衆議院

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第4号 平成18年11月7日(火曜日)

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平成十八年十一月七日(火曜日)

    午前九時三十六分開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      阿部 俊子君    稲田 朋美君

      小此木八郎君    小野 次郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      平  将明君    谷川 弥一君

      土井 真樹君    冨岡  勉君

      丹羽 秀樹君    野田  毅君

      橋本  岳君    広津 素子君

      藤井 勇治君    増原 義剛君

      武藤 容治君    森  英介君

      安井潤一郎君    山本 明彦君

      吉川 貴盛君    市村浩一郎君

      大畠 章宏君    太田 和美君

      川端 達夫君    北神 圭朗君

      細野 豪志君    松本 大輔君

      三谷 光男君    柚木 道義君

      鷲尾英一郎君    高木美智代君

      塩川 鉄也君    武田 良太君

    …………………………………

   経済産業大臣       甘利  明君

   内閣府副大臣       平沢 勝栄君

   経済産業副大臣      渡辺 博道君

   経済産業大臣政務官    高木美智代君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 堀田  繁君

   政府参考人

   (消防庁次長)      大石 利雄君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       松井 英生君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     広瀬 研吉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           和泉 洋人君

   参考人

   (財団法人家電製品協会専務理事)         牧野 征男君

   参考人

   (パロマ工業株式会社取締役副社長)        川瀬 二郎君

   参考人

   (社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会副会長)      青山理恵子君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月七日

 辞任         補欠選任

  片山さつき君     稲田 朋美君

  川条 志嘉君     安井潤一郎君

  谷川 弥一君     冨岡  勉君

  牧原 秀樹君     広津 素子君

  大畠 章宏君     市村浩一郎君

  北神 圭朗君     松本 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  稲田 朋美君     片山さつき君

  冨岡  勉君     谷川 弥一君

  広津 素子君     小野 次郎君

  安井潤一郎君     川条 志嘉君

  市村浩一郎君     大畠 章宏君

  松本 大輔君     北神 圭朗君

同日

 辞任         補欠選任

  小野 次郎君     阿部 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  阿部 俊子君     牧原 秀樹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案(内閣提出第四号)


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、参考人として、財団法人家電製品協会専務理事牧野征男君、パロマ工業株式会社取締役副社長川瀬二郎君、社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会副会長青山理恵子君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を述べていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十分程度で御意見を述べていただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず牧野参考人にお願いいたします。

牧野参考人 ただいま御紹介をいただきました財団法人家電製品協会の牧野でございます。

 本日は、こうした意見陳述の機会をお与えいただきましたことに深く感謝を申し上げている次第でございます。

 私が所属いたしております協会には、三十四社に上る家電製品メーカー、十四に上るいろいろな家電に関係する団体が賛助会員として御参画をいただいておる財団法人でございます。協会の事業には、家電リサイクルその他たくさんの事業をやっておりますけれども、その柱の一つとして、きょうも御議論になっておりますような家電製品の安全性向上というのが、重要な事業の一つとして取り組んでおるわけでございます。

 そのような事業に取り組みます際に、私ども中で議論をしておりますけれども、家電製品関係のいろいろな団体の中でも一番消費者に近いポジションにおりますので、そういった立場から、社会への貢献を旨として事業推進を行うということに心がけ、それを基本姿勢としておるところでございます。

 次に、協会の行っております安全性向上関連施策の幾つかを御紹介申し上げることをお許し賜りたいと思います。

 第一が、事故発生に伴います家電製品の点検、回収などの事故対策でございます。

 これらを迅速、適切かつ効果的に行いますために、経済産業省がおつくりになられました消費生活用製品のリコールハンドブックをもとにいたしまして、当協会において家電製品事故対策マニュアルというのをつくってございます。これに基づきまして、賛助会員に対して、やるべき中身について周知徹底を行っております。これを受けた格好で、賛助会員におかれましては、家電製品の事故報告を、経済産業省の通達あるいは先ほど申し上げましたマニュアルに基づきまして、行政窓口に対して報告等を行っていただいているわけでございます。

 第二が、消費者への製品事故に関する告知についてでございます。

 家電製品の所有者情報が必ずしもすべてメーカーの手元にないという事実がございまして、そういうこともありますので、基本的に、社告を新聞でやるというのが基本なのでございますが、これと同時にホームページに掲載するということを行っていただいております。

 ただ、消費者の皆様方から、このホームページ掲載はなかなかどこに何が書いてあるかわからないという御注文が私どものところに多数寄せられました。これを解決いたしますために、当協会では、平成十六年二月に、家電製品の回収等の告知に関するホームページ掲載ガイドラインというガイドラインを作成いたしました。このガイドラインの中で、各社共通のアイコンを、お知らせアイコンと私ども呼んでおりますけれども、アイコンをホームページのトップページに載せていただく。したがって、消費者の方は、メーカーのホームページに行っていただいて、トップページでお知らせアイコンをクリックしていただくと速やかに社告のところへ飛んでいただけるというようなことを実現したわけでございます。

 そういった格好で、消費者の製品事故に関する情報入手を容易にするように今後とも努力をしていきたいと思っております。

 第三でございます。第三は、メンテナンス体制についてでございます。

 消費者が家電製品を安全に長期間御使用いただきますためには、製品のメンテナンス体制の充実が極めて重要でございます。当協会では、販売事業者、メーカーのサービス技術者を対象にいたしまして、家電製品エンジニア資格審査認定事業を行っております。これを通じまして、修理品質の向上に努めているところでございます。

 最後でございます。家電業界内の製品安全技術の向上策について取り組んでおります。

 毎年、多数の家電関係技術者の参加を得まして、安全技術セミナーというのをやっております。きょうもたしか大阪の方でやっているはずでございますが、このセミナーの場で、社会的動向でございますとか、家電製品の技術革新を踏まえました製品安全の最新の考え方を紹介いたしまして、業界の安全技術レベルアップに心がけております。

 さらに、不幸にして起きてしまった事故につきましていろいろな分析をいたしまして、これを家電メーカーにフィードバックして、将来の事故を減らすという、設計に反映するというような努力も継続して行っているところでございます。

 以上、協会の安全性向上関連事業について述べさせていただきました。

 次に、本日議題になっております消費生活用製品安全法改正案について一言申し上げたいと存じます。

 製品の安全性を確保いたしますためには、製造事業者、販売事業者によります安全な製品の製造、販売、あるいは消費者への情報提供、消費者によります製品の合理的な選択や使用、行政によります安全性確保のための取り組みなど、製造事業者、販売事業者、消費者、行政、それぞれが適切にその役割を果たしていくことが大切だと思っております。

 今回御議論になっておられます改正案は、この関係者の役割を適切に整理されたこと、あるいは、事故報告につきまして従前のものより大幅に対象を広げ、かつ、その後の処理について効果的なルールを定められたこと等によりまして、今後の消費生活用品の安全性向上に大きな効果を上げられると考えておりまして、高く評価をしておるところでございます。

 当協会は、この法案が成立を見ました暁には、メーカー各社あるいは関係工業会とともに法令遵守に関してプログラムを策定しまして、これに基づきます対応策の速やかな展開、周知徹底を図って御趣旨を体してまいりたい、努力をしてまいりたいと考えております。

 最後になりましたが、諸先生方におかれましては、引き続き格段の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

上田委員長 どうもありがとうございました。

 次に、川瀬参考人にお願いいたします。

川瀬参考人 パロマ工業株式会社副社長の川瀬でございます。

 当委員会におきまして発言の機会を与えていただきましたことに対しまして、厚く御礼申し上げます。

 まず、この場をおかりしまして、おわびを申し上げさせていただきます。

 当社の製品にかかわる事故におきまして、お亡くなりになりました被害者の方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の方々には心よりお悔やみ申し上げます。さらに、被害に遭われました方々にはお見舞い申し上げます。衷心よりおわび申し上げる次第であります。

 また、本件につきまして、弊社製品をお使いのお客様はもとより、広く消費者の皆様に多大な御心配をおかけしましたことを深くおわび申し上げます。

 さらには、ガス関連業界の皆様に多大な御迷惑と御心配をおかけしましたことも深くおわび申し上げますとともに、当該製品の点検、回収におきましては大変な御協力をいただいておりますことに御礼を申し上げたいと存じます。

 今後の信頼回復に向けて全力を挙げる所存でございます。

 本題に入らせていただきます。

 本委員会の議題であります消費生活用製品安全法の改正案につきまして、弊社製品にかかわる事故を踏まえ、改正の骨子であります、一つ、情報の収集、二つ、一般消費者への情報の提供、三つ、報告義務、四つ、製品の回収の順に意見を述べさせていただきたいと存じます。

 まず、情報の収集について申し上げます。

 従来、弊社に関するガス器具に関する事故情報の第一報は、そのほとんどがガス供給事業者からもたらされます。その大きな理由は、事故の発生の多くは警察、消防よりいち早くガス供給事業者に情報が伝えられること、また情報がつかめる消費者に近い立場にあること、さらには、ガス器具による事故の発生を認知した場合、経済産業省に対して法的に報告義務を負っていることが挙げられます。

 このような状況の中で、弊社はこれまで、事故情報について、ガス供給事業者あるいは警察、消防から寄せられた、すなわち受動的に得た情報以上には事故情報を獲得しようとしなかった点におきまして、結果的に事故情報の収集が不十分であったと反省しております。

 したがいまして、本改正案に、消費生活用製品の小売販売、修理または設置工事の事業を行う者は、重大製品事故が生じたことを知ったときは、製造または輸入の事業を行う者に通知するよう努めなければならないものとすることと定められましたことは、メーカーにとりまして、情報を収集する範囲が広がり、より正確な、また迅速な情報収集が可能になると考えております。

 弊社といたしましても、より事故情報の収集を貪欲に行うことが重要であると認識し、ガス供給事業者、警察、消防等の公的機関とも協力関係を密にして、あらゆる事故情報を積極的に収集する体制が必要と考えております。また、切にこれらの関連機関の御協力、御指導を期待する次第であります。

 次に、一般消費者への情報の提供について申し上げます。

 弊社は、平成三年九月、平成四年一月に発生しました事故を契機として、ガス供給事業者及びガス器具修理業者に対しまして、改造に対する注意と器具の安全の点検の呼びかけをいたしました。さらに、当時の通産省及びガス石油機器工業会などの御指導、御協力を得て、広く改造に対する注意と器具の安全の点検をお願いしました。弊社としましても、当時、全国で講習会を実施するとともに、あらゆる機会を活用して改造の防止を呼びかけました。

 改造という行為は修理をする一部の人の問題であり、ガス供給事業者や修理業者に周知徹底することの方が有効であると判断して活動したものでありました。しかし、これらの対策以外に有効な対策がないかどうか、一般消費者への注意喚起、さらにはリコールをすべきか否かなどについて、弊社が十分な検討を行っていなかったと反省しております。

 したがいまして、製品事故に関する情報を一般消費者に対し適切に提供するよう努めなければならないものとすることと定められますことは、現時点で一連の事故を振り返りますと、ガス供給事業者、ガス器具修理業者に対する注意喚起が最も有効であると考えましたが、一般消費者への情報提供に及ばなかった弊社の活動に対する反省を求めるものであり、今後のガス器具事故の再発防止に有効であると考えております。

 一方、実際の運用面を考えましたときに、特に今回のようなガス湯沸かし器につきまして、器具単独で使用されるものではなく、そこにはガスの配管、器具の設置、排気筒の設置というものが伴い、さらに、継続的に御使用になるにつきましては、修理、保守、保安点検が必要となるものであり、事故が発生した際の事故原因をいかに迅速に特定し、適切に情報提供するかが課題であると考えております。

 続きます報告義務につきましては、収集した情報について、法律に準じて迅速な報告をいたす所存です。事故発生を認知した場合には、直ちに報告すると同時に、さらに情報収集を行い、適切な報告に努めてまいりたいと考えております。

 最後に、製品の回収について申し上げます。

 ガス器具事故が発生した場合に回収が必要か否かにつきましては、日本ガス石油機器工業会においても現在基準を検討中でございますが、弊社といたしましては、基本的に、経済産業省のリコールハンドブックに準拠して迅速に行動してまいりたいと考えております。また、製品の回収以外の方法につきましても、何が有効な対策であるかということについて十分な検討をいたし、可能な限りの方法をとっていく所存です。

 法改正案においては、製品の販売の事業を行う者は、製造または輸入の事業を行う者が自主的に、または危害防止命令を受けて行う回収その他の措置に協力するように努めなければならないものとすることとなされましたことは、私どもメーカーにとりまして、より迅速に、かつ円滑に対応できる環境が整備されるものと認識しております。

 一方、法律案要綱第二の一で、製品事故の原因を調査し、必要があると認めるときには、製品の回収その他の措置をとるよう努めなければならないとすることとなされましたように、事故の重大さ、多発性を検討した上で、関係各省庁の御指導をいただきながら、積極的に回収その他の措置を判断してまいりたいと存じております。

 以上、本日は発言の場を与えていただきましてありがとうございました。弊社といたしましても、今回の法改正の趣旨を真摯に受けとめ、法を遵守し、消費者に安全な製品を提供し、安全で快適な消費生活を提供できるメーカーとなるべく、全社を挙げて努力していく所存でございます。

 ありがとうございました。

上田委員長 ありがとうございました。

 次に、青山参考人にお願いいたします。

青山参考人 おはようございます。社団法人の日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会、大変長い名前で恐縮です、通称NACSとお呼びいただいております、NACSの青山でございます。

 きょうは、消費者を代表してといいますか、消費者の声を諸先生方にお聞き届けいただけるという機会を与えられたこと、本当にありがたく思っております。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 この消費生活用製品安全法の一部を改正する法案、私ども消費者は本当に待ちに待った法案だ、大変期待する法案であるということを申し上げさせていただきます。ですので、先生方には本当に一日も早い成立そして施行をお願いしたい、ただその一言を申し上げたいというふうに思いまして、ここに上がっている次第でございます。

 今さら私が申し上げるほどのことはないというふうに思うんですけれども、昨今の製品のトラブル、製品事故をめぐる事故情報というのは大変痛ましいものがあります。私ども考えましても、第一の事故が発生して、そして、それがなぜ社会全体で共有化されて事故の拡大防止に努められなかったのか、そういう事故情報がどうして、開示されて、一般の消費者が認識して、事故の発生抑制に努められなかったのか、そういうことを思いますと、本当に残念な事故情報の数々だというふうに思う次第でございます。そういう意味でも、この製安法の改正というのは大変期待が持てるということになります。

 先ほど、パロマの方がおっしゃいましたけれども、あれを考えますと、昭和六十年に第一の事故が発生して、そして二十年という間にまさに二十一名もの犠牲者、お亡くなりになった方々が出ていらっしゃる。そういった悲惨な事故は、多分、初期の事故情報が開示されていて、こういうふうに製品というのは安全に使ってほしいんだ、消費者にその安全使用に対する自覚を促すことができたならば、もちろん製品そのものの改良や何かをきちんとしなければいけませんけれども、そういう事故情報が消費者の皆さんに開示されていたならば、これほどまでに拡大はしていかなかったのではないかな、そういう思いがひしひしとしております。

 まさに消費者の安全である権利、あるいは知らされる権利というものが、そのものが侵害されてきたこの数年であったのではないかという気がします。先生方もよく御存じと思います、一九六二年にケネディが教書の中で四つの権利、消費者の権利を標榜しました。四十数年たった日本の社会では、まだまだその権利が確立していない社会なんだということを改めて認識させるような昨今の情報でございます。そういう意味でも、今回の製品安全法の改正、一日も早い成立を期待するところでございます。

 ただ、そうは申しましても、この法案というのは、よくよく読ませていただきますと、決して懲罰的な法案ではないんですね。これはひとえに、最初の事故が発生した場合、重篤な事故が発生した場合には、製造の事業者さんあるいは輸入の事業者さんに、まずは報告してくださいよということで、その報告することによって、多分、先ほどパロマさんもおっしゃっていましたけれども、まずは報告して、その後、必死できっと原因究明に走るんだろうというふうに思います。

 原因究明、単品の不良なのか、あるいは製造、設計上に瑕疵があるのか、はたまた消費者のイレギュラーな使用方法に起因するのか。そういったことを原因究明をしっかりとするわけでしょうけれども、それと同時に、公表するということによって消費者に、原因究明が明らかになるまでは、まずは使用を差し控えてよ、あるいは、使用するのでも安全に自覚して使用を行ってよというふうな情報提供ができるんだということで、これは国民こぞって賛意を表明できる製安法の改正ではないかなという気がいたしております。

 そういう意味で、今まででしたらば、多分、我が社一社の事故情報、そういったものを公表してしまったらば社会的にスポイルされるのではないか、私どもが公表することによって、ほかだってやっているかもしれないのに、なぜ我が社だけが公表しなければならないのか、報告しなければならないのか、そういうふうにネガティブな感覚が働いたかと思うんですけれども、そうではない、法律できちんと報告義務を課すということからして、多くの事業者さん、輸入事業者さんたちが、万一事故が発生した場合にはまずは報告するということで、これは公正公平な社会の一つの大きな要素になるんだ。そういう意味でも、この改正、早い改正を望みたいなというふうに思っております。

 次に、この法案が大変私ども評価できるなというふうに思うのは、製品事故という一つのくくりなんですね。これは明らかに欠陥であるということでないというふうに評価できるものについて以外のものは、牧野参考人もおっしゃっていました、全部とにかく網羅的に報告をまずはしなさいよというところが非常にすばらしい法案だというふうに思います。

 一個一個、これは適用されるのか、適用除外に当たるのか、はたまた、これは技術革新によって新しい製品なので、今までのこのリストの中には入れ込まなくてもいいのではないかというふうに一つ一つを考えずに済む、今のある製品すべてを網羅して、安全にシフトできる。そういう意味で、製品事故の定義というのが、これは今までにない、法案のすばらしいものだというふうに感じております。

 私ども消費者問題をやる人間にとって、消費者法のいろいろなものがあるんですけれども、消費者法の数々の中には、例えば適用除外の除外というふうになって、主語と述語をしっかと読み込まないと、どういう適用をされるのかがわからない、あるいは、指定商品制度があって、これって本当に含まれるんだろうかどうだろうかというふうに、法の適用で非常に混乱する機会があるんですけれども、そういう意味では、ここの製品事故の定義というものをしっかりと押さえたということで、大変評価できるものではないかなという気がしておりまして、何度も申し上げますけれども、一日も早い成立をというふうにお願いする次第です。

 そしてまた、こういうお席で申し上げるのもなんですけれども、製造事業者さんあるいは輸入の事業者さんに、事故が起こった場合にはまずは報告しなさいよというふうな法案ですね。これは、報告された省庁、ここは経済産業省が主になるんだと思うんですけれども、報告された省庁は本当にすごい大変な重い責任を負うだろうと思います。一次公表、二次公表をどうするんだと。そういうことで、しっかりと受けとめなければならない。

 そういう意味では、あえて申し上げるならば、消費者に対して説明責任を果たすためには、この法案ができた後はしっかりとやはり人もお金もつけて、この法案を活力ある運用ができるような体制整備というものをぜひしっかりしていただきたい。そういう意味では、お金も人も惜しまないでしっかりとつけていただきたい。そういうことを前向きに示すことによって、消費者に対する説明責任も果たせるでしょうし、暮らしの安心、安全のインフラ整備に大いなる効果を発揮する法律になるだろうというふうに大変期待をする次第でございます。

 蛇足ながら最後の問題も提案させていただきまして、まずは私の陳述を終わりとさせていただきます。

 本日はありがとうございました。(拍手)

上田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤井勇治君。

藤井委員 おはようございます。私は自由民主党の藤井勇治でございます。

 三人の参考人の方は、お忙しい中御出席をいただきまして、本当にありがとうございました。今意見を陳述されました中で、何点か質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、川瀬パロマ工業副社長にお願いをいたします。

 パロマさんは、一万人を超える社員を擁する会社でございまして、きょうは文字どおり代表取締役社長様にお目にかかりたかったのでありますが、まことに残念でございました。どうぞ川瀬さん、よろしくお願いいたします。

 パロマ工業の瞬間湯沸かし器による事故で、これまでに二十八件、二十一名の方が亡くなられた。私はまことに痛ましい事故だと思います、大変痛ましい事故だと思います。この質問に先立ちまして、私はパロマさんのホームページを見させていただきました。わずか一行でありますが、まことに申しわけないという趣旨のものが書いてありました。貴社の製品でこれだけ多くの方々の命が亡くなっておるわけであります。会社を代表する副社長として、今のお気持ちを率直にお述べをお願いいたします。

川瀬参考人 本当に申しわけございませんでした。

 私どもといたしましては、徹底的に再発防止の手を打ちまして、また、今回の法案に見られますように、法案の改正もいただきまして、二度とこういう痛ましい事故が起こりませんように最善の努力をする所存でございます。そういうことが一つの亡くなられた御遺族に対する私どものできることだと考えております。大変申しわけありませんでした。

藤井委員 わかりました。では、お願いします。

 パロマ工業さんは、現在も自社の湯沸かし器に欠陥はなかったと主張されていると認識しております。確かに、第三者による改造もありましたし、私もそういう認識を持ちますが、そういう点に問題はあったと思いますが、貴社製品に集中して一酸化中毒が発生していることは、少なくとも貴社の製品が事故発生に強く関係しているということは否めないんではないんですか。この現実について川瀬さんはどのようにお思いですか。お答え願います。

川瀬参考人 確かに、今先生がおっしゃいますように、私ども、当初、事故報告を受けましたときに、そこに不正な改造があるという認識でございまして、それが、先ほどのお話もありましたように、二十数年にわたりますと二十一名という痛ましい事故になりました。そういうものが不正な改造であるということが私どもの考えの一部にありました。それは事実でございます。

 それから、二十数年にわたって二十一名、そういうものを、私どもが情報として横断的にといいましょうか累積的に見て、既にこれだけの事故が生じているということを認識することが非常に欠けていたという、非常に反省をしております。

 そういう意味で、欠陥かどうかということになりますと、いわゆるPL上の欠陥とは違うかもしれませんけれども、やはり私どものこういう半密閉式の器具に事故が集中しているということに対して非常に責任を感じている次第であります。

藤井委員 もう一点お伺いいたします。

 パロマ工業は、一九九二年から三年ごろ、第三者による改造などが自社製品に対して行われ、一酸化中毒事故が発生しているということは御存じのはずなんです。御存じのはずなんです。消費者にその時点で伝えていれば、その後の事故はなくなったんではないでしょうか。まさに社長自身が自社製品の事故が発生していることを知っておられたはずなんです。その時点で消費者に危険情報を伝達していれば、こんな事故はなかったんだと思うんです。この決定についてお考えをお聞かせください。

川瀬参考人 今から思えば非常に反省するところでございますけれども、確かに、平成三年、四年に事故がありましたときに、私どもの考えが非常に問題がございましたけれども、改造ということが、一般消費者の方がやられることじゃなくて、やはり修理業者の方であるとか、あるいはガス供給事業者の方の修理の担当の方であるとか、そういう方が、専門知識を持った方がおやりになるという認識のもとに、私どもがやらないといけない行動というのは、そういう不正な改造をしないように、そのために、あらゆる手を尽くしまして、講習会でございますとか、あるいは文書をつくって配布するとか、そういうようなことに努力を集中したということが、今から思えば非常に問題であったと考えております。

 直接、当時、消費者に伝えておれば、今先生がおっしゃいますように、もっと事故が減らせていたという反省は十分ございます。今後はこういう法律の改正も見まして、そういうところで努力してまいりたいと考えております。

藤井委員 そういう情報を知り得ながら危険情報を知らせなかったということをお認めになったわけでございますが、まことに無念、残念でございます。

 パロマ工業は、もう一点副社長にお伺いしたいんでございますが、今回のこの事故の反省の上に立って、これから企業体質をどのように変えようとされているのか。また、安全な製品を供給するためにどんな企業に生まれ変わろうとしているのか。そして、社員への教育や組織改革、この取り組みなど、今の時点で具体的な方法を検討されているのであれば、御説明をいただけませんか。お願いいたします。

川瀬参考人 確かに、私どもにとりまして、今回の一連の事故に対しまして、全社を挙げて反省しているところでございます。私ども、考えますのに、やはり、一番私どもに欠けていたのは、消費者のサイドから見ていなかったんじゃないだろうかと。私どもの品質管理というのは、ややもすると、つくる方の、メーカーとしての品質であり、そういうものが、事故情報を得たときに、修理者の責任であろうとかいうことに目が行きまして、消費者の安全という面からは少し欠けていた点があるということを痛烈に反省しております。

 したがいまして、私どもの組織といたしましても、消費者の声、お客様の声を直接聞くような部門を新たに設けまして、そういうものを、また、いわゆる法令遵守、コンプライアンスのことを検討します部門をつくりまして、既に活動しておりますけれども、そういうところから、事故情報を含めていろいろな情報をそこに集めまして、あるいは最終的にリコールすべきかどうかということになりましたら、社内の意見だけではなくて社外の方の意見も取り入れて、そういうところで、公平な目で、消費者のためにどういう行動をしたらいいかということを判断する組織を今構築中でございます。この結果は、本年末までにということで御指示いただいておりますけれども、行政にも報告いたしまして、遺漏のないように努めたいと考えておる次第でございます。

藤井委員 どうぞ、今回の法改正を契機といたしまして、日本の中核企業の一つでありますパロマ工業でございますから、消費者の安全を第一に考える企業として立ち上がっていただきたい、強く切望しておきます。

 次に、牧野さんにお伺いいたします。

 私は、家電業界、すさまじい競争の中に置かれていると思います。そんな状況の中で、安全性を確保しろ、安全性を確保しろと言われましても、目先の短期的な利益追求に走る企業があらわれてくるのも不思議ではございません。このような競争万能といいますか、利益最優先の経済社会と、そして製品の安全問題について、家電業界としてはどんなお考えをお持ちなのか、お聞かせを願います。

牧野参考人 お答えさせていただきます。

 家電メーカーというのは、つくった製品を消費者に買っていただいて初めてビジネスが成立されるものでございます。そういう意味で申し上げますと、消費者の信頼を得るというのは、あらゆるビジネスの最優先課題でございます。

 消費者の御理解を得るためには、安全性の確保というのはやはり何にも増して重要である、かように思っております。ある意味で、私どもの協会のこのような活動の中で、これなくして、安全性確保なくして製造業の繁栄はない、かように会員一同とともに確信し、共有をしているつもりでございます。今回のこの法改正が成立しましたならば、その精神を十分体し、会員企業と手を携え、製品の安全に引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

藤井委員 ありがとうございました。

 その安全性の確保を最優先ということでお願いをいたします。

 もう一点、安全性の確保をするためでございますが、メーカーの努力ももちろん必要でありますが、利用される消費者の方々にも適切な方法で利用していただく、適切な方法で維持管理をしていただくということも大変大事なんだと思います。このような観点から、家電業界としては、消費者への対応をどのようにされているのか、具体的にお聞かせをいただきたい。

牧野参考人 大変重要な御指摘をいただいたと思っております。

 ある意味で、メーカーがどんなに安全なものをつくったとしましても、消費者の方が適切にお使いいただく、あるいは、ある程度期間がたちますといろいろなメンテナンスといいますか維持管理が必要なことは事実でございます。ただ、消費者の皆様方にそういう情報を提供する、あるいは一連の運動をやるということをやっておりまして、例えば、取扱説明書におきまして、適切な使い方、こういう維持管理をしてくださいということを呼びかける、同じようなことをホームページに載っける、あるいは、今月、経済産業省の御指導のもとに製品安全総点検週間が行われます。この中でも、機会をとらえまして、私ども、消費者の啓発を進めたいと思っております。

 また、私ども、愛情点検運動というのをやっております。この一環といたしまして、長期使用家電製品の安全点検への取り組みというのを流通の皆様方の協力を得てやっております。こういったところでも、今御指摘のあったような点について十分心配りをして今後とも努力してまいりたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

藤井委員 ありがとうございました。

 その消費者の安全性確保、これを最優先に、今後、業界全体のしっかりとした取り組みを引き続きお願いいたします。

 それから、青山さんに御質問させていただきます。

 この法案でございますが、先ほど、早くということでございました。経済産業省は、もちろん産業振興の所管である省庁でございますが、ややもすれば、業界寄りじゃないか、こういう評価がありますが、消費者の目から見て、最近のこの経済産業省の消費者保護政策に対する取り組みについて、どんな評価をされているのか、お聞かせ願えますか。忌憚なくお願いいたします。

青山参考人 忌憚は持っておりません。忌憚なくお話をさせていただこうと思います。

 やはり、何というんでしょうか、通商産業省の時代から、経済産業省、名前も変わって、中身もきっちりと変わってきたのかなというのが私の昨今の思いでございます。しかし、それは、もちろん消費者保護政策ということと同時に、その消費者保護政策をしなかったらば産業も育成できないんだよ、消費者から選ばれてこそ初めてその産業、企業も育成されるんだということが、やはり経済産業省の中でもきちんと認識されてきたのではないかなというふうな気がいたしております。

 というのも、今はパロマさんが大変になっていますけれども、ちょっと前には松下さんの事故がありました。あのときも、非常に必死で松下さんは、この製品を探していますと、去年の暮れからことしにかけて本当にすごい作業量をなさいました。それで、一戸一戸戸別に、捜し物をしていますということで、こういうものを見かけませんかというようなことは、皆様方ももう、私より以上に御認識が深いと思うんですけれども、そういうことをやったがおかげで、事故はいけなかった、事故を起こしたのはバツよというふうになったんですけれども、その後の対応で、またこれは消費者の見る目が違ってきた、消費者の再信頼が確保できた。これはもう、安倍さんのおっしゃるように、再チャレンジができたというようなことになるんじゃないかと。

 そういう意味で、大いなる信頼をまた取り戻したということで、これはやはり経済産業省も、消費者保護とそれから産業育成というのは、絶対かけ離れるものではなくて、車の両輪なんだということが御認識いただいたために、割合にこのごろは消費者保護行政、進んでいるかなというふうに思います。

 そういうためにも、十一月二十日、安全週間というのを率先して、お金もない中で一生懸命やられようとしていますので、私どももぜひ協力したいし、それはすなわち消費者のためにもなるんだということで頑張りたいというふうに思っております。

 以上です。ありがとうございます。

藤井委員 ありがとうございました。

 引き続いて、経済産業省も、消費者保護政策に引き続いて御指導いただきますようお願いいたします。

 もう一点、青山さんにお聞きしたいんですが、国の規制や企業の努力のみに依存して、製品の使い手である消費者が安全意識などを全く欠いていたのであれば、製品事故防止もいびつになってしまうと思うんです。実際、規制ばかりやって、多く事故が発生するということも招きかねないと思います。

 その際、消費者自身がみずからの身を守るために最低限どんな努力をしないといけないのかということも必要だと思うんですが、消費者団体の方々は、こういう論点について具体的にどんなお考えをお持ちなんでしょうか。お願いいたします。

青山参考人 おっしゃるとおりです。やはり、消費者というのは、安全に使わなかったら、でも自分の身の危険、これはどこに責任がある、行政が悪いとか企業が悪いとかというふうに申し上げても、自分自身が事故に遭ってしまえば、これは自分の責任、自己責任でしかないわけですから、そういう意味では、安全に使用する、安全に利用するというのは、これは大前提でございます。

 そういう意味では、私は、今回の、知らされていなかったということこそが問題であったのではないかなという気がいたします。そういうことでは、まずは、消費者は知らされればそれに対してきちんと自覚を持ち、自己責任を果たせるんだということが一つ言えると思います。

 それともう一つ、今度は私ども消費者団体の役割ということになるかと思うんですけれども、やはりこういうこと、いろいろな、事ある機会に私どももイベントを行ったり、あるいはいろいろな公民館に行って、こういうふうに製品というのは安全に使わなければいけないんですよというようなことで、啓発活動等をしているところでございますけれども、五月は消費者週間、それから十一月、十二月に関しては今の安全週間等をやる、それから十二月にはまた消費者団体がこぞってイベントをやるとか、そういうことを、結構一年のスケジュールの中でいろいろなことをやっております。そういう中で、やはり今回の問題のようなものは常に訴えていくということをしなければいけないなと。

 今までは、どちらかというと、よく経済産業省おっしゃるんだけれども、財布の安全、いわゆる悪質商法に関して身を守るというところに、いろいろなセンターに来る情報というのが消費者トラブル、契約トラブルにシフトしているという部分があったので、そういう面で力を入れていたということはあるんですけれども、やはり、体の安全とお財布の安全、両方なんだということで、私どもも努力しなければいけないな、啓発活動に力を入れていきたいなというふうに思っております。

 以上です。

藤井委員 どうもありがとうございました。我々消費者もいろいろな努力をしていかないといけないと思います。ありがとうございました。

 もう時間が参って、いろいろ聞きたかったのでありますが、消費生活の安全という問題は、実は、私たち人間の毎日の生活の営みにとりまして一番大切なお茶の間の団らんであります。この団らんを事故で揺るがすということは、社会生活の、家庭生活の根幹を揺るがすという問題でありますので、決しておろそかにすることはできないというふうに思います。

 三人の方々から、それぞれのお立場の御意見を聞かせていただきまして、どうぞ、お茶の間の団らんであることを認識を新たにしていただきまして、二度とこういう事故が起こらないように、ぜひ努力をしていただきたいと期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 どうも、参考人の方々、ありがとうございました。

上田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。本日は、お忙しい中、お三方の参考人に来ていただきまして、心より感謝を申し上げたいと思います。

 限られた時間ですので、早速質問に移らせていただきたいと思います。

 まず冒頭、今回の、本日はパロマ工業の川瀬参考人に来ていただいておりますが、パロマ製品に関連して二十一名の方がお亡くなりになっていること、このことに大変深い衝撃を受けますし、私も、国民の一人として、心から御冥福をお祈りしたい、また被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げたい、御家族に対してもお見舞いを申し上げたい、こう思います。

 また、製品に関連して、パロマに限らず、さまざまな製品事故に遭われている皆様方のお気持ちを思うと大変心苦しいわけでありますし、そうした思いを代弁して質問をさせていただきたい、こう思います。

 まず、川瀬参考人にお伺いします。

 小林社長が慢性心不全急性増悪という病名で、私初めて聞く病名でございますが、今回この場にいらっしゃらないこと、まあ病気ということでございますからいたし方ないなと思いますが、当初、出席ということを当委員会に対して返答され、突然こういったことになったということに対しては、極めて残念でございます。パロマ工業の株主でもあり、そして経営者でもあるというわけでありますから、最も適格な方が、せっかく出てこられるという御返答をされたわけでありますから、ぜひ来ていただきたかったな、こう思うわけであります。このことをまず指摘しておきたい。

 その上で、パロマ工業の川瀬副社長、今回なぜこのような事件、事故が起こったのか、現時点で原因究明はできましたか。また、不正改造はだれがどのような形で行ったのか、具体的に現時点で把握されていますか。お答えください。

川瀬参考人 まず、社長の欠席に対しましては、全く突然の心臓の欠陥ということで、大変申しわけございませんでした。慢性の心臓疾患はございましたけれども、急に悪くなったということで、私もよく病名はわかりませんけれども、そういうのを増悪と言うのだそうでございますが、そういうことでございまして、私も予期しなかったのでございますけれども、急遽私が代役で出ることになりまして、甚だ申しわけございませんでした。

 今回の事故でございますけれども、先生今御指摘のように、不正な改造があったということが第一でございます。それに伴ういろいろな考え方のことはるる先ほど申し上げましたけれども、今の御指摘で、犯人を捕まえているかどうか、あるいはどういう原因だったかと。

 不正改造の原因につきましては、やはり私どもは、これはだれでも消費者の方が簡単にできることじゃなくて、修理なさる方であるとかあるいはガス供給業者の方が修理に行かれて、湯沸かしが動かないというときに、ちょっと知識がございますので短絡をして、しばらくお使いくださいという形でお帰りになった、そういうふうに認識しております。

 あるいは、だんだん古くなりまして、器具が古くなりましたときに、やはり買いかえをお勧めするのでございますけれども、いや、もう少し使えばちょうど建てかえがあるとかいうような、いろいろな事由でもう少し延命してほしいというお話があったときに、そういう修理をなさる方あるいはセールスをなさる方が、もうちょっとだからコンセントを抜かないでくださいよというような注意のもとに、お使いになったようでございます。

 そういうことを、すべてじゃございませんけれども、今回総点検をしてみますと、不正改造の例が出てまいりましたので、そういう方に、何とか、どういう理由でおやりになったんでしょうかということを私どもなりにいろいろお尋ねした中から、そういうことが浮かび上がってきております。そういうことが原因であったろうというふうに考えております。

近藤(洋)委員 川瀬参考人、そうすると、すべて把握をしている、こういうことでよろしいんですか。不正改造の、だれがどのような形でいつ行ったのかということについて、事案が、不正改造の件数はわかっておりますが、その内容について、しっかり把握しているということでよろしいんですか。

川瀬参考人 事故になりました二十八件に対しては、むしろわからないものの方が多いのでございます。警察でお調べになっても、結局、私どもに、わからないという答えをいただいておりまして、わかりませんが、先ほど私申し上げましたのは、今回、総点検をいたしまして、二百二十六件という改造の事例があったわけでございます。

 そういうものにつきまして、もちろん全部じゃございませんけれども、もし許されるならば、どういうことでおやりになったんでしょうか、あるいは、不正改造をした現物でなくても、昔そういうことをおやりになったことがあるでしょうか、名前は出しませんから教えていただけませんかというふうに、いろいろ原因を調べた結果、今私が申し上げたようなことが出てまいりましたので、今先生おっしゃいますように、二十八件の事故のあった事例ですとか、あるいは今回総点検をしたときに出てきましたものに対して、すべてに対して、だれがやって、どういう原因だったということはつかめていないのが実態でございます。

 実際に不正改造があったところへお尋ねに行っても、いやもうわからないと。これは事実、二十年間にわたる事故でございますので、その不正改造がいつやられたのか、どなたがやられたのか、ほとんどのことがわからないのが実態でございます。

 さらに私どもがそれを追及して、犯人捜しをしたらいいじゃないかというようなお声も、実は消費者の方からもありましたのですけれども、それが実際伴われていないのが実態でございます。

 申しわけございません。

近藤(洋)委員 私、参考人、大変他人事のように聞こえるんですね。御社の製品ですよ。そして、御社の製品がそういった形、パロマさんの主張に沿えば不正が行われたから亡くなった、こういうことですけれども、その原因をきっちりわからずに対策がとれるんでしょうか。心配で御社の製品を買うということができないと思うんですね、そういう状況が続くのであれば。

 翻って言えば、経済産業省のこの報告書にもしっかり明記されているわけです。パロマ工業が積極的に安全装置の不正改造を防止するための措置を講じたとは判断できない。積極的にやっていないと。さらに、パロマ工業による組織的な関与があったか否かについては、結論を得るまでには至らなかった。場合によっては組織的な関与もあったのではないか、そういう余地も残している報告書をつくられているんですよ。

 そういう状況の中で、不正がどういう経緯で行われたのかわからない、この場で堂々と発言をされるというのは私は問題だと思うんですね。努力をすべきではないですか。その点について、いかがですか。

川瀬参考人 先生のおっしゃるとおりで、ごもっともでございます。私どもも、今、回収率が九五・五までいきまして、一応のめどを得ましたので、これからその二百二十六件に対しまして、できる限り原因の追求ということに対して努めてまいりたいと思います。

 今私どもが抜き取り的に得た情報では、先ほど申し上げたようなことでございますけれども、二百二十六件がすべてわかるかどうかわかりませんけれども、極力努力いたしまして、再発防止のために原因追求に努めたいと考えております。

近藤(洋)委員 いつまでに明らかにされますか。いつまでに対策をとられますか。社内的な体制整備も含めて、いつまでにつくられるんですか、そういった体制を。お答えください。

川瀬参考人 できるだけ努力をいたしまして、いずれにしましても、今回の総決算といたしまして、年内には経済産業省様の方に報告をするということが決められておりますので、それまでに、全部ということは難しいかもしれませんけれども、最大の努力をいたしまして、不正改造の実態の究明と原因の追求に対して努力いたしまして、報告書に盛れるようにしたいと考えております。

近藤(洋)委員 川瀬参考人、もうこのことが、二十年前から事故があって、報告を受けているわけですね。役員会にこの事故の報告が上がったのはいつですか。平成四年ということでよろしいんでしょうか。もう一度確認させてもらいます。役員会にこの報告が上がったのはいつでございますか。経営トップに上がったのはいつですか。もう一度確認させてください。

川瀬参考人 ちょっと覚えがあれだといけませんけれども、昭和六十二年だと思っています。

近藤(洋)委員 随分たっているんですね。それでこの状況ですよ。

 第三者委員会なるものをつくられているのは私も資料で知りましたが、九月にようやく第三者委員会をつくって、一々経済産業省に、意見を述べろということで呼びつけをしようとされている。私は、この御社の体質はちょっと信じられないわけであります。

 副社長、御社は取締役会、年に一回しか開かないというふうな報道がありますけれども、事実でございますか。

川瀬参考人 年に一回ということはございません。

近藤(洋)委員 では、具体的に、何カ月に一回開かれていますか。

川瀬参考人 事例によりましてでございますけれども、大体二カ月ぐらいに一回はやっております。あるいは非公式には、役員は毎日一緒に食事をすることにしておりますので、そこでいわゆる議事録をとらない話し合いというのは毎日のようにやらせていただいております。

近藤(洋)委員 もう一つ、事実関係、川瀬参考人にお伺いします。

 御社の株式の過半数は、社長、そして小林社長を初めとする小林一族といいますかファミリーがお持ちだと聞いておりますが、事実でしょうか。

川瀬参考人 事実だと思っております。(近藤(洋)委員「思っておりますというのは何ですか」と呼ぶ)何%というところまで私は承知していないんですけれども、過半数を所持しているのは事実です。

近藤(洋)委員 川瀬参考人は副社長でいらっしゃいますね。何%かもわからぬというのは、具体的にコンマを言うつもりは、細かい数字を聞いているわけではございませんが、副社長が経営されている会社の株主、株数が大体どれぐらいで、何%持っているかというのをきちっと答えられないというのは、私、驚きであります。

 また、二カ月間に一回程度というのも、これまた、御社ほどの大きな会社で、これは公開、非公開関係ありません。企業のガバナンス、企業の経営の問題でございます。その程度の経営をされているから、六十二年に報告が上がってもしっかりした対応をとらない、そして今回もこのような事態になったんじゃないんですか。

 川瀬参考人、経営者のお一人として、会社の体制に問題があると思いませんか。いかがですか。

川瀬参考人 もちろんいろいろ問題がございましたので、反省しているわけでございます。ただ、同族だからこういう事故が起こったとか、そういうふうなことではないんじゃないか……(近藤(洋)委員「そんなこと言っていないですよ」と呼ぶ)はい。私どもの社内体制に……(近藤(洋)委員「いいかげんな対応をしているから」と呼ぶ)失礼しました。いろいろ問題があったということは認識しております。今、全力を尽くして体制を立て直そうと考えているところでございます。

近藤(洋)委員 川瀬副社長も大変多くの従業員を抱えられているわけですね。経営者でいらっしゃるわけです。その中には、従業員の皆さんもいらっしゃるし、現場では大変苦労して回収に努めている社員がいるわけですよ。みんな苦労しているわけです。皆さん困っているわけです。

 反省をされているのであれば、川瀬参考人は代表権もお持ちかどうかは別にしても、お持ちならお持ちだとお答えいただきたいんですが、きっちり責任をとらせる、社長にしっかりとした責任をとらせる、けじめをつける、これは会社経営全体の問題でありますから、そういう体制をとらせることが経営者としての責任じゃないですか。いかがでしょうか、会社としての責任を明確にすべきじゃないですか。いかがですか。

川瀬参考人 会社といたしましても、あるいは、社長あるいは私を含めまして経営トップにいたしましても、反省をし、けじめをつけるべきだと思っております。

 それがいつかということでございますけれども、一段落ということはちょっとあれかもしれませんけれども、最終のまとめを今年末にいたしまして、私どもの決算が来年の一月でございます。それを終わったころには、私どもとしてもけじめをつけて、経営責任をはっきりさせたいと考えております。

近藤(洋)委員 改めて、国内のシェアの二割を御社は占めているわけですね。それだけの大きな影響を持っているわけであります。私の地元は山形県ですけれども、やはりガスをめぐる事故は本当に続いています。毎回毎回、さまざまな形で、亡くなっている方もいるわけですけれども、毎年そういう事故が起きるわけですけれども、改めて、本委員会として、この問題は大きな影響がある問題だと思っておりますし、責任が明らかになった段階で、改めてしっかりした報告を求めたいということを申し上げたいと思います。

 委員長、御検討ください。

上田委員長 理事会で協議いたします。

近藤(洋)委員 この問題は一パロマだけの問題だと私は思うつもりはございません。一つの大きな、ただ、パロマの経営が極めて異質である、今回の対処の仕方は極めて異例だということはあえて指摘をしたいと思っております。

 同時に、最近、さまざまなメーカーにかかわる事件、事案、事故がふえておりますけれども、それは、一メーカーだけに責任を負わせることは難しいということも私は承知しております。家電製品一つとってみても、部品はさまざま、世界的な調達をしているわけでありますし、さらに流通機構も複雑になっている。

 そういう中で、牧野参考人にお伺いしたいんですが、最近の事例では、大きな会社をめぐって、死亡事故に関連しては、松下電器産業さんの温風機の、石油暖房機をめぐる事故がございました。委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、この「探しています」の広告ですね。つい最近、私の自宅にも新聞の折り込み広告でまた配布をされました。テレビでもまだ時々CMをされております。草の根を分けてでも捜し出せというトップの思いの中で続けてやられているわけでございますけれども。

 家電製品協会さんとして、この松下電器産業さんが昨年から、まさに年末商戦、CMをすべてこちらのものに切りかえて、さらには六千四百三十万枚のチラシを投函して、さまざまな努力をしておりますが、全体で大体どれぐらいのコストをかけられたか把握されていますか、専務。

牧野参考人 正確な数字は覚えて……。昨年度だけで二百数十億使っておられると記憶いたしております。

近藤(洋)委員 そうですね、大体二百四十九億、これは二〇〇五年度決算でございます。大体の数字で結構でございますから、大体そういうところでございます。大変多くのお金を投じておるわけであります。グループ社員にスタンドやさまざまなところにローラー作戦をかけたり、六千万世帯にダイレクトメールを投じたり、こういうことであります。

 ただ、これは、ある意味で松下電器産業だからできたとも言えなくないわけですね。これがほかの家電メーカーだったらどこまでできたのか、ほかの企業だったらどこまでできたのか。二百四十九億を投ずることは、ある意味では松下だからできた、こういうことも言えなくないわけであります。

 この決断、松下電器産業さんがある意味でこの決断を、中村会長が、当時社長でありますけれども決断を下した、年末商戦に決断を下した。そして、最後の一台が見つかるまで、決断を下した。これは大変な英断だったと思いますし、これ自体はすばらしい。当時の松下さんの対応も後手後手に回った部分もあったわけであります。しかしながら、私の地元でありますが、山形県で不幸な事故が発生して、それを受けて大英断を下して取り組んだわけであります。

 ただ、これも松下電器産業だからできたとも言えなくはない。結果として、松下さんは二〇〇五年の十月―十二月期、実はその結果信用を得て、売上高では四%アップ、営業利益では四七%アップ。実は、再チャレンジじゃないんですよ、参考人。そのときに既にもうその結果で大変な信用を得たんですが、これもしかし、それだけの資本力があったからできたことであるわけです。

 そこで、専務、お伺いしたいんですけれども、松下さんがこれだけのことを巨費を投じてやった。さて、そのダイレクトメールの効果はどうだったのか。ローラー作戦の効果はどうだったのか。CMの結果どうだったのか。それぞれの対策と、そしてその効果について、協会として報告を受けていらっしゃいますか。

牧野参考人 私ども、協会の事務を、時折、中村理事長のところへ出かけて御報告をしております。その際に、極めて精緻に、詳細に、中村理事長から回収についてお話を承っております。例えば、ビラの中に書いてありますが、季節商品でございますので、ある時期にどういう行為を行うんだとか、どれだけの人材を投入しているとかいうようなことを伺っております。

 これは、お聞きして帰りまして、協会の職員あるいは関連の委員会と情報シェアをし、今後の我々の対応策に遺漏なきを期したいと思っておりますが、何よりも、今回の松下電器産業のやられたことで一番のポイントは、迅速にトップに上がったこと、そして、トップを含め会社全体で考えられて、非常に的確な行動をとられたことだというぐあいに思っております。

 そういう意味でいうと、私のみならず消費者の皆さんも、今回の同社の対応について一定の評価をしていただいているのではないかと思っております。

近藤(洋)委員 口頭では、おっしゃるとおり、松下電器産業の当時社長、中村社長、現会長は、協会の理事長でいらっしゃいますね。ですから、そういう接触の機会もあるんでしょうけれども、もっと具体的に、きっちり、松下電器産業さんから報告書を求めて、こういう効果があったという具体的なデータを蓄積すべきだと思うんです。こういう効果なら、消費者の方々に届くんだというのは分析して、そしてそれを各メーカーにフィードバックしないと、すべてがこれだけの対応ができるとは限りませんから、ぜひ知識の蓄積をお願いしたいという指摘をするのと、もう一つ、専務がおっしゃったように、これは、松下さんはそれなりの対応をされたと思います。評価をしたいと思います。

 ただ、要はトップの覚悟なんです。インタビューにも答えていますけれども、あと一台もし事故が起きたら、当時の中村社長は、私は社長をやめるつもりだったと。大変、自分のところに情報が上がってこなかった、そのことを当時の社長は反省しているんですね。そして、もし一台でも事故があったら私は社長をやめる、そういう覚悟で事に臨んだから、さまざまな思いもあっただろうけれども、年末商戦を棒に振った形での大キャンペーンを打ったわけであります、大活動を打ったわけです。

 その点に比して、あえて重ねて申し上げます、パロマ工業のトップの身の処し方というのは極めて不適切である。これは企業の大小ではありません。トップの姿勢の問題であります。このことを強く申し上げて、私の参考人質疑を終えたいと思います。時間ですので、終えます。

上田委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、三人の参考人の皆様方におかれましては、大変お忙しい中御出席をいただきまして、心から感謝を申し上げたいと思います。

 きょうは人民裁判でもありませんので、余り個人的な攻撃をすることはいかがかなと思っておりましたが、私、率直に申し上げまして、まず、パロマの川瀬参考人のお話をちょっと伺いたいと思うんです。

 今回の法改正というのは、要するに企業風土の刷新というか、企業のモラルが今問われていて、そして今回の法改正に至った。ですから、法律が、いろいろ点検をして漏れがあったとしても、今回の法改正をきっかけに、先ほど青山さんが言われておりましたが、企業は報告をするということは当然の企業としての責任だ。こういったことが企業風土として成り立たなければ、私は、日本のこれからの経済産業界というのはなかなか発展がないのではないか、また、消費者もハッピーではないのではないかというふうに思うわけでございます。

 その中で、昭和六十年から二十年間にわたって二十一人の方の命がなくなったということに対して、私はどうも先ほどからお話を聞いていて、同僚の議員も人ごとだというふうな御発言もありましたが、この重みというのを何か本当に認識されていないのではないかというふうに率直に感じました。

 それで、我々の理解としては、情報を知っていながらなぜ放置をされていたのか。多分、参考人の御発言の中で、不正改造されたと。あたかも被害者であったかのような認識をいまだに引きずっているのではないか。

 第三者委員会をつくられたということで、ホームページができたというのでホームページをきょう調べたんですけれども、接続できないんですね。それで、関係する中日新聞とかをずっと資料で見ていまして、この第三者委員会というのは何者なのかと。これははっきり言って、パロマの代弁者ですね、私に言わせてもらえば。だって、これはパロマから給料を出しているんでしょう、第三者委員会に対して。それも、私はすごくよくないと思ったのは、第三者委員会みたいなことをつくっていて、結局は、欠陥がないという前提の話をしているから、経済産業省はなぜ欠陥として認定したのか根拠を示せみたいなことを言ってくるんですよ。向いているベクトルが全く違うと私は思います。

 二十一人が死亡して、それも改造されたかもしれないが、改造されたという主張は主張でいいんだけれども、自分たちの製品が改造された、ものづくりメーカーとしてプライドがなさ過ぎると私は思いますね、率直に言って。そして、この期に及んで、第三者委員会なるものを自分たちから給料を出して、この四人という方がどういう方かもよく知りませんけれども、私は正直言って、全く見当外れなことを発信している。

 きょうだって、はっきり言って気の毒なんですね、川瀬さん、代表権もないと思いますし。まさしく今問われているのはトップマネジメントのあり方ということなのに、常に出てこない。出てこないんだったら、最初から出てこないと言えばいいんですよ。そうしたら、お呼びしなくて、ちゃんと法改正の中身について議論できたと思います。気の毒に、副社長のあなたが出てこさせられて。

 こういうことというのは、ずっとそうなんですよ。最初の事件が発覚したときも、社長も息子さんも出てこない。それで大変非難を浴びたわけでしょう。そこに対する真摯な反省とか教訓というのは生かされていないと私は言わざるを得ないですね。

 これは本当に、この第三者委員会なる、取りまとめが十二月に出て、それをもって会社としても態度をはっきりさせるみたいなことを言っていますけれども、私は御提案申し上げたいんだけれども、第三者委員会なんか早くやめさせた方がいいですよ。自分たちのことなんだから、自分たちのメーカーとしてのプライドと責任を持って、自分たちで事故究明をしたらどうですか。

 先ほど牧野さんからのお話で、メーカーだけじゃなくて、その周辺の保安維持も必要だから、修繕業者とかそういったことに対する安全性の告知というのも大事だという御指摘がありましたよ。まさにそういうことだと思うんですよ。自分たちはパロマの湯沸かし器の本体だけつくっている、あとは知りません、私たちは被害者ですよみたいな乗りは、そんなことは社内の中で、役員会の中で通じる話であって、世間では全く通用しないということを私は申し上げたい。

 まず、この一点だけお答えください。

川瀬参考人 先生からいろいろ御指摘がありまして、本当に真摯に反省しております。

 第三者委員会につきましては、確かに私どもが給料を払うことは払うんでございますけれども、やはり社内の意見だけではいけないという反省のもとにそういう方を招聘したわけでございます。

 第三者委員会のいろいろな行動がまた批判をいただいていることも承知しておりますけれども、私どもからこうしてくださいというようなことは一切申し上げるべきでもないと思っております。それで、とにかく第三者としての、我々に対する忌憚のない率直な意見をまとめていただくようにお願いしているところでございます。

 人選については私も正直よくわかりませんけれども、JR西日本の転覆事件を取りまとめになった先生だそうでございまして、私の個人的な認識はもちろんございませんけれども、JR西日本の転覆事件に対していろいろな、会社の問題点であるとか、あるいは消費者といいましょうか、そういう被害者の方の問題であるとか、そういうことを第三者としてきちんとおさばきになったということを評価いただいておりまして、適任の方ではないかというふうに考えておった次第でございます。

 ただ、いろいろ問題があるのは事実でございます。本当に会社を挙げてといいましょうか、総ざんげをして立て直しをやるべく今盛んに、一生懸命努力しているところでございます。

赤羽委員 もう余り深く聞くつもりもありませんけれども、今回の事故は、改造したのが修理業者だ、電源プラグが入っていれば事故は防げたんだと。これは裁判を抱えているからこういうことを言っているんだと思うんですけれども、その辺の御認識というのはどうなのか、ちょっとお聞かせいただけますか。自分たちは被害者なんだ、修理業者が悪かったんだ、不正改造が原因なんだ、こういう認識というのは変わっていないんですか。

川瀬参考人 お答えします。

 確かに、当初、不正改造が原因である、私どもは被害者じゃないかと思ったことは事実でございます。それは否定するつもりはございませんけれども、実際にこれだけの事件になりまして、また、回収してみますと二百二十六台という不正改造が事実出てきたわけでございます。

 そういうことからしますと、これはもう私どもの本来の、本質的な問題であるとの認識の上に立ちまして、回収及び一連の反省作業に入らせていただいているところでございます。現在、全く、被害者であるとか、改造は自分たちの問題ではないとかという認識にはございません。

赤羽委員 責任者じゃない方をいろいろ責めてもしようがないと、むなしい気持ちで次に移りたいと思います。

 今回の法改正の提出に伴って、役所からも聞いたり、いろいろ情報をとると、業界のそれぞれの対応が何か明らかに違ってきている、報告が物すごく出てきている。新聞なんかを見ていますと、社告というんですか、そういうのが四つも五つも、これは別にうれしいことではないんだけれども、前よりは随分よくなってきたという状況が、大きな変化が出ていると思いますが、この点について牧野参考人と青山参考人に、今のこの事故に関する報告に対する企業マインドの変化というのを、変わってきているという実感がございますでしょうか。

牧野参考人 先ほども御説明をいたしましたように、ただいま現在は経済産業省の通達と私どもの業界のマニュアルの二本を規範としてやっております。当然、いろいろなことがありますので、従前よりも予防的に、よく幅広に社告が出るような傾向が出ているのは事実だと思っております。

 以上でございます。

青山参考人 おっしゃるとおり、やはり企業の姿勢は少しずつではあるけれども変わってきたのではないかな。昨年の松下産業さんの、松下の事故以来、やはり早目にきちんと消費者に周知しておかなければこれだけの費用をかけなければならないんだというふうなことで、他山の石といいますか、そういうことがあって少しずつ変わってきたのではないかな。それは大変私どもにとっても選択の幅が広がるといいますか、そういうことで大変よいことだというふうに認識しております。

赤羽委員 法律の義務化というのは大事でありますけれども、それ以前にやはり企業のマインドとして、そういったものを消費者に、消費者はお客様ですから、お客様に告知をするというのは私は当然のあるべき姿だというふうに思っております。

 ただ、それを決断するには大変なリスクも踏むわけですから、これはトップマネジメントのあり方というのが非常に大事なのではないか。正直申し上げて、パロマさんに対することは、そこは全くなかったんだろうと僕は思うし、一方では、多分、松下さんについては対照的に、トップマネジメントに、そこに情報が行ったから決断をしたということがあるのではないかと推測しますが、その点について牧野さんにお聞きしたい。

 あと、加えて、先ほども御質問ありました、やはり報告はしなければいけない、さはさりながら、中小企業なんかは会社がつぶれるという別のリスクもある。やはりこういったことについて何らかの対応を行政的にしていかなければ、なかなか今回の法改正の趣旨というのは進まない部分もあるのではないかと想像するのですが、家電メーカーの中は余り中小企業というのはないかもしれませんけれども、その点についてちょっとお答えいただけますでしょうか。

牧野参考人 繰り返し諸先生方から御注意がございましたように、情報がトップにまで達するというのがやはり重要な出発点だろうと思っております。私どものマニュアルにもその大切さは繰り返し記述をしてございます。

 そういった意味で、松下電産さんのケース、大変不幸な事故であったわけでございますけれども、その対応について言えば、私どもの共通の理解の上でやっていただいたので大変ありがたいことだと思っております。

 二つ目の御質問でございました、この法律に基づきます義務者は大メーカーだけじゃなくて輸入される方もいらっしゃいますので、その方々の中には決して大資本でない方もいらっしゃることは事実でございます。この法律が本当に法になった暁には、そういった方々にもこの法律を守っていただく必要がございます。その方々の社内組織が、必ずしも、ただいま現在十分な状況にあるかどうかについては若干の疑問なしとしません。

 先ほど、私どもプログラムをつくって努力したいと申し上げた中身には、そういった方々にも情報提供をし、この法律その他いろいろ御注意があったようなことについて努力をしていただくように、私どもとしては働きかけをしていきたいという思いを込めて申し上げたところでございます。

 よろしくお願いいたします。

赤羽委員 ありがとうございます。

 また、家電メーカーのノウハウを、私はこれは質問じゃなくて希望ですが、他の業界へもぜひ連動的に、こういったことがあるということをお呼びかけしていただきたいと強く要望させていただきたいと思います。

 次は、青山参考人にお伺いをします。

 やはり情報をいかにまず収集するかということで、私、先日の本会議で代表質問をさせていただいたときに、国民生活センターが管理しております国内最大の苦情相談の情報データベースと私たちは認識しておりますが、全国消費生活情報ネットワークシステム、いわゆるPIO―NET、これが他の省庁と接続ができていない。何でそういうことをすぐやらないのかな。経済産業大臣の御答弁はすぐやりたいと言っておったんですが、内閣府の担当大臣の方は何となくはぐらかされたような答弁がありまして、真意はちょっと定かではございませんけれども、このことについてどうかということが一つ。

 もう一つ、消費者への告知というのは言うほど簡単じゃないんじゃないか。松下の今回みたいにあれだけテレビで流されると相当認識もされますが、今考えているのは経済産業省がホームページに載せると。経済産業省のホームページって、私一度も見たことありませんし、こんなので告知できるのかなと私は思うんですね。先ほど牧野参考人は、各メーカーでお知らせアイコンというのがトップページにあって、そこをクリックするとという、いいアイデアだなと思いますが、消費者への告知について、消費者団体としての御要望があればお聞かせをいただきたい。

 以上二点、お願いします。

青山参考人 初めの国民生活センターのPIO―NET情報なんですけれども、これは本当に、おっしゃるとおり、ここは経済産業省のあれですけれども、内閣府、情報というのは収集して生かして何ぼかというふうに私どもは思っているんですけれども、収集するだけに躍起になっておりまして、それを開示されない。もちろんその収集したのは、いろいろな各地の、都道府県にある消費生活センターが事故情報を収集して、それをPIO―NETに載せるために、国民生活センターの情報じゃないんだ、各消費生活センターの情報なんだからうちは開示できないんだというのが一つの言いわけの要素のようなんですけれども。

 やはり私どもは、情報というのは生かして活用されて初めて社会に還元できるというふうに思っておりますので、これは本当に、各省庁縦割りなんて言っていないで、しっかりと一本化して、必要な情報は全部皆さんが使える。そういうことをしない限り、いかにこの製安法ができても、情報がそういう形で囲い込みされてしまうとなかなか有機的に利用できないということで、これはもう、こぞって情報を共有化せよということを、私どもももちろん常日ごろ言っているんですけれども、この委員会の皆様もそういうことでぜひ御認識を新たにして、どう言ったらいいのかということをぜひお考えいただければありがたいというふうに思います。

 それから、もう一つのお話なんですけれども、私どもも非常に心を痛める、悩むところなんですけれども、消費者のためにいろいろな活動をするという中で逐次改善していかなければならない問題なのかなというふうな気はいたしております。まずは、とにかく消費者団体も元気を出して、そして消費者にきちんとした情報発信をしていくということをやらなければいけないんじゃないかなということは認識しているところであります。

 以上です。

赤羽委員 どうもありがとうございます。

 最後に青山参考人にもう一問お聞きしたいんですが、私個人的には言いにくいことなんですけれども、この問題を議論すると、国の責任ももう一回明確にしよう、企業側、製造者側も明確にする。加えてやはり消費者の側の、安全な商品を選択するとか、安かろう悪かろうというのも少し改めてもらいたいというような声があったりとか、脚立なんかの事故でも、フックをかけないで倒れて、それを商品の安全性に問われるというのはどうなのかなとか、そんな話がよく出てくるというのも聞きますので、その辺、今回の法改正を機に、日本の消費者の側の考え方についてどういうような御所見があるのか、お聞かせいただきたいと思います。

青山参考人 私もとても悩ましいというふうに思っております。

 実は、先ほど来おっしゃっています松下の事故なんですけれども、あれは五月、六月になってもまだまだ消費者が使用していてぽつぽつと同じ型式があった、どうしてもっと早くお知らせいただかなかったのかというと、やはりまだ使用できていたから、あれだけのキャンペーンを張ったからわかっていたけれども、まだ利用できていたから使用していたというふうなこと。

 これはやはり、せっかくメーカーさんもそれから行政も、皆さんがお知らせしていただくのに、利用する側がそういう姿勢では安全文化社会というふうな構築はなかなか図れないということで、非常に私どもも唖然とする問題なんです。とにかく安全というのは自分自身もその一端、円の中の役割一つを担っているんだよということの周知徹底が文化として醸成していかなければならない、国民の意識として醸成していかなければならない問題かなというふうに思います。

 それから、済みません、先ほど一つ失念をしてしまったんですけれども、経済産業省のホームページに公開するというふうにおっしゃってありますけれども、ホームページを見てというのは世代的に、何世代から上はというふうに言うとちょっとやはりいけないかもしれませんけれども、こういうふうに事故に遭う高齢者だとかあるいは幼児、乳幼児とかというような形だと、もちろん乳幼児は親がおりますけれども、なかなかホームページにアクセスできない。

 そういう意味での周知徹底というのは、すごくホームページって簡単かもしれませんけれども、そうじゃない津々浦々まで情報をあまねく公開してもらうということは、やはりメディアにお願いをするものであったり、あるいは経済産業省の中でもいろいろな予算を組みして、安全週間で、ばんと生活の中の安全点検を行おうよとかというような形できちんとキャンペーンしながら公表していくというようなことが必要じゃないかな。

 本当にホームページというのはすごく簡単で、私も結構経済産業省やほかの省庁のホームページをよく見てはいるんですけれども、そういうのがリテラシーがあるのはなかなか一般広くという形にはならないので、そういう形にもあまねく公開していただく、情報を開示していくためには、やはりいろいろな方法を駆使してやっていただきたいな。そういう意味でのまた一つの役割を担うのは消費者団体でもあろうというふうな認識は持っております。

 以上です。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 きょうちょうだいいたしました三名の参考人の皆様の御意見をもとに、私どもも一日も早くこの法改正の施行と、また、私は、万が一の事故発生に際しての処理のよしあしが企業の評価になるというような新しい企業風土の確立を目指してしっかりと取り組んでいきたいと思いますので、今後とも御指導のほどよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 今回の法改正に当たりまして、それぞれの立場から御意見をいただき、ありがとうございます。

 今回の法改正案がパロマの一連の事故をきっかけに行われる、そういう意味でも、多くの皆さんが、未然に防げなかったのか、事故の拡大を防ぐことができなかったのか、この思いでは同じだと思っております。その点で、川瀬参考人に最初に何点かお伺いをしたいと思っております。

 パロマの報告書も拝見させていただきましたし、経済産業省の報告書はもちろんのことですけれども、そういう中のやりとりの中で、やはり事故原因としての不正改造の問題が言われております。その際に、不正改造を招きやすい、招き得る、そういう構造的な欠陥があるとお考えにならなかったのか。ハンダ割れしやすいということがありましたけれども、ハンダ割れしやすいということが不正改造の引き金になっているのではないか、こういう認識というのはパロマとしてお持ちになっておられないのか。その点を最初にお伺いしたいと思います。

川瀬参考人 ハンダ割れにつきましては、ハンダ割れそのものは確かにフェールセーフでございまして安全側に壊れるんですけれども、ハンダ割れがあったがゆえに、それを直そうとするときに、コントロールボックスをすべてをかえないで不正な改造に結びついたということがあったと思います。

 ただし、私どもの認識が、今から思えば非常に問題があったんでございますけれども、不正改造というのはいわゆる消費者の方ができることではなくて、くどいようでございますけれども、修理業者の方がおやりになることじゃないかと。被害者とかいうことではなくて。

 ですから、私どもの行動としては、やはりハンダ割れというものは、今ではもちろんそういうことは考えられない。といいますのは、すべて、二十年たちまして半導体も小さくなりまして、コントロールボックスというのは非常にコンパクトにもなり、あるいはプラスチックで塗り固めてございますので、そういうことは起こらないんですけれども、昭和五十五年ごろの半導体といいましょうか、電気部品はかなり大きゅうございまして、そういうものを基板に取りつけましたときに、いろいろな振動等でハンダクラックが入るということは間々ございまして、これは当該七機種の問題だけではなくて、類似の機種でもハンダ割れというのは起こっておりまして、そのためのまた改良も加えているわけでございますけれども、ハンダ割れが直接欠陥ではないと考えております。

塩川委員 結果としてそれが不正改造という、起因させるものとなったわけで、それによって亡くなられた方もいらっしゃる、重症、軽症の方も含めて多数生まれたという事実は、その時点では当然把握をされておられるわけですから。その後、ハンダ割れしやすいものについては改良を重ねて、それ以降についての欠陥の数が少なくなったということもあるということであれば、なおさらのこと、過去にさかのぼって、ハンダ割れしやすいものについて、これを是正を求める、回収する、あるいは修繕、修理を行う、そういうことが必要だったということだと思うんですけれども、それについての検討というのは当時されたんでしょうか。

川瀬参考人 その件につきましては、るる申し上げておりますけれども、私どものやった行動というのは、今から思えば問題がございましたけれども、いわゆる修理をなさる方へのPRといいましょうか、講習を延べ四千人やるとか、あるいは業界に働きかけてパンフレットを四万部つくってお配りするとか、要するに、そういう業界の、改造をなさる、修理をなさる方への情報提供にとどまったというところがございまして、それが問題であったということも反省をしております。

塩川委員 今の答弁にもありましたように、いわばガス事業者に対しての周知が中心であって、製品そのものの欠陥について、みずからその点を是正するというお考えはなかったということだと思います。

 そういう点でも、私、改めて企業としての体質が問われてくると。先ほどの質疑者の方に対する川瀬参考人のお答えの中でも、企業体質が問題ではないかというのに対して、いろいろ問題があったので反省をしていると述べておられましたが、いろいろある問題というのは何なのか。企業体質ということで、今、会社としていろいろある問題と言っている、その問題は何なのかについて具体的に示していただけますか。

川瀬参考人 先ほど申し上げましたことと重なるかもしれませんけれども、私どもの安全、品質に対する考え方の中に、メーカーとしての、例えば私ども品質管理部というのがございますけれども、やはりそこで主に取り扱っている情報が製造側の情報であった。やはり消費者側の情報をストレートに取り入れて、お客様のこういう声がある、あるいはこういう事故があるということをストレートに社内に受け入れて、そういうことをもっと改善するための組織を品質管理部というところとは別につくっていこうと。そういうところに、また、私どもの社内の考え方だけではなくて、消費者代表の方も含めて、社外の方の知恵も拝借してやっていこうというところが大きな改善の点だと認識しております。

塩川委員 品質管理という、製造物、製品の安全という側面ではなくて、消費者サイドでの企業としての対応をきちんととることが必要だったんだ、その点が欠けていたということですけれども、それだけなんでしょうか。

 そもそも、この間、地元の愛知などでも、いろいろ関係者の方でお話をお聞きしていても、要するに、上意下達の会社のために情報が上に上がっていかない、改善が進まない、中には、取締役といっても平と同じだという声なんかを出される方もおりますし、支店長であっても文句を言えば飛ばされるですとか、そういった物を言える雰囲気でないという企業体質というのがこういった事故隠しにつながっているのではないか。どうお考えですか。

川瀬参考人 お答えします。

 先生今言われるようなことが、具体的に私自身が感じているわけではございませんけれども、今先生がそういうことをおっしゃるということは、社員一般の中にそういうこともあろうかと思いますので、確かに情報というのは、私、先ほど消費者の情報をストレートにと申し上げましたけれども、やはり社内の、上意下達ではなくて、その反対の、一般社員の情報を早く吸い上げるということも当然必要だと思っております。そういう組織も今つくっておりますので、消費者の声あるいは社員の声、そういうことが経営にストレートに反映するようにこれから努力を重ねてまいりたいと思っております。

塩川委員 この間、愛知を中心とした工場におきましては、パート労働者の解雇が行われております。パートの労働者の方、何の責任もありませんよ。何の責任もない労働者に解雇を迫って、経営者は何の責任もとらない。これこそ逆立ちしているんではありませんか。社員の声を聞くといっても、その声を聞くべき社員に対してしわ寄せをして、責任をとるべき経営者が何らその姿勢を示さない、こういうやり方が逆に企業の信用を失墜させているとお考えにはなりませんか。

川瀬参考人 お答えします。

 先生、今、パートタイムのお話でございましたけれども、確かに、私どもとしても緊急事態でございましたので、いろいろ手違いもあったようでございますけれども、結果的に約百名のパートの方に仕事をかわっていただくようにというお願いはいたしまして、ただし法令の違反にならないようにということで、二カ月間を限度にして六〇%の賃金を補償させていただいて、できるだけ私どもが他社への仕事をあっせんするという形の努力を努めてまいりまして、十人ちょっとぐらい残られましたけれども、それ以外の方はすべて他社へお仕事を決めていただきまして、残られた十数名の方は再雇用といいましょうか、もとの仕事に戻っていただいたというふうに認識しております。

 できるだけ、私どもといたしましても、我々経営者の問題でございますこういう事件、社会をお騒がせした事件が、確かに先生おっしゃいますように、一番弱い立場の労働者の方に降りかかるということは本当に避けておかなければいけないことでございまして、その辺は肝に銘じてやっているつもりでございます。そのために費用等ももちろんかかるわけでございますけれども、やはり弱い立場の方を守るということは、私ども経営者としても考えているつもりでございます。

塩川委員 経営者の責任の問題についてはお答えがありませんでした。

 私、重ねてお聞きしたいんですが、ここにパロマのホームページ、小型湯沸かし器についてのコマーシャル、広告のものであります。ここに「二十五年間一千二百万台以上 不完全燃焼無事故の安心給湯器。」「安全第一のパロマだから。」、こういう主婦の方の吹き出しの言葉で出されております。これは事故発覚前ですからこういうことでしょうけれども。二十五年間一千二百万台以上、無事故、安全第一のパロマだからということを掲げているその二十五年間の間に、今回の二十八件の事故、二十一人の方がお亡くなりになり、少なくない方が重症、軽症のさまざまな被害を受けられた。このギャップの大きさというのに大変衝撃を受けるものであります。

 先ほどのお答えの中でも、消費者の安全という面が欠けていたとおっしゃっておられましたが、消費者の安全という面が欠けていたのに、しかし広告では無事故とか安全第一のパロマだからと宣伝しているというのは、どういうことなんでしょうか。その点について、その非常に大きなギャップについて、私、非常に憤りも覚えるわけですけれども、お考えをお聞かせください。

川瀬参考人 私どものその紙でございますけれども、私ども、確かにいわゆる不完全燃焼防止装置を搭載した器具のPRをしていると思うんですけれども、不完全燃焼を搭載した器具は、先ほど先生お話がありましたように、累計一千数百万台、一件も事故がございません。ただし、今回事故を起こしました該当七機種に対しましては、まだ不完全燃焼防止装置が世の中に出てくる前の器具でございまして、二十数年前の開発で、昭和五十五年の開発なのでございますけれども、そういうものに対してはこういう残念な事故があったのは事実でございます。

 確かに、そういう一部の安全装置を搭載したものに対して紙を用意したということは不用意だったと思いますが、そういう趣旨のコマーシャルペーパーだったというふうに理解しております。

塩川委員 であるならば、不完全燃焼防止装置を今言った欠陥事故を起こした器具につけるということであってこそ初めて安全第一と言えるのではありませんか。なぜそのときに、不完全燃焼防止装置を装着する、そういう判断をとらなかったのか。そこにパロマとしての体質の問題があるのではありませんか。改めて、いかがですか。

川瀬参考人 不完全燃焼防止装置は確かに優秀な技術だと思います。ただ、これを簡単に現場サイドで取りつけるというわけにはいかなくて、やはりもともとの製品を開発いたしまして、認証を受けまして初めて製造、出荷できるわけでございます。ですから、私どもとしても、古いといいましょうか、その前の、安全装置のついていない、不完全燃焼防止のついていない器具に対しましては、いろいろガス供給事業者の方々とも相談しまして、新しい安全な器具にお取りかえできませんでしょうかというような活動も随分したつもりでございます。

 確かに、不完全燃焼防止装置というものが後で付加的に追加できるものであれば当然そういう処置ができたと思うんですけれども、やはり構造が全く違いますのでそういうことが簡単にできない、もう一度型式をつくり直し、承認をとり直し、それを製造して、やっとお客様の手元に入るということでございます。

 そういうことで、安全を担保するために今先生がおっしゃいましたような不完全燃焼防止装置を搭載しなかったということは、そういうことでございます。

塩川委員 一九八六年ぐらいに三洋電機の石油ファンヒーターの事故が相次ぎまして、このときもたくさんの方が亡くなられる大問題となりました。その際にも、JIS規格という形で、業界団体としての、不完全燃焼防止装置を装着するということがその時点で確認をされたわけであります。

 私どもは、この点で、経済産業省として、当時の通産省がこのパロマの事故について九一年、九二年で認識をしたときに、不完全燃焼防止装置をきちんとつけろと、義務づけるということを行っているべきだったと思いますよ。それは経産省としての責任が問われると思いますけれども、しかし、メーカーとして、不完全燃焼防止装置を装着している、安全第一のパロマだということを売りにしているのならなおさらのこと、みずからの製品に対してこの点について改めて検証していくということが求められていたわけであります。その点での責任が改めて問われてくると思います。

 パロマが七月三十一日に経産省に出した事故調査報告書の中で、再発防止策のところにこういうふうに書かれております。「器具の劣化についての危険性をガス器具使用者に認識していただくためには、製品の使用期間の目途があることが望ましく思われます」という要望であります。ですから、製品が古くなったことについて、いわば期限を決めて、それ以降は消費者の責任だ、メーカーの責任はないんだという中身ですよ。

 事故再発防止のためには新品を買えということなのか、こういうことをパロマとして要求するのか、こういう姿勢がそれでいいのかということが問われているのではありませんか。

川瀬参考人 先生の御指摘のように、確かに古い器具で事故が起こったのは事実でございます。そういうものに対して、我々メーカーとしては確かにお取りかえをいただければ一番よろしいわけですけれども、それはなかなかまだ難しい点もございます。この点につきましては、私どもの工業会でも各メーカーがそういう悩みを共有しておりまして、ただ取りかえてくださいというお願いではなくて、むしろ、自動車にありますような定期点検といいましょうか車検のような形で、ある程度期間がたてば再度見直すチャンスを我々メーカーにいただけるような何か手段ができないだろうかということで、今、工業会として検討もしております。

 もちろん、お買いかえが、私どもの負担といいましょうか、消費者の負担にできるだけならない形でお取りかえがお勧めできればそれもお願いしたいと思いますし、確かにこういう技術進歩の時代でございまして、先ほどお話がございましたように、二十年間で相当な技術進歩がございます。先ほど申し上げました不完全燃焼防止装置というのは日本でだけできたものでございまして、欧米の湯沸かし器にはついていないのでございますけれども、そういうものも日本の業者としてはいろいろやってきましたけれども、逆に、そうすれば古い器具がそれだけ相対的に安全でなくなっているという事実もございます。

 ですから、なるべく古い器具を新しい器具にといいましょうか、古い器具は点検させていただくというようなことを何とか制度上お願いできないかなという気持ちでその対策書を書かせていただきました。

塩川委員 まだ欠陥のある製品を回収中なのにこういった要望をすること自身の姿勢が問われているんじゃないでしょうか。

 最後に、時間になりましたので、青山参考人と牧野参考人に一点お伺いいたします。

 事故情報の収集に当たりまして、任意の事故情報の報告制度についてこれまでも行われてまいりました。当然のことながら、重大製品事故ということでの義務づけがありますから、従来のようなやり方ではなくて、いわばその周辺の情報をきちんと寄せてもらうということが重要だと思っております。

 火災についても、消防本部が認定をする云々というのがありますけれども、それ以外の火災はどうするのかというのがあります。重傷三十日以上となっていますから、三十日未満についてはどうなるのか。特に小さな乳幼児がかかわるような、子供さんがかかわるような事故についてきちんと寄せてもらうということが必要だと思うんですが、そういう点で、それぞれメーカーサイド、消費者サイドについてどう任意の事故報告制度があるべきなのか、お考えがあればぜひお聞かせください。

牧野参考人 新しい法律が実際に運用されますと、運用上は細かい定めがされておりませんので、実際の運用を見て、それを見ながら個々具体的に、こういうものは必ず報告しなさい、こういうものは報告する必要はないというのを判例的に積み重ねていっていただけるというぐあいに審議会等でお伺いをいたしております。

 そういったような積み重ねをしながら、できるだけ負担は少なく、しかし必要な情報が集まるということをやっていただく必要があろうと思っておりますが、法律で報告の必要のない品質その他のものについては、引き続き私どもとしては団体の中で委員会をつくって検討してまいりたいと思っております。

青山参考人 世の中には、非常にヒヤリ・ハットするような、重大な事故には至らないけれどもヒヤリ・ハットするような事故というのはたくさんあるわけです。そういうような中から、やはり消費者が安全に使用できる情報というのはすごく入っているわけで、そういう意味では、任意に報告をしていただける情報というのもすごく大事になってくるんじゃないかなという気がいたします。

 今回、法律では非常に重篤な事故ということで規制をかけているわけですけれども、それ以外の周辺事故情報というのも、これはもう消費者にとって非常に重要な情報というふうに思っています。そういう意味では、いわゆる製品評価技術基盤機構、NITEさんであるとか、それから先ほどの国民生活センターですとか、そういうところに入ってくる情報をしっかりと収集して、消費者に安全使用をさせるための使用方法の提供というような部分でしっかりと活用をしていただきたい。

 そういう意味では、やはり集める情報というのはより多い方がいいわけで、そこのところで、先ほど申し上げました、経済産業省も、すべて公表するかとか二次公表をどうするかといろいろいろいろ大変だろうと思いますけれども、しっかり予算をつけて、しっかと選別しながら、精査しながら、緊急なものはしっかりと、それからヒヤリ・ハットの部分は消費者に任意に情報を提供して、こういう形で安全な生活をしようねというふうな情報の提供のあり方ということを考えていただければありがたいというふうに思っております。

 以上です。

塩川委員 終わります。

上田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十七分開議

上田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 内閣提出、消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案について議事を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官堀田繁君、消防庁次長大石利雄君、経済産業省大臣官房商務流通審議官松井英生君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長広瀬研吉君及び国土交通省大臣官房審議官和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北神圭朗君。

北神委員 民主党の北神圭朗でございます。

 本日、午前中に参考人質疑がありまして、私も大変勉強になりましたが、午後、採決の前に、残りわずかの時間、質問をさせていただきたいと思います。

 これまでの審議の中で、総論的な論点は大体いろいろ議論されてきましたが、きょう、私は、運用の面の話と、あと運用を実効あらしめるための体制整備の話と、時間があれば、罰則とか実際に企業側が法律を守るインセンティブづくりみたいな話と、四点目に消費者の意識の喚起のお話をしたいというふうに思います。

 まず、この前の代表質問でも質問をさせていただきましたが、パロマのガス瞬間湯沸かし器の一酸化炭素事故におきましては、実際、経済産業省にはこの事件が発覚する大分前から情報が入っていたというのが事実であります。それが役所の中の縦割りの担当の中で、なかなかその関連性とか全体像が見えなくて放置されてきたというのが事実だというふうに思います。それについては大臣も明確に責任をお認めになっているということでございます。

 こうした事態の反省から、今回の改正案におきましては、経済産業省の中にデータベースをつくったり一元管理をするという体制整備を進めるということになっております。これ自体も当然、大変結構なことでありまして、ぜひともしっかり進めていっていただきたいというふうに思います。

 しかし、経済産業省の中の縦割りの問題はさておきまして、経済産業省所管の製品評価技術基盤機構、通称NITEというものがあって、ここに既にそのような一元管理体制というものができているというふうに伺っております。実際にデータベースとかもつくっていると。

 これは、お配りしている資料の一ページ目にあると思いますが、そこの表がありまして、このNITEにおいては、右側にありますように、左の方の消費者から情報が直接間接に上がってきて、この製品評価技術基盤機構、NITEの方に情報が入ると、しっかりとそこで調査あるいは原因究明、場合によってはテストまでを行う。さらには、事故情報のデータベース化というものがある。そこでまたさらにそれが、経済産業省の方に情報が上がっていくということであります。

 申し上げたいことは、つまり、今回法案で新たに一元管理とかデータベース化とかそういった話が出ておりますが、実際に今までNITEの中でこういうことをやってきたわけですよね。これは経済産業省所管の独立行政法人ですから、今回の改正というのは、結局、NITEでやっていたことを経済産業省の中に持ち込むのか、あるいは同じように同時にやっていくのか、ちょっとその辺が私も不勉強なんですが。いずれにせよ、こういった一元管理体制が既にできていながらも、実際にこのパロマの事故において対応が極めておくれてしまった。

 したがって、質問としては、この字面だけ見ているとNITEでやっていることをまた経済産業省内でやるようなふうに受け取られるのですが、実際にどこがどういうふうに違ってくるのかということを質問したいというふうに思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、パロマ事件が起こった際、私、過去のパロマの事故報告書を全部めくって見ました。その結果、ほとんどが、事故原因の項目が調査中、そういう形になっておりまして、その後のフォローがなされておりませんでした。しかも、すべての事故報告書が紙ベースでなされておりまして、関係課の間でファクスでやりとりがなされていた、こういう状況にあったわけでございます。

 したがいまして、関係課の間で十分な情報の共有、連携というのがなされていなかった、かつ、人事異動で人がかわるたびにその情報が十分に後任者に移転されていなかった、このような結果になったのではないか、こういうふうに思っております。このような事態を生み出したことにつきましては、経済産業省といたしまして大いに反省をしているところでございます。

 したがいまして、このパロマ事故を教訓といたしまして、また、省内の事故情報を統合的に電子化いたしましてデータベースを構築いたしまして、省内の情報共有を徹底することといたしております。

 本データベースにつきましては、経済産業省に報告がありました事故情報の内容はもちろんのこと、事故情報に対する経済産業省の処理が適切に行われているかどうかがすべて一見してわかるようにするために、処理中、未処理あるいは処理済みといった対応状況も含めたものとして構築をしてございます。

 一方、先生御指摘の独立行政法人製品評価技術基盤機構におきましては、さまざまな情報提供者からの幅広い事故情報を四半期ごとに取りまとめてデータベース化してきたものでございまして、ただいま申し上げました事故情報の処理状況をリアルタイムでチェックするための経済産業省内のシステムとは目的を異にするものでございます。

 なお、今回の改正におきましては、消費生活用製品の安全性に関する技術上の調査を行うことをNITEの役割として明確に定めたところでございます。お尋ねのNITEのデータベースにつきましては、重大製品事故以外の事故情報を中心に扱うものとなりますが、経済産業省のデータベースと接続して相互に補完する役割を果たすことになると考えております。

北神委員 はい、よくわかりました。今までは紙だけで、しかもその継続性が役所の人事異動とかでなかなかつながらなかった、そこを改善するということだというふうに思います。NITEと両方相互補完でやるということであります。

 次に、パロマの事故、きょうも参考人質疑の中で出てきましたが、製造されたガス機器というよりは、むしろその安全装置の部分が改造されて事故の発生につながってきたと。これは、パロマさんの方が暗黙の了解でそういうことを許していたのかどうかとか、その辺の責任の所在というのはなかなか、諸説あるというふうに思います。しかし、いずれにせよ、事実としては、いわゆる改造がなされて、ガス機器の心臓部である安全装置というものがいじられてしまったということだというふうに思います。

 当然、今回の法案は、このパロマのいわゆるガス瞬間湯沸かし器だけを対象にしたわけじゃなくて、それに拘泥する必要はないと思うんですが、これが一番大きなきっかけとなったわけで、そういった意味では、この改造という部分にやはり対応していく必要があるというふうに思います。

 私も、提案としては、今は製造事業者と輸入事業者に報告義務を課しているけれども、できるならば、実際に改造を行う修理事業者とか設置工事事業者、こういったところに報告義務を課すべきだと思いますが、一つ目の質問としては、なぜそこができないのか。この前も代表質問で大ざっぱな答弁を大臣からいただきましたが、ちょっと詳しい答えをぜひお聞きしたいというふうに思います。

 さらに言えば、この改造ということですが、考えてみるならば、このガス機器というのは一定の危険性を有する製品でありまして、その安全装置について自由にだれでも改造できるということ自体がちょっとおかしいんじゃないか。したがって、この改造、特に安全装置みたいなものの改造について一定の規制というものもつけ加えるべきじゃないかというふうに思いますが、これは具体的に、例えば、こういった改造は危険性があるから許されないとか限定列挙をするとか、そういったいろいろな具体的な方法があると思いますが、この二点について伺いたいと思います。

広瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の一連のパロマ事故の一因といたしまして、安全装置を不正に改造することに対する制度的な歯どめが働かなかったことが挙げられます。このため、この点について制度的対応を図り、安全装置の不正改造を防止することが必要であると考えております。

 現在、ガス消費機器のうち構造、使用状況等から見て工事の欠陥により災害が発生するおそれが多いものにつきましては、特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律によりまして、特定の工事を行う場合、設置工事業者には有資格者に工事の監督を行わせることが義務づけられております。

 このため、今般、半密閉式ガス瞬間湯沸かし器などの安全装置の機能を変更する工事につきましても、安全装置の機能を停止させるような不正改造を防止するという観点から、有資格者による監督を義務づけるため、この法律の施行規則を改正いたします。

 また、安全装置が容易に不正改造されない構造であることをガス瞬間湯沸かし器の製造または輸入時の技術基準として追加するため、ガス用品の技術上の基準等に関する省令などを改正いたします。

 現在、これらの省令改正のための所要の手続を行っているところでございまして、このようにして、ガス消費機器の不正な改造が行われないよう、万全を期していきたいと考えております。

松井政府参考人 今先生の方から、修理事業者に報告の義務づけを行わないのか、こういう御質問がございましたので、お答えいたします。

 今回の改正案におきましては、製品の安全性に一義的な責任を有する製造・輸入事業者に対しまして、重大製品事故の報告義務づけを行い、設置・修理事業者には報告の義務づけは行わないことといたしました。

 設置・修理事業者につきましては、通常、製造事業者や販売事業者からの依頼を受けてサービスの提供を行うことが多いことから、製造事業者、販売事業者を超えて義務を課すことは適当ではない、こういうふうに考えておる次第でございます。

北神委員 二つ目の質問の件についてはよくわかりました。規則とかそういったところを改正して、実際に事前の規制を強化していくということだというふうに理解します。

 最初の質問の方は、報告義務は、一義的には製造事業者、そして販売事業者がある、したがって、修理事業者は彼らの依頼によって仕事をするわけだから、彼らに義務を課さないということだというふうに思いますので、その販売事業者の部分についてさらに質問させていただきたいと思いますが、これも報告義務の対象範囲の話であります。

 今回の法案では、先ほど申し上げたように、製造事業者、輸入事業者に報告義務を課す、一方で、販売事業者等は報告義務は課されない。先ほど、一義的な責任は販売事業者にもあるというお話を審議官されました。違いますか、あれは。製造事業者にあるんだということですね。(松井政府参考人「はい」と呼ぶ)わかりました。たしか言われたと思いますがね。それは違うということで、私もちょっと驚いたんですが、販売事業者には一義的な責任はないということですね。

 ただ、私が申し上げたいのは、販売事業者が消費者に一番近い立場にある。経済産業省にしてみれば、やはり迅速な情報収集を行うためには、本当は販売事業者というものも対象にすべきではないかというふうに私は思うんです。これは、実際、アメリカの消費者製品安全委員会という、CPSCというところでも、製造事業者、輸入事業者、さらに流通事業者とか販売事業者も対象に含めている。そういうことを考えると、本来は迅速にやるべきだ、やるべきだし、そのためには、販売事業者にも報告義務を課す方が望ましいというふうに思います。

 この点について、何か、それは第一義的な理由、責任はないということだと思いますが、私は、だから、それは第一義的な責任はないかもしれないけれども、情報収集の迅速性を考えると対象にすべきじゃないか、何か、それがだめだという大きな理由があるのかどうかということをお尋ねしたいというふうに思います。

松井政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、製品の安全性に一義的な責任を有する製造・輸入業者に対しまして、重大製品事故の報告義務づけを行いまして、販売事業者や設置・修理事業者には報告の義務づけは行わないことといたしました。これは、販売事業者につきましても、製品の安全性に一義的な責任を負う製造・輸入事業者から製品を購入、販売する立場にございまして、安全性の確保に関しまして、製造・輸入業者と同等の責任を負わせるのは適当ではないというふうに考えたためでございます。

 また、仮に販売事業者に報告義務を課した場合には、販売事業者は非常に多くの多種多様な製品を取り扱うため、販売後長期間にわたりましてその販売した製品すべてについて把握することは現実的に困難でございます。特に、多くの零細な販売事業者にとりましては過度な負担となりかねないということでございます。

 しかしながら、やはり消費者に一番近いところにおられるのが販売事業者でありまして、消費者から事故情報等々を受け入れる可能性は非常に多うございますので、消費者の方から事故情報を受け取った場合には製造事業者あるいは輸入事業者に通知をする、あるいは、そのような情報を得たことをほかの消費者の方にお知らせをして同じような事故を起こさないような警鐘を鳴らす、あるいは、同様の製品を消費者がお買いになるときにこのような問題があったというようなことを注意を申し上げる、さらには、常にやはり安全という観点から消費者に対して物を販売するという姿勢を徹底して、安全な製品の設計をメーカーに対して提案する、あるいは、安全性のすぐれた製品を仕入れるなどなど、さまざまな形で安全性の確保について努力をしていただくことをお願いしたい、こういうふうに考えております。

北神委員 販売事業者に報告義務を課さない二つの理由として、一つは、第一義的な責任を負わない、それはそうかもしれませんが、要するに、人の生命あるいはその身体に係る安全を確保する話で極めて重要な話ということを考えると、情報収集をやはり迅速にしなければならない、次、もしかしたら、それがおくれてしまったら、だれかがけがをしたり、あるいは死んだりしてしまう、そういうことを考えると、私は、依然として必要だなというふうに思います。

 また、二つ目の理由は、たくさん多過ぎる、これも、確かに物すごく多いと思います。ただ、これはまた後ほど議論をしたいと思いますが、こういったいわば事後規制というものを整備するときに、これを実効性あらしめるものにするためには、それなりの、非常に、人材、人員確保、予算あるいはその司法的な権能みたいなものも備えるとか、そういったことが多分必要になってくると思うんですよ。また後で議論しますが、今の経済産業省の体制では、なかなか、恐らくそれは非常に物理的に難しいという状況が本音の理由じゃないかなというふうに勝手に解釈をしております。それは、だから、今回緊急な話ですから、別に異論を唱えるつもりはないんですが、そうした考えに基づいて、次善の策として運用面で何とか確保していかないといけない。

 というのは、今回の法案は、製造事業者と違って、販売事業者とか修理事業者については、何か製品事故があった場合には、製造事業者、輸入事業者に通知をする努力をしなければならないと、努力規定になっているわけですよね、義務というよりは。それはそれで次善の策としてはしようがないと思いますが、それを実際に可能にするというのはなかなか大変なことだというふうに思うんですよ。

 おっしゃったように、たくさん販売事業者というのもいるし、修理事業者、設置工事事業者を含めると巨大な数になってしまう。こういった人たちに通知をする努力というものを課すというのは、それは、放置して、努力規定だから別に勝手にやったらいいじゃないかということだったらほったらかしにしたらいいかもしれないけれども、やはりそういうわけにいかないわけですから、そういうことを考えると、やはりその体制整備というものをやっていかないといけないんじゃないか。

 具体的に言えば、恐らく販売事業者も、この法案が通ったとしても、実際にそういう法律が改正されたということもなかなか認知はされない。そういう意味では周知徹底というものも必要になってくるし、そういったことになれていなければ、その販売事業者において、窓口はどこにするのかとか、担当をどうするのかとか、あるいはその連絡体制というもののいわば危機管理マニュアルみたいなものもつくっていかないといけない。

 そういったことをしなければ、結局、法律だけ改正されて、通知義務があるよと言いながら、実際何も機能しないというおそれもあるというふうに思いますので、これはアメリカとか諸外国比較すれば、販売事業者も当然本当は報告義務を課すべきだと思うんですが、次善の策として、やはり運用面できちっとそこの体制を整備すべきだと思いますが、お考え、どうでしょうか。

松井政府参考人 今、北神先生がおっしゃるとおりでございまして、我々といたしましては、この法律にございます販売業者の努力義務をしっかり実行していただくために、事故情報の収集、提供体制の整備を含めて、自主行動指針を経産省として策定いたしまして、これはさまざまな規模、態様がございます、さまざまな販売事業者の業界ごとに適切な形にその指針をうまくつくりまして、それに基づいてしっかりとした対応をとるように指導をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

北神委員 この自主行動指針というのは、具体的に、簡単でいいですけれども、どういうことを規定しているんですか。

松井政府参考人 先ほどの御質問でお答えいたしましたように、まず、そのようなクレームが来たら、その会社のトップまで早急にその情報を上げて、そしてそれをメーカーに通知すること、あるいは、当該情報を次のお客様の消費行動に警鐘を鳴らせるように一般消費者の方にそれをPRすること等々、具体的な安全情報の収集提供体制について自主行動指針をつくっていきたい、こういうふうに思っております。

北神委員 内容は恐らくそういうことでいいと思うんですが、なかなか数が多いから、人員が少ない中で周知徹底が非常に大事になってくると思いますので、そこをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 あともう一つ、運用面での問題を取り上げていきたいと思うんです。

 例えば、消費者が古い電気製品なんかをずっと使用し続けていると、二十年前のものを使っていると、その電気製品をつくった会社が倒産あるいは廃業することもあり得るというふうに思います。あるいは、そんな長い間使っていなくても、景気が悪くて業績が悪ければ、その会社が、製造事業者が、あるいは輸入事業者が倒産、廃業に追い込まれる、そういうことも十分考えられるというふうに思います。その場合は、報告義務とかいっても、もう報告義務をするところがないので、そういった場合は、当然経済産業省がみずから乗り出して情報収集をして、分析をして、さらにまた消費者に周知徹底をしないといけないという大変な作業があるというふうに思います。

 これについてどのように運用面で考えておられるのか、教えていただきたいと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案におきましては、「主務大臣は、重大製品事故に関する情報の収集に努めなければならない。」旨の責務規定がございます。経済産業省といたしましては、この規定を踏まえて、警察等の関係省庁や消費者団体との提携、通達に基づく任意の事故情報収集制度の運用などを通じて、幅広く事故情報の収集に努めてまいることとしております。

 今先生御指摘のような、重大製品事故の報告を行う義務者である製造・輸入事業者が倒産やあるいは廃業をしてしまった場合の製品事故につきましても、これらを通じて必要な事故情報を収集して、消費者に周知するため、適切に公表を行ってまいる所存でございます。特に、NITEの組織などを使いまして、そのような場合には積極的に消費者に対して警鐘を鳴らすべく努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。

北神委員 私も想像はつかないんですけれども、どのぐらいそういう事例が出てくるのかわかりませんが、そういうことが起きたら今言われたような方法しかないんでしょうけれども、非常にこれも大変な作業だというふうに想像します。特に、今の体制の中ではなかなか厳しいものがあるんじゃないかというふうに思います。それについて、また後ほど議論したいと思います。

 もう一つ、その前に運用の問題として取り上げたいのは、今回の法案は、製品事故という定義上、製品の欠陥によって生じたものではないことが明白な事故については、要するに、製品そのものの欠陥によって発生した事故でない場合は、報告義務の対象になってこないというふうに理解しております、報告義務の対象から除外をされると。例えば製品を使って自殺を図るとか、そういったときは当然除外される。

 もう一つは、製品外の事故によって何か事態が発生した場合、例えば自転車に乗っていて自動車に当てられたとか、そういった場合は別に自転車のせいじゃないので、こういった場合は報告義務から外れるということであると思います。これは非常にわかりやすい例なんですが、実際、なかなかわかりにくい場合が現実には起こってくるということで、一般消費者がその製品の目的と違うような使い方をする場合や、あるいは使用している人に重過失がある場合、こういった場合は、結局それぞれ個別の判断に任せるということになると思うんですね、この法律の構成上。

 これがなかなか難しい部分で、例えば、今回話題となった家庭用シュレッダーで幼児が指を切断してしまった。これは、ある意味ではその目的、製品の欠陥、そこら辺は非常に判断が難しいんですけれども、目的外の使用をしているという部分もあるし、この場合は報告義務の対象になるという整理になっていると思います。一方で、てんぷらなべをこんろの上で火をつけて温めている、ちょっとそこから離れる、そして発火して火災になってしまう。これは重過失の場合になるんだろうと思いますが、この場合は、私が調べた感じでは報告義務の対象にならないというふうになっております。

 この辺は私もわかりやすい例を申し上げましたが、こういったいろいろ、私もなかなか想像力が乏しいので全部想定できないんですが、非常にわかりにくい部分も出てくると思うんですよね、実際の運用上。製造事業者、輸入事業者、あるいは通知の努力義務を持っている販売事業者、修理事業者にとって、これはどう判断したらいいのかどうか、非常にわかりにくいときも出てくると思います。

 そういった意味では、こういった個別の判断に任せられている部分については、ある程度わかりやすい基準というものを設ける必要があるのではないかというふうに思います。事業者もどの案件を報告したらいいのか困惑する。場合によっては、面倒くさいからこんなのはいいだろうというふうにだんだん人間の心理で報告をしないようになってくることも考えられるわけであります。

 こういったことを踏まえると、消費者保護の観点からすれば、製品に欠陥があるのか、あるいは製品事故の原因がその製品そのものにあるのかどうか疑わしいものについては、基本的に報告義務の対象とすべきだと思うんですね。これは非常に面倒くさい話かもしれませんが、やはりさっき言ったように人の命にかかわる話でもありますので、そういったところはできるだけ厳しく、疑わしきを罰するじゃないんですけれども、疑わしきについては報告義務を課すというふうにすべきだというふうに思います。

 この法案の趣旨並びに皆さんの今後の運用において、そういった、今私が申し上げた考え方が反映されるのかどうか、伺いたいというふうに思います。

松井政府参考人 今回、法の対象となります製品事故は、事故の原因にかかわらず製品の使用に伴って生じた事故を幅広く対象としておりますが、先生御指摘のように、製品の欠陥によるものでないことが明らかな事故については対象外としております。

 それで、欠陥によるものでないことが明らかな事故とは、典型的には、これも先生が例示で挙げられましたように、製品の使用者が故意に人を傷つけた場合や自殺した場合、また、製品自体は安全に機能している状態で偶然交通事故に遭うなど、外的な要因により事故が起きた場合を考えております。

 また、著しい誤使用による事故などにつきましても、限定的に報告義務の対象から除外することが適当と考えております。ただし、このような場合につきましては、除外対象を明確にするため、具体的な事例を経産省のホームページ等で列挙し、これに明確に該当する場合のみ報告を要しない運用としたい、こういうふうに考えております。

 なお、具体的な事例を列挙する際には、事前に第三者委員会での意見を踏まえながら検討していくことを考えております。

 いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、製品の欠陥が原因かどうか疑わしいものは、基本的に報告義務の対象になるものと考えております。

北神委員 ありがとうございます。

 今、ホームページに除外される部分について列挙するという話ですよね。それは、事前に第三者機関で諮ってからそういうものを載せるということでありますが、先ほどの参考人の話もありましたけれども、ホームページを見るという習慣もなかなかついていない事業者もあるだろうし、そういったところを本当に周知徹底していかないといけないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

松井政府参考人 先ほどの参考人の御質疑のときにも、経済産業省あるいはNITEのホームページは普通の方はごらんにならない、こういう御指摘もございました。

 したがいまして、我々は、新たに事故情報を集めたポータルサイトみたいなものを開発して、事故というものについてそこさえ見ればさまざまな情報にアクセスできる、このようなものをこれから検討してまいりたい、こういうふうに思っております。

北神委員 ぜひ、その辺、しっかりポータルサイトというものをつくって、それも、そういうものがあるよということを当然幅広く通知する必要があるというふうに思います。

 これは、私も決してけちをつけるつもりはなくて、あらゆるこういった企業を対象にする法律について、現場の、地元の企業とかの人たちはなかなか実際知らないという場合が非常に多いということを考えると、それは、補助金が出る話とかそういった件についてもそういうわけですから、ましてやこういう製品の安全について報告をするとか、こういった点についてはますます、自然とそういうものを探して情報を見ようというインセンティブはなかなかないと思いますので、普通以上にそこは通知の努力が必要だと思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 ここで視点を変えまして、もう少し大きな視点で議論をしたいと思います。

 今までも、運用の話をずっとさせていただいて、基本的に審議官の今の答弁を聞いていると、非常に運用面についてもいろいろと考えておられる。それを実際に実行する場合に、これはやはり人が必要なんですよね。これはもう物理的に大変な話だというふうに思います。ですから、そういった部分を含めて、この法律を通す、そしてその運用というものもどんどんこれから整備をしていく、そういった中で、机上の空論に終わらないためには、実際にそれなりの当局のマンパワーとか調査能力、そういったものが非常に求められるということだと思います。

 その前段としてちょっとお聞きしたいのは、この前もたしか牧原委員の資料にありましたが、製品事故というのが、パロマとかだけじゃなくて、全体として、ソニーのリチウム電池の話とか、いろいろ最近製品事故がふえてきているように見受けられます。これは、報道のニュースとかだけ見ていると、そういったものがどんどん出てくる。この前の牧原委員の資料を見ても、急にここ数年事故がふえてきている。これは、今までそういう情報が上がってこなかったのかどうかわからないんですが、私の皮膚感覚でいっても、非常に日本の製品事故というのが急増している。

 こういったことを考えると、一体この原因は何なのか。余りにもちょっと不思議な、突然事故がふえているというのは一体どういう原因に由来するのかということをお聞きしたいというふうに思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 独立行政法人製品評価技術基盤機構の事故情報収集制度によりますれば、平成七年度に報告された製品事故が約千件なのに対しまして、平成十七年度における製品事故は約二千四百件に増加しております。この理由につきまして、十分に分析はできておりませんけれども、とりあえず幾つかの原因ではないかというふうに考えております。

 まず第一点目は、製品の機能の高度化が進み、さまざまな機能を持った製品が次々と市場に送り出されております。また、シュレッダーのように、事務用機器が家庭に普及するなど、消費者の使用形態の変化と多様化も進んでおります。このように、消費者が接する製品の種類と数が増加しているということが事故を増大させている一つの要因と考えられます。

 また、二つ目は、製造事業者も、機能の高度化やコストダウンを優先して、相対的に安定マージンの確保をおろそかにしていたという面も否めないというふうに考えられます。

 さらに、ひっくり返ったら、倒れたら火が消えるストーブ等々、フェールセーフ機能を備えた製品に消費者がなれてしまいまして、結果として消費者の製品の危険性に対する認識が若干弱まっているのではないかなということも考えられます。

 さらに加えまして、製品事故に対する消費者、世論の感度が高まってきており、製品事故と認識される事故が増加していることなどが考えられます。

北神委員 いろいろな要因を挙げられました。恐らく、最初の消費者の多様化の話とか、製品がいろいろ高度化している、こういったことと、企業のコストダウンの話とか、これら全体を含めると、大分、橋本内閣の時代から言われているように、大競争時代に突入してしまっている、非常に企業間の競争というものが激しくなってきている、そういったところでなかなか品質管理とかそういったところがおろそかになってきているというのが一つの大きな原因だというふうに思います、そのコストダウンの話とかそういうのを含めると。

 そういうことを考えると、今後も恐らくなかなかこういった潮流というのはとめようがない、非常に競争も激化する時代にもう入って、それもなかなか変えることはできないという中で、絶えずコストダウンのインセンティブというのは非常に強くなってきている。

 私も代表質問で申し上げましたが、非正規雇用ですね、パートとか派遣社員、これは当然人件費が安くなるわけですよ。企業の方も、私なんか地元の中小企業の社長さんとかとお話ししていると、本当は正社員を雇いたいんだと。正社員を雇わないと、やはり品質がどんどん落ちていく、たくみの伝統というものがどんどん絶えてしまってくる、その危機感は一方であるんだけれども、でも、今回の業績を考えると、決算を考えると、どうしてもやはりそっちの方に、安易な方に流れてしまうと。そういう非常に熾烈な競争の中で、やむを得ず品質管理というものが、ある意味で犠牲になってきている部分もあるというふうに思うんですね。

 こういった時代がなかなかもう変わらない、そういう中で、やはり今回の法案も、まさにその象徴ですが、事後規制というものをきちっと整えていかないといけないということだというふうに思います。

 先ほど何回も申し上げておりますが、私もこの質問の中で、できるだけ皆さんにもわかりやすく、これはなかなか大変だと。法律で書くのは簡単だし、大体の総論的な論点についてはだれも異論はないというふうに思います。しかし、実際に運用をしたり、万全を期すということに当たっては、非常にたくさんの人が必要になってくるし、その人材も、ただ片手間に、ほかのことをやりながらこの製品安全の仕事もするとか、そういうのでなかなか対応できなくなってくるし、そういった意味では、当然、予算の裏づけというものも必要になってくる。

 そういう意味では、一つ申し上げたいのは、今の経済産業省の体制、この資料の二ページ目にありますが、これは、日米の報告義務制度の比較というもので、経済産業省の方でつくっていただいたんですが、左側が日本で右側が米国だと。いろいろ違いがあって、簡単に言えば、やはり米国の方がかなり権限を持っているし人員も持っている、そういった体制が非常に整備されている。当然、向こうの方が経済規模も二倍ぐらいですから、それは簡単には比較できないというふうに思うんですが、それにしても、日本の、例えば一番上の方の担当行政庁のところに経済産業省があって、組織人員、製品安全課が二十五名だと、二〇〇六年時点ですね。その下のNITEがありますが、これが、製品安全業務担当職員数が六十七名ぐらいだと。全部で九十二名ぐらいかかわっている。

 これは、当然、今回の法案は主務大臣に報告義務ということですから、経済産業大臣だけじゃなくてほかの省庁もかかわってくると思いますが、ほとんどが多分経済産業省だというふうに理解しております。右側のアメリカの方は、経済規模は大きいといえども、四百八十名ぐらいいて非常な規模だということです。これは、これに限ったことではなくて、何もこれは偶然の話でも何でもなくて、基本的に、私が申し上げているように、規制緩和をして、小さな政府になって、競争というものをどんどん促すような経済システムというものをつくる上で何よりも必要なのが事後規制なんですよね。アメリカは、あるいはイギリスもそうだと思いますが、そういった事後規制を非常に強化しているわけですよね、ずっと。

 このアメリカの消費者製品安全委員会もそうだし、向こうの公正取引委員会みたいなものも、日本の規模に比べたらもう巨大な規模と権能を持っている。さらに言えば、ホリエモンのあの問題でなった証券取引等監視委員会、これも、日本の方ではこの前改正をして、多少人員をふやしたり権限をふやしたりしておりますが、比べたらもう全然足りない。

 ですから、申し上げたいことは、やはり安全、安心を確保するためにはこの事後規制の整備が必要で、この法案だけでは足りないんですよね。やはり、これを実行して、きちっと監視をして取り締まる行政の権限というものを強化しなければならない。そういう意味で、今の経済産業省の体制というのは不十分ではないか。それは、なかなかそちらからそういうことを言うことはできないと思いますが、やはりそういう苦しさというものはあるというふうに思いますが、いかがでしょうか。

渡辺(博)副大臣 ただいま委員御指摘の点は、まさに大変重要な問題だというふうに思っております。事後規制を強化していくことでありますから、そのためには人員の問題も大変重要なポイントであります。

 今回の一連の事件を教訓としまして、経済産業省としては、事故情報の適切な分析と処理の体制を強化するために、第一点は、省内の関係部局が事故情報を処理する体制を整備、例えば、保安・安全連絡会議というものを設置したり、そしてまた省内共通の、先ほどもお話ありましたけれども、データベースの構築をしております。第三点としまして、事故原因の分析等に知見を有する独立行政法人製品評価技術基盤機構、いわゆるNITEにおいて事故分析体制の整備、とりわけ事故のリスク情報分析室を設置しております。このような形で整備を講じたところであります。

 今回の法改正に基づく事故情報の報告制度を十分に機能させるためには、経済産業省としましても、製品安全担当部署について可能な限り体制の充実を図っていくことが大変重要だというふうに思っております。

 先ほどの資料の中には、いわゆるCPSCですね、アメリカの場合については四百八十名という大変多くの人数がおりますけれども、日本のいわゆる製品安全担当部局は確かに二十五名、そしてまたNITEの方は六十七名という状況であります。これは、経済産業省としましては、個別物資を所管する関係課室がございますけれども、こういった関係課室とも強力に連携していくことによって対応ができるのではないかというふうに思っています。ちなみに、全体の関係人数としては三百五十名おりますけれども、これがすべて安全の担当をするわけではありませんが、いざというときにはそういった体制も組めるということであります。またさらに、先ほどのいわゆるNITEや関係省庁との連携を深めていくことが大変重要だというふうに思っております。

 このような体制をしっかりと整備することによって、いわゆるCPSCに相当する対応ができるのではないか、そのように考えております。

北神委員 なかなか副大臣も苦しい状況だというふうに思います。これもさっきから申し上げているように、緊急の話ですから、それは当然この法案を通していただいて、そういう、できる限り今の資源をフル動員してやっていただくしかないと思うんですが、今申し上げたような、長期的な、あるいは中期的な視点というものを大臣もぜひ持っていただきたいというふうに思うんです。

 今はみんなもう、行革、行革で、何か役人を減らしたらいいというふうに言われて、確かに無駄な部分とかそういったところは節減したらいいと思うんですが、本来は、本当に規制緩和というのをどんどん続けていって、競争というものをどんどん促進するような政策を打つのであれば、ますます事後規制、さらにその事後規制をバックアップする役所体制、行政というものを強化していかないといけないということです。

 もう一点だけ最後に質問させていただきたいと思います。

 これは、人員の話もそうですが、経済産業省のままこの法案、実際実行していくということになっておりますが、私は、その経済産業省というのは、これはやや問題があると思うんです。

 それは、一方で、経済産業省は産業を育成する政策を打っているわけです。もう一方では、製品安全の政策を打つ、行政をやる。これは、必ずしも矛盾しないかもしれないけれども、場合によっては利益相反が生じる場合もあるんですね。つまり、企業にとっては、こんな報告義務なんか、ある意味ではコストがかかるような話であるわけですよね。あるいは、そういった問題が出てしまったら、少なくとも短期的には被害を受けてしまう。そういった意味では、私は、産業を育成する立場と、製品の消費者保護の観点から製品の安全というものを図ることが、利益相反を生じることもあり得ると。

 そういうことを考えると、今すぐとは申し上げませんし、皆さんから、はい、そうですという答えも期待をしませんが、これも長期的に考えて、やはり独立のものをつくっていかなければならないというふうに思うんですが、この点について最後に質問したいと思います。

渡辺(博)副大臣 御質問の趣旨は、いわゆる産業政策と、そしてまた安全に関する対策についての安全政策、これは利益相反するのではないかという御指摘だと思いますが、私は決してそのようには思っておりません。産業政策と製品の安全、消費者保護の政策、そういったものは、まさに私は表裏一体のものだというふうに感じております。

 例えば、多岐にわたるこの消費生活用製品について、安全な製品の設計、製造、そしてまた迅速な事故原因の究明、適切な再発防止措置の実施など、これを行うためには、個々の製品をめぐる事業環境も考慮に入れつつ適切に事業者を指導していく必要があるというふうに思っております。

 こうした観点から考えますと、生活用品の大宗を所管する経済産業省が消費生活用製品の安全行政に責任を持って対応することが、かえって効率的かつ実効的であるというふうに理解をしております。

北神委員 これはいろいろ議論があるというふうに思いますし、もう、ちょっと時間がなくなってしまったので終わりにしたいと思いますが、やはり、米国でもイギリスでもこうやって独立して監視をするような行政機関を設けているというのは、もともとそういう利益相反のあった話で、今おっしゃったことは確かに一種の理念としてはあり得ると思うんですよ、企業が製品の安全のことを余り考えなければ自分たちが結局損をするんだと。でも、そんなことを言ったらパロマなんか出てこないわけですよ。やはり短期的に見たら、こんなことが出たら自分たちが被害を受けるとか責任逃れとか、そういった部分も出てくるわけですから、産業育成の観点からそういったのをかばうという発想もあり得るわけですよね。

 もう時間がないので、私はそういう考えを申し上げて、こういったことをぜひこれからも議論していきたいというふうに思っていますので、きょうの議論を踏まえてぜひ運用の面をしっかりやっていただきたいということを期待を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

上田委員長 次に、三谷光男君。

三谷委員 民主党の三谷光男でございます。

 この消費生活用製品安全法改正の審議も、残すところ私と塩川さん二人で大詰めを迎えておりまして、論点も既に出尽くしてしまったような感がございますけれども、しっかりと議論をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、パロマの事件を初めとしまして重大製品事故が相次ぎ、これら重大製品事故の発生を防止する、そして事故の拡大を防止する、そして消費者、利用者の生活上の安全を守る観点からすると、今回の法改正の趣旨、一つには、製造者に重大事故の発生を知った場合は報告を義務づける、二つには、主務大臣、監督官庁は製品に起因する事故情報を把握する、そして三つ目には、必要によっては次の事故を引き起こさないために消費者、利用者に情報を公表するといった措置はまさに必要な措置であることは明らかでありまして、全く異論のないところであります。さらに言えば、三十一項目の安全対策といった対応も含めて、全く異論はありません。

 ただし、その対象となる製品等の範囲については、利用者、消費者の安全を最優先に考える立場に立ってみれば、その対象はやはりできるだけ網羅的に、そして、生活の用に供するもので利用者に危険を及ぼすと考えられるものについては、できるだけ広く対象とする方がいいに決まっているというふうに思います。

 その意味では、民主党が提出しております消費生活用製品等及び特定生活関連物品に係る危険情報の提供の促進等に関する法律案、略称危険情報公表法案が成立をすれば、今言ったことはほぼ解決をするわけですから、成立をさせていただければ本当にありがたい話だというふうに心から願っておりますけれども、ただ、どうも現時点ではなかなか難しい話のようでありますので、きょうの質疑では、この法案のことは一たんちょっと引き出しの中にしまっておくことにいたしまして、この改正法の対象製品の範囲について考えたいというふうに思います。

 特に提起をいたしたいのは、この法律の対象製品であってもいいと思われる、いや、あるべき製品であると私は思うんですけれども、であるにもかかわらず対象から外されている製品について取り上げたいと思います。

 御承知のとおり、この法律の対象製品というのは、個別の規制法に係る製品はその対象から除外をされております。しかし、その個別の規制法の中には、この改正法で措置されているまさに肝心な部分、製造者に重大事故の報告義務を課していない、たぐいする、それぞれ法律の立て方が違いますので、たぐいすると言った方がいいかもしれませんけれども、課していない、あるいは公表と利用者への事故情報の提供について規定がないものもございます、例えば食品安全法のように。

 この法律でまさに製品とは、工業的プロセスを経た物であって、独自に価値を有し、一般消費者の生活の用に供される目的で通常市場で一般消費者に販売されるものというふうに規定をされています。したがって、建築物や一次産品は含まれないということになっています。そして、建築物に付随するエレベーターとかエスカレーター等、私はこれは製品だというふうに思うんですが、これは消費生活用製品ではないということで対象外になっています。

 エレベーターやエスカレーターについて、これは建築物に付随するもので製品ではないと考えるのはおかしいんじゃないかなというふうに私は思います。製品であるものを製品でない、建築物だ、だから対象外にするというのはおかしいというふうに考えます。どう考えても、エレベーターもエスカレーターも製品だというふうに思います。まさに対象製品にすべきだと思います。

 どうしてエレベーターやエスカレーターは製品ではないのか、この改正法の対象製品にならないのか、経済産業省に御説明をお願いしたいと思います。

松井政府参考人 先生御指摘のエレベーターにつきましては、建築基準法に基づきまして、建築物として取り扱われているものであり、また、一般消費者が店頭等で購入し、使用する消費生活用製品とは異なる性質のものでございます。したがいまして、消費生活用製品とは異なり、建築基準法に基づいてきちっとした安全対策が講じられることが適当と考えております。そのため、エレベーターにつきましては、消費生活用製品の対象に含めることは考えておりません。

三谷委員 どなたに聞いても、まさに建築基準法で建築物というふうに規定をされているから製品ではないんですね。今審議官がおっしゃられましたように、消費生活用製品とは異なりとおっしゃいましたけれども、それは審議官を初め役所の方々がそのように断定をされているだけで、社会通念で考えたら、例えばここに百人おられたとするならば、エレベーターは製品ですか、この当該法にも製品の規定がありますけれども、あるいは建築物ですかというふうに聞かれたら、多分、八十人以上の方々は製品だと答えるだろうというふうに思います。

 要は、冒頭申し上げましたように、建築基準法で建築物というふうに規定をされているから、法律上建築物だと言ってもいたし方のない話ではありますけれども、ただ、ここで提起をさせていただきたいのは、まさにこれもどこかのすみ分けで、エレベーターをどうするか、エスカレーターをどうするか、これは建築物だと言って、それが旧建設省、そして建築基準法の中に規定をされているものになっているだけで、実際の用に供しているということでいったら、むしろ製品であるというふうに思います。

 そして、エレベーターにつきまして、まさに先ほど松井審議官がおっしゃいましたように、役所の仕分けでは、建築基準法で建築物あるいは建築物に付随するものという言われ方もされますけれども、建築物に付随するものとして、建築基準法に係るあるいは国土交通省の所管に係るものということになっております。

 そして、国土交通省和泉審議官にエレベーターでお伺いをいたします。

 あえて重大製品事故と申し上げますけれども、重大製品事故が起きた場合、既に起きているわけでありますけれども、メーカー、輸入事業者、設置者等に、監督官庁、特定行政庁への報告というのはどういうことになっておりますでしょうか。あるいは、こうした重大事故が起きた場合に、メーカー、設置者等がどういう対応をとることになっているでしょうか。また、国土交通省、特定行政庁は、製品に起因する重大事故を知ったときに公表についてどのような対応がとられているか、御説明をお願いしたい。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、エレベーターでございますけれども、通例、不特定多数あるいは多数の方が使われる建物に設置されております。したがって、事故情報自体は極めて速やかに国並びに地元の公共団体に入ってまいります。そういったことが起きたときに、事故を把握した公共団体に対しまして国土交通省への報告を求めておるところでございますが、あわせて、国、公共団体は、必要に応じまして、メーカー、施工者等から必要な情報を把握することとしております。加えて、重大な事故が発生した場合には、公共団体を通じまして、対象となる建築物の所有者等に対しまして必要な調査、報告を求め、使用の中止、改善を勧告、命令するなど、安全確保のために必要な措置を講ずることとしております。

 なお、報告を受けた事故につきましては、少なくとも年二回、あるいは重大な事故があった場合には随時、社会資本整備審議会の建築物等事故・災害対策部会に報告し公表することとしております。あわせて、公共団体、関係団体等を通じまして原因の究明を行い、建築物の建築や維持管理に当たって留意すべき事項がある場合には、公共団体を通じ建築物の所有者等への周知を図るとともに、必要な調査、報告を求め、改善命令等の必要な措置を講じることとしております。

 以上でございます。

三谷委員 今、和泉審議官、私も建築指導課から、通達、通知のペーパーをいただいておるんですけれども、かなり強い、ここに書いてあることよりもはっきりした言われ方をされました。例えば、ここに書いてありますのは、「事故情報に対する対応について」、三番目に、「特に死者が発生した場合については、」まさに死亡事故のことを言っておるんだろうと思いますけれども、「建築物に関する被害、火災、事故に係る緊急連絡について」、建設省第四号「により、国土交通省への報告をお願いしているところですが、それ以外の場合においても、都道府県を通じて国に対し、次の事項が含まれた事故情報の提供を行うようお願いします。」こういう通知、通達の内容になっております。

 今、それをもっと強い言い方をされたのだろうというふうに思いますけれども、もちろん、今我々もまさに、製品安全行政に係る、今まではなかった、あるいはずさんであったことを法改正によってより強化しようということをやり、また、それを行われていないんですから、ある意味、事故防止のための対応あるいは体制については、非常に未熟といいますか未整備だというふうに言わざるを得ません。

 そして、先ほども申し上げましたように、後でもう一度申し上げますけれども、六月にはシンドラー社製エレベーターの死亡事故が起きています。まさに今ここで、経産委員会でもあるいは経済産業省でも、あのパロマの事件、経済産業省も非常に、みずからもあるいは大臣もこの質疑の中でもおっしゃっておられますけれども、まずかったところは反省をし認められた上で、新たな出直しの体制として今の法改正の論議をしているところであります。

 その意味では、まさに六月に、経産省の場合も、パロマの場合はもっと長いわけですけれども、実は起こったのはそれよりも後であります、ほとんど前後と言ってもいいかもしれませんけれども。それで、危険防止について、製品と言ったらいけませんけれども、そうした事故あるいは危険に対する、消費者、利用者の安全に資するような対策、対応として今どのような取り組みをされているんでしょうか。それを教えてください。

和泉政府参考人 若干繰り返しになるかもしれませんが、まず、エレベーターを含む建築設備等は、一般市場を通じて一般の消費者が購入する製品ではなくて、土地に定着する工作物でございますので、まず、所在地の把握が極めて容易でございますし、エレベーターといえども個別性が高くて、やはり一品生産的であるという特性がございます。このため、建築基準法に基づきまして、専門の建築士が設計、工事監理をする、あるいは第三者機関が建築確認検査や定期調査、検査を実施する、加えて、重大な事故が発生した場合につきましては、先ほど御説明しましたように、建築基準法に基づきまして、必要な調査、報告を求めて改善命令等を出すということになっております。

 しかしながら、先生御指摘のように、エレベーターの例に見られますように、こういったかなり万全な体制をとっておるわけでございますけれども、例えば、保守管理業者が変更されまして、変更された結果、いろいろな点検のデータが後任の点検する業者に回らないとか、そういったものが定期報告の中身に反映されないとか、こういった運用面での問題は反省すべき材料としてあったと思います。

 そこで、あの事故を受けまして、社会資本整備審議会の建築物等事故対策部会でいろいろ検討をいただきまして、九月に中間の報告が出ておりますが、とりあえずそういった報告を踏まえまして、定期報告の内容の充実とか、あるいはふぐあい情報をもっと早く関係する公共団体なり業界団体が共有するようなシステム、こういったものの確立に向けて現在検討を進めている最中でございます。

三谷委員 先ほど来申し上げておりますが、まさにことし六月三日、シティハイツ竹芝で起きましたシンドラーエレベータ社製のエレベーターの死亡事故でありますけれども、高校二年生という前途有望な若い命が失われました。これはまさにシンドラー社製エレベーターのふぐあいが原因で起きた重大製品事故であるというふうに思います。

 ちなみに、六月七日にこのことでは国土交通省は公表をしましたけれども、もっとも公表の前に、六月三日にこの死亡事故が起きて、もう大々的に報道されました。公表といっても、もう後追いの話でした。この話でいえば、シティハイツ竹芝でこそ過去に人身事故はなかった、そういう報告になっています。だけれども、そこでも過去にふぐあいは何度もあった。中には、十八階の主婦が一年前に一時間閉じ込められてどうにもならなくなったというようなことがありますし、何よりも、この竹芝でこそありませんが、別の場所では何件もシンドラー社製のエレベーターで人身事故は起きていました。

 ところが、これも全部、起きていたんだけれども、報告は知っていたのか、パロマのことにも少し似ているところがありますけれども、特定行政庁なり国土交通省は知っていたのか知らなかったのか、あるいは、知っていたけれども公表する事態とは思わずに公表をしなかったのか。とにもかくにも、過去の人身事故の公表も、まさに死亡事故が起きて大々的に報道をされて、国土交通省もこの死亡事故を報道して以降、もちろん事故自体はずっと昔に起きているわけでありますけれども、やっと公表されたというような話でありました。

 少し本論からはそれましたけれども、このシンドラー社製エレベーターの死亡事故の例を述べましたのは、申し上げましたとおり、私はこれはまさに重大製品事故であるというふうに思います。紛れもなく重大製品事故だからです。エレベーターの場合は、法律の規定はそうなっておりますが、しかし、どう考えても、これはやはり製品にほかならないと思います。

 そして、何よりも、先ほども和泉審議官から今後の対応のことも含めてお話をいただいたのは、死亡事故のお話も申し上げました、あるいは人身事故も起きたというお話も申し上げました、利用者の保護、あるいは製品事故を発生させない、拡大をさせないということでいえば、むしろ安全面に関していえば、まさにこの改正法、改正消費生活用製品安全法の方がよほど今の建築基準法よりもなじむんじゃないでしょうか。エレベーターが建築基準法の、ちょっと乱暴な言い方をしますけれども、建築基準法の建物なら建物のままでも結構です、製品だから、あるいは、先ほども申し上げましたように、利用者の安全あるいは事故の拡大を防ぐという、あるいは、まさにエレベーターという製品が持つ性質から考えると、よほどこの改正消費生活安全法の方がなじむというふうに思います。

 その意味では、対象製品にすればいいではないですか。ここで見直しをして、固定観念を捨てていただいて、なかなかこういう壁は破れないんですけれども、どうでしょうか、対象製品にするお考えはありませんでしょうか。大臣、お願いいたします。

甘利国務大臣 エレベーターが工業用製品であるかないかと問われれば、工業用製品であります。

 今私どもが御審議をいただいているのは、従来ある消費生活用製品の安全法の改正案をお願いしているわけであります。消費生活用製品というのは、消費者が容易に売っているところに出向いてすぐ買える身近なものであります。イトーヨーカドーに行ってエレベーター一台下さいと言う人は余りいないと思うのでありますが、消費者が容易に手に入る、消費者の身の回りに、家庭にあるものについての安全性を確保する。

 今エレベーターのお話が出ました。個別の法律があるものについては、その体系の方がより安全性の確保がしやすいという判断もあろうかと思います。つまり、なべかまを扱っているところがエレベーターの安全性はわかりません。エレベーターにはエレベーターの法体系の基準、安全の基準があると思いますから、そういう系列の中できちんとした指導をする。

 つまり、事故が起きた場合には、それをつくっている事業者に対して、あるいは設置する場合の事業者に対して、改善命令なり行政指導なり一連のものとしてやっていかなければ安全が確保できません。ある部分だけ切り離して、ここで担当しろと言っても、木に竹を接ぐようなことがあってはいけないと思うんですね。ですから、法体系として、きちんとその事業者の指導から改善命令から何から一体となってできるところであるならば、その体系に任せた方がより安全を確保できるというふうな感覚で、それぞれ安全に関する法律があるところはその体系の中でやっていく。

 今我々がやっておりますのは、繰り返し申し上げますが、消費者が消費生活の中で身近に触れ合うものについての製品事故が起きた場合の報告聴取体制がまだまだ未整備ではなかったか、任意の行政指導によるものでなくて、法律で義務づけて、迅速に情報を聴取して、次なる同じような事故が起きないような手を早く打つ、欠陥があればそれに対して改善を求める、そういう体系を整備しようというところでやっているわけでございます。

三谷委員 最後に申し上げますけれども、確かに大臣おっしゃるように、これはもともと消費生活用製品安全法というものがあって、その改正の審議であります。まさにもとがあって、その改正、ある意味補強をしているわけであります。そこの点はおっしゃるとおり。そして、身の回りの品である、物であるという話がありました。それもおっしゃるとおりだと思います。

 だけれども、では建築基準法で、冒頭も申し上げましたように、エレベーターが建築物だというのと、確かに身の回りの品ではありませんけれども、集合体としてどっちが近いのか、どっちがなじむのかという話でいえば、今のお話は必ずしも説得力がある話だというふうに思いません。固定観念があるから、それはもう法律だからしようがないというふうに言えばですけれども。

 だから、私も申し上げているように、利用者がいるわけですから、家庭用のエレベーターもあります、あるいはビルだったら多分何万人という人がそのエレベーターを利用しているわけであります。どちらがなじむのかということでいったら、あるいは法律的なことがあるなら、先ほども申し上げましたように、ここでカバーをすればいい、それぐらいの気持ち、気概が私は必要だろうというふうに思いますが、最後、どうでしょうか。

甘利国務大臣 今から我が省が建築基準法の勉強を始めてもなかなか追いつかないと思うんです。それは専門の部署に、設置基準なり建築基準法上の問題なり、あるいはエレベーターの安全基準なり、一連のものとして安全基準、法体系というのがあるんだと思いますし、それに従って不備は指摘をして行政指導していくという行政の体制があるんだと思います。そういうところに、安全にかかわるある部分だけを担当するんじゃなくて、一連の安全確保、安全なものをつくるという体系の中で安全行政が行われていくということが大事だと思います。

 ただ、この委員会でかねてから御指摘がありました、この消費生活用製品安全法が範疇とする以外のものについての事故情報が来た場合にはどうするのか。それは、速やかに担当部署の方に流していって、そこで直ちに行動を起こしてもらうということが大事だと思います。

 消費者は、いろいろなところ、どこに電話をしていいかわからない、とりあえずわかっているところに電話をするということがあろうかと思いますから、そういうところと関係各省との連携は、我が省に限らずしっかりとっていくということが、御指摘のとおり肝要だと思います。

三谷委員 ありがとうございました。

 見直し、あるいは対象製品にしていただくというのはそんな簡単な話ではありません。

 ただ、和泉審議官、せっかくお越しいただきまして、利用者の安全のために、また、事故が起きたときに、あるいは発生そしてその拡大を防止するということは、経済産業省あるいは当経済産業委員会同様に、まさにああしたエレベーターの死亡事故が起きたところでもありますので、先ほどの、対象製品に含めてくれという話は引っ込めますけれども、ただ、国土交通省の方でもしっかり、先ほどもその取り組みについて聞かせていただきましたけれども、まさにその法整備、あるいは法整備だけでもいけません、その安全対策をぜひとも早く整備していただくことをお願い申し上げます。

 質問の内容をかえさせていただきます。

 法改正の趣旨には大賛成であるという話は冒頭も申し上げました。趣旨には大賛成ではありますけれども、先ほども北神委員が指摘をされておられましたけれども、今回、三十一項目から成ります安全対策、なかなか立派な安全対策がまさにこれから施されようとしています。その対応、実効性のあることをどのようにやっていくか、対応していくか、それがまさに肝心な点だというように私も思います。

 まさにパロマのような、これはもう本当に突出した余りに悲惨な、そしてまた、製造者からすると余りに悪質な、重大な製品事故を二度と起こさない、そして、ずっと申し上げております製品事故の防止、拡大の防止に実効を上げることが肝要ですので、安全対策の中身、対応がどのように実効を上げていくか。

 そして、まず法改正後の重大製品事故の報告、水際のところで情報が上がってくる、その窓口となるのは製品安全課だというふうに聞いています。現状二十五人の体制で行われているというふうに聞いています。今後、何人にふやされるおつもりなんでしょうか。

 また、今後、こうした重大事故報告がどの程度、どのぐらい上がってくるものと予想をされておられるんでしょうか。そして、まず、対応としてここでどういうようなことが行われるんでしょうか。御説明をお願いいたします。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 重大製品事故につきましては、現在でも経済産業省の製品安全課が窓口となっております。したがいまして、今回の御審議でこの改正案をお認めいただいた後におきましても、この製品安全課が窓口となって事故情報を一元的に取りまとめるとともに、事故原因の分析等に知見を有します独立行政法人製品評価技術基盤機構等の協力を得て、事故の分析、評価を行ってまいります。

 また、法改正後の重大製品事故の報告の数でございますけれども、これは、先のことでございますので具体的な数字を確信を持って申し上げることはできないわけでございますけれども、現在の任意の事故収集制度によりまして我々のところに集まっております重大製品事故の数が年間千数百件という数字でございますので、新しい事故報告制度ができた後は、もう少しメーカーからの情報収集というのがふえるだろうということで、年間で千七百件ぐらいになるのではないかというふうに想定をしております。

 さらに、現状の体制でございますけれども、担当課でございます経済産業省製品安全課は現在二十五名、それから独立行政法人製品評価技術基盤機構の製品安全業務担当職員数は六十七名となっております。今後は、適切な事故情報の分析、評価を行う上で必要な体制を整備していくということで、増員を図っていきたい、こういうふうに思っております。

三谷委員 丁寧に答えていただきまして、本当にありがとうございました。

 重大事故報告が上がってくるのは千数百件だと。それで、現状二十五名。NITE、これは製品安全に係る原因究明をするところですね、六十七名。まさに製品安全課の方は、スクリーニングあるいは分析、評価をするわけでありますし、多分、そこは私もよくわからないんですけれども、これ以外の業務も、当然、従来からのものがあるんだろうというふうに思うんです。

 松井審議官、丁寧にNITEのことも答えていただきましたけれども、NITEの果たす役割というのは、これは非常に大きなものがあろうかと思います。特に、製品事故原因究明をいかに迅速に行っていくか、処理するかというのが、まさに実効性を上げる上で一番大事なところでありますので、現状で六十七名ということを言っていただきました。

 製品安全課もそうですし、あるいはNITEもそうでありますように、特にNITEの話というのは、私はやはり、大変立派によくやっておられるところはしっかりと褒めなければいけないというふうに思いますけれども、どういうことをやられているか聞けば聞くほど、本当によくやられているなと思います。特に、この法改正前の話であっても、もうほとんど、とりわけ、今のお話がありました六十七名、製品安全、原因究明に係る六十七名の方々というのは出ずっぱりのような状況で、てんやわんやの状況で、大変よくやっておられる。

 ただ、この数を聞きましたのは、さらに、特にNITE、役割が大きくなって、NITEがまた出動をしなければいけない。ただでさえ今も大忙しの状況で、件数はもっとふえるだろうというふうに思います。その陣容について、製品安全課もそうですけれども、あるいは、とりわけNITEの製品安全に係る方々の陣容というのは、今のままでもちろんいいとは思いません。

 このことにつきまして、甘利大臣、今回の改正、今のお話も含めて、さらには、この製品安全対策三十一項目により、製品事故を防ぐために、省内の情報共有や分析、評価、迅速な原因究明のための拡充が確実に行われる必要がございます。製品安全課、NITEを初めとする製品安全対策に係る体制増強についての大臣のお考えをお聞かせ願いたい。

甘利国務大臣 経済産業省といたしましては、今次の一連の事故を教訓といたしまして、省内の事故情報の適切な分析と処理の体制を強化する、このために、省内の関係部局が事故情報を処理する体制の整備、そして省内共通のデータベースの構築、先ほど紙とファクスという話がありましたが、電子化して情報の一元管理をし、これを共有するということであります。そして、御指摘がありました独立行政法人製品評価技術基盤機構、いわゆる通称NITEにおける事故分析体制の整備、事故リスク情報分析室等を講じたところであります。

 今回の法改正に基づく事故情報の報告制度を十分に機能させますために、経済産業省におきましては、製品安全担当部署について、可能な限りの体制の充実を図っていきたいというふうに考えております。さらに、製品安全担当部署と個別物資を所管する関係課室との連携、そして協力も強化をしてまいりたいと思っております。

 行革の体制下でありますので、なかなか大増員というわけにはいきませんが、できるだけ省内の連携を強化しまして、情報の共有をし、迅速に対応できる体制というのをとっていきたいと思いますし、NITE、そして国民生活センター、消費生活センター、あるいは警察や消防署、事故情報にかかわるありとあらゆるところとの連携を強化して即応体制をとっていく。そして、先ほども申し上げましたが、この法律にかかわらない部分の情報については、直ちに関係する省と情報を共有していきたいというふうに考えております。

三谷委員 大臣、ありがとうございました。

 時間が押し迫ってまいりました。きょうは、わざわざ平沢勝栄内閣府副大臣にお出ましをいただきました。先週の質疑の際には、太田和美委員からのお願いに対しまして大変前向きな御答弁をいただきまして、感謝をしています。また、重ねてではありますけれども、重大製品事故に係る情報の共有について、国民生活センター、警察、消防との連携強化について、重ねてお願いを申し上げたいと思います。

 そして、きょうはさらにもう一つ突っ込んで、国民生活センターのPIO―NETの端末を、消費者保護に係る法執行機関、製品安全課だけではなくて、経済産業省の中に、まさに平沢副大臣の気分には一番合っていると思うんですけれども、悪いやつをとっ捕まえるための情報として、法執行機関当該部署にその端末をぜひとも副大臣のお力で置いていただきたい。その取り組みについてお考えを聞かせていただきたいと思います。

平沢副大臣 今御指摘ございました重大製品事故に関する情報につきましては、いろいろなところに情報がもたらされるわけでございますけれども、私も全く先生と同様でございまして、この事故情報を共有していくことが極めて大事であるということで考えております。

 この前も太田委員の御質問にお答えさせていただいたわけでございますけれども、内閣府としましても、国民生活センターが入手しました死亡あるいは重篤事故情報、これについては、関係省庁に迅速かつ積極的に提供するということを九月末に決めたわけでございますけれども、あわせまして、消費者政策担当課長会議を定期的に開催するとか、あるいは苦情相談情報の効果的な活用方策に関する検討会を立ち上げする、こういったことも九月末に決めたわけでございます。

 そして、今御指摘のPIO―NETの関係省庁との接続でございますけれども、私も委員と全く同じでございまして、これはできる限り私は接続すべきではないかな、関係省庁間で接続すべきではないかなと。

 しかし、例えば、一般の消費者の方が消費生活センターにもたらされた情報を直ちにほかの行政機関等に提供することがいいのかどうかというような問題が全くないわけではない、私はそんなに問題はないと思っていますけれども、そういう心配をする声も一部あるわけでございまして、今、これにつきましては、苦情相談情報の効果的な活用のための検討会議を開催して検討しているところでございまして、できるだけ早く結論を出して、その情報がPIO―NETで接続できるようにやっていきたいと考えております。

三谷委員 本当に前向きなお話をありがとうございました。

 時間が参りましたので、終わらせていただきます。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、法案の中身で、重大製品事故の報告義務化に当たりまして、体制整備命令に関連して冒頭質問させていただきます。

 本改正案で、消費生活用製品の製造・輸入事業者に対して、重大製品事故情報の国への報告を義務づけることになりましたが、製造・輸入事業者が虚偽の製品事故の報告を行った場合でも、経済産業大臣の体制整備命令に応じれば罰則もないという規定になっております。

 消費生活用製品ではありませんが、あの三菱自動車の事故隠しの実例のように、消費者から届いた製品事故、ふぐあい情報がメーカーで隠ぺいをされてしまえば、せっかくの制度も実効性を失ってしまうわけです。ですから、重大製品事故の報告義務を意図的に果たしていない、履行していない、こういうことが明らかな場合には罰則の規定を設けるべきではないか、直罰も必要ではないかと思いますが、その点をお聞かせください。大臣、いかがですか。

甘利国務大臣 今回の法律を改正する趣旨は、消費者の身近にあるものに関して事故が起きた、そうすると、同じような事故が起きないように素早く手を打つということであります。

 でありますから、重大な事故に関しては、その発生原因の有無を問わず、もちろん、故意に包丁で腕を刺して、この包丁は腕に刺さりやすいなんという話はありませんから、そういう故意のもの等特殊な例、限定列挙をいたしますが、それ以外のものについては、事故原因を問わず、とにかく重大事故が起きたら直ちに報告をして、消費者に、この種の事故が起きている、原因が特定されたら、こういうものですということも公表することになっているわけであります。意図的に隠した、隠さないということは、その後の事態の、事件の究明ということによるのでありましょうが、いずれにしても、とにかく早く報告をさせる。

 それから、直ちに罰則をどうしてせぬのかという話でありますが、消費生活用製品でありますから、事務用製品はこの範疇に入らない。ただし、昨今は、この間の事故でもありますとおり、本来は事務所で使うべきシュレッダーを事務所と自宅と兼用なような状態で使っている。つまり、事務機が家庭に入り込んでくる。だんだん、本来事務所でしか、明らかに業務用としてしか使われないものが家庭に入ってくる。そういう時代の変化というものもこれあり、まず事故を報告させるということを最優先にして、同様の事故が発生しないようにすることが肝心だということで、今回の改正に至ったわけでございます。

塩川委員 事故情報を収集するというのは、これはもう法律の改正の大前提ですから、そういう点での取り組みが求められているわけで、その上で、やはり事故隠しは許されないんだということをはっきりと示すことが必要だと思っているわけです。

 ですから、最も事故情報を把握しているのはメーカー自身ですから、危害を与えるような、そういう可能性のある事故情報をメーカーが出すのは、当然のことながらその企業の社会的な責務であります。それを意図的に行わないということについて、やはりきっぱりと言う必要がある。体制整備命令で、それで罰則もなしということでは、かえってそういう企業の姿勢を甘やかすことになるのではありませんか。改めて、いかがでしょうか。

甘利国務大臣 事故隠しが発覚した事業者に対しては、体制整備命令を発動するだけではなくて、報告を怠ったためにこの命令が発出されたということ、それから、事故隠しに係る製品の名称、型式、事故概要等を公表するという措置を講ずるようにしてあります。

 一般的に消費者に対して幅広く販売をされるものに関しては、こうした企業に対する厳しい社会の目が向くような措置をする、この制度を厳正に適用していく。これは相当なペナルティーになっていく、こういう会社であり、こういう製品ですよということを公表されてしまうわけでありますから。これは、社会的な制裁が行くということで相当な抑制要因にはなろうかと思っております。

塩川委員 電気事業法などでも、電気事業者が故意に事故隠しなどをすれば当然のことながら罰則の規定もありますし、こういった消費生活用製品にかかわっても、アメリカの制度などでも、報告義務に故意に違反した企業に対しては課徴金が科せられる仕組みとなっております。韓国でも罰金が科せられる。ぜひこういう仕組みにこそ学ぶべきだと思っております。企業の事故隠しは許さないという立場に立った厳格な対応というものを求めていきたいと思います。

 その上で、事故情報の義務化についての、報告すべき事故の範囲についてお聞きしようと思うんです。

 火災の場合についてお聞きしようと思っているんですけれども、産構審の製品安全小委員会の中で、具体的に政省令で決める中身について案も出されております。その際、火災というところに、消防本部が火災として認定したもの、そういう形での規定が入っているわけです。

 そこで、消防庁に二点ほどお聞きしたいんですけれども、そもそも火災の定義というのはどうなっているのか。消防法に言う火災の範囲、これがどういうものなのかということを一点確認させていただきたいということと、もう一つ、ここで言われているような消防本部が認定した火災というのは、消防庁としてはどういうものだと受けとめておられるのか。その二点、お答えください。

大石政府参考人 お答えいたします。

 火災の定義のお話でございますが、私どもの方で消防本部に対して示しております火災報告取扱要領で火災の定義というものを決めております。それを申し上げますと、「人の意図に反して発生し若しくは拡大し、又は放火により発生して消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの、又は人の意図に反して発生し若しくは拡大した爆発現象」としているわけでございます。

 そこで、実際、どういうふうに確認しているかということでございますが、一一九番通報がございますと、消防が現場に駆けつけていくわけですが、消防機関が現場において火災と確認したもの、それを火災として実際問題として報告していただいている、こういう状況でございます。

塩川委員 もう一度確認ですが、ここで言っている、消防本部が認定した火災というのが今言った中身ということでよろしいんですか。

大石政府参考人 消防本部の方で火災と確認したものを消防庁の方に報告をしてくる、こういう仕組みになっております。

塩川委員 火災としての三つの要素という話がありました。放火は別にしても、人の意図に反して発生する燃焼現象であって、消火が必要なものであって、消火施設あるいはそれに準じるものを必要とするということですけれども、経済産業省に聞きますが、消防本部が認定した火災について、この点については消防庁とどのような協議をして調整をされておられるんでしょうか。その中身を教えてください。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 火災に関しましては、報告義務の対象となる要件を政令で定めるに当たりましては、製品事故の中でも特に重大な事故を定めるとの改正法案の規定に沿いつつ、製造事業者等にとって客観的に認識できるような規定とする必要があると考えております。

 産業構造審議会製品安全小委員会におきまして、こうした考えから、消防本部が認定した火災という文言が示されておりますが、これは先ほど消防庁が御答弁なさいましたように、消防が出動して消火活動を行うこと等により、消防が火災と確認したものを想定したものと承知しております。これらは、消防庁の火災報告取扱要領に基づき、毎年度、各消防本部から消防庁に報告がなされるものと承知しております。

 今後、具体的な規定の仕方につきましては、産業構造審議会製品安全小委員会においてお示しいただいた案、消火実務を担当する消防庁との意見交換や、パブリックコメントを通じた関係各方面からの御意見なども踏まえながら検討してまいります。

塩川委員 火災の中には、消費者の方が、火事が起こったといった際に、自分で消火器を持って消火をした、一一九番もしなかった、あるいは消防車も来なかった、しかし事後に消防署には連絡をした、あるいはそもそも連絡もしなかった、そんなものも当然あるわけですね。

 そういう点では、消防署が把握をしているというのに限るのではなくて、消費者が、実際に火災だとか発火だとか、あるいは火花が出ただとか、そういった中身について明快に伝えた情報についても、やはり重大な中身であればきちっとメーカーから報告をさせるということが本来必要なのではありませんか。なぜそこで消防本部が入るということでわざわざ枠を狭めるのか。その点聞かせていただけますか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 製品事故に関しましてなるべく幅広い情報収集を行うべきと考えておりますが、消防によります消火を必要としないような小さな発火事故まですべて義務の対象といたしますと、相当膨大な数となると思います。また、消費者からの火災があったとの連絡だけでは、その事実認定につきまして、例えば消費者の故意または重大な過失であったのか否かなど、消費者と報告義務者との間で見解の相違も生じ得ます。

 したがいまして、やはりこれは法律に基づく義務づけでございますから、要件は明確にする必要があるということで、製造事業者等が消費者からの火災があったとの連絡を受けただけでは、この法律に基づく報告義務の対象とはならないものと考えております。

塩川委員 膨大なという話もありますけれども、経産省として、この報告の義務化によって、火災について何件ぐらい情報が寄せられると想定をしているのかというのをお聞きしたいのと、それから、消防庁の方が把握をしている、白書でも紹介をしている火災、特に製品にかかわる火災についての、例えば昨年度、直近の年間の件数というのは幾つぐらいなんでしょうか。

松井政府参考人 現在、任意の事故情報収集システムによりまして、火災ということで事故報告が寄せられているものは大体年間一千件程度でございます。これが、今回の改正案がお認めいただきました後、法律の要件となった場合は少しふえるのではないかな、こういうふうに考えておりますので、千件強になるのではないか、こういうふうに想定をしております。

大石政府参考人 お答えいたします。

 このたび経産省から、電気用品及び燃焼機器に係る製品事故の火災等について消防庁に情報提供してほしい、こういう依頼がございましたものですから、私ども、各消防本部に対しまして、経産省の地方支分部局からこのような件について照会があった場合には協力をいたすようにという通知をいたしております。

 消防庁としましても、これら火災等事故については、各消防本部からの報告を求めまして、それを経済産業省に報告する、こういうことに今回いたしたわけでございますが、これは十月一日からそのような取り扱いをしておりまして、この報告に基づいて消防本部から電気機器及び燃焼機器に係る火災等として上がってきたものがこの一カ月間で三十六件ほど、このような数字を把握しております。

塩川委員 消防庁の方はちょっと違う設問のお答えだと思うんですが、今言ったように、製品あるいは燃焼器具、電気用品などで二千数百件の火災というのが白書などでも紹介をされているわけですね。

 同時に、今お話しになりましたように、経済産業省から要請があって、各消防本部から情報を上げてくれということで、今、具体的に十月一日から動き始めて、十月、一カ月分の実績が三十六件という話であります。そういう点では、消防庁と経産省のやりとりがどういう中身か知りませんけれども、実際集める情報というのは三十六件ぐらいということになりはしないか。一カ月で三十六件ですから年間では四百件とかという話で、千件強にもならないわけですし、実際、消防庁が把握をしているような製品の火災というのが二千数百件もあるという中では、どんどんかえって枠を狭めるような方向になりはしないかというのを率直に危惧せざるを得ません。

 そういう意味では、やはり消費者からメーカーに行った情報であっても、その重大性ということについて、メーカーから事故報告を義務化するということについてもきちんと入れるべきだ。消防本部の認定という枠ではなくて、もう少し広く義務化を図るということについて改めて求めたいと思いますが、いかがですか。

松井政府参考人 消防庁から三十六件の火災情報をいただきました。ただ、これは、伺うところ、全国のものがまだ収集されているわけではない、こういうふうに伺っておりますので、さらに詳細な調査を行った上で、我々としては火災情報をきっちり消防庁からいただいていきたい、こういうふうに考えております。

塩川委員 三十六件の中身も、てんぷら油で火が出たようなのも入っているんじゃないかというお話でしたから、そういう点で狭く狭くとるようなことがあってはならないということを強く申し上げておくものです。

 その上で、最後に大臣に伺いますが、事故情報の義務化と同時に、やはり任意で広く情報を収集することが重要ではないか。従来の、通達に基づくような任意の事故情報収集というのは、それ以前からの、危険が伴うような可能性のあるものという枠組みでの通達であります。今回、少なくとも重大製品事故についてはコアの部分として義務化があったわけですから、重大製品事故に該当しない周辺部分についてきちんと任意であっても収集をする、そういう体制づくりが必要だと思います。

 今お話しのように、火災についても、消防本部の認定するもの以外について広くメーカーから情報を寄せてもらう。また、重傷について言えば三十日以上となっているわけですから、三十日未満についての事故情報、特に乳幼児、子供がかかわるような事故についてはしっかりとそういうのは報告してもらおうじゃないかと。任意といっても、ある意味では、徹底をする際に、通達の文書などで例示をするような形で、火災についても、出火の場合についてはきちっと入れてくださいよ、三十日未満について、例えば乳幼児がかかわるものについてはきちんと報告してくださいよと。

 そういった工夫というのは今本当に求められていることだと思うんですが、その点についてお答えをお聞きしたいと思います。

甘利国務大臣 今度の法改正で、任意の規定、行政指導ベースでやってもらうということを法律で義務化しました。ある限定範囲にしましたが、それは、法律に義務を書きますと、無視したらペナルティーが行くということでありますから、すべての情報に関して、それは見解の相違もありますし誤使用ということもあるでしょうし、それにみんなペナルティーが行くぞというぐあいにはなかなかできないわけであります。

 でありますから、重大事故、火災等々に限定してそういうものが漏れなく届くように、それが届かなかったらペナルティーが行きますよという体系にしたわけでありますが、その前提として、御指摘のように、従来から任意の報告制度、任意の情報を集める仕組みというのがありますから、そこをきちんと、幅広い情報収集を行うという体制をとっていくということが大事だ、おっしゃるとおりであります。

 経済産業省といたしましては、現在御審議をいただいています法律の改正案をお認めいただいた際には、特に、報告義務の対象となっていない事故に関する情報を中心に、迅速かつ効果的な情報収集が行われるように、まず報告を求める事故の対象等の明確化、そして報告を求める相手方の拡大、三点目として関係行政機関等の連携等、これらを含めまして、現行の任意の事故情報収集制度の充実強化を図るための見直しを行う考えであります。

 これらによりまして、消防が関与していない発火事故であるとか、重傷には至らない製品事故に係る情報の収集につきましても、遺漏なく対応していく所存でございます。

塩川委員 これまでの任意の事故情報収集制度というのは、メーカーからは二、三割なんです。新聞情報は、NITEが一生懸命新聞で調べているのが五割、六割ですから。そうではなくて、やはりメーカーからしっかりと事故情報を収集するということが製品安全を図る上でも一番の力だということを申し述べて、質問を終わります。

上田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

上田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、金子善次郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。後藤斎君。

後藤(斎)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    消費生活用製品安全法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法律改正の効果が十分に発揮され、国民を複雑化、高度化が進む消費生活用製品による事故から守るための安全確保体制が確立されるよう、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 今後増大が予想される製品事故情報の収集・処理に際しては、消防・警察等を含む省庁間の垣根を越えた横断的な情報の共有化体制を早急に確立するとともに、各地方自治体の消費生活センターや独立行政法人国民生活センターとの十分な連携を図ること。

 二 重大事故情報の公表に際しては、報告の要件や公表内容等が消費者、事業者双方にとって分りやすいものとなるよう、ガイドラインを策定するとともに、事故発生後可及的速やかな公表に努めるものとすること。

 三 重大製品事故の発生や製品回収等の危害防止措置に関する情報が、迅速に全国の一般消費者に隈なく行き渡るようにするため、特に高齢者世帯等に配慮し、地域の情報ネットワーク等、考えられる手段を駆使して遺漏なきを期すること。

 四 小売事業者等から製造・輸入事業者への製品事故情報の通知が迅速かつ確実に行われるよう、各種業界等に対して啓発に努めるとともに、大手量販店等における情報提供の実施が確保されるよう、これらへの指導を徹底し、必要に応じて適切な措置を検討すること。

 五 企業が安全安心な製品のみを市場に供給することを経営の最優先課題とするような「安全文化」の早急な確立を図るための指導を徹底すること。

 六 法の施行状況の見直しに際しては、危険情報の実効性のある収集・分析・提供を確保するため、諸外国の状況も参照しつつ、消費者保護を基本目的とした省庁横断的かつ一体的な運用を行いうる体制の在り方等も視野に入れた幅広い検討を行うこと。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

上田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

上田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利経済産業大臣。

甘利国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

上田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

上田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会


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