういう意味で、やるべきことをきちんとやっていく、こういうことで私は対処をしていかなければならない、こう思っております。

北橋委員 海外の格付機関が日本の国債を下げたというのは、何といっても、異常なほどの財政赤字というものに注目しているんだと思います。

 今回、これは財務省が提出した資料でございますが、財政の中期見通しを見ましても、これから三年間で国債の累積額が百兆円もふえる、驚くべき財政赤字が膨れ上がっていくということが政府の数字でも明らかになっているわけです。そういった意味では、民主党としましては、海外の格付機関が下げてきたことは当然のことだ、このまま構造改革を怠っていくならば本当に日本はタイタニックになってしまう、そういう危機感を持っているところでございます。

 一方、今日の産業経済の状況を見ますと、中小企業の経営環境もそうでございますが、IT関連等一部の業種は明るいものがあるかもしれませんけれども、それはもう大変な経営環境になってきておりまして、離職者の増大、そして資金繰りにつきましても大変厳しい状況になってきているということであります。

 そこで、宮澤大臣は、追加的な経済対策には理解を持つということを記者会見で言われております。いいことがあれば何でもやればいいと思うと。ただ、公共事業の追加、こういう財政出動については慎重なようでございますが、何らかの対応は考える必要があるとおっしゃるぐらいに、やはり現実は大変厳しさを増してきているということであります。

 今日、株価の低迷が非常に心配をされておりますし、企業の業績不振等を考えますと、三月にクライシスを超えてパニックのような状況になるのではないか、そのように懸念をする経営者も大変ふえてきていると私は思っております。何らかの思い切った手をこれから講じなければ我が国の経済は大変な状況に陥るのではないかと思います。

 そこで、大臣としては、今後何らかの思い切った手を講ずる必要があると考えているか、もしあるとすればそれはどのようなものであるか、お示しをいただければと思います。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 非常に厳しい経済状況ということは、ある意味では御指摘のとおりだと思います。昨年からやはり企業の収益力は非常に向上してきたし、設備投資意欲というものも非常に順調であったわけでありますけれども、ここのところに来まして、アメリカの景気の低迷、こういうようなことで少し足踏み状況になっている。御指摘のように、三月には年度末で企業の決算等がありまして、ここにやはり対処をしていかなきゃいけない、こういうことがあると思います。

 やはり、経済に活力を持たせるためには、今御指摘の経済構造改革、こういったことを力強く展開していくことと同時に、また、過去数次にわたって財政出動をして景気の下支えをしてきた、またあるいは税制面からのアプローチもあった、こういうことでございますけれども、私は従来から、年度末を迎えて、財政だとか税制ですとかあるいは構造改革、これはもちろんやらなきゃいけませんけれども、やはり金融面からのアプローチも必要だ、こういうことを主張させていただいてきたところであります。

 そういう中で、やはり金利でございますとかあるいは為替の問題というのは、日本銀行の専権事項だとは言いつつも、私どもはそういう形でいろいろ主張をさせていただいて、この二月九日に日銀の政策決定会議において一連の決定をしたのもそういう一つのあらわれだと思っております。私としては、やはり日銀の専権性は尊重をしなければなりませんけれども、例えば日銀法の第四条では、日銀の金融政策も政府と一体となってやるべきだ、こういうこともあるわけでありますから、そういう面からもやはり、今厳しくなりつつある状況の中で、しっかりと政府一体となってこれはやっていかなければならない、私はこういうふうに思っております。やはり、年度末越えの資金需要の増大などが投資などの企業活動に悪影響を与えないように、機動的かつ潤沢な資金供給が重要だ。

 ですから、こういうアプローチもしなければなりませんし、あとは、経済産業省として、構造改革の徹底的な推進ですとか、あるいは、従来、中長期的にはどちらかというとマイナスという形で見られておりました例えば環境制約ですとか少子高齢化、そういったことをむしろ成長エンジンとしてとらえて、そこのところの活力を出すように、例えば環境制約ということでマイナスにとらえられていますけれども、環境に対する日本のいわゆるポテンシャリティーというのはたくさんあるわけですから、そういったところをプラスに転じて、そこから新たないわゆる企業が生まれてくる、そして雇用が生まれてくる。あるいは、少子高齢化ということも、今の例えば雇用一つをとっても、介護という形で非常に雇用の分野が広がってきています。そういう意味で、医療でございますとかこれからの福祉、そういったところで新たな成長の起爆剤、こういう形でそこから力を引き出すという政策も強力にやっていかなければならない。

 そういう中で、年度末を控えて、宮澤財務大臣も、適切に対処していかなければならない、こういうことをおっしゃっていますけれども、私どもとしてもやはり柔軟に、機動的にいろいろな対策を講じなければならない、こう思っています。

北橋委員 もう少し金融面についての大臣の所信を聞かせていただければと思うのです。要するに、景気回復、中小企業の経営を守るためにも経済構造改革その他やれることをどんどんやっていくという趣旨でございますが、大臣の記者会見を伺っておりますと、日銀の専権事項とは言いつつも、具体的に量的緩和の問題も含めて踏み切ってはどうかという趣旨ではないかと察しております。

 昨年、日銀がゼロ金利を解除したときに、政府も慎重、反対意見を述べられたと承知しておりますが、あのとき日銀が頭の中に描いていた経済回復のシナリオというのはかなり崩れているという見方も出てきております。そういった意味では、この量的緩和の検討ということ、大臣もお気持ちがあるのかもしれません。あるいは、ゼロ金利の問題をもとへ戻してはどうかという議論も一部にあります。

 いずれにしても、この問題について、経済産業を所管する大臣として、量的緩和等の具体的な対策をはっきりと主張されていきますか、政府内部におきまして。

平沼国務大臣 私は、いろいろな場で、やはり金融からのアプローチが必要だということはずっと言ってきております。

 そういう意味で、やはり状況を見ながら、日銀のそういう独自性というものは尊重いたしますけれども、今の繰り返しになりますけれども、日銀法第四条の中には政府と一体ということになっておりますから、必要とあらば量的緩和を含めてやはりやっていくべきだ、こういう形で具体的に私は主張していきたい、こういうふうに思っています。

北橋委員 政府内部の議論を注目してまいりたいと思っております。

 そこで、中小企業の金融対策にも大臣は触れられましたけれども、現実に経営者のお話を聞きますと、もう惨たんたる状況でございます。

 昨年、御案内のとおり信用保険法を改正いたしました。そして、枠は下げましたけれども、無担保保証ということで引き続き手当てをしていくという方針が決定されているところでありますが、現実に信用保証協会に行くにしましても、お取引先の銀行に行きますと、いわゆる銀行の方も大変な状況でございますから、結局なかなかうんと言ってもらえないということで、制度はあるのですけれども、そしてまた枠はあるにしましても、現実にはなかなか金融面での手当てが中小企業者になされていないという、本当に悲鳴に近い声もたくさんちまたには渦巻いているわけでございます。

 そういった点について、具体的にどのように金融関係に対して指示をされていくのでしょうか。

中山副大臣 お答えいたします。

 最近の中小企業をめぐります金融環境につきましては、平成十年ごろの非常に厳しい状況に比べますと大分改善してきている、こういうふうな感じがいたしております。しかし、まだ依然として厳しいという声も多々聞こえるわけでございます。そういう意味では、まだまだそういった状況を脱していないというふうに認識をしております。

 このような情勢を踏まえまして、さきの臨時国会におきまして、中小企業信用保険法の改正を成立させていただいたところでございまして、十二月二十五日に施行いたしました。

 その中では、一般保証における無担保保証の限度額を五千万から八千万に引き上げる。それから、大型倒産あるいは災害、金融機関の破綻等の環境変化に対応した無担保保証につきまして、別枠を含む限度額を一億から一億六千万円に引き上げるとともに、他の事業者による事業活動の制限があった場合に、保証の別枠等の特例を適用する範囲を直接取引関係にない中小企業者にも拡大するといったような制度の充実を図ったところでございます。この改正法の施行後、拡充された部分の利用実績も徐々に上がってきております。

 また、昨年十二月下旬の改正法施行により、信用保証協会に対しまして、きめ細かな保証審査を通じた総合的な保証判断、第三者保証人徴求の緩和、既往債務の条件変更等の弾力的運用に関しましてのガイドラインについて適切な対応を指示したところでございます。

 中小企業庁といたしましては、今後年度末にかけて中小企業をめぐる金融情勢を十分に注視しながら、信用保証制度や政府系中小企業金融機関の融資制度の適切な運用等を通じまして、中小企業に対する円滑な資金供給を引き続き確保してまいります。また、民間金融機関の貸し出し等につきましては、金融庁に対しまして適切な対応を求めてまいりたい、このように考えているところでございます。

北橋委員 政府と我々との間には、中小企業者を取り巻く金融情勢の厳しさについての認識に大分差があるように感じてなりません。

 今、経営者の間では、三月金融危機という言葉、もうクライシスを超えてパニックになるのではないかという声があるのです。そして、銀行の貸し渋りに加えて、貸しはがしという現象も起こっている。今おっしゃったような法律がある、制度がある。そういうものがあったとしても、現実にはなかなか資金繰りはうまくいかないということで、大変な状況に追い詰められようとしているわけです。これから金融機関の不良債権の問題が大問題になると思いますけれども、そういった中で、今まで制度をつくったからといって円滑に資金が供給される保証は全くないわけです。その辺に対する危機感は非常に深まっております。

 そういった意味で、しっかりとウオッチをしていただきまして、金融庁に対しましても厳しく注文をつけていく、このような姿勢がなければ大変な事態になるのではないかと民主党は大変憂慮をするところでございますが、大臣は、末端の、本当に中小企業者に資金手当てというものができるかどうか、金融情勢が大変厳しくなっていると予測される中で、それについてやはり強くアクションを起こしていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 御指摘の、そういう中小企業に対する貸し渋り等は、現実になかなか厳しいものがあると思います。

 そこで、私といたしましては、経済産業大臣として、政府の金融機関に対して、きめ細かく対応すべきであると。従来は、どちらかというと担保主義というものをとって、土地ですとか債権の担保というのを要求して、それが一番融資の条件になっていましたけれども、たとえ赤字が出ていても、将来的にそれが黒字転換できるような業態であったり、あるいは経営者の姿勢、そういったところも判断材料にして、やはりきめ細かく対応すべきだ、こういう指示を出させていただきました。

 そういう中で、やはりこの委員会の皆様方の御協力もいただいて、貸し渋りが非常に顕著になったときに三十兆円、最初は二十兆円でスタートしたのですけれども、特別保証制度をやらせていただきました。これによって、私は、一定の効果があったと思っています。そして、この期限が三月に切れますから、これも当委員会でお願いをして、四月から新たな特別保証制度というものをつくらせていただきます。

 そういう中で、やはりきめ細かく、そして実態に応じて温かく政府系金融機関としては対処する、そういう形でこれからも私は督励をしていきたいと思っておりますし、そういう観点から、これからもさらに出先機関にもきちっと伝達をさせていただきたいと思っています。

北橋委員 中小企業金融の問題につきましては、我が党の専門家からこれからも質問を続けさせていただきますが、民主党も、中小企業一一〇番、銀行一一〇番というものを設けまして、こういうひどい貸し渋り、貸しはがしがある、そういう現実の声を聞いて政府にがんがんぶつけてまいりたいと思います。そういった意味で、万全を期して努力していただきたいとお願いをしておきます。

 さて、時間が限られておりますが、大臣の所信の中で短く触れているところがあります。会社法制の見直しということです。これにつきましては、与党内部で株主代表訴訟制度の見直しについての議員立法を今国会に提出するやに伝え聞いているところでございますが、中身についてはきょうは入りません。

 問題は、これが議員立法という形で進んでいくことに対して、経済産業を担当している皆様方の立場から見て、本当にこのままでいいのであろうか。

 というのは、コーポレートガバナンスというのは幾つか重要な柱があります。たまたま銀行の八百三十億円の支払い命令が地裁判決で出た、それがきっかけになって、株主代表訴訟制度について取締役の責任軽減問題というものが焦点に浮上した、このように思いますけれども、これは、政府内部では、法制審商法部会で二年後をめどに、もろもろのコーポレートガバナンスの方向性を出した上で議論するということになっているんですね。それが今、与党の議員立法が出てくるやに聞くのであります。

 こういった問題について、経済産業省はどのように対応されますか。与党がやっていることだから、それを見守るだけでしょうか。端的にお答えいただきたいと思います。

中山副大臣 お答えいたします。

 企業活動の基本法であります会社法制を常に時代のニーズに合わせていくということは、経済構造改革の観点からも不可欠であると考えております。

 御質問の株主代表訴訟制度につきましては、基本的には、経営陣による放漫な経営を抑止するなど、株主の利益を守り、企業経営を規律する意味で重要な制度であると認識しております。しかしながら、国際競争の激化、技術革新の進展等、企業を取り巻く環境が大きく変化し、不確実性が高まっている中で、柔軟で機動的な経営判断が極めて重要となっておりまして、経営判断を過度に萎縮させるものであってはならない、このように考えております。また、社外取締役の導入の動きがある中で、取締役の責任が過大であるということから、社外取締役がその就任にちゅうちょするようなことがあってはならない、このように考えているところでございます。

 こうした観点から、御質問がありましたけれども、当省におきましては、産業構造審議会の企業法制分科会におきまして、見直すべき会社法制上の課題について検討を行い、昨年十二月、報告書を取りまとめたところでございます。この中で、株主代表訴訟の対象となる取締役の責任について、例えば違法配当について担当以外の取締役を含め無過失責任となっているなど、広範に過ぎるのではないかという問題がありました。取締役の責任の明確化や限定などの見直しを行うべきことを指摘しているところでございます。

 今先生御指摘のように、株主代表訴訟等につきまして現在いろいろなところでさまざまな議論が行われているところでございますけれども、今後さらに議論が深められまして適切な見直しが行われるということが必要である、このように認識しております。

北橋委員 私がお伺いしたのは、その中身については報告書が出ておりますから承知しております。問題は、与党の議員立法の形でコーポレートガバナンスの一部分だけを国会に提出して議論をするという方向でよいかどうかということを聞いたんです。それは、お答えは結構ですけれども。

 この議論については、やはりボーダーレスなメガコンペティションの時代でございます。日本だけが特殊な、いびつな構造になっていたのでは、これからの経済の活性化に支障を来す。そういった意味においては、アメリカにおける戦後のこの制度の変遷なりヨーロッパの状況をよく見た上で、やはりボーダーレスな時代にあって、日本としてそれにふさわしいコーポレートガバナンスのあり方というものを経済産業省はよく調査していただいて、それを関係方面に発信していただきたい、そのことを要望しておきます。

 次の質問に移りますが、環境の問題について大臣は所信で触れられました。そこでは、いろいろと経済産業省としても、環境・エネルギー制約の克服で取り組むということが書いてありますが、この中で具体的に書かれていない一項目、焦点、今ホットイシューとなっておりますことについてお尋ねします。

 それは、新たな税制を仕組むかどうかという議論であります。既に、財務省あるいは環境省におきましては、ヨーロッパの炭素税を初めといたしまして、環境負荷を軽減するための具体的な環境税制の手法の検討に入っております。当然経済産業省も、通産省時代からこの問題については担当課を中心にいろいろと勉強されてきたことだと思いますが、最近余り発信する情報を聞きませんね。

 この問題については、経済産業省は、省エネ関係の設備投資を促進する減税という形で強くかかわってきた経緯があります。そういった意味で、関係官庁におきまして新税導入を柱とした経済措置の研究が始まっているわけでございますが、経済産業省は、私どもから見れば、それを静観しているとは申しませんけれども、具体的な発信が聞こえてこない。よく、グッド減税、バッド課税という言葉がありますが、いずれにしても、環境税制の具体化というのは二十一世紀初頭の大きな問題だろうと思います。

 そういった意味におきましては、これまでの省エネルギー減税の果たしてきた役割というもの、効果というものも十分検証していただきまして、単に増税だけの議論ではなく、本当に日本の産業界がCO2を削減していけるような、そういった制度について、もっと大きな声で発信していただきたい。その点、大臣、いかがでしょうか。

中山副大臣 お答えいたします。

 環境問題への取り組みにつきましては、経済的措置とかあるいは規制的措置、さらに自主的な取り組み等いろいろあることは、委員御承知のとおりだと思います。

 このうち経済措置につきましては、税制のほか、排出量取引制度とか助成措置とかいろいろございますが、その中で、特に税制についての御質問であったと思いますけれども、これにつきましては、その効果があるかどうか、あるいは対応すべき分野がどういうところか、さらに既存税制との関係、あるいは経済産業活動への影響、税収の使途とか、いろいろな検討すべき課題があるわけでございまして、こういったところにつきましては今総合資源エネルギー調査会等でいろいろと議論が行われているところでございまして、今後幅広く検討を行う、このようにしているところでございます。

北橋委員 大臣は、この環境税について何か所見がございますか。

平沼国務大臣 今委員御指摘のように、二十一世紀はまさに、環境を人類がいかに克服するか、そのためにどういうインセンティブを与えていくか、その中で税制も重要な役割を担う、それをやはりやるべきだ、こういう御主張だと思います。それは私は一つの御意見だ、こういうふうに思っておりまして、私どもといたしましても、今副大臣がお答えをしたように、いろいろな角度から検討させていただいております。

 そういうことで、我が経済産業省からもこういった問題について幅広く検討して発信できるような形で体制を整えていきたいというふうに思っています。

北橋委員 大臣の所信を見ますと、環境・エネルギー制約の克服のところで、税というのは大変大きな手法だと思います。それが他の官庁においては、具体的にどんどん議論が煮詰まってきております。この税制について、文言が落ちておりましたので、ぜひその点について早急に議論を詰めていただきたいと思います。

 次に、通商政策について大臣は触れられております。戦略的な対外経済産業政策の推進という項目です。この中で、日本シンガポール経済連携協定の年内合意などということで、シンガポール、韓国などの自由貿易協定については、しばしば政府内部での議論の経過を承知しているところでございます。

 基本的に私どもは、アジア経済の活性化のために、日本の経済も含めて、こういった方向性については有益な方向だと理解をするものでございますが、しかし、例えば連合からは、この議論の中で、労働者の権利にかかわる問題がたくさんある。例えば、外国人労働者が将来日本に流入するんではないかとか、あるいは、場合によっては消費者の保護にかかわるような問題、環境問題にかかわる問題もある。

 そういった意味におきまして、この話し合いの中でかなり煮詰まってきているとは聞くんですが、交渉の過程におきます情報の開示、ディスクロージャーだとか、あるいは、連合を初めとして、やはり事前にいろいろと関係団体の意見を交換するような場を設けながらやっていくことが大事ではないかと思うんです。その進め方について、工夫をする余地はないでしょうか。

平沼国務大臣 委員御指摘のように、世界の自由貿易体制ということを考えると、やはりWTOの早期ラウンドを立ち上げるということがメーンだと思っております。しかし、世界の趨勢としては、御承知のように、やはり二国間で経済連携協定、こういったものが趨勢になってきております。

 日本とお隣の韓国と中国、それから台湾という一つの地域がそれを今まで行っていなかったわけでありますけれども、昨年私はシンガポールに飛びまして、そしてカウンターパートのジョージ・ヨー経済大臣、ゴー・チョクトン首相とも話を詰めまして、そして御承知のように、森首相とゴー・チョクトン首相との間で、ことしいっぱいで経済連携協定を立ち上げる、こういうことで具体的に今作業が進んでいるところでございます。

 その中で、御指摘のいろいろ労働問題等について、日本労働組合総連合会から、シンガポールとの間でのこの自由貿易協定及び韓国との間でも今御指摘のように作業が進みつつありますけれども、要請書をいただきまして、事務レベルで意見の交換を行わせていただいたところでございます。

 こういったところの内容その他に関しましては、やはりシンガポール、韓国と二国間でそれぞれやっていることでございまして、今の段階ではそういう形でまだ公表するという段階にはなっておりませんけれども、その進捗の度合いによって、両国の合意の中でそういった問題についてもはっきりしていかなければならない、こういうふうに思っておりまして、我々としてはそういう方向で努力をしていきたい。やはり労働の問題ですとか環境の問題ですとかそういうことは重要な問題でございますので、やはり両国間でそれをよく詰めていく、こういうことは必要だ、こういうふうに思っております。

北橋委員 今大臣の答弁にありましたように、そういった連合の要請も踏まえて、今後前向きに対応していただけるやの期待感を持ったわけでございますが、一般に外交交渉というのはつまびらかにできないものもあるかもしれません。こういった自由貿易協定になりますと、雇用問題で大変大きな問題が発生する可能性がありますだけに、ぜひとも関係団体に対するディスクロージャーと、そして事前協議というものに経済産業省としても真剣に取り組んでいただきたいと思っております。

 時間がもうほとんどございませんが、繊維製品のセーフガードの発動につきまして最後にお伺いをしたいと思います。

 これにつきましては、一部の業種から、タオル工連の方から要請が上がってきております。そして、大臣も迅速に対応される、こういうことでございますが、産地の状況はもう惨たんたる状況であります。物すごい倒産、失業者、離職者が出てきております。これを二カ月以内で調査をし、六カ月以内にまた調査をする、もうそのころには、発動するにしましてもどれだけの人が救済されるだろうか、もうほとんど残っていないんではないかという懸念もあるわけです。

 迅速という言葉の意味でありますけれども、二カ月以内あるいは六カ月以内ということで調査をして、被害の実態をはっきりさせた上で発動するということを決めるというふうに法令上なっておりますけれども、とてもそんな八カ月も待っておれない状況だと思います。大臣は、この産地の輸入急増による悲惨な状況を踏まえて、迅速にというのはどういう意味合いで言っていらっしゃるんでしょうか。私は、いっときも早くこの問題については被害の実態を調査して、可及的速やかに結論を出すべきだと思いますが、いかがでしょう。

平沼国務大臣 繊維のセーフガードにつきましては、WTOの繊維協定の中で認められているルールでございます。今御指摘のタオル工業会から、一昨日、正式に経済産業省にセーフガードの発動の要請がございました。これも委員よく御承知だと思いますけれども、タオル業界というのは、輸入の浸透率が現時点で六四%になっている。日本に外国からタオルが洪水のように押し寄せてきている。そういう中で、特にタオル業界が集積している今治でございますとか泉州というのが大変な目に遭っているということは十分認識しております。

 そういう観点から、私も事務方に迅速ということを申し上げたのは、これはスピードを持って対処しなければならない、ですから、やはり国際ルール、それからいろいろな関係規則にのっとって、可及的速やかにそういう形で調査をし、そして結論を出すように、こういうことで、スピードを旨としてやるべきだ、こういうのは同じ認識でございますから、そういう指示をいたしました。

北橋委員 時間が参りましたので終わりますが、これは保護主義でも何でもありません、WTOで認められたルールです。そして、アメリカ、ヨーロッパよりも厳格にこの制度については考えてきたのが日本国でございまして、私は、これだけの被害の実態がある以上速やかに発動すべきだ、このことを申し上げて、私の質問を終わります。

山本委員長 田中慶秋君。

田中(慶)委員 私は、大臣の所信について若干質問をいたします。

 今までの日本の経済、失われた十年とか負の十年とか言われて、今日まで厳しい経済情勢が続いているわけでありますけれども、これらについて、少なくても政府の政策の失敗等々をどのように認識され、そして大臣はこれに率直にどう対応していくのか、まず冒頭にその見解をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 我が国経済というのは、バブルが崩壊後、この九〇年代、非常に停滞をいたしました。そういう中でやはり失われた九〇年代という言葉が出てきたと思うわけでありますけれども、確かに、このバブル崩壊後の方策について必ずしも十分な方策ができなかったということは事実でありまして、それが今のこの九〇年代の厳しい事態を招来した、こういうふうに思っています。

 しかし、その中で随分やるべきことはやってきたということで、厳しい中でございましたけれども、思い切った予算措置でありますとかあるいはまた金融出動、そういったような形の中で、ようやく経済の成長率もGDPの中で一・二に回復をしてきた、そしてさらに今年度はそれが一・七、こういうことが読み込めるようになってきた、こういうことでございます。

 確かに、例えば不良資産の処理の問題でございますとかあるいは経済構造改革、これに対して十分なことができていなかった。特にアメリカなんかの八〇年代から九〇年代にかけて大変大きな成長の起爆剤になったIT関連、こういったものに関しても日本は立ちおくれたことは事実だと思っています。

 ですから、これからそういうことでようやくプラス基調になりつつあって、緩やかでございますけれどもようやく回復基調になってきたわけでございますから、それをさらに安定的軌道に乗せるために、これから強力な経済政策、いろいろな対策を講じていかなければならない、そのように私は認識をしております。

田中(慶)委員 今八〇年代のアメリカの話が出ましたけれども、確かに、かつてアメリカは三つ子の赤字と言われたわけであります。その中でレーガン大統領は、御承知のように、ある面では政治音痴かもわかりませんでしたけれども、しかし、大衆に対する心構えなり聞く耳を持っていたから、現実問題として減税なり規制緩和を最優先で行ってきた、こういうことだと思います。結果としてこの三つ子の赤字が解消されてきている、これが実態であります。

 ところが、日本のこの十年間、確かに総理は何人もかわっているわけでありますけれども、一方においては減税をやるかと思うと、一方においては増税をやる、こういうちぐはぐなことばかり、この繰り返しをしてきたと思います。ましてや、日本のしがらみ政治の中で、規制緩和は遅々として進んでいない、こういうことがやはり今日の長い不景気をつくっている。失われた十年、こういうことにつながるのだろうと私は思います。

 日本を取り巻くアジアの情勢を見ても、皆さんも御承知のGDPを比較しても、中国は二けた、韓国、香港、シンガポール、みんな四、五%以上になっているわけであります。日本はむしろ、言葉遊びの中で、御承知のように、桜の咲くころはと言ってみたり、もみじの色づくころはと言ってみたり、そんなことをしながら、そしてなおかつ、去年を見てください、現実問題としては下方修正をしなければいけない結果が出ている。

 こういうことが、大臣が今言われている、全体的に景気が浮揚しつつあるということと実体経済との違いというものがやはりあるわけでありますけれども、その実体経済の認識不足が政策失敗につながっているのではないか。ペーパーで、デスクワークだけでやっているところに、現実の実体経済を把握していない、これが私は今日の日本経済の長引く不況につながっている、このように思っておりますけれども、大臣はその考え方をどのように思っているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

平沼国務大臣 前の答弁でも申し上げさせていただきましたけれども、バブル崩壊後、今御指摘の規制緩和にいたしましてもあるいはまた不良債権の処理についても、やはり後手後手に回ったことは事実だったと思っています。ですから、そういう意味では私は反省をしなければならないと思っています。

 今、アメリカの例を申されましたけれども、アメリカの場合には、そのとおり三つ子の赤字があり、そしてレーガンのときには、これもよく御承知だと思いますけれども、税制も大幅に変えました。そしてまた、徹底的な規制緩和も行った。それから、雇用を創出する新規な、例えばIT、こういったことの推進にインセンティブを与える、こういうことをして、これが八〇年、九〇年代にかけて大きな経済成長率を見たことは事実です。ですから、そういう意味で、それと対比をすると、日本はそこに非常に立ちおくれがあった、こういうふうに思っております。

 したがいまして、その反省の上に立ちまして、昨年の十二月に新行動計画というのをまとめさせていただきました。そして、森内閣のもとで、やはりIT戦略本部あるいは戦略会議、それから産業新生会議、こういったことを積極的に設けまして、そして、かんかんがくがくの議論の中でそれぞれ基本方針が出てまいりました。そういう基本方針にのっとって、もともと日本のポテンシャリティーはあるわけですから、これからはそれを活用しながら力強い経済を立ち上げていかなければいけない。

 そういう形で、新行動計画の中には、例えば規制緩和、構造改革、こういったことで二百六十項目を列挙させていただいて、そして今はドッグイヤーと言われているスピードの時代でありますから、これを早くやらなければいけない。ただお題目のように並べただけではいけないということで、その半分は、痛みが伴うかもしれませんけれども、百三十はとにかく三年以内に解決をしよう、百三十のうちの百は一年以内に達成しよう、こういう形で取り組んでいるところでありますし、また中長期的には、このポテンシャリティーを生かして、やはり新たな成長エンジンというものをこさえて、この十年のおくれを取り戻すために全力を傾倒してやろう、こういうことで経済産業省といたしましても率先、イニシアチブを持って今取り組んでいるところでございます。

 委員御指摘のとおり、この十年のロスというのは大変大きなものがあったと思っております。そういう意味では反省はしなければならないと思っておりますけれども、過去のことを、繰り言を言っても始まらない。やはり新たな一つの大きな力強い政策を展開する、そのことでこの十年を取り戻していかなければならない、このように思っています。

田中(慶)委員 大臣の所信をいろいろと分析し、見せていただいたわけでありますが、今大臣が述べられたような問題について、きめの細かい所信というものが具体的に出ていない、どこを見ても出ていません。スピードも要求されていると言っておきながら、そういう問題についても出てこないわけでありますし、やはり現状認識、確かに過去にこだわってばかりいたのではしようがないと思いますが、過去があって今日があり、未来があるわけであります。その過去について、そして現状、どのように認識されているか。

 例えば、中小企業の問題一つとっても、日本の企業、経済を支えているのは中小企業だ、私はそう思っているのです。ところが、その中小企業に対する取り組みというのは、ある面では政策そのものが非常に厳しい、そればかりではなくして非常に冷たい、こう言った方が的確かもわかりません。御承知のように、融資の問題、今中小企業はどのような立場で何が一番困っているかというと、最終的には融資の問題が一番困っているわけであります。

 先般も総務省が出されている統計の中で、この数年来日本の自殺者が非常に多くなってきている。交通だけではない。交通以上に多いのは経営者の自殺者であります。交通の死者よりも多くなっている。約一万人の自殺者が出ていると言われているわけです。トータルは三万ですけれども、経営者の自殺者は一万人いるんですよ、中小企業の人たちが。それはなぜかというと、自分の命と交換しているわけであります。そんなことをやはり厳しく受けとめて、中小企業の政策を打ち出すべきではないかと思っております。税制もそうであります。

 そんなことが大臣のこのたびの所信の中に見えてこない。それをどう考えているのか、大臣の考え方を聞かせていただきたい。

平沼国務大臣 田中委員御指摘のとおり、経済立国、経済大国のこの日本で、中小企業の存在というのはまさに基盤的な役割を担っていただいています。全国に企業の数というのが五百万社以上あるわけでありますけれども、数の上でいいますと九九・七%が中小零細企業であります。

 ですから、日本の経済の基盤を支えてくださっている中小企業、これに対して、経済産業省といたしましても、通産省の時代からずっと中小企業庁というのを設けて、そしてきめ細かくある意味では対応してまいりました。バブルが崩壊をして、そしてたちどころに起こったのは、御承知のような貸し渋りの問題でございました。

 ですから、それに対応するために、これは本当に異例、特別の措置でございましたけれども、委員にも御評価をいただいていると思いますが、特別保証制度というものを設けました。当初は二十兆でスタートをいたしました。そして、それによって、非常にある意味では企業の倒産も防げたことは事実だと思っていますし、また、そこから雇用喪失に歯どめをかけることができたと私は思っています。そして、さらにこれは一年延長して規模を三十兆にふやして、そして、本年二月二十三日現在では百五十八万件の利用の件数があり、二十六兆六千億の保証をしたところでございます。そういう中で、一定の、私どもは経済産業省、通産省の時代から中小企業に対してはそういうきめ細かい対応をしてきたことも事実であります。

 しかし、全体の状況が厳しい中で、今田中委員御指摘のとおり、中小企業、零細企業の経営者の自殺というのは大変ふえている、これは本当に心痛むことでございまして、引き続き、日本の経済の基盤を担ってくださっている中小企業に対しては、税制の面でありますとかあるいはいろいろな各種の補助制度を設けるなど、これからもきめ細かく対応していかなければいけない、そういうふうに思っておりまして、これから中小企業対策はもっともっと力強く私は展開をしていきたいと思っています。

 そういう中で、私の所信の中にそれが読み込めない、こういう御指摘でございました。しかし、所信というのは限られた文章でございますので、私どもとしては、そういう思いの中で、これからは中小企業に対しても力強く、きめ細かく対応をさせていただきたい、こういうふうに思っています。

田中(慶)委員 私は平沼さんに期待したいのは、言葉遊びよりも具体的な実行であろう、このように思っておるのです。

 例えば、今、中小企業、確かに公的資金といいますかマル特の扱いをしましたけれども、しかし、現実にはさらに厳しい状態が進んでいるわけであります。そればかりじゃありませんね。政府系金融機関、そう言えばわかりますでしょう、国民金融公庫を含めて、民間の金融機関と全く同じようなことを言っているのですよ、担保の問題やあるいはまた保証人の問題を含めて。こういうことが現実に今行われているわけであります。

 ですから、融資が、本当に必要なときにお金ができない、これは傘が必要なときに傘がないということと全く同じなんです。そればかりじゃありません。先ほど言った保証協会の問題も、保証協会の総枠を認めても、今までの債務を棒引きしちゃうのですから、現実に必要なお金というものがそこに保証されてこない、これが実態なんですよ。

 ですから、そういうことを含めて、やはり実体経済を、そしてまた今の問題を、中小企業がどんな形で問題を抱えているかということをやはり徹底的に、中小企業庁があるからいいということじゃない、むしろそんなものはない方がストレートにいくかもわからない、はっきり申し上げて、それが私は行政改革だと思っているのです。そういうものがあるために余計、あの書類出せ、この書類出せというものがあるわけですから、もう少し借りやすい、わかりやすくスピードのある、こういう形で対応していかないといけないのだろうと思うのですよ。それが現実にはそうなっていない、この認識をどう思っていますか。

平沼国務大臣 確かに、一部そういう貸し渋りがあったり、また一般の金融機関が特別保証制度を悪用して、そして、信用保証協会から、あなた融資を受けなさい、それで融資を受けたら自分のところのいわゆる債権回収に充てる、こういう事例も承知をしております。ですから、私も、政府系金融機関、ここに絶対そういうことがあってはならない、そういうことを絶対してはならない、こういうことで督励をしたところでございます。

 また、今御指摘のように、確かに担保主義というものが日本の融資制度の中で根幹をなしていました。しかし、担保至上主義ということは、やはり中小企業、零細企業の経営者にとっては厳しい問題がある。そういう中で、例えば、今の業績が赤字であっても、将来これが黒字に転換するような見込みがある、そういう中小零細企業、あるいはまたその新しいビジネスが将来性がある、そういうことであれば、担保よりもそういうところに着目をして、やはり積極的に融資を行う。そういうことも実際の窓口に私としては指示をして、そういう姿勢で臨むべきだと。

 この特別融資制度一つとっても、政府系金融機関の資金というのも、言ってみれば国民の大切なお金でございます。それを有効に生かすためにも、やはりそういう観点から責任を持ってやってもらいたい、こういうことで私は督励をしたところでございまして、確かに御指摘のような点もありますので、さらにきめ細かく対応させていただいて、そして、意欲ある中小零細企業、そういうところに対しては、私どもとしてはしっかりと対処をしていかなければならないと思っています。

田中(慶)委員 大臣の今の答弁というものが私は大変重要だと思っておりますよ。現場は今違っているのですから、はっきり申し上げて。私はきのうもそういう相談を受けて話し合いをしてきましたけれども、違っているのです。まして、担保主義で、担保の価値が下がったのは個人の努力がないからということじゃないでしょう。土地はこのように下がってしまった。これは幾ら努力しても違うのですよ。それが現実に担保主義でやられている。そうすると、担保が満たない場合は追加担保を要求される。そればかりじゃありません、保証人まで要求してくるのです。

 これが実態なんですから、やはりそのことを徹底的に、担保主義じゃない、やはり将来見通しのある、そして、なおかつ前向きにいろいろなことをしているものについて、大臣が言われたことが現場で生かされるようにしなきゃいかぬ。そうですよ。

 私の友人が先月同じような目に遭って亡くなったのです。自殺したのです。それこそ四十年も続いた企業の社長です。決して悪い業績じゃありません。しかし、現実にそのように、少なくとも融資返済、これに困って命を絶ったのですよ。

 この一万人近い全国の例があるわけですから、もっともっと政治がこのことを重く受けとめてやっていかないと、この国は大企業だけが優遇される、こういう形になってしまう。しかし、実態は、大臣が言っているように、九九%が中小零細でしょう。この人たちの雇用やこの人たちの経済の支えなくして日本の繁栄はないのですから、そのことをしっかりと受けとめてやっていただきたい。もう一度、大臣、答弁ください。

平沼国務大臣 個々の例では今委員御指摘のような厳しい例がある、こういうことも承知をしております。そういう中で、なるべくそういうケースがなくなるように、私はこれからも督励をしていきたい、こういうふうに思っております。

田中(慶)委員 次に、大臣は、二十一世紀の大きな一つの柱にIT革命というものを述べられておりますし、森総理の方針でもあります。しかし、ITの実態はどうなっているのでしょう。日本はアジアにおいてもIT後進国と言われるような状態でありますよ、はっきり申し上げて。香港やシンガポール、韓国よりも、あるいはまた中国、インドは日本に追いつけ、追い越せという実態。言葉だけがIT先進国、IT革命と言われているにすぎないと思います。

 韓国に行ってみてください。韓国の釜山からソウルまでの特急の電車、十両電車のうちの一両は貸し出しのコンピューターが全部備えつけてあるのですよ。日本の新幹線にありますか、ありませんでしょう。学校現場にどれだけ取りついているのですか。行政の末端組織であります例えば警察署、どれだけありますか。お答えください。

平沼国務大臣 IT後進国、こういうお言葉がございましたけれども、確かに、先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、アメリカなんかは、八〇年から九〇年にかけてITというものを非常に力強く推進して、そして経済の成長をそれで達成した。あれだけ経済成長した五〇%から七〇%がいわゆる情報通信関連だった、こういうふうに言われています。

 そういう観点からいえば、日本はある意味では非常に立ちおくれたかもしれませんけれども、しかし、個々をとってみますと、例えば光ファイバー網の、これはラストワンマイル、ラストハンドレッドメーターという問題がありますけれども、一応基幹的ないわゆる光ファイバー網の敷設率というのは世界で高い水準にありますし、また、携帯電話のiモードなんというのもこれはもう世界の追随を許さない普及率でありますし、利用度であります。ですから、一概に全部がおくれている、こういうことではないと私は思います。

 そういう中で、そのおくれを取り戻さなければならないということで、昨年の七月に森内閣のもとにIT戦略本部とそして戦略会議というのが開かれました。私も担当副本部長としてその議論に参画をさせていただいて、そして、民間のソニーの言ってみればITの第一人者の出井さんに会長になっていただいて、基本的な戦略を取りまとめました。

 そういう形で、確かにある面ではおくれをとっておりますけれども、しかし、進んでいるところもあるわけです。例えば、家電ITなんというのを一つとっても、これはやはり世界のトップランナーで走っているわけですね。

 ですから、そういうことを総合的にやっていくためにITの戦略会議でまとめたのは、これも委員よく御承知だと思いますけれども、二〇〇五年までに、非常に遠大な目標かもしれませんけれども、アメリカに追いつこう、そしてできることだったらそれを追い越していこう、そのためにはせっかく相当普及している基幹的な光ファイバー網を利用しない手はないじゃないか、そういうことで、この光ファイバーも全国の三千万世帯とネットワークできちっと結ぼう。今、教室にもまだ行き渡っていないじゃないか、こういうお話がありますけれども、文部科学省でここにも力強い力を入れて、これも各教室に端末が入って、そしてやはりITというのは人材の育成もしていかなきゃいけませんから、そういう人材の育成もあわせてやろう、そういうことで、総合的な戦略がようやく形づくられまして、今それを力強く展開しております。

 そういう中で、確かに御指摘の、おくれた面もありますけれども、しかし、日本は非常にそういう面では得意な分野でポテンシャリティーがありますから、今総合力を発揮してやっていけば必ずそのおくれは取り返せる、そういう思いで、私も担当副大臣として一生懸命に取り組んでいきたい、こういうふうに思っています。

田中(慶)委員 大変な意気込みですから、それは評価をしなければいけないと思いますが、やはり実態というものをもう少し認識しないといけないと思います。民間企業は、確かに生きるためにいろいろな形で努力をしてそれぞれがみんな合理化をして取り組んでいるわけでありますけれども、見てください、役所の出先現場というものはまだまだそこまで行っていないのですよ、はっきり申し上げて。

 例えば、学校現場で、子供たちはゲームソフトとかいろいろなことで日常の中でやっておりますけれども、教える側の先生がキーボードをたたけないんじゃどうにもならないわけです。学校にはほとんど設置をされていないからこういう問題が出てきているわけであります。やっと工業高校に去年あたりから十台とか十五台とか、こんな形でありますけれども、やはり教育が大切であり普及であるならば、そういうところを最優先してやっていく必要があるだろう、こんなふうに思っているのですよ。

 現実に、この五年間で本当にアメリカを追い越し、また追いつき追い越せという形になれるかどうか。今の実態はまさしくアメリカから相当引き離されておりますし、アメリカは二十年かけて八〇年代からこのことに取り組んできているわけであります。日本はおくれをこの五年間で取り返すという、その意気込みは大切でありますけれども、実態としてそういうふうになっていない。私は、そういうふうに思っておりますので、この辺については、大臣が本当にこれからしっかりと取り組んでいただきたいと要望しておきます。

 例えば、IT革命と言われるものは規制緩和がついてくるんですよ、はっきり申し上げて。ところが、規制緩和は全然進んでいないじゃないですか。今、一月六日から行政改革という名のもとに一府十二省になりました。一府十二省という日本の行政は、二〇〇〇年よりもむしろより複雑にしているんですよ。巨大な省庁につくり上げてしまった。行政改革というのは、簡素でスピードがあって、わかりやすい、結果的に規制緩和というものがついて回るわけでありますけれども、それが現実に進んでいますか。巨大な行政をつくってしまった。地方分権といえども、権限は与えますが財源は与えていない。こういうものが次々と至るところで大きくなってしまった。地方分権の中で、そして地方支分部局をつくって、そこに権限と財源を与えたならば、中央は何もわからないじゃないですか。これが今の実態ですよ。

 このことを含めて、いろいろなIT革命に関連しながら、この改革というものを大臣はどう思っておりますか。どう評価されていますか。僕はきょうは大臣に聞いているんだ。大臣の所信に質問しているんですから、大臣が答えてください。

平沼国務大臣 一月六日の中央省庁再編に対しての御意見、これは巨大官庁をつくったんじゃないか、こういう御指摘もありますけれども、一面においては、例えば、総理大臣がリーダーシップを発揮してぴしっと迅速な対応ができる、こういうことで、御承知のように内閣府というのを設けました。そしてさらに、例えば、従来は昔の大蔵省、今の財務省がやっておりました予算を含めて国の経済、財政、そういった問題に関しては、昨日も開催されまして私もそのメンバーの一人でございますけれども、経済財政諮問会議、こういうものができまして、迅速かつ果敢に予算、財政あるいは金融を含めて対応していく、こういう体制で臨んでいるところでございます。

 したがって、確かにいろいろ御批判の面もあるわけです。従来二十二省庁だったものを、言ってみれば一府十二省庁にようかんを切り分けただけじゃないか、こういうこともあるわけでございます。しかし、そういう中で、内閣府の権限の中で、今まではそれぞれ縦割りだったものに横ぐしを入れて、そして各省庁がより連携を密にできる、そういう体制もとられたところでございますし、また、行政の透明性を向上するために、御承知のように政策評価制度、こういったものも設けることに相なりましたし、さらに、これはもう世界の趨勢ですけれども、いわゆる情報の開示、こういったことも行って、国民の皆様方にわかりやすい、そういう行政をつくっていこう。

 こういうことで、確かに、国土交通省でありますとか総務省、そういうような巨大官庁ということは御指摘のとおりだと思います。しかし、今言いましたような、横の連携を密にすることによって、また内閣府というものの存在、それから経済財政諮問会議、ともすれば巨大な官庁の弊害というものをそこで取り除いて、迅速果敢なそういう新しい省庁体制、そしてそれは総理大臣のリーダーシップのもとで行っていこう、こういう側面もありますので、御指摘の面を我々は踏まえながら、そういう弊害が起きないようにこれから注意をして努力していかなければならない、そのように思っています。

田中(慶)委員 二十一世紀という新しい世紀を迎えたわけでありますから、やはりそれぞれが役割分担をしていかなければいけないわけでありまして、今、地方分権という法律ができて、そしてそれぞれの役割分担をして地方にもっともっとその役割をおろしていかなければいけないわけでありますが、役所というところはなかなか自分のエリアを地方におろさない、これが今までの慣例だと思っておりますし、今回のように、一府十二省になり、巨大官庁ができたということは、より不透明な部分があるわけであります。不透明であるならば、それを透明にするためには徹底的な規制緩和をしていかないといけない、このように思っているわけであります。

 今スピードが要求されているわけでありますけれども、大きくなればなるほど判この数が余計ふえている、こんなうわさが今出ているんですよ。ですから、やはりそういう点では、スピードというものが今要求されているのに、何も判この数を余計押さなくてもいいわけでありますから、その辺を含めて徹底的に、大臣は少なくても自分の足元からそのことを徹底してやってほしい。これは要望しておきます。

 そこで、実は、皆さんも御承知のように、ことしの予算を見ても約三分の一は借金ですよね、はっきり申し上げて。この借金体質はこれからも恐らく数年続くでしょう。そして、国、地方を合わせて六百六十六兆円というこの借金をやはり返す努力をしていかなければいけないわけですけれども、現実には、今の段階では借金がふえる一方で、減ることは予想できません。

 しかし、そういう中でみずからの努力をしていかなければいけないのは、やはり特殊法人、認可法人。少なくても、ことしの予算だけでも約三兆一千億、これが補助金ですよね。これを大臣、どう見ますか。その補助金は正しいと思っているんですか。今の世の中の仕組み全体を含めてどう考えますか。

平沼国務大臣 確かに、特殊法人や公益法人、この数が膨大になっているということは事実です。その中で、やはり社会的な要請で存在が必要なものがあることも事実であります。しかし、それを整理合理化していくということも、やはり今御指摘のとおり必要なことだと私は思っています。ですから、そういう意味では、そこに対する補助金というものも大きく見直していくべきだと思っております。

 今、総務省でその辺を集中的に検討しているわけでございまして、我が経済産業省にもそれぞれ公益法人ですとか特殊法人がたくさんございます。そういった中の見直しも、当然、合理化をやっていかなければいけない、そういうふうに私は認識をいたしております。

田中(慶)委員 少なくても、今日までの日本の政治体質と官僚の組織の中で特殊法人を減らすということになると、いろいろな理屈ばかりつける、正直、私は実態だと思います。だから、特殊法人、認可法人はゼロにしなさいとはっきり申し上げている。私の哲学なんですよ。

 もう役割の終わったものを廃止する。民間企業でできるものは民間にお任せをする。地方でできるものは地方に任せる。どうしても必要なものはもう一度つくり直せばいいんです。ゼロからする。この認識がなければ、必ず残す原理で、あれが必要だ、これが必要だ、全部残すことしか考えていない。ですから、私は、少なくても特殊法人はゼロにしなさいと。

 認可法人を見てください。今迷惑しているんですよ。認可法人があっても、そこはみんな天下りの受け皿になっている。幾つあると思いますか、認可法人。全国で二万六千ですよ。一人ずつ行ったって二万六千人の受け皿になっているんですよ。では、そこは今、その人たちは、かつては必要だったかもわかりませんけれども、IT革命じゃありませんけれども、時代とともに、しようがないや、これが実態なんです。

 ですから、スクラップ・アンド・ビルドじゃないですけれども、ゼロにしなさい、そしてどうしても必要なものを最終的にはやればいい、こんな考え方を持っておりますが、大臣はどうですか。

平沼国務大臣 確かに御指摘のように膨大な数、私も申し上げたとおりでございまして、スクラップ・アンド・ビルド、ゼロからスタートする、それも一つの御見識だと思います。

 しかし、今申し上げたように、やはり社会的なニーズがあって存在しているところもあるわけであります。それからもう一つは、やはり公務員の、今大体五十代半ばになるとそういう形で人事的に役所を去るというようなシステムになっています。ですから、これから一つの考え方として、高齢化の時代に相なりますので、そういった中で、やはり公務員がもう少し長く、その実績と経験を生かして、そしてその職場で働けるようなシステムをあわせてつくっていって、やはりスクラップ・アンド・ビルドをしていかなければならない。

 やはり、それは確かに御見識ですけれども、今急にやってしまいますといろいろな問題があることも事実です。ですから、私は非常に貴重な御意見だと思いますけれども、それをやるにはやはり副次的ないろいろな体制を整備して、そういう中で、激変というものはやはり大きな社会的混乱を伴うと思っております。しかし、おっしゃっていることは方向としては間違いない、私はそういうふうに思っています。

田中(慶)委員 大臣は先ほど、痛みは分け合わなければいけない、別に言葉じりをとっているわけじゃありませんよ、そういうことも言われて、あなたの所信の考え方だと思うから私は聞いているわけであります。

 例えばITを含めた情報というものが、後進国だから五年間で少なくてもアメリカに追いつき追い越せ。アメリカは規制緩和をやったんですよ、特殊法人をなくしたんですよ、はっきりと。少なくても乱暴なくらいこれをやる。今、五十代で肩をたたくからと言った。じゃ、ピラミッドを直して円筒形にすればいいじゃないですか。政治がリーダーシップをとるというんであれば、そのくらいのやり方を考えてできる。やれないんじゃない、できるんですよ。

 サッチャーだってやったでしょう。いろいろなことを含めて。レーガンだってやったじゃないですか。先進七カ国の人たちはほとんど、いろいろな形で生き残りをかけてやってきた。日本だけがどちらかというとしがらみ、そして借金ばかりがふえているわけです。

 もうこれは新しい世紀なんですから、そのときあなたは大臣をしているんですから、そのくらいの発想の転換があってしかるべきだと思うんです。どうですか。

平沼国務大臣 確かに、レーガン、サッチャーの例をお出しになられましたけれども、サッチャーなんかはサッチャリズムという形で公的なものをエージェンシー化して、そしてなるべく民間の活力を生かす、こういう形をやりました。当然日本もそれをやらなければならないと思っています。ですから、おっしゃっている方向は、先ほど申し上げましたように、私は正しい方向だと思っています。

 そういう中で、今、総務省で公益法人や特殊法人の見直し、合理化、そして不要なものはなくす、補助金も減らす、こういう形でやっておりますので、私どもとしては、経済産業省を含めてそういった問題に果敢に挑戦しなければいけない、こういうふうに思っています。

田中(慶)委員 特に日米の貿易摩擦の問題で、かつては繊維があり、鉄鋼があり、電機があり、自動車があり、次々と、昔はガットがあって、WTOという形で、いろいろな要素で、日本という国をある面ではよきパートナーと言っておりますけれども、うまく利用してぼんぼんやっている。この二十一世紀、ブッシュ政権が誕生してより強いアメリカということを主張される。あのスタッフ、副大統領も国務長官も大変強い人たちでありますから、そういう点では、日本という国がそれに対抗するためには、追従じゃなくして、イエス、ノーをはっきり言える、こんな日本になっていかないと、この二十一世紀という新しい世紀、私は大変心配になってきているわけであります。

 アメリカは確かによきパートナーと言っておりますけれども、必ず日本は、それぞれ分担をしなさい、こんな形で肩がわりを強いられる。私は、そんなふうに、この親子二代のそれぞれブッシュ政権を見ながら考えてみますと、そのことが予想されるわけでありますけれども、大臣はどう見ていますか。

平沼国務大臣 ブッシュ新政権は、前のクリントン政権と違いまして明確に打ち出したのは、やはり対日関係を重視しよう、こういう認識であります。ブッシュ政権が誕生する前に、アメリカのスタディーグループなんかがレポートを出しておりますけれども、これは非常に対日政策を重視する、こういう形で来ておりまして、そういう中で、今委員御指摘のように、そういう親日派または知日派が多い、こういうことで、いい面もあるけれども逆に強い面があるのじゃないか、こういう御指摘だと思います。

 ですから、日本をよく知っている人たちでございますから、我々としては、共通の基盤があるわけでございますから、その中で言うべきことは言い、そしてノーと言えることはノーと言って、しかし、日米関係というのは日本の基軸的な関係でございますから、大切にしながらつき合っていかなければならないと思っております。私も一月末、私のカウンターパートであるエバンス商務長官、あるいはリンゼー経済担当顧問に会いまして、そして私どもの今の経済の取り組み、それからアメリカの対応、これについて話し合いを持ってまいりました。

 これからもそういう形でいろいろ話し合いがあると思いますけれども、経済産業省といたしましては、例えばアンチダンピングの問題、そんな問題に関しても毅然と対処していきたい、こういうふうに思っています。

田中(慶)委員 特に大臣に要求しておきたいことは、かつて日米通商の中で次々と、繊維、そして鉄鋼、さらには電機、自動車、こういう形で、パートナーでありながら、日本の実態を知れば知るほど、どこをつけば日本という国はすぐイエスと言う、日本にはノーというものがない、こういうことがわかるわけでありますから、そういう点でしっかりと政治がリーダーシップをとっていかなければいけないわけでありますので、ぜひそのことに努力してほしいと思います。

 もう一つは、やはり認識を新たにしていただきたいのは、大臣、公共事業で日本の景気を支えるということはもはや行き詰まっていると思います。やはり景気回復は、消費ですから、消費拡大。経済を支えるのは六〇%以上がこの消費だと言われているわけですから、そのことにこれからの指針といいますか方向を定めていかないと、いつまでたっても、公共事業に頼っていたのでは、はっきり申し上げて日本の景気はよくならないと思います。

 まして、政治家も反省しなければいけないのは、公共事業という名のもとに、本当に必要か必要でないかを見きわめて、評価基準ができているからということを言われておりますけれども、人も通っていないところに道路を整備したり、全国の四千カ所の港の整備をしましたけれども、大型タンカー船が本当に入ってこられるのは、この四月、横浜の南本牧だけですよ。みんなそんな形で、小さいところを整備して、何百億とかけて、そこは釣り堀みたいな形になってみたり、あるいはモータープールになってみたり、こんなことをしているわけですから、経済効果が出てこない。

 そんなことを含めて、消費が拡大するような政策を打ち出さない限り日本の景気はよくならない、このように思っておりますので、そのことを含めて、最後に大臣の所信を聞かせていただきたいと思います。

平沼国務大臣 田中委員御指摘のとおり、やはり日本の消費というものが、今非常にまだ元気が出ておりません。消費というのはGDPで六〇%を占める、非常に大きな分野であります。これはなぜ出てこないかというと、それは御承知のように、先行き不透明感、そういうものが非常に国民の消費を鈍らせていると思います。

 しかし、一方において、日本の個人金融資産というのは千三百九十兆もあるわけです。ですから、この財布を緩めるためには、やはり不安感を払拭させる。そのためには、やはり具体的なビジョンというものを描いて、それに対してこういう手だてで行きます、ですから将来こういう形になるということを、今御指摘の規制緩和や構造改革や、あるいはそういう理不尽な形で一部ある特殊法人の存在だとか、それから不良債権の問題、そういったもののやはり青写真というものをぴちっと示す。私はそのことに尽きる。それから、国としてやるべきことを一つ一つこなしていく。こういう形によって国民の不安感を払拭して、そして消費を伸ばしていく。

 しかし、公共事業も、もう委員御指摘のとおり、必要なものは必要だと思っておりますが、不要なものは御指摘のとおり断ち切らなければならない、こういうふうに私は思っています。

田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにしても、政治は夢とロマンを持って、それに邁進をするためのリーダーシップを求められているわけですから、そのことをやはり大臣、しっかりと認識して取り組んでほしいということを要望して、質問を終わります。

山本委員長 中山義活君。

中山(義)委員 ただいま、青年の心を忘れない、元気な田中先生がいろいろ質問をいたしましたが、私も青年のころは当然文学青年でございまして、特に私どもの選挙区は文京区にありまして、東大、そして教育大学とかまたは拓殖大学とか、うんと大学がありました。特に東京大学の赤門の前には、本屋さんがたくさんありました。また、私の出身校である教育大の周りも、本屋がたくさんありました。

 しかし、私は体育学部でございましたので、どちらかといえば運動ばかりやっていましたが、それでも、昼休みになりますと、本屋さんに通っては立ち読みをする。そして、いろいろな本を見ながら、もっとおもしろい本があるのじゃないかと思って、大きな本屋さんに行くのです。そこで本を探します。しかし、その本をあえて自分の学校の近くの、いつも立ち読みしている、そんなに大きくはないのですが大変味のある御主人がいるところで、話をしながらそこで本を買う。こういうつき合いをしていたわけですね。その中で、自分たちの教養であるとか、または自分の専攻している学問の深さをつくってきたわけです。

 特に、解剖学の本なんかも、体操にとってはすごく大事ですから、いろいろ勉強するわけですが、その中にもっといい本があるというと、さらにもう一度、三省堂だとかまたはいろいろなところに行きます。紀伊国屋にも何回も行きました。しかし、買うときはやはり地元の本屋さんで買うというような、そこまでして我々は地元の本屋さんの中で勉強してきた思いを持っていたわけですね。

 今回、再販制度が見直されるというようなことで、私どもは絶対に再販維持、こう思っているのですけれども、この辺は本当にしっかり考えてもらわないと、日本からそういう学生の、書生としての文化とかそういうものがなくなってしまうのじゃないか、こんなことを危惧しているのですが、まず御答弁をいただきたいと思います。

根來政府特別補佐人 この委員会でも再々お話がございますように、最近の日本の経済社会というのは、規制緩和あるいは自由競争ということを基調にいたしまして、経済の構造改革が推進されていることも事実でございます。そういう時代に、独占禁止法に定めます適用除外、これは先ほど先生が御指摘になりました書籍の再販の問題も含むわけでございますが、その適用除外というのをできるだけ狭めていく、縮小していくというのは、やはり理論的あるいは論理的な帰結であろうかと思うわけでございます。

 しかしながら、ただいま御指摘になりました書籍に限っていいますと、再販制度を廃止することによって、いろいろ文化的な問題が提起されておるわけでございまして、こういう文化的な問題は、私どもが所管するわけではございませんけれども、当然、その適用除外制度を縮小するということについて考えますときに、そういう文化的な問題も当然念頭に置いて対処すべきものと思いますので、私ども、そういうことを念頭に置きまして、十分考究して考えつつあるところでございます。

中山(義)委員 根來委員長、これは本当に日本の文化とか伝統とか、そういうものが著しく変わる可能性があるのですよ。これはある意味では、ある湖にブラックバスを入れるようなもので、とんでもない自然破壊みたいなものが起こるかもしれませんよ。

 ここにいらっしゃる方は、みんな昔はやはり勉学に励んで、恐らく大学の近くの本屋さんに行って立ち読みをしていると思うのです。立ち読みをして、本を吟味して、そして本の内容を見て、恐らく買っているのだと思うのですよ。そして、そこのおやじさんと人間関係ができれば、いろいろな社会的なお話もするだろうし、世間話もするだろうし、そうやって我々は書生として学校の中で勉強してきたわけですね。または、本屋で知り合った友達もいるし、いろいろな部分で、大学の近くの小さな本屋さんこそ、ある意味では学生が勉強するところなのですね。そういう生態系が壊れてしまうというような不安があるので、私は先ほどから申し上げているのですね。

 それと同時に、本というのは、やはり値段を競って売るようなものであるとか、または安くしたから売れる、そういう種類のものではないと思うのですね。たまたまベストセラーなんかで、しょっちゅう店頭に並んでいるものがありますよ。石原慎太郎さん、かく言うとか何か、ばっと並んで、こういうものは確かに売れますよ。だけれども、こういうものばかりになったのでは困るのですね。それには、本当に自分が、ああ、この本にめぐり会ってよかった、そういうところが必要なのですね。

 そういう面では、もう一度、よくこれを慎重に考えて、日本の本来の歴史や文化というものを守る意味でも、委員長、もうちょっと思いやりのある答弁がいただけませんかね。

根來政府特別補佐人 私も、社会評論家ではございませんので、独占禁止法を所管しているという立場でございますので、今の自由競争による経済構造改革ということになると、やはり適用除外というのは縮小すべき問題だ、こういうふうに一つは思っているわけでございます。

 しかしながら、おっしゃることも全くわからないというわけではございませんので、それは十分承知しておりますし、いろいろ意見をちょうだいしている中にも、そういう意見が非常に多いわけでございますから、当然、そういうことを念頭に置いて対処いたしますので、この程度で御勘弁いただきたい、こういうふうに思います。

中山(義)委員 例えば、新聞なんかを読んでいるときに、いろいろ各社新聞の意見が違いますよ。こっちが安いからこっちを買って、こっちは高いから買わなかった。これでは、ある意味では、思想まで限定される可能性があるのですよね。だから、安いとか高いで買っているわけではないし、恐らく内容とか、それからいつも届けてくれるから新聞を買う、こういうことだと思うのですね。ですから、いろいろな意味で物を書いてそれを伝えるという作業については、やはり公平にやってもらいたいという気持ちがあるのですね。

 ある地域である新聞社がすごく強くなって、大きく販売して安くなった、だから、もうほかの新聞は入ってこられないというようなことになると、僕は思想的にも偏ってしまうというようなことがあり得るのではないかと思うのですね。そういう面で、私は、この再販制度を維持していくということは、日本にとって、将来的にも、思想的にも、平均に日本全国同じような考え方が伝わるし、または、いろいろな考え方も同時にその中で存在していく、このように考えるわけでございます。

 今、インターネットの時代ですよ。情報というものは、確かにスイッチを入れればすぐに伝わってくるかもしれない。それから、例えばキーボードをたたいて、ワープロのように、自分が考えなくても漢字が出てくる。しかし、子供たちは、あの本を読みながら、自然に漢字を覚えたり、人間の、本当の日本の言葉というものをあの本の中で習得しているのだと思うのですね。そういう面では、この分野について、余り商業主義といいますか、値段の競争で争わせる、こういうところは非常に私は問題点があると思っているのです。

 古きよき時代、本当に書生という形で、いろいろ文学であるとか、または情報であるとか、またはいろいろな政治的な記事であるとか、こういうものを満遍なく習得してきた、そういう時代をやはり大切にしなければいけない。今は新しい受け身の時代で、テレビをつければテレビから入ってくる、ラジオから入ってくる。こうではなくて、自分が積極的に情報をとろう。これはやはり書物だと思うし、または新聞だと思うのですね。

 こういう面で、絶対再販制度を維持すべきだと私は思いますけれども、委員長、もう一度この点について、慎重を期しているかどうかだけでも話してください。今の顔を見ていると、どうも、御勘弁くださいなんて言っちゃって、私だってそう言われれば勘弁できませんよ。そういう面で、ひとつもう一度、ここにいるみんな文学青年ですよね。大臣だってそうですよね。平沼大臣だって恐らく、本を読んで、立ち読みして、大学の近くの小さな本屋さんで一生懸命本を読んで、それで今大臣になったのではないですか。その辺もちょっと含めて。

根來政府特別補佐人 私は、おっしゃることは、別に否定するつもりもございませんし、そのとおりだと思います。私ども、委員会の方も、平成の初めごろから、こういう時代の風潮を受けまして、適用除外の縮小ということでお願いしているわけでございます。

 これは、例えば、いろいろの適用除外の制度も縮小していただきました。しかし、適用除外の制度がなお残っているわけでございますので、平成の初めごろからずっと、私ども慎重に検討をしているわけでございます。

 部内でも甲論乙駁の意見がございますし、いろいろ周りからおっしゃる意見もございます。そういう意見を勘案して、慎重に慎重に検討して結論を出すつもりでございますので、御了承願いたいと思います。

中山(義)委員 勘弁から今度御了承になりましたけれども、了承するというわけではないのですが、自分の意見だけ主張してこの質問は終わりたいと思います。

 北海道で買っても、九州で買っても、東京で買っても同じものが買えるという制度は、最後は本にしか残ってこないのかなと思うのですね。そういう面では、知識とか本というものは商品なのか、それとも作品なのか。私は、かなりの部分で作品、またはそれは勉強する道具だ、こういうようにも考えているわけなんで、単純にそれを商品という考え方だけで押していくとえらい問題が起きるな、こんな気がするわけです。

 また、新聞も、全世界を見ても、我々があるところへ行ったら、ちょうど車がとまって、そこに新聞売りの子供たちが来て一生懸命売っているのですね。だけれども、やはり新聞というのは、家に持ってきてもらって、ある時間朝飯を食いながら見ることが習慣になっている我々にとりましては、新聞はやはり持ってきてもらう、今それが当たり前だと思ってしまっているんですね。しかし、その当たり前のことがなくなってしまうということは大変なことで、日本人の頭の程度もそれで変わってしまうかもしれない、そういう面でも、慎重に慎重に御検討いただくよう、心からお願い申し上げまして、この質問は終わります。

 平沼大臣、大変お待たせをいたしました。石油のことについて御質問したいと思うのですが、昨今の論議では、石油は、国がしっかり国策として、いわゆる戦略的にやっていくべきだという意見と、いやいや、もうこれは全部市場にゆだねるべきだという意見が二つあります。どちらも私は正しいと思うのですね。

 昨年、ちょうどこの委員会の理事でヨーロッパへ行きました。そのとき、大変だったのですよ。あるところは全然もう道路が封鎖されてしまって、しようがないから電車で行ったりしました。そのときには、もう石油パニックというもので大変な問題になった。何でこんなことが解消できないんだろうと我々は随分不思議に思った。日本にはこんなことはないじゃないか。こういう話をしたところ、やはり年輩の方は、そうじゃないよ、中山さん、昔こういう石油パニックがあったと一生懸命説明していまして、やはり国が石油というものを仕切っていかないと大変だ、こういう論議があった。一方は、いやいや、石油というものは、もう自由市場に絶対任せた方がいい、この値段そのものも、自然に石油というのは下がっていきますよ、こういう話があった。

 ところが、あの当時、見ていると、二月に十ドルだったものが、その年に三十ドルまで上がってきた。やはり短期間にすごい値動きをするわけですね。こういうものを自由経済の中に任せていいのかどうか。こんな思いも私にあったわけです。

 大臣の考え方としては、石油という問題について、今我が省はこう考えているということがありましたら、まずそれをお話しいただきたいと思います。

平沼国務大臣 お答えを申し上げます。

 今、石油というのは、これは委員よく御承知のように、一次エネルギーの五二%を占めております。今、昨年の石油価格の高騰のお話をされました。確かに、これは非常に世界経済に大きな影響を与えました。ですから、そういう意味で、私は、民間の活力を導入しつつ、やはり国が最終的な責任を持つという形がよろしのじゃないか、こういうふうに思っております。

 そういう中で、これも委員よく御承知だと思いますけれども、昨年、イランのアザデガンという油田に関して、その採掘の最優先権、この交渉を私はさせていただきました。これもやはり国がコミットをして、そして、日量四十万バレルですけれども、そういった油田を確保できた。

 ですから、私は、民間の活力をやはり導入しつつ、しかし、基幹的な、非常にフェータルなそういう意味ではエネルギー源でございますから、やはり国がしっかりとコミットをしながら石油政策は展開をしていくことが必要だと思います。

中山(義)委員 今の答弁ですとちょっとまだよくわからないのですが、具体的な例を言いますと、アラビア石油の問題ですね。あのときには確かに国が、あの当時の通産大臣が向こうへ行っていろいろ交渉をした。しかしながら、最後には、民間企業だから二千億円の鉄道をつくる支援はできない、こういう結論を出したわけです。

 これを見ますと、今のお話の中で、あるときは国家的なプロジェクトだ、あるときは国が仕切らなければいけない、しかし、ちょっと国の都合が悪くなると、あれは民間企業だからと切り捨てる。何か私どもとしては都合のいい考え方だというふうに思いますが、今の論理というのはちょっとそんな感じがしないでもないのですが、いかがですか。

平沼国務大臣 いわゆるアラビア石油の問題、今言及されましたけれども、これは当時の深谷通産大臣も大変問題意識を持って、国としても問題意識を持って相当コミットさせていただきました。

 しかし、現実問題として、あの鉄道建設というものが、ある意味ではその事業自体が大変大規模であり、そしてまた、その方法論として、それを国がやるということで国民の合意形成ができるかとか、そういう問題がありました。

 そういう中でぎりぎりの努力をいたしましたけれども、ある意味では非常に大きなそういう先方の要求があった、こういうような形で、あの件は残念ながら断念せざるを得なかった経緯があります。しかし、あのときも、国としてはでき得る限り、担当大臣が現地に飛んで、相当緊迫した中での折衝をしたことも事実でございます。

 ですから、そういう中で、都合が悪くなったから、民間だから、必ずしもこういうことでもないと私は思っています。

中山(義)委員 あのときも、私ども、今度問題になっている公団との比較でいろいろ話をしたのですね。二千億円をなぜ出さないのかと言ったら、いや、これは民間企業に二千億円出せるわけがないと。これが一つです。私らは、あんなに銀行にお金を何兆円もつぎ込んでいるのに、石油というものがもし国家プロジェクトという形でやっているならば出したっていいじゃないかと。

 それともう一つは、石油公団が一兆八千億円近く使っていながら何も掘り出していないじゃないか、だったら今ある油田をしっかり確保する方が大事ではないですか、こういう論議をしてきたわけですね。

 そのときに、単純に言えば、最後は民間だからそうはいかないという考え方だったわけですよ。でも、私はやはりその中に、どうも、あの当時の通産省、今は名前も変わりましたけれども、石油戦略というものが全然見えないのですね。日本のエネルギーの戦略はこうなんだ、今はこういう過渡的なエネルギーを使っているが、将来はもっと自然エネルギーを使うとか、自然エネルギーに対するエネルギーシフトはこうやって考えているとか、それから原子力発電についてはこういうふうに考えているとか、そういうものが全然見えなかったのですね。

 例えば、原子力発電だって、自然エネルギーを主張している人たちは、日本の軽水炉の成熟した原子力発電もチェルノブイリも同じように言っているわけですね。あのチェルノブイリがあったから原子力発電はすべて危ない。だけれども、日本の軽水炉を今製作している人たちからすれば、とんでもない、似て非なるものだ、こういうような反論だってあるわけですね。

 ですから、本当に原子力発電が安全性があって、その安全性をもっともっと求めていくことによって原子力エネルギーはこれだけ確保する、それから、石油の方はこれだけ必要なんだから、これは絶対に国策としてここまでやるというところが全然見えないのですね。

 私はよくアメリカの例を出すのですが、アメリカは、第二の産油国であったって五〇%以上外国から輸入しているわけですよ。しかも、カスピ海まで手をつけた。そして、メキシコはもちろんのこと、南アフリカ、ベネズエラなんというのはすごい大きな産油国ですから、そこにもちゃんと手をつけている。世界各国どこでもちゃんとやって、もう戦略をしっかりやっている。

 そういう面から見ると、日本は余りにも戦略のない国家に見えてしようがないのですが、その辺はいかがでしょうか。

    〔委員長退席、岸田委員長代理着席〕

平沼国務大臣 アメリカの例をお出しになりましたけれども、アメリカ自体が大変戦略的な国家でございますから、特にエネルギーメジャーというものがそういう中で、イニシアチブを持って世界戦略をやって、それを国が後押ししている、こういう構図があると思います。

 御指摘のように、アメリカの場合はテキサスを中心に油が出るわけですけれども、それは採算性の問題等がありまして、それから、将来に対する備蓄を国内にしておきたいという形でよそから入れているということも事実であります。

 日本の場合には、そういう意味で戦略性がない、こういう御指摘でございますけれども、しかし、やはりこれだけの経済大国、工業立国でございますから、国としても石油というものは非常に大切に思っておりまして、そういう中で、ある意味ではぎりぎりの努力はしているところであります。

 ですから、確かにアラビア石油の問題は非常に努力をしたのですけれども、そういう経済原則だとかいろいろな観点から非常に残念な形で断念せざるを得なかったのです。しかし、一方において、我が通産省当時から一生懸命努力をしていたのは、やはりそれにかわる油田を確保しようじゃないか、こういうことで、先ほど触れましたけれどもイランのアザデガン、これは、アラビア石油の、サウジアラビアの油田というのは日量約十万バレル、その四倍のものが確保できた。これもやはり、非常に小さな芽の段階から戦略的に育てて、そして優先権を持つに至った。こういうことも戦略的に努力をしております。

 確かにアメリカ等に比べれば、エネルギー政策、先ほど原子力の軽水炉のことも言及されましたけれども、これだけ日本が原子力発電というものをやってきて、そしてその安全性に関しては非常に大きな信頼度を持つに至った、チェルノブイリと一緒になっているということは、まだまだ政府の戦略的なPRが足らない、こういったことは御指摘のとおりでございますので、そういったことも国民の皆様方に御理解していただくように努力はしていかなければいかぬと思います。

 御指摘の戦略性の問題は、私どもとしてはしっかりと受けとめさせていただいて、さらに、国民の皆様方が油が断たれた、そういったときに大変パニックが起きないように最善の努力はしていきたい、こういうふうに思っています。

中山(義)委員 日本人の国民性、もう皆さん、私も日本人だから一番わかっているのですが、過去のトイレットペーパー騒動であるとか、また二、三年前の米騒動であるとか、ちょっとなくなるというとパニックを起こしますよね。

 そういう面から見ても、やはり政府から、今こうやって国策で石油というものは考えている、または、市場でもこうやって安定した今商品となっているというような説明がいつもないと、またそういうアナウンスがないとやはり心配があるわけですよね。

 私も、ヨーロッパで昨年の九月ごろになったときに、ひょっとしたら日本に飛び火してくるんじゃないか、こんな心配も随分しました。しかしながら、政府の方から余りそういうアナウンスがなかった、または一般の人が余りそれに関心がなかったのかもしれませんが、それで済んだからよかったなと思うのですね。

 だけれども、戦略的という話から見ると、どうもやはりイランの問題でも、八五・何%は全部中東に相変わらず依存している。しかし、今回の石油公団という名前は、あれがもし活躍してくれるなら石油天然ガス公団という名前にしなければ、これから国民に受け入れられないですよ。これは名前だけでも、私の意見ですからどうか知りませんけれども、このくらいのことは、はい、そうですね、こう言ってもらいたいですね。それじゃないと、石油公団というのは何の意味もない、何か戦略性のないいわゆる公団だと思うのですよ。

 やはり、これからエネルギーをほかの地域にシフトさせるためには、天然ガスはアジアの地域にもうんとありますよね。それから、サハリンから直接パイプで持ってくることもできる。そうすればエネルギーの戦略性が出てくるわけですよ。今までは本当に中東依存だ。しかも、さっきのアラビア石油の問題も、アラ石の人たちがあの中東に何百人もいるわけですね。それだけでも外交官がいるようなもので、いろいろその地域のことがよくわかる。この間も河野外務大臣が行きましたね。あのときも、石油のことで何か中東へ行ったという話を聞いています、半分ぐらいその意図があったと。つまり、それだけ外交面であるとか、本当は国が相当そういうことを先導していかないと本来できない問題だと思うのです。

 しかし一方、やはりこれは市場経済だという部分もあるわけです。ですから、いつか、たしか平沼大臣だと思いますが、いや、うちは石油を買うお得意さんなんだ、相手が売る方ならばうちはお得意さんだ、だからうちの言うことも聞くし、向こうがお得意さんを失うようなことはしないから日本のことは大切にする、こういうような話をしておられたことを覚えているのです。これは前の通産大臣ですか。前の通産大臣もよく知っている方なので。

 やはりいろいろな意味で、この問題というのは、あるときにはとんでもない深刻な問題になる。例えば、米メジャーが油田開発を大分加速させて相当いろいろ手をつけ出したのですね。これは、ある意味では、この間石油が上がったことでメジャーがすごくもうかったということで、そのもうかったものを投下していろいろなところにもう一度シフトしているということなので、日本はこのメジャーから比べると極めて小さな組織だと思うのですね。野球ではいわゆるマイナーリーグですよ。

 こういうことも大臣はしっかり把握していると思うのですが、この規模の問題で、日本が後で大きな損失を得るような、例えば中東戦争が起きた、または、今イラクに爆撃をしていますが、何かとんでもない問題が中東に起きた、こういうときにおかしなことが起きる、またはパニックが起きる、こんなようなことは全然感じておりませんか。

平沼国務大臣 第一次のオイルショックのときに、御指摘のように国内がパニックになって、スーパーマーケットからトイレットペーパーがなくなったというのは象徴的なことだったと思います。そして、第一次、第二次オイルショック、その教訓に立って、日本の場合には相当備蓄というものを充実してまいりました。これはもう委員よく御指摘のとおりだと思います。

 したがいまして、この備蓄体制も強化をしていくということはこれからも大切なことだと思っていますし、昨年の原油価格の高騰のときに日本がそれほど慌てなかったのは備蓄を持っていた、こういうことも一つ言えると思います。その中で、いわゆる原油価格の安定のために、日本が世界に向かって、日本の備蓄を一部放出してもいいというアナウンスもしまして、それで、一つの効果で原油代金が鎮静化していったということも事実であります。

 ですから、そういう中で、今御指摘のように、天然ガスのお話もありましたけれども、我々、中東に八〇%以上依存しているということは、やはり国策上非常に偏った形で、御指摘のとおりだと思うのです。そしてまた、これからCOP3、COP6というような問題の中で、CO2の排出量、これも自主的に削減をしていかなければいけない。こういうことを考えたら、これから天然ガスの必要性というのは非常に高まってまいりますし、サハリン沖では、御指摘のように大変大きな天然ガス油田も既に現実のものとなっています。だから、そういったことを含めて、やはり長期的な戦略を立てていくことは、私は必要だと思います。

 そういう中で、石油公団、これがやはりメジャーの投資なんかに比べてまだまだ少ないのではないか、そういう御指摘があるわけでございますけれども、この石油公団が、今、民間企業を支援する形で、御承知のように石油の自主開発というものの確保に努めてきているわけでありまして、現在、自主開発の原油の輸入量というのは、これも委員よく御承知のように、一五%を占めるに至っています。

 そういう意味で、大体一兆円ぐらいの規模で小さいのではないか、メジャーというのはもっともっと、一社当たり一兆円ぐらいでどんどん自主開発している、そういったこともございますので、今後、経済産業省といたしましても、石油公団を中心とした自主開発を強力にさらに進めていきたい、こういうふうに思っておりますし、これまでに実施してきたさまざまな業務改善に一層努めてもらうとともに、改正法案、これは御承知だと思いますけれども、今国会に提出をさせていただいて、時代に即応した、そういう体制もとらせていただこう、こういうことも思っておりまして、私どもとしては、石油公団の機能強化も真剣に考えていかなければならない、こういうふうに思っています。

    〔岸田委員長代理退席、委員長着席〕

中山(義)委員 米メジャーが大分統廃合されて、合併をしたりしてどんどん大きくなっている、この事実を見ますと、その中には、すごいリストラとか、とんでもない数の人間がやめたりしているのですね。そういう面では、彼らは大きくなったと同時に非常にスリムになって、実は相当強力な相手だと私たちは判断をしているのですね。

 そういう面では、今度の公団、先ほど言いましたように、これが石油公団じゃなくて、まず石油天然ガス公団ぐらいにしてもらって、本当にリストラだとか何だとか、今までやってきたという実績をしっかり示す。それじゃないと、全体の石油戦略、石油、天然ガスの問題とか、こういう問題が、いわゆる石油公団のあり方とか、そういうことに矮小化されてしまって、本当の意味でのエネルギー戦略まで話がいかないでそこで終わってしまって、やはりだめだと法律を否決される。もちろん、それは与党さんがすごくいるわけだから、それはないでしょうけれども、反対に回らざるを得ないような状況だって出てくるわけですよ。

 ですから、やはりその裏には大きな石油戦略があって、しかも公団のことについては徹底的に、エクソン・モービルや何かと同じようなリストラを行って、対抗できるような力を持てるようにしなければいけないと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

中山副大臣 中山委員に中山の方からお答えさせていただきます。

 いろいろ石油政策ないし戦略性の問題等を御指摘いただきまして、まさにそのとおりだ、こう考えているわけでございます。今度、石油公団法を改正いたしまして、もっと石油公団が戦略的に動けるようにという方向で改正していきたい、こう思っていますので、よろしくまた御支援をお願い申し上げたいと思うわけでございます。

 先ほどから、天然ガスの重要性についても御指摘がございました。まさに同じ考えでございまして、天然ガスというのが、御承知のように多様化、いろいろなところからとれるのではないかとか、あるいは地球環境の問題もあるわけでございまして、こういったことを含めまして、石油公団の方でも、これまでの業務に加えまして、天然ガス関連の業務についても積極的に取り組んでいくように、そういう指導もしてまいりたい、このように考えておるところでございます。

中山(義)委員 日本の近海にも、最近はメタンハイドレートですか、こういうものもたくさんある。新しい石油を採掘するときに、同じようなところにあるようなものであるとか、または今まで石油を扱ってきた技術がそのまま生かせるとか、そういうようなものについては、石油公団が今後やはり新しいエネルギーに対して真剣なまなざしを持って、天然ガスはもちろんのこと、それ以外にも、それと同じような活用できるエネルギーがあればそれに目を向けていくというようなことはちょっと考えられませんか。

 というのは、私どもは、石油公団についてこれからはしっかり吟味します。それは、まず内容についていろいろ我々は吟味したいと思うのですね。だけれども、もう一つは、石油公団がどういう意味合いでこれからエネルギー行政にかかわっていくのか、その辺もはっきり示していただきたいと思うのです。その新しいエネルギー、こういうものに対しては全然石油公団は考えないのかどうか。先ほど言ったように、名前はまず石油天然ガス公団に変えるとか、そういう前向きな話を私はしているので、その辺はいかがでしょうか。

平沼国務大臣 やはりエネルギーの総合戦略の必要性というのは、委員御指摘のとおりだと私は思います。そういう意味で、石油公団の機能強化のために法案も提出をさせていただきました。そして、幅広くいろいろな面で検討をするということは、ある意味では当然のことだと私は思っておりますので、そういう御指摘も踏まえながらこれから検討をさせていただきたい、このように思います。

中山(義)委員 この問題は最後にしますが、まずは幾つか要望があります。

 一つは、今言った、石油公団ではなくて石油天然ガス公団というふうに変えるべきだ、このように思います。

 もう一つは、これは大臣、エネルギー全体の問題として、原子力発電について、やはりCOP3のいろいろなあれからいえば、東電が、非常にコストがかかる、または地元の反対がある、ではそれを火力発電にかえていく、こういうことをしていますと、本来のCO2の目標、こういうものが達成できない、こういうこともあるわけですね。

 私は、あるところでいろいろな原子力発電の説明も聞きました。その社長が説明するんですが、たどたどしくてよくわからないんですよ。やはり説明するんだったら、アナウンサーか何か雇って専門に、原子力発電が本当に安全であれば、安全の理由をわかりやすく言えるような、もう本当に専門のそういう説明員をつくる必要があるんじゃないでしょうか。これはすごく大きな問題だと思いますよ。

 日本は大体、マスコミを対象にして、やり方がまずいと思うんですよ。総理大臣に、平沼大臣、お名前が出ているようですが、例えば、やはり総理大臣になろうという人はまずマスコミとの対話だとかなんとかの教育をしっかり受けて、どうやったらマスコミに侮られないか、こういうことを研究するそうですよ。それから、やはり物事は、専門家が説明しないとなかなかうまく言葉が伝わらない部分がありますよ。そのことはよく知っていても言葉にならない、これではだめなわけですね。

 そういう意味では、エネルギー事情が何かをしっかり説明できる人がいて、日本のエネルギーはこうなんだ、だからどうしても原子力発電はこの程度は必要なんだ、しかしこれを将来自然エネルギーにかえていくとか、自然エネルギーにかえるためにはどこが難しいのか、自然エネルギーも必ず将来を担うエネルギーになるんだけれども、ここが問題点、そのコストはだれが負うのか、国民が負うのか、それとも東電や何かそういうところが負うのか、その辺もはっきりして、自然エネルギーを買い付けする義務を負わせるとか、いろいろな意味でやはりエネルギー全体の戦略が必要だと思うのですよ。それが余りにも日本の場合欠けているし、それが広報されていない、わかりにくい、こういうところはすごく大きな問題だと思いますので、総理府や何かでも、テレビに時々出てきてそのくらいの説明はしっかりしてもらいたい、こんなふうに思うわけです。それが石油パニックや何かを起こさない一番大きないい方法だ、このように指摘をいたしておきます。

 次に、ちょっと特許の問題に入りますが、まず経済産業省さんは、略すときに、今までは通産省だったのですが、どういうふうに呼ばれたいですか。

平沼国務大臣 これは、一月六日の中央省庁再編の発足に当たりまして、今までは通商産業省を通産省、こういう形、それから横文字ではMITI、こういう形で呼んでおりました。

 昭和二十四年に商工省から通商産業省になって、経済立国日本の経済の一翼を担うという形で、当省では、やはり冠に経済をつけたい、こういうのが、御承知のとおり、ある意味での悲願でございました。それがこの一月六日から経済産業省になりまして、従来どおりの略称でいきますと経産省、こういうことになりますと、どうしても、計算高いとか、そういうイメージがある、それでしたら、もういっそのことやはり悲願でございました経済省で統一をしよう、こういうことで、私も率先して、略称としては経済省、こういうふうに言っております。

 それから、私のところによく外国のお客様が来られますけれども、彼らはもうMITIということでこびりついておりますので、私は、エコノミックのEが出ましたから、これからはMETIだ、こういうことで大分認識も進んでまいりましたから、そういう形でやらせていただこう、こういうふうに思っています。

中山(義)委員 経産省が軽いとか何だとかいろいろな話も出ましたけれども、ただそういう問題だけじゃなくて、やはり今度の省庁再編の中で、例えば特許庁、これは今の世の中をちょっと考えてもらいたいのですが、ほとんどのものが、発明や発見によって新しいものが世の中につくられていくわけですね。その中で特許というのはすごく大きな部分を占めている。だとすると、特許の中には、幅が広がってくると著作権と全く似たような部分も出てくる。それともう一つは、いわゆる遺伝子組み換え、これは農林省にも関係していますね。またはヒトゲノム、これは厚生省にも関係していますよ。そうなってくると、やはり特許庁というのはもっと何か幅広くできるようなものでなければいけなかった気がするのですね。いまだに著作権はやはり文化庁でやるわけですから。

 そうなってくると、せっかくIT革命でこれを産業の起爆剤にしていこう、そういうことであったならば、何か、特許庁一つだけ残して、特許庁という感じではまずかったのではないかと思うのですが、これは名称だけの問題ではなくて、何か今までとちっとも変わっていないということですが、その辺はいかがでしょうか。

平沼国務大臣 確かに、特許というものはこれからますます、IT、そして知的社会というものが進捗するにつれて重要度が増すと思います。ですから、御指摘の面は確かにあると私は思っております。

 ただ、我々としては、経済産業省の中の重要な一つの柱としてこれを位置づけて、そして委員も特許庁にお行きになられたと思いますけれども、実は、日本の役所の中で特許庁が一番、今の時点ではIT化が進んでいるわけであります。ですから、今、世界で特許申請者は、前は膨大な書類を抱えて特許庁まで足を運んでいたのですけれども、今はもうインターネットですぐ世界から特許の出願がある、こういう状況になりました。

 そして、一方においては、確かに御指摘の面がありますけれども、やはり電子政府をつくっていこう、こういうことで、著作権を含めて、横の連携もそういうネットワークでできる、そういうシステムも構築をしつつあるわけでございまして、御指摘の面もございますけれども、電子政府をやり、ワンストップサービス、そういうような形で対応できるのではないか。

 しかし、御指摘のように、大変重要なセクションでございますから、私どもとしては、この特許庁というものに関しては、これからやはり大切に、そして心を配って、時代に即応するような体制をどんどん構築していかなければならない、こういうふうに思っています。

中山(義)委員 私は、特許というのはやはり、ヨーロッパ、アメリカ、日本、同じような、共通認識でやっていく必要があると思うのですね。それには私どもも、昨年の視察で、九月にWIPOへ行きまして、そこの局長さんにもいろいろな話をさせてもらいました。日本の先願主義、それとアメリカの発明主義、これの問題であるとか、またはヒトゲノムの問題なんかもこれからしっかり考えてもらいたいのです。

 ちょっと前の新聞に、これは産経新聞でございましたが、HIVの発病しないような薬をアメリカが開発した、しかしブラジルでは、もうこれから百万人ぐらいになるというのを、その薬を、自国で生産していないものは認めないということで、どんどん使ってしまった、使って、幸いにして、本来昨年ぐらいで百万人ぐらいになる患者さんを五十四万人ぐらいに抑えた、そういうことがあるわけですよ。

 そうすると、これは、例えば学者の人は、そういう新しい発明や発見をすることによってすごくお金がもうかる、だから投資もする、それがインセンティブになっていると思うんです。しかしながら、一方、お金のない国にとってはそんなこと言っていられない、どんどんエイズの患者がふえちゃうから、どんどんやっちゃう、注射を。そういうことになってくると、こういうような問題というのは国際紛争になってくると思うんですね。これはWTOが間に入っていろいろやっているそうですが、こういう認識について、大臣、どういうふうなお考えでしょうか。

 これは、ヨーロッパと日本とアメリカの中で、特にそういう今言ったヒトゲノムみたいな問題についてやはり一つ考え方があると思うんですが、できるだけ何でもかんでも特許を与えちゃうということになると、後で生物分野や何かはにっちもさっちもいかなくなっちゃう。どんないい発想がわいてもそこへぶつかってしまうなんということがあると大変なので、この辺についてのお考えは恐らく大臣はお持ちだと思うんですが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 プロパテント、こういう言葉がございますけれども、知的財産の重視政策、これはある意味では世界の流れに私は相なっていると思います。発明などの知的創造活動の成果の保護を強化することが、こうした活動に取り組むインセンティブ、逆に、こういう発明を促すというインセンティブもあることは事実ですし、産業発展にこれは十分資していることだ、こういうふうに私は思っています。

 これはもう委員もよく御承知だと思いますが、アメリカにおいては、一九八〇年前後を機に産業競争力に係るヤング・レポートが公表されて、プロパテント政策への転換が進んだ、こういうふうに言われております。当時、アメリカというのは、貿易赤字の拡大を背景に米国産業の国際競争力強化の必要性が強く認識され、そのための手段の一つとして非常に強力に保護をやってきました。それが、ある意味ではいろいろ今御指摘のような問題を惹起していることは事実だと思います。

 しかし、私は、そういうインセンティブを与えるというようなことから、やはりプロパテント政策というものは非常に効果があるし、やはりそれはやっていかなきゃいけない。ヒトゲノムなんというのも、我が省の宣伝になりますけれども、非常に進んでいるものを持っていまして、遺伝子の解析の中でも、我が省の工業技術院の中の研究では、ノーベル賞的な糖鎖の研究なんというのが進んでいます。そういうものもやはり知的の、いわゆる特許として確保していかなきゃいけない。

 ですから、ヨーロッパ、日本、アメリカというものがありますけれども、やはりそういう流れの中でお互いに、この前、特許庁長官が行ってその会議にも出てきまして、お互いに意見の交換をしました。そういう形で、いろいろな問題点がありますから、そういうことをそれぞれの共通の場に立って解決すべきことは解決していくし、それを拡大しなければならないところは拡大していく、そういう基本姿勢でこれからそういうところは構築をしていく。しかし、こういうプロパテントというのは非常に大事なことでございますから、我々としてもそこのところはしっかり外さないように取り組んでいかなければいけない、こう思っています。

中山(義)委員 時間もありませんので、最後にちょっと申し上げますが、知的財産権、その前は知的所有権、その前は工業所有権、そういう話だったですね。つまり、だんだん、知的財産権になってきますと特許の範囲が広がってきていることは事実ですね。ちょっとしたアイデアが特許に結びついていくようなもの、例えばビジネス特許なんかもそういう部分があると思うんですね。ワンクリック方式であるとか、逆オークションとか、いろいろなのがありますね。

 こういう分野も含めて、さっきから言っているように、各省とよく連絡をして、しっかりしたものを戦略として持たないと日本はもうアメリカに勝てないし、それからアメリカにも時にはノーと言える日本にならなきゃいけない、こうも思いますし、知的財産権庁くらいの気持ちでやはりぜひやっていただきたい、こう申し上げまして、一応質問を終わらせてもらいます。

 ありがとうございました。

山本委員長 達増拓也君。

達増委員 まず、IT、情報技術の推進に関する質問を幾つかさせていただきたいと思います。

 情報通信機器の即時償却制度、いわゆるパソコン減税であります。法人、個人事業者、百万円未満の情報機器、通信機器購入の際に、全額購入年度に損金算入をすることができる、そういう即時償却の制度。このパソコン減税というのは、私の周りの、SOHO、個人で物を書いて編集して送ったり、そういうサービスをやっているような人の意見を聞いて、非常にこれは助かった、どんどんやってほしい、そういう生の声もどんどん聞かれる制度であります。ただ、平成十三年度税制改正の中でこのパソコン減税が廃止されてしまう。これは非常に残念であり、かつ我が国のIT推進という観点からすれば、これはもうちょっと続けなければならない、まだまだ続けなければならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 お答え申し上げます。

 達増委員御指摘のように、このパソコン税制というのは大変インセンティブを与えたことは事実でございます。数字は既に御承知だと思いますけれども、例えば平成十一年、十二年度、パソコンの国内出荷数は、それぞれ対前年度比三一%、二五%と伸びまして、平成十二年の国内出荷台数は一千万台を超えたわけでございます。この措置というのは、我が国の情報化に非常に効果があったと我々認識しております。しかし、本制度というのは景気対策としての臨時特例の措置でございまして、今年度末には終了させなければならない、この点の御指摘だと思います。

 経済産業省といたしましては、平成十三年度からは、これまで六年とされておりましたパソコン等の電子計算機の法定耐用年数を、その使用実態に照らして、これは三十六年ぶりでございましたけれども、改定をいたしまして、パソコンについては四年、その他の電子計算機については五年に短縮することにいたしました。これまではパソコンを含めて六年でございましたものをそういうふうに短縮をしたわけです。この法定耐用年数の短縮によって、パソコンを含む情報化投資が今後も進展をし、経済の活性化につながる、こういうことを我々は期待しておりまして、非常に効果があったことは事実でございます。

    〔委員長退席、青山(丘)委員長代理着席〕

達増委員 パソコンの法定耐用年数を六年から四年にする、これは全く当然だと思います。私も、六年前から、ウィンドウズ95が出たばかりのころからのパソコンを使っておりますけれども、これは苦痛でしようがありません。メモリーやハードディスクを増設しても、CPUが弱いので、画像がたくさん入ってくるようなインターネットのやりとりはもうできない。衆議院のLANも、この間新しいパソコンが各部屋に入りましたけれども、三年ちょっとで新しいのが来るわけでありまして、そういう意味ではそこは当然のことだと思います。

 ただ、パソコン出荷台数一千万台ということでありますけれども、アメリカはたしか四千五百万台くらい、ヨーロッパ全体で三千万台くらい、人口の関係もありますけれども、それを差っ引いても、まだまだ日本の場合伸ばしていかなきゃならないところがあると思うんです。

 去年の夏、当時商工委員会の派遣でヨーロッパ視察に参りました。スウェーデンではそういうパソコンの即時償却が一歩進んで、これはスウェーデンの政府のIT担当の人たちが自慢しながら説明してくれた話なんですけれども、従業員に企業が買ったパソコンを安価にリースできるようにして、非常に安い値段で従業員がリースをして、二、三年でそれを自分のものにすることができる。それは、即時償却、損金扱いするようになって、企業にとっても大変有利ですし、また従業員にとっても大変有利である。そのおかげで、スウェーデンは家庭のパソコン保有率が四八%から六七%に急激に上昇した。特に、ブルーカラー世帯でのパソコン保有が進んだ。ですから、我が国でもそのくらいのやはり工夫をして、まず企業におけるパソコンの普及、そしてそれがまた家庭における普及にもつながっていくようなことをしていかなければならないと考えます。

 我が自由党は、去年の総選挙のときに、インターネット接続の携帯端末を全国民に無償配付すべきという公約を掲げまして、平成十二年度補正予算の議論のときも、補正でそれをやれ、それで一気にITの普及、そして経済活性化につなげるのだという主張をしたのでありますけれども、並行して、我が国のITの推進状況と諸外国のそれを比べてみますと、時間がたてばたつほど我が国の立ちおくれが目立ってくる。そういう意味では、全国民に携帯端末無償配付程度ではもはや生ぬるい状況になっているのではないかという危機感を今抱いております。

 一気に普及率を飛躍的に高めるというのも大事なんですけれども、現在我が国のインターネットの普及率は大体二五%、二〇%から三〇%というデータがありますけれども、北米、北欧はもう三〇%から四〇%、五〇%に近い水準になってきて、アジアの中でも韓国、台湾、シンガポールなど、進んだところは日本を追い越そうとしている。また、中身についても、日本ではどうも職場におけるパソコンの利用も、単にワープロ、清書するためとか、日程表をつくるくらいにとどまったりとか、また家庭における利用も、本当に遊び程度の、ホームページをのぞくくらいで、経済社会の改革にまでつながるような、IT革命にまでまだなかなか進んでいないのじゃないかと懸念をしております。

 そこで、職場、家庭と並んでもう一つ大事な場所が学校だと考えます。学校の情報化。これについても、我が国の今の学校の情報化、北米、北欧に比べてかなりおくれていることが懸念されるわけであります。これは、教育の改革という観点もありましょうが、国の競争力を高めて、経済の構造改革、そして景気の回復につなげていくという産業政策の観点からも、学校の情報化というのは真剣に考えていかなければならないと思います。

 そういう意味で、例えばパソコンやインターネットを使った課外活動を推進していくとか、あるいはネットデーというボランティア活動があります。これは、ある一日、ネットデーと決めて、父兄や先生有志が学校に集まって、勝手にインターネット回線を中に引いてしまう。そういう運動がボランティア的にあちこちで行われているのですが、そういうところへの支援を経済産業省としても真剣に考えてやっていかなきゃならないと思うのですけれども、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 達増委員御指摘のように、確かに日本はITに関して、いいところも随分ありますけれども、相対的におくれをとっていることも事実であります。

 そういうことで、IT戦略本部、戦略会議を立ち上げて、そして基本的なIT革命を達成しようという基本戦略をつくりました。そういう中で、今のお尋ねの教育の情報化、これに関しては、当省も文部科学省や総務省等の関係省庁とも連携しつつ、ミレニアムプロジェクトとして一生懸命取り組んでいるところでございます。

 我が国としての具体的な目標といたしましては、平成十二年度から平成十七年度までの六カ年計画、こういうのをつくっておりまして、すべての学校四万校をインターネットに接続して、すべての教室のあらゆる授業にコンピューターを活用できる環境を整備しよう、こういうことで今鋭意進めているところでございます。

 やはり、回線を引いて、そして端末をそろえるだけではこれはだめです。したがって、人材の育成ということが同時に大変必要なことでございまして、教える側の教員の養成でありますとか、また使う子供たちの教育というのもこれは重要なテーマでございますので、これもあわせて行っていこう、こういうことにいたしております。

 経済産業省といたしましては、学校向けのソフトウエアの開発、それから教員のための技術的なサポートをしよう、それから教育用のコンテンツの開発などの支援を既に実施しておる段階でございまして、加えて平成十二年度では、情報化のアイデアをお持ちの学校、現在五十一校でございますが、また地域、これは十五プロジェクトあるのですけれども、こういったところに積極的に援助をして、学校現場の活動を支援していきたいと思っております。いずれにしましても、今後とも文部科学省を初めとした関係省庁としっかりと連携をとって、教育の情報化を推進していきたい。

 それから、御指摘のネットデー、これは米国から発祥した、御指摘のとおりボランティアベースの事業であり、こういったことも十分考慮に値する方法だ、こういうふうに思います。

    〔青山(丘)委員長代理退席、委員長着席〕

達増委員 先ほど伺ったところによると、まさに今現在、十一時から開催で、第一回インターネット活用教育実践コンクールの表彰式というのが行われていて、そこに西川政務官が行かれているということでありますけれども、まさにそういうことを本当に政府として大いに主導してやっていただかなきゃならないと思います。

 東京都立科学技術大学助教授、木村忠正さんがまとめたデータでありますけれども、アメリカの公立小中高校では、九九年で六三%の教室が既にネットに接続している。これは、学校ではなく六三%の教室がネット接続している。そして、六六%の教員が授業でパソコンかインターネットを利用しており、四一%の教員はワードとかエクセルといったパソコンソフトを使った宿題を出している。宿題にまでパソコン、インターネットが四一%も使われているというのがアメリカの現状であります。

 さらに、スウェーデンの場合ですと、九八年から、初等中等教育に携わる全教員の四〇%にパソコンを無償配付して教育の情報化を進め、今では生徒一人一人に電子メールアドレスを与えている。これはもう普及率とかいう話ではなくて、ほぼ一〇〇%の普及を前提として、さらに進んだことをやろうというところまで、北米や北欧ではもうそこまでいっているということであります。

 それに比べまして日本の方では、これは学習教材や塾、通信教育のベネッセコーポレーションが二〇〇〇年春に実施した調査によりますと、日本の中学生家庭におけるインターネット普及率は約二〇%、高校生家庭では約一四%にすぎない。これはインターネットの普及率ということであります。かつ、インターネットがあっても、アクセスできても、自分の好きなアニメや漫画のキャラクターのホームページを見て終わりとか、その程度の利用にとどまっている。これは非常に深刻だと思います。

 一方で、携帯電話を利用したインターネット接続、Jフォン、au、そしてiモードなどが日本で爆発的に普及はしているのですけれども、これも、いろいろな調査によりますと、どういうコンテンツの利用か、友達同士の簡単なメールのやりとりのほかは、着信音を取り込んだり、あとは待ち受け画面という絵を取り込んだり、ちょっと前にたまごっちというおもちゃがはやって、アメリカなどにも盛んに輸出されて、タイムやニューズウイークにも載りましたけれども、携帯電話のインターネット普及といっても、そういうたまごっちのブームとそれほど変わりがない程度の中身でしかないという懸念が有識者からやはり指摘されていまして、これは、そういうものの普及で、若い世代がそういうのにかまけてしまうことでパソコンやインターネットの本格利用がかえって阻まれてしまうのじゃないかという懸念すら抱かれている状態であります。したがって、そういう学校、教育の情報化についてはかなり本気で取り組んでいかなければならないと考えます。

 さらに、そうした学校の情報化からさらに広がって、図書館でありますとか美術館、博物館といった公的な文化施設の情報化、また、医療といった分野、電子カルテや遠隔診断といった医療の情報化、そういう公的分野の情報化、これが日本の場合大きなフロンティアとして目の前にあると思います。日本の経済情勢、個人需要の伸び悩み、そういう個人需要を刺激していくようなITの方向性も、これはこれで重要なのですけれども、まだまだ日本で未開拓なのがそういう公的分野、社会市場と申しましょうか、社会問題や社会的ニーズのある部分についての情報化というのがまだまだこれからだと思うのであります。

 そういった社会的、公的分野におけるIT推進、新規ビジネスの開拓でありますとか、そういったところを経済産業省が中心になって引っ張っていかなければならないと思うのですけれども、いかがでしょう。

中山副大臣 委員御指摘のように、IT教育の推進、これは非常に大事なことだと思っていますし、また、学校の場においてそういった教育が日本はおくれているのではないか、これも御指摘のとおりだと思っています。

 また、今、日本の携帯電話とかそういったことが普及することによって、間違った方向といいますか、本来じゃない方向に進んでいっても困る、そういう意味で、学校教育においてIT教育を積極的にこれからも進めていかなきゃいかぬ。そういう意味では、経済産業省といたしましても、文部科学省と十分連携をとりながらやっていきたい、こう思っています。

 また、ITの活用ということ、公的部門についてもいろいろとこれから積極的に取り組んでいかなきゃいかぬ、こう思っていまして、特に、医療の情報化についての話がございましたけれども、電子カルテを導入することによりまして、医療機関相互間のカルテの共有化が進むとか、そういったことで患者の利便性も非常に高まるわけでございまして、非常に大事なことだ、このように考えております。

 経済産業省といたしましても、地域における医療機関の連携システムの開発といったようなことで、予算等も組みまして積極的に取り組んでいく、そういうことにしているところでございまして、今後とも、関係省庁と連携をとりながら、五年後には世界一のインターネット社会をつくろう、こういうふうにやっているわけでございますから、積極的にやっていきたい、このように考えているところでございます。

達増委員 そういう医療ですとか教育ですとか、その他にもこれからは環境とかあるいは交通、都市生活、いろいろな分野の公的なところでITの技術が発達し、コンテンツが充実してくれば、それを活用するための個人需要もまた伸びていくでしょうし、またビジネスも盛んになる。そういう意味で、日本のどうも閉塞状況、停滞状況にあるIT環境を一気にブレークスルーさせていくかぎがそういう公的分野にあると考えます。

 また、理念的な背景を一つ説明させていただきますと、自由党の綱領に創造的自由主義という言葉がありまして、二十一世紀の自由主義のあり方を考えていく場合に、今まで市場の中にうまく入ってきていなかった、産業化されていなかった、そういう社会市場といいますか、社会問題や社会サービス、こういった分野を産業化し、市場の中にどんどん取り込んでいく、そういう方向性が非常に重要であると考えております。いわば、ブレア・イギリス首相初めヨーロッパの社民主義政権が第三の道ということでやっていることを、逆に自由主義の側から、二十一世紀の新しい経済社会のあり方として、政治の目標として規定していくのがこの創造的自由主義という考え方なんですけれども、そういう政治の哲学、理念、政策的なところからいっても、二十一世紀の幕あけに当たって、ぜひ我が国で成功させていかなければならない分野であると考えております。

 さて、ITのみならず、広く技術開発、これが経済社会の改革にうまくつながるような形で進んでいくことが、やはり二十一世紀の我が国にとって非常に重要であると考えます。今般の機構改革、中央省庁再編の中で、経済産業省は通商産業省から、他の省庁との合併というようなことはなかったわけでありますが、省庁の中での機構改革はかなりやったわけでありまして、そういう中で、産業技術環境局というものが誕生しました。これは、工業技術院というのがなくなって、かわりに環境と一緒になって産業技術環境局というものができた。

 二十一世紀の冒頭に当たって、我が国の技術開発政策の非常に重要な部分を担う部局をつくられたと思いますけれども、その目標、そしてこれからの重点政策について伺いたいと思います。

中山副大臣 産業技術環境局は、試験研究部門を独立行政法人としました工業技術院と環境立地局の環境部門を引き継ぐ形で、総合的に産業技術政策、基準・認証政策及び環境政策を推進するために、本年一月に発足したところでございます。企業の創造的な経済活動と新規産業創出を促進するための技術政策や、環境問題を新たな成長要因に転換できる経済社会システムの構築といった任務に取り組んでまいります。

 第一に、産業技術政策に関しましては、技術フロンティアの開拓に全力で取り組むべく、社会ニーズに機動的に対応し得る研究開発体制の構築、産学官の連携の促進等の研究開発システムの改革、ライフサイエンス、情報通信等の重要分野に対する研究開発の重点化等に総合科学技術会議とも協力しつつ取り組んでまいります。今国会には、民間において行われる基盤技術に関する試験研究を促進する体制の強化を図るため、基盤技術研究円滑化法の一部を改正する法律案を提出しております。

 第二に、基準・認証政策に関しましては、基準・認証制度の国際的な整合化、相互承認の促進、産業発展の基礎となる知的基盤の整備に取り組んでまいります。今国会には、極微量物質の適正な計量を確保し、計量証明事業の信頼性を担保するため、計量法の一部を改正する法律案を提出いたします。さらに、日欧州共同体相互承認協定の国会提出にあわせ、特定機器等に係る適合性評価の相互承認の実施に関する法律案を関係省とともに提出する予定です。

 環境政策に関しましては、COP6への対応や温室効果ガスの排出抑制などの地球温暖化対策、リデュース、リユース、リサイクルといったいわゆる三Rの推進、エコタウンの整備など循環型社会の形成促進、ダイオキシン排出量の削減などの化学物質、有害物質の問題への対応といった課題に取り組んでまいります。

 これら産業技術、基準・認証、環境という三つの政策分野の一体的な推進を図り、経済産業政策の立案に貢献してまいりたい、このような趣旨でございます。

達増委員 技術ということについては、教育であるとか研究であるとか、そういう知的自己実現という側面もあるのですけれども、やはり経済、社会を大きく変える力でありまして、それは人類発祥以来ずっとそうなんですけれども、特に最近、コンピューター二〇〇〇年問題から去年のIT革命の議論にかけて、いかにそういう先端の技術が暮らしを直接変えるか、仕事に直接影響を与えるかということが国民にかなり幅広く知られるようになって、政治の場でもそういう技術政策というものが非常に重要であるという認識が生まれてきていると思います。ですから、当委員会も、政治家として、いわばテクノポリティクスといいましょうか、そういう技術に関する政治というものをきちんとやっていかなければならないと考えております。

 さて、時事的な問題、幾つか質問させていただきます。

 政府は、銀行の財務健全化を、かなり覚悟を持って強化する意向のようでありまして、柳澤金融担当大臣が、直接償却をどんどんやるんだということを強調されておられます。これは、不良債権問題の解決、日本の経済の構造改革、中長期的には絶対やらなきゃならない非常に大事なことでありますが、非常に痛みを伴う作業でもあります。

 特に、経済産業の観点からすれば、中小企業ですね。中小企業にかなり資金的、あるいはもう経営そのものが倒産等に追い込まれるなど、かなり危機的状況、もう危機管理状態になってくることが考えられるわけですけれども、その点、どのように対応しようと考えていらっしゃるのでしょうか。

中村政府参考人 お尋ねの銀行による直接償却等によります不良債権の削減につきましては、現在、金融庁を中心に検討中であると承知いたしております。

 今後の不良債権処理の進展が中小企業の経営にどのように影響を与えていくかという点につきましては、不良債権処理の手法でございますとかその規模等につきまして、まだ金融庁の方で検討中ということで、現時点において明らかでございませんけれども、定性的に申し上げますと、取引先たる大企業向けの貸付債権の直接償却の進展による影響とか、あるいは中小企業そのものの貸付債権の直接償却の進展と、二つの影響があるわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、金融庁と密接に連絡をとりながら、鋭意その把握等に努めてまいりたいと考えております。

 前者のケースでございますが、銀行の不良債権処理の進展によりまして、企業の事業制限あるいは倒産等がもたらされまして、ひいてはその関連中小企業者の経営に大きな影響が出るということが考えられるわけでございます。

 このような事態に対応するために、現在幾つかの制度がございます。第一に、倒産企業に売掛金債権等を有する中小企業者の連鎖倒産防止対策といたしまして、政府系金融機関からの運転資金の別枠かつ低利の融資でございますとか、中小企業信用保険の別枠化、これにつきましては、さきの臨時国会におきまして、八千万円の無担保まで引き上げていただきましたので、現在は、一般保証と合わせますと、一億六千万円まで無担保で保証を受けられるという形になっているわけでございます。

 それから、中小企業倒産防止共済に加入しておられる中小企業につきましては、無担保、無保証での貸し付けという制度があるわけでございます。

 また、加えまして、事業活動の制限により影響を受けます中小企業につきましては、中小企業信用保険法の別枠化の措置がございます。これにつきましても、昨年の法改正によりまして、間接的な取引先、例えば下請、二次下請でございますとか、あるいは直接取引関係のない周辺地域の中小企業に対しても対象とするというような要件の緩和を行ったところでございます。

 現在、経済産業省におきましては、金融と産業の再生に向けまして、金融庁及び国土交通省との間で意見交換を行っているところでございますけれども、こうした場を通じまして、不良債権の処理の進展が中小企業の経営に与える影響につきまして、必要に応じまして、しかるべき配慮を求めてまいりたいというふうに考えております。

達増委員 大銀行あるいは大企業の経営者の判断ミスですとかだらしなさのおかげで、まじめにやっている中小企業があおりを食らう、そして、大銀行、大企業の方は政府がかなり公的資金を投入して助けるのに、中小企業はそうじゃないということになっては、これは公正の観点から極めて問題だということを、きのう予算委員会の公聴会の中でも公述人からそういう指摘がありました。そして、今まで景気対策としてたくさんの財政出動、公的資金が使われたわけでありますけれども、本当に不良債権を処理し、決着をつけるためであれば財政出動は構わない、そういう弱い人たち、まじめな人たちを助けるための財政出動というのは当然ということもきのうの予算委員会で公述人の話の中にありましたので、ゆめゆめそういう点がおろそかにならないようにしなければならないと申し上げたいと思います。

 さて次に、福島第一原発のプルサーマル計画について、おととい、地元で反発が出まして、これは当面あり得ないということを福島県知事が表明したということで、核燃料サイクルの極めて重要な一環をなすプルサーマルについて、そのスタートがちょっと混乱しているようでありますけれども、この状況と、このことが今後の核燃料サイクル政策にどういう影響を与えていくのか、お答えいただきたいと思います。

平沼国務大臣 達増委員御指摘のとおり、福島県の佐藤知事が、当面は考えていない、こういう発言をされました。プルサーマル計画につきましては、平成九年二月の閣議了解でその推進を政府として確認をしたところでございます。また、昨年末に決定された原子力委員会の原子力長期計画においても、着実に進めるように定められておりまして、国の政策として重要な位置づけがなされているところであります。

 御指摘の福島第一原子力発電所三号機におけるプルサーマルの実施については、平成十年十一月に、安全協定に基づいて、県及び町の事前了解がなされて以来、事業者である東京電力も着実に準備を進めていたところでもございます。また、原子炉に関する許可及びMOX燃料に関する合格証の交付等、法的な手続も完了いたしております。

 佐藤福島県知事は、事前了解は終了をしているものの、国民、県民の理解が重要である、こういう御認識をお持ちでございまして、そのことをこれまでも指摘されてこられております。国も事業者も、MOX燃料の信頼性などについては、説明会の開催等により理解を得るようにこれまでも努力をしてまいりました。このようなちょうど折も折、二月八日の東京電力による新規電源開発の凍結という発表がなされまして、これを契機として、知事が立地地域の立場からさまざまな問題提起をなされたものと私どもは重く受けとめさせていただいています。

 事業者においては、福島県と協議しつつ対応を検討していると今承知をしているところでございますけれども、国としても、本件の重要性にかんがみまして、ぜひとも着実に進めたいと考えているところであり、解決策を見出すべく、福島県と今後協議をしていきたい、このように思っております。

達増委員 これもまさにテクノポリティクスということだと思うのですけれども、まず明確なルールのもとに情報公開はきちっとやって、その上で、決まったことは実行する、約束は守る。そういう原理原則を大事にしながら、同時に住民、関係者の理解を深めていく、広めていく。そういうことが、やはりこういうテクノポリティクスの場合重要だと思いますので、頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。

山本委員長 塩川鉄也君。

塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 冒頭、KSD問題について一言お尋ねをいたします。

 KSD汚職にかかわり、既に小山孝雄参議院議員が逮捕、起訴され、村上正邦参議院議員も議員辞職をし、検察の事情聴取を受ける段階となり、額賀衆議院議員についても疑念が持たれております。つめに火をともすようにして稼いで払った共済掛金が自民党議員の懐に入っていたなんて許せない、こういう中小企業経営者の怒りの声が満ち満ちております。

 このKSDによって労働行政がゆがめられていたことが今問われておりますが、それでは、経済産業省のかかわる中小企業行政がゆがめられていないと言えるのか。新聞報道では、ものつくり大学設立を目指したKGS議連が招集した六省官房長会議に通産省も出席したと言われております。KSDと通産省のかかわりについて、国民の目から見て一点の疑念もないと言えるのか、それに応じたきちんとした調査を行ってきたのかをお尋ねしたいと思います。

平沼国務大臣 KSDと経済産業省との関係についてのお尋ね、それから調査、こういうことでございますけれども、このKSDというのは御承知のように厚生労働省所管の公益法人でございますので、経済産業省としては特段の関係はございません。

 ただ、御指摘の、いろいろな官房長が参加をした、そういうようなこともありますので、そういったところの調査はそれなりにさせていただいたところであります。

塩川(鉄)委員 私の地元の埼玉では、豊明会の埼玉県川越支部元副支部長の肩書を持つ酒屋さん、現在でもKSDの会員さんだそうですけれども、この方が中心となって、KSDを相手に損害賠償を求めて訴訟を起こしております。KSD幹部が無断で会員を自民党員に登録をして党費を立てかえていた問題などが管理者としての重大な注意義務違反、共同不法行為に当たるとして訴えており、賛同署名は既に千人を超えているそうであります。けがをしたときの補償にと月々二千円、家族三人で六千円の会費を大変な苦労をして納めているのがわかっているのか、こういう批判の声にこたえて、改めてきちんとした調査についての報告を求めたいと思います。

 このような怒りは、中小企業者の皆さんにこたえるような景気対策がきちんと行われていない、こういう怒りの声と一体となっているのではないかと思うのです。一握りの大企業を除いて、国民は長引く不況の中で大変苦しめられております。そのことは政府自身も認めざるを得ないのではないか。

 昨年十二月のミニ経済白書では、「企業部門には明るい兆しがみえはじめた。一方、個人消費については、収入が低迷していたこともあり弱い動きを続け、失業率は過去最高水準で推移するなど、家計部門は厳しい状況」にあると、「企業部門と家計部門の回復過程に二極分化が生じている」と指摘をしております。その理由として、「大企業・製造業では九二年頃をピークに従業員数を削減し、一人当り人件費も九七年頃から横ばいとなるなど、人件費抑制の動きが顕著」となり、このような「人件費の抑制を早くから続ける中で、売上数量が大幅に増加したことが収益増加に寄与している。」と、企業収益増加の背景にリストラの進展を挙げております。

 リストラによって企業の収益がふえても、国民の所得がふえない。社会保障の相次ぐ改悪による負担増や将来不安と相まって、GDPの六割を占める個人消費が低下することによって、景気が一層後退する事態となっております。

 一昨年成立をした産業再生法は、大企業のリストラを支援する、この策を大きな柱としております。この産業再生法での認定件数は、スタートした一昨年から昨年末の時点で何件になるのか、この数字についてだけお尋ねいたします。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 一昨年、平成十一年十月から施行されておりますいわゆる産業再生法、正式には産業活力再生特別措置法という法律でございます。これに基づきまして認定されました事業再構築計画、その件数は、ただいま現在で七十一件となっております。

塩川(鉄)委員 お願いしておりました資料の配付をお願いいたします。

 この産業再生法に基づいて認定された件数、二月の現時点では七十一件ということでしたけれども、昨年末の区切りでは六十一件ということで、私の方では承知をしております。

 今お配りした資料の中にもありますとおり、ここには従業員数の計画ということで、増減について、この認定の計画の中でも取り上げられているわけです。

 この増減を見ますと、昨年末の時点での累計というのが二万三千九百六十一人の減となっております。網がかかっておりますのが、今何かとリストラ計画で話題となっている自動車産業でありまして、合計すると一万三百二十四人になります。いわば全体の約半分近くにも及んでおります。

 今、日本列島でリストラのあらしが吹き荒れる中で、いわば政府がそれを後押しして加速させるようなことをしたら一層景気をひどくすることになるのではないか、この点について大臣にお尋ねいたします。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 現在、大企業が取り組んでいる事業再構築は、単に不採算部門の合理化にとどまらず、労働力や資本等の経営資源を得意分野に集中する、そして、成長の見込みのある分野に果敢に進出していこう、こういう前向きな取り組みを含むものだと私どもは認識しております。

 こうした前向きな事業再構築が進展することによりまして、我が国の労働、資本、技術の潜在的能力が十二分に引き出され、創造的な企業活動が促進されることで経済全体の活性化が図られて、同時に良質な雇用機会の創出につながるもの、こういうふうにも考えております。

 なお、こうした事業再構築を円滑に進める際に、人材移動の促進を図るべきことはもちろんでございまして、政府といたしましては、昨年十二月に取りまとめました経済構造の変革と創造のための行動計画に盛り込まれている、円滑な労働移動の促進等雇用システムの改革に向けた各種施策を着実に実施していきたい、このように思っております。

 確かに、こういう自動車産業のリストラというものは、自動車産業自体がすそ野が広いものですから、それは影響は非常にあると思いますけれども、側面的にそういう形の質的転換を図る、こういうことによって新たな雇用を吸収しながら、ダメージが起きないように最善の努力を尽くしていかなければならない、このように思っています。

塩川(鉄)委員 先ほど紹介したミニ経済白書では、上場企業の二〇〇一年三月期の業績について、昨年の二・二兆円から六・二兆円へと二・八倍近くに大幅な改善をすると見通しております。これに大きく寄与しているのが人員削減や事業再編などのリストラクチャリングの効果だ、このように述べているわけですね。そのような効果があったんでしょう。

 一方、そのもとで、国民生活や庶民の家計が大変深刻な事態となっていると思います。リストラによって、この二年間でいわば六・五兆円もの所得に当たるものが国民から奪われたことにもなってきておりますし、社会保障の改悪と相まって、勤労者の所得が、九〇年代の十年間を通じて一・三%しか伸びていない、また、家計消費が十年間で四・二%も落ち込んでおります。こういうリストラを後押しするような政治でいいのか、このことが問われていると思うのです。

 そこで、この自動車産業にかかわって、自動車の大手五社の海外生産の比率がどうなっているのか、十年単位で区切って、八〇年、九〇年と資料の出ている九九年と十年単位で比較をして、自動車大手五社合計の海外生産比率がどうなっているのかをお示しください。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 国内の生産台数、国内の市場規模が縮小していく、同時にグローバルな戦略を各社が強める、そういう取り組みをいたしております結果、お尋ねの海外生産比率でございますが、一九八〇年は、大手五社計でございますが、四・四九%でございます。九〇年にそれが一六・〇三%に上昇し、数字のあります直近、九九年では三八・八三%となっているところでございます。

塩川(鉄)委員 今お話しいただきましたように、この十年間でも、自動車産業で海外に生産が大きくシフトしてきております。問題は、国内生産を縮小して空洞化させていることにあります。この十年間で海外生産は二・三倍にふえておりますけれども、国内生産が二八%の減となっております。そのもとで国内でのリストラ競争になっている。

 日産のリバイバルプラン、これはこの三月が執行の一つの区切りとなっておりますし、また一昨日も三菱自動車の大リストラ計画が発表されました。九千五百人の人員削減や、あるいは名古屋の大江工場の閉鎖、これを行うということが発表されております。労働者の皆さんや下請の中小企業、地域経済に深刻な影響を与えることになります。

 この三菱自動車に先んじて、昨年十一月にマツダが中期計画と呼ばれるリストラ計画を発表いたしました。先月、私は広島の現地に行ってまいりました。大臣の岡山県のお隣の広島県、この広島市の宇品第二工場の閉鎖や千八百人の希望退職、さらには子会社、関連会社を百六十六から八十三に半減させるなど、マツダ主導による下請中小企業の再編を目指しているということが発表されております。

 マツダは、国内での生産台数の減り方が大変大きい。この十年をとっても、百四十二万台から七十八万台へというふうに半減をしております。その中で、さらに国内工場を閉鎖して、欧州フォード、ヨーロッパに生産拠点を移そうとしているわけであります。

 広島にとって、自動車産業、このマツダの占める位置というのは大変大きいものがあります。広島市の製造品出荷額の四割、従業員数の二割がこの自動車産業であります。広島県全体での製品出荷額で二割、雇用で一割を占めております。このマツダのリストラ計画による雇用、下請中小企業、そして地域経済への深刻な影響をどう認識しておられるのか、大臣にお尋ねをいたします。

平沼国務大臣 今御指摘のように、非常に、大企業である自動車会社がリストラをするということによって、下請事業者の経営に対して、受注量の減少だとか受注単価の引き下げ等の大きな影響が及ぶ可能性があることは十分認識をいたしております。事態の推移に応じて、影響を受ける下請中小企業に対して適時適切な対応を講じなければならないとも思っております。

 具体的には、下請取引のあっせん事業による新たな受注開拓の支援、また政府系金融機関による設備資金、運転資金の貸し付け、また中小企業経営革新支援法により中小企業の新たな取り組みによる経営革新を支援してまいらなければならないと思っています。

 また、企業がリストラを進める上で、下請代金の不当な減額等の行為を行うことは許されるものではありませんので、そのような行為に対しては、下請代金法に基づき厳正に対処をしていかなければならないと思っております。

 いずれにしても、御指摘のように、今マツダの例を挙げて、それが広島県にとって非常に大きな影響がある、こういう御指摘がございましたけれども、今後とも状況をよく注視いたしまして、中小企業対策に万全を期していかなければならない、このように思っております。

塩川(鉄)委員 現地に行きまして、いろいろな方からお話を伺ってまいりました。そういう中で、例えば、マツダのリストラ計画が発表されたとき、マツダ労組からは、経営陣から出される計画を信じて頑張ってきた組合員から見れば、今回の合理化計画は裏切られたという気持ちが強い、職場には経営の責任を問う声が根強くある、このように述べています。

 また、広島県労連の行いましたマツダの下請企業アンケート、この中でも、彼らのやり方はすべての利益がフォードに集中することが善であり、マツダや下請はその道具にすぎない、このようにマツダ及びフォードの経営責任を厳しく指摘する声が続いております。なぜ労働者や下請に責任を負わせるのか、こういう声が広がっているというのが現地での実態だと思うのです。

 先月、マツダ本社に伺ったとき、地域経済の影響をどのように考えているのか、このことをただしましたら、影響はない、このような極めてあっさりとした言い方をしておりました。本当に驚きました。この地域の実態を見ていないものだ。

 同時に、経済産業省の中国経済産業局の一月、二月、それぞれの発表されている中国地域の経済動向を拝見しましても、このマツダにかかわる直接の言及はありませんでした。

 マツダ本社のある府中町では、リストラ計画の発表直後に、町長名の要望書をマツダ社長あてに直接提出をしているそうです。町長にもお会いしました。リストラの影響は最小限にしてほしい、計画は関連企業を大切にすることに欠けているのではないか、宇品第二工場の早期再開を求めるなどとしております。町長は、地域の方、関連の経営者の声を聞き、マツダに、地域に支えられねば発展しない、地域の声として聞いてほしいと意見を言った、このように語っておりました。

 また、府中町議会も、今回の中期計画が広島県経済に与える影響を調査し、それを公表することを求める政府及び広島県あての意見書を全会一致で採択しております。

 このような要望にこたえて、雇用や下請中小企業、地域経済への影響調査を経済産業省として直ちに行うべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 現地に通産局もございます、そういう中で分析もしていると思いますので、さらに私の方から、そういう影響については既に調査もしていると思いますけれども、督励をして、よく調査をさせていただきたい、こういうふうに思います。

塩川(鉄)委員 雇用の面でも、広島の労働局が、そごうの離職にマツダ分が加われば求人倍率がさらに悪化するとして、緊急対策を行うとしておりますし、広島県も、この機会に多くの人材が県外に流出するおそれがある、この危機感を強めております。このような現地の不安の声にこそこたえるべきであります。ぜひとも督励をしていただいて、実態を正確に把握していただきたい、お願いをしたいと思います。

 そこで、続けて、先ほども中小企業を所管する立場としての大臣の方からお話のありました、大企業による下請いじめの是正の問題についてお尋ねしたいと思います。

 マツダは子会社や関連会社の統廃合を目指しておりますが、既に三葉工業とヤマコーの統合及びクラタと三浦工業の統合を主導しております。ある社長さんは青い顔をして、このような統合の計画について社員に合併計画として説明をしていたといいます。統合によるリストラ計画も予想されております。マツダ本社では、出資関係のないところでも、マツダへの依存度の高い下請企業は積極的に合併指導していると公言をしておりました。いわゆる関連企業としての東友会を指してのお話だったと伺いました。また、マツダの協力工場であるヒロテックでは四十人の希望退職ですとか、また黒石鉄工でも四十人の希望退職の募集が既に行われております。マツダ本社でのリストラだけでなく、下請の中小企業までリストラのあらしが吹き荒れるならば、広島県の経済への否定的な影響ははかり知れないと思います。

 これまでも、マツダからコストの削減要求が、過去五年で二割減とか、これをさらに一五%削減せよとか言われております。また、ある下請の企業は、元請から千百個の注文を受けて生産したけれども、三百個しか受領してもらえなかった。材料も大量に余ってしまうことになり、これでは詐欺同然だと怒りの声も聞いております。

 今ここで述べたようなマツダ関連の企業というのは、資本金三億円以内の中小企業であります。下請中小企業振興法は、親企業の協力のもとに、下請中小企業の体質を改善し、下請性を脱した独立性のある企業に育てることを目的としております。下請中小企業の振興を図るために経済産業省が定めている振興基準の中でも、下請中小企業の適正な利益の確保及び労働条件の改善が可能となるよう単価の決定方法の改善等を求めております。しかし、現実には、このマツダ主導の合併の押しつけなど、下請振興法の趣旨、目的、この振興基準に逆行している現状があるのではないか。

 下請振興法及び下請代金法に基づき、現場の実態をよくつかんでいただいて、マツダへの指導を徹底していただきたい。また、そのためにも、中国経済産業局でわずか三人しかいない下請検査官、この大幅増員など、体制も強化していただきたい。

 この点について、大臣の決意をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 御指摘のそういう実態に関しては、私ども、さらによく調査をさせていただきたい、こう思っています。

 増員の計画というようなお話もございましたけれども、今の実態をよく踏まえまして、検討課題にさせていただきたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣が今答弁されましたように、私ども、よく調査をして対処してまいりたいと思います。

 まず、下請中小企業振興法でございますが、御指摘のように、振興基準を私どもつくっております。これは、下請事業者がどのように努力すべきかということを示す一方、親事業者がそれに対してどのように協力すべきかということを示したものでございます。これにつきましては、私どもが指導助言を行うという仕組みになっておるわけでございますので、適切な指導助言を行ってまいりたいと思います。

 それから、下請代金支払遅延等防止法につきましては、これまでも、親事業者につきましては書面では全数調査をしておりますし、さらに、必要な場合には立入検査等を行っております。立入検査等につきましても、年々増加をいたしております。今後とも厳正に対応してまいりたいと考えております。

塩川(鉄)委員 私たちが下請振興法を強調するのは、ほうっておけばこういう事態というのはしわ寄せが弱い方にどんどん向かっていく、だからこそきちんとした、あるべきルールを守るべきだ、このことが今求められていると思うのです。

 現実には、大企業には、空洞化対策と称して、産業再生法に組み込まれた事業革新法によって税の減免をやりながら、減税しても海外へ生産拠点を移しております。このマツダも事業革新法の対象として減税の恩恵を受けながら、ヨーロッパに生産拠点を移そうとしております。こんな道理のない、不当なことはない。広島県では、集積活性化法を活用して、県が計画を立て、これを国が支援しております。しかし、その中核企業が工場閉鎖を行うようでは地元への影響は極めて甚大となり、活性化計画そのものを無にしようとするものではないか、このことを訴えたいと思うのです。

 こういうときに、やはり日本の現状というのが世界の中から見ても異常な実態にある。例えば、ヨーロッパ、イギリスでは、ある鉄鋼の大手の会社のリストラ計画が発表されると、その見直しを政府自身が求めております。ブレア首相自身が、技術を持った生産労働者と家族に壊滅的打撃を与えると、計画の見直しを要請しております。私は、こういう立場こそ今政治に求められていると思います。

 その上で、EUで行われております欧州労使協議会指令、この中身について説明をお願いしたいと思います。

平沼国務大臣 御指摘のとおり、EUでは、大量解雇でございますとか営業譲渡の際の労働者保護、賃金の確保、労働者への情報提供のあり方等、労使間のルールを定めた各種指令が存在することは承知をいたしております。

 一方、我が国では、労働者の保護のための基本的なルールを定めている労働基準法、労働者の団体交渉や紛争処理のルールを規定している労働組合法等がありまして、また、解雇につきましては、整理解雇に関する判例法理等が存在をしておりまして、我が国の実情に適した形で制度が整備されているところであります。

 また、実態的に申し上げますと、労使においては、経営や生産、労働条件、福利厚生等に関する事項について、さまざまな機会を通じて協議や意見交換を行うことにより、情報の共有、意思疎通、合意形成が図られていると認識しております。したがって、我が国では、労使間の課題については、まず労使の自主的な取り組みを重視する、そういうことが必要であると思っております。

 いずれにいたしましても、良好な労使関係の構築は極めて重要な課題でございまして、経済産業省といたしましても、急速な環境変化の中で今後の労使の動向について十分注視をしてまいりたい、こういうふうに思っておりまして、EUの関係は冒頭申し上げた、そういう内容になっております。

本村政府参考人 お答え申し上げます。

 既に大臣の方から欧州労使協議会指令については若干御説明ございましたが、いわゆる欧州労使協議会指令と申しますのは、従業員に大きな影響を与える事項につきまして、従業員に対する情報提供とか、それから従業員の協議を受ける権利を改善することを目的といたしまして、一九九四年にEU理事会で採択されております。この指令は、EU加盟国等において適用されることになっております。

 本指令の対象企業と申しますのは、適用域内で総計千人以上の従業員を雇用し、かつ二つ以上の適用国においてそれぞれ百五十人以上雇用する企業及び企業グループでございまして、これらの企業及び企業グループについて労使協議会の設置等を義務づけることとしております。

 なお、九八年にはこの対象範囲が拡大いたしまして、一国内において操業する従業員五十人以上規模の企業につきましても同様の制度を設立するための包括的労使協議会指令案が提案されておりますが、まだ加盟国の合意には至っておりません。

塩川(鉄)委員 今説明していただいた、EUが今準備している包括的労使協議会指令案は、労働者側の対案検討を義務づけるなど、一方的なリストラ規制への切り札となる、こういう期待の声が現地でもあります。

 グローバルスタンダードというのであれば、こういうところこそ大いに学ぶべきで、このような欧米では当たり前のように行われている地域経済や雇用を守るルールづくりを求めます。それでこそ、冷え込んだ個人消費を温め、景気回復の道を開くものであることを訴えて、質問を終わります。

山本委員長 大島令子君。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 既に多くの方々から指摘されておりますが、二十世紀の前半は戦争の世紀であり、おびただしい人命と莫大な資源を浪費してまいりました。そこで、きょうはまず最初に、資源という観点から、鉱業法について、鉱業法を根本から見直すべきという立場で、まず大臣に質問をさせていただきます。

 人類の歴史におきまして生活と常に一体となってきた鉱物資源は、時としてその利権をめぐり、国同士の熾烈な戦争へと発展した経験も数多くあります。我が国においては、明治五年に鉱山心得が発布され、鉱業国家独占主義が明確にされて以来、富国強兵の国是と相まって、根底に、鉱物資源はすべて国家のものという認識でした。戦後、昭和二十五年に現行法の制定があったわけですが、現行法についても、他の多くの法律と同様に、戦前に制定された法律の性格を引きずっています。

 既に、日本は主権在民の国として生まれ変わり半世紀がたちました。地方分権が進められ、住民みずからが主体的に町づくりに参加する時代となってまいりました。自然環境の保全が人類の生存にかかわる大きな課題となった現在、こういった状況に対応した法体系の見直しこそが必要ではないかと考えます。

 そこで、この鉱業法の法律の根幹をなす鉱業権についてお伺いします。

 法律では、第五条で、鉱業権とは、登録を受けた一定の土地の区域において、登録を受けた鉱物を掘採し、取得する権利をいうとなっており、第二条では、国の権能として、国は、まだ掘採されない鉱物について、掘採し、取得する権利を付与する権能を有するとなっております。そして、第十二条では、鉱業権は物権とみなし、不動産に関する規定を準用すると。つまり、国によって許可された鉱業権は独占的、排他的権利であり、土地所有権または土地使用権とは別個の独立した権利であるとなっています。そして、鉱業のために土地収用の適用がされる、これは百一条から百七条に書いてあるわけなんですが、非常に強い権利を規定しております。

 このことは、昭和二十五年、この法案が提案された第九回国会の提案理由の中で、鉱業上の目的で供さなければならないときは、その土地を収用することができると述べられており、同年十二月一日、参議院の通商産業委員会で、「むしろ法律的には今まで土地所有者に任せておつたものを、今度はつきり国のものとして取上げるということでございます。取上げました以上、これは土地所有者とは関係なく、先願者に鉱業権を付与すべきであるということになると思います。」と讃岐資源庁鉱山局鉱政課長は説明員として答弁しているのです。

 鉱業権というのは、土地所有者の意思がほとんど関与しなくても、知らないところで設定されるという性格を持ち、一たん鉱業権が設定されれば、土地所有者は何らこれに対し抵抗できません。国と鉱業権を持つ採掘者にこれほどの権限を持たせることは時代錯誤ではありませんか。今、この時代に、鉱業権ということでこれほどの強権的な法律が実際に運用されているということについて、大臣は疑問になりませんか。御見解をまずお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 鉱業法全般についてお尋ねだと思っておりますけれども、鉱業法というのは、鉱物資源の合理的な開発によって我が国全体の公共の福祉の増進に寄与するために鉱業に関する基本的制度を定めたものだと認識をしております。

 鉱業権については、法の規定により、国が付与することとされておりますけれども、地方公共団体との関係については、鉱業法第二十四条の規定により、地域の公益を代表する関係都道府県知事との協議を義務づけております。鉱物の取得による公益と地域における各種公益とを十分に比較、考慮する、こういうことになっております。

 また、第二十五条の規定では、石灰石等地表付近に存する鉱物の出願のあった際には、土地所有者へ通知をして意見を提出する機会、こういうものが設けられておりまして、地方公共団体、地域の関係者の意見を十分踏まえて適正に審査することにいたしております。したがいまして、今後とも、鉱業権の設定の出願に当たって地方公共団体と十分に協議をしていきたいと思います。

 時代錯誤、こういうことの御指摘がございますけれども、今申し上げたように、土地所有者への通知、それから意見を提出する機会、こういったことが担保されております。また、今私が申し上げましたように、やはり我が国全体の公共の福祉、こういう観点もございますので、御指摘の点も一つあると思いますけれども、私どもとしては、鉱業権の付与については、我が国資源エネルギー政策の重要な一環として行わなければならない施策であって、やはり最終的には国が責任を負わなければならない、こういうふうに思っています。

大島(令)委員 知事との協議ということでございます。しかし、鉱業権が設定されまして一番影響を受けるのは、地域の市町村であり住民であると私は思っております。しかし、市町村との協議は一切この法律では定められておりません。

 もし、今の答弁で、知事を通して市町村の意見が聞けるということであるならば、あえて知事でなくても、直接市町村の意見を聞いても私は何ら問題はないと思っております。それは、町づくりは、実際のところ、知事がするのではなく、その市町村が行っているからでございます。法律の中ではそのようになっておりますが、せめて運用の段階で、市町村の意見が確実に聞き取られ、担保できるような形を今後の運用の中で位置づけていただくということは考えられないでしょうか。

河野政府参考人 鉱業法の運用におきます市町村の意見の反映についてのお尋ねでございますけれども、先ほど大臣も御答弁申し上げましたように、鉱業法第二十四条の規定で、出願があれば、地域の公益を代表する関係都道府県知事と協議しなければならないということになっているわけでございます。

 また、現在の運用を見ていましても、当該協議の実施に際しましては、県は地域市町村の意見についても十分に踏まえながら、国との協議を進めてきております。

 今後とも、こういった地域の方々の意見が、当該都道府県知事を経由ではありますけれども、こういった協議に反映するように留意してまいりたいというふうに思っております。

大島(令)委員 そういう御答弁でしたら、ここにきょう持ってきたもの、粘土ですが、これは鉱物です。委員の皆さん、粘土だから鉱物じゃないとお考えかもしれませんが、この粘土の採掘もこの鉱業権の設定によって初めて行われます。

 これをとってきた町で今何が起きているかと申し上げますと、その町は、唯一そこの地域に残された丘陵地帯にまさにこの耐火粘土をとるための鉱業権の出願があるということでございます。それは愛知万博の近所でございます。隣の豊田市では、この鉱業権は採掘の終わった後原状回復で植林をすると言われておりますけれども、現場に行きましても、百年間も掘っていれば百年間も航空写真では緑ではなく真っ白、木が植えられないわけでございます。

 一度こういうことになれば、例えば万博は自然との共生、環境を大事にと言いますけれども、今まさに、一つの例として取り上げさせていただいておりますけれども、そこに鉱業権が設定されこの耐火粘土が掘られるようになりますと、この丘陵地は、今でも自然のダムとして保水機能を有しているわけです。去年の九月十一日、十二日に起きました東海の豪雨でも、天白川がはんらんし、特別養護老人ホームでも私の高さ以上のところまで、下流域の名古屋市緑区でございますが、水没いたしました。そこの、天白川の上流の水源地帯となっているところでございます。

 そして、その町では、議会も、そして市長さんも、住民の方々も、唯一残されたこの丘陵地を残してほしい、そういうことを言っているわけなんです。しかし、その住民の意思が市長を通してなかなか伝わらない、こういういら立ちを持っているわけなんですね。

 そのことについて、大臣は今、県知事を通してということでございますが、まさに鉱業権というのは、一回設定されてしまったらもうもとに戻らない、自然と同じような形で運用されるわけですので、一般論ではなく、それが運用をされる中でどういう問題が起こってくるかということも踏まえて、私はやはり法律の運用の見直しをしていただきたいと提案しているわけです。御答弁をお願いします。

河野政府参考人 先ほどの大臣の答弁にもございましたように、鉱業法の第三十五条では、さまざまな公益との調整規定が置かれているわけでございます。その中には、公園、墓地、学校、病院、図書館その他の公共の用に供する施設との関係、あるいは自然との関係等々記載されているわけでございますので、この法律第三十五条の規定を厳格に解釈する中で個別の案件は処理をしてまいるのが本旨ではなかろうかというふうに思っております。

大島(令)委員 第三十五条に許可条件が書かれております。公共の福祉という言葉でございますが、水害の発生を防ぐということは公共の福祉に該当しないんでしょうか。長官にお伺いいたします。

河野政府参考人 御指摘の三十五条にも、不許可にするべき事由としてさまざまな要件が書いてあるわけでございます。御指摘のようなケースも、この要件に合致するかどうかを個別の案件に即して判断させていただきたいと思います。

大島(令)委員 二月二十六日の新聞に、農林水産省が今通常国会に森林・林業基本法案を提案すると報道されておりました。森林を従来の木材の生産の場から林業中心、いわゆる緑のダムにしよう。ここ近年、時間降雨量、非常に大雨のときに河川がはんらんしております。そういう災害が連動しております。

 この鉱業法というのは、本当に、許可をするのは経済産業局長の権限でございますけれども、森林保全という観点からは他省庁との連携が一切ない形で進められております。鉱業権が設定されてから、そこが保安林であれば林野庁に話が行く。まず設定するかどうかの前段の中で、他省庁との連携がない法律でございます。この点に関して、長官はどのようにお考えでしょうか。

河野政府参考人 先ほど先生御指摘の不許可要件を記載しております第三十五条には、「農業、林業若しくはその他の産業の利益を損じ、公共の福祉に反すると認めるときは、その部分については、その出願を許可してはならない。」という規定があるわけでございます。この規定を運用上も厳格に守っている、これが運用の実態でございます。

 また、出先におきまして関係省庁とは実態上御相談申し上げていると了解しております。

大島(令)委員 三十五条は許可条件であります。これに抵触しそうかなというときにはさまざまな対策を講じなさい、例えば掘っていくときに洪水の懸念があるときには沈砂池をつくるとか、そういうことが書いてあります。これは許可条件であって、許可を前提の三十五条でございます。そして、私も調べましたところ、例えば貴重な動植物がいるというときには、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、これによってそれは守られる、すべて、どんなことを言ってもいろいろな関連法によって許可を前提として鉱業権が設定されるという形になっているわけなんです。

 例えば、先ほど私が粘土をとってきました、これはある自治体の今問題になっている地域なんですが、ここは大正、昭和の初めごろ治水のための砂防工事が行われ、樹木が植えられました。百年たって、森林という形にはなっておりませんけれども、雑木のまばらな山林でございます。ということは、これは国が戦後の雇用対策として治水のために補助金を出してこの村に植林をさせ、それを条件に保安林にした、つまり、この樹木は税金によって目的を持って植えられたものである。それを今まさに鉱業権が設定され、このままでいくと開発が進む、緑がなくなるということでございます。

 私はこれは非常に国の政策としては矛盾をした運用であると思っております。もう一度御見解を聞かせてください。

河野政府参考人 鉱業法の第三十五条でございますが、若干重ねて申し上げることをお許しいただきたいと思います。

 この規定自身は、さまざまな公共の福祉に反すると認めるときはその部分についてはその出願を許可してはならないという不許可の要件を記載した条項でございますので、許可の条件ということではないように思います。

 具体的に申しますと、鉱業権設定の出願に際しては、保健衛生上害があるあるいは文化財などの保護に支障を生ずる、また農業等他産業の利益を損じるなどさまざまな地域の公益に反する場合については不許可とする、これが運用としてもなされているところでございます。

 ただ、他方、鉱業の設備などに条件を付すことによりまして公益の保護が図れる場合には、そうした条件を付した上で許可をする、これは現にありますし、あり得ることだろうというふうに考えます。

 そこで、いずれにいたしましても、各経済産業局長において、行政手続法の規定に基づきまして策定、公開した審査基準に基づいて、今後ともその地域の公益にも十分配慮しながら厳正な審査を行っていきたいというふうに考えております。

大島(令)委員 今の御答弁の中の地域の公益とは何でしょうか。ここの地域がこのまま開発が進めば、名古屋市の下流域の、天白川の源流の水源地でありますので、時間降雨量、非常な大雨のときには川がはんらんする、こういう水害、先ほども申し上げましたこういう問題点。そして、この地域に住んでいる住民の皆様がここの丘陵地を残してほしい、その町の議会も、万博のすぐ近くである、万博によって開発が進む、せめて、愛知万博は環境との共生をうたっている、であるから、ここは残してほしい。しかし、この法に沿った運用だけで、今まさにその担当の経済産業局長は決断をしようとしているわけです。私は、局長にも反面同情します。行政手続法によって、出願者もまた住民であり、ここを残してほしいという方もまた住民であるからです。双方の立場を尊重しながら運用する。

 しかし、公益とは何か。例えば、この地元の住民が言いました。石油とかガス、金銀銅がとれるのならば、自分たちはここの水源で長い間農業を営んできたが我慢できる、しかし、この粘土のためだったら我慢ができないと地元の人たちは言っているわけです。鉱業法で規定される鉱物というのは四十一種類あります。私も、粘土がまさか、この法律を勉強するまで鉱物だとは思ってもみなかったわけなんです。こういうことを踏まえていただきたいと思います。

 なかなか議論がかみ合いませんので、この件に関しまして、大臣に最後に伺いたいと思います。

 富国強兵時代の強権的法律、先願主義による権益の保護、土地所有者の同意手続がない申請、つまり、もし私の家の地下に石油があるとしたときに、それを見つけた人が私の承諾なしに出願をして許可をとれば、掘採できる権利をその人は持つわけなんです。普通、家を建てるときに、土地を所有するか、自分の土地でなければ借地契約をして家を建てます。しかし、鉱業権というのは、他人の持っている山の下に眠っている地下資源が鉱物だとすれば、全然知らない開発業者が出願して許可をとる、そして、許可がおりて掘っていく段階になって初めて土地所有者の借地、同意が必要という非常に土地所有権とは離れた権利。だから、私は強権的な法律だと申し上げているわけでございます。

 他省庁との協議のない許可事務。これも、今農林水産省は、緑は自然のダムである、ダムをつくらなくても、森林を保護することによってダムの機能があるという森林・林業基本法案をまさに国会に出そうとしている。非常に矛盾していると思っているわけです。

 そしてもう一つ、先ほど来申し上げました、民意の意見聴取の手続がない、県の意見しか聞けない。一番町づくりの基本になっている、地方分権が進み、自分の町づくりは、自分たちで納めた税金で、自分たちでつくっていこう、そういう分権の時代に即していない。そして、産業が優先される、いわゆる自然破壊、農地の保全、そういう観点がない法律だと申し上げました。

 だから、時代おくれのこの法律を運用するという経済産業局長、その上司である大臣に、人ごとではなく、いま一度この明治以来の古い法律の運用を見直していただきたい、全面的に変えていただきたいということを真剣に受けとめていただきたいとこの場で申し上げているわけです。御見解をお願いいたします。

平沼国務大臣 これまで、鉱業法の三十五条でありますとかその他の条文で見解を申し上げてきました。今の鉱業法の中でも、この三十五条では、やはり公益を損なうようなもの、あるいは文化財、あるいはその他のいろいろな問題で非常に公共性を損なうものに関しては、やはりそこはつくってはいけないということで担保をされております。また、知事だけというふうにおっしゃいましたけれども、知事を通じて地方自治体、これは一体でございますから、知事からちゃんと市町村長にも連絡が行く、こういう形のシステムもできております。

 そういう中で、確かに国民の固有な権利のある所有権等、それは今の鉱業法でも担保されている、こういうふうに思っておりますから、その運用に当たっては慎重を期すということは必要だと思いますけれども、私は、今の鉱業法で十分それは担保できることだ、このような認識をしております。

大島(令)委員 意見を言う機会は与えられておりますけれども、意見を言うだけで、それがどう法律によって担保されるかということが明確になっておりません。

 時間がございませんので、次の質問に移らせていただきます。

 私も二十数年前、地方都市で本屋を経営しておりました。今、著作物の再販制度の見直しの問題が議論になっております。政府は、規制緩和推進策の一環として、公正取引委員会でございますけれども、三月末ごろまでに再販制度のあり方について一定の取りまとめを行うということでございます。先ほど中山委員から書籍のことがございましたので、私は、新聞業界からの再販制度を維持していただきたい旨の発言をさせていただきます。

 例えば新聞ですと、業界の側は、仮に再販制度がなくなれば戸別配達は不可能になると考えているそうです。その理由として、現在の戸別配達は、再販制度、責任配達区域制、社会的使命感、そして読者との契約義務感によって支えられている。このどれ一つをとっても、再販制度、戸別配達の機能は崩れると言われております。

 しかし、公正取引委員会の考え方は、戸別配達と再販制度とは直接関係ないと中間の報告でされております。しかし、業界側は、再販制度がなくなれば経営が著しく悪化し、販売店への補助は不可能となり、同一購読料の維持は困難になる。報道が難しくなる。経営危機で倒産する新聞社が出れば、言論の多様性、知る権利の確保にも支障が出ると主張されております。

 私は、これら業界の主張は極めて説得性があると思います。資本力のある新聞社だけが残れば、世論というのはマスコミによって非常な影響を受けます。このような観点から、公正取引委員会の委員長に再販制度についての検討状況を聞かせていただきたいと思います。また、大臣には、今後結論が出てくると思いますが、先ほど独禁法の適用除外の縮小、それを新聞や書籍にも今適用しようかどうか検討しているわけでございますけれども、これに関して、政治家としての御見解で結構ですので、お答えいただきたいと思います。

根來政府特別補佐人 先ほども申し上げましたように、今の時代は規制緩和、自由競争を基調とする経済構造改革ということが推進されているわけでございます。

 私どもは独占禁止法を所管しておりまして、独占禁止法はもともと自由な競争を標榜しているわけでございますが、その中に適用除外制度というのがございます。それで、その適用除外制度については、国会の御同意を得て、例えば不況カルテルとか合理化カルテルとかいうのは、順次廃止してきたわけでございます。

 そこで、残っているのは著作物についての再販制度でございますが、そういう現在の考え方を推進していけば、どうしても再販制度の縮小ということにならざるを得ないわけでございます。しかしながら一方には、先ほど中山先生からも、ただいま先生からも御指摘がありました、書籍とか新聞等についてはいろいろの御意見がございます。そういう御意見については、関係業界あるいは消費者から意見をちょうだいいたしまして、慎重の上に慎重を重ねて検討をしているところでございます。

 一般的に言えば、業界の方は存置論、消費者の方は概して廃止論、こういうふうに分かれているわけでございますが、そういう点については、世論といいますか、国民の合意といいますか、そういう点を十分検討して結論を出すつもりでございます。

平沼国務大臣 御指摘の新聞販売を含む再販制度については、御承知のように、現在公正取引委員会で検討が進められておりまして、三月をめどに結論が出る、こういうことになっております。

 私といたしましては、新聞販売業が果たす役割あるいは競争上の観点について、十分にそれが考慮された結論が出ることを政治家として期待いたしております。

大島(令)委員 質疑時間が終了いたしたということでございますので、きょうはこれで終わらせていただきます。

山本委員長 宇田川芳雄君。

宇田川委員 21世紀クラブの宇田川芳雄でございます。

 大変限られた時間でございますので、一問一答でお願いしていますととても時間が間に合わなくなりますので、合理化をいたしまして、私、何項目か続けて質問をさせていただきますので、平沼経済産業大臣には後でまとめて御答弁をいただこう、こう思うのですが、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。

 第一点でありますが、大臣の先般の所信表明演説にもございましたし、これは政府の統一見解になるんだと思いますけれども、我が国の経済は企業部門を中心に緩やかな改善を続けている、こういうことがうたわれております。しかし、私どもの周辺を見回した中では、どうも一向にその姿が見えてこないわけであります。緩やかにしろ何にしろ改善を続けているというのは、どのようなところにそんな動きが見えているのか、まず御説明をいただきたいと思います。

 次に、第二点でございますが、財務省が発表した一月の貿易統計によりますと、四年ぶりの貿易収支の赤字転落ということであります。対米輸出額の伸びが落ち込んできた一方、アジアからの輸入急増による対アジア貿易赤字が大きな要因と見られております。これを受けて、先ほど来話題になっておりました特定業界のセーフガードの動きなど、貿易摩擦問題も大変これから多くなってくるのではないかと思います。これらについて、今後どういうような見通しを持ち、どんな対応策を講じていかれるのか、お伺いをしたいと思います。

 次に、第三点でございます。産業の空洞化が叫ばれて久しいわけでありますが、先ほどのセーフガードの動きを含めまして、依然として空洞化の進行が中小零細企業を脅かしております。繊維、雑貨、袋物、玩具、弱電部品などの生産が、東アジアあるいは東南アジアなどで増加をしているからであります。

 問題は、日本が経済協力のために開発資金を提供しまして、そしてそれを受けた国々がその金を使って企業誘致を進めて、そのために国内の企業が影響を受けるというようなばかげた実態が感じられてならないわけです。自分で自分の首を絞めているような感じがするわけです。したがって、これから資金援助の内容であるとかあるいは開発方針などを検討し、改善していくべきではないかと思いますが、その点の御見解を伺いたいと思います。

 第四点であります。森内閣の景気対策、経済政策は、金融措置や企業の合理化を中心としたソフトランディング政策であったと思います。しかし、現状の経済環境から脱却するためには、企業の統合整理などを含めた思い切った構造改革の断行が必要だと叫ばれております。その場合、もろに打撃を受けるのは、先ほど来これも多くの課題が述べられておりましたが、中小企業そのものでございます。したがって、現時点で中小企業の構造改革対策を抜本的に検討して断行すべきと思いますが、お考えを伺いたいと思います。

 第五点、最後の質問ですが、ドイツのバーデンビュルテンブルク州、あの南部の方にありますが、その州都シュツットガルト市は、御承知のようにベンツの本社工場の所在地でありますが、この工場都市は中小企業によって成り立っていると言っても私は言い過ぎではないと思います。そして、そこで働く中小工場主たちは、我々の技術がベンツである、こう言い切っているほど自信と誇りと責任を持って事業展開をしているのであります。

 日本からも七十社ほどの企業が進出しておりますが、私は、進出している日本企業の代表者と懇談会を持ちましたときに、この中小企業スピリッツをぜひ日本の企業、産業界に持ち帰ってもらいたいと訴えてきたことを今も記憶しております。

 私は、日本の中小企業が下請的体質から脱却することが今一番求められていることだと思っております。そして、これこそが構造改革の基本的な課題になると思うからでございます。大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 五点についてのお尋ねがございました。

 第一点目は、景気が緩やかな回復基調にある、こういう政府見解があるけれども、実際はどの辺を指して言っているのか、こういう御指摘でございました。

 これは委員も御承知だと思いますけれども、企業収益の改善、こういうことは非常に昨年から大幅に改善されてきた、それから、若干最近鈍化しておりますけれども、企業の設備投資、こういった面も非常に改善をされてきた。そういった形で、昨年度のいわゆる成長率は一・二を確保することができ、また本年度は一・七の達成は可能であろう、こういうことで、我々としては緩やかな回復基調にある、こういう認識を持っております。

 御指摘のアメリカの景気動向が、IT関連を中心として非常に厳しい状況になってきています。こういう中で、日本の経済も一服感があるわけですけれども、しかしこれは、補正予算を確実に実行する、あるいは平成十三年度の予算を一日も早く成立をして、八十兆円を超えるそういった経済効果を期待する、こういったことと、あと、経済構造改革を着実に進める、それから企業にインセンティブを与えるいろいろな対策を講じていく、こういったことで我々としては今後努力をしていきたい、こういうふうに思っております。

 また、最近、大変輸入急増で、セーフガードの問題が起こってきております。一昨日も実は、御承知のようにタオル業界の皆様方から正式な御要請がありました。これは、例えば繊維のセーフガードというのはWTOの繊維協定の中でルールとして認められていることでございますので、事務方に、これは迅速を旨とするから、早く作業に入ってそして結論を出すようにすべきである、こういうことで私から指示をさせていただいたところでございます。

 そのほか、既に農産物の問題等々こういうふうにありまして、やはりこれから特定業界のセーフガードというのはまだ出てくる可能性があると思いますけれども、私どもとしては、国際ルールそれから国内規則、これにのっとって、的確にこの問題には対処をしていかなければならないと思っております。

 それからまた、経済協力、ODAをやって、そしてその結果、逆にそこに最新の技術、これは日本からの技術でそういう工場ができて、逆にそれが国内市場を圧迫している、こういった対策をとらなきゃいけないじゃないかということは、私は事実としてあると思います。

 例えば今、具体的には、セーフガードを検討しているいわゆる養鰻業界、ウナギの養殖、ここなどは中国が非常に攻勢をかけてきて、養鰻業者が非常に厳しい状況になってきておりますけれども、実態を調べてみると、ODA予算で向こうの養鰻業が根づいてしまっている、こういうことがあります。

 したがって、健全な経済発展の実現を目的として、政府開発援助の大綱を踏まえ経済協力をしていく。日本にとっては、ODA、経済協力というのは大切なことでございますけれども、しかし、今言ったような御指摘の点もございますので、やはり関係省庁としっかりと連絡をとって、そういった経済援助によって国内産業が被害を受ける、そういう実態がないことを我々としては留意してやっていかなければならないと思っております。

 また、企業の整理統合など思い切った構造改革が必要、しかし、結果として中小企業に大変大きな影響が出ている、こういうことでございますけれども、私どもはこの辺の認識を十分持っておりまして、中小企業の円滑な資金供給の確保を図らなければいけない。また、IT革命、これからはITの時代でございますから、IT革命への対応に対しての支援策を講じていく。それから、経営支援体制をいかに構築していくか、こういった充実を期していかなければならない。

 それからまた、前向きな取り組み等にもかかわらず、大企業の統合整理などの影響によって連鎖倒産、こういったおそれのある中小企業に対しては、先ほど来議論が出ておりますけれども、政府系金融機関からの低利融資、また信用保証協会による保証をする、それから中小企業倒産防止共済制度、こういう形でセーフティーネットの構築に万全を期していかなければならない、このように思っております。

 最後の御質問ですけれども、ドイツのメルセデス・ベンツの例を出されましたけれども、中小企業が下請的体質から脱皮をして自立できる、そういう体制をつくるべきだ、こういう御指摘でございますけれども、私は、そのとおりだと思わせていただいております。

 経済産業省といたしましても、下請中小企業に対する対策といたしまして、取引先企業に対して積極的な技術的な提案を行う下請中小企業を対象とする試作品の製作等に対する補助も行ったり、今申し上げた中小企業のIT革命への対応の支援、それから金融機関による運転資金あるいは設備資金に対する援助、それから下請取引のあっせん事業による新たな受注開拓の支援、こういった幅広い支援策を講じていきながら、中小企業が下請的体質から脱皮をして自立できる、そういった体制をつくるためにこれから万全の努力をさせていただきたい、このように思っております。

宇田川委員 ありがとうございました。平沼大臣の卓越した指導力に期待をして、質問を終わります。

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時三分散会




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