衆議院

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第5号 平成17年3月15日(火曜日)

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平成十七年三月十五日(火曜日)

    午前九時四十四分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      遠藤 利明君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    小杉  隆君

      佐藤 信二君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    竹本 直一君

      武田 良太君    西銘恒三郎君

      野田  毅君    望月 義夫君

      森  英介君    山口 泰明君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      奥田  建君    海江田万里君

      梶原 康弘君    菊田まきこ君

      近藤 洋介君    佐藤 公治君

      高山 智司君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    村井 宗明君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      塩川 鉄也君    吉井 英勝君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   参考人

   (愛知産業株式会社代表取締役社長)        井上 裕之君

   参考人

   (全国商工会連合会会長) 清家  孝君

   参考人

   (全国電機商業組合連合会副会長)         北原 國人君

   参考人

   (東成エレクトロビーム株式会社代表取締役社長)  上野  保君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  塩川 鉄也君     吉井 英勝君

同日

 辞任         補欠選任

  吉井 英勝君     塩川 鉄也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 経済産業の基本施策に関する件(中小企業問題)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。

中川国務大臣 おはようございます。

 御説明申し上げます。

 昨日、当省職員が、証券取引法で禁止されておりますインサイダー取引を行った嫌疑で、証券取引等監視委員会から東京地方検察庁に告発されました。

 平成十六年一月、コダックジャパンデジタルプロダクトディベロップメント株式会社が、産業活力再生特別措置法の適用を前提として、東証二部上場のチノン株式会社を、株式の公開買い付けを行うことにより子会社化することを決定いたしました。

 当該職員は、当時、商務情報政策局情報通信機器課に在籍しており、本件に関する産業活力再生特別措置法に基づく事業再構築計画の審査認定業務に従事しておりました。当該職員は、その過程におきまして本件の公開買い付けが行われる事実を知り、同事実の公表前に、自分と妻名義でチノン株式会社の株式を買い付け、利益を得たとのことであります。

 嫌疑が事実であれば、国家公務員として到底許されるものではなく、告発という事態に至ったことは大変遺憾であり、国民の皆様に深くおわび申し上げます。

 今後、このような事態が二度と起こらないよう、現在の株取引を行う際の規制につきまして早急に強化するよう、私から昨日指示をしたところでございます。

 事実関係につきましては、今後捜査当局により解明されると思いますが、経済産業省といたしましては、職員に対する服務規律の一層の徹底を図り、一つ一つの行政を的確に実施することにより、国民の信頼回復のため、職員が一丸となって努力していかなければならないと思います。

 今後とも、委員の先生方の御指導を心からお願い申し上げますとともに、先生方にも大変御迷惑をおかけ申し上げましたことを心からおわびを申し上げます。

 以上でございます。

河上委員長 午前十時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前九時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午前十時開議

河上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件、特に中小企業問題について調査を進めます。

 本日は、参考人として、愛知産業株式会社代表取締役社長井上裕之君、全国商工会連合会会長清家孝君、全国電機商業組合連合会副会長北原國人君、東成エレクトロビーム株式会社代表取締役社長上野保君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず井上参考人にお願いいたします。

井上参考人 ただいま御指名をいただきました愛知産業、そして東京商工会議所の副会頭をいたしております井上でございます。本日は、参考人として意見を述べさせていただく機会を与えていただきましたこと、心より御礼を申し上げる次第でございます。

 さて、中小企業をめぐる景況感の実態といたしましては、経済全般がようやく上向いていると言われておりますが、商工会議所の早期景気観測調査の二月の調査結果によれば、全産業の業況DIは、前月水準よりもマイナス幅が二・三ポイント拡大をいたしており、マイナス三六・五ポイントとなっております。景況の停滞感が続いておるのが現況でございますが、地域や産業、また事業規模によって景況感はまちまちでありますが、特に、多くの小規模零細企業にとりましては一層厳しい状況になっております。例えば、昨今の原材料費の高騰に直面している数多くの小規模零細企業は苦境に陥っているとも聞いており、現場の実態をもっと丁寧に見た施策の展開を求めたいというふうに思います。

 このような状況下、中小企業金融セーフティーネット対策は奏功しており、その実績は、セーフティーネット保証四十七万件、七兆五千億以上、また、セーフティーネット貸し付けでは三十八万件、七兆五千億以上、そして、資金繰り円滑化借りかえ保証では五十八万件、八兆五千億に及んでおるわけでございまして、これが倒産増加への歯どめとなっておるのが現状だというふうに考えております。しかし、このセーフティーネット保証がもしなかったとするならば、さらに中小企業を取り巻く状況は悪化しているものと認識をいたしております。

 また、金融面での改革を進めていることは評価すべきであります。無担保無保証の融資を政府系金融機関が率先して拡大していくことは、金融機関に秩序を与えるものであります。事業性を評価して融資を行う貸し手の多様化が、借り手たる中小企業にとってメリットとなるようにしていただきたいというふうに思っております。

 中小企業をめぐる景況感はまだ予断を許さない状況にあります。ようやく明るい兆しが見え出した今こそ、中小企業全般の底上げ、本格的な基盤強化に政府が本腰を入れていただきたいというふうに思う次第です。

 次に、中小企業支援における国の役割について述べさせていただきます。

 中小企業は、日本の強みの源泉であり、雇用機会を提供し、個人の自己実現に資する場であります。先進的な技術開発も、中小企業における技術の蓄積から発生しております。その意義を考えれば、財政制約があるのはもちろんでしょうけれども、国がしっかりと中小企業対策予算を確保していただき、中小企業対策を充実していただくことが必要であります。

 また、三位一体改革は進めるべきとしても、中小企業対策については、すべて予算を含めて都道府県にゆだねればよいというわけではありません。中小企業は、地域経済の柱であるとともに、経済のグローバル化の中で世界の企業との熾烈な競争にもさらされている状況を、国、都道府県ともにしっかりと認識をして、必要な中小企業対策を講じていくべきであります。そのためには、予算、税制、金融などの諸施策の着実な実施と拡充強化が必要であると考えます。

 次に、税制面からの中小企業支援について述べさせていただきます。

 今、物づくりの現場である中小企業ではさまざまな課題を抱えておりますが、その大きなものは、人材育成、後継者問題が存在しております。平成十七年度税制改革において人材投資減税が創設され、中小企業には特に手厚い措置が講じられたことになっておりますが、中小企業における人材育成の促進に向け、活用されるよう期待をしておるところであります。

 また、中小企業が自己資本を強化していくことを税制上も後押しする仕組みが重要であります。その意味では、留保金課税の撤廃が今後残されている大きな一つの課題であると認識をいたしております。また、事業承継にしても、企業は事業を継続して利益を得て、そして税を納めているわけであります。事業用資産は企業が活動していくための基本的な基盤であり、ぜひとも、円滑な事業承継を実施するための税制の確立など、抜本的な改善をお願いしたいと存じます。中小企業がみずから経営基盤を強靱なものへと変えていく過程を、税制面でもしっかりとサポートをしていただきたいというふうに思います。

 次に、中小企業の再生支援について述べさせていただきます。

 不運にも事業環境に恵まれていなかった企業が再起に向けて動き出せるように、現在の再生支援の取り組みに万全を期すべきであります。現在、中小企業再生支援協議会の活動では、平成十七年の二月現在で、相談企業が五千八百七十社に上り、再生計画策定案件は七百六十六件、うち三百五十九件の再生計画を完了しており、二万五千七百五十七人の雇用確保と、大きな成果を上げております。地域が地元企業の再生に総力を挙げることが重要であろうと考えます。

 これらの基盤強化や再生支援と、今後の経営革新、事業連携などの先駆的な取り組みへの支援を適切に展開することが重要であります。経営基盤が強化されることにより、経営革新などの新たな取り組みに向けての挑戦が可能となります。これ自体、まさに成長を目指す中小企業をしっかりと後押しするものと高く評価できるものと認識をいたしております。

 中小企業にとりまして、その真価を市場が適切に評価できないことが多く見られます。その結果、技術力やアイデアに秀でた中小企業は多数存在しておりますが、市場での資金調達や人材確保などの制約が存在していることが現状であります。

 次に、中小企業対策予算拡充の必要性について述べさせていただきます。

 経営革新など、成長、発展に向けた事業者の新たな取り組みを支援する施策体系の中で、今、従来の経営革新や新事業創造を支援する三つの法律を統合した新しい法律が、利用者の視点に立ってわかりやすく整理統合され、またその施策も拡充されると聞いております。大いに期待しているところであります。先生方には、本法の円滑な施行にぜひ御協力を賜りますよう、よろしくお願いをいたします。

 しかしながら、中小企業予算については、まだまだ疲弊した中小企業、雇用四千三百万人を抱え、また日本の付加価値の五二・四%、百三十五兆円を稼いでおる中小企業に対する予算を一円でも多くしていただきたいということをお願いする次第です。

 また、SBIR制度につきましては、中小企業に対する研究開発助成は毎年拡充されているとはいえ、十六年度の目標額は三百億円にとどまっておりますが、一方、米国のSBIR制度では千四百億円の規模であり、それに比べるとさらなる拡充が必要であろうかというふうに思います。現実には、SBIRによる研究開発助成を申し込んでも、厳しい審査をクリアして助成を受けられる企業は利用希望企業の二、三割程度にすぎないということを聞いております。また、中小企業の経営革新等の計画は複数年度にわたることが多い現況をかんがみますと、単年度予算の弊害も多く見られております。

 以上、先生方には、我が国の活力の源泉である中小企業を元気にするために、ぜひとも中小企業対策予算の大幅拡充と、中小企業の研究開発を支援するSBIRの強化に絶大なる御尽力をお願い申し上げ、参考人としての意見陳述を終わらせていただきます。

 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

河上委員長 どうもありがとうございました。

 次に、清家参考人にお願いいたします。

清家参考人 本日は、発言の機会を与えていただき、まことにありがとうございます。

 私は、全国商工会連合会長の清家でございます。大分県の商工会連合会長も務めており、大分県速見郡日出町で石油、ガソリンの小売業を営んでおります。

 まず初めに、私ども商工会の組織について手短に説明をさせていただきます。

 商工会は、昭和三十五年に成立した商工会法に基づき、主として町村の地区に設立された経済団体であり、現在、全国の商工会数は二千七百二十九、会員事業者数は百二万、組織率は六三%となっております。また、百二万会員のうち九八%に当たる九十一万会員が従業員二十名以下の小規模事業者であり、その大半が個人事業主であります。

 商工会は、国や県の支援を受けながら、地域の小規模事業者の金融、税務など経営相談を初め、創業や経営革新に取り組む企業等に対する支援、さらには中心市街地の活性化によるまちづくりの推進など、幅広い事業に積極的に取り組んでいるところでございます。

 本日は、時間も限られておりますので、ポイントを絞って、商工会地域の中小企業を取り巻く諸問題について意見を述べさせていただきます。

 第一に、地方の中小企業の景況は改善しておりません。

 私どもが毎月実施しております小規模企業景気動向調査によりますと、製造業や建設業は一部に回復の兆しが見えるものの、小売業、サービス業は、大型店やチェーン店との競争激化、さらには個人消費の伸び悩みにより、売り上げや採算が落ち込んでおります。

 先生方も御承知のとおり、中小企業の九割を占める非製造業は個人消費の動向に大きく左右されておりますので、個人消費が本格的に回復していかなければ、地方経済の再生、真の回復はあり得ないと考えております。したがいまして、地方の中小企業景況がこれ以上後退することのないよう、慎重な政策運営が行われるよう十分な御配慮を賜りたいと存じます。

 第二に、まちづくり問題について申し上げます。

 昨年、私どもが全国の商工会を対象に実施をいたしましたまちづくり三法に関する調査によりますと、旧大店法が廃止されて以降、大型店出店の影響により、客数や売り上げが減少している既存の商業集積が多く見られるとの結果を得ております。回答者の七割が、現在のまちづくり三法に不満を持っているばかりか、法制定当時に期待されたように機能していないと回答しております。

 幾つかの事例を挙げさせていただきますと、地域のコミュニティーには地域住民、行政、商業者が連携協力し、それぞれの立場で社会的責任を果たすことが不可欠でありますが、地域の歴史的、文化的なコミュニティーやイベント活動に参加、協力していない大型店が存在することによって、こうした活動に支障を来す例が見受けられます。

 また、郊外への大型店出店の影響により、中心市街地活性化事業への取り組みの効果が大きく失われるなど、まちづくり三法間の相互の調整が機能しないところも出ております。

 さらに、都市周辺部の郊外に無秩序に大型店の出店が相次ぐ一方で、旧来の中心市街地からの撤退、閉店が多く行われ、町のにぎわいが失われるばかりか、商店街そのものが崩壊寸前にある地域もふえてきております。この結果として、高齢者等の買い物の利便性が失われ、生活自体が困難となるなど、地方では社会的問題が発生しているのが現実であります。

 こうした現行のまちづくり三法の運用では解決できないさまざまな問題に対処するため、この際、まちづくり三法の抜本的見直しが必要と考えられます。その中で、ぜひ御検討いただきたいことは、郊外開発を抑制するとともに、市街地に住宅、公共施設、商業施設などを集約していくコンパクトなまちづくりの実現という点であります。ぜひとも先生方の御理解を賜りますようお願いを申し上げます。

 第三に、経営革新への取り組み強化について意見を述べさせていただきます。

 中小企業が厳しい経営環境を乗り越え、みずからの努力により発展していくためには、経営革新に積極的に取り組むことが極めて重要であると認識をしております。私ども商工会でも、経営革新支援対策の推進を最重点事業として位置づけ、経営指導員によるビジネスプランの作成支援など、経営革新支援法の承認獲得企業の輩出促進に取り組んでいるところであります。まだまだ不十分でありますが、年々その実績は向上しております。

 現在、国において、創業や経営革新を支援する三本の法律を統合した新しい法律を創設される予定と伺っております。これまでは、創業者に新事業創出促進法の活用を、創業した企業の研究開発を支援するために中小企業創造法の認定を、さらに、企業の経営の多角化等を支援するため経営革新法の認定を受けるといった複雑な手続を要請されておりました。

 また、商工会員の大多数が小規模事業者であり、経営資源も限られていることから、個々の企業だけでさまざまな課題を解決していくというのは非常に難しいのが実態であり、経営力を向上させるためには、どうしても異業種、産学官との連携が必要であります。

 したがいまして、今般の法改正により、創業支援と経営革新支援という二本の柱に加え、異業種の人たちが自分の強みを持ち寄り、連携して高い付加価値の創出をする取り組み、いわゆる新連携に対する手厚い支援策が盛り込まれるとのことでありますが、私どもといたしましても、使い勝手の向上と支援内容の充実が図られた本法律案に大いに期待を寄せております。

 私ども商工会も、平成十三年度よりインターネット上に企業間取引を支援する商工会ネットワーク取引所を開設し、異業種会員の連携促進に取り組んでいるところであります。また、創業支援や経営革新支援をより一層推進するため、中小企業診断士資格取得の推進や、平成十七年度に予算化されたシニアアドバイザー制度の積極的な活用、さらには全国の経営指導員の知恵を結集させた商工会知的ネットワークの構築など、中小企業を支援する経営指導員の資質向上に重点的に取り組んでおります。

 今後とも、経営革新や新連携を図る中小企業を効果的に支援し、従来にも増して法律認定企業輩出に力を注いでまいる所存でございますので、ぜひ本国会で法改正を実現していただきますよう、よろしくお願いいたします。

 最後に、三位一体改革により、平成十八年度から、国庫補助金、負担金のうち商工会等へ交付されていた小規模事業対策予算の一部が都道府県に税源移譲されることになりました。

 現在、私どもが最も懸念しておりますのは、今後、都道府県の裁量により小規模事業対策が実施されることとなると、県の財政状況により商工会事業の質、量に大きな差が出、ひいては小規模事業者に対するサービスに地域格差が生じることとなりかねないということであります。

 したがいまして、政府に対しましては、中小企業基本法第四条の「国の責務」及び第六条の「地方公共団体の責務」を踏まえ、多年にわたり商工会が行っている中小・小規模企業に対する地域密着型の相談指導事業が引き続き実施できるよう、さらには、小規模企業の経営革新や新連携への支援事業に一層専念できるよう、予算面、制度面において十分な配慮を行っていただくようお願いをいたしたいところでありますので、先生方におかれましても御理解と御支援をお願い申し上げます。

 以上、るる申し上げましたが、厳しい経営環境の中でやる気と能力のある中小企業が生き残るため、今後とも中小企業振興のための諸施策を一層拡充強化していただきますとともに、私ども商工会といたしましても、諸施策の導入、普及に組織を挙げて貢献してまいる所存でありますので、引き続き多くの御支援を賜りますようお願いを申し上げまして、私の意見陳述にかえさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

河上委員長 どうもありがとうございました。

 次に、北原参考人にお願いいたします。

北原参考人 ただいま紹介いただきました全国電商連の副会長の北原國人でございます。何分よろしくお願いをいたします。

 最初に、当組合の現況を申し上げますと、現在、全国四十六都道府県、沖縄を除いての全都道府県に組織を持っております、その傘下二万六千店舗の組合でございます。その中で、私どもは、組合員の経営向上、それから公平で公正な競争環境の確立に組合の組織を挙げて活動を続けておりますけれども、最近の、特に家電リサイクル法、省エネ問題それから放送のデジタル化、こんなことにも組織を通じまして、社会の構築のために努力をしている組織でもございますので、何とぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、この経済産業委員会の先生方には大変常日ごろお世話になっております。特に、私ども家電業界につきましては、何回となくこの委員会で問題を提起していただきまして、私どもの組合員の勇気を奮い立たせる大きなもとになっていただいていることを、まずは心からお礼を申し上げたいと思います。本当にお世話になっております。ありがとうございます。

 なお、そうした先生方のこの委員会の働きで、昨年の四月には、経済産業省の国内家電流通の適正なあり方に関する研究会の報告書も出していただきました。それから、九月二十四日には、公正取引委員会の家電業界の異常な状況に対する調査報告書も報告され、また、この委員会でも何回となくその内容について御審議をいただいているところでありますけれども、またまた、せんだって三月十日には、大手の販売業者の優越的地位の乱用を、百貨店の範囲から大きく広げて、私どもの業界の量販店にまで適用するような告示を出していただきましたことに大変感謝を申し上げ、まずお礼を申し上げます。

 さて、時間もございますので、私どもの家電業界の現況について、もう既に先生方には御案内のとおりでありますけれども、異常な価格競争、この競争によって業界は大変な混乱に陥っております。特に、弱小である地域店の経営は大変厳しい状況になってきております。毎週のように量販店から出されるチラシ、中山先生よくお使いになっておられますのでこの経済産業委員会ではもうおなじみのチラシではありますけれども、やたらと大きな価格で、よそをつぶしても自分が生きればいいというような業界になってきているわけであります。

 その一番大きな元凶は、やはり差別価格にあると思います。これは、もとを正していきますとメーカーに既存するかもしれませんけれども、大変に、この量販店の優越的地位と申しましょうか、量によるメリットの主張のために、各メーカー、それに振り回されている現況ではないかというふうに私どもは理解しておりますし、せんだっての公正取引委員会の調査報告書でも、既に先生方のお手元にあるとおりでありますのでそれを細かくは申し上げませんけれども、大変な状況になっているわけであります。

 特に私どもが問題にしているのは、差別対価という問題であります。どこの社会でも差別ということはよくないわけですけれども、特に私ども、この量販店のチラシが出るたびに、地域店は信用をどんどんどんどんなくしていきます。きのう十万円で売ったものが、きょうは量販店で八万五千、九万円で売られたら、お客さんは、あんたの店にだまされたよということになって、信用は失墜するわけであります。そんなことの繰り返しであります。

 特に、私どもの調査で感じたことは、こういうチラシの中に、ずっと半年間調査をしたものがありますけれども、各量販の五社の数字でありますけれども、それを半年間にわたって調べて、いろいろの調査をした結果、四百五十アイテム中、五二・三%が、私ども地域店のネット価格、要するにメーカーからもらう仕入れ価格より安い価格で量販で売られているという実態であります。量販といえども、何ぼ合理化をしても、最近の最大手のお店では二一・一%の販管費がかかっている、決算書から出た数字であります。それだけの販管費がかかっていてこれだけの価格で売られているということは、チラシ価格よりまだまだ安い価格でネット計算をされているということになるわけであります。

 そのネット計算というのを、私どもは、これだけ自分たちの仕入れ価格よりも安い価格で売って、なお彼らは利益を出すという、この不思議な価格構造にぜひとも政治の力をおかりしたい。これが私どもの訴える実態でございますので、この不当な価格格差、これをぜひ、公正取引委員会さんの調査報告書にも出ておりますので、それも御参考にしながら、政治のお力もおかりしたいということのお訴えでございます。

 それから、チラシの表示、非常に最近ほかの業界にないことが起きております。ということは、三〇%から二〇%のポイント還元または現金値引き、こういうことをうたったチラシが横行しております。この数字が高ければ高いほど消費者の目を引くということでしょうか。一時は二〇%という表現が、公取委さんのちょっと指導もあって、それより大きな二五というのはなくなって二〇になったんですが、最近また三〇%から二〇%という大きな表現で消費者をあおっております。

 この実態について、私どもの調査の一端を申し上げますと、非常に、この三〇%の値引きというのがどのくらいの、これだけ大きな広告で数字を書かれておりますね。最高三〇%から二〇%の現金値引きまたは高率ポイントというのを書いて、どこもやっております。こういうものをやっておる実態をちょっと見てみますと、調査の結果では、三〇ポイント還元というのが、あるお店の、一店舗の数字でありますが、五十七機種のポイントを書いてある展示の中で、三〇ポイント還元、大きく書いております、たったの七機種であります。一一%、テレビの状況であります。それから、二〇ポイントが圧倒的に多くて、六〇%、三十六機種ありました。また、これを洗濯機に見ますと、三十六機種中二機種、たったの六%が三〇%のポイント、現金引きであります。そして、二〇%が何と二十六機種。あらかたのものが二〇%なのに三〇から二〇という大きな表現をして、消費者を不当にあおっている感じがしてならないのであります。

 こうした点についても、公正取引委員会さんにもそれとなく申告もしておりますけれども、なかなか表現の、表示の問題でありますので難しいところがありますけれども、現況はそういうことであります。

 次に、なぜこのような過当競争が起きているのかということを私どもなりきに、またはせんだっての公取委さんの調査報告書にもあるように、多額な粗利の補償リベート、これは難しいことでありますけれども、そういうものが出ております。それから、不透明な協賛金、もう既に先生方のお手元にある資料の中にあると思いますので、あえて細かくは申しませんけれども。それから、異常な販売員、俗に私どもの業界でヘルパーと言っていますけれども、店頭に立つ販売員、これが土日、祭日、のべつ幕なし出されているわけであります。

 こういう、要するに仕入れ原価に等しい人件費を無料で送るメーカーの力というのは、量販の大きな戦力になっているわけであります。ある公取の役員さんいわく、量販店にヘルパーがなかったら経営ができませんねという言葉も聞いたことがございます。そのくらい、土曜、日曜、祭日へのメーカーからのヘルパーの要請が非常に強い。

 そうした、先ほど申し上げた不当な粗利の補償リベート、これは、決算が近づいたから決算協賛金、または半期の利益が出ないから粗利補てん、機種が変わるから古いのを全部返品するとか見なさいとか、そういうことであります。不透明な協賛金、これは、幾ら金額が要ったから、今回協賛しなければおたくの商品は売らないよとか、そういう圧力であります。

 このような不透明な協賛金を透明性があるものにしなさいというのが公取さんの今回の調査報告書の指導事項になっておりますけれども、透明になるだけでいいだろうかということで私どもは思っております。

 不当なリベートが出される以上、何ぼ透明になっても、地域店には半期ごとに、系列店と俗に言われる、メーカーから我々のような地域でやっている者のリベート体系というのは明確になっております。契約書にうたったリベートしか出ておりません。したがって、スタートでは六%というのは公取委さんの調査の結果でもわかっていますね、量販店と地域店の価格差というものはスタートは六%だよと。それがいろいろなものを足していって、二〇からひどいのになると三〇ある。だから、三〇ポイントから二〇ポイントの値引きをしても量販店は利益が出るんだ、そういう構図になっているわけであります。

 私たちは、特別何かしてくれということではなくて、正しい土俵の中で努力する者が報われる、そういう電機業界にしてほしいという最大のお願いでございます。

 メーカーのシェア競争が大変過当になってまいりました。そんな中で、私どもは、そのシェアの奪い合いの中で、この三月の大メーカーの、家電メーカーの決算はすべて下方修正であり、大きな経営者の交代も起きている現況であります。どこももうかっていないんです。では、消費者がもうかっているかといったら、これは、これから高齢化社会に向かっていく、お客様へのアフターサービスという点で、量販店ははっきり申し上げてできておりません。お客様の声もここに幾つか持っています、時間がありませんので申し上げられませんけれども。

 その大きな要因をなしているもの、大変昔に戻って恐縮でありますけれども、私も商工会議所の副会頭を十五年ほど、せんだって十月までやっておりましたので、その関係で申し上げましても、大店法の、規制緩和で大きな法律が廃止になりました。その影響で量販店は我が物顔に地域に進出をしております。その影響を受けるのは、先ほども商工会の皆さんも言われたように、小さな商売の、商店街が見る見る間につぶれてきました。みじめな状況であります。

 そして、いま一つ、このポイントの業界というのを見ますと、私もそうした商店街のカードの理事長もやっておりましたのでよくわかりますけれども、商店街が出しているそれぞれのおまけ的なポイントというのは、シールであり、スタンプであり、ICカードであり、磁気カードもそうですが、一%であります。おまけの部分であります。それを何か家電業界は勘違いしてしまって、三〇%なんというポイントをつけるということは、まさしくお客様の懐から大きなお金をつかみ出して、預かっておいて後で使わせるというやり方であります。こんなことが、今の状況が通っていいのか。こんなことをもし家電業界がどんどんどんどんやっていったら、全国のまじめに行っている地域の商店街が全部おかしくなります。

 この家電業界の異常なポイント政策、値引き政策、あんなの値引きじゃないです。三〇%引けるなら三〇%の価格を表示すればいい。それをしなくて、ポイントであおってお客さんを囲い込む政策を量販店はやっているんです。

 地域店は、これからの高齢化社会に向かって、蛍光灯の取りかえから町のいろいろの行事から、すべて地域文化に貢献しながら、お客様のかゆいところに手の届くようなことをしながら、地道にやっていこうと思うものを、不当価格格差のために私どもはどうにもならないところに追い込まれております。これをどんどんどんどん進めていきますと、メーカーの価格政策にあり、過当な市場競争にあると私は思います。

 どうか、経済産業委員会さんが私どもの業界に大きな目を向けていただいていることに感謝をしながら、ぜひこういう機会に私どもの現状を御理解いただければありがたいと思っております。

 時間になりました。大変失礼いたしました。よろしくお願いいたします。(拍手)

河上委員長 どうもありがとうございました。

 次に、上野参考人にお願いいたします。

上野参考人 東成エレクトロビームの上野でございます。

 このたび、中小企業施策について、参考人として意見を申し述べさせていただく機会を賜りまして、大変光栄に存じております。

 私は、中小企業の経営課題と支援策の提言ということで意見を申し述べさせていただきます。

 一番目に、私どもの会社の概要について簡単に御説明申し上げます。

 社名は、東成エレクトロビーム株式会社と申します。業種は、電子ビームとレーザー加工を行う加工業でございます。本社は、東京の西多摩郡瑞穂町にございます。工場は羽村市にもう一つございます。資本金は一千万円で、社員が六十七名でございます。設立は昭和五十二年、一九七七年の第二次オイルショック直前の厳しい時期でございまして、ことしで二十八年目を迎えています。

 受注先は、エレクトロニクス、自動車とその部品、半導体とその製造装置、航空・宇宙、その他機械や鉄鋼、重電、重工、原子力など、多くのお客様の研究開発や試作をサポートする会社でございます。その中には量産になっているものもあります。

 二番目に、私ども中小企業を取り巻く外部環境の変化について御説明申し上げます。

 弊社の昨年三月期は、発注元の大企業や中堅企業の好況と自社の自助努力の結果、業績は前年比プラスとなりました。しかし、全国的に厳しい景況でありました二〇〇一年度の前年比大幅なマイナスをまだ取り戻せない状況であります。

 また、昨年秋から、半導体業界を中心として在庫調整や生産量を減少させており、我々中小企業への影響が出ております。そして、四月以降の十七年度の発注についても、三月の在庫状況を見てからとの説明があり、受注の見通しが不透明であります。

 一方では、自動車関係や一部の産業分野で設備投資や製品開発に力を入れており、景況が踊り場から力強い上昇へと好転することを期待しているところであります。

 現在、物づくりの現場では、大変大きな変化が起きています。

 大企業は、選択と集中という方針を掲げて、年商十億円に満たない小さな事業をやめてしまうということであります。しかし、中小企業にとっては大きくて魅力的なビジネスであります。情報家電など、日本発の新製品が強みを発揮している分野もあります。これは、大企業のブランド力であり、企画力、組み立て調整、信頼性管理、製品の販売やサービス体制を保持しているからであります。しかし、新製品の中で重要なセンサーなどの機能部品や機構部品など多くの構成部品は、私ども中小企業がサポーティングインダストリーとして大きな役割を担っているのであります。

 一方、多くの大企業では、生産技術力や購買力の弱体化が起こっています。その結果、発注側から一括受注という要請が出てくるようになりました。このようなお客様からのニーズに対して、自社だけでは対応できないことになります。グローバルな世界経済の中で高付加価値製品を開発することが不可欠であり、高精度と高い信頼性、そしてスピードが求められます。

 中小企業は、長く大企業の系列や下請として、また独立で物づくりを継続してまいりました。その結果、貴重なノウハウを蓄積しています。しかしながら、発注側からの一括受注にこたえるためには、中小企業の連携が必要となります。すなわち、材料や機械加工、板金、プレス、金型、熱処理、研磨、組み立て、塗装などのプロセスを担う中小企業との連携による協力体制をつくり上げることです。

 三番目に、中小企業の経営課題について御説明申し上げます。

 中小企業では、外部環境の変化の予兆、兆しを把握することが重要です。次に、私ども中小企業は、経営者の意識改革が極めて重要となります。そして、自社の経営革新を継続していくことが求められています。物づくりを担う中小企業は、ノウハウの蓄積と技術、技能の伝承が必要です。

 したがって、知的財産について関心を持ち、具体的な行動をすることが重要です。後継者を選定して継続企業体の推進者として育成することも大切です。また、金融面からのリスクヘッジを検討することも必要です。多くの中小企業支援策の活用も大切です。

 四番目に、中小企業の勝ち残り戦略について御説明申し上げます。

 一つ目は、自社の強みを磨き上げることによって役に立つ会社になることで、自社の事情を優先しない会社になることです。

 二つ目は、産産連携と産学官の連携により、お客様のニーズにこたえたり、新しい事業に取り組むことであります。

 三つ目は、経済産業省が全国に十九のプロジェクトを推進中の産業クラスター計画に参加して、連携先を見つけ出すことも重要です。中小企業の自助努力は不可欠で、さらに国や県などの多様な支援策を活用することです。

 四つ目は、自社のビジネスで十年目の夢や目標をつくり上げることであります。経営者の事業への思い入れをまず社員に語り、協力企業、ファイナンス関係、そしてお客様に説明して、我が国の産業力の活力の源泉として勝ち残りを実現したいと考えています。

 五番目に、中小企業政策への要望及び中小企業新事業活動促進法(略称)に対する評価です。

 事業所数で九九・七%を占める中小企業は、今、環境の大きな変化に直面して、勝ち残りにチャレンジしています。しかし、中小企業では経営資源が不足しており、ニーズに対して一社では対応するのは困難をきわめます。この対応について、強みを持つ中小企業同士の連携がベストであると確信しています。その場合に、コアとなる企業の存在が大切であり、そのリーダーシップのもとで新しい事業展開が可能となります。そして、中小企業における中核的な人材育成が重要となります。また、中小企業経営革新支援法などの従来の支援策は有効でありましたが、ただ、金融面や技術面の助成策が連動していないという問題点もありました。しかし、引き続き、経営革新支援は重要であり、推進することが必要であります。

 これからの新しい連携では、コア企業を中心とする信頼関係の構築が重要となり、また、メンバー企業の中で技術やノウハウを持ちながら一時的な特別の事情で財務内容が悪い企業への金融支援も配慮することが求められます。このような新しい連携体を支援するに当たり、新しい事業活動の目ききが重要となります。また、早い時期から金融支援も必要となることから、認定に際しては、技術評価と同時に、政府系金融機関や民間金融機関の参加が強く求められます。また、連携プロジェクトを単位とした融資制度の新設も検討をお願いしたいと思っています。

 中小企業のこのような新たな事業活動への取り組みを支援することとハンズオンで成果を上げるためには、強力な支援体制が必要となります。そのために、中小企業の応援団や支援者集団を地域戦略会議等で推進していただきたいと思っています。

 私は、中小企業政策審議会経営支援部会の中で、臨時委員として、中小企業の物づくりの現場から多くの提言をしてまいりました。このたびの中小企業新法は、創業や経営革新という新しい経済主体の登場や、中小企業の新しい事業への取り組みに対する支援に加えて、ニーズを連携で対応するという支援策であり、時期を得た適切な立法であると認識しています。大きく環境が変化する中で、連携することにより中小企業が成長、飛躍していくビジネスモデルと考えています。そして、新法が多くの地域で活用されるためには、広報活動に力を入れることが必要となります。

 このような考えのもとで、中小企業が持ち前の行動力と決断力、そして連携を実現し、勝ち残りを果たしてまいる所存でございます。どうか、この画期的な中小企業新法が一日も早く成立されるように、よろしくお願い申し上げます。

 これで私の意見陳述を終わります。(拍手)

河上委員長 どうもありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

河上委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 今から二十五年ばかり前、社会人としての第一歩を踏み出した私は、政府系の金融機関で、当時は三百万から五百万が中心でありましたが、生業の資金の貸し付けを経験することができました。右も左もわからない社会人の一年生が、中小企業というよりは個人企業、零細企業、本当に世の中には数多くの職業があってそれぞれに生業をしているんだなという実感を持ちながら、貸し付けを先輩から教わりながらやった経験がございます。

 当時私の先輩が教えてくれたことは、金融、お金を貸す心が大事だ、まず最初に貸す心ありきだよという指導を受けまして、先輩の指導を受けながら一生懸命貸し付けをしたような記憶がございます。そして、もし貸し付けを断る場合でも、その企業のあるいは個人経営者の人に対して、こういう理由で今借りない方がおたくのためになるんだというぐらいの説明をしなさい等々と言われて貸し付けをやった記憶がございます。

 私も、先輩の言われるままに当時の生業資金をどんどん貸し付けましたら、ある時期、部長さんに呼ばれまして、おまえは貸し付けばっかりしているけれども、断ることも金融マンとしては大事な視点だぞというようなこともありまして、本当に懐かしく思い出されるところでございます。

 きょうの参考人の皆様方の貴重なお話を伺いながら、中小企業の応援団の一人として、全力で頑張ってまいりたいと思います。

 それでは、まず井上参考人に、冒頭でございますけれども、商工会議所の調査でまだまだ景気が停滞感が強いというようなお話でございましたが、政府全体は踊り場という発言等々も出ておりますけれども、もうちょっと中小企業の現場での景況感の停滞感についてお話をお聞かせ願いたいと思います。

井上参考人 ただいま御質問がございました中小企業の現況、非常にまだまだ厳しいという、大手の企業自身は、この三月期、四〇%ですか、利益を計上するというようなことが出ておりますけれども、それはやはりあくまでも輸出だとか、それから価格の値上げ、また人的な整理、そしてコストダウン、またグローバルに商品を調達するというようなことで利益を上げておるわけでございますけれども、一方そのはね返りとして、中小企業に対してコストダウンの要求というのは非常に厳しいものがございます。

 また一方において、原材料の値上げ、これは大変なものでございまして、まず値上げをされるのは中小企業、零細企業でございます。大企業は交渉によってある程度の価格の上昇を抑えることができるわけですけれども、それが絶対できないというのが現状でございまして、そういった点からも非常に利益を編み出せないということでございます。利益が確保できないという現状でございまして、それが経営上非常に圧迫をさせられているということでございます。

 ですから、今の中小企業というのは、どちらかというと政府のいろいろなセーフティーネット等の資金援助、金融の援助によって何とか生き長らえているというのが現状でございます。と同時に、消費の方もなかなか伸びてこないというようなこともございまして、すべての面でなかなか先行き明るい見通しがないのではないのかというふうに思っております。

 以上でございます。

西銘委員 井上参考人の発言等、新聞等でも事前に参考資料等で読ませていただきましたが、私が大変関心を引かれましたのは、井上参考人のお話ですと、中小企業に対する金融的な支援の中で、特に研究開発に対する助成がなっていないという発言が私は非常に気になりました。金融の融資、中小企業に対する融資の中で、この研究開発部門を、これから、中小企業がそれぞれに持っている、いい部門を持ちながら金融の支援がなくてこの研究部門がどうしても弱いという声を私は真剣に受けとめたいのでありますが、具体的にどういう形で助成制度、今、国の財政も地方の財政も大変厳しい中ではあるんですけれども、補助金のような形での助成制度を意識しておられるのか、あるいは厳しい中で、無利子であるいは無担保であるいは長期でという形での金融支援をイメージしておられるのか、その辺のところを、井上参考人のお考えになっている点をお話しいただけたらありがたいと思います。

井上参考人 中小企業の研究開発の問題でございますけれども、現状、中小企業は、御承知のように自己資本は非常に過少であるわけでございまして、本来ですと自己資金でもって研究開発を手がけていくのが当たり前なことだ、自助努力によるものが当たり前だというふうには思うわけですけれども、なかなかそれがキャッシュフローベースで出てこないということでございまして、そういうものに対しての助成というものはぜひともお願いをしたいというふうに思います。

 冒頭申し上げましたSBIR、これはたったの三百億でございます。アメリカはたしか一九八二年から千四百億の対策といいますか、それがずっと続いております。日本はまだまだやっと三百億になった程度であって、こういうものが、やはり中小企業に対する、新しい商品の開発に対しての助成という形で、もっともっと予算を増強していただければというふうに思うわけでございます。

 ともかくいろいろな技術というものが、新しいものがどんどん出てくる。デジタルに変換される、また、電源にしてもインバーターというような電源が出てくる。そうすると、いろいろとその組み合わせによって新しい商品というのは幾らでも開発できるわけでございます。やはり、そういうものに対するまず手付の資金というものを何とかしていただきたいというのが、我々の願望でございます。

 ひとつ、ぜひともそういう点をしんしゃくいただいて、研究開発費予算の補助といいますか、そういうものを大きくしていただければというふうに思います。

 以上でございます。

西銘委員 我が国の中小企業の技術力は私も高く評価をしております。今、グローバリゼーションの大きな流れの中で、井上参考人も少し触れられておりましたけれども、安い労働力という形で中国へ企業が工場進出というのもありますが、安い労働力では太刀打ちできないにしても、それでも我が国の中での中小企業の技術は、まだまだ国内でも私はできるかと思います。

 現場、井上参考人の感覚として中国のああいう状況、大きな流れの中で、原料等の高騰にもさまざまな影響が出てくるかと思いますけれども、我が国国内に残る企業として、技術は十分に中国とも対抗できるような形でまだあるのでしょうか。その辺のところを現場の感覚でお話し願いたいと思います。

井上参考人 今、グローバルな時代を迎えて中国へというお話が出てきておりますけれども、日本人の持っているたくみのわざといいますか器用さというか、そういうものはやはりまだまだ中国では持ち得ていないものだというふうに思っております。

 ただ、彼らも同じアジア人でもあるわけでして、教えていけば日本人と同じような形になるということは事実だろう。だから、余りその技術を他国に開陳するといいますか、今高齢者の雇用というものは、今までバブルがはじけてから大手の企業というものがどんどんと高齢者を削減してきたわけでして、その技術を持った人たちが中国に行って今までの蓄えた技術を開陳し指導しているということが、日本にとっては非常にマイナスになるのではないか。むしろ、そういう技術を持った人をいかに日本で継続雇用させていくか、また、その持った技術を中小企業に振り向けていくかという仕組みというものを、もっともっと考えていただかないといけないのではないかなというふうに思います。

 日本では、本当にまだまだ新しい技術は幾らでも開発できる、それだけの素養は日本人は持っているということをお伝えしたいと思います。

 以上でございます。

西銘委員 ありがとうございました。

 次に、清家参考人にお伺いしたいと思います。

 今般の法改正の中で、いわゆる団塊の世代が二〇〇七年に退職期を迎える、これが物づくりの世界の中で、今、井上参考人のお話にもありましたように、我が国にとって大きな問題になる。

 今回の法改正の中では人材の投資減税制度等々盛られておりますけれども、この人材投資減税制度と、二〇〇七年に退職をするであろう団塊の世代の人たちを企業にとどめる、シニアアドバイザーとしてどういう形でとどめるか、現場で研究しないといけないと思いますけれども、私は結びつく制度ではないかなと思っておりますが、商工会の方の現場で、二〇〇七年の団塊の世代の退職期の問題がどういうふうにとらえられているのか、そして、今回の人材投資減税制度の活用で、それがどのくらい防げるといいますか、どういう形で運用できるのか、その辺のところを清家参考人にお話を聞かせていただければと思います。

清家参考人 今の西銘委員の御発言に発言させていただきます。

 ただいま言われたように、いよいよ少子高齢化の時代に突入します。高齢化時代になりますので、今回は先生方のおかげでシニアアドバイザー制度を創設していただきまして、何とか人材の育成を図っていこうということで、我々日夜努力をしておるのが現況でございます。

 もう新しい時代に突入しておりまして、古い今の能力のある人材をやはりフルに活用するということが一番大事じゃないのかなというふうに考えております。今それに対する教育を一生懸命やっておるのが現況でございますので、その対応をいかにするかというのが商工会の指導員の今の研究課題であるというふうに考えております。

 この制度ができましたら、フルに活用してまいりたい、かように考えております。よろしくお願いします。

西銘委員 清家参考人にもう一点お伺いしたいのでありますけれども、いわゆる無担保無保証のマル経資金ですか経営改善資金、私は、この制度は十分に拡充して、商工会の方々あるいは中小企業、小規模零細業の方々に十分利用していただきたい制度だと思うのでありますが、私の地元の方で聞きますと、少しその制度、枠を消化し切れないような状況等もあると。民間の金融機関が当初BIS規制で資本金を充実しなければならないという時期には確かに十分に機能、よく利用されておったけれども、最近は少し利用の枠を満たしていないというお話も来ているのでありますが、商工会会長として、清家参考人、この経営改善資金についてどのようにお考えでしょうか。お聞かせください。

清家参考人 お答えいたします。

 現在、市中の金融機関が大変難しい時代に入っておりますので、規制も随分緩和されておりますから、一応ある程度の融資は行われております。ただし、零細企業におきましては、無担保無保証以外に借りる要素がないわけです。一般市中金融機関におきましては、担保もしくは保証がなかったら一応融資ができないというのが現況なので、小企業者の約八〇%以上がほとんどの零細企業でありますので、国民金融公庫かそこらに一応持ち込んでいかなければ金融の支援策はできないということで、多くの零細企業が今国民金融公庫にお頼りをしてマル経資金を活用しておるというのが現況です。

 今、どこでお調べになったかわかりませんけれども、私たちの見た感覚では、随分活用されておるというのが今の現状ではなかろうか、かように考えております。

西銘委員 清家参考人にもう一点。

 三位一体改革の中で、商工会等々に対する資金が地方にゆだねられていく、そして地方によってそういう差が出るのを懸念しておられるようなお話がございましたけれども、私もこれは大変大きな問題にならないかなと大変懸念、心配をしているものでございます。

 そういう中で、地方に地方にという流れではありますが、それによって地域間で格差が出ないようにするためには、抜本的に、もとの制度のように、国で責任を持つべき、国の役割は国でちゃんとやるべきだというのが基本かと思いますが、清家参考人は、その辺、どうお考えでしょうか。

清家参考人 今おっしゃられたとおりでありますので、三位一体改革で税源移譲がされた場合は、各県の財政事情によりまして中小企業に対する補助金の制度が随分変わってきます。そういうことでは、我々としては、今まで全部、国、県の補助金のひもつきの予算で一応事業を運営しておるのが零細企業の実態であります、これが、県の裁量でいろいろな形のものになった場合は、全くもらえないというような県も出てくるのではないかなというふうに懸念をしておりますので、できたら国の方の指導で、全額を、税源移譲したらその金額は中小企業対策費用に使えるような形を、一応する制度を持っていただくようにお願いしたい、かように考えております。

 よろしくお願いします。

西銘委員 次に、上野参考人にお伺いさせてください。

 今般の新しい法律で、新連携という言葉をキーワードに中小企業の法律ができますけれども、この連携をするコアの企業を探すといいますか、こういう場といいますか、これは、中小企業同士の同業の日常的な集まりの中でそういう情報がとれるのか、あるいは金融機関を通して、この企業とこの企業がこういう技術分野で提携をすれば対抗、対応できるのではないかというふうな、金融機関、どこかの機関が出てきてお互いの新連携が生まれるのか。

 この連携が生まれる場所等々について、私たち政策を立案する者がこういう点を考えたらいいんじゃないかというものも含めまして、参考人の御意見を聞かせていただきたいと思います。

上野参考人 先生の御質問にお答え申し上げます。

 コアの企業、やはり地域でいろいろ活躍されている企業はもう既に少しあります。そういう企業はどういうふうにして仲間を見つけるのかということですが、一つは、先生おっしゃいますように、日常的にお会いする地域の工業会とかいろいろなそういう会がありますので、そこへ参加していることによっていい相手とめぐり会えるというチャンスがまず一つございます。

 それから、先ほど先生の方からお話のありました、政府系金融機関の中でも中小企業金融公庫さんが、六十一の懇話会がそれぞれありまして、そこに百社ぐらいの企業が懇話会のメンバーとして入っているんですね。ここでは、いろいろな技術の研修会とか見学会とか、さまざまな活動をされます。その中で、大学の先生なんかもお呼びしたりしますので、そういうところで、大変意欲のある中小企業、それから、それぞれ技術を持った人たちと初めて出会うということが起きますので、それは非常に重要なチャンスだと私は思うんですね。だから、こういうところにできるだけ参画する。

 それから、先ほどの私の提言の中でも、産業クラスター計画は経済産業省が進めておりますので、こういうところのメンバーとして参加すれば、その中には異業種の方々も入ってこられますし、大学や産総研さんとか公設試の先生方もたくさん入ってこられますので、そういうところで発表会とか、あるいは今度交流会のときに重要なチャンスがあるんですね。こういうときにめぐり会えた先生方あるいは中小企業の経営者と連携をするというのは、私どもも実際に実行していることでございますので、こういう機会にやはり中小企業は積極的に参加するということも私は大事なことだとも思っております。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

西銘委員 貴重な御意見をありがとうございました。

 私は、生業といいますか、毎日毎日の仕事の中で人間が確実に鍛えられていくものだと確信をしております。中小企業の皆さん方の応援団として全力で頑張ってまいりたいと思っております。

 以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。

河上委員長 次に、中山義活君。

中山(義)委員 おはようございます。

 参考人の皆さんには、本当に先ほどから中小企業の立場で、今の現状で大変厳しい、また苦しいところを頑張っている、そんな意思を私ども確認いたしました。

 私たちは中小企業と大企業と一緒になって競争しているわけですね。しかし、必ず強いものが勝つ、弱肉強食、これでは世の中うまくいかないというふうに思っているんです。常に公平、公正な社会をつくっていくことが大事でございまして、自由主義経済だから強いものが勝つ、これでは日本の国は将来おかしくなっていく、このように思っているわけでございます。

 そこで、例えば金融の問題一つについても、大企業の社長は個人保証なんかしていませんね。しかし、中小企業では、個人保証はおろか連帯保証をとられて、自分の親や兄弟にまで保証させる、または商売をやっている同じ仲間に連帯保証をさせる、こういうことが、例えばこの会社を手じまいたいと思っても手じまえないような状況があるとか、いろいろな部分があります。それから、先ほど不公正な取引というのがありました。大企業は優越的な地位を利用して納入業者にいろいろがんがん言いまして、ヘルパーをつけさせるとか、値引きをさせるとか、リベートを取るとか、いろいろなことをやっております。

 そういう面で、中小企業と大企業の差がうんとあるところから、まず、これに対してのお考えを聞かせていただきたいと思います。それぞれ四人の方に一言ずつ、大企業と中小企業はどれだけ差があるか、お話をいただきたいと思います。

井上参考人 私どもも資本金は八千万、百人足らずの企業でございます。やはり過少資本といいますか、そのためにすべて金融機関に借り入れをしていかなきゃいかぬ。そして、その資金というのは、根雪的な資金といいますか、が非常に大きいわけでございまして、その根雪の部分になっているものに対しては完全に担保をとられる。これは、企業の持っている資産と同時に、経営者の持っている資産、これもすべて提供しながらやっておるのが現状でございます。

 と申しますのは、一つには運転資金的なものも非常にあるわけでございますが、御承知のように、大手の企業の支払い条件というものが非常に悪いわけでございます。四カ月据え置き、そして四カ月たってから検収を上げる、そして支払い債権に乗せるというような状況でございます。また、悪いところは六カ月、もちろん、納入して機械が動くまで一、二カ月かかるわけですから、トータルすると六カ月ぐらい資金が寝るという現況がございます。それから、つくる間に前金をもらうわけでないわけですから、そういういろいろな資金というものが非常に過剰に中小企業に課せられておるという現状でございまして、そういうものを調達するために金融機関から借りておるのが現状でございます。

 そして、政府系の金融機関というのは、そういう点では非常にありがたい存在である。特に中小企業金融公庫、我々の会社としては中小企業金融公庫でございますけれども、これは長期で、非常に低利で固定した金利で今まではやってきてもらっておるわけでして、ぜひともそういうものを、今課題に上っておりますが、存続させるようにお願いをしたいなというふうに思います。

 以上でございます。

清家参考人 お答えいたします。

 今、大企業と中小企業の格差についての質問がありましたけれども、大企業は、人材もあるし資金もあるし、いろいろな形のもので有効に仕事ができるというのが現況でございますけれども、中零細企業については、資金もなければ資産もないというような状況で、先生先ほどお話がありましたように、金を借りるについても、一応今、政府系の金融機関の国民生活金融公庫とかそういうところの御支援は十分ありますけれども、一般の金融機関では担保が要るし、またいろいろな保証人も要るというような形で、企業を起こすにも、事業を起こすにもなかなか大変な状態であります。企業格差はどんどん出るばかりで、これ以上格差が出てきたら零細企業はつぶれてしまうというような現況になろうかと思いますので、その辺についての御支援をよろしくお願いしたいと思います。

北原参考人 格差は、先ほど少しく申し上げましたけれども、六%というのが公に出ている建て値のネット差であります。量販と地域店のネット差は六%、これは公正取引委員会の調査報告書に出ているとおりでありますけれども、その中で、わけのわからない不透明な協賛金、そうしたリベートが、販促金等が出て、その差は、公正取引委員会さんの報告でも、二〇%以上のものがついていますねということを言われております。そのときに、中には三〇%を超えるものもありますと。

 ただ、今回の公正取引委員会の調査は、どこまでも自主調査でありますので、内容まで入ったものではないので、本当の実態はまだつかめませんねということが残っておりまして、私どもから見ますと、三〇%のポイントをつけるということは、やはり三〇%くらいの格差が実際に出ているだろうというふうに想像します。これはメーカーとしてしかわかりませんけれども、そういう想像がいろいろな調査からもわかっておりますので、そのくらいの差があるだろうというふうに思っております。

上野参考人 先生の御質問にお答え申し上げたいと思います。

 私ども、物づくりの中小企業なしには大企業さんが新製品をどんどん出していくというのが難しい状況になってきているという現実があると思うんですね。それは、大企業の場合には、製品をつくろうとしますと、設計をいたします。そのときに必ず試作ということが起きるわけですね、試しに物をつくる。そのときに、今まではほとんどが大企業は自前で社内でやっておられたわけですね。ところが、最近はほとんどアウトソーシングで、試作を外に依頼するということになってきました。

 私どもは、系列とか下請ということで自分の専門分野のことを長くやってきたわけですけれども、そこのところに我々中小企業経営者自体がなかなか気がついていないところもあるんですね。自分たちが長くやってきたということは、ノウハウの蓄積がいっぱいあるんですということに気がつきますと、必ずしも厳しい値引きだけにさらされるのではないと私は信じているんです。

 それで、重要なことは、最近の大企業と私ども中小企業の取引の関係は、従来は下請会とか協力会という名前でございました。最近の新しい形態は、パートナーシップ会という言い方をされる企業が最近多く出てまいりました。こういう会社さんというのは、納期、品質、価格をしっかり協力してくれる会社のことをグッドパートナー企業というふうな、そういう新しい取り組み方をしてくださっているわけですね。私どもはこれからは新しいこういう関係を提言していきたいと思っていますし、そういうことをよく理解しておられる大手さんというのは、やはり大きくなっている会社だというふうに私は認識しております。

 日本発の新製品をどんどんやっていく上では我々中小企業なしにはできないんだということを、私は自信を持ってこれから大企業とおつき合いをさせていただきたいなというふうに思っております。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

中山(義)委員 今、いろいろ中小企業、大企業、差がありまして、この差を埋めるべく、我々もいろいろ法案やアイデアを提出してまいりました。

 一つは、再生機構がありましたね。皆さん、考えていただきたいんですが、もっと昔に、青木建設はつぶしたけれどもダイエーはつぶさない、こういう裁量権というのはだれが持っているか。今回インサイダー取引がありましたね。これも、要するに、裁量権を持っている人がもし株をやればわかるわけですよ。あそこを助けよう、そしてその株を買えば、それは間違いなく上がりますよ。こんなことがあっちゃいけないということで、私たちは随分この点についても指摘をしてまいりました。

 ですから、再生機構をつくるのであれば中小企業にも同じようなものをつくらなければいけないじゃないかということで、中小企業再生支援協議会、こういうものをつくっていただいた。ここの権能をもっと高めていただきたい。

 例えば、銀行さんとの取引のときに、五年で返済するものがあれば十年、十五年にする。これは、再生支援協議会の方で認めたらそういうことをしていくとか、特に国金であるとか保証協会なんかは、もう再生支援協議会でお墨つきがついたらどんどん返済期間を延ばしてくれるとか。返済期間を延ばすということは、一時的にその会社の、ちょっと病気があれば止血、血をとめるとか、そういう作用があるわけですね。そういうことを、もっと産業再生機構みたく債権放棄も含めていろいろな権限を持たせたらどうか、私たちはそういう提言もしてまいりました。

 それからもう一つ。先ほどの連帯保証、これも、我々もこういうシールをつくって、個人保証廃止とか連帯保証廃止とか、いろいろなステッカーをつくってまいりました。これも我が党が提案をしてきたんです。

 それから、大銀行に貸すのと中小企業に貸すのとは、もう随分貸し方が違うわけですね。約定書なんというのがありまして、これは、中小企業に貸すときにはいつでも金利を上げますよと書いてあったりね。これも、法的な根拠によらないでと書いてあるんですよ。保証人もふやしますよと書いてあるんです。担保も後でふやしてもらいますよというのが書いてあるんです。これは両方に交付されていないんですね。銀行だけが持っているんですよ。こういうようなことが常時今まで行われてきた。だから我々は、中小企業の立場に立って金融の関係もしっかりやってきたんです。

 ここで問題になるのは、常に大企業が、または銀行が優越的な地位にあるんですね。この優越的な地位を利用して中小企業をある意味ではいじめてきたところも随分あるわけです。銀行もそうだと思うんです。これも私たちは、個別のやり方で聞きますと、公正取引委員会の委員長も、確かに銀行は優越的な立場に立って中小企業にいろいろ圧力をかけているということをはっきり明言しているんですね。これは個別なものです。こういうケースはどうかと言うと、それは確かにそうだということもはっきり明言されました。

 そういう面で、常に大企業が優越的な地位にある。銀行が優越的な地位にある。これを何とか変えたいというふうに思っているわけでございまして、金融関係の中でそういうことをまず直さなきゃならない。

 自分の会社をやめたくてもやめられないような状況が連帯保証によってあるんですよ、今。そうすると、最後何するか。自分に生命保険を掛けて自殺しちゃうとか、そこまで中小企業は、やはり傷んでいるところは傷んでいるんですね。

 その辺、井上参考人と清家参考人、それぞれ、金融の関係でお話があれば、よろしくお願いします。

井上参考人 ただいまのお話で、本当に金融問題についていろいろと御支援をいただきまして、まことにありがとうございます。

 再生支援機構、これは中小企業の対策の一つとして今活動をして、先ほどもお話しいたしましたけれども、五千八百七十社の相談を受けているということであるわけでして、全国都道府県に設置されております。私は、これはすばらしい考え方だというふうに思っておりますし、これをもっともっと拡大化していく、結局、第三者として評定をし、優越的な地位にある金融機関に対して交渉力を持っているということでございまして、ぜひともこれを拡大化していってもらいたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、予算の面もございましょうけれども、徐々にそれを拡大化しているというのが現状でございます。

 その再生支援機構も、リスケの問題についても、またDDSについてもDESについても、交渉力を持って積極的にやってくれております。本当にありがたい存在でございますので、ぜひともお力添えをもっともっといただきたい、そして拡大化をしていただきたいというふうに思います。

 以上でございます。

清家参考人 大変ありがたいお話を今承りまして、本当に感銘をしております。

 今先生が言われたとおりで、我が国では長らく土地や人的担保を重視する融資が行われてきました。このため、土地や資産を持たない人が事業を始めるためには、事業を拡大しようとしたら、融資を受けられない問題が多発をしておりまして、大変困っておるというのが現況でございます。

 また、個人保証を求められたため、一たび倒産すると身ぐるみはがれてしまうようなことが見受けられ、先ほども言われたように、自殺者が多くなっておるというのが現況でございますので、できる限り金融制度をやはり見直していただくというのが一番大事なことじゃなかろうか、かように考えております。

 中小企業再生協議会というのをつくっていただきまして、私も会長をしておりますけれども、随分助かって、企業が今立ち直りをしております。この制度につきましても有効に活用していきたいというふうに考えておりますので、先生方の御支援をよろしくお願いいたします。

中山(義)委員 この再生支援協議会の力をもっと強めて、そのお墨つきによって、例えば返済期間を延ばすとか、できれば債権放棄も、本当にこの会社をどうしても残さなきゃいけない、本業がこれだけうまくいっているということがあれば、それはやってもいいのではないか、このくらいに私どもは考えておりまして、今後も商工会議所の皆さんには協力して、一生懸命やっていきたいと思っています。

 それから、こういうような法律案を出したんですが、これはやはり適正に、銀行が優越的な地位を余りにも強力に押し出して中小企業をいじめないような法律案を出しました。これも金融庁でかなり取り入れてまいりました。

 そういう面で、私どもも一生懸命やっておりますので、我が党の中小企業政策というのをしっかり見ていただければ、ああ、なるほどなと思うことが随分あると思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、産業再生機構も、先ほど言いましたように、大企業のためだけにあるんじゃなくて、本来は中小企業もやろうとしたんですが、やはりやり切れない。ですから、この再生支援協議会に対して、我々もファンドの面だとかファイナンスの面もしっかりやるように、これから頑張って、経済産業大臣に頑張ってもらいたいということで質問をどんどんしていきますので、よろしくお願いします。

 それからもう一つ、優越的な地位を利用するのは、一つは不当廉売です。もう一つは、いわゆる下請代金遅延防止法案というのも、我々も強力にやりましたけれども、なかなか大企業が払ってくれない、こういう問題があります。

 それともう一つは、特許の問題ですね、スモールエンティティー。この辺について、もっと特許をとるときもしっかり支援をしてくれというようなことがあれば、上野参考人に。

 それから、北原参考人には、とにかく、これから、不当廉売をやった、これには絶対課徴金をかける、または行政制裁金をしっかりかける、やってやり得だということを大企業にやらせないために、我々もこの間、公正取引委員長がこの二年以内には全力で努力をするという言質をとりましたので、皆さんにも期待をしていただいて、必ず中小企業が不公正な立場に立たないように、私はそのように全力を尽くすつもりでございます。

 一言ずつお願いいたしまして私の質問を終わりたいと思いますので、よろしくどうぞ。

上野参考人 お答えを申し上げます。

 先生から、特許についてのことだと思います。私ども加工業でいきますと、いろいろな同じ装置をどこかの会社が買っても、私どもはノウハウで持っていますので、絶対それはまねができないということで、私どもとしては非常に強いノウハウを持っていると思っているんです。

 それで、中小企業の場合に、製品を持っているような会社さんは、特許というのは非常に重要でございまして、しかし、その中にやはり課題があるのは、中小企業の場合には、一つ基本的な特許を出しましても、周辺の特許を一緒に出すというのはなかなか難しいんですね。それは非常にお金がかかりますし、維持していくのにも随分お金がかかるんですね。その場合に、基本的な特許を出してしまってそれで製品をスタートするわけですけれども、大企業の場合には、その周辺を固めてそれで圧力をかけるというような場面も起こり得るわけですね。こういうところをこれからどういうふうに支援していただくことができるのかなというようなことが私は一つあると思っています。

 私どもは、そういうノウハウの部分をもう少し自分たちがよく認識して、そのノウハウをブラックボックスとして流出しないということが私は非常に大事だと思っていまして、そのためにも、先生のお考えのような、人材もしっかりやって、中小企業がしっかりとしたそういうノウハウを守っていくんだよということが私は大切だと思っております。

 どうもありがとうございました。

北原参考人 私ども、この問題は、今まで公正取引委員会にその都度事例を持って申告をするわけでありますけれども、なかなか不当廉売の最終ネット計算というのができないために、不当廉売を公取さんが指摘することがなかなか難しい、こういう結果になっております。ぜひ、家電版のガイドラインを今公取さんも言っておられますので、それをしっかりとつくっていただいて、量販店に言わせますと、粗利ミックスという表現をして、この商品はすべてのリベートをしていくとこういう価格になりますよということで、不当廉売にならないような言いわけをすることが非常に多くなっておりますので、その辺の言いわけができないようにすることがまず大事じゃないかなというふうに思っております。

 その基本をどういうふうにつくるのかというのが私どもなかなか難しいところですけれども、公取さんにいろいろ申告しても、時間が非常にかかる、一年ぐらいたってやっと返事が来る、ぜひ、そういうことに対する迅速性を、中山先生がいつも言われておりますけれども、迅速性をお願いしたい。

 それから、チラシ等による、他店のチラシを持ってくればうちは一〇%以上引きますよというあれは、本来の自分の原価のない商売をされる可能性があります。そこに不当廉売というものが起きるだろうというふうに思いますけれども、チラシ上出てくるものとは違ってまいりますので、なかなか査定が難しい、判断が難しいということがありますので、その辺のことでもまたいろいろの面で御支援をいただきたいというふうに思っております。

 大変ありがとうございました。

中山(義)委員 最後に、中小企業頑張れ、気合いだと申し上げまして、私からの質問を終わります。

河上委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 参考人の皆様方におかれましては、本日は、当委員会にお越しいただきまして貴重な中小企業に関する御意見を賜りましたこと、改めて御礼を申し上げたいと思います。

 また、あす、当委員会におきまして中小企業経営革新支援法の一部を改正する法律案を審議することになっておりまして、これを前提といたしまして中小企業全般にわたる皆様方の現場の御意見を承ろうというきょうの参考人質疑でございます。そういった中で、今回の法改正に基づきまして若干御意見を承れればと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、井上参考人と清家参考人にお伺いをしたいんですが、今回、中小企業三法を統合していこう、こういう発想なんですけれども、よく言われるように、この三法がなかなか使い勝手が悪い、こういうふうに言われてきたわけですね。経済産業省もそこら辺のところを酌み取って今回の法改正に臨むんですが、我が党でも、この法律案を審査するときに、変えるということは今までのところをしっかり反省しなきゃいけない、どこがいけなかったんだ、こういうふうにいろいろと聞きますと、やはり役所というところは、自分の失敗、失敗とは言わないまでも、まずかったところというのはなかなか認めたがらないものですから、これは委員会等で、しっかりとこの法案の審議の中で明確にしなければいけないんですが、現場の感覚として、これまでの現行の中小企業三法というものはどういうところが使い勝手が悪いのか、どこが悪かったのか、どこが現場に即していなかったのか、こういった点をもし御指摘をいただければありがたいと思います。

井上参考人 ただいまの御指摘は、前三法が使い勝手が悪いというようなお話がございましたけれども、私としては別に使い勝手が悪いということはなかったというふうに思っております。各三法とも非常に大事な、中小企業のためにある三法でございます。

 ただ、実質的には、予算面がちょっと少ないということがございまして、例えば事業化助成、これの問題にしても、平成十六年度の第一回は五百二十二件の応募に対して三十八件しか採択をされていない。二回目が六百十二件で四十五件しか採択されていない。一割を切っておるわけでございますよね。そういった点で、中小企業がいろいろと資料を出してお願いをするわけですけれども、一割ぐらいですと、よほどうまく書かないと採択をされないということが一つ大きな問題であろうかなというふうに思います。

 そういった点で、この三法を新しく中小企業新事業活動促進法というふうにされるということは、これで非常に使い勝手はますますよくなるだろうというふうに思うわけですけれども、ぜひとも、予算の面で十分な予算を今後つけていっていただく。第一年度は、新連携については四十一億ということでございますけれども、ぜひとも、そういうものを年々ふやしていけるようにひとつお願いをしたいというふうに思います。

 以上でございます。

清家参考人 ただいまの先生の御質問にお答えします。

 現在、国において創業や経営革新を支援する三本の法律を統合し、新しい法律を創設される予定と伺っております。これまでは、創業者には新事業創出促進法の活用を、それから、創業した企業の研究開発を支援するためには中小創造法の認定を、さらに、企業の経営多角化等を支援するための経営革新法の認定を受けるといった、三つの認定を受けなければ今までは進んでいないというふうに複雑な手続が要請をされております。

 今度の新しい法律ではこれを一本化しようということになっておりますので、これが簡単に一応運用できるような形にぜひしていただきたい、かように考えておりますので、よろしくお願いします。

高木(陽)委員 今、井上参考人、清家参考人の方から、井上参考人は、使い勝手というよりもまずは予算の方だ、認定をしっかりしてその予算を拡充してもらいたい、まさにそのとおりだと思いますし、この問題につきましては、さらに政府の方にしっかりと要求をしながら、与党としてもこれをさらに拡大させるように頑張りたいと思います。

 また、清家参考人の今御指摘いただきました複雑な手続、中小企業ですから、なかなかそれだけをやるという、手続をするだけでも結構大変なわけですね。それを、三本を一本にするということで、一回やればそれで終わるという、まさにこういったところもしっかりと今回の法改正において確実にできるようにさせていきたいと思います。

 それ以上に、今度は上野参考人にちょっとお伺いしたいんですが、先ほどの意見陳述のときに、今回の新しい法律の認定に当たって金融の参加のことを御指摘されました。これは私も現場でいろいろと話をお伺いしたときに、現行三法の支援認定を受けて、金融の支援措置が適切に連動しないと。融資審査というのは金融機関独自にやるということで、別途行っておりますので、それはそれでしょう、私たちの金融機関はこれなんですよと、こういうふうになりますと、幾ら支援認定を受けても、やはり血流であるこの金融というものがしっかりと回ってこないとどうにもならない、こういうことだと思うんですが、ここら辺、現場の実感、またはその実態に即してお話をお伺いできればと思います。

上野参考人 先生の御質問にお答えしたいと思います。

 今回の法律の中で、金融の関係のところは非常にやはり重要なところだと思うんですね。私どもも東京都の方へ経営革新支援法を御提案しました。それで、新しい設備を買って、いい事業をして、しっかり雇用をふやして、税収を上げたいなというふうにして計画を出しましたところ、やはり政府系の金融機関からは全然別途でお借りするような、要するに担保の問題とか個人保証の問題も当然出てくるわけですね。

 そこで、私は、認定されるときに金融機関の人がやはり入っていただいて、要するに、技術と事業の評価というのは技術だけの目ききではだめなんですよね。その事業がちゃんとして成り立つのかどうなのかというのは、やはり金融機関の人の重要な投資採算という目で見ていただきたいんですね。その上で、今までの認定の中に金融機関の人が早い時期に入ってくださいということが私はポイントだと思っているんですね、先生の御指摘のとおり。

 そのときに、なぜそういう金融機関の人が入るかというと、そういう投資採算という面と、それから認定されたときにやはり金融がすぐ連動してくる。私ども、物づくりで提案した場合には、すぐ材料を買ったり、それから、試作するたびにいろいろな加工をやらなきゃいけないんですね。そのときに、認定して、期末ごろに生産した領収書を持ってきて翌年度にお金をいただくというんですと、認定されてまだ融資を受けなきゃいけないんですよ。これはぜひやめていただきたいんですね。だから、認定されたら早くに資金の手当てがついて、早くに執行できるようにしますと、非常に早くに効果を出せるんですね。

 だから、そういう面では先生の御指摘は非常に重要なことだと思いますので、ぜひお願いしたいと思っております。

高木(陽)委員 今、金融の話にちょっと入りまして、先ほど井上参考人の意見陳述のときに、中小企業金融、特に、私ども公明党が連立与党に入ってもう六年目に入ったんですけれども、連立に入ってから私どもは中小企業の問題に関してかなり強烈に政府に申し入れをしながら、政府・与党一体となって、例えばセーフティーネット保証ですとか、または借りかえ保証制度、これは先ほどの井上参考人の陳述ではかなり評価をされておられました。

 しかし、今、中小企業全体を見るとなかなか景況感は厳しいというようなそれぞれの御判断もございましたけれども、金融全体の問題として中小企業金融、今後新たにこういうような手を打ってもらいたい、または今の現状のままでこれは何とかなっていくのか、ここら辺のところの御判断、御意見があればお伺いをしたいと思うんです。

井上参考人 一般的な金融機関も市中の金融機関も非常に中小企業に対する手当てというものはできてきております。一件五千万というような数字で出てきておるわけでございます。

 ただ、無担保無保証ということになれば非常に金利が高いということでございまして、それが中小企業に対しては非常に負担が大きくなる。今、ともかく何とか乗り越えるためには一時的に高くてもしようがないとしても、やはり先行き景気がどれだけよくなるのか、私の感覚的にはそれほどよくはならないだろう、現状維持ではないのかなというような感じでおりますから、そうなってくると、高利といいますか、金利が高いものに対しては非常に問題であろうかなと。

 ですから、やはり政府系の金融機関が中小企業に対してバックアップをしていただくということが非常に大事であるというふうに思うわけでございまして、ところが、平成十四年の十二月十三日ですか、経済財政諮問会議でもって、政府系金融機関の統合、廃止というような問題が出ております。と同時に、民間に準拠した、リスクに見合った金利の設定というようなことも出てきておるわけでございまして、政府系の金融機関が、長期からだんだん短期になる、金利はフリーになる、フリーにといいますか、高くなるというようなことになりますと、我々としては非常に厳しい環境にますます置かれるのではないかなというふうに思います。

 やはり政府系の金融機関というのはある程度固定のレートで、そしてある程度のリスクを政府系がかぶって、政府がかぶっていただくということが大事であろうというふうに思うわけでございまして、私どもとしては、ともかく今の現状というような、維持した形で何としてもやっていただくということが大事だろうと。というのは、企業が悪くなったときには当然市中からの金利は高くなるわけでございまして、それをバックアップしてもらうのは政府系の金融機関だということではないかというふうに思いますので、その点をごしんしゃくいただき、よろしくお願いしたいと思います。

 以上でございます。

高木(陽)委員 今、政府系金融機関のことを御指摘いただきました。まさに民間の金融機関、あの不良債権問題、特に大手の方は大分よくなってきてはいるんですけれども、現実問題、なかなか、民間でございますからやはり自分のことを中心に金融を考えているという現状がございますので、今御指摘の政府系金融機関の問題もしっかりと私どもも取り組んでまいりたいと思います。

 さて、今回の中小企業三法を統合するに当たりまして、創業からその後ずっと一貫して支援していこう、こういうような発想を持っているわけですけれども、特に中小企業にとってみれば、なかなか大変なのはマーケティングの部分だと思うんですね。

 ここで清家参考人と、上野参考人にもちょっとお伺いをしたいんですが、特に中小企業にとってみて、販路の開拓みたいな部分というのはなかなか自分独自でできない、だからこそ、こういった支援のための人材確保というのが重要になってくると思うんです。具体的に、人材確保、またはマーケティング支援のための人材確保といった場合に、どういった具体的な施策があるのか、ここら辺のところを現場の感覚からお聞かせ願えればと思います。

清家参考人 ただいまの質問にお答えします。

 ただいま言われました件でございますけれども、商工会は今、商工会ネットワークをつくって、一応皆さん方に全国広く販路を開拓するような形をとっておるのが現況でございます。個々にやるというのは、零細企業ばかりのお集まりでございますので、なかなか難しいので、それを支援するのが商工会の責務ということで一生懸命取り組んでおります。

 あとにつきましては私は余り存じておりませんので、以上で終わります。

上野参考人 先生の御質問にお答えしたいと思います。

 今度の新法は、創業から一貫して支援するという、私どもにとっては、中小企業にとっては、大変いい政策が提案されているなというふうに私は認識しております。

 それは、私どもは、中小企業の加工業というのが大変多いわけですよね、製品を持っている会社よりも。加工業というのは発注元から注文をいただいて加工をお受けするというわけですね。そのときに大事なのは、今まではある会社さんとおつき合いしていればずっと仕事は来ていたというところで、長く我々は営業ということについてはそれほど重要なことをしなくても仕事は来ていたということだと思うんです。ところが、最近、やはり発注側の方が、一社でずっと中小企業に注文を出せるというところがどんどんなくなってきたわけですよね。

 そうしますと、私どもとすれば、今までそういうふうに新規の開拓をしようという人材もなかなかやはりいなかったんですね。そういう部門のところで、中小機構さんが、やはり販路開拓というものについての支援を中企庁さんが既につくっておられますので、私ども、そういうところにぜひ助けてほしいと。それで、我々提案しまして、新しいマーケットについて調査をしてくださるということになりましたので、こういう支援策が既にあるものも活用し、さらに新法によってうまく我々早く提案して、提案して採択されないとやはり発動できませんので、全国的に皆さんで、私ども、多くの人たちが参加してこの支援策をぜひ活用していきたいなと思っています。

 したがって、私どもが独自でやろうとするとやはり人材が必要になりますし、認定を受けて、こういうところのお力をかりて、より強い中小企業にしていきたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

高木(陽)委員 あと、井上参考人とまた上野参考人にちょっともう一回お伺いしたいのは、今回の新連携の認定要件で、先ほど予算の部分と認定の部分も井上参考人がちょっと御指摘をされましたけれども、今度のその新連携の認定要件を見る上において、中小企業側から見て、どういうところに留意をしてもらいたいのか。数がなかなか認定されていかないと、結局、制度があったとしても意味がないわけですね。どこら辺のところが厳しいのか、もしくは、こういうところをもう少しちゃんと見てもらいたいだとか、そういう角度もあるかもしれませんので、そこら辺のところをどのように御認識をされているのか、井上参考人と上野参考人にお伺いをしたいと思います。

井上参考人 認定要件で一番の問題になることは、やはりこれが一つの単年度予算ということからくるものだというふうに思いますけれども、予算がとれてから申し込み、そしてそれから審査。非常に短期間である。その締め切りについても短期間。企業庁の皆さんにもお願いして、だんだん長くはなっているんですけれども、ともかく短期間である。ですから、私からすれば、受け付けというものはもっと前から受け付けをしておいて、その予算がとれたらそこで審査をすぐしてもらう、そしてすぐ金を出してもらうというような仕組みにしていただけるなら、もっともっと使いやすくなるだろうということであろうと思います。

 と同時に、やはり申請書類が非常に難しい、複雑であるといいますか、大変な書類を作成しなきゃいかぬ。そうすると、これは中小企業、特に小企業にとっては、それだけの文書をかえってできるのかというと、なかなか難しい問題を抱えていると思いますので、そういう点も、これは予算絡みということになるんだと思いますけれども、ぜひとも御考慮をいただきたいなというふうに思います。

 以上です。

上野参考人 先生の御質問にお答えしたいと思います。

 今回の中小新法につきましては、留意事項というのが私は三点ぐらいあるんじゃないかなと思っているんですね。

 一つは、やはり審査するメンバーの方、それと、やはりスピードを上げて審査をぜひやっていただきたい。これが、従来、公募してから認定までにかなりやはり時間を要しておりましたわけですけれども、今回のは非常に重要な法整備でございますので、なるべくいい人材を集めてやっていただきたい。そのときに、中小企業再生機構のような、ある意味では大変いい事例が起きておりますので、そういうような組織を早めに編成していただいて、それでしっかりやっていただきたいというのが第一点でございます。

 それから第二点は、認定された企業を、認定しておしまいではない、認定したからには、それがうまくいくようにハンズオンをする、要するに支援をするということですよね。よくウオッチして、実際にそれがうまくいっているかどうかということを支援するというのは、非常に私は重要だと思っているんですね。

 それから三番目には、要するに共同受注というような従来型のこういう連携ではなしに、何か新しいことをやりたい、そういうグループを支援するわけですので、そのグループの中に、非常にいい技術を持っていたり、加工の技能を持っている企業が入っている可能性が非常にあるんですね。ところが、みんな優良企業かというと、そうでもない企業も入るんです。そのときに、従来の金融支援では、それはオミットなんですね。今回の新しい法整備では、そういう技術や技能をしっかり持っている企業がメンバーに入っていても、そのメンバーは、達成するためには非常に重要な企業であるというふうなことで認定をされるわけですから、その場合には金融支援をしっかりやっていただくということが、従来にない新しい目玉に私はなるんだろうと思うんですね。

 ぜひそういうことを御配慮をお願いしたいなと思っております。

高木(陽)委員 時間が参りました。北原参考人にちょっと御意見を伺えなかったのは、本当に申しわけございませんでした。先ほどからの陳述等で御指摘をいただきました、特に不当廉売ですとか異常な価格競争、この問題は本当に小売業にとりまして大変な問題でございますので、今後もしっかり取り組むこと、このことをお約束させていただいて、以上で質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、吉井英勝君。

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。きょうは、四人の参考人の皆さんには大変貴重な御意見をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございます。

 私は、最初に清家参考人に伺いたいと思いますが、九八年の国会で、ちょうど大店法を廃止して大店立地法など三法を新しくつくるということが議論になったときですが、この国会で、私、ちょうど当時総理大臣の橋本さんに伺ったときに、聞いたことはこういうことなんですね。日本のもともとあった大店法はWTO協定に言うサービス貿易一般協定、いわゆるGATS違反に当たるのかと聞きましたら、橋本さんの方は、違反ではないとはっきり答弁をされました。当時、通産省の方は、商工業者の皆さんに、あれはGATS違反だから大店法を廃止しなきゃいけないんだということを盛んに言っておりましたけれども、実はそうじゃないんだということを橋本総理自身が認められたということでは、大事なことだったと思うんです。

 あわせまして、あのとき小渕さんが外務大臣のときで、それで、アメリカが日本に、大店法を廃止しろ、規制緩和だ、わあわあ言っているときでしたけれども、一体アメリカはヨーロッパ諸国に対してそういうものを撤廃しろと言っているのかと質問したら、外務大臣は、アメリカがヨーロッパでそういうことを求めているということは聞いていないと、はっきりこれも答弁をされました。

 ですから、そういう点で、当時からもともと、やはり大型店の無秩序な進出、あるいは中心市街地からの勝手な撤退、そんなやり方をやっていくというのは余りにも異常だということで取り組んできたんですが、最近、全国商工会連合会は、欧州まちづくり視察に行かれて報告書をまとめられて、これも見せていただきました。それから、中小四団体の方でまちづくりに関する要望を出しておられて、その中で、フランスとイタリアはGATSを留保している、イギリスとドイツは、GATSを批准はしているが大型店の立地規制をやはりやっているんだ、これら大型店の立地規制はGATS違反ではないということをはっきり要望書の中でもうたっておられますが、私はこういう点で、最初に清家さんの方に、ヨーロッパにおける大型店規制の問題と日本における野放しの状態、これについて、皆さんの方のヨーロッパ調査なども踏まえて、お考えを最初に伺いたいと思います。

清家参考人 先生のお尋ねにお答えいたします。

 今、大変ありがたい御発言をいただいたわけでございますけれども、まちづくり三法につきましては、皆さん御存じのとおり、大変悪法律でありまして、絶対になくてはならぬような問題じゃないのかなというふうに考えております。

 この問題につきましては、今、権限が一応市町村に移譲されてしまって、無秩序に大型店の出店がなされてきたというのが、今の経済の疲弊を起こした現状じゃないかなというふうに考えております。一応、まちづくり三法につきましては、これを見直しをして、権限を県ないし国の方に吸い上げて、そして広域的な観点に立った出店の規制をしていくという形ができれば、ある程度のまちづくりはできていくんじゃないかなというふうに私は考えております。

 先ほどお尋ねにありましたアメリカ型の規制じゃないかということは確かにそのとおりで、我々としては、ヨーロッパに視察団を派遣いたしまして、ヨーロッパの現状をよく視察して見てきました。大変アメリカとヨーロッパが違うという現状が今もろに出ておりますので、何とかヨーロッパ型の規制のあり方に戻していただきたいということで、今鋭意努力をし、お願いをしておるというのが現状でございますので、ぜひその辺を御理解いただきまして、御協力のほどよろしくお願いいたします。

吉井委員 引き続いて、清家参考人にもう一問伺いたいんですが、大型店の出店、撤退。

 出店も自由、撤退も自由というやり方で、全国の商店街が疲弊したというだけの問題にとどまらないで、私は、やはり消防団活動から治安からもうさまざまな分野、子供の健全に育っていく環境など、地域社会の崩壊につながってしまったという問題ですね。これは、やはり商店街というのはもともと公共財の役割、あるいは、そういう点では地域社会を支える大事なインフラという面があると思うんですが、これを破壊してしまったというのは大変な問題だというふうに思っているんです。

 その点で、地方に権限が移ったならば、本当に地方が条例制定権を活用してちゃんとできればいいんですが、これは大店立地法十三条で、需給調整ということを口実にして規制を加えていますね。だけれども、本来、需給調整というのならば、供給側の都合だけじゃなしに、需要者側の利益の問題が考えられなきゃいけないと思うんですね。先ほど北原さんからもお話ありましたように、高齢化社会ですから、その中で、八十、九十のおじいちゃん、おばあちゃんが車を運転して郊外へ行かないと暮らしが立てられないというのは余りにも異常ですから、やはり高齢者の方たちが地域で暮らせるようにする、つまり需要者側のことをちゃんと考えたやり方ですね。

 供給側は郊外店、量販店でどんどんやりますと、地域の商店街が負けてしまってなくなると、結局、需給調整といっても需要者側の都合がさっぱり満たされないということになりますから、しかも地方分権と言っている時代なんですから、私は、この点では大店立地法十三条による自治体の条例制定権を締め上げてしまうのじゃなしに、やはりこういう不都合なところは取り払って、そしてきちんと地方の自主性を尊重した大型店規制のできる、そういうものに見直しをしていくというのが今言われております三法見直しの中でも大事な点だと思うんですが、この点についてのお考えを伺いたいと思います。

清家参考人 ただいま先生がおっしゃられたとおりに、大変社会的問題になってきております。

 大型店はなぜそういう結果になったかという問題ですけれども、出店をしたら、地域のコミュニティー、地域の伝統文化を守って皆さん方とともに社会に貢献するという考え方は、基本的にありません。一番大きな問題は、地域の商工会議所、商工会には全く入っていないというのが現況なんです。自分勝手な商売だけしかしていないというのが現況なので、自分が採算が合わなければ引き揚げてしまって、そしてその後はもう知らないという形ですから、無秩序な出店をされた場合は、地域は疲弊してしまうばかりであります。

 今、先ほど言われたように、高齢化社会が進んでおります。これをいかに、どういうふうな対応をしていくかというのが我々の大きな課題であります。これにつきましては、やはり少しは皆さん方がコンパクトなまちづくりというものを考えて、地域内に住宅とか商店とかそういうものをつくりながら、コンパクトなまちづくりをしていくということが基本的に一番大事じゃないのかなと。ただ大型店だけに目を向けるという形は、やはり無秩序な商業集積をつくるということになるんじゃないかなというふうに考えておりますので、その辺についての御指導をよろしくお願いいたします。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

吉井委員 ヨーロッパ型というのは、経済的規制、それから都市計画、あるいは環境その他組み合わせての規制でやってきたわけですね。それを地方自治体が本来独自に条例でやれて当たり前なんですが、やはり一番の障害になっている一つが大店立地法十三条だと思うんですね。規制緩和と言いながら、ここだけは逆に物すごく規制をかけてしまっているんですね。本当に規制緩和だ、地方分権だというのならば、大店立地法十三条を、この部分を取り払うことなど含めてきちんとした見直しが必要じゃないかと思うんですが、この点、簡潔で結構ですから、もう一度伺います。

清家参考人 私、法律の関係は余り知っていないのでお答えができませんですけれども、先ほど私がお話ししましたように、大変中零細企業が苦境に立たされておりますので、何とか法の改正をしながら、法規制をしようということじゃないので、皆さんがよりよく生活ができるような形を基本的に考えていただければいいんじゃないのかなというふうに思っております。どうぞよろしくお願いします。

吉井委員 次に、北原参考人に伺いたいと思うんですが、九八年の国会で、全国電機商業組合連合会の福田会長にも来ていただいたりして、いろいろお話も伺いました。大店法廃止や独禁法違反野放しでは家電小売業者の経営も大変になるのは当然ですが、町も大変になるということなど、もう経営も町もめちゃくちゃになるという趣旨のお話を伺いました。

 この点では、大型量販店規制について、先ほども伺いましたけれども、改めてもう一度お考えを伺っておきたいと思います。

北原参考人 大型店問題で私もちょっと商工会議所の方で携わったことがありますので、そんなことで申し上げますと、今例えばダイエーさんの問題が大きくなっていますのでこのことを申し上げますと、町のいいところへどんと出て、そしてその周りにいる店をほとんどつぶしてしまって、そして今はほとんど引き揚げていっている。町は空洞化も甚だしい、廃墟みたいになっているのが現状です。長野県でもそういうところが幾ところも、特に長野市なんかはその現況が強いんですけれども。

 私どもは、あのときに、例えばダイエーさんのことを申し上げますと、大型店の取引をする家電業界に対して異議を申し込んだことがございます。しかし、ダイエーさんは、食料品はいざ知らず、アフターサービスが必要な電気製品みたいなものを、大型店がどんどん出店をしてきて、これは量販も同じでございますけれども、出店してきて、そしてあるところで採算割れで引き揚げると、そこに住む消費者は全くアフターを受けられなくなる。そして、よその店へ行くのは非常に気が引けながらお願いに行くというような大変矛盾した状況になっておりますので、やはり大型店、量販というのは地域に責任を持った出店をする、また、出た以上は簡単に撤退もできないぞという何か義務がないと、本当にやりたい放題で、商店街は疲弊し、また、私どものようなアフターを大事にする地域の店が育たなくなる、そういう現況になっていると思いますので、ぜひともこの大店法、古い話に戻って恐縮ではありますけれども、見直しができればしていただきたいなというふうに思います。

 ありがとうございました。

吉井委員 それでは、次に、中小企業金融について伺いたいと思います。

 井上参考人に伺いますが、一昨年秋になりますが、金融機関の融資姿勢について、井上参考人、たしか日刊工業の一昨年の秋のに書いておられて、優良企業には金融機関が押し寄せて低利貸し出しの提案をやる、経営不振企業には貸しはがしや金利引き上げ、中間の企業には金利引き上げ要求だけということを主張しておられましたが、保証つきでないと中小企業は借り入れが難しいと思われますが、最近の金融機関の貸し出し姿勢の状況ですね。

 そして、もう一点伺っておきたいのは、保証つき融資と金融機関だけの融資、プロパー融資、その比率が大体両方とも九〇年代半ばごろまでは二二、三%ぐらいで、ずっと横ばいなんですね。それが九七年の消費不況、金融危機のときから両方とも大体四割ぐらいに、つまり、保証つきも四割、プロパー融資も四割とふえてきましたが、金融機関の方は、優良企業だけには四割融資する、中小企業は信用保証つき融資に頼らないとやっていけないという現状で推移してきました。ところが、ここのところ、この保証つき融資の方の債務残高が、二〇〇〇年に比べて、昨年三月末で三十兆三千億円と十三兆円ぐらい減ってきているんですね。つまり、保証つき融資が、四割の比率はあるんだけれども減ってきている。これは中小企業の資金繰りの大変さがよくあらわれていると思うんですが、やはりそういう中で、政府の方が中小企業向けの公的信用補完制度の見直しということを言ったりしていますが、保証協会の全額保証だったのを部分保証に切りかえようとすると、ますます中小企業の資金繰りは大変なんじゃないかというふうに思うわけです。

 この二点、最近の金融機関の貸し出し姿勢の状況と、もう一点、こういう公的信用補完制度見直しだということで、保証協会の全額保証だったのを部分保証に切りかえるようなことをやったら、これはますます大変なんじゃないかという心配、この二点についてお考えを伺いたいと思います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

井上参考人 第一点目は、保証つき貸し付けということについて、今、金融機関、御承知のように、無担保無保証融資ということが非常に活発になってきております。各大手の金融機関、これは特に五千万までという形で、そういう無担保無保証の融資ということを積極的に進めておることは事実でございます。

 ただ、それも金利がどうしても高くなるということはやむを得ないことだというふうに思うわけですけれども、そういう仕組みがどんどんと、現状、日本に採用されてきているというのは事実でございます。

 それから、今二番目に御質問のございました保証協会の保証、一〇〇%でなくて、今現在これを部分保証するという問題が出てきております。これはやはり非常に大きな問題ではないのかな、我々中小企業にとっては一〇〇%保証でぜひともやっていただかないと、なかなか融資を受けられなくなるんじゃないのか。市中の金融機関にとってみれば、一〇〇%保証だから貸しているんだと。しかし、では部分保証になったらどうなるのか、では一歩下がってということになる。また、場合によっては、その金利を高くするというようなことで、金利負担もふえるというようなことになると思いますので、ぜひとも政府保証としては一〇〇%の保証というものを継続していただきたいということが我々中小企業としてのお願いでございます。

 以上でございます。

吉井委員 次に、上野参考人に伺いたいと思いますが、政府系金融機関の中の国民生活金融公庫の融資先実績とか、これを少し調べてみると、都銀とか地銀、第二地銀、信金に比べて、やはり国民生活金融公庫が融資先で中小企業への貸し出し、もう圧倒的に一位ですね、百四十五万件と。それから、一企業当たりの平均の融資残高が幾らかと見ると、これは国金の方は六百十五万円で、もう圧倒的に中小企業に貸し出しをしている。都銀の平均が一社当たり大体一億四千三百五十万円、地銀が五千三百五十八万円、第二地銀で三千七百九十三万円、信金で大体三千万円ぐらいです。

 そうすると、中小零細のところで本当にこの貸し付けを受けて、それで何とか融資の問題を解決して経営を成り立たせていこう、マイクロビジネスであったとしても、新製品開発をしてこれを何とか物にしたいとかいうときに、少額であっても借りたいというときに、この分野での政府系金融機関が廃止、統合だとか縮小だとかいってしまうと、これは中小企業にとって大変な問題になってくるんじゃないかなというふうに思うわけです。

 この点についてのお考えというものをお聞かせいただきたいと思います。

上野参考人 この問題は、先生の御指摘というのは大変私は重要だと思っているんですね。政府系金融機関の中でも国金さんは小規模のところに大変手厚く支援していこうという趣旨でございますので、大変多くの方々が活用されていると思います。

 私どもは、中小企業金融公庫の方で長期の設備資金、それから長期の運転資金をお借りしながら、今日の大企業に対抗できるような技術を持ち得るような会社になったと私は思っているんですね。したがって、どこの国でも、経済政策の中でも産業政策というのは皆さんおつくりになるわけですね。そして、そのためには政策金融というのはやはり手厚く手当てしていると思うんです。だから、日本の場合も、この中小企業に対する政策金融の役割というのは私は非常に重要だと思っているんですね。

 先生の御指摘のように、もう少し増額の必要があるのではないかなという御指摘と同時に、政策金融の果たす役割を実は余り、メディアの場合とか、それからあと産業界、経済界の中でも、政策金融というのは実は民業を圧迫しているのではないかというような間違った指摘をしているのではないかと私は思っているんです。それは、先ほど申し上げましたような国の政策と政策金融というのは、一対でないと機能しないわけですね。それを、今力強く中小企業を支援していただいて、本当にリーダーになって、それで周辺の小規模の人たちと連携しながら、だんだん力強い物づくりの会社にしているのが実態だと私は思っているわけですね。

 そういう点でもう少し、一般の特殊法人と一緒の論議は私はしないでいただきたいなというのが率直な現場からの声でございまして、むしろ、もっとこういう政策金融を大事にしなけりゃいけない。それは、国がやってきたことというのは重要な役割をやってこられたから、今強い中小企業群が残っているんだと私は思っているんです。

 それで、先生の御指摘のように、では小規模の方々をどうするのかというのは、ここのところをセーフティーネットをかけるということも非常に重要なんでしょうけれども、しかし、今回の新しい中小企業新法というのは、中小企業庁の望月長官が、私ども中小企業政策審議会の中でも毎回出ていただきまして、現場からのいろいろな課題や、あるいはこうした方がいいのではないでしょうかということをいろいろ御提案しましたけれども、本当に真剣に聞いていただいて、いい法律にまとめ上げていただいたと私は思っているんですね。

 そういうことをやはりまだ知らない人たちがたくさんいらっしゃると思いますので、今回の法整備は早くに国会を通していただいて、私はいろいろなところで広報をして、小規模の人たちに及ばないわけではないわけですね。ただ、従来型の共同受注しようとかというような、そういうのじゃなくて、何か新しい試みを、中小企業というのは自助努力がやはり基本だと私は思っているわけです。すぐに、何かしてください、国に何とかしてください、県が何とかしてくださいと言うのではなくて、我々中小企業がやはり自助努力をするというところが私はベースだと思っているんですね。

 そういうところを国は支援するんだよということで、平成十一年の基本法の抜本改正というのは非常に大きな国のかじ取りだと私は思っているんですね。国際競争の中で本当にやっていけるような、私どもがコア企業になり、それから地域の小規模の方々と一緒になって地域の活性化をしないと日本の経済というのは本当によくならないと私は思いますし、私どもが蓄えてきた力を何としても、これからも力強くやってまいることをお約束しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

吉井委員 時間が参りましたので終わります。

 どうもありがとうございました。

河上委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、明十六日水曜日に委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


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