衆議院

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第13号 平成13年5月31日(木曜日)

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平成十三年五月三十一日(木曜日)

    午後三時十五分開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君

   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君

   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君

   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君

      衛藤征士郎君    小此木八郎君

      大村 秀章君    梶山 弘志君

      後藤田正純君    高木  毅君

      西川 京子君    西川 公也君

      根本  匠君    馳   浩君

      林  義郎君    平井 卓也君

      茂木 敏充君    保岡 興治君

      大島  敦君    北橋 健治君

      後藤 茂之君    後藤  斎君

      今野  東君    鈴木 康友君

      中津川博郷君    肥田美代子君

      松本  龍君    山内  功君

      山田 敏雅君    斉藤 鉄夫君

      若松 謙維君    土田 龍司君

      大森  猛君    塩川 鉄也君

      大島 令子君    西川太一郎君

      宇田川芳雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   総務副大臣        遠藤 和良君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電

   波部長)         石原 秀昭君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    田中  均君

   政府参考人

   (外務省条約局審議官)  林  景一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議

   官)           白尾 隆行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議

   官)           鶴田 康則君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境

   局長)          日下 一正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月三十一日

 辞任         補欠選任

  松宮  勲君     西川 京子君

  後藤 茂之君     大島  敦君

  松本  龍君     今野  東君

  赤羽 一嘉君     若松 謙維君

  石井 啓一君     斉藤 鉄夫君

同日

 辞任         補欠選任

  西川 京子君     松宮  勲君

  大島  敦君     後藤 茂之君

  今野  東君     松本  龍君

  斉藤 鉄夫君     石井 啓一君

  若松 謙維君     赤羽 一嘉君

    ―――――――――――――

五月三十日

 計量法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律案(内閣提出第九四号)

 計量法の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)




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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省産業技術環境局長日下一正君、資源エネルギー庁長官河野博文君、総務省総合通信基盤局電波部長石原秀昭君、外務省経済局長田中均君、外務省条約局審議官林景一君、文部科学省大臣官房審議官白尾隆行君及び厚生労働省大臣官房審議官鶴田康則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田敏雅君。

山田(敏)委員 本日の質問に先立ちまして、ちょっと大臣の所見をお伺いしたいことがございます。先日の新潟県の刈羽村のプルサーマルの住民投票でございます。

 我が国のエネルギー政策の非常に重要な部分であります核燃料のリサイクル、再利用、これについて、住民投票という形で行われたこと自体が非常に大きな問題だと思うんですが、先日、大臣は、たしか一枚千六百円ぐらいのチラシをつくって配布されたというようなことがございました。

 このような重要な問題について、反対がわずか千世帯ぐらいだったと思うんですが、大臣、副大臣、政務官全員で一戸一戸、全戸を回って、これはプルサーマルという言葉が非常に誤解を招きやすい言葉で、新たに何か発電をするのではなくて、ただ燃料をリサイクルして使うというだけで、新たに何か起こるとか、何もないわけですから、それをじかに一対一で、大臣、副大臣、政務官みずから、五人で回りますと、一人二百戸回れば大体一日で終わります。

 これぐらいのことで、本当に住民の理解を得られて、エネルギー政策、これからの原子力政策の本当に重要な部分が果たせたんじゃないかな、こういうふうに私思いましたので、ちょっと質問の前に、大臣、一言、今回のことについて、これからどうするのかも含めて。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 大変重要な御提案をいただいたと思っています。私どもは、国のエネルギーの基幹的な政策でございますから、やはりあの結果は非常に残念なことだと思っています。

 今御指摘のように、私は、やはりその必要性と安全性というものを村民の皆様方に理解をしていただかなければならないという気持ちで、自分の署名入りの文書を全戸に配布をさせていただきました。また、御承知のように、資源エネルギー庁長官や原子力安全・保安院の責任者も、賛成派、反対派、両者が御出席の会合に出させていただいて、説明もさせていただいたわけであります。

 しかし、今本当に山田委員御指摘のように、プルサーマル、そのことに関する必要性、安全性というものが、いま一段理解をしていただけなかった。このことを私重く受けとめておりまして、やはりこれからもっともっと、基幹的な国策に属するエネルギー政策でございますから、私以下がもっと汗をかく、こういう基本姿勢でやらなければならないというふうに思っております。

 もう委員御承知かと思いますけれども、まず第一段階として、政府の中に連絡協議会というものも設けさせていただいて、今の御指摘も踏まえながら、どういう形で理解を深めていくか、そのことに担当大臣として、副大臣、政務官と力を合わせて一生懸命頑張っていきたい、このように思っています。

山田(敏)委員 百の理論や議論よりもフェース・ツー・フェース、顔を見て、一人一人を訪ねていく、これは非常に重要なことだと思いますので、ぜひ前向きにお願いいたします。

 さて、本日の法案でございます。一つお伺いしたいのですが、今回、中小企業の方々が輸出をする際に大きな障害となっているということでございますので、少し中小企業の方々のために、どのようなメリットが出てくるのか、お答えいただければと思います。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 日本・欧州共同体相互承認協定、これは、一つは通信端末機器及び無線機器、二つ目は電気製品、三つ目は化学品、四つ目は医薬品の各分野に関して、日本と欧州共同体との間で規格への適合性評価の結果や製品の試験データ等の相互承認を定めるもの、こういうことに相なっております。

 もちろん、この分野には、御指摘の中小企業もたくさんあるわけであります。この協定の締結によりまして、我が国と欧州共同体との間で通信端末機器等を輸出入する際に、相手国で必要とされる手続を輸出国側で実施することが可能となります。その結果、これらの製品を相手国に輸出する際には、これまで必要であった翻訳あるいは現地への出張、現地事務所の開設、そういった費用が節約されるわけでありまして、このことも中小企業にとっては非常に大きなことではないかと思っています。またさらに、検査期間が短縮され、我が国と欧州共同体との間で協定の適用対象となる製品の貿易が促進されることが期待をされるわけでございます。

 特に、現地事務所開設等に要する費用負担は、今申し上げましたように、中小企業者にとっては大きいことから、相互承認協定締結により、中小企業にとって欧州市場へのアクセスが容易になることが期待できる、このように思っております。

山田(敏)委員 ぜひその面を広く中小企業の方に公布していただきたいと思っております。

 それに関連しまして、大臣の所信及び平沼プランというものの中に、ベンチャー企業、特に大学発のベンチャー企業をやろうという斬新なプランを出されておりますので、その件についてちょっとお伺いいたします。

 私は、二十数年前に、役所に入ったころに、このベンチャーの育成というのをやりました。いろいろな制度や補助金制度、いろいろなことをやりました。今回、大臣の所信表明に、産業技術力の強化によりイノベーションを促進すべく、産学官連携による重点的、戦略的な研究開発、科学技術システム改革を推進しますという言葉が出ているのですが、何か二十年前、僕が書いたような記憶があって、同じような話なんです。二十年間よく見たら、日本のベンチャー企業というのは大きくおくれて、効果的なことはほとんど見られなかった、これは後で検証いたしますけれども。

 その点についてちょっと、大臣、この二十年間の日本は、数限りない、一冊の本にできるぐらい、補助金制度を初め自治体の政策が出されました。しかし、実態的に日本にベンチャービジネスというのが起こっていないということでございますけれども、それについて御意見がございましたら、どうぞお聞かせください。

平沼国務大臣 山田先生も二十数年前に、経済産業省の前身でございます通産省におられまして、このベンチャーの育成で大変汗をかかれた。本当にそういう意味で、二十数年たってまだ、これも山田委員御承知のように、大学発のベンチャーというのは、最近三年間でまだ七十社ぐらいしか実績としてございません。それに引きかえまして、アメリカは同じ三年間で八百社が誕生しています。

 その差を考えてみますと、やはり一つは、新しいベンチャー企業が誕生するためのいろいろな条件というものが日本ではなかなか育っていなかった。これは山田先生も一番お詳しいことだと思いますけれども、例えばベンチャーに投資する投資家集団、そういうものにインセンティブを与えるような法制度もなかなか日本では育っていなかったし、また、産学の交流というものも、いろいろな意味で規制があって、それが進まない一つの大きな要因になっていました。またさらに、大学の組織運営、こういった問題も、日本の大学というのは、ポテンシャリティーはそれぞれ非常に持っておりますけれども、象牙の塔というような表現で言われておりますように、ある意味では非常に閉鎖社会であったというようなこともある。

 そういうようなことで、二十数年前、若き官僚でいらした山田先生が一生懸命努力をされ、それはそれで今の七十社に結実してきていると思いますけれども、やはりそういったところを根本的に変えていかなければならない。そういう発想の上に立って、例えば大学組織の運営の改革、あるいは大学教官の特許取得のインセンティブの拡充、それから産学連携のコーディネートに向けた大学TLO、技術移転機関の拡充でございますとか、また、ベンチャーを担う経営面、技術面に精通した人材の育成、それから民間資金も活用した産学間連携研究開発の抜本的な拡充を図らなければならない。

 そういう反省に立ちまして、一部は実現しつつありますけれども、今回、私は、大学発ベンチャーを三年間で、今の七十社をアメリカ並みの一千社にしたい、そのためにチャレンジをしていきたい、こういうふうに思っておりまして、いろいろな障害があってなかなか進まなかった、そのように認識しております。

山田(敏)委員 大学発のベンチャーを三年で千社にするというのは、今大臣おっしゃったように、非常に野心的というか、革命的というか、ほとんど無理。大臣、この三年でやるということであれば、もしできなかったら何か丸坊主になるとか、そういう覚悟がおありになるんじゃないかと思うんです。

 三年で千社というのはどのぐらい無理な話かということをちょっと申し上げますけれども、今大臣が申されたように、アメリカでは一年に、一九九八年、三百六十四社ですね。アメリカ並みのことをやっていくということなんですが、アメリカの大学では、今、日本について、日本のモデルはもう既に機能不全に陥っているということがはっきり言われております。

 私の知っているハーバードの日本語を教えている教授なんですけれども、一九八〇年、このころ日本語を勉強したいというハーバードの学生、第二外国語をとるというのは一番多いぐらいすごかった、日本語講座もたくさんあった。一九九四年からそれが全くなくなってしまいました。それにかわって、今、中国語を第二外国語でやっている。さらに、アメリカ各地の大学で、日本に関する講座というのはほとんどなくなってしまいました。要するに、日本のモデルがもはや機能不全になっているんじゃないかということなんです。

 パネルのコストがございませんので紙で失礼します、ここに表がございます。これは、都道府県別の特許数、人口千人当たり。これは、グラフの形だけ見ていただいたらわかるんですが、真ん中にどんと、これは東京都です。隣が神奈川ですね。首都圏を合わすとこの特許数の六〇%になるんです。左にちょっとあるのは、これは大阪。首都圏が六〇%、あと大阪と愛知が少しですが、それを除けばもうほとんどゼロに近いんです。こういう状態になっています。

 それに比べて、アメリカの各州別の、同じく人口一万人当たりの特許数、これはこういうふうになっているんです。要するに、日本は首都圏に集中している、アメリカは全米各地。特許数というのは一つのベンチャーを起こす材料になるわけですけれども、こういうことであります。

 もう一つ、バイオテクノロジー特許の所有状況です。上が日本で下がアメリカですが、日本の場合は、大企業が八六%、ベンチャー企業が二%、大学及び研究所は一二%。アメリカは大学の研究所が五二%ですね。

 これは、大企業と東京に集中しているという日本の構造的なことが、過去起こったわけですね。

 日本は今まで地方に分散しようという政策をいろいろやってきました。近くは一九八三年のテクノポリス法とか七二年の工業再配置促進法、これは地方に引っ越しをするということで産業の集積は起こらなかったのですね。今アメリカでやっていることは、産業がどんどん集積していく、新しい技術を中心にして、これはボストンとか今のオースティンとかいろいろありますけれども。

 ベンチャーというのは、そもそも大企業から起こりにくいということがあるんですね。そして、一人の反対者、一人の賛成者という言葉があるんですけれども、大企業の場合、一番下の人がやってどんどん上げて途中で部長なり役員が一人でも反対するとこの案はつぶれる、ベンチャーの場合はベンチャーキャピタルを十社当たって一人でも賛成してくれる人がいればその業が開いていく、この構造的な問題がある。

 この機能不全という問題を日本は抱えているわけですが、大臣がこれに対して革命的な、革新的な政策を具体的に持っていかないと、この今の状況を破っていくことはできないわけですね。

 先ほど、大学の組織をどうしようとかいろいろ御説明いただいたんですけれども、私は、これでは三年間で一千社というのは非常に難しいと思うんです。もう少し突っ込んで、大臣、今の私の説明を聞かれてどういうことが可能であるというふうにお考えになりますか。

平沼国務大臣 非常に説得力のあるグラフをお示しいただいて、アメリカと日本の比較、こういうことでございますけれども、私は、日本の大学自体はそれほどポテンシャリティーがないとは思っておりません。やはり、大学というものはそれぞれポテンシャリティーを持っている。ただ、そのポテンシャリティーを本当に活力ある、経済に生かす、そういう仕組みが乏しかった、こういうふうに思っています。

 ですから、そういう中で、これからやはり学から産への連携というものを強化していく、そのインセンティブを与えるために知的所有権の問題も含めて柔軟にしていくし、また、三年間で一千社ということをやっていくためには、それに必要ないわゆる資金だとか税制上の手当ても思い切ってやっていかなきゃいけない。

 ですから、ただやみくもにそういう形で私どもは一つの目標を掲げているわけじゃなくて、その中でやるべきことはやはりぴしっとやって、そして、三年で一千社が新しいベンチャー企業として誕生できるような仕組みというものをこれから総合的に構築していく、そういう形でございます。

 例えば、日本の特許の出願数というのは非常に多い、これはアメリカに比べても非常に多い、そういう実績もあります。しかし、その特許が、じゃ、学術論文にどこまで引用されているか、そういう比率でいうとそこはまだ低いところがありますけれども、日本というのはそういう意味ではポテンシャリティーがありますから、やはりいろいろな条件整備、体制整備を資金面や税制面や法制面で、小泉内閣も改革断行内閣、こういうふうに言っているわけですから、そこを思い切ってやれば、私は必ず達成ができる。

 そして、三年たって七十社が四百五十社で終わったらどう責任をとるのか、こういうお話も冒頭ございましたけれども、まあ、坊主にしようと思ってももともと余り髪の毛も多くないものでありますから、私はとにかく一生懸命頑張ってそういう目標を達成するために最大限の努力をしていきたい、このように思っています。

山田(敏)委員 大学の方でいろいろなベンチャーをどんどんつくっていくというのは、一番最初にお金が必要なわけですね。資金をどうやって調達して、それがどういうふうに確保されるか、その仕組みができていないからアイデアがあってもできない。私も友人が東大でナノテクノロジーの教授をやっているんですけれども、彼はいろいろなアイデアで特許を取れる、しかし、それを事業にしていこうというところまで発想が出てこないんですよね。

 その資金、金融制度なんですけれども、日本とアメリカが違うことが決定的に一つあるんです。これは個人保証の制度です。アメリカの場合は、事業を起こすあるいはそれの資金を借りるときに個人保証をしないんです。日本の場合は、どんな事業融資であっても個人保証をします。中小企業金融公庫の新事業の融資制度、これは融資を受けた場合、担保があってもなくても個人保証をします。

 アメリカのベンチャービジネスで成功した人たち、本当に成功した人たちの経歴をよく見てみますと、必ず二回か三回失敗して、そしていいベンチャービジネスをつくって成功している。なぜか。二回、三回企業倒産して、そのときに本当に勉強して、学んで、企業経営のノウハウができた。だから三回目にやったときにはできた。

 日本の場合は個人保証がありますから、自分の家や持っているものをすべて失う。そして、それ以上に借金を、例えば五千万で事業を始めて、その個人保証をして、五千万ない場合はその方は一生その五千万を返していかなきゃいけない、一億を返していかなきゃいけない、二度と再びベンチャービジネスを考えたりやったりすることはできません。

 これは、日本の帝国海軍が戦艦が沈むときに艦長は生きたまま縛って艦とともに沈んだ、アメリカの海軍は一番先に艦長が飛び込んで逃げる、これは有能な人材だから殺さないでとっておこう、こういうふうに考え方が違うわけですね。それとよく似て、これは今の一般的な中小企業の問題にも深くかかわるんですが、事業をするときに個人保証をやるという制度では非常に基本的な人権を侵される、それから、本当の意味の活力を失う。

 今、アメリカのシリコンバレーにしてもオースティンの例にしても、それからボストンのバイオインダストリーが急速に、もう大きな町になるぐらいに発達した。これは本当に身近に、テレビやラジオや新聞で聞くんじゃなくて本当に隣の人が事業を起こして、そして成功して、そして百億とか二百億ある。じゃ、私もできるんじゃないか、これは非常に身近な例というのがある。

 日本の場合、逆に、大学におった人あるいは大企業にいた人がベンチャービジネスをやった、一回で失敗した、そうすると、もう家屋敷はなくなる、生涯借金を背負う。これが私の知っている人にいた。もう二度とやりたくないと。この問題が日本のベンチャー及び中小企業のスタートアップのときの大きな問題になっている。これはアメリカにはない制度、欧米にもないと思うのです。

 日本はなぜ個人保証を重く見るのか。これは、事業でやったものを個人がすべてを負う。事業は事業で責任を負えるようになっているわけですから、個人保証は必要ない。

 そこで、大臣、まず所管の政府系の金融機関から始めて、個人保証をやめる。やめるんだという明確なメッセージがあるだけで、日本のベンチャーの大きな力になると思うのです。今のままやると、失敗体験だけが目立って、そして大きな力にはなり得ない。金融をうまくマッチングしていくという制度は、今うまくいっていないわけですね。しかし、それ以上に大事なことは、事業に対する個人保証をするということではないかと思うので、ぜひ大臣は真剣にこの問題を御答弁いただきたいのです。

古屋副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今委員御指摘のように、アメリカのいわゆるスタートアップ企業、成功したメンバーは、何度か過去失敗しながら成功に導いているというケースがある、私も十二分に承知をいたしております。

 ただ、日本の場合は、政府系あるいは民間系に限らず、原則として、まず土地の担保、そして個人保証というものを要求しているケースが多いわけであります。しかし、一つの流れとして、事業内容に着目した融資制度を始めるためのいろいろなデータを集める作業も始めているということは事実でございます。

 ただ、個人保証ではなくて、余り事業内容のみに着目した融資をしていくということになりますと、むしろ、融資というよりは、出資、投資の世界に入ってくるわけでありまして、あくまでも融資という観点からすると、やはり経営者責任あるいはモラルハザードということをしっかり防止するということも考えていかなきゃいけない、こんなふうに思っております。

 ただ、現在も、中小企業金融公庫におきまして、成長新事業育成特別融資制度というのを昨年より実は実施をいたしておりまして、この制度では、代表者の保証履行を求める範囲等について弾力的に配慮するということを制度要綱に明記しております。

 また、もう一点では、国民金融公庫による小企業等経営改善貸付制度、いわゆるマル経制度については新規開業者も対象としておりますし、また、商工会議所とかあるいは商工会による経営指導を条件に担保も保証人も徴求しないという制度も行っておるというのが事実でございます。

 いずれにいたしましても、流れとしては、事業内容に着目をした融資制度というものを徐々に徐々に進めていくべきだと思います。ただ、個人保証という観点と、もう一つの今私が申し上げました土地の担保、これはちょっと性質が違うかと思いますけれども、今後そういう観点も含めて経済省としても精力的に検討してまいりたい、こんなふうに思っております。

山田(敏)委員 個人保証のことを議論するときに必ず経営責任とモラルハザードということが出るのですが、経営責任は経営責任で法律できちっとやればいいことであります。ただ、その経営責任が個人保証になると、借りたお金全額ということですから。経営責任と個人保証の額とは関係ないのですね。経営責任は経営責任で法律的に考えて処分すればいい話で、それは個人保証とは関係ない。

 今大臣が革命的なことをやらないとできないとおっしゃった意味は、この個人保証を政府系金融機関から、今これは大臣の政令というか命令というか、それでできるのだと私は思います。

 真剣に、この個人保証をやめるということを一歩踏み込んで。今副大臣が説明されたが、ではアメリカになぜ個人保証がないのですか。経営責任とモラルハザードがあるのだったら、アメリカにもあるはずじゃないですか。アメリカはなくてもやっているじゃないですか。それでうまくいっているじゃないですか。それを例にとっても、日本で個人保証をつけなきゃいけないという理由はないと思います。

 この委員会でもたびたび取り上げられておりますけれども、現実に今、金融機関が非常にタイトになって中小企業の倒産がふえる。まして、小泉さんが不良債権最終処理をやると言われまして、国民の痛みをお願いしますと。どういう意味かというと、中小企業はどんどんつぶれるということですから。中小企業がつぶれるということは、今言いましたように全部それは個人保証をされているわけです。

 現実に、経営者の方でそれが原因で自殺された方に、この間お会いしました。だんなさんが二階で首をつられました。そこに警察が来て、奥さんはその場で銀行の支店長三人に電話をして、ちょっと主人が話がある、来てくれということで、一回警察が遺体をおろしたものをもう一回首をつるしてくれということでつるして、その三人の支店長にこれを見てくださいと。

 これはもう本当に、個人保証をやるということがこれだけ大きな社会的な影響があるということですので、今、副大臣の経営責任とモラルハザードのために個人保証をやるという意見には私は反対いたしますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。

 ありがとうございました。質問を終わります。

山本委員長 後藤斎君。

後藤(斎)委員 民主党の後藤斎でございます。

 まず、法案の中身に入る前に、大臣にお伺いをしたいと思います。

 先週の金曜日、「新市場・雇用創出に向けた重点プラン」、平沼プランなるものが出されました。本当にこの中身についてはそれぞれの分野で対応していただきたいと思うのですが、一点、この何週間かの間に大変憂慮するべき事態が出ているのかなと私は思っております。

 それは、どうも都市と地方、そういう定義がいいかどうかわかりませんが、その二つの対立の構造を、少しずつ格差を広げようというような感じがマスコミの報道等に見られるような感じがします。この平沼プランにおきましても、第九項だったと思いますが、都市の快適な生活環境の構築・再生ということで項を挙げて対応されております。一方、地域ないし地方という言葉は余り出てきておりませんで、第三項目の開業創業倍増プログラムの中に、地域再生産業集積計画というふうな形でのものです。

 私は、先ほどの刈羽村の問題もそうですが、都市と地方がお互いに両々相まって成長ないし発展をしていくこと、そして再生をしていくことが不可欠だと思うのですが、大臣のその点についての御見解を冒頭お伺いします。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 先般、私が、産業構造改革・雇用対策本部で提言をさせていただきました「新市場・雇用創出に向けた重点プラン」、それにおきましては、十五の提言の一つとして、御指摘のように、都市の快適な生活環境の構築・再生、これを提案させていただいております。

 一方、同プランにおきましては、これも先生御指摘をいただきましたけれども、我が国全体の経済構造改革を推進するためには、当然地域経済の活力を引き出すことが重要との観点から、地域再生産業集積、産業クラスター計画として、地域経済を支え、世界に通用する新事業が次々と展開される産業集積を形成する、こういうことも提言をさせていただいております。したがいまして、地域経済の重要性も強調をさせていただいているところであります。

 経済産業省といたしましては、地域経済をめぐる劇的な環境変化に対応しつつ、地域経済産業の多様かつ自律的な発展を総合的に支援することが重要だ、このように認識をしておりまして、こうした支援を省を挙げて行うために、当省では、本年一月の省庁再編に合わせまして、地域経済産業グループを新たに設置いたしまして、地方経済産業局も含めて約三千人の体制で地域経済の振興に取り組んでいるところでございます。

 今後とも、国と地方の適切なパートナーシップのもとで、産学官の広域的な人的ネットワークを構築しつつ、技術の事業化支援、ビジネスインキュベーター、そういう整備を我々としては各地域に効果的に投入することで地域経済の活性化を一層強力に進めてまいりたい。

 確かに、委員が御指摘になられましたように、その十五の項目の中で、都市に重点が置かれているのではないか、こういう書き方、そういう印象を持たれる、このことについては、私どもとしてはちょっと反省をさせていただきますけれども、御指摘のように、別の項目で、いわゆる地域の産業の集積、クラスターをつくり、それをさらに拡大するために、省を挙げて、全国にあるネットワークを通じて、地域の産業活性化のためにそういう体制をとっている、こういうことでございますので、御理解をいただければ、このように思っております。

後藤(斎)委員 経済産業省のマターだけではなく、大臣も経済諮問会議のメンバーになっています、そのような方向性をぜひお願いしながら、次の質問に移らせていただきます。

 先ほど山田委員の方からも話がありましたように、日曜日の刈羽村の住民投票、これがこれからの我が国のエネルギー政策全体に大きな影響を与えるというふうに考えています。それは、まさにアメリカがブッシュ政権になり、二十二年ぶりに原発建設が再開をされたということ、そして、今総選挙の真っただ中でありますイギリスの労働党政権も、原子力の役割の必要性を公約として挙げている。いろいろそれぞれの国で、原子力に関する難しい問題を抱えながらも、環境の問題そして現実の問題を含めて、安全性にはもちろん留意をしながらでありますが、前に原子力政策を進めております。

 日曜日のプルサーマルの住民投票の結果、ちょうど平沼プランが出された当日、石原都知事も、都の行政を預かる者として、六%の電気自給率しかない東京都において、もっと新潟県や柏崎、刈羽村のことをきちっと考えていかなきゃいけないというふうな趣旨、それはまさに私が冒頭お話をお伺いした、都市と地方、地域の連携だというふうに考えています。

 先週の日曜日の刈羽村の住民投票の結果、そしてそれをどう評価なさって、今後どういうふうに対応していくのか、大臣に御見解をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 この五月二十七日の刈羽村における投票結果、これは私は非常に残念なことだ、こういうふうに思っています。

 そして、二十一世紀を展望しても、やはりエネルギー政策にとって原子力というのは不可欠の存在だと思っています。そういう意味で、人的資源だけで天然資源に乏しい我が国は、やはりエネルギーの安定供給をして、そしてこの経済大国、経済立国、その血液とも言われるエネルギーの確保、これをしっかりやっていかなければならないと思っています。

 そしてまた、今ブッシュ政権になって、アメリカも二十数年ぶりに原子力を見直す、こういう動きが出てきたという背景には、やはりあのカリフォルニアの電力の危機、そしてまた二十一世紀は環境をいかに克服するか、そういうことを考えたときに、アメリカは世界のCO2の四分の一を排出しておりますけれども、この原子力発電というのはその発電過程においてはCO2の排出はゼロでございます。

 そういったことで、今、後藤委員も御指摘のように、いかに安全性を確保するか、これが一番大切なことでありますけれども、この核燃料サイクル、プルサーマル計画というのは国のいわゆるエネルギーの基本政策でございます。そういう中で、二十七日の住民投票の結果は、住民の皆様方、国民の皆様方に対する、その必要性あるいはその安全性への私どもの努力がまだ足らなかったのではないか。

 したがって、やはりその反省の上に立って、先ほども申し上げましたけれども、政府部内に連絡協議会を設ける、そしてまた、私が担当の大臣でございますから、やはり事前了解をしていただきました新潟県知事や、あるいはまた柏崎の市長さんや、既に刈羽村の品田村長さんにはお目にかかりましたけれども、そういった形で本当に交流を密にしながら、もっともっと努力をして、この二十一世紀の国の基幹的なエネルギー政策にそごを来さないように一生懸命努力をしなければならない。

 そういう意味では、あの住民投票の結果は非常に重く受けとめておりますし、石原都知事が指摘されたように、本当に東京では東京の使用する電力の六%しか生産できない、そうして圧倒的に地方の皆さん方にそれを依存している、そのことをやはり重く受けとめて、そして地方のことも考えていかなきゃいかぬ、これはまさにそのとおりだと思っておりますので、これからもまた、委員を初め皆様方の御意見を承りながら一生懸命に頑張らせていただきたいと思っています。

後藤(斎)委員 今のようなお話の中で、まさに日本の原子力の安全性は、世界的な評価機関というか権威でありますIAEAも、きちっと対応しているんだ、これは過去の日本の歴史の中で実証されてきたところではないかなと思っています。

 ただ、先ほど大臣が、連絡協議会をスタートしてこれからきちっとした合意形成をしていくんだというお話ありましたが、これは刈羽村の問題のみならず、以前から問題がいろいろありました福島県におきましても、凍結というか、若干ペンディング状態に今なっているのが現実であります。

 仮にこのプルサーマル計画が進まなければ、先週総合資源エネルギー調査会で需給見通しが出ておりますが、それにも影響するのではないかなというふうに思っています。一方で、省エネ、新エネについても対応をこれからもちろん積極的にされていくというお話でありますが、もしこのプルサーマル計画が進んでいかなければ、先週出されたエネルギーの需給見通しについても、逆にいろいろな選択肢を考えていかなければいけないのかなというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

河野政府参考人 先生御指摘のとおり、私ども、総合資源エネルギー調査会におきまして、昨年の四月から、将来のエネルギー需給の見通しについて検討をさせていただいているところでございます。

 これまでも、御案内のとおり、需要面につきましては、いわゆるさまざまな省エネルギー対策に最大限の努力をやってきておりますし、また供給面におきましては、基幹電源としての重要な原子力に加えまして、天然ガスあるいは新エネルギーの導入といったようなことに積極的に取り組んできておるわけでございます。

 先般、いわゆる目標ケースということでお話をさせていただいておりますものは、それに加えまして、今後さらに努力するということで、さらなる省エネルギー対策あるいは新エネルギー対策、こういったものを盛り込みまして、それに加えて、電力などの燃料転換を実現するということがシナリオとして想定されているわけでございます。この目標ケースは、これから国民の皆様の御意見を聞きながら夏ごろまでに取りまとめていただきたいということでございます。

 今御指摘の、プルサーマルが進まない場合というお話がございましたけれども、これは、我が国にとりまして、利用目的のないプルトニウムを保有しないという方針あるいは核燃料サイクルとの関係、こういったものを考えますと、プルサーマルを実施しないということでは使用済み燃料のリサイクルは困難になるというような問題もあるわけでございます。

 このような事態にならないように、エネルギー政策の基本目標の達成が実現しますように、プルサーマルの安全性、必要性について、ぜひ国民の皆さんの御理解をいただけるように、引き続きできる限りの努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

後藤(斎)委員 今長官がお答えになりましたように、いろいろな対応をしていっていただけるわけなんですが、一方で、電源特会の見直しについても、聖域なき見直しということで、特定財源の話で内閣全体で話があるというふうにお伺いをしています。

 先般も委員会の中で、原子力立地促進法のときにもお話をさせていただきましたが、実際、この電源開発促進対策特別会計につきましては、剰余というと意味合いが若干違うかもしれませんが、予算執行が、年間で余っている分があります。そして一方で、原子力発電の安全性、信頼性の向上ということで、これは多分広報活動も含めると思いますが、十三年度予算で二百六十二億の予算を計上して使用されています。

 なぜ、事前の広報が、今大臣や長官がお答えをいただいたような形で、その必要性や安全性について理解を得る努力が、この予算計上が二百六十二億、これは全体ですから、その一部かもしれませんが、あるにもかかわらずできなかったのか。逆に言えば、もっと剰余の部分で必要であれば集中的に予算を使っていくようなことをなぜ考えなかったのか。予算配分の問題も含めて、いろいろ制度的な絡みでうまく理解が得られなかったという点もあるんではないかなと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

河野政府参考人 先生御案内のとおり、この電源開発促進税制でございますが、あるいは特別会計でございますけれども、その目的税でございます電源開発促進税だけが財源でございます。その中で、電源三法に基づきますさまざまな交付金あるいは補助金ということで運用させていただいてきているわけでございます。

 これまで、私どもも精いっぱい地元の皆様に御理解を得るべく努力をしてきたつもりでございますが、先ほど大臣が申し上げましたように、反省点もございます。

 ただ、この特別会計の立地対策自身は、毎年の電源開発促進税収と支出を見てみますと、このところはほぼ均衡している、まあ、年によってでこぼこはあるわけでございますけれども。そういう中で、ある程度たまったものが翌々年度の剰余金としてまた再計上される、先生御承知のとおりのような仕組みになっておりまして、あたかも剰余金が多いように決算上見えるという面はございます。

 ただ、この剰余金も、今後の電源立地が、このところ、ジェー・シー・オーの事故の後も、地元の知事の御了解を得るところが出てきておりますので、こういった決定ですとか、あるいは原子力関連施設の新たな設置、さらには電源立地地域からの財政要望にはなかなか強いものがございますので、将来は確実に減少するというふうに思われるものでございまして、そういった面で有効に使わせていただきたいというふうに思っております。

後藤(斎)委員 先ほど来お話ししているように、我が国の電源立地の特徴は、生産地、発電地と消費地に使われるものが、大変、都市と地方みたいな形で分類をされています。

 ぜひ、これからの予算の有効な利用の中で、そして、できるだけ早期に住民の方等の理解も深めて対応していただく中には、都市住民の方が、膨大な電力消費を、一部の地域の方にも対応をして、そこでの相互連携の中で生活をし、働いているんだということも含めて、ぜひ御活用をお願いします。

 次に移りたいと思います。

 核に若干関係するんですが、今、モナザイトという核燃料物質の問題で、山梨や岐阜県で住民の方とトラブルがございます。この法律は、昭和三十二年ですからちょうど私が生まれたときに制定された法律で、もう四十年以上たっている法律なんです。

 実際、山梨の例を言いますと、所有者の方と三回、撤収期限ということで、住民の方が違うところに移動してくれということで、三回の期限がそれぞれもう過ぎて、ちょうどきょうが三回目の期限なんですが、どうもこれもだめだということで、原子炉等の規制に関する法律の六章の幾つかの条文によりますと、使用の許可基準等々をクリアしていれば、とりあえず保安の体制さえあれば文部科学省は許可をするというふうな規定になっています。

 実際、住民の方から見れば、核燃料物質、要するに核という言葉があると、これは原子力についてもそうなんですが、一方的に不安感だけが今かき立てられるという状況になっています。

 塩山市を例にとってお答えをいただきたいんですが、私は、その法律の体系の若干の不備も制度的にあるのかなというふうな気持ちを込めながら、今までの対応状況と、今後はどういうふうにされていくのか、文部科学省の方にお聞きをしたいと思います。

白尾政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘になりましたモナザイト鉱石でございますけれども、当初、これは所有者が明確でないという状態で、すなわち、法律に基づきまして適切な管理がなされていないという状態で各地に分散保管されていたわけでございます。その後、当省より鉱石の所有者に対しまして、法律に基づいて適切な管理を求めてまいりました。所有者らは、その後、塩山市の郊外に一括の保管場所を確保して、ことしでございますけれども三月十六日に、当省に対して原子炉等規制法に基づく届け出がなされたということでございます。

 御案内のとおり、核原料物質、これは原料でございますけれども、これを扱う施設におきましては、原子炉等規制法に基づきまして、安全確保の観点から、管理区域、周辺監視区域を設定すること、それから使用上の注意義務を掲示すること、施錠管理等を行うことなどを義務づけられておることは御案内のとおりでございますが、今回、届け出があった保管場所においても、この規制に基づいた保管がなされているところでございます。

 当省といたしましても、この保管に当たりまして、職員を派遣いたしまして、専門的、技術的観点から助言などを行っておりますし、実際、線量の測定等も行いまして、安全上問題がないということを確認しておるところでございます。

 一方、住民の方の不安も多いという今委員の御指摘のございますとおり、当省といたしましては、地元等の御要望も踏まえまして、本年四月五日に、地元におきまして、自治体関係者あるいは住民の方々に対して、これまでの経緯を含めて、保管されているこのモナザイト鉱石の安全性に関して説明をさせていただいたところでございます。

 今先生御指摘のあったように、現在、所有者が、地元の自治体からの要請を受けまして、鉱石の撤去に向けて関係者と協議を重ねているというふうに聞いております。

 当省といたしましても、円滑な話し合いが進展をすることを期待しておりますとともに、関心を持って見守っております。

 なお、実際に撤去が行われることになる場合には、職員の派遣等によって安全の確保に努めたい、かように考えております。

後藤(斎)委員 ぜひ、そんな形で対応をお願い申し上げます。

 時間もそろそろあれなんで、本法に入りたいと思いますのでよろしくお願いを申し上げます。

 特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律案ということで、昨年の基準・認証の見直しの中にも、相互協力を推進していくということで、EUのみならず韓国そしてシンガポール、APECのフレームワークの相互承認も推進していくという流れの一番スタートのものでございます。これによると、具体的政策効果が、検査期間が、それがなかった場合よりも、二カ月から二週間くらいに短縮をされ、そして検査に関する費用、特に中小企業の方、なかなか現地法人もありませんから、費用が削減をされる。シンクタンクの見通しでは、年間五十億くらいのコスト減になるというふうなプラス面がございます。

 ただ一方で、この適正評価機関を主務大臣が認定をすることになりますが、EUに比べて、我が国は、適正評価機関というのはそんなにレベルが高くはないのじゃないかというふうな指摘もございます。ゼロということはないと思うのですが、この三条の規定に基づいて、評価機関がたくさん、そしてなおかつ技術力の高い機関がふえていけば、競争原理も働いて、さらに検査コストが削減になって、むしろ全体の貿易、アクセスの改善につながるということになると思うのです。

 日本として、今まで適正評価機関をどのように育成してきて、それぞれ今後どういうふうに育成をしていくのか、その評価機関が育つかどうかで大きく位置づけが変わってくると思うのですが、その点、経済産業省と総務省の方にお伺いしたいと思います。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 従来、我が国の基準・認証に基づく試験検査などの業務を行う機関は公益法人に限定されており、個別法令の範囲内で業務を実施してきたところでございます。

 平成十一年に当省関係の基準・認証制度等の整理及び合理化に関する法案を提出させていただき、十一の法律につきまして、公益法人に限らず民間企業の参入を可能とするよう法改正を実施したところでございます。

 これによりまして、先生御指摘のように、一つの基準・認証制度に複数の機関が参入することが可能になることから、競争原理の導入によりまして、コストの低減等を図ることが可能になるとともに、サービスの質の向上にも資することになるものと考えております。現に、この改正に伴いまして、今までの公益法人に加えまして、幾つかの株式会社から申請が出され、認定審査をしているところでありまして、このような動きによりまして、適合性評価機関の競争環境も進展していくものと考えております。

 さらに、今回御審議いただきます本相互承認法案におきましては、欧州の認定基準である国際的な指針を用いて審査、認定された我が国の適合性評価機関を、協定に基づきまして欧州が認めることになります。これによりまして、国際的にも認知された適合性評価機関が育っていくことが期待されまして、国内のみならず国境を越えた事業活動が可能になるものと考えております。

 経済省といたしましては、このような環境整備を通じて、国際的にも通用する適合性評価機関の育成に努めてまいりたいと考えております。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 国内におきます電気通信機器の基準・認証業務につきましては、電波法及び電気通信事業法に基づいて実施されているところでございまして、これを実施いたします認証機関は現在公益法人に限られておりますが、今国会に提出中の電波法の改正案及び電気通信事業法の改正案に、認証業務への民間の営利法人の参入を可能とすべく、公益法人要件の廃止を盛り込んでいるところでございます。これによりまして、我が国においても、電気通信機器の基準・認証業務に通じた複数の認証機関が生まれることを期待しております。

 一方、本法案におきましては、欧州の認定基準であります国際的な指針に基づきまして、認定適合性評価機関を審査し、認定することとしておりますが、電波法の改正等が成立した後は、電波法等に基づく認証機関についても、国際的にも通用する認証機関として育成すべく、その能力の審査に当たりましては、国際的な指針を活用することとしてまいりたい、こういうふうに考えております。

 こうした制度運用を通じまして、同一の者が本法案に基づく機関と電波法等の認証機関の双方の機関として事業展開ができるような基盤を確立できるものというふうに考えております。

後藤(斎)委員 今、これから評価機関も育っていくというお話ですが、一方で、これからWTOの協定で国際標準がもっともっと進んでいくと思います。そんな中で、相互協定もEU以外にももっと裨益をしていくと思うのですが、どのような形で、こういうような協定を締結し、本法を広げていくのか、そして、他国との関係が進んでいく中で、相互承認が、業界そして消費者にどのような利益をもたらすのか、経済産業省、総務省の方にお伺いいたします。

平沼国務大臣 お答えいたします。

 グローバル化や国際標準化の進展した現在におきましては、国境を越える事業活動を円滑化するための環境整備を行うことが国の産業の競争力を高める上で重要になってきております。

 今回、このような観点のもとで、欧州共同体との間で相互承認協定を結んだわけでありますが、今後も、本協定の施行状況や貿易に与える効果等を踏まえつつ、市場規模、産業界のニーズ、相手国の基準・認証制度との技術的同等性などの要素を勘案いたしまして、他国との間においても相互承認を推進してまいりたい、このように考えています。

 なお、APECにおいて相互承認のモデルとなる取り決めが、電気通信機器分野については一九九八年に、電気・電子機器分野については一九九九年に採択されておりまして、これに基づきまして、米国等とも、APECの場を通じて情報交換を行っております。また、シンガポールや韓国との間では、経済連携強化の一環として、相互承認についての可能性の調査を目下行っております。

 相互承認が進展してまいりますと、特定機器にかかわるメーカー等につきましては、国際整合化の進展とも相まって、多くの国に対して輸出する場合には輸出先ごとに受検しなければならなかった検査が国内の検査機関で一度に行えるようになるというワンストップテスティングの実施が可能となります。かかるワンストップテスティングの実現は、一層の検査期間の短縮、検査費用の低減につながりまして、さらなる産業競争力の強化につながると考えております。

 また、消費者につきましては、相互承認の経済的メリットを享受した機器の輸入が促進されることにより、より低廉な機器が入手可能となるばかりでなくて、多くの国との競争を経た高品質の機器が入手可能となり、消費者の経済的利益、利便性の向上につながる、このように考えているところでございます。

遠藤(和)副大臣 ただいま平沼大臣から詳細にお答えがありましたけれども、総務省といたしまして、ほぼ同じ認識を持っております。

 特に電気通信分野に限って申し上げますと、次に協定を結びたいと希望しておりますのは、貿易量が一番大きいアメリカそしてカナダ、次にシンガポール、こういうことを考えておりまして、できるだけたくさんのところと協定を結びたいと思っている次第でございます。

 このメリットですけれども、メーカーからいえば、世界じゅうで通用する機器を開発する、そういう高度な技術を日本は持っておりますから、これができることによりまして、日本発の機器が世界じゅうに行き渡る。マーケットが広がる。ちなみに、次世代携帯電話などは世界じゅうで使えるということを念頭にして開発されておりますから、これがEU諸国で出回るということになれば、大変ありがたいことだと思っております。

 また、消費者のサイドからいいますと、ヨーロッパでつくられたものとかアメリカでつくられたものとか、そういうものが日本に入ってくるわけでございますから、利用の利便性が広がるし、いろいろな種類の通信機器が使える、こういうメリットがあるし、競争が促進されれば価格が安くなる、こういうふうなメリットがあると考えております。

後藤(斎)委員 以上で終わります。ありがとうございます。

山本委員長 土田龍司君。

土田委員 前の方の質問と多少重複する点があるかと思いますけれども、今回署名されました日本とEU相互承認協定によって、ヨーロッパへ製品を輸出しようとする我が国の事業者にとっては、EUでの重複した試験や検査などの適合性評価手続が要らなくなるわけでございまして、貿易手続の簡素化、迅速化がされ、市場アクセスが容易になるとされております。同様に、消費者にとりましても、低コストで多様なEUの製品を入手することが可能になってくるわけでございます。

 そこで、電気通信機器及び電気製品の日本とEU間貿易の現状について、並びに、今回の相互承認協定によって、政府は対EU貿易に関して、輸出面と輸入面、それぞれの分野でどのような経済効果を見込んでいるのか、具体的に御説明をお願いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 本法律の対象でございます通信端末機器及び無線機器と電気製品につきましては、年により異なりますものの、電気製品の貿易額というのは、日本から欧州共同体への輸出額が約二兆四千億程度ございます。また、EUから日本への輸出額が約五千億程度、こういうことに相なっております。また、通信端末機器及び無線機器の貿易額は、日本から欧州共同体への輸出額、欧州共同体から日本への輸出額はともに約一千億程度、こういうふうに推計をされております。

 また、同分野における協定実施による具体的、定量的な効果については、数値にすることが困難な点が多く、直ちに適切な額を示すことが難しいところもございますけれども、民間シンクタンクによりますと、検査に係る直接的な費用や人件費の削減、検査期間の短縮による機会損失の回復による効果を合わせまして、今後五年間で約二百五十億程度の経済効果があるのではないか、このような計算もあるところでございます。

土田委員 日本とEU相互承認協定は、電気通信機器、電気製品、化学品及び医薬品の四分野について相互承認の枠組みを構築しようとするわけでございますが、今回、これらの四分野を優先させた実質的な理由は何なのか。

 また、今後日本とEU間における輸出入の一層の円滑化を促進させるためには、対象分野をこれら四分野に限定することなく、拡大させることが必要であるというふうに思われるわけでございますが、日本とEU相互承認協定の今後の展望について、見解をお聞かせください。

田中政府参考人 お答えをさせていただきます。

 最初のお尋ねで、四分野を優先的に選んだ実質的な理由は何かということでございましたけれども、私は三点ほど申し上げさせていただきたいと思います。

 一つは、これはまさに輸出入の経済取引にかかわることですから、日・EU双方でございますが、経済界、産業界の要望というものがどうか、どれだけ強いものかということでございました。この四分野とも非常に要望が強かったということが一点。

 それからもう一つには、やはり一方を利するということがあってはならない。それぞれの分野、あるいは相対的に見た場合の日本とEUの競争力、貿易額その他を含めて、バランスがとれているという点が二つ目。

 それから三つ目といたしましては、これは実は、こういう協定を結ぶときには非常に大事な点でございますけれども、基準・認証制度そのものの技術的な同等性といいますか、やはり似たような形で、技術レベルも同じような形の制度を運用しているということが確認されているという、この三点によって、この四分野を優先させました。

 二つ目のお尋ね、さらに分野を拡大していくべきではないかということでございます。

 御案内のとおり、これは最初の協定でございますので、ぜひきちんとした実施をさせていただきたいというふうに思いますし、先ほど申し上げた三点ぐらいの観点から今後の分野の拡大ということも検討してまいりたい、かように思っております。

土田委員 今日、EUのイニシアチブのもとで進められている相互承認の枠組みづくりでございますが、他の先進諸国も積極的に対応して、市場アクセスの改善を図って、経済関係を緊密化しつつあるというふうに思います。

 我が国としましても、先ほどお話が出ていましたけれども、EUとの間にとどまらないで、今後、こうした相互承認の動きを拡大強化していく必要があるわけでございます。韓国やカナダやシンガポール、その他APECにおける取り組みも含めて、我が国の相互承認に関する取り組みの現状について、あるいは今後の見通しについて、御説明ください。

田中政府参考人 まさに、経済緊密化をしていかなければいけない、その中で、相互承認についてほかの国にも拡大していくべきではないかという委員御指摘のとおりであろうというふうに思います。私どもといたしましても、今回の欧州共同体との協定締結の経験も生かしながら、引き続きこの問題への取り組みを進めていきたいというふうに考えております。

 ほかの国との関係でございますが、一つは、韓国につきまして、いろいろな意味で経済関係をさらに強化していくという幅広い考え方の中で、相互認証の分野において何ができるかという検討を行っております。

 シンガポールにつきましては、御案内のとおり、現在、今年末までに協定締結ということを目途に、日本シンガポール経済連携協定というものを交渉いたしております。これは非常に幅広い分野が対象になっておりますが、その中でも、基準・認証の分野、この分野について何ができるかということを検討しているということでございます。

 カナダにつきましても、これはもっとラフな形ではございますけれども、検討が行われているということでございます。

 APECにつきましては、先ほど大臣からもお答えがございましたけれども、相互承認のモデルとなる文書が既に採択されておりまして、電気通信あるいは電子機器の分野において、情報交換を関係国と行っているというのが現状でございます。

土田委員 経済活動のグローバル化の進展に伴いまして、各国が国際的な産業競争力の強化にしのぎを削っているわけでございますが、その中で、国際規格の重要性が高まりつつあるというふうに私は思うのです。

 例えば、アジア諸国では、ISO、IEC等で策定される国際規格をそのまま翻訳して自国の国内規格とする動きが強まっております。アジア市場において今後我が国が円滑な企業活動を行っていくためにも、こうした国際規格の動向に注目していく必要があると思うわけです。

 かつて我が国が、携帯電話の規格において、欧州規格のGSM方式にデファクトスタンダードの地位を奪われたという苦い経験を持っているわけでございまして、このために、国際機関等における国際規格の策定に当たっては、我が国の利害関係をきちんと反映させるとともに、我が国が先導的強みのある技術等については、積極的に国際規格化を提案していくことが重要ではないかというふうに思うわけです。

 そこで、現在のISO、IEC等における我が国の国際標準化活動の現状及び今後の対処について、政府の具体的な見解をお聞かせください。

松田副大臣 土田委員御指摘のとおり、経済のグローバル化が進む中で、国際標準化に我が国として積極的に取り組んでいくことは極めて重要な政策課題であります。

 平成十二年に、日本工業標準調査会から二十一世紀に向けた標準化の課題についての報告をいただいたわけでございますが、政府としては、本報告をもとに、我が国が優位にある技術等の国際標準化を支援する技術開発制度を拡充するなど、我が国からの国際標準の提案を加速しているところであります。また、効果的な国際標準化活動の推進のため、分野別に国際標準化戦略の策定を進めているところであります。

 また、国際規格策定において、委員御指摘のとおり、我が国及びアジア太平洋諸国の意向が正当に反映される環境を整備するため、セミナー等を通じてアジア太平洋諸国とのネットワークの緊密化に努めますとともに、我が国の標準専門家の育成に努めているところであります。

 これらの施策の結果、我が国からの国際標準化提案の数は年々増加傾向にあります。具体的に申しますと、ISO及びIECにおける年間の新規作業項目は約千件でありますが、我が国発の国際規格案の新規作業項目数を見てみますと、平成九年度二十九件でありましたものが、平成十年度四十一件、平成十一年度六十七件と増加を示しております。

 決してまだ十分とは申し上げられませんけれども、今増加傾向にありますので、今後とも引き続き、産業界の取り組みと政府の適切な支援のもと、こうした国際標準化に向けて積極的に対応してまいりたいと考えております。

土田委員 さて、我が国には欧州各国の認証機関が進出しておりまして、外国向け輸出機器に関する試験や検査や安全性等の規格の認証、コンサルティング等の事業を積極的に展開しているわけでございます。

 今後、我が国においても、国際的にこうした外国の認証機関と肩を並べるような認証機関が組織されて、成長していくことが求められているところであるわけですが、それには、我が国の認証機関について、その国際的な信頼性を高めること、それから、競争によりコストの削減とサービスの質の向上などで利用者の利便性を高めていくということが必要であるというふうに思います。

 そこで、諸外国では、認証機関等の指定基準について、ISO、IECなどの国際規格、ガイドに準拠するものが多いと聞いているわけでございますが、我が国の認証機関等に対する認定や指定基準は、これら国際基準に照らしてどのような現状にあるのか。

 もう一点。また、海外からの認証機関の進出の現状についてどのように把握をしておられるか、今後、これらの海外の認証機関との競争力を国内民間機関がどのように行っていくべきであるか、政府の認識を総合的に伺いたいと思います。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 従来より、我が国の基準・認証制度における認証機関などの指定に当たりましては、機関の経理的な基礎、技術的能力、公正性などにつきまして審査を行ってきたところでございます。

 御指摘のISO・IECガイドは、認証機関等が満たすべき要件を定めた国際規格でございますが、規定されております内容は、機関及び職員の中立性、公正性、必要な人員、設備の保有、各種手続の文書化、品質管理システムの維持などでございまして、表現ぶりなどに違いはございますが、実質的には、我が国が従来から用いてきた指定基準と同等のものでございます。

 基準・認証制度のさらなる透明性確保という観点から、先般改正をいただきました十一に及ぶ当省関係の法律におきます認証機関等の指定基準につきましては、より一層ISO・IECガイドとの整合性を進めてまいりましたし、進めていくところでございます。

 経済省といたしましても、こうした環境整備を通じまして、この基準・認証制度の透明性を確保するとともに、国際的にも通用する適合性評価機関の育成に努めてまいりたいと考えております。

 それで、諸外国との競争環境、どのような認識であるかという点でございます。

 現在、複数の外国の認証機関が、我が国で子会社を設立して、試験、検査などの業務を実施しているところでございます。先般の改正によりまして、我が国の中におきましても適合性評価機関として民間企業の参入が可能になったわけでございますので、そのような環境の中で、これらの外資系の認証機関も含めて、複数の機関による競争が行われることになると思います。

 その中で、私どもの方の国内の機関も、幾つかの認証制度を兼ねてサービスを提供することによりまして、コストの低減あるいは技術的能力の向上、さらにはサービスの質の向上に資するということで、たくましく育っていくことを期待しているところでございます。

 以上でございます。

石原政府参考人 お答え申し上げます。

 電波法及び電気通信事業法に基づきます認証機関の指定基準につきましては、それぞれ両法に定められているわけでございますが、その内容は、認証機関の公正中立性を確保するためのものとなっておりまして、国際的な指針でありますISO・IECガイドとも同趣旨であるというふうに考えております。

 現在、電波法等に基づく認証機関は、公正中立性を確保するために公益法人要件が課されているわけですが、今国会に提出中の電波法の改正案及び電気通信事業法の改正案では、認証業務への民間の営利法人の参入を可能とすべく公益法人要件を廃止いたしまして、それにかわる認証機関の公正中立性を確保するための要件を盛り込んでいるところでございます。

 これらの法案の改正が成立した後は、電波法等に基づく認証機関につきましても、国際的にも通用する認証機関として育成すべく、国際的な指針でありますISO・IECガイドの考え方に沿いまして審査基準を策定することとしたいと考えております。

土田委員 時間がないので、最後の質問なんですが、この法案については、この認証制度がやはり一番問題になってくるのかなというふうな感じがしております。特に、我が国の認証機関は、一つの分野に認証機関が全国に一つしかないという状況も見受けられるわけでございまして、このような認証機関の認定あるいは指定、承認などがなかなか進まないのは、何が障害になっているのか。また、これらの認証機関の認定等の基準は、具体的にどのような要件が判断基準となっているのか。あるいはまた、今後、これら認証業務への民間の能力の活用は一層不可欠なものになると思うのですが、認証業務への競争原理の導入について、先ほども話がありましたけれども、政府の取り組み方針を明確にお示しを願いたいというふうに思います。

遠藤(和)副大臣 今、全国に一つというお話がありましたが、実は三つございます。それは、電波法上の指定証明機関といたしまして二つございます。そして、電気通信事業法上の指定認定機関として一つございます。都合三つでございます。

 なぜ三つしかないのかということは、先ほどもお話しいたしましたように、公益法人でなければいけないという定めがございます。今回の電波法の改正あるいは電気通信事業法の改正で、公益法人でなければならないという条項を削除いたしまして、営利法人でも自由にこれができる、このようにいたします。このことによりまして競争の原理が働きまして、たくさんの認定業務を行う機関が、法人が出てくるとよいな、このように期待をしているところでございます。

松田副大臣 ただいま総務副大臣から御回答がありましたが、経済産業省関係で申しますと、従来は、今申しましたように、公益法人に限定されておったわけでございますが、平成十一年に当省関係の基準・認証制度等の法改正を実施させていただきまして、これによりまして一つの基準・認証制度に複数の機関が参入することが可能となりました。競争原理の導入によりコストの低減等が図られ、サービスの質の向上もさらに進むものと期待しているところでございます。

土田委員 終わります。ありがとうございました。

山本委員長 塩川鉄也君。

塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回、相互承認に関する日本と欧州共同体との間の協定に基づく国内法案について質疑をするに当たり、この相互承認の対象となる基準・認証制度についてお尋ねをしたいと思います。

 この基準、規格及び検査、検定という基準・認証制度の本来の目的、役割は何なのか。その大きな目的の一つに、国民の生命、安全、財産の保護、こういうことがあるのではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 お答えいたします。

 基準・認証制度は、製品の製造や設備、施設の構造、設置について、生命、身体及び財産の保護や災害防止、生産、消費の合理化、効率化といったさまざまな政策目的を達成するために、鉱工業製品等の物資や施設、設備が満たすべき基準と、当該基準に適合することを確認する方法や手続を法令等に規定する制度であります。

 したがいまして、今御指摘の国民の生命、財産の確保は、言うまでもなく、基準・認証制度の果たすべき最も重要な目的だと考えております。

塩川(鉄)委員 今回、特例を設ける電気用品安全法の中でも、電気用品による危険及び障害の発生を防止すること、このことが前提となっている、この点が大事だと思います。

 今、規制緩和の流れの中で、政府認証から第三者認証、自己認証へというように、基準・認証等の見直しが進められております。その際、経済効率性を優先するのではなくて、国民の安全や財産の確保等というこの目的の達成に支障が生じないことを前提とするのがこの基準・認証等の見直しの原則ではないかと思いますが、改めて大臣の御答弁をお願いします。

松田副大臣 経済のグローバル化の進展によりまして、基準・認証制度が企業活動や消費活動に与える影響が極めて大きくなってまいりました。こうした中、従来政府が中心となっておりました基準・認証制度につきまして、最近の事業者の能力向上等を踏まえ、官民の役割分担を見直し、民間事業者の能力を活用した制度を構築することによりまして規制の合理化を図ることが今日的課題だと存じます。

 このような状況を受けまして、平成十一年には、当省所管の基準・認証関連制度全般につきまして、先ほども御答弁申し上げましたが、第三者認証化や自己確認への移行など、事前規制の合理化を行いました。規制の合理化に当たりましては、今お話しの、国民の安全の維持向上を図るため、第三者認証機関に対して政府の認定を行うとともに、製品の回収命令等の流通後の措置の充実を図り、また、法令違反に対する罰則を強化するなど、事後措置を充実いたしました。

 経済省といたしましては、今後とも、委員御指摘のとおり、国民の安全確保に万全を期しつつ、規制改革推進三カ年計画等も踏まえ、基準・認証制度の見直しをさらに続けてまいる考えでおります。

塩川(鉄)委員 相互承認というのは、いわば製品の認証を相手国にゆだねることになるわけです。経済の国際化が進むもとで、一定の技術水準や信頼性を基礎に基準適合性評価の相互承認を行うことには合理性があります。同時に、国民生活の安全確保という基準・認証制度の役割を堅持するためには、安易な相互承認は許されないのは当然のことだと思います。今後のMRA対象分野の拡大に当たっては、品目について慎重な検討が必要だと思います。

 医療用具につきましては、協定締結に至る協議の中で対象分野として俎上に上りましたけれども、今回の協定の対象にはなりませんでした。これは、医療用具が人体の安全に直結するものであり、より慎重な対応が求められているからだと思います。

 この点で医療用具の安全性の問題について、国民生活の安全確保という観点から、具体的な事例を挙げて見ていきたいというふうに思っております。

 医療用具の一つとなっておりますマッサージチェア、家庭用電気マッサージ器についてお伺いをしたいと思います。

 配付した資料、見づらい写真ですけれども、よく温泉旅館などで湯上がりで使うようなときがあります。私も時々使いますけれども、大臣は、このマッサージチェア、電気マッサージ器をお使いになったことがおありでしょうか。また、こういうのはお好きでしょうか。

平沼国務大臣 かつて家に置いてしょっちゅう使っておりました。ですから、今はございませんけれども、非常に愛用していた時期があります。

塩川(鉄)委員 このようなマッサージチェアは、家庭用としても今大変普及をしておりますし、また、先ほどもお話しした、旅館ですとかフィットネスクラブなどにも随分置かれているものであります。

 私が紹介したいのは、昨年末に起こった事故です。この写真にもありますように、当時二十六歳の女性の方が、このマッサージチェアでリラックスをしていたときに髪の毛が巻き込まれて、その結果、頭蓋骨を骨折する、その後、心的外傷後ストレス障害、このような重大な事故につながったものであります。

 この写真にありますように、左側が通常の使用状態で、背もたれにはマットが敷いてあります。これをはがしますと、右側にありますようにマットを外した状態で、シートがあってその下に隠れるようにローラーがあるわけです。

 この事故の場合、このシートが破れ、ローラーが露出をしていたわけです。この女性の方は長い髪だったものですから、マットとシートの間に髪の毛が入ってしまった。このシートが破れていたために、露出したローラー部分に髪の毛が巻き込まれてしまった。そのために押さえつけられるようになって、後頭部の骨折をする、こんな事故につながったわけであります。

 これは、ダイエーオリンピックスポーツクラブというところが経営するオレンジワンというフィットネスクラブでの話ですけれども、ファミリー社というメーカーが製造したマッサージチェアを使っていたときにこの事故になったわけです。

 結局、巻き込まれながら身動きができなくなってしまった。痛い痛いと叫んだわけです。そのとき隣にちょうど彼女の婚約者の方が一緒にいたものですから、リモコンのスイッチを切って必死で助けようとしたわけですけれども、このローラーというのが、お使いになっていればおわかりのとおり、もとの所定の位置に戻る状態でとまる。ですから、スイッチを押したことによって逆にさらに巻き込まれてしまった、こういう事故だったわけですね。

 ですから、婚約者の方が、ドライバーとかカッターとか、とにかく手元にあるもので髪の毛を切って助け出したわけですけれども、頭痛がとまらない。そのために病院に行ったら、頭蓋骨骨折で脳出血の危険がある、七十二時間の安静と言われて緊急入院をしたということです。

 この女性の方は、婚約者がいらっしゃるとお話ししましたけれども、その翌日が結婚式だったんですね。ですから、いわば結婚式に向けて、ロングヘアで、髪を伸ばして、ウエディングドレスを身にまとうのを心待ちにしていたときの直前の事故だったわけで、結婚も先延ばしになったわけであります。彼女は、その後、不安や恐怖感、睡眠障害などの症状が出て、心的外傷後ストレス障害と診断をされて、現在も通院中であります。

 このマッサージチェアによる事故は、スポーツクラブの責任にとどまらず、製造メーカーの責任や安全規格の不備を浮かび上がらせております。

 この事故について、厚生労働省にお伺いしたいのですが、メーカーから、薬事法に基づくふぐあいの報告義務、この事故報告はいつあったのか、このメーカーに対して事情聴取を行ったのか、メーカーに対しどのような指導を行ったのかをお尋ねしたいと思います。

鶴田政府参考人 このマッサージ器の事故につきましては、情報につきましては報道機関から入手したものでございまして、ふぐあい報告はなされておりません。しかし、この製造業者に対して、今後、ふぐあいかどうか不明な場合には報告書を提出するよう指導したところでございます。

 御指摘のマッサージチェアに関する事故につきましては、厚生労働省では、事故の情報入手後、速やかに製造業者に対して事実確認及び説明を求めました。その説明では、故障品を使用したことにより事故が発生した可能性が高いと判断されたことから、製造業者に対しまして、同型の製品の販売先に対して、使用前に故障がないかどうか確認するよう注意喚起をする旨指導したところでございます。

塩川(鉄)委員 この彼女の将来の夢というのが、翌日に控えた結婚式を挙げることであり、このフィットネスクラブを通じてエアロビクスの先生になって、婚約者とエアロビクスのアマチュア選手権に出たいと思っていた、そういう夢や希望というのが、残念ながらこの事故によって果たすことができなくなってしまわれたわけであります。

 私は、こういう問題について、何よりも事故原因の把握が不可欠だと思います。原因究明がどこまで行われたのか、お尋ねしたいと思います。

鶴田政府参考人 お答えしたいと思います。

 製造業者より、当該製品はカバーを適宜着脱して使用されるものであるが、使用時にはカバーがしてあったために、当該医療用具の背面のシートが破れていたことに使用者が気づかなかった、そのまま使用したために髪の毛を巻き込んでしまった、こういう可能性が高い、ここまで判明したとの報告を受けております。

 現在、製造業者に対しまして、当該医療用具の保守管理状況、設置者による使用者への情報提供等の状況、背面のカバーの破損の原因及び破損時期、これら等につきまして、詳細に調査するよう指示しているところでございます。

塩川(鉄)委員 この写真でもあります、この破れたシート、これは以前から破れていたのか、また使用中に破れたのか、また破れていることをスポーツクラブ側が承知をしていたのか、この点の確認はいかがでしょうか。

鶴田政府参考人 先ほど答弁いたしましたように、この背面のカバーの破損の原因及び破損時期、これらについて詳細に調査するよう製造業者に対して現在指示しているところであり、できるだけ早い機会に報告するよう促しております。

塩川(鉄)委員 私は、これは個々のこの事例にとどまらない問題があるということを指摘したいと思うのです。類似の家庭用のマッサージ器で、死亡例もあるんだという問題です。

 これは、空気を注入するジャケット型の家庭用マッサージ器というのがありまして、それが結果として窒息死をするという事故。もちろんこれとは形態が違うものですけれども、マッサージ器というくくりの中では同じものがありまして、ことしの一月七日に東京都内の女性の方がこのマッサージ器を使用して窒息死をされた。これに基づいて厚生労働省の方で、「エアマッサージ器の自主点検について」という通知も出しているわけであります。それにもかかわらず、一月二十二日の通知の後、二月の二十二日に、今度は北海道の稚内市の女性の方が、このエアマッサージ器を使用して死亡しておられた、こういうことも起こっているわけであります。

 このように、やはり直接身体にかかわるものですから、具体的な措置を緊急にとるべきだ。このエアマッサージ器については、厚生労働省としての通知を出したわけですけれども、このような措置をきちんと文書で行うとかいうこともすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

鶴田政府参考人 現在のところ、故障品を使用したことに起因する事故の可能性が高いということが考えられることから、所有者や使用者に対しまして、保守管理、安全使用等の側面から注意喚起をすることも考えているが、いずれにしても、詳細な報告を待って具体的に検討していきたいと思います。

 先ほどちょっとお話ししました家庭用マッサージ器及び家庭用指圧代用器につきましては基準を設けておりまして、使用者の安全確保の観点から設定されており適切なものでございますが、本製品については主電源スイッチがついておりましたが、使用されなかったということも承知しております。

 なお、マッサージチェア等医師の監督下で使用されない医療用具につきましては、安全使用を進めるという観点から、今後、添付文書等の記載事項の整備等も検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

塩川(鉄)委員 パニックになっているときにスイッチをどこを押していいかということは、なかなかわかることではないわけですから、その点でも具体的な安全対策、再発防止策が必要だと思います。

 今お話しになったように、家庭用マッサージ器について薬事法に基づく基準が設けられて、回転部、駆動部等の運動部が露出し、頭髪、手指等を巻き込む等の危険が生ずるおそれのあるものであってはならない、こういうふうにはっきりと書かれているわけであります。

 ですから、万が一事故が起こっても、きちっとその時点でとまる、巻き込まれることはないというような安全対策、防止対策をきちっととっていくように対応すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

鶴田政府参考人 先ほど答弁いたしましたように、やはり、マッサージチェアなど医師の監督下で使用されるものではなく、各個人が、国民の方が使う家庭用マッサージ器みたいなものにつきましては、さらに安全性を高めていくとともに、安全使用についても精いっぱい頑張っていきたいと思っております。

塩川(鉄)委員 この点では、メーカーと同時に、スポーツクラブ、フィットネスクラブの対応も問われてくると思います。この管理運用責任も問われるわけで、このクラブの対応についてもきちんと経過、責任などをただしていくべきだと思いますが、その点ではいかがでしょうか。

鶴田政府参考人 フィットネスクラブにつきましては、直接薬事法上の対象者ではございませんが、この設置主体につきましても、製造業者を通して、その原因、調査について今現在調査を指示しているところでございます。

塩川(鉄)委員 このメーカーは、経済産業省と厚生労働省共管の公益法人日本ホームヘルス機器工業会の一員であります。経済産業省も当事者ということでありますし、このスポーツクラブ、フィットネスクラブにつきましても、やはり経済産業省と厚生労働省共管の日本フィットネス産業協会のメンバーであります。

 今般取り上げられております「新市場・雇用創出に向けた重点プラン」、平沼プランの中でも、健康市場の創出ということで、二十一世紀のリーディング産業、広い意味でこのフィットネスクラブなどもそういう対象になるかと思いますけれども、経済産業省として、しかるべき調査、適切な指導を行っていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 経済産業省といたしまして、マッサージチェアを含めまして、医療用具の安全性について所掌はしておりません。したがって、今回は特段の対応をとっておりませんけれども、しかしながら一般論として、製品の事故等の情報を迅速に把握、分析して、これを踏まえて事業者への指導や法的措置を機動的に実施するとともに、これらの情報をわかりやすく消費者に提供し、消費者の注意喚起を図る、そういった措置を総合的に講じていくことにより、製品安全の確保に万全を期してまいりたいと思っております。

 私が提案しました十五の一つのプランの中にも今御指摘のような点が入っておりますから、今具体例を示していただいた、こういうことをしっかりと踏まえて、安全対策により一層努力をさせていただきたい、このように思っています。

塩川(鉄)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 大島令子さん。

大島(令)委員 きょうの委員会から、大島令子君じゃなくて、委員長の御配慮でさんと呼んでいただけて、非常に光栄でございます。張り切って質問をさせていただきます。

 まず大臣に伺いますが、新潟県柏崎刈羽原発三号機のプルサーマルをめぐる住民投票の結果につきまして、私は先般当委員会で、五月二十三日なんですが、プルサーマルをめぐる結果が、もし反対が上回ったときに、その結果を尊重しますかという質問をいたしました。大臣の答弁は、結果について今私どもは申し上げる段階ではないということでございましたが、きょうは結果が出ました。反対の方が多かったわけです。それを踏まえて、改めて、この結果をどのように尊重するのか、意見を聞かせてください。

平沼国務大臣 きょうもこの問題については、何回か同様の御質問がございました。それに対して、私はやはり、反対が多かったということは、私ども国の基幹的な政策としてプルサーマル計画を推進している立場としては非常に残念だった、このように思っております。

 しかし、まだ刈羽村の態度、あるいは三者が事前了解をしておりますけれども、新潟県あるいは今御指摘の柏崎市、こういったところの対応を我々は見守っていきたいと思っております。

 しかし、繰り返しになりますけれども、私どもはこういった国の基幹的ないわゆるエネルギー政策に対して、刈羽村の住民の皆様方に対して、十分なその必要性の説得だとか安全性への説得というものが足りなかった。そのような反省に立って、これから、やはり国策でございますから、我々としては力いっぱい、皆様方の御理解を深めるために努力をしていかなければならない、このように思っているわけであります。

大島(令)委員 安全性に対する説得といいますけれども、私は、やはり安全性に対する証明、国民が、また地元の人が納得できるものがなければ、こういうことはいつまでたっても理解が得られないと思っているわけなんです。

 そこでやはり、安全性の証明の具体的な方法、例えば今度のプルサーマルにしましても、MOX燃料のデータ捏造事件が関西電力であったとか、例えば「もんじゅ」もナトリウム漏れ事件を起こした。ジェー・シー・オー、東海村の臨界事故とかやはりいろいろ、原子力はもう随分前から質問させていただいていますけれども、国は安全だといいますけれども、国民に対して安全性の証明ができていないということでございます。

 私もやはりそういうふうに考えているわけですので、そういう観点から、国策、国の基本政策といえども、国民というのは、国家というえたいの知れないものであるわけではなく、私たち国民一人一人がこの国のやはり構成員だということを踏まえて、多数の意見だけが国民ではなく、少数の意見もまた国民の意見であるということを認識して、この住民投票の結果を重く受けとめていただきたいと思います。

 では、次に具体的な質問に入らせていただきます。

 これは政府参考人の方に伺いますが、相互承認協定に基づき適合性評価を実施する機関として、現在日本で検査業務を実際に行っている機関等が対象になると思いますけれども、例えば通信端末機器、無線機器分野における評価機関として公益法人が幾つかあります。その機関名と役員等理事の構成、前歴を聞かせてください。また、これらの公益法人に対する補助金や助成金の有無、そして三つ目は、株式会社や外資系の会社もありますので、その概要も説明してください。

石原政府参考人 お答えいたします。

 無線機器及び通信端末機器分野におきましては、国内で適合性評価を行っている機関といたしましては、電波法に基づく指定証明機関といたしまして、財団法人テレコムエンジニアリングセンター及び財団法人日本アマチュア無線振興協会、それから電気通信事業法に基づく指定認定機関といたしまして、財団法人電気通信端末機器審査協会がございます。

 各機関の役員につきましては、学識経験者、電気通信、放送関係の団体、銀行等によって構成をされておりまして、テレコムエンジニアリングセンターにおきましては理事が十名、監事が二名、日本アマチュア無線振興協会におきましては理事十五名、監事二名、電気通信端末機器審査協会におきましては理事九名、監事二名となっております。また、各機関への、適合性評価に関しましては、補助金の支給はございません。

 なお、我が国で相互承認協定に基づきまして適合性評価を実施する機関といたしましては、これらのほかに現在、通信機器の試験業務等を行っております外国の試験評価機関の日本の子会社等もございまして、こういった企業も候補になり得るというふうに認識をいたしております。

大島(令)委員 外資系の機関としまして、テュフプロダクトサービスジャパンとか、テュフラインランドジャパン株式会社とか、株式会社ULジャパンとかいう会社があるわけなんですが、これらは、いわゆる外国の日本における業界団体、これの日本法人なのか、例えば単なる検査業務をする民間企業なのか、その辺を聞かせてください。

石原政府参考人 これは、単なる民間企業でございます。

大島(令)委員 これから政府認証から第三者機関への認証になるわけなんですけれども、では、単なる民間の企業であるならば、想定される団体は、現在も国内においては公益法人ですけれども、このような外資系企業が申請した場合の認定要件というのはどのように考えているのでしょうか。

石原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたISO・IECガイドに基づいて基準を決めまして、これに従って認可をしていくという考えでございます。

大島(令)委員 では、次の質問に移ります。

 評価機関認定の実地調査についてでございますけれども、認定の際に行う実地調査について、独立行政法人を活用するとして、製品評価技術センター、旧工業技術院の名前が挙がっているようでございますけれども、新たに人員等は配置されるんでしょうか。そしてまた、指定調査機関として民間機関も想定しているようですが、独立行政法人と調査の仕分けは十分なのか、この二点についてお伺いいたします。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 本法におきます指定調査機関制度でございますが、昨今の行政の簡素合理化や民間能力の積極的活用の動きや、さらには欧州におきましても本法と同様の調査業務を行う民間機関が少なくないとの実態を踏まえまして、本制度を設けたところでございます。したがいまして、この法律では、民間機関を活用するという考えでございます。

 本法十四条の第二項という規定がございますが、これには、主務大臣は、「指定調査機関に調査の全部又は一部を行わせるときは、当該調査の全部又は一部を行わないものとする。」とございます。

 民間の指定調査機関にお願いをするときには、主務大臣はその仕事を行わない。御指摘の製品評価技術基盤機構につきましては、主務大臣のかわりにこの任務を行うものでございますので、指定調査機関が民間で指定されましたら、製品評価技術基盤機構の方は、その当該指定された調査機関が休廃業したような場合とか、天災などによって業務実施が不可能になったような場合、国が調査を行わざるを得ないような場合に限って行うということにしております。

 したがいまして、本法の指定基準を満たす民間調査機関が存在し、指定された場合には、製品評価技術基盤機構は調査を行わないとの仕分けをしているところでございますし、また、この製品評価技術基盤機構、現在四百十五名の人員がおりますが、この中の九十名でこの適合性評価の分野を担当しているところでございます。このような業務を行うことになるといたしましても、今までの人員の枠内で対処することとしております。

大島(令)委員 では、次に、製品の安全性の確保について伺います。

 EUでとられている包括的安全性能の保証という概念と日本のいわば部品性能、部品というのはヒューズ、電線、配線器具により安全性を保証しようとする考え方なんですが、つまり、日本の規制では部品ごとに具体的な技術基準が定められているわけです。その違いの中で相互に安全性を担保することが果たして可能なのかということでございます。

 次に、企業がグローバル化し、製造国と生産メーカーの所属国がふくそうしている現在、安全性の規制の緩和という方向に進まないでしょうね、そういう質問でございますけれども、どうでしょうか。

日下政府参考人 お答え申し上げます。

 この日本・欧州共同体相互承認協定によりまして、我が国は、欧州内の検査機関において行われた検査を自国の検査機関による場合と同等のものとして受け入れることになりますが、本相互承認協定の枠組みにおきましては、第一には、製品の技術基準及び適合性評価機関の指定基準につきましては、欧州共同体は我が国の法令に基づくものと同一の基準を用いることが義務づけられております。第二には、指定された適合性評価機関につきまして、欧州あるいはそれを実施します各国政府は監督を行うことが義務づけられているところでございます。したがいまして、今回の相互承認によりまして、我が国における製品の安全性は損なわれませんし、我が国の製品安全にかかわる基準が変更されるものでもございません。

 他方、現状におきまして、先生御指摘のように、欧州共同体の製品安全に関する規制は包括的な規制が多うございます。一方で、我が国の方は、製品安全に関する規制は、個別具体的、詳細な規制になっているのは御指摘とおりでございます。

 例えて言えば、欧州においては千ボルト以下を低電圧と呼んでおるようでございますが、低電圧の電気製品につきましては特定の例外を除いては一本で規定ができておりまして、平たく言えば、感電をしないことというような形の性能の基準になっているわけでございます。我が国の方は、規制対象を明確化するという観点から、具体的製品を指定しまして、例えばトランス、変圧器などについて、絶縁抵抗の仕様を規定したりしているところでございます。

 御指摘の論点は、相互承認の取り組みと並行をいたしまして、現在、技術基準そのものを国際的な規格にしていく、ハーモナイゼーションをしていきましたり、あるいはいろいろな形で各国技術基準の国際規格への整合化、性能規定化が進んでいく動きが、我が国における製品の安全性を損なうようなことにならないかという御懸念であろうかと思いますが、私ども、この規格基準の国際整合化、性能規定化を進めていくのは当然でございますが、製品の安全性を損なうことがないように、それぞれ専門分野、専門家を集めて審査をした上で進めてきているところでございます。

大島(令)委員 先ほど来の質問を聞いていますと、平沼大臣も来週からAPECに行く、いろいろな国々にもこれからこういう相互承認のことの下準備で行かれると思うわけなんです。

 そうしますと、やはりEUの包括的安全性能というのは、例えばテレビの場合に、テレビができ上がってこれが安全であればいい。日本は、テレビを構成する部品の一つ一つの性能仕様に関して規制があるわけなんです。その違い。私たちが外国に行っても、日本のドライヤーを持っていきますと、変圧器で、日本ではがっと大きい音が聞こえますけれども、外国ですと非常に小さい音になる、こういうふうにやはり違うわけなんです。

 そういうものはお互いに認定されているからいいんだと言われましても、私たち国会議員というのは、法案の条文とかいうものの審議じゃなくて、この法案が通って実施されたときにどういうふうな現象が起きるかということを心配して法案の審議に当たることをやはり習慣づけているわけなんです。

 そこで、やはりこれからグローバル化していく中で、ヨーロッパのような包括的な性能基準ではなく、日本のような仕様基準に基づいたものをグローバル化の中で取り入れていってほしいということを私は提案しているわけでございます。

 そういうことで、最後の質問になります。今の意見を踏まえて、大臣に最後に質問したいと思います。

 今回は、EUとの相互承認でございます。EUと日本は、お互いに消費生活水準も同程度と想定しておりますが、やはりアジア太平洋地域、APECに加盟している国々とこれから相互承認していくときに、やはり同じような同等の生活水準、生活レベルのものを使っている場合は、安全性の確保も大丈夫ではないだろうかという一般的な考え方があるわけですが、今後、そういう国境を越えていく、アジアの諸国ともこういうMRAの動きも広げていくときに、どのような安全基準に対する方針を持って、日本の製品の安全性が損なわれないような方針を持って外交を進めていくのか。その辺のところを最後に聞かせてください。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 この安全性についての御心配でございますけれども、グローバル化や国際標準化の進展した現在においては、国境を越える事業活動を円滑化するための環境整備を行うということが、国の産業の競争力を高める上で重要になってきております。

 その一環として、我が国としても、通信端末機器及び無線機器分野や電気製品分野におきまして、しかるべき国との間で国際的な相互承認協力を推進することは重要な意義を有するものである、このように認識をいたしております。

 今後も、このような認識を踏まえまして、相互承認協定を進めてまいるわけでございますけれども、その際、本協定の施行状況や貿易に与える効果等を踏まえつつ、市場の規模、産業界のニーズ、相手国の基準・認証制度との同等性等を勘案して進めてまいりたいと考えております。

 なお、相互承認協定により、我が国は、相手国内の適合性評価機関において行われた検査を、自国の適合性評価機関による場合と同等のものとして受け入れることとなる以上、相手国の適合性評価機関に自国の機関との技術的な同等性を求めることも当然のことでございまして、委員の御指摘のような、我が国での製品の安全性が損なわれることのないように、これからAPECともやっていかなければいかぬわけでございますけれども、相互承認をそのような考え方で進めていきたい、このように思っております。

大島(令)委員 どうもありがとうございました。

 委員長には、特にきょうからさんづけということで、私も、女性議員として張り切ってこれからも質問していきます。ありがとうございました。

山本委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、内閣提出、参議院送付、計量法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 計量法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

平沼国務大臣 計量法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 経済活動及び国民生活全般にわたり、常に正確な計量が行われることは必要不可欠なことであり、計量制度は、そのための技術的な社会共通の基盤であります。

 しかしながら、最近の我が国の社会の状況を顧みますと、新たな環境問題の高まり等により、一兆分の一グラムレベルにおいて極微量物質の濃度を計量する必要性が増大してきております。また、計量の結果を証明する方法につきましても、証明される内容に対する外部からの信頼感を揺るぎないものとするよう制度の整備が急がれるところとなっております。

 このような状況の中で、政府といたしましては、計量制度に対する国民の常なる信頼を確保するため、本法律案を提出した次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、極微量物質の計量制度を整備するための措置を講ずることであります。

 その改正の第一点は、極微量物質の計量証明を行う事業者に対する新たな措置として、計量証明システム全体の工程管理が適切に行われていることについての認定制度を設けるものであります。

 第二点は、極微量物質の濃度を表現するのに適した計量単位を追加することであります。

 第二に、計量証明事業の信頼性向上のための措置を講ずることであります。

 これは、計量証明事業者の発行する計量証明書を法律上位置づけ、記載事項を明確化することによって、情報開示の充実を図るとともに、虚偽の計量証明書を発行するといった不正な行為を排除するために必要な制度上の手当てを行うことであります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る六月十三日水曜日午後零時十五分理事会、午後零時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十六分散会




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