衆議院

メインへスキップ



第15号 平成13年6月20日(水曜日)

会議録本文へ
平成十三年六月二十日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君

   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君

   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君

   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君

      小此木八郎君    大村 秀章君

      梶山 弘志君    後藤田正純君

      高木  毅君    西川 公也君

      根本  匠君    馳   浩君

      林  義郎君    平井 卓也君

      松宮  勲君    三ッ林隆志君

      茂木 敏充君    保岡 興治君

      北橋 健治君    釘宮  磐君

      後藤 茂之君    後藤  斎君

      鈴木 康友君    中津川博郷君

      伴野  豊君    肥田美代子君

      松本  龍君    山内  功君

      山田 敏雅君    赤羽 一嘉君

      石井 啓一君    土田 龍司君

      大森  猛君    塩川 鉄也君

      大島 令子君    西川太一郎君

      宇田川芳雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   国務大臣         竹中 平蔵君

   内閣府副大臣       松下 忠洋君

   総務副大臣        小坂 憲次君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      松田 岩夫君

   法務大臣政務官      中川 義雄君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  池田  実君

   政府参考人

   (総務省行政管理局長)  坂野 泰治君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局長

   )            金澤  薫君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 小池 信行君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用均等・児

   童家庭局長)       岩田喜美枝君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務

   流通審議官)       杉山 秀二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議

   官)           斉藤  浩君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長

   )            佐野 忠克君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策

   局長)          太田信一郎君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月二十日

 辞任         補欠選任

  衛藤征士郎君     三ッ林隆志君

  北橋 健治君     釘宮  磐君

  鈴木 康友君     伴野  豊君

同日

 辞任         補欠選任

  三ッ林隆志君     衛藤征士郎君

  釘宮  磐君     北橋 健治君

  伴野  豊君     鈴木 康友君

    ―――――――――――――

六月十八日

 家電リサイクルの実施に伴う島嶼部の消費者負担等の低減に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第二九六四号)

同月二十日

 中小自営業の女性事業主・起業家に対する支援策の充実等に関する請願(赤松広隆君紹介)(第三二六五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案(内閣提出第九二号)(参議院送付)

 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第九三号)(参議院送付)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案及び内閣提出、参議院送付、不正競争防止法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通審議官杉山秀二君、経済産業省大臣官房審議官斉藤浩君、経済産業省通商政策局長佐野忠克君、経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君、内閣府国民生活局長池田実君、総務省行政管理局長坂野泰治君、総務省総合通信基盤局長金澤薫君、法務省大臣官房審議官小池信行君及び厚生労働省雇用均等・児童家庭局長岩田喜美枝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山内功君。

山内(功)委員 民主党の山内功でございます。

 まず大臣にお伺いしますが、政府が進めようとされていますe―Japan重点計画について、その概要をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 e―Japan重点計画というのは、さきの臨時国会で成立しましたIT基本法に基づきまして、IT社会の形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策の全容を明らかにしたものでございます。

 本年三月に定められましたこの計画におきましては、まず、我が国が五年以内に世界最先端のIT国家になることを目標といたしております。そして一番目には、世界最高水準のITネットワークの形成を図る。二つ目は、教育の振興を図り、デバイドの解消や習熟度を高めていく。三つ目は、電子商取引の促進をする。四つ目は、行政の情報化を図る。そして五つ目は、ITの安全性及び信頼性の確保。この五つの柱から成る政策を今後五年以内のうちに集中的に講ずることにいたしているわけであります。さらに、それぞれの柱ごとに目標の達成度をはかるためのベンチマークを設けまして、施策の推進状況の調査を実施いたしました上で重点計画を見直すことにいたしております。

 今回御審議をいただいている二つの法案につきましても、この五つの分野のうちの第三の分野でございます、すなわち電子商取引の促進という取り組み方針に基づいて提出をさせていただいたところでございます。経済産業省といたしましても、この重点計画に基づきましてIT政策の具体化に全力で取り組んでいきたい、このように思っております。

山内(功)委員 インターネットは、特別な能力を持っていなくても世界じゅうの情報と接します。その中で、消費者問題、消費者保護についてはどうあるべきだと考えておられるのでしょうか。

古屋副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 インターネットを進めるに当たって、消費者保護をしていくということは極めて重要なことだと思っております。特に、電子商取引というのは消費者にとっても大変大きな利便性がございます。一方マイナスの側面として、消費者トラブルというのが最近大変ふえてきております。適切な消費者保護を講ずるということは、消費者の電子商取引を発展させて、そして消費者の信頼を回復させていくことが必要不可欠であるということは申し上げるまでもございません。

 したがいまして、政府としては、法律等を整備しましてその環境を整えているわけでございますけれども、やはり民間企業であるとか産業の団体が、こういった電子商取引の健全な発展のために自主的な対応策を積極的に講じていくということも、一方では重要であるというふうに認識をいたしております。その上で、企業であるとか政府による適切な情報提供を前提に、消費者がトラブルに遭わないようみずから十分に注意するということも肝要であるというふうに思っております。

 当省といたしましては、このような観点に立ちまして、従来から訪販法による通信販売規制の着実な実施に努めているところでございますけれども、電子商取引では、いわゆる誤操作によって自分の意思とは反して申し込みをしてしまうという、いわばインターネット取引特有の消費者トラブルがふえているということがございまして、昨年秋の臨時国会で法改正いたしまして、消費者保護規制を強化して、特定商取引法というふうに名前を改称いたしまして、今月の一日から施行に入っております。加えまして、こういった電子商取引特有の新しい消費者トラブルにつきましては、民事法上の消費者利益の救済を容易にするために、このたびこのような法案を提出させていただいたところでございます。

 また、民間団体による取り組みといたしましては、例えば、昨年六月からオンライン・トラスト・マーク制度というものをスタートさせているところでございまして、当省といたしましても、このオンライン・トラスト・マーク制度は極めて有効な制度であるというふうに考えておりまして、積極的に支援しているところでございます。

 今申し上げましたように、官民一体となった総合的な対策を強力に推進していくことによりまして、電子商取引における消費者保護の向上というものに一層努めてまいりたい、このように思っております。

山内(功)委員 消費者問題について、具体的に国民生活センターなどへトラブル、苦情などが来ていると思いますけれども、どういうような内容が多いのでしょうか。内閣府にお願いしたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもが所管しております国民生活センターは、各地の消費生活センターを結ぶ全国消費生活情報ネットワークシステム、私どもPIO―NETと通称しておりますが、それを運営し、全国の苦情相談情報を収集しておりまして、平成十二年度は五十三万件の相談件数となっております。

 これによりますと、インターネット消費者取引に関する苦情件数は、平成八年度では六件であったのに対し、三年後の平成十一年度には千四十九件に急増しており、平成十二年度には前年度の約三倍である三千三百八十七件の苦情が寄せられております。

 その中身を見ますと、申し込んで代金を支払ったにもかかわらず商品が届かないなど、通信販売に共通して見られる苦情に加え、注文時にクリックミスをしたが変更に対応してくれないなど、インターネット特有の苦情も見受けられます。

山内(功)委員 インターネット取引に関しては、カード決済が一般的だろうと思います。カード番号が流出したり、あるいは流用される可能性を全く否定することはできないと思うのですが、何か防止策はあるのでしょうか。

古屋副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 クレジットカード番号が流出をしてそれが事故につながる。この流出の可能性、事故の可能性というのは否定することができないと思っております。したがいまして、こういった問題に対応するために、最近一般的に利用されている通信ソフト、ネットスケープナビゲーターのようなソフトでは、SSL、セキュア・ソケット・レイヤー、こういった暗号化技術が利用されております。こういったことによって大体通信途上における情報流出は防止できるのではないかというふうに言われております。ただ、一〇〇%ではございません。

 したがいまして、最近では販売店にカード情報を送信しないタイプの暗号技術でありますところのSET、セキュア・エレクトロニック・トランスアクション、こういうふうに言っておるわけですが、これを用いている企業というものもふえてきているというふうに聞いております。

 こういった対策によりまして、これまでのところ、通信途上におけるカード情報の流出が生じたという事件はまだ報告をされておらないようでございます。しかし、もう委員御承知のように、この分野というものはまさしくドッグイヤー、日進月歩でございまして、情報をとろうとする側の技術も同時に進歩していくものでございまして、今後とも企業側の不断の努力というものが必要だというふうに思っております。

山内(功)委員 いろいろなトラブルになった際に、取引相手に対してメールアドレスしか個人情報がないような場合には、取引相手を特定するために、プロバイダーに対して当該アドレスを有する契約者の個人情報の開示を求めることはできないのでしょうか、総務省にお伺いしたいと思います。

金澤政府参考人 いわゆる通信の秘密には、通信の意味内容のみならず、通信の日時それから通信当事者の住所、氏名といった通信に関するすべての事項を含むというふうに解されております。ネット上の取引が行われた通信に関しまして、その通信当事者である取引相手の住所、氏名等の情報は、まさにこの通信の秘密に該当するというふうに理解しております。

 したがって、御指摘のような場合におきまして、プロバイダーがその保有する取引相手の情報を開示することは、原則として、その取り扱い中に係る通信の秘密を侵すということになりまして、許されないというふうに考えております。

山内(功)委員 個々の通信内容については通信の秘密ということが言えたとしても、加盟者の連絡先などについてまでも通信の秘密のくくりの中で保護してしまうというのは、少し私としては疑問な点もあるんです。もしそうだとしても、例えば第三者機関である情報開示機関をつくるなどして開示請求に対応できるような仕組みを創設すべきではないのでしょうか。

金澤政府参考人 いわゆる他人の権利侵害を行うようなホームページ上の記載をどのような形で削除したり、それに対する訴えの利益を確保していくかという問題と、通信の秘密をいかにして確保するかという問題は、両者相矛盾するということでございまして、その考え方を調整した上で、何らかの形で違法有害な誹謗中傷を行った者の氏名を開示できる仕組みについて、現在法制的なあり方について検討中ということでございます。

山内(功)委員 今多くのトラブルの原因になっているのが、例えば成り済まし事案ということが言われています。他人名義や架空名義でプロバイダー契約をするなどして混乱を生じている、その対策も必要だと考えています。また、その前提として、プロバイダーは契約時の本人確認を確実に行うように、例えば行政指導を徹底するなり義務規定を法律としてしまうというようなことも検討すべきではないかと思うのですが、経済産業省と総務省にお伺いしたいと思います。

古屋副大臣 まず、成り済ましのトラブルについての御質問でございますのでお答えをさせていただきたいと思います。

 成り済ましのトラブルについては、その原因がやはり情報が漏えいしてしまうということでございますので、その漏えいを防ぐということがまず大切であるというふうに考えております。

 このために、第三者が情報を意図的に盗むことを防止するための措置といたしまして、委員御承知のとおり、一昨年に不正アクセス禁止等に関する法律を整備いたしました。また、今度の通常国会では、カード犯罪防止法案及び個人情報保護法案を提出しているところでございます。

 また一方では、やはり盗まれにくい本人確認手段というものを確立するということも大切でございまして、このために電子署名及び認証業務に関する法律というのが本年の四月から既に施行されております。

 以上のような総合的な措置を講じるとともに、やはり何といってもクレジットカード会社がこういったカードの不正利用を防止するための自主的な努力も行っていくということが大切だと思いまして、これらの取り組みを総合的に講じていくことがこういった成り済ましを未然に防ぐことにつながっていく、このように考えております。

金澤政府参考人 私どもは、取引分野に限定することなく、一般論として匿名による通信というものをどう扱うかということになりますが、これを全く否定し去ることは、通信の秘密との関係もございまして、慎重に取り扱うべきものというふうに考えております。

山内(功)委員 それでは、不正競争防止法の改正案について質問に入りたいと思います。

 ドメイン名の不正登録につきましては、新設される十二号に罰則が設けられておりません。しかし、多数のドメイン名を不正登録する者などがこれからも多く発生するであろうということを想定しますと、罰則を設けることの必要性もあるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 不正競争防止法は、事業者の営業上の利益という私益と公正な競争秩序の維持という公益を保護法益といたしておりますけれども、その実現手段としては、当事者間の差しとめ請求、損害賠償請求等の民事的請求を基本といたしております。

 ただし、公益の侵害が著しく、当事者間の民事的請求にのみゆだねられることが妥当でない行為類型については、刑事罰の対象とされているところであります。

 具体的には、現行法では、一つは不正の目的をもって他人の周知表示を使用して消費者等に誤認、混同を与える行為、二つ目は商品、役務の原産地、品質等について誤認させるような虚偽の表示をする行為などが刑事罰の対象とされております。

 他方、他人の著名表示を冒用する行為または他人の商品の形態を模倣した商品を販売する等の行為などについては、当事者の民事的請求にゆだね、刑事罰の対象となっておりません。

 このような不正競争防止法の体系を踏まえますと、今回新設されるドメイン名に関する不正競争行為類型については、消費者の誤認、混同が要件とされていないこと等から、刑事罰の対象とすることは適当でないと考えられます。また、国際的にも、このような行為については刑事罰で対応するという方向にはなっておりません。

 以上から、今回の改正法案で新設する十二号には罰則は設けておりません。

 なお、ドメイン名を不正に使用することによって消費者に有名企業の営業と誤認させる場合もあり得ます。そのようなケースについては現行の第二条第一項第一号に該当する可能性がございまして、その場合には刑事罰の対象といたしております。

山内(功)委員 類似した場合も法的規制の対象にされておられますけれども、類似性の判断はどのようになされるのでしょうか。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 不正競争防止法においては、従来から表示の類似性が不正競争行為の要件として使われておりまして、その類似性の判断基準については過去の判例において確立したものがございまして、それがドメイン名についても適用できるものと考えております。

 具体的には、表示が完全に一致していなくてもよく、一般消費者等がその表示において最も着目する部分である要部から受ける印象や連想から類似と受け取るものであればよいとされております。例えば、ABC株式会社という表示とABCという表示のケースやアルファベット表示と片仮名表示が同じ音読みである場合などは類似と認められる可能性がございます。

山内(功)委員 外国人が日本企業の商標と類似のドメイン名を不正に取得することも考えられます。国境を越える紛争も想定されるのですが、国際裁判管轄はどのように決まるのでしょうか。

斉藤政府参考人 御説明申し上げます。

 我が国では、国際裁判管轄につきましては法律の明文の規定は存在いたしておりません。したがいまして、判例法理によって規律されている分野でございます。

 具体的には、最高裁判所の判例等によりまして、民事訴訟法の規定する裁判籍のいずれかが日本国内にあるときは、特段の事情がない限り、我が国の裁判所に国際裁判管轄を認めることが条理に合致する、こういう判例になっております。

 これを不正競争防止法に基づく民事訴訟に当てはめますと、これは不法行為に関する訴訟という類型に当たります。民事訴訟法上、不法行為に関する訴訟につきましては、被告の住所地のほか、不法行為があった地が裁判籍として認められております。そして、判例によりまして、不法行為があった地というのは加害行為地及び損害発生地のいずれも含まれるとされております。

 こういう判例を踏まえますと、最終的には事案に応じて裁判所の判断ということになるわけでございますが、例えば被告が外国に住居を有する外国企業であるという場合であっても、被告のドメイン名の不正登録、使用によって我が国の国内で我が国企業が原告として損害が発生したと認められる場合等につきましては、我が国に国際裁判管轄が認められるということになると考えております。

山内(功)委員 救済措置としてドメイン名の移転を認める規定を設けていませんが、これはどういう理由からでしょうか。

斉藤政府参考人 ドメイン名をめぐる紛争につきます救済措置につきましては、現行の不正競争防止法第三条の規定が適用になります。営業上の利益を侵害する者または侵害するおそれがある者に対しまして、侵害の停止または予防、さらにはそのために必要な行為を請求することができるということになっております。

 したがいまして、個別具体的な事案によりましては、裁判において侵害の停止または予防に必要な行為として、移転の請求が認められる可能性は必ずしも排除されていないということでございます。

 ただし、移転に関する明文規定は置いておりません。このことは、知的財産に関するその他の法令、商標法等において移転に関する規定を置いていないこと、それとの法的整合性の問題、それから、常に移転を認めるということになりますと、商標権者、訴えた側の保護に偏り過ぎるという可能性もあることからそのような規定を設けなかった次第でございます。

山内(功)委員 移転を認める明文がないと、まず第一に、裁判官が判断する場合の裁判規範、実定上の根拠がないということが言えると思います。それから、抹消をまずさせて、ある程度の時間的な空間があって、また新規登録をするということになると、その間に他人が不正取得をするということも考えられます。だとすると、直截的に移転を認める明文化を考えるべきではないんでしょうか。

斉藤政府参考人 明文の規定の可否につきましては先ほど御説明申し上げましたとおりでございます。

 ただ、先生御指摘のとおり、移転に関する、特にドメイン関係につきまして今後の運用状況も見ながら研究課題としてまいりたいと考えております。

 ただ、もちろん今回の法律案の中で全くその部分について手当てをするつもりがないということではございません。ドメイン名の紛争の解決に当たりましては、登録機関との連携によりまして、より実効が上がるような措置を考えていきたいと考えております。

 具体的に少し御説明させていただきますと、我が国の登録機関、JPNICということになっております。現在の運用では、商標権者がドメイン名の不正登録者を相手とする裁判で使用差しとめ判決を得た場合には、そのドメイン名を自動的に抹消するという運用をいたしております。

 さらに、今回の法律の改正とあわせまして、JPNICにおきましては、勝訴いたしました商標権者が希望する場合には、そのドメイン名の登録を円滑に受けられるように、そのルールのあり方を変えようということで検討いたしているところでございます。

 当省といたしまして、このような登録機関とも連携しつつ、ドメイン名の紛争の実効ある解決を実現するために、先生の御指摘も踏まえながら、環境整備に努めてまいりたいと考えております。

山内(功)委員 損害賠償請求ができる範囲について、通常受けるべき金額相当額という規定があるのですが、非常にわかりにくい規定だと思っています。こういった規定を置いた趣旨、そしてその意味について教えてください。

斉藤政府参考人 不正競争防止法が定める不正競争行為というのは、知的所有権関係ということでございまして、実際、侵害行為が行われた場合の損害賠償の認定というのは大変難しいということでございます。特に、訴えた側からしますと、損害額の立証というものがかなり困難であるという場合が想定されておりまして、そういうことによりまして、本来救済されるべき被害者が十分な救済を受けられないという事態が想定されるわけでございます。

 したがいまして、不正競争防止法では、不正競争の対象となりました表示等の使用料相当額を損害額の最低額として請求することができるという一種のみなし規定、推定規定を置いているわけでございます。

 今回の改正案におきましても、ドメイン名に関する不正競争行為が行われた場合、被害者の立証負担を軽減しないと実効的な救済が図られないという可能性があることから、改正しまして、推定規定を置きました。

 具体的には、自己の商標と同一または類似のドメイン名を不正に登録されて、人に営業上の利益を侵害されてしまったという場合には、仮にそのようなドメイン名にすることについてちゃんとした営業上の契約として許諾をしていたとすると、当然、ライセンス料等が発生するわけでございますが、その通常受けるべき使用料、ライセンス料に相当する額を損害額として請求できるということによりまして、損害額の立証を軽減すること、それによりまして被害者の救済の実効を確保するという趣旨で設けたものでございます。

山内(功)委員 現在、仲裁センターではドットジェーピードメイン名に関するADRは扱っていますが、ドットコムのような一般ドメイン名については扱っていません。

 今後、一般ドメイン名についても国内で被害者が気軽に相談できる機関、あるいは申し立てのシステムが必要だと思うのですが、その点については省はどういうお考えでしょうか。

古屋副大臣 御指摘のように、我が国のドメイン名でありますドットジェーピー、これに関するADRにつきましては、今委員御指摘の、日本知的財産仲裁センターがサービスを提供いたしております。しかし、いわゆるドットコムのような一般ドメイン名に関するADRについては、このセンターでは扱っておりませんで、現在ではWIPOを初めとする海外の機関が担当している、こういうふうになっております。しかし、我が国の被害者を救済するといった観点からは、我が国の機関がADRを扱うことが望ましいというふうに考えております。

 したがいまして、日本知的財産仲裁センターは、ドットコムのような一般ドメイン名に関する紛争も取り扱えますよう、国際管理機関、ICANNの方に今働きかけをしているところでございます。

 当省といたしましても、総務省と密接な連携をとりながら、この日本知的財産仲裁センターがこういった案件についても取り扱うことができるように一生懸命働きかけをしていきたい、このように思っております。

山内(功)委員 インターネットの発達に伴って新しい法整備が求められていくんだろうと思っています。

 先ほど総務省にお伺いしましたが、行政指導とか法整備については、通信の秘密の問題もあるので考えていないというような発言もあったんですけれども、やはり私は、それではいけないと思うんですね。名誉毀損とかわいせつ書き込みなどで権利を侵害されたと主張されるような人たちも今たくさん出ているわけです。

 その前に、そういう画面をつくる、あるいはコンピューターウイルスをつくる、流通させる、そういう行為自体について現行刑法では対応できないと思うんですけれども、この点、法務省ではどのような検討をしているのでしょうか。

中川大臣政務官 お答えいたします。

 世界的なコンピューターネットワークの発展と我が国におけるIT革命の進展の中にあって、我が国の治安や社会経済秩序を維持するためには、ハイテク犯罪に的確に対処し、そのための法整備をすることが必要不可欠と考えております。

 法務省として、昨年十一月八日に、経済活動にかかわる基本法制の整備のためのプロジェクトチームを設け、本年四月には、この組織を法務大臣を本部長とする経済関係民刑基本法整備推進本部としておりますが、ハイテク犯罪に対する罪罰の整備やコンピューターネットワークに関する捜査手続の整備等の検討をこの体制で行っているところであります。

 これらハイテク犯罪は、多数のコンピューターを経由して、容易に広域にわたってあるいは国境を越えて起こされることになりますので、犯罪の痕跡が容易に消去可能な電子データであること、そういう特質を持っております。このため、犯人の特定とその証拠の確保に種々の困難があり、これらの特質を踏まえながら法整備の検討を進める必要があります。また、国際的にも、これらの特質を踏まえた法整備の必要性が論議されているところであります。

 今後とも、コンピューターを利用した犯罪の発生や個々の分野における国際的な論議の動向を十分に把握した上で、実体法及び手続法の両面から法整備について検討を進めていくつもりでおります。

山内(功)委員 これは総務省と法務省にお聞きしたいんですけれども、誹謗中傷とかひどいことをネット上で繰り返しされた被害者が削除を求める権利というのは、プロバイダーに対してもあるんじゃないかと私は思うんですよ。

 だから、削除を求める通知制度というのを検討していく必要があるんじゃないでしょうか。もし通知をしていいというようなシステムを考えたとしたら、今度は、送信者にこういう通知が被害者からありましたという制度、仕組みも考えていくべきでしょうし、もしプロバイダーが通知もしない、あるいはそのまま放置をしておいた場合、そういうような場合については、プロバイダーは民事上の責任ばかりではなくて、やはり、送信者と同じような刑法的な責任も、正犯あるいは共犯としての責任も問われてしかるべきだと私は思うのですが、両省にお伺いしたいと思います。

小坂副大臣 山内委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘のように、ネット上で不法行為によって被害を受けた、こう主張される方がプロバイダーに情報開示を求めてもそれがなされないということでは、これは被害を食いとめることができませんので、そういった法制について鋭意検討しているところでございます。

 先ほど委員の方から、総務省は法律を検討していないようだがというお話がございましたが、そうではなくて、他人の権利が侵害されていると主張される状況の中で、一方では通信の秘密、表現の自由の保護との関係があることから、慎重に検討いたしております。

 その中で一番問題となっておりますのは、今度、情報を媒介しているにすぎないプロバイダーの責任を不法行為法上どのように位置づけるのかという今御指摘になった部分、この問題が一つ。もう一つは、送信者情報の開示に当たりまして、送信者の表現の自由、通信の秘密の保護、並びに権利を侵害されたと主張する者の救済の必要性とのバランスをどのようにとっていくか。

 こういった点が、法制局と今詰めておる中で問題となっている部分でございまして、そういった問題を早急に整理いたしまして、インターネット上での他人の権利を侵害する情報の流通に対して早急に対処できる、そういった制度を法制上も構築すべく、今年中に法案を提出すべく鋭意検討中でございます。そのように御認識をお願いいたします。

山内(功)委員 私も表現の自由はとても大切な権利だと思っています。政府が提出しているような現在の個人情報保護法、あれなどは全くひどい。表現の自由を全く考えていない法律案を政府は提出していると思っていますので、そういう面からしても、それは慎重に検討すべきだと私は思っています。しかしやはり、プライバシーあるいは著作権の侵害、名誉、そういうものの被害が一日も早く回復される制度、それはそれとしてきちんと考える必要があると私は思っております。

 最後の質問ですが、インターネットに関しては、スパムメールやクッキーなどの問題も出てきております。安心してインターネットを利用できる環境を整備することがIT社会の高度化に向けて問われているんだろうと思っています。そうした問題につきましての検討状況や今後の課題についてお伺いしたいと思います。

古屋副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、ITを推進していく上で、消費者もあるいは事業者も安心してこういったインターネットを活用していくことができる環境を整えていくということが極めて重要であるというふうに思っております。

 今回の法案は、ネット特有のクリックミスというようなことに対応した特例制度の整備でございますけれども、このほかにもまだまだたくさんございます。例えば、委員御指摘のようなプライバシーの保護の問題、あるいは迷惑メールなどの消費者保護の問題、ネット犯罪への対応であるとか知的財産を侵害されたときの問題など、まだまだ課題が残されているわけでありまして、こういった課題に対しましては、いろいろな対応を検討しております。

 例えば、個人情報保護制度、インターネットサービスプロバイダーの責任法制度の検討、先ほど総務省の方から答弁があったとおりでございます。また、刑事法制についてもやはり充実をしていく必要があると思っております。あるいは特許法制の充実など、政府としてもこれから一丸となって対応していかなければいけない部分がたくさんあると思います。冒頭に大臣からも答弁をさせていただきました、いわゆるe―Japan重点計画、この中身がかなり詳細に規定されておりますので、これを一つ一つ具体化していく過程でこうした問題にも積極的に取り組んでいきたいと思っております。

 また一方では、やはり、インターネットに参加する皆様のモラルの問題というのは私非常に重要だと思っております。そういった意味で、ITリテラシーの向上というものがITの環境整備に当たっては極めて重要であると思っておりまして、IT教育というものの充実にもやはり力を入れていくべきではないかというふうに思っております。

 ITというのは、加速度的に利用者がふえております。かつて車社会、これは利便社会の到来でございまして、例えば昭和三十年代に二百五十万台しか車がなかったときに交通事故死が一万人でございましたが、今、七千五百万台の車でありながら一万人程度ということで、その死者数が三十分の一に減っております。これは、インフラが整備された、安全の観点が整備されたということはもちろんでありますけれども、やはりモラルというかルールをしっかり守るというリテラシーが向上したということがあると思うのですね。やはりそういったものを国民一丸となってリテラシーの向上に努めていく、私はそれが極めて重要だと思っております。

小坂副大臣 ただいま古屋副大臣の御答弁ございましたけれども、e―Japan推進のためには、インターネットの影の部分にも適切に対処していくことが利用者が安心してネットワークを利用できるその基盤になると考えておりまして、総務省でもこのような影の側面に的確に対応すべく、不正アクセス行為の禁止等に関する法律、また電子署名及び認証業務に関する法律の整備をいたしました。また、情報通信ネットワーク安全性・信頼性基準等のガイドラインの整備を行い、またさらに、プロバイダーによる違法、有害情報に関する自主規制のガイドラインの策定、周知の支援を行っているところでございます。

 またさらに、有害情報のフィルタリング技術、いわゆる有害情報が入っているようなものを受信できないようにする、そういったフィルタリング技術の研究開発、また電気通信サービスを利用する際の注意点等をまとめたパンフレットの配布等、利用者に向けての周知活動を行ってきているところでございます。

 さらに、先ほど申し上げた違法、有害情報に関するネット上の紛争解決のためのプロバイダーの責任の明確化、あるいは情報開示の基準等を明確にするためのいわゆるIT社会における基本ルールを明確にするための法律案を今年中に成立させるべく努力をしてまいります。

 また、個人情報の保護に関する法律案、先ほど御指摘ありましたけれども、基本法を踏まえた電気通信分野における個人情報保護のための個別法を次期通常国会に向けて検討を進めているところでございまして、国民が安心して電気通信サービスを利用することができるように、今後とも、通信の秘密や表現の自由等にも配意しつつ、適切に対応策を講じてまいりたいと存じます。

中川大臣政務官 委員御指摘のとおり、だれもがインターネットを安心して利用できるように、これから、普及状況、それから違法、有害な情報の流通の状況等を踏まえて、法務省といたしましても民事、刑事のプロバイダーの責任のあり方を積極的に検討してまいる所存であります。

山内(功)委員 どうもありがとうございました。

山本委員長 後藤茂之君。

後藤(茂)委員 後藤茂之でございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、IT、ITとこれまで言われてきたわけでありますけれども、そのITの国家戦略というのが非常に欠如していたというのが私の実感でありましたし、多くの皆さんがそういうふうに考えておられたと思います。今回、e―Japan戦略の中で国家戦略の必要性が述べられておりますし、「国家戦略を通じて、国民の持つ知識が相互に刺激し合うことによって様々な創造性を生み育てるような知識創発型の社会を目指す。」というふうに国家戦略という言葉がきっちりと書かれているわけであります。

 さて、それで伺いますけれども、ITの国家戦略とは何か、竹中IT担当大臣の御見解を伺いたいと思います。

竹中国務大臣 ITの国家戦略が欠如していたのではないかという問題意識は、私自身共通して持ってまいりました。まさにそのためにIT戦略会議が昨年できまして、その成果がことし一月のe―Japan戦略という形でまとまったわけでございます。

 戦略とは何かということを一言で論じるのは、その意味では大変難しいかというふうに思いますけれども、基本的には、五年以内に世界最先端のIT国家にするという一つの目標を掲げた上で、それを実現するために四つの分野について重点戦略をとるという形を今考えているわけであります。

 インフラの整備、人材の育成、電子商取引、電子政府、それぞれについてさらにそれのアクションプランとしてのe―Japan戦略を打ち立てて、もう一つそれに加えて、今回六月末を目途に一種の中間目標をつくって、そのアクションプランの実効を確実なものにしていこうというふうに考えております。

 戦略そのものは、その中で、時の状況、技術の進捗を見ながら流動的に議論されていくものであろうかというふうに思っておりますけれども、今の時点では、そういった枠組みの中で戦略をローリングしながら打ち立てて、さらには推進していきたいというふうに思っております。

後藤(茂)委員 このe―Japan戦略、そういう意味では私は相当に日本の国家戦略を前進させていると思っているわけですけれども、IT社会の重要性ということから考えてみますと、戦略の中に書かれていないことの中で、特に医療だとか福祉だとか住宅だとか交通体系だとか、そういう社会インフラにかかわる問題とかあるいは情報セキュリティーの問題だとか、こうした問題は書かれていないが非常に重要な問題だというふうに思っております。

 そこで伺いますけれども、過去のことをいろいろ言ってもしようがありませんが、これらがe―Japan戦略にどうして書かれていないのか、あるいはそれに加えて、こうした問題に今後どう取り組んでいかれるのか、この二点についてお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 このデジタル革命の社会というのは、やはり今までの社会と根本的な成り立ちが違ってくる社会なのだと思います。

 先ほど議員まさしく創発という言葉をお使いになられて、エマージェントエボリューション、つまり国家が何か大きな仕掛けをするのではなくて、ネットワークでつながれた末端でぽっぽっぽっと起こってきたちょっとした試みが社会のあり方全体、もっと言えばグローバル社会全体のあり方を規定する、そういう時代になっているのだということだと思うわけであります。

 したがって、e―Japan戦略では、そういったあえて個別分野のことを議論するよりは、まずインフラをつくることであり、その上で自由に競争してもらうことなんだ、その結果として例えば医療、福祉、そういうものは間違いなく出てくるんであろう、そういう考え方に基づいて先ほど申し上げた四つの大きな枠組みで議論させていただいたということだと認識しています。

 ただ、もちろん今議員御指摘になったように医療、福祉、交通体系、これももちろん大変重要な分野です。その意味では、e―Japan戦略、いわゆるアクションプランの中にはそういうものを意識したプランというのはかなり入ってきているというふうに認識しております。

 また、情報セキュリティーの問題も、これはまたちょっと別の次元から、技術的な問題も含めて極めて大きな問題だと認識しておりますので、それなりの対応も、この重点計画、さらに二〇〇二年を目指した中間目標の中で議論をさせていただくというふうに思っております。

後藤(茂)委員 私も、特に個別の具体政策というつもりで社会インフラのことを申し上げているわけでも必ずしもないのです。ただ、こうした視点がやはり入っていないということは、結果としてIT後に実現される社会だとかその生活空間というのは一体どうなるのかとか、そういう問題が実を言うと十分議論されていないことからこうした問題が出てきているんではないかなというふうに私は思います。

 だから、そういう意味で、IT社会の生活空間はどうなるのかとか、例えば町づくりがどういうふうに社会インフラとのかかわりにおいて行われるのかとか、個人とIT社会というものがどう関連されているのかとか、そういった問題についてじっくり議論をする必要があるだろうというつもりで申し上げているわけであります。

 そういう意味で、改めて伺いますけれども、IT社会のあり方とかIT後の生活空間の問題だとか、そうしたことについての大臣の御見解なり、今後そうした問題についてどんな研究なり対応を図っていかれるのか、どのような体制でそうした問題について取り組んでいかれるのか、そんなことを伺いたいと思います。

竹中国務大臣 後藤委員御指摘のように、国民から見てIT、デジタル社会というのはどういうものになっていくのか目に見える形で、特に御指摘になったような医療とか福祉の関連で、肌で感じられるような状況をつくっていくということは大変重要なことだと思いますし、その延長に初めてやはりデジタル社会のビジョンというものが出てくるのだと思います。

 二つのことを申し上げたいと思います。

 一つは、諸外国の例などを見ますと、IT社会はこんなになるんだよというような、いわばコンセプトリーダーみたいな方がどこかであらわれて、それはあるときは政府の方であったり、あるときは民間の有識者であったりしますが、そういうコンセプトリーダーが社会を引っ張っているという現実があるのだと思います。そういう方々が出てきてほしいなと。ひょっとしたら私が一部やらなきゃいけないのかもしれませんが、IT戦略本部のメンバーの中にも、例えば村井純さんとかそういう方々がいらっしゃいますので、そういう方々にやはり前面に立っていただいて、そういう議論を進めていただくというのが一つ考えられる方法だと思います。

 さはさりながら、やはり政策の分野でも同じような努力が要るわけで、それに関しましては、e―Japan二〇〇二の中間目標の中で三つのことを特にやりたいと思っております。その一つが今の委員の御質問に合致するものだと思います。

 重点的に特にやりたいと思っていますのは、第一は、競争政策を促進することによってインフラを整備するということ、それを引き続き進めるということ。第二は、先ほどからも議論に出ておりますけれども、まさに国民の情報リテラシーを高めて、国民全員が参加する中で、あるべき一つのモデルを国民自身につくっていっていただくということ。第三番目が、国民に対して目に見える形で、ビジブルな形でITのライフというのはこんなふうに夢があるんだよということを示していくこと。

 これはいわばITモデルプロジェクトみたいなイメージだと思いますが、そういうことを絡めて、今委員御指摘になったようなことを少しずつでも前進させることができないかというふうに考えております。

後藤(茂)委員 先ほどの御答弁でもありましたけれども、e―Japan戦略、我が国は五年以内に世界最先端のIT国家となることを目指すとされているわけですが、一番大事なことは、五年の間にどういうスケジュールできちっとやっていくかということだろうと思います。

 そういう意味では、この一年とか二年とか、中間目標ということもお話がありましたけれども、五年の間にどういうスケジュールで実行していくのか、どうやって進行を管理していくのか、その点についてお伺いしたいと思います。

竹中国務大臣 五年以内に最先端のIT国家になることを目指すということを目標にしております。ただ、まさにドッグイヤーで、この間も一部有識者の会では、五年というのは少し長過ぎるのではないか、もう早速これを前倒しするようなことも議論していいのではないかというようなさらに野心的な意見も出ました。

 しかし、五年というのは大変重要な目標であると私は考えておりますので、その目標に向けて、重点計画では二百二十の施策をそれぞれ達成時期を含めて今示しているところであります。これが、やはりタイムスケジュールの管理ということでは重要だと思います。そのうち、二〇〇一年度には、二百二十の半分近くの百三を実施するということになっておりますので、その意味では、少なくとも今議論されているイシューに関しては、タイムスケジュールが比較的示されているというふうに思います。

 さらに、先ほどから申し上げていますように、e―Japan二〇〇二プログラム、重点的なものについては今月末をめどに取りまとめているということでありますので、世界の流れ、技術の流れが我々の予想を常に超えて進んでいくという現実の中で、今のスケジュールに基づきながらも、さらにそれをパワーアップしていくようなことを常に心がけていきたいというふうに思います。

後藤(茂)委員 前倒しは幾らやっていただいてもいいので、そういう意味で、最低限おくらせない基準をどうぞということです。

 次に、ちょっと予算編成のことにもかかわることですけれども、平成十三年度の予算編成を見ていまして、高度情報通信社会推進本部というのがいろいろITの推進ということで仕事を始めた年でありまして、各省がIT関連のさまざまな事業をやっておりまして、予算化が進んでおります。

 ところが、よく内容を見ると、各省の施策、ネットインフラの問題にしても、非常に重複投資が多いし、互換性がなかったり相互連関が全くなかったりする。あるいは、IT関連事業という新しい看板はかかっているけれども、旧事業の単なるつけかえでしかないようなものがIT枠ということで非常に殺到しているわけです。

 もちろん予算枠を確保するテクニックの問題は承知をしておりますけれども、五月三十一日に発表されたe―Japan二〇〇二のプログラムの中でも、いろいろ予算編成について、予算の効率化について指摘がありますけれども、IT担当大臣として、一応経済財政担当、一応という趣旨は、きょうはIT担当大臣としてしか出席していないという話もあったもので、経済財政担当大臣として、閣内において十分なイニシアチブをとっていただく必要があるというふうに思いますので、予算編成において具体的にどういうふうに対応していかれるおつもりか、お考えを伺いたいと思います。

竹中国務大臣 ITの関連の予算という観点からすると、改めてでありますけれども、こういう仕組みができたのは本当につい最近なんだなというふうに私自身も感じます。このe―Japanの戦略が発表されたのはことしの一月でありまして、それに基づいて実はIT戦略本部がことしになってできているわけであります。だから、まだIT戦略本部としては一回も予算編成しておりません。実際の活動はしておりません。

 それに基づくフォローアップ等々もことしになってから始まっているということでありますので、まさに二重投資等々、そういった問題が生じないように、IT基本法に基づいてIT戦略本部ができているという趣旨に基づいて、概算要求の段階からぜひこの本部の機能を活用して、戦略的にしっかりとやらせていただきたいというふうに思っております。

 あとは、予算編成全体の話についても少し言及がございましたけれども、これは、経済財政諮問会議という、本当にこれも新しい試みがことしから始まろうとしているわけでありますけれども、予算というのを、積み上げ型ではなくて、予算の枠組みを経済財政諮問会議で決めて、その方針に基づいて財務省が予算編成していくということでありますから、これは両方ともたまたま私の責任になっておりますので、議員のおっしゃる趣旨を再度かみしめて、ぜひしっかりとやらせていただきたいと思います。

後藤(茂)委員 ITの問題について、平沼経済産業大臣に全然伺っておらないわけですけれども、副本部長として、最も経済産業省は中心となってやるべき役所だというふうに思っておりますので、御決意がありましたら一言お願い申し上げます。

平沼国務大臣 後藤先生御指摘のとおり、私も担当副本部長でございまして、昨年の七月からIT戦略本部そしてIT戦略会議、それがe―Japan構想、こういう形で基本的に計画として結実をいたしました。

 したがいまして、今竹中大臣の御答弁にもありましたように、私も経済財政諮問会議のメンバーでございますので、やはりIT、e―Japan構想というのは非常に重要でございますので、そういう予算面でも、そして具体的な計画が着実に実行できるように、最大限の努力を傾注していきたい、このように思っております。

後藤(茂)委員 ちょっと経済の問題について、これはIT関連ということだと私は思って御質問させていただきますが、今の日本の経済は非常に厳しい。そして竹中大臣も、この間、当面の経済の状況を見ると潜在成長率を大きく下回るおそれが強いという御発言もされているわけです。

 私は、従来から申し上げているとおり、やはり日本経済の現状を打開するためには、構造改革を必死でやるしかしようがないというふうに思っているわけであります。

 その場合に、三つのポイントが待ったなしの日本経済の再生に必要だというふうに思っていまして、一つは、不良債権の処理を中心とした金融システムの構造改革を短期間に終了する、それとともに政府債務の構造改革についても少なくとも道筋をできるだけ早期に示すこと、これが第一点ですね。それから第二点が、日本経済の再生を可能にするような、例えば、IT関連の規制緩和だとか、IT関連のいろいろな政策だとか、雇用政策だとか、サプライサイド政策をきっちりやること、これが二点目ですね。それから三点目としては、徹底したデフレ対策の金融政策を堅持すること。

 この三つはどうしても必要だというふうに考えております。たとえその実行に痛みが伴おうとも、こうした構造改革をやらない限り今の泥沼から抜け出ることはできない、これを放置していくということはどんどん悪い状況になるというふうに考えております。この問題について、平沼大臣の御見解を伺いたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 後藤先生御指摘のとおり、停滞と閉塞を打破いたしまして、日本経済の新たな成長と発展を現実のものとしていく、そのためには、構造改革を強力に推進いたしまして、民間の経済活動が自由濶達に行われるような環境を整備していくことが非常に重要だと認識しております。

 こうした考え方のもとで、これまで、昨年末に取りまとめました経済構造改革のための行動計画の実施に取り組んできているところでございます。同計画に盛り込まれたのは、もう委員よく御承知だと思いますけれども、二百六十項目ございまして、その施策のうち一年以内に実施することとされた百項目については、既に約八〇%が具体化されるなど、着実にその進捗が見られているところであります。

 また、我が国経済の真の再生に向けて、その大きな足かせとなっております不良債権問題、二年から三年以内で最終処理を目指しているところでございますけれども、金融政策というのは日本銀行の専管事項でございますけれども、景気が悪化しつつある現状におきましては、機動的、弾力的な運営、これを経済産業担当大臣としては期待しているところでございます。

 また、御指摘のように、これからの構造改革を進めていく過程では、やはり痛みの部分、失業者の増大でございますとか、それから日本の経済の基盤を支えていただいている中小企業に対する悪影響、そういう事態というものが十二分に想定されるわけでございます。こうした痛みに対処することが新しい成長の芽を育成するために必要だと思っておりまして、新規市場及び新規雇用の創出に向けた改革を加速させまして、あわせて、能力開発支援等による雇用対策を一体的に進めて、そして同時にセーフティーネットの整備も万全を期していかなければならないと思っております。

 このような観点から、私は、先日、産業構造・雇用対策本部に、新市場・雇用創出に向けた重点プランを提案させていただきました。それをたたき台として議論が重ねられてまいってきているところでございまして、今後、この本部における中間取りまとめを受けて、その実行に向けて速やかに動き出して、おっしゃるとおり経済構造改革のさらなる前進に力いっぱい努めてまいりたい、このように思っております。

後藤(茂)委員 内閣府の方は、手短にお願いいたします。

松下副大臣 今経済産業大臣からもお話がございました。総理の施政方針演説でも総理が申し上げておりますけれども、現在の景気の脆弱性の背景にはさまざまな構造問題の存在がある、経済の再生のためには各般にわたる構造改革が不可欠であるとしております。

 具体的な経済、財政の構造改革として、第一に、二年から三年以内に不良債権の最終処理を行う。これによって、金融部門の資金仲介機能が回復する、有望な企業や新規市場に円滑に資金が供給されることになるというふうに考えております。

 第二は、二十一世紀の環境にふさわしい競争的な経済システムを構築するということであります。今議論いただいておりますIT革命を推進するなど、競争政策、規制改革の推進等を行うことによって新規産業や雇用の創出を促進する等、サプライサイド政策により日本経済本来の発展力を高めることとするというふうに考えております。

 第三は、財政構造改革であります。本格的な財政再建と徹底した歳出構造の見直しによって、簡素で効率的な政府を構築することとしておるわけであります。

 なお、金融政策は日本銀行の所管事項でありまして、政府としては、日本銀行の自主性を尊重しつつ、今後、金融政策が政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、引き続き、日本銀行と十分な意思疎通を図りながら経済運営を進めてまいりたい、このように考えております。

 構造改革の実行に痛みが伴うとしても、構造改革は中期的に我が国経済の有する潜在力を開花させ、民需主導の経済成長を実現するものであるとの考えから、聖域なき構造改革は必ず実行していくことに変わりはない、このように考えているわけでございます。

後藤(茂)委員 そういうことでやっていただくことで大変心強く思いましたけれども、総理がいろいろおっしゃっている経済政策の姿勢からいえば、一時しのぎのいわゆるばらまき型の補正はやらないということになると思います。与党内にはいろいろな声が聞こえているようでありますけれども、この一時しのぎのばらまき型の補正をやるべきでないと考えますけれども、それについての平沼大臣のお考えを伺いたいと思います。

平沼国務大臣 景気の現況につきましては、輸出、生産が引き続き減少する中で、一進一退の動きを続けてきた個人消費にも弱い動きが見られまして、また、非常に景気の下支えをしておりました設備投資も前期比では御承知のとおり減少に転じるなど、大変悪化しつつある、こういう現状であります。

 こうした景気の脆弱性の背景には、構造問題の解決のおくれが、御指摘のとおりあると思っております。現時点では、構造改革なくして景気回復なしとの基本認識のもとに、不良債権処理などの抜本的な構造改革を進めて、新たな成長に向けた環境の整備に集中的に取り組んでいくことが最重要だ、このように思っています。

 こうした観点から、まず、先ほど御指摘のとおり、不良債権の最終処理を中心とした緊急経済対策を小泉内閣の第一の課題として、その早急な実施に努めているところであります。さらに、五月二十五日に立ち上がりました産業構造改革・雇用対策本部、ここにおきまして新規産業と雇用の創出に向けて精力的な議論を行い、中間取りまとめを行っておりまして、加えて、今後の経済、財政のあり方については経済財政諮問会議において骨太の方針を鋭意議論しているところであります。

 こうした経済、財政の構造改革を断行することにより我が国経済の再生が図られまして、本格的な景気回復が実現されるものと考えておりまして、経済構造改革担当大臣としては、今言った基本的なことをしっかりとやらせていただきたい、このように思っております。

後藤(茂)委員 必ずしも補正をやる必要がないかあるかというふうに聞いたんでなくて、一時しのぎのばらまき型の補正をやらないかと聞いたんで、大臣のお立場はよくにじみ出ておりました。わかりました。

 竹中大臣はいかがお考えでいらっしゃいますか。

竹中国務大臣 基本的には、一時しのぎの需要拡大というのは、まさに一時的な需要拡大をもたらすだけで、結果として後に大きな財政赤字というコストを残すだけでありますから、そういう政策はやはり繰り返すべきではないというふうに考えております。

後藤(茂)委員 ちょっと時間が押してまいりまして、余りあれなんですが、一言だけ申し上げておきたいのは、私は、総理大臣、そして一体となって支える経済関係の閣僚の皆さんたちに今の事態を重く受けとめていただいて、やはり経済戒厳令というような、強いリーダーシップを発揮するような局面に来ているんではないか、そういうつもりで経済政策、金融政策の問題等に当たっていただきたいというふうに思っております。

 日銀は、不良債権が今のままに放置されてバンキングシステムから金が出ていかないということであるとすると、貨幣供給量を多少ふやしても、わずかにアナウンスメント効果はあったとしても大きな金融政策の効果が期待できると、正直言って思っていないと私は思います。金融庁も警察官をやるのが精いっぱいで金融政策の全般を考えるという余裕がない、私はそういう状況だと思っております。そうしたときに、不良債権の処理はどうしてもやらなければならないわけですね。

 ただ、私がもう一つあえて言いたいのは、そのときに、ともかく、例えば要注意債権を手荒なことをしてみんな最終処理をしろと言っているんじゃ決してないのです。つまり、銀行のワークアウトをなくしていくために一斉にかけ声をかける。そして、もし本当に短期間に不良債権処理問題を手がけるという覚悟とその姿勢を示して行動のスケジュールを示すならば、ただ、座してデフレを待っていたらいいというふうに言っているわけじゃ決してないのです。

 そういう意味では、通常の金融政策の枠組み等で考えられないようないろいろな手だてだってそういう条件のもとでなら発動すべきだ。そして、例えばいろいろな部署の責任者に対して絶対の政治的な信任を与えて、その数年間の間それで乗り切る、そういう覚悟を持つべきだというふうに思っています。

 金融政策についても、銀行の不良債権を例えば証券化して日銀から銀行に金を回して買わせるとか、本当のことを言えば、日銀だって買えないわけじゃないわけですが。しかし、そこまで言うかどうかは別として、上場株式ファンドのようなものに資金供給するとか、円安容認が可能となる、そういう交渉を例えばアメリカとする、そういう前提のもとで日銀がどんどん外債を買うとか、あるいは公的金融機関が一定期間の赤字にある程度は目をつぶって、そして一斉に融資をするとか、そういうトータルな、本当に危機管理という意味での政策を考えるときに来ているのではないかなというふうに私は思っております。

 答弁はちょっと時間があれなので、そういうことでぜひやっていただきたいということを指摘いたしまして、次の具体的な問題に移りたいと思います。

 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案の審議でありますので、e―Japan戦略の中に電子商取引にかかわる部分があります。電子商取引というのは、常に新しいものへの挑戦であるわけですから、一般的なルールを最初からきっちりつくるということはできないし、少しぐらいのいろいろトラブルがあってもそれを余りやるべきではない。例えば消費者保護の観点からいろいろな問題が起きても、やはり注意深くルールづくりをしていく必要があるというふうに思っているわけでありまして、そういう意味では、行政についてはノーアクションレターの制度の導入の問題、それから、司法についてはADRの充実を行うということは非常に重要だというふうに思っております。

 そういう意味で、ノーアクションレターにつきまして、経済産業省は六月に実施したというふうに認識しておりますけれども、他省の状況がどうなっているのか、総務省に伺いたいと思います。

坂野政府参考人 御指摘のノーアクションレターの制度でございますが、ことしの三月二十七日に閣議決定をして各省に導入を行うということを決めたわけでございまして、その際、平成十三年度中の可能な限り早期に実施をするという方針を打ち立てておるわけでございます。

 今御指摘のように、経済産業省はこの六月から既に実施に入っておりますが、その他の省はなお現在事務的な準備を進めておるということでございます。各省、今私ども聞き取りをしてどんな進捗状況か聞いておりますが、事務的にはかなり作業が進んでおるということでございますが、もう少し時間がかかるというところが大半でございます。

後藤(茂)委員 平成十三年度中ということになっておりますので、そういう意味では、各省に奮闘してもらわなければいけないわけですけれども、取りまとめ部局からも奨励をしていただきたいというふうに思います。

 それから、ADRについていろいろ、ちょっと細かいことははしょりましてずばっと伺いますが、司法制度審議会の意見書にあるとおり、弁護士法七十二条の適用について、予見可能性を明確にしていく必要がこの問題については非常に重要だというふうに思っております。この問題についての法務省の見解を伺いたいと思います。

中川大臣政務官 お答え申し上げます。

 司法制度審議会意見書において、「ADRに関する共通的な制度基盤の整備」の項目の中で、弁護士法第七十二条については、「少なくとも、規制対象となる範囲・態様に関する予測可能性を確保するため、隣接法律専門職種の業務内容や会社形態の多様化などの変化に対応する見地からの企業法務等との関係も含め、その規制内容を何らかの形で明確化すべきである。」としております。

 したがって、委員御指摘の問題につきましては、政府の推進体制において拡充、活性化の方向に向かって積極的に検討してまいりたいと考えております。

後藤(茂)委員 六月十五日に閣議決定がありまして、法務省としてはなかなか大きな閣議決定になっているだろうというふうに思います。司法制度審議会の意見書は大変重いものでありますが、量的にも重いのですが、そういう意味でぜひしっかりと推進をしていただきたいと思います。

 それから、株主総会の招集通知とか議決権行使など、電子商取引関係の商法改正問題、これは臨時国会があればことしの臨時国会で閣法として提出することになっているというふうに承知しておりますけれども、その検討状況について伺いたいと思います。

小池政府参考人 法務省におきましては、会社法の全面見直し作業に今入っておりまして、法制審議会会社法部会におきまして今調査審議が進められているところでございます。

 この見直しの柱は幾つかございますが、そのうちの一つが高度情報社会への対応ということでございまして、このテーマの一環として、今委員御指摘の株主総会に関するIT化の問題も含まれております。この問題につきましては、会社の便宜と株主の保護の調整をどうするかという見地から、今検討が進められているところでございます。

 御指摘のように、ことしの秋に臨時国会が開かれます場合には、所要の法案を国会に提出させていただきたいと考えております。

後藤(茂)委員 商法の改正というのは、大体、大変時間がかかるわけであります。そういう意味では、ぜひお願いしたいと思います。

 いろいろな若いベンチャー経営者と話をしていますと、株式に係る純資産額規制の撤廃の問題等とストックオプションの問題が非常に話題になります。もちろん、前者は議員立法で今国会に出ておりますけれども、ストックオプションも恐らく同じグループの扱いだと思います。そういう意味では、商法の改正は、経済のスピードが速い中で経済のスピードにちょっとでも追いついていくように、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 それから、法律案そのものについてでありますけれども、これは民法九十五条のただし書きの規定をとめる特別法になっていまして、こういう民法の九十五条という、一般的な規定をとめるというような特別法は、正直に言って、立法例としては九十五条については初めてだと思います。

 そこで、伺いますけれども、裁判規範である民法の規定を特別法という形で改正する、そういうやり方、手法、そのことについて法務省はどういうふうにお考えになっているのか、伺いたいと思います。

小池政府参考人 電子商取引におきましては、消費者が操作ミスによって意図しない契約の申し込みを行って、その契約の効力をめぐるトラブルが生じやすいという問題がございます。さらに、郵便等による伝達手段と異なりまして、意思表示が瞬時に相手方に到達するという特性も持っております。

 この法案は、そのような電子商取引の特徴を踏まえまして、電子的な方法を用いた契約に限定して民法の九十五条それから第五百二十六条等の特例を定めるものでございます。

 今申し上げましたように、本案の適用範囲は電子的な方法を用いた契約に限定したものでございますので、一般法としての民法、つまり契約の成立についての一般的なルールを定める民法の改正ではなくて、特別法によって手当てをするのが相当であろうというふうに考えております。

後藤(茂)委員 電子商取引のような新しいものがどんどん出てくる分野で、法律で一般的ルールをつくっていくということはなかなか難しいというふうに思います。ですから、事後的評価になじむ領域だと私は思っていまして、決してやり過ぎを慫慂しているつもりではないのです。

 しかし、そういう点からいうと、裁判所の裁判情報や判例が公開されていないと、関係者にとっては、合理的な予想がつかないという意味で、非常に不利益をこうむることになります。

 現在、データベースでいいますと、主要な最高裁判決の全文と、東京、大阪を中心とした下級裁判所の知的所有権関係はデータベースで出ているわけでありますけれども、裁判判例を広く国民に知らせるということからいうと、特にこの電子商取引関係等については、簡易裁判所の判決とか少額訴訟の判決だとか、こうしたものをデータベースで公開すべきだというふうに思います。

 それから、あわせて申し上げますと、これは紛争事例の公開という点で申し上げるのですが、国民生活センター等が紛争処理を行っているわけですけれども、このPIO―NETによる情報も共有化する必要があるだろうというふうに思います。もちろん、裁判所の判例と、PIO―NET等の、いわゆる任意のこういう紛争処理とは扱いが違うと思います。それから、消費者の言い分のみが全部データベースに載るということも好ましくないことだと思いますし、固有名詞等プライバシーの問題もあるだろうというふうに思います。

 ですから、そういう意味で、違いはあると思いますけれども、こういうものをあわせて、合理的な期待がきちんと成立するような基盤をつくっていく必要があると思いますので、それぞれ関係者においてどんどんそうした問題を推進していただきたいと思います。

 最後に、データベースによる判例の公開の問題について、法務省にちょっと答弁をしていただきたいというふうに思います。

中川大臣政務官 委員御指摘のような現状になっておりまして、そういう点で国民に対するサービスが行き届いているかというと、非常に問題があると思います。

 幸い、このたびの、司法制度審議会がまとめた意見書の中にも、先例的価値の乏しいものを除き、プライバシーなどへ配慮しながらインターネットホームページ等を活用して全面的にいろいろな情報を公開していくべきだという意見があります。それを受けて、裁判所としても的確に対応していくものと期待しているわけであります。

後藤(茂)委員 時間になりました。終わります。

山本委員長 北橋健治君。

北橋委員 民主党の北橋健治でございます。

 きょうは、参議院でも審議が行われておりまして、大臣、途中で御退席だと聞きました。そこで、上程されております法案の関連は後に回させていただきまして、恐らくこの国会で、委員会で公式に質疑のできる場が後ないと思いますので、少し話題がこの法案から離れますけれども、御容赦をいただきまして、以下、順次大臣の所見を承ってまいりたいと思っております。

 まず第一に、日米の外相会談が開かれました。そこで、京都議定書をめぐりまして、日本の方からアメリカ政府に対して、ぜひとも京都議定書を支持して、一緒に批准するように求めたところ、京都議定書はやはり支持できないというコメントが返ってきたというふうに報道されております。

 大臣は、この日米外相会談の結果を受けまして、京都議定書をめぐる問題についてどのように受けとめておられるか、まずお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 日米外相会談の場におきまして、パウエル米国務長官から、米国は京都議定書を受け入れることはできない、そういう発言があったことは承知をいたしております。京都議定書をめぐる国際交渉は、引き続き非常に難しい局面にあると私は率直に受けとめております。

 一方で、会談の中で同長官からは、京都プロセスの枠内で取り組む、こういう発言がございまして、これまでの国際的な議論の枠組みを重視する意思が改めて表明されたと承っております。

 経済産業省といたしましては、地球環境保護のためには日米欧がともに参加する国際枠組みの実現が最も重視されるべきであると認識をいたしております。京都会議の議長国として、日米欧三極の合意の実現に向けて、再び積極的にリーダーシップを発揮していかなければならないと考えておりまして、このような取り組みの一環として、米国に対しましても引き続き合意に向けた働きかけを粘り強く行っていきたい、このように思っております。

北橋委員 粘り強く対話を続けるということでございますが、アメリカ政府の決意はかなりかたいのではないか。環境省の大臣は、まだ期待はしている、希望はあるというコメントを出されたりしておりますが、私もいろいろな方からお話を聞く限り、京都議定書の今の枠組みの中では、ほとんど絶望に近いのではないか、そういう見方も結構広がっております。

 そこで、大臣、アメリカを説得できる余地というのはまだあるんでしょうか、現実問題として。このままの枠組みを示して、ただ乗ってこいといっても、アメリカ政府は乗ってこないのではないか。可能性があるとするならば、つまり説得できるとするならば、現在の京都議定書を柱とする枠組みについて、やはりその一部を柔軟に考える、そういう余地というものを詰めていかない限りは、私は、アメリカ政府を説得することは不可能ではないかと思いますが、柔軟に枠組みの一部を見直す余地というのはあるんでしょうか。

平沼国務大臣 今月十一日のブッシュ大統領の声明では、国連の枠組みにおいて温暖化問題への対応を発展させるべく友好国や同盟国、世界全体の国々と取り組む用意がある旨の発言がありました。そして、十八日の日米外相会談では、京都プロセスの枠内で取り組むとの意向が、先ほど申し上げましたようにパウエル国務長官より示されたところであります。

 これらの発言は、米国が地球温暖化問題に取り組んでいく上で、これまでの国際的な議論の枠組みを重視する意思を改めて表明したものである、このように受けとめております。

 一方、米国内では、議会においても、国際的に受け入れられる提案を持って交渉のテーブルに戻るべきだといった意見があることも承知をいたしております。

 そういう意味では、多様な見解が見られつつあるわけでございまして、また、アメリカの産業界においても、その多くは京都議定書に慎重な対応を求めてはおりますけれども、米国が国際交渉から離脱することには反対する意見が多数と承っております。中には、フォード、エンロン等、温室効果ガスの排出削減に前向きな姿勢を打ち出している企業もございまして、現在、米国は、このようなさまざまな意見のある中で、進むべき方向を模索している段階にあると思います。

 我が国といたしましては、米国の方針について、即断を下すのではなくて、国際的な枠組みに前向きな姿勢を引き出すように引き続き努力をする、そのことが今一番大切なことだ、私はこのように認識しております。

北橋委員 確かに、ブッシュ大統領のコメントを見ても、国連の枠組みにおいて努力をするということは言われております。ただ、我が国としては、京都会議の議長国といたしまして、この京都議定書を批准すべき段階にもう既に来ているわけで、国会もその意思を既に表明しているところでございます。

 そういった意味で、今のお話を聞いておりますと、話し合いは続ける、その余地もあり得るんだというようにとれたわけでございますが、京都議定書の批准という問題に限っては、アメリカ政府の対応は絶望的ではないか、そのように私には思えるわけでございまして、どうしてもこの京都議定書がだめだということになるならば、つまり、今度の日米首脳会談でこれは主要な議題の一つに上がると思いますけれども、そこではっきりと議論をして、アメリカがどうしてもそれには合意できないと言うならば、これはやむを得ない、EUと一緒に見切り発車して批准するということにも踏み切らざるを得ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 地球温暖化問題の取り組みの実効性を確保する観点からは、日米欧がともに参加する国際的枠組みの実現が最も重視されるべきと私は認識しております。

 特に、世界のいわゆるCO2の排出量の約四分の一を占める米国がこれに参加しないということは、この枠組みを有効な形で解決する、そういうことが非常に困難になるわけでございまして、私どもとしては、米国の参加なくしては将来の途上国の参加を期待することも困難だと思っております。

 京都会議の重要な成果は、先進国が一致して一つの国際的枠組みに合意した、こういう点にあると思っています。地球温暖化に取り組む、真に有効な解決策を目指すという観点から、我が国は、京都会議、COP3の議長国として日米欧の合意に向けて積極的にリーダーシップを発揮していかなければならない、そういうことですから、今の時点では、そこを柔軟に対応することは考えておりませんで、私どもとしては、環境大臣とも協力をしながら今の趣旨で米国に対して力強く働きかけていきたい、このように思っています。

北橋委員 確かに、日本がここで批准しましても、CO2排出量の半分弱にしかならない。したがいまして、アメリカなり中国なりそういったところがここの枠組みに入らない限りは、どれだけ日本、ヨーロッパが頑張ってみても二〇二〇年レベルで三割にも満たない状況でございますから、大臣としてもあくまでもアメリカに対して説得を続けるというお気持ちはわからないでもありません。

 しかし、いつまでもずるずるとこのまま延ばしていくということもあれですので、説得するとすれば、やはり京都議定書で示された枠組みの一部を柔軟に見直すということについても考えないと、時間だけたって結局アメリカは来ないということになりかねないと思います。

 もう一度繰り返しますが、その辺を一部柔軟に見直すというお考えはありますか。

平沼国務大臣 京都議定書をめぐる交渉は、御指摘のように、現在難しい局面を迎えておりまして、このような状況にあっては、各国すべてに柔軟な対応が求められると私は考えています。

 我が国といたしましては、今日の難しい状況下におきまして、京都会議で国際的な合意を取りまとめたという貢献を思い起こしまして、いま一度知恵を出していかなければならない、このようにも考えております。

 ただし、現時点では、具体的な米国の方針も明らかになっておりません。そして、米国、欧州、我が国がどのような形で歩み寄り、合意を目指すことができるか、具体的に見通しがまだ難しい状況でございます。したがいまして、総体的には、今先生御指摘のとおり、最大の排出国である米国が入ることがこの問題のポイントでございますから、やはりそれぞれの国が柔軟性を持って歩み寄るということは、大きな枠の中では必要なことではないか、私はこのように思っています。

北橋委員 それでは、日米首脳会談の結果を見守りたいと思っております。

 続きまして、大臣のいらっしゃるときにお伺いしておきますが、日米の話し合いの中では、ミサイル防衛問題を初めとして、主要な議題がテーマに上がる、こう聞いておりますが、当然、経済問題についても率直な意見交換が行われると思います。

 その中で、最近、アメリカ政府がまた保護主義に転落をし始めつつある、そういう傾向が議会にも政府内部にも出てきております。これはさきの委員会におきましても当方から質問をさせていただきまして、的確な答弁をいただいたところでありますけれども、以来、ブッシュ政権がまた風雲急を告げるように、ITCの方に対して通商法二〇一条に基づく緊急輸入制限、セーフガードの調査開始を要請した、このように伝えられております。

 そこで、大臣にお伺いいたします。

 これについては、経済産業大臣としても極めて遺憾な内容であるという、保護主義を戒めるような御発言を既にされておりまして、私、それを評価させていただいております。アメリカ政府は、京都議定書もそうでございますけれども、ヨーロッパが言っても日本が言ってもなかなか聞く耳を傾けてくれないところもございますので、そういった意味で、EUのこの問題に対する対応というのは、これはもう保護主義的措置につながるということで、その批判に加えてWTOへの提訴も辞さずという方針を既に表明しております。私はそれは当然なことだと思っておりまして、これだけの経済力を持った超大国が保護主義的になって、自分の都合の悪いところについて、アンチダンピングの内容もそうでございますが、続いてセーフガードの措置ということになりますと、それこそもう世界に保護主義が蔓延していくことは必至でございまして、そういった意味では単に鉄鋼だけの問題ではない、世界経済の自由貿易主義にかかわる問題につながっている、こう思っております。

 そういった意味で、当然日本としてもこれが発動される場合にはWTOに提訴する、EUと同じような土俵に上って勝負をすべきときではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 御指摘の鉄鋼に関する米国の二〇一条調査につきましては、ブッシュ大統領の指示に基づき、近々米国通商代表部から米国国際貿易委員会に対して正式な調査開始要請がなされるもの、このように承知しております。

 米国に対して世界からの鉄鋼輸入が、御承知のようにおおむね減少傾向にある中で、米国鉄鋼業が抱える本質的な問題は、米国鉄鋼業自身の競争力低下によるものだと我々は認識しております。

 この問題の解決を図ることなく安易に保護主義的措置を講じても本質的解決にはならないと考えておりまして、今御指摘いただきましたけれども、六月六日に私はその旨を大臣談話として発表をするとともに、今月七日、上海でUSTRのゼーリック代表とバイ会談をいたしました。そのときも、私は今言った趣旨を非常に強く伝えましたところ、ゼーリック代表からは、この問題に関してはWTO協定に整合的に対応することを保証する旨の回答が得られておりまして、米国調査当局がこの点を正しく理解した上でWTOセーフガード協定に基づき公正かつ厳格に調査を進めていく、こういったことを、ゼーリック代表の発言がありましたから、期待をしております。

 今後とも、米国政府の動きを注視し、さまざまな機会をとらえて米国政府に対する働きかけを行うとともに、欧州等各国と連絡を密にしつつ対応を検討していきたい、このように思っているところであります。

北橋委員 欧州と連携を密にというのは、WTO提訴も辞さずという、EUと同じような立場に立つということでしょうか。

平沼国務大臣 それは、ゼーリック代表がWTOとの整合性を十分考慮する、こういうことを言いました。しかし、それを逸脱するようなことがあれば、私どもはEUと共同歩調をとる、そういう場合もある、こういうことであります。

北橋委員 参議院の審議に間に合うようにお立ちになるということですが、一点だけ聞かせてください。

 セーフガード、日中間の摩擦がかなり深刻になろうとしておりますが、ついに報復措置がとられました。率直な大臣の今後の対処方針、それをお伺いして、退出していただいて結構です。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 中国が一昨日の晩に発表した報復措置は、WTO協定から見ても、また日中貿易協定から見ても正当化し得ないもので、非常に遺憾だと思っています。

 本問題は、冷静かつ粘り強い協議を通じて解決すべきものだと思っておりまして、日本側としては、中国に対して自制を求めていきたい、このように基本的な考え方を持っております。

北橋委員 それでは、セーフガードの問題につきまして質問を続けさせていただきたいと思いますが、まず第一に、日中間の貿易担当責任者の間でどのような意思疎通が図られているのかという問題であります。

 といいますのは、木箱の検疫を強化するという措置を発表したときに、ひょっとすると、これは農産物三品目のセーフガード暫定発動に対する報復の一環ではないかとも言われましたし、中国側のそういうコメントが流れたこともございました。

 このときに政府が何と言ったかというと、何も聞いていないし、これからウオッチをしていくということでございました。続いて自動車の輸入量の削減という問題が出たときも、次官の会見あるいは大臣の記者会見の模様を聞きましても、具体的に正式に聞いてはいない、これから問い合わせてみよう、何かあったら見守っていこうという趣旨でございまして、本当に、隣国であり、しかも歴史的にも経済的にも、いろいろな意味で深いつながりのある問題であるにもかかわらず、経済産業省首脳の発言からは、密接に中国側と意思疎通が図られているとは思えないように感じました。

 そういった意味で、お伺いいたしますが、経済産業省としては、中国側の貿易担当部局とどういう折衝の窓口を持っているんでしょうか。

古屋副大臣 大臣が参議院で席を外しましたので、かわりに答弁をさせていただきたいと思います。

 今御指摘の件は、木箱の検疫であるとかそういう問題が生じて、中国との直接的なパイプはどうなのかといった趣旨の御質問だと思います。

 まず、当省では、本件解決のための話し合いのパイプ以外にも、対外経済貿易合作部、国家経済貿易委員会、国家発展計画委員会など、中国の主要な経済省庁との間で、これは次官級でございますが、協議の場を継続的に持っております。

 中国とは、従来から以上のような場で、対話、情報交換に努めておるわけでございまして、今後もより一層、連携強化、緊密化を図ってまいりたいというふうに考えております。

 なお、木箱の検疫の件でございますけれども、関係業界に対する調査を行ったところ、調査時点では、影響を受けていたものも一部散見されました。しかし、大多数の貨物は平穏に通関しておるということでございます。御報告を申し上げます。

北橋委員 報道によりますと、日中間は、事務局レベルではかなり突っ込んで話し合いを続けていると伝えられておりまして、中国側からは、こうすべきであるという具体的な提案を示したところ、日本側が拒否をしたということになっているんですが、それは経済産業省はかかわっているんですか。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 ネギ等の三品目のセーフガードにつきましては、昨年の十二月に調査が開始をされて以来、中国側との間で数回にわたりまして協議を重ねております。特に三月、本件を担当する中国外経貿易部の担当次官級幹部が来日をいたしまして、農水省の当時の松岡副大臣が訪中をするなど、精力的に協議が行われたというふうに承知をいたしております。

 また、その後中国側が提案した内容は、民間業界間での調整強化、情報交換の強化といったもので、具体的な解決になるというたぐいのものではございませんでした。

 その後の暫定措置の発動を決定した四月の中旬、農水省の松岡副大臣が再度訪中をいたしまして、中国側に双方に受け入れ可能な代替案の提案を促しましたけれども、これに対しては特段の返事がないままになっている、こんなふうに承知をいたしております。

 また、さらには暫定措置発動後の六月四日にも訪中をいたしまして、協議を行うなど、日本側としては合意による解決を目指した努力を継続的に続けてきておりまして、中国側の主張にはちょっと承服しがたいものがあるなというふうに考えております。

北橋委員 もう一度確認します。

 日中間のセーフガードの発動、そしてまた報復というこの一連の話し合いの中に、経済産業省は具体的に参加をされているんですか。今農水省ベースでお話し合いをされているのは当然予測がついているんですけれども、政府の通商担当の責任部局はどこですか、経済産業省ではありませんか。

古屋副大臣 お答えいたします。

 ネギ等三品目に対する暫定セーフガードの措置につきましては、最近も実務者協議が行われておりまして、経済産業省からも担当官が参加をいたしております。

 協議の中では、暫定措置のWTOの協定の整合性であるとか農産物輸入問題の解決策についての協議をしているというふうに聞いております。最近の協議では妥結には至っておりませんけれども、今後とも鋭意協議を重ねていきたい、このように思っております。

北橋委員 これは、省あって国家なしとは申しませんけれども、農林水産省は農林の、自分のところを担当する、そこで通商についても具体的に部署があって、精力的にやっております、どの官庁もそういうふうになっているんですが、このように日中間の問題が複雑に、そして深刻になりかかっているときに、やはりこの機会に、ネギ、シイタケは農林だ、あるいは今度報復を受けるところは経済産業省だ、こういう縦割りではなくて、政府として一体となった日中の協議機関を早急につくるべきではないのか。

 これまで、木箱のときもそうでした、自動車の輸入量の削減のときもそうでした、見守っていくとか、まだ具体的に話がないとか、問い合わせている段階であると。ここには、日中間で的確にこの問題を乗り越えていくという、実務者の責任者レベルでつくった協議機関というものがないから、やはりそういうことになるのではないか。

 そういった意味で、このセーフガードの問題をこれから解決していくに当たりまして、経済産業省が通商政策の責任ある政府内の部署だと私は思いますので、そのもとにしっかりと体制をつくって、日中間で、情報が来ているとか来ていないとかそういうことでないように、しっかりとした連絡機関をぜひとも設置すべきであると提案しますが、いかがでしょうか。

古屋副大臣 このネギ等の三品目に限らず、やはり自由貿易体制が原則でございますけれども、その中でセーフガードというものは、やはり国内産業に構造調整を行う猶予を与えるための緊急避難的かつ一時的な措置としてWTOで正式に認められている措置でございまして、WTO協定上も、調整を容易にするために必要な限度において実施するというふうに規定をされております。

 また、今後、ネギ等の三品目につきまして確定措置発動の是非について検討を行うこととなりますが、現在農林水産省において、これら三品目の構造調整方策について検討しているところでございますけれども、やはり確定措置の発動の是非の検討に当たっては、構造調整方策等も十分に協議をした上で、関係省庁とも密接な連絡をとりながら総合的に判断をしていくということになると思います。

北橋委員 大変不満のある回答でございまして、密接に連携をとっているのは今だってやっていらっしゃるわけでしょう。ところが、次官や大臣の、これまでの一連の中国側の対応に対して、正式に話は来ていないとか、見守っていきましょうとか、およそ的確に情報をキャッチして協議するような体制になっていない、その点が不備だと申し上げているわけであります。またそれは改めて提案をする場もあると思いますが、大変残念であります。そんなことで本当に日中間のこの問題が解決がつくのだろうかと大変不安に思いました。

 さて、竹中大臣、お忙しい中お越しいただきまして、まことに恐縮であります。今セーフガードの論点を議論させていただいておりますが、竹中大臣は、このセーフガードの発動という問題について、基本的にどのような御所見をお持ちでしょうか。

竹中国務大臣 私、基本的にはこの所轄の大臣ではありませんので、セーフガードの一般論ということでお答えさせていただくしかないと思うのでありますが、具体的にはネギの状況等々存じ上げておりませんので、一般論としてぜひお答えさせていただきたいと思います。

 よく国内では競争政策が重要だというふうに言われます。競争政策だからセーフガードが必要だというふうに言われます。実は同じことがグローバルな市場の中にもあるんだと思います。グローバルな市場の競争というのは大変厳しいものがある。だから、どの社会においてもセーフティーネット、つまりセーフガードというのはセーフティーネットでありますから、それが重要な役割を果たすという一般論はやはり認めなければいけないのだと思います。

 競争社会であるからセーフティーネット、セーフガードであるということを考えると、しかし日本の経済運営を同時に考えますと、これからさらにデフレ圧力が強まることを若干覚悟しなければいけないということになると、結果的にはその間外需にまた依存するというような局面もマクロバランスからは考えられる。外需に依存するに当たっては、やはりそういうことが諸外国から受け入れられなければいけないということでありましょうから、国際的な貿易環境、取引環境をうまく保つということが同時に必要になってくる。

 そういう中で、戦略的なセーフガードの発動、そこを考えなければいけない。セーフガードそのものは必要であるけれども、日本の経済が置かれた現状、さらに日本経済自体が国際社会の調和の中でやっていかなければいけないということからトータルに判断されるべきものであるというふうに思います。

北橋委員 五月二十五日に竹中大臣は農水省の職員の皆さん方に講演をされておりまして、その中で、ネギなどの暫定発動について、報道によりますと、金融機関の追い貸しに似ているという表現をされました。そして、対等に競争できる見通しがあるのなら議論すべきだとも言われたと聞いておりまして、これは報道の解説によりますと、競争力が回復するかどうかという見きわめというものがセーフガードの発動には大事ではないかと。

 そういった意味で、農産物についても、単に輸入の激増をとめるというだけではなくて、競争力回復の構想というものを、今まさに農水省の方で構想を練っているやに聞いておりますが、例えば長野などの野菜の主力産地に対してどういうふうにてこ入れするとか、そういう具体的な案というのはこれからであります。

 そういった意味で、今一般論として竹中大臣の御説を承ったわけでございますが、やはり今回の農産物の発動についてはいろいろと問題があるという認識を、少なくともこの報道を見る限りは率直に感じた一人なんですけれども、もう少し踏み込んで、安易な発動を牽制されるお立場なのかどうか、御意見を竹中大臣にお伺いしたいと思います。

古屋副大臣 まず、竹中大臣がお答えする前に、私の方からお答えさせていただきたいと思いますけれども、五月の二十五日、農水省におきまして竹中経済財政政策担当大臣が講演をされました。その中で、セーフガートの発動につきまして、金融機関からの業績不振の会社への融資に例えまして、一般論として、当該措置の判断については、対象産業の競争力が回復できる見通しがあることを前提とすべきとの旨を述べられたというふうに聞いております。

 何度も繰り返しになりますが、セーフガードは国内産業に構造調整を行う猶予を与えるための緊急避難的かつ一時的な措置としてWTO協定上も認められている措置でございまして、セーフガードの協定上、セーフガード措置は調整を容易にするために必要な限度において実施をされるものというふうに規定をされております。

 先般の産構審の特殊貿易措置小委員会におきましても、このような考え方を確認いたしておりまして、確定措置の発動に当たりましては、構造調整の見通しを十分検討するということを明確化いたしました。

 現在暫定措置を発動しているネギ等の三品目につきましては、今後確定措置の発動の是非について検討していくということになるわけでございますけれども、このような当該産業の構造調整方策についても十分に検討した上で総合的な判断をしていくということになっております。

竹中国務大臣 今委員が御指摘になりましたのは、恐らく五月二十六日の日経の朝刊で報道されているコラムでの報道だと思いますが、改めて読み返してみまして、この報道は間違っております。こういうことは申しておりません。

 向こうで申し上げたのも、私は一般論として、もしも競争力がないところに単なる先延ばしとしてのセーフガードを発動するならば、それは追い貸しと同じことになるということを言っているわけで、繰り返し言いますが、私は、ネギ云々等々がそういう状況にあるかどうかを判断する立場にはありませんので、農水省の中でも、先ほどと同じように一般論として申し上げさせていただいております。実は私、それ以上の具体的な判断材料を持っておりませんので、一般論ということであくまでも御理解いただきたいと思います。

北橋委員 実は、このセーフガードをめぐる議論というのは、恐らく政府内部はもとよりですが、学者の間でも、あるいは各政党の間でもいろいろな意見があるところでございます。私どもも、農水委員会では三品目の暫定発動については賛成の立場で議決に参加をした経緯があります。しかし、その後、トマト、ピーマン、ワカメ、ウナギとか、あるいは中国から報復というものが始まってきている。そういう状況の中で、果たしてこのままで保護主義的な方向に日本が走っていいのだろうかという議論がまた党内であるところであります。ですから、今発言しているセーフガードに対する見解も私個人の見解として申し上げているわけであります。

 竹中大臣がこの記事ではないんだ、このとおり話してはいないんだとおっしゃいますとそれまででございますけれども、しかし、やはり対等に競争できる見通しといいますか、単に暫定的にとめるだけでは、保護するだけではなくて、そこには時間を稼いでその間に競争できるようなものにしていくことが大事だということはおっしゃっておられると思うんですね。金融機関の追い貸しに似ているという表現は非常にわかりやすい表現なんですが、そうはおっしゃっておられないんですか。

 新聞によりますと、「企業の経営再建に結びつかないと貸し手の負担が増すだけの金融機関の追い貸しに似ている」というふうに農産物の暫定発動についておっしゃっておられるようでございますが。

竹中国務大臣 先ほど申し上げましたように、もしも競争力が回復するという見込みがないのにそういうことをしたならば、それは追い貸しと同じことになる、追い貸しという比喩は使いましたが、実態判断がそうであるかということは、私はそういう判断をする立場にないというふうな立場で申し上げています。

北橋委員 私は竹中先生の御学説にはいつも敬意を表している一人でございます。どうもきょうはお忙しい中ありがとうございました。どうぞ御退出していただいて結構です。

 IT関連の質問を用意しておりましたけれども、ちょっと時間が押しておりますので、また古屋さんの方にお願いします。

 さて、先ほど産業構造審議会についても副大臣の方から言及がございましたけれども、このセーフガードの問題につきましては、報道によりますと、私ども審議会の中にいないものですから、報道によって知るわけでございますが、この農産物の暫定発動をきっかけとして、こういった保護主義的な措置というものについては制限を加えていくべきではないか、慎重であるべきではないかという議論が大勢であったと伝えられているんですが、今は大臣がいらっしゃいませんから、経済産業省の首脳としては、この有力な諮問機関の考え方をどのように受けとめていらっしゃるんでしょうか。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 セーフガードは、何度も申し上げておりますように、自由貿易体制のもとでの輸入の増加により国内産業に重大な損害を与えた場合に、安全弁として、具体的には国内産業に構造調整を伴う猶予を与えるための緊急避難的かつ一時的な措置としてWTO協定で認められておるわけであります。

 今回の確定措置の発動に当たりましては、WTO協定上も、調整を容易にするために必要な限度において実施をすることとされ、先般の産業構造審議会特殊貿易措置小委員会におきましても、当該産業の構造調整の見通しを十分検討する必要があるとの基本的な考え方を確認し、明確化いたしました。先ほどお答えをさせていただきましたとおりでございます。

 今後、ネギ等三品目につきまして、確定措置発動の是非について検討を行うということに相なるわけでありますが、現在農水省におきまして、これら三品目の構造調整方策について検討しているところであるわけでございます。

 確定措置の発動の是非の検討に当たっては、このような構造調整方策等を十分に検討した上で、総合的に判断をしていくということに相なるわけでございます。

北橋委員 局長に御答弁をお願いいたします。

 産業構造審議会においては、セーフガードの発動について、基本的に慎重であるべきだという意見が大勢を占めたと聞いておりますが、その点はどうだったのでしょうか。

佐野政府参考人 お答えを申し上げます。

 今委員の御指摘のところは、平成十三年五月の九日に、産業構造審議会特殊貿易措置小委員会から、「セーフガード措置についての考え方」ということで発表されたものについての御質問かと存じます。

 そこのところの部分でございますが、幾つかの項目がございますが、ある品目について確定的なセーフガード措置の発動を判断するに当たっては、当該品目を生産する国内産業の調整の見通しについても十分検討するべきである、すなわち発動期間中に我が国産業の競争力が回復するか、またはその他の態様で国内産業の調整が行われるという見通しのもとで、当該品目について確定的なセーフガード措置を発動すべきであるという意見が述べられていることはそのとおりでございます。

 私どもは、このセーフガード措置の考え方、一から五までのパラグラフがございますが、これらを受けとめまして、現在、セーフガード措置を発動するかどうかを判断するに当たりましては、これらの意見を十分尊重しながら、決定をしてまいりたいというふうに考えております。

北橋委員 大臣にお伺いいたします。

 今セーフガードの日中間の問題を続けているのですけれども、このたびの工業製品三品目に対する報復関税の決定があった、こう聞いているわけでございますけれども、中国の貿易担当次官が会見でこういうことを言っています。今後、どうするかは日本の行動次第だということであります。貿易戦争に例えるならば、先に手を出したのはどちらかということになりますが、暫定発動を決めたのは日本側でございます。それに対していろいろな動きがあって、ついに報復関税という話が出てきているわけでございます。

 六月五日に、平沼・石貿易相会談というのが開かれていますけれども、これを踏まえて、大臣としてはこれをどのように解決していこうというふうにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

平沼国務大臣 参議院の本会議で大変失礼をいたしました。お答えをさせていただきます。

 さきの上海で行われましたAPEC貿易大臣会議の前後に、私のカウンターパートであります石部長とは二度話し合う機会が実はありました。APEC会議前夜の正式なバイ会談で話し合いましたのは、専らAPEC会議の進め方だったわけでございまして、二回目は、開幕日八日の昼食会のときに立ち話をいたしました。そのときに、石部長からは、全体から見れば、この野菜三品目というのは小さな問題だから、両国の関係を考えれば、そう事を荒立てないで、うまく話し合って解決をしていこう、こういう趣旨のお話がございましたので、私も同感だ、こういうふうに申し上げました。

 問題を大きくせず、話し合いで解決したい、こういうことでございましたので、私も、これから両国間というのは大切な関係ですから密接な話し合い、こういうことをある意味では期待をしていたところでございますけれども、今回の報復措置を用いた交渉というのは、私と担当部長である石部長とのやりとりとはそぐわない、こういうふうに感じておりまして、私は大変遺憾だと思っているところであります。

 しかし、中国側とはすべて道が閉ざされたわけではございませんので、農林水産省と、そしてカウンターパートである中国側のそういう窓口ともしっかりとしたルートがあり、そういう交渉の場もございますし、私どもとしては、小泉総理も、これはやはりよく話し合った上で解決をすべきだ、こういうことでございますので、石部長とのそういう話もありますから、いろいろなチャネルを通じて経済産業省といたしましても、話し合いの場を設けて、そしてうまいソフトランディング、それに向けて努力をしていきたいなというふうに思っています。

北橋委員 報道でも、首相は冷静に協議をしていくと。大臣も話し合い解決を望むということでございますが、その場合に、中国側と話し合う責任者はどなたですか。ネギの問題だと農水相が出ていかれる、報復関税で工業製品にかかってくるとなると経済相が出ていかれる。窓口をしっかりと一本化すべきだと思います。私は、政府内部において重要な役割を果たすのは、平沼大臣ではないかと思っているのですが、どなたが責任者になってどういう方向で話し合いをされるのですか。

平沼国務大臣 この問題に関しましては、中国側からは、その具体的な内容だとか時期、こういうものについては、まだ一切明言がありません。そういう中で、今北京にある日本大使館が実際に抗議に行っている。今そういう状況の中で、私どもは、最終的には私と石部長との話の中でやっていくべき問題だ、このように思っています。

北橋委員 これから、いろいろな製品、品目について、国際的なそういった問題というのはいっぱい出てくると思いますが、基本的にはそれぞれの省が外交をやっている状況であります。私は、基本的には、通商、貿易問題というのは経済産業省が統括をする。総理と一緒になって、そこでやるというふうにきちんと一本化をすべきだと思っております。

 そういった方向でやっていただきたいのですが、これ以上の発動、とりわけ農産物につきまして、暫定発動ということになりますと、事態をますます苦しくすると思います。産業構造審議会の議論もそういう方向は好ましくないと考えていると思いますし、そういった意味におきましては、大臣、これ以上の品目の拡大というのは好ましくない、塩川財務大臣もそうコメントされている報道がありますが、大臣はどうお考えでしょうか。

平沼国務大臣 日中間というのは大変大切な関係であります。したがいまして、これが端緒になりまして、マスコミの表現なんかをかりますと、両国の貿易戦争なんというような言葉がありますけれども、そういう形にならないように、私どもとしては、総理が言われたように、やはり冷静な話し合いの中で早期に解決をしていかなければいけない、これ以上拡大するようなことはやはり基本的には避けるべき問題ではないか、このように思っております。

北橋委員 今後の交渉を見守りたいと思います。

 もうあとわずかの時間でございますが、これから夏、秋にかけまして、石原担当大臣を中心に、特殊法人のあるいは認可法人等の合理化が進められていくと思いますが、所管の石油公団、政府系金融機関の統合も検討されております。大臣の記者会見でのコメントも承知しておりますが、総理並びに石原担当大臣に、積極的に協力する意思はお持ちでしょうか。

平沼国務大臣 お答えいたします。

 我が国経済社会システムを二十一世紀にふさわしいものにしていくため、民間にできることは民間にゆだね、地方にできることは地方にゆだねる、その原則に基づきまして行政の構造改革を進めることは、小泉内閣の重要課題の一つであります。

 特殊法人や認可法人は、政策金融、公共投資、中小企業対策、エネルギーの安定供給など、さまざまな公益的な観点から政策の実施機能を果たしてきておりますが、昨年十二月の行政改革大綱に基づき、新たな時代にふさわしい行政組織、制度への転換を目指す観点から、現在、石原行政改革担当大臣の主導のもとに、内外の社会経済情勢の変化を踏まえた抜本的な見直しの作業が進められているところであります。

 経済産業省といたしましても、民間が活力を最大限に発揮できる経済社会を目指して構造改革に聖域なく取り組むとの方針のもとに、当省所管の特殊法人等の事業及び組織についてゼロベースから抜本的な見直しを行ってまいりたいと思っておりますので、小泉総理、石原大臣と当然協力をしていかなければならない、このように思っています。

北橋委員 時間が参りました。

 具体的に、石油公団なりそういった問題についてもやりとりしたかったわけでございますが、最後に、これは私からの強い要望でございます。

 プルサーマルの理解活動について連絡協議会をおつくりになられまして、大臣もこれから精力的にこれを動かしていくということでございます。今回の住民投票の結果は大変残念でございましたが、私どもは基本的に、政府の理解活動というものが不足していたのではないか、このように考えておりまして、それをこれから開始されるということは評価をさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、原子力の平和利用は極めて重要な国策だと私どもは考えておりますので、この連絡協議会、そして理解活動をこれからさらに強めていただきまして、円滑にプルサーマルが理解をされるように一層の努力をお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

山本委員長 達増拓也君。

達増委員 まず最初に、来年度予算について一般的な質問をさせていただきます。

 報道されているところによりますと、小泉内閣は来年度予算はマイナスシーリングでいくと言っておられるようでありますが、経済産業省は何をどのくらい減らすつもりなんでありましょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 経済産業省の来年度の予算に関するお尋ねでございますけれども、来年度予算の大枠については、政府として、シーリングのあり方を含めまして、現時点で具体的な方策は決定していないものと承知しております。

 いずれにいたしましても、現在政府において、経済財政諮問会議や産業構造改革・雇用対策本部等における議論を踏まえまして、来年度の予算編成の考え方について検討を進めているところでございまして、当省といたしましても、政府の方針にのっとって重点化を図り、めり張りのきいた予算編成に取り組んでいきたい、こういうふうに思っておりまして、これからふやすべきところはふやし、減らすところは減らす、こういう形でめり張りのきいたものにしてまいりたい、このように思っております。

達増委員 では、次に、竹中IT担当大臣に伺います。

 小泉総理大臣のITに関する取り組み姿勢について伺いたいと思うんですけれども、森前首相は、まず内閣としてITにかなり力を入れるということを表明し、沖縄サミットもITサミットと呼ばれる向きもありました。曲がりなりにも、本人もパソコンの講習を受けたりしながら、パソコン、インターネットの振興を図る努力をしていたと思うわけですけれども、小泉総理については余りそういう話を聞きません。私が心配しておりますのは、本会議でのやりとり、予算委員会でのやりとり、ITに関する答弁がどうも棒読みでありまして、個人的に、自分としてITについて余り意欲を持っていないのではないかと疑われるわけであります。

 沖縄サミットのG8コミュニケでは、首脳間で電子メールのやりとりをしようなどということも決まったと聞いておりますけれども、小泉総理は、例えば他国の首脳と電子メールのやりとりをしたりとか、そういうことはされているんでしょうか。

竹中国務大臣 小泉総理が実際にパソコンを使ってそういうことをやっておられるのかどうかというのは、実は私自身存じ上げておりません。ただ、御指摘のとおり、森前総理は御自身でパソコンを習われたし、内閣としてやはり率先してこういうものを実践するということは大変重要だと思っております。

 まだ実はIT戦略本部の会議そのものが組閣後一回しか開かれておりませんのですが、その場では、私は最後に提案として、まず閣僚全員がEメールをやりとりできるような体制をつくろうというふうに申し出ておりまして、そのとき、たしか総理はぽつっと、それは大変だなというふうにおっしゃいましたので、総理もこれに向かって努力してくださるというふうな認識をお持ちだと考えております。

達増委員 トップの取り組み姿勢というものがITに関しては非常に重要なので、その点、内閣として考えてほしいなというところであります。

 次に、インパク、インターネット博覧会について伺います。

 これは、ミレニアムプロジェクトということで、やはり政府鳴り物入りでスタートをさせたインターネット上の博覧会でありますけれども、けさの日本経済新聞を読んでいたら、小泉総理がその存在すら知らなかった、何だインパクってと、今月十四日夜にスタッフにそう言ったという記事が載っておりまして、がっかりいたしました。

 万国博覧会あるいはそれに準ずる博覧会をやりますと、常に経済効果ということが言われます。また、万博会場でどれだけ物が売れたかというようなことが話題になりますけれども、インパクも、日本でインターネットを爆発的に普及させよう、そして、その中で今回の法律のテーマでもある電子商取引も促進していこう、そういう趣旨でやっていることだと思うんです。

 このインパクの経済効果とか、あるいはインパクの中で電子商取引がどのくらい売り上げがあったとか、そういう数字があれば伺いたいんですけれども。

竹中国務大臣 インパクは、御承知のように、堺屋前大臣が大変御情熱を持って取り組まれたものでありまして、それを私は今引き継がせていただいていますけれども、このインターネットを用いた地域文化の振興、地域の活性化ですとか、さらにインターネットを一般に普及させる、おもしろく見せるという意味でありますから、その意味で、確かにそういう活性化を目的としたものであります。

 しかしながら、万国博覧会、いわゆる万博のように、パビリオンを物理的に建設工事として行って、そこに人を、お客さんを呼び込んで、実際にお金を支払わせるというようなものとは性格上全く異なって、ネット上の楽しみでありますので、その意味で直接的な経済効果というものをやはり期待したものではないと思います。

 もちろん、効果はあります。それによってアクセス機器の購入とか、そういう効果は期待しているわけですけれども、一般の万博のような経済効果の議論はしたがってしておりません。むしろ、あえて言えば外部経済効果というか、それが一つのイベント性を持って、国民に対して、ああこれはおもしろい、自分もやってみようというような外部経済効果をねらったということでありますので、効果そのものは大変把握が難しいものだというふうに思っております。

 直接後半のお尋ねであった電子商取引でありますけれども、これは、実は、最低限のルールのもとで各パビリオンみずから自主的に運営しているものでありますので、政府としてはその取引がどれだけだったかということは把握しておりません。

達増委員 インパクも、それなりの国の予算を投入し、また人的資源も投入し、関係各方面に協力をいただきつつやっていることですから、それなりの行政効果というのはやはり出てこなければならないので、もう少し具体的な成果というのを出していかないとまずいんじゃないかなと思います。

 また、総理が知らなかったこともとんでもないなと思うんですけれども、一般にも実はまだそれほど知られていないんじゃないかという懸念もあります。小泉総理、自分のメールマガジンを、立ち上げに一億円の予算を投じてやるくらいであるんだったら、むしろインパクのメールマガジンとか、普通の万博であればテレビのニュースとか新聞、雑誌にしょっちゅう報道、特集されるのですが、インパクについてはそういうメディアのカバーがないのですね。でも、その分をまさにサイバースペース、ネットの中で補っていけばいいと思うので、そういう工夫も含めて、まだまだ中途半端なので、頑張らなきゃだめだと指摘させていただきます。

 それでは、今回の法案、電子消費者契約法案についてまず伺いたいと思います。

 電子消費者契約において、パソコン等の操作ミスにより消費者が意図しない申し込みまたは承諾をしてしまった場合、消費者が契約の無効を主張することができるようにするのがこの法の趣旨でありますけれども、まず伺いたいのは、携帯電話を使ったインターネット接続も対象になるのかということであります。

 ドコモのiモード、auのEZウェブ、またJフォンのJスカイなど、特に最近、日本では携帯電話によるインターネット接続がどんどん普及しておりまして、そこで電子商取引が行われる機会もどんどんふえている。

 法文の方を読みますと、「電子計算機の映像面を介して締結される契約」とあるのですが、この電子計算機に携帯電話も含まれるかという質問であります。

古屋副大臣 お答えいたします。

 今法案の対象となる機器は、インターネットに接続をされるすべての端末が含まれます。それは携帯電話も当然モバイル機器もすべて含まれておりまして、iモードあるいは今御指摘があったLモード、これから始まりますけれども、こういったものもすべて対象になります。

達増委員 また、この法案は電子商取引を促進することが趣旨と理解しておりますけれども、電子商取引には、いわゆるインターネット通販のように、通信販売、直接物を注文してその商品が送られてくる、そういうものがまず基本的にあるわけですけれども、最近、物だけではなく、サービスの提供もどんどんふえてきていると思います。

 例えば、メールで定期的に情報提供をしてくれる、そこにお金を払う。あるいはホームページ、有料サイトへのアクセスという形で、お金を払って情報を得る。またネット対戦ゲーム、インターネットを通じてゲームを楽しむ、そこに料金を払う。そういった、ネット上のサービスに対価を払うようなものもふえてきております。

 インターネット通販、物の取引以外に、そういうサービスの取引も対象になるのでしょうか。

古屋副大臣 委員御指摘のように、インターネットを通じたサービスの形態というのはいろいろなものがあります。したがいまして、本法案では、そういったネット上で取引される財・サービスの種類を問わず、すべてのサービスの取引を対象としているわけでありまして、今御指摘のあった有料サイトへのアクセス等々も当然のことながらこの法案の対象に含まれているわけでございます。

達増委員 次に、ネットオークションについて伺います。

 これも電子商取引の中で最近どんどん伸びている分野、私も周りの友人、二十代、三十代の若い世代が盛んに利用している話を聞くのでありますけれども、これは、事業者が設定するホームページを経由して個人と個人が商品の取引をする。自分が持っている何か値打ちのありそうなものあるいは使わなくなったものを売りますと登録し、そして買いますという人がお互い値段の交渉をしたり、あるいはオークション、競りにかけるような形をとって、消費者と消費者の間で、個人と個人の間で取引を行う、そういうネットオークションもこの法律の対象になっているのでしょうか。

古屋副大臣 お答えいたします。

 今度の法案のうち、第三条でいわゆる消費者の操作ミスによる錯誤の無効を定めておりますが、これは、事業者と消費者、この間の取引を対象としておりまして、今御指摘があったいわゆるCツーCは原則として対象にはなっておりません。

 しかし、消費者契約法の答弁の際にも旧経企庁の方からもお答えをさせていただいたと思いますが、例えば三回以上継続、反復して個人間同士で契約を行う、なおかつ、本人の意図があるという場合には、これは対象となり得るということでございます。

 また、電子契約の成立時期を定める四条につきましては、事業者間取引、個人間取引、事業者と消費者の間の取引を問わず、適用対象となっております。

達増委員 インターネット上のビジネス、電子商取引の世界もまさに、今まで事業者と消費者の間で行われたようなことを消費者間で行う、そういう場をつくること自体が新しいビジネスモデルとして商売になるように、非常に変化の大きいところで、また今までなかったようなビジネスモデルを展開するところでありますから、そういったところをきちっとフォローしながら、法の運用また法の見直し等を今後考えていかなければならないということを指摘したいと思います。

 さて、この法案の第三条でありますけれども、「その消費者の申込み若しくはその承諾の意思表示を行う意思の有無について確認を求める措置を講じた場合」と書いてありまして、そういう場合には民法九十五条のただし書きの例外として扱う。

 この確認を求める措置ということでありますけれども、いろいろなホームページの画面のつくり方が考えられると思います。商品を注文して、最後、次へというボタンがあって、それを押すと、それでもう契約が確認された扱いになって次に行ってしまうとか、でも、それだと受け手としては確認したつもりではない。

 つまり、確認の仕方、丁寧なきめ細かい確認の仕方から非常に雑であいまいな確認の仕方までいろいろ考えられると思うのですけれども、この点、政府として、その確認の仕方についてどのような基準を考えているのでしょうか。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 確認措置につきましては、この法案の第三条に、まず、事業者が電磁的方法によりましてその映像面を介して消費者の申し込みを行う意思の有無について確認を求める措置、こういうふうに規定をされております。

 実際の電子商取引を想定していただくと、いわゆるウエブ上の確認画面のように、申し込みの送信ボタンをクリックする前に申し込み内容をよく確認するわけですね。それで、訂正できる画面が独立の画面として設定されているケース、これがそれに当たるのじゃないかなというふうに考えております。

 ただ、個別具体的なケースについては、本法案の確認措置に当たるかどうか疑義があるケースが生じることがあると思います。こういった場合につきましては、当省といたしましても、消費者の相談にきめ細かく応じていくなど積極的に対応していきたい、このように考えております。

達増委員 インターネットのホームページの画面のつくり方は、わかりやすく簡潔に、そういう方向性もあるのですが、一方ではクールな画面という言葉もありまして、ほかのホームページにないような独自性の高いオリジナルの画面、独特なものをつくっていこう、そういう方向性もありまして、そういうバランスをとりながら事業者もいろいろ工夫をしていくと思うのですけれども、その辺、混乱のないような法律の運用を期していかなければならないということを指摘させていただきたいと思います。

 さて、電子承諾通知の到達主義の採用について質問をいたします。

 今回のこの法律によりまして、電子メール等の電子的な方法を用いて承諾の通知を発する場合に、その契約成立時期は承諾の通知が到達した時点、いわゆる到達主義とするというのが趣旨でありますけれども、この電子メールの到達というのを、実際パソコンを前にしてどういうときなのかと考えてみた場合、基本的には、これはメールサーバーにそのメールが入った時点ということなのか、そこを確認させていただきたいと思います。

 特に、自分でサーバーを持って電子メールのやりとりをすれば、自分のところにメールが届いた、自分の持っているサーバーにメールが入ったという、非常にわかりやすいパターンなのでありますけれども、実際に消費者、多くの個人でインターネットを利用している人は、いわゆるプロバイダーという事業者を介して、そのプロバイダーのサーバーのところに自分のメールボックスを持っていて、そこのメールサーバーから電子メールを引っ張り出してきて読むわけであります。ですから、それを引っ張り出して、自分のパソコンのハードディスクなり記憶装置のところに届いたときとすると、これはかなり違ったことになると思うのですね。

 例えば、結構いろいろなプロバイダーがあります。プロバイダーのトラブルによりまして、事業者がメールサーバーには電子メールを既に出した、そこには入っているとしても、それを取り出すことができないトラブル、そういうことが発生したりもいたします。そうなると責任はどうなるのかという問題もありますので、まずその到達時期について、これはメールサーバーへの送信完了をもって到達とみなすのかということを確認したいのが一つと、もう一つ、その場合、プロバイダー、第三者の事業者の過失でトラブルが発生し、そこから消費者、受け手がメールを引き出せない、メールがあるのかどうかもわからない、そうした場合の責任の問題はどうなるのか。この二点、伺いたいと思います。

太田政府参考人 お答えいたします。

 現行の民法におきまして、意思表示の到達については、既に確立した判例通説によりまして、相手方が了知可能な状態になった時点と解釈されております。したがいまして、今御質問の電子承諾通知についてでございますが、相手方がメールサーバーにアクセス可能となった時点をもって到達したものと解されると考えております。

 その際、御指摘のように、サーバーの故障等の特別な事情のあった場合にどうなのか。これは裁判規範でございますので、個々の事例に応じて、裁判所において到達の時点を適切に判断されるというふうに考えております。そのときに、またこれも御指摘のあったように、当事者に損害が生ずる場合もなしとしない。そのときは、当事者間の契約や、いずれかの当事者に過失があったかどうか、個別の事情によって損害賠償等の責任の負担関係が定まると考えております。

達増委員 次に、不正競争防止法改正案について質問をいたします。

 今回の改正で、ドメインの取得について、利得や加害を目的とする場合、それが不正競争に当たるという改正案でありますけれども、例えば、趣味である企業の名前のドメインを自分のものにしたい、その商標やそれに類似のものを自分のホームページのドメインにしたい、URLにしたい、そういうふうに、利得とか加害を目的とせずにそういう商標や商標類似のドメインを取得すること、これについては今回の改正の対象になっていないということでよろしいのでしょうか。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 趣味でドメイン名を取得した場合はどうなのかということでございますけれども、今回の改正案は、あくまでも、不正の利得を得る目的または他人に損害を加える目的が認められる場合について救済を与えるものでございます。したがいまして、このドメイン名というのはだれでも原則先着順で自由に登録ができて、インターネットの参加というものを容易にするという現行ドメイン制度の長所を生かす、一方では商標権者の保護というものをうまく、バランスよくとっていくというのがこの法案の特徴でございます。これは、いわゆるアメリカのADRルールやあるいは国際的にも整合性のとれた方法でございます。

 したがいまして、今御指摘のございました、単に趣味で他人の商標と似たドメイン名を取得した、この場合はどうなのかということにつきましては、民法上で言うところのいわゆる図利加害の目的が認められない限りは、今回新設される不正競争行為には当たらないというふうに考えております。

達増委員 今の点は、もともと研究者が自主的につくり上げたインターネットのそういういろいろなルール、秩序、もともとは個人、民間ベースでつくり上げていくサイバースペースの秩序というインターネットの本質をあらわしているのだと思います。

 このドメインというものも、もとはといえば、IPアドレスという数字の組み合わせにすぎないものに、それだと覚えるのが面倒だとかわかりにくいということで、たまたまアルファベット等の記号を与えたものにすぎないわけでありまして、インターネット、サイバースペースの中だけで考えれば大した実体のないものではあるのですが、それが、商標や商標類似という現実世界の中できちっと保護の対象になっているようなものと関連づけられたときに、政府としてどうするかというのが、この法律改正の問題なんだと思います。

 このドメインについては、ホームページを読む普通の人たち、ネットサーフィンなどをして楽しんでいる普通の個人からしますと、余り、ドメイン名あるいはURLを覚えてホームページにアクセスする人は少ないのじゃないかと思います。検索エンジンを使って、その会社の名前でありますとか商品名を入れてそのホームページがぱっと出てくる、そういう仕組みを使ったり、あるいはポータルサイトという、関連の、例えば電機メーカー、コンピューター関係のメーカーであれば、そういうメーカー、会社のホームページへのリンクをたくさんつくっている、そういう紹介をするような案内所みたいなところに行って、そこから目的のホームページに行く、そういうふうに利用している人が実は多いのだと思います。

 そういう意味では、サイバースペースの中でそういう道案内の機能が充実したり、そういう独自の秩序が発達していけば、余り、ドメインをめぐるトラブルもなくなってくるのではないかという論理がある一方で、現実のビジネスの論理からすると、やはり自分の会社の名前を人にとられたくない、また実際にとって悪さをする人がいる、そういうバランスをどうとっていくか。サイバースペースの論理と現実の経済秩序のバランスをどうとっていくかということがこの法案のテーマとなっていると思うのです。

 この点に関して、このドメインをめぐるルールづくりに政府として今後どう取り組んでいくか、伺いたいと思います。

平沼国務大臣 ドメイン名をめぐる問題はいろいろあるわけでございまして、ある面では我が国の内外で深刻な問題ともなっております。当面を考えますと、後半御指摘があったそういう面での紛争は、増加していく傾向にあるのではないかと思います。

 今回提出させていただきました不正競争防止法改正法案というのは、まさにかかる認識に立って、ドメイン名紛争の実効ある解決を図るために提出をさせていただきました。

 今後の取り組みでございますけれども、まずこの法案を可決していただいた上で、その内容につき広く周知徹底を図っていかなければならないと思っています。そのほかにも、ドメイン名に関する裁判外紛争処理制度、ADRを一層活用しやすくするための環境整備もしなければならないと思っておりますし、ICANNやWIPOなどによる、ドメイン名に関する国際的な各種ルールづくりへの積極的な関与もしていかなければならないと思っています。

 こういう取り組みによりまして、ドメイン名をめぐる問題に経済産業省といたしましては適切に対処してまいりたい、このように思っております。

達増委員 ドメイン名をめぐるいろいろなトラブルについては、過去の判例や仲裁の例などで、かなり本質をとらえ、バランスのとれた解決の例が積み重なってきていると思います。そういったことをうまく生かす方向で、サイバースペースが持っている本質的な自由な点とか、個人や民間の創意工夫、そういったことを損なわないような形で、また国際的な整合性もにらみながら取り組んでいくべきことを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

山本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 昨年のIT基本法、法案審議の際に、私どもも、IT、情報通信技術の発展、こういう問題に関して、特に基本的な見地、保つべき基本的立場というのを強調したわけなんですが、改めて、政府のこの点での基本的な見解をまず最初にお伺いしておきたいと思います。

 その一つは、二十一世紀における我が国国民の生存と生活の基盤を守る大変重要な課題の一つである、それだけに長期的な視野に立った本格的な対策が必要じゃないか、目先の景気浮揚策などとかあるいは従来型の公共事業予算の推進策に使うというようなことがやはりあってはならないという見地が一つ。

 それからもう一点が、人類が到達したこういう文化、技術の発展の成果を社会全体が活用できる、そういう国民の共有財産として、あまねく国民がその恩恵を享受できるということ、そういう面からの対策をしっかり立てることが必要ではないか。

 加えて、ITを利用した新たな犯罪の防止とか、ITによる否定的な側面、こういうものに対する対策とか諸問題に対する対応もきちっと重視をするということなどが挙げられるんじゃないか。

 加えて言いますれば、近代における印刷の飛躍的な発展が、民主主義の思想やあるいは民主主義の体制を促進する、発展させるという意味で大変重要な役割を果たしたのと同じように、こういうIT社会の進展というのが民主主義の発展にもつながるものでなければならないと思いますし、活用するという点でも民主主義のこういう見地を重要な柱にする必要があるんじゃないかということだと思います。

 電子商取引の大前提となるこうした点について、最初に平沼、竹中両大臣から基本的な見地をお伺いしておきたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおりだと私は思っております。

 さきの臨時国会で成立をいたしましたIT基本法は、委員御承知のように、その第三条におきまして、IT社会の形成というのは、すべての国民が、ITの恵沢をあまねく享受できる社会が実現されることを旨として行わなければならない、このようになっております。このためには、ITの光の側面ばかりに注目するのではなくて、その負の側面、例えば今御指摘がございました消費者トラブルや新たな犯罪への対応、こういった点にも万全を期していかなければならないと私は考えております。

 今回この経済産業委員会で御提案、御審議をいただいておりますこの特例法案は、まさにこうした問題意識のもとに、クリックミスというネット特有の消費者トラブルを解決するために民法の特例を定めよう、こういうふうにしております。

 ITについては、消費者を初めとするすべての国民が安心して活用できる環境を整備することはIT政策の基本でございまして、こうした姿勢で取り組んでいかなければならないと思っておりますし、また産業革命にも匹敵するような波及効果をもたらすものでございますから、これが御指摘のように民主主義の社会の中にしっかりと根づいて、そして人類のために十分貢献されるように、我々としてはその展開を図っていかなければならない、このように思っております。

竹中国務大臣 議員、重要な視点として三つの点を指摘されたと思いますが、全く同感であります。

 第一の点は、やはり、これは目先の景気対策ではなくて、長期的視点から考えなければいけない。二十一世紀型のデジタルなライフスタイルが今産業革命に匹敵するような形でできたし、できているんだと思います。やはり、そういう問題に対する長期的な視点が必要だということ。

 第二は、これは当然のことながら、国民があまねくその便益、その利便を享受するものでなければいけない、そういうものだと思います。これは一種のリテラシーであるというふうに思います。

 第三の問題。同時に、これは私たちがまだ予想できないような幾つかの影の部分を伴うことが予感されます。セキュリティーの問題しかり、さらにはいわゆる格差の問題しかりであろうかと思います。こういった影の部分にもしっかりと目をあけていかなければいけない。

 その意味で、ITに関する哲学としては、議員御指摘になった三点というのは、やはり私は大変重要なポイントであるというふうに考えます。

大森委員 竹中大臣の御都合もあるようですので、若干順番を変えて質問をしていきたいと思うんです。

 午前中にもお話がありました、こういうIT戦略のもとで、ことしの一月に政府が打ち出したe―Japan戦略で、すべての国民が情報通信技術、これを積極的に活用する、その恩恵を最大限に享受できる知識創造型社会の実現に向け、早急に革命的かつ現実的な対応を行わなければならないということが言われているわけですね。

 お話もありましたように、五年以内に世界最先端のIT国家となることを目指すという目標も出されております。目指すべき社会として、すべての国民が情報リテラシーを備え、豊かな知識と情報を交流し得るというようなことがこの目標の中で位置づけられているわけなんですが、冒頭に述べましたように、民主主義の見地やあるいは国民的な文化の進展というようなこととか、あるいは権利としての、情報アクセス権という位置づけや観点がやはりこれは弱いんじゃないかということを感じております。

 臨時国会の審議の中でも指摘をしましたけれども、例えばアメリカでは、全米情報基盤行動アジェンダにおいて、国民一人一人に対して情報源へのアクセスを保障することが行政の義務だということがうたわれて、それが実際、九六年改正の電気通信法、ここで、インターネットへのアクセスが全国すべての地域で提供されなければならない、全国すべてで都市部と同じ安い料金でできるべきである、さらには、小中学校とその教室、図書館、医療サービスの提供者にはインターネットへのアクセスが与えられなければならない、こう定められているわけですね。

 こういう点で、先ほど述べました基本的な見地を本当にしっかりと実態として貫かれるかどうかということで、若干、一例としてお聞きをしたいと思うんです。

 具体例でありますが、厚生労働省が平成十二年度補正予算で実施した児童健全育成活動情報化緊急推進事業、こういうのがございます。厚生労働省、きょうおいでをいただいておりますけれども、この事業の目的と、補助金交付市町村、補助実績など実施状況について報告していただきたいと思います。

岩田政府参考人 お答えいたします。

 先生、今御指摘の事業は、十二年度の補正予算で措置をしていただいたものでございます。これは、いわば児童館のIT化を図ろうというものでございまして、例えば、子供たちがパソコンの習得になじむ、あるいは、パソコンを使って映像ソフトですとか音楽ソフトを使って子供たちの遊びを多様化させる、さらには、全国の児童館を通じて子供たちが、場合によっては海外の子供たちも含めてですが、会話ができる、さらには、児童館が地域住民に対して自分たちがどういうサービス、事業をやっているかということを情報公開する、そういうようなことに使っていただきたいということで措置をさせていただいたものでございます。

 自治体から要望を出していただきまして、その要望を踏まえまして、全国の千五百の児童館で約五千台のパソコン等の補助をいたしまして、交付金の措置をいたしましたのが年度末ぎりぎりでことしの三月でございまして、今まさにその導入や活動が始まろうとしているところだというふうに思っております。

大森委員 予算の総額で約二十八億円というぐあいに伺っておりますけれども、いただいた事業のマニュアル、説明書では、例えばパソコン操作活動、習得を通じた集団活動、パソコンを使った創作活動、さらにホームページやチャットを使った子供同士の地域や児童館の情報交流、さらには海外の児童との交流等々が挙げられているわけですね。

 それで、これは私もたまたま知り得たものですから調べますと、これは東京のある行政区でありますけれども、児童館が五十一館、五十一館に六台のパソコンなどで合計三百八台、プリンターが五十二台、これは費用が三千三百三十九万円ということになったわけですね。それで、既に動いているわけなんですが、実態はゲームしかできない。それから、関係の職員や児童館の指導員の皆さんの声なんですが、次々に新しい機種になるので何年か後に古くなったときに子供たちが見向きもしないんじゃないかということとか、子供同士ますますコミュニケーションがとりにくくなるのではないか、みんなやっているときはゲームばかりだということで、それにも多少なりの意義はあるかもわかりませんが、こういう事業の目的からいって非常に寂しいような今現状じゃないかと思うんですね。

 これは、厚生労働省を中心に教育関係、あるいは文部科学省等で教育等々でこういうIT戦略に関連した事業がやられておると思うんですけれども、いわば仏をつくって魂入れずというような、そういうような状況があるんじゃないかと思うんです。厚生労働省の方でも今こういう事業の途中であるようではありますけれども、その実態について一度きっちりと調査をされたらと思うんですが、いかがでしょうか。

岩田政府参考人 先生がおっしゃいますように、せっかく入れさせていただいたパソコン等でございますので、事業の目的に沿って、そして、各児童館が本当に工夫を重ねて活用していただきたいというふうに思っております。なるべく早い時期に、導入の状況ですとか活動の状況について調査をさせていただき、また御報告をさせていただきたいと思います。

 あわせて、今年度、児童館におけるパソコンの活用のあり方について調査研究もやっておりますので、その調査研究の結論が出ましたら、また各児童館にその結果をバックするなどの工夫もしてみたいと思っております。

大森委員 そこで、竹中大臣にお聞きしたいんですが、このe―Japan重点計画、この中で各省庁横断のさまざまな事業が紹介をされております。先ほど言いました、教育及び学習の振興並びに人材の育成という事業だけでも数ページにわたる事業がずっと並んでいるわけなんですが、パソコンは入ったけれどもなかなかホームページにもつなげない、あるところではシートをかぶせそのままになっているというようなことも、これはこの児童館ではありませんけれども伺っております。

 そういう点で、こういうパソコン等々を導入した、あるいは導入して、それが本当にインターネット、こういうITのすばらしい前進的な面に即して効果的に使われているかどうか、一度この機会に調査をされ、必要な見直しなどもやる必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

竹中国務大臣 今岩田局長からお話のありましたような形で、今後、それぞれの分野でのやはり実態調査というのは間違いなく進められなければいけないと思います。同時に、政策の事前の評価と事後的なチェックというのは、これは幅広く行われなければいけないものだというふうに思っておりますし、特にこのITの分野では、どんどん新しい技術が出てきて、どんどん新しい利用のされ方が行われている、そういう観点からも実態の調査というのは大変必要だと思います。

 ただ一点、同時に、若干やはりこの分野は特に評価が難しいかなというふうに思いますのは、先ほどまさに議員御指摘されたように、これは長期的な視点から判断されなければいけない、まさにそれだと思います。

 例えば最初はゲームばかりやっている、しかし、とにかくゲームをきっかけとしてこういうデジタルなものに接して、それから長期的に発展していくという可能性は、実はこれはかなり否定できないものとして私はあるんだと思うんですね。アメリカの例でも、みんな何でやり始めたかというと、結局、税金を納めるためにやり始めて、それからさまざまな広がりへ行って、とにかく最初の一押しを今やろうというまだ非常に初期の段階でありますので、そういう点を含めて、長期的な評価をぜひさせていただきたいと思います。

大森委員 竹中大臣はこれで御退席していただいて結構です。

 そんなことはないと思うんですけれども、例えば、パソコンは配置したけれども電話の回線がそれに見合うものになっていないというようなことが仮にあるとすれば、非常にこれはこっけいな図柄になってくるんじゃないかと思うんですね。やはり実態として、本当に効果を発揮する。

 これは最近私も知ったんですが、読売新聞社がアメリカのこうした事情を取材して、それを本で出している中で紹介しておりますけれども、アメリカの場合、公共図書館に一千台のパソコンがある。ホームレスの男性がここでホームページを開いて、仲間にそういうことを教えて、そこでみずから職を得るようになったというようなことで、実際にこういうようなITの効果が逆の格差を是正していくような効果もあるわけで、やはりこれは実態としてそういう意義が大いに発揮されるよう、細かい部分も含めて御努力をいただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 次に、電子商取引、これがIT革命の重要な担い手とされているわけなんですが、これが経済活動にどうかかわってくるのか、影響してくるのかという点でありますけれども、旧通産省の時代に市場規模調査をやっておられますが、企業対消費者、BツーCに限っても、九八年から五年後、二〇〇三年で約八十七倍。九八年六百五十億円、二〇〇三年には五兆六千二百四十億円と、八十七倍にも規模が拡大する、そういう予測になっております。

 この五兆六千億、これはGDPでいいますと九八年で五百八兆円ですから、個人消費が約三百兆円、その個人消費の一・九%、二%近いものになる、そういう予測ですね。ちなみに、百貨店の売り上げが九八年で九兆円ですから、その三分の二規模、ネット市場で規模が拡大してくる、こういう見込みでありますが、そんなふうにいくだろうかという思いが当然あるわけですね。

 ネット販売に進出した企業では、生産性の向上とか、あるいは在庫の削減、市場への対応の迅速化、いろいろそういう意義も挙げられているようでありますけれども、こういう市場規模の今後の予測も含めて、かつて通産省が調査を行ったそういう見通しの評価も含めて、こうした点についてどのようにお考えになっているか、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 本年一月に当省が行った電子商取引市場に関する調査によりますと、いわゆるBツーC取引市場の規模は、二〇〇〇年の約八千億円が二〇〇五年には約十三兆円に成長する、こういうふうに見込んでおります。また、電子商取引の比率については、二〇〇〇年の〇・三%から二〇〇五年には四%、こういうふうに上昇すると見込まれているところでございます。

 このように、電子商取引におけるいわゆるBツーCの取引の方が従来型の消費者取引以上に成長すると我々は見込んでいるところでございまして、電子商取引におけるBツーC取引と従来型の消費者の取引、ここがいろいろ心配だというような声もあるわけでございますけれども、一部においては、従来型の消費者取引を代替する形でBツーC取引が拡大している面もあるわけであります。

 しかし、他方で、BツーC取引によって、事業者から見ますと、距離に関係なく幅広い消費者を相手に取引が可能になりますし、消費者から見れば、今まで取引することすらできなかった商品も購入することができる、こういうことも可能になるわけでありまして、こうしたことから、私どもとしては、電子商取引が従来型の取引とともに相拡大をしていく、こういうふうに見ているところでございます。

大森委員 相乗効果があるということでいえば、ぜひそうあってほしいと思うわけなのですが、いずれにしろ、すさまじいスピードの市場規模の拡大ということになるわけですね。ネットの店舗の数も超激増していく。これも旧通産省の調査で、九四年わずか二店舗だったのが、今では三万店舗を超えているという状況で、トラブルなんかも激増してくると思います。

 そこで、消費者契約に関するトラブルについて、まず消費者相談の総件数、それからその中での消費者契約に関するトラブル、そしてその中でインターネット取引に関するトラブルがどうなっているか、政府の方でつかんでいる数字をお示ししていただきたいと思います。

 それから、あわせて、そういう中で、これは午前中にもありましたが、日本の消費者が欧米諸国の業者とのインターネット取引による消費者契約でトラブルになった件数、具体例があったら、わかれば御報告いただきたいと思います。

池田政府参考人 お答え申し上げます。

 午前中も御説明しましたとおり、国民生活センター、PIO―NETというオンラインシステムを運営しておりまして、そこに全国の苦情相談がインプットされているわけですが、平成十一年度で四十七万件、それから平成十二年度で五十三万件という相談件数になっております。

 このうち、契約、解約に関する苦情相談件数は、平成十一年度で三十一万件、平成十二年度で三十六万件、それぞれ全体の六六%、六八%を占めております。

 また、インターネット消費者取引に関する苦情件数は、平成八年度では六件であったのに対して、三年後の平成十一年度には千四十九件、約百七十倍。それから平成十二年度には十一年度の約三倍である三千三百八十七件の苦情が寄せられております。

 委員、海外との関係で何か例をというお話でございますが、海外事業者に関するトラブルとしては、十三万円の自転車を外国に注文したが、カード会社から来た口座引き落とし案内を見ると、二口分、二十三万円になっていたなど、クリックミスによるものと思われる事例や、海外の事業者のホームページを見て、メールで問い合わせたところ、申し込んだとして代金を請求されたなど、不当請求に関する事例などが寄せられております。

大森委員 午前中にもこの点は質問ありましたけれども、念のため、重ねてお聞きをしておきたいのですが、こういう国際的なトラブルが訴訟になった場合に、裁判所の管轄、適用法令などの国際的ルールがどうなっているか。経済産業省の方でお答えいただきたいと思うのです。

太田政府参考人 お答えいたします。

 日本の消費者が海外のサイトから商品を購入した際、法廷地について向こうの業者と消費者に合意がある場合はそれに従うことが基本となります。法廷地について合意がない場合におきましては、消費者が我が国で海外の事業者を訴えようとするときは、当事者間の公平、裁判の適正迅速を期するという理念により、個々に我が国の管轄の有無を判断することになります。

 また、裁判の管轄が決まった後、準拠法についてでございますが、法廷地が決定した後に、その国の国際私法に従い判断することになります。日本法が準拠法となる場合は、本法案によって救済されることになります。仮に、日本法が準拠法でない場合でありましても、米国法の統一電子取引法や、あるいはヨーロッパ各国において操作ミスに関する消費者保護立法が現在策定されているところでございます。

 本法と相まちまして、日本の消費者は適切に救済されるものと期待しているところでございます。

大森委員 先ほどのインターネットにかかわるトラブル件数ですが、今回の委員会に提出された資料の中では六千六百二十九件、これは十一年度ですか。五年後、先ほど言いましたように、市場規模が約八十七倍。単純に比例して登録件数がふえるとすれば、五十七万六千七百件、大変な規模のトラブルになるわけですね。

 この間の、いろいろ伝えられているネット市場への参加という点でいえば、例えば全国の大手五社のコンビニが電子商取引。五社で全国一万二千五百店舗、これが参入してくるというようなことも伝えられているのですね。企業間の激烈な市場争いということも当然予想されるわけです。

 そういう中で、本当に消費者が安心してネット上の取引、これに参加できる、そういう環境を整備する点で、消費者を保護する措置は本当に丁寧に丁寧に、二重、三重にとる必要があるのではないかということだと思うのですが、いかがでしょうか。

古屋副大臣 委員御指摘のとおり、最近Eコマースが飛躍的にふえてきております。今大臣の答弁でも、二〇〇五年には十三兆ということになりますので、相当ふえることが予測をされるわけでありまして、そういった観点から、政府、民間、協力のもとに、適切な消費者保護対策を講ずることによりまして、Eコマースに対する消費者の信頼というものをしっかり向上させていく、これは極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 そのために、当省といたしましては、従来から訪問販売法による通信販売規制の着実な実施に努めているところでございますけれども、あわせまして、Eコマースでは、いわゆる誤操作等によります意に反する申し込み、これはいわば新しい形態の消費者トラブルでございますので、こういったことに対応するため、昨年秋の臨時国会で、意に反する申し込みが行われないよう、所要の消費者保護規制を強化したところでございます。

 加えまして、こういった、いわゆるEコマース特有の消費者のトラブルにつきましては、消費者利益の救済というものを容易にするため、このたび、本法案を提案させていただくということに相なったわけでございます。

 また、民間団体の取り組みというのも今積極的に行われております。例えば、オンライン・トラスト・マーク制度というのが開始をされているところでございまして、これは消防でいうところのマル適マークのようなものでございまして、消費者にとっては極めてわかりやすい、どのサイトが信頼が置けるかどうかという重要な判断基準になると思いまして、これを積極的に私どもとしても支援をしていきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、官民による総合的対策を強力に推進することによりまして、Eコマースの消費者保護の一層の向上を図っていきたい、このように思っております。

大森委員 いろいろな面からのそういう措置について御答弁がありましたけれども、電子消費者契約法案、この中で二重、三重に必要じゃないかということで申し上げているわけなんです。

 二〇〇〇年の通信白書では、ネット通販に対する消費者の不安要因について、個人データの漏えい、あるいは、注文時の予想に反した商品が送られる、商品自体が届かない、こういう不安が、七割を超える圧倒的な不安になっているわけですね。

 そういうような関係でいって、いろいろな措置をいろいろな面でやられているわけなんですが、今回こういう法案を出されるわけでありますから、そういう中で二重、三重の確認措置をぜひとってほしかったということなんですね。

 そこで、この法案第三条ただし書き以降があるわけなんですが、これはやはりこういう全体の状況の中で、消費者には厳しいんじゃないだろうか、事業者には甘いんじゃないだろうかという思いがするんですが、大臣、この点はいかがでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 本法案の第三条は、事業者によって確認措置が講じられていない場合については、消費者が操作ミスによって誤った契約を締結しやすいという電子契約の特性に対応するために、こうした場合の契約を無効とする措置を規定したものであります。

 ただし、事業者によって確認措置が講じられていた場合、またインターネット取引になれた消費者がみずから積極的に確認措置が不要である旨の意思表明を行った場合についてまでも、消費者の重過失を一律に認めないまま契約をすべて無効とすることは、逆に当事者間の利益のバランスを失することとなる、そのように考えられるため、第三条ただし書きの規定を設けております。

 このように、御指摘の規定については、事業者と消費者の利益のバランスに最大限配慮をして設けておりまして、消費者保護の観点から著しい問題を生じることはない、このように御理解をいただきたいと思っております。

大森委員 消費者の中には相当技術的にも熟達をしている方もいらっしゃると思うんですが、消費者全体としては、ネットの事業者と比べればまだまだ格段のこういう面での技術その他の差はあると思うんですね。

 それで、相当熟達している消費者でも、今大臣の答弁にあったような、確認措置をジャンプして次の画面に移るという場合も、契約無効措置の民法の特例まで、これはいいんだという意識を持ってそういうことをするかどうかという点でいえば、これはやはり検討の余地があるんじゃないかと思うんですね。

 そういう見地で私どもは参議院で四点の修正案を出したわけなんですが、その趣旨は、政府が提案したものに加えて、もう一度丁寧に、二度確認しようじゃないかというわけですね。無限にやれということじゃない、可能な限り消費者保護を貫くべきじゃないかという趣旨なんです。

 重ねて、こういう点での大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、中山(成)委員長代理着席〕

太田政府参考人 事業者の講ずる確認措置につきましては、今先生が御指摘の法案第三条において、事業者が電磁的方法によりその映像面を介して、消費者の申し込みを行う意思の有無について確認を求める措置というふうに具体的に明確に規定しております。

 すなわち、いわゆるウエブ上の確認画面のように、消費者が申し込みの送信ボタンを押す直前に、申し込み内容を確認し、訂正できる画面が独立の画面として設定されているケースがこれに当たり、確認措置の解釈をめぐって大きな混乱を生ずることはないと考えております。

 当然のことながら、法案が成立した暁には、厳正に運用されるよう周知徹底を図っていきたいと考えております。

 また、仮に、個別具体的なケースについて、本法案の確認措置に当たるかどうか疑義があるケースが生じた場合には、当省といたしましては、消費者の相談にきめ細かに応じるなど積極的に対応していきたいというふうに考えているところでございます。

大森委員 消費者保護という点でもう一度やろうという趣旨ですので、また今後ともぜひ御検討いただきたいと思います。

 先ほど述べた通信白書の中で、ネット通販に対する消費者の不安要因、トップに立っているのが、自分のデータが他人に漏れる可能性があるが七三・四%。個人情報のセキュリティーの確保ということと、それから代金の支払い、電子マネーの実用化、さらには情報格差、いわゆるデジタルデバイド、こういう三つの課題が、今後二十一世紀、電子商取引が本当に健全に発展するかどうか、重要なかぎを握る三つの課題だと思うんですね。

 そこで、このセキュリティーに関してまずお聞きをしておきたいんですが、個人認証システムの安全度、これをどう高めていくのか。この点がやはり、これに安心して参画していくかどうか、決定的なかぎを握っていることの一つだと思うんですね。個人認証システムの安全度を高める、そういう点での現在の研究あるいは対策の状況についてお聞きをしておきたいと思います。

太田政府参考人 お答えいたします。

 インターネットは、相手方と対面せずに情報がやりとりされるため、情報の受信者にとって、発信者が本当に本人であるか、情報が途中で改変されていないかどうかを確認できる仕組みが必要とされております。現在、そのための有効な手段として電子署名及び認証業務が重要となってきております。

 かかる観点から、先生御案内のように、本年四月から施行されました電子署名及び認証業務に関する法律におきましては、電磁的記録を用いた商取引等をより安心して行えるよう、電子署名の法的効果を明定するとともに、認証業務の信頼性について利用者に判断の目安を提供するため、一定の基準を満たす認証業務について、これを行おうとする者は主務大臣の認定を受けることができることとしております。

 この電子署名法の円滑な施行を図ることにより、安全性、信頼性の高い電子商取引の実現につながるものと考えているところでございます。

大森委員 個人認証システムとともに、先ほどのアンケートのトップを占めました、自分のデータが勝手にどんどん流れていくんじゃないかという不安、これは、今は特に資格要件のないままどんどん何万という業者が入ってくるという中で、個人情報の保護を本当にどうやっていくかということが求められていると思うんですね。

 経済産業省として、この点は一体どのように考えているか、お聞きをしておきたいと思います。

太田政府参考人 御案内のように、個人情報の保護というのは大変重要なことで、政府としても個人情報保護基本法案を今国会に提出させていただいているところでございます。

 先ほど申しましたように、経済産業省としては、法務省、総務省と一緒になりまして、電子署名法をきちんとまず運用していく、あわせて、プライバシーマークについて、マル適マーク制度等について、民間の自主的な活動も行われております。

 そういうものも支援していきたいということで、万般にわたって対策を講じていきたいというふうに考えているところでございます。

大森委員 個人情報保護法案については、これは、こういうものだけじゃなくて他の要らぬことまで入れたものですから、うまくいっていないわけですが、内閣府の方はこの点についていかがでしょうか。

池田政府参考人 委員御指摘のように、電子商取引の発展及び消費者保護の観点からは、事業者が顧客情報の管理を十分に行うことが重要だと認識しております。実際、各種アンケート調査を見ても、電子商取引は不安とする消費者が大多数となっている中、その中に個人情報の漏えいが挙げられているところでございます。

 このため、昨年十二月に開催した、内閣総理大臣を議長とする消費者保護会議において、個人情報の保護を図ることが重点施策として決定され、ただいまも触れられましたとおり、政府は個人情報保護法案を今通常国会に提出しているところであります。

 また、さきに決定されたe―Japan二〇〇二プログラムにおいても、苦情の円滑な処理のための環境整備や関連情報の提供等により個人情報の保護を図るなど、電子商取引等に係る消費者保護の推進を図るとされているところであり、内閣府においては、今後とも、インターネット取引に関するトラブルの実態の把握に努め、関係省庁と連携しつつ、個人情報の保護を含めた消費者保護施策の推進を図ってまいりたいと思っております。

大森委員 政府が管理する個人情報とか、こういう情報通信分野における個人情報を本当に保護する、その点に限った真剣な取り組みが必要だということを申し上げておきたいと思います。

 消費者トラブル解決のためにちょっと角度を変えてお聞きをしておきたいわけなんですが、最終的に訴訟による解決で担保するとしても、それ以前に解決するための消費者相談、その体制を充実させる必要があるんじゃないかということですね。現在、組織的な消費者相談を行っている団体として、全国相談員協会、日本消費者協会あるいは日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、こういう団体がありますけれども、これらを含めて、こうした消費者相談体制と相談件数がどのぐらいあるのか、内閣府及び経済産業省の方からそれぞれお答えいただきたいと思います。

池田政府参考人 全国消費生活相談員協会は、消費生活センター等の相談受け付けが行われていない休日に電話相談を行っておりまして、平成十二年度においては苦情相談件数は七百五十七件となっております。また、毎年五月の消費者月間中に特定のテーマを設けて、国民生活センターと共催で電話一一〇番を実施しており、平成十三年度は四百八十件の苦情相談を受け付けております。

杉山政府参考人 日本消費者協会の消費者相談室に寄せられました苦情相談件数でございますが、平成十二年に二千七十五件という数字になっております。また、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会が各週末に実施しております電話相談、これに対します苦情相談でございますが、平成十二年度に千五百六十四件という数字になっておるところでございます。

大森委員 質疑時間がなくなりましたので、最後に一点だけお聞きしておきたいんですが、こういう相談体制、新しい状況のもとで、やはり体制を充実してほしいというのが消費者全体の希望でもあると思うんですが、こういう消費者相談を実施している団体に対して、事業上あるいは運営上の支援を何らかの形で行ってほしいという要望もあると思います。

 その点、内閣府、経済産業省それぞれからお答えを聞いて、私の質問を終わりたいというふうに思います。

池田政府参考人 内閣府としましては、全国消費生活相談員協会は、専門的能力を有し、各地で活躍している消費生活相談員の重要な全国組織であると認識しておりまして、従来よりさまざまな調査等の依頼、あるいは同協会の事業を後援するなど、連携や支援を行ってきております。また、国民生活センターも、先ほどの電話一一〇番を共催するとともに、各種広報資料の作成に当たって同協会の専門的能力を活用してきております。

 内閣府としては、今後ともさまざまな形で同協会に対する支援あるいは連携を図ってまいりたいと考えております。

杉山政府参考人 御指摘のございました団体はそれぞれ、例えば商品テストの実施でありますとか消費者への情報提供、苦情相談あるいは消費者教育、こういった活動をしておるわけでございまして、私どもといたしましても、こういった団体の活動の重要性というものは十分認識しております。

 具体的に、例えば予算的な措置を講じることとかパンフレット作成の支援を行うとか、あるいは、法令改正の説明会をこれら団体が主催をいたします際に私どもから担当官を派遣してそういった啓蒙普及活動に御支援を申し上げるとか、こういったことをやっております。

 引き続き、こういった団体の活動に対します重要性というものを認識しまして、いろいろな面で私どもとしても積極的に御支援あるいは連携をとっていきたいというふうに考えておるところでございます。

大森委員 以上で終わります。ありがとうございました。

中山(成)委員長代理 大島令子さん。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 法案の審議に先立ちまして、二〇〇五年日本国際博覧会について質問をいたします。私は、愛知万博に対して疑問を持っている立場でございます。この立場を踏まえ、現在現場で起こっている以下のことに対して、大臣の御所見を伺いたいと思います。

 本年三月十九日、博覧会協会の最高顧問に堺屋太一氏が就任しました。最高顧問の活動は、事業の円滑な推進のため指導助言を行うことが設置規定の中で明文化されています。ところが、六月一日のトップ会談で、堺屋氏は会場拡大を求める計画変更案を提示しました。これが実は地元で、ここに来て時計の針を戻すような議論と受けとめられ、連日マスコミで大きく報道されております。自然保護三団体は会場拡張に反対声明を出し、また、知事や地元のフォローアップ会議も堺屋案に再考を求めるなど、混乱しております。各種報道は、堺屋顧問と愛知県が対立し調整が困難という内容でございます。

 ここに来て、堺屋氏の会場を拡大するというような発言に対し、開催主体である国の最高責任者として、大臣は静観する立場ではないと思います。この一連の問題に対して、ここに来て時計の針を戻すような議論であるならば、いっそのこと、あと三年八カ月しか開催までありません、中止してはどうでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 現在、博覧会協会におきましては、二十一世紀の初頭を飾るにふさわしい博覧会を実現すべく、会場計画の具体化についてさまざまな角度から検討を行っているところであります。その一環として、協会の堺屋最高顧問にもさまざまな知恵を出して検討を行っていただいているところでありますけれども、現在のところ、協会としてまだ最終具体案を固めている状況ではないわけでございます。

 経済産業省といたしましては、今後、博覧会協会を中心に関係者の方々が早急に調整を進めまして、博覧会計画の具体化が図られることを期待しているところであります。

 本博覧会は、我が国の提案が国際的に評価されBIEに登録されたものでございまして、内外の広い理解と賛同を得ながら、また後世からも高く評価されるものとして開催するために、今後とも関係者一丸となってその推進に努力をしていきたい、こう思っておりまして、中止というお話がございましたけれども、私どもとしては、これを二十一世紀の初頭を飾るにふさわしい立派な万博にしよう、こういうことで努力をしていこうと思っております。

大島(令)委員 ここに地元紙の切り抜き、新聞切り抜きがたくさんございます。「堺屋氏「二者択一だ」 「万博やめた方が…」戸惑う出席者」、そして「会場拡大 異論が大勢」「実現困難」、これは愛知県の方ですね。「重いムード」、愛知県知事は晴れ晴れとした顔をしておりません。「「砂上の計画」物別れ」「かすむ青写真 広がる苦悩」、列挙にいとまがございません。まだまだたくさん、地元紙はこんなにたくさん報道しているんです、ここは東京でございますけれども。

 私は、このことがニュースになったことを当然大臣も御承知だと思うのですが、この六月一日のトップ会談以降、堺屋氏と何かお話しされましたでしょうか。私は、先般三月二十八日付で、どういきさつで堺屋さんが最高顧問に就任したのか、質問主意書を出しました。それの政府の、総理大臣の答弁は、このときは新しい内閣になっていたのですが、堺屋さんの国内外のさまざまな博覧会における過去のすぐれた見識、豊富な経験に基づいた活躍、これをこの愛知万博に生かすことを期待するということで、堺屋さんが最高顧問に就任したという質問主意書の答弁でございます。

 しかし、堺屋さんが愛知に来てやったことは、博覧会国際事務局、BIEから指導を受けて、会場を縮小しなさい、新住事業をやめなさいということで調整決定したにもかかわらず、この議論を一切理解することなく、会場拡大への方針転換を提示したわけです。ですから、ここに来てまた、本当に万博をやってほしくないなという人たちが地元でデモをしたりしているわけなのですね。

 ですから、私は、大臣として、こういう地元で混乱が起きているときに、どういう立場であるにしろ、真意を聞くとか、そういう接触が必要であったと思うのですが、この間何もなさらないまま今日まで来たのでしょうか。

平沼国務大臣 私も六月一日の会合のことは報告を受けて、よく承知しております。また、その後、たしか六月十四日だったと思いますけれども、堺屋最高顧問にもお会いをさせていただきました。

 委員御承知のように、BIEで承認をされました愛知のこの二十一世紀の初頭を飾る国際博覧会というのは、そのメーンテーマが自然の叡智、そしてサブテーマというのが宇宙と生命とそして情報通信、こういうことになっています。ですから、それにふさわしい万博を開く、こういうことであります。

 そして、今非常にたくさん現地の新聞の見出しを御紹介していただきました。堺屋さんは、いわゆる答弁書にもありましたように、やはり大変大成功した大阪の万国博を初めとして、そういう国際博覧会に対しては非常に豊富な経験と知識をお持ちであるし、また、大変卓越した才能も持っておられますので、最高顧問に御就任をいただきました。

 その中で、堺屋最高顧問も、やはり二十一世紀の初頭を飾るにふさわしいという形でアイデアの一つとしてお出しになったと思います。これが最終決定ということでは当然ございませんで、やはりこれまでの経緯や、それから地元の皆様方の思い、そういったものと整合性を図ってよりよいものにしていくべきだと私も思っておりまして、先ほど御答弁させていただきましたけれども、まだ最終案が決まっている段階ではございません。

 したがって、たくさんあるアイデアの中の一つとして、そして、そういう経験に基づいて立派な万博にしようという強い意思の中で出された案でありまして、それは案の一つでございますので、我々はこれから調整を図って、あと三年八カ月という御指摘がございましたけれども、なるべく早い時期に具体的な実行計画というものを、地元の皆さん方の英知も結集しながら取りまとめて、そして大成功の愛知万博を開催していきたい、このように思っております。

大島(令)委員 昨日のニュースで堺屋氏の去就のことが流れました。私も確認しましたけれども、六月末で身を引きたいと。進退に関しては、会長の豊田章一郎さんに一任されているということが理事会で了承されているそうです。

 であるならば、今大臣の言いました、強い意思で出された案の一つである、にもかかわらず今月末で辞任したい、そういう堺屋さんの一連の行動に対して、大臣としてはどう考えておられますか。

平沼国務大臣 私は、そういう意思の表明は、新聞で報道があったということを聞いておりまして、私がじかに確認をしたわけではございません。また、協会の豊田会長もそのことを明確に言っているとは私は承知をしておりません。

 しかし、私はいわゆる万博の担当大臣としてやはり責任がございますので、本当に近いうちに堺屋さんともお会いをし、また協会の豊田会長ともお目にかかって、そしていろいろなところを詰めていきたいな、こう思っています。

大島(令)委員 今申されましたように、万博の最高責任大臣としまして、私は、こんなに地元が混乱し、ごちゃごちゃになるのであるならば、去年の国会でも質問させていただきましたけれども、やはりみんなが一致した気持ちでこれをやろうという県民、国民合意がなされていないからこういうふうになるのではないかと思っておりますので、改めて、そういう観点からもう一度立ちどまって、本当にこの時期に国際博覧会が必要なのかなということも含めて検討していただきたいと思います。

 では次に、本法案の質問に入ります。まず、大臣に質問をいたします。

 コンピューターに関しての総論的な質問でございますが、インターネットは、アメリカの国防総省が、核攻撃に備え、情報を集中管理するのではなく分散させよう、分散することによりリスクが減らせる、そういう要請から生まれたものだと聞いております。その後、学術分野、すなわち大学などにおきまして、研究機関相互の情報交換などの手段としても用いられるようになってきました。

 アメリカのマイクロソフト社、ウィンドウズオペレーティングソフトの登場によって、一般のパソコンユーザーも比較的簡単にインターネットへの接続が可能となり、ここ数年のうちに飛躍的に発展しました。もう一方のマッキントッシュにおいても、マックOS7以降、ウィンドウズと遜色がないほどネットにつなぐことが容易になり、現在、ユーザーが新規に購入するパソコンのほとんどすべてがネットにつなぐことが可能となっています。

 一方、ネットでは匿名性が原則で、自己責任の概念が過剰とも思えるほど徹底しています。しかし、ネット上での見過ごすことのできない事件も多発しています。メル友殺人事件や売買春の温床などの問題も起きています。

 このような、まさにインターネット型の諸現象について、まず大臣の見解をお聞きいたします。

    〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕

平沼国務大臣 さきの臨時国会で成立をいたしましたIT基本法は、その第三条において、IT社会の形成は、すべての国民がITの恵沢をあまねく享受できる社会が実現されることを旨として行わなければならない、こういうふうにうたっております。

 このためには、ITの光の側面ばかりに注目するのではなくて、今御指摘のようなその負の側面、例えば、新たな消費者トラブルや新たな犯罪への対応に万全を期していかなければならない、当然私はそのように考えています。

 今回提案をさせていただいて御審議をしていただいている電子民法特例法案というのは、まさにこうした問題意識のもとに、クリックミスというネット特有の消費者トラブルを解決するために民法の特例を定めようとするものでございまして、ITについて、消費者を初めとするすべての国民が安心して活用できる環境を整備することはIT政策の基本であり、こうした姿勢で今後とも粘り強く取り組んでこのような負の側面が解消される、そういう目的で一生懸命頑張っていかなければならない、このように思っています。

大島(令)委員 次に、もう一つ大臣にお伺いします。ネットトラブルについてでございます。

 その前に、現在、我が国においてどの程度の家庭用コンピューター、パソコンがインターネットに接続が可能となっているのかお知らせください。

 また、インターネットに接続すること、あるいは接続したことによってトラブルが発生する誘因となるわけなのですが、国民生活センターの報告によりますと、消費者からの苦情件数でございますが、ネット関連だけですが、九五年度は六十三件だったものが、九九年度には六千件を超え、二〇〇〇年度は十月までの半年強で四千九十二件に達しているといいます。

 以上は、ネットトラブルで消費者が直接被害をこうむったもの、あるいは被害をこうむったのではないかとアクションを起こしたものです。これは全体のほんの氷山の一角かと私は思っております。

 同センターでは、インターネット関連の苦情は多岐にわたっているわけなんですが、内容を四つに分類しています。その一つ目は、インターネット消費者取引に関する苦情が一五・四%、二番目に、接続に関する苦情が一六・六%、三番目、便乗型の販売に関する苦情、これは四四・九%、四番目、その他として二三・一%と報告されているわけです。

 今回の民法の特例に関連しているのは、一番目のインターネットの消費者取引に関する苦情に含まれるものの一部と考えているわけなんですが、既にある法律のもとでの救済で済むのか、また新たな立法がどのくらい必要なのか、またどのようにして被害をなくしていこうと考えているのか、具体的な見解を聞かせてください。

平沼国務大臣 まず最初のお尋ねでございますけれども、インターネットの普及率は、平成十二年末時点で、総務省の発表によりますと約三七%、こういう数字に相なっております。

 それから、二つ目の御質問ですけれども、電子商取引特有の消費者トラブルとしては、申し込み操作で誤って注文してしまったという錯誤によるトラブルが特徴的ですけれども、そのほかに、例えば事業者の雲隠れ、あるいは注文どおりに品物が来ないといった通信販売に共通したトラブルも見られるわけであります。

 これに対して、訪問販売法では、従来から、通信販売規制において、広告の中に商品の引き渡し時期、事業者の連絡先等の取引に係る重要事項の表示を義務づけるとともに、虚偽、誇大な広告を禁止しており、消費者が事前に取引条件や事業者の実在等を確認することができるようにいたしております。

 これに加えて、操作上の誤注文というような、誤った注文でありますけれども、電子商取引特有のトラブルを防止するため、昨年秋の臨時国会において訪問販売法を改正いたしまして特定商取引法といたしまして、その中で、事業者に、わかりやすい申し込み画面の設定を義務づけたところでございます。

 当省といたしましては、これらの規制措置を実効あるものとするように、インターネットサーフデーによる監視活動を充実強化するなど、法執行の徹底に努めているところでもございます。

 また、技術やビジネスの内容が急速に変化する電子商取引の分野で、トラブルを有効に防止するためには、当然のことながら民間の自主的な取り組みも重要だと思っています。

 そこで、昨年の六月から、日本通信販売協会が、信頼できるネット上の店舗を一定基準のもとに認定し、マークを付与するオンライン・トラスト・マーク制度の運用を開始したところでもございまして、当省といたしましては、このような民間による自主的な取り組みに対して必要な支援を行って、そして両者で協力してそういうトラブルを防いでいく、このような姿勢で臨んでいかなければならないと思っております。

大島(令)委員 では次に、松田副大臣にドメインにかかわることについて質問します。

 ドメインの取得は、早い者勝ちが原則であったはずです。ジェーピードメインは、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター、以降JPNICと略しますが、ここが付与が適当かどうか審査した上でのことだと承知しております。

 そこで、質問でございますが、ジェーピードメインの付与というか、使われ始めたのはいつごろからでしょうか。また、日本ネットワークインフォメーションセンターでのジェーピードメインの付与時の審査内容はどのようなものなんでしょうか。

松田副大臣 お答え申し上げます。

 ジェーピードメイン名の登録につきましては、今先生おっしゃいました社団法人日本ネットワークインフォメーションセンターが、かつてボランティア団体として活動しておりました平成元年から始まっておりまして、その後、平成九年からは公益法人化されましたJPNICによる登録、管理が行われております。

 登録は、基本的には先願主義に基づいて行われておりますが、日本国内において住所、本店、事務所等を有していること、ローカルプレゼンス、こういったことを主に確認して登録が行われているというふうに了解しております。

大島(令)委員 早い者勝ちが原則ということでよろしいわけですね。

松田副大臣 そういう表現になりますかどうかあれですが、申請順に登録されておるということでございます。

大島(令)委員 では次に、ドメインにおけるネットトラブルについて質問いたします。

 JPNICと工業所有権仲裁センターは、二〇〇〇年八月一日協定し、以降、工業所有権仲裁センターがJPドメインの紛争仲裁調停機関として機能しております。これまでの仲裁の内容、事件の概要等について報告してください。

 二点目は、つい先日まで、ドメイン名は一バイト文字、すなわちローマ字だけでした。日本語は同音異義語が数限りなくあり、ローマ字にすれば当然同じ表示になります。先に取得したことの優位性を尊重することの意味はここにもあったのだと思われます。そして、仲裁、調停、裁判などの手続を経ずに、話し合いによりドメイン名が移行された例は数限りなくあったとも思われます。そこで、ドメインが金銭で譲渡された例をどの程度把握されているのか、また、問題とするべき金額とはどの程度の額と把握しているのか、質問いたします。

 三点目は、インターネットのパワーユーザーは、希望のドメインがとれなくて事件化していくことを冷ややかな目で見ています。それは自己責任が原則だからです。消費生活センターへの苦情の激増というネットトラブルについての具体的な対策は、経済産業省でも一部は対応可能のように思われます。けれども、救済機関もあるのに、これは冒頭申し上げた機関のことですが、本改正でドメインの件だけが先行した理由を聞かせてください。

 四点目は、先取りの権利、当然の権利ですが、これは当然ありまして、それは、ただ一つなので、価値を持つのは資本主義社会である以上当然のことだと思うわけです。仲裁センターの裁定を見ますと、大企業に有利なように見てとれるのですが、どうでしょうか。日本語表記がドメイン上で可能となり、ドメイン名紛争は新たな段階、すなわち、より価値があるものと認識されていくのか。もともと趣味の世界や匿名の世界、自己責任の世界であったネットの世界で、本改正案の不正の概念は余りにも広く、多くの概念を含んでいるように思われ、疑問に思います。

 以上、見解を聞かせていただきたいと思います。

斉藤政府参考人 御説明申し上げます。

 まず最初に、現在のドメイン名に関する仲裁の状況でございますが、昨年の十月からサービスを開始いたしまして、現在までに既に十二件が申し立てられております。そのうち、移転の裁定が出されたものが六件、取り下げられたもの、これは事実上和解したということでございまして、それが三件、それから係属中が三件ということでございます。

 その具体的な中身といたしましては、特にどういう場合に移転の裁定が出るかということでございますが、例えば、有名な検索エンジンの商標と同じものを使っていたケースがございます。これは、その検索エンジンだと思って開きますと、アダルト画像を自動的に開いてしまう、しかもそれが有料になってしまうということで、そういうサイトに自動的に転送されるようなことだけをしておったわけでございまして、そこで、検索エンジンの商標と類似であるということで申し立てをしたところ、それは移転をしなさいという裁定が下されております。

 そのほかも、例えば、全然使っていないのに、あるいは、自分の、登録者としての法人の名称等と全く無関係にかかわらず、有名な企業の、あるいは有名な商標と同じものをとっておりまして、それで商売の邪魔をするとか、あるいは無理やり一緒に商売をしましょうというような持ちかけをしたという場合につきましても、ドメイン名の移転の裁定というものが下されております。

 ただ、これらはいずれも、もとの登録者側が納得いたしておりませんで、裁判に訴えて、現在係争中ということでございます。

 次に、ドメイン名が具体的に有料で転売されているものがどうであるかということでございますが、JPNICに調べてもらいました。昨年の十月以降ということで調べてみますと、約五百件弱の移転が行われております。これは、有料、無料を問わずということでございます。ただ、いずれにしましても、これらは円満に移転が行われたケースというふうに言えようかと思います。

 それでは次に、不当な価格で転売を目的として強要されるというようなトラブルの事例でございますが、日本国内のジェーピードメインに関しましては、先ほど申し上げました仲裁センターの裁定のうち、一件が不当な価格で転売を目的としていたので、それに対して苦情を申し立てて移転が認められたケースであります。

 このほかにも、ジェーピードメイン以外、先行しております一般ドメインに関しましては、日本企業が直接間接に不当な買い取りを要求されているケースというのが非常にふえてきて、相当数に上っておるわけでございます。

 そのほかにも、インターネットのサービスプロバイダーのいわゆるネットオークションの場にたくさんのドメイン名が載っていて、そこに価格が設定されている、あるいは入札で高い値段をつけた人に売りますというようなことが画面上にもう出てきております。

 また、先生御指摘いただきました日本語ドメインというものが最近入りました。先ほどちょっと一般ドメインのケースが先行していると申し上げましたのは、ローマ字の世界でございましたのでそういうアメリカとかで起こっていたわけですが、今後、日本語ドメインになりますと、日本国内でも、有名企業の名称そのものがドメイン名として使われる、しかも、これまでわかっているところでは、かなり本来の企業以外の人がとっているということもございますので、今後、その点につきましては、かなりトラブルが出てくるのではないかということを懸念いたしておるわけでございます。

 ただ、その際に、幾らなら不当かということにつきまして、実は、ドメイン名をとること自身はほとんどコストはかかりませんし、大変安い価格でとれるわけでございます。手数料はほんのわずかです。

 したがって、ではそれを超えたら不当かということになりますと、これは先行事例なんかでも、それを使って自分でいろいろな商売をしていて、自分で価値をつけているという場合に、それを売ってくださいと言えば、それは当然ある程度の価値が出るということでございますので、これはまさに個別の裁判事例におきまして、社会通念上不当と思われるような価格を持ちかけて、例えばそれをのまないということであれば嫌がらせをする等によりまして起こってくるということではないかと思っております。

 それから、ADR、仲裁のための民間のシステムがあるのに、なぜ法律を今回改正するのかという御指摘でございますが、おっしゃるとおりでございまして、民間によるADRというのは、今のセンターでいいますと二カ月で処理するということで、大変迅速です。それからコストもかからないということで、大変すぐれた制度でございます。

 ただ一方で、先ほどちょっと申し上げましたように、紛争の被害者側は、なかなかADRで納得しないという場合がございます。そういう場合には、日本の憲法で保障された裁判を受ける権利というのを奪うわけにはまいりませんので、裁判所に結局紛争が持ち込まれるということでございます。したがいまして、ADRのみでは最終的な紛争の解決に至るとは限らないということが言えようかと思います。

 そこで、今回、ドメイン名紛争が裁判に提起された場合につきましてもルールを整備するということで、裁判とADRが一体となって、被害者の迅速かつ適切な救済がなされるということを目的といたしております。

 もちろん、先生何度か御指摘いただきました、ドメイン名に関しましては、先にとる、要するに、消費者のニーズに合わせまして自由に取得する、それからそれを自由に利用できるという利便性があるということで伸びてきたわけでございます。ただ一方で、その利便性の裏返しとしまして、先に登録した人が排他的に権利を持ってしまう、あるいは、実態としまして商標と同様の経済的、社会的価値を持っているということから、悪用する人たちが出てくるわけでございまして、これらの商標権者の事後的救済をしないと、結果的には健全なITの、インターネットの社会の発展というものを害することにもなりかねないわけでございます。

 もちろん、このようなルールにつきまして、先に登録した人の利益を害するという面があるのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、社会的に見ても公平になるよう、ドメイン名登録者と商標権者との利益のバランスをどう図るかということで、我々といたしましては、この法律におきまして、図利加害目的という、積極的に他人を害する等の社会的に許されない場合にのみ、差しとめ、損害賠償を認めるということにいたしたわけでございます。

 バランスにつきましては、いろいろ外国の例など、ICANNにおける例などでも、先にとった人につきまして、正当な利益を有すると認められる事由、具体的にいろいろ書いてございますが、善意によって先に使っていた場合、あるいは登録者がその名称で一般的に知られていたとか、それから非商業的で公正な使用であるという場合につきましては、それを使っていても、不正の利益を得る目的または他人に損害を与える目的とは認めないというふうな判例といいますか、仲裁例の積み上げがなされておるわけでございまして、このようなものも参考にしながら、社会的に見て認められないものについては対処するものの、商標をとった大企業あるいは商標権者に対して過度に保護が偏らないように配慮していきたいと考えておるわけでございます。

大島(令)委員 移転ということがこの法律の解釈の中に入っているのかどうか、お答えください。

斉藤政府参考人 法律上の救済手段といたしましては、明文では移転ということを書いてございません。ただし、侵害行為をとめるに十分な行為というものを裁判所に要求できるということでございますので、具体的な事例におきまして、これはもう移転させてあげないとどうにも問題の解決にならないというふうに裁判例において認められた場合につきましては、そういう形で裁判として移転の判決が出るということが予定されます。

 それ以外のケースにつきましては、通常は、取り消し、ドメイン名の抹消というものが判決で出るわけでございますが、その抹消が出たときには、今度は登録機関の方と連携を図りまして、そちらの方で、当然登録機関は抹消するわけですが、またそれをオークションにかけるといいますか、早い者勝ちでまさにもう一度とらせるということではなくて、裁判で勝った人に対して何らかの方法で移転が実際上認められるような方法がないだろうかという研究をいたしているところでございます。

大島(令)委員 答弁は簡潔にしていただきたいと思うのですが、次に、あと一問あるのですが、先に竹中大臣に質問をさせていただきます。

 e―Japan計画についてでございますけれども、隣国の韓国は、通貨危機を乗り越えまして、今や世界のIT大国として認識されています。一方では、失業や雇用不安がふえている中で、労働争議での厳しい場面も見聞きしたりしております。経済戦略的にIT化路線をとるとき、当然のこととして、雇用形態やシステムの転換という形があらわれると思うのです。日本が韓国と比較したとき、IT化への動きの中で、韓国の方がはるかに先を進んでいるかのように私たちは思っているわけなんですが、どのような理由でここまでの差が出たと考えていらっしゃるのか。

 二点目は、e―Japan重点計画の基本的なところは、ネットへの常時接続が原点のような気がしております。常時接続のためのインフラの整備の必要性が叫ばれて久しいわけですが、これは憲法調査会で、ソフトバンクの孫正義さんも言っていました。民間主導では限界があるんだということを彼も言っておりましたし、私もそう思います。そういう意味では、接続のためのハードをくるくるかえないと最速環境には移行できないという状況を、技術的な限界を承知して尋ねているわけなんですが、今あるものを含めて、国が的確な指導性、あるいは投資をしてまで最高最速の環境をつくるために、何から手がけようと考えていらっしゃるのか。

 このe―Japan計画の中では、五年以内に三千万世帯に高速インターネット、これはDSLとかCATVが該当すると思うのですが、あと一千万世帯に超高速インターネット、これは光ファイバーを使わないとできないわけですが、こういう形で、常時接続可能な環境整備をうたっているわけですね。ここに書いてあるわけです。

 しかし、これを実施するときに、目標としてはいいのですが、官民の役割分担ということがありまして、官は民間の積極的な創造的取り組みを支援、官は民間が活力を十分発揮するための環境整備をするとだけしか書いていないわけなんです。これで本当に光ファイバー網を全国に設置する気持ちがあるのか。例えば韓国のような、既存の電話線網の有効利用で当座をしのぐつもりなのか。その辺の、計画に対する、私たちに対する絵にかいたもちで終わらないようなところを、ちょっときょうははっきり答弁をいただきたいと思います。

竹中国務大臣 幾つか重要な点を御指摘いただきましたので、お答えしたいと思います。

 まず最初は、韓国との比較であります。

 これは大変私たちも、韓国、やはり注目するというよりも、むしろ驚かされているということだと思います。ある一番新しい時点の情報によると、韓国のブロードバンドの世帯、人口は、絶対数で既にアメリカを上回った、比率じゃなくて。そこまで短期間にこんなにできるものかと実は思わせるほど、確かにブロードバンド等々に関して、韓国はあっという間に進捗しました。ただ一方で、携帯電話を使ったインターネットのアクセスサービスの加入者数等々を見ると、日本の方が多いという面もありますので、何で比較するかという点も微妙な問題としてあるのかもしれません。

 ただ、韓国の場合にやはり私たちが見習うべきは、先ほど御指摘がありましたように、通貨危機の一つの危機感をばねにして非常に戦略的に、官民一体となってこの部門に資源を投入していったということ、その過程で思い切った自由化を行って競争政策を活用したこの二点、やはり重要な示唆として残っているんだと私は思います。

 そこで、お尋ねの第二、第三の観点に関連していきますけれども、確かに、常時接続を実現するということがIT革命を現実のものにするという上では極めてフェータルというか、致命的な役割になるのだと思います。特に、それに当たって、実はこれはe―Japan戦略の中に明確に書かれておりますけれども、インフラに関してはやはり民間が主導的役割を担う、民間の競争政策が大変重要だという点は、かなりはっきりとIT戦略本部の基本認識の中にあるというふうに私は考えています。政府としてはむしろ、公正な競争を促進して、基礎的、基盤的な研究開発等を行って民間をサポートする、その役割分担が私は大変重要なのだと思います。

 韓国等の例でもありますように、特にアメリカの例が顕著だと思いますが、私はやはり競争政策であろうかと思います。もちろん一部、過疎地等々の問題に関しては、それをカバーするような国の政策が必要でありまして、今年度から、都市地域よりも一層の超低利融資をこの地域について行うというような政策もとられつつあるというふうに認識しています。

 最後の御質問になろうかと思いますけれども、結局、五年以内に日本を最先端のIT国家にする、そのことを本当に具体化する政策の手段は何なのか、それを絵にかいたもちに終わらせないような政策の手法を一体どのようなものに考えているのかという、大変重要な御質問だったと思います。

 きょう、この中でも何回か御指摘をさせていただきました、やはり非常に多元的な仕組みをつくっていくということなのだと思います。まず長期の、e―Japan戦略でも五年という目標を立てました。それで、二百二十のその重点項目を洗い出しました。それをできるだけ前倒しで実行するということを今行っています。さらに中間目標を二〇〇二年に設定して、それをチェックしていく。これはもう、技術の状況というのはきのうからきょう、きょうからあしたへと本当に変わっていきますので、そういうことを見ながら、常にローリングでそのチェックを行っていくということが、基本的にはやはり最も重要な、目標を実現するための戦略であろうかというふうに思っております。

大島(令)委員 私、実は韓国の、韓国ノリを自分のパソコンで注文したんですね。そのときに、カード番号をやってクリックした。本当に契約が成立したのかどうかわからない。それで、送信トレーをあけて、送信していると確認したのです。決済は口座から金額が落ちた、本当に画面で書かれてある金額が落ちたかどうか、外国とだから心配になったわけなんですが、無事に商品が届きました。こういう不安が、実はことしになってやってみて、あったわけなんですね。

 そこで、今の話の中で到達主義の見直しについて、やはりネット上では内容が受信者に伝わったのかどうか確認しにくい。ですから、私は、もう一行程販売者に、到達したという義務づけをする必要もあるかと思うのです。そういうようなことも含めて、これで最後の質問にさせていただきますけれども、御答弁をいただけないでしょうか。

太田政府参考人 お答えいたします。

 本法案は、電子契約については、瞬時に意思表示の通知が到達することから、国際的なルールとの整合性も踏まえ、契約の成立時期を到達主義に転換するものであります。これにより、承諾の通知を行わなかった場合においては、そもそも契約は成立しません。ということで、申込者が不安定な立場に立たされることはなくなります。

 なお、現実には、事業者と消費者との間で行われるインターネット通信販売事業の場合、これは日本の場合でございますが、約九五%の事業者が受注確認メールを送信しております。

 こうしたことから、申し込みを受けた事業者に対して通知を義務づけることは必要ないというふうに考えているところでございます。

山本委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

山本委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案について議事を進めます。

 この際、本案に対し、塩川鉄也君外一名から、日本共産党提案に係る修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。塩川鉄也君。

    ―――――――――――――

 電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

塩川(鉄)委員 私は、日本共産党を代表して、電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律案に対する修正案について、その提案理由及び要旨を説明いたします。

 本修正案は、電子商取引における消費者保護という法案の趣旨を一層明確にするため、錯誤による意思表示の無効を制限する第三条ただし書きに関して修正を行うものです。

 第一に、第三条ただし書き後段を削除し、消費者が確認措置を必要としないとの意思表示をした場合についても、錯誤による意思表示の無効を主張できることとします。

 これは、新しい取引形態である電子商取引が操作ミスをしやすいという特性を持つことを踏まえて、消費者保護を図るためであります。

 第二に、第三条ただし書き前段にかえて、意思確認の措置であることや確認すべき内容が明示されること、必要に応じて訂正した上で誤りがないことの確認を消費者に求めることなど、事業者がとるべき確認措置のあり方をより明確にする規定を設けることとします。

 これは、消費者が誤った意思表示をすることを防ぐことにより、消費者が安心して電子商取引に参加でき、同時に、どんな措置が求められるかが明確になることにより、中小業者も参加しやすくなるものでもあります。

 委員各位が御賛同くださるようお願いいたしまして、提案理由説明といたします。

山本委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

山本委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、塩川鉄也君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、不正競争防止法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

山本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十二分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.