衆議院

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第3号 平成17年10月26日(水曜日)

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平成十七年十月二十六日(水曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 谷口 隆義君

   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君

   理事 新藤 義孝君 理事 平井たくや君

   理事 松島みどり君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 高木 陽介君

      岡部 英明君    片山さつき君

      岸田 文雄君    北川 知克君

      小杉  隆君    近藤三津枝君

      坂本 剛二君    清水清一朗君

      菅  義偉君    平  将明君

      谷畑  孝君    長崎幸太郎君

      早川 忠孝君    平田 耕一君

      牧原 秀樹君    武藤 容治君

      望月 義夫君    森  英介君

      やまぎわ大志郎君    山本 明彦君

      川端 達夫君    吉良 州司君

      北橋 健治君    後藤  斎君

      佐々木隆博君    松原  仁君

      三谷 光男君    江田 康幸君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       中川 昭一君

   経済産業副大臣      小此木八郎君

   経済産業大臣政務官    平田 耕一君

   経済産業大臣政務官    山本 明彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局長)      伊東 章二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           松井 一實君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 鈴木 隆史君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房首席監察官)         高橋 英樹君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          石田  徹君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            石毛 博行君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 寺田 達志君

   参考人

   (日本自転車振興会副会長)            深澤  亘君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十六日

 辞任         補欠選任

  遠藤 利明君     やまぎわ大志郎君

同日

 辞任         補欠選任

  やまぎわ大志郎君   遠藤 利明君

    ―――――――――――――

十月二十五日

 中小自営業の女性起業家・家族従業者に対する支援の充実等に関する請願(篠原孝君紹介)(第三三号)

 同(森本哲生君紹介)(第三四号)

 同(川内博史君紹介)(第四六号)

 同(北神圭朗君紹介)(第四七号)

 同(園田康博君紹介)(第四八号)

 同(平沼赳夫君紹介)(第四九号)

 同(松本龍君紹介)(第五〇号)

 同(市村浩一郎君紹介)(第五七号)

 同(平岡秀夫君紹介)(第五八号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第五九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第九五号)

 同(石井郁子君紹介)(第九六号)

 同(笠井亮君紹介)(第九七号)

 同(菅野哲雄君紹介)(第九八号)

 同(穀田恵二君紹介)(第九九号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一〇〇号)

 同(志位和夫君紹介)(第一〇一号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一〇二号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇三号)

 同(横光克彦君紹介)(第一〇四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇五号)

 同(北橋健治君紹介)(第一一三号)

 同(田村謙治君紹介)(第一一四号)

 同(達増拓也君紹介)(第一二二号)

 同(鉢呂吉雄君紹介)(第一二三号)

 同(吉良州司君紹介)(第一二七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一五三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一五四号)

 同(志位和夫君紹介)(第一五五号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一五六号)

同月二十六日

 中小自営業の女性起業家・家族従業者に対する支援の充実等に関する請願(小川淳也君紹介)(第一六五号)

 同(篠原孝君紹介)(第一六六号)

 同(後藤斎君紹介)(第一八一号)

 同(佐々木隆博君紹介)(第一八二号)

 同(田中眞紀子君紹介)(第一八三号)

 同(筒井信隆君紹介)(第一八四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第三〇五号)

 同(石井郁子君紹介)(第三〇六号)

 同(大畠章宏君紹介)(第三〇七号)

 同(笠井亮君紹介)(第三〇八号)

 同(阿部知子君紹介)(第三五五号)

 同(玄葉光一郎君紹介)(第三五六号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三五七号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第三五八号)

 同(秋葉賢也君紹介)(第四〇〇号)

 同(長浜博行君紹介)(第四〇一号)

 同(渡辺周君紹介)(第四〇二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

谷口委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本自転車振興会副会長深澤亘君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局長伊東章二君、厚生労働省大臣官房審議官松井一實君、経済産業省大臣官房長鈴木隆史君、経済産業省大臣官房首席監察官高橋英樹君、経済産業省貿易経済協力局長石田徹君、経済産業省製造産業局長石毛博行君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長広瀬研吉君、中小企業庁長官望月晴文君及び環境省大臣官房審議官寺田達志君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷口委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。牧原秀樹君。

牧原委員 おはようございます。自由民主党の牧原秀樹でございます。

 私は、夏まで経済産業省の方で勤務をしておりました。ここですばらしい仲間たちと一緒に働けたことは私の誇りでございます。中川大臣を初め職員の皆様には、今後とも日本のためにぜひとも頑張っていただきたい、そう思っております。

 私は、日本とニューヨーク州の弁護士として、日本、ワシントンDC、ニューヨーク、ジュネーブ、ブラッセルといった場所で、これまで日本の国際経済問題にかかわって国益のために闘ってきました。WTOにおいても研修をしたことがございますし、また、経済産業省でも通商機構部という通商専門の部署におりました。そこで、これまで私がずっとかかわってきた、そしてこれからもライフワークにしたいと思っていますこの国際経済戦略問題、この点につきまして本日は質問をさせていただきたいと思っております。

 資料、簡単なものをお配りしております。この資料は、皆様もよく御存じの表だと思います。

 まず、一ページ目でございます。これは、一九六〇年、日本がちょうど所得倍増計画を実行しつつあった時期、それから一九八八年、バブル絶頂の時期、そして二〇〇四年、昨年の日本の輸出入の統計でございます。上が若干広いカテゴリー、下がその品目別詳細版になっております。

 これを見ますと、一九六〇年には、日本の輸出は繊維、関連製品が約三割を占めておりました。これがバブル期になると、機械機器というものが四分の三を占めるようになっております。そして、二〇〇四年も同じように機械機器が上位を占めております。このような構造変換があります。

 ところで、この下を見ていただきますと、八八年と二〇〇四年、同じ機械機器でも内容が大分異なっております。すなわち、バブル期には鉄鋼や船舶といったいわゆる重厚長大の産業品目が中心であったのが、二〇〇四年には半導体やICといったハイテク製品が占める、このようになっております。

 他方で、輸入をごらんください。輸入は下の方をごらんください。六〇年、八八年は、我々もこれを輸入しているんだろうなと通常思える、いわゆる資源それから食料、こういう輸入が多かったわけです。ところが、昨年度を見ますと、半導体電子部品や音響映像機器、科学光学機器といった日本が輸出をしていたはずの品目がふえている、こういうような状況になっております。

 次のページをごらんください。このような背景には、日本がほかの国から激しく追い上げられているという状況があるものと思われます。ここに掲げましたのは、日本の輸出相手国、輸入相手国でございますが、特に輸入相手国につきましては、従来米国が一位であったのが、中国がはるか一位になっておる、そして韓国も上がって、アジアの国がこの上位十位だけでも四割を占めるという状況になっております。

 次をごらんください。日本の財の輸出でございますけれども、日本は一九六〇年には十位であったのが、バブル期には三位にまで上がってきます。ところが、昨年度はとうとう中国に抜かれて四位に転落する、つまり、これからマイナスの傾向にあるのではないかと懸念します。

 また、サービス、これは日本が本来得意とすべき分野だと私は確信しておりますが、一九八八年、五位、シェアが五・九%であったものが、二〇〇四年にはこのシェアを下げるという逆の傾向にございます。

 簡単な表でございますけれども、このような表をざっと見ていっても、日本はどんどん産業を転換しながら輸出大国としてやってきましたが、それを上回るスピードでほかの国に追い上げられているという状況があります。このような状況では、もはや小手先の対応だけでは不十分であると考えます。

 そこで、大臣にお伺いしたいのですが、このような状況におきまして、我が国が国際的な競争力を維持強化し、そして我々のこの現在の生活水準を維持していくためにも、国際競争という点からどのような戦略を立てていらっしゃるのでしょうか。御説明をお願いいたします。

中川国務大臣 おはようございます。

 まず、牧原委員には、経済産業省時代に、省に対して、つまり国家に対して大変な御貢献をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。

 時間も限られておりますので、早速、まず貴重な資料を今拝見いたしました。大変参考にさせていただきます。私の資料ファイルにもこれはとじさせていただきます。著作権は牧原さんにあるということを前提に使用させていただきたいと思います。

 これを見て、まず、日本は、御承知のとおり資源がない。したがって、輸入の方はやはり原料あるいは食料といったものが常に上位であることは、もう仕方がないというか当然だろうと思いますが、輸出については、これはある意味では時代とともに変わってくる。たしか明治の初めの最大の輸出品は生糸、お茶といったものであったと思いますし、これが戦後になりますと、敗戦から立ち上がっていく中で、貿易立国としてやっていく中でどんどん変わってきたということであります。

 ここで一点、私申し上げたいのは、重厚長大から軽薄短小というんでしょうか、そういうIT関連に変わってきましたけれども、最近また物づくりということで、自動車だけではなくて、ここにもございますけれども非鉄製品とか金属製品とか鉄鋼とか、こういったものの輸出も最近ふえているということで、ある意味では、重厚長大型もまた元気を取り戻してきているということも言えるのではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、日本は、世界の国々と仲よくしながら、世界から物を輸入し、そしてまた付加価値をつけて輸出することによって、我々の生活レベルも上げていくと同時に、世界に貢献をしていくということになるんだろうと思います。

 その中で、中国、韓国あるいはまた東南アジアのウエートがふえてきたということは、別の意味でいうと、隣国である、お隣の中国、韓国、東南アジアといった国々との連携がより深くなってきたということも言えるのだろうと思います。例えば、一時期問題になりました工場等の移転の問題なんかも、結局は同じレベルのものを安くつくって日本に輸入してくる。これはいい面あるいはまた問題点いろいろございますけれども、近い国々との連携も深くなってきた。

 他方、いわゆる発展途上と言われている国々は、日本を目指せ、日本に学べ、そして日本を追い越そうよというインセンティブが非常に強い。これはある意味では脅威であると同時に、またそれをきちっと我々も評価をする必要もあるんだろうと思います。

 今までですと、工場を移転してくれ、工場をつくってくれだけでありましたけれども、最近は、日本を支えているのは中小企業である、物づくりである、したがって、その中小企業の人材育成であるとか中小企業の立ち上げ方なんというものも私のところに教えてもらいたいなんという話も参りますので、国際貢献、協力、その国もよくなってもらいたい、しかし競争に負けるわけにはいかないから日本もさらに努力をしていかなければならないという、プラスの関係において、日本が競争に負けないように、そして、各国にも貢献することによってアジア全体、世界全体がレベルアップしていくという方向で頑張っていきたいと思いますので、引き続き御指導よろしくお願いいたします。

牧原委員 ありがとうございます。

 今のお話にも若干出てきましたが、現在、国際的な関係の中で、大臣も先週、ジュネーブの方に御出張されてきたと思います。このWTOのドーハ・ラウンド交渉につきまして、御出張の報告も踏まえつつ、今後の見通しと、それから同時並行に行われていますFTAの簡単な見通し、そしてこれらの通商交渉、一体日本にどういう利益をもたらすことになるのか、その点について御説明をお願いいたします。

中川国務大臣 戦前のブロック経済の反省を踏まえて、戦後、ガット・IMF体制と、世界共通のルールの中でオープンな形で発展をしていこうよという中で、もう委員御承知のように、ケネディ・ラウンド、東京ラウンドと来て、そしてウルグアイ・ラウンド。ウルグアイ・ラウンドで初めて農業という部門が大きな議題として取り上げられることになったわけであります。

 そして、現在行われておりますドーハ開発ラウンド、ここでは途上国という位置づけを非常に大きな位置づけにしました。だから、御承知のように、ドーハ開発ラウンド、DDAというふうに呼ばれているわけでございます。百四十八のうち、農業部門においては百カ国以上がいわゆる途上国。途上国をどういうふうにレベルアップしていくかということが大きなポイントになっております。

 議題としては、農業、非農産品、サービス、あるいはルール、そして開発といった柱になっているわけでございますが、現在、おくれにおくれている作業スケジュールでございますが、何とか十二月半ばの香港閣僚会合で枠組みをきちっとつくっていきたい、そして来年一年で具体的に数字を入れ込んで、来年中に終わりたいというのが各国の共通認識でございます。

 ただ、農業は機関車だという議論が多いものでありますけれども、その農業についても、一つの、ある意味では事務的な問題、委員は専門家でございますからあえて申し上げますけれども、従量税の従価税化問題なんというのが大変な議論になって何カ月も議論したとか、そういうことでおくれにおくれているわけであります。

 今月、二回ジュネーブに行ってまいりましたけれども、議論は相当深まってきております。それだけに対立点も浮き上がってきただけに、アメリカ、EUあるいはまた日本、そしてまた多くの途上国の代表チームでいろいろな会合をやっているわけでございますけれども、十二月半ばに向けてということは、その前に原案をつくって各国に示さなければならない。そのめどが来月の半ば前後というふうに我々は思っております。

 非常に厳しい状況ではありますけれども、ウルグアイ・ラウンドを振り返ってみますと、土壇場でやはり決めなければいけないということで決まったという経験もございますので、最後の最後まで、この目的を達成することが途上国を初め日本にとってもプラスになるということで、守るべきものは守りながら、譲るべきものは譲って、先ほどの表のような形で日本が貿易立国として発展できるようにしていきたいと思っております。

 また、それと密接な関係を持ってFTA、EPAというものも重要でございますから、各国と今精力的にやっております。御承知のように、今我々、メキシコの議論をやっているときには、経済産業省の試算では、それによるGDPの押し上げ効果が四千億あるとか、あるいはASEANとやれば一兆円ぐらいふえるのではないかとか、あるいは、これはあくまでもいろいろな条件がつきますからデータとして正確かどうかわかりませんけれども、ウルグアイ・ラウンド実行前と実行後では貿易量が三割ふえているという一つの試算もあるわけでございますので、いわゆるバイの関係とマルチの関係を連携をつけながらやっていくことが、日本にとっても、そして世界への貢献という意味からも重要だというふうに考えております。

牧原委員 ありがとうございます。大臣の精力的な働きぶりは、本当にこの通商交渉において、日本にとって大事だと思います。

 ただ、この通商交渉につきましては、異論もあるかもしれませんが、私は、個人的な信頼関係というものが重要であって、専門性も極めて重要であると思っています。

 例えば、やはりドーハ・ラウンドだけ、二〇〇一年から始まって、もう恐らく日本の政府内には、ずっとこの交渉を担当してきたという人はだれ一人いないという状況ではないかと思います。二年間の原則のローテーションではなく、もう少し違う仕組み、あるいはひょっとすると通商交渉を専門とする省庁の創設などが必要かもしれません。この点については政治的課題かもしれませんので、考えていきたいと思います。

 最後になりますが、私の選挙区であるさいたま市の旧大宮、与野というところでございますが、ずっと回っていても、やはり中小企業が圧倒的に多い、そういう状況でございます。日本にとって、中小企業が元気である、非常に大切です。

 ところが、この通商交渉、対外経済戦略ということに関しましては、大企業の利益になりこそすれ、中小企業にとってはむしろアジアの国などの安いものが入ってきて不利になるのではないかというイメージを持っているところが多いのも事実でございます。私は、この発想を転換して、中小企業もこの通商交渉等によってどんどん利益を得る、こういう体制が必要だと思っています。

 そこでお伺いしますが、この点について、政府の強力な支援も必要だと思いますが、この中小企業の国際進出についての具体的なお考え、そして具体的な支援策について、政府にお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 御承知のように、日本の経済あるいは雇用を支えているのは、大宗は中小企業よりももっと小さい部門だと思います。それから、もう委員もよく御承知のとおりの新産業創造戦略二〇〇四、そして今回の二〇〇五。特に二〇〇五においては、どんな先端産業でも、支えているのは、高度な素材産業、部材産業、そしてまた金型、溶接といった基本的な、しかし大事な技術、これを守り育てていかなければいけないということで、強化をしていこうということであります。

 先ほども申し上げましたように、各国とも、日本に学べといったときには、単なる完成品ではなくて実はもっと奥深いものが日本の技術にはある、それを中小企業は持っているということで、中小企業の進出あるいはまた技術移転も必要である。

 例えば、この前のASEANの国々とのFTAでも、やれ鉄鋼だ、やれ自動車だという要求でありますけれども、でも肝心なのは自動車の完成品ではなくて、自動車部品であったり、メンテナンスであったり、修理であったり、販売網のネットワークサービスであったりというものが必要だということで、それはもう大宗が中小企業でございますから、ぜひそういうところも協力してもらいたいということでございますので、大企業の何とか自動車だけがぽんと行ってできるものじゃないということを先方もわかっておりますから、本当にその国で発展をするためには、今言ったような、主に中小企業が担当する分野もぜひ来てもらいたいということでございます。

 したがいまして、日本の発展は中小企業の発展によって成り立っておりますし、また、海外への進出、あるいはまた海外からの期待も、中小企業あっての日本への期待だというふうに考えておりますので、大いに中小企業の皆さんも海外に向かってやっておりますし、また今後も一層やっていただきたいというふうに思っております。

牧原委員 ありがとうございました。

 私が当選し続けることができる限り、この分野を人生をかけて追求したいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

谷口委員長 次に、武藤容治君。

武藤委員 おはようございます。岐阜県第三区選出の自由民主党の武藤容治でございます。やはり新人でございます。

 今国会で初質問させていただく機会を賜りまして、身が引き締まる思いでございます。本当にありがとうございます。

 本日は、まずエネルギーの問題から質問させていただきたいと思います。

 我が国は、エネルギー資源小国ながら、戦後の発展を人々のたゆまない努力と知恵で急成長を実現しまして、豊かな社会を築きました。しかし、今もエネルギーの大部分を海外に依存しながら、かつ、エネルギー供給の五割を石油に依存し、その九割近くを不安定な中東に依存していることは、エネルギーの安定供給の確保について依然として重要な課題であって、いかに自給率の向上を図るかが我が国の今後の発展維持に必要不可欠なものであるということを私は認識しております。

 我が国のエネルギー政策の中で、省エネルギー対策や新エネルギーの推進も大変重要な政策だと思っておりますけれども、同様に、安全確保を前提といたしました原子力の推進と核燃料サイクルを含む基幹電源として着実に振興することは、地球温暖化を防ぐ意味でも世界的貢献という中で重要であって、かつ純国産エネルギーの自給率向上という目的にかなっていると思いますけれども、大臣の御見解をお示しいただけたらと思います。

中川国務大臣 もう武藤委員御指摘のとおりでございます。日本は、先ほどの食料あるいはまた自然資源、それから、実は余り言われておりませんけれども、日本は世界一水を輸入している国でもございまして、人間生活の基本的な部分は全部海外に依存している。食料は四〇%しか自給率がないし、エネルギーにおいては四%しか自給率がない、こういう前提でございますから、世界が平和で、そして仲よくできることによって先ほどのような貿易が円滑に進む、その基幹がエネルギーでございます。

 他方、エネルギーについても、経済産業省は現在戦略の見直しをやっているところでございまして、まだ骨格を議論しているところでございますけれども、基本的には、エネルギーを過度に一つのエネルギーに頼り過ぎないということ、それから一つの地域に頼り過ぎないということ、それからいろいろなネットワークを広げていくということ、つまり、港だけあればいいとかそういうことではないという、いろいろなネットワークが必要であるということ。それから、世界の中の競争、エネルギー競争がますます激しくなってきておりますから、そういうものに負けないような体力強化というものも必要だと思っております。

 そういう中で、また当委員会の御議論も踏まえながらエネルギー戦略を構築していきたいと思っておりますけれども、その中で、やはり原子力というものは、もともと鉱物エネルギーがほとんどない日本においては、ある意味では、自前のエネルギーという位置づけにしますと極めて貴重なエネルギーであります。原子力発電でございますから、まず安全と地元の御理解というものが大前提でございますけれども、それを前提にいたしますと、安定的でクリーンでそして安価であるということでございます。

 ヨーロッパあるいはアメリカ、そしてお隣の中国も含めて、やはり原子力発電というものも、そういう前提を置いた上ではありますけれども、やはり逆の意味の見直し、必要だというような見直しの動きも出てきているというふうに承知をしておりますので、我々としても、もとよりエネルギーのない日本でございますから、もともと高いウエートを占めております原子力発電でございますけれども、いろいろな問題を一つ一つきちっと解決しながら、この原子力エネルギーの位置づけというものもまた確固たるものにしていきたいというふうに考えております。

武藤委員 御答弁ありがとうございます。

 確かに、原子力の安全性ということでございますけれども、国民は特にその必要性を認めながらも、やはり、世界唯一の被爆国である我が国の原子力に対する感情とともに、放射能に対する恐怖感を払拭することが、その安全性を国民に御理解いただくことが大変重要なことだというふうに思っております。そういう意味で、大臣の大変前向きな御答弁をいただきましたけれども、ぜひ今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 ただ、昨年でございますけれども、残念ながら美浜原子力発電所で痛ましい事故が発生いたしました。たしか経年変化によるものだというふうに記憶しておりますけれども、国民の信頼を回復するためには、二度と起こさない、安全規則の徹底と万全な安全対策を敢行しながら、地域についてはもちろんでございますけれども、広く国民に広報を通じて御理解いただくことが大事なことかというふうに思っております。

 その後の状況について、保安院さんから御報告をいただけたらと思います。

広瀬政府参考人 関西電力の美浜発電所三号機二次系配管破損事故を受けまして、原子力安全・保安院としては、再発防止のため、電気事業法施行規則の改正や通達の発出などによりまして、配管の肉厚管理の方法を明確にいたしました。

 また、今回の事故を契機にしまして、運転期間が長期にわたる高経年化プラントの安全性に対する社会的関心が高まりましたことを受けまして、原子力安全・保安院としては、昨年の十二月に高経年化対策室を設置し、体制を強化しますとともに、総合資源エネルギー調査会に高経年化対策検討委員会を設置して、高経年化対策の充実について検討を行いました。

 この検討会は、本年の八月に最終報告書を取りまとめ、高経年化対策を充実させるための新たな施策を提言いたしましたが、原子力安全・保安院としては、報告書の方針に沿って、高経年化対策に係る安全研究のため、平成十八年度新規予算要求を行うなど、各種施策の実現に積極的に取り組んでいるところでございます。今後とも、高経年化対策を初め、原子力発電所の安全確保に全力で取り組んでまいります。

武藤委員 ありがとうございます。

 自給率の確保に対する国民的コンセンサスを得る努力をやはり政府も我々も進めなくてはならないと思います。安全性が確保される十分な管理と広報、告知の徹底及び危険性に対するリスク管理をぜひ今後ともよろしくお願いしたいと思います。

 原子力の安全性の確立は、新エネルギーもそうでございますけれども、将来的には、万全な安全エネルギーの供給技術といたしまして海外への技術供与も国際貢献になると思いますので、積極的な取り組みをぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、エネルギー関連として、現在中東に依存している石油資源についてでございますけれども、我が国のエネルギー確保に対するその必要性からは、至近距離にございます、現在問題になっております東シナ海の問題につきまして、資源問題につきまして重要な拠点であるという認識でございますけれども、大臣の御見解を教えていただけたらと思います。

中川国務大臣 東シナ海というと何かすぐ外交問題みたいになってしまいますので、まず一般論から申し上げますと、日本の排他的経済水域における貴重なエネルギーをきちっと確保し、そしてまたそれを国民経済の中に活用していくということは、どの国にとっても当たり前の大事なことだと思っております。それがたまたま東シナ海ということで、今中国との間でいろいろと協議をしている最中でございますが、日本としては、国際法上あるいはまた日中間のいろいろな取り決め、そしてことしの小泉総理と胡錦濤主席との会談における、東シナ海は日中協力の海にしようという大前提に基づきまして、話し合いと、お互いに誠実に、日本も誠実に、中国側も誠実にこの問題に取り組んで、そして、時間稼ぎをするなんてことのないように、早急にきちっと解決をすることによって日本の貴重な資源を国民経済に活用していきたいというふうに考えております。

武藤委員 大変熱い御答弁ありがとうございます。

 迅速性が大変大事なことかというふうに思っております。もちろん、経産省だけでなく、外務、防衛、内閣府を交えた日本としてのやはり総合エネルギー対策といたしまして、これからの進捗を期待しております。ぜひ大臣には、国益をかんがみ、リーダーシップをとっていただきまして、迅速なる対処をお願いしたいというふうに思います。

 最後になりますけれども、我が国の景気回復についてでございますけれども、日銀が踊り場を脱したという発表をしております。その中で、中小企業の景況について、先週のこの経済産業委員会におきましても、岡部先生や平先生あるいは長崎先生も、まだまだ中小企業は厳しい状況であるという御発言をされておりました。私も全く同感でございます。

 お調べいただきましたけれども、本年七月から九月の中小企業のDIについて書類をいただきましたけれども、私の地元の岐阜県でございますが、全国平均マイナス二四・二ポイントの中小企業の中よりもさらに八・四ポイント悪いマイナス三二・六ポイントを示しておりました。おしりから数えて四番目ということで、大変ショックなデータをいただいたわけでございますけれども、その中では、沖縄、東京がプラス一〇ポイント以上でございましたので、大変、格差がやはり地域の中であるというのを認識しております。

 この辺につきましての大臣の御見解を教えていただけたらと思います。

小此木副大臣 おはようございます。

 私からお答えをさせていただきますが、おっしゃるように、いろいろな見方がございますけれども、数字が示しているのは、やはり日本の景気が確実によくなっているというところでありますけれども、それは業種ですとか、おっしゃったように地域によっても差があるということでもありまして、私も選挙区がありますから、地元に聞きますと、それは、そうはいうものの、そういう感じが全然感じないよという人も多々いることを認識しております。

 そして、今委員がおっしゃいましたように、業況判断DI、七月―九月の数字でありますけれども、岐阜県、福島県、青森県、鳥取県などは全国水準と比較しても低い、特に岐阜県、西の方は悪いというようなことも聞いておりまして、いずれにいたしましても、厳しい状況が続いているという地域が、あるいは業種があるということは認識をしています。

 岐阜県において、景気回復のおくれの原因として、例えば建設業、小売業等の非製造業、こういったもののおくれが考えられます。

 こうした状況を踏まえて、当省といたしましても、中小企業への事業再生支援、これは県の事業再生協議会というものがありますが、そういったものを通じての強力な支援、あるいは資金供給の円滑化、こういったもの等を改めてやってまいりたいというふうに思っています。

武藤委員 副大臣、どうもありがとうございます。

 先般も地元へ帰りまして、いろいろとお話を伺いまして、再生支援協議会の話も、あるいは新連携の話も、大変そういう意味では私の地元の中でも積極的に活用している中小企業もございます。

 ただ、やはり景気が不況の主要な産業というのは、過去一世を風靡しました繊維でございますとかあるいは刃物の商いが非常に低迷している、あるいは、地元牽引役の、今お話がございましたような建設業がもうていたらくもいいところでございまして、そういうような会社が一生懸命賃金を抑えながらも維持努力のために頑張っているという認識をしております。

 ただ、中には伝統的な技術を持った会社もございますし、ある意味で何とか守っていかなきゃいけないという思いもございまして、一説によりますと、後継者がいない、いわゆる中小企業のオーナーが会社をつぶさざるを得なくなっているという状況も聞いております。

 そういう中で、MアンドAの手法が一方とられているという話も伺っておりますけれども、特に十八年度の税制の中にはそのようなあれはなかったと思いますけれども、ぜひ政府のそういうものに対する、少子化の問題もございますし、大変これから厳しい状況を含んだ上で、御見解を示していただければと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 我が国の高齢化が進展する中で、後継者難の中小企業の事業の存続というものは極めて重要な課題と認識しております。

 これまでは、税制面では自社の株式を親族以外の者や他の会社に売却して経営を引き継ぐことを円滑化するという観点から、平成十六年度税制改正において、非上場株式の譲渡益課税の税率を二六%から二〇%に軽減をしたところでございます。また、後継者難にございます小規模企業の後継者確保を支援する観点から、平成十五年より後継者人材マッチング促進事業というものを商工会などで行っているところでございます。

 ただ、後継者難の企業を初めとする中小企業の事業承継問題につきましては、税制や予算といった個別の対応だけではなくて、関連する法制度や中小企業経営者の意識のあり方を含めた総合的な検討が必要だと思っております。

 こうした観点から、今月二十一日に、日本商工会議所や関連します日弁連などなどの士業団体とともに、事業承継問題に係る総合的な検討の場といたしまして事業承継協議会を発足させたところでございます。今後、事業承継の円滑化の観点から、法務、税務、金融などのさまざまな分野の実務家の方々とともに専門的な検討を行い、提言をしていく予定でございます。

 今後とも、こうした場を含め、後継者がいない中小企業が存続していくための有効な施策について、引き続き検討してまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

武藤委員 大変心強い御提案をいただきまして、ありがとうございました。

 全国の中小企業活性化がやはり我が国を支える原動力ということを私も確信しておりますので、ぜひ今後とも御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。

 本日の質問を終わります。どうもありがとうございました。

谷口委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、一般質疑ということもございますので、まず原油の高騰の問題について御質問申し上げたいと思います。

 昨今原油が高騰いたしまして、さまざまな影響を我が国の経済に与えていると思うんですけれども、特に我が党も、九月の下旬でございましたけれども、原油高騰対策本部というものを、政調会長を本部長にいたしまして、私も事務局長を務めさせていただいて、これまでさまざまな原油にかかわる諸団体等々に、いろいろなヒアリングをしたり、何が困っているか等々伺ってまいりました。

 そんな中で、例えば漁業関係の全漁連ですとか、あとは運輸関係、トラック協会ですとか、そのほか中小企業団体、さらには消費者の側もさまざまな影響が出ておりますので、そんな話を伺いながら、昨日官邸へ参りまして、官房長官の方に公明党としての申し入れもさせていただいたんですけれども、この問題は本当に幅広い影響が出ているなと。

 例えば、漁業でいえば、重油の問題でもう漁に出られないという現実がございますし、さらにはトラック関係、特に規制緩和がずっと進んでいく中で、競争原理が働いているんですけれども、価格競争が厳しくなってきている。その上で、さらにコストがぐんと上がったところでそれを転嫁しようとすると、逆にその競争に破れてしまう、こういった問題もトラック関係者の方からも伺いました。

 さらに、いよいよこれから冬を迎える、特に、大臣の北海道もそうですけれども、寒冷地においては生活必需品の灯油、これが昨年は例えば一缶七、八百円ぐらいだったのが今千二百円ぐらいまでになっている、こういう現状で、そうなりますと、本当に生活にも影響する。そういったさまざまな問題を抱えながら、この九月、十月ぐらいは大分安定し始めてきたかなというような感じもするんですが、まだまだ原油の見通しが見えない部分もあると思います。

 そういった中で、まず大臣に伺いたいのは、今、原油高騰の現状、さらに今後の見通しとともに、やはり日本の経済、特に産業に与える影響、これをどのように認識されているかを伺いたいと思います。

中川国務大臣 認識は、結論からいうと高木委員と全く同じでございまして、三十ドルぐらいから、去年からじりじり上がってきて、世の中でよく使われている六十ドル突破、七十ドル突破というのは主にニューヨークであって、直接日本には関係ないのですけれども、これが象徴的であります。日本としての一番身近な指標は、いわゆるドバイと言われている数字など、中東の指標だと思いますけれども、いずれにしても上がっている。

 また、高木委員が御指摘のように、今のところちょっと下がって高どまり状態ということでございますが、原因は、供給側それからまた需要側、そしてまたいろいろな突発的な例えば紛争だとかあるいは海賊だとか、そしてアメリカ大陸のハリケーンであるとか、いろいろなものも含めて、そしてまた、これがある意味では今回の一番の特徴だと思いますけれども、投機といった問題も非常に大きいのだろう、これはもう複合的に全部上がり要因になってきているということだろうと思います。

 世界的な状況を一言だけ申し上げますと、アメリカ、日本、EUといった先進国、日本は石油はもとよりございませんけれども、それにもかかわらず、こういった先進国は影響はもちろんあります。後ほど申し上げます、認識は一緒でございますが。ただ、もっと困っているのは石油のない発展途上国。例えば、アジアでいうと、お隣の韓国であったり、あるいは東南アジアであったり、あるいはハリケーンの影響はアメリカももちろん猛烈に受けておりますけれども、もっと影響が大きいのは中南米の小さな国々であったり、そういうところも、日本としても、先進国としても十分視野に入れながら対策をとっていかなければならない。お金に飽かせて買いまくればいいということになると、ほかの国々、弱い国々に影響を与えるということもやはり念頭に置いておかなければいけないんだろうと思います。

 そういう前提で、日本に関して申し上げますと、全く認識は同じでございまして、みんな困って、これによって困っている業界の代表例は、御指摘のような、まず石油関連の製品をつくっている中小企業であったり、そしてトラック等の運輸関係、これにつきましては北側国土交通大臣と連携をとりながら、北側大臣の御指示を受けながら、私も一生懸命協力してやっていただかせていただいているところでございます。さらには漁船。漁船は、漁業に関しては、例えばサンマ漁なんというのは、豊漁で魚価が下がったにもかかわらずコストが、燃料代が上がっているということもダブルパンチのようであります。それから、農業についても、特にハウス物なんかのような燃料を多く使うようなところのダメージも大きい、ビニール製品も上がっているという状況でございます。家庭においても、私の北海道は灯油をたく比率が高いものですから本当に今後心配でございまして、御指摘いただいたことを感謝申し上げたいと思います。ガソリンが一服している中で灯油がじりじり上がっているという状況であります。

 そういう本当に深刻なところもございますけれども、マクロで一言で申し上げますならば、備蓄はきちっとあります。先日は、百七十日のうちの三日分を国際貢献のために日本が出しているという状況もあるぐらいでございますし、物そのものはある、でも値段は上がっているということでございますので、特に中小企業がダメージが大きいということでございますから、特別相談窓口でありますとか中小企業に対するセーフティーネット融資等、もう既に活用していただいているところでございます。

 冬場に向かって、我々、ますます緊張感を持って、何ドルになるかということは私には予想できませんけれども、とにかく高い状態であることは間違いありませんので、これが産業、国民生活に影響を与えないように、政府全体、また地域それぞれ、いろいろな状況を把握しながら万全の対策をとっていきたいと思っております。

高木(陽)委員 今大臣の方からお話がございましたように、経産省の方もすぐに対応していただいて、セーフティーネット融資ですとかそういった形で対応していただいて、これは感謝申し上げたいと思います。

 それとともに、高どまりした場合、今後、融資等々で乗り切るというのもあるんですけれども、現実問題、やはり価格の問題というのが一番響いてくるわけですね。先ほど、北側国交大臣と連携をとりながらというお話もございましたけれども、要は、コストが高くなった、それを価格に転嫁したいけれどもなかなかできない、こういう現状の中にあって、例えば、九月の二十七日に北側国交大臣が経団連に行きまして奥田会長と会談をして、そういった、業界の中でしっかり話し合ってもらって、これは運輸関係の話ですけれども、荷主さんと運輸業者さん、トラック関係、ここでしっかり話し合って、価格の問題、検討をお願いしたい、こういったお話。それについて、中川大臣の方もいろいろな角度からバックアップをしていただく中で、これは今月の四日ですか、閣議後の会見の記事がちょっと載っておりまして、政府が価格の問題にかかわるということで、経済同友会の北城代表幹事ですね、北城さんが、民間の取引は市場で決まる、コストが上がったらすぐに価格を上げるのは官の発想、政府が一々意見を言う必要があるのかというふうにかみついた、こういう記事がございまして、それについて中川大臣も、反論というか、閣議後の会見でコメントをおっしゃっておられました。

 そういった中で、まさに荷主と業者の関係、業者の方が弱いわけですね。さっき冒頭に申し上げましたように、規制緩和が行われて、すごい、競争原理が働いているのはいいんですけれども、逆に厳しい競争になってしまって、価格を下げなければやっていけない、こういう状況の中で原油高騰の大波が来てしまった。逆に言えば、今度は、中小企業者もそうなんですけれども、元請と下請の関係、やはり弱い立場の人が、コストが上がりましたから価格を上げたいと思いますとなかなか言えない、こういう立場がある。本来だったら自由主義社会ですから市場原理に任せるというのが当然なんですけれども、なかなか、逆に言えば、力のある者と力の弱い者との関係、こういうところから北側大臣も、そしてまた中川大臣もしっかりと見られたと思うんですね。

 ここでちょっと公取に聞きたいんですけれども、ある意味でいうと、元請の方は突っぱねる、もうそんなことをやったらほかの業者にするよ、こんなふうに言う今までの例もある中で、例えば行政の方から、行政指導じゃないんですよね、価格をどうしろとまでは言っていない、しっかり協議をしてくれと。これは全く問題のない、ある意味でいうと政府として当然の行為だというふうに思うんですけれども、これは独禁法から見ても全く問題はないと思うんですけれども、その点について公取の見解をお聞きしたいと思うんです。

伊東政府参考人 お答えいたします。

 行政が相互理解のための協議の場を要請すること、それ自身につきまして独禁法上問題かどうかということにつきましては、その協議の場がどういう場になるかということも関係しようかと思いますが、それが直ちに問題となるということはないと思います。

 先般、国土交通大臣の要請を受けて日本経団連が開催した懇談会の場におきましては、原油価格の高騰が各業界に及ぼす影響等について一般的な意見交換を行い、お互いに置かれている状況について理解を深めるために行われたというふうに承知しておりますし、奥田会長も懇談会のあいさつの中で、運輸事業にかかわる運賃はあくまでも運送事業者と荷主の双方が個別に話し合って決められるものであり、日本経団連がこれに関与することはできないというのが基本原則というふうに述べられたということも聞いております。こうした原則のもとで行われる意見交換、相互理解を深めるための意見交換が直ちに独禁法上問題となるというふうには考えておりません。

高木(陽)委員 法的には全く問題がないと。逆に言えば、だからこそしっかりと政府の方がやっていただきたいとは思うんですね。本来なら政府が口を出さなくても業界の方でしっかりやっていただくのが一番いいんですけれども、なかなかそこまでいかない。やはり強い者と弱い者、こういう中で構成されている構造もございますので。

 そこで、経産省の方として、今後も価格形成の場について、こうしろああしろじゃないんですけれども、そういう要請を働きかけながら、逆にそれをチェックしながら、これは我が党の対策本部で消費者団体に聞いたんです、価格転嫁をするということは最終的には消費者にまで来る、消費者はそれを受け入れられるかどうかということで、オイルショックのときの便乗値上げ、これはもうとんでもない話だと。ただ、消費者団体の方のお話があったのは、物価が上がるというのはなかなか大変だけれども、こういう原油高騰という世界的な状況の中での価格転嫁されてくること、またそれが生活に極端に影響を与えない限りにおいてはある意味で容認できるような、そういうニュアンスのお話も伺いました。

 そういったことを考えまして、今後も経産省としてこの価格の問題についてどのように見ていくのか、またはしっかりと対応していただきたいというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

中川国務大臣 事務方に答弁をというお気持ちだと思いますが、北側大臣と私の新聞記事がきっかけでございますので。

 経済界を代表する方のコメントとのやりとりでございますけれども、あの方は余りにも次元が低いので、もうそれに対するコメントは差し控えさせていただきます。もう高木委員も御指摘のように、自由経済というのはコストと利潤があって、その上で価格が決まって、それに対する買い手と売り手があって、その間には競争もあるでしょう、信頼関係もあるでしょう、しかし、力関係でもってねじ伏せるというのは、これはやはり不公正ではないかと。そういう大前提で、今、高木委員の御指摘の消費者、つまりコストを負担する側でも、ある程度はやむを得ませんねと、消費者の皆さんですら御理解をいただいているのに、自由経済を標榜している人がとんちんかんなことを言うということは、私はこれは、ちょっともう反論する気にもならないぐらい次元の低い方だということだけははっきり言っておかなければいけないな。

 そういう前提の上で、しかし、価格形成は自由だ、でも自由の間にはいろいろな力が働いてまいりますので、それでなくてもトラック業界に関しましては、過積載対策があったりスピードリミッターの問題があったり過度の競争があったりという大変厳しい中で、本来の御自分たちと全く関係のないところでの、たしかコストが三割ぐらい燃料代が占めるというふうに聞いておりますけれども、それが倍にも三倍にもなるということでございますから、国土交通大臣が所管でございますけれども、産業界あるいはエネルギーを所管する私といたしましても、大事な業界でございますので、困っていることに対しては、先ほどのような中小企業対策等々を含めて、我々、与えられた権限の中で、できる限り困っているところには話をよく聞いて、対応できるところは対応させていただきたいというふうに考えております。

高木(陽)委員 力強い大臣のお言葉、ありがとうございます。

 これをやれば解決するというような問題じゃないと思うんですね、今回の原油問題は。まさに直近の問題、きのうも官房長官とお話をさせていただいたときに言っていたのは、すぐできる課題と中長期にできる課題、また、それが予算にかかわる問題または税制にかかわる問題、いろいろお話をしておられました。

 まさに多角的に対応していただきたいと思うんですが、その一つで、これは中長期の問題として、原油の高騰の原因、先ほど大臣もお話がありました。さまざまな要因がある。しかしながら、中長期に見た場合に、この化石燃料、特に石油に関して、中国を初め、これからさらに発展していくであろう国が極端に消費をしている、または消費していこうとしている。我が国の場合には、石油ショックを経験して省エネの流れというのがしっかりとできてまいりまして、また、代替エネルギー等々もしっかり研究しながら対応してきた、こういう歴史、また技術があると思います。そういった中で、中国、さらには東南アジア諸国、これから原油等々を消費していくであろう国々に対して、逆にこのままほうっておけば、技術もない中で、どんどんどんどん消費だけされる、さらに石油が足りなくなる、または高騰していく、こういう要因にもなりかねないと思うんです。

 だからこそ、こういった技術を日本が持っているからこそ、省エネ対策を含めてしっかりと供与していく、また、教えていくと言うとおこがましいですけれども、そういう技術を提供することによりまして、日本だけじゃなくてアジア全体、もっと言えば世界全体が省エネの流れになっていく。これはCO2対策にもなると思うんですけれども、そういった部分で日本の役割というのはどういうものか、またどういうふうにしていこうとしているのか、これについて伺いたいと思います。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、二〇三〇年までの間に世界のエネルギー需要は六〇%伸びるというふうに見通されておりますけれども、その半分はアジアであり、またその半分は中国ということでございまして、これからの国際エネルギー問題また地球環境問題に対応していくに当たりましては、アジアを初めといたします発展途上国に対する対応、協力が大変重要であるというふうに考えております。

 従来からも、アジア諸国を初めといたしまして、日本のすぐれた省エネルギー技術あるいは代替エネルギー技術の分野におきまして協力を進めてきておりますけれども、例えば、具体的な協力といたしまして、平成十六年度からタイ、フィリピンで石油備蓄制度の導入につきましてのフィージビリティースタディーを行った、これはほかの国にもこれから協力をしていく予定でございます。また、省エネルギー技術の普及を目的といたしまして、中国等におきますモデル事業の実施、研修生の受け入れあるいは専門家の派遣等々を行ってきておりますけれども、今後とも、政府あるいは民間企業それぞれ連携しながら、協力しながら発展途上国に対するエネルギー分野での協力を強力に進めていきたいと考えております。

高木(陽)委員 今、長官の方からも、今までも協力してきましたし、さらに協力していくというお話をいただきましたけれども、これは何も原油だけの問題じゃなくて、例えば今、日中の間でガス田の問題等々もありますし、エネルギー政策としてそれを競争して分捕る、こういう発想じゃなくて、逆に、協力をしながら、そしてお互いがプラスになっていく、まさに外交なんですけれども、こういった角度を多角的に持っていくことが今後のアジアの安定を築く上でも必要な部分なのじゃないのかな。まさにそういう役割を経産省また資源エネルギー庁を初めエネルギーを所管するところが大きく握っているのだろうなと。いろいろな課題があります、外交では。でも、逆に言えば、ともに利益になる問題に対しては手を握れるわけです。そういったものをうまく活用しながら今後も展開をしていただきたいな、これは私の考えなので申し上げておきたいと思います。

 原油の問題、まだまだ聞きたいこともあるんですが、時間も限られておりますのでちょっと話をかえまして、政府系金融機関の話を伺いたいと思います。

 というのは、御存じのように、政府系金融機関の見直し、統廃合の問題というのが今議論されておりまして、きのうも経済財政諮問会議等でいろいろと議論があったように伺っておりますし、また、政府・与党として十一月中にはまとめ上げていくと。

 政府系金融機関、これは、特に中小企業においては、まさに政府系金融機関によって救われた場面というのはたくさんあったわけですね。民間金融機関が主導してさまざまな金融の流れというのを築いていかなきゃいけないとは思う反面、全部やってくれたら、もう民間に任せればいいんです。しかしながら、今までの歴史を振り返ってみた場合に、民間の金融機関では切り捨てられてしまう、でも、あと一歩応援があれば、生き返ってきた、または生き残れた、また逆に発展した、こういう場面というのはいっぱいあったわけですね。

 そういう意味では、創業または経営革新、企業再生などの分野では、リスク評価、これはなかなか困難なので、民間の金融機関としてみれば、そこにぐっと融資をしようとなかなかいかない。そういったところで、まさに民間でできないところの補完機能としての政府系金融機関の役割というのは大きかったと思うんです。

 さあそこで、竹中大臣が、さきの記者の質問で、この政府系金融機関問題で、機能を残すのか、機関を残すのか、こういう質問に対して、機能ですと。まさに民間がやっていない、またやれなかった、この政府系金融機関の機能というのは絶対に残さなきゃいけないと思うんです。ただ、形は今のままでいいのかどうか、これはしっかり検討しなきゃいけないんですけれども、やはり、特に中小企業のセーフティーネットたる機能を残すべきである、まさにそこに所管の官庁である経産省もしっかりと頑張っていただきたいと思うんですが、この点についてどのようにお考えか、伺いたいと思います。

望月政府参考人 中小企業は、我が国経済活力の源泉であって、やる気と能力のある中小企業が厳しい環境の中にあってもその力を発揮していくということが大変重要でありますし、中小企業にとって事業資金の円滑な調達ということが極めて重要な課題であって、したがいまして、中小企業金融政策というものは中小企業政策の柱であるというふうに認識をいたしております。

 おっしゃいましたように、商工中金などを初めとする政府系金融機関は、これまで、貸し渋り問題や新潟中越地震、原油価格高騰などへの対応の際には、セーフティーネット貸し付けなどによりまして、緊急かつ機動的な対応を行ってまいりました。また、ベンチャーや創業支援においては、担保や保証がない方々にとって、まさにリスク評価をきちんとした上で、無担保無保証融資や証券化支援などによりまして民間金融機関の補完的な役割を担ってきたというふうに考えております。

 経済産業省といたしましては、こういった中小企業金融の実態を踏まえながら、円滑かつ効率的な中小企業金融が確保されるように、まさにその機能がきちっと果たされるように配意しながら、民間の補完としての政策金融のあるべき姿について政府全体の中で検討されていくものと考えておりますし、私どもも、そういう流れの中で考えていきたいというふうに考えているところでございます。

高木(陽)委員 これは政府系金融機関の問題だけじゃないんですけれども、今回の選挙で郵政民営化というのが大きくクローズアップされました。ただ、私もメディア出身なので、特にマスコミの報道でいつも感じることなんですけれども、物事の本質はなかなか報道されない。表面的な、例えば民営化という言葉だけが象徴化されてきた。逆に、民営化されることによって何がプラスで何がマイナスになるのか、こういったもの、これは私たち議員もまた選挙の候補者でもありましたから、しっかり語って伝えていかなければいけないということでもあったんですけれども、多くの有権者、国民の皆さん方は、なかなかそこの現実問題というのは理解できない部分というのもあったんじゃないかなと思うんですね。

 今回の政府系金融機関の問題というものも、何となく統廃合をする、民間でできるものは民間で、こういうような一律的な言い方でばっとなくなってしまうとなると、これはまた大変なことになる。ここは難しいんですけれども、既得権益を打ち破っていかなければいけないという改革の流れ、これはしっかりと推し進めていく、しかしながら、そこのところは精査をしていくという作業が必要であると思うんですね。

 やはり、政府系金融機関を使って本当にここで生き残れた、また、さっきも申し上げましたように、発展できた、本当に経済の活性化に寄与してきた、こういうような事象というものもしっかりと検証していただきたいと思うんです。

 逆に、民間でこういうことができなかったというのもしっかりと検証しなければ、ただ単に政府系金融機関、政府として政策金融のあり方という全体をとらえるんですけれども、一つ一つの問題というものを丁寧にやっていかないといけないのではないかなというふうに私は常々感じておりました。与党の一員ですけれども、最終的にはすべて国民の生活にかかわる問題であります。だからこそ丁寧にやっていくことが重要であるということを申し上げておきたいと思います。

 時間も大分参りましたので、最後に一つ質問させていただきたいのは、通常国会でも御質問させていただきましたまちづくり三法の問題です。

 今回も衆議院選挙を通じながら、また日常的な活動を通じながら、商店街の皆さん方といろいろなお話をする、このまちづくり三法の改正というものに大いなる期待をしているというのも実感するんですね。我が党も、昨年の党大会のときに、重点政策でこのまちづくり三法の見直しというのを打ち出させていただいて、党内でずっと議論を重ねてまいりました。

 ただ、なかなか、所管の官庁が経産省だけではないということもありまして、そう簡単にいかないというのもあるんでしょうけれども、やはりここは、このまちづくり三法がこれまでやってきた、これもプラスとマイナスの部分をしっかりと精査した上で、逆に私は今の段階ではマイナスの部分の方が大きいだろうな、こういうふうに感じているんですけれども、ここの今後の改正を含めて、そのめどについて、また方向性について伺いたいと思います。

中川国務大臣 私も選挙中全国を回って、いろいろなところで景気の話とそれからまちづくり、代表的なものが中心市街地活性化というか空洞化対策の話、これがやはり国民の大きな関心事項なんだなと改めて認識をいたしました。

 公明党からはことしの夏前ぐらいにこのまちづくりに対しての提言をいただいておりますし、自民党からもいろいろな御意見をいただいておりまして、政府としてもそういうものを踏まえながら今やっているところでございます。

 高木委員御指摘のように、これは七省庁ですかにまたがるものでございますけれども、とりわけ経済産業省につきましては中心市街地活性化、商店街等々でございますけれども、結論的に言うと、これも先ほどの政府系金融機関ではございませんけれども、主役はやはりその地域でございます。その地域がいかにその地域のオーダーメード的な処方せんによって発展をしていくかということを、いかに国があるいは公がお手伝いをしていくかということが、ある意味では大事じゃないかというふうに思っております。

 そういう前提に立ちまして、御提言の中にありましたように、コンパクトなまちづくり、そして人が集まりやすいようなまちづくりという観点から、文字どおりこれも機能論からまずスタートをして、それによって法制度等々改正すべきものがあれば思い切って改正をすることによって、地域が主役のオーダーメードの機能論をどうやって我々がお手伝いをしていくかということでございますので、引き続き高木委員にはとりわけ御指導いただきたいと思います。

高木(陽)委員 時間が参りました。

 このまちづくり三法は本当に期待の大きな法律でございますので、まさに政治もしっかり関与しながら前向きに頑張ってまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

 以上で終わります。

谷口委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 おはようございます。民主党の吉良州司でございます。

 ことしの二月の予算委員会で、きょうと同じテーマで、経済安全保障について、とりわけ資源、原材料の安定確保ということについて中川大臣に質問させていただいたわけですけれども、引き続いて、先ほど来各質問者から触れられておりますように、これだけ原油を初めとする資源エネルギーが高騰する中で、日本の国際競争力を維持していく、日本の繁栄を維持していくという観点から、どうやって日本の生命線である原材料、エネルギーを確保していくか、この点についてもろもろ質問をさせていただきたいというふうに思っています。

 この二月の予算委員会のときにも中川大臣に申し上げましたけれども、その際、特にたまたまなのか、それが経済界というか世界的な関係者をそうさせたのか、昨年の十一月に中国の首脳がメルコスル三国、中南米へ出かけて、特にブラジルとの間で投資協定、その前段のMOUを結んだところで、鉄鉱石が七一%、鉱石価格がアップする、それからオーストラリアの原料炭が二・二倍にはね上がる、こういうようなことがございました。

 今の原材料の高騰というのは、一つは、中国がこれだけ経済発展をしている。日本は中国の経済発展により今現在潤っているんだけれども、中長期的に見た場合に、中国のこの原材料、エネルギー資源の爆食が世界的な高騰と需給関係を逼迫させて、結果的には日本経済を苦しめていくのではないか。こういう問題意識で、特にその中でも、原材料は特に供給元が寡占化をどんどんしている、寡占状態ですね。

 特に鉄鉱石等は、御承知のとおり、今、貿易量の八割は三社が実際に牛耳っているというような寡占状態にございまして、なかなかこちらに対しては買い手が物が言えない、交渉力が弱い。一方、例えば日本の鉄鋼メーカーからすれば、高い原材料は買わされるけれども、一方、ユーザーである例えば家電だとか自動車業界だとか、その辺に対しては、製品に価格転嫁できない。こういうようなことで、川上インフレ、川下デフレという中で、将来的にも日本の企業を苦しめていくのではないか、こういう問題意識で中川大臣に御見解をお聞きいたしました。

 そのときに中川大臣の方から、非常に前向きなというか問題意識を共通したような答弁をいただいたんですけれども、その後、政府として、具体的にこの原料、エネルギー資源の高騰に関してどういう対策を打ってきているのか、また、二月以降、中川大臣の所見、見解に何らかの変化があるのか、その辺についてまずお伺いしたいと思います。

中川国務大臣 吉良委員は世界じゅうでそういうビジネスの御経験が豊富なので、私どもが官の立場で偉そうなことを言う情報の大半は多分吉良さんのような方の情報をベースにしているのも多いんだろうと思いますので、余り偉そうなことは言えないのかもしれませんが、春の御質問の後も、エネルギー資源、それから原材料資源、これは鉄鉱石、石炭からレアメタルに至るまで、依然として高騰が続いているという状況であります。

 これは、一つは需要と供給の価格決定要因もありますし、今御指摘のように、例えば鉄鉱石であれば、いわゆるイギリス系とオーストラリア系とブラジル系と三社がほぼ独占状態。そういう中で、他方、需要側は、中国とか、こういうところが非常に今購買意欲が依然として強いという中で、日本の関係業界、最終的には最終消費者が、価格等の影響あるいは物そのものも物によってはないという状況になっているわけであります。

 まず、国内的には、常にそういうところの原材料の高騰に対してのヒアリングをしながら、いつでも厳しい状況に陥れば対策をとっていく、先ほどの中小企業のセーフティーネットのようなものをいつでも発動できるようにしてございます。日本経済に与える影響もあるわけでございますので、とれる対策は適時適切にとっていきたいと思います。

 対外的には、私は、ブラジルの大統領ともこのお話をさせていただきましたし、ジュネーブや東京等で、オーストラリアの副首相、貿易大臣ともこの話をさせていただいております。

 それから、中国に対しては、先ほどの石油じゃございませんけれども、石油でいえば省エネ、原材料でいっても節約が大事であるということを常に中国に対して私から言っておりますし、中国自身も、幾ら欲しいからといっても高いものを買うよりは安い方がいいわけで、これは、みずからのマイナスになると同時に、あなた方が価格意識なくひたすら買い集めるということは、あなた方も困るでしょう、世界じゅうも困らせているんですよ、だからもう少し節約という努力をした方がよろしいんじゃないんでしょうか、我々には経験がありますと。先ほどの石油ショック、あるいはまた節約という経験がありますので、そんなようなこともデータをつくってお示しをしながら、節約、省エネ、そして環境、こういった、自分のところも困るし人のところにも迷惑をかけるようなことをしないようにするためには、日本としても最大限の協力をさせていただくということで、これに関しては、日中で、あるいは私と相手との間でも非常に意見が一致しておりまして、協力関係の中で今作業を進めているところでございます。

 これはもう日本の生産者、消費者だけではなく、世界じゅうにある意味では影響を与えていることでございますので、今後とも多方面にわたって、そういう過度な、そしてひずみのあるような形の原材料高騰問題、あるいはまた確保問題については取り組んでいきたいと思っております。

吉良委員 ありがとうございます。

 ちょっと今の答弁の中で、私自身が具体的に一つ提案をさせてもらいたいことがございます。それは、今、中川大臣まさにおっしゃった、中国に対して節約を要求している、また環境について強く訴えている、こういうことでございましたけれども、自分自身の経験もあって、実は中国というのは、例えば世銀から借款を受けていろいろなプロジェクトをやっております、例えば発電の建設プロジェクトとかをやるんですけれども。一番の問題は、世銀がお金を貸すときは、当然世銀基準というのがあって、NOx、SOxの基準値というのがあるわけで、当然ながらそのプラントに関してはそれを守らなければ借款を受けられないということで守るわけですけれども、その分、節約できたお金で、今度、どこか内陸部で自国産の粗悪な炭をたいて、NOx、SOx出し放題、こういうことをやっているわけなんですね。

 そういう意味で、私自身は、日本政府として世銀グループに対して働きかけをして、ただ当該プロジェクトだけではなくて、世銀が借款を供与する際には、その国全体がエネルギー関連のプロジェクトを実行する際に一定の基準を課す、そうでなければ世銀借款そのものを供与しない、こういうようなことで、やはり国際機関を利用した訴えかけをすることで中国に圧力をかけていく。

 私は、中国の省エネ、それから節約ということは大賛成でありまして、私自身、最初の予算委員会で、中国向けの借款というのは減らせというか、なくせということを主張した人間であります。その基本的な線は変わっていないんですけれども、一方、今、日本が中国に供与する借款というのはほとんどが人材育成と環境ということになっている。その環境というのは、中国がこれだけSOx、NOxを出し放題し、またエネルギー資源を浪費していく、こういうことを考えて、それが世界的な資源エネルギーの高騰を招いて日本の首を絞めるぐらいであれば、日本の省エネ技術というのはもうある意味で世界的なデファクトスタンダードになっているわけでありまして、そういうものは中国に供与、場合によってはその部分だけは拡大してもいいのではないかというぐらい、マクロ、長期で考えたときに思っております。

 ただ、当面としては、今言いましたように、世界機関に働きかけて中国のそういう浪費を防いでいく、こういうことをぜひやっていただきたいと思っておりますけれども、いかがでしょうか。

中川国務大臣 御趣旨は全く同感でございます。

 日本のODAで、今のお話だと、国内で生産技術、生産活動に効率とか環境問題を無視してもやるならまだしも、それでもって兵器を買ったり、また、これはいいことなのかもしれませんけれども、日本からのお金で空港整備したり港湾整備したりしながらほかの国にまた援助をして感謝されたり、わけがわからないことは厳に慎まなければいけないので、御承知のとおり、ODAも、中国については一時三千億ぐらいあったものが今はもう千億を切っている。

 私も、必要なものは必要ですけれども、切るべきものは切る。常任理事国ですから、核兵器を持っているんですから、ロケットもどんどん成功させている国に、何で日本が、国民が困っているときに必要以上のものを中国に渡して、中国はそれをまた流用したりほかの国にやらなきゃいけないんですか。これは国民的なコンセンサスが得られないんじゃないんですか。何も全部いきなりストップしろとは、今の立場では言いませんけれども。

 いずれにいたしましても、先ほど申し上げたように、これは中国自身を、自分を困らせることなんですね。中国においての環境問題、これは中国自身にとっても困るということは、私の感じでは、少しずつ、人によってはかなり深刻に認識されていると思います。それから、先ほど申し上げたように、中国が環境を悪化させることは、日本にとっては、空気から、空から海からそして食べ物等から日本に迷惑がかかる話ですから、日本のお金で日本に迷惑をかけるようなことだけはしないでくれということを含めてやっております。

 したがって、世界銀行への働きかけ、これも大事な御提言ですが、日本だけではだめなので、例えばアメリカとかEUとか、あるいは東南アジア等、お隣の韓国とか、みんなで一緒になってやると同時に、世銀とか国際機関、WTOとか、世界保健機関、WHOとか、そういうところを通じてやっていくということで、あらゆる手段で中国にわかってもらう。わかってもらいつつあると思いますけれども、一刻も早くそういうことが実現できるように、今の吉良委員の御指摘は全く同感でございます。

吉良委員 さて、先ほど、自民党の議員でしたか、私の前の質問者の質問に対して、これまで石油ショック以降、もろもろの官民一体となった努力によって、資源そのものの多様化、それから供給源の多様化というのをやってきた結果、原油高騰の影響が非常に少なくなったという趣旨の話が、やりとりがあったかと思いますけれども、実際、発電を見ましても、昭和四十八年度ではそれこそ七三%石油に依存していたのが、平成十六年ではそれがもう一二%になっている。こういうような供給源の多様化、まさに官民一体となった努力でこういう危機に対しての抵抗力がついてきたというふうに思っています。

 そういう意味で、今後も供給源の多様化というのを図っていかなければならないというように思っていまして、そういう中でサハリンのプロジェクトでありますとか、ブラジルのカンポス沖の石油掘削リグに対する投融資を国が支援したというようなことですとか、最近、中央アジアにおいてもやはり官民一体となったプロジェクトが行われているというふうに思っておりまして、それをどんどん進めていただきたいんですが、この中央アジアというのは、今後日本にとって非常に重要な地域だというふうに認識をしております。

 ただ、幾つかの点があるんですが、一つは、アフガンの後背地ということもあり、まさにそこへのいろいろな意味での経済支援というのは、テロの根本原因である貧困、その貧困の撲滅に少しでもつながっていくということと、あの地域は非常に天然資源が豊富であり、日本のそういう意味での安定的な供給源ということでも日本の戦略的な支援が必要だろうというふうに思っています。

 第三の点は、先ほどもありました東シナ海のガス開発、これはすぐ外交問題になってしまう、政治問題になってしまう、これはあるわけですけれども、一方で、中央アジアの天然資源を日本に持っていく、開発そして輸送する際に中国やロシアとの共同開発ができる。そういう直接的に利害がまともに対立するところではなくて、ちょっと先のところから協力関係を築いていくことで協力しての資源開発をやっていきましょう、そういう土壌をつくれるのではないか。このように私自身思っておるところなんですけれども、経済産業省として、また大臣としての、中央アジアについての位置づけをどう考えておられるか、ちょっと所見をお聞きしたいと思います。

中川国務大臣 御指摘のとおりで、サハリン、シベリア、そして今お話のあったブラジル、そして最近ではアフリカでも日本は随分頑張って、結果も残し始めております。そして、御指摘の中央アジア、中央アジアにも豊富な石油その他の資源が眠っておりまして、それがともすればヨーロッパの方に行ってしまうとか。それから、中国も一生懸命やっておりますから、カザフから中国へのパイプラインなんというのもあるわけですけれども、これも日本は、先ほど申し上げたように、成果が上がったんじゃなくて、これからエネルギー戦略の中でエネルギーの多様化、地域の多様化を進めたい、一層進めたいという気持ちを申し述べたわけでありますけれども、中央アジアはやはりそういう幾つかの中の重要な地域として、仮にパイプラインを、中国まで行くのであれば、延ばして太平洋、東シナ海まで出すとか、あるいはまた中央アジアのいろいろな貴重な資源を、日本としても大いに開発にも協力し、そしてまたその国の発展にも協力し、そして資源も確保していくということが重要でございます。

 いずれにしても、中央アジアはアジアの仲間でございますし、また日本が貢献できるところもあるし、向こうが日本に貢献できるところもあるので、非常に大事な地域として今後一層重要視していきたいと考えております。

吉良委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。そういう認識の中で、私自身は、根は小泉首相じゃないですけれども、官から民へという、民の力によってこの国の経済を再生させなければいけないという信者でございますけれども、この資源エネルギーの確保についてだけは、官民一体、これが必要だろうという認識をしております。ただ、言い方は悪いですけれども、では官がいつもいつも前に出ていくというのではなくて、民間がやはり必要に応じてやっていくことを官が支えていく、こういう体制であろうかと思っております。

 そういう意味で、資源確保に関する民間支援の具体的施策といいますか、あり方ということについてお聞きをしたいと思っているんですが、先ほど中央アジアのことを聞いたのは、実は私、外務委員会でもちょっと質問をさせてもらったんです。ソ連の崩壊後、いち早くあの地域に対して外交関係を結んだということと、最近も在外公館をほぼ全域に出しているということは評価をするんですけれども、通常、ODAが盛んな地域、また経済交流が盛んな地域というのは経済産業省の出向者が必ず一等書記官としているわけですけれども、この地域にだれもいないんですよね、私が調べた限りでは。だから、そういう意味で、外務省が率先しているとはいえ、まさに資源エネルギー確保という意味での責任を負っている経済産業省として、もっともっと具体的な力を入れていいのではないか、このように思っております。

 時間が限られてきたので、ちょっとそれはそういう指摘をさせていただいて。では、どうやって民間の活動、エネルギー資源の確保プロジェクトに対する支援をしていくか。いろいろな仕方があろうかと思いますけれども、今現在、日本の機関として持っているのは、一つは先ほども、政府系銀行ではありますけれども国際協力銀行、そして経済産業省の傘下であるNEXI、日本貿易保険ですか、この二つであろうかと思っています。まずその二つの、具体的にそういう民間支援ができる組織、このあり方というんですか、一つは国際協力銀行の所管は財務省でありますので、また今自民党も民主党も政府系金融機関のあり方についてまだ議論している最中ですので、なかなか明確な回答はしづらいかとは思いますけれども、国際協力銀行の今言った資源エネルギーの安定確保を支援する組織としての位置づけ、その必要性についてどうお考えになっておられるでしょうか。

石田政府参考人 ただいまの先生の御質問に関して、お答え申し上げたいと思います。

 今例に挙げられましたいわゆるJBICとNEXIの二つでございますけれども、一番典型的には、両者連携をして大きな資源プロジェクトを応援していくというようなことをやっております。例えば、JBICが中心になって民間と協調融資をする、その民間がつけた融資分について貿易保険が付保されるというような形で民間のプロジェクトを後押ししていくというような形で進めているのが、一番典型例だと考えております。

吉良委員 NEXIについては、いまだにというか、国が一〇〇%出資であり、また国が九〇%の再保険を受けているというふうに了解しております。この保険部門が独法、独法という形がよかったのかどうかは知りません、独立したことは私は多とするんですけれども、ちょっとこの関係者に聞いても、もともと、より民間のニーズに迅速にこたえられるように、またサービスを向上するためにということで独立をしたというふうに聞いております。

 時間の関係で、その精神やよしなんですけれども、本当に現場のニーズをきちんととらえられているのかということにちょっと疑問を持っております。といいますのは、御承知のとおり、世銀の保険部門ということでMIGAという組織がございますけれども、そのMIGAという組織は、例えばカントリーリスクを引き受ける際も、カントリーリスクを四つのカテゴリーに分類しておりまして、例えば戦争、内乱というもの、それから収用リスク、そして外貨への転換、送金のリスク、そして、国家によるブリーチ・オブ・コントラクト、契約破棄といいますか違反といいますか、そういうものに分かれておるんですね。

 それは民間からしてみると非常にうなずけることでありまして、例えば中南米諸国。中南米諸国というのはカントリーリスクが大きいと皆さんおっしゃいますけれども、そのカントリーリスクという際に、では、どんなリスクかといったときに、あそこで戦争が起こるというふうにはほとんどの民間企業は考えていないわけですよね。あそこで一番大きなリスクというのは、外貨への転換であり、送金というリスクなんですね。そこさえ確保されれば、ほかについては別に掛けなくていいわけです。保険料を節約できるわけですね。

 例えば、では一方、今申し上げた中央アジアとか中近東、そういうところでプロジェクトをしようとすれば、今度は、戦争、内乱、その辺のリスクも当然ながら付保しなければいけない、こういうようになっているわけですけれども、NEXIが誕生して五年間たつにもかかわらず、いまだに、非常危険といいますかカントリーリスクについては、ばら売りしない、一本でしか引き受けないという状態が続いているというふうに了解しています。

 こういうことで、果たして本当に民間のニーズにこたえられているのかという思いがあるんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

石田政府参考人 ただいまの御指摘でございますが、先生御案内のように、貿易保険、これは独立行政法人化いたしまして、できるだけ利用者のニーズをくみ上げながら効率的に業務を執行するということで今進めているところでございます。

 今御指摘の点でございますけれども、確かに、おっしゃられたように、カントリーリスクを分けて保険商品を提供するということは今現在やっておりませんけれども、これは、一つには、貿易保険事業を引き受けるリスクと利用者の負担というのをいかにバランスをさせていくかということで、トータルとして事業全体の収支を相償させていかなければいけないという枠の中で、商品性をどう考えていくかということで検討しているところでございます。

 今の御指摘の点につきましては、いずれにいたしましても、今後とも、保険利用者のニーズをくみ上げながら、保険利用者にメリットがもたらされるような形で、かつ、その収支相償の原則が崩されないような形でどういうやり方があり得るのか、今後の検討課題ということで考えさせていただければと思っております。

吉良委員 一見真っ当な回答のようには思われますけれども、実は、経済産業省というか、今もNEXIなのか通産本体が受けているのか、ちょっとその辺は定かじゃないんですけれども、もともと先ほど言いました世銀の保険部門であるMIGAの再保険を受けているんです。そのMIGA自身は切り売りをしているという中で、その再保険を受けている日本の保険機関そのものがその商品を持っていない。しかも、確かに保険ですから、それは収支が大事なんでありますけれども、ただ、民間支援というのは、本当はこれだけが欲しいというのに倍の保険料を払わされて、それは国にとっての民間支援ではないと思うんですよ。

 だから、そのところは、国際政治的な意味合いもあってMIGAの再保険を受けているというのはわかるんですけれども、実際、私は何が言いたいかというと、申しわけないけれども、サービスの向上とか民間ニーズをくみ上げるといいながら、まだ専門家が育っていないんだと思うんです。個々のカントリーリスク、個々のプロジェクトをきちんとリスク分析できる専門家が育っていない。

 私は、民間を支援していくためには、このNEXIもJBICもプロ集団になっていかなければいけないというふうに思っていまして、そういう意味で、そういう切り売りをしながらきちっと一つ一つの案件、一つ一つの国に対応できる、そういう体制をつくることそのものが民間支援だ、このように思っております。その辺、政府の見解はいかがでしょうか。

中川国務大臣 私も二十数年前、銀行時代、輸出担当をしておりまして、吉良委員のいらっしゃった会社にも大変お世話になって、輸出為替をいただいていたことがあるんですけれども、輸銀の融資がつく、いわゆるバイクレとか協調融資がつく、それで保険がつく、つかない、そのときに、だめなときも一緒のときもどうしてこの国とこの国が同じなんだろうという疑問を持ったことがございます。

 今、石田局長の方から、全体としてバランスをとるという話と、個別一件一件のバランスと、いずれにしても検討しますという答弁でございますけれども、まさに、冒頭のエネルギー、あるいはまた大きなプロジェクト、国家的にプラスになるプロジェクトは民を官が補完するという形で、JBICとかあるいはNEXIとかいろいろなところがある。そのニーズにこたえなければいけない。

 その場合に、大使館とかジェトロとかいうところだけではなくて目ききが必要だという御指摘はまことに重要でございますし、保険なら保険も、例えて言うならば、風邪を引いた場合と本当に命にかかわる場合と一緒くたにしたような保険一本では、これからの時代には合っていかないということで、検討ということを担当局長が言っておりますけれども、私も、自分の体験としてもこれは極めて大事な御指摘だと思っておりますので、経済産業省一つでできる問題じゃございませんので、大いに政府全体として重く受けとめて、これは早急な問題ですね。さっきの話じゃないですけれども、中国も頑張る、インドも頑張っている、そういう中で、三年後、五年後にやればいいという問題じゃないですね。早急にやらないと、資源獲得競争は物すごいスピードで今やっていますので、早急にやっていかなければいけないと思っています。

吉良委員 前向きな回答、ありがとうございます。

 繰り返しになりますが、国益に関する、経済の安全保障に関しては官民一体となってやる、その際に、官が民を支援する、官の論理を民に押しつけるのではないという支援のあり方を、ちょっと今後も私なりに勉強させていただいて、また質問、提案をさせていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷口委員長 次に、佐々木隆博君。

佐々木(隆)委員 北海道六区、民主党の佐々木でございます。

 原油価格の高騰対策と国庫補助負担金改革の二点について質問をさせていただきます。

 まず、原油価格の高騰対策でありますけれども、先ほどの高木委員と若干重複いたしますけれども、非常に喫緊の課題でありますので、お許しをいただき、質問させていただきたいというふうに思います。

 原油価格の高騰ということで、灯油、ガソリン、軽油、重油など、石油製品価格が値上がりを続けているわけであります。製造業や運輸業などの産業活動や中小企業の経営の影響が今心配をされているところでありますが、これらに対する関連中小企業対策は極めて早急に取り組まなければいけないというふうに思ってございます。

 原油価格ですが、昨年の後半から急騰しておりまして、石油情報センターの調べで、例えば、レギュラーガソリンでありますけれども、東京の店頭売り価格で一リットル当たり昨年四月に百十円であったものが、先月では百三十三円。一年半で二十三円、二一%の値上がりであります。

 私の出身であります、大臣も同じでありますが、北海道では、これから冬を迎えるわけでありますが、灯油が、十八リットル当たりの配達価格で、昨年四月に八百八十四円が、先月には千二百九十一円。この一年半で四百七円、実に四六%も値上がりをしているわけでありまして、道民生活にとっても極めて重大な影響が懸念をされるわけであります。

 平均的な家庭で、大体一冬といいますか一年間に二千リットルぐらい灯油を使うとすれば、この四百七円ですと、五万円前後の値上がり、余分な負担になるということになるわけであります。

 こうした石油製品価格の大幅な上昇ということは、産業活動や国民生活に大変大きな影響が出てきているわけでありますが、このたびの原油価格の高騰の要因及び今後の動向をどのようにとらえているのか、加えて、この原油価格高騰に伴う石油製品価格の上昇の国民生活あるいは産業への影響について、特にどの分野で大きいととらえているのか。あわせてお伺いをいたします。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

中川国務大臣 佐々木委員も私も北海道ということで、これから冬に向けて、特に灯油等の価格が上昇という、全く同じ認識を持っております。

 まず、原因は、需要側、供給側、先ほどもちょっと申し上げましたので簡略に申し上げますけれども、供給側において生産能力目いっぱいになってしまったということが一つ。それから需要側についても、これはまた、いわゆる中国、インド等、経済発展をしている国々が非常に大きな需要圧力がある。それから、これに付随して、エネルギー効率が非常に悪いということもあるんでしょう。それから、これはアメリカが前から心配していたんですけれども、アメリカの精製能力が目いっぱいであったというところに、これはそれ以外のリスク要因の一つなんでしょうけれども、ハリケーンが来ちゃったりして、それでなくても目いっぱいのところに、精製ができなくなっちゃった、今でも目いっぱいなのに、その部分がとまっちゃったということもございます。

 それから、リスク要因としては、紛争とか戦争とか海賊行為といったもの。それにマーケット、ニューヨークのウエスト・テキサス・インターミディエートみたいな、WTIというところが、これは、いわゆるマーケットというのは、先物、つまり投機という部分も入ってまいりまして、こういう不安定要因と先行きのますますの需給のアンバランスというものを見越した動きもあったんでしょう、値上がりを見ますと。それから、余剰資金がニューヨークのストックマーケットやエクスチェンジマーケットに行かないで、オイルマーケットの方に行った方がどうももうかりそうだといって、資金シフトが石油マーケットの方に行っているということも結果的にあるようでございます。そういうものが複合的になって、世界じゅうで影響を受けている。

 日本では、今御指摘がありましたように、先ほどからありますように、石油関連ではどこも影響を受けているわけでありますけれども、とりわけ運送関係、トラック、あるいは内航海運、航空もそうでしょう。それから、石油製品精製のとりわけ中小企業関係。それから、我々のよく認識しているところでいえば、農業、とりわけハウス関係、それから漁業関係、それから、町のお店屋さん関係でいうとクリーニング屋さんなんというのも影響が大きいという報告を受けております。

 今後の見通しはどうかというと、率直に言って、これが高騰が始まる前にすぐに戻るという発言をする裏づけになるようなデータは、現在ございません。むしろ、冬に向かってとか、あるいはまた、ますます経済が発展すればとか、そういう上がり要因はあっても、下がり要因は現在のところは残念ながら、ないという状況でございます。

 北海道に限らずどこの地域でも影響を受けておりますので、我々は去年来、全国二千カ所の例えばガソリンスタンドのヒアリングを毎週やっておりまして、ハイオク、レギュラー、灯油、軽油の値段を都道府県別に平均値を出して把握しておりますが、じりじりじりじり一本調子で上がっておりました。最近ちょっと下がっておりますけれども、それでも製品は上がったまま高どまり状態。原油価格そのものはちょっと下がりましたけれども、高どまり状態ということでございます。

 対策としては、特別相談窓口、政府系金融機関、商工会議所あるいは自治体等の相談窓口、それからセーフティーネット、緊急の場合の融資等々を考えておりますけれども、いずれにしても、全国の問題でありますから、経済産業省だけではなく政府全体、または自治体ともよく連絡をとり、関係業界のヒアリングも引き続き続けながら、今後に向かって対応していきたいというふうに考えております。

佐々木(隆)委員 今、対策などについてもお答えをいただきました。今お話があったように、要因として考えられるものが、極めて短期的な変動によってできてきているものと、長期的な構造的な分野と、両方あるというふうなことだろうというふうに思うんですね。

 この原油価格の高騰のいわゆる長期化がされるのではないかというふうに今大臣はお答えをいただいたんですが、このまま上昇幅が拡大していくというようなことになると、いわゆる消費意欲の減退、特に今の我が国の景気というのは、どちらかというと企業より個人消費が支えているというふうにも言われておりますので、そういった意味からすると、消費意欲の減退、あるいはまた、当然ながら産業の企業悪化など大変大きな重大な状況が考えられるわけでありますけれども、一つには、今大臣にお答えいただきました対策のいわゆる短期的な追加対策をどうするのかという課題があると思うんですね。

 その点と、さらに、エネルギー政策というのは基本的に私は国策だというふうに思ってございます。地方でできることはやはり限られているんだというふうに思います。私自身も地方議員をさせていただいておりましたが、例えば原油のタンク火災などがあっても、地方ができることはもう本当に限られておりまして、防災の一部ぐらいでありまして、やはりエネルギー政策というのは国策に頼らなければならないというふうに思ってございます。

 そういった意味で、先般、原油価格の高騰に対処するための関係閣僚会議が開かれたというふうに承知をしているわけでありますが、今後、この連携の中でどのようないわゆる長期の対策をとっていくのか。長期、短期、それぞれについてお答えをいただきたいと思います。

中川国務大臣 御指摘のように、長期、短期ありますが、とにかくこれは、OECDの統計によりますと、石油価格が十ドル上がったままですと、日本のGDPを〇・四%から〇・五%ぐらい下げるというようなデータを考えますと、去年の初めから、三十ドルから行きますと、例えば日本が関係あるドバイであっても、今六十ドル近くまで行っておりますから、三十ドルぐらい上がっちゃっているということになりますので、生産部門も消費部門も含めて、もちろん中間も含めて極めて影響が大きいということで、短期的には、ですから、緊急の融資、相談、それから、先ほどの運輸関係のように、自由経済の原則ですから、適正な価格転嫁ができるということも、適正なという前提で必要だろうというふうに思っております。

 それから、これは短期になるのか長期になるのかちょっと分類は難しいんですけれども、例えば漁業関係で、非常に困っているわけですが、例えば省エネ。イカ釣り船の膨大なランプを発光ダイオードにかえることによって使うエネルギーが何分の一にもなるとか、あるいはまた、これは初期投資、コストとの関係がありますけれども、省エネという観点からだけ申し上げますと、例えば石油から太陽光でやるとか、そういったいわゆる代替エネルギー的なもの、新技術。

 それから、北海道で灯油が心配だというのは、ただ燃やすので、石油というのはある意味では燃やすだけではもったいない資源でございますから、できるだけ燃やさないようにする、つまり、灯油をなるべく燃やさないようにしていく。家の保温効果でありますとか、あるいはまた、結論的には同じかもしれませんが、ガスとか電気とか、そういったものを使うとか、北海道ですと、これはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、まきストーブを使うとか、私の子供のころ、そんなこともございましたけれども。

 そういう、根っこから省エネ、新エネ、これは技術開発ということと表裏一体ですが、日本ならできるという経験がございますので、そういったことで短期、長期あらゆる手段で、それからもう一つは、国民一人一人あるいは一事業体一つ一つで、例えば省エネ、電気の消し、つけを頻繁にするとか、今後我々またウオームビズという世界に入っていくわけでありますけれども、そんなこと等々も含めて、一人一人のちょっとした心がけが結果的には大きな効果を生んでいくんじゃないかというふうに考えております。

佐々木(隆)委員 先ほどもお答えいただきましたが、発展途上国の需要の増だとか、そうした構造的な要因というものが十分考えられるということ、構造的ということは恒常的ということになるわけでありまして、長期的な省エネ対策など構造改革が必要だというふうに思うんですが、その一方で、中小企業にとっては、先ほど弱い立場のところにしわ寄せが行っているというようなことで、今をしっかり乗り切らなければいけないわけでありまして、そういった意味での短期的な取り組みについても一層の強化をされますように求めておきたいというふうに思います。

 次に、国庫補助負担金改革についてお伺いをいたします。

 現在、三位一体の改革論議がされているわけでありますが、三位一体改革は、真の地方分権を進める上で必ず実行しなければならない改革だというふうに私は考えております。

 政府は、おおむね三兆円規模の税源移譲をするとしておりまして、全国知事会等の地方六団体は、廃止すべき補助金として一兆円のリストを政府に提出しているところであります。こうした中で、先週の十七日に、関係六省庁は、廃止すべき補助金リストについて、極めて消極的なゼロ回答を行ったというふうに聞いております。

 そこで、経済産業省の小規模企業等活性化補助金についても、十月十七日の時点で内閣官房に対してゼロ回答を行ったとのことでありますが、地方に対して明確な説明がなされていないというふうに聞いております。ゼロ回答の考え方と、地方に対しての説明を行ったのかについてお伺いをいたします。

望月政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の三位一体改革についての十七日に内閣官房へいたしました回答につきましては、けさ開かれました国と地方との協議の場、これは地方六団体の長と、それから関係閣僚との間に置かれて協議をされる協議の場がけさございましたけれども、そこで地方六団体に対して各省から御説明を申し上げたところでございます。

 説明した内容につきましては、地方六団体から廃止要望が出ております、私どもで申し上げれば、小規模企業等活性化補助金につきましては、平成十六年十一月、昨年度の政府・与党合意に即しまして、百九十七億円、十七年度予算ベースでございます補助金のうち、約九十六億円を税源移譲のために廃止いたしますが、政府・与党合意では残りの補助金については存続ということになっておりまして、この間、関係者の間でぎりぎりの調整を経たものでございますので、なかなかその合意を超えてさらなる縮減、廃止ということは困難であるという内容のものでございます。

 また、御説明の中では、この補助金のうち残された分につきましては、商工会、商工会議所を通じて大型倒産に関する中小企業者への相談窓口の設置や、あるいは指導員の研修、セミナーなどの施策の普及のための基礎的な費用であるとか等々の、小規模企業者を支援するための重要な補助金でございますという旨も御説明を申し上げると同時に、私ども固有の事情といたしましては、平成七年までに行いました経営指導員の一般財源化というのが、この大きな流れとは別に先行的に一度やったことがあるわけでございます。これが地方に税源移譲されて一般財源化をされている前例があるわけでございますけれども、その中で、必ずしも地方に移譲されたものについて全県すべてきちっと引き続きそういう地方の補助金が支払われていない、県によっては事情が違って大変減額されたこともあるというような事情も御説明を申し上げたところでございます。

 今後につきましては、実は関係大臣会合が二十日にもう行われたわけでございますけれども、三位一体改革の取りまとめに向けて引き続き精力的に調整を行っていくということがございますし、それから、きょうの会合は第一回目だけれども、地方との間で今後とも誠意を持って精力的に協議をしていくというようなことがけさの会議でも取りまとめられた、官房長官が取りまとめられたところでもございますので、全体の流れの中で対応が行われていくものというふうに考えております。私どもも、その一環というふうに考えております。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木(隆)委員 その点については後でもう一度お伺いしたいと思うんですが、実は、さきの会合で、税源移譲後、都道府県の実施状況についてモニタリングを行うというふうに、そういう申し合わせがあるわけでありますが、その取り組み状況ですね。

 それとあわせて、結局、税源を移譲して事業執行をモニタリングするということは、ある意味で政府がチェックをするということになるわけで、結局、分権と言いながら国が関与し続けていくということにつながるのではないか、いわゆる地方の主体性が損なわれるのではないかという懸念があるわけでありますが、その点についての見解をお伺いいたします。

望月政府参考人 御指摘の、今、モニタリングにつきましては、実は、昨年の政府・与党合意の中で、そういった仕組みを検討するということになってございます。具体的には、政府・与党合意の中に書かれておりますのは、「補助負担金の廃止・縮減によって移譲された事務事業については、地方団体の裁量を活かしながら、確実に執行されることを担保する仕組みを検討する。」ということが書かれているわけでございます。

 ただ、現時点でこれについての具体的な仕組みが政府の中でつくられたかということにつきましては、今後検討が行われていくのではないかということで、具体的な動きは私どもとしては承知をいたしておりません。恐らく、ここに明文されておるわけでございますので、今後、その仕組みについて検討が行われるのではないかと思っております。

 もともとこの合意がなされた背景には、移譲された事務事業が確実に執行されるということが前提でこの議論が行われているわけでございますので、そこについて、事業者等補助金を受ける側の大変な心配があったわけでございますので、この一文が挿入されたのではないかというふうに思っております。ただ、その一文の中にも明示的に「地方団体の裁量を活かしながら、」ということがきちっと書いてございますので、新しく検討される仕組みにつきましては、確実に移譲された事務事業が執行されることを担保する仕組みではあるけれども、地方団体の裁量が生かされることに配慮して検討が行われるものと私どもは推測をいたしております。

 繰り返しますけれども、今直ちに、どんな検討が行われているかということにつきましては、私どもはつまびらかに承知しておりません。

佐々木(隆)委員 今のお話もそうでありますが、小規模企業等活性化補助金については、地方六団体は、廃止すべき、こう言っているわけでありまして、ぜひ私は、そういった意味では、地方に移譲すべきものだというふうに思っておりますし、五十八億円そのものが移譲されなければ意味がないというふうに思います。

 さらにまた、今のモニタリングでありますが、地方分権という視点からいえば見直すべき課題ではないかというふうに私は思うんですが、その辺含めて、経済産業大臣の見解をお伺いいたします。

小此木副大臣 私からお答えをいたしますが、この件につきましては、二十日に、先ほども申し上げましたが、大臣が出張中でございまして、私が関係大臣の会合に出席をいたしました。

 三位一体、もちろんこれは大事なことでありますけれども、中小企業のこの関係の総額百九十六億円、この中で、昨年与党・政府の中での合意の話もされました。これを着実に実施をしていくというお話をいたしました中で、その会合の中で、三位一体改革の取りまとめに向けて引き続き精力的に調整を行っていくという流れの中で、さらなる経済産業省としての対応をしてまいりたいと思います。

佐々木(隆)委員 地方分権ということが論議をされて久しいわけでありますけれども、どちらかというと、現在の地方分権の論議というのは財政の問題としてのみ論議がされているというような感じがしてならないわけであります。

 本来、地方分権というのは補完の原則といいますか、国と地方と民間との役割分担というものをどうするかということだというふうに思います。そうした観点から、ぜひこの補助金の問題についてもしっかりとした対応をしていただきますように指摘をさせていただいて、質問を終わらせていただきます。

谷口委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 最初に、きょうは経済産業省の例の裏金問題について質問させていただきます。

 この問題では、国民の皆さんに大変疑念や憤りもありますし、ましてや、この日本自転車振興会からの補助金がこのような不透明な使われ方がされたということで、競輪の施行自治体の方も大変怒っていらっしゃいます。

 私の地元は埼玉の所沢で、競輪があるものですから、所沢の市議会が九月の二十二日に意見書を採択し、衆議院議長あてに提出をされました。ここでも、「厳しい収益状況のなか、施行者が拠出している日本自転車振興会交付金について、経済産業省幹部の補助金の不正流用が発覚しました。これに対して、施行者は強い憤りを覚える」ということを述べております。この外部調査委員会の報告というのがこういった憤りにまじめに答える中身となっているのかということが問われているんだと思うんです。

 そこで、配付資料でお手元に届けている一枚目、これは経済産業省からいただいたんですが、報告書の中でも紹介もされています関係者のF係長のCD―ROMの中にあったデータであります。最初に、このF係長のデータというのはどういう性格のものなのかということについて、簡単に御説明いただけますか。

中川国務大臣 質問の前に、今、塩川委員からのこの企画室問題でございますので、改めまして、当委員会と国民それから施行者と関係者に対しておわびを申し上げたいと思いますし、報告書につきましては、八月の二十九日ですか、国会閉会中、選挙中ということで我々ばたばたしておりましたけれども、そういう中で、報告書を受け取り、公表をし、また処分その他の対応策をしたということでございまして、そういう中での対応をさせていただいたということで、委員長初め委員の皆さんの御理解をお願いしたいと思います。

 それでは、答弁させます。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のF係長のCD―ROMでございますが、これにつきましては、この調査委員会報告書にもありますとおり、F係長が、彼が当時勤務をしておった関係で、一部出納にかかわっていたということでございました。その口座からの彼の担当していた時期の出入金、特に出金でありますが、出金につきましてCD―ROMに記載をしていたということでございまして、このCD―ROM自体、調査委員会に提出をされたというものでございます。

塩川委員 お話にありましたように、出納担当の係長が記録をしていた出金のメモになっているわけです。私はなかなか正直に書いてあるなと思って見ておりました。

 例えば、下の方で一九九九年十月二十五日に「懇親会費」とありまして、金額五万円と出ています。「聘珍楼」とあって、(額面は五万六千八百三十円)とありますから、これはあれでしょうか、差額は皆さんが、参加者が負担をしたのかどうなのか。何にしても、わざわざ括弧して書くぐらいですから、これは表に出ないということを前提に書かれているんでしょう。領収書をもらったのにその領収書も一緒に出てこなかったのも不思議で、それはどこかに使い回しをされているんでしょうか。そんなことも思い浮かぶような、正直な記録であります。

 これは大体が、書籍の購入に当たっての資料が多数であります。上の方から見ましても、「経済要覧」とか「エネルギー・経済統計要覧」とか、こういう本が出ています。随分勉強されているなと思ってずっと見るわけですけれども、例えば、ずっと下がっていきまして、九九年の八月の二十日のところでどんな本を買っているかというと、「分数のできない大学生」、当時大分売れた本かなと思っておりまして、そういった本なども、これも経済・社会・国家のビジョンには役に立つのかなと思っております。

 もともとこのデータ、出金のメモというのは、平成十年度の二十一世紀ビジョン、経済・社会・国家の目指すべき姿に関する研究会に当たっての出納の出金のメモということになっているわけですね。

 そこで、書籍の関係で聞きますけれども、例えば、今言った「分数のできない大学生」の二つ上、八月十日のところに三冊の本がありますが、「さくら日和」という本があるんですけれども、これはどんな本だかというのは御承知でしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 私は存じておりません。

塩川委員 調べましたら、図書館にもありましたけれども、さくらももこさんの本で、漫画とかテレビのアニメにもなっていますちびまる子ちゃんというのがありますね、ちびまる子ちゃんの作家の方が書いているエッセーで、ちょうどこのころに新刊で出された本なんです。なかなか、爆笑エッセーというので中身はおもしろいんですけれども、これが二十一世紀ビジョンにどういうふうに役立てたのかということについては、どのように受けとめておられるんでしょうか。

中川国務大臣 公序良俗違反の文章だとかわいせつとか、そういう御指摘ならば、それは我々も真摯にお答えしなければいけませんけれども、ちびまる子ちゃん、とってもいい番組です。私の子供たちも見るように私が親としても推薦している番組ですから、あたかも、その本が二十一世紀ビジョンとどういう関係があるか、批判的な立場で今まで伺っておりますけれども、一々お答えする必要はないんだろう。結論を、成果を見ていただければ、その中で活用していただいたというふうに御判断していただきたいと思います。

塩川委員 こういった書籍の中で違和感があるという意味で私は申し上げているわけです。

 この本自身はいい本ですよ。それはおっしゃるとおりです。しかし、二十一世紀ビジョンという中で、出されている本の中で、違和感があるということを率直に指摘するのは何が問題なんですか。――いや、いいです、いいです。(中川国務大臣「どういう違和感、どういう違和感がある」と呼ぶ)

 こういった中で、それぞれの専門、経済、財政に関係している本の中で、この本がエッセー集ということについては違和感を感じない方が不思議じゃないでしょうか。私は、この本の書籍というのがこの出納に当たった方の財布がわりに使われているということを率直に言わざるを得ないということを思うわけです。

 その上で、加えて質問しますけれども、上の方で六月の十七日に「寿司」とか「酒」とかとありますけれども、二十一世紀ビジョン検討ワーキンググループのメンバーの慰労会というのがありました。この平成十年度の研究会において、ワーキンググループというのはあるんでしょうか、どうなっていますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の二十一世紀ビジョン検討ワーキンググループでございますが、平成十年度に産研が自主事業として実施をいたしました二十一世紀の我が国経済・社会・国家の目指すべき姿に関する調査研究の一環として設けられたワーキンググループであると考えられます。この研究会には、座長を含め七名の大学教授が客員として参加をしておりましたが、今御指摘のワーキンググループにおきましては、この研究会メンバーのほか省内の職員も参画をして議論、検討を行い、これを踏まえ、最終的に研究会報告書の取りまとめが行われたと認識しております。

 報告書に記載されております同研究会ワーキンググループ慰労会とは、このワーキンググループメンバーで行われた慰労会と考えられます。

 なお、外部調査委員会の方には、この研究会にかかわる資料を提出した上で調査を行っていただいておりまして、委員会の先生方につきましては、このワーキンググループの存在は御認識の上で、その詳細について特段記載はされてないということだと思われます。

塩川委員 外部調査委員会の報告書には書いてありませんね。書いてないのはどういうことなんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今、最後の方で申し上げたとおりでありまして、外部調査委員会の先生方には、調査の過程におきまして、この研究会における、このワーキンググループも含めて、資料をすべて提出をした上で調査を行っていただいております。

 このワーキンググループへの言及はないわけでありますが、この存在は認識をされた上で、その詳細については特段記載をされなかったというふうに認識をしております。

塩川委員 それは大変おかしい。報告書の信憑性が疑われる中身だと思うんです。

 というのは、平成九年度の研究会にはワーキンググループが五つあったと。平成十年度の研究会にはワーキンググループについての記載がないんですよ。平成九年度のところにはきちんと書いておきながら、平成十年度のところには何の記載もないんです。これはどういうことになるかというと、タクシー代の請求の、タクシー代の金額の問題とかかわってくるんじゃないですか。

 もともと、平成九年度では合わせて四十四回の会合があったわけです、ワーキンググループ含めて。平成十年度については六回なんですよ。ワーキンググループが六つとかあるのに、六回とかということは、ワーキンググループの数が入っていないということですよね。それが、結局、E係長の言っている中身として、タクシー代で、こういった会合があったというのに対応して、平成九年度では四百三十万円のタクシー代が支払われた、平成十年度では八十万だった、大きな開きがあるわけです。それは、四十四回、六回に対応しているから、こういったタクシー代の金額の開きになっているんじゃないですか。

 ですから、ワーキンググループをやっているのであれば、もっとタクシー代はかかっていいはずなんですよ。そうなれば、千二百万余りじゃ足りないという話にもなってくるわけですよね。ここには、つまり、タクシー代は使っていない、使っているかどうか、その根拠として、具体的に会合の数が参照されているのに、間違った記載になっているわけです。これじゃ、お手盛りで帳じり合わせをしたと言われても仕方がないんじゃないですか。いかがですか。

中川国務大臣 塩川委員、御承知の上で御質問されているんだろうと思いますけれども、これは私が、内部調査では限界がある、またそういう御指摘を我々は恐れるので、私自身が手塚先生、五木田先生、加々美先生という法律のそれぞれの専門家の先生に外部調査としてお願いをしたわけです。私が委嘱状を差し上げてお願いをしたわけです。時七月六日でございました。

 その後何回あったか私も聞いておりませんけれども、あるときには六時間も七時間もやり、お盆休み、夏休みの季節も返上してずっと何十回とやっていただいて、私に出していただいたのがこの報告書でございますから、これについてけしかるとかけしからぬとか言われましても、これは責任逃れではなくて、先生方の責任において書かれたものですから、それは、タクシー代がいつ何どきどうだった、こうだったという中身についての御質問であれば、わかれば我々お答えしますけれども、これについて記載がどうだこうだ言われても、高橋監察官であろうが私であろうが官房長であろうが、答える権限がないんです。答えられないんです。万が一間違ったことを答えたら、先生方に御迷惑がかかります。

 我々はこれを真摯に受けとめて、今、省内体制の再生化のために懸命に努力しているわけですから、この内容について幾ら我々に言われても、お答えには限界がございます。

塩川委員 であれば、きちんと調べて、後で御報告いただけますか。(中川国務大臣「何を」と呼ぶ)今の問題について。平成十年度の研究会においてワーキンググループが、記載が報告書にないんだけれども、実際にはあるという話になっているわけです。そういう点について、これがタクシー代などの費用に、推測する根拠となっているんじゃないですか、会合の数が。そういったことについて説明責任を果たしてもらう必要があるんじゃないですか。

中川国務大臣 ここに記載されている、あるいは記載されていない、議論にはなったけれども記載されていない、いろいろあるようでございます。それらについては、経済産業省に対して、こういう資料を出してくださいと。我々としては、本当にもう何十年も前のものも含めて、徹底的に出すべく努力をいたしまして、本当にこんなものまで残っているのかというものまで全部お出しをいたしました。

 他方、文書保存規定等々のルールにのっとって、ある意味じゃきちっとした結果、もうない書類もいっぱいございます。文書規定に違反して長期間たまたま残っていた、違反というのはちょっと表現としては、イメージとしてはよくないんですけれども、規定に違反して残っていたものもあって、お出しをいたしました。全部、あるものは出したつもりでございます。

 したがって、そういう前提ではございますけれども、塩川委員から、経済産業省の中で、こういうことにどうだこうだという御指摘に関しては我々の責任で対応させていただきますが、ないものはないし、それから、この報告書についてどうだこうだということに対しては、我々はありがたく、そして身を正して文書をいただいて、今それに沿って省内の体制を進めているところでございますので、それとは区別していただきたいと思います。

塩川委員 であれば、弁護士先生にもう一回調べ直してほしいと頼む必要があるということですよ。信用性が高いという、こういうデータがあるわけです。そのデータに基づいて私が聞いて、この報告書に対応する記述がないんですよ。疑問が残るわけでしょう。これについて聞きたいと言うと、役所じゃ答えられません、大臣も答えられませんというのであれば、これは弁護士先生に来てもらうということも当然必要でしょう。

 その上で、今言った点についてなども疑問が残るわけです。これについて、もう一回調べ直す必要があると思いませんか。もう一回改めて、外部調査委員会の先生方に来ていただいてこの点を確認する、そういう必要があるとお考えになりませんか。

中川国務大臣 細かいところ、さくらももこさんの本がどうだこうだとか、大変詳しくこの報告書を読んでいただいたことは厚く厚く御礼を申し上げたいと思いますし、また、その報告書にのっとって、我々、今、身を正して、まだまだこの経済産業省の不祥事多発問題は継続中だと思っております。そういう状況でございますから、きちっとやりますけれども、この報告書がけしからんとかけしかるとかいうことに関しては、これは先生方に対して、率直に申し上げて大変失礼だと思いますけれども、しかし、先生方に対して、こういう疑問があるということであれば、我々からもお伝えは申し上げます。先生方がどういう反応をされるかは、我々は関知するところではございません。

塩川委員 いや、これは失礼な中身なんです、私にすれば。説明責任を果たしてないんですから。こういったことについて調査委員会の皆さんがきちんと説明をする、あるいはそういう説明の内容について国会に報告する責務というのが大臣におありになるんじゃないですかという意味でお話をしているわけで、ですから、今言ったように伝えていただくということですから、そういう中身での回答もぜひいただきたいと率直に思うわけです。

 同時に、この報告書というのは、産研と研究会、企画室との関係のお金の流れの話であって、もともとの自転車振興会の補助金が産研に流れた、この件については触れていないわけですね。でも、そこに疑念が残っているわけですし、もともと、この競輪施行の自治体の皆さんからの憤りというのも、そこの点が不透明じゃないかということで出されているわけであります。

 ここでも、この報告書にもありますけれども、産研が各研究会の事務局の役割を果たしてきた企画室に対して契約書とか交わすわけですよね、簡易契約書という形になっているわけですけれども。それについて報告書では、「委託研究費の使途につき収支明細書や領収証など証憑書類を伴う収支報告を要求せず、調査報告書が産研に提出されることをもって委託研究の終了とする簡易な精算方式を採っていた」と。つまり、報告書をぽんと出してもらえば、いろいろな伝票とか領収証はつけなくてもいいですよという形での精算の仕方をしていたということなんですよね。

 そこで、思うのは、疑問になるのは、ここで自転車振興会の方にお伺いしたいと思うんですけれども、自転車振興会の補助事業が完了した場合には、補助事業者は二カ月以内に完了報告書を提出することになっています。その際に、その完了報告書の中に添付するものとして、事業の収支決算に関する報告書というのがあるわけです。しかしながら、委託先の産研の手元には収支報告書がないんですよ。証憑類なんかとってないんですから。報告書に書いてあるとおりですよね。そうなると、日本自転車振興会は、収支報告書が存在しない産研からの事業完了報告書を受け取っていたことになると。その結果、多額の残金に気づかないままだったわけであります。

 配付資料の二枚目に、これは、この報告書の後ろにつけられている資料ですけれども、これは産研から各研究会へのお金の振込金額または残高です。言いかえれば、日本自転車振興会から産研に流れたお金の、実際に余ったお金、残高を示している意味にもなるわけですね。ですから、右から二番目の枠に、解約時の残高というのがずっとあります。最後、合計をすると四千百万にも上るんですよね。ですから、二億一千万振り込まれているんですから、二割が残高になっているんですよ。二割も余っているということが長期間続いているんですよ。

 こういう、長期間続いているような残高があるのに、日自振の方は把握もしていなかったというのは、事業の完了報告書にまともな資料も添付しないことを見逃してきた日自振そのものの責任が問われるんじゃないですか。その点はいかがですか。

深澤参考人 お答え申し上げます。

 日自振のチェックの仕方、きちっと証憑書類等、全部チェックした上でもって払ったのか、その点は万全だったのかというふうに解釈いたしますけれども、ただいま現在、当方、文書保存期間というのが五年間というふうになってございまして、それで、問題となりました時期のデータ、産研と日自振との間の補助金の交付に関します書類が現在残ってございませんで、それで、当時の状況がどうだったかということについて、そういった角度からさかのぼるということがちょっと不明な状況であるというのが正直なところでございます。

 ただ、日自振としまして、過去に、いずれにしましてもこういう事態が発生してしまっているわけでございますものですから、だから、結果として、その時点での日自振のチェックというのが必ずしも万全であったとは言いがたいというふうに考えておりますし、反省すべき点もある、こういうふうに思ってございます。

 ちなみに、今どうなっているかということで申し上げますと……(塩川委員「それは承知していますからいいです」と呼ぶ)はい。

塩川委員 反省すべき点があるというか、そもそも産研の方が各研究会と簡易契約書を結ぶとなっているわけですよ。ですから、産研の手元には、調べればあるはずなんじゃないですか。そういうところまできちっと調べるということも含めてやってなかったというところが問題なんですよ。そこが問われるんだと思うんです。そこのところについてきっちりしない以上は、競輪施行自治体の理解も得られない、憤りも抑えられないということだと思うんです。

 大臣に伺いますが、監督官庁として、当時の日自振の補助金交付の実態についての調査をする必要があるんじゃないのか、この点が一点。

 あわせて、交付金制度の見直しなどについても、競輪施行自治体などからも要望も出されています。こういう点について納得が得られるような打開策、方策、そういうのを今具体的に示す必要があるんじゃないか。その点をお伺いします。

中川国務大臣 御指摘のように、日本自転車振興会の監督者は経済産業省でございまして、他方、日自振からいただいたお金について「不適切」「杜撰」という御指摘をこの報告書でいただいているわけでございますので、日自振については、きちっと我々はチェックをしなければいけない。これはもう、今までも当然のことでございますけれども、この報告書をいただいて、日自振との間にも不明な部分があるというような趣旨の御指摘もたしかあったやに記憶をしておりますので、それについては当然、監督者としてやっていかなければなりません。

 それから、この自転車振興会の交付金制度の見直しについては、全体として、今審議会を開いていただいて検討をしていただいておりますが、その中に当然これも入っております。

塩川委員 私は、やはりこういう不透明なお金の流れ方の大元に天下りの問題があると率直に申し上げたい。

 資料の三枚目に示したように、経済産業省含めて、国から日本自転車振興会の会長、副会長に、もう連続して天下りが行われている。副会長職だった方が会長に上がってくる、こういう構図なんかもはっきりとあらわれているわけであります。この産研に対しても経産省からの天下りがある。いわば、この三者が天下りで人的な結びつきがあって、そういう中でのトライアングルが、こういった不透明なお金の使われ方をしていく、その背景をつくっているんじゃないか。

 そういう点でも、私は、やはり国民の理解を得る上でも、こういった天下りについてはきっぱりとやめるということをはっきり申し上げることが信頼回復の一番の近道だと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

中川国務大臣 産業研究所については、もう一切経済産業省からの人間は行かないということを既に決定しております。

 それから、自転車振興会等々につきましては、全体として、政府の方針もございますし、また、これだけ世の中をお騒がせし、当委員会等にも御迷惑をおかけしておりますので、自転車振興会については、一般の原則とはまた違う検討も必要かなというふうに考えております。

塩川委員 けじめのついた対応をぜひお願いしたいと思っています。

 最後に、若干の時間でアスベスト対策で何点か伺います。

 埼玉の羽生市に曙ブレーキ工業という、ブレーキパッド、ブレーキライニングなどをつくっている会社があります。自動車部品では最大手の会社になるわけですけれども、その工場周辺住民や家族の健康被害問題というのが報道もされまして、二十八年前に国に健康被害の状況が報告をされていた。その報告書、これは労働省に対して労働基準監督署から出されたものですけれども、石綿取り扱い従事労働者の家族に死亡者が四名とか、あるいは工場周辺八百メートル以内の一般住民に死亡者が十一名とかという報告が上がっているわけですね。ですから、いわば当時から、二十八年前にも周辺住民に被害があり得るという指摘が役所の中で行われていたわけですけれども、当時は何らの対応も行われなかったわけであります。

 なぜこういう放置をしたのか、厚生労働省にぜひ一言お伺いしたいのと、改めて、現時点でこの報告書についてどういう検証を行ったのか、この点について、これは環境省でしょうか、縦割りにならない形でお答えをそれぞれいただけますか。

松井政府参考人 曙の関係につきましては、現場の署の方で、そういった事態が発生して、地方公共団体等々に署長が対応するというようなこともあったというふうに聞いておりますけれども、ただ、その事態の状況などについての本省での状況把握ということは必ずしも十分ではなかったというふうなことがございました。

寺田政府参考人 お答えいたします。

 この曙ブレーキ工業株式会社における事例そのものについての検証については、これは厚生労働省さんのお話だと思いますけれども、本件事案につきましての環境省の対応といたしましては、現在、曙ブレーキ工業株式会社において石綿にかかわる健康診断等が実施されておりまして、私どももそういう情報の入手に努めているというところでございます。

塩川委員 では最後に、これはぜひ周辺住民の健康被害についての実態調査をきちっと行ってもらいたい、この点、環境省にお答えいただきたいということと、あと、厚生労働省の方に、下請事業者があって、それが廃業しているわけです。そういうのは全国にたくさんあると思うんですけれども、廃業しているような事業所に勤めていた元従業員、労働者の方の健康診断について、きちんと受けられるようなスキームを国としてつくるべきじゃないか、この点を求めたいと思います。それぞれお答えいただけますか。

寺田政府参考人 お答えいたします。

 まず、曙ブレーキ工業株式会社関係の個別事案についての健診についてでございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、曙ブレーキ工業株式会社における健診についての情報の入手に努めているというところでございます。

 また、今後、健診を行うかどうか、こういうことでございますけれども、一般的な健診ということになりますと、地方公共団体がおやりになっていらっしゃる既存の健診制度との関係等々、いろいろと検討しなければならないことがあると思いますので、今後、専門家の科学的な助言も得ながら、関係省とも連携をとりまして検討してまいりたいと考えております。

松井政府参考人 廃業などで健康診断ができない方の点でございますけれども、労働安全衛生法におきまして、石綿作業に従事した方が退職した際、あるいはその後一定の要件を満たしておれば、実は、石綿にかかわる健康管理手帳というものを交付されまして、定期的な健康診断を指定した医療機関で無料で受けることができるというシステムが現在ございます。

 また、石綿健康障害問題というのが今回起こりましたので、手帳を受けてない退職者の方であっても、健康不安を解消するという観点から、事業主に対しまして、石綿に従事し退職した方、こういった方に健康診断を実施するように要請するということとか、それから、石綿を取り扱った可能性のある方に対しましては健康診断を受けなさいよという呼びかけをする、それからもう一つ、産業保健推進センターとか労災病院、こんなところでも健康相談を充実するというような取り組みをやっております。

 しかしながら、事業主が廃業、こういった場合が生じたときには、御指摘のように、事業場による健康診断が受けられないとか、健康管理手帳ももらえない、こういった問題が生じることも確かでございます。そこで、当面の緊急措置といたしまして、こういった方々も含めまして、事業場における健康診断が受けられない方々、こういった方々に無料での健康診断を実施できるように、来年度予算要求を今行っているところであります。

 いずれにしましても、一番初め申しましたように、こういった健康管理手帳にかかわる問題にもつながるということがございますので、実は、八月より立ち上げております職業性の石綿暴露リスクについての調査研究、こういったものを踏まえながら、健康管理手帳の交付要件の見直し、こういったことをする中で、石綿作業従事者の健康管理のあり方を早急に検討するということで臨んでおります。

 以上でございます。

塩川委員 すき間のない救済対策に全力を挙げることを求めて、質問を終わります。

谷口委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四分散会


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