衆議院

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第10号 平成16年4月14日(水曜日)

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平成十六年四月十四日(水曜日)

    午前十時四十六分開議

 出席委員

   委員長 根本  匠君

   理事 今井  宏君 理事 江渡 聡徳君

   理事 櫻田 義孝君 理事 塩谷  立君

   理事 鈴木 康友君 理事 田中 慶秋君

   理事 吉田  治君 理事 井上 義久君

      今村 雅弘君    遠藤 利明君

      小野 晋也君    川崎 二郎君

      小島 敏男君    小杉  隆君

      佐藤 信二君    菅  義偉君

      鈴木 淳司君    竹下  亘君

      西銘恒三郎君    萩生田光一君

      平井 卓也君    藤井 孝男君

      増原 義剛君    松島みどり君

      宮路 和明君    梶原 康弘君

      菊田まきこ君    近藤 洋介君

      神風 英男君    高山 智司君

      樽井 良和君    辻   惠君

      寺田  学君    中津川博郷君

      中山 義活君    計屋 圭宏君

      村井 宗明君    渡辺  周君

      江田 康幸君    河上 覃雄君

      塩川 鉄也君    坂本 哲志君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      坂本 剛二君

   経済産業大臣政務官    江田 康幸君

   経済産業大臣政務官    菅  義偉君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (内閣府国民生活局長)  永谷 安賢君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 長嶺 安政君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       青木 宏道君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局消費経済部長)     小川 秀樹君

   経済産業委員会専門員   鈴木 正直君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十四日

 辞任         補欠選任

  小野 晋也君     鈴木 淳司君

  河野 太郎君     萩生田光一君

  増原 義剛君     竹下  亘君

  高山 智司君     神風 英男君

  村越 祐民君     寺田  学君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     小野 晋也君

  竹下  亘君     増原 義剛君

  萩生田光一君     河野 太郎君

  神風 英男君     高山 智司君

  寺田  学君     村越 祐民君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 商品取引所法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一六号)

 特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一七号)

 不正競争防止法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一八号)


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     ――――◇―――――

根本委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、商品取引所法の一部を改正する法律案、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案並びに不正競争防止法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣府国民生活局長永谷安賢君、経済産業省大臣官房商務流通審議官青木宏道君及び経済産業省商務情報政策局消費経済部長小川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。計屋圭宏君。

計屋委員 民主党の計屋圭宏でございます。

 きょうは、商品取引所法の一部を改正する法律案その他について質問させていただきたいと思います。前回からこの商品先物取引についていろいろと問題を指摘しているわけでございますけれども、きょうはちょっと視点を変えながら質問させていただきたいと思います。

 まず、日本の先物市場の構造というか、この構造と欧米の市場の構造というのが、やはりこれはかなり違っているわけでございまして、まずそこから大臣に御説明いただきたいと思うんです。

中川国務大臣 おはようございます。

 今の御指摘でございますが、商品先物というのは、一つは、需要と供給のいわゆるリスクヘッジ、先物というものによるリスクヘッジという機能を健全に発展させていかなければならない。また、いわゆる投資者あるいは委託者が、投資のリスクを前提にしながらもメリットが享受できるということもあって、それが市場の拡大にもつながっていくということでございます。

 御指摘の欧米と日本との違いというのは、歴史的にも、また現在においても確かにあるんだろうと思います。オランダのチューリップの、これは投資というんでしょうかマーケットというんでしょうか、なんかがヨーロッパではもう何百年も前からあったというふうに聞いておりますし、日本の場合には、江戸時代から米相場なんというのが堂島にあったというのは我々昔から知っていることでございますけれども、日本の場合には日本の事情があって、かなり、一つは、前回も御審議いただいたように、個人の資格の参加者が多い。

 個人というと、どちらかというとアマチュアが多いということで、個人にも、毎回申し上げておりますが、私の地元の、農業生産地としての、農業者がきちっとした、所得リスクを冒さないようにするというような意味もあるとは思いますけれども、いずれにしても、相場のプロではなく、いわゆる当業者の立場として参加をしているわけでありますが、個人としての参加が多いわけでございまして、それがいろいろなひずみ、問題、健全な市場の拡大に影響を及ぼしてきた。前回も、幾つか具体的な例、最近起こった具体的な例の御指摘もあったところでございます。

 他方、アメリカの場合は、私、シカゴの相場というのを昔見に行ったことがございますけれども、いろいろな相場が、シカゴにはたしか二つマーケットがあるわけでありますけれども、そこは何となくプロの世界が、きちっとしたルールに基づいて何かやっているなという印象を持ちました。

 我々は、最近は特に石油の健全な需給のためにも、石油に関する先物市場がどんどん伸びてきているわけでございますし、他方、相場の規模も少なくなっている商品もございますけれども、トータルとして、やはりこの商品先物市場が果たす役割というのは日本においても大きいし、例えば東京工業品取引所のような大きなマーケットもあるわけでございます。必要性はますます大きくなってまいりますので、欧米と丸々同じ基準ということを簡単に言えるかどうかはわかりませんけれども、やはり健全な市場の育成、つまり市場参加者のルールに基づいた、そしてリスクというものを十分認識した形で、トータルとして日本経済に寄与ができるような形での商品先物市場の健全な育成に向かって、いろいろな制度、ルール、意識を含めた整備が喫緊の課題であるということで御審議をいただいているということでございます。

計屋委員 日本と欧米、特にアメリカの市場のメカニズムというのは随分違うわけでございまして、日本の場合ですと、やはりどちらかというと個人をターゲットとして市場が展開されている。アメリカの場合ですと、プロ集団というか、リスクヘッジという形で、当業者というのが参入をして市場が展開されている、こういうことが言えるわけでございます。そこに大きな違いがあって、今度の改正というのは、やはりそういうところを目指して、今までの、個人投資家に、弱い者にしわ寄せが来ていたというところに大きな問題がある、そういうところを改正しようというのがこの改正だろうと思うんです。

 そこで、将来的に日本の先物市場をどういうマーケットとして青写真を描いているのか、経済産業省としてどう考えているのか、その辺をひとつ御説明いただきたいと思います。

中川国務大臣 やはり、ニーズがある商品、先ほど申し上げたように、昔は米相場なんというのがございましたけれども、これが、戦前の、江戸時代から続く米相場がマーケットとしての機能を果たしていたと同時に、一つの社会的な混乱要因にもなったというようなことも戦前の歴史の中にはあったやに理解をしておりますけれども、そういうものはもちろん今はないわけであります。他方、先ほど申し上げましたように、石油なんというのは、日本はもう専ら世界じゅうから石油を確保しなければいけない立場でございますから、そういう意味で、石油。

 また、その他、これからどういうものが出てくるかわかりませんけれども、要するに、相場、マーケットに出して、そこに当事者あるいはまた外部の投資家等が参加して、マーケットとして成り立ち得るのに必要なものがあれば、今後も機動的にそういうものに対応していく必要があると同時に、先ほど申し上げましたように、マーケットのルールあるいは参加者の意識というものをきちっとより確立していかなければならない。これはセットだと思います。

 そういう意味で、例えば、参加するときの、特に素人というか、プロではない皆さん方、個人を中心とした皆様方に対してのきちっとした情報の提供であるとか、あるいはまたマーケットが健全にマーケット機能を果たすであるとか、あるいは決済機能がきちっとした形でなされるとか、そういうものも含めて、マーケットに必要な、そこに上場されるもの等のニーズ、それからマーケットそのものの健全性、トータルでもってこれから商品先物市場というものが発展をしていくということに対して柔軟に対応できるように、経済産業省としても対応していかなければならない。

 もう一つ、今シカゴの例を申し上げましたが、石油を中心にして、中国等々アジアでも似たような市場がどんどんできてきておりまして、特に中国のマーケットは急速な勢いで伸びているという状況でありますから、やはり東京がある意味では一つの金融センターであるという位置づけというものを、これは失ってはならない、競争に負けてはならない。そのためにも、きちっとしたマーケットのルールなりファンダメンタルズを整えてやっていくことが、そういう近隣のマーケットとの競争にも打ちかつ必要があると私は思っておりますので、そういう観点からも、健全性に基づく発展が必要だろうというふうに考えているところでございます。

計屋委員 大臣の日本の商品の先物市場のビジョンというのが、今の大臣の答弁からは何か浮かんでこないんですよね、イメージが。必要なものは取り入れて、近隣に負けないようにやっていこう、そういったような趣旨なんですけれども、もう少し具体的に、やはりきちっと整理して答弁していただきたいというふうに思うんです。

 それはそれとして、私のところにも、商品の先物取引で電話の勧誘がしょっちゅうあるわけですよ。私の会社の方にも、もう毎日何件もありますし、また自宅の方にもあるわけです。それで、私の友達も、セールスの電話の勧誘を受けた。もうしつこく何度も受けた。それで、たまたま忙しいときで、アポイントをとる羽目になった。元本は必ず返す、必ずもうかるよ、そういったような手法で勧誘、セールスマンが来るわけですね。そして、そういったのに押されて、会社の運転資金一千万円を投資した。

 それで、そのときにリスクの説明がなかったというんですね。それから、当初は少しの利幅があった。ところが、会社の運転資金が底をついてきて、もう危ないということを感じるようになった。そこで、商品取引員は次々と商品を売買し、手数料がかさみ始めた。五百万円がマイナスになった。それで、挽回できるからと口車にまた乗せられて、さらに預託金を百五十三万円ほど預けた。それによって、今度は不安になって、弁護士に相談した。そして、その結果、損害額が二千二百十九万円となった。うち手数料として千八百五十五万円の請求をされた。

 これまで、何と十六カ月の間でこれだけのリスクを背負う羽目になったというわけですね。ですから、問題として、やはり私は、日本の現状というのが、電話あるいは訪問勧誘、こういうところに大きな問題があると思うんですよ。

 そして、やはり不招請勧誘禁止というものが今回の改正案には出ていないわけです。ですから、これはなぜ入れなかったのか。あるいはまた、こういうものをやはりしっかりと禁止していかないと、こういったようなたぐいのことはあるわけです。今回の法律の改正案を見ましても、これは再度そういうことはできないと出ているわけですけれども、ただしかし、これは人を変え、あるいはまた会社を変えて、こういったふうなことが行われている。これだけではざる法なんですよ。ですから、これについてどういうふうに考えるのか、ひとつお聞かせいただきたいと思うんです。

青木政府参考人 ただいま計屋委員の方から、個人の投資家につきまして、強引な勧誘により、商品先物取引の仕組みあるいはリスク、こういったものをよく理解しないままに取引に参加をしてしまう、こういうケースについての御指摘がございました。まことに、大変残念なケースだと私どもも思っております。

 まず、そもそも不招請勧誘について、顧客が望まない電話訪問を一切禁止するという意味での不招請勧誘につきましては、これは前回も御議論ございましたが、やはり、なかなか営業の自由といったような大変大きな問題とも関連いたしますし、また、商品先物を含め、他の商品などとの全般の関係も含めて、幅広く議論をする必要があるのではないかというふうに考えております。

 私ども、今回の改正案におきましては、先ほど委員がおっしゃいましたような、真に主体的な判断ができない個人、こういう者が安易に参加をしているといったような状況をやはり基本的に正す必要があるだろうということでございまして、いわば入り口段階の勧誘規制を大幅に強化したところでございます。

 まず初めに、不当な勧誘行為の禁止でございますけれども、私どもの改正案におきましても、もともと、勧誘に先立って商品先物の勧誘であるということをきちんと告げるということ、それから、一度断った顧客に対する再度の勧誘を禁止するという意味での再勧誘の禁止、あるいは、深夜、早朝等々に及ぶ迷惑を覚えさせるような方法での迷惑勧誘の禁止といったようなものをまず禁止してございます。

 それから第二点目でございますが、いわゆる適合性原則、顧客の知識、経験、財産に照らして、いわば不適当な勧誘を行ってはならないという原則がございます。今回、これを法律上の義務といたしました。

 三点目がいわゆる説明義務でございます。商品先物、大変ハイリスクでございます。したがいまして、従来は書面交付で足りておりましたけれども、これに加えて、顧客に対するしっかりとした説明を義務づける。仮に、それに違反した場合には、顧客の損害を無過失で賠償するという無過失の損害賠償責任を課すこととした次第でございます。

 なお、これらにつきましては、規制の実効性をしっかりと確保するために、運用ガイドラインというものを、今後、本法案を成立させていただけるならば、作成、公表を検討してまいりたいと思っております。

 また、あわせて、罰則でございますけれども、今回の適合性原則それから説明義務を法定化したことに伴いまして、従来の業務改善命令に加えまして、六月以内の業務停止、最悪の場合には許可の取り消しということもできるようになっております。

 それから二つ目の業務改善命令でございますが、従来限定列挙でございましたけれども、今回は委託者の保護のために必要な場合ということで、大変広範なケースについて業務改善命令が出せることとしております。また、その罰則につきましても、現行法ではわずか五十万円の科料でございますけれども、今回の改正案では、一年以下の懲役あるいは三百万円の罰金、法人の場合には二億円の法人重課ということで、大幅に罰則の強化をしております。

 私どもといたしましては、こうした運用ガイドライン及び法の厳正な執行に今後しっかりと取り組んでいきたいと思っております。

計屋委員 ただいま電話の勧誘あるいは訪問それから説明義務、適合性原則ということで説明があったわけでございます。ただ、説明義務を怠れば損害賠償ということになって、認めているわけですけれども、取り消しの規定というのが、これは半年取り消しするということなんですか。これは取り消しの規定が出ていないんじゃないですかね。そこの、取り消しまできちっとうたってもらいたいというふうに思うわけですね。

小川政府参考人 御説明申し上げます。

 説明義務につきましてでございますけれども、今審議官からお答え申し上げましたとおり、これに違反した場合、無過失の損害賠償責任ということで、民事上の重い責任を負うことになるわけでございますけれども、あわせて、これに違反した場合には、行政規制の面でも六カ月以内の業務停止命令あるいは許可の取り消しが可能となるということでございます。

計屋委員 これはそこまで、取り消しまで持っていかないと、ざる法となって、なかなか機能していかないというふうに思います。これに業務停止あるいはまた取り消しまで認めていくということは一歩前進したことだ、こういうふうに思います。

 それで、適合性違反の件でございますけれども、これは損害賠償あるいは取り消しを認めていないわけでございますけれども、これはどうしてそこに認めないのか、その辺を説明いただきたいと思います。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 適合性原則につきましても、やはり違反がありました場合には行政規制違反ということでございまして、従来から業務改善命令ということはあり得たわけですけれども、加えて、六カ月以内の業務停止命令あるいは許可の取り消しといった厳しい行政処分が課し得るという規定になっております。

計屋委員 個人投資というかあるいは個人委託者というか、こういったような保護という観点から、やはりそういう規制というものをしっかりとしてもらいたい、こういうふうに考える次第でございます。

 次に質問を移らせていただきますけれども、これから問題になるのは、やはり既存の、今までの、例えば日本の取引所の従来からの清算制度というものがあって、そういうところに問題があった。つまり、取引員が、そこに預託して、そしてそこにすべて任せてやるという制度に問題があったわけです。ですから、これを今度大きく改善して、商品取引清算機関というものを別に設けてやる、そういったような制度を設けていこうとしているわけでございますけれども、ただそれは、従来の清算制度というものを廃止するんじゃなくて、なおかつ継続していくわけですね。

 そうすると、平成二年も改正をして、その結果、やはり従来の形の手法というものがまかり通って、無知な人、弱い人あるいは個人経営者というところが犠牲になって、問題が出てきているわけです。

 ですから、そういったことを廃止してそういう弱いところにしわ寄せが来ないように、そういう部分というのが一部あるわけでございますから、そこをしっかりと担保していかなきゃいけない。

 そういう中で、新しい制度というものを取り入れても旧態依然としたものが残っていくということは、やはり以前と変わらないだろうというふうに思うわけです。ですから、その辺はどうなのか。今度の制度を設けてそういう被害が少なくなるのかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。

青木政府参考人 先ほど大臣の方からも、いわばプロ、例えば機関投資家、こういった方々に内外から御参加をいただきたい、こういうことを申し上げたところでございます。

 そのためには、何よりも信頼性の高い市場をつくっていくということが大変重要でございます。その方策として、計屋議員がおっしゃいますように、清算機関というのも大変重要な制度でございます。

 御案内のとおり、清算機関、クリアリング制度でございますけれども、いわゆる従来の決済方式と違いまして、買い方にとって……(計屋委員「だから、そういうことは聞いていないから。そういうことは聞いていないよ」と呼ぶ)はい。大変重要だろうと思っております。それで……(計屋委員「そういったのはおかしいんじゃないの、質問にちゃんと答えなさいよ」と呼ぶ)はい。

 現在、実は東京工業品取引所について導入が進んでおりまして、昨年の六月から導入をいたしたところでございます。これを機会に、実は欧州の機関投資家が会員として参加をしたといったようなことがございます。

 今回の私どもの御提案は、さらにクリアリングハウスを取引所の外に置くことによっていろいろな取引所の清算を一括して行えるといったようなことも可能としようということでございます。現に、証券の現物につきましては、現在五つの取引所がございますけれども、昨年の一月から一カ所で、そうしたより確実な方法での清算というのがなされているところでございます。

 私ども商品取引所の場合には七つございますけれども、独立の清算機関で一括して行うということは極めて効率的なまた安全な方法であろうと私は思っております。現在、七取引所の連合体であります社団法人全国商品取引所連合会、ここを中心に、取引の決済問題に関する諸問題に取り組んでおります。今回の法改正を踏まえて、統一的な独立の清算機関の設立の可能性についても具体的な検討が行われるよう、私どもとしても指導してまいりたいと思っております。

計屋委員 質問の趣旨に沿った答弁をしていただきたいと、強くお願いしたいと思うんですよね。

 私が今質問したのは、今、新しい制度、一部改正して、そしてこれまで起きてきた被害が減るのかということを私は質問したのであって、クリアリングハウスの件を質問したわけじゃないんですよね。ですから、その辺、もう一回御答弁いただきたいと思うんですよね。

青木政府参考人 大変失礼いたしました。

 委託者の資産の問題につきましては、これはまた別途措置をとってございます。今回、手数料の自由化を本年末に迎えまして、商品取引員の競争環境というのも大変厳しくなってくることが予想されるわけでございます。

 そうした中で、万一にも、仮に商品取引員の破綻があったとしても、お客様が預けた証拠金、こういったものが確実に保全されるよう、今回、委託者資産の抜本的強化を図っているところでございます。

 主たる内容は三点ございます。

 従来は、委託者が預けました担保金の一部についてのみ商品取引所に預託をしておりましたが、今回の改正案では、委託者がその全額を直接商品取引所に預託をする。したがって、万一何かあったとしてもこれが安全に戻ってくるというのが一つでございます。

 それから、証拠金以外の委託者資産につきましても分離保管の義務を強化いたしまして、例えば銀行預託といったような、場合によっては事業者の借入債権、借入債務との相殺がなされるおそれがあるといったような方法は、今回廃止をしております。また、分離保管につきましても、これを法律上の義務といたしまして、刑罰を科すこととしております。

 三点目でございますが、以上によって基本的には委託者資産の保全が図られると思いますけれども、万々一に備えまして、委託者資産の補償を行う委託者保護基金の制度、こういったものの創設も今回御提案しているところでございます。

計屋委員 そういったふうな対策をとって、商品先物取引というものを円滑にしていこうというのは、趣旨はわかるわけですけれども、今私が追及しているのは、あるいはまた私が懸念をしているところは、やはり従来の日本の清算制度というものが存在する。ですから、平成二年のときも同じように改正したんですけれども、やはり従来の方式でやってきている。今回も、今いろいろと対策をとったんですけれども、例えば電話の勧誘の問題、あるいは訪問勧誘の問題だとか、あるいはさらには今言った預託金の問題においても、こういったふうにして商品取引所に直接預託する、そういったような制度をとった、これは評価する部分なんです。

 ただしかし、旧態依然とした、そういったような個人委託者のこういうところは改善されていかないんじゃないかということを、私は今ここを懸念して、そういうところをもっときちっとやっていくには、この旧来のやり方というものをそのまま温存させて新しいものだけ取り入れていくということが大きな、これは前進ということじゃなくて、そこにやはりいろいろな事件が起きる、あるいは問題点がそこにやはりあるんだということを私は考えているわけです。

 ですから、その辺を、本当に今改正したもので今までの被害というものがなくなっていくんでしょうかということを質問させていただいているわけでございます。どうなんでしょうか。

青木政府参考人 幾つかに分けてお答えしたいと思います。

 まず、被害というときに、一つは、万一、商品取引員に事故があった場合にも委託者資産がきちんと返ってくるという意味での被害でございます。これにつきましては、先ほど来御答弁を申し上げているとおり、今回、商品取引員がみずから預かるという制度をできるだけ制約いたしまして、委託者が直接自己の名前で預託をするといったような直接預託制度の導入ですとか、あるいは、仮に商品取引員が一部預かる場合においても、それを例えば信託等々、安全確実な方法で行うといったような手段に変えているところでございます。

 また、これを担保する措置といたしましても、従来、分離保管につきましては法律上の義務ではございませんでしたが、これを法律上の義務といたしまして、その担保措置として刑罰を導入したところでございます。

 また、二点目の清算機関というお話も少し出ておりますけれども、これは主として商品取引員と商品取引員の間の清算問題でございます。仮に、損方の一部の商品取引員が債務不履行を起こしたという場合に、相手の益方の方にそのリスクが遮断をされないで伝播してしまう、こういったリスクがございます。これを、今回清算機関を設立することによって遮断いたしたいと思っております。

 それから、そもそも個人投資家の点につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、入り口段階の勧誘規制というものを、三点において大幅に規制強化をしております。もう繰り返しませんけれども、一つは、説明義務、適合性原則、それから不当勧誘の禁止といったようなものでございます。それにつきましてもそれぞれ行政処分の基準というものを大変大幅に強化をしておりまして、私どもは今後、運用ガイドラインの策定、公表並びに法の厳正な執行、こういうところに万全を期してまいりたいと思っております。

計屋委員 確かに、こういったふうにして、商品先物取引が改正することによって前進するという方向で、つまり、今までの弱い者を食い物にするような、個人投資家というもの、個人の委託者というもの、あるいは無知な人をこういったのに勧誘するということの歯どめという形になっていくんでしょうけれども、まだそれが継続しているというところに、個人の無知な人を勧誘するということを、徹底的に、完全にこれをやらないようなそういう制度にもっと改善しなければならないと思うんです。

 それで、どっちにしましても、こういったふうな、先ほどお話がありましたようにクリアリングハウスというものをつくって、そちらの方で清算していこうということでございますから、その辺について、このメリットというものを少し掘り下げてお聞きしたいと思うんですけれども、よろしくお願いします。

青木政府参考人 お答え申し上げます。

 従来の決済制度でございますと、一言で言いますと、いわば買い方の集団と売り方の集団が、集団対集団の関係で相対峙をいたしてございます。したがいまして、どちらか、損方のある会員が何らかの事情で債務不履行を起こす、デフォルトを起こすといった場合には、益方の会員全員でその損害をかぶるということがございます。そこからさらに他の市場に波及をしていく、こういうおそれもございます。

 これにかえて、クリアリングハウスでございますけれども、クリアリングハウスの導入をいたしますと、買い方にとってもあるいは売り方にとっても、債権債務の相手方は常にクリアリングハウスひとりということになります、大変明確でございます。万一、会員の債務不履行が生じたとしても、クリアリングハウスの取引の相手方であります益方の会員にクリアリングハウスみずからが益金を支払うということで、いわゆる損害の波及を遮断するという制度でございまして、市場における商品取引の安全性の向上を図る上で、大変重要な役割を果たすものでございます。

計屋委員 確かに、新しい方向に進むという意味においては、こういったふうなクリアリングハウスという清算機関を別に設けるということは、大変大切なことだと思います。

 ただ、今後、日本の目指す市場というのが、リスクヘッジという、ユーザーというのが今回の法改正において直接参入できるということになって、日本の市場も個人投資家を中心として展開してきているところが、やはりここを改正しながら、社会のニーズ、あるいはまたそういう先物商品の必要性ということにおいて、世界的な動きの中で、日本も市場のマーケットを変えていこうというのがねらいであると思うんです。

 そこで、やはりリスクヘッジという、こういったふうな市場ですね、もっとユーザーが参画できるような市場になっていくのかどうか。今後の見通しについて、ちょっと説明をいただきたいと思うんです。

青木政府参考人 平成十一年あるいは十二年から上場が始まっております石油製品の関係では、既にいわゆるリスクヘッジャーであります当業者という方の割合が徐々にふえつつあるところでございます。

 私ども、今回の法律の改正案におきましては、実は当業者の定義というものを少し広げております。いわゆる当業者と申しますのは、商品取引所に上場されます商品の生産、販売あるいは加工、こういったものを業として行う業者でございまして、当然のことながら、商品についての価格変動リスクをヘッジするニーズがあるという者として位置づけられているわけでございます。

 今回、当業者の生産、販売、加工といったような定義に加えて、「使用」、つまり使うという言葉をつけ加えさせていただきました。これは、例えば石油製品で申し上げますと、燃料として石油を使います電力会社、こういったものは当然のことながらリスクヘッジがあるわけでございます。残念ながら、現在の生産、販売、加工という範疇ではこれが読めないということもございまして、使用するユーザーというものもこういうところに追加をし、ヘッジニーズがある業者が広く参加ができるといったような措置も今回講じたところでございます。

計屋委員 時間がなくなってきたわけでございますけれども、ただしかし、今回の法改正によって、日本のマーケットが本当に生き生きとして、世界の国からも日本のマーケットを活用して、これがどんどん活性化できるようにひとつ努力してもらいたいと思うんです。このリスクヘッジという機能は極めて重要であり、現在のような前近代的な取引慣行を脱して、やはり欧米型の商品市場をつくっていかなきゃならない、こういうふうに思っているわけでございますけれども、ひとつそういったふうになっていくようにぜひ御努力をしていただきたいと要望して、質問を終わらせていただきます。

根本委員長 次に、樽井良和君。

樽井委員 民主党の樽井良和です。

 きょうは、特定商取引法、そして商品取引所法の改正案について主に質問させていただきます。

 実は、これは双方ともに他人事ではなくて、非常に身近な問題だと思っております。駅に立って演説している間にも、あからさまに、ちょっとイカサマくさいキャッチセールスのアンケート取りをしていたり、あるいは、突然私のところにも女の子から電話がかかってきて、何か当たりましたというような、そんな話があったり、先ほどの計屋議員と同じように、会社の方には、こういった先物取引やりませんかという勧誘の電話が、まるで同窓生のような口ぶりでどんどんかかってきたりするというのが今の現状であります。

 そんな中で、だます側の販売員、例えばアルバイトであるとかアポインターであるとか、こういった方々に改正された法律案というのがやはりちゃんと行き届くのかどうか。それで、改正案がかしゃっと出て、これが通りましても、悪のイタチごっこで、さらに網の目をくぐったような悪徳商法が次から次へとあらわれてくるということが十分予想されるわけでありますが、そういった悪徳業者に対して、今後減少させるだけの力がこの法律改正には十分あるのだとお考えでしょうか。

青木政府参考人 ただいま樽井委員の方から、キャッチセールスあるいはアポイントメントセールス、こういうことについての規制強化の結果、そうはいってもなかなか、末端の販売員などがよく知らない、あるいはわざと知らないふりをしてやってしまうんじゃないか、こういうお尋ねがあったと思います。

 今回の特定商取引法の改正案でございますけれども、御案内のとおり、先ほどのキャッチセールスあるいはアポイントメントセールスといった、販売目的を隠して消費者に接近をする、その上で、虚偽、誇大の広告を説明して、契約に至らしてしまう、こういう悪質商法がこのところ大変に急増しているところでございます。

 私ども、そういう実態も踏まえまして、今回、いわゆる行政規制の強化と民事ルールの整備という二本柱で整備をさせていただいたところでございます。

 本法案が成立すれば、私ども、当然、消費者はもとよりでございますけれども、各事業者団体に対しても、さまざまな場を活用して、この新しい制度といったものの普及啓発を強力に進めてまいりたいと思っております。したがいまして、万々一にも改正案を知らないといったような違法行為が仮にあったとしても、これは当然、この悪質な事業者あるいはその販売員に対しましては、私ども、都道府県がいわゆる執行のパートナーでございまして、行政刑罰の適用につきましては警察当局でございますけれども、そうしたところと連携をしながら、行政規制の徹底を図るということをきちんとやっていきたいと思っております。

 それから、二点目でございますけれども、今回、私ども、民事ルールの充実というのも大変大きな柱でございまして、いわゆる虚偽の説明ですとか、重要事項をわざと言わないといったような説明、その結果、消費者が誤認をして、意に反した契約をしてしまったという場合には、これを取り消すことができるといった思い切った手段をとっております。したがいまして、その販売員が知っていようが知っていまいが、虚偽の説明あるいは重要事項をわざと言わないといったことになりますと、当然これは取り消しの対象になります。

 そうしますと、こういうルールは、実際に、残念ながら被害があった消費者の救済ももちろん容易になりますし、また、そもそも悪質商法がビジネスとしてなかなか成り立たなくなっていく。当然、上の事業者の方も、末端の販売員まで含めてきちんと管理をしていかなきゃならない、そういったような効果も出るのではないかというふうに思っております。

樽井委員 知らなかったということで、あるいはアルバイトがやったことですと言って逃れる、そういうことも多発しますし、そういった面においても周知徹底の方をまた強くよろしくお願いします。

 それとともに、現段階ですら、これは網の目をくぐっているんじゃないかというような事件が多発をしております。例えば、最近被害で多いのが催眠商法というやつなんですけれども、これは、例えば、老人に言葉巧みに、かわいい女の子であるとか、あるいはまるで氷川きよしみたいなああいう男の子がどんどんと寄っていくんだと、そして、だんだんと言い寄って心に入り込んでいって、物を売るんだ。しかも、それが、例えば即日販売であるとかあるいは短期間で販売するものじゃなくて、相手もちょっとの間だまされたことに気づかないというような、そんな催眠商法というようなやつなんですけれども、そういうやつが結構地元では被害が出ているんですね。そういうことに対して、今回の改正で規制できるのかどうか、まずお伺いいたします。

坂本副大臣 先生ただいま申し上げたように、事業者が、高額の商品を買わせるという販売目的を隠して、そして、無料の講演会の名目とか景品提供などによって、高齢者等を特設の会場に誘い出して、会場の雰囲気がいよいよ高まったところで、高額商品をうそ、誇大説明で購入させるという悪質商法であります。

 これは、従来から、訪問販売の一種として、特定商取引法の規制の適用を受け、虚偽説明の禁止等の規制がなされておりましたけれども、販売目的を隠して、特設の会場等に消費者を誘い込んで勧誘を行うこと自体は禁止されていなかったんですね。

 今回の法改正では、次のような制度の整備を行うことにしております。

 まず、勧誘目的を告げずに、消費者を公衆の出入りしない場所に誘い込んで勧誘する行為を、罰則をもって禁止いたしております。これは、罰則は六カ月以下の懲役または百万円以下の罰金。これによって、無料の景品提供等で特設会場へ誘い込むような行為が取り締まりの対象になってくるわけでございます。その虚偽の説明によって、誤認して契約した消費者が契約を取り消し得ることとなっておるわけですね。これは、消費者が高額契約を取り消して代金返還を求める道ができるということになるわけでございます。

 このような新制度を厳正、的確に運用することにより、催眠商法等の悪質訪問販売によるトラブルの防止の実効を上げるべく、警察等関係機関とも協力して努力したいと考えております。

樽井委員 ありがとうございます。

 その厳正で的確な対応というのをぜひとっていただいて、被害の声が多い、そういった場合には対処していただくように強く要請したいと思います。

 そして、そういった業界団体にちょっと入っているようなことだけで、そういった悪徳商法の団体が、まるで公の機関が自分たちを認定しているようなことを告げる。例えば、経済産業省から強い要請を受けまして私たちはこれをしていますとか、そういうふうなことをそういう講習会とかでは言うわけです。あるいは、大手の、例えばテレビCMであるとか、あるいは物すごく信憑性の高いメジャーな新聞とかに広告を載せていることというのは、たくさんあるんです。

 そういった非常に違法性が高い会社が、そういった信憑性の高い新聞でありますとかあるいはテレビ番組のスポンサーになってCMを流す、こういったことに対して、違法性がちょっと疑わしい企業に対するそういった対応というのはどういうふうになっておりますでしょうか。

江田大臣政務官 先生御指摘の、例えばやせ薬とかやせますよとか、そういうような誇大な広告で、それで消費者に高額商品を売る、こういう悪質商法、こういうトラブルが非常に顕著になっております。

 このような悪質商法に対しましては、現状では、専ら行政庁側が誇大さの裏づけを証明する必要があるというふうに現行ではなっておりますので、迅速な法執行が非常に困難となっておりまして、その間に消費者の被害が拡大するということになってまいります。

 ですから、今回の法改正案では、商品の効能、効果等について誇大な広告をしている疑いがあると認められる事業者に対しましては、合理的な効能、効果の根拠資料を提出せよということで、もし提出されない場合には、誇大であるとみなして、行政処分を行うということができるようになってまいります。これによりまして、誇大な広告をしている悪質な事業者に対する取り締まりが一層迅速、的確に行われることになると考えております。

樽井委員 ぜひそういった部分に対してはスピーディーな対応をとっていただかないと、その分、おくれた分だけ被害者がどんどんとふえてくる状況になってしまいますので、疑わしいときはぱっとそういう処理を行政上もしていただくということをぜひお約束をしていただきたいと思います。

 そして、消費者から、要するに苦情の情報なんですが、例えば、消費者トラブル、この実態なんですが、PIO―NET、全国消費生活情報ネットワークシステムに寄せられた苦情件数、それと、そのネット上に入っている情報の有効性、そして、その情報をもとに、一体これはどういう対処をしているのかというその仕組みをちょっと教えていただきたいんです。

青木政府参考人 今お尋ねの国民生活センターが運用いたしておりますいわゆるPIO―NETに登録されます全国の苦情相談件数でございますけれども、ちなみに、平成十四年度は、全体で八十七万件ございました。うち、私どものいわゆる特定商取引法で対処いたしております分野が約五十七万件でございまして、全体の約六割を占めている、あるいは六割以上を占めているという状況でございます。

 こういう言い方をいたしますと語弊があるかと思いますけれども、PIO―NETといいますのは、私ども、消費者対策を企画立案し、執行するという立場にある者にとって、いわば宝の山でございます。

 国民生活センターにつきましては、情報提供について日ごろから大変御協力をいただいております。私ども、大変感謝しております。今回の改正案の検討についても、非常に分析した資料を提供していただきまして、大いに参考とさせていただいた次第でございます。

 ちなみに、ごく最近の動向を見ますと、まず、年齢別で申し上げますと、特にこの十年間でございますけれども、六十歳以上、この方を高齢というのかどうかは別としまして、六十歳以上の方々の苦情相談の占める割合が、十年間で一二%から一九%に急激に上がっているということが一つございます。それから、二十歳代以下のいわゆる若年層でございますけれども、この苦情相談が全体のまだ三割という、引き続き大変大きな割合を占めているというのが、まず、年齢別の大きな特色ではないかと思っております。

 それから、各種の取引に共通して見られるいわゆる手口で申し上げますと、やはり先ほども申し上げましたように、虚偽の説明、それから重要な事項をわざと言わない、こういったような不当勧誘がございますし、それから、先ほど江田大臣政務官からも御説明しました、商品の効能、効果につきまして虚偽あるいは誇大な広告、勧誘といったようなものが目立ってございます。

 それから、行為類型といいますか、商法で申し上げますと、いわゆる点検商法といいまして、水道局の方から参りましたといって、いわゆる販売目的を隠して、虚偽の説明によって高額のものを売りつける。あるいは、大学生を中心としたマルチ商法、これも大変関東を中心として急増してございます。

 こうしたPIO―NETからいただきました各種の情報をしっかりと分析いたしまして、今回の法改正におきまして、行政規制の強化、それから民事ルールの整備というのを御提案しているところでございます。

 それからもう一点、法執行でございますけれども、これも常々国民生活センターの方から情報提供をいただいております。

 ちなみに、日々の情報提供以外には、私ども、国民生活センター、それから所管をいたしております内閣府、それから警察庁及び経済産業省の四者間で定期的に連絡会を持っておりまして、今後とも、こうした情報を踏まえて、都道府県あるいは警察、関係機関とも密接に連携をしながら、法執行にも誤りなきを期してまいりたいと思っております。

樽井委員 ありがとうございます。今後とも、情報の分析とそれに対する対応、消費者から寄せられた意見というのが一番わかりやすい身近なデータであり、信憑性が高いと思いますので、ぜひその辺の対応をよろしくお願いいたします。

 それで、国民生活センターの方に苦情が寄せられているのは、例えば平成十一年に三千四百九件、これが平成十四年には七千六百二十四件。それで、主務官庁の方、これは例えば経済産業省ですと、平成十一年二百九十三に対して、十四年は四百二十二件。大体どのデータで見ても、あるいはいろいろなホームページとかでデータを見ても、全部苦情の件数というのは上がっているんですが、日本商品先物取引協会への苦情の件数、これが平成十一年には五百三件であったんですが、十四年度に三百四十九件、ちょっと減少してきているんですね。このことについて、ちょっと不可解に思う。それと同時に、一日一件しか苦情処理をしなくて済むんだというような、こういったことについてもちょっと不自然だと思うんですけれども、その点についてお聞かせ願いたい。

青木政府参考人 いわゆる日本商品先物取引協会、略して日商協と言っておりますけれども、委員御指摘のとおり、苦情件数につきましては、先ほど仰せられた数字でございます。

 ただ、この日商協に寄せられた苦情件数といいますのは、いわゆる苦情相談全体の件数のうち、特に日商協がやはりこれはもう直接商品取引員に対応を求めなきゃいけないといったようなものの、結果的に処理をした数と聞いておりまして、そういう意味で、少し数が減少しているようでございます。

 ただ、いわゆる最近経営破綻をいたしました特定の一、二の商品取引員、これに関します苦情をこれから除きますと、むしろやはり増加傾向でございますし、それから、全体のいわゆる苦情相談件数も、例えば平成十一年度七千件強が十五年度で八千件を上回っておりまして、私ども、残念ながら、決して減少傾向にあるといったような認識はいたしてございません。

樽井委員 その日商協なんですが、事務局長兼総務部長、理事、専務理事、これはすべて経済産業省のOBの天下りで起こっております。さらに、その取引員、破綻した場合に顧客に対して補償する商品取引受託債務補償基金協会、これも副理事長あるいは理事、こういった方が、当然また経済産業省の方からもOBとして天下られている。これが、実は日商協に関しても天下り団体で、何か業界の自主団体とは非常に言いにくい部分があるんじゃないかという疑念をちょっと持つわけであります。

 フジフューチャーズあるいは東京ゼネラル、せんだって同僚の近藤議員の質問にもあったアイコムのような、こういった事件とか、あるいは破綻を引き起こしているのは、経済産業省の監督のもとに発生したといってもちょっと過言じゃない。この改正案を通すのであれば、監督ができなければ全くその意味がないので、まず業界、自主団体としていろいろな再建が必要なんじゃないのかと思うんですが、その辺の所見をお伺いします。

坂本副大臣 そもそも日商協は、商品取引員の業務の適正を確保し、委託者の保護を図るために、その業務運営については主務大臣の監督にかからしめているところであります。

 その主務大臣の監督権限は、設立の認可、制裁、紛争処理、報告徴収、立入検査、業務改善命令、監督上の処分、処分には業務停止命令、許可の取り消し、役員解任命令、定款の変更とかいろいろあるわけでございますが、主務省としては、その法律に基づく監督権限を厳正に行使していくことが行政に求められる責任であると認識をいたしておるわけでございます。

 お尋ねの日商協の役員に経済産業省出身者が、これは常勤で一名、それから非常勤で一名在籍しておるわけでございます。それによって厳正かつ適正な行政が損なわれるのではないかと御懸念をなさっておるわけでございますが、経済産業省といたしましては、監督対象組織の役員に当省出身者が在籍するか否かを問わず、行政組織として行政への信頼を危うくするような事態を招くことは決してあってはならない、そんなことはない、こういう考えでおります。引き続き、厳正かつ適切な行政運営に努めてまいります。

樽井委員 小泉内閣、小泉さんは、事務局長の天下りを全廃しよう、そして半分にしていこうというような、そういうことも語っておりました。その内閣の一員として、今後またそういったところに天下りして管理していくのかどうか、これを廃止するのかどうかということに関して、ちょっと大臣にお伺いいたします。

中川国務大臣 委員御指摘のように、小泉総理は、いわゆる一般的な天下りというものについて今までと違う考え方を示され、我々にも指示が下っております。例えば特殊法人のトップについて次官クラスを半分以下にせよとか、いろいろ御指示をいただいておるところでありますし、私も、経済産業省において、できるだけ総理の趣旨に沿った形でやっていきたいと思っております。

 ただ、天下りなるものをどんどんなくせばいいということではなくて、適材適所の人材、やはり有能な人材、例えば中小公庫の総裁は民間人の方がなって、非常に頑張ってやっていただいておるわけでもございますし、また他方、行政の経験者だった方も、そういうことで頑張って能力を発揮されて、きちっと、政府系、行政ではない立場でその機関のために頑張っている方もおりますので、適材適所ということと、それから、象徴的な意味としての一つのガイドラインを総理から指示をされているところでございます。

 ちなみに、この取引所につきましては、特別認可法人ということで、直接的な天下りの趣旨には該当しないと私は理解はしておりますけれども、今言った総理の原則というものを参考にしながら、今後取り組んでいきたいというふうに考えております。

樽井委員 有能で適材適所な存在、本当にそうであれば、天下りであろうがきちんと対処できているなら、余り、大して問題にはならないと思うんですが、例えば「やってはいけない!商品先物取引」、こういったホームページがあるんです、まあ御存じかどうかわからないですけれども。この中で、要するに、日商協のあっせん現場を録音しているというものが、最近、ホームページとかで公開されるわけであります。

 これが本当ならば、それを聞きますと、内容的には、日商協のあっせん委員の態度あるいは威圧的で横柄な対応というもの、これが、とても中立的な立場でやっているような対応になっていない。何か、一般の委託者のためではなくて、どう考えても業界サイドの側に立った対応をしている、そういった対応が見てとれるんですが、こういったことに対して何か調査とかしているんでしょうか。

青木政府参考人 お尋ねの件については、私も承知しております。

 実は、日商協のあっせん・調停制度でございますけれども、現在四十名の方が委員として委嘱をされておりまして、ほとんどの方が実は弁護士さんでございます。この制度、ある意味で、トラブルが起こった、事後策ではございますけれども、大変有効に活用されております。

 一つは、まず、無償で行われるということでございます。やはり、事業者と違いまして、個人になりますと、なかなか、裁判費用とか弁護士さん費用を賄うというのもこれまた大変でございます。これがまず一点でございます。

 それからもう一つ、次の二つの点において、実は、金銭的以外にも大変有利な、いわゆる片務的な制度になっております。

 一つは、まず、委託者が紛争の仲介をしてほしいということを日商協に申し出た場合には、商品取引員は、嫌だ、私は裁判でやるんだといったようなことは、実は許されておりません。どうしても、裁判に行きますと時間的、経済的にお金が大変でございますので、個人がここできちんと解決したいんだと言えば、それを企業の方はのむ必要があるというのが一点目でございます。

 それから二点目でございますが、調停案、これは大体三人から五人の弁護士さんが中心となってつくるわけでございますけれども、それで、個人が、私はこれで結構ですと言えば、仮に企業、商品取引員の方は、これが不満であってもこれを受諾しなければならないという意味におきまして、大変私は有益な制度ではないかというふうに思っております。

 今、たまたまインターネットのあれが出ました。これは、実は、日商協もちゃんと知っておりまして、すべての委員にもお配りしているようでございますけれども、こういう事例、やはり時々ございます。これは、委託者サイドからもございますし、商品取引サイドからあることも実はございます。やはり、一方的に偏りがあるのではないかというような批判が時々出たりするのも事実でございます。私ども、そういう情報をつかんだら、早速両方の批判に耳を傾けて、日商協のあっせん手続の中立性、こういうものが、いやしくも疑念が持たれることのないよう指導しているところでございます。

 こういうお話をしますと、実は、大変御熱心に取り組んでいただいておる弁護士さんが、自分は悲しいというようなことをおっしゃるわけでございます。そういう疑念が持たれることのないよう、私どもあるいは日商協も、しっかりとした対応を今後ともやっていきたいというように思っております。

樽井委員 消費者の苦情処理をする、そのあっせん委員の苦情処理の対応自体が苦情になって出てくる、これは本当に問題だと思うんです。たとえそれが氷山の一角であっても、あるいは、調べに行く段階であって、その調べに行くときに、やはり経済産業省のOBとかがそこにいたら、なかなか調べにくいということになると思うんですね。そういったことも考えて、こういったところは、まさに公平で中立な対応、立場、こういったものをきちんと管理できるように、今後ともやっていただきたい、それで、苦情があればどんと調べていただきたい、これを強く要請していきたいと思います。

 ほかにも、例えば、こういったことだけでなくて、インターネット上、やはり最近インターネットの時代になってきましたから、こういったところで、特に掲示板で、まあ、本当かうそかというのははっきり、証拠はあるのかといえばあやふやなのがたくさんあるんですけれども、中には、どう考えても違う消費者から同じような内容の苦情、それも企業を名指しで何百件となく出てくるというような、そういったことが起こっております。こういったことは調査の対象としていくのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。

青木政府参考人 今回の法改正案におきまして、いわゆる委託者保護というのを抜本的に強化しております。私ども、法令違反を把握した場合には、これは厳正な処分をやっていきたいと思っております。

 通常、私どもがそういう端緒をつかみますのは、商品取引員から、財務状況、あるいは先ほど来議論が出ております委託者資産の分離保管状況、あるいはトラブルの状況、こういったものを定期に報告をさせているわけでございます。そういうもとで、私ども、不断の監視、監督を行っているわけでございます。

 それから、現在、約百社弱の商品取引員がおりますけれども、年間、約三分の一程度に当たります約三十社前後の商品取引員について、これは不意打ちの立入調査を実施しております。その中で、財務あるいは業務の内容について詳細な調査を行っております。

 それから、こうした、いわば公式といいますか、正式な報告あるいは検査とは別に、今おっしゃいましたようなインターネット情報、私も時々読ませていただいておりますけれども、あるいは直接、私のところを含めまして、委託者から、いわゆる投書といいますか、そういうものも逐一参ります。信憑性の問題もございますので、そういうものをよく見ながら、商品取引への監視、監督に当たって参考資料としているところでございます。

 特に、私ども、今回、委託者保護の抜本強化に当たりまして、実は、業務改善命令という命令がございますが、従来、非常に限定をされておりました。今回は、それを、委託者の保護に欠ける場合に必要と認める場合といったような、非常に広範な場合に機動的に発動できるように条文を変えております。

 こうしたものの厳正な法執行の上で、先ほど来出ております各方面の情報、これをやはり敏感にとらえて、しっかりと分析、活用するということが基本であろうかと思っております。

樽井委員 なかなか、その判断は難しいと思いますが、こういったインターネットとかにどんどん出てくる、あるいは非常に消費者から苦情が多い、その件数がどんどんふえてきて、もうこんなにたくさんの被害者が出てきたのにというときになって初めて対応するのではなくて、もともと火種が出てきたときにぱっと処理をするんだという、そのスピード対応にこういったことも活用していただきたいと強く要請いたします。

 そして、もし入り口で食いとめれば、これはなかなか、こういった問題にはならないのでありまして、勧誘に先立って、今回は、商品の取引の勧誘であるということをきちんと通告しなければならないというふうに改正されるわけであります。

 こういった中で、例えばアメリカなんかですと、ドゥー・ノット・コールといいますか、例えばそういった商品の勧誘の電話だとかからないようにセットできる、こういうことを非常にこれから進めていく方がいいんじゃないかと思われるんです。

 例えば、田舎のおばあちゃん、おじいちゃんで気のいい方だったら、何でも買ってしまうということが実際には頻発していると思うんです。そんな中で、例えば、こういった先物取引の会社の電話番号は何かの信号があるなり、前が何番で始まるなり、何かほかの電話とは違う、認識できるシステムをつくって、電話契約のときに、こちらにそういった先物取引の電話はかかってこないというようなセットができる。そういったことをしないと、例えば今のメールとかででも、いろいろな会員に入ったりして、どういった情報が欲しいか、あるいは要らないかというのをチェックするようになっているんですね、こういった商売のは要らない、こういった銀行の情報はくれとかいうふうに。あれと同じように、電話もそもそもかかってこないようにセットできるんじゃないかと思うんですが、そういったことによって、水際の、入り口からぽっと被害が広がらないようにする、そういったシステムは何か考えておられますか。

青木政府参考人 今委員から、アメリカのいわゆるドゥー・ノット・コール・システムについての御質問がございました。

 これは御案内のとおり、昨年の秋、十月から、アメリカにおきましては電話勧誘拒否登録制度というものが施行されたわけでございます。これは対象がすべての商品、サービスでございます。

 簡単に仕組みを申し上げますと、電話勧誘を受けたくない消費者は、政府が管理する拒否者名簿、レジストリーに登録をするということ。それから、電話勧誘業者につきましては、電話によって勧誘する業者につきましては、その名簿の購入を義務づける。それから、電話勧誘業者は、みずからの勧誘対象の名簿から、この拒否者名簿に登録された電話番号を削除しなければならないというわけでございます。いわゆるオプトイン、オプトアウトという二つの方式がございますが、これはいわばオプトアウトを包括的に行う制度というふうにとらえることができると思っております。

 この制度でございますけれども、そもそもアメリカでこのきっかけとなりましたのは、日本と異なりまして、いわゆる自動電話装置というのがアメリカで開発をされまして、これが無差別大量の電話勧誘を次々と行うということで、一昨年来アメリカでは大変大きな社会問題になったというのがきっかけと私ども承知しております。日本においては、そこまで、大量無差別といったようなところまでまだ行っていないのではないかというのが一つございます。

 それから、昨年の秋からまだ半年前後の運用のアメリカではございますけれども、既に、言論の自由といったような観点から、この規制についてアメリカの連邦裁判所で訴訟が提起をされておりまして、我が国の法制度の中でこういうことをどう考えるのかということについては、やはり慎重に検討する必要があるのではないか、こういうふうに思っております。

 そうした点も踏まえまして、先ほど来御説明しておりますように、私ども、入り口段階の規制といたしまして三点、いわゆる不当勧誘の禁止、二点目が説明義務、適合性原則、これに伴います行政刑罰の抜本的な強化、こういったことを御提案しているところでございます。

樽井委員 大量に無差別に電話をかけるという、例えばこれはアメリカで起こったこと、このアメリカで起こったことというのは、近い将来日本で起こる可能性が非常に高いことであります。こういったことにぜひ対処してほしいということをまず言っておきます。

 それで、セールスお断りと家に張ってある、あれと同じような状態にやはりメールとかあるいは電話をしていかなきゃならない。そういった部分でアメリカの電話のそういったシステムは非常に有効だと考えていますので、ぜひその点も検討していただきたいと思います。

 それとともに、ただただ、その被害に遭わなくても、普通に電話が先物業者からかかってきて、一方的に十分も二十分も話を聞かされる。それで、そちらの会社に伺ってよろしいですかと言って、嫌だと言うと、どういう了見だとかどなりつけてきたりする。物すごく気分が悪いわけです。そもそも受けなくても、そんな電話自体嫌だという、それだけで気分を害するんですから、そういったことがかかってこないシステム、あるいは入り込めないようなシステムというのをぜひつくってくださいと強く要請いたします。

 それで、何もかもうさん臭いような、そんなことばかり言われていると、先物取引というと、ああ、まただまされるんじゃないかということになれば、これは日本の市場は広がらないですから、そんな中でぜひ検討していただきたいのが、この業者というのは本当にいろいろな苦情がない、あるいは信用できる業者だというときに、例えばヨーグルトなんかだったら厚生の何かありますよね、あれと同じように、この業者は信用できますよというマークか何か、そういう示すものというのがあれば、そこと取引するのに非常に安心してぱっと連絡できるという部分になると思うんですが、そういう部分では何か対策はないですか。

青木政府参考人 いわゆるマル適マークのような御質問だろうと思いますけれども、どういう商品取引員がどういう基準で優良な事業者かという、基準をつくるのもなかなか難しゅうございます。

 これは、先ほど来御説明していますように、やはりことしの年末を機に手数料が完全自由化をされる、そうした中で競争がさらに激化をし、優良な事業者はさらに伸びていただきたいですし、私ども、そうでない事業者、これはもう当然市場から退出をしていただくというのが基本だろうと思います。

 そういう意味で、最終的にはやはり投資家の判断にゆだねるべき問題だろうと思っておりまして、これを何か国の方が積極的にして公表する、これはやはり慎重であるべきだと思っております。ただ、何か問題がありましたときには、これはぜひ積極的に公表をしていきたいと思っております。

 具体的には、私ども主務省で法令違反を確認いたしましたときには、行政処分を発動いたしますが、これは、処分を発表した日に私どもプレス発表をやっております。さらに、ホームページにも掲載をするといったような措置を講じてございます。

 それから、先ほどお話が出ました日商協の自主規制規則に基づきまして、実は、日商協のホームページにおきまして、各商品取引員の財務、業務について企業に開示を求めてございます、その中で実は、各社別に苦情件数ですとか訴訟の状況、こういったものも公表しておるところでございます。このほか、日商協が行った会員に対する制裁処分、これについては当然、日商協の方で会員名、処分の内容、理由等々をホームページに公表しているところでございます。

 私どもは今回、委託者保護を抜本的に強化いたしますが、この日商協において、国民に対してよりわかりやすい情報提供の充実改善のあり方について、強く指導してまいりたいと思っております。

樽井委員 時間になりましたので最後に一言だけですが、わかりやすい情報提供とともに、賢い消費者というものをつくっていかなければ、これから先どんどんふえていく。そして、学生であったら、例えば入学式のときには、こういったマルチの商売に気をつけなさいよと周知徹底する。そして、例えば年金の生活者なんかがだまされた場合には、本当に再起不能の地獄絵図のような生活にその後なってしまうんです。だから、年金をもらいに来ているようなおじいちゃん、おばあちゃんに対しては、こういうのに気をつけてくださいねというような、ちゃんと、今回法改正されたらきちんとそういったパンフレットなりを渡して、被害に遭わないように周知徹底していただきたいということを要請して、質問を終わらせていただきます。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、政府参考人として外務省大臣官房参事官長嶺安政君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 次に、中山義活君。

中山(義)委員 通告した質問の前に、外務省に対して、我々ちょっと、質問と反省を促したいというふうに思うんですが、三月二十九日の新聞に、遺伝子スパイ事件、こういう事件が起きました。これは被告は岡本さんという方ですが、私は、こういうことは絶対に起きるべきことだと思うんですね。経済戦争の中で、今いろいろな国が何を考えているか。知的財産、いわゆるプロパテント政策というものをとって、そのパテントで大きな利益を得よう、これは当たり前の話ですよ。ですから、パテント、それを盗んでいくとか、そういうものを国外へ持ち出すということは、大変大きな犯罪にこれからはなっていくというふうに思うんですね。

 そういう面では、今回のこの事件、やはり外務省にもしっかり説明をしてもらわなきゃならないと思うんです。一つは国益という観点、一つは日本人、邦人を守る、そういう観点から、この事件について、今後起こり得る心配がいろいろあると思うんですよ。今後は知的財産が経済の争いの中心になるということをしっかり考えて答弁してください。

長嶺政府参考人 御答弁申し上げます。

 ただいま委員から御指摘のあった件、これまでこの岡本氏の件につきまして外務省からいろいろ申し上げた御説明にいろいろ不十分なところがございまして、反省申し上げております。

 本件につきましては、事後的にも、また、その説明責任という観点から、委員初め関係の方々にはきちんとした御説明をさせていただきたいと思いますので、どうぞそこはよろしくお願いいたします。

 ただいま委員が御指摘になりました、こういった事案が今後、日米にとどまらず、世界との経済的ないろいろな問題の中で大きくなっていくということにつきましては、私どもとしてもそのような認識を持っております。

 そういうことで、外務省といたしまして、まさに、大きな意味では国益、あるいは在外における邦人の保護という、これは外務省の任務でございますので、こういう面につきまして遺漏なきように、今後とも、ただいま先生から御指摘のあったこういった部面の重要さをよく念頭に置いて対応させていただきたいと思います。

中山(義)委員 これは、我が国の岡本さんという方がこういうことを起こした。これは逆のケースも考えられるわけですね、逆のケース。アメリカ人が同じことをした場合。

 私たちは、これからプロパテント政策を多くの国がとって、やはりパテントでいわゆる経済というものを活性化させよう。これは、皆さんが、外務省という観点から見れば、日米の紛争にもつながりかねないことなんですよ。今、日米は、日本がイラクに自衛隊が行ったりして、信頼があると思っているかもしれないけれども、こんなことから日本とアメリカの関係、崩れるかもしれませんよ。そのぐらい大きなことなんですね。経済というものはやはり戦争とも言われるくらいですから、経済戦争になりかねないという大変大きな問題が内在しているんですね。

 逆のケースだったら、あなたはどういうふうに考えますか。逆に、日本のパテントをアメリカの研究者が持っていった、それが日本の将来の研究にとって大変大きな問題になる、または、そこに大きな商売をする権利が生まれるはずなのに外国に持ち去られた、こんなことだって考えられるわけですよ。こういうことについて、どういうふうに考えていますか。

長嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 若干一般論になって恐縮でございますけれども、日米間では、今回岡本氏の場合に実際使われることになりました日米犯罪人引き渡し条約がございます。これは日米双方向で働く条約でございますので、もとより、米側から請求がある場合のみならず、日本側から請求する場合につきましても、この日米犯罪人引き渡し条約というものを用いて請求が行われるということになろうかと思います。これは、事案によりまして、我が方の当局において、これは刑事の手続に入るという事案であれば、この犯罪人引き渡し条約を用いるということはもちろん双方向で可能でございます。

 また、今回国会に承認のために提出をさせていただいております日米の刑事共助条約がございます。これは、日米に限ってございますが、同じように双方向で日米の刑事面での共助、協力を促進するという観点から、今、締結を目指して御承認を得たいと思っている状況でございます。

 日米間では、そういうことで、ただいま先生御指摘あったように、これは日米両方向よく考えて対応するということが重要だと思いますので、こういった条約が整備されつつあるということも一つの方向性ではないかと思います。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、外国における邦人保護あるいは国益という観点を、こういう日米経済関係においては、よく念頭に置いて対処していくということでさせていただきたいと思います。

中山(義)委員 この知的財産に関しては、知的財産戦略本部というのを総理が本部長になってやっているわけですよ。それだけ大きなことなんでしょう。外務省だって、これは外国との大きな摩擦が起こることはわかっているはずですよ。今回こういうふうに起きたときに、では、日本が、中で行われたことだから日本が主体的になってこの犯罪の裁判をして、高裁で行く必要がないということで身柄を引き渡すことを認めなかったわけです。だけれども、これに似たケースでアメリカにそういうことがあったときにも、本当にちゃんとそういうことに事前に対処できるような姿勢があるのか、また対応できるのか、この辺は事前にやっておいた方がいいと思いますよ。

 戦略本部を総理大臣がやっているんだから、だったらばそのくらいの姿勢が外務省になきゃだめだよ。今回も、説明が悪過ぎて、何だかわけわからない。本当に今度のことが、私たちにとっては、いつも弱腰な日本からすれば意外な結果だった。だけれども、逆に外国で、アメリカ人がそういうふうにしたときに、日本人は引き渡しを求められないんじゃないか、こう思うわけですよ。それに、パテントというのは、本当に国と国が戦争になるくらいこれから大きな問題になりますよ。

 外務省のもう一回決意を、それから国会にちゃんと説明するようにしてくださいよ、もっと。国と国との大きな問題になるということを想定して、こういう問題が起こり得る、だから我々はこういう対処をしますということを、はっきりここで決意を述べてください。

長嶺政府参考人 お答えいたします。

 ただいまの委員の御指摘につきましては、よく胸に刻んで今後の対応に当たってまいりたいと思います。

 今のように、日本側から請求をする場合につきましては、先ほど申し上げたように、これは関係省庁がございます。刑事の事案ということになりますと関係省庁がございますので、先ほどの犯罪人引き渡し条約あるいはその関係法令、あるいはその条約の適用において、関係省庁と緊密に連絡をとって、遺漏なきを期したいと思いますし、また、これは先生御指摘の説明責任という観点からは、きちんと御説明をさせていただきたいと考えております。

中山(義)委員 では、最後に申し上げますが、総理が先頭になって戦略本部をつくったということは、いろいろこういう問題も外務省がかかわるような問題が多いということも想定してください。

 例えば、アメリカでエイズの特効薬ができた。それは、何かブラジルのいろいろな、何かわかりませんけれども、原料みたいな、森林からこう出てくるとかなんとかとあると。だけれども、それはエイズの特効薬がアメリカでできた、しかし、死んでいるのは、よその国がうんと死んでいるわけですよ。そういう国の人たちが、その薬のつくり方があるというのはわかっている、だけれどもパテントがあるためにつくれない、だけれども、やはり人命を救助するという意味からどんどんそういう薬をつくっちゃったというようなことが国際紛争になっているんです。

 ですから、外務省は、知的財産というものがこれから外国との摩擦が多くなってくるということを想定していなきゃいけないということを我々は言っているんですよ。ですから、我々の部会に出てきたときも、もちろん自民党さんや公明党さんの部会へ行ったときも、ちゃんと説明するのが当たり前である、外務省はたるんでいる、私はあえてそう申し上げまして、この質問は終わります。

 それでは、本論に入りたいと思いますが、大臣、投機と投資はどこが違うんですか。投機と投資の違いをちょっとここで哲学を述べてください。

中川国務大臣 投機といえばスペキュレーション、投資といえばインベストということなんでしょうけれども、やはり投機というと、つまりマーケットの乱高下をねらって非常に大きな利得を得る、上がるだけではなく下げたりしてですね。とにかく、マーケットの乱高下を主導して、それによって、その差によって大きな利益を得る。その場合には、当然大きなリスクも伴いますけれども、余りにも投入する資金なりなんなりが大きくて、場合によっては一国の経済までおかしくするぐらいな激しい資金等の投入、あるいは先物等いろいろ、デリバティブズとかいろいろなものを利用して、とにかくそういうものが投機だろうと思います。

 投資というのは、余り善悪の判断を言っちゃいけないんでしょうけれども、もう少し中立的といいましょうか、リスクはあるけれども健全なリターンも返ってきますね。リスクも健全な範囲内ですね。

 それからもう一つ、投資の中には、例えば、おれはおまえにほれたから、ひとつ投資をするぞ。辞書を今引いてみましたら、電子辞書を今ちょっと調べてみたんですけれども、息子のために投資をするというのが例えとして載っておりました、広辞苑に。息子に投資をするというのは、もちろん経済的にいろいろな投資をするんでしょうけれども、さて、息子からリターンを何か得るかということは余り少ないんじゃないかということで、投資というのは、より健全な成長なり発展を願って、そしてそれに見合う配当なりを得る。投機というのは、かなり激しい混乱をある意味では前提にしたマーケットでの動きを利用してハイリターンを得るということの違いだと私は理解をしております。

中山(義)委員 賭博性があるということですよね。競馬であるとか競輪であるとかパチンコであるとか、こういうものと非常に似ている。リスクがある。でも、リスクをこよなく愛する人も、だけれどもいるんですね。もうリスクが大好きで、そのかわりハイリターンを望んでパチンコをやったり。これはプロですよ、パチンコでも、好きな人はそれで生活している人までいるんですから。だから、こういう人はどんどんおやりなさいと。構わないと思うんですね。

 しかし、昔の映画じゃないけれども、よくやくざ映画があって、どこかの良家の若だんなをばくち場へ連れ込んで、初め少し勝たせておいて、次に全部巻き上げてすってんてんにしちゃう。これは昔からある手法なんですよ。だから、つまり、賭場が危険なところであるとわかってやっている、これはいいんですよ、ほうっておけば。一生懸命おやりなさいと言っておけばいいんです。特に公営競馬や何かでは、それが公共の福祉になったり、そういうふうにつながる場合もあります。

 ただ、私が一番申し上げたいのは、健全な青少年であるとか、やりたくない人をそういうところに誘い込むようなことが一番いけないというふうに私は思うんですね。今回の基本はそういうところにあるのではないですか。

 だから、我々が日ごろから、学校の百メーター以内にはパチンコ屋をつくっちゃいけないとか、いろいろな法律がありますよ、そういう条例もあります。だから、それは、健全に物を考えている人を、射幸心のある、何かやればハイリターンがあるんじゃないかというふうに思い込ませて、子供たちにまでそういうことをやっていく、そういう姿勢が国にあったらだめだと思いますね。国はやはり、健全に汗を流して働いてお金をもうけるということを一番重要視しなきゃいけないわけですよ。

 でも、昨今はそうじゃないわけですね。うまくかけごとをやってお金をもうける、そういう人を何となく度胸のある人だとか、かけごとのうまい人は何か仕事でもできるような錯覚に陥るようなことがあるわけですね。例えば、私は、サッカーくじなんかを説明しているのを見ていても、やはりいろいろそういうところがあるわけですよ。若い子をそういう賭博に誘うというか、そういうことはもう絶対、公共機関、いわゆる国や地方自治体は本来はやっちゃいけないことなんですね。むしろ取り締まる立場でなければいけないと思うんです。

 今回の問題について、私たちもいろいろもう既に、この委員会でも、これは修正すべきだ、法律を変えるべきだぐらいまで言っているわけですね。

 まず、誘わない、嫌だと言っている人を絶対誘わない。これについては法律を改正することも可能であるし、または、いわゆるかけごとの内容が、要するに一番大切なのは、かけごとをやっている市場というものが本当に大切だという観点があるから、今、経済産業省もその市場というものに関しては一生懸命強く、各国に伍してやっていけるようなものをつくっていきたい、こういうことがあるわけです。

 一面、どうも賭博性があるもので、いろいろ素人を本来は誘いたくないという気持ちが大臣にはあるんでしょう。二つの矛盾した点があるんでしょう。ありますか、それ。それがあれば、やはり大臣はなかなか教育理念とか、それから投機とか投資とか金融という問題にすごくすばらしい理念を持っていると私は思うんですが、その辺、まずちょっと答弁してください。

中川国務大臣 例えば今回の商品取引にしても、やはりそのマーケットができることによって需給あるいはまた将来に対してのリスクヘッジという意味では経済的な意義があるんだろうと思います。

 私、昔二十年以上前にある銀行にいたんですけれども、そのころ、金融派生商品、デリバティブズという、これは実はリスクヘッジとして考え出された商品で、そもそもは、これによっていろいろなリスクをヘッジする商品ですよということでスタートしたんですが、何とこれが投機の最大の手法というか商品として使われてきて、有名な、世界的な投資家がデリバティブズを利用してどこかの国の株式相場なりなんなりをおかしくしたとか、あるいはエンロンがお天気のデリバティブズみたいな商品をやっておかしくしちゃったとか、何でもかんでもマーケットにしちゃう。

 これは、入り口はリスクヘッジなんですけれども、そこにばっとプロが入ってくると、まさにこれは、その目的よりむしろ逆の方向に行って、リスクヘッジじゃなくてリスクをさらに、リターンもあるけれどもリスクもふやしますよというふうになってきているというのが、幾つか実例があるわけでございます。

 ですから、本来の健全な、参加者が全部善意であれば、中山先生のような方であれば全部いいんですけれども、なかなかそこにはやはり一獲千金といいましょうか、利益を得たいという人がいて、そうすると、人よりも何か少し違うことをやってということになってくると、だんだんモラルハザードが起こってくるということでありますから、私は、本来あるべきマーケットというのは、健全であるという前提において、政府においても、経済産業行政においても育てていかなければいけないと思います。

 他方、先ほどから議論に出ておりますように、知らない人がプロの世界にいきなり入っていって、勝てっこない、短期的には勝つかもしれないけれども、長期的には勝てっこないんだ。あるいは、リスクを伴いますよということを重々、頭だけではなくて実感としてわかった上で参加をするということも、参加をしちゃいけないということはなかなか言いにくいんでしょうけれども、おれの自由だろうということですけれども、やはりその辺はきちっとやるために、けさもまたこの法案について御審議をいただいているんだと思います。

 だから、マーケットそのものが全部だめというわけでもないし、マーケットそのものが全部悪だということでもないんですけれども、やはり必要性を担保し、発展をさせるためには、やはりおのずからかなり厳しいルール、当事者、当業者、あるいはまた、一般の素人っぽい参加者の皆さんには、かなり厳しい世界に飛び込むんだぞということを覚悟していただくための我々としてやるべきことがたくさんあるというふうに感じております。

中山(義)委員 今、覚悟がと言いましたけれども、私は、実は、商売を二十三歳ぐらいから始めまして、おやじはもう私が二十一のときに亡くなったんですが、そのときに、遺言ではありませんけれども、連帯保証人になるな、それから相場には手を出すな、こう言われたんです。これはやはり、おやじの説教は後できいてくると言うけれども、今この委員会をやっていて、こういうときに、ああ、おやじの言ったことをここで皆さんに言えるとは思わなかったですが、こういう理念といいますか、こういうのはやはり日本の国にとって、商売をやっている人だったら当たり前のことだったんです、実は。

 相場は手を出すな、先物は危ないよ、それから連帯保証人には絶対なるな、これは、商売をやっていたら、親が子供に伝えるときに一番大事なことなわけですね。そのくらいのことなんですから、先ほどからだれかが言ったように、何とか学校でも何でも、こういうものは、投機というのはこういうことだよ、投資はこういうことだよ、それくらいはやはり教えなきゃいけないと思うんです。

 しかしながら、一番大きな問題は、低金利政策。余りにも金利が低いということであれば、だれかもうちょっと利殖につながるものはないかなと探していると思うんですね。

 そこで、この一カ月ぐらい大臣とも議論をしましたけれども、例えばファンドの問題、再生ファンドとかベンチャーファンド、証券ですね。証券というか、いわゆる借金、負債みたいなものを証券に変えてみたり、または土地それから建物、こういうものを証券に変えていって、こういうものを買ってもらったり、何人かで一つのファンドをつくっていくとか、いろいろな投資法は前の委員会でやりましたよね。ところが、今度は投機なんですね。

 今、この業界が、どんどん手数料が自由化されるわけですよ。そこで、やはり商品取引員や会社が株式会社になるわけですから、もうちょっと知恵を絞って、デリバティブズとさっき話もありましたね、金融派生商品でも、ミドルリスク・ミドルリターンとか、もうちょっとハイリスクじゃないものを考え出すとか、この業界にも知恵がなかったらこれはやはり大きくなりませんよ。それから、安定した市場にもならないと思うんです。

 その辺は、経済産業省で指導しているかどうかわかりませんが、指導しているというとばくち打ちの胴元みたくなっちゃいますが、そうじゃなくて、正しい、本当にこの市場を形成するためにそういう知恵や何かを出しているんですか。

江田大臣政務官 先生がおっしゃられているのは、商品ファンドのように、多数の投資家の資金を集めて、専門家の知識に基づいて運用対象を分散させて資産運用を行う方法のことを一つには言われているかと思います。これは、商品先物取引を直接行うのに比べましてリスクの低い資産運用手段でございまして、商品先物市場への資金流入を増加させるという上では、非常に有効な方法であると考えております。

 現状としましても、商品取引員や機関投資家におきましても、商品ファンド事業に取り組む業者が見られているところでございます。このようなプロの機関投資家を含めまして、幅広い層が安心して商品先物市場を活用できますように、今回の法改正案におきましては、市場の信頼性、健全性を高めるための措置を講じているところでございます。

 第一に、証拠金等の委託者資産が確実に守られるように、委託者資産制度の抜本的な強化を行っておるところでございます。第二としましては、商品先物取引の安全性を高めるために、清算機関、クリアリングハウスでございますが、その制度を強化しまして、特に、複数の取引所における取引の決済を独立の清算機関で一括して効率的に行うことができるように、商品取引所外でこの機関を設けることを可能にする制度を整備したところでございます。

中山(義)委員 そういうふうにお客さんを大切にするという一つの気持ちが大切だと思うんですが、実を言うと、お客さんという立場の人を、いまだにこの業界では客殺しなんという言葉が残っているんですね。残っているんですよ、現実に。だから、おかしな業界だと言っているわけです。

 私たちは、本当にお客さんに利殖をしっかり勧めて、もっと安定した、なるべくうまいもうけ口を少しでも探してやって、非常にうまく、良識的にやればいいんだけれども、実は、向かい玉とかといって投機的に引き込むようなことをやったりしているわけですよ。こういうものは政令でぜひ取り締まっていただきたいと思うんですが、さらに、とにかく手数料さえ稼げばいいんだ、もうけは手数料しかない、だから両建てみたいなことをやるわけですね。こういうものは法律で必ず禁止をしてもらいたい、このように我々は、同僚議員からもずっと要求しているわけでございます。

 そして、さっきから言っているように、この業界はプロの業界、または機関投資家で、なかなか個人では難しいよ、これだけのリスクがありますよということをはっきり言うということにおいては、自分から入りたい、どうしてもやりたいという人以外は本当は誘っちゃいけないところなんです。無理やり競馬場に連れていって、券買え券買え、競輪場に行って券買え、買え買えと。おれは絶対当たるから、一―五で買えば絶対五十万もうかるとかいって、そういう人よくいるでしょう。そういう無責任な人と全く一緒なんですよ。だから、そういうことは絶対やめさせるし、再勧誘はしないということは、御答弁からいっても法律に書き込んでもらえるというふうに私たちは信じているわけでございまして、できる限り健全な市場をつくることが私たちは重要だと思っているわけですね。

 例えば、今石油がどんどん上がってきている、ガソリンが上がっている。きのうは大豆がすごく上がっているという話も出ましたよ。やはり消費者からすれば、そういうものをできるだけ安定して供給をしてもらいたい。こういうことから考えれば、日本の市場をしっかりしてもらいたい。ところが、上海なんかの市場がどんどん伸びているけれども、どうも日本の市場が低迷している。

 これはちょっと聞きたいんですが、例えば石油一つでも、日本の市場が今みたいな市場であるということは、外国と太刀打ちができるんですか。または、今みたいな市場でもし日本の市場がおかしくなれば、どういう弊害があるんですか。やはり日本は貿易立国ですから、そういう面で商品の値段とかそういうものは大変大事だと思うんですね。そういう面で、金融という感覚からいっても、イギリスのウィンブルドン現象だとかいろいろなのがありますね、どんどんどんどん市場がよそへ移っちゃう。こういうことも私としてはまずいと思うので、市場を強化することによって、日本のメリットはどこにあるか、これを説明してください。

坂本副大臣 外国の商品先物市場に市場を奪われると、次のようなメリットが失われることになるわけでございます。

 一つは、為替リスクや時差という大きなハンディ、不便さを回避できます、これができなくなるということですね。それから第二に、我が国の需給を反映した価格を内外に発信し、国際価格の形成に影響力を行使できることができなくなるということになります。いわば取引が受動になるわけでございますね。第三に、流動性を供給する資金を流入させ、商品そのものから金融関連までの幅広い情報が集められるんですが、これもなくなる。

 欧米はもとより、近年、中国などアジアにおいても商品先物市場が急速に整備されまして、国際的な制度間競争が始まっております。例えば、中国・上海市場でございますが、近年急速に拡大しまして、二〇〇二年には世界九位だったんですが、二〇〇三年には世界六位にまで上昇している。こうした状況下で、自前の商品先物市場を整備することは極めて重要であると考えておるわけでございます。

中山(義)委員 それだけ重要な市場というものをどう活用していくか。私は、この一カ月ぐらい、いろいろな証券、先ほど再生ファンドやベンチャーファンドの話もありましたよね、やはり金融というものをしっかり理解することがこれからの日本の国はすごく大切だと思うんですね。ただ銀行に預けているだけじゃ、低金利で、その一千四百兆円はたんす預金と一緒だ。これをどう流動化させていくかということで、証券の問題、または先物でも、こういうものをもうちょっとローリスクにできないか、ミドルリスク・ミドルリターンぐらいな感じにできないかとか、いろいろなことが可能なわけです、市場をつくっていくのに。それは、やはり経済産業省もそういう指導はしていかなきゃいけないと思うんですね。

 やはり、今の先物のものは、特に問題があるのは、手数料を稼ごう、それから投機的に何とか、向こうが売りだったら商売人が買いをやるとか何かやって、非常に投機的なところに引きずり込んでいくんですね。こういうのはいかにもよくなくて、やはりお客さんにはもうけさせることが大事なんですよ。お客さんは、もうけなきゃ次来ないんですよ。すってんてんにしちゃだめなんですよ。そういう商売ということで市場を考えたときには、もっと知恵を使わなければ、やはりこの業界は伸びないと思うんですね。

 そういう面で、まずはお客さんに信用される、それから嫌なお客さんは引き込まないということは、もうこれは法律で絶対禁止できるような、法律に近いものを全部つくらなきゃだめだと思うんですね。特に、嫌だというものをまた再度やったり、不意打ち的に連れていったり、そういうことはしない。これはぜひ法律にも書き込んでいただきたい、こんなふうに思います。

 または、先ほど言った手数料を稼ぐ。これは単にお客さんを殺すためですよね、手数料を稼ぐというのは。何回も何回も売買させれば手数料がかかるわけですから、それをただやらせているだけ。これじゃお客さんをもうからせていないんですよ。市場という限りは、お客さんをもうけさせるところが市場なんですよ。それが商売なんですよ。そういうことをもうちょっと理屈の上で考えていただいて、金融市場というものはやはりしっかり育てていくべきだと私は思うんですね。

 それから、ただ郵便貯金や銀行だけじゃなくて、やはり証券というものを買ったり、ファンドに一般の人も参加していく。日本の新しい再生とかそういうものにもやはり金融というものが働いていかなきゃいけないわけですよね。そういう面では、この委員会は、ある意味では新しい金融というところから物を考える委員会だというふうに思うんですね。

 そういう面で、より積極的に市場をつくっていく、それは何なのか。それは、やはり国民の皆さんがみんなその市場を信頼するということだと思うんですね。アメリカのをただ日本に引っ張ってきて、弱肉強食で強いものだけが勝つ、こういう世の中じゃ私はまずいと思います。

 ちょっと、長年ずっと私ども不正競争で、いろいろ取引で問題を上げてきたのがあるんですが、一般の人たちに信頼されるという商売、それは、物を売る側には、ただ安ければいいというのじゃなくて、売った限りはその商品を保証したり、またはある程度の利益がないと商売というのはできないわけですよ。

 そういう面から見ると、私、きょう公取の竹島委員長がいらっしゃるのでちょっと質問したいんですけれども、前よく私は家電の不当廉売なんか話しましたよね。不当廉売についても大分御理解いただいた。それから不当表示、これも市場に間違った形で引き入れていくようなことも随分やっている業態なんです。例えば家電でも、アウトサイダーのカメラ屋さんが今度家電をやる。全然違う商売の仕方をしてくる。とんでもない安値で売る。しかし、安値で売っていると書いてあるんですが、実は定価がないんですね。そういうような不正表示というのは随分あるんです。

 私ども随分これは今まで公取さんに言ってきて、公取さんはどういうところか、商売を活性化させるために経済の市場をそうやってどんどん活性化させるところかと言ったら、いや、我々は、活性化するところの、そういうことはどんどん協力はしますが、むしろ取り締まるところだ、このようにも言っているわけです。あの家電業界の不当廉売や不当表示、目に余るものがあるんですが、委員長、どうでしょうか。

竹島政府特別補佐人 先生からも前からいろいろ不当廉売、不当表示の問題で御指摘をいただいております。

 私どもも、特に家電、ガソリン等の石油製品、それからお酒、そういった業界で特にそういう問題、不当廉売については今の三つが有名なわけでございますが、きちんと景品表示法の考え方も示して、こういう場合には景品表示法の違反になりますよというふうなことを関係業界、家電の場合は家電の公取協というのがございますけれども、そういうところを通しまして考え方を周知していますし、具体的な事例に関してはきちんと対応させていただいているつもりでございます。これからもそういう姿勢で臨んでいきたい。特に家電業界につきましては、しばらくやっておりませんでしたけれども流通実態調査を今やっておりまして、夏ぐらいまでにはその結果も取りまとめられるのじゃないかと思っております。

 そういうことで、メーカーサイドそれから量販店サイド、両方にきちんと問題意識を持っていただくというふうなことでやっていきたいと思っております。

中山(義)委員 これもさっきの客殺しではありませんが、小売業殺しというか、隣でどんどん安くすれば町の電気屋さんなんかなくなっちゃうわけですね。酒屋さんもおかしくなっている。もう商店街がやはりシャッター通りになっては困るわけですね。

 ただ、やはり電気製品とかそういうものは製品を売るだけじゃなくて、電器というものを通じて電気屋さんが、ちょっとうちの電気製品がおかしいんだとか、または蛍光灯が取りつけられないとか、そういうお年寄りの要求までいろいろやってきて、地道な商売をやっているわけですよ。先ほどからお話ししているように、お金を稼ぐのは地道に汗をかいて稼ぐのが一番正しいので、ぽんと一獲千金で大きな商売をやって周りをつぶして、その後自分たちはゆっくり商売をやろうなんて考えを持たれたら、みんな町の商店街はつぶれちゃうんです。そういう面では、適正な商売の仕方というのがあると思うんですね。

 私は、確かに、物は安い方が消費者としてはありがたい。しかし、町の商店街のそういう小さな小売店の人もみんな消費者なんですね、実は。そういう面では、大企業だけがもうかって、一部の企業者がもうかってあとはつぶしちゃうというのでは、結果的には日本の経済というのは成り立たないんですね。地域社会もおかしくなってくる。

 こういうことで、私どもは公取さんに、とにかく不当廉売それから不当表示、これは地域が大変大きな迷惑をこうむることだから、頼んだらすぐやってくれということを何回も何回も要求してまいりました。

 最近、非常に早くやっていただけるようになった。これは民主党が、公取の人数をふやせ、今経済が安定するのと同時に、不当な経済はやはりまずいわけでございますし、警察でも治安の問題をやっていますが、私たちは、こういうふやすべきところはちゃんとふやすべきだ、そういう正しい行政改革をやっているわけでございまして、私たちの要求どおり公取の人数もふえてきましたね。

 ですから、ふえてきたらば、いや、人数が少ないから行かれなかったとか人数が少ないからおくれたとか、こういうことは言えないわけでございまして、竹島委員長におかれましては、前進はしていますがさらに強い決意で、不当な商売が行われないように、またはそういう大企業だけが勝って中小企業だけが負ける、または優位な者が勝って優位じゃない者が負けていく、こういう社会じゃなく、公平な社会がつくれるように、すばらしい決意をここで述べてもらって、私の質問を終わりたいと思うんですが、委員長、ぜひお願いします。

竹島政府特別補佐人 やはり消費者によりよいものをより安く、それに対して消費者が十分に評価をして喜んでお金を払う、こういう経済社会が一番いいわけでございまして、そういう意味では、大も中小も問わずやはり経営努力といいますか、そういったことは大いに促すという環境のもとで、しかし、公正な競争ということにきちんと目を向けていきたい。

 そのためには、独禁法、景品表示法の厳正な執行ということについて、引き続き体制整備を含めまして努力させていただきたいと思います。

中山(義)委員 質問を終わります。

根本委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょう、最初に、特定商取引法案にかかわって、消費者被害の相談業務の最前線に立っておられる消費生活相談員の方の現状、抱える課題について質問させていただきます。

 内閣府においでいただいておりますが、この間、大変消費者被害の相談件数が急増しているということが言われております。国民生活センターでも集計をされておられるPIO―NETの数字で、二〇〇〇年度以降の各年度ごとの相談件数について数字を示していただけますか。

    〔委員長退席、塩谷委員長代理着席〕

永谷政府参考人 PIO―NETで集計しております消費生活相談情報の件数であります。

 二〇〇〇年度が五十四万七千件、それから二〇〇一年度が六十五万六千件、それから二〇〇二年度が八十七万四千件。それから、あと二〇〇三年度でありますけれども、これは最終的に年全体の数字が上がってくるのにもう若干の時間がかかるのですけれども、四月の八日現在での件数で既に百万件を超しておりまして、今、四月の八日の時点で百十八万件ぐらいになっているという状況であります。

塩川委員 二〇〇一年度が六十五万件で、昨年度、集計途中でこれからさらに伸びるという状況であっても現時点で百十八万件ですから、二年間で相談件数が倍加をする、大変深刻な実態に今あることが言えると思うんです。

 その上で、消費生活相談員の現状の問題なんですが、東京都が消費者被害救済調査報告書というのをまとめておられます。そこでは、「相談員全体の年間勤務日数はほぼ横ばい状態」で、トータルで相談時間がふえていない現状があるということで、「平成七年度以降相談受付件数が増加しないのは相談処理能力がもはや飽和状態にあるからだと思われる。」東京都そのものの相談件数が伸びていないというのは、結局相談員数に限りがあるために受け付けることができなくなっている、飽和状態にあるんだということを言っているわけですね。いわば被害の急増に相談の現場が対応し切れないような実態があるわけで、改めて、相談員の方の質的にも量的にも充実が求められていると思います。

 特定商取引法を毎年のように改正するような事態が現状あるように、消費者被害も高度化、専門化しているというのが現状です。四年前に消費者契約法の審議が行われた際につけられた附帯決議の中で、消費生活相談員は、専門的な知識をもとに消費者契約法を活用した消費者利益の擁護のために重要な役割を果たすことが期待されることにかんがみ、その育成、人材の確保及び本法のみならず民法や各般の個別法、この中には特定商取引法も入るわけですが、これらを総合的に活用できる専門性の向上のため、適切な施策の実施を行うことと述べられております。

 消費生活相談員の仕事には高度な専門性が求められている、このように思いますが、内閣府の方ではどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。

永谷政府参考人 そこは、先生おっしゃっていますように、ある苦情を受け付けて、それに対して適切な助言を与えるということですので、非常に法律的な知識でありますとか、あるいは場合によったらカウンセリングの能力とか、そういうところまで含めて、ある種高度に専門的な業務であろうかと思っております。

塩川委員 内閣府が発行している「国民生活」という雑誌の中にも担当の課長さんのコメントが紹介されていましたけれども、今、消費者トラブルの多様化、複雑化により、相談を受ける側にも専門知識が求められるようになっている。今後は相談員のさらなる専門性が重視をされ、相談員が電子商取引や金融トラブルなどのスペシャリストとして登場してくることが期待をされると、消費者トラブル解決の専門家としての期待というのを内閣府としても表明をされておられるわけです。

 そこで、私以前、二〇〇〇年の十一月の特定商取引法の審議の際に、相談員の現状をリアルにつかんでほしい、実態調査を行ってほしいと要望し、当時の堺屋経済企画庁長官が実態調査を約束されました。これらも踏まえて、二〇〇一年に消費生活相談員に関する調査の結果概要を内閣府としてまとめられておられます。その内容について何点かお聞きいたします。

 相談員の身分についてなんですけれども、消費生活相談員について、正規職員と非常勤、アルバイト職員の比率がどういうふうになっているのか、お示しください。

永谷政府参考人 消費生活相談員の数、平成十五年の四月現在で、三千百四十四名となっております。相談員の数自体は非常にふえてきているということであります。

 その雇用形態でありますけれども、そのうちの八十九名が正規職員、それから残りの三千五十五名、九七%に該当しますけれども、非常勤職員等ということであります。

塩川委員 正規職員の方が三%、それ以外はすべて非常勤の職員の方、まあ非常勤、アルバイトの身分だということであるわけです。

 それから、年収についてなんですが、ちょっとくくって教えてほしいんですけれども、百万円未満という人が何%いて、百万から二百万の間というのが何%で、二百万以上が何%か。あわせて、平均がわかれば教えてほしいと思うんですけれども、お願いします。

永谷政府参考人 年収で見まして百万円未満の方、一九%であります。それからあと、どうしましょうか、百万から百十万の層で六%、それから百十万から百二十万、十万刻みになっていますけれども……(塩川委員「くくって、二百万以上」と呼ぶ)二百万以上は二一%。(塩川委員「そうすると残りは幾らですか」と呼ぶ)残りが六割ですね。だから、百万から二百万までの間がちょうど六割ということになります。

 平均が幾らになるかという話でありますけれども、ちょっと、そこにつきましては数字を持ち合わせておりません。

塩川委員 百万円未満が一九%で百万から二百万が六〇%、二百万以上が二一%ですから、大体目安として百五十万円前後ぐらいの年収で皆さん頑張っておられるんだというのが現状だと思うんです。

 私、埼玉で活動されておられる消費生活相談員の方にお話を伺いました。その方は、身分はどうあれ、県民や市民の切実な声にこたえるのが私たちの仕事で、相談についても単なる助言だけではなくて、業者との交渉なども行っているんだ。そういう意味で、非常に熱心にお仕事をされておられる。ですから、身分の問題以上に、やはり消費者の方の、被害を訴えられる方のために何とかこたえたい、こういう思いで頑張っておられるのが消費生活相談員の方々だと思うんです。

 その上で、諸手当についての調査もあるんですが、例えば、本当に熱心に業者の方との交渉にも当たるような消費生活相談員の方に対して、時間外手当が支給されている人というのは全体の何割で、それからあと、通勤手当、当たり前のような話ですけれども、この通勤手当がきちんと支払われるような状況にある方、これがどのぐらいかというのをお示しいただけますか。

永谷政府参考人 時間外手当が支給されている者でありますけれども、相談員の中で一三%というふうに把握しております。それから、通勤手当でありますけれども、これは五三%の方が受給されているという状況であります。

塩川委員 いわば、消費生活相談員の方、時間外手当というのがない方が八割以上で、通勤手当ももらえていないという方が五割近くいるというような現状にあるわけです。

 相談員の方にお話を伺うと、相談が多くて仕事が終わるとぐったりする。日常業務で追われ、本当は業者と交渉してあげないといけないのが後回しになってしまったり、業者あてに出す解約書面の内容を十分に練り上げる時間もとれない。不況ですから業者も必死で、以前なら消費生活センターの名前を出せば解約に応じていたものも、今は応じなくなっている。業者に連絡をとっても、担当者が不在とかで交渉に出てこなかったり、そういう状況でやりとりをしているんだ。そういう人たちに対して残業手当も出ないとか通勤手当も出さないような状況でいいのかということが、今率直に問われていると思うわけです。

 そこで、二〇〇〇年の特定商取引法の際に付された附帯決議で、「相談員の資質向上及び待遇改善等により、苦情・紛争処理機能の充実強化を図るよう努めること。」とあります。

 そこで、大臣とあわせて内閣府にお尋ねいたしますが、この相談員の資質向上及び待遇改善という点でどのような具体的な策を講じられたのか、この点をお尋ねいたします。

江田大臣政務官 経済産業省の方からまずお答えさせていただきます。

 先生御指摘の消費生活センター、これはもうそれこそ消費者が取引上のトラブルについて苦情相談を寄せられる身近な窓口として非常に重要な機能を果たしておりまして、その充実強化が強く望まれるところでございます。

 消費生活相談員、全国に三千百名ぐらいいらっしゃいますが、この方々は各消費生活センターにおきまして実際の苦情処理を一手に担っているわけでございまして、その役割は大変重要でございます。

 このような認識から、経済産業省としましても、取りまとめの内閣府と協力をさせていただきながら、相談員の方々の資質向上のための施策を続けているところでございますが、一つは、地方自治体職員に対する研修の機会を提供していることでございます。二点目は、各消費生活センターと法律の解釈や運用等につきまして、緊密に情報、意見交換をしていることでございます。そして三点目には、各地方自治体が消費生活センター等で活用する消費者行政に関する広報素材とかパンフレットを提供している、さまざまな協力を行っているところでございます。

 今後とも、この関係消費者行政の地方での充実強化に向けた支援に努力をしていきたい、そのように考えております。

    〔塩谷委員長代理退席、委員長着席〕

永谷政府参考人 相談員の役割というのは、これからますます重要になっていくということであります。そういう認識のもとで、私どもとしましては、まず資質向上にかかわる部分でありますけれども、国民生活センターを通じて、相談員にいろいろな研修等をやる、それから情報提供をするということをやっております。

 まず情報提供でありますけれども、悪質商法等について注意情報等を流す、それでもって苦情に対応していただく材料にしていただくというようなこともやっておりますし、それから、相談に不可欠な法律に関する知識、まさに専門的な知識に関する研修等もやっているということであります。

 その研修の方でありますけれども、具体的に申し上げれば、例えば、相談員を対象にした研修コース、平成十二年度で十五コースぐらい持っていたんですけれども、平成十五年度にはそれを三十七コースにふやしております。それから、地方在住の相談員の方に対して、地方で開催する研修コースというのもふやしておりまして、これも同じ期間に五コースから二十三コースという形でふやしている、充実を図っているという状況にあります。

 他方、相談員の処遇に関するお尋ねがございましたけれども、これはもう先生御案内のとおり、消費生活センターというのは地方自治体の機関であります。そこで、相談員をどれくらい採用するかとか、あるいはその処遇をどうするかというのは、各自治体が自主的に決めるという性質のものであろうというふうに理解しております。

 したがいまして、私ども、側面から、相談員の雇用の実情を把握して、自治体に対して、相談員の育成あるいは人材の確保、それから専門性の向上の観点から配慮してくださいというようなお願いをやってきているということであります。

塩川委員 資質向上については、研修はやっているけれども、待遇改善については自治体任せだ、物が言えない、そんな話でありますけれども、埼玉の相談員の方も、関係する法案が次々改正される、今回も改正される、法律の縛りのない分野での金融商品などについての被害も現実にふえている、そういった相談に対応するためにはこちらも勉強して磨きをかけなくちゃいけない。これは、研修の必要性ということをはっきり当事者の方も求めているわけですけれども、問題は、最近は自治体が財政難を理由に相談員の研修費の予算すら削っている。これでは、相談員の生命線を断たれるようなものだ。

 こういう問題について、はっきり国からも物を言う必要があるんじゃないか、国として都道府県に権限を移譲するようなことを行っているわけですから。こういう待遇改善の問題について、あわせて、資質向上という点についても、きちっと自治体に対して物を言う必要があるんじゃないのか、そもそも、相談員というのは専門家として不可欠な存在だと思いますから。その点、改めて、内閣府、いかがですか。

永谷政府参考人 多少の繰り返しになって恐縮でありますけれども、いずれにしましても、これは、相談員の処遇をどうするかということは、基本的には地方でもってお決めになっていただく話であります。

 今、先生おっしゃっていましたように、地方財政が非常に逼迫しているという状況の中で、徐々にその相談員の方にしわ寄せが行っているというのも、そういうような実態もあるということだろうと思います。そういう部分を少しでも緩和するということで、いろいろな、例えば、自治体によっては、相談業務を相談員協会みたいなところに委託して、まさにアウトソーシングするような形で、全体の、トータルの人件費とか何かを抑えるような形で数をふやすような動きも出てきているということであります。

 まさに、限られた資源の中でどういうような形で十分にやっていけるようにするか、私どもとしても、これからも知恵を出していかなきゃいけないところだろうというふうに認識しております。

塩川委員 この消費生活相談員の方の位置づけ、制度的、法的な位置づけというのも非常にあいまいなんじゃないかと率直に思うんですよね。

 消費者保護基本法を見ても、この消費生活相談員の位置づけというのは何もないわけで、私、その点、もう少し考える必要があるんじゃないかなと。ですから、苦情処理体制に専門家としての消費生活相談員は不可欠だ、そういう位置づけについてもっと鮮明にする必要があるんじゃないかという点についてはいかがですか。

永谷政府参考人 これは、消費者保護基本法というのは、先生御案内のとおり、当初できましたときは議員立法の形でできた法律であります。今、同じく議員提案の形でこの消費者保護基本法の改正法案が国会に出ているという状況であります。その改正法案の中では、まさに基本法の中にこの相談員をそれなりにきちんと位置づけるというような方向で議論が進みつつあるというふうに私ども聞いております。

塩川委員 その上で、学校であれば生徒数に応じた教員配置基準がある、あるいは、保育所であれば園児に応じた保育士の配置基準がある、同じような形で、こういった消費生活相談員の配置基準というのを設ける必要があるんじゃないか、この点はいかがですか。

永谷政府参考人 何回も繰り返しになって恐縮でありますけれども、基本的には、地方自治体が自主的に判断するというのが基本であります。

 したがいまして、国の方で一律に基準をつくって、個々に、これぐらいのところにはこれぐらいの相談員を置けとかというような形というのが本当に望ましいのかどうか、ちょっとそのあたりというのはまだ検討の余地があるんじゃないかというふうに思います。

塩川委員 要するに、国の方は何かもう丸投げしているような話で、情報だけは上げてこい、国民生活センター、PIO―NETについて、それぞれ情報を上げて集計して、これについてはいろいろ手当てはしようという話ですよ。だけれども、今、独法化の流れの中で、国センについての相談業務そのものも後退している、現場からはデータを集めるだけじゃないか、こういう声も上がっているわけですよ。

 データというのも、何もコンピューターにそのまま入っていくわけじゃないでしょう。相談員の人が一件一件相談に乗って、その相談の結果についてカードに記帳するんですよ。そうやって、一生懸命の業務を、それこそふろしき残業になるような格好で現場は努力しているわけですから、こういった現状を踏まえた専門家としての消費生活相談員の位置づけというのを国として明確にすべきだと、率直に思います。

 その上で、大臣から、消費生活相談員の方への励ましの言葉をぜひいただきたいと思います。

中川国務大臣 一般の消費者の皆さんがいろいろなトラブルに巻き込まれている、そのダメージというか非常に大きい中で、どこに相談に行っていいかわからないというときに、最寄りの消費生活相談センターに行って、やっていくということで、非常にいろいろな相談があるんだろうと思います。商品先物とか特定商取引とか、いろいろなものがあるんだろうと思いますけれども、真摯に対応していただいて、そしていろいろなアドバイスを適切にやっていただくという本来の業務は、非常に大事な、市民生活の本当に大事な部分だと思いますので、国としても大いに頑張っていただきたいというふうに思っております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、商品取引所法案について、委託者保護にかかわって、適合性原則の強化について質問いたします。

 この適合性原則の強化について、どのような運用ガイドラインを策定、公表される予定か、お尋ねします。

青木政府参考人 御案内のとおり、今回の改正案におきまして、適合性原則、これを従来とは異なり、法律上の義務として明定をいたします。これをしっかり運用するために、法改正後におきましてガイドラインを策定、公表し、その実効性を確保していきたい、このように考えております。

 その具体的な内容でございますが、今後しっかりと検討してまいりたいと思いますけれども、例えば現時点では、当初の勧誘行為、これについての適合性原則で申し上げますと、最近、やはり高齢者と申しますか、において、いろいろ苦情が多いといったようなこともございますので、例えば一定年齢以上、こうした方に対する勧誘は原則としては行ってはならない。これは適合性原則の恐らく知識の方からくる要請だろうと思いますけれども、そういうもとに、具体的に定める例外の場合についてのみ、厳正な各社の社内審査手続のもとに勧誘を認める、こういったようなことを考えているわけでございます。

 また、さらに、取引開始後の行為につきましても、例えば未経験者の委託者の場合に、一定期間、いわば習熟期間においては、原則として取引量を一定基準以下とする。具体的に定める例外の場合において、やはり社内審査手続のもとに基準以上の取引をするということも例外に認める、こういったような内容が盛り込めないか、今後検討してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 当初の勧誘行為のところで、一定年齢以上の高齢者に対する勧誘というのは原則行ってはならないということのお話があって、あわせて、他の委員の方の質疑の中でも、例外はできるだけ具体的な要件を定めるという形で述べておられました。そういう意味で、その一定年齢というのは何歳ぐらいを想定しており、できるだけ具体的な要件のもとにその例外を認めるという、その具体的な要件というのはどういうものなのかということをお示しください。

青木政府参考人 どのくらいまでの年齢層が、一般的に言って、商品先物取引、相当ハイリスクでございますが、こういう適合性があるかというのは大変難しい問題でございます。さまざまな判断要素を加味して検討する必要があると思います。例えば、高齢者に関します最近のトラブルの実態、あるいは商品先物取引に係ります裁判例の最近の蓄積、こういったことを、よく実態を踏まえまして今後検討してまいりたいというふうに考えております。

 その例外でございます。これにつきましても、先ほどとの反対で、どういう場合に例外として認めていくのかというのをよくよく検討してみたいと思いますけれども、例えば知識という観点から、仮に一定年齢以上を原則で禁止するということであれば、やはり知識という観点が非常に重要になります。したがって、例えば過去において商品先物の経験がある、そして商品先物の仕組み、リスクを十分に理解している、こういったようなことが場合によっては例外として当たるかもしれません。これも過去の判例の蓄積、そういったものも、よく実態も踏まえて、今後しっかりと法施行までに検討してまいりたいと思います。

塩川委員 知識、経験のお話がありましたけれども、例えば先物商品取引の未経験者、そもそも見たこともさわったこともないという人は、その例外というふうにはならないわけですよね、その点だけ。

青木政府参考人 さまざまな要素を加味してまいると思いますけれども、そういうものがあれば、比較的可能性が高いということは言えようかと思います。

塩川委員 財産の状況があると思うんですが、例えば、高齢者の方ですから、収入がもう年金のみだ、年金収入のみが収入だという方、高齢者についても、今言ったような例外というふうにはならないんじゃないかなと思うんですが、その点、いかがですか。

青木政府参考人 これも例外を考えるときのさまざまな判断要素でございます。確かに、一つとして考えられますのは、年々のフローの所得がないということも、これまた大きな要素になろうかと思いますが、他方で、その時点で保有している資産というのもやはり同時に加味されるべきでございまして、そういったものの全体の判断がどうなるのかといったような点につきましては、実態あるいは裁判の蓄積例、こういったものをよく勉強してまいりたいと思っております。

塩川委員 やはりこの間のいろいろな被害事例を考えても、そもそも未経験者に対しては勧誘することそのものが行われてはならないという不招請勧誘の禁止というのを真っすぐ貫くことが原則じゃないか。私、そういう意味でも、不招請勧誘の禁止というのをきっちり法案に入れるべきだ、このことを思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

小川政府参考人 不招請勧誘の禁止に関する御質問でございますけれども、お客様から希望がある場合を除いて、事業者側からの電話等による勧誘を一律禁止するということだと思いますけれども、やはり営業の自由の制約という問題もございますし、いずれにしましても、商品先物取引だけについて議論するというのも難しい問題でございまして、他の金融商品など投資的取引全般との関係も広く慎重に議論する必要があるというふうに考えておるわけでございます。

 たびたび御説明しておりますように、今回の法改正におきましては、望まない勧誘について、その個人が断れる機会をきちっと確保する、断った後に再び勧誘されることがないようにということで、勧誘に先立っての勧誘目的の明示の義務づけ、一度断った人に対する再勧誘の禁止、それから商品先物取引の仕組み、リスクの説明義務、あわせて御質問の適合性原則、そういった勧誘規制の強化の措置を行っておるわけでございます。

塩川委員 これは、入り口からもう誘わないということを本来の原則にすべきだ。

 一般投資家にはそもそも不向きな先物の商品取引ですから、商品先物取引というのは当業者など当事者に限るということを貫いてこそ、市場の信頼性も高め、また市場機能の向上につながる、この点を指摘して、質問を終わります。

根本委員長 これにて各案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいま議題となっております各案中、まず、内閣提出、商品取引所法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 この際、本案に対し、櫻田義孝君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びグループ改革の四派共同提案に係る修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。村井宗明君。

    ―――――――――――――

 商品取引所法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

村井(宗)委員 ただいま議題となりました商品取引所法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及びグループ改革を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 商品市場における取引等につき、商品取引員が行ってはならない行為に次の行為を加えるものとすることであります。

 第一に、委託の勧誘を受けることを希望しない旨の意思を表示した顧客に対し、その委託を勧誘すること。

 第二に、勧誘に先立って、顧客に対し、自己の商号及び商品市場における取引等の勧誘である旨を告げた上でその勧誘を受ける意思の有無を確認しないで勧誘すること。

 第三に、顧客に対し、特定の上場商品構成物品等の売りつけまたは買い付けその他これに準ずる取引とこれらの取引と対当する取引の数量及び期限を同一にすることを勧めること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

根本委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、商品取引所法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。

 反対理由の第一は、本法案が、日本版ビッグバンに端を発した規制緩和の流れを加速させるものであり、商品取引員の許可制度の緩和や取引所外市場の拡大などは、商社や銀行、商取会社のもうけの場を拡大し、国民をより一層投機に駆り立てる、経済の投機化を促進するからです。

 先物被害が増加、深刻化している現状をこのまま放置して、これ以上規制緩和を進めることは許されません。

 第二は、委託者保護強化についての一定の改善があるものの、極めて不十分であり、これでは増大する先物被害を食いとめることはできないからです。ましてや、被害救済に取り組んでいる関係者から切望されていた不招請勧誘の禁止を見送ったことは重大です。

 我が国の先物市場は、当業者主義の徹底がなされておらず、参加者のほとんどが一般投資家という、諸外国にも例を見ないいびつな構造になっており、改善が急がれます。そもそも先物取引は、極めて投機性が高く、専門的知識や経験を必要とすることから、一般投資家には不向きな取引であり、当業者、専門家に限るべきです。

 第三は、取引所の株式会社化により、取引参加者にとって透明かつ公正中立な存在であるべき取引所が、株主利益を優先することによって、その公共性を弱め、ゆがんだ市場運営に傾斜していくことが懸念されるからです。

 最後に、我が国の商品先物市場の信頼性が乏しい中で、これを向上させるには、先物業界を丸ごと保護してきた政官業の癒着の構造をきっぱりと断ち切り、行政としてのしっかりとした監視、監督を初め、当業者主義の徹底、委託者保護強化で、これ以上の消費者被害を出さないことを最優先にした抜本的制度改革が必要であることを申し述べて、反対討論を終わります。

根本委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

根本委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、商品取引所法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、櫻田義孝君外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、櫻田義孝君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及びグループ改革の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    商品取引所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、我が国の健全な商品先物市場の育成を図る上で、委託者保護の徹底及び市場の信頼性の向上が必要とされることにかんがみ、本法施行に当たって、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 個人委託者の保護のため、商品取引員の勧誘方法に関し、適合性原則の徹底を始め関係法令を遵守するよう厳格に指導すること。特に、新規の委託者の保護には万全を期すこと。

 二 両建て勧誘、特定売買、向玉については、悪用されることのないよう厳正に対処すること。

 三 商品取引員の受託業務の実態を毎年調査し、公表するよう努めること。

 四 産業構造審議会商品取引所分科会については、個人委託者側委員を増員し、関係方面の意見をより公平に聴取するよう努めること。

 五 監督体制については、農林水産省及び経済産業省が十分緊密な連携を図り、委託者保護に万全を期すとともに、米国の商品先物取引委員会(CFTC)なども参考として、今後の監督体制の強化について検討すること。

 六 交付する書面については、個人委託者にとってわかりやすい内容のものとするよう努めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

根本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 次に、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、櫻田義孝君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及びグループ改革の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。鈴木康友君。

鈴木(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、消費者保護に万全を期すため、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 消費者に対して本改正内容の周知徹底を図るため、消費者団体等の協力を得つつ、啓発活動の充実に努めること。特に、高齢層、若年層に被害が多発している現状にかんがみ、学校教育、社会教育の一層の充実を図ること等により、消費者被害の未然防止に努めること。

 二 消費者トラブル防止のため、地方自治体の消費生活センター及び国民生活センターが引き続き消費者トラブルに関する相談窓口として有効に機能するよう努めるとともに、国としてトラブルに関する情報の一層迅速な把握と分析に努めること。特に、連鎖販売取引については、トラブルの実態把握に一層努め、被害の未然防止に万全を期すこと。

 三 報告徴収及び立入検査の対象事業者の拡大に伴い、法執行にあたる人員の増大を含め本法の適切かつ機動的な執行に努めること。

 四 消費者トラブルの現状にかんがみ、違法行為に対しては関係省庁、地方自治体、警察の連携体制の一層の緊密化を図りつつ、機動的かつ厳正な行政措置を発動するとともに、そのための取締体制を整備すること。

 五 本改正による規制強化や連鎖販売取引に係る中途解約制度の新設等について、事業者等に法改正の趣旨及び内容の周知徹底を図ること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

根本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 次に、不正競争防止法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。

 内閣提出、不正競争防止法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

根本委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

根本委員長 この際、両附帯決議について、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、これらの法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

根本委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

根本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

根本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時二十八分散会


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