衆議院

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第6号 平成19年4月10日(火曜日)

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平成十九年四月十日(火曜日)

    午前九時三十六分開議

 出席委員

   委員長 上田  勇君

   理事 金子善次郎君 理事 河井 克行君

   理事 新藤 義孝君 理事 中山 泰秀君

   理事 宮腰 光寛君 理事 後藤  斎君

   理事 近藤 洋介君 理事 赤羽 一嘉君

      小川 友一君    小此木八郎君

      岡部 英明君    片山さつき君

      川条 志嘉君    近藤三津枝君

      佐藤ゆかり君    清水清一朗君

      平  将明君    武田 良太君

      冨岡  勉君    丹羽 秀樹君

      野田  毅君    橋本  岳君

      藤井 勇治君    牧原 秀樹君

      増原 義剛君    武藤 容治君

      森  英介君    山本 明彦君

      吉川 貴盛君    大畠 章宏君

      太田 和美君    川端 達夫君

      北神 圭朗君    細野 豪志君

      三谷 光男君    柚木 道義君

      鷲尾英一郎君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   参考人

   (国立大学法人東京農工大学大学院技術経営研究科長・教授)

   (日本学術会議会員)   古川 勇二君

   参考人

   (地域産業おこしに燃える人の会幹事)       福間  敏君

   参考人

   (株式会社クリエイティブ・ワイズ代表取締役社長) 三宅 曜子君

   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十日

 辞任         補欠選任

  佐藤ゆかり君     原田 憲治君

  谷川 弥一君     冨岡  勉君

  土井 真樹君     小川 友一君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 友一君     飯島 夕雁君

  冨岡  勉君     谷川 弥一君

  原田 憲治君     佐藤ゆかり君

同日

 辞任         補欠選任

  飯島 夕雁君     馬渡 龍治君

同日

 辞任         補欠選任

  馬渡 龍治君     土井 真樹君

    ―――――――――――――

四月十日

 株式会社商工組合中央金庫法案(内閣提出第三九号)

 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号)

 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第一四号)

 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

上田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案の各案を議題といたします。

 本日は、参考人として、国立大学法人東京農工大学大学院技術経営研究科長・教授、日本学術会議会員古川勇二君、地域産業おこしに燃える人の会幹事福間敏君、株式会社クリエイティブ・ワイズ代表取締役社長三宅曜子君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず古川参考人にお願いいたします。

古川参考人 皆さん、おはようございます。

 きょうは、このような会にお招きいただきまして、厚く御礼申し上げます。

 私、お手元に三つ資料を用意させていただきました。

 一番後ろの方は今度の五月号の経団連の中に出る特集の一つでありまして、本日の話題の技術経営大学院、MOTの意義と今後の課題ということで原稿をそのまま出しております。

 それからもう一つは、昨年の十二月に日本学術会議の方で特集をいたしました「科学技術イノベーションと学術」という中で私がイノベーションの考えをまとめたものであります。これらは、内閣府の黒川清学術会議前会長のもとで進められておりますイノベーション25に参考にしていただいているところであります。

 本論は、お配りいたしました衆議院経済産業委員会意見陳述要旨に沿って御説明をさせていただきたいと思います。十五分ということで、今もう四十分になっていますので、五十五分ちょっと前に終えるようにしたいと思います。

 私のバックグラウンドを若干紹介させていただきますと、教育者としては、現在は技術経営系専門職大学院の教授でありますが、もともとは機械工学の専門でありまして、生産技術だとか、最近ではよく使われるナノテクということで、分子一個一個をつけたり離したり、そういうことを本来の研究者としての専門にしております。その傍らというか教育の中で、集大成した教育の一つとして技術経営ということの教えをさせていただいております。

 この関係では、平成十五年に文部科学省が専門職大学院設置基準というのを制定いたしまして、その後たくさんのロースクール、ビジネススクールができてまいりましたが、その一環として技術経営系専門職大学院というものもできてまいりました。これは正確には八校ありまして、プラス早稲田大学、九州大学のMBAの中にMOTのコースがありますので、それらを合わせますと十校が国で認可された専門職MOTであります。そのほか国で認可されていないものが五十スクールぐらいありますが、全体で六十スクールぐらいで、毎年三千名ぐらいの修了者に至っております。私は、国の方の十校でまとめました技術経営系専門職大学院協議会会長として全体の取りまとめにも当たっております。

 また、学術会議の立場では、実は、きのう、きょう、あすと学術会議の総会で、本日も学術会議の総会中であります。私は総会よりもこちらの方が重要ですのでこちらに来ておりますけれども、きのうは、科学技術大臣も御参席されて学術の議論をしていただきました。そういう学術会議の中で、私、ものづくり分野、学術会議では生産科学と呼んでおりますが、そこでの生産科学の委員長を仰せつかって、ものづくりの学術全体の取りまとめをしております。

 また、学術に直接関係はないのですが、昨年まで特許庁の情報館というところで、かつては特許マップと呼んでおりましたけれども、特許チャートと呼んでおりますが、二百二十冊ぐらいの各特許分野を編さんいたしました。きょう特許の話が出ていましたので、そういうこともしていたということを書いております。

 そんなことで、学術の立場から、ものづくり、環境について意見を申してきているところであります。

 また、施策では、総合科学技術会議の評価専門委員として、国の大型の予算、国家基幹技術の評価のあり方等々について意見を述べているところであります。また、この十年来、日本全体で産業クラスターあるいは知的クラスターという地域の産学官連携が重要になっていまして、そのクラスターの取りまとめをずっと仰せつかっております。また、その中での代表と言われております首都圏産業活性化協会、通称TAMA協会と呼んでおりますが、これは、TAMAというのはテクノロジー・アドバンスト・メトロポリタン・エリアという意味でございまして、東京の多摩地区と言うと埼玉県、神奈川県に問題がありますので、TAMAとローマ字読みさせたというところでありまして、その会長職を仰せつかっております。

 また、一九九〇年以来、日本がバブル経済でバッシングを受けたころに、アメリカに貿易輸出が多過ぎるというような時代があったときに、基礎技術ただ乗り論というのが席巻しまして、それに対処するために日本発で産学官連携で国際のものづくりをしようとG7を中心にやりましたが、それをIMSと呼んでいます。IMSというのはインテリジェント・マニュファクチャリング・システムズということで、知的生産システムと呼んでおりますが、次世代、将来のものづくりを先進諸国で行って、結果を発展途上国にトランスファーしていこうという考えでありまして、現在、それの日本代表を務めております。

 また、昨年まで、ISO、JIS等の標準の産業オートメーションの委員長も務めておりまして、そんなことが本日の話題提供になるのかなと思っております。

 二番目の項目でありますが、まず、一番重要なイノベーションのことであります。

 イノベーションにつきましては、先生方御案内のように、米欧日、先進国間で大いにイノベーションの議論と施策が展開されております。しかし、私、一応イノベーションを研究している立場にいるものですから、それをつぶさに見ますと、皆、先端技術を活用して新しいビジネスをつくるということに特化していると思いますね。先端技術というのは、私は、アメリカで講演をするときは、ノットIBMバットIBNと言うんですが、IBMではなくてIBN。というのは、インフォメーション、バイオ、ナノテクノロジー、この三つですね。そのIBN、プラス日本ではE、エンバイロンメント、環境を含めたIBNEの四つの分野を重点四分野と呼んでおりますが、これは、アメリカにおいてもヨーロッパにおいても、最近では中国でも韓国でも似たような方針であります。

 しかし、御承知のようにバイオテクノロジーではアメリカの方がはるかにまさっていますし、インフォメーションテクノロジーでもアメリカの方がずっと先に行ってしまった。そういう中で日本が全く同じ施策をとっていて太刀打ちできるのかというのが私の懸念でありまして、もう少し日本型のイノベーションを進めるべきじゃないか。

 日本型のイノベーションというのは何かといえば、日本の強みを生かしてイノベートすることである。日本の強みというのは何といってもものづくりでありまして、このものづくりというのは、従来は製造分野と呼んでおりましたが、内閣府の総合科学技術会議でこういうものを全部総称して平仮名でものづくりと呼ぼうということに決めまして、私、学術会議の委員長としても、ものづくりということできちんとした定義を決定いたしました。

 そういうわけで、日本としては、二ページの図にかきましたように、特に中小あるいは地方の企業のつくり込み、つくり込んでいく技術が非常に強い。そういうつくり込んでいく技術をもとにしてインフォメーションもバイオもナノテクも実は成り立っている、そういう科学的なイノベーションも。しかし、車だとか情報家電だとかロボットというようなものづくりは、改良型のイノベーションなんですね。これが九〇%、九五%を実は占めているわけですから、この二つを融合した日本型のイノベーションを本来は進めるべきではないかというのが私の考えであります。

 そうすると、三項目めに書きましたように、ではものづくりの優位性は何があるかというと、やはり日本のものづくりの優位性は現場力、ものづくり力、中小企業力でありまして、その結果、高品質な製造の技術が可能である。あるいは、応用力、新規力、展開力としては、融合的な製品の開発ができる、新しい組み合わせによって新しいものができるというようなことがあります。それから最後ですが、省エネあるいは環境配慮力、これによって環境に対応した製品技術が非常に高い。この三つの特徴を生かして日本のイノベーションを進め、産業経済をさらに発展するというのが重要なのではないかなと考えております。

 ありていに申し上げますと、その下に「日本のものづくり力」と書いてありますが、一九八〇年代に日本のものづくり力がかなり強くなりました。例えば携帯電話だとかソニーのウォークマンだとかいろいろ小さい機器ができてきましたが、そういう小さい機器は、マイクロな部品をコンピューターに取り込んでインテリジェント化し、それを全部寄せ集めてシステムにするという、マイクロ、システム、インテリジェントという三つのキーワードで日本は世界を席巻した商品をつくりました。

 これらは幾らぐらいかというと、実に目方にすると、大衆車は一台大体百四十万円ぐらいですね。ところが、大衆車の重さというのは一トンちょっとなんですね。一トンちょっとということは、一グラムで一円なんですね、日本の車というのは。皆さん、すばらしい車に乗っていますね。皆さんは大臣だからセルシオに乗られているかもしれませんが、あれでも三円とか四円ですよね。ベンツになると五円とか六円になるんです。ところが、お飲みになっている水は一グラム一円で、サニーとかカローラとほとんど同じ値段を取るんですね、エビアンでしたらば。

 そういうことをやっていたら日本ではとてももたないわけですから、やるべきことは、携帯電話だとか最近のフラットパネルの液晶テレビだとかナビゲーターだとか、そういうようなもので一グラム十円、百円するような産業を興していかないと日本としては立ち行かなくなる。そういうものは何かというと、今までのマイクロ、インテリジェント、システムを、さらに現場的なすり合わせをしたり、モジュール化をしたり、ブラックボックス化をしたり、モバイルでユビキタス化をする。そういう製品が日本として非常に有望で、その辺を我が国の強みにしていくべきじゃないかと考えます。

 さらなるイノベーションを進めていくためにはどうしたらいいかということが次のことでありますが、これは、新聞を見てもテレビを見ても、地球温暖化、温暖化と毎日のように出ております。確かに温暖化の傾向はあるだろう、これは避けられない。これをどうにか避けようとしたらば、やはり物をつくることをいかに削減し、あるいは物が動いているときのエネルギー消費をいかに削減し、廃棄するときにいかにそれを無駄にしないか、リサイクルするか、そういう循環生産あるいはゼロエミッションを完全にしなければいけない。したがって、開発することと環境ということを両立するような技術を日本発でつくっていかなければいけない。

 そういうものを今つくりつつあるわけでありますが、そのときに技術革新をさらに効率的にするためには、例えば、私は大学におりますけれども、大学はやはり主として基礎の研究を得意にしております。民間企業は実際の技術開発を行っています。その基礎と実際の技術との間を埋めるものがなければいけないわけで、これを最近大学でも、社会貢献、産学連携という形で相当進めております。

 しかし、国家的に見ますと、今回の法案にもありますように、例えば産業技術総合研究所のところで、基礎研究と実際研究を結びつけるのにアーキテクトという専門家を置いた方がいいんじゃないか、そういうようなアーキテクトあるいは技術経営ができる人というものを今回の法案でも第二種の基礎研究を重視する形で重視していただいているのは、大変よいのじゃないかなというふうに考えております。

 また、技術革新と環境との調和という高い目標を掲げてそれを具体的にするのが、例えばイノベーション25ということで内閣府で黒川先生がおまとめになっていますけれども、これを具体のものにするためには、経済産業省さんで進めておる、私も一部参加させていただいていますが、イノベーション・スーパーハイウェイというような構想を具体化しなければいけない。これは出口側ですね、ハイウエーのアウトプット。研究開発して、その結果どういうふうなものができて、どれだけの市場ができるのか、どれだけ環境がよくなるのか、そういうアウトカムをきちんと予測して研究開発を行う、そういうような施策がイノベーション・スーパーハイウェイの中で盛られておりまして、それが今回の法案の中で相当きちんと実行されるであろうということがありますので、私は、今回の法案に大変期待をしているところであります。

 そんなことで、五番目に、日本型ものづくりのさらなる拡張をしなければいけないということでありまして、これは、単にいいものをつくっても、特にエンジニアはそうなんですが、いい時計をつくったら必ず売れるはずだと思うわけですが、いい時計をつくっても売れるわけじゃないんですね。売れる仕組みがなければいけない、社会がそれを受け入れてくれなければいけない。そういうようなシナリオというか事づくりをしなければいけないというのがこれからの時代であります。

 そのためには、単にいいハードウエアをつくるのではなくて、そこにサービスというものを付加することによってさらにいいものができてくる。これはサービス産業のイノベーションと呼んでおるんですが、たまたまことしの元旦の経団連さんの「希望の国、日本」とか、それを受けた形で出てきました「日本型成長モデルの確立に向けて」という書面を見てみますと、そこにも、サービスイノベーションを重視しなければいけないという産業界の要望が明確に述べられております。

 それは、とりもなおさず、その下の表に書きましたように、二〇〇二年と二〇一五年でどのぐらいの伸び率を予測しているかというと、これはGDPじゃなくて産出額でいっておりますが、製造業でいえば三百六兆円が三百九十八兆円の伸びで、現在のシェア三一・四%が三一・七%程度になる。しかし、重要なのは、サービス業が三三・二%、あるいは非製造業三三・三%を含めると、いわゆる非製造業、サービス業で六六%、七〇%を占めるわけで、ここの効率をいかに向上するか、これが一番重要なターゲットであります。これは、産業界でも気がついておりますし、今回の法案でも重視しているところであります。

 しかし、残念なことに、OECDの統計をとってみますと、ちょっと古いんですが、一九九五年と二〇〇三年の比率で見ますと、労働生産性の上昇率は、製造業が四・一%と、日本はリストラで整理されて世界でトップになりました。しかし、事サービス業になりますと、〇・八%というふうに最低であります。サービス産業が七〇%近くを占めているのにもかかわらずそこの生産性の上昇率が非常に低い、これがやはり大問題でありまして、ここをどうにかイノベーションによって上げなければいけないと考えます。

 当然ですけれども、サービスといってもいろいろなサービスがあります。サービスというのは、マッサージをする人手のサービスから情報を伝達するメッセージのサービス、ITのサービスまで幅が広いので一概には申し上げられませんけれども、しかし、日本のお客さんは非常に満足度が高いですね。ですから、日本固有の顧客満足度を満たしながら、なおかつ全体のサービスシステムを向上しなければいけない。このためには、やはり、ものづくりで培ってきた効率のよさをいかに導入するか、そういうサービスエンジニアリングということをしなければいけないのではないかなということが考えられます。そのためにはどうしてもITを活用しなければいけないわけで、ITユビキタスコミュニティーというものが言われておりますが、そういう方向を重視していただきたいと思います。

 時間がなくなったのでちょっとはしょります。

 四ページ目のところは、これからのイノベーションをつくっていく方向としては、今までは大学発あるいは研究所発でシーズを中心にしてイノベーションをしようということでしたが、やはり、サービスを与える、ニーズをつくるという意味で、ニーズ中心のイノベーションにしていかないといけないであろうということであります。

 六番目は、一番重要な課題の一つであります。

 ものづくり業は、確かに効率はよくなりましたが、安閑としていればBRICsにすぐ追い越されるのは当然でありまして、BRICsに追い越されないようにするために、日本のものづくり業の生産性をさらに向上しなければいけない。そのために一番重要なのは、技術を中心にして、技術が売れるような形にしなければいけないわけで、単にすぐれた技術だけではいけない。

 四ページ目の表は、私が技術経営を教える上で作成した表でありまして、確かに、日本のエンジニアはいろいろな先端技術ができる。しかし、それの技術開発の戦略を立て、事業化戦略を立て、標準化戦略を立て、製造戦略を立て、調達し、環境に対応し、マーケティングをし、全体の会社の財務会計がわかり、そして必要に応じて開発の知的財産を押さえ、必要に応じて連携し、社内の組織をつくり、最後にはCSRにも対応する。こういうような一連の流れをやはり技術発でやっていかないと日本のすぐれた技術が世界で売り物にならない、売り物にならなければ幾ら開発したところで意味がないということになってしまいますので、ここの技術経営力を重視すべきであろうと思います。

 あと、七は知的財産制度のことを若干書いております。

 これは、私の事例で申し上げますと、私どもの東京農工大学というのは若干小さい大学ですが、しかし、小さいといえども、大学院の修士課程の人間は千四百名おります。博士課程の人間は六百名おります。合計で二千名いるわけですね。二千名というのは、ほぼきちんとした研究者です。それだけの研究者を各大学は抱えているわけです。ところが、そういう人たちが我々と特許の連名者になりますと、大学のアカデミックディスカウントが受けられないんですね。そのためにいろいろな支障が生じておりますが、今回の法提案でこの辺が解決されそうであるということで、私は、これが採択されることを大変うれしく思っております。

 そのほか特許関係のことで幾つかありますが、省略いたします。

 最後に、八番目に、二〇一五年のイノベーション成果イメージというのを書いてございますので、御笑覧いただければ大変ありがたいと思います。

 持ち時間をちょっと過ぎましたので、これで失礼させていただきます。御聴講ありがとうございました。(拍手)

上田委員長 どうもありがとうございました。

 次に、福間参考人にお願いをいたします。

福間参考人 おはようございます。私は、地域産業おこしに燃える人の会の福間敏と申します。

 先般まで、島根県の斐川町役場の職員としまして、企業誘致を中心にいたしまして産業おこしをやってまいりました。私の発言は、今までやったことをそのまま皆さん方にレジュメに沿って説明いたしますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず、方針、第一期ということでございます。

 これは、企業誘致をなぜ進めたかと申しますと、斐川町というところは出雲平野のど真ん中でございます。出雲、松江市に挟まれた豊かな農業の町でございましたけれども、昭和四十六年に減反政策が始まりまして、そういう原因もありまして非常に人口が減ってきたわけでございます。そうしておったところ、昭和五十年代の町長、助役が、とにかく企業誘致を進めようではないかということを決意したわけでございます。そのことによりまして、我々も二十年間いろいろ企業誘致を進めてまいりました。その結果、この片田舎に上場企業大手三社、村田製作所、富士通さん、島津さんが入ってこられたわけでございます。そういうことによりまして、今でも人口がどんどんふえているような状況になっておるわけでございます。

 それから、第二期で、地場企業活性化ということで、どういうふうにやっているかと申しますと、斐川町も企業誘致を進めてまいりましたところ、地場企業からクレームがあったわけでございます。地場企業をどうされますかということでございまして、それじゃいかぬということになりまして、平成七年ごろから異業種交流会、約百十名を結成いたしまして、いろいろ地場の悩みを聞いて回っておりましたところ、結論としまして、地場企業専用の工業団地を開発いたしました。その上、そこの工業団地の中に貸し工場、支援センターを建設いたしまして、地場企業を集約することによってさらなる企業誘致、商品開発に対応するべく今やっておるところでございます。

 それから、今後でございますが、非常にものづくりの格差があるんです、解消したいということでございまして、要は、一つの部品をつくるにいたしましても、島根県と東京の墨田区との物すごい格差があるわけです。

 島根県で一つの部品をつくるのに八時間かかります。それはなぜかと申しますと、A社で穴あけ、B社で穴あけ、C社で何かを加工するという持ち回り加工をしますから、非常に時間的ロスがあるわけでございます。八時間ぐらいかかるんです。ところが、東京の墨田区に行きますと、日本の優秀な加工機、五面加工機とか多軸加工機を持っておられます。その持っている上に、加工するノウハウ、ソフトを物すごく持っておられるんです。したがって、同じ部品が十五分ぐらいでできるわけです。

 そういう格差をどう解消しようかと我々検討いたしました結果、今お願いしておりますのは、墨田区の方で塾を開催していただきまして、そこへ田舎からやる気のある若者を送って研修させていただきまして、それで身につけて帰って起業をしていただく、もちろん、その上に、墨田区から仕事つきで帰していただくというようなことで今進めております。そうすることによって、技術の格差をずっとつづめることができますし、また、その若者のグループが地域の資源となりまして、さらに企業誘致を進めることができるかなというふうに期待して頑張っておるところでございます。

 二ページでございますが、どういうふうな体制で企業誘致されましたかという質問がよくあるわけでございますけれども、これはひとえに、町長、助役以下専属職員二名がトップダウンもやりながら、二十年間そのスタンスで、体制で来たわけでございます。だから、町長、助役ももちろんかわっていませんし、我々職員もかわっていないんです。二十年間その業務をやったわけでございます。という体制がありまして、やったわけです。

 何で企業がよく入ってきたか、ノウハウは何でしょうかとよく聞かれるわけでございますが、ただ一つ言いますと、とにかく熱意と根気とアフターサービス、その三原則で徹底的に二十年間やったわけでございます。そうすることによって、相手の企業も納得されまして出てこられたというのが現実でございます。

 それからもう一つ、企業誘致に一番必要なのは、市町村だけで頑張るというような発言がようあるわけでございますが、やはり企業誘致というのは、大きな企業と対応するためには、県と町とが二人三脚でやらなきゃだめなんです。例えば、斐川町は年間予算が約百億前後なんです。島根県は五千億ぐらいあるとしますと、やはりそれだけを聞いても信用力とかサービス内容が違うというふうに企業の方は見られるわけでございますから、必ず県と二人三脚で持っていくということを考え、やってまいりました。

 それと、工業団地の造成につきましては、一応用地買収はして、何だかんだ言って許認可をとっておきまして、企業が決まってから本当の造成工事をして、いわゆるオーダーメード型でやったわけでございます。そのことが非常に喜ばれたということでございます。そういうふうなこともやります。

 それから、助成金はどの程度されましたかという質問がようあるわけでございますが、私どもは、いわゆる固定資産税相当分を三年間、もらったものをただ返すだけの助成をしただけでございます。あとは、先ほど申し上げましたようにアフターサービスでカバーをしてきたということでございます。

 というようなことで、企業誘致が進んできたわけでございます。

 四番目の課題でございますけれども、ここにいろいろ挙げておりますが、やはり高速道路がないとか人材、大卒の確保ができないとか地場企業の技術力がないというような問題もあります。その他いろいろあるわけでございますけれども、それらを何とかかんとかで切り抜けて頑張ってきております。

 ただ今後は、企業誘致を、斐川町だわ出雲だわ島根県というレベルではなくて、恐らく、もっと高度な会社を誘致するためには、島根県を飛び越えて岡山県と連携いたしまして企業誘致する時代が来ておるんじゃないかなと思うんです。なぜならば、企業が出る場合に、関連技術がどの程度ありますかと聞かれたときに、島根県はないのがほとんどでございます。そうすれば、岡山県のある企業の技術もいただいて島根県に来ていただく、それを仲立ちしていただくのがやはり、国がそういうことをやっていただきたいがなというのが出てくる場面があると思います。

 それから、五番目の効果でございます。

 企業誘致して効果がありましたのは、今までの工業再配置法がありまして、これは企業誘致をすると補助金が出た制度でございまして、私どももその工業再配置法の補助金を有効に使わせていただきまして、先ほど申し上げましたように、貸し工場、支援センターも建設いたしますし、それから企業も、人材確保の寮とか研修所とか、それから公園とか運動場とかいっぱいつくられました。そういうことによって、若者定着と税収増の相乗効果が出てきたわけでございます。

 それと、特に村田さんの場合は、ツバキや桜並木をきちっと整備されますから、それを一般開放されます。また、そういうふうに若者がどんどんふえますのでショッピングセンターも入ってきたというような、非常にいいことがあったわけでございます。

 なぜ成功したかというポイントでございますが、よう聞かれるわけでございますけれども、私どもは、先ほど申し上げましたように、来た企業に対して次の日から御用聞きに行きまして、何か問題がありませんか、どうしたらいいでしょうかというふうにやってきておりましたところ、島根県の斐川町は非常にいいサービスをするということでございまして、だから村田さんがどんどん増築されると、同じ京都の島津さんが出られたときには、ああ、島根県の斐川町は非常にアフターサービスがいい、成功するよというブランドができたわけでございますね。そういうことで島津さんは来られたわけなんです。というようなことでございました。

 それから、失敗の事例でございますけれども、やはり高速道路がないといかぬということは、なぜこういうことが出てきたかといいますと、例えば広島の福山に半導体メーカーがあるわけでございますが、大体いいところまで話が進んだんですけれども、だめになったのは、技術者が交流する所要時間が、通勤というか、かかる時間が三時間以内でないと困るというんですね。したがって、高速道路がないために、今でも出雲から福山までは三時間半かかるんです。だから来られなかったんですよ。というような、やはり人が交流する時間の短縮が物すごいこれからも重要だというふうに思っております。

 あと、公共下水がないためにメッキメーカーが来られなかったということもあるわけでございます。

 それから、国への要望でございますけれども、ここに掲げてありますような一般的な話でございます。要は、高速道路とかインフラとか、特に許認可が、今まで我々がやったときに物すごく厳しくやられまして非常に困っておりました。そういうことも素早く解決をしていただくようなことをやってもらいたいなと思っております。

 それから、先ほど申し上げましたように、国の方が、島根県だわ岡山県ではなくて、やはりそこを束ねて情報を流していただきまして、一心同体になって企業誘致が進められるようなシステムをやってもらいたいがなというふうに思っております。

 それで、五ページのような、斐川町は、一番ピークは二万五千人の人口が、二万二千人まで下がりましたが、今二万八千人になっております。それから、税収もふえますし、出荷額もふえる、このとおりでございます。

 私最後に言いたいのは、今もうけているというか頑張っている中小企業というのは、本当に議論をされております、議論、議論。例えば、短時間労働でいかにもうけようか、そういう目標を決めますと、社長以下その働く従業員の方が一年間ぐらいかけて本当に議論、議論されまして、そうすることによってその組織がパワーアップするわけでございます。もちろんコストも下がりますから、もうかるはずでございます。

 要は、長州藩が幕末にいろいろ議論、議論、議論を重ねまして、坂本竜馬の一言、開国に向かおうではないかと決まった瞬間に、彼らはけんかも議論もやめて一心団結しまして開国に向かうわけですね。その姿がこれからの地域おこしのモデルだと思っております。だから、このたびの新法をきっかけにしましてその地域が本当に議論することが、これからの地域の再生になるというふうに私は思っております。

 以上で終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

上田委員長 どうもありがとうございました。

 次に、三宅参考人にお願いをいたします。

三宅参考人 おはようございます。

 私は、地方の中小企業が地域の資源を生かして活性化する、それのサポートをさせていただいておりますので、そのサポートの内容についてお話をさせていただきたいと思います。

 まず、一ページ目をごらんください。私のプロフィールでございますけれども、私は、マーケティングのコンサルタントとして、今、中小企業基盤整備機構の方の窓口支援、それから、中小企業に行きまして徹底して指導する、そういうハンズオン支援、こちらの方をさせていただいております。同時に、私の会社は、広告の企画製作、商品開発その他をサポートする、ライフコーディネート事業という形で私はお話しさせていただいているんですが、それを行っております。

 今現在、地域の中小企業は非常に大変な状態です。その大変な、特にものづくり企業について少し事例を挙げてお話をさせていただきます。

 事例を四つ挙げさせていただきました。

 まず一つは、地域資源を活用した産地技術型取り組み事例、こちらは、広島県にある熊野町という、筆では日本全体の八〇%をつくっている小さな町がございます。そちらで、なかなか毛筆の筆が中国からの攻勢、いろいろな部分で今非常に低迷をしている中で、ちょっと見方を変えまして、化粧筆をつくるということで世界のトップのブランドになって、これが引き金となって地域全体で化粧筆をつくるという取り組みをして活性化している、そういう事例です。

 二番目には、同じく産地技術型取り組み事例で、山口県の萩市にあります伝統工芸品で萩焼というものがございます。こちらの萩焼、大体お茶道具からでき上がっているんですが、このお茶道具、今はなかなか使われておりません。そこで、生活雑器として日常の食器に使っていただきたい、そういう思いを一つの中小企業が掲げまして、今の生活にマッチした萩焼をつくろうじゃないかということで、これは県の方もサポートしながら取り組みをやっているという事例です。

 三つ目には、農林水産型取り組み事例で、鳥取県の大山町にある土木建設会社。これは、今は地方の建設業は非常に低迷しております。大変です。そして、この土木建設会社が、大山という非常に豊かな自然を生かして菌床栽培、キノコの栽培を行っている、そのキノコの栽培に対して県の方も非常にサポートをしながら取り組んでいる、そういう農工連携での取り組み事例をお話しさせていただきます。

 そして四つ目には、平成十六年度に、広島大学の医学部のバイオ技術を生かして、広島県との産学官連携による新連携対策委託事業で、酒かすからつくりました植物性乳酸菌を活用して機能性の高いヨーグルトをつくる、そういうメーカーが広島県の府中町にございます。この乳製品づくりの企業に対し、売れる仕組みづくりを支援する、そういうふうな事例を御紹介させていただきます。

 まず、私のプロフィールの次のページ、広島県の熊野の事例からちょっとお話をさせていただきます。

 これは、マーケティングのハンズオン支援により、世界のトップブランドとして高く評価され、地域の産業を活性化させるリーディング企業となった事例です。

 こちらの企業、竹田ブラシという有限会社です。資本金三百万円で従業員十二名という非常に小さな企業なんですが、設立は今から六十年ほど前です。皆さんも御存じのように、広島県熊野町は伝統工芸品として筆の産地で有名です。

 この伝統工芸品の筆は毛筆用の筆なんです、こういう毛筆用の筆。ところが、実は、熊野で全国の八〇%が生産されているこの筆、学童用筆なんですね。小学校で、今、習字の時間がほとんどなくなってしまいました。中学校でももちろんです。学校の先生が筆で文字を書く、こういうことができなくなりました。そういうことで、その学童用筆、いい筆を使う、そういう意識がどんどん低迷しております。そこで、中国からの筆が大量に入ってきまして、今は小学校で使われている筆はほとんどが中国の筆です。そういう形で、広島県熊野町は非常に大変な状態なんです。

 この伝統産業としての毛筆用の筆、これではもう生きていけないということで、ある企業が立ち上がりました。この立ち上がった企業の代表的なものが竹田ブラシなんですが、実は昔、六十年ほど前から外国の化粧品メーカーのOEMで、例えば口紅のパレットの中に入っている小さな筆とかアイシャドーの筆、これをつくっておりました。ところが名前が出せない。ですから、これはシャネルとかディオールとかという名前でしか出せないんですね。こういう筆、実は、ほとんどが広島の熊野でつくられております。しかも一本十円、二十円の世界。こういうことではやはり産地として成り立っていかない、自分の名前で売っていこうということで、このような化粧筆をつくりました。こちらの方がそうです。

 この化粧筆、実は一本も毛先にはさみを入れていないというすばらしい技術です。この技術はやはり熊野の毛筆の筆の技術を応用したものなんですが、これを持ちまして、実際、自社の名前で、世界にまず売り込みに行きました。というのは、日本では市場がなかったということなんですね。まず世界、ヨーロッパ、アメリカのトップのメークアップアーティストに徹底して配りました。そして、メークアップアーティストからPRをしていただくということで、有名な女優、例えばカトリーヌ・ドヌーブとかエリザベス・テーラー、そういう肌の非常に弱い女優さんたちが絶賛しまして、日本の広島にある熊野というところの化粧筆、すばらしいという、もう本当の意味のトップの女優さんそれからトップのメークアップアーティストが営業マンになってくださいました。そして、それをフィードバックして日本で、今では日本の国内で広島の熊野筆といいましたらイコール化粧筆のような状態なんですが、伝統工芸品として毛筆の筆をつくっているメーカーも、その筆の技術を応用してこういう化粧筆を実際につくっている、そういうふうな事例でございます。

 そこで、私はどのようなお手伝いをさせていただいたかといいますと、まず、ものづくりの企業というのは非常に営業が下手です。物をつくるということに非常に力を入れているため、それをどのようにして売ったらいいのか、販路開拓するすべすらありません。そのために、ひとり歩きできるカタログをつくろうじゃないかという提案をさせていただきました。そして、このひとり歩きできるカタログ、これが今の次のページにございます。一本ずつ、使い方とその毛質と手入れの仕方それからメークの仕方をきちっとつくり込んでいく、そういうふうなサポートをしました。

 そして、その次のページでございますが、やはり海外進出を図るということも、地方の企業が生き残っていくためにある程度量を売っていくためには、非常に必要な状況です。そのために、海外用のカタログも同じように、やはり一本ずつ、全部、使い方その他のものを入れながらやっていきました。そして、提案の仕方それから展示会でのディスプレーの仕方、そういう細かな部分をすべてサポートさせていただきました。

 そして、次の事例でございます。

 次のページ、産地技術型取り組み事例、同じく伝統工芸品で萩焼です。

 しかし、この萩焼は伝統工芸品に最後に認定されました。しかも萩焼というのは、非常に有名な、三輪さんのような人間国宝がいらっしゃるような、作家の方たちがほとんどです。この作家の方たちは、自分の名前で売っていくということを基本にされていますので、非常に高付加価値の商品ではあるものの、こちら萩陶苑(しゅうとうえん)と読みますが、こういう、どちらかというと半分工業製品、機械で半分つくって半分手づくりでというような企業の場合は、なかなか作家のように高い値段で売るということもできないですし、量を売っていかないといけない。

 そこで問題になっていますのが、この萩焼、実はお茶道具から入っておりますので、萩の七化けというように、貫入という細かなひびが入ります。この細かなひびの中に茶渋が入っていい味わいを出していくんですが、これがちょっとくせ者で、この貫入があるために、水分が中に入った状態で外に逃げない。だから、そのまま置いておくとカビが生える、油物を使っていくとそれが中にしみ込んで黒くなってしまう、食洗機にも使えない、電子レンジにも使えないという、現代の生活の中で日常雑器として使うためには非常に問題のある、そういう焼き物なんです。

 そこで、この萩陶苑が今取り組みをスタートさせているのが、今のライフスタイルに合う食器をつくろうじゃないかと。ですから、伝統工芸品の認定でいきますと、土と釉薬というものがございますが、この伝統工芸品の枠から外れてでも、やはり新しい萩焼というスタイルを確立させるために、今、県の方と一緒に取り組みを行っている最中です。

 私は何をお手伝いさせていただいているかといいますと、その次のページにございます。

 萩焼というのは、何となく古くさい、田舎くさい、またお茶道具にしか使えないんじゃないか、そういうふうなイメージがつきまといますので、もっと若い方に、しかも洋食器と一緒に使っていただく、そういう取り組みをしていこうじゃないかということで、まず若い方たちにしっかりと使っていただけるような、そういうカタログづくりからスタートしました。

 そして、この中には、使い方だけではなくて応用的なもの、例えば湯飲みは湯飲みとしてじゃなくて、ちょっとしたおかずを入れる、そういうものに使えるじゃないかというような応用的な使い方の指導を一般の消費者に行うためのいろいろな形での支援を行っております。

 そして、その次のページ、企業の方も一生懸命今頑張っています。この企業、やはりマイナスをプラスにしていこうということで、土がやわらかい、貫入がある、そういうことで汚れてしまう、そしてカビが生えてしまう、そうすると、もうたんすの中に入れてしまって、あるいは捨てられてしまって使われなくなる。それをいつまでもしっかりと使っていただくために、汚れた食器をまた高温で焼き直ししますと再生します。この無料で再生するということをやっております。

 また、感謝保証制度ということで、例えば五個セットの湯飲み一個欠けてしまうとやはり使われなくなってしまう、だから一個から買い足しができる、そういう制度をつくりました。こういう制度づくりもお手伝いをしております。

 また、今は萩焼は、例えば地元の観光事業をやっています旅館とかそういったところですら非常に使いづらいということで使われていないんです。だから、萩の子供たちは萩焼のことを知らないという状況です。そのために、小学校の学校給食に萩焼を使ってもらおうということで、週に一回、萩焼を使ってもらうための器を無料提供する、そういうふうな取り組みも行っております。ここら辺も一つのマーケティングの取り組みということになろうかと思います。

 次のページでございます。

 これは農林水産型の取り組み事例で、先ほどちょっとお話しさせていただきました大山町にあります土木建設業、この土木建設業が非常に低迷しております。そのために、自社の遊休地を活用しまして、ハタケシメジ、このハタケシメジというのは非常につくり方が難しいシメジなんですが、これをつくることを昨年度からスタートしました。

 どうせつくるんだったら、シメジとか一般的なキノコではなくて、今余り世の中に出回っていないキノコをつくろうじゃないかと。この世の中に出回っていないキノコというのはやはり非常に付加価値の高いキノコということで、ハタケシメジを取り上げました。これは非常にしゃきしゃき感があるのと、それから体にもいい、健康的にも非常にいいというキノコでございます。これを、できたものの販路がないということで私のところに相談に来られました。

 まず、取り組みを開始させていただいたのが、有名なプロのシェフに使ってもらうという戦略を組み立てました。そして、東京にたくさんの店舗がありますキハチ、そのオーナーであります熊谷喜八さん、それから、フレンチでは日本ではトップと言われております井上さん、そういう方たちに使っていただくことによって、プロからの口コミ、これは熊野筆で実証しましたので、同じことをやろうということで、昨年度の末からやっております。

 やはりプロの口コミは非常に大きいなと思いますが、おかげさまでいろいろな形で、スーパーのバイヤーさんなどが今注目していただいている、そういうふうな商品になりつつあります。

 その次のページがその一つの事例でございますが、どんなキノコなのかもわからなければ食べ方もわからない、こういうものは一般の消費者は手にとってくれないということで、まずチラシづくりからやりました。このチラシづくりの中には、このキノコを使った、十分以内で簡単に調理ができるという調理方法、それからキノコの特徴、それからどういう食べ方をしてもおいしいよというのを一般の方たちに知っていただこうということで、すごく簡単につくれるものを基本に、こういうツール提案というのをさせていただいております。

 そして、最後の事例です。これは今非常に大変な事例なんです。

 広島県というのは酒どころです。日本酒が非常においしいところなんですが、酒かすが出てしまいます。実は、三年前に広島県で、この酒かすから植物性乳酸菌をとるという技術、これは広島大学の医学部で開発しました。この酒かすからとった植物性乳酸菌をうまく活用するということで、これは大体乳製品の製造メーカーなんですが、野村乳業という、学校給食の牛乳はほとんど野村乳業なんですね、広島の場合。この府中町にあります野村乳業が、産学官連携でヨーグルトの中に植物性乳酸菌を入れたものをつくりました。

 これは、何と三日間食べると便秘が解消するという、非常に女性にはうれしいヨーグルトなんですが、実は、産学官連携でつくったということを前面に出してしまったために市場になかなか受け入れられない。スーパーに入れても大体半年ぐらいで撤去されちゃう。おいしいんです、食べたら。食べたらおいしいんですけれども、やはりマーケティング戦略が全くできていなかったんです。

 そこで、二年間全く売れなくて、昨年私のところに相談に来られました。話を聞いてみますと、ちょっと上の二つを見ていただくとおわかりのように、非常に男性的な筆文字のパッケージで、しかも百グラムと非常に量が多い。これは朝食べると効果が高いんですが、朝、朝食を食べた後に百グラムのヨーグルトを食べるなんてできないんですね。女性なんか特にできないです。では量を減らそうじゃないかと。

 それから、植物性乳酸菌でつくったヨーグルトなんていう名前はいいから、もっと端的にわかるものにしようじゃないかということで、快腸ナビ、腸を快適にするナビゲーション、そういう名前をつけました。量を減らして、三日で効果があるんだったら三個パックにしたらいいということで、三個パックで売るということをやっとことしの六月からスタートさせようとしている、そういう事例でございます。

 私がぜひ皆様方に御認識、それから御協力いただきたいのが、地方のものづくりの中小企業、特に地方の資源、たくさんあります、それを生かしてものづくりをしている企業が今頑張っているんですが、頑張っても、しょせん地方で一生懸命頑張るしかない。なかなか販路ができない。販促策がない。よく活性化には人、物、お金というのがありますが、物はあっても人とお金がないというのが現状でございます。

 そういう意味で、マーケティングのハンズオン支援というのが非常に重要で、今取り組みを行っているんですが、特に、やはり皆さん、首都圏に対して、あるいは県外にしっかりとその商品を出していきたい、紹介したいという思いが強いです。そういう部分で、いろいろな形で今回の法案は非常に皆さん期待しておりますし、また、この法案を生かして、本当に頑張っている企業をサポートしていきたいなというふうに思っております。

 どうもお聞きいただきましてありがとうございました。(拍手)

上田委員長 どうもありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

上田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。丹羽秀樹君。

丹羽(秀)委員 おはようございます。自由民主党の丹羽秀樹でございます。

 参考人の皆様方におかれましては、本日は、大変お忙しい中、すばらしいお話をお聞かせいただきまして本当にありがとうございます。

 それでは、参考人の皆様方をお迎えしまして、今回の経済成長戦略大綱関連三法案についていろいろと御質問させていただきます。

 今回の三法案のまず中身でありますが、生産性の向上に向けた事業者の取り組みを支援する産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案と、地域資源を活用した地域の中小企業の取り組みを支援する中小企業地域再生活用促進法案と、また、さまざまな産業集積に向けた地域の企業立地を促進する地域産業活性化法案という中身でございます。これらの三つの法案が今後巧みに連携をすること、これが実現できれば間違いなく、参考人の皆様方がおっしゃられる、全国各地における中小企業の成長、また地域格差、雇用の是正がなされるであろうと私は確信いたしております。まさに我が国の地域経済を支えることとなる、非常にタイムリーな法案だと思っております。

 そこの中で、今回、産業活力再生特別措置法の改正案の中で、過剰債務構造と過剰供給構造の是正に向けた今までの各種措置の継続を図りつつ、我が日本の経済が直面する中長期的な課題への対応を展開するものであると思っています。また、サービス産業の大幅な生産性向上を目標とするものでもあります。対象によっては、さまざまな、流通や観光また宿泊、福祉といったものよりもさらに分化したレベルの指針の作成が図られます。極めて多岐にわたり、かつ変化の激しい分野でありますから、また実態の把握というのが今後大変になってくるかと思いますが、その中で参考人の古川様に御質問させていただきます。

 古川様のお話の中で、産学が連携して産業を行う場合、例えば予算の確保等、今回の法案でどういった利点があるのか、お聞かせいただきたいと思います。

古川参考人 今丹羽議員御指摘のとおりでありまして、私の経験からも、産学連携を進めていきますと、どうしても予算がなければ実体は伴わないということになります。しかし、今回の三法案を読まさせていただくと、これ自体が産学連携の予算を保障しているものというふうには私は考えません。

 しかしながら、実際にこの法案を読まさせていただきますと、今議員御指摘のように、例えば産業を活性にするために、先ほど私も申し上げましたけれども、サービス分野をさらに活性にする、そのために産学連携の力をかりられないかというのが一つありますし、またその他、科学的なイノベーションを進めるために、学側のシーズをもとにしたイノベーションを進めるということもうたわれております。そういうことからすると、こういうような法案が制定されますと、その精神として、科学技術に対する予算面が重視されてくるというふうに私は理解しております。

 これは前倒しかもしれませんが、先日、産業構造審議会で十九年度の予算の考え方が示されましたけれども、そういう中でも、十九年度において既に新しい研究開発予算あるいはイノベーションの予算というものが増大の傾向にありますので、例えばそういう形でふえていくんじゃないか。

 御承知のように、国では、第三期科学技術基本計画を策定して、五年間で二十五兆円という膨大な予算を組んでいるわけであります。それは年平均にすれば五兆円でありますが、この五兆円のうちに、今回の法案を制定していただくことによって、中小企業あるいは地域間の格差を是正し、なおかつ日本のイノベーションを進めていく、そういうような精神にのっとってその分野の予算配分が確保されていくのではないかというふうに私は期待しております。

 よろしいでしょうか。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 先日も、予算の方を私も見させていただきましたが、確かにイノベーションに関する予算はふえております。そういった面で、さまざまな産業の分野がまたよりすそ野を広げて、拡大していくであろうと私も思っております。

 今回、産学が協同している中で、また古川さんのお話の中にも、産業クラスターという話がございました。まさに一つの分野の産業だけではなくて、さまざまな産業が融合することによってさらにより多くの商品や製品が生まれて、またそういったものを新たな市場に出していくということが可能になってくると思いますが、この産学が協同している中で、今後産学官の官の役割について、今までとどういった違いが出てくるのか、お聞かせいただきたい。古川様にお願いいたします。

古川参考人 今、クラスターのお話が出ましたが、御承知のように、クラスターというのはブドウの一粒一粒の粒を全体に集めたらば、シナジー効果というか連携の効果が出て新しい産業ができるであろう、そういうことだと思います。このクラスター政策については、国の指導によって、経済産業省の場合には産業クラスター、文部科学省の場合には知的クラスターということで、相当大きな成果が生まれてきたわけであります。

 今回の三法案が制定されたとしても、私は国の役割自身が特段変化するというふうには考えておりません。しかしながら、実際にはイノベーションをいろいろ加速していかなければいけない、そういう流れの中で、若干従来と違うのは、今まではシーズイノベーションというか、シーズをもとにしてイノベーションが可能である、こういうシナリオが多かったと思いますが、これからは、マーケットを意識して、売れる商品、売れる製品をマーケットから見て、そしてそれを産学連携でつくり出していくという、いわゆるマーケットドリブンというか、ニーズイノベーションだと思います。

 そういうような形でスキームが少しずつ変わりつつありますので、その観点から国の役割も若干変わってくるのではないか。若干変わってくるというのは、これはEUの言葉で言いますとプロアクティブという言葉が出ますが、プロアクティブというのは、国がややリーダーシップをとって、そして問題が顕在化する前に手をつけていく。

 例えば、日本の産業全体の中でサービス分野の生産性が悪いという指摘がありますが、それを放置しておけばどんどんどんどん悪化してしまうわけでありますけれども、これを国が、あらかじめプロアクティブで、十年放置していたら大変だよ、だから今の段階で手を打たなければいけないというようなことをしていく、これがプロアクティブでありますが、そういう観点でいえば、私は、産学連携をつかさどる国の基本的な役割は変わりませんけれども、スキームが変わってくることによって実際にとる行動のパターンが変わってくるのではないかなというふうに考えています。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 古川参考人にまだ質問をいろいろとしたいんですが、ちょっと時間の都合上、福間参考人の方に質問を変えさせていただきます。古川参考人のお話の中で、私、先ほど非常におもしろいなと思ったのが、今までのものづくりの観点をグラム当たりの単価で見ているというのが非常におもしろいなと思いました。こういった新たな視点から見るということもなお今後重要だと思っていますので、きょうは本当にありがとうございます。

 それから、福間参考人の方にお尋ねしたいと思います。

 我が日本の国の経済は、さきのイザナギ景気を超えて戦後最長の景気拡大期が続いております。しかし、これは、一部の大企業が過去最高の収益を上げている一方で、地方や中小企業というのはまだ景気回復の実感が乏しく、さまざまな面で格差の拡大が指摘されているのが現状でございます。特に地域経済においては、今後、地域においては本格的な少子高齢化が到来してきて、自治体の財政制約、地方分権の流れ等を考えた場合、このまま現状を放置すれば地域間の格差はより拡大していくものである、そういったことも考えられます。

 産業集積の形成、活性化は、地域経済の基盤を整え、自律的発展をその地域に促していくということが一番重要であると思っております。地域間格差を是正するために有効な方策の一つとして今回の法案は期待されるものでありますが、他方、企業立地決定は国内地域間の比較だけの問題ではなくて、今国内か海外かの選択も迫られており、中国、韓国、台湾、アジア諸国等と熾烈な競争をしていかなければいけないという企業でもあります。

 そこの中で福間さんの方に御質問させていただきますが、地域産業資源を活用した企業誘致を行っていく中での注意点をお聞かせいただけたらありがたいと思います。

福間参考人 今の質問でございます。

 地域は大変格差があるということを僕も言いましたように、なぜ東京の墨田区等が頑張っているかといいますと、よう聞いてみますと、本当に墨田区の皆さんは国際競争に非常によく戦って勝ち抜いておられるんです。田舎は、本当を言いますと、中小企業なんかのんびりとしている、何もしていないというんです。そこに何とかせい、何とかせいと言ってもだめなので、僕は、刺激を与えるために墨田区だということでございますし、企業誘致の面も、やはりこれからは若者を束ねた地域が勝てると思っているんですよ。要は、田舎で束ねれば、今東京で研修して戻らせることができますし、新たな企業も誘致ができるんです。要は、これから地域はいかに若者を束ねるかにかかっておると思いますので、もちろん飛行場、水というふうな問題もありますけれども、要は、そこにドラマがあって若者がそろうかだというふうに思っております。

 以上でございます。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 まさに今までのハード面から新たなソフト面への移行が、地域の行政の中でも役割が重要になってまいりますが、今回、地域にいろいろな中小企業を誘致したりした場合、地域経済を一過性のものにするのではなくて、今後さらにより地域に根づいていくような一貫性のあるものにしていくためにはどのようにしたらよろしいのか、お聞かせいただけたらありがたいと思います。

福間参考人 先ほど申しましたように、世の中はどんどん進化が、進歩が速いわけでございまして、その進歩、進化の情報を得て地方に持って帰って、チャレンジをどういうふうなスタンスでやるかということの協議というか議論というか、やはりそうしなきゃ、田舎で、いや、十年間はよかったけれども次だめになるというのは、そのままストップするからだと思います。やはり国際化の中でも、東京なり中国の問題をいろいろ聞いて田舎に持って戻って、それをどう解決するかというようなスタンスでいかなきゃ絶対残らないと思います。

 以上です。

丹羽(秀)委員 本当に中小企業の中にも頑張っているところはありますが、中には、やはりぬるま湯的というのか、そのままでいいんだというような考えの方々もいらっしゃるという話を聞いております。ただ、私が考える中で、やはりそういういろいろな現場を見て回って、さらにより進歩していくという面が非常に重要だと思っています。

 先ほどの古川参考人の方からもちょっと聞きたかったんですけれども、今回はちょっと福間さんにお尋ねします。

 地域産業に対する教育の取り組みというのも非常に今後重点を置くべきではないかと思っております。自分たちが住んでいる地域はどのような産業があるのか、それを教科書だけではなくて、例えば社会科見学とかさまざまな面で学んでいくというやり方もあると思います。その辺について、何か御意見がございましたらお願いいたします。

福間参考人 先ほどの質問、そのとおりでございます。

 今の親が本当に若者の将来をどう考えているかというと、考えていないんです。これからの世の中、例えば私の子供、まだ二十代でございますけれども、恐らく一生涯に二、三回は職場をかわらないといけないような状態になるということを親が子供に言い聞かせないといけないわけです。そうすると、それをどう解決するかということは、私の子供、若者がそのときにどう判断するかなんです。判断する能力を教えるしかないと思います。それは、きちっとした情報、例えば日経新聞とは言いませんが、きちっと子供に読ませないといけないわけです。その癖をつけておけば、十年後、二十年後に世の中が変わった、変化になったときに、よっしゃと自分で判断するわけでございます。

 それともう一つ、ものづくりは、何度も言いますように、吉田松陰ではないですが、本物の人に会わせて、本物の人の塾に通わせないとお金になりません。だから、格好いい学校じゃだめなんです。本当のものづくりは現場で本当にやった人に教わる、そこへ行かせるしかないと思います。

 以上でございます。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 次の御質問を三宅参考人の方にさせていただきます。

 三宅参考人のお話は非常におもしろくて、特に今話題性のある話もあったので、非常に興味を持って聞いておりました。

 先日私が読ませていただいた本の中に、しにせの企業というのが日本の国の中に非常に多いという話もございました。日本人というのは、商売というよりも、武士道よりも、職人が一つの日本という国を支えてきたんじゃないかという中で、今回、アドバイザー、ビジネスサポーターを行う、育成支援や確保をどのように地域が行っていくのか、その辺お聞かせいただけたらありがたいと思います。

三宅参考人 まず、私がさせていただきます例として、勉強会を開くということからやります。これは、物だけがあっても消費者にはなかなか届かないということをきちっと知っていただくために、売れるものづくり、そういうふうな勉強会を、例えば商工会、商工会議所、いろいろなところが主催となって、その地域全体に行っていくということからやっていきます。

 まず認識をしていただいて、いいものをつくれば売れるということと、それから、売れるためのものづくりをしていくということの少し微妙な違いをきっちり認識していただいて、そして、物だけではなくて、その物がひとり歩きできるようないろいろなパッケージですとか、例えば販促物ですとかPRの手法ですとか、そういうふうなものをきちっと認識していただくということからスタートさせております。

丹羽(秀)委員 ありがとうございます。

 ビジネスサポーターを行う中でやはり非常に大事なことになってくるのは、その地域の特性や、福間さんの話にもあった歴史をきちんと理解しないと、その地域の方々に受け入れられないという面もあると思います。例えば、我が日本の国では香りの文化というのが古来からございました。それをまさに商売にしたのがアロマセラピーとか、そういった商売が今非常にはやっております。

 そういった中で、ビジネスサポーターが地域において連携していく中で、どういった点に注意していくことがあるのか、もしお聞かせいただけたらありがたいと思います。

三宅参考人 注意をするというよりも、やはり活性化をするためには非常にいろいろな人が必要だと思うんですね。

 それで、やはりものづくりの方というのは物をつくるということに打ち込んでいらっしゃる。これは、言ってみればばか者ということになるかもしれないです。でも、それに必要なのが、やはりおせっかい者とよそ者、それから若者、女性ということになるんですが、たまたま私は、今サポートさせていただいている企業ほとんどが、私は出身が中国地方ではなくて関東なので、よそ者なんですね。よそ者であり、おせっかい者であり、女性ということもあって、やはりほかの方からの見方をしっかりと取り入れるということが重要じゃないかなと思われます。

丹羽(秀)委員 ありがとうございました。

 ちょっともう少しだけお話しさせてください。私も、先日読んだ本の中でびっくりした面があります。今、我々がほとんど持っている携帯電話、あの携帯電話の中に金が含まれている、金を使っている。その金を採取する場合、銅山や金山を開発するよりも、携帯電話からとった方が含有率が多いという話がございました。そういった面で、非常にいろいろな視点から見ていけば、さまざまな地域の活性化や産業の活性化につながると思います。

 そういった中で、本日、参考人の皆様方の御意見を聞かせていただいたことは非常にためになりました。本当にどうもありがとうございました。

上田委員長 次に、柚木道義君。

柚木委員 民主党の柚木道義と申します。

 まずもって、本当にきょうはお忙しい中、古川参考人、そして福間参考人、三宅参考人、お三方、お越しいただきまして、本当にありがとうございます。

 先ほど丹羽委員の方から概略の説明が冒頭ございましたので、私からは早速質問に入らせていただきたいと思います。

 ちょっと順番が入れ子になってしまうんですが、三宅参考人の方にまず最初に幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。

 先ほどの竹田ブラシの話やハタケシメジの話も、私も資料は事前に少し読ませていただいておりましたが、本当に目からうろこが落ちる思いで伺っておりまして、そういったお話を伺った中でぜひ伺いたいのは、まさに熊野筆を世界ブランドにということがあったんですが、そういったすばらしいお仕事を通じて、当然全国その他のいろいろな伝統工芸品であったり、さまざまな商品のブランド化事業を進めてこられたと思うんですね。

 そこで、ちょっと具体的に、地元の話で恐縮なんですが、倉敷ブランドといいまして、きょう私も一応バッジをつけていて、同郷委員もいらっしゃるのでつけていらっしゃると思うんですが、去年からちょうど二十六品目を対象にして選ばれて、ちょっと簡単に説明をすると、岡山でいうと桃であったりマスカット、そういった商品であったり、あるいはジーンズ、倉敷市の児島というところが実は発祥の地でございまして、そういった製品であったり、あるいは朝市だったり、びょうぶ祭りだったり、お祭りとかも倉敷ブランドということで選定をしたりして、地域全体の活性化だったり、全国に向かって観光客の集客に努めていく、そういった運動があるんです。倉敷ブランドを一例で申し上げたんですが、実は、今回の地域資源活用法のスキームの中に、国が基本方針を策定しますが、当然都道府県がその基本構想を策定し、それを地域資源を指定として国が認定という流れがございますね。

 そういった中で、私も、地元の商工会議所の方なんかにお話を伺うと、今回倉敷なんかでは、当然岡山県全体的に商工会議所から、ヒアリングは県もされているんですが、倉敷の話を聞くと、ネイティブ倉敷を育成する、ネイティブ倉敷とは何なのかと伺うと、ネット検定なんかを活用した集客方法の確立ということで、実は、こういったものも今回の事業の指定対象に、当然物だったり人だったりいろいろなスキームがあるということで、こういったことを考えているということをおっしゃるわけですね。

 例えば、ネイティブ倉敷、一万人目標ということで、実はこれは事前の試行段階で一週間ほどで二千人の受検者がネットであったということなんですね。これを通じて、例えば認定された方にパスポートを発行して、レジャーであったりお買い物であったり交通機関の割引等の、そういうパスポートを発行して、全国に向かってそういう倉敷のいろいろな中身を発信し、また集客あるいはそれを定住にまでつなげていくような取り組みということで、そんな話を伺ったんですが、例えばこういったネイティブ倉敷というものを育成する、これも地域資源活用法を生かしてですね、こういう事業は類似のものがあると思うんですね、その際に注意すべき点というのをまず冒頭教えていただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

三宅参考人 ネイティブ倉敷、非常にいいと思います。

 私もかねがねいろいろなところでお話しさせていただいているのが、地元のものを地元の方たちがしっかりと知るということがまず重要だと思います。

 倉敷でしたら、桃とかマスカットがあると言ったんですけれども、例えば果物マイスター制度とか、それから、先日沖縄に行きまして、沖縄も特産品が物すごくたくさんあるんですけれども、沖縄の食べ物というのは非常に名前がわかりにくいので、全国になかなか物はあっても知らしめることができない。だったら、沖縄の食文化マイスター制度なんかをつくったらいいですねというお話もしましたけれども。

 実際に、やはり注意点としては、まずリーダーを明確にするということが必要じゃないかと思うんです。みんなで一緒に取り組むというと、何となく仲間意識はできるんですけれども、それを推進していくということができにくい環境になってくるかもしれないので、きちっとしたリーダーをつくる。

 それから、やはりよそ者を入れるということが重要じゃないかと思います。といいますのが、いいものというのは、自分たちで余りにもなれ過ぎてなかなかいいと思われにくいということがありますので、やはりよその人を入れる。

 それから、最初から戦略構築ということを意識した展開にしていく。これは、やはりややもすると何かをつくり上げるということだけに力を入れ過ぎてしまうんですが、同時進行で戦略構築、売るためのもの、あるいは全国展開するための戦略、こういう取り組みを両方あわせてやっていきますと、非常に早く実現ができるんじゃないかなと思われます。

柚木委員 大変本当に参考になる御意見をいただいたわけですが、まさに、三点目におっしゃられました、最初から戦略構築を意識し、それを例えば全国展開するということであれば、そういうきっちりと計画段階から想定しておくということですよね。そういった中の一環になるのかもしれませんが、もう一点お伺いをさせていただければと思います。

 例えば、倉敷ブランドというものがある、それを今後全国に向かって発信をしていく。そのPR方法といいますか、先ほどツールのことでも、ひとり歩きをできるカタログをおっしゃられていましたが、そういうブランド戦略と、例えばメディアの活用あるいはツールの活用ということでぜひ御意見をいただきたいんです。

 当然、この倉敷ブランドに関して申し上げれば、倉敷のものであっても、東京の物産展でPRをしたり、あるいは首都圏、関西圏でアンテナショップを出したり、実は昨年、東京倉敷ふるさと会というもので、倉敷出身の東京の方々の発足の会がありまして、当然そういう方々を通じてPRをしていくというのはあるんですが、そういったことも含めて、地元では、例えばケーブルテレビやコミュニティーFM等もございます。しかし、まだまだ私の感覚では、昨年十一月に認定されたんですが、では全国の方が十分にそういうことを認知されているかどうかというと、まだ効果の検証はこれからかなと。

 そんな中で、今申し上げたようなことに加えて、ちなみに、倉敷ナンバープレートというのも、実は倉敷ナンバー登録されまして一つのあれになっていると思いますが、そういうブランド戦略とメディアの活用といいますか、先ほどの熊野筆のお話なんかにしても、いろいろ取り上げられることによってどんどん広がっていくということがあったと思うんですね。

 これまでの御経験の中で、もちろん倉敷ブランドだけにかかわらず、そういった類似のいろいろな取り組みの中で、メディアの活用等について、何か先ほどのお話に加えて参考になる点があればお願いいたします。

三宅参考人 メディアの活用というのは、どちらかというと花火的なもので、やはり地に足のついたそういう紹介活動にはなりにくいかなとも思うんですね。

 そういう意味では、私が物すごく大切じゃないかなと思いますのが、やはり全国で横断的な取り組みができる支援体制づくりというのが必要じゃないかなと。今回の法案もそうなんですけれども、そのためには、やはり全国でそういう支援組織をきちっと構築して、その構築した支援組織が全国で一つの面として支援できるような状態が必要だと思いますし、やはり、地方のものづくりの方たちというのは、全国にPRしていきたいというのはすごく大きいんですけれども、そのために実際にはお金もなかなかかけられないという実情です。

 そういう意味で、公的な支援、例えば私が今参加させていただいている中小企業基盤整備機構などは全国にやはりその支部がありまして、それと同時に、中小企業大学校で勉強できる、そういうふうな取り組みも総合的にできるという、まさに横断的な取り組みができる組織体じゃないかと思うんですけれども、そういうプロの集団が全国できちっとスクラムを組むことによって、埋もれている資源をきちっと全国ブランド、全国展開することができるんじゃないかなというふうに思います。それと同時に、この全国での日本ブランドというものを今度は世界に提案していくということが可能になってくるんじゃないかと思われます。

柚木委員 ありがとうございます。

 まさにそういった、今は倉敷ブランドの例を申し上げましたが、日本ブランド全体としての広め方ということで、大変参考になる意見をありがとうございました。

 続きまして、今度は、ごめんなさい、順番どおりに古川参考人の方にお伺いをさせていただければと思います。

 先ほどのお話の中にも、我が国の国際競争力が低迷している中で、製造業については大変世界トップの水準にある一方で、サービス業については、七割を占める中で大変に低い水準にあるというお話がございました。

 ただ、その中で、サービス業と一口に言っても、当然中身に応じた施策評価等が必要になるというお話があったと思われますが、具体的なそういうサービスの中身に応じた施策について、先ほど、サービスエンジニアリングを通じてITのユビキタスコミュニティーというふうなお話があったんです。

 例えばの話なんですが、これも私の地元の岡山県の話で恐縮ですけれども、医療先進県ということで、そういった先進技術を開発するための、例えばメディカルテクノおかやまという、まさにITを活用した地域医療の支援策がございます。しかし、これは技術面での支援ということになろうかと思うんですが、医療といいますと、労働集約型といいますか、なかなか生産性をどうやって上げていくのかというのが必ずしもなじむ領域かどうかというのは議論のあるところだと思うんですね。

 しかしながら、そういった面においても当然、競争力を上げていく一つのこれは視点に入っていると思うんですが、具体的に、そういう今お話でいただいたサービスの中身に応じた施策、例えば医療、介護の面、もしお話しいただければと思いますし、その他、具体的な何か中身があったらお話しいただければ大変参考になりますが、いかがでしょうか。

古川参考人 なかなか難しい問題ですけれども、例えば、私がよく知っております、議員も御存じかもしれませんが、ファナックという会社があります。ファナックという会社は、富士山のところにすべての製造拠点を集中して、製造業であるにもかかわらず一人当たりの売り上げが二億円という、一般の製造業の十倍近くにまで、八倍から十倍近くまで至る。これはなぜかというと、完全に自動化をしているから、したがって、アジアの安い労働力にも別に侵されることなく独自なビジネスをしている。

 やはりサービスにおいても、できるだけ機械化あるいはIT化をするということが基本であろうと思っております。

 その中で、先ほどの御質問では医療のことが出ましたが、医療といっても、実際にまだ病気でない事前の予知の問題から、実際の病気になって、それのケアとそれから手術をする、医療一つをとっても、そのフェーズはいろいろあります。

 しかし、その中で、一般的には予防医療をすることがこれからの大方針であって、その予防医療をいかにサービスをよくするかということが必然なわけですが、その中では当然、予防医療、介護の自動化ということ、あるいは事前の通知ということが必要になってくるわけですので、ITを駆使して、そして、個人個人の健康状態が全体的に、あるコミュニティーあるいは団体ごとに把握されるような、そういう制度が例えば必要じゃないか。例えば、私自身は、唾液でストレスだとか疲労度をはかる、そういうバイオメムスというのを開発しておりますが、そういうものがどんどん開発されてくれば、世の中は予防保全が相当進むようになる。

 その次に、介護の問題になれば、例えば、今、国で成長する七分野ということの一つで、さらなるロボットの活用というのがあると思います。ロボットは日本では非常に強い産業ですが、過去、これまでは、多くは工業用に使われてきております。この工業用に使われてきた技術をなるべく医療、民生用に転用できないか、家庭用に転用できないかということで、労賃の高い日本において、ロボットを活用することによるサービス化ということがさらに進むのではないか。

 最後ですけれども、ITとそれからITのユビキタス性を用いるということで、発信機をそれぞれの個人個人につけることによって健康状態を全部把握するということで、こういうような研究についてもかなり進んでおります。これは私の友人の方がやっておりますが、ウエアラブルの健康診断という形で進んでいますので、そういうものが近々実用化されてくれば、サービス分野、特に医療分野におけるサービスの向上が技術的にも可能になるというふうに考えております。

柚木委員 本当に具体的な事例を交えての御答弁をいただきまして、大変ありがとうございます。

 こういう質問を今申し上げたのも、まさに予防医療のことをおっしゃったんですが、医療費がどうしても膨張していく中で、抑制の政策という方向性にもございますから、そういった面も含めて、やはり競争力を高めていくことによってそういった側面にも寄与していくという部分があろうかと思いましたので、まさにそういった面に触れていただいて、大変貴重な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 実はもう一点伺いたかったんですが、少し時間が押しておりまして、先ほどのお話の中で、私、八省庁連携の、多少なかなか難しい面についてお伺いをさせていただければと思っておったんですが、やはりしっかりとリーダーシップを発揮していくというふうなことが必要だというお話がありましたので、一つだけ。

 省庁連携の中で、これまでの取り組みの中でなかなか苦労された面もあったと思うんですが、具体的にこうしたらうまくいった、あるいはこうしたらいいのではないかというふうな今後のアドバイスも含めてあれば、御答弁をお願いいたします。

古川参考人 私自身、省庁連携の中で二つ苦しい思いをしたことがあります。

 一つは、経済産業省さんが進めておりましたTLO、これは文科省さんとの連携で進めておりましたが、しかし、文科省さんの方は別に、大学知的財産本部計画というのを進めました。この二つが、所管省庁が違う、しかし大学は一つであるということで、そこの整合をどうするかというときに問題がありまして、そのときに、やはり問題があるということを声を大にして申し上げた結果、国として即座に対応していただいて、現在では、文部科学省さんの政策と経済産業省さんの政策がうまくリンクして、我が国全体の大学発の特許をうまく担保できるようになった。

 もう一つは、先ほど冒頭に申し上げましたけれども、地域の活性のためのクラスターということで、これは経済産業省さんの産業クラスターを私は担当しておりましたが、片一方では文部科学省さんの知的クラスターというのがある。こういう問題が、似たような地域に似たようなものがあったらば、オーバーラップして、予算効率上もよくないのじゃないかということも率直に申し上げた結果、もうこの三年来、両省間で極めてよい連携ができておりまして、そして、ことしの六月に毎年定例で行う京都の産学官連携推進会議、科学技術大臣が主宰されてやりますが、私、それの担当をいつもしておりますが、その中でも、先日打ち合わせましたけれども、文部科学省、経済産業省の両省が非常によく整合して地域全体の活性化を進めているということで、私は最近は心配しておりません。

柚木委員 大変ありがとうございました。

 私も地元の大学のサテライトオフィスの方からお話を伺えて、そのようなお話もちょうど出ておったところなので、大変貴重な御答弁、ありがとうございました。

 では最後に、福間参考人の方に、時間が押しておりますので、二点続けてお伺いをさせていただければと思います。

 本当に斐川町の事例、私も、書類で見る以上に、やはり実際に伺うと、行間ににじむ部分を聞かせていただくことができまして大変に参考になりましたが、少し具体的な質問をさせていただきたいと思うんです。

 既に取り組みの中での御説明の中であったんですが、ちょうど岡山との連携という話もたまたま出ましたので、私、ちょうど岡山の出身でもありまして、ウイングウィン岡山という事例を御存じかもしれませんが、まさに、地域の中での連携、さらには、ある意味では、県境をまたぐ連携というのも必要になってくるわけですね。

 そこで、こういった事例で、大変にやはり課題になってくる部分、同じような点で御苦労された部分があったと思うので、ぜひ教えていただければと思うんですが、例えば、このウイングウィン岡山を御存じでいらっしゃいますよね、航空関連部品の連携の取り組みで、二年ほどやって一定の成果はもちろん上がっております。しかし、例えば、グループ契約をまだ受注するに至っていない、そういう課題、これは多分いろいろなところで出てきていると思うんですね。さらに、当然技術力の底上げについてもなかなか難しい。そういった中で、斐川町の取り組みの中で多分参考になる事例もあったと思いますので、そのあたりも含めてひとつ教えていただきたいということ。

 それからもう一点は、県と町との二人三脚が必ず必要とおっしゃられたんですが、今回の法案の中で、企業立地の関係で、例えば農地転用の迅速化についても当然盛り込まれておりまして、まさに、私が県でお話を伺ったときに、産業企画課の方と農地の担当の方とお話をされたときに、やはり立場が違うとなかなかおっしゃることも違って、同じ県の中においてもそうですから、これが町との連携ということになるとなかなか大変だと思うんですね。ですから、二人三脚で取り組まれた際にあった課題、それから、それをどのようにして克服されたのか、もし農地転用なんかも含めてお答えをいただければ大変ありがたいと思いますので、二点続けてで恐縮ですが、お願いいたします。

福間参考人 先ほどの岡山のウイングウィンにつきましては、岡山県の財団の方が努力されまして、我々から見ますと物すごく革新的なことをやっておられると思います。

 そこのウイングの中にも、岡山でなる仕事もあるが、島根にもなる仕事もあるかもしれぬということ。要するに、私が言いたいのは、これからは、近江商人のように、島根県が東京から得た仕事を岡山県に持ってきたり、岡山県さんが持って戻った仕事を島根県でやったというふうな、非常にそういうふうな有機的なつき合いをしなきゃ、島根県ばかりもうけようとか岡山県だけもうけようという、例えば墨田区の情報は僕らがよく知っていますので、そういうことを流そうというのが我々の使命だと思っておるんです。

 それから、県との二人三脚でございますが、先ほど言われましたように農地法が一番問題なんです。県の段階は、県知事命令で出るわけでございますから非常に農政課の担当の方もスムーズになるわけでございますけれども、国の農政局になりますと、ちょっとなかなか難しい問題が今までありました。そういうことも含めまして、生きるか否かというような産業おこしをやっている場合に、やはり、県との結びつきは今はよくなっています、今までもよくやっていますから。もっと国もよく理解をしていただいてやらなきゃ、本当の工業団地はできないと思いますので、先生方、またひとつよろしくお願いします。

 以上です。

柚木委員 大変現場でされてこられただけに説得力のある御答弁をいただきました。

 本当に、きょう、お三方から大変貴重な、具体的なお話を伺いまして、この法案の中身というものが、当委員会の中でもやはりまだ具体的な中身が見えてきにくい、特に自治体の方はそう思っていらっしゃるというふうな面がございましたので、今のいただいた御答弁を参考にしながら、この法案の中身について、具体的な運用面について本当に参考になる御答弁をいただけたと思います。本当に本日はありがとうございました。

上田委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 まず、本日は、三名の参考人の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御足労を賜りまして、また、大変貴重な御意見をちょうだいいたしましたことを心から感謝申し上げたいと思います。

 陳述の時間も十五分ずつで、多分大変短くて十分じゃなかったんじゃないかと思いますし、また、質疑の方も二十分と限られておりまして、大変恐縮でございますけれども、何点かに絞らせていただいて質問をいたしますので、手短に、適切な御答弁をいただきますようによろしくお願いいたします。

 まず古川先生に御質問させていただきますが、日本型ものづくりイノベーションを目指すということは、やはりこれから大変重要な方針でありますし、今の政府・与党の中での中心的な考え方であるとは思いますが、一方で、今の学生の理科系離れというか工学部離れというものが大変顕著である。これは、日本に限ったことではなくて、この前、シンガポールのリー・シェンロン首相とも会ったときに、シンガポールですらそうだなんという話でもあったんですが、こういう国として日本型ものづくりイノベーションを担おうという政策は上がっても、その政策を推進する人材をどう育てるのかというのは、これは経済産業省というより文科省の政策でもあると思いますが、先生は学術会議のメンバーでもいらっしゃいますので、その点についての御所見を、大変大きな問題で手短にというのは恐縮なんですが、お答えをいただけますでしょうか。

古川参考人 今から十数年前を思い出していただきますと、若者の製造業離れというのが大問題になりまして、それは三K問題といって、危険、汚い、きついということで、若者がものづくり業、当時製造業と言っていましたけれども、そこにつかない。

 しかし、それはなぜかというと、当時の社会情勢からすると、現場のものづくりにつくと、まず、勤め先が都心ではなくて地方圏になってしまう、それがおもしろくない、そういう風潮がありましたし、都心にいる方が、リビングコンディションもいいのにもかかわらず給料も高くなる、さらには社長にもなる可能性が高いということであったと思います。

 しかし、それが随分この十年間で直ってきたんですが、ここへ来てまたまた理系離れということが話題になっていますし、理系の力が落ちているということが問題になっております。

 これは、国では、基本的には、ゆとり教育の改善並びに教育再生会議で抜本的な検討をしていただいているところで、私がそれ以上に言及するつもりはありませんが、私自身、エンジニアリングスクールを担当している者としては、やはり、最高学府である大学が実際の社会と連携している人材を輩出している、そして、その人たちが社会で活躍しているというのを見せることによって、なるほど、ものづくりに携わる人間は喜びがあるということを見せる必要があると考えています。

 そのための一つとして、先ほど申し上げましたように、平成十五年来、文部科学省さんでは専門職大学院設置基準というのを設置されましたので、それに基づいて私どもは技術経営系専門職大学院というのをつくっているわけでありまして、この卒業生、修了生が社会に出てどんどん活躍し、そしてそれが社会で評価されれば、あっ、なるほど、ものづくりにつくということは、つくる喜びがあるし、会社経営もできるんだ、トップにも立てるんだということが実証されることによって、若者はすぐに戻ってくるのではないかというふうに、若干楽観かもしれませんけれども考えています。

赤羽委員 あともう一点、古川先生に、ちょっと別の点で確認をさせていただきたいんですが、サービス産業の生産性の向上、これが大きなテーマとして、今回も産活法の改正の中の主眼の一つでもあるというわけなんです。

 先生の先ほどの御陳述の中でもサービス産業にもいろいろあるというお話があったかと思うんですが、例えば、我々が利用者として、タクシーなんというのはもう少しサービスのレベルアップをする余地があると思うんですね。ちゃんと最短の道に行ってくれるのかとか、乗りたい車に乗れない現実をどうするのかとか、そういうことによって、もう少しサービスの質の向上というのは期待できると思うんです。

 サービス産業の生産性の向上という話のときによく出てくる指標が労働生産性の上昇率、先ほどのお話にあったとおりなんですね。ここは、どちらかというと、このサービスをどれだけ手間暇かけずにやるかということが出てきてしまうんだと思うんです。何か、私は、サービス産業の生産性の向上というと、人数を少なくやれるからいいということが製造業とサービス業で少し違うのではないかという感じを持っているんですね。私の言いたいことがちょっと正しく伝わっているかどうかあれなんですが。

 ですから、サービスをレベルアップさせるということも大事だし、ユビキタスですとかを利用してまだまだ余地はあるというのは、私は別にそこは同感なんですが、その辺の、今の労働生産性の上昇率みたいなことだけで、本当に目指しているものがどうなっているのかということの指標として十分なのかどうかということを、私ちょっとそこに疑問を持っているものですから、御教示いただければと思います。

古川参考人 今赤羽議員御指摘の点は、確かに私もメモの中にも書きましたが、サービス産業において労働生産性だけを配慮していいのか、サービスというものは受ける側の感じですから、カスタマーズ・サティスファクション、CSの観点を重視しなければいけないということだと思います。

 しかし、最終的には、例えばこういうマイクロホンというプロダクトをつくっても、あるいはマッサージをしてもらったとしても、どちらにしても、それの享受できるよさで価格というのは決まってくる。マーケットプライスとしては市場原理に基づいて決まってくるわけですから、それはサービス産業であろうとハードウエア産業であろうと同じことであろうと思います。

 そういった意味で、最終的な評価をしていくのに、大きな指標値としては、労働生産性ということをターゲットに上げるということは、これは経済学としてはやはり必然であろうと私は思います。

 しかし、先生の御指摘のように、では、単に、労働生産性が製造業に比べてサービス産業が同じではない、それはちょっと低いねというときに、それを全く同じにしろということを目標にするわけではなくて、なるべく高くはしなければいけないけれども、高くするときに、それぞれのサービスを受ける人の固有のカスタマーズ・サティスファクションをも考慮した生産性向上を考えなければいけないというふうに考えております。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 次に、福間さんにお伺いをしたいわけなんですが、先ほどの陳述で、斐川町は農業が豊かなところだったんだけれども、減反政策で農業がだめになり、人口減少になって過疎化が進み始めたと。こういった状況の地方公共団体というのは物すごい多いと思うんですね。だからどれも条件が似ていて、しかし、その中で、企業立地が成功する、ブレークスルーしたところというのは非常に限られている。

 先ほどの福間さんのお話では、斐川町はアフターサービスが非常にいいということがブランドとして確立した、こうおっしゃられるんだけれども、多分、アフターサービスがいいというぐらいのことはどこの地方公共団体でも、まあ、そこに相当差があるのかどうかということもお聞きしたいんですが、私は、そんな難しい話じゃないんじゃないかと。そのアフターサービスのことも考えられないぐらい地方というか役人というのはずれているのかなとびっくりするぐらいの話なんです。

 ただ、アフターサービスがよくてもなかなかブレークできないというか、企業立地を阻むものというのはどんなことがあるのか、許認可とかいろいろあるんだと思うんですが、その点について、全国押しなべて同じような状況の中で、斐川町以外のところでここまで成功したという例は非常に少ないのはわかるんですが、ほかがなかなかうまくいっていない現状の壁というのはどういうことなのか、御指摘をいただければと思います。

福間参考人 厳しい質問でございますけれども、我々、アフターサービスといいましても、例えば飛行機のチケットがとれないということからもそういうきめ細かなサービスをやっています。

 企業誘致の一番根本は、相手の企業の役員さんと何回会うかなんですね。私のところが富士通と十年つき合ったのも、何か話題を持っていかないといかぬわけでございます。したがって、我々も、正直言いますと、酒を飲むこともいいんですが、出雲というか斐川へ行くと、島根へ行くと、何とおもしろい話題をいっぱい出すなと。そこのスタンスなんです。だから、我々も朝四時から起きて雑学をいっぱい勉強するんですよ。それで、出雲大社は、歴史はもちろん語りますけれども、もっとユニークな話もいろいろします。それから、地場企業でこういう商品を開発しておられますがいかがなものでしょうかというような、もう営業そのものなんです。

 それを、一回、二回会ってだめだったからあきらめるのがほとんど全国の事例だというふうに思っております。

 以上です。

赤羽委員 それでは、ちょっと視点を変えて。

 国では産業立地政策というのはこれまで数多くやってきた、頭脳立地法とかテクノポリス法とか特定産業集積活性化法とか。余りいい結果が出ていないという評価、いろいろな評価があると思うんですが、なかなかいい結果が出ていない。だから今回も、企業立地に関する法を今審議しておるわけですけれども、これはまた成功するのかどうかというまゆつばなところがあるわけなんですね。

 国、経済産業省としては、今までは国が関与し過ぎたから、地方の主体性をということを今回の法律の売り物にしているというんですが、地方公共団体から見て、今までの国の産業立地政策がうまくいかなかったというのはどういうことにあるのか、経産省の役人が今いますけれども、聞こえていないと思いますので、ちょっと率直に御答弁いただけたらと思います。

福間参考人 私のところでは、経済産業省の法律の中で、先ほど申し上げたように産配補助金ということが一番有効、かつ利用させていただきました。頭脳立地等とかいろいろあったわけでございますが、私が最初に申し上げましたように、やはり国の新法、こういう補助金ができますと、それに頼るというイメージの地域が多いんですよ。

 僕が言いますのは、最初言ったとおり、この法律をきっかけにもう一回、地域はどうあるべきか、どうすべきか、本当に議論、議論されないとだめなんですよということなんです。国の法律、補助金があるからといって成功する、それは、民間企業でも補助金をもらって商品ができてもすぐ売れないと一緒なことでございまして、今こそ行政マンを中心にして本当の意味のこの地域をどげんするかという徹底議論をされないと、私から言いますと、でない地域はもうだめでしょうなと。はっきりわかるんですよ、僕らが見ておっても。遊びじゃないんですからね、生きるということは。

 それでは、済みませんけれども。

赤羽委員 それで、先ほど福間さんのお話の中で、県を越えた産業集積ということが今後求められるんじゃないかと、私も全くそうだと思うんです。

 今、今回の法律で地方がそれぞれやる仕組みができた、都道府県単位だったと思うんですが。それはそれで、活性化して頑張ることはいいことなんだけれども、私は、ちょっと国の産業政策としてどうなのかなと。国としてこの地域にこういった、例えば、私は神戸なんですが、今神戸とか大阪とか京都では先端医療産業都市構想というのをつくろうというような国のインテンションがあるんですね。その中でやっている、私、そういうことというのはすごく大事なんじゃないかと思うんですよ。何か中国地方ですごい産業集積していて、そこは島津製作所とか村田製作所がやるんですけれども、四国でも似たようなことをやっているとか、本当にそれが国総体として効率的なのかどうか。

 これは福間さんに聞くことじゃないかもしれませんが、もう少し、広域性というか、国としての調和をとった産業政策ということを私が言うと、経済産業省は、それをやってきて失敗してきたと。ここはなかなか私も結論めいたこと、すとんと落ちているものがないんですが、御回答じゃなくてもいいんですけれども、その辺に関しての御所見があれば。

福間参考人 なぜ中国管内で情報をいただきたいかといいますと、村田製作所も物すごい技術者がおるんですよ。だけれども、こういう加工をもっと合理化する加工機械がないかとか、こういうものがないかという問いがあるんですよ。普通、今まではそれが島根県内になきゃ、ないで終わっておったんですけれども、私が言いたいのは、島根県にこの技術がないなら中国管内にあらへんかと、それを中国産業局の方からでも教えていただきたいがということ。

 それから、将来を考えてみますと、もう島根県にどんどん企業が来るわけがないんです。そうすると、今高速道路がどんどん整備されますと、岡山県にいい企業があればそこへ通わぬといかぬという若者が出てくるんですよ。そのところを容易にしなきゃ、今までの島根県だけで若者定住なんということよりは、もう何年後を考えたら、高速道路もできますから、今出雲から岡山に二時間で行くわけですよ、土日は出雲へ帰ることができるんです。そういうことも視野に置いて若者に生き生きしてもらいたいのが我々の考え方なんです。

赤羽委員 それでは、ちょっと時間も限られていますので三宅さんにお伺いしたいんですが、この今の成功した事例、まず熊野の竹田ブラシの件ですけれども、私も実は政治家になる前は商社で仕事をしていたものですから、なかなか大ヒット商品というのはめったに出ないんですね。めったに出ないから大ヒットというので、年じゅう出ていたら大ヒットではなくて。今回も経済産業省は五年間で千の企業をつくるというから、そんな無理するな、そういうことを言っているから千に三つだと言われるんだと僕はこの前も言ったんですが。

 まず、この事例を読んでみますと、私が見る限り、やはりこのブラシは、クリスチャン・ディオールとかシャネルのOEMとして実際にもう使われていた、マーケットの実態があったので、だから独立ブランド化するのがうまくいったのではないか。幾らいいものでも、全く世の中に商品として出ていないものを育てるというのは本当に難しいというのを僕は自分の体験としても持っているんです。

 その点、この熊野の竹田ブラシの成功の要因というのは、幾つもあったと思いますが、今の点についてはどうなんでしょうか。ほかに、いろいろ手がけていて、成功されている例もあれば恐らくまだこれからの例もたくさんあるんじゃないかと思いますが、その点と比較しながら、簡単に教えていただければと思います。

三宅参考人 例えば、広島の熊野の事例でいきますと、シャネルとかディオールとかのブラシをつくっていても、それは全く名もないブラシで、しかも十円、二十円という非常に低額のものですので、ブランドとして価値のある非常にいいブラシではなかったんですね。

 実際に、もちろんサポートするのにもいろいろ苦労はありますけれども、やはり、何とかしたい、物すごくやる気のある地方の中小企業というのはすごくたくさんあるんですね。それが埋もれてしまって世の中に出ていないから、今回は、きちっとそれを世の中に出していくための仕組みをつくろうということだと思うんです。

 私は、逆に、五年間で千の事業というのは少ないんじゃないかなと思うんですね。といいますのが、やはりある程度、五年間で千、私はもっともっとあるし、できるはずだと思うんですけれども、その事業というのは、実際に、みんなをもっとやる気にさせるための一つの大きなフックになるんじゃないかと思うんです。これが、難しいんじゃないか、できないんじゃないかということになりますと、どうしても当事者がちょっと足踏みしてしまう、そういうことにもなってしまいますので、逆に、私は五年間で千どころか四千でも五千でも出てくるんじゃないかなと。

 ただ、それは、仕掛け人が必要ですので、この仕掛け人というのは、商社も仕掛け人ですし、また、先ほどからちょっとお話しさせていただいているように、物があっても、これがちゃんと世の中に出ていけるような、みんなに認知されるようなものにしていくというのは、やはりブラッシュアップがすごく必要で、このブラッシュアップをするというのも仕掛け人だと思うんですね。

 今回は、そういう人というものが物すごく大きなテーマになってきますし、今までは、人が、サポートする人材も育成されていなかった、またサポートするという組織もなかなかなかった、だから商工会とか商工会議所レベルでサポートするしかなかったんですが、今回は国が横断的に支援しようよということですので、手を挙げるところというのはすごくたくさんあるんじゃないかと思われます。

赤羽委員 今、まさに仕掛け人がやはり大事なんだろうなと。なかなか、これは、私、この前ちょっとこの委員会で質問で申し上げたんですが、今回も地域中小企業サポーターというのを任命した、この人たちも本業は持っているわけで、本業を持っていて講演するような話だけだと。やはり、まさに生きるか死ぬかで企業というのはやっているわけだと思うんです、余力があって何か片手間でやっているのでは当然ないわけで、片手間でやるようなところは、生き残れないし成功もしない。ですから、どう仕掛けるかということ、その仕掛け人をどう育成するかということは非常に、ここは本当に難しい問題、それが職業として成り立たなければいけないということだと思うんです。

 私はきのうも経済産業省の担当のところに言ったんですけれども、要するに、経産省がこういういろいろなアイデアをつくって全国に投げる、そうすると、地方公共団体の役所と温度差があるのでなかなかそれが活用されないみたいなことを繰り返してきたんじゃないか、ですから、経済産業省の中にこういう地域おこしグループみたいなのを、三十人ぐらい、手を挙げさせてグループをつくって、それで地方に三年間行ってこい、予算は、幾ら使ってもいいというのは、経産省の予算が限られているので、幾ら使ってもいいということにはならないけれども、やってこいというようなことをやはりやらないと、その本気度というのは伝わらないんじゃないか、こう思うんです。

 ちょっとこれは、福間さん、地方公共団体にいた立場として、そんなことを、今の私のアイデアなんかをやると、どうでしょう、中央から役人が来たらややこしいだけでしょうか。最後にお伺いします。

福間参考人 それと同じ話を僕は思っておるんですよ。例えば、島根県職員は、教員とか警察官、一万人おるんですよ。要するに、飛び込み営業マンは生まれ持った素質があるんですよ、それを見つけて、反対に、島根県から営業に歩かせる。村田の人事課長を二十年ぐらいやった人は、一分、二分の面接で、彼は飛び込み営業マンができる、だからいい商売人になるということがわかるんですよ。だから、そういう逆転発想でもしていかなければ地域は勝てないと私は思っています。

 以上です。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

上田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。

 きょうは、参考人のお三方から、それぞれのお立場で貴重な御意見をいただき、ありがとうございます。

 早速質問させていただきます。

 古川参考人からお尋ねさせていただきます。

 古川参考人は産業クラスターのキーマンということで御紹介なども受けているわけですけれども、ブドウの一つ一つが房となることによってシナジー効果が生まれていく、そういう取り組みとして、特にTAMA協会の会長をしておられるということで、私も埼玉の所沢なものですから、このTAMA地域、これは埼玉西南あるいは神奈川の北西を含めたあの地域における産業クラスターですね。その地域の製造業が持つ特徴またポテンシャル、どういう将来的な発展の展望が見込めるのか、その辺について御紹介いただければと思います。

古川参考人 TAMA地域というのは、先ほども申し上げましたけれども、もともとは広域多摩地域という名前をつけていたんですが、そうすると、多摩は、東京の多摩地域のイメージになってしまうのでよろしくないという話が埼玉県、神奈川県からありましたので、それでローマ字でTAMAとつけたんですが、それを、しようがないので、読み方としてテクノロジー・アドバンスト・メトロポリタン・エリアと後づけをして、それを和訳にして首都圏産業活性化協会というふうにさせていただいたわけです。現在は、経済産業省認可の社団法人にさせていただいております。

 ここの地域をどうしてそういうふうにしたかというと、先ほどの皆さんの議論も含めてなんですが、従来は、日本の中で産業の集積というのがいろいろあるわけですね、例えば、大田区でいえば賃加工をするだとか、燕三条で食器をやるとか、東大阪でいろいろ加工業があるとか、そういうようなものがあったのですが、それが、戦後数十年過ぎてきますと知らないうちに広域的に広がってきたというのがあります。

 それで、例えば東京でいいますと、東京二十三区の中で、工業等制限立法がありましたので、そのために工場等はある時期に東京の郊外に出てきた。そのときに、たまたまですが、TAMA地域の先ほど申し上げた地域は、国道十六号線沿線地域ですが、ここは桑畑などの畑があった、小屋があった、あるいは、戦争中のことで軍需工場がたくさんあった、そういう特徴があります。

 その中で、東京の中で育ったものづくり企業が、工業等制限立法の影響を受けて郊外に出てTAMAに立地した。その結果、いろいろ離散的になった人たちは、どんなのが特徴かというと、大きく分けると、やはり計測です、計測技術が非常に強いですね。それから、制御する技術、電子を用いた電子制御技術、この二つが大変強うございます。計測、制御、それから最近では光産業ですね。そのために、この地域での強みというのは、いわゆる機械と電子が合わさったメカトロニクス、最近ではそれにオプティクスを加えたオプトメカトロニクス、そういうものが強いというのが特徴であります。

 私は、ここの中で、そういう特徴を生かしながら、しかも内陸の工業団地なんですね、内陸の工業団地の最大の欠陥は何かというと、ロジスティクスの運送費の経費が高い、それから、日本は土地代が高い、そしてその上に日本はエネルギー代が高い、さらに人件費は中国の二十倍も高い、こういう四つの高い条件の中で製造業を営んでいく、内陸工業団地で営んでいくためには、そういうオプトメカトロニクスのものをつくって、先ほど申し上げましたけれども、一グラム単価が一円のものをやっていたのじゃとても勝てないので、一グラム単価が二十円、三十円になるものをつくっていけば、そうすれば、狭い土地でも有効活用して高い付加価値ができる。

 そういうようなことをするためにTAMAクラスターをしておりまして、現在、三百七十社、地方公共団体等々全部入れまして六百メンバーで運営しておりまして、今年で十周年を迎えるに及びました。おかげさまで、国の支援等もいただきまして、この地域の我々のメンバーシップの企業は、我が国のトップランナーを走っている。結果的に、なぜかというと、このTAMA地域全部合わせますと、工業出荷高が二十五兆円程度になりまして、これはシリコンバレーの二・五倍、場合によっては三倍ぐらいになります。そのぐらいの大工業出荷高を上げているというところで、これから大いにポテンシャルがあると考えています。

塩川委員 ありがとうございます。

 あわせて、古川参考人御自身も紹介されていました既存の産業集積ですね、大田区、燕三条、東大阪という話がありましたけれども、こういう既存の中小企業のものづくり産業集積の地域の振興策、支援策は今どうあるべきなのか。今回の法案は企業立地促進法案というところで、従来からの集積活性化法はここで廃止ということになるわけですけれども、こういった既存の産業集積、中小企業のものづくりの集積地における振興策はどうあるべきなのか、その点についてお願いいたします。

古川参考人 既に既存のところでもいろいろな取り組みがされていて、模範的な事例があると思います。少なくとも、既存の賃加工上の一番の問題は、図面がかけなかったということですね。

 ところが、この時代は、コンピューターを用いたCADということですので、CADを用いて、そして先ほど何か島根さんの話にもありましたが、五軸の加工機が使えないとかロボットが使えないと。やはり新鋭の設備をある程度入れていく、このコンピューター化したCAD、それからCAM、コンピューター・エーデッド・マニュファクチャリング、それをリンクした形でやはり設備の高度化を図らなければいけない、それが一つです。そのために、今回も、設備償却期間の問題が新法でうたわれておりまして、私は大変それは好ましいことだと思っています。

 また、一つの企業体で三人、十人の企業ではできる範囲が決まっていますので、従来は口合わせをして、地域全体で何か全体の仕事を得る、そういう形で集積ができておりましたが、最近のITが活用された時代では、やはりアライアンス、企業間連携を組んでいくのに、ネットワークを使ったアライアンスを使わなければいけないということで、ネットワークアライアンスを整備していくことによって既存の集積地域がさらに活性になるであろう。その既存の集積地域が内部的にアライアンスあるいはネットワーク化ができれば、それは外部の同じような地域と連携して行うことができる。

 その中で、一番最近重要に思っていますのは、やはりいろいろな電子情報を受けるときに、今までですとCADという図面だけでよかったんですが、図面に付加したいろいろなノウハウとか、ちょっとしたつくり方のコツを書かなければいけない。そういうものをするために、新しいコンピューター方式があります。EDIといいますけれども、XML方式を用いたEDIということをその地域ごとに投入することによって、大手企業が下請に仕事を出すときに、それぞれ固有のシステムを入れないと受注できないということですと、小さい企業は立ち行かなくなってしまうんですね。そのときに、その地域ごとに共通で受けられるXML―EDIシステムのようなものをこれから地域ごとに整備していくことによって、既存の地域の再活性が図れると思います。

 これについては、既に経済産業省で先行的にやっている地域もございます。

 以上です。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、福間参考人にお伺いいたします。

 お話の中で、昭和五十年代後半から、若者定住を目標に製造業誘致活動を展開してきたという話でございました。その点で、一方で課題として、最近の大手企業の雇用が人材派遣会社からが多くなったという話がございました。ですから、五十年代後半以降の企業立地において、これが若者の定住につながるものになったのかというその点についての評価と、今の企業の立地状況というのが若者の定住につながるような安定した雇用につながっているのかどうか、その点についての率直な受けとめをお聞かせいただけますか。

福間参考人 要は、最近はやりの人材派遣とかが多いということでしょうね。

 私のところも、もともと昭和五十年代というか、入った企業、特に村田製作所さんにつきましては、オーナーの考え方がありまして、やはり日本の正社員でやろうというスタンスが強かったんです。ただ、今現在、富士通さん等は、ノート型パソコンにつきましては、現実問題、正社員では賄われないという問題もありますので、そういう派遣労働者の方もあるんです。ただ、最近のはやりの、マスコミに出るような極端なそういう動きはないということでございます。

 私、思いますのに、やはり若者がそういうところへ出る、派遣会社に行くというのは何か貧しいものがありますから、本当は彼らがもう一回決起して、何かものづくりを身につけて新たなものにするような方向づけをやることも地域としては考えていかぬといかぬかなと思っております。だから、出雲というか斐川では、全国ではやりの大きな問題は今のところはないんです。

塩川委員 次に企業誘致について、今、自治体の企業誘致補助金の引き上げ競争というのが大変話題になっております。

 きっかけは三重でしょうけれども九十億で、お隣の和歌山で百億円になって、大阪はそれ以上というので百五十億、兵庫はもう上限なしという形の話で、どんどんどんどん加速をしている。中国地方を拝見しましても、岡山が七十億で、かなりの額だと思います。そういう中で、島根とかが十億円ぐらいでしょうか。

 これについては私、この委員会の審議の中で甘利大臣にもお聞きしたんですけれども、甘利大臣としても、甘利大臣の考えとして、大事なのはワンストップサービスとか首長のトップセールスとか、姿勢の問題なんだという話で、そういう点では、企業誘致補助金の引き上げ競争そのものが正しいやり方ではないということをおっしゃっておりました。

 現場にいらして、補助金ばかりが引き上げて目立つような状況というのが今非常に顕著なものですから、その点について、企業誘致補助金の引き上げ競争の現状についてはどのように受けとめておられるのか、お聞かせください。

福間参考人 先ほどのことでございますけれども、はっきり言いまして、島根県では恐らく五十億、六十億というのは金がないからできぬと思います。要は、世の中いろいろ企業がありまして、オーナー社長とかいろいろな考え方の方がおられますので、やはりそういう一回性の大補助金をもらって長続きすればいいんですけれども、そういう考え方の企業とは、僕らはもうどうしようもないです、はっきり言いまして。

 私のところの島根県は今十億で、私のところの地方は、今言いましたように固定資産税相当分三年間を、いただいたものを、大企業だろうが中小企業だろうが返すだけなんです。それで今までもずっと満足してもらっております。私、それしか今答えようがありません。

塩川委員 あと、企業が進出する場合に、今グローバルな時代で、多国籍企業としては、海外の立地もあるだろうし国内の立地もあるだろう、最適立地、最適生産という中で具体的立地が図られるという状況だと思います。そうしますと、立地をする地域もあるけれども、撤退をするような場所もあるだろうという話が出てまいりますね。

 私、この委員会で、埼玉でのある自動車部品メーカー大手の話をしたんですけれども、合併を機会に本社を引っ越して、それがまた戻ってきた。一方でそこには開発研究センターを立ち上げるんだけれども、他方で生産工場は縮小する、同じ県内でもそういう形での立地と撤退が一緒に行われているような状況があるわけですね。そういう点での企業誘致補助金だけ出すのは、これはいかがかという話もしたわけです。

 そういう点では、たしか福間参考人の関係の参考資料の中で、やはり今撤退も考えなくちゃいけないというお話もありましたけれども、私とすると、何らかのルールづくりというのは、誘致をしっかりするのであれば、撤退についてもきちっと物を言うような仕組みというのは自治体側からも必要なんじゃないのかと思うんですけれども、立地と同時に撤退もあり得るという企業の立地動向についてはどのようにお考えか、お聞かせいただけますか。

福間参考人 撤退が一〇〇%ゼロ、ないということはないと思います。ただ、私どもが思っているのは、そういう撤退されるときに当たっても、常にアフターサービスで本社とか交流していますから、そういう問題が出たら、常に密着していますと、そういう相談も早く来るんだろう。今現在、撤退した事例が私のところはないですから、そういうふうにやはりきちっと交流をしながら、今の部品はだめでも、この製品はだめでも、この商品でやっていただけないかというふうな、そういうおつき合いしかないかなと思っているんです。

 ただ、将来どういうことがあるかわかりませんけれども、行政としての仕事としては、常に新しい分野を誘致するような心構えでいかなきゃいけない。その場合には、その進出企業ときちっと交流をしておけば、黙って逃げるということはないというふうに思っております。

塩川委員 ありがとうございます。

 三宅参考人に伺います。

 先ほど、赤羽委員の質疑の際にも出されたところで、ちょっとその点について重ねてお聞きするんですが、熊野筆のことなんですけれども、OEM生産が前提となっているということで、やはりですからOEM生産をするきっかけというのは何かあったんじゃないかなというような思いがあるんですね。

 つまり、中国に流れるんじゃなくて日本の熊野筆に来ているということが、OEMで名前は出ないにしてみても、品質の点ではすぐれているものがあったんじゃないかとかという、その辺の、いいものだからOEM生産で使ってもらっているんじゃないかという思いがこちらにあるものですから、それはどういうきっかけで掘り出されたものなのか。何かその辺を少し具体的に、御承知でしたら教えていただければなと思ったんですが。

三宅参考人 熊野筆の場合は、もともと熊野でつくられていたわけではなくて、行商でいろいろなものを、熊野でとれた農産品なんかを奈良の方に持っていきまして、最初は奈良から筆を仕入れて売り歩きながら広島まで戻った、そういうふうな歴史から筆づくりがスタートしたんですね。奈良から仕入れた筆をもとに、自分たちでも筆をつくっていこうということで筆づくりが始まったわけなんです。

 OEM生産というのが、やはりいろいろな製造業、結構皆さん悩んでいるところじゃないかと思うんですけれども、自社の名前で売っていこうと思いましたら、やはり企業の非常に大きな力がない限り無理なんですね。

 OEM生産というのは、やはり名前こそ出さないものの、実際に数をたくさん出すことができるということで、その筆づくり、もともと毛筆の筆からスタートしたわけなんですが、毛筆の筆だけではなかなか全体が成り立っていかないということもあり、化粧用の小さな筆をつくるようになったということで、大体はOEM生産を最初からやりたくてやったということではなくて、自然にそういう、例えば文具のメーカーですとか、化粧品のメーカーですとか、そういったところから依頼があってつくり出したということなんです。

 ですけれども、もともと筆というのは中国から入ってきているものですから、中国の方が最初は筆づくり、もちろん筆全体の原点ということになっているわけなんですが、日本のものづくりということで考えていけば、やはり手先が非常に器用ですので、中国ではできない細かな作業、精密機械などもそうなんですが、それを得意とする日本人独特の繊細さというもので筆づくりに関して世界での市場を確保したということにもつながっていくんじゃないかと思われます。

 ただ、やはり筆そのものは、世界でいいますと中国の方が圧倒的に多いです。

塩川委員 時間が参りましたので終わります。

 ありがとうございました。

上田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 次回は、明十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十六分散会


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