衆議院

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第11号 平成17年4月15日(金曜日)

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平成十七年四月十五日(金曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 河上 覃雄君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君

   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君

   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君

      小野 晋也君    嘉数 知賢君

      北川 知克君    小杉  隆君

      近藤 基彦君    佐藤 信二君

      菅  義偉君    菅原 一秀君

      竹本 直一君    武田 良太君

      谷畑  孝君    寺田  稔君

      中山 泰秀君    西銘恒三郎君

      野田  毅君    平田 耕一君

      望月 義夫君    森  英介君

      山本 明彦君    大畠 章宏君

      奥田  建君    海江田万里君

      菊田まきこ君    小宮山泰子君

      近藤 洋介君    田中 慶秋君

      高山 智司君    中山 義活君

      計屋 圭宏君    牧野 聖修君

      村井 宗明君    室井 邦彦君

      渡辺  周君    江田 康幸君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   総務副大臣        山本 公一君

   財務副大臣       田野瀬良太郎君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   国土交通副大臣      岩井 國臣君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     松永 和夫君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            尾見 博武君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   参考人

   (美浜発電所3号機二次系配管破損事故調査委員会委員長)          朝田 泰英君

   参考人

   (電気事業連合会会長・総合政策委員会議長)    藤  洋作君

   参考人

   (関西電力株式会社取締役会長)          秋山 喜久君

   参考人

   (関西電力株式会社取締役)            辻倉 米蔵君

   参考人

   (日本銀行理事)     小林 英三君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     中山 泰秀君

  坂本 剛二君     小野 晋也君

  竹本 直一君     寺田  稔君

  山口 泰明君     菅原 一秀君

  海江田万里君     牧野 聖修君

  梶原 康弘君     小宮山泰子君

  佐藤 公治君     室井 邦彦君

  計屋 圭宏君     田中 慶秋君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 晋也君     坂本 剛二君

  菅原 一秀君     山口 泰明君

  寺田  稔君     近藤 基彦君

  中山 泰秀君     遠藤 利明君

  小宮山泰子君     梶原 康弘君

  田中 慶秋君     計屋 圭宏君

  牧野 聖修君     海江田万里君

  室井 邦彦君     佐藤 公治君

同日

 辞任         補欠選任

  近藤 基彦君     竹本 直一君

    ―――――――――――――

四月十五日

 商標法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)

同月十三日

 容器包装リサイクル法の改正に関する請願(島田久君紹介)(第九一三号)

 中小業者への経営支援に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第九五七号)

 被災中小企業に必要な救済措置に関する請願(石井郁子君紹介)(第九七七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九七八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九七九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第九八〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第九八一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会申入れに関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 商標法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)

 資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件(関西電力美浜発電所3号機二次系配管破損事故についての最終報告書)


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     ――――◇―――――

河上委員長 これより会議を開きます。

 資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件、特に関西電力美浜発電所三号機二次系配管破損事故についての最終報告書について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として美浜発電所三号機二次系配管破損事故調査委員会委員長朝田泰英君、電気事業連合会会長・総合政策委員会議長藤洋作君、関西電力株式会社取締役会長秋山喜久君及び関西電力株式会社取締役辻倉米蔵君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君、国土交通省国土計画局長尾見博武君及び国土交通省航空局長岩崎貞二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。西銘恒三郎君。

西銘委員 自由民主党の西銘恒三郎でございます。

 私は、去る四月の六日、経済産業委員会として、美浜発電所三号機の事故現場を訪問、視察いたしました。事故現場建屋の二階に上がり、事故で亡くなられた方への献花と黙祷をささげながら、被災者の痛みや苦しみ、また、その御家族や関係者の悲しみに思いをはせながらの現場視察でございました。

 ここで、改めて、五名の方々の御冥福をお祈りするとともに、現在治療中の方々の一日も早い御回復を心より願う次第でございます。

 さて、今般の美浜発電所三号機の事故でありますが、十一名もの死傷者を出すという大変痛ましいものであり、我が国の原子力政策にとりましても大きな打撃を与えました。事故調査委員会の最終報告書や、現場での地元の知事さんや市長、町長さん等のお話を聞いておりまして私が痛感しますのは、今回の事故は、何度か防ぐチャンスがあったものの、起こってしまったという印象を強く受けました。

 御当地での参考人の藤社長さんの説明を聞いておりまして、関西電力は、二次系配管の肉厚管理に関する管理の強化を、昭和五十九年、早い時期に認識をしておられます。現場での御説明で、フェーズIからフェーズVまで、藤社長さんから詳しく説明をいただきました。その中で、フェーズIVの、平成十五年、日本アームが、当該破損箇所の登録漏れがあることを発見していた、そして、次回定期検査に向けて、当該破損部位を含む点検対象箇所を御社に、関西電力に提案をしていた、しかし、その登録漏れの部分だけの連絡はなかった。平成十五年に二回ばかりチャンスがあったのかなと。そして、平成十六年にも、当該破損箇所が次回定期検査において点検をする計画であった等の確認がなされております。当該破損箇所をチェックする機会が再三あったにもかかわらず、このように残念な事故が起こってしまったわけであります。

 そこで、まず、参考人の藤さんにお伺いいたしますが、今回の事故を防げるチャンスが再三あったにもかかわらず、現実の問題としてこの大変残念な事故が起こってしまった。当該破損部位をチェックできなかった最大の原因はどこにあったとお考えでしょうか、御説明をお願いしたいと思います。

藤参考人 先生にお答えいたします。

 まず最初に、今回の美浜の三号機の事故で、五名の方が亡くなられ、六名の方が負傷され、まだお一人様が入院されたままでございます。亡くなった方、そして、けがをされた方、御遺族の方、御家族の方、皆様方に本当に申しわけないことをしたという思いでいっぱいでございます。大変申しわけございませんでした。

 そのほかに、今先生からお話ありましたように、原子力に対する信頼をすっかり損ねてしまった、大きな打撃を与えたと先生おっしゃいました。これにつきましても、私、大変責任を感じております。大変申しわけございませんでした。改めておわび申し上げます。

 それで、お尋ねの、何度かチャンスがあったのにそれを回復できなかったということの最大の原因でございますが、これは、関西電力の保守管理が十分でなくて、最初に登録漏れが起こった、その漏れが起こったものを最後まで、チェックをしたり、いろいろなチャンスがありましたが、それをすり抜けて最後まで登録漏れがもとに戻らなかった。それは、関西電力の保守管理、十分でないところがございまして、そして、しかも、保安院様のレポートの御指摘にございますように、配管管理の不適切なことが行われておった、さらに、その背景には安全文化のほころびがあった、そういう厳しい御指摘を賜っておりますが、そのとおりであるというふうに認識しております。

 以上でございます。ありがとうございました。

西銘委員 次に、事故調査委員長にお伺いしたいと思いますが、私は、最近の企業のモラルの低下と申しますか、企業の社会的責任の意識が非常に弱まっている、これは一種の社会現象になっていると言っても過言ではないと思っております。企業の法律遵守義務意識の低下あるいは社会全般の道徳の観念の低下等々、私自身も国民の一人として、みずから背筋をぴんと伸ばして、社会の一員として頑張っていかなければいけないなという自戒もしているところであります。

 さて、今般の最終報告書の中で私が大変気になりましたのは、事故の原因として、大きな背景として「「安全文化」の綻び」という表現が使われております。この表現は、私は、非常に重く、心にどすんと重々しくのしかかってまいります。昨今の社会状況を見ながら、あるいは企業のコンプライアンス、法律遵守義務等を見ながら、本当に安全文化のほころびが、これは大変な表現だなと思っております。

 事故調査委員長、今回の事故調査を進める傍ら、どういう具体的な場面、場面を事故調査の経過で感じながらこの「「安全文化」の綻び」という非常に重々しい表現を使うに至ったのか、朝田委員長の御説明をお願いします。

朝田参考人 御質問ありがとうございます。お答えいたします。

 先生のお考えと全く同感でございます。

 まず初めに、ちょっと御説明いたしますが、「安全文化」という言葉は、語源はセーフティーカルチャーと申します。私の記憶でございますが、十数年前、IAEA、国際原子力機関が原子力発電所の事故・故障評価尺度というものを検討を始めたのでございますが、今も使っておりますけれども、このときに使い始めた言葉でございまして、どういうことを意味しているかというと、原子力の直接安全というよりも、その原子力安全を推進する、あるいは維持する、そのために必要な背景を指します。ですから、例えば関係者の個人の認識であるとか、安全認識、あるいは組織、意欲、こういった非常に広い範囲を含んだ言葉でございます。

 今回の事故はまことに残念でございますけれども、私どもが調査をいたしました結果は、幾つかの具体的な例はございますけれども、最終的には、事業者である関西電力は、安全第一という方針を掲げていたにもかかわらず、これが末端までは浸透していなかった、そして、それが長年そのまま是正されなかった、こういう認識を持っております。こういう点で、実は、我々は、同社の品質保証体制あるいは管理運営体制、こういった観点から見たわけでございます。したがいまして、今回もこの言葉を使いましたのは、組織全体の安全認識に欠けるところがあったのではないか、こう考えましてこのような言葉を使ったわけでございます。

 なお、「安全文化」という言葉は、ある意味では専門用語でございます。「綻び」という言葉を使っておりますけれども、これは大和言葉でございまして、専門家は安全文化の劣化と申します。

 こういうお答えでよろしゅうございましょうか。

西銘委員 私は、この表現が今回の最終報告書の中で大変重々しく響いてまいります。

 参考人の秋山会長は、事業者の最高責任者として、今回の最終報告書に指摘された「「安全文化」の綻び」という表現をどうお受けとめになられて、今後どのような再発防止の対策に向けて取り組んでいかれるのか、御説明をお願いいたします。

秋山参考人 関西電力の秋山でございます。先生のお問いにお答えさせていただきたいと思います。

 このたび、関西電力の美浜事故につきましてこうしておわびと説明の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。

 我々といたしましては、このたびの美浜三号機の事故につきましては、大変重大なものであり、また申しわけなく思っております。とうとい命を亡くされた五名の方々の御冥福と、重傷を負われました方々の一日も早い快癒を、心から祈っております。また、被災された方々、御遺族、御家族の皆様には心からおわびを申し上げたいと思っております。今後、誠意を持ってできる限りの対応をさせていただきたいと思っております。

 また、日ごろから発電所の維持運営に御協力いただいております協力会社の皆様や、地元美浜町を初め福井県の皆様、隣接の府県の住民の皆様方、国民の皆様、さらには国、地元の自治体並びに関係御当局、そして各界各方面の皆様に大変御迷惑をおかけいたしました。この場をかりまして、改めておわびを申し上げます。

 今回の事故に関しましては、最終報告がまとめられましたけれども、今先生の御指摘のとおり、セーフティーにつきましては、安全文化のほころびがあったということが判明したとの厳しい御指摘を受けております。この点につきましては、原子力発電所を設置し、運転管理する者として責任を痛感している次第でございます。

 このため、まずこのたびの事故を真摯に反省いたしまして、「安全を守る。それは私の使命、我が社の使命」との社長宣言を行わせていただきました。そして、安全を何よりも優先するなど五つの行動原則、これに基づく行動計画を着実に実行してまいりたいと思っております。

 このたびの事故を起こしまして、被災者の方々には大変申しわけないことをし、原子力に対する信頼を裏切りましたこと、また、長年管理指針の不適切な運用が行われたことに関する責任のとり方につきましては、会長、社長を直ちに退任すべきだとの皆様方からの厳しい御指摘は、そのとおりだと存じます。それと同時に、被災者や御遺族、御家族の方々のお気持ちを身にしみて感じた経営者といたしましては、五名の方々のとうといお命が失われたことをしっかりと胸に刻み、決して忘れることなく、今御指摘いただきました安全文化のほころび、これをぜひとも刷新いたしまして、このような事故を二度と起こさないようにするということも大変大きな責任だというふうに感じております。

 これらの責任のとり方は相反するものでありますが、苦渋の選択といたしまして、社長の藤は本年六月末の株主総会をもって取締役に降格し、信頼回復などのために新社長を補佐し、全社的な品質保証を強化充実すること、私、秋山につきましては、今後一年間は新しい社長を補佐し、安全文化の再構築に努めた上で、来年の株主総会をもって会長及び取締役を退くことを、経営者としての責任のとり方といたしまして決断した次第でございます。

 この上は、先ほどのお約束を確実に果たせなければ弊社にあすはないとの認識のもと、弊社の安全文化を刷新するという責任を果たしてまいります。その取り組み状況につきましては、社外の先生方にも客観的に評価していただき、その結果を国民の皆様に御報告し、広く御意見を仰いでまいりたいというふうに思っております。

 これまで事故調査委員会の委員の先生方を初め皆様方から賜りました御叱正や御指導を肝に銘じ、全役員、全従業員が一から出直す強い意識を持ち、一丸となって再発防止、未然防止策を着実に実施して、日々安全を積み重ねながら、弊社の新たな安全文化をしっかりと築き上げていきたいというふうに思っております。

 先生方におかれましても、引き続き御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

西銘委員 事業の最高責任者として、御遺族や負傷された家族への精神的なケアを含めて、しっかりとした対応をされることを強く要望しておきます。

 次に、地元の知事さんや町長さんとの意見交換の中で、こういう声がありました。事業者のコスト意識の感覚と安全対策が、概念が相反する部分が出てくるんじゃないか。あるいはまた、施設は年々時間がたって高経年化していくけれども、定期検査の日数が短くなっていくと。これは、恐らく人数をたくさん投入するのか、あるいは新しい技術によって定期検査の日数が短くなるのかわかりませんけれども、地元の町長さんや知事さんの感じておられることは極めて重大なことだと思っております。この辺の、高経年化していく施設に対する国の取り組み、全般な取り組みでよろしゅうございますから、御説明をしていただきたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の高経年化の問題でございますが、従来から高経年化対策は大変重要な安全規制上の課題でございまして、対策を講じてまいりましたけれども、今回の事故を契機にいたしまして、今御指摘のとおり、福井県を初め地元の皆様方、非常に大きな懸念を呼び起こしたわけでございます。

 これを受けまして、原子力安全・保安院といたしましては、昨年の十二月に高経年化対策検討委員会を設けまして今日まで検討を続けておりまして、四月の六日に中間的な論点整理を取りまとめたところでございます。今後、この委員会で審議を続けまして、八月にはこの報告書を取りまとめまして、高経年化対策に必要な基準、指針等の明確化、あるいは国における検査のあり方等について方針を取りまとめて、実行に移す、こういうふうに考えております。

 また、御指摘の地元の県及び町の方からは、こうした原子力安全規制に直接かかわる話以外にも、社会的あるいは経済的な面での影響につきましての懸念がございます。例えば、風評被害の問題でございますとか、あるいは原子力政策そのものに対する不信感の問題、あるいは防災道路の整備の問題等ございました。

 こうした問題につきましては、私ども、さらに地元の皆様に対する御説明をきちんと行い、また、どういうことに課題があるのかということをしっかり把握した上で、きちんとした対応に努めていきたいというふうに考えております。

西銘委員 このような事故が二度と起こらないように、信用、信頼は、毎日毎日、一日一日の積み上げが肝心でございます。御答弁されました行動基本計画に盛られたさまざまの要点が確実に担保されまして、実行されますことを望みまして、質疑を終了いたします。

 ありがとうございました。

河上委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、美浜の三号機の原発事故、これに基づきまして、集中審議及び参考人の皆様方に当委員会にお越しいただきまして、質疑をさせていただきたいと思います。

 今回の事故について、事故調査委員会の最終報告書、これが出ましたけれども、これに関しまして、かなり分厚い調査報告でございました。いろいろと読まさせていただく中で、関電また三菱重工、メーカー側の責任、いろいろと書かれてありますけれども、国の方もいろいろと指摘をされております。

 そこで、参考人の方は後ほど質問させていただきたいと思いますので、まず国の方の、今回の調査報告、これに基づきまして、今後の対応がやはり重要だと思いますので、この点についてまず最初に伺いたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事故は、十一名の死傷者を出した大変重大なものでございまして、今御指摘の事故調査委員会の最終報告書を踏まえまして、私ども国といたしましても、きちんと反省をし、これを教訓として再発防止に万全を期さなければならないというふうに考えております。

 特に、私ども保安院の立場といたしましては、これまで当該配管を含めまして、こうした肉厚管理につきまして、具体的な管理につきましては事業者にゆだねていたということを反省いたしまして、昨年の十二月には省令を改正いたしました。また、二月の中旬には指針の発出を行いまして、関西電力を初めとしまして、事業者の品質保証活動に対する検査方法を改善するということなど、規制の不断の見直しを進めてまいる所存でございます。

 また、最終報告書を踏まえた対応につきましては、中川大臣からの指示に基づきまして、地元の福井県や美浜町によく説明をし、御理解を得たいというふうに考えております。こうした活動を通じて、原子力の安全に対する国民の信頼を回復してまいりたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 原発の政策、これは国の政策だと思うんですね。そういった中で、それを運営しているのはそれぞれの事業者である。今も保安院長のお話にございましたように、事業者の方に任せていた、そこを大きく反省しているというふうにありましたけれども、この原発に対する信頼性、今回の事故でやはりかなり揺らいだのは確かだと思うんです。そういった中でいいますと、事業者はもちろん責任をとらなければいけないんですけれども、やはり国の方もこの点はしっかりととらえていかなければいけないと、まずは強調させていただきたいと思います。

 その上で、先日、当委員会で美浜の方に視察をさせていただきまして、それとともに、福井県知事を初めとして地元の自治体の首長さんたちにいろいろとお話を伺いました。短時間ではございましたけれども、それぞれいろいろな要望等もございました。

 その中で、特に福井県知事の方が要請書という形で当委員会あてに出されました内容を読ませていただきますと、安全規制体制の一元化ですね。この原子力問題に関しまして、それぞれいろいろな部署がある。そういった中で、やはり安全または規制といった観点の問題は一カ所にぐっと集中をしてやった方がいい、またその方が理解を得やすい。これはなるほどなとは思うんですけれども、この点についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の原子力安全規制の体制につきましては、我が国におきましては、原子力船「むつ」の事故を受けまして、軽水炉につきましては経済産業大臣のもとで一次的な規制を実施するとともに、客観的、中立的な立場から原子力安全委員会が規制内容を確認するダブルチェック体制が構築をされてきております。この体制はそれ以降も累次改善に改善を重ねてきておりまして、各国の同じような原子力安全体制と比較いたしましても、大変手厚いものになっているというふうに私ども認識をしております。

 また、このダブルチェック体制でございますけれども、平成十四年に判明をいたしました東電問題を踏まえまして、平成十五年にさらに強化をされております。具体的に申し上げますと、原子力安全・保安院は、法律上、四半期ごとに安全委員会に報告することを義務づけられる。また、安全委員会も直接、電力会社や協力事業者を調査することが可能となるというような形になっております。

 私ども経済産業省といたしましては、この安全委員会によるダブルチェック体制のもとで、原子力安全規制を確実に運営するということと同時に、こうした状況を特に地元の皆様を初め国民各位にわかりやすく説明をする、そのための広報体制も強化をするというようなことで、よく御意見をいただきながら、信頼を深めてまいりたい、かように考えております。

高木(陽)委員 事故が起きますと、いろいろな原因を究明して、その後それに対策をする、ごく当たり前なんですけれども、これまでもこういった原子力関連の事故というのがあった、そのたびごとにいろいろと体制を変えてきたと、今保安院長言われましたよね。その中で、結局今回も事故が起きたわけですよね、今までの体制で。

 だから、やはりそれについての不安、なぜ福井県知事がそういうことを出してきたのかという、そこのところをしっかりととらえないといけないと思うんです。今までやってきましたというところで、逆に開き直られますと、本当に不安は取り除けたのかなと。もちろん、国として説明をする、地元の自治体に対してこういう形でこれからもやっていきます、こういうことは大切だと思うんですけれども、やはり不安を取り除いていくということが最も重要ではないかなと思うんですね。

 では、今の体制を変えればいいのか、もちろん私もそうは思いません。では今までの体制の中でどういうふうにまたさらに強化させていくのか、こういった点についてさらに突き詰めていただきたいと思います。

 その上で、もう一つ、これも福井県知事の方から要請書にありましたように、高経年化した原発、これは全国各地、原発政策がどんどん進む中で、各事業体も原発をつくり始めてきた、それがかなり稼働して、そういった中で大分年がたってしまった。さあ、これからですね。国の審査基準の整備、また安全規制上の取り組みについて、高経年化対策としてより明確化すべきだと思うと。これはだれもが思っています。この点について伺いたいと思います。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事故によりまして、今御指摘の原子力発電所の高経年化に対する社会的な関心が高まりました。これを契機といたしまして、私どもといたしましては、高経年化に関するこれまでの技術的評価の蓄積、あるいは内外の最新の技術的な知見を有効に活用いたしまして、高経年化への取り組みをさらに充実を図るべきだというふうに認識を持ちまして、昨年の十二月に、先ほど申し上げました高経年化対策検討委員会を設置いたしまして、審議を開始したところでございます。

 四月の六日に四回目の会合を開きまして、中間的な論点整理を行いました。その際に、今回の事故に直接かかわります配管減肉に係る高経年化対策の考え方も整理いたしました。また、高経年化対策といたしまして、知見、データ等の収集整備、あるいは高経年化事象のメカニズムの解明、あるいはそうしたものを事前に予測するための安全研究の充実、こうした論点が重要な課題であるというふうに指摘をされております。

 私どもといたしましては、この委員会を今後も精力的に審議を続けまして、八月を目途に取りまとめた報告書に基づきまして、今委員御指摘の基準、指針等の明確化とか、あるいは国といたしましての検査のあり方ということについて考え方を取りまとめて、これをきちんと実行に移していきたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 八月を目途に出していくというお話でございました。それを、もちろん専門的な問題でございますので、専門家の方々はそういうような中で理解をされていく。

 再度申し上げますけれども、やはり地元の方も含めて、一般の方々が理解できるような、こうだからこうなんですよという、そういう発表の仕方。原子力というのは、私もいろいろと勉強させていただいても、なかなか素人にはわかりづらい部分というのが多々あります。そういった中で、やはり一般の方々が理解できる、または安心できる、そういった形もしっかりと検討していただきたいと思います。

 そこで、次は関電、関西電力にお伺いをしたい。

 これは秋山会長にお伺いをした方がいいと思うんですけれども、関西電力が三月一日に再発防止報告書、これを提出された。事故調査委員会では、具体策が足りないと指摘をして、それで二十五日行動計画が提出されたという云々と。新聞記事ではそういう批判を書くわけですね、マスコミは。もちろん、順番としては、報告書を出して、その後行動計画をしっかり立てる予定だったとは思うんですけれども、やはり具体策がまだ足りぬ。これはちょっと新聞記事、平成十七年三月十五日付の朝日新聞です。これに対して委員らは、関電の再発防止は今度は本気だと決意を示す形で示してほしいと不満を示した、委員からいろいろと不満が出た、こういうことも指摘をされております。

 そうなりますと、事故が起きたのが昨年の八月、それ以来いろいろと検討を重ねてきたでしょう。その上で、具体策がなかなか出てこない。もちろん、事故調査委員会の報告が出て、いろいろと具体的な対策もさらに打っていかなきゃいけないとは思うんですけれども、この三月の一日に出したものが具体策が足りないというふうに指摘されるというのは、まだまだ責任の自覚が足りないんじゃないか、こういうふうに思われても仕方がないんじゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

秋山参考人 お答えさせていただきます。

 三月一日に当社から出しました再発防止対策につきまして、三月三日の事故調査委員会におきまして審議いただきまして、当社の報告書では具体的な内容やスケジュールが不足しているということで、先生の御指摘のように、これは関西電力の自覚が足りないんじゃないかという御指摘はごもっともかと思います。

 我々といたしましては、対策につきましては準備しておったんでございますけれども、十分整理がついていなかったので、その後、三月十日に保安院の方から再発防止対策の具体的な要件が提示されましたので、それに基づきまして、三月十四日の日に事故調査委員会の最終報告書の基本的な審議も受けまして、それを含めて、具体的にいつ、だれが、何を、いつまでにするかというふうな行動計画につきまして、三月二十五日に提出させていただいたところでございます。事故発生以来、我々は再発防止に全力を尽くしておりましたけれども、今後は行動計画を確実に実行してまいりたいというふうに思っております。

 弊社といたしましては、皆様からいただきました御叱正あるいは御指導、こういったものを全役員、全従業員が一から出直すつもりで真摯に受けとめまして、事故防止に努めてまいりたいというふうに思っており、それによりまして、当社の安全文化というものをしっかりと確立してまいりたいというふうに思っています。

 以上でございます。

高木(陽)委員 経緯はわかりました。

 ただし、こういう事故が起きた、しかも五人の方が亡くなってしまった、大変な事故なわけです。そういう場合は、もっと積極的にその対策、再発防止または行動計画、事故調査委員会は事故調査委員会でずっとやっているわけですけれども、関西電力として、例えばもっと早い段階でどんどん打ち出していく。もちろん、そうやって打ち出せばいろいろな批判を受けます。でも、それをしっかりと受けとめながらまたやっていく、そういう姿勢というか、もっと前の段階でどんどん出していかなければいけなかったのではないのかなというのが私の実感です。これは一応申し上げておきます。

 さらに、これも、今回の事故が起きましていろいろな報道がなされてまいりました。過去のいろいろな事故も事例として出てくるわけですね。私もそういう記事または報道を見ながら、読みながら、これもだれもが知っている八六年の米国のサリー原発、これも減肉による、いわゆる配管の破断事故ですね。これは四人亡くなったそうでありますけれども、八六年にアメリカで起きている。それは日本でも起きる可能性があるわけですね、原発の事故としては。しかも、同じように減肉をしている。そういう事故があって、これはほかの、アメリカでの出来事というふうにとらえてしまったのか。それとも、本来であればそういう事故があったら、自分のところはどうなのかな、こういう予見をするというのがやはり安全に対する取り組みではないかなと思うんですけれども、ここら辺、予見し得なかったかどうか。秋山会長、どうでしょう。

秋山参考人 お答えいたします。

 サリー原発におきましては、給水ポンプ入り口配管部におきます減肉が起こっております。それも受けまして、直ちにPWR管理指針というものを作成いたしまして、肉厚測定データをとるべき箇所につきまして体系的に調査を実施いたし、その箇所について点検をしてまいりましたけれども、当該箇所につきましては、その点検の開始されたときに抜けておったというのが非常に大きな欠点だと思います。

 我々といたしましては管理すべきだという意識は十分持っておったんですけれども、それについて最初に、管理すべき箇所としてチェックすることが抜けておった。その後、その箇所について発見する機会が、先ほども御説明がありましたように何回かあったのにそれを見逃してしまったということで、大変我々としては深く反省しているところでございます。

 そういった意味で、海外に起こりました事象あるいは日本のほかの電力会社で起こりました事象、こういったものをできるだけ水平展開いたしまして再発防止に努めるということにこれまで以上に留意し、また、そういった危機意識を持ってこれからも臨んでいきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

高木(陽)委員 サリー原発の事故によりましてそうやってチェックリストをつくり直すというか、ところが、そこに漏れていた。結局、何のためにほかのところで起きた事故というものを参考にしているのか。やはりここら辺は、関西電力自体の体質の問題、こういうふうに指摘されても仕方がないと思うんですね。

 さらに厳しい言い方をしますと、配管が減肉し、交換が必要になった状態になっても、独自の判断で交換を先送りする事例が、九二年以降七十八件もあった。ここら辺の理由はどうなんでしょうか、ちょっとお伺いしたいと思います。

秋山参考人 お答えさせていただきます。

 今御質問のように、本来、管理指針に基づいてきちっと測定すべき箇所につきまして測定が十分行われておらなかった、また、測定の結果、減肉があったのに、自分たちが例えばただし書きを勝手に解釈するとかそういったふうなことで、これは技術的に安全だというふうに現場において判断いたしまして、それを管理しなかったあるいは取りかえなかったという点、深く反省しているところでございます。

 いずれにいたしましても、今後はこういったルールを現場で判断することなく、自分たちの判断ではなしに、ルールに従ってきちっとこういったものを管理していくということ、これが安全文化の一番基本であるというふうに思っており、今回のこういった不適切な管理につきまして深く反省し、二度とこういったことが起こらない、これは、現場だけではなしにトップから下までが安全意識を十分持つということが大事だというふうに思っており、まことに申しわけなく思っております。

高木(陽)委員 これも、原発一基、一日とめると一億円の損失、こんなふうにも指摘されて、その交換を先送りする、自分たちで判断をする。結局、経済効率を追求する、効率化ばかり考えて、安全というものはどこかに置かれてしまったのではないかな、こういう指摘もあるわけですね。

 まさに最近、いろいろな大きな企業が、日本を代表する企業がそうやって安全を無視する。例えば、自動車の部分では三菱自動車の件ですとか、昨日も、JALが行政処分を受け、大臣に報告書を持っていったそのやさきでもう一回また事故を起こしているみたいな、何を考えているんだと、企業に対して不信感を持ってしまう。特に、関西電力という、ある意味では電力会社というのは日本を代表する企業なわけですね。それが、しかも原子力発電というエネルギー政策において最も重要な部分を担いながら、これを任せられているわけです。そういった部分での安全に対する意識、先ほどから何度も出ています安全文化、ここを本当に人ごとじゃなくて、亡くなられた方もいるわけですし、今後本当にもう二度と起こさないんだというところの中でしっかりと自覚をしていただきたいと思います。

 時間も参りましたので、最後に大臣にちょっとお伺いをしたいんです。

 冒頭にも申し上げました、今回の事故によりましてこれまでの原子力に対する安全という意識が大きく揺らいでしまった。これをまたもとに戻すというのはなかなか大変なことだと思うんですね。こういう安全性に対して国民へしっかりと発信、これは国としてもやらなきゃいけないと思うんですが、この点について大臣のお考えをちょっとお伺いして、終わりたいと思います。

中川国務大臣 改めまして、昨年八月九日の美浜三号機の事故につきましては、五人の方々が亡くなられ、心から御冥福をお祈りします。また、六人の方々、そのうちまだ三名の方が入院あるいは御自宅で加療中ということでございまして、心からお見舞いと、また、国としても我々に反省点がございますので、本当に申しわけなく思っているところでございます。

 今の高木議員の御質問でございますけれども、まさにこの巨大なエネルギー機関といいましょうか巨大な施設を安全に操業していくということは、もうこれはどんな産業においても言うまでもないことでございますけれども、何といっても日本人にとりまして一番ある意味では関心の高いといいましょうか、原子力発電所については、安全というものが大前提であることは言うまでもないわけでございます。

 幾ら二次系の蒸気管の事故とはいえ、原子力発電所内での事故であるわけでございますから、これは関電の事故というふうに言えるわけでございます。そういう意味で、今回は本当に関西電力、あるいはまたこれをつくりメンテナンスを途中までやっていた三菱重工業その他の間に、関係においての緊張感がなかったということがまず指摘されると思いますし、それから、もちろん危険だと思っていることをやっているとは思いませんけれども、このぐらいなら安全だろうという甘え、これがまさに先ほど朝田委員長からも御指摘いただきました安全文化の劣化ということの象徴的なことだったんだろうと思います。

 そういうようなことが複合的に重なり合いまして、大変不幸な、そして申しわけない事故が起こってしまったわけでございますので、私はこれは人災であると何回も申し上げているところでございます。

 御指摘のように、まず安全というものが大前提で、御地元の御理解があって初めて日本の基幹エネルギーとしての原子力というものが、行政としてもまた産業としても成り立っていくわけでございますけれども、これにより受けたダメージというものは大変大きなものがあったことは事実でございます。

 これから、関電あるいは重工等々が本当に出直し、事故調査最終報告書に基づく出直しはもう言うまでもないことでございます。これがまずスタートでございます。これが終着ではなくてスタートなわけでございますから、これに基づいて、関電がきちっと行動計画に基づいてやっていくことの前提によって初めて、御地元、国民の皆さんに対してきちっと御説明を申し上げ、わかりやすく丁寧に御理解をいただくべく努力をしていくということが大事であって、今の時点で、これでもう安全ですから、国民の皆さん、安心してくださいという段階にはまだない。きょうからがスタートであるというふうに考えているところでございますので、そういう意識で、安全というものを確固たるものにした上で、最善の広報の努力をしていきたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 以上で終わります。

河上委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。関電美浜三号機事故の最終報告が出たことを踏まえた質問をさせていただきます。

 四月の六日に、当委員会で関電美浜三号機の現地視察を行いました。現場で亡くなった方々への献花と黙祷を委員長を初め参加した委員で行い、改めてこういう事故を再び繰り返してはいけないという思いを、決意をいたしました。

 この視察の際に、立地自治体、地元自治体の関係者の方にお集まりいただきまして、お話をお聞かせいただきました。大変、現地の方ならではの思いの込められたさまざまな御意見や要望をいただきました。そういう中で、寄せられた意見の中で、私、大変重要な指摘だと思うことを一つ感じました。

 御紹介しますと、原子力にコスト意識は大変危険なものだ、原発は老朽化をしているのにその定期検査期間はどんどん短縮というのはおかしい、こういう指摘でありました。このコスト優先の問題、検証が本来必要なのに、残念ながら、この報告書にはそのことへの言及が欠けているのではないかということを私は感じた次第であります。

 その具体的な事例として、不適切な配管減肉管理の常態化の問題についてお話をしたいと思います。

 関電の報告書でも、「不適切な運用の背景」として「定期検査工程を遵守しようとする意識が強かったこと。」を挙げております。「定期検査期間短縮」の中で「決められた定期検査工程を守る意識が過剰になったことは否めない。とりわけ、配管については材料手配に数ヶ月かかる場合もあったことから、決められたルールに則らず」に対応した、このように述べております。

 保安院の報告書では、関電においては、「配管減肉調査を行って技術基準を下回ることが判明した場合でも、材料手配に時間がかかり、発電所の運転再開が遅延するおそれがあることから、技術基準を独自に解釈して、補修を先送りするなど、技術基準不適合が常態化していた」、こうした状態が長年にわたり是正されずにいたことは、安全文化の劣化を具体的に示す問題として重大な問題だ、このように指摘をしております。

 そこで、思うんですが、この不適切な配管減肉管理の常態化について、決められた定期検査工程を守る意識が過剰になったとか発電所の運転再開が遅延することを恐れたというわけですが、では、なぜ決められた定期検査工程を守る意識が過剰になったのか、また、なぜ発電所の運転再開が遅延することをおそれたのか、このことが問われるんだと思うんです。

 私は、その背景に、地元自治体関係者の方が指摘をされたように、安全対策よりもコスト削減というのが優先をされていたのではないのか、このことが問われているのではないかなと思うんです。それを思うときに、この間の過去をさかのぼっての経過を考えたときに、平成七年というのが一つのターニングポイントではないかなというふうに思うわけです。

 そこで、保安院に伺いますが、関西電力の不適切な配管減肉管理が常態化をしたのは、いつごろからと報告書で指摘しておりますか。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 事故調査委員会の報告書に記載されておりますとおり、今回の事故調査の一環といたしまして、原子力安全・保安院は保守管理業務の実態調査を行いました。その過程で、今御指摘のとおり、平成七年前後から、関西電力におきましては、配管減肉調査を行いまして、技術基準を下回ることが判明した場合でも、技術基準を独自に解釈いたしまして、補修を先送りするといった技術基準不適合の状態が常態化をしていたということが判明しております。

塩川委員 平成七年前後から不適切な配管減肉管理が常態化をしていた、先送りがふえたと指摘があるわけであります。

 それでは、関西電力に伺います。秋山会長にお尋ねいたしますが、三菱重工業から日本アームに二次系配管点検管理業務移管を決定したのは何年のことでしょうか。

秋山参考人 お答えいたします。

 日本アームへ三菱重工から移管いたしましたのは、平成七年でございます。

塩川委員 そこで、配付をしました資料をごらんいただきたいんですが、「二次系配管の肉厚測定の推移」ということで、関西電力からお出しいただいた資料をもとに作成をいたしました。

 肉厚測定数、一番上の折れ線グラフですけれども、ここでごらんいただきましたように、平成七年、このときはまだ三菱重工業が作業をしておりますが、この三菱重工業担当の平成七年度の肉厚測定数は二千三百八十六部位、それが八年度の移行期間を経て、日本アームに全面的に切りかわりました平成九年度では、四千二百四十六部位にふえているわけです。この二倍にふえた理由というのは何なんでしょうか。

秋山参考人 お答えいたします。

 日本アームに移管した理由につきましては、メーカーさんとチェック体制と別々にした方がダブルチェックができていいだろうということと、日本アームにそれだけの検査能力があるということで、移管を原子力管理部長の決裁で行っております。その結果、八年度は若干減っておりますけれども、日本アームは独自に、今まで三菱重工がチェックすべき箇所としていなかった箇所につきましても検査すべきであるということで、検査対象箇所をふやしたために、四千二百四十八というふうに非常に大きく膨れ上がっております。

 そういった意味で、アームの方につきましては、いろいろのコンピューターその他を導入いたしまして、さらに三菱重工がやっていなかった部位についても検査をすべきであるということで、こういった検査箇所をふやしております。

 以上でございます。

塩川委員 昨年の委員会の質疑の際に、三菱重工から日本アームに移行する理由について、三菱重工の工事と検査の分離を図るという点と、あわせて、そういう中で技術を習得するということがあるという話でしたけれども、私はその点を藤社長にもお聞きしましたが、要するに、運転をしている者と検査する者が、親会社、子会社が一体というのでは全然チェックにならないじゃないか、こういう点というのが今問われているのだということを指摘したわけであります。

 三菱重工がやっていないところ、その他系統などの点検も増加をさせて検討箇所がふえているわけですけれども、一方で、グラフの真ん中をごらんいただきたいんですが、点検費用が幾らに上るのかということなんです。平成七年度、三菱重工業が行っていたときには五億五千万円でありました。それが、日本アームになりました平成九年度で四億八千四百万円となっております。つまり、測定場所が二倍にふえているのに経費は減っているんです。一件当たりの費用で見ますと、一番下の棒グラフにありますように、平成七年度、三菱重工業のときには二十三万円、一測定部位当たりの費用がかかったのが、日本アームの平成九年度になると十一万円であります。半分以下に減っています。測定場所が二倍にふえているのに経費が減っているというのは、どういうことですか。

辻倉参考人 お答えいたします。

 二次系配管の費用を決めてまいりますのは、先生御指摘のとおり、一カ所当たりの費用でどれだけの検査ができるか、またどれだけの数の場所を検査するか、これの掛け算で決まってまいりますが、確かに、三菱さんから日本アームにかえますと、それの技術者の単価等につきましては差があろうかと思います。

 ただ、一つの検査のトータルの費用を決めてまいります根拠は、一つの検査をいたしますのに足場を組んだりとか、あるいは、それの検査をしたりとか評価をしたりとか、種々の行為がございます。

 先ほど先生御指摘ございましたように、確かにここにございますのは実績でございまして、点検の数はふえてございます。それから、トータルの費用から割りますと単価はこのとおりでございますが、測定をしております部位、先ほど先生の方からも御指摘ございましたが、いわゆる減肉のおそれが少ないようなその他の部位といったような場所で、対象が変わってきてございます。それらの掛け算の効果として出てまいりましたものでございまして、結果としてこのような単価数になった、そのように理解してございます。

塩川委員 全然納得できませんね。

 日本アームに引き継ぐことで技術者の単価が下がるんですか。だって、昨年、藤社長のお話でも、技術を習得するために三菱重工から日本アームに移行したんでしょう。

 そういう中で、私がお聞きしたいのは、本来、きちんとした手間をかけなくちゃいけないわけですよ。技能を持っている人がやれば短時間で済むのが、技能がない者がやれば時間がかかるというのは当たり前じゃないですか。そういう点では、手間も暇もさらにかかる。私、単価が下がるというのはまるで納得できませんね。

 実際、原発の二次系配管について日本アームは実績がなかったわけでしょう。実績のある、いわば原子力の玄人の三菱重工業から原発について全く素人の日本アームに移行することで、何でこんなふうに単価が下がるようなことが生まれるんですか。

辻倉参考人 お答えいたします。

 先ほど申しましたように、一つの測定工事は、いわゆる三菱重工さんそのものが行われます検査全体の統括、計画、評価から、その部位を測定いたしますために足場を組んだりとか、あるいは測定しましたデータを計算したりとか、いろいろな作業から成り立ってございます。三菱重工さんは大きな会社でございますから、大きな会社に直接働いておられます技術者の単価と、それから日本アームさん、これは小さな会社でございますから、それに関します間接的な費用、この部分は、当然同じ仕事をいたしましても差が出てきてしかるべしかと思います。

 したがいまして、作業品質に差があるわけではなくて、その部分につきましては会社の規模による差が出てまいりますけれども、作業全体は、先ほど申しましたように、現場のいわゆる足場作業でございますとか測定作業でございますとか、もろもろの要素から成り立っております。全体でならしますと、品質に変わることなく、全体としてのその単価の差がその部分で出てくるということでございますが、全体としてそれで大きな差が出るものではないと考えてございます。

 以上でございます。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

塩川委員 いや、原子力の二次系配管のそういう点検管理業務について、日本アームは実績がないわけですよね、なかったわけですよね。私、思うんですけれども、技術が、技能があるものからないものに移るときに、当然のことながら、単価が安くなるとしたら、それは結果として今までよりも技術水準が下がることで検査を行っているということを意味しているんじゃないですか。

辻倉参考人 お答えいたします。

 配管の減肉の測定行為そのものは、先ほど申しました計画を立て、測定をし、評価をしという行為から成り立ってございます。

 日本アームは、確かに二次系配管の減肉の作業につきまして、それまでの間、まだ、原子力での経験は当然ございましたが、日本アームそのものは、平成二年以降、火力発電所におきまして、例えばヒーター等がございます、熱交換器等がございます。それの、熱交換器のチューブの非破壊検査を行うとか、あるいはタービンがございます、タービン本体の非破壊検査を行うとか、そういうような検査を統合いたしまして設備の管理をしていく統合検査会社としての能力を十分蓄えてございます。

 今回の二次系の配管の検査行為そのものは、いわゆる配管の減肉部分の計画を立て、それから実際の配管の減肉の測定をするわけでございますが、測定そのものはいわゆる非破壊の検査行為でございまして、それの専門会社がございます。三菱重工さんの場合におきましても、三菱重工さんそのものが現場の測定行為をされているわけではなくて、測定行為そのものは検査の専門会社にゆだねておられます。その部分につきましては、日本アームさんにつきましても変わりません。

 したがいまして、日本アームさんそのものは検査の統合会社としての経験は十分にございまして、それと検査そのものの専門会社、これを組み合わせることによりまして、三菱重工さんが行っておられました検査と日本アームさんが行われる検査、これを同等の品質で確保することができる、こういうことでございます。

 以上でございます。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 いや、点検の実際の測定作業というのは、三菱重工業も日本アームもそれぞれ下請に出しているんでしょう。下請に出しているのが現実だということを確認したいのと、では、火力での実績があるというんですけれども、平成七年度、関電が日本アームに点検管理業務を移管すると決めたその平成七年度の日本アームの火力での配管肉厚検査の実績というのは何件なんですか。

辻倉参考人 お答えいたします。

 まず、一点目の御質問でございます。

 三菱重工さんの場合におきましても日本アームさんの場合におきましても、現地での配管の肉厚測定、これはそれの検査の専門会社が行っておられまして、全体として同じような形態で一つの検査行為を行っているということにつきましては、先生御指摘のとおり、両方ともの体系で大きな相違はございません。

 それから、先ほど申しました、私どもが日本アームに移行いたしました段階での日本アームさんに必要になります機能は、いわゆる配管の肉厚を測定するという測定機能ではございませんで、そういうような機能を駆使いたしまして配管の管理をする統括検査機能でございまして、統括検査機能につきましては平成二年から経験がございました。配管そのものの減肉の経験そのものはございません。

 以上でございます。

塩川委員 関電からいただいた資料では、火力の配管肉厚検査の実績は、平成七年度で二百二十七部位といただいていますが、その数字だけ確認してもらえますか、イエスかノーかで。

辻倉参考人 お答え申し上げます。

 平成七年で、火力の検査は、先生御指摘のとおり、二百二十七件ございます。

塩川委員 ですから、点検費用について減っているのに、二倍以上の測定を実際に行っているわけですよ。それぞれ業務は下請にも出している。それでこういうことが行われるとしたら、当然のことながら、どこかでコスト削減なり、私は率直に、実態にそぐわないような現場でのいろいろな問題が生まれるようなことがはらまれているというのは、こういう数字を見ても明らかじゃないでしょうか。こういうことが平成七年から始まる。

 同じ平成七年に、三菱重工業の中では定検短縮プロジェクトチームというのを結成して、原子力プラントの発電コスト低減のために、電力業界のニーズにこたえるということなんかも始まっているわけです。

 平成七年に何があったのかといえば、一つ、関電においても、電気事業法に基づいて、経営効率化計画の策定が始まりました。設備運用の効率化を掲げて、原子力利用率の向上は火力燃料費の節約につながり、コストを低減させる大きな効果があるとして、検査、補修に要する期間の短縮を掲げています。さらに、この経営効率化計画では設備保全の効率化も掲げて、設備維持コストは年々増加傾向にあるが、請負費、資材費などが上昇していることが大きな要因だ、設備が古くなればなるほど設備維持コストは増加するとして、設備維持コストの抑制に努めるとしています。この電気事業法の改正の中に、自己責任を明確化した保安規制体制の確立、電力の自由化というのがあるわけです。国の電力の自由化、安全規制政策の緩和を機に、関電のコスト削減優先策が進んだんじゃないか。

 この平成七年、ターニングポイントのときに関電の社長であり、原子力・火力本部長でもあった秋山会長に伺いますが、こういうコスト削減、コスト抑制について、当時どういうふうに受けとめておられたんですか。こういう重大な事態が生まれるとお考えになっておられなかったんですか。

秋山参考人 お答えさせていただきます。

 我々は、常に原子力につきましては安全第一ということの基本方針のもとに、現場にその徹底を図ってまいっております。

 コストと安全との関係でございますけれども、原子力につきましては、品質をよくすればコストが下がるというのが大原則だというふうに我々は思っておりました。例えばSGを平成七年から取りかえまして、平成九年に終わっておりますけれども、こういったSGを取りかえることによりまして、定検期間が約百日のものが六十数日減るということで、そういった設備をよくすること、あるいは保守点検をきちっとやることによってコストを下げていくという意識を徹底しようということで我々はやってきたつもりでございます。

 そういった意味で、定検期間を短くするということがもしも先にあったということがあれば、これはトップといたしましても大いに反省しなきゃいけないというふうに思っておりますけれども、我々としては、あくまでも設備の品質をよくし、また定検のやり方を工夫することによって定検期間を短縮するということを徹底してきたつもりではございますけれども、そういった中で不適切な管理が行われたということは深く反省しておるところでございます。

塩川委員 関電の計画にあったように、請負費や資材費の上昇があるから設備維持コストの抑制に努めるという平成七年を機に、実際には日本アームへの委託が行われ、不適切な配管の管理、これが行われた。そういう点でも、私、その平成七年のときに社長でもあり原子力・火力本部長だった秋山氏の責任が厳しく問われていると思います。事故原因の直接の責任が問われる、この問題を強く指摘して、質問を終わります。

河上委員長 次に、田中慶秋君。

田中(慶)委員 民主党の田中慶秋です。

 このたびの美浜事故について、亡くなられた五人の皆さんの御冥福をお祈り申し上げますと同時に、負傷された六名の皆さんに心からお見舞い申し上げたいと存じます。

 そこで、実はこの問題等について、まず秋山参考人に質問させていただきたいと思います。

 あなたは、まず、関西電力の最高責任者として、取締役会長並びに人事権も、あるいはまた総会等においての議長もなさっておられる最高責任者であるということを私は聞き及んでおりますけれども、間違いございませんか。

秋山参考人 お答えさせていただきます。(田中(慶)委員「短くていいですから」と呼ぶ)はい。

 定款上は、会長職というのは置くことができる職位でございまして、執行の最高責任者は社長というふうに定められております。確かに、会長を置いた場合には、総会等、それから取締役会の議長は会長が行うことになっております。そういった意味で、いわゆるアメリカでいきますとCEOがどちらに当たるかというのは、ちょっと我々としてはわかりませんけれども、一応執行の最高責任者は社長であるということと、議長は会長であるということでございます。

田中(慶)委員 イエスかノーか、簡単に言ってください。限られた時間でありますから。

 あなた、弁解しちゃだめですよ。総会の議長役や取締役会の議長をやられているのはあなたじゃないですか。普通ならば、それが最高責任者ですよ。執行責任者は社長だなんて、そんなことじゃないですよ。やはり、そういうことが今回の事故にもつながっているんですよ。いいですか。

 そこで、あなたにお伺いしますが、この原子力というのは、少なくても国家のエネルギー政策として、地球の温暖化の問題やら、あるいはまたこれからのクリーンエネルギーとして高く評価をされて、期待をされていたわけでありますが、東京電力の事故、そして今回の問題等々含めて、クリーンエネルギーが逆に、CO2を初めとして、現実には、目的の六%削減よりは、むしろ逆に、昨年既に八%増加の一四%になられている。このことは認識されていると思いますが、地球温暖化というこの国家目標あるいは世界的な問題等について、あなたは企業の最高責任者であり、関西経済界のトップである。にもかかわらず、この責任というものについて、社会的責任の使命というものは果たされていないというふうに存じますけれども、その認識はどうなっていますか。

秋山参考人 お答えいたします。(田中(慶)委員「短くていいですから」と呼ぶ)はい。

 エネルギー政策上、今回の事故によりまして当社のCO2排出量がふえたということはまことに申しわけなく、深く反省しているところでございます。

田中(慶)委員 私は、この大きな国家戦略に対する国民の信頼というものが大変失われてきている。これについて、責任も非常に重いというふうに考えております。

 そこで、あなたは事故以来、本来ならば最高責任者は、少なくともいち早く現場を直視し、そしてその対策を立てられるというのが最高責任者の責任ではなかろうかと思いますが、現場にいつ行かれて、どのような具体的な御指示をなさったのか、お伺いします。

秋山参考人 お答えいたします。

 現場にはたしか九月の中ごろに行っております。なぜそうかといいますと、当社の場合は、非常対策本部を置いたときには社長がすべての責任をとって行うということで、二元的な指揮命令系統にならないために社長にすべてを任すというふうにしております。ただ、私といたしましては、社長と常に相談しながら、社長の指示あるいは社長に意見を求め、そういった形で、社長を監督するという形で、こういった非常対策本部が置かれたときには会長は前へ出ないというふうな形をとってきております。

 以上でございます。

田中(慶)委員 少なくても、日本の原子力発電史上、五人の死亡者を出し、六人の負傷者を出した最悪の状態ですよ。そのあなたが、最高責任者が現場に行かない、あるいは現場におくれて行く。社長に任せたから、とんでもないことでしょう。担当大臣すらすぐ飛んでいっているんですよ。そのことを少し、あなたは責任逃れしているんじゃないですか。明確にお答えください。端的に、短く。

秋山参考人 お答えいたします。

 先生のおっしゃるとおりでございまして、深く反省しております。

田中(慶)委員 そこで、あなたにお伺いします。(発言する者あり)

河上委員長 お静かに。

田中(慶)委員 今、深くおわびをしたいと。それならば、あなたは、この五人の亡くなられた方あるいは六人のお見舞いはどのような形でされておりますか。

秋山参考人 お答えさせていただきます。

 当初は、社長が会社の代表として伺われました。私は、遺族の方々の御意向を受けて、気持ちが落ちついたところでゆっくりと話しに来てくれ、こういうことで九月の中旬と十月の中旬にお伺いして、いろいろとお話をゆっくりと聞かせていただいております。

 以上でございます。

田中(慶)委員 本来ならば、日本の文化というか、こういうことを含めて、亡くなられた御仏に対して少なくてもお線香の一本や二本、一番最初に上げるのが最高責任者の責任じゃないですか。遺族の方がどうのこうのとか、そういうことは詭弁としか聞こえません。いいですか。

 まずお伺いしますけれども、東京電力の点検記録の改ざんのときのあなたの発言、平成十四年九月十七日の、これは新聞報道ですから、その報道であなたが言われていること、関西電力の秋山会長は、国に対する原発設備の点検データ報告、年間二十件から三十件、東京電力の十倍以上行っているのではないかと胸を張って報道されております。

 しかし、現実にいろいろなことを、今、点検なりお話を聞かせていただきますと、あなたが言ったこととまるで違うじゃないですか。そればかりか、当時、あなたの発言は、経営責任者は責任をとるべきでありますということで、東京電力は、社長、会長、相談役を初め、担当役職者までがその責任を全部とりました。しかし、あなたはいまだに会長職につかれているんじゃないですか。そういうことを見て、世の中の人たちは不自然だと思っております。

 昨日、私が、きょう質問をするということで、関西から電話がたくさん入っているわけであります。これは秋山会長の、あなたの行動についてまで入っております。

 少なくても、こういう一連のことを含めて、あなたは経営責任者として今すぐ責任をとるべきだと思いますけれども、あなたのお考え方をお聞かせください。

秋山参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃるように、社長、会長、直ちに辞任すべきであるというふうなことは、おっしゃるとおりだというふうに思っております。

 ただし、同時に、我々といたしましては、亡くなられた方たちのお気持ち、これに沿っていくことと、それから、不適切な運用がなされたような安全文化のほころびということにつきまして、我々がそれを正していくということも大変重大な経営責任であるというふうに思っております。

 したがいまして、この二つの相矛盾する責任をどうとるかということにつきまして、大変苦渋の選択でございましたけれども、藤社長は平取に降格いたしまして品質管理専門の取締役として品質管理に専念してもらう、と同時に、私は、新社長を支えまして、安全文化のほころびを直すまで社長として一年間とどまり、その上で責任をとらせていただくということを決断した次第でございます。

田中(慶)委員 責任というのは、少なくともタイミングよくとらなけりゃいけないんですよ。亡くなられた遺族の皆さん方や負傷者のお見舞いや対策について、あなたがしなくたって、次の企業のトップはちゃんとしますよ。あなたは会長職あるいはまた関西電力の一番の実力者として、そのことを死守したいためにすぐ責任をとらないんじゃないですか。むしろ、あなたがおやりになっていることは世の中から見て不自然なんですよ。

 まして、あなたが本部長として七年間、八年間、原子力のこの仕事に携わって、その結果の事故でしょう。その方は当然のごとく今責任をとって、次の方があなたのそういう問題を反省しながら、改めて安全というものに重きを置いて行っていくと私は思います。それが組織であり、それが企業なんです。しかし、あなたはそのことではなく、一年間も……。すぐやめる、その気持ちはありませんか。

秋山参考人 お答えいたします。

 先生が御指摘の平成七年から行われました不適切な管理のあり方、これは今回の事故の直接の原因ではございませんけれども、日本の、当社の安全文化のほころびにつながる根本的な原因だというふうに報告書では指摘されております。

 そういった意味では、この安全文化をぜひとも我々の力で、新旧力を合わせて何とか立て直しまして、皆様方の信頼にこたえられるような会社をつくりたいというふうに思っておりますので、いましばらくの御猶予をいただきたいというふうに思っております。

田中(慶)委員 いいですか、会長。日本のこれからの大切なエネルギー政策を、あなたはこのことによって後退させたんですよ。原子力というのは、これから世界との約束事でCO2を初めNOxの問題を削減する、地球温暖化の環境問題、大切なことですよ。ところが、あなたはこのことによってエネルギーの根幹を、原子力発電に対し国民の信頼を失ったんです。そればかりか、国の原子力政策を極めて後退させる、こういうことにもつながっているんです。

 その認識がなくて、この平成七年までのあなたの本部長としての仕事を、今度の事故に直接関係のないことを言っておりますけれども、そうではないでしょう。設計段階からこの問題はあったんです。秒速五百立方あるいは二百度近い温度のものが、そういう形であの今回の事故になったパイプを通っている。減肉は当然その時点から、材質の問題やら何からすべてが検討され、そしてほかにもその事例が外国でもあり、日本でもあって、既に取りかえを余儀なくされている。にもかかわらず、あなたはしなかったんですよ。その当時の責任者は、本部長としてのあなたですよ。

 そういうことを含めて、十分な会長としての認識に乏しい。まして、これからの原子力政策を推進するに当たって、最高責任者としての責任が全く感じられない。

 そこで、大臣にお伺いします。

 大臣は、今度の事故について人災だとおっしゃられました。現地にも行きました。そして今の質疑の問題等について、企業というものは社会的な責任、企業責任、これが今、十分要求されているわけです。そのことについて、今の質疑の中であなたの感想をお伺いします。

中川国務大臣 今の田中委員と関電の秋山会長さんとのやりとりを拝聴しておりまして、何といいましても関西電力というのは一部上場の日本を代表する企業でございますから、そもそも、企業の社会的な責任、いわゆるCSRというものが厳しく要求されていると思います。

 そして、そのお仕事がエネルギー産業である。そして、御地元を初め国民の理解を前提として初めて事業が成り立つわけでございます。言うまでもなく発電事業であり、今回の美浜においては原子力発電所の二次系の配管の事故により、とうとい人命、優秀な方々が十一名死傷された事故を起こしたということは、社会的に見ても、また企業の本来の業務からいっても、大変大きな問題があると思っております。

 人事につきましては、私どもは、任命権も認可権も、また株主でもございませんし、直接的な権限はございません。もちろん、原子力行政、原子力安全行政の国としての監督者、そして私が最終的な監督者でございますので、注意深く見守っていたところでございますけれども、一般論として、今回の人事というのは非常に珍しい人事だなということをあるところで申し上げたことはございますけれども、あくまでも社会的な責任、あるいはまた非常により高い安全への責任というものを持っており、そしてまた、今回、事故調査委員会あるいは社内の行動計画等々、幾つかの新たな縛りといいましょうか責務を負いながら、最終的に安全の文化というものを確立したと言われることになるのは、社内ではなくて、御地元あるいは社会、国民が、関西電力は安全文化が回復した、確立されたと言うときに初めて私は言えることであろう。社内の人たちが幾ら安全文化が確立しましたと言っても、御地元、社会的にまだまだわからない、まだまだそうではないということであれば、いわゆるそういうブランドといいましょうか、評価というものは、幾ら御本人たちが努力しても、周りからやはり評価されなければならない。そのための懸命な御努力を、今スタートを切ったところだというふうに理解をしております。

田中(慶)委員 今、大臣も言われました、企業の評価というものは、あなた自身なり社内で評価するんじゃないんですよ。周りから、国民が信頼をしない限りだめなんです。

 あなたは関西経済人として立派な活動をされておるようでありますけれども、しかし、亡くなられた五人の方、どのように墓参をされているんですか。まだ入院されている人、その気持ち、そんなことを考えたならば、もっともっとあなた自身の行動も慎まなきゃいかぬじゃないんですか。

 いいですか、あなたの会社から私のところに匿名と実名の手紙が来ていますよ、はっきりと。社員が一丸となって一生懸命、原子力の職場に限らず、ほとんどの社員が一丸となってわびながら、一生懸命心に誓って努力をしておりますと。そして、今度の人事の問題も加わっております。ただ、その中で一つだけ、秋山さんの責任のとり方は、社員を含めてすべての人たちが、事故に対する反省の念何もなし、こういうことをちゃんと書かれておりますよ。あなたの会社の人ですよ、これは。

 そればかりじゃありません。あなたは関西経済界の会長としてそのことにしがみついている、要するに企業の会長としていなければ関西経済界の会長になれないから。交代して譲ってやればいいじゃないですか。少なくても、そういうことも含めて、改めて、あなたの評価というのは、あなたがやめることによって評価をされるんですよ。

 あなたは非常に立派な方で、多くの有名人、フランスのシラク大統領ともある料亭でお会いしていたり、あるいはまたフジテレビの有名なあの会長さんともお会いになっていたり、非常に――あなたは吉兆というところ好きですか、よく行かれるようでありますけれども。御存じでしょうか。行ったことありませんか。

秋山参考人 お答えいたします。

 今大臣も言われましたように、我々は、今回の最終報告書、これがスタートラインだと思っています。そういった意味で、先生がおっしゃるように、国民の信頼、特に地元の方々あるいは協力会社の方々の信頼、あるいは社員の信頼というものを得ることが最大の目標であり、やらねばならないというふうに思っております。

 そのためにはやめるというのも一つの方策かと思いますけれども、我々といたしましては、みんなで一丸となって努力いたしまして、必ずや世の中に認められるような安全文化というものを確立させたいと思っておりますので、皆様方の非難は非難として十分受けて、それを真摯に受けとめてこれから頑張っていきたいと思います。

 今御質問の、吉兆でございますか、吉兆は行ったことはございます。

田中(慶)委員 あなたは、今のような言葉で茶を濁らせちゃいかぬですよ。反省なんてとんでもない、反省していないですよ。

 社員が一丸となってあなたがおやめになることをここに望んでいるんですよ。そのような形で信頼をと言うのは、あなたが続けていたら信頼がないんですよ。あなたがやめてきちっとして次の人にバトンタッチすることが、関西電力として社会的に、そして地元からも信頼を得、それがまた男として立派なことになるんじゃないですか。

 一年間あなたがまた会長を続けたならば、会長なんて補佐する仕事じゃないんですよ。補佐は、組織上違った人がちゃんと補佐するんですよ。それを、補佐するからと。それはあくまでもあなたの詭弁としか言えない。

 今すぐここでおやめになる気持ちはありませんか。そのことが、あなたが立派に、これからの自己を含めてしっかりとした評価になると思いますよ。

 あなたがもしおやめになるということであるならば、これから私が調べたスキャンダルも、いろいろな問題もたくさん資料としてあるんですけれども、あなたの名誉のためにそんなことは言いません。しかし、あなたがまた一年続けるということであるならば、そういうことも、あなたのためにもはっきりと言いましょう。どうですか。

秋山参考人 お答えいたします。

 最初に申し上げましたように、私は一年残って新社長を補佐し、藤社長は取締役として品質管理をして新しい社長を補佐するという形で、会社としての信頼確保に向けて最大の努力をしていきたいというふうに思っております。

 一年間ぜひ時間をいただきまして、我々の成果を見ていただきたいというふうに思っております。

田中(慶)委員 少なくてもあなたは、国民の多くの皆さんや、汗を流し懸命に名誉回復のために努力をされている社員の気持ちは、全然わかっていない。あなたがおやめになることが会社の信頼回復の大きな近道でありますよと言われているんです。

 今、関西電力は、いいですか、クーデター前夜と言われていますよ。(発言する者あり)それはわかりませんけれども、そういうメモが内部からこういうふうに出てきているんです。国のエネルギー産業、国民の多くの、これからのエネルギーというものは、その従事されている意識も、一年云々ということばかり言っていたのでは、内部のクーデターが起きますよ。クーデターが起きてまたさらに世の中に迷惑をかけることはあなたの真意じゃないんじゃないですか。

 大臣、もし関西電力がこんな形でクーデターが起きたならば、私は、日本のエネルギーという問題について大変なことになることを心配しているんです。あなた、どう思いましょうか。

中川国務大臣 エネルギー政策で日本を代表する関西電力が、今現場の皆さん、社員の皆さん懸命になって、事故の再発防止、そして安定的な、安全なエネルギー供給、そして最終的には安全という文化の再確立のために頑張っているということに対して、経済産業省としては、厳しく、しかしその実現に向けて期待を持って、今監督行政を続けているところでございます。

田中(慶)委員 今、エネルギー業界というのは大変厳しいんですよ。自由化の問題やら安全の問題、環境の問題。あなたは先ほど来そういう意識に欠けている。

 だから、社内は、はっきり申し上げて、藤社長が土下座をしながらいろいろなところを歩く姿を見て、私たちは本当に社員としてあの姿を、心痛む思いであります、でも会長はなぜあのことをわからないんだろう、会長はなぜ今度の人事でもみずから責任とらないんだろう、こういうことであります。

 そればかりじゃありません。今のように、吉兆というところはすばらしいところらしいですけれども、私は行ったことありませんから。でも、よくそこに、あなたが出入りすることは自由ですよ。しかし、本来ならば、これだけ原子力の最大の事故、日本で初めての事故、こんな大きい事故を起こして、少なくても謹慎するのが普通じゃないですか。その暇があったらば、現場の人たちに、こんな気持ち、少なくても会社の事業所を徹底的に励まし、また、あなたが本当にその気持ちがあったならば、社員にそれこそコミュニケーションをとっておやりになるのが普通じゃないでしょうか。そうじゃないでしょう。

 極端なことを言って、私は、もっともっと亡くなられた皆さん方のところに、それこそ月命日であろうと何であろうと、お参りに行くぐらいの気持ちがあっていいんだろうと思うんです。あなたはそういうことをされてないじゃないですか。私は、そのぐらい本来ならば、最高責任者を自負しているあなたであるならば、当然、料亭に行くななどと言いませんけれども、その暇があったら私だったら行きますね、お見舞いに。それで日本の安全文化だとかなんとか語る資格がありますか。私はないと思いますよ。

 いいですか、もっと厳しく申し上げましょう。

 あなたはこの自由化の問題で、電力、ガスの垣根を越えて価格競争時代に入ってきている、ですから原子力の稼働率アップを、そしてそのことが地球温暖化の有効な手段であるという、こんなことを言いながら、極端なことを言えば、先ほどの自主点検、法定点検の時間を縮めたり、いろいろなことを含めて、収益を上げるための努力をされたり、あるいはまた、利益と安全確保は表裏一体である、こんなことを言われたようでありますけれども、まあ、経営者であるのですからそういうことは当然かもわかりませんけれども、しかし、安全というものに対する認識がそういう点では欠落をしていると思います。その人が安全文化を語り、だから一年間見てください。あなたの一年間、そんなことをしていて次のエネルギー政策が後退するようなことであっては、日本の損失なんです。

 だから、私は今すぐあなたにここで結論を出してほしい。こんなこと言いたくないですよ、別にあなたに恨みつらみがあるわけじゃありませんから。国家のために、エネルギー政策のために、あなたはおやめになる気持ちはありませんか。

秋山参考人 お答えいたします。

 エネルギー政策、特に原子力に関しまして、今回の事故が非常に御迷惑をかけたという点につきましては、深くおわびをし、反省もしております。

 我々といたしましては、必ずや、関西電力の安全文化を確立いたしまして、皆さんに信頼していただくということに努めることがこれからの原子力を推進する上で非常に大事なことであるという認識を新たにいたしまして、不退転の決意で我々取り組んでまいりたいというふうに思っております。

田中(慶)委員 あなたがいなくても関西電力の安全文化はより向上すると思いますよ。あなたがそう言うこと自体が、後世にあなたの名が廃れることになると思いますよ。

 だから、少なくても今のあなたの言葉で、どうぞこの一年間見てください、日本には今、原子力政策の中にはそんな余裕と暇がないんですよ。あなたの原子力のこういう事故によって、いいですか、二〇二〇年まで、CO2の削減のために、原子力を十基から十三基改めてつくりながら、クリーンエネルギーを求めていくことになっていたんです。ところが、今現実にはその目標すら後退をせざるを得なくなってきたんですよ。二〇年までできるのはせいぜい二、三基でしょう。それは、少なくてもあなたが責任をとるかとらないかによって、またさらに新たに向上することになってくる。私は、原子力政策は新たな気持ちでそういうことを、その時期に今来ているわけでありまして、だから、一人の人間によって国のエネルギー政策が大きく左右される、そういう危機になってきております。

 私は、そのことを含めて、今大変な選択が求められている、それがあなたの進退にかかっているわけであります。もっと言っても、あなたの名誉のために、いろいろなことが内部資料としてちょうだいしております。経営者ですから、それは関西電力なり関西の経済を引っ張るためには、ワンマンだとか独裁者だとか言われるでしょう。しかし、その陰にいろいろなことが言われているわけであります。

 関西電力の大株主は、大阪市長さんですか、そういう話で、市長さんとまたあなたは非常に連携を密にしておられるようでありますけれども、私は、株主さんを大切にすることも必要でしょうけれども、企業というものは、エンドユーザーのことを、末端のことを大切にするのが企業人の仕事ですよ、はっきり言って。ところが、今そのエンドユーザー、一番末端の人たちが信頼を失っている。それは、一にあなたにかかっているんです。

 そういうことを含めて、再度あなたに、あなたの進退をお聞かせいただきたいと思います。

秋山参考人 お答えいたします。

 先生がおっしゃるとおり、我々といたしましては、もちろん株主の方を大事にするということも大事かと思いますけれども、公益事業であり、また電力自由化を控えまして、エンドユーザーの方、これを大事にしていくということはおっしゃるとおりだというふうに思っております。そういったエンドユーザーの方々の信頼を得るためにも、我々は全社一丸となって、特に従業員の方々ともよく話し合い、これから安全文化というものを高めてまいって、信頼を必ずや確保したいというふうに思っております。

田中(慶)委員 国民の信頼というのは、あなたの企業責任、社会的責任のとり方にかかっているんです、はっきりと。そのことが、これからの関西電力が国民の信頼、地元の信頼をどうかち得ていくかということにつながっていくわけでありますから、ぜひ、あなた自身はここでおやめになるということはなかなか言いにくいのかもわかりませんけれども、従業員は大切ですか、そのことを聞かせてください。

秋山参考人 お答えいたします。

 我々といたしましては、ステークホルダーの中で、もちろん株主の方々、消費者の方々、それから取引先も重要だと思いますけれども、会社にとりましても一番大きな財産は従業員との信頼関係だというふうに思っております。そういった意味で、常々従業員の方々とできるだけコミュニケーションをとるように努めてまいっております。

 また、従業員のいろいろ不平不満、これはインターネットで毎日のように私のところにも寄せられております。そういった意味で、従業員の方々の御意見を十分尊重しながら、これからも全社一丸となって取り組んでまいりたいというふうに思っております。

田中(慶)委員 その一番大切な、企業にとっては従業員は宝であります。その宝が、少なくてもあなたに対する不信任案、すなわちクーデター前夜と言われている。その従業員が、少なくてもあなたに対してノーという、こういうことを言われている。そのことは率直に受けとめるべきであろう、私はこのように思いますよ。

 我々は、議員は、有権者の皆さん方がノーと言ったら議員になれないんです。幾らやりたくても、しがみついてもなれないんです。そういう審判というものが私は大切だと思いますよ。その一年の間、また同じような事故、こういうことが出てきたら、それこそこの国のエネルギー政策はさらなる後退をすることになってくる、こういうことであります。

 中川大臣、少なくても、この地球温暖化対策推進本部長は総理であり、そして担当責任者は、経済産業大臣の中川さんだと思います。私は、今のような問題、エネルギーの問題、地球温暖化の問題、省庁もばらばら、はっきり申し上げて。経済産業省、環境省、農水省、ましてや今の事業者等々が、本来ならば、国のエネルギー政策というのは一体として、あなたが本来ならばチーフリーダーとしてしっかりと進めなきゃいけないことであろうと思います。

 残念ながら、今のような関西電力についても、確かに人事権はありません。しかし、監督官庁、許認可官庁として、これだけ世の中、世間が、この秋山さんに対する批判等々が大きく出ている、そしてこの責任というものが、改めて国民に周知徹底、信頼をさせる意味でも、そして我が国のエネルギー政策を大きくこれから推進する意味でも、私は、単なる一事業者の責任者が、人事権はないといっても、そこに安住するようなことであってはいけないだろうと思っております。

 このエネルギー政策あるいは地球温暖化の最高責任者、指揮する、野球で言うならばあなたは事実上の監督と同じですから、そういう点では、この問題等について、もっと徹底的に、イエス、ノー、はっきり、人事権がなくてもそのぐらいの思いをあなたからも発信していいんじゃないかな、このように思いますけれども、大臣の話を聞きたいですね。ぜひよろしく。

中川国務大臣 今の田中委員の御質問は、環境とエネルギーと経済の話でございますか。(田中(慶)委員「それと、その中の今のような問題も含めて」と呼ぶ)

 今、田中先生が御指摘のように、今、地球温暖化対策、本部長は総理でございまして、つまり、これは単に環境という観点からだけでも、あるいはまたエネルギー政策という観点からだけでも、もちろん経済という観点からだけでもだめだからこそ、経済と環境、そしてエネルギー政策、その他一体となってやるために、総理大臣が本部長であり、私や環境大臣が副本部長で今仕事をしているところでございます。

 そういう意味で、特に私の所管の経済あるいはエネルギー政策というものが、もちろん環境というものも視野に入れながらやっていかなければなりませんし、そしてまた、環境政策の方も、経済、エネルギー政策というものを視野に入れながらやっていくということで、混然一体としてこの問題に取り組んでいかなければいけないと思っております。

 そして、田中委員が先ほどから御指摘のように、例えば二〇〇三年が六%削減のところが約八%になった、直接的な、突発的な原因というのは、実は原子力発電所のストップにあって、これが平常どおりに動いていれば四・九%減っていたという試算もあるわけであります。二〇〇四年においては、この美浜の事故もあって、これは定期点検に入る直前ではございましたけれども、そんなようなこともあって、いかにエネルギーと環境、そしてまた経済とが一体かということの一つの例示だろうというふうに思っております。

 そして、特にこのエネルギーの基幹的な部分を占める原子力発電については、きちっとした形で動いているという大前提におきましては、これは環境にも貢献するエネルギーでございますので、そういう意味で、今御指摘のように、二〇三〇年に向かって、安全で、御地元の御理解、国民の御理解を得た上で、原子力発電というものをさらに伸ばしていきたいというふうに考えているところでございます。

 また、田中委員が今何回も秋山代表取締役会長さんにいろいろと御質問、そしてまた御決断を強いたことにつきましては、私は、先ほども申し上げたように、直接的に権限がございませんので、ただ、原子力安全行政、エネルギー行政という観点から、この事件発生以来、監督官庁として厳しく見守り、また我々自身にも実は監督官庁としての反省がございますので、いろいろな政令あるいは通達の変更等をして、そして体制をさらに強化してきているところでもございますけれども。

 先ほど申し上げましたように、マスコミ等々からも、おまえはどう考えるんだということを随分と聞かれましたが、お答えする立場にはございませんので、一般論としては、こういう形で社長さんが安全の立場で引き続き一年間取締役の立場でお仕事をされる、あるいはまた会長さんが新社長を補佐するために――失礼、社長さんが補佐するのは期限はたしか聞いておりませんけれども、会長さんが新社長さんを補佐する、一年間だけ補佐をするんだというような形。

 これは、もちろん念頭には美浜事故というものがあって、それからの対策関連の、国民への信頼、あるいは、先ほど申し上げました社会的な企業の責任といったさまざまな観点からの御判断だろうというふうに思い、また、先ほど申し上げたように、その成果がきちっと出ることを期待というか、当然そうなってもらわなければ困るわけでございますけれども、ただ、一般論としては、一部上場の企業の人事としては、余り私自身は聞いたことのない、珍しい人事だなというのが率直な感想でございます。

田中(慶)委員 大臣は人事権に直接責任はないのかもわかりませんが、国のエネルギー政策、とりわけ原子力の政策を遂行するには、経済産業省、これは国ですよね、事業者あるいは自治体、これが一体となってやらなければいけないわけです。その一翼を担うパートナーである事業者が、今のような信頼関係を失ってきているんです、はっきり言って。あなたも言っているように、これはだれが見ても不自然な人事だろう、私はそう思っているんです。大臣もそういう形で、私の考え方とほぼ同じような考え方をお持ちになっているんだろうと思いますね。

 ですから、やはりすべてが、人間、信頼というものを失うことは、本当にちょっとしたことで失うわけでありますけれども、信頼を築き上げるには大変な努力が必要であります。そのためには、やはり企業であるならば心機一転ということがあるわけです。

 心機一転、同じ人が心機一転と言ったところで、そんなことはだれも信頼しないわけでありますから、そういう点では、少なくても心機一転、そして安全文化ということであるならば、私は率直に言って、秋山さん、今大臣も言っているように、一部上場企業、そして、ましてこれは、経済産業大臣、これは関西経済界の会長さんですよ、大変重いんですよ。ですから、こういうことを含めて、やはり私は、この際心機一転、日本の経済のために、日本のエネルギー政策のために、そしてこれからの原子力政策のために、秋山さんがここで勇気を持っておやめになることが後世に悔いを残さないことになるだろう、このように思っております。

 そこで、再度あなたにしつこく食い下がって申しわけございませんが、あなたがおやめになると言うまで私はきょうはやるつもりで来ておりますので、ぜひその話を聞かせていただきたいと思います。

秋山参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、先生方の御批判、十分厳しく、重く受けとめております。しかしながら、我々といたしましては、新社長一人でこの難局を乗り切るということは大変に難しいことだというふうに思っておりますので、一年間私が補佐し、また藤君には、これまで美浜問題に取り組んできた経験を生かし、また、かつてTQC局をやっておりました経験を生かして品質管理を担当して新社長を助け、皆様の御期待に沿えるような立派な会社に、一年間かけて必ずつくり上げていきたいというふうに思っておりますので、よろしく御理解のほどお願いしたいというふうに思います。

田中(慶)委員 大変恐縮ですが、あなたは、少なくても公私にわたって社員の信頼を裏切るようなことを次から次と、うわさではおやりになっているということが列記をされております。そういう点で、あなたに忠告や提言をすると、あるいは左遷をされたり、あるいはポストを追われたり、こういうことまで、今までも何人かされたということを社内的に記録として私の方にちょうだいしております。

 こういう一連のことを含めて、あなたは今安全文化なり、社内一丸となって、こういうことを述べられておりますけれども、社内からこういう文書が来るようでは、社内一丸となって本当にできるんでしょうか。これは、はっきりと会社の中ではすべての人たちが周知のとおりでありますというふうなことをし、秋山会長がこういうことを含めて新たな出発をするのであれば、会社は恐らく一丸となって、本当に汗水流しながら再生のために頑張る。しかし、今のようなことが続くのであれば、関西電力は大変な、社内の多くの不満が募るであろう。クーデター前夜というような表現でここに出てきておりますけれども、こういうことを含めて、あなたが幾らそういう言葉で信頼回復と言ったところで、失った信頼というのはなかなか回復はできません。

 まして、事故以来、今日まであなたの行動をずっと見守ってまいりました。しかし、現場に対する、あなた、現場に何回行ったんですか。極端なことを言えば、ゼロに近い、こんなことですよ。あなたは、それこそ亡くなられた方のところをどれだけお見舞いに、そしてお線香を上げに行ったんですか。現実には、極端なことを言って、行かないと同じような評価ですよ。こういうことまで言われているんですよ。

 そして、その反面、先ほど来、いろいろな友人、知人、多くの有名人とのおつき合いは、それは今のようなことをほうっても、そちらの方を最優先でおやりになっているということを文書でいただきました。

 やはりそういう点で、これから関西電力、原子力の安全文化をあなたが幾らやろうとしても、それは周りが承諾しないでしょうし、周りが許さないことになると思います。あなたのこれからの、株主総会、そういうことを含めて議長をなさるんでしょうけれども、こういう一連のことを含めて、株主の皆さん方がどう判断するのか、私は大変多くの国民がそのことを注目していると思います。

 こういう一連のことを含めて、今のような、やはり人間は潮どきが肝心でありますから、そういうことを含めて、秋山さんに私は恨みつらみ何一つありません。ですけれども、しかし、あなたのために、あなたのこれから残された人生のために、おやめになることが私は最良の選択だと思います。そのことをもう一度申し上げますので、あなたからもう一度、そのことについての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

秋山参考人 お答えいたします。

 従業員からそのようなお手紙が行っているとすれば、私の不徳のいたすところでございます。社内で皆さんとコミュニケーションをとりながら、従業員の意見も十分聞きながらやっていきたいというふうに思っております。

 株主総会におきましても、十分御説明を申し上げまして、株主の方々の御理解を得るように努力してまいりたいというふうに思っております。

 以上でございます。

田中(慶)委員 かつて、人の命は地球よりも重いという、こんな言葉がありました。名言だと思っております。しかし、その地球よりも重いと言われる人たちが、このたびの原子力の事故によって五人も亡くなられ、その家族の皆さん、遺族の皆さんがどんな思いでおられるのか。そういうことを考えたときに、やはり私は、企業責任、社会的責任、まして、あなたの個人責任というのは免れない。

 そういう点で、一年とか、こういう形であなた自身が業務に携わること自身、もう一度そのことをしっかりと私は猛省を求めて、再考を願いたいと思っております。

 いずれにしても、大臣、こういうことを含めて、日本の今のエネルギー、大変な過渡期に来ているわけであります。特に、残された時間でありますけれども、私はこのエネルギー政策、国、事業者あるいはまた自治体、こういうことを含めて、今一番問題になってきているのは、エネルギー政策を遂行するに当たって地方自治体の長が、さも権限が集中しているような勘違いをしているんじゃないか、このように思っております。そのことによって改めて、エネルギー基本法のところには、国の施策に準じて、少なくても地方自治体はその基本方針を、こういう形になっているわけであります。

 このことを考えたときに、やはり今のような問題も、より不信を拡大することであります。地方自治体がなぜ協力関係にないかということは、事故が、今のような問題が積み重なってくる。同時に、国の政策というものがある面では中途半端になっている。責任のお互いへのなすり合い、こういうことを含めて、私は、やはり国の政策というものを、あるいはこれからのエネルギー政策というものを少なくても一体化して、国の姿勢というものはしっかりと方向性を築き上げていくことが必要だろうと思います。事故のあるたびにこんなことをいつもいつも議論されたり質疑をされたりしていたのではいけないと思います。

 ですから、企業としての責任のとり方の問題も、国としての責任のとり方の問題も、そしてなおかつ、これからの国の原子力政策を推進するに当たって、私は、今や、資源のない日本が化石燃料を使うということではなくして、クリーンエネルギー、その大きなものが原子力エネルギーであろうと思いますので、そこに重点を置くならば、より国も事業者も自治体も一体となってそのことに取り組むことが一番求められていることだと思います。それぞれが社会的責任、企業責任、あるいは行政責任というものをしっかりと持って取り組まない限り、これだけ大きな国の政策を国家政策として推進することは大変難しかろうと思っております。

 大臣の見解をお伺いしながら、時間が参りましたので終わりますけれども、最後に大臣、私は、今の秋山さんの問題も含めて、やはり国と地方、事業所、こういう問題をしっかりと築き上げていく必要があるだろう、このように思っておりますので、大臣の見解をお伺いします。

中川国務大臣 結論的には田中委員のおっしゃるとおりでございまして、日本のエネルギー政策、もともと国内に化石燃料を中心にほとんど資源がない日本でございますし、先ほど申し上げたように、環境とかあるいはまたクリーンエネルギーとかそういう観点からも、原子力エネルギーというものは非常に大事でございます。そしてまた、その目的を達成するためには、安全性、あるいはまた原子力というものに対する国民の理解、信頼というものが大事でございます。

 そういう共通の方向に向けて国、自治体、そして事業者がそれぞれ役割分担をしてやっていくということでございまして、一義的に安全の責任あるいはまた供給の責任は、全体の計画は別にしまして事業者にあるわけでございますし、全体としての政策、あるいはまた、例えば緊急事態に対する対応は国の責任でございますけれども、また自治体の方も、住民の安全等々についての重い責務をお持ちになっていらっしゃるわけでございます。それぞれ役割分担をして、そしてその中で、最終的には国の基本政策でございますから、国が責任を持ってきちっとした方針を立てて、今回もいろいろ反省点が多うございましたので、そういう意味で、改めて自治体、事業者ときちっとした役割分担、そしてまた、それぞれが緊張関係と連携とを密にしながらやっていくことが大事だと思っております。

 この美浜の件につきましては、関西電力の皆さんが、文字どおりこれは犠牲者の皆さん、あるいはまた御迷惑を大変おかけした御地元の皆さん、そしてまた関係の皆さん方に対して、これは言葉だけではだめなんでありまして、我々ももちろん、さっきから申し上げているとおり、反省点が多うございますけれども、文字どおり、結果として安全というものに対しての信頼が回復されることを目指して全者一丸となってやっていく。我々も、きちっとそれに対して我々の責務を果たしていく、そしてまた御地元にもきちっと説明と御理解、そして、できれば一日も早くまた御支援していただけますように努力をしながら頑張っていかなければならないというふうに思っております。

田中(慶)委員 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

河上委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として日本銀行理事小林英三君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河上委員長 次に、吉田治君。

吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。

 多分、気持ちはみんな同じだと思うんですね。議員も、また三月二十五日以降のニュース報道を見ている国民の皆さんというか、とりわけ関西電力から電気を購入している皆さんは、これは、こんなことを言ったらよくないですけれども、NHKでなくてよかったかもしれませんね。NHKだったら、もうみんなお金払わないんでしょうね、こんなことになっていたら。私はどうしてもそれが、ある方が、吉田さん、大阪のNHKやなと言うお方もございまして、本当に一人の大阪の人間として恥ずかしいと同時に、悲しい思いを私は持ち続けております。

 しかしながら、大事なお国の話であり、私はまず大臣に、認識は共通だという部分をお互い持ちたいなと思うのは、やはり日本の国にとって、先ほどからの同僚議員の質問にもありますように、日本は、エネルギー資源は五%に満たない、自給率は五%ない、ほとんど輸入に頼っていっている。そういう中で、ようやく原子力を入れて二〇%ぐらいまでは持ちこたえられるようになった。

 日本のエネルギーの根幹というものの一つに、エネルギーの安全保障という中で原子力の持つ意味というのは大変大きいものだということ。そして二点目は、先ほどからの質疑にあるように、エネルギーの問題だけじゃなくて、これは環境という問題、京都議定書、CO2、そして環境税という問題も今新たに出てきている。そういうふうな中で、ますます原子力発電というものの持つ意義というのは、私は大変大きいんだと思うんです。

 その大きな意義というのは、最後はどこにかかっているかというと、責任あるのは、これは大臣、答弁いただきたいんですけれども、国策ですよね。国策だ。そして、それを私たち国会議員が、立法の立場で、そして国民の代表として注視をしている。結果として国民が納得をする、理解がなければ、日本のエネルギー政策、原子力政策というのは実は進むことができないということ、これは大臣、共通の認識でよろしゅうございますね。

中川国務大臣 私も全く同じ考えです。

吉田(治)委員 では、そういう中において、国民にとって一番大事なことは何かというと、これは大臣、大事だと思う、根幹をなすんだということと同時に、怖いものだから、非常に危険なものだから、だからIAEA、世界じゅうの中で、原子力発電をしてもいいよ、日本は今サイクルの問題をやっています、核燃料サイクルというのもやっていいよと特別に許可を与えられて、その原子力発電というのはなされるわけですね。その中で一番大事なことは、安心、安全、信頼というものです。それも、大臣、共通認識としてお持ちでしょうか。

中川国務大臣 安全、安心、そして信頼、その前に、我々が努力するのは、そのための、現実としてそういうふうにするということと、きちっと御説明をしていただくことによって国民の安全、安心、信頼が生まれてくる。結論は同じでございます。

吉田(治)委員 では、そういう中でこの事故というのをとらえていかなければならないと私は思うんです。国民の皆さんが納得しているのか、理解できるのか。

 今、国会においては、いわゆる原子力のバックエンドの問題、それから、原子力発電所をこれから解体していったときにいろいろな廃棄物が出る、クリアランスの法案、そして原子力発電所のテロ防止の法案という、本当に原子力発電に密着した法案が提出をされ、実を言うと、これはもう大臣御承知のとおり、三月三十日の事故調査委員会の報告書が出た日にも審議がなされ、昼から野党も審議をし、でき得る限りこの審議を早急におさめて、国会としては、参議院、そして一日も早くこの法案というものが国会を通過して――これは最終的に、大臣、あれですね、こういう電力を買うお方、お一人お一人、大体普通の平均の御家庭で月々百円と聞いております。一年に直したら一千二百円の電気を使う。それは原子力を使っているから、その最終処理のためには、使う国民は、一家庭大体百円ずつ毎月するお金をためる、そういうお金も出す国民の法案を審議しているその最中にこういうふうなことが起こってきた。

 審議は中断をした、そして改めて委員会として現地にも見に行かなければならない。そしてこの国会において、この場において参考人にもおいでいただいて、ある意味の集中審議もしなければならなくなった。では、ならなくしたのはだれなのか、ならなくした責任はどうとってくれるのか、私はそれがあると思うんです。

 今回の事故において、原子力政策への影響というもの、まずそこをどういうふうに大臣がお考えになられ、そして、きょうは電事連の会長として、また電事連の中において総合政策委員会というのがある、そこの議長、これが電事連においては一番大きな要素を持っていると私は聞いております、その議長として藤さんにおいでいただいております。その辺の影響というものをどういうふうにお感じになられ、考えられているのか、それぞれお考えをお述べいただきたいと思います。

中川国務大臣 システム、特にこういう巨大な、そして猛烈なエネルギーを持ったシステムですから、一〇〇%絶対安全ということはむしろない。だからこそ、不断の努力を常にしていかなければならないんだということが大事なんだろうと、今回、一連の当委員会の御議論等も通じて感じていたところでございます。

 もちろん、あってはなりません。しかし、万が一あったときには、どういう、最も時間的にも、そして効果的にもベストな対応をしていくのかということも、もちろん危機管理として必要でありますし、それからまた、あるんだという前提で、なくするための最大限の努力をする、こういうことも大事なんだろうと、今回、私自身学んだところでございます。

 今回の事故をそういう観点から見ますと、関西電力あるいはまた三菱重工、それぞれが、多年にわたって、大丈夫なんだというような気の緩みといいましょうか、先ほどから御議論出ております、工程どおりに、時間どおりにやっていかなければいけないとか、もちろんコスト意識は経営として大事ですけれども、それが安全に優先するなんということは絶対にあってはならないことでございます。それから、それぞれの企業同士の連携のなさ等々が複合的に、こういう大変不幸な、しかし、あえて申し上げますならば人災として、とうとい命、それから、次元は違いますけれども、国民、御地元の原子力行政、安全行政、あるいはまた産業に対する不信、怒りというものが発生してきたんだろうというふうに考えて、我々も大いに反省しております。

藤参考人 まず、先生、私、関西電力の社長として、本当に、先ほどおわび申し上げましたが、今回の美浜事故につきましては、心から申しわけないと思っております。本当にそういう意味で、今お話になりました、原子力政策に大変影響があるというお話でございます。本当に申しわけないと思っております。

 その上で、私ども電気事業連合会といたしましては、この事故が大変な事故であった、この事故を重く受けとめまして、全事業者で、信頼回復委員会というものは平成十四年の十月につくったものでございますが、これを昨年九月にも開催いたしまして、保守管理の改善、それから品質マネジメントの向上、高経年化への対応、そういったことを積極的に取り組んで信頼を回復する、そういう活動を全力でやっているところでございます。

 私、今回の美浜の事故が、先生言われましたいろいろな面で大きな影響になっているということに、本当に責任を感じております。

 以上でございます。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

吉田(治)委員 要するに、大臣、原子力政策の推進においては悪影響だった、はっきりそう考えてよろしいですね。

中川国務大臣 一昨年の東京電力、そして去年この美浜、それから、今、吉田委員御指摘のとおりの、サイクルとしての議論がいよいよ実用といいましょうか実験といいましょうか、そういう段階に入っている矢先でございますから、エネルギー政策、エネルギー供給だけの問題じゃなくて、政策全体に影響があったと思っております。

吉田(治)委員 ですから、きょう質疑をしているのは、共産党には申しわけないですけれども、共産党以外はほぼ原子力政策を推進する立場、燃料サイクルを推進する立場の者がこうして質疑をする、そして、時には厳しく、それぞれ責任問題も含めて質疑をしているということは、私はぜひとも記録に残しておくべきだと思うんです。

 私たちは何も、反対をする、後ろを振り向く、戻さなければいけない、そんなことを思っていない。これから先、進めていくためにはどうすべきなのか、国民の皆さんにどう理解してもらうのか、一緒になってやっていこうという気にならなければならないと私は思うんです。

 そこで、調査委員会の委員長、わざわざおいでいただいて申しわけございません。委員長にもう一度お聞かせいただきたいんですけれども、先ほどのやりとりをどう思うかというのも一つ感想を聞きたいんですね。御自身が事故の、参議院の議事録にも書いてあります。再発防止をしなければいけない、そして事故の原因というものを調べなければいけない、事故の原因というものには、国の責任もある、メーカーの責任もある、でも、事業者の「安全文化の劣化」、「「安全文化」の綻び」という言い方、議事録では「劣化」という言葉を使われています。その劣化の当事者のお方が今国会で議員の質問に対していろいろお答えをなさった。

 報告書をつくられ、いろいろな話を聞かれて、その中で、この部分について、今どういうふうにお感じになられたか。いや、立場上答えられないということも私はあると思います。しかしながら、今、安全文化の劣化という部分を考えたときに、企業風土という言い方もどこかでなさったと思います。その部分というのを、もう一度、委員長として、今の国会のこの委員会での審議の状況も含めて、御感想なりいただければと思います。

朝田参考人 ありがとうございます。お答えいたします。大変恐縮でございますけれども、私見にわたる点があることをどうぞお許しください。

 まず、調査委員会といたしましては、ただいまのような責任問題は、要するに将来の対策を立てることとは関係がないであろう、このように考えまして、一切触れておりません。そのかわり、品質保証、その根幹となります企業文化その他、こういった点に問題がある、こう指摘をしているわけでございます。

 私個人の考えを申し上げますと、本日、国家の将来を見据えた議論を拝聴いたしまして、大変興味深いところでございますが、実は、御指摘の点、まことにそのとおりであろう、自分はそう考えております。

 以上でございます。

吉田(治)委員 今の話でわかるでしょう、皆さん。事故調査委員会の委員長がみんなと気持ちは一緒だと思っているんですよ。安全文化のほころび、安全文化の劣化というのは何が問題だったのか、あと、国民に対してどう信頼を求めるか、言いづらい中で、あの言葉の前後を読めばわかるじゃないですか。まさに未来への責任という大きなテーマに対して、事故調査委員会の委員長として見事ここの場でよくお答えいただいたと私は思います。

 私はそのことばかりを質疑するつもりはございません。ただ、大臣、そして藤電事連会長、先ほど申しました、国民に負担を求める大事な法案審議がこれでとまっているんですよね。これも美浜の事故の一つの影響じゃないですか、しかもあの場所において。

 私は、きょう、秋山会長がおいでですので、ちょっとお聞きしたいんです。三月二十四、五の日に何が起こったんですか。なぜ三月二十五日の日にああいう人事を発表しなければならなかったんですか。

秋山参考人 お答えいたします。

 今、先生方に原子力関係の法案につきまして真剣に御討議いただいている最中に、我々がそういったものの妨げになるような問題を起こしまして、まことに申しわけなく思っております。

 それで、なぜ三月二十五日に発表したかということでございますけれども、三月二十五日に関西電力の最終報告書を提出させていただきました。その最終報告書を提出するときには経営責任を明らかにするということをかなり前から申し上げておったものですから、ああいった形で報告書を提出させていただきました。それが結果として皆様方に御迷惑かけましたことにつきましては、深くおわびしたいというふうに思っております。

吉田(治)委員 この報告書、二十五日の朝十時に私は御説明をいただきました。その場で、その前夜に共同通信から、会長留任、社長解任というニュースがあったという電話がありました。副社長さんでした。知っているかと言ったら、いや余り知りませんね、そう言われました。

 そして、その御説明の一番最初のところに何とあるか。「行動計画策定にあたり」「私の明確なリーダーシップのもと、」黒々とした大きい字で、「関西電力株式会社 取締役社長 藤洋作」「平成十七年三月二十五日」、もう皆さん見られていると思います。言われたお方が、これを提出したのは三月二十五日の午後の一番だと聞いております。東京支社の担当者が持っていかれた。その三時間、四時間後に人事の発表があった。

 私は、申しわけないけれども、これを読んで、ちょうど羽田でした、そのニュースをお聞きしたときに、ちょっと待てよと。リーダーシップのもとでと言ったお方が、ほんの三、四時間たてば、会長から、おまえは首だ、降格だとなった。私は、すぐに自民党の筆頭理事さんに御連絡しました。言ったでしょう、この委員会で、この事故に関して秋山会長に私がぜひとも来てもらいたいと。自民党の皆さんは、いやいや責任は社長だ、社長だとずっと半年間言われ続けた。ようやくこうして出てこられた。そして、出てこられたけれども、中身の「私の明確なリーダーシップ」のお方がいなくなって、このペーパーは今後どうなっていくんですか。担当大臣、そして藤社長、どうお考えなんですか。

中川国務大臣 これは、直接的には、その文書は、事故調査委員会あるいはまた私どもの原子力安全・保安院等々の事故発生以来のやりとりを踏まえた上での文書でございますので、とにかく目的達成のためにきちっとやっていただくということで、ペーパーそのものについては、私はコメントを差し控えさせていただきます。

藤参考人 そこに書いてある「私」という意味は、それは社長である私という意味でございまして、社長という立場の人間ということでそう書かせていただいているということでございますので、必ずしも私個人という意味ではございません。そのつもりの報告書でございます。

 以上でございます。

吉田(治)委員 ということは、社長だったらだれでもええというわけですか。事故調査委員会の委員長、これ、委員長は受け取られましたよね。もらわれていませんか、関西電力からの行動計画は。受け取られましたよね。

 今お話し申し上げたように、普通読んだときに、「私は」と書いたときに、藤社長がこれからも頑張ってやるんだなと考えますよね。結果として、その日の出した三時間か四時間後に、会長によって、あんたは首だと。首と言うと語弊がありますね、取締役に降格だという話を聞いたときに、委員長、事故調査を全部やって最後のまとめですよね、これ、三十日に向けて。率直にどうお感じになられましたですか。

朝田参考人 お答えいたします。

 大変難しい御質問でございまして、恐縮でございますが、特に我々はこのような感想は持っておりません。要するに、これは、藤社長は社長としての立場でおっしゃっていると思いますが、事故調査委員会あるいは私としては、これは関西電力という会社が全体として責任を持っているのだ、このように理解しておりますので、特に御質問の点については考えはございません。

 以上でございます。

吉田(治)委員 よくわかりました。多分、ニュートラルな委員長のお立場から見るとそう見えるんだと思います。ただ、一般の私たち国民が見たときには、へえ、もうやめる人が書かはったんかいなというふうに受け取るのも私は一つあるのではないかなと思っております。そういう中で法案審議がとまっている、中断しているという事態。

 会長、もう一度お聞きします。三月二十四日の夜に何があったんですか。なぜ共同通信がそういうニュースを流したんですか。

秋山参考人 お答えいたします。

 三月二十四日の共同通信の報道には、我々何ら関与しておりません。共同通信の方が自分でそういうふうに感じられてお書きになったということでございます。

 我々は、三月二十五日、その報告書を提出した後で、藤社長から、みずからの進退については、取締役にひいて、その後、品質管理を担当したいという決意を伝えられました。

 ただ、そのときも、六月までは、この報告書を出したんだから、それの下づくりといいますか基礎的な枠組み、こういったものにつきましては藤社長が責任を持ってやる、その後は新社長に引き継ぎ、自分は、ここに書いてありますアクションプラン、これをきちっとやること。と同時に、OSARTその他の第三者による監査をきちっとやってもらうというふうな品質管理専任でやりたい、こういう決断をされたと聞きましたので、私自身もそれに賛成し、私自身も一年たったら必ずやめる、その間に新社長にしっかりと品質管理をやってもらいたいということで、その日の午後二時ごろだったと思いますけれども、二人で決めまして、四時に発表させていただいたということで、あくまでもこれは藤社長と私の、おのおの経営者としての判断でございます。

 以上でございます。

吉田(治)委員 聞くと、たしか会長は財政審議会のメンバーでいらっしゃいますよね。きょう財務副大臣がおいででございますけれども。三月二十四日の晩に、財務省が財政審議会のメンバーはこのまま引き続きやられるんですかとお聞きしたら、いや、私は残って、社長がやめますからというふうに言われたそうですね。詳報をよくよく聞くと、財務省からこのニュースは流れた、そういうふうに聞いております。

 財務副大臣、きょうおいででございます。財政審のメンバーというのは、どういうふうなことを決めて、どういう権限をお持ちで、この方々というのはどういう形で国家財政という部分にかかわっていくのか、一言述べていただけませんか。長い話は結構ですよ。

田野瀬副大臣 秋山専門委員については、これまでも、財政制度等審議会委員等を務められ、我が国財政に関し高い見識と豊富な経験を有しておられることから、今後とも我が国財政の諸課題につき御意見を賜りたいと考えておるところでございます。

 そこで、お尋ねの、どういうことを専門委員はなされるのかということでございますが、専門委員は、当該専門の事項に関し、学識経験……ちょっと待ってくださいね。(吉田(治)委員「もうよろしいわ。もういい。後で聞くわ」と呼ぶ)

 よろしいですか。後でまた資料を提出させてもらいます。以上でございます。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

吉田(治)委員 会長、この役職は、このままずっと会長であるんだったら、引き続きされるんですか。

秋山参考人 お答えいたします。

 先ほど、共同通信の人に、そういった、私は残って藤社長がやめるんだという話をしたことは一切事実としてございません。

 それから、今の専門委員の話につきましては、任命者であられる方の御判断にゆだねたいというふうに思っております。

吉田(治)委員 私は、何も共同通信の記者に会長が話したとは申し上げておりません。ちゃんと聞いていただかないと。私が申し上げたのは、そういう問いがあったときにそういうお答えが、会長がなさったのか会長の側近の方がなさったのかわかりません、その話があったということがまず一点。

 二点目は、日銀の参与も務められていますよね。要するに、日本の財政と金融の、やはり世の中的に言ったら大きなポストについておられるお方、それが今回こういう事態になって、いろいろ皆さん方の御意見あるかもしれないけれども、最高経営責任者としての責任をとっておやめになられるという話がされている。

 これは、財務副大臣、日銀参与というのはたしか財務大臣の任命ではなかったでしょうか。そして、きょう、日銀の理事、来られていますよね。これは日銀として、どういうふうにこの日銀参与というものについては関与がなされているんですか。それぞれお答えください。

田野瀬副大臣 日本銀行の参与は、日銀法第二十三条第四項により、日本銀行政策委員会の推薦に基づいて、財務大臣が任命しておるところでございます。

小林参考人 お答えいたします。

 日本銀行の参与は、ただいま財務副大臣からお話がございましたように、日本銀行の政策委員会の推薦に基づきまして、財務大臣から御任命いただく、このようになっておりまして、日本銀行の業務運営に関する重要事項について意見をお述べいただいております。

吉田(治)委員 重要事項について意見を述べているんですね、小林理事。政策委員会か何かで決まるんですか、この人選は。

小林参考人 人選につきましては、日本銀行参与は、日本銀行政策委員会の推薦に基づきまして、財務大臣に任命いただいておる、こういうことでございます。

吉田(治)委員 その二つだけで、もう日本の金融と財政の主要なところにおいでになられる会長さんでいらっしゃいます。それについて、こんなこと大変よくないですけれども、財務副大臣、これは、任命を取り消すということは可能なんですか。それとも、これはもう決めた限りは御自身の判断でないとどうしようもないということなんですか。いかがですか。

田野瀬副大臣 私ども財務省といたしましては、秋山参与については日本銀行にとって有益な意見をいただいておると承知しており、引き続き貢献を賜りたいと考えておるところでございます。(吉田(治)委員「財政審、審議会の方は」と呼ぶ)そうです、それも両々。

吉田(治)委員 両方ね。ということは、もう御自身の判断しかないということですな。

 もう一つ、国土審議会の座長もされていますよね。日本の国土全体の発展を決める審議会のトップの座長までされている。この辺の経緯であるとか、今お聞きしたような質問です、このままこういう形が残り続けるのかどうか、その辺、いかがなんですか。

尾見政府参考人 それでは、私の方から事務的なことについて御説明させていただきます。

 国土審議会は、先生御指摘のように、国土づくりの指針となります国土総合開発の関係で、国土の利用、開発、保全に関する総合的かつ基本的な政策について調査審議する、こういうことが任務になっております。

 それで、その委員でございますが、これは法律で、衆議院の先生方が六人、参議院の先生方が四人、学識経験者が二十人、計三十人になっております。審議会の会長でございますが、これは委員の先生方による互選という形で選出されております。学識経験を有する委員の方については、幅広い見地からの調査審議が求められるということを勘案させていただきまして、経済界、地方自治体、労働界、学界等の各分野において、国土政策に関するすぐれた知見をお持ちである方に御参画いただくという観点から委員の任命を行っている、こういうことでございます。

 委員の罷免というか、そういう感じについてのお話もございましたが、これは一般職の国家公務員に当たりますので、いわゆる重大な非行行為だとか、そういうことがあります場合に、罷免事由に該当すればそういうことがあり得るということでございます。

吉田(治)委員 よろしいですか。

 今の話の中でいろいろ出てきまして、これはそれぞれお答えした人に聞きたいんですけれども、関西電力の会長でないと続けられない仕事なんですか、それとも、関西電力の会長をやめた場合には一緒にやめないかぬ仕事なんですか。どうなんですか。

岩井副大臣 今、事務方の方から、国土審議会の委員について制度上どうなっているのかという話がありましたが、秋山委員には、電力会社、関西電力の会長ということで委員になっていただいておるのではなくて、あくまでも国土政策に造詣の深い財界人として委員に御就任いただいておるわけでございます。今回の事故が審議会に必要とされる見識の有無に影響を与えるものではないというふうに私どもは考えております。

吉田(治)委員 これは多分二つの意見が出てくると思うんですよ。こういうふうな事故でこういうふうになって、そのお方がまだいられるのかという話と、もう一方は、どうしても必要な人だからこれはおってもらわな困るという話と、これは私がここでとやかく言うことではないと思います。最後は、やはり御自身がどうするのか、どう判断するのか。先ほど潔さということも同僚議員の質問にありました。私はそういうこともあると思います。

 ただ、私たち国会というのは一つ一つ言えないから、それは採決であるとか次のさまざまな段階で判断をしていかなければならないなというふうなことを思うと同時に、きょうは航空局長おいででございますけれども、会長の一言二言言ったことを取り上げるつもりはないんですけれども、私たち大阪の人間としては、この言葉だけは、航空局長としてどうなんだとぜひとも聞きたいことがあるんですよ。もう文書も前いただきましたからいいんですけれどもね。

 どういうことかというと、あるお方が、私がこの役職をやめると関空の工事だとかいろいろな計画だとか半年、一年おくれるんだと。唯一絶対のそういうお方がどこかに存在されるんですか、航空局長。

岩崎政府参考人 お答えいたします。

 先生御案内のとおり、関西空港の二期事業の推進、今年度の予算の一つの項目になっておりました。そのときに大きな課題になりましたのは、関西空港の需要をどういうふうに見るか、需要が本当に確保されるのかどうかということが一つの課題でございました。関経連の会長として秋山会長が、関空の需要の確保のための地元関係者による活動について中心的な役割を果たしていただいた、このように考えております。

吉田(治)委員 まあ、お一人の方で変わらないという御答弁だと思いますけれども、これらを聞いていて、担当の総務副大臣、きょうおいでですよね。日本における審議会制度だとか、いろいろな役職、いっぱいありますよね。いざ何かが起こったときに、こういう場でこういうことになって、それぞれがという答えはありました。でも、では国民が見たときにどう思うのか、納得するのか納得しないのか、私はそれがあると思うんです。

 ちょっとこれは最後、その答弁いただいたら、今の方々はお帰りいただいて結構なんですけれども、総務副大臣として、今後の審議会制度のあり方、また、日銀参与を初めとするいわゆる特別職のあり方というのはどう検討、これからする予定があるのか、いや、もう今のままでいいんだと思うのか、いかがですか。

山本副大臣 委員の御質問は、審議会のあり方等々にかかわる基本的なお考えだろうというふうに思っております。

 総務省としての一応の見解といたしましては、審議会等の運営に関する指針を踏まえまして、各任命権者がそれぞれの審議会にふさわしい委員をお選びになっているというふうに承知をいたしております。基本的には、それぞれの役所の見識に基づいて選んでおられる、それは、ある意味からいえば、企業と個人というものを分けて考えておられるんだというふうに私どもとしましては認識を持っているところでございます。

吉田(治)委員 どうも皆さん、ありがとうございました。結構でございます。

 ただ、一点言えることは、先ほどの同僚議員の厳しい質疑の中で、言うならば、ほかにやること、これだけお国のためにあるのに、何を守りたいのかなというのは、私は、正直な気持ちとして多くの方が、この審議の状況をインターネットなり、もしくは後議事録で見られた方は感じるのではないかなということだけ付記をさせていただきます。

 そういうふうな中で、この事故の責任、そして、私は大事なことは、先ほども申し上げました行動計画、また報告書等を見ても、現場という言葉が非常によく、多様に出てきております。トップだけではない、現場が一緒になってやらなければならないというお話がありました。そして、過日の参議院の集中審議の議事録を読ませていただきましても、その辺の部分が非常によく出ております。

 私、ちょっとお聞きしたいんですけれども、秋山会長、先ほどから現場の話が出ていまして、九月の中旬と。事故が起こった後、何をされていたんですか。上海へ行かれたのは、あれ、いつでしたっけ。

秋山参考人 お答えいたします。

 その前に、一つおわび申し上げなければいけないんですけれども、先ほど、藤社長が取締役をひいてと申し上げましたけれども、藤社長が社長をひいてというふうに訂正させていただきたいと思っております。

 上海へ行った日は、はっきり覚えておりませんけれども、事故後、事故直後だったというふうに思っております。

 それから、事故のときに何をしておったかということでございますけれども、当日は休暇をとって、夏季休暇で家族と旅行しておりました。すぐ会社に引き返しまして、非常対策本部が設置されたのを確認いたしまして、非常対策本部のメンバーではございませんので、そのまま家に帰ったところでございます。

吉田(治)委員 今回の、二十五日の人事を見ても明らかなように、最高経営責任者としてきょうはこうしてこの国会へおいでいただいたのも、自民党さんも認められたんですよね、最高経営責任者だと。あれほど反対された。秋山会長、熱心に議員会館を回られていましたよね。お姿をよく見ましたよ。そこまでされても、国会というところは態度で示す、私は、与党の議員さんがそう言われたときに、そうだなと。私たちは、賛成、反対は法案で言う、審議で詰める、後は態度で示していくんだと。この態度が、例の法案審議が原子力二法についてとまっているということ、それを大きくまず受けとめていただくと同時に、事故が起こって、私はすぐに関経連さんに申し上げたんです。上海へ行かれるそうだけれども、やめて、現場へ行かれたらどうですかと。藤社長があのお姿でずっとテレビに映られている。結果として、みんな、万人が、関電の最高経営者は秋山さんだとわかっている。そのお方は何も姿を見せない、それでいいんですかと私は老婆心ながら申し上げた。

 そしてその後、だから、そういう、国会でちゃんとお話をしていただく機会があれば皆さんも、私たちはそれぞれ、議員というものは選挙区があります。国民に接しております。第一線の国民の皆さんからいろいろな話を聞きます。そして、それに理解いただけなければ選挙に通ってこられないんです。申しわけないけれども、関西電力の社員は二万数千、関係会社の方は約三万五千と聞いております、その方々がうんと言えばいい世界に私たちは住んでいないということ。それはぜひとも知っていただくと同時に、現場に行かずに上海へ行ったということは、私は、痛恨のきわみだなということ。

 と同時に、先日、この委員会で現地視察をいたしました。知事さん、そして周りの市長、町長さん、助役さんもおいででございました。そのときに、西川知事にそれぞれお聞きしました、会長と社長は来られましたかと。お聞きしましたら、社長は来られましたと。西川知事はこう言われました、社長は来られましたが、会長は来られておりません、あとは国会で調べてくださいと言われたんです。これは、私の聞き間違いかと思って二度聞いたんです。同行された委員はみんな知っていらっしゃいます。そして、その後、関西電力の皆さん方が議事録をとられていた、その議事録の中にもちゃんと書いてあるんです。

 どういうことなんですか。会長はこの参議院の中において、地元が大切だということを言われております。福井県の皆さんに大変御迷惑をおかけいたしました、そして、私はすぐに社長とともに現地に行ったと書いてあります、答弁されています。

 今申し上げた二つの点で言うならば、会長、参考人で来ていただいて大変恐縮なんですけれども、国会という場において、会長みずから本当のことを言われていない、うそをついたと言われても言い過ぎではないんじゃないかと思うんですけれども、何で知事に会わないんですか。なぜ周りの市町村に行かないんですか。そして、なぜ、先に社長が行って、私は後だけれども、どうしても財界のことがあって行けなかったんだ、そう答弁ができなかったんですか。

秋山参考人 お答えさせていただきます。

 上海に行きましたのは、上海の証券取引所と大阪証券取引所の協定に立ち会うためで、これは、尚証券取引所主任と私との間で結びました協定に基づいて行われたものでありますので、どうしても外交上行かざるを得ないということでございます。

 すぐ行くべきだというお話でございますけれども、今になりますと、大変それは申しわけなかったというふうに思って、深く反省しているところでございます。

 それから、参議院におきまして、すぐに伺ったというのは、私と藤、こういうふうに申し上げたとすれば、それは誤りでございます。藤が直ちに伺いまして、遺族の方々におわびを申し上げ、そこで遺族の方々から非常に厳しい御叱責を受け、また、藤の方から申しわけなかったというおわびを申し上げたときに、必ずあなた方の責任できちっと再発防止をしなさいよということを言われたということで、すぐにという言葉を使ったので、私が一緒にということであったとすれば、間違っておったというふうに思います。

 それから、九月の中旬に藤社長と私と一緒に伺ったときも、遺族の方々からそのような趣旨のお話を承り、我々としては、何が何でも我々の責任において再発防止というものをぜひやらせていただきたいというふうに感じたということでございますので、その議事録がもしも私と藤とですぐにということであったとすれば、私は、藤社長がすぐに伺ったときに御遺族の方からそういった厳しい御注文を受けたという意味で申し上げたということでございます。

吉田(治)委員 いや、ここに書いてありますやん。「我々、被災後すぐ遺族の方々のところへ伺いましたところ、」と。「我々、私と社長と二人で参りましたけれども、」と。

 それで、知事の話はどこへ飛んでしまったんですか。

秋山参考人 おっしゃるように、知事とか町長さんなどにお目にかかりに行くべきだというふうなことは、おっしゃるとおりだというふうに思っております。

 私は、ただ、事故が起こった後、地元の知事その他から強い御要請があるであろう、ほかの原子力発電所を全部とめて点検せいという御要望があるかというふうに思いまして、これは非常対策本部の仕事ではなしに会長の仕事であるということで、各電力会社に応援をしていただけるかどうかというお願いをするとともに、地域におきます知事さんあるいは市長さん、そういった方々、あるいは大口の需要家さん、こういった方々に需給上心配がないということと、株主の皆様方に収支上も心配ないということを十分見きわめてそういった決断をする、これは私の仕事であったというふうに思っております。

 今の点につきましては、九月のたしか二十三日だったと思いますけれども、十月十六日、二人で御遺族のところへ伺ったときのお話を、すぐにという表現をとったということは間違いであったというふうに思っております。

吉田(治)委員 要するに、この何カ月は知事のところにも行っていないわけでしょう。私、すぐの話をしたわけじゃないですよ。この八カ月、知事のところにも行っていない、地元自治体にも行っていない。しかし、イタリアのミラノは行けたんでしょうね、上海も行かれたんですよね。

 そしてもう一点、遺族の方、遺族の方と言われるけれども、遺族の方はここへ来れないんだもの。来れない人を自分のプロテクターにしないでくださいよ。自分たちを残すことは遺族の意思だと言うけれども、では、全員の遺族をここへお呼びしてやれればいいですよ、できないものを、さも自分たちが聞いて、いや、それは聞いたのかもしれない、言われたのかもしれない。これは、きょうマスコミの方が来られていたら、マスコミの方は一遍聞きに行かれたらいいんですよ。遺族の方のたっての要望で会長と社長は残るんだ、そういうふうに会長が言われた、本当ですかと。

 私たちは遺族の方の住所も何もわからない。ただ、五名の方、先日、一番最初の質疑で申し上げたように、お一人の方は赤ん坊が生まれたばかりのお方。この子は一生父親の顔を見ることなしに、死んでしまった。私は、その気持ちだけは今でも忘れられない。ぜひとも行ってきてください。うそだったら、もう一度、委員長、この場へ、この委員会へおいでいただく、私はそのことを強く申し添えさせていただきたいと思います。

 そして、その中で、現場の力、現場の力ということで藤社長が提出をされました行動計画の中、私はお聞きしたいんですよ、会長、社長。事故が起こるまで、どれぐらいの頻度で現場というのは行かれていたんですか。

秋山参考人 お答えいたします。

 遺族の方々の意思で我々が残るというふうにもしお聞き取りいただいているとすれば、それは申しわけないことだと思います。

 遺族の方々は、おまえたちが残って、頑張ってやれというふうな趣旨のことを言われたということと、それから、我々といたしましては、お約束いたしました再発防止について、経営責任者として、それをやっていきたいということで今回の苦渋の選択をしたというふうに申し上げております。

 それから、現場には、現場トップQCということで年に何回か行きますし、また、営業所長会議とか発電所長会議という形で現場の方々と接触しております。また、現場キャラバンと称しまして、副社長以下が現地を回りましていろいろの声を聞いております。そのほか、インターネットで我々のところに現場からもいろいろ声を聞き、できるだけそういった現場の人の声を吸い上げるような努力をしてまいってきております。

藤参考人 お答えいたします。

 私は、原子力発電所、それから営業所、電力所あるいは火力発電所といったそういう第一線の現場へ、何回とは申し上げませんけれども、自分としてはできるだけ足を運ぶようにしているつもりでございます。

 以上でございます。

吉田(治)委員 現場の声で言うならば、私も社内の方からこういう話を言われたんですよね。原子力発電の問題、会長の参議院答弁の中でもう一つ気になっているのは、私は一生懸命やっているんだけれども、末端までが聞いていないんだ、おれは頑張っているんだけれども、従業員のみんながしてないんだ、物すごくそう聞こえるんですよ。この答弁を読んでいても全部それなんですよ、私はやっているんだ、私はやっているんだと。でも、従業員、従業員という言い方をされますけれども、従業員と社員というのが階層分化か何か、会社の中にあるんですか。私たちは学卒は社員で、そうでない人間は従業員でと。事故調の委員長、そういうふうなものがもしあるんだったら、文化なんて共有できないですよね。一つの会社の中に階層があって、クラスファイがされていて、社員と言われる人は従業員に対して、おれは一生懸命やっている、おまえたちができてないからだってここに書いている、言ってられる。現在、第一線にまで安全文化も浸透させられず、経営者としてざんきにたえず、重大な責任を感じていますと。責任は感じているけれども、やらへんかったおまえらが悪いんだと。

 私はこれで、調査委員長が言われるように、全社として出されたと言われて、現場もやれ、現場もやれと、こういうふうに言われた現場の人間は、しょせんは、来てもお話を聞いて帰るだけだなと。大臣、そういうふうなことで安全文化というのは根づくのか、これからの大事な原子力政策を国民の皆さんに私たちは自信を持って説明できるのか。はっきり言って、私はそんなのできないですよ。その辺の認識というのは、会長、どうお考えになられているんですか。私はこの文章を読んだ途端に、はあと、これだからこんな「企業風土」、「安全文化」という言葉をわざわざ事故調査委員会は使ったんだな、使わざるを得なかったんだなと思ったんですけれども、その辺はいかがですか。

秋山参考人 お答えいたします。

 今度の問題は、我々は、確かに、安全第一ということでいろいろのところで強調していたつもりでございますけれども、それが実際に行われなかったということは現場の責任だけだというふうには思っておりません。やはり、そのために経営としてやるべきこと、例えば、人、物、金、こういったものをきちっと投入するということが大事なことであるというふうに思っております。

 そういった意味で、組織の面では、まず、今まで中之島におりまして若狭とかなり距離があったということで、若狭支社に原子力本部を持ってきまして、現場との距離を密着させて本店と現場との意思疎通をきちっとやっていこうというふうなつもりをしております。それからもう一つは、人の面で、約五十人ほど保修員を投入したいというふうに思っております。それから技術解釈が十分でなかったということで、技術アドバイザー、これを各発電所に三名配置する。それから、各国の……(吉田(治)委員「もういいですよ、そんな長い話は結構です」と呼ぶ)はい。

 そういったことをきちっとやって、経営としてやるべきことをやっていなかったということが一番大きな要因であるというふうに思っておりますので、我々といたしましては、こういったものが浸透していなかったということについて深く反省をし、まず、そういった安全文化を確立するためにはトップがそういった意識をしっかり持つということが大事だというふうに感じておりますので、そういうふうに御理解いただければありがたいというふうに思っております。

吉田(治)委員 藤会長、まあ社長でいらっしゃいます。数点お聞きしたいのは、一点は、人、物、金、これは若狭と本店の原子力の事業部が一緒になったときに、人は、現場に何人か出てくるということですね。現場に人が足らないというのはやはり一番大きな問題だと思うんです。これが一点目。そして二点目。今社長は我々が強調したと、その我々というのはだれなんですか。自分と若干数名なんですか。現場に対して我々が、我々がと言うのは、見下したという言い方はよくないかもしれないけれども、何か物すごくそんな感じがするんですよね。私たちが多分街頭で我々がなんて言ったら、こんなのに一票入れへんとなるでしょうね。まあ、話が流れました。そして三点目。いわゆる財界活動というのは大体どれぐらいの人とお金がかかっているんですか。

 その三点、ちょっと簡単にお答えください。

藤参考人 お答えいたします。

 人、物、金でございますけれども、これにつきましては、ちょっと今、先ほど申しましたように、原子力本部を福井へ持っていきます、そして若狭支社という組織を、今のところなくすつもりです。そうしますと、全体で今四百人くらいの保修要員がいますが、それに対して五十人の保修要員を追加することができるという意味で五十人と申しました。

 お金の方はよろしゅうございますか。お金の方は、大体六百二十億ぐらいのあれを、今六百二、三十億の修繕費を百億ほどふやそう、そういうことを考えております。

 我々とはだれか、私、我々、どちらで私申し上げたら我々でしょうか、ちょっとそれがあれでございます。

 財界活動に関する費用でございますが、ちょっと私、手元に今数字は持っておりません。

 以上でございます。

吉田(治)委員 この一件の中でその問題というのは少しありまして、私の知り合いの社員の方が、現場の力というふうに言われながら、私は聞いた話ですので本当かどうかはわかりません、ことしの御社の春闘というんですか、賃金交渉というんですか、私はちょっと詳しく知らないんですけれども、そこの場所である部長がこういうふうに発言したらしいですね。事故を起こしたんだから、ベースアップだとか賃金とか組合が言うのはおかしいと。聞いたほとんどの社員が、何を考えているんだと。会長は会長で残すために、何かいろいろな役をやっているのに、そういうものに湯水のようにお金も人も使って、そのためにおれは会長をやめられないんだと言っているのに、従業員にはそういうふうなことを言うのかと。ほとんどの人間はここで口に出さなかったけれども、吉田さん、そう思ったんですよと。そういう会社で原子力という一番危ないものを扱うのに、安全というものにみんながやる気になりますか。それで、その彼は言っていました、そうだよなと。多分、そういう話は内々の話ですからその場にいた人間にしか言わないでしょう、上に上がることもないでしょう。あるお方にこの話をして、いろいろな話をして、これは会長に話は通じるのか、私の立場からは言えません、こんなことが山ほど今までございました。

 私は、いろいろなことを申し上げたい。時間の都合もございます、そういうふうな中で言わなければならないのは、もう一点。

 会長、いつも社長の執行責任、執行責任と言われていますけれども、社長時代の御自身の執行責任というのはどうお感じになられているんですか。社長として長年やっておられましたね。事故調の委員長がおいでですからもうお聞きしませんけれども、今回の事故の原因となり得たその時期のほとんどの執行責任者は会長であるあなたでしょう。しかも、TQCをやられ、原子力事業部長、火力事業部長、最終的には総合本部長までやられた。全部取り仕切ったあなたが、事故のときは、いや、おれは会長だから知らない、関係ない、そういうふうにしかみんな見えないと言う。それで、国民の皆さんに、一番危ない原子力をこの会社に預けて大丈夫ですよ、みんなで頑張りましょう、これを政治の立場で言えますか。

 私は、そこのところで、自己責任というものもあると思います。そして、先ほど先輩議員が言われました、日本人には日本人の美学があるんだよ。そういうものをしなければならないと同時に、私は、安全というものでいうならば、東京電力、そしてJALさん、きょうも朝からJALのニュースが出ていますよね。みんな職を賭したんですよ、安全というものに対して。だからみんなが、まあそこまでやるんだったらいいわなと。残念なことに、職を賭してやっている、これによって、では法案をもう一遍やり直そう、次から原子力の法案頑張ろう、そんなことが私たちができ得るのかどうか。まさに、国の安全保障、エネルギーの安全保障、原子力政策というのは御自身の肩にかかっているんだということを、まずもって私はぜひともこの場で御理解していただく。

 それと同時に、それは今の会長、社長の問題だけじゃない。後を引き継ぐ後輩の皆さん方がどう思うのか、後の人たちがどう思うのかということが私は大事だと思います。

 そこで、もう時間ですので、最後に私は数点お聞きしたい。

 こんな大変個人的なことを聞きたくないんですけれども、秋山会長はたしか二十年取締役をやられていました。私が聞く話では、やめられたら約十億円ほど退職金が出るそうです。それはどうされるんですか。

 御自身の社長時代、そして会長時代、これほど大きなことが起こった。それの種が全部自分の社長時代にあった。そして、結果としてこういう最高経営責任者としての責任をとった。それに対して、みんながどう思って、みんながどう言っているのかお聞きをされていて、なおかつ、いや、おれは頑張ったんだからと言うのかなと。私は、それはぜひとも聞きたいところですけれども、時間がありません、聞きません。

 最後に、大臣、そして保安院長、そして事故調の委員長にお聞きをしたいと思います。

 この問題は、先ほど大臣ですか、答弁の中で、終わりじゃないと言われましたよね、始まりだと言われましたよね。今後どういうふうにこのことは検証がなされていくのか、大臣、もしくは保安院長、あれでしたら結構ですけれども、お答えいただきたいと思います。

中川国務大臣 具体的なことは保安院長から答弁させますけれども、私が、参議院のときも、また本日も、これは終わりではない、スタートであるというふうに申し上げたのは、八月九日以来、福井県美浜町を初め御地元、そしてまた事故調査委員会朝田委員長、先生初め皆さんに、夏を返上し、正月を返上し、ずうっと三月末までこうやって多くの関係者の皆さんに本当に御迷惑をおかけしながら、エネルギー行政また原子力行政等々のために本当に多くの方々に御迷惑をおかけし、そして最終事故報告書が出たわけでございますけれども、これでもって、安全文化のほころび、あるいはまた劣化が終わったんだということでは決してないわけでございます。

 要するに、これはあくまでもこれからのアクションプログラムができたにすぎない。実際には、これを実行して、そして当然事故が起こらない、あるいはまた御地元の皆さんの御理解が得られる、そしてまた原子力行政、エネルギー行政に対して国民の皆さんの御理解が得られる、そして、直近としては、吉田理事の御尽力をいただいてこの法案もすぐ審議をしていただける。これはちょっと国会の話で、別次元でございますけれども。

 とにかく、我々はやるべきことがたくさんあって、そして、特にこの関西電力についての、日本を代表するエネルギー供給会社としての安全文化が、周りからそういうブランドが復活をする、あるいはまた再生をしていくということによって事故のないエネルギー供給体制が引き続き、やっと国民的コンセンサス、御地元のコンセンサスとして得られるというところがとりあえずの一つの目標地点だというふうに思っております。

松永政府参考人 お答え申し上げます。

 今、中川大臣から御答弁申し上げましたとおりでございます。

 具体的には、関西電力が事故調査委員会、保安院の方に提出をいたしました行動計画が確実に実施をされて、再発防止対策が確実に履行されるということが極めて大事でございます。

 このため、私ども保安院といたしましては、関西電力を対象とする特別の保安検査、具体的には保安検査官を倍増する、あるいは見るべき項目をふやすという形の保安検査を行う、また、必要に応じまして立入検査を実施したいと思っております。また同時に、独立行政法人原子力安全基盤機構、ここが安全管理審査をしておりますけれども、この安全管理審査も特に厳格に行っていく。こういう形で関西電力の取り組みを厳格に監視していきたいというふうに考えております。

吉田(治)委員 もう時間ですので終わりますけれども、委員長、この問題は、今大臣、保安院長からお話がございましたように、これから先が続く話でございますので、この委員会で、きょうおいでの参考人の方含めて、折を見て、引き続き、また集中審議なり、委員会として開催をするということを望みたいと思います。

河上委員長 後刻理事会で協議をいたします。

吉田(治)委員 そして最後に、これは私、大変言いづらいんです。私も大臣の気持ちと一緒なんですよ。人の会社の人事のことについてとやかく言う筋合いは私はないと思うんです。しかしながら、事は日本のエネルギー政策、原子力政策。そして、今中国があんなことになっているのは、安全保障というのはやはり原材料でしょう、エネルギーの問題でしょう、中国と日本の関係があんなふうになっているのは。そういうふうな中で、座標軸を、視点を自分はどこに置くのかと考えたときに、私は、今回の人事というものについては、一般国民として見たときも、もう一度再考なさるべき、考え直されるべきではないかなということを最後に申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

河上委員長 参考人の方々は御退席いただいて結構です。御苦労さまでございました。

     ――――◇―――――

河上委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、商標法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。中川経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 商標法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中川国務大臣 商標法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 この法律案は、産業競争力の強化と地域経済の活性化を図ることの必要性が増大していることなどから、地域の産品等についての事業者の信用の維持を図るため、地域名と商品名から成る商標の登録について所要の改正を行うものであります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一は、地域名と商品名から成る商標について、地域との密接な関連性を有する商品に使用され、需要者の間に広く認識されている場合には、事業協同組合その他の組合による地域団体商標の登録を可能とするものであります。

 第二は、他人が地域団体商標について商標登録出願をする前からその商標の使用をしていた者に、継続してその商標を使用する権利を認めることとするものであります。

 第三は、既に登録された地域団体商標について、登録要件に該当しないことを理由として異議を申し立てたり、無効の審判を請求したりすることを可能とします。また、登録を受けた地域団体商標を権利者が不正に使用した場合に、その地域団体商標について、だれでも登録の取り消しの審判の請求をすることができるようにします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

河上委員長 この際、連合審査会開会申入れの件についてお諮りいたします。

 法務委員会において審査中の内閣提出、会社法案及び会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案について、法務委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、法務委員長と協議の上、公報をもってお知らせしますので、御了承願います。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十九分散会


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