衆議院

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第1号 平成13年10月26日(金曜日)

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本国会召集日(平成十三年九月二十七日)(木曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君

   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君

   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君

   理事 久保 哲司君 理事 達増 拓也君

      衛藤征士郎君    小此木八郎君

      大村 秀章君    梶山 弘志君

      後藤田正純君    高木  毅君

      西川 公也君    根本  匠君

      馳   浩君    林  義郎君

      平井 卓也君    松宮  勲君

      茂木 敏充君    保岡 興治君

      北橋 健治君    後藤 茂之君

      後藤  斎君    鈴木 康友君

      中津川博郷君    肥田美代子君

      松本  龍君    山内  功君

      山田 敏雅君    赤羽 一嘉君

      石井 啓一君    土田 龍司君

      大森  猛君    塩川 鉄也君

      大島 令子君    西川太一郎君

      宇田川芳雄君

平成十三年十月二十六日(金曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君

   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君

   理事 後藤 茂之君 理事 田中 慶秋君

   理事 中山 義活君 理事 久保 哲司君

   理事 達増 拓也君

      衛藤征士郎君    小此木八郎君

      大村 秀章君    梶山 弘志君

      後藤田正純君    高木  毅君

      西川 公也君    根本  匠君

      馳   浩君    林  義郎君

      平井 卓也君    松宮  勲君

      茂木 敏充君    保岡 興治君

      北橋 健治君    後藤  斎君

      鈴木 康友君    中津川博郷君

      伴野  豊君    松原  仁君

      松本  龍君    山田 敏雅君

      赤羽 一嘉君    石井 啓一君

      土田 龍司君    大森  猛君

      塩川 鉄也君    大島 令子君

      西川太一郎君    松浪健四郎君

      宇田川芳雄君

    …………………………………

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      大島 慶久君

   経済産業大臣政務官    大村 秀章君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君

   政府参考人

   (郵政事業庁長官)    足立盛二郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 小池 信行君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議

   官)           山野 昭二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務

   流通審議官)       古田  肇君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議

   官)           桑田  始君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策

   局長)          太田信一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

委員の異動

九月二十七日

 辞任         補欠選任

  肥田美代子君     川端 達夫君

  山内  功君     松原  仁君

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  川端 達夫君     伴野  豊君

  西川太一郎君     松浪健四郎君

同日

 辞任         補欠選任

  伴野  豊君     川端 達夫君

  松浪健四郎君     西川太一郎君

同日

 理事中山義活君同日理事辞任につき、その補欠として後藤茂之君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

十月二十四日

 脱原発への政策転換に関する請願(北川れん子君紹介)(第一二九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 国政調査承認要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件




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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事中山義活君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に後藤茂之君を指名いたします。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する事項

 資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する事項

 特許に関する事項

 中小企業に関する事項

 私的独占の禁止及び公正取引に関する事項

 鉱業と一般公益との調整等に関する事項

以上の各事項につきまして、議長に対し、国政調査の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

山本委員長 この際、平沼経済産業大臣及び大島経済産業副大臣から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。平沼経済産業大臣。

平沼国務大臣 第百五十三回国会における経済産業委員会の御審議に先立ちまして、経済認識や諸課題について、一言申し述べさせていただきます。

 我が国の経済の現状を見ますと、輸出、生産が大きく減少し、失業率が最高水準で推移するなど、引き続き悪化しております。世界経済も同時減速の状況にあります。こうした中で起きた先般の米国同時多発テロ事件に関し、事件自体の影響に加え、今後の武力行使の展開などにより米国経済がさらなる打撃を受ければ、我が国経済の後退が一層深刻化するおそれがあります。

 今回のこうした世界的な危機に際し、我が国としても、国際社会と連携しつつ断固とした対応をとらなければならないのはもちろんのことでありますが、世界第二位の経済大国として、我が国経済の自律的回復を実現することは国際的な責務でもあり、情勢を見きわめつつ果断な政策運営を行っていくことが重要であります。

 経済産業省といたしましては、こうした現下の経済情勢を十分に認識し、我が国経済が本来持っている潜在力を最大限に生かすための構造改革を先手先手で強力に推進し、力強い成長と活力あふれる経済社会の構築を目指してまいります。

 そのため、少子高齢化、IT革命、環境制約の高まりなどの時代環境の変化に的確に対応した形で、イノベーションや需要の掘り起こしを積極的に推し進めることにより、新市場、産業の発展や雇用を創出するための施策をできる限り前倒しして実施してまいります。

 具体的には、例えば、技術開発の戦略的な展開、産学官連携による地域経済の再生、電子政府を初めとしたIT社会の実現、環境産業の創出につながるエコタウン事業の積極展開など、本日の経済対策閣僚会議で決定される改革先行プログラム最終取りまとめの中に盛り込まれる各般の施策に早急に取り組んでまいります。

 また近年、我が国産業の空洞化に対する懸念が高まっていますが、私は、我が国産業の国際競争力の強化を図るべく、技術革新などを通じたイノベーションの促進、高コスト構造の是正やさらなる規制改革、企業の選択と集中に向けた取り組みの推進などを通じ、我が国経済社会の国内外における発展の道筋をしっかりと示していくことが必要であると考えております。

 さらに、中小企業対策においては、新市場、成長分野に果敢に挑戦する企業や個人に対し最大限の後押しを行うとともに、不良債権処理等の影響で、やる気と潜在力ある中小企業までが連鎖的な破綻に追い込まれることがないよう、中小企業の創業、経営革新支援策やセーフティーネット対策などに万全を期してまいります。

 そうした観点から、今国会では、売掛金債権担保融資の推進などにより、物的担保に制約された中小企業の資金調達手段の多様化を図るため、中小企業信用保険法等の一部を改正する法律案を提出する予定であります。また、新事業創出促進法の改正を含め、開業創業倍増の実現に向けた支援策の充実を図ってまいりたいと考えております。

 一方、世界経済のグローバル化の進展の中で、対外経済政策を国内経済政策と表裏一体のものとして推進し、国際的な枠組みの整備等に戦略的に取り組むことが極めて重要であります。私は、この二カ月間の間にメキシコやシンガポールでのWTO非公式閣僚会議、上海でのAPEC閣僚会合などに臨みました。こうした場を通じ、私は、来月に予定されているWTO閣僚会合における新ラウンドの立ち上げに全力を傾注するとともに、アジア太平洋地域における経済分野の一層の連携強化を訴えました。さらには、日本・シンガポール新時代経済連携協定も実質的合意にこぎつけました。今後とも、WTOなど多国間の取り組み、APECなどの地域的なフォーラム、二国間での取り組みを多層的に推進することを通じ、対外政策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、先般のテロ事件に対しては、タリバーン関係者等への制裁措置、パキスタンへの緊急経済支援を既に実施したところですが、APEC閣僚・首脳会合において合意したとおり、今後とも、国家戦略物資である石油等エネルギーの安定供給の確保、原子力施設の保安対策にも万全を期してまいります。

 さらに、今月末から来月にかけては、気候変動枠組み条約第七回締約国会議が開催される予定です。地球規模での温暖化対策が真に実効性のあるものとなるとともに、その国内での取り組みが、活力ある経済や国民生活の実現に結びつき、環境と経済とが両立する形で構築されるよう全力を尽くしてまいります。またその際、エネルギーについては、安定供給、環境保全、効率化の同時達成の要請にこたえる形で政策を遂行してまいります。

 なお、特殊法人等改革については、民間にゆだねられるものは民間にゆだねるとの基本原則を踏まえ、整理合理化計画の策定に向け、所管法人の見直しに一層の指導力を発揮して取り組んでまいります。

 最後に、今後とも、国民各位の御理解のもと、経済産業行政の推進に全力を挙げてまいる所存でありますので、委員長を初め委員各位の一層の御理解と御協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)

山本委員長 次に、大島経済産業副大臣。

大島副大臣 おはようございます。お許しをいただきましたので、一言ごあいさつを申し上げます。

 このたび、経済産業副大臣を拝命いたしました参議院の大島慶久でございます。

 現下の社会状況、大変厳しいものばかりでございまして、特に中小企業を中心とした対策は、我が省にとりましても課題の多い事柄ばかりでございますけれども、古屋副大臣、また西川、大村両大臣政務官ともども力を合わせて、平沼大臣をしっかりと補佐してまいりたい、この覚悟でございます。

 どうぞ、山本委員長を初め委員各位におかれましては、くれぐれも御指導を賜りますように、また御鞭撻を賜りますように、心からお願いを申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

山本委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 経済産業の基本施策に関する件、特に中小企業問題について調査のため、来る十一月六日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

     ――――◇―――――

山本委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房商務流通審議官古田肇君、経済産業省大臣官房審議官桑田始君、経済産業省商務情報政策局長太田信一郎君、資源エネルギー庁長官河野博文君、中小企業庁長官杉山秀二君、郵政事業庁長官足立盛二郎君、法務省大臣官房審議官小池信行君及び農林水産省大臣官房審議官山野昭二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中慶秋君。

田中(慶)委員 私は、民主党の立場で、現下の経済問題を初め、ただいま平沼大臣からこの臨時国会に対する所信を述べられておりますので、関連しながらこれらの問題について質問させていただきたいと思います。

 特に、きょうは二十六日、小泉政権が誕生してちょうど半年たったわけでありますけれども、この小泉政権が誕生して以来、期待された人気とは裏腹に、経済は悪化の傾向をより強めているわけでありますし、失業率も五%という厳しい環境を迎えているわけであります。三百四十五万人というのは、横浜市の人口が三百四十万ですから、丸ごと全部が失業しているようなものであります。そんなことを踏まえながら、やはりその厳しさを含めて、しっかりと日本のかじ取りをしていただかなければいけないわけであります。

 しかし、それとは逆に、社会的には、先般の九月の十一日の同時多発テロの問題、あるいは、テロの影響かどうかは別問題として、株価の一万円を割る問題、さらに狂牛病問題等々含めて、まさしく日本の危機、あるいは危機管理そのものが問われる、こういう昨今であったわけでありますけれども、大臣、あなたは、通常国会が終わって今日まで、具体的なこういう環境の中でどのような経済施策を発信されているのか、見えてこないわけであります。

 私は、今回夏休みを通じて多くの中小企業を訪問させていただきました。幾つかの問題点をこれから指摘し、質問させていただきたいと思います。

 このような環境の中で、中小企業の経営というのはより厳しい環境にあるということを再認識しながら、これらに対する政府の取り組み、ましてこの担当であります経済産業省の取り組みというものが、半年たった小泉政権とあわせて具体的に何も見えてこない、これが実態であろうと思います。

 今求められているのは、護送船団方式ではない、モーターボートのような回転の速い、スピードのある、こういう政策が求められているにもかかわらず、総理は構造改革なくして景気対策はないと、その閣僚である平沼大臣はそれをどう受けとめてどのような具体的な政策をやろうとしているのか、まず冒頭にお聞きします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、日本の経済の現状というのは非常に厳しいものがあると思っています。全国に約五百万社あると言われている企業の中で、九九・七%が中小企業と言われています。特にその中小企業に対して厳しい状況が出ておりまして、中小企業の倒産というのが一万八千四百件、バブル直後の平均が一万五千百件、こういうことを考えますと、大変深刻な状況に相なっています。企業の収益性も低下しておりますし、設備投資も鈍化しています。そういう中で、本当に今の日本の経済というのは大変な状況になっています。

 そういう中で、小泉政権が発足して半年たちました。その中で何も見えてこない、こういう御指摘でございますけれども、我々といたしましては、この厳しい雇用に対して、その雇用を確保するということがやはり非常に大切である、こういう認識の中で、一つは、足元のそういう雇用対策のほかに、やはり中長期的に見て雇用を吸収する仕組みをつくらなきゃいけない。そして、今全国では、新規に業を起こそうとする人が大体百二十万人あります。そして、実際は、いろいろな制約で十八万社しか新規事業を起こしません。そういう中で、その新規事業を起こす方々は、土地担保もない、保証人もとりにくい、あるいは自己資金もない、こういう形で、我々としては、新規に業を起こしやすい環境をつくっていく、その制度をつくろう、むしろ事業計画に着目をして迅速にそういう開業資金を出して、その中で、今、十八万社しか新しく新規産業は誕生しておりませんけれども、それを倍増しよう、こういう形を具体化させていただいています。

 また、特別保証制度というのを、三年間中小企業の方々にある意味では大変利用していただきました。これは、委員御承知のように、三月三十一日で締め切りまして、百八十万を超える企業の方々に利用をしていただいて、二十九兆を超える保証をさせていただきました。

 その中で、この四月一日からは、新しい保証制度という形でこれを展開いたしまして、事実上、八千万円を倍増の一億六千万まで保証させていただこう、こういう体制ですけれども、現下の状況が厳しいわけでございますので、私どもとしては、既往の債務に関して本当に日々努力をされて返済していただいている、そういう方々には、やはりその状況を見ながら条件変更をさせていただこう、こういう形で、条件変更にもきめ細かく応じさせていただいています。必ずしも十分じゃないかと思いますけれども、もう既に九万件を超える条件変更にも応じさせていただく、こういう形で対応もさせていただいています。

 また、さらに、これはこれからお力をいただかなきゃいけませんけれども、やはりこれからが一番厳しい時期に入ると思いますので、今、企業の方々は、本当に、土地担保を提供するというのも制約があるし、これ以上保証人をつけられない、こういう状況であります。そういう中で、やはり全国の中小企業を眺めてみますと、いわゆる土地担保というものが九十一兆ある。これはがんじがらめになっています。現金預金が七十八兆ありますけれども、これは手をつけられない。しかし、もう一つ大きな固まりで、八十七兆という売り掛け債権があります。ですから、その売り掛け債権にやはり着目をして、そしてそこを保証させていただいて今苦しい時期を乗り切っていただこう、これはこの臨時国会でぜひお願いをしよう、こういうふうに思っております。

 そういうことで、まだまだそれは十分じゃないかもしれませんけれども、さらに、今お困りの方々、例えば特別保証を受けられた方々、そういった方々に、既往のものに関して条件変更ということも今言わせていただきましたけれども、やはりさらにフレキシビリティーを持って応じさせていただいて、そして一生懸命頑張っておられる方々に対して、私どもとしては、本当に一生懸命に経済対策、雇用対策、それをやらせていただかなければならないと思っています。

 また、今申し上げましたそういうもののほかにも、これも委員御承知だと思いますけれども、補助教員など公的部門における雇用の創出でございますとか、また、失業者がどうしてもこれは出るわけでございまして、公共職業訓練を受講する失業者に対しては失業給付の期間を延長する制度、いわゆる訓練延長給付金制度の拡充、これも図っておりますし、それから、自営廃業者に対する生活資金貸付制度の創設、これも我々は力を入れてやらなければならないと思っております。

 また、今もちょっと触れましたけれども、取引先企業の倒産でありますとか金融機関が破綻する、そういうことで不当にその連鎖の中に巻き込まれる、そういうおそれに直面している企業の皆様方に対して、特に中小企業の皆様方に対して、セーフティーネット保証及び貸付制度の充実、こういうこともやらせていただき、そういうふうに我々は努力をさせていただきたいと思います。

 確かに、まだ十分じゃない面もありますけれども、さらに現状をしっかり見きわめて最大限の努力をしてまいりたい、このように思っております。

田中(慶)委員 大臣が今述べられていることは、大臣がやろうとしていることであって、しかし、保証協会であろうが、現場はそういうふうに動いていない、これが実態なんです。

 あなたは先ほど、マル特、特別融資の問題で、百八十万件、二十九兆円と。あなた、これはどういうふうに使われていると思いますか。この二十九兆円は、ある面では銀行救済に使われたようなものですよ、はっきり申し上げて。銀行は、この融資額から今までの返済額を差し引いてやっていますから、この二十九兆円は丸ごと中小企業へ行っていないのです。これが実態なんです。これと同じように、保証協会そのものも、都銀あるいは一般の金融機関と同じような、土地担保、保証制度等々の問題を含めて、現実にこのことが大臣が言われているようなことになっていない、こういうことですよ。

 実は、この一カ月余りに、私の友人が三人も自殺したのです。大臣も知っている中堅の建設会社の社長、世界的に有名な方だったのです。これも銀行に殺されたようなものですよ。私の同級生も、ちょうど一週間前亡くなりました。これも同じようなことです。昨日お葬式があった三十三歳の酒屋さん。三人目の子供が生まれて、子供の顔を見ないで、これも同じような厳しい取り立てに遭って死んでいったのです。こういうことが日常茶飯事行われているわけです。あなたが今言ったようなことが全部浸透していれば、こんなことが起きてこないのですよ、現実問題として。もう自殺者が交通事故より多いのですよ。それも経営者の人たちですよ、ほとんどが。

 それは、あなたが今言われているような具体的な担保の問題。今まで土地担保。今度売掛金が担保になりましたから、一部前進するでしょう。土地は国によって下げられたのです。国土法というものが前ありまして、上がりをとめました。しかし、下がることに対して全然とめなかった。結果的に、担保割れでみんな苦しんできたのです。

 私は、先ほど、モーターボートの政策をしなきゃいかぬ、スピードのある、回転のいい、こういうことを申し上げました。行政はそれを特に望まれているのです。あなたのかじ取り次第で、中小企業というのはたくさん助かっていくのです。ところが、言っていることと現場は全然違う。保証協会等々については、もっと厳しくやっていかなければいけないわけであります。保証協会の話は本当はもっと後でやるつもりだったのですけれども、あなたが保証協会の話をされておりますから。

 特に、あなたは先ほどから、新しい雇用の創出、ベンチャーということをよく言われております。しかし、今ベンチャーが育つ環境にありません、はっきり申し上げて。そういう雰囲気になっていないのですよ。あなたが言っていることと全然違っているのです。土地担保であった、そればかりじゃなく、個人保証や連帯保証、こういうことですよ。そして、政府は、この中小企業金融について、連帯保証等の問題を含めながら、元本返済については、ケース・バイ・ケースで、返済猶予を弾力的に行っているということですけれども、全く行っていないと同じです。

 私は、夏にかけて、約百五十社のいろいろな経営者の人たちとお会いした。九八%の人たちがこのことに悩んでいるのです。仕事がなくなりました、返済は全く変わっていない、これが実態なんです。そういう中で、あなたが今言われたような元本返済の猶予、現実にやっていませんよ。それならば、ケース・バイ・ケースじゃなく、すべての、それぞれの中小企業が選択をして、そのことに対応できるようなことにするのが大臣の仕事でしょう。

 ケース・バイ・ケースなんというのは、行政というのが、あるいは、保証協会そのものが行政と全く同じようなものです。天下りで全部占めているのですから。銀行の出先、それぞれ地方自治体の幹部は全部天下りです。その人たちがやるというのは、まさしく銀行を横にらみしながらやっているわけですから、返済猶予なんというのはほとんどありません。それだったらば、三年間なら三年間というものを元本凍結して利子だけ払ってもらう、このことだけやっていただいたって中小企業はどれだけ助かるかという声を私は生で聞いてきたのです。

 これは、私だけじゃなく、現場の声としてあなたは受けとめて、これにどう対処するか、まず大臣の考え方をお聞かせください。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のいわゆる特別保証制度というものが、百八十四万件に利用していただいて、二十九兆を超える保証をさせていただいた。これが全部銀行だというような御指摘がありましたけれども、これは、私も全国を回らせていただいて、中小零細企業の方々にお会いすると、やはりあれで本当に助かったのだ、こういう声もよく聞きます。

 ですから、本当に残念ですけれども、金融機関で、おまえ、あの特別保証を借りてこいといって、そして、それを自分のところの返済に充当する、こういう忌まわしい例は確かに御指摘のとおりあったことは事実だと思います。また、間にあっせん業みたいなものが入って、そして、おれが集めてやるからといって礼金を取る、こういう制度を悪用する形であったことも事実でございます。しかし、あえて言わせていただくと、大方はある意味ではいい方向で御利用いただいたのじゃないか、私はこのように思っています。

 それで、信用保証協会に関しましてのあれでございますけれども、中小企業におきましては、企業資産と経営者個人財産が一体化していることが多いわけであります。中小企業向け融資において経営者の個人保証を徴求するということは、これは一般的に行われていることでございまして、米国の金融機関におきましても、中小企業の融資については代表者を保証人とすることが一応一般的であります。

 ですから、信用保証制度に関しても、このような実態を踏まえれば、信用保証協会が保証に際して経営者を保証人とすることも、ある意味では一定の合理性があるとは思っております。

 仮に、今、信用保証協会が個人保証をとることを一律に禁止をいたしまして、かつ、信用補完制度全体としてのリスクを一定範囲内に抑えるようにすれば、むしろ、中小企業者に対する保証可能額全体としての縮小等を招くことになりかねず、中小企業の円滑な資金調達にとって、ある意味では大きな問題が生ずることになりかねないと考えております。また、個人保証というのを一切徴求しないこととしつつ、これまでと同じような規模の保証承諾を行おうとした場合には、信用保証制度に係る収支が著しく悪化して、国民の負担増を招くということがあります。

 現行の信用保証制度に関して、今ほとんどそれはないと御指摘でございましたけれども、やはり先ほど申し上げたように、現下の厳しい状況を踏まえまして、現場の声をよく聞いて、そして既往の債務に関しては弾力的に誠意を持って対応する。こういうことで、一応九万件ぐらいの条件変更というのは事実としてあるわけであります。

 したがって、信用保証制度においても、やはり御提案の、元本を少し棚上げをして、そして利息の払いだけ、こういうことも条件変更の一つだと思いますけれども、しかしその制度というものは、やはり実態を見て、本当にお困りで、さらにこの企業というものが、そこでしっかりと条件変更していけばさらに力が出てくる、そういう可能性のあるところにすれば、私は効果はあると思いますが、いいところも悪いところも含めて一律にやりますと、本当に、さっきも申しましたように、必要のない方々も利用して全体の額が縮小するというような形にもつながります。

 そういうおそれもありますので、私どもといたしましては、これから今の実態を踏まえて、もう少しきめ細かく、本当に経営者の方々のお話を聞きながら、そして既往の債務、それからこれからの問題に対しても、私どもはできる限り弾力性を持って対応していく、このことで当たらせていただきたい、そのように思っております。

 また、もう一つ言わせていただきますと、小規模企業者に対して、無担保無保証人、本人保証もなしで信用保証を行う特別小口保険制度を実施しております。現在、本制度の一層の拡充を、こういう現下の情勢を踏まえて図らなければならないと思っておりますので、中小企業信用保険法の改正案を、こういう問題に対処するために、今国会でお願いをして、きめ細かい対処もさせていただきたい、このように思っております。

田中(慶)委員 限られた時間ですから、要領よくお願いします。

 特に、あなたは今、その三十兆円の問題等についても、現実にはもう少し現場を調査された方がいいと思いますよ。そうではない。いろいろな厳しい、今までの返済を棒引きされる例が半分近くあるわけですから。そうすると、仏つくって魂入れずということになるのですよ。こういうことですよ。今の保証協会の問題もそうです、はっきり申し上げて。現実に、それぞれ条件変更しますでしょう。条件変更したら、次はもう貸してくれませんよ。幾ら運転資金が、今すばらしい受注があろうとしても、条件変更したところへほとんど貸してくれません。これが実態なんです。

 ですから、極端なことを言えば、借金取り立てというような状態で厳しい環境になってくると、それぞれ今のような延滞をしたり、いろいろなことをしてきますと、もう家族の保証人から親戚の保証人すべて、身ぐるみはがすような状態でやられているのですよ。そして、最終的には競売にかけられる。国が担保している保証のあり方を考えると、こんなところまでこのようなことをやらなくても、何らかの方法を考えるべきではないか。

 極端なことを言えば、今の保証協会制度そのものは官製であるから、競争が何もないのです。ですから、ある面では、それぞれお金がたくさん今余っているわけですから、そういうところを含めて、今のようなABCランクでもいいですよ、金利負担が若干違っていても、競争のできるような保証協会、保証制度のあり方、そんなことを取り入れていけば、もっともっと活力のある、あるいはまた中小企業が安心してこれから仕事に邁進できる、これを発信するのが大臣の仕事だろうと私は思うのですよ。

 ところが今、そうではない。皆仕事がなくなった、金繰りに困っている、結果的に保険を掛けて自殺をする、これが実態なんです。あなた自身が、こういうことに対する対策をちゃんと立てていかないといけないと私は思います。

 交通事故で一万人死んだらば、国を挙げて交通事故対策をしながら、国家規模でやっているでしょう。経営者が一万人亡くなっても、経済産業省を初め国がそのことに総力で取り組んでいるとは私は思えない、はっきり申し上げて。むしろ、中小企業がさらに困っているにもかかわらず、それに愛の手を伸べてやらないというのが今の役所の実態であり、あるいは経済産業省のある面では実態ではないか、私はこんなふうに思っているから申し上げているのです。

 例えば、大臣、いいですか、同じ閣僚でありながら、財務担当の塩川大臣はこういうことを申しているのですよ。今年度のGDPはマイナス成長を容認する、こんな発言をしているのです。皆一生懸命努力をしているさなかにこんなことを言ったらば、より精神的に、皆いろいろなことを含めて厳しくなる、それで自己防衛に走る。こんなことをすべての機関がやってごらんなさいよ。しわ寄せは一番中小企業に行くでしょう。こういうことを大臣はどう認識されているのか。

 私は、ある面では日本全体の経済産業の責任者として大臣の責任は重い、このように思うのですよ。その辺を含めて答弁してください。

平沼国務大臣 先ほど委員は、御友人の中小企業の経営者の方々が自殺をされた、それから交通事故の死亡者を上回った企業経営者の自殺があると。

 私も、その数字、実態はよく承知しておりまして、これはかつてないことでございましたけれども、日本では今自殺者が三万人を超える。その中で、交通事故で亡くなる方が一万人をちょっと切る。しかし、特に中年以降の男性の経営者の自殺というのが、一万二千人ぐらいの大変大きな数になっている。これはやはり本当に深刻な実態だと私は思っています。そういう中で、でき得る限り、経済産業省は中小企業対策をするために中小企業庁を設けて対応させていただいています。

 今、信用保証協会はほぼ官製であって競争原理が働かない、こういう御指摘がありました。中小企業に関しては、大企業に比して、債務不履行の発生率等信用リスクに関する情報の蓄積が非常に不十分だ。一般的に、金融機関は信用リスクを適正に反映して、金利によって中小企業に対して融資を行っています。

 そういう実態の中で、経済産業省としては、こうした問題に適切に対応するため、信用保証協会及び金融機関が有する膨大な数の取引先中小企業の情報をもとにして、中小企業の信用リスク情報に関するデータベースを今構築しています。中小企業の財務状況とリスクとの相関関係を解析する、CRDプロジェクトと言っておりますけれども、これを推進して、本年四月から、全国の信用保証協会において試行的な運営をやっています。そうしますと、横の連携というものがとれて、そしてある意味では、信用保証協会というのは、業務にそういったことを適切に活用することによって、余り画一的でお役所業務にならないようなこともできると思います。

 ただ、今の段階で競争原理を働かせて新たなものを設置するということは、検討に値する御意見だと思いますけれども、今そういう御批判のある信用保証協会のいわゆる機能というものをもっともっと民間の方々が本当に理解しやすい、そして利用しやすいように私は変えていかなければならないと思っています。

 また、先ほど、財務大臣の御意見を開陳をされて御指摘がありました。今非常に厳しい経済状況の中で、やはり小泉内閣の方針というのは構造改革を一番にしなければならない、それを受けての財務大臣の御発言だと思っています。私どもとしても、やはりこの構造改革ということ、あるいは規制緩和を徹底してやっていくこと、それによって新たな活力を生み出すこと、そのことは必要だと思っています。

 しかし、わけてもその中で、限られた補正予算でありますけれども、中小企業対策としてやはり一番優先順位を置いてきめ細かくやっていかなければならない、そんなふうに思っておりまして、本当に厳しい情勢の中で、私どもとしては、この中小企業に対してはやはり最優先の政策課題だと思って取り組んでいく、こういう腹づもりで頑張らせていただきたいと思っています。

田中(慶)委員 あなたの認識、金融機関に対する認識は若干違うと思いますよ。

 今、金融機関は、はっきり申し上げて、都銀と地銀と信金含めてみんな同一条件でやっているんです。BIS規制によって、自分たちの資産といいますか、不良債権、こういうものに対する厳しい国からの指導があるものですから、お金が貸したくても貸せないんですよ。ですから、保証協会も含め、銀行も含めて、貸し渋り、貸しはがしをしているのが実態なんです。

 あなた、そういうきれいごとを言っちゃだめですよ。現場は本当に厳しいんですから。そういうことを言っているかじ取り役じゃ、日本の経済は務まらないと思いますよ。きれいごとじゃない。本当に生きているんですから、経済は。私は、そういうことを今のような形で平気で述べられる大臣の資質を疑いたい、はっきり申し上げて。

 例えばあなたの、このITの問題についても、平沼プランというものが打ち出されておりますでしょう。ITそのものが大変厳しい環境になっているんです。二〇〇四年までに、少なくてもあなたは、これからこの二百五十万人等の問題を含めて、先ほども述べられた新規開業の問題、十八万社云々という問題、そして着実にこの具体的なこれからの雇用創出を進めていきたい、こんなことを述べられている。

 しかし、大臣がそういう平沼プランを出した時点と今日では全然違う、はっきり申し上げて。やりたいということと現実というものは全然違うんですよ。私は、少なくても、この平沼プランなり、もう一度直して発表する必要があると思いますよ。二百五十万の雇用がどんな形でできるのか。まして、一昨日の新聞でも、半導体を含めて日本に集中的に安売り攻勢をかけてきているんでしょう。こういう環境の中で、あなたが言っているような雇用の創出、こんなことは絶対に私は今無理だと思う。

 このことを含めて、あなたはもう一度新しく構築、見直しをする必要があると思いますけれども、考え方を聞かせてください。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 確かに、今、日本、世界のIT産業というのは非常に厳しい状況になっています。アメリカにおいても、九〇年代あれだけ大きな成長を遂げたIT産業も今リストラの段階に入っています。そしてまた、日本におきましても、一連の大手IT関連企業がリストラ策を発表して、また、大変な生産の縮小をやっています。

 しかし、大きな目で見ますと、これでIT産業がなくなって、壊滅するとは私は思っていません。やはり、第一段階から第二段階への移行期にあると思っています。ですから、そういう意味では、中長期的に見れば、私は第二の大きなITの波、これは必ず起こってくると思います。

 そういう中で、e―Japan構想の中におきましても、今どんどんいわゆる高速ネットワークの整備をしておりまして、三千万世帯をこれは二〇〇五年までに高速化し、さらにそれに上乗せして、一千万世帯を超高速で結ぶ、これも今着々進んでいます。しかし、同時に、やはりデジタルデバイドといって格差があってはいけませんから、これは我が省を中心として、全国でそういうITに習熟する、そういう人材の育成、研修会、講習会をやっていまして、これは予想外に皆さん方が関心を持っていただいて、参加者も多い、そういうことですそ野もできつつあります。それから、今後ITというのは、やはり家電ITという形で伸びていく素地があると思う。

 ですから、そういう中で二百五十万の雇用というのは今の現状を見ると非常に厳しい、そういう認識はある意味では当然出てくる認識だと思います。しかし、今いわゆる中長期のスパンでやっているそのe―Japan構想、その中に平沼プランも入っておりますけれども、これを着実にやっていけば私は二百五十万の雇用を創出することも夢ではないと思っています。

 したがいまして、私どもとしては、その構想自体を根底的に見直すということを今する必要はないと思っておりますけれども、しかし、現下の御指摘のいろいろな問題があります。それに対しては、やはり足元の雇用を創出する、また失業者対策をする、さらには中小企業に対するセーフティーネットを構築する、そういう形で私どもは対処をしてまいりたい。

 ですから、まだ日本はポテンシャリティーがあると思っていますから、そういう中で総合力を発揮して、そして頑張っていけば、私は必ず日本というのは立ち直る、こういうふうに思っております。

田中(慶)委員 立ち直ることは間違いないと思いますが、あなたのプランは二〇〇四年までですよ。二〇〇四年までに二百五十万と言っているから私は指摘をしているんですよ。長期的に見てそういうことは可能だと思いますよ。しかし、あなたは具体的に二〇〇四年までということを含めて言っているんです。だから、私は見直しが必要だろうと申し上げているわけです。

 例えば、今度の補正予算、三十兆円の問題についても、あなたはその辺をどう理解するのかわからないけれども、先に三十兆円の枠ありきでしょう。私はそうじゃないと思うんです。このようないろいろな社会環境やいろいろなことを含めて考えていくと、景気対策を初めそのことを最重要視して、結果的に三十兆円になるのならともかくも、三十兆円ありきでぼんぼんいろいろなことをやっている。これはおかしいと思う。やはり、時代なり、背景なり、社会環境によって全部組み替えをしていくのが普通だと思う。ところが、そうじゃない。ばかの一つ覚えみたいに、三十兆、三十兆とやっている。私はそうじゃないと思うんです。そのことをしっかりとあなたに申し上げておきたいと思いますよ。

 あなたはどちらを選ぶのか言ってください、簡単でいいですから。

平沼国務大臣 私は小泉内閣の閣僚であります。したがって、首相が、総理がそういう基本方針であれば、閣僚として、私はその中で全力を尽くすのが私の本分だと思っています。

 総理の所信表明演説の中に、やはり不測の事態が起こったら機動的、大胆、柔軟に対応する、そこに総理の考え方が盛り込まれているんじゃないか。したがって、厳しい状況になれば、委員がおっしゃるように、そして所信表明にもあるように、やはり機動的そして大胆にやるべきだ。日本では二兎を追う者は一兎をも得ず、こういうことわざがありますけれども、まだ日本はポテンシャリティーがありますから、やはり絶対的に構造改革は第一義でやっていかなきゃいかぬけれども、同時進行でやはり積極策もやる、そのことは私は十分検討に値する、政治家個人としてはそういう考えを持っております。

田中(慶)委員 いずれにしても、今の厳しい環境を含めて日本経済のかじ取りをしていかないと、大臣というものはそれだけ重い要職にあるということを認識していただきたい。

 さて、大臣、お聞きします。

 あなたは委員会というものをどう思っているか、答弁してください。

平沼国務大臣 私も、かつて議運の委員長も務めさせていただきました。ですから、国権の最高機関たる国会において具体的な法案を審議し、そして立法をする、そのための重要な機能を持っているのが委員会だ、このように思っています。

田中(慶)委員 さて、さきの国会で、石油公団すなわち石油備蓄法の問題で、石油公団というものが、今の時代、大きな社会情勢とあわせて考えたときに、このネーミングを変えながらでも、新しい時代に即応するような日本のこれからのエネルギーのあり方として、国家戦略としてやるべきだ、こんな議論をさんざん私どもの同僚含めてやってきたところであります。

 そして、あの備蓄法に、少なくとも名前を変えたらどうだ、あるいは日本のこれからのエネルギー政策の具体的な問題をそこに取り入れたらどうだ、こんな提案をしましたけれども、あのときは、一言一句たりとも修正はできない、こういうことだった。そして、最終的に、五年というものを三年にしただけで終わったわけであります。

 その舌の根が乾かないうちに、どうですか、今度は、特殊法人の改廃のときに石油公団を一番最初に挙げて、それを容認しているのが大臣でありあるいはエネルギー庁長官でしょう。委員会の無視じゃないか。委員会審議を無視していることですよ、あなたたちがやっているのは。我々の提案には耳を傾けない。おかしいじゃないですか。あなたが今そこで答弁してきていることとやってきたこと、そして今またやろうとしていることはおかしいんじゃないですか。どう考えますか。

平沼国務大臣 委員御指摘のように、さきの通常国会におきまして、石油備蓄法や石油公団法の改正法案等について当委員会で御審議をいただいて、石油公団の役割を含む自主開発政策や備蓄政策の意義、さらにはエネルギー政策全般にわたる幅広い御議論を経て、そして御了承をいただいたところであります。

 小泉内閣のやはり基本方針として、民間でできるものは民間で、地方でできるものは地方でやろう、それが構造改革である、こういう形で基本方針が出ました。

 そこで、やはり日本の将来を考えたときに、その基本的な考え方、これは正しい、そういう中で石油公団の廃止ということもそれは一つの方法である。ですから、石油公団を廃止することは構わないけれども、しかし、三つの条件というのは絶対に堅持をしなきゃいけない。

 それは、御審議の中でも皆様方に御指摘をしていただきましたけれども、例えばエネルギー資源を海外にほとんど頼っている我が国として、そのエネルギーの主要な半分以上を占めている石油、それの自主開発、それに対するいわゆるリスクマネーを伴ったそういう開発の機能、あるいはまた石油備蓄というようなもの、技術、そういうものはやはりしっかり国として担保をしなきゃいけない、その前提の中で民営化をしていこう、こういうことであります。

 確かに、そういう中で、名称まで御指摘をいただいて、石油公団、こういうもののあり方を御審議いただきました。私どもも、その御提案というのが、その時点では、それは首肯に値するという形で、三年、こういう期限をつけさせていただいて、そういう方向でやらせていただきました。しかし、それは一つの御意見ですけれども、御意見の中には、この委員会でも、公団、特殊法人、そういうものは廃止すべきだという御意見も実はありました。

 そういう中で、本当に無視をしているということじゃなくて、今、内閣の方針ですとか、その御論議を通じたそういう中で、ある意味では、その内閣の方針にのっとって、私どもとしては、この廃止、そういう方向で今作業を進めています。

 ですから、委員会を軽視しているとか無視している、こういうことではないということを御理解いただければと思います。

田中(慶)委員 あなた、それは詭弁ですよ。さきの委員会は、小泉内閣が誕生してからの委員会ですよ、少なくとも。

 そして、我々は、特殊法人を含めて、議事録を見てください、必要のなかったものはもう廃止する、地方自治体や、あるいはまた民営化できるものは民営化する、あるいは独立行政法人として残すもの等々を含めて議論したわけですよ。そのときに、石油公団というものは、あなたを含めて長官、最後まで見直し反対。小泉内閣かわったんですか。冗談じゃないですよ。だから委員会軽視と言っているんですよ、私は。それは、その都度その都度そんな形でころころ変わっていたら、国の方針がめちゃくちゃに変わることですよ。大臣がかわって総理がかわったわけじゃないですよ。だめだ、そんなことを言ったんじゃ。

平沼国務大臣 私もちょっと議事録で、私の答弁があります。

 小泉内閣総理大臣は、五月の所信表明演説におきまして、日本経済の再生に向け、経済、財政、行政、社会の構造改革に取り組む旨表明されました。国の事業について、民間でできることは民間にゆだねるなどの原則に基づいて、特殊法人等についてもゼロベースから見直しを行うべき旨述べられております。そういう意味からも、石油公団も当然見直しの対象になっていると思います。

 こういう形で私は答弁をさせていただいています。

 ですから、そういう流れが私はあったと思います。

田中(慶)委員 だから、私はそのときに指摘をしたと思うんですよ。ネーミングをどうですか、そういうことを含めてやったんですよ。ところが、ノーということですよ。そして、舌の根が乾かないうちにまたそれを第一に挙げて、皆さんが一緒にその廃止に取り組んでいるというのは私は納得いかない。委員会でそういうことを提言しなければ、そうじゃないですよ、公団は必要だし、一言一句たりとも直すことはできない、こういうことだったんですよ。

 やはりその辺を含めて、どうですか、河野さん。あなたはそのことをちゃんと主張していたじゃないですか。そして、今黙っているというのはおかしいぞ。

河野政府参考人 さきの国会で、先生方の大変御熱心な御議論をいただきまして、自主開発について、その重要性を認めていただきました。その一環として、資産買収について石油公団が支援をするということについてもお認めいただきました。また、石油行政について申し上げれば、例えば備蓄については、さらに合理化の余地があるのではないかというような御指摘も実はいただいたわけでございます。

 ただいま大臣が、石油公団のあり方については、種々検討し、対応しつつあるわけでございますけれども、三つの国としての基本的な役割をしっかり守っていくというふうにお答え申し上げましたことは、さきの国会で先生方に御理解をいただき、また御注意いただいた点を十分反映しながら考えていく、そういうプロセスの中にあるんだというふうに私は思っております。

田中(慶)委員 いずれにしても、そのように、委員会で、我々は、少なくとも大きな国の政策その他、与党、野党関係なく議論してきたつもりですよ。ですから、こういうことを申し上げているのです。委員会で言ってきて、政権がかわったわけでもないのに、まだ何カ月もたたないうちからそういうふうにころころ変わっては、委員会の審議はできませんよ。そのことをよく考えてください。

 そこで次は、不当販売等の問題について、大臣を含めて質問させていただきたいと思います。

 最近のデフレ経済の中で、中小企業が厳しい状況に置かれているわけであります。中でも例えば、皆さんも御承知のように、特に対象になっているのは酒とかプロパンとかあるいはガソリンとか牛乳とか。ガソリンや牛乳は今、水より安いのですよ。大臣はそんな経験をしたことはないかもわかりませんけれども、それが実態です。まして酒屋さん、これは酒税という形で国に協力をいただいているわけでありますけれども、何十年続いた酒屋さん、三十三歳の青年が自殺をした、先ほどその例を申し上げました。それは大変不当廉売に遭っているからなのです。公取は全然その機能を発揮していないのです。

 安売りのところの売価と小売の仕入れ、ほとんど同じ、あるいは仕入れの方が高い。それはなぜか。公取に言うと経営努力だと。そうではない。リベートは本当は禁止しているのですよ。リベートという名のもとに、少なくても、広告協力金であるとかあるいは協賛金であるとか、さらには販売員の手伝いとか、こういう名のもとに、結果的に間接経費が全部安くなっているのですから、安くできるのは当たり前ですよ。これが実態なのですよ。

 ですから、昭和五十七年、少なくても全国で九万軒あった酒屋さんが約四割減って五万五千軒、逆に量販店は一七%ふえている、これが実態なのです。そして、公取にいろいろなことを言うと、調査中、検討中、そしてそれをまたさらに詰めると、人手がなくて担当者がいない、これが実態なのです。

 こういうことを含めて、大変な厳しい環境にある中で、大臣は、公取もあなたの下に組織上はあるわけですから、こういう一連のことを含めて委員長と話し合ったことがあるかどうか。それから、委員長はこの実態をどう把握してどう対処されているのか。こればかりではありません。プロパンの問題も私は申し上げました。そして省令が出されておりますけれども、実態的にはその省令どおり動いていない、これが実態であります。

 ですから、大企業の味方をするのが公取で、中小零細の味方はだれもしてくれない、経済産業省やあるいは中小企業庁がこれをしてくれるのだと思っていたら、全然それはしてくれない、これが実態なのです。

 このことを大臣はどう認識し、あるいはそれぞれの委員長、長官は、どう大臣と話されて、そしてその解決策にどう努められているのか、お聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 私も、地元に最近は余り帰らないのですけれども、地元の支援者の方々で酒販業を営んでいる方々から、量販店が街道沿いにできて、その影響をもろに受けて本当に厳しい状況になっている、そういうことはじかにお聞きしています。そして、今先生御指摘のそういう実態も承知をしております。

 この件で私が公取の委員長とさしでお会いをして話し合ったことはございませんが、ただ、役所としては、問題意識を持って、常に公取とは連携をとりながら、その問題に対処をさせていただいております。

 そういう意味では、例えば、もう委員はよく御承知だと思いますが、ガソリン、そういう不当廉売に対しては、我が方からも九名の要員を出して、そして実態を調べるとか、そういうこともやらせていただいております。それから、今まで相当日数がかかっていたのですけれども、私どもからそういう要員を出させていただいたことで調査期間が半減できた、こういうことも実態としてございます。

 今現在におきましても、情報提供でございますとか意見交換を行うなど、適切な連携体制の維持強化には努めておりまして、これからさらに、長い間、代々酒販を業として、あるいはガソリンスタンド、そういうものを経営されてきた、そういう方々の非常に苦しい実情、それを公取と連携をとりながら、よく実態を把握しながら適宜適切な措置をしていかなければいけない、このように思っています。

根來政府特別補佐人 この問題は委員のみならず各政党の委員の方から強い御要望がございます。私どもはある意味では四面楚歌の立場にあるわけでございますけれども、これは一つの考え方といたしまして、規制緩和あるいは規制撤廃ということになりますと、当然光の部分と影の部分があるわけでございます。その影の部分をどうするか。今御指摘の部分は影の部分でございまして、それをどうするかという問題であろうかと思うわけであります。

 私どもは、その影の部分をできるだけ少なくするという意味で、不公正な取引方法をどうするかということについて日夜苦闘しているわけであります。先ほど御指摘のありました人員の問題もございますし、それから事の性質上、不当な廉売なのか不当でないのかという線引きが非常に難しい点がございます。また、リベートの問題もどういうふうに考えるのかという問題がございます。いわゆる理屈の問題と現実の問題をどう解決するかというのは、非常に難しいわけであります。

 ただ、そうはいいましても、理屈だけで行政をやれるわけではございません。確かにおっしゃるように、中小企業の、特に零細小売企業の方が非常に迷惑しているということは私を初め委員も事務の者もよく認識しているわけであります。

 そこで、先般お許しいただきました差しとめ請求というような制度も導入いたしましたし、私の方も不当と不当でない廉売のガイドラインというのもつくりました。それから昔の通産省、今の経済産業省と、あるいは大蔵省あるいは今の財務省、これは国税庁といろいろ連携をとりまして、連絡をとり合っているわけであります。また、職員の点につきましても、国税庁あるいは昔の通産省からも応援をいただいているわけです。

 そういうことで、できるだけ皆さん方の御要望に応じるように、あるいは中小企業、零細企業の保護に当たれるように努力しているのでございますが、御指摘は、隔靴掻痒というところがございますけれども、もう少し時間をいただきたいというふうに思っているわけであります。引き続きその方向で努力したいと思っております。

田中(慶)委員 やっているということはわかりますけれども、やはり何でもタイミングの問題です。事が既におかしくなってからそれをやってもしようがない。

 独禁法というものがあって、法律が悪いんだったらそれを立法府として我々は直さなければいけないし、あるいは、今ガイドラインの問題も言われました。しかし、そういうガイドラインをつくっても、みんなまたくぐってやっているんじゃないですか。日の当たるところ、陰の者と言われました。中小零細企業の人たちを日陰者にしちゃいかぬですよ、あなた。それをしないのが公取の仕事ですよ、大臣の仕事ですよ。よく話し合ってやってください。

 時間も参りました。実はセーフガードの問題が、中国との問題も含めて、切れるわけですし、今の厳しい経済環境の問題、これらの問題を含めて、あるいは半導体が不当廉売といいますか、そういう価格の問題で提訴する問題、いろいろなことがあるようであります。このセーフガードの問題について最後に大臣の考え方を聞かせていただいて、私の質問を終わります。

平沼国務大臣 これは中国との間の野菜三品目のセーフガード、この問題だと思います。これに関しましては、四月からいわゆる暫定措置、こういう態勢に入っておりまして、関税割り当てという形で今やっております。その一つの期限が、本発動に移行するかどうかというのが十一月八日、迫ってきております。

 まず、朱鎔基首相と小泉首相の会談の中で、お互いにそれぞれ経済的に多岐にわたった関係もある、今後ますます経済関係が緊密化してくるとこういうことも発生をしてくるから、やはり両国の将来にとって話し合いでやろう、こういう話がありました。その基本方針の中で、江沢民国家主席との間でもそういう合意ができましたので、今、十一月八日に向けて私どもとしては話し合いというベースで作業を進めています。

 しかし、いずれにいたしましても、これはWTOという国際ルールにのっとって、我が国はちゃんとしたデータに基づいて発動していることでありますから、私どもは、その一つの基本というものを踏まえながら、しかし両国の将来を考えたときに話し合いもやはり一つの方法だ、こう思っておりますので、その話し合いを基調としながら、WTOの基本方針を守りながら交渉を進めていきたい、このように思っております。

田中(慶)委員 終わります。

山本委員長 後藤茂之君。

後藤(茂)委員 後藤茂之でございます。早速入らせていただきたいと思います。

 日本の経済はマクロ的に見まして、失業それからデフレ、ゼロ金利、流動性のわな、財政赤字、どれをとっても非常に危機的な大変な局面にあると思います。しかし、そのことについてはここではもう改めて申し上げません。しかし、我々が体感している地域の経済は本当に悪くなっていると思います。恐らくここに座っておられる大勢の委員の先生方は皆さんそれをひしひしと感じておられると思います。デフレ経済のもと、すべての産業において今例外なく売り上げが落ちておりますし、中小企業については資金繰りに非常に四苦八苦しております。

 私が特に問題だと思っておりますのは、例えば物づくりの中小企業の集積が行われているような地域で、例えば組み立てと部品製造との間をちょうどつなぐような、いわゆる日本の物づくり、競争力の一番根源となっている、そういう経験的な技術を今までずっと守ってきた中小企業が資金繰りに苦しくて倒産に追い込まれる。あるいはこれは逆説的な言い方ですけれども、先行きに自信がない、業界がどうなっていくのか、あるいは自分たちの展望が見えないということで、ちょうど戦後しばらくたったころに創業された創業経営者の皆さんが、引退とともに負債がなければ撤退をしちゃって廃業するというような事態も生じております。私は、このことは日本の物づくりにとって大変な事態だというふうに思っているわけであります。

 そこで大臣にお伺いいたしますけれども、現状の認識について、経済危機だというふうに認識しておられるかどうか、そのことだけ端的にお答えいただきたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 今委員がいろいろ具体的にお述べになりました。大変日本の経済というのは厳しい状況だと思っております。実は、きょうも閣議の中で一つの指数が発表されまして、我が国のいわゆる消費者物価というのも二十六カ月連続で落ちる、こういうことで非常に厳しいと思います。

 そして、危機的状況かどうか。今御指摘の、やはり日本というのは物をつくることが一番たけている、そういう国だと思っています。そこが確かに衰退をしてきている。これはある意味では、物づくり立国の日本としては危機的な状況ととらえなければならないと思っています。

 しかし、同時に、まだまだ私は日本にはポテンシャリティーがあると思っていますから、今適切な手を打てば必ずこの日本は二十一世紀に向かって立ち直る、そのことをやはり経済産業省も率先してやらなければいけない、このように思っています。

後藤(茂)委員 私も同感でありまして、ポテンシャリティーはあると思っています。ですから、この泥沼を抜け出すためには構造改革を苦しくても推し進めなければならないというふうに思っているわけであります。しかし、一方で、構造改革の路線を堅持しつつ、例えば雇用だとか中小企業対策といったセーフティーネットということはやはりしっかりやらなければならない、そういう状況だというふうに思います。

 ところで、総理は、来年度以降国債発行限度三十兆円ということを公約にしておられるわけであります。私は、今財政規律をしっかりしていくということも非常に重要な構造改革の内容だと思います。それはなぜかというと、今度金融あるいは経済で大きな危機の引き金になりそうなのは国債市場が暴落するとか債券市場が暴落するとか、そういう事態だと私は思います。そのためにも、来年度以降三十兆円の壁をしっかり守る、そういう姿勢を貫くのだということは私は大切だと思っています。

 しかし、考えてみると、ことしは公約の範囲内ではないというふうに私は思います。そして、例えば国民の皆さんに、これからしっかりと構造改革を一緒にやりましょうというときに、セーフティーネットをしっかり見せるということは私は非常に大事なことだと思います。

 そして、そのためには、例えば雇用保険について、これから財源不足が心配されるわけでありますけれども、雇用保険給付の将来のために基金に例えば二兆円出しましょう。あるいは、今雇用保険の給付にカバーされていない自営業廃業の方とかあるいは雇用保険の給付期間が切れちゃっているような方、そういう人たちに対して、雇用再教育ということを前提としてですが、三年間は新しい雇用保険の給付の制度を創設しよう、そのために二兆円準備しましょう。あるいは、中小企業金融について、セーフティーネットという意味では思いっ切りちゃんと準備しましょうということを説明するということは非常に重要なんじゃないか。そのことからいえば、ことしの三十兆円に本当にこだわる必要があるのかどうか、そこはよく考えてみる必要があるというふうに思っております。

 もちろん、ばらまき型の補正じゃいけないです。しかし、そういうセーフティーネット、あるいは後でまた触れますけれども、前向きなものについてやはり何か考えていく必要があるだろうと思います。そして、そのことが、ちゃんとやることによって初めて国民に、セーフティーネットも張ってある、だから一緒に構造改革をつき合ってほしいという強い小泉内閣としてのメッセージになるのではないか、私はそう思います。そのことについて、大臣の見解を伺いたいと思います。

平沼国務大臣 今雇用に対して、御党の基本方針、それを承りました。私は、傾聴に値する政策だと思わせていただいています。

 やはり、委員御指摘のように、今構造改革を本当に徹底的にやるということは、これは絶対必要なことであります。しかし、私もさっき田中委員への御答弁で申し上げましたけれども、同時に、やはりやるべきことはやる、このことは必要だと思います。そういう意味で、小泉首相も所信表明の中において、やはりそういう一つの大きな壁というものが来たら機動的、大胆にそれに立ち向かうと、そういうことに含まれていると私は思っております。

 私は、そういう意味では、国民の皆様方が構造改革をするに当たって、こういう安心できるセーフティーネットがある、だから思い切ってやれるぞ、やはり、こういう雰囲気、背景をつくるということは大切なことだと認識しています。

後藤(茂)委員 三十兆円のことについてはお答えがありませんでした。補正の作業も今どんどん進んでいるわけでありましょうけれども、論理的には、補正は、こんなことを言うとまずいかもしれませんが、何回でもチャンスはあります。そういうことで、十分に御検討いただきたいと思います。

 それから、中小企業金融の問題について、きょうは少し話をさせていただきたいと思っておりますけれども、最初に、端的に金融庁の方にお伺いをしておきたいと思うことがあります。

 中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしは、一部には、検査マニュアルの中で規定されている中小零細企業に対する配慮規定が十分に生かされない検査が行われているからである、そういう指摘もあるわけでありますけれども、この配慮規定について、その実態を金融庁としてどういうふうに認識しておられるか、御答弁いただきたいと思います。

村田副大臣 ただいま御質問がございましたけれども、後藤委員は、金融検査マニュアルに書いてございます中小零細企業等についての債務者区分の判定の仕方についての記述はもうお読みになっての御質問かというふうに思います。

 中小零細企業等の債務者区分の判定に当たりましては、財務状況を見るだけじゃなくて、代表者の収入状況とか技術力とか成長性、そういったものも総合的に判断してやりなさいよ、こういうことが書いてあるわけであります。そういう意味で、検査マニュアルにおきましても、中小零細企業等の実態に即してやるべきことを指摘している、こういうことであります。

 検査におきましては、そういうことを踏まえまして、金融機関が与信を行うに当たりまして、あらゆる判断材料の把握を行いまして、債務者の実態に応じたきめ細かな検査に努めているということでございます。

 そしてなお、金融検査マニュアルにも書いてございますけれども、貸し渋り等につきまして、金融検査マニュアルを理由に、健全な事業を営む融資先に対する資金供給の拒否や資金回収を行うなどの不適切な取り扱いを金融機関が行っていないかどうか、これについてもチェックをしなさいよというふうに書いているところでございます。

後藤(茂)委員 現実問題として、どういう気持ちで、特に中小の金融機関が検査を受けているかということをよく認識した上で、そうしたことについて、きちんと検査官それぞれについて徹底するようにしていただきたいと思います。

 私は、従来から金融庁に申し上げている、あるいは意見として申し上げていることとしては、資産査定は厳格にやれということであります。ですから、非常に難しいことを求めているということはよく認識しておりますけれども、そういうことでお願いをしたいと思います。

 それからもう一つ、確認をしておきたいというふうに思いますけれども、早期健全化法による資本注入を受けた金融機関については、中小企業者向け貸し出しの総額について、原則としてその残高を増加させることになっております。そのことにつきまして、経営健全化計画のフォローアップで実態はどうなっているか、お答えをいただきたいと思います。

村田副大臣 今御指摘のように、公的資本増強を受けた金融機関でございますが、毎年、中小企業向け貸し出しについての計画の策定が求められているということでございまして、十三年の三月期の中小企業向け貸し出しの履行状況というものを御披露いたしますと、資本増強を行った金融機関、二十五銀行がございますが、そのうちの七行が計画を下回ったということになっております。

 しかしながら、主要行の中小企業向け貸出増加額を全体として見ますと、計画目標額一兆円に対しまして、全体としては約一・六五兆円というふうになっておりまして、おおむね計画は達成できているのじゃないかというふうに考えております。

後藤(茂)委員 七行については、それぞれそれなりの努力をしながら達成できない理由のあるところもあるというふうに認識しております。

 ただ、一つだけここで指摘しておきますが、その中で一行、全く法律を遵守する気がないと思われるような対応をしているところがあります。

 新生銀行は、実を言うと、十三年三月期で三千四百八億円の減ということになっております。金融庁としても業務改善命令を出しているというふうには聞いておりますけれども、その後、そのことがどうなっているのか、金融庁としての今後の対応について伺いたいと思います。

村田副大臣 今申し上げましたように、計画未達の銀行が七行あったわけでございます。おっしゃるとおり、それぞれの理由がございましたけれども、新生銀行には十月四日に業務改善命令を発出した、こういうことであります。

 新生銀行の計画未達額が非常に大きかったことのみならず、中小企業に対する貸出額を増加させる、計画を実現しようという行内の管理体制が非常に十分ではないということで業務改善命令を発したということになっておりまして、ただいまのところ、そうした業務改善命令を受けまして、新生銀行では業務改善計画の策定を今行っているというふうに承っております。

後藤(茂)委員 そういうことで対応しているということであれば、ぜひ早くに対応していただきたいと思います。

 すべての銀行に無理やり中小企業への貸し出しをふやせなどということを言うつもりは毛頭ありません。しかし、少なくとも、早期健全化法によって資本注入を受けて、そういう枠組みのある銀行は法律をしっかり守るべきだというふうに私は思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

 それでは、引き続きまして、中小企業金融の問題で、先ほどもお話が出ておりましたけれども、個人保証、連帯保証の問題について、私も少し質問、議論をさせていただきたいというふうに思います。

 実態については、個人保証、連帯保証によって企業家の再起が不能になるとか、特に連帯保証なんかの場合は本当にかわいそうだという気もします。連帯あるいは個人保証の場合、相手、自分の連帯保証人になってくれた人のことを思いながら追い詰められる人たちのことを考えると、本当にかわいそうだというふうに思っているわけでありますけれども、そういう意味では、個人保証のあり方というのをやはり検討するときが来ているというふうに私は思います。

 例えば、アメリカで信用保証がつかずに融資がされているとかという議論もありますけれども、正直なところを言って、アメリカにおいても、中小企業向け融資として行われる場合には、経営者、オーナーの個人保証は求められているというのが実態だと私も思っております。ただ違いは、一つは、ビジネスプランに基づく融資をアメリカではやはりちゃんとやっているということと、もう一つは、そもそも、こういう新しい産業も含めて、ベンチャー企業に対してもアメリカの場合は直接金融のマーケットから金が取れるような仕組みができているという点が非常に大きな違いだというふうに思っております。

 いずれにしても、日本の場合、何としてもリスクキャピタルをきちんと本当に、卵からかえってひよこが大きくなっていく、そのひよこにちゃんと行き渡るようなマーケットをつくっていかなければいけない。日本にあるような今のいろいろなマーケットは、ある程度大きくなって成功して、勲章に店頭があったり公開があったりする、そういうことだと思うので、やはりそういう直接的な資金調達のできるマーケットをつくっていく必要があるだろうと思っています。

 私は今、具体的にどうするかということをいろいろ皆さんと勉強しているわけですけれども、技術やアイデアを持った人は、これはスニーカーを履いた若者であっても、どんな技術者であっても構わない。そういう技術者やアイデアを持った人たちがいて、一獲千金を夢見てリスクキャピタルを投じてくれる投資家がいて、そして、その分野で営業やマネジメントができる、そういう経営者、つまりマネジメントをする人がいる。この人たちについては、もちろんストックオプションをつけるとかインセンティブをつけるということになるわけですけれども、こういう人たちをマッチングさせるリスクキャピタルのマーケットをやはりつくるべきだと思っています。

 そして、各投資をするためには、投資家は、一体どのぐらいの成功率なんだというのを見て投資することになりますが、そういう投資の成功率をレーティングする会社のそのレーティング自体の実績もちゃんと評価できるようにボーディングをしていく、そういうような新しい直接金融、リスクキャピタルのマーケットを私はつくっていくべきだというふうに思っているわけです。

 大臣、いいアイデアだと思われませんでしょうか。

古屋副大臣 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、アメリカは、融資のときにはやはり個人保証をとっております。ただ、そのときには当然事業内容に着目をしているということなんですね。一方、やはり御指摘のように、ベンチャーキャピタルがもうアメリカでは日本の二十倍は育っていると思います。大体十六兆円程度だと思いますね。日本では八千億円。このほかに、いわゆるプライベートエクイティーというものがございますけれども、やはりベンチャーキャピタルが非常に育っている。

 日本を見ますと、確かに日本にベンチャーキャピタルもないわけではないんですが、いわばレーターステージ、株式を公開する直前からの動きなものですから、余り効果がない。要するに、最初に生まれたときから、あるいはスニーカーを履いた技術屋さんと投資家と、そして有能な経営者をうまくマッチングさせる、そういう初期の段階からのものはほとんどないということでございます。

 したがって、やはりそういったものをしっかり育てていくという必要があると思っております。特に、そういった目ききができるような機能というのを育てていく必要があるんじゃないか、こんなふうに思っております。

 そういった観点で、我が省といたしましても、いわゆる目きき機能を補完して、そしてベンチャー企業の個別の技術などの事業評価を行ういわば評価ボード、評価機関というものを創設しようということで今取り組んでおりまして、現在、補正予算の要求を実は行っているところでございます。

 ぜひ委員にも御支援をいただきたいと思っておりますけれども、こういった評価機関ができることによりまして、いわゆるリスクマネー供給における目きき機能というものが強化をされることになりますので、今御指摘のような技術者と投資家あるいは経営者をしっかりマッチングさせていくということも可能になっていくと思います。

後藤(茂)委員 それから、個人保証をしたことによって身ぐるみはがされる、だから個人保証はけしからぬという批判もあるわけでありますけれども、このことについて言うと、やはり、債務不履行時や破産したときに経済的再起が可能となるように、例えば差し押さえ禁止財産などの適正な範囲についての検討もすべきだと思います。

 今、法務省は平成十五年中の破産法の改正に向けて検討作業中だと思いますけれども、こうした点についても十分に検討しながらその作業を進めていくべきだと考えますが、法務省の見解を伺います。

小池政府参考人 御質問にありましたような、保証人が保証債務の履行を求められた場合に、任意に払わなければ強制執行ということになりますし、一部は払ったけれども残りは払う資産がないということになれば破産手続ということになるわけでございますが、そういう場合でありましても、一定の範囲の財産については差し押さえすることができないという差し押さえ禁止財産というものを、民事執行法それから破産法の中に設けております。

 今先生から御指摘がありました法務省の破産法の全面的見直しの検討作業の中に、この差し押さえ禁止財産の範囲を広げるべきかどうかというようなテーマも含まれております。

 ただ、これはいろいろ難しい問題がございまして、おっしゃるように、確かに債務者の生活再建のためには差し押さえ禁止財産の範囲が広い方がいい。しかし一方で、その範囲を広くしますと、最終的に債権者に配当できる額が少なくなってしまう。そうなると、債権者が将来の行動として、債権の回収が十分できないのならば、それじゃ貸し渋りにする、こういうようなことも生じかねません。

 さらにもう一つ申し上げれば、仮に差し押さえを禁止する財産を法律でつくったといたしましても、それに抵当権のような担保権を債務者がくっつけることは否定できないわけでございまして、そうなりますと、最終的には、優先権のある抵当権は債務者の財産から出ていってしまう、そういうようないろいろな問題があるわけでございます。

 そういうような点を考えながら、先生がおっしゃる適正な範囲、合理的な基準というのはどういうものかについて慎重に検討していきたいというふうに思っております。

後藤(茂)委員 今そういう政策的な判断事項についてのお話もありましたけれども、私も、差し押さえ禁止財産の範囲をむやみに広げたり、あるいは保証をつけること自体を制限したり、そういうことをすると、その分融資が受けられなくなる、信用収縮が起きるということについてはよくわかっております。

 ですけれども、検討の際に、例えばアメリカの、これは州によって違うわけですけれども、いろいろな立法例なんかを見ていると、家とか自動車とかそういうものは差し押さえ財産に入っていないというような法制になっていると思います。ぜひ、幅広い観点から破産法の改正に当たって検討をしていくべきだというふうに思っております。

 それでは次に、中小企業金融対策について少し確認をしておきたいというふうに思います。

 今、構造改革、テロもありました、それから狂牛病という問題も発生しておりまして、経営環境というのは非常に厳しいわけです。本来やれるはずの中小企業までもが存続できないというような危機にさらされていると私は思います。

 特に、構造改革、テロのことについては随分言われておりますけれども、最近の狂牛病のことについて言えば、生産者あるいは卸については非常にいろいろな形で対応が議論されておりますけれども、しかし一方で、例えば外食だとか商売をやっている皆さんだとか、そういう方たちも実を言うと大変な売り上げ減、半分以上売り上げが減るというような事態で大変苦しんでいるわけでありまして、そういったことについてやはりきちんと目配りをしていく必要があるだろうというふうに思っています。

 もちろん、モラルハザードや最近言われているゾンビ化とかいうようなことを引き起こしちゃいけないなんということは百も承知で申し上げておるわけでありますけれども、やはり、やる気があってきちんと事業が成り立つ中小企業には、それが成り立っていくような道筋をつけていかなければいけない、それが政治の責任であるというふうに私は思っております。

 それで、先ほど大臣の方からも幾つか、法案事項も含めて対応をもう既に検討している、やっていこうという御答弁があったことについては改めて触れませんけれども、私は、今あるいろいろな道具立ての中でも随分やれることがある、そのことについては補正予算できちんとやっていただきたいというふうに思います。

 幾つか挙げますけれども、例えばセーフティーネットの充実の観点からいえば、これは一部さっきちょっと言及がありましたけれども、セーフティーネット保証の指定要件の大幅な拡大をする、セーフティーネット貸し付けの限度額の大幅な引き上げを図る、こういうことが必要だろうと思います。

 それから、DIPファイナンスについて、現在、商工中金はやっておりますけれども、これに加えて、中小公庫も十分やれるだけの環境にあると思います。ぜひ補正で予算措置をしてもらいたいというふうに思います。

 それから、経営革新支援については、私募債について、今、特定社債保証制度の純資産要件五億円というのがありますけれども、これを大幅に緩和していただきたいというふうに思います。それから、経営革新貸し付けについては、これは財源がネックになっていると思います。ですから、それも予算増を図るべきではないか。

 それから、創業支援については、今、創業マル経があります。しかし、経営指導を六カ月受けるとか六年の勤務要件があるとか、正直言って、創業者にとっては全く論理矛盾のような条件がいろいろついているわけでありまして、これについては、ビジネスプランの作成を前提とした新しい創業融資制度をつくるべきだというふうに思いますし、新事業創出保証制度も大きく拡充すべきだというふうに思っております。

 そういう意味で、今回の補正でしっかりと対応していただきたいと思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

平沼国務大臣 いずれも御指摘の点は非常に重要なことだと思っておりまして、私どもといたしましては、DIPファイナンスを中小企業金融公庫、これに創設することにいたしたいと思っております。また、経営革新支援策として、低利融資の制度、これを推進したいと思っています。また、信用保証協会が中小企業の私募債発行に対して保証を行う特定社債制度、これについても、私どもは、実ニーズに応じて要件の見直しを行いたいと思っています。また、創業支援策としては、御指摘の点もやらなければいかぬと思っておりますし、あと新事業創出保証制度について、保証限度額を引き上げる等の措置、これも補正予算で進めていきたい、このように思っています。

後藤(茂)委員 終わります。

山本委員長 達増拓也君。

達増委員 きょうは、私は、地域経済の活性化をテーマに幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 小泉内閣が始まって半年ということでありますけれども、経済は一貫して悪くなっておりまして、株価の下落、景気の悪化、成長率や失業率といった数値もどんどん悪くなってきております。これは、特に地方を直撃しておりまして、地域経済においても、全国的な景気の悪化に伴う売り上げの伸び悩み、それに加えまして雇用の悪化、ただでさえ雇用がどんどん悪くなっているところ、ことしはIT関係の工場の閉鎖などもありまして、地方においても何百人単位、今までにないような大きい単位での失業というものが発生しております。地方経済、地域経済というのは、本当に生き残りをかけた危機的状況に今なっております。

 そもそも、去年の四月までは株価はどんどん上がっておりまして、景気は回復の兆しが見えていたわけであります。去年の四月、小渕内閣から森内閣に移りまして、ちょうど自由党もそのとき連立離脱という格好になったわけであります。小渕総理大臣発足後、株価が一万二千円台と低迷し、金融危機もあり、そういう中で、自由党、こういう日本の危機を救うための政策パッケージ、これは政治の改革から始まって、安全保障改革、そして経済の改革、それを小渕総理が、よし、これを一緒にやろうということで、自自連立、後の自自公連立がスタートしたわけですけれども、そのときから株価はどんどん上昇いたしまして、去年の四月時点では二万円以上株価があったわけであります。それが、一年半たった今、二万円だった株価が、もう一万円を割るか割らないかというところに落ちている。

 やはり、経済のマクロバランスというのは非常に大事でありまして、思えば、小渕内閣時代、大胆な減税も含め、補正予算も財政出動を行って、それが景気を回復、経済再生の道筋をつけていたわけであります。去年の森内閣での補正予算、前年十兆円規模の補正予算を五兆円規模に縮小、半分に減らしてしまったわけですけれども、これはもうGNPの一%を減らしたわけでありますから、経済成長を確実に一%引き下げる効果があって、まさにことしになってそれが出ているわけであります。

 ことし、今、小泉内閣はそれをさらにまた半分ぐらいに圧縮しようとしている。医療費の負担増などと合わせても、やはり確実にさらに一%か数%、経済成長率を引き下げることをあえてやっているわけであります。

 構造改革、特に産業構造改革、新産業を起こし、ニュービジネスを発展させていく。経済が悪くなっている中で、今の内閣の基本方針は、もう倒産すべきところは倒産させ、失業すべき人といいますか、失業をどんどん出して、そして、倒産、失業が出尽くした後、その人たちが、あるいはそういう経営者が、新産業やニュービジネスに行けば、産業の構造が変わって日本経済は立ち直るという発想なんでしょうけれども、古今東西いろいろ考えても、経済が回復の兆しがある中では、新産業をやってみようとか、ニュービジネスに乗り出そうとか、転職して新しいことをやろうとか、そういう人たちは多く出るんでしょうけれども、経済がどんどん悪くなっている中では、むしろ守りに回ってしまって、今やっていることを守る方に回ってしまって、果たしてそういう中で新しい産業、ニュービジネスが発達するのか、これは大きなかけなんだと思います。真珠湾攻撃から六十年ですけれども、真珠湾攻撃に匹敵するかけ、もう本当に、国家国民の命運をかけたかけを今の内閣はやろうとしている。

 自由党としては、マクロバランスをきちんと、悪くしないようにしながら、つまり、マイナス成長にはさせない、経済を回復させる中で、同時に、大胆な構造改革、あの自自連立をやっていたときも、党首討論の導入でありますとか、副大臣制の導入、そして政府委員制度の廃止、そして衆議院議員定数の削減といった大胆な改革を同時にやっていたことがまた、株価の上昇や景気の回復につながっていたんだと思います。残念ながら、去年の四月の時点で、自自公の協議が調わず、小渕・小沢合意の中身がこれ以上進まないということになってしまったわけで、今に至っているわけであります。

 財政政策の側面については今国会いろいろな場でまた議論をしていきますけれども、問題は産業政策であります。そういう意味で、新産業、ニュービジネスというものを発展させていかなければ、本当に日本は終わりだという瀬戸際まで来ていると思います。

 そこで、三年前、平成十年に、いわゆるTLO法、大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律、これが施行されまして、大学の技術を民間にどんどん移し、そしてベンチャー等の企業化を進めていくという法律ができたわけであります。

 やはり、新産業、ニュービジネス、大学という知的集積のある場所を一つのてこにしてやっていくというのはこれは有効な一つの方針であるわけですけれども、以来三年たつわけでありますが、このTLO法のもとでの、大学の持つ技術を企業化していく、そういう施策の成果、今のところ、現状どうなっているかをまず伺いたいと思います。

古屋副大臣 委員御指摘のように、今こういう極めて厳しい経済状況の中で、やはり対症療法的な方法と、一方では、創業であるとか技術革新、イノベーション、これを大胆にやっていく必要があるわけでありまして、その有力な手段が私はやはりTLO法だと思っております。

 そういう中で、平成十年にこのTLO法ができまして、平成十三年度の九月までに全国で今二十三のTLOが承認をされておりまして、この承認TLOの最近一年間の実績といたしましては、六百十八件の特許の出願、九十八件の民間事業者へのライセンスを持っておりまして、この結果、TLO法が施行されました以降の蓄積は、トータルで、特許出願が八百九十八件、民間事業者へのライセンスが百二十五件、ライセンス収入は一億四千万円ということになっております。

 また、ことしの三月に筑波大学が行いました「大学等発ベンチャーの現状と課題に関する調査研究」というものがございますけれども、これによりますと、大学発のベンチャー企業数が昨年一年間で三十四社、また本年三月までトータルで百二十八社と報告をされております。

 こういった実績がございますけれども、アメリカと比べるとどうなっているかということで、参考までにお話を申し上げますと、まず、TLO数が、日本では二十三機関と申し上げましたけれどもアメリカは百三十九、特許出願件数が、日本は六百十八件に対してアメリカは四千八百七十一件、ライセンス件数は、日本が九十八件に対して三千二百九十五件、ライセンス収入が、日本が一・三億円に対しまして六・四億ドルということであります。

 また、スタートアップ企業数も、日本が三十四社ということですけれども、アメリカは二百七十五社ということでありまして、まだ、やはりアメリカとは二十年の差がありますので、こういう実績でございます。

 しかし、このTLOが発足をいたしまして、我が国においても着実に産学官連携が推進されていく、このように思っておりますし、また、私どももそれを推進する政策を大胆に取り入れていきたい、このように思っております。

達増委員 施行から三年間たっているわけでありますけれども、まだまだその成果は不十分だと思うんですね。特にアメリカと比較した場合、もう一けたも二けたも違っている。

 したがって、この三年間も、TLOへの助成でありますとか情報提供とか、そういった施策が行われてきたわけでありますけれども、果たしてこれで十分なのかという問題だと思います。

 特にTLOの立ち上がり期、また企業の立ち上がりの段階、特許をとったとしてもロイヤルティー収入というのがなかなかまだ入ってこない、そういう初期段階でこうした産学の連携を推進していくには、特に立ち上がりだからこそ、さらに強い支援をしていかなければならないと思うわけでありますけれども、この点いかがでしょうか。

古屋副大臣 委員御指摘のように、まだアメリカと比べて大分けたが違うというのは事実だと思います。

 ただ、やはりこのTLOを通じて、まだこういった技術移転というのはスタートしたばかりでございますので、やはり、まだまだそのノウハウというものが未成熟という理由のほかに、やはり企業化ニーズに沿った大学の研究の不足あるいは人材の不足というのが私は言えると思うんですね。

 ですから、今後とも、こういった大学発の、大学の技術シーズと事業化ニーズのマッチングによる実用化研究への支援であるとか、あるいは財務等の経営面での支援を進めていくことによりまして、この大学技術の移転あるいは企業化を推進していきたい、こういうふうに思っております。

 やはり、今後とも関係各省がしっかり連携をしていく必要がございますので、密接な連携をとりながら、大学技術の企業化の促進、こういうものをしっかり図っていきたいと思っております。

達増委員 きょうは地域経済活性化という観点から質問をしておりますので、そういう観点からすると、このTLO法に基づく産学連携ということも地域経済活性化の観点から非常に重要だと思うわけであります。

 といいますのも、大学というのは、各都道府県にあるわけであります。そして、それは各都道府県においても、その知的集積の中心であって、地域経済を活性化していくに当たって大学も一つの核と位置づけて、その産学連携ということが、それは全国的に見ても、新産業、ニュービジネスの発展という役割があるわけですけれども、特に地域産業の活性化のために産学連携がうまく活用されていく工夫が必要だと思うのですけれども、この点いかがでしょうか。

古屋副大臣 委員御指摘のとおりだと思っております。やはり地域にそれぞれ大学がございますけれども、この大学とやはりその地域に根差した産業が密接な連携をとっていく、これが私は大きなポテンシャルになっていくのではないかというふうに思っております。

 特に、私どもが今始めております地域再生産業集積計画、すなわち、我々は産業クラスター計画というふうに言っておりますけれども、これは世界に通用する、きらりと光る地域の中小企業をつくっていこう、そのときには、やはり産学連携を徹底的に行っていこう、こういうプロジェクトでございます。

 そのプロジェクトの中では、御承知のように、全国十九プロジェクトがございまして、約三千社の有望な中堅あるいは中小企業をピックアップいたしております。また、百五十の大学というものを指定いたしまして、産学官の広域的な人的ネットワークを形成していく、このための支援策を総合的あるいは効果的に投入いたしております。

 具体的な政策としては、産学官の人的ネットワークの形成に加えまして、地域の特性を生かした技術開発の推進であるとか、あるいはビジネスインキュベーターの整備というものを三位一体で推進しております。

 こういった産学官連携による技術開発支援については、今後抜本的に強化していこうということを考えておりまして、平成十四年度の予算では八十八億要求させていただいております。平成十三年度がたしか三十五億程度だったと思いますので、相当大幅な増額要求をしております。

 今後も、補正予算等におきまして、関連施策を強力に推進していきたい、このように思っております。

達増委員 産業クラスター計画については、いろいろ仄聞しております。地域の経済産業局が核になって、東北、関東、そういった地域ごとに産学官の人的ネットワークをつくって地域経済活性化のために役立てていく、その中に都道府県等の自治体をきちんと位置づけていくことが非常に重要だと思います。

 実際に、産学連携ということを効果的に行っている自治体があるわけであります。例えば、私が聞いております岩手県の例では、岩手大学地域共同研究センターというものと岩手ネットワークシステム、INS、そういうまさにネットワークをつくって、産学連携を効果的にやっていこうという努力を自治体も既にやっている。そういう中で、産業クラスター計画の前身となった、関東で既に行われた、そういう例もあると聞いておりますが、そういった既に行われている自治体の努力、これをうまく組み込んでいくことが重要だと思います。

 既に、都道府県による産学共同研究への助成ということも一生懸命やっている県もあるわけでありまして、こういった自治体の努力を産業クラスター計画の中にもうまく取り入れて、産学官というときに国も地方も同じ方向で地域活性化のために努力する、そういう体制が必要だと思いますが、この点いかがでしょうか。

平沼国務大臣 御指摘のとおりだと思っております。

 そして、今達増議員御指摘の岩手県における事例なんというのは非常にいい例だと思っておりまして、これからも、やはりこの産業クラスター、これは先ほど副大臣からも答弁がありましたけれども、十九カ所で三千社が参画をして、そしてそのことはどんどん広がりつつあります。そういうものと地方自治体というものがしっかりと連携をしてやると、より大きな成果が得られると私は思いますので、そういう面でも地方自治体との連携、これは大切ですから、我が省としてもそこには力点を置いて、さらにそれを発展させていきたい、このように思っています。

達増委員 もう一つ、産業クラスター計画といったような地域経済活性化のためのネットワークの活用として、雇用問題への対処というものがあると思います。今、本当に危機的状況、特にIT関連の工場の閉鎖等もありまして、緊急に新しい雇用を確保していく必要があるわけであります。

 確かに、労働局、ハローワーク、そういったところも献身的な努力を今やっているわけでありますけれども、さらに、そのような産学官のネットワークというものが育っていく中で、新しい雇用の情報の提供、そういった場の確保等にそういうネットワークが果たす役割は非常に大きいと思うんですけれども、この点いかがでしょう。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 地域再生産業集積、産業クラスターでありますけれども、これは地域経済産業局の職員が結節点となって産学官の広域的な人的ネットワークをつくっていく。御指摘のとおり、地域における雇用というのは、このような施策と雇用政策との連携が極めて重要だと思っています。

 こうした認識のもとに、具体的には、本年八月末に、厚生労働省とそして経済産業省が、我が方の地域経済産業局とそれから厚生労働省の労働局、これが連携をいたしまして、産業クラスター計画の積極的な活用を含む地域産業・雇用対策プログラムを取りまとめて、既に実施をいたしております。

 この中では、両省間の施策の連携の一環として、産業クラスター計画の推進に当たりまして、新規・成長分野雇用創出特別奨励金の雇用関連助成金について地域企業への普及啓発を図っておりまして、これら雇用施策の積極的な活用を図っております。

 加えまして、地域産業・雇用対策プログラムでは、一つは、地域経済産業局、都道府県労働局、関係団体の連携の強化のため、地域産業労働問題連絡協議会を開催しております。二つ目は、商工会議所等の経済団体による求人情報の積極的な開拓と提供。三つ目は、経済団体等と公共職業安定所の連携による就職面談会や出張相談等のきめ細かい柔軟な実施をしております。

 我が省といたしましては、さらに厚生労働省と連携をとり、そして地域と密着をして雇用の面でも充実を図っていきたい、このように思っております。

達増委員 アメリカが九〇年代、ITなどで発達した背景には、シリコンバレーにおける人的ネットワークの広がりなど、ネットワークが非常に大きい役割を果たしているわけでありまして、そういう意味で非常に重要なポイントだと思いますので、この点をしっかりやっていかなきゃならないと思います。

 さて、TLO法と同じ平成十年にできた法律で、中心市街地活性化法というのがございます。

 思えば、産業構造改革というときに、新産業、ニュービジネスというポイントもあるんですけれども、やはり地方が活力を持った国民経済。これはアメリカもヨーロッパも地方の中小都市がそれぞれ独特な経済、産業を発展させていて、それが国民経済全体を底上げ、さらに発展させている。日本も、中央だけに頼るのではなく、地方、地域が経済の成長の担い手になっていかなきゃならないという発想があって、これはもう細川連立内閣以来、改革とはそういうものだということだったはずであります。どうも小泉内閣になって、地方切り捨てでありますとか中央重視のような、それは今までの改革の流れを百八十度変えることでありますので、改めて、地域経済を活性化させることの構造改革における重要性を訴えつつ質問させていただきたいと思います。

 中心市街地活性化法、これも国がまず法律をつくって、そして市町村が基本計画をつくり、それに応じて町づくり機関、TMOというものができていく。やはり、二年、三年かかって、ようやく今その体制が全国に広がりつつあるかなと思うのですけれども、まずはこの現状について伺いたいと思います。

古田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のありました中心市街地活性化法でございますが、平成十年七月に施行されまして、今四年目に入ったわけでございます。

 これまでの実績として申し上げますと、四百四十六の市町村におきまして四百五十七件の基本計画が提出されております。御指摘のあったTMOにつきましても、百七十八件のTMO構想が既に市町村から認定を受けておるという状況でございます。いわば、計画づくりの段階からいよいよ実行の段階に移ってきているというふうに認識しているところでございます。

達増委員 各都道府県、平均すると、基本計画数にして十個ぐらいずつ、TMOにして三個か四個できてきたところか。これはどんどんさらにふやしていかなければならないと思いますけれども、一方で、他に先駆けてTMOを立ち上げたところについては、ようやく具体的なニーズが出てきているところだと思います。これからまさにそういう具体的なニーズに合わせた支援が必要になってくると考えますけれども、この点、政府、いかがでしょうか。

古屋副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 中心市街地活性化法は、委員御指摘のとおり、いよいよ四年目を迎えまして、この法律ができた背景は、やはり規制緩和等で郊外にどうしても大型店が出てくる、そのときに日本のいわば商業の文化である中心市街地が衰退化していく、これにいわばアラカルトメニューではなくて総合的なメニューで対応していこうということででき上がったわけでございます。

 石の上にも三年という言葉もございますけれども、いよいよこれでTMOがかなりの数、立ち上がってまいりました。現在では百七十を超えるTMOが認定をされておりまして、具体的な事業の実施計画でありますTMO計画も六十を超えております。このうち、一年間に、七十を超えるTMO、三十四のTMO計画が認定をされているということでございます。こういったTMO計画を推進するように、我が省としても大いに推進をしていきたいと思っております。

 しかし、今後は、やはりそれぞれのニーズに適応したきめ細かな支援というのが必要になってくると思っております。

 具体的には、例えば、各TMOに対しまして、それぞれの目標を確実に実施することができるように、タウンマネジャーと言われるような専門家を派遣して人材面でのまず支援をしていく、あるいは、駐車場経営などの経営基盤確立事業への補助を推進していきたいと思っております。

 また、空き店舗等への対策として、例えば保育所の設置を支援するなど、新しい社会ニーズを踏まえた新しい形の支援をしていきたいと思っております。

 さらに、商店街における新しいビジネスモデルの開発、例えばこれから高齢化社会を迎えますので、そういった高齢化社会に対応するようなビジネスモデルの開発導入への支援、こういうものを具体的に支援をしていきたい、こんなふうに思っております。

達増委員 町づくりに果たす役割としてはNPO、非営利団体の重要性というのがますます高まっていると思います。

 エコマネー、地域通貨などという運動を進めているNPOもありまして、特にお金の問題がいろいろある中で、新しい可能性が秘められていると思いますが、政府はこの点どう考えているでしょう。

西川大臣政務官 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のNPOについては、中心市街地活性化法の精神は、商業機能の強化だけではなくて、違った機能、例えば、文化でありますとか、交流でありますとか、福祉でありますとか、または学習とか、そういう機能の強化を図ることが大切でございますので、これらについても今後TMOの関連でいろいろと御支援できるものはしていく検討を始めたいというふうに思います。

 それから、エコマネーについては、実際に北海道などではもう実施をされておりますし、先生十分御承知でお尋ねでございますけれども、現金通貨とは違う形の、例えば、ボランティアで何かをしていただいたらその対価としてエコマネーを行使する、そしてそれが違うボランティアを誘発できる、こういう意味で大変生き生きとした町づくりに機能すると思いますので、これも同じように支援できるかどうかも含めて検討していきたいと思っております。

達増委員 最後のところは非常に前向きな答弁でうれしく思いますけれども、円という全国的な通貨が、今金融システムのいろいろな問題、不良債権問題、貸し渋り、貸しはがしなどで機能をしなくなっているとき、最後、本当に地域が生き残っていくためには、まず地域で何か体を動かして、働いて、物を交換する、その媒介にはもう地域で通貨も自前でやっていくしかないんじゃないか、そのくらい今せっぱ詰まった状況になってきていると思います。

 秋の臨時国会というのは補正予算や来年の予算案なども絡んで結構経済については決め手になると思いますので、今国会、きちんと日本のかじ取り、うまくいくようにということを申し上げて私の質問を終わります。ありがとうございました。

山本委員長 塩川鉄也君。

塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今、五%を超える史上最悪の完全失業率、そのもとでIT、電機などの大企業による人減らし、リストラのあらしが日本列島を吹き荒れております。この大企業によるリストラは、下請中小企業などを倒産や廃業に追いやり、ここでも大量の失業者を生み出している。国民の暮らしや雇用、地域経済の影響など日本社会にとって深刻な事態となっております。

 このIT、電機産業は、製造品出荷額が全体の一八・八%、自動車産業を上回り、日本経済で最も大きなウエートを占めております。そこに働く就業者も百六十万人、一七・一%、ここで大リストラが行われております。

 この間、山形県下のNECを初めとしまして、電機産業を中心としたリストラ問題の調査を行ってまいりました。東北を初めとする、これは山形県などもこの工業出荷額に占める電気機械産業の割合、二〇〇〇年度で山形が四七・三%、電気機械産業だけで五割近くとなり、その比重は全国トップでもあります。就業者に占める比重も約三割となっています。それだけに、今回の大手電機メーカーの大リストラ計画は労働者の雇用と関連中小企業、地域経済に深刻な影響を及ぼしております。

 また、この十年間で電気機械関係の法人事業税の税収もピーク時に比べて半減しており、今後、大企業のリストラ、海外移転が地方財政に対しても一層重大な影響を与えることが予想されます。

 そこで、このまま電機大企業のリストラ競争を放置すれば、幾ら雇用対策を講じても地域経済の一層の空洞化と大量失業を加速させ、地域産業に重大な事態をもたらすことは必至であることを実感するものであります。

 平沼大臣自身、九月四日の経済財政諮問会議の議論の中で、景気は極めて厳しい状況という認識の上で、将来に対する期待が持てない結果、企業によるリストラ計画が相次いでおり、負のスパイラルが懸念される、このようにおっしゃっておられました。また、九月七日の閣議後の記者会見では、日本経済に空洞化現象が起こっていることは事実と述べておられます。今この大企業のリストラ競争を放置すれば、地域経済の一層の空洞化と大量失業を加速させて、景気の悪循環を生み出すことになるのではないか、この点での大臣の認識を伺いたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 景気の変動でございますとか、それからグローバリゼーション、そういう中で、経済社会の構造変化によりまして、企業を取り巻く環境が大きく転換をしております。企業がその発展や存続を図るため、事業の再構築を行う場合があり、今まさにその渦の中にあるのではないか、こういう認識を持っております。

 御指摘の、現在大企業が取り組んでいる事業再構築は、労働力や資本等の経営資源を得意分野に集中しまして、成長の見込みのある分野に果敢に進出していく前向きな取り組みをある面では含んでいると思いますけれども、場合によっては御指摘の事業の縮小でございますとか離職者の発生を伴う、こういう場合がございまして、地域の経済あるいは地域社会に悪影響を及ぼすことは事実だと私は思っています。

 やはり今ある意味では、世界的に景気が後退をしている、そして九月十一日の同時多発テロ、その中でまた一つの大きな波が来て、今日本の経済というのは厳しい局面に立たされているわけでありまして、私はこれは非常に深刻な問題だととらえています。

 こういう影響、やはり地域社会に及ぼす影響や地域経済に及ぼす影響、日本経済全体に及ぼす影響、こういったものを最小限に抑えるためには、先般出しました総合雇用対策において、地域のニーズを踏まえた公的部門の雇用創出、これも一つやらなきゃいかぬと思っています。それから、離職者の再就職を援助する企業に対する支援、これも積極的に行っていかなければならないと思っています。それから、いろいろ御質問の中でお答えをいたしましたけれども、やはり一番ダメージを受ける中小企業に対しても私どもは支援をしていかなければならないと思っています。

 そういう中で、私どもとしては、こういった今非常に厳しい状況を踏まえまして、先ほども触れましたけれども、厚生労働省とそれから私どもでそれぞれ、我々の経済産業局と厚生労働省の労働局が連携して、地域のそういったいわゆる大企業のリストラに対してもきめ細かく対応できるように積極的に取り組んで、そしてセーフティーネットを構築していかなければいかぬ、こういうふうに思っております。

塩川(鉄)委員 お手元に資料を配付させていただきました。その一枚目にありますとおり、電機大手の六社では、国内の従業員数が激減をして、増加する海外の従業員数を下回る現状となっています。この点では、九三年まで国内での雇用が伸びていますが、その後空洞化と言われる状況の中での大きな国内の雇用の後退が生まれています。今進行中のリストラは、さらに国内の雇用を失わせるものとなると思います。

 山形県内に四つの工場のありますNEC山形は、半導体の組み立て工程を担う山形工場を閉鎖して、四工場の約二千七百人の従業員のうち三百六十人を、鶴岡工場とそれからグループ内企業のNEC富山とNEC山口に異動、出向させるという計画であります。同時に現場では、事実上希望退職を募る早期退職優遇制度の呼びかけが行われております。職場の直接部門の労働者の八割が女性であります。その大半が家族を持つ既婚者であり、通勤不可能な遠隔地への異動、出向というのは、家庭内で家事や育児、介護などを担う労働者にとっては、実際、退職が強要されるのと同じような事態が生まれるわけです。

 現に、例えば、同じNECのグループのパソコン部門の統廃合も同時に進められていますけれども、ここでは、NEC新潟からNEC米沢に異動対象となった四百人のうち、実際に米沢に移ることができたのはそのうちの数十名。一方的な異動が実質的な解雇になっている現状が生まれています。

 今、企業の社会的責任が問われていると思います。失業率が悪化しているときに、国内の雇用を減らしてまで海外に雇用を移すのはいかがなものか。雇用を守ることがこの国においての企業の社会的責任ではないか。改めて大臣のお考えを伺いたいと思います。

平沼国務大臣 今、具体的な例を述べていただきました。

 各企業におきましては、雇用調整を余儀なくされる場合でも、安易な雇用調整を行うのではなくて、失業の予防や雇用の安定に最大限努力すべき、その責任があると私は思っています。

 こうした観点から、離職を余儀なくされる労働者に対しては、やはり企業が再就職を支援していくことが重要である。このことは、私どもとしても企業に対して強く言っているところでもあります。政府といたしましても、先般の総合雇用対策にも盛り込んだように、企業が行う再就職支援の取り組みに対する支援、こういったものも検討していかなきゃいけない。

 いずれにいたしましても、御指摘のように、企業はやはり、そういう余儀なく離職をさせる場合でも、再就職、こういうところに責任を持つことは最低限必要じゃないか、私はこのように思っています。

塩川(鉄)委員 政府のこの雇用対策というのは、リストラが前提、いわばリストラが聖域の上での対策というふうに思わざるを得ません。

 塩川財務大臣は、八月の二十八日の閣議後の記者会見で、大手電機メーカーが相次いで人員削減を発表したが、企業者倫理が悪い、国民の生活安定という観点から企業は社会的責任がある、政府として警鐘を鳴らしてもいいと私は思いますと、非常に道理のあることをここではおっしゃっておられますが、経済産業大臣として、大手電機メーカーに対し警鐘を鳴らすべきではありませんか。

平沼国務大臣 今、私は前の御答弁で申し上げましたけれども、やはり企業にはそういう責任があると思います。そういう面では、これまでもしてまいりましたけれども、これからもそういう指導を徹底していきたいと思っています。

塩川(鉄)委員 日経連の奥田会長は八月のセミナーの中で、懸念するのは、便乗するような形の解雇が連鎖的に発生することだ、経営者のモラルハザードが広がれば、便乗解雇が横行し、社会全体が崩壊しかねないと。経済界からもこういう危惧の声が上がっているところであります。

 そもそも、ITバブルに乗って巨額の利益をため込んできた電機大手メーカーがIT不況を理由に大規模なリストラをやること自身が、道理がないと思います。

 例えばNEC山形は、NECの一〇〇%子会社であり、NECグループ全体計画の一環の役割を担う企業であります。NECは、グループ全体としてこの二年間に三千六百七十億円もの半導体の設備投資を行いましたが、この間千二百億円以上の経常利益を上げ、一兆九百七十一億円もの内部留保を蓄え、十分な体力があるはずであります。

 過大な設備投資の見込み違いについて、経営者の判断ミスのツケを労働者や下請企業に押しつけるのは、経営者の経営責任を棚上げするものではないか。この点でも、改めてお伺いします。

太田政府参考人 お答えいたします。

 NECについて御指摘がございましたが、NECも含めて大手の半導体メーカー、いわゆるIT企業は現在、パソコン、携帯電話、これが非常に需要が落ち込んでおります。それが、ひいては半導体需要の低減につながっているということで、非常に採算が悪化している。世界じゅうのIT企業、まさに世界の大競争の中で、選択と集中、どういう分野に自分の持っている資源を集中して、世界に冠たる製品を出して競争力をつけるかということに邁進しているわけでございます。

 そういう中で、日本のIT企業も、まさに選択と集中の考え方のもとに、分社化とかあるいは事業の統合等を行っているところでございます。その過程で人員の整理等も行われているところでございますが、基本的には、まず職場転換、配置転換等々を進め、どうしてもやむを得ない場合には、退職金の上積み等を図りながらやっておるというところでございまして、ぜひとも、そういう競争場裏の中で頑張っていかなければならないということを御理解いただきたいと思います。

塩川(鉄)委員 今まで選択と集中という言葉はありながらも、実際にやってきたことは、一番もうかるという液晶ディスプレーだとかDRAMだとか、こういうところへどんどんつぎ込んできた、その見込み違いこそが問題だということが問われているんだと思うんです。

 DRAMや液晶ディスプレーの価格が暴落していますけれども、ほかの部門でももうけを上げています。シリコンサイクルがあるということはよく承知していながら、DRAMなど、好況期にはこれほど稼げるビジネスはない、やめたくてもやめられない、こういう中で生まれたような今の事態じゃないんですか。

 この過大な設備投資を行ったツケにすぎないわけで、その点でも、昨日の新聞でも、みんなでキャベツをつくっていた、そのツケが来た、こんな話がされますけれども、経営者の経営責任を棚上げして労働者、下請への押しつけが今問われていると思うんです。

 そこで、私、この雇用対策ということで今真剣に取り組まなければいけない問題が、労働時間の短縮を通じて雇用の確保、拡大を図る、ここに今目を向け、取り組みを強めるべきだと思います。

 大量の人減らし計画の一方で、トイレに行く暇もないほどの過酷な労働条件が現場では押しつけられています。NEC山形の工場では、女性にも深夜を含む交代勤務が今導入をされています。今現在は深夜七時間労働ですけれども、来年の四月からは深夜十二時間労働も導入されるという話であります。なぜ、過剰人員、人減らしを言いながら、さらなる長時間労働を強いるのか。経営者は過剰人員があると言いますけれども、人員が過剰なのではなくて、労働時間こそ過剰ではないか、このことを言いたいと思うんです。

 そこで、配付した資料の二枚目に載せた上のグラフですけれども、先進各国の電機労働者の年間総実労働時間を比較すると、日本が二千十一時間と最も長く、その中でもさらに、大手電機六社をとれば、二千三十三時間と二千時間を大きく上回っております。政府が目標としている千八百時間の年間の労働時間にするだけでも、大きな雇用を生み出すことが可能であります。

 試みに数字を出してみましたが、下の表にありますように、時間短縮での雇用創出の試算を見ていただければ、千八百時間労働の場合、この電機大手の六社だけでも三万四千人を超える新たな雇用を生み出す力にもなります。私は、この政府目標の千八百時間への労働時間の短縮を通じて雇用の確保、拡大を図るべきだと考えます。

 政府の雇用対策を見ても、雇用の受け皿整備だとかミスマッチの解消とかセーフティーネットというのを挙げられているわけですが、こういった雇用の柱に、労働時間の短縮を通じて雇用の確保、拡大策を図るということがなぜ入らないのか。ぜひ、対策本部の副本部長でもある平沼大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 労働時間の短縮というのは、労働者にゆとりをもたらすほか、高齢者や女性等が働きやすい環境づくりにも資するものでありまして、雇用の創出につながっていく、そういうふうに考えております。

 今後とも、政府の目標である年間総実労働時間千八百時間の達成、定着に向けて、年次有給休暇の取得促進等により労働時間の短縮に努めてまいらなければならないと思っております。

 なお、いわゆるサービス残業というのもありますけれども、労働基準関係法令に照らして問題が認められる場合には、厚生労働省の関係機関において、こういった問題も私は大きな問題だと思いますので、この問題についても適切に対処していかなければいけない。

 いずれにしても、労働時間の短縮というのは御指摘のように雇用創出につながるものだ、そういう認識を持っております。

塩川(鉄)委員 そういう点でも、本当に本格的な対策が求められていると思うのです。

 平沼プランの中でも、女性が働き続けられる経済社会基盤の構築ということもうたわれております。

 私は山形の工場の現場を拝見しました。農業が立ち行かなくなった、そういった地方で電機産業が大きく雇用を吸収した。そこで、企業が安い女子労働を求めた、結果たくさんの既婚の女性が働くという現場が現に生まれているわけです。そういった女性たちが、先ほど述べたような深夜労働などで健康が破壊されるようなことがあり、女性が働き続けられる社会基盤に逆行するような事態が今生まれてもきています。

 このNEC山形では、片道五時間もかかるNEC秋田への出向なども現に行われておりました。幼い子供のいる母親が単身赴任で秋田の方に行くということも生まれています。農業の父親の方は、冬場は出稼ぎで家をあけるようなこともあります。そうしますと、長男を頭に家事を分担してやりくりをして留守を守っている、こういう状況も生まれているわけです。農業でも食べられなくなってIT産業を誘致したのに、そのIT産業からもほうり出されかねないような事態が生まれている。

 大企業が空洞化という事態を生み出して、いわば国を捨て国民を捨てていく、こういった企業の倫理はこのままでいいのか、これでよしとするのかということが今問われていると思います。もともと資源の乏しい日本にとって、まじめに働く国民こそが最大の宝であったはずであり、これを粗末にして日本の将来の安定的な発展はないわけであります。

 その上で、昨年五月、経済産業省の所管の法人でもある社会経済生産性本部、ここのワークシェアリング研究会が「雇用機会創出にむけた「ワークシェアリング」の推進を」という提言を行っております。ここでは、

 わが国では、企業が「過剰雇用」を抱えているといわれる一方で、なお恒常的な残業が発生し、職場によっては人員が減った分かえって残業が増えているとの実態も指摘されている。そこで、労働時間を短縮する場合には、まず長すぎる残業時間を縮減しサービス残業を解消するとともに、年次有給休暇の取得率を高め、生産性の向上を図るべく労使共同の取り組みが不可欠である。

と述べています。

 例えば、配付資料の二の下の表にありますように、大手電機六社で、七割台の年休の消化率、年休を完全取得するならば、七千人近い新たな要員の確保が必要になります。本体だけではなくグループ全体で行われるならば、数万人の新たな雇用の確保、創出につながると思います。

 社会経済生産性本部が指摘をしているように、まずは長過ぎる残業時間を短縮して、サービス残業を解消するとともに、年休の完全取得が実施できる要員を確保する、この立場で今のリストラ計画の見直しを求める、これは政府として当然行うべき取り組みだと思いますが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 先ほども、問題点の一つとして、私からサービス残業のこともお話をいたしました。

 私も、十一年間企業で働いていた経験があります。ある意味では、日本の社会風土というのは、なるべく年次休暇等は残そうというような、そんな雰囲気もある面では私の経験からありました。

 しかし、それは随分昔のことですから、今の特に雇用が厳しい時代、そういう中で、経済産業省といたしましても、厚生労働省と協力をしながら、年次有給休暇の取得促進、これは推進していかなければならないと思っておりますし、また、サービス残業については、労働基準関係法令に照らして問題が認められる場合には、当然、厚生労働省と、そして関係機関と我々も話をしながら適切に改善をしていく、このことはしなければならないと思っています。

塩川(鉄)委員 山形の現場などでも、年休を申請したら一時帰休に振りかえる、上司からこういう形での話があったとかということも行われています。現場に即した具体的な指導を強く求めたいと思います。

 この社会経済生産性本部でも、不況下におけるワークシェアリングの意義と可能性ということを強調しています。現に今、大手企業のリストラで、個々の企業にとって見れば生産性が向上するということはあるかもしれないが、しかし、不況下におけるこういった取り組みが、個々の企業にとっては合理的な行動であっても、日本経済全体で見れば、失業率をかえって高め、消費を冷え込ませ、日本の景気を悪化させている。かつて与謝野大臣も合成の誤謬ということをおっしゃられましたけれども、こういう現状が生まれてくると思います。

 ですから、むしろ景気回復には、このワークシェアリングを通じて、労働時間の短縮で雇用の維持、確保をすることで雇用不安を解消し、個人消費の回復を通じて国内産業の生産を促進、雇用の増加につなげる、ここに今転換すべき政策の方向があると思います。この立場での取り組みを強く求めるものです。

 それで、今現に空洞化と言われるような事態が進行中です。山形では、NECだけではなくて、富士通や東北タムラやスタンレーやTDK、こういった企業などの関連下請企業もたくさんありますが、前年比で八割とか五割という大幅な売り上げの減少に直面をして、やむなく解雇せざるを得ない、こういった事態も生まれています。庄内地方の電子部品の業者組合の組合長さんと副組合長さんが続けて自殺をされる、こんなことも今起こっております。

 東北地方というのは、一社専属の、大手の一社との取引しかないような下請が多い現状があるわけですから、こういった下請企業の特殊性を踏まえた本格的な対策が求められていると思います。そのためにも、大企業のリストラ計画の実態と、その社会的、経済的影響について、空洞化の影響について、実態調査をきちんと行うべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。

桑田政府参考人 お答えいたします。

 リストラの計画の問題についてでございますけれども、昨今の景況の急激な悪化が生じた際に、各企業におきまして、生産や販売や在庫の状況でございますとか、まさに設備、労働力といった経営資源の実態に即して、経営に関するさまざまな要素を勘案して、合理的、総合的な判断を行うということで、残念ながら、やむを得ない場合には雇用調整が余儀なくされるということだと認識しております。

 私ども、地域別の景気動向につきましての実態の把握に定期的に努めてございますし、昨今におきます産業の実態につきましても、引き続き努めております。そういう意味では、私ども、今後とも、我が国に生じております各産業別の景気動向、さらに生産実態、さらに地域別の実態につきまして、引き続き調査をしてまいりたいと思っております。

塩川(鉄)委員 産業構造審議会新成長政策部会が、この九月に「アジアを中心とした国際分業の現状と課題」ということで報告をまとめられています。これはマクロの問題で大きく話がされておりますけれども、その分析の中でも、「今後の検討課題」として、「アジア諸国との分業が進む中で、国内雇用をどのように維持していくか。」こういう問題について検討課題として挙げているわけです。

 かつて、九〇年代の半ば、空洞化が大きく言われたときがありました。そのとき、一九九五年に、国内産業の空洞化及び海外投資に関する調査が通産省として行われました。そこでは、大企業に聞き取りの調査を行うだけではなくて、中小企業に対しても二百社以上の調査が行われております。

 新たに産業空洞化が指摘をされているときだからこそ、中小企業も視野に入れた空洞化対策のための実態調査をきちっと行うべきときが来ている、東北、山形の実態を考えても、そういう取り組みが今求められていると思いますが、改めて、この調査について、大臣、いかがでしょうか。

桑田政府参考人 実態調査につきまして御質問がございましたけれども、私どもにおきましても、現在の産業の実態につきましてさらに調べてまいりたいと思いますし、その点につきましては検討させていただきたいと思います。

 基本的に、御質問がございましたけれども、総合雇用対策におきまして、さらに、新成長の分野におきます雇用の創出といった点につきましても、先般の産業構造審議会新成長政策部会におきましても提言をいただいたところでございます。雇用の受け皿の整備としまして、医療、福祉でございますとか、思い切った制度改革、規制改革におきます新市場、新産業の育成につきまして抜本的に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

塩川(鉄)委員 新産業、新市場の創出といっても、現に生まれているこの失業の問題を直ちに解決する手だてとしては間に合わない部分というのも大いにあるわけです。そういう意味でも、労働時間の短縮を通じて雇用の確保、拡大を図るというのは直ちにできる取り組みだ、まずは年休からでもやるべきだ、こういうことを私たちは強く求めるものであります。

 あわせて、ヨーロッパ諸国の中で取り組まれている解雇制限法などの、雇用についてきちっと労働者の立場からフォローする、そういった法制度の実現も強く求めて、質問を終わりにします。

山本委員長 大島令子さん。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 きょうは大臣に、まず鉱業法について質問をいたします。

 さきの第百五十一通常国会で、愛知県日進市の東部丘陵における粘土採掘の問題についてお尋ねしました。その後、当該地は採掘許可範囲が当初の半分に減らされ、水系と山並みが一部ですが守られるということで、質問の成果が一応あり、質問してよかったなと思っております。

 しかし、その折にも主張しましたが、鉱業法によって守るべき鉱物採掘の権利については、現代においてもなお、他の法令、例えば民法や森林法、農地法に優先して保護すべき利益なのかということについて、今回再度お尋ねします。

 趣旨は、原則許可の現状を、他産業との調和のみならず、また公害等調整委員会の業務にかかわらず、自然保護や災害に対する配慮に重点を置き、法そのものを改変するべき時期に来ているのではないかという質問でございます。

 さきの百五十一通常国会で改定、成立しました森林・林業基本法や、一九八九年に成立しております土地基本法との関連でお尋ねします。

 森林・林業基本法は、一つ、水源の涵養、二つ、国土の保全、三つ、地球温暖化の防止を目的として、我が国林業を取り巻く情勢の変化に対応して定められました。その保護法益は公益でございます。

 また、土地基本法は、バブル期の無謀な土地取引をいさめ、土地に対する基本理念を定めたものです。基本理念は以下の四つにまとめられます。

 一つ、土地については公共の福祉が優先すること、二つ、土地は適正に計画に従って利用されなければならない、三つ、土地は投機的な取引の対象にしてはいけない、四つ、土地の価格が道路、鉄道の整備や人口、産業の動向などによって増加する場合には、それによって得られた利益に応じ適切な負担が求められるべきというのが基本的な理念、基本法ですからそういう理念であると思っております。

 言うまでもなく、私は、鉱業法よりも、今二つ述べた法律が上位にあるものと理解しております。しかし、これらの現代社会の矛盾解決の中から必然的につくられたこの基本法と、前述の民法その他に優位性を持たされた鉱業法との関連について大臣にお尋ねします。この場合、上位に当たる法律はどちらと大臣は考えていらっしゃるか、お願いします。

平沼国務大臣 結論から言わせていただきますと、それぞれの法律は上下関係にはない、こういうふうに思っています。

 土地基本法そして森林・林業基本法と鉱業法との関係、これは、今御指摘のように、土地基本法というのが、土地に関する施策の基本などを定めています。森林・林業基本法が、森林と林業に関する施策について定めているわけです。一方、鉱業法というのは、国民経済上欠かすことのできない鉱物資源を合理的に開発して公共の福祉の増進に寄与するために、鉱業についての基本的な制度を定めたものであります。

 したがいまして、それぞれの分野で重要な制度だと思っておりまして、どちらが上下にある、こういうこととして考えてはおりません。

大島(令)委員 では、次の観点から改めて質問します。

 日本大学の甲斐先生は、行政法の解説の中で、人が本来有していない新たな権利を法がつくり出し、行政庁が与えたり奪ったりする権利があることを説明し、それは次の三種類があると説明されています。

 第一に、特許があり、鉱業法も特許の一種であると言っております。土地所有権は、地面の下の使用収益権も含んでおります。しかし、鉱物資源は我が国にとって貴重であるので、その採掘の権利を土地所有権から切り離し、国が独占的に保有した上で、これは鉱業法の二条でございますが、特定の私人に採掘権を与えることにしております。この鉱業権設定の許可も、特許の一種と考えられていると述べております。

 あとの権利は、認可を得て執行できる権利と代理権があると説明されております。

 認可は、第三者の行為を補充して、その法律上の行為を完成させる行為であります。

 例えば、農地売買の自由は、大規模な不在地主を発生させ、小作人搾取という問題が発生するという過去の経験から、農地の所有者を、土地をみずから耕作する者に限定しております。これは農地法の一条。その確認のために、農地の売買は当事者の合意のみでは完成せず、農業委員会等の許可を必要とする。これは農地法三条でございます。この許可も、当事者の売買を補完して完成させるという意味で、認可の一種となると説明しております。

 また、商品やサービスの提供価格は、その事業者が自由に決定するのが原則でありますが、公企業の場合には、その公共性から、料金決定の妥当性確保のため、行政庁の認可の対象とされていると説明されております。

 三つ目が代理ですが、これは強制執行の行為を考えていただければわかると思います。

 先述の法律の解釈の中で、鉱業法を特許に基づく他の権利に優越した権利、あるいは、もちろんさまざまの規制を経た上で、検討した上で原則付与的に与えるのではなく、土地基本法や森林・林業基本法に沿って出てくる法理、すなわち、原則開発禁止とは言い過ぎだとは思いますけれども、認可へと変更する、そういう時代に来ているものと私は思っております。

 大臣に改めてお尋ねしますが、鉱業法の精神を少しだけ森林・林業基本法ですとか土地基本法の理念に変換する考えはありませんでしょうか。

古屋副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員の質問は、鉱業法を土地基本法やあるいは森林・林業基本法の中に組み入れて、これらの法律の趣旨に合致した場合に鉱業権を認めてはどうか、こういった趣旨の質問だと思います。

 これに関しましては、鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律、そして鉱業法の第十五条の規定がございまして、公害等調整委員会が、鉱物を採掘することが一般公益または農業、林業もしくはその他の産業と対比して適当でないと認め、鉱物を指定して鉱業権の設定を禁止した地域は、その鉱物については鉱区とすることができない、こういうふうに規定をされておりまして、この観点から、適正な土地の利用、森林・林業施策との整合性は図られている、このように考えております。

大島(令)委員 では、きょうお手元に資料を二枚配らせていただきました。これは、先般、資源エネルギー庁からいただいた金属鉱山の部でございますけれども、現在稼働しているもの、探鉱中のもの、休止しているもの、この一冊の中で金属鉱山だけ抜粋して、私の事務所で資料につくったものです。まだ探鉱中のものがございますが、十四カ所でございます。Cの欄は休止しているもの、これは全国で百七十三カ所。二枚目は、この十四カ所の、現在金属鉱山として稼働しているものの所在地ですとか鉱山名、鉱種名、これを抜粋したものでございます。

 なぜこの資料を持ってきたかといいますと、資料からわかることは、既に採掘を停止している鉱山が圧倒的に多いということです。稼働中ないし探鉱中のところはごく少数ですね。稼働中が十四カ所、探鉱中のものが十五カ所ということでございます。

 ここから読み取れることは、鉱業法上の鉱物について、そのほとんどが、役割といいますか、もう保護して無理をして採掘するのには当たっていないのではないか。私はこの法律を変えてほしいわけですから、いろいろな観点から大臣に意見を申し上げているわけです。その一つの説得材料でございます。

 もちろん、この資料の中には、石灰ですとか粘土、珪砂、これもあります。石灰や粘土は、それぞれ一〇〇%近い自給率で現在産業に貢献しているということは承知しております。しかし、私は、日本で今後新たな鉱脈が発見され、新たな鉱物が鉱業法で認めるほどの貴重な鉱物になるかどうかという予測、これはないのではないかということが、この資料を分析してわかったわけですね。

 ですから、この資源エネルギー庁からいただいた資料の、鉱業法で保護される、許可をして掘る金属鉱山の現状が現在十四カ所、探鉱中が十五カ所という現状から見て、なおかつこの鉱業法が強権的な、土地所有権を上回るような形で現存することに対して、もう一度大臣のお考えを聞きたいと思うわけなんです。

河野政府参考人 先生が引用してくださいました私どもの資料で、日本において金属鉱山の数が今やそれほど多くないのはそのとおりでございます。

 ただ、それぞれの鉱山が日本にとって非常に不可欠な鉱物資源を産出しているのもまた事実でございまして、こういった鉱山の活動を適切に保護し、また公益との調整を図っていくという意味では、鉱業法の対象であることは重要な要素であるというふうに考えております。

大島(令)委員 それでは、現在北海道で稼働しております光竜鉱山とか豊羽鉱山、光竜鉱山では金と銀、豊羽鉱山では亜鉛、鉛、銅、金、銀ですが、この稼働中の鉱山から得られる金属の自給率というのは、一体日本の需要からしてどのくらいのものなんでしょうか。長官にお伺いします。

河野政府参考人 鉱山ごとではございませんのでお許しいただきたいと思いますけれども、今御指摘ありましたような、金の我が国の自給率は四%でございます。それから銀は二・二%。産出量でいいますと、金が九トン、銀が六十三トンということになります。鉛につきましては四・八%、六千四百トン。亜鉛につきましては六万三千百トン、一〇・七%というのが平成十一年度におきます実績でございます。

大島(令)委員 非常に低い自給率でございます。

 ですから、私はそういう観点からも改めて見直していただきたい。法律に、体を合わせる、生き方を合わせるのではなく、やはり時代と社会状況の要請、例えば、森林・林業基本法ですとか土地基本法も、バブルですとか、コンクリートのダムではなく緑のダムで水害を防ごうとか、そういう時代の要請に合っているわけなんですね。やはり、鉱業権によって採掘されます鉱物の場合は縦穴を掘って掘るということでございますけれども、丘陵地を掘っていく、森林の木が刈られてはげ山になっていく。

 そういう時代の要請に合わせて、やはり今のような自給率、そして金属鉱山のこの稼働率から見て、私は、もう一度今後この鉱業法を時代に合った形で変更していただきたいなと要望して、次の質問に入らせていただきます。

 次には、コンビニエンスフランチャイズグループにおける問題について、公正取引委員会の委員長さんに質問いたします。

 ここ数年の間に数回、コンビニエンスストアの加盟実態の問題が商工委員会、経済産業委員会でも質問されてきました。大臣や公正取引委員会の担当者は、この公正取引委員会のフランチャイズシステムについてのガイドラインに基づいて、親会社すなわちフランチャイザーを、独禁法に触れることがないように、優越的立場の規制に抵触しないように指導していると答弁されております。しかし、実態は一向に好転せず、コンビニエンスストアのオーナーが親会社を訴えている例が既に二十数件に上っていると聞いております。コンビニエンスストアが廃業し、また新たに建てられたり、すぐ近所に同じ系列のお店が新設されたりという状況も相変わらず続いているようです。こうなりますと、売り上げが減少したお店は廃業したり、多大の負債を背負うのはフランチャイジー、たな子の方でございます。

 重要なことは、本部はほとんどリスクは負わない契約形態であることです。店舗の飾りつけ、什器、備品から商品に至るまで、すべての動産、不動産をコンビニエンスストアのオーナーが負担する仕組みになっているからです。

 訪問販売や通信販売、新聞の拡販については、その業界の自助努力もありまして、消費者保護という観点からの行政担当の指導や、弱者保護という方策に基づく立法措置で、消費者本人のみが一方的に損をするというような状態は少なくなってきております。また、自治体などが設置している消費生活センターが駆け込み寺的な機能で消費者を一定保護しているわけなんですね。前の国会でも、IT契約についても、消費者保護の概念をここで議論した経過があります。

 コンビニエンスストアのフランチャイザーとフランチャイジーとの関係は、いわば訪問販売とか通信販売で言う販売者と消費者との関係に極めて似たものがあります。一方が一方に対して極めて優位性を持っているからということでございますけれども、やはり詐欺まがいの販売行為は消費生活の面において厳しく指導され、是正されつつある。個人が商品販売に対して不利益をこうむるときには、割賦販売法ですとか消費者契約法ですとか一定の保護策が、商工委員会でも法律の一部改正が審議されてまいりました。しかし、コンビニの場合は、脱サラとかたばこ屋さん、お酒屋さんなどが大きな本部に対して契約行為を行う。これらの人は、オーナーといえども本当に市井の人なんですね。

 そこで、具体的な質問に入りますが、公正取引委員会では、過去数回にわたる質問を受けてコンビニフランチャイズ加盟店の実態調査を実施されたということなんですが、どのような点を中心に実態把握をしたのか。二つ目は、この調査を踏まえて今後どう対応する予定なのか。三つ目として、結果はいつ公表するのか。三点について質問をいたします。

根來政府特別補佐人 この問題につきましては、従来から国会でもいろいろ御議論のあったことを承知しているわけでございます。

 そういう御議論を踏まえまして、私どもの方で、コンビニエンスストア、これは代表的な業種でございますが、それに焦点を合わせまして調査をいたしました。その調査の結果は近々まとまりますので、今月の末かあるいは来月の初めごろに公表できると思います。その公表分を踏まえまして、また御批判をいただければありがたいと思うわけでございます。

 どういうところを焦点にしたかということでございますが、大きく分けまして二つございます。

 一つは、本部による加盟店募集における勧誘の方法でございます。これは要するに、開店した後にどのようなメリットあるいはデメリットがあるかということを十分に周知させるということが必要でございますが、そういう周知がされているかどうかということであります。

 二番目には、契約締結後の本部と加盟店との取引、仕入れの推奨とか販売価格の推奨、あるいは新規事業の導入等についてどのような契約がなされ、どのような実態にあるかということでございます。

 大きく分けますと、こういう二つの問題に焦点を合わせて調査をしたわけであります。その調査の結果は近日取りまとめて公表すると思いますけれども、その調査の結果をどのように今後生かしていくかということでございますが、これも二つございます。

 一つは、調査の間に判明いたしました個々の違反行為といいますか若干違法に近い行為について是正を求めるということでございますし、二番目は、先ほど御指摘がありました、昭和五十八年にフランチャイズについての独占禁止法上の問題ガイドラインというものを公表しております。これも、経済環境が大いに変わっているわけでございますから、この調査を踏まえまして、そのガイドラインをどのように変えたらいいかという二つの問題意識を持っているわけでございまして、この結果がまとまり次第、両点について十分考察をしたい、こういうふうに思っております。

大島(令)委員 今この質問をするのは、二〇〇〇年度の統計なんですが、フランチャイズビジネスの業種別売り上げシェアというのがございまして、市場規模としては十七兆七千五百五十八億円が二〇〇〇年度の実績でございます。フランチャイズといいましても、例えばファストフードから始まりまして、レストラン、いろいろな業種がございますけれども、そのうちコンビニが三七・八%を占めておりまして、日本の売り上げの中でも非常に大きなシェアを占めてきた。

 そういう問題意識もありまして、私は、今これを規制しているものが、委員長の答弁ですと、フランチャイズシステムに関する独占禁止法上の考え方というガイドライン、これが今の現行法の、問題があったときの一つの取り締まりというか、規制しかないというふうに理解したわけなんですね。

 そこで、やはりこれだけの市場規模のあるフランチャイズシステムに対して新たな立法措置をもって規制をしていく、そういう考え方をお持ちかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 今、いろいろな問題点がある、こういうことで御指摘がありましたし、また公取の委員長からも、各種の調査をしている、こういう御報告もあり、その調査が近々出る、こういうことであります。

 そういうデータ等も踏まえて、やはり健全な形で商行為が行われるように、我々としても今後いろいろな形で検討をしていきたいと思っております。

大島(令)委員 中小小売商業振興法という法律の第十一条に、特定連鎖化事業の運営の適正化、第十二条には、それに基づいて、勧告とか、政令に従わない場合はその事業者を公表するという、行政指導ということで、罰則規定がないわけなんですね。

 しかし、実際、法律上明確な義務が何もないわけで、トラブルが非常に多く起きている。それも、お酒屋さんやたばこ屋さんをやっていた素人の人が大きな店舗を構えている。小泉総理だって総理になる前にはコンビニ生活をしていた。永田町にもコンビニがありまして、私なんかも、夜遅くなるとコンビニでお弁当を買って食べる。国会議員もコンビニの利用者であるわけで、やはり日ごろ利用しているお店の人たちが健全な形でビジネスがしていけるということが望ましい。

 そういう人たちが、本部も加盟店もお互いに食べていける、訴えられるようなことのないビジネスがしていける、そういうために、やはりこの委員会で、ガイドラインではなく、この結果を踏まえて、委員長はガイドラインを変えるという御答弁でしたけれども、アメリカでは規制法がございますので、そういった方向で取り組んでいただきたいなと私は思っているわけでございます。

 最後に、そういう立法措置に関して、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。

平沼国務大臣 今委員から、中小小売商業振興法のお話がございました。契約事項に関する書面交付義務、そして説明義務、こういう義務を課しているわけでございまして、そういう不正なことがあったときには、私どもとしては、こういう法律の義務事項に基づいて説明をさせ、それに対してしっかりした指導をまず当面行っていく、また、調査結果を踏まえて、そういう方向も必要であれば検討していかなければらならない、このように思っています。

大島(令)委員 終わります。

山本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時二分開議

山本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。栗原博久君。

栗原委員 お時間をいただきましてありがとうございます。

 小泉政権が発足してきょうでちょうど半年でございまして、国民から八〇%近い支持を受けながら、聖域なき構造改革ということでまっしぐらに進んでおるわけであります。しかし、アメリカの九月十一日の同時多発テロを契機といたしまして、なかなか厳しい局面を私は迎えていると思っております。

 特に、今まではアメリカへの我が国の輸出が大変停滞しておりました。それで、国内の需要も劣っておりますから、景気が低迷しつつある中に、このような同時多発テロで世界を震撼させながら、かつ、それによって、やはり世界経済、米国を中心とする自由主義社会における世界経済が大変な状況にあると実は私は思っておるわけであります。

 小泉さんが総理になったときは、たしか株が一万四千六百円台ぐらいだったのが、一時一万円に戻ってしまったということで、これを見ましても大変な状況下にあると思っております。過去十七年間で一万円になったことはなかったわけであります。さらにそこに、今度、あのような同時多発テロで、世界貿易ビルの中に航空機が突っ込んで、それも世界の金融と情報の中心のところでございますから、要するに、グローバル経済の中心の拠点にあのような憎むべき行為があった、そのことによって、世界経済はさらに一層深刻さを増していると私は思っております。

 私は、一九三〇年代の世界恐慌ですか、そういうことがないように願いますが、今のこのような状況を見ていると、大変不安を来しております。これは、多くの中小企業の方々も同じような考えを持っていると思います。特に、アフガンに対する攻撃など、十年前のあの湾岸戦争のときの状況と今は若干違うと思います。

 当時は、我が国は、バブルが崩壊しながらまだ経済が成長下にありましたし、そして、経済も拡大基調にありましたけれども、今は、テロ前でも大変な状況、不良債権問題を抱えながらやっているさなかに、一層アメリカに対する輸出などもとまってきますでしょうし、不良債権もまだ処理が進んでおりません。

 そういう中で、中小企業、とりわけ私ども地方選出の国会議員は多くの中小企業を抱えているわけでありまして、失業率が、湾岸戦争のころはたしか三%程度だった、今はもう五%まで行っておるわけなんです。

 そういう中で、お聞きしたいのでございます。

 最近、金融監督庁は大変検査を厳しくしております。厳しくしてもよろしゅうございますけれども、それが景気にプラスになればよろしいが、ただ検査するだけでありまして、一般市中銀行は大変引き締めをして、今こういう不況下で売り上げも落ちている、そういう中で、やはり金融的に助けてほしい、そういう中小企業を締めつけしているような状況もあるわけなんです。

 きょうは、我が国の経済産業の最高のお立場にあります、平沼大臣初め古屋副大臣、皆さんから、テロなどのこういう大変な状況下にあって、日本の産業政策をどのようにまず持っていくか、そしてまた中小企業対策はどうするか。

 また、狂牛病も出てまいって、先ほど理事会でも実は話題になったわけでございますが、一応全頭検査をする、そして農林省、厚生労働省あるいはまたこちらの経済産業省など、全部含めて、おおむね千五百億円もの巨額な金を使って狂牛病対策に取り組もうとしております。

 ただ、一番恐ろしいことは風評被害。テレビが余りにも極端なものを出すものだから。狂牛病が万が一あったとしても、もう億分の一の確率だと私は思うんですよ。ところが、マスコミがどんどん流す、あるいはまた国会でも取り上げるということで、私がきょう取り上げなければ一番いいと思うんですけれども、そういう風評被害などで、肉屋さんとかあるいは食肉加工業者とか飲食店、そういうのが大変被害をこうむっている。

 そういうことを含めながら、現下の厳しい情勢下における産業政策並びに中小企業対策についてぜひひとつお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 栗原委員御指摘のとおり、バブルが崩壊して日本の経済というのは低迷期に入っておりました。そこで九月十一日に同時多発テロが起きまして、さらに大きなショックが加わったことは事実でありまして、日本の今の景気というのは非常に厳しい局面にございます。そういう中で、足元の経済をどうやって立て直すか、あるいは、中長期的にはどういうふうにやっていくか、この二つに分けて対策を講じていかなきゃいけない。

 そういう中で、きょうの夕方、経済関係閣僚会議、これが開催をされまして、そこで改革先行プログラムが示されます。その中において、やはり、今言ったその背景の中で、企業や消費者が萎縮しないような一つの方策を盛り込んでいるわけであります。

 日本の場合には、まだまだ、私はある意味ではポテンシャリティーがあると思っておりまして、個人の金融資産も一千四百兆もあるという国はどこを探してもありません。したがって、今、GDPの六〇%を占めている消費というものに火がつかない、こういうことでありますから、先行き、見通しを明らかにするということがやはり必要だ、そういう中で、改革先行プログラムの中にはそういったものも盛り込ませていただいた。

 さらには、やはり、中小企業の皆様方はそういう意味では大変厳しい立場に立たされておられますので、セーフティーネットを講じていかなきゃいけない、そういうことで私どもは今一生懸命この厳しい景気に対処するためにいろいろな形をやっています。

 中小企業対策に対して具体的に申し上げますと、今狂牛病のお話をされましたけれども、例えば大型の倒産に巻き込まれる、あるいは関連している金融機関が破綻する、連鎖的なものに巻き込まれる、そういう場合に、やはりセーフティーネットとしての保証をして、貸付制度を創設して、そこに対しては対処する。さらに、やはり、今中小零細企業の方々は大変お困りですから、それに対しては売掛金に着目をして、売り掛け債権に対して保証枠をつくって、そこで積極的に融資をしていく。そういったきめの細かいメニューを用意しながら、中小企業対策をしていかなきゃいかぬと思っています。

 また、狂牛病で被害を受けられた、本当に実態として小売業の方やあるいは流通の方でそういう被害に遭われている方々には、やはり特別にそれぞれ今窓口を設定しておりまして、きめ細かく対処しているところであります。

 今こういう厳しい状況の中で、我々は、足元と、それから中長期的、これはいろいろメニューがありますけれども、そういう形できめ細かく対処をさせていただいて、今の景気に対して対策をしっかりと講じていかなければいけない、このように思っております。

栗原委員 今、大臣からセーフティーネットというお話がございました。私は、今日セーフティーネットで雇用対策をいろいろやっておりますけれども、ぜひひとつ諮問会議の皆さんにも大臣からもお話ししていただきたいと思うんですが、私は、やはり雇用対策はもっと積極的に雇用機会を創設するということを重点にしていただきたい、今のセーフティーネットはどうも所得保障のような形ばかりでありまして、ではこの対策が終わったらどうなるかということで、大変私は不安を来します。

 そしてまた、もう一つは、やはり今回のセーフティーネットをいろいろ見ましても、高齢者、中高齢者、これは大変でありますから、それは当然であります。全体で失業率が五%ですね。ところが、十九歳から三十四歳の一番若い、日本の国を背負う、こういう方の失業率が一〇%にも及んでいる、約百六十万人近い方が失業している。これは私は大変な事態だと思っています。やはり、若い方々が働けるという雇用機会を。

 それにはやはり、景気対策としてもっと積極的に、今二、三兆円の補正を考えているらしいのですが、大臣はこの前、ちょっとあるところへ呼んだら、もっと大胆な、七、八兆と。私は、このとき、やはり雇用機会の創設のためには、投資意欲をわかせるという大胆な経済対策をぜひひとつ講じていただきたいと。

 小泉総理の構造改革というのは、やはり前向きが構造改革でありますから、後向きの構造改革でなくて、前向きのためには、この急場をいかにしのぐかということについて、ぜひ大臣から、そのお力をお示し願いたいと思っています。

 特に、今製造業を見ますと、今はもう在庫を置かないようなシステムになっていますね。そうしますと、在庫を置かないシステムですと、ちょっと経済が悪くなるとすぐ部品納入は待てとか、いろいろ条件を、親企業が難癖をつけるわけはないと思いますが、そういうことでやはり下請が泣く状況がある。

 公正取引委員会も一生懸命に努力されているようですが、今の下請の方々の、下請いじめとは言いません、いじめとは言いませんが、親企業と下請の間におけるいろいろなやはりトラブルがあると思うんです。それについて、どのように把握され、どのような手を打たれているかということを、大臣もしくは公正取引委員会委員長、おられますか。では、公取委員長からひとつ。

根來政府特別補佐人 私どもの方は、中小企業庁と共管ということで、いわゆる下請法を所管しているわけでございますけれども、下請法を適正に運用したからといって、必ずしも下請事業者が幸福になるとは限らないわけでございますが、私どもの所管の中で全力を尽くすということでやっているわけでございます。

 三点ばかりございまして、いろいろ調査いたしましたところ、やはりおっしゃるように、下請いじめといいますか、そういう現象が見られるわけでございまして、違反に近い事案が、昨年度より一・五倍というふうになっているわけでございます。

 したがいまして、そういう実態を踏まえまして、親事業者に対する立入検査といいますか、実地検査を実施するということであります。特に下請事業者の多い、違反行為が多い業種であります電気機械機器あるいは一般機械機器、輸送用機器を中心に調査をするということでありますし、さらに、書面調査についても、例年より二倍の調査をするという予定にしております。

 それから二番目は、輸入急増の影響の大きい繊維製品に係る下請取引につきまして、製造委託を行っている産地問屋等繊維卸売業に対して報告の徴収、検査を実施するということであります。

 ほかにもございますけれども、中心的なことはそういうことでございますし、十一月は下請取引適正化推進月間でございますから、経済産業省と共同で、そこは抜かりなくやっていきたい、こういうふうに考えております。

栗原委員 委員長、特に、繊維関係からは大変そのような声が聞かれますので、それは委員長、ひとつよろしくまたお取り計らいください。

 時間がございませんので、きょうは郵政事業庁の足立長官がお越しでございますが、私から一言だけお願いしまして。

 今こういった中小企業、伝統産業、昔からある産業があるわけです。今郵政事業庁では年賀はがきとかそういうものをやっておりますね。これは日本の文化、伝統、日本古来のいろいろな伝統産業がある。例えば、先週私の地元の三条で全国刃物サミットを行いました。島根県の安来とか、兵庫の三木市とか、そういうところの方が集まって、昔からある産業をもっと育てようと。そこにはやはり公も大いに関与していただきたい。

 だから、郵政事業庁は、今後とも国営化を目指すというんですから、少なくとも昔からの伝統、古来のそういう産業に目を当てて、そういう景品を採用するようにお願いします。答弁は結構です。申しわけありません、わざわざお越し願いまして。

 次に、我が国の電力の問題です。原子力政策、電力の確保に経済産業省、そしてまた資源エネルギー庁、本当に御苦労されています。

 新潟県に刈羽村というところがございまして、これはもう世界有数の柏崎刈羽原発のあるところであります。我が国の原発は全電力発電の三四%を占めておる。この柏崎刈羽は五百九十三キロワットアワーの生産で我が国の全電力の六・三%、特に原子力の一八・四%を占める大事な地域であります。

 そこで、昨年度、実は住民投票がありまして、プルサーマルについての反対が成ったと。これは私は、今きょうここにいらっしゃるかどうかわかりませんが、地方が行う原発の交付金の問題で、これらに係ります交付金を受けながら、この村では五十七億、五十億円以上の電源地域振興センターを介しての補助金をもらいながら、学習センターなるものをつくって、その中身がどうもおかしかったということで指摘されて、先般も、この一日にも経済産業省から一億四千万の還付を求められているというのです。

 こういう不祥事、また私は刈羽村だけを追及できないと思うのですよ。交付金を扱っている電源地域振興センターなるものがやはり下請をやっていろいろその調査を、またその調査を設計事務所がいろいろやる、その設計の会社が勝手にやったとは言いませんけれども、なぜこんなに大胆な工事の不正があったのか、大変私は疑問に思っております。

 そういう中で、せっかくプルサーマルというこれからの新しい核燃料資源を確保しようという風の中でああいう不手際をやったことが私は住民投票にも大きな影響を与えたと思うのであります。この電源地域振興センターなるものの適正なる運営を含めながら、このプルサーマルの問題を起こした、住民投票でノーと言われたこの刈羽の問題、これについてどのように大臣はお考えであって、今後どのような対応をしていただけるかということをひとつお聞きしたいと思います。

平沼国務大臣 今、先生御指摘の柏崎刈羽、私も大臣として現場に行かせていただきまして、視察をさせていただきました。まさに大規模な形で展開されておりまして、国のエネルギーの重要な一翼を担ってくださっている、こういう感を深くいたしました。

 そこで、御指摘のラピカの問題がいわゆる住民投票に影響があったかどうか。これは、先生が御指摘のような結果になったことに対して、私は、影響を与えたのは否定できない、こういうふうに思っています。

 そういう中で、これから我々は、その運営に当たっては、やはり大切なエネルギーの推進、こういう前提がございますので、しっかりとしたやはり監視体制、そして透明性、こういうものを確保して、そして国民の皆様方の不信を招かないように万全の措置をつくっていかなければならないと思っています。

 そういう意味では、専門家を選定いたしまして、そして、そのもとでの透明性の確保でございますとか、あるいは専門家を派遣いたしまして、事業実施に対するチェック、こういうものを厳密に行って、そして国民の税金が変な形でむだ遣いされないように、そして国民の信頼をしっかりと担保する、そういうことをこれから一生懸命努力させていただきたい、このように思っています。

栗原委員 ありがとうございました。三十秒だけいいですか。

 公共事業についていろいろ問われております。公共事業は、国民の大事な公物、公のものをつくり、また国民の社会資本の形成に大変大事なんですね。ところが、こういうことを一部の方が、ならず者とは私は言いませんよ、やるから公共事業に対する批判があるんですよ。やはり電源地域振興センターがそういうところにお入りになるんだったら、もっと勉強して、もっとしっかりしてもらわぬとだめだ。それは、ひいてはやはり政治に対する信頼を損なうわけですから、大臣、きっちりひとつセンターに対して御指導をお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

山本委員長 赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょうは、約三点につきまして質問させていただきますが、二十分という短時間で、限られておりますので、どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。

 そして、今、平沼大臣がまさに陣頭指揮で解決に努力していただいております中国野菜のセーフガードにつきましては、ちょっと後に回させていただきまして、申しわけございませんが、最初にまず狂牛病問題につきまして質問させていただきたいと思います。

 先ほど同僚委員からも同様の発言がございましたが、この狂牛病問題、川上の部分ではいろいろな助成のツールがある。しかし、現実には、今回まさに風評被害そのもので、一番その被害を深刻に受けているのは、消費者に直面している川下の食肉業者、食肉の販売店とか焼き肉店とか、こういったところだと思います。

 私も、神戸選出でございますので、神戸ビーフ、まさに牛肉が日本の、神戸の誇り、こういった状況の中で、今実は一軒一軒小売店回りをしておりますが、率直に申し上げまして、売り上げがやはり全体の七〇%から八〇%減。二、三割の減じゃなくて、逆に二、三割になってしまっている。しっかりした牛肉屋さんほど贈答品なんですけれども、贈答品はもうほとんどゼロですね。この状況の中で、お客さんに牛肉を贈るなんということは失礼に当たる。こんな状況で、まさにこの年末のお歳暮、また、すき焼きやしゃぶしゃぶという時期を迎えて、もう本当に生きていけるかどうか、まさに深刻な状況である。もう軒並みそうでありました。

 今回、このことを受けて、農林水産省や厚生労働省からの働きかけもあって、中小企業庁として相談の窓口をつけていただいて、また、セーフティーネットの融資やセーフティーネット貸し付けといったものを発動するべく、指定業種に指定をしていただいたわけでありますが、現実には、実際、融資を受けに行くと、なかなかそう簡単には受けられない。神戸は、六年半前に阪神大震災がありまして、かつ、O157の問題もあって、三つ目の大きなパンチである。

 確認したいんですが、セーフティーネット保証につきましては、今までの債務とは別枠で、今回の案件に限って別枠で、無担保無保証人で一千万円、もう一つは、無担保、本人保証があれば八千万円までの保証が受けられる、こういう規定になっていると思いますが、まずここを、そういうふうな実態なのかということを御確認いただきたいと思います。

杉山政府参考人 ただいま先生から、狂牛病に関連いたします対策としてのセーフティーネット保証についてのお尋ねがございました。

 このセーフティーネット保証といいますのは、一般の保証とは別枠で信用保証が付される制度でございまして、今お話がございましたとおり、普通保険で二億円、無担保の保証で八千万円、それから無担保無保証人の保証の場合には一千万円、これが別枠で利用可能になるという制度でございます。

赤羽委員 ぜひその趣旨を各県の信用保証協会に徹底をお願いしたいと思います。

 セーフティーネット貸し付けの方は、内容を見ますと、金利が一・七五%と、現在の市中金利と比べてもさほどメリットがない、かつ、すべての場合、保証人にしても担保にしても必要とされている、こういうのが現状でございます。

 食肉業者に限らず、今これだけ景気が低迷をしている中、小売業者さんにとりましては、なかなか担保とか保証人というのが金融機関が期待できるほどのものをそろえるような状況にはない。

 かつ、狂牛病の問題については、食肉販売店には全く何の瑕疵もないんですね。全く何も関係ない、まさに国内のテロともいうべきような問題であって、何にも失敗も欠陥もなかったのにこういった状況に追い込まれている。これはもう大変ゆゆしき、冗談みたいな話ですが、狂牛病にかかる人が出る前に首をつって自殺をしてしまう、こういったことがもう既に出ていますが、こんなことが本当に広がっていくんじゃないか。

 すき焼きが出ないから、八百屋さんもだめになってくる、豆腐屋も影響がすごく広がってくるということを考えれば、担保、保証というのは、当然貸し倒れにはできませんが、今回の状況を勘案して、セーフティーネット貸し付けというネーミングにもあるように、できるだけの弾力的な運用ができますようにぜひ御尽力いただきたいと思います。

 いろいろな貸し付けがあって、非常に現場では混乱している。ですから、このセーフティーネット保証、セーフティーネット貸し付けについての趣旨の徹底方を、関係業界団体に対してもぜひ足を運んでPRをしていただきたいと思いますが、中小企業庁、どうでしょうか。

杉山政府参考人 狂牛病問題に関係をいたします、いわゆるセーフティーネット貸し付けでございます。これは、中小公庫あるいは商工中金で別枠で八千万円、それから国民公庫で別枠で四千万円お貸しをするという制度でございます。

 今、担保あるいは保証人についてお話がございました。中小公庫、商工中金の場合には、貸し付けにつきまして、半分までは担保なし、第三者保証人なしでお貸しできるという特例がございますので、私どもの方から両機関に対しまして、この特例を弾力的に適用するようにというお願いをいたしておりますが、さらに徹底をしたいと考えております。

 また、国民公庫からの貸し付けにつきましても、これは担保をとらないでも保証人をとるのが原則でございますが、この第三者保証人の徴求につきましても、弾力的に取り扱うようにという指導をいたしております。引き続きこういった指導ないし要請は続けてやっていきたいと思います。

 いずれにしましても、こういったことを関連する中小企業の方々に広く知っていただくというのは大変重要なことだと思いますので、いろいろなルートを使いながら、そういった周知徹底には一生懸命取り組んでいきたいと考えております。

赤羽委員 日本の中小企業金融というものが非常に問われているときでもありますし、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 また、米国同時多発テロに関しましていろいろな業界が経済的なダメージを受けている中で、先日、旅行業界の方たちにお話を聞きました。

 海外旅行は、前年比にしますと九月で八四・七%、十月は六七・九%、今、炭疽菌の問題とかがありまして、このダウントレンドは変わらない、キャンセル総額は千五百八十一億円、キャンセルによって失った収益は百八十九億円。

 旅行業界は、御承知のように、九五%以上が従業員二十名以下の小規模業者である。かつ、あそこの業界の特性として、先々で予約を押さえなければいけないということで、キャッシュで百人分とか何十人分という前渡金を打ってやる商売だ。ですから、黒字でありながらキャッシュフローが回らなくなって倒産に追い込まれるという危機を大変持っておる。

 まさにこのときに、セーフティーネット保証なりセーフティーネット貸し付けを受けられるように、セーフティーネット保証の適用業種として一日も早く認定をいただきたい。調査中だというふうに伺っておりますが、なるべく早く、一日も早く出すことがこの業界、観光業界は直轄的にいうと国土交通省かもしれませんが、日本の経済を支えていくというか、これから大変有望な業界でもありますので、ぜひ特段のお計らいをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 今具体的な数字を示していただいて、非常に厳しい状況を御説明いただきました。

 私どもとしても、この同時多発テロで海外旅行客のキャンセルが相次いでいる、非常に大きな問題だということは認識をしております。中小企業庁としまして、経済産業省ですけれども、国土交通省に対して、最近の売り上げ動向について実態把握をきちっとすべきである、こういうことも申し上げております。

 なるべく早くということでございますので、今もう具体的に数字もお示しいただいたので、私どもとしては、中小企業信用保険法に基づく不況業種の指定要件、それが整っているということが確認できれば速やかにやらせていただきたい、このように思っています。

赤羽委員 実に具体的に積極的な御発言をいただき、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 それでは、中国野菜に関するセーフガードの問題について、限られていますが、十分弱議論したいと思います。

 実は公明党は、党としてはセーフガードやむなし、暫定措置はやむなし、こういったことがありました。しかし、私は、個人的には非常に疑義を唱えております。結論からまず申し上げますと、十一月八日で暫定が切れて、十二月二十一日、ここで何らかのディシジョンをしなければいけないと思いますが、個人的には正式な発動はするべきではないという立場でまず発言をして、質問させていただきたいと思います。

 なぜ私はそのように思っているかといいますと、実は私、政治家になる前の十年間、三井物産という総合商社の食料部門で、中国にも三年余り滞在をしておりまして、加工食品を含めた、まさにこの中国野菜の担当をしながら経験を積んでまいりました。あのとき自分でもすごく思いましたけれども、日本のマーケットというのは物すごく厳しい。アスパラガスの缶詰なんかもやっていたのですが、アスパラガスの先っぽのしわしわというところが五ミリ以上一センチ以下でなければいけないとか、そんなものを気にして食べたことがなかっただけに、日本のマーケットというのは本当にここまでやる必要があるのかな、こう思っておりました。

 ですから、当然、中国の農家の人たちが勝手に野菜をつくってそれが日本に輸出できるほど、日本のマーケットは受け入れるような寛容性を持っていないですし、当時もそうでしたし、今も聞き及ぶところ、そうだと思います。

 日本の中国野菜というのはだれが主体者としてやっているのか。それはもちろん中国の農民がつくっているにしても、その過程においては、日本の中小事業者、これまでスーパーに納めていた業者が、結局値段が合わなくなって、国産ではだめだということで、どうしようか、背に腹はかえられないで中国に進出しようということで進出し、恐らく二年、三年は失敗したと思います。その失敗のノウハウを積んで、ようやくそこで技術指導をし、種を持ち込んで、ある程度の商品ができる、そしてそれの繰り返しの中で長期契約をしたり、契約栽培をしている。ですから、日本に来ている中国の野菜の大半が、実は、中国の農民がつくっているその手前には、まさに日本の中小事業者が出ていって、かかわっている。

 ですから、日本の農家を守るという前提でやったこの措置が、実は背に腹はかえられず中国に進出をした日本の中小事業者の首を絞めてしまう危険性を私は非常に危惧しております。そのことについて調査をされているのかどうか。私の認識としては、だから反対なんだということなんですが、そのことについてはどのような御見解をお持ちでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 御体験に基づいた、その角度からの御発言、御意見、大変貴重な御意見として承らせていただきました。

 御指摘の輸入業者についても、利害関係者に当たるものでございまして、国内関係法令に基づいて、利害関係者の意見表明を求めました。四月二十七日までに三千二百二十七件の意見が表明されまして、加えて、提出された意見に対する意見を求めたところ、八月五日までに六千五百二十件の再意見が表明されています。この中では、ネギ、生シイタケについての輸入業者からの反対意見というのは特になかったわけでございます。

 御指摘の、日本の輸入業者が技術指導をしているような、いわゆる開発輸入の実態については、農林水産省において実態把握に努めているものと承知をしております。

 いずれにいたしましても、御指摘の、いわゆる開発輸入がなされている場合であっても、その他の輸入されているものと同様、セーフガード協定及び国内関係法令がちゃんと適用される、こういうことでございます。

赤羽委員 その意見表明について私はすごく気になっておることがあります。消費者団体もセーフガードの措置に全部賛成だ、その賛成の理由は、農水省の説明では、国内の食料自給率向上に資するものだ、もう一つの理由は、輸入食品というのは食品の安全性が心配だ、だから国産が頑張るべきだと。この二つを理由に、うちの部会に農水省も来て説明されていました。

 食料自給率の向上とよく言われますが、ネギと生シイタケを仮に全部国産にしたとしてどれだけ食料自給率が上がるのか。恐らく一%も上がらない、野菜総額で三%ぐらいのはずですよ。ほとんどそういう理由にはならないはずなんですね。輸入食品の安全性、こう理由に言いますが、輸入食品の安全性が担保されていないわけがないのです。厚生労働省がちゃんと水際でチェックをしていて、国内で流通されている食品は、国産であろうが輸入物であろうが、当然その安全性は担保されているはずです。決まっているんです。それでなかったら大問題なんですね。

 ですから、ある意味では、消費者の側の、モニタリングされた人たちの側の誤った、余り正しくない認識によっての意見をもとにセーフガードは支持されているということに私は大いに疑問があるとまず表明をさせていただきたいと思います。ちょっと時間もありませんので。

 それで、大事なことは、要するに、中国はWTOのメンバーじゃない。当然、メンバーでない限り調停の場がないんですね、日本のこの措置に対して。調停の場がない、当然報復措置は考えられた。

 六月に、自動車、携帯電話、エアコン、三品目について、従来の関税に加えて一〇〇%の異常な関税をかけられている。去年一年間で、この三品目で、日本の中国に輸出は六百六十六億円ですよ。これが多分実質ゼロに近い、百何十%の関税なんかかけて輸出できませんから。

 こういう、国全体としては、セーフガードをかけたことによって、それはフェアかアンフェアかは別にして、当然、WTOに加盟していない中国としてはこういった報復措置をとるものだという認識がなかったのかどうか。それをとられて、それがアンフェアだとかなんか言っていますけれども、そうじゃないんだ。アンフェアであろうが何であろうが、中国流のそういう報復措置に対して、やられちゃった、どうしましょうじゃ、余りにも私はどうなのかなというふうに思うのですが、その報復措置に対する考え方はどういう認識だったのか、教えてください。

古屋副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 中国が、WTO加盟を目前に控えている、こういうこともありまして、また、みずからもアンチダンピングの制度等を活用し始めている、こういう状況もございまして、セーフガード措置を受け入れるのではないかという判断もありました。しかし一方で、昨年の中国と韓国との紛争の例を見ましても、WTOルールに違反した報復措置をとる可能性は依然存在するという判断もございました。

 ただ、セーフガードというのは、やはり緊急避難的かつ一時的な措置としてWTO協定で正式に認められている措置でございまして、暫定措置の発動についても、同じように、WTO協定並びに国内の関連法令において認められているわけであります。中国がWTOで認められていない報復措置をとる可能性は確かにありましたけれども、他方、それを懸念しまして、国際ルールで認められた措置をとらない、こういう批判を実はされるということもあったわけで、その辺、政府としていろいろ判断の上対応したということをひとつ御理解いただきたいと思います。

赤羽委員 まさにそこが問題で、暫定措置の間に、今度は、日本の農業側が国際競争力に資するだけの構造改革ができるかどうか、ここが大事なんです。それをやらなければいけないと思いますが、例えばネギの値段は、中国の農家ではキロ十五円でできる、CアンドF・ジャパンで九十円だ、一方、日本の卸売価格はキロ二百二十七円だ。三倍近い値段の差があって、ある意味じゃ、プレミアム商品じゃない商品で本当に競争ができるようにすることが僕はちょっとどうなのかなという思いもあります、それはいろいろな意見があると思いますが。

 一番大事なのは、そこで、十一月のこの暫定措置の期限を迎えて、まさに決断をしなければいけない。日中閣僚会議でも日中首脳会議でも、話し合いで決着をする、こういった段取りがとられておるわけでございまして、できるならば本格的な発動はせずに、知恵を出し合って、日本の輸入業者と全農とか、ここの話し合いをさせるとか、あらゆる手を打って、国益を損なわないような二国関係をつくるべきではないか、私はそう考えております。

 ですから、このことについて、大臣としての御見解と、また今後のスケジュールについて、予定されているものがあれば、ぜひ最後にお聞かせいただきたいと思います。

平沼国務大臣 これは、今御指摘のように、朱鎔基首相と我が小泉首相が中国で会談したときも、お互いに、両国の経済関係は緊密なので話し合いで決着をしようと。それから、江沢民国家主席との会談においても確認し合ったことであります。今、それに基づいてこれから作業をしていかなきゃいかぬと思っております。

 一つは、十一月八日に暫定措置の期限が切れる、こういう段階でございますから、それまでに、なるべく早い時期に話し合いを再開したい。そして、話し合いを続けていって、でき得べくんば話し合いで解決することが一番望ましい、こういう基本的なスタンスで臨んでおります。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

山本委員長 松浪健四郎君。

松浪委員 保守党の松浪健四郎でございます。

 早朝から長時間にわたり、お疲れさまでございます。

 私は、顔、体に似合わず、パッチワークであるとかレースであるとか刺し子であるとか刺しゅうであるとかじゅうたんあるいは染色等に興味がありまして、大きな趣味となっております。なぜ、そういう繊維類に関してこのぶこつな男が趣味を持つに至ったかと申しますと、繊維の町で生まれ育ったからであります。

 私の町は、小さな織り屋さんがひしめいておりました。そして、染色工場を初め、それらにまつわる中小企業が軒を連ねておった。特にタオルの産地でありまして、私の町に八百の会社がございました。しかしながら、今、二百を割ろうとしている状況であります。申すまでもなく、中国から洪水的な大量のタオルが輸入されたことにより、我が町は青息吐息の状況に追い込まれておるということでございます。

 そこできょうは、このタオルの問題と、そして中小企業をめぐる金融機関の問題、この二点について御質問をさせていただきたい、このように思います。

 二月の二十六日に、経済産業省に対しまして、繊維製品等の輸入の数量の増加に際しての緊急の措置に関する規程によりまして、繊維セーフガード措置を求める要請書を日本タオル工業組合連合会が提出させていただきました。経済産業省より、調査を開始するに足りる十分な証拠がある、このように認められまして、六月の二十九日に調査を終了いたしました。この結果、国内タオル業者五百一社のうち四百六十八社がTSGの発動を求めて回答いたしました。実に、賛成率は九三・四%でありました。その後、輸入浸透率は、要請時の五七・五%から六三・四%にさらにアップしました。業界をめぐる状況は一段と悪化しておるわけでございます。

 マスコミ報道の一部には、消費者の代弁者であるかのように、TSGは消費者保護に反するとの論を述べる向きもございますけれども、生産者もまた消費者であるのは多言をまつまでもございません。

 雇用の維持なくして消費の回復は望むべくもございません。規制緩和による雇用、あるいは医療や介護分野などのサービス業で創出するという国の計画を実現するためには、製造業を中心とした基幹産業の再生が必要不可欠であります。製造業は国内経済の柱でありまして、今回のTSGの発動が見送られるようなことになれば、国内の産業空洞化は決定的なものになると思います。政府は、将来の国益を優先して、堂々とTSGの発動を諸外国に示していただきたい、このように思うわけであります。

 タオル業界の競争力回復のために取り組む向こう三年間の構造改善ビジョン、これは、消費者団体の代表を初め学識経験者、マスコミの皆さん、そして労働団体等をも含めた検討会で策定作業を終えました。実現また実施可能なものについては既に取り組みを始めておりますけれども、今後、タオル業界は、構造改革を進めなければ、国際競争力をつけなきゃならない、一致して、血の出るような痛みを覚悟の上で努力していくということをお聞きしております。

 そのためにも、猶予措置である繊維セーフガードはぜひとも必要である、こういうふうに考えるわけでございますけれども、経済産業省はこの問題に熱心に取り組んでいただいておりますことにまず敬意を表したい、このように思います。

 タオルの繊維セーフガード調査が半年間延長されました。国内生産高が大きく落ち込んでおるわけであります。国内産業は重大な被害を受けておる、このように考えますけれども、なぜ延長されたのか、その理由についてお尋ねをしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 タオルの繊維セーフガード調査につきましては、御承知のように、調査期限を十月十五日といたしておりました。最近の輸入動向等を勘案して引き続き検討する必要がある、そういう理由によりまして、今御指摘のとおり、同調査期間を六カ月、すなわち来年四月十五日まで延長することにいたしました。

 その具体的な理由というのは、本年六月から八月の輸入の伸び率が、対前年同月比で減少したりあるいは増加したり、また、最近十二カ月の数字を見ましても、輸入の急増が認められるか否かの判断は今の段階で直ちにするのは困難である、そういう理由によりまして、もう少し今後の輸入動向等を検討する必要があるのではないか、こういう観点で六カ月の延長を決定したところでございます。

松浪委員 それでは、大切なことは輸入の浸透率だ、私はこう考えておるわけでございますけれども、輸入の伸び率が何%ぐらいになればこの繊維セーフガード措置を発動されるのか、このことについてお尋ねしたいと思います。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 国際的に見まして、一概に何%になったら発動できるかという基準はございません。WTOの繊維協定上は、輸入の増加、原文で申し上げますと、イン・サッチ・インクリースト・クオンティティーズ、こういう規定がなされております。

 したがって、繊維セーフガードの発動の是非につきましては、今委員御指摘の輸入の増加量であるとか、あるいはその増加と国内産業の重大な損害との因果関係、あるいは業界全体の構造改革ビジョン、こういうものを総合的に勘案して判断をしていく、こういうことになります。

松浪委員 それでは、輸入の動向によっては再延長もあり得るということなんでしょうか。

古屋副大臣 お答えをいたします。

 国内の規制上、調査期間の延長の回数に関する規定はございません。過去の例を見てみますと、平成八年の綿織物の繊維セーフガード調査におきましては、引き続き検討する必要があるという理由で、平成九年とそして平成十年、二度にわたりまして期間の延長を行ったという経緯がございます。

 しかし、今回のタオルのセーフガードの調査につきましては、十月十五日に調査期間の延長を行ったばかりでございまして、今大臣も答弁申し上げましたけれども、そういった状況をこれから調査しながら対応していくということでありまして、現段階において予断を持って再延長の可能性についてお答えするということは差し控えさせていただきたいと思います。

松浪委員 先ほどの質問者の中にも、農産物のセーフガードについて御質問がありました。

 私は、中国の報復関税措置で打撃を受けている産業界から本発動回避の圧力は強くある、そして、中国がWTO加盟前に本発動をすると中国側の報復措置が拡大する、こういう懸念があるのではないのか、こういうふうに思ったりもいたします。

 そして、私たちの国内の産業は、当然のことながら、国際競争力をきちんとつけていかなければこれからの時代は対応できない、十分に承知しておるわけでございますけれども、繊維セーフガード措置はWTOルールに基づいて認められた措置であります。延長期間の六カ月を待たずに、中国のWTO加盟後すぐにでも発動すべきである。もちろん、中国のWTO加盟というものはまだ現実のものになっておりませんけれども、一応のことは予想されておるわけでありますから、私は、加盟後すぐにでも発動していただきたい、こういうふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 お答えさせていただきます。

 延長期間の六カ月につきましては、当初の期間が六カ月、こういうことでございましたので、同様に六カ月、こういうふうにさせていただきました。したがって、輸入動向によって、六カ月を待たずに措置発動の是非を判断することもあり得ると思っております。

 いずれにしましても、我が国としては、今後とも引き続き、WTO繊維協定に定められた国際ルール及び関連国内法令等に基づきまして、透明かつ公平、厳正に対応していかなければならないと思っています。

 なお、今回の調査期間の延長は、最近の状況を踏まえ、さらに今後の輸入動向を見きわめる必要があるためでございまして、繊維セーフガードの発動の要件と、そして恐らく一〇〇%確定していると思いますけれども中国のWTO加盟とは直接関係はない、このように思っております。

松浪委員 とにかく、国内の産業、とりわけ中小企業をいかにして保護していくか、このことを真剣に考えていただいて、そしてその立場から十分な措置をとっていただきますよう心からお願いをしたいと思います。

 冒頭申し上げましたように、私は大阪の南部から選出をさせていただいておる議員でありますけれども、繊維の町であると同時に、ワイヤロープを生産する工場がたくさんございます。これも押しなべて中小企業であります。この業界も、例に漏れることなく青息吐息の状況にあります。本当に日本の中小企業は大丈夫なんだろうか、このまま進めば空洞化をさらに大きくしていくのではないのか、このような心配を持つものであります。

 私たちのところにも、いろいろな金融に関する陳情でお見えになられる支持者がいらっしゃいますけれども、これは大げさではなくて、本当に困り果てておる、このことを日々実感しております。

 我が国にありましては、政府系金融機関による融資と信用保証協会による信用保証制度が車の両輪となっておる、このように私は思っております。中小企業にとりまして経営上の大きな課題であります資金調達の円滑化を促して、中小企業の発展を支えていると私は思っております。

 そこで、現在中小企業は厳しい経営環境に置かれておるわけでございますけれども、中小企業の現状、中小企業を取り巻く環境についてどのような認識を持たれているのか、このことをお尋ねしたいと思います。

平沼国務大臣 松浪委員が今、地元のロープ業界あるいはタオル業界、この現状が厳しい、こういう例をお示しになってその厳しさをお述べになりました。

 私どもも、非常に今中小企業の置かれている環境は厳しいと思っております。特に、中小企業を取り巻く環境というのは、本年に入って急速に悪化していると思っています。

 具体的に申し上げますと、まず日銀短観の中小企業の業況判断指数というのがございまして、これは昨年十二月にはマイナス二〇であったものが、本年九月のデータでございますけれども、マイナス四二と急速に悪化している。中でも中小製造業、この悪化が著しく、中小製造業の生産指数は、昨年の十二月から本年八月までの八カ月の間に約九・五%も落ち込んでおります。

 それから、中小企業の倒産も高水準で推移をしておりまして、昨年十月から本年九月までの直近の一年間で、約一万八千四百件の倒産がありました。バブル後の年平均である約一万五千百件、これは平成三年から十二年平均、これを大きく上回る水準になっています。

 したがいまして、今の指数が示しておりますとおり、非常に厳しいものがございますし、そこに加えて、九月十一日の同時多発テロ、アメリカの景気動向、こういうものも影響して、私どもとしては、大変厳しい、こういう認識を持っております。

松浪委員 そこで、現下の厳しい経済情勢、マイカルの倒産、あるいは狂牛病を初めとする中小企業に対するセーフティーネット対策におきまして、政府系金融機関はどのような役割を果たしているのか、お尋ねしたいと思います。

古屋副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。

 今大臣の方からもお話しさせていただきましたように、大変今経済状況が厳しくなっている中で、やはり政府系金融機関、中小企業金融公庫、国民公庫並びに商工中金、こういった政府系金融機関の役割は極めて大きいものがあると思っております。

 特に、こういった政府系金融機関によるセーフティーネットの貸付制度につきましては、現下の厳しい状況にかんがみまして、制度を充実させていただいております。例えば、本年九月末までに同制度の活用によりまして、三金融機関の実績が約二万九千件、そして金額的には一兆一千億円に上っております。

 また、今委員の御指摘がありましたマイカルの民事再生手続開始に際しまして、関連中小企業からの相談にも応じておりまして、その結果、今月の二十四日までに三金融機関合計で二百六十三件、そして二十九億円の融資がなされております。

 また、BSEに対する対応ということで、これは三金融機関に相談窓口を直ちに設置をいたしまして、十月の二十四日までのわずか十四営業日の間でございますけれども、この間で五十九件、約十億円の融資を行っているということでございます。

 当省といたしましては、こういった中小企業に対する融資はもちろんのこと、保証制度の一層の充実を図ってまいりたい、このように思っております。

松浪委員 大変ありがたい答弁をいただきました。

 今国会の冒頭で、我が党の野田党首からも代表質問であったことでございますけれども、中小企業に対する政策金融を担っている商工中金、それから中小企業金融公庫並びに国民生活金融公庫の貸出残高は、合わせても全金融機関による中小企業向け貸出残高の九%にすぎないわけであります。内容的にも、それぞれ、セーフティーネット、融資、創業、経営革新等リスクの高い資金の供給、長期資金の提供、そして小規模零細事業者への融資などでございますけれども、民業圧迫という批判は私は当たらない、このように思っております。

 今後、民間金融機関は不良債権処理に集中的に取り組むことが求められております。その展開によっては、中小企業金融に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。したがいまして、政府系中小企業金融機関による中小企業に対する金融サービス機能が低下するような見直しは当面行うべきではない、このように考えます。

 そこで、特殊法人改革の議論がございますけれども、政府系金融機関の今後のあり方についての見解をお伺いしたいと思います。

平沼国務大臣 お答えいたします。

 松浪委員御指摘のように、やはり民間の金融機関でどうしても対応できない部分をこの現下の厳しい状況の中で政府系金融機関が担っている、これは厳然たる事実で、その必要性というのはますます私はある意味では高まってきている、そういうふうに認識をしております。

 特殊法人等改革につきましては、当省としては真摯に取り組んでいるところでございまして、小泉内閣の方針で、民間にゆだねられるところは民間に、地方にゆだねられるところは地方に、こういう基本方針があり、さらに、民間が活力を最大限に発揮できる経済社会を目指す、構造改革に聖域がなくて取り組む、この基本姿勢は私は尊重しなければならないと思っております。

 しかし、今言ったそういう必要性というものも私どもは十分考慮をして、やはりそういう視点からも取り組んでいかなければならない、そういう基本姿勢で臨みたい、このように思っております。

松浪委員 時間が参りました。どうもありがとうございました。

山本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時六分散会




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