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第3号 平成16年3月12日(金曜日)

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平成十六年三月十二日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今井  宏君 理事 江渡 聡徳君

   理事 櫻田 義孝君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君

   理事 吉田  治君 理事 井上 義久君

      今村 雅弘君    遠藤 利明君

      小野 晋也君    小島 敏男君

      小杉  隆君    小西  理君

      河野 太郎君    菅  義偉君

      谷本 龍哉君    藤井 孝男君

      増原 義剛君    松島みどり君

      稲見 哲男君    梶原 康弘君

      菊田まきこ君    近藤 洋介君

      神風 英男君    高山 智司君

      樽井 良和君    辻   惠君

      中津川博郷君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      村越 祐民君    渡辺  周君

      江田 康幸君    河上 覃雄君

      塩川 鉄也君    坂本 哲志君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   参考人         

   (中小企業金融公庫総裁) 水口 弘一君

   参考人         

   (全国信用保証協会連合会会長)          植野 正明君

   参考人         

   (神奈川県信用金庫協会会長)

   (湘南信用金庫理事長)  服部 眞司君

   参考人         

   (成城大学大学院経済学研究科長・教授)      村本  孜君

   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  平井 卓也君     谷本 龍哉君

  辻   惠君     神風 英男君

同日

 辞任         補欠選任

  谷本 龍哉君     平井 卓也君

  神風 英男君     稲見 哲男君

同日

 辞任         補欠選任

  稲見 哲男君     辻   惠君

    ―――――――――――――

三月十二日

 中小企業金融公庫法及び独立行政法人中小企業基盤整備機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 商工会議所法及び商工会法の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

同月九日

 業者青年の経営基盤の安定等に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八三〇号)

 同(石井郁子君紹介)(第八三一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第八三二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第八三三号)

 同(志位和夫君紹介)(第八三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八三五号)

 同(田中慶秋君紹介)(第八三六号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第八三七号)

 同(山口富男君紹介)(第八三八号)

 同(吉井英勝君紹介)(第八三九号)

 同(志位和夫君紹介)(第八六七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第八六八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九一八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九一九号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件(中小企業金融問題)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件、特に中小企業金融問題について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として中小企業金融公庫総裁水口弘一君、全国信用保証協会連合会会長植野正明君、神奈川県信用金庫協会会長・湘南信用金庫理事長服部眞司君及び成城大学大学院経済学研究科長・教授村本孜君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず水口参考人にお願いいたします。

水口参考人 御紹介いただきました中小企業金融公庫の水口でございます。

 本日は、このような機会を与えていただきましてありがとうございます。御礼を申し上げます。それでは、限られた時間でございますので、お手元の資料に沿いまして御説明を申し上げたいと思います。

 私も、総裁就任、昨年の一月でございましたので、ちょうど一年二カ月ということでございますが、その間、現場主義ということで、一応全国を行脚している最中でございますが、その前に、冒頭、やはり中小企業の国民経済的な地位といいますか、これだけ一言申し上げておきたいと思います。

 資料によりますと、事業所数で中小企業は大体九九・二%、従業員数で七九・九%という大きなウエートを持っておりますので、まさに日本経済活性化の中心はやはり中小企業の活性化にある、また同時に地域活性化という問題も表裏一体の関係である、私はこのように認識をしております。

 それで、最近のマクロ経済から見ますと、昨年の十―十二月は、前期比でGDPは一・六%の成長でプラス、年率で六・四%、こうなっておりますけれども、これをミクロ段階におろしますと、まさに二極化現象が非常に激しい、こういうような認識を持っております。

 この表にございますように、第一ページでございますが、中小企業の業況感は改善の方向にはありますけれども、大企業と比較して、業況が悪いと感じている企業が非常に多いわけでございます。上の表のとおりでございます。また、この場合、大企業の場合も、景気拡大の牽引役は輸出と設備投資でございます。昨年の十―十二月の輸出は前期に比べて四・六%のプラス、設備投資は六・三%のプラスでございますが、個人消費は〇・九%、公共投資はマイナスの〇・七%でございますので、下の表のとおり、中小企業にはやはり恩典が少ない、こういう状況であろうと思います。

 二ページに移りまして、中小企業の業況の二ということでございますが、中小企業の中でも特に小規模企業におきましては、業況の悪い企業が依然としてかなり多いという状況でございまして、上の表は、中小公庫、国民公庫それから商工中金と三つの政策金融機関のそれぞれの調査を出しておりますけれども、ごらんのとおり、やはり零細小企業の多い国民公庫の方は非常に、商工中金と中小公庫ほぼ同じところにございますけれども、一段下にいるという状況でございます。

 また同時に、二極化という問題は地域格差が非常に広がっているということでございまして、下の表でございますが、好転、悪化という企業の割合を見ますと、左の青い方が昨年の七―九月でございますが、右の方が十―十二月、わずかに関東が上へ飛び出たというところで、ほかはよくなっておりますけれども北海道あるいは東北は依然としてよくない、こういう状況でございます。

 三ページに移りまして、今度はこれを業種別に見てみますと、製造業における業況の改善度合いは大きいけれども、非製造業はおくれている。また、製造業をグループ別に見ますと、機械金属関連業種と内需関連業種の格差は拡大傾向にあるということがはっきりしております。上の表は業種別でございますが、製造業の中でも右半分は、中国効果が大きいと言われます鉄鋼を初めとして非常にいいわけですが、右側の非製造業は、情報通信の一部がわずかに水面下を出たという状況にある。また、これを内需関連と機械金属関連グループ、これは大体が輸出関連が多いわけでございますが、このように大きな差があって内需関連グループはまだマイナスである、こういう状況でございます。

 次に、それでは、このような状況の中で、中小企業金融の現状はどうかということでございますけれども、平成十四年の十二月の十三日の経済財政諮問会議で「政策金融改革について」という意見が出まして、決定がありましたが、これによって、現状を見て、二年間はやはり政策金融機関にそのままやってもらう、その後三年間で今後の方向を決めて、平成二十年度から業務範囲あるいは組織を含めて新しくスタートする、こういう方向になっております。

 現在その第一年度はもう終わろうとしているわけでございますけれども、中小企業の資金繰りは、最悪期は脱したというふうには思いますけれども、改善の方向にはあります、しかし依然として苦しい企業の方が多いというのが実態であろうと思います。

 上の表は、資金繰りが楽になったか、あるいは苦しいかという割合でございますが、大企業ははるかに楽になってきておりますが、中小企業はまだまだそこまでいっていないというような状況であります。

 中小公庫の立場から見ますと、貸出残高は、セーフティーネット機能を果たすことになって、若干の微増ということになってきております。これは下の表のとおりでございます。

 これで見ますと、国内銀行とそれから中小公庫との貸出残高伸び率は、金融危機の時期は別としまして、大体逆相関の関係にあるということがはっきりしていると思います。

 最悪期を脱したという意味では、日銀の統計によりますと、昨年の九月、このときが恐らく中小企業向けの残高は一番減ったんじゃないか、こういうような状況でございますが、このときに、したがいまして、残高ベースでいきますと、二〇〇〇年の十二月を一〇〇といたしますと、大手銀行は大体七六%ぐらいがあって、信金、信組が八二%、地銀、第二地銀が八三・五、政府系の金融機関が九三・五ということでございますから、このときはどん底でございます。その後は、特に金融機関それぞれが今増加の方向にあるということでございます。

 それだけに、私ども政府系金融機関といたしましたら、五ページでございますけれども、地域金融機関との連携ということを主眼としてやっていきたい、こういう方向でございます。私どもはあくまでも民業補完ではございますので、民業圧迫という御意見も一部にございますけれども、全支店を通して、補完ということで、政府もリレーションシップバンキングということを強く打ち出しておりますけれども、それを超えまして、連携金融機関数は今三百を超えております。上の表でございますけれども、地銀、第二地銀さんとの連携は九割以上、こういう状況になっております。

 さらに、その中でも覚書を交わしているというところが、三月九日現在で、地銀、第二地銀さんで六十一、信用金庫五十四、信用組合七と、百二十二という数字で覚書を交わして、お互いに協力してやっていこう、こういうことになっております。また同時に、この中では、世に言われるカウベル効果ということも改めてやっていく、こういうような状況になっております。

 また、再生協議会との関係も、これが六ページでございますが、ぼつぼつ時間でございますのではしょりますけれども、大きな成果を上げてきているというふうに考えております。

 それから、最後に七ページでございますが、現在、国会で中小企業金融公庫法の改正進行中ということでございますけれども、この七月一日から信用保険事業を承継するということになっておりますので、それに伴いまして、新しい証券化支援業務、新しい金融手法ということで、無担保資金の供給ということを、保証型、買い取り型と両方をあわせてぜひ七月一日以降は実行をして、中小企業金融に役立っていきたい、このように考えております。

 また、担保、保証人への対応ということで、私どもは第三者保証というのはとっておりませんけれども、この問題につきましても、状況によっては特別枠によって無担保無保証でやるというような格好で、さらに柔軟に対応をしていきたいと考えております。

 以上でございます。また、いろいろこの後、御意見を承りたいと思っています。どうもありがとうございました。(拍手)

根本委員長 どうもありがとうございました。

 次に、植野参考人にお願いいたします。

植野参考人 御紹介いただきました植野でございます。私からは、信用保証協会の役割、保証業務の現状と取り組みなどにつきまして、資料に沿いまして御説明させていただきます。

 まず、中小企業金融におきます保証協会の役割についてでございますが、お手元の資料の一「保証利用度」をごらんいただきたいと存じます。

 平成十四年度末で保証協会を御利用いただいております企業は約二百万企業に上りまして、実に中小企業者の半数近くの四二・六%が、金融機関から融資を受ける際に信用保証協会の保証を御利用いただいております。

 また、中小企業向けの貸出残高でございますが、平成十二年度末には三百二十兆円であったものが、平成十四年度末では二百七十四兆円となっておりまして、四十六兆円余りも減少しております。こうした金融情勢の中で、一般保証、セーフティーネット保証の残高はむしろ増加しております。

 ここで、若干、金融安定化特別保証制度につきまして御説明させていただきます。

 資料二の「信用保証協会事業概況」の下段ですが、「中小企業金融安定化特別保証制度の実績」をごらんいただきたいと存じます。

 御案内のとおり、同制度は、平成十年度にいわゆる貸し渋り対策の保証制度として創設されまして、二年半の取り扱い期間累計の保証承諾は、件数で百七十二万件、金額で二十八兆九千億円と、大変活発な利用状況となっております。現在の同制度の保証債務残高は三兆二千億円となっておりまして、中小企業者から返済していただいた率は八二%となっております。

 このことにつきまして、一部においては、淘汰されるべき企業の延命策ではないか、こういう御意見もございましたが、中小企業者の実態を知らない方々の見方ではないかと私は考えております。中小企業向けの貸し出しが減少している現状の中にあって、信用保証制度は、中小企業が資金調達する上で、最後のよりどころとしてますます重要な位置を占めている存在になった、このように認識しているところでございます。

 続きまして、保証業務の現状でございますが、引き続き資料二の「信用保証協会事業概況」をごらんいただきたいと存じます。

 本年度二月末までの保証承諾実績は、中小企業向け貸出残高が減少する中にありまして、十三兆六千億円となっておりまして、対前年度同期に比べますと一三・四%もの高い伸びとなっております。

 ここで、保証の取り扱いの内訳について二点ほど補足させていただきたいと存じます。

 資料三の「資金使途別保証承諾実績」をごらんいただきたいと存じます。

 まず一点目は、資金使途についてでございます。

 今回の景気回復過程におきましては、輸出と設備投資に支えられて回復している、このように言われておりますけれども、ごらんのとおり、信用保証協会を通して見た中小企業の実態は、運転資金の割合が九四・三%と、依然として高い割合を占めております。この数字からも、中小企業まではまだまだ景気回復が浸透していないのではないか、このように判断しているところでございます。

 次に、資料四の「金融機関群別保証承諾実績」をごらんいただきたいと存じます。金融機関の業態別の保証承諾状況でございます。

 都市銀行の取扱額が大幅に減少する一方におきまして、地域の金融機関、特に地方銀行、信用金庫の取扱高が大幅に増加しているところでございます。これは、中小企業にとりまして、地域金融機関がいわゆるメーンバンクとして非常に重要な役割を担っている、この証拠であると考えているわけでございます。

 続きまして、先ほど申し上げました保証承諾の高い伸びの要因につきまして、二点ほど御説明させていただきます。

 資料五の「経営安定関連保証の保証実績」をごらんいただきたいと存じます。

 まず、一点目の要因でございますが、セーフティーネット保証の取り扱いの増加が挙げられます。この保証制度は、不況業種、取引金融機関の破綻など、いわゆるセーフティーネット関連の中小企業に対しまして取り扱いをするものでございます。

 保証協会は、政府の強い御指示を受け、個々の中小企業の実情に配慮しながら、積極的かつ弾力的な対応を図っているところでございまして、その結果といたしまして、本年度の二月末までの保証承諾は、対前年度同期で比べますと、約四倍の三兆五千億円と高い伸びとなっております。

 また、昨年十一月に破綻いたしました足利銀行関連につきましては、速やかに相談窓口を設けるなど、同行と取引のある中小企業者等に対し、きめ細やかな対応を図っているところでございまして、およそ三カ月間の取り扱いにもかかわらず、同行関連のセーフティー保証の承諾実績は、千百二十八億円の規模となっております。

 なお、鳥インフルエンザにつきましては、京都信用保証協会を初め全協会におきまして速やかに相談窓口を設置し、保証の対応に万全を期しております。

 いずれにいたしましても、これから年度末を迎えるに当たりまして、引き続き、個々の中小企業の実情に配慮しながら、きめ細やかな対応を図ってまいる所存でございます。

 次に、二点目でございますが、資料六の「資金繰り円滑化借換保証制度の保証実績」をごらんいただきたいと存じます。

 二点目の増加の要因といたしまして、昨年の二月から、資金繰り円滑化借りかえ保証制度、いわゆる借りかえ保証の取り扱いを開始したところでございます。

 この保証制度は、既存の保証つき借り入れを一本化する等によりまして、月々の返済額負担の軽減を推進し、資金繰りの円滑化に資する、こういうことを目的に創設されておりますが、キャッシュフローの改善効果が大きく期待できることから、まさに時宜を得た保証制度であると数多くの中小企業や各界の皆様に高い評価をいただき、制度創設から二月末までの保証実績は五兆四千八百六十億円と、大変活発な利用状況となっているところでございます。

 また、中小企業再生支援協議会とも十分連携し、再生支援の過程におきまして、資金繰り円滑化を図るため、借りかえ保証の積極的な運用に努めているところでございます。

 次に、不動産担保や保証人に過度に依存しない融資のあり方について、さまざまな検討がなされているところでございますが、不動産担保主義からの脱却を目指し、資金調達の多様化を図るために創設されました、売り掛け債権担保融資保証制度の取り組み状況につきまして御報告させていただきます。資料七の「売掛債権担保融資保証制度の実績」をごらんいただきたいと存じます。

 本制度の創設当初は、風評被害の懸念やあるいは債権譲渡禁止特約の問題等によりまして、出足の利用状況は鈍かったのでございますが、風評被害の防止等に関するチラシの配布、利用マニュアルの作成や説明会をたび重ねて開催する等、普及促進を図るための広報活動を積極的に行ってまいりました。また、政府、特に中小企業庁におかれましては、率先して、各方面に債権譲渡禁止特約の解除の要請や数次にわたる事務手続の改善等、本制度の利用促進に向け全力で取り組んでこられたところでございます。

 このような努力の結果、徐々にではございますが認知度も高まっておりまして、制度創設以来の取扱件数も一万一千件を超える規模となっております。さらに、先月二十三日から、売り掛け債権を担保として評価する際の掛け目の引き上げによりまして、担保の評価額をふやしたところでございます。

 本制度は、不動産担保や第三者保証を要しない新たな資金調達手段として、まさに時宜を得た保証制度でございます。引き続き、さらなる利用拡大に取り組んでまいります。

 最後でございますが、信用補完制度の課題についてお話をさせていただきたいと存じます。

 信用保証協会は、政府の中小企業対策の趣旨にのっとりまして、金融円滑化のためにその使命達成に努めてまいりました。しかしながら、信用保証協会の代位弁済は、やや落ちつきを見せておりますが、今年度も引き続き高い水準での代位弁済が見込まれておりまして、この影響などにより、協会の経営環境は、昨年度に引き続き厳しい状況にございます。

 ちなみに、昨年度の保証協会の収支はかつてないほど厳しい状況となりまして、五十二協会のうち、約半数近くの二十三協会が収支マイナスを計上することとなりました。単年度でこのような数多くの協会が収支をマイナスにするという事態は、協会発足以来のことでございます。本年度も代位弁済が高い水準で推移しているということから、同数程度の協会が収支マイナスを計上するのではないかと懸念しているところでございます。

 さらに、信用保証について再保険を担当しておられる中小企業総合事業団の保険財政でございますが、平成十四年度には六千億円を超える赤字が発生しております。このまま代位弁済が高い水準で推移しますると、信用補完制度を積極的に運営していくことが厳しくなるおそれもあると危惧しているところでございます。

 こうした状況に対しまして、各信用保証協会は、一層の業務の効率化、合理化に努めると同時に、求償権の回収増強に向けた自助努力を推し進めまして、協会収支及び保険収支の改善に向けまして懸命の努力を行っているところでございます。しかしながら、中小企業の実情に配慮しながら回収実績を上げる、こういうことは現下の経済情勢の中で容易ではないということも事実でございます。

 近年、大企業は、資金調達手段の多様化などによりまして、市場からの資金調達へシフトしておりますが、中小企業は、依然として金融機関からの借り入れに依存しており、中小企業にとって、安定的、機動的な資金調達は、事業を継続する上で極めて重要な問題でございます。

 先ほども申し上げましたとおり、保証協会は、約五百万を超える中小企業のうち、約四割に当たる二百万の中小企業に御利用いただいております。私が申し上げるまでもございませんが、中小企業は、我が国経済の活力の源泉であると同時に、雇用確保の担い手でもございます。このような中小企業にとりまして、資金調達の最後のよりどころとして信用補完制度が十分に機能できますよう、引き続き機動的な財政措置をお願いする次第でございます。

 私ども、全国五十二の信用保証協会は、今後とも、中小企業金融の円滑化に向けまして最大の努力をしてまいる所存でございます。先生方におかれましては、私どもの取り組みに対しまして、御理解をいただき、一層の御支援、御指導を賜りますようお願い申し上げまして、説明といたさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。(拍手)

根本委員長 どうもありがとうございました。

 次に、服部参考人にお願いいたします。

服部参考人 服部でございます。

 もう時間がありませんので、省略をしながら、質問に答えていった方がよろしかろう、こう思っております。皆さんのお手元には、この袋に入ったものが私の方の資料でございますから、これをごらんいただきながらということでございます。

 一番最初に、いわゆる参考人としての意見陳述の概要というのを、一覧表を皆さんの一番上に置いてございます。これを見ながらひとつお聞きをいただきたいと思います。

 最初でございます。景況はどうなっているかなといったらば、よくは全くなっておりませんで、ますます悪化をしている、こういう認識をお願いいたしたいと思っております。

 今までお二方のお話というのは、いわゆる全国的な規模での御調査の話でございますが、私のところは、極めて限られた、神奈川県を中心としたいわゆる狭い範囲内の状況でありますから多少感覚が違うかと思いますけれども、私の方は、その参考資料の中に入っております「SHONAN景況リポート」というのを二カ月に一回出しております。前回の調査は、十二月の十八日でございます。今回は、二月の末をもって調査をしたのをもう既に皆様のお手元にできるようにしてありますから、どこの役所の資料よりか新しいものである、こういうことを力説しておきたいと思っております。

 それによりますると、全体的な景況感というのは、前回に比べてマイナス三ポイントであります。これはどこに問題があるかというのは、大企業が大好調で史上最高の利益を出しているという中で、極めて中小はこれに対して圧迫をされているということ。それから、業種的に言いますると、わずかに製造業がやっとプラス・マイナス・ゼロのところに来たということですが、飲食店、食料品店、こういうものを中心にしてマイナス幅が拡大をしたということから、全体的に見ますと、前回十二月の調査よりか三ポイント低下をしたということでございまして、新聞、テレビ等で報道されているような、徐々に回復をしているということは、中小企業にとりましては全く感じられない、こういう認識をしておいていただかなければならないと思っております。

 二つ目は、空洞化をしているということであります。

 私のところは、三浦半島とそれから横浜と湘南地区を主ないわゆる営業場として仕事をしている中小専門金融機関でありますけれども、三浦半島からは相次いで大手が撤退をいたしました。日産自動車は、追浜にあります工場を除いて全部なくなってしまいました。それから、百五十年の歴史を持ついわゆる浦賀ドック、住友重機械工業が全面撤退であります。それから、トヨタ自動車関係の一部上場会社、いわゆる関東自動車、これが本社機能だけ置いてこれまたすべて工場は閉鎖をして、他に移ってしまった、こういうことであります。それからもう一つは、製薬会社、これは藤沢の方にありますが、これも縮小。それから、便器なんかに使われている、いわゆる瀬戸物を主につくっているところ、これも現地だけでの仕事。それから、大手の電機メーカーも、これもすべて工場は閉鎖。

 こういうことになってきておりまして、私どもの営業地域にあります大企業が全部撤退、こういう状況にあって、私は、自分のところからは倒産は出さない、こういう信念に基づいて、今までに私のところから倒産を出したところは一件もない、こういうふうに自負をしております。

 そんなような、大手が撤退をしているという状況でありますので、雇用の確保、下請の連鎖倒産防止、これに力を入れているわけでございます。

 また、再生においては、私のところの元副理事長あるいは現職の常務理事、これをやめてもらいまして、そして、これを責任者として、いわゆる再生企業に向けて人まで出しまして、懸命な再生努力をしているというところであります。

 それから、神奈川県保証協会と業務提携をいたしました。他の金融機関はなかなか返事をしないというところでありますが、私のところは、神奈川県保証協会と話し合いの結果、一〇%のリスクを私の方が受け持ってもいい、こういうことで、保険で八割、残りの二割が保証協会、こういうことになっていたんですが、代弁になった場合は、持ち込んだ金融機関の責任もあるというようなことを考えまして、残りの二〇%のうちの一〇%を私の方が持ちましょう、こういうことで、いわゆる保証協会の保証の利用拡大を目指しているところであります。

 それから、四月から中小企業再生支援協議会、こういうのができ上がります。これの第一号としまして、もう既に話し合いをしてございまして、これは最高一億円の限度でございますが、これを使って、いわゆる救済をしているところの企業に当てはめて使っていこう、こういう考え方でおります。

 それから、地域をそれではどうやって立て直すかということでございますけれども、百五十年の、日本で一番古い造船会社がなくなってしまったのでありますが、各地に私は訪問をいたしまして、そして、すべての人に賛成をいただいております。もちろん、地元、それから地元のいわゆる市議会、全部賛成ですが、ただ一つだけ反対しているのは市長である、こういうことでありまして、この辺で、いずれどこかできちっとした決着をつけなきゃいかぬ、こういうふうに思っております。

 これは何かといったらば、水産大学とそれから商船大学が合併をしまして、昨年の十月一日から東京海洋大学、これができたわけであります。この東京海洋大学をこの跡地に持ってきたい。世界じゅう探しても、海辺に海洋大学がないというところはどこもない。東京だけであります。一番すばらしい、品川に陣取って、学長にも会いましたけれども、ここから動きたくない、こう言うのであります。

 ざっと計算をしますると、越中島にあるのと、それから品川にあるところを売却しますと約二千六百億円になります。横須賀にあります浦賀ドックの跡地を購入すれば三百億で買える。そうすると、それで差っ引いて二千二、三百億円の余剰が出る。校舎を一千億円かけて建てたとしましても、国庫には千数百億円の余剰資金が入る。これをやらないわけがない、やらない方がおかしいのでありますが、品川の方が居心地がいいということで、それだけの理由でありまして、非常に私は憤慨にたえない、こういうことであります。ここに大学を持ってきて、活性化の一つにしたい。

 あるいは、鎌倉の英勝寺という尼寺があります。これは県の指定文化財であります、重要文化財。これのいわゆる塀を再構築しよう、それで、ここで新しい観光地をつくろう。

 それから、もう一つは、門前町をつくって、鎌倉のいわゆる景気回復の一助にしたい。これも懸命の努力をしておりまして、もう何回も集まりを設けております。県が半分持つ、それから鎌倉市が四分の一持つ、四分の一は民間で資金繰りをつける、こういうことでありますが、順調にいっております。間もなくこの再建の工事が始まるかと思っております。

 それからもう一つは、最近、逗子駅、逗子の隣に店舗をつくりました。この逗子支店は、東逗子にあった支店を今度吸収をして、独立をさせて逗子支店にいたしたわけでありますが、愛のやかたと私は呼んでおります。

 何で愛のやかたかと言いましたらば、三階、四階はいわゆる塾に貸しておりますが、その中で不登校の子供たちを専門に見る、こういう塾にいたしました。その上は駅前保育であります。子供を抱えて優秀な女性が育児に骨を折ってしまって、そして、職業を中断しなきゃならない、あるいは放棄をしなきゃならないという大変もったいない現象が起きております。これで二つ目でございますけれども、駅前保育をつくりまして、そして、屋上は子供たちの遊び場にいたしました。屋上を緑地化いたしまして、そして、このすべての建物をいわゆる愛のやかたと称して、一生懸命始めたばかりでございます。

 あと時間は二分ぐらいしかありません。

 信用金庫が望むことというのは、ペイオフ全面解禁についていいかどうかというのは、質問でもあればそこでお答えをしていきたい、こんなふうに思います。

 それから、税効果会計、これも矛盾だらけでございます。例えば、メガバンクとそれから地域金融機関との明らかに違いがあるわけでありまして、これも今時間がありませんから、後で何かありましたら、そこできちっとしたお答えをいたしたいと思っております。

 例だけ一つ挙げます。

 いわゆる地域金融機関は、有価証券の含み益は自己資本に算入されません。しかしながら、メガバンクは全部算入するということで自己資本比率を算出しているという、重大な、何というんでしょうか政策の誤りがある、こんなふうに思っております。

 そんなところで、業界が望むことというのは、皆様に後ほど質問の中でお願いをしていきたい、こう思います。きょう用意をしてきているのは、こういう問題についてはすべてお答えができる、こういうことでございます。

 どうぞ、よろしくごらんをいただきまして、そして、質問をいただければ何なりとお答えをしていきたいと思います。

 本席にお招きをいただきまして大変光栄でございます。ありがとうございました。(拍手)

根本委員長 どうもありがとうございました。

 次に、村本参考人にお願いいたします。

村本参考人 御紹介いただきました村本でございます。

 発言の機会を与えていただきまして大変光栄に存じております。実は、一年半ほど前にも一度お伺いして意見を申させていただきましたので、余りかわりばえがしないかもしれませんが、御甘受いただきたいと思います。

 私も、お手元にございます簡単なメモに沿ってお話を申し上げますけれども、今、三人の参考人から各分野についての細かいお話がございましたので、私からは、概括的な様子を私の立場から申し上げたいというのがきょうの話の趣旨でございます。

 中小企業金融というのは、金融の大きな分野の一分野だと考えておりますけれども、現在は、中小企業金融というのは、資金の中でいうとかなり大きな比重を占めるように実はなってまいりました。全体の融資が金融機関全部で五百兆ちょっととすると、現在、その半分以上が中小企業でございますので、かなり大きな割合でございます。

 その融資金額もかなり実は最近下がってきているねというのが最初のメッセージでございまして、私の資料の二枚目の図の一というところでごらんいただきますとわかりますように、融資残高というのはここのところもう一直線に下がってきております。九七年十二月という五年ほど前の数字と比較しますと、大ざっぱに申せば、七十兆ぐらいへこんできている。これがいわばデフレ経済のもとで、デフレが一番経済の今の問題であるとすれば、その中での大きな課題とすれば、それの大きな影響を受けている部分、特にその赤線で示しました地価との連動がかなり大きい。つまり、融資というのは地価と連動しておるという意味では不動産担保の影響をかなり大きく受けているということで、ここを何とかしなければなかなか融資の問題は解決しないだろうねということが言えるだろうと思っております。

 その下に黄色い枠で少し書いてございますけれども、先ほど水口参考人申されましたように、ピーク時といいましょうか、二〇〇〇年の十二月から比べましても、かなり融資というのが落ちているねということでございまして、これがなかなか地域経済に浸透しないという問題の裏返しなのではなかろうかなと思っております。

 さはさりながら、貸し渋りと言われた現象も、一枚目のところに少しコメントを書いておきましたけれども、金融庁がつくりました貸し渋り・貸し剥がしホットラインというのがございますが、最初の半年間で六百二十八件、アプライといいましょうか苦情が申し立てられたわけですが、その後半年間に関しては四百七十九件ということで、三カ月ずつに割ってみますと二百五十七、二百二十二ですから、かなり緩和してきている状況がうかがえます。ほかのアンケート調査でもそういう結果が出ておりますので、いわゆる貸し渋り問題については、やや峠を越した感じは持っております。

 いずれにしましても、そうは申しましても、全体で申せば、中小企業金融全体はまだまだうまく流れていない、したがって、目詰まりがあると言わざるを得ないわけでございます。

 これに関しては、昨年度でしょうか、かなり政府レベルでも議論が行われまして、例えば金融庁では、リレーションシップバンキングの機能強化報告を一年前ですが出しまして、それで、地域金融について、中小企業金融については二年間集中改善をしましょうという形で現在動いておるところでございます。例えば、アクションプログラムを作成するといったような形で動いておりますし、検査マニュアルについても、その改訂版を現在作成して、パブリックコメントがかかっておりますけれども、そういうことが実は起きておる。ですから、動きはあるんですけれども、これがどこまで周知するか、徹底するかというのがポイントになるんだろうなという感じは実はしております。

 もう一つは、後でもお話ししますが、過度の担保、保証に依存し過ぎてはいませんかということで、ここもどうやったら解決できるだろうか、後で申しますが、さまざまな対応を考えざるを得ない、多様化ということを考えざるを得ないなという感じがしておるところでございます。

 それからもう一つは、産構審がやりました新たな金融機能の創造に向けてという報告が去年六月、出ておりますが、中小企業金融というのは、基本的には貸し手、借り手の間の情報にギャップがある、これを情報の非対称性と呼んでいるわけですけれども、ここを何とか解決していく必要があるでしょうということで、借りる側の中小企業の側では、情報をきちっと整備してこれをオープンにしなければいけない。これは会計制度の問題もございますし、あるいはそれを評価する評価機構の問題も実はあるんだろうと思いますが、ここら辺が一つの大きな柱だねということで議論が進んでおりまして、かなり改善の状況というふうには認識はしております。

 それから、貸す方の側、金融機関側でも、これは実は不良債権問題でなかなか手足が縛られているということなのですが、必ずしもリスクを十分に評価する体制が整っていないのではないかというような形で、矢印のところに、さまざまな対応策がそこでは議論されたわけでございますけれども、区々には申しませんが、さまざまな議論がそこにはあるということでございます。

 三のところですが、それでは、どういう課題を克服すれば当面よろしいかということになります。

 一つは、繰り返しですけれども、中小企業の側では自己資本が非常に少ないので、これを何とかしなければいけないといったような問題が片方にございます。あるいは、貸す方で担保、保証もとり過ぎているではないかというような問題がございまして、特に個人保証の問題でこれが大分議論になりましたけれども、その辺の緩和が必要ではないか。そうしますと、何が必要かというと、これは要するに担保を、先ほど言いました不動産だけでやりますと貸し出しがどんどん減るわけですから、ここのところを多様化する必要が実は出てくるわけで、担保の多様化といった議論が当然これには伴わなければいけないということになります。

 なお、これは四のところの結論にかかってまいりますけれども、先ほど来御紹介ありました売り掛け債権担保制度、これは非常に重要な柱でございますし、それ以外に動産、不動産ではない動産を担保にする手法も、これも必要ではないか。あるいは、設備であるとか在庫であるとか、その動産をいかにうまく活用するか。売り掛け債権六十二兆円という御議論がありましたが、いわゆる設備とか在庫とかを入れますと百数十兆円の規模になりますので、こういったものを活用することも今後必要ではないか。あるいは、知的財産をうまく活用することも必要ではないか。こういった多様化を一つは担保のような領域で進めていくことが実は必要なのではないかということが一つでございます。

 それからもう一つは、プレーヤーとここに書きましたけれども、お金を出す側というのは、従来、金融機関だけ我々は念頭に置いておりますけれども、実はそうではありませんで、日本で言うノンバンク、ファイナンスカンパニーと呼ばれるものも、これは重要なプレーヤーでございます。海外でもファイナンスカンパニーというのは非常に大きな役割を持っておりますけれども、この辺をうまく活用できないだろうかねというような議論がございます。あるいは、そういうプレーヤーがうまく参加できるような仕掛けを考えてやることも必要ではないか。

 今御議論いただいているのではないかと思いますが、中小公庫が新しくやりますところの証券化スキームなんというのもそういう中に実は組み込まれてまいりますが、そういった問題。あるいは、信用保証制度の対象に加えるというようなことも実はあるのかもしれませんが、そういったプレーヤーも多様化しませんと、目詰まりがなかなか解決できない。最近、日本銀行が、中小企業の貸出債権を担保にしようという資産担保証券のスキームを始めておりますけれども、こういったものもプレーヤーとしては重要な役割になってくるわけでございます。

 こういったところ、さまざまな面で多様化が実は必要なのだなと私は思っております。一つは、今言った担い手の問題ですね。もう一つは、手法といいましょうか、証券化を含めた手法の問題。もう一つは、リスクにどう対応するかという意味で担保の問題といったような整理ができるかもしれませんが、幾つかの局面で多様化をすることによって現在の目詰まり現象に対する穴をあけていくことが実は必要なのではなかろうかなと考えておるところでございます。

 なぜそんなことを申しておるかといいますと、上から三枚目に図の二「貸出金利」というのを一つつけてございますが、これは要するに、日本の貸し出しというのはほとんど同じような金利で行われてしまっているではないか。それが、例えばその絵で紫色のところが、五・五ぐらいでほとんどゼロになってしまいますが、その次どこに行くかといいますと、下の絵でございまして、右側の方の、いきなり商工ローンのような世界に行ってしまう。ですから、ミドルリスク・ミドルリターンと呼ばれるような金融手法をきちっと整備してやれば、もう少し資金が流れ出していくのではないでしょうか。こういうことがここで申し上げたいことでございます。

 それからもう一つは、めくっていただきまして、資料の五枚目に中小企業向け貸し出しの根雪化ということをちょっと書いておきました。

 これは、中小企業に対する融資は、減少したとはいえまだまだ行われていて、それがなかなか、中小企業にとって見ると、借り入れがずうっと行われたままになっていて、あたかも自己資本のように、当然のように借りられているものですから、自己資本のようになっている。この部分が、例えて、下の絵でいうと赤い線の部分でございます。つまり、借り入れがずっと固定化してしまっている。

 これはいろいろなところで有利なわけですけれども、ただ、これをやりますと、やはり非常に自己資本のぜい弱性という形でいざとなると問題が発生いたしますから、ここを何とか変えていく手法も必要ではないか。最近、デット・エクイティー・スワップであるとかデット・デット・スワップと呼ばれるような手法ができておりますけれども、そういったものを活用していくことも必要かな。そのためには、いわゆるファンド型のシステムをうまく組み込んでいかなければいけないわけですけれども、こういったものも課題になろうかと思っております。

 それからもう一つ、最後に、一番最後につけた紙がございますが、ここは経済産業委員会でございますけれども、私が金融的な側面で懸念しておりますのは、最近かなり金融機関の淘汰が進んでまいっておりまして、地域金融機関も同様でございます。参考のところに数も書いてございますけれども、そうすると何が起きるかといいますと、地域金融機関が統廃合された場合には、アクセスポイントとしてのいわゆる支店等がだんだん失われてまいります。あるいは、支店の機能も下がってまいります。参考二は、職員数を書いておきました。こういったことが起きますと、なかなか、中小企業金融をしようとしても実際には手が回らないといった問題が出てまいりますので、こういった問題もかなり視野に入れていかなければいけないのかなということでございます。

 最後に、そういう意味で、政策の側面でも、プレーヤーとして新たな機能を持つことも今後必要になってくるだろうということで、現在議論されておられますような中小公庫の証券化問題も、そういう中で議論していっていただければありがたいのではないかというふうに整理をしているところでございます。

 以上でございます。(拍手)

根本委員長 どうもありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今井宏君。

今井委員 おはようございます。今井宏でございます。

 きょうは、参考人の先生方におかれましては、早朝から大変御多用な中にもかかわりませず委員会に御出席賜りまして、貴重な情報や御提言をちょうだいいたしまして、大変ありがたく思っております。

 時間の関係がございますので、最初に水口総裁から御質問を順次させていただきたい、かように思っているわけであります。

 実は、公庫につきましては、重要な役割、責務があるわけでございまして、とりわけ、お話にございましたように、中小企業は私たちの経済をしっかり支える基盤でございますし、我が国の成長の原動力である、このようにも思っておるわけであります。したがって、中小企業の安定的な発展ということが不可欠になってくるわけであります。

 そういう状況の中で、経済における金融の円滑化という立場から、公庫の果たす役割というものもこれまた重要なものではありますし、企業を再生するという視点からの御指導、御協力も大きな責務かと思っておるわけであります。

 ところで、私は、地方分権という切り口が、政治や行政や産業のみならず、あらゆる視点からこの分権の切り口というのが大切なことではないかと実は考えておる一人であります。まさに最大の構造改革でもございますし、新しい国の形をつくっていく、地方にある地方の主権を認めていく、そして、中央の持つ権限や財源、規制も含めまして、地方に分権をして新しい国の形をこしらえていくことが、日本の最大の構造改革であり、行政改革であり、これからの新しい分権社会をこしらえていかなければならない大きな一種の革命期が今現在ではないかと実は考えているわけであります。

 したがって、国の関与をなるたけ少なくして地方に自由を与えるかわりに、責任、役割分担というものをこれまたしっかり求めていく、こういうことがとても大切なことではないか。分権型の新しい国の形の構造をつくっていくことが大切ではないか。

 そういう状況の中で、金融という視点を考えてみますと、メガバンクといいますか大手金融機関、まさに国際取引もしますし、オール・ジャパンですし、そういう役割分担と、それから地域経済を支えていく地域の金融のあり方、役割分担、これもとても大切なことではないだろうか。いわゆる金融の一種の分権化、役割分担とその責任、こういうものがあるのではないかと私は考えているわけでございます。

 そういう意味で、どうぞ、総裁の方から分権という切り口で御意見ございましたらば、ぜひお聞かせいただきたい、かように思う次第です。

水口参考人 どうもありがとうございました。

 ざっくばらんに申し上げまして、私、公庫の総裁に就任要請を受けましたときに、実は、地方分権改革推進会議の議長代理・小委員長をずっと続けておりまして、あるいは財政審とか税制調査会、いろいろ関係させていただいておるんですが、条件の一つとして、地方分権改革推進会議は、地方分権ということは中小企業金融公庫の仕事と非常に密接な関係があるので、これはぜひ続けてやってもらいたいと強い要請がございました。

 私も、実際、就任して今まで、大体二十ぐらいの支店等を回りまして、そのたびに地元の地方銀行、地銀、第二地銀あるいは信用金庫の皆さんと、トップの方々と懇談し、同時に県知事さんとも懇談をいたしまして、要するに、地方分権あるいは地方活性化ということは中小企業の活性化と表裏一体の関係であるということで、非常に理解を求めました。

 ということは、私は、地方分権改革推進会議で、今までフェーズ1、フェーズ2とございますけれども、第一回は事務事業のあり方ということで、国庫の補助負担金はできるものは全部地方に回すというものを出した。その中から、結局、百三十五項目出したわけでございますけれども、なかなかうまくいかないということで、小泉総理からは、昨年の五月でございましたか、さらに絞ってくれ、こういうお話がございまして、十一項目、約九兆円弱というものを集中して出して、その中から現在行われております三年間で四兆円の交付税改革、こういうような、もちろん税源移譲するということでやってきてございます。

 その次に、フェーズ2、昨年六月に三位一体改革を出しましたときには、私は地方交付税改革論に触れたものですから、全国の知事から総反対を食ったわけでありますけれども、現在、ここまで来ますと、皆さん、本当にやはり交付税も考えて、自主自立で、受益と負担の問題をきちんとやっていかなきゃだめだなという方向に大きく変わってきているというふうに考えております。

 各知事さんともその辺はよく理解していただきまして、そのかわり、もちろん分権ですから、地方にできることは全部地方にやるということで、私どもはいわゆる箱物づくりのナショナルミニマムという考え方をやめて、ローカルオプティマムということで、地方は地方の特色を生かしてやっていくという方向でぜひやってくれと。そういう場合には、やはり地方の、地域の中小企業の特色を生かして、今、日本ブランドということを盛んに言われておりますけれども、世界的にも通用する中小企業が大きく伸びてきているということは非常に心強いと思っておりますので、そういう芽はぜひ伸ばしていって、これは表裏一体の関係でございますので、なお一層これをやっていきたいと思います。

 また、分権の方も、この五月の中旬には最終報告を出すということで、実は今も小委員会をやっておりまして、私こちらへ参上しておりますので、議長が小委員長代行ということでやっている、こんな状況でございますので、先生御指摘のとおり、金融の分権化ということで、地域金融機関との一層の緊密な連携をとりながらやっていきたい、こう考えております。

 以上でございます。

今井委員 ありがとうございます。

 今までの中央集権型の日本の仕組み、システム、それはそれなりに成功はしてきたと思いますが、このまま続くわけはないと私は信じています。そういう意味では、分権という切り口ですべて見て改革を遂行していかなければ、本当の意味での新しい日本の国の形はできない、このように考えておりますので、その役割を大変大きく期待しておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたい、かように思う次第であります。

 さて、金融公庫も融資が主体になってくるわけでありますが、とはいいましても、やはり経営者にとって必要な情報あるいは指導、経営状況のチェック、こうした機能というのもあわせ持たなければならないと思っています。

 現状を見ますと、融資先に際しましてはそれらの提供もなさっているやに聞いておりますけれども、この対象を融資先のみならずあらゆるところに、持っているノウハウ、情報というものを、とりわけ地域にしっかりとした情報提供を積極的にしていくべきではないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

水口参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおりでございまして、私も、民間の資本市場問題、四十数年やってきた立場から、総裁になってみて、非常に行儀のいい金融機関でございますけれども、運営の方針としまして、やはり我々も金融サービス業でございますので、まず第一は、顧客第一ということで、お客様、ということは融資先ですが、これを第一に考える。第二は、クイックレスポンスということで、とかくお役所仕事は遅いという批判が強いわけですから、お客様の要望にはクイックレスポンス、すぐこたえる。同時に、それを支えるのは職員相互、それから特にお客さんとの間、あるいは地域との間の相互信頼関係でございますので、信頼関係の樹立ということを強く三原則としてやってきておりまして、徐々にその成果があらわれつつあると思います。

 先生おっしゃるとおり、情報発信という問題につきましては、公庫としたら、今まではRIP―3というシステム、これは今取引先五万社でございますので、私はもっとこれを広げていくということで、RIPというのは、リレーションシップと、Iはインテリジェンス、それからPというのはプロポーザル、こういうことでございます。

 情報を全部時系列的に幅広く収集しながら、それをコンピューター処理して一つのデータとしてございますので、これがまた同時に、今中小企業関係はクレジット・リスク・データベースという、これは経済産業省と日銀が非常に中心になってやられた約百五十万社ぐらいの中小企業のデータが入っておりますが、私どもの五万社のデータもそれに全部入れまして、それらをもとにして、今度の証券化の問題なんかもこれが非常に参考になるわけでございますけれども。

 したがって、先生おっしゃるとおり、地域の各方面と特に連絡をとりながら情報提供をして、しかもその場合も単なる情報提供、コンサルティングという意味は、お客様第一という意味も、言うとおりやるというんじゃなくて、お客さんに対して、この事業はこれだからやめた方がいいとか、こちらを伸ばす、そのためにこういうお手伝いをしましょうというようなことで、お互いの交流会も続けながら、地元の金融機関あるいは再生協議会、あるいは政治との接点を強く持ちながら、あるいは海外への進出という問題もございますので、それもあわせて一緒に今一生懸命やっている、こういう状況でございます。

今井委員 ありがとうございました。

 官僚出身ではない初の民間人の総裁です。期待すること大変大きいわけでありまして、いつまでも政策金融がずっと引き続いていくという時代でもないという、先行き、長中期的な見通しということもこれまたありということで、大変私ども、大いに期待しておりますので、思う存分の力量を御発揮いただきたいと国民として願う次第であります。

 次に、植野参考人に二点ばかり御質問を申し上げたい、こういうように思っております。

 信用保証制度そのものの本来の意義というものは、中小企業の資金調達に貢献していくということであるはずでございますが、民間金融機関がいわゆる経営のはかばかしくない中小企業に対しまして、信用保証つきの融資に旧債振りかえさせている、言うなれば金融機関の返済に、先に保証いただいたものを返済に充当している、こういうケースが、実は私どもも随分聞くんですね、地元から。これは、言うなれば民間金融機関の、いわば信用保証制度を使った一種の不良債権処理と言われてもいたし方ないわけでありまして、こういった問題が、現実に御存じだと思いますし、そういったケースに関しまして協会としてどのような対応をなさってきたのか、お聞かせいただきたいと思います。

植野参考人 先生御指摘のとおり、信用保証制度というのはあくまでも中小企業者の金融円滑化対策として存在するものでございまして、保証つき融資資金を金融機関の既存借入金の返済に充当させる、いわゆる旧債振りかえでございますか、そういうことは、これは単なる金融機関の債権保全策、そういうことになりますので、信用保証協会の承諾を得ない限りこのことは断じて許されるものではございません。

 このため、私どもと金融機関との保証契約上ではこうした旧債振りかえは禁止しております。万一金融機関が保証協会の承諾を得ないで、無断で旧債振りかえを行った場合には、仮に事故があっても代位弁済は行わない、こういうことにしております。

 しかし、既往借入金への充当が、これが中小企業者にとって利益となる、こういう場合もなきにしもあらずでございますから、その場合は信用保証協会の承諾を得ていただいて、そしてこの旧債振りかえというのを認めること、これが私どもの立場でございます。

今井委員 中小企業経営者は私有財産も全部担保に入れていますし、しかも第三者の保証人、いわゆる保証人まで全部アウトになってしまうケースは幾らでもあるんですね。それで金融機関だけはその辺はあらゆる配慮がされている。国民の一人としては、とんでもないね、こういうふうに思うことがよくあるんでございます。そういう意味では、これからも保証協会としての責務を存分に発揮していただきたい、こういうふうに思うわけであります。

 先ほどお話しいただきましたように、売り掛け債権を担保とした融資制度でありますが、大分利用は進んでいるという御発表があったわけでありますが、これはもっともっと十分に有効に活用されてしかるべきではないかと考えておるわけであります。この制度をさらにより広く定着させていくためには運用上何か障害があるんでしょうか。あるいは何かよい方法があるんでしょうか。短い答弁でお願いしたいと思います。

植野参考人 これも先ほど御説明申し上げましたけれども、従来の不動産担保に依存した融資形態、これからの脱却を売り債は意図したことでございまして、当初は、お話のとおり従来の取引慣行にない制度ということから、風評被害の懸念やあるいは債権譲渡禁止特約等の幾つかの問題もございました。しかし、この風評被害につきましては、いろいろ制度普及促進に積極的に努めてまいりましたし、また、中小企業庁におかれましては、地方公共団体、事業者団体、これへの債権譲渡禁止特約解除の要請や、数次にわたる事務手続の改善あるいは売り掛け債権への掛け目の改正それから政府広報等、本制度の利用促進に向けて大変積極的に取り組んでいただいております。

 したがいまして、このような取り組みの結果、徐々にではございますけれども本制度が認知され始めまして、本年三月五日の時点では、売り掛け債権の制度の実績でございますけれども、四千八百七件、千八百八十一億円の承諾となりました。これによりまして、制度創設以来の保証承諾累計でございますけれども、一万一千二百五十八件、推計の融資金額ベースでは四千六百二十六億円と大分実績が上がってまいりました。

 今後のこの中小企業金融というものは、やはり本業のキャッシュフローやその見通しを重視、そういうことから、中小企業者が保有する売り掛け債権に着目いたしましたこの売り債が改めて見直されまして活用されるよう、私どもさらなる普及促進、利用拡大に努める所存でございます。

今井委員 最後に、時間がございませんで、服部参考人には申しわけございませんけれども、村本先生に御意見をちょうだいしたい、こういうように思います。

 信用保証制度は、信用保証協会が信用リスクの一〇〇%を負担しているために、融資の実行主体である金融機関はいわゆるリスクを負っていないわけであります。先ほど服部参考人のお話によりますと、一〇%のリスク負担をしながら、こういうお話もいただいて、大変前向きな姿勢に感じ入ったわけでありますが、いわゆる金融機関がリスクを負わないということで、モラルハザードを防ぐ意味でも、貸し手側の貸し手責任、こういうことも負わせるべきではないかという考え方もあるわけであります。

 信用保証制度もある意味では転換期に来ているのではないかという指摘も数多くあるわけであります。そもそもだれのための保証協会なのかということを問うてみた場合に、一番恩恵を受けているのは金融機関、いわゆる銀行ではないか、こういう指摘もあります。保証協会に関しまして、銀行にとってはメリットは間違いなくあるわけです。決してデメリットというのはないわけであります、金融機関にとっては。まあ、恩恵を受けている企業も多いわけでございますけれども、これらの公的金融のあり方といたしまして、根本的に見直しする時期に来ているのではないかなと思うわけであります。

 保証協会の赤字は、結果として、代位弁済も含めて税金です。国あるいは県の公的な税で補てんをしていかなければならないわけでありますので、あえてそのように申し上げるわけであります。

 どうぞ村本先生、私の時間が十時二十分まで、こういうことになりますので、時間の許す範囲で、先生には研究者としてのお立場から、中小企業金融の活性化のための政策提言を御自由に、思い切って御発言をいただきたい、かように思う次第です。

村本参考人 大変知見あふれる御意見をいただきましたが、私自身の立場と大変似たお話でございます。

 というのは、信用保証を一〇〇%、現在のような、いわゆる全部保証と申していますが、やりますと、おっしゃるように、金融機関、つまり保証してもらう人にはモラルハザードが出てきます。つまり、ボールを投げてしまえばそれっきりということで、あとは知らぬ顔ということになります。逆に、それを使う人も、悪い人しかもう全然使わないようにだんだんなるわけですね。こういうのを逆選択と言っておりまして、一〇〇%保証をやりますと、モラルハザードと逆選択という、保険の世界では非常にポピュラーな言葉ですが、そういう弊害が出てくるわけでございまして、これはやはりある時期に避けなければいけないでしょうということになるわけですね。

 日本の信用保証制度も、かつては、特別保証をやる前は、現在のような大きな規模ではなかったものですからそれが余り顕在化しませんでしたけれども、研究者の間ではやはり問題だよねと言ってきたわけですが、今はかなりそれが問題になってきているだろうと思います。

 そこで、私はかなり前からそういうことを申しているんですけれども、我が国ではいわゆる全部保証が当たり前なんですけれども、実はちょっとよその国に目を向けてみますと、例えば日本では融資と保証を全部やりますけれども、アメリカは融資を直接政府系金融機関がやるというのはもうほとんどしなくなりました、正確にはほとんどと申しておきますが。それで、何をやっているかというと、民間金融機関の保証をするわけでございまして、それも金額によりますが、あるところまでは八五%、それ以上は七五%という形にしまして、民間金融機関とリスクをお互いにシェアする、リスクをお互いに分担し合うんだということでいきましょうということになってきているわけですね。そうしませんと、いわゆるモラルハザードを防止できないということですね。

 これは同じように、イギリスでも同じような制度がございますけれども、こちらもたしか八〇とか八五とかという数字だったと思います。ドイツでも実は同様ですし、実はかのフランスも、かつては全部保証というようなことを売り物にしておったんですけれども、これも十年ぐらい前から大分変えまして、現在は四割、五割、七割の三つのルールでございますけれども、基本的には五割ですけれども、そういう形でリスクを民間金融機関とシェアしながら政策金融は誘導していくというのが一つの大きな流れでございます。

 ドイツなどでも、もちろん日本と同じような協調融資制度みたいなものを持っておりますが、直接融資は実は基本的にはしないわけで、政府系金融機関が民間金融機関にお金を、ファンドを出してそれを使ってもらうというような協調融資制度にしております。これはフランスもそういうふうに制度が変わりました。

 EUの場合には特殊事情がございます。一つは、EU基本法というEUレベルの法律がございますので、EUレベルでは、政府は民間の金融機関あるいは政府系金融機関に直接ステートエイドを出してはいかぬ、補助金を出してはいかぬというルールが確立していますから、それに合わせていくという形でヨーロッパでは制度が変わってきたわけでございますけれども、我が国もいつまでもそういうところにとどまっていていい段階では実はないのではないかなという感じがしております。私も、正確ではありませんが、お隣の韓国でも、全部保証から部分保証に移転、移管するということを最近始めたはずです。

 ですから、そういう意味で保証というのは基本的には民間の資金をうまく使おうというコンセプトでございますので、それをいかにしたらうまく誘導できるか。その誘導策という形では、リスクシェアをするという方法がかなり健全な方法になるのではないだろうか。そうでないと、リスクをとにかくどこかへ移転して税金で処理すればいい、これは余りにも、安易とは申しませんけれども、少しプリミティブな方法ではないのかなという印象を持っております。

 以上でございます。

今井委員 先ほど先生から、多様性というお話がございました。担保の多様性、プレーヤーの多様性、手法の多様性、実はこの多様性というのがとてもこれから大切な価値を持ってくるのではないかと私も考えております。

 私、草加せんべいの、草加の市長をやっていまして、実は百軒もおせんべい屋さんがあるわけでありますけれども、実は百軒とも全部味が違うんですよ。大きさも違うし、厚さも違うし、おしょうゆの味も違うんです。だから全部売れるんですね。だから日本一うまいせんべいで、このごろ宇宙飛行士で、宇宙まで行っているわけですね。これはやはり多様性、個性だと思うんですよね。そういう意味では、水口先生にもお話しいたしましたように、金融の分権化という視点は、先生のお立場からどのようにお考えになるんでしょうか。

 例えば、今までは北海道から沖縄まで、中央、国がかかわって、定食メニューで同じものを全部食わせる、同じものをつくらせる。今度はふるさとの郷土料理で、郷土には郷土らしいいろいろな農作物、畜産も含めて、地産地消じゃありませんけれども、あるわけですね。郷土メニューで今度は町づくりや人づくりをやっていくのと同じように、金融もふるさとに合った、その地域に合った金融の制度のあり方の多様性、こういったものが必要ではないかと思っておるんですけれども、それは間違いなんでしょうか。あるいはそういう方向に行くべきなんでしょうか。あるいはそれは時期が尚早なんでしょうか。御指摘も含めまして、御意見を賜りたいと思います。

村本参考人 金融というのは、一つは国全体の、ネーションワイドなといいますか、こういうシステムがやはり必要ですから、ナショナルミニマムを達成するためのシステムというのは一方で必要なんだろうと思うんですね。ところが、地域の金融というのは、これはおっしゃるように私は非常に個々であろうと思っております。

 というのは、その地域に行かなければわからない情報というのは、さっきの草加せんべいもそうですが、わからないことがたくさんあるわけですね。地域の情報というのは、そこに行かなきゃわからない。すると、そこの金融機関が持って初めて意味がある情報というのは実はたくさんあるんだろうと思うので、それをどうやって生かすのかということをやらないと、今おっしゃった意味では、地方分権になっていかない。金融の地方分権が、ある意味では日本ではかつてはあったんじゃないかと思うんですが、最近非常に失われてきているような気がいたします。

 先ほど、店舗数がというお話なんですが、そういう配慮もあるんですけれども、地元の情報がきちっとどうも蓄積されていません。これが実際は金融を弱くしているのではないかと思うんですね。もっと申せば、例えばある地域の金融の情報がほかの地域で本当に役に立つ可能性も実はあるんですね。このネットワーキングが実は余りできていない。

 ですから、情報がそういう意味では閉ざされているといいますか、うまくネットワークされていない部分もございますので、金融の地域分権というのはある意味で非常に重要な視点だと私は思っておりますし、そのために、ある意味で、この委員会の責務ではないかもしれませんが、単一の手法で金融行政をやるのもちょっとまずいのではないか。むしろ金融機関が持っている、地域金融機関が持っている戦略、この地域をこうしたいんだというものを生かせるような金融行政の方向がやはり必要なのではないかなというふうに思っておりますけれども。

今井委員 ありがとうございました。

 参考人から大変貴重な御提言や専門家としての御意見をちょうだいいたしまして、これからも当委員会、あるいは私も政治家として生かさせていただきたい、かように思っている次第です。本当にお世話になりまして、ありがとうございました。

根本委員長 田中慶秋君。

田中(慶)委員 私は、民主党の田中慶秋でございます。

 参考人の先生方には、早朝から大変御苦労さまでございます。

 先ほど来、皆さん方の陳述をいただきながら、ある面では日本経済を大きく支えていただいております中小企業のために日夜努力をされておられます皆さん方に、心から敬意を表したいと思います。

 そこで、最初に、中小企業総裁、水口総裁に質問させていただきますが、全般的に言えることでありますけれども、総理も政府も、景気がよくなってきている、こんな表現で、いろいろな、報道陣も含めてそういうことがよく流されておりますが、きょうの実態でも明らかなように、このデータから見ると、企業間の格差、地域格差が現実にあるということ、特にそういう点では、このデータから見ると、関東地区以外は現実には地域間でマイナス傾向にある。ところが、服部参考人は、神奈川を含めてまだ景気がよくなっていない、こういう実態が述べられているわけであります。

 私は、少なくてもまだまだ日本の経済はそんなに手放しで喜べるほどの状態ではなく、本当に厳しい状態であり、中小企業はそのしわ寄せをいつも食っている、こういう状態ではないか、このように認識しておりますけれども、まずその辺について感想を、短くても結構ですからお述べをいただきたいと思います。

水口参考人 ありがとうございます。おっしゃるとおりだろうと思います。

 例えば、常にマクロとミクロが異なっているということが非常に日本の問題であろうと思います、さっきの地域金融という問題もそうだと思いますけれども。したがって、一つの政策だけでは物事は解決しないというところであろうと思います。したがいまして、中小企業金融としても、政府系金融機関としても、もちろん中小公庫もありあるいは国民生活金融公庫もあり商工中金もありということで、それぞれ使命と対象が違っているということがございます。

 それで、今、御質問でございますけれども、関東全体としたらいい、しかし、その中でも悪いところもある、これはおっしゃるとおりだと思います。あるいは、私が全国回ってみましても、例えば、四国あるいは岡山と先日行きましても、徳島はやはり非常にぐあいが悪い、主な産業がない、それから橋ができたら全部神戸に吸い取られてしまう、消費もですね。ところが、橋を渡って今度は岡山へ行きますと、これは水島にしろ、中国効果その他含めて、求人倍率も一以上になっているという非常に大きな落差がある。あるいは、広島も非常にいい。ところが、山陰に行きますとなかなかぐあいが悪い。

 したがいまして、こういうような地域格差をミクロ段階でどうしていくかということは、私ども中小公庫としたらそれなりのところをやっておりますけれども、これも先生おっしゃるとおり、融資先の五万社というところは平均の貸し付けが一件当たり八千万円でございますから、かなり、日本ブランド的ないいところが割合多いというのが一つ。これは、工場も私は全部見て回っておりますけれども、非常にいいところが多い。ところが、四百数十万社という中小企業の中では、それで、表にありましたように、国民生活金融公庫の融資先についてはやはり大きな格差がある。

 したがって、この地域格差それから業種間での格差というような問題をどのように解決していくかというのが、恐らく政治あるいは政策の基本的な問題であろうと思います。また、それに従って、我々もできることをやっていきたい、こう考えております。

田中(慶)委員 まず、そういう点では中小金融公庫の使命というのは大きいと思いますが、現実問題として、中小企業そのものがまだ担保を中心としておやりになっている、これが一つ。それからもう一つは、申し込みから決裁までのサイトが長過ぎる、これが二つ目。三つ目として、一番問題になっているのは、中小企業の皆さん方に、セーフティーネット資金の問題、あるいは条件変更の問題も、借りかえの問題も、こういうものがせっかく議論をされていて、制度ができても、なかなか現場がその制度に対応し切れない。

 すなわち、同じ人間が同じことをユーザーに向かってするものですから、その辺で私は、徹底した教育というものが欠けているだろうし、もう一つは、パンフレットのつくり方そのものを一つとっても、はっきり申し上げて、役に立たない。極端なことを言えば、本当に商売であるならば、一目見てわかるようなパンフレットをつくらなければいけないものが、非常に長々とそれぞれの、どちらかというと自己満足的な形の中でパンフレットができている。これは、政府系金融機関が特に言えることであります。

 中小企業もそうであるし、国金もあるいは商工中金も、そういうところが軒並みそういうことを言われているわけでありますから、そのことを含めてどう対応しようとしているのか、お聞きしたいと思います。

水口参考人 ありがとうございます。御指摘の点、私も民間から来たからよくわかります。

 それで、先ほど申し上げましたように、ともかく顧客第一ということが大事です。これは、クイックレスポンスというのは、事実、余りこういうところで内情を申し上げるとあれでございますけれども、ざっくばらんに申し上げまして、いわゆる稟議決裁書類、これが非常に民間から見たら二倍から三倍ぐらいの、判こばかり押してある。それはもうやめさせました。担当課長、部長、理事ということで、最終、総裁決裁ということでございますが。

 ただ、現場へ行きますと、支店長についてはこれは総裁権限は全部委任しておりますので、したがって、先ほど申し上げました金融機関との提携の覚書も、例えばある銀行さんとやる場合、サインするのはその銀行の頭取と私どもの支店長ということで総裁ではないわけですが、そういう点で、現場は非常にクイックレスポンスという方向に行っております。

 ただ、おっしゃるとおり、書類がユーザーフレンドリーでないという御批判はそのとおりだと思いますので、これはお客さんの声も聞きながら、今アンケートをしておりまして、聞きながら改善をしていくということにさらに努力していきたいと思います。

 以上でございます。

田中(慶)委員 私ども、日ごろいろいろな相談を受けるわけでありますけれども、中小企業金融公庫も、あるいは政府系金融機関もそういうところが非常に目立っておりますし、半年もたってもまだ決裁がおりない、こういう例もございました。そんなことを含めながら、やはり今、この中小企業の人たちは今が欲しいんですから、そういう形で、そのようなことがないようにぜひしてほしい、このように思っております。

 次に、保証協会の植野先生にお伺いしますが、あなたの方で出されている、先ほど来、設備投資が全体的に上向き、顕著であるということを言われて、皆さんが言われておりますけれども、金融実態、これを見てみますと、九四・三%というのは運転資金ですね。そして、設備投資の資金というのはほんの五・七%。非常に実態としてこういう数字が出ているわけでありますが、先ほど金融公庫総裁が言われている、設備投資と一部の業種がという形で景気をよくしているような話をされておりましたけれども、実態の数字としてこれだけ下がっていることが一つ。

 時間の関係で続けてやりますけれども、もう一つは、保証協会もさっきと同じように担保にこだわり過ぎているということ、それから、保証協会は、極端なこと、担保がなければ第三者保証の問題、これも言われております。こういうことを含めて、懸命に努力をされておりますけれども、こういう実態の改善というものを何か考えておられるのかどうか、これが二つ目であります。

 特に、最近では条件変更の問題で非常に前向きに取り組んでいただいておりますけれども、一番問題になっているのは、せっかく、セーフティーネット資金でも、いろいろな問題が今それぞれ政策金融として出てきております。私は、考えようによっては、一枚のペーパーによって、そこに幾つかの項目がわかりやすく書いてあって、そこを丸していくぐらいのような状態が一番親切ではないかと思っておりますけれども、現実問題として、保証協会は比較的それらについての配慮が足らない部分があるんだろう、このように思っておりますけれども、それらについての改善その他のことを含めて、何か考えておられるかどうか、お聞きしたいと思います。

植野参考人 一点目でございますけれども、確かに私どもの保証実績は運転資金が大半でございます。このことは、現在景気が上向いておるということの中身が輸出と設備投資であるということからして、大企業の方から景気が回復しているのではないか、こう認識しているわけでございますが、残念ながら、中小企業をめぐる経営環境は大変厳しい状況にございまして、したがって、必然的に運転資金に需要が来ている、こう言わざるを得ないわけでございます。

 それから、二点目でございますけれども、担保の関係のお話でございますけれども、信用保証協会が平成十五年度に保証を行った案件のうち、無担保保証は件数で八三・八%、金額で七一・二%を占めているところでございまして、現在、信用保証協会は、無担保保証に積極的に取り組んでいるところでございます。

 また、不動産評価の変動により資金調達が左右されるという、従来の不動産担保に依存した融資からの脱却を目指しました売り債を平成十三年十二月から創設いたしまして、これの積極的活用を現在推進しているところでございます。

 保証人の件でございますけれども、中小企業の多くは、経営者個人の財産と会社の資産が明確に分かれていない経営形態もございまして、経営者としての自覚を喚起し、そして安定した経営、債務の着実な返済のために、また経営者のモラルハザードを防止するためにも、特別小口保証を除きまして、法人代表者の個人保証を協会としては求めているところでございます。

 なお、現在、五千万円まで原則として第三者保証を徴求しない、こういうことにしておりまして、承諾金額が五千万以下の保証は、件数で現在九一・三%を占めておりますので、大半が現在は第三者保証なし、こういう保証になっている実態でございます。

田中(慶)委員 それなりに改善はされておりますけれども、実態として、例えば、昨年実績の自己破産が二十四万件あるわけですけれども、その中の三八%が中小企業です。自殺者、三万人を超えているわけですけれども、三四%が中小企業の経営者です。

 こういう実態から見ますと、あとわずかのところで皆さん方がそういう対応をされているわけでありますし、こういう一連のことを含めながら、倒産件数もまだふえているというのが実態でありますから、やはりトータルとしての考え方をちゃんと、保証協会が努力していただいた方がこれの改善ができるんだろうと私は思っておりますし、今一番大切な時期であろうと思っているわけであります。

 景気が少しずつよくなりつつあるときに、もう少しそれに対応していけば景気は完全によくなっていくだろうけれども、そのあとわずかのところで景気が非常に左右しているわけでありますから、そういう一連の使命というものをぜひ感じて取り組んでいただきたい、このように思っているわけであります。

 そこで、服部参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほど来、大変御努力をされておられるわけでありますが、金融機関の、本当の、現場として地域とともに今日まで御活躍をされているわけでありますが、中小企業の実態というものが、政府や、あるいはまた両行、政府関係の皆さんとは若干違って、現実にはこれだけ厳しいんだよ、神奈川の大手もつぶれている、中小零細ももっと厳しいという実態が述べられました。

 そういう中で努力をされておりますけれども、特に私は、服部参考人が述べられている中で、地域とともに空洞化対策というものを非常に努力されて、企業城下町としての取り組み、あるいはまた、かねてから、ちょうど服部参考人のお話を三回ほど聞かせていただく機会になっているわけでありますけれども、産学協同の問題等々も含めて、これらについても努力をされておられる等々を含めて、最近は、企業の再生、人材投入の問題、さらには、これらを含めて、自分のお客から倒産を出さないんだというかたい決意が述べられておりますけれども、非常にその決意を高く評価させていただきますが、実態としての御苦労というものはもっとほかの面にもあるんだろうと思います。

 例えば、保証協会としての新たな取り組みをされている状態。しかし、先般のお話のときには、お金も貸したいわけですけれども金融庁の検査マニュアルが厳しくて貸せない、こんな話もされました。現在、そういうことを含めて、先ほど来メガバンクと自己資本の問題等述べられておりますけれども、これらについてもっと具体的にお話を聞かせていただけませんか。

服部参考人 先ほども申し上げましたが、参考人のお二方はもう全国的な様子をごらんでございます。それから、学者先生でございますか、我々業界も大変頼りにしている先生でございます。いい参考のことを提言していただいているということですが、私のところは、ごく限られた場所で仕事をしているので、大分違ってくるかと思います。

 地域とともにといいましても、私のところは三浦半島と湘南地帯と横浜、これが主のいわゆる営業地域であります。ほかの銀行とは違いまして、地域でしか仕事ができない、こういうところに業種が偏っているとなると、壊滅的な影響を受けてしまう、こういうことでございます。

 そこで、一番問題なのは何かといったらば、まず融資でありますが、リスクウエートが貸出金は一〇〇%なんです。国債はゼロであります。そうすると、リスクウエートは一〇〇%だとすると、協会の保証をもらっていかなきゃならないだろう、こういうことになります。しかしながら、リスクウエート、貸し出しが一〇〇といいましても、担保はある。でも、それを差っ引かないで表債で一〇〇でありますから、自己資本比率は貸せば貸すほど悪くなってしまう。こういうところに大きな貸し渋りあるいは貸しはがしの問題が出てくるかと思います。

 それから、企業の再生につきましては全力を挙げております。具体的な名前を出しまするとこれは企業秘密にもなりますから具体的な名前は出さないでいきたいと思いますけれども、もう八つも九つも再生を図っております。取引金融機関が全部ほうり投げたところを、同じリスクを負うんだったらば再生をさせようということで、人材を派遣して、それで再生を図っております。

 ある建設会社とかあるいはある食品会社だとかこういうところには、私のところの現職の役員をやめてもらって社長に任命する、あるいは引退したのをもう一回、いわゆる再登場を願ってこれを社長に据えてやっていく。今のところ極めて順調に、こういうことになっております。

 先ほどちょっと申し上げた中で、三浦半島のことを申し上げますると、三浦半島では、いわゆる最高のというんでしょうか、唯一のと言っていいんでしょうか、大きな、住友重機械工業、昔の浦賀ドック、歴史が百五十年ある日本では最古の造船所が閉鎖をしてしまいました。これは、咸臨丸の出航、日本丸ができた、それから沖には黒船が来た、こういう歴史的な背景もある浦賀、これが閉鎖をしちゃったわけでございます。

 先日、私鉄の社長とも会いまして、ホームの改善方も申し入れておりますし、それから、地域の方、有識者の方すべてに御賛成をいただいているわけであります。ちょっと申し上げましたが、総額二千五、六百億円になります。東京海洋大学に名前を変えても、越中島と品川と二つにキャンパスが分かれている。これではしようがないだろうと。一カ所に、それも海辺に持ってくる。そこに学校が来ると、これは三浦半島の活性化につながるだろうと思って今懸命に努力をしております。先生のところにもお願いに行くつもりでございます。よろしく願いたいと思っておりますが、一番のガンは市長でありまして、私ともうこれで二回会っておりますが、市長は、いわゆる美術館をつくりたいと言うんです。美術館をつくるのと学校誘致をするのと、どうなのか。

 お金にしましても、二千五、六百億円です、いわゆる越中島とそれから品川を売却しますと。これは不動産鑑定士の鑑定でそうなっております。そうすると、浦賀ドックの跡地は三百億であります。単純に言いますと、それでもう二千二百億ぐらいは浮いてきてしまうわけです。

 あと、校舎をどうやって建てるかということでありますが、東京にある大学は、いわゆるビルディングになっておりまして、大変背の高い校舎がこのごろはできておりますから、非常に効率的にできると思います。その跡には、その所有者は別のところにいわゆる運動場もみんな持っております、すぐ裏山でございますが。だから、そうしますと、二千五、六百億円の資金になって、それで千億も使わないで海辺に面した海洋大学がある。

 黒川先生という、東京大学の医学部を出て東海大学の医学部長をおやりになった黒川先生、みずから自分で、後援してくれてもよろしい、こう言っていただいておりますし、それから、笹川陽平さんにも、行ってまいりましたが、一生懸命応援をしようじゃなかろうかと言っていただいております。

 要は、国庫にこの際、千数百億円のお金が入って、それも環境のいいところに学校ができる。今は分散してしまっている。分散してしまっているのが、学校の名前だけ一つというのはおかしいじゃなかろうか。これをやると、横須賀には防衛大学というのがあります。神奈川歯科大学というのもある。それから、県立ですけれども福祉大学というのがある。ここで海洋大学ができれば、異なった学校が集まるいわゆる学園都市に生まれ変わっていくだろう。

 企業誘致をしようといいましても、なかなか難しいんです。先生も御存じだと思いますが、ストックの企業とフローを見てやっていく商売と違うのであります。信用金庫や銀行はストックの商売であります。集めたお金を十年、二十年貸して、そしてわずかな利ざやで飯を食っている。しかしながら、日産自動車が急速に回復したというのは、これはフローの会社だからであります。徹底的に首を切って、下請を切って、それから工場を売却して、それで、車を売って在庫を少なくしている、これと根本的に仕事が違うんですね。

 だから、トヨタとか日産と、それから金融機関とを比較するのがおかしいのであって、急速に回復できるわけがないんです。ですから、私たちのようなストックを商売としているところは、長い目で見ていただきたい、こう思います。

 それで、金融庁の新しいマニュアルができたというものの、まだそのマニュアルで検査は受けておりませんけれども、今までの体験からいけば、ほとんど無理であります。というのは何かといったら、大部分の人が初めてだというような、訓練が行き届いていないいわゆる金融検査官がおみえでございます。

 それで、画一的にはしない、五味監督局長は私の前でそう宣言をしてくれておりますけれども、極めて画一的。それで、地域金融機関とメガバンクとの違い、これがよくわかっていない方が検査に来ている。これを言うと、またどこかで、検査官が、以前言いましたけれども、それじゃ、もう一回見てやろうじゃないかなんと言ってくるおそれもありますから、大変勇気が要ることなのであります。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

田中(慶)委員 どうもありがとうございました。

 いずれにしても、横須賀というと基地の町、こんなイメージが、改めて学園都市としての役割を、そしてこの新たな町づくりに御努力をされている参考人に心から敬意を表したいし、また、これからもぜひ思い切った発言をして、役所がどうのこうのじゃなく、いかに世の中に貢献するか、いかにこの地域が活性するか、こんなことで努力をしていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、村本先生、時間がだんだんなくなって大変恐縮ですが、先生、いろいろと今までも提言をされております。

 今までも、この売り掛け債権の問題等についてもこの委員会で、いろいろな発言をされたり、条件変更の問題なり借りかえの問題、ここでいろいろと議論をされて、今制度化されてきているわけであります。特にこの売り掛け債権の問題で、私たちは非常にいい一つの保証であろうと思っているわけでありますけれども、ところが、なかなか大手のメーカー、それぞれのところがこれを腰を上げない。これは、改めて今までの土地担保とかそういう制度から、売掛金というものが土地担保に見合うだけの額が現実にあるわけでありますから、これらについてどのようにしていけばこれがなじむのかどうか。

 それからもう一つは、知的財産というものが日本の担保としてどのように評価をされていっていいのか、その辺について、簡単に先生の考え方を聞かせていただきたいと思います。

村本参考人 売り掛け債権担保融資制度については、私はネーミングだと思っています。ネーミングが悪い、長過ぎる、もう少し使いやすいいいネーミングをしたらどうですかということを実は申し上げていますが、ここの問題というのは商慣行の問題でございますので、なかなか克服することができないんですけれども、やはり、場合によると、計算マニュアルの中にもっと取り上げてもいいんじゃないか、これをやったらもっとポイントを上げましょうみたいなことでもいいんじゃないかぐらい思っていますけれども、その辺まで少し声が大きくなればいいかなというのが一つでございます。

 それから、知財については、これは言うまでもなくて、もう十年ぐらい前からずっと、これはITが始まるころから言ってきているんですけれども、知財の難しいところは、基本ソフトのようなもの、ずっと長く使えるものはいいんですが、割合、ソフトウエアで、新しく陳腐化してしまうようなところは、なかなか担保としての価値が長続きしないという問題がございますので、この辺の絡みがなかなか難しいかな。

 ただ、知財も大いに生かさなければ、今後はなかなか難しいだろうというふうには思っておりますので、ぜひこれも実現していただきたいと思っています。

田中(慶)委員 では、最後に、水口さんにもう一度お聞きしますが、検査の問題で、最近、政府系金融機関も、今の金融庁が検査対象にする、BIS規定に見合うような形でやろうとしておりますけれども、その辺はどういうふうにお聞きし、どういう考え方でおられるのか、同じような、BIS規定でやられたらとんでもないことになってしまうと思いますので、その辺だけを最後にお聞きしたいと思います。

水口参考人 先生おっしゃるとおり、金融庁の方の検査の対象になってくるということで、まだ入ってきておりませんし具体的に何にもありませんけれども、ある政策金融機関にはもう既に入ったということは聞いております。

 私の率直な感じは、今まで政策金融機関、例えば、では、中小公庫をやる場合、中小企業金融公庫法の成立から現状まで、あるいは、これから、今非常に御努力いただいております公庫法の改正、先ほど、担保の問題のときは、既に申し上げましたので証券化の問題には触れませんでしたけれども、そういうような状況まで本当によく理解した上で来るのかということがありますが、私の個人的な考えですから、まだ長官にも何も話しておりませんけれども、来るからには、少し事前によく、来て勉強して、それからやってもらいたい、そう考えております。

田中(慶)委員 時間が参りましたので、終わらせていただきます。

 参考人の皆さん、どうもありがとうございました。

根本委員長 河上覃雄君。

河上委員 公明党の河上覃雄と申します。

 本日は、早朝からお出ましをいただきまして、大変にありがとうございました。

 三番バッターといいますと、ほとんど、いろいろな質問も既に出ておりますので、重複を避けつつ、何点か各参考人の皆様にお尋ねをいたしたいと思っております。

 中小企業の景況感につきましては、ほぼ、先ほど陳述でもお話がございましたし、ただいまのお答えの中にもございました。これらについては、基本的な認識は一致をいたしております。私も、日本商工会議所やらさまざまな団体の皆様にそうした状況を伺いますと、ほぼ同じ認識をお持ちのように思っておりますのであえてお尋ねは申し上げませんが、こうした前提に基づきまして、まず、水口、植野両参考人に対しましてお尋ねをいたしたいと思います。

 このような景況感の中で、中小企業に対する金融セーフティーネット対策というのは、引き続き私は重要なことだと考えております。そこで、中小公庫と信用保証協会の金融セーフティーネットへの最近の取り組みの状況、どのようになっておりますのか、簡単で結構でございますのでお答えいただきたいと思います。

水口参考人 お答えいたします。

 セーフティーネットといいますのは、これも、現在、特別貸し付けのテーマが非常に多うございまして、私も、就任して初めて大阪支店に行きましたら、真ん中に貸し渋り貸しはがし対策相談窓口がありまして、あと三十五くらいだあっと並んでいるんですね。これを消化していくというのはなかなか大変でございますけれども、お役所の方にはもう少し整理してくれということで、大分整理されてきておりますのですが、やはり、そのために法律が出ておりますので、なかなか難しいということもあります。

 それで、大まかに言いまして、環境変化、その中で、やはりセーフティーネットということが一番大事でございますけれども、現在では、件数につきましては、十三年度は約一万五千六百七十六件ございまして、金額は八千二百八十二億。十四年度につきましては、一万六千六百八十七件数に対しまして金額が九千百五十三億。十五年度、これは十五年の四月からことしの一月までの数字でございますが、一万二千百四十七件で五千七百三十六億ということで、前年に比べてもほぼ同じあるいはそれ以上の状況にあって、それなりに慎重に審査をしながら対応している、こういうような状況でございます。

 これはセーフティーネットとは言いませんけれども、経済再生改革対応の緊急貸し付けというような問題も二千件、金額で一千億であるとか、いろいろな問題を、経営革新であるとかいうことを、幅広く今やっている、そういう状況でございます。

植野参考人 お答えします。

 このセーフティーネット保証と申しますのは、もう御案内かもしれませんけれども、取引先の倒産やあるいは災害、金融機関の破綻等によりまして資金繰りが厳しくなっている中小企業者に対しまして、通常の保証限度額とは別枠で、積極的かつ弾力的に保証対応をしている、こういうことでございます。

 それで、実績でございますが、平成十六年二月末時点のセーフティーネット保証の実績は、三兆五千億円の実績となっておりまして、全保証承諾の約三割を占めております。特に、業況が悪化している業種を対象とする五号関連、それから、金融機関のリストラ等に伴い借入が減少している人に対する七号関連でこれが多く利用されております。さらには、先般破綻いたしました足利銀行に対する対応に代表されますが、金融機関の破綻により資金繰りが悪化している者に対する六号関連への対応など、金融面でのセーフティーネット機能を遺憾なく発揮していると私ども自負しているところでございます。

 今後とも、BSEにより影響を受けている者への対応など、個々の中小企業者の実情に即した、そして親身な対応を行って、資金供給の円滑化のために積極的かつ弾力的に対応してまいる所存でございます。

河上委員 今、中小公庫と信用保証協会の金融セーフティーネットの取り組みについてお聞かせをいただきました。

 そこで、村本参考人にお尋ねをいたしますが、我が国の中小企業金融の全体を見まして、主にどのような課題があるとお考えか。また、政府や政府系金融機関の取り組むべき課題は何だとお考えになられていらっしゃるか。中小企業金融の専門家のお立場から御意見をお聞かせいただきたいと思います。

村本参考人 足元の問題と、少し長い視野の問題と、分けて考えなければいかぬかなと思っておりますが、足元の問題というのは、やはり、目詰まりをしている中小企業金融にどのような針を入れてやれば、穴、目詰まりが薄まるかという問題であろうと思います。

 これは、今おっしゃられましたセーフティーネット保証ないしセーフティーネット貸し付けのようなもので、ある種のカンフルを与えていくことが必要なわけでございますから、これはもう当然そういう措置が必要であろうというのも、足元として認識すべきことなんだろうと思うんですね。

 もう一つ、もう少し長い視野、中長期的な視点で考えますと、我が国の金融システムの中で、金融システムの大きな問題というのは、やはり、いわゆる金融機関と呼ばれるところにリスクが全部集中してしまっている、そのところが不良債権問題で動かなくなると全体が動かなくなってしまう、こういった問題がございますから、今まで線路が一本しかなかったとすれば、もう一つ大きな線路を引いてやる必要があるだろう。これを複線型の金融システムを構築するというような言い方をしておりますが、複線型といっても、中小企業の場合には、いきなり社債を発行しろとか、あるいは株式で増資をしろとか、エクイティーファイナンスだとかという形にはなかなかまいりませんから、マーケットを活用するような、複線型という、市場型間接金融なんて言葉を最近よく使うようになりましたけれども、マーケットにアクセスできるような手法を活用できないだろうか。これが俗に言う証券化といったような手法になるんだろうと思いまして、そのような手法を新たに創設することで目詰まりを大きく流れを変えてやろうというような考え方が大きな一つの柱になるんだろうと思うんですね。

 それを大きな柱にいたしまして、先ほど私が最初に申しましたように、いろいろな側面で多様化を進めていく。先ほどもおっしゃったように、プレーヤーですね。つまり、金融機関といっても、ファイナンスカンパニーもあるじゃないですか、あるいは、先ほど言いましたように日本銀行も出てきましたねとか、あるいは政府系金融機関もそういう中で役割はあるね、こういったことでプレーヤーをそろえていくことが必要である。もう一つ、手法として申しました証券化というような手法もございます。あるいはもう一つ、リスクの保証に対する担保のところで売り掛け債権等の問題も出てくるという形で、幾つか手法を整える。そして担保、リスク対応を整えていくという多様化を進めることによって、より長期的なところには対応していけるでしょう。その中で、足元の問題に役に立つようなものはどんどん取り入れていったらいかがでしょうかというのが私の基本的な物の考え方でございます。

 その中で、政府系金融機関の課題は今何ぞやという、もう一つの大きなテーマがございました。

 私のペーパーの最後の方に、アンバンドリングという聞きなれない言葉を書いておいたわけですけれども、我々が融資とか金融とか言うと、一つのもう固まりのようなことに考えておりまして、お金を貸す事前の審査をする、実際にお金を貸す、債権保全をする、あるいは保証をする、全部一つのパッケージで考えているわけですが、そういったものを全部パッケージで考えるのではなくて、ある保証なら保証に特化をする、あるいは審査なら審査に特化をする、債権保全に特化をする、モニタリングに特化をする、こういったことがもし可能であれば、政府系金融機関というのは民間の資金をいかに引っ張り出してくるかというところに大きな要素があるんだとすれば、それをぜひやっていただきたいということでございます。

 ですから、直接融資も非常に重要な機能でございますけれども、民間の資金が出やすいようなインフラづくり、環境整備、こういったものに注力することも政府系金融機関の大きな役割になってくるんだというふうに理解をしております。

 以上でございます。

河上委員 ありがとうございました。

 次に、水口参考人、植野参考人のお二方にお尋ねをいたします。

 中小企業は、不動産担保の価値が下落したことによりまして、新たな借り入れというものも困難な状態になっております。また、担保によらない融資のニーズというものも大きくなっております。最近は民間金融機関でも無担保融資に取り組み始めていると聞き及んでおりますが、依然といたしまして金融機関の貸し出しは不動産担保に依存した融資が多いと思われます。

 将来の中小企業金融の方向性として、不動産担保に依存しない融資の拡大に取り組むべきだ、こう思っておりますが、中小公庫及び信用保証協会の取り組み状況についてお伺いをいたしたいと思います。

水口参考人 お答えいたします。

 一つ現在やっておりますのは、担保、保証人への対応ということで、セーフティーネット貸し付け、これはもう先ほどもお話ししたとおりでございます。それから、あとは、これは私自身の民間の経験でいきますと、例えば、私は現役のときに転換社債というのを導入したわけでありますけれども、これは当然株式に転換するわけでございますから半分株式ですけれども、当時役所は盛んに担保担保と言いましたけれども、初めて無担保を導入したわけです。

 ここにも書いてありますが、そこで、そのためにはやはり財務制限条項というのをやったわけですね。財務制限条項に違反した場合には、期限の利益を喪失するということですから全部強制償還しなきゃならないというようなことで、そういうことをやるという意味は、これは中小企業においても同じだと思います。問題は担保ということで、その担保の内容で、特に中小企業の場合は、やはりゴーイングコンサーンとしての企業の成長性ということと、それから経営者の資質、力というものを一番重要にしながらやっていくということが大切だと思いますので、その辺を中心にしてさらに無担保化、ただし、妙なモラルハザードにならないようにと考えております。やはり財務制限条項というのは一つの重要な基準だと。

 もう一つの問題は、今、国会でも、中小企業庁、非常に熱心におやりいただいています新たな金融手法ということで、証券化という問題でございます。これは、保証型とそれから証券の買い取り型と売り掛け債権の問題を保証する、あるいは証券化して買い取る、こういうことでございますが、もうそのための予算措置というものも、私どもも来年度予算には一応組み込んでおります。

 また、これは営業店までは相当、まだ法律が成立しておりませんので具体的なPRまでいきませんですけれども、今研究をしておりまして、支店に行きましても、営業マンの間から、具体的に、今後公庫の方向として、例えばアングロサクソンは全部保証型になっておりますし、その辺で、保証とか証券化とか融資という三つの分野をどのように総裁は考えるかということまで、末端までどうやらそういう問題が浸透してきたということで、大きくこれから、もちろん基本は民業補完であり、それから、先ほど村本先生から市場型間接金融というお話もございましたけれども、やはりマーケットへの対応ということは、千四百兆と言われる個人金融資産をどういうような形で導入していくかということになろうかと思いますので、我々としましても、政府系としてそれなりの努力はしていきたい、こう考えております。

植野参考人 保証協会といたしましては、無担保保証や、やはり、先ほど来から御議論ございました売掛債権担保保証、これは不動産によらない保証の推進に努めているところでございます。何と申しましても、売り債の推進に向けて、やはり私たち頑張らなければいけないなというのが率直な気持ちでございます。

 従来からの不動産担保に依存した融資形態、これから脱却を意図した売り債は、当初は、もう御案内のとおり、従来の取引慣行にない制度でございますから、風評被害の懸念や、あるいは債権譲渡禁止特約、こういった幾つかの問題がございましたけれども、だんだんそれが徐々に周知徹底されるようになりました。その上に、中小企業庁が大変強力に後押しをしていただいておりますので、今後、五十二の保証協会も徐々にこの実績がふえるのではないか、このように考えております。

河上委員 ありがとうございました。

 では、服部参考人にお伺いをいたしたいと思います。

 民間金融機関でも、担保、保証人によらない融資の動きが見られますが、しかし、こうした取り組みはまだまだ十分ではないようにも思われます。

 民間金融機関では、担保、保証人によらない融資の拡大に向けまして、どのようにお取り組みになられているのか。また、今後、こうした取り組みについてどう拡大なさろうとしていらっしゃるのか。地域金融機関として、今申し上げました二つの視点、どのようにお考えになっているのか。全国信用金庫協会のお立場でも、あるいは湘南信金のお立場でも、どちらでも結構でございます、御意見をお伺いしたいと思います。

服部参考人 お答えをいたします。

 基本的には、リレーションシップバンキングというのはもう御案内のとおりであります。どれだけ長いつき合いで、どれだけどういう人間であって、先祖はどうだったか、現在のおつき合いはどうか、いろいろな角度から見ていくのが私たちのいわゆる地域金融機関の役割でありまして、もともと信用金庫というのは、銀行と違いまして、リレーションシップバンキングの思想のもとにでき上がっている金融機関であります。

 私ごとを申し上げますと変でございますが、私の家は横須賀で漁師をやっていたということであります。天保年間から横須賀に住んでいる、こういうことであります。そうしますと、いまだに私のことを眞ちゃんと言う人もいるんです。九十ぐらいのおじいちゃんやおばあちゃんが私のことを眞ちゃん、あるいは同級生はみんなあだ名で呼ぶという、まさに地域金融機関がこれに当てはまるんじゃなかろうか。

 要は、今までいわゆる親とかあるいは先祖がどんなことをしていたか、それから、そこでは罪を犯した人がいないかどうか、それから、仕事の内容はどうなのか、今の経営者は人物的にどうなのかというようなさまざまなものを勘案しながら、銀行が数字に基づいて何週間もかけて、そしていいとか悪いとかという判断をする以前に、いわゆる人間とそれから仕事の内容について融資をする姿勢を有しておりますから、無担保でお金を貸すのもやぶさかではない、こういう気持ちでやっております。

 私の方は、サポートローンというのを最近つくっておりますが、これは、一千万円以下の融資については無担保で応じております。それ以上になりましたらば、保証協会と相談をするなり、あるいは信金中金と相談をするなりしながら、これに対応していこうと。

 全国の信用金庫は、北海道から沖縄まであるわけでして、全然違います。三時を過ぎれば人っ子一人歩いていないような北海道の信用金庫と、毎日お祭りだというような都内の信用金庫と全く違うんです。それを一つまとめで、それで信用金庫としていわゆる定義づけているところに非常に問題があるわけであります。

 私の方は、預金と貸出金の割合が六九%ありまして、これは全国的には高いのであります。預金量が九千五百億円。この一年間で六%の預金の伸びを示しておりますが、業界全体ではほぼ横ばい、もうほとんどふえもしなければ減りもしない、減りぎみであります。この辺は地域的に差があります。

 ですから、融資をするのに当たりましては、先ほど申し上げましたように、融資が一〇〇%リスクウエート、国債を買えばリスクウエートはゼロ、こうなりますると、北海道あたりの信用金庫は預金の三割しか貸していないんです。残りの七割は何していたかといったら、全部国債を買っている。こういうところに融資が進まない原因があるので、ぜひ先生方にお願いを申し上げたいのは、全部焦げつくということを前提にして物事を考えて、融資額が一〇〇%リスクウエートだというところに間違いがあるんじゃなかろうか。もう少し、リレーションシップバンキングあるいはお客様の内容あるいは仕事のしぶり、人物、こういうものを見ていただければ、いわゆるリスクウエート一〇〇%の貸出金というのを再考していただきたい。

 仮に、担保もあります、人物も上等です、保証人もいます、こういうことになると、少なくても七割は絶対大丈夫であります。だとすると、一〇〇%のリスクウエートの貸出金をいわゆる七〇%に変えていただくだけで、私のところでも一%の自己資本比率のアップにつながります。

 こんなことでありますので、体を張って、それで先祖からのおつき合いで、それで顔を見れば、私はちょっとわからないんだけれども相手方が会釈してくれる、こういうところであります。そういうところで地域に密着した仕事をやっていくということで、無担保信用は十二分に果たしていかれると思っております。

 以上です。ありがとうございました。

河上委員 ありがとうございました。

 引き続き、もう一点お伺いをいたしたいと思います。

 民間金融機関の担保、保証によらない融資のお取り組みについて今お尋ねをいたしました。これを何とかさらに促進をする。そして、審査コストの縮減あるいは審査期間の短縮を図るために、多くの企業の財務情報が蓄積をされております中小企業信用リスク情報データベース等、各民間金融機関が利用しているシステム、これらを統合いたしまして、クレジットスコアリング、得点に応じて実行の可否や貸出限度額、貸出利率を設定するということになるわけですが、あるいは信用格付ということ、ある意味では、情報を共有化しながらしっかりと無担保無保証の融資の拡大につなげていく。こうした統合についてのお考えにつきまして、御意見があればぜひお聞かせいただきたい。

服部参考人 お答えを申し上げます。

 今お手元にお配りをした「景況リポート」というのは、二カ月に一回調べております。これは中を後からごゆっくり見ていただければよろしかろうと思いますが、前回、二カ月前と比較をして三ポイントの悪化ということであります。

 これはどうしてかということですが、調べる対象というのがお客様でございます。二千万円以下の資本金あるいは個人を調べている、調査をした結果がこの本に出ているわけでありまして、先生方、皆さんは二千万円とか千万円の資本金の商売なんか成り立つのか、こういうふうにお思いになっていると思いますけれども、仮に一千万の債務超過になっても、ポケットから千万円出せば、個人で社長が。というのは、現実には、利益はみんな入れちゃいまして会社は空っぽにしちゃうんですよ。それが今までの中小企業の経営者のあり方であります。

 中小企業の経営者の中には、月収五百万円なんというのがざらにいたわけでありますが、さすがに今はそういうことはなくなりました。その辺を変えていきましょうということを今一生懸命訴えて、そして共同作業をしながら、いわゆる自己資本というのでしょうか、内部留保に努めなければいけない、こういうことでやっております。

 ただ、ちょっと不規則発言に近くなりますけれども、何とか税金をごまかしたい、こういうことが多いわけであります。ですから、決算書が三通りありまして、税務署用と金融機関用と分かれているんですよ。これじゃ審査のしようがないんですね。だから、リレーションシップバンキングというような思想でやらざるを得ない、だから大きな貸し出しはしないようにしていこう、こういうことであります。

 そうすれば、後はここにいるお二人と協調をし合いながら、昔は、中小企業金融公庫は、私と協調すると言っておいて突然ノーと言った。この方じゃないですよ、その前の方。そういうことがありますけれども、先ほど控室でお話をしていて、そんなことは絶対ない、こういうことでございますから、安心して中小企業金融公庫とも提携をしながら今後進めていきたい。

 要は、それで、どなたかがおっしゃったとおりであります、御用聞きをして配達をしなさいと言っているんです、中小零細企業の例えば物品販売業には。鎌倉とか葉山というのはそういうことで商売が成り立っているんです。それから、限定してつくって、売り切れたらそれで商売は終わり。私たちは、やはりこれからはそういう仕事をやっていくところを大きくしようと。

 それから、例えば中国から輸入されているネギでありますが、きれいになっております。だけれども、かっぱのへみたいに何の味もにおいもしない。そんなことよりかは泥のついたネギを買ってこいと、少しぐらい高くても。最近では、どこでつくって、だれが作者で、それでいつ収穫したか、これまでうたってあります、コンビニエンスストアでも。

 そういう点で、高くても買っていただけるという品物をつくっていくということがデフレ解消になる。ちょうどいいときに鳥のインフルエンザとか狂牛病の問題が出たと思います。これが出たために物価が上がりつつありますから。これはちょっといけないかな、そういうことを言っちゃ。だけれども、現実にはそんな現象が起きているというので、いよいよデフレ解消に向かって一歩前進したかなという感じがいたしております。

河上委員 服部参考人には、今率直な御意見をいただきました。

 もう一点、これは村本参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、中小企業の事業再生あるいは創業、起業の促進のためにファンドを通じた資金供給を活性化させる必要があると思いますが、中小企業金融におけるファンドを活用する意義について御意見をお聞かせいただきたいと思います。

村本参考人 ファンドにつきましては有限投資組合のお話だろうと思いますが、現在のものはまだ十分、使いこなしが悪いという側面がございまして、おっしゃったように、事業再生であるとか創業支援までなかなかいっていない。

 ですから、そこのところに、先ほど私が使った言葉で申せば、市場型間接金融のもう一つルートをつくってやることによってそれが活性化する可能性は大いにあるんだろうと思いますので、これもぜひ前向きに御検討いただければいい方向ではないかと思っております。

河上委員 時間があと一、二分でございますが、大分超過をいたしているようでございますから、これで私の質問は終わります。

 本日は、大変ありがとうございました。

根本委員長 塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、皆さんの意見陳述、お話をいただき、大変勉強になりました。

 最初に、今回三度目の参考人となります服部参考人から何問かお尋ねしたいと思っております。

 定時定点観測といいますか、今の実態について現場の声での具体的なお話、大変参考になっております。「景況リポート」の方も少しぱらぱらと拝見させていただきました。非常に一件一件の取引先の具体的な状況が丁寧に書かれている、経営内容がよくわかるような記述、改めて感銘いたしました。

 冒頭も、中小企業の景況についてはよくなっていない、ますます悪くなっているという大変強調された言い方もされておられましたし、大企業は史上最高収益の一方で中小はそれに圧迫されているというお話もありました。

 そこで、製造業が水面にいるといっても、実際には単価の引き下げ要求が相変わらず強い、「景況リポート」でもそんな声が寄せられておりました。仕事が海外から戻ってきたということも言われておりますけれども、戻ってきた仕事の単価も中国並みというような状況もあるというふうに聞いております。そういう点での、まず、こういう製造業での単価引き下げ要求の実態がどうなっているのか、お感じになっておるところで結構ですので、簡単に御説明いただければありがたいですが。

服部参考人 お答えを申し上げます。

 製造業は順調だというものの、それは淘汰されて残ったところが何とか仕事をいただいている、残ったところが勝ちだ、こういう意味で、製造業はやっといわゆるゼロから頭を出したようなところに来ているよ、こういうことであります。それでは、製造業の業務の内容は何かというと、やはり自動車が大きなウエートを占めている、こういうことでございます。

 それから、海外から戻ってきたというのは当然だと思っております。北京とか上海に持っていきまして、そして現地人を使って何かやろうという中小企業の思い上がった考え方、これは中国にかなうわけがありません。遊び半分で、社長は、中小企業の連中は、月に一回監督しに行けばいいだろうというぐらいな程度で物を考えて海外進出を図ったところは、全部だめである。もう現地にかじりついて、そして彼らと手を組んで、肩を組んでやっていっているところは戻ってきてはいません。そんなところでありまして、海外から戻ってきたら、それでは神奈川県で商売ができるかというと、これは相手にされなくなってきているというのが現状でございます。

 以上です。

塩川委員 空洞化、大企業の撤退の話もございました。日産や住友重機やあるいは関東自動車などの撤退という話で改めて驚かされたわけですし、殿様がいなくなった企業城下町といいますか、そういう中での雇用ですとか中小企業や地域経済に非常に今否定的な影響があらわれているんじゃないか。

 その点、湘南信金のエリアの話で結構ですので、そういう現状をリアルに少しお話しいただければありがたいですけれども。

服部参考人 お答えをいたします。

 小泉総理大臣の地元の男でございます。同じ高等学校の後輩であります。住んでいるところも、横須賀市三春町、町名も同じ、同じ町内に住んでおります。ですから、なかなか自民党の悪口は言えない、こういうことをお察しいただきたいと思っております。

 空洞化というので驚いたと言われますが、小泉さんにしたら、地元をどうにかしようというのは、最優先を地元にしたと言われるのが非常に好まない、そういうことは言わない男であると思います。だから、なかなか自分で言い出せません。ですけれども現実は、申し上げたとおり、たったあれだけの、五十万人しか住んでいない三浦半島で三つの大企業がみんないなくなっちゃった、こういうことに対して、新たに企業を誘致しようといったって無理なんであります。

 さっきも申し上げましたように、フローとストックの商売というのは違うのである。いわゆる物をつくって、売って、すぐもうけて、あるいは工場を売却しちゃって、それを学校のグラウンドにしちゃってなんというようなことができないのが金融業でございます。

 ですから、ぜひその辺は、また同じ自動車屋さんとか造船屋さんを持ってくるということはまず不可能でありますので、跡地有効利用ということで、大学を持ってきて、若い者の町にしていって、そして別な活性化を図っていって、少なくともいわゆる空洞化した町だと言われないようにしていきたい、こう思っております。

 それから、非常に難しいのは、葉山とか逗子とか鎌倉とか藤沢のいわゆる東海岸だとかというところは、大変な金持ちが住んでおります。神奈川県の例だけですよ。それでは、横須賀は神奈川県でどのくらいの所得水準にあるかというと、横須賀と三浦市、これは最低の所得であります。

 そういう地域でありますから、例えば、私のところに鎌倉の人は十万円貯金をしてくれるけれども、横須賀の人は一万円、こんなに違うわけでして、この辺をどうやって整合性をとっていくかというのは極めて難しい状況でありますので、ポイントポイントに主要店舗を置きまして、そして、鎌倉は鎌倉用に、葉山は葉山用に、茅ケ崎は茅ケ崎用にというようにやらなければ難しいのであります。画一的な都市銀行の経営の仕方とはまるっきり違うんだということを、信用金庫のことをそう御理解をいただければありがたいと思っております。

塩川委員 続けて服部参考人にお伺いしますが、冒頭の際にも、飲食店や食料品店のマイナスが大きいということ、マイナス幅が拡大をしているという話がありました。商店街の疲弊というのを思い浮かべるようなお話だったわけですけれども、この「景況リポート」の中でも、和菓子製造販売の業者さんの話で、消費税の総額表示方式を心配されておられる記述がありました。「三〜四月は需要期に入るが、消費税の表示方法の改訂による影響が懸念され、前期比三%減の見通し。」ということが紹介をされておられます。

 私、この総額表示方式ですとかあるいは免税点の引き下げ、さらに簡易課税の縮小という形での事務負担の増大という形で、小規模事業者の方の負担が大変大きくなるということを心配しておる者の一人であります。商店街などで、改正消費税法が実施をされるというのに合わせて、大きな影響があらわれてくるんじゃないか。

 こういう総額表示方式や免税点引き下げ、簡易課税の縮小問題を含めた事務負担の増大という点で、商店街ですとか小規模事業者の方の影響をどのように受けとめておられるのか。その点、お聞きします。

服部参考人 消費税について申し上げます。

 中小企業、零細企業の人たちは、消費税をちょうだいいたしましても、これを払うのにもう使っちゃっているんですよ。国庫金の預かりだという認識がない、大変それは困ったことであります。これは、脱税よりか横領だよと言っても、だから消費税を納めるのに金を貸せ、こういう話すら出てくるんです。今度の、今回のというんでしょうか、消費税を含んで値段を表示するということが一番適していると私は思っております。

 それで、消費税をいわゆる将来不安をなくしていく財源にしてもらうのが一番いいかと思っております。これは、共産党の方と考え方は著しくその辺は違ってくるかと思うけれども、消費税というのは、これからの経済状況においては最大の財源であり、それから一番の公平であり、そういうふうに思っております。そして、年金だとかあるいは老後のいわゆる介護の問題だとか、こういうものに消費税を対応させていく、こういう使い方をしてくれれば、どなたも、一〇〇%皆さんは御賛成をいただけると思っております。

 それには、やはり始めて三月や四月たたなければ、どっちがよかったかというのは出てこないかと思いますので、やってみてそれからの考え方じゃなかろうかな、こう思いますが、私は消費税で将来不安を一掃することと。

 総理は、自分の代では消費税の引き上げはしないと言っていますけれども、これはいささか、それまでに段取りをしておこう、私はこういう解釈をしております。

 終わります。

塩川委員 消費税の問題では立場が違うというのは、はっきりわかりました。

 同時に、経済産業省の調査でも、消費税を転嫁できないという業者の声が過半数に上っている、これが今の景況下での小規模事業者の実態ではないかというふうに率直に思うわけです。

 その上で、私は、服部参考人とそれから水口参考人に、足利銀行の破綻、国有化の問題について率直な感想をお聞きできればと思っております。

 現実、この前「クローズアップ現代」でもちょうど特集番組が報道されておりました。その中でも、資産査定の厳格化ということで、売り上げは伸びているんだけれども二期連続赤字のようなところは、これはもう要管理だとか破綻懸念先に当たるんじゃないか、そんな査定の場面までがテレビに映っていて、栃木の皆さんにしますと戦々恐々と言われるような状況があるんだと思うんです。

 頭取の方は横浜銀行出身の方だそうですから、服部参考人などももしかすると御存じの方かもしれませんけれども、こういう足利銀行破綻、国有化、資産査定の厳格化というのが地域の中小企業にとってどういう影響が出てくるのか、栃木県経済にどういう影響が出てくるのかという点について、服部参考人そして水口参考人にぜひお聞きしたいと思います。

服部参考人 私のところの監査法人は、足利銀行をだめにした中央青山監査法人でありまして、私も戦々恐々としている一人であります。

 五%も自己資本比率が違っちゃったというんですね、検査と。そんなばかな話はないんですよ。これは何か意図的なものがあるんじゃないかとさえ思えることでありますし、説明の仕方が極めてまずかったんじゃなかろうかと思うし、それから、足利市内にありますパチンコメーカーは外国に送金をしているなんというようなこともありまして、そういうことも中には入っているんじゃなかろうかなとさえ思います。

 最近、佐賀銀行が風評リスクで取りつけ騒ぎが一日でも起きた、こういうことでございますから、非常にそれを心配しております。

 ただ、先ほど言いましたように、不良債権、私のところだってわんさとあるんですよ。だけれども、全部処理をしながらやってきているわけであります。不良債権を早期に処理をしろと言う方が、さっき言いましたようにフローとの違いなんですね、これが、ストックとフローの違いがわからないという人が多過ぎるんじゃなかろうかと。

 さっきも言いましたように、車をつくって、そして下請をたたいて、それで間に合わなければいわゆる首を切って、それで残っているところは自分のところの関連会社にしちゃおうと。そして車を売るというんだったら、私だってゴーンと同じように解決できますよ。

 だけれども、そうじゃない。金融機関というのは、もう十年、十五年という約束で、これっぽっちの利ざやで、それでお互いに生きていこう、こういうことでありますから、事業の内容がまるで違うのです。だけれども、今の足利銀行と金融庁の検査というのは、このフローとストック、これを混同しちゃって、あたかも製造業と同じ考え方で足利銀行を査定した結果ではなかろうかな、こんなふうに思っています。

 ただ、中身を見ていませんからわかりませんけれども、ひょっとしたら正確な査定ができていなかったということは当然あるんじゃなかろうかと思っております。

 以上でございます。

水口参考人 お答えいたします。

 現象面から見ますと、足利銀行問題、すぐ私どもの方も、宇都宮支店それから周辺の前橋支店などに相談窓口をつくりました。ところが、相談件数は今までに二百七十五件でございまして、そのうちの大半は、やはり店頭へ来られる方が多いんですけれども、新しく金を貸せというよりも、預金をどこへ移したらいいかという話が非常に多かったということでありまして、これはちょっと窓口、今本部長も向こうまで行って、私も来週行く予定にしておるんですけれども、この三月を過ぎてから本当にまたいろいろな問題が出てくるという話もありますが、ただ、一面では、保証協会さんの枠が非常に大きく働いているという話も聞いております。

 したがいまして、私どもの方は、相談は二百七十五件、それから承諾した、融資したのは三十五件で三十七億円と、世に言われているほど大きくないというのが実態でございます。

 それからあと、かなり私は、これは個人的な感想になります。内部で、組織として議論は、情報はとっておりますが議論はしておりませんから。

 一つは、今の話で、特に金融庁検査とそれから監査法人の監査との問題のちぐはぐだ、これは新聞報道もそうなっておりますけれども、それも私も事実だろうと思います。特に、繰り延べの税金の取り扱いの問題であるとか、ディスカウント・キャッシュフローの問題とかいろいろな問題があったと思いますけれども、ただ、少なくとも、違ったら違ったできちんとしたディスクロージャーと、情報開示と説明責任をするということは絶対に必要ではなかったか、その点においてちょっと欠けたところがあるんじゃないかなという感じはしております。

 それから、私ども経済同友会の関係をしておりましたので、栃木経済同友会の代表を初め仲間が非常に多かったわけですが、ある意味ではリレーションシップバンキングが非常に行き届いていて、会社としてもかなりの金額、多いところは億単位、少ないところでも千万単位の出資をしている、あるいは個人でも出資をしている。私の友人なんか、これで老後の蓄えから一千万円出しちゃったからななんてことを言っておりましたけれども、そういうような状況にありまして、リレーションシップバンキングという問題も、その辺はやはり冷静な判断も必要ではないかという感じはしております。

 それからもう一つは、何しろ地銀さんの雄でございますから、何か栃木県内の融資額の五〇%以上というふうに聞いておりまして、しかも私の見るところでは、あそこでは日産を初めとして大企業の工場は非常にいいわけですね。したがって、県の所得はそんなに落ちていない、というのは大企業が非常にいいわけですから。ところが、この大企業のメーンバンクは恐らくメガバンクで東京にありますので、恐らく給料の振り込みをするとかその程度の話であって、直接的な県内における融資シェアというのは余りなかったんじゃないか。事実、支店も非常に少ないわけですね、メガバンクは。

 そういうような問題がありまして、このシェアの分散というような問題も含めて、これからは非常に大きな、金融の分権化ということと、シェアをどうするか、あるいは他の金融機関との、第二地銀さんあるいは信金、信組あるいは政府系との間の連携をどうしていくかということはこれからの大きな問題であって、その教訓になって、この教訓を生かしていくということが必要ではないかと思っておりますし、幸いにして、先ほど佐賀銀行のお話ございましたけれども、よそに蔓延するという状況は、現在経済状態もよくなっておりますから、これはないというふうな見通しを持っております。

 以上でございます。

塩川委員 切り分けがこれから行われるということで、全体として静かな雰囲気というのは、皆さんかたずをのんで見ているような状況というのが実態ではないかなというふうに思うんです。

 ですから、今後どうなっていくのか、大変懸念する声が強いという点では、政府系金融機関などの果たす役割、信用保証の果たす役割は大きいと思いますので、ぜひ万全な対応方お願いをしたいと思っております。

 村本参考人にお尋ねいたします。

 経済産業の調査室がまとめました「中小企業金融の現状と今後の在り方」という、大変勉強になりました。先生の方でいろいろと取りまとめの方でも御努力されたというふうにお聞きしております。

 そこの中で、「零細事業者が金融排除を受けやすい」と指摘があり、メーンバンクから貸してもらえなかった企業の割合が、三百人以上でしたら二・八%、百から三百人だと五・三%、二十一人から百人だと一〇・二%なのに、二十人以下の場合は一八・二%と大変高くなっているわけです。

 私、こういう零細事業者の方に対する政策的な支援、制度融資や信用補完制度の役割は依然として大変大きなものがあると思うわけですけれども、その点、率直な御意見をいただければと思います。

村本参考人 今御指摘になられましたデータだけではなくて、規模別に、我々中小企業という言葉を使いますときには、大きな固まりが一つあるような印象を持っていますが実はそうではなくて、資本金でも結構ですしあるいは従業員でも結構ですが、小規模のところから順番に並べてみると、恐らくは御指摘のようなことはあらゆることについて出てまいります。したがいまして、金融的な問題でいうと、かなりきめ細かく規模に応じた対応をしなければいけないんだろうと思っているわけです。

 特に小規模事業者の場合には、先ほどの例でいうと、担保の問題もこれあり、あるいは保証人の問題もこれあり、あるいは総トータルの信用力の問題もございますから、なかなか十分な条件を得られないということが実際あるわけですね。ですから、そういうところで民間の金融機関からの支援が得られないという場合には、当然のことですけれども、ある種のセーフティーネットを働かせることが必要である。それは具体的に言えば政策金融の支援だろうというふうにも考えておりますので、その辺はきめ細かく対応していかなければいけないわけですから、結局、ざっくり大きな中小企業という固まりで何かを考えるという発想は我々は持ってはいけないのではないかな、そういう印象でございます。

塩川委員 規模別など、企業の実態に即した対応ということが求められていると思います。その点で、信用保証協会の果たす役割も大変大きい。

 植野参考人にお尋ねしますが、ひところ貸し渋り、貸しはがしと言われた際に、それに加えて保証渋りという声をかなり業者の方からいただいたということがありました。その背景に、保証協会の経営の状況というのがやはり反映をしているんではないか。経営環境が厳しくなって、先ほど御紹介ありましたように、五十二のうち二十三協会が赤字になるような実態というのが、結果として保証渋りと言われるようなことにつながっているんじゃないかということを、私、懸念するものであります。

 冒頭の意見陳述でもお話ありましたように、保証協会の財政基盤の確立に当たって、私、やはり国がより責任を果たすべきだと率直に思っておるんですけれども、その点についてのぜひ御意見をお聞かせください。

植野参考人 保証渋りというお話も、私どもの耳によく届いたことは事実でございます。しかし、特にそういうような、意図的に私ども保証事務をやっているということは決してございませんで、ユーザーの実態をよく調査して、そして適切に事務を処理している、このように私どもは受けとめております。

塩川委員 水口参考人にお聞きいたします。

 四大臣の方で昨年末まとめられた「経済活性化のための産業金融機能強化策」、ここの中で、「中小企業向け政策金融における適切な対応」という中に、「リスクに見合った金利設定の導入」という問題があります。これについては、「中小企業向けの融資については、民間金融機関の機能回復・強化の状況を見つつ政策金融の活用を図りながら、リスクに見合った金利設定の導入など、融資条件を適切に見直す。」ということが触れられています。

 率直に、中小公庫としてもリスクを適切に見直すというのは、実態とすると金利を引き上げる方向の方が多くなるわけですけれども、その点、中小企業の皆さんにとっての負担が大きくなる、そういう現状が起こり得るのかなと思っておるんですが、実際、総裁としてはいかがでしょう。

水口参考人 非常に重要な御指摘でございまして、公庫の、私のアドバイザーを務めていただいている方との懇談でも、やはり、特に市場メカニズムを尊重すると同時に民業補完という立場の接点で、やはり適切な金利設定をすべきではないかという意見はかなりいただいております、今内部で検討しておりますが。

 今現在は、先生御承知のとおり、貸付利率というものは、五年以内、一・六五ということを基本にして、それから特別の金利で、一番特別利率では五年で〇・七五という優遇金利まであるわけでございますが、これはやはり、不良債権集中処理期間という、しかしもう半分済んでしまいましたので、あと一年間で本当にその辺をきちんとして民間の金融機能が生きていくというのと同時に、これは「政策金融改革について」にも出ておりますけれども、やはり資本市場が整備充実するという両方の問題が必要でございますので、それを接点として私どもが今一番考えておりますのは、再三御説明しておりますが、今度法律改正によってできます証券化、無担保化による証券化という問題を一つの切り口として今後具体的にやっていきたいというふうに考えております。

 現実的には、融資先の中小企業の皆さんは、過去に借りた中のやはり高い金利がまだ残っているというのがあるわけですね。ところが、残念ながら、繰り上げ償還とかどんどん返済ができるというところは、これはいいところですね。残っているところは非常に悪いところという、その辺の矛盾を、繰り延べをやるとかいろいろな手当てを講じながらやっていくということに今苦慮しているところでございますから、次の段階としての整然とした形での市場金利への対応ということはぜひこれから検討をして具体化していきたい、こう考えております。

塩川委員 村本参考人にお尋ねいたします。

 この産業金融機能強化策でもまとめられておりますし、この間、議論がずっと重ねられてきました、こういう中小企業金融での新たな担い手をつくり出すという問題についてお聞きしたいと思います。

 村本参考人も、プレーヤーの多様化というふうにお話がありました。こういうファイナンス会社や信託会社で、現在、こういう中小企業金融で実績を上げているようなところは具体的にどういうところがあるのかというのを例示もしていただいて、そういう事業者が今後どういう方向で発展することを参考人としてお考えになっておられるのか、お聞きできればと思います。

村本参考人 具体的な新たなプレーヤーというお尋ねでございますけれども、例えばですが、メーカー系の、昔でいえば国内商社的なところですが、そういうところが自分の系列のところにファイナンスをするというようなことをやっておりますので、こういったところが一つのプレーヤーになるであろう。あるいは、大きな、アメリカでいえばGEキャピタルのような会社が日本にもございますけれども、そういうところがやはり似たようなことを実はやろうとしているというふうな形で、要するに、従来の預金金融機関は預金でお金を集めるわけですけれども、そうではなくて、マーケットから資金調達をして、それを使って場合によっては長期の融資をするというふうなスキームを持つところは、さまざまないわゆるファイナンスカンパニー、ノンバンクであり得るわけでございますから、そういうところを具体的には念頭に置いているということでございます。あわせて、ファクタリングをやっているような会社などもそういうことにプレーヤーとしては実は出てくるんだろうと思います。

 そういうところが、では、どうやったら今後、今の場合ですと自分の系列のメーカーならメーカーの中でしかプレーヤーができないわけですが、これをもうちょっと広げるためにはどうしたらいいかというときに、例えば証券化スキームのプレーヤーとして参加することで、自分のところのものをプレーヤーとして出すことができれば、これはもう一つ出てきます。あるいは、信用保証協会の今は適用になっていないわけですが、そういうところに適用になればプレーヤーとしてまた出ていけるという形ですので、新たなプレーヤーが活動しやすいような環境整備というのが実はそこに必要なんだということでございます。

塩川委員 時間が参りましたので、終わります。きょうは、本当にありがとうございました。

根本委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、来る十七日水曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十九分散会


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