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第3号 平成14年11月6日(水曜日)

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平成十四年十一月六日(水曜日)
    午前九時三十一分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君
   理事 河上 覃雄君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    梶山 弘志君
      小泉 龍司君    近藤 基彦君
      佐藤 剛男君    桜田 義孝君
      中山 成彬君    西川 公也君
      林  義郎君    平井 卓也君
      増原 義剛君    松島みどり君
      森  英介君    山本 明彦君
      渡辺 博道君    井上 和雄君
      生方 幸夫君    小沢 鋭仁君
      川端 達夫君    北橋 健治君
      後藤 茂之君    中山 義活君
      松原  仁君    山田 敏雅君
      山村  健君    漆原 良夫君
      福島  豊君    一川 保夫君
      工藤堅太郎君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      井上 喜一君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   内閣府副大臣       伊藤 達也君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府参考人
   (経済産業省大臣官房審議
   官)           桑田  始君
   政府参考人
   (経済産業省経済産業政策
   局長)          林  良造君
   政府参考人
   (中小企業庁長官)    杉山 秀二君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   技術安全部長)      中山 寛治君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
十一月六日
 辞任         補欠選任
  平井 卓也君     近藤 基彦君
  北橋 健治君     井上 和雄君
  工藤堅太郎君     一川 保夫君
同日
 辞任         補欠選任
  近藤 基彦君     平井 卓也君
  井上 和雄君     北橋 健治君
  一川 保夫君     工藤堅太郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第六七号)
 中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六八号)
 知的財産基本法案(内閣提出第一号)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官桑田始君、経済産業省経済産業政策局長林良造君、中小企業庁長官杉山秀二君、国土交通省自動車交通局技術安全部長中山寛治君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北橋健治君。
北橋委員 おはようございます。民主党の北橋健治でございます。
 きょうは、政府提案の法案の審議に入るに際しまして、今般、政府の方から、不良債権処理を加速させる、そしてデフレ対策というものも一緒に発表されたわけでございますが、主要経済閣僚のお一人として大臣がこの点をどのように評価をされているかについて、まずお伺いをしたいと思うんです。
 マスコミの世論調査を見ましても、この程度のデフレ対策ではとても景気の下支えにならないのではないか、七割強の方が、もう期待はできない、そのように答えておられますし、そしてまた、多くの内外のエコノミストも、今回のデフレ対策の評価として、本当に、骨抜きにされたとか、あるいは経済を押し上げる具体的な力に全く欠けている、そういう非常に厳しい、辛口の採点が非常に多いと思うわけでございます。
 今後、不良債権処理の加速化に伴いまして、中小企業、雇用への影響が大変懸念をされておるわけでございますが、そこで、大臣にお伺いいたします。この程度と言いますと言葉が過ぎるかもしれませんが、今回のこのデフレ対策では今般の厳しい経済情勢というのは我々にはとても乗り切れないものだと考えますが、大臣はどのように考えておられますか。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 現下の厳しい経済金融情勢にかんがみまして、今般、改革を加速するための総合対策におきまして、経済活性化及び資産デフレ対策を講ずるとともに、不良債権の処理と産業再生、それに伴います雇用、中小企業分野のセーフティーネット整備、こういった諸施策を連携した総合的なデフレ対策、こういうことが取りまとまったところでございます。
 このうち、セーフティーネット対策につきましては、一つは、雇用への影響に対する対応として、離職者の再就職を促す奨励金の創設でございますとか、地域における新たな雇用の創出など、これを集中的に行う。そしてまた、私どもに一番関係をしております中小企業への影響に対応する対策といたしましては、政策金融の活用やあるいは信用保証の拡充による中小企業金融の円滑化など、各般にわたる施策を盛り込んでいるところでございます。
 今後は、これらの施策を迅速かつ着実に実行に移すということが必要だと思っておりますし、不良債権処理の進展など諸般の情勢を見きわめながら、政府として果断に経済運営を行うことが重要である、こういうふうに思っております。
 御指摘のように、厳しい状況の中で、例えば金融の不良債権処理、こういうものを進めていきますと、中小企業に対する非常に大きな影響が出てきます。そこで、万全のセーフティーネットを張らなければならない。こういう形で我々対策を講じておりますが、しかし、これも委員御承知のように、平成十三年度は六千億の赤字、十四年度も六千億の赤字が出る。当面はその中で今乗り切れる、そういう見通しを持っておりますけれども、しかし、例えば十四年度以降厳しい状況になるということは、これは数値的にもそういう見通しが立つわけでございまして、私どもとしては、これを加速するためには、やはり平成十五年度ぐらいの中で思い切った対策を講じるということも必要になってくるんではないかと。しかし、今の段階では、こういう厳しい経済情勢の中で、でき得る限り効率的に、そして効果が上がるようにこの対策を実行していく、このことだと思っているわけであります。
北橋委員 なぜ内外の世論が今回のデフレ対策に厳しい評価なのか。それは、財務金融委員会で竹中さんにもこれから私ども厳しく質疑をさせていただきますけれども、例えば、政府のデフレ対策の中に金融再生プログラムというのがありますけれども、これを見ると、肝心かなめの対策の多くは、検討を「要請する」あるいは「検討する」というのが随所に出てくるんですよ。
 例えば、今回は銀行の自己資本の取り扱いをめぐって政府・与党内に激しい意見の対立があったわけでございますが、結局先送りのような形になっております。繰り戻し還付金制度の凍結解除だとか、欠損金の繰越控除の延長というのは、これは経済産業省も中小企業のためにぜひとも必要であると強く訴えてきた措置でございますけれども、これも「要請する」であります。あるいは、後ほど質問いたしますけれども、今回、中小企業のための新しいJローンという信託会社をつくろうというのも、これも「検討する」であります。つまり、ここで、肝心かなめの政策の多くは、検討する、あるいは今後財務省を初めとして各省庁間で話し合うという内容の代物でございます。
 そもそも、大臣、私どもおかしいと思うのは、これは閣議で決定されたんでしょうか、閣議了解があったんでしょうか。私どもはそういうふうに聞いていないわけで、単なる金融庁の作成した、言うならば竹中さんのペーパーにすぎないのではないか。こういうような扱いで、本当にこれから厳しい経済情勢の中で雇用や中小企業を守っていけるんだろうか。その対策の多くは穴があいているわけでありまして、そういった意味では、主要経済閣僚のお一人として、私は、率直に内外の厳しい世論を受けとめていただきたい、こう思っているわけです。
 そこで、大臣に、この中で非常に注目される一項に浮上した産業再生機構という問題について、今後経済産業省としてどのようにかかわっていかれるかについてお伺いいたします。
 これについては、一年以上も前のときにも検討はされました。ところが、RCCを初めとして公的な機関が企業の生き死にを判定するというのは非常に難しい問題があるという意見が霞が関の首脳陣からも出まして、先送りになってきた経緯がある。それを今回つくろうというお話でございますけれども、どういう方向で運営されるお考えでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 今のお話の中に、閣議でこれを決定したかどうか、こういうような御質問がございました。
 これは、閣議には報告をされたという形でありますし、また政府・与党の中でも、そういう報告で、この方向でみんな力を合わせていこう、経済財政諮問会議の中でもそういう形で報告がなされ、そして私も、それを受けて今経済産業省の中で具体的な作業を進めている、こういうことでございまして、これは各省庁とも重く受けとめてやっている、こういうことは御理解をいただきたいと思います。
 それで、不良債権処理を加速する中で、いたずらに経営資源の散逸をもたらすことがないように、企業再生に取り組むための新たな機構として、産業再生機構を、これは仮称でございますけれども、創設することが決定をされたところでございます。
 経済産業省といたしましては、産業再生の担当の役所として、新機構の設立及び運営に関して、産業再生法の抜本改正を初め、産業再生策と相まって最も効果的な経済再生が進むように、積極的に参画をしてまいる決意でございます。
 具体的には、新機構における企業再生の取り組みにつきましては、今後、産業再生・雇用対策戦略本部、これもまだ仮称でございますけれども、ここにおきまして産業再編や早期再生に関する基本方針に従って行われることとなりますけれども、私どもといたしましては、既に今この基本方針の具体案を作成いたしておりまして、このことを強力に事務方で進めているところでございます。
 したがいまして、経済産業を預かる役所として、これはできるだけ早く提案をして、そしてしっかりとした形で運営をしていくように、そういう形で今努力をしているところでございます。
北橋委員 御答弁の中に、閣議で報告があったということなんですが、重要な経済対策はすべて、閣議決定あるいは閣議で正式に了解をするというきちんとした手続を踏んでいるわけです。今回はされていない。単なる報告であります。ここに、政府・与党がいかに迷走してきたか、そしてまた多くのことが先送りになったかということが端的にあらわれていると思っておりまして、こういった内閣の政治姿勢につきましては、クエスチョンタイムを初めいろいろなところでまた我々なりの見解を述べさせていただきたいと思います。
 先ほど大臣の方から、産業再生について経済産業省としても積極的にかかわっていくという方針でございますが、そして、その具体的な方針については今鋭意検討中であるということなんですが、既にマスコミ等を通じまして、具体的に、企業債務はキャッシュフローの十倍以内ぐらいを一つのめどにするとか、幾つか事務当局のお話がマスメディアにも流れております。そして、財務大臣も、民主党の円議員の質問に対しまして、その人選に当たりましては政治家、役人、銀行のOBは使うべきではないわな、こういう答弁もされておりまして、輪郭がどんどんできてきております。
 つまり、これは、今後、政府内部で検討をされていくだけに、今日の厳しい経済産業の実態に一番通じていらっしゃる平沼大臣が、政府内部ではっきりと主張していかないといけない問題だと思うんです。財務省はやはり、幾ら資金がかかるのかということも気になります。そういった意味で、まさに経済産業省が、しっかりとしたポリシーを早くはっきりと表明をして、政府の中でイニシアチブをとっていくということが必要なんですね。
 そういった意味では、こういった問題は、幾つかの原則というのは、大臣、もうこの場ではっきりとされていかないといけない。例えば、ディスクロージャーの問題をどうするかとか、人選についてはどうするかとか。企業の生き死にがかかっているわけですね。そして、今までも、中堅の企業がつぶれるときには、総理は、これは改革が進んでいる証拠だと。でも、もっとでかいところがつぶれると平成の徳政令を出したりするということで、企業の生き死ににかかわる政府の対応については非常な不信感もあるわけでございます。
 そういった点について、明確に、これからの検討というのは、もう既に新聞にいっぱい出ているわけですから、やはり、大原則というのは各省庁に先んじて打ち出されてはどうでしょうか。
平沼国務大臣 当然、御指摘のとおりでございまして、経済産業政策に責任を負っている経済産業省といたしましては、イニシアチブを持ってこれをやっていかなければならない。そういう形で、私どもはイニシアチブを持ってこのことは進めていく、そういうことで私ども頑張っていきたい、こう思っております。
北橋委員 これを設置するとなると法改正が必要になるんだろうというふうに思うのですが、産業再生機構をつくるというのであれば、なぜこの臨時国会で法案を提出されないのですか。今回の臨時国会というのは、不思議なことに本当に重要な法案が出てこないんですね。例えば不良債権処理の公的資金投入の話でも、新法をつくらないと言っている。
 これも私どもには理解しがたい問題ではあるのですが、法改正を必要とすることは、成立してから、そして施行期間を置いて設置するまでにすごい時間がかかる。この年末をどうやって乗り越えようかと企業の経営者が必死になっているときに、あるいは年末のボーナスが出るんだろうかと従業員のみんなが心配しているときに、こんな悠長なスケジュール感でいいんでしょうか。いつ、この法案を提出するなり、スタートを考えていらっしゃるんですか。できるだけ早く、この臨時国会でやるぐらいの気構えをお持ちになった方がいいのではないでしょうか。
平沼国務大臣 確かに御指摘の面があるわけでございますけれども、今回の会期というのが非常に短いというようなことも一つのファクターでございますし、また、いろいろこれに対しては時間もかかるというような側面もございました。
 しかし、今、先ほどの答弁でもちょっと申し上げましたように、十四年度中のセーフティーネットの対策等は、これはぎりぎりですけれども、万全を期していけば何とか乗り切ることはできる、こういう一つのめどもついております。したがいまして、通常国会で、早い時期に関連法案は出させていただいて、そして、その中で産業再生法の抜本改正を含めてこれはぴしっと早急に対処をする、そういうような判断で今国会は私どもは提出をしなかった、こういうことでございます。
北橋委員 今の株価の低迷からして、来年の三月の決算期をどうやって乗り越えようかと産業界は必死に頑張っているんですね。通常国会の冒頭に出してそれから施行されたのでは、随分先の話だと思いますね。この辺に、私は、政府には現下の経済情勢に対する危機感というものが本当に感じられないなということを今改めて痛感をいたしました。可及的速やかに具体的方針を明らかにしていっていただきたいと思っております。
 さて、今回のセーフティーネットの議論の中で、雇用と中小企業はとにかく安全網を早く整備すべきだというのは、政府も与党も共通の見解でございます。
 我々も、補正予算を、予算を組み替える形でこの臨時国会に提出をして、そうやって国民に対して一定の安心感を持っていただく、やれることは速やかにやるんだというメッセージを発するべきだと、補正予算の成立をむしろ逆に私どもが求めてきているんですね。ただ、与党内と違うところは、昔ながらの、借金をして公共事業を追加するような、そういう発想はとるべきではない。今、現にある、未執行の予算というのは数兆円残っているわけでございますから、そういったものから、行政改革なり公共事業の見直しによって、中小企業や雇用のセーフティーネットに必要な補正予算を直ちに成立させるべきだというのが民主党の基本方針でございます。
 そこで、政府の最近の対応を見ておりまして、雇用も中小企業も大きな過ちを犯すのではないかと懸念することがあります。その一つは、雇用保険の財政が厳しくなったから保険料を上げようかという、これは全く時代に逆行する発想ですね。政府の経済運営の失敗、無為無策によって本当に罪もない従業員や中小企業の人たちが苦しんでいるときに、何でまた負担をさせるんですか。それこそ、まさに政府が、安全網対策で、財政が枯渇すればそこに対して予算を投入するというのが筋でなければならない。
 同じように経済産業省も、信用保険の財政が苦しくなってきた、代位弁済がふえた、そして財源がどんどん枯渇してきている、このままではもたないから、どこかの時点で、恐らく来年、通常国会冒頭にも補正予算が組まれるんでしょうけれども、そういうことで対応が必要だと言っているんですが、雇用保険と同じように、今度は、一般信用保証の利用料率を引き上げようと、新聞によると〇・三%引き上げようという話があるんですよ。
 確かに、一般論の議論としては、例えばリスクに見合う金利を取るような、そういった銀行への転換だとか、いろいろな議論は一般論としてあります。でも、これから二年間は地獄の不良債権処理の期間になるんでしょう。そういうときに、財政が枯渇しているから雇用保険料も引き上げるんだ、あるいは保証料率も引き上げるんだと。これは全く時代に逆行している。国民は到底そんなことは容認できない。
 したがって、大臣にここでお伺いしますが、信用保証の保険の財政基盤というのは、この委員会で何回も決議をされてきている、この充実を図ることが必要だということは超党派で合意をされていることでありますが、残念ながら枯渇しようとしている。そういう中で、料率の引き上げなんて安易な方法は今考えるべきではないでしょう。はっきりとお約束していただきたいと思います。
平沼国務大臣 まず、信用保険法の改正を行って各種信用保証の拡充を行う、こういうことにしておりますけれども、この保険財政について、非常に厳しいという状況があるわけでございます。
 中小企業総合事業団の信用保険部門の保険収支につきましては、委員もよく御承知だと思いますけれども、これまでの積極的な保証でございますとか長引く経済環境の低迷から急速に悪化していることは事実でございまして、この結果、先ほど申し上げましたように、平成十三年度から十四年度にかけて、それぞれマイナス六千億もの赤字を計上する、そういう見込みになっているわけであります。
 一生懸命ためまして、一時は一兆円を上回っていた信用保険準備基金の残高は、十三年度末には五千八百億円まで落ち込んで、今後何らかの措置を講じない場合には同基金は十四年度内に枯渇をする、こういうことが見込まれております。
 また、今後の収支見通しを試算いたしましても、依然厳しい状況が継続することが予想されておりまして、特に今後三年間、平成十五年度から十七年度で九千億円程度の大幅な収支赤字が発生することが現時点において見込まれているところでございまして、そういう意味では、先ほど申し上げましたように、やはり通常国会でしっかりとした手当てをしなければならない、こういうふうに思っているわけでございます。
 それで、御指摘の最小限の負担、これは、不足額の一割について利用者たる中小企業に負担をお願いしたい、こういうふうに考えているところでございますけれども、今後、保証制度を将来にわたり持続的に運営していくための最小限の御負担をお願いしたい、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
 確かに、御指摘のように、こういう厳しい中で中小企業の皆様方に御負担をお願いすることは大変だということは、そのとおりだ、こういうふうに思っておりますけれども、やはりこの信用保証制度の全体の存続、そしてそれを円滑に行うための一つの方策の中で、もちろん拡充はしていかなければいけませんけれども、その中で必要最小限はお願いをさせていただきたい。
 本見直しによる中小企業者への影響というのを計算してみますと、大体、平均的に一千四百万円を三年間の均等返済で融資を受けた場合は、従来に比して約七万円の負担増となります。年間二万四千円の負担増でございまして、そういうことで、御指摘のとおり、中小企業の皆様にとっては、ある意味では非常に厳しいということになると思いますけれども、やはり、全体を維持する、そういう形で円滑に行うという観点から、必要最小限お願いをしたいと思っております。
 なお、セーフティーネット保証につきましては、その政策的な観点から、引き続き、ある意味では現行料率を維持したいと考えておりまして、売り掛け債権担保融資保証についても、今後一層の利用促進を図る観点から保証料率を引き下げたい、こういうことも思っております。
 そういう意味では、ぜひいろいろ御理解をいただいて、そして全体がスムーズにいく、そういう観点で、私どもは、繰り返しになりますけれども、本当に必要最小限お願いをしたい、このように思っているところでございます。
北橋委員 政府の考えているセーフティーネットというのが、国民にとっては非常に冷たいものであるということがだんだんはっきりしてきていると思うんです。
 今のお話では、この中小企業の信用保険制度の財政が厳しくなってきたので、これを維持していくためには、中小企業の、国民の負担もやむを得ないんだ、また雇用保険も、失業者がふえてきて苦しくなってきたから、これも関係者の負担が必要なんだと。そこには、政府が苦しくなってきた以上、これだけ財源を確保してセーフティーネットをつくるんですよという、そういうメッセージにはほど遠いものを感じますね。
 私も、今の御答弁を聞いておりまして、大変残念に思います。この料率を安易に引き上げることを今後やることについて、私どもは、制度の後退につながりますし、今後はいろいろな機会で改めて議論をさせていただきたいと思いますけれども、大変残念に思っております。
 そこで、今、大臣の方から売り掛け債権担保融資保証制度につきましてお話が出たわけでございますが、今回の法改正によりまして、セーフティーネットの保証枠を拡大するとか、その方向については私ども理解できるところでありますが、これまで中小企業の金融が、土地担保至上主義、そして保証人の関係で、本当に厳しい局面に立たされておりました。その中で、私ども民主党も賛成をして、売り掛け債権にアメリカのように一つの保証の道を開くということを実現したことは、前進だったと思っております。
 その後、この制度が円滑に移行するように、なかなか、伸びてはいるんだけれども、当初考えていたものからするとまだとどまっているものですから、民主党の田中筆頭理事を中心にいたしまして、この売り掛け債権担保融資については、もっと現場の声を聞いて、ぬくもりのある制度に変えていくべきだと。その中の議論というのは、やはり、納品や工事完了を待たずに、契約を締結された段階から融資を受けられるようにするというのが、田中筆頭理事を初め民主党から強く要請をしていた事項でございますが、こういった制度改革というのは今後どうなるんでしょうか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のございました売り掛け債権担保融資保証制度、私どもいろいろ、パンフレットの配布でありますとか手続の簡素化でありますとか、あるいは、いわゆる譲渡禁止特約の解除といったようなことに努めまして、その積極的な活用というものを図ってきたところでございます。
 一方、ただいま御指摘ございましたように、この制度、現在のところ、商品の納入とかあるいは工事の完了をいたしまして、売り掛け債権が現に存在するということを前提といたしまして融資を行っているわけでございますが、御指摘ございましたように、中小企業の方々からは、本制度を活用してそのメリットを受けるためには、契約をベースに保証してほしいというようなニーズが強くあるということを、いろいろ御指摘を賜ったところでございます。
 他方、本制度、創設されまして約十一カ月を経過いたしまして、各方面でいろいろノウハウもたまってまいりました。こういった背景の中で、今回、さらに本制度の一層の運用改善をしたいということにいたしまして、私ども、例えば支払い者、金額、支払い条件、こういった契約内容、あるいは、過去に重大な瑕疵のある納品や工事などがなかったかどうかといったような点を審査することによりまして、商品の納入、工事完了あるいは役務の提供等を待たずに、契約が締結された段階で融資を受けられるように制度を改めるというようにいたしております。
 この制度の改正は、現在、関係方面に周知をいたしておりまして、来週十一月十一日からでも実施をするというふうに考えているところでございます。
 私ども、こういった使いやすい制度を目指しまして、一層普及が図られるように、いろいろ各方面の要望を聞きながら改善、簡素化に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
北橋委員 この点につきましては、田中筆頭理事ら、長い間時間をかけて与野党の間で議論をされてきた課題だと認識をしておりますが、今回、こういう形で一歩前進したことを評価させていただきたいと思っております。
 時間が限られておりますが、ひとつ大臣に、補正予算の問題について御見解を聞かせていただきたいと思っております。
 これについては、与党の幹部から、もう三十兆円の国債枠というのは事実上撤廃してはどうかと言わんばかりの、いろいろな席で、もうこんなものは撤廃した方がいい、こういう話が飛び交っているわけですよね。
 それで、私どもは、これだけ厳しい状況になってくると、この臨時国会において、もろもろの経済対策、中身のあるものをするためには、やはり予算措置も必要でございますから、補正予算の成立というのは急ぐべきではないかと思っているんです。これは、政府としてのお考えはあるんでしょうが、その場合、いつも議論になるのは新規国債三十兆円枠の問題であります。
 歳入欠陥の状況を見ると、与党の幹部筋も言っていらっしゃるように、かなり状況は今までと変わってきていますが、経済産業を所管する大臣として、ここはもう本音で語られるときに来ているんではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
平沼国務大臣 お答えをさせていただきます。
 平成十四年度予算では、小泉総理の改革なくして成長なしの理念のもとに、財政構造改革の第一歩として、国債発行額三十兆円以下の方針が打ち出されたところでございます。
 今般の改革加速のための総合対応策及び金融再生プログラムを円滑に実施していく上で、雇用と中小企業のセーフティーネット整備等の対策については引き続き検討していくことが重要である、こういうふうに思っております。政府としては、御指摘の国債発行三十兆円の点も含めて、今後の経済金融情勢を見きわめつつ、果断な財政運営を行っていかなければならないと思っています。
 総理も談話の中で、国民が安心できるように、あらゆる手段を尽くして対応し、サポートするために必要な措置を講ずる、こういうふうに言っておられまして、そういう中で、やはり国民が安心できるように、柔軟かつ大胆に、そして必要なサポートはしていく、こういうことでございますので、私は、状況の中で、こういう三十兆円の枠、そういうものも考えていくことに相なる、このように思っております。
北橋委員 経済財政状況を見ながらと、総理も大胆かつ柔軟に対応と。財政を勘案するのは財務省です。経済の状況を総理に対して進言するのは平沼さんのお仕事であります。
 これまで経済産業省も、いろいろな政府内部の議論の中におきまして、税制にしても金融にしても大胆な方向を示されております。その多くは、民主党の考えと共有するところがたくさんあります。こういったことを実現すれば、私は、かなり景気の下支えにつながるんだろうと思います。
 そのためには、予算が必要です。我々は、むだな予算をとにかく削って、減額修正してでもその分をこの補正予算に回すべきだ、そういうメッセージを発するべきだ、それぐらいに経済は厳しい状況にあることを非常に憂慮しております。
 そこで、大臣に最後にもう一度聞きますけれども、総理も大胆かつ柔軟にと言っているわけです。歳入欠陥の状況からして、三十兆円枠はもう不可能でしょう、はっきり言って。我々はそれを重大な政治責任だと考えるけれども、しかし、経済を担当されている大臣として、総理に対して、経済産業省が考えているように、もうもろもろの対策を講じないと大変なことになるとだれかが進言しなきゃいつまでたったって先へ行ってしまいますよ。そして、十二月、一月、そして通常国会冒頭に仮に処理されても、また時間がかかる。その間の大事な二、三カ月で多くの中小企業の倒産なり失業というものが生まれてくる。それを考えたときに、大臣としても、ここは総理に直談判をされて、補正予算を速やかに成立させるために決断してほしいと迫る立場にあるんじゃないでしょうか。
 もう一度御所見を承って、私の質問を終わります。
平沼国務大臣 これは先ほどの御答弁で申し上げましたように、やはりそういう必要が生じたときには、小泉総理も、柔軟かつ大胆に対応する、こういうふうに言っております。私も、経済財政諮問会議の場あるいはいろいろな場で、やはりここは積極策も必要ではないか、こういうようなことも既に言っているわけでございまして、私も、状況を見ながら、それは大胆かつ柔軟に総理に進言をしていきたい、このように思っています。
北橋委員 終わります。
村田委員長 生方幸夫君。
生方委員 民主党の生方でございます。
 今の質問に引き続き、補正予算についてお伺いしたいんですが、私、九七年のときに橋本内閣のもとで同じような議論をしたような記憶があるんですね。
 あのときもやはり臨時国会で、もう景気が非常に悪化している、補正予算を組まなければいけないんではないかと。あのときには、十一月に山一証券が倒産をする、それからアジア発の金融危機というのも取り上げられて、これから先非常に厳しい状況になっていくんじゃないか、したがって、我々は早目に補正予算を出すべきじゃないかと。あのときは、財政構造改革法というのが出ておりまして、非常に厳しい予算編成をしなければいけない、このまま財革法で突っ込んでしまうと不況が非常に悪化してしまうんではないかという論議をしたんですよね。
 そのとき、私なんかは、あのとき予算委員会の論議の中で、財革法そのものは大事だからとりあえず成立をさせて、ただ、その執行は凍結をさせるべきじゃないか、来年度予算については、こういう厳しい状況、予期せざる厳しい状況が発生をしているんだから、やはり思い切った予算を組むべきじゃないかというようなことを言ったんですけれども、残念ながら、そのままの形で来年度予算、九八年度予算がつくられて、多分ことしも同じになるんでしょうけれども、九八年度予算を審議しているときの冒頭に補正予算を組むという格好になったわけですね。
 その結果として、九八年度中にたしか補正予算を三度も組まなければいけないことになって、我々はそのとき、ツーリトル・ツーレートというふうに言って、小出しにして遅く出し過ぎたので、せっかく補正を組んでもその効果が非常に発揮しなかった。小出しに何回も出した、結局残ったのは大きな財政赤字だけだったというのが九七年、九八年の教訓だと私は思うんですよ。
 それと、今度の、今の論議を聞いていましても、平沼大臣は、補正予算を組むべきだというようなことを新聞等では私も聞いておるんですけれども、早目に組むべきだというようなことを発言はしていらっしゃいますが、現実、実際の閣内にいれば、総理が今臨時国会では補正予算を出さないということは、結局、今臨時国会の次の国会は通常国会でございますから、通常国会で出すということになって、通常国会で仮に補正予算が通ったとしても、その執行は三月とか四月になって、デフレ対策ということに関しては、もう今から見れば半年もおくれてしまうということになって、また遅きに失して、恐らく三十兆という枠は、今も北橋さんが言ったように、守れないのは税収不足もあるので事実なんでしょうけれども、そういう制約の中で、三十兆円枠という言葉にとらわれて、恐らく大胆な補正予算を組めないということにもなってしまうと思うので、ここは、この状況の厳しさをしっかり把握すれば、少しでも早く、組み替えも含めて大胆な補正予算を組むというのが非常に大事なことじゃないかというふうに私は思うんです。
 ちょっと重なってしまいますが、いかがでございましょうか。
平沼国務大臣 今、先生が九七年、九八年のそういう御経験を踏まえたお話をなさいました。私も、あのとき実は仲間と、時の橋本総理あるいは党三役に同じような提言をさせていただいた、こういうことで、財革法に関してもまさに同じような提言をさせていただきました。
 御指摘のように、小泉総理は、構造改革なくして景気回復なしという強い信念のもとに、今、まなじりを決して頑張っておられるわけであります。そういう中で、閣内にいる私としては、その中で全面的にいかに協力をするか、こういうことで私も汗をかかせていただいております。
 しかし、やはり、先ほど来御答弁で申し上げているように、だんだん経済の状況が厳しくなってきた。そういう中で、私が所管している中小企業対策一つとってもなかなか厳しい状況が想定をされますので、私も折に触れて、やはりこの臨時国会では、総理は明言されておられます、ですから、そういう意味では、でき得る限り早い時期に大胆な形の対応策が必要ではないか、そういう見解は私は申し述べているところでございます。この状況を見ながら、私もやはり国民経済の重要性というのは認識しておりますから、そういう意味では、いろいろ閣内でも議論をさせていただき、また、状況を見て総理にも進言をさせていただきたい、こういうふうに思っておりますので、御理解をいただければと、こういうふうに思っております。
生方委員 閣内にいるという制約があることはわかりますけれども、やはりこれは国民全体のことをお考えいただいて、遅ければ効果は、やはり同じ額をやるのであれば早ければ早いほど効果が大きいのはもう経験上わかっていることでございますので、何も、組むというのをわかっているのに、来年にするよりもことしでやった方が私はよっぽどいいと思うんですね。何で来年にしなければいけないのか。来年にするという理由があればいいですよ、何か来年にしなければいけないのだという理由があれば。
 理由というのは、唯一考えられるのは、小泉さんが言った三十兆円枠という自分のいわば公約に縛られた形で、実態を公約に合わせようとするのは逆じゃないか。公約というのは、それはあくまでも大事なものですけれども、実態が違えばやはり公約をすっぱりあきらめて、これは、こういうふうに状況が変わったんだから早くしましょうというのが、君子豹変すとどこかで、新聞で書いてありましたけれども、君子は豹変せないかぬ、豹変しないのはだめだというふうに私は思いますので。これ以上この論議はいたしません。
 それから、先般出されました総合デフレ対策ですけれども、さっきもございましたが、きょうの新聞にも出ていましたけれども、閣議決定しなかった。私もきょう新聞を読んで、あれは閣議決定じゃなかったのかというふうにびっくりしたんですけれども、何で閣議決定をしなかったのか。これは、勘ぐりますと、閣議決定するというふうになると、今のように閣内から異論が出て閣議決定できないから閣議決定じゃなかったんじゃないかというようなことすら思ってしまうんですけれどもね。
 このように重要な法案は、当然閣議決定をして、各大臣、各省庁が一致して行うんだというのが、当然、これまでのというか慣習としてはあると思うんですけれども、何でこれ、閣議決定するかしないかは総理の判断なんでしょうけれども、一閣僚として、これは閣議決定しなかったというのが正しいんですか。私はよくわかりませんが、本来なら当然閣議決定するべきことだと思うんですけれども、新聞にも批判的に書かれていましたが、この辺はいかがでございますか。
平沼国務大臣 先ほどの答弁の中でもお答えさせていただきました。
 この一連の対策につきましては、相当緻密に議論をして積み上げてきたところでございまして、そういう意味では、私も何度も官邸に足を運んだり、あるいは政府・与党の連絡会議等にも出させていただく、あるいは関係のそういう大臣が集まって議論をさせていただく、そういう中で、みんなが共通の目的意識を持ってきたことは事実であります。
 そして、経済財政諮問会議の場でもそのことはきちっと報告をされ、閣議でも報告をされ、また、総理から、この方策に従ってそれぞれが全力を尽くしてひとつ頑張ってほしい、こういう言葉もございました。ですから、我々はそれを重く受けとめまして、そしてそれぞれが、今、役所の中でそれぞれの分担に応じて一生懸命に作業をしている、こういうことでございまして、私は、閣議決定はなかったわけでございますけれども、総理からも、しっかりやってほしい、こういう言葉もございましたので、それと同等な形で今作業は進んでいる、こういうふうに思っております。
生方委員 私は、経済財政諮問会議とか、竹中さんのもとに設けられました金融プロジェクトチームというやり方がいいのかどうか。国民によく開かれた過程で政策が決定されていないということは、深く考えれば内閣に対する不信にもつながりかねないので、この手法そのものが、結果、うまくいけばいいですけれども、うまくいかなかった場合の責任が一体どうなるのかということが非常に懸念をされます。
 この総合デフレ対策ですけれども、これを見ますと、もちろん金融システムを健全化しなければいけないというのが柱になっていて、私も財務金融委員会の方で竹中さんにも質問をしたんですけれども、税効果会計等の、実施時期というのは明示をされなかったんですけれども、いずれ税効果会計を取り入れることになるだろうというのが一致した見方であると、銀行とすれば、自己資本比率を少しでも守るために何をやらないかぬのかというと、やはり貸し出しを低くしなきゃいかぬということで、貸しはがしとか貸し渋りというのは、税効果会計がいずれ取り入れられるだろうということを見越してそういう措置をせざるを得ないだろう。
 ということになると、結果として、貸し渋り、貸しはがしが行われれば、これはきょうの法案とも関連をするんですけれども、中小企業に対するそういう締めつけが出てきて、さらなる中小企業の倒産、これは総合デフレ対策をとることによって、いろいろな研究所がいろいろな試算をしておりますが、かなりの数の失業者が出るであろう。雇用保険の料率の値上げ等もありまして、こういう一連の動きを見ていますと、私は、デフレ対策を出して、またデフレを加速させてしまうのではないかという懸念が非常に大きいんですね。
 では、デフレ懸念を払拭するために何が必要かというと、またこれは堂々めぐりになっちゃうんですけれども、やはりこれは、補正を組んで、きちんとした財政、予算の裏づけがある政策をセーフティーネットとして出さないと、出すのは来年ですよ、ところが総合デフレ対策は今からやりますよということになれば、これはデフレ圧力が、ことし、年内非常にかかってしまって、不良債権の処理だって、不良債権六兆処理して九兆ふえたというような形のことをやっているわけですから、これが出てくると、デフレ対策をやってかえってデフレを加速させてしまう。
 それを阻止するためには、やはり予算措置がある政策というのが出てこないと、私は本当にこれは、片手落ちという言葉がいいのかどうかわかりませんけれども、それは、両輪でやらなければいかぬことを、片っ方の車輪にはブレーキをかけておきながら片っ方だけ走らせちゃえば、こういうふうになってスピンを起こしちゃうのは明らかだと思うのですけれども、その辺はどうなんですか。
平沼国務大臣 いわゆる金融再生の一つのプログラムが出てきましたときに、私どもは、今御指摘のと同じことを感じさせていただきました。
 今、さなきだにデフレの状況のときに、これだけやりますとさらにデフレを加速する、こういうことになります。そして、税効果会計のところも、もうこれは新聞等いろいろ議論が出ているわけでありますけれども、例えば会計基準もアメリカとは違うわけでございますし、また、いわゆる税制も違うわけでございまして、無税償却と有税償却というような違い、そういうことを整合性を持ってやらないと、やはりルールを急に変えるということになると大変な反動が来る、そういうことも我々経済産業省としましては問題点として実は指摘をさせていただきました。
 それは、御指摘のとおり、貸し渋り、貸しはがしを加速することになって、いろいろな試算がありますけれども、非常に大きな試算では、例えば四十七兆ぐらいのそういうマイナスの効果が出るんじゃないかと。ですから、私は、車の両輪とおっしゃいましたけれども、やはり同時にプラスに作用することをまずやらなければいけない。そのためには、やはり十分なセーフティーネットを構築しなければならない。特に中小企業の皆様方が影響を受けるから、セーフティーネットを、雇用とそして中小企業対策、特に金融、これをやらなければいけない。
 それから、いろいろ議論の過程の中では、マクロ的な対策もやはり当然必要になってくる。私は、不良債権の処理をしなければならないというのはだれしも共通の認識だと思います。しかし、それだけやるということは非常に大きな問題があるし、整合性を持たせなければいけない。こういうことで、私ども経済産業省としてもそういう考え方の中で議論を随分させていただき、そういう中で、セーフティーネットの構築でございますとかそういったところをやはり車の両輪として盛り込む、そういう形に、もちろん自由民主党のサイドからもそういう声が出たことは、新聞、テレビで御承知のとおりでありますし、そういう過程がありました。
 ですから、今生方先生の言われたそういう方向ということは、私は、正しい方向ではないか、こういうふうに思っております。
生方委員 これは、いずれまた総理に質問する機会がありましたら、そういうふうに聞いてみたいというふうに思っております。
 いずれにせよ、お金の裏づけがないところでアイデアだけ出せと言われても、質問がないところで勉強しろと言うみたいなもので、なかなか各省庁もいいアイデアが出ないと思うのですね。やはり、お金もつけるから考えろというのと、もう財がないんだからアイデアだけ出せというのじゃ、これはおのずと省庁の方にも取り組み方の力も違ってまいりますし、国民に発するメッセージも、国民の方も、どうせ予算措置がとられないんなら大した案は出てこないだろうというふうに思ってしまう懸念もありますので、ここは言ってもしようがないことなので、なるべく早く予算措置がきちんととられるような形のデフレ対策というのもお考えいただきたいというふうに思います。
 それと、今度の法案審議の内容に入っていくのですけれども、今度出されました総合デフレ対策、預金保険機構の下に産業再生機構というのをつくって、そこで産業再生をさせるんだというのが総合デフレ対策の方ですね。
 経産省の方でお考えになっているのは、もともとRCCに回されたものの中で再生可能なものは再生をしていこうというふうになると、全体の考え方からいえば、総合デフレ対策の中でいえば、まず、生きる企業というのは産業再生機構に持っていって、処理をしなければいけないのはRCCに持っていくというふうに、仕分けを一たんされてしまうわけですね。されてしまった後で、今度、経産省の方でそれでも何とか救えるものがあればというふうになると、何か私、ダブルスタンダードになるような、最初のところでもう選別されているじゃないかというふうに思うのです。
 もちろん、もともとの案は経産省の方が先だったのですから、後からこういう案が出てきてしまって屋上屋を重ねるようになってしまうのですが、そこの調整は、どういうふうに仕分けをなさるおつもりかをまずお伺いしたいのです。
平沼国務大臣 今般の改革加速のための総合対応策におきましては、産業再生機構は、これはまだ仮称でございますけれども、産業再生・雇用対策本部が、これも仮称ですが、策定する産業再編や早期再生にかかわる基本指針、これは今一生懸命我が省でも作業をしております、幾つかの分類に分けて、いろいろな形があると思いますけれども、そういう基本指針に従って、機構が再生可能と判断する企業の債権を適正な時価で金融機関より買い取って、必要に応じて再生企業に対する金融支援を行うことによりまして企業の再生を図るもの、こういうふうにされているわけでございます。その具体的な内容については、今後検討を進めていくことになっております。
 他方、多様な中小企業の再生については、まず当面、RCCの活用を図るとともに、新機構設立後においては、新機構とRCCの役割分担を踏まえた適切な政策対応というのが必要だ、私はこのように思います。
 このため、新機構の設立及び運営の具体化に関する議論につきましては、役割分担とそれに基づく基準作成はまさにこれからでございまして、RCCであっても再生可能性のある中小企業は存在し得る、このように私は思っておりますが、個々の中小企業の特性を見きわめる、こういう形で、新機構とRCCの適切な役割分担のあり方を含め、産業再生を進める上で最も実効のある体制の実現を図るべく、これから、確かに御指摘のそういう点がありますので、その役割分担をしっかり明確にする、このことをしっかりまとめ上げて対応策として打ち上げていきたい、このように思っています。
生方委員 ごく単純に考えれば、産業再生機構に回すのが大企業で、経産省が担当するのはRCCの中で再生可能な中小企業という大枠の分け方でいいというふうに解釈してよろしいのですか、そうではないという解釈なんですか。
平沼国務大臣 いろいろ個々のケースがあると思いますので、大企業と中小企業、必ずしもこういう形じゃなくて、そこはやはり、一つの基準をつくり、その中で仕分けをしていく、こういうことに相なると思います。
生方委員 いずれにせよ、産業再生機構の中に設けられた産業再生委員会というのですか、名称はどうなるかわかりませんが、そこでいわば企業の生き死にを決定してしまうということになりますよね。個別企業の生死を政府が決めるべきではないというのが大臣のもともとのお考えですよね。お考えと違った結果に、これは政府が決めるのか、そこへ民間の人間が入ることは入るのでしょうけれども、いずれにせよ、この企業は大丈夫ですよ、財政の支援をしましょう、この企業はもう整理ですよというようなことを、いわば引導を政府が渡す機構というのができてしまうことは大臣のお考えとは違うと思うのですが、大臣のお考えをこれにどういうふうに入れていくのか。もともとの持論である政府が決めるべきではないということを、こういう事態の中で決めるようになってしまったとき、大臣のお考えをどのようにこれに反映させようというふうにお考えですか。
平沼国務大臣 一般論として申し上げますと、株主でも債権者でもない政府が個別企業の生き死にに関して具体的な判断を行うということはできないと私は考えております。
 他方、産業再生機構は、金融機関から債権を買い取りまして、そして債権者の立場で個別企業の再生に取り組む組織であります。もとより機構は、再生可能と判断する企業の債権を買い取ることとなっておりまして、企業の生死を判断することを目的とするものではありません。いずれにいたしましても、債権者として、結果的に債務者企業に関する個別具体的判断を行うことがあり得ることは当然でございますけれども、政府が生死の判断を行わないということとは矛盾しない、私どもはこういうふうに考えております。
 機構の運営については、今後詳しく検討してまいりますけれども、新たに創設する産業再生・雇用対策戦略本部で定める産業再編や早期再生に関する基本指針に従って公正中立に運営する、このことに留意をしてまいりたい、こういうふうに思います。
生方委員 この産業再生委員会には、経産省の方から人は出す予定なんですか。
平沼国務大臣 この産業再生機構の運営に当たっては、政府として、金融界、産業界に相当規模の専門家の派遣を要請するなど、可能な限り民間部門の人的、資金的な支援を得て行うとともに、関係省庁からの出向や機構の資金調達に対する政府保証の付与でございますとか、所要の人的、財政的支援は行うこととしております。
 機構の規模や陣容や業務運営の詳細については、まさに今後の検討課題でございますけれども、私としては、産業再生の担当大臣といたしまして、企業の再生に取り組む本機構が産業再生法の抜本改正などの産業再生策と相まって最も効果的に役割を発揮していけますように、その設立、運営に関しては積極的に参画をしなければならない、このように思っています。
生方委員 いろいろ再生しなければいけないものがあるのですけれども、産業再生、それから企業も再生せにゃいかぬ、それから事業も再生せにゃいかぬ。この中で、産業再生、事業再生、企業再生、どれをどういうふうに区別して、どれを優先順位をつけて行うのかというのが、やはり国民に向けて発せられるべきだと思うのですね。
 まずこうやってこうやって、こういう手順でやれば全体が再生しますよという形になると思うのですけれども、大臣は、産業再生、企業再生、事業再生、それぞれがどう違うのかという点と、どれが今一番プライオリティーが高いのかという問題と、どういう手順で行っていけばそれぞれがきちんと再生するというふうにお考えになっていますでしょうか。
平沼国務大臣 現行の産業活力再生法におきましては、事業の選択と集中により個々の企業が生産性を高めることが我が国産業の活力を再生することにつながることから、このような企業レベルの取り組みを御承知のように支援してきたところでございます。
 しかし、長引いておりますデフレなどの経済環境の変化によりまして、いわゆる過剰供給構造とか過剰債務問題など、個々の企業レベルでの取り組みを超えた構造的な問題というのが深刻化をしている事実があります。これらに対応するために、過剰供給構造の解消に向けては、複数の事業者が共同で行う、今おっしゃった産業再編、それから過剰債務構造の是正に向けた事業の早期再生、この取り組みを支援対象とするべく、この法律の抜本改正をお願いすることになると思います。
 産業再生という目標に向けて、企業単位の再生をとるか、あるいは共同での事業再編に取り組むか、または新たな経営体による事業の早期再生を目指すかについては、やはり個々の事案ごとにその当事者が選択することに相なると私は思っております。
 いずれにいたしましても、我が国産業の構造問題に対しては、この三つを、どれが優先という形じゃなくて、やはり産業の再生、そういうことを全体としてやるという形で、やはりそれぞれが重要ですから、それぞれしっかりとこういう基準の中でぴちっとやっていく、こういうことではないか、私はこのように思います。
生方委員 それぞれもちろん重要なんですけれども、国民にわかりやすく、手順からいうと、こういうあれでやっていくと一番いいんですよというのがもしあればお教えいただきたいというふうに思ったんですが、今のお答えですと、それぞれにそれぞれ取り組んでいきながら調整を図るというのが回答ということでよろしいわけですね。
平沼国務大臣 これから詰めていくわけですけれども、例えば幾つかのケースがあって、それぞれ私は重要だと思うんですね。
 例えば、ダイエー方式のようなものがあります。これは、金融機関の支援を受けて企業レベルにおいて再生をする、こういうものがあります。
 もう一つは、今度、いすゞ自動車のような例がございまして、これは、金融機関の支援に加えて、いすゞの場合には、ゼネラル・モーターズ傘下に入る、そういったことで再生を図る。これも非常に一つのポイントだと思います。
 それから、三番目のケースとしましては、具体的に申しますと、三井化学と住友化学みたいなケースがございまして、両方物すごい過剰供給になっているわけですね。このポリオレフィン事業を集約化して、そして子会社への営業譲渡で分割をして再生を図る。これも非常に重要なケースで、こういうこともどんどんやらなければいかぬと思います。
 それから、幾つか今考えておりまして、これは全部じゃございませんが、例えばヴィクトリアというスポーツ用品の事業、こういう会社がありまして、コア事業のスポーツ用品事業を譲渡して再生をする、これは成功した例でございますけれども、こういうケースもあるし、例えば日立精機のように、民事再生法を申請して、その工作事業を森精機のもとで再生をして、そういうことでは非常にうまく推移をしている。
 ですから、企業レベル、あるいは産業再編、事業再生、それぞれ具体的に、今の法体系のもとでもできておりますけれども、それを一層加速して、そしてさらに、そういうことで全体の活力を上げていく、こういうことを私どもは今想定しながら作業を進めている、こういうことでございます。
生方委員 原則がきちんとあって、その原則が貫かれればいいんだと思いますけれども、例えばダイエーのケースなんかは、いろいろ批判されているように、大きいところはつぶさないで小さいところはつぶすのかというような、一本筋が通っているということが必要なので、ぜひとも筋を明らかにしていただければ、ああ、これに沿ってこういうふうにやられているんだなということが、それがもし間違えていれば国民的に批判が出るでしょうし、そうでなければ、ああ、こういうふうになっているんだなというのがわかって、スムーズに進むんではないかなというふうに思いますので。
 次に、今度の法案では、整理回収機構に回されたもののうち、適切な再建事業計画を有するものと経済産業大臣が定めた基準に適合するものはセーフティーネット保証の対象にするというふうになっていますが、この基準というのは、具体的にはどんな基準というふうになるんでしょうか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 事業の再生可能性についてどうやって判断をするのかという御質問と存じます。
 私ども、まず、体制といたしましては、ただ単に債権回収をする、あるいは管理をするという観点だけではなくて、事業再生というような観点を十分に反映するという体制をつくりたいと思っておりまして、そういった面で知見や経験がございます商工中金などの専門家の協力も求めまして、今申し上げましたような再生の観点から見た判断が反映できる体制というものをつくっていきたいというふうに考えておりますし、また、事業再生のためには債権者が協力するということも不可欠でございますので、債権者との十分な連携を図っていくということも必要であると考えております。
 基準でございますが、先生御存じのとおり、中小企業といいますのは実態が極めて多様でございます。したがいまして、一定の画一的な基準を設定いたしますと、むしろ運用の硬直化を招く、そして中小企業者の多様な実態にそぐわないというおそれがあるんではないかと私ども考えております。
 したがいまして、具体的な案件に即しまして、例えば、当該中小企業を取り巻く市場環境の見通しがどうかとか、あるいは、その会社の強みをどう生かしながら事業再構築を進めようとしているのかとか、あるいは、諸経費といったコスト削減をどうしようとしているのかとか、あるいは、借入金圧縮による財務改善の考え方はどうなのかとか、あるいは、資金調達を今後増資等によってどう図っていこうと考えているのかといったようなさまざまな点につきまして総合的にチェックをしながら、中小企業の多様な実態に即しまして、専門的知識を有する関係者によりますきめ細やかな判断ということによって考えていくということが大事だというふうに考えているところでございます。
生方委員 中小企業は非常にさまざまな形態があるのはよくわかっておりますが、この間の特別保証制度の中で、多くの中小企業に金融的な支援措置をとりましたですね。私は、あれは非常によかったと思っているんですけれども、一部には、本来つぶすべきものがあれで生き残っちゃったんじゃないか、今総理がおやりになろうとしている構造改革に反したんじゃないかというような批判も出ているわけですね。
 だから、私は、中小企業は、本来、みんな非常に厳しい環境の中でやっていて、大企業と同じような基準の中で見ていけば、これはつぶすべきだというのはいっぱいあると思うんですけれども、そんなことをやってしまえば、日本の一番大事な中小企業の核が半分ぐらいになってしまって、何のために整理、再生をするのかわからなくなっちゃうということがありますので、中小企業がもともとそういう厳しい状況の中にあるという場合は、これは税制上の措置なりなんなりをきちんととって、中小企業がきちんと生き延びられるような措置をとるべきで、つぶすということに重点を置いてやったら、これは間違いだと私は思うんですよね。これは、中小企業で働いている方もいるし、経営者もいるし、その方々を仮につぶしてしまえば、新たにそこで失業者が発生をして、今度は経営者まで失業者になるわけですから、それをまた新たに職につかせるというのは非常に大変なわけです。基本的には、私は、むしろ救えるものは救うという方向でいくのが当然だろうというふうに思いますので、今長官がおっしゃいましたように、基準を一律的に適用して云々ということじゃなくて、そういう柔軟な対応で結構だというふうに私は思っております。
 それからもう一つ、金融機関の「相当程度の合理化」というのがあった場合というふうになっているんですけれども、この「相当程度の合理化」というのはどの程度のものなのかというのをお伺いしたいと思います。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のございました、金融機関の「経営の相当程度の合理化」というものは具体的にどういうものかという御質問でございます。
 私ども、具体的には、金融機関が、合併でありますとか、あるいは営業譲渡でございますとか、店舗の閉鎖でございますとか、あるいは従業員の削減等、こういったことによりまして中小企業の資金調達に実質的に支障を及ぼすというような経営の合理化というものが、その「相当程度の合理化」に該当するものというふうに考えておりまして、具体的に申し上げれば、例えば、数年間のうちに一割以上経営を縮小させるというような場合がこれに該当するのではないかと考えておりますが、さらに実態を詰めまして、その辺のところをはっきりさせたいというふうに考えております。
 こういった経営の合理化によって借り入れが減少しているという中小企業者に対しまして、セーフティーネット保証の適用対象になるというふうに考えているところでございます。
 この法案がお認めいただければ、私ども、具体的な金融機関の経営合理化の取り組み状況につきまして調査をいたしたいと思っております。そして、その実態をよく把握し、また金融庁の御協力も得まして、そういった経営合理化に当たっている金融機関の指定というようなものを進めていきたいというふうに考えているところでございます。
生方委員 時間がないので、あと二つだけ質問をさせていただきたいと思います。
 DIP保証について、これまでDIPファイナンスというのは、ほとんど政府系金融機関が行ってきたわけですね。今回、民間の金融機関にも参加をお願いするということなんですけれども、先ほど申し上げましたように、ただでさえ貸し渋りをしている民間金融機関に、DIP保証についてどのように協力をさせるのか。それがないと、制度をつくっても全然利用できないということになりかねないので、その辺はどういうふうにお考えになっていますでしょうか。
西川副大臣 私から御答弁をお許しいただきたいというふうに思います。
 先生御案内のとおり、金融機関による不良債権の処理が進んでいる中で、過剰債務を抱えた企業の円滑な再建のためにこそ、民事再生法等の法的再建手続が役割を果たしているわけでございます。
 そこで、こうした法的な手続によって再建を目指す中小企業に対してDIPファイナンスというものをやるわけでございますが、この制度が平成十二年四月にスタートをいたしまして、ちなみに、千八百二十三件の申請がございまして、許可をしたものが七百九十二件ございます。この中で、特に商工中金、中小公庫がこの制度を創設いたしまして、きょうまで、数は少ないという御批判もあるかもしれませんが、十八件、十一億一千万円の実績を上げております。
 ところで、こうした状況ではございますけれども、今回の事業再生保証制度が呼び水になりまして、民間金融機関によるDIPファイナンスもさらに行われることが、先生御指摘のように期待されるわけでございます。
 そこで、私どもといたしましては、こうしたことに慎重な民間の金融機関が多いという状況にかんがみまして、これを督励していく必要がある、こう考えまして、中小企業庁を中心に、事業再生保証制度の導入を契機に、当省から民間金融機関に対しまして本制度の利用拡大の働きかけを強く行い、DIPファイナンスに対する意識改革を図って、法的再建手続等にある中小企業者の資金調達が円滑に進むように、どういうふうにやるのかというと、まずはこの制度をお認めいただきまして、そしてそれを金融機関に、政府系金融機関もやっていることだからひとつ協力してくれと、こういう形で強く進めていきたい、こう思っております。
生方委員 それだけではなかなかやってくれないと思いますので、やってくれと言われたって、いや、ないそでは振れないと言われればそれまでなので、やはり何かもっと強力に後押しをするような、行政指導しろとは言えないですけれども、何かがないと、なかなか、絵にかいたもちで、制度はつくりました、でも実際は全然活用されませんでしたということになりかねないと私は思うんですけれども、そこは、大臣、何かお考えになっていますか。
平沼国務大臣 先ほど副大臣からの答弁の中でも、実績としてはまだ非常に少ない数字、それが如実に、ある面を物語っていると思います。したがいまして、こういう状況の中で、やはり私どもも積極的に働きかけて、そういう意味では、できたら、現場の中でいろいろな形で中小企業のお役に立つそういうサポートはしていかなければならない、そういうふうに思います。
生方委員 民間の金融機関ですから、それは民間の判断があるんでしょうから、やはりそれなりにやらせるような仕組みをつくらないと、趣旨はよくても実際にはなかなか動き出さないのではないかと思いますので、ひとつ、ぜひこれから御工夫をしていただきますようにお願いを申し上げます。
 それから、最後でございますが、今度、新事業創出促進法で、ベンチャー企業をこれから育てていかなければいけないということで、資本金の引き下げというのが盛り込まれておりますね。株式会社は、これまで一千万円だったのが、それ以下でもいい、有限会社も、三百万円以下でもいいということなんですが、以下でもいいということで、これは幾らまでならいいというのが盛り込まれていないんですが、これは幾らでもいいんですか。例えば株式会社を設立する場合に、百万でもいいのか五十万でもいいのか、そこをお伺いしたいのですが。
林政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の新事業創出促進法の改正によりまして、株式会社、有限会社の資本金について特例を設けましたのは、自己資本、自己資金なり信用力に乏しいサラリーマン、主婦にとって資金調達がなかなか困難だということ、それから他方、現在各種のITなりあるいは無形の資産を利用したビジネスというものが多くなっているというようなことで、必ずしも一千万を要することはむしろ少ないということで踏み切ったわけでございます。それで、例えばアメリカなりイギリスのSOHO制度を見ておりましても、最低資本金は規制されていないケースもあるということでございます。
 ただ、ゼロ円でいいかといいますと、少なくとも株主が株式を持っているという意味で、最低限一円という形式的なものは必要でございますけれども、実際どれだけの金額が必要になるかということで、どんどん下がってきておりまして、なまじそういうところで人為的な線を引くということは、むしろ、ベンチャーを促進していくという観点から見ると、促進するその意図に合わないのではないかということで、踏み切った次第でございます。
生方委員 これはどういう企業ならばこの基準に合致すると。例えば、私が株式会社をつくるとしますね。でも、ごく普通の会社だという場合はだめなんですか。それとも、何か、ベンチャー企業であるというのをどこかがオーソライズして、これならば一千万円以下でもいいという基準があるのか。その辺はどうなんですか。
林政府参考人 現在、事業を何もされていない方が新たに会社を設立される、それでその会社が事業を開始されるという意味で、二カ月以内にそういうことをやろうとされている計画を持っておられるという意味で、現在事業をされている方が追加的に行うとか、そういうものは対象になっておりません。
 したがいまして、文言で申しますと、事業を営んでいない個人が新たに会社を設立し、事業を開始しようとする個人であって、二カ月以内に開始する具体的な計画を有するものということが、法第二条二項三号に定められているわけでございます。この確認を経済産業省経済産業局の方で行って、その場合には最低資本金の規制の特例が認められる。したがって、業種とか、そういうことは全く関係ございません。ただ、現在そういう事業を行っておられないということ、それで、その方が会社をつくろうとされているということ、そういうことが必要でございます。
生方委員 一応、経産省の方へ、中小企業庁か、申請か何かするという格好になるんですか。
林政府参考人 今後、実務的なやり方というのは、通例で申しますと、むしろ、各地域の経済産業局、そこが近うございますので、できるだけ簡単な確認で済むような形で手続を整理しようと思ってございますけれども、そこにお申し出ていただくということになります。
生方委員 私は、これは基本的にいいんだと思いますけれども、やはり実際、ベンチャー企業と取引をする側にしてみれば、例えば、資本金一円というのはオーバーでしょうけれども、百万円しかないところであれば、そこと一千万円の取引ができるかというと、これはなかなかしづらいですね。全部リスクはこっち方が負っちゃうんじゃないかという危険性もあって、せっかくいい制度ができても、これも同じように、結局、一千万円ないと本当の株式会社はできないんだというようなことにもなりかねないので。
 例えば百万円でできたとしても、では、それがきちんとした企業活動ができるんだという、保証というのか何というのか、それをバックアップする何かがないと、ただ引き下げるといっても、実際には、百万円でやろうという企業が出てきて、まあ、うまくいった、成功事例が幾つもあればいいでしょうけれども、いきなりというのはなかなか難しいと思うんです。
 その辺をどういうふうに担保して、本当に大丈夫なんだよというふうにできるのかというのが、この制度がちゃんと適用されるかどうかの条件だと思うんです。その辺、大臣、いかがでございますか。
平沼国務大臣 非常に重要な御指摘だと思います。
 近年、経営資源における無形資産、アイデア等の重要性の増大等によりまして、事業開始段階で必要な資本の額が小さくてもよい場合というのがふえてきております。本改正案は、このような現状等を踏まえて最低資本金規制の特例を設けまして、そして資本金について、会社設立時及びその後の五年間については、御承知のように、会社の事業内容、会社の成長段階等に応じて、会社の信用も踏まえながら、各社がみずから適切な資本金の規模を定めることを可能とするものでございます。
 特例を受けて設立された会社を含めて、創業の間もない企業が事業に必要な資金を確保するためには、ベンチャーキャピタリーや個人投資家などの資金の出し手の多様化と資金調達の円滑化を図ることが重要な課題であると認識しております。
 そのための具体的な施策といたしまして、一つは、民間からの資金調達を円滑化するために、今般御審議いただいている法案において、中小企業等投資事業有限責任組合、投資ファンドの出資対象の株式会社から有限会社への拡大、それから個人投資家のベンチャー企業への投資を促進するため、創業支援税制の抜本的拡充の実現に向けた検討、こういったこともしていかなければいけません。それから三つ目は、ベンチャー企業と民間ベンチャーキャピタルとのマッチングを目的といたしました、財団法人ベンチャーエンタープライズセンターにおけるベンチャーサポートウエア事業の実施を行っているところでございまして、こういったことを初めとして、やはり開業後の資金供給の充実ということが非常に重要でございますので、御指摘の点がございますから、それを図るための施策を引き続き積極的に検討していかなければならない、このように思っております。
生方委員 以上です。終わります。
村田委員長 中山義活君。
中山(義)委員 おはようございます。
 大体、景気というのは、景気の気は気でございますから、やはり世の中に元気がなくなると景気は悪くなるのでございまして、やはり大臣から明るいアナウンスをしてもらいたい、こう思うわけです。
 ですが、先ほど来聞いていますと、閣議決定をしたとかしないとか、非常に慎重な論議に終始していますが、やはり経済と名のつく省でございますから、経済を引っ張っていく、そういう意気込みで、もっと気みたいなものが出てきて、いや景気よくなるぞという感じがやはり必要なわけですよ。
 今回見ていますと、不良債権の処理というのは加速すると。要するに、不良債権というのは企業家から見れば過剰債務ですよね、だから、不良債権を処理するということは過剰債務を処理するということですから、企業はつぶれていく、こういうアナウンスしか伝わってこないわけですね。
 今までも、景気対策というのは、やっても短期的なもので、長続きしないということが言われていましたが、私、よく調べてみると、そんなことはないんですね。景気対策をやると、それなりに株価も上がっていくし順調にいくわけですが、常にそこで一、二年で逆噴射をする、これが今までのやり方だったと思うんですね。もちろん、一九九六年から一九九七年のときもそうでした。それから、小渕政権も二万円近くまで、株が二万円まで上がったんですかね、そこからまた、がんときた。これは、やはり緊縮財政をやったからにほかならないわけですよ。
 そういう面では、やはりまず景気回復を絶対やるぞ、こういうアナウンスをしてからデフレ対策、いわゆる不良債権の償却みたいなものを手がけるのが普通だと思うんですね。ところが、どうも順序が逆で、景気対策を絶対やるぞというアナウンスが伝わってこないんですよ。そこに問題があるんです。
 デフレというのは、大体、あれを買おうと思うけれども、ちょっとするともっと安くなるんじゃないかとか、または、自分の給料も安くなるし、ことしボーナスがどうかななんて思う。そういう気で物は買わない。だから、デフレ、デフレという、そういう気持ちを払拭しない限りは、日本の今の状況は変わっていかない。
 つまり、正しいアナウンスが伝わってこないというところに問題があるわけですよ。やはり、陰気臭いことを言って、構造改革なくして景気回復なしなんて言ったんじゃだめなんです。景気回復をまずやれと、ここがやはり国民に伝わってこない限り国民がお金を使えないという現実ですよ。その辺を考えていただきたいと思うんです。そういう面では、官邸と与党とどうもしっくりいっていない気もするんですね、私どもは。テレビを見ていてもそうです。もっとしっかりしたアナウンスが伝わってくることが大事なんです。
 例えば、経済産業省が産業再生のために一生懸命こういう案を出しましたといって官邸へ持っていくと、これは二日前の日経に出ていましたけれども、竹中さんが不愉快な顔をした、こういうふうに書いてあるわけですよ。これは書いてあるんです。
 おかしいじゃありませんか。産業再生法だとかそういうものを手がけてきたのはこの省なわけですね。しかも、産業を再生するためには、やはり当然、そこで一回過剰債務をどこかで償却しなければならない。そのときに起きてくるいろいろな、先ほどの条件がありましたけれども、青木建設はつぶしたけれども、ダイエーはつぶさなかった、こういうことがありますね。このことでも、ちゃんとした機構をつくってこれからやるそうですが、そういう案は当然経済産業省でやっていいと思うんですよ。やるべきだと思いますね、今までやってきたんですから。
 ただ、私たちは、先ほどのこの基準づくりや何かについてもいろいろな意見がありました。私、もう一つ心配なのは、青木建設はつぶれた、よし、今度はダイエーつぶれるぞ、こういう話になったとき、ダイエーの株はがたがたと落ちる。しかし、あるときに、今度は助けるというアナウンスがあると、株はどうなりますか。下がったものががんと上がるんでしょう。だれかが、ぬれ手でアワでもうけているやつがいるんじゃないですか。私は、そういう恣意的なところが非常にこの産業再生という問題の中にあるのではないかと思うんですね。
 ですから、政策投資銀行などというのがありますが、この銀行なんかもちょっとおかしな銀行で、何を基準にして貸すのか。私のところの近くにも、あるホテルが破たんしたと言われました。これは民事再生法か産業再生法でやったんですが、確かに債権放棄はしてくれた。その後、金は貸してもらえない。債権放棄したんだから、これ以上融資はとんでもないという話らしいんですが。
 ですから、DIPファイナンスとかそういうのがあるんでしょうけれども、本当に、この基準とか、なるべく政府が立ち入らないで、新しい産業再生の法律をもっとしっかりクリーンなものにして、なぜお金を出したかということが透明にわかるようにしなければいけないと思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 中山先生にお答えをさせていただきます。
 まず、新聞の記事でございまして、この事実関係については私も確認をいたしかねるので、お答えをすることはできないところでございますけれども、私としては、やはり不良債権の処理を進めるに当たって、一方においては、いわゆる産業再編、企業再生をしなければいかぬ、こういうことを竹中大臣にも提言をしたら、それはいいことですね、ぜひそれはやろう、金融庁と我々とも協力のチームをつくってやる、こういう形で、ちょっとその記事は、私は、この新聞記者の人が、そういう全体という形じゃなくて書いたんじゃないかなと。いずれにしても確認をしておりませんから私もわかりませんけれども、そう思っているところでございます。
 現行の産業活力再生特別措置法の運用に当たっては、事業者からの申請を受けた案件ごとに不公平が生じることのないように客観的な認定基準を定めておりまして、ダイエーについても、このような基準を満たしたことから、産業再生法に基づく支援の対象、こういうふうにいたしたところでございます。
 なお、青木建設のことを出されましたけれども、私どもから所管の国土交通省に確認をいたしましたところ、産業再生法の申請は行われなかった、このように認識をしているところでございます。
 現在検討しております産業再生法の抜本改正においても、過剰供給構造の解消や過剰債務構造の是正のため、産業再編や早期事業再生に真摯に取り組む事業者の支援を行うこととしておりますけれども、同じく、支援対象を明確にするために、極力客観的な基準を策定することが必要不可欠と認識しておりまして、現在、具体的な検討を私どもは指示をしていることでございまして、それでひとつ御理解をいただきたいと思います。
 また、冒頭御指摘の、景気は気だ、こういう形で、やはり私は、先行きが不透明だとかそういうことで非常に、もう一方では、金は天下の回りものと言われておりますけれども、国民の財布の方がかたくなっている。そこで、こういう不良債権処理をし、産業再編をし、セーフティーネットを張るけれども、しかし、この先にどういう未来が開けてくるかということを、やはり順序を追って提示すべきだという形で、やはり景気は気ですから、経済産業省としては、国民の皆様方に、先行きこういうことになる、この山を越えればこういうことになる、こういうことを提示できるように今作業をしているところでございますので、またぜひいろいろな面でお知恵をいただければと、こういうふうに思います。
中山(義)委員 今のお話でやはりちょっと心配なのは、アナウンスが何となく緊縮財政に行きそうな雰囲気があるということなんですね。前年度予算との対比で見ても、四兆円ぐらいことしの年間予算は少ないわけですよ。昨日の産経新聞に出ていましたけれども、亀井さんが、真水で五兆円、五十兆円ぐらいの規模の事業をやらなければ景気は悪くなるし、だめになっちゃうということを言っているんです。言っているんですね、現実に。こういうアナウンスの方が、では、与党が言っているんだから、ひょっとしたら政府もやってくれるのかなと、こう思うわけですよ。
 ですから、私どもは、まず、本当に本気で景気対策をやる気持ちがあるのかどうかということが知りたいのでありまして、いろいろなちまちまとしたことを、政策を個々に聞くよりも、本気なのか、予算をつけてやるのか、ここが一番大きな問題で、残された日数はそうないわけですよ。早くメッセージを送ってくれないと、株はどんどん下がるし、これ以上下がったらどうなりますか。結局、株価が下がるということは、銀行がおかしくなる、不良債権をどんどん生んでくる。それがデフレスパイラルなんじゃないでしょうか。
 もうデフレは既に三年ぐらい前から起きているわけですよ。ここであえてデフレ対策といってやるのは、本当は、もっとしっかりしたものをやらない限りはおかしいわけですね。それでいて、年間予算が四兆円も前年対比落ちているわけです。せめてこれぐらいは何とか均衡、バランスとしてふやすぐらいのことは当たり前なんじゃないでしょうか。
 私は、先ほど、夢があるとか、将来すばらしい希望に満ちた世の中というのは、一つは、やはりすばらしい幸せな老後であるとか、または公共事業でも、将来もっともっと活用できるような施設をつくっていくとか、人間が健康であるとか、または心の問題であるとか、または今教育の問題の中、教育ローンや何かについて減税していこうとか、そういうアイデアが出てこないわけですよ。
 亀井さんの言っている、恐らく建設業をばんばんやるということなんでしょうけれども、私は、質はともかくとして量的にもそのくらいのものは必要だと思うんですが、再度、大臣、ひとつ、官邸のことはどうでもいいですから、自分だったらこういうふうにしたいという気持ちを本音で言ってくださいよ。私ども、皆さんたちがまだそういう消極的な気持ちでいるのかなと思って非常に不安なんです。どうでしょうか。
平沼国務大臣 デフレについての認識のお話もございました。資金の流れですとかその停滞、あるいは民間需要の不足に起因して、九〇年代の後半からデフレが進行している、こういうふうに私は思っております。企業活動の萎縮を通じてさらなる景気の下押し圧力になっておりまして、今後こうした動きがさらに加速すると、おっしゃるデフレスパイラルに陥る、こういう認識を持っております。
 今般、政府は、最近における経済金融情勢にかんがみまして、この総合対応策におきまして、経済活性化及び資産デフレ対策を講ずるとともに、不良債権の処理と産業再生、それに伴うセーフティーネット整備といった諸施策を講じる総合的なデフレ対策を取りまとめたところでございます。今後もこうした総合的な対策を果断に実行することだ、こういうふうに私は思っています。
 私は小泉内閣の一員でございまして、先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、やはり構造改革なくして景気の浮揚はない、こういう中で、今、苦しいけれども、ここの苦難を耐え忍ばなければいかぬということで、総理、先頭切って、まなじりを決してやっておられます。そういう中で私は、閣内の一員として、それに協力をしてでき得る限りのことをしていかなければいかぬと思っておりまして、そういう意味でも、中小企業に対する大きなセーフティーネットでございますとか、雇用対策、そういったことを一連打ち出させていただいています。
 そこで、思い切った景気浮揚策、こういうことでございまして、私も、今の段階でぎりぎりやっていけば、十四年度内というのは何とかその政策というものを国民の皆様方の御要望におこたえする形で進めていくことができると思っております。しかし、やはり十五年度の中では大きなものを考えていかなければならない、そういうふうに私は思っておりまして、そういう意味でも、私は、国民の皆様方の不安を取り除く意味でも、補正も含めて、小泉総理自身も大胆かつ柔軟に国民の要望にこたえてと、こういうことを言っておられますので、そういう形でやる時期が来るのではないか、こういうふうに思っています。
中山(義)委員 大臣のお立場はよくわかるのでございますが、要するに、財政出動をして大きな公共事業をやっていく、それによって巨額な赤字が生まれて、結果的には構造的にどうしようもない国になってしまう、こういうふうな考え方があるんだというふうに思うんですね。そのマインドコントロールで、むだはいかぬ、国債発行はいかぬ、何かそういうものに縛られちゃって、がんじがらめになっちゃって、国債発行はもうしないんだ、それから、新たな財政出動はしない方がいいんだ、何かそういうような感じになっちゃっていると思うんですよ。
 だけれども、私申し上げましたように、やはり財政出動をして景気対策をしたときは、それなりに株は間違いなく上がっているんです。ただ、上がっているんだけれども、すぐ逆噴射で変なことをするから景気が下がってきちゃう。なぜあと一、二年待てなかったのかというところが随分あったわけですよ。そうしてみますと、財政出動してやることは絶対間違いというような考え方がもしあるとすると、これは大胆かつ柔軟じゃないですね。柔軟に、逆に大胆にやらないと、今の景気は変わりませんよ。
 さっき言ったように、デフレ予想というのがもうあるわけですよ。もっと安くなる、株はもっと安くなる、買えない。ゴルフの会員権でもそうでしょう、もっと安くなる。ゴルフの道具でも、もうちょっとすれば景気が悪いからすぐ安くなっちゃうよと、買わないんですよ、買い控えなんですよ。みんなそういうような精神になっているんだと思うんですね。ここが日本人の一番大きな問題じゃないですか。やはり、どんと景気対策をやれば絶対よくなる。ただ、公共事業の質は問題ですよ。質はこれから考えなきゃいけない。でも、そういうことを頭に描かなきゃいけないんですね。
 竹中さんは、五百五十万人の建設労働者は勉強してもらってITの方の産業に行けばいいと簡単に言うけれども、そんな簡単なものじゃないと思いますよ。それは机上の暴論というんですよ。私は、やはり、ある程度建設業だって守っていかなきゃいけない。
 ただ、建設業でも、これは我田引水になりますが、東京の外環道、しょっちゅう使っているわけですから、一日四十五万台の車が内環に入ってきて、二十五万台は通り過ぎるだけ。だから交通渋滞が起きているわけです。そういうところは間違いなく効果は上がるんです。二百五十もあかずの踏切があるんですから、東京都内に。こういうところをやれば、同じ建設業だって十分効果が上がるんですよ。
 だから、それは、やはりその効果や質というのは、知恵でありまして、考えることなんですが、まずは、このくらいのでっかい景気対策をやるよというアナウンスがどうしても必要だと思いますよ。これをやらなかったら、いつまでたっても景気はよくなりませんよ。国民の皆さんは、一番心が寂しいんですよ、今。何か景気が悪くなっちゃう、どうしよう、ボーナスが出ないんじゃないか、みんなこれを心配しているんです。さらに、明るい老後が、年金の問題も不安になってきた、これじゃお金を使えませんよ。こういう不安というものを取り除かない限り、日本の景気はよくならないと思うんですね。
 大臣、もう一度、ちょっと本音で、ちいちゃい声でいいですから、ちょっと言ってくれますか、はっきり。
平沼国務大臣 今、GDPの六割を占めているというのが消費でございまして、日本は、一方においては、世界で一番個人金融資産も持っているわけであります。景気は気、こういうふうにおっしゃられましたけれども、そのとおりでして、ここに火がつかないということが、先行き不透明である、そういう形で景気が一向によくならない、これが非常に大きな問題です。
 公共事業についてもお話がございましたけれども、私はおっしゃるとおりだと思っておりまして、公共事業というのは、ある意味では、後世代にツケを残すどころではなくて、いいものであれば、そこに非常に大きな便益性と効率性と資産という確たるものを残すわけでございますから、ここは私はもう全く同感でございまして、必要な公共事業というのは景気浮揚にもつながるわけでございますから、そういったことは思い切ってやっていくべきだ、こういうふうに思っております。
 そういう中で、例えば経済財政諮問会議等を経てまとまった今回の中でも、ある意味では、東京に対しては、羽田空港の具体的な問題ですとか、そういうことも列挙されています。ですから、そういう考え方というものも、これは一部は盛り込まれているわけでございまして、私どもは、そういう形で、国民に対して、先ほどもちょっと申しましたけれども、やはり、こういうことをみんなでやれば必ず未来が開けてくるという、そういうビジョンというものを政治が責任を持って提示することが非常に必要だと思っておりまして、私はそういう意識を持って、経済産業省の中でも、そういう明るい未来を指し示す、そういったビジョンづくりに今邁進をしているところでございます。
中山(義)委員 小泉さんはどうも自分の非を余り認めないようなんですが、やはりアナウンスの仕方が悪いと思うんですよ。
 ペイオフをやるやるやるやると言ったわけですよ。それで五十幾つの信用組合や信用金庫が合併されたりなんかしてきちゃったわけですよ。みんな中小企業の人たちは、それに恐れおののいてRCCに行っちゃったり、自分の持っている担保がよそへ行っちゃったので、えらいことになったりなんかしているわけですね。これは現実の問題なんだ。
 しかも、やらないくせに、やるやるやるやると言って、違うアナウンスを流しているわけですよ。今度、ペイオフの問題だけじゃなくて、やるやるやるやると言っておいてやらないということは、やらないこと自身がどうこうじゃなくて、やると言ったアナウンスが非常に大きな衝撃を与えているんですよ。厳しくする、国民に痛みを分かち合ってもらうとか、何か、アナウンスとしてはすごくそういうアナウンスなんですね。
 私は、今大臣が考える基本がどこにあるかちょっと聞きたいんですけれども、やはり学者みたいな物の考え方だと、マクロ経済一本で、理屈ではこうなると机上の空論で幾らでもできると思うんですね。それか、官僚の皆さんと同じような考え方なのか。
 例えば、官僚の皆さんは、給料はある程度安定していますよ。そうすると、例えばゴルフなんかも、昔は二万五千円だったのに、今一万円ぐらいで行けるわけですよ。すると二回ぐらい行ける。着るものも安い。何でも安くなる、給料が決まっていれば。生活していて、かえって安い方がいいわけですよ。だったら、これは結構デフレもいいじゃないかなんて思っているかもしれない。だけれども、中小企業はそうはいかない。そうはいかないんですよ。結局、役人さんだって、こうやって景気が悪くなってくれば、国民の皆さんの考え方からすると、役人も一〇%給料下げろ、一五%給料下げろとなるんですから。やはり役人さんも一丸となって景気回復をしないと、日本の国、成り立たないんですよ。
 そういう面で、大臣は中小企業の立場に立っているのか、それともそういう官僚の立場、または学者みたいな立場なのか。今回のこのいろいろな一連の法律改正は、中小企業の立場に立ってお考えになったと思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 これは中山先生にわざわざ申し上げる必要はないわけですけれども、日本には約五百万の企業がありまして、そのうちの九九・七が中小企業と言われています。言ってみれば、この日本の経済の屋台骨を支えているのが中小企業の皆さん方です。その中小企業の皆様方が非常に厳しい状況に追い込まれていて、倒産も未曾有の状況で、二万件を超えるというような大変高い水準に相なっています。
 それから、この日本の景気を反映して、自殺者というのも非常にふえておりまして、年間三万人を超えるような自殺者が出ておりまして、統計によりますと、その中で中小企業の経営者の方々の自殺が八千人を超える、こういうふうなデータもあるわけでありまして、大変中小企業の皆様方は厳しい状況に置かれている。
 中小企業の皆様方が活力を持っていただければ、これは日本の経済の活力の活性化につながるわけですから、私は、そういう意味でも、今回の不良債権の処理に当たっては、やはりセーフティーネットをしっかり構築しなければいかぬということを強く主張させていただき、それを車の両輪として盛り込むことになりました。
 そしてもう一つは、雇用の問題もあるわけであります。さらにその上には、やはりしっかりとした景気浮揚策、これをやることによって不良債権の処理も加速化されるわけですから、そういう中で、私は、軸足は、中小企業庁を置いている経済産業省の責任者として、中小企業を中心に、これからもセーフティーネットの構築、いろいろな面で積極的に政策をつくり、そしてお役に立っていかなければならない、こういうふうに思っています。
中山(義)委員 私は、大臣が中小企業の守護神だと思って尊敬しておりまして、何とか中小企業を守ってもらうためにいろいろ御尽力いただきたいわけですが、既に検査マニュアルでもう大分ぎりぎりぎりぎりいじめられているんですよ、中小企業は。
 もともと中小企業の場合は、よく有限会社なんかありますけれども、有限会社なんてうそばかりなんですね。なぜかというと、個人保証していますから、会社をつぶすと、いつまでも無限に保証を迫られるわけですよ。三万人の自殺者があるというけれども、そのうち七千人ぐらいがそういう中小企業の営業をやっている方だというふうに、経営者だと言われているんです。やはり、そのくらい中小企業というのは個人保証によって大分いじめられているわけですね。
 ですから、私は、これから中小企業に対する金融なんかも、やはり個人保証とかこういうものはなるべくやめていく、土地担保はやめていく、そして、できる限り将来性であるとかやる気のある人にお金を貸していくというシステムをつくらなきゃいけないのですが、その以前の問題として、貸しはがし、貸し渋り、これは今すごいわけですね。恐らく三十兆円ぐらいの貸しはがし、貸し渋りがすぐに起こるだろうと言われているんです。これは日経に書いてありましたが、それには、保証協会で、三十兆だから約一割の三兆円ぐらいのお金は手当てしなきゃいけないと言われているんですよ。
 今回、もう九千億円ぐらいの赤字が出るだろうと言われている信用保証協会、こういうところにやはり潤沢にお金を手当てしない限りは、本当に中小企業のために保証協会が働けるのか、こういう疑問、先ほどから質問が出ていますが、その辺、御答弁いただきます。
西川副大臣 先ほど、さきの御質問者に大臣からも詳しく御答弁を申し上げたところでございますので重なりますが、お許しをいただいて、私から御答弁を申し上げます。
 ただいま委員御指摘のように、大変逼迫を、保証協会の保険制度、このままいきますと深刻な事態に立ち至るということは御指摘のとおりでございます。十三年度も六千億不足でございましたし、十四年度も同額の赤字を計上する見込みでございます。このまままいりますと、十三年度末には五千八百億円まで落ち込みまして、一時は一兆円を上回る信用保険準備基金があったわけでございますけれども、こういうていたらくでございます。これは、一生懸命保証した結果でもございますし、また同時に、不景気がいつまでも続いたという残念な結果でもございます。
 ここで、先ほど来、今後三年間、すなわち平成十五年度から十七年度にかけまして九千億円程度の、先生のお口から今九千億という数字が出ましたけれども、大幅な収支の赤字が発生することが見込まれておりまして、これに対して早急に手当てをしなければならない、こういうふうに先ほど大臣も申し上げたとおりでございます。
中山(義)委員 今お話しのとおりで、アナウンスとして、絶対中小企業は守る、そういうアナウンスがなかなか伝わってきにくいのは、やはり予算の裏づけみたいなものだと思うのですね。
 信用組合、信用金庫は、かなり今までも検査マニュアルでがりがりがりがりやられてきた。検査マニュアルでがりがりやったおかげで、貸し渋り、貸しはがし、こういうことがどんどんあった。それで、それは金融庁の政策なんですね、金融庁の政策。いつもそのしりぬぐいをしているのが経済産業省で、保証協会で保証してお金を貸している。
 これは、同じ閣内にいてちょっとおかしいと思うのですね。金融庁は、金貸すな金貸すなと言っていて、経済産業省は、保証してやるから何とか金借りろという形でやっているわけですよ。これは、本来は、金融庁がもっと検査マニュアルなりなんなりで、本当に貸せる相手はだれなのか、審査ができれば貸せるわけですよ。
 信用組合や信用金庫にしても、どんどんどんどんリストラしろとかなんとか言われているので、外交で表へ出る人がいなくなって、人数をどんどんどんどん削減していって、審査する人がいない。また、そのうちの状況がよくわからなくなってきた、こういうようなことも起きているんですね。ですから、やはり信用金庫、信用組合の経営状況が悪くなると人を雇えない、人を雇えなければ中小企業の状況がわからない、こういう状況が生まれているんですね。これはすべて金融庁の指導が悪いわけですよ。それをいつも経済産業省が保証協会で何とかしりぬぐいしている。これが現状です。同じ国としておかしくありませんか。片方はがりがりがりがりやって、片方は何とかしてあげようと、だから、古い債権の、旧債振りかえみたいなことをやったり、結局は銀行を助けることにもなってしまうわけですよ。
 私は、ちょっと今度、これは伊藤達也副大臣が書いたものだと思うのですが、「「貸し渋り・貸し剥がしホットライン」の創設」などというものが金融庁の金融再生マニュアルにあるのです。これは、竹中さんに直接電話をするホットラインぐらいにしてもらって、本当に中小企業の窮状を訴えたいですね。ホットラインがあるのなら、大臣に直接やりたいですよ。これはどういうあれか、ここで質問してもしようがないのですが、このくらいのことを言うならば、本来、金融庁がもっと信用金庫、信用組合を通じて地域の金融というものをしっかりやっていくべきなんですね。
 地域の金融機関というのは、よくやったというのは、自己資本率じゃないのです。いかに地域の経済を育ててきたか、いかに地域の経済に血液のお金を流して商売をうまくやるか、ここが問題なわけですね。それを金融庁ができないわけです。そうすると保証協会で経済産業省が保証してやっていくという。
 この矛盾した形はすごくおかしいわけですが、大臣、これをどう思いますか。
平沼国務大臣 確かに、中小企業に対して、検査マニュアルというのが大変過酷な時期があったと思っております。私どもとしては、当時、金融庁に働きかけをさせていただいて、大手行と同じようなマニュアルでがりがりやるべきではない、中小企業に対しては、何も海外と取引しているわけじゃありませんから、BIS規制を八%などという、そういうことを想定する必要はないわけですから、やはり中小向けに対しては別マニュアル、そういう形でやってほしいということで、当時の担当大臣もそれを了解して、そういう形をとったことは事実でございます。しかし、実態はなかなか厳しいものがある、こういうことでございました。
 私どもとしては、これからも、金融庁とこういう不良債権の処理を進めるに当たっては、いろいろなことで連携を密にしていかなければいけません。同じ政府のことですから、やはり我々は中小企業サイドに立って、そして金融庁というのは不良債権を処理しなければいけない。その中で、お互いの連携の中で、いかに過酷なものではなくて、納得のいく、実務的にそういうことができるかということは、御指摘のように非常に大切ですから、私どもは、金融庁と連携を密にしながら、その辺はこれからもちゃんとやっていかなければならない、こういうふうに思います。
中山(義)委員 地域金融の問題といたしまして、信用組合はもともと、無尽とか、一つの組合の中でお金のある人がお金を預けて、お金を融通してもらいたい人に融通をしたという形で成り立ってきたと思うんですね。もともと、私が都会議員のときには、都道府県がこれを監督していたわけです。つまり、地域の金融のために信用組合はあるというふうに考えた方がいいわけですね。これを金融庁がいろいろいじめても、結局、地域の商売、いわゆる工場の人や八百屋さんや魚屋さんたちがみんな困っているわけですよ。金融庁ができてから何か景気が悪くなった気がするくらい、金を貸すなというような形をとってきたわけです。私は、間違いなく金融庁が地域の金融システムを破壊したと思っていますけれども。
 ですから、私、一つ、提案というよりも、今度の保証は、ある意味では信用金庫や信用組合に限定してやったらどうかなという考え方を私どもは持っているんですよ。やはり地域金融をよほど大切にしませんと、これからの商店街や何かはもたないと思うのです。何といっても、相談相手がいて、たまには営業に来て一緒にお茶漬けを食べていくとか、そういう人間が一番自分のことをわかっている。そういう面で、この中小金融に限定してやるという考えはどうでしょうか。
高市副大臣 先生がおっしゃったように、地域金融の重要性ということに関しましては大賛成でございます。
 ただ、平成十四年六月の実績でございますけれども、中小企業向けの融資で、信金、信組の融資の金額が五十二兆九千億円なんですが、これに対しまして、都市銀行から中小企業向けの融資というものは九十二兆八千億円という金額になっておりまして、地域金融からの貸し付けに比べまして大きく上回っている状況でございます。保証つきの融資に関しましては、都市銀行の融資が八兆三千億円、信金、信組は九兆八千億円、ほぼ同じような規模となっております。
 現在の景況を考えてみますと、ここでもし都市銀行に対して信用保証を行わないということにしましたら、この都市銀行から中小企業向けの融資というものが大幅に収縮する可能性がありますので、現在、中小企業にとって非常に厳しい状況を増幅してしまうのではないかと考えます。
 それから、地域を超えて全国レベルで事業展開をされているような中小企業者にとりましては、やはり都市銀行の方が使い勝手がよいというようなケースもありますので、先生のお考え、十分に御趣旨は理解できるのですけれども、適当ではないのじゃないかと思います。
中山(義)委員 今のお話でそのとおりだとは思うのですが、もともと、二十兆やった後、十兆やった、三十兆円の安定化資金のときには、初め信用金庫、信用組合がぐっと伸びたんですね。それで慌てて都市銀がそれに追いついてきたわけですよ。初めは保証協会で保証するのは面倒くさいとかいろいろなことを思っていたのですが、あっ、これはいい方法だ、旧債振りかえなどに使ってやろうということで、大銀行が保証協会を活用して、旧債を振りかえるような、そういうようなことをやったのです。だから、保証協会の保証というのは、ある意味では、今までは銀行救済に使ってしまった部分もあるわけですよ。
 そういう反省も踏まえて、最近ちょっと部分保証とかいう言葉も、今度の法律の中に、適当ではないようなことなんですが、ちょろっちょろっと出ているんですね、部分保証というのが。これはどういう発想なのか、ちょっと聞かせておいてもらって、あとは利用料率の問題もありますね。この辺、ちょっと考え方をお披瀝いただければありがたいのですが。
西川副大臣 部分保証という考え方がございまして、現実に、細目はちょっと失念をいたしましたが、八割でありますとか九割でありますとか、そういう保証を実施しておりますアイテムがあることは先生の御指摘のとおりでございます。
 それで、今度のDIPファイナンスにつきましてはこの部分保証というものも考えておりますけれども、基本的に、当省が所管をいたしておりますものにつきましては、現下の厳しい景況または金融事情を踏まえて、部分保証は行わない、こういう方針を申し上げておきたい、こう思います。
中山(義)委員 部分保証というのは、ある意味では、これからの考え方としては、やはり銀行にもリスクを負わせる、しかし、そうすると銀行がついてこないという点がある、こういうようなこともあるのじゃないかと思うのです。DIPファイナンスなどの場合でも、せっかく保証協会で保証しようとしても、銀行は出すのを嫌だと言うかもしれませんね。確かに部分保証というのは、今回は、安易に入れるというのは、何か政策が後退したような印象もありますので、まずいのかなと思います。
 しかしながら、やはり部分保証というのも、これからのあり方として、銀行にもリスクを負担させるという意味では一つの考え方だと思うんですね。国も負担をする、国もリスクを負担する、銀行も負担する。しかし、この審査などは、どこがやるのかよくわからないのですけれども、銀行がそうやってかんでくれば、銀行もより審査を厳重にやるというふうに思うのです。
 西川先生、ひとつその辺、下町の太陽としてお答えいただきたいと思います。
西川副大臣 正確にお答えを申し上げた方がよろしいと思います。
 実は、我が国における一〇〇%保証の例外としては、特定社債保証制度が九割、売り掛け債権担保融資保証制度が九割、事業再生保証制度が、これは、これをお認めいただいた場合でございます、このDIPファイナンスが八割。ただし、欧米は、調べてみますと、アメリカは、中小企業者への融資額は七五%とか八五%あります。それからイギリスは、同じく八五から七五、これは業歴によって決定をいたしております。それからフランスは、政策目的により五〇%とか八〇%。ドイツは、資金使途によって五〇%とか八〇%とかございます。
 先生の御指摘のように、単に日本は例外的に二つを現在認め、さらにこのたびのDIPファイナンスで三つ目を、こういうことでございます。この事実関係だけを申し上げさせていただきます。
中山(義)委員 部分保証でも何でも、とにかく業者の方たちはお金が欲しいんですよね。もうとにかくお金を出してくれればいいというような、今本当に緊迫した状況でございますので、もうできる限り、銀行も負担をするけれども、国も八割ぐらい負担してやるよ、だから出してやれというようなことが大事だと思うんです。
 ある工場の人に聞いたんですが、もうこの二年ぐらい、プロパーで銀行から借りたことないというんです。ほとんどがもう政府系金融機関、これが実情です。ですから、やはり銀行も引っ張り出さなきゃいけないと私は思うので、部分保証も一つの考え方だと私は思うんですね。
 今回の法案にはもう大賛成でございますので、もっと積極的にやってもらいたいというのが私の気持ちでございますし、やはり大臣がいいアナウンスをどんどん出していただいて、景気対策は絶対この省でしっかりやっていくんだ、こういうようなアナウンスがないと、気持ちが変わらないと、結局、デフレ予想ばかりして、もっと安くなる、安くなる、こういう気持ちしか国民が抱かないとすると、景気はますます悪くなっちゃうと思うんですね。そういう面では、平沼大臣、ますます御健勝で、明るく、国民に勇気と希望を与えるようにアナウンスを送っていただきたいと心から願いまして、質問を終わります。
村田委員長 松原仁君。
松原委員 既に民主党、三人の委員から質問がありました。予定していたものもかなり重複をしていたりするわけでございますので、質問通告をあらかじめしていない分野が非常に多いかもしれませんが、それは政府参考人の方で結構でございますので、きっちりとお答えいただければというふうに思うわけであります。
 大変に今景気は悪いわけでありまして、政治の最大の課題は、この景気低迷をどうやって乗り越えていくかという議論になるわけであります。
 私は従来から思っていたわけでありますが、経済、景気のオピニオンリーダーというものは、それは中小企業であるというのが私の持論であります。中小企業が元気になるということがやはり日本の景気回復のバロメーターであって、中小企業が青息吐息である限りにおいて我々の経済というのはどこまでいっても景気低迷を脱出することはできないという基本的認識を私は持っておるわけでありますが、平沼大臣の御所見をお伺いいたします。
平沼国務大臣 私も、松原先生おっしゃるとおりだと思いまして、やはり企業の九九・七%を占めているのは中小企業でございまして、そして、いわゆる雇用の七割以上も受け持ってくださっているのは中小企業です。ですから、ここが活力がなければ日本のいわゆる経済の活性化はできない、そういう、私は同じ認識でございます。
松原委員 そういった意味では、本当に中小企業の実情を見ようという政府の、小泉総理も大田区にいらっしゃった、我が民主党の鳩山代表は品川、大田を回った、こういうことでありまして、それは、もう時機がそういう時機であるがゆえに現場を見ようということだろうと思います。
 ただ、私は、一つ申し上げたいことは、小泉総理は、大田区のK絞株式会社、私もよく知っているわけでありますが、訪れまして、大変に中小企業、元気だ、こういうふうな御発言があったわけであります。もちろん、中小企業といっても多岐にわたるわけでありまして、元気のあるところもあれば元気のないところもあるというふうなことだと思います。通常の状況であっても、例えば、百社の中小企業をとれば、元気のあるところは二十社、元気のないところが二十社、そして、通常の業務を淡々と、粛々とこなす中小企業が六十社、こんなぐあいであるのが通常でありまして、景気がいいというときは、元気な企業が百社のうちの四十社、五十社、そして厳しいところが百社のうちの二社、三社。不景気だとその逆になるわけであります。
 私が申し上げたいのは、光と影という表現を使っていいのかどうかわかりませんが、私は、中小企業の元気のあるところを見るのは大変大事だと思います。中小企業の将来への可能性、展望を見詰めることは大事でありますが、しかし、それは、特にこういった不景気の時代においては百社のうちの二社、三社ということでありまして、多くの中小企業はそうではないということであります。その辺が、総理がどういう御認識を持たれたのかということを私は非常に危惧しているところでありまして、現実に、先般私が鳩山由紀夫さんと一緒に品川の工場を回ったときは、青息吐息のところが多かった。
 ある工場に行きましたら、その工場の主が涙を流しているわけでありまして、私もその会社は前から知っていましたし、その会社の税理士をやっている方、一緒に行って話したわけでありますが、税理士さんに聞いたら、いや松原さん、売り上げの落ち込みは三分の一ぐらいになってしまったと。涙を流しているから、私は最初、工場の中の空気がちょっとよろしくないのかなというふうに思っていたわけでありますが、それはそうではなくて、もうどうしようもないという思い、だれにその怒りをぶつけていいかわからないという怒りを、怒りというか悲しみというか、それが涙になっていたわけでありまして、技術的にはかなり高い水準の工場でありますが、そういったところもあった。
 また、別のところを回ってみても、従業員は全員解雇して、自分一人でやっている、今何とかかつかつだけれども、従来は二カ月、三カ月先までの仕事があったが、今はその日の仕事が二日、三日前に入るような自転車操業に入ってきていると。そういったところばかり六件見たわけであります。
 というよりは、元気のいいところというのが余りにも少ないわけであります。元気のいいところということになれば、大田区であれば、それはメッキ屋の何とかさんとか一部あるわけでありますが、ほとんどのメッキ屋さんも操業を停止してしまったりしている。中には、操業停止しているところは、これ以上工場を続けることによって累積赤字が蓄積するからやめる、こういうふうな厳しい状況になっているわけであります。
 総理の発言は、まだまだ中小企業、捨てたもんじゃない、元気のあるところがあるというふうにおっしゃっていて、私は、公式発言はそれでもいい、中小企業元気だと言い続けて結構でありますが、本音は、そういった厳しいところが百社のうちの六十社、七十社であるという御認識を総理は持っておられるのかどうか、平沼大臣は持っておられると思いますが、その辺の憶測も含めて、ちょっと率直におっしゃっていただきたい。
平沼国務大臣 もちろん、総理もその認識は持っていると思います。私が今度の改造内閣で再任、こういう形になったときに、総理から、特に中小企業対策はしっかりやってほしい、そういう私に対する言葉がございました。
 私も立場上、各中小企業の団体の方々が大臣室に来られます。そして、いろいろな業界の方々がそろって来られます。そういう中で、本当に厳しい実情、そういうことは私よく認識しておりますし、また、インターネット等あるいは文書で私にじかにその実情を訴えてこられる方がたくさんあります。
 そういう中で、やはり、先ほどもちょっと申しましたけれども、倒産の数も二万を超えるような非常に高い水準になっておりますし、それから、中小企業を一生懸命経営されている方々が大変な状況になって、その中で本当に命を絶たれる。三万人を超える自殺者のうち八千名を超える方々がそういう自殺をなさる。
 こういったことを考えれば、松原先生御指摘のように、今非常に厳しい状況だ、総理もそのことはしっかり認識をされているから、私に、再任のときにも、中小企業対策しっかりやってくれと、こういうことだと私は思います。
松原委員 本当に厳しい状況であるということを、くどいようでありますが、あえてまだ申し上げるならば、品川のある工場では、私もその棟上げ式に実は参加をしたわけであります。工場をつくり直した、つくり直したけれども仕事がなくて、実は鳩山さんと一緒に行こうと思ったら、悪いね、松原さん、私、今大工の手伝いしているんだと言うんですよ。企業だからいいわけでありますが、結局、自分の本業の方で仕事がないものですから、大工の手伝いをしている、こういう状況であります。
 K絞に関して言うならば、この間、実は地域の祭りでお会いしましたら、あれは昔の話で、今はもう厳しくなってきていると。ここまでなっていることも総理にお伝えいただきたいと思うわけであります。
 私が言うだけではなくて、きょうここに西川副大臣がおられますが、荒川なんかも実情は厳しいと思うんです。そんな厳しい実情を若干御紹介いただきながら、決意を少しお伺いしたいと思います。
西川副大臣 ありがとうございます。
 全く、松原先生の御地元よりももっと厳しいと私は思います。
 と申しますのは、私どもの地域は、京浜工業地帯の中核をなす先生のお地元のように、中小の中でも大きなお仕事をしておられる、そういうところに比べて、もっともっと脆弱な孫請企業が多いようなところでございます。現に、私の家の前の、精密機械の測定器具をつくっておりましたところも、私が副大臣就任のその日に、皮肉なことに倒産をいたしまして、門扉に張り紙がしてあって、夜中に機械を持ち出す業者が来たり、そういう状況を目の当たりにいたしております。
 こういう場所でこういうことを具体的に申し上げるのはいかがかと思いますが、先生からのお尋ねでありますから、簡単に申し上げますと、私は、朝五時ごろ起きて、五時半ごろ散歩を始めるわけでありますが、長い間親しんでいたメッキ工場が駐車場に変わってしまったり、または廃業、転業がやたらにあって、ただ少し、若干の救いは、最近、小さな工場に、パートさん募集の紙がちらほら見えるようになった。
 もうともかく、本当に先生と同じ認識でおります。こういう状況を早く脱却しなければいけない、この思いで、焦りに感じたものを持っておりまして、先ほど来、民主党の各議員の方々のおっしゃること、与野党の違いはあっても、私は本当に胸に迫る思いで拝聴しておりましたし、平沼大臣も私どもに督促をしていただいておりますが、一生懸命大臣のもとで、一刻も早くこの惨状から抜け出したい、こう思っております。
松原委員 非常に厳しい事態であります。
 今回の中で、特に、先ほど生方委員が質問しておりました、新しく株式会社を設立する場合、最初の五年間に関してということであると思いますが、資本金、一千万にこだわらないというふうな話もありました。
 私は、SOHOというのも含め、そういったものもどんどんとこれから活用していく、やはり中小企業の新しいオピニオンリーダーをつくっていくということは極めて重要だと思っているわけでありまして、そういうものが出てきて、そこがまた活力を持って、発注を他の中小企業にする、部品をつくってもらうとか、そういうふうな形にならなければ、なかなか本質的な景気回復にならないというふうに思うわけでありますので、ぜひとも、この中小企業の新たな事業活動の促進という点に関しては、実はこれはもう一番根本的な部分で、これをやらなければだめだという御認識のもとに、大いに頑張っていただきたいと思いますが、大臣の決意をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のとおりだと私は思っています。
 日本では、今、こういう中で、それでも毎年百二十万人ぐらいの方々が、新しく自分で業を立ち上げたい、こういう意欲を持っています。そのうちの約半数が開業の準備まで、いろいろ検討するところまで行きますけれども、結局とんざしてしまって、毎年十八万社しか新規に誕生していません。結局、廃業の方が上回っているわけであります。
 そこで、新しい企業を立ち上げる、御指摘のとおりのことでありまして、昨年の秋の臨時国会で、無担保無保証、本人保証もなしで、事業計画に着目をして企業を立ち上げる、そういう法律をつくりましたら、大変利用者が多うございまして、今、前年に比して六倍のスピードでそういう新規企業が立ち上がってきている、これが一つあります。
 それから、今回は、いわゆる最低資本金、一千万円というものをもう可能な限り低くする、そういう形で参入しやすくなる。それと同時に、やはり日本の場合、手続に物すごく時間がかかりました。それから手続の費用もかかりました。そういったものを軽減してすぐにインセンティブを与えるという法律案でございます。
 そういうことをやっていくことで、御指摘のとおり、新しくそういう企業が誕生した場合に、まだ生まれたてですけれども、例えば人を五人採用したとしても、今十八万社ですけれども、それが四十万社にふえれば、それだけで二百万人の新しい雇用ができ、そこからいろいろな注文も出てくる。こういうことになれば、SOHOとおっしゃいましたけれども、ベンチャーを含めてそういうことをやることが経済の活性化につながる、こういうことでございまして、私も同じ問題意識を持っておりますので、このことは真剣に、そして一生懸命ここを拡大していくように努力をしていきたい、こういうふうに思います。
松原委員 ぜひ頑張っていただきたいと思うわけでありますが、ちょっと実務的な話をお伺いしたいわけであります。
 政府参考人の杉山長官にお伺いしたいわけでありますが、今平沼大臣がおっしゃった、そういった新規事業をつくる場合のケースで、従来、どこかの中小企業で、いわゆる大企業から飛び出してつくる人もいるだろうし、学校から、すなわちそのまま飛び出してやる人もいるだろうし、主婦がやるケースもあるだろうし、いろいろなケースがあると思うのです。
 既に、例えば品川、大田、荒川、いろいろなところの中小企業があります。工場があります。そういう、今まで工場をやっていた人が飛び出したケースというのは、どれぐらいの、パーセンテージというのですか、会社数とか、そういうものの資料、恐らく、政府参考人でありますから、突然質問して、通告しておりませんので、大変御無礼でありますが、お答えいただけるんじゃないかと思うので。
杉山政府参考人 恐縮でございますが、今具体的に統計の数字を持ってございません。大変失礼いたします。
 ただ、私ども、これも大臣からいつも言いつかっていることでございますが、おまえたちは机の上でもって中小企業政策を考えてはいけない、現場に出て、実際に中小企業の方々の生の声を聞いて政策を考えろということを、よく大臣、副大臣、大臣政務官から言いつかっております。
 その面で、私どもよく実地に行きましていろいろなケースを勉強させていただいております。今先生からお話がございました、どういったケースで創業しているのか、これについてもいろいろなケースがございます。
 例えば、おやじさんの後を継いでいる息子さんがちょっと違う事業に飛び出るという場合もありますし、あるいは、かつて保母さんをやっていた方々が、子供が手がかからなくなって新しい保育施設を始めるというようなものもございますし、それは多種多様でございます。私どもは、むしろ、そういう多種多様なものが、いろいろな、すそ野の広いそういった創業がたくさん出てくるということを期待いたしておりまして、もちろんベンチャー的な、ぴかぴかのハイテクベンチャーも重要でございますけれども、そういったすそ野の広い、幅の広い創業というものを掘り起こすということが私どもの一つの施策だと考えております。
 申しわけありません。
松原委員 いや、実は、私はこういう点をまたぜひ研究していただきたいと思うことは、今、中小企業で、さっき言ったように、社長が五人雇っていた、しかし、もう不景気だから四人やめてもらったという話を例でお話しいたしました。その会社も、一人でやる分には二カ月、三カ月先までの仕事は入っているけれども、今日に至ると、もうそれもまさに自転車操業で、一週間ぐらいになってきている、こういう話をしました。その去っていった四人、今ほかのところで引き取ってもらっているのか、引き取り先がなくて失業保険で食いつないでいるのか、それはわかりません。
 私は、新規創業というのは、本当は、明るい、新しい、そういったフレッシュな人が入るという部分が一番中心なのかもしれませんが、従来の中小企業の中で、そうやって、やめさせられていくというのかな、やめていく人、会社が倒産したら、従業員の人は生活していかなきゃいけないわけですから、そういった人が新規にどんどんとつくっていくということがやはり一つ必要なのかなというふうな気がしたので、そういった意味での、先端技術とかバイオテクノロジーとかそういう領域の話ではありませんが、中小企業の中で、新しくできた中でどれぐらいのパーセンテージかというのをお伺いしながら、そういったものをどうやってインキュベートしていくかという議論をしようかと思った次第であります。
杉山政府参考人 ちょっと補足をさせていただきたいと存じますが、中小企業庁が昨年の十二月に調査をいたしました創業環境に関する実態調査というものがございます。
 その場合に、創業者が開業直前にどういった職業についていたかというものがございます。ラフな調査でございますが、会社員という方が全体の五一%でございます。それから、会社の役員をしていたという方も三〇%ほどございます。それから、みずから自営業種、自営業者としてやっておられたという方が一割強ございます。その他、主婦でありますとか公務員でありますとか、そういう方が大体一%未満の割合で入っているというような状況でございます。
松原委員 どちらにしても、こうやって企業のスクラップ・アンド・ビルドが、少なくともスクラップの方が進んでしまう可能性がある現状の中で、ビルドが非常にハードルを低くして、そこでやめさせられた人がその技術を使って新しくまたすぐに展開できるというような、そういった機会をつくることが僕は極めて重要だということを申し上げた次第であります。
 翻って、現状の中小企業を見ると、本当に厳しいわけであります。仕事の量がふえているというところはほとんどない。二カ月、三カ月前まで詰まっていた仕事が今はもう自転車操業で、きょうの分がおととい来たとか、そういう段階になっています。この三、四カ月でそういう状況になっています。さらに厳しくなっているのは事実であります。ですから、越冬できるのかなみたいな話も一部あるわけでありますが。
 つらつらおもんみるに、率直に言うと、企業も、幾つかあると思うんですよ、幾つかあるんです。例えば、金融機関が合併することによって、結果として、あぶり出されるようにして新しく不良債権化されてしまって、貸し付けが減ってしまう中小企業もあるだろう、そういうふうな部分もありますが、現状の中で、どっちにしても、もう仕事量も少ない、言葉は悪いけれども、もう見通しもない、貸す側からすると、土地担保は既に目いっぱい、しかも、返済できるかといえば、この企業は返済するには仕事量が減っているだろうという企業がたくさんあるわけであります。
 資本主義の厳しい経済原則であれば、そういった企業は当然廃業せざるを得ないというふうな意見もあると思いますが、率直に言って、やはりそういうふうな企業は廃業するべきというふうにお考えかどうか、長官にお伺いします。
杉山政府参考人 まず、前段といたしまして、実態の認識でございますが、私ども、大臣の指示によりまして、八月から九月にかけまして、各地域に中小企業庁の幹部を派遣しまして、実態調査をいたしました。
 その報告の中の一つでございますが、金融機関と中小企業との関係でございますけれども、今先生御指摘なさいましたように、非常に業況の、経営状況の悪い中小企業につきましては、その金利の引き上げだとか、あるいは信用を切るというようなことになりますと、倒産のリスクが高いということで、金融機関の方も、むしろそういったことにちゅうちょする傾向があるようでございます。業況は決してよいわけではございませんが、倒産懸念とまではいかないといったような中間の多くの中小企業の方々には、貸し渋りだとか、場合によっては金利引き上げというような実態が見られているというような状況でございます。
 先生の御質問の、それでは、業況が極めて悪くて新しい融資も受けられない、あるいは担保もぱんぱんであるというような中小企業についてどうかということかと思いますが、基本的には、大臣いろいろ御答弁されておられますように、やはり中小企業政策として、やる気と能力のある中小企業の方々をどうやってサポートするかというのが基本ではないかと思っております。ただ、それは、弱い中小企業切り捨てということではなくて、あくまでもそういった可能性のある中小企業の方々にはできる限りのサポートを進めていくというのが私どもの基本的な立場であるべきというふうに考えているところでございます。
松原委員 極めてリアリティーのある話をするならば、厳しい話になると思うんですよ。私今申し上げたように、今、多くの企業がどんどんと仕事量が減っている。もうどこへ行っても減っています。単価は安くなっているし、仕事量は減っている。そして担保はない。そういう中で返済できるかといえば、本当にできるのかなと私が見たって思う。
 しかし、そういったところが、そういったお金が貸されなければ、もうこれは即だめになってしまうケースもあるというような厳しい状況の中で、そうすると、貸し付けることによって、まあいろいろなランクはあるんですよ、百社のうちの五十社とは言いません、そういうところは。しかし、今、かなり多いのは事実です。そうなると、そこに貸したお金というのは最終的に焦げついてしまう可能性というのは極めて高いわけでありまして、その辺が本当に厳しいなと。どういうふうにここの部分は解決していくのかというのは、なかなか議論になじまないのかもしれませんが、この辺も考えていかなきゃいかぬなと思っているわけであります。
 そういう中で、土地担保は現実に目いっぱいということになれば、土地以外の担保というものを想定しなければいけない。新しく、売り掛け債権担保ですか、これができたわけでありますが、当初これ二兆円ぐらいの貸し付けをもくろんでいたというふうに私は若干耳にした記憶があるんですが、現状はまだまだ少なくて、三千四百件の千四百億円ということであります。
 通常の貸し付けが百三十万件とか、ピークは二百万件を超えていて、額も全然違うわけで、極めてまだまだ利用率が少ないというふうに思っておりますが、今度それを簡素化するという議論もありますが、利用率が少ないことに対して、今、どれぐらいまで金額ベースで持っていこうとしておられるのか、長官にお伺いします。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年の十二月から、先生御指摘のございました売り掛け債権担保融資保証制度を始めさせていただいております。
 私ども、この制度を創設するに当たっての基本的な認識といたしまして、我が国には売掛金債権が約九十兆円ある。米国等の例を見ますと、その一割ぐらいが流動化をしている。我が国では、今までの中小企業の融資というものが過度に土地担保に依存をし過ぎている、そういうものから少しでも脱却をすべきではないか、その意味では、この売り掛け債権を活用した融資保証制度というものを根づかせることが非常に重要であるというふうに考えたわけでございます。
 先ほど言いましたように、九十兆のうち日本でも一割ぐらいを中期的に流動化させたい、こういうことで、七兆とか八兆とか九兆とか、その辺のところをファイナルなゴールとして目指したいという趣旨でございました。それを中期的な目標といたしまして、二兆円ぐらいをできるだけ早い時期に達成したいということで制度を御提案申し上げたわけでございますが、今先生おっしゃいましたように、現状では三千四百件、一千四百億円の利用実績という状況にございます。
 当初、非常に円滑に普及が進むという状況でございませんでした。そのために、どうしてそういう背景なのかということも実態調査等をいたしてみました。一つには、従来の商慣行から見まして中小企業自身が債権譲渡に消極的だとか、あるいは譲渡禁止特約が多くの場合に課されているだとか、あるいは手続上のいろいろな問題もあるというような課題がございました。
 したがいまして、私ども、大臣、副大臣、大臣政務官の御出張までいただきまして、啓蒙普及、あるいは二百万枚に及ぶチラシの配布、あるいは関係各省にお願いをいたしまして、譲渡禁止特約の解除といったようなものを進めると同時に、一層の手続の簡素化、弾力化というものも進めてまいったわけでございまして、少しずつ制度の浸透、利用というものが進んでいるんじゃないかと思っております。
 ただ、先ほどほかの先生の御質問にお答えいたしましたように、さらに一層、この制度を弾力的に、ユーザーの役に立つようなそういう方向での改革というものは不断に続けていきたいというふうに考えているところでございます。
松原委員 私は実は、この売掛金債権の担保に関して、金融庁がどういうふうに評価しているのかというのが若干気になるのです。今の金融機関というのは、さっき中山さんの話にもありましたが、自分でリスクをしょわないんですよ。全部信用保証協会の融資つきにするんですよね。地元の中小企業は、それだったら二度手間だから、初めから保証協会の方がいいよという話に今なっています。その保証協会も含めて、金融機関もそうですが、金融庁がどういうふうに思うかというのを物すごく気にしていまして、貸す側のマインドは金融庁のしごきによって冷え切っているというふうな率直な印象を私は持っているんです。怖いわけですよ、大変怖い。
 金融庁が、売掛金債権という新しい手法、今度、契約時からそれを実行できるようにしようという大変大胆な、しかし、売掛金債権そのものがこれだけの普及率であることを考えると、私は、どうもそれは、言葉になっているかどうかは別にして、金融庁の意思が、土地担保だったらまだわかるけれども、売掛金債権などというのは担保としてどうなんだみたいな、そういったものがあるんじゃないかと思うんですよ。もしあるとしたら、徹底的にこれは言っていかなきゃいかぬし、率直な印象をちょっとお伺いしたい。
杉山政府参考人 私ども、この制度を発足するに際しまして、金融庁にも強く協力を求めました。金融庁は、今先生おっしゃったように、土地担保主義からの脱却という観点から、この制度の推進につきまして積極的な評価をいただいているというふうに私ども思っております。
 私どもからは、金融庁に対しまして、金融機関に対して金融庁からもこの制度を積極的に活用するようにいろいろな場面で強く要請をしてもらいたいということをたびたび申し上げてまいりました。金融庁といたしましても、いろいろな場面で、この売掛金債権の保証制度の積極的活用につきまして、金融機関に対して働きかけ、要請をしているというふうに承知をいたしております。
松原委員 私は、どうもこれはネックは金融庁だと今でも思っていますし、今のお話は金融庁とはまた違う立場でおっしゃっていますが、本音は、向こうはそういう意識だと思うんですよ。金融庁は、これをやったらさらに不良債権がふえると思っているかもしれない。僕はそういう気がしてならないので、ぜひとも、それは頭に入れて行動していただきたいわけであります。
 質問時間が参りましたので、最後に申し上げたいことは、ちょっと暗目の話が多かったわけでありますが、実際、事態は厳しいということは認識をしていかなければいけないわけであります。ただ、そういう中で、先ほど中山さんからも話があったように、明るく、景気の気は気持ちの気だ、経済は明るくやらなきゃいかぬ、こういう話であります。
 私は最後に、大ぶろしきというか、ちょっとふろしきを広げたいとも思っているわけであります。
 公共事業というと、これは橋をつくったり道路をつくったり、こういうことでありますが、特に今製造業が厳しい状況になっている。製造業向けの公共事業というのを考えたらどうか。
 例えばアメリカは、昔、ケネディ大統領だったと思うのですが、アポロ十一号をつくるのに最先端の技術を導入するし、何かやるし、そういう、日本で宇宙計画を練るほど今金がないよという話かもしれませんが、中小企業に物を、仕事を発注できるような、中小企業向けの、アポロ十一号でも何でもいいんですよ、夢をそこに、やはり夢がなきゃいけない。そういう大規模な、大ぶろしき的な中小企業向けの公共事業というものを、ひとつ平沼大臣の強烈なリーダーシップのもと実現したら、これはイメージが上がって、ああそうか、中小企業に対して後追いの、危ないところに云々というこれも大事だけれども、そうじゃなくて、夢のある方でもやるんだと。それにおいてSOHOとかそういう新しいベンチャー企業も出てくる。インパクトを与えるような、中小企業向けのアナウンスメント効果のある公共事業をやるべきだと思うんですが、平沼大臣の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。
平沼国務大臣 私どもといたしましては、日本の潜在力というのは私は捨てたものじゃないと思っております。これは皆さん方と共通の認識だと思っています。したがって、やはり中小企業を含めてこの国の経済を活性化していくためには、重点を絞って、そこから新しい産業の活力を生み出していかなければいけない。
 その一つが、将来これは百兆とも二百兆とも言われているようなバイオテクノロジーの分野、これも中小企業を含めて非常にすそ野が広いわけです。それから、ITというのは、今一つのファーストステージが終わって、これからセカンドステージで、日本の得意な分野、例えば中小企業も含めるいわゆるIT家電などという分野は非常に大きく期待できます。ですから、ITだとかいわゆる情報通信。
 それから、これは経済産業省が頑張らなければいけないわけですけれども、二十一世紀は環境の世紀と言われています。環境というのは、どちらかというと負のように見られていますけれども、これを実は成長のエンジンにするのは日本のポテンシャリティーでできます。これも中小企業に入っていただく。それと、新しいエネルギー分野。さらには、日本は物を小さくすることは非常に得意ですから、材料だとかナノテクノロジー、こういったところを重点的にやることによって、中小企業に、全体を盛り上げることによって、参画をしていただく。こういうビジョンというものは既に出させていただいております。
 それからもう一つは、これはもう皆さん方の御協力で、非常に地域経済で根づいてきたんですけれども、地域産業クラスター計画というのが、今、産学官の連携で全国で十九カ所に育ってきました。そして、大学も二百入りまして、さらに企業の数も、中小企業を含めて四千社が参画して、そこからベンチャー企業も生まれてきましたし、新しい中小企業の技術が特許になっています。
 ですから、そういったことをもっともっと国民の皆様方に知っていただいて、そして、意欲が起こるような、そういう中小企業、そして日本全体の経済の活力に本当にスポットが当たる、そういう公共事業的な、やはり国が責任を持ってやる、そういうことが私は必要だと思って、これからも推進していかなければいけない、こう思っております。
松原委員 本当に、かつて新幹線というのがありましたが、ああいった新幹線の車両をつくるというふうなことや、目に見える形の具体的な、中小、特に製造業にインパクトのあるそういう公共事業をぜひともお考えいただきたいというふうに思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
村田委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時七分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三分開議
村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。土田龍司君。
土田委員 まず最初に、中小企業金融安定化特別保証制度、いわゆる特別保証制度について一問だけお尋ねをしたいと思います。
 この制度は、金融システム不安の中で、未曾有の貸し渋り状況のときに、緊急避難的措置として平成十年十月に創設されまして、平成十三年三月末で申し込みが終了いたしました。
 この制度については、当初二年間で二十兆円の保証枠が予定されていたわけでございますが、依然として景気の先行きが予断を許さない状況にあった、さらに、貸し渋りに苦しむ中小企業が多数存在していたことなどを背景にして、平成十一年の十月、制度の一年延長並びに保証枠の十兆円の追加がされました。三年間で保証枠三十兆円をほぼ使い切った、盛況であったというふうに私は承知しております。
 この制度の終了に当たって、政府は、あくまで臨時異例の措置であった、今後は売り掛け債権担保融資保証制度の創設や既存の無担保保証の拡大、政府系金融機関による無担保融資の創設等によって中小企業の資金調達の円滑化に対応できるという見解でございました。しかし、振り返ってみまして、中小企業の状況や資金繰りの状況は、平成十三年度当初から悪化したわけです。実態として、厳しい状況は少しも克服されていない。
 この特別保証制度について、平成十三年三月末において、中小企業の景況が十分に回復したとは言えない状況で打ち切ったのは明らかに間違いじゃないかと私は思っております。この打ち切った理由について、大臣からの答弁をお願いいたします。
高市副大臣 中小企業への貸し出し姿勢に対する実態調査というものを行っております。
 平成十年十月、いわゆる未曾有の状況である、信用収縮が起きているということで、この特別保証制度がスタートしたころには、今後貸し出し姿勢が厳しくなることを懸念していると答えた企業が三五%に上っておりました。実際に、非常に厳しい状況でございました。
 そして、今先生御指摘の平成十三年度の末の時点でございますけれども、このころには、同じ質問に対しまして、一九・四%の企業が、これは今後厳しくなるんじゃないかと答えております。数値的に見ますと、このときには、十分とは言えませんけれども、この貸し出しに対する懸念というものはかなり弱まってきていた時期でございました。
 この特別保証の制度ですけれども、未曾有の信用収縮に対応するための、あくまでも臨時異例の措置ということでスタートいたしまして、これをどう扱うかという点につきましては、平成十二年秋の臨時国会で御議論いただいた上で、昨年三月末に終了するということを決めたものでございます。
土田委員 中小企業の景況感は、現在一層厳しさを増しているというふうに思うわけでございますし、小泉内閣が進める構造改革の波が中小企業に与える影響が重大な懸念となっている中で、相当大規模な中小企業対策をやっていく必要があるというふうに私は思っております。
 そこで、改革加速のための総合対応策における中小企業対策の早急な実施の必要性について、何問かお尋ねをしたいと思います。
 去る十月三十日に政府が発表しました改革加速のための総合対応策、いわゆる総合デフレ対策の中では、産業、企業再生への早期対応、セーフティーネット拡充の観点から中小企業対策が講じられているところでありますが、我が国経済の活性化、雇用創出の原動力として中小企業は重要な役割を担っているところであり、中小企業が一日も早く元気を取り戻し、また意欲ある中小企業が一層成長していく環境をつくっていくためには、この中小企業対策の一日も早い実施が望まれているわけでございます。
 そこで、まず、政府が行おうとしている不良債権処理の加速化が中小企業に及ぼす影響についてどのように認識しておられますか。
高市副大臣 現在のところ、中小企業についての影響というものを定量的かつ正確に把握をするというのは、正直非常に難しい状況でございます。
 つまり、この処理策がマクロ経済全体に対してどの程度のデフレ圧力となるのかということ、それから、金融機関が個々の貸出先の企業に対して具体的にどのような不良債権処理をするのかといったことによって影響の大きさが異なってくるものと考えておりますし、また、資産査定に関する基準の見直しなど具体的な処理の進め方については今後検討することとなっておりますので、どうしても定量的にお答えすることはできません。
土田委員 銀行の中小企業に対する貸し出し姿勢が非常に悪化している中で、商工中金が実施している三千万円の貸し渋り無担保融資制度の限度額引き上げや、今般の信用保険法の改正案で提案されている、いわゆるセーフティーネット保証の拡充といった、政策金融を活用した中小企業の貸し渋りあるいは貸しはがし対策は、一刻の猶予も許されない状況にあります。
 中小企業対策の実施スケジュールの見通しについて、お伺いしたいと思います。
西川副大臣 お答えを申し上げます。
 今般取りまとめられました改革加速のための総合対応策におきまして、現下の厳しい経済環境の中で、やる気と能力のある中小企業を金融セーフティーネットの万全を期すことによって救っていこう、そしてまた、新規創業でありますとか新事業の展開への果敢な挑戦を後押ししていこう、こういうことを行うわけでございます。
 これにつきましてのスケジュールを申し上げてまいりますと、まず、金融セーフティーネット対策につきましては、不良債権処理の加速化などにより中小企業への円滑な資金供給に支障を及ぼさないように、セーフティーネット保証の拡充を内容といたします中小企業信用保険法の改正を現在国会に提出し、御審議をいただいておるわけでございます。
 また、先ほど委員がお触れになりました商工中金の貸し渋り対応無担保融資制度の限度額の引き上げ、これは三千万円を五千万円に引き上げるわけでございますが、これでございますとか売り掛け債権担保融資保証制度の運用改善、これは契約締結時から保証を実施する、これを今月の十一日に実施する予定でございます。
 さらには、中小企業による新規創業、新事業展開への挑戦につきましては、それを資金面や組織面で抜本的に支援いたしますために、会社設立に係る最低資本金の特例等を内容とする中小企業挑戦支援法案、これを同じく今臨時国会に提出し、これも現在御審議をいただいているわけでございます。
 また、新たな事業分野を創造する中小企業者の方々に対する商工中金の無担保融資制度、これにつきましても、同じく今月の十一日から予定をいたしております。
 なお、今後ともセーフティーネット対策につきましては、総合対応策において、「雇用・中小企業のセーフティ・ネットの一層の活用・強化を図るため、今後の税収動向を踏まえて、引き続き必要な措置について検討する。今後とも、金融・経済情勢に応じて、大胆かつ柔軟な政策運営を行う」とされておりまして、当省といたしましては、今後とも財政当局と十分に連携を図りまして、適時適切に対応してまいりたいと思います。
 以上のようなおおよそのスケジュールで取り組みをしてまいりたい、こう思っておりますが、我が国経済の活力の源泉である中小企業の支援には、委員の御指摘も大いに参考にさせていただいて、努力をしてまいりたいと思っております。
土田委員 今、西川副大臣からそういった説明がございましたけれども、今回の総合デフレ対策の重点項目であるセーフティーネット、その中小企業対策が、いわゆる既存の仕組みの手直しにすぎないんじゃないかという感じが私はしてならないんです。現在、日本の経済は非常事態というふうに私はとらえておりますけれども、今の対策で十分なんでしょうか。
西川副大臣 今般取りまとめられました総合対応策におきましては、御指摘のような厳しい経済環境の中で、先ほど来何度も申し上げております、やる気と能力のある中小企業に対する金融のセーフティーネットを張る、こういうことをやりますと同時に、新規創業でございますとか新事業分野への展開を果敢に行おうとする方々の後押しをするということが、新規に盛り込まれているわけでございます。
 また、金融セーフティーネット対策そのものにつきましても、これは御案内のとおり、先ほども申し上げましたが、商工中金の貸し渋り対応策、これを、無担保の限度額を、これは三千万から五千万に引き上げるわけで、二千万円ふやすということでございますし、それから売り掛け債権担保融資保証制度につきましても、これをできるだけ早くやろうということで、もうあと数日後の十一日にこれを実施する、こういうことを申し上げたわけでございます。
 さらに加えて、新規創業でありますとか新事業展開への挑戦につきましては、何度も同じことを申し上げて恐縮でございますが、会社を設立しようとする方々の最低資本金の特例を行う、先ほども、午前中お尋ねがございましたが、こういう中小企業挑戦支援法、こういう一連の法律を用意いたしまして、準備をいたしております。
 こういうようなことを総合的にポリシーミックスを行うことによって、私どもは、大変厳しい状況であるという認識においては土田委員と全く認識を同じくするわけでありますが、できることを確実にやっていこう、こう思っております。
土田委員 不況対策という面からも、中小企業対策には十分な予算の確保が必要であるというふうに思われるわけでございますが、通常国会の冒頭での平成十四年度補正予算の提出が言われております。これについて必要な財源の確保の見通しはついているんでしょうか。
西川副大臣 これも平沼大臣が事あるごとに姿勢をお示ししていることから御想像いただけるというふうに思いますが、補正予算につきましては、実行するか否かのタイミングというものを、また規模というものについては、これはなかなか決めがたいものがあるわけでございます。したがいまして、具体的にその時期や規模について申し上げることはできないわけであります。
 しかし、どのぐらいの規模の財源が必要になるかということは明確にできないにしても、総合対応策において、いわゆる雇用でございますとか中小企業のセーフティーネットの一層の活用、強化を図る、こういうことを引き続いて必要な措置として検討する、こういうことと、今後とも金融、経済情勢に応じて大胆かつ柔軟な政策を運営していく、こういうふうにしております観点から、私どもの役所としても、今後とも財政当局と十分に連携を図って、必要なものは早急に手を挙げてしっかり確保していきたい、こういう姿勢であることをこの時点では申し上げておきたいというふうに思います。
土田委員 次の質問に参ります。
 金融機関の経営合理化にかかわるセーフティーネット保証についてでございますが、何問かお尋ねをいたします。
 まず、今回拡充されたセーフティーネット保証の一つ、支店の削減と金融機関の相当程度の経営合理化による借り入れの減少等を余儀なくされた中小企業等に対する保証については、不良債権処理の加速化とそれに伴う地域金融機関の再編合理化が中小企業に及ぼす影響の甚大さを念頭に、できるだけ中小企業者の実情に沿った積極的な保証が行われるべきであります。
 具体的に、金融機関の再編合理化による借り入れの減少について、どのような基準を考えておられるのか。また、これを余りに厳格に限定しますと、現実に困っている中小企業の救済が行われないことが懸念されます。むしろ弾力的に対応すべきだと考えますが、どうでしょうか。
杉山政府参考人 先生のお尋ねにございましたのは、いわゆるセーフティーネット保証七号につきまして、どういった場合にこれを適用するのかという御質問だと存じます。
 この法案の中で、金融機関の「経営の相当程度の合理化」というのがうたわれておりますが、これは、金融機関が、合併でありますとか、あるいは営業譲渡、店舗の閉鎖あるいは従業員の削減、こういったことによりまして、中小企業の資金調達に実質的に支障を及ぼすような経営の合理化があった場合というふうに考えておるわけでございまして、具体的には、例えば数年のうちに一割以上経営を縮小させるというような場合がこれに該当するのではないかというふうに考えております。こういった場合に、借り入れの減少をしている中小企業者がこのセーフティーネット保証の適用の対象になるというふうに考えております。
 私ども、この法案がお許しをいただければ、今後具体的な指定作業に入ることになりますが、今先生の御指摘がありましたように、実情をよく把握した上で、中小企業者の身になった対応というようなことが必要だと思っておりますので、金融機関の経営合理化の取り組み状況について実態をよく調査いたしまして、その上で、金融庁の協力なども得ながら、こういった環境変化に直面いたします中小企業者の資金調達の円滑化を図る観点から、適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。
土田委員 現実には、借り入れの減少だけでなくて、金利の引き上げや返済期限の短縮を迫られ、深刻な状況に陥っている中小企業もたくさんあるわけです。金融機関の中小企業への貸し出し態度も悪化しておって、貸し渋り、貸しはがしが重大な懸念となっているわけです。
 そこで、政府においては、現に安定した経営を行い、着実に返済を実施しているにもかかわらず、中小企業というだけでリスクが高いとして、金融機関から金利の引き上げ、返済期限の短縮を求められている、そういった中小企業に対しても信用補完を行うための保証の対象とするなど、積極かつ柔軟な保証を行う必要があると思いますが、見解をお尋ねしたいと思います。
西川副大臣 政府系金融機関のセーフティーネット貸付制度におきまして、例を申し上げますと、長期プライムレートの上昇幅に比して取引金融機関の貸出金利条件が著しく悪化している場合は、政府系金融機関では別枠の貸付対象にしております。
 政府系金融機関は、元来、中小企業者に対して低利融資を行うことを使命としておりますために、民間金融機関が金利の引き上げを行い、中小企業者が急激に高い金利が求められる場合、適切に対応するように、政府系金融機関のセーフティーネット貸付の制度を構築しております。
 一方、信用補完制度におけるセーフティーネット保証制度は、民間金融機関の金利水準に介入することを意図した対策ではございません。金融機関の中小企業向けの貸出量の確保を目的とした対策でございます。
 したがいまして、セーフティーネット保証制度とセーフティーネット貸付制度で政策のターゲットを異にしておりますけれども、ただいま委員御指摘の、金利の引き上げへの対応も政府系金融機関では異なってくるわけでございます。
 こういう一例を私は今申し上げたわけでありますけれども、政府系金融機関ではそういう努力もいたしております。
 それから、お時間をいただいて恐縮でございますが、先ほど中小企業庁長官からお話を申し上げました、取引先の金融機関が、経営合理化等に伴って店舗が合併したり、そういうような形で貸し出しを縮減する、こういう場合には、今回創設するセーフティーネット保証第七号というものによってセーフティーネット保証の対象に加えていく。
 こういうようなことをそれぞれ活用して、ただいま御懸念のようなことを解消していきたいと思っております。
土田委員 次の質問に入ります。
 再生可能性のある中小企業に対する保証制度について、何問かお尋ねしたいと思います。
 再生可能性のある中小企業を少しでも多く再生させるとの観点から、今回の改正では、再建企業向けの保証として、セーフティーネット保証及び事業再生保証、いわゆるDIP保証の両メニューが用意されているわけです。
 この企業再生のための政策のポイントは、再生の見込みのある企業と淘汰がやむを得ない企業をどのように選別、判断するのかということであると考えているのですが、この点についてはどうでしょうか。
杉山政府参考人 セーフティーネット保証第八号に関連をいたしまして、中小企業者の再生可能性をどう判断するかということでございますが、その判断に当たりましては、いわゆる貸付債権の譲り受けを受けたRCCの関係者だけではなくて、事業再生に経験とか知見のございます例えば商工中金といったようなところの専門家の協力も求めまして、単に債権を回収するという観点からだけではなくて、事業再生の観点から見た判断も十分反映できるような、そういった体制で判断をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
 また、その際に、ただ単に画一的な一定の基準を設けて、ただ単にそれだけで判定をするというようなことは、非常に多様な中小企業の実態にそぐわないというおそれがございますので、きめ細やかに、個々の中小企業の事業内容だとか財務内容、あるいは技術力、販売力、こういったものを検討いたしまして、それぞれの中小企業者の多様な実態に即しまして、判断をきめ細やかにやっていきたいというふうに考えているところでございます。
土田委員 セーフティーネット保証では、整理回収機構の企業再生機能を取り込み、整理回収機構が再生可能性のある企業と認め、返済期限の延期等に応じた中小企業を対象としていますが、そもそも整理回収機構の企業再生本部が設置されてから日が浅く、さきの総合デフレ対策でもうたわれているように、今後、企業再生機能の強化に本腰を入れるべきだとされ、現時点での企業再生に関するノウハウについては十分と言いがたいのではないかという感じがしておりますけれども、この点についての見解をお尋ねしたいと思います。
西川副大臣 お答え申し上げます。
 不良債権処理の加速化によりまして、やる気と能力のある中小企業であっても、一時的な経営不振や資金繰りの悪化に伴い、破綻してしまうケースが増加することが懸念されます。このようなケースは、十分な価値を有する事業につきましては、早期にその再生を図ることが重要でございます。
 こうした中小企業者の再生可能性につきましては、先生御指摘のように、これを見きわめるということは大変重要なことでございまして、これはRCCの関係者だけではだめでございまして、事業再生に経験や知見を有する例えば商工中金の専門家などの協力を求め、単に債権を回収するという観点に力点を置くのではなくて、事業再生の観点に力点を置いて十分な判断ができるように、そんな体制を築いていきたいと思っております。
 さらに、事業再生のためには、他の債権者の方が返済条件の変更に協力していただく、こういうことも重要でございまして、これらの他の債権者の方々との十分な連携を図っていくことも必要ではないかというふうに思います。
 いわゆる再生の可能性につきましての基準でございますけれども、中小企業の場合には、その実態は極めて多様でございまして、一定の画一的な基準を設けてこれを決めますとむしろ運用の硬直化を生む、こういう心配がございます。そこで、中小企業者の多様性に沿った再生可能性の判断をきちっと探り当てていきたい。それぞれの中小企業の事業内容でありますとか、財務内容、技術力、販売力、将来の事業見通しなどを総合的に検討して、中小企業者の方々の多様な実態に即して、専門的な知識を有する関係者によって、ケース・バイ・ケースで、よりきめの細かい判断をしていくことが必要ではないかと思っております。
 そのような観点から、中小企業庁といたしましては、再生可能性のある者が適切に事業を再生できる環境を整備することが重要ではないか、こう考えまして、今回のセーフティーネット保証の拡充でございますとか政府系金融機関の活用によりまして、事業の再生が可能な中小企業者の資金調達の円滑化に積極的に取り組んでいきたい、こういう姿勢でこの法律を提出した次第でございます。
土田委員 今回の総合デフレ対策において、企業再生に取り組むための新たな機構として、産業再生機構を預金保険機構の下に整理回収機構と並んで創設するとしております。この産業再生機構と整理回収機構の産業再生機能の違いについてどのように整理されているのか、伺いたいと思います。
平沼国務大臣 土田先生にお答えをさせていただきます。
 整理回収機構、RCCにおいては、買い取った債権の処理の多様化を進めるために、昨年金融再生法を改正しまして、早期再生を図るなど、再生機能の強化に努めてきたところでございまして、近時一定の成果を上げ始めたところでございます。
 一方、今回の改革加速のための総合対応策におきまして、不良債権処理を加速する中で、それを経済不安の端緒としないで経済再生の始まりとするために、経済資源を散逸させないために、企業再生に取り組む新たな組織として、これは仮称でございますけれども、産業再生機構を創設することになったわけでございます。この新機構では、買い取り対象とする債権の範囲を拡充するとともに、企業の再生を念頭に置いて適正な時価で買い取るなど、実効をもって円滑に企業再生を進めてまいるわけでございます。
 今後、新機構の設立及び運営に向けた検討を進めていくところでございますけれども、新機構と従来のRCCが適切な役割分担を行って補完関係が構築されるよう産業再生の担当大臣として私も積極的に今検討している最中でございますので、その検討に参画をしていきたい、このように思っております。
土田委員 再生可能性のある中小企業に対し積極的、弾力的な保証を行うためには、信用保証協会自体の審査能力、あるいはこの体制に万全を期す必要があるんではないかと思うわけですが、この点についてはどのように考えますか。
杉山政府参考人 お答え申し上げます。
 信用保証協会の体制の整備についてのお尋ねでございますが、信用保証協会は、それぞれ保証のお申し込みがございますと、書面審査、面接の審査あるいは実地調査、これらを適宜に組み合わせますとともに、必要に応じまして、その企業の取引先、取引の金融機関あるいは業界の関係者等からもいろいろな情報を集めまして、その企業の返済能力あるいは事業への取り組み姿勢、事業の将来発展性といったことも総合的に勘案をいたしまして審査をするというようなことに相なると存じます。
 こういった職員の能力を高めるためにも、先生おっしゃいますように、保証協会のこういった研修は大変大事だと思っております。私ども承知しますところでは、日々の業務を通じた審査ノウハウの蓄積というもののほかに、さまざまな研修をいたしまして、こういった職員の能力涵養というものに努めているというふうに承知をいたしております。
 さらに、多くの信用保証協会におきまして、財務データを入力しながらそこでのいろいろなリスクの程度といったようなものを算出するためのいわば審査支援システムというものを導入いたしておりますし、それとCRD、中小企業信用リスクデータベースを連携させるといったような活用もいたしておりまして、現行の審査体制のもとで審査能力を高める、そういった努力もしておると存じております。
 私ども、さらにそういった面を支援するために、信用保証協会のいわば保証情報の共有化というものを支援すべく、いろいろなシステムの委託調査といったものもやっておるわけでございまして、今後こういった支援システムの充実を図りながら、信用保証協会に求められるさまざまな能力アップというものについて遺漏なきを期していきたいというふうに考えているところでございます。
土田委員 このDIP保証に関しては、民間金融機関ではほとんど実績のない中小企業向け、この事業再生融資の呼び水とするべく創設されたものであるというふうに思っておりますが、本保証は信用保証協会の一〇〇%保証ではなくて、一定の割合については金融機関にリスク負担を求める部分保証方式が導入されております。しかし、リスクの高さゆえに、実績のない事業再生融資について金融機関に一定のリスクを負わせることが逆に金融機関の融資を慎重にさせる可能性があると思うわけです。この点については、どう考えますか。
杉山政府参考人 先生今御指摘なさいましたように、事業再生融資というのは、一度破綻を来した企業に対する融資でございますので、非常にリスクが高いということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、このリスクを全部民間の金融機関が背負うということに相なりますと、やはり二の足を踏まざるを得ないというような実態があるのが状況だと思います。したがいまして、これにつきまして保証制度をリンクさせるということにいたしまして、民間の金融機関のリスクを大幅に軽減させようというのが私どもの今回の趣旨でございます。
 その際に、そのリスク負担というものを民間金融機関と保証の関係でどのように負担するかということでございます。
 私どもといたしましては、このDIP保証というものがリスクが高いというようなことにもかんがみまして、あるいはまた、こういった保証制度について、民間金融機関にも一定の、現実的に無理のない範囲でリスクを負担していただく、そういったことが適当であるというふうに考えまして、今回のDIP保証につきまして、一定のリスクを民間の金融機関にも負っていただく、ただし、それが非現実的なものであってはいかぬということで、現在のところ、その部分保証の割合を八割程度にするということで考えておるわけでございますが、今後とも関係者のいろいろな意見を聞きながら、リスク分担の適切なあり方というのを検討していきたいと思っております。
 ただ、私ども、この制度を実際に構築するに当たりまして、アンケート調査をいたしました。その場合に、八割のいわゆる部分保証でありましても、金融機関の推進の姿勢というのは七割を超えているというようなアンケート調査の結果を得ておりまして、部分保証を採用いたしましても相応の実効性は確保できるのではないかというふうに考えているところでございます。
土田委員 次の質問に入ります。
 創業、新規開業の支援について何問かお尋ねをしたいと思います。
 金融及び産業の再生を図るためには、経営不振企業の立て直しの一方、創業、新規開業の促進が重要でございます。近年、我が国における開業率は長期的な低下基調にあって、廃業率が開業率を上回るという逆転現象が続いているわけでございます。
 そこで、まず、我が国における長期的な開業率の低迷の具体的な要因、これについてはどのように認識しておられますか。
高市副大臣 委員御指摘のとおり、高度成長期には高水準で推移しておりました開業率、八〇年代から下落を続けまして、直近では上昇に転じているものの、しかし、廃業率も一緒に上がってしまっておりますので、低水準で推移しているのは確かでございます。
 この原因なんですけれども、まずは、我が国の経済成長が鈍化しておりますので、事業開始のための環境が悪くなっているということが一点。それから、個人事業者の所得というものが、雇用されている人、企業雇用者に比べて相対的に伸び悩んでいる、だから、事業主であることの魅力というのが低下しているというのが二点目。
 それから、実際に創業されました方へのアンケート調査をいたしますと、開業をするときに、資金の調達、それから人材の確保、それから販路を開拓するといったことが非常に創業時に困難であったと答えておられますので、この辺が原因かなと考えております。
土田委員 これは、政府において、平成七年の中小創造法以降、これまでもさまざまな創業・ベンチャー振興施策を講じてこられました。しかしながら、開業率と廃業率の乖離は広がっているわけです。開業率の諸外国との比較においては大きく差をつけられているという状況にあります。
 これまで政府が講じてきた創業・ベンチャー振興施策の総括について、どのように考えておられますか。
高市副大臣 これまで講じてきた政策ということでいいますと、まず、資金調達の円滑化という点では、エンゼル税制の創設、それから担保に乏しくて成長性が高い中小企業に対します特別融資制度の創設がございます。それから、人材面では、優秀な人材の確保に向けたストックオプション制度の拡充。それから、技術面では、SBIRなどの創設といった措置を講じてまいりました。また、ベンチャー企業などの活躍が期待できる新たな市場の創出に向けて、ITとエネルギー、それから医療、福祉、環境などの成長が期待される分野における規制改革の実施にも取り組んでいるところでございます。
 効果がどうだったかということなんですけれども、私は、着実に効果を上げているものと認識しておりまして、典型的な例では、ベンチャー企業を中心とした新規株式公開企業数というのが、平成十年では六十二件でしたが、平成十三年では百四十七件へとふえております。それから、創業してから株式公開までの平均期間でございますが、平成十年では二十五年半、平成十三年では十八年半ということで、七年間は短縮いたしておりますので、一定の効果は出てきたものだと思います。
 しかし、今もなお廃業率が開業率を大きく上回っているということで、厳しい環境でございますので、この点では、今御審議いただいております中小企業挑戦支援法、これが非常に大きな効果をもたらすものだと思っておりますし、また、エンゼル税制についても見直しを検討しているところでございます。
土田委員 産業競争力の国際比較で有名なスイスのIMDの二〇〇二年のランキングで、我が国は起業家精神の部門で最下位でございました。四十九カ国中最下位。こうした起業家に対する社会的な評価の低さ、あるいは我が国風土に起因した問題が我が国の創業や新規開業の低調の背景としてあるんではないかということを往々にして言われております。
 こうした我が国風土を含めた構造的な課題について、大臣はどのように考えておられますか。あるいは、この克服についてもあわせて御答弁ください。
平沼国務大臣 土田先生御指摘のとおり、スイスのIMD、これのランキングでは、起業家精神の項目が御指摘のとおりでございます。また、他の国際民間団体の調査では、起業家が社会的に評価されていると回答する国民の割合が、アメリカでは九〇%を超えているのに対しまして、我が国ではわずか一〇%である、こういう結果が出ていること。こういうことは非常に深刻な問題として私ども受けとめております。
 このような現状を打破しまして、起業、独立をたっとぶ機運を社会全体で高めて、ベンチャー精神にあふれた経済社会を構築することが我が国経済の活性化につながる、こういうふうに思っております。
 このような観点から、当省といたしましては、平成十一年度より、起業家教育促進事業、これを実施してきているところでございまして、小中高校生を対象としまして、起業家精神を高めるための教材やあるいは教育プログラムの開発を行うとともに、それらを使用したモデル授業の普及啓発などの事業を行ってきております。
 また、大学生や社会人等を対象とした起業家育成支援策といたしましては、一つは、大学発ベンチャーを起こす起業家や経営を担う人材の育成に必要な技術経営分野のカリキュラム開発やモデル事業の実施をしております。もう一つは、起業に必要な実践的、専門的知識を習得させることを目的に、創業を志す者を対象とした創業塾等による人材の育成のための事業を実施してきております。
 そして、御指摘の、どういう対策が必要か、こういうことでございますが、一応統計上は、我が国では、毎年新しく業を起こそうという意欲を持っている人は、百二十万人を超える人が実際いるわけであります。そして、いろいろ自分で準備を進めて準備段階に入った人が約その半分はいるわけでありますが、結果的には、開業率が廃業率を下回るような、十八万社しか誕生していない。
 ですから、それだけ意欲を持っている人がいるわけでございますので、私どもとしては、まず一つの対策としては、昨年秋の臨時国会で皆様方に大変応援をしていただいて、そして、事業計画に着目をして、本人保証でありますとかあるいは第三者保証、そういったものの一切ない、そういう新しい開業資金の貸付制度、これを開設して、この利用は非常に、前年に比すと六倍ぐらいの勢いで伸びてきておりますし、先ほど来答弁にございましたように、やはりベンチャーあるいは新しいものに投資をしやすい環境をつくる、こういう形で、税制を含めて総合的にやれば、もとは百二十万人もいるわけですから、私どもはそこをしっかりと、IMDのデータ等を反省材料として踏まえまして、これからそういう対策をしっかりやっていかなければいけない、こういうふうに思っているところでございます。
土田委員 大臣が昨年五月に発表されたいわゆる平沼プラン、開業創業倍増プログラム、これについてですけれども、現在の進捗状況を聞きたいと思います。
平沼国務大臣 昨年の五月に策定をいたしました新市場・雇用創出に向けた重点プランのうち、開業創業倍増プログラムにつきましては、大学発ベンチャー一千社、この体制を構築しようと、ストックオプション制度の弾力化などによって、ほぼすべての項目について実行に着手をしまして、着実な進捗を見ているところであります。
 このプログラム、全項目六十八項目ございまして、開業創業倍増プログラムとして掲げられている項目は、その中で十項目でございまして、これらのすべての項目について、もう既に着手をしているところでございます。
 しかしながら、開業率が依然として廃業率を下回っているなど、ベンチャー企業を取り巻く環境は依然として厳しいことも事実でございまして、経済産業省としては、引き続き我が国経済の活性化を図るためにも、ベンチャー企業の創出、育成に向けた環境を総合的に整備するためにその施策を一生懸命にやっていかなければならない、こういうふうに思っているところでございます。
土田委員 ちょっとこれは難しい質問かもしれませんけれども、今回の法改正で、会社設立後五年間は株式会社は一千万円、有限会社は三百万円に満たない資本金で会社設立が可能という措置が講じられたわけですけれども、この措置によって、どの程度の開業数の増加が見込まれるんでしょうか。
林政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の改正は、すそ野を広げると申しましょうか、女性、シニア、若者を含む、すそ野の広い開業、創業を期待するということで、資本金の規制を免除するという特例を設けることとしたわけでございます。また、これをできるだけ広く理解していただいて、そしてこれをフルに利用していただくということで、先ほど来大臣が御説明申し上げております百二十万の母数があるわけでございますが、その母数に対しまして、できるだけ多くの方が利用されるようにということで考えております。
 余り参考になるかどうかわからないのですけれども、前に株式会社の制限を強化しましたときに、当時バブルがはじけたということもあるわけでございますけれども、会社の設立をする方の比率が六%落ちたという統計がございます。例えば、これの半分と考えるか、あるいはこれ全部と考えるかによりまして、何万かの方が、再び株式会社設立のハードルが低くなることによってふえてくるかと期待をしております。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、中小企業信用保険法改正案の部分保証の問題についてお聞きしたいと思います。
 今度創設される事業再生保証、DIP保証については、法的再建手続を行っている中小業者を保証対象に加えるもので、八〇%程度の部分保証により保証を行うというふうに聞いております。DIP保証を導入することで、普通保険や無担保保険などの条文が、これまでの「保証をした借入金の額」から「借入金の額のうち保証をした額」と、部分保証も可能とする文言に改正をされます。そのため、条文上では部分保証の対象が、DIP保証のみに限ったものではなく、従来の普通保険なども対象としているかのように読めます。
 そこで、大臣にお聞きしたいのですが、今の金融情勢、経済情勢を見ても、DIP保証以外の保証に部分保証を及ぼすことは適当ではないと考えますが、いかがでしょうか。また、将来についても部分保証の性急な導入を行うことは適当ではないと考えますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 塩川先生にお答えさせていただきます。
 我が国の信用保証制度では、売り掛け債権担保融資保証等の一部の例外を除きまして、現在、御承知のように、全額保証制度がとられております。諸外国では部分保証制度がとられていることも踏まえまして、金融機関との適正なリスク分担を図る観点から、中長期的には、我が国でも部分保証の導入について検討を進めていく必要があると思っております。
 これはもうよく御承知だと思いますけれども、我が国における一〇〇%保証の例外では、特定社債保証制度が九〇%でありますとか、今申し上げた売掛金のものが九〇%、そして今回のものが八〇ということを想定しています。
 欧米では、アメリカは中小企業者への融資額によりまして八五から七五、イギリスでは業歴に着目をいたしまして八五から七五でございます。あと、フランスは政策目的等で五〇とか八〇、こんな数字があるわけであります。
 DIP保証は、法的な再建手続等によりまして再生を図る中小企業を支援するための制度でございまして、リスクが高いことから、民間金融機関にも一定のリスクを分担していただくように部分保証で対応する、こういうことにいたしております。
 御指摘のように、今般の改正では、条文上は部分保証の対象はDIP保証に限定されているわけではありません。しかしながら、部分保証によっても民間金融機関からの十分な中小企業向け融資が確保されるような状況になるまでは、部分保証制度を広く導入することは、中小企業への円滑な資金供給を確保する観点からは現実的ではない、私どもとしてはこのように考えておりまして、信用保証協会と中小企業総合事業団とが締結する保険約款の中で、DIP保証以外については従来どおり全額保証であることを私どもは明らかにしてまいりたい、こういう形で対応していきたい、このように思っております。
塩川(鉄)委員 諸外国の事例が紹介されましたけれども、今の日本の金融機関の現状というのが、率直に言って、中小企業の融資の要請にこたえる状況にない中で、一〇〇%保証のこの状況については、今部分保証を導入する状況にないというところを確認させていただきます。
 その上で、今回のベンチャー支援も含む挑戦支援法案の議論がありますけれども、その前提として、開業率、廃業率の議論があります。大きく廃業がふえる中で開業が落ち込む、特に廃業が大きく激増しているというところが今日の不況下における大きな特徴をあらわしていると思います。こういう廃業が激増している中に、この間の不良債権処理の取り組みというのがそれに輪をかけて促進するような状況になっています。
 先ほど、党首討論でも我が党の志位委員長が指摘をしましたけれども、小泉内閣になってからの一年間で中小企業向けの貸し出しが三〇兆円も減る深刻な事態。こういうのが現場での大変な状況を生み出していることにつながっていると思うんです。
 私が相談を受けていることでも、例えば栃木県のある測量会社の方の話ですけれども、三十年以上も地元金融機関一筋でやってきて、これまでは一度も滞らせることなく返済を続けてきた、しかしながら受注は減る一方になっている、そういう中で、身を切る思いで従業員の方のリストラを行ったり経営改善努力をして、どうにか経営を続けられるめどがついたところで三カ月分の利息が滞った、それだけで直ちに返済をしてくれと迫られるようなことを求められる。そういった形での貸しはがしというのが現場で起こっているわけです。
 余りにもひどい話で、こういう事態が放置されれば、開業をふやすどころか廃業の方がさらに大きく広がるだけですから、新規創業支援も当然ですけれども、こういった中小企業家を倒産、廃業に追い込まない手だてこそ必要ではないか。
 今の栃木の方の話をお聞きになって、大臣として率直にどう思われるのかお聞きしたい。こういうときに不良債権処理の加速策というのは方向が逆ではないか。再検討を求めることもあわせて、率直に大臣にお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 今、測量会社の栃木県の事例のお話を承りました。大変そういう事例というのが、こういう厳しい中で決してレアケースではなくてたくさんある、こういうふうに私は認識をしております。
 そういう観点から、私どもといたしましても、一生懸命頑張って業を継続しようとする方々には、例えば一般のセーフティーネット保証に関しましても、あるいは昨年三月で一応打ち切った特別保証制度に関しましても、やはり支払い条件の緩和、条件変更というものに積極的に応じさせていただいて、これも十九万を超えるような、そういう形で対応させていただいています。
 したがって、私どもとしては、そういうやる気と能力のある中小企業者に対しては、実情をしっかりと踏まえて、でき得るだけ温かい措置をとっていく、こういうことが私どもは必要なことだと思っているわけであります。
 それからもう一点、不良債権処理を進めるに当たって、今、デフレ状況をさらに加圧して、事態はますます深刻化するんじゃないか。私は同じような懸念を実は抱いたわけでございまして、この不良債権処理ということが具体的なテーブルに上ってきたときに、やはり不良債権処理は進めていかなければならない、これは必ずやらなければ、いつまでたってもその繰り返しになる。しかし、それに当たって、今御指摘のように、やはり貸し渋り、貸しはがしというのが加速される、こういうことも事実でありますから、それに対して、しっかりとしたセーフティーネットを構築して、そして車の両輪としてやっていかなければいけない。
 こういう形で、私どもとしては、でき得る限り、セーフティーネットの保証貸し付けを拡充しながら、後顧の憂いのないように努力をしていかなければいけない、このように思っているところでございます。
塩川(鉄)委員 セーフティーネット対策を張る前提としての、中小企業に対する不良債権処理の加速、その加速ということ自身が、今の経済情勢の中でふさわしくない、再検討を求めるべきだということを改めて申し上げたいと思います。
 その上で、今実際に開業を大きく支援していく取り組みの中で、日本の場合には若手の創業というのが少ないということが言われております。
 そういった中で、私は、青年事業者の方の話を伺いながら、大変努力もして開業の取り組みをしているし、そういう中で、雇用もふやす、社会的にも大きな役割も果たしていきたい、自分の力、能力を生かしていきたい、そういう思いで頑張っておられる方と多々出会うわけであります。ただ、若くて実績がない、担保がない、そういう中で、金融機関から必要な資金を受けることができない。それが、開業はしたものの事業を続けることができない、その道を断たれるということが生まれているような状況です。
 そういうときに、国の取り組みとして、新事業創出関連保証制度、これなどを利用して、創業支援の融資制度である新事業創出貸し付けが行われておりますけれども、少なくない利用の中で、利用されている方の中に、大きく歓迎の声もあるというふうに聞いております。同時に、使い勝手が悪いという問題をお聞きしているわけですね。
 例えば、私のお聞きした、私と同年代ぐらいの男性の方のお話ですけれども、建設会社をリストラされて飲食店を開業した、その際に、この新事業創出の資金の活用を図ろうと思ったけれども、住宅ローンの返済がある、住宅ローンの返済があると、その返済金額の二年分を自己資金から差し引く計算をする仕組みになっているものですから、結局、自己資金が、用意した分がマイナスになってしまって利用できなかった。こういうことなんかもあるわけですね。そういう点で、この新事業創出の制度は、自己資金要件が二分の一となっているものですから、この要件の緩和ということを大いに考えていただきたい。
 きょうの議論の中でも、資本金の減額をするというわけですから、そういう意味では、実際に開業する資金繰り、そこが一番直面する問題になっているわけですから、この資金力の弱い若者の利用を拡大するためにも、この自己資金要件の緩和を図るときではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
西川副大臣 本制度における自己資金要件につきましては、個人事業を着実に立ち上げるために、融資規模を現実的な範囲に抑え、手がたい事業計画とすることが重要であることから、保証限度を自己資本の範囲内といたしたものでございますが、本制度の実績は、平成十一年の実施から本年九月末までに八千八百七十件、金額で四百九十億円と、かなりの実績を上げております。
 なお、本制度につきましては、昨年秋の臨時国会における法律改正によりまして、保証限度額を、一千万円から五百万円引き上げまして一千五百万円といたしたところでございますが、ただいま塩川先生御指摘のようないろいろな問題が見られますので、各種の創業支援を充実していくために、利用者のニーズの実態を踏まえ、多くの意欲ある人材が参入できるように、そして、この制度を活用されますように、結果的に新たな事業が創出されるように、改善を検討してまいりたいというふうに思います。
塩川(鉄)委員 この件については、兵庫の県議会が、昨年の十二月に意見書も出されておられます。この新事業創出関連保証制度は、創業するために借り入れを希望する者にとって、二分の一の自己資金要件によって利用しにくいものになっているということで、自己資金要件の緩和を強く要望されておられます。今改善を検討するというお約束でしたので、ぜひその方向での取り組みをお願いしたいと思っています。
 その上で、このような開業意欲のある若者を大きく応援していく、かみ合った対策を立てていくことが求められていると思います。そのためにも、こういう若者、今事業をされている方の後継者の方を含めた青年の現状把握と要求の掌握が大切だと思っております。中小企業庁として、若者に視点を置いた実態調査を行ったことがあるでしょうか。
高市副大臣 実態調査に関しましては、昨年、平成十三年の五月二十一日から六月八日までの期間で、事業承継の実態を把握するための事業者に対するアンケート調査を実施いたしております。
塩川(鉄)委員 若者の要求ということで、どのくらいの方からお聞きになって、どういう声があったんでしょうか。
高市副大臣 この調査は、有効回収数が三千百四十七、回収率が五二・五%でございます。これは、経営者にみずから記入をしてもらって、郵送にて回収をしたものでございます。
塩川(鉄)委員 若者の特有の要求ということで、特徴的なものは、どういうものが挙げられているんでしょうか。
高市副大臣 このアンケートの結果を参考にしながら、事業承継・第二創業研究会というものを中小企業庁長官主催で開催をいたしまして、このアンケートをもとに意見を取りまとめたものでしたら今手元にあるのでございますが、それでよろしゅうございますでしょうか。(塩川(鉄)委員「大きな要求の二つぐらい紹介してください」と呼ぶ)はい。
 一つは、やはり相続税の負担感ということです。相続税、贈与税の税率構造の見直しが必要である。それから、事業用資産とか自社株式への課税の軽減措置の必要性、事業用資産や自社株式の評価の見直しの必要性、物納とか延納とかいう評価における実態に即した透明な実務というものが必要である。ここが一番ポイントであったかと思います。
塩川(鉄)委員 そういう要望と同時に、町場の商店などの零細の業者の方の青年の要望というのも大いに今把握をするときだと思うのです。ここが大きく廃業として落ち込んでいるところだと思うのですね。
 そういう点で、私が紹介していただいたものに、全国商工団体連合会の青年部協議会が行いました全国業者青年実態調査というのがあります。私、これを拝見してなるほどなと思ったことがあるんですけれども、全国三千人以上の業者青年の方から回答を得てまとめた実態調査であります。
 その中で激励されましたのが、家業を継ぎますかという問いに対して、継ぐという回答が六割もあったわけですね。継ぎたいが迷っているという方も一八・三%ですから、合わせて家業を継ぐ意欲を持っている方が八割近くにも上る。
 実際、自営業者の方に聞きますと、どうせうちの子供は後を継がないよということで、後継者がいるという回答は大体一割とか二割ですね。しかし、若者に聞くと、後を継いでもいいという答えが八割も返ってくる。このギャップを埋めるような対策ということが大いに求められているんじゃないかと思うんです。
 そういう点でも、私、そういった商店主の方など自営業の零細の方向けの実態調査などにも大いにこの機会に取り組む必要があるんじゃないか、それをこの機会に進めていただくことをぜひお願いしたいと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
高市副大臣 塩川委員も私も同じ昭和三十六年生まれですから、大体私たちの同級生が今事業承継に直面しておりまして、大体私に聞こえてくる声も、借金してまで継ぐぐらいだったらもう廃業するというような残念な声も実際に多く聞いております。
 そうしますと、そこでまた新たな失業も発生いたしますし、倒産した会社や廃業してしまった会社や失業した人から税金を取れませんから、中長期的には、歳入が減ってくることで財政構造改革にも影響が出てくる。つまり、経済産業省も、これまで事業主体をふやそうふやそうということで政策を打ってきたんですから、この事業承継を円滑にするということは何より大切だと思います。
 今年度ですけれども、もう御存じのとおり、税制改正で、経営者が所有する自社株式、相続税の課税価格を一〇%軽減する制度が創設されておりますけれども、実は、来年度に向けて、さらにこれを軽減すべく要望をしているところでございます。
 今後とも、事業承継の円滑化のための環境整備には、精いっぱい努めてまいりたいと思っております。
塩川(鉄)委員 この前も、業者婦人の方の実態調査が年度途中でも実施をされて、大変女性起業家の方の実態をつかむ上で力になったということを聞いております。こういう状況の中ですから、ことしじゅうの予算の中でも大いにこういった実態調査にも取り組んでいただきたい、そのことをお願いしたいと思います。
 その上で、やはり廃業の問題で大きな問題となっていることを一つ取り上げて議論をさせていただきたいと思っています。
 それは、大都市での深刻な大気汚染をなくす目的でつくられました自動車NOx・PM法がこの十月一日に施行されて、一年の周知期間を経て来年十月からスタートをすることになります。また同時に、東京都、埼玉、千葉、神奈川の一都三県では、粒子状物質、PMの上乗せ規制を行う条例をつくり、やはり来年十月からスタートをさせることになっています。
 このNOx、窒素酸化物は、酸性雨や光化学スモッグの原因の一つとされ、粒子状物質、PMは、呼吸器に悪影響を及ぼすことが明らかとなっています。PMについては、幹線道路沿いの住民の方にぜんそくなどの多大な健康被害をもたらしたものであり、今回の規制の強化というのは遅きに失したとも言うべきものだと思っています。
 実際、仕事を持っておられる方が、ぜんそくのために仕事を続けることができずに家庭が困窮をするということも間々ありましたし、学生の方がぜんそくになって、就職の際にその病気を隠して就職活動をして、やっと就職したんだけれども、やはりぜんそくのために仕事を続けることができない、こういった悩みや苦しみの中にあるわけです。
 こういった有毒物質の減少のために直ちに手だてをとることが求められています。そのためにも、私、今使用中の車、使用過程車と言われていますけれども、この使用過程車に対する対策がかなめだと思います。
 これは二つの面で重要だと思っているわけですけれども、一つは、有害物質を減らしていくためにも、現実に排ガスが出されている車への対策を直ちにとることが必要です。これは、車を使っていらっしゃるユーザーの方自身もそういった有毒ガスの影響を受けているわけですから、そういう点でも、直ちに今ある車に対する排ガス規制に取り組む必要がある。もう一つは、この使用過程車への適切な対策がなければ、トラック運送業者の大量の廃業が激増する。こういう面からも重大だと言わざるを得ません。
 三菱総合研究所の調査におきましても、ディーゼルエンジン車への排出ガス規制強化となる自動車NOx・PM法は、都市の環境改善に寄与することが期待される反面、規制不適合となるトラックの強制的な代替が必要となるためトラックユーザーに新たな費用負担を強いることになるとして、もし適切な支援策が行われない場合、中小規模の企業を中心に三千九百社、これは全運送事業者の七%前後の廃業が発生をする、一万人から二万人程度の雇用に影響が及ぶ可能性がある、これは業界全体としての輸送能力の低下につながる規模であり、産業、社会全体への影響が懸念されると指摘をしているものであります。
 政府は、このNOx・PM法とあわせて、一都三県の条例の実施というのが運送事業者にどのような影響を与えると認識をしているのか、お聞きしたいと思います。
中山政府参考人 お答えいたします。
 NOx・PM法に基づきます使用車種規制は、本年十月から施行されておりまして、一都三県の環境条例に基づくディーゼル車規制は、平成十五年の十月から開始されるということになっております。先生の御指摘のとおりでございます。
 いずれの規制も、基準に適合しない古い車両、これは、規制に適合する車両への代替、もしくは条例に適合するディーゼル微粒子を除去する装置を装着するというような必要がございます。これに伴いまして、NOx・PM法の対策地域内の運送事業者を初めとしまして、一都三県に流入する事業者にとりましては、これらの規制への対応としまして経済的な負担が生じてくるというふうに考えております。
 具体的に申し上げますと、十トン積みのトラックを買いかえますと一千二百万円程度、そして、DPFの装着でございますが、これを装着しますと八十万円程度、そして酸化触媒の装置は、大きさにもよりますけれども、二十万円以上の負担が生じるということになります。事業者にとりましては、これらの一台当たりの単価掛ける代替しなければならない保有台数の経済負担が生じるというふうに考えております。
 このため、事業者に過度の負担を生じないように、NOx・PM法の使用車種規制につきましては、車両代替の集中を避けるというような措置を設けております。
 また、最近の排出ガス規制車、規制適合車への代替促進のために、優遇税制やあるいは中小企業金融公庫などによります低利融資制度、それから……(塩川(鉄)委員「影響はどうですか」と呼ぶ)影響は、先ほど申し上げましたように、代替に要する費用掛ける代替しなければならない保有台数になると思います。それが、今トラック事業者は全国で五万五千ぐらいございますけれども、先ほど申し上げましたような、先生が御指摘のような、事業者にとっての影響が出てくるというふうに思っております。
塩川(鉄)委員 影響が出てくるということなんですけれども、どの程度の影響が出てくるのかというのを聞きたいんですよ。特に運送事業についての影響が出るんじゃないかというのが、これは民間のシンクタンクですけれども、指摘があるわけです。
 実際に法律を施行する政府として、それがどういう波及効果、マイナスの影響を与えるのかということについて把握をしていないのか、その点をはっきりお聞きしたいんですけれども、改めていかがでしょうか。
中山政府参考人 トラック事業者に対する具体的な影響については、把握をしておりません。かなりの影響が出るということは承知しておりますけれども。
塩川(鉄)委員 国土交通省としてはまともな調査もやっていない。
 経済産業省、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 自動車NOx・PM法、これは、東京都を初めとする首都圏の対策地域では、これは既に使用中の自動車について一定の期間猶予されますけれども、本年十月以降、厳しい基準を満たす排ガス性能のよい自動車でなければ新規の登録ができない、こういう事態を踏まえまして、私どもは、各事業者においては自動車の買いかえ等が必要になってくるものと見込まれて、その対策をしなければいかぬと思っております。また、運送業者は中小企業者の割合が高くて、その買いかえ等に伴う経済的な負担の軽減に配慮しなければならない、こう思っております。
 今塩川先生は民間のシンクタンクのそういうデータをお示しになりましたけれども、私どもとしては、相当大きな影響が出る、こういう観点から、特に中小企業者が排ガス性能のよい自動車を円滑に確保するようにしなければいかぬということで、第一点は、買いかえ時に自動車取得税を軽減する税制上の支援をしなければいかぬと思っています。それから二つ目は、中小企業者がトラックを取得した場合の法人税の軽減も考えていかなければいけない。三つ目は、自動車を買いかえる中小企業者に対して、中小企業金融公庫あるいは国民生活金融公庫から低利で融資する金融面の支援を実施したいと思っております。
 また、国土交通省におきましても、平成十四年度から、バス、トラック事業者による低公害車等の導入に対しては、地方公共団体と国が協調して補助を行う低公害車普及促進対策費補助を実施していると承知しております。
 私どもは、全国の中小企業支援センターや商工会、商工会議所の相談窓口等におきまして中小企業者からの種々の相談に応じるとともに、NOx・PM規制に対応した支援施策の普及、そしてその利用の促進を図らなければならない、私どももそういう問題意識を持って、そして中小企業者、大変これは大きな負担を強いる、そういうことに相なりますから、その辺はしっかりとやっていかなければいけない、こう思っております。
塩川(鉄)委員 三菱総研の調査でも、通常の廃業率は一%なんです。それが七%にもなる。このトラック運送事業というのは、きょうの法案の議論でいえば、信用保険法のセーフティーネット、これの第五号の不況業種に指定されている部門で、そういうところでの廃業率が極めて高くなり得るという実態について経済産業省としても把握をされていないというのは、これ自身が大問題だと私は思うんです。
 実際、トラック総数八百万台のうちの四分の三の六百万台がディーゼル車です。全日本トラック協会の調査でも、そのうちの半分の三百万台が今度の法律、条例によって影響を受けるということが出ているわけですよね。
 少なくとも、来年の十月から一年間、どのくらいの車がひっかかるかといえば、NOx・PM法の関係でいえば、対象都府県のトラック五十万台のうち、来年十月以降一年間に廃車や買いかえをしなくちゃいけないのは十万台だと。あるいは、一都三県の条例でいえば、このままで走行できなくなる車というのは百十万台に上る。少なくとも、一都七県の関東圏に保有されている車だけでも二十四万台に上る。大きな影響が出てくるものです。
 ですから、業者の方からは、例えば埼玉の川口の観光バスの業者の方、十二台の車を持って経営をしているけれども、結局、全部新車にかえろと言われるようなものだ、このままじゃ廃業するしかない、こういった切実な声を訴えているわけです。
 私、問題は、大臣も言われましたけれども、NOx・PM法の対応でいえば、買いかえをしなさいということになっているわけですよね。しかし、問われているのは、今回の規制強化に対応して、今使っている車、使用過程車に後づけできる減少装置ですね、この排ガス減少装置が開発普及されていないことが今大きな焦点になっているんです。そういう開発を怠ってきた国と自動車メーカーの責任は免れない。私は、とにかく買いかえしなさいと言うだけで、困っている業者さん、長く使い続けたいと思っているのに、後づけの装置もつくらないでいる、その責任が問われているんだと思うんです。
 ぜんそく患者などの方の公害被害者が原告となった東京大気汚染公害訴訟の東京地裁判決でも、自動車メーカーには、排ガス中の有害物質を低減するための技術開発を行い、新技術を取り入れた自動車を製造販売すべき社会的責務があるとしています。
 私は、ディーゼル車メーカーにはこの有害物質低減のための社会的な責務があると思いますけれども、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 大気環境問題に関する社会的な要請が高まる中で、自動車メーカーにおきましても、排ガス規制に的確に対応するとともに、より高度な環境技術の開発に努める等の責務を積極的に果たしていくことが求められている、このように考えているところでございます。
 他方、過去の生産、販売に関する責務や使用過程車に関する責務につきましては、自動車メーカーは常にその時々の排ガス規制にある意味では着実に対応してきておりまして、また、使用過程車に関する責務は、自動車を使用する事業者に課せられるものであることから、直ちに自動車メーカーが責務を負うことにはならないと私どもとしては考えています。
 いずれにいたしましても、経済産業省といたしましては、自動車メーカーによる環境問題へのさらなる取り組みを期待するとともに、税制措置等により後押しをしてまいらなければならない、こういうふうに思っております。
塩川(鉄)委員 使用過程車への責務はユーザーの責任だ、これは納得のいかない話だと思うんです。実際使っている車について排ガス規制をかけるわけですから、それについて、メーカーのそういった技術開発を怠ってきた責任こそ問われているんだと思うんですね。
 今回のこの裁判の中でも、例えばNOxの規制について、これはいすゞ自動車が国に出した報告書の中に書いていますけれども、日本ではできないできないと言っていたNOx規制を、アメリカのカリフォルニアでは三〇%も落とした車を実際に輸出している。アメリカ向けには規制強化ができて、日本向けには緩い規制のままでの車を販売する、こういうダブルスタンダードをやっているわけですよ。
 私、そういう点でも、メーカーは本気でこういった使用過程車に対してのきちんとした後づけ装置などの技術開発を行ってきたのか、そういう責任が問われていると思うんです。
 改めて、使用過程車に対しても低減のための責務をメーカーは負っているんじゃないですか。
西尾政府参考人 環境対策につきましての責務のお尋ねでございますので、少し説明させていただきたいと思います。
 今回の判決におきましては、自動車メーカーの法的責任は認めませんでしたけれども、社会的責任について言及されました。その言及されている根拠を見ますと、判決でも引用されております環境基本法第八条第三項ということを参照して、ここは、製造事業者が、その製品が使用されることにより環境への負荷が低減されるように努めなければならない、こういう趣旨でございまして、そういう面では、これは、メーカーが技術開発をしていく、あるいはそういう製品をつくって販売する、提供するというときにおいて社会的責任があるということを指摘されているわけでございます。
 ただ、使用過程車、それは売れた後のことでございますので、それにつきましては、販売後につきましての負荷低減というのは、やはり第一義的には使用者に属することではないかというふうに考える次第でございます。世界各国におきましても、自動車メーカーが排ガス規制の責任を負うというのは、新車を製造する段階で負わせているというのが通例であるわけでございます。
 そうではございますけれども、もちろん、自動車メーカー、こういう技術について非常に技術力を有する、能力を有する主体でございますから、この使用過程車の技術開発といったようなことにつきましても、それは国に大いに協力をしていただいて努力をしていただきたいと思っております。そういう姿勢でメーカーにも求めているところでございます。
塩川(鉄)委員 新車の技術開発は大いにやってもらいましょうよ。問題は、使用過程車に対する対策なんですよ。ユーザーの責任だというのですけれども、では、ユーザーは、このNOx・PM法に対応できるようなそういった後づけ装置を買うことができるんですか。NOx・PM法をクリアするような後づけ装置があるんですか、今。
西尾政府参考人 自動車の排ガス対策におきまして、エンジンの後につける形で粒子状物質を除去いたしましたり、あるいは窒素酸化物を除去いたしましたりという技術は大変難しいものでございます。新車につきましてもなかなか難しいということがございますので、現在、どのような車につきましても、これをつければ粒子状物質の低減ができるという後づけ装置はないところでございます。それぞれの特性に応じて使えるものがだんだんと開発されてきている、こういう状況にございます。
塩川(鉄)委員 つけられない車があるんですよ。そういうことでしょう。つまり、ユーザーの責任で排ガス規制をやろうと思っても、そういう減少装置そのものが今ない車があるという話じゃないですか。これでどうやってユーザーの責任を果たせというんですか。これこそメーカーの責任じゃないですか。
 もともとメーカーは、ディーゼル車を耐用年数が長い車ということで売り込んできているわけです。例えば自動車工業会が配布している「クリーン化に取り組むディーゼル車」というリーフレットを見ても、その中には、「ディーゼルは丈夫で経済的」「力強く、耐久性に優れています」「平均使用年数十三年」こういうふうにうたっているわけですよね。
 それなのに、いわば平均使用年数が長いということで中小のトラック業者は、運賃がたたかれながらも、積み荷が減る中でも、長く使い続けることで何とか収益を確保するということをやってきたわけじゃないですか。それが、十三年使うことで収益確保の設定をしていたのに、今度の法律では、八年とか十年でその車は買いかえろ、乗りかえろというんですよ。もうその車は使えないというんでしょう。NOx・PM法に対応する後づけ装置はないんだから、その装置だけ買ってきて今の車を長く使い続けようと思っても、できない。新しい車に買いかえろということを強制的に求めるものでしょう。
 私は、だから、そういう立場でも、NOx・PM法を施行する立場に立つのなら、政府がメーカーに対して後づけ装置をきちんとつくれと強く求めて、実現させるべきじゃないですか。
西尾政府参考人 自動車NOx・PM法の考え方でございますけれども、これは、御指摘のように、現在、大都市におきます大気汚染対策ということでございまして、一定の基準で、古くなってしまった車につきまして、新しいきれいな車に買いかえていただくことを含む規制をお願いするものだというふうに思っております。
 そういう規制でなくても、後づけの装置によってクリアをすることができるならば、もちろんそういうものを排除するということではないわけでございますが、なかなかその技術がうまくできない、あるいはすべての車にそれが適応するような技術はなかなかできないということは現にあると思います。その場合は、やはり、やむなく基準に適合する車両に買いかえていただくという規制をお願いする、まことに恐縮ながらお願いをするという制度だと思っています。
 そのようなこともございまして、今使用年数が大分ふえておるということがございました。したがいまして、最初に、この法律の後、政令で猶予期間を決めるときにも大分議論がございました。使用期間が延びているので猶予期間を長くしてほしいという意見もございました。一方で、大気汚染対策は一刻も猶予ならない、むしろ短くすべきだという意見がございました。
 私、その両者の間に入って大変苦慮いたしましたが、効果を下げないために、基本的な猶予期間は長くするということはしないで従来と同じにいたしますけれども、立ち上がり、制度の離陸期間を設けるということで、その猶予期間が実は、従来は十年のものがございまして、九年の猶予期間というのを考えておりましたものを、例えば十二年にしてほしいというような意見がございました。
 三年ぐらい延ばしてほしいという意見が非常に強かったわけでございますが、これは九年は九年ということでお願いをするんだけれども、制度のスタートに当たりましては、準備期間でございますとかあるいは施行期間の周知期間でございますとかいうものを、都合、最大三年半程度設けるというようなことによりまして、最初はできるだけ事業者の方が対応しやすいように、しかしながら、制度が動き出しますれば効果が薄れないようにというぎりぎりのところを考えましてお願いをしておる、そういう規制制度にしておる次第でございます。
塩川(鉄)委員 今資料をお配りしました。これは、自動車検査登録協会の資料をもとにつくった、トラック、バスの平均使用年数の推移です。
 ごらんいただきましたように、大型バス、マイクロバス、普通トラック、これは要するに大型トラックですけれども、小型トラック、それぞれ九〇年代の初頭からずっと使用年数がふえてきています。今説明があった使用過程車の猶予期間があります。右側に、大型バスが十二年とか、マイクロバス十年、普通トラック九年、小型トラック八年といいますけれども、これを決めた基準というのは、一九九一年のときの平均使用年数をベースに、おおよそ一年を差し引いた年数なんですよね。ですから、大型バスでいえば、おおむね十三年の使用年数に対して一年引いた十二年が使用過程車の猶予期間になっているわけです。
 それがこの間大いに延びてきているわけです。大型バスでいえば十三・四四年が十五・三七年になるとか、マイクロバスも十・八年が十二・六年、普通トラックが十・四年が十二・三年、小型トラックが九年が十・二年、もう二年から三年も、やはり、この不況下で長く使い続けることで大事に皆さん仕事をされておられるわけです。
 この使用過程車の猶予期間をきっちり守る、当然のことですよ、公害被害者の方の立場を思っても。それを断固としてやるためにも、今延びている平均使用年数に対応して、実際の事業者の方が使えるように後づけ装置こそ開発すべきなんじゃないですか。大幅に延びた平均使用年数に見合って、使用過程車が使い続けられるように、政府は使用過程車への排ガス規制対策をメーカーに改めて求めるべきだ、九一年のときのと前提が違っているわけですから。
西尾政府参考人 制度の説明と、それから最後に言われましたメーカーへ求めるという話の二つを御説明したいと思いますが、そういうことでございますので、ただ一方では、猶予期間の原則を緩めるというようなことであってはならないという御指摘でございます。
 したがいまして、例えば、これは全国で、何も準備期間というものを設けませんと、最初の二〇〇三年に百万台が買いかえをしなければいかぬような対象の車になりますものを、この準備期間を設けますことによりまして、二〇〇三年度には六万台、二〇〇四年度には四十五万台、二〇〇五年度には七十万台というように、そういう期間の中でできる限り事業者の方に対応していただきたいという猶予期間を設けたという次第でございます。
 それから、DPFの装置の開発につきましては、これはもうメーカーを問わずいろいろな関係者にできるだけいいものをたくさん開発してもらうということが基本でございますから、再度、メーカーと関係者にできるだけそういう開発につきましてお願いをするという努力はいたしたいと思っております。
塩川(鉄)委員 激変緩和措置をとったって、いつかは期限が来るんですよ。それだって、当初、事業者の方が予定している十三年とか、長いものの足が切られるのは当然のことなんですよね。
 そういうときに、もともと一九九一年の数字をもとにした使用過程車の猶予期間というのは、おおよそ平均的な使用年数を念頭に、皆さんに買いかえてくださいとお願いしたわけじゃないですか。環境対策も必要だということで、事業者の方も、なかなか資金繰りに苦労しながらも、そういうことで対応したわけでしょう。しかし、今は状況が違うんですよ。みんな買いかえをする段階じゃないんです。二年も三年も長く使い続けようと思っているときでしょう。一年、二年先延ばししたって、買いかえしろと言ったってなかなかできないんですよ。それ以上に使いたいと皆さんが思っているときにこういうことが強要されれば、廃業に追い込まれざるを得ないということなんですよ。
 だから、私が言っているのは、きちんと猶予期間も守らせて、きちんと排ガス規制を行うためにも、メーカーに対してNOx・PMの減少装置、後づけ装置をつくらせるべきじゃないか。十年たって状況が変わっているんだから、十年前のものを丸々押しつけるということ自身が政府の怠慢ですよ。どうなんですか。
西尾政府参考人 後づけのDPF装置で対応するというのは一つの方法であると思っています。
 この技術につきましては、昨年の五月に、環境省、経済産業省、国土交通省で、専門家に集まっていただきまして、この対策技術の評価検討会というところで随分議論をしていただきました。ただ、その段階におきましても、一律にすべての車につけられるような、あるいは義務づけていけるような、そういうレベルの技術には後づけのDPF装置というものは今なっていない、しかしながら、うまく適用ができるところからできるだけ装着するようにインセンティブを与えていくべきではないかという取りまとめをいただいております。
 その後、環境省、国土交通省もDPF装置の装着などに対する支援も行っております。それだけではございませんで、東京都等もそういう支援の姿勢を示しておられます。条例の動きもございましたので、今ではそういうDPF装置といいますものは、たしか東京都が登録しておられますのは、十七社……(塩川(鉄)委員「DPFはいいです、NOxはどうするんです、NOxの減少装置は」と呼ぶ)わかりました。三十七型式に至っておりますが、それは大いに進めたいと思っています。
 それから、今御指摘のNOxの減少装置につきましては、これは大変難しい問題だと思っています。後づけの触媒でありますとか、後づけのフィルターでありますとかいう技術がなかなか進んできませんでして、PMを取りますフィルターというものにつきまして、DPFについてはようやくここまで来たわけでございますが、NOxの燃焼装置といいますのは、例えば、今尿素を使いました還元触媒というようなものがメーカーでも開発の途上にございますが、まだ新車技術としてもそれは安定的にできるというレベルにいっておりません。そういうことがございますので、後づけのNOx装置、それからNOx・PMを全部うまくやってしまう装置というものにつきましては、現在実用に供するレベルのものは開発されていないという現状にあると思います。
 ただしながら、そういうものももちろん開発されることは望ましいわけでございますので、メーカーの開発状況を見ながら、それから、もちろん有望な技術がありますれば、これは国土交通省、関係省庁とも相談して、そういうものはどうすれば技術開発が進むのかということで、検討、努力はしていきたいというふうに思っております。
塩川(鉄)委員 来年十月からスタートするわけですから、来年の十月までに、この一年でNOxにも対応する減少装置をつくる、そういうふうに約束できますね。
西尾政府参考人 先ほど御説明いたしました新車に対しましての、NOxを、新車におきます後づけで窒素酸化物……(塩川(鉄)委員「いや、使用過程車の」と呼ぶ)済みません。
村田委員長 塩川君、塩川君は委員長の指名を受けて質問してください。
西尾政府参考人 後づけで窒素酸化物を除去する装置につきましても、実は二〇〇五年の規制にはまだメーカーが取り込めないと言っておるのであります。そのぐらいの開発段階にありますことでございますので、いつまでに開発するという事柄につきましてお約束することはまことに困難だというふうに思っておりますが、できる限りメーカーに対して努力を促してまいりたいというふうに思っております。
塩川(鉄)委員 平沼大臣、今お聞きになって、日本の技術力というのはその程度のものなんですかね、後づけ装置をつくれないような。これは何年も前からわかっている話なのに、それに対応しない。これは、私は、メーカーの怠慢でしかないと思っているんですよ。また、それをきちんとメーカーに求めない国の怠慢じゃないかと思うんです。
 今の運送事業者の実情を踏まえた上でも、きちんとNOx・PM、この法律あるいは条例に対応する減少装置をしっかりつくるという点で、大臣としての決意のほどをお願いします。
平沼国務大臣 そういう意味では、大変長い時間の中で後づけ装置でいいのができていないというのは、なかなか難しい問題があるのではないかと私は思っています。しかし、さはさりながら、地球環境を守るということは非常に重大なことでございますから、自動車メーカーも、やはり今まで大変厳しい排ガス規制等を克服してきた、そういう技術実績を持っているわけですから、私どもも所管の役所として、自動車メーカーを督励し、また、それがしやすいような税制上の優遇措置等も講じて、私は、一日も早くそういうものが完成するように努力を慫慂したい、こういうふうに思っております。
塩川(鉄)委員 終わります。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 法案の質問に先立ちまして、関連のある新聞報道記事に関して、少し質問させていただきたいと思います。
 十一月五日付の朝日新聞に、中小企業総合事業団が臨時職員を不正雇用ということで、大きい見出しで載っておりました。八年以上前からこのようなことが行われていたということでございます。中小企業事業団としては、仕事になれている人にやってほしいという思惑があったから、本来ならば社会保険三法を守らなければいけないにもかかわらず、名義を借りて同じ人を雇用していたということでございます。このことに関しまして、担当の長官なり大臣は今後どのようにしていくのか。
 なぜこの質問を取り上げるのかと申し上げますと、中小企業総合事業団というのは、公的資金を受けて国のまさに中小企業政策を代行している特殊法人であるわけですから、監督官庁の大臣として、この報道に関しての今後の対応なり感想を聞かせていただきたいと思います。
杉山政府参考人 ただいま御指摘のございました中小企業総合事業団の臨時職員の長期雇用の問題でございますが、私ども、事業団から聞きましたところ、昨年の十一月に、問題となりますアルバイト、臨時職員が四十三名おったということでございました。私ども、この十月の四日に、そういった状況にあるということを中小企業総合事業団から報告を受けたところでございます。
 私どもは、この事業団におきまして、こういった一部臨時職員の雇用につきまして法律上問題になるような事態が生じていたということは大変遺憾であるというふうに思ったわけでございまして、直ちに、まず文書によりまして、こういった事態を遺憾であるということ、そしてこのような事態を直ちに改めるということ、そして所要の措置、これには関係者の処分も含むわけでございますが、こういったものを講ずるようにということにつきまして、十月十日付でございますが、文書で指導をいたしました。あわせて、翌日、事業団の理事長を私のところに呼びまして、今申しましたようなことにつきまして厳重に注意をいたしたところでございます。
 これを受けまして、事業団から、十月の二十四日に、こういったことの再発防止のいろいろな仕組みでありますとか、あるいは処分の検討状況でありますとか、こういったことについて報告を受けているところでございます。
 私どもは、こういった問題というのは法律上にかかわる問題でございまして、二度とこういった問題が起こらないように、事業団において断固とした、きちっとした対応をとるべきだということで、今申しましたようなことをやってきた次第でございます。
大島(令)委員 私ども新聞報道でしか詳しいことはわからないわけなんですが、事業団の総務部長は、なれている人にやってほしいという事業団側の考えと、長く働きたいという臨時職員の利害が合致して不正な長期雇用が慣行化してきていると。これは明らかに、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法の、社会保険三法の違法行為であるということで指摘されているわけなんです。
 お伺いしますけれども、なぜこのようなことが八年間も行われてきていたのか。私が推察するに、やはりこの間の行革が単なる人減らしであったのではないか。本当に事業団として、このような臨時職員も含めて労働力が足りているのか足りていないのか。特にこの中小企業総合事業団の仕事というのは、今の経済状況の中、民間の中小企業者におきましては、貸しはがし、貸し渋りで非常に困っている。政府関係の特殊法人でこういうことが行われているとなりますと非常に信頼関係が損なわれるわけですから、やはり、なぜこのようなことが行われてきていたのかという原因をどのように調査していらっしゃるのか、改めて伺いたいと思います。
杉山政府参考人 私ども、中小企業総合事業団からそういった状況があるということについて報告を受けましてから、私を含め担当の各段階で、中小企業事業団の担当からその状況について詳しく伺っております。
 どうしてこういうことが行われたかということでございますが、今先生おっしゃいましたように、事業団としては、よくなれた人をそのまま雇いたい、働いている人は、引き続き職をその場に求めたい、こういったことで安易な格好でその状況が続いたということではないかと思います。
 しかしながら、これも先生御指摘のように、これは法的に問題のある状態でございますから、私どもとして早急にそのような法的に問題のある事態を是正を行うように強く指示をしたところでございまして、現在は、この臨時職員の雇用状態について法律上問題のあるような事態は解消しております。
 また、この臨時職員の雇用等につきまして、いろいろな適正な基準というものを定めまして、その運用管理について事業団全体に周知徹底を図るということを決め、また、現在、コンプライアンス委員会を設置いたしまして、関係法規の整備を行う、徹底を行うというようなことをしているというふうに聞いているところでございます。
 先ほどの繰り返しになりますが、私どもからは、文書あるいは口頭でこのようなことについて厳重な注意をし、二度とこういうことがないように強く指示をしたところでございます。
大島(令)委員 では、だれが今回のことについてどのように責任をとるのか伺いたいと思います。法律ですと、六カ月以下の懲役または罰金が科せられるとなっております。
 それと、支払われなかった社会保険料はどのくらいになるんでしょうか。
杉山政府参考人 まず、事業団の関係者の処分の点でございますが、今現在、事業団の中で具体的な処分の中身について検討をしているというふうに聞いております。私どもとしては、ただ単に担当ベースだけでなく、実際に管理をする担当の人も含めまして、きっちりとした処分を行うようにというふうな姿勢で向こうに伝えているというところでございます。
 また、社会保険料の問題でございますが、事業団から厚生労働省の方にこの話を報告いたしておるというふうに報告を受けております。その中で、現在、その保険の問題について社会保険庁の方で状況を調査している、検討しているというふうに事業団から私ども報告を受けております。
大島(令)委員 では、後で結構でございますので、保険料の数字をお示しください。委員長、よろしいですね。
村田委員長 お申し出の件につきましては、後刻理事会で相談いたします。よろしいですか。
大島(令)委員 では、お願いします。
 では、中小企業信用保険法の一部改正案について質問をいたします。
 セーフティーネット保証の内容としまして、金融機関の相当程度の経営合理化に伴いまして借り入れが減少している中小企業者に貸し付けをすることにつきまして、今回もまた心配するのは、旧債振りかえのことでございます。旧債振りかえにつきましては、国は金融機関が発した不適当な文書に対し何度か業務改善命令を出していますが、具体的な事例に対して改善は図られておりません。
 金融機関と中小企業の関係において、中小企業者は大変弱い立場であるわけです。それに対するフォローがございません。今度の制度も、いい部分もございますけれども、旧債振りかえの可能性を否定できないと私は思っております。
 そこで、運用面でどのような旧債振りかえに対する配慮をされるのか、考えを聞かせていただきたいと思います。
平沼国務大臣 大島先生にお答えをさせていただきます。
 セーフティーネット保証制度を含めまして、中小企業信用補完制度は、あくまでも中小企業のために存在するものでございまして、金融機関の救済のための旧債振りかえは断じて許されるものではない、こういうふうに思っております。
 このため、金融機関と保証協会との保証契約上、こうした旧債振りかえは禁止されております。万が一、金融機関が旧債振りかえを行った場合については、保証契約は無効となりまして、仮に事故があっても代位弁済は一切行わない、こういうことにいたしておりまして、私どもは、御指摘のことがないように万全を期しているところでございます。
大島(令)委員 しかし、大臣、金融監督庁は一九九九年から業務改善命令をしているわけですね。その中に、文書がございますけれども、これは一九九九年三月十二日の新聞でございますけれども、
 第一勧業は、貸し渋り対策として拡充された信用保証協会の保証枠を使って、中小企業などの融資返済に充てさせる「旧債振替」を促すような内部文書を作成していた。
  富士と東海は、「倒産の引き金を引くかも知れないと心配する前に、回収を最大にすることを優先しなければならない」など、行き過ぎた債権回収を奨励していると受け止められかねない表現があった。
ということが報道で載せられております。
 また、平成十一年十二月十四日の参議院中小企業対策特別委員会では、深谷国務大臣が、信用保証協会が特に認めた場合に限って、条件つきですが、了解している、こう旧債振りかえに関して答弁しております。それは保証承諾額の二%ぐらいです、ですから、かなり少ないと思っていいと思いますというふうに答弁されているわけなんですが、実際は、非常にこれが行われているのが現状であると思います。
 今の大臣の答弁と実際の現場とでは少し食い違いがあるように思いますけれども、改めて、旧債振りかえに対する経済産業省の考えを聞かせてください。
杉山政府参考人 私の方から事務的に御説明をまずさせていただきたいと存じますが、最初に御指摘のございました業務改善命令の件でございますが、これは平成の十一年の三月でございますが、当時の金融監督庁におきましていわゆる旧債振りかえの実態調査を行いまして、その結果、お触れになられました第一勧銀以下五つの金融機関に対して業務改善命令を出しているということでございます。
 その後、旧債振りかえが若干行われているというようなお話がございましたが、私ども、原則といたしまして、先ほど大臣から御答弁申しましたとおり、旧債振りかえは禁止をするということでございますが、それが中小企業の利益になる、例えば金利が大幅に下落をするといったようなことで、中小企業者がそれを希望する、期待するというような場合に限っていわゆる旧債振りかえを許しているというような状況にございます。そういった例は私どもの知る限りわずかでございまして、いわゆる、先生が御指摘されますような、問題のある、銀行が不当に利益を有するようなそういった旧債振りかえについては、私ども、そういったことはないと思っておりますし、今後とも、先ほど言いましたような制度的なルールによりまして、そういった旧債振りかえについては制度として排除をするといったような姿勢できちっと臨んでいきたいというふうに考えているところでございます。
大島(令)委員 しかし、例えば融資先から五千万借りていたとしますね。そして、担保が五千万入っていた。担保割れして、その担保価値が三千万しかなくなってしまった。新たに借りるときに、銀行が、それでは、担保割れしているのでもう古いプロパーの債権は返してくださいというふうに窓口であった場合に、実際融資を受ける人は、当座の運転資金がないから借りたい、しかし銀行は、自分たちの債権を守るためにこの制度を利用してプロパーの債権を回収したい。それは、やはり現場でのやりとりの現実だと思うんです。
 金利にしましても、実際の貸付金利が、公的機関ですと〇・九五%から一・七%。市中銀行は、平成十三年度の中小企業白書ですと、平均して、従業員が二十人くらいまでの零細企業ですと二・三七五%で、一%ぐらいしか変わらないわけなんですね。にもかかわらず、大体、今金融機関の窓口でやられているのは、高い金利のものを返済させて安い金利の商品を融資するわけですから、それは中小企業者にとってメリットなんですよと、そういうことを言うんです。
 私は、ノンバンクのような高い金利のものでしたら、それは中小企業者にとって借りかえというのはメリットがあるかなとも思いますけれども、一%ぐらいしか金利が変わらないものに対して、やはり今の厳しい経済環境の中で、つなぎ、運転資金を借りるわけですから、やはりこれはきちっとした指導が必要だと思うんです。まだまだ中小企業庁の目が届かないところでこういう現状が実際起きているわけなんです。私も、先月一カ月で、この問題に関しまして、二件、実際の信用保証協会の貸付証書を持ち込まれて相談を受けているわけなんですね。やはり、そういう現状を認識していただきたいわけなんです。
 ちなみに、市中金利が二・三七五%のときに、プライムレート、一流の優良企業に対する銀行の最優遇貸出金利は一・三七五%と非常に安いわけで、どう見ても、やはり市中銀行というのは、中小企業者にとっては厳しく、大企業にとっては優しい貸付金利でもって行っているというのが資料から見てもわかるわけなんです。
 ですから、今のところの話を聞きまして、改めて、例えば通達なり、例えば業務改善命令といいましても、銀行は三カ月ごとに報告を出すだけで何も痛みがないわけなんです。そのことに関しまして、改めて長官から御答弁をいただきたいと思います。
杉山政府参考人 大臣から御答弁がありましたように、私どもの保証制度は、中小企業の金融の円滑化のためにあるものでございまして、金融機関の利益のためにあるというものではないというのが私どもの基本的な姿勢でございます。
 そういった基本的な姿勢を踏まえまして、具体的な窓口において、真に中小企業者のためになるものなのかどうかということについてきめ細やかな審査をするようにということは従来から言ってきておりますが、引き続き、そういった基本的な観点で審査を行うように指導してまいりたいというふうに考えております。
大島(令)委員 では、銀行の貸し渋りのことに関して質問をいたしますけれども、十月十八日、金融庁が、UFJホールディングスとあさひ銀行に対して業務改善命令を行いました。三年前にもUFJ銀行は、金融監督庁から、貸し渋りを促すような文書を出したということで業務改善命令を受けています。三年後、同じようなことをやっているわけなんですね。
 今回のUFJホールディングスは、中小企業向け貸し出しの目標値を営業店別に示さなかったということで、中小企業に対して貸し渋りをしていたわけなんです。大体、本店が各支店に幾ら中小企業者に貸し出しをしなさいよという目標がなければ取り組まないわけなんです。
 この金融機関は、私の地元でございますけれども、地方自治体の指定金融機関ですとか給与振り込み、あと、公共料金の口座振替など、バブルのころは、本当にいろいろな意味でスケールメリットを生かしまして銀行の業務を行ってきたわけなんです。しかし、この時期になりまして、三年たってまたこういう大手行、資本注入を受けたUFJ銀行に改善命令ということで、地元紙に載るくらい、やはり銀行のモラルというものが今の時代に合っていないわけなんです。
 幾ら中小企業庁がいろいろな制度を出しても、窓口になるのは金融機関なんですね。この辺の実態をもう少し調べるなり、きちっとした業務改善命令、貸し渋りをしない、旧債振りかえをさせないというような実効性のあるようなものを運用面でしないと、私は、こういう制度を経済産業省がつくっても、本当に中小企業者は助かるのかなという危惧を抱いております。もう一度答弁をお願いいたします。
伊藤副大臣 大島先生にお答えをさせていただきたいと思います。
 私も、さきの通常国会までこの委員会に籍を置かせていただきましたので、日本経済を再生させていくためには、中小企業の存在そして活躍というものがいかに重要かということを十分認識をしているつもりでありますし、村田委員長の後を受けて今の仕事をさせていただいておりますので、貸し渋りや貸しはがしというものが、中小企業の命運、いわゆる生死にかかわる問題でありますから、そうした認識のもとにしっかりとした対応をしていきたいというふうに考えております。
 特に、今まで私どもは、不良債権処理を加速させていく、そうしたことを理由として貸し渋りや貸しはがしを行わないように、金融機関に対して繰り返し繰り返し要請を行っているところでございますし、また、さきの、先月三十日に発表しました金融再生プログラムにおいても、主要行の不良債権処理によって日本企業の根幹を占める中小企業の金融環境が著しく悪化することがないように、各種のセーフティーネットを講じていきたいということを明らかにさせていただいたところであります。
 また、私どもとしまして、先月の二十五日より、今まで以上に幅広くこの貸し渋り、貸しはがしの状況を把握するためにホットラインというものを設けさせていただいて、人員に限りがありまして、手段も極めて限定的でありますけれども、電子メールでありますとかファクスで受け付けをさせていただいて、こうした受け付けた情報をもとに、検査や監督の実施に当たり重要な情報として活用をしてまいりたいというふうに考えております。
 先ほどUFJホールディングスについてのお話がございました。先生から御指摘のとおり、UFJについては、中小企業向けに限定した貸し出し目標の設定を行っていないということであります。したがって、目標達成に向けた実効性のある施策が十分に講じられたとは認めがたいことから、みずから的確に履行しようとしていないと認められた場合に当たると判断を私どもはいたしまして、十月十八日金曜日に、UFJホールディングスに対しまして業務改善命令を発出したところであります。
 今後、UFJに対しましては、中小企業向け貸し出し計画の達成に向けた具体的方策を織り込んだ業務改善計画を十一月十五日までに求めるとともに、提出後三カ月ごとに実施状況の報告を徴求することといたしております。
大島(令)委員 一九九九年一月二十七日の衆議院予算委員会の質問の中で、日野正晴金融監督長庁官は、信用保証協会の承諾を得ずに行われた問題のある旧債振りかえは三十七億円あったと認める答弁をしているんです。それから三年半たっているわけでございますけれども、この間、金融庁としましては、この問題に関して追跡調査をして、あと、現状がどうなっているかということに対することはされていらっしゃるんでしょうか。
伊藤副大臣 金融庁としては、追跡調査をいたしておりません。
大島(令)委員 ということは、旧債振りかえにつきまして、してはいけない、あってはならない、でも現状はそういうことが行われているということで、結局一番困っているのは、生き延びるためにこういう制度を真に使いたい中小企業者だと思うんです。
 この間、この三年間の間にこの問題に対する手だてが打たれてこないということは、私は非常に問題だと思うんですね。やはり国の公的資金ですとか代位弁済、国がやるわけで、中小企業庁、経済産業省としては、企業がつぶれない、つぶれないことが雇用を守るという現在の厳しい経済環境の中で、こういう法の趣旨が実際行われる銀行の窓口でどのようになっているのか、実態調査もしていないということでございます。
 ですから、伊藤副大臣にお伺いしたいわけなんですが、この三十七億円を認めているわけなんですから、やはり一人一人、例えば件数は少なくてもその会社にとっては一〇〇%なんですよね。このことに関して、今後どういう政策を立てていくのか、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
平沼国務大臣 先ほど御答弁させていただきましたように、旧債振りかえに対しては、私どもは非常に厳しい規則、ルールをつくっております。ですから、日野長官、当時、三十七億という御指摘ですけれども、これは調査してみますけれども、そういう厳しい一つのルールの中で、私は、件数としてはそんな大きくはないんじゃないか。しかし、万が一そういうことがあれば私どもとしては厳正に対処をすると先ほど御答弁したとおりでございまして、あってはならないことでありますので、金融庁とも協力をしながら、その辺はちょっと調査をしたい、こういうふうに思います。
伊藤副大臣 私どもも、経済産業省と協力をしながら、不適切な対応があれば、しかるべき私どもに与えられている権限の中でしっかり対応していきたいというふうに考えております。
大島(令)委員 三十七億円あったということは、調査したからあったと思うんです。ですから、私は、もう一度申し上げますけれども、委員会としても、その後旧債振りかえに関しましてどのような実態であったかということを委員会にやはり報告していただきたいと思いますので、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。
 それと、もう一度、今平沼大臣が件数は少ないと言われましたけれども、それをされた事業者にとっては、少なくてもその人にとっては一〇〇%だということをやはり認識していただいて、数の大小ではないということで、もう一度厳しくこの旧債振りかえに関して取り組んでいただきたいと思います。
村田委員長 伊藤副大臣、今、ただいま報告できますか。お答えできますか。後で報告をされますか。要請がありますので。――それでは、本件につきましても、後刻理事会で協議をさせていただきます。
大島(令)委員 では、中小企業挑戦支援法について伺います。女性の起業、事業を起こすということですが、その支援につきまして伺います。
 大臣、私たちの国もようやく男女共同参画社会基本法が制定されました。一応その理念に基づいて行政もいろいろ動いていると思いますけれども、この中小企業挑戦支援法も、男女共同参画社会基本法の理念が私は当然生かされていると思っております。どういうところが女性の起業家に使いやすいのか、御説明をいただければと思います。
高市副大臣 この改正案の中で、女性にとってメリットがあるといいますか使いやすい点は、やはり最低資本金の特例であろうと思います。これは、大体、開業するときに何に一番困るかということで中小企業庁が調査をいたしておりますけれども、圧倒的に資金調達でございまして、六二・三%の方が資金調達と答えております。このほかに、取引先の開拓ですとか人材の確保といった点がありますけれども、やはり、この最低資本金の特例によりまして、主婦を含めて、自己資金ですとか信用力はないんだけれども、でも、すばらしいアイデアは持っているといった方たちが会社を起こすことを可能にするものであると思います。
大島(令)委員 高市副大臣から主婦という言葉を聞いて、私は少し残念な気がいたしております。この法案の説明資料にも、主婦という言葉が随所に見かけられまして、私たちがこうして国会に議席を持つほど、男女平等というその基本的なものが憲法で規定されている、そういう基本的なものが私たちも法的にも認められている中で、今、女性とか男性という言葉ですね、主婦という言葉も一応は使わないというふうな方向に来ているわけです。
 ですから、私は、説明資料の中で、サラリーマンや主婦という記述がある、主婦という発想はいかがなものかな、やはり経済産業省も男性主導、男性ばかりの省なのかなとちょっと思っております。私たち女性みずからが、主婦というのは夫の下に仕える、そういう意識を変えていかないと、やはり女性として、私たちはリーダーシップをとっていく立場ですから、言葉遣いから考えていかなければいけないと思っています。
 韓国の例を出しますと、韓国では、一九九五年に北京で開かれました国連世界女性会議をきっかけに、女性の権利向上を公約に掲げた金大中大統領の登場で、官民双方の取り組みが女性政策に対して加速しました。
 一例を申し上げますと、一九九五年には女性発展基本法、九七年には家庭内暴力防止と被害者保護等に関する法律、九九年、これは日本で男女共同参画社会基本法が制定された年ですが、差別防止法、これはあらゆる社会領域で男女差別を禁じた法律です。そして同じく九九年に女性企業支援法、そして男女雇用平等法、そして二〇〇一年には母性保護法の改正で、出産休暇が六十日から九十日に延長され、また、その延長分の企業の給与負担は国が補てんするということであります。また、ことし韓国では、女性省ができまして、国会の常任委員会として女性委員会というのができたほど、韓国では女性政策が進んでいるわけなんです。
 その中で、私が一番資料を読んでびっくりしましたのは、女性の側から政府に頼むより、政府の側から女性起業支援に必要なことは何ですかと助言を求める、韓国女性ベンチャー協会というのがあるわけなんですが、そういう姿勢でやっているそうなんです。先ほど副大臣から最低資本金のことを言われましたけれども、それも一部あるとは思いますけれども、私は、もっと鮮明な形で男女平等という理念がこの法案に明記されてもいいのではないかと思っているわけです。
 男性主導の経産省のような気がしますけれども、大臣としてはどのように考えていらっしゃいますか。
高市副大臣 まず最初に、先ほどの私の答弁の中で主婦という言葉を使ったことに対して御批判がございましたけれども、ハウスワイフが主婦であることが差別用語であるとは私自身は認識しておりませんし、不適切な言葉とも思ってございません。むしろ、主な女性であるということで、差別用語というよりは非常にいい言葉だと私は思っております。
 継続的に事業を続けてこられた女性に対しては、別にこの最低資本金の制度を使わなくても続けられる場合もあるのでしょう、これからまた別の会社を起こすときに最初の資本金があるときもあるのでしょうけれども、これまでおうちの中にいらっしゃって、それですばらしいアイデアを持っていらっしゃるというような方に関しましては、いわゆる私が主婦と言いました方々に関しましては主にメリットがあるのじゃないかと思ったわけでございます。
 男女平等ということで御指摘がございましたけれども、私自身、率直に申しまして、女性だからというだけで制度的にげたを履かせて応援することが必ずしも男女平等だとは思いません。究極的な意味では、同じ土俵で勝負をして成果を上げていく、それで結果が伴ってくるということで女性の力というのは初めて評価されるのであろうと思いますが、まだ現実的には、ビジネスをしていらっしゃる女性の中で、女性だというだけで取引先に行っても十分な対応を受けられないとかお金が借りにくかったとか、いろいろな声があるのも現状でございます。
 そういう意味で、経済産業省におきましては、女性が起業します際には設備資金などを低利で貸し付ける制度を中小企業金融公庫それから国民生活金融公庫に創設いたしまして、既に三年五カ月の間に七千七百件を超える実績を上げているところでございますし、このほかにも、検討していることといたしまして、国民生活金融公庫の新創業融資制度について、女性向けの低利融資制度の創設を検討しているところでございます。
 男性であれ女性であれ、アイデアを持った、ノウハウを持った人が起業していけるような環境をつくるのが私どもの責務と考えておりますので、決して女性に対しての認識が低いといったような、男性中心といったことではないと考えております。
大島(令)委員 言葉の受けとめ方は見解の相違であると私は思いますけれども、やはり私たち女性は、日本の歴史の中でも、こういう法律が必要なくらい男女不平等の時代を生きてきたわけですから、実際の経済社会の中でも、少し前は女性は、例えばクレジットの申し込みでも夫の保証人が必要であるとか、例えば今は、ホテルでも一人の女性は泊めていただけないような、そういうような女性差別が現実にあるわけですから、私は、まだまだ男女平等がそんなに進んでいるとは思っていないわけなんです。
 時間の関係で、次の質問に入ります。
 会社設立手続の簡素化と迅速化ということでございますけれども、実際、先ほど自由党の議員の質問に対しまして、最低資本金は一円からでもという答弁がございました。しかし、実際、登記の費用に関しては従来と同じでございます。通常、会社設立に当たりまして、資本金とは別に、登記をするのに、司法書士に頼まずに自分でやっても、資本金一千万の株式会社ですと二十七万二千五百円、資本金三百万の有限会社ですと十六万二千五百円かかるわけです。司法書士に頼めば当然もっと必要な経費がかかるわけでございますけれども、私は、登記に関する登録免許税ですとか、また事務の簡素化、こういう配慮もあってしかるべきだと思います。
 こういうことに関しまして、今回は最低資本金というところでのメリットを打ち出していますけれども、実際に会社をつくるときにどんな困難さがあるかといいますと、これは調査室からの資料でございますが、創業時の困難性としまして、開業に伴う各種手続、これが今申し上げました登記の手続でございます。
 例えば、事業を起こしますと、まず、国税ですと税務署に届け出をしないといけない。そして、法人事業税ですと県税ですね。法人市町村民税、市町村役場に届け出をする。そうすると、もちろん会社の登記ですから法務局にも行かなければいけない。大体二週間ぐらいかかりますし、書類が非常に煩雑で面倒なので、どうしても司法書士の方に頼むということで、平均、株式会社で四十万円、有限会社で三十万円。これらは必要な経費なわけですから、実際、最低資本金がほとんど要らないといいましても、やはり経費として出ていくお金なわけです。そういうものに関しまして、一番大きい金額が登録免許税なんです。
 こういうものに関して、経済産業省としては、登録免許税ですと商法の関係になりますので、法務省なり所管の省庁とどのようなやりとりをしたのか、伺いたいと思います。
林政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘がございましたように、会社の設立に関しまして、特に日米などで比較いたしますと、日本の場合には、おっしゃいましたように、二十数万円から三十万円、また期間としても一、二カ月かかる。アメリカの場合には、州によりますけれども、十ドルとかそこらでできてしまう、また期間としても一日、二日でできるというような差がございます。そういう意味で、特に日米で比べました場合に非常に顕著なのでございますけれども、まだ非常に大きな差があるということは事実でございます。
 そういった意味で、いろいろな側面が重要かと思いますけれども、まず、とりあえず資金についての一番大きなネックになっております一千万のところを、今回特例措置を設けたということでございます。
 今後、例えば、いろいろな形の、電子認証でございますとか電子申請でございますとか、いろいろなことが登記その他にも起こってこようかと思います。それらも含めまして、そういう方向で我々としては逐次努力してまいりたいと思っております。
大島(令)委員 質問は、登録免許税、資本金一千万円ですと十五万円、三百万円ですと六万円かかりますけれども、これに関しまして関係省庁とどういう協議をしましたかということでございますので、大臣、もうちょっと部下に対して、質問に対してまともに答えるように、私たちは限られた時間の中でこの法案の審議をしているわけですから、もう少し、そらさないで、まともに答えていただけるように御指導いただきたいと思います。
林政府参考人 そういう意味では、今回、登録免許税について協議をしたことはございません。
大島(令)委員 では、協議したことはないということでございましたら、やはり挑戦する人に対しまして、資本金はともかく、事務所を借りたり人を雇用したり、開業するには当座の必要なお金がございますので、私は、登録免許税とかこういうものは税の二重課税じゃないかなというふうに日ごろ思っています。また、印紙も定款に四万円張らなければならない。この印紙税の問題もあると思いますので、時間があれば議論したいんですが、ぜひ今後、こういうところにも光の当たるような法律改正を他省庁と協議していただきたいことを提案したいと思います。
 最後の質問に戻りますけれども、この法案は、例えば五年間でございますね、実際、五年間、特例を受けて設立した会社の成功率をどのくらいだと見ていらっしゃるんでしょうか。
林政府参考人 お答え申し上げます。
 五年たった段階で存続し続けております企業、統計をとってございますけれども、四割から六割、その年、経済情勢によって非常に差がございます。そういった意味で、大体五年ぐらいで安定期に入るわけでございますけれども、その時々の情勢で大体四割から六割の間のような確率かと思っております。
大島(令)委員 四割から五割ということで、非常に高く見ているわけですね。でも、例えば資本金が本当にゼロに近い事業主が、法人ですから企業会計しますよね、設備投資をすると減価償却ですとか、従業員に給料を払い、自分も、役員報酬をもらうかもらわないかは別としまして、利益の中から資本金を五年後に三百万なり一千万を積むわけですね。減価償却して、例えば償却資産も市町村の窓口に払わなければいけない、そういう中で租税負担もあると思うんです。赤字の場合は、法人会計ですから翌年に繰り越すことができます。そして、五年後に三百万なり一千万を利益として引き当てる会社が四割から五割というのは、私としては、どうしても非常に高く想定しているなと思うんですが、では、そうであるならば、開業した企業に対してどのような支援策を講じる予定なんでしょうか。
林政府参考人 先ほども御発言ございましたけれども、特にエクイティーと申しましょうか、自己資本に充当されるような形でのものとして、基金あるいは中小企業事業団なりのファンドの経由もございますし、あるいは税制的にそれをさらにバックアップするような、いわゆるエンゼル税制についてさらに拡充できないかということも検討してございますし、また、各種、SBIRでございますとか、その他の保証でございますとか、政府系融資でございますとか、相当いろいろなものを用意するとともに、ソフト面でも、創業塾でございますとか、いろいろな意味で、インターネットを通じたホームページのようなものもございますし、あるいは直接相談もございますし、そういう形で、できるだけ実り多いものにつながっていくようにバックアップをしてまいりたいと存じております。
大島(令)委員 時間が参りました。
 経済産業省から出ております工業統計表によりますと、一九八七年から九九年までに開設した製造業の事業所の退出率を見ますと、一年目で三割近くが消滅する。しかし、こうした一年目の危機を乗り越えると、二年目、三年目以降の退出率は次第に低下し、四年目はほぼ安定してくる。そこから資本金を積み立てなければいけないわけなんです。特に、やはり開業直後の企業は、経営経験が起業者には不足していることもあります。
 私は、最後に大臣に申し上げたいことは、挑戦を可能にするだけでは国の施策としては今余りにも無責任ではないかな、やはり先ほど来私が提案しました資本金の猶予はもちろんでございますけれども、登記料、印紙、税金、もう少しきめ細かな政策が同時に提案されてこそ、こういう法案に説得力と、使ってみようかなというやる気が起きるということを、私はこの法案を読ませていただき思いました。これからもよろしくお願いします。
 以上で終わります。
村田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、内閣提出、中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました両法律案に対し、谷畑孝君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    「中小企業信用保険法の一部を改正する法律案」及び「中小企業等が行う新たな事業活動の促進のための中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)
  政府は、現下の中小企業者を取り巻く厳しい経済金融情勢及び年末の資金需要期の到来等を踏まえ、中小企業者の円滑な資金調達に支障が生じないよう万全を期するとともに、元気な中小企業等の育成・発展が経済活性化に不可欠であることにかんがみ、本法施行に当たり、特に次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 本改正で講じられるいわゆるセーフティネット保証の拡充措置については、不良債権処理の加速化及び地域金融機関の再編・合理化が中小企業者に及ぼす影響の重大さにかんがみ、中小企業者の実情を踏まえ、積極的かつ柔軟な運用に努めること。
 二 整理回収機構に貸付債権が譲渡された中小企業者に対するセーフティネット保証及び事業再生保証の運用に当たっては、再生可能性のある中小企業者を少しでも多く再生させる観点から、整理回収機構の企業再生機能の強化を促すとともに、信用保証協会による保証の充実に努めること。また、広く制度の周知徹底に努め、民間金融機関による事業再生融資を呼び込めるよう、最大限努力すること。
 三 中小企業総合事業団の信用保険財政がますます悪化を深める状況は、中小企業者を支える信用補完制度の存立を危うくするものであり、将来に向けての保険の財政基盤の抜本的な強化策について、早急に対処すること。
 四 中小企業者の創業、新事業などの新たな事業活動への挑戦を支援するため、中小企業税制の見直し及び所要資金の確保を含めた総合的な支援策を講じるほか、意欲ある中小企業等の事業活動の機会が増加するよう、引き続き規制緩和の推進に取り組むこと。
 五 創業の受け皿としての企業組合の利用促進を図るため、企業組合の認知度向上に向けて制度の周知徹底に努めるとともに、起業に際しての負担軽減の観点から、各種申請手続の簡素化・迅速化等、今後とも環境整備に努めること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと思いますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、平沼経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。平沼経済産業大臣。
平沼国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいります。
 どうもありがとうございました。(拍手)
    ―――――――――――――
村田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
村田委員長 次に、内閣提出、知的財産基本法案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。平沼経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 知的財産基本法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
平沼国務大臣 知的財産基本法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国は、これまで国民のたゆまぬ努力により、かつてない経済的繁栄とともに豊かで文化的な生活を享受できる社会を実現してきましたが、近年は低廉な労働コストや生産技術の向上等を背景にしたアジア諸国の急速な追い上げを受けるなど厳しい経済情勢にあります。我が国が今後とも世界で確固たる地位を維持していくためには、創造力の豊かな人材を育成し、すぐれた発明、製造ノウハウ、デザイン、ブランド、コンテンツなどの知的財産を戦略的に創造、保護及び活用することにより、産業の国際競争力を強化し、活力ある経済社会の実現を図る、いわゆる知的財産立国を目指して進んでいくことが不可欠であります。
 このような認識のもと、本法案におきましては、知的財産の創造、保護及び活用に関し、その基本理念、国の責務その他の基本となる事項を定めるとともに、知的財産戦略本部を設置すること等により、知的財産に関する施策を集中的かつ計画的に推進することを目的とするものであります。
 次に、本法案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、知的財産の定義として、発明、著作物など人間の創造的活動により生み出されるもの、商標など商品等を表示するもの及び営業秘密など事業活動に有用な技術上または営業上の情報を定めております。
 第二に、基本理念として、知的財産に関する施策の推進は、国民経済の健全な発展及び豊かな文化の創造、我が国産業の国際競争力の強化及びその持続的発展に寄与すべき旨を規定しております。
 第三に、基本的施策として、大学等における研究開発の推進、特許権等の権利の付与の迅速化、訴訟手続の充実及び迅速化、国内及び国外における権利侵害への措置、新分野における知的財産の保護、専門的知識を有する人材の確保等を規定しております。
 第四に、知的財産の創造、保護及び活用に関する推進計画について、原則として施策の具体的な目標や達成の時期を付すべきこと等所要の事項を規定しております。
 第五に、推進体制として、内閣に知的財産戦略本部を設置することとし、内閣総理大臣を本部長とするなど組織、所掌事務等を規定しております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようにお願いを申し上げます。
 以上であります。
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
村田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る八日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十四分散会


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