衆議院

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第6号 平成13年12月5日(水曜日)

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平成十三年十二月五日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 山本 有二君

   理事 伊藤 達也君 理事 竹本 直一君

   理事 中山 成彬君 理事 後藤 茂之君

   理事 田中 慶秋君 理事 久保 哲司君

   理事 達増 拓也君

      衛藤征士郎君    小此木八郎君

      梶山 弘志君    後藤田正純君

      高木  毅君    西川 公也君

      根本  匠君    馳   浩君

      林  義郎君    平井 卓也君

      松宮  勲君    茂木 敏充君

      保岡 興治君    川端 達夫君

      北橋 健治君    後藤  斎君

      鈴木 康友君    中津川博郷君

      中山 義活君    松原  仁君

      松本  龍君    山田 敏雅君

      赤羽 一嘉君    石井 啓一君

      土田 龍司君    大森  猛君

      塩川 鉄也君    大島 令子君

      西川太一郎君    宇田川芳雄君

    …………………………………

   議員           甘利  明君

   議員           伊藤 達也君

   議員           亀井 善之君

   議員           細田 博之君

   議員           斉藤 鉄夫君

   議員           小池百合子君

   経済産業大臣       平沼 赳夫君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   経済産業副大臣      古屋 圭司君

   経済産業副大臣      大島 慶久君

   経済産業大臣政務官    西川太一郎君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 小池 信行君

   政府参考人

   (農林水産省生産局畜産部

   長)           永村 武美君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力

   安全・保安院長)     佐々木宜彦君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君

   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君

    ―――――――――――――

十二月四日

 エネルギー政策基本法案(亀井善之君外六名提出、衆法第六号)

十一月二十二日

 原子力発電等に関する請願(佐藤静雄君紹介)(第五五四号)

 同(保利耕輔君紹介)(第五八五号)

 同(細田博之君紹介)(第五八六号)

同月三十日

 中小企業対策など国民本位の景気回復に関する請願(小沢和秋君紹介)(第一一一三号)

 同(大森猛君紹介)(第一一一四号)

 同(木島日出夫君紹介)(第一一一五号)

 同(児玉健次君紹介)(第一一一六号)

 原子力発電等に関する請願(瓦力君紹介)(第一一七一号)

 同(西田司君紹介)(第一二四三号)

 脱原発への政策転換に関する請願(石毛えい子君紹介)(第一二四二号)

十二月三日

 家電リサイクル法の早期見直し、製造者責任を明確にしたごみ・リサイクル政策の確立に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一四二八号)

 中小企業対策など国民本位の景気回復に関する請願(矢島恒夫君紹介)(第一四二九号)

 家電リサイクルの実施に伴う島嶼部の消費者負担等の低減に関する請願(徳田虎雄君紹介)(第一七〇九号)

 脱原発への政策転換に関する請願(佐々木秀典君紹介)(第一七一〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 エネルギー政策基本法案(亀井善之君外六名提出、衆法第六号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件




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     ――――◇―――――

山本委員長 これより会議を開きます。

 亀井善之君外六名提出、エネルギー政策基本法案を議題といたします。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。甘利明君。

    ―――――――――――――

 エネルギー政策基本法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

甘利議員 エネルギー政策基本法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 エネルギーは、国民生活の安定向上や、国民経済の維持発展に欠くことのできないものであります。また、エネルギーの需給のあり方は、地球温暖化問題を初めとして、地域及び地球の環境に大きな影響を及ぼすものであります。このようなエネルギーの重要性にかんがみ、これまでも時代の要請に即応して、石油危機対策、省エネルギー、新エネルギー、原子力開発など、エネルギーに関する法律は個別に整備をされてまいりました。

 しかしながら、これらの対策は個別の対応を規定したものであり、エネルギーの需給に関する施策について、長期的、総合的かつ計画的に推進するための基本方針等は法定されていないのが実情であります。こうした事情にかんがみ、エネルギーの需給に関する施策に関する基本方針を定めるとともに、国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、エネルギーの需給に関する施策の基本となる事項を定める必要があると考え、本法律案を取りまとめた次第であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、エネルギーの需給に関する施策についての基本方針として、安定供給の確保、環境への適合、市場原理の活用の三点を位置づけております。

 第二に、国、地方公共団体及び事業者の責務並びに国民の努力について定めております。また、これらの各主体が、エネルギーの需給に関し、相互に協力することとしております。

 第三に、政府は、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギーの需給に関する基本的な計画を定めるとともに、毎年、国会にエネルギーの需給に関して講じた施策の概況に関する報告を提出しなければならないこととしております。

 第四に、国は、エネルギーに関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるとともに、エネルギーの適切な利用に関する啓発及びエネルギーに関する知識の普及に必要な措置を講ずるように努めるものとしております。

 以上が、本法律案の提案の理由及びその要旨であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

山本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

山本委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、中小企業庁長官杉山秀二君、法務省大臣官房審議官小池信行君及び農林水産省生産局畜産部長永村武美君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

山本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

山本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北橋健治君。

北橋委員 おはようございます。民主党の北橋健治でございます。

 まず、BSE、いわゆる狂牛病の問題に関連いたしまして、これは、生産農家に対しては、流通あるいは小売段階に比べるとかなり手厚いいろいろな支援策がとられていると思いますが、政府の不手際の連続によりまして、例えば焼き肉飲食店業界などについても大変な被害が出ておりまして、これについては政府の方もいわゆる特別融資を実施する。そしてまた、事業者は既に保証を受けたりいろいろなところから融資を受けたりで、かなりの借入金があるわけでございますけれども、政府はその別枠で対応するんだ。その発表を聞いたときには、日本全国の飲食店の関係者もかなり期待をしたと思うんであります。しかし、窓口の現場によりますと、今回は別枠のはずであったと思って期待をして行ったけれども、融資はできないんだ、あるいは無担保のはずが担保を要求されたとか、現場では政府のPRとは違ってかなりいろいろな混乱も生じております。

 そこで、まず経済産業省の方にお伺いいたしますが、食肉店や卸、小売業に対するいわゆるセーフティーネット貸し付け、保証については、中小企業者の実情をよく理解されて親身になって対応するように保証協会や政府系金融機関によく周知徹底を図るべきではないかと思いますが、この点についてのまず方針を聞きたいと思います。

古屋副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、BSE、牛海綿状脳症、これによりまして食肉業者あるいは焼き肉店等大変な影響を受けているということでございまして、私どもといたしましても、セーフティーネット保証であるとか貸付制度を活用することによりましてできる限りの支援をしていこうというスタンスでおります。

 そのために、信用保証協会であるとか政府系金融機関に対しましては、まず、窓口を設置するように指示をいたしまして、関連中小企業者の相談に親身になって対応するように指示をいたしております。

 また、年末の資金を、繁忙期を迎えましてさらにそういったきめ細かな指導をするように、再度今月に入って改めて文書を出しました。

 また、あらゆる機会を通じまして、会合を開催する等によりまして、そういった貸付制度の趣旨を十分に踏まえた指導をしていくように私どもも対応しているところでございます。

 今後とも適切な対応をするように努めてまいりたい、このように思っております。

北橋委員 ぜひ窓口の現場に対する周知徹底を強力にやっていただきたいと思います。

 きょうは農水省の方にもお越しをいただいております。農水省の方もこの狂牛病関連の特別融資を実施されているわけでございますが、現時点で実績は何件に上がっていますか。

永村政府参考人 お答えをいたします。

 私ども農林水産省のつなぎ資金でございます食肉処理販売等特別資金の利用実績、これは十一月三十日現在でございますが、貸付件数で十二件、金額で一億七千万、そのうち飲食店の営業につきましては五件で、貸付金額が五千万、こういう状況になっております。

北橋委員 小さな村や町での実績であるならばわかるんですけれども、これだけ狂牛病問題で農林水産省の不手際のために大変な被害が出ている。そして、農林水産省は、つなぎ融資をするんだ、一千万までやるんだ、しかも別枠でやるんだというようなことをPRされてやってきたけれども、わずかにその程度しか実績が上がっていない。これは根本的に農林水産省の仕組んでいるスキームに大変大きな問題があるということを如実に示しているんではありませんか。

 現場の声を聞いてみると、一千万とはいうものの、一年以内に返せ、しかも一括返済だというようなことを迫られて、これでは非常に困っている事業者からするとほとんどもう借りようがない、これが現場の声なんですね。一体別枠とは何だったんだと。そのときの国民の批判に対する言いわけ程度としての融資しかしていない。

 これを根本的に改めなければ、あなた方の不手際によってこれだけの被害が出ているんだ。これによって何の罪もないいろいろな業者が大変な被害を受けているときに、これであなたは政府の責任を果たしていると思いますか。抜本的な融資制度の改善が必要でしょう。

永村政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、私どもの貸付実績、確かに水準として決して高くないわけでございますけれども、今回、経済産業省、また厚生労働省、それぞれ御協力をいただきまして、利用者それぞれの状況に即した資金の貸し付けに取り組んでおります。そういう意味では、両省に大変私どもお世話になっておるわけでございますが、先ほど申し上げた十一月三十日の段階で、三つの省の資金合わせて、一千四百四十七件、貸付金額約百二十一億円ということになっておるわけでございます。

 私どもの貸し付け利用が少ない、御指摘ごもっともでございますけれども、やはり借り受け者は、先生御指摘のように、償還期間でございますとか貸付金額の上限でございますとか、いろいろな資金を選択して借り受けておられるものと考えております。

 むしろ私ども、この資金とは別に、牛肉の需要が何とか回復をしていくような形のPR事業でありますとか、あるいは新しいBSEの検査制度が確立する前の牛肉の市場隔離でございますとか、いろいろな牛肉需要の回復に向けての措置を講じているところでございまして、これが間接的に焼き肉店の方々の経営にプラスになる、かように考えておるところでございます。

北橋委員 これだけの風評被害というのが起こっているにもかかわらず、その責任というものをほとんど感じていらっしゃらないんじゃないか、大変残念な答弁でございます。

 実際に現場で、困り果てた飲食店あるいは小売の方々が行ったときに、どういう声が上がっているかというと、融資を受けられる制度はあるが、返済期間が一年で全額一括返済なので利用しようにも利用できないとか、一年以内の一括返済ではやはり返済の自信がなかったのでとか、融資条件が厳し過ぎて考慮する対象にもなり得なかった、この制度は実情を無視しているとしか言いようがない、あるいは、一体役所は何を考えているんだろうか、断られた事業者のこういう声がたくさん私どもの方にも上がってきております。

 そういった意味では、一年以内で一括返済というこの仕組みは変えないと、事業者の期待にこたえられないのではありませんか。そこを改めるべきではありませんか。もう一度お伺いいたします。

永村政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどお答え申し上げましたけれども、現段階におきましては、三つの省それぞれの資金の特徴を借り受け者の方に御勘案いただいて、広く選択をしていただきたいということで何とか御理解をいただきたいと思っております。

北橋委員 では、例えば今、総務省の方で中小企業の定義、いろいろな見直しをやっているわけでございますが、焼き肉店でいいますと、従業員が五十人を超えると、基本的には中小企業の政府系金融機関の窓口は閉まってしまうわけですね。

 こういった問題は、農林水産省の方が弾力的に対応できるわけです。来年の春ごろに、総務省の方は分類の見直しの一つの方向づけをされるそうなんですが、それまでの間に、こんな不手際が続いていると、どんどん倒れていきますよ。ここは農林水産省の融資制度でカバーできるんですね。直ちにやってくださいよ。

 ある程度チェーン店を持っておりますと、大企業とは言えませんね、いわゆる中堅企業でしょう。しかし、今の中小企業の定義では救済されない。そういったところを農林水産省の融資はカバーできるはずでありますから、少なくともこういった、従業員の数に応じて中小企業の定義に入らないところについても、私は直ちに弾力的な対応を実現すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

永村政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘ではございますけれども、食肉の小売店とか焼き肉店につきましては、九九・七、八%が中小企業者でございます。こういったことで、私ども、中小企業者が緊急に必要となるつなぎ資金、これに対して利子補給を行ったわけでございまして、先生の御指摘は御指摘として承っておきます。

北橋委員 確かに、全国の比率でいくと少ないかもしれません。しかし現実に、狂牛病の問題で大変な被害が出て、事業の縮小なりリストラなり。何の責任もないんですよ、その事業者には。おたくたちの行政の失敗が積み重なってこうなっているわけでありまして、それを、数が少ないから知らないというような答弁をされては困るわけであります。

 畜産部長のお立場で、今この場で改善をお約束できないのかもしれませんけれども、いろいろな制度融資があるからという、人ごとじゃないと私は思うんですね。農林水産省の行政の失敗によって、大変な被害が罪のない国民にいっぱい出ているわけでありまして、その責任を感じていただきたい。そうすれば、ほかの融資があるとか、あるいは数が少ないからとか、そういう答弁は出てこないはずだ。きょう改めて、農林水産省は、今回の大失態を招いた責任というものをお感じになっていらっしゃらない、そのことを痛感いたしました。猛省を促したいと思います。

 これから国会が閉会になりますと、年末年始、狂牛病の三頭目が出てきて、一体どうなるんですかね。そこら辺については、役所にお帰りになられて、きょう申し上げた指摘を、国民の声を率直に拝聴していただいて、善処を求めたいと私は思います。御退出して結構です。

 次の質問に移ります。

 特殊法人の改革について、端的にお伺いをしておきます。

 石油公団につきましては、これまで総理を初め、平沼大臣、トップの間でいろいろお話もございました。自民党総務会長からの大胆な御提言もありまして、一つの方向性を見たわけでございますが、報道によりますと、数年かけてこういった廃止、民営化を実行するという趣旨もあったわけでございますが、私は、ここまで一つの仕組みが出ますと、そう時間を置かずに新しい組織への再編といいますか、そういったものを法改正で実行した方がいいのではないかと思いますが、まず、その点についてお伺いします。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘のように、石油公団の廃止時期、これは明記をされておりません。リスクマネーの供給等、必要な機能を類似法人に統合したり、また、将来の特殊会社の設立等、膨大な作業と検証が必要でございます。これらを総括した上で、公団の廃止時期を見きわめる必要があると思っています。

 しかしながら、経済産業省といたしましては、やはりこういったことは早くやらなければならないと思っておりますので、できるだけ早期に石油公団の廃止を実現するように努力をしてまいりたいと考えておりまして、必要改正法案等は極力早期に提出をさせていただきたい、このように思っております。

北橋委員 一部の報道では、二〇〇五年から廃止、民営化をするというような報道もあったわけでございますが、非常に早まるというふうに理解をしてよいかどうかが一つ。

 あわせて、次の質問でございますが、石油の自主開発そのものに対して、今後どういうスタンスで取り組まれるのかということもお伺いしておきます。

 要するに、道路公団のときもそうでございましたが、石油税あるいは財政投融資という形で大変多くの資金が投入されていたわけで、総額二兆八百四十四億円を投資したけれども、そこは非常に事業の非効率性も指摘されたし、原油輸入の一五%ぐらいは実績として指摘はされているんですけれども、大変大きな問題点が指摘されたわけです。

 今度の場合、一つの廃止の方向性を見ると、出資割合を五割以下にするということで、しかも減免つき融資制度を廃止するということでございますから、素直に読めば、この方向でいけば、自主開発をこれまでのような形で続けることは到底不可能でしょうが、さらに進んで、五割のリスクマネーを確保して、しかも今度はちゃんと返さないといけないという中で、自主開発というのは事実上大幅に縮小されていく、このように考えてよろしいんでしょうか。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 二〇〇五年というお話がございましたけれども、私どもとしては、先ほどの御答弁で申し上げましたように、迅速にやらなければならない、こういうことで、事務的な手続等、大車輪で急がせていただいて、なるべく早い時期、こういうことで思っておりまして、今の段階で二〇〇五年というようなことはまだ申し上げる段階じゃございませんけれども、それよりも早い時期に私どもとしては廃止、こういう形でやらせていただきたいと思っています。

 また、御指摘ございました、今回の合意によりまして、現行の石油公団自体は廃止する一方で、政府のリスクマネー供給支援につきましては、その機能を類似の他の法人に統合することといたしまして、その政府出資の割合、五割を上限とすることが決定されたところであります。

 これは、今回の特殊法人等改革に際しまして、エネルギー政策を遂行していく上で真に必要な業務を効率的に実施すべく見直した結果でございまして、まだ百四の会社が残っておりまして、御指摘のような膨大なそういった赤字、こういうものもあるわけでございまして、そこを正す意味でもこのような形にすることが適当、そういうふうに判断したわけでございます。

 その意味からいいますと、自主開発の推進というのは、我が国のエネルギー安定供給確保の観点から重要でございまして、それに資するリスクマネー供給機能を国としてやはり担っていくことが必要である、こういうふうに判断したわけでございます。

 この方針で、経済産業省といたしましては、統合することとなる類似法人においてかかる機能を適切に担うことができるように、所要の検討を進めていきたい、このように思っております。

北橋委員 今の御答弁、ちょっとわからなかったので、もう一度その点をお伺いいたします。

 これまでは七割出資で、あと減免つき融資ということですから、事業に参加をする方々というのは、ほとんどリスクを負わずに、失敗したら失敗したことということで、赤字の垂れ流しという現象まで招いたわけでございますが、今度は出資は五割以下ですよね。そして、「(リスクマネーは出資に限定する。)」という括弧書きまでついておりますね。ということは、千三つと言われている極めて可能性が小さいこの事業に対して、自主開発というのに、投資されていくんでしょうか。

 基本的には、素直に読む限りは、今回の政府の決めた方向性というのは、自主開発そのものは大幅に縮小せざるを得ないという方向性、首の皮二枚か三枚は残しているかもしれないけれども、現実には縮小せざるを得ないのではないでしょうか。

平沼国務大臣 従来に比べて非常に厳しい、そういう形に相なっておりますけれども、やはりそれだけ、国の貴重な資金を使う、こういうことでございますから、もちろん厳選をしなければなりません。

 それから、小泉内閣の基本方針というのは、民間の活力も力いっぱい導入しよう、こういう観点があるわけでありまして、そういうような考え方から、私どもとしては、厳選をし、そして民間の活力を利用しながら、しかし自主開発、こういう形では、国の後ろ盾が諸外国にとっては必要な一つの、日本というものが後ろについている、こういうことが今までのいろいろなところとの交渉でも必要なことでございますから、そういう意味で、必要最小限の形でありますけれども、国が厳選をして、そしてそのプロジェクトに参画をしていく、こういう基本的な考え方であります。

 また同時に、最近は非常に探査技術等も進歩をしておりまして、厳選をしてやる可能性というのは非常に大きくなった、こういう判断もその中にあるということを御了解いただきたいと思います。

北橋委員 引き続き国としては、自主開発という事業にセキュリティー上の意義を確認しているということでございます。これについては、私ども党内でもいろいろと議論を重ねておりますし、また後ほど同僚委員からも質問があろうかと思いますので、そのときに譲らせていただきたいと思います。

 もう一つ、特殊法人の改革については、今後矢継ぎ早に十二月の整理合理化計画に向けまして、経済産業省所管の法人についても議論が進められていると思いますが、私ども大変気にしておりますのは、政府系の中小企業金融機関の扱いでございます。

 これについては、経済が活性化をして非常に健全な姿に戻ったときには、私どもも、たくさん各省庁別縦割りに政府系金融機関がございますので、思い切って、中小企業関係の金融機関が一本ともう一つの政策金融機関、二つぐらいに最終的には集約をしていくことを考えているわけでございますが、問題はそのタイミングでございまして、現下の経済情勢はますます深刻さを増しておりまして、中小企業者にとりましては、政府系金融機関というのはもう最後のよりどころになっております。

 そういった現状を考えますと、この特殊法人の改革につきまして、中小企業の現場を十分しんしゃくした方向性を出されることを期待する一人でございますが、これについてはいかがでしょうか。

平沼国務大臣 私は、北橋委員御指摘のとおりだと思います。現下の厳しい経済情勢というのを考えたときに、中小零細企業の皆様方は政府系金融機関がよりどころとなっております。そういう意味で、一方においては整理合理化ということが必要でございますけれども、私どもとしては、今の景況を考えて、この点は十分話し合いをし、そして中小企業の皆様方に直接大きなダメージが出ないように、適切に判断して、そして行動していきたい、このように思っています。

北橋委員 この機会にもう一つ苦言を呈しておかなければいけませんのは、中小企業のよりどころになっているという意味で頑張ってほしいということなんですが、現実には、不良債権処理が進められるに当たりまして、倒産とかリストラが相次いでおります。現実に窓口に行きますと、大変に審査が厳しくなっている。政府のいろいろな施策を見ていると、セーフティーネット保証を初め、いろいろなメニューを拡大してきているわけでございますが、現実に血液というのは中小企業には余り流れてはいないように思いますね。

 これから特に厳しさを増してくるだけに、その点についての改善を大臣としてもぜひ御配慮いただいて、現場に指示を流していただきたいのでありますが、この点についての認識はいかがでしょうか。

古屋副大臣 お答えをさせていただきます。

 最近、秋以降、非常に中小企業の経営環境というのは厳しくなっている。そういうことで、中小企業に対するセーフティーネットの充実というのがますます重要になってきているわけでございまして、単に資金のやりくりがつかないということのみをもってして最悪の場合は破綻、こういうことは何としてでも避けなくてはならないということでございまして、我々といたしましても、それぞれの中小企業者の実情に応じたきめ細かな対応というものを親身に行うようかねてから指導しているところでございます。

 特に、これから年末に向かいましていろいろな資金の需要期に当たりますので、各機関に対しましては、これは既往債務も含めてでございますけれども、そういった取り扱いにつきましては、昨日十二月四日付で中小企業庁長官から各金融機関に対しまして文書を出させていただきまして、中小企業への円滑な資金供給ができるための徹底的な指導というものをさせていただいたところでございます。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、きめ細かな対応をしていく、そして親身になって相談に対応して融資を提供していくということが不可欠であると思いますので、我々としてもそういった観点に立って対応してまいりたいと思っております。

北橋委員 これまでもいろいろな機会に中小企業の金融につきましては国会でやりとりがありまして、大体今のような御趣旨の答弁があるわけでございますが、現実には親身になってきめ細かなとは言いがたいような状況もたくさんあると中小企業者から聞いているわけでございまして、この点はぜひ徹底をしていただきたいと思います。

 また、これは通告しておりませんでしたので要望にとどめますけれども、中小企業の定義のために、従業員の数が少しでもオーバーしていると窓口が閉まってしまうという現状がある。これについては総務省で来年春に向けて見直しをしているということでございますが、例えば商工中金なんかで、組合に入っていれば、出資者であれば、中小企業の定義から少し超えるような若干大き目の中堅企業についても融資の対象にはなり得る、このように聞いておりますので、そういったことも含めてきめ細かな対応をぜひお願いしておきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 この国会では、通商政策について、WTOもございましたし、セーフガードもございました。まず、ネギ、野菜等の農産物のセーフガード、いよいよこれは調査期限が十二月に迫ってまいりますので、もう待ったなしの状況になっております。これについては、経済産業省のホームページでは、事務次官、大臣の記者会見はいつも報道されておりますので、ずっと大臣の御発言については注意深く見守っておりますが、現時点におきまして、日中間の話し合いの見通しはどのように認識されていらっしゃるでしょうか。

平沼国務大臣 本問題につきましては、もうよく委員御承知のように、十月八日及び二十一日に日中首脳会談がございました。八日の日には朱鎔基首相、そして二十一日には江沢民国家主席と我が国の小泉首相との間で、話し合いで解決をする、こういう旨、合意をされたところでございます。

 話し合い解決ということを受けまして、私も、十月十七日のAPECの閣僚会議時に石広生対外貿易経済合作部長との間で、また、たまたまWTOで、先月の十二日にカタールのドーハに行っておりましたので、ドーハの閣僚会合で武部農水大臣とも御一緒に石部長との間で会談を行いました。双方は、話し合いによる解決を粘り強く追求していくことを改めて確認して、そして私どもとしては、総理からも話し合いを基調として解決をしてほしい、こういうことでございますので、今最大限努力をしているところでございます。

 政府といたしましては、これらの会談における両国間の意見の一致を踏まえたぎりぎりの判断として、今御指摘の、期限が迫っている、こういう形で、十二月二十一日までのできる限り早い時期に、三品目の秩序ある輸入を確保する方策について中国と合意に達するように交渉に目下全力を挙げています。

 現在の状況は、先週十一月三十日に北京で、第四回日中政府間協議、これは課長級でございましたけれども、その結果に基づきまして、引き続き本件の二国間の話し合いによる解決を目指しまして、頻度を上げて、さらに御指摘のように時間が迫っておりますので協議を継続することとなっておりまして、具体的な日程をさらに外交ルートを通じて詰めているところでございます。場合によっては閣僚級の話し合いも行う、こういうような心づもりで今頑張っているところでございます。

北橋委員 セーフガードの発動につきましては、本発動に暫定発動を切りかえるかどうかについては、率直に申し上げて民主党内にも両論ございました。ただ、私もその一人なんですけれども、やはり話し合いによってぜひ解決をしないと、中長期的に見て、日本の農業にとって、本当にいい道というのは、保護主義的な措置で手に入れるかどうかというのは微妙でございます。そして、日中間の経済関係を先々まで考えたときに、やはりここは本発動に至ることは慎重であるべきだ、そういう考えが、私もその一人でございますが、そういった意味では、この間大臣が、中国のトップとお会いになるたびに、ぜひ話し合いによって解決しようという方向で努力されていることは実は私も評価をさせていただいております。

 今お話の中で、問題になっている三品目については、秩序ある輸入について何とか合意に達したいということで、これはかつて繊維の交渉のときもそうでしたが、日米間のときに日本の自主規制という形をとりました。こういう方法で中国側に一定の数量に抑制して目標を設定するということを期待されて交渉されているのでしょうか。

平沼国務大臣 今話し合いをさせていただいておりまして、秩序あるそういう、あちらからいえば輸出、こちらからいえば輸入になるわけですけれども、数量等含めて私どもとしては話し合いで合意点を見出していきたい、こういうことでやらせていただいております。

北橋委員 まだ課長級の話し合いが近々あるということで、本当に時間がない中でまとまるのであろうかと思いますが、もし仮に決裂をするとなりますと、これは日中両国の経済関係の今後にとりまして大変大きな禍根を残すことになる。

 これまで経済省の説明では、仮に発動して向こうが日本に報復をした場合に、それはWTO違反なんだ、だから今後WTOに入ってくればそのような措置はとれないはずだ、こういう御説明をされていたのですが、私も経済貿易委員会の郭局長にもお会いして、向こうの本音の一端を聞いてまいりましたけれども、別に報復というのを喜んでやっているわけではなく、万やむを得ず、十三億の民が生きていくために、しかも日本人が中国に行って品種改良から生産から工程管理をしているわけでございまして、とてもじゃないけれども中国の国内状況はまとまらないという非常にせっぱ詰まった状況の中でのやむを得ざる措置であって、WTOに入ったからといって、そのことによって左右されるほどの問題ではないと私は思うのですね。

 そういった意味では、何としてでもこれをまとめる、中国側に秩序ある輸出を求めるということしか解決の道はないわけでございますが、話し合いによって解決ができると自信をお持ちでしょうか。

平沼国務大臣 これは両国首脳が話し合いという形で合意をしたことでございます。朱鎔基首相と小泉首相が会ったときに、小泉首相の側から話し合いで解決をしよう、それにこたえて中国の朱鎔基首相もそれはいい方法である、こういう形で第一段階が始まりました。そして、ブルネイでAPECの会合がありましたときに、最終的には江沢民主席から会談の最後に、これは話し合いで解決すべきだ、こういう言葉もありまして、やはりこれは中国側も相当話し合い解決ということに力点を置いている、こういうことだと思っておりますので、両国首脳の話し合い解決というのは重い、私どもはこう受けとめておりますので、全力を挙げて話し合い解決で努力をしていく、こういうつもりでおります。

北橋委員 ぜひ協議で頑張っていただきたいと思います。

 少し時間が限られてまいりましたので先へ急がせていただきますが、経済情勢の認識の中で、ペイオフ凍結の問題について、大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

 これは御案内のとおり、日銀総裁が最近の記者会見におきまして、公的資本注入の話も含めて、十一月二十一日に、ペイオフの実施延期の議論についてどう考えるのかということで話題になったテーマでございます。御案内のとおり、地場の中小企業金融機関がどういう状況であるか、これがペイオフ凍結解除によってどういう影響を受けるであろうかということは大臣が一番よく御存じだと思いますが、この議論については経済産業大臣としてどのように認識されておりますか。

平沼国務大臣 お答えをいたします。

 ペイオフ解禁につきましては、当初二〇〇一年の三月末の予定でございましたけれども、与党間の合意によりまして二〇〇二年三月末まで一年延長されたところでございます。現時点の判断といたしましては、ペイオフ解禁というのは、既定の方針でありまして、金融システムの信頼を確保するためにも着実に実施すべきと考えております。

 しかし、解禁に当たりましては、新たに金融機関が破綻するというような懸念が払拭される等、金融システムへの信頼が確保されていることが私は必要だと思っておりますし、中小金融機関による貸し渋りが発生することのないこと、こういうことが絶対に必要だと思っています。

 したがいまして、このペイオフの問題に関しましては、経済産業省といたしましては、今後の状況というものを十分注視していきたい、こういうふうに思っているところでございます。

北橋委員 含みのある御答弁だったわけでございますが、この日銀総裁の、公的資金の再注入もあり得るという議論は、やはり基本的には、ペイオフ解禁という路線をもし仮に変えるならば、マーケットは非常に不信を買うということで、いろいろな大きな問題が発生する。しかし、その解禁に当たっては、本当に金融システムが安定しているかどうか、大臣が今御指摘されたようなことを含めてそれを見きわめることが大事だということなんですが、ということは、やはり大変難しい問題点も幾つかある、場合によっては再延期もあり得るという含みなんでしょうか。

平沼国務大臣 御答弁申し上げましたように、やはりこのペイオフというのは、金融システムというものの信用の中でやらなければならないテーマだと思っております。しかし、現下の経済情勢というのは、御指摘のように非常に厳しい問題でございますので、私どもといたしましては、貸し渋りでありますとかその他の問題で、解禁をしてもいいという条件が十分整う必要があると私は思いますので、再度の答弁でございますけれども、十分注視をしていきたい、このように思っています。

北橋委員 では、もう一度聞きます。

 貸し渋りの状況が改善されるかどうかとか、幾つか言われましたけれども、これからますます深刻になるんじゃないでしょうか。そして、検査ということが、特別検査を含めてどんどん進んでおります。官邸から不良債権処理を急げという大号令もかかっておりまして、年末に向けまして大変倒産が出るのではないか、資金繰りが大変厳しい状況。

 そういう中で、大臣が今おっしゃったように、地元の中小企業、金融機関も含めて、融資の状況が中小企業の立場に立って改善されるという状況は、今のままでは到底見えてこないのではないか。もしそうおっしゃるのであれば、公的資金を思い切って再注入するとか、ドラスチックなことがない限りそれは難しいと思うんですね。

 私は、大臣が景気対策が必要であるという御発言をされたときにも思ったんですけれども、閣内において不一致だという議論も一方にありますけれども、本当に現下の経済がよくならなければ不良債権の処理も前へ進まない、二兎を追わなければ一兎も追えないという状況ですね。それを勇気を持って発言されたことについては、私は非常に注目をさせていただいております。

 今の状況では公的資金の再注入というのは金融庁は考えていないと、公式な答えを繰り返しているわけでございますが、とてもじゃないけれども、ペイオフ解禁という状況にはならないんじゃないでしょうか。公的資金の再注入を思い切ってやるか、それとも再延期するか、どちらかじゃないんでしょうか。

平沼国務大臣 これは金融庁の所管でございまして、私からは、そのことについて断定的な発言というのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、今北橋委員の言うような状況も十分想定されることではないか、そのように私は思います。

北橋委員 時間が参りましたので、これで終わります。

山本委員長 中山義活君。

中山(義)委員 おはようございます。

 今もいろいろなお話があって、金融庁には何も、ちょっと私からはという話がありましたけれども、あの閣議というのは何なんでしょうね。よくわかりませんけれども、何か皆さんで話をしているんだから、やはり縦割り行政をなるべくやらないように横との連絡をしているやに私には見えるわけでございますけれども、先ほどのあの農水省の答弁、あれはひどかったですね。やはり中小企業を守るという立場であれば、省がここだからそれは我々の範疇じゃないというような考え方はやめていただきたいと思うんですよ。

 今、中小企業の肉屋さんが本当にどれだけ困っているか、先ほどのは、焼き肉屋を十軒持っていれば従業員五十人以上になりますよ。五千万ぐらい資本金がなければできませんよ。だから、やはりそういう問題についてしっかり考えてやっていただかないとあんなような答弁になっちゃうんですね。

 要するに、中小企業の範疇に入っていないからこっちはできない、向こうは向こうでまたできなくて、あの人たちの領分というのは農村やそっちだから、農村にはばんばんやりますよ、中小企業者には何もやりません、そういう冷たい答弁ですよ。

 結局、この狂牛病で一番被害に遭っている、その一番の川下、これはどこですか。肉屋さんとか焼き肉屋さんとか、しゃぶしゃぶとかすき焼きとかハンバーガー屋さんとか、あとちょっと考えられませんけれども、そういうようなところをやはり一番厚く考えないと、結局は川上の方の肉は必要なくなってしまうんですね。

 だから、町の焼き肉屋さんがばんばん売れる、または食べに来る人がうんといる、ここが大切なんじゃないですか。だとすれば、大臣、閣議のとき農水大臣にそのことを言ってくださいよ、もっと垣根をなくして、ちゃんと協力してもらえないかということで。

 確かに、今、中小企業という範疇からいくと、五千万、五十人、これにどうしてもぶつかっちゃうわけですよ。だったらこれは農水省でやればいいんですよ。今回の補正予算だって一番予算を持っていっているんだから、しっかりやってくれなきゃ困りますね。ぜひ、農水省に苦言を呈するというふうにここで言ってください。ぜひお願いします。でないと、いつまでたってもこれは同じ論議ですよ。

平沼国務大臣 この狂牛病の問題に関しては、武部農林水産大臣ともいろいろ話をさせていただきまして、私どもとしてもでき得る限りの御協力をしたい、こういう形で、枠の中で相当程度のことを今の段階でさせていただいています。

 そういう意味で、今御指摘のことについては、当委員会で北橋委員からも大変そこのところを強く指摘されておりますし、今の中山委員の御意見も私は武部大臣にしっかりと伝えさせていただいて、そして農水省としての対応というものも、私どもも協力しなきゃいかぬと思いますけれども、よくお伝えをさせていただきたいと思います。

中山(義)委員 もしそこでだめだった場合には、暫定的に中小企業の枠というものを変える必要があると思いますが、そこもぜひ答弁していただきたいと思います。

平沼国務大臣 これは一つのそういう形で決まったことでございますので、すぐやるということを申し上げることはなかなかできませんけれども、柔軟な対応というのはある程度できると私は思います。そういう意味で、そういうことも含めて考えていきたい、このように思っています。

中山(義)委員 これは緊急的な融資だと思うんですよ。私どもの台東区では、区が七百五十万、無利子で貸し付けを始めました。これはもう国に任せてはおけないということになっていると思うんですね。ですけれども、やはり根幹である国の方がまず先頭に立ってそういうアピールをしてもらいたいと思うんですね。これは強く要望しますし、答えをぜひ出していただきたい。いつまでも両方の役所で、いや、あっちだこっちだというのはもうやめてもらいたいと思うんです。

 それから、同じように、閣議で隣に柳澤さんが来たら特に言ってもらいたいことがあるんです。

 BIS規制で今都市銀ががんがんいじめられている。それはいいですよ。それまでにやってきたことを見れば当たり前の話で、不良債権をどんどん回収してもらう。しかし、信用金庫、信用組合というのはもともと協同組織でございまして、地域のために、本当は組合員にお金を貸しているわけですね。しかも、上限がありまして、中小企業にお金を貸す、こういうふうに決まっているわけです。この人たちに同じような自己資本比率でがんがん攻めますと、結果的には、金融庁が中小企業に金を貸すなと言うのと同じような形になっちゃうんですよ、二年赤字だったら金を貸すなと。

 ところが、中小企業は、赤字だったって、どっこいなかなか元気なんですよ。赤字だからつぶれる、そうじゃないんです。これはいろいろな意味合いで赤字になるのであって、大体七割ぐらい赤字じゃないでしょうか。では食っていけないかというとそうじゃないんですよ、ちゃんとやっているんです。だから、経営者の目を見れば、信用金庫さんや信用組合さんは、この人は貸したらいいかどうかとわかるんですよ。ところが、そういうところをマニュアルで締めていくというのは極めて問題点があるんです。

 ですから、中小企業を守る立場からすれば、柳澤さん、おかしいよと。これはもし何かスタンダードというものがあるのだとすれば、ダブルのスタンダードでなければ絶対おかしいんですね。この辺、どうでしょうか。

平沼国務大臣 閣議の席では柳澤金融担当大臣は隣の隣に座っておられるわけですけれども、確かに、今御指摘の信用金庫、信用組合というのは、地域に密着した、そういう金融機関でありますから、特に国際的なそういうBIS規制の適用に入るということは、私はいろいろ考えるべき点があると思います。

 そういったところで、特に中小企業に対応する信用組合だとか信用金庫に関することは、これまでも柳澤金融大臣とはお話をしておりますけれども、さらに私としては、中小企業担当大臣としてよくその辺のことはお願いをしたい、このように思っています。

中山(義)委員 今お話がありましたけれども、どうも経済産業省、大臣、人がよくて、ほかの省庁でやったしりぬぐいをいつもやっているような気がするんですよ。

 前もそうでしょう。大手銀行が危ないというので資本注入をした、これも貸し渋り対策ですよ。しかし実際問題として、ちっとも貸し渋りが直らない、だから三十兆円を投じて経済産業省がいろいろやった。そうしたら、それを銀行が、また悪用するやつがいるわけですよ。だから、あれは銀行救済じゃないかなんということになっちゃう。だけれども、もうちょっと両方の省庁が話し合って、効率よくできないのかなと思うんです。片っ方は銀行をぐんぐん締めて不良債権をなくす、片っ方は銀行にどんどんお金を貸し出すように保証しているわけですね。だから、私から見ると何か矛盾している感じがするんですよね。

 大臣、どうですか。今回だってまただんだん厳しくなってきた。だから、再度また保証協会を使ってうまくやっていくというようなことをやっていると、こっちががんがんいじめてくると経済産業省が何とかそれを助けてあげる、何かそんなことをいつもやっていませんかね。

 やはり、もうちょっと閣議や何かで、閣議はそういうところじゃないかもしれませんけれども、または両省庁が話し合って、中小企業対策は別個なんだ、何でそんなに信用金庫、信用組合をいじめるんだと。いじめ方もまた、引当金をどんどん積ませて自己資本比率を上げさせようとする、これがますます貸し渋りを生んでいるんですね。この辺いかがですか。

平沼国務大臣 小泉内閣においては、やはり一方におきましては、金融サイドの不良債権と産業サイドの不良債務を処理することがやはり日本の景気回復にとってどうしても避けて通れない道だ、こういう中で、金融庁を中心に非常に頑張っているところだと思っています。

 ですから、御指摘のように、中小企業の問題に関して、金融庁と経済産業省と話し合っていくということはこれまでもやってまいりました。この一月八日にも両省の審議官クラスで会合を持ちまして、こういう問題をきめ細かく話し合ってきているところでございますけれども、私どもとしては、中小企業のそういう実情をよく踏まえながら、さらに連携を緊密化して御趣旨を伝えていきたい、このように思います。

中山(義)委員 私は、信用組合と信用金庫について同じようなBIS規制とか同じような検査マニュアルでやっていくことについて、もうちょっと問題点を経済産業省からも出していただきたいと思うんですね。これは大変大きな問題だと思います。

 これからますます恐らく締めていくと思うんですね。そうすると、銀行が本来は自分たちがリスクを負って自分たちの意思で中小企業に金を貸す、しかし、この検査マニュアルでいくと、銀行の裁量の余地がだんだんなくなって、あそこはもうこれだけ、二年赤字が出ているんだから、不良債権化するから貸すなと言っているのと同じような現状になるわけですよ。

 ですから、今の不良債権の回収をがんがんがんがんやっていくと、それは大企業はやってもらって結構ですよ、だけれども、本当に中小企業が疲弊していってがたがたいったら、日本の経済はもたないと思うんですね。

 ですから、よく最近テレビなんか見ていても、勝ち組と負け組があって、負け組は市場から退場しろなんてとんでもないことを言う人がいますけれども、好きこのんで負け組になったわけじゃないわけですよ。これだけの不景気をつくった、そういう責任が我々にもあるし、いろいろな要因があってそうなったのですから、やはりしっかり救ってもらわないとまずいと思うんですね。

 例えば、年間で本当に百五、六十万しか売り上げが上がらないたばこを売っているおばあさんでも、やはり聞いてみると、自分で生きていきたい、自分で働いて生きていきたいという人がうんといるんですよ。もしそういう人を、仕事をさせないで生活保護になったらどうですか。国からお金が出るんじゃありませんか。やはり中小企業者というのはそうやってまじめに、日々何とか働いて、自分で働いて自分で生活したいという人は日本人にはうんといると思うんですよ。まじめな方ばかりですよ。

 そういう人をやはり救おうという気持ちがないと、不良債権の回収というのは、後で、とんでもない中小企業殺しだった、こういうようにもなりかねない。それを強く要望したいと思うので、ひとつ金融庁の柳澤大臣に会ったら言ってくださいよ、そんな単純なマニュアルで上から下までやるんじゃないと。マクドナルドだとか何だとかだったら、ああいうところで売っている人たちは確かにマニュアルでやりますよ。だけれども、銀行なんかを一つの検査マニュアルというもので、がんとやるのは絶対まずいと思います。それは意見として申し上げておきます。

 それから、どうも日本というのは外圧で、つい結果的に中小企業をいじめちゃう。大店法なんかもそうでしたし、どんどん外国からの、そういう自由化しろとか市場経済にしろというアメリカの要求を日本が受け入れ過ぎると、どうも日本というのはおかしな方向へ行ってしまうのじゃないかと思うんです。

 それから、電力の自由化についてちょっと質問しますが、エンロンの今回こういう大きな破綻がありました。これも、エンロンというのは非常に日本に今まで自由化の圧力をかけてきたのですよ、自由化しろと。特に送電の方で、自分たちでうまいところだけとって、もうけちゃおうという感じなんですね。

 電力会社は発電をしなきゃならない。その中には、CO2を減らそうと思って、原子力発電もやらなきゃいかぬ。しかも今度は、風力であるとか何であるとか、こういうものも買い取って、少しでも質のいい電力をつくる、そういうことでやっているわけですが、自由化にして、ばっと入ってくるようなこういうエンロンの問題。

 私自身は、電力というものについて、当然大臣の考え方があると思いますが、一つは安定供給ですね。それから一つはコストを下げるということですね、自由化ですから。それからCO2を出すなというわけですよ。この辺をどういうふうに調整してこれから自由化というふうに持ち込んでいくのか、その理念だけはちょっと聞かせていただきたいと思います。

平沼国務大臣 今、中山委員御指摘の三つの要素というのに私は尽きると思っています。

 電力の部分自由化をいたしました。それによって電力料金というのが低減をしてきたことは事実でございます。しかし、だからといって、これをアメリカのカリフォルニアの例のように野方図にやった場合には、結局、安定供給という面で大きなツケが来て、これは消費者、国民の皆様方に迷惑をかけることでありますから、その辺は慎重にやっていかなければなりません。それからもう一つの、二十一世紀は環境の時代と言われておりまして、御指摘のとおり、いかに環境に優しい、そういう政策をやっていくかということが必要であります。

 そういう中で、私は、御指摘の三つの柱というものをやはりしっかりと担保しながら、これからのいわゆる電力政策、エネルギー政策を進めていかなきゃいかぬ、このように思っています。

中山(義)委員 やはり競争するのでも、これからは環境を守るという大きな足かせ、というよりも、やはり大事なことだと思うんですね、それは。そこで、やはりコストを下げるということについても、単純にコストを下げてやっていくと、非常にCO2がふえる要素が強くなるわけです。

 例えばアメリカなんか、京都議定書を受け入れないというのは、端的に言うとあれでしょう、石化エネルギーを使うと宣言したようなものですよね。今、原子力発電も、恐らくアメリカもやっていこうとはするんですが、原子力発電というのはやはり資本投下が相当かかりますし、また地元の立地に対して相当ケアがかかるということで、簡単にできないわけですよ。

 そうなると、電力を安くつくる。アメリカがあんなことを言ったということは、石化エネルギーを使う。日本も、石化エネルギーを使っていけば、中東等の今の状況であればもっともっと電力は安くできる。しかし、日本には取り組まなきゃならない問題がうんとあるわけですよ。

 特に、京都議定書を受け入れる以上は、原子力発電を本当は二十基ぐらいつくらなければできない相談なわけですね。ところが、なかなかそれも厳しくなってきた、十三基やって、それもできるかどうか。そこでまた、どうしても風力または太陽熱、こういうものを利用するとなると、これはなかなか至難のわざだと思うんですね。

 そういう中で、電力の安定というのは、やはり国が一定の理念を持ってやらないと、これは市場原理に任す、自由にやる、それだけではまずいと思うんですね。

 ですから、コストと、今言った社会の環境との問題と、二つあわせてやっていかなければならないと思いますので、今回、エンロンのことがありましたので、さらに熟考を重ねて、論議を重ねていただきたい。

 やはり発電それから送電、配電、これを一括でやるのが本当は一番いいわけですね。部分的に自由化になって、送電のところだけうまくやってやろうなんていうのだと何かまずいような気もしますし、その辺ひとつよく考えて、環境に優しいエネルギーとして電気が一番大きいわけだと思うので、その発電をぜひ、自然というかCO2を出さないような方向で考えつつ、しかもコストを安くするということをうまくやっていただきたい、このように要望いたしておきます。

 それから、またエネルギーの問題に近いんですが、石油公団の民営化もしくは、廃止して民営化するということでしょうけれども、一番大きな問題は自主開発だと思うんですね。この自主開発について、端的にまず方針をちょっと聞きたいと思います。

平沼国務大臣 小泉内閣で、民にできることは極力民に任せる、官でしかできないことは官に任せる、そして地方でできることは極力地方に任せる、こういう中で行政改革、その中で特殊法人改革、そういうことが今最大の努力をもって進んでいます。

 その中で、私は閣僚の中で一番早く石油公団の廃止というものを打ち出しました。しかし、そのときに私は、三つのことを担保しなければならない、これだけは譲れない、こういうことで申し上げました。

 その一つは、今御指摘の、やはり日本はエネルギー資源の非常に乏しい国でありますから、そういう意味で、今、全エネルギー、一次エネルギーの五二%を占めている石油に関して、やはり自主開発をして、一たん緩急あるときに、それを備えておかなきゃいけない。

 そのためには、今まで随分むだがあったけれども、そこを整理して、やはり自主開発のいわゆるリスクマネーも国が一部負担しながら、そして、外国、産油国もそれによって信用をして自主開発が進むような道、これはやはり国で管理しなきゃいけない。

 それからもう一つは、一九七三年のオイルショックの経験から備蓄ということを我々は努力して、今九十五日を超える備蓄を持っています。もともと備蓄というのは採算で考えられたものではございませんので、備蓄はやはり最終段階の重要な部分は国が管理しなきゃいけない。それに伴う技術研究開発も国。この三つを担保して、今回廃止のスキームができました。

 したがいまして、その自主開発というものにつきましては、資源エネルギー小国の日本としては、どうしても国の責任でやっていかなきゃいけない。そして、その先に、私は夢を描いておりますのは、やはり世界にあるような、いろいろアメリカとかそういうのが持っているような、上流から下流までのいわゆる和製メジャー、メジャーといっても巨大なものじゃないですけれども、上流から下流までできる一貫したそういう会社も私は将来においてつくっていくべきだ。そういう構想で、その考え方で、実は廃止の方向の中にそういうことも盛り込ませていただきました。

中山(義)委員 今のお話は、自主開発はやっていくということですね。確認をいたしました。自主開発をやらないで、石油を市場に任せて、そこから日本は買っていくという方法も一つはあるわけですね。それからもう一つは、今言った自主開発、両方あわせていくと。

 それから、自主開発のメリットというのは、今大臣の方から、ちょっとメリットはわからなかったんですが、例えばイランと日本が一緒に自主開発の事業をやる、これは、イランと日本の人間関係というか外交の関係はよくできますわね。

 ただ、自主開発というのはどういう意味でやったら一番効率的なのかということがいろいろなことをやっているうちに出てくると思うんですね。今までの自主開発は実に不効率だったと思うんです。

 しかし、自主開発をやったところとはかなり外交的にも、例えばアラビア石油がサウジアラビアにいたときは、自分たちは外交努力というかそういうこともいろいろやっていて、あそこの人間は外交官と同じような役目を果たした、こんなことも言っていたわけですね。そういう意味もあると思うんです。

 ですけれども、その自主開発に対して今までかかったむだなお金、千三つとよく言われていますよね、相当むだな出費が出ているわけですよ。そういうものも含めて、では自主開発はどうやったらいいのかという論議は、今度のエネルギーの問題のときに、次の国会でも徹底的にやらなきゃいけないと思うんですね。それは徹底的に時間を割いてやっていただきたいと思うんですね。それが一つ。

 やはり外交努力というのもこれから大変だと思うんです。私心配なので、これは大臣にお聞きしたいんですが、大臣がイランに対して相当努力された、一生懸命やった。これも先ほどの、閣議でちょっと文句言ってもらいたいんですが、田中外務大臣がイランの方を、ちょっとだれだか忘れちゃったんですが、四十分ぐらい待たせちゃって、それで、指輪がなくなったとか何だとかとやって、しかもその答えは、イランには行きません、パキスタンには行きますと。すべての国に対して外交的な努力を本当に外務省がやってくれているならいいですよ。昼でも夜でもアサデガンとかと言ったじゃないですか。そのアザデガンだって、果たして、何だかこのまま……(発言する者あり)いや、しゃれでした。でも、そのくらい大臣は入れ込んでいたわけですよ。しかし、もしこれで外務大臣がおかしなことをしてイランからぱっと切られたら。実は、我が党の吉田外務委員長が行ってきました。そうしたら、これは産経新聞に出ていますが、非常に冷たくされたというような感じがあるんですね、石油に関して。ですから、そういう面から、幾ら大臣がこうやっていても、外務大臣がもしぽっとやっちゃうと大変じゃないですか。

 だから、これから石油の問題というのは、確かに自主採掘、こういうことも大事だけれども、やはりいわゆる自由主義経済ですから、自由市場からとるとするとかなり外交努力というのも重要な部分になってくるんですけれども、これなんかどういう感じを持ちますか、今回のこと。

平沼国務大臣 イランとの間で日量七十万バレルのアザデガン油田という油田の優先採掘権に対して最優先権をもらいまして、これは順調に今推移をしております。早ければ三年ぐらいで最初の油が出てくるんじゃないか、こういうふうに私は思っています。

 今、産経新聞等に出た記事に関しては、サウスパルスというところのガス田だと思います。これに関しては、我々、石油公団を中心に今までやってきたサウスパルスの一部参加と、それからアザデガン油田というのは、これは微動だにはいたしません。新聞記事に出ていますのは、民間の別のところがやっているところに対して非常に冷たい意見が出た、こういうことです。

 御指摘のように、やはり外交というのは非常に大切だと思いますので、私はこれからもそういう産油国との連携を深め、外務省の御協力もしっかりいただきながら最大限努力をしていかなければならない、このように思っています。

中山(義)委員 いろいろやってみる、最後にこの川下のところへ来て、みんな経済産業省がいろいろしりぬぐいしているんじゃ大変なので、やはり当委員会で皆さんから出ているようなことはほかの大臣にも言ってくださいよ。さっき農水省の問題もそうだし、外務大臣もそうだし、ぜひ強い発言をしていただいてリーダーシップをとってもらって、この窮状を本当に救っていただきたい、こういうことです。

 以上です。

山本委員長 中津川博郷君。

中津川委員 民主党の中津川でございます。

 まず大臣に、今の日本経済の現況の認識をお聞かせ願いたいと思います。

平沼国務大臣 中津川委員にお答えをさせていただきます。

 景気の現状ということでございますけれども、私どもは非常に深刻に受けとめております。世界経済が同時減速する中で、我が国の輸出生産というのが著しく減少しております。さらに、物づくりの国の設備投資が減少する、そういう中で消費も連続落ち込んでいます。また雇用面でも、戦後最悪の五・四を記録するなど、非常にこれは厳しい状況だと思っています。景気の足腰は弱まっていると言っても私は過言でないと思っております。

 そういう中で景気の先行きというものを心配しておりましたけれども、九月十一日の同時多発テロでさらに世界じゅうの景気が悪化をして、不透明感が増している。今後、この景気の悪化と物価の下落が加速的に進行するとデフレスパイラルにも陥りかねないおそれがある、このような認識を持っています。

 そうした状況に陥ってからではもはや手おくれでございまして、我が国経済の潜在的な成長力というものを十分に活用いたしまして、一刻も早く自律的な回復軌道に乗せるべく、果断な政策運営を行っていかなければならないと思っておりまして、今政府で講じております構造改革をさらに加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するための緊急対応プログラムを策定し、また二次補正予算を編成する、こういうことも決まりました。

 私といたしましては、このプログラムにおきまして、将来、中長期的に見て活力が増す、そういう具体的な施策を積極的に講じていかなければいかぬ、このように思っています。

中津川委員 大臣、今デフレとおっしゃられましたが、私は資料を取り寄せて、主要経済指標、国内総支出の推移から個人消費から住宅投資から失業率から、全部見てみたのです。少しでも希望を持って見たいと思っているのですが、もうお先真っ暗でありますし、あらゆる経済指標は最悪ですね。

 ここで何回も質問していますが、そのたびに悪くなっている。大臣はそのたびに、日本はポテンシャルがあるということをおっしゃられておる。きょうも言われるかなと思ったのですが、きょうはおっしゃらなかった。弱くなっていることは事実でありますが、その弱さというのは、もうデフレスパイラルに入っている、私個人はそういう認識でいるわけであります。

 きのうもムーディーズの格下げ、イタリアと同じですよ。将来についてはネガティブということで、これをデフレスパイラルと呼ばないで何と呼ぶか。というのは、その認識が正確でないと、処方せんを出せないわけですね。経済が今くしゃみのときか、ちょっと熱が出てきたときか、もう肺炎になって危ない状態か。私はもう後者、肺炎になって本当に生死をこれから心配するような、そういう状況だというふうに思っているところなんです。

 大臣のお立場でこのデフレスパイラルという言葉はなかなか言いづらいと思いますが、著名なエコノミストを初め有識者、みんなその認識ですよ。いかがですか。

平沼国務大臣 私が先ほどお答えいたしましたとおり、すべての経済指標というのは非常に悪化をしております。ですから、このままいくとデフレスパイラルに陥る可能性がある、こういう認識で、私どもとしては万全の措置を講じていかなければならない、このように思います。

中津川委員 きょうは金融副大臣がお見えになっておりますので、同じことをお聞きしたいと思うのです。

 大手銀行の九月の中間決算が出ました。それから来年の三月期の業績見通しも出ました。それで、二〇〇一年度の年間の不良債権処理に伴う損失は、大手十四行の予想の三・三倍の六兆四千四百七十億円。不良債権を二、三年で処理するなどということはもう不可能に近い。不良債権の問題は、私見としては地価問題に大きくかかわってくるわけでありまして、きょうはそこは議論する時間がないので、いずれまたゆっくり議論はしたいと思っております。

 金融庁、問題は、銀行に対する不信、これはもう国民ほとんどの人がそんな思いだと思うのですよ。

 いよいよ今、特別検査に入っております。検査を厳しくすれば、要注意、要管理、破綻懸念先に近づきますね。そうすると、引当金を積んでいきます。そうすると、銀行の自己資本がだんだんと少なくなって体力が弱ってくる。そうすると銀行は、企業や個人に貸し出しする能力がもうなくなってきてしまう。本当に来年の三月まで銀行はもつのか。しかも、ペイオフの解禁と相まって、大変歴史的な金融パニックが起こるのじゃないだろうか。これは国民多くの皆さん、それからこの後いろいろ質問をさせていただきます中小企業の経営者の皆さん、もうその心配でいっぱいなんですよ。ひとつ明確にお答えを願いたいと思います。

村田副大臣 主要行の中間決算が発表されまして、委員御指摘のとおり、厳しい経済状況あるいは自己査定の厳格化等によりまして、十三年九月期におきます不良債権処理額は二兆円と、五月時点での予想と比べましても大幅な増額となっているわけでございます。また、私ども、改革先行プログラムに盛り込まれました各種の施策、特に今先生御指摘のような特別検査も実施しまして、思い切った不良債権の処理を大手行を中心にやっていただこう、こういうことで進めておるわけでございまして、通期で見ましても不良債権処理額は六・四兆円に上る、こういうことでございます。

 そのような中で銀行は大丈夫なのか、こういうことでございましたけれども、私どもは、今のように足元の経済が改善しない中で主要行を中心として不良債権の最終処理を進めている、こういうことでございます。

 一方で、株価が低迷する中で持ち合いの株の売却を進めているということでございまして、そういう意味では、一生懸命リストラあるいは多額に上ります不良債権の処理を大手行が大いに積極的に進めている、こういうことでございます。

 ところで、銀行の健全性を示す指標でございます自己資本比率でございますが、これを見ますと、十三年の九月期で、主要行でございますが、平均で一一・一%という形になっております。今六・四兆円と申しましたが、相当程度の不良債権処理を予定しております十四年三月期におきましても、九月末の株価、つまり九千七百七十四円、そういう想定をした後のレベルで推計をいたしますと、自己資本比率はなお総じて一〇%から一一%程度の水準をキープする、こういうことでございまして、私どもとしては、銀行の健全性には何ら問題がない、こういうふうに考えております。

 しかしながら、金融庁といたしましては、各行のいろいろな経営努力を通じて財務の健全性をより一層強化いたしまして盤石な経営基盤を構築することを期待しておりまして、その状況を的確に検査監督してまいりたい、こういうふうに考えております。

中津川委員 銀行が何ら問題ないだなんてよく言えますね。びっくりしました。自己資本比率が一一%ちょっとあるから大丈夫だと。長銀がつぶれたときもそのぐらいの数字だったですよ。自己資本比率なんて、あんなものは帳簿のところをいじるので、そんなに信憑性はないのですよ。これをやっていたら切りがありませんので。というのは、銀行は経済の血液ですから、金融庁の認識はこれではちょっと甘いなということを、私、率直に申させていただきます。

 それで、いよいよ中小企業問題に入るわけでありますが、この一年間、大臣とも、担保至上主義はよくない、そうだと言ってくれまして、個人保証制度も、これは日本独特のもので、そのために、会社が倒産すると個人の家、財産までとられてしまう、大手の社長はそういうものをとられないけれども、中小企業の人たちは、会社が順調にいっているときは税金だけたくさん取られて、だめになったら自己破産、路頭に迷う、家族崩壊、家もとられる、個人保証制度というものはおかしいなということで、その廃止をする、それに向けて、今私たち党内のワーキングチームで勉強しているところであります。

 そういうような議論が生きてきたのか、今回、中小企業対策パッケージの中で、創業支援、創業融資制度の拡充、そのビジネスプランということで、五百五十万円までの無担保無保証人、本人保証もなしで迅速に融資するというようなものができたのは、私、本当にこれは結構なことで、評価したいと思うのです。

 ただし、いつもそうなんですが、これが絵にかいたもちではいけないわけですね。これは国民生活金融公庫ですか、商工会議所とか商工会を通しての受け付けということでありまして、予算が九十七億円ということでありますが、中小企業者にとって本当にこれは実効性があるのか。ぜひ希望に満ちた答弁をしていただきたいと思うのです。

平沼国務大臣 私どもといたしましては、やはり今の厳しい経済状況、これは足元の経済対策をしていかなければならないのは当然のことでございますけれども、中長期的に見て、新しい事業を創出して、そしてその中で活力を生み出し、雇用も吸収することが必要だ、こういう考え方で、御指摘の新創業融資制度や新事業創出関連保証制度については、その融資、保証の実施に当たる国民生活金融公庫や信用保証協会が、今般の措置の趣旨を十分に踏まえて、それぞれの現場において、形式的な要素にとらわれないで、創業者の事業計画の内容そのものを十分把握、理解して、事業の発展性を見きわめて適切に融資ないし保証をしていく、このことが一番重要なことだと思っております。

 新創業融資制度の実行を担う国民生活金融公庫においては、これまで、別の創業者向けの融資制度において、過去数年間に七万件の実績がありまして、創業者の事業計画の審査ノウハウが蓄積されてきております。今般創設した新創業融資制度においても、こうしたノウハウを活用して、各創業者のビジネスプランについて、一つは、開業する事業の目的、商品やサービスの内容、セールスポイント等について創業者から聴取をする、そして二つ目は、販売・仕入れ計画や資金計画の妥当性の確認等を通じて審査が行われることになります。

 これはある意味ではスピードが必要ですから、しっかりした検査体制はそろえておかなければいけませんけれども、早く結論を出すことが必要だ。我々としてはこの制度を活用して、そして、これは平沼プランというのに出させていただきましたけれども、今、新規事業の立ち上げというのは年間十八万しかありませんが、それを倍増する、こういう形で、非常に柔軟に、迅速に、果断に、そして、新しく業を起こそうとする方々にはその意欲に十分おこたえする、こういうことで運用していきたいと思っています。

中津川委員 今、新事業の創業が十八万社と言われましたが、廃業していくのが二十八万社あるのですね。

 問題は、やる気があって、能力もあって、事業計画もしっかりしている、ないのは資金だ、この人たちにスタートのときに融資できるかどうか、これが問題なんですね。事業がスタートして、そして数字が動いてきて、それを見て貸すかどうか、こんなことはだれでもできるわけです。

 ですから、私は、この制度をずっとこれからもウオッチしていきたいと思います。わずか九十七億円じゃないですか。中小企業の人たち、今やる気のある人たちにこれをやるということは大きな意味があると私は思うのです。ぜひこれは強くお願いしたいと思います。

 同じようなことなんですが、新事業創出保証制度の拡充、これも一千万から一千五百万に保証限度額が引き上げられましたね。それから特別小口保証制度の拡充、これなんかも一千万から一千二百五十万に保証限度額が拡充された。大変結構なことだと思うのです。ただ、問題は、これも同じように実効性の問題なんですよ、ショーウインドーにきれいに、こういうふうに今回はさらに広げるよと絵には書いてくれたけれども。

 ここに一つ問題があるのは、信用保証協会、これの存在があるわけです。この審査基準があいまいで、かつ、厳し過ぎるのじゃないか、信用保証しない協会になっているのじゃないかというようなことを地域の経営者から随分聞くのですよ。いかがですか。

古屋副大臣 委員御指摘の、信用保証協会の審査体制はどうなのかということでございますけれども、やはり中期的に持続可能にするためには、ある程度の審査をしていくということはやむを得ないと私は思っております。

 しかし、こういった非常に厳しい経済情勢の中でございますので、その運用というものはそれぞれの企業の実情に応じて弾力的にやっていくべきであると思っております。特に、具体的な審査に当たりましては、硬直的あるいは形式的な審査に絶対流すことをせず、個別中小企業の実情というものを十分に把握する、またそれに基づいてきめ細かな対応をしていく、これが重要だと思っております。こういった趣旨を今後ともさらに徹底していきたい。これは、集めてやったりあるいは文書を発出したり、あらゆる機会を通じてそういう対応をしていきたいと思っております。

 また、昨年の十二月に、本年三月末の特別保証制度の終了を控えたときに、個々の中小企業者の実情に即したきめ細かな審査を行うように、全国信用保証協会連合会を通じまして、各信用保証協会に通達をいたしました。

 その具体的な例でございますけれども、例えば、大幅な欠損金があったという事実があったとしても、早期に業況が回復できるというようなことが見込まれる、あるいは利益計上が見込まれるというような場合は、そういった欠損が生じているということをもって保証対象外とはしない、こういったこともしておりまして、それぞれケース・バイ・ケースで対応いたしております。

 また最近は、十二月四日、昨日でございますけれども、中小企業庁長官から信用保証協会に対しまして、既往債務についての取り扱いも含めて、個々の中小企業者の実情に応じたきめ細やかな対応をしなさい、こういうような文書を通達いたしております。

中津川委員 保証協会が中小企業の経営者の立場に立っているのか、銀行の立場に立っているのか、そこが問題だと思うのです。銀行の立場に立っていると思われるような信用保証協会であるなら、こんなものは要らないわけでありまして、今副大臣が言われました、中小企業庁長官もしっかり言っておいたということでありますので、ぜひその信用保証協会、もう彼らもちょっとびくびくしてしまっているのですね、びくびくしてしまっていることは事実なんですが、今この時期、この一、二年が正念場ですから、強くお願いをしておきたいと思います。

 それから、今とにかく返済が大変だ。融資を新たに受けることはなかなか難しいけれども、返済の方でひとつ工夫してもらおうということで、これも政府の考えの中で、特別保証に係る返済条件の柔軟な変更について指導の一層の徹底、大変結構なことだと思うのですが、これはまだ現場では不徹底なところもあります。一部、金融機関とうまくいっている経営者の人たちとはよく話し合ってやっているということもありますが、ここのところは不徹底でありますので、これは新しく借りようと思ったら返さなきゃいけないわけでありまして、今まで例えば五十万返済していたのが十万になる、あるいは場合によったら金利だけでいいよということになったら頑張れるわけですから、さらにここのところをお願いしてもらいたいということが一点。

 それから、条件変更をすると何かブラックリストに載ったみたいで、また銀行の目が、態度が変わって、もう次は融資しないとかそういうような現場の声を聞きますが、これについてのひとつ御認識、御意見をお願いします。

古屋副大臣 企業が非常に厳しい経営環境の中で条件変更をするというケースにつきましても、私どもは柔軟に対応していきたいと思っております。これにつきましても、それぞれの信用協会あるいは金融機関に対して、我々としてはそういう指導をしていきたいと思っております。

 また、もう一つ、ブラックリストに載るんではないか。これもやはり、企業の実情に応じて条件変更しているわけでありますから、そういったことのないように引き続き徹底した指導をしていきたいと思っております。

中津川委員 ぜひお願いしたいと思います。今、この条件変更というのが一つ私はキーポイントだと思いますので。何か金利を下げてもらうということをお願いすると非常に弱い立場になったような思いがあるわけですが、条件変更と堂々と言えばいいわけであります。ちゃんと金利は払って、その支払い期間を延ばしたり金額を変更したりすることでありますから。ぜひこれは、今大変大事な政策だと思いますので、実効性あるようにしていただきたいと思います。

 今、党内で私ども、先ほども申し上げましたが、会社が倒産したからといって家、財産までとられて家族の崩壊、一家離散とならないために、銀行等の中小企業者に対する貸し付けの適正化の確保に関する法律案というようなもの、仮称ですけれども、今一生懸命作成しているところでありますが、やっていきますと、これは破産法にかかってくるんですね。中小企業者だけの問題ではありません。

 そこで、早速政府の方もといいますか自民党の方も、私たちがやっているのをしっかりととってくれまして、そういうところはすごいなと思うんです。ちょっと一声かけて仁義でも踏んでもらえれば、こういう経済対策は安全保障の問題と同じで、とにかく与党、野党関係ないですからね、一緒になってやることはやぶさかではありませんが、イランに行く朝の紙面で、十一月十九日の日経の朝刊に破産法改正と出ていて、あれ、何だこれ、私がやっていることじゃないかというようなことでびっくりしたんです。

 これは結構なことであるんですが、法務省にこの真偽をお伺いしたいと思います。

小池政府参考人 お尋ねの問題は、恐らく破産した場合の破産者の自由財産、つまり手元に置くことのできる財産の範囲をどうするのかという御質問であろうと思います。

 これにつきましては、委員御指摘のとおりに、この範囲を広げるべきである、つまり債務者の経済生活の再建をしやすくするために広げるべきであるという指摘がございます。一方で、そうなりますと、債権者に分け与える財源がそれだけ少なくなりますので、債権者が十分満足できないという問題もあるわけでございます。

 現在、法務省の方では破産法の全面的な見直しの作業をやっておりまして、御指摘の問題はその中の一つの重要な検討テーマでございます。鋭意努力いたしまして、十五年中には所要の法案を国会で御審議いただきたいというふうに思っております。

中津川委員 質問を終わります。

山本委員長 達増拓也君。

達増委員 きょうの経済産業委員会、一般質疑ということでありますけれども、私は、今の深まり行く経済情勢の悪化、これを受けて経済産業政策として何ができるのか、また何をすべきなのか、そういう問題意識から一般質疑の機会を設けるべきだと主張しまして、各党、理解を得てきょうの開催となったわけであります。

 この秋、非常に大きい正念場だったと思うんです。経済がどんどん悪化する中で、一つはセーフティーネット、中小企業の資金繰りに関して、一生懸命頑張ってやっているところがいたずらに破綻していかないよう資金的に援助するということが一つ。それはやはり守りだと思うんですね。まさにセーフティーネットでありますから、これ以上悪くしないよう守るための措置。

 一方では攻めのための措置が必要なんだと思います。マクロ経済政策、財政金融政策が今のような緊縮型、景気を冷やすようなマクロ政策が行われている中で、経済産業政策としてそれをはね返すといいますか、そういう逆風にめげず日本経済を活性化させていくための、景気をよくしていくための思い切った政策がこの秋、この臨時国会で求められているんだと思います。

 そこで、私はきょうは、地域経済の再生をテーマに質問させていただきたいと思います。

 アメリカ経済、ヨーロッパ経済、比較的うまくいっている例を見ますと、やはり地域経済が活性化している。特に、長い目で見ますと、重厚長大産業が中心の工業化社会から情報化社会、高度情報通信社会に変化していく中で、アメリカの場合ですと、古いタイプの工業地帯から新しいタイプの、シリコンバレーでありますとか、あるいはサンベルト地帯のアトランタ、ヒューストン、ダラスといったところの先端企業、ニューイングランドの復活ということでボストンを中心とした新しい金融、ITビジネス、また首都ワシントンも政治都市というところから脱皮してIT、ソフトウエアですとか通信ですとかそういった産業がまた伸びている。

 そうした地方からの産業構造改革、地方からの経済活性化というものを日本でも成功させていかなければならない。この点、中長期的に日本はかなり立ちおくれていると思うわけでありますし、また、今、目の前の危機を突破するためにもまさにここが重点なんだと思います。

 経済産業政策としても、政府は今回、地域の特性を生かした技術開発の推進ということで二百億円の補正予算を決定したわけでありますけれども、これをどのように執行していくのか、伺いたいと思います。

西川大臣政務官 委員御指摘の第一次補正予算の二百億円の内訳でございますけれども、まず第一、地域における実用化技術開発支援として百六十四・五億円が計上されております。これは、地域における大学、地方自治体、企業等の産学官連携による共同技術開発の委託と大学等の技術支援を受けて地域企業が行う技術開発への三分の二の補助金、これに用いたいと思っております。

 第二に、地域の産総研、産業技術総合研究所でございますが、これの産学官連携のオープンスペースラボという新しい概念、これの整備として二十億円が認められております。また、産総研の持つ研究ポテンシャルと地域拠点を活用いたしまして、地域における産学官連携の研究開発拠点の整備を行うものでございます。

 このほか、地域における世界標準、これは今大変重要なものとして認められておりますが、これを形成する技術の実用化支援として十五億円が、大学発ベンチャーに対して、経理でありますとかマーケティングでありますとかの支援を行う予算として五千万円が認められているわけでございます。

 もう少し細かく御説明をいたしますと、このうち、一番目にお答えをいたしました実用化技術開発支援につきましては、早速十一月十九日から公募を開始してございまして、幅広くこれを周知徹底させるために、全国の地方紙で中身を広報しております。また、これから二十五回に及ぶ公募説明会やシンポジウムを開催するわけでございます。これからと申しましたけれども、もう既に十八回が開催済みでございまして、約三千二百人の方々に御参加をいただいております。

 先生、このことに御着目をいただき、お尋ねをいただいて大変ありがたく存じておりますが、私どもも一生懸命これを普及、開発しまして、優良案件をより多く発掘いたしまして、お認めいただいた予算を効果的に使ってまいりたいと思っております。

達増委員 産学官連携による共同技術開発の支援、そしてまた個別地域企業の実用化技術開発に対する補助、これは、私も選挙区へ、地元に戻りますと、やる気のある若い経営者の方など、本当に興味、関心が高くて、この現状を打開するために頑張っていこうという意欲が地方には満ち満ちていますので、ぜひそこは的確にやっていかなければならないところだと思います。

 さて、政府は、そうした地域の新産業雇用創出ということを、地域再生産業集積計画、産業クラスター計画と銘打って進めていこうとしているというふうに聞いております。

 これは、地域経済産業局が結節点となって、人的ネットワークを地域につくり、そして地域ごと、バイオですとかITですとか高齢化社会対応産業、循環型社会対応産業、そういった分野ごとに地域の産業集積をつくっていく。全国十九プロジェクトで、約三千社の企業、約百五十の大学をネットワークしていくということなのでありますけれども、地域経済産業局の職員みずからがネットワーク形成の結節点となるという構想だそうであります。

 今までも、そういう地域の通産局の職員というのは、やはりそういう地域の人的ネットワークの結節点、ネットワーカーとしてコーディネートしたり、いろいろ働きかけることが期待されていたと思うのですけれども、今まで果たして十分だったのか。これからそれを大々的にやっていくというときに、専門知識とかあるいはコーディネーターとしてのノウハウですとか、そういったものが地域経済産業局職員あるいは地域経済産業局にあるのかどうか、その点疑問なんですが、この点いかがでしょう。

西川大臣政務官 お答え申し上げます。

 実は、私の個人的経験をまず先に申し上げたいと思うのです。

 この職につきまして約一年近いのでありますけれども、六カ所の地域経済産業局関連の事業の調査視察に出かけまして、現地の職員と泊まり込みで現場を歩いたりしました結果得た体験でございますが、非常によく地域に密着しておりますし、それから、企業、産業をよく訪問して、調査を非常によくしております。

 したがいまして、産業クラスター計画の推進に当たって、コーディネーターとして活躍しておられる現地の民間の方々と御一緒に積極的な企業訪問等を積み重ねておりますので、先生御懸念のようなことはまずないと思いますが、しかし、大変重要な御指摘でございますので、より研さんを積んで、スキルアップして御期待にこたえるようにしていきたい、こういうふうに指導してまいりたいと思います。

達増委員 いわゆる従来型の行政指導とかそういう監督とかとは一段次元の違うことをやらなければならないと思うし、大きい可能性を秘めた事業だと考えますので、それなりの人的体制というのをつくっていかなければならないと思います。

 ただ一方で、経済産業局の職員が、地元のそういう企業やネットワークの中に深く入り込んでいきつつ、そこへの補助金、助成金、そういう支援の予算を決めていく、あるいはその前提となる情報を上に上げていくというようなことになりますと、その支援の案件の採択が恣意的になったりとか、あるいは情実に流されたり、そういう心配があるのではないかと思うのですけれども、この点はいかがなんでしょうか。

西川大臣政務官 御指摘のようなことは十分気をつけていかなければいけないというふうに思います。そこで、恣意的にわたったり情実に流されることがないように制度設計をしてまいりたいと思っております。

 具体的には、複数の外部専門家を活用したいというふうに思いまして、まず、技術開発の内容の評価、または、技術評価及び技術開発の成果を実際に事業化につなげる可能性について評価をする事業化評価、こういうものを審査することによって、約五百名ぐらいの外部専門家を活用したい、こういうふうに考えております。

 さらに、その審査結果をもとにいたしまして、先ほどの地域経済産業局によります産業政策上の評価というものも重要でございますので、これを評価させていただきまして、さらに、外部の学識経験者などから構成される外部審査委員会というものにかけまして、評価の高い案件から順次採択をしてまいります。そして、これらを最後本省に上げて、ダブりがないか、そごがないか、きちっとチェックをしてまいります。

 こういう制度上の手続を経るわけでございますので、先生御懸念のような問題を私どもとしては生じないようにしていきたい、こういうふうに確信をいたしているところでございます。

達増委員 この産業クラスター計画をきちんと公明正大に運営していくためには、できるだけその中身をオープンにして、広く国民が知ることができるようにしておくことが必要だと思うのですね。

 そういう意味で、まず、各クラスターの中、地域の各分野ごとの産業クラスターの中で一体どういうことが行われているのか、今何が起きているのかというのを容易に外からチェックできるようにしておくことが必要だと思うのです。

 そのためにはインターネットのホームページが非常に有効で、各クラスター、北からいうと、北海道スーパー・クラスターとか東北経済局の高齢化社会対応産業振興プロジェクトとか、そういう個々のプロジェクト、クラスターごとにホームページ、ウエブサイトを立ち上げて、関心のある人がだれでもそれを見て、それぞれの地域でどういう企業が参加しているのかとか、どういう大学が参加している、また、研究者、個人、どういう人が参加して、どのくらいのお金をかけて、一体どういうことをしているのか。それが、自分の例えば住んでいる場所、自分の会社のある場所について知ることができるだけでなく、日本全体についてそれを見ることができる。

 例えば、今政府がやっているインパク、インターネット博覧会がありますが、ああいうふうに、一つの、日本全体がバーチャルにネット空間の中にちゃんとあって、だれでも、いつでもそれをチェックすることができる。

 これは、政府が説明責任を果たして、国民はそれをチェックするというだけではなく、新しいビジネスチャンスにかけたいと思う企業やあるいは個人が参入していくためにも、そういう工夫が必要だと思うのですけれども、この点いかがでしょうか。

古屋副大臣 お答えいたします。

 この産業クラスター計画というのは、従来の政策とは考え方が全く異なりまして、やはりアラカルト的な補助金をつけるということではなくて、総合戦略的、二十一世紀型の政策でございますので、やはりそういった観点からすると、インターネットの活用というのは非常に重要になってまいります。

 特に、産官学の人的な連携をしていく、そこを通じて企業情報であるとか技術情報を提供していく、こういった観点から、インターネットのホームページというのは極めて重要だと私も思っております。

 ちなみに、この産業クラスター計画の先行的事例であります首都圏の西部におけるプロジェクトなんですが、これは相当ホームページを活用いたしておりまして、結果として、このインターネットの活用だけではございませんけれども、ほかのいろいろな要素もございまして、事業化率が通常の三倍程度になっておりまして、私は、そういった意味で非常に効果が出ているのではないかなと思います。

 ですから、今後ともこういったインターネットのデータベースを大いに活用していく。このためには実際に従事する人もいつもリニューアルをしていかなきゃいけないということでありますけれども、そういった観点からも新しい技術をどんどん推進していくということにもつながると思いますので、今十九プロジェクトが立ち上がっていますけれども、そのうち十二のプロジェクトは既にホームページが立ち上がっております。残りの七つについてもホームページを立ち上げるための準備をしておりまして、これからもインターネットのホームページ、データベースを有効的に活用していきたいと思っております。

達増委員 今のような経済の危機的状況、戦後最悪の経済危機だと思うんですけれども、戦前の経済危機、昭和恐慌の後、日本が経済情勢を打開するために何をやったかというと、満州国をつくったわけですね。

 当時、それは広大なフロンティアであって、日本の経済社会を立て直すための一つの決定的な打開策として行われた。現代においては、どこかよその国に攻めていってそこの土地をとるとか、そんなことはとてもやってはいけない、考えてはいけないことなわけでありますけれども、ただ、そういう新しいフロンティアをつくって、それを日本の経済社会を大きく変える打開策、決め手にするという発想は、こういう危機のときには必要だと思うんですね。今は、どこかよその土地をとってフロンティアにするわけにはいかないわけで、バーチャルなネット空間の中に、サイバースペースの中に、そういう新しい、日本人にとって広大なフロンティアであるだけでなく、それは世界のすべての人にとっても広大なフロンティアでありましょう。

 ですから、この産業クラスター計画というのは、それをうまくインターネット、そういうITと組み合わせることで、日本の経済社会を一気に変える、今までの経済産業政策の枠を超えた、そういう日本一新のための、世直しのための大きいプロジェクトとして活用できると思うんですね。

 今までの経済産業政策の狭い枠を超えたプロジェクトとして活用し得ると思うのは、例えばバイオのプロジェクトをやる地域であれば、バイオといえば、農業というのが非常に重要な分野なわけでありますが、日本もいろいろな試験研究が平素から行われているし、ビジネスとしても農業が行われている、そういうのを取り込んでいく必要があると思いますし、また町づくり、町おこし、観光、コンベンションビジネス、そういった分野も巻き込んでいく。これは、今の政府の行政組織では他省庁の所管に入るような分野も入ってくるわけでありますけれども、そういったところと効果的な連携、これは非常に重要だと思うんですが、これは可能でしょうか。

古屋副大臣 今度の産業クラスター計画は、委員御指摘のように、各省庁の連携というのは非常に重要ですね。特に、バイオであるとか、医療であるとか、IT、その他、これからの将来的な、非常にマーケットが広がるであろうという分野につきましてはそういった連携が不可欠だと思っております。実は、私どもといたしましても、地域経済局を中心に、地方公共団体も交えて、地方支部間の連携というものを推進するために連絡会議を設置いたしておりまして、こういった連携というのは一層これからも密にしていきたいと思っております。

 例えば北海道のスーパー・クラスター振興計画、今委員御指摘がございましたけれども、こういった分野では、運輸局あるいはほかの省庁としっかり連携をしながらやっておりますし、あるいは近畿バイオ関連産業プロジェクトにおいては、厚生労働省であるとか文部科学省、こういったところと連携をいたしておりまして、やはりいかにうまく連携していくかということがこのプロジェクトを成功させる一つのかぎであるというふうに認識をいたしております。

達増委員 そういう他省庁との連携という意味で、きょうは田中国土交通大臣政務官にいらしていただいております。

 実は、そういう建設あるいは国土政策サイドからのこういう情報化社会に対応した新しい国土づくり、国づくりという点では、梶原拓岐阜県知事が国土情報学というコンセプトを出していらっしゃいまして、国土政策、建設政策、そういった観点からも新しい国づくりの必要性が言われているわけであります。

 そして、経済産業政策の観点からも、そういうクラスターの中で、新しい産業、新しいビジネスといったものがどんどん発展していく中で、それが世界に開かれたものであるためには、といいますのも、国際競争力が高く、どんどん外国に部品を輸出できるとか、あるいは人的、資金的交流が外国とできるとか、そういうのがそれぞれのクラスターの必要条件になってくると思うので、国際空港や国際港湾の整備とかその活用、活用のところには当然アクセスの問題が重要だと思うんですけれども、こういったことが非常に重要になってくると思うんですが、その点いかがでしょうか。

田中大臣政務官 お答えをさせていただきたいと思います。

 クラスターという言葉は魚の群れとかブドウの房という言葉だそうでございまして、産業クラスターはマイケル・ポーター氏がアメリカで提唱した、このように承っておるわけでございます。

 お話がありましたように、ボーダーレスあるいはグローバル化が進む中で、ただいま御指摘のあったように、産業クラスターを形成するためにはインフラ整備の観点が非常に重要だと私も認識をいたしております。

 特に、国際空港や国際港湾について、現在、成田空港の平行滑走路などの整備、関西国際空港の二期事業や中部国際空港の整備など、我が国の基幹的な国際空港の整備などを進めるためにも、国際水準の高規格コンテナターミナルを有する中枢・中核国際港湾などの整備、港湾の二十四時間フルオープン化などの施策を総合的に推進をしております。

 また、こうした空港、港湾の機能を十分に活用していくために、鉄道、道路などのアクセス整備を初めとして、船舶が入港してから貨物を引き渡すまでの時間の短縮や、インターチェンジなどから十分以内に到着可能な国際空港、港湾の割合の引き上げなどに積極的に取り組んでまいる所存であります。

 まだまだ先進国の競争力、不十分だと思っておりますので、頑張ってまいりたいと思います。以上でございます。

達増委員 狭い縦割りの世界の中で、公共事業ということでやろうとすると、非常に批判も強く、むだだ、何のためにやるんだという批判が大きく出るんだと思いますけれども、本当に省庁を超えた国のビジョンの中に位置づけて、戦略的に必要なものをつくっていくという発想の中にそのインフラ整備というものも入っていかなければならないんだと思います。

 さて、二次補正の話が出てきております。

 これは、公表された経済産業省の要望案を見ますと、産業技術総合研究所の施設整備に一千億円以上要望するという案が出ているわけであります。

 これも、二次補正が認められそうだから、この機会に自分の省庁の関係の施設を、ふだん予算がつけられないものをつけて直しておこう、ふやしておこうという発想ではもうむだ遣いのきわみで、けしからぬわけでありますけれども、せっかく産業クラスター計画という、これは何十年に一度の、私は満州国建国に匹敵するくらいの、いい意味で歴史を変えるようなものにし得ることをやろうとしているわけですから、それとの関係をきちっとつくっていくべきじゃないかと考えるのですが、この点、いかがでしょうか。

古屋副大臣 お答えさせていただきます。

 今度の二次補正でお願いをさせていただいているところに、この産業クラスター計画に有効に活用したいという部分がございます。

 具体的には、産学官連携オープンスペースラボ、これについて整備をするということで要求をさせていただいております。このオープンスペースラボというのは、この産業クラスター計画の中で非常に有効的に活用できると思っておりまして、産学官連携による研究開発の拠点としては非常に私も重要だと思っております。

 ちなみに、オープンスペースラボとしては、北海道でバイオ関連あるいは大阪でもバイオ関連でございますけれども、二十二億円そして三十億円、それぞれ要求をさせていただいておりますし、また、委員御地元の東北地域でも環境関連で二十二億という要求をさせていただいておるわけでございまして、これからも各経済産業局が中核となってこの産業クラスター計画を推進していく、そのための有力な手段としてこういった第二次補正あるいはこのオープンスペースラボというものを活用していきたいと思っております。

達増委員 ことし、この西暦二〇〇一年という年は、二十一世紀の最初の年でありますが、日本の政治経済も大きい変化、変動の年であって、後世の歴史家もこの年に何があったか、だれが何をしようとしていたかというのは、後々まで非常に興味、関心の高いところになると思います。こういう未曾有の経済危機が深まっていく中で、経済産業政策にかかわる人たちが何をしていたのかというのは、後で厳しく問われることになると思います。

 ですから、本当に何十年に一度の勝負をかけるというぐらいの気合いで地域経済の再生というのを図っていかなければならないと思うのですが、この点について大臣に意見をお伺いいたします。

平沼国務大臣 達増委員から、この地域経済の活性化、これが非常に重要である、こういう御指摘をいただきまして、私どもとしても、勇気千倍の気持ちでございます。

 やはり、この地域経済を活性化して、そして今の厳しい経済状況というのを打破していくのは、中長期的に見て、新しい企業の活力を生み、そして雇用を創出して、そして日本全体がバランスよく発展をしていく、このことが私は重要なことだと思っています。

 そういう意味で、この地域の産業クラスター計画というのは、既に御承知のように、全国十九の拠点で、そして百五十の大学が参画し、今まだ三千社でございますけれども、これからどんどんふえてくると思いますが、企業群が参画をして、非常に活発に行動が始まりました。効果も非常に出てきているところでございまして、私どもとしては、このことをやはりこれからの政策課題の中心に据えて一生懸命努力をしていきたい、このように思っております。

達増委員 終わります。

山本委員長 大森猛君。

大森委員 日本共産党の大森猛でございます。

 私は、最初に、政府系金融機関の五%超金利の減免措置について、お聞きをしたいと思います。

 この問題では、さきの当委員会で我が党の塩川委員の質問に対して平沼大臣は、五%を超える貸付残高の減少、そして金利減免措置による財政負担あるいは必要性の減少、こういうことをこの減免措置の廃止の理由に挙げられましたけれども、私は、これは大変重大な認識の間違い、重大な問題ではないかと思います。

 そこで、この措置をそもそも創設した当時と比べて、今の中小企業を取り巻く状況はどうか。私は、一層悪化をしている、本当に厳しい、中小企業の問題について言えば、特にもう史上最悪というような状況に現在あるのではないかと思います。

 これは先ほども質疑がありましたけれども、私は、これは事前の質問の通告の順序とは異なりますけれども、あえて大臣に、この中小企業を取り巻く経営環境、大臣の認識について改めて伺っておきたいと思います。

平沼国務大臣 今、日本の足元の経済状況というのは、あらゆる経済指標が示しておりますとおり、非常に厳しいものだと思っております。消費者物価は連続で下落をしている、また貿易立国である日本の貿易収支も、トータルでは黒字とはいえ、非常に減少幅が大きくなってきている。また、日本の経済の活力である、いわゆる企業の収益というものも悪化し、さらに設備投資も非常に低下をしてきている。そういう中で、中小企業の皆様方は大変厳しい状況に置かれています。

 一方において、金融サイドの不良債権とそして産業サイドの不良資産を処理する、こういったこともこれから中小企業については非常に大きな負担を強いることに相なります。

 そういう非常に厳しい現況の中で、先ほど他の委員の御質問にもお答えをいたしましたけれども、デフレスパイラルの懸念にあると言っても過言でないぐらい、私どもは今の経済状況そして中小企業が置かれた状況は非常に厳しいものだと思っているわけであります。

大森委員 今回廃止措置をとられたことは、そういう認識と私はやはり逆行する措置じゃないかと思います。

 いただいた資料によれば、五%超の債権残高、これはもちろん少なくはなっておりますけれども、それでも三機関で八千四百四十五億円、件数にして大体七万から八万社になるわけですね。これは大臣の認識となっているかどうかわかりませんけれども、その債権分類という点でも、例えば中小公庫、これは正常先で一六・五%でありますけれども、条件変更先を含めると六二%以上を占めるわけですね。

 これは、先ほど議論がありましたからあえて言いますけれども、当初この問題で担当課に伺いましたら、債権の中身としては正常先はわずか十数%ですよ、これがまず返ってくるわけですね。

 さっき副大臣がこの条件変更先については柔軟に対応する、ブラックリストに載せるようなことがあってはならないという御答弁がありましたけれども、実は経済産業省自身がそういう扱いをしているんじゃないか。そして、これは国金の方も正常先などが六三%以上を占めるわけです。

 つまり、こういう大変高金利の中でも、減免措置、こういう措置を受けて一生懸命頑張ってきたそういう皆さんがいるからこそ、六割以上の方がとにかく返済を続けている。しかし、もうこれが切られたら、本当に大変な状況になってくると思うのです。

 私も幾つか事例を調査しましたけれども、例えば横浜・戸塚区の印刷屋さんですけれども、これは一千三百万、八・〇%で二十年の契約で借りた、ところが、こういう一片のはがきで、減免措置は終了しましたという、このこと自体に大変怒りを持っておられるわけです。終了しましたと言うだけで、では次に何がやれるのか、それが何にもないわけです。とにかく頑張っているのにこんなものを突きつけられたら、本当にこれは政府の側からもうおまえはだめだと言われているような、そういう仕打ちにもこれはなってくるのではないかと思います。

 あるいは、群馬県の高崎市の方は、九一年に国民金融公庫から三千五百万の融資を受けた、返済期間二十年、洋菓子屋さんでありますけれども、当初の金利は八・六%、当時国金の方は、安い金利のものができたらまた借りかえも含めてやりましょうという口頭の約束があって、それで借りた。そういう高金利で、しかしこの減免措置の適用を受けてやっていたわけなんですけれども、やはりこの十月十八日にこういう一片のはがきで金利を八・六%に戻す、大変な驚きで国金の窓口に行ったら、決まったことだからしようがない、こういう返事だけなんですね。

 さらに、これは横浜の鶴見区の方なんですが、五千万円借りた、七・九%、三十年、これが五・〇%から七・九%に変われば月々十万円以上も返済が変わってくる。本当に深刻な思いを私にも訴えられたわけですね。

 そういう意味で、私は、今本当にこの厳しいお先真っ暗というような中小企業を取り巻く状況の中で、ともかくこの減免措置の中で頑張っている人たち、あえて言えばセーフティーネットに必死にしがみついて頑張っている人たちをこれは振るい落とす、平沼大臣はそういう役割をも果たすことを今とろうとされていると思うんですが、ぜひこういう業者の皆さんの声にこたえていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

平沼国務大臣 中小企業金融公庫と国民生活金融公庫の融資というのは、委員御承知のように、すべて固定金利で行われております。借り手が金利変動リスクを負わないという点で、借り手にとってはある面では極めて有利なもの、こういうことでございます。

 五%超えの金利の減免措置は、こうした固定金利のルールに対する全く異例の措置でございました。平成七年当時、金利が短期間で大幅に下落した状況でございますとか、金利下落前の債務が多額に存在していた事情などを背景に、異例の特例措置として、平成七年以降、五回延長して、御指摘のように本年の十月に終了させていただきました。

 現在、これらの機関におきまして、約定金利が五%を超える貸し付けの残高は、平成七年秋の金利減免措置導入時に比べて、いろいろデータをお示しいただきましたけれども、大幅に減少している、このように思っております。しかも、その多くが、当初の約定どおりに返済できず延滞や条件変更している者に対するものとなっておりまして、金利減免措置を続ける必要性はある意味では小さいものになっていると我々は認識しております。

 また、金利減免措置による財政負担は相当額に上っておりまして、当初の約定どおりに返済できない債務者に対してさらにこのような異例の減免措置を継続することは大変厳しい問題となっております。

 本措置を終了するに伴いまして、経済産業省といたしましては、約定金利が五%を超える債務の返済のための資金を低利で御融資する返済資金緊急特別貸付制度の活用を初めとして、個々の中小企業の実情に応じたケース・バイ・ケースのきめ細かな対応がなされるよう、各政府系中小企業金融機関に徹底を図っておりまして、金利五%超の債務を有する中小企業者の資金繰りに支障が生じることのないように万全を期していかなければならないと思っております。

 そして、今委員御指摘の、一片のはがきで終了しましたというふうなことは、非常に、長い間そういう形でおつき合いをいただいた中小企業者に対しては、私は血の通った連絡方法ではないと思っています。そういったことは大いに反省をし、よく連絡をとり、そして実情をお伺いしながら、私は、きめ細かくいろいろ説明をさせていただき、対応していくような体制をとらせていただかなければならない、このように思っています。

大森委員 今の御答弁は、先ほど私が申し上げた副大臣の答弁やら、私の前の質問者の大臣自身の答弁ともやはり矛盾すると思うんですね。

 先ほど指摘したように、今の御答弁で、これは役人が書いたものでしょうけれども、とにかく延滞先と条件変更先を並べてしまう、それが問題だということを先ほど私は指摘したわけですね。条件変更先については、これは公庫側と融資を受けた人の合意で成立しているものであり、同時に、建前としてはこれは柔軟に対応するという位置づけのものを、延滞先と並べて御答弁されるところに問題があると私は思うんですよ。

 指摘をしましたように、六割以上が延滞先以外、つまり、健全に一生懸命返している人たちなんですよ。この減免措置をとめる、廃止することによって、六割、七万社から八万社の六割ですから五万社ぐらいですね、それを場合によってはつぶすことにつながる、そういう性格のものだと思うんですよ。今後、二次補正その他いろいろ機会はあるわけですからぜひ再検討をいただきたい。この点、いかがですか。

平沼国務大臣 私どもといたしましては、十月をもってそういう形で打ち切らせていただきました。しかし、そういう厳しい実情というのは我々もよく認識をしております。したがいまして、きめ細かくいろいろ対応させていただくことが必要だと思っておりますので、そういった形で、ほかの制度等もいろいろ考えさせていただきながら、きめ細かく、そして実情をよく把握させていただいてそれにおこたえをさせていただく、そういうことで努力をさせていただきたいと思います。

大森委員 先ほど御答弁にありました返済資金緊急特別貸付制度、この制度を利用すると、では、本当に金利が下がるのか。確かに、私ども計算をしてみましたけれども、キャッシュフローとして楽になる瞬間はありますけれども、結局、この高金利時代の八%とか、あるいは七・九%とか、先ほど八・六%、それにさらに基準金利である一・六五%、これを上乗せすることに結局はなるわけですね。

 この説明を聞いておりまして、私、ちょうど、サラ金の多重債務者に対して別のサラ金業者が、うちの金利がもっと安いから、これを融資するから借りないかと勧誘するのと同じ手法だと思うんですね。

 そういう意味で、私は、それは本当に大臣のおっしゃった血の通った、あるいはきめの細かい、そういうものとも矛盾するのではないかと思います。セーフティーネットを本当に強化するというのであれば、今現にこのネットにしがみついている人たちをきちんと救済する措置を、そういう面でこの減免措置についてきちんと継続することの再検討を強く求めて、次の質問に入りたいと思います。

 次に、先般起こりました中部電力の浜岡原発一号機の二つの事故についてお聞きをしたいと思います。

 この二つの事故の一つが、ECCSの高圧注入系、余熱除去系の蒸気配管が爆裂、破断を起こしたもの、もう一つは、原子炉本体から放射性物質を含む炉水が漏えいした事故で、いずれも原子炉の安全にかかわる大変重大な問題であります。

 そこで、この調査等のことについてお聞きをしたいと思うんですが、事故を起こした中部電力の主導で、この設備をつくった東芝とその関連会社に今調査をさせているというぐあいに伺っておりますけれども、こういう調査で客観的な、あるいは公正で信頼できる調査ができるのかという点をまずお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 浜岡原子力発電所第一号機におきまして発生しました配管破断等の事故はいずれも、放射性物質による環境への影響はなく、また、原子炉の安全に直ちに影響があるものではなかったものでございますけれども、徹底した原因の究明と再発の防止に取り組む必要があると考えております。

 このため、私どもも、この原因と対策を今後追求していく上で、原子力安全・保安院内に審議官をチーム長とするタスクフォースを設置いたしまして、現在取り組んでおるところでございます。

 現在、原因究明の一環でございますけれども、中部電力及び日本原子力研究所におきまして、破断部の詳細調査を実施しているところでございます。日本原子力研究所からは、本日の午前中に、破断部の調査の報告が当省に提出される予定になっております。また、中部電力につきましても、近日中に私どもにその調査の結果が報告されることになります。

 こういうことで、私どもも、今回切断をいたしました配管の破断面の調査につきましては、単に電気事業者の調査のみならず、日本原子力研究所で調査をしていただくということで、お互いにクロスチェックができるような体制で臨んでいるところでございまして、今後、私ども保安院といたしましては、その結果を踏まえて、原因究明に関する調査を進めてまいりたいと考えております。

大森委員 原子力研究所の調査も加えるということがあるとしても、この原研について、中立公正という面ではなお疑問が残ると思うのですね。

 そこで、原発推進に直接利害関係のない第三者で構成される調査委員会、例えば原子力に批判的な学者とか研究者とかを含めた、そういう公正で中立がきちんと保てる調査委員会を組織して原因調査に当たるべきではないか、原研と東芝だけでは公正中立という点が担保できないのじゃないかということで、改めてこの点をお聞きしたい。

佐々木政府参考人 私どもの、規制庁の原因究明、対策につきましては、規制庁の考え方を原子力安全委員会にも御報告し、またその御意見を伺い、また、原子力安全委員会は、今回の浜岡原子力発電所の破断事故に関しましては事故対策のワーキンググループというものを設置されまして、私どもも、この安全委員会のワーキンググループの方に、一定の状況をまとまりましたところで御報告申し上げて、そしてまた御意見を伺いながらそれをフィードバックしていく形をとっていきたいと思っております。

 当然、原子力安全委員会やワーキンググループに提出をいたしますものは、いろいろな諸データ含めてすべて公開をされることになります。したがって、そうした公開の情報に基づいていろいろな御意見があれば、またそれは私どもとしてフィードバックをしていくつもりでございます。

大森委員 具体的にお聞きをしたいと思うのですが、配管の爆裂、破断の原因について、報道では、破断は内部での爆発現象による延性破壊だった、あるいは配管内にあった放射性物質を含んだ水と水素、酸素が爆発的な反応を示した、こういうような報道があるわけなんですが、こうした事故の前例があるでしょうか。これをお聞きしたいと思います。

佐々木政府参考人 今回の余熱除去系の蒸気凝縮系配管の破断につきましては、国内には前例はございません。また、海外についても調査をいたしておりますけれども、このような事例が発生したという報告は、今のところ私どもは入手いたしておりません。

大森委員 ということは、軽水炉における初めての事故という点でいえば、これまで政府は、いわゆる実証済み、プルーブンということで原発建設を推進してきたわけでありますけれども、こういう軽水炉システム、まだまだ未確立の分野が、技術があるということを、ある意味では今回の事故は証明したのではないかと思いますが、この点いかがですか。

佐々木政府参考人 確かに、今まで私どもが経験をしていないという事実に基づきますれば、徹底した原因究明と対策を講じていきたいと思いますけれども、今、私どもも、この配管の破断箇所にはかなり大きな力がかかったという感触を持っております。ただ、原因の特定には、まだしばらくお時間をいただきたいと思います。

 私どもは、予断を持たずに、事故の原因究明と再発防止のための作業を確実かつ的確に進めてまいりたいと思っております。

大森委員 保安院の方から十一月二十日に関係する四電力会社に対して、蒸気凝縮系の配管内に存在する滞留物を安全に除去し得る方法を検討し実施すること、こういう指示をしております。

 今回、爆裂、破断を起こした配管は、九三年に改造した部分なんですね。二号機も三号機も改造しているわけなんですが、これらの改造が、わざわざ弁の直前に水がたまるというように改造したものと聞いておりますけれども、今回の爆裂、破断、まさにその部分でこれが起こっているわけですね。わざわざ事故の原因をつくる、そういう改造工事だということが言えるのではないかと思うのです。

 そこで、この改造工事は、安全審査をきちんと受けたでしょうか。

佐々木政府参考人 原子炉の設置許可、いわゆる安全審査でございますけれども、基本設計ないしは基本的な設計方針が災害の防止上支障がないことを審査しているところでございます。

 浜岡の一号機の安全審査におきまして、今回破断が生じました部分が含まれる余熱除去系でございますけれども、この系統が設けられていることを安全審査でも確認をいたしております。

 しかしながら、御指摘の配管の引き回しは、余熱除去系の基本的な機能に関する事項ではないと判断をいたしておりまして、基本設計ないしは基本的設計方針に当たるものではなく、安全審査の対象とは考えておりません。

大森委員 実際に爆裂と表現されるような大変な事故が起こっているわけですから、私は、それが安全審査の対象外になっているということが改めて問題として浮き上がってきたのではないかと思います。その意味で、こういうものを対象外にする、そういう安全審査体制そのものを改善することが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 安全審査の基本設計や設計の基本的概念というものは、基本的に災害を防止する、あるいは放射性物質を発電所の外に出さない、そういう意味では、原子炉の圧力バウンダリーについては非常に厳格な審査をいたしておるところでございます。

 今回の破断箇所につきましては、電気事業法上の扱いは第三種の配管ということでございますけれども、原因究明を十分に行った上で、先生の御指摘のような観点から、ある意味で設計の変更を伴うようなものをどう取り扱うかにつきましても、今後の原因究明とその対策にゆだねさせていただきたいと思います。

大森委員 次に、原子炉本体からの水漏れについてお聞きをしたいと思うのですが、浜岡一号機は八八年にもインコアモニターハウジングからの炉水漏れ事故が起こって、それを契機に露点計を設置して万全の監視システムをつくったはずなわけですね。しかも、この水漏れ、露点計で水漏れのデータはとれているということにもかかわらず、これを見落としてしまったというのが、この間の実態だと思うのですね。そういう点では、危険な原子力施設を運転しているという責任感とぴりぴりした緊張感、そういうものが欠けている。

 この間、私ども、指摘をしてまいりました。やはり安全神話にどっぷりつかっている、そういう状況がここに示されているのではないかと思います。この水漏れの原因をどういうぐあいに見ておられるのか、まずお聞きをしたいと思います。

佐々木政府参考人 この水漏れの原因につきましても、現在原因究明中でございますけれども、溶接時の管理の問題や、あるいは炉水環境中におきます応力腐食割れ等、さまざまなことを想定することは可能ではございます。また、諸外国、アメリカ等におきましても六例、こうした例もございます。当院といたしましては、予断を持たず、徹底した原因究明を行ってまいりたいと考えております。

大森委員 圧力容器本体と一体成形された、そういう部分であるのに漏れたということで、これは本当に問題視する専門家が大変多いわけですね。同時に、それが原子炉自体の老朽化、既に運転開始以来、二十六年経過しているわけなんですが、老朽化を指摘する専門家も多いわけです。一号機はたびたびそういう深刻な事故を起こしているわけですから、もう廃炉にすべきではないか、こういう意見まで出ているわけですね。この点はいかがですか。

佐々木政府参考人 原子力施設の経年変化に伴って材料に起こります劣化でありますとか、あるいは脆性の問題でありますとか、そうした経年変化に伴う安全対策は極めて私どもも重要であると考えておりまして、従前から、発電所の十年間にわたります定期的な安全レビューにおきまして、いろいろな事故、故障に対してどういう対応をとっていくか、あるいは今後の対策としての検査の対応をどうするかとか、また、三十年以上たつ前にきちんと一度今後の保全計画を検証するとか、そういう対策をとっております。

 今回の浜岡の原子力発電所の一号機の問題につきましては、今原因究明中ではございますけれども、応力腐食割れ、溶接部におきます熱影響というようなことでございますれば、こうした経年変化の問題と直接関連するかどうかにつきましては、今後の原因究明で十分考えてまいりたいと思っております。

 そうしたことで、こうした経年変化に対しても今十分な安全対応をとっておるということからも、例えば浜岡について廃炉にというようなことについては、技術的にも科学的にも、私どもは規制の立場からそうしたことは必要ないと考えております。

大森委員 最後に大臣にお伺いしたいんですが、七〇年代に運転開始した二十基、あるいは今回の浜岡一号機と同様式の十数基について、やはり配管の爆裂、破断、あるいは炉水漏れ対策、こういうものに対して万全を期す、そういうことで、全面的な総点検を行う必要があるという点で、大臣の御見解をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 今回の制御棒駆動装置近傍からの水漏れにつきましては、放射性物質による環境への影響はございませんで、また、原子炉の安全性に直ちに影響があるものではありませんでした。

 当該部位は、法定検査として十三カ月ごとに実施する定期検査ごとに、運転中と同じ圧力をかけて行う漏えい試験を実施し、健全性を確認いたしております。また、万一このような水漏れが生じた場合にも安全に原子炉を停止することなど、安全確保の面での問題はないことから、現時点ですべての同種の原子炉をとめて点検を行う必要はないと思っております。

 しかし、今回の水漏れは、圧力容器とそれに附属する制御棒駆動機構の近傍で発生しているものであることから、徹底した原因の究明等に取り組む必要があると考えております。

 経済産業省といたしましては、この原因究明の結果を踏まえて、適切に再発防止等の対応を行ってまいりたい、このように思っております。

大森委員 終わります。

山本委員長 大島令子さん。

大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。

 まず、平沼大臣に、景気対策について伺います。

 政府の中小企業景況調査では、七月から九月の時点で、経営環境は極めて厳しいものとなっていると報告されております。先月末には、さらに悪化していると発表されました。

 また、日銀が十月二十九日に発表しました「経済・物価の将来展望とリスク評価」では、プラス成長を見込んでいた四月の楽観見通しから一転し、マイナス成長と物価下落の継続、つまり、社会経済にとって最悪の見通しであることを認めていました。

 十二月三日の朝日新聞の報道によると、総務省が発表した労働力調査で、十月の失業率は九月の五・三%がさらに増加し、五・四%を超え、男性は五・八%に達しているとしております。中でも中高年齢の状態はさらに深刻で、また、中高年齢者ばかりではなく、若年層までもこの雇用状況は巻き込んでいると報道されておりました。

 一例としまして、先ごろ文部科学省から発表されました大卒者の就職内定率が、十月段階で前年度を数%割り込んでいるといいます。昨年も厳しい就職難だったことを記憶しておりますが、本年度は、大企業を中心としたリストラの進展により、最悪になるのではないかと思っております。

 ここまで来たら、もはやだれもがデフレと思います。私が使っているデフレの意味は、単に物価下落のイメージで言っているのではなくて、経済活動の縮小、景気の後退の意味を込めております。そして、多くの庶民にとっては、この経済活動の縮小というのは、生きることではなく死をも意味していると私は思っております。企業にとっても同様ではないでしょうか。

 このような現状について、まず大臣の見解を伺いたいと思います。

平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。

 御指摘の経済指標、そのとおり、すべての分野において厳しい状況になっております。産業立国の日本にとって、設備投資も低迷をしている、また、企業収益も上がらない。御指摘の完全失業率というのも五・四になって、今の時点で全国で職を失われた方が三百五十二万人いらっしゃる。また、物価の下落も歯どめがかからない状況である。さらに、そこへもってきて九月十一日にアメリカで同時多発テロがあり、世界の経済が減速をする。こういう中で、非常に厳しい状況だと思っております。

 デフレというお言葉をお使いになられましたけれども、さきの御答弁でも私お答えをいたしましたが、デフレスパイラルに陥りかねない、そういう厳しい状況だ、このように認識しておりまして、私どもとしては、足元の厳しい経済を立て直すために、足元はもちろんでございますけれども、中長期にわたってやはりしっかりとした経済対策を行っていかなければならない、雇用対策を行っていかなければならない、このように思っているところであります。

大島(令)委員 今、デフレスパイラルに陥りかねないとか、中長期にわたるという言葉が出てきましたけれども、ここでRCCの法案も通りまして、結局、銀行の不良債権処理が進みますと、年末を迎えて特にひどい状況になると思うんですが、短期的にはどのようなことを考えているんでしょうか。

大島副大臣 お答えをさせていただきます。

 先生御指摘のように、今、中小企業の状況というのは一段と厳しいものがございます。まして、年末を控えまして、そういったことには十分配慮しなければならない、そういう御趣旨での御質問かと思います。

 まず第一に、我が省といたしましては、各政府系金融機関及び信用保証協会に対し、年末の中小企業向けの資金供給につき、既往債務の取り扱いを含め、個々の中小企業の実情に応じたきめ細かな対応を行うように、改めて指導をさせていただいているところでございます。

 また、各経済産業局におきましても、各地の財務局あるいは都道府県と共同で、借り手である中小企業者と貸し手である金融機関を一堂に集めまして、地域融資動向に関する情報交換会を行うこととしております。いろいろな情報をつかみながら、さらにきめ細かに対応させていただきたい、かように思っております。

 さらに、金融庁が主催して行うものでございますけれども、年末金融の円滑化に関する意見交換会、そういった会に我が省も参加をさせていただきまして、民間及び政府系の金融機関の代表者に、年末の中小企業の資金繰りにつき十分な配慮を行うよう直接要請も行い、金融庁を初めとする関係機関と対応策につき意見交換をすることとなっております。

 またさらに、先週、御賛同を得て成立をいたしました売掛金債権担保保証制度新設等の法律改正の内容についても、年内に施行し、速やかに実効を上げるよう懸命に取り組んでいるところでございます。

 また一方、公正取引委員会と連名で、親事業者、約九千百社ほどございます、及び関係事業者団体、約三百七十団体ございますけれども、そういった方面に対しましては、不当な買いたたき等を行わないよう通達を発出いたしまして、下請代金支払遅延防止法等の遵守を徹底しているところでもございます。

 以上、申し上げた点をきちっと徹底することによりまして、年末を控えて中小企業の厳しい中での我が省としての対応に努めてまいりたいと思っております。

大島(令)委員 今の副大臣の御答弁の中で、中小企業者を集めて意見交換とおっしゃいましたけれども、幅が広いですね、中小企業者といいましても。どの階層の中小企業者を対象としているんでしょうか。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 各地域におきまして、その地域の商工会あるいは商工会議所の代表の方々、そういった関係の方々を入れまして、経済産業局それから財務局で議論をするというふうに考えているところでございます。

大島(令)委員 では、次に移ります。

 近ごろの中小企業対策では、やる気と潜在力がある企業という言葉を政府は使っております。やる気と潜在力があると表現している企業、いわゆる小泉首相流の構造改革が弱者の切り捨てだと言われるゆえんだと私は思うわけなんです。先端技術とか伝統的技術を持った企業、かつてはこのような企業こそが不況に強いと言われてきました。しかし、現在では先端技術や伝統技術だけでは評価されていないようです。深刻な状態がこれらのまじめな企業にも襲いかかっていると思っています。

 先端技術とか伝統的技術では、やる気と潜在力があるとは今経済産業省は評価していないんでしょうか、しているんでしょうか。政府の言うやる気と潜在力がある企業とは具体的にどういう企業を指しているのか、業種ごとに教えてください。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 業種ごとというのは具体的にはなかなか難しいわけでございますが、一つ、例えば、創業でありますとかあるいは経営革新というような面におきましては、私どもは、いわゆるIT産業だとか特殊な半導体といったような、ぴかぴかの、いわゆる超先端企業というものだけを対象に考えるということではなくて、幅広く、すそ野の広い中小企業の方々、これはサービス業もございましょうし、あるいは、既存の技術あるいは商品を新しいビジネスモデルでもって実現をするといったような事業者の方も含めまして、幅広くそういった中小企業者の方々を対象にしたいというふうに考えているところでございます。

 それから、セーフティーネット対策という面におきましても、これは資金繰りに困難を来している中小企業の方でありましても、その業況が回復して発展するということが見込まれるような中小企業の方々につきましては、幅広くそういったセーフティーネットの対象にするというような考え方で進めているところでございます。

大島(令)委員 では、平沼大臣にお見せしたいものがあるんですが、これは、瀬戸でつくられているオルゴール人形なんです。これは、幾らぐらいで売られていると思いますか。

平沼国務大臣 ここから見ますと、非常によくできておりますし、ヨーロッパのマイセンに匹敵するような感じがいたしますので、もしそれでしたら大変高価なものだと思いますが、わざわざこうやってお持ちになられたので、一万円ぐらいかなと思っております。

大島(令)委員 実は、小売価格三千五百円です。

 なぜこの人形を持ってきたかと申しますと、ここにレースがありますね。すごい伝統的な技術なんです。瀬戸では昔、数社あったそうなんですが、円高によりまして、今一社しかこのレース人形をつくっていないそうなんです。私も最初マイセンのお人形で一万円単位かなと思ったんですが、千円単位で、びっくりしたんですね。

 今、本当に売れないものですから、会社の人員整理をしまして、とにかくこれは、景気が回復するまで会社を倒産させないようにということで社長さんが経営努力をしまして、瀬戸で一社だけつくっているんです。その社長さんのところにも実は職安から、おたくで何人か雇ってくれないかという電話がたびたびあるそうなんです。職安の方が毎日毎日いろいろな企業さんに電話をかけても、うちも人員整理したのでもう雇えないということなんだそうですね。

 話は飛びますが、このレース人形もこんなに細かな細工がしてあるのに三千五百円で買える。どうしてだろうかといいましたら、この技術は非常に工夫されていまして、レースに粘土をつけて千二百度で焼くんだそうです。そうすると、このレースだけ燃え切りますので、粘土としてこういうレースの形が残る。

 もうこの会社一社だけなんですね。この社長さんは、本当に最盛期の三割か四割しか売り上げがないんだそうです。でも、このレースの技術だけは残したい、こういうふうに地域で、私の地元の瀬戸市なんですが、本当に頑張っているところにも、こういう不況の波が押し寄せているわけなんです。

 ですから私は、今申し上げたやる気と潜在力がある企業というのは、じゃ、一体、だれがどのように判断して決めて融資をしてくださるのか、その辺のところを聞きたいんです。

平沼国務大臣 瀬戸のレースの陶器の人形の具体的なものをお持ちになって、伝統的な技術を中小企業の方々が一生懸命やっている、そういう事例をお示しいただきました。

 こういう伝統工芸に対しましては、経済産業省といたしましても、伝統工芸を守るために予算措置もしておりますし、また、従来青山にありましたセンターも拡張いたしまして、池袋に大々的にオープンをする。そういう中で、こうしたすばらしいものはやはり多くの国民の皆様方に知っていただくということが私は必要だと思います。

 ですから、こういういいものがあるということであれば、国民に向かってPRすることも必要だと思いますし、また、地域の経済産業局も、長い間そういう伝統の技術を培ってきた企業に対して、やはりもっときめ細かく交流を深めまして、そして、どういう角度からお手助けができるか、PRの面あるいはその販売先の面等々、やはりお力になる手段は幾つもあると思います。

 ですから、そういうやはりアプローチも私どもはこれからやっていかなきゃいかぬと思っております。そういう中で、一つの事例をお示しいただきました。それを私ども教訓として、これから、全国九つの地域に、地域の経済産業局もありますし、そういったところにも私から、やはりこの伝統的な技術に対しても問題意識を持って発掘をする、あるいはお手助けをする、そういう形で努力を促したい、こういうふうに思っております。

大島(令)委員 ぜひ、愛知にも中部経済産業局という地方機関がありますので、大臣みずからこの企業が、今一社だけしかございませんので、生き延びていけるように、特別にということではございませんけれども、お願いいたします。

 次の質問に移ります。

 バブル経済崩壊後の経済対策についてでございますけれども、中小企業対策は、その時々の経済状況の中で確実に的を射た対策をとっていたのか、検証を求めるために質問をいたします。

 まず、九二年八月の宮澤内閣における中小企業対策費は一兆二千億円。九三年九月の細川内閣では七千七百億円、九四年二月、同じく細川内閣一兆三千六百億円。九五年四月、村山内閣一兆四千四百億円。九五年九月、村山内閣一兆二千九百億円。九七年の十一月は、橋本内閣は規制緩和を中心としました経済構造改革でございました。九八年四月の橋本内閣における中小企業対策費、これは二兆円です。九八年十一月、小渕内閣の貸し渋り対策は五兆九千億円。九九年六月、同じく小渕内閣は緊急雇用対策を掲げました。そして、九九年十一月、小渕内閣における中小企業金融対策、これは七兆四千億円。

 ざっと中小企業対策と思われるものを拾ってみたんですが、以上のような財政支出に関しての各内閣ごとの予算とこれらの対策の効果について、どのように中小企業庁は検証されてきたのか、お伺いします。

杉山政府参考人 お答え申し上げます。

 非常に包括的なお話でございましたので、やや整理をしてお答えを申し上げたいと存じます。

 平成四年の八月の経済対策以降今日までの経済対策を、一つは平成四年度以降十年度以前のいわば中小企業の経営安定対策を中心とした措置の時期、それから二つ目は平成十年度から昨年度までのいわゆる特別保証制度の導入等の措置、それから最近の措置、この三つに分けて整理をいたしたいと存じます。

 第一の時期でございます平成四年度以降の平成十年度以前、この間の経済対策では、累次にわたりまして公共投資等の内需拡大策、これを中心にいたしまして、円高対策等の対策もあわせて行われたわけでございますが、その一環といたしまして、中小企業対策につきましては、経営安定化のための融資の拡充といったようなことを中心に対策を進めてまいりました。その意味で、不安定な経済情勢の中で中小企業の経営安定に資することができたと考えておるところでございます。

 具体的に幾つか申し上げますれば、平成四年の八月あるいは平成五年の四月の経済対策におきましては、補正予算によりまして、緊急経営支援貸付制度といったような低利融資制度を創設させていただきました。

 また、平成七年四月あるいは平成七年九月の対策では、阪神・淡路大震災あるいは急激な円高等の背景によりまして、震災対策あるいは円高対策融資といったような措置を講じさせていただいたところでございます。

 第二の時期でございます平成十年度以降、引き続き需要拡大策が推進されましたが、あわせて、平成十年にはいわゆる金融システム不安あるいは金融機関による貸し渋り対応ということが非常に大きな政策課題となったわけでございまして、平成十年十一月の経済対策では、臨時異例の措置でございますが、特別保証制度というものを創設するということで、そのために必要な予算を補正予算として計上をさせていただきましたし、さらに十一年の補正予算に際しましても、特別保証制度を一年間延長させていただくということで十兆円の保証規模の拡充を図るという観点から、六千七百億円ほどの補正予算を計上させていただいているというようなことでございます。

 この特別保証制度につきましては、導入以来本年の三月までに、保証件数百七十二万件、保証金額約二十九兆円というような実績になっておりまして、非常に厳しい貸し渋りの状況の中で、中小企業向けの資金供給に成果を上げているというふうに考えているところでございます。

 第三の時期の最近の状況でございますが、不良債権等の構造改革を進める中で中小企業が破綻に追い込まれるような事態を回避するという意味でのセーフティーネット整備、それから、今後の我が国の経済の活力の源泉となります中小企業群、これを育てるための創業、経営革新、この支援を行うという二本柱でやらせていただいておりまして、今回、国会で御審議されました補正予算におきましては、その二つの柱につきまして二千五百億円の補正予算を計上させていただいて、さらに関係の法律を改正していただいたというふうなことでございます。これにつきましては、迅速な実行等を通じて効果を上げていきたいというふうに考えておるところでございます。

大島(令)委員 それぞれのいろいろな対策をするときには、景気の現状認識に基づいて長官は政策を立てると思うんです。

 第一段階のとき、既に、平成七年でございますけれども、経済対策にもかかわらず景気が十分回復しない理由としては、資産価値の下落が家計、一般企業の負債の負担感を高め、同時に金融機関の不良債権の増大を招いた、こういう現状認識があります。

 その後、第二、第三段階となって、いろいろな対策にお金をたくさん使ってきておりますけれども、これらの効果が実はなかったのではないかと私は思うわけなんです。

 改めて、どのように検証したのかをお尋ねいたします。

杉山政府参考人 幾つかの例を申し上げたいと思いますが、例えば特別保証制度につきましては、百七十二万件、約二十九兆円の保証実績ということで、先ほど御答弁させていただいたとおりでございまして、これは、非常に厳しいいわゆる貸し渋りの状況の中で、中小企業の方々の資金繰り、資金供給の安定化という面では非常に資するところが大きかったというふうに考えているところでございます。

 それから、例えば最近の例で申し上げますと、いわゆるセーフティーネット保証制度でございますが、平成十二年から十三年九月でございますが、三千九百五十件、約八百七十億円。それからセーフティーネット貸し付けでございますが、これは平成十二年の十二月からことしの九月末でございますが、合計で一兆八百億円というような運転資金等の融資が行われておりまして、そういう意味では、中小企業の方々の資金調達の円滑化ということに資しているというふうに考えているところでございます。

大島(令)委員 長官は結果と事実しか報告してくれませんので、時間がありませんので、最後に大臣に伺いたいと思います。

 では、日本経済をどういう道筋で、どうやって立て直していくのか、どのようにお考えでしょうか。

平沼国務大臣 先ほど、冒頭の御質問にありましたように、今我が国の経済というのは極めて厳しい状況にあります。このような状況において、一刻も早く我が国経済を自律的な回復軌道に乗せる、このことが必要だと思っております。そのためには、果断な政策運営が求められているということは言うまでもありません。

 先般、小泉総理から、構造改革をさらに加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを回避するとの考えのもと、緊急の対応プログラム、これを策定して、第二次補正予算編成を行う旨の指示がありました。

 本プログラムにおきましては、研究施設等の整備を通じた科学技術の振興、イノベーションを起こすということであります。また、循環型社会の推進のためのエコタウン事業。三番目は、先ほど来御議論いただいておりました、いわゆる産業クラスター等を中心とした地域活性化に資する一連のそういう整備を行っていく。そういうことで、将来の発展基盤の構築を図っていくことが重要だと考えております。

 さらに、中長期的に見ますと、デフレスパイラルを回避しながら、負の遺産である不良債権の処理を進めていくことも必要であります。そして、構造改革なくして景気回復なし、こういう小泉改革の認識でございますので、需要とイノベーションの好循環をつくるべく、構造改革、規制緩和等を含めて、徹底してやっていかなければならないと思っております。

 よく私が申し上げることですけれども、日本はまだまだ潜在力があります。そういった形で、負の遺産というものを、国民の皆様方の御協力をいただき、そしてそれを処理し、適宜適切な足元の対応と中長期的な積極的な対応を図っていけば、日本の二十一世紀は、GDPが五百兆になんなんとする経済超大国でありますから、お隣の中国のような七%、八%というような経済成長はこれから先望めないと思いますが、しかし、例えば二%台、三%、こういった安定的な持続的な経済成長を遂げることは可能だ、そういう意味でも、今足元の対策というものをしっかりやりつつ、そして中長期的な力強い政策をあわせて行っていくことが必要だ、私はこのように思っております。

大島(令)委員 私も、構造改革というのは今に始まったことではなく、実は既に始まっていたと思うのです。昔は、三ナンバーの自動車は自動車税が高くてなかなか私たち庶民は買えなかった。しかし、自動車税を安く下げることによって、自動車産業も、三ナンバーの車をいろいろデザインしたり、排気量二千五百とか三千じゃなくても三ナンバーで広げるとか、もう既に構造改革というのは少しずついろいろな分野でやってきていると思うのですね。にもかかわらず、日本の経済はこのような状況になってしまった。

 だから、今の小泉内閣の一員である大臣おっしゃいましたけれども、景気を立て直すスローガンがどこの省庁も一緒ですね、内閣として。構造改革なくして景気回復なし。では、経済産業省独自の景気対策のスローガンというのはないんでしょうか。そういうものを省独自で持つことによって、総合的な経済対策ができ、例えば、経営不振の企業を立て直す、失業しそうな人はそれを助けてあげる。

 この前から言っていますように、とにかく今、日本の企業が病気になっている。私の体が病気だとする、右腕が病気だとしたら、今の内閣は、この右腕を切ることによって体を治そうとしている。しかし、けがをしている、病気である右腕を切り捨てることではなくて、治療することによって自分の体を治す、そういうような経済対策が求められていると私は思うのですが、今の政府のやっていることは悪いところを切り捨てる。悪いところを治療して治そうという形での経済対策ではないと思っているわけなんです。

 以上のことを申し上げ、もう一度じっくり、経済構造改革とは、人間の体に置きかえて、悪いところを切り捨てない、悪いところを治療して健康な体に日本を治そう、そういう方向で私は取り組んでいただきたいということを大臣に申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

山本委員長 次回は、来る七日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会




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