衆議院

メインへスキップ



第2号 平成14年2月27日(水曜日)

会議録本文へ
平成十四年二月二十七日(水曜日)
    午前九時十分開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 栗原 博久君
   理事 竹本 直一君 理事 中山 成彬君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 達増 拓也君
      小此木八郎君    大村 秀章君
      阪上 善秀君    下地 幹郎君
      根本  匠君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    茂木 敏充君
      保岡 興治君    山本 明彦君
      生方 幸夫君    川端 達夫君
      北橋 健治君    後藤 茂之君
      中山 義活君    松原  仁君
      松本  龍君    山田 敏雅君
      山村  健君    漆原 良夫君
      福島  豊君    土田 龍司君
      大森  猛君    塩川 鉄也君
      大島 令子君    西川太一郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    下地 幹郎君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君
   政府特別補佐人
   (公害等調整委員会委員長
   )            川嵜 義徳君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    高木 祥吉君
   政府参考人
   (外務省総合外交政策局軍
   備管理・科学審議官)   宮本 雄二君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 河野 博文君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院長)     佐々木宜彦君
   政府参考人
   (特許庁長官)      及川 耕造君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十一日
 辞任         補欠選任
  衛藤征士郎君     山本 明彦君
同月二十七日
 理事竹本直一君同月二十日委員辞任につき、その補欠として竹本直一君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
二月二十六日
 脱原発への政策転換に関する請願(植田至紀君紹介)(第三一六号)
 同(金子哲夫君紹介)(第三一七号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第三一八号)
 同(保坂展人君紹介)(第三三三号)
 同(阿部知子君紹介)(第四一一号)
 同(家西悟君紹介)(第四一二号)
 同(山内惠子君紹介)(第四一三号)
 中小企業・国民本位の景気回復に関する請願(吉井英勝君紹介)(第四〇八号)
 中小企業対策など国民本位の景気回復に関する請願(大森猛君紹介)(第四〇九号)
 同(吉井英勝君紹介)(第四一〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 政府参考人出頭要求に関する件
 経済産業の基本施策に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
 鉱業と一般公益との調整等に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 それでは、理事に竹本直一君を指名いたします。
     ――――◇―――――
谷畑委員長 次に、経済産業の基本施策に関する件、私的独占の禁止及び公正取引に関する件並びに鉱業と一般公益との調整等に関する件について調査を進めます。
 この際、経済産業大臣から、経済産業の基本施策について所信を聴取いたします。平沼経済産業大臣。
平沼国務大臣 おはようございます。
 第百五十四回国会における経済産業委員会の御審議に先立ちまして、今後の経済産業行政を行うに当たっての私の所信の一端を申し述べます。
 我が国経済が大変厳しい状況にある中、現内閣は、構造改革を推進し、自信と誇りに満ちた経済社会を実現するための挑戦を続けております。
 私は、経済産業大臣として、経済の基本的な成長力を高めるための構造改革を推進し、新たな発展の芽を育て、経済を活性化するという使命を遂行してまいる所存であります。
 我が国経済の現状は、輸出や生産において減少幅の縮小が見られるものの、設備投資は依然として減少を続けております。加えて、雇用面でも十二月の失業率が五・六%と最高水準を更新するなど依然厳しい状況が続いており、所得環境の悪化は消費の弱含みにつながっております。
 また、九〇年代後半から進行しているデフレは、構造改革の進展のおくれにつながっていると同時に、我が国企業の収益を圧迫し、新規投資の抑制をもたらしております。こうした動きが加速すればデフレスパイラルに陥る懸念があります。
 さらに、今後、米国経済の回復のおくれなどの下方リスクが顕在化すれば、我が国経済の停滞がさらに長期化するおそれもあります。
 こうした中、我が国の潜在的な実力を十分発揮できるよう、果断な政策運営を行っていくことが求められております。我が国経済の回復のためには、デフレを阻止し、イノベーションの促進による新市場・雇用の創出や経営資源の選択と集中、不良債権処理とセーフティーネットの整備などを断固として進めることにより、一日も早く民需中心の自律的な回復軌道に乗せることが必要であります。経済産業省といたしましても、経済活性化に向けた経済運営と経済構造改革を積極的に推進してまいります。
 特に、早急に取り組むべきデフレ対応策としては、売り掛け債権担保融資保証制度の積極的活用、セーフティーネット保証・貸し付けの充実、特別保証の返済条件変更の一層の弾力化等の中小企業セーフティーネット対策を強力に進めてまいります。
 以上のような厳しい情勢を踏まえ、経済産業省は、平成十四年度予算において、予算を重点分野に大胆にシフトし、構造改革を推進するための技術革新や新たなビジネスへの支援、経済社会の環境変化を踏まえた潜在需要の掘り起こし、及び雇用、中小企業のセーフティーネットの充実を柱とした予算案を提出いたしました。なお、平成十三年度第一次及び第二次補正予算についても、平成十四年度予算と一体として、切れ目なく運用する所存であります。
 これより、具体的な施策について述べてまいります。
 まず、第一に当省が率先して取り組まなければならない課題は、経済の活性化と我が国産業の競争力の強化であります。
 我が国製造業の海外移転が急増するなど、我が国の産業の空洞化が懸念されていますが、これに対しては、国内産業の競争力の強化を図り、高付加価値分野までが海外に移転することを防ぎ、新たな成長分野を育てていくことが何より重要であります。
 このためには、高コスト構造の是正や規制改革などを進めることにより、内外の企業にとって魅力的な国内事業環境を整備し、開業、創業へのチャレンジが適切に評価され、促進されるような経済社会システムを構築していくことが必要であります。
 また、ライフサイエンス、情報通信等の重点分野における戦略的な技術開発や大学発ベンチャーの創出といった研究開発成果の事業化の推進、潜在的な市場ニーズの掘り起こし、産業再編、事業再構築が円滑に行われるための環境整備、情報化技術による企業の生産性向上などに積極的に取り組んでまいります。
 とりわけ、知的財産政策については、研究開発などを戦略的に遂行し、その成果の保護、活用を図るという観点から、重要性が一層高まっております。このため、ネットワーク上のソフトウエアに係る知的財産権保護の明確化等を図るための特許法等の一部を改正する法律案、及び弁理士への特許権等侵害訴訟における代理権の付与を内容とする弁理士法の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしました。また、総理が設置される知的財産戦略会議に、産業競争力強化の観点から、積極的に貢献してまいります。
 さらに、中小企業をめぐる厳しい環境の中、冒頭に申し上げた金融面での対策に万全を期す一方で、中小企業の開業、創業と経営革新とを積極的に支援してまいります。
 また、疲弊の著しい地域経済の再生を図るため、地域経済を支え、世界に通用する新事業が次々と展開される産業集積の形成に向けて、産業クラスター計画に全力で取り組んでまいります。加えて、地域の町の顔である中心市街地の活性化を推進してまいります。
 現在、こうした経済の活性化と我が国の産業の競争力の強化のための方策については、当省といたしましても、産業競争力戦略会議を設置して検討を進めておりますが、その成果も踏まえ、経済財政諮問会議等の議論においても積極的な役割を果たしてまいる所存であります。
 第二の課題は、環境、エネルギー問題への取り組みであります。
 我が国が現在直面する地球温暖化対策の基本は、環境と経済の両立であります。この認識のもと、京都議定書の目標を達成するため、エネルギー対策や技術開発等を進めるとともに、経済界の創意工夫を生かし、我が国経済の活性化にもつながるような国内制度の整備構築を目指します。また、米国や途上国も含めた一つの国際ルールの構築に向けての外交努力を継続してまいります。
 エネルギー政策については、環境保全や効率化の要請に対応しつつエネルギーの安定供給を実現するという基本目標を実現するため、総合的な政策を進めてまいります。
 その一環として、近年、エネルギー需要の増加傾向が著しい業務部門等における省エネルギー措置の強化を図るため、エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出する予定であります。
 また、新エネルギー等の利用を促進するため、電気事業者に一定量以上の新エネルギー等による電気の利用を義務づけること等を盛り込んだ電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法案を今国会に提出する予定であります。
 さらに、安全確保を大前提に、発電過程で二酸化炭素を排出しない原子力発電の導入、核燃料サイクルの確立に向けた取り組みを推進してまいります。
 一方で、循環型社会の構築に向けた取り組みとして、使用済自動車の再資源化等に関する法律案を今国会に提出するとともに、エコタウン事業により、ごみゼロ型都市のプロジェクトのうち、早期の執行が可能なものから緊急に事業展開を図ってまいります。
 第三の課題は、対外経済政策であります。
 世界経済のグローバル化の進展の中で、対外経済政策を国内経済政策と表裏一体のものとして推進し、国際的なビジネス環境の整備等に戦略的かつ多層的に取り組むことが極めて重要であります。
 このため、先般開始されたWTO新ラウンド交渉に積極的に取り組むとともに、アジア等の成長要素を一層積極的に取り込むべく、日ASEAN包括的経済連携構想の具体化を初めとして、二国間や地域的な協定を戦略的に活用しながら東アジア諸国等との経済連携を推進してまいります。
 また、先般署名されました日・シンガポール新時代経済連携協定に盛り込まれている、電気製品等を対象とした相互承認を実施するため、特定機器に係る適合性評価の欧州共同体との相互承認の実施に関する法律の一部を改正する法律案を今国会に提出いたしました。
 さらなる課題として、悪徳商法対策等を引き続き強化するとともに、インターネットの普及拡大など、新たな社会環境の中で、消費者保護の一層の充実を図っていく必要があります。このため、最近急速に社会問題化しているいわゆる迷惑メール問題に対応するべく、今国会に特定商取引に関する法律の一部を改正する法律案を提出する予定であります。
 また、長引く景気の後退等により売上額が大幅に減少している競輪、オートレースについては、地方自治体の交付金負担の軽減、赤字再建支援、民間活力の活用等により構造改革を強力に後押しする方針であり、今国会に自転車競技法及び小型自動車競走法の一部を改正する法律案を提出いたしました。
 最後に、特殊法人等改革については、昨年十二月に特殊法人等整理合理化計画が策定され、当省所管の法人については、石油公団を初めとした四法人の廃止、五法人の民営化等の方針が決定されました。同計画では、事業の見直しにあわせて、組織形態についても、原則として平成十四年度中に法制上の措置等必要な措置を講じ、平成十五年度には具体化を図ることとしており、今後、真摯かつ早急にこれらの作業に取り組んでまいります。
 以上、今後の経済産業政策の基本的方向につき、私の所信の一端を申し上げました。国民各位の御理解のもと、経済産業行政の推進に全力を挙げてまいる所存でございます。委員長初め委員各位の御理解と御協力を賜りますように、よろしくお願いを申し上げる次第であります。(拍手)
谷畑委員長 以上で大臣の所信表明は終わりました。
 次に、松経済産業大臣政務官及び下地経済産業大臣政務官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。松経済産業大臣政務官。
松大臣政務官 このたび経済産業大臣政務官を拝命いたしました松あきらでございます。よろしくお願いいたします。
 今、日本は、すべての面で制度疲労を起こしております。その長引く不況の中で苦しんでいる日本の根幹を救うのは、支えるのは、やはり経済と産業であると思っております。
 このたび大変なお役目をちょうだいいたしまして大きな責任を感じますとともに、女性としての細かな視点をぜひ生かしてまいりたい、そして平沼大臣のもと、国民の皆様にとってわかりやすい行政運営に努めてまいりたいと決意をいたしております。谷畑委員長初め委員各位の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
谷畑委員長 次に、下地経済産業大臣政務官。
下地大臣政務官 皆さん、おはようございます。
 このたび経済産業省の大臣政務官を拝命いたしました下地幹郎でございます。
 日本の経済は厳しい状況にあり、多くの国民の景気回復に対する希望、期待を一身に受けて、経済産業省もまた一生懸命に頑張っていきたいと思っております。そのためには、戦後の経済政策の仕組みの大転換が求められている。内外経済のさまざまな問題に総合的に取り組む経済産業省の果たすべき役割をしっかりと果たしていきたいと思っております。
 古屋副大臣、大島副大臣、松大臣政務官ともどもに力を合わせて、平沼大臣を補佐して、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。谷畑委員長初め各委員の皆様方の御指導をよろしくお願いします。
 ありがとうございました。(拍手)
谷畑委員長 次に、平成十三年における公正取引委員会の業務の概略について説明を聴取いたします。根來公正取引委員会委員長。
根來政府特別補佐人 おはようございます。
 平成十三年における公正取引委員会の業務について、その概略を御説明申し上げます。
 当委員会は、以下に申し述べる施策に重点を置いて、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、いわゆる独占禁止法等の厳正な執行及び競争政策の積極的な運営に取り組んでまいりました。
 第一に、構造改革の流れに即した法運用であります。
 入札談合等の独占禁止法違反行為については、内外の事業者の公正かつ自由な競争を促進し、消費者の利益を確保するとの観点から引き続き厳正に対処し、入札談合等四十二件について勧告等の法的措置を延べ七百七十四名に対してとりました。さらに、十六件の価格カルテル、入札談合事件について、延べ四百七十九件、総額三十七億六千四百一万円の課徴金の納付を命じました。
 また、ADSLサービスに係る不当顧客誘引、取引妨害、官公庁の情報システム調達における不当な安値受注等の行為に対し、二十件の警告を行いました。
 第二に、独占禁止法の見直しであります。
 経済活動の基本ルールである独占禁止法は、我が国の経済社会構造の変化や世の中のニーズに対応する必要がある等の観点から、独占禁止法研究会を開催するなどして検討を行い、一般集中規制の見直し、手続規定の整備、法人等に対する罰金の上限額の引き上げ等を内容とする独占禁止法の改正法案を今国会へ提出すべく、関係省庁等と調整の上、成案を取りまとめることとしております。
 第三に、競争環境の積極的な創造であります。
 昨年十一月には、電気通信分野における公正かつ自由な競争を促進していくことが政府全体としての重要な政策課題となっていること等を踏まえ、同分野における公正かつ自由な競争をより一層促進していく観点から、総務省と共同して、電気通信事業分野における競争の促進に関する指針を作成、公表しました。
 また、電力の小売事業分野における違反行為の未然防止を図るため、電力の部分供給等に係る独占禁止法上の考え方を作成、公表しました。
 このほか、政府規制等と競争政策に関する研究会を開催し、通信と放送の融合分野における競争政策上の課題についての検討を行い、その検討結果を公表しました。
 第四に、ルールある競争社会の推進であります。
 規制改革後の公正かつ自由な競争を確保するため、中小事業者に不当な不利益を及ぼす不当廉売、優越的地位の乱用等の不公正な取引方法に対しては、厳正、迅速に対処しました。
 また、昨年十二月、石油製品の分野における規制改革が進展していることを踏まえ、「ガソリン等の流通における不当廉売、差別対価等への対応について」を策定、公表し、業界団体等に通知しました。
 下請代金支払遅延等防止法、いわゆる下請法に関する業務については、下請取引の公正化及び下請事業者の利益確保を図るとの観点から、下請代金の減額、製品の受領拒否等の違反行為に迅速かつ厳正に対処しており、親事業者六社に対し勧告を行ったほか、千三百十五社に対し警告を行いました。
 不当景品類及び不当表示防止法に関する業務については、過大な景品類の提供及び不当表示の排除に努め、五件の排除命令を行ったほか、三百五十八件の警告を行いました。
 第五に、IT革命の推進のための施策であります。
 IT革命の推進を阻む競争制限行為の排除に積極的に取り組むとともに、電子商取引の進展への対応として、インターネット上の不当表示等に対する定期的、集中的な監視調査を実施しました。また、技術標準に関する競争政策上の問題について研究会を開催して検討し、報告書を公表したほか、ソフトウエアに関する独占禁止法上の問題についても研究会を開催して検討を行うなど、知的財産権に関する競争政策上の問題についての検討を行っております。
 以上、簡単でございますが、業務の概略について御説明申し上げました。
 今後ともよろしく御指導のほどお願い申し上げます。
谷畑委員長 次に、平成十三年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について説明を聴取いたします。川嵜公害等調整委員会委員長。
川嵜政府特別補佐人 公害等調整委員会が平成十三年中に行った鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要について御説明申し上げます。
 第一に、鉱区禁止地域の指定に関する事務について申し上げます。
 当委員会は、主務大臣または都道府県知事の請求に基づき、鉱物を掘採することが一般公益または農業、林業その他の産業と対比して適当でないと認める地域を鉱区禁止地域として指定するものとされております。
 平成十三年に当委員会に係属した事件は二件であります。これらのうち、徳山ダム関係地域の指定請求事件は、本年一月に指定公示を行い、終結いたしました。
 また、渡良瀬遊水池関係地域の指定請求事件につきましては、今後の事業計画の進捗状況等を考慮して審理手続を進めることといたしております。
 第二に、鉱業等に係る行政処分に対する不服の裁定に関する事務について申し上げます。
 鉱物の掘採、岩石、砂利の採取の許認可処分等については、当委員会に対して不服の裁定を申請することができるものとされております。
 平成十三年に当委員会に係属した事件は三件であります。これらのうち、鹿児島県岩石採取計画認可処分取り消し裁定事件につきましては、平成十三年中に終結いたしました。
 第三に、土地収用法に基づく意見の申し出等に関する事務について申し上げます。
 当委員会は、土地収用法、鉱業法等に基づき主務大臣が裁決等を行う場合には、意見の申し出、承認等を行うものとされております。
 平成十三年に当委員会に係属した事案は、土地収用法に基づく意見の申し出が二十五件であり、これらのうち、平成十三年中に処理した事案は十五件であります。
 以上が平成十三年における鉱業等に係る土地利用の調整に関する事務の概要であります。
 公害等調整委員会といたしましては、今後ともこれらの事務を迅速かつ適正に処理するため鋭意努力してまいる所存であります。何とぞよろしくお願いを申し上げます。
谷畑委員長 以上で両委員長の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省製造産業局長岡本巖君、資源エネルギー庁長官河野博文君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、特許庁長官及川耕造君、中小企業庁長官杉山秀二君、外務省総合外交政策局軍備管理・科学審議官宮本雄二君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長播彰君及び国土交通省大臣官房審議官岩崎貞二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北橋健治君。
北橋委員 おはようございます。民主党ネクストキャビネットで経済産業相を担当しております北橋です。
 まず、大臣にお伺いをしたいと思いますが、現在の日本の経済情勢は最悪の状況にあると私どもは認識いたしております。デフレスパイラルの入り口にあるという言い方が時々されますが、もう既に落ち込んでいる、私どもは、これは小泉スパイラルと呼んでもいいのではないかというぐらいの大変厳しい認識を持っておりますが、そういう中で、今回の十四年度予算においてこの危機が果たして乗り越えられるんだろうか。まずその点について率直な御所見を承りたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 委員御指摘のように、今の日本の経済というのは、例えば失業率が五・六%であるとか、あるいは企業の設備投資というのが非常に鈍化しておりますとか、収益性が非常に厳しい状況になっておりますとか、あるいは経済成長率もマイナスというような予測が出ている。そういう中で、私どもは、非常にデフレ傾向が強まっている、こういうふうに認識しております。
 そこで、平成十四年度の予算でございますけれども、厳しい中で、この一次、二次の補正予算とあわせて切れ目なく執行することにより、この十四年度予算というのは、デフレスパイラルに陥ることのないように、効率的に、厳しい中で予算配分を重点的にして、そして民間の活力を引き出すように、そういう形で組ませていただいています。
 そういう意味では、これから、いわゆるIT分野でありますとか、情報通信でありますとか、バイオでありますとか環境、そういったところに新たな民間の力が創出されるような、そういったところに重点的に予算を組んでいる、こういうことでございまして、大変厳しい状況でありますけれども、今申し上げましたように、補正予算と、そして今お願いをしておりますこの十四年度予算を切れ目なく確実に執行することにより私どもはデフレを阻止する、こういうことで私どもは理解をいたしております。
北橋委員 私どもの認識としましては、まずは、この今日の金融危機という状況を脱却しなければ到底日本経済は前に進まない、今日の株価がそれを端的に象徴しておると思っております。
 この金融問題につきましては、金融庁が主管官庁ではございますが、大臣は、主要な経済閣僚の一員として、金融政策において政府内で発言ができる、影響力を持った方でございますので、産業を所管する立場から、今日の金融情勢、デフレ対策というものをどうお考えになっているかということを、これから順次質問をさせていただきたいと思っております。
 まず、ペイオフの解禁を四月からするということを総理は昨年決定されたわけでございますが、これは、中小金融機関並びに地域の中小企業者にとっては非常に厳しい措置であるという声が昨年からずっと起こってきたわけです。
 総理が決定される前に、自由民主党の政調会長はこれに対して非常に慎重な意見を表明されていたわけでありますが、トップダウンで決定されました。そうしますと、ことしになりまして、今度は総務会長の方からも、果たしてペイオフ解禁にいける状況であろうかというまた慎重な意見が出てきました。
 恐らく、与党内部には今もって大変憂慮をされる方が少なくないんだろうと思っておりますが、これは、一言で言えば信金、信組、そしてお金を借りている中小企業者のことを憂えてのことだろうと察しておりますが、政府は解禁を決定しております。
 こういった中小企業者の立場を憂える声というものを率直にどのように受けとめていらっしゃるか、大臣の所見を承りたいと思います。
平沼国務大臣 ペイオフに関しましては、委員もよく御承知のとおり、諸般の情勢を見きわめて一年間延長いたしまして、本年の四月一日に解禁、こういう形で方針が出ております。いろいろ御意見が出ていることは私もよく承知をしておりますし、また、いろいろな影響が出そうであるということも承知をしております。しかし、一方において、金融システム、その安定化を考える面では、やはりこれはもうやらざるを得ない、こういう政府の認識であります。
 そういう中で、御指摘のように、中小企業の皆様方が大変心配をされ、また憂慮をされております。そういう中で、金融庁は、この問題に関しましては、しっかりとこの体制を整える、こういう作業を進めておられるわけでありますけれども、経済産業省といたしましては、もし万が一そういう厳しい状況になったときには、その連鎖に巻き込まれないようないわゆるセーフティーネット、それを構築しておりまして、セーフティーネット貸し付け、セーフティーネット保証、こういったものを準備しておりまして、もし万が一そういう状況が出た場合には緊急に対応して、そして中小企業の皆様方が本当に厳しい状況にならないように私どもは支援をしなければならない、こう思っています。
 そういう意味では厳しい局面はある、こういうふうに思っておりますけれども、ないように我々は万全を尽くさなきゃいけない、このように思っています。
北橋委員 厳しい影響についていろいろと配慮をするということでございますが、セーフティーネット融資というのは、例えて言うと、会社が行き詰まって首切りに遭う、そういう状況でございまして、我々は、いかにしたら首が切られないように企業の再生を果たしていけるかが大事であって、それはもう最後の手段、守る手段であって、最低限の話であって、そのように信金、信組が破綻をしたり、あるいはその融資先がどんどん倒産に追い込まれる、そうならないように中小企業をどう配慮するかということが大事だと思うんです。
 私どもも、金融システム安定化のためには、ペイオフ解禁は、これは決断せねばならないという立場でございますが、それだけに、単にセーフティーネットという破綻したときの準備だけではなくて、やはり現場の声を聞いてみますと、例えば中小の金融機関でも、ここは苦しくても必ず将来伸びていくんだ、だから融資をしたい、貸してあげたい、ところが、金融検査マニュアル等もあって、貸そうにも貸せないんだ、こういう声は必ず金融機関からいろいろなところで聞くわけですね。
 ということは、現在の金融検査マニュアルという形でそのお取引先に対する選別をやっていることが本当に実態に即しているんだろうか。そういった意味では、この金融検査マニュアルにつきましても、大手銀行と、地域に根差した中小企業を主たる融資先にしている中小金融機関とは、おのずからこの配慮というものが出てくると思うんですけれども、この点については、与党内部でもダブルスタンダードというものを考えていいのではないかという議論があると思います。我々もそういう意見がありますが、これについてはどうお考えでしょうか。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 金融検査についてのマニュアルについて、特に中小企業に対する配慮があってしかるべきではないか、すなわちダブルスタンダードというものを当てはめてもいいのではないかといった御趣旨の質問だと思いますけれども、私どもといたしましては、この金融マニュアルには、御承知のように、中小企業に対して配慮をする条項、例えば、当該企業の販売力であるとかその企業の成長性、あるいは代表者等の収入、資産状況、こういったものにしっかり配慮をして金融検査をしなさいという規定が金融マニュアル上は課されているわけでありますけれども、やはり問題は、そのマニュアルどおり現場で実施をされているかどうかというところが私は非常に重要だと思っております。
 先月から今月にかけまして、各地域の経済局に私ども調査を実施させまして、地域の金融機関等に対するヒアリングを行いました。その結果、金融機関の中小企業向けのいわゆる配慮規定の趣旨が末端まで十分に浸透していないケースが見受けられます。そういう意味では、例えば、やはり現場の金融機関の担当者がどうしても、自分の判断でマニュアルを運営するということに対してややもすると不安感というのがあるかもしれません。そういうようなことで、ややもすると原理原則に戻ってしまう、こういう傾向があるわけでありまして、私どもといたしましては、結果として中小企業に配慮が足りない部分も出ているのではないかという認識を持っております。
 そういったこともございまして、私どもといたしましては、このマニュアルの機械的、画一的な運用をしないようにさらなる要請を徹底的にしていきたい、こんなふうに思っております。
 また、今般、二十七日、きょうでございますけれども、財政諮問会議の中でいわゆるデフレ対策のことが議論されますけれども、その中でも、金融庁におきましては、いわゆるマニュアルの運用例を実際に作成して、それを公表し、そして、しっかり厳格にそれに従って運用するようにというようなことが発表されるやに承っております。
北橋委員 末端の実態調査もされてみると非常に問題もあるようなので要請をするということなんですけれども、この間、本当に倒産が相次ぎ、失業者がどんどんあふれてくる。そしてまた新規学卒者がなかなか就職が見つからないという状況の中にあっては、大変に私は対応が遅過ぎるのではないかという感じがいたします。
 そういった意味で、役所の権限というものもあるでしょうけれども、政府系金融機関もお持ちでございますし、今後政府部内で――私は遅きに失したと思いますけれども、実態ははっきりしたわけですね。やはり画一的にやっている面が多分にある。これは、実際、現場の金融機関なり中小企業者の声はそんなものではございませんで、もう全くひどいものだと。貸し渋り、貸しはがし、一体政府は何をやってくれるんだろうという声が本当に沸騰しているのが現実なんですね。
 そういった意味では、要請というお話でございますけれども、そんな手ぬるいことではなくて、どうやったらそれを徹底できるかということについて真剣に戦略を練って、とにかく可及的速やかに対応しなければ手おくれになってしまう。
 そういった意味で、大臣、この点について、現場の金融機関というのは、貸したくても貸せないという、この金融検査マニュアルの十字架を背負った重みというものがあって、これはそう簡単なことでは直らないんですね。
 要するに、あんた、土地担保が何ぼありますか、保証人はだれですか、これだけで貸してきた世界ですよ。そして、これだけのデフレの世界です。したがって、中小企業者の将来的な計画性だとかその事業の能力だとかというものを判断してやることがほとんどできなかったこの金融の世界においてやらそうというわけでありますから、言うなれば革命的な手法の変化なんですね。
 その点に関しては、通常の行政指導や要請ではとてもこの重い石は動かない。ここは不退転の断固たる決意でやらなければ大変なことになる、手おくれになると私どもは大変憂慮をしているわけでございますが、この点についての大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 きのうの予算委員会のいわゆる経済の集中審議の中におきましても、そういう中小の金融機関の中小企業者に対する非常に厳しい状況ということが大変浮き彫りにされました。
 私どもは中小企業を所管している役所でございまして、そういう意味で、第一次の大きな貸し渋りが起こったときに、議会の御賛同もいただきまして特別保証制度というのをつくって、御承知のように百七十二万社の方々が利用していただいた。この数がそのことを私は裏打ちしているんじゃないか、このように思っています。
 そういう意味で、こういう厳しい現状の中で、私どもは金融庁にもしっかりと連携をとって、そして、この中小企業のいわゆる資金調達に厳しいその局面に私どもとしては力強く働きかけをし、そしてまたバックアップできる政府系金融機関として、そこも最大限に活用してやらなきゃいかぬ、このように思っています。
北橋委員 この点について、私ども、重大な問題でございますので、今後政府がどのように現場を指導していくのかをしっかりと見守っていきたいと思っております。
 さて、今日のデフレ対策を考えるときに、私は、いろいろな対策を政府が考えておられまして、その骨格は既に報道によって知っております。ところが、株価は上がらないんですね。やはり根本的なところは、公的資金を注入するタイミングといいますか、するかどうかの議論ではもうないと思うんですね。
 民主党は、これは今まで財務金融委員会でさんざん議論してきました。その中で、政府のこれまでのやってきた取り組みというのは、言うなれば大本営の発表であって、不良債権の処理は着実に進んでいると言い続けてきたんですけれども、これは本当にフィクションではなかったか。不良債権と言い切れるかどうかは与党側も言い分があるんでしょうけれども、私ども、万歩譲って、問題債権と言ってもいいですが、百四十兆円は下らない。そのほとんど、事実上は不良債権だと思いますけれども、そういうものを隠してきた実態というものを一斉検査によってディスクロージャーをすれば、これはもう、ほとんどの大手銀行も含めて、過少資本となっているのではないかと思うんです。
 したがいまして、公的資金を注入するかどうかの議論はナンセンスだ。ここはいっときも早く徹底した検査と同時に、責任の問題もありますけれども、公的資金の注入は避けられないと。この問題をうやむやにしていると、どうするんだろうかということが、やはり株価への影響だとかいろいろな面での浮揚につながっていないのではないかと私は思うんですね。
 そういった意味で、金融危機を回避するためには、この問題について決断をするときがもう既に来ていると思うんですけれども、大臣としてはどうお考えでしょうか。
古屋副大臣 公的資金導入のことについてどう考えているのか、こういう御質問だと思いますけれども、御承知のように、総理も、必要なときには適宜適切に行うといった趣旨の発言をいたしておりまして、では必要なときというのはどういうときかというと、やはりそれは金融不安とかあるいは混乱が起こり得る状況のとき、こういうことだと思います。当然その場合には、資本注入を含めた大胆かつ柔軟な対応をしていくべきものと思っております。
 具体的に申し上げますと、現在、金融庁が特別検査を実施いたしておりますけれども、この検査の結果、著しい自己資本の不足が判明した場合、そしてそれが単なる一金融機関のリスクではなくて金融全体のシステミックリスクであるということが判断される場合は、私はちゅうちょなく資本注入を行うべきものと考えております。
 当然、そのときには、申し上げるまでもないことですけれども、やはり経営陣の責任というものをしっかり明確化していくということが必要であることは申し上げるまでもございません。
 また、今般行っております特別検査の結果をやはり銀行の決算に反映させていくということが必要であると思います。その際にも、分類であるとか引き当ての妥当性を十分にディスクロージャーをさせていくということが必要だと思っております。そういった説明をすることは、市場の信頼性を得る意味でも極めて重要ではないかというふうに考えております。
北橋委員 政府の公式的な見解は既に承知をいたしておるんです。問題は、そういう形で今日まで来ていることが泥沼の経済情勢ということにつながっているのではないか、だれかが強く進言をして決断しなければならないときではないか、そういうことで、大臣にこの点についてぜひ所見を承りたいのでございます。
 九八年でしたか、参議院選が終わりましたあの不安定な政局の中で金融クライシスが起こったわけです。あのときに、民主党は政局にはしなかったわけです。そして、これは天下国家の一大事なので、党派を超えて金融システムの安定を最優先しました。そのときに、政策新人類と言われましたけれども、自民党と民主党が中心になりまして一つの金融システムをつくりました。
 これは、完全に民主党案どおりにはならなかった面がありますので、私どもは強制注入をしてでも金融再建を図るべきだという考えですが、今の法律でも、システムリスクにならなくても、そのおそれがある場合にはある程度柔軟に対応できる条文があるわけです。そういった意味では、これは決断、もう政治的決断のときだと思うんですね。
 私は、この問題についてなかなか政府が重い腰を上げないのは、さっき古屋さんは責任という問題をおっしゃいましたけれども、これは注入を受ける金融機関だけの責任じゃないと思うんです。今日までの金融行政の総括をしてきた行政の責任もやはり重大、ある意味では内閣全体、これは政権交代ぐらいの大きな意味が実はあると私どもは思っているんですね。
 だから、そこの重大性の受けとめは違うかもしれませんが、要するに、政治責任の追及が怖いから、あるいは、一説には、金融庁のトップが人事でかわるときまではだめだとか、これは風説かどうかわかりませんけれども、そんな声が出るように、経済から離れた思惑のところでためらっているのではないか。
 例えば、アジア全体で金融クライシスが起こったときも物すごい経済は落ち込んだけれども、見事に翌年か翌々年にははい上がってきているんですね。韓国なんか物すごい強制注入をしました。そういった意味では、日本はなぜできないのか、それは政治責任を回避したいからではないのか。もうこれしか、これをやらなければデフレ対策の意味ないじゃないですか。株価が上がらないことを見ても、ほとんどもう市場は信認していないではないですか。
 そういった意味で、大臣、ここはいろいろと責任問題はあるかもしれないけれども、今日の中小企業、経済の実態を考えたときには資本注入しかないんだということをだれかが言わなければ、いつ決断するんですか。
 そういった意味で、私は、平沼さんはこれまでの発言で、日本の経済に対する認識、そしてそれを打開するためにいろいろな勇気ある発言をされているだけに、ぜひともイニシアチブをとって決断をしてほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 小泉総理大臣は、御承知のように、いろいろな事態が起こったときには大胆かつ柔軟に対応する、こういうことを明言しております。したがいまして、今金融庁で特別検査をやっているわけでありまして、その結果の中で、私は、断固判断するときは判断をすべきだ、こういうふうに思っています。
 そして、やはり金融全体のシステムということを考えたときに、今、どこがどういう形だということを明言するような形で、しっかりと時期を見ないうちにやるとそういうマイナスの面も出てくるわけでありますから、私は、タイミングも非常に大事だし、そこから出てくるいろいろな影響ということも考慮すべきです。そういう意味では、非常に厳しい中で、柔軟かつ大胆に、決断するときは決断する、こういう形で私は対処していくべきだ、このように思っています。
北橋委員 金融庁という、所管をしている責任ある官庁はいろいろと責任を問われるんですよね。野党からではなくて、これは国民からも非常に厳しい声が上がると思いますよ。だから、金融庁に任せておったのでは決断できない。実体経済に一番明るい、この国のデフレ経済の一番厳しい深刻なところをいつも毎日見ているのが経済産業省だと思うんですね。
 そういった意味では、きょうはもう少し明快なお答えをいただきたかったところでございますが、私は、もう迷うときじゃない、ひどい状況にもうなっている。デフレスパイラルの入り口どころかもうデフレに入っているわけで、そういった意味では、一日も早くこの問題について結論を出されるように求めておきたいと思っております。
 もう一点、今度のデフレ対策の中で、自民党を中心にインフレターゲット論というのが出てきておりますね。これは実は今に始まったことではなく、昨年から、デフレ対策の政策議論の中で与党内から一部の議員が発言をし、そして日銀はそれに対して強く反発をしていたと私は承知しておりますが、ここに参りまして、金融緩和ということからさらに進んでインフレターゲットということを書き込もうとしているというか、与党の方は、自民党の税調会長ですか、テレビでの発言でも、これはぜひとも日銀にやってもらいたいんだ、こういう発言でございますが、率直に言って、これは非常にゆゆしき誤った方向だと私は思っております。
 これについて、政府部内の一員としてどのようにお考えでしょうか。
平沼国務大臣 インフレターゲット論というのが今あちらこちらで出ていることは事実でありますし、仄聞するところによると、日銀の審議委員の方の中にもそのような意見を言っておられる方があるやに承知しています。
 インフレターゲット論というのは、物価安定目標を設定して、そういう形で誘導すべきだ、こういう意見がありますけれども、私は、やはりこれはいろいろな影響があることだと思っています。したがいまして、そういう形で物価を誘導するということになるといろいろな手法があるわけでありまして、その手法、例えば土地あるいは債券、そういったものをいろいろいじくるということで、いろいろな影響もまた考えられるわけです。
 そういう意味では、経済のデフレ克服のためには、私どもは、私の考えとしては、やはり基本をしっかりと守りながら、もし、そういう形でそこのところをいじって、ある意味ではハイパーインフレにつながるようなことになっても国民に大変な損害をかけることになります。ですからそこは慎重に考えながら、やはり経済の隅々にしっかりとした資金が入り、そして経済が活力を持ちながら経済成長を遂げていく、そういうことを地道にしっかりやっていくことが肝要ではないか、私はこのように思います。
北橋委員 各国のインフレターゲット論の実態というのは、インフレを食いとめるための一つの目標値を出しているわけで、物価を上げるためにこういうことをやった例というのは私は承知をいたしておりません。
 物価が上がりましても賃金がとても上がる情勢ではないわけで、年金生活者はもとより、重大な国民生活の損失に至ります。失われた十年という言葉がありますが、本来対処すべきところをあいまいにして、もしこういう一つの思惑的な方向で走った場合に、国民の失うものというのははかり知れない。そういった意味での慎重な対応が必要だというふうに申し上げておきたいと思っております。
 三月危機という言葉がありますが、またある人によっては五月危機だ、六月危機だ、いろいろな危機という言葉が飛び交っております。そういったこと自体が国民経済を冷え込ませている大きな不安の要因にもつながっているわけでございますが、今は本予算を審議しているときでございますので、私は、恐らくこれではとても対応できなくなって、予算成立後すぐにまた新たな追加対策を考えなければならないほどに厳しい状況ではないかと思っておりますが。
 そもそも、その中でいつも、政府・与党はもとよりでございますが、今、関係者の間で話題になるのは三十兆円の枠という問題であります。これについては、御案内のとおり民主党は、財政構造改革の一環から、その精神は極めて重要であって、それを貫くように私どもは主張してきた立場でございますが、今後、この三十兆円枠をめぐっていろいろな議論が起こると思うのです。
 その前に、私は、まず大臣にちょっとお伺いしておきたいと思いますが、この本予算成立後、仮に三月危機を乗り越えたとしても、次は四月か五月かと巷間言われているわけでございまして、思い切った景気対策というのを打たないと、とても日本経済あるいは雇用というのはもたないのではないかと思っておりますが、そういった意味で、本格的な景気対策をもう一段考える必要があるのではないかという議論に対してどのようなお考えをお持ちでしょうか。
平沼国務大臣 現下の経済状況というのは非常に厳しい、まさに私は議員と同じ認識を持っております。
 先ほどの答弁でも私は申し上げましたけれども、やはりこの平成十四年度の本予算と、そして過去の第一次、第二次補正というものを切れ目なく執行して、そしてデフレスパイラルになることを阻止するということに当面全力を尽くすべきだと思っています。
 そして、総理の基本方針というのは、国債の発行を三十兆の枠内に抑える、膨大になっている国の借金をこれ以上野方図にふやさない、そのためにまず歯どめをかける、そのことが、長期的に見て、日本の経済にとってはやはり必要なことだ、そういう意味では、総理は不退転の決意でそれに頑張っているわけでありまして、閣内にいる私としては、それを一生懸命支えるというのが私の責務であります。
 したがいまして、この四月期、五月期、そういう中で厳しい状況、そういうことが想定されるので、そのときは思い切った対策を考えるべきだ、こういうことでありますけれども、私どもは今、現下のことに最大限努力を尽くし、そして平成十四年度の本予算を一日も早く、御協力をいただいて成立させることが必要だと思っています。
 ただ、日本の経済、もう非常に厳しい、そういう局面ですけれども、幾つかの分野では若干改善の兆しが出てきたことも事実でありまして、例えばIT関連も厳しいと言っておりましたけれども、IT関連の中でも、在庫の底打ち現象というものも、まだかすかな段階ですけれども出てきておりますし、業種によっては先行き明るい兆しも出てきております。
 そういう状況の中で、この本予算を執行する、補正予算もそれにあわせてちゃんとフォローさせていく、今まで一次、二次やったそれと一体化して、今出かかった芽を最大限伸ばすことに私どもは全力を尽くしていかなければならないのじゃないか、このように思っています。
北橋委員 ということは、今後の経済財政運営に当たりまして、財政金融、どういう政策手法を考えていくか。金融についてはここでは問いませんが、三十兆円の枠というものは総理が言われるように堅持していくべきだ、そういうお考えですね。
平沼国務大臣 これが小泉内閣の基本方針で、繰り返しになりますけれども、やはりこれ以上国の借金というものをふやしますと、それがまた国の財政の足を引っ張る、こういうことですから、そこは基本方針でやっておりますので、私も、閣内にいる経済産業担当大臣としてはそこをやはりしっかりと支えていく、こういう基本姿勢であります。
北橋委員 現実には、NTTの売却益の問題もそうでしたし、今度も一兆五千億円の隠れ借金があるということで、事実上は三十兆円枠は一部崩れかかっているわけですけれども、守るということはわかりました。
 さて、中小企業の金融対策に戻りたいと思います。
 政府としても、大臣所信にもありましたように、いろいろと手を講じていらっしゃることは承知をしておりますが、しかし、現実には非常に厳しい局面に中小企業は立たされております。
 この議論の中に、現場にもあるでしょうし、与党内部にも一部あるやに聞いておりますが、かつて三十兆円の枠で特別信用保証というのをやりました。これを復活してはどうかという議論があるやにも聞くのですが、これはあり得るのでしょうか、それともやらないのでしょうか。
古屋副大臣 お答えさせていただきたいと思います。
 平成十年に始まりましたこの特別保証制度は、あの当時、もう未曾有の貸し渋りの状態の中で特別にこの制度を実施したわけでございます。
 この制度の目指すものは、やはり中小企業の厳しい環境、そして資金繰りを少しでもお手伝いをしようという視点から取り組んだものでございまして、実は、二月十三日に総理の方からも、早急に取り組むべきデフレ対策として指示がございまして、実はきょう、その取りまとめを発表させていただいておりまして、中小企業の現在も大変厳しい貸し渋り、貸しはがしの情勢の中で、私ども、具体的に幾つか提案をさせていただいております。
 まず第一点が、昨年に成立をいたしました売り掛け債権を担保に融資をする制度でございますが、今のところ件数が余り伸びておりません。したがって、これをいかに積極的に活用していただけるかというようなことで、いろいろな環境整備をしてまいりたいと思います。まず、パンフレットを二百万部つくるとか、各地区での説明会を積極的に開会する、それから金融機関へさらに積極的に働きかけをしていく。あるいは公的団体、地方公共団体あるいは国を含めて、売り掛け債権の譲渡の禁止特約がございますけれども、これを解除するため、関係各省庁に強力に今働きかけをいたしております。
 二番目といたしましては、セーフティーネット保証・貸付制度を充実していく。今までは適用要件が、前年度比売り上げマイナス一〇%ということでございましたけれども、これをマイナス五%というふうに緩和をしていく、あるいは、政府系金融機関の融資につきましても、商工中金三千万円を、これは無担保、第三者保証なしで新たな創設をしていくということでございます。
 それから三番目には、いわゆる特別保証制度の既往債務につきまして条件変更をさらに弾力的にやっていこうということでございまして、これは、特にいろいろな突発的な状況、例えば大型店が倒産するとかBSE等々がございまして、そういった中小企業に対しては、原則申し出があれば、それぞれの中小企業の実情に応じて返済条件を変更できるようにしていこう、こういうふうに考えております。
 こういった政策は、現下の環境の中でいろいろな知恵を出したできる限りの支援策として私ども取りまとめさせていただきましたので、いずれも年度内にできるだけ早く実施をしていくということが肝要ではないかというふうに思っております。
 また、今御指摘のございました特別保証制度を復活したらどうかというお話でございましたけれども、今私がお話し申し上げましたように、いろいろ中小企業に対する貸し渋り対策をできる限りいたしておりますので、現在そういった特別保証制度の復活ということは考えておりません。
北橋委員 特別保証をやるのですか、やらないのですかという質問をしたわけで、御説明はわかっております。時間が限られておりますので。わかりました。特別保証制度の復活はないんですね。
 それと、今いろいろとおっしゃいましたけれども、私ども、今度の予算修正のときでも残念ながら拒否されましたけれども、やはり政府系金融機関の融資というのは、予算措置をもっとつけて手厚くしておかないと、皆さん方は、こういうのをいろいろやるとメニューをおっしゃるんですが、現実に、窓口で中小企業者が融資を受けられるかどうかという現実から見るならば、物すごい狭き門になっているわけです。
 したがいまして、政府系金融機関の拡充とそれに必要な予算措置はもっとふやすべきだ、私はそう思いますが、それに対するお考え方と、特別保証制度の復活はないならないんだということをはっきり御答弁いただきたいと思います。
平沼国務大臣 特別保証制度というのは、異例、特例の措置として一年延長して、御承知のように昨年の三月三十一日で打ち切りました。百七十二万件の利用があって、それなりに効果があったと思っています。しかし、そういう中で私どもは、異例、特例の措置ですから、今回、今古屋副大臣からお話ししたような形で対応をさせていただいたわけでありまして、したがいまして、今は特別保証制度をもう一回やるということは考えておりません。
 また、中小企業のそういった問題に対して私どもはきめ細かく対応しなきゃいけないと思っておりますので、そういう中で、例えば対策として、今の厳しい中で百七十二万件の利用がありましたけれども、十二万件のいわゆる支払いの条件変更に応じておりますけれども、そこのところを、この状況の中で、もっと条件を緩やかにして、そして皆さん方にこの条件変更をもっと緩やかに応じようというようなことも含めて私どもは中小企業対策をやりたいと思いますし、狭き門だ、こういうことで非常に厳しい、こういうことをおっしゃっていますけれども、そういうことがないように、既にいろいろ政府系金融機関にも通達を出して、皆さん方が本当に利用できる、そういう幅を広げて柔軟に対応するようにと、こういう指示を出しておりまして、そういう厳しい中で最大限のことをやらせていただきたいと思っております。
 今、限定された予算の枠でございますから、なかなか幅広く予算措置というものをとることはできませんけれども、今回の売掛金に着目をしたそういう制度も、本当に思い切って予算を獲得したところでございますし、第一次補正予算の中小企業に対するセーフティーネットも、こういう中で一千四百億を計上させていただいた、こういうことですから、そういう面では一生懸命やらせていただきたい、こう思っています。
北橋委員 結局、担保も乏しく、そして保証人を見つけるのも大変だということで、この制度は非常に喜ばれたわけでありまして、一部にモラルハザードがあったという指摘もありますけれども、やはり危機に瀕した中小企業を救済する、支援するという意味においては大変重要な意味があった制度でございます。それがどうしてもかなわないというならば、それにかわるような手厚い支援措置を講ずることが不可欠と思っておりまして、後ほど同僚委員からもその点の質問があろうかと思います。
 時間が限られてまいりましたので、ちょっと全部できません。御用意いただいた方には恐縮でございますが。
 話を変えまして、ブッシュ大統領が日本に来られました。このときに地球温暖化の問題が、新たな提案を持ってこられたということで注目をされたわけでありますが、残念ながら、日本政府が進めようとしている京都議定書の枠組みには戻るつもりはないということを改めて表明いたしております。
 ここで問題なのは、小泉総理は、建設的である、言うなれば一歩前進という評価をされたのですが、大臣はそれについて同じお考えでしょうか。といいますのは、京都議定書を批准して国内法対策を講ずるとすれば、アメリカだけではなくて、日本だって経済、雇用への影響は、プラスもあればマイナスもあるわけです。大変に厳しい十字架を背負い込むことになるわけでありまして、アメリカが楽なことをやっておれば、その分この自由貿易競争の中で非常にアンフェアなことにもなるわけです。
 したがいまして、私は、どこが建設的なのだろうか、ひどい内容だと。あれだとほとんど努力といいますか、地球温暖化対策について世界各国が足並みをそろえようというときに、およそ評価するに値しない、検討に値しない大国の暴論だと私は思いますが、大臣は総理と同じ考えなんでしょうか。
平沼国務大臣 米国というのはこれまでは、委員御承知のように、京都議定書に基づくその話し合いの中には、我々はその枠から外れる、こういうかたくなな態度をとっていたことは事実です。
 そして一方において、アメリカというのはCO2の排出量は世界の四分の一を排出している、こういう側面もあるわけでありまして、その米国が世界の世論に押された、そういう関係も私はあったと思いますけれども、今回、第一段階として独自案を出してきた。そういう意味では、全く腰が引けていたアメリカが第一段階の中でそういう一つの案を出してきた、そういう面で小泉総理も建設的であるという言葉を使われたのではないか、私もそんな認識を持っています。
 しかし、この問題というのは私は第一歩だと思っておりまして、やはりそのアメリカというものが本格的に同じレベルの中で参入していくことが私は望ましい、こう思っていますから、私どもとしては、これを一つの契機にアメリカを説得していかなければならないと思っています。
 今の出ているアメリカ案では、計算をいたしますと、やはり二〇一〇年の時点で三〇%ふえる、こういうような一つの案でありますので、日本がクリアしようとしているのは、九〇年代に比して六%削減をしよう、御指摘のように、こういうのと本当にかけ離れていることですから、私どもはアメリカを説得しなければなりませんし、また、もう一方においては、人口十三億を抱えている中国ですとか、経済発展が最近目覚ましい人口十億のインドというような、そういった国々もこのらち外にあるということは、二十一世紀を長期的に見て、やはりこういった国の参加を促す意味でも、アメリカの今回の提案というのは、ある意味では若干建設的であったのではないかな、こういう評価で、私も、そういう意味では第一歩であると。ですから、これを機にやはり積極的に働きかけていかなければいけない、このように思っています。
北橋委員 この質問を締めくくるに当たりまして、きょうは、三十兆円枠を守って本予算の成立に全力ということで、政府、閣僚の一員としてそういう答弁をいただいたわけでございますが、ということは、四月、五月に新たな景気対策をやらなくても日本経済はもつとお考えなんでしょうか。民主党はもたないと思っております。
 したがって、公共事業ではなくて、投資減税だとかあるいは研究開発の減税だとか、そういった前向きのことを柱とするてこ入れ策がなければ、本当にこの国は沈んでしまうんじゃないかという非常に強い危機感を持ってきょうは質問したわけでございますが、最後に大臣、そういうのは必要ありませんか。四月、五月、六月、もつんでしょうか。
平沼国務大臣 私も経済財政諮問会議の一員でございまして、今御指摘の税制というのは、ある意味ではやはり大きな意味があると思っています。
 例えば、アメリカの投資減税というのは日本に比べて非常に手厚くて、アメリカの場合には、追加研究、そういったものに対する税では三十億ドル、こういうような大きなフェーバーを与えている、そういうことを考えれば、それ一つとってもやはり大きな経済的なインパクトを与えられますから、やはりそういうことを総合的に含めて検討することは、御指摘のように、私は必要なことだ、こういうふうに思います。
北橋委員 終わります。
谷畑委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 民主党の立場で今質問させていただきました北橋、私どものネクストの責任者、その二番手になりますけれども、改めて、大臣の所信について、特に今、バブルが崩壊をしてもう既に十二年、十三年たっているわけでありますけれども、しかし、先進七カ国の中でかつては一位か二位という、こんな地位を保っておりましたけれども、現実には最下位というところまで日本の経済は非常に低迷をしている。
 この実態を踏まえながら、先般の日米首脳会議でも、世界の経済、あるいはまた、これからの世界の成長率に対して日本が足を引っ張るようなことのないようにという意味での議論をされたというふうに承っております。
 このようなことを含めながら、大臣は今、デフレに対する考え方は非常に消極的な取り組みではないかな、こんなふうに認識しておりますし、今度の十四年度の予算を見ても、あるいは法案を見ても、中小企業対策やデフレ対策という問題がはっきりと見えてこない。これでは日本経済はよくなるどころかさらに悪化をする、こんな心配を今の時点で私はしているんですが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、日本の経済というのは今大変厳しい。そして、政府の一つの見解でも、デフレスパイラルの入り口にある、こういうことで、そういう厳しい状況にあると思っています。
 そういう中で、やはりデフレを克服するということは、先ほども答弁させていただきましたけれども、まず足元の対策としてやらなければならないことがあります。それは、今御指摘のように、中小企業に対するセーフティーネットの構築でありますとか、あるいは雇用に対するきめ細かな足元の対策、こういうことは当然必要です。
 そういう中で、それは一年、二年限りの対策でございますから、同時に、やはり中長期的な対策でデフレを克服しなければならない。中長期にわたる政策という中では、日本は物づくりがやはり主体の国でありますから、その物づくりの中でイノベーションを起こして、そして新たな需要を創出する、雇用を創出する、そういったことを、足元と同時に、同時並行的に私はやっていかなきゃいかぬと思います。
 そういう中で、私どもとしては、例えば、これは昨年の秋の臨時国会で大変御賛成をいただいて成立をさせていただいた、新規産業を立ち上げるために、今までは面倒くさい、そういうハードルがありましたけれども、やはり一年に百二十万人ぐらい新しく業を起こそうという意欲を持っている人がいる。しかし、実際には十八万人しか業を起こす人がいない。アメリカなんかは年間八十八万人起こしている。それはやはり、日本の場合には面倒くさい手続があるじゃないか。
 だから、新規に業を起こす方々に対しては、これはもう委員がよく御承知でございますけれども、無担保無保証、個人保証もなしという形で、今の新規産業を、今十八万社だけれども倍増しようと。そういうふうになってくれば、やはりそういう中で活力が出てきて、雇用も、とらぬタヌキの皮算用ですけれども、一社当たり例えば五人雇ってくれるということになれば、そこで四十万社としたら二百万人の雇用が創出される、こういうことです。
 それから、地域というものも活性化しなければならないということで、これは大分緒について軌道に乗ってきましたけれども、地域の産業クラスター計画というのがあります。これは、地域の特色を生かしながら、産学官の連携の中で地域産業を活性化してイノベーションをあわせて行っていこう、こういうことで、全国十九の地域で、今百五十の大学が参画をしてくれて、これからどんどんふえますけれども、三千社の企業がそこに参画してやっている。
 そういう中長期的なことも実は補正予算、そして本予算、そういう中に盛り込まさせていただいて、私どもは、足元と、そして中長期的なことで、今厳しいデフレ、これがデフレスパイラルに陥らないように予算の中でも努力をさせていただいている、こういうことでございます。
田中(慶)委員 あなたは今、デフレスパイラルの入り口だと言っておりますけれども、現下はもう既にデフレに入っていると思います、はっきり申し上げて。その認識の違いが、今日の経済の大きな違いになっているんだろうと思います。
 先ほど来、中小企業の問題も言われました。あなたが去年の臨時国会で、土地担保主義から売掛金担保、笛や太鼓じゃありませんけれども、新しい制度ということで我々もこれについて賛同をし、またこれを推進するためにやりましたけれども、どうでしょう、結果は。まだ一けた台ですよ、はっきり言って。そして今、これからパンフレットをつくってどうのこうのと言っておりますけれども、やはりこういうところにきめの細かい行政のあり方がないんだろうと思います。
 小泉さんが「聖域なき構造改革」を言われておりますけれども、現実に十カ月たっても姿が見えないじゃないですか。あなたはこの一閣僚なんですよ。十カ月しかたってないと言うんですよ、小泉さんは。しかし、十カ月たっているんです。この感覚の違いが日本の経済を大きく狂わせているんだと思います。
 あなたも長期的にと、長期はいいんです。今やらなければいけないこと、将来やらなければいけないこと、これをしっかりと区分してやらないと間違いが生じる。日本が破綻、三月危機と言われているんです、今。六月危機と言われているんですよ。おかしくなってから一生懸命やったってだめなんです。その認識の違いが私はあると思います。
 大臣は、例えば、先ほど来中小企業の問題を言われましたけれども、現場はどうですか。まだ貸し渋り、貸しはがしですよ。きのうも私は対応してきているんです。極端なことを言えば、三千万の融資をお願いする。今まで貸した分一千万残っているから、三千万のうちの一千万返済して、そして二千万融資。しかし、最初のうちは保証人は要らないと言っておきながら、内容をチェックすると、去年よりも売掛金が下がっているから、再度連帯保証人つけなさい、これが現実なんですよ。去年より売掛金下がっているのは、どの企業もですよ、日本の。こういうことが現実にあるのを、あなたは、少なくとも対策打っているとか、そういうことをないようにするとか、こんなことが平気で言われていること自体がおかしい。
 もっと、この保証協会のあり方、見てください。全国で五十二の保証協会、理事長たる者一〇〇%天下りですよ、これ。役職者二百三十五人のうち、百十四人全部天下りなんです。ですから、今特殊法人の問題、先ほどあなたも言っておりますけれども、全く敏感に動かない、護送船団と同じ、こういうところに問題があるんです。あなたが幾ら一生懸命いろいろなことを言っても現場が動いていないのです。
 そればかりじゃありませんよ。先ほど古屋さん、商工中金にいろいろなことをやらせると言っていました。現実にやっていないじゃないですか。後でデータ出しますけれども、最初、今の問題について、大臣、どう思いますか。
平沼国務大臣 まず、売掛金債権が一けた、余り実効がない、こういう御指摘ですけれども、これも自慢できる数字じゃございませんけれども、きょう現在では二十二件、こういうことであります。
 これは、やはり一つは、特別保証制度のときもそうだったのですけれども、特別保証制度をやったときも、なかなか最初は皆さん方が利用していただけなかった、そういう事例があります。それはどういうことかというと、一つの側面ですけれども、社会的に、あの企業も特別保証制度を受けざるを得なくなったかというような風評、そういうものが気になってなかなか最初は入ってこれなかった。しかし、皆さんが利用してくだすったら、結果的には、百七十二万件の利用があって二十九兆保証したということです。
 そして、売り掛け債権に関しましても、実はこれに対しても、今の段階、同じような形で、あそこはついに売り掛け債権までそうやって出すようになったのかというようなことをやはり気にする経営者がおられます。だから、そうじゃないんだという形で、今一生懸命に、全国の商工会議所、あるいは商工会連合会、それから我が省の九つの経済産業局、そして先ほど古屋大臣からも答弁させていただきましたけれども、そういう意味では二百万部パンフレットをつくる。
 そして、さらにもう一つ、これは譲渡禁止特約というのが、大企業、銀行、あるいは道路公団というような特殊法人、そういったところに、やはり、ある意味では暴力団対策等でそういう特約がついていました。それが障害になっていますから、関係省庁のいわゆる御理解をいただきながらそれをもう早急に取っ払おう、そういうような努力をしています。
 ですから、御指摘のとおり、大変、全党の御賛同をいただいて昨年の十二月十七日から発効している法律で、実績は今少ないですけれども、これに関しては最大限の私どもは努力をさせていただかなければならない、一生懸命頑張らせていただきたい、こういうふうに思っています。
 それから、いわゆる信用保証協会の役職員、これがほとんど天下りじゃないか、実際の数を御指摘になられましてお示しをいただきました。それは私はそのとおりの実態だと思います。
 しかし、あえて言わせていただきますと、やはり地域に根差した中小零細企業に対応するために、地方自治体で経験を持った人、そういう形で適切な方があれば、それはやはりその任に当たっていただくということは、私はある意味では必要なことだと思います。しかし、御指摘のように偏っちゃいけないという形で、今そういった保証協会等の役職員は半数以内と、こういう規則をつくっております。
 ですから、そういう中で、そういう天下りによって既得権化するような形じゃなくて、適材適所で、そういう経験を生かしてその衝に当たるふさわしい人、こういった方々をきめ細かい配慮で任命していくということも、私はある面では必要だと思いますし、御指摘の面もそのとおりでありますから、そういったところに注意をさせていただきたいと思います。
 それから、実態的になかなか厳しい貸し付け態度だ、これはある意味ではそういう事例はあると思います。しかし、そういう中で、私どもは金融庁にもお願いをしておりまして、やはりそういう厳しい中でもそれぞれの実態に応じてきめ細かに対応すべきだということを、これは幹部職員を派遣したり、あるいはあらゆるチャネルを通じてやらせていただいていまして、そういう中で、厳しい事例があるということを今御指摘いただきましたから、さらに努力をしなければならないと思っておりますし、この中小企業というのが日本の経済の屋台骨を支えてくだすっているわけですから、私どもとしては一生懸命にやらせていただきたい。
 それから、最後に、確かにもう十カ月がたった、しかし、十カ月たったけれども何にも実効が上がらないじゃないか、こういうことであります。
 これは、確かに十カ月たっていろいろ御指摘の面がありますが、実は、例えば改革プログラムというのを見ていただくと、国では四百五十、これを列挙いたしました。そして、その四百五十のうち七〇%は実は達成をさせていただいた、そして三〇%はもうそれが緒についている、そういう一つの現実もあります。
 ですから、それが本当に大きく経済社会の隅々まで浸透していく、こういうことはなかなかまだ御理解いただいてないことだと思いますけれども、そういう小泉改革の側面もあるということは御理解いただきたいと思いますし、私は、決して長ければいいというわけじゃありませんけれども、小泉首相もよく言われておりますとおり、例えばサッチャー改革というのは、サッチャーさんが十二年、十三年総理大臣で、英国でサッチャリズム、サッチャー改革をやりました。しかし、実はサッチャー改革も、調べてみると、これは言いわけじゃありませんけれども、最初の三年、四年というのはなかなか厳しい時期があった、それで花を開いていったということがあります。
 それからまた、いわゆるレーガン大統領が登場しまして、そのときはアメリカは三つ子の赤字という形で本当に厳しい局面であった。そのときに思い切った税制改革等いろいろなことをやりましたけれども、結局レーガンのときには花を開かずに、ブッシュのときにそれが花が開きかかって、最後の果実はクリントン政権で刈り取ったというようなことがあります。
 ですから、今、国民の皆さん方が本当に苦しい立場ですから、一日も早くやらなければならない、一日も早くきめ細かい対応をしなきゃいけませんけれども、また小泉改革というのも、ある面では一生懸命やっております。私ども全力を尽くしてやっておりますので、そういう側面からもごらんになっていただければと、このように思います。
田中(慶)委員 民間企業は、あしたを生きるために敏感にいろいろなことを対応しているんです。リストラだけではなくしていろいろなあらゆることをしているんです。労働組合が、ワークシェアリング、ベースアップをしないでワークシェアリングを言う、こんなの史上初めてですよ、あなた。あなたの言っていることは、まさしく役人の発想。今、役人の代名詞はどういうことですか、日本の役人の代名詞は。役所仕事という代名詞。それは、責任もとらない、敏感でない、これが役所仕事なんですよ。今の時代と合っていないんですよ。
 いいですか、今のブッシュ、まだ大統領について一年足らずでしょう。九月十一日のテロはありましたけれども、あらゆることを含めて、減税問題を含めていろいろなことを短期的にやろうとしています。ロシア大統領プーチン、マイナス成長をプラスに一年でしたんでしょう。
 そんなことを含めて、十カ月たって、いろいろなことをやっているやっていると言うけれども、改革というものは、わかりやすく目に見えて簡素で、そういうものがあらわれて改革なんですよ。あなたの言っていることはマスターベーションみたいなものですよ、はっきり言って。具体性がない。今厳しいときに具体的にしなければいけないことが、それはいろいろな形で説明されても、しかし全然夢もロマンも出てこない。だから皆さん方が厳しい環境にあるんでしょ。
 例えば大手銀行、金融が不安だからという形で公的資金導入の問題で議論されておりますよ。しかし、中小企業はそれに似たものを何一つやってないんじゃないですか。例えば、東京都知事石原さんは、中小企業に対して固定資産税を減税しようじゃないか。具体的な目に見えるものというのがあらわれているでしょう。
 今、中小企業対策として、北橋さんが言われているように、だから、特別融資のあれをあと一年ぐらい延長したらいいじゃないか。こういうことをわかりやすく目に見えた形でやっていかないと私はだめだと思うのです。仕事がない、借金は返済しなければいけない、二重の苦しみを味わいながら、経営者がもう既に、去年一年で一万二千人の人たちが自殺をしている。そしてその人たちは、自殺をして、保険金はみんな借金返済で全部持っていかれているんじゃないですか。何も残ってないんですよ。こういう実態をあなたは知らな過ぎるのじゃないですか。
 保証協会への天下りの問題、あなたは容認している。そうじゃない、私はそのことを言っているのじゃないのですよ。やっぱり役所仕事として回転が遅い、現場の認識が足りないからこれにメスを入れるべきだという意味で言っているのですよ。勘違いしないでください。答弁してください。
平沼国務大臣 私は、決して勘違いをしているわけじゃございません。
 例えば特別保証制度も、これは田中委員よく御承知のとおり、無担保無保証、そしてほとんど本人の審査もしないで百七十二万人の方々が利用していただいた。ですから、これは私どもとしては非常に、あの九七年の貸し渋りが起こった後、そういう中でちゃんと対応してきました。
 それから今回も、皆様方の御協力をいただいて、一次補正予算で一千四百億の予算を計上させていただいて、そして、この厳しい中小企業に対するセーフティーネットというものを見える形で構築させていただきました。したがいまして、何にも見えたものがない、こういうふうにおっしゃいますけれども、私どもとしては、そういう中でいろいろな対策を講じさせていただいています。
 確かに、今のお役人のあり方というのは、例えば外務省の不祥事一つ見ても、これは大いに反省をしなければならないし、公僕であるという、そういう立場というものをわきまえて、やはり血の通ったことをしていかなければならない。それはもう当たり前のことで、私どもとしては、そのことは厳に改めなければいかぬと思っていますけれども、これも田中委員御承知のように、大半のお役人というのはまじめにやっています。したがって、一部のそういう不届き者がこういう形で全体のイメージを悪くしていますけれども、私どもは、そういうまじめにやっている人たち、そういった人たちが本当に胸を張って働けるような役所にしなければならないと私は思っていまして、経済産業省もそういう一つの役所にならなければいけないし、また政府系金融機関も、そういった血の通った対応ができるようにしなければいかぬと思っています。
 したがって、本当にいろいろ御指摘の点はあって、それは国民の皆様方も非常に御不満に思っておられると思います。また、そういう中小企業の経営者が本当に厳しい中で、一万二千人という数字をお出しになった、そういう形で、本当にみずから命を絶って、取引先に迷惑をかけないということで命を犠牲にしているという話、実は私の地元にも、私の支援者にも同じ事例がありますから、そのことはよくわかっています。
 ですから、そういったことを基本に置いて本当にしっかりやっていかなければいかぬと思っていますし、またスピードということも大切なことですけれども、スピードということも私は念頭に置いてやっていかなければいけない、こんなふうに思っています。
田中(慶)委員 例えば公的資金を導入される銀行、今日本で一番平均賃金で高いのは銀行ですよ、はっきり言って。役員報酬も高いですよ。何千万ですよ、ここに全部一覧表を持ってきましたが。次に高いのは公務員なんですよ。今もあなたが言った物づくりは六百万ですよ。こういう中で一生懸命日本の企業や産業を守っているのです、はっきり言って。
 ですから、不良債権の処理を一つとっても、例えば今のような形で公的資金導入、確かに日本の経済を大きく左右するものですから。しかし中小企業にも同じようなことが、例えば不良業種について、今までの運転資金やあるいは設備資金、それぞれ、受注がないからという形で条件変更をする。条件変更したら次に金貸してくれないのですよ、今。先ほど古屋さんが、例えば狂牛病の問題でいろいろな形で条件変更の話をしましたけれども、条件変更したら金を貸してくれないのです。これが実態なんです。だから不良業種というものを、例えば補助金とかあるいは返済猶予とかそういう問題、そして貸し付けについても新たにいろいろな、だから特別融資を延長したらどうだという話もしているのですよ。
 小泉政権が特別融資をつくったんじゃないのですよ。あなたは先ほど、自分たちがつくったようなことを言っておりますけれども、そうじゃないのです。だから今厳しい状態に、現下の厳しい状態をつくっているのだから、そういうことを、何も新しくつくれなどと言っているのじゃない、さらに延長したらどうだ、こういう話をしているのです。
 それは、行政というのは、それぞれケース・バイ・ケースによって弾力的に運営をしていかないとだめだと思うのです、こうだからということで。その話を私は申し上げたいわけですから、大臣として、余り先入観でもうだめだということじゃなくして、そういうものをフレキシブルに考えてやった方がいいと私は思うんですよ。どうですか。
平沼国務大臣 今までの実績では、条件変更に十二万件応じさせていただきました。さらに、今の状況でそこをフレキシビリティーを出してやらなければいけない、こういう形で対応させていただきます。
 今御指摘のように、条件変更を受けたところに融資をしないということは、私はこれは非常に大きな問題があると思いますから、大臣としてそのことは重く受けとめて、そういう実態を調べて、そうでないように私どもは努力をさせていただきたい、このように思っています。
田中(慶)委員 先ほど、公的資金の問題を含めて金融機関のいろいろな問題がありますよね。例えば政府系金融機関の中で、いいですか、今大体公的資金というと、導入したところも含めて金融機関は貸し渋り、貸しはがしの問題。なぜかというと、先ほど来議論になっておるように、検査マニュアル、BIS規定の問題等々が議論になっているんですよね。特に都市銀行と地銀と信金、信組、条件、同じじゃないですか。
 だから、例えば顔色を見て、信金の経営者の人たちは、長いつき合いだから、これは絶対努力して絶対やってくれると思って、要求されている一千万なら一千万の融資をしようと思う。ところが、その融資が検査マニュアルにひっかかると、その分を、さらに融資した分を積立金として要求されるのです。だから貸さなくなっちゃうんです。そして、みんなお金は国債や外債、あるいは武富士みたいなところへみんな金を回しているんじゃないですか。あなた、それをどう思いますか。
 例えば政府系金融機関を見てみましょうか。商工中金でさえ、平成十二年度、一兆六千億国債を買っているんですよ。どう思いますか。
平沼国務大臣 私は、日銀がマネーサプライを非常に潤沢にして、今、資金はじゃぶじゃぶになっている、こういうことが言われています。だから潤沢過ぎるほど潤沢に資金は供給されている。私はそうじゃないと思っています。確かに銀行までは資金は行っているけれども、今御指摘のように、その銀行は下の金融機関に回さないで、そして安全な国債、外債を買っている。このことが政府系金融機関に皆さん方が殺到する一つの大きな原因だ。ですから私は、ある公式の場でそのことは日銀総裁にも言わせていただきました。ですから、そういう実態があるということは非常に実体経済から見るとおかしい。マネーサプライをふやしているのであったら、それが末端まで行くようなことをしなければ本当のマネーサプライにはならない、そういうふうに私は思っています。
田中(慶)委員 このようなやり方ばかりしておりますから今のこの不良債権、拡大するだけなんですよ、はっきり言って。お金の必要なところへお金が回らないんですから。そうですよ。このことをあなたは経済産業大臣として、小泉総理やそれこそ日銀にもう少し強く言わないといかぬと思いますよ。
 まして政府系金融機関の中でも、平成十一年まで中小企業金融公庫でさえも国債を買っているんですよ。これはおかしいですよ。商工中金が去年一兆六千億、これは毎年ふえているんですけれども、残高、去年あるんですよ。あなた、どう思いますか。
平沼国務大臣 商工中金というのは、組合員が出資をして出しているところであります。したがって、そういう中で、やはり資金の担保、安全性、あるいはそういう中で、言ってみれば経営の健全化というような発想が私はあったと思っています。しかし、一方において商工中金というのは、中小企業に対する手形の割引というのにも対応して、一方においては一兆円の手形に対して割引をしているというような事例もあります。
 しかし、御説のように、こういう状況の中で、いかに組合員でやられているそういう商工中金でも、そういったところは、やはり中小企業のための組合ですから、そういったところに配慮することも必要だと。
 なお、中小企業金融公庫は、御指摘のように平成十一年まではそういう形であった、そういうふうに思います。
田中(慶)委員 ですから、仕事をしたくてもお金がなけりゃやはりできないんですよ。物づくり、物づくりと言葉で言うけれども、現実にお金がなけりゃ回転しないんですから、やはりそのことを重要視して、小泉さんにあなたは、先ほどの、特別融資を一年ぐらい、今の現場から見ると、延長したらどうだという提言をしてもいいんじゃないですか、はっきり言って。こだわらないで、やはり行政というのはそれぞれの、先ほど来申し上げているように、時と流れと現場に合った形の中で自然体で対応するのが一番なんですよ。その認識が欠けていると大きな問題になってきますよ。三月危機と言われているんですから、早急にそのことを検討してください。
平沼国務大臣 小泉内閣の基本方針というのは、もうこれは田中先生御承知のように、三十兆という枠がはまっています。そういう中で、実は先ほどおしかりをいただいて、まだ全然実績が上がっていないじゃないかと、こういうことでしたけれども、中小企業の持っている売り掛け債権に着目をして、全体合わせると、中小企業の皆様方が持っている売り掛け債権は八十七兆ある、だからそこでやろう、そういう対策をとらせていただきました。したがって、私は、そういう対策の中で中小企業の方々を、やはり当面全力でやっていかなければならないと思っています。
田中(慶)委員 それでは大臣、徹底的に、金融機関を含めてあらゆるところに今の売掛金担保をやってくださいよ。知らないんですよ、現場は。あなたが幾ら立派なことを言ったって、知らないんですから。貸しはがしや貸し渋りをやらないように、少なくとも今の現状を見て、はっきりと、それぞれ返済を猶予した場合でもしっかりと融資しなさいということを含めて、せめて三十兆円の枠にこだわるんだったら、そういうことを含めて内容で徹底するべきじゃないですか。
平沼国務大臣 私は、おっしゃることはよくわかりますので、徹底をさせていただきたいと思います。
 さらにつけ加えさせていただきますと、私どもが管轄しているのはいわゆる政府系金融機関です。しかし、一般の金融機関、ここも、信金、信組というところがやはり厳しい状況ですから、私どもは金融庁にお願いをして、例えば期末ですとかあるいは年末ですとか、そういったときにはぜひ中小企業に対してはやはり柔軟に対応してほしい、こういうことで、何回もそういう交渉をしています。ですから、そういうことも含めて私どもは全力で尽くさなきゃいかぬと思っています。
田中(慶)委員 さらに、先ほどあなたは、全体のこの保証制度の問題――私は、保証協会、もう一つの保証協会をつくっていいと思っているんですよ、競争がないから。だから、もう今のような形でマンネリ化をしている。
 政府が承認する保証協会があって、ランク的に、Aランク、Bランク、Cランクによってその保証金が違ってくる、こんな制度をつくって競争させないと、今のような硬直化された中で、お客の立場に立った形の保証協会じゃない。だから、競争があって初めてそういうものが解決される。もう一つのものがあっていいと思うんですが、どうでしょうか。
平沼国務大臣 田中先生のそういう競争原理を働かせる、そういう意味は理解をしますけれども、今はやはり、いわゆる行政改革の中で、そういう新たなものをなるべくつくらないで効率よくやろう、これが基本でございます。
 したがいまして、そういう競争原理がない中でいかに利用者本位の運営をするか、そのことが一番大きな私は命題ですから、そういう御趣旨を踏まえながら、本当に、独断にならず、独占にならず、ちゃんと対応できるようなそういう仕組みをつくる、そのことに全力を挙げるべきではないかと思っています。
田中(慶)委員 限られた時間で、通告している部分で若干触れていない部分もまだありますが、例えば空洞化の問題も、実はより安いコストを求めているわけでありますけれども、戦略的に考えて、東京都知事じゃないけれども、固定資産税の問題や税制の見直しをするとか、あるいは規制を撤廃するとか、外国人労働者の問題等々を含めながら、こういうことをちゃんとする。あるいは、知的財産と言われる特許制度の見直しをして、これを短くしながら、一生懸命研究したりお金を出したりして全部外国に持っていかれたんじゃしようがないわけですから、こういうことを、ある意味では逆規制もするとか、こんなことも考える必要があるんじゃないかな。
 こういうことを含めて、やはり空洞化というのは大きな社会問題になってきているので、このことはしっかりと対応していただきたいということだけ要望しておきます。最後に、まだ時間があれば答弁してください。
 せっかく公取を呼んでおりますので、公取に質問しないと悪いですからね。
 委員長にはかねてから、私の持論でありますけれども、公取は、大企業、特定の企業だけに偏って中小企業のためになっていない、こういうことをかねてから私は申し上げております。
 例えば酒屋の例でありますけれども、親子二代、三代になって、そして現在の安売りに攻められている。ところが逆に、安売りをしているところに加担をしている。例えばリベートの問題、そればかりではありません。あるいは売り出し派遣店員の問題、さらには広告の肩がわりの問題等々を含めて、公取が入るとそれを逆利用して、うちは公取が二回三回入って、だからいい品物を安く売っているんだという、こんな形で、まさしく公取に対するチャレンジャーみたいなことをされているわけであります。
 あわせて、プロパンガスの問題も私は何回か申し上げております。こういう一連のことを、LPガスの問題を含めて、大手が手をかえ品をかえいろいろな形でやってくるわけでありまして、本当に中小零細のためになっていない、これが現実であります。
 大臣も副大臣も政治家ですから現場のことをよく聞いていると思いますけれども、これでは、あらゆる日本の中小企業のいろいろなものが、それぞれ、共助やお互いに協力し合う環境になっていない。これが現実には、公取、今までは人手が少ない、今度四十人もふえるんですから、そんなことも含めながら、ちゃんと考え方を述べていただきたいと思います。
根來政府特別補佐人 先国会で委員から厳しい御指摘を受けまして、ただいま、またさらに厳しい御指摘を受けて大変恐縮しております。
 私ども、何も大企業を擁護するとかそういうことはないのでありますけれども、私どもの所管する独占禁止法というのは、経済が有機的に動いておる本当の一部を所管しているものですから、個人的には、独占禁止法を運用するについて、おっしゃられたような中小企業の保護というようなことについて何か落としているところはないのであろうかという、隔靴掻痒といいますか、そういう感じを持っているわけでございます。しかし、そうは言っていながら、今の法律を最大限活用しまして、反面、中小企業の保護ということも図らなければならないことも当然でございます。
 したがいまして、先般御指摘を受けてから、どういう方向、どういう手段でやっていけるかということをいろいろ考えておるわけでございまして、要するに、手をかえ品をかえ、中小企業の保護という観点から、独占禁止法の活用ということも図っていかなきゃいかぬということでございます。
 そこで、御承知のことでございますが、おさらい的に申し上げますと、不当廉売とか差別対価とか優越的地位の乱用ということが主体になりますので、一つは、御承知のように、酒類のガイドラインというのを公表いたしました。それから、酒類に関しては、ビール等のメーカーとか卸売業者に対して、リベート等の供与の基準ということの明確化を図るようにという指導をいたしております。
 さらに、官公庁の情報システムの入札につきましても、いわゆる百円入札のようなこともございますので、これについては厳重に警告をしております。
 それから、優越的地位の乱用については、繊維製品の取引についての下請法及び独占禁止法上の問題となる事例を整理して公表しました。
 さらに、コンビニエンスストアにおける本部と加盟店とのフランチャイズシステムに関する現行のガイドラインを改定して公表し、今パブリックコメントを求めているところであります。
 そういうようなことで、ルールの明確化を図るということと、この動きの早い経済の実態を十分把握するということが一つでございますし、私どもの立場からいうと、独占禁止法という狭い場面の所管でございますので、各関係省庁との連絡を緊密にして、その連携のもとにやっていくということでございます。
 それから、申すまでもありませんけれども、個々の問題について適切な対処をしていく、監視を続けていく、こういう三本柱といいますか四本柱というか、そういうことで進んでいきたいというふうに思っておりますし、現在それをやっているところでございます。
田中(慶)委員 時間が参りましたけれども、エネルギー庁長官、大変申しわけないが、時間の関係でまたの機会にさせていただきます。
 公取は、いずれにしても、やはり中小零細の人たちが、それぞれの不当廉売等の攻撃に遭って苦しまないようにしないといけないことですから、いろいろな形で中小企業の皆さん方がいかに生きられるかをきめ細かく検討してやっていただきたいと思う。
 大臣の方も、特に私は、今の知的財産、特許の問題を含めながら、空洞化の問題は大変な問題になってきておるわけですから、これはいずれの機会にまたそのことだけに絞って議論をさせていただきますので、きょうは時間の関係で以上で終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 後藤茂之君。
後藤(茂)委員 後藤茂之でございます。
 それでは早速、短い時間なので質問に入りますが、本日五時半から経済財政諮問会議が開かれます。個別銀行の資金繰りの問題だとか国際マーケットの不安などを考えてみると、ペイオフを控えて金融の三月危機説もささやかれている、そういう中で非常に重要な会議だというふうに思います。
 それから、もし三月中に公的資金を注入するということであれば、タイムリミットも近づいてまいります。四月以降どうするかということのファウンデーションを築くための会議でもあるというふうに思っております。また、これは政治の場面でも、改革をめぐる一つの大きな転回点になるかもしれないというふうに思っているわけでありますけれども、大臣として、五時半からのこの経済諮問会議で一体何を発言されるつもりなのか、伺いたいと思います。
平沼国務大臣 今回の、きょうの五時半から開かれる経済財政諮問会議は、早急に取り組むべきデフレ対策、これに焦点を絞って開かれるわけであります。私がこの経済財政諮問会議で提案をする緊急デフレ対策の内容は、実は私は記者会見で発表させていただき、それが新聞にもう出ているわけであります。ですから、当然それを中心に私は話をさせていただきたいと思っています。
 その中の力点というのは、中小企業対策がやはり力点になりますし、それから、一番大きな問題は、いかに不良債権の処理を円滑に進めるか、それが今、後藤委員御指摘のように、いろいろな形に関連をいたします。したがいまして、そういうところに関しましても私はいろいろ発言をさせていただきたいと思っておりますし、また、中長期的に見て、やはりデフレを克服するためにいろいろな政策があります。そういったことにも関連して私はきょうの経済財政諮問会議に臨もう、このように思っています。
後藤(茂)委員 経済産業大臣としての立場から、その所管事項について御発言をいただくということは、これはもちろん必要なことでありますし、今までの議論の中でも、そのことはそのとおりだというふうに思っておりますけれども。
 私は、大手銀行に対する公的資金の一斉注入、これはやるべきだというふうに思っております。単に楽になりたいとか、あるいは感情論として一斉に入れたらいいと言っているわけでは決してないので、企業のファンダメンタルズをよくするための貸し出しが銀行ができなくなっているということだとして、そして、公的資金を投入することによってそれができる、逆に、そうでないと壁にぶつかってできない状況であるというのが今の状況であれば、それはやるべしだというふうに思っているわけであります。
 それから、さまざまな議論はありますけれども、私は普通株を購入して国有化するのには反対ですし、優先株にすると配当原資はどうなっているんだという話もありますが、そのことについて言えば、配当原資のことを考えれば、配当基準を引き下げればいいというふうに思っておりますし、経営陣の一新はこれは条件だというふうに思っております。
 しかし、現下の情勢を考えると、これはぜひとも必要であるというふうに思っておりますけれども、大臣は、この大手銀行への公的資金の注入については一体どういうふうに思っておられるでしょうか。
平沼国務大臣 これは先ほどの御質問の中でも答弁をさせていただきましたけれども、今金融庁が特別検査を実施しています。そういう中で、例えば、大手行の中で引き当て不足というような形で非常に厳しい状況が出てくる、こういう場合には小泉総理も柔軟かつ大胆に対処する、こういうことでございますから、それはそういう必要があったときには、先ほど古屋副大臣もシステミックリスクという言葉を言われましたけれども、そういう場合には私はちゅうちょなく大胆にやればいいと思っています。
後藤(茂)委員 私があえてこのことを申し上げたのは、危機だ危機だと騒ぐことがどうかということは別として、私は、今大変に厳しい危機的状況であるということは確かだろうと思います。そのときに、せっかく経済財政諮問会議というものができているわけでありますから、例えば財政当局、経済産業当局、金融当局あるいは日銀、それぞれが縄張りの中で議論しているだけじゃいかぬということだと思いますし、やるべきときにはやりますと。
 確かに、何でもできる法律になっていて、必要があれば何でもできるという御説明は耳にたこができるほどよくわかっておりますし、法律の仕組みとしてはそれでいいと思いますけれども、しかし、本当にワンチャンスの貴重なタイミングというのを失わないようにぜひやっていただきたいということであえて申し上げたわけであります。
 それでは、次の問題に移りたいと思いますけれども、ちょっと最初に自由貿易協定、FTAの話をさせていただきたいというふうに思います。
 昨年十月に、日本とシンガポールとの間で経済連携協定が合意に達しまして、関税撤廃にとどまらずにさまざまな分野について合意に至っている、連携を実施することとされまして、大臣、大変な努力をされましたことについて敬意を表するところでありますけれども、その後、昨年十一月に、中国とASEANが十年以内にFTA締結をするということで合意をいたしております。
 我が国を含まない形で自由貿易圏が形成されるということになれば、これは、例えばメキシコがEUともFTA合意したということになると、例えばメキシコに輸出をしている日本だけが関税がかかるというようなそういう事態になって大騒ぎでありますけれども、しかし、こうした我が国企業の海外への輸出が不利になるとか、あるいはそれを回避するために海外に進出しなきゃいけないということでまた空洞化を招くというような大変大きな問題を引き起こします。それから、そもそも中国、ASEAN、韓国、東アジアの地域、これは日本の外交の基本的な枠組みの問題でもあると私は思っております。
 これまでのこうした問題に対して日本は外交不在であったのではないかと私は大変嘆いているわけでありますけれども、こうしたいろいろさまざま、世界各国でもNAFTAやEUがどんどんどんどんラテンアメリカに拡大したり東方に拡大をいたしております。そういう中で、我が国の今の現状というのは、大変私はゆゆしい事態だというふうに思っておりますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
平沼国務大臣 私は、御指摘のとおりだと思います。
 我が国がシンガポールと締結をする前は、世界の中で三つの国と一つの地域、これだけがFTA、自由貿易協定を持っていなかった国であります。それはもうよく御承知だと思いますけれども、お隣の中国と韓国とそして我が日本と、それから一つの地域、台湾でありました。そういう意味では、シンガポールとのFTA締結というのは画期的なことだったと思っています。
 そして、中国が、APECの後、いわゆるASEANとの間でとにかく十年以内に自由貿易協定を結ぶ、こういう発表をしました。ですから、小泉総理がASEANを訪問されたときに、日本もこういったアジアの国々と経済連携を視野に入れて、これから積極的に働きかけて、お互いにそういう実現を目指していこう、こういう形で第一段階は動き出したわけです。これは私は非常にいいことだと思っています。
 具体的に、例えば私のところに各国の方々が来られますと、私のカウンターパートである通商代表の方々が、ある意味で異口同音的に、日本とやりたいと、こういうお申し出があります。
 その中で今、相当具体的に進んでおりますのは、韓国とは民間のレベルの話し合いが終わって、これからいよいよ政府同士でどういうふうにやっていくか、こういうステージに入りました。
 またメキシコとも、これはさっき御指摘のようにNAFTAというのがあり、そして日本にはメキシコの企業がたくさん進出している。それは御指摘のように格差が出てきて、日本の企業の皆さん方からも、やはりメキシコとやってほしい、ですから、メキシコとも今そういう接触が始まった。
 あるいは台湾からもそういう御要望も出てきた。自分たちがWTOに入って、そしてそれを機にやりたい、こういうことであります。
 ですから、我々は、あくまでも世界の自由貿易体制というのは、WTOというものを大きな枠組み、これはこれで尊重していかなきゃいけないけれども、しかし、まさに今個別的に、そういう形で経済連携協定的なものはどの国もやっていますから、特にアジアを視点に置いて、その必要性は十分感じておりますので、私どもとしては積極的に対処していかなきゃいけない、このように思っています。
後藤(茂)委員 ASEANの立場から見れば、日本と中国、それは東アジア、広域東アジア全体でこういう圏域をつくっていった方がいいと私も思いますけれども、ASEANの立場から見たときに、中国と日本というのがどう映っているかということでありますけれども、経済的に見れば、日本の方がすみ分けははっきりしているだろうなとずうっと思ってきただろうと思います。
 その間、この十年来、リー・クアンユーやマハティールは熱いメッセージを送りながら、どうも日本はいつまでたっても動かなかった。もちろん、日本には農業問題という非常に大きな問題があることもよくわかっておりますけれども、そういう意味でいえば、今大変ASEANというのは日本に対して失望感を持っている。
 だから、そういう失望感を持っているASEANの諸国に対して、やはり私は、何か具体的にこちらから始めていかなければいけないのではないかというふうに思っておりますけれども、具体的にどういう、先ほど取り組んでいきたいという話はありましたけれども、何から具体的に取り組んでいかれるのか、もう一度伺いたいと思います。
平沼国務大臣 そういう意味では、シンガポールとのこれが一つの大きな第一歩だと思います。総理がASEANを訪問された後、そういうASEANを視野に入れた経済連携、これはスタディーグループをつくって、そしてお互いに突き合わせをやっていって第一歩を始めよう、こういうことを具体的にやっていくことが私は第一歩だと思います。韓国ともあるいはメキシコともそういう形で始まりました。ですから、そういう形でやることが具体的な一つのアプローチだと思っています。
後藤(茂)委員 大変重要な問題で、これはもう国を挙げていろいろ取り組まなければならない。民間のチャネルも、あらゆる政治のチャネルも動員してネットワークをつくっていかなければいけない問題だというふうに思っておりますので、これはみんなで頑張りたいということだろうというふうに思っております。
 さて、次に、エネルギー政策の問題をちょっとお話しをしたいと思います。
 エネルギー政策の基本目標が、環境保全や効率化の要請に対応しつつエネルギーの安定供給を実現します、こういうことにあるということは共通の認識だというふうに思います。
 総合資源エネルギー調査会の報告によりますと、現在の政策の枠組みを維持した場合に、二〇一〇年度のエネルギー起源のCO2の排出量は、九〇年度に比べて、これはもう周知の事実ですが、二千万トン、七%増加する。これをもし九〇年度の水準に抑制するということであれば、一応示されているのは、省エネルギー対策で六百万トン、新エネルギー対策で九百万トン、それから燃料転換等対策で五百万トンということに今なっているわけでありますけれども、今通常国会においては、新エネルギー関係の法案は今出ることになっておりますし、新エネルギーの問題はそのときの議論に譲りたいと思いますけれども、まず、電力等の燃料転換の問題について伺いたいというふうに思います。
 現状において、もしマーケットによる価格競争に任せて自由に燃料源を選ぶということになると、CO2という点から見ると好ましくない、価格からいえば、石炭火力がどんどんふえてくるということになると思います。しかし、これは総合資源エネルギー調査会でももちろん指摘しているように、石炭から天然ガスへの転換を積極的に推し進める必要があると思いますけれども、大臣のこの問題についてのまず御見解を伺いたいと思います。
古屋副大臣 お答えいたします。
 エネルギー政策は、まず安定供給をさせながら、環境に配意しつつ効率的な供給をしていく、これが大原則でございまして、そういった観点からすると、安定性と経済性には石炭というのは御承知のようにすぐれておりまして、今一次エネルギーベースで大体一七%強ですかを負担いたしておりますので、そういった意味では、ベースエネルギーとしては一つの重要な役割を果たしているということが言えると思います。
 ただ、COP7でも合意いたしましたし、やはり環境という側面からいたしますと、この石炭エネルギーというのはある程度のレベルに抑えつつ、今委員の御指摘がありましたような、天然ガスによる発電というものを順次増加をさせていくという必要性があるというふうに認識をいたしております。
 今後とも、そういったことを踏まえながら、中長期的な安定、なおかつ環境に配意し、そして効率的なエネルギー政策について取り組んでいきたいと思っております。
後藤(茂)委員 特に、この問題の場合、発電所、電力ですね、重要だというふうに思いますけれども、電力会社についていえば、当面、石炭についてもLNGについても大規模発電所の新増設は考えられていないというふうに認識しておりますが、二〇一〇年までの達成の過程というのは、一体どんな過程でそれが進んでいくというふうに考えておられるんでしょうか。
古屋副大臣 二〇一〇年までの達成過程はどんなふうな状況なのかということでございますけれども、昨年の七月に私ども総合資源エネルギー調査会の答申が出まして、そこの目標ケースでは、今委員御指摘がございましたように、燃料転換対策で五百万炭素換算トン、これを削減するということでありまして、これを実現するためには、二〇一〇年までに、現在は大体石炭で二〇〇〇年末で二千九百万キロワットでありまして、それが最低で三千百五十五、最高で四千四百万ぐらい、これぐらいの範囲でおさめるということでございまして、一方、LNGについては、今が大体五千七百万キロワットでありますので、それを六千六百万前後、あるいは六千七百万キロワット程度にするというふうになっております。
 電力会社から提出をされております計画によりますと、二〇一〇年ベースで、石炭火力については四千四百万程度、LNGでは六千七百万程度でございますので、一応、目標のケースというのはそれなりに達成できるかなというふうには見込んでおります。
後藤(茂)委員 数字については大体そういうことだと私も認識しているわけで、ただ、具体的に、電力会社については、確かにそういう形で彼らの計画に従って達成できるだろうということはいいですけれども、全体としての燃料転換といったときに、私が伺いたいのは、では、一体どういう政策手段を持ってどういうふうに、例えば規制だとか税制だとか助成だとかいろいろな手段があると思いますけれども、それをどういうふうに組み合わせて、どういうふうに制御してそれが達成されるというふうにエネルギーの担当の当局として考えているのかということをもう一回お伺いしたいと思います。
古屋副大臣 燃料転換を進めるために、どういうような対策を講じていくべきなのかといった趣旨の質問だと思いますが、平成十四年度の予算では、まず、老朽いたしました石炭火力発電所をいわゆる高効率のLNG、これは大体熱効率で四八から五〇%ぐらいあると言われておりまして、そういう意味では石炭の三八と比べてかなり効率がいいということでありますので、これにかえるために必要な費用につきましては十分の一を補助します。それから、いわゆる産業用ボイラーがございますけれども、こういったものの燃料転換をLNGにしていくときには三分の一の補助をするという予算を計上しております。
 また、こういった天然ガスを利用するためには、御承知のように供給インフラであるパイプラインが必要でございますので、このパイプラインの施設を整備するためには低利の融資制度というものを活用するということになっておりまして、こういったものを総合的に活用することによって燃料転換の促進を図っていきたいというふうに思っております。
後藤(茂)委員 そういう既存の制度だけの枠組みでやれるかどうか。本当に二〇一〇年までどういうふうに管理していくのか。私は、燃料転換の部分というのは割合制御可能でストーリーがつくりやすいと思ったからまず聞いてみたわけで、実を言うと、もともと管理の難しい分野がある、管理という言葉はいけないですが、制御の難しい分野があって、そういうところについてやはり丁寧なプロセスをつくっていくという思考が私はどうしても必要だろうと思って、ちょっと冗長な話になったんですが聞いたわけです。
 さて、ちょっと話を転じて、私は、サハリンからのガスパイプラインの建設を断固やるべしだというふうに思っております。もちろん、供給インフラが整備されるとか、長期契約できちんとしたマーケットが完備されるとか、そういうことがなければパイプライン建設の前提が整わないということはよくわかっておりますし、逆に、パイプラインによる安定的供給、そういう見込みが立たない限りマーケットもできない。そういう意味では、これは鶏と卵の関係になっているわけであります。
 今、丁寧にコスト計算とかいろいろやっていかなければいけない、そういう事態になっていると思いますけれども、パイプライン建設のコストを考えるに当たっては、海底パイプラインの安全基準の設定が非常に重要な前提になっていると思います。この安全基準というのは明確になっておりますか。
佐々木政府参考人 御指摘のガスパイプラインにつきましては、長距離にわたる海底部分を含めまして、適切な技術基準等の整備により安全確保が図られることが重要でございます。
 これまでも我が国におきましては海底パイプラインの事例は幾つかございますけれども、これらの事例に係ります安全基準は、短距離で、比較的高圧でないということで、陸上パイプラインと実は同様の基準を採用しております。
 これから、今お話が出ましたような長距離、高圧の海底パイプラインにつきましては、我が国においてこれまで事例もないことから、新しい条件や技術に対応した安全基準について早急に検討する必要があると考えております。
 このため、原子力安全・保安院におきましては、パイプラインの安全に関する専門家等から構成されるガスパイプライン安全基準検討会、昨年六月から設置をいたしまして、長距離、高圧の海底パイプラインであるという条件に対しましての技術に対応した安全基準のあり方について今検討を行っているところでございます。
後藤(茂)委員 検討をなるべく早くしていただきまして、三月には必ず基準を明確化していただいて所要の手続をとっていただきたいというふうに思います。やはりそこが出発点で、そこがないといろいろちゃんとした計算もできないという状況であります。
 現在、パイプラインというのは、民間の事業者が我が国では敷設するということになっているわけでありますけれども、諸外国がパイプラインの敷設を行った経過を見てみると、例えばフランスとかイギリスなどのヨーロッパの各国では、国営のガス会社、今はもちろん民営化されているところが多いわけですけれども、国営のガス会社が敷設してきている。これは、すべてと言っているんじゃなくて典型的な事例として。
 そして、アメリカについていえば、既存のガス油田からのパイプラインを地方の、地域の業者が敷設してきている。ところが、八〇年代にガス暴落があって債務返済不能に陥ったときに、政府による救済とパイプラインの開放を行ったと、そういう経過があったというふうに聞いているわけです。
 我が国においても、もちろん民間ベースで長期契約を確保しながらパイプラインの敷設を行っている。それが順調に進んでいくということであればそれで大変結構なことだと思いますけれども、今行われている例えば政策投資銀行による低利融資の制度だけというようなことでこういう大きなプロジェクトができるんだろうか。やはりイニシアルコストをちゃんと見ていくということが私は必要だというふうに思っています。
 政府としてパイプラインの建設にもっと積極的に取り組むべきではないかというふうに思いますけれども、お考えを伺いたいと思います。
平沼国務大臣 後藤先生御指摘のように、エネルギーの自給率というのが四%の我が国にとって、そして先ほど来御指摘の地球温暖化対策、環境保全という面から考えて、やはり天然ガスの必要性というのが非常にこれから高まってくると思います。
 そういう中で、例えばサハリンからパイプラインを引いてくるということは大変経費のかかることであります。これはしかし、主体的には民間がやることでございまして、イニシアルコストは非常にかかるわけでありますけれども、政府としては当面、安全基準ですとかあるいは環境面、そういう形でのサポートをしっかりやるということでございまして、今民間が主体でやっておりますので、今はそういう範囲の中でやる、こういう基本方針でございます。
後藤(茂)委員 私は、何でも官でやるということには反対でありますけれども、しかし、こういうイニシアルコストのかかるそういうものについて言えば、国でつくるぐらいの覚悟でやってみれば、日本のエネルギー政策にとっても非常に私は前向きな投資であるというふうに考えておりますので、今後とも積極的にこの問題を進めていきたいというふうに思っておるところであります。
 もう一つこの問題についてちょっと伺いますが、分散型エネルギーシステムや分散型電源の整備という観点から見て、この天然ガスあるいはパイプラインの問題についてどういうふうに評価しているか、その点についてもう一度確認をしておきたいと思います。
大島副大臣 私の方からお答えを申し上げます。
 もう今既に大臣が基本的なお考えは述べられたところでございますけれども、とにかくこういった供給構想というものは民間業者によって検討されております。そして、経済性を確保しながら、実現された場合には、我が国への天然ガスの安定供給などの観点から、先生が御指摘のとおり、極めて重要な政策であることは確かでございます。
 そして、分散型電源も含めた発電分野において燃料供給源あるいは供給手段の多様化に資するとともに、多様な燃料間における新たな競争の推進にも資するものと考えておりますので、先生の御指摘のとおり、こういったことがこれからうまく政策として実現されることは大変望ましいというふうに考えております。
 以上でございます。
後藤(茂)委員 エネルギーの問題は、また今後、法案の審議のときにやらせていただきたいと思います。
 時間があともう一つぐらいの時間なので、競争力確保に関係してお話を伺いたいと思いますが、現在、日本経済は低迷しておりまして、中小企業金融の逼迫もしてきている。先ほど、血の出るような思いである話は十分に田中委員からも話がありました。
 それに加えて、中国への生産拠点の移転に伴いまして、中小企業というのは今、物づくり関係のところ、大変大きな打撃を受けております。特に、最近の移転は、電子部品を初めとしまして部品の多く、さらに言えば素材も海外で調達するようになってきている、そういう事態でありまして、特に技術の拡散を通じて、競争力という点では、模倣の技術の非常に高い中国に急速にキャッチアップされている、そういう事態だと思います。
 競争力確保の関係で、産業技術力の強化、知財戦略だとかあるいは高コスト構造の是正とかそれぞれあるんですけれども、その中で、産業技術力の強化という点について一つだけちょっと申し上げたいのですが、国から産業界に対する研究開発資金の投入量は、アメリカでは二兆六千四百億円、日本はそれに比べて四千三百億円となっております。日本は、実用化に向けた技術開発の支援というのが本当にこういう状況でいいのかというのが一つあるわけですが、そのことの全体はきょうはちょっとともかくとして、私は、産業界に対して、やはり研究開発の投資に対する減税をもっともっとやるべきだというふうに思っております。
 この関係で、米国は三千六百億円、日本は四百十億円、たったこれだけであります。経済産業省も、現行の増加試験研究費の税額控除制度について、投資がふえない中で使いにくいからちょっと手直しすべきだとか、いろいろそういうような話をしていると思いますけれども、私は、やはりそういうレベルの議論よりも、もっとやはり大きく、RアンドD全体について、例えば三%の投資税額控除をするだとか、あるいは投資全体について二〇%税額控除をするだとか、レーガンの税制改革のときに、いろいろ投資のために、企業の活力、投資を引き出すためのいろいろな仕組みをつくったことを考えてみると、これから六月にかけて税制改革、税制改正の議論がなされるわけでありますけれども、そういうことについてもっともっと積極的に発言をするべきだというふうに思っておりますけれども、そのことについての御決意を伺いたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のとおりだと思っております。
 確かに、日本の場合には、そういう税制の面でもっともっとインセンティブを与えるようなことをやっていかなきゃならない、そういうふうに思っておりまして、今私どもも、増加試験研究費の控除、こういったことも問題意識を持ってさらにこれを拡大する、こういう形で努力をさせていただきますし、国もそういうRアンドDの重要性というものを認識しておりまして、総合科学技術会議、私もメンバーですけれども、それを設立して、この厳しい限られた予算の中でもそこにプライオリティーを与えて予算編成をする。補正を入れますと、当省関係でも、ライフサイエンスですとかあるいはIT関連ですとか、その他この他七千億計上する、こういうことですから、そこはもう御説のとおりだと思っておりますので、一生懸命努力をさせていただきたいと思います。
後藤(茂)委員 終わります。
谷畑委員長 鈴木康友君。
鈴木(康)委員 鈴木康友です。よろしくお願いします。
 まず初めに、ダイエーの支援問題についてお伺いをしたいと思います。
 ダイエーは、文字どおり、不良債権御三家と言われる不動産、建設、流通、その中の流通の最大手の企業であります。多額の債務を抱え、このダイエーがどうなっていくのかということは全国の皆さんが注目をしていたというふうに思います。マイカルや青木建設のように破綻をするのか否かということでありまして、不良債権処理の一つのメルクマールだと私は思っています。
 結局、一月に主要行が四千二百億の実質債権放棄ということを決めまして、破綻を回避し、経営再建の道をとったということでありますけれども、その理由として、よく言われるツービッグ・ツーフェールという、いわゆる大き過ぎてつぶせないという理由が言われます。確かに、十万人の雇用を抱え、三千社を超える取引先企業があると言われるこの巨大な企業の破綻というものは、大変に大きな社会的影響があるんだろうと思いますけれども、今までの一連の流れを見ていきますと、ただそれだけの理由であるのかどうかということが疑問であります。
 大臣御自身も、流通業界最大手のダイエーの処理は社会的影響が大きいのでしっかりと受けとめて対応をしたという御発言をされておりますけれども、大臣がこうした方針を選んだ理由をまずお聞かせください。
平沼国務大臣 ダイエーというのは、委員御承知のように、売上高も二兆九千億、そして従業員あるいは出入り業者、先ほど言われた数字のとおりです。有利子負債というのが二兆三千億にもなって、非常に大変な厳しい状況になった。
 そういう中で、ことしの一月、たしか十八日だったと思いますけれども、新三カ年の再建計画というのが出ました。これは、あくまでもダイエー本体と民間のいわゆる主力銀行を初めとする銀行機関が協議をしてそういう新三カ年計画を策定をした。そして、きょうの夕方にこれが明らかになる、もう大分、新聞に出ているわけであります。そういう中で、御指摘のように大変影響が大きいそういう流通業でございますから、民間が集中と選択でとにかく再建をしよう、こういうことはいいことである、こういう形で私どもは注意深く見守っていました。
 そして、私どもは、これから恐らく産業再生法のそういう申請が出てくると思います。これは今までも、平成十一年の十月以降、産業再生法を利用しているそういう事例がたくさん出てきております。ですから、そういう中の一環としてもしそういう申請があれば、私どもは積極的に対処をさせていただきたいと思っています。
 あくまでも民間のことでございますので、そこは経済産業省としては注意深く見守って、そして、そういう新しい三カ年計画が出てきたことというのは非常に望ましいことだ。ですから、できる範囲の中で法律を利用したりして、私どもは、そういう大きな波及が、悪い面での波及が出ないように、これから注意深く、そして努力をしなければならないと思っています。
鈴木(康)委員 今大臣からお答えがあったわけですが、確かに、ダイエーが必死で経営再建を図ろうとしていることも理解できます。また、それに対して銀行が一緒になって協力をしている。しかし、これはダイエーに限ったことではない。今、塗炭の苦しみを味わっているすべての企業は、同じように、どうしたら自分の会社が再建できるのかということを必死で考えているわけであります。
 私は前回、臨時国会のときに、地元の松菱というデパートの倒産の件をお話しさせていただきました。ダイエーさんと同じようにバブル時代に過剰な投資をいたしまして、それがボディーブローのようにきいてきたわけです。ただ、十年間、青息吐息ではあっても一応経営を続けて、その過程の中でも何とか再建できないかと、いろいろな試行錯誤をした経緯も知っております。結局引き金となったのが、前回もお話ししましたとおり、友の会の前払い預かり金を流用し、その補てんのための七億の資金手当てがつかずに自己破産をしたわけですね。
 私にとっては、ダイエーの問題というのも大事ですけれども、私たち地元の人間にとっては、変な言い方ですけれども、ダイエーが破綻をするよりこの松菱が破綻をした方がはるかに地元に対する影響というのは大きいわけですね。
 その中で不条理を感じるのは、同じように過大な負債を抱えながら、片や七億で自己破産をした、片や四千二百億の債権放棄を受けて、破綻もせずに経営再建の道を歩んでいるということであります。規模の違いというのも確かに、巨人と小人みたいなものかもしれませんが、そこに働く人たちや、あるいは取引している業者さんの立場というのは、私は全く変わらないと思うのですね。
 松菱とダイエーというのは単純に比較できないかもしれませんが、では、例えばマイカルの場合はどうだったのかということであります。マイカルも巨大な企業であります。ダイエーほどではありませんが、一兆円近い負債を抱え、従業員も売り上げもほぼ半分ぐらいではなかったかと思いますけれども、決して小さい企業ではありません。
 それが、片や民事再生法で法的処理を受けて、片や債権放棄で延命をしたという、この違いは一体何なのか。これは素朴な疑問として、国民の皆さん、結構こういうことを感じていると思うのですね。その点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 確かに御指摘のように、ダイエーがよくて何でマイカルがいけないのか、こういう素朴な疑問を持たれている国民の方々、そして今委員が御指摘のように、本当に、その企業で働いていた、いわゆる職を失うそういう痛みを味わう方々、それは痛烈に、痛切に感ぜられたと思っています。
 これは、何か国がそういう形で関与して主導的にやったというようなイメージがあるわけですけれども、これは先ほどもちょっと触れましたように、あくまでも民の中で金融機関と当事者との間のいろいろな話し合い、その検討の中でそういう措置が生まれてくるわけでありまして、私どもとしては、そこに過度に介入するとかそういうことは、やはり国という立場ではこれはできないわけであります。
 ですから、当事者と金融機関との話し合いの中で主体的にそういう形の違いが出てきた、このように思っておりまして、私どもといたしましては、そういう形で区別をしてやったとか、そういうことでは決してないということは御理解をいただきたいと思います。
鈴木(康)委員 今大臣から御答弁があったわけであります。
 確かにこれは民間企業のことでありまして、直接国がどこまで関与したかということについては明確ではありません。ただし、いろいろな報道を総合いたしますと、やはり金融庁、財務省、そして経済産業省も含めてこの方向性を導き出しているということは、どうしても我々そう考えざるを得ない、いろいろな情報を総合いたしますと。ですから、決してこれは民間のことであるというふうに、そこで一言で片づけられない問題ではないかと私は思います。
 ちょっとこの件について別の角度から見れば、今、毎年二万件の中小企業が倒産をする時代であります。一社平均で例えば十人従業員の方がいたとすると、そこで二十万人失業してしまうわけですね。一社で考えればダイエーというのは大変に大きい企業でありますが、トータルで見れば、企業の九九・七%が今中小企業である、それを総合して見れば、中小企業が置かれた立場の方がはるかに深刻で重要だと思うのですね。
 やはりこうした中小企業を守る立場にある経済産業省としては、こういう声なき声に配慮をしていくという点が重要だと私は思うのですね。大臣のその辺の御意見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 鈴木先生御指摘の視点というのは非常に大事だと思います。
 そういう意味で、デフレぎみの傾向にある日本の今の経済の中で、中小企業の倒産件数というのも過去最大になっていて、御指摘のように、倒産に伴って大変な苦労を強いられている方々はたくさんいらっしゃると思います。
 そういう中で、例えば取引先が破綻をする、あるいは取引先の中小金融機関が破綻をする、あるいは大手銀行もそこには含まれますけれども、そういう形の連鎖に巻き込まれて、不当な、まじめにやっていて、そしていわゆる潜在力もある、そういった中小企業が立ち行かなくならないように、これは委員もよく御承知のように、私どもとしては予算の手当てをして、セーフティーネット貸し付け、セーフティーネット保証、こういうのをやらせていただき、さらにその枠の拡大、こういう形でやらせていただいています。
 ですから、そういう苦労を強いられている方、その方々が本当に報われる、そういうセーフティーネットをつくっていかなければいけない、そういう形で努力を今傾けているところでございます。
鈴木(康)委員 もう一点だけダイエーの問題についてお伺いしたいと思います。
 先ほど大臣も御答弁の中で述べられていましたとおり、ダイエーは二兆三千億の有利子負債を抱えている企業であります。当初、一月の時点で四千二百億の債権放棄、実質債権放棄だと思いますが、そしてきょう、追加一千億の支援が決まるかに伺っておりますが、私は、この五千二百億というのはどうにも中途半端な気がしてならないわけであります。いろいろな情報を総合しても、少なくとも倍の一兆円程度の支援は必要であると。でなければ本当に再生ができるかどうかわからないではないかということが言われています。
 結局、これは私は、先ほど田中委員のときか何かにお話出ましたが、金融機関等々の責任の回避、責任の先延ばしの一つの結果ではないか。つまり、十分な引き当てを今していない段階でダイエーがつぶれると、これは相当大きな影響が銀行に出てくる。かといって、ダイエーが立ち直るほどの必要十分な支援を今の段階でできるかというと、とても銀行にその体力がない。その中間で絞り出した、ひねり出したのが五千二百億という数字ではないかというふうに私は思うわけですね。とてもそこに客観性があるというふうには思えない。大臣の御感想をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 今夕、御指摘のような形で発表になります。これはいろいろな見方があるわけでありまして、中途半端であるという御指摘も、それはある意味では当たっているかもしれません。しかし、ぎりぎりの中で当事者と金融機関が決定をされたことでありまして、私が経済産業大臣として、これが中途半端だとかなんとかいう、そういうことをコメントする立場にはないと思っております。
 そこで、さらに、今夕発表される中には、これもよく御承知でしょうけれども、閉鎖五十店舗、それを六十店舗にする、これもまたリストラが伴うという形で痛みを伴うわけですけれども、ぎりぎりの中の選択でそういう一つの再建案が出てきた、このように私は理解しております。
鈴木(康)委員 不良債権処理等々の問題、直接大臣の所管ではないと思いますけれども、結局私は、この種の問題というのは、やはり一貫性あるいは公平性というものが常に確保されていなければならないと思うんですね。そうしないとやはりモラルハザードを起こしてしまいますので、ぜひ、いろいろな意味で不公正が起きないように、とかくしわ寄せを受けがちな中小企業の代弁者であるわけですから、金融庁等々に厳しくまた御発言をいただきたいというふうに思います。
 さて、続いて、信用保証の問題について御質問をしたいと思います。
 信用保証制度というのは、全国五十二の信用保証協会が、資金調達面で不利な立場にある中小企業に対し、民間金融機関からの融資の道を開くためにいわば公的な保証人となっているという定義がございます。これによれば、信用保証協会が保証人となってリスクをとるというふうに言いかえられると思います。
 しかし、実態を見ますと、保証協会が保証をするときに、保証料とは別に、別途、第三者に連帯保証人を要求しているということがわかりました。私もかつて保証協会さんにお世話になったことがありますが、そのときは私本人の保証だけで大丈夫だったと思いますが、こういう、第三者に連帯保証をとるケースがある。これでは結局、金融機関も、ある意味で保証協会も、リスクをとらずその第三者にリスクを押しつけていることになって、保証協会の役割からすれば理不尽だと思います。この点についてどうか。
 そして、連帯保証を要求するというこのケースがまれなケースであるのか、あるいは一般的であるのか、その点についてもお伺いしたいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 今、第三者保証の徴求につきまして御質問がございました。
 現在、保証協会、有担保保証制度、無担保保証制度がございますが、無担保保証制度につきましては、現在、限度額が八千万円というふうに設定をされております。そのうち五千万円までは第三者保証人は徴求をしないということで今運用をいたしております。これは、一昨年の十二月に、一般保証の無担保保証の限度額を五千万円から八千万円に引き上げました際にそういった運用にするということでやったものでございます。
 その第三者保証人の保証対象金額でございますが、五千万円を超える保証をする場合におきましては、その保証対象金額は、五千万円を超える部分だけを第三者保証人の保証対象金額にするというようなことで現在私どもの制度は運用をいたしておるところでございます。
 なお、都道府県がいわゆる制度融資というものをやっておりまして、その場合の保証につきましては、五千万円以下の融資金額でありましても第三者保証人を徴求するというような運用をしている例もあると承知しておりますが、これは各都道府県の制度融資ということで、各都道府県が、例えば財政状況といったようなことをにらみながらどういった格好で保全をするかということで、ケース・バイ・ケースで対応しているということではないかというふうに承知をいたしております。
鈴木(康)委員 今、御説明がありました。現在は五千万を超える部分については第三者の保証を要求するけれども、それ以下はそうした第三者の連帯保証を要求していないと。都道府県ごとの制度融資で若干そうした例があるかどうかわからないけれども、基本的にはしていないということで理解してよろしいですね。再度、はっきりと御答弁いただきたいと思います。
杉山政府参考人 現在のところ、私ども国の制度といたしましては、五千万円以下のものにつきましては第三者保証を、無担保保証については徴求はいたしておりません。
 都道府県のものにつきましては、それぞれ県のいろいろな事情によりまして、第三者保証をそれ以下の金額の場合にも徴求をしているという例はあると承知をいたしております。
鈴木(康)委員 私のところに、ある方から怒りを込めてお話がございました。
 実は、静岡県の信用保証協会と今もめている最中でありますけれども、どういうことかということをちょっと御説明をさせていただきたいと思います。
 実はこの方は、仮にAさんといたしましょう。このAさんは、実はBさんの信用保証の連帯保証人になっています。かつてBさんが六百八十万二千八百九十一円、これは元金だと思いますが、通常の利息も入っているのかな、とにかく保証協会の保証を受けてBさんがお金を借りた。それに対してAさんは連帯保証人となったわけでありますが、残念ながら借りた本人は返せない。そこで、連帯保証人のところへ督促が来たわけですね。結局、その連帯保証人の方は、平成十三年一月から十三年十月まで毎月、ここにありますが、十五万ずつきちっと支払いをして、元金は全部払い終えました。
 ところが、遅延損害金なるものがございまして、それに対する通告が来ているわけですね。本人としては、きちっと連帯保証をし、借りたお金については弁済をしたということで、極めて理不尽であるということを申しております。
 その通告、通知催告書でありますが、私もこれを見て、ちょっとこれは理不尽ではないかと思いました。少し御紹介をさせていただきたいんですが、その内容。
 一、損害金合計額金三百六十一万三千六百九十九円(年一四・六%の割合)に対するご返済計画のご提出を平成十三年十二月二十一日金曜日までにお願いします。
 二、但し、平成十三年十二月二十八日金曜日までに一括でご返済頂ける場合に限り、損害金を合計金八十六万六千二百九十七円(年三・五%の割合)に軽減させて頂きます。
 三、返済計画の提出もしくはご返済がないようであれば訴訟を提起する準備をしておりますのでご了承下さい。
こうした内容でありました。
 こうした厳しいというか、ある意味で理不尽な連帯保証人に対する取り立てというものが現在ほかでも行われているのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 普通、保証いたしました折に、主債務者が例えば銀行取引停止といったようなことになりますと、保証協会は銀行の方に代位弁済をするということに相なるわけでございます。
 その際に、保証協会は、そういたしますと、保証人の方とかそういう方に、代位弁済をした額の回収をするということになるわけでございますが、保証協会は、保証をする際に両者の間でもっていろいろ契約を結んでおるわけでございまして、今先生からお話がありましたように、そのような代位弁済をするというような場合に当たりましては、特別の損害の賠償額といいますか、一定の率の賠償額を支払うというような契約になっているのが通例でございます。このパーセントはそれぞれの保証協会によってややまちまちでございますが、大体一四%台というのが多いということになっているわけでございます。
 各保証協会がそういった一四%台ということを設定いたしております背景でございますが、税金の延納の際の加算税率というのも同じく大体一四%程度というように設定をされておりますので、そういったことも一つの参考にしながら、いわば一般的な料率を採用するという意味で、この一四%程度というものを採用しているというふうに承知をいたしております。
 なお、具体的に、回収する場合におきまして、一律にこの料率を全部の案件に適用するというわけではなくて、個々の返済能力、これの実情に応じまして、あるいは返し方によりましてその料率の減免を行うというようなことを、個々ケース・バイ・ケースでやっているというふうにも理解をしております。
鈴木(康)委員 今お答えがありました。確かに、規則どおりにやればそうでしょう。この場合にも、恐らく契約書の中にはきちっとこの点についてはうたわれていると思います。
 ただし、私は今の現状を考えますと、この時期に一四・六%というこの法外な金利が妥当なのかどうか。あるいは、一括で払えば三・五%にまけますよということでありますね。この人は既に、借りた人の元金は全部支払い済みであります。遅延損害金についてしゃくし定規に一四・六%の金利を課して、これを直ちに払わなければ法的措置をとりますよと。
 保証協会というのは、私は中小企業の味方であると思っていました。実態で、現場でこういうことが行われているということを今回私も初めて知ったわけであります。確かに、契約やしゃくし定規に言えば先ほどのお答えのようになると思いますが、私は、この現実を見てどうかということを再度御質問したいと思います。
平沼国務大臣 委員御指摘のように、契約上はそういうふうになっている、それは確かにそうだと思います。しかし、静岡の例を出していただいたわけですけれども、友人が破綻をして、それをまじめに厳しい中返してきた。それは私もやり方は非常にしゃくし定規だと思っています。
 先ほど長官からも答弁させていただいたように、ケース・バイ・ケースでその実情に応じて判断する、こういう例もあるわけですから、本当にまじめに友人の肩がわりでやってくだすった、そういうことは、中小企業を面倒見る立場としては、私はやはり当然配慮しなきゃいかぬと思っておりまして、そういうケースについて、きょう承りましたから、よく私どもは調査をし、決まりは決まりですけれども、その中でやはり心の通った対応ができる、そういうこともできるわけですから、その辺は私どもよく検討しなきゃいかぬと思っています。
鈴木(康)委員 ちょっと質問を積み残してしまいましたけれども、時間が参りましたので。
 今の大臣の御答弁にもございましたけれども、結局、いろいろな制度があっても、現場で全く違った状況が起こっているというのは往々にしてあることでありまして、この後、実は御質問をしようと思っていました売り掛け債権の担保融資の問題でも、前回の臨時国会のときに私が質問させていただいたときには、一年間で二兆円の目標だというふうにおっしゃられていた。ところが、先ほど大臣、二十二件とおっしゃられましたけれども、新聞によりますと、成果というのは三億円にとどまっているということであります。
 制度を考えたりそれを運用される方たちが、やはり現場のことをきちっとよく把握をされていないと、私は結局政策を誤るというふうに思いますので、保証協会の問題も含めまして今大変に中小企業を取り巻く環境は厳しい、そのことは大臣もよく御承知だと思いますので、中央でいろいろな政策やその運用に携わる皆さんも、もっと現場のことを御理解いただいてやっていただきたいということを申し添えまして、質問を終了させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
谷畑委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。達増拓也君。
達増委員 きのうの予算委員会で小泉総理に指摘したところなんですが、今の小泉改革には産業政策の観点が非常に弱いと思うわけであります。金融でありますとか財政でありますとか、そういうマクロ経済の観点からのさまざまなテーマは入っているわけでありますけれども、ミクロ経済の観点からの産業政策、実際に仕事をして働いている人たち、そして投資でありますとか、そういったところの部分が非常に弱いのではないかということを指摘させていただきました。
 そうしましたら、きょう午前中、予算委員会は公聴会をやっているのでありますけれども、もと、伊藤忠で長く働いていた阪南大学の石田教授が、やはり今の小泉改革の欠点は、競争力の回復、日本の国際競争力の回復、そういう目標が欠けているところであるという指摘をして、これは我が意を得たりというふうに思いました。
 その石田教授の指摘によりますと、九〇年代のドイツやアメリカで成功した構造改革というものは、国際競争力の強化を目標に掲げ、その一点に集中し、さまざまな政策、優先順位をつけながらやってきた。ところが日本の場合、小泉改革の骨太の基本方針の中でも国際競争力ということへの言及はない。唯一例外的に大学改革のところに国際競争力という言葉が出てくるんだそうですが、産業、経済全体の国際競争力を今つけていかなければならないんだと思います。
 スイスの国際経営開発機構の調査によりますと、国際競争力を国際的な投資魅力と定義しまして、日本は四十九カ国中二十八位というランキングであります。したがって、経済構造改革、構造改革の一番の眼目は産業構造改革にあると考えております。それは、暮らしや仕事が大きく変わり、確実によくなっていくというためには、行政の改革や財政の改革、その他いろいろな改革もさることながら、やはり経済の、産業構造の改革ということが起きて、新産業やニュービジネスがどんどん発展していかないと、本当に暮らしの現場、仕事の現場がよくなっていくというような改革にはならないのではないかと考えます。
 そこで、経済産業省、産業クラスター計画であります。これは去年の補正予算のときから出てきた計画でありまして、今度の平成十四年度予算案にも盛り込まれている計画であります。地域における科学技術の振興と新産業・雇用の創出というテーマで、地域の特性を生かした技術開発の支援、起業家育成施設の整備、産学官のネットワークの形成ということを進めていく。全国を東北、北海道、関東といった地域ごとに、それぞれ環境でありますとか高齢者関係ビジネスでありますとか、そういうテーマを決めて、産学一体となって、研究機関と民間企業が一体となって、地域に根差した新産業の創出、ニュービジネスの発展を図っていく。産業クラスター計画という名前がついているわけですが、ことしの、平成十四年度予算案を繰ってみますと、実は文部科学省のところに知的クラスター計画というのが載っているわけです。
 これは、地域の科学技術振興に資する研究開発の推進、地域科学技術の振興というテーマで出ておりまして、地域産学関連基盤の整備でありますとか、産学官連携事業等を通じ、地域に蓄積された研究成果について、企業化に向けた成果の育成を強力に支援と。私は最初目の錯覚かと思いまして、産業クラスター計画とほぼ同じような内容。これは予算額も、ちょうど両方約二百億円、産業クラスターが二百三十二億円、こっちの知的クラスターは二百十二億円と、大体同じ規模で同じような内容のものが、片や産業クラスター、片や知的クラスターと出ているわけですね。これは一体どういう関係になっているんでしょうか。
平沼国務大臣 きのうの予算委員会でもそういう御指摘をいただいたわけですけれども、両計画とも、地域で産学官の連携をやっていく、こういう共通点があります。
 今御指摘のように、経済産業省の地域産業クラスター計画というのは、御指摘の新規事業を創出し、そしてイノベーションを起こし、そして地域から経済を活性化していこう。それから、文部科学省のやっております知的クラスター創成事業、これは主に大学を中心として新技術のシーズをつくっていこう、これも産学官の連携でやる、そういう共通項があります。したがって、御指摘のとおり、同じ、地域で産学官の連携で、特に新しい力を起こしていこうということで共通があります。
 そこで、総合科学技術会議、内閣も、平成十四年度の予算編成に当たりましては、これが相連携して、とにかくばらばらじゃなくて協力をして予算編成をする、そういう方針に従ってそれぞれ予算を計上させていただきました。
 しかし、それだけでは十分ではないという形で、これはもう先生御承知だと思いますけれども、さらに地域ごとに地域クラスター推進協議会というのをつくりまして、知的の方と産業の方との連携を密にして、常に意見交換をしながら、それでお互いに重複なところがあるか、あるいはどういったところで共同すれば総合力が出てくるか、そういうことを常にチェックをする、それからさらに、年一回その成果をお互いに確認する、そういう会もつくっていこう、こういう形で相連携をしていく。
 したがって、同じ、地域に根差して、産学官連携で、一方において私どもは、新しいそういう産業の創成、雇用の創成、それから産業の活力、あちらは新技術の新しい種をつくっていく、こういう形で相連携をしていく、こういう基本的な考え方でございます。
達増委員 去年の秋の臨時国会のときに指摘したことでありますけれども、この産業クラスター計画の枠組みの中でも、実は経済産業省所管の施設及び大学等の文部科学省所管の施設のほかにも、農業試験場、農林水産省所管のそういう研究施設でありますとか、そういうのは各省庁それぞれ持っていますし、さらには、そういったクラスターが育っていく中で、国際的な港湾や空港へのアクセスといった国土交通的な観点も必要になってくる。そういう縦割り行政を超えた総合的なアプローチが地域における産学連携という意味での産業クラスター計画には必要だと指摘しました。
 今回、知的クラスター創成事業というのが出てきて、産業クラスターと知的クラスターが横並びになって、その上に、ブリッジのように地域クラスター推進協議会というのをかける。その図式は、きれいではありますけれどもあたかも曼荼羅のような感じで、複雑で、これが実際に機能するのかどうかというのは非常に心配なわけです。
 経済産業省の場合は、東北であれば仙台に地方経済産業局があり、地域の司令塔は一応そこにあるわけですね。ただ文部科学省、大学の場合は、国立大学というのはばらばらとあるわけでありまして、特に地域における産学連携というのは、都道府県を超えた広域性というところが非常に重要で、アメリカのシリコンバレーも、ほぼ関東平野に匹敵する範囲内に広がっているわけでありまして、そういうところをきちっと司令塔が見ながらやっていかなければ成功しないと思うわけであります。
 この点について、きちんと広域全体を見ながら全体のプログラムを、きちっと事業を運営していけるのかどうか伺いたいと思います。
古屋副大臣 委員御指摘のように、私どものこの地域産業クラスター計画というのは、広域で、なおかつ大学も平均して十校参画しておりますし、あるいは企業も複数が参画をしている、また官もいろいろなセクターが参画をしているということでありまして、同時多発的に、広域的に、その地域の経済の推進そして技術革新をする、それから、あとは人材の育成をしていく、起業家マインドを育てる、総合的な戦略なんですね。
 それで、もう一方、知的クラスター計画というのは大学が中心となって、そこの大きな広域の中に一つその知的クラスターが存在をしている。それで、そこはいわゆる技術的なシーズを深掘りしているということであります。
 私は、そういったノウハウというものをこの地域産業クラスター計画の中にしっかり効果的に活用していくということが十分に可能だと思っておりまして、そのためにいわゆる地域クラスター推進協議会というものをつくりまして対応しているわけですけれども、委員御指摘のように、私どもは各地域に経済産業局もございますので、その辺の調整については我々がしっかりイニシアチブをとって対応していくことこそが本当の意味での地域産業クラスターの、そしてまた知的クラスターの成功につながっていく、そんな考えで私どもも対応していきたいと思っております。
達増委員 去年の秋の臨時国会のときに、戦前、経済危機の中で満州国という国づくり、そこで新しい産業家、当時の革新官僚などもそこに集って、本国の方にないような新しい産業、そして社会福祉、文化芸能なども巻き込んだ、そういう新しい国づくりというのをフロンティアでやった。軍事力を使ってよそのところに行ってやるというのはだめなわけでありますけれども、二十一世紀のフロンティアは、地域というのがやはりフロンティアなんだと思います。
 中央集権の中で、まだまだ開発されていないところが地域にはあるわけで、そこに新しい国をつくる。道州制とかいう言葉がありますけれども、そういう議論を先取りする。産業政策がそういう分権論を先取りして、産業政策でいわばそういう新しいフロンティアづくり、国づくりというのをどんどん先行する。そういう気合いを入れて、昔の満州国の場合には、椎名悦三郎さんとかあるいは岸信介さんというような、経済産業省の先輩のそういう革新官僚の人たちが国運をかけてフロンティアをつくった。そういった新しいビジネスモデルが戦後の日本の復興と経済成長、高度成長につながっている。戦争の時代のことをそのままやるのはよくないのですけれども、そのくらいの気概ですよね、国運がかかっている、新しい国づくりをしなければならないという気概を産業政策の中でぜひ展開していただきたいと思います。
 さて、この産業クラスター計画、きょうの平沼大臣の所信表明の中でも述べられていましたけれども、もう一つ、所信表明の中でそれに続けて述べられていたのが中心市街地の活性化であります。
 これは平成十年に法律が成立しまして、そのころは自治省でありますとか、それから建設省ですね、通産省、建設省、自治省などが中心となって、各省、内閣、総力を結集して、新しい町づくりの枠組みをつくろうということで生まれたスキームであります。
 その後、省庁再編などもありまして、当時の役所がそのままの形では残っておりません。また当時の熱が、今四年目になりまして若干冷めてきているのじゃないかという懸念も持ちます。改めて、経済産業省を中心に各省の関係の案件を束ねて、内閣の総力を結集したそういう町づくり、中心市街地活性化、そういう態勢で進んでいるのかどうか伺いたいと思います。
古屋副大臣 委員御指摘のように、中心市街地活性化事業というのは、平成十年の四月から始めまして既にもう四年目を迎えておりまして、定着をしてきつつあるというふうに認識をいたしております。
 これも先ほど答弁をさせていただきました地域産業クラスター計画と、基本的には、やはり地域の産業というものをしっかりもう一度再活性化していこう、そして地域に特色のある、この場合ですと商店街文化、これを再生していこうということでありまして、私どもは、極めて重要な政策の一つであるというふうに位置づけをいたしております。
 八省庁、現在ですと、経済、国土、総務、農水、警察、文科、内閣府それから厚労省ですか、この八つが連携をしまして、今それぞれの役所に相談の窓口を置いておりますし、また、年に四回程度協議会も開会をいたしておりまして、省庁間の有機的な連携というものに努めているわけであります。既に四百五十の基本計画ができ上がっておりまして、やはり私は、これ、いかにその具体的な成果を示していくかということが大切だと思っております。徐々にそういう姿も出てきておりますので、引き続き支援をしていきたいと思っております。
 また、もう一方、こういった中心市街地の活性化を進めていくに当たっては、やはり人材というのが極めて大切でございます。どうしても商店街の方たちだけでは専門的な知識に欠けるところがややもするとある。したがって、そういったものを補うために、助言だとか診断ができるような、専門的な知識あるいは経験を有する人間を派遣する、そういった事業もいよいよ開始をいたしたところでございまして、我が省といたしましても、引き続き各省と連携をとりながら、中心市街地の活性化のために取り組んでいきたいと思っております。
達増委員 法律ができて四年たとうとしているわけでありますけれども、現場の方では、市町村の基本計画ができて、そしてタウンマネジメントオーガニゼーション、町づくり機関が立ち上がって、ようやく去年のあたりから本格的に事業が動き始めているところですので、まさに初心に返って、今からスタートという態勢でやるべきだというふうに指摘したいと思います。
 次に、対中国の経済政策について質問をいたします。
 これは、小泉内閣が国際競争力という視点を欠いているというのに関係するのでありますけれども、やはり世界の中の日本経済という観点から考えていかなければならないと思います。
 そこで中国なんでありますが、去年、WTO、ドーハの会議が、まずは新ラウンドの立ち上げに成功しまして、同時に、中国の参加という歴史的なことがあったわけであります。
 まずは、その中国のWTOへの参加を政府としてどう評価するか質問します。
平沼国務大臣 今御指摘のとおり、昨年十一月にドーハでWTOの定期閣僚会議、その総会で正式加入が決まりまして、十二月から正式に中国が加入した、こういう形であります。
 我が国としては、ここ十五年間、一貫して中国のWTO加盟を支持、支援してまいりました。それはやはり、人口十三億と言われている、そして経済成長率も活発な、そして国際経済の中で大変大きな影響力を持っている中国というものが、世界の共通のルールの中で経済活動をするということがやはり望ましい、そういう基本的な考え方がございました。
 したがいまして、例えば関税の引き下げの問題にいたしましても、その他の貿易障壁の撤廃にいたしましても、さらにはアンチダンピングですとか、通商をやるに当たっていろいろな問題点がありました。また、お互いの投資というものも考えたときに、それがさらに促進される、そういうことも期待できますし、また、いろいろ紛争が起こった場合には、共通の土俵の上で国際的なルールにのっとって解決をする、こういう手段ができるわけでありまして、そういう意味で、私どもは、中国がやはり世界の共通のWTOのルールの中に包含されるべきだ、こういうことで十五年一貫して支持、応援をして、そして今回、歴史的ということをおっしゃいましたけれども、加盟をした、このことを非常に歓迎をいたしております。
達増委員 もう一つ政府にただしておかなければならないと思いますのは、中国の産業化の発展が日本経済にいかなる影響を及ぼしていると政府として認識しているか、政府として分析しているかであります。
 中国がいわば世界の工場として今もうこれは台頭というか確立しつつある中、その生産力はさまざまな、国際社会全体にとってはデフレ要因になっているという指摘もあります。東南アジア諸国初め韓国、周辺国は皆中国に無関心ではいられませんし、これは先進諸国もそうだと思います。最も影響が大きいのは日本ではないかと思うんですけれども、中国の工業化、産業化の今のこの発展に対する分析について伺いたいと思います。
平沼国務大臣 中国というのは、我が国が経済の低迷を甘受せざるを得ない状況の中で、七%以上の経済成長率を誇る、そして非常に巨大な力をつけてきました。ですから、今我が国に一番大きな影響を与えているというのは、空洞化という言葉で代表されておりますそういう空洞化現象であります。これは、最近の五年間で、とにかく我が国の企業の中国移転が三〇%もふえた、こういうことに如実にあらわれています。ですから、そういう意味で、これは我が国経済にとって非常に大きな問題だと思っております。
 先ほどWTOのお話をしていただきましたけれども、WTOに加盟をしてそれがますます加速されるとは私は実は思っていません。
 今までの中国の開放政策でありますとか拡大経済政策の中で空洞化現象が起こってきた。ですから、これは私どもは、その空洞化という言葉に代表される今の経済状況というのはしっかりと把握しなければなりませんし、先ほど達増委員御指摘のように、今こそ産業構造改革をして、そして、あの一九七三年のときに日本は第一次の空洞化現象を経験しました。そのときに、例えば、当時世界じゅうがこんなことはできっこないと言っていた自動車の排出ガス規制というものを日本は真っ先にクリアして、それによって自動車産業というものが世界を席巻するような、そういうイノベーションによりその当時の産業構造を改革する、そういう勢いで達成した実績を持っています。
 ですから、そういう中で、私どもは一歩先を行くような産業構造改革をしながら、そして産業競争力をつけて、そして中国もWTOに正式に加盟しましたから、同じ土俵の中でやはり堂々と渡り合う、こういう関係になることが望ましい、このように思っています。
達増委員 中国の改革・開放というのは日本も待ち望んでいて、八〇年代のころそれを大歓迎して、そして、投資を初めまた貿易も伸ばして今に至っているわけでありまして、日本の国内の経済あるいは産業事情が今このようなところですから脅威論なども出てくるんでしょうが、本来脅威にしてはいけない話なんだと思います。
 そういう意味で、対中経済政策、これはかなりの部分、日本自身の産業構造の政策と一緒にならなければならないんでしょうが、中国を相手にした貿易・投資、あるいは中国に対して環境、労働その他経済関係のルールを一緒につくっていこうと求めていく、あるいは中国側につくらせるように進めていく、そうした対中経済政策を日本として戦略的に進めていくための体制をつくっていかなければならないんだと思います。
 今、それぞれ現場現場で問題意識を持って民間あるいは官の方でも取り組んでいるんでしょうけれども、そこを有識者ですとかあるいは中国とかかわりの深い産業のトップでありますとか、そういう経済界の人たちも含め、いわば対中経済政策戦略会議のようなものをつくって戦略的に臨んでいかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
古屋副大臣 委員御指摘のように、対中国の経済、貿易・投資を含めて、年々その規模が拡大しております。八百億ドルをもう超えておるわけでありまして、そういう意味からすると、世界の経済政策の中で、対中経済政策というのは極めて重要な役割を果たしていくべきであるというふうに思っております。産業競争力会議という、経済産業省内に平沼大臣の私的機関がございますけれども、ここでいろいろな議論をいたしておりますが、実はこの中の主要テーマの一つが対中経済政策でもあります。
 こういった状況の中で、WTOに中国も加盟をいたしました。したがって、今後はWTOのルールにのっとってしっかりと対応していってもらうような取り組みというのが必要でありましょうし、一方では、例えば知的財産権の問題、これも極めて重要な問題でありまして、今模造品問題がクローズアップをされております。
 実は、そういったことに政府を挙げて対応するために、官邸に知的財産戦略会議、実は二月二十五日に立ち上げましたけれども、こういった機関も積極的に活用して、今後は、日本そして中国双方にとってやはりメリットがあるということをしっかりとらえて、相互が健全に発展していくような経済関係をつくっていくように、私どもも全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。
達増委員 今、いろいろ中国との関係で経済上問題になっていることのかなりが、メーカーでありますとかあるいは商社でありますとか、個別にばらばらにそれぞれの利益で、かつ短期的利益で動いていることが全体として日本の不利益になったりしているんだと思います。
 中国と日本が一つの市場としてきちっとできているなら市場原理に任せればいいんでしょうけれども、実際には全然きちっとした市場にはなっていないので、そういう市場の土俵づくりみたいなところから統一的な戦略を練ることでかなり問題は解決されるんじゃないかと思います。
 最後に、今言ったような通商政策、広く対外経済政策、こういう視点と国内の産業政策というのをもっと戦略的に融合させて取り組んでいかなければならないのではないかということであります。
 小泉内閣に国際競争力の観点が足りない、そういう問題意識からの産業政策というものがいまいち弱いというのも、もうちょっと、中国との貿易・投資もそうですけれども、グローバルな貿易・投資、経済の新しいルールづくりというのを真剣に考えることで国内の産業構造の転換も早く進むでしょうし、もっと通商政策、対外経済政策ということを、これは総理にそういう問題意識を持ってもらわなきゃ困るんですけれども、まず、少なくとも経済産業相としては、内閣の中でもっとそういうのを強調しながら進めていくべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 私は、そのとおりだと思っています。日本は、通商にしてもそれから経済にしてもその他にしても、やはり戦略性を持たなければならないと私は思っています。
 そういう意味で、小泉総理も、この前ASEAN諸国を歴訪されたときに、やはりASEANの諸国と経済連携、そういう協定を視野に入れてとにかくこれからスタートしよう、こういうメッセージを出されました。それは、そういう方向を総理も認識されていることだと思っています。
 このグローバルな中で、地球というのは、中国を含めてお互いに補完し合っていかなければならない。そのためには、大きな枠はWTOという枠、そこの中で戦略性を発揮する。しかし今は、二国間だとか地域間、そういったことがそれを補完する意味でどうしても必要になってきておりますので、第一段階、シンガポールとやりましたけれども、さらにそういったことも進めて、戦略性を持って、経済産業省もそのことを旨として一生懸命やらなければならない、このように思っています。
達増委員 金融危機という目の前の現象、そして、財政の構造改革をしなきゃならないという問題意識で、どうも金融とか財政とか、マクロのことばかりにとらわれている小泉内閣だと思います。もっと産業政策、そして対外経済政策も含めたそういう戦略的な経済政策を取り入れていかないと、小泉改革は成功しないであろうということを申し上げて、私の質問を終わります。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、政府参考人として金融庁監督局長高木祥吉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。私は、貸し渋りの問題と、それとの関連で、協同組織金融機関としての信用金庫、信用組合のあり方の問題について、ぜひともお聞きしたいと思っております。
 政府のデフレ対策の中で、貸し渋り対策がございます。昨年十二月の経済財政白書では、九七年から九八年の金融危機の際に見られたような厳しい貸し渋りは、現状では起こっていないと述べておりますけれども、年明け、いろいろな方のお話を聞きますと、非常に厳しい貸し渋りの発言が続いております。
 例えば、奥田日経連会長は、各地の経営者協会などからは、貸しはがしと言われるようなことが起こっていると聞く、問題となった一九九八年当時より貸し渋りは厳しいと一月の最初の記者会見でおっしゃっておられますし、山口日商会頭も、金融機関の経営が九八年より厳しい、当時より中小企業に対する貸し渋りは顕著だ、このように述べておられます。
 平沼大臣にお尋ねしますが、中小企業庁がつくっております中小企業への貸し出し姿勢に対する実態調査、これは、この間の経過のがありますけれども、これを見ますと、貸し渋りというのは、この調査開始時点の九七年十一月には一九・五%でしたが、九八年三月、年度末に向けて三二・五%へと急上昇しました。その後、貸し渋り特別保証を実施した九八年十月が三五・〇とピークを記録したわけですが、その後、二〇〇〇年九月には一九・四%へと低下をしました。最近、これはまたじわじわと上昇して、昨年十二月には二四・一%。やはり年度末に向けて上昇することが予想されるわけです。
 平沼大臣として、この貸し渋りの現状というのを、九八年とも対比をしていただいて、どう見ておられるのかお尋ねします。
平沼国務大臣 今数字をもって具体的にお示しをいただきましたとおりでございまして、平成十年の十月の調査では、貸し出しの実態把握では三五%、中小企業の方々は厳しい、こういう評価をされています。そして、それが一昨年の九月には御指摘の一九・四になり、また、ことしの一月には、十二月、一月にはそういう数字になった。
 そういう形で、実は私どももその調査とは別に、先月から今月にかけて二十五都道府県に中小企業庁の幹部を派遣しまして貸し出し状況の実態調査をさせていただきました。その調査結果によりますと、非常に厳しい、こういう調査結果でございまして、御指摘のように、今、中小企業に対する貸し出し状況というのは非常に厳しい状況になっている、こういうふうに認識をしております。
塩川(鉄)委員 今大臣が引かれました調査結果の中でも、中小企業の資金繰りは全般的に極めて悪化している、製造業を中心に業況の悪い企業の割合が増大をして、業況の悪い企業に対する反復融資の拒絶が増加をする、選別融資が激化をしている、このように指摘をされておられます。
 今回のデフレ対策の貸し渋り対策ですけれども、その中身はどのようなものか。経済産業省として、どのようなものかお尋ねします。
古屋副大臣 お答えをいたします。
 今大臣から答弁がございましたように、大変厳しい状況であるということを踏まえまして、二月の十三日、総理から、早急に貸し渋り対策を含めデフレ対策について対応しろという指示がございまして、私どもとしても早急に取りまとめをさせていただきました。
 まず、具体的には、第一点でございますが、昨年の十二月に創設をいたしました売掛金債権を担保に融資をする制度、これは実際、相談は千百件を超えておりますが、まだ実績としては二十二件ということであります。実際に申し込みをしたのが百件余りでございます。これをさらに積極的に活用するということが必要でございます。
 そのためには、まず、金融機関にさらに積極的に働きかけをしていく。あるいは、説明会を開会いたしまして周知徹底を図っていく。あるいは、パンフレットも二百万部ほどつくりましたので、そういった対応をしていく。それともう一つ大切なことは、いわゆる国とか地方公共団体、あるいは大企業向けに売り掛け債権がございますが、これの譲渡禁止特約というのがついておりますので、この解除を関係省庁に強力に働きかけをさせていただいております。
 それから第二点が、セーフティーネット保証・貸付制度でございまして、これは条件緩和をしていく。具体的には、今までは一〇%売り上げが減った場合というのが条件でございましたが、これを五%に緩和するであるとか、あるいは無担保貸付制度を創設、これは商工中金でございますけれども、三千万円、無担保、第三者保証なしということでございます。
 それから三番目は、特別保証制度の既往債務の返済条件の変更というものを、一定の条件があれば、特に大企業の倒産とか、あるいはBSE問題等々で大変厳しい状況になっている中小企業に対しましては、申し出があれば、原則として返済条件の変更が弾力的に行われるということを徹底的に指示をしていきたいと思っております。
塩川(鉄)委員 売り掛け債権担保融資が二十二件ということで伺いました。大臣が、この間いろいろな御説明の際に、特別保証と対比をされて、特別保証のときにも最初はなかなか立ち上がりが遅かったということをおっしゃっておられますが、この特別保証は、ちょうど三カ月売り掛け債権もたっていますけれども、三カ月たった時点での承諾実績というのはどのくらいなんでしょうか。事務方でも結構ですので。
杉山政府参考人 今具体的な数字は持ち合わせておりませんが、記憶によりますれば、二兆とか三兆とかそのくらいの数字にはなったかと記憶をいたしております。ちょっと済みませんが、具体的な数字は今持ち合わせておりません。
塩川(鉄)委員 私、確認してみたのですけれども、特別保証、最初の九八年十月、実績が九万七千件、十一月二十一万八千件、十二月二十三万三千件。ですから、実施から三カ月たっての承諾実績というのは五十四万八千件、十一兆三千三百七億円です。それに対比をして、大臣がおっしゃられております売り掛け債権担保融資というのは二十二件です。何万分の一という。これは貸し渋り対策としてふさわしいものかどうか。このことがまず最初に前提としても問われているんだと思うんです。
 実際に特別保証のときの当時の朝日新聞のコピーをとりましたけれども、行列で、金融機関窓口、役所などに行かれているんですね。それはもう皆さんよく御承知のことだと思うんですけれども、そういうものとして特別保証は、当時の貸し渋り対策として大変積極的に受けとめられていたものだと思うのです。
 私は、売り掛け債権担保融資も、選択肢がふえる、中小企業の皆さんにとって、これ自身は結構なことだと思います。ただ、現状の貸し渋りの事態を見たときには、それにふさわしいような政策をとる必要があるんじゃないか。このことをぜひともまず最初に申し上げたいと思うのです。
 その上で、配付資料をお配りしました。ごらんいただきたいんですが、信用金庫の貸出残高と信金の破綻数の推移であります。
 日銀によりますと、信金の貸出残高というのが前年同月比で二十七カ月連続減少しています。九九年十月から貸出残高が減少していますけれども、この九九年十月の直前の七月に公表、実施をされたのが今の金融検査マニュアルであります。
 また、昨年四月に緊急経済対策で不良債権早期最終処理を掲げてから、信金では十二が破綻をし、ここには書いてありませんが、信用組合では三十六が破綻と相次いでおります。
 そこで、大臣にお聞きしたいんですが、昨年十一月の当委員会の参考人質疑で、湘南信用金庫の理事長の服部さん、お越しいただきまして、大変私ども勉強になりました。この服部さんのお話の中でも、貸し渋り、貸しはがしの最大の原因は、自己資本比率一辺倒の、いわゆるアメリカの物まねをしたグローバルスタンダードの金融行政にある、何しろ自己資本を改善するのには資産を圧縮しなければなりません、それにはどうしたらいいかといえば、金を貸さないことでありまして、徹底して今の状況は金を貸さない指導が行われていると指摘をされました。もっともだと思います。
 この自己資本比率一辺倒の金融検査マニュアルによって、地域金融機関にとっても、貸したくても貸せない、中小企業にとっては一層の貸し渋り、貸しはがしがひどくなる状況が生まれていると思うのです。
 金融検査マニュアルが貸し渋りマニュアルになっている、こういう状況について、大臣、率直にどのようにお考えでしょうか。
平沼国務大臣 一部の意見として、強力な意見として、例えばBIS規制、自己資本比率、これを地域に密着した中小金融機関に適用するのはおかしいじゃないか、こういう声が非常にあります。私も確かにそのとおりだなと、こういうふうに思っています。
 ですから、そういう中で、やはり地域の中小金融機関というのは、私の地元もそうですけれども、何代にもわたってその地域に密着をして、そしてその地域経済を育成してきた、そういう経緯を考えますと、今の検査マニュアルというのは、その標準どおりに適用すると、中小企業にとってはやはり非常に厳しいものに私はなっていると思います。
 そこで、経済産業省といたしましても、そういう中小企業、地域に根差した企業、そこに着目をしてやはり検査をしていただきたいということを金融庁には数次にわたって、例えば年度末ですとかあるいは年末、そういったときには我々は強力にお願いをしてきているところでありまして、そこがまだまだ十分生かされていない、こういうふうに思っておりまして、私どもは、その地域、そして中小企業の実情に応じたやはり検査をし、それから中小企業がいわゆる貸し出しに対してもそういう対応をする、そういう形でこれからも努力をしなければならない、このように思っています。
塩川(鉄)委員 中小企業庁の調査結果の中でも、このマニュアルの運用改善の問題が指摘をされておられます。私、それじゃ済まない問題じゃないかと思うのですね。マニュアルにも、中小企業の技術力とか成長性とか販売力とか評価をするとありますよ。しかし現実には、この財務一辺倒のやり方でこれが反映されないというのは根本の問題だと思うのですね。
 私、重大なのは、中小企業の経営努力が正当に評価されない金融検査によって、日本の競争力の原点となってきた物づくりの土台も掘り崩されていきかねないという問題なんです。
 例えば東京大田区の機械金属工業について、これは何年か前の中小企業白書では、新製品の開発、高度技術による加工・製造、大企業製品の設計など高度技術の苗床機能を持つ我が国製造業の基盤として重要な役割を果たしてきている、都市型工業の代表的な集積地として高く評価をしております。
 ところが、この大田区が今、IT関係の大企業の海外移転やリストラ、中国などからの安い製品や部品の逆輸入などによって重大な事態になっている上に、そこに加えてこの金融検査マニュアルによる信金、信組つぶし。この間でも、大栄信用組合、東京富士信用組合が破綻をさせられました。
 私が言いたいのは、町工場や中小業者の皆さんは、大企業による加工単価たたきや石油ショックとか円高不況だとか、何回にもわたる不況の中を生き抜いてきて、その不況のときに都市銀行などが経営状態のいい先のみに融資を絞る中で、信用組合がこの町工場を支えてきたわけです。
 ある業者の方は、町工場は不況になると一斉に借金がふえる。半年とか一年の据え置きで借りて、その間利子だけ払って、景気の波が出てきたら返していく、これの繰り返しだ。大田の金属加工業者はこうやって生き抜いてきた。これを許さないということは、政府はもう大田の町工場は要らないと言っているのと同じだ。日本の誇るべき物づくりの財産を打ち壊すことになるのではないか、こういう声であります。
 ぜひとも、大臣にお尋ねしますが、このように日本の物づくりを支え、雇用を支え、地域経済を支えてきた中小業者が、何で不良債権扱い、低成長部門扱いされなくちゃいけないのか。金融庁のマニュアルによって日本経済を支える中小企業を切り捨ててもいいのか。率直にお聞きします。
平沼国務大臣 御指摘の大田区でありますとかあるいは東大阪というような、日本のいわゆる産業の基礎的な部分を支えてくれた非常に重要な地域、これは大切にしていかなければならないと私は思います。
 御指摘のとおり、今そういう厳しい中で、そういった、本当に技術を持って、そして産業のいわゆる技術分野の根っこを担当していただいた方、こういった方々が苦しい状況に置かれているというのは本当に遺憾なことだと思っています。
 そういう意味で、先ほど御指摘いただいて、本当に数字まで示していただいて、まだまだこれが浸透していない、御指摘がありました。ですから、せっかく法律を通していただいた売り掛け債権を担保とするこの制度というものを一日も早く浸透させて、そして、そういった方々に御利用していただくようにしていかなきゃなりません。
 そしてまた、補正予算の中で手当てをさせていただきました、そういう中小企業の方々が、大変な厳しい、例えば取引先の破綻であるとか、あるいはまた金融機関の破綻等によって苦しい目に遭ったときには、そのセーフティーネットというので、セーフティーネット貸し付けとセーフティーネット保証、これを手厚く拡大をする、こういったことで対処して、これからもそこは万全を期さなければいかぬと思っております。
 特に技術でありますので、そういういわゆる大田だとか東大阪だとかその他、日本のそういった枢要な分野を担っていただいている技術系の中小企業に対しましては、例えば産学官の研究開発あるいは実用化研究、そしてまた新しい技術、そういったものに関しては経済産業省としても支援をする、そういった今手だてを講じておりまして、そういったことを一体としてやっていかなければならない。
 御指摘のとおり、大変大切な問題ですから、私どもは、このことは問題意識を持ってしっかりとやっていかなければならないと思っています。
塩川(鉄)委員 私は、それでは足りない現状じゃないか。ふさわしく予算の措置もとって、予算を出し直すぐらいの事態じゃないか。特別保証の復活とか、ふさわしい施策をきちんと行うべきだ、このことを強く求めておきたいと思います。
 その上で、協同組織金融機関としての信用金庫、信用組合のあり方の問題ですが、金融庁の方、おいでいただいておりますけれども、そもそも、この地域金融機関としての信用金庫、信用組合の目的、役割は何なのか、その点お尋ねします。
高木政府参考人 お答え申し上げます。
 協同組織、いわゆる協同組織金融機関ですが、主たる特性といいますか、これは会員、組合員の相互扶助組織という点と、もう一点は、主として融資先が中小零細企業向け金融だということで、そういった分野で大変重要な役割を果たしているということだと理解しております。
塩川(鉄)委員 今のお話にもありましたように、信用金庫、信用組合というのは、信用金庫法や中小企業等協同組合法に基づいて、国民大衆のために金融の円滑を図り、中小業者や勤労者の公正な経済活動の機会を確保し、その自主的な経済活動を促進し、かつ、その経済的地位の向上を図ることを義務づけられた組織であります。
 それなのに、小泉内閣の不良債権の早期最終処理方針のもと、金融庁は金融機関の健全化を図るためとして、国際的な活動を行う都市銀行と同じ金融検査マニュアルで信金、信組の検査を行っています。そんなやり方には道理がない、全国で批判の声が上がっています。
 例えば、六つの信金、信組が破綻をした栃木県の調査を行ってまいりました。栃木県の商工会議所連合会の会長さん、この人は宇都宮のしにせのデパートの経営者の方ですけれども、この会長は、地域経済に根差している金融機関に対し、大銀行と同じような検査を押しつけること自体が問題だと率直な声を上げています。
 群馬の信金、信組関係者から届いた手紙では、多くの中小零細企業は赤字経営であり、都市銀行と同一の金融検査マニュアルをもって検査すれば、皆区分は悪化いたします。地域金融機関用の金融検査マニュアルが欲しいと声を大にしても、全く取り上げておりません。このままでは内容の悪い企業は見捨てていく以外ありません。これでは私たちは地域金融機関と言えるのでしょうか。こういう痛切な声を上げておられます。
 信用金庫、信用組合は、かつて大蔵省がまとめた金融制度調査会の報告の中でも、会員または組合員の相互扶助を基本理念とする非営利法人であり、株式会社形態をとっている一般の金融機関と比較をして独自の性格を有しているとはっきりとうたっています。利潤追求の大銀行と違う非営利の組織なんだ。
 資本を株式市場で不特定多数の投資家から調達する株式会社の大手銀行では、市場原理に制約されるために利潤追求第一となる面というのは当然出てまいります。ですから、リスクの大きい経済的弱者に対し十分な面倒を見ることができなくなる。大手銀行は、上場企業から中小のいいところまで幅広く取引するけれども、コストに見合う先のみを対象とするわけです。そういったときに赤字中小企業は対象から外される。だからこそ、相互扶助による協同組織の金融機関が必要とされているわけです。
 私は、信用組合、信用金庫の歴史を改めて振り返ってみました。
 ここに持ってまいりましたが、「協同組合の名著」という本がありまして、購買組合や販売組合、これと並んで信用組合があるわけですね。
 この中に、民俗学で有名な柳田国男、この柳田国男は、かつて、経済産業省の前身でもある農商務省の官僚として、協同組合、信用組合のもととなる産業組合法、これの解説の文章を書いているんです。そこを見ましても、柳田国男さんの言葉ではちょっと難しいんですが、「仮令不動産は持たずとも、正直にして働きある小作人、小工業者等に同じく低利、長期の借金を為すことを得せしめんには、勧業銀行、農工銀行の他に、別に何かの方法なかるべからず。」銀行とは別の金融機関が必要じゃないか。「而して此の必要に応ぜんが為めに設けられたる制度を信用組合とす。」はっきりとうたっているわけです。これが原点だということなんです。
 日本に初めて近代的な信用組合思想を導入した品川弥二郎、平田東助、こういった二人が、信用組合法案を政府に提出したその提案理由書の中に、近代社会に対応した新しい経済組織が必要だが、その恩恵に浴することのない中産階級以下の人民に経済的利便を供するのが信用組合制度だとはっきりと明記をしております。
 この点では田附良知全国信用組合中央協会長も新聞で述べておられますが、「非効率なものがすべてダメというなら、とうちゃん、かあちゃんの工場はみなつぶれていく。中小零細を相手にしてきた信組が破たんすれば、地域金融のパイプは確実に細くなる。」「我々はそもそも共同組織の金融機関というのが存立基盤。銀行と同じ物差しでどんどんやられたら、厳しくなる」こういうふうに当事者として述べておられるわけです。
 信用金庫、信用組合は、いわば経済的弱者である中小企業者がみずからつくってきた自分たちの金融機関。それなのに、今の金融行政というのは、こういった歴史的な役割や存在意義をまるで頭から否定しているんじゃないか、こう思わざるを得ません。今、政府、金融庁がやっていることといえば何か。信用金庫、信用組合をどんどん破綻させて、合併させて大きくすることだけじゃないか。
 昨年十二月六日、参議院の財政金融委員会で、柳澤大臣は、協同組織形態の金融機関というものをどう考えるべきかという大きな問題があると。銀行とは違うんだと認めているわけですね。これは我々が所管している信用金庫、信用組合についても同様で、これの検査はほぼ同じ基準でやっていいのかとも思う、監督等についてもう少し実情に即したことを考えていかないといけないのではないかと考えておりまして、これらは今後の課題として金融庁としても取り組んでいきたい、こういうふうに言っているわけですが、自分で協同組織形態の金融機関のあり方について検討課題と言いながら、いまだ方向も示さずに、つぶして大きくして、信金、信組も銀行になれ、こんなやり方でいいのか。大きければいいのか。
 だから、私、昨日の予算委員会でも追及しましたけれども、金融庁の主導によって信用金庫を破綻させ、受け皿を手当てする、こんなことが疑惑として浮かび上がってきているわけであります。結果として、大銀行とは違う信用金庫、信用組合のあり方を根本から否定するようなことを現に行っている。このことが大問題であります。
 先ほどの湘南信金の服部理事長の言葉で、貸し渋り、貸しはがしの最大の原因は、自己資本比率一辺倒のアメリカの物まねをしたグローバルスタンダードの金融行政と言いました。
 アメリカの物まねといいますけれども、アメリカは違うんですよ。グローバルスタンダード、アメリカンスタンダードと言われているそのアメリカでも、コミュニティーバンクとかクレジットユニオンという地域金融機関があって、これに対しては、不法行為があったり個別案件の融資の判断については、金融庁がやるんじゃないんですよ、自己責任でやるというのが基本なんですよ。大銀行とは違う基準を持っている。シティバンクと同じようなグローバルスタンダードの検査など行われていないわけです。
 アメリカには、総資産一千億円以下のコミュニティー銀行、コミュニティーバンクというのが九千五百もあります。この前破綻した船橋信用金庫は大体二千億円ぐらいですから、地域にある普通の信用金庫、信用組合の規模ですよ。こういうのが一万近くもある。これが全米銀行の九割強を占めているわけです。資本効率の最大化を追求するような大手銀行とは別に、コミュニティーの理念、一人一人の顧客、住民重視、これを前面に掲げて、敷居が低くて親身な顧客サービスをモットーとする経営が行われております。
 こういったコミュニティーの銀行業界は、そういった地域に根差した活動をしているからこそ、その支援も受けて、大手銀行とは違う金融検査の方式などもかち取ってきているわけです。私は、ここに本来の協同組織金融機関、日本の信金、信組が果たす原点がある。歴史的に見ても、他国と比較をしても、一面的なマニュアルをやっているのは明らかです。直ちに信用金庫、信用組合へのこのマニュアル適用をやめるということを訴えたいと思います。
 少なくとも、信金、信組の場合の破綻処理のルールの明確化が必要です。柳澤大臣自身、国会の答弁で、信金、信組の破綻処理に対応する仕組みがないというのは御指摘のとおり、検討させていただきたいと、問題点を一度は認めております。しかし、改めてどうしたかと問われると、管財人に権限を委任したので個別にああしろこうしろと言うのは難しい、こういう話でした。
 管財人の裁量に任せるだけでいいのか。大手銀行の破綻については別のきちんとしたルールがあるのに、信金、信組にはそのルールもない。私は、この点でも、昨日の予算委員会でも指摘をしたように、破綻した信用金庫の資産を保全するための管財人団の中に受け皿の信用金庫の職員がいても問題はない、売り手の側の中に買い手の職員がいる、これは、金融庁がこれを容認している、金融庁の主導でこんな破綻劇や合併劇を演じているということじゃないですか。
 私は、破綻時のルールづくりが必要だと思います。金融庁は、正常先は原則受け皿に引き継ぐとかいいますけれども、実際にはかなりの数がRCC送りになっています。あるRCCの担当者は、こんないい資産、いいものを持ってくるのはおかしいと、受け皿金融機関にわざわざその債権を押し返しているというんです。
谷畑委員長 時間です。簡潔にお願いします。
塩川(鉄)委員 平沼大臣にお願いしたいのは、この破綻金融機関の債務者について、破綻に追い込んだ政府の責任において、保証をつけるなどして受け皿にきちんと送る、こういう実態に合った対策をとっていただきたい、このことを質問して終わります。
平沼国務大臣 確かに、今の御指摘の面というのは、本来の目的というものから逸脱して、そしていろいろな検査の強化とかそういうことが起こっているということは事実だと思います。
 私はちょうちょう申しませんけれども、たまたまテレビを見ていたら、バングラデシュで、何にもないところで五人、主婦たちを対象に小口の金融をしながら業を起こして、そしてその地域に根差した産業を育て、そして一生懸命やっている銀行の実態が出ていました。今御指摘のように、日本の信用組合、信用金庫というのも、まさにこの日本の経済の発展段階でそういう地道な努力を私は積み重ねてきたのだと思います。
 しかし、あのバブルのときに、もちろんそういう検査の厳しいという面もありますけれども、信用組合、信用金庫自体が、これは全部じゃありませんけれども、やはり本来のそういったところを忘れて土地投機に走ったり、そういった面も私は否定できないと思うのです。ですから、そういう中で、本当に一生懸命やっている方が厳しい状況に立っている、このことは中小企業を預かる経済産業省としても十分配慮をしながら適切な対策を講じていかなければならない、このように思います。
塩川(鉄)委員 ありがとうございました。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 きょうは、原子力政策全般にわたって質問させていただきます。
 まず一点目は、浜岡原発一号機は廃炉にすべきだということに関して大臣にお尋ねいたします。
 浜岡原発の事故は、まだ原因が解明されておりません。どうして水素爆発が起きてしまったのかは、中部電力や依頼された専門家の調査でも明らかになっておりません。
 この配管破断事故は、瞬時にパイプが破断し、大小五つの破片が周囲に飛び散り、パイプが大きく折れ曲がる、また、重さ六十キロのドアが七メートルも吹き飛ばされたという事故でございます。原子力安全・保安院が説明する法的な安全と、原発と隣り合わせで生活している人々の安心とは意味合いが違います。
 さらに、浜岡原発は、必ず発生すると言われております東海地震の震源域の真上に建設されています。東海地震については、昨年十二月に発表されました中央防災会議、これは総理大臣が議長でございますが、この中央防災会議の東海地震に関する専門調査会の報告でも、その危険性はますます高まっていると指摘されております。
 営業開始以来二十五年を経過し、何度も何度も事故を起こし、老朽化している浜岡原発一号機です。そして、新たな東海地震という危険の観点からも、私は現地を実際に見、圧力容器の下、事故を起こした制御棒の真下まで行った人間として、一号機は私は廃炉にすべきだと思います。大臣の考え方を聞かせていただきたい。
 また、二点目は、これは原子力安全・保安院長にお尋ねいたしますけれども、この浜岡原発では、事故を起こし心配している近隣の住民に対し、中部電力が、資料や調査したデータを住民が求めても無視をしている状況でございます。例えば、事故直後、原子炉建屋内における非常ベルの鳴った場所についても、テレビ報道では住民の人は十カ所で鳴ったと聞いているわけなんですね。ところが、後日中部電力が資料提供して作成されました浜岡町のチラシでは、数カ所で火災報知器が鳴ったとなっています。原子力安全・保安院は、このような不誠実な事業者に対して今後どのように指導監督していくのか伺いたいと思います。参考までに、国には中部電力は、火災報知器は十カ所で鳴ったと報告しているわけなんです。
 以上、最初は二点に関して答弁をお願いいたします。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 御指摘の浜岡原子力発電所一号機というのは、一九七六年営業運転を開始いたしまして、ちょうど四分の一世紀、二十五年が経過をしております。私どもの所見としては、引き続き安全運転は可能である、こういうふうに考えております。
 我が国の原子力発電所においては、運転開始後三十年を迎える前に、事業者が、経年変化に関する評価と、これを踏まえた原子力発電所の保全に関する計画の策定を行いまして、国が専門家の意見を聴取しつつ評価することにより、安全運転の確保に万全を期しているところであります。こういったことは、日本原子力発電敦賀一号機など五基について既にこうした評価を行ったところでございまして、これからこの一号機につきましても、今後、運転開始後三十年を迎える前に、こういったことは当然実施をするわけでございます。
 お尋ねの浜岡原子力発電所一号機の配管破断事故及び圧力容器下部からの漏水の件でございますけれども、今御指摘のように、原因の調査を続行しております。しかし、今までの所見では、これが老朽化によって関連づけられる、そういうような所見は得られておりません。いずれにいたしましても、徹底して原因究明をし、そして再発防止策の確立に取り組まなければならないと思っています。
 それからもう一つ、東海地震が想定されて、そしてちょうどその真上に位置をしている、こういう御指摘がございましたけれども、浜岡原子力発電所の耐震安全性というのについては、想定される東海地震というのはマグニチュード八・〇、こういうようなことが想定されておりますけれども、これを上回る耐震設計がなされている、こういうことを当省として確認をいたしております。
 以上でございます。
佐々木政府参考人 浜岡原子力発電所一号機におきまして発生しました配管破断等の事故につきましては、私どもも、数次にわたり現地調査を行うとともに、専門家の御意見も聞きつつ原因究明のための作業を今行っているところでございます。
 その際、電力事業者からの報告内容、あるいは国として講ずる措置につきましては、私ども、原子力安全委員会への報告や報道機関への発表、あるいは原子力安全・保安院のホームページへの掲載などによりまして適時に公表をしてきたところでございます。
 中部電力におきましても、事故発生後、原因調査の進捗に応じて累次にわたりまして写真なども含めまして報道発表を行っているほか、事故の現場や原因究明のための試験装置なども公開してきているところと承知をいたしております。
 当省といたしましても、今後とも、適時の情報提供に努めるとともに、今御指摘がございましたようなお話でございますけれども、中部電力に対しましても、情報提供を積極的かつ正確に、迅速に行うなど、透明性のある対応をとっていくよう指導してまいる所存でございます。
大島(令)委員 まず最初は、大臣に質問いたします。
 大臣が言われた今の答弁は、法律によって確保される安全に関して今答弁されたと私は思うのですね。しかし、やはり原発と隣り合わせに日常的に住んでいる人たちに対する安心というものを保証するのが国の、そして事業者の最大の責務ではないかと私は思っております。大臣も、きょう朝九時十分からの所信表明で、安全確保を大前提に原子力政策を進めると、この場所で午前中おっしゃったばかりなんです。そういう意味で、法律的な安全を幾ら住民に説いても、やはり隣り合わせにしている人たちに対しては説得力がないと私は思うわけなんです。
 ここの近隣の地方自治体では、まずいろいろな意見書なり要望が国にも大臣のところにも上がってきております。焼津市議会から、これは少し離れております。また静岡県の小笠町議会でも、放射能漏れが心配されるので、老朽化が進行している場合は廃炉を要求する。大臣は、老朽化は原因が究明されていないと言うのであれば、やはりこの小笠町議会にはきちっと、老朽化ではないということを証明すべきだと思います。
 そしてもう一点、吉田町議会でも、廃炉にすることという意見書が、これは国と静岡県にも出されております。吉田町議会においては、モニタリングポストの設置や沃素剤等の配置など防護対策を強化すること。もう、放射能漏れが起こったことまで想定したことを盛り込んでおります。
 また菊川町の町長と町議会は、事業者に対しまして、関係五町じゃないからといって、事故が起きたときの連絡がマスコミによってしか得られなかった、中部電力から直接来なかった、隣接していないからと。こういうことに対してもやはり要望が出ております。また、いろいろな住民団体からも経済産業省、大臣のところに、今回の事故をめぐっていろいろ届いていると思います。
 ですから、私がもう一度、再度質問申し上げたいのは、大臣の言う、法律的根拠に基づいた国の言う安全と、隣り合わせで生活している人たちへの安心ということを、やはり国は何らかの形で説明するべきだと私は思います。改めて、私の今の質問に対して御答弁をお願いしたいと思います。
 もう一点、保安院長には次のことを再質問させていただきます。
 経済産業省設置法の二十一条に、「資源エネルギー庁に、原子力安全・保安院を置く。」これは以前から指摘されておりますけれども、原子力を推進する資源エネルギー庁と、安全規制をする原子力安全・保安院が同じ省の部署にあること、これは本当にダブルチェックができるのか、形骸化されているのではないかという指摘があります。
 私は先般、経済産業省の人と市民と集会を開きました。そのときに、経済産業省の保安院の事務局の方は、エネルギー政策を推進していく人とは、同じ省の中にあっても一線を画して仕事をしていますと言ったわけなんです。保安院長、このことに関して、どのように私たちに納得いくことを証明できるのか、お答えいただきたいと思います。
平沼国務大臣 私は、たびたび繰り返し、そして強調させていただいておりますのは、原子力発電というものは、一にも安全、二にも安全、三にも安全ということを担保しなければならない、これは私は基本にあると思います。
 したがいまして、今御指摘の、浜岡原子力発電所のいわゆる破裂ということに関して、これは今の段階で、その破裂の原因というのを調査していますけれども、配管の破裂に至ったその原因というのは、どの角度から考えても老朽化によって起こったのではない、こういう所見が明らかになっています。
 したがいまして、今御指摘のように、地域の皆様方が非常に心配されて、町や議会の皆様方が本当に住民の安全ということを思ってそういう意見書をお寄せいただいていることは承知しておりますし、私どもも、それはしっかりと受けとめさせていただいて、そして、原子力行政をやっていくのに当たりまして一番重要なことは、やはり説明責任がこちらにある、こういうことですから、そういう問題が起こったときにはもう隠さずに、オープンにディスクローズをしていかなければいけない。この基本姿勢は私は守らなければならないと思っています。
 一方において、法令とそれから実際の住民感情、こういうことですけれども、私どもとしては、やはり安全を旨としながら、住民の皆様方の納得をいただくような体制をしっかりと構築することがこの国のエネルギーに対する責任を負うことだ、このように思っています。
佐々木政府参考人 私どもの原子力安全・保安院は、昨年の一月に省庁再編に伴いまして、規制に特化した機関として設立をされたわけでございます。
 責任者の私としては、国民の負託を受けての原子力の安全規制をきちんと行うという意識でやっております。私どもの保安院のいろいろな行政判断、執行には、直接大臣に直結した形で私はやっておるところでございます。
 そしてまた、先ほど議員が御指摘になりました地元の皆様方への説明責任の話につきましては、浜岡の事故が発生して以来、原因究明のいろいろな、要所要所の節目節目におきまして、地元静岡県あるいは町の協議会等に私どもの保安院の幹部が直接、今の状況を十分御説明させていただいているところでございますけれども、原因究明がきちんと行われて、今後の対応、対策もはっきりした段階で地元の方々にも十分説明責任を果たしていく所存でございます。
大島(令)委員 私は、事故が起きました三週間後に、社民党の浜岡原発調査団の団長として、本当に圧力容器の真下、制御棒の下まで、間近、ここから大臣の席ぐらいのところへ行ったのですね。本当に、防護服を二回も着がえて、そして放射線管理区域という中に入りまして、〇・〇三ミリシーベルト、三週間とめた後でも被曝したわけなんです。
 こういうところですから、とめていてもやはりその真下では、十分ぐらいいただけでも被曝した。これは健康上、害はないと言われていましても、やはり日常生活をしている人にとってはそれが毎日続くわけですから、私は、法律法律じゃなくて、法律に私たちが合わせて生活するのではなく、やはり私たちの生活に法律を合わせるような原子力行政を進めていただきたいと思っているわけでございます。
 二点目の質問でございますけれども、まず、来年の予算の中に、非常に原発を推進するような教育関連の予算がついていますので質問させていただきます。
 大臣、昨年、二件の原発関連の住民投票で反対派が勝っていることは御承知ですよね。一つは五月二十七日の新潟県刈羽村のプルサーマル住民投票で、反対が過半数です。もう一つは十一月十八日、三重県海山町の原発誘致住民投票で、反対が七割という結果になりました。にもかかわらず、来年度予算の中で広聴・広報活動の抜本的強化をするのは、私は立地地域への住民の声を無視していると思っております。
 具体的には、平成十四年度予算の中で、電源立地勘定でのエネルギー教育推進事業という新規予算、新規です、これは約五億七千万。また、資源エネルギー政策関連予算の原子力政策の強化として、広聴・広報活動の抜本的強化が計上されております。この中身は、官民一体となった原子力発電所見学者の百万人、昨年度は三十七万人、百万人達成目標の予算が、昨年の一億円から六億円、六倍になっております。また、教員向けの教材等の作成・配布として新規予算が一億円となっております。
 なぜ政策としてこれらの予算を新規または増額したのか、大臣、その理由をお尋ねしたいと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきたいと思います。
 原子力政策の根幹をなすのが核燃料サイクル、プルサーマルでございまして、我々は重要な位置づけと認識をいたしておりまして、現実に世界でも、原子炉で五カ国、三十五基がもう既に動いておりまして、そういった意味でも、私どもも早期に実現したいというふうに考えております。
 ただ、今委員御指摘のように、刈羽村の投票がございまして、その結果は今委員御指摘のとおりの結果になったわけでございます。この背景には、例えばデータの改ざん問題等々がその背景にあったということが言えると思います。この住民投票の直後に新潟県の知事であるとか柏崎の市長、刈羽村長が来まして、やはり国としてしっかり原子力のことについてPRをして国民の理解を進めてほしいといった要望が出てまいりました。私どもといたしましても、その正しい理解というものに対してPR不足であったということは反省をいたしております。
 その視点に立って、政府内に内閣官房副長官が主宰をいたしますプルサーマル連絡協議会をつくりまして、その後四回にわたりまして議論を重ねまして、今関係省庁が連携をとってこの推進に当たっているところであります。
 むしろ我々は、この広報をさらに充実させていく、そして国民に対して正しい原子力発電を理解していただく、これが重要だと思っておりまして、今後とも、国が前面に立ってその努力を重ねていきたいと思っております。
大島(令)委員 古屋副大臣、知事と村長が、やはり理解を国民に求めてほしいからこういう予算編成にしたとおっしゃいますけれども、この中身は、教育委員会を通して委託事業、この中身に関して見ますと、教師向けの教材とかがあります。そして、五万三千カ所に発送という委託費もあります。五万三千といいますと、全国の小中学校の数、高校も足しても余る数だと思います。この学校の教員向けにこれらのPRの教本を配るということは、私は、教育というのは公平でなければいけないという、教師にとっても困ることだと思います。
 まず、ここにありますけれども、旭川学テ事件の最高裁の判決でも、誤った知識や一方的な観念を子供に植えつける内容の教育をするようなことは憲法二十六条、十三条の規定からも許されない、こう言われているわけなんです。その最高裁の判決を考えるならば、まだ原子力を基軸とするエネルギー政策は普遍的な真理でもなく、争う余地のない科学的真実もまだないわけなんですよね。というのは、現に国民世論を二分し、いろいろなところで反対の住民投票が起こっている。まだ確立されたものではない。現にやはりジェー・シー・オーの臨界事故ですとか、いろいろなところで事故が起きているわけなんです。
 こういうものに対して、一方的に推進だけを言うのはいけないわけなんですよ。学校というのは、やはり公平中立、公正さが保たれなければならない。その教育現場の中に、では推進だけの副読本をつくるんですか、大臣。
平沼国務大臣 まず最初にお断りをさせていただきたいのは、我が国のいわゆるエネルギーの基本政策、その中に原子力発電というのは入っているわけであります。これは基本政策であります。そして、言うまでもないことですけれども、それは安全性を担保しなければなりません。これは安全性を確実に担保するということが前提で、その努力をしているわけであります。
 今お話の中に、完全な形になっていない、まだ結論が出ていない、こういう御指摘がありました。私は、科学技術ですとかそういうもので、完全、パーフェクトなものはあり得ないと思います。その中で、いかにより完全に近づいて安全性を担保する、それが我々人類に課せられた課題だと思っています。
 したがって、そういう意味で、一方的に悪いことを教育の場を通じて教育するということじゃなくて、やはり国の基本的な政策の原子力、それを、国として安全性はこういった形で一生懸命担保していますと。また国にとって今現実の問題として、今日本というのは、資源というのは自給率が四%です。その中で、例えば我々が日常本当にエネルギー源として使っている電力の四割は実は原子力発電で賄われている。確かに事故、故障等はあるわけでありますけれども、それをいかに起こさないか、そういう仕組みを、どうやって我々は取り組んでいるのか。
 ですから、そういう問題点も含めて、国民の皆様方に国の基本的なエネルギー政策というものをいわゆる理解をしていただく、そのためにやることでありまして、決して間違った、そういう誤ったことを押しつけてやるという形じゃなくて、正しい理解を求める、そういう観点で我々は予算計上をさせていただいている、どうぞそのことを御理解いただきたいと思います。
大島(令)委員 ジェー・シー・オーの事故でも二人亡くなりまして、国道が閉鎖されまして、やはり非常な危機感を住民の人たちは持っているわけなんですよね。
 私は、一昨年の臨時国会でも、国が出しているパンフレットは安全とか安心ばっかり書いてありますけれども、こういうふうに危険だという言葉がほとんどないと。やはり、事故が起きるということは危険ですよね。では、私たちが車の運転をするといったとき、ブレーキを押せば必ず車はとまる、安全だ、そういう安全性が担保されているから私たちは車のハンドルを握る。原発の中ではまだそういうものが一部欠如しているのではないかということが、やはりこういう大きな配管破断事故のあらわれだと私は思うわけなんです。この辺は見解の相違だと思いますけれども、やはり私は、危険ということも力を入れて説明する義務が国にあると思います。
 時間がございませんので、次の質問に移ります。一つ飛ばしまして、プルトニウムの海上輸送について質問をいたします。
 プルトニウムは、核拡散防止条約におきまして、IAEAの保障措置の対象になっているということは言うまでもございません。
 カリブ海の島国ドミニカ共和国は観光が重要な産業となっております。ドミニカ共和国は、第五十二回の国連総会におきまして、現在さまざまな国際会議や国際機構の場で核エネルギーの使用について論争中である。国際的合意の一つでは、核廃棄物の海上輸送による環境と公衆に与え得る損害を規制している。ドミニカ共和国は、その大きな部分を陽光の海の観光業に頼っております。海の水質は開発部門にとって決定的に重要であり、いかなる損害も、たとえ故意でないものであっても、核物質はこの重要な国家の経済部門に相当な打撃をこうむらせる可能性がある。我々は、必要な防護策を講じることを国際社会の良心に訴えますと発言しました。
 これを受けまして、パナマの議会には、放射性物質輸送禁止法案、仮称パナマ運河法案というのが出されました。以下、少しだけ引用します。
 国家の安全に対し有害である高放射性物質及び放射性毒物の輸送は、中略、パナマ領海及び排他的経済水域の通過を禁止することを宣言するという内容の、核物質を運搬する船はパナマ運河を通させないという法案が提出されております。
 で、大臣に伺いますけれども、日本の原発での使用済みの核燃料や、再処理されたプルトニウムMOX燃料の運搬が、フランスや英国から地球を半周以上も回って日本に今運び込まれ、また送り出されているわけなんですね。この過程で、沿岸諸国の人々にこのような法案を出させるような脅威をやはり与えているわけなんです。大臣は、今のような、カリブ海諸国の法案を提出するところまでに至った、この日本の外国に頼らなければならないプルサーマルの現状についてどのような御感想をお持ちでしょうか。
 そしてもう一つ、私は外務省の軍備管理・科学審議官に伺いたいのは、万が一海上で事故が起きた場合、日本政府はどのような対応を考えているのか、二点質問をいたします。
平沼国務大臣 確かに、パナマの議会でそういう法案が提出されて、そしてそれが否決されたということは承知をいたしております。
 我が国におけるエネルギーの安定供給の確保のためには、どうしてもプルサーマルを初めとする核燃料サイクルの確立が必要です。それは、日本というのはもともと天然のエネルギー資源を持っていない国であります。したがって、発電過程で発生するプルトニウムというものを有効利用するということが、二十一世紀のエネルギー事情を考えたときに、私は国としてやはりどうしても必要なことだと思っています。
 MOX燃料の欧州からの海上輸送に当たっては、極力我々も最大限努力をしておりまして、国際基準を十分に満たすなど、安全性に万全の配慮を払っているということを御理解いただきたいと思います。国際基準は、例えば国際海事機構でありますとか国際原子力機関、そういったところで細かく規定されたそういう規定どおりのことをやらせていただいています。
 政府としても、輸送に関する沿岸の諸国、今ドミニカ、そういう御指摘がありましたけれども、理解を得るために努力を継続して行っておりまして、輸送を実施する事業者も、本件海上輸送に関心を有する沿岸諸国に対しては、安全説明を行うなど、一層の理解を深める努力をしております。
 これまで二回のMOX燃料の輸送をいたしました。一九九九年、二〇〇一年、このときはパナマ運河は使用しておりませんけれども、二回実施をいたしました。プルサーマルの実施の準備、そういった形でこれからもやっていくわけでございますけれども、私どもは、そういう沿岸諸国の皆様方に、ちゃんと国際基準を満たしている、安全をしっかり担保している、そして、政府や事業者による重ねてのしっかりとした取り組み、そういったものをしっかりとPRさせていただいて、理解を深め、日本のエネルギーのためにそれを実施させていただきたいと思っています。
宮本政府参考人 お答えいたします。
 まさに今大臣からお答えのとおりでございまして、私どもも日ごろから、沿岸国政府関係者との意思疎通は頻繁に行わせていただいているというつもりでございます。
 なおかつ、万が一、これは事故がないようにするというのが大事でございますので、そのために最大限の努力をしているということでございますが、万々が一事故が起こった場合には、沿岸国政府との連絡体制もすぐつくようになっておりますので、私どもとしても、英仏両国も関係してまいりますので、そういう中で、緊密に連絡をとりながら誠実に対応するということかと思います。
 ちなみに、二〇〇三年にIAEAで輸送に関する国際会議が開かれますので、そういう場を通して、関係国との間の相互理解、意思疎通をさらに強化していきたいというふうに思っております。
大島(令)委員 時間が参りました。限られた時間の中で用意したものすべてを質問することはちょっとできなくて申しわけなかったと思いますけれども、私が最後に一言申し上げたいのは、日本の原子力政策、遠い外国にまでゆだねられなければいけない。また、プルトニウムというのは、アメリカの国防省でもやはり核兵器と同様の扱いをしているわけで、IAEAという機関が日本に査察にも入る。いろいろな、イランや北朝鮮でもそういう核査察の問題もあります。それと同様のものがやはりプルトニウムであり、プルサーマル計画である。そして、本当に原発は、廃棄場所がなければトイレのないマンションと同じということで、原発の隣に使用済みの核燃料を置いて、そして、置く場所がない六ケ所でも、核燃料のプールからの水漏れもしているというところで、私は、だんだん破綻を来しているなということをやはり感じております。
 こういう意見にも耳を傾けていただきまして、私は、大臣、仕事に当たっていただきたいということを申し添えて、質問を終わらせていただきます。
谷畑委員長 栗原博久君。
栗原委員 平沼大臣さん、そしてまた古屋副大臣さん、大島副大臣さん並びにお二方の政務官、我が国の通商産業政策に怠りのないように日夜御努力されていることについて、まず敬意を表します。
 先ほど大臣から所信表明がありまして、特に、経済活性化に向けての我が国の産業の競争力を何としても強化せねばならぬ、また、産業空洞化の中におきまして、高付加価値の分野までが海外に移転することのないようにまた努力するというようなかたい決意があり、そしてまた、中小企業につきましては、極めて厳しい環境下の中で、それの対策に万全を期すという御決意が御披瀝されましたので、私も大変安心はいたしておるところであります。
 しかしながら、きょうもデフレ対策が政府で決められているようでございますが、戦後我々が経験したことのないデフレ経済下の中で、特に中小企業の方々が苦しみあえいでいることは、もはや大臣は御承知であるかと思っています。
 かつて、一八七七年、西南戦争で松方デフレ、そしてまた、一九二〇年から一九三三年におきます間の昭和恐慌のデフレですね。戦後では、ドッジ・デフレで、わずか一年間で朝鮮戦争が始まって収束したわけですが、かつてこれらのデフレを見ますとすべて、特に産業の中心は当時農業でございましたから、農業は在庫がききませんから、当然需要が減ると急激な価格の低落を起こすということで、その中でのデフレでありました。
 しかし今日は、農業中心から工業製品中心に移り、あるいはまたサービス産業中心に移りまして、わずかの価格が下落いたしましても生産量や雇用量につきましての量的な調整がなかなか厳しくなってくる。ですから、長期にわたってこのデフレが続きますと、我が国の経済は大変な状況下に置かれると私は認識しております。
 申すまでもなく、今回のデフレは資産デフレ、バブルがはじけまして、一説によりますと千五百から千六百兆円ぐらい資産がなくなったとか、あるいはまたフローデフレで、中国からの安い品物などが我が国の国内産物の価格を下落させて、それによって雇用がやはり厳しくなってくるような、このような二つのデフレ要因があるようなんですが、こういう中で、不良債権問題などがありますが、この不良債権処理をこのデフレのもとで一層断行しますと、不良債権というのは銀行の問題でございますが、デフレが大変強まるんじゃなかろうかという私は懸念を持っております。
 そういう私の考えは間違っているかどうかわかりませんけれども、特に今、国民がデフレについて極めて関心があり、かつまた脅威を感じているわけでありまして、我が国の通商産業施策の第一人者であり、また一番の大御所であります平沼大臣から、私どもの日本のこのデフレの実態をどのように把握されているか、そしてこのデフレから脱却するためにはどのような処方せんを大臣としてお考えであるかということについてひとつお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 午前中の答弁の中でも申し上げましたけれども、今日本は、物価水準がどんどん下がる、また雇用も戦後最高の失業率を記録する、さらには企業の収益性が悪化し、また設備投資も鈍化する、そして土地、株も下がる。こういう形でまさにデフレの状況に入り、このまま放置しておくとデフレスパイラルに巻き込まれる、そういう今厳しい状況だと思っています。
 そういう中で、やはり一つ、小泉内閣としてこれは至上命題として進めておりますのが、今御指摘の不良債権の処理であります。
 確かに、不良債権を処理するということに伴って、企業のあるいは撤退ですとか、そこでまた失業が生まれる、そういう可能性もあるわけでして、それに対しては適切なセーフティーネットを張っていかなきゃいけない。
 したがいまして、そういう中でやはり、バブルがはじけて以来ずうっと解決できなかったこの不良債権処理というものはどうしてもやっていかなきゃいけない。そのために、足元の対策と中長期的な対策を同時進行で私はやる必要があると思います。
 ですから、足元の対策としては、意欲があって潜在力のある中小企業、こういったところに対してはやはりしっかりとしたセーフティーネットを構築してさらに活力を出していただく、そういう短期的な措置をする。あるいは雇用に対しても、これは厚生労働省の所管ですけれども、やはりしっかりとした雇用が維持できる、その件で最大限の努力をする。しかし、それだけではこのデフレというものは克服できません。やはり経済を大きく伸ばして、そして経済の隅々までお金が行き渡るような、そういう中長期的な視野に立った積極策も必要だと思います。
 そういう中で、経済産業省といたしましては、やはりアメリカというのは、七〇年代、八〇年代、三つ子の赤字で大変な苦境に立っていたときに、やはり構造改革をやり、積極的なイノベーションを起こして、そこに雇用を吸収し、新しい産業で産業の拡大を図ってきた、こういう事例があります。
 ですから、私は、日本の産業ポテンシャリティーというのは決して失われていない。したがって、新しくイノベーションによって業を起こして、そして日本自体の本来持っている力を伸ばしていく、そういう中長期的な施策が必要だということで、昨年の秋にも、皆様方の御賛同をいただいて、新しく企業を立ち上げる、そのためにインセンティブを与える法律もつくらせていただきました。
 それから、日本の東京だとか首都圏だけがそれで活性化しても始まりませんから、地域からやはり活性化していかなきゃいけないということで、先ほど来御議論が出ております地域産業クラスター計画、こういうことで、産学官連携の中で、やはり地域に根差して、地域の特色を生かしながら、そこから新しい産業を創出し、雇用を生み出し、そして技術革新によってさらに力を得ていく、こういうことを中長期的にやる、そういう視野で取り組んでいるわけであります。
 それから、フロー、こういうお話がありました。これは、確かに中国が人件費において日本の二十五分の一とか三十分の一。したがって、今、言ってみれば、日本の横に宇宙に例えればブラックホールのようなものがあって、みんな吸い込まれるというような状況になっています。
 しかし、私どもとしては、これも何回も申し上げておりますけれども、一九七三年にやはりイノベーションを起こして第一次の空洞化を防いで、そして経済を拡大した。こういう実績を持っている国ですから、やはりそういうフローのデフレに対しても一歩先にいくという中長期的なそういう政策を力強く打ち出すことによって私はデフレを克服していく。
 そういう中で今、小泉改革は、改革先行プログラム、そのプログラムの中で四百五十のものを列挙しまして、既に七〇%はもう始動している、残りの三〇%はまさに緒についている、こういう形で総合的にこの問題に対処をする、こういうことでございます。
栗原委員 先ほど大臣は所信表明で、高付加価値の産業を起こすということで、ぜひひとつそのことで御努力を賜りたいと思います。
 今、中国の話を大臣なされましたけれども、中国に行く日本の企業は大変ふえておりますし、それに国内の特に中小企業の方々が大変困って、そこに働いている方は困っておるわけでありまして、中国では人件費が日本の二十五分の一と言われておりますし、あるいはまた、産業インフラにおきましても、電力が三分の一だと、こうなりますと、貿易立国日本を脅かす重大事態に私は至っておると思うのですね。
 今後このまま続きますと、ある人が、二年以内に貿易収支も経常収支も赤字に転落してしまうというようなことを言っている方もおられる。そうなれば当然やはり、かつてアメリカの双子の赤字じゃございませんけれども、こういう状況になりますと、我が国日本の国際的な信用力が低下いたしますし、そして、それによってまた長期金利が高騰したら、株安、円安が続くと、逆に今度は輸入がどんどん高じてまいって、国内産業が、残っている産業が少なくなっていく。
 さらにまた、外国から輸入産品が入ってくるということで、自滅的な結果にならないために、今固い決意を実はお聞きして私も安心はしておりますが、こういう中国からの産業空洞化に対しまして――私、実は新潟県の三条でございまして、地場産業集積地帯であります。やはり新しい産業を求めながら、あるいはまた労賃が安いものを中国に求めながら行っておりますが、引き続きやはり自分の足を引っ張ることになっている業界もあります。
 ですから私は、今必要なことは、やはり伝統産業、あるいはまた手づくりの、やはりグレードの高いもの、こういうものはやはり日本のものの方がいいんだと。日本の品物を買おうというバイ・ジャパン運動というものを、私も三条で、バイ三条というんですよ、三条は三条のものを買いましょう、三条でつくって三条で買いましょうという運動を起こしているんですが、やはり中国産品と日本のものがどちらがいいかというならば、この席で言うのは大変ですからこれ以上言えませんが、ただし、自分の国でつくっているものはすばらしいという愛国心と同じようなもの、誇りがなきゃならぬと思う。そういう国民的な運動が私必要だと思いまして、それがやはり国内産業を守ることだと思っております。
 こういう中で、産業空洞化に対してさらにどのような対応をされるか。特にまた模造品が、中国の中でも模造品が大分横行しているようですが、逆に今度は日本にもどんどん入ってくる。一説によりますと、日本の企業が中国で生産する二〇%から三〇%に値する模造品が出ておって、そして模造品でこうむる被害は、総額で七、八千億円の損害を国内企業が、日本の企業が受けているようなこともあるんですが、これが日本にまた逆に入ってくることもあるでしょう。こういう模造品対策をどのようにするか。
 もう一つは、伝統産業ですね。我が国も百七十八ぐらいの伝統産品がございます。営々と昔から引き継いで、手づくりでありますね。そういう伝統産業そのものも、産業空洞化に、中国から押し寄せてくる類似品によって今破壊されようとしております。
 昨年度、伝統産品の法律改正で、足腰の強い法律をつくっていただきましたけれども、それでもまだ足りないような気がいたしますので、これらについての御所見をひとつお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 中国の市場が巨大であって、空洞化が深刻な問題になっているということに関しては、先ほどの御答弁でちょっと触れさせていただきました。
 そういう中で、私どもは、グローバル化の中で、中国を全部否定するわけにはいかない。やはりお互いに補完関係に入って、お互いに相補い、相助け合って、そしてともに発展していく、そういうことを構築していくということが私は基本だと思います。
 その中で、先ほど申し上げたのは、その中国に対抗して、日本はまだ産業力、技術力がありますから、それを付加価値として高めて、さらにイノベーションを起こして、そして一歩先を行く、そういう政策をやっていく、そのことが重要だということを申し上げました。ですから、そのことに私どもは広範に取り組んで、そしてその空洞化に対処をしていく、このことで私どもは努力をしていきたいと思っております。
 それから、模造品という問題があります。これは確かに深刻な問題になっておりまして、私は、二十一世紀というのは、これからいかに知的財産権を保護するか、このことが重要なポイントになると思います。したがって、アメリカなんかは、そういう意味では非常に問題意識を持って、八〇年代ぐらいからそういうことに取り組んで、成果が上がってきています。
 ですから日本も、知的財産権をいかに保護するかというその観点で、やはり特許庁の体制であるとか、あるいは法体系でありますとか、そして、中国が今度はWTOに加入をしました。同じ土俵の、そういう貿易体制の枠組みに入りましたから、その中を通じて、やはりそういういわゆる知的財産権の保護というものを私どもはしっかりと担保していかなきゃいけない。今、そのための体制というものを経済産業省は、特許庁も含んで、広範に取り組んでいるところであります。
 私もどことは申しませんけれども、例えば、日本の有名なブランドとほとんど見まがうようなオートバイなんかが世界の中で走っているようなんですね。ホンダだと思ったら、その間にGが入ってHONGDAなんというのが走っておりますし、これはソニーの電気製品だと思ったら、Yの下の棒がなくてSONVというので通用しているわけですね。
 ですから、そういうものの被害というのは非常に大きなものがありますから、やはり知的財産権をきちっと守る。そのためには、お互いの共通の土俵の中できちっと言うべきことは言い、そして守ってもらうべきことは守ってもらう、こういう体制が私は必要だと思います。
 それから、伝統工芸に関しましては、こちらから御返事をする、そういうことになっておりますけれども、伝統産業というものもやはりしっかりと私どもは守っていかなきゃいけない。そのためには、やはり皆さん方が、伝統産業の皆さん方は非常に努力をそれぞれしていただいています。しかし、その努力の及ばないようなところがある。しかし、そういう意味では、やはりそこのブランドというもの、それはだれしもが認めていますから、それが消費者にわかるようなシステムをきちっとつくることも私は一つの方法だと。そういうものをやはり確立する、そういうことも必要だと思います。
 あとのちょっと答弁に関しては、よろしいでしょうか。
栗原委員 よろしゅうございます。実は時間がないので、私は、申し上げることだけ申し上げさせてください。
 今、セーフティーネットということで大変な御努力をされております。しかし、私、ちょっと今保証協会の資料を見ましたら、平成十一年の十二月に保証残高が四十三兆三千二百五十億が、十三年の九月には三十八兆七千三百三十四億ですね。この間約一〇%保証残高が減っているんですね。今このようになかなか融資の厳しいときに、保証残高そのものが減っていること自体が私はやはり問題だと思いますよ。これは、ぜひひとつ大臣、よろしくお願いします。
 それから、先ほど塩川さんも言っておったようですが、当然、信用組合、信用金庫にもう少し、やはり大手銀行と違う角度でこのような検査体制をしてもらわなければなりません。
 例えば、今、銀行の方のお出しになった資料を見ましたら、平成十一年の三月から平成十三年の九月の間に、地方銀行の貸出額は一六%減っております。信用組合が一五%、信用金庫は約一〇%。ということは、中小企業がいかに資金繰りに困っているかだと思うんですよ、この数字から見ても。
 私は、さらに、例えば中小企業は手形を発行しておりますから、最近の手形の発行度合いを見ましたら、十年前に比べて、例えば一九九〇年には手形発行高が四千八百兆円だったですね。四千八百兆ですね。(発言する者あり)失礼しました。一けた間違えました。それで、さらに、その十年後にはその約四分の一ぐらいなんですね。
 私は、手形発行高がこのように減っていることは、結局これは銀行が手形割引してくれないという点もあると思うんですよ。商工ローンとか何かなくなったから手形発行数が減ったといえばそれまででありますけれども。
 私の友人なんかが、手形をもらっても、銀行でもう手形を割ってくれないと。ならば、今私が申し上げたとおりに、地方銀行がこのような状況であるならば、やはり政府系金融機関で手形を割り引くような、そういう制度も私はどうしても必要だと思いますので、これについてもし御答弁願えたら、ひとつぜひ。
平沼国務大臣 確かに手形のそういう割引というのは率が減っています。
 政府系金融機関では、先ほどもちょっと答弁で言いましたけれども、商工中金はこれをやっておりまして、一兆に近いオーダーの手形割引をやっています。さらに、今のデフレの、早急に取り組むべきデフレ対策の中で、やはり手形の扱いをふやすようにという、私どもはそういう政策を盛り込ませていただきました。
 そしてもう一つ、中小企業金融公庫等は、法律上、手形割引ができない、こういうことですから、そういった窓口で積極的にやる。それから売掛金債権のいわゆる保証制度の中も手形が含まれておりますから、そういう意味で積極的に対応しなければいかぬと思っています。
栗原委員 よろしくお願いします。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 先ほど大臣の御所信を承っておりまして、大変厳しい御認識で経済産業政策をリードしていかれる、当然のこととはいえ、大変御苦労さまだというふうに思います。
 私は、この間、予算委員会で、平沼大臣がドーハのラウンドを立ち上げるのに大変な御努力をされたということを申し上げたわけでありますけれども、これはもう一度この場ではっきり申し上げておきたいと思いますけれども、あのときに大臣が、WTOの決裂を目前にしてといいますか、そういう厳しい状況の中で、本当に夜に日を継いで、日に夜を継いで非常に頑張られた。その結果、中国WTO加盟、台湾WTO加盟、ドーハ・ラウンドが立ち上がった。このことが日本経済に与えるよい影響は必ず出てくるというふうに私は思っておりまして、改めて、大変御苦労さまでございましたというふうに申し上げたいと思います。
 そこで、早速通告に従ってお尋ねをさせていただきたいと思いますが、まず初めに、政府参考人で中小企業庁長官においでをいただいております。きょう、既に先に質問に立たれた皆様から同様の御質問がございましたので、議事進行上、割愛をするべきかと悩みましたけれども、やはり違う角度からお尋ねしてみる意味もあろうかと思ってお尋ねをするわけであります。
 実は、昨年の十二月十七日に、鳴り物入りでと言って私はいいと思いますけれども、売掛金債権を担保にして二兆円の枠を用意して、これを日本に根づかせていこう。それにはアメリカの七兆から八兆という実績が既にある、こういうものを踏まえてなさったわけでありますけれども。
 その際に、私は何度も申し上げておいたと思うのでありますけれども、やはり譲渡禁止特約というものを解かない限りこれの使い勝手は決してよくないというふうに、私もいささか実務に携わった経験もありますから、このことについて何度も申し上げてきたと思うのですが、案の定、いろいろな情報に接すると、三億円程度の実績しかまだ上がっていないというような時期に私はそのお話を伺って、大変残念な思いであります。
 伺うところによると、今夕、経済財政諮問会議に政府から報告をされるペーパーの中に、これがさらに積極的な活用ということをうたわれているというようなことを漏れ聞いておりますけれども、まだこれは発表前のことだから、それはこっちへ置くとしても、いずれにしても、経済産業省としては、このことを大きな政策の目玉としてスタートしたはずなのでありますから、この問題をしっかりやっていただきたい、こう思うわけであります。
 したがって、今の実績はどうかとか、そういうことはもう既にお答えをいただいているのでございますので、この譲渡禁止特約をどうするかということをずばり長官に伺いたいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 売り掛け債権の保証制度、これを積極的に活用していくためにはいろいろな課題があると存じます。その中で、今先生御指摘がございました、特に国あるいは地方公共団体、大企業、そういった向けの売り掛け債権の譲渡禁止特約を解除するということは非常に大きな課題だと存じております。
 私ども、平沼大臣からも、この譲渡禁止特約の解除といいますか、売り掛け債権担保融資保証制度を活用する場合にはこの譲渡禁止特約はかからないというような対応にするように、国、省を挙げて全力を挙げよという厳しい指示を受けてございます。
 私ども、まず幹部から各省庁に対しまして、各省庁の物品調達に伴います売り掛け債権、あるいは所管の特殊法人、こういったことに対してこの対応を強く要請するようにお願いをしてまいっておりますし、引き続きそういったことは強力にやっていきたいと考えております。
 実務にわたって恐縮ですが、一つ二つ具体的な例を申し上げますと、例えば中小企業庁におきましては、中小企業庁が調達をいたします物品、これへの売り掛け債権につきまして、この担保保証制度を使う場合にはこの特約の例外とするというような対応を既にいたしました。経済産業省全体におきましても、今同じような対応をすべく検討を進めておりまして、早急にそういった対応をしていただくというふうにしたいと思っております。
 また、これも実務的で恐縮でございますが、省内に実務家レベルの連絡委員会というのをつくりました。そこで私どもの方から、各担当部局におきまして、所管をいたします産業界、業界に対しまして、主として大企業向けの売り掛け債権になると思いますが、それについて、譲渡禁止特約、これを売掛金担保保証制度に使う場合には、その特約を解除してもらうようにというような働きかけをそれぞれの業界にするようにということも担当部局にお願いをいたしておりまして、そういったことを一生懸命やることによってこの積極的活用の実を上げたい、大臣の御指示に沿いたいというふうに考えているところでございます。
西川(太)委員 細かいことで恐縮ですが、今長官、御答弁の中で大企業向けとおっしゃった。大企業から小規模中小企業に対しての支払いという意味じゃないんですか。そういう意味ですね。ちょっとこれ、速記録に残っちゃうから直して。
杉山政府参考人 私の説明がちょっと悪かったかもしれませんが、中小企業が大企業に対して持っている売り掛け債権、そういう意味でございます。
西川(太)委員 大変重要なことだというふうに思いますし、また積極的に対応していただけるということで心強く思いますが、おっしゃるとおりなんですね。
 国とか地方自治体が、いわゆる官需としていろいろな経済行為があった、その代価として支払ったもの、これがいわゆる譲渡禁止特約がかかっている。これは従前から、いわゆる債権の保全という観点から、商行為を保証する、法律上大変重要なシステムであることは私もよく承知をしています。しかし、それがせっかくこういう知恵を出してやっているのにあだになっている。
 これは私は、アメリカで八兆円も成功しているという前例をもう少し詳細に研究をしてやれば、彼我の法制度の差というものはそんなにこの点についてはないわけでありますから、もっと積極的にできたのだろうと、ここは反省点としてぜひひとつこれは受けとめていただいて、早速政府、それから地方公共団体、それから経済産業省が、先ほどの御答弁のとおり、よい意味で影響を行使できるそういうセクターに対して早くやってほしい。
 なぜかというと、もう二カ月たっているんですよ、これが出てから。それで三億円ということでは、何をやっているのか、こういうことになりますので、どうぞひとつそれは、くどいようでありますけれども、ぜひこのことを頑張っていただきたい、こういうふうにお願いをしたいというふうに思います。
 大臣、恐縮でございますが、これをぜひやる、こういうふうにぜひお願いします。
平沼国務大臣 今、中小企業をめぐるそういう資金、そういう資金繰りというのは非常に厳しい中で、私どもは、最大限努力をして早急な普及に努めてまいります。
西川(太)委員 ところで、昨日の予算委員会で、私は大臣に、中小企業向けの新たな金融のシステムというものを開発する必要があるんじゃないのかと。それは、バーゼル協約を批判したり、それからいろいろなことを改善していくということはもちろんやらなきゃいかぬし、また、聞くところによると、五年後の二〇〇五年のバーゼル協約の見直しについては、中小金融機関の自己資本比率についてはもう一度見直しをしようという機運もあるように聞いております。そういうことも大事だと思います。
 それから、金融庁の検査マニュアルの問題についても、これは十二日の予算委員会で伺いましたけれども、そのときに時間がなくて言えなかったのでありますが、私は、検査の前、検査の途中、検査の後の検査官のチェックというのが非常に大事だというふうに思います。
 これは質問じゃなくて意見として私は申し上げるわけでありますが、折があったら、これはぜひひとつ杉山長官からでも、また大臣からも金融庁に、また古屋副大臣、大島副大臣、両政務官からも、いろいろなルートを使って、ぜひ陳情なり、その是正を求めてほしいと思うのですけれども。
 検査官が行くでしょう。行って、そしてこれは要管理先だということを向こうの銀行員、金融マンが認めないと、何回も何回も、それがそうだということを認めるまでもう何度も何度もやるということを現場の声として聞いてきました。そういうときに、何であなたたちは金融庁にそういうことを申し立てないのかと、異議を。そうすると、語弊があるけれども、後難を恐れるみたいなことを言うわけですよ。後でどんな仕返しを受けるかわからないようなことを言うわけですね。
 だから、そこで、それは決裁力のない者同士が話し合えばそういうことになるだろうから、例えば金融機関側の決裁力のある人と、責任者と、金融庁側の上級職にある者が話し合って、こんな不条理なひどい検査というのはないですよ、これは中小企業基本法違反ですよ、検査マニュアル違反ですよということがはっきり言えるような、そういう段取りをしっかりと、検査前、検査中、検査後にやったらどうかということを、ぜひひとつこれは提案をしたい、こう思います。
 そこで、本題に返ってさっきの、大臣にきのうの予算委員会でお尋ねをした問題でございます。
 それは、あのときに大臣も、いわゆるデータベースで、そういうものをきちっと活用して、円滑な資金供給ができるような努力をしているのだから、そういうものをみんなが活用してやれという趣旨の御答弁をいただきました。全くそうだろうというふうに思うわけであります。
 もう時間がないので、大演説して恐縮でありましたが、要するに、もう一回言いますと、もうはっきり言いますと、三洋電機の子会社で三洋クレジットというのがあって、その子会社で三洋倶楽部というのがあるのです。ここは、もう既に三百億ぐらい融資実績がある。お医者さんのようなところには上限三億円ぐらい貸すのですね。それから美容院だとか床屋さんのようなところには、業種が限定されているのですが、五千万ぐらいまで貸すのです。金利は七%から八%台の後半を取るわけでありますけれども、結構クイックレスポンスができて、個人保証だけで貸しているのですよ。
 こういうものを、例えば大手の自動車会社が自動車ローンで、ある種の与信能力に似たようなものをその周辺で持っているわけですから、こういうものを活用したりしてやっていくということが、緊急的に今の貸し渋り、貸しはがしというものを議論することも大事だけれども、一方で、そういうものによらない、いわゆる自己資本比率に縛られない、こういう世界をつくっておくことが必要なんじゃないか。
 しかし、誤解のないように申し上げておきますけれども、それは、商工ローンを推進しろなんて言っているのじゃない。二六パーとか二九パーなんという高利の、そんなものに走らせてはいけないから、それで、審査が厳しくて借りられないということを救わなければいけないから。そして、これもまことに、先例として世界を見れば、アメリカでFCという形でやっているわけでありますから、これをぜひ育てていくといいますか、こういうことが必要だろうと思うのです。
 ついでに言うと、これはかわいそうだから銀行の名前は言いませんけれども、れっきとした銀行が、九%の金利で貸して、手数料を上乗せして、実質一三%なんかで取っているわけですね。こういうようなことを喜んでいるようではしようがないので、早くそういう、銀行ではないけれども、確実に貸せるというようなセクターを日本でも育てる必要があると思います。
 これを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
平沼国務大臣 今のお話、実例も出していただいてお話をいただきました。きのうの御答弁でも申し上げましたように、限られた融資の選択肢しか持っていない中小企業にとっては非常にいいシステムだと私は思っています。
 そういう意味で、今ちょっとお触れになりましたけれども、我が経済産業省も、中小企業庁を中心として、いわゆる信用リスクデータバンクというのをつくって、七十万件ですけれども、今そういうデータを集積しています。ですから、そういったところも利用していただいてクイックレスポンスでやる、そういう選択肢をふやすことは非常にいいことだと思いますので、私どもは、できる限りそういった方向を伸ばすようにまた努力もしてみたいと思っています。
西川(太)委員 ぜひ、現下の厳しい状況の中で、経済産業省は大いに力を発揮して、大臣、副大臣、政務官、そして幹部も頑張っていただきたい、こう思います。
 まだ時間が余っていますけれども、議事進行に協力して、以上で終わります。
谷畑委員長 福島豊君。
福島委員 大臣、御苦労さまでございます。あと私を含め二人でございますので、最後までよろしくお願いいたします。
 まず初めに、日本経済の再生のシナリオをどう考えるのか、そういうことについて大臣の御所見をお聞きしたいと思っております。
 最近出版されましたクルーグマンの本ですが、この中ではこんなことが書いてございます。この期に及んでも、小泉政権の政策の中身は全くあいまいで不確かなことだと。別にクルーグマンに言われたくないというふうに思うわけでございますが、大変閉塞感が漂っております。その中で、国民に対して、日本の経済はこうなっていくという明確なメッセージを発信するということが大切ではないか。
 二つ柱があると思います。一つは、後ろ向きの処理ということでございまして、債務過剰企業をどうしていくのか。例えば、具体名を挙げると差しさわりがございますけれども、何遍も仕切り直しになっているような再建計画というものもあるわけでございまして、こういう事態というものは、国民に対しても大変大きな不安を与えている。そしてもう一つは、産業構造の転換ということが言われながらも、それをどのように進めていくのかということについても、あいまいなままではないかということが言えるのではないかと思います。
 税制に関しての抜本的な議論ということが始まっておりますけれども、思い切った投資減税というものを進めていくとか、そしてまた官民の役割分担を進めていくとか、いろいろな考え方はあろうと思うのです。
 この後ろ向きと前向きとを含めて、日本経済の再生のシナリオはこうなっていくのだということを明確に国民に発信をしてほしいと思いますし、この点についての大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、後ろに向かって処理しなければならない問題、これは最大の問題が不良債権の処理でありまして、これは、お言葉にもありましたように何回も仕切り直しをしている。ですから小泉内閣も、小泉総理自身が、不退転の決意でやる、したがって、象徴的な言葉ですけれども、不良債権の処理、それを含めた構造改革なくして経済の成長はないとまで言い切って取り組んでいます。
 これはこれで今金融庁において特別検査に入って、そしてこれから具体的に、先ほど来御議論が出ているように、いろいろな形で、例えば引き当てが不足の場合には、大胆柔軟に対応して公的資金の注入、そういうことまで視野に入ったそういう現実的な対処、これは当然していかなければなりません。
 そして私は、この失われた九〇年代というのを考えてみますと、日本全体が、それは産業界も含めて、私どもの政治サイドもそうですけれども、やっぱりバブルに浮かれてしまって、本来やるべきことをやってこなかったのじゃないか。だから、例えての話、もうこれはせんのないことですけれども、あれだけ七〇年、八〇年という大きな成長があって蓄積があった、その蓄積の上にさらなるイノベーションをして、そしてさらなるそういう産業というものを盛り上げていけば、非常に大きな果実を今もぎ取ることができたと思うのです。ですから、そこの中で日本は怠ってきた。
 アメリカは、そういう中では、例えば知的所有権を守らなければいけない、これを伸ばしていかなければいかぬということで、明確に見える形でプロパテント政策というものを打ち出す。それからやはりIT、情報化というものがこれから伸びるという形でそこのところにも着目して、おっしゃったような税制を含めて総合的な戦略を組んでいった。
 ですから、日本も、失われた十年といっていますけれども、先ほど来申し上げているように、まだまだ私どもはポテンシャリティーがありますから、総合的にやはり日本の――私は、日本の一番得意な分野というのは、いろいろ御批判はあるかもしれませんけれども、物づくりだと思います。その物づくりを最大限発揮させるためのいろいろな角度からの条件整備を戦略的にやることだ、このことをやらなければいけない。そういう形で今もちろん、きょう実は経済財政諮問会議がありますけれども、この経済財政諮問会議の中でも、やはり税制も具体的に目に見えるような形で検討を始めようじゃないか、こういうことが出てきています。
 それから、我が経済産業省のいわゆる政策の中で、地域産業クラスター計画で今言った産業技術を集積し、そしておくれていた産学官の連携で、その産学官が連携しやすいように、既にTLOなんというのも入っていますけれども、さらにインセンティブを与える、いわゆる税制を含めた、あるいは規制の撤廃を含めた、そういうことを全部総合的にやっていく、あるいは、新規産業を立ち上げるためにそういう一連の政策をやっていく、そういう形で、私は、九〇年代に失われていた戦略をもとにした、今度は前向きのそういう日本の青図を描いていく。そのことが見えないから、そういう形で諸外国から批判があると思います。
 ですから、今そういう形で、小泉内閣も、まだ見えない見えないと、こういう声がありますけれども、実は改革プログラムも、四百五十列挙してもう七割手がついている、あとの残りの三割ももう始まっている、そういうことをやはりもっと皆さんに理解していただいて、そして国際的にも評価される、そういう戦略体制をつくる、こういうことで邁進をしなきゃいかぬと思っています。
福島委員 ぜひともしっかりとした取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、デフレ対策、そしてまた総需要対策ということを申し上げたいと思います。まとめて御質問いたします。
 本日の大臣の所信表明でございましたが、デフレ対策ということで金融関係の項目が挙げられておりました。これは、デフレの中で収益が伸び悩んでいる、むしろ逆に減っている、そういう企業に対してはきちっと支援をして、何とかこの危機というものを乗り越えていただきたいということのあらわれだと思います。
 ただ、一方では、何といいましてもやはり需給ギャップというものがある。どうしたら需要喚起することができるのか。ここのところの取り組みというのは、一段踏み込んで、本日政府としてもデフレ対策ということを打ち上げるわけですけれども、次の第二弾として、ぜひともこれは欠かせないものだろうというふうに私は思っています。
 どういう需要を喚起していくのか。先ほどイノベーションというお話がございました。ただ、問題なのは、成熟化した経済の中でなかなかこの需要を喚起するということが難しい。そこに消費者にしても、買いたいものが何もないというような状況があるわけでございます。そういう中で何を開いていくのか。最近言われておりますのは、社会需要というのがあるんじゃないかということが言われているわけでございます。
 これは、昨年からの経済財政諮問会議の中での議論でも触れられている領域だというふうに思います。社会全体が必要としている、しかしながら個々人で買うわけにはいかない、しかしそれがあればみんな幸せだ、そういう需要というものがあると。例えば環境の問題であるとか廃棄物の問題だとか、都市交通の問題だとか、そしてまた高齢者の介護の問題、子育て支援の問題、こういった領域があるんだということが言われてきたわけでございます。
 しかしながら、経済財政諮問会議でいろいろとプログラムには入っているわけでございますが、まだまだ社会需要の開拓ということについてはスピードが遅いと私は思います。もっと徹底してここのところは開いて、経済を活性化するぐらいの力を与えないといけない。今やっています、やっていますと言うだけではやはり足りないんだろうというふうに私は思います。
 環境の問題にしましても、先日私はある会社を視察してまいりましたけれども、コージェネレーション、これはビルですとか地域ですとか大変大きなものはあるわけでございますが、最近は家庭用の小型のコージェネレーション、例えばエンジンを使ったものですとか燃料電池を使ったものとか、いろいろと開発が進んでいます。特にエンジンを使ったものというのは、もう既に実用化がすぐにできるという状況でございます。
 こういうものも、先ほどから大臣おっしゃっておられますように、インセンティブを与えて、そしてそういう需要を喚起していく。これも中途半端なものではなくて、例えばETCも、一定の助成はありますけれどもまだまだ高くてなかなか広まらない。こういうものはもっと目に見えて、ああ安くなったんだな、これやったら使うてみようかというふうに思うぐらいの力を入れないといかぬのじゃないかと。
 例えば、一それをやったときに二、三と需要は広がるわけでございますから、需要喚起ということでこれからさらに政府の中で検討されていくと思うんですけれども、その中で、ぜひとも大臣、リーダーシップをとっていただいて、その社会需要の創出のためにどうするのかという明確な方向性を示していただきたいと思います。この点につきまして御所見をお聞きしたいと思います。
 これは政務官にお答えしていただくということになっておりますので、よろしくお願いいたします。大変恐縮でございます。
松大臣政務官 福島先生にお答え申し上げます。
 まさに先生のおっしゃるとおりであるというふうに思います。
 しかし今、これがすぐ決め手の、需要が物すごく喚起できる、これだというものはこちらが教えていただきたいと思うほど、今本当に私どもも、経済産業省といたしましても非常にその辺は苦労しておりますけれども、しかし、この厳しい経済、社会に対する将来不安ですね、これがある。また、イノベーションの欠如を背景とした需要の低迷が大きな問題となっておりまして、この需要低迷の解決が大きな課題である。これはよく認識をいたしております。
 昨年末にまとめられました産業構造審議会新成長政策部会の報告におきましては、今後大きく伸びるというふうに報告される消費項目としては、おっしゃるように、健康に対する需要あるいは自由時間に関する需要、居心地のよい空間に関する需要などが挙げられております。
 このために具体的な提言といたしましては、イノベーションを多数創出する仕組み、先ほど大臣もおっしゃいましたけれども、産学官の、大学発ベンチャーですね、これなんか、例えば健康に関する需要に関して言いますと、画期的な医薬品の開発、あるいは製造の担い手となりますようなバイオベンチャー企業が多く生まれるような制度の整備、これなども進めてまいります。
 そしてまた、これからは女性の就労というものが大きく問題になってきます。女性の就労がふえてまいります。そうしますと、今残念ながら空き店舗がふえているんですね。空き店舗がふえておりますけれども、その空き店舗に、例えばお母さんたちが子供さんを預けて安心して働いていただけるための保育施設、あるいはお年寄りが居心地よく過ごせるコミュニティーの施設など、こういったものも商店街の活性化にもつながり、また皆様にも喜んでいただける、こういうことで、平成十四年度より積極的に進めているところでございます。今こういうものを売りますということではありませんけれども、これも雇用の創出にもつながるし、私は非常にいい取り組みだと自画自賛をしております。
 当省といたしましても、以上のような取り組みを初め、今後とも、我が国経済回復のためのかぎを握る需要の創造に向けた環境整備に全力を尽くしてまいる所存でございます。
 以上でございます。
福島委員 詳細なる御答弁ありがとうございました。
 先ほども政務官のごあいさつございましたように、女性の視点でというお話がございました。今回、経済産業省の中で女性の政務官として参画しておられるわけでございます。消費をする消費者の半分以上は女性でございます。女性の視点というものは極めて大切だと思いますので、引き続き頑張っていただきたいと思います。
 時間が余りありませんので、先を急ぎたいと思います。
 先ほど、中国をどう考えるのか、そしてまたアジア経済をどう考えるのか。一つは空洞化の危機ということが言われているわけでございます。先般、私、中国のある方とお話をいたしました。空洞化の危機ばかりで守りに入ってしまっては、日本はだめだと。関満博さんの本などを読みましても、大企業だけでなくて、中小の部品そしてまた製造関係の企業が最近は大分進出がふえてきている。そしてまた、基盤技術の提供ということ、非常に大きな役割を担っているんだという指摘があろうかと思います。そして、日本の中で需要が足りないのであれば中国の中で生きていく道もあるじゃないですか、それは日本人の発想の仕方というものを変えてもいいんじゃないかというお話を伺いました。
 日本の国内の産業を守るという視点も極めて大切でございますけれども、一方でそういう形で、特に後継者難で悩んでおられるような企業がどこで生きていくのかというような話もあるんだろうと私は思います。
 ただ、中国に関しては、なかなかその法律がどうなっているのか、そしてまた地元の行政府との関係がどうなっているのか、さまざまなハードルがあるということも事実でございまして、一方ではシンセンテクノセンターのように、日本の企業に対してさまざまな支援を与えているところもあります。こういった支援というものをきちっと与えて、そして、あなたが活躍する場面というのはここにもありますよという意味での道筋をつけてあげる、これはやはり政府がやるべき仕事ではないかというふうに思う次第でございます。この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 先ほどの御答弁の中でも私ちょっと言わせていただきましたけれども、このグローバル化の中で、やはり中国、その関係を考えれば、やはりお互いに補完関係を構築して共存共栄の道を探っていく、これは必要だと思います。
 しかし、一方において、国内の産業をやはり守っていくためには、一歩先を行ってイノベーションを起こしながら、そしてもちろん日本でネックになっている高コスト構造を是正する、このことは努力をしなきゃいけません。そして、高付加価値のものを日本が生み出して、そこの部分は日本が担当する。
 そして、中国というのは、一方においては、十三億と言われている人口でありまして、国民所得もまだ我々の水準に比べれば低い、そういうポテンシャリティーのある国ですから、そういう意味ではお互いに影響し合ってやっていく。そのためにも、先ほど来議論が出ましたけれども、共通のルールの上に立ったWTOに加盟したということは、私ども意味があると思います。
 ですから、そういう意味では、国内のやはり産業を興す。場合によっては日本にどんどん投資してもらうような、そういう環境だって必ずできるわけですから、そういう意味では、先ほど来もう何回も繰り返していますけれども、新しい企業の創出ですとか、地域経済への、いわゆる産官学協同によるそういうクラスター計画に基づいた活性化、そういうことを総合的にやっていく、このことも私は必要なことだと思っています。
福島委員 ただいまわきからも御指摘ございましたが、そういうことを言っていられないよという話もあります。確かにそれは率直な声ではないかというふうに思いますけれども、しかしながら、そこのリスクというものを国が支えていくことによって中小企業の新しい活躍の場をつくる、こういう視点も同時に私は必要だろう、両輪としてこれは進めていく必要があるんだというふうに思っているわけでございます。
 次に、中小企業のセーフティーネットにつきましてお尋ねをしたいと思います。
 先般公明党は、二月二十日でございますが、中小企業のセーフティーネットの確保に関する提言を発表させていただきました。この委員会でも再三委員から御質問のあるところでございますが、七項目挙げさせていただいております。
 一つは、セーフティーネット貸付・保証制度の円滑な運用。二つ目は、特別信用保証制度の返済条件の弾力的運用。三つ目が、売り掛け債権担保融資保証制度の積極的な推進。四が、中小企業債権にかかわる金融庁の検査マニュアルの適切な運用。五は、中小企業向け融資残高の定期的な情報公開。六が、官公需向け中小企業発注の拡大。七が、政府系金融機関見直しの慎重な検討。経済産業省の所管ではない事柄も入ってございますけれども、いずれも大切なことでございますし、しっかりとお取り組みを進めていただきたいと思います。
 重ねてのお尋ねになって大変恐縮でございますけれども、現在のデフレ状況の中で売り上げがなかなか伸びていない、返済するということもなかなか大変である。返済条件の弾力的な緩和ということは、ぜひともこれは進めなきゃいかぬことだと思いますし、先ほども御質問ございましたけれども、売り掛け債権担保融資保証制度についてはより拡大をしていかなきゃいけない、この二点につきまして大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 御党のデフレ対策、これを新聞紙上で読ませていただいて、私が記者会見をして、ほぼ同時でございましたけれども、やはり同じ観点から見ていただいている、こういうことを非常に心強く感じました。
 そういう中で、やはり今中小企業の皆さん方は困っておられますので、いわゆる支払い条件の緩和というのは既にやっております。これは、特別保証に限って言えば十二万件やっているわけですけれども、そこをやはり拡大して、そして、お困りの皆様方に親切に対応して、そこは緩やかにやる、こういう指示を出したところであります。
 それから、売り掛け債権の担保の保証、これは、御指摘のようにまだ二十二件という実績でありまして、ちょうど二カ月たちましたけれども、本当にまだこれが進捗していない。これはいろいろな問題があります。ですけれども、いわゆる譲渡禁止特約、そういったものを解除しながら、さらにPRを進めて、御利用しやすいようなそういう環境を全力でつくっていかなきゃいかぬ、このように思っています。
福島委員 最後に一点、ワークシェアリングについてお聞きをしたいと思います。
 今、個別の企業におきます労使の話し合いの中で、さまざまな取り組みがなされております。これは、ある意味で緊急避難的な対応であろうと。しかしながら、ワークシェアリングの問題というのは、中長期的にどういうふうに日本人の働き方を変えていくのかということにむしろつながっているんだろうというふうに思います。これは女性の視点からも大変大切な課題であると思いますので、松政務官にぜひとも御答弁いただきたいと思います。
松大臣政務官 ワークシェアリングにつきましては、政労使の検討会議が設置されまして、経済産業省といたしましても実務者レベルの検討を行っております。
 現在の厳しい雇用情勢のもとで、特にこれから社会に巣立とうとする若者たち、あるいは、育ち盛りのお子さんを抱えた中高年の方々の雇用が特に落ち込んでいる、厳しい状況が続いております。ですから、こういった方たちを中心として、雇用の安定をいかに図っていくかといった観点からワークシェアリングの検討を進めております。
 しかし、今先生がおっしゃったような緊急避難的なワークシェアリングを中長期に継続しますと、これは、過剰雇用を抱えて生産性が落ち込んだり、労働者の働くインセンティブが低下する、こういうことも考えられまして、企業の停滞あるいは産業競争力の低下につながるおそれがあると考えます。
 このために、労働者の働き方に対するニーズの多様化にこたえ、中長期的に安定した雇用機会、つまり、雇用コストと生産性のバランスがとれた、安定した雇用機会を確保できるような環境の整備を図っていくことがむしろ重要であると考えております。
 いずれにしましても、本年三月を目途に、政労使の間でワークシェアリングの基本的な考えの合意を得るべく、当省といたしましても積極的に取り組んでまいります。
福島委員 以上で終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 宇田川芳雄君。
宇田川委員 各派の御配慮によりまして貴重な時間をいただいて感謝をしておりますが、何分にも限られた時間でございますので、平沼大臣にまたお願いですが、項目を私一括して質問いたしますので、後でまとめて御答弁いただければありがたいと思います。
 まず第一ですが、最近の為替相場の円安傾向を受けまして、輸出の下げどまり、あるいは、物によっては輸出の増加が見られているようでありますが、大臣として、今後の為替相場の動向、どういう状況でお考えになっているのか。そして、今のような円安がずっと続いた場合に、空洞化で苦しんでいる中小企業へのいい影響が期待できるのかどうか、そこら辺のお考えをお答えいただきたいと思います。
 第二点は、中小企業の金融対策について二つお願いをしようと思います。
 一つは、ペイオフを控えまして信用組合、信用金庫の統廃合が進んでおります。その中で、お話がいろいろありましたように、信用金庫、信用組合というのは地域密着型でありますから、長年の人間関係の中で取引が行われてきた。その人間関係を維持してきた取引金融機関がなくなってしまって、そこと取引をしていた中小零細企業が融資の道を断たれているというのを随分たくさん聞いているわけであります。これに対しての対応策はどうお考えか。
 二つ目につきましては、不況の深刻化によりまして、工場会などへ行くと言われるんですが、金を借りて新しく投資するなんてとんでもない話だ、今まで借りている金をどうやって返すかが最大の問題だよ、これはもう先ほど午前中からずっとお話が出てきたことでありますけれども、しかし、金融機関や信用保証協会などに対しては、返済期限を繰り延べるとかあるいはジャンプするとかいうことは、これは次の融資条件を絶対的に抑えていくペナルティーになるわけでありますから、取引者としては、それが怖くて延ばすこともジャンプすることもできなくて、あるいは高利の金を借りてきて何とか押さえつけるというようなことも出てきているわけであります。
 したがって、こういうやりくりを助けてあげるというような意味においても、この際、政府の強力な指導と保証とによって、返済期間の思い切った延長、そういったものを可能にできるような方策を講ずべきだと思いますが、その点についてお考えをお聞きしたいと思います。
 三番目ですが、NOxの規制によりまして、特に東京などは、数年のうちにトラックの改造であるとか買いかえが義務づけられているわけであります。これによって、運送業界や輸送部門の多い企業はもうまさにパニックの状況にあります。国土交通省との関係もあると思いますけれども、中小企業対策の一環として、このNOx規制についての企業の援助といいますか、その辺の対応をどういうふうに考えていらっしゃるか。今お考えがあればお答えをいただきたいと思います。
 最後に、先ほど来、平成十四年度の予算の中における中小企業に対するセーフティーネット、平沼大臣、いろいろお話をされたわけですが、これが我がことしにおける平沼セーフネットの目玉だというものをお持ちだと思いますから、それを一つ取り上げて中小企業に元気をつけてやることができれば、こう思って御質問をするわけでありますが、どうぞひとつお答えをいただきたいと思います。
 以上、よろしくお願いします。
平沼国務大臣 それでは、御質問に順次お答えをさせていただきます。
 まず最初に、為替の円安、そして為替の相場をどういうふうに思うか、こういうことでございます。
 日本は、これだけ多様化してまいりますと、委員も御承知のように、当然いい面と悪い面があるわけです。したがいまして、輸出立国の日本にとっては、円安というのはプラスに作用します。しかし同時に、大変輸入をしております。ですから、そういう意味ではマイナスという効果があります。
 ですから一概に言えないわけでありますけれども、私どもとしては、やはり経済をしっかりとして安定的ないわゆる為替の相場というものを維持するということが長期的に見れば大切なことだと思います。ただ、短期的に見ますと、日本は輸出立国であるので、経済界なんかからは、一部はそれは円安誘導がいいという御意見がありますけれども、これは全体をカバーするものではない、私どもはそのように思っております。
 それから二番目として、空洞化という形で中小企業、どういうことだと。
 これは、当然中小企業は、先ほどの質疑の中にも出ておりましたけれども、大企業のみならず、その大企業につれてそこにすそ野である中小企業も出ていく。また、大企業が出ていってしまって現地でその産業が育っていますから、使うと大変中小企業の空洞化で困るわけであります。
 そういう変化の中で、我々としては、セーフティーネットを構築して、そういう技術力があり、やる気があり、潜在力のある中小企業に対してはしっかりとした政策をやらせていただかなければならないと思っています。
 それから三番目の、ペイオフを控えて、いわゆる地域の信用組合、信用金庫というのが、人間関係の中でずっと長年培ってきた、それがなくなってしまって非常に皆さん方はお困りだと、それに対してどういう手だてがあるのか。
 それは、やはり一つは、今統廃合が進んでおりますから、そういう中でそれを受け継いだところが主体的にきめ細かく対応するということが第一義だと思いますけれども、同時に、政府系金融機関というのは、そういう意味で今非常に必要性が高まっていると私は思います。ですから、そういうお困りの皆様方に、政府系金融機関がきめ細かくこの苦難の時代に対応させていただくということが大切なことだと思っております。
 それから、せっかくいわゆる支払い条件の条件変更をしても、それを理由に新規の融資に応じないよ、こういうことが今横行しているという御指摘がきょうも数々ありました。そういうことは絶対あってはならない、こういうことでございまして、私どもとしては、そういう支払い条件の変更に応じた企業に対して、新規融資、そういうものを絶対断るな、そういう形で、厳にここはしっかりやらせていただきたい、こういうふうに思っております。
 それから、NOxの規制によって、大変運送業の方は中小の方が多いし、それを変えるということで大変皆様方がお困りだ、こういう状況は我が省としてもよく認識をしておりますので、私どもとしては、特に中小企業者が排ガス性能のよい自動車を円滑に確保できるように、一つは、買いかえ時に自動車取得税を軽減する税制上の支援をやらせていただく。それからまた、自動車を買いかえる中小企業者に対しまして、中小企業金融公庫、それから国民生活金融公庫から低利で融資をさせていただく、そういう支援をさせていただくことを私どもとしては決めております。
 また、他省でございますけれども、国土交通省におきましても、これはもう委員御承知だと思いますが、平成十四年度から、バス、トラック事業者等による低公害車等の導入に対して、地方公共団体と国が協調して補助を行う低公害車普及促進対策費補助が実施される、こういうことになっておりますので、それはそういったことで対処していただきたいと思います。
 最後に、セーフティーネットの目玉は何か、こういうことなんですが、これはもうきょうの朝からの御質疑の中で、もっとここの目玉をしっかりしなきゃだめじゃないか、こういう形で大変強い御意見がありました。これは、売り掛け債権を担保とする政府保証、これを昨年の臨時国会で全党の賛成の中で成立をさせていただいたそういう法律でございますから、私どもは、これが一日も早く皆さん方に利用できるようなそういう体制をとる、これが一つであります。
 それからもう一つは、取引先の大企業が倒産をする、あるいは取引先の金融機関がおかしくなる、そういったことで、まじめにやっていて、そして本当に潜在力のあるそういった中小零細企業の方々が巻き込まれてはならない。ですから、そのために、御承知のようにセーフティーネット貸し付け・保証、そういうものを拡充してきめ細かく対応させていただく、こういったことがいわゆる今の厳しいデフレ状況の中の目玉でございますし、先ほど御指摘いただいた支払い条件の緩和、こういうものもその中の一つの柱でございます。
 非常に雑駁でございましたけれども、まとめてお答えさせていただきました。
宇田川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.