衆議院

メインへスキップ



第13号 平成18年4月18日(火曜日)

会議録本文へ
平成十八年四月十八日(火曜日)

    午前九時三十分開議

 出席委員

   委員長 石田 祝稔君

   理事 今井  宏君 理事 新藤 義孝君

   理事 平田 耕一君 理事 増原 義剛君

   理事 吉川 貴盛君 理事 近藤 洋介君

   理事 達増 拓也君 理事 上田  勇君

      小此木八郎君    岡部 英明君

      片山さつき君    北川 知克君

      近藤三津枝君    佐藤ゆかり君

      清水清一朗君    塩谷  立君

      平  将明君    長崎幸太郎君

      野田  毅君    橋本  岳君

      早川 忠孝君    藤井 勇治君

      牧原 秀樹君    松島みどり君

      武藤 容治君    望月 義夫君

      茂木 敏充君    山本 明彦君

      大畠 章宏君    川端 達夫君

      北神 圭朗君    佐々木隆博君

      野田 佳彦君    松原  仁君

      三谷 光男君    高木 陽介君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣政務官    片山さつき君

   参考人

   (日本政策投資銀行地域企画部参事役)       藻谷 浩介君

   参考人

   (日本商工会議所まちづくり特別委員会委員長)

   (足利商工会議所会頭)  板橋 敏雄君

   参考人

   (株式会社まちづくり長野タウンマネージャー)   服部 年明君

   参考人

   (秋田市駅前広小路商店街振興組合理事長)     平澤 孝夫君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  森  英介君     茂木 敏充君

同日

 辞任         補欠選任

  茂木 敏充君     森  英介君

    ―――――――――――――

四月十八日

 中古家電規制の猶予期間延長を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一六二一号)

 電気用品安全法改正に関する請願(加藤公一君紹介)(第一六二二号)

 同(川内博史君紹介)(第一六二三号)

 同(近藤昭一君紹介)(第一六二四号)

 同(中川正春君紹介)(第一六四一号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第一六六九号)

 同(石井郁子君紹介)(第一六七〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第一六七一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一六七二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一六七三号)

 同(志位和夫君紹介)(第一六七四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一六七五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一六七六号)

 同(細川律夫君紹介)(第一六七七号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一六七八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出第三二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

石田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 本日は、参考人として、日本政策投資銀行地域企画部参事役藻谷浩介君、日本商工会議所まちづくり特別委員会委員長・足利商工会議所会頭板橋敏雄君、株式会社まちづくり長野タウンマネージャー服部年明君、秋田市駅前広小路商店街振興組合理事長平澤孝夫君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず藻谷参考人にお願いいたします。

藻谷参考人 おはようございます。

 私は、商業に直接携わっている人間ではございませんけれども、こういう場にお呼びいただきましてまことに恐縮でございます。日本政策投資銀行、参事役というのは偉そうなんですが担当課長のことでございます、藻谷と申します。よろしくお願いします。

 私は、まちづくりにつきまして、現場を回りまして、やっている方々にアドバイスをするというような仕事をしております。総論や法律についてどうこうという知見は余りないんですが、この町についてこういうことをしたらいかがでしょうか、あの町ではこういうことをしていましたということを話して歩きながら、皆さんの認識を喚起するというのが役目でございます。

 きょうは、そういう観点から、市街地活性化のポイントにつきまして、大変僣越でございますが、私の思うところを日ごろ使っている紙の中から要点をまとめてまいりました。お手元にありますカラーコピーのものでございます。表題はちょっと大げさでございますが、「中心商業地活性化 三つの課題と対処策」と書いてあります。本当はこれで二時間ぐらいしゃべるものの本当に一番大事なところだけを抜いてまいりました。法律どうのこうのではなくて、こういうことが言えるんじゃないかということを御参考に供したいと思います。

 一枚おめくりいただきますと、二ページ、自分でも色彩感覚がちょっと間違っているかもしれませんが、画面に映すときはこれぐらいがよろしいということで、ここに「市街地商業の三重苦」と書いてございます。市街地は、実は商業だけではないんですけれども、特にお話をする相手が商店街の方が多いものですから、こういう書き方になっています。

 三重苦と申しますか、三つの課題、三輪車でございます。二輪車ですと車二つでも走りますし、一輪車であれば車一つでも走るんですが、実は市街地商業は三輪車でして、その結果、一つの車輪でも回らないと、ハブが折れておりますと全体がとまるということがあります。実は、市街地活性化はなかなか成功例がない、難しいというんですけれども、その理由は、その三つがそろうことが非常に難しいということです。

 ただ、一つ車輪が壊れているのと、二つ壊れているのと、三つとも壊れているのは違うわけでありまして、まだ走らないからといって、車輪二つまで直したということをもって、何もしていない人と一緒にして効果がないと言うのは大変失礼であると私は思っております。

 三つの課題でございますが、一番目は、そもそもそこで商売をしている人の経営能力です。これは、個人の経営ですので、国や自治体が手とり足とり、おまえ、こう経営しろと言うのは基本的に無理な世界、市場の世界です。ちなみに、したがって、周りがどんなに努力をしても、そこにいるお店の方が努力をしない場合、これは残念ながら活性化しないということになります。

 二番目が、非常に商業床がふえ過ぎて、ふえればふえるほど売り上げが落ちていくという現象でございます。これにつきましては、先般の都市計画法の方で議論になったところでございます。

 三つ目が、「市街地における「まちづくり」の失敗」と書いてあります。ちょっと抽象的に見えますが、実は、個人個人が一生懸命経営され、そしていろいろな法律なども活用されて、都市計画をちゃんと運用されて、やたらめったら過剰にお店ができる状態が防げたとしても、それだけでは実は市街地が活性化しないという問題がありまして、それがまちづくりです。

 具体的に、非常に赤裸々に書いています。「自分は一生懸命経営していても、やる気のない店のおかげで商店街全体は沈滞」、「自分の店の跡継ぎは、跡継ぎのない高齢の商店街幹部に頭を抑えられ、意欲喪失」、これは私の友達に実例がございます。そして、一番恐ろしいのが三番目、「空店舗を空いたまま放置する無気力家主のおかげで、人通りは減る一方」。

 例えば、郊外の大型店に、もし仮に一店でもテナントが抜けているところがあれば、その大型店は埋めるために死に物狂いの努力をします。ところが、商店街の場合、前の商店主が、おい、あそこを埋めてくれ、何とかしてくれと言っても、そこの空き店舗を持っている家主が全く何もせずに、税金だけ払いながらただ上に住んでいるというケースが間々あるわけであります。もし仮にそれがショッピングセンターであれば、それだけでつぶれる可能性もあります。もちろん、同じお客様を相手に同じ商圏で商売をしているわけですから、実は商店街でも、本当は、空き店舗が一戸も二戸、十戸もあれば、それだけで客は減っていくわけであります。これを指して私はまちづくりと言っています。つまり、個人の努力あるいは都市計画におけるゾーニングを超えて、本来頑張るべきところにいる関係者の中に頑張らない人がいることが全体の足を引っ張る、これがまちづくりの問題であります。

 ところで、そういう問題が三つともある程度そろいますと何とか走るわけですが、一番よくこけているのが実はこのまちづくりでございます。逆に、どんな商店街にもまじめに経営している人は必ずいますし、また、大型店の問題は、今後少しましになっていくと思うんですが。これが恐らく今回の法律でも議論になって、対処策が打たれつつあるところだと思います。

 次の三ページ目でございますが、「空洞化するまちの共通点」の中に、やはり、私が全国を観察して、だめな町には共通点があります。一つは郊外開発をやり過ぎる。これは今回の都市計画法の話です。そして、逆に皆さんが商業のことだけ考えている。これはちょっと、今回の法律にも入ったかもしれません。総合的にもっと、人が住むところからスタートしなきゃだめですよということが書いてあるんです。三番目に、「地権者は、「景気回復」や「街路拡幅」を待って、空地や空店舗を空いたままにしている」ということが書いてございます。必ずこういう現象が観察されるところというのはうまくいかない。

 一ページめくっていただきまして四ページ目でございます。これは講演用の資料でございましたので、何やらわかったようでわからない表現かもしれませんが、逆に、そういうのがわかりやすいと言われます。

 「まちは「花」」と書いてございます。例えでございますけれども、町を、仮に商業を、お店を花びらだとすれば、花びらがきれいに咲いた方がきれいです。ただ、花びらは、根や葉っぱがないところに咲くことはあり得ません。地味でございますが、茎もあった方がいきなり葉っぱから花が生えているよりはきれいであります。やはり、根、葉、茎をそろえることによって花を咲かせるということを考えなければ、まちづくりというのは難しいということを書いてございます。

 根っこが家。人が住んでいないところに商業が成り立つのは非常に難しい。葉っぱは企業の事業所。店に物を買いに行くだけではなく、何か別の用事でそこに行く人がたくさんいなくてはなかなか商店は成り立ちません。その一番最大のものが毎日行く事業所、職場であります。家と職場がやはり私は根と葉、根本だと思うのであります。根っこもそうなんですが、余り根っこがむき出しだと汚くなります。家が生活感あふれてむきむきにむき出しておりますと、ちょっと町としてはおしゃれじゃなくなってくる。このあたりのバランスを微妙にとらなきゃいけないところがまちづくりでありますが、かといって根っこを全部切ってしまうと桜でも枯れます。

 そして茎、「病院・学校・役所・集会所」と書いてありますが、これは茎ですから、なくてもいいことはいいんですが、できればあった方がバランスがいい。それは、人がたくさん行く公共的なものでございます。よくホールというのがつくられるんですが、人間が一番よく行くのは病院である、次は学校であります、大分落ちまして役所、集会所。やはり病院、学校というのが根幹的に町のコアになっていなきゃいけないというのが私の観察でございます。

 では、根や茎がそろうと必ずお花が咲くかと申しますと、世の中には雑草というものもありまして、しぶとく、たくましく生きているんですが全く華やかじゃないという。要するに、せっかく根や茎がそろっても店が全くない地域もあるわけですが、やはり逆に、店が栄えている地域は必ず根、葉、茎があります。東京でいえば、吉祥寺なんていうのはこれがきれいにそろっている典型であります。逆に、新宿西口のように、オフィスはあるんですがほかのものがないということになりますと、夜になるとしんとしていたりする。実は、まちづくりはこれをバランスよくそろえる必要があります。

 それに対して、従来、非常に駐車場という議論が起こります。これは、大人の議論としては実態的にはあるんですが、駐車場は、根、葉、茎、花がそろっていて初めて機能します。逆に、だれも種を植えていないところに駐車場だけあっても機能しない。いわば、用水路だけあってだれも植えていないということになります。

 それでは、あと一枚で終わりますけれども、その次の五枚目をごらんください。というわけで、やはり、こういう状態をつくり出すには、従来の商店、住民、行政に加えて、地権者の方を巻き込むことが非常に重要であるということを、私は、年来、主張してまいりまして、そして、そういう方向に世の中の議論が行っているということを大変すばらしいと思います。

 やはり、家や事業所はお店に比べて払う家賃が低いです。さらに言いますと、オフィスに比べれば住宅は家賃が低い。ましてや、病院、学校はほとんど家賃負担力がありません。そういうさまざまに家賃負担能力が違うものをまぜてつくらなければいけない。各人が利益最大化を追求するとうまくいかない。もう一つは、利益を全く追求せずに土地建物をあけている人がいると、これはもう最初から論外であります。

 ということで、地権者の方々に実情をよく勉強していただいて、おたく様の町というものを長期的に子供に残せる相続財産としてきちんと育てましょう、皆さんこそが土です、根、葉、茎、花を育てる土は地権者なんでございますということをきちんと巻き込んで説得していくことがまちづくりのスタートである。

 実は、すぐれたまちづくりと言われている事例は、ことごとく地権者が裏できちんと協力しています。ただ、そういう切り方で把握されていないために、商店の努力や行政の努力という形で報道されていますが、必ず地権者の協力を得るという過程を踏んでいるということを最後に申し上げておきます。

 どうも、時間をオーバーしまして大変失礼いたしました。終わります。(拍手)

石田委員長 どうもありがとうございました。

 次に、板橋参考人にお願いいたします。

板橋参考人 おはようございます。

 日本商工会議所まちづくり特別委員会の委員長を務めております足利商工会議所会頭の板橋でございます。

 私からは、次の四点について意見を述べさせていただきます。

 まず第一点は、計画的な土地利用規制と広域調整の必要性についてであります。

 計画的な土地利用規制についてでございますが、先生方も御承知のとおり、商業調整を禁止しているWTOのサービス貿易協定、GATSを批准している欧米諸国におきましても、商業調整ではなく、都市計画の観点から、しっかりしたゾーニング等の土地利用規制を行って、中心市街地のにぎわいを残しながら大型店が地域と共生しております。

 一方、我が国は、八年前に旧大店法を廃止いたしまして現行のまちづくり三法が制定されましたが、欧米諸国と比べて極めてルーズで実効性のない都市計画法のままスタートいたしました。この結果、無秩序な郊外出店が放置されてきたわけでございます。

 このたびの見直しについて、一部に規制強化ではないかとの指摘もございますが、今回の都市計画法の抜本改正により、ようやく欧米諸国並みの土地利用規制のレベル、手続に近づくものと思っております。きちんとした都市計画のもとで、地域でしっかりとゾーニングをし、その中で自由な競争をしていける真の都市計画制度となるのを期待しておるわけでございます。

 次に、広域調整の必要性についてでありますが、足利市は、現行まちづくり三法のもとで、平成十年十二月に「歴史から未来へ ときめきの都市足利」を基本理念とする中心市街地活性化基本計画を策定いたしました。足利商工会議所においても、以前からまちおこし探偵団などの中心市街地活性化事業に取り組んできております。

 しかし、現行まちづくり三法が郊外開発を野放しにし、また、大型店の広域調整の仕組みもないことから、この間に、隣接する群馬県太田市、栃木県佐野市などに相次いで大型店が立地いたしまして、足利市の中心市街地は大きな影響を受けました。これまでは、幾ら自分たちが中心市街地活性化に努力をしても報われない、ざるで水をくむような制度であったと思います。加えまして、こうした状況の中で、平成十五年十一月には足利銀行が破綻をして一時国有化され、地域経済がさらに大きな打撃を受けることになりました。

 私は、日本商工会議所の山口会頭様の要請を受けて、平成十六年十一月に設置したまちづくり特別委員会の委員長に就任いたしました。平成十七年六月に、まちづくり三法の抜本的見直しについて中間取りまとめを行い、七月には、本中間取りまとめをもとに、中小企業関係四団体で「まちづくり推進のための新たな枠組みの構築に関する要望」をまとめ、政府、政党の皆様にその実現をお願い申し上げました。

 その後、政府、政党の皆様の御理解、御尽力と、山口会頭の熱意と強いリーダーシップによりまして、私どもの中間取りまとめにおおむね沿った内容で今回の改正法案をおつくりいただきました。その御努力に敬意を表しますとともに、心から感謝を申し上げる次第であります。

 第二点目は、地域ぐるみでまちづくりに取り組む地域への積極支援についてであります。

 足利商工会議所は、まちづくり三法の見直しが実現することを信じまして、中心市街地活性化のシンボルとするため、破綻した旧足利銀行本店の建物を買い取りました。平成十七年五月には、中心市街地活性化に取り組むために、商工会議所みずからがここに移転をし、また、市民が自由に集える友愛ホールを整備いたしました。

 この旧足利銀行本店の取得・整備費約六億円につきましては、経済産業省の格別の御理解と御協力をいただき、約一億二千万円の戦略的中心市街地商業等活性化支援事業の支援を受けられたことが大変大きな力となりました。この場をおかりして感謝申し上げますとともに、今後とも、やる気のある地域に対するこのような国の支援は大きな実を結ぶことになると思いますので、ぜひとも拡充、継続をお願い申し上げる次第であります。

 第三点目は、大型店の社会的責任についてであります。

 私は、以前から企業の社会的責任、CSRという問題について取り組んでまいりました。今回の改正では、中心市街地活性化法に事業者の責務に関する訓示規定が創設され、これを受けて経済産業省が、関連業界団体に対し、大規模小売業者が、退店時の対応など地域におけるまちづくりへの協力について、みずからの社会的責任の一環として自主的に取り組むよう、業界ガイドラインの作成などを強力に指導することとされましたことは高く評価したいと存じます。このガイドラインが、社会的責任を問われるような焼き畑的な開発を改めていただくことはもとより、地域のまちづくり団体への加入やイベントへの参加など、出店から退店まで大型店が社会的責任をしっかり果たすような仕組みとなりますことを期待しておるわけでございます。

 また、商店街も大型店も消費者にとってはともに必要なものであります。商店街と大型店等が共存共生し、地域のまちづくりに貢献していくためのしっかりしたガイドラインをつくっていただき、また、政府としても、しっかり指導監督、フォローアップしていただきたいと思っております。

 第四点目は、地方のまちづくりにとって不可欠な農振法、農地法の適正かつ厳格な運用についてであります。

 地方紙等の報道によれば、最近は、農振解除、農地転用によって、農業振興地域内の優良農地であった地域に出店するケースが多いように思います。これらの地域の多くが、今回の都市計画法、建築基準法の改正により、一年六カ月後には原則出店禁止となります。中川農林水産大臣や農林水産省の宮本企画部長さんの御答弁にありましたように、今回の見直しに合わせ、農業振興地域制度及び農地転用許可制度の適正かつ厳格な運用を図るとされたことを高く評価いたしております。

 こうした状況の中で、一年六カ月の経過期間中に、今後出店が禁止となる場所へのいわゆる駆け込み出店を認めることは、今回の法改正の趣旨に反し、また法改正の効果を大きく減殺するものと思います。さらに、食料の安全保障の面からも、優良農地は将来にわたって農地として保全すべきであると考えます。

 政府におかれましては、この経過期間中にあっても、安易な農振解除、農地転用が行われないように、農業地域振興制度に関するガイドラインを改正することなどによりまして、市町村及び都道府県をよく指導していただくようお願い申し上げる次第でございます。

 以上で、私の要望を終わります。ありがとうございました。(拍手)

石田委員長 どうもありがとうございました。

 次に、服部参考人にお願いいたします。

服部参考人 服部でございます。おはようございます。

 私は、TMO長野、まちづくり長野のタウンマネジャーをいたしております。私は今皆さん方の中でも話題になっておりますイオンの出身でございまして、民主党の岡田前代表は私が子守をした仲でございます。そういうことで、立場を変えまして、過去の経験を利用して、今まで敵といたしておりました中心市街地の商店街の皆さん方のために第二の人生を働いてみようということで、長野商工会議所会頭の仁科さんと前副会頭で市長になりました鷲澤さんから要請を受けまして、タウンマネジャーの仕事を引き受けさせていただきました。

 さて、私ども小売業、流通業というのは、あくまで、商人からの視点じゃなくて、消費者からの視点、生活者の視点で物事を考えて取り組んでいかなければいけないということでございます。

 それからもう一つは、原点は、皆様方も御承知のとおり、人馬の時代は宿場町、そして鉄道の時代は駅前、そして今や、モータリゼーションのときには郊外のインターチェンジ、そして住宅と市内を結ぶ、職場を結ぶバイパスの近くに商業の立地を変化させていく。これは、人のいるところ、交流するところに店を構えるというのが商人としての常識でございます。しかし、今日、その郊外というものが果たして、私はイオンのメンバーにもお話をしているわけでございますが、これからの本当の立地であろうかなということを考えてみますと、私は少し疑問を持っております。

 さて、中心市街地の商業者は経営改善には努力をいたしておりますけれども、御承知のとおり、過去、中心街に存在しておりました各種機能、住宅とか職場とか病院とか学校とか文化施設、役所などの公共施設が郊外に移転をいたしました。これは全国各地同様でございます。中心市街地に住む人、また目的を持って来る人が減少するということは、当然それを当てにして商売をしておりました商店街の小売業者また飲食業者等は、客の減少、つまり地元購買力及び流入購買力が大幅に減少して、また一方で郊外の大型店との競合等外部要因がその経営悪化につながっているというふうに考えられます。

 しかし一方で、中心市街地の商業者は、変化する消費者のニーズに対応した品ぞろえや店づくりへの取り組み、その意欲があったかなということを考えてみますと、私は全くその努力がなされていないのではないだろうか。毎日毎日お客様は変化してまいります。その変化に対応していくことが小売業、サービス業の一つの仕事でございまして、私ども小売業、皆さん方、先生方もそうでございますが、私もコンサルタントをするのであれば、これは、私たちの仕事というのは先様の問題解決業でございます。お客様が常に抱える問題を解決していくことがビジネスでございまして、そういうような日々の努力をしていかなければ、やはりお客様から見放されてしまうのではないだろうか。

 商店街というのは、計画的に店を張りつけたわけではございません。昔の城下町というのは、呉服町、かじ町、いろいろな町でその業種ごとに町を構成し、お客様の利便性、行政からの通達の利便性を考えて、昔の武士社会はそのようなことをなされました。

 しかし、私どもの長野の門前町というのは、まさにあちらこちらから来られた商人が店を張って露天商から門前町の商人町に変わっていったわけでございまして、そのような町というのは今も、こういう場合、申し上げていいのかどうかわかりませんが、仏壇屋さんの隣にジュエリーの店があります、こういうような商店街で買う気になるかということでございます。

 生活シーンに合わせて店をそろえ、品ぞろえをし、そしてその町歩きを楽しみ、ショッピングを楽しみ、そのような空間をつくっていかないといけないというふうに思います。消費者が求める生活シーン別に対応した業態型の店舗構成とか町の商店街構成が必要になってくるというふうに思っております。

 そこで、中心市街地の活性化は、商業者からの視点でなく、生活者、市民の視点で取り組まなければいけない。市民が中心市街地の活性化に期待することは、住みたくなる町、行きたくなる町の再生であります。住みたくなる町は、快適な住環境、生活支援機能とニーズを満たす商業機能、憩いと交流の空間であります。行きたくなる町とは、新たな生活発見の機会の場でございます。

 昔、私たちは海外に行ったときに、ああ、こういう夢を持ちたいな、こういう生活をしたいなと新たな希望を、またこれからのチャレンジを考えたわけです。そのような場として、学び、憩い、交流し、ショッピングが楽しめる、小さな旅気分を味わえる町を中心市街地に期待しているのではないかと私は思っております。規格、平準化、効率重視の郊外大型店、ショッピングセンターにはない心の満足を与える舞台こそ、その中心街にあると考えます。

 中心市街地の商業の再生は、舞台となる町の魅力づくりと並行して、顧客のニーズに対応したコンセプト別商業空間を描き、具現化することではないかと思います。

 中心市街地には潜在的なそのような市民のニーズに合う魅力があるというふうに思っております。そこに現在の市民ニーズを取り入れ、郊外にない町の魅力を高めて、コンパクトでにぎわいあふれる町をつくっていくことが重要であると考えます。

 そこで、先生方にお願い申し上げますが、新法にこれからかかわっていくわけでございますけれども、私どもは、この新法に基づく基本計画認定に向けての取り組みへの支援、つまり、認定された地域だけでなく、認定に向けて取り組み、努力している地域に対しての御支援をぜひお願い申し上げたい。

 そして、総合的にタウンマネジメントに取り組む中心市街地活性化協議会に対しましても、ぜひ総合的な視野から御支援を賜りたいと思っております。

 私も、長野TMOの体験から、国によるタウンマネジャーの派遣制度支援、そして長野市及び商工会議所の支援を受けて各事業を立ち上げてまいりました。皆さん方のお手元に資料として御配付しておりますので、ごらん賜りたいと思います。これらのTMOの活動資金というのは、既存事業からその本部の負担をするということは大変難しいわけでございます。各事業が軌道に乗っていった行く末には自主独立し、TCMのように自主財源を持って対応することが可能になってくるのではないかと思います。それまでの間、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 さて、全国各地のTMOとか商工会議所からいろいろの御相談を受けております。私も、ダイエービルの後活用に取り組みました。このような中で、いろいろな事業を、市民活動支援とか福祉関連施設、商業施設などの整備で、大型空き店舗また大型空きビルの活用をしたいというニーズがございますが、そういう面では、中小機構の出資とか融資など、円滑に活用できるような御措置をお願い申し上げたいと思います。

 最後に、まちづくりの人材の育成が大変必要でございます。私もいろいろな形で人材育成に応援をしておりますが、皆様方から御配慮いただいた御支援の、その効果を上げるためにも、それを活用し、効果的に展開できる人材が必要でございます。そのような育成に、より一層の充実した国の御配慮を賜りたいと思います。

 以上、皆様方にお願い申し上げたい、御理解を賜りたい御提言をさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)

石田委員長 どうもありがとうございました。

 次に、平澤参考人にお願いいたします。

平澤参考人 おはようございます。

 ただいま御紹介をいただきました、秋田市駅前広小路商店街の理事長をしております平澤と申します。本日は、このような機会をいただきまして、感謝を申し上げます。

 しかしながら、全国で最も苦戦している地域の代表であろうということで、少々複雑な思いでやってまいりました。言い尽くされたことも多いかと思いますが、現場の生の声としてお聞きいただければ幸いでございます。

 限られた時間でございますので、これまでの経験を振り返りながら、秋田市の中心市街地の現状を中心にお話をいたします。

 昭和四十年代は、秋田駅から三百メートルほどのところに、地元百貨店あるいはファッションビル等大型店四店舗を含めた商業施設がございました。郡部のお客様も多くて、町の中心と言えるほどのにぎわいでございました。昭和五十五年に駅前再開発事業というのが起こりまして、そのときにイトーヨーカドー、そして五十九年に同じ事業で西武が進出してまいりました。駅前地区の方に人が流れ、わずか目と鼻の先にある、三百メートルほどのところにありました繁華街は急速に寂れていったというのが状況でございます。

 現在、その地域は、大型店二つが大きくあいたフロアを抱えながら細々と営業をし、ほかの二店舗は更地となっております。そして、近隣にございました日赤病院は郊外の方に移りました。今度はその地域の再開発が今考えられているというところでございます。

 このような状況の流れの中で、秋田市には、ダイエー、長崎屋、サティ、そして平成五年には郊外にイオンのショッピングセンターが進出してまいりました。イオンが出店する以前でも、三十万人都市としては過剰な売り場面積というふうに思われておりましたので、市街地のにぎわいが低下するのは当然のことだったというふうに思います。

 さらに、昨年九月には、駅前再開発事業に伴って出店をいたしましたイトーヨーカドーが、不採算を理由に退店の意向を表明いたしました。その後、中心市街地のにぎわいに危機感を抱きましたビル会社、県、市が一体となって存続交渉いたしまして、家賃の大幅な減額ということで営業継続にこぎつけた次第でございます。隣接します西武の方も同じような状況で、これも何とか存続することになりました。少々ほっとしているところでございますけれども、同じような事態が今後も起きるということは考えておかなければならないというふうに思います。

 次に、私どもの商店街について少々お話しさせていただきたいと思います。

 組合員は、路面店のほか、JR系列の駅ビル、イオン系列のフォーラス、イトーヨーカドー、西武の大型四店舗も含まれておりますけれども、この地域全部を足して郊外のイオンの売り上げとほぼ同額ではないかというふうに思います。消費者の評価については、郊外の方にやや分があるというような感じがいたします。

 まず、このような状況になる要因は二つあるというふうに思います。

 その一つは、郊外の大型ショッピングセンターと申しますのは、いわば一社が商店街を形成いたしまして、全体のバランスをとりながら、消費者の評価の低いお店を退店させながら新たなニーズの店を入れるというようなことを常にして、活性化を図りながら営業を続けているという点がございます。私どもの商店街でございますと、独立した店舗ということで、この点はやはりかなわないということになろうかと思います。

 仙台の一番町という大きな商店街がございますが、そこでは、この点を感じまして、株式会社化をして郊外大型店に対抗しようというような動きもあるやに聞いておりますので、注目をしているところでございます。

 第二は、駐車場の問題でございます。

 公共交通機関の不備な地方にあっては、自動車は日常生活の足となっており、駐車場を備えた郊外大型店やロードサイドを消費者が支持しているということでございます。ただ、我々は、この駐車場というのは集客の必要条件であるとは思っても必要十分条件にはなり得ないというふうに認識をしておりますけれども、やはり駐車場の問題は重要であると考えております。

 町のにぎわいという点で議論をすれば、商業施設というような発想に偏りがちでございますけれども、大型店進出に伴います売り場面積の増加で需給のバランスがもう崩れておりますので、新たな商業施設というようなことを町の中で考えますと、町の中での施設のまたスクラップ・アンド・ビルドになりかねません。新しい店舗ができては消えるということの繰り返しになってしまうおそれもございます。そして、新しい更地をまた生むということになるかもしれません。これでは問題の解決になりません。商業施設に偏らない町のにぎわい回復方法を考えることが必要だと思います。

 県内各地の商店街の理事長と話す機会がございましたが、多くの方の悩みは、以前商店街の整備のため借り入れた高度化資金の返済に窮しているということでございました。その背景には、組合員の減少、高齢化による後継者不足という問題があるということでございます。

 事実、後継者のいない経営者は、長期展望を持つことができずに、四、五年先の経営しか考えられません。自分の代をどう終わらせるかということにきゅうきゅうとしているわけでございます。人口二、三万の町では、郊外に中規模のショッピングセンターができただけで商店街は壊滅してしまいます。ただ、町の活性化として誘致する町もあるということもこれまた否定できませんので、複雑な問題も抱えていると思います。

 最後になりますが、私個人といたしましては、今までの野方図な出店を見ておりまして、いろいろなところで町の活性化ということが話題に上ります。ただ、私が見ておりますと、だれもそれを本気で考えているというふうには思えませんでした。私ごとで恐縮でございますけれども、かくなる上は自分のことは自分で守るしかないと考えまして、仙台とか東京にも出店をいたしております。しかし、町が寂れていくのを見るにつけ、無力感と、組合の、商店街の長として自責の念に駆られているということでございます。

 地方都市の商店主あるいは零細業者というのは、いろいろな形で地域の雑務を引き受けてきたという経緯もございます。そのような社会形態も崩れていくという可能性もあるわけでございます。特殊な能力を身につけなければならない、あるいは特殊な発想をしなければならないという識者の方もいらっしゃいますけれども、そんな人間はどれくらいいるのでございましょうか。そういう人は、いつの時代でもごくわずかだと思います。普通の人間が普通に努力して成り立つ社会あるいは地方、町というものをぜひ考えていただきたいとお願いを申し上げまして、私の話を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。(拍手)

石田委員長 どうもありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

石田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤容治君。

武藤委員 おはようございます。自由民主党の武藤でございます。

 本日は、大変、新年度にかかわらず、朝からお忙しいところをおいでいただきまして、また貴重な御提言、御意見をいただきまして、ありがとうございました。

 平成十年に制定されましたまちづくり三法でございますけれども、今国会におきまして、何とかこれを成功させて日本の活力を見出そうということで、今議論を重ねているわけでございます。

 ちなみに、私も岐阜の生まれでございまして、昨年の九月から、それまで家業をずっと十八年岐阜でやっておりましたけれども、御縁がございましてなぜかこの席に立っておりますが、それまでも、青年会議所とか、活動を通じてまちづくりをやってきた今まででございました。こういう立場になって今思うわけでございますけれども、今も、十八年の間でも、東京と岐阜を往復しながら、東京が目まぐるしく発展する中で、岐阜がどんどん逆に寂れていく状況を見ながら、まちづくりについてはいろいろと思いがあったわけでございます。

 きょう皆様方からいろいろな御意見を賜りまして、また今の議論の中で大変明るい希望が見えてくるのかなと今は思っております。平澤参考人については大変御苦労が多いようでございまして、岐阜も多分同じような状況だと思いますが、ここはひとつ、時間が余りございませんので、質問にかえさせていただきます。

 まず、藻谷先生にちょっとお話を伺いたいと思います。

 自費で全国を津々浦々お回りになられて、大変現場の御見識が多いというふうに伺っております。やはり、東京、名古屋と比較してはいけないとは思いますけれども、地方、田舎へ戻りますと、人通りというものが非常に大事なポイントであろうかというふうに思っております。そういう中で、先生の、全国をごらんになっての共通点、先ほどはだめなまちづくりのお話を伺いましたけれども、いいところでの共通点というのも必ずあろうかというふうに思っております。その中で、人通りですとか、要するに、TMOじゃなくて、人通りの方の観点から御見識を賜ればというふうに思います。ぜひよろしくお願いいたします。

藻谷参考人 ありがとうございます。

 まさに人通りというのは、商業者にとりましては、人が通るからといって直接売り上げが上がるわけではないんですが、先ほど服部先生もおっしゃいましたとおり、消費者にとっては、なぜ都会に比べてうちの町は人が歩いていないのかということが、実は地方に暮らす者の最大の欲求不満かと思います。私自身、山口県の地方都市の出身でございますので、高校までおりましたので、非常によくわかります。

 そして、実は欧米などでもそうですが、活性化する商業地の基準として極めてよく用いられるのが、実は、通行者の数がどうなっているか。特に、フローでふえているか、それから細かいことでは、土日の方が平日より多いだろうかというようなことが非常に重要な基準になります。

 ところで、人通りというのは、私が観察しておりますと、全く都市の規模と一致しません。こんなところに人が歩くのかというところに歩いているケースもあります。本来もっと歩いていなきゃいけないのに、全く歩いていないケースもあります。また、大きな商店街じゃないところに人が歩いているというケースは多々あります。

 岐阜ですと、柳ケ瀬の人通りが年々減っていくわけでありますが、御存じかと思いますが、駅から繊維の横を通って真北に延びます通称玉宮通りでございますけれども、年々人通りがふえているという実感を私は得ております。

 そういうところには一体どういう共通点があるのかと見てみますと、持論に引き寄せるわけではございませんが、空き店舗がないということ。正確に言いますと、空き店舗は出るんですが、あいたところに新しい店や新しい中身が入る。場合によっては、店だけではなく、幼稚園、保育園が入ってみたり、集会所が入ってみたり、病院が入ったりということで、物を買う以外の動機で行く理由がふえているところに自動的に人通りがふえる。実はこれは、そこにいる地権者が、あけておかずに新しい中身を入れる。消費者からすると、行くたびに新しい中身が入っている。よく更新されるホームページがクリックされるのと同じ現象が町の中で起きていると私は感じております。

 今、玉宮通りのお話を申し上げましたが、これは、地元の若手商業者を中心に、実は、もともと商店街ではなかったものですから、地権者も含めて協議会をつくりまして、景観、修景など、先にガイドラインを決めてから、それに合う中身を、若い人に出店のチャンスを与えて埋めていったものであります。

 私、岐阜は、謙遜されますけれども、まだまだやはり百万都市圏に近いものを持っていまして、名古屋とは全然違う文化圏でございます。岐阜の実力というものがあるなといつも思うのは、そういう動きが町の中で起きていることです。片やその真横に、全く同じポテンシャルというか、正確に言うともっとポテンシャルの高いアーケード街が幾つかあるわけでございますが、そちらには、ごく最近ようやく少し新しい店が入りましたが、ここ十年ばかり全くなかったと思います。その結果、本当に年々目に見えて歩く人が減っておった。

 そういう問題を、駐車場がないからだとか、市電があるからだとかと言って廃止してしまって、結果的に大きな損失が出ましたが。そういう交通の問題にしたり、あるいは、岐阜の場合、郊外店が非常に深刻な問題なので、もちろん大きな影響はありますが、それだけの問題にしてしまうと、じゃ、なぜ玉宮通りは大丈夫なのかということが説明できません。

 同じようなケースでは、地方ですと、私がよく言いますが、長崎県の佐世保ですとか、あるいは東京でも、本来人が歩いているはずがないところで歩いているのは、典型的な例は吉祥寺でございます。皆さんは当たり前と思われるかもしれませんが、新宿からのあの距離で繁華街があるところはほかにありません。なぜ赤羽や北千住に比べてはるかに吉祥寺に人が歩いているのか。なぜ品川に比べて町があるのか。これは、いずれも地権者が意図的に店を入れてきたという歴史が実はあるわけでございます。

 ということは、そう言っていないで、地権者をそういうふうに意図的に動かす方法の仕組みをつくらなければいけない。ただ、今回の活性化の改正案に地権者という言葉が盛り込まれまして、大きな一歩であるのではないかと、僣越ながら私は大変うれしく思っております。

 失礼しました。

武藤委員 まさか先生から玉宮通りを聞くとは思いませんでした。岐阜市でも大変脚光を浴びている通りでございまして、あそこだけは若い人がよく歩いているという通りでございます。今、私は実は岐阜からこの前引っ越しちゃいましたので、こういったことから、残念ながら岐阜にはなかなか行けないのでございますが。

 今の話の中で、市電の話、いわゆる公共交通機関の話が出ました。それと地権者の方の話が出ておりました。それと、いわゆる郊外店、岐阜の郊外店は余りよくないんです。

 これは、何を考えなきゃいけないかといいますと、岐阜市から名古屋へ電車で十八分で行ける、非常に近隣である、距離は三十七キロあるんですけれども、近くになったという、しかも、JR名古屋の駅前に大変大きな高島屋さんがオープンをした。あのときから岐阜への影響が相当大きくなったというふうに思っております。そういう中で、その三つの問題点があるわけでございます。

 先ほど広域の話をされました板橋会頭、参考人にお尋ねしたいと思います。

 今の岐阜と名古屋の、十八分という近さがあるわけでございますけれども、そういう意味で、独自の活動を一生懸命やってこられても、なかなか地方で、地域の隣接したところでそういう形ですぐできてしまうと、それが流れてしまうというような、さっき御懸念もおっしゃられておりましたけれども、もう少し、その辺のことを詳しくお話しいただくようなことがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

板橋参考人 足利を取り巻く環境について、先生に大変御心配をいただいて、ありがとうございます。

 東京と違いまして地方の町に参りますと、都市周辺の農家の庭先を見ましても、二台、三台の車が、今ございます。ですから、家を出るときに、既にハンドルを持って消費者の方が出ていくというふうなことになるわけでございます。ですから、当然、佐野市にイオンを中心にした大型ショッピングセンターができる、また、群馬県の太田市に、約十五分か二十分で参りますところに大駐車場を持ったショッピングセンターができるということになりますと、若い人たちはそちらの方に参ります。しかし今、少子高齢化が進んでおりまして、ハンドルを持てない町の人たちがたくさんふえてまいりました。そういう人たちに対して、我々がどのように町の中に魅力を持って歩いていただくかということが一つ。

 それから、足利は大変、幸いにも歴史的な資産に恵まれております。来街者が大勢見えております。東京から電車で約一時間という距離感がそうさせていると思いますけれども、そういうことに我々市民が、一人一人が着目、動機づけを持って、そういう来街者、あるいはまた、その町に住んでおられるお年寄りの方々を迎え入れるまちづくりをしようというふうなことで、足利商工会議所は、町中の足利銀行の元本店を買い取りまして、そして、今、友愛会館というふうな、元銀行の本店の、高い、広い営業場を友愛会館にいたしまして、そこで、会議所がいろいろなプログラムを組んで、人を寄せる運動を起こしております。おかげさまで、ここのところ毎日千人以上の方々がその会館を訪ねていただくようになりました。

 こういう地道な努力を今後も重ねてまいりまして、足利を訪問する来街者、そしてまた、お年寄りが楽しみにその町の中を歩く姿を一日も早くつくり出してまいりたいというふうに思っております。

 お答えになったかどうかあれですが、以上、御報告申し上げます。

武藤委員 どうもありがとうございます。

 広域にめげずに、地道な、やはりその地域ならではの文化等、いろいろなものを掘り起こしながらやはり活性化するということでございます。岐阜も大変歴史がございますので、一生懸命頑張りたいというふうに思います。

 それと、先ほどございました、長野のタウンマネジャーの服部参考人にお願いしたいんです。

 イオンの御出身だからということではございませんけれども、大型店に今まで知見を大変お持ちになって、地域に今度来られて、商店街の中でまた取り組んでいらっしゃるというお話でございました。さっきから大変参考になるお話がございまして、私も商売人でございましたので、当然でございますけれども、いわゆる消費者の視点に立て、これはもう商売の鉄則でございます。まちづくりについてもそういう視点を必ずとって考えなきゃいけないということでございましたが、なかなかこれは、TMOの中でも大変難しい問題があろうかと思います。

 今回は、地権者も中に加わっていく協議会の形をとりますので、そういう意味では大変期待が持てるわけでございますけれども、その中での服部参考人の御意見を賜ればと思いますが、お願いいたします。

服部参考人 先ほど先生からの御質問にございましたとおり、私は、商店街の再生ということは、私どもは、大型店を経験してまいりまして、一万坪、二万坪という農地とか、そういうところを御利用させていただいて開発するときに、農家の方々の御理解をいただく、夜討ち朝駆けということは常でございました。

 一番は、商店街においても、藻谷先生のお話にもございましたとおり、商店街の皆さん方の御理解をいただく前に、地元の住民の皆さん方とか地権者の皆さん方の御理解をいただく。

 私ども、皆さん方のお手元にあります「ぱてぃお大門」につきましても、地主交渉は二カ月で行いました。行政が十五年かかって動かなかった土地を二カ月で借りられる。それはなぜかといいますと、先祖を大切にしなさいということを申し上げまして、地主様のお宅へ行ったときに、地主様にごあいさつする前に仏壇にごあいさつするとすぐに貸していただける。これはやはり、先祖を大切にしたい、先人の商人がそこで店を張ったわけですから、その土地を私たち新しい商人にお貸しいただいて、それを先人の思いを現代にあらわすような形で御利用させていただきたいということを申し上げますと、頑固なおじいさんも納得していただいて、すぐに印鑑を押していただくということになるわけですね。それが一つ。

 それから、商店街の再生というのは、再開発ということがよく行われます。再開発のビルを建ててきれいにしたところにもとの商人を入れたら、失敗をいたします。中身は変わっていないからでございますね。新陳代謝をさせなければいけない。そのときの御説得も必要でございます。

 私どもの「ぱてぃお」のところの敷地には、文房具屋さんと電器屋さんがございました。お二方には廃業をしていただきました。なぜかというと、無理な投資をさせて、また借金をさせて、そして商売を継続しても、赤字がふえるだけという見通しが立ったからでございます。そして、その土地を御提供いただき、賃貸をして、そこの店主は私どもの施設の掃除をお手伝いいただいております。

 いろいろな形で商店街は新陳代謝をさせなければいけません。新しい時代に合った新しい商人が入れかわっていく。それゆえに、権利と営業の分離をした形でまちづくりとか商店街の再生に取り組んでいくということが重要かというふうに考えております。

 以上でございます。

武藤委員 ありがとうございます。

 大変ありがたい御先祖様の話まで伺わせていただきまして、大変心強く思っております。断固たる決意と、やはりその中での新陳代謝、これはやはり進めなきゃいけない。これは、やはりまちづくりを推進する中で、TMOの中でも大変大事なことかと思います。行政が説得してもなかなかうまくいかないというのが現実でございまして、頭のかたい人がやっているものですから、その辺はなかなか難しいかと思います。

 まだちょっと時間がありますが、平澤参考人にお尋ねします。

 秋田も本当に厳しい状況だと思いますけれども、今回こういう形で、まちづくり三法、中小企業の法律改正に伴いまして、そういう意味では、先ほどからの話にもございますように、地域の協議会に大変力を出させていこう。特に、本当に地域でやる気になっていただかないと国としても何とも支援策が打てないという中で、頑張っていただかなきゃいけないと思いますけれども、何か今、最近、お気持ちの変わりはございませんでしょうか。何かその辺ございましたら、よろしくお願いします。

平澤参考人 ただいまのお話でございましたけれども、非常に苦戦しているのが、先ほどお話ししたような現状でございますが、新しいことをやるというのもなかなか難しいわけでございますので、私は、現状をまず維持をする、そして風向きが変わるのを待つ。今のこの三法の件も、その風向きが変わる一つじゃないかというふうに期待をしているわけでございます。

 ただ、正確な情報を持たずに動きますと間違った方向にも行きかねないということで、先ほどもお話ございましたけれども、きちっとしたリーダーを掲げて、正確な情報を得て、正確な方向に持っていくということにとにかく気持ちを砕いていきたいというふうに考えております。

武藤委員 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。

 最後の質問になろうかと思いますけれども、藻谷参考人にもう一度バックしますけれども、今のお話のように、地権者を入れることが今回一つの大変大きなキーポイントになろうかというふうに思います。ただ、地権者もやはりいろいろな方がいらっしゃいますので、いろいろな今までの知見の中で、地権者を引っ張り込むような、先ほど御仏壇に拝むこともございましたけれども、そういうようなヒットできるようなことがあればぜひ御教示をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

藻谷参考人 恐れ入ります。

 服部さんのように、まさに郊外、市街地それぞれで御経験を積み重ねた大先輩の前でお話をする資格は本来ないのでございますが、私は、人様がやっているのを見たということの中から申し上げますと、まず、お金勘定で、損得で動く方に関しては、明確に損得を提示する。次に、損得では動かないというのは当然人間としてあるわけでございまして、損得で動かない方に関しては、志を持って、やはり今の、先祖から授かった町のためであるというようなことを提示する。では、お金勘定でも損得でも、そして志でも動かない人はどうするか。これは実は放置しておくというのが、私が各地の事例から見た結論であります。

 どういう意味かと申しますと、最後の方は、実は考えがまとまっていないんです。金勘定も志もないというのは非常に難しいケースで、要するにどうしていいかわからない、実は内心、金勘定があるケースが多いです。

 そこで、やはり金勘定的に言うと、ただあけておくよりは貸して賃料が入った方がいいわけですから、そういう方が実際に安い賃料でお貸しになって、しかし税金も払えれば相続税対策もできるというのを横で四、五年お見せしますと、あれよあれよとほかの方も同じようなことをされるということがございます。

 最もそれが極端な例が有名な滋賀県長浜市の黒壁地区かと思いますが、観光で有名ですけれども、やはり次々と黒壁という三セクが三十何軒あいている家を借りる中で、それとは別に民間同士で勝手に家を借りて店を出すものが百六十軒ばかり出てきたと申します。いずれも一定以下の賃料であれば全部奥まで借りますよという条件を貫いておったところ、その方が得である、高い値段をつけてあけておくよりいいじゃないかということで、ほかの方がなびかれたということであります。

 当たり前ですが、そういう状態になりますと、損得はどうでもいいけれども志のために町を元気にしたいという方も、当然、まともな筋であると思えば、要するに四、五年見ていてまともなことをやっていれば、必ず御協力いただけます。

 やはり小さな成功例を、安く貸してくださっている地権者のところから先につくるということが実は実際の知恵でありまして、そのことをこの六ページ目に、まあ一つのやり方です、これがすべてではありませんが、まずは一番下に書いてある、損して得とる姿勢の地権者の土地を安い賃料で有効利用するのがいいんじゃないでしょうかというアイデアを書いてございます。

 ありがとうございました。

武藤委員 どうも本当にありがとうございました。

 質問の時間の終わりが参りましたので、やめさせていただきますが、本当に国としてもこの法案を早く通させていただいて、一刻も早く日本の全国の中心市街地が元気になるように頑張ってまいるつもりでございます。皆様方も、本当に地域でリーダーをとられている先生方でございますので、今後ともひとつお体に気をつけながら、頑張ってまちづくりに励んでいただきたいと思います。

 本当にきょうはどうもありがとうございました。

石田委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 本日、参考人の先生の皆様、お忙しいところ我が経済産業委員会においでいただきまして、まず感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

 私は、出身が京都でございまして、いわゆる本格的な大きな都市ではないのかもしれませんが、一般的なイメージとしては、まあまあ大きい都市の方に入ることになると思いますが、新幹線で、夕方東京駅から乗って京都駅に戻って、それで町中を車で走りますと、やはりシャッターがおりている地域も多いし、もう店を閉めている地域も非常に多い。そういった意味で、二時間半ぐらいで着くんですが、東京と非常に対照的だな、やはりもっと元気がなければならないなというふうに思っているわけでございます。

 そういった思いを持っていまして、今回のまちづくり三法についてもいろいろ勉強させていただいておるんですが、きょうは、現場の声ということで、多分、委員の皆さんもそういった言葉を、お声を一番お聞きしたいということでございますので、まずは、それぞれの地域で活躍されている方もおられますし、藻谷さんはいろいろな事例を見てこられた方でもございます。実際に成功している事例、これはどういうところが一番ポイントなのか、そういったことを教えていただきたいと思います。

 それで、皆さん、実際に実践されている方がほとんどですので、いろいろな工夫をされているとか、先ほども仏壇の先祖を大事にするという話もありましたが、そういった工夫の面はよくわかるんですが、今回、行政として何ができるかということが我々の仕事でございますので、場合によっては何が邪魔になっているかとか、あるいはここのところをもっと背中を押してほしいな、そういったことがございましたら、具体的な御提言というものを賜ればというふうに思いますし、またそれにあわせて、今回の法案というものの評価も含めて教えていただければなと。

 つまり、この法案のこういう部分は工夫をしているんだけれども、もっと本当はこうした方がより改善されるのではないかとか、そういった御意見をお聞かせ願えればというふうに思います。それぞれ順番でお願いできれば。

藻谷参考人 ありがとうございます。

 先ほどから同じことばかりしゃべっておりましたが、そうではなく、行政の立場からできることを事例の中から話せという御下問かと思います。

 行政、主として地方自治体であるかと思いますけれども、やはり市街地問題の当事者であります。今、法案の話というのがございましたが、これは国の法律でございますので、実は、国はそれぞれの中心市街地を活性化するわけではございません。もちろん、中心市街地の活性化は、民間の所有物なわけでございますから、まずは地権者、商店主、そのお客さん、そのあたりがまずやるのが当然なんですが、その次に利害関係者としては、そこから多大なる固定資産税を徴収し、市街地が衰退することによって逆にインフラが不稼働になるというようなさまざまな不利益をこうむるのは地元の市町村であります。

 そこで、やはり私が拝見します市町村が頑張っている事例というのはいずれも、市街地が衰退するとどう実際に困るのかという問題をきちんと認識しています。逆に申しますと、市街地の空洞化に手をこまねいている自治体のほとんどが、実は、市街地が空洞化することによる問題点を数字として認識できておりません。

 では、問題はないのかということなのでございますが、実は逆に、認識していないので数字がなかなかないんですけれども、数限られた資料を見てみますと、やはり市街地が衰退すると、目に見えて固定資産税収が億単位で下がっていくとか、それから当たり前なんですが、同じものが郊外に建つのと市街地に建つ、場合によって農業振興地域を解除した場合、上下水道を全部一からつくらなきゃいけません。そんなものをするぐらいなら、市街地につくっておけば、全く上下水道を増設する必要がないわけであります。

 というふうに、そういうコストをきちんと計算してみると、圧倒的に市街地の方がペイするということが実はあるわけでございますが、ほとんどの市町村の実態というのは、特に地方議会というのは、中心市街地の代表者は極めて少ないのが実態でございますので、そういうコストを計算しなければ、何でも郊外に持っていくという方向に流れるわけであります。

 どこかに見識のあるリーダー、首長や、あるいはリーダーがいない場合でも、現場の課長とか部長にそういう見識のある方がいらっしゃって、いろいろな手を回して、中心に物を誘導するように努力をしている、そういうことによって自治体の財政や運営を効率化しようとしている意識を持っている、そういう人がいるということが実は最初の行政の条件になります。

 そういう人がいない場合は、国から与えられたメニューを淡々とこなしているだけなので、当たり前ですが、国が主体ではない以上、やはり所期の成果は上がらないし、それを私は国のせいであるとは思いません。その自治体のせいであると思います。

 そして、その上で手を打つ場合にどこに手を入れるかということなのでございますが、実は、それぞれ商業者の経営ノウハウを高度化するいろいろな講習会をやってみたり、それから都市計画の運用ということもあるわけでございますが、地権者の集まりを、勉強会をつくるということも実はようやく一部の町で始まっております。

 これは、実は商業者が手を出すとなかなか難しいんです。やれ、家賃をもっと払えとかいう話になります。行政がやると、今度は固定資産税を下げろというような話になるんですが、そうではなくて、全員が机に着く協議会みたいなことをきちんと実施して、認識を統一する。このままいくと大変なことになりますという認識を統一する勉強会を一部の町で実は始めていると聞いております、まだ数が非常に少ないんですが。そういうところに中立的な立場の行政が手を出すことは非常に期待されるんではないかと私は思っております。

板橋参考人 ただいま御質問をいただきましたが、一つには、町中の人の流れをどのようにふやすかというふうなことが、私ども足利商工会議所が町中に移りまして、第一に考えていることでございます。

 御承知のように、シャッター通りと言われるように、シャッターが次々おりておりますけれども、確かに、通りを見てみますと、自動車の行列は大変にございますが、人通りが、もう本当に一丁目から六丁目まで、歩道を歩いている人が非常に少ないというのを痛感いたしております。

 まず、商店街の方々にもそういう意識を持ってもらうために、町中への人の誘導をどのようにするかというふうなことを考えて今やっております。

 その一つといたしまして、商工会議所が主催をしまして木曜会という会を発足させました。これは、市の行政も入っておりますし、また、いろいろな町の行事を支えている二十四の市民の団体に声をかけまして、商工会議所が事務局を務めて、毎月一遍、木曜日に全員の会合を持ちます。そして、自分たちが今どういうプログラムを今月、来月、再来月ぐらいに持っているかという情報交換をいたします。そして、来街者からどの機関に連絡があっても、全部、ここにこういう行事がありますよということが、そういうお問い合わせのあった方に伝わるようにいたしまして、そして、来街者が町の中を歩いていただけるような状況をつくろうとしております。

 先ほどもちょっと触れましたけれども、東京から一時間ちょっとで電車で参ることができますので、幸い、鑁阿寺とか足利学校とか歴史的な事物をたくさん持っております足利には、大勢の人がおいでいただくようなことができるようになりました。その人たちがずっと回遊するために、情報の共有化をいたしまして、どこの部署に聞き合わせても、今こういう行事が行われていますよということが御案内できるようにしようということを今努めております。

 それから、足利銀行の本店を買収した関係で、元本店でございますので、天井が三階吹き抜けの広い場所で、かなりの面積がございます。そこに、例えばまちなかシネマ上映会等を毎週一遍やっております。今、シネマコンプレックスが佐野や太田にできましたので、足利の町中の映画館は皆無になりました。懐かしの、家族で見られるようなシネマ上映会というものを会員を募ってやって、町の中を家族でそぞろ歩きができるような、そういうことをやっておりますし、また、銀行の本店の大きな金庫室をギャラリーにいたしまして、そして、相田みつをさんのふる里展示会というふうなことを一年間の計画で今計画して、大勢の人に来ていただいております。

 先ほども他市のお話がありましたように、これから人の流れができた後は、いわゆる古い足利の地権者の方々に、一軒一軒やはり、きょう伺ったお話等を十分参考にしていただきながら、町を改善していこうというふうに思っています。

 足利の、大変シャッターのおりている部分もありますけれども、そうでなくて、ブティックが連檐をしている町内がございます。そのブティックの店は、東京の店にも劣らないくらい大変立派な陳列をしておりますし、お客様を個別に全部キャッチしております。そういう店をどんどんふやしていくことに今後も努めてまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

服部参考人 私ども、平成十四年四月一日に長野のTMOのタウンマネジャーに着任いたしまして、五カ年で事業を進められる体制をとろうということで取り組ませていただきました。

 TMOを動かすためにはどうしたらいいかというと、だれが責任をとるのかということを明確にしないと、これは人はついてこないだろうということですね。ということで、まず、市長さん、首長さんが確たる取り組みへの姿勢を出していただくということが重要ではないか。それから、陳情する側、商工会議所、商店連合会等が、市長にこうせい、あれやれと言ってどんどんどんどん陳情していくわけでございますが、その主体者が責任をとらずして行政も動けないということでございますね。

 それからもう一つは、私は三重県の四日市の出身でございまして、長野には仕事で三十年間ぐらいお世話になっておるわけでございますが、要は、地元の人が動けばたたかれるというところでございますね。ましてや地元に、仕事はしていて長く勤めていましたけれども、まさに関西人の私が地元を説得するという方がやりやすい。こういうふうに、立場立場において仕事を分担していくということが必要ではないか。

 それから、一番最初に、どのような市長さんもそうでございますが、立候補する前に、中心市街地の活性化の必要性をきちんと公約していただければ、後がやりやすいということですね、当選した後。当選してからやろうと思うと、これはまた難しいところがございますね。一たん市民の合意をとった形を得ていただきますと、やりやすい。

 長野の市長は、商工会議所の副会頭のときに、十三年九月にTMOを立ち上げた、その音頭をとった人でございます。そして、十一月に市長になったわけですね。前市長の塚田さんが、だったら君が市長をやれということで、すぐにもう任せてしまって、彼はびっくりして市長になったという形でございますね。そして、すぐに、十二月に、ダイエーのビルを買収するという自分の考えを、私案であるけれどもということを出して、そうしたら、この活用をどうするのか、服部、出てこいということになって、慌てふためいたわけでございますが。

 そのように、一つの首長さんの動き、それから、町を活性化していただきたいという地元の商工団体及び関連者の自己責任といいますか、そういうものを明確にしておかなければいけない。

 それからもう一つは、私どもは、タウンマネジャーとして商工会議所の会頭から全権を任せていただいております。大体、市長にTMO事業で会ったのは一年に二回かそこらでございます。あとはメールでのやりとりで御報告を申し上げている。会頭は、大体四半期に一回ぐらい、服部君、どうなっているんだいということですね。

 常に報告をいたしておりますが、私どもは、まず最初に、リスク、嫌なことを先に申し上げておくと後が楽ですね、だんだんよくなるわけですから。これだけ赤字しますよ、三年間で一億円損しますよと言ったら、おお、えらいことだなと。それでやります。その後六千万になったら、よくやったな服部君ということで。こういうふうにきちっとやはり悪いことを先に言っておかなければ、事は進みませんね。

 それから、議会の皆さん方と私どもとのかかわりでございます。長野市に四会派がございます。その会派、各会派に、お昼時間にお邪魔して食事をとりながら二時間ほど申し上げます。会派の議員さんが少ないところは、四人、五人ですと、本当に時間をとって御理解をいただけるお話ができますね。タウンマネジャーとして必要なことは、やはり、行政の理事者側ができない仕事を私どもは御理解いただけるような対応もできますし、また、地域の皆さん方に対するお願いも私どもがお願いすることが大変やりやすい。

 私は、中小機構からの登録派遣タウンマネジャーでございまして、お国から報酬をいただいている。三分の二はいただいております。三分の一は、既にまちづくり長野に私は返還をいたしております。そうしますと、地元からお金を一銭もいただいておりませんので、言いたいことが言えるというのも一つの立場でございます。

 そのようにして、軌道に乗るまでは、私も指導する側としての責任をとりますから、身銭も切りますから、ぜひ皆さん方、御理解してスピーディーにやっていただきたい。

 最後でございますが、グランドデザインを出して、事業計画を、いついつまでにこの事業を完成させるということを明確にした計画を公表するということが大事かと思います。そうしますと、行政とまちづくり機関のTMOが事業の口火を切りますと、民間が動くということでございます。

 私どもは、空き店舗には続々と大手の有名な栗菓子屋とか、それから旅館をブライダルレストランに切りかえるとか、また、しにせのお茶屋さんが違った業態に変更をするとか、移転をする。それから、シネコンが郊外に出す予定が中心市街地に戻ってきていただいたとか、いろいろな形で町が変わるという姿を明確にし、そして行政とTMOがやるべき仕事をきちっとやれば、やるということを明言しスケジュール化すれば、おお、これは店舗の家賃が上がるかわからぬから早く入った方がいいなとか、ここは早く地上げしてマンション建てた方がいいなとか動いていただけるわけでございまして、そういう面では、行政とTMOはまちづくりの活性化への口火を切るものであって、永久に我々がやらなくても民間が動いていただける体制をつくっていく。

 それまでの間、恐れ入りますけれども、今回の法律改正においても、ぜひ協議会に対する御支援、またタウンマネジャーとかいろいろありますが、推進していくための事務的な活動の御支援、そしてまた、空きビル対策等におきましても、中小機構がいろいろ全国各地から御相談を受けておるようでございますが、私どもが一番困ったことは……

石田委員長 服部参考人、ちょっと済みません。

服部参考人 ああ、そうですか、済みません。

 最後でございますが、TMOの事業をしたときに、店舗を借りてやる場合に担保がございませんね。そうしますと、まちづくりの社長というのは商工会議所の会頭とか充て職の方が多うございまして、その人たちが保証するということも大変難しい。そういう面では、事業内容をよく見ていただいて御判断いただき、国からの御支援を賜ればありがたいなというふうに思います。

 以上でございます。

石田委員長 平澤参考人。簡潔に、済みませんが、お願いします。

平澤参考人 私、急なお話でしたので、拾い読みでございましたけれども、これを読ませていただきました。非常に的確に現状をとらえているというので、失礼ですが、少々驚きました。問題は、地域の方でもう少し正確に現状をとらえるべきじゃないかというふうに考えます。

 また、現在、公的施設を郊外の方にここ何年かで持っていったというケースがございますけれども、せめて公的機関はなるべく町中の方に戻す。欧米社会では町の中心にあるのは市庁舎と教会だそうでございますが、そのような百年の計に立った、公的機関を町中に戻すというのが手っ取り早い方法じゃないかな。秋田では、たまたま町の中に定時制高校を持ってまいりましたが、人通りも少しふえまして、徐々にではありますけれども、そういうふうな方向に向かっているということでございます。

北神委員 ありがとうございました。大変参考になりました。

 ちょっと初心者なもので一問しか聞けなかったのですが、これで少し私も勉強させていただきたいと思いますし、岡田克也さんがどういうお子さんだったのかもあわせてお聞きしたかったのですが、また後で個人的に聞かせていただきますので、以上、質問といたします。

 ありがとうございました。

石田委員長 次に、上田勇君。

上田委員 公明党の上田勇でございます。

 きょうは、四名の参考人の皆様方には、それぞれの立場から大変貴重な御意見を伺いまして、大変にありがとうございました。また、遠方からいらっしゃっていただいた方も、本当に御苦労さまでございます。

 きょう参考人の皆様よりいただいた御意見、それぞれ、角度はいろいろございましたけれども、おおむね、今回のこの法律の改正、あるいはこれと同時に行われております都市計画法の改正、そうした趣旨については、それに沿った御意見になったのではないかというふうに思っております。そういう意味では、これをいかに適正に運用していくのかということが、これから我々、また行政の方に課せられた大きな課題なんだろうというふうに考えております。

 何点か、ちょっと補足としてお伺いをしたいと思うんですが、まず最初に、藻谷参考人が、商店街、中心市街地の活性化、これはやはり、極論していくと、そこに住んでおられる方々あるいは商店主の方々のやる気なんだというところだったのではないかというふうに思います。

 ただ、そしてやる気を出して、それぞれの都合や利益ということではなくて、その地域全体の利益を優先させた、そういう判断をしていくんだ、いかなければいけないということでありましたけれども、実際には、とはいってもこれはなかなか強制するわけにはいかないわけでありますし、それぞれ個人の権利、自由というのがあるんですけれども、それを行政で強要するというわけにはいかないわけでありますが、どういうような形で誘導していけば、そういうやる気というのが出していけるのか。

 また、今度は逆に消費者の立場に立ってみますと、じゃ、皆さんがゆっくりやる気を出していただくまで待っているというわけにもいかなくて、ほかに行っちゃうわけでありますので、その辺のスピード感覚も含めて、どういうようなことに一番気をつけなければいけないのか。そして、行政として、そういったところを後押しできる、あるいは誘導するような方策、何か決め手があれば、また御意見を伺えればというふうに思います。

藻谷参考人 ありがとうございます。

 同じ、一つ覚えにならないように、一つ新しいことを申し上げます。ただ、私の申し上げることは、冒頭も申したとおり、国の施策、場合によっては自治体の施策ですらなく、現場で商店街の方々にこうしたらどうですかと言って歩いているような内容でございますので、こういう場で申し上げるのにふさわしいかどうかわかりません。ただ、実際に非常に実効性のある策として、私が今まで申し上げておらなかったことに、意図的に世代交代を促進するということがあります。

 つまり、本来、先ほど申し上げましたとおり、本当は人間は得なことをした方がいい、あるいは、損得にもこだわらないほど余裕がある場合でもなるべく人の足を引っ張らないように志の高いことをすべきであるということがあるわけでございますが、そういうのを超えて、動かない理由の一つに、面倒くさいということがございます。私も、四十一になりましてだんだんわかってまいったのですが、やはり、体は代謝が衰えれば衰えるほど面倒くさくなってくるということがございます。それで、もう一つは、冒険をしたくなくなるということがございます。

 これは市街地に限らないのでございますけれども、事業でも観光でも同じでございますが、実は、意欲ある若い人に使う権利だけを与えることにより、劇的に状況が改善するというケースが多々あるわけでございます。そこで、行政としては、やはり意図的に後継ぎへの世代交代を促進するような事業者教育というようなことをやるケースがございます。

 例えば、これは商店街だけに限らないんですが、東京都墨田区では、二代目、三代目教育ということをビジネススクールという形で意欲的にやっておりまして、きょう先生もいらっしゃっているかもしれませんが、実は非常に効果を上げています。

 そういうふうな例により、地権者の代がわりを促進することにより、相続の問題も発生しますので、考えるようになりますので、そのときにより有効な策が打てるようになるということを一つ申し上げます。

 失礼いたしました。

上田委員 どうもありがとうございます。

 もう一点、藻谷参考人にお伺いをしたいと思うんです。

 最近は、やはり我々の生活に非常に大きな影響を与えているのは、IT化、特にインターネットの普及ではないかというふうに思っておりまして、私も含めて、買い物の仕方が随分このインターネットによって変わってきたんではないか。インターネットショッピングが随分普及をし、例えば最近は、本を買うにしても、多分、本屋で売れるものとインターネットを通じて売れるものというのがどのぐらいの割合になっているのか私はわかりませんけれども、相当その辺の割合が高くなってきているんではないかというふうに思います。

 これから特に、例えば高齢の方でも、インターネットに非常に精通された方が高齢世代になってきたときは、余計その辺の影響というのは大きくなってくるというふうに思うんですけれども、そういったこと、今後、商店街などにどういうような影響があるのか、また、それに対してはどういうような対策をとればいいのか、もしお考えがあれば、お伺いしたいと思います。

藻谷参考人 ありがとうございます。

 まさに、おっしゃることは、ここ数年非常に大きく影響してまいったと思います。特に日本においては、女子高生以下は、ほぼ全員、携帯、インターネットを使いこなしておるという、多分世界のインターネット大先進国になりましたので、その方々が大きくなって購買力が増すに従って、非常に影響は大きくなると思います。

 そこで、これが商店街に対して追い風か向かい風かということなんですが、一部商店に対しては明らかに追い風になっているということを各地で見聞きします。例えば、町の酒屋さんが全国の銘酒を扱うことによって、いつの間にか全国に販路を開拓した。極端な例では、私が知っているある茨城県のおもちゃ屋さんが、大型店にやられておったんですが、海外にガンダムなどの人形を売ることにより、実は海外からお客さんが来るような、町の小さいおもちゃ屋がそういう店になっているとか、そういうふうなプラスの点もあります。

 ですが、多くのそこまで使いこなせていない店にとっては、特に本屋などにとっては、大変アゲンストな環境であるということも事実でございます。

 ちなみに、大型店にとっても非常にアゲンストでございます。わざわざ大型店に行ってたくさん比較購買せずとも、必要なものだけを買ってしまうということは、特に健康食品ですとか、銘柄がはっきりしているものでは非常にはっきり行動が出ておりまして、これが近年の大型店の売り上げの九年連続の下落に私はつながっておると思っております。

 そこで、じゃそれが問題かということなんですが、一点、やはり社会が高度になればなるほど、必要なものを意図的にとる以外にも、偶然目に触れることによって享受できるという環境は極めて重要だろう。そういう環境が地方において仮に死滅してしまうと、地方の生活環境が東京に比べて不利になるという現象が起きます。そこで、多様なものを手にとって楽しめる環境維持というものを、やはり地方においても、ある程度以上の町は目指す必要があると思います。

 では、それに対する対処策は一体何かということですが、一つは、実はコストダウンでありまして、つまり、在庫コストをある程度構えなければいけないということですから、ほかのコストを下げなくてはならない。下げられるところの一番はどこかというと、同じことを繰り返しているわけじゃないんですが、実は土地代ということになります。つまり、実質的にストックがあって、土地代が高くかかっていないところで品ぞろえに余裕を持つことによって、非常におもしろい品を売っている結果、人がのぞくというのは、雑貨屋みたいなものは、実は、センスのいい町の裏通り、かなり小さい町にも存在しています。むしろ地価が安い分、思いもかけない地方都市に存在しているというケースがございます。

 ただ、行政としては、逆に言うと、そういうところの、例えば、公共的なものでたまたま土地を持っているところ、チャレンジショップみたいなものに貸す場合に、品ぞろえを豊かにするような方向のものを意図的に入れるとか、あるいは、行政の持っている土地を、例えばフリーマーケットのような形で公園を提供して、安い家賃でそういう市を開くとか、そういうふうな形で消費環境をよくしていくということが当然あり得ると思います。

 他方で、既存の商店で、そういうのに乗らずに、インターネットでだんだんお客さんをとられていくことに対してはどう考えるか。私は、いずれは策が必要になると思いますが、まずは、電話が普及した初期と同じで、御用聞きから電話になったときに、商店主が真っ先に電話を導入した人たちだったということを申し上げたいと思います。ところが、今の商店主は、実は、インターネットを最も導入していないセクターの一人であります。かつて電話というものをさわるのが怖かった時代に、恐れずにさわったのは医者と商店主でありました。

 逆に言うと、再び、インターネットというのを女子学生が使う前に自分が率先して使うような世代に商店主を世代交代させる必要があるんではないかと私は実は感じておりますし、そういう講習というものがたくさんございます。もっとそういうものを現場に近い方向で、実際の商店主に役立つ方向で教えていくというようなことは、逆に行政の工夫のしどころであるかと思います。そういう事例も、沼津あたりで私はよく見聞きしております。

 失礼しました。

上田委員 どうもありがとうございます。

 次に、板橋参考人にお伺いいたします。

 板橋さんの方から、無秩序な郊外開発を規制するための適切な土地利用規制の必要性についてお話を伺いました。これは、農振地域の解除の問題や農地転用の問題などに言及をいただいたわけでありますが、また、先日、日本商工会議所の方から幾つか伺った事例でも、そういう農地や工業団地などへの大型店の進出の計画があるというような中で、法令に基づいた適切な運用をお願いしたいという御意見もあったところでございます。

 この農地の問題などについていえば、法令に基づいて適切に運用していけば大きな問題はないんだろうというふうには思うんですが、あえてここでそういうような問題の提起があったということは、今の行政の運用のあり方に問題があるのか、疑問に思われている点があるのではないかというふうに思うんですが、その点、もし事例等もあれば御紹介、また御意見を伺えればというふうに思います。

板橋参考人 ただいま大変重要な点についての御質問をいただきまして、大変ありがたく思います。

 このまちづくり三法の改正が大変見事に成功したといたしましても、一年六カ月の間の猶予期間がございまして、その間に安易な農振解除、農地転用が行われるようなことになりますと、結局、今まで我々が先生方にもお願いをして実現したことが水泡に帰すようなことになりますので、この一年六カ月の経過期間というものは、我々にとっても大変大事な時期ではなかろうかと思っております。

 そして、今先生からも御指摘がありますように、農振解除という問題が、今まで、すばらしい農地のためには国の税金が大変使われております、圃場整備から始まりまして。しかし今、優秀な農振地域が、県とか大きい姿形を見る機関から地方の市町村に許可の権限がおりておりますことは、大変に危険な状態ではないだろうかというふうに思いまして、例えば足利のごく近くでいいますと、太田市の場合は元農地であったわけであります。それがああいう状況になりまして、駐車場が五千台、六千台というふうな大型ショッピングセンターができて、これは足利にも、また桐生にも、近隣に大きな影響を与えるというふうなことになっております。

 ぜひここでお願いをしたいと思いますのは、農業振興地域に関するガイドラインというものを、ひとつ先生方の御努力で十分な設定をお考えいただきまして、農振解除を認める自治体と認めない自治体、これは今現在二種類ございます。実際に、農林水産大臣におかれましても、今回の見直しに合わせて、農業振興地域制度及び農地転用許可制度の適正かつ厳格な運用を図るように、ぜひともお願いを申し上げてまいりたいと思います。

 そして、優良農地をしっかりと各地方におきましては確保しながら、しかも、中心市街地の活性化にもそのことが同じように寄与していくということをひとつ御認識いただきまして、ぜひこのガイドラインをおつくりいただき、そして、適正かつ厳格な運用をお図りいただくようにお願いを申し上げたいと思います。

 これが今私どもの、このまちづくり三法の改正が行われた後に来る一年六カ月の間の大きな問題だと心得ておりますので、よろしくひとつ御援助を賜りますようお願い申し上げます。

 以上です。

上田委員 ありがとうございます。

 今御発言にありましたようにそういう懸念があるということでございまして、確かにこの間いろいろと教えていただいた資料の中にも、出店計画、相当各地であるというようなことでございますので、もちろん、今お話しになったように、この農振地域の解除については一定の条件が付されているわけでありますので、そうした厳格な運用が図られるように、これは我々としても取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

 次に、平澤さんにお伺いしたいんです。

 平澤さんの御意見の中で、商店街の方々、商店主の方々、地域の雑用係というようなことをおっしゃっておられましたけれども、そういうようなさまざまな仕事をされている。確かに私の地元などでも、商店主の方々が地域のいろいろな役を引き受けていただいて、そういう意味では、自分の商売以外にも、公共的というんでしょうか公益的な役割も担ってきているというのが事実だというふうに思います。

 先ほど、御意見の中で、そうしたことがちょっと危うくなっているというような御意見もございました。私も自分の地域の中でそういうことを感じますけれども、もう少しその辺、現状どういうふうになっているのか、どういう支障が出ているのか、また、それに対してその地域としてどういう対策を考えなければいけないのか、補足をいただければというふうに思います。

平澤参考人 私は、今現在その点が非常に問題になっているということでお話し申し上げたわけではございませんので。

 これから先、結局、商店主が廃業する、あるいは中小企業が廃業するということになりますと、例えばPTA活動あるいは町内会とか、これは時間が少しばかり自由になるという人たちが大体やってきたわけでございます。そういう意味では、地方ではかなりそういう方が減ってきておりまして、意外と公務員の方が少しずつ変わってきているのかな、その立場、そういうふうな傾向もございますけれども、やはり今までできてきたコミュニティーといいますか、そういうものが、今後そういう商店主あるいは零細企業者が減っていきますと、少々心配だなということで申し上げたということでございます。

上田委員 どうもありがとうございます。

 確かに、今、私などの住んでいる地域でも、地域のさまざまな役を引き受けてというのは非常に難しくなってきている。それはやはり、今おっしゃったように、ある程度昼間の時間、これは行政との関係もいろいろあるものですから、これを活用できる方々がなかなかいなくなってきているという面があるんだというふうに思います。これは、地域を活性化していくという意味では、商業活動だけじゃなくて、そういうさまざまな側面があるので、これはやはり非常に重大なことなのではないかなというふうに思っております。

 そういう意味で、最後にちょっと、もう時間がなくなったんで、簡単に教えていただければと思うんですが、やはりこの商店街はどうしても、きょう、全員の参考人の方々から、郊外型の大型店との競合の問題があるというようなお話があったというふうに思うんですけれども、そんな中で、服部参考人からいろいろなアイデアをいただきました。

 ただ、例えばかなり特徴がある商店街、歴史や伝統があるような商店街だとか、その町で一番大きな商店街とかというと、それぞれ個性を出すのはある意味でできるのかもしれないんですが、実は、多くの商店街というのはそれほど存在感がないというか特徴を出しにくい面があるんだというふうに思います。もしそういうところでも何か特徴を出すということでしたらどういうアイデアに着目すればいいのか、もし御意見があれば伺いたいというふうに思います。

服部参考人 商店街の商売のやり方ということは、私は今現在、活性化と同時に、上田とか佐久とか、いろいろ出店で御迷惑をかけたところの商店街に夜七時ごろから夜中の一時ごろまでお時間をとっていただいて、毎月三回ほど繰り返しておりますが、一つの商売のやり方というのは、その店の個性をどう出すかということですね。お客様の囲い込みをしなさいということを申し上げております。

 商店街活動の中で一番の問題は、私のお店と上田先生のお店が隣同士でも、業種が違うとか、関連性がないと情報交換ができないわけですね。先ほどの仏壇の話ですが、仏壇屋さんの隣に和菓子屋さんがあり、隣にお花屋さんがありますと、これは法事がセットされるわけですね。輪灯を選択してくださいよということで来て、それじゃここでお花を、そして和菓子屋さんは法事のときのお客様に対する手土産にというセットで囲い込みができるわけですね。大型店は一つの店の中で、一つの会社でございますから、そういう情報交換をしながら、売り場をつくっていき、お客様に対する対応をしております。

 そういう意味で、商店街がそのような連係プレーをとって打って出る、待ちの商売から打って出るという体制をつくるような御指導を私どもさせていただいております。

石田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、皆様から貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。

 最初に、板橋参考人の方から何点かお聞かせいただきたいと思っています。

 こちらの、日本商工会議所のこの「実践!まちづくり」というのを拝見いたしまして、これは服部さんの長野の実例ですとか、あと、ちょうど足利の地元の事例なども紹介をしております。

 そういう中で、巻末の方の資料のところで、例えば、おととしの日商を初めとした中小四団体の要望書ですとか、あるいは、昨年、板橋委員長のもとでまとめられたこの要望書などを拝見しながら、こういう皆様の御提言というのが今回のまちづくりの三法、中活法、都市計画法の改正などに生かされているということを改めて実感しております。

 そういう点で、同時に、提案はしたけれども生かされなかった部分も多々あるなということも拝見をしながら思うわけであります。例えば、この本ですと、百十五ページに、大規模集客施設立地法の制定というのがございます。従来あります大店立地法を改めて、大規模集客施設立地法を制定してもらいたいという趣旨であります。

 その点は、上から二段目のところに、この法律の目的は、大規模集客施設の立地とまちづくり推進計画との整合性及び当該立地により発生する地域の生活環境、社会環境、そして経済環境に対する影響を事前に評価するとともに、立地後もフォローアップするための社会的規制とする。つまり、社会的規制と言われているものの中に、生活環境も、あるいは社会環境も、そして経済的な環境も含むものとして提案をし、それを目的に掲げているというところが大変特徴的だなと思って拝見をいたしました。残念ながら、今回の改正の中ではこういう趣旨というのが十分生かされていないのではないかと率直に思うんですけれども。

 板橋参考人の方から、ここにこういう経済環境に対する環境アセスも行うべきだと盛り込んでいるその趣旨、理由、その点についてお答えいただいて、この法案にそれがどのような形で生かされ生かされていないのか、その辺についてのお考えをお聞かせいただければなと思っております。

板橋参考人 ありがとうございます。

 ただいま御質問いただきましたことにつきまして、お答えを申し上げたいと思います。

 大型店の一つの社会的な責任というものにつきまして、私たちは全国の各商工会議所の会頭さんの方からお話を伺いましたところ、十年前の大店法のときには商業調整協議会というのがございまして、大型店が出店をするのにいろいろな関門がございました。したがいまして、商工会議所にもどの大型店も皆さん加盟をされて、いろいろ御協力をいただいていたわけでございますけれども、その後の大型店同士のいろいろな競争のために、そういった地域へくみする態度というのは本当に変わってまいりました。

 足利の商工会議所におきましては、大型店連絡協議会というものを持って、私が会長で、例えば他都市の状況等を大型店の間で情報交換するというふうなことで、毎回各支店長も出てこられていたんですけれども、ここ数年、皆さん、各支店長が競争激化のために本部事務所の方ばかりを見るというふうなことになりまして、地域貢献に関する事項というものが非常に希薄になりました。これを商工会議所としても大変憂えておりまして、まちづくりを担う地域経済団体としての商工会議所へぜひ今後も参加をしてもらいたい、地方自治体主催の意見交換会へも出席をしてください、また、地域経済団体及び地域の消費者、生活者との意見交換会へも参加をしてくださいというふうなお願いをずっとしておりますけれども、このような傾向が、極端に減少してまいりました。

 したがいまして、地域がそれぞれ地域交流のために行ういろいろなイベント等でも、商工会議所は大型店が参加しやすいようないろいろな施策を講じておりましたけれども、そういうこともほとんど関心を示さなくなりました。

 また、地域における社会的問題として、大型店は十二時までもあけているというふうなことがありますと、青少年問題等へも必ずしもいい影響はいかないというふうなことがございまして、こういうことに対して積極的な対応をぜひやっていただきたいというふうなことが基本にございました。

 また、退店というふうなことになりますと、早く言えばさっさと引き揚げてしまうというふうなことがございまして、その情報をできるだけ早く教えてもらって、その土地で対応がとれるようにしていただきたい。そういうことでないと、やはり従業員等の再就職の問題等も手当てができない、また、後継テナントの確保に対して会議所あるいは市の行政等で動く時間もないというふうなことでございます。

 最近、伺いますと、福島県では県の条例としてこういう問題を検討されまして、十月に施行されるようなお話を伺っております。ですから、今度の法改正によって、地域に根差す、地域の商業者と消費者とそれから大型店というものが本当に緊密な連携をとられるようになれば、これは必ず、地域の商店街だけでなしに、大型店の地域への貢献の道が大きく開けるというふうに私たちは信じておるわけでございます。

 そのようなことで、大型店の社会的貢献、CSRについてもお願いをしていきたいということで要望をさせていただいたわけでございます。

塩川委員 大型店の社会的な責任を果たしてもらう地域貢献という点では、地域にいろいろな影響を与えるという中で、経済環境への影響についても、出店する側についての具体的な環境影響評価などを行うべきだというのが本来の趣旨だと思っております。

 そういう点で、福島県のまちづくり条例の御紹介がございました。私も現地でお話なども伺いながら、広域調整の問題ですとか出店する事業者にマニフェストの作成を求める、そういう議論の中で、売り場面積一万五千というのを六千に引き下げるなんという取り組みがある中で、地に足がついた取り組みとして進められていると思うんです。

 その点で、服部参考人に長野の事例でお伺いしたいんです。

 地方自治体におきまして、条例ですとかあるいはガイドラインづくりなども進んでおります。長野市でもそういう取り組みがあるというふうにお聞きをしております。ことしに入ってから、この長野市におきまして、イオンの出店計画に対して、市長の方がこれは同意をしないという方針を出されたということをお聞きしています。

 この大型店出店計画に対する長野市の基本方針なども拝見をいたしますと、このイオンのショッピングセンターの出店計画について、出店によるプラスの影響も大きいけれども、地域経済に与えるマイナスの影響が広範に及ぶと考えられる、農振地域に出店するとなったら市の農業振興とも合致しないので、現状では予定地での出店を促すことはできないという対応をとっておられる。これは今、全国で、秋田などでもそうだと思いますし、大分の方でもそういう事例などが生まれているというふうにお聞きしています。

 こういうような自治体独自の大型店への出店の規制の取り組みについて、まちづくりの観点から、例えばこの長野市の取り組みをどのように評価されておられるのか、率直なところをお聞かせいただけないでしょうか。

服部参考人 私もイオンにずっとおりまして、信州ジャスコの常務をしてまいりました。

 大型店の問題というのは、一つは、現状、全国でイオンの問題が大きく出ておりまして、私も全国各地いろいろお誘いいただいて講演に行ったときにすぐにお話を聞くのは、私が育ったイオンの問題でございます。

 郊外型ショッピングセンターと中心市街地の商店街とのすみ分けができないかということで私は常に考えてきたわけでございますが、先ほど申し上げたように、すみ分けは可能でございます。ただ、郊外型ショッピングセンターをどんどんどんどんつくっていっていいのかという問題には、私自身は大変疑問を持っております。それはなぜかというと、人口減少、高齢化でございます。

 そして、もう一つは、イオンとかヨーカ堂とか力の強い会社が開発をしてきますショッピングセンターが、ある面では五十万、六十万の商勢圏の中に二つも三つもできるというと、中身の同じものができてしまう。私は、極端な話をすると、イオンがショッピングセンターを開発して、その核店舗にイトーヨーカドーさんを入れたらどうかと。ということは、お客様にとって便利なお店にはならないわけですね。同じものがたくさんある。これは、アメリカ、ヨーロッパであったチェーンストアによるドミナントの弊害というものが出てきたわけですね。

 ゆえに、そういう意味では、規模それから立地の距離感とかいろいろなものを考えて大型流通業者の経営者、開発ディベロッパーというのは考えていかなければいけないというのが一つでございます。

 それからもう一つは、まちづくり。一つは、大型ショッピングセンターの場合、スーパーマーケットが約千坪ぐらいでございますね。そうしますと、三千円の買い物をするのにはお年寄りが大変不便になってきます。アメリカは、スーパーマーケットはリージョナルショッピングセンターからスピンアウトしています。

 そういう面で、これからのショッピングセンターのあり方というのは、立地を、環境形成指針を長野市はつくって、この位置にはこういう規模のものが必要だろう、そしてそこに出てくる人たちにはコンペをさせてはどうかとか、いろいろな形の、消費者ニーズに合わせたショッピングセンターづくりをしていったらどうかということが市長の考えでございます。

 それからもう一つは、イオンを認めれば、今出店申請しておるすべてを認めなければいけないというような流れの中で、市長も御判断に苦慮されたということを聞いております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、平澤参考人にお伺いいたします。

 今回の都市計画法の改正などで、いわば大規模集客施設についての出店については、これまでは原則可能だったものを原則制限するんだ、百八十度転換するということが大きな強調点として言われているわけであります。

 同時に、大規模集客施設の対象となる床面積というのは一万平米超ということになっているわけですね。当委員会でも議論がありましたけれども、確かに、五万とか十万という売り場面積、床面積のショッピングセンター、それ自身が大きな影響があるわけですけれども、一万以下であっても、実際には専門店型の大型量販店などもあるわけですね。そういうのが隣に並んでいけば、一万平米以下のものが一個、二個、三個並べば三万近くなるわけですから、そういうのも可能だというのが現状の法案の中身となっているわけであります。

 そういうことを考えますと、中心市街地の活性化の取り組みの上でも一つの困難な要因となっている大型店の出店に対して、こういう一万平米以下については対象としないというのは、現実、現場を見ると少し不十分ではないかなというのを率直に思うんですが、秋田の事例または全国の事例をごらんになって、お感じのところをお聞かせいただけないでしょうか。

平澤参考人 これは私の個人的な考えでございますけれども、規制規制といいましても限度がございますし、すべてを規制するというふうにもいかないと思います。

 やはり我々が一番困っておりますのは大型ショッピングセンターが郊外にできるということでございまして、自然発生的に商店街が並んでいく、あるいは店舗が並ぶということは、これは当然のことというふうにとらえております。

 これでよろしいでしょうか。

塩川委員 次に、藻谷参考人にお伺いいたします。

 先ほど、大型店の社会的な影響について、アセスを求める取り組みというのも広がっておりますけれども、そういう点でも、日本の場合には、社会的規制の中に経済的な規制を含まないかのような問題も大店立地法の十三条との関係で指摘をされているわけです。でも、実際に、経済的な規制を含まない社会的規制というのは現実にあり得ないんじゃないかというのを率直に思うわけですね。

 例えば、政策投資銀行が編集されました「海外の中心市街地活性化」という本を拝見しましたら、アメリカの事例なども紹介されていました。例えばバーモント州のバーリントン市の事例などでも、アクト二五〇と言うんでしょうか環境影響評価制度、大型ショッピングセンターに対する開発の許可制度を実施する中で、環境への評価あるいは大気汚染などへの影響の評価とともに、周辺小売店への影響と社会的コストの経済環境への影響、こういうのを厳しく評価をしているということがあります。

 つまり、出店することによってどういうメリットが出るかということと同時に、どういうデメリットがあるかということについて、経済環境も含めて影響評価をする、これは一般的なんじゃないかなと率直に思うわけですね。海外の事例などはそうではないかなと率直に思うんですけれども、お考えをお聞かせいただければなと思っています。

藻谷参考人 ありがとうございます。

 私が大昔に大わらわで編集をしまして、一部編集し切れずに出版してしまった本に御言及いただきましてありがとうございます。ただ、書いたのは、そこの部分は私じゃございませんけれども。

 実は、海外の事例を引く場合に非常に気をつけなくてはならないのは、特にアメリカの場合は極端な例でございますが、実は、すべての商業者、それからアメリカは地代というのはないわけですが、建物所有者、いずれも自由競争で、いわば利潤追求して頑張るというのが前提になっております。そういう意味では、海外の人と話をして話が一番通じないところは、つまり、市街地に土地をあけている人がいるということ自体が実は話が通じないわけであります。あるいは、売れない品を置いたまま座っている人がいるということ自体が実は通じないわけであります。

 あるいは、イギリスの場合ですと、郊外大型店を規制しているわけなんですが、実は、この前提に、私は向こうの専門家と議論していて、向こうはそう言っていましたので事実だと思いますが、中心街と郊外の地価、地価というか不動産取得価格が全く変わらないという現実があるわけです。であるがゆえに、実は、大型店から全く文句が出ない。それは、中心に限ってやれと言われたら、それは喜んで、土俵を限定して、同じ相撲取り同士、土俵の中で戦いましょうか、場外乱闘をやめた方が血も飛ばないやという考え方が実はあるわけです。つまり、一定の規制が成り立つ前提として、各プレーヤーがまじめに競争しているという前提が実はあるんですね。

 そこのところが、やはり土地本位制で、商業にかかわらず、先に土地を抱えておいた方が得だという、戦後八割の人口増加の中でしみついた考え方が、ある程度以上の世代にはしみついているわけでありますので、言うなれば、全く商業せずとも、自分の土地の地価を上げることによって、いつか売りさばいてもうけようという人もたくさんいらっしゃるわけです。

 そういうやり方が通用する間は、特に東京ではそうなんですが、実は、よかれと思ってやった規制がたまたまある方の不労所得を増す、言うなれば、物を持っている人間の富をさらに増すというような結論になることがあり得るわけでありまして、そういうことにならないようにするということから、過渡期的に、やはりなかなか欧米のようなドラスチックな規制がしきにくいのかなと思うわけであります。

 ただ、私が思いますに、郊外開発に対する規制というのもそうでありますし、逆に、中心市街地において、不稼働資産を抱えたまま、それを寝かしている人間に対しても、もっと懲罰的に税を取るなどのことをすべきであると一素人として私は実は考えておりまして、つまり、郊外の土地持ちに対する規制と、中心の土地を逆に寝かしている人に対する一種のインセンティブというのは表裏一体ではないかと私は思っております。

 ただ、その場合に、では、どういう公益をもってそれを正当化するのか。それは、やはり道路、上下水道といったみんなの公共インフラ、要するに、税金でつくっている公共インフラの有効活用、その建設費用のきちんとした回収ということなのではないかと私は思っております。

 何か全然違う観点から申し上げたようなんですが、他方で、中心商店街の商店主がまじめに商売をしているにもかかわらず、めちゃくちゃに郊外に店ができて、商圏自体が荒れてしまって成り立たないというケースが実はあるわけでございます。実際には、そういう場合には必ず郊外の商店も成り立っていないという困った事態があります、秋田などその典型だと思いますが。ということは、一体だれがもうけているのか。つまり、郊外の商店主の方々がもうけているのでもなく、中心でもなく、実は郊外の田んぼ持ちがもうけていたということでございます。逆に、そこに今、いわば道路、上下水道をただで引いてくれるものですから、郊外に田んぼを持っていた人が、いわばインフラコストを払わずに地代だけ入っておったということであります。

 そういうふうな総合的な問題に対しては、やはり現状においては、店の規制、住宅というような話ではなく、住宅も含めた、ひっくるめた郊外開発の抑制ということが実は重要であろうかと。したがって、商業に限らない都市計画のゾーニングの厳正運用というものが重要ではないかと私は思っております。

 同じく、大きな大型店だけ規制しますと、コンビニに代表されますけれども、規制面積マイナス一平米の店がふえるというのが過去の現実でございますので、逆にまた、そういうものを野放しにすることによって、結果的には同じようにオーバーストアが現出し、まじめに商売している人が競争として競争できなくなるということが実はあり得るわけでございます。

 そういうことも含めまして、今回を一歩としまして、やはり土俵を決めた中で競争しましょう、そういう原理というものが日本にだんだん普及するのではないかと私は非常に心を勝手に強くしております。

 失礼しました。

塩川委員 時間が参りました。ありがとうございました。

石田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.