衆議院

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第2号 平成16年10月27日(水曜日)

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平成十六年十月二十七日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    佐藤 信二君

      坂本 剛二君    菅  義偉君

      竹本 直一君    谷畑  孝君

      中西 一善君    西銘恒三郎君

      野田  毅君    平田 耕一君

      望月 義夫君    森  英介君

      山口 泰明君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    奥田  建君

      海江田万里君    梶原 康弘君

      菊田まきこ君    近藤 洋介君

      津村 啓介君    中山 義活君

      橋本 清仁君    松崎 公昭君

      村井 宗明君    渡辺  周君

      江田 康幸君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   内閣府副大臣       林田  彪君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業副大臣      保坂 三蔵君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府参考人

   (内閣府産業再生機構担当室長)          藤岡 文七君

   政府参考人

   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君

   政府参考人

   (金融庁検査局長)    西原 政雄君

   政府参考人

   (金融庁監督局長)    佐藤 隆文君

   政府参考人

   (社会保険庁次長)    小林 和弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          北畑 隆生君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     松永 和夫君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           阿部  健君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十七日

 辞任         補欠選任

  近藤 洋介君     津村 啓介君

  高山 智司君     橋本 清仁君

同日

 辞任         補欠選任

  津村 啓介君     近藤 洋介君

  橋本 清仁君     高山 智司君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ち、たび重なる台風被害及び新潟県中越地震によりお亡くなりになられた方々と御遺族の方々に衷心より哀悼の意を表し、お悔やみを申し上げます。

 また、被害に遭われた方々には、一刻も早い御回復と復旧を心から願い、お見舞いを申し上げます。

     ――――◇―――――

河上委員長 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府産業再生機構担当室長藤岡文七君、内閣府政策統括官柴田高博君、警察庁生活安全局長伊藤哲朗君、金融庁検査局長西原政雄君、金融庁監督局長佐藤隆文君、社会保険庁次長小林和弘君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、経済産業省経済産業政策局長北畑隆生君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君、中小企業庁長官望月晴文君、国土交通省大臣官房審議官阿部健君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 おはようございます。自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 きょうは、エネルギーの安定供給確保という視点で一般質疑を行いたいと思います。

 東シナ海中間線、春暁のガス田の開発につきましては、中川大臣がわかりやすくテレビでお話をしておりますように、春暁ガス田の鉱床が中間線の日本海側、我が国の資源の方まで広がっているんじゃないかという疑義が当初からございました。去る十月二十五日、日中の初めての局長級の会議が行われましたけれども、報道等によりますと、外務大臣の話し合い、ハノイでの会議で、中国側からこの協議が持ち出されたと聞いております。

 冒頭、第一点、去る十月の二十五日に日中間で初めて行われました協議の中で、我が国は中国に対しまして詳細なデータの提出を要求したようでありますが、これが全く提供がされなかったということであります。そうしますと、この疑義といいますか、春暁ガス田の鉱床が日本の側に入っているんじゃないかという疑義はそのまま存在するということになろうかと思いますが、中川大臣の基本的な認識をまず伺いたいと思います。

中川国務大臣 おはようございます。

 今の西銘委員の御指摘は、結論的に言うと全くそのとおりでございまして、依然として春暁ガス田が我が国の主権的権利であります排他的経済水域、つまり、日本としては二百海里が排他的経済水域でございますが、これが中国との間で重なり合うものでございますから、我が国としては中国に配慮して中間線をとるということを、国連海洋法条約あるいはまた日中平和友好条約に基づいてそういう立場をとっているわけでございます。

 御承知のとおり、中国側は、自分のところは、もう日本なんというものは存在しないんだということで、委員の御地元の沖縄のすぐ手前まで、大陸棚がずっと続いて深海に入っていくところまで、いわゆる自然延長論というものでございまして、私は、まずそれが国連海洋法条約、あるいはまた最近のそれに基づく紛争処理、国際司法裁判所における紛争処理の結論の最近の流れからいっても、そういう主張は中国側はとるべきではないというふうに思っております。

 そういう中間線の上に春暁ガス田があって、去年の十月から、日本政府としては、これはどうなっているんだということで情報を求めてきたところでありますけれども、今、西銘委員御指摘のように、向こう側から話し合いをしましょうといって、二十五日に私どもの小平エネ庁長官、外務省アジア局長薮中さん、向こう側も局長級で一日、もう朝から晩まで、夜中まで話し合いをいたしまして、日本としてはまず協議の前提となるデータをと言ったんですけれども、結局データそのものも、とにかく、結論的に言うと、心配するなと、中間線は認めていないけれども、日本側が言うようなことはないから心配するな、もうその一点張りだったと、一言で言えばそういうふうに報告を受けております。

 したがいまして、春暁ガス田の中国側の開発が我が国の主権的権利あるいは我が国の大事な資源が侵されるという疑義は、依然として晴れておりません。

西銘委員 私は、この詳細なデータを中国側に求めるという姿勢もどうだろうかと思っております。

 我が国独自でことしの七月から三カ月間という予定で三十億円かけた独自の調査が行われているようでありますが、私は、基本的に我が国独自の調査でこういう疑義をただすべきじゃないかと思っておりますが、ただいま行われております七月から三カ月間のこの調査によりまして、春暁のガス田の鉱床が我が国の側に入っているかどうかという疑義をただすことができるんでしょうか。大臣、お伺いしたいと思います。

中川国務大臣 中国側にその事実関係を照会し続けておりますけれども、と同時に、これはあくまでも日本の中の問題として、日本側で独自に、過去もやってまいりましたけれども、より精度の高いいわゆる三次元の物理探査、これは残念ながら日本の船ではございません、外国の船をお借りして今やっておるところでございます。

 七月から、当初は十月中ぐらいにはその物理探査を終わるという予定でございましたが、数々の台風等の影響で今作業がおくれております。年内にできるかどうか、来年にまたがる可能性もあるわけでございますが、得られたデータは順次解析をいたしまして、そして日本の中間線の内側のエネルギー探査をやっているわけでございます。

 その中には春暁の日本側の部分、構造についても当然調査をしておりますので、私どもは、ある意味ではある程度データを持った上で中国側に照会をしているわけでありますけれども、きちっとした科学的根拠に基づいて、さらに我が国の情報を提供しろということは、要するに疑義があるという、より精度の高い情報でもって我々の主張を固めていきたいというふうに思っておりますので、もう一年間、情報をよこせ、それに対して無視してきたという状況の中で、我が国としては、国内の資源開発、あるいは主権的権利の確保というための作業は、それはそれで進めていかなければいけないというふうに思っております。

西銘委員 エネルギーの安全保障という視点からしましても、この三カ月の調査が三カ月の調査にとどまらずに、私は、我が国の主権、エネルギーの確保、安定供給確保という視点からも、この調査をさらに精度を高めて細かくしていく、そして中国に対してははっきりと我が国の主権を主張していくという点が大事だと思っておりますが、今回の調査、その後、あるいは今後のこの調査の行方がどうなるのか、大臣、お考えを聞かせてください。

中川国務大臣 今後、我が国の排他的経済水域、国連海洋法上に定められた排他的経済水域、先ほど申し上げたように、中国側にも配慮した中間線の中での調査を3D船の物理探査を中心にやってまいりまして、その後どうなるのかということは、まず主権の確保ということと、我が国の中に貴重なエネルギーが存在をしている、これをどういうふうに今後やっていくかということにも当然つながっていくわけであります。

 資源、石油、ガス田が確認されました、でも、それはそれでおしまいですね、中国側との意見の相違についての科学的根拠が出ましたねと。あるいはそうじゃないことも可能性としてはないわけじゃありませんけれども、我々は、日本の中の資源調査をやっているわけでありまして、それを今後どうするかということは、エネルギーとして活用できるものであればそういうことにもなっていくことは、ある意味では当然のスケジュール、視野に入れたものであります。ただ、ちょっとスケジュールに入れたと言うと誤解を招きますね、当然、そういうものも可能性として否定はしないわけでございます。

 では、その後、鉱区を認めて、御承知のとおり、あの地域には複数の鉱区設定の要請が既に数十年前から出ているわけでございますから、科学的な調査に裏づけられたものが出て、それでもって申請している民間の石油開発企業がどういうふうにするのか、あるいは政府がそれに対して鉱業権を与えるのかということ、そしてまた、それから実際に試掘をするのか、開発するのか、それをビジネスベースでどういうふうにしてくるのかということは、今後十分我々としても判断をしていかなければならないと思っております。

 現時点においては、そういうスケジュールに入っているという段階ではございません。しかし、そういう可能性はもちろんあるわけでございますから、むしろそういう前提でやっていっている。主権的な権利の確保と同時に、ビジネスベースとして貴重な資源を有効利用していくということ、これは、春暁の場合あるいは東シナ海の場合は一体不可分のものになってしまっているわけでございますので、そういう観点から、今後、私としては、積極的に粛々と作業を進めていくという心構えでおります。

西銘委員 今、大臣のお話に出ましたけれども、我が国の民間四社が鉱区の申請をずっとやっている。私は、政府としてこれを認めて、鉱業権を認めて試掘調査の段階まで踏み込む時期に来ているものと考えますが、その辺はどう考えていますか。

小平政府参考人 ただいまございました鉱区の設定、鉱業権の設定の出願でございますけれども、これにつきましては、これまでは、排他的経済水域及び大陸棚の日中間の境界画定がいまだなされていない東シナ海の海域におきます鉱業権の付与につきましては、国連海洋法条約第七十四条及び八十三条の規定、これはそれぞれ、七十四条が排他的経済水域の境界画定、八十三条が大陸棚の境界画定でございますけれども、ここにおきまして、関係国は、「合意に達するまでの間、」間を飛ばしますけれども、「最終的な合意への到達を危うくし又は妨げないためにあらゆる努力を払う。」ということになっておりまして、そういう規定にもかんがみまして、これまでのところは鉱業権の出願の許可または不許可の処分を留保してきているところでございます。

 今後の対応につきましては、ただいま大臣から御答弁があったとおりでございます。

西銘委員 ただいま長官のお話にありました国連法の中での七十四条、八十三条の規定、中国側が中間線の中国寄りで春暁等々開発を実際に行っているということは、この国連法の趣旨に反することではないでしょうか。見解を聞かせてください。

小平政府参考人 日中、東シナ海の境界の画定につきましては、基本的に、相対する国の境界画定は、それぞれの領海基線から二百海里までが排他的経済水域、日中間はそれが重なり合っておりますので、日本としては、その境界は中間線であるというふうに従来からずっと主張をしてきておりますし、今回の協議におきましても、そういう考え方で中国側と協議をしたわけでございます。

 そういう私どもの考え方からいたしますと、中国側との間で境界が画定できていない状況で、中国側がさまざまな作業を行うということにつきましては、問題をなしとしないということであろうというふうに思いますけれども、中国側は、先ほど大臣から答弁ございましたように、中間線を越えて沖縄トラフまでが自分たちの大陸棚であるという考え方のもとに、さまざまな作業を中間線の向こう側において行ってきているということであろうかと思います。

西銘委員 大臣にお伺いしたいんですけれども、我が国は、国連海洋法条約の趣旨を尊重して、控えている。中国側が同じようにこの国連海洋法条約の趣旨を尊重したら、中国側も春暁の鉱区設定、開発等を控えるというのが国際的なルールではないかと思うんですけれども、大臣、どうお考えでしょうか。

中川国務大臣 一つは、国連海洋法条約というのが、排他的経済水域として二百海里、そして、その大陸棚の延長線上の海底資源に至るまで、深海資源に至るまでの排他的権利があるというふうに言っておりますが、それが、中国ももちろん海洋法条約の加盟国ですから、中国側も国連海洋法条約に基づいてやっているんだということを一応というか、ちゃんと向こうも言っているわけであります。

 そうすると、日本としては、先ほど申し上げたように、重なり合っているからお互いに中間線でと言っている私自身の根拠は、ここ十五年ぐらいの、そういういろいろな紛争がございました。結局は、国際司法裁判所に行きますと、やはり中間線を原則として多少の調整をするという判決ばかり、ばかりと言っていいのかな、最近の十五年ぐらいは。そればかりでございます。ですから、私どもとしては、最終的には、では、きちっと国際司法裁判所で国際的な第三者、専門家の方に審判を仰ごうかという議論もあるわけであります、これはこれで、また一つ別のいろいろな問題を解決しなければいけないんですが。

 いずれにしても、国連海洋法条約、今、西銘委員もおっしゃられた七十四条と八十三条、その二つの条文は、大陸棚であろうが排他的経済水域であろうが、お互いに紛争を起こさないように最大限努力しなさいというのが法の趣旨でございますから、それを全く無視して、着々と係争水域、私どもの係争水域というのは、日本側の二百海里と沖縄トラフとの間が係争水域だと私は思っております。つまり、中間線からさらに日本側の二百海里までも係争水域だと、中国が中間線を認めないというのであれば。それについて、係争にならないように最大限努力しなさいという海洋法の趣旨からいって、着々と、平湖ガス田なんというのは、もう火を噴いてエネルギーを送っているわけですから、大陸に。春暁もどんどん今やっております。天外天ももう物理的に目で見える施設ができております。

 そのほか、最近は日本の中にも鉱区を設定したという情報もあるわけでございますから、これは、どっちが正しいかどうかを、百歩譲って議論を横に置いておくとしても、とにかく係争水域において着々と先方が作業を進めているということ自体、私はさっきの海洋法条約の二つの条文の趣旨からいって、反するというふうに理解しております。

西銘委員 ありがとうございました。

河上委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 委員会冒頭に委員長の方からの御発言もございましたけれども、今回の新潟県中越地震の亡くなられた方に対しましてお悔やみを申し上げるとともに、被災に遭われた方々に対してお見舞いを申し上げたいと思います。

 きょうの委員会は大臣の所信に対する一般質疑でございますけれども、今回これだけの大きな地震災害の問題でございますので、その問題に関して、経済産業省の対応ということで質問を、短時間ではございますけれども、させていただきたいと思います。

 特に、今回の災害に当たりまして、我が党の神崎代表もすぐに現地に入りまして、また、総理も昨日現地に入って、さまざまな現状というものを把握されてこられました。そういった中にあって、メディアの報道をいろいろと見ますと、現地の被災に遭われた方々、大変苦労されている。これは、災害は当然ですけれども、そんな中でどこまで政治が携われるのか、こういった問題が突きつけられていると思います。

 そういった中にありまして、経済産業省としても、地震の発生したその夜、非常災害対策本部をすぐに設置いたしまして、省としてできることをしっかりと、担当大臣である防災担当大臣、または政府一体となって手を打ってこられたと思います。

 その上において、特に電力の供給ですね、本日になりまして大分電気が復旧しているという報道もなされている中で、どのような対応をとってきたのか、現状についてまずお伺いをしたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 電力の状況でございますが、地震発生直後、最大停電戸数は約二十八万戸ございました。これに対しまして、東北電力は直ちに復旧に取り組みまして、約二千百人の作業員、五十六台の発電機車を現地に派遣いたしました。これに加えまして、当省の要請を受けまして、東京電力、中部電力、北陸電力の近隣三電力は、作業員約百二十名、発電機車三十四台等を現地入りさせまして、復旧作業の支援に全力を挙げているところでございます。

 これらの作業に伴いまして、本日六時、けさでございますけれども、停電戸数は八千五百四十六戸まで減少いたしております。引き続き停電をしておりますところの多くは、道路が寸断をされている、トンネルの崩落等があって立入禁止になっている、あるいはまた避難指示が出ているという地域にございますけれども、こうした地域における復旧作業は、これらの交通が回復され次第、早急に進められるものと承知をいたしております。

高木(陽)委員 今御報告ありましたように、現在、八千五百四十六戸まで停電は縮小してきた。当初二十八万戸ですから、このわずか四日間の間に、頑張って東北電力を初め対応されて、またそれをしっかりと経済産業省としても支持をしてきた、そのように思いますけれども、やはり問題は、停電になって復旧していく、何日かかかりますけれども、一番不安なのは初日、二日ですね。何が何だかわからない状況、そんな中で避難所に集まってくる。電源車もかなり出動されたというふうに伺っておりますけれども、問題は、電源車がたどり着けたところはいいですね、たどり着けたところは。そこで、体育館ですとかさまざまな避難所で電源が供給されて、その分だけは最低限明るくなっている。ところが、そうじゃないところ、今回の場合には道路が寸断されて電源車さえも行けない、こういう問題があるわけですね。

 さあ、そういったときにどうしていくかという問題。これは、大分復旧してきましたから、最終的にその残る八千戸の停電が解消される、これが一番ですけれども、今後こういった大きな地震災害を受けた後、またいつ起こるかわからないわけです、どこにでも。そんなときに、また、道路が壊れてしまった、電源車も行けない、復旧作業もそう簡単にはいかないというときにどうするかというところまで、次の対策、どうしたらいいだろうか。これはもう、では今すぐどうしろということじゃないですけれども、そういった将来の問題も含めてまた検討していただきたい、これは要望として申し上げておきたいと思います。

 さらに、こういったライフラインとともに、またこれも報道でずっとなされてきたのは、やはり食料、水の問題ですね。ここに来て、ボランティアの方々が炊き出し、あったかい御飯、そしてみそ汁だとかそういったものもだんだんと口に入り始めているけれども、初日、おにぎり一個が届くかどうかという状況でもございました。そんな中で、これも、水、食料、特に緊急援助物資の調達ということでさまざまな手を打たれたというふうにも伺っておりますけれども、その点について伺いたいと思います。

迎政府参考人 お答え申し上げます。

 食料、飲料水を初めとする緊急物資につきましては、大手流通チェーンのイオンですとかイトーヨーカドーですとか、あるいはその他のコンビニですとか、そういったところから支援の申し出がございまして、おにぎりですとかパン、飲料水等の物資を大量に無償で提供をいただいているというふうに承知しております。また、一部店舗を除き通常営業を行って、通常の営業の中で物資の提供にも努力をしているというふうに承知しております。

 また、当省所管の物資につきましては、具体的な物資提供の要請があった場合に直ちに対応できるよう、関係業界に協力を要請し、体制を整えているところでございます。

 また、緊急物資の円滑な調達に万全を期すべく、二十五日より当省の職員を現地に派遣したところでありまして、現地の状況、あるいはそのニーズの把握に最大限の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

高木(陽)委員 今回の災害が起きて、これは阪神のときもそうですけれども、その対策本部の主体となるところは自治体の方だと思うんです。自治体が、どこで何が足りない、こういう把握のもとで、政府がそれをしっかりと応援していく、こういう形ではあるんですけれども、やはり現地の方が混乱しているわけですね。ですから、せっかく物が届いてきた、届いてきたけれども、それがなかなか現場の一番欲しがっている被災民の方々に届いていない、こういう現状ですね。

 これが一番大きな問題で、被災民の方々にしてみれば、それは国が出そうが県が出そうが市が出そうが、またはコンビニが出してくれようが、どこでもいいわけです、届けばいいわけですから。さあ、そういった問題に関して、情報というものが的確に把握される。こっちの方としてみれば、経産省としてみれば、調達をした、県まで届けました、現地対策本部まで届けました、だから私は知りませんという形になってしまった場合には、きょうの新聞にも書かれていましたけれども、四日目にしていろいろな物資が届いている、届いているけれども、まずは現地でトラックからおろす人がいない、どんどん積まれていく。しかも、それを体育館の中で、二千人、三千人の方々にはそうやって配られていきますけれども、まだ孤立しているところ、また自宅周辺で避難をしている方、こういうところにどう届けるのかといった問題。

 先ほど申し上げましたが、主体は県であり市であり自治体なんですけれども、そういったものの連携というものもやはり検討すべきではないかな、このように思っておりますので、今後の対応もよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つ、きのうからきょうにかけてかなり冷え込んだということでもございますし、暖をどうとるかということで、部屋の中に、避難所に入れている方はいいですけれども、自宅周辺で自宅に入れない、まだ余震がある、そういった中で車で過ごす方が多かった。問題はガソリンですね。ガソリンも、ガソリンスタンドがばあっと閉鎖されてしまって、一日暖房をつけながらエンジンをかけていると、これでもうなくなってしまう。その問題についてどのように対応してきたかということをお伺いしたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、大変ガソリンは、避難生活、特に暖をとるという観点から不可欠のものでございまして、御指摘のとおり、地震発生当初におきましては、停電あるいは被災によりまして、営業が不可能あるいは連絡ができないというガソリンスタンドが大変多かったわけでございまして、特に地震の被害の大きかった小千谷市、川口町では、ほとんど営業不能という状況にございました。

 こうした状況を踏まえまして、経済産業省といたしましては、これまでに以下のような対策を講じてきております。

 まず、精製・元売各社に対しまして、タンクローリーによります配送をしっかり行うように要請をいたしております。

 また、道路の寸断、規制等によりまして、タンクローリーが被災地まで行くことが困難であるという状況がございますので、新潟県の県警本部等に連絡をいたしまして、タンクローリーの一括緊急車両扱い等の便宜を要請し、通行可能ルートの情報を各精製・元売会社に伝えております。

 また、業界団体を通じまして、被災地の給油所につきましては、製品がある限り営業時間を延長するように要請をし、また、製品切れに遭った給油所につきましても、入荷があり次第再開するための準備をするように要請をいたしております。

 被害の大きい小千谷市に関しましては、市内で営業をしていることが確認をされております給油所の系列元売に対しまして、製品の供給が途切れないよう要請しております。また、停電のため、その場合には人力で地下からくみ上げるということになるわけでございますけれども、これも大変であるということで、東北電力に対しまして、給油所への電源車の派遣を要請して、電力を供給してもらっているということでございます。

 また、川口町に関しましては、町内で唯一稼働しておりますスタンドに対しまして外部から一切の製品供給がなされていない状況であるということで、元売に製品供給を要請いたしまして、現地対策本部、県警等に連絡を行いました結果、昨晩、現地の給油所にガソリンが輸送されたというふうに聞いております。

 現在では、電話、電力の復旧に伴いまして営業状況はかなり改善をしておりまして、八〇%以上の給油所で営業中であるというふうに聞いておりますけれども、今後ともしっかり安定供給に努めてまいりたいというふうに思っております。

高木(陽)委員 これも、ふだんはガソリンスタンドで一遍に来ることはないわけですね。でも、こういうときは一遍に来るわけですから、そういう点も、しっかり対応はしていただいている反面、まだまだ不十分な部分もあったということもしっかり総括をして、次の対応もしていただきたいと思います。

 あと中小企業の問題、これはまだ、今は避難をしていて、その企業自体がどうなるか、もうみんな不安だと思うんです。問題は、ある程度落ちついた、先の話になりますけれども、こういったときの融資の制度を初め中小企業対策、これをどのように考えているか、お伺いをしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 被災中小企業者に対する復旧支援策といたしましては、新潟県内の各市町村での災害救助法の適用を踏まえまして、以下の三点の措置を講ずることといたしまして、十月二十五日に関係各界に既に指示をしたところでございます。

 第一点目は、新潟県内の政府系中小企業金融機関の各支店あるいは信用保証協会、商工会議所、商工会などに特別相談窓口を設置いたしまして、中小企業者の相談に応ずる体制を整えております。

 それから二番目には、政府系金融機関におきまして、被災中小企業者の方々に一般貸し付けとは別枠で貸し付ける災害復旧貸付制度を適用いたしております。

 それから三番目に、政府系中小企業金融機関及び信用保証協会に対しまして、返済猶予などの既往債務の条件変更などにつきまして、被災中小企業者の実情に応じた対応を行うよう指示をいたしたところでございます。

 先生おっしゃいますように、復旧はこれからでございますので、今後とも地方自治体と密接に連絡をとりながら、被害中小企業の復興支援に万全を期してまいりたいと存じております。

高木(陽)委員 時間がもうなくなってきましたので、環境省にも来ていただいたんですけれども、これは、昨日の国土交通委員会で同僚議員が質疑をさせていただきまして、家電リサイクル法と廃棄物の問題ということで、今回、地震だけではありません。水害が全国各地で起きました。そのときに、いろいろな廃棄物が出てくる。もう使えなくなったものがたくさんあります。

 そんな中で、家電リサイクル、法律ができましたから、この問題についてしっかりと対応しなきゃいけない。ところが、自分の生活さえ大変な人が、そのごみの処理についてまた責任を負わなければいけない。こういった問題の中で、どうにかならないかということで昨日も同僚議員が質問したときに、災害廃棄物処理の事業がある、これでしっかりとやっていく、国の補助が二分の一あって、自治体がしっかりと対応していく、そういうシステム、スキームを使ってやりますというお話がございました。

 ただ、そうは言いながらも、体力のある自治体はそれでいいでしょう。そうじゃない自治体は、そこまで果たしてできるかどうか。山古志村なんか、もう全村避難してしまいまして、村自体が来年の四月合併をするという流れの中で、じゃ、どうするんだといった問題も多分出てくるでしょう。そういったところのきめ細かい対応、せっかくのあるスキーム、この事業を使いながらも、さらにきめ細かくやってもらいたい。これは答弁要りません、済みません、せっかく来ていただきましたけれども。要望をしておきたいと思います。

 時間が参りましたけれども、最後に、そういった一連の流れの中で、今、いろいろな経済産業省にかかわる災害対策のことで質疑をさせていただきました。しかしながら、何度か申し上げた、一番大切なのは、被害に遭った、被災した人たちが一体どうなっているのか、そこの視点からすべて判断していかなければならないと思います。県がしっかりと対応できていない部分、市が対応できていない部分、いろいろあります。だれがいけないだとかということじゃなくて、まさに政治が主導してやっていかなければいけない中で、最後に大臣にちょっとお伺いをしたいと思います。

 内閣の一員として、こういった問題、調達だけすれば経済産業省は終わりなんだじゃなくて、じゃ、どこまでたどり着くのかといった問題について、やはり内閣の中で御発言もいただく中でそういった対応をしていただきたいと思いますが、その点について最後に一言お伺いをしたいと思います。

中川国務大臣 まず、亡くなられた方々に心から御冥福をお祈りし、被災された方々にお見舞い申し上げ、今、高木委員おっしゃられるように、一日も早くもとの生活あるいはいろいろな活動に戻っていただくべく、内閣を挙げて、またこの委員会でもいろいろ御審議をいただいて、頑張っていかなければいけないと思っております。

 委員御指摘のように、日曜日の六時前に発生をして、もうそれから本当に短時間のうちに経済産業省の中にも対策本部を設置いたしました。また、現地新潟県にも対策本部がございますので、経済産業省の人間を三人常駐させております。

 そしてまた、コンビニそれからスーパーマーケットからおにぎりとかいろいろ義援いただきましたし、ロープとか毛布とかいろいろなもの、それからそういう輪はどんどん広がってきております。完全にボランティア的なものもありますし、経済産業省がお願いをして応じていただいているものもございます。――失礼しました。発生したのは土曜日です。訂正いたします。この場をおかりいたしまして、そういう企業、団体等に、現在進行形でございますけれども、とりあえず現時点で心から感謝を申し上げたいと思います。

 そして、それが、委員御指摘の、ちゃんと届くかというところまで当然我々はフォローをしていかなければいけない責任があると思います。私は、総理あるいは防災担当大臣あるいは北側大臣等々の報告しか聞いておりませんけれども、かなりたどり着きにくいところもある。しかも、そこにライフラインがかなりダメージを受けているということでございますから、集まった、送ったというだけではいけない。御要望に的確に対応し、それに対してガソリン等も含めまして供給をすると同時に、それがちゃんと最終的な、今困っている住民の方々に届くように最大限努力をしなければなりません。

 これは総理の強い指示もございますけれども、経済産業省は経済産業省だけでやっていればいいんじゃなくて、政府一体としてきめ細かく、そして自治体とも連携をとりながら、多分自治体から細かい要望がいろいろ上がってくると思いますので、そういうものをしっかり受けとめながら政府一体として、とにかく、送ることが目的じゃなくて届くことが目的でございますから、委員御指摘の点は十分留意をして、これからも全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

高木(陽)委員 終わります。

河上委員長 次に、海江田万里君。

海江田委員 おはようございます。民主党の海江田万里でございます。

 これから、与えられました時間、一時間弱でございますが、中川経済産業大臣を中心として、経済産業省に幾つかお尋ねをしたいと思います。

 その前に、委員長からも先ほどお話ございましたけれども、相次ぐ台風、風水害、それからせんだっての新潟の中越地震で被害に遭われた方々へのお見舞い、心からのお見舞いを申し上げたいと思います。

 この相次ぐ風水害、それから大変な震災ということで、昔の人でしたら、やはりこれは天が怒って地が泣いていると、政治が果たして本当にこれまでのあり方でいいんだろうかどうなんだろうかということをやはり考えてみる一つのきっかけになるわけでございます。もちろん今は、地震にしろ風水害にしろ、それぞれそういった自然災害が起きる自然的な条件ですとか、そういうものは説明がつくわけでございますが、やはり私どもは、政治に当たる人間として、日本の多くの国民がこの風水害あるいは地震によって大変な苦しみを味わっているわけですから、これまでの政治が果たして本当によかったんだろうかどうなんだろうかと、改めて気を引き締めて政治に当たっていかなければいけない、このように思うわけでございます。

 それで、今し方、高木委員の質問に対して、経済産業省として、特に中小企業対策で幾つかこれから、今は本当に、まだ当面の食料の問題でありますとか水の問題でありますとか、あるいは、寒さが大変厳しくなってきておりますから、この寒さにあえいでいる人たちにしっかりと暖をとってもらうとか、そういう問題。それからもちろん、電気でありますとか水道でありますとかガスでありますとか、こういうライフラインと申しますか、生活インフラの整備というものが大切でございます。

 ただ、そこから先は、やはり中小企業、大変多いわけですから、特に中越ですと、中川大臣のお好きな日本酒の久保田でありますとか八海山でありますとか、私も大好きでございますけれども、そういうような蔵元もありますし、やはりこうした中小企業が立ち直りをしていくためにはしっかりとした支援が必要じゃないだろうかということで、先ほども若干御答弁がありましたけれども、この中小企業対策、支援で、改めてどういうことが必要とされているかということについて、お答えをいただきたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどちょっと申し上げたことの繰り返しは避けたいと思いますけれども、当面私どもとしては災害救助法の適用を受けて行う措置を先ほど三点申し上げました。それが、とりあえずまず第一に十月二十五日に実施したところでございますけれども、その次に、今後被害の実態が明らかになってまいりまして、それが大変厳しい被害であるということを調査いたしました上で、私どもとしては、セーフティーネット保証という、これは信用保証の特例でございますけれども、セーフティーネット保証制度を発動するということがその次の段階としてあろうかと思います。

 これは一般論でございますけれども、さらに、もう一段被害が激しいという場合には、法律に基づいた激甚災害法の指定ということが行われることがございます。第三段階といたしましては、その激甚災害法に基づく中小企業支援措置というものがございまして、これは幾つかの効果がございますけれども、例えば、最後の段階まで参りますと、政府系金融機関における金利を半分以下にするとか、そういったような措置が行われるというのが今後の段階でございまして、これは地元の自治体とも協力しながら、被害情勢を十分に把握しながら、かつ、迅速に必要があれば行いたいというふうに考えているところでございます。

海江田委員 段階を追ってということはそのとおりだろうと思います。それから、最終的な段階で激甚災害法の指定ということになって、今お話のあった政府系金融機関から借りている金利の減免とか、そういうところにいくのではないだろうかということもよくわかっております。これは私の感じですけれども、恐らく、特にこの中越地震の被災地に対しては、激甚災害法などの指定もあり得るのではないだろうかというふうに思うわけです。

 ただ、問題はやはり必要な支援が必要なタイミングで行われているかどうかということでありまして、その点からいきますと、とりわけ中小企業にとりまして、特に金融支援といいますかその点からいうと、年越しの資金といいますか、年が本当に越せるんだろうかどうなんだろうかというところが一番やはり問題になってくるわけであります。

 そういう点からいって、もちろんこれまでの予算で災害対策、あるいは、予備費などもあるわけですが、ただ、もう既に予備費などは、これは二十三号の前あたりの台風で底をつくのではないだろうかということが言われておりまして、私どもはやはり、現に国会が開かれているわけでございますから、そしてこういう形で、どうやったら風水害あるいは地震の被害に遭われた人たちを一刻も早く救うことができるのか、あるいはそういう人たちに安心をしてもらうために政治がしっかりと手当てを講じているんだということを理解してもらうために、もう補正予算をやるということは大筋で方針が決まっておるようでございますが、この国会の中でやはりこれは補正予算を考えることができないんだろうかという主張をしているわけでございますが、中川大臣はこの点につきましてどのようなお考えでいらっしゃいますか。

中川国務大臣 本当に、海江田委員冒頭申し上げられたように、上陸しただけでも十個の台風。しかも沖縄、九州から北海道。北海道なんかは台風は来ないんだと、以前はそう言われておりましたけれども、二つも見事北海道を縦断いたしました。

 この台風あるいは大雨、強風の被害を受けていない地域はほとんどないんじゃないかと思うぐらい、ことしは日本じゅうをめちゃめちゃにした災害があって、そしてその後に新潟県中越地震が起こって、これがまたそれ自身が大変大きな地震でございましたし、その前の台風等のダメージと相乗的なダメージになってきているわけでありますから、これは早急かつ万全な対策をとっていかなければいけないということは、もう言うまでもないことだろうと思います。

 そういう中で、財源的に不足があれば、今、海江田委員おっしゃるように、特に財務大臣は、二十三号の前ぐらいまでは三千五、六百億の予備費があるので今のところは考えていませんみたいな、そういう、対応できるとすれば考えていませんという話でありましたが、財務大臣もいろいろなところで、必要があればということを言っておるわけでありますから、これはやはり、対策をとるということが目的ですから、そのために財源が必要であれば補正予算というものも考えなければいけないというのは、もう当然のことだろうというふうに思います。

 と同時に、今委員御指摘のように、できるだけ早くということもポイントだと思います。そのためには、言うまでもなく早く、今の、まだ非常事態が続いている、避難されている方が十万人いるとか、孤立している集落がまだあるとか、行方不明の方がまだいらっしゃるとか、そういう状況を一刻も早く戻す作業と同時に、復興のための、特に経済産業省的に言いますと、ライフライン、あるいはまた、中小企業初め、あそこに先端的な工場も幾つかありますけれども、そこの操業もとまっているということでございますので、早く立ち上げて、経済活動をもとに戻すというために必要な制度あるいはまた条件変更、そして財源というものが必要であれば、できるだけ早くそれを手当てしなければいけないと思っております。

 他方、財務省的に言うと、幾ら早くやっても手続は時間がかかりますねということになるんだろうというふうに思います。私としても、できるだけ早くということであればそれは早くということがポイントであって、いや通常国会だとか、いや今国会だとかという議論というのはその次の、ではいつの国会ということになるわけでございますから、私は、とにかくできるだけ早く対策をとる、財源対策もとる、補正予算の措置もとるということがポイントだということで、今国会でできるのであればそれにこしたことはないというふうに思っております。

海江田委員 今、中川大臣は今国会でできることならそれにこしたことはないということで、やはりこれは大変大切なポイントだろうと思います。

 先ほどもお話をしましたけれども、やはり特に資金繰り関係でいきますと、年末ですので、今、巷間伝えられております、あるいは財務大臣もたしかそのような発言をしておったようですが、通常国会の冒頭だということになりますと、これはもう常識的に考えまして一月の中旬以降ということになりますから、一番大事な、特に中小零細企業にとって一番大切な越年資金といいますか、やはりこれが事を欠くというようなことになったら、これは本当に、せっかくの復旧復興の意欲もそがれてしまうのではないだろうかということでございますので、これはやはり、ぜひ閣内ででも、特にこの経済産業の大臣、副大臣、政務官もでございますけれども、内閣の中であるいは政府の中で、もう最初から来年の一月中旬以降だよというようなことでなしに、アズ・スーン・アズ・ポッシブル、できるだけ早くということをぜひ主張していっていただきたい、そのことを改めてお約束ください。

中川国務大臣 特に中越地震の被害を受けた御地元の企業に対しての越年資金、つまり金繰りということであれば、それに限定して申し上げれば、先ほど中小企業庁長官から申し上げたような制度を既に発動し、この後、激甚災害の指定になればさらにもう一弾というようなこともございますので、それで対応できるものであればそれにこしたことはないというふうに思います。

 しかし、それでも対応できないものが全体として、経済産業省の所管に関して申し上げれば、予算要求をしなければいけないというときには、私のところも実は地震の多発地帯でございまして、どうしても激甚災害の指定なりそのための査定作業なりが時間がかかっているということを、私自身も体験しております。そういう意味で、資金繰りに対しては、経済産業省、中小企業庁としてできるものは最大限早急にやっていく。それから、補正予算の中で対応しなければいけないものについても、いろいろ手続があるとするならば、できるだけ早くやっていくということも必要だというふうに考えております。

 今、海江田先生の御指摘の中で、越年資金ということに絞って言えば、まず一義的には、我々のところのいわゆる政府系金融機関の融資なり保証なり等々、あるいは金利減免という話もさっき出ましたけれども、それで万全にやっていきたいし、それで不十分であればまたさらに対策を考えていかなければいけない。そして、越年というものが中小企業にとっていかに重要であるかということも我々認識しておりますので、そういうことも頭に入れながら、全力を挙げて災害復旧に取り組んでいきたいというふうに思っております。

海江田委員 そこで、これ以降は、せんだって当委員会で中川大臣がお述べになられました大臣あいさつということでございますが、私どもは所信の表明があったと思われますので、それについての質疑に入らせていただきます。

 これは御答弁はよろしゅうございますが、大臣も最初に触れられておりますのは関西電力美浜発電所三号機の事故の問題でありまして、「先月二十七日に公表した中間とりまとめを踏まえ、事故の再発防止に万全を期すとともに、信頼の回復に全力を尽くしてまいります。」という決意表明がございます。これは私の後の大畠委員も質問すると思いますが、当委員会でも現地調査などの論議も理事会で行われているやに聞きましたが、この原子力をしっかりとエネルギー政策の中で位置づけていくためには、どうしてもやはり安全、信頼確保といったものが大切ですので、これまで以上にこの問題についてはしっかりとした取り組みをまずお願いしておきます。

 その上で、一つお尋ねをしたいのは、やはりダイエーの問題でございますね。この大臣のあいさつの中にはとりたててダイエーの問題について言及はされておられませんが、やはりこの一月ぐらいあるいは二月ぐらい、八月の末ぐらいからでございますが、この経済産業委員会マターで、連日のように新聞をにぎわせたりあるいはテレビの報道番組で報じられたりということで、一番大きかったのがダイエーの問題ではないだろうかというふうに思いますので、改めまして、今回のこのダイエーの再生に対して株式会社産業再生機構といったところが関与をして再生を果たしていくということでございますが、この株式会社産業再生機構が民間の企業の再生を果たしていくに当たっての一番大切なと申しますか、基本的な考え方といいますか、これはどういうものであろうというふうに中川大臣は認識をされているのかということをお尋ねしたいと思います。

中川国務大臣 ダイエーのことにつきましては、いろいろございました、後ほど御質問があるかと思いますけれども。そして、十月十三日に高木社長の御決断で再生機構へ支援を要請するということで、今、支援決定に向けての作業が機構内部で行われているのではないかというふうに思っております。

 私は、もちろん国会議員であると同時に、経済産業大臣としてこの株式会社産業再生機構法の主務大臣の一人でございますので、意見を述べる立場にあるということが法律上明記されているわけであります。産業再生機構は株式会社産業再生機構法並びに国会の附帯決議というものを重く受けとめる、もちろん、法律はきちっと守らなきゃいけませんし、附帯決議も重く受けとめてやっていかなければならないということは、言うまでもないことだろうと思っております。

 何よりも、産業再生機構というのは、これは公的なものでございますから、法人格は別といたしまして、実質的には公的な存在であるということでございますから、小泉総理がよく言う、民でできることは民でという中での再生機構、最後のとりで、最後の力強い存在ということは、常々私は申し上げていたところであります。機構を無視するなんということは考えておりません、大事な存在ですということは、折に触れて申し上げていたところでございます。民でできるところは民でというのも、これはもう大原則として私は存在しているというふうに思っております。

 いずれにしても、今後ダイエーを再生するかどうか、支援決定をするかどうかがまず一つ問題になりますが、その作業に入ったということは、支援決定ができるかどうかという作業に入ったわけでありますから、それに当たっては、何といってもパートさんを含めて七万七千人の職員、従業員がいらっしゃる、あるいは売上高で二兆弱、そして取引業者が六千社というふうに私は聞いておりますから、これは地域経済に与える影響は大きいです。雇用に与える影響も大きいです。また、私の家の近くにもかなり大きなダイエーのお店があって、よくそこに行っておりますから、そこに大勢の地域のお客さん、あるいは広い駐車場がありますから、かなり広範囲にわたって消費者の皆さんにも影響があるかもしれないというようなさまざまな面、経済に与えるいろいろな面を十分配慮して、この再生作業に取り組んでいただきたい。

 私ももちろん、いろいろと言われておりますけれども、何もけんかしたとか敵対しているとかそういうことではなくて、ダイエーの高木社長の御決定を尊重して、今後も主務大臣の一人として、ダイエーがそういった前提条件で産業再生ができていけるように、私自身も努力をしていきたいというふうに考えております。

海江田委員 今るるお話がありましたけれども、中川大臣の口から、国会の附帯決議も重く受けとめなければいけないというお話がございました。

 これは、委員各位はもうつとに御案内だろうと思いますけれども、産業再生機構法が通りますときに附帯決議がなされまして、「事業の再生については、市場における企業の自主的な取組みを尊重することを原則とし、産業再生機構が事業の再生支援の決定を行うに当たっては、過度の介入により安易な企業の延命を図ることのないよう、公正かつ中立的な観点から判断を行うものとする」ということで、過度の介入と。これは主語が実は入っていないわけですが、政治の過度な介入でありますとか、あるいは役所の、行政の過度の介入でありますとか、こういうことだろうと思うわけですが、そうした過度の介入により安易な企業の延命を図ることのないよう、公正かつ中立的な立場で判断を行わなければいけないということで、これは、中川大臣みずからがこういう国会の附帯決議も重く受けとめなければいけないということをおっしゃっておられましたから、この点はよく理解をされていると思うんですが。

 この間、私どもの部会に、経済産業省それからもちろん内閣府、あるいは金融庁からもお出ましをいただきまして、この間の経緯がどうなっているんだということをいろいろ御説明いただいたんです。経済産業省は二枚紙を持ってきまして、時系列でどういうことがあったというようなことを明らかにされたわけでございます。

 ちょっと改めて一つお尋ねをしたいんですが、ここで、経済産業省が私どもの部門会議に提出をしました「ダイエー再建問題について」と題するペーパーで、「平成十六年九月以降の経緯」というところがございまして、この九月以降の経緯で、一番初めがまず九月の三日から記述が始まっているわけでございますね。

 ところがもう一つ、九月以降の経緯ということでいうと、大事な会談と申しますか、これがあったのではないだろうかと私どもは思っておるわけで、きょうはちょうど北畑経済産業政策局長もお越しでいらっしゃいますが、北畑経済産業政策局長が九月の二日に産業再生機構の斉藤社長とお目にかかっている、会談をしている事実があるのではないだろうかというふうに思いますので、そういう斉藤さんとの会談があったかどうかについてお答えいただきたいと思います。

北畑政府参考人 九月の二日であったと思いますけれども、私、産業再生機構の斉藤社長と対談をいたしました。その際、ダイエー再建に関しまして、再建のためのビジネスモデル、スポンサー、流通政策上の留意点等について意見交換をいたしました。

海江田委員 今お認めをいただいたわけでございますが、実は、この九月の二日の北畑局長と斉藤社長の会談は非常に重要だろうと私は思います。

 実は、これは週刊誌でございますけれども、週刊誌にも、これはもう北畑局長もごらんになっていると思いますけれども、週刊現代がこの九月の二日の会談を取り上げているわけでございます。

 私どもも、別に週刊誌の記事をそのままうのみにするわけではありませんで、独自に調べをいたしましたけれども、この会談で、今ダイエーの再生のためのビジネスモデルをどういうものにしたらいいんだろうか、あるいは民間の支援がどういうふうになっているんだろうかという全般的な意見交換をしたということですが、その中で、例えば民間の支援の中で、丸紅のグループといいますか、丸紅がこの支援に前向きであるとか、何か丸紅に関するお話は出ませんでしたか、どうですか。

北畑政府参考人 スポンサーの候補につきまして斉藤社長と意見交換をいたしました。

 私の方から斉藤社長に対しましては、当時はダイエーの入札に三つのグループ、最初は七つのグループだったんですが、最終的に、当時は三つであったと思いますけれども、三つのグループがダイエーの民間再建に手を挙げておったということでございまして、それぞれのグループに参加をしている企業について、私の方から説明をいたしました。これに対して斉藤社長から、それぞれの会社について斉藤社長のお考えについてコメントがございました。

 片方、斉藤社長の方からは、民間の入札には参加はしておらないんだけれども、仮に将来ダイエーが機構に来た場合にはスポンサー候補として手を挙げたいというふうに再生機構に言ってきている会社が複数あるという話がありまして、斉藤社長の方からその企業について名前の言及がございまして、それぞれの会社について私の方からコメントをいたしました。そういう意見交換をしたものでございます。

 私の方から挙げたメモの中に、御指摘の丸紅が含まれておったことは事実でございます。

海江田委員 大変率直にそのときの様子をお話しいただいてありがたいと思っているんですが、当然、斉藤社長とそれから局長がお話になるわけですから、そのメモというんですか、これはもう皆さん、お役所の方々と私どもがいろいろなレクを受けるときでも、いつも隣でメモをとっている方がいらっしゃるわけですが、当然、経産省の側でメモをとった人と、それから、産業再生機構は株式会社ですから、その意味ではどうかわかりませんけれども、やはりこれはそういうメモをとっておった方というのはいるんですか。お出ましになったとき、相手方にそういう人がいたかどうか。

北畑政府参考人 斉藤社長の方で手配をされていただいたホテルで議論をいたしました。私と斉藤社長以外にそれぞれ同行者一名ずつ、合計四名で議論をしたと記憶しております。

海江田委員 そうしますと、それぞれメモをとっておった可能性があるんですが、メモの中に、先ほど丸紅について、丸紅がスポンサーの候補、三つのグループが手を挙げている、それで、それについてコメントをお互いがしたということの中で、丸紅もその中に入っておるということですが、局長は丸紅についてどんなコメントをされたんですか。と申しますのは、丸紅を強く薦めたというようなメモが出回っているようでありますので、そんなことがあったらこれは大変なことですので、丸紅についてどんなコメントをされたのかということをお尋ねしたいと思います。

北畑政府参考人 斉藤社長とは自由に議論をしようということで、議事録、メモはつくらないという前提でお話を申し上げました。したがいまして、委員御指摘の出回っているメモというものについて、私は承知をしておりません。

 ダイエーにつきましては、私の方からは……(海江田委員「ダイエーじゃない、丸紅」と呼ぶ)失礼、丸紅につきましては、ダイエーの株主である企業であるということを申し上げました。それから、残っておる三グループのうちの一グループであるということを申し上げました。

 私は、当時は再生機構はまだ関与をしていなかった時代でございまして、民間の入札について、この結果を踏まえてもらいたい、仮に将来機構を使うときにはこの民間の企業の結果を踏まえてもらいたいという話をした記憶がございます。丸紅を強く推したという記憶はございません。

海江田委員 これは、推しましたなんというようなことがあってはならないことですから、当然そんなことはされていないということだろうと思いますが、ただ、今お話もありましたように、これは確かに、その三つのグループのことでいえば、丸紅に触れないわけにはいかないわけですから、当然丸紅について触れた。それに対してはコメントも加えた、コメントの内容は今のようなことだということでございますが。

 それと、あともう一つ、出回っているメモはつくらないって、共通の、これがこの会談のステートメントですよというようなものはつくらないということだろうと思うんですが、それぞれおつきが一人ずつ来ていたということはさっきお認めになったわけですから、そういう人たちが、メモといいますか、大体どんなやりとりをしておったんだろうかというようなことを書く可能性は大いにあるわけです。そういう意味では、全くこのメモが、今お示しをするわけにいきませんから、それについて本物か本物でないかとかいうようなコメントは要らないわけですが、何らかのやりとりの記録というものはあるというふうに考えた方がいいと思うんです。

 もう一つ、斉藤さんの方から、今お話があったけれども、まだこの時点では再生機構は関与していないわけですけれども、そこへ踏み切るに当たって、関与するかどうかの結論は、例えば八月の末が限度だ、九月の上旬が限度だとか、そういう時期的な何かお話はございませんでしたか。

北畑政府参考人 斉藤社長の方から再生機構の作業のスケジュールについてお話がございまして、三月の三十一日以降は新規の買い取り決定ができないという法律上の規定があるので、逆算をすると八月末が期限であるというふうな御説明がありました。これにつきましては、法律の規定について私の方から議論いたしまして、いや、もう少し余裕があるんじゃないでしょうかということを申し上げた記憶がございます。

 それから、冒頭、斉藤社長とはお互いに議事録をとらないで自由に議論をしようということを申し上げましたので、私の同行者も斉藤社長の同行者も、議事録はとっていなかったと思います。仮にそういうメモがあるとすれば、後からつくられたものではないかと想像いたしております。

海江田委員 あともう一つお尋ねをしたいんですが、これは上下分割という、何か道路公団のような話をしておるんですが、つまり、ダイエーの不動産部門とそれから御商売の部門、とりわけ食品なんかの部門、これの分割がいいんだろうか悪いんだろうかなんというような話は出ませんでしたか。

北畑政府参考人 お互い頭の体操ということで意見交換をいたしました。

 斉藤社長は、ダイエーの再建の方式として上下分離方式、つまり、食品スーパーという部分とその上にある衣類、雑貨等の部分を二つの会社に分離をするという方式がいいという御意見を持っておられたと思います。私は、それはこの流通業の実態に必ずしも合わないのではないかということを申し上げました。

 私の方は、むしろ縦割り二分割という提案をしてみました。つまり、食品スーパーと、それから食品スーパーと雑貨を含むいわゆるGMS形態、この二つの会社に分離をし、上に持ち株会社を設けるというようなことは考えられないかと。頭の体操でございますから、大分踏み込んだ議論をいたしました。その際、食品スーパーについては、これは現在でもダイエーは黒字でございますから、仮に機構に行っても出資というものは要らないのではないでしょうか、新しいGMS形態の方に出資をいただくということは考えられませんかという提案をいたしました。

 この点につきましては、翌日、斉藤社長からお電話をいただきまして、局長の提案について内部で議論したけれども、一つ問題がある、株主の公平を考えると、黒字、赤字ということで機構の出資を差をつけるわけにはいかない、両方に同じ比率で出資をするということではないでしょうか、こういう電話をいただきました。

 このように、九月の二日時点では、私、斉藤社長は昔からよく存じ上げておりますけれども、非常に建設的に前向きな議論をしておったわけでございまして、週刊誌に丸紅どうのこうのということは大変心外でございます。斉藤社長との関係では、この時点では斉藤社長も、民間主体でできるのならいいですね、私どもは必ずしも関与しなくても構わないんです、民間の補完的立場でございますからと言っておられました。私の方は、民間でやりますけれども、将来の選択肢として機構を使うということもあり得ないわけではないので、社長と率直な意見交換をしたいと。

 これは非常に微妙な時期でございました。ダイエーはまだ機構に行くという決断をしておらなかった時期でございましたから、きょうの話は議事録もつくらず、外に漏らさずということで斉藤社長と合意をしたところでございます。

海江田委員 きょうの話はというのは、それは九月の二日の話ですが、議事録もつくらず、外にも漏らさずということで約束をしたということで、経産省はどこにも、九月の二日、書いてきていないんですが、私はもちろんその場に居合わせたわけでもありませんが、丸紅の話が出たんじゃないですか、話は出ましたと。それから、斉藤社長の方から期限の問題、八月末から九月の上旬とかいう話は出たんですか出なかったんですか、出ましたと。それから、上下分割の話は出たんですか出なかったんですか、出ましたということでは、どうして私、こんなに知っているんですかね、これは。不思議ですね、これは。

 中身についてはいろいろなニュアンスはありますよ。私の言っていることは必ずしも、言っていることって、私はお尋ねしているわけですから、今お話があったことが正確な話だろうと思いますが、その意味ではやはり何らかの形で――だって、話はたくさんあるわけですから、自由な時間のフリーディスカッションであれば。その中でどうもこういう話じゃないですかと、まだ全部、私、お話をしていない点もあるわけですけれども。ということは、やはりかなりそこのときの話が漏れているということは確かなようでありますし、そうである以上、今週刊誌は根も葉もないというようなお話がありましたけれども、別に私は週刊誌だけに頼って話をしているわけではないわけですが、そこで書かれておったこと、あるいは私なりに調べたことでありますけれども、やはり経産省が丸紅についてかなり力を入れていたというようなことは、ある程度、そういうことから類推をすると、そういうこともあったんじゃないかなというふうな推測が成り立つわけですよ。

 今、かなり、この私とのやりとりの中で局長は正直に話していただいたので、後で記録が出てくると思いますので、それをもう一回私も精査をしてみて、そして、それと、この事柄の本当のこととどういうように、合っているのか違っているのかということの精査はしたいと思いますが。

 本当は、メモをとらなかったからないんだと言われればそれまでで、もしあるのならばこれはぜひ出していただきたいし、その中から、やはりさっき大臣がおっしゃった、これは行政の関与になるわけですけれども、これが行き過ぎていたのかいなかったのかというようなこともおのずからわかってくるのではないだろうかというふうに思いますので。ただ、これはないものは出せないですよね、出せと言われてもね。だから質問に対して正直に答えているということだろうと思いますが、どうぞ。

北畑政府参考人 産業再生機構も一部の行政を担っていると思います。行政機関の間でいろいろな議論をするということはいろいろな場面でございまして、その際に、外に出さないという前提でいろいろな踏み込んだ議論をするということがございます。それが、私は、随分週刊誌を見ましたけれども、曲がった形で外へ出ていると思いますけれども、私どもからは外へお出しするということはございませんので、外に出たこと自体について非常に心外に思っております。

海江田委員 あともう一つだけ、ちょっとお聞かせいただきたいんですが、十月八日、これは実は、大臣が記者会見で、十月六日に機構からダイエーに行った書簡の内容を、暴露という言葉がいいかどうか、突然記者会見で、記者に聞かれたからですけれども、発表したその日ですよね。これが十月八日。この十月八日の朝に、北畑局長はもう一回、機構の斉藤社長に対して電話はされていますか、どうですか。

北畑政府参考人 十月の七日であったか八日であったか、ちょっとここは記憶が確かでないのでございますけれども、七日付で「再生機構 ダイエー支援中止も」という新聞の情報が出ました。十月六日付で機構からダイエーあてに出された文書について、極めて問題があるということで、私は斉藤社長に抗議の電話をいたしました。

海江田委員 六日で手紙が出て、七日でそれを受けて新聞が出たということですから、それから、私は今、朝ということを言いましたから、恐らくこれは八日の朝ですね、電話をしているということがあるわけですね。それから後、抗議をしたということ。

 それから大臣、大臣がその八日の手紙を、これは機構がダイエーにあてた手紙ですから、ダイエーサイドから入手をしたということですね。

中川国務大臣 私はどこから入手したかは正確に存じておりませんが、とにかく今、北畑局長が申し上げたように、新聞にそのような記事が出た後でございまして、その後、そういうペーパーだと思います、判こを押していないので本当にこれは真のペーパーなのかということを当時は若干不審に、正式の文書なのかどうかと。再生機構側、つまり手紙を出す側が判こも押していないペーパーなので。

 しかし、中身としては、これが事実だとすれば、さっき北畑局長が強く意見を機構に言ったという話でございましたけれども、私としても、それまでは機構のデューデリは多少おくれるんだ、一カ月くらいおくれるんだと言っていたのに、いきなり六日付で、十二日までにやらないと支援の作業には入れない、要するに、守秘義務契約をつくれない、さあどうするというふうな手紙だったものですから、大変びっくりすると同時に、冒頭申し上げたように、民が今一生懸命やっているというふうに聞いておりましたので、これとの関係において私自身も非常に疑問に思った次第であります。したがって、そのペーパーなるものの一部を公表させていただいたということでございます。

海江田委員 十月六日、これは記者会見の概要ですけれども、「十月六日付でダイエーあてに再生機構から手紙が来たようであります。読み上げます。」ということで、その一部を読んでいるわけですね。このときの大臣の心の中とすれば、何でそんな急に、しかもこれは十月十二日までということを期限を切っているわけですから、これに対して非常に、その意味では、そんな十二日までなんかに期限を切るのはとんでもないというか、そういう感情があったことは事実でありますよね。

 この記者会見をやった後、斉藤社長が来るわけですね、経産省に。

 経産省からいただいたデータでは、意見交換し、引き続きお互い知恵を出そうということになったということですが、ここは要するに、ここのポイントというのは、十二日を十八日までですか、十八日まで延ばせないのかということを言ったのがポイントですか、どうですか。

中川国務大臣 八日に斉藤社長に大臣室に来ていただきまして私と面談をした趣旨は、委員御指摘のとおり、このペーパーで、私どもにとっては寝耳に水のような、民間が大体十八日にデューデリを終えてという、作業が終わって次の段階に入るというふうに聞いておりましたし、先ほど申し上げたように、私、冒頭申し上げておきますけれども、決まったことは決まったこととして、今の気持ちは冒頭申し上げたとおりで、機構とダイエーのことについて、自分の与えられた立場で産業再生に協力をしていく立場だということでございます。

 今歴史の検証みたいな話としての御質問だという前提でお答えをさせていただきますが、そのときは、民間がデューデリをやっている、それに対して機構側が約束に基づいてデューデリをやるんですけれども、どうも時間がかかるんだというような話を聞いておりました。ところが、六日付のペーパーを読みますと十二日、しかも、九、十、十一と三連休、土曜日を入れて三連休でございましたけれども、連休明けに結論を出せ、出さなければ、再生機構としてはもう支援の判断をしませんよというようなペーパーでございましたので、これはどういうことなんでしょうかと、十八日にこういうこともありますけれども、十二日というのは正直言ってまことに唐突な感じがしないではありませんねということは斉藤社長さんに申し上げました。

 ただ、斉藤さんの方もいろいろとおっしゃっておられました。そのペーパーにも、手紙にもありましたけれども、再生機構の査定に対してダイエー側の協力が不十分だというようなことをおっしゃっておられました。したがいまして、私どもとしては、ダイエーにもきちっと再生機構の査定に協力するようにということを、経済産業省としてダイエーにも申し上げました。と同時に、再生機構側にも、今民がやっているんですから、それを少しぐらい、突然十八日に対して十二日というものを六日に出してきたということでありますから、余りにも唐突な感じがいたしましたので、その辺について御判断できませんかということも申し上げました。

 結論は出ませんでした。したがって、今後よく連絡を取り合いながら、目的は一緒ですよねということを私と斉藤さんとで確認しました。いろいろな問題を勘案し、さっきの雇用とか取引先とかを勘案し、再生できるものについてはちゃんと再生できるようにやっていきましょうという目的は全く同じですから、そういう目的に向かってお互い連絡をとりながら、知恵を絞ってこれからもやっていきましょう、そういう結論というか、話としてはそういうことになったわけでございます。

海江田委員 何でこんなことを細々と聞いておるのかというふうにお思いかもしれません、歴史の検証をやっておられるということを今言われましたけれども。これは、やはり日本の経済をもう一回立て直しをしなければいけない、これはもうだれもそれについては否定をする人はいないわけですから。

 ただ、その立て直しをするに当たって、特に民間の企業の再生というのは、やはり基本的には民間同士で、市場を通じてやるべきではないだろうかという考え方があって、それに対して、だけれどもこの再生機構というものを、国のお金を最終的には出すことになるわけですけれども、そういうものを出して関与させるけれども、これはごく例外的な話であって、だからここの関与に当たっては、それこそ官が、行政が、政治家はもちろん論外ですけれども、行政がそういうところに介入をしたのでは、せっかく産業の再生というものを市場に任せて、民間の力を借りてやろうというものに対して、違っちゃうじゃないだろうかというところがあるわけですから。

 だから私どもは、中川大臣、これはもう経済産業大臣としての中川さん、あるいは局長、これはまさに経済産業政策局長としてのお立場から、ここの再生に当たって、ダイエーという企業の再生に当たってやはり介入があってはならないということだからお尋ねをしているのであって、若干微に入り細にわたるところはありますけれども、やはり最初からきちっと、私どもがこういう情報を出してくださいということを言ったときに全部出してくれれば、そこですぐ判断がつくわけですけれども、そういうときの出てくる資料というのは、こう言っちゃなんですけれども、御自分たちに都合のいいところだけを出してきて、大事なところはまさにそこの、私たちが判断するのは官の過剰な介入がありはしないだろうかという点だから、そこのところに的を絞ったものが出てきていないのでこういうことを言っておるわけです。ここは御理解をぜひいただきたいわけです。

 それから、あともう一つだけ。もう時間が来てしまいまして、あと一つだけですが、この十月八日の会談に北畑さんも同席をしておりましたよね、これは大臣、覚えていらっしゃると思いますが。

中川国務大臣 私と斉藤社長のときには、北畑局長も同席しておりました。

 それから、一つだけ。附帯決議の介入は、経済産業省を初めとする行政の介入を防ぐという趣旨だと委員おっしゃいましたけれども、私は、過度の介入というのは、ある意味では、御指摘のようにそこは主語がありませんので、産業再生機構がという主語でも読めるような気もしますし、いずれにしても、産業再生機構も含めて、もちろん経済産業省も含めて過度の介入をすべきではないというふうに私はその附帯決議を読ませていただいておりまして、そういう意味で、もちろん我々はやっちゃいけない。しかし、これはもう委員と私、全く同じですが、民ができることは今民がやっている最中なんだから、官がいきなりぽんと、後ろにいた人がぽんと前に出てくるというのはいかがなものかという疑問をその時点で持ったということでございます。

海江田委員 では、これで終わりにしますが、ただ、そこの介入の話は、もう一つこれと裏返しをした、高木委員長の方の手紙などもあるところでありまして、本当はここが大事な話ですから、そこは今回ちょっと時間がなくて触れられなかったので、そういうことから考えると、やはり大いに問題ありだということは一言申し添えておきます。

 また今度やりましょう。

 済みません。どうもありがとうございました。

河上委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 今、海江田万里さんの方から大くくりの話がございました。私の方は、少し細かなことを含めて、大臣の所信に対する御質問をさせていただきます。

 その大臣の所信に対する質問の前に、新潟の災害対策、地震対策について、私の体験を含めて御質問をさせていただきます。

 ちょうど二十三日土曜日、あの脱線をした新幹線の後続車両に私は乗っておりまして、Maxとき三二七号、上野発四時四十六分の電車でございました。もうちょっとで湯沢に着くというところでございましたが、清水トンネルのちょうど真ん中からちょっと先の方へ行って、そこで停電のためにストップし、七時間半車内におりましたが、JRの方々や地元の消防署員あるいは消防団の皆さんの大変な御尽力で地上に脱出をして、翌朝まで駅にとどまり、本来は災害地に私も政治家の一人として行かなきゃならないという使命はございましたが、とにかく交通が遮断されていたためにその思いは遂げられずに、東京に帰還するということになったわけであります。

 その際、いろいろと御尽力をいただきました消防署の皆さんや、午前二時だったでしょうか、夜中にもかかわらず足元を照らして誘導をしていただきました消防団員の皆さんに、御礼を申し上げます。

 そこで、この新潟地震に対する関連については海江田万里さんからもお話がございましたので、前段の部分はちょっと省略をいたしまして、体験を踏まえて、国土交通省と警察庁、厚生労働省に、まあ、すぐ云々しなさいということではないんですが、こういうことがありましたという指摘をさせていただいて、簡単な御所見をいただきたいと思います。

 まず、車掌さんに伺ったところ、トンネルの中で新幹線がとまったときの対応マニュアルというのは積んでおりませんという話。

 それから、停電になりますと、即、トイレがバキュームがきかなくなって使えなくなってしまって、四百人の乗客が非常に困ったこと。もちろん、停電が回復したときにはまた使えるようなんですが、断続したという話で、大変困りました。

 それから、十分な情報が乗客には伝達されない。乗客の方が自宅に電話をして、その家族からの情報が口伝されて非常に不安が広がったという実態を持ちました。

 それから、JRの中央司令室が混乱していて、外部からの安否確認も、あるいは列車がどこにいるのかということさえ外部には伝わらなかったという話を聞いております。

 それから、外国人が乗っていたんですが、日本語のアナウンスはあったんですが、英語のアナウンスが全くない。私がたまたまブロークンイングリッシュで伝えましたが、そこら辺もそろそろ、外国からお客さんを呼ぼうという国なんですから、そういう対応があっていいんじゃないかと私は考えました。

 それから、IT先進国で、二〇〇五年には世界最高の水準に達するというんですが、トンネル内で携帯電話が全く使えない。これは地下でも、今、地下鉄でも使えるわけですから、ここら辺は何らかの対策がとれなかったのかと考えました。

 あるいは、新幹線車両に一月までは四台の公衆電話があったんですが、使用が少ないというので二台に減らしたということで、長蛇の列になってしまったというのも事実であります。

 それから、夜間に体育館に避難した人の話からですが、その村には毛布などの備えは全くなく、寒さの中で百五十人の方々が着のみ着のままで過ごさざるを得なかったという、防災に対するまさに不十分さというのを私も電車の中の方からお伺いしました。

 それから、警察庁ですが、防犯といいますか、村落の方々が避難した後の防犯対策は大丈夫なんでしょうかという避難者の方からの声が届いています。

 それから、私の方にファクスが参りましたが、今のテレビを見ていますと、公共施設、例えば厚生労働省関係のむだ遣いと言われたああいう施設を開放して、臨時に、そういう避難された方々が安心して暮らせるように周辺近隣の公共施設を開放すべきじゃないかというファクスが来ているんですが、こういうことも含めて、簡単で結構ですから、それぞれの方の御意見をいただきたいと思うんです。

岩崎大臣政務官 ただいま大畠委員の方から、トンネル内の新幹線に閉じ込められた経験を踏まえましてのいろいろな御指摘を賜りました。賜りました御指摘は、早速事業者に伝えまして、今後十分参考にさせていただきますようしたいと思っておるわけであります。

 言うまでもなく、今般の新潟県中越地震のような大規模な輸送障害の発生時には、まず乗客の安全の確保を図ることはもちろんのことでありますけれども、乗客に対して適時適切に事態の状況や今後の見通し等の情報案内を行いまして、乗客が混乱したり不安を来すことのないよう、きめ細かな対応が必要だと考えております。

 ただいま御指摘のございました事態は、新幹線走行付近での直下型地震であるという前例のない状況でございましたこと、また、鉄道施設の被害状況が、夜間であるという悪条件も重なってなかなか判明しなかったこと、さらに、余震が頻発する状況の中でございまして、トンネル内に停車した列車の乗客の救援方法の検討や救援手段の手配などに相当の時間を結果として要してしまった、そのため、結果的に乗客を長時間列車内にとどめることになってしまったものでございます。

 JR東日本におきましては、トンネル内での停車時の対応を含めまして、非常時対応のマニュアルを作成はいたしております。このマニュアルに基づきまして、乗務員から列車の乗客に対して情報案内が行われたものと伺っているわけでありますが、乗務員から列車の乗客に対して、ただいま申し上げた状況の中で必ずしも満足いただけるような詳細な情報が提供できなかったわけでありまして、長時間にわたり乗客に多大な御負担と不安を強いる結果になりましたことは、大変残念なことでございます。

 国土交通省といたしましては、大畠委員御指摘の点も含めまして、今般の事案の反省点を見きわめまして、JR東日本を初めとする鉄道事業者に対して、利用者に対するより適切な情報提供がなされますように、今後万全を期していきますよう指導してまいりたいと考えております。

伊藤政府参考人 地震の後に住民が避難した後の防犯対策につきましてお答えをしたいと思います。

 地域住民が地震の後避難した後におきます犯罪の発生につきましては、今のところ報告は受けておりませんけれども、委員御指摘のとおり、被災地において地域住民が避難した後における窃盗、あるいは震災からの復旧に藉口した悪質商法事案等の犯罪の発生が懸念されるところでございます。

 警察では、地震被害に遭った地域の警察署のみならず、周辺の警察署等からも警察官を被災地に派遣しまして、制服警察官による徒歩または車両によるパトロールを強化しておりますほか、これをさらに強化するために、他の都県警察から、パトロールカーを初めパトロール活動等に当たる車両と要員の応援派遣を行うこととしておるところでございます。また、避難所等を巡回いたしまして、困りごと等の相談に応じたり、震災に乗じての犯罪被害への注意を呼びかける広報を行うなど、防犯対策を実施しているところでございます。

 今後とも、被災地の状況でありますとか被災者の方々の要望等を踏まえつつ、犯罪の防止と地域住民の不安感の解消を図ってまいりたいと考えております。

小林政府参考人 公共施設の活用の関係でお答えをさせていただきます。

 今回の地震発生に伴いまして、近隣地域に非常に大きな被害を生じているという状況を受けまして、被害を受けていない新潟県内の年金の福祉施設等につきましては、短期的な被災者の受け入れでございますとかおふろ場の提供あるいは救援物資の送付など、各施設において対応可能な支援活動に取り組むこととさせていただいております。

 また、グリーンピア津南、これは近くに所在しておりますが、このグリーンピア津南におきましても、被災者向けの取り組みといたしまして、避難所としての施設、例えば、ここには約三百人収容可能な体育館がございますが、その体育館の提供でございますとかおふろ場の利用、こういうような支援活動を行うこととしております。

 いずれにいたしましても、具体的な実施に当たりましては、国の平成十六年新潟県中越地震非常災害対策本部、あるいは新潟県の新潟県地震災害対策本部、こちらとの連携を十分とりながら対応してまいりたいと思っております。

大畠委員 いずれにしても、現在でも三十二市町村、十万三千人の方が避難所生活をされておりまして、非常に気温の低くなる中での耐乏生活を強いられているわけでありますから、政府を挙げて、これは与野党を超えて、ぜひできる限りの御支援をしていただきたい。また、亡くなられた皆さんに対する御冥福と被災をされた皆さんに対するお見舞いを申し上げる次第であります。

 さて、それでは本題に入りまして、中小企業政策等々について御質問をさせていただきます。

 私は、この質問をするに当たって、地元の方々の御要望等をいろいろ伺ってきたところでありますが、中小企業関係では二点ございます。

 一つは、金融監督庁の検査のあり方について。これはもうこの数年指摘をされているところでありますが、地域の実態を踏まえた検査体制ではない、大手の大銀行と地域の金融機関では全く状況が異なるにもかかわらず、金融監督庁の検査官があたかも犯罪者を調べるような態度で調査をされた、非常にまじめにやっているのにということで憤慨をされていた方々の話も伺いましたが、最近では対応が改善をされて丁重な姿勢になってきたという話も聞いております。

 また、検査マニュアルも別冊をつくってわかりやすくなったということでありますが、実際問題、なかなか地域の金融というのは厳しい状況にありますので、この件について、まず経済産業省は、この中小企業に対する金融庁の検査というものについて、実態をどのように把握してどのように考えておられるのかをお伺いすると同時に、金融庁としての現在の御見解をお伺いします。

山本(明)大臣政務官 大畠委員の御質問に答えさせていただきますけれども、初めての答弁の機会をいただきまして、本当にありがとうございます。真剣に答えますので、よろしくお願いをいたします。

 今御質問がございました金融庁の金融検査マニュアルでありますけれども、今、大畠委員からお話ありましたように、大企業と中小企業が一緒ではおかしいのではないかという話は大分前からやはりありまして、そういったこともありまして、十四年の六月に金融検査マニュアルの中小企業版というものを別冊としてつくりました。これも、ある程度、経営者の資質だとか、それから検査を五千、最初は二千万ですね、二千万以上にするというようなことで、多少は中小企業向けのことを考えてつくったわけでありますけれども、まだまだやはり不満というのは絶えないということで、経済産業省といたしましても、中小企業だとかそれから金融機関、いろいろとヒアリングを行いまして、金融庁にも要望をしたところであります。ことしの二月に改訂版が出まして、大分これは、今委員からもお話ありましたように、少しよくなったというようなことも聞いております。

 まだまだよくしていきますので、これを経済産業省がしっかり話をしていきますので、御期待をいただきたいというふうに思っております。

 いろいろと変わった点というのはあるんですけれども、特に、リレーショナルバンキング、いわゆるリレバンということで、中小金融機関というものも体質強化、機能強化を大分しておりまして、中小企業診断士だとかいうのを養成、大分ふえてきております。したがって、そうした中小金融機関が自主的な判断をするという形のものも、これからの債務者区分の変更等に考慮されるようになってきたということがあります。

 そしてまた、いわゆる債務超過というような企業でありましても、これはキャッシュフローがしっかりしておれば、キャッシュフローがプラスであれば何とかいけるというようなことで、これも考慮をしておるというような形になっております。それから、私自身は、中小企業の場合は金融機関へ行って相談すると多少は違うというふうに思っておったんですが、これもちょっと方向が変わりまして、金融機関の方が中小企業へ出かけていっていろいろとヒアリングをする、それでその中小企業の債務者の中身をしっかりと把握をする、そうしたことによって判断してもいい、また、いい方に持っていってもいいというようなことも採用されております。

 それから、先ほどちょっと間違えましたけれども、二千万であったものが五千万以上のものを検査すればいいということになりましたので、これは、特に中小企業にとりましても中小金融機関にとりましても、大変カットされる部分が多くなりまして、検査しなくてもいいというものが大分ふえてまいりましたので、そういった意味でも、これも大変大きなことだというふうに思っております。

 私自身が画期的だなと思いますのは、デット・デット・スワップ、DDSでありまして、これは、中小企業の借り入れというのは、ほとんどが転がしというんですか、ずっと借りっ放しで、書きかえ、書きかえで借りておる場合が多いわけでありますけれども、ずっと借りっ放しであれば資本と一緒ではないかということでありまして、いわゆるこの借りっ放しのお金を劣後ローンとして資本化してしまうということが今回認められました。これは非常に画期的でありまして、多少金利は上がるかもわかりませんけれども、中小企業にとってはこれは返さなくてもいいと言われるわけでありますし、そして金融機関にとりましては、不良債権が、残った分はこれは正常債権になるわけでありますから、不良債権も減るということでありまして、まさにこれは非常にすばらしいものができたなと私は考えております。

 経産省で調べましたところ、どれぐらい使っておるのと聞きましたところ、経産省の調査でいきますと、中小企業再生支援協議会の関係しか経産省はつかんでおりませんけれども、まだ七件しか使っていないそうであります。恐らくほかの中小金融機関では大分ふえておると思いますけれども、これはやはり我々としてもしっかりとPRをすることによって広げていきたい、そんなふうに考えておりまして、非常に今はいい方向で進んでおると言って過言ではないというふうに思っております。

西原政府参考人 お答えさせていただきます。

 委員御指摘のとおり、中小企業に対する貸し出しに関しましては、これはやはり、その経営の実態というものを十分に勘案して検査をしなきゃいけない、これが重要なことだと思います。

 そういうようなことで、お話にありましたように、我々が検査する際には、その手引書として検査マニュアルというのがあるわけですが、それにつきましても、大企業とは違った中小企業ならではの、やはりその特徴に焦点を当てたそういう別冊編をつくりまして、ただいま大臣政務官から細かく御説明がありましたが、そういうきめ細かい別冊編をつくりまして、それに基づいてきめ細かな検査をする、こういうことに努めておるところでございます。

 しかしながら、今おっしゃいましたように、それが本当にきちっと行き渡っているのか、こういう点につきまして、我々もこれはきちっとやっていかなきゃいけないというふうに思っておりまして、今年度の検査基本方針、この中に大きな項目を立てまして、これは、中小企業再生や地域活性化への貢献に対する対応、こういう大命題でございますが、その中に、「中小企業向け融資については、マニュアル別冊に基づき、企業の経営実態等に即した的確な検査を推進するとともに、本別冊の浸透のため、以下の施策を講じる。」ということで、その施策の一つといたしまして、例えば検査モニターによるマニュアル別冊の運用状況の確認というのがございます。

 検査モニターというのは何かといいますと、実際に検査班が入って検査中のところに、検査班とは別のバックオフィスの幹部が検査中の金融機関に入っていきまして、その頭取とか幹部の方と、今の検査はどういうふうに、ちゃんと的確にやられているかどうか、そういうことを意見を聴取するというようなことをしております。これが検査モニターでございます。その検査モニターをする際に、実際にこの検査においてマニュアル別冊の運用状況も確認する、そうすることによって、この別冊の運用が適切に行われているかどうか、こういうのを現場でもってちゃんと確認するというようなことをあわせてやっております。それをことしのキーポイントにさせていただいております。

 そういうようなこと等を通じましてこの別冊の普及を図っていこうということですが、検査官には、当然のことながら研修を徹底する、それから、金融機関に対しても営業の現場までこの別冊の趣旨を徹底させる。それから、これは大事なことなんですが、借り手側の債務者の方にもこういうのがあるんだということを知っていただく、こういうことで広報活動もやっております。

 今後ともぜひこれに力を入れていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

大畠委員 先ほど大臣からもお話がありましたが、地域の方々も一生懸命、何とか地域の経済を立ち上げようとして頑張っているわけですから、そこに水を差すことがないように、やる気を起こさせるように、ぜひ金融庁の方でもいろいろと配慮をしながら、考えながらやっていただきたいということを申し上げておきます。

 それじゃ、関連するものとして、実は、マル経融資というのがございまして、これは、従業員が二十人以下の小規模事業者を対象にした無担保、無保証人、低利で融資する制度です。実はこれは、商工会議所や商工会が審査をして、そして国民生活金融公庫に推薦をするということなんですが、金融庁の指摘を受けて、中にはずさんな貸出資金もあった、焦げつきがあるじゃないかという指摘を受けて、それ以来、国民生活金融公庫は、商工会議所や商工会が厳重な審査をして上申したにもかかわらず、非常に厳しい審査になって、なかなか融資がおりにくくなったという話が私のところに参りました。

 これは、一罰百戒というのはそうなんですが、しかし、全部がおかしなことをやっていたわけじゃない。確かに、会計検査院が検査した結果、そういうことがあったんでしょう。しかし私は、そこら辺は、今非常に大変な状況なので、このマル経融資という制度を、またその間口を狭めてしまいますと地域の中小企業も困ってしまうわけでありますが、この件について経済産業省の基本的な見解をお伺いします。

山本(明)大臣政務官 今、大畠委員からお話がありました件は承知をしておるわけでありますけれども、新聞に書いてあるわけでありますが、この件につきまして結論はどうかというと、こういったことはないということでありまして、実際に、融資でありますからいろいろと間違いもたまにはある、どんな検査でも目こぼしはある。目こぼしと言っちゃいけませんね、失敗はあるわけでありますから、そういったことがたまたまあったということでありまして、これによって国民金融公庫が融資を厳しくするということはありませんし、経済産業省としても、これからもそういったことはしないということであります。もし拒否があったとすると、そういった理由にかこつけて、昔の金融庁の検査が厳しいから貸さないよというような、そんなことで使われたのかもわかりませんが、経済産業省としては一切そうしたことはしておりません、これからもしませんということです。

大畠委員 それから、これは全国共通、いろいろ御質問項目も出していますが、時間の関係で割愛するものもございますので、それはそれとして御理解いただきたいと思うんですが、大臣、町づくりというのがありますね。大臣の出身地の商店街は活性化されているのかもしれませんが、正直言って、小泉さんが、日本の景気がよくなってきた、経済がよくなってきたと言うけれども、大都市部ではそういうことがありますが、地方都市ではますますひどくなっているというのが実態なんですね。

 ですから、政治は何も大都市だけが政治の指標でありませんで、逆に中小企業がどんな状況にあるかというのが日本の指標、経済の指標と考えていただかなければならないと思うんです。ところが、今現在はそういう状況にはない。特に、地方都市の中心市街地のシャッター通りというのが、私の知人が、日立市のシャッター通りというのはどこにあるんですかと尋ねてきた人がいるというんだ。そのくらい、何かもう定着しちゃっているんですね。いや、シャッター通りはあっちの方ですよと言うわけにいかないので、あれは何々通りですよと教えたというのです。

 私は、なぜかということをいろいろ私自身検証してみましたが、まず、郊外の大型ショッピングセンター、これが各所で見えますね。それからやはり、コンビニが非常に便利だというので、空き店舗の跡にはコンビニ、学習塾、消費者金融とか、そういうふうなのが多いんですが、どうも私は、日本の町がずたずたになり始めていると思うんです。

 そこで、実はイタリアの方に調査に行った、茨城県の商工会議所連合会が行ってきましたが、イタリアの方ではどうかというと、イタリアは中小企業大国と言われている。従業員一人から九人の事業所が全体の九五・三%、従業者は四九%、非常に元気なんですね。どういう形でイタリアはそういうことを守っているかというと、確かに日本と同じように、スーパーマーケット、ハイマートマーケットが、大型が増加しているんです。しかし、一九九八年に商業自由化政令を制定して、これは、売り場面積百五十平方メートル未満と二百五十平方メートル未満については開業を自由化したけれども、それ以上の中規模、大規模店は許可制を維持したというんです。

 日本の場合には、町づくり三法等々で、一九九八年に大規模小売店法を、規制緩和に反する反競争的、経済的規制として廃止した。けれども、イタリアはそういうことで、やはり大きな店は規制対象にしよう、小規模、中規模のマーケットは自由にしてもいいけれども、大規模なものは規制対象にしようということで、中小の小売業を守っているわけなんです。大臣、日本はそういう点、ほとんどそういう発想すらなくなってしまったというので、日本商工会議所も「まちづくりに関する要望」の中で、この町づくり三法を見直してほしいという話が出ています。

 私は今、いろいろ担当者にこの質問について聞いたら、商店街の人もやる気を出してもらわなきゃならない、もっと魅力のあるものをつくってもらわなきゃならないと言うけれども、個人商店がもう頑張れる限界は超えている状況が日本各地で行われているわけですよ。その片方の方では、郊外に千台も二千台も駐車できるような大型スーパーができたら、人口がふえないわけですから、消費者は向こうに行ってしまう。そうすると、当然中央の商店街には人通りがなくなるというのは、これは目に見えているんですね。この問題について何らかの対策をとらなければ、小泉さんが言うように、日本の経済は規制緩和で活性化してきたということにはならないと思うんですが、大臣のお考えを伺いたいと思います。

小此木副大臣 お答えをいたします。

 これまで政府といたしましても、私もこちら側の前には皆さんと一緒に委員をさせていただきまして、さまざまな議論の中で、町づくりについての議論をしてまいりました。

 消費者の行動そのものが、あるいは意識そのものが多様化をしてきたり、あるいは車社会がますます高度になって、今委員も御指摘をされましたが、郊外に住居そのものも移ってしまっていった。ところが、我々はそういうことも含めて議論をしてきたはずでありますが、その結果が今につながっているということであれば、これは国の施策もそして我々の議論そのものも、ひっくるめてと言ったら大変恐縮でありますけれども、しかし、それが余り自慢のできるものではなかった。

 イタリアのことをおっしゃいました。言い返すようで恐縮でありますけれども、それでは、イタリアの今のあり方を日本がそのまま導入をしてそれが本当にうまくいくのかといったらば、日本としての文化もありますし、それをまだまだ議論をしていかなきゃいけないところだというふうに思います。

 しかしながら、民間の意識といいますか、こういったものを、役所だけじゃない、あるいは町の商工会、商工会議所だけじゃない、本当に生活者の意識というものを町づくりの議論の中に加えていく、こういったものをさらに具体的に私どもで検討していくということは、本当に重要なことだというふうに考えています。

大畠委員 時間が来ましたから終わりますが、ただ、小此木副大臣、住民が地方に移動したという、それは役所の方から聞きましたが、決してそれだけじゃないんですよ。私の住んでいる町なんかは、住居が郊外に移転していなくて、十年前から同じですよ。同じでも、中央商店街はほとんどシャッター通り化し始めている。それは、ほかに何か原因があるんですよ。

 だから、国として何らかの対策をとらなければ、このまま衰退する町を放置するのかということになりますよ。小泉さんの政治姿勢はどうも温かいというよりも冷たい、自由競争それから自由経済、すべて規制緩和ですが、これだけで私たちの日本がよくなるとは私は思えないんです。だから、小此木副大臣、ぜひ再考していただいて、地域の町をぜひ活性化するように、さらに御検討をお願いします。

 以上です。

河上委員長 次に、梶原康弘君。

梶原委員 民主党の梶原康弘でございます。

 たび重なる大型台風の襲来、そして新潟中越地震によって全国で大変な被害が出ているわけでありますけれども、その政府の対応、さらに中小企業対策ということでお尋ねをしていきたいというふうに思います。

 まず、台風とこの中越地震によってとうとい人命が数多く犠牲となったわけでありますけれども、心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された多くの皆様にお見舞いを申し上げたいというふうに存じます。

 台風二十三号の水害で水没をした兵庫県豊岡市というのは私の選挙区でございます。豊岡市は、人口四万七千、兵庫県北部の中核都市であります。この台風の襲来によって、一万五千世帯、四万二千人に退避指示が出されました。そして、市内の八割が水没をしたわけであります。地盤の低い地域では、水かさが二メートルから二メートル五十ぐらいになった。しかも、水が引けたのが土曜日のことでありますから、台風が来てから四日目でありまして、大変な状況でありました。

 そうこうしている間に中越地震が起こったわけであります。私も兵庫県の者でありますから、阪神・淡路大震災の大変な状況が、まさしく記憶がよみがえってまいりました。やはり震災というのはその現場に行ってみないと本当のことがわからないなというふうに思っているところでございます。

 新潟の場合は、まだ被災者の救済であるとかライフラインの復旧ということでありますし、豊岡においても、ようやく住居の片づけとか普通の生活に戻っていこうという段階でありまして、経済活動についてはまだまだこれからということでありますから、これからいろいろな問題が出てくるんだろうというふうに思います。まず、この台風二十三号さらに中越地震によって日本経済にも大きな影響が出てくるのではないかという懸念もあるわけでありますけれども、特に長岡市、小千谷市では精密電子機器の工場も存立をしているということでありまして、その部品供給に支障が生ずれば、日本経済全体にも大きな影響があるのではないかと懸念するわけでありますが、その辺のところの大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

保坂副大臣 私どもの方からお答えいたします。

 先生の御地元の兵庫県でも、地場産業を中心に大きな被害が出ました。そういう点ではお見舞いを申し上げますとともに、我々も全力で復旧に努力してまいりたいと思っております。

 先ほども地震がありましたけれども、やはり新潟県中越地震で震度六弱、マグニチュード六ということで余震が引き続いて続いております。被害が拡大しないように祈っているばかりでございますけれども、御案内のとおり、台風二十三号を初めといたしまして、台風の影響で甚大な被害を受けたところにあわせて地震ということで、地域的には本当に多重債務を受けたような大きな被害を受けているわけでございます。

 お尋ねの電子機器等でございますが、新潟県の状況だけ申し上げれば、今のところ、人的や物的な被害は特に報告をされておりません。工場の倒壊などもないようでございますが、お話がございましたとおり、問題はロジスティックスの問題でございまして、新潟県の地勢学的な立場からいいましても、大変今復旧がおくれているわけでございます。台風の二十三号以前の被害でも七千億を超えているという想定でございますので、これからなお一層被害が多くなりますと、個々の状況では対応できましても、日本経済への影響というのはやはり必ずしも小さいものではない、このあたりを懸念しているところでございます。

 以上でございます。

梶原委員 ようやく復興しつつあると。実感としてはまだまだないわけでありますけれども、そういった経済に大きな影響が及ばないように、万全の対策をお願い申し上げたいというふうに思います。

 私も阪神・淡路大震災あるいは豊岡市へ行って被災者と話をして一番思うことは、本当に途方に暮れている、そういった大きな災害の前に個々の人間というのは本当に無力だなということを痛感いたします。

 それまで普通に営んでいた。突然家族を失う、家を失う、あるいはなれ親しんだ家財道具とか思い出の品、一切失ってしまう、あるいは職場、仕事さえ失うということもあるでありましょうし、本当に途方に暮れている。私の近くでも、土砂崩れによって全壊の家屋が数軒ありまして、そういったところが今お寺とかあるいは公民館で不自由な共同生活をしているということであります。

 そういった被災者に今必要なことは、もうとにかく安心をしてもらう、住むところ、生活について安心をしてもらうということだと思うんですが、それについて、今、ボランティアとか人的な協力というのはすごく大きなものであるわけでありますけれども、それと同時に、やはりお金だと思うんですね。政府がこうした災害に対していかにきちっと対応してもらえるかというところが本当に大きいんじゃないか、そういったことを励みにして、地域なり人、自治体が頑張って復興していくのではないかというふうに思うわけです。

 確かに、災害対策についてはこのところ対応が早いのかな。自衛隊の派遣にしても、あるいは救援体制とか交付金の繰り上げ交付とかいうこともありますし、それなりに努力をいただいているんだろうというふうに思いますけれども、今回ようやく補正予算の問題が出てきているわけです。報道によりますと一兆円規模で云々ということが言われているわけですが、その補正予算について少し申し上げたいと思います。

 当初予算、災害復旧費として七百億超だったと思いますが、予備費の三千四百億と合わせて対応するということで聞いておりますけれども、ことしは相次ぐ台風災害によって、十月の半ばの時点で、被害総額、先ほどもお話あったと思いますが、七千億を超えているということであって、例えば、自治体で対応できる範囲というのは大きく超えているんじゃないか。こういった災害に対しては国が万全の手当てをして、こういったときは国に任せておけ、しっかりとしたそういう体制が必要なんじゃないかなというふうに思うわけですが、先ほども話がありましたけれども、早期にしっかりとした補正予算を組んでいただいて、被災者の安心、復興のために頑張っていただきたいというふうに思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

保坂副大臣 被害の状況につきましては、台風二十三号以前の数字は先ほど申し上げたところでございますが、災害対策費並びに予備費、このことにつきましても、現実的には、今、ランニングコストとしては、三千四百余億の予備費の流用によりまして、一応対応は立てていけると存じます。

 この後、調査をしていく段階で、おおむね二カ月から三カ月の調査期間がありますので、それにあわせて、激甚災害指定等の問題も起きてまいりますし、積算ができましたところで、先ほど中川大臣が申し上げましたとおり、本省としても、補正予算の動きについては呼応してまいりたいと思っております。海江田先生からお話がありましたように、急げというお話も十二分に承知しているところでございますが、何せ災害に次ぐ災害ということで、合わせわざみたくなっているところがございまして、その調査も、地元自治体とよく相談しながらやってまいりたいと思っております。

 なお、本省におきましては、地震の起きた日に直ちに災害対策本部を設置いたしまして、もう翌日から数名ずつ担当官を派遣している状況でございまして、情報収集にも努めているところでございます。

 以上でございます。

梶原委員 ぜひ早期に対応いただくようにお願い申し上げたいと思います。

 二十三号で被災した豊岡市で、先日、兵庫県と豊岡市から緊急要望ということで要望書をいただきました。それを見ると、大中小と分けて、中項目で三十項目あるんですけれども、それぞれ各省庁ごとの要望になっているんですね。財政的な問題はあろうかと思いますけれども、より早い復旧対策が求められるときに、すべて各省庁ごとに三十項目をまとめていく、この集権体制というのは何とかならないかな、やはり分権を進めていかなくちゃいけないんじゃないかな。ましてや、公共施設みたいな、新しくつくるというよりは復旧ですから、できるだけそういったことを考えていかなくちゃいけないんじゃないかなというふうに思ったところであります。

 激甚災害の指定でありますけれども、小泉総理もその方向で検討しているという御発言をされたようでありますし、ただ、昨日の本会議の中で村田大臣が、ちょっと不正確かもしれませんが、関係省庁を通じ、市町村から上がってきた数字を査定する、ただ、確定をする前に概算で把握するというような内容の、ですから、できるだけ早く出していこう、数字が確定しなくてもある程度のところで出していこうという姿勢なのかな。それはそれで評価できるのではないかというふうに思いますけれども、まずは激甚災害の指定を急いでいただきたいというふうに思うわけですが、それでも、きのうの大臣のお話では、やはり時間がかかるのかなというような思いでありました。

 現場の市町村というのは、今、それこそ当座の復旧とか住民の生活支援のためにもう走り回っているわけですよね。そうした中で、資料の積算というのは、サンプル調査をしたり聞き取り調査をしていってその数字を積み上げていく、しかも各省庁ごとに分かれたものをまた積算してというと、これはやはり、これまでどおり二カ月、二カ月以上の時間がかかってしまうのではないかということを思います。

 これまでたびたび災害があって、その規模で、被害額というのがデータとして当然残っているかと思います。そういう中で、大体どういう規模の災害であればどれぐらいの損害が出てくるかということは、それなりのデータを駆使すれば想像できるのではないかな。当然、人口分布とか工場の分布とか、そういったデータが基礎データとしてあるわけですし、そこに、床上浸水がどれぐらいだとか床下はどれぐらいだとか、あるいは公共、道路がはっきりとこれぐらいの損傷があるということで、私はもっと簡単に推計できるのではないかというふうに思います。

 先ほどの話でもありますけれども、こういったものはできるだけ早くきちっと手だてをしますよ、こうしますよと言うことが被災者への勇気づけになって、復興を速めるということになると思いますので、積算の方法がいいのか、そういった過去のデータから大体のところを見積もって、できるだけ早く対応するということが必要ではないかな。

 経済産業省の分野でも、激甚に指定されれば融資の条件というのも相当変わってくるわけですから、当然、事業者の意欲にもかかわってくる問題だと思います。二カ月、三カ月すれば金利がさらに下がるよとかいうことじゃなくて、できるだけ早く、事業計画も立てやすいと思いますので、一刻も早く激甚災害の指定が必要ではないかな、そういうふうに思います。それについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

保坂副大臣 御説のとおりでございまして、基準がございますので、被害実額が所得の一〇%を超しているとか、そういうような基礎的なデータはございますけれども、御説を先取りして、激甚災害指定が仮に受けられた場合はどういうふうになるかということをよくよく考えながら、ただいまも、政府系三公庫を中心にいたしまして、各市町村と話し合いながら、既往債務についての対応だとか、まだそこまでいっていないんですけれども、しっかりと、特別相談窓口をつくりましたり、対応しているところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、この新潟県中越地震につきましては、余震が続いている状況でございまして、人の動きさえまだ確保できていないという非常に問題がございます。小泉総理、きのう視察をいたしました段階で、血の通った支援をする、こういうことを断言しておりますので、御趣旨を踏んまえて頑張ってまいりたいと思います。

梶原委員 大変なときに、本当に、数字を積算、積み上げていくなんというのはいかにもお役所的で、被災者の心に届かないんじゃないか、そんな気がするわけであります。できるだけ早い対応をお願いしたいと思います。

 続いて、中小企業対策、中小企業というところで質問していきたいと思いますが、貸し付け条件の緩和であるとかあるいは信用保証、これは極めて重要なことであろうと思いますけれども、それが被災企業にとって、中小企業にとって本当に使いやすい制度になっているのかということをお尋ねしたいと思います。

 金利であるとか融資限度額であるとか返済期間とか、いろいろな配慮がなされているわけでありますけれども、やはり問題は、担保とか連帯保証の問題ではないかなというふうに思います。

 これはもう改めて言うまでもありませんけれども、中小企業なんというのは借金がないところなんというのはないわけでありまして、工場もそれから製造設備も仕入れした材料も全部水につかっちゃった。豊岡の場合は、もう完全に水につかってすべて使えなくなっちゃった。それについて、今まで借金をして建物を建て仕入れをしているわけですから、新たにまたお金を融通しないといけない。まして、厳しいところは、現金じゃなければ売ってくれないなんというところも当然出てくるんだろうと思うんですよね。要するに、担保が倍あっても足らない、こんな状況じゃないかな。せっかくの制度が結局は担保がなければ借りられないよということになれば、活用できないということになるんじゃないか。

 それで、私、ちょっと今ここで正確な数字を把握していませんけれども、緊急窓口への相談件数に比べて実行率というのが極めて低いという話を聞いたことがあります。もしわかったら教えていただきたいと思うんですが、ぜひまたそういったこともお調べいただいて、どこに問題があるのかということをやはりしっかりと研究していただいて対応いただくように、せっかくの制度が宝の持ちぐされということにならないようにお願いをしたいというふうに思いますが、その辺のところ、お尋ねをしたいと思います。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど先生おっしゃいました、相談に対して融資実績はどうか、これはなかなか、統計を今引っ張り出して、手元にあるものだけで拝見しますと、ことしの台風災害にかかわる相談と融資実績で申し上げれば、例えば一番最初の新潟、福井の豪雨のときは、新潟で、約九百数十件の相談に対して政府系三機関の融資がございましたのが四百七十四件で、半分ぐらいでございます。それから同時に、福井が、六百二十九件で二百六十七件、半分弱でございます。

 その他の、例えば十六号というのは非常に相談が多かった件でございますけれども、千三百件ぐらいの御相談に対して四百件ぐらいというような状態でございます。

 これはまた、統計的な数字でございますので、個々にいろいろな事情、背景があろうかと思いますけれども、できる限り私どもは、先生おっしゃいましたように、血の通った対応ということでございますれば、特別相談窓口を直ちに開くとかいう形式的なことだけではなくて、できる限り親身の相談をするようにということを機関挙げて私どももお願いし、機関挙げて指示を徹底しているという状態でございますので、個別ケースではいろいろな遺漏があろうかとは存じますけれども、基本的な姿勢はそういうことで、政府系挙げてやっているところでございます。

梶原委員 よろしくお願い申し上げます。私も中小企業の一員でありまして、本当に苦しい思いをしております。

 この大型台風、そして中越地震で、全国各地で地場産業が大きな被害を受けているわけであります。この二十三号、兵庫県内だけでいっても、先ほど申し上げた豊岡にはかばん産業というのがありまして、さらに、西脇市も大きな被害が出たわけですが、播州織というのがありますし、淡路島も大きな被害が出ましたが、かわら産業が大変発達している。

 ここでは、豊岡のかばん産業を例に挙げて、少し状況を知っていただきたいと思うんですが、また、豊岡の場合、町の八割が水没したということで、特異なケースかなというふうにも思うわけでありますけれども、豊岡のかばん産業というのは、合成皮革のかばん生産でいえば、国内生産ということで、全国シェアの五〇%以上が豊岡にあるということであります。

 それで、その特徴として、製造工程ごとにいろいろな皮をなめすというのか、それもいろいろな種類があって、それぞれの工場がある。金具を取りつける工場、いろいろな小さなところが集まっている。一部に一貫生産の工場もないわけではありませんけれども、大半が外注方式というか、そういう形で、本当に小さな企業が集まっている。製造、問屋、材料商を含めると、豊岡に二百五十二の業者が、わずか四万七千の町に二百五十二の業者がある、さらに内職が千軒ある、こう言われております。その町の八〇%が水没をしてしまったということでありますから、工場、製品、材料、製造設備、ほとんどが水につかってしまった、そういう状況であります。

 阪神・淡路大震災のときに、やはり神戸の地場産業と言われたケミカルシューズが大きな被害を受けて、当初は四割ぐらいまで落ち込んで、それから七割ぐらいまで戻ったけれども、またやはり力を失っているというようなことが言われております。

 豊岡のかばん産業を何とか守っていかなくちゃいけないというふうに思うわけですが、ましてや、今ちょうどこの時期というのは来年春の学生かばんの生産の時期に当たっているんですよね。それが壊滅的な被害を受けてしまった。そうすると、当然のことながら、多分中国へ日本の規格を持っていってつくらせるということになると思いますけれども、一たんそういう商流ができてしまうとなかなか返ってこない、これを大変心配しているわけであります。

 豊岡のかばんについては、新商品開発、これは大手の流通企業と組んで、ビジネスバッグなんかは大変好調な企業もあるわけでありまして、何とかこれを守っていかなくちゃいけない。融資とか信用保証以上の、地域の産業を守る、地場産業を守るという、何かそういう施策を講じていただきたいな。

 例えば、共同で工場をつくる、共同工場をつくるとか、あるいは需要を喚起するためのというか、直接的に政府で、政府調達というのか、何かかばんをつくってもらうとか、何かそんなことまで考えていただけないかなということを思うわけでありますけれども、その辺についてお願いしたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 地場産業の振興に関しましては、特に豊岡のかばん産業につきましても、私ども、地場産業等活力強化事業費補助金というのを出しておりまして、ここの地場産業についても過年度にわたってそういう補助金が出ておりますし、それがある意味では前向きの対応をしようとするときの国の支援ということになっているわけでございます。

 ただ、先生おっしゃいましたように、現下の災害下における状況などを打開するためにいかなるあれができるかということになりますと、基本的には、先ほど来申し上げております当面の運転資金とか、そういうことについての金融的な支援が中心にならざるを得ないということだろうと存じます。

 ただ、今先生例示に挙げられました共同工場でございますけれども、これは、確かに、地元自治体が中心になって、そういう被災中小企業の方々が失った工場のかわりにどこかで共同工場でやりたいというような場合には、私どもで中小企業基盤整備機構の高度化融資の対象にしておりまして、これは大変有利な条件で工場の設立が、これは地方自治体とともにやるわけでございますけれども、そういうことが可能ではございます。

 例えば阪神・淡路のときには、確かに、神戸市が中心になってですが、共同工場の構想をつくって、今現在稼働して入居をしているようでございますので、そういったことも参考にはなるかなということでございますけれども、私ども、地元にそういう御要望があれば、一定の条件下で御支援できることもあろうかと思っておるところでございます。

梶原委員 最後に、JAPANブランド、豊岡のかばんがことしJAPANブランドの指定を受けて事業を行っているわけでありますけれども、地元からの要望なんですけれども、この災害によって順調な事業の遂行というのができるのかなというふうに今心配をしているわけです。

 一月にファッションフェアというのを企画して、ちょうどその準備にかかろうとした、東京からデザイナーを呼んできてその企画に取りかかろうとしてきたそのやさきのこういった災害で、二、三カ月なかなか軌道に乗ってこないだろう。そういう中で、予定どおりの年度内の予算消化というのができないんだろうというふうに今心配をするわけですが、その辺の延長の問題であるとか、あるいは追加資金というのが出せないのか、その辺について最後にお尋ねをしたいと思います。

望月政府参考人 JAPANブランド育成支援事業というのは、先生今おっしゃいました、地域の特性を生かした製品の魅力を増して、地域だけではなくて全国とかあるいは海外のマーケットにも通用するブランドに育てようということで始められた事業でございまして、特に豊岡市の場合は、現地の商工会議所が中心になってコーディネートして積極的におやりになろうとするというものを、全国の中で激戦を勝ち抜いて採択されたわけでございます。

 私ども、大変期待をしているところでございますけれども、災害などの避けがたい事故の発生によりまして計画どおり事業が進まないで、年度内に経費の支出が終わらなかった場合の取り扱いにつきましては、財政法に基づいて、財務大臣の承認を得て予算を次年度に繰り越して使用できるというようなこともございますので、今後の事態の推移を見て、必要があればそういうことをしたらいかがかというふうに思っているところでございます。

 それから、追加的な資金というのは、当年度の予算についてはそういうことでございますけれども、この事業の成果につきましては、今後、私どもは、来年度以降の予算のこれからの編成次第ではございますけれども、とりあえず、次年度繰り越しの予算をどうお使いになるかということを含めて将来のことを考えていきたいということでございます。

梶原委員 地場産業、中小企業の復興のためにできるだけの御努力をいただきたいとお願いをして、終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 冒頭、大変な被害に遭われております新潟県中越地震の災害対策について質問させていただきます。

 先ほどもこの部屋も揺れましたけれども、現地の新潟では震度六弱の大きな地震ということで、そういう意味でも、新たな被害につながらなければいいな、このように感じているところであります。

 私も、地震が起こった土曜日の翌日の日曜日、未明に埼玉の所沢を出発しまして、車で現地、十日町市の方に最初に伺いました。午前中のうちに何とかたどり着けましたけれども、避難所にたくさんの方がいらっしゃって、九カ月のお子さんを抱えるお母さんですとか、寝たきりのおばあちゃんを抱える女性の方ですとか、そういう意味では、本当に大変な中でお互いに励まし合いながら何とか乗り切ろうということで頑張っておられる姿に接しまして、こういう方々の思いにしっかりこたえる取り組みを、政治と行政、全力を挙げなければいけないと感じているところであります。

 現地でも、お昼は何を食べましたかと言いますと、食パン一枚だけでしたという方ですとか、カップラーメンを食べたとかいう方とか、トイレの心配というのはなかなか共通する問題で、トイレといっても三通りあるんですよね。

 普通の水洗トイレですと、電気がとまれば使えない。少なくとも水があればいいんですけれども、断水しているとそれもままならない。昔ながらの古いトイレの方がかえって使い勝手がいいような状況もありますし、あと、仮設トイレの要望があるんですけれども、それがなかなか現地にまだ届いていないという問題もあります。三つ目のトイレは何かといいますと、これはおむつなんですよ。つまり、赤ちゃんのおむつが足りない、それから、寝たきりのお年寄りの方のおむつも本当に不足をしている。

 そういう意味でも、こういったものが本当にきちんと支援物資として行き渡るような取り組みというところに大いに力を尽くさなければいけないなということを感じた次第であります。

 そこで、きょうは内閣府副大臣にもお越しいただきました。時々刻々変化するこの現地の状況に対応するために、私、新潟県や地元の市町村の方は大変頑張っておられると思います。しかし、被害の規模を考えますと、やはり国を挙げて、先頭に立って全力で頑張らなければいけない。そのためにも、今回、災害対策基本法に基づいて非常災害対策本部を国として設置いたしました。同時に、災害対策基本法におきましては、現地対策本部を置くことができるという規定があります。国が本当に全力で頑張っているということを示す上でも、ぜひとも現地対策本部を設置していただきたい、このように思うわけですけれども、いかがでしょうか。

林田副大臣 今委員御指摘のとおり、十時四十分ごろ六弱の地震が発生いたしまして、既に防災担当大臣は危機管理センターに入っております。

 この新潟中越地震が発生した直後、実は政府といたしましても、その日の二十三日のうちに、先遣隊として約十名、それぞれ内閣府を中心として、審議官をヘッドクオーターで十名派遣いたしまして、それぞれのまず初動の情報収集に努めたわけでございます。

 その後、実は、今委員もおっしゃられたとおり、非常災害対策本部をすぐ翌日は立ち上げましたし、なおまた、我が担当大臣も現地に赴いて、できる限りの情報収集といいますか、それぞれ知事さんあるいは市長さん、知事さんがちょうど交代の時期になっていたものですから若干ちょっとトラブったところもあったようでございますけれども、極力それぞれの新旧知事さんにお会いしていろいろな情報をいただいてきているようでございます。

 そういうことを思いまして、まず先遣隊として、連絡調整室として十名ほどやりましたけれども、昨晩のうちにさらにこれを倍増いたしまして約三十一名、これは、一府七省そして四庁一院と申しますか、それぞれのパート、分野分野でのいわゆるヘッドクオーターになる、かつ専門家と申しますか、そのメンバーを構成いたしまして、現地で支援対策室に格上げしたところでございます。

 したがいまして、その格上げした、また増員した分の中でも、それぞれ、省庁にもそれぞれのプロがおりますから、その人と組んだところの機動班みたいなものもつくり上げまして、そして、新潟県と調整し、対応の手薄で被災現場にある市町村に派遣するというようなことをやっております。今後とも、被災市町村のニーズを把握しまして、新潟県と連携し、きめ細かな支援を行っていきたいというふうに思っております。

 したがいまして、今後も、これは東京でございますけれども非常災害対策本部及び現地の支援対策室を中心として、被災地方公共団体、関係省庁と連絡して、被災者への支援、あるいはまたこれから起こるであろういわゆる復興に対してのいろいろなニーズの掌握に努めてまいりたいというふうに思っております。

塩川委員 現地に行ってみないとわからないことが多いなと感じたのは、コンビニに買い物に行くんですよ。途中途中で寄って見るんですけれども、一番最初になくなっているのは何か。もちろん、おにぎりとかサンドイッチとかそういうものがなくなっているんですけれども、一番最初になくなっているのは携帯の充電器なんです。

 今、停電もありますから、皆さん、携帯が一番の、何よりも安否の確認をする道具なんですよ。そのためのやはり充電がままならないというので一番最初になくなる、数も置いていないというのももちろんなんですけれども。そういうふうに、現地でどういうふうに対応するのかということが、現地にいてこそ迅速な対応ができるんじゃないかということを思うわけです。

 過去、阪神・淡路大震災やまた北海道の有珠山の噴火災害の際にも現地対策本部が置かれました。有珠山の際には伊達市に現地対策本部が置かれて、そこで、当時の国土庁の増田政務次官が現地に座って、陣頭指揮をとって奮闘されていたわけですね。つまり、被災者の皆さんにとってみて一番切実な問題について国が本当に本気になって取り組んでいるんだ、こういう決意がやはり示されるかどうか問われているんだと思うんです。

 有珠の場合にも、地元の要望にこたえて、噴火情報を教えてほしいという声が多かったんですよ。現地対策本部で対応して、専門家の方に来てもらって現地での説明会をするんです。何がわかり、何がわからないのかということが知りたいと。やはり、そういう情報の要望にこたえる、機敏に対応できるというのが、我々、現地対策本部の持つ意味ではないかなと。副大臣はぜひ新潟に座ってもらう、現地対策本部を置くような、そういう取り組みをぜひ求めたいと思うんですが、改めていかがでしょうか。

林田副大臣 委員御質問のとおり、有珠山の場合は現地対策本部を設置いたしましたのも事実でございますが、若干技術的な話になろうかと思いますけれども、火山の場合、ある程度予測ができて、どういう対応ができるというのもこれはあろうかと思います。

 したがいまして、我々今何をやっておるかというと、今コンビニの話が出ましたけれども、まずニーズ、どういうものが必要なんだ、これをいかに把握するか。しかし、これがどこに今あるのか、被災地内では当然、あるいは近隣だけでも賄い切れないものがあろうかと思いますし、なおかつ、それをどうやって運ぶか、この運搬経路、これは国土交通省の範疇に入るかと思いますけれども、どういう被災状況になっているのか。それを含めまして、なおかつ、これが一番、総理大臣も行かれて、一人一人の方々にどうやって手渡しできるか。この辺の四つのキーワードと申しますか、それをまず確立しようじゃないかということで、先ほど申しましたように、まず先遣隊を送り、なおかつプロを送って、東京は東京の方で対策本部を設置してやっていくということでございまして、今の時点では、結論から申しますと現地対策本部は考えていないというのが現状でございます。

塩川委員 真剣に取り組んでいるということが見えればいいわけですし、とにかく実態としてやってもらえればそれはもちろん構わないんですけれども、やはり国を挙げてという姿勢として、人手も含めてしっかりとした体制をつくるということについては、ぜひとも今後の取り組みとしてもお願いしたいと思っております。

 それでは、きょうは続けて、先ほど大畠議員からも質問がございました大型店、商店街、町づくりの問題について何点か質問をさせていただきます。

 ことしの七月二十六日に、中小企業四団体、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、そして全国商店街振興組合連合会の四団体が「まちづくりに関する要望」というのを出されました。そこで、「「まちづくり三法」の抜本的見直し」また「立地企業と地域との共生によるまちづくりの推進」、こういうことを要望されておられます。

 冒頭のところ、私も、なるほどそのとおりだと思ったところがあるものですから、ちょっと長目ですが御紹介したいと思うんですが、

 「まちづくり三法」が制定され六年が経過したが、当初期待された効果は得られず、全国の中心市街地は活性化するどころか、三法制定時よりさらに寂れている。現実は、市場主義の行き過ぎにより、コミュニティが衰退、伝統・文化の継承が困難となり、治安や青少年問題が深刻化し、また、高齢者が生活の不便を強いられる等、様々な社会問題が増大している。さらに、既成市街地への官民投資が無駄になったり、大規模な農地転用や無秩序な郊外開発によって、良好な農地や田園景観が失われつつある。

これは多くの委員の皆さんも共通する実感であり、思いではないか、このように思っているわけであります。

 各地からもいろいろな要望、仙台の商工会議所ですとか、東京の商工会議所も要望を出されたりしておりますし、こういう声がある際に、私、大臣にぜひお伺いしたいんですが、ここにもありますように、私、率直に町づくり三法は機能していないんじゃないか、こういう声が上がっているように思うんですけれども、大臣のその点についてのお考えはいかがでしょうか。

中川国務大臣 町づくり三法、特に大店法の法律が変わりましたけれども、あれは環境とか騒音とかああいうところに配慮してということで、確かに大型スーパーマーケットみたいなものが出店しやすくなった。しかも、それが今委員御指摘のような四団体の要望書に書かれていることというのは、そのとおりの地域が全国に多いんだろうと思いますし、私自身もいろいろなところを回ると、大体、外でマイクを持つときは中心商店街ですが、シャッター通りであることが結構多いということも、私自身も承知をしております。

 そういう中で、町づくり三法がスタートする前とスタートした後でのいろいろな問題点が四団体から出されたわけでございまして、その中でも町づくり三法というものが、今の御趣旨を見ますと、単に自由だけで、規制の部分というのは環境とか騒音とか、そういう部分の規制で、原則としては規制緩和の方向にいっていることは町にとっていかがなものかということは、我々も重く受けとめなければなりません。

 そういう意味で、我々も、経済産業省としては、中心市街地活性化の法律を中心に今やっているわけでございますけれども、省内の審議会において今検討しているところでございます。特に、関連施策の部分についてやっておりますが、この三法そのものについても、このままでいいんだという前提で議論をしているというふうには私は理解しておりません。これは全国至るところでそういう御要望が出てきているわけでございますので、経済産業省としては、本来のやはり商店街の活性化は、経済だけではなくて文化まで損なわれるという御指摘もそのとおりだろうと思います。そういう意味で、三法の見直しということを決して否定して議論を進めているわけではございません。

 ただ、やはりお客さんというか、買い物に行く人が行きやすいところに流れていくというのは、これは結果として事実になっちゃっているわけですから、それを行かせないようにするということも、これまた他方で何か、便利だから行っちゃうみたいなところを、どうやって人が中心市街地の昔からの商店街の人たちのところに行きやすくするようにするかということについては、これはやはり全国同じように東京発でメニューをつくってこうしなさいと言うだけでは限界があって、九州なら九州、四国なら四国、関西なら関西、そして北海道なら北海道のそれぞれの商店街、あるいは町の個性なりというものを生かしていく。そのためには、やはり一番わかっているのが地域の皆さんですから、いわゆるTMOの中に今度はNPOの皆さん方にも参加できるようになっているわけでありますけれども、知恵のコアは、やはりその地域地域の皆さんの知恵を、最大限、政府なりがバックアップをさせていただくということが本来のあるべき姿なのかなということも頭に入れながら、今検討作業をしているところでございます。

塩川委員 大臣もおっしゃられましたように、この三法がいいという前提というわけではないということで、レビューを行うということが審議会の中でも行われているところであります。あわせて、その地域の知恵を本当に生かしていくという取り組みについても、やはり不必要ないろいろな規制については、これは見直す必要があるのじゃないかと私は率直に思うわけですね。

 その上で、審議会の話が出ましたが、第一回の産構審と中小企業政策審議会の合同部会のこの問題での会合で、ショッピングセンター協会の会長さんが、この一、二年、ようやく郊外立地の大店ショッピングセンターの建設がラッシュ状態になっている。五万平米、六万平米のものがどんどんできているという形で、大型な店舗が郊外にどんどん進出をしているという傾向があるんだということを、当事者の方がおっしゃっておられるわけです。町づくり三法のもとでこういう郊外立地が大きく拡大しているんじゃないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。

迎政府参考人 まず、町づくり三法施行前と施行後を比較してみますると、例えば一千平米超の大型店の新設の届け出件数、こういったものの推移を見ますと、過去においては八百件とか千件を超えていたわけでございますけれども、これが平成十二年の移行時に非常に大幅に減ったわけでございますが、以後、大型店の立地の届け出というのは十二年から十五年までずっとふえてきておるわけでございます。ただ、これも七百件台でございまして、施行前に比べて大型店の出店の件数がふえているということではないだろうというふうに考えております。

 ただ、では大型店の中身というのを商業統計なんかで見てみますと、大型店の立地地域が、駅周辺ですとかあるいは市街地への大型店というのの割合が減ってきて、むしろロードサイド店のようなものの割合が、例えば平成九年と平成十四年の商業統計なんかで比較をしてみますと、ロードサイド店の割合がふえているというふうな実態にあるということであろうと思います。

塩川委員 大型店の出店件数については一千平米以上ですから、今問題になっているのは五万、六万という大規模店で、それの面積でどうですかというふうに要求しても、そういう資料が出てこないんですよ。傾向としてそうだということは、実感として当然あるわけです。その上で、そういう大型店がどこに進出するかというと、駅前とかからではなくてロードサイド型、郊外になっているということは、今のお話のとおりだと思うんです。

 そういう意味では、中心商店街に幾らてこ入れをしても、郊外に大型店が生まれている以上は結果として中心市街地の活性化につながらないという点でも、郊外型のこういう大型店の進出についてもっとふさわしいルールをつくる必要があるんじゃないかというのが、この商工会議所の方を含めた多くの方のお気持ちではないかなと思っているわけです。

 そういう意味で、地域でいろいろな知恵が出てきているわけです。例えば福島県などでは、大型店の出店を機にいろいろ運動があり、それを機に県が条例をつくることを今度決めたわけですね。その条例には、新しく出てくる大型店にマニフェストをつくらせて、約束を、契約書みたいな、法的な拘束力はないですけれども、地域にこういう貢献をしますというのを出してもらう。そういうのとあわせて、一つの町や村、市、自治体で対応できないような広域の大型店については県が調整するような機能を設けようじゃないか、県による広域調整を行おうということを、これは県として検討会で一年近く検討し、それを踏まえての条例化に入っているそうであります。

 ですから、これは中小四団体の要望書にも、都道府県知事の広域調整の権限がなく、近隣市町村への大型店の立地に対応できないということでありますので、県による広域調整というのを経済産業省としてどういうふうに考えるのか、この点をお聞きしたいと思います。

小此木副大臣 お答えいたします。

 御指摘のように、広域調整、市町村という個々のレベルではなくてもっと広い見地からの調整をやっていこうという中で、大型店舗がどこに立地すべきでどこに立地すべきでないかということについては、都市計画法に基づくゾーニング的手法の活用が重要な論点でありますけれども、このゾーニング的手法をめぐっては、先ほど申し上げたように、市町村によるゾーニング的手法の活用は思うように進んでいないというような意見が先ほどの中小団体の話からも出てきた中で、私たちも承知するところでありますので、これらの問題については、まさに都市計画法を所管する国土交通省とも意見交換をしなければなりませんし、先ほど大臣も申されましたが、TMOの中に今度はNPO法人も入っていろいろ議論することになった。まさに民間のさまざまの本当の現場を知っている皆さんの意見とも交流させながら、こういった問題は考えてまいりたいと思っています。

塩川委員 都市計画法所管の国土交通省にお聞きします。

 大型店など大規模集客施設の適正立地に向けて何らかの対策をとるべきではないか、都市計画法の改正なんかも含めて視野に入れて検討すべきではないかと思いますが、その点、いかがでしょうか。

阿部政府参考人 中心市街地の動向を見ますと、今先生御指摘のように、全体としては非常に厳しい傾向にあるということでございますが、いずれにしましても、中心市街地というのは都市の核として各種の機能を培ってきた町の顔でございますし、地域再生の観点からも重要な課題であるというふうに認識しております。

 このため、御案内かと思いますけれども、私どもといたしましては、町づくり三法の趣旨にかんがみて、また、都市計画は、基本的には地域のことは地域の住民の方々が決めるという地方分権の原則というのがございます。そういったことを踏まえつつ、大規模商業施設等の郊外立地等に対して都市計画上どのような規制ができるのか、また、規制のみならず、中心市街地活性化を図るためにはどのような誘導、支援施策が必要なのかというような二つの側面から所要の対策をとってきたというふうに考えております。

 規制的な措置としましては、平成十年に特別用途地区、平成十二年は特定用途制限地域、こういったいろいろな規制手法を準備してまいりました。また、それらの活用について、より各公共団体の御理解をいただくべく、十五年の十一月には都市計画の運用指針というのを出しまして、中心市街地の活性化というのは非常に重要な課題である、また、そのためにはこういった戦略をとりなさい、あるいは、中心市街地の活性化のための誘導施策はこういう都市計画手法があるとか、あるいは、郊外部の規制はこういう形の手法がありますというようなことで、ガイダンス、運用指針をお示しして、そういった中心市街地の活性化の問題に取り組んでおります。

 また、誘導措置としましては、平成……(塩川委員「これからのことを」と呼ぶ)はい。まちづくり交付金とかいろいろやっておるわけでございます。

 こういった対策を講じてきましたが、都市計画のツールを活用する市町村が必ずしも多くないという現状にございます。これは、やはり背後に、雇用、税収の確保の問題とか、先ほど大臣からもお話がございましたが、消費者のニーズがどうなんだというようなこととか、あるいは地域の地権者がどういうふうに考えているんだというような問題もあります。また、中心市街地全体が高齢化していたり、あるいはリーダー不足というようなこととかいろいろな状況がございまして、私どもとしてはいろいろできる限りのことをやっておるわけでございますが、なかなか動いていないというような状況がございます。

 こういった状況を踏まえまして、今後どのような対策が可能であるのかといったことを、総合的な見地から改めて検討していく必要があろうかと思います。その際には、中心市街地という問題につきましては、必ずしも商店ということに限らず、当然ながら中心市街地というのは町の顔、中心でございますので、公益的施設あるいは福祉、文教、いろいろな施設が立地すべきじゃないかというようないろいろな議論もございます。そういったもろもろのこととか、あるいは広場、歩行者空間、アクセスの問題、そういったいろいろな総合的な観点から検討を行っていく必要があろうかと思っております。

 御指摘の広域的な調整というのはどこまで可能かといったことも含めまして、その中で検討してまいりたいというふうに考えております。

塩川委員 今の大型店の出店の仕方というのは、最初に小売で大きなスペースをとる、数年後には映画館をつくる、その後にはレストランをつくる、どんどんどんどん拡大していくわけですよ。そういう中で、では駐車場の面積なんかについては十分な配慮があるかというと、そういうのもない。いろいろ問題とすべき点というのは多々あるものですから、時間が参りましたので終わりますが、引き続きこの問題でお聞かせいただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

河上委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十八分散会


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