衆議院

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第9号 平成15年3月26日(水曜日)

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平成十五年三月二十六日(水曜日)
    午前八時四十五分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 竹本 直一君
   理事 谷畑  孝君 理事 田中 慶秋君
   理事 中山 義活君 理事 井上 義久君
   理事 土田 龍司君
      伊藤信太郎君    小此木八郎君
      小野 晋也君    梶山 弘志君
      金子 恭之君    小池百合子君
      河野 太郎君    佐藤 剛男君
      桜田 義孝君    谷本 龍哉君
      西川 公也君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    山本 明彦君
      渡辺 博道君    小沢 鋭仁君
      奥田  建君    後藤  斎君
      鈴木 康友君    中津川博郷君
      牧  義夫君    松野 頼久君
      山田 敏雅君    山井 和則君
      山花 郁夫君    河上 覃雄君
      福島  豊君    工藤堅太郎君
      大幡 基夫君    大森  猛君
      塩川 鉄也君    大島 令子君
      金子善次郎君    宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   国務大臣
   (内閣官房長官)     福田 康夫君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府特別補佐人
   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   官房審議官)       伊東 章二君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   経済取引局長)      上杉 秋則君
   政府参考人
   (公正取引委員会事務総局
   審査局長)        鈴木 孝之君
   政府参考人
   (林野庁次長)      松本 有幸君
   政府参考人
   (経済産業省産業技術環境
   局長)          中村  薫君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力
   安全・保安院次長)    松永 和夫君
   政府参考人
   (環境省大臣官房審議官) 小林  光君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局長
   )            炭谷  茂君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  中川 秀直君     小野 晋也君
同月二十六日
 辞任         補欠選任
  佐藤 剛男君     金子 恭之君
  平井 卓也君     谷本 龍哉君
  松島みどり君     伊藤信太郎君
  金田 誠一君     山花 郁夫君
  川端 達夫君     牧  義夫君
  大幡 基夫君     大森  猛君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     松島みどり君
  金子 恭之君     佐藤 剛男君
  谷本 龍哉君     平井 卓也君
  牧  義夫君     山井 和則君
  山花 郁夫君     金田 誠一君
  大森  猛君     大幡 基夫君
同日
 辞任         補欠選任
  山井 和則君     川端 達夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 公正取引委員会を内閣府の外局に移行させるための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第七号)
 エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)
 発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)


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     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、公正取引委員会を内閣府の外局に移行させるための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局官房審議官伊東章二君、公正取引委員会事務総局経済取引局長上杉秋則君及び公正取引委員会事務総局審査局長鈴木孝之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土田龍司君。
土田委員 皆さん、おはようございます。官房長官については、特に御多忙な中ありがとうございます。
 まず、長官にお尋ねをいたしますが、中央省庁の再編が行われたのは平成十三年の一月、今回の公正取引委員会の内閣府への移行がそれからわずか二年しかたっていないということでございます。
 この公正取引委員会を電気通信や郵政事業を所管する総務省の下に置くことについては、当初から、事業規制官庁とこれを取り締まる立場の公正取引委員会が同じ省の中に置かれることになって、公正取引委員会の独立性や中立性の観点から問題があるんじゃないかということは指摘されておりました。
 今回なぜ、わずか二年で公正取引委員会を内閣府に移行させることになったのか、その理由と、平成十三年一月の省庁再編について今どのように長官は評価されているのか、この二つをお尋ねしたいと思います。
福田国務大臣 確かに、十三年の一月に、一月六日ですか、中央省庁の改革で、その際には総務省の外局、こういうことになっておったわけでございます。それはそれで独立性を損なうものではなかった、こういうように理解いたしておりましたけれども、その後、より競争環境の整備、そういうものが問われるというような状況、それから市場の監視機能とか体制を充実させるとか、要するに競争政策を強力に実施する、このことは、十三年六月の二十六日に閣議決定いたしました「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」というものがございますけれども、そういう中でも公正取引委員会の位置というものが議論をされたわけでございます。
 そういうような意見も反映されまして、内閣府が規制改革の推進、消費者利益の確保等を担っているということなどにかんがみまして、公正取引委員会の位置づけについては、よりふさわしい体制にする、こういうような趣旨でもって内閣府の外局に移行させる、こんなふうに考えたところでございます。
土田委員 後段の答弁が抜けているんですが、平成十三年一月の省庁再編について、今どういった感想といいますか評価をされておりますか。
福田国務大臣 ただいま私、述べましたとおりなのでありますけれども、当時、総務省において、それはそれで独立性は保たれる、こういうふうに判断しておったわけであります。しかし、そういうことが、総務省にはいわゆる事業部局もあったわけでございますので、外部から見ても、それは競争性を高めるための環境を整えるためには総務省から切り離した方がいいんじゃないか、こういう意見が多くございました。
 そういう意見は、先ほど申しました閣議決定にあります意見などにも反映されているというふうに思いますけれども、そういう意見に基づいて、外から見ても、そしてまた実質的にも、内閣府に移管する方がより中立性を高め、そして競争環境の積極的な創造といったような趣旨にかなうのではないか、こんなふうな考え方であります。
 また、もう一つ申し上げれば、内閣府には消費者行政、こういうものもございます。そうしますと、消費者のような方、また本来独禁法を扱う、独禁法の中でも中小企業の保護とかそういったような問題も監視をする、そういうような立場の公正取引委員会が、これが内閣府にある方がよりふさわしい、こういう判断でございます。
土田委員 済みません、せっかく長官お見えでしたので、十三年一月の省庁再編全体についてお尋ねしようかなという気持ちでいたんですが、もう結構でございます。
 ただ、今長官が答弁されましたように、内閣府に置いた方がそういった効果が出てくるだろうというふうにおっしゃるんですが、実質的には組織の変更は何もしないわけですね。ただただ移管するだけなんですが、その状態でもそういった効果が出てくるというふうに考えられますか。
福田国務大臣 これはもちろん、移管いたします。移管いたしますが、これでよろしいかどうかということは、そういうふうには思っているわけじゃありません。より競争環境を創造するようなそういう状況をつくるためにも、また市場監視機能とかそういうものを高めるという観点からも、これは体制強化というのはどうしても必要なんだろうというように思っております。その辺については、今後、課題として前向きに検討してまいりたいと思っております。
土田委員 公正取引委員会は、昭和二十二年の創立以来、一貫して内閣総理大臣の所管のもとにあったわけです。そもそも、平成十三年一月になぜ公正取引委員会が内閣総理大臣の所管の外局でなくて総務省の外局にされなければならなかったのか。そこから間違いがあったんじゃないかという気がするんですが、その点はどうですか。
竹島政府特別補佐人 平成十三年の中央省庁の改革におきまして、従来総理大臣の所轄に属しておった公取が総務大臣の所轄にされた、その理由いかんというお尋ねでございます。
 私どもが承知しておりますのは、当時、改革のベースになりました中央省庁等改革基本法という法律で大ぐくりなりいろいろなことについての考え方が整理されているわけですが、その中で、新しくつくられる内閣府というのは、総理大臣以下内閣官房を補佐するということにより特化する、総合的な調整でありますとか重要政策の企画立案というものに重心を置く。逆に言うと、実務的な仕事はまずはそれぞれなじみのある所管大臣に移す、それでそのなじみのある所管大臣、特に事業を所管しておられたり規制官庁と呼ばれている官庁に移すことがふさわしくないものについては、それは例えば公正取引委員会なんでございますが、それは総務大臣の所轄に移す、こういう内閣府のあり方というものについての基本的考え方から既存の行政機関の所属がえが整理された、その流れで公正取引委員会は総務大臣の所轄というふうに整理されたというふうに受けとめております。
土田委員 もう一点、そのときのことを聞きたいんですが、平成十三年一月に公正取引委員会が総務省の外局として位置づけられてから、総理府の外局であったときと比べてどのような違いがあったのか。もう一点は、公正取引委員会が総務省の外局であるがゆえに業務上の独立性、中立性への影響があったのかどうか、あったとすればどういった点があったのかお尋ねしたいと思います。
竹島政府特別補佐人 御存じのとおりでございますが、公正取引委員会というのは、いわば特殊な行政機関でございまして、独占禁止法に基づきまして、委員長及び委員から成る委員会は、大臣から職務命令を受けるということはなく、独立して行政権を行使するというふうに法律上保障されている、そういう特殊な立場にございます。そのために、総理府時代に総理大臣の所轄であったものが総務大臣の所轄に移って、独禁法の運用上、特に独立性とか中立性とかいう意味で、簡単に申し上げますと仕事をする上で、何か特別の圧力とか影響とかを受けて仕事がしにくいということは一切ございませんでした。
 ただ、先ほど官房長官もお話がございましたように、私ども、その後この二年間、構造改革が強く言われる中で、やはり公正で自由な競争というのはどうしてもこれは必要だということで、これは我田引水になるかもしれませんが、競争政策、それを具体的に執行しておる独禁法の執行である公正取引委員会の役割といいますか位置づけというものが高まっているんではないかというふうに私ども、手前みそかもしれませんが、思っております。
 なお、私どもは、法律上独禁法に基づいて独立して行政権を行使するということが保障されているわけでございますが、その点は国の内外で説明をしてまいりました。ところが残念ながら、国内においても、またアメリカ、EUにおいても、公正取引委員会が総務大臣の所轄のもとにあるということは、法律上権限が独立して行使できるということが保障されておっても、据わりが悪いというか、どうも釈然としないという御意見が寄せられました。
 そういうことであれば、やはり、よりふさわしい場所、それは具体的には事業官庁からもいわば中立的、等距離といいますか距離を置いた場所、それは今の政府では内閣府しかないと思いますが、そこに移って内外からのそういう御心配をいただかないようにしていただいた方が私どもにとっては大変ありがたい、こういうふうに思っております。
土田委員 近年、我が国の経済を活性化し、国際競争力を強化するためには、競争政策の積極的な推進が緊急の課題であるということだと思います。
 しかし、現在の公正取引委員会の活動状況を見てみますと、平成十三年度の総審査件数のうち、勧告等の法的措置をとるに至ったのは三十八件である、約三割であるということですね。また、申告件数も総数七百七十件のうちに、審査処理されたものは八十七件、約一割ちょっととなっております。告発も、平成十一年に二件が行われて以来実施されていないわけでございます。
 競争政策の一層積極的な展開の必要を考えますと、現在の公正取引委員会の活動は残念ながら不十分と言わざるを得ない状況にあると思います。
 そこで、公正取引委員会としては、その活動の現状についてどういった認識をしておられるんでしょうか。
竹島政府特別補佐人 今委員がお話しくださったような処理件数、申告件数の実態があるわけでございますが、私ども、確かに、六百名程度の陣容でそれなりに工夫をして精いっぱいやらせていただいているつもりでございますけれども、現実はどうかと申しますと、やはり経済状況が厳しい、それから企業のグローバルな活動がふえてきている、国際カルテルというようなものも随分摘発されるようなことになってきている。それから、国内においても圧倒的に入札談合が件数として多いわけでございますが、こういったものにつきましても、ますます企業側、私どもにとって調査をする対象になる企業側の方も権利意識というのが高まってまいりまして、弁護士をつける等々から始まって、いろいろなことで非常に権利意識が強くなってまいりまして、我々が勧告をしても、わかったということではなくて、それでは審判手続に行きましょう、それでも不服である、裁判に行きましょうという件数がふえております。
 そういう意味で、件数も、それから被審人側の対応もますます複雑高度化しているということもございますので、我々は、それに対して、公正取引委員会の六百名程度の陣容でございますが、その質、量ともに、もっと強化していくということがどうしても必要だろう。
 それからもう一つは、今、公正取引委員会に与えられておる権限、俗に言うといいますか、いわゆる独占禁止法違反事件に対する措置体系として、我々は、課徴金とか排除勧告であるとか、重大、悪質なものについては刑事告発とかいうことをすることになっておりますが、これらが、いわゆる抑止力、独禁法違反行為を起こさせないための抑止力とか、そういう違反事件に対してきちんと取り締まるという執行力、こういう意味で、必ずしも十分ではないんではないかということも言われております。
 私どもも、現実の実務からそういうことを思っておりますので、その体制の質、量とものパワーアップ、それから制度上の見直しという問題がどうしてもあるなというふうに思っているところでございます。
土田委員 今、答弁の中にもございましたけれども、制度上の見直しの問題と規模の拡大ということでございますね。
 まず、機能強化を図るには、やはり規模の拡大がどうしても必要であるというふうに考えるわけですし、今、委員長もそのように答弁されましたけれども、どの程度の人員体制があればいいというふうに考えておられますか。あるいは、その規模を具体的に実現するためにはどういったふうにしたらいいのか、あるいは、今後、これについて段階的にどうやって実現されていかれる見通しなのか。
竹島政府特別補佐人 まず、公正取引委員会の体制から申し上げますと、やはり絶対的に定員が不足していると申し上げざるを得ない。ただ、政府全体で行財政改革に取り組んでいることでございまして、増員というのは大変厳しいわけでございますが、その中で、いわば例外的に、公正取引委員会につきましては、従来から、特に十四年度、それから十五年度の予算、まだお認めいただいておりませんが、この両年度には四十名の増員ということを認めていただいているということで、六百名が六百四十名体制になるということでございまして、まず定員の増を、厳しい中でもできるだけこれからもお願いをしたい。
 ただ、では何名だったらいいのかということについては、いろいろ腹案みたいなものもございますけれども、ちょっとそれは申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、やはり質の問題というのがございまして、これにつきましては、幸い、任期つきの採用というようなことも今、道が開けておりまして、弁護士でありますとか公認会計士でありますとか、それからかなりレベルの高いエコノミストというような者を、民間の方それから大学の方に来ていただくというようなことも含めまして、やはり外部からの優秀な人材を登用していくというようなことをしていかなきゃならない。
 この二つで、質と量という問題については地道に対応させていただきたいというふうに思っております。
土田委員 その件も後で聞く予定でしたので、後で聞きますけれども、まず、公正取引委員会の審査期間の件でございます。
 平成十三年度の法的措置事件に対する平均審査期間が二百八十六日、約九カ月半となっているといいますが、現在の経済社会の変化スピードを考えると、どうしても長過ぎると言わざるを得ない感じがします。
 公正取引委員会は審査の一層の迅速化を求められている、外部からのそういった意見もあるというふうに考えますけれども、審査の迅速化に向けた今後の対応方針について、まず伺いたいと思います。
 もう一点が、国民の期待に沿うような標準的な審査期間、それを目標設定あるいは公表することも総合規制改革会議の中で提言されているわけでございますけれども、この点についてどう考えますか。
 二点、お願いいたします。
竹島政府特別補佐人 確かに、平均して九カ月強かかっているというのは長い、もっと迅速にやるべきであるという御批判、私どもも謙虚に受けとめなきゃならぬと思っております。
 ただ、そのためには、どうしてもやはり人員になってしまいますね。今、審査部門で三百十八名でございますが、六百名体制の中で約半分が審査部門ということでございます。ただ、その審査につきましても、これは公正取引委員会は行政機関ではあります。したがって、やっていることはすべて行政措置、手続なのでございますが、一般の行政官庁と違いまして、先ほど申し上げましたように、こちらが審査をして、勧告をする、法的措置を講ずる、または警告をする、しかしながら、不服がある場合には審判手続というものがありまして、一種の不服審査的な手続があって、その上で、さらに相手が納得しない場合は裁判に移行するということでございまして、非常に手間がかかるということ。
 それから、事実関係の確認とか、これがまた物証とか、もともとカルテルとか談合というのは密室で行われるわけでございまして、証拠を残さない。それから、立入調査の後、呼んできて、いろいろ聞いても、正直に言ってくださる方は、これはもう例外的なこと。そういう中で、やはり事実をきちんと把握して、相手にも納得させるという手間暇といいますか、忍耐強い作業というのはどうしても必要なんでございますね。
 したがいまして、今の九カ月強はなるべく短くするように、これからさらに努力します。努力しますけれども、その辺につきましては、何といっても体制の強化というのがありませんと難しい。
 もう一つは、私どもは、これから、仕事の仕方として、今までもそうでございますけれども、やはり重点的な、独禁法違反というのはしてはいかぬのだということがわかるような、そういう形で事件を取り扱っていくということも必要だろうというふうに思っておりまして、そういうもろもろのことを考えながら、迅速化に結びつくように努力させていただきたいと思っております。
土田委員 次に、公正取引委員会の地方事務所の件でございます。
 現在、十数名程度で運営されているわけでございますが、地方の組織では、大規模な、あるいは複数の事件に同時に対応することが難しいんじゃないか、不可能ではないかと言われております。
 昨年の通常国会において官製談合防止法が制定されたこともありまして、今後、公正取引委員会においても、地方組織の体制強化がやはり重要であるというふうに考えるわけでございますが、現在の地方における業務体制及び今後の体制強化、これについてはどういうふうに考えておられますか。
竹島政府特別補佐人 ただいま、公正取引委員会の地方組織というのは、五つの地方事務所と二つの支所を持っておりまして、十四年度の定員は、全体で百五十名、六百名のうち百五十名が地方におるということでございます。おっしゃるとおり、大阪とかは四十名ぐらい、名古屋三十名ぐらいおりますが、それ以外は二十名弱というようなことで、弱小な体制でしか現実はなっておりません。
 そういう中で、私ども、実際やっていますのは、大きな事件といいますか、地方だけでは賄い切れない、対応し切れないものにつきましては、本局とタイアップしまして、本局の指導のもとに事件を処理しております。
 それから、公正取引委員会は、独禁法以外に景表法とか下請法という法律を所管しておるわけでございますが、景表法は、今度の、今の国会にお願いしておりますが、改正をして、都道府県知事さんにもっと仕事をしていただくような改正を、今、この国会で法律もお願いしておるわけです。
 そういうことで、地方とも相まって、なるべく、貴重な定員でございますから、地方にも必要な配置はしていかなきゃなりませんけれども、やはり本局というものをきちっとパワーアップするのが第一だろう。それで、必要なところには、地方にも必要最小限のものは増員していく。こういうことで、これからも努力させていただきたいと思っております。
土田委員 人員が極度に不足しているという話を何回もされておりますし、当然そうだと思いますし、あるいは職員に対する研修も強化することも大事であろう。あるいは、さっきおっしゃった、この点を聞きたいんですが、民間等の活用、専門的な知識を持っている人、経験を持っている人を活用するということも今おっしゃっていますけれども、これについて、民間活用については、具体的な何かお考えなり準備があるのでございましょうか。
伊東政府参考人 御指摘のように、審査能力の向上のためには、外部の専門家の活用が必要と認識しておるところでございます。このため、公正取引委員会は、任期付採用制度等もできましたので、それを活用いたしまして、現在弁護士を審査部門に採用しておるところでございます。
 引き続き、さらに弁護士を採用する、あるいは公認会計士等を採用するということも予定しておるところでございまして、こういった制度を活用しながら、引き続き外部の専門家の活用に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
土田委員 もうちょっと具体的に答弁できませんか。弁護士や公認会計士を活用することを考えているではなくて、大体何人ぐらい、あるいは将来的にはどういうふうなことを考えているのか、もうちょっと具体的に答えてください。
伊東政府参考人 現在、弁護士は二名任期つきで採用をしておるところでございましたが、四月一日付でさらに一名を採用することとしております。さらに、公認会計士も四月から採用することにしておるところでございます。さらに、七月一日の採用に向けても今選定作業を行っておるところでございます。
土田委員 その程度の人数では、別に、外部的な活用をしている、形だけしているということにすぎないような気がしますね。委員長が前回おっしゃったように、大いに民間活力を利用していきたいんだという答弁にはならないと思いますよ。一人か二人、形式的にやっているというぐらいの話じゃないかという気がいたします。
 次に、独占禁止法についてお尋ねします。
 昭和五十二年に制定されて、二十年以上たっているわけでございますが、今回の不況のように、経済社会情勢の変化に応じて見直しが必要じゃないかということでございます。
 現在の我が国の独禁法は、諸外国と比べても不十分じゃないかという指摘がされております。独禁法の執行力を強化し、違反行為の抑止力を高めることは非常に急がれる問題であるというふうに思うんですが、独占禁止法の抜本的な見直しについて、現在検討中であるというふうに聞いておりますが、どのように考えておられるのか、どういうふうに検討されておられるんでしょうか。
竹島政府特別補佐人 御指摘のとおり、我が国の独占禁止法、これは、違反事件に対する抑止力、執行力においてまだまだ不十分であるということで、各方面からそういう御指摘もいただいていますし、政府内部でも、規制改革の計画でありますとかその他のところで、やはり見直すべきではないのかということが決められております。
 私も、去年の夏に就任させていただいて以来、まだ半年ちょっとではございますけれども、ちょっと勉強して驚きますことは、アメリカは、これは独禁法の先進国といえば先進国。しかし、ヨーロッパというのは、必ずしも独禁法については先進国じゃない。日本は、昭和二十二年ですから五十五年以上の非常に古い歴史を持っているということなんですが、ヨーロッパはそこへ来るとまだ十年かそこらしかないわけですね。それぞれ個別の国にはあったわけですが、EUの市場統合とともに競争政策というのが非常に、統一市場を維持していくという要請があっての話だとは思いますけれども、この十年、特にこの二、三年、イギリスでもEU本体でも大変な見直しが行われて、いわばパワーアップが図られているわけでございます。
 お隣の韓国もそうなんでございますが、韓国も日本の独禁法をモデルに独禁法体系を持ち込まれたというふうに思っておりますが、韓国においても同じでございまして、この十数年大変な改革をしておられる。
 そういうことを見ました場合に、やはり日本においても、毎年のように改正はされてきておりますけれども、確かに、昭和二十二年に基本的な独禁法ができて以来、大きな改革というのは昭和五十二年の課徴金の導入ということでございまして、いわゆる抜本的な見直しというのが今まで行われていない。これだけ経済がグローバル化して、先ほども申し上げましたように、国際カルテルに日本の企業も参加しているというようなことで、欧米ではそういうことがきちっと摘発をされている、なかなか日本で思うようにいかないというようなことを見るにつけ、やはりもう一回、もう一回というか、おくればせながらと申し上げるとおしかりを受けますが、この際、きちんとその見直しをすべきである。
 具体的には、課徴金が今のような適用範囲でいいのか、今のような大企業、製造業六%というようなことでいいのか。それから、ほかの国ではもう既に導入されているいわゆる制裁減免措置、日本でいえば課徴金の減免措置というようなものは、非常に有効に働いているということにほかの国ではなっておるわけでございますが、こういったものをどう考えるか。
 それから、今の公取には犯則調査権限というものがありません、任意調査でございます。ただ、それに妨害されますと罰則つきでございますから、半強制的な権限は持っておりますが、ずばりの犯則調査権限は持っていない。こういうものを持つべきではないのか。
 こういったテーマにつきまして、昨年の十月でございますが独占禁止法の研究会を立ち上げまして、そのもとで、学者、専門家に入っていただきまして、ことしの秋ぐらいに、そういう論点をきちんと詰めて、できれば検討すべき改革の方向というものを示したような取りまとめをしていただきたい。それを受けて、これは大変、経済界はもちろんでございますが、各界に関係がありますから、きちんと議論をしていただいて、それで具体的な制度の改正ということに結びつけていきたい、こういうふうに思っております。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。最初に、何問か福田官房長官にお尋ねいたします。
 今回、公正取引委員会が総務省から内閣府に移る、その理由は何なのか、その点をまずお尋ねします。
福田国務大臣 公正取引委員会を内閣府に移行させる、外局でございますけれども、その理由は、これは十三年、二年前の中央省庁等改革におきまして、総務省の外局、こういうことになったのでありまして、その後、我が国の経済構造改革を推進し、公正かつ自由な経済社会を構築するということが政府の基本方針となりまして、規制改革と一体のものとして競争政策を積極的に展開し、強力に実施する、こういうこととなっておるわけでございます。
 そういうように、競争政策の重要性が増している状況におきまして、内閣府は規制改革の推進、消費者利益の確保などを担っている、そういう状況にかんがみまして、公正取引委員会の位置づけについて、よりふさわしい体制とする、そういうために、内閣府の外局に移行させるということにいたした次第でございます。
塩川(鉄)委員 内閣府に移行する理由の一つとして、消費者利益の確保等を担っているからというお話がありましたけれども、内閣府に移ることでこの消費者支援機能の強化というのが具体的にどういう前進があるのか、その点をお聞きしたいと思います。
福田国務大臣 我が国の消費者行政につきましては、内閣府の国民生活局が幅広い観点から、一般消費者の利益の擁護及び増進に関する基本的な政策の企画それから立案並びに推進に関しまして事務をつかさどっております。内閣総理大臣を長といたします消費者保護会議、それから内閣総理大臣等の諮問機関であります国民生活審議会の事務局機能もこの内閣府で担っておるわけでございます。
 一方、公正取引委員会の方は、競争政策の観点から、独占禁止法及び景品表示法の運用を通じまして業種横断的に消費者政策を推進してきておる、こういうことでございまして、これまでも消費者保護会議への参加などを通じまして消費者政策との連携を図ってきている、こういうことでございます。
 そういう意味におきまして、消費者行政を、公正取引委員会もこのように役割を担ってきたということで、内閣府の消費者行政、これが同じ立場でもって運営されていくということは、これは消費者行政の強化というものにつながる、こういう考え方をいたしております。
塩川(鉄)委員 公正取引委員会が総務省にあろうが内閣府にあろうが、消費者支援機能を持って連携していくというのは当然のことであるわけで、積極的に内閣府に移行することによって消費者支援機能が強化するという、その辺の実感といいますか、具体的な施策というのは本当にあるものなのか、その点、もう一度お聞きしたいんですけれども。
福田国務大臣 今私、申し上げましたようなことでございますけれども、公正取引委員会の内閣府への移行によりまして、これまで以上に消費者行政の推進に内閣一体となって取り組んでまいることができる、こういうことであります。
 確かに、これまで国の省庁はそれぞれ所管する業界ごとに縦割りで、言ってみれば供給者側に目を向けている、こういうようなところもあったのは、これは確かだっただろうと思います。そういうことを、今次々と考え方を変えてきている、そしてそれを行政に反映させているということが改革の大きな柱の一つになっておるわけでございます。
 内閣府に消費者行政という横ぐしを入れて、そして目を光らせる、そういう部門が集まることでもってこれからいろいろと新しい取り組みができるのではなかろうかというようにも考えておりますので、そういう新しい発想を取り入れながら、消費者行政というものを本当に消費者の立場になったものに変えていくということをしてまいりたいと思っておるところでございます。
塩川(鉄)委員 その点では、内閣府といっても、器が大きいだけでみんな縦割りでぶら下がっているような、そういう実感というのを率直に思うわけですけれども、今お話しのように横ぐしを入れて、消費者サイドでの立場ということで具体的に施策を進めるという、その横ぐしを入れるという話について、今現在、何か具体的に検討しているものとかというのはおありなんでしょうか。
福田国務大臣 この法案が通りまして、移管をさせていただくということによって、そういうことが実現できるわけでございますので、これからいろいろなことを考えてまいりたいというように思っております。
塩川(鉄)委員 消費者支援機能の強化自身は、大いに、公正取引委員会の役割としても、政府の方向としても、当然のことながら努力されていってもらいたい方向ですけれども、同時に、この間の議論、公取委の組織の位置づけの問題については、やはり電気通信事業などを所管する事業官庁の総務省のもとに公取委があるというのが独立性を阻害する、独立性を阻害するおそれがあるんじゃないか、だから内閣府に移すんだという指摘というのがあるんですけれども、そういうことも今回の移管の理由として挙げられているんじゃないんでしょうか。
福田国務大臣 先ほど来申し上げているんですけれども、従来も、それは独立部局としての立場というものは、これは堅持してきたわけで、これは当然のことでございます。しかし、とはいうものの、実際に総務省自身が事業官庁、事業部門を持っておるということもございます。
 そういう意味からいっても、これはもう今、日本国内で見ているだけでない、事情のよくわかっている人だけが見ているわけでなくて、国民はもとより、海外からもいろいろな批判にさらされる、こういうこともございますので、そういうような実情を反映して、開かれた行政という観点から考えても、内閣府に移管した方がより公正な立場ということは外から見てわかりやすい、こういう観点もあるかと思います。
塩川(鉄)委員 経緯からいっても、アメリカからの強い要望があったということもお聞きしています。私、実質的にその独立というのが担保されることに意味があると思いますので、その点で竹島委員長に続けてお聞きしたいと思っております。
 その点で、産業再生法に基づく計画申請予定案件に関する企業結合審査の迅速化の問題についてお尋ねしたいと思います。
 産業再生法の認定予定のものについては事前相談の期間を短縮する、そういう方向が出されたわけですけれども、なぜその事前相談の期間を短縮されるのかお聞きします。
竹島政府特別補佐人 産業再生の法律がこの国会にかかっているわけでございますが、重要法案として提案されているという背景は、もう申し上げるまでもなく、今の不良債権、貸し手と借り手、両方の問題がある。借り手の方の再生も大変大事である、それは急を要する、こういうのが政府の問題意識で、そのような法律が提案されていると理解しているわけでございますが、その中で、恐らく予想されるものとして多いのは、商品の差別化ということではなくて、似たような商品を扱っている者が、いわば債務者の再編合理化というようなことで今のこの厳しい中を乗り切っていきたい、そういうような企業結合案件が多いのではないかというふうに予想されるわけです。
 それは技術的な問題かもしれませんが、何よりもこれについて特別急ぐというのは、国政上大変大事な問題とされている産業再生、それにまつわる企業結合、再構築計画等々の作業がスムーズにいくように、そのときに公正取引委員会の審査が時間がかかりますと全体の動きの足を引っ張ることになりますので、そういうことのないようにしたい。
 ただこれは、事前相談を受けた場合に、これは大丈夫ですよ、いや、この案件であれば詳細審査が必要ですよということを原則一カ月でもって交通整理をするということになっているわけですが、それを十五日にしますということにしておりますが、これは時間を短縮するからといって、何といいますか、目こぼしをするといいますか、粗い目で、いいよいいよということをするというつもりは毛頭ございません。
 したがって、今回、産業再生に係るガイドラインにおきましても、きちんとした客観的な指標を示して、こういう案件であれば十五日ですよということにさせていただいているわけでございまして、企業の方々から、予見可能性がよりわかるようにということも言われておりますので、簡明で予見可能性も入れたような形で迅速に処理する、そういうスキームにさせていただいたということでございます。
塩川(鉄)委員 産業再生は急を要する、だから迅速な対処と言うんですが、なぜ産業再生のためには迅速な対処が必要なんでしょうか、公正取引委員会の立場で。
竹島政府特別補佐人 一般の企業結合案件につきましても、これは当然のことながら、最大限努力する。しかしながら、現状は、三十日以内に詳細審査かどうかを検討する。詳細審査になったものについては、その資料が出てきてから九十日以内に答えを出すということを私ども公表して、それでやっているわけでございますが、残念ながら、マンパワーの問題もございます、正直申し上げまして。したがって、一般案件につきましても努力はいたしますけれども、やはり今、直近の緊急案件といえば産業再生にかかわる企業結合案件であろう、それについては先ほど申し上げたようなことで特別のガイドラインを示させていただいた。
 これから先、先ほどの御質疑にもございました公正取引委員会の処理体制の強化と相まって、それから我々のいろいろな経験の積み重ねで、一般の案件についてもより早めるようにということは宿題として考えておりますけれども、当面は産業再生に限らせていただきたいということでございます。
塩川(鉄)委員 先ほどの議論の中では、なかなか体制がないということは前提の話で、産業再生法の認定企業についてだけ、いわば特別の、特別扱いをする、穴をあけるような格好の対象になる、そういうガイドラインをつくられたわけですね。
 私、産業再生、急を要する、迅速な対処が必要と言うんですけれども、迅速な処理が普通必要と言われているような債務超過の企業の資産劣化を防ぐためにも早く処理をするという理屈というのは、それはそれとしてあると思うんですけれども、今回の場合にはそういう合併案件だけが対象じゃないわけですね、産業再生法の認定という大きな枠ですから。今回の場合は、産業再生法の認定対象計画ならいわば何でもオーケーという枠組みになっているわけです。
 今度の産業再生法の改正案では、共同事業再編計画のように、グローバルトップ企業を目指すような大企業の組織再編を支援することが大きな柱の一つとなっているわけです。債務超過の企業の支援とかという話とは違うわけですよね。
 そういったときに、債務超過の企業のかかわるような合併案件だけじゃなくて、世界的ないわばトップ企業を目指すような優良企業の合併で、実態とすると寡占が進むような話について、これも急ぐ、急がなければいけない理由というのは、公正取引委員会としてはどういうふうにお考えなんですか。
竹島政府特別補佐人 おっしゃるような、産業再生でないような、世界のトップ企業を目指すような案件というものが産業再生関連で出てくるというふうには私は想定をしておりません。大企業がかかわるものはたくさんあろうかと思いますが、それはやはり、まさにその業界が過剰供給体制にあるとか、それから債務過剰の企業があるとか、そういった業界の立て直しということであって、トップ企業を目指す、強い者が強い者にさらになる、そういうものが産業再生で出てくるとは思っておりませんし、もしそういうのがあった場合には、当然これは十五日以内に判断して詳細審査というものにいくものはいくわけでございますので、何でもかんでも十五日でいいよいいよということでは毛頭ございませんので、そこは御理解いただきたいと思います。
塩川(鉄)委員 それは、でも、委員長、改正産業再生法案の中身をもっと勉強していただく必要があるんじゃないでしょうか。これは準備の過程の産構審の新成長政策部会の中についても、グローバルトップ企業を目指すという方向の中で共同事業再編計画が出ているんですよ。そういうふうにはっきり書いてあるわけですよ。そういう認識で見なくちゃいけないんじゃないかと率直に思うわけですね。
 そういう認識はお持ちでないですか。グローバルトップ企業を目指すというのは今度の共同事業再編計画に盛り込まれるような改正産業再生法案の目玉となっているんだということは、いかがですか。
竹島政府特別補佐人 事業再構築計画とか何計画とかいろいろあるようでございますが、今おっしゃられたケースがそれに当たるということについて私の知識が足りないという面はあろうかと思います。
 ただ、あくまでも私どもは、産業再生法が適用される案件についての審査手続を言っているわけでございまして、その中に、これは通常のものではないのか、これでもって寡占が起きる云々かんぬんで、要するに独占的状況になってというようなケースのものにつきましてはきちんとした詳細審査をする。それが大企業が絡んでいるようなものであれば特に慎重な審査ということになる確率が高いというふうに思っておりますので、そういうトップ企業を育てるためのものが今度の眼目であるというふうに私は理解しておらないんですけれども、間違っておりますでしょうか。
塩川(鉄)委員 慎重審査というところで担保していただくことになると思うんですけれども、そういう点でも、事前相談というものはどういうものなのかということについてお聞きしたいと思うんです。
 公正取引委員会による合併、企業結合に関しての事前相談に要した日数というのは、短縮というんですから長いんだということが前提にあるんだと思うんですけれども、どのぐらいの日数がかかるものなんでしょうか。
竹島政府特別補佐人 従来は、三十日以内に答えを出すということでやってきたわけです。それを今度は、一定の要件に合致するものについては十五日以内ということにさせていただく。ただ、これは当然、相手側が、申請する側がきちんとした資料を用意するということが前提でございますので、簡単な話でもって持ち込まれて、十五日で何とかしてくれと言われてもそれは無理でございますけれども、資料を持ってこられた場合には、三十日を十五日以内に短くしてやっていくということでございます。
塩川(鉄)委員 事前相談に要する日数が長いという声があるというわけじゃないんですか。そういうことは公取としてお聞きになっていらっしゃらないわけですか。
竹島政府特別補佐人 長いという声は聞いております。事前審査もありますし、要するに最終的な答えを出すまでの時間がかかり過ぎる、もっと何とか早くしてくれないか、それから、どういう判断基準でやっているのかできるだけオープンにしてほしい、要するに予見可能性をもっと高めてほしい、こういう御要望は聞いております。
塩川(鉄)委員 それを踏まえて、具体的にどのくらい日数がかかっているというのをデータとしてはお持ちになっていらっしゃらないですか。
竹島政府特別補佐人 複雑であったり、要するに、他の競争事業者に対する影響の見きわめが難しかったり、それから、たくさんの商品を扱っていて、それはどこでもって競争関係を判断すべきかという市場の確定みたいな作業とかに手間取って、時間がかかって、一年以上もかかるようなものも例外的にはあるかと思いますけれども、あくまでも、長くて三カ月、九十日、事前審査は一カ月ということで従来もやってきておりますし、そういうことでおさまっているはずでございます。
塩川(鉄)委員 では、長過ぎるという話について公取としての調査も検討もしていないということじゃないですか。実態について調査もされていないというお話に、今聞いて改めて思いました。
 産業研究所というところが行った調査研究でも、三十日までが五五%、三十一日から九十二日が二九%とか、百二十一日から百五十日ぐらいかかるのが五%、百五十一日以上というのが一二%と、企業側から見ての、企業からのアンケートで集計した数字ですけれども、こういうことを公取として検証するということもなしにガイドラインだけつくって短縮しますというのは、公取としての独立性といいますか、本来の機能を発揮する上でのまともな検討がされているのかと率直に思います。
 こういった事前相談の期間を短縮するということですけれども、これは諸外国に比べて長いものなんでしょうか。
竹島政府特別補佐人 ほかの国には事前相談というプロセスはないと理解しておりまして、したがって、結局、案件が承認されたり否認されたりするまでにどのぐらいの時間がかかっているかということになるわけでございましょうが、日本が早い方だとは思っておりません。
 そのためにも、やはり体制の拡充と企業側の協力、そのためには私どもも、どういう判断基準でやっているのか、何を用意してくれればいいのかというようなことについて、今回もっときめ細かにするということにいたしましたけれども、そういったことを十分に周知して、お互いがもっと協力的に作業できるように。なかなか資料が出てこない、そのためにおくれるとか、見解が違ってなかなか問題解消措置が出てこないとかいうようなことで時間がかかるというケースが、今御指摘の長くなっているものについては見られるんだろうと思います。
塩川(鉄)委員 他国には事前相談はないということで、逆にいくと日本の場合は、実質的な審査、アメリカなどがそうでしょうけれども、要は、法定の手続に入ってからが当然実質的な審査になるわけですね。日本の場合は逆に、法定届け出以後はどちらかというと形式的で、事前相談に重きがあるということが現状だと思うんですよね。実質的な審査を行う事前相談の日数を短くするというのは、本当に適切なのかなというのを率直に思うわけです。
 経済産業省の経済産業政策局長の私的懇談会であります競争政策研究会、ここがまとめました中間報告では、「企業結合案件については、この事前相談において、実質的に公正取引委員会による審査が行われている。」とあります。それだけ重い審査をやっているわけです。それを資料請求の部分だから云々ということで短縮でいいんだろうか、本当に審査の適確性とか公正性というのが担保できるんだろうか。担保できないんじゃないかと率直に思うんですけれども、委員長、いかがでしょうか。
竹島政府特別補佐人 これは、三十日を十五日にしますというのは、これは問題ありません、また問題ありますということを伝える期限でございまして、問題ある場合については、十五日で答えが出るわけじゃございません。
 これは当然、詳細審査というプロセスに入って、十分に検討した上、答えが出るわけでございまして、たくさんの案件ございますけれども、詳細審査というのは、当然のことながら数は少ないわけでございます。圧倒的に多数のものは問題ないということが多いわけでございまして、問題ないものを引っ張るということをしません。それを、もっと明確なガイドラインを示しまして、計数も示して、そういったものに合ったものについては、十五日でいいものはいいと早く言ってあげます、こういうことを考えているわけでございます。
 詳細審査についても一緒にして、何か粗雑な審査でもって答えを出すということを考えているわけじゃ毛頭ございません。
塩川(鉄)委員 先ほどの実際に事前相談にどれだけの日数かかるかという調査を行った産業研究所のリポートでも、ほとんどの企業が行っている事前相談の内容は、「欧米の事前の非公式な折衝のように届出書類に不備はないか、あるいは、届出書類提出のタイミングを確認してもらうというレベルではなく、大規模な企業結合案件であれば公取委から追加資料を数回に渡り要求されるなど、独禁法上問題となるかどうかの判断を伴っており、実質的には審査制度として機能している。」と指摘をしています。つまり、資料のやりとりを何回もするわけですよ。
 大体、事前相談をやるというのは、全体の千三百件のうちの百三十件ぐらいでしょう。その百三十件というのは、複雑で大規模で、社会的にも影響があるからこそ事前相談をやっているわけで、資料のやりとりをすることについて言っても、三十日を十五日にしますよ、産業再生法についてはオーケーですよということでは、ちょっと公取としての立場というのが問われるんじゃないか。率直に言って、人も少ない中で、結果として手抜きになるような、そういうことにつながりはしないかという危惧を率直に思うわけです。
 そういう点で、そもそも、この企業結合審査の迅速化をやってもらいたいという要求そのものは、公取から出たわけじゃないわけですから、どこから出てきたものなんでしょうか、迅速化してくれという要求というのは。
竹島政府特別補佐人 これは、かねがね経済界からもございますし、今度の法律、産業再生法の法律立案をめぐって、経済産業省からもそういう要請をいただいているということでございます。
塩川(鉄)委員 経済界からの要望があったというふうにお話がありましたけれども、実際、改正産業再生法案の、これをつくるベースとなった、先ほども紹介した産構審の新成長政策部会の中間取りまとめでは、「独占禁止政策の透明かつ迅速な運用」という項目で、産業界においては、事前相談が長期間にわたる場合が多いとの批判がある、だから迅速な審査体制を整備するべきだとしているわけですね。
 結局、合併の当事者の企業サイドの意見で短くしましょうという話、経済産業省が仲立ちしてそういう話を持ってくるということなんじゃないですか。産業界あるいは経済産業省から言われれば、はい、わかりましたと。公取として事前相談の日数の調査もまともにやらない、そういった検討もなしに、産業界からとそれを踏まえた経済産業省から要望があれば、はい、わかりましたと言うのでは、真の公取としての独立性、自立性が問われるんじゃないですか。
竹島政府特別補佐人 そういう御懸念のないように、御批判をいただかないように、きちんとやらせていただきたいと思っています。
 これは当然のことながら、行政官庁としてできるだけ早くよい行政をやるというのは、これは公取といえども例外ではないわけなので、企業が企業結合を急ぐ、それが一年もかかるのでは状況も変わってしまうという中で、やはりそれに精いっぱいこたえていくというのは公正取引委員会として当然の責務だと思います。
 そのためには条件がもちろんありまして、こちらの方の処理体制というものの拡充ということも必要でございますが、やはり、厳しい中でも努力をし、その中で答えが出てくるわけでございますから、それを公表しますから、どうしてこういうものが認められたんだというような御批判について十分にこたえられるように、短くしてもきちんとした審査は維持していくということでさせていただきたいと思います。
塩川(鉄)委員 最後に、官房長官にお聞きします。
 今の点ですけれども、企業結合について研究している産業研究所のリポートの中でもこういうふうに言っています。結論部分で、産業再生法の認定に当たり、「主幹官庁と公取委の間で協議が行われるにしても、競争政策とは異なる政策目標である産業再生について公取委を関与させ、競争政策を歪めることになるという問題点も指摘される。」というふうに言っているわけですね。
 公取としての競争政策に対して、横から産業再生という政策目標を突っ込んでくるような形で事前相談の期間を短縮するというやり方というのは、これはやはり公取としての独立性が阻害されているような状況になるんじゃないか。こういうことについて、やはり公取に対してもそういう姿勢を改めさせると同時に、政府の姿勢もこの点で改めるということは必要じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
竹島政府特別補佐人 産業再生法において、主務大臣と公正取引委員会との間で意見の交換があり得るということになっておりますが、これは私ども、そのために公正取引委員会の独立性、中立性が阻害されるとは全然思っておりません。私どもも、独占禁止法上問題があることについてはきちんと御意見を申し上げるつもりでございますし、そこはこれからの事の成り行きを見ていただきたいというふうに思います。
塩川(鉄)委員 官房長官、一言いかがでしょう。
福田国務大臣 今の公正取引委員会委員長のお答えのとおりであります。
 もちろん、公正取引委員会の立場というものは、これは損なわれることがない。そして、よりよい経済社会が達成できるような、そういうことでもって双方が努力をするべきものだと思います。
塩川(鉄)委員 終わります。
村田委員長 田中慶秋君。
田中(慶)委員 官房長官に質問させていただきます。民主党の田中慶秋です。
 今回、公取が内閣府の外局に移行される、こういうことであります。私どもは、かねてからこの問題等について、省庁再編のときに、経済産業省にあること自体が基本的におかしい、こういうことをかねがね主張してきたわけでありますが、あれから二年たって、今なぜこういう形になったのか。当時、私たちは、あの全体の中ですぐ行うべきであるという、こんな主張を繰り返し申し上げてきたところであります。このことを含めて、まず考え方を最初にお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 確かに、十三年一月の省庁再編以前は、総務省の外局として公正取引委員会があったわけでございますけれども、その後、内閣としての方針、これを決定いたしたわけでございまして、その決定に基づいて、内閣府に移管をするという今回の法案提出という経緯になったわけでございますけれども、当時からもいろいろな意見があったと思います。あったと思いますけれども、先ほど公正取引委員会委員長も答弁を申し上げているように、そのときにおいて総務省に置くというようなことで決定をいたしておったということもございます。
 そのことについて、やはり我が国が競争政策をしっかりと維持していくというために、公正取引委員会を、もっと自由な経済社会を構築するための一つの大きな政府の基本方針ということで位置づけて、そして規制改革と一体のものとする、そういう結果、競争政策を積極的に展開していくというようなことで、今回の内閣府移管、こういうようなことになったわけでございます。
 こういうように、競争政策の重要性、これが増している状況の中において、競争政策が増している状況というのは、これは国内はもとよりでございます。しかし、国際環境という観点からもその公正な競争政策というものがより求められているというような状況の中において、これはやはり我が国としてもそれに積極的に対応していく。そして、中からはもとより、外から見ても、公正なる競争が行われているということを、これを証明するというか、見てもらってもわかるような形にするということがまた求められているということにおいて今回の移管をいたしたわけでございますので、このことによって、よりふさわしい新しい体制というものを目指していかなければいけないと思っております。
田中(慶)委員 まず、そういう点で、一つは、今までこの二年余りで何かふぐあいがあったかということが一つ。
 もう一つは、省庁再編で今回見直しをされたわけですけれども、こればかりじゃなく全体として、ほかの分野についてもやはり省庁再編の問題として今回の公取のような問題がないかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 一昨年の省庁再編以来ふぐあいがあったかどうかということについて言えば、それはそれで立派な機能を果たしてきたわけでございます。
 今私、申し上げましたように、やはり、中から見ても、そして外から見ても、信頼に足る公正取引委員会というような形にするために、今回、移管をするということになったわけであります。
 ただ、先ほど来申し上げているんですけれども、消費者行政なども、これももっとしっかりやっていかなきゃいけないということになりますれば、公正取引委員会がやっています消費者行政部分、それから内閣府は長らくやっております国民生活局の消費者行政部門、これが一体化するということによって、より強力な消費者に目を向けた政策が実行できるのではないか、こんなふうに考えておるところでございます。
田中(慶)委員 ぜひ内閣府に移行することによってその実効が上がるように、内外から見てということでありますが、その点を含めてお伺いしますけれども、長官はどのように御認識をされているかどうかわかりませんが、今回この公取の問題で、幾つか今までも御指摘をされてまいりました、例えば、酒屋の問題、小売の問題、あるいはプロパンガスの問題等であります。
 特に、酒屋の安売り等については目に余るものがあるわけでありまして、ここ数年来、この問題が大きく小売業者に与える影響が出て、そして店を閉めるような人たち、あるいはまた借金に追われてみずから命を絶つような人たちも出てきている。にもかかわらず、公取はそのことについて積極的に今日まで行っていなかった、これが現実であります。
 今度、所管がえをされるわけですから、そういうことを含めてしっかりと指導してほしいし、もう一つは、勉強してほしいのは、この複雑な構造の中で、卸の構造や製造過程を含めて、例えば安売りの酒屋、見てください。仕入れ価格が販売されている価格よりも非常に高いわけであります。こんな構造、普通はないわけであります、自由主義社会に。
 それはどういう形かというと、複雑なリベートによって、いろいろな制度のリベートが絡んで、九十一のリベートがある、こういうことが言われているわけです。そのリベートというものは、本来、今の自由主義社会において認めるべき構造ではない。しかし、それが今日まで暗黙にずっと認めてきたために、今のような価格破壊が起き、そして、長い伝統のあった何代も続いている酒屋さんの小売が店をしまわなきゃいけない。そればかりか、借金に追われて夜逃げをしたり、あるいは自殺をされたり、こういう人たちが私たちの見ている中でも何人か出てきている、これが実態なんです。トータル的に、こういうことを含めて、やはり公取そのものが、私たちも何回か指摘をしましたけれども、現実に十分な対応をされていなかった、これが実態であります。
 ですから、このことについて、長官はどのように認識をされていたのか、今後どうされようとするのか、お伺いしたいと思います。
福田国務大臣 まず、原則論みたいな話を申し上げますけれども、今、経済が非常によろしくないというように言われております。PRするわけじゃありませんけれども、最近、倒産件数は、これは横ばいもしくは減っているような状況はございます。これは、金融面における中小に対するネットワーク、そういうものも非常に今活発に活動しているというようなこともございまして、いい状況にはあるのであります。しかし、デフレの時期でございまして、決して全般的に楽なことではない、これはよくわかっておるわけでございます。
 そういうような状況の中において、特に中小業者ですね、中小企業。こういうところにしわ寄せが行くというようなことは往々にしてあるわけでございまして、そういうところについては、公正取引委員会が運用する独占禁止法は公正かつ自由な競争を促進するものでございまして、中小企業に不利益を与える、そういうような不公正な行為に対してはこの法律が適切に運用されることが重要である。これは原則論でございます。
 御指摘のリベートの問題、特にお酒の小売店に対するリベートというようなことについてお話がございましたけれども、このリベートはなかなか複雑でございまして、また、お酒だけでない、ほかの業界においても、それぞれの業界がリベートというものを持っておるというようなことでございまして、これを分析すると、切りがないくらいいろいろな形がある。単純な金銭のペイバックとかそういうことだけでないような、いろいろな形があるように聞いております。
 リベートそのものについては、これは言ってみれば一つの商行為、取引条件でもあるんですね。ですから、それもすべてだめだというわけにはいかないんだろうと思います。ところが、リベートを出して、また違う形のリベートを追加で出してと、これは複雑な形になって、また、その形もさまざま、金銭以外のこともリベートみたいな形でやるというような非常に複雑なことが実際に行われているということで、これが果たしてまともな商行為なのかどうかといったような議論も当然あるのではなかろうかと思います。
 私どもから申し上げれば、原則的に言えば、リベートは商行為だから、商取引に対してどうこう言えることは、これはないと思いますけれども、しかし、その結果がさまざまな不透明な競争条件とか取引条件とか取引とかいうような形において正当さを失わせるようなことであれば、これはやはり公正取引委員会がきちんと制御しなければいけない、そういうこともあろうかと思います。
 ですから、その点については、これは公正取引委員会が適切なる判断のもとに適切なる指導を行う、もしくはいろいろな措置をとる、こういうことになろうかと思いますので、これはまさに、消費者行政も含めて、公正取引委員会の機能としては大事なところだと思っております。
田中(慶)委員 長官の認識は、私は間違っていると思いますよ。
 今、不当廉売とかそういう形で現実に問題が起きているわけです。まして、複雑な構造でリベートをつくり上げてきている、これが実態なんです。ですから、国税庁と公取との間でも連携がはっきりうまくいっていない、同じ行政の中でそういうことが起きている、これが実態なんです。まして、公式にリベートという形で、この流通研究所あたりでやっても、このリベート制について疑問があり、なおかつ、今のような全体的な価格破壊や、あるいはまた小売の人たちと酒販の皆さん方に大変な迷惑がこうむっているんですから、そのためにその業をやめなきゃいけない。それが、あなたの今の答弁では、さも公取として当然のようなことを言われておりますけれども、それは違うと思うんです。
 価格というのは、やはり正常なルールで、正常な、ちゃんとした形の中であっていいわけですけれども、例えばスーパーや、あるいは今のようなディスカウントストアのところには、いろいろな複雑な、蔵出しから始まり、あるいは人件費のいろいろな応援まで含めて、それをリベートという形の中でやられているものですから、仕入れ価格だけではなく、そういうところまで全体に影響されている。結果として、だれしもが考えて、自分たちが仕入れる価格よりも向こうの販売価格が安いということ自体が、これはアンフェアではないか、当然だと思います。
 やはり、そのことを含めて、しっかりとした行政指導をしていかないと、やがてこの価格破壊はあらゆるところですべてが影響して、日本経済がおかしくなってくる。まして、酒販というものは税を扱っているんですから、税を扱っているところが、酒税というものを扱っているところがこのような形でやっていったのでは全然おかしくなってくる、私はそんなふうに思っております。
 今度、長官のところに所管がえされるわけですから、改めてそういう認識でこういう一連のことをやっていかないと、私は、トップがそういう形でこれから指導していかないと、全体的に与える影響がおかしくなるわけですから、その辺をちゃんとしてほしい。答弁いただきたいと思います。
福田国務大臣 業種ごとにいろいろな状況がございます。酒類については、これは御指摘のような状況もあるというようなことは、私も聞いております。
 小売業における不当廉売ということにつきましては、周辺の中小業者に対する影響が大きいものですから、公正取引委員会においても、不当廉売に係る申告については迅速に処理をするということにいたしておりまして、特に影響が大きいと思われるような大規模な事業者による不当廉売については、周辺の販売業者の事業活動への影響等を個別に調査するということもいたしまして、問題の見られる事案に対しては厳正に対処してきている、そういうふうに承知をいたしておるところでございます。
 この問題については、国税庁においても、酒類の公正な取引環境の整備に資するためにいろいろと指導をいたしております。
 酒類業者が尊重すべき公正なルールとして、国税庁が示したいわゆるガイドラインというものがございまして、公正取引委員会が取りまとめましたいわゆる酒類のガイドラインというものが示されておりまして、こういうものをいろいろな機会を通じて酒類の業界に対しては指導啓発等もしておるわけでございますが、いろいろ問題ございますので、今後とも引き続き積極的にこの問題には取り組んでまいらなければいけないと思っておるところでございます。
田中(慶)委員 私は、やはり日本には日本なりの文化があるわけですから、例えば今のような流通の文化があって、何代も続いた酒屋さん、小売屋さん、そんなことを含めて、そのことをしっかりと、文化をこれからも守っていかなければいけないんだろうと私は思います。それが根底から崩すような形になってくると、この国の、無秩序な、経済がおかしくなってくるわけですから、そういう一連のことを含めて、そのために私は公取というものが一定の役割を果たしていくんだろうと思っております。
 そこでお伺いしたいのは、まず、二つ目の問題は、やはり、公取委員会の課長職の人たちが、十年間で、いろいろな天下りの問題もあります。私は、それぞれ、一番問題なのは、公表されている天下りは余り問題ないんですけれども、そこで何年か、一年二年勤めた中でまた再就職をされると出てこないんです。
 そのときに、例えばプロパンの関係の業界のところに行くとか、こういう問題の中で、情報が筒抜けになってくる、はっきり申し上げて。ですから、業界が非常に困っていても、例えばプロパンなんてそうですよ、大手のところに、はっきり申し上げて、そういう人たちがいるためにいろいろな問題が起きている。
 特に、安売りということを、私は、安全というものがプロパンの場合あるわけですから、この安全を無視して安売りをする、そして、結果的に価格破壊をしながら最後はまた価格をつり上げていく、こういうシステムが現実に行われている。ですから、やはり、今大切なことは、安全というものをもう少し重要視しながら、大手は大手のルールによってちゃんとしていかなければいけない。まして、配管から何から全部取り壊して放置する、電話一本でとりに来い、こんな乱暴なやり方が現に行われている。
 こういうことでありますから、こういう一連のことを含めて、これはちゃんと、やがてこれは必ず事故を起こす原因になりますから、やはり、安全というものをちゃんと大切にしながらやっていかないと、これも公取の役割なんですけれども、現実には、この点についても私は何回か御指摘をさせていただいておりますけれども、しかし、実効は余り上がらない、こういうことであります。これらについても、しっかりと、天下りと関連しながら、今のような問題が現実に起きているわけでありますから、そういうことを十分対応しないと、やがて大きな事故になってから慌てたってしようがない。
 ですから、こういう危機管理の問題にあわせて、しっかりと対応していただきたいと思いますけれども、長官の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
福田国務大臣 二つ問題御指摘ございました。
 最初の天下りのことについて、これは、民間に一度行ってそこから再就職で関連業界に行くということになりますと、これはなかなか把握しにくいという実情もございます。そのことについては、これはひとつ検討課題にさせていただきたいと思います。
 後段のことにつきましては、これは確かに悩ましい問題でもあるんです。特に安全とか、アメリカでも、航空業界が競争政策を導入して、そしてその結果が事故が多くなったとかいったようなことがあったわけでございますけれども、本当は、競争政策を導入してよりよいサービス、そして安全もさらに高まるということになればこれは理想的なんですが、やはりそういうことは企業者の意識の問題もあろうかと思います。
 また、そういうことが、単に競争だけで安全面を無視するようなことにならざるを得ないような、そういう業界については、これはやはり何らかの対応を考えなければいけないんだろうというふうには、私は基本的にはそういうふうに思っております。
 しかし、今現在は、より競争性を高める、そして、例えば合理化をするとかいったようなことにおいて、その中でサービスの向上、安全度の向上というものも図っていかなければいけない、そういう企業責任というものをやはり追及すべきではなかろうか、こういうように思っておりますので、まずは企業者がそういう意識を持つかどうかということ、これを求めなければいけないのではなかろうかと思います。
 しかし、過度の競争があってはなりません。それは、公正取引委員会がしっかりと目を見張らせているということではなかろうかと思っております。
田中(慶)委員 ぜひ、こういうところもしっかりと対応をしていただきたいと思います。
 次に、省庁再編を含めながら、規制というものが、当然緩和すべきものと、あるいは規制を逆に守っていかなければいけない、こういうものがあるわけであります。
 特に、酒販のようなもの、お酒の規制緩和をすることによって、例えばスーパーから何からどこでも自由にという、しかし、対面販売ということもありますけれども、そこには管理者が本当に置けるのかどうか。しかし、御案内のように、最近の青少年の非行や犯罪が非常に多くなってきている。そして、そういうところにたむろしながらいるわけであります。こういうことを含めて、やはり青少年の問題にしっかりと対応する意味でも、あるいはまた、今のような酒屋さんの小売の実態等々を含めても、余り規制緩和をして、やるべき問題ではないんじゃないかな、私はこんなふうに思っているわけであります。一方、規制強化をしなきゃいけないところに規制が逆にされていない部分が日本の場合はある。
 こういうことで、規制緩和、規制の問題等について長官はどういうふうに考えているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
福田国務大臣 規制改革、これは経済社会の構造改革を進めていく上で大変大事な課題でございます。生活者、消費者本位の経済社会システムの構築、また経済の活性化を同時に実現するというような考え方で、これは極めて大事な課題であると思っております。
 また、規制改革後の市場におきましても、公正かつ自由な競争が行われなければならないということが当然でございますので、そういう意味においても、公正取引委員会が適切に対応する必要があろうかと思います。
田中(慶)委員 規制というものが、時にはその規制によって全体をおかしくするような問題もあるわけでありますから、単なる規制ということだけで、規制をしなきゃいけないもの、規制を緩和しなきゃいけないもの、例えば、国が本当に国家戦略としてやらなきゃいけない規制もできていないんですよ。
 例えば、空洞化なんという形の中で放置していたために、日本の工場が全部中国へ行ってしまう、丸ごと、技術から、いろんなものを東京から持っていっちゃうわけですから。そして、向こうでそういうことが簡単に、何年か過ぎると中国はこの技術やノウハウを全部マスターして、日本の国益に損害を与えるようなことになるわけですから、こういうことを含めながら、やはり規制というものに対する根本的なことをもう一度考え直さないといかぬと思います。
 もう一つは、これは時間の関係で、今俗に言う談合問題は公取の責任であります。しかし、談合という定義を今すぐちゃんとしないと私はいけないと思います。
 国そのものが談合をやっているわけです、極端なことを言えば。公共事業を発注するのに、見てください、ジョイントベンチャーと言われる共同企業体というものは、少なくとも、指名をされて、その中から話し合いをしなさいということで、これは俗に言う談合ですよ。そういうことでしょう。
 ですから、この談合そのものの定義をちゃんとしないと、いろいろな形で話し合いをしながらやっていくことをすべて談合だ、国がやることは談合じゃなくて、民間がやることは談合だ、これはやはりちゃんとすべき問題だと思いますよね。昔はその定義がちゃんとあって、刑事罰的な要素はあって、そして談合金、これは絶対よくないですよね。あるいは、それによって何か価格を上げたり下げたりすることはいけないことであろうと思います。
 ですから、話し合いをすることイコール談合みたいなこと、マスコミを含めてすぐそういう形になってくる。ですから、やはりこの談合という問題についての一つの定義をもう少ししっかりとして、世の中にちゃんとしていかないと、国のやっていること、地方自治体がやっていること、ジョイントベンチャー方式、考えようによっては、これは全部談合ですよ。こういう一連のこともあるわけですから、そのことも公取の責任でありますから、担当大臣として、長官、その辺を整理してください。答弁ください。
福田国務大臣 まだ担当大臣じゃないんですけれども、そういう立場で若干無責任に申し上げますけれども。
 談合も、どういう定義かという難しい御質問でございますけれども、談合というと、業者が話し合いをして、実際にかかるであろうコストよりも高目に値段を決めてしまうことによって不当な利益を得るとかいうようなことに利用するのであれば、これはよくないんですよね。そういうものは避けなければいけない。
 談合というとそういうふうにとられてしまうということで、これは、話し合いとかいったような、それはどの話し合いかわかりません、値段の話し合いなんかしますとそういうふうにとられてしまうけれども、そのことでもって、話し合いによってよりよい仕事ができる、そしてより安くできるとかいうようなことであれば、すばらしい談合だと思いますね、それは、話し合いというべきか。
 ということでありますから、それはやはり業者が、倫理性の高いということを求めてはいけないのかもしれませんけれども、そういう業者であってほしいというように我々は願っているわけであります。
 一方、発注する側も、これも悩ましい話でございまして、単に競争だけで入札しようなんということになりますと、安全性はどうか、そういったような心配が出てくる。そういうことで、これからの入札については、入札発注者の方でもしかるべき品質チェックができるような、そういう人を置いて、十分な品質チェックもさせるとかいったようなこともしなければいけないという、競争社会にはやはり発注者側の責任というか、そういうものも出てくるということになるのではなかろうかと思います。
 どっちがいいか、それは、国の立場、それから地方公共団体の立場からいえば、やはり安く、そしてよりよいものをつくるということなんだろうと思いますので、それを達成するためにどういうふうにしたらいいのかということはいろいろ考えてもらわなきゃいかぬ。これは、公取だけでない、業界も、国民も、そしてまた発注をする立場の者は当然でありますけれども、そういう、皆が知恵を出し合わなきゃいけない問題だと私は思っております。
 抽象的なお答えで申しわけありません。
田中(慶)委員 いずれにしても、これから、今の経済産業省から、内閣府の方に移行されて外局になるわけでありますから、しっかりとこの公取の役割が評価されるように、そしてなおかつ、公取が機動的に活動できるように、私は今、公取は全然、人も少なく、いろいろなことを含めて非常に、その機能が十分と思っておりませんので、そんなことも含めてぜひ検討していただけるようにお願いを申し上げ、時間が参りましたので終わります。
村田委員長 大島令子さん。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 公正取引委員会の機能については、国内ではもとより、アメリカからも、公正取引委員会の予算や人員の不足、行政指導による不透明な運用、低い課徴金、刑事告発への消極性などが指摘されてきております。所管を移動する際、こうした問題をぜひ解決してほしいということで、きょうは三点にわたって質問をいたします。
 まず官房長官に、人員の不足について伺います。
 公正取引委員会の方では大幅な人員増加を要望しております。この理由は、談合情報が増加しているにもかかわらず、人員不足から適切に対応できない、また、企業の合併審査に一年以上かかっており、短縮が必要なことがその理由として挙げられております。
 行政改革は専ら人員削減で進められがちですが、本来はサービスの提供をいかに適切に効率よくできるかが問題であり、そういう意味では、適切な職員の配置は必要であると思っております。毎年微増ということで増員はしているようですが、せっかく所管を移動するのであれば、この際、実態に対応できる職員数、特に私は審査要員を配置することが必要なのではと思っております。
 官房長官は、公正取引委員会が、市場の番人としての役割を考えたとき、現状の人員体制で十分と考えていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
福田国務大臣 規制改革と一体のものとして競争政策を強力に実施するということは、政府の基本方針となっております。ことしの総理の施政方針演説においても、公正取引委員会の体制の拡充、それと四月から内閣府の外局として、公正かつ自由な経済社会のかぎとなります競争政策を強化する、こういう旨述べておるわけでございます。
 そういうようなことも踏まえまして、公正取引委員会において、現状の行政ニーズにこたえ、競争政策を強力に実施するために、今後とも、関係各方面の理解を得ながら、所要の増員等の体制強化に努めていくというように承知しております。
 実際に、十四年度、今年度です、それから十五年度、これは各四十人ずつの増員をしておりまして、従来は十人前後ということでございましたから、相当な人員的な強化もしておるわけでございます。今後もそのように考えてまいりたいと思っております。
大島(令)委員 公取の委員長としては、その四十人の増員というものは、審査部門とか各部門がありますけれども、どのような形で受けとめられていらっしゃるんでしょうか。
竹島政府特別補佐人 四十名のうち過半を審査部門に充てたいというふうに思っています。それから、あとは、やはり景品表示法も今度改正をお願いしているというようなこともございますし、下請法につきましても、今まで製造業と修理業だけであったものをサービス業に拡大させていただきたいという法律改正もお願いしておるということもございますので、その辺にも手当てをさせていただきたいと思っております。
大島(令)委員 官房長官に伺います。
 実は、独立した行政委員会でございますけれども、一応独禁法の運用機関としての公正取引委員会の課徴金と予算の実績を見てみますと、一九九五年は、大体予算額が五十五億ぐらいだと思うんですね。課徴金、国庫に納入される金額が六十四億四千六百四十万円。一九九六年の公正取引委員会全体の予算が、これも五十五億強ぐらいだと思うんですが、課徴金は七十四億八千六百十六万。そして、二〇〇〇年ですと、これも予算が六十億弱、課徴金が八十五億一千六百六十八万円。
 この年度だけ見ますと、課徴金と予算を比べますと大体課徴金の方が多いんですね。そうすると、いわゆる利益を生み出している、独立採算的な意味合いがとれるんですが、この数字に対して、こういう数字を見ますと、その四十人という体制が私はいいのかどうか、そういう判断、どういうふうに思われますか。
竹島政府特別補佐人 ちょっと技術的なこともございますので私から、もし必要があれば官房長官から。
 やはり公正取引委員会も、行政機関としては、ほかと同じように行政機関でございまして、総定員法というものもかかっておる、そういう位置づけになっております。
 まあ人様のことですが、国税庁もそういう意味では、独立採算といえば大変なことになってしまうわけでございますけれども、やはり、課徴金が多いから独立採算的に考えてもっと予算もというのは、物差しがどうも政府の中では違っておりまして、必要な増員は、厳しい中でも私どもも今年度もお願いしておりますし、来年度以降もお願いしていきたいと思っていますが、課徴金等の多い少ないというのはちょっと別な話にならざるを得ないのかなというふうに思っております。
大島(令)委員 しかし、地方事務所の体制が、非常に体制が少ないですね。全体で百六十人、中部では、私のところでは三十二人になっております。しかし、自治体など発注者から寄せられる談合情報がふえている中で、やはり地方事務所の体制強化というのも必要だと思うんですが、委員長はどういうふうに考えておりますか。
竹島政府特別補佐人 増員というのは、大変貴重な資源でございますので、それをやはり一番効率よく配分しなければいかぬ。率直に申し上げて、やはり本局を重視せざるを得ないという実情にございます。
 さはさりながら、地方におきましても仕事はあるわけでございまして、必要最小限の体制というものは、ニーズに合わせてやっていかなければいかぬ、名古屋の場合は三十名近くいると思いますけれども。仕事の仕方は、難しい案件は本局が出ていきまして合同でいたしますということで、そこは効率的に、地方にたくさんの人員を張っておきましても、仕事がなければもったいないことになりますので、そこは機動的にやった方がいいだろう。
 それから、都道府県知事さんに、特に景表法の場合は、今度権限をさらに持っていただくようなことでお願いしておりますが、地方自治体におかれても、特に消費者行政について、なかなか厳しい財政事情で定員削減も受けているというような話も聞いておりますけれども、やはり力を入れていただくようにお願いをしたい。
 そういうことで、国と地方自治体、両々相まって、特に消費者行政については地方のきめ細かい対応に努めてまいりたいと思っております。
大島(令)委員 では、委員長に質問します。
 一九九九年の十月に、公正取引委員会は、防衛庁調達実施本部、調本が発注するジェット燃料などの入札をめぐりまして、石油元売十一社を独占禁止法違反の疑いで検事総長に告発しましたね。
 これが大きな問題になったのは、いわゆる航空のジェット燃料、これが年間数百億円にも上るわけです。これは価格カルテルに走っているわけなんですが、談合による高値納入というのは、結局は国民の税金ですから、負担が、国民にツケが回されるということで、非常に悪質で、石油業界はこれが初めてではないわけなんですね。
 今回の告発に関しましては、調本が調達する防衛装備や資材は年間一兆数千億円にも上ると言われているわけです。調本の場合は、防衛秘密のベールがあるわけで、非常に閉鎖体質も問われた事件でございますけれども、では、実際に、こういう難しい事件の場合に、期間ですとか、何人ぐらいの人たちでこの事件が告発するに至ったんですか。
鈴木政府参考人 ただいまお尋ねの事件につきましては、私どもとしては大変大きな事件に所属するものでございまして、通常、平均五名から十名の人員でもって継続的に一つの事件を担当して、もちろん立入検査のときは多くの人間を動員いたしますが、ただいまお尋ねありましたジェット燃料の事件につきましては、約二十名を投入して、一チームで編成して実行したものでございます。
大島(令)委員 そうしますと、今、審査要員が平成十五年ですと三百十八人ですね。ですから私は、やはり審査要員をもっとふやさないと、いろいろな意味での、公共事業をめぐる談合ですとか価格カルテルに対してメスを入れられない、そういうところから人員増ということをどう考えているか、質問をさせていただいたわけです。
 少し蛇足になりますが、官房長官に質問します。
 弁護士の報酬規定は価格カルテルに抵触するかどうか、どういうふうにお考えになりますか。弁護士の報酬規定です。
竹島政府特別補佐人 従来はそういうことが行われておったと思いますが、今度の国会でそれは法律改正がなされると聞いております。すなわち、報酬について協定を結んではいけませんということになる。それ以外のいろいろな士業がございますが、それに準じて弁護士についてもそのようになるというふうに承知しております。
大島(令)委員 では、課徴金のあり方について質問をいたします。
 この課徴金制度が果たして不当利得を防止することに対して効果があると考えているかどうか、お伺いしたいと思います。
竹島政府特別補佐人 これは昭和五十二年に導入されまして、当時は一・五%、それが平成三年に製造業の場合六%まで引き上げられておりまして、その数字に見られますように相応の効果は当然持っていると思います。
 さはさりながら、ちょっと申し上げさせていただきたいのは、日本の場合は、製造業の場合、大企業六%でございますが、当該商品の売上高の六%なんでございますね。いろいろな商品を売っていて、その企業の総売上高に六%かかるわけじゃないわけです。外国の場合は総売上高というのが母数になっているわけでございまして、そういうことからすると、やはり日本の場合は外国と比べるとまだ軽い。
 それから、実態を見ましても、やはり繰り返し談合というのが行われているということから判断しますと、やはりリスクを冒しても談合した方がペイするのかなというふうに事業者は思っておられるとこちらとしては受けとめざるを得ない。
 やはり、独禁法違反行為というものはペイしない、社会的にも責任を問われるべきことでありますが、経済的にも企業にとってペイしないというものにしなければ抑止力として十分ではない、こう私どもは思っておりまして、そのことも含めまして、独禁法の違反行為に対する措置体系の見直しということを今、専門家を集めてもう検討に入っているところでございます。
大島(令)委員 見直しの検討ということでございますが、いつごろまでにどういう体系の見直しなのか、ちょっと御説明していただきたいと思います。
竹島政府特別補佐人 昨年の十月に学識経験者から成る独禁法研究会を立ち上げまして、その中に措置体系の見直し部会をつくりまして、もう検討に入っておりまして、その研究会においては、ことしの秋に論点なり改革の方向性なりというものをまとめていただきたいというふうに思っております。それを踏まえて、政府部内はもとより、経済界等、これは各界に大変影響のある話でございますから、そこと十分に議論していきたい。
 そのときの検討対象としましては、課徴金、それから、今は持っていない犯則調査権限を持った方がいいかどうか。課徴金は、先ほど申し上げた率、それから、それを適用する、今はカルテルとか談合とかに限られているわけですが、それ以外の独禁法違反事件に対して課徴金をかけるべきではないかどうか、こういった論点。それから、犯則調査権限は今申し上げましたが、あとは、外国で大変実効を上げているという、いわば課徴金減免措置でございますね、これの導入の可否。こういったことを主なテーマといたしまして、措置体系の見直しを検討していきたい、こう思っております。
大島(令)委員 それでは、私も、企業にとってやり得ということで甘い制度になっていないのではないかということでございましたが、そういう趣旨がよく理解されているということでございます。
 次は、官房長官に提案ということで、制裁減免制度の導入を検討してはどうかということでございましたけれども、今竹島委員長から、これも検討する課題の一つになっているということでございますので、ぜひそれが実行できるような形でお願いしたいと思いますが、具体的に、課徴金は私的独占禁止法には適用されませんよね、問題点として。
 では、今度、その見直しの中で、きちっと法律として成文化されたものが出てくるような形で制裁減免制度も導入される見通しなのか。その辺のことに関して官房長官に伺いたいと思います。
福田国務大臣 ただいま公取委員長からも答弁ございましたけれども、課徴金制度は、今研究会でもっていろいろ研究をしている、その報告はことしの秋ごろに何とかというふうなことで検討しているように聞いております。
 この研究会においては、課徴金制度のことももちろん含めまして、独禁法の措置体系全体のあり方について研究しているわけでございます。ですから、この課徴金の問題も、また制裁減免の問題も、これも検討の対象になっているというように承知いたしておりますので、そういうことをあわせて結論を出してもらえるものというように期待いたしております。
大島(令)委員 罰金が少ない韓国においても制裁減免制度を導入しているということでございますので、ぜひ、省令という私たちが見えないところではなく、法律の改正という中でされるのか、どういう形での方向なのか、それに関して、どちらの方でも結構ですのでお願いします。
竹島政府特別補佐人 先ほど申し上げた検討プロセスを経て、仮に、制裁減免措置、課徴金減免措置を入れるべきだという答えになった場合には、これは当然法律事項になろうと思います。
大島(令)委員 では、次に、公正取引委員会の権限についてお伺いします。
 公正取引委員会の持つ調査権限は、犯罪捜査のような強制的なものではなく、相手の同意が基本的に必要なことであるから、調査に限界があると思います。脱税ですとか証券取引法違反には犯則調査権限が認められていますが、この違いはなぜなのか。是正することは、先ほどの秋までに結論を出すという中で検討されていないのか。どうでしょうか。
竹島政府特別補佐人 抑止力、執行力の執行力として犯則調査権限を持つべきではないかというのは、これからの検討課題の一つでございます。
 現在は、これは任意の調査、ただ、その調査妨害等に遭いました場合には罰則つきということになっていますから、半分強制的なものになっておりますけれども、あくまでも身柄の拘束とかいうことはできないわけでございまして、犯則調査権限とは違います。
 これはやはり行政処分であるということで、現行法はそういうことになっているんだろうと理解しておりますけれども、これからは、やはり行政処分をさらにきちっと効果あらしめるための見直しも必要でございますが、同時に、いろいろなケースを見て、悪質なものというのは最後はやはり個人をどう罰するかということになるというのは、どうも洋の東西で確認されていることでございまして、その場合には、特に犯則調査権限というのを持っていないとなかなか実効が上がらないという現実があるというふうに思いますが、これは単純な話ではございませんので、いろいろ総合的に、多面的に検討して答えを出していかなきゃいかぬというふうに思っております。
大島(令)委員 官房長官に伺いたいと思いますが、過去に調査妨害の例というのがないということですが、特に談合など証拠が見つけにくいということを考えれば、私は、犯則調査権というのは検討課題、やはり最も高い位置で入れるべきと思うんですが、どのように思っていますでしょうか。
竹島政府特別補佐人 恐れ入ります。やはり、一つ、持った方がいいという御意見がございます。ただ、本当に持つ意味があるかどうか、どういうふうにそれが使えるかということの吟味も必要だと思います。
 私個人は、やはり行政処分がこれからもメーンであり続けるというふうに思っておりますが、伝家の宝刀的に、現在は刑事告発ということになっているわけですね。公取が調べて、これは重大、悪質であるということであれば、先ほど御指摘のあったようなケースに見られるように検察に刑事告発をするということになっておるわけですが、やはり場合によっては、同時に入って拘束するということも必要になる、そういう犯則調査権限を持った方がいいという考え方もあります。
 したがって、決して否定的ではなくて、そういう御意見も十分踏まえて、先ほど申し上げた、学識経験者の意見もよく聞き、各界の意見も十分闘い合わせて具体的な改革案というものを練り上げていきたいというふうに思っております。
大島(令)委員 各界ですとか学識経験者ということではなく、やはり、審査する職員が審査しにくい。先ほど、防衛庁の調本のジェット燃料でも、非常に資材の調達の金額が、防衛庁全体の予算が年間五兆円、その中で資材が一兆円ぐらいあるわけですから、これはやはり税金ですよね。カルテルということで最低価格を決める。比べようがないわけじゃないですか。
 そういう意味で、いろいろな、これが必要だという意見は、非常に事件が、行政調査というのは難しい。やはり相手の協力なくしてできない。そういうところで、委員長としては、じゃ、自分が公正取引委員会の委員長として、市場の番人としてどういう体制が強化できるかということを考えれば、私は、犯則調査権というのは、委員長の方からやはり望みたいような権限だと思っているわけです。
 違反行為に対していかに対応するか、これはやはり違反行為ですよね。ですから、消費者ですとか企業家の中でも、善意の企業家もいるわけなんですね。あと、公共事業であれば納税者である国民、県民、市民、そういう人たちの税金が投入されているわけで、消費者、企業家、納税者、そういう人たちの利益につながる、そういう意味から考えれば、やはり公取のいろいろな権限が強化されるべきだと思うわけなんです。
 そういう観点から、犯則調査権、この権限があった方がいいのか、積極的に必要だと考えるのかどうか、もう一度御意見を伺いたいと思います。
竹島政府特別補佐人 犯則調査権限についても、前向きに検討させていただきたいというふうに思っております。
大島(令)委員 前向きとか検討という言葉は、私たちにとっては非常にあいまいで、追っかけられないんですね、その答弁に対して。ですから、この場しのぎで前向きにとおっしゃっているのか。
 では、ここの委員会の質疑の中での意見を、実際の委員長のお立場でどのように考えて反映していくのか、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
竹島政府特別補佐人 これは独占禁止法の改正になるわけでございますので、当然国会の御判断をいただかなきゃならない話でございます。
 今は、まだ我々は、我々の内部で学識経験者を集めて勉強しているという段階でございまして、これでいろいろ多面的に検討した結果、こういうことをどうぞぜひお願いしたいというところになりましたら、法律改正の形できちんと御説明をさせていただく、こういうことなわけでございます。そのときに、今の犯則調査権限はどうだということについて、私個人は前向きに検討、本当の意味で、答弁で申し上げているだけじゃなくて、前向きに検討する価値があるというふうに思っております。
 ただ、これは容易ならぬことがありまして、要するに、抑止力とか執行力を高めるのは何も犯則調査権限だけじゃございませんので、いわばほかのものとかみ合わせて、どうやって抑止力、執行力が上がるかということを検討しなきゃなりませんので、これは先決めというような感じで申し上げることはできませんけれども、大事な権限である、それを持った方が公取のためになるだろうという点は十分に理解できますので、そういう意味で、前向きに検討させていただきたいということでございます。
大島(令)委員 日米構造協議の中でも日本の公取の体質が批判された経過、官房長官も委員長も御存じだと思います。そういう中で、法改正が何度か行われてきたわけなんですね。ですから、個人的なということではなく、やはり公正取引委員会の長として受けとめていただきたいと思います。
 最後の質問ですけれども、公正取引委員会は、委員長と四人の委員で構成されておりますけれども、官僚出身者が多いですね。官僚出身者でなければならないわけは何でしょうかね。
竹島政府特別補佐人 私は任命された方でございまして今の御質問にお答えしにくいのですが、いずれにしても、独占禁止法で委員長並びに委員は独立して職務をするということになっておりまして、当然、独立性と中立性というのが求められておりますから、出身が何かということで、官僚であれば独立性、中立性がないとは言えないはずでございます。国家公務員法でこれは国民全体の奉仕者ということになっているわけでございまして、そういう意味で、決して役人出身が欠格条項というのに当たるとは思っておりませんけれども、いずれにしても、この法律が決めているとおり、厳正、中立に職務に励ませていただきたいと思っております。
大島(令)委員 独立性とか中立性の観点から問題ない、そういう理由はどういうことなのか説明してほしいんです。
 やはり、天下り先とかいろいろなことが指摘されているわけですね。初代の委員長だけ民間人で、調べましたところ、後はずっと官僚出身者で来ているわけなんです。そういうことをどういうふうに受けとめていらっしゃるんでしょうか。
 委員長御本人の心構えは別として、国民から見ましたら、やはり何かそこに理由があるのではないか、そういうものがあるわけなんです。そういう疑問点に対して、お答えいただきたいと思います。
竹島政府特別補佐人 公正取引委員会の委員長とか委員というのは、内閣総理大臣が国会の同意を得て任命するということになっておりまして、法律上は、法律とか経済の知識があって年齢三十五歳以上と法律に書いてあるわけでございまして、そういう意味では、それに該当する方はもちろんどなたでもなり得るということでございます。
 たまたま、過去そういう官僚出身者が多かったというのは事実でございますけれども、それはどうしてかということはなかなか、日本はそうなっておりましたという過去でございまして、これからについても、必ずそうであるということでは決してないことだと思っております。
大島(令)委員 国会の同意人事でございますけれども、私たち社民党は、官僚出身の方はいつも反対しているわけなんです。しかし、残念ながら国会の勢力の関係で、私たちの方が人数が少ないものですから、委員長も今回就任されましたけれども、市場の番人として取り締まる側にあるわけですから、私たちは、天下り先となっているという問題とか官僚出身者がなっていくことに対する疑問はぬぐえないわけです。
 時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。
村田委員長 中山義活君。
中山(義)委員 いつも、公取の関係で質問すると、最後は泣き言になるわけですよ。人数が少ない、審査官が少ない、もう必ず同じ答えで、きょう、私、委員長がどうしても委員会を開きたいというので、自民党の先生もばあっと来ていて、きょうは盛り上げなきゃいけないと思っているわけでございまして、つまり、公取を内閣府に嫁さんに出すわけですから、持参金のつもりで少しきつい質問をして、具体例を出してお答えいただきたい、このように思うわけでございます。
 もともと、政策を立案するという組織ではなくて、取り締まる組織だと私は思うんですね。取り締まらなきゃ意味がないと思うんですよ。イラクの査察でも、あれ、百人ぐらいの人が行っているでしょう。あの百人が適正であったかどうかというのは、本当は余り問われていないんですね。あれを千人ぐらいにすればもっと大量破壊兵器が見つけられたかもしれない。
 例えば、東京の中に、百人のお巡りさんで暴力団を全部摘発できるか、できないでしょう。だから、日本人の治安とか安全とかという面に関しては、やはりお巡りさんをふやしたっていいわけですよ。だから、行革というものは、国民のニーズに合わせるのが行革で、必ずしも人数を減らすのが行革ではないんですよ。
 そういう面から考えて、やはり委員長、いつも言っているんだけれども、ちっとも人数をふやしてくれない、それはだれが悪いんだかここではっきり言ってくださいよ。やはり取り締まる立場なんだから、後で、人数が少ない、審査官が少ない、これじゃできませんという泣き言を言ったら、初めからちゃんとそれを要求しなきゃ。おかしいと思うんですよ。必ず最後は泣き言。
 泣き言を言わないように、まず、その辺の決意をひとつ述べてください。
竹島政府特別補佐人 大変御激励をいただきまして、ありがとうございます。
 十五年度につきましても、私は十五年度予算からかかわらせていただいているわけでございますが、大変厳しい中で、結局は、政府部内、いろいろ、要求についての概算要求基準みたいなものもございますし、定員についても、増員については基準があって、そういう中で、無理に無理をお願いして、たしか七十名弱の要求をさせていただいて四十名の増員が認められている。昨年も、十四年度も四十名認められておりまして、それは、もっと多ければ多いほどいいんでございますが、率としては、現実的に考えますと、査定当局も大変な理解をしてくださっているというふうに思っております。
 このまま四十名ずついけば大変うれしいんですけれども、それはどうなるかわかりませんが、いずれにしましても、そういうことで、特段の配慮をしていただいているということは思っておりますし、これからもそれはきちんと要求させていただきたいと思っております。
中山(義)委員 警察なんかでも、最近、大きな犯罪がどうも検挙されない。これは、いろいろ話を聞いていると、警官の人数も限られているとかというような話も出ているわけですね。ある程度人数がなきゃできないと思ったら、それはやはり要求してくださいよ。
 民主党は、むしろ、そういう公平公正な立場を守るために存在意義があると思っておりまして、公平公正にやるためには、そちらに話が行ったときにやはりすぐ対応できないと、ちょっと人数がいませんからとか後に回されたんじゃ、そのうち、中小企業のやっている商店街みたいなものがだんだんおかしくなってきちゃうんですね。もう早くやらないと、どんどんシャッター通りになっている。特に、大型店があちこちでできますね。そうすると、景気が悪くなってくると、商店街をつぶしておいて大型店が今度いなくなっちゃうなんというとんでもない事例まで出てきているんですよ。
 そういう面では、魚屋とか八百屋とか電気屋とか、そういう何屋というようなものが商店街からなくなっていく、ここには、よくよく考えてみると、やはり不公正な取引があるというふうに私は見ているわけですね。
 特に昨今、いろいろなチラシが新聞に入ってくる。あら、すごいなと思うのが随分ありますね。特に量販店の電気屋さんの値段等について、まず私は、ビラを出す前に、委員長はどのように感じているか。このビラを具体的に見せますと、ああ、あれかとわかるんですが、その前に、今まで、委員長になって、どういうような苦情が来て、どういうような指令を出して、または部下の皆さんに対して、これはこういうふうにしろ、すぐ行けとか早くやれとかとやったのかどうか、その辺をまずお聞かせください。
竹島政府特別補佐人 確かに、不当表示とか不当廉売、これは数も多いですし、処理に相当のエネルギーが割かれているんですけれども、私は、注意とか警告というのではなくて、悪質なものについてはきちっと法的措置を講じるべきであるということを内部で言っておりまして、注意ではやはり限界がある。悪質なものをきちっと法的に、これは残念ながら課徴金とか罰金という話ではございませんが、命令がきちんとできるようにすべきだと思います。
 競争が厳しいから、それぞれ切磋琢磨で、広告もいろいろなことでやっておられるわけですが、やはり不当表示というのは、消費者に誤認させるというのは非常に際どい話でございますから、当然制裁されてしかるべきなんだと思うのでございます。そういったものについて、個別にあった場合にはきちんと対応する。
 それから、不当廉売につきましても、ガソリンとか酒がよく申告があるわけでございますけれども、特に酒については、リベートというのがあっての不当廉売というケースもあります。リベートを出すのは、それは企業としての自由であって、やめろと言うわけにはいかないものだと思いますけれども、差別対価、差別的扱いというのは、これは当然独禁法上問題がある。多いものは多いなりに、少ないものは少ないなりのリベートというのは当然だと思いますけれども、同じような品を引いてくるのに、どういうわけか、合理的な理由もなく差別的にリベートで扱われているというのは、これは独禁法上大いに問題があると思っております。
 そういったところまでさかのぼってきちんと措置ができるような、ただ末端の小売屋さんが言ってこられる、そこにとどまらずに、どうしてそういう商売が成り立つのかというところまでさかのぼって究明すべきだということを言って、今努力しているところでございます。
中山(義)委員 先ほど弁護士さんの話が出ていましたが、例えば量販店なんかも当然弁護士さんはいるわけですよ。その弁護士さんに公取の方の法律を解釈するところが、負けちゃう例があるらしいんですね。どうも、ヤマダ電機さんはすごい弁護士がいて、あそこへ行くとやられちゃうというので、怖がっちゃっているという話も聞くんです。
 そういう面では、まず、法的に、相手に断固としてこういうことだと言って取り締まるようなしっかりした見識と知識を持っている人がちゃんといるんでしょうね。その辺をちょっとお答え願いたいと思うんですが。
竹島政府特別補佐人 それは、いると思っております。
 それから、これは景品表示法じゃありませんが、やはり下請法の改正でお願いしているんですが、きちんと公表ということも大事だろう。ただ注意というのはあれですし、警告といっても、相手がオーケーと言えば公表しないというようなことじゃなくて、さっき申し上げた抑止力みたいなものがやはりきちっときくようなことにしていかなきゃいかぬ。それから、悪質なものは当然法律的な措置を講じなきゃいかぬというふうに思っております。
中山(義)委員 結局、皆さんの方でヤマダ電機に注意しに行く、行くのはいいんだけれども、行って逆にその知識を吸収されちゃって、その裏をかいて相手がもっと強力なことをやってくるなんということはざららしいんです。だから、相手が上手なわけですよ。
 だから、こういう例えば不当廉売とか不当表示というのをやるところは、もうわかってやっているわけですから、公取が来たらこういうふうにうまく言いわけしようとか、こういうふうに逃げようなんということは考えていると思うんですが、その辺はしっかり考えないとやられちゃいますよ。その辺はいかがですか。
竹島政府特別補佐人 今の御注意、よく頭に置いて対応させていただきたいと思います。
中山(義)委員 だから、こういうことがいけないんだと言うと、ではこれはどうでしょうかなんて出されて、ああ、それはううんなんて言うと、もう向こうは、いや、だめと言わなかったからこれはやっているんだ、そういうようなことにもなりかねないんですね。だから、取り締まる側というのは、実は、本来はやはりもっと怖い存在でなければいけないと思うんですね。
 ですから、そういう面では、いろいろ自由競争だ何だかんだと言っていますが、やはり政策立案というよりも、むしろ公取というところは取り締まりに重点を置くべきだ、私はこのように思うわけでございます。
 今、小売家電の話をしましたが、大体年商で二千万ぐらい売っているところが普通らしいんですが、ヤマダ電機なんかは、二〇〇三年は一兆円に売り上げを伸ばそうと言っているんですよ。これは二千万の年商だとすると五万軒分ですよ。だんだん寡占状態になってきていることは事実なんですね。
 しかも、メーカーの上代がはっきりしなければ幾らでも値引きができるようなことを、要するに、公取の今まで言ってきたことを裏手にとって何とかうまくやっていこう。例えば、ポイント制度なんかもそうですよ。公取さんの方はどういう見解でこれを見ているのか、これを景品として見ているのか、割引として見ているのか。こういうところも、あいまいにしておくと相手はそれをうまく使ってさらに高度な、公取さんが取り締まれないような方向でビラやなんかつくってくるわけですよ。
 その辺をちょっと、後ろで、ほら、いつも取り締まっている人いるでしょう、取り締まり官。こらと言って取り締まる人が、こっちへ来てちょっと、一生懸命やっているということを言ってくださいよ。
鈴木政府参考人 不当廉売につきましては、私ども、審査局の中に公正競争監視室という特別の先端のチームを設けまして、寄せられるさまざまな問題に鋭意対処してきているところでございます。ちなみに、人員で申しますと、本局九名、地方事務所十一名、二十名で当たっておるところでございます。
 そして、昨日も、これは家電ではなく酒の問題でございますが、酒類につきまして四件警告を行ったところでございます。時々、注意では生ぬるいというお言葉も聞くわけですが、これは、周辺事業者へ影響が大きくならないうちになるべくやめさせたいということで迅速な処理を心がけていまして、平成十三年度としては二千六百件ほどございます。
 それの中から、悪質なものについてはその措置のレベルを上げていくよう、これはまた、先生御指摘のように、相手方もなかなか言い分がございますので、それを一つ一つ、これは法律に照らしてどうかということを立証していく必要がございますものですから、若干の手間暇がかかることはお許しいただきたいのですが、真剣に取り組んでいるところでございます。
中山(義)委員 とにかく取り締まる方は、やはりそういう厳しい態度で初めから臨んでいくという姿勢が大事だと思うんですね。何となく行って、お茶飲んで和気あいあいとという形じゃ絶対困りますので、お巡りさんでもそうですけれども、やはり厳しいということがすごく大事だと思うんですね。
 だからその辺をひとつ、何か私ども聞いていると、頼んでもなかなか時間がかかって、結局それをやめたころに調査へ行ったらもうそれはなかったとか、そういうケースも随分あるやに聞いているわけですよ。だから私たちは、一番大切にしたいのは、言われたらすぐやるということが大事だと思うんです。
 それについて、絶対数が、人数足りないのか、足りているのか、そこだけちょっとまず聞かせてください。
竹島政府特別補佐人 絶対数は足りていないと申し上げざるを得ません。
中山(義)委員 だから、これが現状なわけですよ。だから、電気屋さんの場合なんかも非常に、ある意味では、その値段の安さはどこからくるのかというと、先ほど田中慶秋先生も質問されました、リベートの件ですね。それとか、または売り場の店員のヘルパー、こういうことを無料でメーカーが出していく。それから、優越的な地位にヤマダ電機なんかはあるわけですよ。だから、メーカーに相当厳しいことを言って値段を下げさせていく。それで、もしヘルパーが来なかったらその品物は売場から撤去しちゃうよ、こういうような条件を突きつけられれば、そこのメーカーの社員を出していくというようなことで、もう全然値段に格差がついちゃう、こういうことがあるわけですね。
 先ほどのポイントなんかも、ポイントというものが景品なら一〇%より引いちゃいけないわけですが、これが値引きだとすると二〇%のポイントだとか、そういう大きいのがあるわけですね。これも、次の商品に対してポイントがつくわけですが、その商品を二〇%引いたのと一緒なわけですよ、基本的にはね。ある意味では、もう既に安い商品からまたさらに引くとか、いろいろなことが書かれているわけですね。ですから、見た方は、これは安いというふうに必ず思うような、実に巧みなものが書いてあるんですね。
 そういう面で、ちょっと私ども、個々の事例がどうのこうのというより、その前に、やはり査察官みたいな感じで行って、これはだめなんだよとばしっと言ってくることをしてくれないと、いつまでもこれは前へ行かないと思うんですね。
 だから、私たちはこういうビラが来ると、これはおかしいですねと言って、おかしいと。それで、おかしいと言われて、そこから時間がかかってしまうわけですよ。それで、その安売りを現実にやめさせることができるのかというと、それが終わったころ、注意したとか、一応言っておきましたとか、こういう話になっちゃうので、何か実態に即してこれがすぐ取り締まれるような方法というのは、やはり知恵を絞って編み出さなきゃならないと思うんですね。いつまでも同じことを繰り返すと思うんですね。
 ちょっと具体的なことを言いましょうか。例えば、さっき言ったポイント還元もそうですが、永久長期保証なんてある。ところが、さっきも言ったように、ちょっと売り上げが悪いとそこは撤退しちゃうんですよ。だから、永久長期保証なんといったって、店がなくなったら、じゃ、だれがそれを保証するのか。こんなことも書いてあるんですよ、みんなここに。
 だから、これを全部読むと何かおかしなことが随分書いてあるんですが、こういうものを読んだときに、どういう反応をするわけですか。例えば、三つがおかしいと思ったら、どういう反応をするんですか。どういうことをするんですか、現実に。
上杉政府参考人 お答えいたします。
 私どものこういった景品表示法違反についての現場というのは、監視室というものを持っているわけですけれども、そこにチラシが寄せられたということでありますと、やはりその二点、そこはやはり消費者がそのことによって非常に有利な取引だと誤認をするかどうかということでございますので、例えば、字の大きさでありますとか、いかにも安いような感じかどうかというのを精査いたしまして、問題があれば事案として処理する、そういう対応をしているところでございます。
中山(義)委員 今のは、言い方として、誤認をした方が悪いということですか。誤認をした方が悪いということですか、誤認をしそうなそういう文章はいけないという意味なんですか、どっちですか。
上杉政府参考人 法律の要件は、一般消費者が著しく有利と誤認するかどうかということでございますので、私どもとしては、一般消費者、自分が誤認するかどうかは一つの判断基準かと思いますけれども、一般の人だったら、これだったら誤認するであろうな、そういうふうに思われるものについては、法の要件に該当するということで対応しているところでございます。
中山(義)委員 だから、そういう面で見ると、やはり若干厳し目に、自分だったら誤認するかなと思ったらば、それはやはり多くの人が確率的には誤認するわけですよ。
 私、前も、人数が少ないというのと、もう一つ聞いたのは、今の法律ではどうにもならないという言葉をよく聞くんです。委員長、今の法律ではどうにもならないというようなところがあるんですが、さっき、独禁法で法律を改正すると言いましたね、何を変えればもっと取り締まりがきつくできるんですかね。
竹島政府特別補佐人 いわゆる不公正な取引方法というものの中に、おっしゃるようなケースも入ると思うんですが、それについて、課徴金の対象にもなっていないし、罰則の対象にもなっていない。やめなさい、今度こういうことをしちゃいけませんよ、どういう改善措置を講じましたかということにとどまっているわけなんです。ですから、そういうことは余り意に介しないという方は何回でもやっちゃう。やはりこういうものは、そういう累犯とか、本当に悪質だ、もう詐欺まがいだというようなものについてはきちっと罰則をもって対処できるということにしなければいけないんじゃないかと思っております。
中山(義)委員 今の不当表示を詐欺罪で訴えることはできないんですか。もし、例えばそれが実際うそだった、三十人に対してキャッシュバックをするとかと言っていて、実際は全然キャッシュバックしていなかった。例えば三十人に一人ですね。ところが、ずっとほかの人が見ていて、本当に三十人に一人やっているかというと全然やっていなかったり、そういうのを例えば見たときに、これは詐欺だと、こういうことで量販店のやっていることについて取り締まることはできないんですか、これは別の法律ですけれども。
上杉政府参考人 今詐欺罪かどうかというお尋ねですので、私どもとしてはなかなか判断しかねるところでございますけれども、今具体的におっしゃった、例えば何人に当たるとか何人には上げるといって実際には上げていないということで、そういう事実関係であれば、それを見て我々の法律に該当するかどうかを判断することはできると思いますし、その過程で明らかに詐欺まがいといいますか、そのような疑いがあるということであれば、関係当局にちょっと照会して、そちらで何とかなるのかどうかも照会した上で対応するなどのことは可能かと考えております。
中山(義)委員 こういう不当表示を見ますと、五十人に一人は必ずキャッシュバックされるとか、いろいろこういう、本当にそんなことがあるのかなと思うようなことが随分書いてあるわけですね。この不当表示が、一番、端的に言うと、こういう電気屋さんが安いと思うわけですよ。ほとんどのお客さんが安いと思う。町の電気屋さんは行かなくなるわけですね、だんだん。そういう面から見ると、だんだん寡占状況になってきて、それで自分たちがこれはもう永久保証だといっていて、そこでその店がずっと永久にあればいいですよ。結構、売り上げが上がらないと、勝手にぽっと行っちゃうんですよ。
 ところが、商店街の方は、そこで生まれ育って、町会長をやっていたり、町会の役員をやっていたり、奥さんは婦人部長をやっていたり、地域で消防団だ、防災団だ、青年部だ、お祭りの睦だ、みんなそうやって地域をつくっているわけですよ。無責任に入ってきた人たちがばっと値段を安くして電気屋をつぶしておいて、自分たちがいなくなっちゃう、こういうことなんですね。だから、やはり中小企業を守るためには早く手を打ってくれないと、商店街がつぶれちゃってからじゃもう遅いわけですよ。
 そういう面で、この不当表示または不当廉売について、本当に中小企業を守るという立場、つまり、公平公正に、大きいところも小さいところも同じように商売ができる。これは、私どもは単なる値段の問題じゃないと思うんですよ。やはりアフターだとかケアをしっかりしながら、買ってもらったものの修理だとかをやっているはずなんですね。だけれども、余りにも値段が違い過ぎるとそれじゃ追っつかなくなってくるわけですね。
 だから、その辺もう一度、中小企業を守る立場で公平公正なやり方をするというように、やはり公取の方でしっかり決意を持ってやってもらわないといけないわけです。
 さらに、もう一度言ってもらいたいんですが、人数がどのくらいいたらそれができるのか。これははっきり聞いておけば目標値ができるじゃないですか。いつも四十、四十とふえていっても、何だかふえているんだけれども実効性が上がらないというような感じもしないでもないので、ちょっとその辺の決意を聞きたいんですが。
竹島政府特別補佐人 職員は、人数も大事でございますが、私は、やはりそれに対する措置、今は先ほど申し上げましたようなことしかできない。やはり、きちっとした罰則の対象にするということの方が効率的でありますし、むしろフェアではないのかなと。フェアといいますか、仕組みとしてはその方がいい。スピード違反と同じと言ってはしかられますけれども、数をふやして本当にきちんと悪平等がないようになるのかと。
 やはりある程度の人数は必要ですが、むしろそういう、先ほど申し上げている措置体系の中で多くを考えていったり、これから、景品表示法の扱いというのは、根っこは独禁法でございますから、独禁法の不公正な取引方法というものについて今のままでいいのかどうかということを検討する方が早道ではないかというふうに思っております。
中山(義)委員 ちょっとよくわからないんですが、では、さっきの、例えばこういう大きな量販店で常に弁護士を雇って公取が来るときに備えている。こういうのは、ある意味じゃすごく悪質だと思うんですね。
 ある人に聞いたんだけれども、ヤマダ電機さんの弁護士さんはおっかないから公取が行かないとか、そういうことがもしあったとすると、これは聞いた話だから、書いたものをもらったわけでも何でもないから、もしそういうことがあったとすると大変なんです。
 相手が強い弁護士がいる、だから公取が行っても煙に巻かれちゃう、こういうことがあり得るような気がするんですが、本当に取り締まり官がそういうものに打ちかってばしっとやれるかどうか、この辺をちょっと私はぜひとも答弁をいただきたいと思うんです。
竹島政府特別補佐人 それは、きちんと事実を把握して適正なことをやるのがもう当然なことでございますから、弁護士云々の次元の話ではない。そういう個別具体的な事例がある場合には、その被害を受けた方々からの申告もあり得るわけでございますので、そういうものについては、きちんとした対応をこれからもとっていきたいというふうに思っております。
 そんな、弁護士によって遠慮するとかいうようなことは、あってはならないことでありますし、もちろん現実も私はないと思っております。
中山(義)委員 それから、もう一度最後に確かめますけれども、さっきの有利誤認というのがありましたね。
 誤認をするという基準といいますか、さっき自分の判断も基準だと言いましたけれども、これは結構、はっきりとした基準がないものですから、見方によっては、これは、いやいや、相手側が言っているんですよ、相手側にすると、いや、これは読み方が悪いんだ、実はこういう趣旨で書いてあるのにおたくらが勝手に読んだ、勝手にお客さんがこういうふうに解釈したというふうにとらえる場合があるんですが、この辺、この問題について少しはっきりとした基準がないというのはまずいと思うんですね。何がいけないのか、これはだめということはないんですか。
上杉政府参考人 先ほど私の方で説明させていただきましたのは、条文そのものの規定でございます。
 これは、不当表示の問題というのは日本の津々浦々で起こることでございまして、かつ、およそ広告を打つような商品あらゆるものに適用されるわけでございます。したがいまして、法律ができて三十年ぐらいたっていると思うんですけれども、その間に、いろいろな照会に対する回答文書でありますとか、あるいはそれらをまとめたガイドラインでありますとか、そういったものがかなり法令集にすると分厚くなるぐらいにありまして、それをもとに、例えば今のような御指摘であれば、当該事業者のところへ行って、これに該当するからおかしいと。
 そのときに、相手方が、いや、そうはいっても、それは単なるガイドラインで、法律に照らしたらこうだこうだという議論をすることはあり得ますけれども、それに対しては、委員長からも申し上げましたとおり、我々としての経験と見識に基づいてきちんと対応するということでやっておりますので、今のように基準がはっきりしないからうやむやになってしまっているということはないと思いますし、また、そのような指摘がある分野であれば、やはりそこを、ガイドラインをつくるべきとかそういう御指摘をいただいて、我々の方で検討させていただくということが必要ではないかと考えます。
中山(義)委員 例えば、雪印乳業なんかはBSE関係だとか、いろいろな、日ハムの問題もありました。やはり不当に表示することがその会社を、自分の会社をつぶすことにもつながるわけですね。
 ところが、幾ら不当表示をやってもまたやって、何回でも平気でやるという人は何なんですか、やはり取り締まりが弱いから何回でもやるんですかね。ところが、食品の不当表示みたいなものに限っては、それでもう営業停止になったり何かやっていますよね。この辺がよくわからないんですよね、同じ不当表示でも。
 片方は、雪印ブランドなんというのは、ある人が言うのは、やはり二千八百億円ぐらいのブランド価値があった、それが一夜にしてなくなった、そのくらい大きなものだというわけですよ、食品の場合、不当に表示をするということは。これだけ大きな罪になったり社会的な制裁も受けるのに、どうしてこういういいかげんなことをやっていて受けないのか、この辺がちょっとわからないんですが。その辺ちょっと、委員長、どういうわけなんですかね。
 何かもうちょっと取り締まるすべはないのかなと思うんですが、このままいくと本当に近くの電気屋さんがなくなっちゃうからね。大事なときに、蛍光灯持ってきてくれとか、電球持ってきてくれとか、便所の電気が切れたとか、本当に、お年寄りにしてみれば地元の電気屋さんを非常に頼りにしているわけです、いろいろな意味で。そういう人たちがみんないなくなっちゃうんですよ。
 だから、やはり少しでも早くこういう措置をしてもらいたいと思っているんですが、ほかの不当表示と何で、これはしょっちゅう、何回でも何回でも、集めたらこんなにビラがありますよ。何回でも出せるんですね。反省の色がないし、反省の色がないというよりも、これは法律に触れないから何回も出しているのかね。それの見解をちょっと示していただきたいと思うんです。
上杉政府参考人 どのチラシで申し上げるかでなかなか難しいんですけれども、たまたま私が目にしているチラシ等で見まして、三〇%引きである、あるいは請う御期待とかいうような表示があったということで、我々としてもそれを精査いたしますけれども、それによって消費者が、本来の価値、本来のものよりも有利、これを買った方が有利だなと誤認するかどうかということでございますので、そう簡単に、三割引きと書いてあったけれども実は二割引きだ、それは判断が容易なんですけれども、レジでどうだということで誤認するかどうか、あるいは請う御期待ということで一般消費者が誤認するかどうか、これは非常に難しい判断だと思いますので、先生おっしゃるように、こういった事業者が何度も何度も同じような違反をやっているというふうには認識していないところでございます。
中山(義)委員 いや、僕らが例えば選挙のときに、私、今五十八になっちゃったんですが、これを五十三歳とか、こうやって偽ると、これは、法的な措置がやはりあるんです。同じように、やはり買う人というのは、給料で、本当に汗水垂らして働いたお金ですよ。それで買うわけだから、やはり余りひどいものについてはもっと厳しくやってくれないと、いつまでたっても変わらないと思うんですね。
 それともう一つは、やはり大型の大量販売店が相当なシェアを占めているんですね。例えば七〇%とか八〇%を占めているわけですよ。酒屋さんでもそうですよ。安売りの酒屋さん、東京でいいますと、安売りの方が大体八〇%ぐらい占めているんですよ。それで、あとの三割か二割か、その辺が一般の小売屋さんなんです。だから、量販店の方がだんだん大きくなってきちゃって、それが寡占状況をつくってきちゃっているんですね。
 こういうことは極めて怖いことだと思っているんですよ。町で本当に自分で自立して商売をやって頑張っている人たちが、とんでもない大型店が出てきたことによってつぶされちゃう。しかも、つぶされた後にその大型店がなくなっちゃう、こういうことまであるわけですから、その辺のしっかりした規制をやってもらわないと、町の電気屋さんも酒屋さんもみんななくなっちゃう、こういうことだと思うんですね。
 その辺をぜひ、不当廉売または不当表示、こういうものについて再度委員長に決意を述べてもらって、少しでも早く、少しでも強く取り締まってもらいたい、こういう要望なんで、ひとつ決意を。
竹島政府特別補佐人 消費者が不当に不利な扱いを受けるということのないように、具体的に今御指摘のありました不当廉売それから不当表示、これについては、個別具体的な案件をきちんと影響の大きいものについては取り締まっていくということでさせていただきたいと思います。
中山(義)委員 これからも恐らく電気屋さんや何かの、また酒屋さんの要望なんかもあると思うんですね。それは皆さんも真摯に受けとめていただきまして、個別具体的にいろいろ聞いていただきたい、このように思うんです。
 それから、酒屋さんの方でも、我々は、何とか今の規制緩和を三年ぐらい、激変を緩和するために延長したらどうか。今のような状況で、もうとにかくコンビニでも何でも全部酒を置き出したら、一発でもうおかしくなっちゃう、過当競争で。
 最近、余り過当競争で、これは公取さんとは関係ない問題かもしれませんが、安易にお酒が入るために、私はある運動会に行ったら、小学校ぐらいだろうと思うやつがわいわい騒いでいるんですよ。いやに盛り上がっているなと思って行ったらば、チューハイなんですよ。だから、酒が本当に自由に買えるのはいいんですが、やはりそういうものというのは、これは公取には関係ないかもしれないけれども、余り大量に売るというようなことはすごく問題があると思うんです。
 もう一つ、薬もそうなんです。昨今、見ていますと、薬を安く売っていますね、いろいろ。私はこの間、質問のヒアリングの方にも言ったんですが、食間で薬を飲むというと、食間だから食事の最中薬を飲むんだろう、こう思うでしょう。食間というのは、食事をしてから二時間後が食間なんです。委員長、わかっていましたか。薬だって安く売ればいいというものじゃないんです。薬だって、間違ったものを口の中へ入れれば副作用があるんですね。
 そういう面で、よそより安く売る、不当に廉売をする、しかし、その裏にはどこかで安全というものが守られていないという基本的なところがあると思うんですよ。だから、安全と規制というのはある程度一緒かもしれません。だけれども、規制緩和と安全を失うということもまた同じレベルにあるような気もしますので、安全を守りながら、あるところには規制をしながら、自由な競争をさせていく、この辺をしっかり、内閣府へ行きましたら、経済産業委員会でがんがん言ったことをひとつ思い出していただきまして、ぜひ公平公正、中小企業を守ってもらいたい、このように思うわけでございます。
 それから、もう一つ、ちょっと銀行のことで質問したいんですが、委員長がいつか、優越的な地位にある者が非常に優越的の、下に見ている者に対して厳しい、いろいろ、約定書であるとかそういう契約を交わしている、そういう実態があるわけですね。
 銀行なんかも、私どもは新しい法律案を出したんですが、実態を見てわかったんですが、銀行を規制する法律というのはないんです。貸金業に対しては、または証券会社とかそれから月賦屋さんみたいに、そういうところは規制する法律があるんです。実は銀行には規制する法律はないんですね。だから銀行は、ユーザー、お客さんの方と契約を結ぶときも、法律の手続によらず何とかと書いてあるわけです。それは、金利を上げたり、後から担保をとったり、さらに第三者保証をとったり、そういうことが約定書の中に、法律の手続によらずと書いてあるんですよ。
 私はやはり、契約というものは、本来、初めにやった契約が一番大事なんですね。だから、例えば最近の提案型融資を見ていますと、十年前に、あなたのおたくのおじいちゃんの土地でしょう、これね、相続大変だから二十階建てのビル建てなさいよ、うちが三十億出しましょう、テナントも全部入れましょう、こういうふうにやったわけですが、昨今の不景気でテナントは出ていっちゃう、マンションからもよそに出ていってしまったり、いろいろある。そこで、借金が払えなくなってくる。実業だけはうまくいっているんですけれどもね、自分の。だけれども、その借金でにっちもさっちもいかない。だけれども、初めの契約を見ると、提案をしたのは銀行なんですね。契約からいえば、その土地を担保にとって貸しているわけですから、これで契約は成立しているわけですね。後から土地の担保が少ないとかなんとかと言うのは、これは本当はおかしいわけですよ。
 こういう事例について、今後やはりいろいろな問題点が出てくると思うんですが、公正取引委員会としては、銀行とユーザーの関係というのは、これはどうですかね。
上杉政府参考人 銀行業に対しましては、独占禁止法の適用がありますので、当然に、不当な表示でありますとか優越的地位の乱用ということが問題になり得るわけでございます。これまでは、主務官庁の厳し目のといいますか、詳しい規制のもとで業務が行われてきたということもありまして、独禁法上問題になることは少なかったんですけれども、昨今の規制緩和の流れの中で、借り手、借りる側からいろいろな声が聞こえるようになった。それらを調査いたしまして報告書の形にまとめ、独禁法上問題となるような行為についての考え方を示したこともあるんですけれども、いずれにせよ、だんだん厳しくなるということでございますので、そういった優越的地位の乱用という観点から問題となり得る行為をできるだけ把握いたしまして、今のような声に対して的確に対応できるようにしたいと考えております。
中山(義)委員 契約締結時における書面交付義務というのをこの法律に入れているんですが、銀行さんの方で何かどうも契約書を取り交わしていなかったり、そういう事例があるやに聞いているんですが、私はちょっとよくわからないんですが、そういう約定書みたいなものも銀行の方にはあって、それで、それは、さっき言った、法律の手続によらず勝手に金利を上げたりなんかできるみたいなんですよ。大体、恐らく、町のいろいろな方に聞いてみればわかりますよ。銀行が金利を上げてきますから。借金の返済が滞っていると金利を上げてきたりする。これは、事実ですよ。そんなことは、そうしたら金利を上げていいなんて、絶対契約書に書いてない。書いてないはずなんです。
 私たちがつくった法律案には、これは今、ちゃんとそういう規制をかけた法律案をつくったんですよ。これはどこかでつるされてなかなかおりてきませんから成案になっていかないんですが、でも、これは僕は大事だと思うんですね。
 やはり、銀行とちゃんとした契約を結んで、その契約が守られていかなきゃおかしい。さっき言ったように、初めに土地を担保にしてお金を貸したわけですから、その担保が値段が下がっても、資産デフレで下がっていっても、そこで契約したはずなんですね、本来は。だから貸した方にも責任があるはずだということを私たちは言いたくて、こういう契約の条項をつくっているんです。
 これは自民党さんにもぜひお願いをしたいと思うんですが、やはり、本当に、中小企業が大銀行から金を借りて、いつも大銀行からいじめられるのは中小企業なんですね。そして、結論から言いますと、大銀行が扱っている大きなところは産業再生機構に行くわけですよ。それで救われちゃう、債権放棄されちゃう。では、中小企業はどうなのか。民事再生法だって認められませんよ、最近。本当に小さいところは民事再生法なんか認められない。とすれば、大企業と中小企業はこんなに格差がある。公平公正じゃないじゃないですか。
 銀行さんが、いつも、中小企業は小さいからつぶせる、ところがでっかい大企業は大きいからつぶせない、これをやられていたんじゃ、いつまでも中小企業は厳しい状況ですよ。しかし、九九・七%は中小企業で、そこで汗水垂らして働いている人たちがいるということを考えていただきたいので、優越的な地位にいる銀行が、我々を、特に庶民をいじめないような、そういう監視を公取でぜひやってもらいたいんですが、どうでしょうか。
竹島政府特別補佐人 金融取引においても、優越的地位の乱用という問題が起きた場合には、きちんと対応させていただきたいと思います。
中山(義)委員 要するに、我々が言いたいのは、銀行さんによって相当追い詰められて、自殺をするわけですよ。自殺とは言い切れませんけれども、夜逃げをしたり何かする場合がある。実は、酒屋さんだとかそれから電気屋さんなんかでも最近そうなんですよ。三年で四百八十人が酒屋さんでも夜逃げして、三十八人が自殺したと書いてあるんです。
 こういう現状を見ると、結局、商売がどんどん悪くなってくる。悪くなってくると銀行にお金が返済できない。しかも、個人保証されている。この個人保証というのは、保証として無限なんですよ。いつまでも保証で追っかけられる。最後はどこかに逃げなきゃならない。または、みずから自分の命を絶って、その生命保険か何かで借金を返すとか、そんなけなげなことを日本人というのはやっちゃうんですよ。そういうけなげな人たちをがりがりいじめているのが私は銀行だと思うので、この辺を、今後しっかり、不公正な取引または優越的な地位を利用して庶民をいじめている、こういう判断に立ってもらって、この法律案を後でお渡ししますので、ぜひ、自民党さんにもお願いをして、これを通してもらって、庶民が安全にお金を借りられるように、もう自殺なんか絶対ないように、そういうふうにさせたいと我々は思っているわけでございます。
 いろいろな意味も含めまして、委員長から最後に重大な決意を述べてもらって、私の質問を終わりたいんですが、これは、重大な決意とともに、もし、民主党、我が党に、もっと人数をふやしてくれ、こういう意見を言ってくれというのがあったら、我が民主党は受けますから言ってくださいよ。このくらい人数をふやして、こういう人たちを入れれば、絶対我が公正取引委員会はすばらしい事業ができる、このようなことまで言っていただいて、私の質問は終わりたいと思うんですが、いかがでしょうか。
竹島政府特別補佐人 競争政策の重要性というのが、そういうことで御認識いただいて、それを具体的にやっている公正取引委員会の定員の増強、それから我々が持っておるいわば手段の強化、こういうことについて、これから具体的に努力してまいりたいと思いますので、どうぞ御理解、御指導のほどよろしくお願い申し上げます。
中山(義)委員 今のお話をしかと聞きましたので、今後ともひとつ精いっぱい精力的に、日本のいわゆる商売や何かのお巡りさんになってもらいたい、このように申し上げて、私の質問を終わります。
村田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時三十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時一分開議
村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、公正取引委員会を内閣府の外局に移行させるための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、先ほど質疑を終局いたしております。
 この際、本案に対し、阪上善秀君外二名から、自由民主党、公明党、保守新党の三派共同提案に係る修正案が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。阪上善秀君。
    ―――――――――――――
 公正取引委員会を内閣府の外局に移行させるための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
阪上委員 ただいま議題となりました公正取引委員会を内閣府の外局に移行させるための関係法律の整備に関する法律案に対する修正案について、自由民主党、公明党及び保守新党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正案の内容は、施行期日につき、原案では「平成十五年四月一日」といたしておりますが、審議の現況を踏まえ、これを「公布の日」に改めようとするものであります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
村田委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、公正取引委員会を内閣府の外局に移行させるための関係法律の整備に関する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、阪上善秀君外二名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、谷畑孝君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、社会民主党・市民連合、保守新党及び宇田川芳雄君共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。中山義活君。
中山(義)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    公正取引委員会を内閣府の外局に移行させるための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)
  近年、我が国経済を活性化するため、市場における公正かつ自由な競争を積極的に促進することが重要課題となっていることにかんがみ、政府は、本法施行に当たり、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。
 一 近年における公正取引委員会の業務量の増大並びに業務内容の複雑化及び高度化にかんがみ、自由かつ公正な競争の実効的な確保及び法の厳正な執行による抑止力の強化を図るため、公正取引委員会の審査機能及び審査体制を、早急かつ抜本的に強化するよう努めること。
 二 独占禁止法について、違反行為に対する措置体系の抜本的な見直しの検討を含め、その一層厳正な執行力の強化を図るとともに、規制改革の推進、消費者政策の強化、不当廉売への厳正な対処及び中小企業取引の公正化等につき、経済社会の環境の変化に即応した適切な対応を図ること。
以上であります。
 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
村田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
村田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、福田内閣官房長官から発言を求められておりますので、これを許します。福田内閣官房長官。
福田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
村田委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
村田委員長 内閣提出、エネルギー等の使用の合理化及び再生資源の利用に関する事業活動の促進に関する臨時措置法及び石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計法の一部を改正する法律案及び発電用施設周辺地域整備法及び電源開発促進対策特別会計法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省産業技術環境局長中村薫君、資源エネルギー庁長官岡本巖君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長松永和夫君、林野庁次長松本有幸君、環境省大臣官房審議官小林光君、環境省総合環境政策局長炭谷茂君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木康友君。
鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。どうぞよろしくお願いします。
 まず、法案の審議に入る前に、最近問題になっています電力の危機に関する御質問を何問かしたいと思います。
 先日、三月十日に、健全性評価等に関する小委員会で、保安院がまとめました健全性評価についての中間取りまとめというものが了承されたわけであります。これによりまして、循環系の配管のひびというものはもう少し先にまた評価をしなきゃいけないんですが、いわゆる炉心シュラウドのひびについての安全性というものについては、ほぼ安全であるということが確認をされたということであります。
 これによりまして、東北電力の女川一号機、それから中部電力の浜岡四号機、東京電力の福島第一の四号機、福島第二の三、四、そして柏崎刈羽の一、二、三は、すぐに対策の必要もなく、安全に動かせるということが確認をされたということであります。特に、非常に電力危機が予測をされる中で、東京電力の保有している六つの原子力発電所につきまして、いわゆる委員会のお墨つきが出たということは非常に大きいことであろうと思うんですが、まず、この点について大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 昨年の十一月から、総合資源エネルギー調査会の小委員会におきまして、ひび割れが発見された炉心シュラウドや再循環系配管の健全性評価について七回にわたって御審議をいただいて、先般、中間取りまとめが出たところでございます。
 御指摘のように、その中では、炉心シュラウドについては、ひび割れの進展の状況を予測して十分な強度が維持されているか否かを確認する評価手法等は適当である、今御指摘の東京電力の六基の原子炉については、直ちに修理する必要はない、しかし、今後適切な頻度で点検を行うべきであるとの評価をいただいたところでございます。一方、再循環系配管につきましては、検査手法の信頼性が確認されるまでの間は修理を行うことが必要だ、こういう取りまとめをしていただいたところでございます。
 東京電力に対して指示した再発防止対策が同社からも提出をされておりまして、当省からの指摘も踏まえた社内体制の改善を図る内容であることから評価できる、こういうふうに思っております。
 さらに、東京電力の過去の自主点検記録の総点検についても、同社の最終報告において、新たに問題となるような事案はございませんでした。
 そういうことで、私どもとしては、ようやく全体的な道筋がついてきたところでございますので、大変御不信をお与えいたしましたので、現在、立地地域での説明会を行うなど、理解を得るべく、最大限の努力を傾けております。
 当省としても、今後とも、再発防止策等を確実に実施していきまして、そしてさらに事業者の皆さん方の取り組みを促して、国民の皆様方の原子力に対する信頼を一日も早く回復できるように努めて、そして、夏場の需要期がだんだん近づいてきておりますので、一日も早くそれを立ち上げるように努力をしてまいりたい、このように思っております。
鈴木(康)委員 今、大臣から御答弁をいただきました後段の部分、委員会で専門的な見地から安全性についての一定の評価が出た。あとは、今度問題になるのはいわゆる地元対策であろうと思うんですね。ここが一番肝心なわけでありますが、地元の皆さんに御理解をいただくという意味での地元対策についてのこれまでの経過と、今後どういうふうな予定になっているのか、あるいは方針について御質問したいと思います。
西川大臣政務官 その後の地元の対策の状況でありますけれども、健全性評価に関します中間取りまとめが三月十日に出てきました。それから、東京電力の再発防止策が三月七日に出てきましたので、一応、昨年からの不正問題への安全面での取り組みが大体出そろった、こういうことを勘案しまして、地元の説明会を始めてまいりました。新潟、福島の関係自治体や議会などに既に説明をさせていただきました。二十一日には柏崎市、二十三日には刈羽村で、原子力安全・保安院から、地元の皆様に直接説明をさせていただきました。
 説明会におきましては、原子力安全・保安院の責任など、大変厳しい指摘をいただきました。しかしながら、基本的な事項を含めて多くの問題がありましたけれども、予定時間を大幅に延長しながらも十分な説明を行ってきた、こう私どもは考えて、受けとめております。
 また、きょうも、それからあしたも、福島県の浜通り、富岡町と大熊町に出向いておりまして、十分説明をやっていこう、こういうことで行動しております。
 当省としましても、今後とも、地元の皆様からの疑問等に誠実に回答させていただいて、安全面での取り組みについて十分説明責任を果たしまして信頼回復に努めてまいりたい、こう考えております。
 以上です。
鈴木(康)委員 地元への説明にはどなたがいらっしゃっているんでしょうか。
西川大臣政務官 保安院長を初め、幹部がそろって出ていって説明をしております。
鈴木(康)委員 今、保安院長初め、保安院の幹部の方が説明に出向いていらっしゃるということであります。
 ちょっと意地悪な質問になるかと思いますが、大臣はちょっと御多忙であろうかと思いますが、これまで、副大臣あるいは政務官の皆様が福島あるいは新潟の現地に赴いた回数について御質問したいと思います。
松永政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年の一連の原子力発電所に絡みます問題が明らかになりました後、副大臣あるいは大臣政務官におかれましては、陣頭に立ちまして、再発防止策の立案や関係法令の改正作業の指揮をとっていただいておるところでございますけれども、今御質問の福島や新潟につきまして、この関連で公務で伺ったことはないというふうに承知をしております。
 今御指摘の地元の説明会でございますが、これは技術的にもかなり詳細な説明をさせていただいているところでございますけれども、どのような体制で臨むのかということにつきましては、地元の自治体ともよく相談をさせていただきながら進めているところでございます。
 本日、福島県の浜通りで説明会を開催中でございますけれども、ここにつきましても、佐々木院長以下の職員で対応させていただいているところでございます。
西川副大臣 私と高市副大臣、西川政務官、桜田政務官は、現地に出かけてお役に立ちたいという申し入れをしてまいりました。ただいま松永から御答弁を申し上げましたように、専門的な話もこれあり、また、東京電力も鋭意努力をしておられるという観点から、いずれその機会をいただけるものと思っております。
 決して、このことを軽く思ったりしている、そういうことではないということをぜひ鈴木先生に御理解いただきたいと思います。
鈴木(康)委員 今、西川副大臣から御答弁いただきましたけれども、私は姿勢の問題というのが問われてくると思うんですね。地元の皆さんに対してどういう姿勢で臨んでいくのか、本当に危機感を持って経済産業省としてこのことに対応しているのか。
 私は、最終責任はやはり経済産業省にあるわけですね、保安院にあるわけではないわけでありますから、役所の責任として、最終的には大臣がこの最高責任者であろうと思いますが、それを補佐する意味で、副大臣あるいは政務官の皆様が一度も地元に赴いていないというのは大変問題だろうと。
 これで、これからだんだん暖かくなって、ピークは夏場ですけれども、このままいくと、もう既に春からかなり需給関係が厳しくなるという予測も出ているわけでありまして、そうのんきな対応をしている場合ではないと思うんです。その辺、危機感というものはお持ちなんでしょうか、もう一度お伺いしたいと思います。
平沼国務大臣 御指摘のように、夏場の最需要期を控えまして、既に桜も一部開いてきている、そういうような中で需要も伸びてくるわけでございまして、私どもは、危機感を持って今対応に努力をしているところでございます。
 現地に対しては、私も衆議院で質問にお答えする形で、私を含めて、必要があればいつでも現地に出向いて立地の方々といろいろ率直にお話し合いをし、またお願いをする、こういうつもりでおりまして、私どもは、そういう決意で頑張らせていただきたいと思っています。
鈴木(康)委員 与党の自民党のエネルギー政策の責任者であります甘利先生が、この問題に対しては国がもっと前面に出てやはり責任を果たすべきだということを指摘されているんですね。私は、そういう姿勢で経済産業省がきちっと、事業者任せではなくて、責任者がもっと現場へ入って地元の理解を得ていくという努力が今後必要になってくるだろうと思いますので、その点、指摘をしておきたいと思います。
 それから、これからそういう御努力をいただくわけでありますが、夏場のピークまでに少なくとも、今後も含めてとまってしまう十七基のうちの半分程度の原発が再開をできないと、これは物理的に電力の供給が非常に厳しくなるということであります。順当に再開のめどが立てばいいんですが、そうでなかった場合には、これはどうしても停電というような最悪のケースも考えておかなきゃいけないわけでありますが、そうした危機に陥った場合の危機管理体制というものについて御検討されているのかどうか、その点についてお伺いをしたいと思います。
西川大臣政務官 今現在で、東京電力原子炉十七基中十四基が運転停止しております。これから定期点検へ入っていきますと残りの三基も四月中にとまるということになるわけでありますけれども、これをいかに順次運転をさせていくことができるか、それにかかっていると思います。
 東京電力におきましては、今停止しております火力発電施設の運転の再開等、可能な限り努力をして頑張っていく、こういうことをしなければ安定供給ができない、御指摘のとおりでございます。
 原子炉がこのまま本当に一基も運転を再開できなかったらどうするんだということになるわけでありますけれども、すべての原子炉が停止してしまいますと、夏場に向けての供給力が足りない、こういう状況はどうしても避けて通れない、こういう姿になってしまいます。
 でありますので、私どもは、これから最大限の努力をして信頼回復をする、これが当面最も大切なことでありまして、住民説明会を通して信頼回復に努めていきたい、こう考えております。
鈴木(康)委員 いや、それではお答えになっていないと思うんですね。それはもちろん努力をしていただくのは当たり前の話でありますが、最悪の場合に、例えば計画停電をこういう形で進めていくとか、当然その危機管理のシミュレーションに基づいた体制をしいておかなければいけないと私は思うんです。それが供給責任というものだと思うんですが、その点、そういうシミュレーション並びに対策というものを立てていないのかどうか、お伺いをしたいと思います。
岡本政府参考人 先ほど西川政務官から御答弁申し上げましたように、夏に向けて、ピーク電力需要は冬場に比べまして一千万キロワット以上、一昨年七月には六千四百三十万キロワットというピークが出ておりますので、原発の立ち上げというのに大きく依存するということは、先ほど政務官から御答弁申し上げたとおりでございます。
 それに加えまして、休止火力の立ち上げ、試運転火力から目いっぱい電気を得る、それから、西及び北海道からの緊急融通というものを可能な限り、これも周波数変換等の限界はありますが、その限界目いっぱいまでやるというようなことも含めて、先生御指摘のいろいろなケースを想定した準備というものは私どもやっております。
 ただ、夏場に向けて一千万キロワット以上ピークが伸びるという例年のパターンでございますので、それをにらみました場合には、やはり原子力発電所の一定程度の再稼働というものがない場合には相当、絶対的な供給力の不足というものが避けられない事態になろうかと思います。その場合における一種のコンティンジェンシーというものを私どもも勉強していないわけではありませんけれども、そのことを今お話し申し上げるのは、これは差し控えさせていただきたいと思います。勉強はしっかりやらせていただきたいと思っております。
鈴木(康)委員 それは、きちっとしたシミュレーションに基づいた対策を立てているけれども、諸事情があってここでは出せないというふうに理解してよろしいんでしょうか。
岡本政府参考人 冒頭大臣から御答弁ありましたように、安全性ということについての地元の御理解をいただくために、保安院中心に、それから電気事業者ともども精いっぱいの努力をして、地元の御理解をいただく努力を着々と今進めているところでございます。その状況というのを私どもとしてはこれから注視しながら、その上でその余のことを考えるということにすべきかと思いますので、そういう意味において、今、具体的なコンティンジェンシープランというようなものの中身についてお話し申し上げるのは、これは控えさせていただきたいと思います。
鈴木(康)委員 これ以上やっても繰り返しになってしまうと思いますので、できましたら差し支えのない範囲で、確かに、そういうものをすべて一〇〇%公開するということは、いたずらに危機をあおるということにもなりかねないことは私も承知をしておりますけれども、最低限、問題のない範囲でまたぜひ教えていただければと思います。
 さて、それでは、今回の法案についてちょっと幾つか御質問をしたいと思います。
 今回、エネルギー政策の見直しの中で、いわゆる石特会計が環境省と共管になるということでありますが、この理由あるいは目的についてまず御質問をしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 我が国の温室効果ガス排出量の約九〇%が、エネルギー起源のCO2でございます。
 地球温暖化対策推進大綱の策定を初め、地球温暖化対策の推進に当たりましては、これまでも、環境大臣とそして経済産業大臣が、地球温暖化対策推進本部の副本部長としてお互いに連携をして取り組んできたところでございます。
 今回のエネルギー政策の見直しの一つの柱といたしまして、地球温暖化対策の強化を図ることとしておりまして、これまでにも増して密接に環境省と共同で地球温暖化対策を実施していくことが不可欠であるとの認識から、石油特別会計の一部を環境省と共管することにいたしたものでございます。
鈴木(康)委員 一説によりますと、今回の石特会計のグリーン化ということと、環境省とのこの特別会計の共管という方針については、いわゆる環境税、二〇〇五年には導入をしたいという方針があると思いますが、この環境税の導入の議論を妨げない、そういう覚書を取り交わすということで環境省側が納得、了承をしたという一部情報があるわけでありますが、この点について、これが事実かどうか、お伺いをしたいと思います。
平沼国務大臣 エネルギー消費大国の責務といたしまして、地球温暖化対策への取り組みの一層の強化が不可欠であることから、私みずから、昨年十一月十五日に鈴木環境大臣と直接の話し合いの場を持たせていただきました。
 今回のエネルギー政策見直しの一つの柱として、地球温暖化対策を実施して、石油特別会計の一部を環境省と共管すること等の認識を、先ほど御答弁したとおり、共有したところでございます。
 その際、両大臣間で取り交わした文書においては、いわゆる環境税について、環境省が第二ステップでの政策の候補の一つとして検討していることが触れられているわけでございますけれども、これは、地球温暖化対策推進大綱の内容を確認したと私どもは思っております。
 これまでも、地球温暖化対策推進大綱の策定を初めとして、地球温暖化対策の推進に当たっては、両大臣が、地球温暖化対策推進副本部長として連携をして取り組んできているところでございますけれども、今般の見直しにより、さらなる連携の強化が図られるもの、このように私ども思っているところでございます。
鈴木(康)委員 それでは、環境省の方にお伺いをしたいんですが、今回のこの方針について環境省としてはどのように受けとめているか、御答弁をお願いします。
岡澤政府参考人 地球温暖化対策につきましては、昨年の三月に政府で定めた地球温暖化推進大綱によりまして対策を進めているわけでございまして、この中で、温暖化対策にはステップ・バイ・ステップのアプローチをとるということが書いてあります。
 二〇〇二年から二〇〇四年の第一ステップにおきましては、既存税制や特別会計のグリーン化を進め、その後、二〇〇四年に実施する評価、見直しにおいて必要とされた場合には、第二ステップ以降、早期に温暖化対策を導入するということを環境省としてはかねてから主張していたわけでございまして、今回の石油税の見直しあるいは石油特別会計の見直しにつきましては、この第一ステップにおける既存の税制あるいは特別会計のグリーン化として評価できるというふうに考えておるわけでございます。
 それから、今回の見直しを通じまして、当然でございますが、温暖化というのはエネルギーの使用と非常に密接な関係を持っているわけでございまして、経産省との協力によりまして、第一ステップの温暖化対策がさらに進展するというふうに考えております。
鈴木(康)委員 今度、先ほど大臣の御答弁の中でも、環境省と一部石油特会が共管になるということでありますが、その一部というのがどのような部分で、財源配分がどういうふうになるのかを御質問したいと思います。
岡本政府参考人 十五年度においては、環境省によるエネルギー特会を活用した予算は、総額六十億円でございます。地方公共団体等に対する代エネ・省エネ対策の促進支援、あるいは京都メカニズム活用のための海外での事業調査や人材育成支援等が中心になっていると私どもは承知をいたしております。
 今後の環境省の歳出規模につきましては、先生御推察のように、地球温暖化対策の進捗状況を見きわめながら、毎年度の歳出需要等を踏まえながら、環境省と財務省との調整の上で決められるものというふうに私ども承知をいたしております。
鈴木(康)委員 それは、環境省と財務省と、当然、経済産業省も含めてということでよろしいですか。
岡本政府参考人 私ども、環境省との間では、いろいろな協議会等を設けて緊密な連携を図っていきますが、予算については、基本的に環境省と財務省との間の調整ということになろうかと思います。
鈴木(康)委員 それでは、環境省の方に引き続き御質問したいと思います。
 CO2排出削減に向けていろいろな意味で対策をやってこられたと思いますけれども、環境税導入を前にして、これまでどういう対策を行ってきたかについて、まずは御質問したいと思います。
岡澤政府参考人 先ほど申し上げましたように、政府としては、昨年三月に温暖化対策推進大綱をつくって、その中で、例えば各種の省エネ・新エネ施策の強化、それからクリーン開発メカニズム事業の推進、吸収源対策の推進など百種類を超える具体的な対策のパッケージを示し、そのパッケージの推進に今取り組んでいるというところでございます。
 また、これにつきましては、ステップ・バイ・ステップのアプローチということで、節目節目で施策の進捗状況につきまして評価を行い、その評価の結果、施策の推進が不十分だというものにつきましては、新たな支援措置あるいは強化措置を導入するというふうなことで考えておるわけでございます。
鈴木(康)委員 余りよくわからなかったんですが、実態を見ますと、二〇〇〇年度の二酸化炭素排出量、特に民生、運輸部門で、一九九〇年度比で約二〇%増加をしているんですね。これは大変な増加率であります。京都議定書の我が国のCO2の削減目標を達成するために、当然この民生、運輸部門についてのさらなる省エネというものが必要だと思うんですが、これまでそういった対策が果たして効果が上がってきたのかどうか、その点、環境省としてどのように評価をしているか、再度御質問したいと思います。
岡澤政府参考人 御指摘のように、産業部門の方はある程度対策が進んできていますが、民生、運輸部門で削減の方向にまだ向いていないということがございます。結果的には、二〇〇〇年度では一九九〇年度と比べて八%の増加という高い数字となって、その主たる原因は、民生、運輸部門の増加分だというふうに考えております。
 ただ、運輸部門につきましては、一九九九年度につきまして初めて単年度として減少に転じておりますし、そういう意味では、それまでの施策がある程度効果を示してきているというふうに考えられます。
 それから、民生部門の施策につきましても、昨年の大綱で新たな施策の追加、例えば省エネ基準ですとかトップランナー方式の機器の拡充だとかいうことで新たな施策も追加をしておりまして、民生部門もそういうものがだんだんきいてくれば、今はまだ上昇傾向が続いておりますけれども、減少傾向に転じる可能性がある。
 そのためには、私どもも国民に働きかけて、そうしたいいものといいますか、省エネ製品の普及に国民がみずから取り組んでもらうような意識の啓発に今努めているところでございます。
鈴木(康)委員 それでは、CO2の削減というものを一つの目的にしている環境税でありますが、それが今どういう方向で検討が進んでいるのか、その点について御質問したいと思います。
炭谷政府参考人 温暖化対策税につきましては、環境省といたしましては、ただいま御説明いたしておりますとおり、ステップ・バイ・ステップのアプローチに沿って、二〇〇四年に実施されます対策の進捗状況の評価、見直しにおいて必要とされた場合には、第二ステップが始まる二〇〇五年度以降、早期にこれを導入するという方針のもとに検討をしているわけでございます。
 温暖化対策税は、温室効果ガスの排出に応じまして価格を変えることによりまして、消費者また事業者が自主的に、みずから行動を環境負荷の少ないものにするように促進する効率的な方法であると考えております。
 また、税収の使い道につきましてもさまざまな御議論があるところでございますが、環境省といたしましては、燃料電池や省エネなどの環境保全技術の開発普及、吸収源対策の推進といった対策に幅広く活用されれば、温暖化対策上の効果も得られるとともに、環境産業の発展等に続いて、我が国の経済の活性化、また、新たな雇用の創出にも資するものと考えているわけでございます。
 現在、中央環境審議会に設けております地球温暖化対策税制専門委員会におきまして、温暖化対策上の効果が得られるとともに、我が国の経済活性化や雇用創出につながるような方向で具体的な案の検討を進めていただいております。ことしの夏ごろまでを目途に取りまとめをしまして、世の中にお示しをし、国民の方々、関係方面の御意見をいただくとともに、また、御理解の得られるよう、私どもとして最大限の努力を傾けていきたいと考えている次第でございます。
鈴木(康)委員 時間が来てしまいましたけれども、端的にお伺いをしたいんです。
 その環境税の対象は上流部門なのか下流部門なのか。これも今検討されていると思うんですね。上流ということになると、やはりかなり産業界に対する影響というのは出てくると思うんですが、上流か下流か、どういう対象で検討されているのか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
炭谷政府参考人 課税段階のとり方も大変大きな論点の一つになっております。どのような場合効果的なのか、また、税務上の効率性といったような観点も考えなければいけないということにおきまして、上流、下流、それから場合によっては排出時という三つについて、実は昨年の六月、オプションが示されております。それのどれがよいか、現在、税制専門委員会のところで御検討いただいているところでございます。
鈴木(康)委員 特に産業界、今回のグリーン化でもかなりまた税金のことに気をもむわけでありますが、さらに環境税ということになりますと非常にセンシティブな状況になりますので、ぜひそういった、日本の国際競争力を落とさないためにも、産業界への影響というものを十分配慮して今後また検討していただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
村田委員長 奥田建君。
奥田委員 民主党の奥田でございます。
 鈴木委員に続きまして、質疑を続けさせていただきたいと思います。
 まず、今回の法案、何法かまとめて改正案を審議しろというところで、大変私自身の頭もややこしくなっています。さまざまな支援制度、交付金、そして特別会計あるいは特定財源といったものが絡み合ってきております。
 大臣にお聞きしたいんですけれども、この関連法案の改正根拠といったものは、エネルギー政策の見直しといったことが根底にあるということでよろしいでしょうか。
平沼国務大臣 先ほど来の答弁の中でも申し上げさせていただきましたけれども、やはり地球温暖化対策ということが、世界が取り組むべき非常に大きな課題でございます。
 そういう中で、私どもといたしましては、いわゆる温暖化対策の中で、特に環境に配慮した形で見直しを行っていかなければならない。ですから、そういう面では、歳出歳入とも含めて見直しの必要性がある。
 ですから、そういう意味では環境省と共管をして、京都議定書の問題もございますし、そういった問題に対処するために体制を整えさせていただく、こういう基本的な考え方があるわけでございます。
奥田委員 まず、順次、通告をいたしました、法案についての質疑の方にいきたいと思います。
 まず第一に、省エネ・リサイクル法についての改正もございます。こちらは支援事業の適用範囲拡大が主になるかと思いますけれども、会計検査院の指摘などでも、この支援制度ができて十年来、その効果を上げていないという指摘がございます。大臣の方から、こちらの、支援措置の評価についてお伺いしたいと思います。
高市副大臣 会計検査院の指摘に触れられましたが、これは、平成十三年度の決算検査報告において、実績が一件しかないといった部分をお読みになったのかと思います。これは省エネ分野のみの債務保証の実績に限定したものでございますので、この法律の支援対象であります省エネ、リサイクル、フロン分野の債務保証・利子補給措置全体では七十件ございます。
 この法律に基づきまして事業者が策定する事業計画の承認件数というのは、これまでで百六十二件ございます。債務保証、利子補給の利用実績は六十九件、それから課税特例の利用実績も八十一件、中小企業信用保険法特例の利用実績が十五件となっておりますので、この法律におきます支援というのは、省エネ対策それからリサイクル対策を促進する上で一定の効果があったものと認識をいたしております。
奥田委員 私の手元の資料と件数は大体同じですけれども、債務保証一つにしても、債務保証が発生すればいいというものではもちろんありませんけれども、こちらの債務保証、例えば今の残高、あるいは利子補給の現状で実施している件数あるいは金額、そういったデータがありましたら、教えていただけませんでしょうか。
高市副大臣 お待たせいたしまして申しわけありません。
 保証残高、合計でございますけれども、二十一億一千三十万五千円でございます。
 貸付金額、ちょっと失礼します。(奥田委員「別に参考人に答えてもらってもいいですよ」と呼ぶ)貸付金額が五十七億六千万円。はい、済みません。
奥田委員 利息補給が五十七億に対して、〇・四%ぐらいの、掛け算した数字になるかと思います。
 効果を上げているということはありましたけれども、会計検査院の指摘で効果を上げていないということが指摘されていて、省庁の方は効果を上げているということを言う。
 大臣も、諮問会議でも選択と集中ということをみずからの口でおっしゃっている方でもございますから、私は思想自身は間違ってはいないと思います。ただ、この制度を残して基金を寝かしておくことがいいのかどうかということを思えば、この方策というのはやはり疑問の残る方策である。例えば今の省エネ対策にしても、経産省自身が、ほかの制度のもとにみんな企業は行っているということは承知しているはずだと思うんです。ですから、選択と集中の中で、使われない制度と使われる制度の選択ぐらいはやってもおかしくないことであると私は思っております。
 予想している利用額の十分の一にもいかないような実態になっているというのが現実の数字だと思いますし、経産省の方も、例えば、今の利息補給の事業がどれだけだと言ったら、資料が出てこないです。十年前こうだったとかなんとか昔のことをやって、今はどうなんだと言うと、やはりそれを最初に持ってきてもらえない。こういう姿の制度あるいは省庁のやり方といったものに、私はとても同調する気持ちにはなれませんので、この制度も大きな問題をはらんでいる。これをまた十年引き延ばすのかと。
 基金の額自体は三十億強ぐらいだと思います。国の予算としては大きな問題ではないかもしれませんけれども、国自身がこれだけ貧乏な状態です。貧乏な会社あるいは貧乏な家なら借入金の返済に少しでも回していくというのが当然のことだと思いますので、ぜひとも御一考をいただきたいと思います。今は資金支援の改正の部分でございます。
 こちらの委員会あるいはほかの委員会でも、経産省もリサイクル政策というのは、個別法の中でおのおの出しております。今回、リデュース、リユースというところまで概念を広げて支援していこうということはすばらしいことであると思います。先ほど言ったように、考え方自身は間違っていないんだろうと。
 ただ、そのやり方の中で、例えば、私どもも、今のリユース、リデュースという思想のもとであるなら、デポジット法制、そういったものを訴えてもおります。あるいは、フロン法ができた後も、今度は特定フロンの密輸入といった問題が出てきたりしております。新しい企業の流れとしては、環境会計を導入したり、あるいはISO14000を取って、企業自身がライフサイクルアセスメントの視点から自分たちの生産活動を見詰め直していく。このような動きに対して、経産省がもっと誘導措置あるいは啓蒙措置というのをとっていくのが、私は、お金の利息を出してやろうとか、そういうことよりも、もっと本来の姿であると思っております。
 ぜひ経産省の方から、こういった省エネ、リサイクル、今は法律の中での論議ですけれども、リデュース、リユース施策といったものについての考えを教えていただきたいと思います。
中村政府参考人 お答えいたします。
 今般法律改正をお願いいたしましたのは、いわゆる京都議定書の地球温暖化の問題、さらには、御指摘のような最終処分場であるとか、もろもろの新しい状況の変化に今の法制が十分対応し切れていないという反省点に基づいたものでございます。
 そのような意味で、今般お願いしておりますものは、もともと廃棄物問題というのが、フロン問題も含めてでございますけれども、一国だけでできていない、地球温暖化問題もそのようなものであるということで、範囲を見直しまして、一つは、温暖化については海外の事業、それから、使用済みのいろいろな問題については、使用済み物品のリサイクルだけではなくて、リデュース、リユースについて政策の対象として広げていきたいという点でございます。
 それから、委員が御指摘にありました点でございますが、私ども、法律をつくって約十年たつと、新しい説明の場等々がなかなか設けられないこともあって、周知度がやはり落ちてきたという点は免れられないところでございます。
 つきましては、今般の改正がなりましたら、それをもって、各通産局を通じて全国の中小企業者等々に徹底を、施策の広報をやっていきたいというふうに考えております。
奥田委員 質問通告がなくて、ちょっと成り行きで質問しましたので準備もできていなかったと思いますけれども、今のような問いかけに、私たちはこういうことをやっていますということを、ぜひとも西川副大臣、御発言ありましたらお願いします。
 そのほかにも、私は、容器リサイクル法なんかもありますけれども、燃料課税ばかり考えるよりも、使い捨て製品に対しての、ごみとかの部分に対しては規制があってもいい時代だと思います。そういった使い捨て製品に対する規制であるとか、あるいは、電機関係の人に怒られそうですけれども、自動販売機一つにしたって、どうしてこんなにはんらんしているというような状況まで、自由なまま放任しなきゃいけないんだろう。これも少し限度がありますよ、そういった施策がもう出てきてもいいころなんじゃないかと思っております。ぜひともそういう視点も持っていただければと思います。
 西川副大臣、どうぞ。
西川副大臣 今、中村局長から御答弁を申し上げたところでございますが、奥田先生、環境の問題に大変お詳しく、また御熱心でございまして、常々敬意を表しております。
 私どもといたしましては、技術的なブレークスルーをこの三Rにおいてはしなきゃいけない、そのためには、やはりリサイクルしやすい素材を開発させる、それからリサイクルしやすい製品の設計、それから使用済み製品のリサイクルのための技術開発、そういう具体的なことに対して政策的に力点を置いてやっていきたい、こういうことを考えております。
奥田委員 どうもありがとうございます。
 続きまして、今法案で、特定財源、そして特別会計といったものが出てきます。個別のものに今は言及しませんけれども、こういう改正が出てくる前には、やはり大もとのところとして、これから国の財政、特別会計というものがどういう姿になっていくんであろうか、あるいは特定財源にしてもどういう姿になっていくんだということが、少なくとも政府の上で、あるいは内閣の上で見通しが立って、基本姿勢というものがあって出てくるべき、いじるべき法改正だというふうに私は思います。どうも、そこの大もとのところの議論が完結する前に小さな改正、緊急性があったかどうかわかりませんけれども、小さな改正が出てきてしまっているというふうに思います。
 そこで、二つ一緒でもいいですけれども、特別会計制度、もちろん皆さん御存じのことですけれども、今三十七会計で、歳入でいえば四百兆弱の大きな予算を持った特別会計制度、あるいは特定財源にしても、その使途を限られたものが国税収入の大体一〇%を占めている。
 こういった現状にかんがみて、これから、中期的な視点での特別会計制度、特定財源制度といったものについての大臣のお考えを示していただきたいと思います。
平沼国務大臣 特別会計制度というのは、今御指摘のように、大変膨大化して、そしてさまざまな批判があるということもよく承知をしております。
 したがいまして、これは、やはり国民のニーズにかなった形で、どういうあり方がいいかという形でこの特別会計についてもいろいろな角度から今検討されているということは事実だと思っておりまして、私どもも、特別会計のあり方というものもやはりよく議論をしながら、その方向性というものをしっかりとしていかなければいかぬ、こういう基本的な考え方を持っております。
 我が省に関する特定財源についての考え方を申し上げますと、エネルギー政策というのは、石油等の備蓄ですとか、あるいは石油、天然ガスの自主開発というような部分、先ほど来御議論いただいております新エネルギー・省エネルギーの推進、それから、非常に大切な電源開発の推進。ですから、どうしてもこういったことは、長期的な視野から計画的に遂行する、このことが私どもは不可欠だと思っております。
 このために、エネルギー特別会計のもとで、受益者負担の観点からその負担をエネルギー使用者に求めまして、所要の施策を実施している、こういうものだと思っております。
 このエネルギー特別会計につきましては、社会情勢の変化を踏まえて、これまでも、たびたびいろいろ見直しを行ってきているところでございまして、平成五年度には省エネルギー対策を追加するなど、累次にわたって法改正を行って、制度や歳出の見直しを行ってきたところでございます。
 今般も、一つは、京都議定書を批准したものですから、地球温暖化対策推進大綱をより着実、円滑に実施していくためには、エネルギー分野における地球温暖化対策の充実強化に早急に取り組む必要がある。それから、昨今の流動的な中東情勢、これも勘案をして、燃料源の天然ガスへのシフトなど、エネルギーセキュリティー対策を強化する必要がある。
 こういったことを踏まえまして、お願いをしております環境省との連携によるエネルギー起源二酸化炭素排出抑制対策の実施、省エネ・新エネルギー対策の拡充、それから天然ガスへのシフトの加速化など、エネルギー政策や歳出構造の見直しを行いました。
 そういった形で、私どもは、エネルギー特別会計について申し上げますと、特定財源について申し上げますと、先ほど申し上げたように、やはり中長期的な観点に立つことがこれは必要なことでございまして、石油開発のこと一つとりましても、あるいは備蓄一つとりましても、これは大変中長期的に、そして国民の生活の安定のために効率的、安定的にやらなければいけない、こういうことでございますので、私どもは、不断の見直しは行わなければならないと思いますけれども、やはり特定財源というのは受益者の負担に立った観点で推し進めていくことが望ましい、こういうふうに思っているところでございます。
奥田委員 私の耳には中長期的視野ということが残りましたけれども、私は、国の施策というものは、すべてとは言いませんけれども、八割方みんな中長期的視野のもとで予算をいただいているものだというふうに思っております。単年度主義がいいかどうかということはおきまして、この方針が毎年変わってもらってはだれもが困ってしまうということだと思います。
 今回の改正について、これは雑誌の上での意見でもありますけれども、どうしても特別会計を温存する色合いが強いんではないかという意見、あるいは、これは政府の方からですけれども、税収の使途を特定するということは、資源の適正な配分をゆがめ、財政の硬直化を招く傾向があることから、その妥当性には常に吟味が必要であるといったことが、これは税調ですか、言われておる。やはりこういった意見を反映した改正というものを私は望みたいと思います。
 私自身の意見で言えば、やはり特別会計なども、社会保障や保険的なもの以外は順次一般会計の中に入れていくことができる動きを今からとっていかないと、この国の国民負担をふやさないで財政を少しでも改善していくという道につながらないのではないかというふうに思っております。
 先ほどから、温暖化対策といったことも言われております。現状でクリーン開発メカニズム、これは私も環境委員会の中でも、これから京都議定書の目標達成のためには日本がやはり一番有効に使っていかなければいけない施策の一つであろうということは言わせていただいております。
 法案対象の中にクリーン開発メカニズムに対する支援というものも入ってきておりますけれども、今、クリーン開発メカニズム自体、国際間でどのような話し合いの中にあるのか。まだCOP8の中では結論は出ていないけれども、どうして今回法案の中に対象として入ってきているのか。ちょっと、今の環境会議の中でのクリーン開発メカニズムの現状と進行状況を教えていただきたいと思います。環境省、お願いします。
岡本政府参考人 先生御案内のように、COP3の京都議定書の際に、CDMあるいはロシアを含む先進国の場合の共同実施、ジョイントインプリメンテーションという大きな方向が議定書の中に盛り込まれた次第でございます。
 細部については、まさに今先生おっしゃったように、これからの議論が残っているところもございますが、実は京都の議定書採択の直後から、日本のせっかく進んだ省エネ技術、産業界、いろいろな分野に持っておりますので、CDM、JIともどもに、海外における候補プロジェクトの発掘ということで、FSについての私ども補助をして、数十のプロジェクトというものをアイデンティファイするというところに至っておりまして、これからいよいよ事業化という時期を迎えているところでございます。
 それで、CDMにやや類するものとして、私ども、省エネモデル事業というのを海外でやっておりまして、カザフスタンとの間で、CO2ベースで約八万トンのクレジットを日本にいただくということを前提にした省エネモデル事業の合意というものができ上がっております。
 さらには、これはロシアとの間ですけれども、ロシアが議定書に参加するということが大前提になりますけれども、そこの老朽火力を、日本の進んだ火力発電技術、コンバインドサイクルを含めまして、それで協力をしていくということができれば相当大きなクレジットの取得につながるということで、実は、制度の議論と並んで、こういった実態面における産業界の取り組みというのを着々と進めようとしておりますので、今回御提案申し上げております法律なりあるいは予算の措置を講じましてこういった産業界の取り組みを促すことが、グローバルな温暖化防止に大きく資するというふうに考えておりますものですから、今般のような提案にさせていただいた次第でございます。
奥田委員 環境省の方で、簡単にでいいですから、ロシアの方の今の自分たちの態度表明といったものの状況について御報告いただけますか。
小林政府参考人 私、環境税等々を担当しております審議官でございますけれども、今御指摘の点、承知のところということでございますけれども、ロシアの対応につきましては、御案内のとおり、京都議定書の発効のための大変大きな要件になってございます。
 いろいろなチャネルで今までロシアの加盟ということを働きかけております。例えば、UNEPという国連環境計画の場等々、あるいは外交チャネル、外務大臣あるいは小泉総理といったさまざまなレベルで加入を働きかけているということは御案内のとおりでございます。
 承知しておりますのは、加入時期については明言をロシアの方は避けておりますけれども、現在加盟の準備をしているということで、加入の意思あり、時期についての明示がないというふうに私ども承知をしております。
奥田委員 来年にも発効するであろうというふうに聞いておりますけれども、まだロシアははっきりと議会の中を通っているわけではないわけですね。――はい。
 あと一つだけ聞いていきたいと思います。二つぐらい聞けるかな。
 今、環境税、一つの炭素税の導入ではないということが言われておりますけれども、あるいはエネルギー転換に関して、エネルギーセキュリティーの面からエネルギーシフトを行っていくんだということも言われております。
 この中で、なぜ、石炭は環境の面からいえば理由づけはできるかもしれませんけれども、天然ガス、こちらの増税というものが今回入っているのか。あるいは、この後、環境税の導入ということが現実のものとなってくるときには、速やかにそういった調整というものは行われるのか。
 といいますのは、我が党の方では、税制中立を前提とした上で、二酸化炭素排出、炭素トンを換算基準とした一つの環境税、環境税といっても、これは大きなエネルギー関連税制を全部調整して組みかえるという発想の法案ですけれども、そういったものも準備しているわけでございます。
 今、先行的に石炭あるいは天然ガスといったことが、余り根拠がはっきりしないまま増税措置、課税措置がとられていくということについて、御説明をいただければと思います。
岡本政府参考人 石炭は、私ども、エネルギーの観点から見まして、安定供給あるいはそのコストの安さという点においては非常に重要なエネルギーだと考えております。他方で、CO2排出という面からは、化石燃料の中で一番排出原単位が高いというのは先生御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、エネルギー特会の中で、クリーンコールテクノロジーを中心とした石炭の対策というのは、これまでもやってきておりますし、これからもしっかりやっていかなければいかぬと思っているわけですが、他方で、税の負担という点におきましては、輸入炭に比べて割高な国内炭を、電力業界を初めとする関係の業界に引き取っていただくということが平成十三年度まで続いておりましたものですから、そういう状況下においては石炭について税負担をお願いするのが実態上難しいということで、見送られて今日に至っていた次第でございますけれども、石炭のエネルギー政策の中における先ほど申しましたような位置づけということにかんがみ、さらに思い切った省エネ・新エネ対策もやっていく、あるいは天然ガス等にシフトするという一連の今回の政策見直しに当たって、石炭についても応分の負担をしていただくのが適当であるというふうに考えるに至った次第でございます。
 天然ガスにつきましては、ガスシフトを大きく進めていく、それから、さらにはその延長線上で、燃料電池を初めとするガスの新しい利用技術というものを思い切って開発を進めていく、そのためには、将来に向けて相当多額の歳出需要というのが避けられないかと思いますので、必要最小限の形でガスについても負担を見直しさせていただいた次第でございます。
奥田委員 質問時間が来たようですので、自分の方から言うだけにしますけれども、先ほど受益者負担の特別財源というものがありましたけれども、これからいろいろなものが入ってくると、原因者負担といった考え方もやはりいろいろな税制の中では生まれてくることだと思います。余りに硬直化させることなく運用していただきたいと思います。
 また、温暖化で一つ言えば、先日、京都の世界水フォーラムに参加させてもらって、モンゴルの環境大臣とお話しさせていただく機会がありました。そのとき、私も知りませんでしたけれども、向こうの方では気候変動の影響をもろに受けていて、最高気温が四十度、地表面温度が七十度から行く、そして最低気温はマイナス五十度を超える、二百以上の河川が消失して、地図の上からも琵琶湖の大きさの湖が消えてしまったという大変な事態になっている、生活の糧の家畜も毎年二、三百万頭ずつ失われていっていると。
 産業の育成はもちろん大事なことでありますけれども、先進国が、そういった南太平洋の島だとかモンゴルだとか、二酸化炭素排出にはほとんど関係のない国に対して大きな負の影響を与えているんだ、そして、その責任はやはり先進国が取り組むべき重いものがあるということを訴えさせていただきまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
村田委員長 山田敏雅君。
山田(敏)委員 山田敏雅でございます。
 質問の前に、一つ、もう一年以上前からになるんですが、破産法の改正について最近ニュースが入りましたので、ちょっと質問させていただきます。
 中小企業の事業主の個人保証制度並びにその連帯保証制度、これが、日本の場合、もしもの場合には身ぐるみはがされて自殺をされる方が非常に多いということで、非常に野蛮なこの制度を何とか欧米並みの制度に変えようということで、ずっと議論してまいりました。
 民事執行法というのが今度国会に出されました。この中で、自由財産、要するに、個人保証をしたけれども財産は残そうと。今までの日本の法律では二十一万円、一月分の生活費ですから、事実上、身ぐるみ全部はぐ、こういうことだったんですね。今回は、その一カ月分を二カ月分にしますという法案が出されました。ですから、私たちがこの経済産業委員会でも議論して、大臣もたびたび答弁いただいて、この前近代的な制度を変えようということが全く無視されたということでございます。
 法務省に聞きました、どうしてこういうことをやったんですかと。これは、債権者が、自由財産をふやしてもらっては困ると言われたからですと。ああそうですか、それでは、破産法はどうするんですかということで聞きました。破産法の改正はまた延びまして、去年は三月と言っていたんですけれども、夏ごろと言っていたんですが、今回はさらに延びて秋になる、こういうことでございます。
 今、中小企業は、銀行からお金を借りる場合、もちろん代表者が個人保証になるんですが、そのほかに、役員を連帯保証、役員が三名最低必要ですので、そういうことが、保証協会も中小企業金融公庫も国民金融公庫も実際行われております。いざとなった場合には、その三名の個人保証によって、競売をかけて全部財産をとる、こういうことが行われているんですね。
 ですから、一回ここで、経済産業省としてはっきりした態度を表明していただきたいんです。この制度は、中山義活委員が言われましたように、もともと、アメリカやドイツの法律に比べて、日本の法律は、銀行と中小企業者、優越的な地位にある人と弱い立場にある人、これが対等にできないようになっているんですね。こちらの方がもちろん強いわけですから。
 大臣、一回銀行の約定書をごらんになったらわかりますけれども、とんでもないことが書いてあるんですね。私が好きなときにいつでも金利を上げることができますよ、私が好きなときにいつでも追加担保を出せますよ、私が好きなときにいつでも保証人をふやしてください、そういうことがずっと書いてあるんです。一方的な契約なんですね。今までは、契約をするときは、そういう約定書を見せたら銀行は持って帰るんですね、置いておかないで。これは公序良俗に反する、ドイツの法律では法律違反であり、憲法違反。要するに、それが嫌ですと言ったら、融資しません、こう言えばいいわけですね。
 ですから、これを民主的な制度に変えるには、まず政府系、特に保証協会、中小企業金融公庫あるいは商工中金、こういうところから、めったやたらと個人保証をとるというのはやめよう、これは経済産業省でできるわけですね。法務省に幾ら言っても全然話が通じませんので、ここからちょっと始めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 民事執行法の差し押さえ禁止財産については、御指摘のように、現行の生活費二十一万円を二カ月分に拡大する方針が示されているところですけれども、破産法の自由財産の範囲をどの程度にするかは、現在、山田先生も御承知のように、法制審議会倒産法部会において検討されておりまして、まだ結論が出ているわけではない、このように認識しております。
 自由財産の範囲について検討している部会には、中小企業の経営者が参加をするなど、中小企業庁からも担当課長が参加をしまして、そして、中小企業経営者の再チャレンジが容易になるように、自由財産の幅を大幅に拡大すべき旨の意見を述べているところでございます。
 確かに、御指摘のように、同部会では、一方、債権者保護の立場から、自由財産の範囲は二カ月分程度、そういう意見も出ているところでございまして、ことしの夏の終わりごろまでに結論が出る、こういう形で議論が進んでいる、このように承知しています。
 我が省といたしましては、自由財産の範囲を差し押さえ禁止財産よりも拡大して、裁判所の裁量により自由財産の範囲を拡大する基準を明確にして、そして中小企業経営者の再チャレンジの観点が自由財産の拡大に考慮されるように、倒産法部会の審議のみならず、法務省に対しても私どもは働きかけを行っているところでございまして、これからも強めていきたい、こう思っております。
 それから、第三者保証制度についてのお尋ねでございます。
 これはもう山田先生御承知だと思いますけれども、いろいろ私どもも取り組んでおりまして、政府系金融機関である商工中金と中小公庫においては、保証人を徴求する場合には、貸出先企業の代表者や実質的に経営に関与する役員に限って保証を求めておりまして、これ以外の第三者保証人を徴求することは原則としてありません。
 国民公庫においては、その融資対象が、小規模企業であって担保が乏しいことから、保証人による融資が多くなっています。
 しかしながら、国金におきましても、一月末でございますけれども、担保や第三者保証人がなくても一千万円までは、これはまたちょっと問題と言われるかもしれませんが、〇・七%の上乗せ金利を支払っていただければ融資することが可能になる制度をつくっております。
 それから、信用保証制度については、これも御承知だと思いますけれども、本人以外の第三者から保証を徴求する可能性があるのは八千万円を限度額とする無担保保証制度でありますけれども、本制度におきましても、平成十二年十二月二十五日に中小企業庁から通達を出しまして、運用上、原則として五千万円までは第三者保証人を徴求しない、こういうふうにしております。
 信用保証協会では、五千万円を超える無担保保証を利用している中小企業の方はそれほど多くはございませんで、大半の方は第三者保証人なしに信用保証を御利用いただいている、こういうことでございます。
 このように、政府系金融機関等におきましては、第三者保証人なしで融資、保証が受けられる制度の拡充を積極的に行ってきたところでございますけれども、信用保証制度については、一つは、第三者保証人制度を活用して融資を受けたいと思っている中小企業のニーズや、また今後、第三者保証人徴求をやめるとした場合、中小企業金融にどのような影響を及ぼすのか、三番目として、第三者保証人徴求をやめた場合のリスクをどうカバーしていくか、こういったことについてどういった拡充を行うことが可能か、今検討をしているところでございます。やはり御指摘のようなそういう問題がございますので、私どもは積極的に検討しなければならない、こういうふうに思っております。
 国金については、中小企業担当大臣の立場としては、先般創設をいたしました第三者保証人徴求免除特例の積極的な活用をさらに促していきたい、こういうふうに思っておりますが、今後の対応といたしましては、国金を管轄する財務省とも私どもは連携してやらなければならない、このように思っております。
山田(敏)委員 法務省の倒産法部会、前にも言いましたけれども、七割の方は大学の先生がやっていらっしゃるんですね、ゆっくり、学問的に時間をかけて。非常に緊急だとか人の命がかかっているとか、そういうのが全然感じられない。今、中小企業庁の課長がオブザーバーとして出ていらっしゃる、あるいは発言をした、こうおっしゃったんですけれども、中小企業庁の方、どの立場の人がどういう発言をして、それが部会の議論にどういうふうになったか、ちょっと教えていただけますか。
平沼国務大臣 事業環境部の企画官が、昨年来、数次にわたって出席をさせていただきまして、そして、今私が御答弁申し上げたような趣旨での発言はしている、こういうことでございます。
山田(敏)委員 けさの公取委員会の法案のときに同じ話題が出まして、公正取引委員長は、こういう優越的な地位を利用してどんどんやらせるということは今後是正していく、要するに公序良俗に反することだという意味も含めまして、そういう決意を語られました。
 さっき私が申し上げたのは、経済産業省としてできること、それは、こういう個人保証制度それから自由財産の範囲を、法務省がなかなか動かないものですからね、意見を言うのはいいんですけれども。その結論も今のような、一カ月を二カ月にします、こんなものがまた出てくるような気がしますので、ちょっと大臣、もう一回、経済産業省として、今おっしゃったように、本当に、一回倒産した人がもう一回生きていくことができる、あるいはもう一回会社をつくってやることができると。
 僕は、アメリカのシリコンバレーのベンチャービジネスの人たちに会って、日本の話をしました。中小企業でベンチャービジネスが倒産したら、次の日に自殺するんですよと。その人たちは何と言ったかというと、そんなことがあるんですか、会社がもしだめだったら、次の日に新しい会社をつくってやっていくのが当たり前じゃないですか、こう言われました。まさに大臣おっしゃったとおりなんですけれども、その辺でもう一回、経済産業省としてできることを、決意をお聞かせください。
平沼国務大臣 私どもが承知している統計でも、日本でも、例えば一度事業に失敗した人が再チャレンジをして新しく業を起こす、実は、この成功率が、全く新規に始める方の成功率に比べて高い、そういうデータがあります。したがって、そういう体験を経てやれば確率が高くなるということは言えると私は思います。したがって、再チャレンジができるような形、そういう体制を整備していかなければならない、こういうふうに思っております。
 新規に業を起こす、あるいは中小企業、これは我が省が所管しているところでございまして、新しく業を起こすことに関しましては、例えば、もちろん本人保証のない開業資金を貸し付けるという制度もつくらせていただいて、これも非常に成功裏に進んでおりますし、それから最低資本金の額も、例えば一円からでもできる、こういう制度もつくらせていただきました。あるいは、まだまだアメリカに比べては劣っているところでございますけれども、間接投資から直接投資に比重を移すように条件整備もさせていただきました。
 そういったことを含めて、自由財産制度の範囲でございますとか、そういったことも私は所管の大臣として全力でやらなければならない、こういうふうに思っています。
山田(敏)委員 あと二つあるんですが、ちょっと時間がなくなってまいりました。
 地球温暖化の問題、今、奥田委員からも議論がありました。一九九八年に、総合エネルギー調査会では、二〇一〇年までに十六基から二十基の原子力発電所が必要であります、こういうことを報告されました。その後、それが、現実的には十三基だというふうに修正されました。さらに現在、非常に原子力発電をめぐる情勢が変わってきて、だんだん怪しくなってきた。そこで、このCO2の問題、原子力発電所が今後建設されないということになりますと、非常に大きな影響が出てくるわけですね。
 それで、経済産業省にお願いしました、もし原子力発電所ができなかったらどんなケースが想定されるかと。立派な報告書をつくっていただきまして、私もよく読んで、なかなかのものだなと思いました。
 結局、これの結論は、日本の京都議定書、これは世界で最も不平等条約、日本にとって不利な条約だったわけですね。これ以上省エネルギーを産業がどんどん進めるということは、日本はもう来るところまで来てしまっている。さらに、原子力発電所が建設されないとなると、やる方法は産業を小さくするしかないわけですね、そうすれば議定書を満足することができる。その試算をしていただいたら、雇用で約二百三十万人の人が失業しなければいけない。いろいろな経済への影響を評価していただいたんですけれども、経済に大変な悪影響が及ぶわけです。
 原子力発電所、今も議論になっておりますけれども、やはり国民に対する信頼をちゃんと政府がやってきたのかなと。先般、本会議でもあの刈羽村のことをやりましたけれども、住民の方に聞いたら、やはり政府というのは何か隠している、何か都合のいいことを言う、本当にフェアにやっていないんじゃないか、こういうことなんですけれども、原子力発電所の今後の見通しについてお答えいただけますでしょうか。
岡本政府参考人 原子力発電所で、長期エネルギー需給見通しで十基ないし十三基の増設というふうに言っておりますが、特に大事なのは発電電力量のキロワットアワーの方でございます。今、電力の分野で、原子力は大体三分の一ぐらいの発電電力量を持っているわけですが、二〇一〇年に向けて、約四千二百億キロワットアワーという原子力の発電電力量の目標が達成できるということが一番大きな、大事なゴールだと思っております。
 発電所の新増設ということについて、実は地元との関係では、昨年末の敦賀の三、四号に見られますように、進めることについてかなり御理解をいただけるような地合いもございます。一方で、東電の件もありますが、電気事業者の側において、最近の経済の低迷とかそういうことの反映もあってピーク電力需要が伸びない中で、一基つくりますと約四千億弱の投資が要って、一基だけで百五十万キロワットの設備がどんとできるということで、それに向けての投資というのを少し様子を見るというところがあるんですけれども、私どもは、今、約十基というそこの目標、特にキロワットアワーの目標の達成については、なお頑張れば十分できるというふうに思っておりますので、事業者ともども、その目標の達成に向けて最大限の努力をさせていただきたいと考えているところでございます。
山田(敏)委員 ちょっと林野庁の人に来ていただきました。
 森林吸収量三・九%、相当大きな量で、これで議定書を守ろう、こういう計画を皆さん御存じだと思うんですけれども、その中身は、森林の植栽をやる、下刈りをやる、間伐をやる、こういうことなんですね。林野庁全体の予算が四千五百億ということなんですが、実は私は、民主党は、緑のダムという構想がありまして、この下刈りとか間伐とかというのを、ボランティアで、山の中に入ってやってきました。
 三百坪ぐらいの山を、こんな斜面で、電気のこですか、あれを持って、三時間か四時間かかって三百坪か四百坪、十人ぐらいでやったんですけれども、これをやってみて、林野庁の計画では国内の森林の七割、これは物すごい量だと思うんですけれども、これを植栽、下刈り、間伐、これをやって京都議定書を、三・九%を達成するんだと。これはちょっと、私が自分でやってみて、こんなものじゃないんじゃないかなと。
 予算も林野庁全体で四千五百億、しかも、京都議定書に関する、地球温暖化防止に関する予算というのは、もうこの中の何分の一かですよね。それを二〇〇八年からずっとやっていこう、こういうことですけれども、ちょっと現実的な話じゃないような気がするんですけれども、どうなんですか。
松本政府参考人 地球温暖化防止に向けての森林によるCO2吸収の問題でございますけれども、先生も御案内のとおり、昨年の三月に地球温暖化対策推進本部で地球温暖化対策大綱がまとまったわけでございますけれども、その大綱におきまして、温室効果ガス削減目標、全体削減目標六%のうちの森林によるCO2吸収目標といたしまして、三・九%というふうにされて位置づけられたわけでございまして、その際に、この吸収源として算入される森林というものは、京都議定書上、きちんと人手が加えられるという形での適切な森林経営が行われた森林というふうにされているわけでございまして、この三・九%の達成のための森林吸収源対策というものが非常に重要な位置づけになっているというふうに私ども考えております。(山田(敏)委員「結論を言ってください」と呼ぶ)
 その大綱には、大綱に実は位置づけられている内容を申し上げますと、森林整備、私ども、地球温暖化防止、CO2吸収のためだけに森林整備しているわけではないわけでございまして、森林を整備保全することによって、水源の涵養、国土保全等々、いろいろな多面的機能の発揮のためにやっているわけでございます。
 先生も御指摘になったとおり、ここ数年、林野庁の公共の予算で、数年分を平均しますと年約四千数百億円というものの国費が投じられているわけでございます。その現状の水準で森林整備が推移しますと、これは大綱に記述されているわけでございますけれども、現状程度でいきますと三・九%という目標を大幅に下回るおそれがあるというふうにされているわけでございます。
 したがいまして、私どもとしては、この必要な三・九%の吸収量の確保ということで、もちろん事業のコストの縮減等も図りながら、健全な森林の整備、それから木材利用の推進ということを強力に推進する必要があるということで考えております。このために、私ども……(山田(敏)委員「結論を言ってください」と呼ぶ)昨年十二月に関係府省と十カ年対策をやったわけでございます。(山田(敏)委員「結論を」と呼ぶ)
 したがいまして、私どもとしては、森林の整備保全につきましては非常に重要だということで、森林吸収源対策についてステップ・バイ・ステップで取り組んでまいりたいというふうに考えております。
山田(敏)委員 ちょっと、今のお話、全然答えにも説明にも何にもなっていない。
 幾ら使って、今あなた、この中に書いてある、国内森林の七割、千七百五十万ヘクタール、これを何人、幾らで、何にも答えていないじゃない。ということは、あなた、さっきおっしゃったのは、三・九%を大幅に達成できないというのは大体わかりました。では、幾ら、いつまでに、何にもないというんだったら、これは大綱があったって、見直しがあったって何にもならないので、ちょっときょうは時間がないので、正確に書いて、委員会、理事会にも出してください。今のは答えに何にもなっていないですから。もういい、ちょっと時間がないのでいいですから。
村田委員長 後刻理事会で協議いたします。
山田(敏)委員 では、次の質問。
 本会議の質問の再質問を、大臣、きょうはさせていただきたいんですが、例のラピカの問題で私が指摘したことは、今後こういうことが二度と起こらないようにしようと。それでは、一番ポイントは何だったのか、何でこんなことが起こったのかというところをしっかりやってもらわないと、今度の法律の改正でも、また同じ電源三法交付金がむちゃくちゃな使われ方をされるというふうに思うんですね。
 そのときに、大臣に本会議で答弁いただきました。刑事罰はあるんですか、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に罰則があります、こういうことで答弁いただいたんですね。
 私、現地にも調査に行きましたし、住民の方にもお聞きしました。この第二十三条に立入検査があります。これは立入検査していないんですよ、実際の工事の真相を解明するときに。それから、第三項に、立入検査は、犯罪捜査のために認められたものと解してはいけないと。要するに、犯罪の捜査みたいに家宅捜索をするとか金庫をあけるとか、そういうことはしてはいけない、こういうことが書いてあるんですね。
 これでは、実際、通産省の検査官の方が行って、さあ皆さん、出してください、出ましたと。しかし、肝心の竣工図面、でき上がって、何の材料、幾らのものをどういうふうに使ったかという図面は紛失いたしましたと。それでは、補助金八十億円を出すときにつくった図面、十三万円の畳を使います、総ヒノキをやりますと書いてある図面はどこに行ったんですか、これはありませんと。それでは、真相を解明することは不可能なんです。では、立入検査をしたのか。やっていません。
 そうすると、大臣が御答弁なさったように、第六章には罰則規定があります。偽りその他不正の手段により補助金の交付を受け、または間接補助金、これは間接補助金というのは、この工事を受けたゼネコンのことだと思うんですけれども、五年以下の懲役または百万円以下の罰金に処す。さらに、情を知って交付または融通をした者、これは、こういうことを指導した人がいるんですね。電源立地振興センターですか、アドバイスをして、このラピカという、野球場をつくりましょう、サッカー場をつくりましょう、豪華な図書館をつくりましょう、日本で一番高い茶室をつくりましょう、こういうアドバイスをした人がいるんです。この人も、これは同項と同様とすると。
 では、だれもこの罰則を受けない、これは一体どういうことなんでしょうか。
岡本政府参考人 先生今御指摘のとおり、補助金適化法のもとで、偽りなどの不正な手段で補助金の交付を受ける、あるいは補助金を他の用途に使用する、そういった場合について、懲役または罰金による罰則を設けているところでございます。
 ラピカのケースにつきまして、刈羽村の職員等がこうした罰則の適用を受けるような、今の構成要件に当たるような行為を行ったかどうかという点がポイントになってこようかと思いますけれども、衆議院調査局の予備的調査報告書あるいは会計検査院の十二年度決算報告書において、そういった指摘はなされておりません。
 それから、私どもも、ラピカについて、報告徴収を発動して調査をいたしました。その調査の結果としましても、交付金事業の実施について今先生が御指摘になりましたように不適切な点が多々あったということは、私どもはこれは厳しく指摘をし、遺憾に思っているところでございますが、刈羽村の職員について、不正な手段によって交付金の交付を受けた、そういう事実の認識には至っていないところでございます。
山田(敏)委員 会計検査院の調査及び衆議院の調査局の調査ではそういうふうになります、それは当たり前なんですよ。今言いましたように、アメリカでは、こういう何十億という血税がわけわからなくなったら、必ずFBIと一緒に行くんですよ。そうしないと、わかるわけないんですよ。会計検査院にも私は何回も話をしました、どうして真相がわからないんですかと。会計検査院というのは捜査をする機関ではありません、会計を検査する機関ですと。会計を検査するとは何ですか、相手が出してきた会計の書類を私は見るんですと。だれが書いた会計書類、それが本当かどうかというのはわからないんですよ。だから、そういう結果が出るんですよ、だれも不正はしておりませんと。真相がわからないからですよ。
 だから、本会議で申し上げたんですけれども、今度、これは法律の改正をして欧米並みに本当に、野村サッチーだって一億円脱税したら刑務所へ入ったんですから、これは何十億というお金が、だれも責任を問われない、何の真相もわからない。これをもって経済産業省は、エネルギー行政をやります、新たに住民に説明しましょう、これじゃやはりフェアじゃないですから、大臣、今の点を含めて法律の改正をして、本当に真相がわかるように、フェアになるようにやらないと、また同じことが起こる、また同じことが起こる、そのたびに原子力行政はどんどん遠ざかっていく、そういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 御指摘の点というのは、国の会計制度でございますとか行政のあり方そのものに係る問題だと思っております。ですから、電源特会のみに、あるいは経済産業省のみにそのような仕組みを、例えば、日本にはFBIはないですけれども、そういう特別捜査官的な人を連れて全部チェックする、こういうことは、今まだそのような仕組みを導入する性格のものではない、こういうふうに思っています。
 今お話しになりました米国における検査の制度的枠組みその他の運用の実態については、まだちょっと詳細は、今お話を伺ったことで、把握しておりません。しかし、今後の交付金等のあり方、そして交付金の本当に正しい使われ方、こういったことについては、やはり国民の血税でございますから、私どもとしては、いろいろな面であらゆる角度から十分検討していかなければならない、こういうふうに思っております。
山田(敏)委員 時間が来ました。ありがとうございました。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 最初に、石油特会の見直しについて基本的なことをお尋ねしたいと思うんですが、石油特会の余剰金の件です。
 平成十五年度見通しで約千八百億円生じている。昨年度、平成十四年度の余剰金も千七百億円となっています。このように毎年巨額のお金が恒常的に発生しているというのは非常に問題であると私は考えております。今回のエネルギー政策の見直しによって石油特会の余剰金の問題は解消されるのかどうか、このことについて具体的な答弁をお願いしたいと思います。
岡本政府参考人 石油特別会計の十三年度決算における剰余金は、今、先生御指摘のとおり千八百二十億円でございまして、このうち石油対策に係るものが千五百十億円となっております。
 剰余金の内訳でございますが、備蓄につきまして、緊急時に備蓄を放出しました場合に、備蓄は段階的に買ってまいりましたので、為替レートが平均しますとやはり百八十四円近辺ということもありまして、簿価が非常に高いことになっておりますので、備蓄放出しました場合には時価、簿価差の損が出るということで、これに備えるための予算。これは、結果として不用に立つ場合が多いわけですけれども。それから、民間会社からの石油タンクの借り上げ料なり利子補給金でかなりの部分原油の購入代金なんかを賄っておりますので、その実際予算で予定した利率と実際の実績ベースの利率との差というようなことで、合わせますと約六百二十億というものが不用に立つというような結果になっております。
 それからもう一つ、石油の開発の関係で大きなプロジェクトを日本が権益取得ができてやるという場合に備えて予算を用意していたものが、結果としてそういう案件を採択するには至らなかったということで、十三年度の場合には四百四十億ぐらいのものが不用に立っているところでございます。
 そのほかにも、これは各会計通じて節約というようなことで、三百億ぐらいのものの不用も立っております。
 先ほど先生御指摘の、こういった大きな不用が出るというのは私どもも決して正常な状態ではないと考えておりますので、十四年度予算においても五百億ぐらいの石油対策の予算の縮減というのをやったところでございますが、さらに予算の効率化、重点化ということを進めることによってこういった剰余金が通常のレベルに縮減されていくように、これからも引き続き努力をしてまいりたいと考えております。
土田委員 ということは、努力目標としてはやるけれども、今回の見直しによって、恒常的に巨額の余剰金が出るということは解消できるんですか。
岡本政府参考人 先ほど申しました事業の性格上、例えば、備蓄を実際に放出した場合に出る差損に備えるというところは予算上ある程度やっておかざるを得ないんですけれども、他方で、これは先生御案内のように、備蓄の放出というのは軽々にやるものではございませんですから、結果として平穏に事態が推移すればその関係の予算は不用に立つというようなところはどうしても多少は残ろうかと思いますが、それにしましても、石油対策だけで千五百億というような不用は、私ども、これはやはり大き過ぎると思いますので、これから鋭意こういったものを縮減して、予算の効率化ということをより一層きめ細かく進めていくということで努力をさせていただきたいと考えているところでございます。
    〔委員長退席、谷畑委員長代理着席〕
土田委員 確かに異常だというふうに私も思いますし、国民もそのように感じているわけですから、ぜひこの努力を続けて、達成されるようにお願いをしたいと思います。
 次に、今般のエネルギー政策の見直しによって、エネルギー間の負担の公平性の観点から、新たに石炭を課税対象とする石油石炭税を導入するとしているわけですね。今後、環境税が課されることになるとすれば二重課税になるのではないか、こういった懸念が生じます。環境税の導入の是非を政府の考え方としてお伺いしたい。
 まずそれが第一点と、ちょっと関連しますので、環境税が課された場合に、二酸化炭素の排出抑制を目的とする環境税と、二酸化炭素排出抑制事業をも石油特会の歳出対象とする石油石炭税とのかかわりが不明瞭であるというふうに思われるんです。この点もあわせて御答弁ください。
平沼国務大臣 地球温暖化問題というのは、環境問題であると同時に、経済問題であり、言うまでもなくエネルギー問題であります。その対策の立案に当たって、国民経済やエネルギーセキュリティーに与える影響について慎重に検討することが必要でございまして、経済産業省といたしましては、一部で議論されている環境税などの検討に当たっても同様のことだ、このように思っています。
 こうした考え方から、大綱は三年ごとに対策の実施効果の検証を行いつつ、温室効果ガスの排出増加要因に詳しい分析を加えながら、次のステップにおける追加対策の要否を検討していくことになっています。
 今般、第一ステップの取り組みを強化するために、石油特別会計を活用しつつ、環境省と共同して種々の施策を強化することにいたしたわけでございます。来年に行われる大綱の評価に当たりましては、今回追加された事業も、温暖化対策として効果的かどうかの検証の対象になる、このように思っております。
 一部で議論されております環境税など第二ステップ以降の対策につきましては、こうした評価、分析の結果を踏まえて検討されるべきものだと私どもは思っておりまして、これらは、他の手法との比較を行いながら、環境保全上の効果でございますとか、マクロ経済あるいは産業競争力等国民経済に与える影響、それから、諸外国における取り組みの現状等の論点について、国際的な連携にも配慮をしながら、さまざまな場で引き続き検討されるべきもの、このように私どもは基本的に思っております。
 それから、石油石炭税と環境税との関係いかん、こういうことでございますけれども、経済産業省におきましては、昨年来、京都議定書というものを批准いたしました、そして、地球温暖化対策推進大綱をより確実かつ円滑に実施していくためには、エネルギーの分野における地球温暖化対策の充実強化に早急に取り組む必要があること、さらには、先ほども御答弁しましたけれども、流動的な中東情勢等をも勘案して、天然ガスへのシフトなど、エネルギーセキュリティー対策を強化する必要がある、こういったことを踏まえまして、環境省との連携によるエネルギー起源二酸化炭素排出抑制対策の実施、それに省エネルギー・新エネルギー対策の拡充、さらには天然ガスシフトの加速、そして、エネルギー政策や歳出構造の見直しを行ったところでございます。
 今回の石油税等の見直しは、こうしたエネルギー政策や歳出構造の見直しに伴いまして、歳入についても負担の公平の観点から見直しを行ったものでございまして、二酸化炭素排出抑制を主たる目的とした、いわゆる環境税を創設するものではございません。
 いわゆる環境税につきましては、当省としては、昨年三月に策定されました地球温暖化対策推進大綱にあるとおり、他の手法との比較を行いながら、いろいろな、環境保全上の効果でございますとかマクロ経済あるいは産業競争力の国民経済に与える影響等々、国際的なそういう連携にも、先ほど言いましたように配慮しつつ、私どもは慎重に検討していくべきである、このように思っております。
土田委員 地球環境に配慮しながらエネルギーを安定確保していく、非常に大事なことだと思っているんですが、温室効果ガスの削減に向けての経済産業省としての取り組みはどうするのか、支援策をどう考えているか、この点についてはどうでしょうか。
桜田大臣政務官 お答えさせていただきます。
 政府といたしまして、二〇〇二年の三月に策定した地球温暖化対策推進大綱に基づきまして、国内においては、さらなる技術開発、省エネルギーの推進、新エネルギーの導入、燃料転換、安全性の確保を前提とした原子力の推進等の温室効果ガス排出削減に努めておるところでございます。
 また、国外においては、クリーン開発メカニズム、いわゆるCDM、共同実施、JIといった京都メカニズム活用による費用対効果の高い排出削減の達成に、引き続き最大限の努力をしておるところでございます。
 また、このように、技術革新や経済界の自主的取り組みを中心に、国内外において戦略的に施策を展開し、京都議定書の目的達成に向けまして努力していくつもりでございます。
 さらに、追加の支援策ということでありますが、効果的、効率的に京都議定書の目的を達成するためには、クリーン開発メカニズムや共同実施といった京都メカニズムの活用が重要な課題であるというふうに認識しているところでありますし、当省といたしましては、これまで行ってきた民間事業者からの個別プロジェクトに対する相談への対応、海外での事業可能性の調査を引き続き行っていきたいと考えております。
 また、来年度以降、今般の省エネ・リサイクル支援法改正により追加させていただくことを考えておりますクリーン開発メカニズム、共同実施事業への債務保証や予算上の支援等、具体的な事業支援も積極的に行っていく予定でございます。
 以上であります。
土田委員 今の答弁の中に具体的に話があった共同実施、クリーン開発メカニズムなどの実施について、まず、これが二酸化炭素の削減にどの程度効果があるというふうに考えているのか。また、同じように、京都メカニズムについて、民間業者によって実施されるという指針を策定したとおっしゃっていますけれども、経済産業省として具体的にどういった支援策を行うのか。あるいはまた、海外における事案の発掘調査が重要だとおっしゃっておりますけれども、当然、事業のリスクも考えられるわけでございまして、経済産業省としてどういったサポート体制を組んでいくのか、三つお答えください。
中村政府参考人 お答えさせていただきます。
 まず、クリーン開発メカニズムによってどの程度の削減効果が期待されるかということでございますが、現在、経済産業省のヘルプデスクに相談が来ているのが大体七十件ぐらいございます。その中は、非常に大きなものから小さなものまでありますけれども、規模の小さいのでは大体年間五万トン程度、規模の大きなものだと年間五百万トン程度というようなものになっています。年間五百万程度というのは、いわゆる六%というのが七千四百万トンですから、かなり大きなものが得られる可能性がございます。これは単にCO2だけじゃなくて、エチレンであるとか代替フロンであるとか、CO2に比べて百倍とか数百倍の効果が期待されるものでございますから、我々としてはそういうものを見ていきたいというふうに考えております。
 ただ、これらの具体的な数値は、あくまで各事業者が自分で算定してこれぐらいと言ってきているものですから、実際に削減される効果があるかどうかというのはこれからチェックしなくちゃいけないことになります。
 実際にCDM、JIというのが実施された場合は、まず国がチェックして、その後、第三者機関がさらにチェックするということになっております。
 それで、経済産業省として、こういうものに対してどういう助成をやっているかということでございますけれども、我々としては、二つあって、まず、いわゆる国内の民間事業者への相談、さらに、今般お願いしておりますCDM、JI等に対する債務保証等、具体的な事業の助成を行うとともに、いわゆる発展途上国等ではむしろプロジェクトの発掘のための人材的なものが必要になるということで、そのようなものについての支援を行っていこうというふうに考えておるところでございます。
 以上でございます。
土田委員 次に、二〇〇〇年度の二酸化炭素排出量が、民生、運輸部門で一九九〇年度と比べて二〇%も増加している。今後、民生、運輸部門の省エネ対策を強化拡充することは極めて重要であると考えるわけでございますけれども、民生、運輸部門の二酸化炭素排出抑制に向けた新たな政府の具体的な取り組みについてどのように考えておられますか。
高市副大臣 確かに、産業部門に比べましてエネルギーの消費が大幅に増加しております民生部門と運輸部門について、その増加を抑制することが非常に重要となっております。
 そのため、民生部門におきましては、昨年改正された省エネ法によります大規模オフィスビル等におけるエネルギー管理の徹底、それからトップランナー適用機器の拡大追加といったことで対策の強化を図っていくことを考えております。
 それから、運輸部門につきましては、クリーンエネルギー自動車の開発と普及、それから高度道路交通システムの推進などの自動車交通対策を引き続き充実させることといたしております。
 ですから、このような対策を着実に実施していくことがまず大事であって、二〇〇四年におきます第一ステップの見直しのときに、温室効果ガスごとの目標の達成状況ですとか、それから個別対策の進捗状況につきまして適正に評価し、ここでまた、必要な対策の見直しですとか追加を行ってまいりたいと思っております。
土田委員 経団連が環境自主行動計画を策定しましたね。多くの業種は、二〇一〇年を目標年として、二酸化炭素の排出削減の数値目標を設定して、定期的にレビューしているということでございますが、このような産業界の環境対策に対して、経済産業省としてどのように促進をさせていくのか。あるいは、民間業者が進捗状況をレビューしているようですけれども、それを経済産業省として評価するシステムがあるのかどうか。
 あるいはまた、中小企業者による温暖化防止対策を推進するためには、国と自治体がどういった連携をしていったらいいのか。この辺はどうでしょうか。
    〔谷畑委員長代理退席、委員長着席〕
高市副大臣 まず、環境自主行動計画ですね、経団連からのこのような活動に対して、では、国が何か予算面で支援をするとか、そういったことはないんですけれども、ただ、民間事業者によります省エネルギー推進ですとか新エネルギーの導入促進のための設備投資などについて、さまざまな支援を行っております。そのような支援措置ですとか事業者の自主的な取り組みの成果によりまして、二〇〇一年度には、この経団連の環境自主行動計画に参加しているすべての事業団体で、一九九〇年度比約三%の二酸化炭素排出削減を達成したということです。
 それで、このレビューということですけれども、これは、経済産業省が、所管の約三十の事業団体に対しまして、環境自主行動計画の目標達成に向けた取り組みの進捗状況についてフォローアップを行っております。これは、外部の有識者の御参加を得てフォローアップを行っております。さらに、その結果を公表しているところです。
土田委員 では、今、さまざまな支援を行っているとおっしゃったんですが、そのさまざまの例を幾つか挙げてみてください。
 それと自治体の話。
高市副大臣 補助金ですとか、それから債務保証でございますね。それから、自治体のことでございますけれども、今回の法律案におきまして、特に中小企業が行います地球温暖化防止のための省エネルギー対策などにつきまして、これも同じなんですが、債務保証、利子補給に加えて、中小企業信用保険法の特例などの支援措置を講じることにいたしております。
 自治体とということになりますと、平成十五年度の予算に、地方公共団体が、NPOですとか中小企業を含む事業者と連携して行う地球温暖化対策への支援として、新たに二億円を計上いたしております。
土田委員 次に、アメリカとの問題です。
 地球温暖化対策の実効性を上げるためには、どうしてもやはりアメリカの協力が必要であるというふうに考えますし、温室効果ガスの四分の一をアメリカが排出しているわけです。
 アメリカの参加に向けた現在の取り組みについて、去年も同じような質問をさせていただきましたけれども、現状はどうなっているのか。さらに、政府はどういった努力をされておるのか。
平沼国務大臣 先生御指摘のように、米国は、世界最大の温室効果ガスの排出国でございます。地球温暖化対策の実効性を確保するためには、アメリカがこういう国際的な枠組みの中に参画をすることが必要不可欠だ、こういうふうに思っております。
 我が国が京都議定書に基づきまして非常に厳しい削減目標に取り組む一方で、米国が京都議定書に参加しないということは、国際競争条件の公平性、こういう観点からいっても問題であると私どもは思っています。
 我が国といたしましては、米国の参加に向けて、さまざまなレベルでの政府間の協議はもとより、経済界の対話等、幅広い機会を通じまして、米国も含めた枠組みの実現の必要性を粘り強く訴えてきているところでございます。
 残念ながら、これまでのところ、米国の対応には変化が見られないわけでございますけれども、今後とも、気候変動に関する日米ハイレベル協議等さまざまな場を通じて、関係閣僚とも協力しながら、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っておりますし、私も渡米をして、機会あるごとに、カウンターパートの方々には力強く訴えさせていただいているところでございます。
土田委員 粘り強く交渉していますけれども、ほとんどアメリカは変わっていないという残念なことでございますが、ぜひアメリカの協力をいただけるように、戦争中ですから今はそれどころじゃないかもしれませんけれども、お願いしたいと思います。
 次に、循環型社会の構築についてお尋ねしたいと思うんです。
 戦略、物流システムが整っていないということによって、リサイクルコストが高どまりしているんじゃないかというふうに考えられます。リサイクルコストを下げて環境産業を育成していくための政府の具体的な取り組みについてどういうふうに考えておられるか、お願いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 循環型社会の構築に向けまして、廃棄物・リサイクル関連産業や環境調和型製品の開発などの環境関連産業の育成を図るということは、環境の保全と持続的な経済成長の両立を実現する上で大変重要なことだ、このように思っているところでございます。
 このため、政府におきましては、環境産業の育成に向けた実用化技術開発への支援、本日御審議いただいている省エネ・リサイクル支援法による金融支援でございますとかグリーン購入法の対象拡大といった環境調和型製品の需要拡大、それから環境JISの策定、環境ラベルの普及等に努めているところでございます。
 また、現在、産業構造審議会環境部会産業と環境小委員会におきまして、環境産業育成に向けた企業、市民、自治体、国等の関係者の取り組みについて審議をしていただいているところでございます。今後とも、このような審議会での指摘をも踏まえまして、環境産業の創出と自律的な発展に向けた取り組みへの支援を行っていきたい、このように思っております。
土田委員 次に、三R対策です。
 廃棄物の発生抑制、リデュース、あるいは部品等の再使用、リユース、環境と経済性が統合された環境型循環システムの構築に非常に重要であるというふうに思います。
 政府は、排出量が多くて、含有資源が有用であって、処理が困難という観点から、業種、製品を選択していわゆる三R対策を講じているわけですが、今後どのように拡大していかれるのか。また、三R対策の実効性をどうやって向上させていくのか。技術開発を促進する必要があると考えるんですが、具体的な支援策はどうされるのか。
西川副大臣 循環型社会の構築に当たって、ただいま御指摘の三Rは非常に大事でございまして、容器包装また家電、自動車と、個別のリサイクル法を施行してきたわけであります。
 そういう中で、まず第一に、リサイクルしやすい素材で物をつくること、それからリサイクルしやすい設計であるということ、それから使用済み製品がリサイクルしやすいための技術開発、こういうことが必要でございまして、技術的なブレークスルーが必要だと。
 では、具体的に何かというと、例えば、家を解体したときに出る廃材、これを異物を分けて、木質を新たな建築資材にする。これは非常に使いやすくなる。それからまた、プラスチックのペットボトルのようなものを、あれは色をつけちゃうとなかなかリサイクルが難しいので、色をつけずに透明でやってもらうとか、また、自動車をシュレッダーにかけると、御案内のとおりプラスチックと鉄がまじっちゃうんですけれども、それを、鉄を溶かす際に、その出たシュレッダーダストのプラスチック部分を燃して、そして熱効率を巧みに利用するとか、そういうような技術を開発して支援するというようなものに対して奨励をし、助力をしていく、こういう具体的な方策をやっていきたいと思っています。
土田委員 ちょっと時間がありますので、次の法案、電源立地の方に一問だけ行かせていただきたいと思います。
 電源立地に伴う地域振興に対する効果がほかの産業と比べて少ないことが、電源立地がおくれている要因の一つだというふうに言われております。そこで、電源立地が地方財政、地域経済あるいは立地地域の雇用などに与える効果について具体的にお尋ねしたいと思います。
西川副大臣 発電所の建設、運転や、これに伴う交付金の交付等によりまして、地域における事業機会の増大や地方の財政力の強化などの効果が見られるわけでありますけれども、十三年度に当省で実施した調査に基づきますと、公共用の施設の整備は進んできた、企業誘致といった産業の振興や雇用創出効果の面では不十分である、こういう指摘が地元の住民の方々や事業者から出されております。
 こうした声にこたえるために、今般の制度改正によりまして、公共用施設というハード面での整備のみならず、地場産業の振興でございますとか地域の人材育成といったソフトの面での事業を法に基づく支援の対象に追加しておりまして、電源立地が地方経済等に十分な効果をもたらすべく本制度を最大限に活用していきたい、こんなことが今回の法改正のねらいでもございます。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 エネルギー特会の議論をする前提問題として、昨年来大きな問題となってきました原発の安全確保の問題についてお聞きしたいと思っております。
 きょう、保安院は、福島の浜通り、双葉郡の方に院長を先頭においでだそうで、私も、保安院に先立ちまして、おとといの二十四日に福島県の方に参りまして、双葉郡の富岡町の遠藤町長さんや双葉町の助役さん、それから県の方にも参りまして川手副知事さんにお会いして、実際の今の原発をめぐる立地自治体のいろいろな現状についてお伺いをしてきました。そのことなども踏まえて質問をしたいと思っております。
 昨年発覚しました原発のトラブル隠しですけれども、国と電力会社が安全だ、安全だと言うのが実際はそうでなかった。ですから、立地自治体の方々にとっては大変なショックだったということは、昨年の秋の電気事業法改正の議論の中でもお話があったわけです。そういう点で、原子力安全行政の信頼性そのものが問われた大きな事件だったわけです。
 今述べました秋の臨時国会で、維持基準を導入する法改正を行ったわけですけれども、この維持基準を導入する前提というのは、当然のことですけれども、ひび割れなどについて、それをきちんと検出する検査方法が信頼できるということが前提であるということは明らかであるわけですね。その点についてお聞きします。
 東北電力の女川原発一号機の再循環系配管のひび割れについて、超音波探傷検査のデータと実測値との大きなずれが生じたと報道されておりますけれども、検査の数値では何ミリで、それが実測値では何ミリだったのか、その点について確認をしたいと思います。
松永政府参考人 東北電力の女川一号機におきましては、昨年九月からの定期検査で、再循環配管で発生したひび割れにつきまして、いわゆるUT、超音波探傷で深さを測定いたしますとともに、原因究明のための調査といたしまして、サンプルを採取する、あるいは切削をいたしまして深さを実測いたしました。その結果、御指摘のとおり、これらの中に、通常のUTの誤差を上回るものが含まれておりました。
 誤差が大きかったものの例を申し上げますと、再循環配管、PLRは二系統ございますが、そのうちのいわゆるA系配管の継ぎ手部のひび割れにつきましては、UTでは検出ができなかったものが、実測では七・二ミリメートルであるというものがございました。
 また、もう一つのB系配管について申し上げますと、UTでは二・〇ミリメートルであったものが、実測では最大で十二・二ミリあったものがございますし、また、これ以外の継ぎ手では、UTでは一・〇ミリというものが、実測では八・五ミリメートルというものもございました。
塩川(鉄)委員 こういった、検査の数値と実測値に大きな乖離があった。一ミリだと思ったら実際には八・五ミリとかいうことですから、大変地元の方もそういう点ではショックで受けとめておられたわけですけれども、こういったずれというのは、女川原発一号機の調査以前に、そういう事実として知られていたものなんでしょうか。
松永政府参考人 今申し上げましたとおり、今回、比較的大きないわゆる測定誤差が生じました配管でございますけれども、それまで、ひび割れが、応力腐食割れがあったものですから、それへの耐性を増すために開発をされました、いわゆるSUS316L材というステンレス鋼が用いられておりました。
 今回このような誤差が生じましたのは、こうした材料につきましては、溶接材料の中にひび割れの先端が進展をする、こういう特有の割れ方をしたためではないかというふうに考えられております。
 これまでも、ひび割れに対する超音波探傷検査の精度の問題につきましては、財団法人発電技術検査協会というところに委託して実施をいたしました確証試験によりまして検討しておりますけれども、一定の誤差範囲に含まれるということが確認されておりました。
 したがいまして、実際のプラントにおきまして、今回の東北電力の女川一号機のような誤差が生じた例というものにつきましては承知をしておりませんでした。
塩川(鉄)委員 従来のSUS304などについてはいろいろデータもあった。ただ、新たな材でありますSUS316Lにつきましては、そういう意味ではひび割れの検査手法が確立されていなかったということでよろしいんですね。
松永政府参考人 こうした応力腐食割れ等のひび割れの測定方法といたしましては、超音波探傷検査を初めとしますいわゆる非破壊検査というものが有効であるということについて、アメリカ等の諸外国を含めまして、コンセンサスとして評価は確立しているというふうに認識をしております。
塩川(鉄)委員 この「原子力発電設備の健全性評価について」の中間取りまとめのところでも、「超音波探傷試験の信頼性確認」について、「健全性評価の考え方」で、「ひび割れの検出精度について、従来の知見と異なる結果が得られた。」「現時点において得られたデータを用いて健全性を評価するのには不確実性が大きい」と言っているのはそのとおりですね。
松永政府参考人 今御指摘の、いわゆる健全性評価小委員会の中で、先ほども申し上げましたように、今回の応力腐食割れの発生のメカニズムというのは、いわば新たな知見でございますので、この知見について、現状の超音波探傷方式、具体的に言いますと、横波を使うとか、あるいはフェーズドアレーではない斜角法を使うとかいうようなことではなかなか精度のいいものがとりにくいのではないか、こういう検討が行われたということは事実でございます。
塩川(鉄)委員 新たな知見だった、今まではわからなかったことだったということですね。そういう点で、この中間取りまとめにもありますように、「現時点において」「健全性を評価するのには不確実性が大きい」というのは重大な事実だと思います。
 検査方法の信頼性というのは、そもそも維持基準を導入する前提だったわけですね。維持基準の導入を議論した際に、例えば検査の在り方に関する検討会などで、このSUS316Lについて、ひび割れの問題、検査方法の問題についてどんな議論をされているんですか。
松永政府参考人 先生御指摘のとおり、維持基準というような制度を導入するに当たりましては、十分な精度を確保するための検査精度が確保されることが重要でございます。
 こういう問題意識のもとに、この健全性評価小委員会におきまして、先ほど御指摘の女川一号機のサンプル調査の結果でございますとか、あるいはその他の情報等も整理をいたしまして、そこで検討してまいりました。
 その結果といたしまして、今までの超音波探傷方式による測定誤差というのは、316材で、かつPLRという特定の設備で、加えてそのひび割れの深さを検証する、こういう局面では、いわば許容可能でないかなり大きな誤差が出るということがわかりました。
 その結果といたしまして、その部分の精度を向上するために、新たな形で超音波探傷方式の検査方法をさらに改善するとか、あるいは、これは検査をする検査員の資質の問題もございますけれども、そういった者についての教育訓練が大事であるといったような御指摘をいただいております。
塩川(鉄)委員 いや、維持基準を導入する法改正の前の議論なんですよ。維持基準についてきちっとやろうという際に、去年さんざん法改正で議論したわけですけれども、その際に、では、SUS316についてひび割れがどうかという検査方法について議論をしていないんでしょう。そこを確認したいんです。
松永政府参考人 この女川一号機のデータにつきまして、実測値と超音波探傷の数字の間に誤差があるということを、私どもは、昨年の十一月、十二月、まさにこの法改正を御議論いただいているときに認識をしておりました。そのために、その時点で、既に東北電力等にその辺の検討を指示したというふうに承知をしております。
塩川(鉄)委員 では、そのことが国会の議論の中で報告はされているんですか。SUS316Lについて、検査方法について信頼性が疑われているということを知っていたのに、国会の議論で何も言わなかったということですか。
松永政府参考人 先ほども御説明しましたように、UTというのは既に確立をいたしました手法でございまして、当然、諸外国の知見から見ましても、一定の信頼性があるというふうに判断をしておりました。
 しかし、一方でそういう誤差も生じましたので、その辺の原因分析、精度向上のための検討を開始したわけでございまして、その辺につきまして、この三月十日にまとめられました中間報告でも、一定の改善を行えば十分な精度が確保できるのではないか、こういう結論をいただいているところでございます。
塩川(鉄)委員 極めて重大だと思いますね。維持基準導入について、国民的な関心のもとに議論している最中ですよ。その維持基準導入の前提となる検査方法について、その信頼性が疑われるようなデータがあったにもかかわらず、それを隠したままで、今になってこういう報告書にまとめていくという、これは、維持基準導入の議論そのものの根底が崩れているということになるんじゃないですか。そういう点での信頼性を損なうようなことを保安院自身がやっているということじゃないですか。大臣、率直にいかがでしょうか。
松永政府参考人 こうした形で実測値と超音波探傷の計測値との間に誤差があるというのは、東北電力自身が十一月の末に公表、プレス発表しているものでございまして、私どもとしましては、これはいわば公知の事実というふうに認識をしております。
 したがいまして、その時点でこの問題についてどう対応するかということについて検討を開始しておりましたし、非破壊検査のいわば一般的な評価というのは確立しておりますので、十分この問題については解決策が見つかるに違いないというふうに考えておりました。
塩川(鉄)委員 そうしますと、先ほどの二ミリが十二・二ミリとか一ミリが八・五ミリというのは、その十一月の時点で明らかになっているということでしょうか。
松永政府参考人 若干補足をいたしますと、十一月の時点で、UTにつきましては、いわゆる昨年の定検ではなくて、その前の、平成十三年の定検のデータがございました。それから、実測値につきましては、昨年、平成十四年の秋に行われたデータがございました。この比較においてその間に誤差が生じるというのは、十分に検証可能な、明らかな事実でございました。
塩川(鉄)委員 そもそも出発点に戻る維持基準の導入に当たって、信頼性の問題について、検査方法に非常にそれが揺らぐような現状にあったということは、この報告書でも指摘をしているとおりです。
 その立場で、私、検査手法の信頼性が揺らいでいるときに、既定路線だからということで秋から維持基準を導入するということでは国民の信頼は得られないんじゃないかと率直に思いますが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 維持基準というのは、特定の部位に対するものに限定しているわけじゃなくて、全体の中での維持基準、それを評価する、そういう手法だと思っております。
 昨年の法改正により導入されることとなったこのいわゆる維持基準というのは、設備にひび割れがある場合、ひび割れの進展を予測するとともに、どこまでが許容されるかを定めて、これにより、機能や構造強度から見た健全性を評価していく、こういうものでございます。
 ひび割れがある場合の健全評価の手法というのは、学術的な研究を踏まえまして、米国の機械学会規格に代表される民間の規格として確立をされておりまして、諸外国では規制の基準として取り入れられてきているところでございます。我が国でも、日本機械学会で規格化が進められておりまして、当省といたしましては、これに十分な評価を加えた上で、維持基準として規制に取り入れるべく現在検討を行っている、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
 維持基準によりまして健全評価を行う場合は、ひび割れの大きさなどを正確に把握することが前提となることは御指摘のとおりだと思っております。測定の誤差がある場合でも、それが従来の知見による誤差の範囲であれば、その誤差を踏まえてひび割れの進展予測や評価を行うことは可能でありまして、検査の精度に誤差があることをもって維持基準自体が否定されるものではない、こういうふうに私どもは思っているところでございます。
塩川(鉄)委員 富岡町の遠藤町長さんにお話をお聞きしました。再循環系配管のひび割れのことなど、検査が信頼できないことを大変心配されておられました。ですから、再循環系配管を交換してもらうしかないということをおっしゃっておられましたし、川手副知事も、検査方法の議論というのは根底がひっくり返るような問題だ、再循環系配管については交換してもらうしかないということは、もう当然のことながら地元の声であったわけです。
 再循環系配管が破れるというのは、一次系の一次冷却水が漏れるという極めて重大な事故につながるわけですから、今回の中間取りまとめでも、「検査の信頼性を実証するためには一定の期間が必要」だということで、「配管の交換」ということを言っているわけですよね。
 その期間という点で、私、最初から、維持基準導入については、秋にスタートさせる、そういう時期じゃないんじゃないですか、もう一度総ざらいして、安全性検査方法についてきちんと確認してこそ地元の信頼、国民的な不信を解消する道になるんじゃないか、そういう点でも維持基準の導入というのは時期尚早じゃないかと率直に思うんですけれども、改めていかがでしょうか。
平沼国務大臣 この再循環系配管のものに関しては、今、誤差が出ている、こういうことで、新たな検査方法等を含めて検討しております。そういう中で、しっかりとした一つの知見、所見というものが出ない場合には、それは維持基準の中から外すということだって当然考えていかなければいかぬことだと思っておりますし、今検討していることが維持基準として十分評価し得るものであればそれは維持基準の中に加えていく、こういう基本的な考え方で私どもは臨んでいるわけであります。
塩川(鉄)委員 川手副知事などが、検査方法の議論の根底がひっくり返ると言っているように、その前提の問題がこういうふうに覆るということに対して大変ショックを受けている、こういうことでこのままエネルギー政策を進めることでいいんだろうかという疑問を抱かざるを得ない、そこが、福島県全体としてのエネルギー政策検討会という中身も踏まえての議論になっているんだと思うんです。
 そういう点では、原発の安全性に対する不信が高まり、原子力安全行政についての信頼性が問われているこういうときですから、傷ついた機器をそのまま使用してもいいという宣言を出すような維持基準の導入については、当初からやはり地元の立地自治体の方などについては、今まで、何か危ないと言ったら取りかえてくれたんだから、それは、とにかく多少でもひびが入っていれば、大丈夫なんだというのは非常に違和感があるという中にあるわけですね。そういう点でも、検査手法の信頼性も十分な検討がないままに、今のように維持基準を導入するというのは実態に合わないんじゃないかと率直に指摘をしたいと思います。
 その上で、今回の周辺整備法、電源特会法の改正、特に立地交付金制度の問題を質問したいと思っています。
 今回の電源特会の改正では、原発を中心とした長期固定電源の開発利用の促進策に歳出を重点化するという中身になっています。
 そこで、大臣にお聞きしますが、そもそも立地交付金というのが、環境ですとか安全ですとか地元振興などの問題で地元の同意が進まない、あるいは住民の反対がある、だから立地を円滑化するために立地交付金制度をつくった、そういういきさつがあると思うんですね。
 これまでも、交付金の算定で原発を優遇したり、原発だけを対象にした交付金をつくったりと重視をしてきたわけですが、この一連の交付金制度というのが原発の立地の円滑化にどう役立ったのか役立たなかったのか、その辺の総括をぜひお聞きしたいと思っております。
岡本政府参考人 電源三法制度に基づきます交付金は、工場の立地なんかに比べました場合に、雇用創出効果等の面で地元へのメリットの少ない発電所の設置に関しまして、そういった面を補完することによって、発電所の設置に対する立地地域の理解を深めて、円滑な発電所の設置に大きく寄与してきたものと私ども考えております。
 一方で、立地地域からは、より活用しやすく効果の高い交付金制度というのが求められておりますことから、今般の法改正によりまして、支援対象事業に福祉サービス等のソフトな事業を追加するなど、見直しを図っているところでございます。
 今後とも、地域のニーズに即しまして、効果的な当該地域における住民福祉の向上が図られ、円滑な立地に資するよう、そういう制度の工夫あるいは運用に努めてまいりたいと考えております。
塩川(鉄)委員 なぜ地元の同意がなかなか得にくいのか、なぜ地元で反対があるのか、これは、法をつくる段階の議論の際での問題提起にもあったわけですね。
 こちらに、昭和四十九年四月二十六日付の衆議院商工委員会の会議録ですけれども、ちょうど中曽根通産大臣がこの法案の提案理由説明をされておられる、そういう審議の中でのことですけれども、当時の趣旨説明で、中曽根通産大臣は、「住民の反対の根底には、一つには環境保全の問題及び原子力発電所に関する安全問題がある」、そして「立地難のもう一つの理由として、発電所等の立地による雇用機会の増加等による地元の振興に対する寄与が他産業に比べて少ないということが大きな問題」と指摘をしている。
 岡本長官がお話しになったように、企業の城下町という格好ではないですから、すそ野がなかなか広がらないという点で、原発について地域振興的な側面、これは当然あったと思うんですけれども、その評価はおいておくとして、そういう面というのは当然手当てをしてきた、成果があったという話なんですが、もう一つの反対の根底にあるという環境保全の問題及び安全問題ですね。安全問題を解消するために立地交付金制度をつくったんだということがそもそもの趣旨説明にあるわけですけれども、この交付金制度で安全、安心は買うことができたんでしょうか。率直に。
岡本政府参考人 発電所の立地ということについて、まず環境の面では、日本の発電所の立地に対する環境アセスメントあるいはそれに基づく環境保全措置というのは、諸外国に比べても群を抜いて徹底的な措置を講じているところでございます。
 安全の点は、これは先生もかねがね御主張のように、とにかく安全ということについて、規制を含めまして万全を期すということが大前提で、そのことについて地元の方々の御理解をいただくべく、これは私どもは、事業者を含めて徹底的な説明、広報、そういうことを通じて安全についての理解をいただくというのが本筋だと思っておりまして、その方向に向けての取り組みを、これまでもやってまいっておりますし、今後ともさらに強化をしていきたいと考えております。
塩川(鉄)委員 いや、立地交付金制度で、安全問題で国民的な理解というのは広がったんでしょうか。
岡本政府参考人 立地の段階あるいはその後の運転の段階におきまして、私ども、地域の方々に発電所の安全ということについてのわかりやすい広報をするというような一連の取り組みをやらせていただいております。そういうことを通じて、これは国がやる場合もあれば、あるいはそれぞれの地元の市町村で初期段階からおやりいただくというような場合も含めまして、そういうことを通じて、地域の方々に安全についての御理解を深めていただく一助になったことは間違いなくあろうかと認識をいたしております。
塩川(鉄)委員 国民的な理解がどう深まったのか、あるいは地元立地自治体の安全問題についての不安が払拭されたのかというのは、率直に言って、そういう状況じゃない。原発の危険性という問題は立地交付金では解決されない問題だ、原発の新設、増設が思うように進まなくなっているというところにその結果があらわれているわけで、お金を積むだけじゃ解決にならないということをこのことは物語っているんじゃないかと思うんですね。
 その上で、今回の法改正で、発電所の建設だけでなく、運転の円滑化も立地交付金の目的とされております。これは立地交付金制度にどのように具体化されるのか。設備容量だけでなく、発電実績を考慮すると言われているんですけれども、簡単に説明していただけますか。
西川副大臣 今回の交付金の見直しは、複数の交付金を統合する、こういうこともございます。
 そこで、今御指摘の、従来の交付金の仕組みとは少し形の違う算定基準を設けまして、発電用施設の容量と申しますか、設備容量をベースとしながら、その算定方法に実際の発電電力量を加味する、こういうものを加えまして、これによりまして、発電用施設の運転段階での地域の理解というもの、それから既設の発電所の価値というものを再評価する、こういう目的でございます。
塩川(鉄)委員 福島県でも、我々、日々電気を送り出しているんだ、この点をぜひ評価してもらいたいということ、そう言われた趣旨でのこの仕組みということにつながってくるんだと思うんです。
 その場合、原発がとまる、発電がとまるというような事故ですとか昨年の東電のような不正事件が起こったとき、現実生まれるわけですね。そうすると、実績が減るわけですよ、発電実績が。発電実績が低下したような場合は、この交付金というのは減額されるんですか。
岡本政府参考人 今、先生がおっしゃったような場合には、私ども、運転期間とみなして、引き続き交付金は運転状態にあると同様に扱うということで制度を設計しようと思っておりまして、未然に防ぐために発電所が確認をするあるいはとめる、そういった期間は、この交付金との関係においては運転継続をしていると同等に扱うということにいたしたいと考えております。
塩川(鉄)委員 福島県の担当者の方も、地元に瑕疵がないのに、電力会社の不祥事で原発がとまったら交付金が来ないというのは認められないということをおっしゃっておられましたし、いわば何の落ち度もない自治体が電力会社の不祥事でペナルティーを科されるような話というのは筋が通らない。そういうことは絶対に起こり得ないというふうにお約束していただけますか。
平沼国務大臣 資源エネルギー庁長官がお答えしたとおりでございます。
塩川(鉄)委員 今回の法改正全体でも、核燃サイクルやプルサーマルも同様の上乗せ、割り増しの措置がありますし、運転開始から三十年以上たった原発への優遇措置も新設をします。全体として、政府は原発立地のために金を出すことには努力を惜しまないとなっているわけですけれども、しかし、そもそも、電源三法制定のときに比べても、それ以降、スリーマイル島やチェルノブイリですとか「もんじゅ」やジェー・シー・オーや一連の事件、事故でますます原発の安全性の問題について厳しく国民が見ている状況です。
 安全の問題は金では解決できないという問題について、そういう立場からエネルギー政策の見直しというのも大いに考えるべきだ、そのことを求めて、終わります。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子です。
 まず、大臣に質問しますけれども、日本のエネルギー予算は総額二兆一千億円。内訳は、石油特会が一兆五千億円、電源開発特別会計が五千億円、一般会計は名目五千億円ですが、石油特会からの繰り入れが四千億円あるので、実質一千億円です。つまり、ほとんど特別会計で成り立っていると言われます。
 その電源開発特別会計と石油特別会計の枠組みが、今回の法改正で変更されます。この変更は、地球温暖化問題を背景に、エネルギー構成を変えようという政府の意図があるものと考えられますが、変更内容は、結局、原発の推進、強化と石油への変わりない支援であると思います。今後も重要なかぎを握る自然エネルギーや燃料電池など、発展途上のエネルギーへの支援が置き去りにされていると思います。
 そこでまず最初は、電源特会から質問をさせていただきます。
 まず、多額な剰余金の取り扱いについて、二〇〇一年度、平成十三年度の電源特会電源立地勘定では、決算ベースで、歳入が三千三百二億円、予算は二千四百三十六億円ですが、歳出が一千五百五億円。その差額は実に一千七百九十七億円強となります。予算との差額の剰余金は九百三十九億円です。十三年度決算での剰余金は一千七百三十五億円が計上され、会計検査院からも、剰余金の減少及び今後多額の剰余金が発生しないための方策について検討することが望まれると指摘されております。同じような歳入と歳出のギャップが延々と何十年も繰り返されているのですから、会計検査院がこのように指摘するのも当然であると思います。
 電源開発特別会計の見直しということであれば、こういう予算執行のあり方にメスを入れるべきであると思いますが、枠組みの変更について今度の法改正で配慮されたのかどうか、伺いたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 電源立地勘定の平成十三年度決算における歳計剰余金というのは約一千八百億、こういうふうになっております。これは、十二年度及び十三年度の剰余金一千七百四十億円と十四年度への繰越金六十億円を一括計上しているものでありまして、十三年度単年度での剰余金は約九百億であります。
 こうした剰余金というのは、近年、原子力発電所を初めとした発電用施設の建設計画のおくれによりまして、支出を想定していた交付金等の財政需要が現実のものとならなかったために、これが後ろ倒しとなって蓄積をしているものであります。
 したがいまして、発電所の建設計画が進展した際には財政需要が現実のもの、こういうふうになりますために剰余金は減少していくことになりますが、このような性格の資金の位置づけを明確にするために、今回、法改正案におきまして、周辺地域整備資金を設けることにいたしているところでございます。
 なお、交付金が効果的に活用されて、地域振興の実が上がるように、地域の産業振興や住民への福祉サービスの提供などの事業を交付対象に含めるなどの措置もあわせて講ずることにいたしておりまして、私どもとしては、今申し上げたような考え方の中で、大幅に変えるとかそういうことじゃなくて、剰余金が出ているというのは、今申し上げたような事由によります。しかし、その中で、今回改正をさせていただいて、周辺地域整備資金、こういったことを設けることによって、地域の産業振興あるいは住民へのサービス、こういった向上を図っていこう、このように思っているところでございます。
大島(令)委員 一九八六年にチェルノブイリの事故があった年の剰余金は、決算ベースで五百億強でした。それが、十三年度まで、ここに資料がこうして棒グラフでございますけれども、毎年毎年、今では決算ベースで千七百億円ぐらいになっているわけなんですね。なおかつ、原発の立地が難しいにもかかわらず、これを十数年放置している。
 しかし、立地地域の人たちは、原発の相次ぐ事故とか不正事件によりまして、なかなか受け入れてもらえない。会計検査院も指摘しているわけですね。特に、MOX燃料の加工データ改ざん問題ですとか、同じ年にはジェー・シー・オーの臨界事故もありました。さらに昨年の八月には、東電による自主点検の作業記録の不正な事件。また、原発をめぐる住民投票で住民の方が勝っていますね。
 そういう立地が困難な中で、このような一千何百億円という、例えばこの金額、愛知県の私の町で万博が開かれますが、会場建設費が約一千五百億円ということで、財政難の中、非常に集めるのも大変だという中なのに、この特別会計にはこういう剰余金がある。そして、原発の立地が難しいから毎年こういうふうに繰り越されて残っていく。
 では、大臣、ほかの周辺整備の方に交付金を広げるということでございますけれども、本当に原発の立地というのはなるんですか、十三基も。
平沼国務大臣 今、原子力発電所の建設をめぐる客観情勢というのは、御指摘のように、一連の不祥事等の影響もあってなかなか難しい状況になっております。
 しかし、剰余金の問題について少し触れさせていただきますと、日本の場合には、エネルギー、天然のエネルギー資源が乏しいわけでございます。そういう中で、世界第二位の経済大国、これを維持発展させていくためには、どうしても電力というものの確保が必要なわけでございます。
 そういう中で、二十一世紀は環境をいかに立派に保っていくかということが人類の使命とも言われておりますけれども、安全性をしっかり担保させれば、原子力発電所というのは、例えば百三十万キロワット発電をする発電所では二酸化炭素の排出量を一基で〇・七%削減できる、こういったことがございまして、そういう一つの日本の今後のエネルギー確保の意味からも非常に重要なことでございますし、環境問題についても、安全さえ担保できれば、京都議定書の批准をした国としては、それを達成するためにも非常に有用なものだと思っています。
 そういう中で、今厳しい状況でございますけれども、例えば、福井県の敦賀の三、四号でございますとか、そしてまた青森県等々、これから十基から十三基つくる、こういう計画ですけれども、厳しい中でも、そういう敦賀の三、四号等々、だんだん具現性を帯びてきている。これも、地域の皆様方の納得を得られ、そして安全性についてしっかり御説明しなければいけませんけれども、そういう中でも、だんだん曙光が見えてきた、こういうこともあります。
 そういう中で、やはり、そういう建設が始まった場合には大きな財政というものが必要になるわけでありまして、そのためにはどうしてもとっておかなければならない。それが、御指摘の剰余金という形で今残っているわけでございまして、決してそれはむだに積んでいるわけではなくて、そういう事態が来たときにはやはり国の全体的なことのためにしっかりとそれが円滑に進捗できるように、そのための備えとしての剰余金である、そういうことも御理解をいただければというふうに思っております。
大島(令)委員 私は、使い道のない税の徴収はやめるべきか、きちんとした使い道を確立すべきであると思っているわけです。ところが、今回の法改正は、むしろ逆行ですね。電源開発特別会計を事実上原子力に特化する改正です。継続的な歳入歳出のギャップは、やはり原発の立地が政府の思うように進んでいないことのあらわれにほかならないと思っております。
 経産省の試算では、原発が最もコストが低いことになっていますね、発電単価が。五・九円でしたね、たしか。こういうものに補助金、交付金をなぜばらまかなければいけないのか。それは、やはり立地地域の安全というものに対する理解と協力が得られない、そういうものを国が示していないということで、私は、このような剰余金が残るような会計のあり方に関しては疑問に思っています。
 そこで、キロワットアワーの補助金について質問しますけれども、電源開発特別会計では、現行の電源立地促進対策交付金や電源立地特別交付金などの補助金、交付金を束ねて、新たに電源立地地域対策交付金と一本化します。交付金の支給額は、立地している施設の実際の発電量を前提に算定という考え方が導入されます。
 こうなりますと、事故とかトラブルなどで原発がとまっていると交付金が減額されるということになり、自治体が運転再開を拒否したりしている場合には、結局はペナルティーとしての効果を持つのではないか。これは、先ほど塩川議員も同じ趣旨のことを言っていたと思います。今、重要な機器のひび割れの発生などで、多くの原発が停止、点検中です。そういう原発の運転開始を認めないと罰せられるというとんでもない制度というふうに私は思っているわけなんです。
 実は、ここに交付金の計算方式がありまして、想定発電電力量掛ける三分の二プラス実際の発電電力量掛ける三分の一、これが平成十五年、十六年なんですね。平成十七年、十八年は、想定発電電力量掛ける二分の一プラス実際の発電電力量等掛ける二分の一ということで、実際の発電電力量を二分の一という形でふやしているわけなんです。次が、十九年、二十年は、想定発電電力量等掛ける三分の一、これは減らされて、実際の発電電力量が今度は三分の二ということで、結局、この計算式からしてみますと、設備容量、想定発電電力量は年月がたつに従って掛け率が少なくなってくる、実際発電をすると、掛け率が三分の一から三分の二に段階的に上がっていく。
 この数式を見ただけでもペナルティーと受けとめられるというのは、私は間違っていないと思います。この件に関して、どうでしょうか。
岡本政府参考人 交付金の限度額の算定に当たりまして、キロワットで見ました設備容量に加えまして、実際の発電電力量、キロワットアワーの要素を加味していくということで、交付限度額の算定をこれから詰めていこうと思っております。
 その際に、先生の御懸念の点でございますが、事故やトラブルなどにより、安全の確保を理由として発電施設が停止しているような場合には、この期間は運転が引き続き行われているものとみなしてこの交付限度額の適用をやっていこうと思っております。したがいまして、先生今御心配いただいたような事態には立ち至らないと私ども考えているところでございます。
大島(令)委員 原因が事業者による原因ということでございますね、そういう場合はこれに該当しないということですね。
 では、安全宣言を国や事業者が出したということで説明会を開いて、住民や自治体などがそれではまだ信用できないといった場合にはどうなるんでしょうか。
岡本政府参考人 細部につきましては、各方面の御意見を十分に伺いながらこれから詰めていきたいと思っておりますが、私ども、今申しましたように、この交付金の限度額の設定を通じて、無理やりに、安全についての御心配があるような状況のもとで、なお運転を継続することを強行する、そういったことでこの交付金が運用されることのないように十分に意を用いながら、各方面の御意見を伺いながら、適切に交付金の限度額あるいはその詳細な算定方式というものを検討してまいりたいと考えております。
大島(令)委員 もう一度、長官に伺います。
 では、シュラウドにひびが入っていまして、国が、これは安全だからあと五年使ってもいい。でも、地元自治体は、シュラウドにこのようなひびが入っているのは危険だということで、運転の再開を拒否したとします。こういう場合に、この算式はどのように適用されるんでしょうか。
岡本政府参考人 個別のケースの当てはめについてのお尋ねかと思います。
 まさに、例えば今のシュラウドの件等につきまして、保安院において、健全性評価委員会の御意見を伺って、その結果をもとに、地域の方々に対する、行政当局はもちろん、住民の方々への御説明も丁寧にわかりやすくやるということで、手順を踏んで、精いっぱいのことを今やらせていただいているところかと思います。
 そういう形で、住民の方々の御理解をいただくための手順を尽くすという、その状況を見ながら、個別の当てはめのケースでございますので、判断をしていくということになろうかと思います。
大島(令)委員 しかし、こういう計算式がある以上、自治体の側は受け身ですよね。この数式が通れば、では、今言った長官の国会の委員会での答弁を盾に、自治体はこういう形で交付金がいただけますよと主張できるんですか。そういう効力が今の長官の答弁にあるならばいいわけなんですが、そのような運用が実際に行われるという担保をどこかで持たないと、それは、安全性に対して疑問を持っている立地地域の自治体に対して私は説得力がないと思うんです。そういう心配があると思うんですが、それに対してはどのような御意見をお持ちでしょうか。
岡本政府参考人 今、先生御議論の中で御指摘になられましたような点を含めまして、立地地域の方々のこの交付金の運用についての疑問な点あるいは将来に向けて不安に思われるような点、そういったことにつきまして、私ども、立地地域の方々の御意見も十分に伺いながら、年度後半の予算執行というふうになりますので、これから交付規則を定めていきますので、その中で極力明確に、今御指摘のような点を含めまして、疑問を極力消していくという努力をこれから鋭意やらせていただきたいと思います。
大島(令)委員 それでは、安全性を軽視するような運用は行わないというものを交付規則の中にきちっと最低限明文化するというふうに理解してもよろしいんですね、本当は附帯決議ぐらいでこれは言いたかったんですけれども。
岡本政府参考人 まさに、安全性を軽視するというようなことがいやしくもこの交付金によってないように、私ども、この制度を運用してまいりたいと考えております。
大島(令)委員 では、石油特会の方の質問をします。
 石油特別会計の場合、一たん一般会計に入れられ、そこから特別会計に必要な額のみ繰り入れられるという形式をとっています。この場合、剰余金ではなく一般会計への留保という形で、歳入の一部が一般会計に残されます。法律に明確な定めがないため、一般会計ではこれを通常の歳入として扱っています。ところが、特別会計側から見れば、いわば一般会計への貯金であり、仮に緊急事態が発生し返却を求めたら、一般会計は返却しなければいけません。
 この留保が、二〇〇一年度末、平成十三年度末で、既に二千九百六十四億円、約三千億円近くに上っています。決算ベースでの差は五千億円近いわけです。これも会計検査院から、「このような資金の滞留を解消するための措置を検討する必要がある。」と指摘されております。
 この質問に対しては、先ほど土田委員の答弁の中で、石油備蓄事業等において、緊急時の備蓄石油の放出に備えて計上している予算が執行を要しなかったことが主要な要因だという答弁を長官はされましたけれども、では、これ以外は一体幾ら留保されて、どこにお金があるのか教えてください。
岡本政府参考人 いわゆる剰余金ということにつきまして先ほど御答弁申し上げましたのは、備蓄の放出を実際にやるに至りました場合に、今の備蓄原油の平均簿価と実際の今のマーケットの時価との差分というものが出てまいりますので、その差分を補てんするための予算というのが一つあります。
 それから、備蓄の中身の原油というのは、借金をして、その利子補給を予算でやりながらやっているわけですけれども、予算で予定をした利率に比べまして、実績ベースでは下回る利率で実際の資金の調達ができたという場合に、かなりの額の利子補給関連予算の剰余金というのが発生してまいります。
 それから、石油開発の関係で、大きな案件が、日本が権益を取得できて探鉱投融資が進むという前提のもとに予算を組んでおりますけれども、それが実際に大きな案件の採択に至らないという場合には、開発予算がその分で不用に立ってくる。
 そういったことから、十三年度決算の場合において、石油対策で約千五百億の剰余金が発生しているところでございます。
 一方で、先生が今お尋ねの、一般会計経由で石油税収というのは繰り入れられるということになっておりますので、その関係のものは、今現在、累計いたしますと約三千億弱に達していようかと思っております。
大島(令)委員 その三千億というのはどのようになっていくんですか。
岡本政府参考人 これは一般会計に留保されているわけでございますが、毎年の予算で一般会計から石油特別会計への繰入額を決めるわけですけれども、その際に、当該、例えば十五年度の予算に向けて繰入額を考えます場合に、十五年度に見込まれます石油税収、それに加えまして、一般会計に過去に留保している部分、それを合計したものを発射台にしまして、その中で、十五年度に向けての歳出需要をにらみながら、実際に財政当局と私どもとの折衝を通じて繰入額が決定されるという仕組みになっているところでございます。
大島(令)委員 今の答弁は私は理解できないので、後でまた詳しく委員会の後に教えてください。
 次に、石油特会の歳出を見ますと、二〇〇三年度の実質予算六千六百二十七億円のうち、半分の三千七百五億円が石油安定化対策に使われております。三千億円が石油備蓄ですね。石油生産流通合理化対策費が約五百億円、これは石油産業活性化センターなどの特殊法人に行きます。地球温暖化対策費として新たに追加されたものは、二酸化炭素排出抑制対策事業と委託費と補助金を合わせても五十九億円です。
 しかし、今度の法改正の趣旨には、エネルギーの使用に伴い発生する二酸化炭素の排出を抑制するために経産大臣、環境大臣が行う施策に対し必要な財政上の措置を講ずるとありますが、結局、約五十九億円のみで、看板と実態が余りにも違うのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
平沼国務大臣 約六十億というのは、最初の環境省との共管で行うものでございまして、これは、環境省、そして財務省、我が省との間で議論をして詰めたことでございまして、第一歩でございます。六十億、それは備蓄等に比べて小さいから低い、決してそういうことは私は言えない、このように思っております。
大島(令)委員 改正案の題目に温暖化対策ということが含まれている割には、このエネルギー需給構造高度化対策費の予算の中に占めるいろいろな補助金とか委託費、たったわずか二つの事業ですね、約五十九億円。やはり、法律改正してまでやるんでしたら、もうちょっと看板と中身が一緒になるような大胆なものかと私は期待していたので、こういう質問をさせていただきました。
 見解に相違があるので、最後の質問に移らせていただきます。
 これは原子力安全・保安院に質問いたしますけれども、昨年の原発の不正事件以降、さまざまな機器にまでひび割れが発生していることが問題になっています。SUS316Lのひび割れは、今どれだけ発生しているのが発見されたのか。また、このひび割れのメカニズムは、従来のSUS304の応力腐食割れと同じではない、新しい知見としてメカニズムの解明はできたのか。そして、解明できたと私は聞いていないのに、安全宣言がどうして出せたのか。そしてもう一つは、超音波探査装置の結果について、精度が悪いと言いながら、安全宣言が出たわけです。
 これらの疑問に対して答えていただきたいと思います。
松永政府参考人 お答え申し上げます。
 SUS316材でのひび割れの件数でございますけれども、東京電力及び中部電力の合計七基の原子炉で、シュラウドについてのひび割れが見つかっております。
 一方、同じく316材を使いました再循環系配管につきましては、東北電力、東京電力及び中部電力の合計十一基の原子炉におきまして、ひび割れが見つかっております。
 このひび割れのメカニズムでございますけれども、御指摘のとおり、それまで使われておりました304材、これはいわば熱でクロムと炭素が一緒になって、金属の結晶からその部分がはみ出して弱くなる、鋭敏化現象と呼んでいますけれども、それが原因でございました。
 そのために、いわば悪さをする炭素を減らした316材というもので新しい素材ができたわけでございますけれども、これについても、最近、御指摘のとおりひび割れが見つかってきたわけでございます。
 この原因は304材とは違っておりまして、表面がいわば機械加工等で硬化いたします。かたくなるわけでございますが、このかたくなった部分にひび割れの部分、これは、いわばこれまでの結晶と結晶の間に生ずるものではなくて、結晶の中を貫くような、粒内割れと呼んでおりますけれども、その部分のひび割れが発生をして、その後、発生部分から垂直に結晶と結晶の間に進展していくという形でひび割れが発生をした。これは、先ほども出てまいりました健全性評価小委員会の中で、そういうメカニズムで発生したのであろうというふうに見解がまとめられているところでございます。
 それで、これを踏まえまして、今御指摘の精度の問題でございますけれども、先ほども御答弁させていただきましたけれども、こういういわば新しいひび割れの解明のメカニズムがございますので、それに対応した形で、UT、超音波探傷の精度を向上する。具体的には、今までの横波ではなくて縦波を当てる、あるいは、斜角法で超音波探傷の音波を一回だけ当てるのじゃなくて、相互して同時に多くの波を当てる、フェーズドアレー法を使うというようなやり方をとれば、この部分につきましての精度の向上というものが図られるのではないか、こういう見解をこの小委員会の中でまとめさせていただいたところでございます。
大島(令)委員 きのうのレクのときの答弁と全く違いまして、そのときは超音波探査装置の結果について認められたんですよ。新しい方法を技術開発中である、そして、十年たってSUS316Lにひびがあったときには事業者に交換をさせる、そういうふうな答弁をいただいたんです。
 きょうはちょっと違いますので、そのことだけ申し上げて、終わります。
村田委員長 次回は、来る四月二日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十七分散会


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