衆議院

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第2号 平成18年2月24日(金曜日)

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平成十八年二月二十四日(金曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 桝屋 敬悟君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    北川 知克君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    塩谷  立君

      平  将明君    長崎幸太郎君

      野田  毅君    橋本  岳君

      早川 忠孝君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    松島みどり君

      武藤 容治君    望月 義夫君

      森  英介君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    川端 達夫君

      吉良 州司君    北橋 健治君

      後藤  斎君    佐々木隆博君

      松原  仁君    三谷 光男君

      高木 陽介君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       二階 俊博君

   経済産業副大臣      西野あきら君

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 竹島 一彦君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   舟橋 和幸君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        松山 隆英君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            谷口 博文君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           藤田 明博君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  松谷有希雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     奥田 真弥君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          北畑 隆生君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            北村 俊昭君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          石田  徹君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     押田  努君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          肥塚 雅博君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        近藤 賢二君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    望月 晴文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           加藤 利男君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

二月二十二日

 独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案(内閣提出第七号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長舟橋和幸君、公正取引委員会事務総局審査局長松山隆英君、金融庁総務企画局審議官谷口博文君、文部科学省大臣官房審議官藤田明博君、厚生労働省医政局長松谷有希雄君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官奥田真弥君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君、経済産業省経済産業政策局長北畑隆生君、経済産業省通商政策局長北村俊昭君、経済産業省貿易経済協力局長石田徹君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長押田努君、経済産業省産業技術環境局長肥塚雅博君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁資源・燃料部長近藤賢二君、中小企業庁長官望月晴文君及び国土交通省大臣官房審議官加藤利男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

石田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤ゆかり君。

佐藤(ゆ)委員 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。本年からこの経済産業委員会に出席させていただくこととなりまして、大変光栄に存じます。何とぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。

 実は私は、民間時代に、大学で経済学をエコノミストとして教えながら、そして投資銀行で機関投資家と日本経済に関しますいわゆるマーケットコンセンサスを形成する議論というものを交わす、そういったただ中に身を置いてまいった一人でございます。

 我が国経済は、バブル崩壊後のストック調整の長期化や小泉政権のもとでの不良債権処理の断行によりまして、デフレが一時的にも加速して景気低迷が続いた集中調整期間というものを経まして、私は、今の景気回復が単なる循環的な回復ではなくて根本的な経済再生局面に入っていると感じている一人でございます。ことしの十月を超えますと、戦後最長であったイザナギ景気を上回る長期的な景気回復局面に入るわけでございます。まさに、小泉政権の改革のもとで民間も必死に努力を行ってきたということによる、我が国経済の再出発と言っても過言ではないかと思っております。

 そこで、今後にとりまして重要なのは、やはり、この景気回復の基盤を今後の少子高齢化の進展のもとでどのように長期的に持続させるのか。たゆまない技術革新や回復基調を地方の経済の隅々にまでしっかりと波及をさせる、地域経済の活性化策等が重要であります一方で、やはり中国を中心としましたBRICs諸国、こういった諸国の新たなエネルギー需要の拡大ですとか競争の高まり、こういったものを受けまして、我が国経済として打つべきエネルギー戦略あるいは産業政策、こういったものに対する中長期的な課題というものが出てまいっているかと思います。

 実際、二階大臣は、経済産業大臣への御就任以来、いわゆる二階三プログラムの策定を目指されております。本日は、そのうちの二つの柱であります新経済成長プログラムとそれから新国家エネルギー戦略について、部分的ではありますがお伺いをさせていただきまして、そして最後に、今国会提出のまちづくり関連の法改正案について御質問させていただきたいと思っております。

 まず初めに、少子高齢化時代の我が国の経済の活力と成長を維持するために、第一弾として大臣が掲げておられます新経済成長戦略についてお伺いいたします。この戦略を通じて大臣が描かれます、我が国経済の今後進むべき方向や成長の原動力となり得る基幹産業などについて、大臣のビジョンをお聞かせいただきたいと思います。

二階国務大臣 佐藤議員は、申すまでもなく、エコノミストとして大変御活躍でありましたが、今回我が党の議員として御活躍を続けておられるわけであります。

 ただいま御指摘にありましたように、日本経済の今日に対して、根本的な回復であるという御意見がなされましたが、私もそのように考えております。そして、人口減少社会においても国富というものは増大をもたらすことができるんだという新しい成長の可能性について、チャレンジをしたいというふうに思っております。

 また、改革の先にあるものは何か、改革改革ということをお互いに励みとしてこれに取り組んできたわけでありますが、その先に一体何が見えるのかということを国民の皆さんに指し示す必要がある。それは、申すまでもなく、日本経済の明るい展望であるべきであります。そのことを国民に示すことが、今私どもに課せられた最も重要な責任であるというふうに考えておる次第であります。

 このような認識に立って、新経済成長戦略の検討を開始しました。前々からものづくり等について御意見を持っておられる東海大学の名誉教授の唐津一先生などは、日本経済低迷がずっと続いている時代でも、日はまた上る、必ず日本経済は成長の路線をたどるであろうということをずっと言われておりました。十年も十三年も続く低迷の中で、この唐津先生の御提案というものはややもすると忘れ去られがちになりかねないような状況も続いたわけでありますが、最近は、御承知のロンドン・エコノミストのビル・エモットさんが改めてまた、日はまた上るということを言われました。

 私どもは、そうした声援にもこたえて、背中を押していただいたような気分で、新成長戦略に経済産業省を挙げて取り組んでいこうということであります。

 新経済成長戦略におきましては、その焦点の一つとして、我が国産業の国際競争力の強化ということに重点を置いていきたいと思っております。

 具体的には、次世代の自動車向け電池、この前総理もお乗りになったようでありますが、私も、時速四百キロ出るエリカという自動車を、慶応大学を中心にして、民間、業界と一体となってこれを開発し、さらにこれからこれを前進させて、一般の皆さんの乗用いただけるような状況をつくっていくということでありますから、政府としても、これを積極的に支援してまいりたいと思っております。

 時間もありませんので一々御説明できませんが、ロボットの問題あるいは先進的医療機器の問題等につきましても、経済産業省が担う分野として、この先端の分野の育成に、研究開発に特に頑張っておられる企業に対して支援をしてまいりたいと思っております。

 また、今がんの問題が大変国民生活としては重要な課題でありますが、がん対策につきましては、川崎厚労大臣と、そして小坂文部科学大臣、それに私どもの経済産業省がこの任に当たるということになっておりますので、我々三省が力を合わせて、この面も力を注いでいきたいと考えておるところであります。

 そして、これは佐藤議員も御承知のとおり、我が国は世界のイノベーションセンターとしての自覚、自信を持って対応していく。特にアジアにおきましては、近隣諸国の皆さんから大変な期待が寄せられておる。私もこの前ASEANの会議に参りまして痛切に感じたことは、日本は我々の兄貴分である、しっかり頑張ってもらいたい、そして日本が我々を引っ張っていってもらいたい、そういうことを率直に各国の閣僚からお話が出たわけでありますが、そうした面も努力をしていきたい。

 そして、ものつくりの問題につきましては、私どもも今、ものづくり懇談会というものを設けて、各界のものつくりの先進的な企業の代表の皆さんにお越しをいただいて、我々は御意見をちょうだいしているところであります。

 私ども、先般約二時間にわたって六社の代表の皆さんの御意見を伺いましたが、こうしたことを経済産業省が、また政府全体がバックアップすることによって、日本の将来は明るいものがある、そういうことを痛切に感じた次第でありますが、そうしたことを具体的に頑張ってまいりたい。

 なお、いつも問題になることは、中小企業、地域経済の活性化ということでありますが、これはやはり、人は宝だということをよく言われますが、私は、この面におきまして、すばらしい人材がそれぞれの産業で活躍していただけるために、その後押しをする、明るい未来の実現に向かって我が国がなすべきことを、国民の皆さんにこの新成長戦略を通じてお示しし、御協力をお願いしたいと思っております。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございます。

 お答えから察しますに、大臣の新経済成長戦略ですけれども、いろいろな、電池ですとか医療機器、そしてロボット等々、やはり技術革新に軸足を置くような形での戦略が一つのポイントではないかというふうにお見受けさせていただいております。

 そこで、非常に時間が限られておりますので、研究開発投資に関する政府の支援策について、その新経済成長戦略の枠組みの中でお伺いさせていただきたいと思います。

 研究開発の国の支援策につきましては、実は九〇年代後半の小渕政権時代などを含めまして、いわゆる景気対策としての位置づけでとられてきた時期もあった。その中で、提案公募型が主流であり、いわば研究開発事業の産業分野がばらばらで、いわゆるばらまき型の支援になってしまったというような時期も一時期あったかと思います。

 そうした中で、今大臣がおっしゃられましたような集中と選択の分野、こういったものを、もう少し国家戦略として、幾つかターゲット産業ということでもう少し明言をしていくことによって、むしろ研究開発活動の選択と集中を促して、資金のばらまきも回避するというようなやり方もあろうかと思います。この点に関する大臣の所見をお伺いさせていただきたいということ。

 それからもう一点、研究開発現場におきまして、やはりその支援、資金ですけれども、補助金なり委託費、こういったものに関します効率的な利用がどれぐらいされているかという、研究開発現場における効率性の問題もあろうかと思います。実際のところ、国際比較で我が国の研究開発活動そのものの生産性、どれだけ事業化につながるかとか特許につながるかというような指標を見ますと、どうもそれほど高くないというような結果も出ているようでございます。

 このあたりの、研究開発の現場における、ある意味で効率性確保のモニタリングの必要性などについて、あわせてお伺いをさせていただきたいと思います。

二階国務大臣 委員御指摘のとおり、我が国の経済産業の活力を中長期的に高めていくためには、何といっても研究開発に重要な役割を担っていただく、また、そのための努力を怠ってはならないと思っております。

 我が国の研究開発の対GDP比率は世界最高水準の三・四一%、これは二〇〇二年の統計でありますが、特許登録件数におきましても、米国に次いで世界第二位の水準にあります。また、政府の研究開発予算の対GDP比率で見ますと、米国を下回るものの、英国、フランス等の主要国とはほぼ同じような水準にあって、約〇・八%程度となっております。

 経済産業省の科学技術関係経費は、政府全体の約一六%、五千六百億円、これは十八年度の予算で、ただいま御審議をいただいておるところでありますが、今もお話にありましたとおり、これをできるだけ効率的に、効果的に活用していくということが大事だと思っております。したがって、フォローアップ等を丹念に行い、対応を図っていきたいと思っております。

 また、特許についても御指摘がありましたが、私は、先般も我が国の代表的な企業の皆さんの御意見の中に、特許についての意見を聞きますと、国内における特許、国際的な分野における特許というのは、出願をしている数とそれによる特許取得の割合を伺っておりますと、大変立派な産業で将来性のある企業は、特許取得におきましても相当の実績をおさめておるということを改めて痛感したものであります。

 これから、特許の問題等については、国内的にまた国際的に、WTO等の場におきましても、特許問題ということに対して十分配慮をしてまいりたいと思っております。

佐藤(ゆ)委員 大臣、ありがとうございました。ぜひとも、そちらの方向性で御検討いただきたいと思います。

 次に、テーマを移りまして、昨日、大臣が中国からの御出張から戻られたばかりというふうに伺っております。日々、大変御多忙な御公務の活動には本当に敬意を表させていただきたいと思いますが、昨日の中国から戻られました結果を受けまして、訪中の御所感、特に、最近やや難航しておりました東シナ海の資源開発問題に関しまして、何らかの進展がありましたかどうか、もし御所感をお伺いできればと思います。

 特に、さきの一月九日に北京で行われました非公式協議の際に、次の第四回の局長級協議を二月前半までには実施するというような動きもあったようでございます。このあたり、何か進展がありましたら、お話しいただければと思います。

二階国務大臣 ただいま御質問のとおり、私は、WTOやAPECのカウンターパートであります薄熙来商務部長、日本流に言いますと商工大臣というところでしょうか、御招待がありまして、再三、中国でお話し合いをしたいという熱心な御要請をいただいておりました。

 私どもの方も、日中間の交流というのは、今日、このように経済的にも切っても切れないような間柄にあると同時に、よく言われるまさに一衣帯水の国であります。ここで向かい合って議論をしたり、向かい合って意見を述べ合うだけではなくて、我々はともに協調して、中国、日本、お互いの国のために頑張ると同時に、アジアのために貢献していかなくてはならないと同時に、今や日本は世界第二位、そして中国は第六位という経済規模を誇るまさに経済大国同士であります。GDPにおきましては、御承知のとおり、世界の一六%を占める。

 この状況の中において、我々は、日本と中国がともに協力し合うことは、両国の国民の利益になると同時に、先ほど申し上げましたように、大きく言えば、世界の経済の発展にも寄与することができる。そのときに、私たちは、何となくわだかまりを持ち、何となく両国の間に暗雲が垂れ込めておるような状況を続けておくということは適当ではないと私自身、判断をいたしておりました。

 そこで、今回の訪中に対して、国会の開会中でありましたが、各党の皆様の御理解をいただいて私は出張を許されたわけでありますが、それだけに、きちっとした成果を上げるということが大事だということが常に念頭にありました。

 そこで、今お尋ねの東シナ海の問題でありますが、私は就任したその日から、東シナ海の問題は、対立の海とするのでなくて、これを友好の海としてお互いに協力し合って、でき得れば共同開発のようなことに達することができればいいという私の思いを常にいろいろな場所で申し述べてまいりました。そのことに対して、やや軟弱ではないかと言いたいような人たちも随分おられたようでありますが、私は、そうではなくて、これは話し合いで解決すべきだと。

 そこで、結論から申し上げますと、今回の会談におきまして、中国の各要人の皆さんとこの問題に対して話をしてまいりましたが、特にトウカセン国務委員との会談におきまして、トウカセン国務委員の方から、政府全体の意思として、三月の上旬に北京で第四回目の開催をしたいという意見の開陳がありました。私は、望むところであり、我が方から、外務省のアジア局長あるいはまた私どもの資源エネルギー庁長官等を派遣して、そしてこの第四回目の会議に入りたいと思っております。

 その他いろいろなフォーラム、省資源の問題あるいは環境の問題等のフォーラムをやる、あるいはまた、中長期的な日中の経済協力についての、お互いに目標を定めて対応できるような研究をともにしようという、これは中国側からの提案でございました。そうしたことにお約束をしてまいった次第であります。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。三月上旬に第四回局長級協議を実施するという方向で日中双方で合意に達したということは、やはり今回の大臣の訪中の大きな成果であったかと思います。改めて御礼を申し上げたいと思います。

 そして、東シナ海、それからロシアのパイプラインの建設も含めまして、この極東地域におけますこれからのエネルギー政策というのは、やはり日本は、これまで省エネ対策等々で世界最先端の国というふうに成果を出してきております一方で、もう少し自主開発比率を引き上げるという観点で、やはりこの東シナ海の問題、それからロシアのパイプライン建設に向けた日ロ経済協力関係の構築、こういったものが今後重要性を増してくるのではないかと思います。ぜひとも、大臣の御指導のもとで、経済協力関係を進めていただきたいというふうに思っております。

 時間も限られておりますので、最後に、まちづくり三法に関します法改正案について少しお話をお伺いできればと思います。

 まちづくり改正法案では、今回、いわゆる人口減少時代に備えまして、大型店舗、大型集客施設の立地を、いわゆる一般的な地方都市におきましては、商業地と近隣商業地に自律的に制限できるような枠組みをつくるという法案が今国会に提出をされているかと思います。

 そこで、二点だけ、法案を拝見しまして、むしろお伺いさせていただきたい点がございます。それは、大変よくでき上がっている法案ではあるかと御評価申し上げたいと思いますが、その上で、このまちづくり三法に関する法改正の中で、特に大型集客施設を逆に郊外における立地を規制して中心市街地に寄せるという中で、むしろそういった枠組みができる中で、中心市街地の空き店舗ですけれども、こちらの方もある程度まとまった土地が得られませんと、なかなか中心市街地に大型店舗、規制は緩和されても立地ができないというような状況があろうかと思います。

 このあたりの権利調整に関する枠組みが今回の法案改正の中でどのような形で展望されているのか、大臣と、それから国交省の審議官の方にもあわせてお伺いさせていただきたいと思います。

加藤政府参考人 ただいまの御質問でございますが、現在、国土交通省で、土地を集約する場合に具体的な手法といたしましては、都市開発事業を行う事業者が所有いたします土地が虫食い状になっている、そういう場合には、それだけでは都市開発事業が円滑に実施できません。したがいまして、事業用地の区域内の虫食い土地と事業用地の区域外の事業者が持っている土地、これを交換する。交換をするんですが、その際に国土交通大臣の認定を受けていただく。認定を受けていただきますと、税制上の特例措置が働くという仕組みを現在持っております。

 これは事業用地適正化計画制度と言っておりますが、この計画制度の適用は、現在、三大都市圏あるいは道府県庁所在地、人口十万以上の市といったところに限られております。したがいまして、今回法改正をお願いしております中心市街地活性化計画、新しい計画でございますが、この計画を認定された土地の区域についても、同じようにこうした制度が活用できれば有効に機能するのではないか、土地の集約化にも寄与するのではないかというふうに考えておりまして、今回、その中心市街地活性化法の認定を受けた基本計画の区域を追加するというような考え方で、集約化の具体的な措置を用意しているという考え方でございます。

二階国務大臣 まちづくり三法の問題に対しての御質問でございますが、中心市街地が空き店舗になっているというこの状況、目を覆うばかりのような場面にしばしば遭遇するわけであります。

 今、経済産業省の方で、出先等も活用して、全国で空き店舗を、どう官民、地域一体になって、協力し合って成功したかという成功事例、これを百種類ほど、もう直ちにやれるわけですから、これをつくって、そして、今空き店舗で困っている皆さんにもそれなりの情報を提供し、御一緒になって取り組む。法律を幾ら完備しましても、やはりそこに住む地域の皆さんの協力がなくては、協力というよりも、むしろ奮起がなくてはできないのではないかと思っております。

 例えば、商店街で何かお祭りをする、催し物をする、みんなが協力するという姿勢が大事であります。今よく地域で聞かれることは、大型店舗が近くにある、しかし、その場合に、私たちの地域で催す催し物には協力してもらえないと。今度、大型店舗の方に言わせれば、ちゃんと寄附もしていますし協力もしています、こう言うんですが、そこらのところがもうちょっと融合といいますか協力し合う体制が必要ではないか。

 ですから、私は、かなり極端でございますが、経済産業省も、ただ指導するというふうな、そういう態度ではなくて、現場に出向いて、そして、商店街活性化で頑張ろうという地域については、一週間でもその地域に滞在、駐在して、一緒になって取り組むというぐらいなことをやって、本気で政府がこの問題に取り組むんだということをやはり示さなくてはならない。

 そして、こんな場合に地方ということをよく言われるんですが、私が今住まいさせてもらっています東京・新宿の河田町でも、もう本当に、ここにこんな店があったんだな、ここにこんな店があったんだなということを私は散歩をしながら見て回るんですが、このクリーニング屋さんの出ていった後にどんな店が入るのかなと思って、時々時々注意して見ておっても、いまだにそれが解決されないというふうな地域もあるわけであります。私は、これは東京、地方、もうすべての、日本国じゅう、全体の問題だと思います。

 これらについて、やはり商店街の皆さんの奮起をお願いすると同時に、政府も出先の県も市町村も懸命に取り組むことが大事だというふうに思っておりますが、経済産業省の分野におきましては、この問題を何とか解決できるように、口先だけの話ではなくて、実際に対応していきたいというふうに思っておる次第であります。

佐藤(ゆ)委員 大臣、ありがとうございました。ぜひとも、これからは、少子高齢化の時代の中で、中心市街地が高齢層だけが残ることのない、やはりドーナツ化現象を逆転させて、中身のある、ある意味であんパンに戻していくというような形での中心市街地に向けて、ぜひ御活躍いただきたいと思います。

 本日は、本当にありがとうございました。

石田委員長 次に、橋本岳君。

橋本委員 自由民主党の橋本岳でございます。

 昨年末から、経済産業委員としてこちらに参らせていただきました。しっかりと任務を果たして頑張ってまいりたいと思いますので、御声援にもこたえて頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 また、きょう質問の機会をお与えいただきまして、委員長初め理事、委員の皆様に感謝を申し上げるとともに、答えをいただきます大臣初め経済産業省の皆様に心から御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 さて、きょう、私の方からは、大臣所信にて触れられました、先ほど佐藤議員からも質問がございましたが、新経済成長戦略、五月をめどにまとめられるということですが、これについて御質問をさせていただきたいと思っております。

 この経済成長戦略、おととしから新産業創造戦略というのがありまして、去年、それを更新した新産業創造戦略二〇〇五というのを出されて、ことしのバージョンをつくられるというものと承っております。

 特に、おととし、去年の戦略の背景としては、景気が緩やかに回復をしてきている、あるいは国際競争が激しくなってきている、特に中国、韓国などが台頭してまいりまして、成長してまいりまして、相対的にアジアの中での日本の地位が低下してきている、日本だけが目立っているというわけではなくなってきているというような状況、あるいは、少子高齢化、そして去年から人口が減少してきているという状況を受けまして、例えば、労働力が減少してくるのではないか、あるいは、国家経済にとってみても、社会保障費がどうしても伸びていってしまうために、財政的にも大変困難な状況が続くというような背景の中で策定をされたものと承知をしております。

 特に、きょう私、今申し上げました中で、少子化によりまして、これから労働力が減少していく、各企業にとってみれば、労働力の確保が難しくなってくる状況がもう直面しつつあるということに大変関心を持っておりまして、そういう面からの質問をさせていただきたいと思っております。フリーター、ニートという問題も言われるわけでございますが、まず、それ以前に、労働人口全体が少なくなってきているということを踏まえた議論を私たちはしないといけないと思っております。

 資料にも、お配りをさせていただいていると思いますが、上のグラフをごらんいただければわかりますように、労働市場への参加が進むケース、進まないケースという形で二通りの予測がされております。この範囲のどこかで位置するんだろうと思いますが、いずれにしても、これから労働人口、労働力というものは、日本の労働力は減っていくという状況を前提にして物を考えなければいけない。

 これは裏返しになりますけれども、団塊の世代の方々が大量に退職をされる二〇〇七年問題というものが、ことし二〇〇六年ですから、もう来年ということで、これももう直面をしている危機というふうになっております。企業側としては、景気も改善をしているということがありまして、これから雇用者をふやしていこうと思われても、なかなか求人をしても人材の確保が難しいという状況もあるようでございます。

 これもお配りした資料の下の方のグラフをごらんいただければと思いますが、こちら、特に中小企業、百人未満あるいは三百人未満の企業では大変求人倍率が高くなっておりまして、新たな新卒労働力の確保が大変難しくなっているという状況がこのグラフにもあらわれておりますし、また、私の地元、倉敷にも水島コンビナートがございまして、石油化学あるいは鉄鋼、自動車といったような産業が集積をしておるわけでございますが、そちらの方に伺いましてお話を聞かせていただいても、やはり新たな労働力の確保というのが今大変問題になってきているという背景がございます。

 そのような中で、今回出される新経済成長戦略がどのように経済を成長させていくのかというところが大変問われてくるんだろうと思っております。というところで、質問に参ります。

 まず、簡単に、新経済成長戦略の問題意識、ポイントといったものの概要を改めて教えていただけませんでしょうか。大臣、お願いします。

二階国務大臣 現在、我が国の経済は、外需と民需の両輪に支えられてバランスのよい回復を続けてきておりますが、業種、規模、地域において、まだまだ御指摘のように状況にばらつきが見られる。また、急速な少子高齢化、人口減少、こうした構造的な課題も存在することは事実であります。

 しかしながら、ようやくにして景気回復の兆しが見えてきた今日、人口減少社会とはいえども、国富の増大をもたらす新しい成長が可能であるという判断に基づいて、私たちは新たな政策を打ち立てていきたいと思っております。先ほども申しましたが、改革の先には何があるのかということを国民に示すことが政治として極めて重要であるという認識に基づいて、新成長戦略の検討を開始したところであります。

 しかし、今も議員からも御指摘がありましたように、よく、役所はこういう政策を打ち出すことは上手でありますが、ややもすると、すべての面で実行できておるかといいますとそうでもない部分があるわけです。華やかに発表はするんですが、そこから先が進まない場合がある。私は、そうではなくて、できるだけ多くの皆さんの御意見を伺い、役所が机に向かって書く戦略ではなくて、本当の意味での、地域の皆さんの生の声、場合によっては悲痛な声もあります、そうしたものを新成長戦略の中に入れる。

 また、私は、昨日も中国でも申し上げてまいりましたが、日本経済もようやく回復の兆しが明らかになってきた、このときに、我々は新たな成長を目指して新経済成長戦略を策定中だ、そうした中で、日中の関係はどうするか、対アジアとの関係をどうするか、世界との間ではどうするかということも明確にしたいということなどを申し上げてまいりました。

 いずれにしましても、イノベーションセンターとしての日本の位置づけというのが大事であると思います。そのためには、やはり企業そのものが自信を持って、そして新しい技術を開発していくためのチャレンジ精神を持つことが大事であると思っておりますので、その後押しを、私どもはしっかり支えてまいりたいと思っております。

橋本委員 ありがとうございました。

 まさに、イノベーションセンターとしての日本、あるいはその技術開発のためのチャレンジ精神をということで、本当にそういう意欲を高めていくことが重要であろうというふうに私も思っております。

 が、もう一度確認みたいな形にもなりますが、先ほど申し上げましたように、やはり労働力の確保、実際に働く人がどれだけいるかということは、いかに気持ちがあっても必要なものは必要というふうに考えられるわけでもございますが、その労働力の確保が難しくなっているような状況下において、具体的にどのような方策を持って我が国の経済成長というものを実現させようとされているか、その方策について、副大臣、お教えいただけませんでしょうか。

西野副大臣 まさに時代が、少子化時代でもありましょうし、かつまた一定の団塊の世代ということもございまして、労働力の問題については、お示しのとおりそういう状況にあるというふうに思っております。

 それに対してどう確保していくのか、具体的なお話でございますが、例えば、経産省として考えておりますことは、人材投資促進税制というものを導入いたしまして、訓練を行いました者に対しては一定の税制の優遇措置を講じるとか、あるいは、それぞれの現場で技術だとか技能を伝承していくための拠点としての、例を挙げましたら金型もそうでございましょうし鋳造もそうでございましょう、そういった点について、専門職の大学院といいますか、そういうものがあるわけでございまして、大学を支援していくとか、あるいは、地域におきましては、高専、工業高等専門学校あるいは工業高校等々がございますので、それらと連携をして人材育成にぜひ取り組んでいきたい。

 いずれにいたしましても、ものづくりは人によって、優秀な人材が必要なわけでございますから、経産省といたしましても、さらに、昨年あたりから取り組んでおりますものづくり大賞、いわゆる顕彰する意味で、そういう賞も設置をいたしまして昨年あたりから顕彰いたしておるところでございまして、大いにその人材の発露を願いたいというふうに思っておる次第であります。

橋本委員 ありがとうございます。

 そうですね、人材力を育成するためのいろいろな取り組みというのは大変重要だと思いますし、また、マクロな視点で実際労働力がどうなるのかという検討、もう既にされていると思いますが、そういう側面でもぜひ御留意をいただきたいと思っております。

 次の質問でありますけれども、今回、戦略という言葉を用いておられますが、戦略という意味は、恐らく総合的に全部やりますというのじゃなくて、ある部分に戦略的に、目的に沿って、ある目的に対して、そこにある資源を集中していくというような意味で戦略という言葉は使われるんだと思います。今回の新経済成長戦略においてどのような、今申し上げましたように、じゃ、日本を成長させていくといったときに、多分漠然と皆さん応援していきますというのでは効率的じゃないだろうと思われるわけであります。

 そこで、どちらかの、例えば産業の分野、ここを伸ばしていきたいというようなところですとか、そういうような対象、ターゲットのようなものを今お考えでしたら教えていただけますでしょうか。また、その方策というものについて、御答弁をお願いします。

北畑政府参考人 新経済成長戦略の中でどういう分野に成長を期待していくかという御質問かと存じますが、大きく分けまして二つの分野で考えていきたいと思っております。

 一つは、世界最先端の産業を育てる、国際競争力のある産業を育てるという方向でございます。二つ目は、現状ではおくれている、生産性の低い分野であるけれども、将来においては大きな需要が見込める、言葉をかえれば、高い成長が期待できる分野についててこ入れをしていく。この二つの方向ではないかと考えております。

 前者について具体的に申し上げますと、次世代の自動車向けの電池でありますとか、先進的な医療機器でありますとか、ロボット、情報家電、日本の将来の基盤産業となり得る分野につきまして戦略的に、中長期的に産業を育てていくということであろうかと思います。また、日本のものづくりの強さの原点であります高度部材産業、これは多くの中小企業が含まれておりますけれども、こういった中小企業の基盤の高度化、こういったものにも取り組んでいく必要があると思っております。政策といたしましては、研究開発の推進、知的財産権の保護、こういった施策が重要な役割を果たすものと考えております。

 二つ目の分野につきましては、GDPの六割を占めますサービス産業の分野において、健康、福祉でありますとか、対事業所サービスでありますとか、あるいは国際的な点も含めた観光業、こういった分野について生産性の向上に取り組んでいくということが重要であろうかと考えております。施策といたしましては、人材の育成、ITの活用、ベンチャー、ニュービジネスの振興などの施策が重要ではないかと考えております。

 いずれの点につきましても、現在策定中の新経済成長戦略の中で、多くの皆様方の御意見を聞きながら、具体的に検討を進めてまいりたいと考えております。

橋本委員 ありがとうございました。

 主に二つの分野、世界最先端の分野を発展させる、そしてまだ生産性はそれほど高くない分野を伸ばすという二つの戦略をお持ちということで理解をいたしました。先ほどちょっと、サービス業、観光業といった話もありますが、これらの業界の生産性というのは、実態をどうはかるのかというのは実はちょっと議論が要るのではないかと思いますが、それはちょっとまた機会を改めさせていただきたいと思います。

 最後に、私から質問させていただきたいこと。

 今、国際的な競争力を高めていきたい分野として、例えば電池ですとか医療機器、情報家電といったような分野を挙げておられましたけれども、これまで日本の高度経済成長を支えてきた産業、具体的に申しますと石油化学産業あるいは自動車、鉄鋼といった、これまで支えてきた産業というものも、最初から私が申し上げております、例えば労働力の不足の問題といったものに具体的に直面をしてくる状況というのはあるわけであります。

 今回の戦略におきましては、先ほどおっしゃったような二つの方針に沿ってその産業を選んで、そこに資源を集中させていく、できるだけ厚みを持たせていくということだと思いますけれども。実はそうじゃない、これまでの日本経済を支えていた分野についても、もちろんこれを維持していかないといけない、あるいは、イノベーションという先ほど大臣がおっしゃった言葉もございますけれども、によってさらに再生をさせて、活性化をさせていくということも必要ではないかというふうに考えておるわけであります。

 そこで、先ほど政府委員から御答弁をいただいたような、すばらしい、これから成長していくような産業という以外の、これまでの逆に日本経済を支えていた産業について、特に私は労働力が減っていくという中で、実はこれは大変死命を制するような問題になっていくのではないかと思っておりますが、その中で、企業としてもちろん努力をして取り組んでいかないといけない面もあると思いますし、それを行政としてどう支えていくのかということを、最後に大臣にお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 御指摘のとおり、少子化の進行とともに、団塊の世代という方々が一斉に退職されることが間近に迫ってきておるわけであります。

 御指摘のように、私は、こうした皆さんの、今日まで日本経済を支えてこられたということに対して、改めてこの国全体で敬意を払わなくてはならないと同時に、こうした、考えてみれば日本の宝物のような存在の、特に技術を持っておられるような方々、そのまま引退して引っ込んでしまわれるのでは本当にもったいないわけでありまして、こうした皆さんに御協力を願って、もう一度、企業のために、地域のために、あるいは大きく言えば国のためにやってやろうという気持ちを持っていただいて、対応していく。そのためには、経済産業省としても、そうした面での再就職等についての道を開くということは重要な課題だと考えております。

 特に海外での日本の協力等が言われておりますが、私は、機械を送り込むことも、また地域のインフラの整備に投資をすることも大事なことには違いありませんが、やはりポイントは人材だと思うんです。人をどう供給してお互いに協調する道を選ぶか、そういう意味では、この先輩の方々の今日までのそういう蓄えた技術や知見を、日本経済の発展に、次なる発展にもう一度お力をいただきたい。

 その人たちが活躍できるような場所として、先ほど来申し上げてまいりましたように、副大臣からもお答えしましたが、国立高専や、あるいは工業高等学校等を今さらに活用し、私は、この面で文部科学大臣ともしっかりした話し合いを改めてやらせていただきたいと思っておりますが、そういう面でも、今までの、他の企業で活躍しておったような人たちを、もう一度そこで短期間研修していただいて、再生して、新しい分野で活躍いただくというようなことも、ぜひ考えていかなくてはならないと思っておるわけでございます。

 いろいろ、日本の企業でしっかりやってこられた技術者が、定年退職、退職したと同時に韓国や中国にどんどんと採用されていくというような事例もよく耳にするんですが、それはそれで、また新しい分野を開く意味では結構なことには違いありませんが、私はこれは、先ほども申し上げましたように、いかにももったいないことだと思います。日本の社会、日本の企業、みんなで育て上げたその力を、もう一度まだやる意欲とそうした体力の許す方は、ぜひ御参加をいただけるような道を開いていくということが、我々に与えられた重要な仕事の一つであろうと思っております。

橋本委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。

石田委員長 次に、藤井勇治君。

藤井委員 自由民主党の藤井勇治でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 私は、今後の我が国のさまざまな地域の発展、特に中心市街地の活性化について、まず質問をさせていただきます。我が国は、今後急速に高齢化社会が進み、本格的な人口減社会に突入いたします。そういう社会構造の変化の中で、地域はどう発展していったらいいのかという問題でございます。

 実は、私の地元の滋賀県の長浜市でありますが、中心地はおかげさまで一つの成功例と言える面があるので、御紹介をいたします。

 長浜市は、合併前、人口六万二千人の市でありました。地元の商工会議所や民間の皆さんの努力や創意や工夫の結果、町の郊外化に伴い衰退していた昭和の時代からは考えられないような、活気のある町並みの変遷を遂げております。黒壁銀行という明治時代の第百三十銀行長浜支店が売りに出された際、地元の有志の皆さんが集まり、貴重な由緒ある明治の財産であるからこの財産を守るために買い取って、そして外壁を修復、復元して、それとともにガラスショップ、ガラス工房などを融合させた魅力あるまちづくりに努めた結果、何と観光客が年間二百万人を超えるというにぎわいで、町はにぎわいを取り戻しました。

 しかしながら、その長浜の町でさえ、中心市街地の商店と郊外の大型店との競合や空き店舗の問題など、幾つもの解決すべき問題点を抱えております。さらに、全国に視野を広げてみますと、中心市街地がシャッター通りと化し、このまま放置すれば、それぞれの文化や歴史、町の顔という存在であったものが回復不能、すなわち、瀕死の状態に追い込まれているところが多いと思います。私は、各地域において無駄な公共投資を防ぎ、住民が真に暮らしやすいまちづくりをするために、大臣が所信表明演説で述べられたように、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりを積極的に推進していくことが極めて重要であると考えます。

 先般、経済財政諮問会議におきまして、まちづくり三法の見直しに関して構造改革の流れに逆行するのではないかと指摘がされたとも聞いていますが、私は、今回の法改正の本質は、地域で暮らす人々が、自分たちの町をどのように変えていくのか、みずから選択し実現していく環境を整備するというものであると理解をしています。

 改めて、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりの重要性に関する大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

 さらに、まちづくり三法の見直しについて、この二十日付の日本経済新聞によりますと、政府の、大型店の郊外出店を規制することに反対、六五%という調査結果が報道されておりました。これは、郊外に出店と市街地の活性化を同列に議論すべきではないと消費者が見ているということかもしれません。

 あわせて、私は、中心市街地活性化のため、最も重要なのは、民間と行政が一体となった地域の関係者の努力であると思っております。しかし、国としても、決意を持って中心市街地の再生や活性化に取り組む人々を徹底的に支援していただくということが必要と思います。

 今後の中心市街地活性化の支援に向けた大臣の決意をお伺いいたします。お願いいたします。

西野副大臣 お答えをいたします。

 藤井先生の地元の長浜市での、いわばこれは、商店街の疲弊した中で活性化した一つの成功例ではないのかなというふうに思っております。大変関心を持って、興味深く今聞かせていただいたところでございます。

 要は、お示しのように、商店街が疲弊化していくということは大変残念なことでありますし、そもそも、私は、商店街というのはその町を形成する中で中心的な存在であるというふうに思っております。ならば、その商店街が町の中心であるということになりますれば、当然そこににぎわいが必要なわけであります。そのためには、都市のいろいろな諸機能というものをそこに集約していく、いわば、お示しのように、コンパクトでにぎわいのあるまちづくりというものが必要であるのではないかなというふうに思っております。

 そのためには、これも大臣が先ほどお答えになりましたけれども、単に、法律、今回も中心市街地活性化法案を出しておるところでございますけれども、その法律だけにとどまらず、現地の、いわゆる地元の民間の方々と、そして行政が文字どおり相互に連携をするということ、それが有機的に働いていくことにならなければならぬというふうに思っておるわけでございますので、ぜひ民間と行政が一体になった取り組みを総合的に進めていくということが重要であるというふうに思っておる次第でございます。

 したがいまして、まちづくりに携わります多様な主体がこの中心市街地の活性化協議会を形成して、その内容について検討をしていく、そしてそれを力強く支援していく、こういう体制をとらせていただきたいし、先生のお示しの成功例等も大いにひとつ参考にいたしながら、創意と工夫も含めて取り組んでいくべきだというふうに思っております。

藤井委員 どうもありがとうございます。どうぞ、引き続いて強いリーダーシップでお願いをいたします。

 次に、支援に関連して、二点質問したいと思います。

 一つは、先ほどお話しした長浜市の中心市街地の黒壁でありますが、これは、株式会社形態、第三セクターで事業運営をいたしております。やはり、銀行からの借り入れに当たって、社長などの個人保証が必要だったようであります。年間二百万人もの観光客を呼ぶ呼びかけ、大きくまちづくりに貢献している公の会社であるわけですから、個人保証に依存しない、例えば公的な利子補給制度などの支援の充実は図れないものでしょうか。お伺いしたいと思います。

 二つ目は、余り規模の大きくない商店街の中小小売業者さんから、中心市街地に対する支援のみが強化されて、自分たちは取り残されるんじゃないかという声も寄せられました。こうした不安の声をどう払拭するのか、経済産業省の考えをお伺いいたします。

望月政府参考人 長浜市におきますまちづくり会社の評判については大変私どももよく承知しているところでございますので、こういった取り組みが広まるということは非常に重要なことであると思いますし、具体的に、これからの三法改正後の新しい中心市街地活性化の政策においては、立派な先例として私どもとしては大いに評価していかなきゃいけないと思っております。

 その際、まちづくり会社というものをどういうふうに支援していくか。現時点ではなかなか、利子補給というような制度は今ございませんけれども、どういうふうに支援していくかという部分につきましては、今後私どももいろいろ工夫をしていきたいというふうに思っているところでございますが、直接の利子補給の制度は今ないということは御承知いただきたいと存じます。

 それからもう一つ、中心市街地以外の商店につきましての支援策でございますけれども、商店街そのものは、中心市街地以外においても、身近な買い物の場であるとか、あるいは地域住民の交流の場を提供するなど、地域コミュニティーの核としては重要な役割を果たしているということは、これは論をまたないところでございますし、地域経済の活性化のためにも寄与するものだと思っております。

 こうした観点から、商店街の活性化を図るために、商店街が行う、少子高齢化とか、安全、安心、環境保全などの国の国家的な政策課題にも対応した商業活性化の取り組みというものに対しては、国が直接支援をしていきたいというふうに思っているところでございます。

 具体的には、例えばバリアフリー型の舗装道路の施設整備であるとか空き店舗を活用いたしました保育支援事業だとか、あるいは専門人材の派遣など、ハード、ソフトの両面にわたる支援というものは商店街のためにも行っていきたいというふうに考えているところでございます。

藤井委員 ありがとうございました。どうぞ、まちづくりの支援策については、地域の実態に合った、即効性のある制度の充実を今後ともお願いをしておきたいと思います。

 次に、この十八年度予算案によりますと、戦略的中心市街地活性化に関する予算は五十九億円となっております。今まで伺ってまいりました、経済産業省の地方経済の活性化が大事だという広大な構想からすると、余りにも額が少ないのではないでしょうか。大所高所に立ち、大きな観点から地方経済活性化政策を考えた方がいいと思いますが、いかがでしょうか。

 この点に関して、今回改正される中心市街地活性化に関する法律では、内閣に中心市街地活性化本部、本部長内閣総理大臣が置かれるとありますが、この本部で認定された中心市街地には、事業に対し特別な措置があるとされていますが、具体的にどのようなものなのか、特に予算づけ等についてもぜひとも御説明をお願いいたします。

西野副大臣 お示しの平成十八年度中心市街地の活性化について、予算案、数字を挙げられて、少ないのではないか、こういう御指摘を受けました。

 必ずしもこれで十分だとは私どもも思っておらないところでございますが、ちなみに、昨年対比でまいりますと、実は昨年は四十一億円でございまして、十八年度、今御審議をいただいております中ではそれを五十九億円ということで拡充を実は図ったところでございますが、まだまだ盤石ではないと思いますが、必要性に応じて拡充を図っておるところで、御理解をいただきたいなというふうに思っております。

 なおまた、この中心市街地活性化法につきましては、それぞれの市町村が創意工夫をいたしまして、そして、そのもとに作成された基本計画を内閣総理大臣が認定をいたすことになっていることは御案内のとおりでございます。その基本計画が作成をされましたら、我が省といたしましても予算措置を当然行いますが、我が省のみならず関係省庁がそれぞれの支援策をとっていく予定でございます。

 具体的には、市街地の整備改善、町中居住の推進、あるいは都市福利施設の集積、さらには商業の活性化等の取り組みに対する予算を初めとして、各種の支援を行う予定でございます。

 したがいまして、関係省庁におきましても、それらをさらに拡充を図りながら、認定をされました基本計画というものが円滑に、確実にひとつ実施を図れますように努めてまいりたいというふうに思っておりますので、御了承いただきたいと思います。

藤井委員 ありがとうございました。

 この中心市街地活性化本部の本格的な活動に私は大きな期待を寄せていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、経済のグローバル化について質問をさせていただきます。

 世界経済はグローバル化がますます進んでいます。東アジア共同体のような域内経済統合の動きも盛んでありますし、また、中国など個々の近隣諸国との経済関係も、貿易・投資の一層の進展とともに深化しつつあります。日本企業の国際化も進展し、企業によっては事業の相当部分が海外において行われている状況となってまいりました。経済のグローバル化の流れをとめることはもう困難でございます。

 他方、このまま事態が推移した場合に、正直言って、将来、我が国の国内にどんな産業が残り、それは国際的な競争力を維持できるのかという不安を覚えます。

 今後とも、我が国の経済の安定的な成長を確保するために、海外マーケットや生産活動の拠点の確保、資源の獲得、国際的な資金の移動等、さまざまな観点から、国際情勢を分析して、日本国内に残る、または残すべき産業や経済活動を念頭に置きつつ、国際的な経済活動に関するルールの整備やEPA交渉等に取り組み、我が国にとって望ましい国際経済環境の整備に努める必要があると考えます。

 経済産業省が描くグローバル経済戦略について、大臣のお答えをお願いいたします。

片山大臣政務官 委員御指摘のとおり、経済のグローバル化が進展いたします中で、国境を越えた企業活動も非常に活発化しております。また、特に、経済成長の著しい東アジアは、我が国にとって大変重要な地域となっております。

 また、さらに、委員から御指摘がありましたように、このような国際的な産業競争の激化の中で、我が国の中にどのような産業が残るべきかといった戦略も含めまして、グローバル戦略を経済産業省としては検討しているところでございます。

 第一に、我が国の企業、産業がいかに東アジアの活力を取り入れて国際競争力を高めていくか、第二に、東アジアの経済統合に向けた大きな流れの中で日本がいかにリーダーシップを発揮していくかという二つの観点を中心に、策定を急いでいるところでございます。

 さらに、具体的には、FTA、EPAといった質の高い経済連携に向けました行動計画の策定、海外におきます円滑な投資・ビジネス環境の整備、すぐれた海外資源を取り込む対日投資の拡大、それから、観光、文化まで含めた日本のすぐれた資源を発信していくこと等につきましても、総合的に検討しております。

 まず、現場の生の声を聞くということが非常に大事でございますので、中小企業まで含めまして既に約三百社からいろいろと御意見をお伺いし、その実態などを十分踏まえまして、さらに各界の有識者の方々の御意見も伺いながら、三月中をめどに取りまとめを急いでまいりたいと考えております。

藤井委員 ありがとうございました。

 時間です。最後に、対中経済戦略について一点だけお伺いいたします。

 日本と中国の関係は、貿易、投資ともに今後ますます大きくなっていくと思われます。ただ、実際のビジネスをしている人の、日本の企業からの人々の声でありますが、一点目に、中国の企業は契約どおりの支払いをしてくれないという債務不履行の問題、あるいは特許権を無視した模倣品、著作権を無視した海賊版の問題など、いろいろな苦情が寄せられていることも事実であります。

 大臣は、今般、中国を訪問され、温家宝首相とも会談されたと聞いておりますが、以上のような問題点を含めた経済産業省の対中戦略と大臣の訪中成果をぜひお伺いしたいと思います。

二階国務大臣 藤井議員も御承知のとおり、日中間の経済は、今お互いに貿易総額千九百億ドルを記録しておるわけでありますから、国際的に見ましても、大変大きな位置づけがなされておるわけであります。

 さらにこれを互恵的に、日中経済関係を拡大していくために、ただいま御指摘にありました面で、知的財産権の保護等について十分な対応が必要である。このテーマにおきましても、私は薄熙来商務部長と突っ込んだ意見交換をいたしました。

 これについて、薄部長が言われるのには、中国もこのことの必要性を痛感しておりますと。だんだん発展してまいりました中国にとって、まさにあすは我が身で、他の国々からだんだん追いついてこられたときに、中国がそういう問題で被害を受けるようなことになりかねない状態がもう今出てきておるわけであります。したがいまして、全国五十カ所に取り締まり本部を設けて、徹底的に取り締まりを行いますということを言明されました。

 私どもは、これから日中間でいろいろな問題点、今まさに議員御指摘のようなことを私も耳にします、そうしたことについて、やはりしょっちゅう連絡をとって、指摘し合うことが大事であると思っております。

 先般も、エネルギーの問題でロシアのフリステンコという貿易エネルギー大臣がお見えになりましたときに、日本から投資をしてもらいたいということを盛んにおっしゃるんですが、ロシアへ投資をした場合にどのような、具体的な面でトラブルが発生したときにだれのところに言っていって、どこへ言っていって処理するか、日本の企業が大変頭を悩ませておるところであります。

 私は、そこで、お互いに両国において苦情相談所を設けようではないか、そして、かなりレベルの高い所長を置いて、そこで対応しようということを提案しましたら、直ちに応じてまいりまして、私の大臣補佐官をその所長に当てる、日本側もどうぞお決めくださいと言いますから、そういうときに備えて私もあらかじめ人選をしておりましたから、この審議官を当てるということを申し上げたわけであります。

 ソ連のような国でありますと、やはり閣僚同士で話をしたことをおろすということが大変大事なことでありまして、直ちにそのことに対してもう具体的に作業が進んでおりますので、経済界の皆さんにおかれましても、このことに対して理解を示してくださっております。

 先ほどから議員のお話を伺いながら、対中国との問題におきましても、余りにも多くの企業が往来をいたしておりますから、一つ一つ苦情を受け付けるということは容易なことではありませんが、何らかの面でこの面の対応をしなければ、日中のお互いの経済の発展には、私はもう一つ問題点を抱えたままということになるのではないかと危惧しておるところであります。

藤井委員 ありがとうございました。

 二階大臣の日中友好にかけられる情熱に心から敬意を表しまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、桝屋敬悟君。

桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。

 この委員会、私初めて所属をいたしますので、専門の分野でないものですから、同僚の議員や、そして役所の皆さん、あるいは大臣、副大臣、政務官の御指導いただきまして、しっかり頑張っていきたいと思っております。同僚議員の質問を聞いておりまして、きょうは大臣所信に対する質疑ということもあるんでしょう、相当レベルの高い話が続いておりますから、私、なかなかついていけないなと思いながらも、私なりにやろう、こう思って頑張りたいと思います。

 それにしても、大臣のお顔を見るのは久しぶりでありまして、昨年のあの郵政特別委員会以来でありますから、できればしばらくお顔を見ないで済めばいいなと思っておりましたら、こういう取り合わせになったわけでありまして、引き続き御指導を賜りたいと思います。

 大臣は、多くの政治家がそうでありますけれども、言ったことは確実に手を打っていく、大変なリーダーシップのもとに多くの政治家は頑張るのでありますが、とりわけ大臣は、そうした意味では大いなる実行力をお持ちの大臣だ、このように思っておりまして、さまざまにまたこの委員会のこの場で御指導を賜りたいと思っております。

 最初に、先ほどから話が出ておりますが、大臣、中国からお帰りになったばかりでありまして、本当は副大臣と政務官と議論し、大臣にゆっくりお休みをいただいてもいいのでありますが、せっかくの機会であります。先ほどから、日中の協力をどうしていくのかという議論、あるいは東シナ海の資源開発問題などなど議論が出ましたので、今回大臣は、私の記憶では、総理が行かれたのももう一年、二年前ぐらいじゃないかと思いますが、久々に招待を受けて行かれたということ、これは本当にいいことだな、こう思っているわけでありまして、向こうで温家宝首相あるいはトウカセン国務委員などなど要人にお会いになったということは本当によかったと思っておるのでありますが、通商問題のみならず、大局的なお話をされてこられた、このように思っております。

 大きな話も伺いたいのでありますが、靖国の問題も出たでありましょう、本当に御苦労が多かったと思いますが、一点だけ。

 行かれる前に、うちの太田代行が、中国に行くのであれば、環境問題やエネルギー問題について、ぜひとも日中の協力のもとにできることをしっかり明らかにしてもらいたい、ぜひアクションをよろしくというような御伝言も言づけられたように聞いておりまして、そうした観点から、もし御報告があれば、最初にお話を伺いたいと思います。

二階国務大臣 桝屋議員のお顔を私も久しぶりで拝見いたしまして、特に日中問題にかける公明党の皆様の歴史的な今日までの御努力に、改めて敬意を表したいと思います。

 今お尋ねの点でありますが、私は、エネルギー問題ということは、中国のエネルギー問題を考えるように見えますが、実際は、中国のエネルギー問題は日本のエネルギー問題にもなる。公害の問題、環境の問題は、中国の環境の問題を指摘しているようでありますが、これこそあすは我が身で、空から降ってくるような公害の問題等については、これはどこが原因で、どこから飛んでくるのかということさえ明確になっていないわけでありますが、こうした問題に対して、まさに一衣帯水の国でありますから、ここはしっかり議論をして、お互いに問題点を持ち寄り、また、日本自身も今日まで、御承知のとおり、エネルギーの問題、これは四%しか日本で生産することができない、その状況の中において今日の日本経済が発展している。

 私は、先輩方の幾多の困難があり、それを乗り越えて今日を築いてこられたと思うんですが、公害問題においてもまたしかりであります。日本は公害でもうつぶれてしまうんではないかと思うほどの公害問題が全国各地で発生したことは、お互いに記憶に新しいところであります。

 この知見を、この経験を日中の間で共有し合って、御一緒に対応していきましょうということを、私は、WTOあるいはAPECの席で、中国のカウンターパートであります薄熙来商務部長、商工大臣にお話をしてまいりました。基本的には、ぜひ協力、協調の中でこの問題の解決に我々も努力をしたい、ぜひ日本にも協力をしてもらいたい、そういうお話がありました。

 しかし、御案内のように、今日の日中関係というのは、そうは簡単に物事が進まない状況にあることは、これは改めてここで御説明する必要もない状況であります。

 私は、それだけに、こうした問題は、ただ日を送っておるだけで済む問題ではない、一日も早く取り組むべき問題である、このように思っておりましたので、薄部長に対しましては、他に難しい問題はいろいろあるが、我々の当面する責任を持ち合うこの問題から入っていこうではないかということを提案してまいりました。中国の国の事情からいいまして、そうはいっても、この問題はこれで別にして、この問題はこれだというふうな仕分けができるかどうかというのは、委員も御承知のとおりであります。

 しかし、私は、回を重ねて話し合いをし、また、書簡のやりとり等を行ってまいりました結果、一昨日の会談におきまして、中国側は、五月の下旬に日本において、省エネルギーの問題、環境問題についてフォーラムの開催に同意をいたしました。しかし、同意はいたしましても、どんなメンバーでおいでになるかということが問題でありますから、私はその際、薄部長にはぜひ来日を願いたいということを強く要請いたしました。

 そうしますと先方は、二階大臣も、お話にありましたとおり、中国に出張してこられるに際しまして、各党の御了解、あるいはまた国会、あるいは閣内の了解等いろいろなことを経ておいでになったと思いますが、私もまたこの中国において、自分一人で出張するということを決められるわけではありませんと言われるので、私は思い切って、外務担当の中心的な役割を果たしておられる、知日派の人でもありますが、トウカセンさんに私は強くこのことを要請しました。

 同時に、温家宝総理との会談におきましても、そのすぐそばに薄熙来大臣がお座りになっておりましたので、我々のこのフォーラムを成功させるために薄部長を日本に派遣していただきたいということをお願いしましたら総理も同意をされましたので、そうしたメンバーでおいでいただいて、日中間のそうした取り組みをやらせていただきたい。

 そして、それは日本だけでやるのではなくて、次の回には中国で、そして、北京や東京でやるだけではなくて地方で、公害問題等に対して大変悩んでおられる地域もあるでしょうから、そうした地域で、関係の皆さんに国挙げて取り組んでいただけるようなアピールができるように、お互いにやりたいものだという私の考えを申し述べております。

 以上です。

桝屋委員 詳細な御報告をいただきまして、ありがとうございます。ぜひとも、その五月下旬のフォーラムに向けて、我々も努力をしていきたいというふうに思っております。

 あわせまして、今回、私もめったに海外に行かないのでありますけれども、国会議員になって四回目の、この国会でお休みをいただいてインドへ行ってまいりました。党の訪印団でインド、パキスタンを回ってまいりまして、海外に行って二階大臣の名前をしょっちゅう伺いまして、グローバルなネットワークを本当に築いておられるなと改めて敬服した次第でありますが、インドのアハメド外務担当国務大臣、あるいはチャバン首相府大臣、あるいはカマルナートさんにもお会いして、至るところで二階、中川、この両名の名前が出るものですから、いろいろなことを感じた次第であります。

 一点だけ。今の中国との関係もそうでありますが、きょうは東アジアという話も出ておりますが、南アジアも含めてアジア全域の中で、やはりインドと、あるいはパキスタンも含めて、このアジア戦略というものを我々は考えていかなきゃいかぬのじゃないか、こんな思いがあって我々は行ったわけであります。中国に比べるとまだまだ、先ほど千九百億ドルという話もありましたが、その三十分の一ぐらいのレベルでありますが、いよいよ日印の関係も大きな動きが始まっている、ちょうどそういうときに私は参りまして、いい機会に行かせていただいたなと思っております。

 とりわけ、インドが日本に期待をしている、あるいは、日本との関係で議論が出ますのが中小企業政策。インドも人口の六割が若年層でありまして、雇用面からもぜひとも中小企業というものに光を当てたいし、日本からの協力もそうした観点で進めていきたいんだ、日本の企業のためだけの経済の特別区もつくりたい、こんなこともおっしゃっておられましたし、インドの市場の魅力、中国の話がよく出るのでありますが、進出している中小企業のうち七二%が売り上げを上げていますよ、大変魅力的な市場ですというようなお話もいただいたわけであります。マンゴーの話も、何度も何度もマンゴー、マンゴーと話をいただきまして、二階大臣にもお伝えいたしますと、何か六月にまたナートさんがおいでになるようでありますけれども。

 そこで、中国も大事でありますが、中国、そしてパキスタン、さらにはインドという関係、油断をいたしますと、我々が中国と複雑な苦しい状況でちょっと距離を置きますと、その間に中国やインド、あるいはオーストラリアなんかも含めて、私は、アジアに新しい流れができるんじゃないか、それに我が国は乗りおくれてはならぬ、しっかりコミットしていかなきゃいかぬという思いを強くしたわけであります。

 とりわけインドとの関係で、向こう側の希望として、我が国の中小企業政策あるいは日本の国の中小企業ということに大変関心を持っておられる。そうした向こうの声に対して、大臣としてどういうふうにお考えになっているか、先ほどロシアの話もありましたが、思いを聞かせていただきたいと思います。

二階国務大臣 先般、太田ミッションといいますか、公明党からインドへ派遣されまして、大変御活躍をいただいてこられたということを、私はインド側からも報告を受けております。心から感謝を申し上げたいと思います。

 私は、このインドとの関係において、そう今日まで深いかかわり合いがあったわけではありませんが、WTOの小数国会議の議長を今お話ありましたナート商工大臣がやっておられるわけであります。そして、アメリカやブラジルやEUだ日本だというのが集まって協議をして、大変重要な相談をするわけでありまして、そこの議長がインドなんです。

 それで、休憩のときとかいろいろなときに話をする際に、私に対して、日本からトヨタも来ていただいておる、スズキも来ていただいておる、大変ありがたいことだ、しかし、私たちが地方で、いきなりトヨタ、いきなりスズキをまねしてあのような工場をつくるということはとても今まだできない、ならば、日本の中小企業を学びたい、そして取り組む、御一緒に合弁でやれる、いろいろな場面があろうと思うが、そのために協力をしてもらいたい、これがナート大臣の切々とした訴えでありまして、私もお会いするたびにそれを言われるわけであります。

 そこで、私は、日本に帰りまして、関係の皆さんに呼びかけました。これは、もう既においでになることが決定しておったところへお願いしたんですが、経団連の奥田会長、あるいはまた日印経済委員会というのが財界にありますが、ここの大橋団長、あるいはジェトロの、御承知の渡辺理事長以下七十三名の皆さん、あるいはまた東京中小企業投資育成会社、中小企業基盤整備機構のミッション、これは宇佐美さんを中心として十五社二十四名、あるいはまた、間もなく御出発をいただくことになりますが、水口中小企業金融公庫総裁をヘッドとする全国の優良企業二十社程度のオーナーの皆さんに行っていただく。大体五つのグループが百数十名、今、インドにおいでをいただくことになっております。

 私は、この一わたりの調査が終われば、こういう皆さんと御相談をしながら、ぜひ進出をしたいという企業に対して、まさに私どもも日本国としての協力ができるように経済産業省も力を注いでまいりたいと思います。今お話にもありましたとおり、インドのナート商工大臣は、まさに国を挙げて日本の中小企業をお迎えしたい、こういうことを言っておりますから、インフラ整備等についても問題点はあろうと思いますが、それは一歩一歩お互いに協力し合って取り組んでいくということが大事であると思います。

 そして、今、中国のお話もありました。中国はもちろん、アメリカも含めて、いろいろな大きな国がたくさん我々のそばに存在するわけでありますが、いずれも大切な国であります。私は、これからの二十一世紀、日本としては、ITの問題を含めて、インドという問題を避けて通ることはできない。むしろ、インドと友好関係をさらに深めていくことが大事だ。

 そういう意味で、今度、公明党の調査団がインドにおいでになったということは、大変炯眼といいますか先見性のおありなことだということで、私は感謝をしているところであります。

桝屋委員 ありがとうございました。我が国の中小企業がどうこれからインドへという話でありますが、国を挙げて、経済産業省を挙げてという話もいただきました。先ほどのロシアの話もありましたが、そうしたことも念頭に置かれて、具体的な次のステージでは、さまざまな現在のミッションの動きも見ながら、また大臣にも御相談しながら、我々も与党の一員として協力をしてまいりたい、このように思います。

 しかし、どっちにしろ、インドも中国もそうでありますが、日本の東京ほどきれいな都市はないなということを本当に感じるわけでありまして、これは、大臣がおっしゃったように、大変な苦しい時代を乗り越えて我が国はこの時代をつくり上げている。公害に対する、あるいは環境問題に対する我が国の知見といいますかノウハウ、これはぜひとも我が国は、これからアジア地域において展開していかなきゃいかぬ大きな役割があるということを感じた次第であります。

 もう時間がありませんので、もう一本だけ、商工中金の話に一気に行きたいと思います。

 これは大臣、副大臣にも聞いていただきたいんですが、昨日、官邸に特段の申し入れに行ってまいりました。昨年十二月二十四日、行革の重要方針が決められまして、この中で、政府系金融、報道のとおり、ああいう形になっているわけであります。これをこの国会で具体的に法律化する、いわゆる行政改革推進法案を今から審議する、国会提出前のまさに策定段階であるわけでありまして、非常に大事な時期だろうと。こういうふうに私も感じまして、この商工中金だけでない、実は、さまざまな公務員の総人件費改革についても、あるいは公益法人改革についても、行革物のさまざまなテーマについて今一番大事な時期を迎えているというふうに思っております。

 そうした思いで、昨日、官邸に行ってまいりまして、民営化に関する方向性は決まったんだけれども、昨年閣議決定されたあの内容どおり法案をつくってくださいよということを一つ申し上げようという思いもありましたし、やはり官邸に行きましたら、これは余り大きい声で、こんなところで言っていいのかどうか悩みますけれども、安倍官房長官は、いやいや、公明党さん、御苦労さんです、わかりました、しかし、だれとは言いませんが、これといささか違う趣旨の、ニュアンスの陳情も実は来ているんですと。思ったとおりでありました。

 法案をつくるというのは簡単なことではないわけでありまして、まさに、昨年十二月二十四日閣議決定されました政府系金融機関の新組織のあり方、これは本当に関係者が悩み抜いた末、ぎりぎりで調整した文書であります。ここで完全民営化という方向は決まってはおりますけれども、所属団体向けのフルバンク機能を行う機関として、ぜひとも中小企業の皆さんが安心できるような、なお大きな役割があるわけでありますから、そこは今からの法案化の中で非常に大事なことだ、こういうふうに思っておりまして、先日の予算委員会での大臣の御答弁も伺いながら、私ども、そんな思いを持って官邸に行ってまいりました。

 この重要方針どおり法案をまずつくり、そして、次のステージで、詳細設計の中でさまざまに議論をしていかなきゃいかぬ、このように思っているわけでありますが、報告を兼ねて大臣の御所見を伺いたいと思います。

二階国務大臣 私は、昨日夕刻、成田へ着いたのでありますが、一番先に報告を受けたことは、公明党の冬柴幹事長以下有力な皆さんが官邸に赴かれて、総理あての要請書を提出された、そして、安倍官房長官にお会いになった、こういう報告を受けて、大変ありがたいことだというふうに思いました。今、また御質問をいただき、私どもも同じような思いをいたしております。

 相手は中小企業の皆さんであります。四百七十万社あるというこの中小企業の皆さんが、活力を持って日本の経済の発展に頑張ろうという気概でおやりになるかどうか、この先は一体どうなるんだろうかと思いながらぼつぼつ歩いていくか、ここが日本経済のこれからの将来を決める大きな分岐点であるとさえ私は思っております。それだけに、この金融の問題は大変大事なことであります。

 現に、やはり一般の金融機関からお金を借りておる、それは調子のいいときはいいわけであります。また、必要でないときも、どんどん金融機関の皆さんは、しっかりこの金を使えといってささやきに来られるということを我々はたびたび耳にするわけであります。しかし、いざということになりますと、だれかに責任を転嫁して、すぐ融資を引き揚げるということになって、みずからの責任の転嫁に走るわけであります。そうしたことによって悲哀をなめた中小企業が全国にどれほどおられるかということも、我々は常に心の中では考えておかなきゃいけないことだと私は思っております。

 そういう観点に立って、中小企業の皆さんが、商工中金の改革に対して、やはり私たちのこともよく政府は考えてくれているんだな、あるいは各党はみんなこれを考えていただいておるんだなということを思っていただき、さらに、勇気と元気をやはり持っていただくようなことをしなければ政治にならないのではないかという懸念を私は持っております。

 それだけに、昨日そういう行動を起こしていただいたということは大変ありがたいことでありますが、ここから先は、やはり議会の、各党の皆さんの御意見等も十分拝聴しながら我々は対応したいと思いますが、経済産業省としては、誠心誠意、今まで内外に申し上げてきましたとおり、努力を傾けてまいりたいと思っております。

 商工中金のおかげで今日私たちはこうして企業を大きくすることができた。商工中金の集まりがあった。自分はそこへ出かけていった。そうすると、時の商工中金の理事長は、あなたが来る場所ではない、あなたはもう大企業ではありませんか、こう言われた。私は、その大企業、中小企業の分類からいうと、おかげさまでそういうことになるかもしれませんが、商工中金の何か区切りのときには、やはりお伺いして感謝の気持ちをささげたい、そういう気持ちで私は来ましたと言ったら、理事長は、そうですか、私が余計な軽口をたたいて申しわけないとおっしゃったそうであります。

 そうした美談が、最初は小さかったが、商工中金のような金融機関でお金を借りて一生懸命頑張って、大企業と言われるようなところまで進んできたというような企業、成功例はいっぱいあるわけです。そうしたことに我々はどう考えていくか。

 改革はまことに大事なことであります。改革続行内閣に私も一員として加えていただいておることは百も承知でありますが、それでも、中小企業のために何が大事かということを私は最後まで主張していきたいと思っております。

桝屋委員 ありがとうございます。

 きのう、安倍官房長官から、私もう一つ言われました。桝屋さん、あたなは党の行革本部を担当しているじゃないか、行革の観点でも頑張りましょうね、反論ではないんでしょうがこう言われまして、経済産業部会長とそれから行革を担当しているという二面性を持った、小さな政党ですから、こんな苦しいことはないのでありますけれども。

 しかし、今大臣がまさにおっしゃったように、今のこの法案化の中で、商工中金も全く普通の銀行と同じでいい、こういうふうに声高に言われている声があるのも確かでありまして、我々は、そうあってはならない、こう思っているわけでありまして、そこは、行革の観点から、あるいは中小企業の皆さんの思いをいたして取り組む立場からも、何とかその二つを私も解決したい、こんな思いでおりまして、しっかり議論をさせていただきたい、このように思っております。

 時間がなくなりました。最後に一点だけ。

 私、総務委員会からこっちに来たんですけれども、三位一体改革がやっと終わって、また引き続きやろうという声もあって、もういいかげんにしてもらいたいという思いもあったりするんですが、改革は続けなきゃなりませんが、あのフレームはもうやめよう、もう少しいい知恵を出そう、こう思っておるのであります。

 その結果、こっちに来て、経済産業の内容を見ますと、特に商工会、商工会議所あたりに対する補助金、百四億ぐらいが一般財源化になったということで、これは本当に地方は大丈夫かな、こういうふうに思っておりますが、最後にこの一点だけ。いやいや、大丈夫です、しっかり地方団体にも十分この趣旨は伝えてある、取り組まれているということであるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

二階国務大臣 お説のように、この三位一体の改革、これは口で言うのは響きもいいわけでありますが、実際の現場は、一体私たちの中小企業はどうなるのかという御心配の声が、経済産業省にも随分殺到するというような形でお話がありました。

 そこで、私は、全国知事会の会長であられる福岡県の麻生知事にお目にかかりまして、地方に税源を移譲するということは、ただ移譲するだけではなくて、これを何か別のことに使ってくださいというのじゃなくて、中小企業のために使ってくださいという思いを込めて我々は移譲するわけですから、それに対して麻生全国知事会会長としての決意をやはり私に示していただきたいということをお願いしましたら、よく理解をいたしております、通産省出身の知事でもありますので、中小企業の大事なことということは私はもう痛いほどよく知っておりますと言うから、いささか失礼かと思いましたが、私は麻生知事に書簡を送りました。

 つまり、他の方面へ使ってもらっちゃ困りますよという意味を込めて、ぜひ中小企業のために、今までどおり、それ以上の配慮を願いたいということを私は知事に申し上げました。知事から、ほどなく私に対しまして、必ず大臣の意向どおりやりますという書簡がございました。今、往復書簡をそれぞれの県にもお配りして、この方向で政府はやります、知事はこういう方向でおやりになるということを内外に明らかにいたしておりますので、それが間違った方向へ行くということは全くありません。

桝屋委員 本日は、御丁寧な御答弁、本当にありがとうございました。

 以上で終わります。

石田委員長 次に、達増拓也君。

達増委員 最初に、片山政務官に質問をしたいと思います。

 政務官というのは英語でパーラメンタリーセクレタリーと言うんですけれども、片山政務官が、パーラメンタリーセクレタリーではなくてバイスミニスターという肩書を名乗って活動をしていると報道されています。このバイスミニスターというのは、事務次官をバイスミニスターと訳していますし、また副大臣をシニア・バイスミニスターと訳していますので、事務次官と一緒にされてしまったり、また副大臣と紛らわしくなったり、不便なのではないかと思うんですが、なぜ、パーラメンタリーセクレタリーではなくバイスミニスターを名乗って活動しているんでしょうか。

片山大臣政務官 御質問、ありがとうございます。

 お尋ねの件につきましての経緯を御説明させていただきたいと存じます。

 今回の内閣の政務官は昨年の十一月二日に皆任命されましたのですが、その直後ぐらい、外務省のお三方の政務官は、海外出張、国際会議への参加がかなりあったということのようでございまして、それらの場で、パーラメンタリーセクレタリーの名刺を御使用になって御参加しようとしたところ、議会のセクレタリーであるとかあるいは事務方と間違えられて、政治レベルのハイレベルの会議に入れてもらえないという例が続出したということのようでございます。

 そのように多数の実害が生じたので、外務省内でお三方の政務官とそれから外務省の官房長が中心となって、どのような打開策があるかということをお話し合いされたんだそうでございます。その後、本件を麻生外務大臣まで外務省の中でお上げになって、年内でしたか年明けでしたかから、お三方はバイスミニスターという表記を使って御活動をされているんだそうでございます。

 それで、一月に政務官の非公式な会合が、いろいろなところで私どもお会いする機会があるわけですが、あった際にそのような経緯が外務省の政務官から御説明がありまして、同じように海外出張や国際会議があり得るお役所についても、大臣の御見解を伺った上、いかがですかというお話があったものですから、その翌週ぐらいに私は二階大臣に御相談いたしましたところ、それはわかりやすいのが何よりなので、そのバイスミニスターというのがいいんじゃないかというふうになりまして、そのさらに翌週ぐらいから名刺を刷りかえたというふうに記憶しておりまして、私が使用いたしましたのは、一月の終わりか二月の初めぐらいだったと思います。

 その間、外務省の方は、内閣官房の方に全体としてどうなのかというようなお話を、お問い合わせになったか、お話しになったというふうに伺っております。それで、その後、なぜかこの件が囲み記事に二月の中旬ぐらいに出まして、その日に大臣政務官の会合がございましたので、その場で鈴木内閣官房副長官の方からお話がありまして、外務省の政務官の方から今のような経緯の御説明がございました。そのほかに、何人かの政務官から、やはりパーラメンタリーセクレタリーはわからないと言われたとかいうお話がありまして、私もそれと同意見の発言を行ったところでございます。

 今回、達増委員の方から御質問が出るということもありましたので、内閣官房の方に再度お問い合わせをいたしましたところ、内閣府の方で鈴木内閣官房副長官と御協議の上、各大臣政務官は、それぞれの大臣と御相談、御了解の上で名刺等で使用する英語表記を決めて差し支えないとの取り扱いとなりましたので、御了知いただきたく存じますというお話が正式に参りましたので、多分それで、私どもとか外務省とかは、あるいは幾つかのお役所はもう既にバイスミニスターと刷っておりますので、そのままされるのかなと思っております。

 私の場合は、年内は税制協議等国内業務が非常に多忙でしたので国際会議には出ておりませんが、記憶にあるところでは、外国要人の訪問を数回受けております。この方々は、向こうから私に面会を希望して来られるものですから、英語上の表記がパーラメンタリーセクレタリーであるかないかによって会う会わないということはもとよりあるはずがございませんが、その場で英文名刺を渡したところ、首をかしげられたことが正直言ってございます。

 それから、非常に多く外人の財界の方ですとか外人のプレスの方の訪問を受けておりますが、その際もパーラメンタリーセクレタリーがどういう業務であるのかについて一々説明が要りまして、その際に、バイスミニスターのようなものですかというようなお問い合わせもあったことは承知しております。

 以上でございます。

達増委員 大変不思議な話を聞かせていただいているなという思いでおります。といいますのは、政務官制度、パーラメンタリーセクレタリーというのは、日本特有の制度ではないんですね。もともとイギリス議会で発達した、イギリス型の議院内閣制で発達した制度でありまして、それを我が国では、平成十一年の国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律案という、政治改革の一環としてこの政務官制度の導入というものが決定された。

 ちなみに、そのときは、やはりイギリスの国会で行われているクエスチョンタイム、党首討論ですね、その党首討論の導入と官僚答弁、政府委員制度の廃止、そして、それまで日本にあった政務次官というものを廃止して、副大臣と政務官を導入した。全部イギリスの議院内閣制で発達した仕組みでありまして、ですから、当然、今のイギリスでもパーラメンタリーセクレタリーという役職はあって、パーラメンタリーセクレタリーが活動をしている。

 イギリスだけでもございません。カナダやオーストラリアもパーラメンタリーセクレタリーが活躍していますので、ですから、例えばG7サミットの場合、七カ国のうちイギリス、カナダ、日本も加えると三カ国にパーラメンタリーセクレタリーという仕組みがございます。イギリスやカナダの閣僚は、過去パーラメンタリーセクレタリーだった人がいますので、そうした閣僚の経歴、履歴などがG7の政府関係者やマスコミ関係者に配られたりして、みんな、この人はパーラメンタリーセクレタリーをやっていたんだねということを踏まえて、二、三十年ぐらいずっとG7サミットは行われています。

 イギリス型議院内閣制というのは、インドもそうですし、あと思いつくまま思い出して挙げてみると、シンガポールとマレーシアもそうですよね。ですから、ASEANの会議あるいはAPECの会議、オーストラリアもそうですから、東アジア共同体とか、あるいは、さっきも日本とインドの関係とかありました。シンガポールやマレーシアは、経済産業省もEPAとかそういう貿易協議を盛んにやっていると思いますが、そうした国々とつき合っていて、パーラメンタリーセクレタリーというのは議会事務局員と間違われて困るということを日本国内で言っていて、それで肩書も変えたなんということをそういう相手国が聞いたら、あるいは、そういう国じゃなくても、この間、自分の国ではパーラメンタリーセクレタリーをやっていない国の政府の文書で、新藤義孝当時外務政務官がそこに行って何かスピーチしたというときに、パーラメンタリーセクレタリー新藤義孝というのが文書にあって、いわば、日本にそういうパーラメンタリーセクレタリーがいて活動しているというのも、世界的にそういう記録の蓄積もあるんですよね。

 そうした中で、一体、どの国のどういう人がパーラメンタリーセクレタリーでわからないと言うのか、すごい不思議でしようがないんですが、もしおわかりになれば、どの国の人がわからないと言っているのか、教えていただきたいんです。

片山大臣政務官 外務省の国際会議においては、ちょっと私、どの方がおっしゃったのかは全部把握しておりませんので、外務省の方に聞いていただきたいと思いますが。

 私が年内にお会いした方はアメリカの方が非常に多かったので、それと、あとは、最近私がバイスミニスターの名刺でお会いした方は、タイの特命全権大使と、あるいは、大臣と御一緒にお会いした方はフィリピンの貿易大臣で、バイスミニスターですということで御紹介してお話をいたしましたが、全くナチュラルでございました。それから、年内にパーラメンタリーセクレタリーの肩書でお会いした方は、ベトナム、それから旧ロシア構成国、あともう一つは、東欧だったかは訪問に来られておりますが、それらの方々も、パーラメンタリーセクレタリーというのはこういうものだよというような御説明を聞いて帰られましたので、さっとはわからなかったのかなと思っております。ASEANの国ということでございましたら、タイとフィリピンにつきましても全く、バイスミニスターという肩書で非常にナチュラルであった。私が了知する限りはそうでございます。

 ただ、いずれにしても、本件は、私どもの方から最初に提起した問題ではございませんので、最もその件に通常精通しておられる、最も多くの国の方と会議をしておられる外務省の政務官、そしてそのコンサルテーションを受けた官房長が外務省の副大臣と外務大臣にお上げになって、バイスミニスターという表記を使うことが適切というふうに御判断されて使っているというふうには伺っております。

達増委員 経緯はどうあれ、ASEAN諸国相手に、本当はパーラメンタリーセクレタリーなのに自分はバイスミニスターだと名乗るのはまずいと思いますよ。混乱を引き起こすでしょうし、また、パーラメンタリーセクレタリーの制度を持っているシンガポールやマレーシアがその話を聞いたらどう思うかを考えると、そういうことはやめた方がいいと思います。

 アメリカは議院内閣制じゃありませんからパーラメンタリーセクレタリーというのがわからないんでしょうから、それは教えてあげればいいだけだと思いますし、ただ、G7サミットとかAPECにしょっちゅう出ている人はわかると思いますけれどもね。

 あと、旧ソ連とかベトナムとか、移行国という言葉があります、トランジショナルステートかな、移行国、つまり旧共産圏から次第に民主主義国、西欧型デモクラシーに移行をしている国々は、やはりそういうパーラメンタリーセクレタリーというのはわからないんだと思いますので、やはり教えてあげるべきだと思います。

 日本もまさに平成十一年の法改正で政治改革の一環としてやったわけでありまして、まさに今、そういう旧ソ連とかベトナムとかいうところは政治改革を必要としているんだと思います。そのことについての理解があれば、とてもバイスミニスターなんて名乗れないんじゃないかと思うんです。

 まず、そもそも、国内法的にも、国家行政組織法上、今バイスミニスターと訳されている事務次官、そしてシニア・バイスミニスターと訳されている副大臣、これと政務官というのは決定的に役割が違うんですね。副大臣は、「政策及び企画をつかさどり、政務を処理」する、それが副大臣。政務官は、「特定の政策及び企画に参画し、政務を処理する。」副大臣は「つかさどり、」ということで、いわゆる、これはラインに乗っている。そして政務官は政策、企画に参画し、これはスタッフだと言われております。そういう根本的な違いがあります。バイスミニスターと訳されている事務次官、これは、「省務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。」

 片山政務官は、この間の委員会でのあいさつの中で、あえて、「本日、経済産業省幹部全員参っておりますが、」というふうに、あいさつの中で、役人幹部みんな来ていますよという、ほかの大臣、副大臣が言わなかったようなことを言っているんですけれども、「省務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。」というのは、事務次官、まさにこれはバイスミニスターの仕事でありまして、そういう国内法の理解の混乱と肩書の混乱が相まっているんじゃないかと心配するんですけれども、この平成十一年の政治改革の一連の法案で改正された国家行政組織法の趣旨を踏まえても、自分はやはりこれからもバイスミニスターと名乗られるつもりですか。

片山大臣政務官 国家行政組織法が改正されたとき、私も政府におりましたし、行政改革を直接間接に、当時はまだ事務方としてでございますが、所掌するというか見る立場におりましたので、今委員御指摘になったような位置づけが大臣政務官に法律上あるということは承知しておりますが、それとは別に、やはりバイスミニスターという通称というんですか英語表記を使う方が対外活動においてやりやすいということが、私の場合は数カ月間の経験においてありましたので、今後ともバイスミニスターということを、二階大臣の御了承を得ておりますので、使ってまいりたいと思っております。

 特に、あいさつのことをお引きになりましたけれども、それは別に大臣政務官の位置づけ云々ということとは関係ございませんで、長としていろいろな仕事に取り組んでいる意気込みの例示として出てきただけで、文章上も特に大きな、主語述語的な問題を申し上げるわけではないですけれども、そういうことを断言した文章にはなっておらないはずでございますので、そのように御理解いただきたいと存じます。

達増委員 片山政務官の言動で、政務官の役割というのを大きく勘違いしているんじゃないかなと思わされた件はもう一つありまして、いや、もうバイスミニスターとは名乗らないということを認めていただければ、この材料は取り上げないでおこうかとも思っていたんですけれども。

 いや、大したものではございません。新聞記事であります。読んだことがある人も多いんじゃないかと思うんですが、読売新聞が「政治の現場」という大きい連載企画で、去年の終わりごろからことし初めにかけ小泉チルドレン特集を企画、連載していて、一月二十日が片山政務官の記事でありました。

 私は、これを読んで、いや、これはとんでもない勘違いをしているんじゃないかなと驚いた部分がありますので、そこを読みます。記事ですので呼び捨てになって恐縮ですが、

  片山は、十一月の政務官人事で、通常は当選三回前後の議員が就任する経済産業政務官に抜てきされた。長年、官僚の側から自民党代議士の軌跡を見てきた片山は、こう思い定めた。

  〈自分は、ほかの新人議員とは、求められていることが違うんだ。自民党の当選五回くらいで優秀な人のやり方を手本にしよう〉

 勘違いしているんじゃないかと思ったのは、ここから後なんですけれども、

  地元には、陳情処理の早さをアピールした。

  「うちの事務所は「すぐやる課」です。何かあったらすぐ連絡下さい」

  霞が関で培った人脈が生きた。関東農政局幹部を招いて地元の農業関係者への説明会を開き、国土交通省や経済産業省との橋渡し役も務めた。

  経産政務官としては、年末の予算編成や税制改正の前に、古巣の財務省主計局や主税局を訪ねて情報を集めた。十二月二十日、主税局長・福田進の部屋にお礼にきた片山は、ミカン箱を抱えていた。

  「ぜひみんなで食べてください。私の名前と同じ、「片山系」という品種の地元のミカンなんです」

 これはもう、本当に古い、旧来型の自民党政治を精力的にやっていることじゃないかと思って、大変驚いたんです。

 こういうことはやめていこうというのが平成十一年の法案の趣旨。イギリス本家は、国会議員と官僚は原則接触禁止であります。そういう政官の癒着を断って、けじめをつけなければ、政権交代可能な二大政党制というのは機能しないということで、平成十一年の法改正のときにはそこまでは踏み込めなかったんですが、三年の猶予で十一年の法改正は見直し規定がございました。そういう政治家と官僚の関係、議会と政府の関係、そうした事柄については三年以内に検討を加えるものとするということが盛り込まれておりまして、ただ、三年以内に検討して、本格的に検討した成果として、自由党が平成十五年に出した法律案を紹介しますと、国民主導政治確立基本法案というのを自由党は平成十五年の通常国会に提出しておりまして、ここで、行政機関の職員の国会議員等への接触の制限等というのを盛り込んで、原則接触禁止。

 これは、本家イギリスの場合ですと、議会オンブズマンというのがいて、各地元の陳情事、地元のいろいろなああしてほしい、こうしてほしいという陳情は、それは国会議員が役所につなぐんじゃなくて、議会オンブズマンという、そういう中立的な機関にそれが上げられて、日本の請願制度をより中立的に、かつ効率的にしたものと理解すればいいと思います、その議会オンブズマンが適当だと思ったものを役所に振り分けていく。地元の要望は、その議会オンブズマンに直接行くんじゃなく、議員の紹介が必要なんです。だから、国会議員はそういうところで地元とのパイプ役はちゃんと果たすんですが、その議員はそれを直接役所にあっせん、口ききを働きかけるのではなく、議会オンブズマンという中立機関を通じて役所に働きかける。

 あるいは、副大臣、政務官という与党議員が政府の中にきちんと入って政治主導でやっていくということは、平成十一年法案の名前が国会審議の活性化及び政治主導の政策決定システムの確立に関する法律案ということで、政策をちゃんと政党、これは細川連立内閣で選挙改正、今の選挙制度を導入したときも、政党中心で政策本位の政治、そういう選挙にしていかなきゃならない、これが、ここ十年来、日本が取り組んでいる政治改革の基本路線ですからね。

 だから、副大臣や政務官が期待されているのは、与党がつくっている政策をきちんと政府の中の政策につないでいくことが最大の目的なわけです。ですから、そこを踏み越えて、地元の要望を各役所に、しかも自分の所掌する役所以外のところにもどんどんつないでいくというのは、全然これは政務官の仕事じゃないんですね。

 ですから、パーラメンタリーセクレタリーとあえて名乗らない、これは国際社会で確立された言葉です、そういうパーラメンタリーセクレタリーと名乗らずに、何か本来政務官がやることじゃないこと、あるいはやってはいけないことをどんどんやっているんじゃないかという疑問を禁じ得ないんですけれども、それでもバイスミニスターを、というかパーラメンタリーセクレタリーを名乗らないでやっていかれるつもりですか。

片山大臣政務官 読売新聞の記事につきましては、その政治部記者の表現につきましては、私も全部承知してそのとおりだと思っていることばかりじゃないですけれども、一般論として、政務官は衆議院議員であり、私の場合は静岡第七選挙区の選出の唯一の衆議院議員ですから、地元からの御要望を聞き、それを役所に伝えるということは当然のことだと思っておりますし、私以外のほかの職にあられる方も皆さん日夜やっておられると承知しております。

 また、経済産業政務官としてどういう仕事があるかということにつきましては、もちろん、この政務官という仕事あるいは副大臣という仕事が先般の改革のときに政治主導の一環としてできてきた制度の一つであるというような趣旨につきましては、達増委員の御質問の中にあったこととそれほど大きな理解の違いが私はあるとは思っておりません。

 仮にそうであるとすれば、経済産業省の場合は、例えば、中小企業対策にしても、エネルギー問題、特別会計の大きな改革が昨年の予算編成ではございましたが、そういったところはまさに与党・政府で非常に議論があり、与党、自由民主党、公明党連立としてどういう方針を打ち出すか、そして経済産業省としてどういう方針を打ち出すかという議論がさまざまある中で、経済産業政務官がその権限のある当局である財務省と話をするというのは、全くそれは業務の一環であるし、また、そのようなことが今までは全くなかったかというと全くなかったわけではないでしょうが、それを事務方がやる、政務官がやる、副大臣がやる、あるいは事務方が同行して政務官や副大臣がやるということが当然あってしかるべきですし、その制度改革後あったでしょうし、今もあるんじゃないかと思っております。

達増委員 せっかく日本で進んでいる政治改革の流れというものが、去年の衆院選、小泉劇場と呼ばれる中で、異常な雰囲気の中で、さまざまな異常な出来事もあるような中で起きたそういう去年の選挙の結果、そうした政治改革の流れがとまってしまったり、逆行したりしないようにしていかなければならないということを改めて思いました。

 さて、新経済成長戦略について、片山政務官にも質問しようと思っていたんですが、ちょっと最初の質問に時間をとられてしまいましたので、大臣に伺いたいと思います。

 この新経済成長戦略、大臣の所信の最初の方にも出てきている非常に重要なコンセプトだと思うんですけれども、これを聞いて、私は非常にびっくりしました。

 一つは、唐突に出てきた印象を受けたので驚いたんですけれども、もう一つは、経済成長にウエートを置いていくということは、今までの小泉改革と百八十度違う政策転換になるんじゃないかと思ったわけであります。

 今までの小泉改革というものは、成長を犠牲にして、一つは財政赤字削減、もう一つは不良債権処理、そっちの方が優先だということで、いわばそういうマクロの財政と金融のそれぞれ国家財政の収支帳じり合わせ、大銀行の収支帳じり合わせ、そのためには、実体経済が、地方経済、中小企業、そうしたところが苦境に陥って、成長がマイナスになったり低成長になっても構わないという方針で五年間来ていたと思うんですね。

 ですから、これが本当に百八十度政策転換になれば、これはもう私としてはすばらしいことだと思いますけれども、そういう認識でよろしいでしょうか。

二階国務大臣 私どもは、この新経済成長戦略をこれから立案していくために、当然与党とのすり合わせもしなきゃならぬと思いますし、またできるだけ多くの各界の皆さんの御意見をちょうだいしなければならないということで、例えば、中小企業等については、全国三百社ぐらい選んで直接ヒアリングをして、問題点がどこにあるかということを十分確かめて、今後の日本経済の進む道に参考にしていきたいというふうに考えておるわけであります。

 議員も御案内のとおり、改革ということで、ただいま御説明のありましたような小泉構想というか小泉改革というもので、ようやく今日本経済が立ち直りの兆しを見せてきたことは、これはほとんどの皆さんがお認めになるところであります。

 我々は、その延長線上に、さらに我が国の経済を成長軌道に乗せて、そして、例えば地方、中小企業、まだまだおくれをとっておるようなそうした分野におきましてもさらなる発展が期待できるように努力をしようということで、今この成長戦略をまとめようとしているわけでありまして、これは当然小泉内閣の中で進めておるわけでありますから、根本的に政策の転換というふうなことではありません。

 そして、このことに関しましては、今いろいろな皆さんから御意見を寄せていただいておりますが、そうした中から広く多くの皆さんの御意見を体し、やがてこの案を中間報告から最終報告までの間ぐらいに各党にもお示しをして御意見をちょうだいしたい、そう考えておるわけであります。

達増委員 政策転換ではなくあくまで小泉内閣の政策、小泉改革の一環というか延長というか、そういう形でいくとすると、そうすると、これはもううまくいかないんじゃないかという懸念を抱きます。

 まず、現状認識について、日本経済が立ち直りの兆しを見せていると大臣おっしゃいましたけれども、中小企業の景況感というのは依然としてかなり悪いと思います。

 これは、詳しい質問は後ほど我が党の別の委員から質問しますので質問はいたしませんが、一つデータを紹介しますと、日本青年会議所が十六日発表した、二千五百社、中小企業へのアンケート調査、これによると、景気の現状をよいと見るのはわずか一三%。朝日新聞が去年十一月に、全国の主要企業百社、大企業百社を対象にしたアンケートでは、景気の現状をよいと見るのが八九%ですから、大企業は八九%がいいと思っているが、中小企業は一三%しかいいと思っていないというデータもございます。

 そもそも、規制緩和またグローバル化、そうした改革というものを、イギリスではサッチャー首相のころ、アメリカではレーガン大統領のころ、サッチャー革命、レーガン革命とかいってやったんですけれども、あのときイギリスもアメリカも同時にやったのは大減税政策ですよね。大減税政策。また、レーガン政権は、軍拡で軍事にかなりの政府の公的なお金を投入し、後にITとかさまざまなスピンオフで経済成長にもつながるんですが、いずれ、そういう拡張的な積極経済政策と同時に、規制緩和とかまたグローバル化への対応というのをやって成功したんだと思います。

 ですから、今年度予算、今予算委員会で審議されているあの予算のように、負担増、給付減、社会保障も、一人一人にとっては社会保障はどんどん縮小していきますし、またマクロで見ても、緊縮型の財政を続けながら、その中で成長を図っていくということは容易なことではない。それでうまくいった国があるんだろうかという疑問を持ちます。

 さらに、格差社会という問題と関連づけますと、どうしてもそういう緊縮財政、また金融政策でも、地方経済、中小企業の犠牲をいとわず、とにかく大銀行の収支の帳じり合わせを優先させてやっていく結果、それ自体が雇用の低下につながるのはもちろんなんですけれども、各企業みんな不安になりますから、たとえ雇用する場合でも、正規雇用じゃなくて非正規雇用にしてしまう。派遣とかバイトとか、さらには請負なんという雇用じゃないようなやり方で働いてもらう、働かせてしまう。

 これが、同じ学校を出て、同じ能力、同じやる気、そういう同じような若者が、本当に運、不運で、一人は正規雇用されて、将来の年金も見通しがつき、結婚して家庭を持つとかというのも順風満帆。片や、正規雇用されないがゆえに、将来設計もできないで、結婚にも踏み切れず一人でいる。頑張った人、努力した人、あるいは能力のある人がそれだけ評価されて差がついていく格差社会ではなく、明らかに不公正な格差社会ということが今、日本で進んでいる。これが小泉内閣のもとで五年間、いわば格差社会化五カ年計画とでもいうようなものがこの五年間進んできたんではないかと思います。

 したがって、やはり、成長させる、パイをふやす中で各企業も個人も思い切って行動していけるような形の改革をとっていかないと、本当に日本は危ないと思うんですけれども、大臣、この点いかがでしょう。

二階国務大臣 歳出歳入の一体改革という、政府がそうしたテーマを掲げて対応しておるところでありますが、私どもはさらに、この人口減少社会においても、必ず国富の増大をもたらす新しい成長が不可欠であるということを考えておることは事実であります。そこで、三月いっぱいぐらいに、今各方面の皆さんの御意見を集めて、これでもって方向性を打ち出していこうと。

 今私どもが何%成長するであろうというようなことを申し上げることによって、そこに議論の焦点が当たって、全体を眺めた今後の我が国の経済成長への道筋を見出していくためには、単に成長の率だけで議論をするというようなことにも陥りかねませんから、私どもは今そこは慎重に対処しておりますが、今議員御指摘のようなことも十分念頭に入れて対応していきたいと思っております。

達増委員 次に、エネルギー問題、特に原子力政策について質問をしようと思っていたんですけれども、これも、仲間の委員が後ほど質問しますので質問は割愛させていただきますが。

 私が述べたかった趣旨は、アメリカでも核燃料再処理、核燃料サイクルへの復帰という動きが出ていて、欧州でもフィンランドで、チェルノブイリ事故以来、ヨーロッパで最初の原子力発電所の建設がスタートしている。また、中国、インドなどでは現在建設中、また計画中も含めればたくさんの原子力発電所が進んでいて、日本はともすれば、核燃料サイクルなんて日本しかやっていないじゃないかとか、原子力発電なんか世界的には下火だとかいう中で萎縮してきた嫌いもあるのかなと思いますので、中国に負けないほど原子力発電所をつくるという意味ではないんですが、戦略的に、特に技術の問題、核燃料サイクルにかかわる技術は高いものを日本は今まで積み上げてきているわけですから、そうした戦略的な政策というものが今必要だということを述べて、質問は後の委員に譲ります。

 次に、クレジットを利用した悪徳商法、悪徳リフォームについて質問いたします。

 これが最近ふえていて、いろいろな目に余るような事件が起きています。例えば、認知症のおばあさんが呉服何点かを約二百九十万円のクレジットを組んで買わされた。そのおばあさんの収入は月四、五万円の年金収入しかない。そういう月四、五万円の年金収入しかない人が、いわば無理やりといいますか、クレジットを組んで買えるから買えということで契約してしまって、二百九十万円の借金を負うことになってしまった。こういう悪徳商法のほかに悪徳リフォームというのもあって、精神障害を持っていらっしゃる方なんですが、退職後、五十歳代の方なんですけれども、次々と住宅リフォームの勧誘を受け、今までに約三千万円リフォームにかけた。それをクレジットでやらされてしまっている。

 こうした問題が全国たくさん起きておりまして、もちろん、この悪徳商法、悪徳リフォームそのものをきちんと取り締まったり摘発したりしていく必要もあるんですが、ただ、クレジットを利用することで、既に払ってしまったお金を取り戻すことができないとか、そういう問題が生じています。

 ですから、そういう悪徳商法、悪徳リフォームに協力するような与信、そういうことをどうにか防いでいかなきゃならないと思いますし、さらには、過剰与信ということ一般を、法律上そういうことが起きないようにしていく工夫も検討していかなければならないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

西野副大臣 達増先生のお示し、具体例を挙げて、クレジットに係ります問題、あるいはリフォームでの悪徳な訪問販売的なものはこれあり、私も、メディアを通じ、また地元でも時たまそういう話を耳にするわけでございます。これは、まずは現行の特定商取引法を誠実に、しかもそれを強化していくべきだというふうに思っております。

 ただ、お示しがありましたとおり、個人の支払い能力に応じた形で本来はクレジットが付与されるべきでありましょうし、またそうあるべきだというふうに思っておるところでありますけれども、お示しのような問題があります。

 ただ、国として、これらの問題について、現実に取り組みをして把握している数だけでも、不適切な販売行為等が行われた、そういう販売業者数で現在は五百七十八店、これを実は取引を停止させておるわけでございまして、さらに、業界の方の自主的な適正与信を基準にして作成をやっていただいておるところでございます。

 経産省といたしましても、引き続いて、申し上げましたとおり、これらの悪質業者に対する特定商取引法の厳正な執行を行うとともに、与信問題についても、取引実態等に即した適切な対応を図っていかなきゃならぬというふうに思いますが、民間等々で信用情報機関等もございますので、そういう活用もさらに含めて、取り組んでいく必要があるだろうというふうに思っております。

達増委員 よく勝ち組負け組と言われるこの格差社会化の中で、ずるい人が得をしてしまうようなことが広がりますと一層この格差社会というものが悲惨になりますので、ここはきちんと対応しなければならないということを申し上げたいと思います。

 次に、灯油価格の値上がりの問題について質問いたします。

 灯油の価格、これは岩手の生協の例なんですけれども、岩手県の場合、家庭用灯油の約一五%を生協が取り扱っていることもありまして、一つ参考になる数字だと思うんですが、去年の一月には十八リットル千四十四円だった灯油価格、ことし一月二十三日に千三百九十五円、二月十三日には千五百三十円に値上がりしてしまっているんですね。ですから、去年の一月と今現在を比べますと、十八リットル千円ぐらいのものが千五百円、一・五倍にはね上がっている。これはかなり庶民生活にダメージを与えております。家庭はもちろん、学校ですとかそういう公共の場も含めて、これは、この灯油価格の異常な値上がりと言っていいと思います。

 こういう中で、石油元売各社が不当な灯油価格の引き上げなどしていないか、政府はきちんとこうした価格の状況を把握しているのか、そういう声も寄せられているところでありますけれども、政府の答弁を求めます。

片山大臣政務官 委員御指摘のとおり、灯油は冬場の暖房用燃料として国民生活に欠かせない必需品でございまして、この灯油の価格につきましても、世界的な原油高と寒波による需要増加の影響を受けまして、委員は先ほど御地元の例を挙げていらっしゃいますが、全国平均の方も申し上げますと、一リットル当たりの灯油小売価格が、昨年一月からの一年間で約五十六円から約七十九円へと、約二十三円、四割程度値上がりしてございます。

 このような中で、経済産業省といたしましては、ことしの厳しい寒さと大雪に見舞われている地域の方々への灯油の供給に関連しまして、ことしの一月、石油元売各社から、灯油の在庫状況、生産計画、輸入計画についてヒアリングを実施しております。これとともに、石油製品の安定供給の確保と便乗値上げの防止も要請いたしました。これをさらに徹底するために、二月にも同様のヒアリングと要請を行ったところでございます。

 また、例年、冬場を迎える前の十月ごろにも、北海道や東北におきましては、灯油の需給、価格動向につきまして、消費者、石油元売業界、石油販売業界、行政が一堂に会して意見交換を行う灯油懇談会を開催しております。今年度はこの灯油懇談会を秋口に既に三カ所行いましたことに加えまして、さらに、本日の新潟を皮切りに仙台、札幌において開催し、消費者の方々の御不安を払拭すべく最大限努めてまいりたいと思います。

 引き続き、灯油の価格や在庫動向につきましても当然注視させていただきますとともに、安定供給に支障を来すことがくれぐれもないように万全を期してまいる所存でございます。

達増委員 きょうもまだ寒いわけでありますし、特に北の方はまだまだ寒さが続くと思いますので、遺漏なきよう、政府として対応すべきことを重ねて申し上げたいと思います。

 さて、最後に、産業クラスター関係について質問したいと思います。

 道州制をめぐる議論がいろいろ審議会でも進んでいる、地方制度調査会でも進んでいますけれども、今、どう道州を分けるかという区切り案でいろいろな案が出ているとか、また、北海道は北海道で独立というのは異論はほとんどないわけですけれども、北海道道州制特区実現のための関連法案というのを政府・与党で準備中なんだそうですが、地元の方から、財源がなくなってしまうような権限移譲は困るということで、いろいろな反対論も出ている。

 そういう道州制をめぐる議論の最近の動きを見ていますと、思えば、この道州制ということは、経済界から経済産業の問題として提起されたというところに本質があるんじゃないかということを思い出しました。

 行革や財政削減の論理でやる話ではなく、そもそもこれは、それこそ青年会議所でありますとかいろいろな経済団体が、道州制で日本の経済発展を新たなステージにということで、地域開発を、さすがに都道府県、市町村ごとではなく、かつまた日本全国一律でもなく、道州単位でやっていくことで日本の新しい経済構造をつくっていけるんじゃないかと。経済構造改革の一環としての道州制。

 ですから、道州で一人の大統領みたいな人を選んで、道州知事をみんなで選んで任せようとか、あるいは道州議会をつくって、その道州議会がすべて仕切るというような、そういう政治的統合をしろしろという議論はもともとなかったんだと思うんですね。

 大事なことは、経済産業政策、これは、国土交通政策とも密接であります幹線道路、鉄道、港湾、空港、そういったものと、工業立地、まちづくり、そして産学連携、官も入っていいでしょう、そういう連携しての新しい技術開発、そういったことを道州というような地域単位でやっていけばよく、新潟県が東北に入るのか北陸に入るのかとかいいますけれども、そういうものそれぞれ両方でやればいい話なんだと思います。知事をどうするかとかになると、どっちかにしなきゃならないんですが、こういう本来の経済政策なんだという原点に戻れば、うまくそこはクリアされると思います。

 そういう意味で、産業クラスター計画は、いろいろ他省庁との連携もとりながらやっているようなんですけれども、やはりまだまだ足りないと思うんですね。これをさらに強力に進めていくことこそ期待されている日本の新しい経済構造改革なんだと思いますが、この点、いかがでしょう。

西野副大臣 達増先生のお示しは、道州制が、単なる権力を持った知事とか議会をつくる、そういう意味ではなくて、それぞれの地域から発生したものが広く、ブロックといいますか、広範囲にわたって影響が出ればいいという意味合いのことだろうというふうに思っております。

 御案内のとおり、具体的にお答えをいたしますと、今日までこの産業創出クラスターの取り組みをいたしておるところでありますが、件数で申し上げますと、全国で十九のプロジェクトがございまして、約六千百社が世界市場を目指して、中堅・中小企業でございますが、取り組んでおります。大学の数では約二百五十。文字どおり産学官の広域的なネットワーク形成を促すとともに、新事業の創出に取り組みをいたして、それに対する支援をいたしておるところでございます。

 今後とも、こういう状況の中で、文字どおりグローバル戦略もございますし、あるいは、その中で日本の中堅・中小企業がさらに進出していくためには、何といってもこれらの研究、新技術の導入というものが必要だろうというふうに思っております。したがいまして、この産業クラスター計画も、今後ともお示しのようにさらに積極的に進めていく、そのことが結果的には地域の経済の活性化にもあわせて寄与をしている、こういうことに相なればと思いまして、積極的に取り組んでまいりますことを申し上げておきます。

達増委員 時間ですので、終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、一般質疑の機会をいただきまして、感謝申し上げます。

 大臣、中国の方に御出張されて、中国の要人の方々と会談されてきたというニュースを見ております。同じ時期に自民党の幹部の方、政調会長も訪中されたということでございますが、比べるわけではございませんが、大臣だからというわけじゃ決してないと思います、どなたとお会いになったかというのを比べると、随分二階大臣の方が、格が上と言うと言葉は語弊がありますが、いずれにしろ要人とお会いになられている。党内といいますか、国内屈指の親中派であられるんだなというのを改めて認識いたしました。東シナ海の問題を冒頭聞こうと思ったんですが、随分前大臣と風合いが違うなというのを率直に感じておるところでございます。

 この東シナ海のガス油田の開発については、もう既に質疑で、一定の進展を見ることができたというお話ございましたので、私、同じことは聞きません。ここは指摘だけをさせていただければと思いますが、共同の海という考え方は、我々民主党もまさにそのとおりであろうと思っております。

 ただ、本件については、日本政府が過去においてしっかりやるべきことをやってこなかったということが大きな一つの要因である。日本政府が過去において東シナ海のガス田開発について、その権益に基づいてしっかりとした行動をとってこなかった。さらには、中国側の油田のパイプラインに、当時の旧輸銀が外務省及び通産省と何の相談もなく勝手に融資をしてしまった。こういった問題も含めて、政府の幾つかの不手際がこの問題を大きくこじらせているんだということを、あえてこの場で指摘させていただきたいと思います。

 質問に移ります。

 私ども民主党は、特に経済産業部門は各部門会議で、日本の競争力をどうやって高めるんだという観点からさまざまな研究、法案づくりをしております。ぜひこの委員会でも、競争力を高めるんだという観点で提言をさせていただきたいと思っておりますが、きょうは、エネルギー問題、先ほど達増議員からお話ございました原子力政策について、冒頭伺っていきたいと思っております。

 我が国のエネルギー戦略を立てる上で欠かせないのが原子力発電であることはもう論をまたないわけでありますが、この原子力発電について、被爆国であるがゆえに、我々は英知を結集して原子力の平和利用、さらには原子力発電所の安全かつ安定的な推進というのはどうしても日本の使命であると私考えております。

 その上で、日本の原子力政策を進める上で、達増議員が指摘したように、今世界の潮流が、ここ一年、大きく変わろうとしている。中国、アジア諸国の原子力発電は言うに及ばず、アメリカが、スリーマイル島事件以来新規原発をつくらなかったアメリカが包括エネルギー法を制定し、そしてこの二月にエネルギー省が大変大きな提案をした。国際エネルギーパートナーシップと呼ばれる構想でありますが、これは、核燃料サイクル、核燃料の再利用をする核燃料サイクルの新たな技術開発、さらには新型の原子力発電所の開発について、国際間で開発を呼びかけようというものでありますけれども、この構想に日本が参加する用意があるのかないのか、ぜひ大臣の、御当局の御所見を伺いたいと思います。

二階国務大臣 原子力政策につきましてただいま近藤議員からお考えをお述べになりましたが、私どもも、先般も英国のエネルギー担当大臣とお目にかかった際にも、日本のエネルギー、特に原子力エネルギーの問題につきまして、双方で、英国と日本とでも協議会を持って、お互いに今日まで蓄積した知見を共有し合おうというふうな面の話し合いが持たれました。私も、このことは大変重要なことだと考え、今、事務的にイギリスとの間でこの問題についての相談をいたしておるところでありますが、同じような考えに基づいて、対アメリカとの間でもこの問題を取り上げて検討していきたい、基本的にそう考えております。

 先般アメリカが発表しました、御指摘にありましたような国際原子力エネルギーパートナーシップ構想は、エネルギーの安全保障や地球環境問題の対応につきまして原子力発電が重要な役割を果たすという認識に基づいて提案されたものだというふうに理解をいたしておりますが、我が国として、米国がこのような提案を行ったことを高く評価したいと思っております。

 また、アメリカがこれまでややもすると消極的であった核燃料サイクルに積極的に取り組もうという姿勢を示した、具体的にそういうみずからの方針を転換したということは、一貫して核燃料サイクルの推進に取り組んでまいりました我が国にとりましては大変喜ばしいことだというふうに考えております。特に、ブッシュ大統領を初めアメリカ政府が我が国の再処理施設や高速増殖炉等の実績を高く評価しておるということは、議員も御承知のとおりだと思います。本構想への我が国の協力にアメリカが期待を表明したというふうに理解をしております。

 したがいまして、本構想においてどのような貢献ができるかということを検討を行うとともに、国内においても、安全確保と地元の御理解を大前提としまして、核燃料サイクルを含む原子力発電の問題につきまして、引き続き推進をしてまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 積極的にこの構想にかかわっていくという御答弁でございました。

 原子力のというよりは、核燃料サイクルの高速増殖炉の開発については巨額な資金がかかるわけでございまして、こうした部分も含めて、ITERという計画が動きましたが、私はあれはどちらかというとタックスイーターだと思っておりますが、こちらの核燃料サイクルの高速増殖炉の方につきましては、これは、いずれにしろこの旗をおろすということになりますと日本の原子力は動かなくなるわけでございますから、コストがかかるプロジェクトについて、国際協力で進めるということも一つの考え方なのかなと思っておるわけでございます。

 さて、こうした中で、原子力ビジネスの世界が非常に大きな動きを見せてまいりました。日本の重電大手メーカーである東芝が、アメリカの大手原子力メーカーであるウェスチングハウス社を買収するということが発表されました。買収金額は五十四億ドル、六千二百十億円の大型買収であります。

 東芝は、これまでGEということであったわけでございますけれども、いずれにしろ、アメリカの技術を日本の原子力各社、重電各社はこれまで導入してきたわけですが、いよいよウェスチングハウスという本家を日本の企業が買収したということであります。

 この大型買収について、大臣、どのように受けとめて、評価をされていますでしょうか。

二階国務大臣 ただいまお説のとおり、ウェスチングハウスの原子力発電所を東芝が買収したということでありますが、エネルギーの安定供給及び地球環境への対応の観点から、原子力発電所は極めて重要な問題だと認識をいたしております。世界的に原子力の見直しと原子力産業の再編集約が進む中で、この原子力発電の利用拡大への動きが、我が国企業が中心的なプレーヤーとして積極的に参加していくことは、私は歓迎すべきだと思っております。

 前にイギリスの原子力エネルギー担当大臣とお目にかかった際にも、日本にはこういう動きがあるようだが、よく見ておいていただきたいということを私から申し上げたことがあります。先般、日本が落札したことに対して、手紙の中でありますが、日本がそれを落札したことは大いに結構だということで、早く言えば祝福のレターが私のところに届いたことがあります。

 したがいまして、我が国の原子力産業が国際的な競争力を有するということが、これは大変大事なことでありますから、東芝によるこの買収の動きを契機として、我が国の原子力産業の国際的な競争力強化に向けて、今後、さまざまな努力が必要だと思いますが、私どもはそれを期待し、また、経済産業省が取り組む分野があれば積極的に対応してまいりたいと思っております。

近藤(洋)委員 そこで、いよいよ日本の企業が世界市場に打って出る、原子力発電所の世界に打って出る時代が来たということだと思うわけですが、何といっても、マーケットを考えますと、急拡大をしているアジア、中国ということだと思っております。

 中国は二〇二〇年までに三十基の原発をつくるという、原発銀座ができ上がろうとしているわけでありますが、これは何も民間のビジネス云々ということを超えて、地球の温暖化に対応する、さらには、中国での原子力発電所が、言葉は適切かどうかは別ですが、余りあやふやなというか、性能が悪い原子力発電所では、これは大変困るわけです。なぜなら、万が一のことがあったときに、灰が降ってくるのは、日本に降ってくるということもあるわけでございますから、そういうことなども含めて、日本の技術であろうがどこであろうが、しっかりした技術で中国が原子力発電所をつくるということは、さまざまな、安全保障上も重要であろうかと思うわけであります。

 前大臣の中川大臣は、大臣名でレターを出されまして、この具体的な商談に対して、ぜひ日本企業、頑張ってくれ、応援したいというようなレターも出されました。二階大臣は、この対中国輸出について、日本の企業連合による輸出について、どのようにお考えでしょうか。

二階国務大臣 先ほど来たびたび御答弁でも申し上げておりますように、今回の日中の会談におきまして、特にエネルギーの分野、さらにはまた環境の面において、五月に積極的なフォーラムを開催しようということを約束してきたわけでありますが、そうした中でもこの原子力の安全確保ということに関して、私どもは当然、中国のみならずアジア、ひいては世界のエネルギーの安定供給の確保という観点に思いをいたし、地球環境問題への対応のために重要でありますので、日中両国がこの点でパートナーとして協力していくことは大いに重要であると考えております。

 そこで、我が国の原子力産業が中国の四基の新規原子力発電建設事業に参画することのようでありますが、大変意義が大きいと考えております。我が国の安全でしかも信頼性の高い原子力技術が中国で最大限活用され、本件が両国の原子力協力の新たな基礎を築いていくということになれば、私はこれは日中間の象徴的なプロジェクトになるであろうと期待をいたしております。

 今後とも、引き続き中国の原子力事業に参画する我が国の企業に対しては、必要な支援を行ってまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 そこで、この前半戦の本題に移るんですが、まさに象徴的な事業である、これは私も大臣、認識は一緒です。

 ただ問題は、こういった原子力発電所を輸出するだけの日本のインフラといいますか、環境が本当に整っているのかということを伺いたいんです。というのは、原発技術というのは、まさに核兵器の製造技術、核不拡散の観点からも厳格なる輸出管理が極めて重要な分野なわけですね。武器輸出も含めた安全保障貿易、管理貿易体制というのが、果たして日本でどこまでしっかりできているのか、ないしは日本の企業がどこまで認識しておるのかというのを問うていきたいと思っております。

 具体的に申し上げます。

 最近、安全保障貿易で不正輸出の事件が相次いでいます。もう既に事件化されておりますが、とりわけヤマハ発動機による事件、中国の人民解放軍の関係会社に規制品目である無人ヘリコプターを輸出し警察の捜査を受けている事件、案件でございます。これはもう既に規制品目だということが明らかなのを、許可をとらず、明らかに違反をしている事案なわけですけれども、ルール違反だと知りながら輸出していたらば法令遵守上問題ですし、気づかなかったとすれば、これも貿易関係の方に言わせると、この相手先は、人民解放軍の関係会社だというのはだれが見てもわかる会社だそうでありますが、これも対中ビジネスの基本ができていない。ヤマハ発動機は一兆円を超える大企業であります。この事件について、大臣、どのように受けとめていらっしゃいますか。

二階国務大臣 御指摘のヤマハ発動機株式会社につきましては、その輸出管理の手続が適正を欠くのではないかとの情報を受けて、経済産業省におきましては、調査を進め、昨年十二月の下旬に立入検査を行いました。その過程において無許可輸出の疑いが明らかになったことから、経済産業省としては捜査当局へ告発に踏み切ったところであります。

 詳細な事実関係につきましては、いずれ司法の場において明らかになるものと考えておりますが、国際協調のもと、官民協調して厳格な輸出管理に取り組んできた中でこのような事態が生じたことは、我が国の輸出管理に対して内外の不信感を惹起しかねないという、極めて遺憾であり、重大な問題だと考えております。

 そこで最近は、本件のみならず、御指摘のように外為法違反容疑事案等が続いていますが、輸出管理につきましては、場合によっては企業の存亡にかかわるような重大な問題でありますだけに、経営トップの皆さんみずからがその重要性を認識することが重要であると考えております。

近藤(洋)委員 現在、経済産業省はヤマハ発動機に対して包括免許を取り上げるといいますか、返上を受けているということでございますが、まだこれは、外為法違反上の捜査中でございますからこれからということでございますけれども、事実関係だけ確認です。

 不正輸出、外為法違反の罰則は現在どのようになっていますか。事務方で結構です。簡単に。

石田政府参考人 簡単に申し上げます。

 刑事罰では懲役五年というのが最高の刑として規定されております。それと別に、行政制裁といたしまして三年以下の輸出禁止措置というようなことが科せられることになっております。

近藤(洋)委員 三年なんですね、輸出禁止。ただ、先ほど大臣がおっしゃったように、企業の存亡にかかわる問題になりかねないと。

 不正輸出で日本企業が大変な危機を受けたあの東芝ココム事件、もう随分前の事件でありますが、八〇年代後半の、八七年の東芝機械による東芝ココム事件。この事件で、本来東芝機械の案件でありましたが、東芝本体の当時の首脳陣お二人が、しかもそのお一人は次期経団連会長とまで言われた方が引責辞任をするという事態にまで陥った。さらにその後の、アメリカのさまざまな法案が提出され、私はまだそのころやっと新聞記者になりたてでありましたけれども、アメリカのワシントンの議会の前で、ハンマーで東芝製の製品が壊されたという衝撃的な映像がまだ記憶に残っているわけであります。

 この事件は、要するに、この種の案件というのは、あのときもそうですが、東芝が半導体で非常に、日本製の半導体が対米輸出で伸びている、さらにはパーソナルコンピューターがどんどん伸びている、そういう状況下の中で、私はあれが一種政治的に使われたと思うわけであります。

 その意味では、今回、懲役何年とかいうものを超えた、日本経済全体にも大きな影響を与えかねない、非常に注意をしなければいけないのが貿易管理体制政策だと思うわけであります。ひとつお伺いしたいんですが、それだけ私は重大な問題だと認識しておりますが、この行政処分の考え方についてお伺いしようと思いましたが、事件、案件中でございますから、時間もありません、割愛いたします。

 ただ、ぜひお伺いしなければいけないと思っておるのは、問題は、最近中国の技術水準がどんどん上がっているわけであります。例えば対中輸出。中国でもどこでもいいわけですが、どんどん、とりわけ中国についていえば、技術水準が上がっている。そのたびに日本の輸出する製品も高度になる。そうすると、一般製品ですとなかなか最初から、今回のヤマハ発動機のようなだれが見ても人民解放軍の関係会社だというのは、これは明らかにわかるわけですが、民生用では企業も気づかないというケースもあると思うんですね。そういう意味では、非常に政治的に利用されかねない。

 さらには、非常に難しくなっている中で、一種、メーカーにとってみると、いつ地雷を踏むかわからないというのもあると思うんです。その中で、企業に対して法令遵守を促す仕組み、さらには管理体制のあり方等々をやはりここは一回整備すべきじゃないか。我が国で原子力発電所を輸出する、そういうハイテク技術を輸出する、これはやらなきゃいけないけれども、こちらの体制が整っていないと車の両輪として成り立たない。そして、万が一何かあったとき大変なリスクを日本全体が負いかねないという懸念があるわけですが、お考え方、どうでしょうか。見直す必要はないでしょうか。

西野副大臣 ヤマハの事件をきっかけにして、表面的には非常にわかりにくい、そういう事件が発生した場合ということだろうと思っておりますが、これに対して、見直すかどうか、こういうことでありますが、さらに、仕組みとしては、例えば第三国を迂回して、ダミー的に、巧妙なやり方もあるだろうと思います。しかし、これらはできるだけ水際で、実際にそういう問題がないか、不審ではないかということを監視して、そういう仕事をしっかりやっていくべきだというふうに思っておるところでございまして、管理体制自身もさらにひとつ強化していく必要は、これは痛切に感じておるわけでございます。それらを踏まえて、状況をお示しの点もあるやに思いますので、前向きにこれらの問題について検討を深めていきたいというふうに思います。

近藤(洋)委員 やみの核市場というのは世界にもあるやに聞いておりますし、さまざまな落とし穴があると思っておりますので、この体制がどうあるべきかというのは、我々も、民主党としても、ぜひ提言をさせていただきたいと思っているわけであります。

 前半戦の時間が迫ってまいりましたので最後の質問に移りますが、競争力強化という観点から考えても、官製談合というのは、日本の企業の競争力を結果として大きく、著しくゆがめておると思います。

 我々は、官製談合につきましては、一昨年の独占禁止法改正の議論のときから法改正の研究に着手をいたしまして、昨年の国会で官製談合防止のための法律案を提案させていただきました。そしてこの通常国会でも新たな法律を、一部改正をした官製談合防止法、天下り禁止法も含めた関連法を提案させていただきました。

 与党もようやく、ようやくここに来て重い腰を上げていただいたので、ぜひ当委員会でも議論させていただきたいと思いますが、その議論はまたの機会にしっかり時間をとっていただくようお願いするにして、本日は、まず、所管大臣及び公取委員長に基本認識だけお伺いしたいと思います。

 時間が迫っております。公取委員長は午前中だけしか、お忙しいということだったので、後ほど大臣の方に、午後、伺いたいと思います。

 官製談合というのは、市場へ大きな影響を与える、発注者が市場をゆがめるという観点から考えても、私は、官僚側に、発注者側に大変大きな責任が、民間企業者より大きな責任があると考えます。これをいかがお考えかということと、官製談合はまさに税金の猫ばばでありますから、これは組織的な、しかも天下りと関連した組織的猫ばばでありますから、反社会的行為すなわち犯罪だ、官製談合行為は反社会的行為、大きな犯罪だと考えますが、公正取引委員会委員長の御見解をお伺いしたい。

竹島政府特別補佐人 おっしゃるとおり、いわゆる官製談合は、現行法でも刑法並びに独禁法に触れる犯罪行為であるというふうに思っています。現に、刑法に基づいて起訴されている職員もおりますし、独禁法で共同正犯とか幇助罪で起訴されている者もおるということでございます。

 問題は、今の法体系で十分かということでございまして、民主党の御提案も承知しておりますし、最近まとまった与党の案も承知しておりますが、私は、公務員に関してこれだけの事例がありますので、一般の談合罪に比べてより厳しい刑事罰を導入するというのは、残念ながら必要であるというふうに思っております。

近藤(洋)委員 では、時間も、ぎりぎりのところですが、それじゃ大臣にも、この点、官製談合は犯罪であるという認識だと思いますので、これはもう割愛して、天下り問題について、やはり重要閣僚として、規制すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

二階国務大臣 天下りでありますが、その前に、官製談合の問題につきまして、けさの閣議におきましても、関係閣僚からそれぞれ決意の表明があり、内閣を挙げて徹底的に取り組もう、こういうことでありますから、また改めて機会を見て御報告をさせていただきたいと思います。

 なお、ただいまの天下りにつきましては、再就職という要件と退職する職員の経験や能力を踏まえて、適材適所でその能力を生かすということも重要でありますが、押しつけ的なものでいわゆる天下りと言われていることに関しては、これは厳に慎むべきものだと考えております。

近藤(洋)委員 これはイントロでございますので、しっかり、この問題、それぞれ議論していきたいと思います。犯罪である以上、私どもは、刑法の改正が正しいということだけこの場で申し上げていきたいと思っております。

 また午後やらせていただきます。終わります。

石田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四分開議

石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 午前に引き続き、質疑をさせていただきます。

 これからは、地域の再生、地域産業の再生について、大臣を中心とする経産省の皆様の御意見あるいはお考えをただしてまいりたいと思っております。

 まず最初に、二階大臣、小泉政権は五年間たったわけでありますけれども、私も改めて伺っていきたいと思います。地域経済はよくなったんだろうか、この五年間で。よくなったという言い方がちょっと余りに抽象的であれば、小泉政権の五年間で、今の地域経済、地方経済と言い直していいと思うんですが、大都市、三大都市圏を除く、とりわけ地方の中小都市、郡部、こういったところの地域経済の展望はこの五年間で開けるようになったとお感じでしょうか、それとも違うとお感じでしょうか。

二階国務大臣 私自身も地方の出身でありますから、地方ということに関しては特別関心を抱いておりますが、以前から私は、日本経済を考える場合に、中小企業の活性化と、地方が展望を開いていくことができるような社会をつくっていくということが大事だと基本的に認識しております。

 我が国の景気は、確かに明らかに改善を見ておるということは言えると思います。先ほど、中小企業の面ではまだまだだという、青年会議所でしたか、数字を並べてお話がありましたが、地方におきましてもだんだん順調な回復の道をたどっておるわけであります。それでは、十分そういう状況になっておるかということになりますと、地方におきましても、議員も御承知のとおり、有効求人倍率等におきましても、県全体はある一定の数字を示しておっても、地方によって、ある一定の郡市によって、まだまだ非常に低いところ、成長のテンポが遅いといいますか、おくれている地域というのが存在することも事実であります。

 しかし、私どもは、小泉政権における政府の取り組みそのものは、結果的には今日のこのような経済の回復を見たわけでありますから、一応は成功したものと考えておりますが、先ほども申し上げましたように、まだまだ地方そして中小企業等におきまして、これからなお一段の努力を必要とする地域あるいは業種が存在することは事実であります。

 産業構造の違い等を背景にしまして、地域間の改善の度合いというものはおのずからばらつきが見られるわけでありますが、これらの点につきまして、私どもも、新経済成長戦略なるものを編み出し、地域の活性化に取り組んでいこうというのも、そうした問題に対して極めて関心を強く持っているからであります。

近藤(洋)委員 経済閣僚のお立場としては、小泉政権の成績がだめだったとはなかなか言いにくい部分もおありになるかと思うんですが、ただ、大臣も一部お認めいただいたように、大変地方は厳しい。

 これは、お手元の方に委員長のお許しを得て資料を何部か配付させていただいていますが、一枚紙の資料五というものをごらんいただければと思います。

 一覧表になっているものでございますが、この表は、経済産業省が昨年の十二月、地域経済研究会、二〇三〇年の地域経済のシミュレーションというものから抜粋したものでございますが、全国をいわゆる雇用圏といいますか一つのブロックといいますか単位で二百六十九のブロックに分けて、今後三十年、どのような姿になるのかというのをシミュレーションしたものであります。

 これを見ると明らかでございまして、人口、一番左側の欄が二〇〇〇年から二〇三〇年はどうなるかということですが、人口はこのとおり。そして域内総生産。ごらんいただいておわかりのとおり、東京圏のみ人口がわずかにふえ、域内総生産は一〇・七%。東京都市ですね。政令都市は、人口は減りますが域内総生産は六・九%増でありますが、人口十万人未満の地域は、人口で二四・六%減、総生産で一五・一%減という数字であります。

 経済産業省がみずから、なかなかこれは、地方の、特に郡部の展望が開けないよ、今のままのこのシミュレーションでいくと大変なことになってしまうよ、こういうデータを出されている。これは正直な姿だと思うわけであります。

 その意味では、少なくとも、東京の中でもそれぞれ苦労されている中小企業さんはたくさんいらっしゃるかと思いますが、エリアで見れば大都市圏ひとり勝ち、こういうことでありまして、人口十万人未満のところ、県庁所在地でないところ、こういうところは、まさに今もう坂を転げ落ちている最中だと言っても私は過言ではないと思うわけであります。

 だからこそ、なかなか豊かさが日本全体として実感できないわけでありまして、大臣もおっしゃいました、中小企業と地方が成長のまさに源泉だ、源なんだと。私も全く同意見であります。ただ、現状の展望を見ると、だからこそ、地方がそれこそ大事だと思うからこそ、非常に暗い気持ちになる、何とかしなければいけないという気持ちになるわけでございます。その意味で、地域の産業政策というのは非常に重要だという認識は大臣と一緒だと思うわけでありますが。

 そこで、お手元の資料一というのをごらんいただければと思うんですが、経済産業省がことし一月の十四、十五日の両日、和歌山県の日高町、そして田辺市で一日経済産業省in和歌山という行事を開催しております。一枚目の方には経済産業省側の出席者、こちら、大臣、抜けております。役所の関係ということだけでありまして、当然二階大臣、一日経済産業省でありますから、二階大臣を初め鈴木官房長以下主要局長といいますか、いわゆる通商関係を除くすべての局長が参加をし、中小企業庁長官、特許庁長官、お二人の秘書官、そして地域経済局の幹部の方々も参加をして一日経済産業省in和歌山というのを開催しております。

 二枚目、三枚目には、この次第といいますか内容が、式次第が書いておりますが、この行事、経済産業省の方に伺いましたらば、経済産業省と一日経済産業省実行委員会という団体の共催事業であるという御説明でございました。

 私も、経済産業省をずっと見てきておるわけですが、これだけ主要な幹部が二日間にわたって集まられるということはなかなか聞いたことがございませんし、また、一日経済産業省という言葉は初めてかなと思って問い合わせをしたところ、畑英次郎通商産業大臣のときの平成六年六月十九日に、一日経済産業省、当時、通商産業省・in中小企業庁という行事を同じような形式でやっているようでございます。いずれにしろ十年ぶりの開催ということでございますが、この日高町、田辺市とも二階大臣の御地元和歌山三区の自治体でございます。この行事を開催されました目的、御当地で御開催された理由を教えていただければと思うんです。

二階国務大臣 我々は、これから、それぞれの地域の声を聞いて、そして経済産業政策に反映させていこうという決意のもとに、できるだけ機会をとらえてこうした会を計画していきたいと思っておるんですが、最初に私の地域が選ばれたということであります。それなりに、地方の声をじかに、私はもとより、この幹部の諸君もそれに直接接する機会を持って大変参考になったと思っております。

近藤(洋)委員 地域の声を聞くということ、それは、その趣旨自体は大変すばらしいことだと思うわけでございます。

 ただ、一つ、幾つか気になる点があるのでこの委員会で伺っていきたいと思うわけですが、この一日経産省in和歌山実行委員会と共催をされたこの行事、その趣旨はよくわかりました。ただ同時に、経済産業省、これは事務方にお伺いしたいんですが、どのような法令に基づいてこの行事を行ったのか、また、この事業全体にかかった経費、幾らかかったのか、そのうち経済産業省が支払った経費は幾らなのか、簡潔にお答えください。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 根拠法令でございますけれども、経済産業省の設置法第四条、いわゆる所掌事務でございまして、所掌事務の中で調査等を行うということになっております。それに該当するということで行わせていただいております。

 それから、先生御指摘の費用でございますけれども、経済産業省といたしまして、今回の一日経済産業省に対しましては約三百八十万円の負担をいたしております。

近藤(洋)委員 私も、その所掌事務ということで設置法第四条、資料の四に、これは経済産業省からいただいた資料そのものを、では、法文を見せてください、該当項目に丸をつけてくださいということでいただきましたが、これは全部に丸がついておりまして、これに基づいてこの行事をやっているんだという御説明。

 大変重要な事業、大事な行事、そして正直言ってこれだけ主要幹部が一堂に会するというのは、私は非常に大事なことだと思うんです、大変な行事だと思うんですけれども、なかなか、ほかの省庁でも開催されているのかどうか、そう頻繁にやれるようなものではないと思うんですが、根拠法令がこれというのはちょっとやや奇異な感じがするなというようなことだけ申し上げたいと思います。

 ついでにちょっとお伺いしたいんですが、三百八十万円の費用ですが、内訳をお教えいただきたいんですが、費目の内訳を。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 内訳でございますけれども、会場設営費ということで約二百四十万かかっております。それから新聞広告を出しておりますので、これで約百三十万かかっておりまして、これがほとんどの経費でございます。

近藤(洋)委員 あとちょっと加えたいと思うんですが、恐らく、幹部の方々の交通費、旅費、これは含まれてないということでしょうから、お一人当たり東京から来ると大体五万か六万ぐらいでしょうか。そうすると、この人数に掛け合わせれば三百八十万円に加えて四百万円以上の税金を使った事業だということだと思います。

 共催団体の共催行事でありますから、全体のコストというのは、なぜ言えないんですか。

奥田政府参考人 同じく主催団体でございます実行委員会の方で一部負担をしていると承知をしておりますけれども、それについては現在私どもとしては承知をいたしておりません。

近藤(洋)委員 ちょっと問題だと思うんですね。共催の行事でしょう。設置法、経産省の最も根幹にかかわる設置法に基づいた業務であり、共催行事であり、把握していないというのはちょっと理解できないんですが。どういうことですか。おかしいんじゃないですか。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 現在、我々の方で調査をいたしておりますけれども、これは民間の方で分担をしているということでございますので、現段階ではわかっておりません。

近藤(洋)委員 正式な行事であれば、私もこの問い合わせをしたのはきのうの深夜ですから、それは瞬時に答えられないというのはよくわかるんです。でも、まあ普通のちゃんとした行事であり、これだけの幹部の方々がそろっている正式の行事であれば、把握していないというのはその会の性質、成り立ちそのものを疑われかねないと思いますので、これは余りよくないことだということを指摘したいと思います。

 大臣、この経済産業省で行われた行事で、これはそのときに配付された資料でございます。皆様方お手元の、抜粋だけをお渡ししておりますが、「中小企業と地方の躍進こそ日本の活力!」全くそのとおりです。本当にそう思います。この中身については、目次だけ皆様方にお渡ししていますが、それぞれの大臣の会見の要旨、そして大変読みやすくなっておりまして、写真も出ております。この数カ月間の、十月から一月までの大臣の御活躍、堂々と、「カメラが追う二階大臣」ということで、全部でもっとたくさんあるんですが、ごく一部だけでございます。

 これだけ見ると、本当に二階大臣が精力的に動かれているのがよくわかります。私も後輩の政治家でありますが、これだけ精力的に活動されている、政策グループの長でありながらこれだけ精力的に活動されているというのは大変すばらしいことだなと思うわけでありますが、あえて言えば、これが共催行事、この中身の部分はともかくとして、この写真等が共催行事として果たしてどこまで正しいのかというのは、これまた、あえて失礼なことになるかもしれませんが、正式な行事であるならば、先ほど同僚の達増議員が言いましたが、政治と行政の一定の線引きというものの中で、やはり李下に冠を正さずという部分もあるのではないかという懸念だけを申し上げます。

 趣旨が大変すばらしいだけに、そうあえて申し上げたいと思いますが、この行事は大変すばらしいと思います。どのような計画でおやりになるのか、ぜひ今後の御予定をお教えいただきたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 今後とも地方の生の声を聞くということは大変重要だと考えておりますので、必要に応じて一日経済産業省を開催することも考えております。ただ、大臣の国会の関係とかいろいろございますので、現段階で具体的な日程等については固まっておりません。

近藤(洋)委員 審議官、ぜひ大臣も、現場を重視する、地方が、中小企業が重要だという認識をお持ちの大臣でありますから、すばらしい趣旨でやられているわけですから、一日経済産業省、ぜひ四十七都道府県で、それは、形態はこれだけ立派な方々が来られる必要は私は全くないと思います。ただ、それぐらいの気持ちで、地域の声をぜひ役所として収集していただきたいと思うわけであります。

 あと、あえて言えば、会計の部分でしっかりわからないような、今の説明のようでは、大臣のその趣旨と反するわけですから、私は事務方として問題があると思いますよ。どちらかかが問題がある。今、言えないということはその事務の所掌のあり方として大変問題があると思いますので……(発言する者あり)それは、いろいろ不規則発言が出ているようですが、設置法四条にのっとった、法令にのっとった行事であります。

 ぜひ大臣、この辺も含めて、監督者としてもその辺は御指導をいただきたい。今後開催するに当たっては、行政としての立場、公立中正な立場、透明の立場という部分について御指導いただきながら、地方の声を徹底的に吸い上げていただきたいということを申し上げたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

二階国務大臣 大変貴重な御意見をちょうだいしてありがたく思っております。

 先般、このニュービジネス協議会という正式な経済産業省関連の認可団体でありますが、その幹部の皆さんにお会いしましたところ、私たちの方でもぜひ一日経済産業省というのをやっていただきたい、人集め、その他につきましての準備は私どもの方で一切やらせていただきますということでありました。まだ日程等、どのような場所でやるかということは決めておりませんが、そうした申し出をちょうだいしながら、他の日程等々調整して、できるだけ議員が御指摘になったような方向でやっていきたいと思っております。

 私が何もすべての会に出る必要はないのであって、副大臣も政務官もおっていただくわけでありますから、そうした方々にも第一線に出ていただいて、対応していくということを考えていきたいと思います。規模その他はそれぞれの地域の判断にお任せをいたしたい、このように思っております。

近藤(洋)委員 真摯な御答弁ありがとうございます。終わります。

石田委員長 次に、大畠章宏君。

大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。

 近藤洋介議員からも御指摘がありましたけれども、きょうは二階経済産業大臣の所信に基本的に基づきながら、大臣の御意見、また関係の方々の御意見をお伺いしたいと考えておるところでございます。

 まず、大臣の所信の演説を先日お伺いしました。冒頭に、「現在、我が国の経済は、穏やかに回復しつつあることは御承知のとおりであります。しかし一方で、企業規模や地域によるばらつき、原油価格の上昇、高どまりの影響についても十分に注視する必要があります。」非常に的確に私は見ているなと思うんですね。回復の状況はあるけれども、しかし一方では、さまざまな懸念する要因もある、そして我が国経済を取り巻く環境は大きく変化している、これもそのとおりだと思うんです。

 実は、ここに与謝野内閣府特命担当大臣の所信があるんです。先ほど、午前中、内閣委で質問しましたけれども、与謝野大臣は、所信の中で、「過去十年余りにわたる長期停滞のトンネルを抜け、我が国はいよいよその持てる力を総動員し、直面する歴史的課題に正面から挑戦していく局面に入った」、いわば、新たな挑戦の十年が始まったという時代認識に立ち云々という、非常に元気な所信表明があります。

 私は、先ほども指摘をさせていただいたんですが、そしてまた、この大臣所信の中には、ものづくりの話、「中小企業のやる気を最大限に引き出していくため」云々、「全国の中小企業三百社程度の優秀企業の事例をまとめ、」云々というのと、自動車、ロボット、国産飛行機、これも明るい課題でありますし、さらには「海外からの直接投資を受け入れる環境を整え、」云々があります。コンパクトシティーの話もございますし、国際交渉の場のWTOの話もございます。原油高の問題についても言及しておられますし、エネルギーの問題、環境や経済の問題についても言及されておられます。

 基本的に大臣のこの言及された事象は、私もそういう視点で物事を考えることが必要だと思うんですが、何か抜けているものがあるんじゃないかという感じがしたんですね。

 それは、先ほど、近藤洋介委員や達増委員からもお話あったと思うんですが、実は、大臣のところにもこの小さな一枚紙は配付されていると思うんですね、一覧表。これは参考にお配りをさせていただいてはいませんか。来ていますね。これを見ると、大臣、この表を見ながら、大臣の所信といいますか考え方をちょっとお伺いさせていただきたいと思うんです。

 実は、これは日銀短観の二〇〇五年、去年の十二月調査のものなんですね。製造業と非製造業と二つに分かれているんです。製造業の方は、大規模も中小企業も、最近と先行きもまあプラスでいいのではないかという指標なんですね。非製造業、ここのところは、大企業のところはいいわけでありますが、中小企業のところは、最近がマイナス七、先行きもマイナス九ということで、中小企業が落ち込んでいるんですね。

 特に私が注目しているのは、地域、大臣もそうだと思うんですが、日本の国は何も大都会だけでできているわけじゃなくて、ふるさとがたくさんあって、皆さんもそうだと思うんですが、そのふるさとでみんな育っているわけですね。そのふるさとの状態はどうかというと、非製造業のうちの建設とか小売とかあるいは飲食店とか宿泊、こういうところで大体地域経済が成り立っているんですが、建設もマイナス一八、先行きもマイナス二七、小売もマイナス一八、先行きもマイナス一二、飲食店・宿泊もマイナス二二、マイナス一五。ここのところがどしゃ降りなんです。

 大臣は、明るいところに視点を向けて、何か、国民が少し元気がないから鼓舞しようということで大臣の所信の原稿をつくられたと思うんですが、実は、どしゃ降りのところのことについては、残念ながら言及されていないんですね。日本全体の国土の面積からいえば、この中小企業の非製造業のこのところ、ここのところが大体どこの町でもこんなところなんですよ。ここのところがどしゃ降りだから、中央から、小泉総理が、やればできる、元気がみなぎってきたというメッセージが津々浦々に行けば行くほど、それはちょっと違うんじゃないかという声が私の耳には聞こえてくるんです。

 そこで、経済産業大臣として、この中小企業のどしゃ降りの状況についてどういう御認識を持たれ、この所信の中には余り触れられておりませんけれども、このどしゃ降りが続く地方経済の問題の認識と、そしてそれにどう取り組もうとしているのか、御所見で結構でありますから、お伺いしたいと思います。

二階国務大臣 日本経済で、特に中小企業、そして地方の部分につきましてはまだまだ低迷が続いておるということは私どもも十分承知をいたしております。しかし、また一方、十年以上続いてまいりました低迷した日本経済が、ようやく明るさが見えかけてきたということも事実であります。

 我々は、そうしたことに背中を押され、新しい時代を開くために新経済成長戦略なるものを構築し、国民の皆さんの御理解、御協力をいただいてともに歩もうということで、まさに立ち上がろうとしておるわけであります。我々は、そうした面で、今御指摘にありましたようなことも念頭に置いて、新しい時代を経済成長の分野でも巻き起こしていきたい、このように考えておる次第であります。

大畠委員 私もかつて経済産業政務次官をさせていただきましたけれども、その当時、中小企業と称する企業数は九九・七%ということで、日本の国は、言ってみますと、どうしても大企業に目が向きがちでありますが、そういう小さな企業、小規模企業に支えられていると言っても過言じゃないんですね。

 したがって、こういう地域社会において、三人ぐらいでやっている事業所もあります。そこで子供さんを産んで、子供さんが小学校、中学校に行って、そしてまた地域社会の中で、支える担い手になっていく。こういうところを私は大事にしないと、日本の国というのは決してアメリカと違いますから、日本の国というのは徐々に徐々に衰退してしまうのではないかという危機感を持っておるんです。

 したがって、もっと、中小企業の現状と、そして中小企業は一体どういう状況にあるのかということをしっかりと考えて、大局に立つことも大変大事なんです。大事なんですが、そういうこともぜひ目配り、気配りをしながら大臣を務めていただきたいなということを冒頭に申し上げておきたいと思います。

 そこで、この地域社会、ふるさとの中で、幾つか課題がございます。きょうは、そういう意味で、まちづくりの問題、それから大規模小売店と小規模小売店の競争社会においての課題、そして、最後になりますけれども、原子力政策についてお伺いをしたいと考えているところであります。

 最初に、まちづくりでございますが、やっと政府の方も、まちづくり三法の見直しをしなければ地域のふるさとが崩壊してしまうということで、改正について法律案を、これは決定されましたですね、閣議で決定されておりますけれども、出すことで準備をしました。ただ、地域の方では、ちょっと遅きに失したんじゃないかと。見てみると、各所にもう大規模の小売店ができていまして、大変な影響を受けていまして、もうあきらめ切っているような商店主も出てきているんですね。

 しかしながら、何とかやろうという、今大臣からありましたけれども、そういう人も中にはいるんですね。そして、その方々の話を聞いてきまして、五項目ほどあるんですが、第一点は、長期的な視点に立つまちづくりということから、五十年規模ぐらいで、土地の用途規制の強化とか、あるいは条例による建物の外観の規制とか、規制緩和の時代、官から民とはいいながらも、そこら辺は規制しないと、野放し状態ではもうどうしようもないという声があるんですね。大臣も諸外国へ行っておられたと思うんですが、イギリスとかフランスとかドイツとかきれいな町並みがそろっていますが、あれは規制によって町並みが維持されているんですね。

 そこで、国交省がきょう見えていると思うんですが、国土交通省の方にお伺いしたいんですが、ここら辺、まちづくりという観点から、国交省としてどういうことを規制強化について考えておられるのか、まず最初にお伺いしたいと思います。

加藤政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃるように、国土交通省といたしましても、まちづくりの推進に当たっては、適切な土地利用のコントロールですとか、あるいは良好な建物外観の誘導といったことが非常に必要だというふうに認識をしております。

 このため、土地利用規制については、従来から都市計画制度により必要な制限を行ってきたものでございますけれども、近年のまちづくりへの国民の関心の高まりを受けて、都市計画法でもいろいろ改正を重ねてまいりました。

 例えば、昭和五十五年の改正では地区計画制度を導入させていただきました。地区計画制度は順次拡充もさせていただいております。また平成四年には、従来、用途地域制度、先生先ほどお取り上げになられましたが、従来の用途地域、八用途地域ございましたが、これを十二用途地域へ拡充をいたしました。拡充といいますか細分化をいたしまして、随時、都市計画制度の拡充を図ってきたところでございます。

 最近におきましては、都市計画法の平成十年の改正におきまして、用途地域内において地域の特性に応じて用途規制の強化を行うことができる特別用途地区制度というのがございますが、この柔軟化を行いました。また平成十二年改正におきましては、用途地域外で特定の建築物の用途の制限を行うという目的を持った、特定用途制限地域という制度の創設を行わせていただいたところでございます。

 ただ、先ほど先生が御指摘されましたように、現行制度では大規模集客施設に係る土地利用コントロールといいますか立地コントロールが不十分であるといったような指摘を各方面から受けておりまして、そうした指摘も受けまして、今国会に都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案ということで提案をさせていただいておりまして、この中で、大規模集客施設の立地について、原則として、商業地域、近隣商業地域及び準工業地域に限定する等の措置を講ずることとしているところでございます。

 また、建物の外観等につきましても、平成十七年六月に施行されました景観法におきまして、景観計画とそれに基づく条例により、建物の色でございますとかデザイン等を制限することを可能にする等、地域のまちづくりを支えるための仕組みを整備したところでございまして、現在、これは二百以上の地方公共団体において、その制度を活用した取り組みが進められているところでございます。

 国土交通省といたしましては、今後とも長期的視点に立った地域のまちづくりを適切に支援できるよう、都市計画制度等の整備に努めてまいりたい、このように考えております。

大畠委員 今の外観問題については、私は日本の国が大いに反省しなければならないと思うんですが、いつの間にか汚い町になってしまいました。何を建ててもいい。ピンクの建物でもいいし、黄色でもいいし、赤でもいいし。基本的にヨーロッパは、外観というのは公共である。いやが上にも目に入りますからね。外観というのは、したがって、色とか高さとか、そういうのは規制していいんだという文化的なものがあるんですが、日本の場合には、残念ながら戦後何でもいいんだということで自由になっていますから、何となく汚い町になってしまったんです。

 もっと国土交通省の方でもそこら辺は反省をしながら、いい町をつくるように、ぜひ皆さんも、外国に行ったときに、いい町だなと思うところが随分あったでしょう。朝、散歩したって、とてもきれいですよ。小学生なんかも通っているけれども、こういうところで通学すればいい大人になるだろうなと思うんだけれども、最近の日本はつまらないんだよ、町が。

 そこら辺は国土交通省さんだけの責任とは言いませんけれども、我々大人が、そういうツールがあるのであれば、きちっとした形で、五十年後にはランドセルしょって楽しく通学できるような町並みを実現できるように、さらに努力をしていただくようにお願いをしておきたいと思います。

 それから、経済産業省管轄でありますが、実は、この質問をするに当たって、商工会議所に行っていろいろ関係者の皆さんの話を聞いてきたんです。商工会議所の皆さんから何点か要望が出たわけでございますけれども、まちづくりについて、現在、商工会議所というのはいつの間にか何か既得権益を守る集団だというような見方をされちゃって、ほとんど役割というのが阻害というか、何のために商工会議所でみんな集まって仕事しているのかよくわからなくなってきているんですよ。

 私は、いわゆる空き店舗、中心市街地で一番困っているのは、中心部にお店を持っている人が多いんですが、非常に困っているんですね。やはり困っている人が中核になってまちづくりをやるというのが一番なんです。役場はそんなに困っていないんですね、正直言って。だって、どうなったって別に役場の人は困るわけじゃないんだ。困っているのは商店街なんだ。

 そこで、私はイタリアの例とかフランスの例をいろいろ調べさせていただきましたが、各国ではやはり商工会議所とかそういう団体を非常に信頼している。そして、その商工会議所も、既得権を守ろうというような次元の低い話じゃなくて、町をどうやったら美しい町にできるかということを非常に真剣に考えているんですね。

 私は、ここで申し上げたいのは、商工会議所あるいは商工会という役割をもう一回、これは経済産業省の所管でありますけれども、もう一回見直して、まちづくりの中核に商工会議所を位置づける。そして、商工会議所あるいは市役所といいますか役場、消費者、そういう団体、学者も入れていいんですが、そういう形でまちづくりの指導を、商工会議所とか商工会というものをもっと信頼して、もっと人格を高めて、そこにかなり権限等を与えていいんじゃないかと思うのでありますが、ここら辺について、経済産業省の今の考え方をお伺いしたいと思います。

西野副大臣 今先生の御指摘をされました商工会議所、商工会のあるべき姿というものを何か教えられたような気がいたします。具体的にまちづくりということになりますと、往々にして、その規制の枠の中で何とか実現をしようという含みがありますけれども、本来、町並みを含めて商店街等々は町の中心的なものであるべきである、これは先ほども少し触れたところでございます。

 したがって、今国会で中心市街地活性化法を提案させていただいておるところでございますが、ここでとりわけしっかり取り組まなきゃならないこと、その目的は、お示しがありますとおり、商工会議所や商工会は当然ながら中心になっていただくべきでございますけれども、それにあわせて、商業者、あるいは当然ながら、開発をいたします事業者、そして加えて、その土地にかかわります地権者、あるいはNPOといいますか関係します市民団体、広くいえばその地域地域ごとの特性があると思いますし、また、やらなきゃならない目標というものも当然ながら出てくると思いますので、要は、地域の皆さん方が持てる、組織の方々が、関係者が相寄って協議をしていく、こういうものに、いわば商工会議所が一種の司令塔的な役割を果たす、こういうことになればいいのではないかなというふうにも思っておるところでございます。

 今後とも、この法律の改正がなされました上には、新たに、このまちづくりににぎわいを取り戻すためにも、あるいは商店の活性化のためにも、その会議所が中心になった、先導的な役割を果たせるように、ぜひ取り組みをさせていきたいというふうに思っております。

大畠委員 団体でも人間でもそうですが、ある意味での権限というものを、あるいは役割というものをきちっと与えないとなかなか力を発揮しないんですね。

 私は、ここまでふるさとの力が失われた今、やはり、役場頑張れと言ったら、これはまたお金を投入しないと、役所というのは人も確保しなければなりませんから大変なんですが、既に商工会とか商工会議所という組織があるんですから、ここに新たな息吹といいますか、気を吹き込むということが今は大事なんじゃないかと思うんです。

 ですから、今副大臣がおっしゃいましたけれども、経済産業省の担当官に話をして、もう一回、商工会議所とか商工会の機能、役割、権限、権能、ここら辺を見直しして、気を吹き込んで、よしやれ、まちづくりの中心となって、力も入れてやってくれ、それができるような環境をつくっていただけるように、ぜひお願いしたいと思います。

 そのときに、今伺いますと、商工会とか商工会議所というのは入っても入らなくてもいいんですね、任意団体といえば任意団体ですから。私は、ある程度そういう権限、権能を与える場合には、例えば、その中心市街地を構成する地域の商店街とか企業は商工会議所とか商工会に入らなければならない、あるいは入ることが望ましいというような、少し誘導策でもやっていただかないと、会費だけ取られてなかなかメリットがないなんというので抜ける人も随分いるのです。これからまちづくりをやろうという中核の組織体がそういう、もちろんその御本人に頑張ってもらうことは当然なんですが、同時に、施策として中心市街地の再活性化を図り、五十年後の日本の各地のふるさとにはヨーロッパ並みの町、中核の町をつくるというのであれば、そういうことも私は必要なんじゃないかと思うんです。

 ここら辺、商工会とか商工会議所も頑張ってはおるんですが、少し周辺から、できるだけ中心市街地で、再活性化に向けて政府もいろいろなてこ入れをしますが、その地域の人は少なくとも商工会とか商工会議所には入っていることが望ましいとか、そういう誘導策を私はとるべきだと思うのですが、この件についてお伺いしたいと思います。

西野副大臣 まず、今回提出しています中心市街地活性化の法律の法文自体に、いわば事業者等が中心になって、会議所も含めてでございますが、その責務を果たすようにということにはなっておるわけでございます。

 今先生のお示しの点、確かに、私も知ります商工会議所、確かにそれなりの能力とかやる気は持っておると思うんですね。それが、与えられた枠内のものにどうも終始している、そういう感をある意味では否めないと思うんですね。ですから、たまたま中心市街地活性化法を改正し、今回、地域の整備機構等も踏まえて協議会を地元でつくることになっておりますが、そういう折に会議所、商工会とかが持つノウハウとか能力というものが地域の皆さんと一体になって、その協議会の中で文字どおり、司令塔という表現をいたしましたけれども、リーダー役になれるように、そして、お示しのようなすばらしい外国の町並みのように一挙になるかどうか、これはそこまでまだ言えませんけれども、(大畠委員「夢を持ちましょうよ」と呼ぶ)夢を持って、そのとおりです。そういう希望を持って、すばらしいまちづくりができるように核になっていただきたいな、このように思っております。

大畠委員 イギリス人ができて、フランス人ができて、ドイツ人ができて、何で日本人ができないんですか。やはり夢を持ってやりましょうよ。そうじゃないと、本当にどんどん没落の国日本になっちゃいますからね。ぜひ、副大臣も夢を持ってやってもらいたいと思うんですね。

 そこで、もう一つ声があるんですが、市町村の合併がもう三千規模から二千弱になりましたよね。ところが、残っちゃったのがあるんですよ。商工会とか商工会議所というのがお互いに、法律制定以前からそういうのがあったものですから、合併してもなかなかそういうのは統合されないという課題があるというんですね。

 私は、これも先ほどのまちづくりにかかわりますが、もしも中核になるんであれば、組織体の統合というのも市町村合併と一緒にあわせて、二、三人でいるよりも十人、十人でいるよりも三十人とか、数が多い方がやはり力が出るんですね。そういうことで、ぜひ、市町村合併に伴って、商工会とか商工会議所も統合できるような環境をつくっていただけないかというような要望も寄せられておりますが、この件についてお伺いしたいと思います。

望月政府参考人 先生御指摘のとおり、まちづくりにおける商工会議所や商工会の役割というのは大変重要だということは認識しております。商工会議所と商工会が併存している地域におきましては、したがいまして、両団体が広域的な観点で連携を図っていくということが重要であるというふうに考えております。

 なお、市町村合併に伴う商工会議所、商工会のあり方につきましては、基本的には、民間団体であります当事者の自主的な議論にゆだねるべきというふうに考えております。

 両団体の合併の問題につきましては、昨年度一年間をかけまして、いろいろ賛否両論があるものでございますので、日本商工会議所と全国商工会連合会が共同で代表を出して設置をいたしました研究会において一年かけて検討をいたしました。

 いろいろいいことが、連携のことが結論出ておりますけれども、その中で、合併そのものにつきましては、現段階では、両団体の合併にかかわる、これは実は法律上、法制度が整備されていないわけでございますけれども、法整備を行うことにつきましては慎重であるべきだという御結論が出ているわけでございます。私どもといたしましては、当事者の意思を超えて無理やりやるというのはいかがかというふうに思っておりますので、実は、こういう連携、広域的な連携活動を積み重ねることによりまして、何らかの先行きの展望が開けてくればというようなところで、今この問題については直接的には静観をしているところでございます。

大畠委員 趣旨はわかります。無理やり強制的に結婚させたってなかなかこれは難しいですから、両者の意思が通じて、お互いに理解できるような形で統合する、あるいは連携するというのが望ましいですからね。しかし、そのままでいいんだというとそのままになっちゃいますから、やはりできるだけ、同じ市あるいは同じ行政体になったときには、緩やかに連携を深めて、まちづくりの中核としてやるためにも、そういう力を持つべきじゃないかという誘導は、私は行政体として必要だと思うんですね。そのことをぜひ要請しておきたいと思います。

 それからもう一つ。実は、私の地元の方でもそうなんですが、地主の権利の問題がいろいろあるんですね。中心市街地の駅前通りのところに必ず大きな土地を持った人がおられまして、しかし、その方は所得には不自由していないんです。だから、空き地だろうが空き店舗になっていようが、ある中核のお店やっていたんだけれども、そこが撤退して何か空きビルになっていようが、余り困らないんです。困っているのは商店街なんです。

 そこで、中心市街地のある一部の特定のところについては、土地の私権の制限、あるいは、何らかの形で行政体がそこの土地の使用を、中心市街地の土地の地主は長期にわたって空き地とか空きビルを放置してはならないとか、せめて、これは公共ですから、そういう意味では、規制緩和かもしれませんが、ここのところは規制強化して、町並みあるいは市民のために、そういうところについては制限して、再開発を行政体ができるようにすべきじゃないかという意見があるんですが、この件についてのお考えを伺いたいと思います。

望月政府参考人 お答えいたします。

 今回のまちづくり問題につきましても、空き店舗、特に、別の地域に住んでおられるような地権者の方々がおられるということが大変大きな問題になっているということは、皆さん、共通に認識していることでございます。

 したがいまして、今回の中心市街地活性化協議会などにおきます活動につきまして地権者の方々にぜひ参加をしていただくという、まず土俵をつくるということが非常に大事だし、その地権者の方々と、先行きのこと、町のあり方について協議をするということがまず第一だと思っております。

 それから、加えまして、やはり、そこに空き店舗として空き地を放置していても余り痛痒を感じられない地権者の方がおられるということは、これはなかなか難しい問題がございますので、空き店舗を活用するための税制上のインセンティブとか、そういうようなことを少し考えていくべきではないかということで、今般の税制改正においてもいろいろ議論をしていただきました。

 したがって、地権者の方々がほかの人に店舗の利用として貸し出したりするような場合に税制上配慮すべきであるというようなことを、ある程度合意を得られたところでございますので、これはむしろ、新たな税制というよりは、税制上の運用の問題として解決していけるのではないかというふうになってございます。

 したがって、要すれば、そういう地権者の方々が、それを店舗として、本人がしないでも他の方がやっていただくような格好で活用していただくように、制度上だんだんに設計していくということが重要ではないかというのが皆様方の共通の認識でございまして、政府としても、一歩ずつそういうことに向かっていきたいというふうになったわけでございます。

大畠委員 行政体としてはわかりますが、そういうことを言ったらなかなかこれは進まないね。進まない。やはり、それは国として、あるいは政治的に決断して、地主といえども三年間以上空き地を中心の通りのところに放置しちゃならないとか、そういうのはある程度、地主の方の個人的な私権があるかもしれないけれども、そこのところは公共として少しメスを入れないと、この問題、今のような話をしていたら、五十年後に子供たちが喜ぶような町並みはできないね。まだ駐車場だとか空き地が転がって、空き店舗がまた五十年後にあるかもしれない。

 大臣、それでは私はいけないんじゃないかと思う。大臣、大臣のふるさとでもそうだと思うんだけれども、この問題、どういうふうに考えておられますか、中心市街地の空き地あるいは空き店舗の地主の私権の問題。

二階国務大臣 政府としては、やはり今望月中小企業庁長官がお答えしたような線で考えざるを得ないことは、これは委員も御承知の上で御発言をいただいていると思います。

 しかし一方、また今委員が御提言になりましたようなことなども考えていく、そういうこともやはり、これからの対策の中で工夫を凝らしていくというようなことがなければ、委員がおっしゃっておられるように、今のままの状態が続いていくようなことがあってはならない。今度、新しく法律ができたからとて、私は、これから御提案し御審議いただく法律だけですべてが解決するとは到底思えない。それからいたしますと、今お話しのようなことも本当に真剣に考えていかなくてはならない。

 私は、かつて、ある町で大変にぎわっておる中心商店街、それをコンサルタントの人たちが外部から来られて、調査の結果、次にこの青写真を出してきたときには、その地域のことをオールドタウン、こう書いてありました。オールドタウンになるのかなと思っておりましたら、今やはり眺めておりますと、なるほど、今から二十年も三十年も前のことではあるが、あの人たちが指摘したようなことは当たっているのかなという思いもするわけであります。これは極めて、憲法の問題、個人の権利の問題等考え合わせますと、今議員おっしゃっるようなことを直ちにどうというわけにはまいりませんが、我々は御指摘のことを頭に入れてこれからの対応を考えていきたいと思います。

大畠委員 またこの法律案が提案されたときに改めて質疑することにいたしまして、都会で育った方もいますが、やはり私たちは大体田舎でみんな育っていますから、そのふるさとが子供のころに比べてどんどん悪くなっているのですよ。それで、その悪い環境の中で子供は育っているのです。そして、ある子供は刺し殺されたり、ある子供はいじめを苦にして自殺したり、そんな形になっていますので、まちづくりというのは非常に大事なんです。ぜひそのことを、大臣、念頭に置きながらこれから力を入れていただきたいということを指摘しておきます。

 次の質問に移ります。

 それは何かというと、おなじみのこういう、よく新聞に折り込まれていますから、大臣もこういうチラシよく見ますね。「お安くしています」とか、とにかくたくさん広告があるわけです。特に目立つのは、「当社が指定する競合店のチラシ価格よりお安くしています」、こういうのもよく見ますね、これは新聞に入っていますから。それから、これもたくさんあるのですけれども、「店長決裁セール大好評第二弾」といって、店長決裁で二万円から千円ぐらい現金還元しますよというのですが、ここの大型小売店といわゆる家電の小売店との関係についてでありますが、一時期よりは少し過激さが少なくなったかもしれませんが、相変わらず続いているのです。

 私は、この量販店、大型小売店と小規模な普通の電器屋さんとの関係で、平成八年のときの渋谷の公会堂で、電器屋さんの小売店の方々が集まって決起集会を開いたのです。それはどういうことかというと、片っ方の大型店の方には例えば八万円で卸して、我々小売店に十万円で卸したと。大型店の量販店の方では、例えば九万円で売ったって利益が出るわけですね。小売店の方は、九万円で売ったら一万円損しちゃうのです。そういう不公正な取引がまかり通っていいものかというのがその当時の決起集会の中身なのです。私はその話を聞いて、まあこれはひどい話だなということで、それからずっと公正取引委員会の皆さんや経済産業省の皆さんの御協力をいただきながら、何とかそういう不公正な商慣行を是正しようとして取り組んできたのですが。

 これは、去年の十二月二十二日の日経新聞。「チラシは「目安」 値引き急拡大」、この記事を見ても、一体どれが価格なのかわからない。お互いに、他のお店のチラシよりも安くします、こっちの人も、他のお店のチラシよりも安くします。では、どっちがどっちなんだと。結局、この新聞にも出ていますが、本当は幾らなの、量販店のチラシという話が出ているのですが、どうも調べてみると、相変わらず、先ほど申しました平成八年のと同じように、例えば、ある電気品が、量販店の方の仕入れ値段は九万七千五百四十四円、普通の小売店の方では十二万円で仕入れる、こういう価格差、二〇%ぐらいあるわけですね。

 私は、こういうものを放置しておいて本当にいいのだろうかということでさまざまな論議をこれまでもしてまいりましたけれども、平成九年に、公正競争監視室を公正取引委員会が設置しますというような委員会の論議の中で出てきましたけれども、この公正競争監視室というのは今どういう動きをしているのか、このことについて最初にお伺いしたいと思います。

松山政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会は、中小企業に不当に不利益を与えるような不当廉売等の不公正な取引方法に関しましては、厳正、迅速に対処する必要があると感じております。

 具体的に今おっしゃいました不当廉売事案に関しましては、迅速処理が重要と考えておりまして、本局九名、地方事務所、支所十一名、計二十名の体制で対処しているところでございます。

 具体的には、平成十六年度におきましては、酒類なり安値入札等に関しまして八件の警告を行っておりまして、あと、個別の注意案件としては六百件を超える注意を行っております。それから、平成十七年度におきましても、現在時点までに公共調達に係る安値入札等に関しまして二件の警告を行い、酒類、石油製品等を中心に約五百件の注意等を行っているところでございます。

 こうした形で、不当廉売等に関しましては迅速な処理ということを目標にして進めているところでございます。

大畠委員 私が質問させていただいたのは、この公正競争監視室というのはどういうメンバー、何人ぐらいのメンバーでやっているのかということを聞いたのです。

 今の結果はわかりましたけれども、何人ぐらいでやっているのですか、ここのメンバー。

松山政府参考人 公正競争監視室としては、本局の専門的担当者九名でやっております。

大畠委員 一生懸命やっていただいているかもしらぬけれども、結果的にこういう状況が続いているということは、一生懸命やればいいというのじゃなくて、こういうものがないようにしなければならないのですね。相変わらず続いているじゃないですか。やっていることはわかるけれども、それはやっていることにならないのですよ、こういう実態が続いているということは。

 そこでもう一つ、これは宿題があるのですね。宿題というか、家電版のガイドラインを策定しますと。これは平成十七年十一月、改正の大規模小売業告示を施行して、優越的地位濫用規制というものを設けて、その中で、家電版のガイドラインを策定しますというような話になっておるのですが、この家電版のガイドライン策定というのは今はどういう状況にあるのか、お伺いしたいと思います。

竹島政府特別補佐人 当委員会で大畠委員から何回もこのようなことで御指摘をいただいたり御質問をいただいておりますが、今も大畠委員おっしゃったように、このところかつてほどひどくはないというのは、私ももう三年半以上になりますが、当初参りましたときに比べるとそんな感じをしております。

 それは、我田引水になるかもしれませんが、十六年に家電の流通の実態調査をいたしました。それで、今御指摘の量販店の活動なんかも焦点を当てて調べて、その結果に基づいて、こういうことをすれば独禁法違反になりますよということをお示ししました。私は、業界にかなり浸透しているのじゃないかと思います。

 それもあって、公取が出す警告とか注意の件数は、去年あたりは大分減っております。ことしもそういう状態にあると思っております。

 それに加えまして、大規模小売業者、これは家電量販店も入るわけでございますが、大規模小売業者によるいわゆる納入業者いじめ、バイイングパワーを使って優越的地位の濫用を働かす、これについては、特殊指定をもって、かくかくしかじかのことをすれば即独禁法違反になりますよということを特殊指定という形で定めまして、昨年の十一月から施行しております。

 その中で、従業員をただで派遣しなさいとか協賛金を出しなさいとかいうようなことはだめですよというようなことも書いてあるわけですが、この二つ、実態調査に基づく公取の見解の表明と、大規模小売業者による納入業者いじめはいけませんという特殊指定によりまして、大分よくなっていると思います。

 それでは、家電のガイドラインはどうするのかということでございますが、今言ったような状況にありまして、若干重複する面もあろうかと思います。一方で、過剰規制になってもいかぬという話もありますので悩ましいところがございますが、私は、今下火になりつつあるといっても、また景気情勢その他でもって過当競争的な問題が起きないとは断言できませんので、できるだけ早いうちに、できればことしの夏ぐらいを目途に家電版のガイドラインというものをまとめたいというふうに今思っております。

大畠委員 竹島委員長には期待するところ大でありますから、今明言をされましたので、有言実行ということで、まさに今、いろいろ抜け駆けとか何かが多いですから、それはだめだよということで、ぜひ、市場の番人としてさらに一層奮闘していただきますようにお願いをしておきたいと思います。

 あと残り三、四分になりましたが、最後の質問に移ります。

 原子力問題でございますけれども、大臣も原子力問題について指摘をされておられます。私は、この問題、いつも事故とかばかりが報道されて、何というんですか、大きな荷物を背負いながら歩かなきゃならないというような感じなんですが、本当はもっとプライドを持ってこの原子力の政策というのは関係者の皆さんも進んでいただいていいんだと思うんです、環境問題あるいはエネルギー問題を含めて。

 ところが、まだどうも重き荷物を背負いながら何となく歩まざるを得ないという、この環境をどうやって国は支援していくか、あるいはちゃんと胸を張って歩けるようにするのか。もちろん、背負っている人間、歩んでいる人間そのものも意識をして、国民からの信頼を取り戻すようにこれは当然やらなきゃならないんですが。

 そのときに、私が、エネルギー問題に携わっていて、まだまだフランスに比べて日本の原子力政策は後追いだなと思っておりますのは、使用済み燃料の処理処分の話、あるいは放射性廃棄物の処理処分の話、あるいは高レベル廃棄物の処理処分の話がまだまだあいまいもことしていて、国民の皆さんから見ると、まだよく理解していただけていないんじゃないかという感じがするんです。

 私はフランスに昨年行ってまいりましてバタイユさんともお会いしましたが、十五年間かけてフランスの国民に対して、放射性廃棄物の処理処分に関する研究、あるいは国民に対する説明責任を一生懸命果たすという法律をつくって歩んできて、かなり進んでいます。この部分については、日本の政府といいますか当事者も含めて、まだまだ不十分だと思いますが、この件についてどういう形で今進めようとしておられるのか。私はフランスのバタイユ法に見合う日本の法律の制定が必要だと考えておるんですが、そのことも含めてお伺いしたいと思います。

片山大臣政務官 委員御指摘のとおり、フランスのバタイユ法は、大変な議論とそのバタイユ氏の御努力によって一つの立法、法制をなし遂げた画期的な例と承知しておりますが、高レベルの放射性廃棄物の処分につきましては、我が国におきましても、昭和五十年代からの長きにわたる研究開発や全国各地における意見交換会、懇談会などの理解促進のための取り組みを重ねまして、平成十年に、地層処分に向けた基本的な考え方が原子力委員会により取りまとめられたところでございます。

 これらの経緯を踏まえまして、国会においても幅広い御審議をいただいた上に、平成十二年に、処分実施主体の設立、費用の確保、処分地選定手続などを定めました特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律が成立し、その後、処分事業の実現に向けた国民の御理解を促進する活動を精力的に行っているところでございます。

 具体的には、処分候補地の公募に関心を有する複数の地域を対象に、住民との勉強会をきめ細かに開催するなど地元に密着した活動を進めておりますほか、広く国民各層を対象としたフォーラムなどを実施しているところであります。

 高レベル放射性廃棄物の処分事業の実現には何よりも国民の御理解が重要でございまして、引き続きそのための取り組みを最大限行ってまいりたいと考えております。

大畠委員 片山バイスミニスターに答弁をいただいて恐縮でありましたが、ぜひ大臣を初め皆様方に御奮闘いただいて、しっかりとしたエネルギー政策が推進できますように祈念して、質問を終わります。

石田委員長 次に、北橋健治君。

北橋委員 訪中に続いて、きょうは朝からの御質疑、大臣、大変御苦労さまでございます。

 まず、日本経済の現状をどう見るか、近未来をどう見るかということから質問をさせていただきたいと思いますが、その見方いかんによっては、今後の我が国の経済産業政策の方向づけも変わってまいります。決して楽観的に見ない方がいいのではないか、そういう思いで幾つか質問をさせていただきます。

 既に、この国会が始まりまして、格差の拡大、それが一つのキーワードになりまして、政府におかれましても、果たして小泉内閣になって格差が拡大しているかどうかのいろいろな検証が行われていると思うんですけれども、この日本経済をとりますと、景気は踊り場を脱却して、大臣の所信でも「緩やかに回復」という言葉があって、新聞を見ると、大手企業は空前の高収益、そういう情報を耳にするわけでございますが、現実に、大企業と中小零細企業の間あるいは地域によっての格差というのは、実態を見ていくと、この内閣になりましてむしろ拡大をしているのではないか、そういうふうに私は思うんですが、政府はどう見ておられますか。

北畑政府参考人 産業それから地域によって格差が拡大しているのではないかという御質問であったかと思います。

 産業につきましては、今回の景気回復が、最初に輸出を中心とした景気回復、それが大企業を中心として設備投資、収益の拡大、こういった過程をたどったものでございますから、総じて申し上げますと、大企業がよくて中小企業がよくない、製造業がよくて非製造業がよくない、とりわけ建設業、中小小売業がよくない、こういうことであろうかと思います。

 ただ、最近時点におきまして景気が非常にバランスのいい形で回復をしてまいりましたので、景気の回復が本物になっていけばこういった格差は縮小していくのではないかというふうに認識をしております。

北橋委員 民主党でいろいろと、政府の統計を踏まえて調査をしました。今の御答弁では、格差という問題についてはかなり楽観的にどうしても思えてしまうわけでございますが、そういう姿勢では、今現に大変苦労している中小企業へのいろいろな支援措置などについても、今後変わってまいりますので、私は、きっちりと正確に把握をすべきである。

 そういう意味で、幾つか数字を挙げたいと思いますが、例えば、平均給与、所得について見ましても、二〇〇〇年、四十六万円のものが、今、二〇〇四年の統計では二万二千円下がっております。そして、年間所得二百万円未満の世帯の割合は、一六・二%から一・三%ふえました。個人消費というのは日本経済全体を大きく左右する重要な項目でございますけれども、その生活、消費支出を見ましても、二〇〇一年では三十三万円だったのが、二〇〇五年では二万六千円も減っております。生活保護世帯が二十七万世帯ふえたことは御案内のとおりでございます。

 そして、地域というものを見てまいりますと、例えば有効求人倍率を見ましても、東海は〇・六七倍から今一・三八倍、確かに上がりました。ところが、北海道を見ると、〇・五四倍から今は〇・五九倍にとどまっております。そして、日銀短観一つを見ましても、名古屋ではマイナス四〇がプラスの一二に転じましたけれども、札幌ではマイナス三四がマイナス一二。こういうことを見ましても、やはり格差というものは広がってきている、このように私は感じております。

 あるいは、東海にしてもいろいろな企業が非常に経営がよくて、そこは大企業も中小企業もそれなりに景気回復の実感を持っているところも比較的多いのかもしれませんけれども、日本はたくさんの地方において中小企業が経済を支えているわけでございまして、そんな簡単に格差についての見解を持っていただくと困るのであります。

 そういった意味で、大臣、やはり今お示ししましたように、緩やかに回復と言われておりますけれども、よくよく見ていくと、やはり中小零細事業に働いている方々を含めて今なお厳しいものがある、格差は拡大している、これはお認めになった方がよろしいのではないでしょうか。

二階国務大臣 景気は確かに改善していることは事実でありますが、今議員御指摘のように、例えば有効求人倍率一つ考えてみましても、国全体としては十三年ぶりの回復ということでありますが、例えば、愛知県が一・六一倍のときには高知県や青森や沖縄県では〇・五倍以下であるなど、地域間の改善の度合いは依然としてばらつきがあり、低迷している地域というのは現に存在しているわけでありますから、私どもはその点を十分重視してまいりたいと思っております。

 したがいまして、このようなことを踏まえて、新しい経済の発展に向かって、まだまだ回復途上にある地域については、新たな対策を講じていかなくてはならないという認識は持っております。

北橋委員 大臣の所信の中で中小企業に触れたところ、拝見させていただきましたけれども、現場も歩かれた。金型、鋳造の中小企業では、デジタルカメラとか液晶製造装置、最先端の企業をごらんになられておりまして、そしてまた、やる気を最大限引き出すために、優秀企業三百社の事例をアナウンスしていきたいということで、非常にトップランナーで頑張っているところについて注目をされていると思うのでありますが、世の中の中小企業の大半は、中国初め海外との競争の中で、やっと今景気回復で、自分のところの会社にもチャンスが回ってこようかというときに、いざやってみると、リストラで人がどんどん離れていって、技能の伝承が十分でないし、今までの収益が非常に苦しかったものですから、やっと仕事ができる、新しい工場が来ると、今度は競争で買いたたきで、結局、みんなのレベルアップというものがいざとなってみると大変苦しいという状況があるわけですね。

 私は、大臣が非常に苦労しているローテクを初めとしていろいろなところを無視されているとは思いませんけれども、所信を見る限りは、本当に最先端のハイテクのところを引っ張り上げようという意欲があり過ぎて、肝心の中小企業全体についてはどうであろうかと思わざるを得ないのであります。

 そこで、政府の中小企業金融政策という面についてお尋ねさせていただきますが、これは御案内のとおり、昨年、小泉総理の主導によりまして、政府系金融機関を思い切って統廃合するという案が出てまいりました。

 これは民主党内におきましても相当議論がございまして、というのは、中小企業、零細企業にとりましては、国民金融公庫にしても中小企業金融公庫にしても、いろいろと私ども問題点は指摘しましたけれども、それなりに中小企業者にとっては大きな役割を果たしていたわけでありまして、統廃合によっていろいろな問題を是正することは当然でございますが、そういった中小企業に対する公的金融というのがこれによって失われることがあってはならない、景気がよくなっているというそんな宣伝に惑わされてそこを甘くしてはいけない、手綱を緩めるべきではない、私もそのように党内で主張した一人でございます。

 そこで、きょうは金融庁にお越しをいただいておりますが、中小企業貸し付けにつきましては、かつて貸し渋り、貸しはがしで国会でも格闘のような議論をさせていただいたこと、私も大蔵委員会のメンバーでやらせていただきましたが、あれから数年たっております。三百兆円のうち九割ぐらいは民間の市中銀行から中小企業に融資されていると聞いておりますが、あの悪夢のような、本当に許しがたいような貸し渋りの現状から見て、今は円滑に供給されていると考えていますか。よくウオッチをすべきだと思いますが、どうでしょうか。

谷口政府参考人 ただいま御指摘の中小企業向け貸出残高でございますけれども、銀行それから信用金庫、信用組合、これを合わせました民間金融機関全体でございますが、二〇〇一年の十二月におきまして約二百七十四・九兆円ございました。これが、二〇〇五年の九月には約二百二十四・五兆円というところまで減少しておるのが現状でございます。

 ただ、この減少幅につきましては近年縮小傾向にございまして、例えば、地域金融を担っております地域金融機関を見ますと、地域銀行合計の総貸出平均残高、これは二〇〇五年四月に前年同月比プラスに転じましたし、また、二〇〇六年一月には、先月でございますが、銀行、信用金庫合計におきましても前年同月比プラスとなったところでございます。

 いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、今後とも民間金融機関が地域の中小企業のニーズに一層適切に対処して地域中小企業に対する金融が円滑に実施できるよう、これからしっかりとウオッチしてまいりたいと考えております。

北橋委員 日本の民間の金融機関がかつての貸し渋りの体質を完全に克服してきているかどうかについては、現場の声は、大変に厳しい見方もあるわけでございまして、よくよくその辺は円滑な供給が確保されるようにウオッチをしていただきたいと思います。

 そこで、経済産業省にお伺いするわけでございますが、政府系金融機関の統廃合がこれから進んでいきます。そして今、現在進行形の姿というのは統計には出てまいりません。随分たってから日銀の資料にしても出てくるわけでございまして、結局今は、実際に中小企業者と私どもがいろいろな地元でお会いをする、そして、経済についていろいろなお話を聞きながら、金融がどうなっているかということを肌で感じているわけであります。ですから、選挙区によってその雰囲気は違うのかもしれません。景況の厳しいところもあれば、比較的いいところもあります。私が聞いているところでは、これから統合ということになりますと、今までの感覚でいくとまず審査をされてうまくパスできたものが、結構厳しくなってきている、このように言われております。

 それで、私どもは、各地方出身の国会議員集まりまして、この政府系金融機関からの貸し出しの審査はどうなっているかとよく話題にするわけでございますが、これは一般的に、これから一緒になろうとするときに、収益の高いところの企業にはお金を貸すでしょうけれども、必ずしもそうでないところにはなかなか貸し出さなくなるのかなというふうな議論になってしまうわけでございまして、これは数字はまだ現在進行形で出てきておりません。

 そこで、私は、これから統合されていくわけでございますが、やはり中小企業金融公庫なり国民金融公庫なり、そういった金融機関の果たしてきた公的金融の役割というのはこれからも重要だと考えるわけであります。その点についてと同時に、これは金融庁も含めてでそうでございますが、中小企業の金融の実態をよくウオッチしていただきまして金融政策に万遺漏なきを期していただきたい、こう考えておりますが、大臣の認識はいかがでしょうか。

二階国務大臣 ただいま議員御指摘のように、中小企業にとりましては金融は最も重要であります。それだけに、私は就任の日からこの中小企業の金融問題について考えてまいりました。

 特に、今商工中金の民営化の問題をめぐって相当の議論が進んでいるところでありますが、私は、商工中金が果たしてきた今日までの役割、中小企業の皆さんがこれを随分信頼し、頼りにしていただいておる、この状況を見るときに、改革の名によって整理統合等を進めていくという一方、この中小金融の果たしてきた役割をもう一度考えて、中小企業の皆さんの期待にこたえるようにしっかり対応していかなきゃならぬというふうに思っております。

北橋委員 金融庁は結構でございます。しっかりとウオッチをしていただきたいと思います。

 もう一つ、日本経済の近未来を考えるときに、余りにも外需頼みになってはいないかという点でございます。

 いろいろな業種の企業のレポートを拝見いたしましても、旺盛な外需依存に支えられたこともありということで、私は、これまでリストラで随分自助努力をしてきた成果が、ここに来て、ぬれていた木が乾いたところにようやく火がついた、やはり、自助努力、リストラで頑張ってきた成果がそこにあると思いますが、それにしましても、この中国などのアジアマーケットの広がりだとか、アメリカに輸出がふえただとか、そういった外需依存に少し傾斜し過ぎている点が、近未来において、今度はアゲンストの風向きに変わったときには、たちまちのうちにまた収益が下がってしまう、そういう脆弱の構造に少しなってきているんではないか。

 この点、学者やいろいろな識者の声を聞きましても、比較的楽観的に中長期で見ていらっしゃる方もいますけれども、やはり、アジアマーケットに少し依存し過ぎた体質というのは、今後、アジアの政治、経済の状況いかんによっては、やはり慎重に見た方がいいという意見もあります。政府はどうごらんになっておられますか。

片山大臣政務官 我が国の経済は、平成十四年一月からの景気回復が継続しております。

 委員御指摘のとおり、今回の景気回復においては、特に当初において外需に牽引されていたということは事実でございますし、そのような指摘も大変多うございます。

 他方、最近におきましては、企業部門の好調さが雇用、所得の改善を通じて家計に波及する中で、外需に加えまして、消費や設備投資といった国内の民間需要の両輪に支えられた比較的バランスのよい回復となってきているのではないかというふうに私どもはとらえております。ですから、決して今の時点で外需のみに依存しているというような状況認識はしてございません。

 政府の経済見通しにおきましては、来年度、平成十八年度も民間需要中心の回復傾向が続くというふうに見ております。これは、平成十八年度政府経済見通し、一月二十日に閣議決定しておりますが、実質GDP成長率一・九%増のうち、民需をプラス一・七、外需はプラス〇・四というふうに見ておりますので、もちろん委員御承知の上のことと存じますが、外需につきましても、今お話がありましたように、アメリカの景気、いろいろな見方がございます。一部、そろそろではないかというお話もありますが、三・五%というような予測もされております中で、また、中国の方も、予測機関によりましては八%から九%という予測が流れている中で、やはり、ある程度これらに引っ張られる中で外需も伸びると思いますが、今の政府の予測におきましては、内需の方も相当強い伸びを見込んでおります。

 経済産業省としては、委員御指摘のような点も踏まえまして、今後とも海外経済や輸出入の動向等を十分に注視しつつ、内需、民間需要を中心に回復傾向が続くようにということを考えて政策に取り組んでまいりたい所存でございます。

北橋委員 片山さんがここで悲観的な発言をすると株式市場にも影響がありますから、それは結構でございますけれども、近未来を考えたときに、やはり私は余り楽観的に考えない方がいい。

 後ほど質問しますが、中国を中心にエネルギー事情が激変しつつあります。このトレンドを見ると、今の日本の使っているエネルギーの四倍ぐらい将来はふえるという話になってきておりますので、日本の近隣諸国におけるアジアのマーケットというのは変貌するわけでございまして、そういったときを先取りして、やはり、例えば中小企業の技術力を上げるだとかいろいろなことを考えていかないと、常に危機感を持っていかないといけないという意味におきましては、やや短期的過ぎるのではないかなというように思いますが、論争はまた別の機会に譲らせていただきます。

 最近、日本の国際競争力が非常に低下をしてきている。御案内のとおり、世界的にも著名なスイスのIMDと言われる国際経営開発研究所、ここのデータというのは比較的高く評価をされているようでございますけれども、大変ショッキングな数字が続いております。一九八九年から九二年まで日本は一位でございました。それが二〇〇五年では二十一位でございまして、何と九八年から八年連続で日本は二十位台で低迷しております。

 政府はこの競争力の現状、低下してきたという現状をどう認識しているでしょうか。

北畑政府参考人 委員御指摘のとおり、IMDの統計によりますと、近年の我が国の競争力は六十カ国中二十位ということで大変低い評価を受けておるということでございます。

 ただ、このIMDの統計のもとになっているデータは、統計データ、数値に基づくデータが半分、それから各国の経営者に対するアンケート調査が約半分ということでございますので、九〇年代後半の不景気というのがある程度この競争力のデータに反映をしているのではないかと考えております。したがいまして、二十位という位置づけについては大変残念でございますが、日本の実力が二十位かといいますと、もう少し上じゃないかなという認識も持っております。

 いずれにしましても、これは一つの参考資料として受けとめるべきだと思っております。九二年までは日本はこの統計で一位でございました。二十位という評価を受けるということは、日本の競争力について大変厳しい評価を受けているということでございます。

 いずれにしましても、委員御指摘の近未来の日本の経済を考えますときに、国際競争力の強化というのは大変重要な課題だと考えております。現在策定中の新経済成長戦略の中でも国際競争力の強化というのを大きな焦点として議論をしてまいりたいと考えております。

北橋委員 このスイスの調査機関のデータというのは、五十や百ではなくて物すごく細かくあらゆる点において、国家の力を構成する諸課題について分析をしたものでございまして、それゆえに評価も高いものと思います。私は今のお話を聞いておりまして、それほど低くはないというお話でございますが、教育でありますとか他省庁にかかわることについてもIMDは指摘をしております。

 まさか他省庁に対する御遠慮はないと思いますけれども、やはり他省庁のやっている世界についても殴り込みをかけているように外から見たら見えたとしても、ここはやはり二十位台で推移してきているということの深刻さをやはり正面から受けとめていただいて、どの官庁のやっている仕事についても、おれたちはこう思うんだ、こんなことをしていたら日本がだめになってしまう、それぐらいの迫力を持ってこれからも議論を貫いてほしい、このように要望をしておきたいと思います。

 それにしましても、私は、もう少し政府はこういった調査結果というものを真剣に受けとめる、危機感を持って受けとめてはどうかと思うのであります。

 後ほど特別会計の財源の取り扱いなどにも触れてまいりますけれども、たまたま余っているから一般会計に繰り入れるとか、納税者の、そして税創設の経緯から見て、経済産業省所管の予算の使い道についても、私は、承服しがたいようなことが最近行われてきております。

 やはり経済産業省は、明確にこの日本の置かれた立場を認識されて、そして財政当局に対しても敢然と立ち向かって予算を獲得する、その気迫に満ちた根拠は、やはり日本が深刻な競争力低下の現状にあるということを率直にお認めになって、それから打開するための政策を強力に発信されることだ、そのように思っておりますので、それ以上議論はいたしません。

 最近では、韓国は十年ぐらいで、中国は二十年ぐらいで、産業の分野においても日本に追いついてくる、そのようなことをおっしゃる識者の方が結構私の周りにもふえてきておりまして、そして、中国や韓国や近隣諸国と貿易をされている経営者の方々も物すごい勢いでスピードアップしてきているということでございます。うかうかできません。それだけに今、政府の中で新成長戦略を出されているということでございますので、ぜひともその辺の危機感を持って、しかるべきポリシーを発信していただきたいと要望しておきたいと思います。

 さて、訪中につきまして、既にきょうは各委員の方から御指摘があったところであります。既に質問が重なるところもございますので、日本と中国の間に政府間の対話が事実上途絶えていたような感がある、日中関係は今や最悪の状況ではないか、日本の安全保障、そしてまた経済、貿易のためにもこの状況は打破すべきであるとかねがね私は思ってきたのでございますが、今回、大臣が難しい懸案を抱える中で訪中をされて頑張ってこられたことについては率直に敬意を表させていただきたいと思います。

 そこで、いろいろと日中間の政府対話をされてみて、これからその対話を強力に進めていくというお立場だと思いますけれども、やはり靖国神社の問題、中国側が指摘してきたこの問題が大きなとげになっていて、政府間の急ぐべき資源開発の問題やエネルギーの技術の協力の問題、そこに移りたくてもなかなかそこが思うようにいかないのではないかというふうに思うわけであります。

 これは政治家の判断にゆだねられる世界ではございますけれども、二階大臣は、政治家としてこの日中間の関係改善に大変な意欲をお持ちだと私は聞いております。私もそれをぜひ頑張っていただきたいと思います。その意味から、この靖国問題、こういう政治問題に対してどのような御所見をお持ちか、聞かせていただけると幸いです。

二階国務大臣 今回の訪中につきまして大変御理解あるお言葉をいただきまして、恐縮に存じます。

 私も、正直、閣僚間の会談、訪中が途絶えておるということは、日中間において決していいことではない、何とかしてこれを打開しなければならないということを前々から考えておりました。したがって、WTOやAPEC等で中国の私のカウンターパートの閣僚にお目にかかるたびに、お互いにこれからの日中の協力について語り合ってまいりました。しかし、今御指摘にありました靖国神社の問題等、中国側としてはまた抜き差しならない考えを持っておられるということは、表現は異なりますが、あらゆる場面で中国の幹部からのお話もあったことも事実であります。

 しかし、私は、それだからといってすべてを閉ざしてしまうというのは適当ではない。その問題はその問題として、新たに私たち、私のカウンターパートとの間においては、新しい日中関係を構築していく努力をお互いにすべきではないか。

 私が一言特に申し上げましたことは、これは先生も御承知のとおりでありますが、今日の日中関係を構築するまでに至る我々の先輩たちの努力というものを考えてみたときに、これは中国側にも偉大な指導者がおられたわけでありますが、同時に、私たちの先輩たちも、我々が今体験する苦労の何倍もの御苦労をされて日中関係を打開されたと思うわけであります。我々はそれらの人たちの努力に比べてそれ以上の努力をしているかというと、私は、答えは否ということであろうと思います。それは、私を含めて、日中関係打開のために、中国側の皆さんにも御努力を願いたいが、私たちもそれ以上の努力をしなければならない、これを私はこの間もお話をしてまいりました。

 しかし、このことに関しては中国側も十分理解をされて、まことにそのとおりである、したがって、お互いに協力をしよう。私どもの協力の結果として、省エネ・環境総合フォーラムを相互で開催しよう、また日中経済産業アクションプログラム、これについては私どもの提案でありますが、これは一緒にやっていこう。また、日中共同経済貿易関係の中長期ビジョンということにつきましては、このビジョンの策定を中国側から提案がありました。一緒にやりましょうということでありまして、これらを真剣に取り組んでまいりたいと思っております。

 なお、先ほども触れました靖国神社の問題でありますが、総理御自身は一人の国民として靖国神社へ参拝をされているものであり、私ども閣僚の立場からこれに対する見解を述べるということは、これは差し控えておきたいと思っております。

北橋委員 この日中関係の改善に向けまして、今大臣の方から所信の表明がございましたけれども、ぜひその方向で頑張っていただきたいと思っております。

 私は、既に前原代表が本会議で提唱させていただきましたように、靖国神社参拝の問題につきましては、外国から言われたのではなくて、日本人の生きていく道として、新たな国立の追悼施設をつくるという方向で事態を打開した方がいいのではないかという立場でございますが、それはまた政治的な問題でございますので、別の機会にまた譲らせていただきたいと思います。

 きょうは、残された時間、エネルギーの新国家戦略、これを今、政府内部において立案に入っていると聞いております。

 一年の計は元旦にあると言いますけれども、二〇〇六年一月一日の報道には私も大変衝撃を受けました。ロシアがウクライナに対してガスパイプラインをストップしたことであります。

 かつてアメリカが穀物をソ連に対しまして輸出をストップしたときに、食糧が戦略物資になったといって、当時、世界じゅうで話題になったことがございますが、これは最近のドイツにおきましても、原子力発電所があるところが、とまる予定になっているところを、場合によってはこれを延長するかもしれないという、私の得ている情報は未来の予測でございますのでどうなるかわかりませんけれども、ヨーロッパ各国に対してもセキュリティーの面で大変な衝撃を与えたのではないかと思っております。

 そういった意味で、中国、アジアにおけるエネルギー需要の変化などを考えますとエネルギー情勢は激変しているわけでございますから、中長期的に見て新戦略を立てるということについて、民主党としても大変注目をいたしております。

 この場合、まず大臣に御決意を賜りたいのでございますが、大事なことは、これから幾つか各論があるわけでございますが、各論の方向性についてはそれはそれとしまして、単に絵にかいたもちにしては決していけないわけでございます。大臣もそのおつもりだと。当然だと思います。えてして、二〇三〇年を見越した中長期的なプランでございますので、それを確かな方向で実現していくための財政的な裏づけというのはなかなか、財政当局が別途あることもありまして容易なことではないと思いますけれども、単なるビジョンに終わらないように、具体的なアクションプログラムを立てて、そしてそのための必要な財政措置についてはこのように頑張る、そういった決意が不可欠だと思いますが、大臣の御所見をいただけますでしょうか。

二階国務大臣 北橋議員から、エネルギー問題、まさにエネルギー戦略を見通した御提言、同時に御支援のお言葉をいただきまして、大変心強く思っております。

 今日の世界のエネルギー需要というのは、もう申すまでもなく、原油価格の高騰など、エネルギー情勢はますます厳しさを加えていることは事実であります。

 この情勢のもとで、アメリカは、先ほど来御議論のありました新たなエネルギー政策の発表や、欧州各国におきましても大胆な省エネ施策の導入、原子力政策の見直しなど、世界各国がまさに国家エネルギー戦略に取り組んでおるところであります。

 経済産業省としては、民間企業等とも緊密に連絡をとりながら、エネルギーの安全保障の確保を軸とした新国家エネルギー戦略の策定に取り組んでおるところであります。ブラジルからのエタノールの問題なんかも一つの問題点でありますが、あらゆる方面にウイングを広げてエネルギー対策ということを考えてまいりたいと思っております。また、ロシアとの関係でも、今お触れになりましたが、私は、ロシアで開かれるエネルギー閣僚会議というのが近く行われるわけでありますが、この閣僚会議に出席できるかどうか、国会の日程上、まだまだ見通しは立っておりませんが、極めて重要視をしていかなくてはならないと思っております。

 世界最先端の省エネ国家として私たちは今日その地位を持っておるわけでありますが、これから一層努力をして、アジア諸国に対しても我々はその責任を果たしてまいりたいと思っておりますし、それゆえに、三月中には中間取りまとめを行い、五月には最終的なエネルギー戦略の確立を図っていきたいと思っておるわけであります。

 今特に北橋議員から御指摘のありましたように、絵にかいたもちに終わらせてはならない、私はまことにそのとおりだと思っております。従来からもいろいろな政策が発表されましたが、それはパンフレットにして配るだけでは何の役にも立たないわけでありまして、私ども、諸外国とも連携をとり、また日本のあらゆる産業界の皆さんとも協調しながら、エネルギーの新しい時代を切り開いていくということがなければ日本経済の将来もないわけでありますから、そうした意味で、極めて重要なこの戦略だと心得ておりますので、どうぞ今後一層の御支援をお願い申し上げておきたいと思います。

北橋委員 単なるビジョンに終わらないように頑張るという御趣旨だと思いますが、先ほども申し上げましたように、そのためには財政的な措置、裏づけというものが非常に重要だと思っております。それは今から各論を質問させていただきます。

 その幾つかの項目で、欧米諸国が取り組んでいる、セキュリティーというものを意識して各国がいろいろな施策を打ち始めましたけれども、それなりに、金目の面でも、口は出すし金も出す、そういうところで非常に課題が多いというふうに私は思っておりますので、以下、順次質問させていただきたいと思います。

 まず、私は、天然ガスの問題から入らせていただきたいと思います。

 LNGの形で輸入されているうちの半分近くは日本が輸入しておりますが、石油と比べると、量も、そしてまたそれぞれの地域にあるという面から見まして、地球温暖化のみならず、セキュリティー面でも天然ガスというのは非常に重要だと思います。

 しかし、この天然ガスにつきましては、パイプラインを敷いて、分散型エネルギーとして、例えばコジェネ、マイクロガスタービンと言われますように、そういったところでの需要というものがこれからうまく喚起されていきませんと、なかなかこれを、LNG火力発電という以外に天然ガスのウエートを高めるということは難しいと思うのでございます。

 その場合に、一時話題になっておりましたけれども、例えばロシア・サハリン方面からパイプラインを引いて天然ガスの供給パイプを、ツールを一つ、選択肢を広げておくということもかつて議論されたことがございますが、したがいまして、LNGに加えて、いわゆる天然ガスとしてのウエートを今後どう考えていくのか、私はこれは非常に重要なことだと思っております。特に、石油公団を改革する法案の審議のときにも、私は、ぜひガス石油公団に名称を変えて、ガス開発の方にウエートを置いてほしいということを当時質問したことがあります。石油だけではどうしても中東への依存が高くて、セキュリティー上、国家のお金をそこにつぎ込む理屈立てが大変難しかったからであります。

 そういった意味で、天然ガスには、需要喚起と、場合によっては、続いてロシアからの新たなインフラ整備というツールがあるわけでございますが、現時点において政府はどのような意見をお持ちでございましょうか。

小平政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま先生御指摘のとおり、天然ガスは、大変環境の面からもエネルギーの安定供給の面からも重要であるというふうに考えております。

 そのために、従来から需要喚起ということで、例えば産業用のボイラー等につきまして、石炭、石油から天然ガスに燃料転換をされる場合に国として補助をする、あるいは高効率の天然ガスコージェネレーションの技術開発を支援するというようなこと、あるいは高効率ガス機器の導入促進支援、これも補助金を出してきておりますけれども、需要拡大にずっと取り組んできておりますし、来年度におきましてもそうした予算を確保しております。

 また、パイプラインでございますけれども、これにつきましても、まず、国内におきましては、新たな法律上の措置をとりまして、パイプラインを有する会社に対しまして公益特権を付与する、あるいは一定期間高目の託送料金の設定を認めるというようなことで、供給基盤の整備のための政策をとってきております。

 また、御指摘のサハリンからの天然ガスの輸入でございますけれども、これにつきましては、御存じのとおり、二つプロジェクトがございます。サハリン2と言われる方につきましては、既にLNGで輸入をするということで日本の需要家も契約を結んでおりますけれども、サハリン1の方につきましては、従来からパイプラインで日本に供給ということで検討がされてきております。これも、基本的には日本のユーザーあるいはこのプロジェクトに携わっておられる企業の御判断であろうというふうに思っておりますけれども、私どもといたしましても、そうした動向を見ながら必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

北橋委員 いわゆるNG火力発電ということに加えて、分散型エネルギーとしてこういった天然ガスのウエートが円滑に高まっていくように、ぜひ今後とも検討を続けていただきたいと思っております。

 次に、石炭でございますが、石炭といえば、何十年も前からこの液化、ガス化の議論、そしてまた研究者による技術開発がこれまで続けられております。石炭はとにかく埋蔵量が豊富でございますし、これがもし環境にできるだけ適合的なエネルギーとして技術開発が進んでいけば、相当に利用度が広がってくると思うんですね、セキュリティーという面から。

 最近、石炭ガス化複合発電という技術が実用化されているということでございますが、私もそれを見たときに、NOx、SOxの問題ももとよりでございますが、CO2の排出が石油発電よりやや下回るぐらいの、カーボンという排出量の面から見ましても非常に注目をされるものがようやく今表に出てきたわけでございまして、もし石炭の技術革新というものに力を入れて、これからそれを日本のエネルギー構成の中に適切に組み込むならばセキュリティー上は非常に有益である、このように思うわけでありますが、こういったクリーンコールエネルギーの位置づけといいますか、これを政府はどう考えているでしょうか。

近藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生御指摘のとおり、石炭は非常に埋蔵量が豊かでございまして、今後百六十年分ぐらいの石炭がある、こういうように言われておるわけでございます。そういう意味で、供給の安定性、それから、非常に石炭の値段は石油や天然ガスに比べて安うございますので、経済性の面ですぐれているわけでございます。ただ一方、今御指摘ございましたように、燃焼時にCO2、二酸化炭素の排出量が多いといった点はあるわけでございます。

 そこで、私どもは今、先生の御指摘のございましたような環境調和型の石炭利用技術ということで、クリーンコールテクノロジーの開発普及といったことをやっておるわけでございます。

 今御指摘のございました石炭ガス化複合発電システム、IGCCと言っております、さらにそれに燃料電池をつけまして石炭ガス化燃料電池複合発電システム、こういったものを開発いたしまして、例えば従来の石炭火力発電所でございますと送電端の効率が三八から四〇%ぐらいなんですが、IGCC、ガス化の複合発電の場合で一〇%ぐらい上の四八から五〇%ぐらい、それから燃料電池まで含めたIGFCというものになりますと五五%以上の発電効率ということになってくるわけでございまして、こういった技術の研究開発を進めているところでございます。

 また、こういう技術を中国等のアジアの国々、こういった国々で環境問題は非常に重要な問題になってきておりますので、環境問題の深刻化が懸念されておりますので、こういったアジアの国々へも伝えていくということが非常に重要だと思っておる次第でございまして、すぐれたクリーンコールテクノロジーをアジアの諸国に移転することも含めて、モデル事業、研修生の受け入れ、こういったこともあわせてやっておるところでございまして、引き続きこういう取り組みをしっかりと進めていきたい、このように考えておるところでございます。

北橋委員 時間が限られてまいりましたのでちょっとはしょりますけれども、次は大臣からお答えいただけるとありがたいのですが、バイオマス燃料についてであります。

 先ほど大臣が限られた言葉の中で、ブラジルからのエタノールという言葉を私も伺いました、はっとしたわけでございますが。このカーボンニュートラルで、新エネルギーの中で、今、近年になって日本でも注目されておりますし、既に欧米では熱心に普及をされてまいりました。菜の花からできるバイオディーゼル燃料であるとかバイオマスエタノールというのは、地球温暖化対策という面におきましても、それから、日本の国では、産業界はCO2排出は横ばいで自助努力で頑張っておられますが、交通運輸部門については引き続き伸びが非常に大きいわけでございまして、こういった交通運輸の燃料部門における環境対策上の一つの重要な選択肢として注目していいのではないかということです。

 ここで大臣にお伺いしたいのは何かといいますと、これはコストもかかりますし、それから芋という一つの素材をとりましても、食料との兼ね合いもありますし輸入量もそんな多くはないわけでありまして、そういった幾つかのハードルを越えていかなきゃならないんですが、アメリカは、一〇%燃料をまぜるE10で一三%、既に州によって普及しております。ブラジルもすごいんですが、EUでは、これから指令を出して、各国が二〇一〇年までに五・七五%の目標を出しているわけです。そのためには、相当にお金がかかると思います。例えば税金をまけるとか、いろいろな手だてが必要になるわけであります。

 そこで、今既に、滋賀県を初めとして菜の花オイルだとかいろいろなエコプロジェクトが始まっております。政府がそれを後押しされていることを私は率直に評価させていただくのですが、そういった先進的な自治体の点を、これから線へ、それから二〇三〇年に向けて面に一気に広げる。そのためには、ガソリン税を思い切って軽減するとか、そういった措置も必要になるわけであります。

 大臣がこのバイオマス燃料に意欲をお持ちなことは私も承知をいたしますが、改めてお伺いしたいと思います。目標値を設定されますか、そのために大胆な税制措置を講ずるお考えはあるでしょうか。いかがでしょう。

二階国務大臣 ただいまのエタノールやバイオディーゼルといったバイオマス由来燃料は、申すまでもなく、石油代替のエネルギーとして温暖化対策等も念頭に入れて積極的に導入を促進すべきものだと考えております。ただいまそうした面で、省内に勉強会等を持ち、また専門家の皆さんにもお集まりをいただきまして、研究を開始いたしておるところでありますが、今御提言の税制の問題等を含めまして、積極的な対応をとっていかなくてはならないと思っております。

 アメリカにおきましてもバイオエタノールを一〇%混合したガソリンが販売されており、また、ブラジル等はこのエタノールの問題につきましても大変熱心でありまして、我々はそれに対応していかなくてはならないと思っております。

 いずれにしましても、我が国においても、京都議定書の目標達成計画において二〇一〇年度に原油換算で五十万キロリットルのバイオマス由来燃料を導入することとしております。

 したがいまして、我が国において国産バイオ由来燃料の供給量が極めて限られておるというのが現状でありますが、国産のバイオマス由来燃料のコスト低減のための技術開発や今御指摘のような点で、これに対する積極的な推進について、今後一層力を注いでまいりたいと思っております。

北橋委員 明確な目標値とそれに必要な財政支援措置も含めて、明示されることを期待しておきたいと思います。

 原子力発電については、幾つか質問を用意したわけでございますが、一点のみお伺いいたします。

 それは、立地されている地方自治体に対しましていろいろな支援が行われてきているわけでございますが、今後、原子力政策の位置づけにつきましては国がもっとリーダーシップを、地方自治体に対していろいろな支援が行われております、その支援についてもっとリーダーシップを発揮するべきではないか、そういう質問を大臣にさせていただきたいと思っております。

 これは、プルサーマルが九州におきましてもようやく地方議会の御承認をいただいたところでございますが、この間、福島におきましても新潟におきましても、欧米では当然の標準としてやっていることではございますが、いろいろなことが原因となりまして、地方自治体も住民との間で大変困ったところであります。

 もちろん、原子力発電の事業は民間企業が実施主体ではございますけれども、その安全性、住民感情、国民感情からいたしまして、やはり原子力については国がいろいろと気を配り、そして法令のもとでしっかりとバックアップをしていくという姿勢がこれからますます必要になってくるのではないかと思います。

 その意味で、大臣、例えば福島県知事にお会いに行くとか新潟県の発電所を見に行かれるとか、そういうものを通じて、ぜひ原子力発電で苦労されている地方自治体に、単に物資的に交付金をこれからも支給で頑張りますとかということに加えて、心の通った、地方自治体を支えていくという、その大臣のリーダーシップを期待するわけでありますが、いかがでしょうか。

二階国務大臣 ただいま御指摘のとおりでありまして、原子力関連の事業を引き受けて負っていただく県及び市町村の皆様の御苦労というものは、我々推察に余りあるものがあります。

 したがいまして、例えば美浜の原発の問題につきましても、私も就任時から、この問題を再開する以前には、必ず現場へお伺いをして地元関係者の御意見等を十分お伺いすべきだというふうに考えておりました。御承知のような対外的な日程が経済産業省は大変多うございまして、出張の機会が得られなかったんですが、先般、御用じまい終了後でありますがそれでもよろしいかということを地元へ尋ねましたら、それでもいいから来てくださいとおっしゃっていただきまして、地元の市長さんや知事さんといろいろな意見を交換したわけですが、やはり我々が伺ってみれば伺ってみる、そこに問題があるわけであります。それをともに共通な目線で、悩みを悩みとして解決に向けて努力をする。

 今また佐賀県の方から、この問題の最終結論を出すに至るまでに一度地元へ来てくれないかというお話を承っておりますので、それらの問題について日程の調整がつき次第考えてみたいと思っておりますが、今議員御指摘のとおり、幾つかの箇所の御指摘がありましたが、私はやはり、地元の皆さんと悩みを共通するという考えに基づいて対応していかなくてはならないと思っております。

 しかし、私は、先般現地に伺って大変励まされたことは、これは国家戦略といいますか国家として大事なことなんです、我々はそれを担っておるんです、だからそこを国が理解してください、何をくれ何をしてくれ、そんなことばかり言うんじゃない、我々の気持ちを理解してくれれば、我々もまたその気持ちになって住民の皆さんを説得することができる、こういう極めて当然といいますか、傾聴に値するお話を承ってまいりました。

 今後、ただいまの委員の御指摘も踏まえて、全力を挙げてこの原子力政策に取り組んでいきたいと思っております。

北橋委員 終わります。ありがとうございました。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょう、私、最初に、この間にわかに大きな問題となってまいりました中古家電の販売問題について質問をいたします。

 九九年改正の電気用品安全法が、五年間の販売猶予期間を経てことしの四月一日から、五年物についての適用が行われることになります。そのため、PSE表示のない中古家電製品の販売ができなくなります。

 これが行われますと、リサイクル店や楽器・オーディオ店、質屋、骨とう品店などが倒産、廃業の危機にさらされる、こういう声が広がっています。これじゃ商売がやっていけないという関係業界から怒りの声も寄せられています。あるリサイクル店の方などは、店の売り上げの四割が電気製品で、今回対象になるのはその八割ぐらいに上る、普通三月は引越シーズンで本当は一番忙しい時期なのに、今仲間の間ではもう店を閉めるしかないと大変な騒ぎになっているという声であります。

 ところが、消費者にとっても大きな影響が出るわけで、今月に入って、大手のリサイクル業者や楽器店などが、中古家電品の買い取りを中止するところも出ております。ビンテージとか名器とか言われるような中古楽器、オーディオ機器の入手が難しくなることなど、消費者にも大きな影響が及ぶことになります。さらに、中古家電の大量廃棄にもつながりかねない事態で、循環型社会にも逆行するのじゃないか、こういう声も上がっております。

 こういう混乱が生じた大きな原因の一つが、周知徹底がされていなかったことであります。本来、この五年間の期間があるわけですけれども、消費者はもちろんのこと、リサイクル業者でさえ、この家電製品についてPSEマークがなければ販売できなくなる、中古家電が今のままでは販売できなくなるということを知らなかった。

 そこで、経済産業省に伺いますが、法の施行から五年間の猶予期間が設けられた、その理由の一つは、関係者への周知徹底を図ることだったと思うのですけれども、その点だけお答えください。

迎政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、今先生の御指摘ございましたように、多くの方に関係をするというふうなことでございますので、法改正以降、法制度の周知につきましてはいろいろ努力をしてまいりました。五年間にわたりまして、十九万部のパンフレットをさまざまな場面で配布する、あるいは講習会、セミナー等を開催いたしまして、延べ二万二千名以上の方に御参加をいただくというふうなことで、広く周知を図ってまいったわけでございます。

 また、こういうのに参加をされないような方もおられるというふうなことで、経済産業省のホームページに平成十四年から新しい制度についてのわかりやすい周知というふうなこともやってまいりました。

 このようにいろいろ努力をしてまいったわけでございますけれども、最近になって、まだ知らなかった、こういうふうなお声もございますので、本年に入りましてから、改めてまた九十六の関係業界団体あるいは二百社以上の方々に対していろいろ通知をする、それから関係省庁の協力も得まして、中古品販売店関連の団体に対しても周知を行う、それから経済産業省のホームページにQアンドAを掲載するというふうなさらなる周知の徹底を図っておるところでございます。

塩川委員 この五年間というのは周知徹底を図る期間ですから、そういう努力をしているのかということが問題になるわけですけれども、私が聞いているのは、製造事業者とか販売事業者じゃなくて、中古品を扱っている販売業者ですよ。リサイクル業者、中古家電を扱っている業者の人に周知徹底を行ったのかというのを聞いているのですよ。

 例えば、警察庁なども把握をしているリサイクルショップの業界団体があるわけですよね。そういうところは組合、連合会の名前などが当然列記されているわけです。そういう団体に五年前に通知とか出したのですか。

迎政府参考人 五年前の時点では、警察庁の協力を得てそうした団体に通知をするというようなことは行っておりません。

 むしろ、先ほど申し上げましたように、いろいろなパンフレットの配布ですとか、あるいはどなたでも来ていただけるセミナー、講習会を開催するとか、ホームページという形でやってきたわけでございますけれども、ことしに入りましてから、お話のございましたような警察庁を通じた関係団体への事務連絡というふうなものを送付して万全を期すということでやっておるわけでございます。

塩川委員 警察庁を通じてやったのは、ことしに入ってからなのでしょう。五年間、何もやっていないのですよ。周知徹底、周知徹底と言葉だけで、肝心な中古家電を扱うリサイクル業者には何ら直接徹底していなかったというのが経済産業省の五年間じゃないですか。何のための周知徹底の猶予期間なのか。

 例えば、警察庁が把握をしている、古物営業法に基づいて業者は公安委員会に許可申請書を提出することになっています。この古物商の総数というのは何社あるか御存じですか。

迎政府参考人 約六十万軒というふうに伺っております。

塩川委員 そうなんです。ここにはもちろん中古家電を扱っていない業者も含まれていますけれども、このルートでいけば中古家電を扱うようなリサイクル業者へ届くはずなのですよ。ちゃんと古物営業法に基づいて許可申請書が出されているのですから、やる気になればすぐにでもできるはずだ、それを五年間放置してきたのが経済産業省で、今の混乱の責任は経済産業省にあるのが明らかじゃないでしょうか。

 二階大臣、ぜひとも、この関係団体や消費者の意見をよく聞いて、周知徹底を図ってこなかったのですよ。つまり、施行日がこの二月だというような話じゃないです。これから本来五年間の猶予期間があってしかるべきなのです。そういう点でも、四月からの適用を延期すべきじゃないですか。いかがでしょうか。

西野副大臣 お示しの点でございますが、電気用品を扱う一般的な家電製品の業者に対しましてこの五年間の措置を講じておるわけでございまして、それで今先生がお示しされておりますのは、リサイクル業者初め古物商等々に対して十分やっていないではないかという具体的な点ではないのかなというふうに思っております。

 つきましては、確かに古物商、リサイクル業者に対する徹底方がややそういう意味で不十分であったような気を私は感ずるわけでございまして、残りました期間におきまして、ぜひこれを周知徹底するためにあらゆる法を講じて徹底をしていきたいというふうに思いますので、よろしく御了承いただきたいと思います。

塩川委員 西野副大臣お認めになったように、徹底が不十分だったと。不十分どころか、やってこなかったのですよ。

 警察庁を通じて実態を把握できるようなところに対して、五年前にやろうと思えばすぐにでもできることを、五年間放置をしてきた。であるならば、五年間これから延ばせとは言いませんけれども、もう少し猶予の期間を設けて、現場がちゃんと着地できるように、そういう努力というのを行うことこそ経済産業省の今の仕事じゃないでしょうか。

 二階大臣、その点でぜひ御答弁をお願いします。

西野副大臣 実は、単なるその周知として、みずから事業者が行うということも当然でございますけれども、それを、実は手段を持たない業者もあろうかというふうに思いますので、そういう場合には、既にそういう資格を持っておる、あるいは登録をされておる民間検査機関等がございますので、そういうものを十二分に活用していただけば可能だというふうに思いますし、あるいは、個々に経産省の方にそういう御相談がありました節には、きめ細かに対応して、その処理についての適切な指導、助言をしていきたいというふうに思いますので、よろしく御了承いただきたいと思います。

二階国務大臣 五年間の経過措置期間において、各事業者に対して新法の対応のために徹底すべきではなかったのか、こういう御質問でありますが、当然それはその猶予期間に徹底することが大事でありますが、今日この時点におきまして、この経過措置期間の終了に向けて今具体的な対応を進めておるところであります。残された期間に全力を尽くして対応を行い、また、各方面からの御意見等につきましては、経済産業省としてはできるだけ親切に対応していくという姿勢で臨んでいきたいと思っております。

塩川委員 リサイクル業者の方も製造事業者という立場であれば販売もできるという話もありましたけれども、実際にもう足元がもつれているような実態の中で、自分の経営資産をやりくりする中で、新たにそういった資金も投入しなくちゃいけないということについて、多くの方はやはり倒産とか廃業を考えざるを得ないというのが今の現状だと思うんですね。それを見据えての対応なのかということを私、率直に思うんです。そういう意味では、リサイクルという形で、資源循環の立場でも、物を大切にしようという思いで行われている皆さんのそういう仕事を応援するし、消費者の立場に立った対応というのが本当に求められていると思うんです。

 そういう点でも、私、ここで、行政の責任で中古家電用品の安全を担保するような認証検査機関というのはきちんと整備する必要があるんじゃないのかと。今の段階で改めて要望したいと思うんですが、その点いかがでしょうか。

西野副大臣 先生のお示しがありますこのことによって、ほとんど廃棄してしまったりして業が成り立たない、そういう顕著な例があるということですと、非常に残念なことでありますけれども、相対的には必ずしもそこまでいっていないと私は思うんでございます。しかしながら、数多くの業者さんでございますから、あるいはそういう窮地に今陥っている方もあるのかなというふうに思います。

 しかしながら、今、仕組みとしては、検査を委託する機関もございますし、あるいはそういう資格を持った業者も、そういうところに委託することもできるわけでございますので、そういうことを通じて処理をしていただくように、御相談がありました節にはきめ細かに対応していきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしく御了承いただきたいと思います。

塩川委員 もう一点申し上げたいのが、ビンテージとか名器と言われる中古楽器、オーディオ機器などの問題であります。

 今、署名の呼びかけというのも始まっておりまして、対象となる機器、五年猶予期間のが、この四月から適用になるということについては、その規定の変更を求めるという署名運動の呼びかけが行われているんですけれども、その呼びかけの方のお一人に音楽家の坂本龍一さんなどもいらっしゃるわけです、シンセなどの。そういった今回の対象となるような中古楽器などを扱っている方の中からも、やはりこの問題については見直してもらいたいという声が上がっているわけですね。

 音楽業界で働く方の声としても、楽器などは特に、七〇年代のシンセサイザーとかギターアンプの方が今のものより音がよかったりするんだ、そういう点でも日本の文化の問題にもなっているんだということを述べておられました。

 そういう意味でも、楽器とかオーディオ機器など文化的な価値の高い製品の扱いについては、二階大臣、ぜひ血の通った対応ということで、お考えいただけないかなと率直に思うんですけれども、いかがでしょうか。

西野副大臣 今の先生のお示しのビンテージ物につきまして、かなり古い歴史といいますか、機器や音響機器等々があるというふうに思っておるわけでございます。そのことはよく承知をいたしておりますし、それについてはさぞかし私自身も価値があるものだろうなというふうにも思うわけでございます。

 だからといって、そのものについては、安全性を確保するという観点からしたら、それは除外していいんだ、こういうことには、私は、残念ながらならないというふうに思っております。

 そういうことからいたしまして、これからも事業者等に対しまして、先ほども申し上げましたとおり、個別の御相談にしっかりとおこたえをさせていただいて、丁寧に対応させていただきたいというふうに思いますので、御了承いただきたいと思います。

塩川委員 ぜひ、名器と言われるような、こういった文化的価値の高い製品についての扱いについて、血の通った対応をお願いしたいということについての二階大臣のお言葉をいただきたいと思います。

二階国務大臣 ただいま御指摘のように、文化的に価値ある、そうした、古典的なといいますか、古い楽器等につきましては、これはお互いに文化という面で大切にしていかなくてはならないと思いますが、ただいま今日の状況について、西野副大臣からもるる御説明を申し上げたようなことでありますが、私どもは具体的な御相談にはできる限り親切に対応していく、そういう方針を私は関係者にも申し渡しておりますので、議員の御指摘を踏まえて、なお一層心にとめておきたいと思います。

塩川委員 経済産業省の皆さんは、こういう問題で提起をすると、安全の問題をおろそかにできないじゃないですかとおっしゃるんです。そのとおりですよ。おろそかにしてきたのは経済産業省じゃないか。五年間周知徹底を行わなかった。こういうことを通じてこういう事態を生み出してきた経済産業省の責任というのが改めて問われるということを申し上げたいと思うんです。

 〇一年の電気用品安全法の施行で、家電用品の安全については、製品流通前の国の安全性チェックを緩和して、製造業者の自主検査に変えました。そういう中で、規制緩和の中で、家電事故が増加をしている。

 経産省所管のNITEと言われる機関でも、事故情報の収集制度報告書を出しております。これを見ても、家電製品の原因が明らかな事故のうち、製品に起因する事故の割合、使用している人が原因の事故ももちろんあったりします、そういういろいろな事故原因の中でも、製品に原因がある、製品に問題があるという事故の割合が、〇一年度が七三・四%が、〇四年度に八七・〇%にふえているわけです。

 規制緩和で国民の安心、安全が後退している、こういうことそのものを見直すことが求められている、このことを申し上げて、次の問題に移ります。

 昨日、私は予算委員会で、医療分野の規制緩和の問題を取り上げました。お手元にお配りしました資料にあります、これは最初の三枚分が神奈川県が出されている資料ですけれども、構造改革特区の中で医療特区が行われています。医療法で禁じられていた医療機関経営への株式会社の参入が緩和をされるという事例であります。

 その中で、実際に参入をした事業者がバイオマスター社というところです。このバイオマスター社の医療技術の安全性の問題について、昨日の予算委員会でも御質問しまして、その関連できょうお尋ねしたいと思っております。

 神奈川県が申請者となりましたこの医療特区ですけれども、この医療特区の認定を受けたバイオマスターは、横浜で株式会社による高度美容医療を行う診療所経営を計画しています。ことし夏にもオープン予定ということで、二〇〇二年、このバイオマスター設立時の資本金が一千二十万円だったのが、今では三億二千万円で、どんどんどんどん資本金を積み上げている。これは、このバイオマスター社がバイオベンチャー企業として、ベンチャーキャピタルの投資の対象になっているということを示しているわけです。三枚目のバイオマスター社の概要にも主な株主がありますけれども、主要ないろいろなベンチャーキャピタルなどが出てきているわけであります。

 そこで、経済産業省に伺いますが、このバイオマスター社に経済産業省としても補助金を支出しております。配付した資料の後ろの方、五枚目と六枚目にバイオマスターの案件が挙げられております。

 そこで、お聞きしますが、このバイオマスター社は、補助金の申請に当たりまして、大学発ベンチャーと自称しております。大学発ベンチャーとなれば補助率が二分の一から三分の二へと優遇されるということであるわけですけれども、その大学というのはどこなのか、それをお聞きしたいと思います。

奥田政府参考人 お答えいたします。

 バイオマスター社でございますけれども、ホームページに示されておりますけれども、東京大学医学部との共同研究により開発をいたしました再生医療関連技術が同社の基礎となる技術であるというふうに承知をいたしております。

塩川委員 東大の医学部の研究者の方と連携をしていると。バイオマスター社の取締役には、東京大学の医学部の形成外科学教室の研究者の方もいらっしゃるということであります。

 そこで、文部科学省にお尋ねをしますけれども、この東京大学医学部形成外科学教室のホームページに、「当研究室で行う脂肪由来幹細胞の組織増大術への臨床応用が東京大学医学部倫理委員会で承認されました。」と、東大の医学部の倫理委員会で、いわばこのバイオマスター社が言っている中核技術が承認をされたとあるんですけれども、これは事実でしょうか。

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 国立大学法人東京大学に確認をいたしましたところによりますと、しわ治療及び組織増大を目的とした吸引脂肪由来の細胞間基質移植という研究課題と、それから、組織増大を目的としたヒト吸引脂肪由来細胞とヒト吸引脂肪の混合移植、この二つの研究課題につきまして、東京大学大学院医学系研究科・医学部倫理委員会において審査が行われ、平成十五年十二月に、両研究課題で合わせて三例の治療を行ったところで経過を倫理委員会の方に報告をするとの条件つきで承認がなされたというふうに聞いております。

塩川委員 条件つきで承認をされたということなんですけれども、その条件というのが付された理由は何なのか。条件というのは三例で申請をするということというふうに承知しているんですけれども、その確認と、なぜそういう理由が付されたのか確認しておられますか。

藤田政府参考人 東京大学に確認をいたしましたところでは、先ほども申し上げましたように、三例の治療を行ったところで経過報告をするということでございますが、これにつきましては、安全性を含めましてさまざまな観点から慎重に検討を行った結果として、まず三例の治療を行う、その上で経過報告を求める、そして、その経過報告を踏まえて、さらに治療を継続するかどうかの可否について検討するというふうなことになったというふうにお聞きをいたしております。

塩川委員 そうすると、三例積み上げたら、その経過報告を踏まえて審査するということですけれども、その後、新たに、東大の倫理審査委員会にこの医療技術について案件はかけられたんでしょうか。

藤田政府参考人 平成十五年十二月の承認の後、平成十六年四月に、再度、東京大学大学院医学系研究科・医学部倫理委員会の方に三例の治療の経過報告がなされまして、その経過報告を踏まえて審査がなされた後、さらに三例の治療を新たに行い、その治療を行ったところで経過報告を改めてするというふうな条件で治療の継続が承認されたというふうにお聞きをしております。

 その後については、現在のところ、新たな経過報告はなされていないというふうに聞いております。

塩川委員 東大の医学部では、二〇〇四年から美容目的のみの形成外科の全身麻酔手術は行われない方針となった。今言ったように、しわを取る、しわ取りですから美容整形ですけれども、それを大学でやっているわけですが、そういうのを全身麻酔でやる必要はないんじゃないのかという議論があったんでしょう。美容目的のみの外科手術において全身麻酔手術は行われない方針となって、事実上、今言った医療技術の実施は東大ではできないことになったと聞いているんですけれども、そういうことでよろしいんでしょうか。

藤田政府参考人 申しわけございません。その点までは確認をいたしておりません。

塩川委員 当事者の方は、二十三例ぐらいあると。これは神奈川県の出している資料にあったかと思うんですけれども、臨床実績は二十三例ぐらいあると。ただ、そのうちの三例が東大ですけれども、条件つきと言われている、その後の経過報告も求めていると。それ以外の二十例については、どこで審査されたのかもよくわかりません。そういう点では、倫理審査委員会にかけられずに実施をされたという疑念も持っているわけであります。

 このバイオマスター社が、東大発ベンチャーということで、東大の名前をいわばにしきの御旗に商売をしようとしているんじゃないかなという疑念や疑問がわいてくるわけであります。

 厚生労働省に伺いますが、今回の医療特区に当たりまして、バイオマスター社の高度医療技術についての臨床データ、二十三例とかと言われていますけれども、これは厚生労働省に提出をされて、確認をしておられるんでしょうか。

松谷政府参考人 厚生労働省に合い議がございますけれども、個々のデータについての調査はしてございません。

塩川委員 重ねて厚生労働省に聞きますが、医療特区に関する案件について、国として、安全性の確認というのを行うんでしょうか。

松谷政府参考人 昨日の委員会でも答弁したところでございますけれども、個々の医療機関において提供される医療の安全性の確保は、一義的には診療に当たる医師の責任において行われるべきものであるというふうに考えてございますが、このような観点で、高度医療特区制度が一定の条件のもとで株式会社による医療機関の開設を認めるための制度であることも踏まえまして、特区において提供される医療の安全性について国が個別に審査する仕組みとはなっていないところでございます。

塩川委員 構造改革特区という、小泉内閣の実績の一つとして行われた株式会社の医療機関への参入について、関係機関はだれも安全性を確認していないわけです。当事者任せとなっているわけで、営利目的の実験医療と言われても仕方がないような状況が率直に言ってあるんじゃないか。そもそも先進医療技術というのは通常医療よりも厳格な管理が必要で、有効性、安全性が確認されていない医療技術を事前の厳格な審査もなしに人に試すのは最も倫理に反する行為だという識者の声もあります。

 そこで二階大臣に伺いますが、当事者以外、安全性の確認がされていない医療技術を売りにしている会社に多額の補助金を出しているのが経済産業省であります。バイオベンチャーとして投資の対象にすることに国がお墨つきを与える形になっております。

 バイオ産業の振興は重要でありますけれども、命や健康にかかわることを、その安全の担保も不十分なまま投資の対象にすることを促すようなことでいいのかと率直に思うんですけれども、大臣の御見解を。

二階国務大臣 医療分野の研究開発は、国民の健康の維持や疾病の治療等に重要な役割を果たすものと考えております。このため、経済産業省としても、今日まで医療分野の研究開発の推進、支援に積極的に取り組んでまいりました。

 ただし、医療分野の研究開発の推進、支援に当たっては、将来的に医療の現場での安全な利用の可能性が明らかに認められないような研究開発については、事業化可能性が認められないものとして、推進、支援の対象となることはありません。

 経済産業省としては、以上のような形で、安全性の確保にも注意を払いながら、医療分野の研究開発の効果的な推進を支援してまいりたいと考えております。

 なおまた、先般来、がんの治療の問題につきましては、厚生労働省、文部科学省、経済産業省が取り組むことに相なっておりますが、先ほど来、川崎、小坂両大臣とも、できるだけ早い機会にこれらの問題につきまして三省が共同で取り組んでいく対応を考えようというような話し合いをしたところであります。

 医療問題は極めて重要な分野でありますので、議員の御指摘も踏まえて、今後慎重に対応してまいりたいと思います。

塩川委員 そういう点では、倫理面、安全面での疑念を持たれるということについて、きょう率直に申し上げました。

 それについて、補助金の支給の問題をどうただそうかということで、資料提供を求めましたら、墨塗りのこういうもので、これは会社の代表の名前もなければ本社の住所もないんです。調べたら、これはホームページに載っているわけですよ。何でホームページに載っているようなことまで墨塗りで出してくるのか。そこまで経済産業省の情報管理は徹底をしているのか。これではまともな国会の審議ができないんじゃないでしょうか。

 そういう点でも、きちんと資料要求にはこたえてもらいたい。このことを申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

石田委員長 次に、内閣提出、独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。二階経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

二階国務大臣 独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 知的財産立国の実現を図る上で、近年、中小企業等における特許等の工業所有権に関する理解の増進や人材の育成の重要性がますます高まっております。こうした中で、独立行政法人工業所有権情報・研修館がその業務を一層効率的かつ効果的に行うことができるよう、所要の規定を整備する必要があります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 本法律案は、独立行政法人工業所有権情報・研修館の業務の効率性や機動性を一層高めることにより、工業所有権に関する情報の提供、人材の育成を促進するため、同法人を、業務運営の面でより自由度の高い特定独立行政法人以外の独立行政法人、いわゆる非公務員型の独立行政法人にするとともに、その役職員の守秘義務に関する規定等所要の規定の整備を行うものであります。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

石田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時四十三分散会


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