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第7号 平成14年4月5日(金曜日)

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平成十四年四月五日(金曜日)
    午前十時開議
 出席委員
   委員長 谷畑  孝君
   理事 伊藤 達也君 理事 竹本 直一君
   理事 中山 成彬君 理事 鈴木 康友君
   理事 田中 慶秋君 理事 河上 覃雄君
   理事 達増 拓也君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      大村 秀章君    梶山 弘志君
      阪上 善秀君    根本  匠君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      茂木 敏充君    保岡 興治君
      山本 明彦君    生方 幸夫君
      川端 達夫君    北橋 健治君
      後藤 茂之君    中山 義活君
      松原  仁君    松本  龍君
      山田 敏雅君    山村  健君
      漆原 良夫君    福島  豊君
      土田 龍司君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      西川太一郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      古屋 圭司君
   経済産業副大臣      大島 慶久君
   経済産業大臣政務官    松 あきら君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 根來 泰周君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局長)      鈴木 孝之君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局取引部長)   楢崎 憲安君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・
   ガス事業部長)      迎  陽一君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院長)     佐々木宜彦君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   経済産業委員会専門員   中谷 俊明君
    ―――――――――――――
四月五日
 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)(参議院送付)
 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)(参議院送付)
 弁理士法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)(参議院送付)
 経済産業の基本施策に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件

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     ――――◇―――――
谷畑委員長 これより会議を開きます。
 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 両件調査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁電力・ガス事業部長迎陽一君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長佐々木宜彦君、中小企業庁長官杉山秀二君、公正取引委員会事務総局経済取引局長鈴木孝之君及び公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長楢崎憲安君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
谷畑委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
谷畑委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中慶秋君。
田中(慶)委員 委員長のお許しをいただきまして、経済産業の全般にわたる一般質疑を民主党の立場でさせていただきたいと存じます。
 まず冒頭に、中小企業問題について大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 大臣も先般の本会議場で、中小企業の取り組み、特に現下の、土地担保から売掛金担保の問題で、経済産業省としての取り組みを篤と述べられていたわけでありますが、しかし、経済産業省としての目玉であるこの土地担保から売掛金担保への移行というものが、現実問題としてなかなか、実行段階で非常に使い勝手が悪い、あるいはまた、保証協会や金融機関もこれに積極的な取り組みを行っていない、対応が十分でないということについて、大臣及び中小企業庁はどのように認識して、どのように対応されているのか、まず冒頭にお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 おはようございます。お答えをさせていただきます。
 売り掛け債権担保融資保証制度は、中小企業向けの融資の担保として、従来のような不動産ではなくて売り掛け債権を活用する、そういう面では、ある意味では画期的なものだと思わせていただいています。
 御指摘のように、確かに時間がかかる、これはまた事実でございます。担保管理の必要性から、売り掛け債権の存在を確認するための書類の提出を求めるなど、そういう面で通常の保証とは異なった一定の手続が必要であります。
 金融機関、信用保証協会にとって、ある意味では本制度が全く新しい制度であることもあり、現状におきましては、通常の保証制度の平均審査日数、これは五日間でございますけれども、御指摘のとおり、長い日数が審査にかかっていることは事実でございます。平均審査日数といたしましては、東京信用保証協会を例にとりますと、田中先生よく御承知だと思いますが、根保証方式で二十日間今かかっています。それから、個別保証方式で十二日間、こういう日数がかかっております。
 ただ、個別事案によっては、債権譲渡禁止特約の解除にさらに時間を要するなどのそういう事情がございまして、これでは本当に緊急を要する中小企業者に対して時間がかかり過ぎるじゃないかと、これは御指摘のとおりでございまして、債権譲渡禁止特約の解除の事例では、例えば最長は、根保証のところで四十一日かかった例があります。それから、個別保証で二十七日、こういうような例があるわけであります。
 そこで、経済産業省といたしましては、今申し上げたように、中小企業者の切実な資金ニーズに一層的確にこたえるために、保証審査の迅速化に最大限今努力を傾注しているところでございます。
 具体的に申し上げますと、まず第一点として、利用してくださる利用者の皆様方の意見を十分お聞きをして、これを踏まえて手続や運用の改善を積極的に進めることにいたしております。
 例えば、現状では、中小企業者と売り掛け先との間で三年間の継続的な取引が行われることを原則として求めておりますけれども、この三年の期間を短縮する。そのことにより、利用してくださる方々の便宜を図って、その上で必要書類の削減を図る、こういう準備もいたしております。
 それから二つ目としては、利用者が申請等の準備を円滑、的確に行えるように、本制度のわかりやすい利用マニュアルを作成いたしまして、これを今積極的に配布をさせていただいています。
 さらに、個別事案によっては、売り掛け先となる国、地方公共団体、大企業におきます債権譲渡禁止特約があるために、今申し上げましたように、その解除に時間を要する例も見られることから、私どもは、関係省庁と協力をしまして、債権譲渡禁止特約の解除の迅速化に今努めているところでございます。
 以上のような取り組みとあわせまして、本制度の積極的活用を図るために、保証協会や金融機関等に、利用者の立場を十分踏まえて前向きに対応してほしい、そういう働きかけをさらに強めているところでございます。
 本制度は、冒頭申し上げましたように、不動産担保主義からの脱却のための第一歩として非常に重要だと思っておりまして、利用実績も、最初はなかなか立ち上がりませんでしたけれども、三月に入りまして、今言ったような措置がだんだん浸透してまいりまして、先月末までの時点で二百件を超える、そういったところにまでなりました。
 しかし、まだまだ、特別保証制度に比べますと立ち上げが非常に遅いものでございますので、御指摘のように、利用勝手がいい、そして迅速にできるように、我々としてはこれからも最大限の努力を傾注してまいりたい、このように思っております。
田中(慶)委員 大臣の意気込みはよくわかりますけれども、実態は、今大臣が述べられたことと全然違いますね、はっきり申し上げて。
 一つの例を申し上げましょうね。実は、私の知り合いですけれども、業績としては、去年よりも約五割以上の業績を上げているわけであります。受注残高が約七億、そして融資を依頼したのが一割の七千万、こういうことです。
 それが、昨年十二月に、決算書二期分、借入申請書を添えて運転資金として申し込みをしました。一月の中旬になって、銀行経由で保証協会に申し込んだのです。そこで納税書、受注明細書、これを要求されて提出をしました。約一カ月たって、今度は、再度追加書類として、契約書の写し、あるいはまた発注先名、受注金額等々の書類、下請として、契約書類、発注確認書、こういうものをちょうだいして提出をしろということで提出をされております。それからまた約二十日以上たって、注文書の写しを再度要求される、三月の二十日。三月の二十七日、今度は、追加書類を再度要求されて、借入残高一覧表等々を含めて要求をされてきているわけです。
 これでもう既に三カ月以上たっているわけですよ。今の中小企業に、このような時間の余裕もさることながら、こういう一連のことを含めて、せっかく国が新たな一つの売掛金担保としての太鼓判として、大臣が本会議場でも、新しい制度として胸を張って述べられていることと現場はこのように違っている。逆にまた、その裏もあるんです。保証協会はいいけれども銀行の方が貸し渋っている、こういうこともあるんです。
 こういうことが現実に中小企業の皆さん方の大変ネックになって、ですから、去年の暮れにスタートしてまだ二百件でしょう。やはりこれはある一定の、例えば、申し込んだらば二週間であるとか、あるいは今のような問題を含めて、余りにも書類が煩雑であるということではなく、少なくとも国が、保証協会を含めて保証制度をバックアップしているわけですから、もう少し簡素で使い勝手のいい形にしなければ、現実問題として、この売掛金担保制度というものは、ある面では名前だけの問題になってきやせぬか、そんな心配をしているわけですけれども、その辺についてどういうふうに思うか。
 先ほど若干、利用マニュアルとかいろいろなことを大臣は述べられておりますけれども、現実として、現場は違うわけでありますから、そのことを含めて大臣の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 売り掛け債権に着目をして、現下の厳しい中小企業の皆様方にやはり円滑に資金を供給する、こういう眼目で両院の御賛成を得て、昨年の秋の臨時国会で成立をした法律であります。委員御承知のように、これは十二月十七日から発動になっているわけでありまして、今の事例というのは、大変月日がかかったということも私は率直に受けとめさせていただいています。
 先生御指摘の件に関しましては、確実にその事例を出された案件を私の方で特定するということはちょっと困難なことだと思いますけれども、今のお話の中で追ってまいりますと、昨年十二月末に金融機関に申し込みがありまして、一月七日に神奈川県信用保証協会で受けた運転資金を無担保で融資をする、その事案ではないかなというような気がしております。
 本件の経緯について、これが該当するかどうか私はわかりませんけれども、多分そうではないかということで以下述べさせていただきますと、おおむね以下のとおりの状況を聞いているわけであります。
 申し込まれた方は、一月七日の申し込み時点で、本件を受け付けた神奈川県信用保証協会を含め二協会に対して、七件、合計一億二千万円の無担保による保証の残高がありまして、既に八千万円の無担保保険の限度額を超える状況であった。協会としては、これ以上無担保で長期に保証するのは困難と判断をしたようでありまして、当該事業者の事情も考慮をいたしまして、工事代金を実質的な引き当てとして、当該工事代金の入金をもって返済するという目的のもとに、短期の保証での対応を考えまして、そして、金融機関と協議をしまして、申込人もこの方針に了解した、こういうふうに聞いております。
 この方針のもとに、申込人が、当該工事の受注契約書、注文書等の必要書類を準備することとなりまして非常に煩雑だ、こういう感じをお受けになられたと思っています。また、協会に保管されていた同社の建設業許可証の写しが平成十二年七月十一日を期限とするものであったために、許可証の写しの提出を求めたというような経緯があるわけでありまして、これが該当するかどうかということは私もわかりませんが、そういう報告が入ってきています。
 しかし、こういったことがありましても、私は、今御指摘のように、現実に売り上げも伸びている、そういったプラスの面に着目をして迅速にやる、そういう対応をする必要もあると思っています。もちろん、金融機関ですから、慎重に一方はやらなきゃいけないけれども、やはり国のそういう中小企業の対策ですから、私どもとしては、前向きにそういうことをちゃんとやっていかなければならない、そういうふうに思っております。
 現場ではなかなか難しい点があると思いますが、全国の信用保証協会の代表者にも三月六日に一堂に会してもらって、私からもそういったところを徹底したところでございまして、私どもも、そういった皆様方の非常に厳しい状況、そこをさらに配慮して、でき得る限り迅速にやるように、そういう形で私は指導をしていきたい、こういうふうに思います。
田中(慶)委員 ありがとうございました。
 ただ大臣、誤解しないでください。今私は例示として申し上げたわけですから、個々のことを質問したんじゃないんです。このようにして、時間と、そして煩雑な問題ですよと。だから、少なくとも一定の、申し込んだらば二週間なりあるいは二十日間で決裁をしなければいけないとか、あるいは、今のようなマニュアル等についても、より簡素で使い勝手よくしてほしいという意味で私は申し上げているわけですよ。個々の例を、今のような答弁を求めているわけじゃないんです。
 ですから、少なくともそういうふうにしていきませんと、現実問題として、中小企業というものは、むしろ現実は、仕事が減る、資金繰りに困っている。しかし一方、努力して、仕事はふえて資金繰りに困っていても、その対応が何もできていないということであっては、私は、行政としての役割を果たしていないんじゃないか、こんなふうに思っているわけでありますから、その辺をしっかりと対応していかないと、これから、幾ら銀行だけの問題とかいろいろなことを言っていても、まして、ペイオフが始まって、金融機関のいろいろな問題を含めて、特に、BIS規制の中での検査基準の問題、不良資産なりいろいろなことを含めて、全体的な形の中で金融というものが、これを、こういう形であなたが幾ら言っても、担保が少ないよという、こんな現実はまだあるのですから。当たり前ですよ。土地が安くなって担保価値がなくなっている、そのためにこの制度ができているわけですから、そのことを今のように述べられていたのでは何にもならぬ、私はそう思いますよ。
 ですから、私が提案しているのは、こういう制度をつくっているのですから、銀行も含めて、まして政府系金融機関はもっと積極的にこのことを導入し、取り上げて推進をする、させるぐらいに、ましてあなたの傘下にある金融機関は、そのぐらい徹底させる必要があると思うのです。どうですか。
平沼国務大臣 これはやはり、今の現下の厳しい状況で迅速に、そして本当にお困りの方々にしっかりとした資金を提供する、このことが肝要でございまして、その趣旨であの法律も成立をさせていただきました。
 ただ、一定期間内に処理をするということは、いろいろな角度から検討しますと、信用保証協会の行う審査というのは、御承知のように、時々刻々と変化する金融・経済環境に直面する多種多様な中小企業者を対象にしたものでございまして、中小企業者の財務内容や事業内容だけではなくて、やる気や潜在力といったものも評価して行うものであります。
 したがって、当然のことながら、個々の中小企業者の実情に即したきめ細かい対応が重要でございまして、一律の審査期間というものを最初から設定するということは大きな中では適切ではない。しかし、その中でどれだけ早くやるか、こういうことに尽きると思います。
 例えて申しますと、信用保証協会は、たとえ中小企業者が債務超過となっていましても、早期に債務超過の解消が見込まれる場合には、保証を行うべく努力をしております。当該企業を取り巻く情勢変化をにらみながら、そうした見込みを得るために、中小企業者に、ちょっと煩雑でありますけれども、追加資料を提出いただいた上で保証の可否判断を行うといった場合もあります。ですから、仮に信用保証協会において一律の審査期間を定めるようなことをすれば、そういったいろいろな時々刻々の個別の事情に即してきめ細かい対応が困難となるケースもあります。
 ですけれども、それは一つの原則でありまして、私どもとしては、そういう中であっても、やはりしっかりと見据えて、そして今の現状というものをやはり把握しながら、できるだけ早く結論を出して、結論をずるずるずるずる延ばしたら、それを当てにしていたらそれだけまた悪影響が出るわけですから、なるべく早い時間でやる、そのことを私もこれから徹底をさせていきたい、このように思っています。
田中(慶)委員 大臣の言うことはわかりますけれども、保証協会の実態というのは、この前の参考人の質疑でもおわかりのように、大変複雑で、なおかつ、ある面では役所と全く同じ形態になっているんです。まして理事長というものは、あるいは会長というものはほとんど天下りであります。理事の半分はみんな天下りです。ですから、現下の厳しい中小企業の状態や中小企業の実態というのが専門家としてわかっていないのです。
 そういうところの改善をこれからしていかないと、現実、あなたが幾ら取り組みの姿勢を述べられていても、全国の協会はあなたの思っているような形で動いていない。まして、セクショナリズムになり過ぎておりますから、中小企業の立場で物を考え、それをしっかりと対応してやろう、こんな発想の転換は、幾ら土地担保から売掛金担保になっても、そういう発想の転換はできてない。だから私は申し上げているのですよ。
 あの保証協会の、ある面では抜本的な改革をしていかないといけない。それは、競争の原理がそこにないからなんです。はっきり申し上げて、県あるいは指定都市の中でしか保証協会はない。あるいは民間的な発想でもう一つ競争があれば、今のような問題は出てこないと思うのです。
 私は、そういう点では、これから完全なる民営化とは別にして、競争の原理があるようなもう一つの保証協会制度があれば、現状に合った経済状態や、あるいは大臣が掲げているものにもっともっと即応性が出てくるのではないかな、こんなふうに思いますけれども、大臣はどう思いますか。
平沼国務大臣 保証協会のトップが自治体の天下りである、そのために、非常にエキスパートもいないし、本来の機能を果たしていない、こういう御指摘であります。
 今回、売り掛け債権に着目したいわゆる保証制度、これは、冒頭からお話ししているように、初めての制度であり、また、なかなかなれていない。それから、いろいろな条件が付されていますから、立ち上がりが非常にスムーズにいっていない、こういうことがあります。しかし、第一次の貸し渋り、貸しはがしが起こったときに、その信用保証協会をいわゆる舞台として特別保証制度というのをやらせていただいたときに、これは三年間で百七十二万社、そういう実績も出てきておりまして、私は、全国の信用保証協会で一生懸命やっている皆様方はそれなりに頑張ってくだすっていると思っています。
 信用保証協会の業務運営は、私企業から独立した公正中立の立場で行うことが必要でありまして、そして今御指摘のように、地域経済のニーズに即した対応が求められている。そういった事情から、地域経済の実情に精通をしました地方自治体関係者が協会の役員として登用されるケースが御指摘のとおり多々あります。
 一方、信用保証協会の専門性を確保しまして、適正、公正な業務運営を行うことが当然のことながら重要でありまして、当省と金融庁は、平成十年六月に策定した、信用保証協会の監督に当たっての事務ガイドラインの中で、都道府県関係者からの理事就任数は最小限にとどめるものとする、こういう規定をして指導を行っています。
 さらに今後、特殊法人等の整理合理化に関する閣議決定における主管省庁から特殊法人等への直接の就任者数等の制限に関する内容に準じて、この保証協会の常勤役員について、当該都道府県関係者の就任を半数以下に抑える、こういうことを三月十五日付で指導しております。
 これらの取り組みによりまして、今後とも、信用保証協会の公正かつ適切な業務運営の確保を図りまして、中小企業者の信用力の補完を通じて、円滑な資金調達の実現に向けて万全を期していかなきゃいかぬと私どもは思っております。
 もう一つ、御提案の、競争のインセンティブを与えるために、もう一つ同類のものをつくって、そこで競争させてやったらどうだ、こういう御提案です。それは一つの御提案だと思っておりますが、そこをもう一つつくると、さらに資金が必要になる、そういう側面もあります。私は、そういう発想というのは大切なことだと思いますけれども、今非常に厳しい状況の中でそこをやるかどうかということは、ちょっと私どもとしては今問題がある。
 ですから、今申し上げたように、現状の体制で御指摘のような点をいかに払拭しながら、そして天下りというものを排しながら、そして中小企業者の実情に即してきめ細かく対応できる、そういう信用保証協会、そのための指導徹底を私はしてまいりたい、こんなふうに思います。
田中(慶)委員 ぜひ、現場になじみ、なおかつ使い勝手のいい、こういうことで取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、今度はあなたの所管されている産業経済の関係で、現在、中小企業支援なり雇用対策なりあるいは研究対策を含めて、私、これ全部調べてみました。全部で百十四項目あるんですよ、大臣。ところが、これを一つ見ても、本当に使い勝手が悪い。
 役所仕事とよく言いますけれども、現実問題として、何か言われると必ず、こういう対策をしていますよ、こういうことなんですね。で、細切れに予算が少しずつついている。これでやっては、現実問題として、日本の中小企業の育成や支援というものは私はできないと思う。まして、厚生労働省と経済産業省、例えば雇用なら雇用という問題等については同じようなものをやっているんですよ。こういうこともありますよね。
 ですから、もう少し情報をオープンにして、そしてこんなに細切れにしないで、骨太にして、三つか四つ、あるいは五つぐらいにして、そして額もそれだけプールすればもう少し使い勝手がいいわけですけれども、現実問題として、あなたの所管しているところでも百十四あるのです。全部調べました。これ、漏れているかもわかりませんね、出てきているものだけですから。これはどう思いますか。
平沼国務大臣 御指摘のとおり、やはり行政として多様な御要望におこたえする、そういう観点から大変数が多くなっている、これは私は御指摘のとおりだと思っております。
 このような多くの施策があるわけでございまして、御指摘のように、利用者である中小企業の皆様方がこれらの施策を体系的に理解そして利用できるように、しかも使い勝手がよいものにすることは、御指摘のとおり大切なことだと認識しております。
 ですから、今の現状というものを、数が多いということを固定して考えますと、やはり中小企業が抱えるさまざまな悩み事にきめ細かに対応するワンストップサービスというのがたくさんあって、どれが該当するんだ、こういうことでございますので、平成十二年度から、身近な支援拠点として地域の中小企業支援センターを全国で二百六十四カ所、都道府県レベルでの支援拠点として都道府県の中小企業支援センターを全国五十四カ所、それから、ブロックレベルでの支援拠点として中小企業・ベンチャー総合支援センターを全国で八カ所、計三百カ所もつくる、こういう支援センターの整備をいたしてやっております。
 しかし、これは、田中先生御指摘のように、そういう数が多くてこれだけ対応するということは、ある意味では非常に大きなむだ、そういうことにもつながるわけです。ですから一方においては、行政としてきめ細かくいろいろなニーズに対応しようという形でたくさんつくった、それにまた対応するために、ワンストップサービスで皆さん方に理解していただくためにそういう支援センターをつくった、そういう方向で来ていましたけれども、私どもとしては、御指摘の、細分化されている個々の対策を骨太のものに統合して、パッケージ化して、そして中小企業者にとって支援施策が一層わかりやすく利用しやすいものにすることは重要だ、そういう認識を持たせていただいています。
 そういう認識のもとに立ちまして、もう田中先生御承知だと思いますけれども、例えば、中小公庫の貸し付けにおきましては、これまで十八の貸し付け制度がございましたけれども、そういったパッケージ化、骨太、こういうことで八制度に整理統合をさせていただきましたし、国民生活金融公庫の普通貸し付けについても十八制度から七制度へと整理したところであります。
 これはまだ十分ではないと思っておりますけれども、御指摘のように、中小企業者がわかりやすく、そして複雑な形でなくて利用していただくような、そういった条件整備、体制を私どもはやはりつくっていかなければならない、このように思っている次第であります。
田中(慶)委員 大臣、現実問題として、国でも同じようなことをやる、地方自治体でも同じようなことで、ですから、組み合わせをすればもっと使い勝手もいいし、もっと金額も大きく借り入れることもできるわけですね。そういうことを含めてちゃんとしないと、中小企業の経営の安定化に向けた支援というものは、私はある面では、仏だけつくって魂が入っていない、これが現実だと思っていますよ。
 むしろ都道府県の方が、ある面では同じことをもっときめ細かくやっている。ですから、知っている人はうまく使えるかもわかりませんけれども、そうではない、これが現実ですから、やはり経済産業省がイニシアチブをとって、まして、きょう中小企業庁来ているわけですから、せっかく、そういうことを含めてちゃんとしないと何の意味の省庁なのかわからぬ。
 まして、現実問題として、これだけ厳しい環境にあるにもかかわらず、いろいろな制度をやっているにもかかわらず、申し込むと、もう期限が過ぎましたとか、これが現実なんですよ。ところが、いろいろ出てくるから、それを頼っていきますと、それはもういっぱいです、もう締め切り終わって、あるいは額がありません、こんなのが現実なんです。
 ですから、やはりもう少しその辺をわかりやすく整理し、そしてもっと額があれば、本当に使い勝手のいい形になるんだろうと思いますが、どうですか。
杉山政府参考人 先ほどの大臣の御答弁のとおりでございますが、先生御指摘のとおり、細かい施策がいっぱいあって使い勝手が悪い、それを骨太のものに統合して、中小企業の方々に利用しやすい施策に統合していくということは大変重要なことだと私ども思っております。
 先ほど大臣が一つの例を申し上げましたけれども、例えば予算項目、先生御存じのとおり、私ども中小企業庁でも今五十二の施策がございますが、これはやはり私は多過ぎると思います。そういった意味で、昨年度も統合いたしましたものもございますが、なるべく骨太に統合していくというふうな努力は一生懸命やっていこうと思っています。
 税制につきましても六十ほどございます。これは地方税、国税、登録免許税、その他いっぱい税目がありますから必然的にそうなるわけでございますが、似たようなものあるいはダブるようなもの、これは整理統合をどんどん進めていかなければいけないと思っておりまして、昨年度も大きな税制を統合した経緯がございます。
 そういった先生の御指摘を踏まえて、各施策につきまして骨太の方向に進めていくということにつきましては、一生懸命努力をさせていただきたいと思っております。
田中(慶)委員 もう時間もありませんので、最後に、実は電力の自由化の問題がきょう新聞にも発表されましたし、あるいは大臣の諮問機関でもこのような問題、具体的に検討されているわけですが、自由化というものをどんな立場で検討しているのか、大臣に最後にお聞きしたいのです。
 消費者の立場で自由化をするのか、あるいは生産者といいますか事業者の立場でやるのか、あるいは双方のためにやっていくのか。この自由化という観点が、一歩間違えてしまうと勘違いをされる、こういうことになるんだろうと思います。マスコミ報道、きのうの発表によって各社出ておりますけれども、そのタイトルは全部まちまちです。そういう点で、大臣の考え方を最後にお聞きしたいと思います。
平沼国務大臣 基本的な考え方というのは、日本がやはり産業競争力を高めていく、これをクリアしていくためには、日本の今の高コスト構造というものを是正していかなければならない。その高コスト構造を是正するためには、生産者の皆様方の御協力、そして何よりも、高コスト構造の中で大変大きな負担をされている消費者の皆さん方、ですから、両方の観点で私どもとしては自由化を進めている。
 一部、部分の電力を自由化しまして、これはもう田中先生御承知のように、そのインセンティブで料金体系が下がってきた。そして、マスコミの報道に出ておりますとおり、電力業界からも小売の自由化というような、そういうお話も出てきた。ですから、そういう中で、私は一つの評価すべき御意見も出てきたなと思っています。しかし、同時に、電力というものを考えますと、やはり安定供給と、それからいかに安全を担保するか、こういうことがあります。
 したがって、無理無体に自由化というものを進めた場合には、あのアメリカのカリフォルニア州の電力クライシスがありました、ああいうことになったら本当に元も子もなくなる。ですから、それを他山の石として我々としては検証して、そして高コスト構造の是正で、消費者の皆様方、また電力の皆様方もその中でしっかりと立ち行くような、そういう基本的な考え方で私どもは臨んでいかなければならないと思っています。
田中(慶)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
谷畑委員長 達増拓也君。
達増委員 私は、政府特別補佐人根來公正取引委員会委員長と公正取引委員会事務総局からの政府参考人に、私的独占の禁止及び公正取引に関する件について質問をいたします。
 今、日本経済が直面する危機を打開し、本物の構造改革を断行する決め手となるのが競争政策であり、かぎを握るのが公正取引委員会であると考えておりまして、質問を通じてそれを明らかにしていきたいと思います。
 まず、社会問題として今大きく取り上げられている件について質問をいたします。
 第一に、入札談合問題であります。
 来週の月曜日、八日、予算委員会で参考人質疑が行われ、加藤紘一議員、鹿野道彦議員の参考人質疑が行われるわけでありますけれども、加藤紘一議員の事務所代表の問題、そして業際研、どちらもあっせん、入札干渉、口きき、そういった問題が政治の中核部分を犯しているという、政官業癒着の問題でありますが、これは同時に、日本の経済、市場というものが犯されている、市場というものの健全性が犯されているという問題でもあります。
 この入札干渉、そして、そもそも、談合が日常化されており、その談合に関与することであっせん、口ききを行い、さらにはビジネスとしてまでそれをやっていく、こうしたことをなくしていかない限り、健全な市場で日本経済が発展していくことはできないわけであります。政官業の問題、それは政治の問題であると同時に深刻な経済の問題でもあるわけであります。特に、今回、都道府県知事でありますとか市町村長でありますとか、発注サイドからも逮捕者を出しているわけでありまして、発注者、発注官庁のあり方というものも問われていると思います。
 そこで、公正取引委員会として、入札談合問題にいかに取り組んでいるのか、特に発注者側に対してどう指導しているのか伺いたいと思います。
根來政府特別補佐人 お説のように、入札談合というのは、独占禁止法の中でも最も重い非難すべき類型だと思うわけでございまして、私どもも、日夜、どういうふうな端緒で、どういうふうに入札談合を防圧していくかということに腐心しているわけでございます。
 おっしゃるように、もともと発注者と応札者というのは対立関係にあるわけでございますから、談合について発注者が関係するということは理屈としてはあり得ないことなんですけれども、日本の風土といいますか、社会的な不透明さといいますか、そういうことが背景になりまして、文字どおり、発注者と応札者がだんごになって談合しているという現象が見られるわけでございます。
 御承知のように、私どもは、独占禁止法という切り口で所管しているものですから、発注者に対してはどうしても力が及ばない、これは法律の外にある、こういうことでございます。
 そこで、これは、与野党を問わず、発注者の責任をどうするかということをいろいろお考えいただいているところでございまして、大変ありがたいことでございますが、現行法上、それじゃどういうふうにするかということについては、具体的事件が起こったときには発注者に、これは若干手ぬるい話でございますが、要請書を出しておる。要請書に応じて、あるところでは非常に真剣に受けとめてくれているところもございますし、若干ないがしろにしているところもございます。
 そういうこともやっておりますし、また、発注者側に対しては、私どもは、いろいろ問題点を一般的に指摘して、これを防圧するという方法を講じているのでございますが、最近の新聞なんかの報道を見ますと、やはり発注者の方に相当談合に関与している例があるんじゃないかということについて、私どもの力不足というか、そういうことについて若干反省をしているところでございます。
達増委員 これは公正取引委員会にますます頑張ってもらわなければならないところだと思いますし、また、根來委員長おっしゃるとおり、政治の責任も非常に重要でありますから、この点、今国会でさらにやっていきたいと思います。
 次に、不当表示の問題でありますが、食肉の不当表示の問題であります。
 BSE問題で食肉の流通と消費に重要な混乱が生じているわけですけれども、この不当表示の問題がその混乱に輪をかけて一層事態を悪化させております。
 そういう中で、公正取引委員会は、雪印食品株式会社に対し、オーストラリア産の牛肉を国産であるかのように表示、アメリカ産の豚肉を国産であるかのように表示といったことについて排除命令を出して取り組んでいるわけでありますけれども、雪印食品以外にも食肉の不当表示ということが今社会問題になっていて、夕方のテレビなどでも報道されているところであります。
 これについて、公正取引委員会、取り組みを強化できないか、質問をしたいと思います。
根來政府特別補佐人 これは、食肉に限らず、一般食品また一般商品につきまして、不公正な取引方法ということ、あるいは特別法でありますいわゆる景表法違反ということで、私どもも重点を置いてやっているところでございますが、最近、この食肉について不当表示が横行しているということでございまして、現在も、ただいま御指摘の件のみならず、数件について調査を続行しているところでございます。
 こういうところはやはり関係官庁あるいは都道府県と協力してやっていかざるを得ないところもございますので、関係官庁、地方公共団体と密接に連絡をし、また、そういう食肉関係についていいますれば、食肉の事業者団体、小売業者等と十分意思を疎通して万全を期していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 なお、申し上げれば、農水省等は、消費者の保護あるいは食品の安全ということを直接に目的にしているわけでございますが、私どもの方は、競争、不公正な取引を防止するという意味で関与しているわけでございますので、そこは若干方向は違いますけれども、要するに、そういう関係官庁と重なるところが多いところがありますので、十分連絡をとってやっていきたい、現にやっているというところでございます。
達増委員 市場というものは、貨幣を通じて情報の交換が行われる場でもありまして、うそというものは本当に市場を毒する。しかも、高度情報通信社会になればなるほど、そのうそというものが市場に与えるダメージ、経済社会全体に与えるダメージは非常に大きいので、日本のこの十年間の経済の低迷というのは、そういううそがいろいろなところでまかり通っているところにあると考えてもおりますので、不当表示への対応というのはきちっとやっていただきたいと思います。
 次に、規制改革全般について質問をしたいと思います。
 規制改革、これは経済構造改革の本質であって、いわゆる構造改革全体におきましても非常に重要なポイントだと思いますが、公正取引委員会はこの規制改革に関する政策提言を強化している、この点、非常に評価できると思うんですが、まず、IT関連分野と公益事業分野について、IT関連分野については、その規制改革はますます重要でありますし、公益事業、電気・ガス、旅客運送業等については、その高コスト体質というものがやはり日本経済の足を引っ張っている、競争力低下の原因となっている。この分野について政策提言、規制改革について重点的に取り組んでいくべきと考えますが、この点いかがでしょうか。
鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 公正取引委員会といたしましては、IT、公益事業分野について、新規参入を促進するための制度改正に向けて調査・提言を行うとともに、公正な競争環境を確保するための措置をとることが重要と考えております。
 これまでも、IT・公益事業タスクフォースを設けたり、電力・ガスあるいは電気通信事業分野の各分野におきまして、競争促進のための指針を策定し公表するほか、電力事業及びガス事業におきましては、制度改正に向けた経済産業省の審議会等における検討に参加し、競争促進の観点から意見を提出しているところでございます。
 今後とも、市場の競争状況や所管省庁の制度改正に向けた検討状況を踏まえつつ、本格的な自由化等に向けて重点的に取り組んでまいりたいと考えております。
達増委員 日本の経済産業構造の改革という観点から、IT、公益事業等と並んでこれからますます重要になっていくと思われるのが、医療、福祉、労働、環境等の社会的分野であります。こうした分野についても、規制改革推進について重点的に取り組んでいく必要があると考えますが、この点はいかがでしょう。
鈴木政府参考人 いわゆる社会的規制分野につきましては、これまで、市場原理になじまないものとされ、参入規制、価格規制等数多くの規制が温存されてきております。しかしながら、少子化、高齢化あるいは国民ニーズの多様化等の社会経済環境の変化が進展してきておりますことから、現行制度の趣旨も踏まえつつ、可能な限り新規参入を促進し、公正かつ自由な競争環境の整備を図っていくことが重要と考えております。
 こうした観点から、現在、公正取引委員会においては、介護、医療、労働等の社会的分野について調査検討を行っておりまして、既に、先月でございますが、介護保険適用サービス、これは居宅サービスの分野でございます。それから基準・認証分野についての調査結果、それから競争政策上の考え方を公表したところでございます。
 また、今月中に、学識経験者を中心とする研究会を設置いたしまして、こうした個別分野の調査結果も踏まえ、社会的規制全般について精力的に検討を進めていく予定にしております。
達増委員 九〇年代、アメリカ経済が非常に伸びた理由には、ITの発展もありますけれども、同時に、ヘルスケア産業の発展も大きい貢献をしていたという指摘がされております。こうした医療、福祉、労働、環境といった社会的分野は、日本の経済回復そして発展に向けて非常に重要な分野だと思いますので、この点、きちんと取り組んでいくべきと、さらに指摘したいと思います。
 公正取引委員会は、基本的には、個々の企業の行動、そういうミクロなところをチェックし対応していくわけでありますけれども、その結果として、日本経済全体のマクロな構造改革に資する、マクロな経済発展に資する、そういう形になっていると思います。
 そのいい例として、NTT東日本と西日本が、ADSL、既存の電話回線、メタルの回線を利用した新しいデジタル通信のやり方なんですけれども、自分の会社のユーザーと競争事業者のユーザーを差別していた、それについて警告を発し、ちょうどそのタイミングがよくて、ADSL市場の競争環境が非常に改善されて、その結果ADSLの普及が順調にいった、そういう格好になったと思います。
 こうした時宜を得た対応というものが他の、例えば電力といった現在規制の緩和が進んでいるような分野でもそういうタイムリーな公取の行動が非常に重要と考えますが、この点いかがでしょうか。
根來政府特別補佐人 御指摘のように、こういう問題については迅速、的確ということが大変重要でございますし、特に、こういう社会経済情勢が目まぐるしく動いているときに、迅速にやらなければやはり夏炉冬扇のような感じになるわけでございますので、それを念頭に置いて早くやっているわけでございますが、一番難しいのは、やはり最近の技術革新というのに私どもが追いついていけるかということでございます。それで、職員も一生懸命勉強もしておりますし、また関係官庁とも連絡をとって十分やっているつもりでございますが、これまで以上に的確かつ迅速にやっていきたい、こういうふうに考えております。
達増委員 根來委員長から、技術の進歩についていくのがなかなか大変という趣旨の答弁があったわけでありますけれども、現在公正取引委員会というのは、予算規模が約六十億円、定員は約六百人ということで、これは、日本という巨大な国民経済の市場の番人としてはやはり貧弱な体制なんだと思います。
 今年度、定員の新規増員四十人ということで、これは公正取引委員会としては空前の伸びだということなんですけれども、六百人体制を千人あるいは倍増するくらいの体制に強化していかなければ、特に日本の非競争的な現在行われている慣行といいますか、不当な行動をきちんとチェックし、経済構造改革を進めていくことはなかなか難しいんだと思います。
 公正取引委員会の機能強化という観点、その組織のあり方という観点から非常に問題だなと思うのは、今総務省の下にある、総務省の外局として位置づけられているという点であります。
 総務省は、通信事業でありますとか郵政事業でありますとかいった事業も抱えているわけでありまして、そういう個別具体的な事業を抱えている役所のもとに公正取引委員会があって、中立性が損なわれるおそれがあるのではないか。もっと省庁横断的に、各省満遍なくきちんとチェックできる体制ということを考えれば、やはり内閣府に置く、総理大臣の直轄のような形で市場の番人として力を振るうのが適当と考えますけれども、この点いかがでしょうか。
根來政府特別補佐人 私どもの立場から申しますと、独占禁止法の理念あるいは公正取引委員会のあり方ということを常に念頭に置いて仕事をしているわけでございまして、それは、内閣府であろうと総務省であろうと全く変わらないつもりでおりますけれども、全体的な落ちつきからいうとどこがいいかというのは、国会あるいは政府全体でお考えいただくことだろうと思うわけでございます。
 繰り返しになりますが、私どもの立場からすると、今の法律の枠の中で全力を尽くすということに尽きるのではないか、こういうふうに考えております。
達増委員 公正取引委員会の方で主催して、約一年にわたって議論が続いた二十一世紀にふさわしい競争政策を考える懇談会、その懇談会の場では、公正取引委員会を内閣府に置く方が適当だという趣旨の議論がかなり行われたというふうに聞いております。
 日本の現在目の前にある経済危機を打開し、そして十年かかってもまだきちっとできていない構造改革というものを達成するためには、一つには、日本の経済産業について、経済産業省という戦略部門が今以上に力を発揮することが重要ですが、同時に、公正取引委員会という市場の番人、そういう経済産業のルールの番人というのが相並び立つような形で日本の国民経済というものを改革していく必要があるんだと思います。
 どうも今の小泉内閣は、経済産業戦略についても弱いわけでありますが、そういう市場ルールの徹底、真の意味での構造改革という点も弱いということを指摘して、私の質問を終わります。
谷畑委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 私は、きょうは、引き続き大きな問題になっておりますコンビニエンスストアなどフランチャイズ契約の問題について質問をしたいと思います。
 私、一九九七年、五年ほど前ですが、初めて国会でこの問題を本格的に取り上げました。店舗数や売り上げが急成長する一方で、加盟店が大変深刻な状態にあるという問題を明らかにしたわけであります。
 その後、加盟店の全国協議会、こういうものがつくられる、私の住んでおります神奈川県にも支部などができたわけなんですが、そういう大きな変化が生まれる一方で、まだまだ加盟店の置かれている状況が非常に悲惨な状態も後を絶たない、そういう状況であります。
 そういう中で、公正取引委員会が昨年、小売業にかかわる本部と加盟店の取引実態等について調査をされ、報告書を出されました。独禁行政にかかわる問題点として把握できた点、大変短い質問時間でありますので、簡潔にポイントだけ調査結果について御報告いただきたいと思います。
根來政府特別補佐人 再々コンビニエンスストアの問題について御指摘があるわけでございますので、私どもの方も調査をいたしまして、今度ガイドラインの改正ということに至ったわけでございます。
 調査の結果は、相変わらず、加盟希望者に対する本部の情報開示が十分でない。あるいは、契約締結後の本部と加盟店の取引について不明朗な点があるというようなこと、これは、例えば仕入れの推奨とか販売価格の推奨とか新規事業の導入についていろいろ問題があるということでございました。
大森委員 今お答えにもありましたガイドラインの改定について、二月二十日に発表をされて、その後パブリックコメントを募るということで、三月二十日に集約をされたようであります。現在集計中とは思いますけれども、寄せられた意見等について、これも簡潔にその特徴などをお聞かせいただけたらと思います。
根來政府特別補佐人 簡単に申し上げますけれども、三十件ばかり意見をちょうだいしました。いずれも御意見は、私どももなるほどと思う意見が多いわけでございますが、なるほどと思いましても、うまいことそのガイドラインに盛れるかどうかという問題でございます。
 一つは、ロイヤルティーの算定方法についていろいろ問題があるという御指摘がございました。ロイヤルティー算定の基礎となる売上総利益に廃棄ロス原価が含まれている方法は不当ではないかというようなことであります。
 それから、売り上げ予測とか経費予測等の開示が不十分ではないか、むしろ開示を義務づけるべきではないかというようなことであります。
 そのほか、契約終了、更新、変更の条件の明確化。あるいは、納入業者からの賛助金を本部が収受しているのは不当ではないかというようなこと。
 それから、私どもも常識的に思いますけれども、近所にまた同じような業種の店が出るというようなことも、日常何だか気の毒だなと思うようなことがございますが、そういうことについて御指摘がございました。
大森委員 公取の調査の中でも、本部に比べて加盟店が非常に弱い立場にあるということが浮き彫りになっているように私は感じているわけなんです。
 そういう中でつくられてきたガイドライン、今この深刻な事態を本当に解決できるだろうかということで、一つの事例でありますが、これは、ある宅配ピザの大手フランチャイズでありますけれども、買い掛けの清算などを理由に、話し合いの最中に一方的に電話を切断して注文が一件も入らないような状態にするというようなことが行われた。これは宅配ピザでありますから、電話をとられたら全く商売にならないということで、七十人の従業員が一挙に全員失業、非常に大変な状況がつくられたわけですね。
 要するに、本部側のねらいは、直営店にしていくというねらいでこういう措置をとったようでありますけれども、ここは、現在百五十名の加盟店がある本部ですが、脱退がこの十年足らずの間に百九十名ということで、いかにひどい加盟店の支配をやっているかということがこれにもあらわれていると思うのです。
 今回のガイドラインの改定でこういう問題は解決できないんじゃないかと私は思いますけれども、公正取引委員長、そして大臣、もしお答えいただけるのであれば大臣にもお答えいただけたらと思うのですが。
根來政府特別補佐人 私どもは、一般的に、実態調査をいたしまして、いろいろ問題点を把握して問題点をなくするという立場からガイドラインの改正をしているわけでございますけれども、おっしゃるように、具体的な点が、真偽はともかくといたしまして、いろいろ問題のある事案がたくさんあろうかと思うのであります。ですから、それがすべて独占禁止法で処理できるかどうかというのがまた一つの問題でございますけれども、独占禁止法で処理できる問題については、個々具体的な問題についても適切に対応していきたい、こういうふうに思いますし、また、ガイドラインの作成につきましても、できるだけいろいろの不法事犯を救えるようなガイドラインをつくっていきたいということで今回の改正に至ったわけでございますし、また、いろいろ御意見をちょうだいしたところでございます。
大森委員 では、大臣には後ほどまた御答弁いただくとして。
 私は、今申し上げたように、今の深刻な実態を改善するためにガイドラインだけではやはり不十分だろうと思うわけなんですが、そういう点で、私ども自身も既に、フランチャイズ適正化法、こういう立法も含む政策提言も行っておりますし、いろいろな各関係団体からもそれは行われております。
 こういうフランチャイズ業界の健全な発展、加盟店の地位や権利の確立、本部と加盟店の取引適正化のために、こういう適正化法、ガイドラインに盛り込まれた内容も含めて、さらには、中小企業庁長官の本部への立入調査とか、あるいは本部と加盟店の契約の実態についての本部の報告義務、こういうのを盛り込んだ適正化法などを立法化する段階に私は来ているんじゃないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 委員御指摘のように、このフランチャイズチェーンは、最近、売上高十七兆円、二十万店舗ということで、利用者にとっては大変利便性の高い流通業でございまして、また、加盟店にとっても、やはりイニシャルコストが少ないとかノウハウの蓄積を利用できるという利点があることは事実であります。
 一方では、本部の内容を一方的に加盟者が受け入れてやるということでありますので、そういった観点からすると、やはり情報開示を徹底するとか、契約内容をしっかりお互いに理解した上で契約をしていくという必要があるわけでありまして、その点から、私どもとしては、いわゆる中小小売商業振興法に基づきまして、本部に対し、契約事項に関する書面交付義務と説明義務を課している、これはもう委員御承知のとおりでございます。
 ただ、本部と加盟店との力関係からしますと、ややもすると、委員が今御指摘になったようなケースがどうしても出てくる場合がございますので、今、公取の委員長の方からもお話がございましたように、ガイドラインの改定をしてそういった対応をしているということでございます。
 また、一方では、総合規制改革会議の答申を受けまして、中小小売商業振興法に基づく事前開示の項目の充実あるいは強化を行うということになっておりまして、まずは、現行法のこういった規定を厳格に運用していく、これで的確に対応していくということがまず先決だというふうに考えております。
 あと、もう一点につきましては、本部への立入調査はどうなのかといった趣旨の御質問でございますけれども、これは、中小小売商業振興法におきましては、主務大臣によります本部事業者に対する報告徴収が認められております。また、事前開示義務を履行していないと認められる場合には、主務大臣による勧告、及び勧告に従わない場合には、その旨の公表措置が盛り込まれております。
 また、独禁法にも、同法に違反する事件に対しましては、公取による報告徴収、立入調査権が認められているということでございまして、我が省といたしましても、各チェーン店の本部であるとか日本フランチャイズチェーン協会からの事情聴取、加盟店からの苦情相談にも積極的に乗っておりまして、事前開示義務の履行状況の把握に努めているところでございます。
 ちなみに、平成十三年の三月でございますが、大手コンビニ七社の本部に対して情報開示に関しましての行政指導もさせていただいておりまして、今後とも、こういった行政指導を通じまして適切な運営がなされていくように努力をしていきたいと思っております。
大森委員 中小小売商業振興法の情報開示の規定については、今回、施行規則の一部、項目としてはかなりふえるようでありますけれども、本部から見れば不利な情報についても開示ということがやられたようであります。そういう点は、これまでの関係者からのいろいろな要望がその中に盛り込まれていることは事実であると思うんですが、しかし、その実効性という点ではどうか、まだまだこれは大きな問題が残るんじゃないかと思います。
 大体、そういう情報開示義務を怠って、勧告や氏名の公表が果たして本当に効果があるだろうかということと、これまでこの情報開示等についての、怠った場合の勧告その他、適用実績という点では、全くこれは実績がないわけでして、こういう点で本当に実績はないんじゃないかと思いますが、この点、確かめておきたいと思います。
杉山政府参考人 ただいま御指摘ございましたように、このたび、中小小売商業振興法の省令を大幅に改革いたしまして、契約前に本部が開示すべき法定項目を大幅にふやしました。そのふやした中には、例えば、訴訟がどのくらい起こっているかとか、あるいはいわゆるオープンアカウント契約の具体的な仕組みを開示すべきだとか、あるいは最近の貸借対照表等の経営状況の資料をオープンにするとか、従来本部の方が余り積極的に開示したがらなかったそういう項目も今回大幅に取り入れて拡充をしたつもりでございます。
 四月の三十日からこの省令は施行をいたす予定にいたしておりますが、現在も関係のところに周知徹底等を一生懸命図っているところでございまして、私ども、この告示が施行されました後には、そういった新しい告示がきちっと遵守をされているかどうか、これは本部事業者に対して十分なフォローアップをいたしたいと思っております。そういったことによってこの新しい省令の開示義務というものが十分に遵守されますよう、しっかりウオッチをしていきたいというふうに考えております。
 ちゃんと担保できるのかどうかという御質問でございました。
 先ほど副大臣からお話がございましたが、私ども、必要に応じてフランチャイズチェーンの本部の事業者に対しましてヒアリング等をかけてございまして、先ほど副大臣の御答弁にありましたように、例えば、平成十三年三月にはいろいろ改善を指導したところでございますが、必要に応じて、こういったことについては、新しい告示を踏まえてきちんとフォローアップをしていきたいというふうに考えているところでございます。
大森委員 関係者のいろいろな要望を取り入れたという点ではこれは評価できるものでありますけれども、しかし、実効性という点ではやはりもっと抜本的な体制が必要じゃないかということです。
 今、フランチャイズ本部というのが、一番新しい数字で千三十八社、いわゆるコンビニというのはそのうちわずか五十八社ですね。あと、圧倒的にサービス業あるいは飲食関係ということになっているわけですね。
 これらのフランチャイズに見られる、いろいろ私どもも含めて相談があるのは、本部の機能や体制が極めて弱い、あるいはフランチャイズを名乗っても何のノウハウもないとか、低額といってもロイヤルティーはしっかり取るとか、非常に悪質なそういう本部もあるわけですね。特に、今の経済情勢で、リストラに遭った労働者とか、あるいは廃業の憂き目に遭った中小業者がそういう本部にひっかかってしまうという事態も次から次に生まれていると思うんですね。
 そこで、こういうフランチャイズの本部と加盟店を希望する人については、もう圧倒的な力の差がある。そういう意味では圧倒的な弱者と言えるわけなんですけれども、その弱者を救済する体制、法整備というのがなされていないと思うんですね。
 消費者については、消費者を保護するそれなりのものがあるわけなんですけれども、消費者的要素の強いこういう加盟店希望者あるいは加盟店、これを救済する、法的にサポートすることがやはり必要だと思うのです。これは、おっしゃった中小小売商業振興法の情報開示の対象にもなっていないわけですね。つまり、フランチャイズの圧倒的部分は対象になっていないということなわけですね。
 そういう意味からも、総合規制改革会議から何らかの体制が必要だという提起がされたわけで、これは前半の部分とあわせて、これらも含めた立法化、それにふさわしい法整備などが必要じゃないかと思うのですが、重ねて、これは大臣にちょっとお聞きをしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 我が国のフランチャイズは、今までお話が出ておりましたとおり、着実に成長を遂げていることは事実です。中でも、サービス業のフランチャイズは、売上高、チェーンの数ともに小売業よりは高い伸びを示しています。
 今般、総合規制改革会議においても、サービス業のフランチャイズについては実態把握等が必要であるとの御指摘をいただいておりまして、現在、パソコン教室でございますとか、塾、エステティックサロン等のサービス業のフランチャイズにおける契約実態等の調査を行っております。
 今後、この調査の結果を踏まえまして、必要に応じてより対象を広げた調査を行うことで詳細な実態の把握に努めまして、それらを踏まえた上での制度のあり方について私どもは検討していきたい、こう思っています。
 また、情報開示について非常に不利益をこうむっている、こういう御指摘がございました。
 中小小売商業振興法におきましては、本部事業者の概要及び契約内容については、本部事業者が加盟をしようとする者に対して、御承知のように契約前に書面を交付し、また説明をすることを義務づけております。
 しかしながら、コンビニエンスストア等を中心としたフランチャイズビジネスの高度化、多様化等とともに、複雑になった契約内容を加盟店が十分に理解していなかったケースなどにおいて、本部と加盟店の間で契約をめぐるトラブルが増加しておりまして、こうしたトラブルを未然に防止するため、先ほど来出ております開示項目の充実強化を求める声、それが高まってきたところで、私どもとしても、それに対処しなければならない。
 そういう観点から、本部の経営状況や契約の重要なポイントについて、中小小売商業振興法に基づく事前開示項目の抜本的な追加拡充を行ったところでございまして、これにより、トラブル防止の一層の徹底を図らなければならないと思っています。
 この中で、本部事業者については、財務内容、それから、直近の三年間における閉店数を含む加盟店数の推移ですとか、直近の五年間における加盟店との間の訴訟件数、従来、本部事業者が必ずしも開示に積極的ではなかった項目に関しても事前開示項目に追加をして、加盟しようとする者が本部事業者の経営状況などを十分理解した上での加盟が判断できるように措置をいたしました。
 しかし、いずれにいたしましても、先ほど御指摘のように非常に厳しいケースが起こっております。ですから、一生懸命やりながら、情報開示ですとか、一方的な力関係で不当な立場に立たされている方、そういった方は、公取とも私どもしっかり連携をしながら、そういった非常に厳しいケースが発生しないように努力をさせていただきたい、このように思います。
大森委員 時間が参りましたので終わりますが、このフランチャイズ制度については、政府も奨励していますように、今後どんどん量的には発展が予想されるという分野であると思います。アメリカなど、このフランチャイズについては百年からの歴史があって、連邦全体に、イリノイ州とかカリフォルニア州とか、各州でもうフランチャイズ法というのは特に立法化されているということであります。
 そこで、若干の調査をやられているようでありますけれども、全体に今フランチャイズが五十業種以上に及ぶという中で、今回の調査はわずか五業種で、ちょっと聞きますと、とにかく三月に慌ててやったという印象がぬぐえない、そういう面もありますから、全面的な調査を必ず行うということと、あわせて制度のあり方について検討するというお答えをいただきましたが、それは総合規制改革会議の提起でもあるわけなんですけれども、立法化も含めた制度のあり方の検討ということで、大臣の御決意を最後に伺って、質問を終わりたいと思います。
平沼国務大臣 調査をさらにしっかりやらせていただきまして、そういった法的な整備の面も含めながら、今後検討をしていかなければならないと思っています。
大森委員 ありがとうございました。
 終わります。
谷畑委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 まず、大臣に質問をいたします。
 本年の二月二十七日の経済産業委員会一般質問の中で、私は、原子力政策について何点か質問をいたしました。その中で、大臣答弁に間違いがあることに気づきましたので、再度、事実確認を求める質問をいたします。
 その質問の内容というのは、日本の外国に頼らなければならないプルサーマルの現状の中で、パナマ議会に放射性物質輸送禁止法案、仮称パナマ運河法案が提出されている、このことについてどのような感想をお持ちでしょうかと大臣に質問いたしました。これに対して大臣は、確かに、パナマの議会でそういう法案が提出されて、そしてそれが否決されたということは承知しておりますと答弁されました。どのような資料に基づいて否決されたと答弁されたのか、事実確認をお願いいたします。
平沼国務大臣 御指摘のように、二月二十七日の当委員会で、大島委員が質問されたパナマ運河法案、これは、放射性物質輸送のパナマ領域運航を禁止する法案について、私は、答弁の際に、同法案が否決をされた旨確かに申し上げました。
 しかしながら、公電をもとに作成した資料で、定数不足で不成立とあったところを、私が、法案は否決と申し上げたためにそういう御指摘があったと思っております。ですから、そういう意味では、私は、正確を期すべきだったのですけれども、そのような答弁にならなかったということは、私はおわびをしなければなりません。
 改めて、正確に御答弁を申し上げなければならないと思っていますが、パナマ共和国の環境委員会が、本年一月二十九日に、本件を議論するため招集されたところ、定足数に満たず不成立、こういうことでございました。その環境委員会の七名の委員のうち、参集した人が二名のみだった。そして、当時は国会自体が休会中であった、こういうことでありました。
 なお、その後、三月五日、六日に改めて環境委員会が開催をされまして、現時点では引き続き審議中とのこと、こういうことで御指摘がございまして、それは訂正をしなければならないと思っています。
大島(令)委員 私も、一月三十日に、外務省の科学原子力課長さんと勉強会を開きまして、この法案に関していろいろお尋ねしました。
 大臣が二月二十七日に答弁した資料は、経済産業省が入手した資料なんでしょうか、それとも、外務省から取り寄せた資料に基づいてそういう答弁を、判断をなさったのでしょうか。
平沼国務大臣 それは、公電をもとにして作成をした、そういうことでございまして、これはパナマ発で本省着、外務大臣殿、これは、松津大使からの中にそのような記載が出ておりました。それをもとに作成をいたしました。
大島(令)委員 その日は外務省の軍備管理・科学審議官の宮本政府参考人も見えていまして、大臣の答弁の後に、「まさに今大臣からお答えのとおりでございまして、」ということで、大臣が否決されたということを承知しているということを認めるニュアンスの答弁もされているのですね。プルサーマル計画が始まったときに、外国に処理を頼まなければならないので外務省に科学原子力課ができたと課長は述べておられるわけなんです。一体、日本政府は、原子力に頼らなければならないエネルギー政策に対して、省を超えてやらなければならないことに関して、政府として連携がとれていないと私は思うのです。
 それと、当日、否決されたと承知しているということは、私を含め、この経済産業委員会の委員、委員会に対して間違った解釈の答弁をされたということでございます。私はこれをどのように解釈したらいいのかわからないわけですけれども、もう一度、大臣、その答弁の間違いに対しての大臣の見解を聞かせてください。
平沼国務大臣 先ほどの私の御答弁で、率直に申し上げまして、それは私が、ある意味では、環境委員会が定数不足で不成立になった、そこで成立をしなかったということを、私は否決をしたと取り違えたわけでありまして、それに対しては先ほど、非常に遺憾である、こういうことで私はおわびを申し上げなきゃならない。そういう意味では、当委員会の皆様方にも、人間、ちょっと取り違え、だれでも間違いがありまして、そういう意味で改めておわびをしなければならない、このように思っています。
大島(令)委員 ということは、経済産業省としてのこのパナマ運河法案の取り扱いに関しては、現在、否決とは通常考えられないわけでございますけれども、生きていると、そういうふうに解釈しているということでよろしいわけですね。
平沼国務大臣 これは、先ほどの御答弁の中にもありましたけれども、三月の初めに環境委員会が招集をされていまして、継続審議、こういうことでございますから、今審議中のこと、このような認識でおります。
大島(令)委員 私は、遠い外国のことでございますので、やはりプルサーマルですとか原子力政策を進める経済産業省の強い意気込みから、非常にうがった考え方をすれば、大臣が――そうですか、はい。
 でも、今までの日本のプルトニウムを含めた核輸送に関しまして、世界で五十カ国以上の国々が憂慮とか懸念、反対をやはり示してきたわけなんです。ですから、プルトニウム、MOX燃料を含めた核燃料サイクルに関しまして、もう一度、世界という視点の中から、この政策がいいのか悪いのか経済産業省として検討していただきたいと私は思っております。
 では、次の質問でございますが、これは政府参考人に伺いますけれども、プルサーマルで使用するMOX燃料について、昨年十二月二十六日に、関西電力はフランスのコジェマ社メロックス工場でのMOXの製造を中止しました。この工場は新しい施設なのかどうか、この点に関してお答えください。
佐々木政府参考人 御指摘のとおり、関西電力が昨年末に加工の中止を発表いたしましたMOX燃料体でございますけれども、関西電力はメロックス工場で加工したと聞いておりますけれども、具体的にメロックス工場のどの施設で加工されたものであるかについては、私どもは承知しておりません。
大島(令)委員 関西電力は新しい工場だと知っていると答えているわけでございますが、関西電力から原子力安全・保安院の方にそのような報告はないのでしょうか。
佐々木政府参考人 実は、当省に対しましては、輸入燃料体検査の申請がまだないものでございますので、私どもが詳細にまだそうした状況を把握する立場ではございません。
大島(令)委員 電気事業者と非常に深く関係のある経済産業省が、どこの工場でこのようなMOX燃料の製造をやったか把握していないというのは非常にお粗末であり、やはり国の監督、指導責任が私は問われると思いますけれども、改めてもう一度伺います。
佐々木政府参考人 私どもの理解といたしまして、メロックス工場での燃料製造の加工をしたということは聞いておりますけれども、どの工程の施設を使ったかについては承知をしておらないということでございます。
 いずれにしても、私どもは、メロックス工場での燃料体加工はMIMAS法によります製造方法であるというようなことは十分承知をいたしております。
大島(令)委員 今の答弁を聞きますと、実は、新しい施設での製造に関してはフランス政府の許可が必要だということでございます。許可前に製造したという違法問題につながるから今のような答弁になるのではないかとやはり推測してしまうわけなんですね。そのように思ってもよろしいんでしょうか。
佐々木政府参考人 再度申し上げますけれども、私どもは、まだ検査の申請前の段階での状況把握であるということを申し上げておきます。
大島(令)委員 では、次の質問に移ります。
 MOX燃料における二五%濃度のプルトニウムスポットの存在に対して、政府の見解を聞かせてください。
佐々木政府参考人 実用発電用原子炉に装荷されますMOX燃料は、二酸化プルトニウム粉末と二酸化ウラン粉末を混合して製造するものでございます。燃料のペレット中に周囲に比べてプルトニウムの濃度が高い部分、いわゆるプルトニウムスポットができます。
 しかしながら、現在の製造方法により製造されましたMOX燃料のプルトニウムスポットについては、原子力安全委員会の専門部会報告書において、実験結果等を踏まえ、安全性に影響がないことを確認されておりまして、したがって、今御指摘のように、二五%程度の濃度のプルトニウムスポットが存在をいたしましても安全性に問題が生じるとは考えておりません。
大島(令)委員 簡単にまとめますと、二五%濃度までのプルトニウムスポットの存在は認める、これは公式な政府見解として受けとめてよろしいでしょうか。
佐々木政府参考人 原子力安全委員会におきますMOX燃料についての指針でございますけれども、現在のMOX燃料の製造方法として、今申し上げましたプルトニウム酸化物あるいはウラン酸化物の二段階混合を採用しているというようなことから、プルトニウムスポットというものの発生については、発生しがたいという基本的な考え方に立っておりますけれども、二五%程度がどの程度であれば安全上影響がないかということについては、基本的に製造方法から均等なプルトニウム分布ができるという前提に立っておりますけれども、相当数の濃度のパーセントがある、局所的にスポットがありましても、基本的には安全上の問題はないというふうに考えております。
大島(令)委員 では、次に、関西電力は、フランスのコジェマ社で製造したMOX燃料について、昨年の二〇〇一年十二月二十六日に、製造を中止すると発表しました。この件に関して、同年十一月二十八日に関西電力から経済産業省にお伺いがありまして、翌十一月二十九日に、経済産業省は合格にできないと判断しました。
 今回、関電は、この製造中止で六十億円の損失をこうむると言われておりますけれども、この間のいろいろなやりとりの中で、この六十億円の損失の責任は関電にあるのか、それとも経済産業省にあるのか、この見解を聞かせてください。
佐々木政府参考人 御指摘の件でございますけれども、関西電力といたしましては、当院の回答を受けて、みずからの経営判断としての加工中止を決定したと承知をいたしております。
 今先生御指摘の責任の問題について、私ども、国としてコメントする立場にはないと考えております。
大島(令)委員 しかし、一電気事業者が、国策であるプルトニウム計画を実施するに当たり、国と密接な連携をとりながら、何年もかかり製造を外国の会社に委託してきた。そういう中で、都合のいいときだけそういう答弁をされるというのは、私は非常に解せないと思っております。もう一度、御答弁をお願いします。
佐々木政府参考人 関西電力から文書にて問い合わせのありましたメロックス製のMOX燃料体につきまして、実は品質保証に関しての規制を加えたわけでございますけれども、この制度に照らして検討を十分いたしました。品質保証活動に関する要求内容として、関西電力みずからがメロックス工場への事前監査及び評価を行うこと、また、製造期間を通じてメロックス工場へ社員を派遣し、製造状況及び品質保証活動について確認を行うことなどが満たされていると私どもは確認できないということで、申請が行われても合格とすることはできないと判断をいたしました。
 国の立場として、当院といたしましては、こうした輸入燃料体の検査制度に照らして厳正に検討した結果を回答したものでございまして、その判断に私どもは問題があったとは思っておりません。
大島(令)委員 それでは、大臣に質問いたします。
 去る三月十九日に発表されました地球温暖化対策推進大綱の中で、原子力の推進が地球温暖化防止のための重要な方策とされております。
 確かに、発電時には、化石燃料とは異なり、二酸化炭素を発生しない電源ではあると思います。しかし、原料であるウラン鉱の採掘から始まり、製錬、濃縮、燃料加工、また使用済み燃料の再処理から最終処分まで、この間においては莫大なエネルギーを使用するのであると思っております。ましてや、原子力自体の解体処理、放射性廃棄物の処分まで考えれば、エネルギー面から見た環境への負荷は大きなものがあると思います。
 原子力のライフサイクルから見て、本当に原子力発電が温暖化防止になるのか説明をしていただきたいと存じます。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 ウラン鉱石の採掘や、発電設備の建設から解体までを含んだ原子力発電のライフサイクルにおきますCO2排出量につきましては、平成十三年八月の財団法人電力中央研究所の試算によりますと、一キロワットアワー当たり二酸化炭素換算で二十四から二十九グラムとされております。
 一方、同様に同財団の試算によりますと、ライフサイクルにおけるCO2排出量は、石炭火力発電では、一キロワットアワー当たり二酸化炭素換算で九百五十二から九百八十八グラム、LNGコンバインドサイクル発電では、一キロワットアワー当たり二酸化炭素換算で四百六十九から五百五十一グラムとされています。
 このように、原子力発電については、他燃料による発電と比較いたしましても、ライフサイクルにおけるCO2排出量は大変低くとどまっておりまして、原子力発電の推進は我が国のCO2排出量の削減に資するものである、このように思っております。
大島(令)委員 質問時間が参りましたので、また次回のチャンスにこの予備的調査書、原発の発電単価のコストに関して準備しましたけれども、次回ということで、きょうはこれで終わらせていただきます。
谷畑委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 きょうは、参議院で武部農水大臣に対する問責決議提出という緊迫した政治情勢の中で、ともすると、最近の国民の声は、この厳しい不況の中でスキャンダルの暴露合戦、揚げ足取りばかりやっていて国会は何をやっているんだ、こういう御批判を、議員各位はそれぞれの地元で生の声をぶつけられている御経験をお持ちだと思います。
 そういう中で、委員長の英断と与野党の筆頭理事、また理事の皆さんの御努力、そして大臣、副大臣のまじめな姿勢によってこの委員会が、現下の大変厳しい中小企業を初めとする国民生活にとってまじめな議論をしているというのに、テレビカメラが一台も来ていない、新聞記者が一人もいない。私は、こういうことこそ国民にもっと知らせてほしい、本当にそう思って、私はこの委員会に所属しておりますことをまことに名誉に感じておりまして、質問の機会を与えていただきました与野党筆頭理事に感謝を申し上げて質問に入りたい、こう思うわけであります。決してひょうたんからこまの質問なんということは言いません。
 相も変わらず、金融問題について、大臣、副大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。
 大臣は参議院の本会議の御都合もおありと聞いておりますので、どうぞ適当なお時間に参議院に出向いていただきたいと思います。したがいまして、初めに大臣に総括的に伺いたいと思うのでございます。
 大臣の御努力、また与野党の議員の皆さんの御努力によって私も質問をさせていただきましたが、いわゆる金融庁の金融機関に対する検査マニュアルについて、デフレ対応策の中で、小泉内閣は、検査前、検査中、検査後に、検査官に対して適切な指示を上級職の者が出す、または当該金融機関のいろいろな都合についても詳しく、その金融機関の立場に立って理解をする努力をすると。
 さらに、この間、当委員会に参考人でおいでをいただいた全国信用金庫協会の長野会長に伺いましたが、デフレ対応策の中で、いろいろなパターンを類型化して、こういうケースなら貸してもいい、こういうケースはちょっと問題があるんじゃないかというようなことを、わかりやすい手引をつくって、それが実施されるならば大変な効果が上がるだろうという御意見も拝聴したところであります。
 現在、中小企業庁を中心に、金融庁と、このマニュアルをめぐって、もっともっと金融庁の姿勢というものを――借り手側の、大変苦しい中で努力をしている中小・小規模企業者の立場、また、そういう人を何とか助けようとしているいわゆる地域金融機関、中小金融機関の立場、こういうものを平沼大臣としては守っていかなきゃいけない、こういう御努力をしてこられたというふうに思います。
 私は、失礼ながら率直に申し上げますけれども、経済産業省の悪い癖は、はやりに敏感であるけれども、粘りがない、一つ何か打ち上げると、すぐ次のことにぱっと移っちゃう、これは頭のいい人の特徴ですね。だけれども、平沼プランというものは、私は実体経済を改善する意味で大変重要だと思って支持しているわけでありまして、そういうことをもっとやってもらいたい。その実体経済を救うためにも、この金融機関に対するマニュアル問題というのは非常に大事であると思います。
 そこで、大臣に伺うわけでございますけれども、どんなやりとりを、経済産業省、特に中小企業庁、大臣の御指示によって、金融庁とこのマニュアル改善のために闘ってきたのか、そのことについて大臣から御答弁をいただきたいと思います。
平沼国務大臣 西川先生にお答えをさせていただきます。
 先生御指摘のとおり、実際の検査に当たりまして、中小零細企業向けの貸出債権を査定する場合には、当該企業の販売力や成長性、また代表者等の収入、資産状況といった、各中小企業の特性を十分考慮することが必要でありまして、検査マニュアルにもこのような趣旨の中小零細企業への配慮規定が盛り込まれるということでございます。
 本年一月から二月にかけまして、中小企業庁の幹部が全国二十五道府県に赴いて行いました地域金融機関に対するヒアリング調査におきましても、金融検査マニュアルにおける中小企業の特性への配慮規定の趣旨が必ずしも検査の末端まで十分に浸透しておらず、中小企業金融の実態に合っていない事例が見られるというような指摘がございました。
 また一方では、金融検査を受ける金融機関の側に、検査内容に対する習熟や資料の整備、説明の適切さ等の点で問題があるケースもあるとの指摘がありました。これは先日の委員会でも申し上げたところでございます。
 私どもといたしましては、このような現場からの指摘も踏まえまして、マニュアルの機械的、画一的な運用の防止を図るために、今般の「早急に取り組むべきデフレ対応策」の中で、金融庁において、金融検査立ち入り中の検査モニター、立ち入り後の意見申し出制度等を充実強化するほか、中小零細企業等の債務者区分の判断については、マニュアルの具体的な運用例を作成して公表する等の措置がとられる、このようなことになりました。
 この具体的な運用例の作成、公表につきましては、昨年春以降、機会あるごとに、経済産業省から金融庁に対してずっと要請をしてきていた点でございます。金融庁においては、これは当然のことながら既に作成に入っておりまして、私どもとしては、この内容が明らかになり次第、さらに当省としても、中小企業への資金供給の円滑化の観点から、必要に応じて意見を申し述べていかなければならないと思っています。
 現在、金融庁におきましては、先ほど申し上げた諸施策を順次検討し実施に移しているところでありまして、当省としては、今後、金融庁のこれらの諸施策の進展状況を関心を持って見守るとともに、必要に応じて、今申し上げたように意見を申し上げていきたい。これらの諸施策によって、マニュアルの機械的、画一的な運用の防止に実効が上がるように万全を期していきたいと思っています。
 そういった形で、私どもとしては、先般行いましたデフレ対応策においても、取引金融機関の破綻や大型倒産に直面した中小企業に対する信用保証協会のセーフティーネット保証制度や、政府系金融機関によるセーフティーネット貸付制度について、要件緩和により対象となる中小企業者の範囲を拡大する等の拡充措置もとらしていただき、実施をしております。このようなセーフティーネット対策に一層きめ細かく対応をし運用することによって、厳しい状況にある中小企業者に資金調達を円滑にしていかなければならない。
 御指摘のとおり、そういう非常に厳しい面はございますし、金融監督庁のそういう検査というものも、冒頭申し上げましたように、中小企業に対するそういう特別な配慮をすべきだ、このことを我々はしっかりと追跡し、それにフォローアップをして、そして万全を期さなきゃいけない、このように思っています。
西川(太)委員 大臣、どうぞ参議院へお出かけください。
 古屋副大臣にお尋ねをさせていただきます。
 実は国民金融公庫が、創業資金融資に対して無担保無保証、本人保証なしということを導入されて、非常に画期的だと思うんですけれども、これまでの融資の実績がいかほどであったか、また創業につながったものとしてどういうようなものがあるのか教えていただきたいと思います。
古屋副大臣 お答えをさせていただきます。
 今は廃業が創業を上回っております。その一番の理由は、創業したくても、百八万人の人が創業したいといいながら、十八万社しかできないということは、やはり資金繰りでございまして、これは担保至上主義の一つの弊害だと思いまして、今委員御指摘のように、国金におきまして、物の担保がなくても事業内容を担保に融資をしようという制度を立ち上げました。平成十三年度の補正予算で九十七億円でございまして、これで創設をしたわけであります。
 ことしの一月四日から四月四日までの実績で見てみますと、既に二百九十四件、業態別には、サービス業が四〇%、小売業が二〇%というような状況でございまして、融資額が約十億円程度でございます。
 具体例としては、新聞にも報道されているのがございますけれども、ちょっと幾つか典型的なものを挙げさせていただきたいと思います。
 証券会社が破綻して失業した五十五歳の男性です。ITビジネスに着目をして、情報ネットワークシステムの保守管理を行う会社というのを立ち上げたということでございます。これは成功しているそうです。
 それから、大手メーカーをリストラされた五十三歳の男性ですけれども、ビジネスマンを支援していくための資料室というのがないということで、雑誌図書館なるものを立ち上げた。これは三月二日の読売新聞にも報道されていたそうでございますけれども、それの設備の購入資金として充てたということ。
 それから、コンピューター関連企業に勤めていられる四十一歳の男性ですけれども、自分の思いどおりのソフトウエア、なかなかこのソフトウエアというのは、既製品ですとどうしても自分の多様なニーズに合致することができないということで、そういったソフトウエアを開発したいと思いまして、独立をしてソフトウエアの企業を立ち上げたということで、これはパソコンの購入費等に充てさせていただいたということでございました。
 こういった成功例もございまして、今後ともこういった融資を大いに積極的に活用していくことによって創業をふやしていく、ひいては雇用の創出につながる、こんなふうに思っております。
西川(太)委員 民主党の中津川議員が提案をされて、新聞にも取り上げられている、野党も少し褒めなきゃいけないから言いますけれども、大変いい提案。それは、創業に限らず、やはり無担保無保証、いわゆる身ぐるみはがれちゃうというような、そういう過酷な条件で小規模企業者やそういう者が融資を受けるということでは、日本は育たないですよね。
 よく言われることですけれども、農家一軒当たりの国からの保証は二百十万円なんですよ。農家は今や国家公務員になっている。ところが、中小零細企業者に対してはそういう保証は全くないですよ。だからといって、私は、何でもかんでも公的なお金をだぶだぶじゃぶじゃぶつぎ込めということは、もちろんそんな非常識なことを言うつもりはないのですが、やはりやる気のある人を見分けて、これはいけそうだと思ったら育てるという本来の金融、もっとリスクをとってやらなきゃいけないと私は思うのですね。
 公的金融機関というのは、戦争が終わった直後はお金の量でしたから、資金の量を確保していくということが必要だったから公的金融機関はそういう面での働きが非常にあった。しかし、九七年四月に公的金融機関の存廃を閣議でいろいろ議論をされていろいろなものが決まりましたよね。例えば、国民金融公庫と環衛公庫が合体したり、または中小企業信用保険公庫と中小企業事業団が合併したり、日本開発銀行を廃止して新銀行をつくって北東公庫を合併したり、いろいろしました。
 しかし、今一番大事なことは、私ども、この間うちの、公的な政府系の金融機関を、特に中小の企業に対するバックアップをする金融機関を守らなきゃいけないという運動を与野党ともにやったのは、いわゆる民間金融企業がリスクをとらないんですね。リスクをとらない。だから、英語で言うと、ファンディングからリスクテーキングとアメリカでは言っているわけですけれども、そのリスクテーキングをもっとしっかりやらせなきゃいけない。
 こういうことで、私は、政府系金融機関が、こうした創業資金以外でも物的担保をとらずにこういう融資制度を拡大していくべきではないかという点が一つ。それから、もしそこでいわゆる不良債権だ、やれ何だという議論が出て、損失をどうするんだという議論が出たときには、民間の銀行に巨額の資金を投入することよりも、こういうところに公的資金を投入した方がはるかに国民の理解が得やすいのではないか、こういう点を経済産業省としてはやっていく必要があるんじゃないかというふうに私は思います。
 最後に、これは、私は単に感情論で言っているんじゃないんですよね。
 例えば、私の調査させていただいたものによりますと、一九八六年から九〇年までのマネーサプライの増加率は一〇・八%もあったんです。アメリカが五・二、ドイツが四・六、フランスが四・二、イタリアが七、イギリスが五パーのときに、日本は一〇・八もあった。
 ところが、九〇年から九八年の九年間では、何と二・六というふうに、マイナス八・二もマネーサプライが縮んだんですよ。アメリカはマイナス二・一、ドイツは一・六ふえた、フランスはマイナス二・九、イタリアはマイナス三・二、イギリスは〇・三ふえた。日本が極端に、マイナス八・二もマネーサプライが減った。
 では、その結果どうなったかというと、名目のGDPの成長率は何とマイナス六・一になっちゃった。だから、バブル期には七・二もあったものが、失われた十年では一・一平均になって、マネーサプライが縮んだ分、名目成長率も減った。私は、この相関関係は非常に大事だと思う。
 だから、日銀が幾ら資金を準備しても、マネーサプライをどんどんふやそうとしても、それが目詰まりを起こしちゃっている。それはなぜかというと、リスクテーキングしないからですよ。そういうものを政府系金融機関はやるべきだという、私は理論的にもこのことは間違っていないと思うので、経済産業省の姿勢を伺って、もう時間でございますので、質問を終わりたいと思います。
古屋副大臣 委員御指摘のように、我々政府としても、またあるいは与党としても全く同じ意見でございまして、すなわち、土地担保至上主義から脱却をしてやる気のある人たちにしっかりとその事業内容を担保に融資をする、そしてもう一つは、小泉総理が昨年の臨時国会でも主張しておりましたけれども、再挑戦できる社会をつくり上げていく、これがやはり非常に重要だと思っております。
 そういった意味から、私どもといたしましては、先ほど来答弁させていただいておりますように、創業する場合は、無担保無保証の五百五十万円を限度とした融資を始めさせていただいたわけであります。また、そのほかにも無担保無保証の融資制度の充実というのは幾つかございます。もう委員御指摘のとおりでございまして、一千万のマル経だとか、あるいは小口保証制度、昨年の臨時国会で千二百五十万円に上げさせていただきました。また、今度の貸し渋り対策の一環として、商工中金で、三千万円、無担保ということで融資の制度をさせていただきました。
 ただ、そういった制度を充実させていくためには、やはりどれぐらいのリスクがあるのかというそのリスクのデータベースをいかにしっかり蓄積をしていくかということが重要でございます。よくCRDといっておりますけれども、このクレジット・リスク・データベースを集めるためのプロジェクトを今推進しておりまして、これがいかにいい正確なデータベースになるかということによって、おのずからのリスクが判断をされて、弾力的そして適切な融資活動が行えるようになっていく、私どもはそういった視点に立って取り組んでいきたいと思っております。
谷畑委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十三分開議
谷畑委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 本日付託になりました内閣提出、参議院送付、特許法等の一部を改正する法律案及び内閣提出、参議院送付、弁理士法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 これより両案について順次趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 特許法等の一部を改正する法律案
 弁理士法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
平沼国務大臣 特許法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 この法律案は、特許法、商標法その他の工業所有権関係法律について、近年の技術革新の進展及び経済社会の情報化等に対応し、権利保護の強化、出願人の負担軽減、審査の効率化及び我が国工業所有権制度の国際的調和を図るため、所要の改正を行うものであります。
 なお、本件につきましては、昨年五月から産業構造審議会知的財産政策部会において慎重な審議が重ねられた結果、十二月に報告書が取りまとめられており、本法律案はこの報告書を踏まえて作成したものであります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一は、プログラム等が、特許法上の物に含まれること及びプログラム等の発明の実施に電気通信回線を通じた提供が含まれることを明確にすることであります。
 第二は、侵害とみなす行為の範囲を拡大することであります。具体的には、侵害に用いられることを知りつつ部品を供給する行為等についても、侵害とみなすこととするものであります。
 第三は、特許を受けようとする者が、その発明に関連する公知の発明を、出願時に発明の詳細な説明に記載する制度を導入することであります。
 第四は、国際特許出願について、国内書面提出期間を一律に二年六月とするとともに、外国語特許出願について、日本語による翻訳文の提出時期を、国内書面の提出の日から二月以内に延長することであります。
 第五は、商標を付した商品を電気通信回線を通じて提供する行為等が、商標の使用に含まれることを明確にするものであります。
 第六は、国際登録に基づく商標権の個別手数料を、二段階に分けて納付することとするものであります。
 第七は、その他出願人の負担軽減及び工業所有権制度の国際的調和を図るために必要な事項について、所要の改正を行うことであります。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 続きまして、弁理士法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 近年の技術革新の進展及び経済社会の情報化等に伴い、知的財産関連の侵害訴訟の件数が急増しております。こうした知的財産関連侵害訴訟の迅速かつ効率的な処理を図っていくために、専門性の高い訴訟代理人の量的拡大による紛争処理機能の充実が強く望まれております。
 本法律案においては、こうした情勢を踏まえ、特許権等の侵害訴訟に関し、裁判所における訴訟処理の迅速化を図るため、一定の要件を満たす弁理士に訴訟代理権を認めるための所要の措置を講ずるものであります。
 なお、本件につきましては、昨年六月に取りまとめられました司法制度改革審議会意見書においてもこうした措置を講ずべき旨の提言がなされており、本法律案はこの意見を踏まえた内容となっております。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一は、国が行う侵害訴訟代理業務に関する試験に合格した弁理士が、弁護士と共同で受任している特許権等の侵害訴訟事件に限り、その訴訟代理人になることができるものとすることであります。
 第二は、訴訟代理人となった弁理士が法廷に出頭するときは、原則として弁護士とともに出頭することとし、裁判所が相当と認めるときは、単独で出頭することができるものとすることであります。
 第三は、国が行う侵害訴訟代理業務に関する試験は、特許権等の侵害訴訟に関する訴訟代理人となるのに必要な学識及び実務能力に関する研修であって省令で定めるものを修了した弁理士に対し、必要な学識及び実務能力を有するかどうかを判定するため、論文式による筆記の方法により行うものとすることであります。
 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
谷畑委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る十日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時四十九分散会

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