衆議院

メインへスキップ



第17号 平成15年5月16日(金曜日)

会議録本文へ
平成十五年五月十六日(金曜日)
    午前九時三分開議
 出席委員
   委員長 村田 吉隆君
   理事 阪上 善秀君 理事 下地 幹郎君
   理事 竹本 直一君 理事 谷畑  孝君
   理事 田中 慶秋君 理事 中山 義活君
   理事 井上 義久君 理事 土田 龍司君
      小此木八郎君    大島 理森君
      梶山 弘志君    小池百合子君
      佐藤 剛男君    桜田 義孝君
      西川 公也君    林  義郎君
      平井 卓也君    増原 義剛君
      松島みどり君    山本 明彦君
      小沢 鋭仁君    奥田  建君
      金田 誠一君    後藤  斎君
      齋藤  淳君    鈴木 康友君
      武正 公一君    中津川博郷君
      細野 豪志君    松野 頼久君
      河上 覃雄君    工藤堅太郎君
      大幡 基夫君    塩川 鉄也君
      大島 令子君    金子善次郎君
      宇田川芳雄君
    …………………………………
   経済産業大臣       平沼 赳夫君
   経済産業副大臣      高市 早苗君
   経済産業副大臣      西川太一郎君
   経済産業大臣政務官    桜田 義孝君
   経済産業大臣政務官    西川 公也君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議
   官)           恒川 謙司君
   政府参考人
   (林野庁森林整備部長)  辻  健治君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            今井 康夫君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局次
   長)           仁坂 吉伸君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 岡本  巖君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁資源・
   燃料部長)        細野 哲弘君
   政府参考人
   (環境省総合環境政策局環
   境保健部長)       南川 秀樹君
   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
 辞任         補欠選任
  川端 達夫君     細野 豪志君
  後藤  斎君     齋藤  淳君
同日
 辞任         補欠選任
  齋藤  淳君     武正 公一君
  細野 豪志君     川端 達夫君
同日
 辞任         補欠選任
  武正 公一君     後藤  斎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八二号)(参議院送付)
 揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八三号)(参議院送付)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
村田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、参議院送付、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案及び揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省製造産業局長今井康夫君、経済産業省製造産業局次長仁坂吉伸君、資源エネルギー庁長官岡本巖君、資源エネルギー庁資源・燃料部長細野哲弘君、厚生労働省大臣官房審議官恒川謙司君、林野庁森林整備部長辻健治君及び環境省総合環境政策局環境保健部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
村田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。
後藤(斎)委員 おはようございます。
 きょうは、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案を中心とした質疑ですが、化学物質に関連をして、最近というか、この十年くらい、国民的に非常に大きな課題になっております花粉症について、冒頭幾つか確認をしておきたいと思います。
 御承知のとおり、花粉症は、一月から四月の杉花粉、これは主に日本だけということになっているようですが、次の四月から六月がイネ科の花粉、そして、私も大変悩まされておりますが、ヒノキ花粉、秋にはブタクサと、ほとんど周年と言っていいほど花粉症が今世界じゅうに蔓延をしております。ある意味では経済損失を生み、医療費の増大を生みということで、いろいろな手当てがされておりますが、花粉症の発症の具体的なメカニズムを含めて、まだまだ解明されていない点がございます。冒頭、厚生労働省の方にお尋ねをしたいと思います。
 花粉症の原因というものは、もちろん花粉ということ、そしてディーゼルの因子も含めた化学物質、食生活、ストレス、もろもろのものが絡み合って発症するということが言われておりますが、現在、新しい直近の知見で、どのような花粉症というものの発生のメカニズムが解明をされているのか、冒頭御答弁をお願いしたいと思います。
恒川政府参考人 お答えいたします。
 花粉症の発症メカニズムでございますが、先生御指摘のように、環境要因や遺伝的要因が数々の研究調査から重要だと考えられておりますが、残念ながら、その各要因の具体的な役割等詳細については、不明な点がいまだ多いわけでございます。
 現段階の知見でございますが、例えば花粉症で最も多い杉花粉症におきましては、鼻や目の粘膜を刺激してアレルギー反応を引き起こす抗原物質、これはCryj1、2という抗原物質でございますが、その存在が明らかになっているほか、アレルギー反応に関係する抗体、これはIgE抗体というふうに呼ばれている抗体、それからリンパ球、肥満細胞等の機能の解明は進んでおるところでございます。
 厚生労働省としまして、花粉症等のアレルギー疾患の機能解明のため、花粉症疾患に国民の一〇%を超える方々が罹患しているという実態を踏まえて、今後とも研究を推進してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
後藤(斎)委員 政府も、今お答えいただいたように、このところ、厚生労働省が人に対する研究を中心とし、文部科学省が基礎研究、基盤研究ということで、各省庁の連絡会議の設置もされ、環境省、林野庁、それぞれが連携をしながら、発症そして抑制のメカニズム、そして対応のあり方を勉強なさっているのは承知をしております。
 ただ、今もお話がありましたように、国民の一〇%、人口でいえば一千二百万人を超える方が何らかの花粉症という症状を持っておられる。その部分でまだまだ予算や取り組みというものが不十分だというふうにも思うんですが、平成十五年度で結構でございますが、花粉症に対する厚生労働省の予算、そして具体的な幾つかのポイントの取り組みのあり方について、御答弁をお願いいたしたいと思います。
恒川政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のように、花粉症については国民の約一二%が病状を有しているという重大な問題でございます。
 厚生労働省においては、従来からアレルギー研究を実施してきたところでございまして、平成四年度からは花粉症の研究班を設置し、病因、病態の解明、治療法の開発等の研究を推進してまいりました。
 また、平成十二年十月には国立の相模原病院に臨床研究センターを開設し、花粉症等アレルギー疾患に関する臨床研究機能の一層の充実を図ってまいったところでございます。
 さらに、花粉症等アレルギー疾患につきましては、まず、国民に対して正しい情報を提供することが重要であるというふうに考えておりまして、都道府県等の保健師等を対象に四疾患相談員養成研修会を実施し、花粉症等のアレルギー疾患について相談員を養成し、地域における相談体制の整備を図っているとともに、これまでの研究成果を取りまとめたリウマチ・アレルギー研究白書を作成し、都道府県等へ配付することにより、正しい知識の啓発普及に努めているところでございます。
 御質問の平成十五年度予算につきましては、これら施策を総合いたしまして総額で十七億八百万円を計上しているところでございますが、御指摘のとおり、花粉症対策につきましては、文科省、農水省、環境省等、関係省庁と連携しつつ研究を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
後藤(斎)委員 この問題は、個人的に、花粉症で頭が重い、はなが出る、くしゃみがする、そういうものだけではなくて、冒頭も指摘をさせていただいたように、経済損失がそれに伴って大きく発生をしているという点だというふうに思っております。
 今お答えをいただいたように、いわゆる花粉症対策費ということで、厚生労働省は、十七億円を予算的に計上して人に対する研究について進められているというお話でございましたが、一説によると、花粉症のいわゆる医療費的な、お医者さんにかかり、薬をもらい、売薬を買いということで、そういうもろもろを足すと、医療費という部分で、二千億を超える医療費が一年間にかかっているというふうな推計もございますが、今、厚生労働省さんとしては、花粉症にかかる一年間の医療費というのはどのくらいだというふうに見込んでおられますでしょうか。
恒川政府参考人 お答えいたします。
 花粉症の発生には、御存じのとおり、春発生される方も、また秋発生される方もあり、季節性があります。また、その病状も、鼻水の方とかくしゃみの方とか、また個人差が大きく、多様であることから、花粉症に係る医療費の総額について推計することは大変難しいことでございます。
 しかしながら、花粉症を含めたアレルギー性鼻炎全体の医療費を、平成十二年度の社会医療診療行為別調査、そして平成十二年度の国民医療費のデータとともにクロス推計すれば、約千百億円程度ではないかと考えられておるところでございます。
後藤(斎)委員 経済的な損失と言うと、ある意味では正しくないかもしれませんが、一千億を少なくとも超える医療費がかかっているという中で、これは基本的には、人に対してどういうふうに緩和していくかというのは、先ほどお話をいただいたように、厚生労働省が中心になってやっている面でありますが、要するに、メーンは、この三十年間、特に日本ではヒノキが、戦後植林をし、それが四、五十年たって花粉を一番どんどん出す。一方で、当時大変経済的な価値もあったヒノキや杉が、経済的な輸入材に押されてなかなか価値を持てなくなり、山が荒れてきたというふうな幾つかの要因で、これは林野庁がこれから、今もやっていると思いますが、もっと杉について、都会の方は、花粉症が重い方、特に林野庁の戦後の植林政策、林業政策についても、何で杉なんかいっぱい植えたんだというふうに直接的にお話をされる方もいますが、やはり森というのは、きちっと管理をされ、きちっとしたものにしていくことが前提とならなければいけないという、ある意味では警鐘でもないかというふうに思っておりますが、林野庁さんは、この花粉症対策にどのような予算を計上し、対策を講じようとしているのか。
 一説によると、昨年、予算的な措置、厚生労働省さん十七億ということでありましたが、間伐をしたり伐採をするということになると、ある意味ではたくさんの費用がかかるということで、七十六億を超える予算を計上しようとしましたが、実際とれたのはその十分の一くらいだという話も漏れ聞いておりますが、具体的にはどのようになっているのか、簡潔にお答えをいただきたいと思います。
辻政府参考人 林野庁といたしましては、花粉症対策といたしまして、森林・林業の面からの対策といたしまして、雄花の着花量の縮減のための抜き切り、それから花粉の少ない品種の選定、これは既に花粉の少ない杉品種といたしまして百十二品種を開発済みでございます。それの供給体制の整備だとか、花粉生産量予測手法に関する調査などを推進してきたところでございます。
 平成十五年度の予算におきましては、都市周辺における杉人工林等を対象に、雄花着花量の縮減を図るための抜き切り等の実施の強化ということで七千五百万円、花粉生産量予測技術の確立、普及に三千六百万円、花粉の少ない杉品種の早期供給体制の樹立、これは予算が内訳になってございまして、具体的な数字は出てこないわけでございますけれども、等の予算を計上しているところでございまして、これらを通じ、花粉症対策の一層の推進を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
 今後とも、厚生労働省等を初め関係省庁と十分連携を図りながら、花粉症対策に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
後藤(斎)委員 化学物質の化審法の前に、この花粉症を御指摘させていただいたのは、ようやく、いわゆる縦割り行政というものが、いろいろな各省も連携をしながらのプロジェクトが進められてきたということで、先ほども御指摘をしましたように、この花粉症対策も、文科省が基礎研究をし、環境省、厚生労働省、林野庁も含めて連係プレーをこれからしようとしている。この化審法も、経済産業省、環境省そして厚生労働省含めて連係プレーをようやくし始めたということで、冒頭、化学物質ということで、私もこの数年間悩まされている直接的な事案でありましたので、御質問をさせていただいた次第でございます。
 本論に入っていきたいと思います。厚生労働省さん、林野庁さん、結構でございますので。
 この化審法、一九七三年、日本国内でもPCBも含めたいわゆる公害問題が大きくクローズアップされた際に、世界でも初めてと言っていい、初めてだと思いますが、この科学物質を審査、管理する体制を法制度でつくるということで導入してきたことは、大変意義深いというふうにも思っております。ただ、その後のいろいろな取り組みの仕方を見ると、当初法律が想定をしていたものがなかなか進んでいないというのも現状でございます。
 当時、一九七三年、ちょうど今から三十年前、法律が制定されたときに、いわゆる既存の化学物質というものは、当時、二万種類、種類と言っていいと思うのですが、二万物質を超えるほどあるというふうに言われておりましたが、実際、その後の運用状況を見ますと、事前審査を中心に、安全性が少なくとも点検をされたものは、分解性、蓄積性の部分で千三百七十七物質、人への長期毒性ということで二百四十六物質、合わせても千六百を若干超すという数字になっておりまして、まだ、ある意味では、二万の既存と言われている化学物質は、その安全性の点検というものが実際されていないというふうなことだというふうに思っています。
 なぜこの審査が逆におくれ、そして、計画的に、量が多いものは既存の化学物質についても安全性の点検をやっているんだというふうに経済産業省の方は御説明をなさいますが、今後どんな形でやっていくかというものがやはり目に見えないと、先ほども花粉症の中で、ディーゼル因子ももしかしたら関係するかなと、いろいろな解明されていない点があるとやはり人間というのは不安になりますし、多分PCBの問題も、後ほど御指摘をさせていただきますが、ある意味では、この化学物質と共存をしながら、ある期間は私どもは生活をしていかなきゃいけないという現状でありますので、冒頭御指摘をさせていただいた、既存の二万の部分の千六百を若干超えるくらいしか実際の安全点検が済んでいないという点も含めて、これからどういうふうに経済産業省として対応していくのか、冒頭、大臣にお尋ねをしたいと思います。
平沼国務大臣 後藤先生にお答えさせていただきます。
 御指摘のように、約二万種の既存化学物質につきましては、国会の附帯決議も踏まえまして、主として政府がこれまで安全点検を行ってまいりました。その結果、昭和五十年度から平成十四年度までに、分解性あるいは蓄積性については御指摘のとおり約一千四百物質、人に対する毒性については約二百五十物質の点検を実施したところでございます。
 その実施に当たりましては、できるだけ効果的、効率的に進めるべく、化審法の目的を踏まえまして、環境を経由して人の健康等への影響を生じるおそれが高いと考えられる化学物質、具体的には、製造、輸入数量が多いものや、第一種特定化学物質等の規制対象の化学物質に構造が類似しているもの等から優先的に点検を進めてきております。
 また、OECDにおきまして、日本を含む各国政府、各国の化学工業団体が加盟する国際化学工業協会協議会、ICCAでございますけれども、これが連携して、高生産量、これは原則一千トン以上でございますけれども、一千トン以上の化学物質の点検プログラムを進めてきているところでございます。この取り組みを通じまして、我が国もみずから試験を行ってその結果を提供する一方、諸外国が実施した試験の結果を入手できることになりまして、これにより我が国の高生産量化学物質についての安全基準も着実に進捗をしていると思っております。
 以上のような状況を踏まえますと、優先的な取り組みが必要な化学物質については、かなりの程度安全性点検が進んだ、このように認識しております。
 しかしながら、今後点検を進めていくべき種々の既存化学物質が残っていることも御指摘のとおり事実でございまして、このため、政府といたしましては、今後とも、既存化学物質の安全性点検に遺漏なきを期すために、以下のような安全性データのいわゆる点検をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
 一つは、OECDにおける官民による安全性データの収集活動の国際的な協力を、これまでもやってまいりましたけれども、一層強力に推進をしていく。二つ目は、今般の改正案で導入される、事業者が自主的に取得した有害性情報の報告制度などを踏まえて、事業者の取り組みとの相互の連携を強化して、計画的に有害性評価を進めていく。三つ目は、簡易な有害性評価手法の開発、例えば化学構造式からその分解性、蓄積性、毒性といった性状を予測するシステムの開発、こういったことを進めてまいりたい。こういう対応を行うこととしておりまして、これらを通じて、今後の点検作業の一層の加速化を図ってまいりたいと考えております。
 また、こうした既存化学物質の安全性点検に当たっては、経済産業省、厚生労働省、環境省がみずから専門家や人員の確保に努めるとともに、先ほど申し上げた産業界の取り組みや関係専門機関と連携協力をして進めていくこととしております。このように、各界の専門家等を動員することによって、既存化学物質の安全性点検に遺漏なきを期してまいりたい、このように思っているところでございます。
後藤(斎)委員 今大臣がお答えいただいたように、いわゆる化学物質というのは構造式がある程度わかっているわけですから、いろいろな海外のデータも含めて、やはりまだ二万残っているということを前提にこの化審法を考えると、何で、何もしてこなかったんじゃないのというふうに言われても、数字を引いていくとまだ二万近く残っているというのが現状ですし、毎年、事前審査だけでも年間三百件、累積でこの三十年間で八千件を超えるというふうに言われていますので、やはりできるだけ計画的に、なおかつ、大宗は大丈夫なんだよ、そういうものはぜひこれから、今御質問をするんですが、リスクコミュニケーションというのが、私も別の委員会で食品安全基本法、これは経済産業省も関係をしておられますが、ずっと一番初めから制度の対応の部分について関係させてもらった一人として、やはりリスクコミュニケーションというのは、ある意味ではこの一、二年、ヨーロッパでも三、四年の定義として用語として確立をされたんじゃないかなというふうに思っています。
 先ほど大臣が御答弁をしたように、関係省庁、外国とも御相談をしながらやっていくんだというふうに思っていますが、この化審法の対象になっておる化学物質については、やはり先ほども御指摘をしたように、そういうものが多分この環境中にあるんだろうなというのはたくさんの国民の方がある意味では理解をして、それと何とか共存しなきゃいけないけれども、直接自分の健康に被害があるのだけは困るというふうに多分思われているんだと思うんです。
 要するに、安全と安心というものは、科学的には両立をする部分としない部分がありますが、どうそのリスクというものをとらまえて、というのは、大臣が先ほど御答弁の中にもありましたように、正確な情報をどう伝えていって、どういう分け方をすればそのリスクとは関係ないんだということも含めて、やはりきちっとした情報提供をやるんだ。ある意味では、三省が一体的にこれから化審法の運営というか運用を担っていきますが、昔のように縦割りではやはり困るし、ただ、それを一元的にこれからやるんだというお話も聞いておりますので、ぜひ私は、そのリスクコミュニケーションの部分、そして関係事業者や消費者の方も含めて、国民の方も含めて、今どういう状況に置かれているんだということをきちっと理解ができるような体制をぜひつくっていただきたい。
 そのためにも、関係省庁が三つに、先ほど大臣が、事業者が入手した有害情報の報告の義務づけをする際も、事業者の方も三省に同じものをそれぞれ出すのも、これはちょっとかったるいし、手を抜いちゃおうというのが人間の悪い意味での部分ですから、やはりそういうことがないように体制づくりをしていっていただく。それが、国民に対して化学物質との共存という部分を理解してもらう一番の情報開示と並んで必要だと思うんですが、その点につきまして経済産業省はどのように対応されていくのか、御答弁をお願いします。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のリスクコミュニケーションでございますけれども、国民、市民、事業者、行政、これが化学物質の取り扱いに関して関係者が正確な情報を共有して相互に意思疎通を図るということは大変重要な点でございます。そして、それが化学物質に関して安全で安心な社会を実現するという意味で必要不可欠であるというふうに理解をしているところでございます。
 その観点から、政府におきましては、さまざまな取り組みをいたしております。経済産業省の独立行政法人でございますけれども、製品評価技術基盤機構におきましては、このデータベースを整備いたしまして、化学物質に関連する情報を提供しております。
 また、行政、産業界、NGOが参加いたしまして化学物質と環境の円卓会議というのを既に六回ほど開催いたしましたけれども、そういうところで対話を進めているわけでございます。
 また、御案内の、今回動き出しましたけれども、PRTR法におきましても、化学物質の管理の状況に関する国民の理解を深めるように努めるということが事業者の責務となっておりまして、これも御指摘のリスクコミュニケーションの取り組みということになろうかと思います。
 また、今般の化審法におきましても、この化審法で得られます化学物質のいろいろな情報につきまして、可能な限り公表をさせていただきたいというふうに思っております。
 また、その一環で、先生おっしゃいました窓口の一本化、こういう行政的な便宜性、これにつきましても三省が一体となって対応するように、私どもとしては早急に対応したいというふうに思っております。
後藤(斎)委員 それと、この化審法を勉強させていただいたときに、もう冒頭から、難分解性、高蓄積性、人への長期毒性と、ちょっとびっくりするような用語が出てくるんですが、国民から見て一番関心があるのは、多分第一種特定化学物質ということでその三つを兼ね備えている十三物質、これだけは今もちろん製造、輸入は禁止をしておるんですが、この十三物質、一昨年の国会だと思いますが、PCB、まだまだたくさんあって、それをどう処理していくのかという議論もございました。DDTという昔の名前も第一種特定化学物質の中にあるんですが、この十三物質というのが製造や輸入は禁止をされているんですが、どのくらい本当にあるのと。
 先ほどの情報公開、リスクコミュニケーションの部分にも関係するんですが、やはりそういうものがよくわからないんですね。ですから、そういうものを出して、あるけれどもちゃんと管理をしているんだというふうなこと、製造も輸入も禁止をされているんだということも多分御存じない方もたくさんいらっしゃると思うんです。
 その点につきまして、特に危険性が高いこの第一種特定化学物質について、どの程度残っているのか、そして残っているものはどのように処理をされようとしているのか。多分PCBについては環境省さんだと思いますが、あわせて簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 第一種の化学物質の十三につきまして、現在のところ残っておりますのは、PCBとクロルデンというものでございます。それ以外のものにつきましては、その輸入審査等の過程におきまして事業者が製造、輸入を自発的に中止いたしましたので、もう残っていないわけでございます。
 そして、PCBにつきまして、後ほど環境省の方から処理方針等について御説明があろうかと思いますが、かつて我が国では五万九千トン製造されました。そして、昭和四十九年に禁止されましたけれども、その時点以降残っておりますのが、現在、十三年七月に全国調査の結果によりますと、PCBを含む保管中の高圧低圧トランス・コンデンサーが約百四十一万台でございます。また、同じく廃棄物として保管中でございますPCBを含む油のたぐいが十六万トンございます。また、化審法制定前から使われております高圧低圧トランス・コンデンサーというものが五万台、現在使われております。こう把握しているところでございます。
 また、クロルデンという、これはシロアリの駆除剤でございますとか木材の防腐剤で使われましたものでございます。かつて一万七千トン生産されましたけれども、これは昭和六十一年に第一種の特定化学物質に指定されました。そして、現時点で、シロアリ駆除剤のメーカーを中心といたしまして約四十九トン、このクロルデン換算約七トンということでございますけれども、これが残っております。
 これらにつきましては、環境省と一体となりまして、その処理に取り組んでいるところでございます。
南川政府参考人 PCBの処理につきましてお答え申し上げます。
 PCB廃棄物の処理につきましては、長期間にわたり、事業者による保管が継続しております。この処理体制を速やかに構築し、安全かつ計画的に処理を実施してまいりたいというふうに考えております。
 平成十三年にPCB廃棄物特別措置法を制定していただきまして、環境事業団でPCB廃棄物の処理事業を行わせることにしたところでございます。
 これまでのところでございますが、北九州市、大阪市、愛知県の豊田市、東京都江東区、それから室蘭市におきまして、拠点的な処理施設の立地が具体化いたしております。これによりまして、九州地域、中国地域、四国地域、近畿地域、東海地域、首都圏及び北海道の三十二都道府県に存在します高圧トランス・コンデンサーなどの処理体制の構築の目途が立っているところでございます。
 残りました東北、北関東、甲信越、北陸におきましてはまだ立地地点が決定いたしておりませんけれども、その中では、宮城県あるいは新潟県におきましては、県知事が県内での立地を表明いたしているところでございます。
 政府といたしましては、こういう検討結果も踏まえまして、平成二十八年までにPCBの処理が確実に完了できるよう努力をしてまいりたいと考えております。
後藤(斎)委員 今回の改正の中で、審査制度も動植物への影響に着目をしたり、幾つかの部分について大きく前に進んでいるとは思います。
 ただ、この制度が実際に実効性があるかどうかということが最後に、入れ物をつくったけれども中身が進まないということでは何にもなりませんから、実際、今まで事前審査については、事前確認ですか、ほとんど書類審査が中心だったという指摘もございます。立入検査についてもなかなか、独立行政法人になりましたが、製品評価技術基盤機構、これにつきましても、実際、化学物質関連の部署は本部部分で四十五人程度しかいない。そういう部分で、御指摘をしたような新たな制度ができて、それについて、これから立入検査もある意味では定期性を持たせて評価をしなければいけませんでしょうし、四十五人という数字、地方経済産業局の方々含めて、対応はもちろんされていくと思うんですが、定期性を持ったチェックというものも必要だと思うんです。
 どのように実効性を上げていくのか、特に検査や監視という部分から経済産業省の姿勢をお伺いしたいと思います。
西川副大臣 先生御指摘のように、化審法の立入検査につきましては、問題が生じた場合に強制執行できるような仕組みでございました。しかし、これまで同法の運用上、事業所を審査するような場合には、任意で事業者の協力を得て行ったものでございまして、強制的な立入調査権限を駆使して行ったという事例は残念ながら、残念ながらというか、一件もないわけでございます。
 一方、今般の法改正によりまして、これまで有害面のみを強調して見てまいりました事前審査にかえまして、環境への放出可能性が極めて少ない化学物質に関しては、事前確認、事後監視といった方式を選択できるようになりました。この方式を選択いたしました事業者に対しましては、事後監視を強化してまいることが必要でございますので、ただいま御指摘のように、立ち入りを必要とする可能性は極めて大きくなってきたというふうに思います。
 そこで、ただいま先生から挙げていただきました独立行政法人製品評価技術基盤機構、この職員、数は先生のおっしゃるような人数でございますが、しかし、これらの方々は専門知識を持っておられる方でございますので、必要となった場合にはこの方々にも検査に立ち入っていただく、こういうように所要の法改正を今般お願い申し上げる。そして、この際、独立行政法人製品評価技術基盤機構法という根拠法も、立入検査について盛り込ませていただく。こういう姿勢によって、先生の御指摘のようなきちっとした監視体制を整えていきたい、こう思っております。
後藤(斎)委員 まさに難解な部分もこの化審法はございますので、ある意味では、副大臣が御答弁いただいたように、専門性を持った方がきちっとした部分で対応していくということが必要だと思いますので、遺漏なきようにぜひお願いしたいと思います。
 揮発油の品質確保に関する法律について、二点御質問をしたいと思います。
 一点は、今回の法律改正で、定義をきちっとした中で規制の対象を強化し、そうでないものは販売ができないというものになさいます。もちろん、安全規制ということで、たび重なる事故ということで今回の措置はやむを得ないと思うんですが、今副大臣にお答えいただいたように、この改正をして、どんな形でフォローするかということがあわせて必要だと思うんです。
 経済産業省さん、今回の法改正、成立をされた以降、実効性をどんなような形で確保していくのか、冒頭お尋ねをしたいと思います。
細野政府参考人 お答えを申し上げます。
 今御指摘のございました、法規制が法律の形で成った場合の実効性の担保あるいは確保についてのお尋ねでございます。
 法律の趣旨でるる御説明を申し上げているとおり、安全性の観点からせっかくルール化をさせていただくということでございますものですから、法案を通していただいた後、実際に公布し、また施行までの間、約三カ月ぐらい間をとろうと思っておりますが、その間に、当然、メディアを通じまして法律改正の趣旨についても十分周知を図るとともに、現にアルコールを含有する燃料を扱っておられる業者の方々については、具体的には、より直接的な指導、扱っておられる方々に文書を直接送付をするということを含めまして、周知徹底をしていきたいと思っております。
 その上で、実際に施行になりました後は、法律の二十条に基づきまして立入検査等の規定がございます。そういったものを徹底することによりまして、法規制の実効性については万全を期してまいりたいと思っております。
後藤(斎)委員 大臣、この揮発油の問題、私、この法案の改正の趣旨、もちろんよくわかりますし、そうしていただきたいと思うんですが、一方で、これだけ経済がまだまだ先行きが不透明であり、中小企業の技術を持った方も支えて育成をしていかなきゃいけない。いろいろなお立場の中で、大臣も関係をしているバイオマス・ニッポンというのが、昨年、各省協力しながらスタートし、特にブラジルなんかでは、サトウキビを使って、二〇%以上逆にアルコール分をまぜてもいいんだよというふうな体系の中で、もちろんこれは自動車の構造の問題もあるんでしょうけれども、そういうものも政府として、国として後押しをする例も、アメリカも含めて見られています。
 今回の品質確保という部分では、安全性ということで正しい方向だと先ほども御指摘をさせていただいたんですが、バイオマスエタノールみたいなものについて、やはり一方で技術開発を進めなきゃいけない、その可能性も追求するというお立場も、大臣、もちろんあると思うんですね。その動きが今回だめよということで、全部チャラよということは、これは決してしてはいけないことだと思いますし、車の本体の構造上の問題もあると思いますが、ある意味では、今回、規制をして、その残った部分で後押しをするのかどうかは別としても、そういう芽を摘まないような、少なくとも、バイオというのはこれから日本経済の先導役をする一つの産業分野だというふうな部分も含めて、大臣がこれから今回の法律改正とバイオみたいなものも進めていくという視点も含めて、御決意をお願いしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 今回の法改正は、あくまでも、高濃度アルコール含有燃料のガソリン自動車への使用に係る安全上の問題に対応するために行うものでございまして、今回の改正がバイオマスエタノール燃料としての利用可能性の芽を摘むものであってはならない、このように思っています。
 このバイオマスエタノールにつきましては、石油代替燃料及び再生可能資源として一定の意義を有しているもの、このように考えておりまして、当省としてもその技術開発に取り組んでいるところでございます。
 他方で、排ガスの性状、腐食等自動車安全への影響、それから供給の安定性あるいは経済性の検証の必要性も指摘されているところでございまして、本格的な導入に際しては適切な評価を行うことは当然必要だと思っています。そこで、昨年十二月に閣議決定されましたバイオマス・ニッポン総合戦略においても、このバイオマス燃料については、自動車の安全性、大気への影響、経済性、供給安定性等について適切な評価を行った上で、利用に必要な環境の整備を検討する、このように示されております。
 経済産業省といたしましても、本閣議決定方針を踏まえまして、バイオマス燃料の利用に関し必要な評価を行うべく、総合資源エネルギー調査会において議論を行っているところでございまして、私どもとしては、これは地球環境に優しい、そういうエネルギーでございますので、そのところはしっかりやっていかなければいけない、このように思っております。
後藤(斎)委員 ぜひ前向きに、バイオマスということでも進めていただきたいと思います。
 早いですが、以上で質問を終わりたいと思います。
村田委員長 土田龍司君。
土田委員 おはようございます。
 大臣が中座されますので、先に、大臣に一問だけお尋ねをしたいと思います。質問通告の一番最後に申し上げました、大所高所からといいますか、化学産業の国際競争力についてお尋ねをしたいと思うんです。
 化学産業は、原料から製品まで、非常に幅広い分野で製造をしているわけでございますし、その製品が、化学産業自体、あるいは至るところにまで大きな影響力を及ぼすわけで、日本経済にとっても、その国の経済にとって極めて大きな影響があるというふうに考えるわけです。
 欧米におきましては、この化学企業については、非常に集中したり、あるいはむだなところを省いたり、あるいは必要ないところから撤退したりとか、そういった再編成を行っているわけでございますが、我が国につきましては、その点、少しおくれているところがある。あるいはまた、景気が悪い中で、構造的に過剰設備が見受けられるとか、そういった問題点はあるわけでございますが、それも含めまして、将来的に見ては、環境、それからバイオ、あるいはIT、こういった分野については、非常に国際競争力を持った有用な分野である、特に有望分野であるというふうに思うわけでございますが、我が国の経済を活性化させ、あるいは雇用を確保させ、そういったことを図るためにも、この化学産業の国際競争力の強化については、極めて重要であるというふうに思うわけです。
 そこで、担当大臣として、これらについてどういうふうにお考えになっているか、お尋ねしたいと思います。
平沼国務大臣 土田先生から、大変重要な御指摘をいただいたと思っております。
 化学産業の国際競争力強化の重要性について、これはもう御指摘のとおりだと思っております。化学産業は、プラスチック、ゴム、塗料など自動車、家電向けの化学原料から、洗剤でありますとか写真フィルム、タイヤ等最終消費製品まで、多岐にわたる製品を生産いたしまして、その出荷額は三十八兆円ございまして、全製造業の約一二%に当たります。それから雇用で、従業員数は九十六万人でございまして、これも全製造業の約一〇%、大変大きな部分を請け負っていただいている重要産業でございまして、御指摘のとおり、その国際競争力の強化というのは重要な課題だと思っております。
 このため、今後、中東でございますとかアジア諸国の最新鋭プラントとの競争が激しくなる石油化学産業では、小規模老朽化した設備を最新鋭大型化設備とするスクラップ・アンド・ビルドをさらに進めまして、経営資源の選択と集中に取り組むことによりまして、コスト競争力を強化するとともに、積極的な技術開発を行って、高付加価値化を図る必要があると思っています。
 また、我が国が強い競争力を発揮している電子材料などの機能性化学品分野については、高い技術力を活用しつつ、積極的な研究開発を行うことにより、ユーザー産業の基盤強化につながる革新的な素材、部材の創出を図っていかなければならない、こういうふうに思っております。
 業界自体も、そういう問題意識で、統合でございますとかあるいは選択と集中、これをしっかり行う方向になっておりますので、経済産業省といたしましても、大変重要な産業でございますので、その競争力強化のために力いっぱい後押しをしていきたい、このように思っております。
土田委員 ありがとうございました。
 大変力強い答弁をいただきまして、安心しております。
 それでは、揮発油の方から先にお尋ねをするんですが、この法案は特に大きな問題をはらんでいるというふうには感じておりませんが、一応念のために、幾つか確認をしなきゃならないという意味から御質問をさせていただくんです。
 今回問題になっているガイアックスなどの高濃度アルコール混合燃料の販売を今回禁止するということでございますけれども、これらのアルコール系燃料は、環境面でガソリンよりもすぐれているんだということを売り物にしてやっているわけです。
 環境省の分析によりますと、実は、必ずしもそうではないといった報告がされているわけでございますけれども、今回の法改正に当たって、現在市場で発売されているガイアックスなどの製品に関して、環境面での評価について、政府はどういうふうに考えておられるのか。正式な見解といいますか、これについてお尋ねしたいと思います。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 高濃度アルコール含有燃料に関する環境面での評価につきましては、平成十三年三月に環境省が、高濃度アルコール含有燃料を用いて、自動車の排出ガスへの影響について、四輪車及び二輪車の実車による試験調査を行ったところでございます。
 この調査結果によりますと、高濃度アルコール含有燃料を使用しますと、ガソリン使用時に比べまして、一酸化炭素及び炭化水素の排出量は減少する傾向であったものの、窒素酸化物、NOx、それからアルデヒド類の排出量は増加する傾向であったという分析結果が出ております。
 この調査結果を踏まえまして、環境省は、環境保全上よいものとして推奨すべきものではないという評価を示しておりまして、当省といたしましても同様な認識を持っているところでございます。
土田委員 このガイアックスなどがガソリンより安いということについて、やはり支持している国民がたくさんいるわけです。あるいは、こういった宣伝効果が上がっておりますので利用している、あるいは支持しているという人も実際にいるわけですけれども、今回の法改正によって、ほかに方法はなかったのか。これを、ただ規制する、売っちゃだめだと言うよりも、何らか自動車の安全性を促すような、開発を促すような方法はなかったのか。この点についてはどうでしょうか。
岡本政府参考人 お答え申し上げます。
 高濃度アルコール含有燃料につきましては、国内の既存のガソリン自動車に使用しました場合に、安全上の問題があることが科学的に検証され、そのことが判明しておりますので、仮に、このまま高濃度アルコール含有燃料の使用が放置されました場合には、さらなる事故とかふぐあいの発生の可能性を否定できないと私ども考えております。
 こうした問題に対しまして、自動車側の対応とそれから燃料側での対応というものが考えられるわけです。自動車側の対応につきましては、我が国の市場で既に販売された車両、いわゆる既販車というのが七千万台以上あるわけですけれども、いずれもガソリンを前提に車両が設計されておりまして、これを高濃度のアルコール含有燃料に対応可能とするように改造するためには、既販車七千万台強の中の七割ぐらいの部分については、一台につき数十万円のコストがかかるだろう。残り三割についても十数万。合わせますと大変大きなコストがかかってくるということで、これはユーザーの方々の負担になってくるというところが一つの大きな問題として存する次第でございます。
 このために、一方で消費者の安全をしっかり確保するという観点に立ちました場合に、まずは燃料側で対応し、高濃度アルコール含有燃料の販売を禁止するための法的措置を講ずることが現実的にぜひとも必要というふうに考えて、今回の法案の提出にさせていただいた次第でございます。
土田委員 今回の措置が、安全確保にとっては非常に重要である、どうしても必要であるということならば、誤解をしている国民に対して説明する必要があるんじゃなかろうか。宣伝やあるいは一部の新聞によってそういったことが報道されているわけでして、国民の中には知らない人がまだたくさんいるわけです。あるいは、別な観点からいいますと、せっかくこういった新ビジネスをやったのに、国によるベンチャーつぶしではないかという報道もなされているわけですね。
 こういったことについて、政府としてはっきりさせておく必要があるんじゃないかと思うんですが、この点について、何か具体的なことを考えておられますか。
岡本政府参考人 先生御指摘の、国民の皆さんに正確なところを知っていただくということは、大変大事だと私どもも考えております。
 今回の改正は、高濃度アルコール含有燃料のガソリン自動車への使用が安全上問題であることが科学的に判明しましたことから、これに対応して、消費者の安全確保の観点から実施するものでございまして、私ども、決して国によるベンチャーつぶしというようなことでやってまいっているものではございません。そのことは、先生も十分御理解いただいているところかと思います。
 先生の今の御指摘の、国民の皆様への説明ということで、若干経緯を振り返ってみますと、十三年六月に事故が出てきて、それを受けまして、同年八月には国土交通省からまずプレスリリースをして、高濃度のアルコール含有燃料を使った車で燃料漏れあるいは火災等の発生というのがあったということで、まず国民の皆さんにアラームを発し、それから翌九月には、自動車工業会でやはり、アルコール混合燃料を使った場合には車のふぐあいが生じます、したがって正規の指定燃料を使ってくださいというようなことで、全国紙でありますとかラジオとか雑誌とかポスターとかいうことでPRをし、それから私ども、国土交通省と一緒になりまして委員会を立ち上げたわけですけれども、委員会で第一次の安全性評価の結果が出ました四月には、これまた私ども、ユーザーへの注意喚起をやらせていただきました。
 それから、去年十月に、両省で一緒にやってまいりました委員会の最終報告が出ました後も、ユーザーへの注意喚起あるいは共同でのプレス発表、そういったことをやりましたり、国民生活センターとか各都道府県の消費者行政の担当部署でありますとか、それから全国のサービスステーション、SS、それから自動車の関連の団体、そういったところに関連の資料をお配りして、まさに今先生御指摘のように、消費者の方々、国民の方々に、この問題について正確なところを御理解いただくための一連の取り組みをこれまでもやってまいったところでございますが、さらにこれから、御審議いただいております法案の成立後においても、同様の取り組みをしっかりとやってまいりたいと考えております。
土田委員 今回の事故について、あるいは、そもそも何かというと、ガソリンを含めた我が国の自動車関係の税金が高過ぎるというのがその根底にあると思うんですね。高濃度アルコール混合燃料を韓国で製造して輸入、販売することの理由は、やはり税金問題があるというふうに思われるわけです。
 石油及び自動車産業界を所管するわけでございますから、経済産業省として、こういった国民の声にどう言ってこたえるのか、これについての所見を聞きたいと思うんです。
高市副大臣 確かに、石油や自動車には揮発油税ですとか軽油引取税ですとか自動車重量税等の税金が課されておりまして、負担水準が高過ぎるという声があることもよく承知いたしております。私自身も、自動車のユーザーとして、そのように感じることもございます。
 これらの石油及び自動車関係諸税でございますけれども、その多くは特定財源制度に基づいておりますので、特定された公共サービスからの受益と負担との間に密接な関係が認められる場合には、受益に対応した負担を求めることに合理性を有するという受益者負担の考え方によっているものでございます。
 ですから、経済産業省といたしましては、現在のこの税率というものを前提にして考えますと、ユーザーがあくまでも、これは受益を受けている、自分はそれに見合った公共サービスを受けていると納得できるような使途、こういったことが非常に重要であると考えております。
土田委員 次に、ガソリンスタンドの廃業が非常に実感として感じます。特に、ガソリンスタンドを経営している方々は、ほとんどが零細企業あるいは小規模企業の方々でございますけれども、こういった方々の転業あるいは廃業、これについて政府はどういった対応をされてきたのか、これが一点。
 また、今回、この規制をすることによって、アルコールのまじったガソリンを売っていた人もまた、同じように転業あるいは廃業しなきゃならないということになるわけでございますけれども、非常に厳しい経済状況の中で、こういった方々への転業対策といいますか、あるいは廃業対策支援といいますか、これについては何か具体的に考えておられますか。
細野政府参考人 お答えを申し上げます。
 中小事業者が大半を占めまして、かつ厳しい経営環境に置かれております石油製品の販売事業者の方々につきましては、御指摘のような非常に厳しい状況あるいは窮状にかんがみまして、スタンド事業者の資金調達を少しでも円滑化するのをお手伝いしようということで、そのためのセーフティーネット対策、信用保証等の充実でありますとか、あるいは石油製品の販売事業界の自主的な経営革新の取り組みなんかを支援申し上げる、そういう意味での構造改善対策をバックアップ申し上げる。あるいは、非常に社会的な要請も高まっております環境調和型の対応についてもバックアップをさせていただくということを、これまでもさせていただいてきております。
 それから、今問題になっておりますアルコール含有燃料の販売業者の方々につきましては、今度の法改正あるいは規制によりまして、従来の事業が行えなくなるということは御指摘のとおりでございます。したがって、それについての一定の対応が必要でございます。
 この場合、一般の事業転換のための融資というのはもちろん活用可能でございますが、あるいは、土壌の環境対策の観点から、既存の設備を撤去するというような場合には、そのための経費に対して助成をするといったような制度もございますので、こういった制度を必要に応じて御活用いただくということを考えてございます。
土田委員 次に、化審法についてお尋ねをいたします。
 今回の法改正によって、化学物質が環境中の動植物の生息または生育に支障を及ぼすおそれがあるかどうかについても、製造等の届け出に基づく事前審査を行うということになっております。そうなると、従来と比べて事前審査に要する期間が長期化することになるんでしょうか。
 もし、これまで以上に事前審査の時間が長くなるとすれば、我が国の化学企業による化学製品の製造及び販売におくれが出ることになりはしないか。つまり、我が国の化学産業全体の競争力に影響を及ぼすことも想定されるわけでございますけれども、この点については、どういった対処を考えておられますか。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 現在、化審法によりまして、法律で届け出の受理から判定、通知までの期間が決まっておりまして、国内の事業者の場合は三カ月以内に結論を出しなさいということになっております。また、海外の事業者の場合でも四カ月以内とされておりまして、先生御指摘の、今回、動植物への毒性の審査項目を追加いたしましたけれども、この法律の枠組みはこのまま維持して、この期間内に判定をするということで対応したいと思っております。
土田委員 次に、本法では原則的にすべての新規化学物質について事前審査を義務づけていましたけれども、今後、中間物や閉鎖系で用いるなど環境に放出される可能性の少ないものについては、事前確認、事後監視、これで手続が簡略化されるわけです。
 簡略化されるのはいいんですけれども、事前確認及び事後監視を、具体的にはどのように実施することで従来どおりの環境汚染防止対策が図れるのか、これについてはどうでしょうか。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の中間物それから閉鎖系の用途などでございますけれども、今般、事前確認の手続を導入したわけでございます。
 現在検討しておるところでございますけれども、その事業所に関する情報、どういう設備を持っているかという具体的な情報、それから新規の化学物質の名称とか化学的な構造、それから具体的に、新規化学物質の製造から廃棄に至るまでの、どういうふうに取り扱われるのかという方法、それから取引の相手方において適切な取り扱いを行うというような確認文書、それから環境放出を防止するようなきちっとした技術的な事項を、私どもとして資料を出していただきまして、それを、化学物質のマスバランスと申しますけれども、化学物質が全体的に間違いなく中間物として最終製品に転化されるかどうか、こういうものを、専門的知見を活用しまして確認をする。また、必要に応じまして、実地に事業者の設備などを検分したり、それから、間違いなくそのような設備であるかどうかを点検していきたい。
 さらに、事後の監視といたしまして、確認内容につきまして報告を求めましたり立入検査をすることを想定して、環境汚染が生じないような形できちっと対応をしたいというふうに考えております。
土田委員 これまでは、製造、輸入数量が年間一トンを超えるものについては事前審査の対象になっていた。今後は、年間十トン以下のものについて、事前審査の結果、難分解性ではあるものの高蓄積性ではないと判定された場合には、環境中への放出可能性の少ない場合と同様、事前確認、事後監視を行うことで毒性試験データの提出を求めずに製造、輸入できるということで、試験が簡略化されるわけですね。しかし、後で毒性が判明した場合、難分解性の物質であることや、中間物や閉鎖系など用途が定められていないこともあり、特定地域が集中的に汚染された場合などでは、影響が出る可能性も指摘されているわけです。
 このような事態が生じないように、どのように事前審査あるいは事後監視を実施していくのか、具体的にお答え願いたいと思います。
今井政府参考人 御質問いただきました、難分解性ではありますけれども高蓄積性ではないと判断された物質につきましては、今般、毒性データを求めずに製造、輸入できることとする措置を導入するということでございますが、現時点におきましては、年間の日本全国での製造、輸入総量が十トン以下であること、それから、化学物質の構造から判断しまして毒性に関して一定の評価を行って、人の健康などに対する被害が生ずるおそれがないこと、こういうことを確認して対応したいというふうに思っております。
 また、事後の監視といたしまして、確認内容の実施状況について、先ほども御説明申し上げましたように、報告を求めましたり立入検査を行うことを想定いたしております。
 なお、これまでの化学物質の環境モニタリングの結果を見ますと、年間の製造、輸入量、日本全国ベースで十トン以下であるような化学物質につきましては、環境中から検出された実績はないということが確認されております。これは環境省の調査でございます。したがいまして、特定地域が集中的に汚染され悪影響が出るということ、そういう御懸念の事態が生ずる可能性は極めて低いものと考えておりますけれども、私どもとしては、適切に事前確認、事後監視を実施してまいりたいというふうに思っております。
土田委員 事前審査制度を見直すわけでございますけれども、特に重要なものは、今話がありましたように、事前確認、事後監視ですね。環境汚染の防止のために非常に重要であると思うわけでございますが、これを担当する人員の問題です。
 現在、数十名程度ということが言われておりますけれども、これで実効性が確保できるかどうか。今後、独立行政法人製品評価技術基盤機構にも立入検査の権限が与えられるわけでございますけれども、そして人員の拡充が図られるということを言っておりますけれども、具体的に、どのくらいの人員で事前確認あるいは事後監視を行う体制なのか、これについてはどうでしょうか。
今井政府参考人 私ども経済産業省の担当部局には、現在、三十二名が化学物質の担当として従事しております。また、御指摘のように、独立行政法人製品評価技術基盤機構には、四十五名の方々がこの化学物質の担当として従事されておるところでございます。
 今般の法律改正によりまして、通常の事前審査に係る業務というのはある程度減少するということが予想されます。また、御指摘のように、非常に重要な事前確認、事後監視につきましては、この件数が増加する、ふえてまいるわけでございます。こういうものにつきまして、私ども、この三十二名の本省の職員それから技術基盤機構の四十五名の方々の活用、それから、それぞれいろいろ工夫いたしまして、状況に応じまして対応していきたい、対応が不十分でないように人的な対応をしてまいりたいというふうに思っております。
土田委員 以上で終わります。
村田委員長 金田誠一君。
金田(誠)委員 民主党の金田誠一でございます。
 本題に入る前に、東京電力の夏に向けた需給対策について、若干質問させていただきたいと思います。
 経済産業省の関東圏電力需給対策本部決定という平成十五年五月八日付の資料をいただいております。この資料でございますけれども、これによれば、「過去の実績を踏まえると、節電への対応が遅れ、酷暑となったときには、六千四百五十万キロワットの需要が想定される。」こうございます。しかし、その過去の実績では、六千万キロワットを超えたのは二年だけではないでしょうか。去年、二〇〇二年が六千三百二十万キロワット、おととし、二〇〇一年が六千四百三十万キロワット、あとはすべて六千万キロワット以内におさまっている、こう思います。
 そして、この同じくいただいた資料によりますと、「電力需要ピーク時期において、概ね六千万キロワットを確保し得る見込み」、こう書いてございます。ということは、無理に原発を動かさなくても何とか対応できるということだと思うわけでございます。ところが、同じこの需給対策本部決定の中を見ますと、供給力対策、需要対策、これはともに一般論の範疇にとどまっているんではないかな、このように見られるわけでございます。
 本来であれば、需要対策についていえば、効果が大きいのは業務用と産業用なわけでございますから、個々の事業所について数値目標を立てるなど、ピークカットの具体的な計画、一般的に節電の要請とかではなくて、もっと踏み込んだ具体的な計画が必要だと思うわけでございますが、そうした計画はあるんでしょうか。
岡本政府参考人 まず最初の、夏期、夏の最大電力需要をどう見るかという点でございますが、電力需要というのは、いわゆる電化が進みつつあること、それからITを初めとしていろいろなOA機器が入ってきているということもありまして、結構ふえておりまして、直近で見ましても、対前年比二%ぐらいふえているという状況がございます。
 それから、先生御指摘の計画があるかという点でございますが、私ども、今回の本部の決定におきましても、東京電力に対しまして、これは大口の需要家ということで、産業用、業務用それぞれでございますが、大口の需要家の方々に、いわゆるピーク時に使用量を減らす、そのかわり料金を少し安くするという需給調整契約というものの活用を念頭に、そういう方々にぜひ、いざというときの需要減らしに協力をしてもらうべく、その約束を取りつけるように頑張ってくださいということをお願いしておりまして、東電は、今、一件一件、大口の需要家を、大分前から小まめに回っているところでございます。
 一般的な節電も大事でございますが、御指摘のように、個別の需要家に対する、特に大口に対する働きかけも非常に重要だという認識を私どもも持っております。
金田(誠)委員 また、この同じく対策本部決定によりますと、国民各層及び産業界に対し、ピークカットについて検討するようお願いする、このような記載があるわけでございます。業務用も家庭用も一律に扱っている。というよりも、国民各層という言い方で、家庭用にかえってウエートが置かれているようにも見える書きぶりでございます。
 しかし、このようなキャンペーンは、正確な情報を伝えていないのではないかと思います。もちろん、家庭用の節電も重要なわけでございますが、今回のような緊急事態の対応としては、業務用、産業用の対策が有効である、こう思うわけでございます。
 ここに、日経産業新聞のイメージ図というものがございます。きのう、質問取りの方にお渡ししてございますから、ごらんになっていただいていると思うわけでございますけれども、これは、一番下の黒いところが冷房以外の住宅用電力でございます。その上の白いところが冷房用の住宅用、あと、上は全部業務用でございます。圧倒的に業務用が大勢を占めているというのが現状でございます。
 この上に産業用というものが乗るんだと思いますけれども、お願いでございますが、この図に産業用を加えた実際のピークの日の実績、これを表につくって御提出いただけませんでしょうか。本当にピーク時どうなっているのかという情報がないんですよね。どこをどうカットすればいいものか、ぜひお願いをしたいと思います。
 こうした点を初めとして、正確な情報を提供した上で国民の協力を得る、私はこれが基本になると思っておりまして、そういう観点からぜひお出しいただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。
岡本政府参考人 先生御指摘の、国民の皆さんに正確な情報を提供申し上げるということは非常に大事だと私ども考えておりまして、今回の本部決定でまずやりましたことも、これから週ごとに、夏に向けて、需要の面、供給力の面、それがどういうふうに推移するだろうかということで、東京電力からの報告に基づいてその辺の数字を細かにお示し申し上げた次第でございます。
 それから、先生御指摘の夏のピークということについて、今先生が引用されましたデータ自体が九八年のもので、電中研が一定の作業をやったものかと思うんですが、ちょっと詳細を私ども確かめる手だてはきのうの段階でなかったものですから。
 夏のピークということについて、私ども、今回の本部の決定におきましても、国民の皆さんに節電をお願いするに当たって、十時から夕方五時までの間というのはかなり高原状態で需要が高い時間帯でございますので、その辺を特に御留意くださいというお願いを申し上げる、そういう情報の提供もしたわけでございますが、産業を含めたその図がどうなるかということについては、これはちょっとしばらくお時間をいただいて検討させていただけたらと思います。
金田(誠)委員 こういうものを見ますと、どこをカットすればいいのかというものが一目瞭然にわかってくると思うわけでございまして、何か東京湾のベイブリッジの夜のライトアップを消したとかいう新聞記事が先般ございましたけれども、夜の時間帯というのはほとんどもう電力は使われていない状態ですね。だからといって、消さないよりは消した方がいいと私は思いますけれども、ああしたことがピークカットの対策にはならないということは、国民はきちんと知るべきであると思うわけでございまして、それはもう知らせるべきであると。
 いろいろ探したけれども、電力がどういう状況になっているのか、私はこれしか見当たらなかったものですから、もっと正確な、去年、おととしあたりのピークのときなどはどうなっているか、あるいはピークでないときはどうなっているか、それから、どこをどう削ればいいのか、こういうものをぜひ御提出いただきたい。検討するということでございますが、出せないということはないと思いますけれども、よろしく重ねてお願い申し上げたいと思います。
 次に、供給力対策についても触れさせていただきたいと思います。
 いただいた資料、この対策本部決定でございますが、これを見ますと、火力の設備容量にさらに可能性があるのではないかな、これは素人考えでございますけれども、そんな気がして見ておりました。また、試運転電力というのも載っておりますが、これもピーク時にもっと活用できないものか、あるいは他社の受電ということも、例えば東北電力などもっと可能性がないものか、特に自家発電装置なども今相当の企業で持っていると思います。この自家発なりあるいは非常用設備、こうしたものもいざというときには出動させるという供給力対策を総合的に講じていただきたいもの、こう思うわけですが、簡単にお答えをいただきたいと思います。
岡本政府参考人 試運転電力、通常はそこからの電力供給というのはしないんですけれども、それを約百九十万キロワットを見込むということでここではやっておりますし、それから、自家発の方の余剰につきましても、東京電力が大口の自家発を持っているところはみんな回って、それで、この表にありますように、自家発余剰ということで、約四十万キロワットを夏に向けて用意するということでやっているところでございます。
 それから、東北電力につきましては、女川の一号、二号という原子力発電所が検査に入る、そういう段取りになっておりますものですから、それが早く終われば、その可能性があるかもしれませんので、その辺の勉強というか検討は引き続き両者においてやっていただいているところでございます。
 それから、非常用の電源というのは、これは、大体皆さんが持たれているタンクの容量というのが二時間ぐらいしかないということで、夏のピークの時間帯が、先ほども午前十時から夕方五時ぐらいということで、数時間に及ぶという可能性がございまして、そのほかにも消防法等での非常用電源の活用については一定の規制があったりという制約がありますものですから、私どもも最初はそれを使えないかといって大分勉強したんですけれども結構難しい面がございますので、今申しましたような試運転、自家発余剰、他社融通、そういったことを中心に、火力を中心に目いっぱいの追加供給力の確保というのを今準備していただいているところでございます。
金田(誠)委員 何度も申し上げますけれども、本当のピーク対策でございます。本当のピークはせいぜい十二時から四時、午後二時ごろが本当のピークということだろうと思いますから、ぜひそうした対策、さらに努力をしていただきたいと御要請申し上げたいと思います。
 次に、本題に戻って、化審法の一部改正について質問をいたします。
 我が国は化学物質大国でございます。国民一人当たり需要量もOECD諸国で最も多いと言われております。結果として、日常目に見える範囲においてさえさまざまな問題が起こっております。例えば、子供のアトピー、シックハウス、花粉症などがございます。また、子供がすぐ切れるなどという状態も、食べ物に含まれる化学物質が原因と言われております。
 さらに、我々子供のころにはどこにでもいたメダカは絶滅危惧種になり、ザリガニ、ゲンゴロウ、ヤゴなどほとんど見ることはなくなってしまいました。「沈黙の春」「複合汚染」「奪われし未来」、こういう書物で警告された状況が我が国において最も象徴的に現出していると私は思います。このことは、我が国の存亡にかかわる重大な問題である、こう考えます。
 そこで、必要なことは、文字どおり化学物質を総合的に管理することであり、あわせて、一日当たり需要量がOECDで最大というこういう汚名を返上するように、化学物質の総量を減らしていくという視点が求められると思います。
 そこで、化学物質の総合管理という観点から質問をいたします。
 今回の法改正では、環境中への放出可能性に着目した審査制度の導入という名目で大幅な規制緩和が行われることになります。このことは、OECDの勧告を踏まえと説明文書には書いておりますけれども、勧告のどこを読んでもこういう規制緩和をしろというのは見当たりません。勧告が求めているのは、日本の不十分な規制を強化することであると思います。また、環境中への放出可能性は状況によって変化するものであり、規制緩和の根拠にはならないと思うわけでございます。十トン以下ならいいということも同じことが言えると思うわけでございます。
 今回の法改正は、化学物質の総合管理という観点に逆行するのではないか、逆に大穴をあけることになりはしないか、将来に禍根を残すことになりはしないか、こう危惧するわけですが、大臣、いかがでございましょうか。
平沼国務大臣 化審法は、一たん製造、輸入された化学物質はすべて環境中に放出されるという前提に立って、化学物質の製造、輸入段階でいわば蛇口規制を行うという厳しい規制を課すものでございまして、用途などの使用の態様とは関係なく、化学物質による環境汚染を通じた人の健康等への影響を防止するもの、このようになっております。したがって、化審法は特定の用途のみ使われる化学物質を規制するものではないということでございます。
 また一方、農薬や医薬品などについては化審法の適用除外とされておりますけれども、これらに使われる化学物質については、農薬取締法や薬事法によって化審法と同等の規制措置が講じられておりまして、環境を経由した悪影響を与えるものではないようになっているところでございます。
 このように、化審法とともに農薬取締法、薬事法などの関係法令が全体として機能することによりまして、化学物質の環境汚染を通じた人の健康等への影響を防止するための総合的な管理がなされているところでございます。
 今般の事前審査の見直しは、御指摘のような規制緩和には該当するものではないとの考えでございます。
 通常の審査におきましては、化学物質の製造、輸入前における有害性に関する審査の結果、規制対象とならない物質と判断されれば、その後は何の制約もなくその化学物質を自由に製造、輸入できることになります。一方、今般の改正案では、新たに設ける制度におきましては、事前の確認はもとより、事後監視、これは報告徴収や立入検査も前提となっておりますので、この制度の適用を受けている限り、事業者は、行政庁の厳しい監視のもとのみで製造、輸入を行うことになりまして、自由に製造、輸入を行うことができません。
 以上のように、新たに設ける制度は、規制の水準を下げるというものではなくて、人の健康や動植物への悪影響の防止を確保した上で、化学物質の取り扱いの態様に応じた管理の方法を行うこととしたものでございまして、諸外国の動向も踏まえた、より効果的かつ効率的なものになっている、このように考えているところでございます。
金田(誠)委員 それは、建前の話だと思います、環境中に放出されないという建前。
 しかし、本当にそうなのか、その可能性がないかというと、私は違うと思うわけでございます。
 具体的な例を挙げますと、非農耕地専用と称する除草剤がございます。平成十五年二月二十八日付の通知、これは経産省も農水省も連名で通知をしているんですが、この中では、農薬に該当しないものについては化審法に基づく規制が適用される場合があるとされているものの、実質的には野放し状態になっているようでございます。また、この非農耕地用の除草剤が農地に使用されていないという保証も何もございません。
 こうした除草剤の中でよく使われているものに、有効成分グリフォートというものがあります。これは、難分解性ではないという扱いになっております。しかし、含有率は四五%で、他の五五%は補助剤であり、これは、企業秘密ということで中身はブラックボックスというふうに聞いております。
 そこで、質問をいたします。
 農薬に該当しないものは化審法の世界ということで単純な振り分けでいいのかどうか、これが一つ。また、実際に化審法によって審査されているのかが二つ。そして、この場合、補助剤は審査されるのか。これについてお答えをいただきたいと思います。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘の、農薬取締法におきます農薬と申しますのは、今の化審法の四十条に基づきまして事前審査の適用除外とされております。
 この農取法におきます農薬というのは、農作物等の栽培、管理に使用される殺菌剤、殺虫剤などとされておりますけれども、これは非常に広い概念でございまして、農作物などという場合、それは、人が栽培しております植物を総称する概念でございます。したがいまして、田畑でつくられているものに加えまして、例えば、庭の木、それから盆栽、街路樹、それから芝生、それから山林樹木なども含まれる、非常に広い概念でございます。
 御指摘の点につきましては、そういう植物の栽培、管理以外で、例えば駐車場だけで使われるような除草剤があるとしますと、それは、この農薬の定義に、この広い農薬の定義には当たりません。その場合には、これは化学物質審査法の対象になる、そのように私どもは理解しております。
 また、その場合、それが新規化学物質でありました場合には事前審査の対象となり、この審査が判定を終えない限り製造、輸入することはできません。ただ、現実に今売られているいわゆる除草剤でございますとか先生御指摘のものというのは、基本的には、芝生に使ったり農薬に使ったり、除草剤だということで売られておりますので、第一義的には農薬取締法できちっと対応されるべきものでございます。もし、非常に限界的なといいますか、量的にそれほどのことはなかろうと思いますが、ただ駐車場だけで使われるようなものが出てきた場合には、これは、私どものこの化審法で対応するということになろうかと思います。
 また、化審法の規制は、個々の化学物質ごとに着目しまして審査、規制を行う制度でございまして、混合物の場合は、有効成分か否かにかかわらず、含有されている化学物質は、新しい、新規の化学物質でございましたらすべてこの審査の対象になる、こういうふうに理解しております。
金田(誠)委員 非農耕地用ということに表示をされれば化審法で審査される場合があるということなんですが、現実にこれが流通をしている。そういうものが農耕地に使用される可能性は、私は、非常に高いと思うわけですね。そうしたものを、理屈の上では切り分けは可能なんですが、実際の使用される状態を考えれば、必ずしもそういう、これはもう農薬取締法の適用除外で、化審法だけでいいんだということになるのかどうなのか。
 しかし、今、農薬取締法の審査対象にはなっておらないという状況です。そういうものだと思うんですよ。理屈の上では切り分けができる、環境中に放出されないという理屈も立つかもしれない。しかし、実際どうなっているかというところに着目して、予防原則といいますか、そういう観点からより広く網をかけていくという考え方が必要ではないのかということを申し上げているわけでございます。
 化学物質の総合管理という観点からしますと、今の問題も含めて、すべての化学物質について製造から廃棄までを管理する必要がある、こう思うわけでございます。一〇〇%純度の化学物質というものはまず存在しない。何らかの不純物がまじっている、あるいは補助剤の添加もある。通常の使用方法以外の使用がされる場合もこれは多いわけでございます。廃棄に当たっては、焼却処分が行われる場合もある。その場合、ダイオキシンが生成される場合もある。
 このように考えれば、化審法は一般的使用による環境汚染のみをターゲットにしているわけでございまして、それ以外の使われ方もあり得るということを念頭に置いた体系にはなっていないのではないか。そういう意味では、現行のスキーム自体不十分ではないのか。とりわけ、今回の環境放出可能性を根拠にした規制緩和、まあ規制緩和ではないというお話もございましたが、しかし、実際は規制緩和ですよね、そういう名目をつければ非常に緩い形で今度は通っていくことになるわけですから。あるいは、十トン未満だという形にすれば規制は緩くなるわけでございますから。
 こういうやり方は、今でさえ不十分な化審法をさらに後退させる、そういうことに結果としてはなるんではないか。根本的な姿勢自体に私は疑問を感じるわけですが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 先ほどの御答弁と重複をすると思うんですけれども、この化審法というのは、製造、輸入された化学物質はすべて環境に放出されるという前提に立って、化学物質の製造、輸入段階で、いわば蛇口部分での規制を行う、こういう厳しい規制を課すものでございまして、その用途でございますとかその使用の態様とは関係なくて、化学物質による環境汚染を通じた人の健康等への影響を防止するものとなっております。したがいまして、化審法は、特定の用途にのみ使われる化学物質を規制するものではない。
 また、農薬や医薬品などについては、これは御指摘のとおり化審法の適用除外、こういうふうにされておりますけれども、これらに使われる化学物質というのは、それぞれの法律によって化審法と同等の規制措置がとられております。ですから、化審法とともに農薬取締法あるいは薬事法など、関係法令が全体として機能する、そういうことで人の健康等への影響を防止することができると私どもは思っております。
 今般の事前審査の見直しというのは、御指摘のような形の規制緩和には該当するものではないと私どもは思っておりまして、やはり通常の審査におきましては、製造、輸入前における有害性に関する審査の結果、規制対象とならない、そういう白物質と判定されれば、その後は何の制約もなくて自由に製造、輸入できるということでございましたけれども、今回改正をいたしまして、新たな制度では、事前の確認、事後の監視、これが前提になっておりまして、行政庁の厳しい監視のもとで製造、輸入を行うことになりまして、これまでのような、自由に製造、輸入、これを行うことができないことになっております。
 したがいまして、これは現在の基準の水準を下げるものではなくて、やはり人や動植物への悪影響の防止を確保した上で、化学物質の取り扱い、この態様に応じた管理の方法を行うことにいたしたものでございまして、これは、諸外国の動向も踏まえまして、効果的、効率的なものになっていると考えているところでございます。
 金田先生御指摘の、環境放出可能性を根拠にした規制緩和というのは現状をさらに後退させるものではないか、こういう御指摘でございますけれども、我々は、十分そういうところを考慮しながら今回こういう措置をとらせていただいた、こういうことでございます。
金田(誠)委員 我が国が化学物質大国であって、それによると思われるさまざまな弊害があらわれている、こういう全般的な状況に立脚をすれば、今のような御答弁というのは理解しかねるところでございます。
 次の質問に移らせていただきますが、既存化学物質についてでございます。
 従来、化審法は、環境汚染の事実が判明した後の特定化学物質の指定ということで、いわば後追い規制である、こう言われてきたと思うわけでございます。一方、OECDは、既存化学物質の大半はいまだに安全性評価を受けていないという指摘をしております。さらに、製造事業者に対し、既存化学物質等の安全性調査において、より積極的な役割を与えること、こう勧告をいたしております。この勧告に対してどう対応されるのか、これが一点。
 また、現在、安全性が評価されていない化学物質はどれだけ存在するのかについてお答えをいただきたいと思います。
高市副大臣 今回の改正案で、事業者が自主的に取得した有害性情報の報告制度というものを導入いたしますが、この成果を踏まえまして、事業者の取り組みとの相互の連携を強化して計画的に有害性評価を進めるというのが、このOECD勧告に沿った部分でございます。けさ後藤先生の御質問にも当省からお答えしたんですけれども、外国との情報交換とか、そういったことにも加えまして、こういった措置の具体化で、点検作業の一層の加速化を図ってまいりたいということでございます。
 それから、済みません、まだ検査の終わっていない……(金田(誠)委員「評価されていない化学物質はどれだけあるか」と呼ぶ)はい。昭和五十年度から平成十四年度までに、分解性、蓄積性について点検したものが千四百物質、人に対する毒性について約二百五十物質の点検を実施しているということでございます。ですから、差し引きすると、ちょっと済みません、二万物質のうち、点検が済んだのが約――だから、合計すると、千六百五十物質ということでございます。引き算、だめです。
金田(誠)委員 これは、先ほど来、OECDの勧告であるということで、私に言わせれば規制緩和などもされているわけでございますが、同じくOECDは、既存化学物質の大半はいまだに安全性評価を受けていない、こういうことまで指摘をして、その上で、既存化学物質の安全性において、産業界の自主的な取り組みを強化するとともに、製造事業者に対して、より積極的な役割を、こういう指摘ですよね。それが、報告制度をつくりましたからという程度でよろしいのか。
 二万マイナス今の数字、私、ちょっと引き算不得意なもので直ちに答え出ませんけれども、ほとんどまだ残っているわけですよ。この辺、その程度で本当にいいのか。早急に、やはり計画的に、製造業者、業界も含めた形できちんと点検して答えを出すということを強く御要請申し上げておきたいと思います。
 次に、情報公開について質問をいたします。
 同じくOECDの勧告では、化学物質に関する公に利用可能なデータベースの整備、リスクコミュニケーションの強化、これが求められております。これに対してどのような措置がとられますでしょうか。
仁坂政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年一月のOECD勧告におきましては、住民が利用しやすい化学物質に関するデータベースを引き続き整備するとともに、有害化学物質に関するリスクコミュニケーションを強化する旨の勧告を我々は受けております。
 リスクコミュニケーションは、市民の方を初め、事業者、行政等の化学物質の取り扱いに関係するすべての関係者が、化学物質に関する正確な情報を共有いたしまして、相互に意思疎通を図るというものであります。化学物質のリスク管理を推進し、化学物質に関して安全で安心な社会を実現するためには、これが必要不可欠であると考えております。
 このような考え方に基づきまして、政府においてはさまざまな取り組みを進めております。例えば、リスクコミュニケーションの前提といたしましては、先ほど先生も御指摘のとおり、情報の開示が重要であると思います。したがいまして、我々は、独立行政法人の製品評価技術基盤機構におきましてデータベースを整備しておりますが、これに関しまして、化学物質の有害性に関するデータベースを充実させ、情報の提供に努めてまいりたいと思います。
 また、リスクコミュニケーションのためには、関係者間の情報の共有、相互理解のよりよい方法を求めるために、行政、産業界、NGO等が参加して、リスクコミュニケーションのあり方についていろいろ議論をするということも必要かと思います。このため、化学物質と環境円卓会議というのを環境省が主催をいたしましてつくりました。実は、私なども委員の一人としてそれに参加いたしまして、リスクコミュニケーションの一層の推進に努めております。
 それから、化学物質排出把握管理促進法、PRTR法と申しますけれども、化学物質の管理の状況に関します国民の理解を深めるように努めるということがこの法律のもとでうたわれております。したがいまして、事業者においては、積極的な取り組み、すなわち情報の提供、それの説明、そういうものをやる義務がございます。そういうことを求めてまいりたいと思います。
 今後とも、OECD勧告や関係審議会の報告書を踏まえつつ、引き続きこうした取り組みを我々としては推進してまいりたいと考えております。
金田(誠)委員 今の話を聞きますと、やっていますというふうに聞こえるわけでございますが、そうであれば、OECDから、消費者へのリスクに関する情報は不十分である、このような指摘がされるわけがないと思うわけでございます。
 また、私の方に各NGOの方々からも、化学物質の名称、化学構造、毒性、残留性、蓄積性、生産量、輸入量、こういうものを示す生のデータ自体は開示をされておらない。これはもう最低開示をしてほしいという要望も届いているわけでございます。これはどうだこれはどうだということをここで議論する時間はございませんけれども、このOECDの指摘にあるように、情報開示、具体的な生のデータ、役所で加工したものでなくて、そういう生データにアクセスできるような情報公開、これはもう当然ではないかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
今井政府参考人 今御説明を申し上げました、化学物質の性状に関する科学的知見でございますとかリスクにかかわるデータというものにつきましては、化学物質に関する正確な情報をすべて関係者間で共有するということ、それからリスクコミュニケーションを促進するという観点から、広くそういう情報を国民が利用できるようにすべきであると考えております。
 一方で、今回検討の対象になっております、例えば企業から報告された情報等につきましては、人の健康等に関係する情報でありますとともに、一方で、企業みずからが取得したデータという側面も持っておるわけでございます。
 これらのバランスをとっていかなければならないということでございまして、私どもとしましては、事前審査の過程において国が入手した化学物質の有害性情報等につきましては、適切なバランスを考えて、公表のあり方について検討してまいりたいというふうに思っております。
金田(誠)委員 そういう話からしますと、例えば具体的に、この物質のこのデータというときに開示するしないということで争われることになりはしないかという心配をいたします。原則開示という立場を明確にしていただいて、それによって企業活動に不利益にならないようにするためにはどうするかという角度からも検討を加える必要がある。企業活動を不利にするために開示をしろと言っているわけではないわけですから、安全性確保というのが目的なわけですから、その目的はまず達成されなければならない。
 これに伴って、企業の責任である場合は不利益になっても仕方がないのかもしれませんが、そうでない場合には不利益になる必要はないわけでございます。その辺の企業活動に不利益にならない制度、これについてもあわせて検討して、具体的な情報開示が進むように努力をしていただきたいと思うわけでございます。
 時間がございませんので、次の質問に入らせていただきます。
 大臣、化学物質の総量を減らすという観点からでございますが、私は、我が国は国じゅうが化学物質につかったような状態になっているという気がしてなりません。複合汚染によってさまざまな問題があらわれている。前段申し上げました、アトピー、花粉症、シックハウス、あるいはがんとか、その他病気も結構関係をしているのではないか。旧来なかった状況が生まれている、こう思うわけでございます。
 そうしたことは科学的には立証されておりません。立証困難だと思いますね。単品の化学物質であれば、マウスを使ったりなんなりいろいろなことができるでしょうけれども、無限に組み合わせがあるわけですよ。無限に組み合わせがあるものを科学的に立証すること自体もう不可能に近いという状況が化学物質というものではないかと私は思っておりますが、大臣、これはいかがでしょうか。大臣はどうお考えになりますでしょうか。
 あわせて、一緒に聞かせていただきますが、化審法のスキームは難分解性の化学物質を個別に規制するというものでございます。それはそれで必要だと思いますけれども、化学物質の総量を減らしていかなければ我が国の存亡にかかわるというふうに私は思います。そうした新しいスキームの立法。個別のものをきちんと管理するのは当然ですが、トータルとして、世界一使用例が多いというようなことが放置されていて本当にいいのか。こういう点に着目をした新しいスキームの立法を検討すべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 化学物質というのは、すぐれた機能性により言うまでもなく幅広い産業で利用されておりまして、国民生活にも密着した存在になっております。その一方で、化学物質には御指摘のように有害性を持つものもあり、その取り扱いや管理の方法によっては人の健康や動植物への影響をもたらす可能性がある、これはそのとおり認識をしているところでございます。
 このため、化学物質の有害性や環境への放出状況をともに考慮してそのリスクを評価し、そのリスク評価に応じた適切なリスク管理を行うことが必要不可欠だと思っております。
 今議員が御指摘になったさまざまな問題点については、まだ科学的な知見が不十分であり、化学物質の利用との因果関係も必ずしも明らかになっていないのが現状です。そのような問題については、科学的知見の蓄積に努めるとともに、知見が得られれば、速やかに化学物質管理政策に反映をしてまいりたいと思っております。
 このように、人の健康や動植物への被害を未然に防止することを前提として、さまざまな機能や効用を持つ化学物質を最大限に活用することにより国民生活をさらに豊かなものにするとともに、我が国の産業の発展を図っていかなければならない。
 ただし、今御指摘のように、日本は世界の中でも化学物質は非常に多く使っておりますし、また、御指摘のアトピーでございますとか花粉症でございますとか、最近シックハウスというようなことも非常に大きな問題になっています。したがって、そういう因果関係も含めて、我々としてはやはり真剣に検証して、国民の皆様方に対して安心を与えるような努力をしていかなければならない、こういうふうに私どもは思っております。
 また、このスキームということでございますけれども、化学物質による人や動植物への被害を未然に防止するためには、今も申し上げましたけれども、その有害性そして環境中への放出可能性をあわせて考えたリスクというものを適切に評価して、その結果に応じてリスク管理を進めることが必要であると私どもは認識をしております。このため、単に化学物質の総量を規制しても、必ずしも人や動植物の被害の未然防止を確保することはできない、このようなことを考えております。
 したがって、総量規制が必要であるとのそういう御指摘については、化学物質による人や動植物への被害の未然防止のために化学物質の利用に当たっては十分な注意を払う必要があるという趣旨であると理解をしておりますが、化学物質の総量規制を直ちに導入することについては、いろいろな影響がございますので、慎重に検討する必要がある、このように考えているところでございます。
金田(誠)委員 直ちに導入できるとも思っていませんし、しかし大臣、我々世代が昔、メダカをとったりヤゴをとったり、覚えている最後の世代かもしれません。そういうものがいなくなる環境の中に我々がいるということは、人体に影響がないわけがない。
 今、小学校の成績評価の中に愛国心という項目ができたらしいのですが、私は、これこそまさに愛国心、日本という国をどうするのか、化学物質に汚染された状況をますますこれから深めていっていいのか。これは、お役人の書いたものを読むのではなくて、我々世代の責任もあるのではないでしょうか。政治家としての大臣、お一人でできるわけではない、農水、厚生、環境、さまざまな連携をとりながら、ぜひお考えをいただきたい。これはもうお願いを申し上げておきたいと思います。
 最後、時間がなくなってしまいましたが、品確法についてでございます。品確法、三問予定しておりましたが、最後の一問だけ質問させていただきます。
 エネルギーセキュリティーの観点に加え、地球温暖化防止の観点からしても、バイオマス系燃料は本来奨励すべきものだというふうに私は考えます。そのために、現状のままの車でもし問題があるとすれば、僕は余り問題はないと思っているのですけれども、もし問題があるとすれば、その問題点を明らかにして一定の改良を加えればそれで済む話である、こう思います。この点についてどうお考えなのかが一つ。
 そうだとすれば、やるべきことは、品確法による規制ではなくて、バイオ燃料奨励法というものをつくって、そちらを奨励することではないのかな、こう思いますが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 金田さん、この直前の質疑の中で最後に先生が言われたことは非常に重要なことだと思っておりまして、私どもも、かつて水俣病も体験いたしましたし、また、PCBのそういった問題もございました。そういったことで、化学物質というものは、本当に、経済生活の豊かさの追求の中で、やはりなおざりにしないで真剣に検討する、これは当然のことだ、私、こういうふうに思っております。
 バイオマス燃料の導入についてでございますけれども、石油代替燃料及び再生可能資源としての意義を有する一方で、大気汚染等の環境への影響、それから供給の安定性の懸念も指摘されるところがあります。自動車の生産ラインや燃料流通システム等の一定のコストがかかることから、導入前に適切な評価を行うことが必要と私どもは認識しております。
 米国では、アルコール混入率一〇%、このアルコール混入を進めた場合の問題点がございました。これまで我が国の市場で販売された車両については、御承知のように、ガソリンを前提に車両が設計されておりまして、他の燃料に対する安全性は担保されておりません。したがって、ガイアックスを使用して車両火災が頻発をする、こういうようなことがあったことも事実でございます。また、ガソリンを前提として、厳しい環境規制を達成するための高度な排ガス処理のコンピューター制御が行われているというような事実もございまして、製造時の想定した燃料とは異なる燃料を使用する場合には、改造を行わなければ安全、環境上の問題を惹起する可能性がある、このように認識しております。
 具体的には、我が国の自動車の約七割を占めます軽自動車のような、我が国の市場のみで販売されている車種については、アルコール燃料に適したコンピューター制御を行う制御装置への交換に加えて、燃料が直接接触する部分に腐食が発生しないメッキ加工を行った部品への交換ですとか、車両によっては、温度上昇による腐食を促進しないよう、燃料供給の配管の設置位置の変更が必要となるとともに、その交換に当たっては、部分的な交換であっても、既販車であるので、エンジン等を一度外して部品を交換するといった大きな作業が必要でございまして、相当なコストの負担になります。したがって、私どもとしては、今の状況の中で、今回のそういう措置をとらせていただいた次第でございます。
 しかし、バイオ燃料というものを推奨するということは必要なことでございまして、そういう意味では、私どもとしては十分に評価を行って、そして、二酸化炭素の排出量も少ないし環境に優しい、こういうことでございますから、それは私どもは政策をしっかりやっていかなければならない、バイオ燃料推進法、こういう制定というものもやはり将来の検討課題である、このように思っているところでございます。
金田(誠)委員 御丁寧な答弁をいただきまして、ありがとうございました。
 これは将来の検討課題ではないですよ。今、ハイブリッド車みたいな高い車が環境に優しいということで売れているわけですから、ぜひ、時代状況をきちっと見きわめて早急に検討していただきたい。要請して、終わります。
村田委員長 塩川鉄也君。
塩川(鉄)委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 大分寂しい委員会ですけれども、法案の中身は大事でありますので、大いに議論を進めていきたいと思います。
 私ごとですけれども、おとといの夜に子供が生まれまして、女の子。(拍手)ありがとうございます。三人目です。母子ともに健康で、大変にありがたいことですけれども、今、子育ての世代の皆さんにとっても、アトピーやぜんそくの問題や、いろいろ、化学物質に起因するようなものについての懸念というのが大変大きいですし、私と同年代の者、知り合いでも、本当に子供を授かりたいと思いながらなかなかそれがかなわないような、そういう夫婦もある。そこに、化学物質の影響などについても懸念をされる。
 こういう状況の中ですから、私、大臣にぜひとも一言決意としてお聞かせいただきたいのが、負の遺産が将来に残らないように、こういった化学物質が環境汚染を通じて人の健康に被害を及ぼさないようにするという決意というのを、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
平沼国務大臣 まず、塩川先生に、おめでとうございました。
 二万種以上あるという化学物質、そして、過去にも、いろいろな化学物質に起因する大変大きな被害が発生をしました。そういうことにおいて、私どもは、化学物質の管理、そしてそれの安全使用、そして人体や動植物への影響、こういったことは本当に十分考慮していかなければならないと思っております。
 そういう意味でも、私どもとしては、今回の化審法、そういう一つの前提に立ってお願いをしているわけでございまして、私も、担当の大臣の一人として、このことは真剣に取り組んでいかなければならない、このように思っております。
塩川(鉄)委員 きょう議論となる化審法そのものが、やはり、化学物質における汚染を通じての人の健康への被害をなくしていこうというもとでそもそもつくられたものであるわけです。
 そういった法の改正に当たって、今回の法改正のポイントの一つというのが、環境中に放出される可能性が極めて低い中間物や、閉鎖系の用途、輸出専用品については事前審査の対象外とするということであるわけです。言いかえれば、毒性の不明な新規の化学物質でも、環境中に放出される可能性が低いとされる使用方法と判断したときには、事前審査ですとか、事後に得た有害性情報を提供する義務の対象外とするものだということであるわけですけれども、この中間物、閉鎖系用途、輸出専用品とは具体的にどのようなものか、どのような事業者が製造、管理をするものなのか、お答えいただきたいと思います。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の化審法の改正におきまして、事前審査の適用除外の対象となりますものは、その取り扱い方法等から見ましてその新規化学物質による環境の汚染が生ずるおそれがないものとして政令で定める場合ということでございまして、現在、私ども、三つのケースを想定しております。
 一つ目は、化学反応によりまして全量が他の化学物質に変化する化学物質である中間物、こういう中間物を使用して別の化学品を製造する事業者におきまして、環境汚染のおそれがないようにきちっと管理がなされている場合を想定しております。
 それから二つ目は、例えば、半導体チップの製造工程で使用されますフォトレジストというもののように、使用する事業者におきまして適切に管理されて、閉鎖系の工程で用いられる、それが外に出ていかない、出ていく場合はきちっと処理されるというものを想定しております。
 三つ目でございますけれども、これは、日本と同じような新規化学物質の審査制度が整備されております輸出相手国向けにのみ輸出される化学物質を想定しているところでございます。
塩川(鉄)委員 このような化学メーカーの中での、最後か最初、途中で出てくるようなものについて、外に出ないような物質について、今回の事前審査の対象外にするですとか、私も拝見させていただきましたけれども、半導体の製造工場、いわゆる前工程で、フォトレジストと言われるような、写真のような形で半導体をつくる上での重要な部品をつくる場合の作業工程に使用されるような薬品、こういうものについて、今回、事前審査の対象外とするわけですけれども、この場合については、使用の場合についての量的な制限というのはあるんでしょうか。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘の閉鎖系の用途につきましては、私どもは、事前審査でその物質が外に出ないということをきちっと確認し、それから、最終的にきちっとした処分がされることを前提にしておりますが、その場合に、量的な概念について、現在のところは、何トンまで、そういうことは考えておるところではございません。
塩川(鉄)委員 何トンであろうとも、この事前審査、毒性検査を必要としないものになるということであるわけです。
 今まで化審法で、十分と言えないような審査であっても行っていたような、毒性の不明な新規物質の事前審査もやらなくなる。そんなものを何トンつくっても、使用しても構わない。
 しかしながら、化学物質審査規制法、化審法そのものが、化学物質が環境汚染を通じて人の健康に被害を生じることがないようにするためにつくられたものであることを考えると、私は、化審法、新規化学物質の規制法であるこの法律の趣旨からいっても、おかしいんじゃないか、毒性検査の後退と言えるんじゃないかと率直に思いますが、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 化審法におきます事前審査制度につきましては、難分解性の性状を有する化学物質による環境汚染を通じた人の健康へやあるいは動植物の影響を防止することを目的として、新規化学物質について、難分解性、人や動植物への毒性等の性状の有無を、製造、輸入する前に審査する制度でございます。
 したがって、そもそも環境中に放出されることがほぼ想定されない化学物質についてまで、一律に他の化学物質と同様の試験データの提出を求めまして審査を行うことは、必ずしも合理的な制度とは言えないと思っております。
 このため、こうした点について、国内外において、より効果的、効率的な制度とするよう、その見直しが求められてきました。
 このような状況を踏まえまして、将来においても人の健康や環境中の動植物への被害の発生につながることのないよう慎重に検討を行った結果、一定の条件を満たす場合には、有害性のみならず環境中への放出可能性を考慮した対応を可能とすることが適当だ、このように判断したわけでございます。
 具体的には、新規化学物質の製造、輸入業者から特に申請があった場合において、当該化学物質の取り扱い方法等から見て、環境への放出可能性が極めて低く、また環境の汚染や人の健康被害等を生ずるおそれがない旨を国が個別に確認したものについては、事後において引き続き監視を行うことを前提として、新たな制度の対象とさせていただきました。
 今回の事前審査制度の見直しというのは、こういった厳しい要件を課すことによりまして、人の健康や動植物への悪影響の防止を確保した上で化学物質の取り扱いの態様に応じた管理を行うこと、このようにしたところでございまして、化審法の法律の趣旨には逆行するものではない、私どもとしてはこのように思っているところでございます。
塩川(鉄)委員 私は、どんな施設や管理手法であっても、環境放出の可能性はゼロではないと思うわけです。例えば、完璧な施設だと言われていても火災になることだって当然ありますし、半導体工場で使われたフォトレジストが最終的に廃棄物になって、今はセメント工場で燃やされるそうですけれども、その際に、施設から運び出される輸送中の車の事故だって当然起こり得るわけですから、そういう点でも、私は、そういった可能性がゼロということはあり得ないということを率直に思うわけです。
 あわせて、国の内外から整合性、是正を求められていたというお話もありましたけれども、私、国の内外からという点では、それなりに見合ったものにしようというお話であれば、では、日本の検査体制はそもそもどうなのか、ふさわしいものなのかどうかということが問われてくると思います。
 そこでお聞きしますけれども、日本の新規化学物質の製造許可、この化審法の施行に関する担当官の方は何人いらっしゃって、うち、実際に審査にかかわる専任の担当官の方は何人おられるんでしょうか。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 化学物質担当につきましては、私どもの局の化学物質管理課というのがございまして、約五十名でございます。そのうち、化学物質の安全の問題、化審法に直接、間接に関係する業務に従事しておりますのは三十二名でございます。また、特に専門的な知識を持って審査業務に従事している職員は、そのうちの八名でございます。
 それから、各省にやはり同じように担当官が置かれておるわけでございます。
塩川(鉄)委員 環境省にお聞きしますが、アメリカで環境行政を担いますEPA、環境保護庁に、新規化学物質の担当部門が置かれております。アメリカでの新規化学物質の審査担当官の方は何人おられるんでしょうか。
南川政府参考人 私どもが米国環境保護庁、EPAから聞いた情報でございますが、本年五月時点でのEPAにおきます化学物質担当部局の担当者数が三百七十名、うち新規化学物質担当が百四十名ということでございます。
塩川(鉄)委員 そういう点でも、日本の場合に、化審法の担当が三十二名、若干ほかの省にもいらっしゃるんでしょうけれども、アメリカの場合では、環境保護庁の担当者の方が、新規化学物質という点でいっても百四十名ということで、規模の差が大変大きくあるわけです。そういう点での日本の体制というのが、本当に見合いのあるような、国際的にふさわしいものなのかどうかということが問われるんじゃないでしょうか。
 その上で、百歩譲って、環境放出の可能性が極めて低い場合に、手続などについて簡易な措置をとるということは、当然、一定の合理性があることだと思います。
 その際でも、今、審査に時間がかかるから新規化学物質をすぐ使用することができないという声などもあって、事前審査について考慮してほしいという声などもお聞きするんですけれども、私、そういう立場に立っても、新規化学物質を、まずは使い始めたとしても、使用中にでもきちっとこういった毒性検査を行う。まるで毒性検査もやらないというのは問題じゃないかな。少なくとも、使用段階で、今の化審法で言われている分解性と蓄積性と長期毒性の審査ぐらいをする気はないのか、その点をぜひお聞きしたいと思います。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の事前審査制度の見直しによりまして設けられます審査適用除外につきましては、その化学物質の取り扱い方法に着目しまして、事前の確認と事後の監視を徹底的に行うということでございまして、それによって、当該化学物質が環境中へ放出する可能性が極めて低く、環境の汚染が生ずるおそれがないという考え方に基づくものでございます。そして、確認を受けたところに従って環境への汚染が生じないよう管理がなされている限り、有害性の審査を行う必要はないというふうに考えております。
 ただし、確認に係る新規化学物質によりまして、環境の汚染等が何らかの形で生ずるおそれがあると認めるに足るような事実が出てきた場合には、確認を取り消すことになりますし、さまざまな形で有害情報を得る仕組みを今回つくりましたので、そういうところで有害情報が出てきた場合には、またその対応を考えるということになろうかと思います。
塩川(鉄)委員 要するに、どんな毒性があるかもわからないものが使われているんですよ。ただ、閉鎖系用途でいえば、器がしっかりしているから大丈夫だという担保をとっているわけですけれども、私はそこに絶対はないと思う。そういうことを考えれば、少なくとも、最初にきちっと調べなくても、使っている最中は、一年、二年、三年と、そういう中できちっと毒性検査をやればいいじゃないですか。
 問題なのは、何か問題があって、環境中に放出されて、環境を汚染するようなことがあったら対処すると言うんだけれども、その汚染している物質が何かというのがわからないわけでしょう。毒性は出たかもしれないけれども、そもそもその新規化学物質が毒性があるかどうかの調査もしていないんですから。
 そこについて、特定することが大変おくれるだとか、さらにその被害が拡大するようなことにもなるわけですから、私は、やはり百歩譲っても、新規化学物質については、事前、事後、事前でない場合であってもきちっとした審査、毒性検査というのを行うべきじゃないかということを率直に思うわけです。
 その上で、資料を配付させていただきましたけれども、これはこの化審法の改正に向けて環境省で行っておりました、下に出典が書いてありますけれども、生態系保全等に係る化学物質審査規制検討会の「諸外国における化学物質の審査・規制のあり方について」からとったものですが、上のタイトルにありますように、「各国・地域における新規化学物質の事前審査の試験要求項目」です。
 私、ここで対比をした場合に、日本と米国とEUとオーストラリア、カナダ、丸のつき方の数というのは大変違うということを見ていただけると思うんです。ヨーロッパは、ここに挙げられているように多数のチェック項目がありますし、アメリカは、先ほど答弁にもありましたように、多数の審査担当者がいて事に当たっているという面があるわけですね。日本は、こういったチェック項目も少なければ審査体制もない。丸がついているのは、二ポツの半括弧の七、八、九というのが長期毒性にかかわる点だと思いますし、四ポツの半括弧一の生分解性がいわゆる難分解性ですね、半括弧二の濃縮性が高蓄積性、これしかない。
 私は、今でさえ率直に言ってずさんなこの審査体制を、さらに穴をあけるようなものが今回の法改正ではないかなと率直に思うわけです。こういう現状でいいのか、率直に思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
南川政府参考人 御説明だけさせていただきます。
 この表につきまして御説明申し上げますと、国によってこの化学物質審査制度の範囲が違っております。日本の場合ですと、環境経由の人の健康の影響について審査をするということでございますし、したがいまして、例えば四の括弧二にございますような、欧米で求めておりません濃縮性のデータを求めております。また、EUの場合を見ますと、EUは、例えば一の物理化学的性質のうちの引火点、可燃性等々、爆発性等々の、いわゆる消防的な爆発、引火性についても求めておりますし、審査をしておりますし、また、二の急性毒性データについても、労働者の安全性という観点から審査をいたしております。そういう意味で、ややそのカバーしておる範囲が異なることから、丸の数が違っております。
 なお、今般、法改正をお願いいたしておりますけれども、これが実現しますれば、三の生態毒性データにつきましては、我が国でも試験項目として加わるということでございます。
平沼国務大臣 今御説明があったわけですけれども、幾ら閉鎖的でございましても、またその中間物であっても、そういう新規の化学物質について毒性が懸念される、こういうことであれば、これはやはり積極的にそれをチェックする、こういうことは私は当然のことだと思っております。
 それから、アメリカの場合は「手持データで可」という形で何カ所かついておりますけれども、アメリカは、今塩川先生がおっしゃった、大変そういうニーズが多いということでございますが、先ほど私どもも、経済産業省でもその担当部局には相当数の人員を配置しておりますし、これは、農林水産省にしましても厚生労働省にいたしましても環境省にしても、それぞれその専門家がいるわけでございます。
 そういうことで考えてみると、私どもとしては、それはしっかりとした体制をつくるということはもちろん当たり前のことでありますけれども、私は、例えば別の観点からいえば、アメリカは日本の人口の倍でございますし、経済規模も倍である、こういうようなことを考えれば、日本がそんな極端に劣っている、こういうふうには私は思わないわけであります。だからといって、それをなおざりにする、こういうことでは毛頭ないということは申し添えさせていただきたい、このように思います。
塩川(鉄)委員 毒性データの話、環境省からもありましたけれども、これはあくまでも労働者の健康管理の安全の問題、労働安全衛生法の話で、新規化学物質の事前審査という点についてはこういう表になるというのははっきりしているわけですから、その点、やはりしっかり見ておく必要があると思うんですね。
 私、そういう点でも、今閉鎖系用途などについても言われているように、今までやっていた事前審査、毒性検査というのを後退させる、やらなくて済むようにする、そういう要求そのものがどこから出ているのか。これは、事前審査の対象外とせよという実際の要望というのは、例えば環境保護団体から出ているものなんですか。どこから直接要望が出されているものなんですか。
今井政府参考人 お答え申し上げます。
 中間用途の問題でございますとか閉鎖性の問題というのは、化学工業を含めた経済界からちょうだいいたしております。また、規制緩和委員会でもこういう議論をしていると理解しております。
塩川(鉄)委員 今答弁にありましたように、「二〇〇二年度日本経団連規制改革要望」、この中で、「新規化学物質の用途に着目した化審法における届出の免除」ということで、「要望」として、「全量が他の化学物質に変化する工業用中間体や輸出専用品など、用途によって、環境や人に対する曝露が極めて小さいと考えられる化学物質のうち、他の化学物質への変化や流通経路が明らかである等一定の要件を満たすものについては」化審法に基づく届け出等の規制を免除すべきだと。これはストレートに今回の法改正に入ってきているわけです。財界の要求として反映された部分であります。
 ちなみに、参考までにお聞きしたいのは、分解性、蓄積性、人への長期毒性についてのそれぞれ検査費用というのはどのぐらいかかるものなんでしょうか。
今井政府参考人 御指摘の分解性試験、それから蓄積性の試験、それから人への長期毒性の疑いを評価するためのスクリーニング毒性試験といいますが、これは第一次試験みたいなもので、化学物質が通ってくるものでございますが、これが一件で約二千万円でございます。そして、もし長期毒性がある可能性がある、疑いがあるということになりましてこれをきちっと審査するということになりますと数億円の費用、二億円から三億円の費用がかかるというのがこれまでの実態でございます。
塩川(鉄)委員 今回の法改正で年間十トン以下のものについては、難分解性だけれども蓄積性がない、高蓄積性なしということならば毒性検査はしなくてもよいという仕組みもつくられたわけですけれども、これはどこからの要望が反映されたものでしょうか。
今井政府参考人 要望をちょうだいしていますといいますか、その意味では、化学工業等からちょうだいをしております。また、アメリカの例等におきましても、国際的にも、そういう少生産量の特例措置というのが認められるところでございます。
塩川(鉄)委員 やはり同じ「二〇〇二年度日本経団連規制改革要望」の中にこの要求が掲げられています。その理由というのが「製造・輸入数量の合計が一トンを超える場合に要求される分解性、蓄積性、毒性に関する試験の実施には約二千万円の費用がかかる。」今の答弁にもあったとおり。それで、「開発企業にとって非常に大きな負担となっている」からだということですね。お金の問題なんだということが率直に述べられているわけです。
 私そういう点でも、お金の問題、企業としての利潤追求と人の命や健康、動植物への環境への影響、一体どちらを優先するのかということが改めて問われるんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 我々は、やはり経済活動を営んでおりまして、そしてその経済の活動によって我々はいろいろな恩典に浴しているわけであります。ですから、そういう観点の中で、人体への影響あるいは動植物への影響、これは、十分その安全性というものを担保して、チェックしていかなければなりません。したがって、私どもは、現実の人類の活動の中で、やはりバランスというものをぎりぎり求めていくことも必要だと思っています。
 ですから、そういう意味では、安全性がしっかり担保され、そして人体やあるいは動植物への影響が少ない、そしてさらに、事後のチェックによってそれが担保される、こういうことであれば、そういうバランスの中で、今回の化審法、これに対しては合理性があるし、また、その安全性についても、これまでの答弁でるる申し上げてきたように担保できる、そういうことを我々としては思っているところでございます。
塩川(鉄)委員 過去、PCBなどもそうでしょうけれども、毒性の不明な物質というのがもたらした被害というのは数知れないわけです。原因究明に時間がかかる中で、その間に被害者も実際には拡大していった。結局、工業用に使われている物質の、毒性があるとされるものの代替物質ができるまでは、その毒性があるものを使用し続ける。こういった現実があったわけで、そこでのやはり行政の態度が問われたわけですね。こういう現状をこのままさらに続けるようなことになりはしないかと率直に思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
平沼国務大臣 我々としては、そういう過去の非常に貴重な、痛みの伴った経験というものは、当然政策に反映していかなければいけませんし、そこのところはしっかりと考慮していかなければならないと思っています。
 そういう意味で、今回も、法文にあるとおり、私どもとしては、最大限そういったことに配慮しながら、バランスをしっかりとって、そして、この日本の経済そして我々の活動、そういったものを同時にやはり担保していかなければいけない、そういうことでございます。
 御指摘の点は、私どもは留意をしていかなければならないことは当然のことだと思っておりまして、この安全性の確保については、これからも一生懸命に私どもは努力をして、そして、そういうことが起きないように私どもは最大限の力を注いでいかなければならない、こういうふうに思っております。
塩川(鉄)委員 過去、目先のもうけを追求した企業というのが、このような化学物質の汚染を軽視したがために、かえって、毒性による健康被害に対しての補償の問題や環境暴露に対しての浄化の費用が莫大にかかってしまう、企業にとってもかえってマイナスになる、その企業のイメージも大きく後退をさせる。そういう点でも、このように、今ある化審法の枠の中での毒性検査にさらに穴をあけるような措置というのは、そういったことをさらに後押しするようなゆがみをつくりはしないか、そのことを改めて指摘して、質問を終わります。
 ありがとうございました。
村田委員長 大島令子さん。
大島(令)委員 社会民主党・市民連合の大島令子でございます。
 まず、揮発油の分析の委託についてから質問を始めさせていただきます。
 品質確保法十六条の二には、「揮発油販売業者は、経済産業大臣が指定する者に対して、給油所ごとに」「揮発油の分析を委託することができる。」となっております。
 現在、この分析が指定されているところは何カ所で、何という名称の団体か、お答えください。
細野政府参考人 お答え申し上げます。
 品確法の第十六条の二に基づきまして、揮発油販売業者が給油所ごとに揮発油の分析を委託することができる指定分析機関としては、四機関が指定してございます。
 具体的には、社団法人の全国石油協会、同じく社団法人の日本海事検定協会、財団法人新日本検定協会及び財団法人の化学物質評価研究機構でございます。
大島(令)委員 それでは、品質確保法施行規則十四条の三に基づいて年一回の検査が行われることになっておりますが、これにつきまして、これは、自己分析義務ということで実施される分析の委託でございますけれども、委託先の委託件数、検査料金は、今答弁があった四団体はどのようになっているのか、お答えください。
細野政府参考人 お答え申し上げます。
 委託件数でございますが、平成十三年度の実績で申し上げますと、社団法人の全国石油協会が四万八千九百四十七件、それから日本海事検定協会が三百七十八件、新日本検定協会が二百九十八件、化学物質評価研究機構はございません。
 それから、検査料金の方でございますけれども、品確法で義務づけがございます強制規格について、品確法の省令の第十四条の二及び十四条の三に基づきまして年一回の分析を行う場合の揮発油の検査料金を申し上げますと、全国石油協会が九千円、新日本検定協会が八千五百円、日本海事検定協会が七万円、化学物質評価研究機構が二万円となってございます。
大島(令)委員 委託分析、自己分析は、「経済産業大臣が指定する者に対して、給油所ごとに」「揮発油の分析を委託することができる。」ということで、かつては、指定する団体は石油協会だけでした。これが現在では、今御答弁がありましたように、四団体が指定されておりますが、一カ所から四カ所になった背景を御説明ください。
細野政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの四団体でございますけれども、いずれも古い団体でございまして、大正年間にできた団体、それから昭和二十年代にできた団体、それぞれでございますが、もともと全国石油協会がやっておりましたものが四つにふえたということでございます。
 基本的には、今先生御指摘の、品質を確保するために分析をするということについての社会的なニーズが高まった、それから、検査の中身につきましても、対象とする項目がふえているというようなこともございまして、指定検査機関制度でございますので、一定の要件を定めたものについて、これに合致するものはこれを認定するということで、結果的に四団体となったというふうに理解をしております。
大島(令)委員 今、平成十三年度の実績でございますと、社団法人の全国石油協会が四万八千九百四十七件という数字でほとんど独占状態にありますけれども、昭和五十六年に設けられた指定分析機関制度、これは、独占状態を解消するという意味合いもあったんでしょうか、それとも、今の御答弁のように、分析の範囲が広がったということからなんでしょうか。
細野政府参考人 御答弁を申し上げます。
 基本的に、先ほど申し上げましたように、品質分析をするという法益を守るために、かつ、指定検査機関制度ということで、それに見合う実力と実態を持ったものについて広く利用をふやしてもらう、これに対して、どこにアプライをして御利用いただくかはそれぞれの御判断に任せるということでございまして、以上の趣旨に基づきまして今の体制をつくったものと理解しております。
大島(令)委員 では、全国石油協会には補助金が、試買分析、委託分析に関して出ておりますけれども、あと、新日本検定協会、二百九十八件しております。日本海事検定協会も三百七十八件検査をしておりますが、ここには補助金は出ているんでしょうか。
細野政府参考人 お答えを申し上げます。
 今御指摘の、全国石油協会についての、品質モニタリングをするための予算につきましては、二十九億円の予算を予算額として計上いたしまして、石油製品品質確保事業費補助金という形でさせていただいております。
 そのほかの団体につきましては、同様の趣旨として予算を計上してございません。今のようなほかの三団体については、補助金を計上してございません。支出をしておりません。(大島(令)委員「補助金はないということですね」と呼ぶ)はい。
大島(令)委員 では、次に、試買事業について質問をいたします。
 試買事業は、社団法人全国石油協会が行っておりますが、どういう理由で試買事業が必要になったのか、それと、石油協会がそれを行うことになった法的な根拠は何か、お示しください。
岡本政府参考人 試買の分析制度というのは、昭和六十一年に予算措置が講じられたわけでございますが、当時、いわゆるガソリンにBTXを混入するフエルガソリンといったような粗悪ガソリンの問題が大きな問題になりまして、そういう中で、当時の品確法に基づきます、みずから分析するというその仕事に加えまして、行政の側で機動的に、石油製品の品質の確保、そのことを通じて消費者の保護を図るという趣旨から、六十一年に予算措置を講じてスタートしたものでございます。
大島(令)委員 ということは、予算措置による補助金であって、法的に根拠を持つ補助金でないというふうに理解してよろしいでしょうか。
細野政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、試買制度につきましては、先ほどの経緯をたどりまして、後から予算上の政策判断として措置したものでございます。
大島(令)委員 済みません、戻る前に。質問は、法的根拠があるのかないのかと言っているんですから、そういう形で答弁してください。
細野政府参考人 改めて御答弁申し上げます。
 本件につきましては、予算上の措置として措置をしております。したがいまして、法的には、先ほどの分析を、自己分析及び委託分析をする、これは法的な措置でございますけれども、これの法益を全うするために、モニタリングというものは別途必要であろうという判断をいたしまして、これに基づいてこの制度を予算措置として行い、そして、試買制度を行う主体として全国石油協会を採用しておりますけれども、これにつきましては、まさに石油製品に求められております、硫黄の含有量とかあるいはベンゼンの含有量等々、こういったものを着実にチェックできる、そういう機能を持つかどうかというところでチェックをさせていただきまして、全国石油協会がこれにかなうということで、これを採用させていただいております。
大島(令)委員 試買分析の一回の検査料は、無料なのか、それとも全額補助金でやっているのか、教えてください。
細野政府参考人 お答え申し上げます。
 試買につきましては、その必要なコストについては全額予算で措置をさせていただいております。
大島(令)委員 では、石油協会は分析をするための設備をどのように整えたんでしょうか。設備投資はすべて国が行ったんでしょうか。
細野政府参考人 お答え申し上げます。
 試買制度につきましては、先ほどの経緯をたどって制定されたものでございますが、いわゆる自己分析、委託分析をするという制度とは違った判断をして、新たに措置したものでございます。
 したがいまして、法律的な義務を持った分析をするということを担う団体の方から考えますと、これは追加的なものでございますので、これに必要な機器等につきましては、これは非常に難しい検査をするものでございますので、日進月歩の機器をちゃんと整えるということもございます。したがって、今、現実にはリースという格好で試買にかかわる分析機器を調達しておりますが、そのリースにかかわるコストについても、補助金をもって対応をさせていただいております。
大島(令)委員 自己分析は、品確法に基づいた販売事業者の義務になっている分析ですね、品質確保するために。ところが、試買事業は、ただ予算措置ということで、先ほど来の答弁ですと、明らかな法的な根拠は示されませんでした。そして、石油特会から、毎年リース料を含めた補助金が、平成十四年度は二十九億円、平成十五年は二十五億円ほど、分析委託とリース代込んだ補助金が出ているわけなんです。
 にもかかわらず、先ほど、昭和五十六年に設けられた指定分析機関制度について、平成八年に、品質分析の実績のある日本海事検定協会ですとか新日本検定協会、あともう一つ、化学物質評価研究機構が参入しておりますけれども、ここには補助金も出ていない。いわゆるこの検査は、試買も自己分析も全国石油協会がもう一手に引き受けて、独占状態になっております。
 このことに対して、どうしてこういう状態になっているのか、説明をしていただきたいと思います。
岡本政府参考人 石油協会は、多年、ガソリン、灯油、軽油、そういった石油製品の分析試験ということで手がけてきた専門の機関でございます。
 今、委託分析の指定機関として、先生御指摘のように、海事検定協会とかあるいは化評研とか、そういうものが入っておりますが、こういった機関は、海事検定協会であれば、先生御存じのように、船の関係の検査、検定を行うというのが本来の仕事でございまして、それから、化評研は、それこそ化学物質の安全性なんかについての分析をやるというところが主たる業務で、相当手いっぱいな状況にございます。
 石油製品の分析試験ということでは、石油協会が長年にわたって、関係者の間でももう評価の定まった実績を持っておりますので、結果としてそういうところの割合が高いということでございまして、それぞれの分野における経験と評価というものがこういった結果につながっているものと理解をしております。
大島(令)委員 石油協会に対しまして、試買事業以外に補助金が出ていると思います。それに対して、どのような種類の補助金か、またその監査はどのように行われているのか、御説明ください。
細野政府参考人 お答えを申し上げます。
 全国石油協会につきましては、今御議論になっております石油製品品質確保事業費補助金のほかに、これはまた別の観点でございますけれども、構造改善のための利子補給事業、あるいは土壌汚染等々環境の関係の補助金等々が出ております。
 それから、今御議論になっております試買の制度を担うための補助金でございますけれども、これはこのために支出をしている補助金でございますので、毎年、補助金のための確定検査というのをさせていただいております。したがいまして、これに用いられる機器につきましては、機器そのものあるいは経理につきましても完全に分離をいたしまして、別個のものとして処理をさせていただいております。
大島(令)委員 試買事業として集めるサンプルは、ガソリン、ハイオク、レギュラー、軽油、灯油と聞いております。しかし、軽油に関しては、軽油引取税は地方税ですので、都道府県でも検査を行っていると聞いております。検査の内容や検査対象が違っていても、検査対象は同じですから、軽油に対しては二重の検査になるのではないかと思っております。
 こういう意味では、国の行う検査と一緒にすることが可能であれば、その補助金の削減もできると思います。このような議論に対してどういうふうに考えておられるか、聞かせてください。
岡本政府参考人 軽油の脱税というのはなかなか後を絶たない大きな問題だということは、先生の御案内のとおりかと思います。
 もちろん都道府県が税務当局でございますので、当局としての税務調査というのをやるのですけれども、一方で、軽油を扱っている販売業者の側において、一部に軽油に例えば灯油を混入するというような事例があったりもしまして、石油の業界の中でも、識別が容易な、クマリンというような識別剤を精製業界の協力を得て入れて、そういうことを通じて、販売業者の側でも混入というものを戒めるために従来から私ども督励をしてまいっているわけです。
 それを、国の行政としましても、機動的に抜き打ち調査をやるということで、軽油についても試買の対象にして、私どもはやって、そういう中で、万一混入の事実があるという場合には、違法な混入であれば都道府県の税の事務所にも連絡をするという形で、非常に大きな問題でございますので、徴税機関に加えて、揮発油販売業界、石油販売業界を担当している立場からも、今言ったような取り組みをこれまで鋭意続けてまいっているところでございます。
大島(令)委員 それでは、軽油の検査においてふぐあいが、基準違反が発覚した場合、試買事業の中の一つですから、都道府県に当然連絡がされ、連携をとってやっているのでしょうか。
細野政府参考人 お答えを申し上げます。
 ただいま御指摘のように、軽油の試買におきまして、軽油の規格に適合しない事例というものが判明をした場合、かつ、その中身が、今長官から御答弁申し上げましたように、軽油引取税の脱税というものを背景にしているのではないかということが想起される場合には、当然のことながら、当該試買に当たりました関係の情報を当方の地方支分部局からそれぞれの関係の都道府県の税務当局に御連絡を申し上げて、中身について連携をとらせていただいております。
大島(令)委員 それでは、品質確保法施行規則十四条の三に該当しない、つまり品質維持計画認定制度を受けていない給油所は全国で何カ所ございますか。
細野政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘になりました、十四条の二または十四条の三の適用を受けていない給油所は全国で約二千九百カ所でございます。
大島(令)委員 この二千九百カ所はいわゆる特例を受けていないわけですから、十日ごとに一回の自己分析をするわけですね。そうすると、年間三十六回やらなければなりませんが、石油協会に委託した場合、費用は幾らかかるのでしょうか。
細野政府参考人 お答えを申し上げます。
 三十六回、十日ごとにやるというものを、仮に今の認定を受けまして、石油協会に、少ないチェックでやった場合には、年間十万円のコストをちょうだいしております。
大島(令)委員 大手元売から買う場合は一年に一回でいいというふうなことで、そういうところでない場合は十日ごとに一回ということでございますが、この違いは、当然、品質の確保ということがこの検査の目的でございますから、流通経路が明確である大手元売というところでそういう品質維持計画の認定制度というのが出てきたと思います。
 では、この大手元売というものに対して、大臣に聞きますけれども、国は、大手元売が卸す揮発油に対してどのようなチェックというか、一〇〇%そのままで信頼してこの制度を続けていっているのか、その辺のところを聞かせていただきたいと思います。
岡本政府参考人 大手の元売につきましては、これはJISの規格に合った製品を製造、販売するということで、帳簿の記録、保存、それから行政による立入調査ということも行われることになっておりまして、私どもは、そういう元売から継続して一定の品質の石油製品を仕入れて販売している事業者の場合には分析の頻度を軽減するということで、一方で石油製品の品質確保というものを図りつつ、合理的な理由がある場合に、今言ったような形で事業者の負担の軽減を図っているところでございます。
平沼国務大臣 今、資源エネルギー庁長官から御答弁をさせていただいたところでございますけれども、いわゆる元売生産業者に対しましては、出荷時の品質確認義務というのがございまして、経済産業大臣といたしましては、業務報告の徴収、それから場合よっては立入検査、そしてそういうものに違反があった場合には行政処分、こういう形で対応をしております。
 元売に対しては、出荷時の品質確認義務がありますので、卸業者あるいは揮発油販売業者といったところに品質が確認されたものが流れる、こういうような仕組みに相なっております。
大島(令)委員 最後に、少しわからないのが、試買分析に関しましては、石油協会の指示を受けた運送業者、今は日本通運がしているそうなんですが、専用の車を使用しまして、指定制服を着用した人が給油所の店頭でハイオク、レギュラーガソリン、軽油、灯油の四種類を購入して、全国九カ所の試験センターに集め、その品質が法定規格に適合しているかどうかの分析を年一回行う。今度は、法律に基づいた自己分析、これはサンプルを給油所の方が全国石油協会の方に出すという形になっているわけなんですが、品質の確保という面でこの二つが今並行して行われているわけなんです。
 予算措置でやっている試買分析の方は、客観性が担保できる。そちらの方に補助金が非常にたくさん出ていまして、自己分析、いわゆるサンプルをスタンド側が提出する方。双方、同じところがやっているのになぜ二つ必要なのか。ここがすごく私自身はわかりづらいので。法的に基づいたものは自分の費用でやる。しかし、法的に基づかないものに対しては国が全額補助金を出してやっている。この二通り。どういう理由でこういうふうになっているのか、明快な説明をいただきたいと思います。
岡本政府参考人 先生御指摘のとおり、外形的には重複しているという実態でございますが、実は、こういう次第でございます。
 まず第一に、委託分析というのは、自己分析で自分でおやりになる方は委託する必要はないというわけですが、委託分析の方はガソリンだけ、揮発油のみを対象にいたしております。
 試買の方は、ガソリンに加えまして灯油、軽油というのも、あるいは脱税であったりあるいは品質の劣化等に基づく問題ということで、軽灯油も試買の方は対象にいたしております。
 それから、委託分析制度というのは、揮発油販売事業者による自己申告制であるのに対しまして、試買の方は、専門の分析機関による抜き取り調査ということで、実は、これは全スタンドを対象に、年一回は抜き取りでやるということでやっているものでございます。
 こういった、法律を補完する位置づけの抜き取り的なモニタリングをやることによって、両々相まって、揮発油あるいは軽油、灯油、そういった石油製品の品質の確保、そのことを通じて消費者の保護を図るということを、より万全を期すということで、こういう形でやらせていただいているところでございます。
大島(令)委員 終わります。
    ―――――――――――――
村田委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま本委員会において審査中の内閣提出、参議院送付、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、環境委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 また、連合審査会において、政府参考人から説明を聴取する必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
村田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、本連合審査会は、本日本会議散会後直ちに本委員室において開会いたしますので、御了承願います。
 次回は、来る二十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.